湧々堂HOME 新譜速報: 交響曲 管弦楽曲 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 オペラ バロック 廉価盤 シリーズもの マニア向け  
殿堂入り:交響曲 管弦楽 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 オペラ バロック SALE!! レーベル・カタログ チャイ5



イザベル・ファウスト、
ダニエル・ハーディング、
アンドレアス・シュタイアー

 
来日記念キャンペーン!







特価受付期間〜2018年11月末まで!!




※表示価格は、全て税込み。品番結尾に特に表記のないものは、全て1CDです。
品番 内容 演奏者
HMC-902017(2CD)
エリック・サティ:最後から2番目の思想
[CD1]ピアノ・ソロ編
(1)グノシェンヌ第1番、
(2)舞踏への小序曲、
(3)ジムノペディ第1番、
(4)本当にぶよぶよした前奏曲、
(5)グノシェンヌ第2番、
(6)嫌らしい気取り屋の三つのワルツ、
(7)グノシェンヌ第3番、
(8)ピカデリー、(9)自動記述法、
(10)グノシェンヌ第4番、
(11)操り人形は踊っている、
(12)メドゥーサの罠、
(13)冷たい小品、
(14)最後から2番目の思想、
(15)いくぶん生き生きと(モンマルトルのエスキースとスケッチより)、
(16)乾からびた胎児、
(17)グノシェンヌ第5番、
(18)ワルツーバレエ、
(19)世紀ごとの時間と瞬間的な時間、
(20)ばら十字団の最初の思想、昨金の粉、グノシェンヌ第6番
[CD2]デュオ編
(1)梨の形をした3つの小品(1台4手のための)、
(2)ジュ・トゥ・ヴ、
(3)お医者さんのところで、
(4)僕には友達がいた、
(5)エンパイア劇場のプリ・マドンナ、
(6)風変わりな美女(1台4手による)、
(7)右や左に見えるもの、
(8)シネマ(ミヨー編曲による1台4手版)、
(9)ダフェネオ、
(10)リュディオン(潜水人形)、
(11)再発見された像(C管トランペットとピアノのための嬉遊曲)、
(12)シテール島への船出、
(13)いいともショショット
[CD1&2]アレクサンドル・タロー(P)
(※CD1(12)はプリペアード・ピアノ)
[CD2](1)(6)(8)エリック・ル・サージュ(P)、(2)(3)(4)(5)ジュリエット(声)、
(7)(12)イザベル・ファウスト(Vn)、
(9)(10)(13)ジャン・ドゥルスクルーズ(T)、
(11)ダヴィッド・ゲリエ(Tp)

録音:2008年4、5月
洒落ていて物憂くてエスプリたっぷりでどこか不気味・・・そんなサティの音楽。考えてみれば、タローほどサティ作品にぴったりなピアニストはそういないのではないでしょうか。タローは持ち前の抜群のセンスで、プリズムのように刻一刻と変わる曲のニュアンスや洒落っ気を気持ちよく描いてみせてくれます。「指先の魔術師」タローが奏でる独特の音色にはドキッとさせられます。ピアノ・ソロだけでも充分たのしめますが、disc2の「デュオ」での豪華共演者陣も注目です。ル・サージュとのデュオは、これ以上ない、と思えてしまうくらいに息も音色もセンスもぴったり。本当にうまいフランス人がフランスものを弾くとこうなるのか、と思わず脱帽。ジュリエットは、タローが「理想のサティ歌い」と絶賛するシャンソン歌手で、パリのちょっと古びたカフェを連想させる、雰囲気たっぷりの歌を聴かせてくれます。「右や左に見えるもの」では、イザベル・ファウストが変幻自在の活躍。ヴァイオリンという楽器がもつ音色の意外な響きをたのしませてくれます。ゲリエのトランペットも実に見事。パリっとおしゃれに決まった、サティの新たなる名盤の登場です。
ブックレットの裏表紙に書いてあるサイトにアクセスし、パスワードを入れると、ボーナストラックなどが入手できるという趣向もあります。
※ジャケットに用いられているイラストは、ジャン=コクトーによるサティ像。  (Ki)
HMC-902059
バッハ:無伴奏ソナタ&パルティータ集
無伴奏ヴァイオリンパルティータ第2番
無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番
無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番
イザベル・ファウストv

録音:2009年9月1-4日テルデックス・スタジオ(ベルリン)
しなやかでチャーミング、そして力強く確かに歩む音楽で私たちを魅了しているヴァイオリニスト、イザベル・ファウスト。待望のバッハの登場です。2009年に来日した際にも、しなやかかつ自然なバッハで聴衆を虜にしたファウスト。「シャコンヌ」というと、冒頭の次々と掻き鳴らされる重音に、聴き手も覚悟を決めてこの楽章に臨む、というイメージがありますが、ファウストの演奏は、この楽章が舞曲(それも、どちらかといえば跳躍の多い)に起源を持つことを思い出させてくれるもの。自然に紡ぎだされる様々な楽想では、なにかダンサーが一人で時にエレガントに、時に激しく、無心に踊っている部屋を覗いているような不思議な錯覚をおぼえます。ファウストのエレガントかつ自然体な人柄と、並外れたテクニック、そしてあくなき探求、すべてが見事に調和したからこそ生まれた演奏があますところなく収められています。録音も秀逸。
=ファウストの言葉より(ブックレット抄訳)=
バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータの自筆譜を見た人は、その筆致の美しさ、完璧さに驚かされる。一貫して変わらない筆跡は、支柱、装飾、荘厳な構築性を兼ね備えた大聖堂のような総合芸術へと私たちを誘う。ここで見られるハーモニー、均衡はなんということか!この自筆譜の特徴を耳で聴けるかたちにするのは大変に骨の折れる作業である。演奏者は尽きることのない疑問と戦い、ゴールが果てしなく遠いことに気が遠くなることもある。この録音は、偉大なバッハに対する敬礼のようであり、きわめて親密なスナップであり、そして果てなく続くプロセスの中の一つの結晶のきらめきのようなものである。
HMC-902083(2CD)
C.P.E.バッハ:鍵盤協奏曲集Wq43
協奏曲第1番ヘ長調、第2番ニ長調、
第3番変ホ長調、第4番ハ短調、
第5番ト長調、第6番ハ長調
アンドレアス・シュタイアー(Cemb/Hieronymus Albrechthass、ハンブルク1834のコピー(2004年パリ、Anthony SideyandFredericBal))
フライブルク・バロック・オーケストラ、
ペトラ・ミュレヤンス(指、コンサートミストレス)

録音:2010年5月/テルデックス・スタジオ(ベルリン)
シュタイアー待望の新譜は、C.P.E.バッハの鍵盤協奏曲集。オーケストラはフライブルク・バロック・オーケストラとこれ以上望みようがないくらいに最高の布陣での、満を持しての演奏です。とにかくチェンバロもオケもうまい!この録音のために、事前にコンサートに臨み、万全の態勢で録音を迎えたというから気合が違います。アレグロなどの快速楽章でのフライブルク・バロック・オーケストラの快活なリズムの刻みは、愉悦の極み。快速なパッセージによるかけあいも、シュタイアーが駆け巡る音型を奏でている間のオケの合いの手も、すべてに思わず笑みがこぼれてしまう素晴らしさです。また、緩徐楽章でのシュタイアーの冴えわたりかたはものすごいものがあります。 (Ki)
HMC-901833
ドヴォルザーク:ヴァイオリン協奏曲 イ短調 Op.53*
ピアノ三重奏曲 ヘ短調 Op.65+
イザベル・ファウスト(Vn)
イジー・ビェロフラーヴェク(指)
プラハ・フィルハーモニア*
ジャン=ギアン・ケラス(Vn)+
アレクサンダー・メルニコフ(P)+

