湧々堂HOME 新譜速報: 交響曲 管弦楽曲 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 オペラ バロック 廉価盤 シリーズもの マニア向け  
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NHK交響楽団シリーズ

KKC-2001(2CD)
UHQCD新マスタリング
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」
D・スカルラッティ:ソナタ.ホ長調K.380(L.23)
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番*
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番*
ワルター・ギーゼキング(P)
エミール・ギレリス(P*)、
クルト・ヴェス(指)
ウィルヘルム・ロイブナー(指)*
NHK響

録音:1953年3月21日 日比谷公会堂/モノラル、1957年10月12日共立講堂/モノラル*
2人のピアニストの全盛を伝えきった貴重なドキュメント!曲目的に珍しくないからといって聴き逃したら大きな損失です!ギーゼキングは当時58歳で、これがただ一度の来日。知的に制御されたペダリング、アーティキュションに確信が漲り、求心力の高い演奏から放たれるパワーがモノラルにもかかわらずビシビシ伝わります。「皇帝」は、可憐な弱音から威厳溢れる強打鍵まで、音の芯が一切ぶれることなく推進力を確保しているのがいかにもギーゼキングらしく、第1楽章は18分弱の高速で駆け抜けます。新即物主義の騎手というイメージとは裏腹に、第2楽章では柔軟なアゴーギクを交えて心からのフレー0ジングが聴かれ、タッチの美しさも特筆もの。終楽章は感情剥き出しといえるほどリズムの躍動を最優先した凄みを効かせ、4:27からの激しさは腰を抜かすほど衝撃的。それでも音楽の造形を崩さないところは流石です。引き締まった伴奏を繰り広げるヴェスの指揮も聴きもの。
一方ギレリスもこれが初来日(41歳)。当時の新聞評にもその会場の興奮ぶりが掲載されましたが、こうして録音を通じてもその様子がリアルに目に浮かぶほど白熱的。チャイコフスキーは、ライナーとのスタジオ録音の何倍もギレリスの資質の全てを出し尽くしており、その気迫と推進力、オケとの一体感において、ギレリスの同曲異演盤を大きく凌駕していると言えましょう。終楽章など最初から最後まで火の玉モード!コーダの追い込みに至ってはホロヴィッツの全盛期と双璧の異常ヴォルテージに達し、それを受けてN響が負けじと応酬するのですからたまりません!ベートーヴェンは打って変わって内省的なタッチを聞かせますが、それでも音楽自体は萎縮せず、明るい希望を湛えながら息の長いフレージングを築いています。2曲とも後年の円熟した演奏もありますが、この時期の没入スタイルの最高の演奏であることは間違いなく、それを引き出したのは、決然としたダイナミズムを持つロイブナーの指揮であることも間違いないでしょう。
全てモノラルですが、両ピアニストの特色は余すことなく明瞭に捉えられているのも嬉しい限りです。【湧々堂】

KKC-2003(2CD)
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第3番ト長調K.216
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op.77
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲*
アイザック・スターン(Vn)
クルト・ウェス(指)
ジャン・マルティノン(指)*
NHK響

録音:1953年9月24日、1953年10月28日 全て日比谷公会堂/モノラル*
スターン初来日のライヴ。当時まだ30代ながら、その音楽は既に円熟しており、勢いに走ったり感覚的な美しさに傾かない真摯な演奏スタイルが確立していたことを窺わせます。中でもベートーヴェンは聴きもので、じっくりとしたテンポで一貫し、持ち前の強めの弓圧も、ここでは精神的な深みを湛えながら美しく輝き、音色コントロールに掛ける集中力も見事としか言いようがありません。マルティノンの男性的な伴奏とのコンビネーションも絶妙!【湧々堂】

KKC-2005(2CD)
UHQCD新マスタリング
ラヴェル:ピアノ協奏曲*
リスト:ピアノ協奏曲第1番**
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番
 ピアノ協奏曲第4番#
アルトゥーロ・ベネデッティ=ミケランジェリ(P)*,**、
フリードリヒ・グルダ(P)、
アレクサンダー・ルンプフ(指)*,**
ヴォルフガング・サヴァリッシュ(指)
ロヴロ・フォン・マタチッチ(指)#
NHK響

録音:1965年4月3日*、5月31日**、1967年2月22日、1969年5月2日# 全て東京文化会館/ステレオ
当時異端視されていた二人のピアニストの初来日時のライヴを収録。このN響シリーズは、ほぼ全てのライナーに当時の批評記事が掲載されていますが、ここではその異端ぶりを受け止め切れない評論家の文章が載っています。その反応は確かに隔世の感はありますが、ただミケランジェリが弾くリストだけは、今聞いても普通ではありません。まずこの曲をステレオで聴けるのは大変貴重。それだけに禁欲的な佇まいとタッチの厳格な峻別ぶりが恐いほどリアルに伝わります。特に第3楽章では、音価の保ち方、左右声部のバランスなど非の打ち所のない潔癖さが顕著に現れ、激辛の音楽に変貌。随所に入るトライアングルまでも凍りついています!終楽章も、一瞬でもウキウキした顔を見せたらそっと刺されそうな緊張感!技巧のデモンストレーションを徹底的に排して、音楽を克明に鳴らすことのみに専心した演奏…と言えますが、その裏ではその技巧に尋常でない磨きをかけていたことを改めて痛感させる演奏です。
同じ異端でも、ミケランジェリと好対照なのがグルダ。音楽する楽しみを皆で共有したいという意欲に溢れた演奏で、特に第4番は、マタチッチのスケールの大きな指揮も含めて感動的です。【湧々堂】

KKC-2007(2CD)
ボロディン:交響曲第2番
チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」
シューベルト:ロザムンデ序曲*
 交響曲第9番「ザ・グレイト」*
 「ロザムンデ」〜バレエ音楽第2番*
ジョゼフ・ローゼンストック(指
ウィルヘルム・ロイブナー(指)*
NHK響

録音:1977年2月16日、2月4日NHKホール/ステレオ、1964年1月19日NHKホール/モノラル*
N響の基礎を築いたローゼンストックが指揮する2曲は、現在のNHKホールでの唯一の録音で、しかもステレオ!ロシア的な野趣よりも、細部を蔑ろにしない厳格さと品格を感じさせる演奏です。ボロディンでは特に第2楽章が、ホルンの感動的なソロも含めてフレージングの美しさが際立ちます。
「悲愴」では第1主題などでロマンティックなアゴーギクが見られますが、全体の構築は常に見通しがよくスタイリッシュ。情に流されないストイックなアプローチが光り、緊張感溢れる演奏を展開。第1楽章展開部や第3楽章の声部バランスの完璧さは驚異的で、呼吸の振幅の素晴らしさには、ローゼンストックが如何にスケールの大きな音楽性を保持していたかを思い知らされます。終楽章冒頭は節度をもって滑り出しますが、逆にこれ見よがしに絶叫しないそのスタイルがチャイコフスキーの音楽自体を更に高みへと昇華させており、独特の威厳を醸し出しています。ローゼンストックがこの最後の公演以降、事実上引退生活に入ってしまったことが痛恨の極みです。
一方のロイブナーは生粋のウィーン人で、ローゼンストックとはまさに好対照の音楽作りながら、ここで聴く限り、なかなかに引き締まった音像を築き、推進力のある演奏を繰り広げています。
「グレート」は、全体に穏健なテンポ感で進行しますが、第1楽章序奏から首部への移行や、第2主題への場面転換はメリハリが効き、決してなんとなく優雅に流すという意味での「ウィーン風」な演奏ではありません。ただ、第3楽章中間部だけは、鄙びたウィーンの田舎風。終楽章コーダは、なんとクレッシェンドで締めくくります!
なお、このシーズンにはウィーン・フィルのウィルヘルム・ヒューブナーが客演コンサートマスターを務めたそうですが、「ロザムンデ」序曲の序奏部で、浮き上がったように甘美な音を奏でているのが彼かもしれません。【湧々堂】

KKC-2009(2CD)
UHQCD新マスタリング
ブルックナー:交響曲第2番(ノヴァーク版)
交響曲第4番「ロマンティック」(ノヴァーク版)*
オットマール・スウィトナー(指)NHK響

録音:1980年11月27日NHKホール/ステレオ、1971年12月6日東京文化会館/ステレオ*
スウィトナーらしい、重厚でありながらも一切深刻ぶらないブルックナー。
「第4番」は、スウィトナー初来日時の演奏で、ライナーに掲載されている大木正興氏の文章にある通り、N響の自発性がいかんなく発揮されているのが特徴的。第1楽章から実に清々しく、第2主題がこれほど虚飾なく素直に歌われることも珍しいのではないでしょうか。第2楽章さえも常に明るい日差しが立ち込め、和声の見通しもよく、インテンポを貴重とした進行が清々しい空気を運びます。第3楽章は荒削りなほど推進力満点。終楽章も一切身構えた所がなく、音楽の輪郭を明確にしながら生の歓びを謳歌。9:42からの極めてロマンティックなはずの弦の楽想が、野武士のように荒くれているのにも驚愕。
更に感動的なのが「第2番」。これは、マタチッチ晩年の「第8番」と並ぶ名演奏と叫ばずにはいられません!
「第2番」も必要以上に表情を後付けせずに、素直な進行を目指した点では「第4番」と同じですが、この9年間のスウィトナーの円熟には目を見張るばかりです。第4番とは曲想が異なる点を差し引いても、内省的な深みが格段に増していることは第1楽章第2主題で既に明らかで、スウィトナーの持ち味である歌の要素もバランスよく配合。そしてコーダの響きの雄渾さ!第2楽章は最初の出だしからオーラを感じ、ホルンの副主題が登場する前の静謐さや、3:31からの主題回帰のしなやかさは心を捉えて離しません。コーダの難関ホルンも敢闘賞もの。第3楽章も粗野な楽想をそのまま放出せず、音の凝縮ぶりが素晴らしく、格調高い緊張が漲ります。その緊張は終楽章で更に熱く強固となり、N響もコンディションを崩さず、自発的な音楽奉仕に専心。魂を感じない音など一音も存在しません。この名演だけでスウィトナーをブルックナー指揮者と格付けなどできませんが、少なくとも「第2番」に関しては、曲の構造面のみならず、音の全てに精神を凝縮し尽くした点で、古今を通じて決して忘れてはならない存在だと確信した次第です。【湧々堂】