録音:2003年9月、12月

HMC-902108
ウェーバー:ヴァイオリンのオブリガートつきのピアノのための6つの段階的ソナタ(アマチュアのために作曲、捧げられた)op.10
 第1番 ヘ長調op.10-1
 第2番 ト長調op.10-2
 第3番op.10-3 ト長調
 第5番 イ長調op.10-5
 第6番 ハ長調op.10-6
四重奏曲(ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロとピアノのための)変ロ長調 op.8
イザベル・ファウスト(Vn/1704年製ストラディヴァリス「スリーピング・ビューティ」)
アレクサンドル・メルニコフ(フォルテピアノ‘Lagrassa’(1815年ca.,エドウィン・ボインクのコレクションより))
ボリス・ファウスト(Va/ガエターノ・ポラストリ)
ヴォルフガング・エマニュエル・シュミット(Vc/マッテオ・ゴフリラー)

録音:2011年 6月、テルデックス・スタジオ(ベルリン)
【ジャケット絵画:ロヴィス・コリント(1858-1925):ヴァイオリンを弾く女(1900年)】
今もっとも輝いているヴァイオリニスト、イザベル・ファウスト。注目の最新盤は、ウェーバーの作品集です。ドイツにおけるロマン主義運動の重要な先 駆者であり、多芸多才な楽長、明晰な批評家として、さらには華々しいピアニストとしても活躍したウェーバー。「魔弾の射手」やピアノ曲が非常に有名ですが、 室内楽はわずか9曲(完成されたもの)しかのこしていません。そのうち8曲は、ウェーバー自身、かなりの名手であった楽器、ピアノを含む編成のものとなっ ています。イザベル・ファウストを中心とする豪華メンバーのこの録音では、ウェーバーの才能の輝きに満ちた室内楽作品が、ファウストにしか奏でること のできないまばゆい音色に導かれ、いきいきと再現されています。メルニコフの溌剌とした気魄に満ちたフォルテピアノの音色も見事。なお、四重奏曲で 共演しているヴィオラのボリス・ファウストは、イザベルの兄。そしてチェリストも来日経験もある中堅シュミットということで、注目盤の登場といえましょう。
6つのヴァイオリン・ソナタは、1810年の夏の終り頃、出版社のヨハン・アントン・アンドレの依頼を受けて作曲されたもので、家庭内で、いわゆる アマチュアの人々が音楽演奏を楽しむための楽曲がならびます。ウェーバーはあまりこの仕事に乗り気ではなかったことが手紙などにも残されていますが、 その内容は実に多彩で、ウェーバーの才気に満ちたもの。カスタネットが打ち鳴らされるようなボレロ(第2番第1楽章のキャッラテーレ・エスパニョー ロ)や、バラライカの音色を思わせるエア・リュス(第3番第1楽章)など、多国籍の情緒が感じられ、また、魅力的なメロディー、そこかしこに、魔 弾の射手のアリアを彷彿とさせる華やかなパッセージも盛り込まれていて、「アマチュアのための」とされてはいますが、非常に充実した内容となっています。 アンサンブルをたのしむことにも主眼がおかれた作品だけあって、ファウストとメルニコフとの、丁々発止のやりとりにも注目です!
四重奏曲は、1809年9月、ウェーバーが22歳のときに完成された作品。なんといっても聴きどころは第2楽章。弦楽器の半音的な動きをみせるハー モニーに始まる印象的な問いかけにピアノが応えたかと思うと突然の休止小節、そしてピチカートによるカデンツァが続く、というなんとも謎めいた出だし の楽章です。この楽章だけ、1806年に完成、残りの楽章は後になって書かれたことがわかっています。ピアノの短い導入に始まり、瑞々しいロマンティッ クなメロディーのきらめきが美しい第1楽章、弦楽器の美しい音色が冴えわたる充実した第2楽章、エスプリの効いた短い第3楽章、そして、終楽章では、 弦楽器3者のフーガ風なやりとりの中、ピアノが縦横無尽に華麗にかけめぐります。
ファウストの、どこまでもまっすぐな音色で奏でられるウェーバーの書いた旋律美、メルニコフの才気と知性が冴えるピアノ・パート、そしてアンサンブ ルの妙。すべてがとびきりのクオリティのウェーバー作品集。珠玉の1枚の登場です。 (Ki)
HMC-902143
…pour passer la melancolie
フローベルガー:組曲第30番イ短調 
ダングルベール:「オルガンのための種々のフーガ」〜基礎のフーガ.イ短調
J.C.F.フィッシャー:「音楽のパルナッソス山」
 組曲「ウラニア」ニ短調〜トッカータ/パッサカリア
L・クープラン:組曲ヘ長調 
ダングルベール:「クラヴサン小品集」〜プレリュード/シャンボニエール氏のトンボー/シャコンヌ.ロンドー.イ長調 
J.C.F.フィッシャー:「音楽のアリアドネ」〜リチェルカーレ「イエスが十字架にかけられしとき」
クレランボー:「クラヴサン曲集第1巻」〜組曲ハ短調
ムッファト:「オルガン音楽の練習」〜パッサカリア.ト短調
フローベルガー:皇帝フェルディナント4世陛下の悲しい死に寄せる哀悼歌
アンドレアス・シュタイアー(Cemb.)
【使用楽器:17世紀末フランス製クラヴサン“Anonyme Collesse”(2000-2004年、ロラン・ソマニャック)】

録音:2012年2月、テルデックス・スタジオ(ベルリン)
鍵盤奏者として確固たる地位を築く名手、アンドレアス・シュタイアー待望の新譜!2012年にリリースされたベートーヴェンの「ディアベッリ変奏曲(HMC 902091)」での名演も記憶に新しいシュタイアーですが、今回はチェンバロ・ファン必見のオール・チェンバロ・プログラム。17世紀のフランス&ドイツ・ バロックの鍵盤作品を対象に、特にトンボーや哀悼歌など「憂鬱(メランコリア)」あふれる作品に焦点を当てたアルバムとなっています。近年はより深み のある音色と表現に磨きをかけてきているシュタイアー。本アルバムでも期待を裏切らぬ素晴らしい演奏で魅せてくれます。
今回のプログラムについて、「『トンボー』や『嘆き』はフランスのリュート音楽において典型的な様式ですが、クラヴサン奏者のレパートリーとしても等 しく重要なのです」と語ったシュタイアー。フローベルガーやダングルベールといった初期バロックの作品から、クレランボーやムッファトなどの後期バロッ ク作品に至るまで幅広く収録しており、たっぷりとバロック・メランコリーを堪能するアルバムに仕上がっています。フィッシャーのリチェルカーレ「イエス が十字架にかけられしとき」やムッファトの「パッサカリア」など、オルガン作品をチェンバロで演奏しているところにも注目されましょう。
当時のヨーロッパにおいては、「憂鬱」という言葉には「瞑想」のイメージが多く含まれていたそうで、本アルバムに収録されている作品も、全体的に「瞑想」 という言葉がしっくりくるような落ち着いた曲調の作品が目立ちます。とはいえ、決して暗く沈みこんだ雰囲気に徹することがないのは、シュタイアーの緩 急鮮やかな表現力が成せる業。音の響きの重みはそのままに、ドイツとフランスそれぞれの響きをしっかりと表現し分けているところも名手の面目躍如と いったところでしょうか。バッハの「ゴルトベルク変奏曲(HMC 902058)」でも絶賛された、明瞭な音捌きと圧倒的な響きの厚みは今回も健在。まさ に骨太の演奏に定評のあるシュタイアーの魅力の真髄に聴き入るにぴったりのアルバムです! (Ki)
HMC-901960
バッハ:初期作品集
トッカータニ長調BWV912(1707/13頃)、
パルティータ「おお神よ、汝義なる神よ」BWV767、
トッカータホ短調BWV914(1707/13頃)、
組曲イ短調BWV818a(1720年頃)、
トッカータト長調BWV916(1707/03頃)、
カプリッチョ変ロ長調(「最愛の兄の旅立ちに寄せて」)BWV992(1704または03頃)
アンドレアス・シュタイアー(Cemb)
※使用楽器:AnthonySideyd'apresHass
「行進できない」トルコ行進曲(HMC901856)で我々の度肝を抜き、モーツァルトの転調の妙技、さらにはショルンスハイムとの連弾で我々を楽しましてくれた(HMC901941「amSteinVis-a-vis(1777)」)シュタイアー、待望のソロは堂々、若き日のバッハ作品集と相成りました。「音楽の父」として音楽史上に大きく聳え立つ存在の大バッハ。シュタイアーは、ここに収められた初期作品の演奏を通して、バッハが若くしてすでに尋常ならざる気魄を備えた究極の音楽家であったことを我々に示してくれています。若き日の名曲として有名な「最愛の兄の旅立ちに寄せて」のアリアなど、シュタイアーの鬼才ぶりが遺憾なく発揮された名演。また、パルティータ「おお神よ、汝義なる神よ」の8曲目の半音階が多用された楽曲など、聴いていると足下の地面がぐんにゃりと変形して、異次元へと迷い込んでしまったかのような気分になる異様な半音階ぶりとなっています。
HMC-901867
ドヴォォルザーク:チェロ協奏曲ロ短調
ピアノ三重奏曲第4番「ドゥムキー」*
ジャン=ギアン・ケラス(Vc)、
イザベル・ファウスト(Vn)、
レクサンドル・メルニコフ
イルジー・ビエロフラーヴェク(指
)プラハPO