KKC-2011(2CD)
UHQCD新マスタリング
ワーグナー:「神々の黄昏」〜ジークフリートのラインの旅/葬送行進曲
 「ジークフリート」〜森のささやき
 「ローエングリン」〜第1幕前奏曲/第3幕前奏曲
 「リエンツィ」序曲
 「トリスタンとイゾルデ」〜イゾルデの愛の死
ハチャトリアン:組曲「仮面舞踏会」*
リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」*
ホルスト・シュタイン(指)NHK響

録音:1973年2月5日、1975年2月21日、2月26日東京文化会館/ステレオ、1990年2月2日NHKホール/ステレオ*
ワーグナーはシュタインの日本デビューの1973年から、N響名誉指揮者に任命された1975年までの演奏を収録。シュタインには同様のワーグナー作品集の録音が他にもありますが、その鬱蒼とした雰囲気を湛えた音色の味わいと呼吸のうねらせ方、渾身の表現意欲の結晶度は、この録音がダントツと言えましょう。シュタインは当時まだ40代で、「ジークフリートのラインの旅」で顕著なように、キビキビとしたリズムの弾力と推進力は、時にトスカニーニを思わせるほど。「リエンツィ」のような軽い作品でも運動会的な浮かれた響きではなく、着実にブロックを積み上げて重厚な響きを形成する劇場叩き上げの匠の技には、時を忘れて聴き入るばかりです。特に序奏部の深みは出色。「トリスタンとイゾルデ」は、フレーズが綺麗に水平に流れるだけでなく、無骨な造型と芯のある拍節がまさに純正ドイツの響きで、官能的な味付けを表面的に施す必要など感じさせない求心力の高さ。そして圧巻は「葬送行進曲」!
ディスク2は、シュタインがワーグナーとは別の意味で愛着を持ち続けたロシア音楽集。リズムの腰の入れ方はドイツ的とも言えますが、そこには常に嘘のない表現の衝動が宿っているので、慣れない作品を無理やり振ったような据わりの悪さなどもちろん皆無。
「仮面舞踏会」の“ワルツ”や“マズルカ”の愛嬌たっぷりのニュアンスだけでもそれは明らかでしょう。最後の“ギャロップ”も金管にスパイスを効かせるロシア的アプローチとは異なり、全体のブレンド感を重視した骨太な演奏で、有無を言わせぬ説得力。
「シェエラザード」がこれまた大名演!これは、シュタインのN響との共演の中で、後年のR・シュトラウス:「英雄の生涯」などと並ぶ屈指の名演奏です!徹頭徹尾各パートが意味深く響き、かつ緊密に融合し合った演奏で、第1楽章だけでも、単なる情景描写ではなく、純音楽的なイメージの増幅力が尋常ではありません。第2楽章は、まずオーボエ・ソロが鳥肌ものの巧さ!泣かせます!その他のシーンでも管楽器ソロの巧さはどれも信じ難いものばかりですが、このオーボエは特に必聴。そして中間部の起伏の豊かさ!第3楽章の包容力のあるロマンも、聴き手の心の深部にじっくりと語り掛けます。中間部の音色の遠近法的なコントラストの絶妙さにも唖然。8:37の壮大な音像の広がりと色彩のリアルさも聴きもの。終楽章もスピード感で畳み掛けるのではなく、どこまでも熟成の音楽。舞台上の登場人物が演技しやすい最適な音楽を常に提供しているような、劇場叩き上げ指揮者の面目躍如たる棒さばき!難破シーンも音量で度肝を抜く魂胆など皆無で、音楽の有機的な流れを重視。スカっとした爽やかな演奏にはない、音楽のひだの風合いを是非感じていただきたいものです。【湧々堂】

KKC-2013(2CD)
UHQCD新マスタリング
モーツァルト:ピアノ協奏曲第24番
ヘンデル:ハープシコード組曲第7番ト短調HWV.432〜パッサカリア
サン=サーンス:交響曲第3番「オルガン付き」#
ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲*
 夜想曲*〜「雲」/「祭」*
デュカス:魔法使いの弟子*
ラヴェル:道化師の朝の歌*/ボレロ*
エリック・ハイドシェック(P)、
アンドレ・イゾアール(Org)
ピエール・デルヴォー(指)NHK響

録音:1978年11月8日、11月15日#、1978年11月17日* 全てNHKホール/ステレオ*
N響の過去の演奏の中でCD化して欲しいものはたくさんありますが、中でも個人的に最も熱望していたのがこのデルヴォーの演奏会でした。改めてCDで聴くとあの日の感動が偶然のものではなかったことが確認できるだけでなく、デルヴォーにしか成し得ないふんわり漂うようなハーモニーの感覚とリズムの洒脱さ、日本のオケとは思えぬ音色に驚きを禁じえず、感動もひとしおです。
まずはDisc2。「牧神の午後の前奏曲」は、出だしの音からびっくり!なんと柔らかく頬に擦り寄る音色でしょう。フルートに続のくホルンの合いの手は、ヴィブラートの掛かり具合といい色香といい、フランスのオケと錯覚するほど。0:43のハープの入り方は、直前の全休止との間合いの良さも含め、砂に水が染みこむように優しく浸透。その瞬間に全身がとろけそうです。第1主題の変奏部分(3:19〜)の各パートの音は、小さな花火のように可憐に飛び散り、第2主題はシルキーで伸びやか。中間部主題はメロディアスな美しさだけでなく、弦の背後でピコピコうごめく木管の音型を浮揚させて愛の営みを彷彿とさせるのです。信じ難い名演です。
デュカスは、終止チャーミングでパステルカラーの音彩の魅力に溢れています。曲の進行と共に後半は深くなり、音の重心は軽く維持したまま緊張感を確実に高めていく手腕は流石。コーダ直前の脱力感と透明な音色も魅力。最後のトゥッティがまた洒脱の極み!
「道化師の朝の歌」もテンポの伸縮といい色変の放ち方といい、簡単に真似できる代物ではありません!リズムを決して深く打ち込み過ぎないことで人懐っこい雰囲気が湧き立ち、音楽の流動性もグンとアップ。ファゴット・ソロが始まると空気は一変!テンポを落として弦が密やかな空気を醸し、スーッと音が浸透。その浸透力がまた心に染み入るのです。
「ボレロ」は18分以上要するスローテンポ。高圧的な威厳とは異なり、ここでも終始小粋。段階的な音の積み上げが説明調にならず、気がつくと華やかな大団円に達しています。小太鼓をかなり全面に出しているのも特徴的。
Disc1のモーツァルトも絶品。ハイドシェックは例によって独自のアゴーギクと強弱対比を駆使して自身の美学を貫徹。デルヴォーもそれに完全に付き従っています。特に終楽章の陰影の濃さは比類なし。通常に比べてかなり強い打鍵にも確信が満ちており、深みのある弱音との対比によって、恐ろしく意味深い音楽に変貌しています。
しかしなんといっても目玉はサン・サーンス。TV放映で見た時の感動が鮮やかに蘇ると同時に、30年以上も前の記憶がいかに曖昧で、当時は大切なニュアンスを聴き漏らしていたかを思い知らされました。
第1楽章冒頭は、柔らかなテクスチュアで詩的な雰囲気満点。主部はゆっったりとしたテンポでハーモニーのニュアンスを確認するように着実に進行。楽想が変わるたびに律儀にテンポを落とすのには、一時代前のロマンティックな音楽作りの名残を感じさせます。音の全てが愛くるしい表情を浮かべて語りかけ、今まで聴いてきた演奏が立体的な構築を最優先したものばかりだったことに気付かされます。音楽は小じんまりするどころか自然なスケール感を確保し、聴き手を包み込む懐の深さによって大きな宇宙を形成しているのです。アダージョに入ると涙を禁じ得ない美しさ!スコアからこれ以上音楽的要素を炙り出しようがないというほど、美の全てがここに凝縮されていると言っても過言ではありません。そして第2楽章後半はデルヴォーの色彩センスの大放出!テンポはスローで悠然と進行しますが、スヴェトラーノフのように下から突き上げるようなスケール感とは好対照で、浮揚する音の波動を捉え、空気感で勝負するようなこんな奥義、ちょっと他では聴けません。名手イゾアールのオルガンはかなり盛大で、金管も容赦なく全面に突出させていますが、それは決して部分的な演出ではなく、そのバランスでなければイメージする全体像を表出できない信念に満ちているので、説得力も絶大。
コーダの大きなテンポの落とし方も感動的。徹頭徹尾、この作品がフランス音楽であること痛感させる素晴らしき演奏です。
N響の適応力の高さにも改めて感服。フランス風イディオムをなぞるだけでなく、NHKホールの絵が浮かばないほど、フランスの音なのです。それを短い練習期間のうちにやってのけたのがデルヴォー。この2枚組は音の良さも手伝って、そのデルヴォーの魅力の全てを捉えきった初めての録音と言わずにいられません。【湧々堂】

KKC-2015(2CD)
UHQCD新マスタリング
シューベルト:交響曲第9番「ザ・グレイト」
ブルックナー:交響曲第8番(1890年版)*
ギュンター・ヴァント(指)NHK響

録音:1979年11月9日、1983年12月15日* 全てNHKホール/ステレオ
ヴァントがブレイクする直前にN響と共演した記録。
シューベルト
はその初来日時の公演ですが、これが凄い!有名なベルリン・フィルとの録音なども存在しますが、それらにはない魅力が満載。否、ヴァント最高の「グレート」言いたい逸品です!第1楽章序奏はゆったりと何の変哲もなく流れているようでいて、各パートの音は鋼のような強さを宿し、早々にドイツ精神の底力を見せつけます。BPOとの録音ももちろん素晴らしいですが、ここでは初共演ゆえの慣れ合いのなさとも相まって、絶対に譲れない意地のようなものを強烈に感じさせるのです。主部以降も音楽の骨格は終始強靭。対旋律や金管の裏打ちリズムも妥協を許さず表出させ、恐ろしく立体的な音像が聳え立ちます。終結部に向かう13:24からのテンポの落とし方、刻印の強さも他の録音にはない魅力。第2楽章は強弱対比の意思が明確で、それが説明調にならないのは流石。2:27から次の楽想へ移る際のインテンポによる強烈なエネルギー放射にはびっくり!少しでもテンポを落としたら許さないというヴァントの形相が目に浮かびます。中間部は高潔の極み。ここでもオケに休息を与えないのは言うまでもありません。終楽章は速めのテンポで推進力満点ですが、0:57のように金管の対旋律を徹底表出させるなど、独特の骨のある造型力も大発揮。N響のアンサンブルも最後まで本気。
全く同じ事がブルックナーにも当てはまり、他の異演盤を凌ぐ意志の強さに圧倒されます。この1983年の共演がN響との共演は最後になってしまいましたが、1979年と比べてN響もヴァントの手法に慣れたと見えて、一層自発的な演奏を繰り広げています。しかし、細部へのこだわりと音楽の仕組みを明らかにするヴァントの意志は相変わらず強靭で、その精神力には敬服するばかりです。中でも第3楽章の祈りの深さは異演盤と比べても出色で、音の末端まで緊張が浸透し尽くしています。終楽章の迫力も強烈ですが、人間臭さ丸出しのそれとは異なる超然とした精神の塊として飛翔を続けます。やはりここでもN響は疲れ知らずでヴァントの要求に応え尽くし、遂にはN響のブル8演奏史上最高といえる感動的なコーダに持ち込むのです!
ヴァントは同じ作品でも、その都度アーティキュレーションやアクセントなど綿密に洗い直していましたが、その音楽構造にかける意志をここまで強く感じさせる演奏も珍しく、しかもその全てが音楽的な感興に結びついているのですから感動もひとしおです。シュトゥットガルト時代のチェリビダッケが最もチェリビダッケらしかったという言い方ができるのと同様に、この時のヴァントが最もヴァントらしかったとも言えるのではないでしょうか。【湧々堂】

KKC-2017(3CD)
UHQCD新マスタリング
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集 ウィルヘルム・ケンプ(P)
森正(指)NHK響

録音:1970年4月7日(1‐3番)、9日(4、5番)
全て、東京文化会館・ステレオ・ライヴ
5度目の来日をした際のベートーヴェンのピアノ協奏曲連続演奏シリーズを収録。ケンプというとお決まりのように「技巧型ではなく精神で奏でる」と評されますが、その技巧とは何を指しているのでしょうか?子供でも判別できる「音を外す」ことを言うのなら、あのポリーニだって外すことはあります。逆に技巧派と言われる人でも音色の使い分けができない人は存在します。ここでの特に初期の作品を聴くと、そういう疑問が増大するばかりです。
とにかく、語り口からこぼれる人間的な優しさ、独特の緊張に裏打ちされた揺るぎないフレージングの魅力はかけがえの無いものです。また当時ケンプは75歳でしたが、精神は全く枯れていないばかりか、モーツァルトの影響を意識した小じんまりした演奏にも傾くことなく、内面に強靭な意志を湛えた求心力の高い演奏となって繰り広げられます。「第1番」第1楽章展開部、最後の急降下音型の鮮烈さ、カデンツァでの渾身のアクセントを伴う打鍵など、まさに名人の語り口そのもの!「第3番」第1楽章主題最後の音の、決して感覚的な切れ味からは引き出し得ない強靭な重みとその直後の柔和なニュアンスのコントラスのと妙も精神とテクニックのバランスの絶妙さの表れではないでしょうか。終楽章冒頭もタッチは柔らかいのにそこに宿る意志は揺るぎなく、フレージングに一貫した緊張をもたらしているのが感じ取れます。
「皇帝」では、第1楽章6:50以降、アクセントが少しのあざとさも帯びずに生命力を与えるさまをお聴き逃しなく。
森正の指揮も絶妙。ピアノを引き立てながらも当たり障りのない伴奏に終始するのではなく、確かな造形力を持ってベートーヴェンに相応しい音像を築いています。【湧々堂】

KKC-2020(2CD)
UHQCD新マスタリング
リヒテル&ベルマン
モーツァルト:ピアノ協奏曲第22番*
 ピアノ協奏曲第27番*
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番
スクリャービン:練習曲変ロ短調Op.8-11/嬰ニ短調Op.8-12
ラフマニノフ:前奏曲嬰ハ短調Op.3-2
ベートーヴェン(ルビンシテイン編):トルコ行進曲
スヴャトスラフ・リヒテル(P)*、
ラザール・ベルマン(P)
ルドルフ・バルシャイ(指)*
岩城宏之(指)、NHK響

録音:1970年9月15日東京文化会館*、1977年10月6日NHKホール
全てステレオ・ライヴ
“鉄のカーテンを越えてやって来た二人の巨匠ピアニストの初来日公演”
リヒテルによるモーツァルトの「第22番」は、まずオケの導入の重厚な響きにびっくりさせられますが、それに続くリヒテルのピアノは例によって内省の極み。優しく微笑みながらもどこか暗さを秘めたフレージングと音色はリヒテル以外の何物でもなく、展開部ではそのニュアンスの陰影が更に深まります。そんなリヒテルの芸術性と作品の持ち味が完全に一致を見る第2楽章は感動の極み。終楽章はタッチの質がこれ以上望みようのない厳選され尽くされたまろやかさ!5:01以降の「慈しみ」などという単純な形容では収まらない感興豊かさ、6:39からの弦のピチカートと完全に同化した幻想的なニュアンスなど、聴き逃せないシーンの連続です。
「第27番」はブリテンとの共演による録音も存在しますが、残念ながらリヒテルの大きな弾き損じがあっただけに、この来日ライヴの復刻は垂涎!しかも、録音の良さも含め、ブリテン盤以上に表現の訴求力が深く、それでいながら、演奏者の個性が作品を飛び越えることなく完全に調和しながら幽玄のニュアンスが紡ぎ出される様に涙を禁じえません。特に第2楽章の琴線に触れる情報量の多さは驚異的で、その全てを受け止めるには、聴き手にも相当の覚悟が必要でしょう。
作品も芸風もリヒテルと対照的なのがベルマン。チャイコフスキーでは想像通りの豪放なピアニズムを披露し、終楽章2:03から倍にテンポを落とすなどユニークな解釈も見られますが、ここでもむしろソロ作品の説得力の高い演奏にご注目を。妖艶なスクリャービン。そして極めつけは、ベルマンのトレードマークとも言える「トルコ行進曲」。超重量級の快演で、存在感絶大です。【湧々堂】 
※モーツァルト:ピアノ協奏曲第27番は、第3楽章冒頭にあるべきトラックが、第2楽章の途中に割り振られています。

KKC-2022(2CD)
UHQCD新マスタリング
ギレリス&ゲルバー
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」
バッハ(ジロティ編):前奏曲ロ短調
ブラームス:ピアノ協奏曲第2番*
エミール・ギレリス(P)
ブルーノ・レオナルド・ゲルバー(P)*、
ヴァルフガング・サヴァリッシュ(指)
NHK響

録音:1978年4月19日、1980年4月9日*
全て、NHKホール・ステレオ・ライヴ
“サヴァリッシュの盤石の指揮で実現した、二人のピアニストの絶頂期の名演!”
2人のピアニストにとって十八番といえる作品であるだけに質の高い演奏であることは聴く前から予想できるにもかかわらず、これ程感動させられるとは!もう誤解を恐れず、両者のスタジオ録音を上回る名演と断言せずにはいられません。
「皇帝」は、ギレリスの絶頂期の幕開きを告げる素晴らしさ。強打鍵はもちろんのこと些細な弱音にも毅然とした芯が宿り、表現意欲も極めてアグレッシブ。第1楽章のカデンツァなど、いきなりインテンポで飛び込んだかと思うと繊細なアルペジョまであっという間に音楽が流れ、こんな短いカデンツァだったかと思うくらい聴き取るべきニュアンスが豊富。そういう意味では、第2楽章はまさに時間を忘れさせる究極の美しさで、終楽章に進まずこのままこの夢のニュアンスに浸っていたいと思うほど。しかしその終楽章、冒頭主題のテンポに誰にも有無を言わせぬ強靭な意思が脈打つのを聴いて早々にノックアウト。テンポそのものに音楽性が漲るという奇跡をぜひご体感ください。
ゲルバーは、これがN響との初共演ですが、これまた月並みな感動では済まされません!第1楽章で最初に強打鍵で圧倒する箇所(3:35付近以降)の、音が割れる寸前の強烈な打ち込みと神々しさに、さっそくブラームスを徹底的に堪能しているという実感が得られます。ゲルバーは手が小さいことでも有名ですが、6:37以降で更に熾烈を極める強打の応酬は、その重量感といいタッチの高潔さといい、どうしてこんなことが可能なのでしょう?そしてコーダでのトリルの尋常ならざるヴォルテージも、これ以上のものがあれば是非お教え下さい。緩やかな第3楽章でさえ弱音の底流には熱い精神が絶え間なく息づき、決して聴き手を安らぎを与えることはありません。感覚的にメランコリックなフレージングであってもも綺麗に横滑りさせるのではなく、ブロック的な構築を貫徹している点も、まさにブラームス以外の何物でもありません。聴き手に息をつかせる瞬間を敢えて探せば終楽章の前半ですが、気がつけば巨匠サヴァリッシュを向こうに回すほどの風格と精神高揚力に全身鳥肌!ゲルバーはこの曲を弾くために生まれてきたとしか思えません。  【湧々堂】