録音:2004年8月プラハ、ルドルフィヌム、12月ベルリン、テルデック・スタジオ*
今を代表するスタープレイヤー、ケラスがチェロ協奏曲の最高峰“ドヴォコン”を録音!潤いを湛えた骨太の音色と、柔剛いずれもよくする鮮やかなテクニック。ケラスにとって初めてとなるこの録音、瑞瑞しい感性と覇気にあふれ、颯爽と弾き切るさまはじつに気持ちの良いものです。ビエロフラーヴェクが94 年に創設した精鋭オケ、プラハ・フィルハーモニアの響きも鮮烈で、風通しの良さが魅力。なお、カップリングは同じドヴォルザークの傑作トリオ「ドゥムキー」となんともぜいたくな上に、豪華な顔合わせ。まず、先にこちらもヴァイオリン協奏曲(HMC.901833) を同じバックで録音したファウスト。そして、かなめのピアノはリヒテルの高弟メルニコフ。新しい世代による、ほとばしる情熱のぶつかり合いがこの上なく刺激に満ちています。 (Ki)
HMC-902104
ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第1番ハ短調Op.35
ヴァイオリン・ソナタOp.134
ピアノ協奏曲第2番ヘ長調Op.102
アレクサンドル・メルニコフ(P)、
イザベル・ファウスト(Vn)、
イェルン・ベルヴァルツ(Tp)、
テオドール・クルレンツィス(指)
マーラー・チェンバーO
ショスタコーヴィチの難物「前奏曲とフーガ」全曲で衝撃を与えたメルニコフが協奏曲に挑戦しました。しかも指揮が話題のクルレンツィス、オーケストラがマーラー・チェンバーというのも注目です。こだわり派のメルニコフはショスタコーヴィチの自作自演盤を研究し、独奏・オーケストラともにテンポ、フレージング、表現等々ソックリなまでの影響を受けています。とは言っても単なるコピーではなく、メルニコフらしさやクルレンツィスらしさが横溢し、21世紀らしい新鮮さも欠けていません。
協奏曲第1番のトランペット独奏はベルギーの若手イェルン・ベルヴァルツが務めていて、その巧さにも驚愕。メルニコフの演奏はまさに才気煥発の極みで、テクニックはもちろん、ヒリヒリした皮肉と緊張感が理想的にブレンドされています。長大で深遠な交響曲第11番と同時期に書かれたピアノ協奏曲第2番は、平易で軽い作品と思われがちですが、メルニコフの演奏で聴くと一筋縄ではいかない力作であることを再認識させられます。クルレンツィスの指揮は評判となった交響曲第14番のディスクを彷彿させる充実ぶりで、メルニコフのピアノと互角に競い合います。
フィルアップのようでアルバム一番の大作ヴァイオリン・ソナタは、何とイザベル・ファウストとメルニコフの共演。これは超驚愕の凄さ。ファウストとメルニコフは、オイストラフがショスタコーヴィチのピアノ伴奏で1968年にプライヴェート録音した音源の噂を聞き、オランダのコレクターを訪ねてそれを聴かせてもらい、目から鱗が落ちたとのこと。確かに背筋の凍るような緊張感と不思議な美しさは自作自演にソックリですが、セッション録音ゆえ、その凄さは倍増され、ちょっと人間業とは思えぬ境地に至りました。ファウスト屈指の名演なだけでなく、意外に名盤に恵まれないこの作品のベストであることは歴然と申せましょう。 (Ki)

HMC-902124
バッハ:無伴奏ソナタ&パルティータ集 VOL.2
ソナタ 第1番 ト短調 BWV 1001
パルティータ 第1番 ロ短調 BWV 1002
ソナタ 第2番 イ短調 BWV 1003
イザベル・ファウスト(Vn)
※ヴァイオリン/1704年製ストラディヴァリス「スリーピング・ビューティー」

録音:2011年 8,9月
イザベル・ファウスト、待望のバッハの完結編の登場です。第1弾となる無伴奏ソナタ&パルティータ集 BWV 1004-1006(HMC 902059)は世界中 で絶賛され、その後も、ブラームス(HMC 902075)の協奏曲と六重奏曲というカップリングで魅せた比類なきアンサンブル、そしてアバド指揮モーツァ ルト管とのベートーヴェン&ベルク協奏曲(HMC 902105)の神がかり的な美しい演奏のディスクで私たちをたのしませてくれました。さらに来日公演も 高評価だっただけに、期待が高まります!
聴き手の耳と心に焼きつく強烈な美しさを放つファウストの音。重力を感じさせない、しかし軽いというわけでは決してない、実に不思議な弓使いから 生み出される彼女の音色は、一度聴いたら忘れられないもの。今回のバッハでも、銘器ストラディヴァリウス「スリーピング・ビューティー」の特徴でも ある美しい音色、彼女自身「レーザーのようにまっすぐで、宙を射る光の線のようにまばゆい」と述べる音色で、聴き手の心にまっすぐに響いてくるバッハ を聴かせてくれます。
ソナタ第1番第1曲アダージョ冒頭の、平衡感覚にすぐれた、持続する緊張感はファウストならでは。ただこの緊張感というのが、聴き手を金縛りに させるような強烈なものとはまた違った、ファウスト独特の不思議な緊張感なのですが、冒頭からファウストの世界にぐいぐい引き込まれてしまいます。パ ルティータ第 1 番 1 曲目のアルマンドは、アルマンドが舞曲であることを痛感させる浮遊感あるリズムに乗って、淡々と奏でられます。4 曲目ドゥーブルの 無窮動では、細かな音符が一部の隙もなく急速にくるくると押し寄せてきて、その遠心力で一種の無重力状態が生じているような、不思議な世界が広がり ます。ソナタ第2番の終曲アレグロでは、ファウストのかっこよさが炸裂しています。イザベル・ファウストという演奏家、そしてこの素晴らしい音色を秘 めた「スリーピング・ビューティー」という楽器、両者が最高の状態で出会い、ただならぬバッハの世界を創りあげています。 (Ki)
HMC-902025(3CD)
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集
◆CD
ソナタ第1番〜第8番ト長調Op.30-3
◆dual-disc
[CD面]ソナタ第9番「クロイツェル」(HMC901944と同音源)*
[DVD面]録音メイキング風景+ソナタ第10番〜第1楽章演奏風景
イザベル・ファウスト(Vn)、
アレクサンドル・メルニコフ(Vn)

録音:2008年、2006年5月*
3CD+1dualdisc(CD&DVD)の仕様。)しなやかな力強さと細やかな感受性をあわせもつファウストの新譜は、ベートーヴェンのソナタ集。ファウストのヴァイオリンで聴くベートーヴェンというだけでも心踊るのに、メルニコフがピアノだなんて、なんと贅沢なことでしょう。ファウストは、第5番「春」の第1楽章の有名な冒頭で、実に繊細で可憐な表情を見せており、彼女のセンスと知性が光ります。ピアニストのメルニコフも、弱音でもくっきりとした発音とピリッと線の通った和声感、一糸乱れぬピアニズムで聴かせます。お互いに自由に羽ばたいているのに、息はピタリと合っており、見事の一語です。ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ集にうれしい名演奏の登場です。 (Ki)
HMC-901870
シューベルト:ヴァイオリンとピアノの為の作品集
幻想曲 ハ長調 Op.159 D.934/二重奏曲 イ長調 D.574/
(華麗な)ロンド ロ短調 Op.70 D.895
イザベル・ファウスト(Vn)
アレクサンドル・メルニコフ(P)
 