KKC-2024(2CD)
シュヒターの「新世界」
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」*
レスピーギ:交響詩「ローマの松」*
ドヴォルザーク:交響曲第8番
スメタナ:交響詩「モルダウ」
ドヴォルザーク:スラヴ舞曲第10番ホ短調Op.72-2
ウィルヘルム・シュヒター(指)NHK響

録音:1959年3月21日、1959年11月8日(ステレオ・ライヴ)*、1959年10月4日(モノラル・ライヴ) 以上,旧NHKホール
“ただの鬼トレーナーではない!シュヒターの深い歌心と色彩感覚にご注目を!”
1959年から62年までN響の常任指揮者を務めたドイツの指揮者シュヒターの、厳しいトレーニングの成果を凝縮した貴重な録音集。
シュヒターのお披露目演奏会である「新世界」は、トスカニーニ張りの快速テンポで厳格な構成力が際立つ演奏。第1楽章の第2主題では明確に減速処理を行い、続くフルートの小結尾主題もノスタルジックな性格を確実に刻印するなど、シュヒターの強固な意志に一切の揺るぎはありません。終結部のトランペットのクレッシェンドもスコアの指示を露骨なまでに厳守。終楽章も感傷を排したイン・テンポ進行。団員の決死の形相が眼に浮かぶほど緊張が渦巻いまています。シュヒターの唸り声も随所に聞かれます。
それに対して「交響曲第8番」は、第1楽章の序奏からローカルな味わいを全面に出し、フルートソロも懐かしさを噛み締める風情を漂わせる、「新世界」と同じ指揮者とは信じがたいほど。主部に入ってからも推進力よりも濃厚なアゴーギクを盛り込みながら感情のひだに訴えるフレージングを敢行。2:22からの弦のフレーズのなんと物憂げなこと!第2楽章の滑り出しも同様に憂い満点。呼吸の大きさと余韻の深さが心の響きます。更に第3楽章では後ろ髪をひかれる風情がますます濃厚となり、第2主題直前で一旦ルフト・パウゼを挿入してからテンポを落として中間部へ入るその情感たるや、溜息が出るばかりです。3:28からの弦のフレージングでは、掛けられる全ての箇所にポルタメントを付加しますが、嫌らしいどころか音が結晶化し切っているので芳しさの限り!終楽章冒頭のファンファーレはごく標準的なテンポで始まりますが、続くチェロの主題はこれまた郷愁の塊!主部はまさにシュヒターならではの厳格な構成力を駆使して凝縮力の高い演奏を展開しますが、それでも「新世界」終楽章のような向こう見ずな推進力とは別物。
驚愕の名演がスラブ舞曲!全曲の中で最も感傷的なこのOp.72-2の性格を更に押し広げ、緩急自在の即興的なテンポ変動を交えながら感情の揺れをここまで徹底的に炙り出した演奏が他にあったでしょうか?しかも中間部との音像コントラストの実に鮮やかなこと!
しかし、全収録曲の中で白眉は「ローマの松」でしょう。まず驚くのが音質の良さ!「新世界」同様ステレオ収録ですが、こちらは放送のために万全の体制で行われた録音(拍手なし)で、ホールの空間的な広がりまで見事に捉えられています。妥協のないリズムの躍動はもちろんのこと、「カタコンブ」に象徴されるように幻想的な音の色彩の表出と、しなやかなフレージングの訴求力の高さ、綻びが皆無に近いアンサンブルの質の高さなど、驚異の連続!。そして最後は、恐ろしく陰影の濃いド迫力の「アッピア街道」に打ちのめされることになります。【湧々堂】

KKC-2026(2CD)
UHQCD新マスタリング
マタチッチ〜ワーグナー他
ウェーバー:「魔弾の射手」序曲*
ワーグナー:「リエンツィ」序曲**
 「さまよえるオランダ人」序曲
 「タンホイザー」序曲
 「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕前奏曲
ヤナーチェク:シンフォニエッタ##
コダーイ:組曲「ハーリ・ヤーノシュ」##
ストラヴィンスキー:組曲「火の鳥」(1945年版)#
ロヴロ・フォン・マタチッチ(指)NHK響

録音:1969年5月27日東京文化会館*、
1973年12月27日、1975年12月4日**、
1973年12月5日#、1973年12月14日## 以上,NHKホール
全てステレオ・ライヴ
“「ハーリ・ヤーノシュ」〜間奏曲の面白さは空前絶後!”
指揮姿はぶっきぼうでも、全身から溢れ出る強烈なオーラで団員を奮起させるマタチッチの芸の威力をまざまざと思い知らせれる2枚組です。
ワーグナーは、細部を精緻に突き詰めるスタイルとは対照的な演奏。テンポ自体はごく標準的なのに、弾丸のような推進力が常に漲り、オケ全体がマタチッチの放つオーラに自然に突き動かされて体当りしている姿が目に浮かびます。特に、刻々と変化するテンポに伴って多彩なニュアンスが現出され、終結部で豪放な迫力を見せる「オランダ人」は聴きもの!「マイスタージンガー」もまさに弾丸モード。
ディスク2では、まず「ハーリ・ヤーノシュ」が強烈!ハンガリー的な民族色以上に音の凄みで圧倒し続け、空前絶後のドラマティックな演奏となっていますます。“ウィーンの音楽時計”は速めのテンポで畳み掛け、この上なく豪奢。“間奏曲”も猛獣のような勢いで突進する一方で、ツィンバロンのソロに配慮してオケの音量を慎重に加減する配慮も見られます。腰を抜かしそうになるのが、ツィンバロンのカデンツァを引き立てるために、オケのフレーズの最後を延々と引き伸ばし、「さあお聴きあれ!」と言わんばかりに名人芸に華を持たせる粋な計らい!そのツィンバロン・ソロの土臭いというよりもドギツいまでの派手さも必聴!
「火の鳥」は、珍しい1945年版による演奏。スヴェトラーノフもN響と同じ版で大名演を聴かせましたが、その重戦車のような演奏とは異なり、リズムのエッジを立て、表情の明暗、硬軟のコントラストを克明に表出。“王女たちのロンド”は単なるノスタルジックな演奏ではなく、0:21からのオーボエの旋律から0:49までをカデンツァ風に一息で描くフレージングの妙からイチコロ!他の版との響きの違いが最も顕著な“終曲”も個性満点。2:14からの八分音符の鋭利な刻みは、ピアノの響きを強調して、独特のドライな色彩を引き出し、1919年版の朗々と歌う四分音符のフレーズとの差異を露骨に表出!度肝を抜かれます。【湧々堂】

KKC-2028(3CD)
UHQCD新マスタリング
ブラームス:交響曲全集
交響曲第1番ハ短調Op.68
交響曲第2番ニ長調Op.73*
交響曲第3番ヘ長調Op.90**
悲劇的序曲Op.81#
交響曲第4番ホ短調Op.98##
ヴォルフガング・サヴァリッシュ(指)
NHK響

録音:1973年6月23日NHKホール(柿落し公演)
1971年5月8日東京厚生年金会館*
1972年4月19日東京文化会館**
1972年5月4日東京文化会館#、
1975年4月23日NHKホール##
全てステレオ・ライヴ
サヴァリッシュ40代後半の活気漲る演奏。基本的に過剰な物々しさや大きなテンポの緩急は避け、音楽の推進力を際立たせていますが、ピンポイント的にガクッとテンポ落として見得を切る箇所も散見され、そこにはいかにも大家然とした余裕と言うよりは厳格な統制の痕跡を感じさせるのが特徴的で、N響の団員も襟を正して緊張の面持ちで臨んでいる様子が目に浮かびます。このコンビのブラームスは後年のさらに円熟した演奏も存在しますが、ここでのストレートな内燃エネルギーの凝縮力と放射の鋭敏な切り替えは、この時期ならではの魅力で、第1番の終楽章コーダの思い切ったインテンポでの畳み掛けなどはその好例でしょう。
交響曲もさることながら、忘れてはならないのは「悲劇的序曲」の濃密な名演!【湧々堂】

KKC-2033(2CD)
UHQCD新マスタリング
ホルスト・シュタインのシベリウス
交響曲第2番ニ長調Op.43
トゥオネラの白鳥Op.22-2*
交響詩「フィンランディア」**
交響曲第1番ホ短調Op.39**
交響曲第7番ハ長調Op.105#
ホルスト・シュタイン(指)NHK響

録音:1975年2月26日、1981年2月6日* 以上,東京文化会館
1987年11月18日#、1990年2月8日** 以上,NHKホール
全てステレオ・ライヴ
“作品のイメージに囚われず「音楽のあり方」を実証したシュタインの偉業!”
シュタインお得意のシベリウスですが、録音年も会場も異なるにもかかわらず、全てにシュタインらしさがはっきり刻印されていることに驚きを禁じえません。重心を低く保って中低域をたっぷり響かせる音楽作りは、本領のドイツ音楽でもシベリウスでも基本的に変わらず、どんな音楽にでも適用できる特有のセンスを持ちあわせていた指揮者だったことをを再認識させられます。
交響曲第2番は、第1楽章の弦の導入部で優しく温かな語り口心を捉えます。響きは意外なほど洗練されており、特に弦のテクスチュアの美しさは格別。主旋律を主体とした音像作りにもかかわらず、音楽が皮相なものにならずに奥行きと豊かさを感じさせるのも並外れた音楽家魂の象徴。聴きものはやはり終楽章。朴訥とした表情の中にも揺るぎない確信と共感が漲り、スケールも雄大。音量増大によるものではなく音楽の構え自体が大きいので、その安定感は抜群。
「トゥオネラの白鳥」は、しなやかな呼吸と精妙な響きの統制、心からの共感によって、単に陰鬱な音楽ではなく真に詩的なニュアンスを表出。しかも内省一辺倒ではなく、情感を大きく揺さぶりながらフレージングを繰り返すので実にドラマチック。こんな心のこもった「トゥオネラ」は、久々に聴いた気がします。
交響曲7番も大名演。シベリウス晩年の内省的な情緒を重視した演奏が多い中で、音の隈取を克明に描き、音楽的なうねりを注入しながら人間味溢れる名演奏を披露。響きのクオリティを十分に吟味しつくしながらも音楽が全く痩せることがないという、シュタインの音楽作りの魅力も十分に堪能できます。1:46からの弦のトレモロのなんという意味深さ!5:01からの金管の深遠さ!11:55からの旋律の表面的な透徹など物ともしない骨太な精神が宿る響きもシュタイン節。アンサンブルの精度の高さも特筆もの。
このCDの最高峰は交響曲第1番!やはり第1楽章冒頭の響きはいかにも凍てつく北欧の空気感とは異なりますが、一途な共感一本で勝負したような温かさ。これが心を捉えて離さないのです。親分肌のシュタインを彷彿とさせる思いきりの良い進行が作品のドラマ性と完全に融合して醸し出される勇壮さが実に魅力的。7:57からの物凄い呼吸の膨らませ方と幸福の謳歌ぶりは鳥肌必至!コーダは任侠映画のような凄み。第3楽章の音楽を根底から揺さぶる独特の牽引力が並ではなく、この楽章をこれほど濃密に描いた演奏も稀でしょう。もちろんティンパニの打ち込みも魂の叫び。終楽章に至っては全てがパーフェクト!スケール感はもちろんのこと包容力という点でこれにまさる演奏がありましょうか?8:40からの気の遠くなるほど熱いフレージングと意味を満々と湛えた分厚い響きのオーラ!ここまま死んでもいい…とさえ思えるほど感動的です。【湧々堂】

KKC-2035(2CD)
UHQCD新マスタリング
ブロムシュテットのマーラー
交響曲第4番ト長調
交響曲第5番嬰ハ短調*
ヘルベルト・ブロムシュテット(指)NHK響
中嶋彰子(S)、

録音:2001年4月28日
1985年12月5日* 
共にNHKホール/ステレオ・ライヴ
ブロムシュテットならではの衒い皆無のマーラー。いわゆるマーラーらしい毒にはどこにもなく、古典的なフォルムの中で品格を持って丹念に音楽を奏でることに終始しており、エキセントリックなマーラーに疲れた耳には新鮮に響きます。 【湧々堂】

KKC-2037(2CD)
UHQCD新マスタリング
ノイマンの「わが祖国」
スメタナ:交響詩「わが祖国」
ドヴォルザーク:スラヴ舞曲第1集&第2集(全曲)
ヴァーツラフ・ノイマン(指)NHK響

録音:1978年12月13日
1990年11月9日
共に、NHKホール/ステレオ・ライヴ
“「スラブ舞曲」の原点を思わせる深い見識と味わい!”
「わが祖国」は、N響との初共演。節度と品格を湛えた演奏で、内声バランスやアクセントに凝ったり、民族色を強烈に打ち出すこともなく、徹底的に自然体の佇まいを重視しているので、最後まで安心して作品に魅力に浸ることができます。ただ、終曲のコーダはN響の自発性も手伝って、チェコ・フィルとの共演ではあまり見せない爆発力も発揮しています。なお音源劣化のせいか、「モルダウ」の途中から「シャルカ」までは左チャンネルが詰まったような音になっています(第4曲目から回復)。
一方の「スラヴ舞曲」は、N響との最後の共演から。これが名演奏!ノイマンの指揮によるこの作品はスタジオ録音のCDで聴き尽くしたつもりでいましたが、表情の一つ一つに細心の注意をはらい、閃きに富んだニュアンスを盛り込んでいたことには気づきませんでした。終始落ち着いたテンポで貴重として、シンフォニックな手応えよりも素朴な情感を大切にした演奏で、特にテンポの速い部分において、過度に速くならないように節制することによって生まれる馥郁たる雰囲気はかけがえのないものです。Op.46の1曲目からその悠然としたテンポ感にはっきりとしたコンセプトが感じられ、しかも必要十分なスケール感も確保されているので味わいもひとしお。プレストのOp.46-8も同様。これを聴くと、猛烈なスピードでまくし立てる指揮者の見識をつい疑いたくなります。
Op.46-6もここまでゆったりしたテンポを採用していたことにあらためて驚かされます。ノイマンは他の作品で3拍子系の曲でゆったりしたテンポを取って鄙びた雰囲気を出すことが多いですが、ここでもその効果と味わいは絶大。この1曲を聴くだけでも損はありません。過度な物々しさを避けたOp.72-5の品格あるアプローチも忘れられません。Op.72-8の黄昏の雰囲気とノスタルジーも他の指揮者とは比べ物にならない程の余韻を残し、最後の一音まで純朴。正直なところ、この1曲は最後まで通して聴いた経験が殆どありません。他の曲に比べ演奏時間が長いせいもありますが、綺麗なメロディーが延々と流れるという印象しか与えない演奏ばかりだったのです。N響団員の多くが、この演奏を特に忘れられない名演と語っているそうですが、大いに頷けます。【湧々堂】

KKC-2039(2CD)
UHQCD新マスタリング
ライトナーのベートーヴェン
交響曲第5番「運命」/交響曲第7番*
序曲「レオノーレ」第2番**
交響曲第6番「田園」#
フェルディナント・ライトナー(指)NHK響

録音:1983年7月8日、1981年3月14日*、1981年3月18日**、1986年5月7日#
全て、NHKホール/ステレオ・ライヴ
“渋いサウンドに隠されたドイツ精神の貫徹!!”
ライトナーの演奏評には、必ずと言ってよいほど“劇場叩き上げの堅実さ”とか“極めて地味”といったという形容がされます。確かにガツンと腹に響くサウンドとは無縁ですが、決して何もしていないわけではなく、例えば指揮者なしで演奏した場合に、こうした響きには絶対にならないことを考えれば、テンポにも響きにも確固としたヴィジョンを頑固に貫いていたことは明らかで、なによりも、その地味な響きから作品自体の持ち味を浮かび上がらせる指揮芸術はかけがえのないものだったと改めて痛感させられます。
ここに聴く「レオノーレ第2番」も、冒頭で強固にティンパニを打ち鳴らすことで強靭な力感をアピールするのが通例ですが、ここではそんな手法は邪念でしかないとばかりに、燻したような響きがじんわりと広げます。しかし、主要主題が盛り上がるシーンではまさに精神的な高揚を見せ、厳しい締めつけ感のない自然体の造形力の中から独特の風格美を生み出しており、作品そのものに発言させる流儀の貫徹ぶりには本当に頭が下がります。
その徹底してけれん味のない芸風が生きているのが「田園」。全ての楽章が無理のないテンポで、絵葉書的なイメージとは一線を画したスコアの丹念な再現に専心。キリッとしたリズム感と見通しの利いたハーモニー表出といった昨今の風潮と最も顕著な違いを示しているのが第3楽章。ゆったりとしたテンポ、中低域をベースとした厚みのある響きと、決してリズムを独り歩きさせない音の抽出から、温かな情感が引き出されます。当然第4楽章でも感覚に訴える仕掛けなど皆無。調和のとれた響きからはみ出ることなく、聴き手のイマジネーションに問いかけます。終楽章に至っては、完全にニュートラル運転のように指揮者の存在は影を潜めますが、無機質な響きはどこにもなく、そこはかとない味わいがじんわりと広がります。
「運命」は、朝比奈隆の指揮を更に渋くしたような、リズムのエッジを立てず、音の隈取りも磨きをかけない古色蒼然としたスタイルの極み。あくまでも弦楽器群を主体とした、かつてのドイツの伝統的なスタイルを全ての楽章で貫徹。特に終楽章は、ここまで外面的な効果を排して「精神的な高揚」のみを目指した演奏は稀有で、その味わい深さも他に類例を見ません。なお、第1楽章だけでなく終楽章においてもリピートを敢行しているのはこの世代の指揮者としては予想外。
「第7番」も基本的に同じスタイルですが、あまりにも意外なのは、終楽章開始直後0:34から突如として強靭なフォルティッシモで斉奏させ、その直後に音量を落とすというコントラストを築いている点。これはM・ヤンソンスが来日公演でも行なっていた手法ですが、その芸の懐の深さといえば、その差はあまりにも歴然としています。 【湧々堂】