HMC-902105
ベルク:ヴァイオリン協奏曲(ある天使の思い出に)
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲
イザベル・ファウスト(Vn)
 ※使用楽器:スリーピング・ビューティ(Stradivarius, 1704)
クラウディオ・アバド( 指)モーツァルトO

録音:2010年11月/ボローニャ(Auditorio Manzoni)
クラウディオ・アバドが、是非に、と申し出るかたちで実現したレコーディングです。アバドとオケが全身全霊 でファウストの音楽を支えているのがよく感じられ、ベルクの協奏曲では、爛熟したハーモニーをオケが醸す上で、ファウストが変幻自在な音で飛翔し ます。ファウスト独特のタッチが生みだす美しい高音には思わず息をのむほどです。ベートーヴェンでも、何度も聴いたことがあるはずの第1主題から、 なんとも神々しい響き。第2 楽章の天国的な美しい音色はショッキングですらあります。終楽章の活き活きと、そして愛らしさも漂う表情はファウスト ならでは。カデンツァは、ベートーヴェンがこのヴァイオリン協奏曲をピアノ用に編曲した際に、ベートーヴェン自身が書いたものに基づいています。ヴァ イオリン界の新女王、という一言だけでは表現しきれない音楽と魅力的な表情、そして衝撃的に美しい音。ファウストとアバド、モーツァルト管が、神 に許された人にしか立ち入ることのできない領域の音楽を展開しています。 .「私がマエストロ・クラウディオ・アバド(マーラー室内管)と共演したのは2008 年のことでしたが、この経験は、ベートーヴェンの協奏曲を理解 し体験する新しい道を私に見出させました。このあと、アバド氏は、今度はモーツァルト管と、アルバン・ベルクの協奏曲を共演しましょうと申し出て くださいました。この二つの傑作をリハーサルし、コンサートにかける機会を幾度が経たあとで、これら2 作品をCD に録音するということは、彼にとっ て、自然の流れだったようです。この2 つの傑作を同時に持ち続けるということは私にとってまったく新しい体験でした。2010 年にボローニャで行っ た幾度にも亘るリハーサルでは、ベルクが終わるとベートーヴェン、という風に、2 作品を交互に演奏していました。アルバン・ベルクの、悲しみと苦 しみの世界から、バッハの魂の浄化のコラールを経て、ベートーヴェンの最も輝かしく、この世のすべての苦しみから一見解放されたようにみえるフィナー レへの非常に密度の濃い旅は、演奏に携わる私達をこの上なく魅了しました。アバドとの音楽作りは、至上の歓びであり、音楽のマジックを知るため の本物の鍵でした。彼が私を信頼して下さったことに心から感謝し、彼の芸術性に心からの賛辞を捧げます。」(イザベル・ファウストのコメント、ライ ナーノーツより). (Ki)

HMC-902075
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲
弦楽六重奏曲第2番Op.36*
イザベル・ファウスト(Vn/‘スリーピング・ビューティ’1704年ストラディヴァリウス)
ダニエル・ハーディング(指)
マーラー・チェンバー・オーケストラ

イザベル・ファウスト(Vn)、
ユリア=マリア・クレッツ(Vn)
ステファン・フェーラント(Va)、
ポーリーヌ・ザクセ(Va)
クリストフ・リヒター(Vc)、
シェニア・ヤンコビチ(Vc)
録音:2010年2月(SociedadFilarmonica(ビルバオ))、2010年9月(テルデックス・スタジオ(ベルリン))*
近年目を瞠る充実ぶりの女性ヴァイオリニスト、イザベル・ファウスト。前作のバッハも世界中で非常に高い評価を得ています。そんなファウストの待望の新録音は、ブラームスのヴァイオリン協奏曲。ファウストによるブラームスというだけでも心躍るのに、ハーディング指揮によるマーラー・チェンバー・オーケストラとの共演となれば、さらに期待が高まります。ヴァイオリン・ソロの冒頭から、ファウストの高度の集中としなやかさに耳を奪われます。第2楽章での高音による旋律では、ファウストの繊細かつ芯のある美音が冴えわたります。第3楽章で見せるエネルギー、それでいてどこか可憐な風合いもある表情はファウストの魅力全開です。全体を通してハーディングの巧みな造形が光る音楽運びも見事です。なお、ファウストは、ブゾーニのカデンツァを採用。「表情豊かで、作品への畏敬の念に満ち、構造的には単純ながらオリジナリティに溢れ、ブラームスらしさを保ちつつも、ヴァイオリニストの技量の見せどころもちりばめられている」とファウスト自身が熱く語るブゾーニのカデンツァ、注目です。カップリングの弦楽六重奏曲は、繊細な冒頭から見事なアンサンブル。マーラー・チェンバーの若手奏者のほか、ナヴァラやフルニエに師事したクリストフ・リヒターなど世代を超えたメンバーによる演奏で、親密でロマンティックな名曲をたっぷりと聴かせます。(Ki)

HMC-902091
ディアベッリ変奏曲〜アントン・ディアベッリのワルツ主題に基づく50の変奏より(1824年出版、ウィーン)
ディアベッリ(1781-1858):テーマ
ツェルニー:変奏W
フンメル:変奏XVI
カルクブレンナー:変奏XVIII
ケルツコフスキー:変奏XX
クロイツァー:変奏XXI
リスト:変奏XXVI
モシェレス:変奏XXVI
ヨハン・ペーター・ピクシス:変奏XXXI
F.X.W.モーツァルト:変奏XXVIII
F.シューベルト:変奏XXXVIII
アンドレアス・シュタイアー:‘イントロダクション’
ベートーヴェン:ディアベッリ変奏曲Op.120 (全曲)
アンドレアス・シュタイアー(フォルテピアノ/コンラート・グラーフモデル)

録音:2010年9月/テルデックス・スタジオ(ベルリン)
2011年度アカデミー賞受賞アーティスト、近年ますますの充実を見せているアンドレアス・シュタイアー待望のソロ・アルバムの登場です!今回シュタ イアーがとりあげたのは、ベートーヴェンが腕によりをかけて主題を33回に渡って変容させたディアベッリ変奏曲。近年誰もがアクセス可能となったベー トーヴェンの自筆譜ファクシミリを入念に研究した説得力満点の力演です。さらに他の作曲家の手による変奏も収録、さらに自作の「イントロダクション」 も収録したという、いつもながらのこだわりぶり。シュタイアーの演奏が霊感に満ちて素晴しいことは言うまでもありませんが、ペダルの使い方(音色の 選択)が実に新鮮!ヤニチャーレン(ジャニサリー)・ペダル(トルコ親衛兵の軍隊音楽の打楽器の音色を思わせるガシャーンという音のするストップ)を使っ ての変奏23のドン・ジョヴァンニ変奏曲風楽章、変奏24のチェルニー練習曲カリカチュア風楽章の冒頭の和音は、なんともショッキング!シュタイアー 渾身のディアベッリ、大注目です!
もともとディアベッリ変奏曲は、当時のヴィーンの有名な出版社で音楽家でもあったディアベッリが、自分が作った主題を当時人気のあった作曲家たち 50人に渡して、それぞれに変奏曲を作曲させ、それをまとめて1つの変奏曲の作品として出版しようとしたもの。発注は1819年春頃で、大抵の作曲家(リ ストやシューベルトら)は注文のとおりに変奏を書きましたが、ベートーヴェンは当時「ミサ・ソレムニス」の作曲に従事していたことなどもあり、本腰を 入れ始めたのは1822年頃のことでした。最終的にベートーヴェンの作品は33もの変奏からなる大曲となったので、ディアベッリはベートーヴェンの作 品は単独で出版、他の作曲家たちによるものはまた別に1824年に出版されました。
ベートーヴェンの作品が33もの変奏曲から成る大作になったことについて、シュタイアーは、「これは偶然ではない」と語ります。ベートーヴェンはこ の主題のことを「靴屋の継ぎ皮」として、他の作曲家と一緒にされたくなかったからこんな巨大な作品にしたのだろう、などと語られることもありますが、 そのような理由だけで書いたにしては、その自筆譜からは、あまりにもベートーヴェンが苦労したあとが窺われる、と。バッハのゴルトベルク変奏曲は30 の変奏から成り、また、自作主題による変奏曲は32から成ることをベートーヴェンは強烈に意識していたはずと語ります。
ディスクの前半で、シュタイアーは、シューベルトによるシンプルながら天賦の才能に満ちた変奏、リストによるピアニスティックな変奏など、ヴァラエティ 豊かなセレクションを聴かせてくれます。注目なのが、シュタイアーによる「イントロダクション」。シュタイアーは、他の作曲家によるものと、ベートーヴェ ンの偉大なツィクルスの間に何か聴覚的・時間的な間を置きたかったと語ります。1819年、ベートーヴェンが発注を受けた際に残したスケッチに着想を 得てシュタイアーが創りあげたイントロダクションは、幻想的で不思議な即興演奏のような空気の中、時折ベートーヴェンのソナタの断片を思わせるよう なモティーフもちりばめられていて、実に面白い仕上がりです!
ベートーヴェンの作品は「変奏曲」と呼ばれていますが、コピストの手による楽譜の原語タイトルにはVeranderungenとあり、厳密には変奏というよ りも「変容」といった意味の強いもの。ベートーヴェンは、主題に内在される要素を原子レベルにまで分解、それを徹底的に動機、あるいはリズム、フー ガ的な手法で発展させています。ベートーヴェンの創意に満ちた作品を、こだわりやのシュタイアーが弾く。大注目の演奏です! (Ki)

HMC-902146
バルトーク:ヴァイオリン協奏曲集
ヴァイオリン協奏曲第1番 Sz36(遺作)
ヴァイオリン協奏曲第2番 Sz112
イザベル・ファウスト(Vn/1704年製スリーピング・ビューティ(ストラディヴァリウス))
ダニエル・ハーディング(指)
スウェーデンRSO

録音:2012年4月/ベルヴァルトホール(ストックホルム)
気・実力とも急上昇中のヴァイオリニスト、イザベル・ファウストの新譜の登場!ブラームスの協奏曲でもファウストとの素晴しいアンサンブルで魅せ てくれたハーディングの(指)オーケストラは、ハーディングが音楽監督を務めているスウェーデン放送交響楽団という最強の布陣による、バルトークのヴァ イオリン協奏曲集です。
バルトークは、ファウストの魅力が炸裂する作曲家の一人といえるでしょう。ファウストの衝撃のデビュー盤は、バルトークの作品集でした【HMG 508334(2CD)の「バルトーク:無伴奏ヴァイオリン・ソナタSz.117/ヴァイオリン・ソナタ第1番(ピアノ:エヴァ・クピーク)、1996年収録」】。この盤は、 新人としては異例の「グラモフォン」エディターズ・チョイス、97年度グラモフォン賞に輝くなど、世界の耳を驚かせた衝撃の名演。デビュー当時から格 別なものがあるファウストのバルトークということで、期待が高まります。
第1番は、バルトークが26歳の頃に書かれたもの。当時熱い思いを寄せた女性ヴァイオリニスト、シュテフィ・ガイエルに献呈されましたが、一度も 演奏されないままに、彼女もバルトークの死後10年ほどでこの世を去ってしまい、ふたりの死後しばらくしてからこの作品の存在が知られることとなった、 遺作です。ファウストはこの録音にあたり、草稿など様々な資料にあたり、バルトーク自身による書きこみなどを発見。バルトークの思いを可能な限り汲 んだ力演を聴かせています。冒頭の長七の和音を静かに上行する4つの音からなる音型は、シュテフィ・ガイエルをあらわすモティーフ。ファウストが奏 でる内省的な音色から、一気に世界に引き込まれます。ハーディング率いるオーケストラとのアンサンブルも緊張感に満ち、見事。第2楽章のゆるやかに 上下行をくりかえす旋律を奏でるオーケストラの微妙な揺れと、ファウストが奏でる旋律が絶妙に融けあう様は息をのむほど美しく、官能的ですらあります。 終盤で聴かれるドイツ民謡の引用は、バルトークがこの作品を書いた1907年の夏、ガイエルと二人で休暇を共に過ごした時に聴いたもの。しかしつか の間の平穏な雰囲気は霧散し、最後は緊張感のあるクライマックスを迎えます。この作品が完成した2日後、二人の関係は終わりました。にも関わらず バルトークはこの作品を彼女に献呈、作品ページ冒頭には、別れの挨拶が、そして最後には哀しみのメッセージが書かれています。こうした作品成立の背 景を考えながら聴くと、また一層の味わいがあります。(なお、ライナーノートはファウスト自身の筆によるもので、曲の背景やファウストが見つけた事実 などが述べられており、実に興味深い内容となっています)
第2番はバルトークの中期、最も創作的に充実していた時期に書かれたもの。ハンガリー民謡的な旋律、抒情的な旋律、五音音階から十二音技法、 さらには四分音まであらわれる、多種多様の素材が見事に融合・構築され、高度の集中を要求するこの作品には、バルトークのすべてが詰まっていると いっても過言ではないでしょう。激しいクライマックスで締めくくられる第1楽章、様々に変容する旋律でファウストの美しい音色が官能的に輝く第2楽章、 そして野性味すら感じさせる力強いリズムに満ちた第3楽章まで、緊張感に満ちたファウストのソロと、ハーディング率いるオーケストラとのアンサンブル が見事に弾き切っています。幼いころから室内楽に親しみ、アンサンブル能力にたけたファウストだからこそ実現できる演奏といえるでしょう。 ファウストとハーディングによるバルトーク。今もっとも活躍する音楽家たちによる注目盤です! (Ki)
HMC-902171
シューマン:変奏曲&幻想小曲集
アベッグ変奏曲 op.1
幻想小曲集 op.12
3つの幻想的小曲 op.111
主題と変奏 変ホ長調 ―最後の楽想による幻覚の変奏曲(精霊の変奏曲)
アンドレアス・シュタイアー(フォルテピアノ/ 1837 年エラール製、エドウィン・ボインク・コレクション)

録音:2013年2月、テルデックス・スタジオ・ベルリン
アンドレアス・シュタイアーが、シューマン・ピアノ作品集の第3弾となるアルバムを録音しました(第1弾はシューマン:「子供の情景」(廃盤)、第 2弾はピアノとヴァイオリンの作品集(廃盤))。今回シュタイアーは、作品1の「アベッグ変奏曲」に始まり、最晩年の精神病院に入る直前の作品「主題 と変奏(精霊の変奏曲)」(遺作)で終わるというシンメトリックなプログラムを組んでいます。
前半の2作品は、若きシューマンの詩情ときらめきに満ちた演奏。アベッグ変奏曲冒頭の主題提示の豊かな詩情とやさしい音色にまず引き込まれます。 幻想小曲集も、各曲の性格の描き分けも鮮やかに、シュタイアーの語りを聞いているような気分になる演奏です。時を隔てて作曲された続く後半2作品は、 ぐっと深みが増し、ときに不安定でもある和声や、彷徨っているような旋律も耳に残る曲。シュタイアーの非常にやわらかい語り口は、アベッグ変奏曲の ころから様々なことに見舞われ疲れ切ったシューマンをいたわるかのよう。と同時に、聴き手にシューマンの言葉(詩)を代弁してくれているようでもあり ます。エラールのフォルテピアノのあたたかな音色と、ペダルを使ったときに際立つ豊かで優しい響きも完ぺきにコントロールしながら、シュタイアーが優 しさに満ちたシューマンの世界を展開しています。 (Ki)
HMC-902187
ブラームス:クラリネットとピアノのためのソナタ集
クラリネット・ソナタ第1番 ヘ短調 op.120-1
6つのピアノ小品 op.118
クラリネット・ソナタ第2番 変ホ長調 op.120-2
ロレンツォ・コッポラ(Cl/ B 管、ベルマン・オッテンシュタイナーのモデルによる、シュヴェンク&セゲルケ製、
バンベルク、2001年)
アンドレアス・シュタイアー(P[ ニューヨーク・スタインウェイ、1875 年製 ])