KKC-2041(2CD)
UHQCD新マスタリング
ヴァント〜ヘンデル、モーツァルト他
ヘンデル:「王宮の花火の音楽」序曲
モーツァルト:セレナード第9番K.320「セレナード」*
ベートーヴェン:レオノーレ序曲第3番*
ヘンデル:オルガン協奏曲第1番**
モーツァルト:セレナード第7番K.250「ハフナー」#
ギュンター・ヴァント(指)NHK響
リオネル・ロッグ(Org)**

録音:1982年4月7日、1979年11月9日*、1979年11月9日**、1983年12月2日#
全て、NHKホール/ステレオ・ライヴ
“「ハフナー・セレナード」はN響のモーツァルト演奏史上トップクラスの名演”
ヴァントが他の指揮者とは桁違いに厳しい練習を要求したという事実は、1曲目の「王宮の花火の音楽」の冒頭数秒聴いただけでも明白。表面上はしなやかでもアンサンブルは透徹を極め、寸分の淀みもありません。リズムも豊かに弾みながらも厳格。5:51〜7:02で次第に沈静化していく様はブルックナーを思わせる敬虔さ。2曲のモーツァルトもヴァントの十八番ですが、高潔な音楽作りが決して窮屈になることなく、また交響曲のような構造重視に傾き過ぎることなく、モーツァルトの至純な楽想を引き立てるのに大きく貢献しています。「ポストホルン」は第2楽章トリオのフルートとファゴットの慎ましい対話、第4楽章の匂い立つメルヘンにはヴァントの音色センスが如実に反映。終楽章は手応え満点。団員には自ら楽しむことを厳しく戒め、聴衆を一人の残らず納得させる演奏に徹せよというミッションを忠実に守ったような演奏で、後半の立体的な造型の打ち立て方はまさに巨匠芸。
それに対して意外なのは「ハフナー」での吹っ切れたようなオケのレスポンス!既出の音源も存在しますが、特に第1楽章の主部以降でこれほど自発的なアンサンブルが作品の魅力を残さず開花させていた演奏はなかったと思います。第2楽章もヴァントにしては主情的といえるほどフレージングの陰影が濃厚。第4楽章はリズム感が瑞々しく、ヴァイオリン・ソロも臆することなく伸びやか。第5楽章はトリオにご注目。短調に転じることによる緊張とそこはかとない哀愁とのブレンド具合はこれ以上望みようがありません。再び長調に戻る際の弦のトリルがまた鮮烈!第6楽章は何と優しい微笑み掛けでしょう!まるでビーチャムのようです。テンポといいリズムの弾力加減といい、全てがそのニュアンスに向けられており、ヴァントのあまり語られないロマンティックな情感の豊かさも再認識。
「レオノーレ」ももちろん名演。冒頭の一撃で、金管とティンパニが核となった響きからフルートが残り弦につながるという段階的な推移がここまではっきり感じられる演奏もあまり例がないでしょう。

KKC-2043
UHQCD新マスタリング
ジョルジュ・シフラ
カバレフスキー:歌劇「コラ・ブルニヨン」序曲
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番
リスト:ピアノ協奏曲第1番
ジョルジュ・シフラ(P)、
岩城宏之(指)NHK響

録音:1964年5月9日日比谷公会堂(ステレオ)
シフラの初来日時の公演記録。
チャイコフスキーの第1楽章は冒頭からパワー炸裂と思いきや、意外にも節度を持った丹念な打鍵を続けますが、畳かけるシーンでの猛進ぶりはやはりシフラならでは。第2楽章は、シフラは歌心に欠けるとイメージを覆す可憐なフレージングが印象的。終楽章はなんと言ってもコーダの刃こぼれ皆無の上行音型の凄さにご注目。
リストは、冒頭のオケの導入で、第1音を異様に引き伸ばすのがユニーク。シフラのピアノはここでも緩急自在。しっとりと歌わせるべき箇所と猛烈に突進するシーンのコントラストが明確で、そのギャップの大きさが独特の魅力につながっています。終楽章2:49以降の痛快さは空前絶後。締めくくりにはサラリとグリッサンドが追加され、実に粋!【湧々堂】

KKC-2045
UHQCD新マスタリング
若き日のマイスキー
ハイドン:チェロ 協奏曲第1番ハ長調Hob.VIIb-1*
ドヴォルザーク:チェロ協奏曲ロ短調 Op.104
バッハ:無伴奏チェロ組曲第5番〜サラバンド
ミッシャ・マイスキー(Vc)、
フェルディナント・ライトナー(指)*
オットマール・スウィトナー(指)
NHK響

録音:1986年5月14日*、1988年3月16日 NHKホール
“若きマイスキーがライトナーと共に築いた麗しのハイドン!”
まずは、ハイドンの何という素晴らしさ!マイスキーのチェロはもぎたての果実のようにフレッシュでありながら、若さに任せた感を与えず、強弱の振幅を抑制して、古典的な様式美の中に豊かな表現を結実。通奏低音を含めてライトナーが敷き詰めた典雅な雰囲気と見事な協調を図った賜物でしょう。終楽章はエッジを立てたスポーティな演奏が多いですが、ここではテンポは快速ながら歌心を絶やさず、しっとりとした余韻すら残すのです。
ドヴォルザークは、一層表現が大きくなりますが、こちらも濃厚でありながら繊細なフレージングが心を捉えます。第1楽章第2主題など、実にリリカル。終楽章は、スウィトナーを尻目に物凄い気迫で迫り続けますが決して空回りせず、気品も確保。郷愁の限りを尽くします。【湧々堂】

KKC-2047(2CD)
UHQCD新マスタリング
ワルター・クリーンのモーツァルト
ピアノ協奏曲第20番ニ短調 K.466
ピアノ協奏曲第24番ハ短調 K.491#
ピアノ協奏曲第23番イ長調 K.488##
ピアノ協奏曲第27番変ロ長調 K.595*
ワルター・クリーン(P)
ホルスト・シュタイン(指)
若杉弘(指)*、NHK響

録音:1980年2月9日東京文化会館、
1983年3月2日#、1977年12月9日##、1989年12月1日* 以上NHKホール(全てステレオ)
“モーツァルトを真に体現でききたピアニスト、ワルター・クリーン最高名演!”
湧々堂がかねてからメーカーにCD化を要請していた名盤が復刻!特に「第27番」は、ヘブラーによる「第17番」など共に、N響によるモーツァルトととしては5本の指に入る名演奏と確信しております。愛情あふれる若杉の指揮に続くクリーンのピアノは、これまた馥郁たる魅力満点!打鍵は明瞭ながら、一音ごとに音を刻印するのではなく、あくまでもフレーズの流れを意識した歌心をベースにして、硬軟自在なタッチが夢の様な空間を導きます。第2主題をこれ程オケに対して音楽の受け渡しを丁寧に行った演奏も珍しく、フレーズ結尾でフッと息を抜く間合いのなんと見事なこと!展開部は悲しみを誇張することなく愚直なほど素朴なタッチを貫きますが、それが返って涙を誘います。最後のカデンツァが、まさに今生まれたての即興性を持って響くのも実に稀なこと。第2楽章もタッチはあくまでも明瞭。その明るさ常に悲哀と慈愛が寄り添い、聴く者の心の迫り、得も言われぬ余韻の残しながら進行します。2:37からの中間部は、奇跡としか言いようのないほど感動的!これこそまさに計算を超えた音楽の塊で、誰も真似の出来ない奥義であることをどなたも実感されることでしょう。終楽章は、内省味を湛えたカーゾン等とは対照的に健康的に開始しますが、これがまた意味深い光を放ちます。同じフレーズを繰り返す際に、決して同じニュアンスではない点にもご注目を。そこに一切恣意性を感じさせないのは、まさにクリーンの経験とセンスの賜物。歌曲「春へのあこがれ」をモチーフにしたカデンツア(VOX録音と同じ)が流れ出してからは、もはや涙腺が完全に弛緩。とても言葉になりません!なお、この演奏のわずか1か月後に、W.クリーンはウィーンで他界。しかし演奏には死の影など微塵も感じられません。
他の3曲はこれよりもかなり以上前の録音ですが、「27番」と音楽作りの基本と熟成度に差がないのが嬉しいところ。
「第23番」第2楽章は、最初にピアノが築き上げた雰囲気をオケが共有していない例が多いですが、ここでの一体感は理想の極み。後半でのクリーンのセンスが光る装飾音の追加も聴きもの。
「第24番」だけは、他とは趣を異にします。まずシュタインの伴奏が実に見事。モーツァルトにしては立派過ぎると思いきや、これこそがミソ!まろやかでありながら芯のしっかりしたクリーンのタッチはここでも健在。特に弱音の多用を徹底的に避け、ベートーヴェンへと繋がる強靭さを表出。シュタインが繰り広げる勇壮な伴奏と一体となって恐ろしいほどの緊張感を伴って聴き手に迫るのです。【湧々堂】

KKC-2049(2CD)
UHQCD新マスタリング
シルヴェストリ〜エキゾチック作品集
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」
リムスキー=コルサコフ:スペイン奇想曲
エネスコ:ルーマニア狂詩曲第1番*
チャイコフスキー:交響曲第4番#
アルヴェーン:スウェーデン狂詩曲第1番 「夏至の徹夜祭」#
ドヴォルザーク:スラヴ舞曲第1番Op.46-1#
コンスタンティン・シルヴェストリ(指)
NHK響