録音:2013 年10月
鍵盤楽器の鬼才アンドレアス・シュタイアーの新譜はブラームス。ブラームス最晩年の屈指の名曲クラリネット・ソナタ、およびピアノ小品(ソロ)と いうプログラムです。クラリネットを演奏するのは、フライブルク・バロック・オーケストラのメンバーでもあり、モーツァルトの最後の協奏曲【HMC 901980(廃盤)】でクラリネット協奏曲を収録、世界を魅了したロレンツォ・コッポラ。
コッポラとシュタイアーによるクラリネット・ソナタというだけでも既に心躍りますが、もうひとつ注目なのが、楽器です。クラリネットは、ブラームスが クラリネット作品を書くきっかけを与えた当時の天才奏者ミュールフェルトも使用していたベルマン&オッテンシュタイナー・モデルの楽器を使用。1875 年製のスタインウェイと、バランス的にも音色的にも、素晴らしく融け合っています。
クラリネット・ソナタ第1番では、冒頭のシュタイアーの前奏から、ただならぬ雰囲気。終楽章の活発なピアノに触発されたようなコッポラのクラリネッ トも圧巻です。第2番では、やさしく甘い第1楽章の旋律で、コッポラがとろけそうな音色を奏でます。幻想曲風な第3楽章の幕切れも、ピアノの音色 が独特の世界をいっそう盛り上げます。クラリネット・ソナタ2作の間に収録されているのはシュタイアーのソロ。晩年のブラームスが自分の作品ひいて は人生を振り返って懐かしんでいるような作品を、シュタイアーが、彼ならではのやわらかな語り口と、スタインウェイの銘器の音色を最大に活かしながら、 いつくしむように奏でています。

HMC-902196
(1CD+DVD)
シューマン:ヴァイオリン協奏曲 WoO 1 ニ短調
ピアノ三重奏曲 第3番 ト短調 op.110

■ボーナスDVD
シューマン:ヴァイオリン協奏曲 WoO1 ニ短調
イザベル・ファウスト(Vn/1704 年製ストラディヴァリウス[ スリーピング・ビューティー])
ジャン=ギアン・ケラス(チェロ/ジョフレド・カッパ[1696 年 ])
アレクサンドル・メルニコフ(フォルテピアノ/ジャン=バティスト・シュトライヒャー[ウィーン, 1847年、エドヴィン・ボインク・コレクション])
パブロ・エラス=カサド(指)フライブルク・バロックO

[CD]録音:2014年5,8,9月/テルデックス・スタジオ・ベルリン
[ボーナス DVD]収録:2014年5月8日、ベルリン・フィルハーモニー(ライヴ)
イザベル・ファウスト(ヴァイオリン)、ジャン=ギアン・ケラス(チェロ)、アレクサンドル・メルニコフ(P)という、いまや世界が認める存在となっ た三人による、シューマン・プロジェクトが始動します。シューマンの協奏曲3曲(ピアノ・ヴァイオリン・チェロ協奏曲)+ピアノ三重奏曲3曲のレコー ディングをするというこのプロジェクトは、3人が、ヨーロッパでシューマンのピアノ三重奏曲を演奏するツアーを行った際に持ち上がったといいます。楽 器は、ガット弦の弓を張った弦楽器、そしてフォルテピアノで、ということになり、オーケストラもソロ楽器に合った編成のフライブルク・バロック・オーケ ストラに決定。指揮は俊英エラス=カサド。オケとソロ楽器の素晴らしいバランス、自然なアーティキュレーションで作品に対する既成概念を払拭するような、 まさにこの顔ぶれでしか為し得ない水準での、新しいシューマン像が完成しました。
プロジェクト第1弾は、ヴァイオリン協奏曲を中心に据えたプログラム。シューマンのヴァイオリン協奏曲は、晩年の1853年の作。当時のヴァイオリ ンの名手、ヨーゼフ・ヨアヒムとの出会いがこの作品を生みだしました。完成の翌年にシューマンが療養所に入ったことなどからしばらく日の目を見ない ままになっていましたが、1907年にヨアヒムが所蔵していた楽譜がベルリン図書館に売却され、1937年には初演および出版のはこびとなりました。力 強い第1楽章、第2楽章の美しい旋律はファウストの美しい音色と音楽の真骨頂を見るようです。この旋律は後にシューマンの耳に「天使の歌」として あらわれ、この旋律に基づいて、変奏曲(精霊の主題による変奏曲)が書かれています。第3楽章は3拍目に重点がくるポロネーズのリズムで、オーケ ストラとソロ楽器の充実の対話の中しめくくられます。カップリングのピアノ三重奏曲は、1851年に作曲されたもの。シューマン家でクラーラのピアノで 初演されたのち、1852年に公開初演されました。クラーラ自身、この作品を情熱的で創意に満ちていると非常に気に入っていたようすの日記が遺されて います。充実していたシューマンの、情熱と創意に満ちたトリオを、メルニコフのフォルテピアノの音色、そしてファウストとケラスの奏でる音色が織り成 す抜群のバランスで堪能できます。ボーナスDVDには、シューマンのヴァイオリン協奏曲のライヴ映像が収録されているというなんとも嬉しい特典つきです。 (Ki)
HMC-902219
ブラームス:ヴァイオイン・ソナタ第3番 ニ短調 op.108
シューマン:3つのロマンス op.94
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第2番 イ長調 op.100
ディートリヒ/シューマン/ブラームス:F.A.E.ソナタ
イザベル・ファウスト(Vn/1704 年製ストラディヴァリウス「スリーピング・ビューティ」)
アレクサンドル・メルニコフ(P/ 1875 年製ベーゼンドルファー(メルニコフ所蔵))

録音:2014 年9月
快進撃がとまらないイザベル・ファウスト。次なる新譜は、こちらも充実著しい盟友、アレクサンドル・メルニコフとのコンビによるブラームス&シュー マンです。 このブラームス&シューマン(&F.A.E.ソナタ)のプログラムは、2014年6月に日本でも公演があり、大きな話題となりました。既にファウストとメルニ コフはブラームスのヴァイオリン・ソナタ第1番を録音しており(HMC 901981(現在廃盤)。この時の録音でも同じベーゼンドルファーが用いられまし た)、これでファウストとメルニコフはブラームスのヴァイオリン・ソナタを全曲録音したことになります。 第3番の冒頭から、ファウストの振幅の大きな歌にメルニコフもぴたりと応えた最高のアンサンブルが展開されています。ファウストが奏でる音楽は非常 にやわらかで優しく、強弱や音色の幅も非常に豊か。そんなファウストにぴたりと寄り添うようにメルニコフが奏でるベーゼンドルファーの音色も、いぶし 銀のような音色から輝かしいものまでその幅広さに驚かされます。また、強弱の幅も実に豊かで、モダンのピアノよりも劇的に感じる瞬間もあるほど。ファ ウストとメルニコフ、充実著しいアーティストたちの作品に対する愛情と思いがつまった1枚となっています。 (Ki)

HMC-902181(2CD)
J.S.バッハ:チェンバロ協奏曲集
協奏曲第1番 ニ短調 BWV 1052
協奏曲第2番 ホ長調 BWV 1053
協奏曲第7番 ト短調 BWV 1058
協奏曲第3番 ニ長調 BWV 1054
協奏曲第4番 イ長調 BWV 1055
協奏曲第5番 ヘ短調 BWV 1056
協奏曲第6番 ヘ長調 BWV 1057
アンドレアス・シュタイアー(Cemb)
アンソニー・サイディ&フレデリク・バル、パリ、2004
(ヒエロニムス・アルブレヒト・ハース、ハンブルク、1734年製モデル))
フライブルク・バロック・オーケストラ〔ディレクション&ヴァイオリン:ペトラ・ミュレヤンス〕

録音:2013年7月
シュタイアーがついにバッハのチェンバロ協奏曲集を録音しました!オーケストラは古楽器オーケストラの雄、フライブルク・バロック・オーケストラとい う最高の布陣。ペトラ・ミュレヤンスがリーダーとなってのレコーディングです。
ライプツィヒ大学の学生を中心とした楽団「コレギウム・ムジクム」の指揮者として招かれたバッハは、コーヒー店や市郊外の庭園などでコンサートを 開いていました。この折の重要なレパートリーとなったのが、チェンバロ協奏曲でした。原作が存在する作品は、すべてヴァイオリンをソロとした協奏曲 が原曲となっておりますが、ピアノ協奏曲の充実した先駆者的な存在として今なお大きな魅力をもっています。
全篇をとおしてシュタイアーのソロがとにかく際立っています。さらにオーケストラとのアンサンブルも見事。シュタイアーとオーケストラが常に最高のバ ランスで聴こえてきます。緩徐楽章では絶品のラルゴを堪能、シュタイアーが時折混ぜ込んでくる刺激的かつ超絶技巧のパッセージに圧倒されます。期待 を裏切らないバッハのチェンバロ協奏曲集の登場です!  (Ki)

HMC-902198(CD+DVD)
シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調 op.54
ピアノ三重奏曲 第2番 ヘ長調 op.80
アレクサンドル・メルニコフ(フォルテピアノ/【協奏曲】1837年製エラール、【ピアノ三重奏曲】ジャン=バティスト・シュトライヒャー(ウィーン, 1847年)/いずれもエドヴィン・ボインク・コレクション)
イザベル・ファウスト(Vn/1704年製ストラディヴァリウス[スリーピング・ビューティー])
ジャン=ギアン・ケラス(Vc/ジョフレド・カッパ[1696年])
パブロ・エラス=カサド(指)
フライブルク・バロックO

[CD]録音:2014年8,9月、テルデックス・スタジオ・ベルリン
[ボーナスDVD]収録:2014年5月8日、ベルリン・フィルハーモニー(ライヴ)
シューマンの協奏曲3曲(ピアノ・ヴァイオリン・チェロ協奏曲)+ピアノ三重奏曲3曲のレコーディングをするというこのプロジェクトは、3人が、ヨー ロッパでシューマンのピアノ三重奏曲を演奏するツアーを行った際に持ち上がったといいます。楽器は、ガット弦を張った弦楽器、そしてフォルテピアノで、 ということになり、オーケストラもソロ楽器に合った編成のフライブルク・バロック・オーケストラに決定。指揮は俊英エラス=カサド。オケとソロ楽器の 素晴らしいバランス、自然なアーティキュレーションで作品に対する既成概念を払拭するような、まさにこの顔ぶれでしか為し得ない水準での、新しいシュー マン・シリーズとして世界が注目しています。
ピアノ協奏曲は冒頭から切っ先鋭いテンポ。その後のピアノとオーケストラの掛け合いは実に流麗にしてロマン味溢れております。主題の「ドシララ(ド イツ音名でC-H-A-A)」は愛する妻クララのイタリア名Chiaraを暗示しているとする説がありますが、メルニコフも意味深長に主題を響かせています。 全篇をとおしてメルニコフの生き生きとしたフォルテピアノが際立っており、彼の音楽の充実ぶりをあらためて実感します。オーケストラ間奏もまるで交響 曲を聴いているような、エネルギー全開の演奏となっています。カップリングのピアノ三重奏曲第2番は、1847年に第1番と同時期に作曲されました。 次第にシューマンを苦しめる心の病から逃れるかのように、明るく前向きな内容で、シューマン自身「甘やかで生き生きとした印象」としており、後にクララ・ シューマンはこの作品について「私の魂の深いところをあたたかく包み、最初から最後まで私を喜ばせる作品」であり「大好きで何度も演奏したい」と述 べました。明るく生き生きとした第1楽章冒頭、優しく愛に溢れた第2楽章、穏やかに何かを懐かしむような第3楽章、そしてうねる楽想の終楽章。名 手3人が見事なアンサンブルですべての楽想を慈しむように奏でています。
ボーナスDVDはベルリン・フィルハーモニーで行われたライヴの模様(協奏曲)が収録されています。 (Ki)

HMC-902197
(1CD+DVD)
シューマン:チェロ協奏曲 イ短調 op.129
ピアノ三重奏曲第1番ニ短調op.63
ジャン=ギアン・ケラス(Vc/ジョフレド・カッパ1696年)
イザベル・ファウスト(Vn/1704年ストラディヴァリウス[スリーピング・ビューティー])
アレクサンドル・メルニコフ(フォルテピアノ/ジャン=バティスト・シュトライヒャー 1847年、ウィーン
いずれもエドヴィン・ボインク・コレクション)
パブロ・エラス=カサド四フライブルク・バロックO

CD録音:2014年8,9月、テルデックス・スタジオ・ベルリン
ボーナスDVD収録:2014年5月8日、ベルリン・フィルハーモニー(ライヴ)
シューマンの協奏曲3 曲(ピアノ・ヴァイオリン・チェロ協奏曲)+ピアノ三重奏曲3曲のレコーディングをするというこのプロジェクトは、3人が、ヨー ロッパでシューマンのピアノ三重奏曲を演奏するツアーを行った際に持ち上がったといいます。楽器は、ガット弦を張った弦楽器、そしてフォルテピアノで、 ということになり、オーケストラもソロ楽器に合った編成のフライブルク・バロック・オーケストラに決定。指揮は俊英エラス=カサド。オケとソロ楽器の 素晴らしいバランス、自然なアーティキュレーションで作品に対する既成概念を払拭するような、まさにこの顔ぶれでしか為し得ない水準での、新しいシュー マン・シリーズとして世界が注目しています。
チェロ協奏曲は、シューマンがデュッセルドルフ市の音楽監督に就任直後の創作意欲旺盛の時期に書かれた作品。チェロ独特の深みのある響きと哀愁 に満ちた音色、ロマン的な抒情に溢れています。ヴァイオリン、ピアノの華やかな協奏曲に比べると、チェロ協奏曲は渋味がありソリストが主役ではなく、 管弦楽部分とチェロの技巧が一体となり響きあう曲。どんな作品でもエレガントに弾きこなすケラスは、チェロの技巧が駆使される第3楽章のオケの伴奏 付カデンツァでも、クールに洗練された演奏を披露しています。華美な技巧性はなく、オケとチェロの密度が高く内なる情熱を秘めた作品ですので、エラ ス=カサドとフライブルク・バロック・オーケストラ、そしてケラスの知性と情熱が静かに呼応するかのような味わい深い演奏です。
ピアノ三重奏曲第1番は1847年に完成。妻クララへの誕生日プレゼントのために作曲されました。メンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第1番ニ短調に 影響を受けて作曲され、この2作品はロマン派を代表するピアノ三重奏として広く認知されています。クララも気に入ったという第1楽章は、ピアノ、チェロ、 ヴァイオリンが織り成す優美で伸びやかな旋律から開始されます。そしてこの作品はチェロが素晴らしく響く音域を効果的に使っており、チェロ協奏曲のカッ プリングとして最適な演目と言えるでしょう。ケラスのチェロの響き、ファウストの美音、メルニコフの温かみのある音色が見事なバランスで聴こえてきて、 終楽章のコーダへ向かう圧巻のアッチェレランドは聴きどころです。 ボーナスDVDには、チェロ協奏曲のライヴ映像が収録されています。
HMC-902191
ブラームス:ピアノ協奏曲第1番Op.15
4つのバラードOp.10*
ポール・ルイス(P)
スウェーデンRSO
ダニエル・ハーディング(指)