録音:1964年4月5日、3月21日*、5月2日# 以上,東京文化会館(全てステレオ)
“綺麗事全廃!ただの奔放ではなく確信に裏打ちされた本音の音楽!”
シルヴェストリとN響との唯一の共演となった1964年のライヴ音源集。モノラルながら、演奏の凄さを体感するのに十分な音質です。演奏内容に触れる前に書解説書について一言。シルヴェストリと宇野功芳氏による当時の対談記事が掲載されており、まずこれが興味深いのです!EMIに残した数々の録音からも、自身の閃きを信じて奔放なスタイルに徹していたことは十分認識できますが、楽譜の正確な再現よりも魂を重視すること、レコードと実演では解釈を変えることなどへの強い信念を窺い知ることができます。それとは別に、シルヴェストリの芸術について記した解説文の中に「爆演系」という単語が出てきますが、実際の音源を聴くと、単に血気発散を目指したものとは意味合いが異なることに気付かされます。つまり、血の「勢い」ではなく血の「臭い」を徹底的に曝け出すことを常に考えていたと思われるのです。そのことを特に痛感するのは、チャイコフスキーの第4楽章冒頭。単に暴走を目指すのであればこんな屈折したテンポ設定(特に0:45〜0:53)はありえません。第1楽章冒頭動機の斉奏もアーティキュレーションといい発作的なテンポ加速といい不健康の極みで、お行儀の良い演奏からは湧き出るはずもない人間のドロドロした内面を露骨に表出。第1主題の泣きじゃくり方は常識も良識も通用せず、人間の業が丸出し。
「新世界」は御存知の通りシルヴェストリのトレードマーク。そのレコード録音での暴走ぶりがこの指揮者のイメージを決定づけたとも言えますが、対談記事にもあるように、レコードの録音ではテンポや強弱のコントラストを敢えて抑えてスッキリとしたアプローチを取ることで、結果的に推進力に満ちた名演が実現したという事実に気づきます。ポルタメントの多用、音価の自在な伸縮、アクセントの位置、強弱を付ける箇所等々…レコード録音では封印していアプローチをここでぶちまけています。第1楽章序奏では、2小節ごとに過去を振り返るように呼吸を挟む迫真のニュアンスにドッキリ!主部は、第1主題のアクセントの腰が誰よりも強靭で、全体の気迫も尋常ではありません。しかし感情に任せているようでいて、声部バランスは精妙に制御され、第2主題も弦に移ってからテンポを落とすなど、知的な設計が全体を引き締めているので散漫な印象を与えず、終始手に汗握ります。第2楽章は速めのテンポで朴訥さを際立たせ、草書風の佇まいが魅力。圧巻はやはり終楽章。EMI盤よりも全てのニュアンスが倍加して表出され、弾丸的な推進力もEMI盤以上。5:56からの弱音の浸透力はお聴き逃しなく!こうした透明度の高い響きから芳しい香りを引き出す裏技も持つことに意外性を感じる方も多いことでしょう。そしてコーダの猛烈な鳴りっぷりと最後の和音のフェルマータの意味深さ!!腹をくくって強固なアンサンブルを貫徹するN響もあっぱれ!
「スペイン奇想曲」と「ルーマニア狂詩曲」は、共にこれ以上不可能と思えるのめり込みの激しさで、各曲の演奏史の頂点をなす超名演!
「スペイン奇想曲」は「変奏曲」の色彩濃淡のコントラスの強烈さが驚異的で、「ジプシーの歌」のとことん肉感的な艶めかしさにも鳥肌が立ちますが、なんと11:58では空前絶後のギアチェンジが出現しますのでくれぐれも御用心!最後の「ファンダンゴ」は大噴火!
「ルーマニア狂詩曲」は、何と言ってもfffの旋律4のトゥッティ以降の音の塊の威力に唖然。非人道的な打楽器強打、決死のアンサンブル貫徹ぶり!これがN響、いや日本のオケで実現していたのです!
「スラブ舞曲」は間違いなく史上最速でしょう。しかも繰り返し部分で粋な強弱対比を盛り込むセンス!このテンションで全16曲演奏していたら、団員は誰も生きて帰れなかったでしょう。
綺麗事からは何も生まれないという信念を貫いたこれらの演奏を聴くと、亡き立川談志が定義した「落語とは人間の業の肯定」という言葉が思い出されてなりません。【湧々堂】
KKC-2051(2CD)
ノイマン〜「新世界」他
スメタナ:歌劇「売られた花嫁」序曲
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」
ヤナーチェク:シンフォニエッタ*
 タラス・ブーリバ*
ベートーヴェン:交響曲第1番*
ヴァーツラフ・ノイマン(指)NHK響

録音:1978年12月1日、12月7日*(CD2)  NHKホール(共にステレオ)
日本にもたびたび客演しておなじみのチェコの巨匠ヴァーツラフ・ノイマン。1978年の公演では母国を代表するスメタナ、ドヴォルザーク、ヤナーチェ クを採り上げ、NHK響から濃厚なボヘミア色を引き出しています。特に十八番の「新世界交響曲」は格別で、しみじみとした味わいは感動的です。 珍しいのがベートーヴェンの交響曲第1番。ノイマン節のユニークな世界に浸れます。 (Ki)

KKC-2053(3CD)
UHQCD新マスタリング
ホルスト・シュタインのベートーヴェン
交響曲第3番変ホ長調Op.55「英雄」
交響曲第5番ハ短調Op.67「運命」*
交響曲第6番ヘ長調Op.68「田園」*
交響曲第7番イ長調Op.92#
ホルスト・シュタイン(指)NHK響

録音:1985年11月6日NHKホール、1992年4月26日サントリーホール*、1989年2月3日NHKホール#(全てステレオ)
シュタインのベートーヴェンを演奏する際のスタンスを徹底的に思い知ることができる興味深いセットです。シュタインは、「ベートーヴェン」という名を耳にするだけで恐れ慄いたそうですが、いかにベートーヴェンを別格の存在として崇めていたか、ここに収録されている曲を聴けば一目瞭然。さらに同シリーズのシベリウスやロシア音楽集の親方気質を反映した演奏と比べれば、指揮するにあたって異なるセンサーを用いていたことは歴然です。
とにかく全4曲に見事なまでに共通しているのは「遊び」のなさ。自我の混入を避け、スコアをありのままに鳴らすことに徹する姿勢は朝比奈以上で、パワー炸裂とか剥き出しの闘志などは入る余地さえありません。バスをたっぷり利かせた弦を主体とし、特定の声部を突出させずにたっぷりと鳴らし、作品の立体感を意図的に強調することも厳禁。まるでシュタインが自分自身と格闘しているかのような独特の緊張が終始漲っているのです。
そのストイックな姿勢が顕著に表れているのが、「運命」第1楽章。遅めのテンポで一音たりとも取りこぼしの内容に刻印し、テンポの微妙な揺らぎさえ許しません。終楽章に至っても、音の量感は凄まじい一方で、造型の誇張や声部解析は最小限に抑え、勝利宣言のような付加価値もないので、痛快さとは無縁の余韻が漂います。
さすがに「田園」ともなれば優雅さが漂うと思ったら大間違い。第1楽章の一点一画も蔑ろにしない強い意志に変わりはなく、メロディアスに流れることも厳しく律しています。それでも音楽が停滞することなく、明確なその意志力が独特の推進性につながっています。第4楽章は音の風圧が壮絶ながら、全体の声部が渾然一体となることに細心の注意が払われています。のどかさを演出せずしっかり鳴らすことに徹するのは終楽章でも同じ。聴き進むうちに、一般的に思い描く「田園交響曲」のイメージは脳裏から消え去り、作品のあるがままの姿を堪能していただけることでしょう。
「第7番」も「舞踏の権化」というレッテルは無用。誠心誠意ひたむきに音楽に打ち込むだけです。終楽章は、第5番の終楽章同様に鳴りっぷりが半端ではありませんが、やはり爆演に逃げ込まない精神力に頭が下がります。【湧々堂】

KKC-2056
デュトワ/N響常任指揮者就任記念コンサート
ラヴェル:道化師の朝の歌
ベルリオーズ:幻想交響曲
シャルル・デュトワ(指)NHK響

録音:1996年12月21日 NHKホール
デュトワがN響が初共演を果たしてから既に約9年を経過しているので、この時点で既ににデュトワならではのクリアで絶妙なバランスを誇るアンサンブルを確立していたことがわかります。 
2曲ともデュトワの十八番だけに、どこをとっても確信と安定感に満ちたニュアンス。一切デフォルメのないアプローチはややもすると模範解答的な演奏に陥りがちですが、デュトワは「ツボを絶対に外さない」安心感を聴き手に与えた上で、ただただ音楽の素晴らしさを味わい尽くす方向へと自然に誘い、確実な手応えに到達することを改めて実感できます。終楽章の最後の追い込みで、金管の細かい音型を取りこぼしなく吹かし尽くし、最後の一音まで高潔さ確保していますが、その背後には団員の尋常でない緊張感もあったことでしょう。その緊張も含めた濁りのない響きの飛翔!これ真の巨匠芸です。【湧々堂】
KKC-2058(2CD)
アシュケナージ〜ブリュッセル・ライヴ他
モーツァルト:ピアノ協奏曲第21番ハ長調K.467
 ピアノ協奏曲第22番変ホ長調K.482
ショスタコーヴィチ:交響曲第5 番*
 バレエ音楽「黄金時代」〜ポルカ*
ウラディーミル・アシュケナージ(Pと指)
NHK響