録音:2014年5月ストックホルム・ベルワルドホール*、2016年1月テルデックス・スタジオ・ベルリン
アルフレッド・ブレンデルの薫陶を受けるイギリスの名手ポール・ルイスは、ヨーロッパでひっぱりだこの人気ピアニスト。ベートーヴェンのピアノ・ソ ナタ全集(HMX.2901902)、ピアノ協奏曲全集(HMC.902053)やシューベルトのピアノ・ソナタ集などハルモニアムンディからリリースされている数々 の録音はいずれも高い評価を受けています。日本にも度々来日し、2015年12月に行った「ベートーヴェンの後期3大ソナタ」公演は、音楽の本質を 射抜いたかのような演奏を聴かせてくれました。
このアルバムは、ダニエル・ハーディングとスウェーデンRSOとの「ブラームスのピアノ協奏曲第1番」とルイスのソロで「4つのバラード」 が収録されています。ピアノ協奏曲第1番は、2014年新日本フィルとハーディングが行った「ブラームス・プロジェクト」の一貫でポール・ルイスがゲ ストとして参加した際に演奏された曲目。その際もハーディングがルイスとの共演を熱望したということで、完成度の高い演奏を披露しました。
ピアノ協奏曲第1番はブラームス初期の傑作で、恩人シューマンの不幸とクララへの憧れが入り混じった意欲的な作品。第1楽章はブラームスらしい 重厚なシンフォニックな響き、弦楽器とファゴットの穏やかな旋律で開始される第2楽章には、シューマンへの追悼そしてクララへの思いを示したラテン語 の祈祷文が書かれています。力強いピアノの主題からはじまる第3楽章は疾走感がありピアノが華やかに躍動します。ルイスのピアノは端正で味わい深く、 第2楽章では幻想的に静かに語りかけるように、第3楽章では生き生きと爽快にダイナミックに聴かせてくれます。ハーディングの絶妙な指揮も聴きどこ ろで、ピアノの音を引き立てつつ、重厚に音を響かせ、ときにはピアノと共に繊細な音を作り出し、特に木管陣の美しさ上手さ
に魅了されます。 そしてブラームスの初期のピアノ・ソロの中でも人気の高い「4つのバラード」。若々しいブラームスの抒情溢れる名作。ルイスは若きブラームスの音楽 からにじみ出る「孤独」を、透明感あるピアノの音色で描き出しています。 (Ki)
HMC-902244
ラモー:歌劇「イポリートとアリシー」組曲
ベルリオーズ:幻想交響曲
ダニエル・ハーディング(指)
スウェーデンRSO

録音:2015年10月、ベルワルト・ホール(ストックホルム)
充実著しいハーディングによる注目のアルバムの登場。1975年生まれのダニエル・ハーディング。2016-17シーズンからはパリ管弦楽団の音楽監督 にも就任、ますますの充実ぶりで世界が注目しています。ここで共演しているスウェーデン放送響でも2007年から音楽監督を務めてほぼ10年、互いに 好相性なのは、イザベル・ファウストと共演したバルトークのヴァイオリン協奏曲(HMC-902146/ KKC 5384)などでも既に広く知られるところです。 ここでハーディングが取り上げたのは、バロックの大家ラモーと、ロマン派の極みのベルリオーズ。いっけん遠い存在のようですが、歌劇「イポリート とアリシー」の初演が1733年、「幻想交響曲」の初演が1830年と、主要作品の初演で考えると100年も離れていません。イポリートとアリシーは 1733年10月にラモー初のトラジェディ・リリックとして初演されましたが、この作品で、ラモーは、アリアと合唱の役割を再考し、舞曲と描写的な管弦 楽曲で、器楽の面でも革命をおこしました。いっぽうの幻想交響曲も、具体的な表現の対象をもつ標題音楽の先がけとして、固定楽想などの革新的な技 法が用いられています。ハーディングはそれぞれの作品のドラマを際立たせながら、刺激的なハーモニーやリズムなど、オーケストラを巧みに導きながら 効果的に響かせています。フランスの巨匠による重要作品の核心に迫る演奏です。 (Ki)
HMC-902233(2CD)
シューベルト:ピアノ三重奏曲集
ピアノ三重奏曲第1番 op.99 D.898 変ロ長調
三重奏曲「ノットゥルノ」変ホ長調 op.148 D.897
ピアノ三重奏曲第2番 op.100 変ホ長調
アンドレアス・シュタイアー(フォルテピアノ/クリストファー・クラーク(1996)〔コンラート・グラーフ(1827, ウィーン)のコピー〕)
ダニエル・ゼペック(Vn/ロレンツォ・ストリオーニ(1780))
ロエル・ディールティエンス(Vc/マルテン・コルネリセン(1992)/ストラディヴァリウスのコピー)

録音:2015年6月15-18、20-22/ベルリン・テルデックス・スタジオ
シュタイアーの最新盤は、シューベルトのピアノ三重奏。ヴァイオリンは、ドイツ・カンマーフィルのコンサートマスターにして、アルカント・カルテット でセカンド・ヴァイオリンを務めるダニエル・ゼペック。チェロは、ハルモニアムンディにも数々の名録音をものしている、しっとりとした音色が魅力の名 手ディールティエンス。嬉しいメンバーでの録音の登場となりました。 チェンバロを弾いてもフォルテピアノを弾いても、はたまた現代のピアノを弾いても、シュタイアーは実に詩情豊かな音色で独自の世界を聴かせてくれる 名手。シューベルト作品では、以前ハルモニアムンディからト長調D894のソナタをリリース(HMC 902021)、シューベルトの心の闇をも優しくつつみ こむような柔らかな音色が印象的でした。ここでもシュタイアーの詩情と慈悲深い音色は全開。弦楽器二人が奏でる音との絡み合いはえもいわれぬ美しさ です。シューベルトの名作、ピアノ三重奏曲にまた新たな名演が誕生しました。 (Ki)


HMC-902230(2CD)
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲(全曲)
ヴァイオリン協奏曲第1番 変ロ長調K207
ロンド 変ロ長調K269(261a)
ヴァイオリン協奏曲第2番 ニ長調 K211
ヴァイオリン協奏曲第3番ト長調K216 a
ロンド ハ長調 K373
ヴァイオリン協奏曲第4番 ニ長調 K218
アダージョ ホ長調 K261
ヴァイオリン協奏曲第5番 イ長調 K219
【※カデンツァ/すべてアンドレアス・シュタイアー作】
イザベル・ファウスト(Vn/ストラディヴァリウス「スリーピング・ビューティ」(ガット弦使用))
イル・ジャルディーノ・アルモニコ
ジョヴァンニ・アントニーニ(指)

録音:2015年3月21-23日、2016年2月4-8日/テルデックス・スタジオ(ベルリン)
イザベル・ファウストのモーツァルトのヴァイオリン協奏曲、全曲での登場。管弦楽はイル・ジャルディーノ・アルモニコ、さらに、カデンツァは鍵盤楽 器奏者のアンドレアス・シュタイアーの筆によるもの、と大注目の新譜です! 近年ますます充実著しいファウスト。その音色はますます輝かしさとやわらかさを増し、音楽の深化もとどまるところを知りません。直近のシューマン・ プロジェクトでも、作品に対する既成概念を払拭するような素晴らしいシューマンのヴァイオリン協奏曲を聴かせてくれました。このモーツァルトでも、 シューマン録音と同様、愛器スリーピング・ビューティにガット弦を張って録音に臨んでいます。アレグロ楽章でのファウストならではのまっすぐな音色、 緩徐楽章でのえもいわれぬ弱音の美しさ。刻々と変化する魅力の表情。そして管弦楽とのアンサンブルの妙!ファウストの音色と、イル・ジャルディーノ・ アルモニコのとろみがありつつエッジの効いた音色が実によく合っています。弦の美しさが最高の状態でとらえられた録音も見事。すべてが想像を越えた 素晴らしさです。 ファウストは、シュタイアーがピアノ協奏曲で素晴らしいカデンツァを自作で演奏していることに注目し、シュタイアーにヴァイオリン協奏曲のカデンツァ を作ってほしいと依頼したということ。シュタイアーは最初は躊躇したものの、最後は覚悟を決めて引き受けたそう。様々な研究を重ねた上でのシュタイアー のカデンツァ、こちらも大注目です! (Ki)


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