録音:1975年5月26日東京文化会館、2004年7月10日ブルージュ、コンセルトヘボウ*(共にステレオ)
アシュケナージ、ピアニストとNHK響首席指揮者両方の顔を見ることが出来るアルバム。ピアノ協奏曲は、当時38歳のアシュケナージが弾き 振りしたもので、若きアシュケナージならではの輝かしいモーツァルトを聴くことができます。ショスタコーヴィチの交響曲第5番は、NHK響が 2004年7月に行ったベルギー、ブリュッセルでの公演で、非常な熱演のうえ、当地の聴衆の反応も興味津々。貴重な記録の復活です。 (Ki)

KKC-2060(2CD)
UHQCD新マスタリング
プレヴィンのモーツァルト
歌劇「フィガロの結婚」序曲
ピアノ協奏曲第24番ハ短調 K.491
交響曲第39番変ホ長調K.543
アイネ・クライネ・ナハトムジークK.525*
交響曲第40番ト短調 K.550*
交響曲第38番ニ長調「プラハ」#
アンドレ・プレヴィン(P,指)NHK響

録音:1998年5月9日、1995年10月19日*、1999年5月28日# NHKホール
“ふくよかに歌い上げるプレヴィンのモーツァルトはワルターへのオマージュ!”
これがプレヴィン初のモーツァルト交響曲集!ピリオド・アプローチが当たり前の昨今、「これこそが人間の感性に訴えかけるモーツァルト像」という信念は揺るぎなく、シンプルなモーツァルトのスコアから豊麗な響きを引き出している点にまず拍手!中でも「第40番」は、ワルターへ憧憬を込めた琴線に触れる名演奏で、得も言われぬ安定感と安心感のうちに至福の時が流れます。第1楽章はゆったりとしたテンポで心ゆくまで歌いぬき、推進性を排しながらもリズムは芯から息づき、楽想の魅力をふんだんに堪能させてくれます。驚くのは展開部後半(6:35)に登場するルフト・パウゼ!例のワルターと同じスタイルとっているという事実だけでもいかにその憧れの強さを伺わせますが、迫って来る音楽が決して借り物ではなく、プレヴィン自身の言葉としてふくよかに香ってくる点が魅力的。第2楽章の語りの巧さもlスタイルの新旧など云々させぬ説得力。終楽章も攻撃性などお呼びでなく、じっくり熟成させた音だけを丹念に紡ぐことに専心。N響初登場から2年後のこの演奏は、オケのプレヴィンへの「惚れ込み」がアンサンブルの精度にも反映して程よい緊張を生み、プレヴィンの統率力も盤石。なおプレヴィンは、この曲を2009年の定期演奏会でも取り上げていますが、1楽章のルフト・パウゼはなく、アンサンブルもやや散漫になっていたので、その点でもこの日の演奏はかけがえの無いものです。
ふくよかな歌をを確保しつつも立体的な構築力も見せる「プラハ」、軽快テンポで運びながらリズムを鋭利に立てず微笑み続ける「フィガロ」、終楽章でのホルンの強調など、隈取り明確な音像を目指した「第39番」も聴き逃せません。【湧々堂】
※アーティスト・ロイヤリティの関係で、他のタイトルよりも値段が高く設定されています。 (Ki)
KKC-2077(2CD)
デュトワのチャイコフスキー
交響曲第4番ヘ短調Op.36
交響曲第5番ホ短調Op.64*
交響曲第6番ロ短調「悲愴」#
シャルル・デュトワ(指)
NHK響

録音:2001年6月13日、2008年12月17日*、2007年1月17日#/サントリーホール(ステレオ)
デュトワのチャイコフスキーの三大交響曲といえば、1988-1990年のモントリオール交響楽団とのデッカ盤が有名ですが、NHK交響楽団との円熟の 名演が登場します。まず何より柔らかく美しい響きに魅了されます。ロシア的色彩は希薄ながら、チャイコフスキーの交響曲をこれほどふくよかに美しく歌 わせた演奏は稀と申せましょう。4番でのドラマ、「悲愴」での諦念ももちろん不足はなく、さらに全体がバレエ音楽のような華やかさに満ちていてさすがデュ トワと申せましょう。 (Ki)
KKC-2079(2CD)
UHQCD新マスタリング
プレヴィン/メンデルスゾーン他
メンデルスゾーン
:交響曲第4番「イタリア」
ドヴォルザーク:交響曲第8番
ブラームス:大学祝典序曲
 交響曲第4番ホ短調Op.98
アンドレ・プレヴィン(指)
NHK響

録音:1995年10月25日、12月9日 NHKホール(ステレオ)
66歳のプレヴィンがNHK交響楽団と共演した貴重な記録。メンデルスゾーンの「イタリア」の輝くばかりの演奏に魅了されます。その流麗さ、推進 力に満ちた音楽性はいつまでも聴いていたくなる素晴らしさ。プレヴィンならではの優しさが光ります。カラフルなドヴォルザーク、淡々としながらも滋味 あふれるブラームスと、いずれも絶品。N響がウィーン・フィルのような響きを紡ぎ出しているのも注目です。

KKC-2081(2CD)
UHQCD新マスタリング
カイベルト/ブルックナー他
ハイドン
:交響曲第94番「驚愕」
モーツァルト:交響曲第41番「ジュピター」#
ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」*
ヨゼフ・カイルベルト(指)
NHK響

録音:1968年5月14日、21日*、22日# 東京文化会館(ステレオ)
“カイルベルト、死の2ヶ月前の壮絶ライヴ!”
カイルベルトの死の2ヶ月前、最後の来日時のあまりにも感動的な名演集。質実剛健なその至芸をたっぷり堪能することが出来ます。
ハイドンは、媚びるような表情が一切なく、どこまで言ってもスコアを上の音符を立体的に構築することに専心。第2楽章でも中低音を重視した響きで構えが大きく、極めて純音楽的進行を貫くのが逆に新鮮。びっくりにの一撃は、レオノーレ第3番序曲の冒頭のような勇壮さ。ニヤリとする素振りすら見せません。第3楽章ではリズムの重心が常に下方へ向かい、無骨さの極み。終楽章に至っても吹きれたような晴朗な空気が立ち込めることを固く禁じた強固な音楽が流れます。聴き手を夢見心地にさせないという点ではクレンペラー以上かもしれません。
そのスタイルが更に作品と融合し、強い説得力を放つのがモーツァルト。第1楽章第1主題で弦の音価を厳格に統制し、0:35からのフレーズを鉄壁のイン・テンポで押し切る男らしさにシビれる方も多いことでしょう。弱音の多用を避けた第2楽章での克明なニュアンス表出も絶品!これを聴くと、多くの指揮者が繊細さに囚われるあまり音楽を萎縮させてしまっていることに気付かされます。終楽章は、カイルベルトの尋常ならざる意思力に圧倒されっぱなし。0:31で一瞬ルフとパウゼを挟むのは旧スタイルの名残りですが、その確信的なアプーローチを前にして、古臭いなどという印象など微塵も与えません。
ブルックナーは、精緻な演奏に慣れた耳には大掴みな演奏に感じるかもしれませんが、少なめの残響と、今ほど技術的に洗練されていないオケの機能性が、良い意味での雑味となってかけがえのない味わいに転じています。音楽の築き方はハイドン、モーツァルトと基本的に同じで、後付けのニュアンスなど一切ない実直なダイナミズムに溢れたもの。第1楽章展開部の猛々しい響きはカイルベルト節そのもの。第2楽章も主張が強く、瞑想的なニュアンスとは一線を画します。終楽章の内容の濃さも圧倒的。5:29〜6:30までの響きの充実ぶりには当時のN響の持てる力のすべてが凝縮れており、その最後の一音まで渾身の音を出し尽くしているのが分かります。そして腰を抜かすほど凄いのがコーダ!「格調」とか「透徹」といった衣を完全に脱ぎ去った異常な高揚感!どんな敬虔なブルックナー・ファンでも、これほどの音楽的な衝動に異を唱えることなでできましょうか!
とにかく、ブルックナーの音楽のゴツゴツとした造型の妙味をこれほど痛感させる演奏はなく、もちろん将来も望めません。【湧々堂】
KKC-2085
UHQCD新マスタリング
ケンプ〜1965年のモーツァルト
モーツァルト:ピアノ協奏曲第24番ハ短調K.491
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」*
ウィル ヘルム・ケンプ(P)
アレクサンダー・ルンプフ(指)
外山雄三(指)
共に、NHK響*

録音:1965年6月8日東京文化会館、1967年11月3日(共に東京文化会館/ステレオ・ライヴ)
ウィルヘルム・ケンプ3度目の1965年の来日公演で、アレクサンダー・ルンプフ指揮NHK交響楽団とモーツァルトのピアノ協奏曲第24番を演奏し ました。それが当時のNHKラジオ番組「立体音楽堂」用にステレオ収録された音源が残されていました。これがケンプの息遣いまで生々しく伝わってく るような鮮明さ。緊迫感と激しさに満ちた短調のモーツァルトの世界を描くケンプの音色が見事の一言に尽きる至芸。技術、音楽性ともに当時絶頂にあっ たケンプの神業を真に味わえます。1967年、4度目の来日の際に、外山雄三指揮でベートーヴェンのピアノ協奏曲全曲演奏を行ないましたが、「皇帝」 の音源が残っていました。これも堂々とした名演で、全曲を一気に聴かせてしまう魔力に満ちています。 (Ki)

KKC-2086
UHQCD新マスタリング
最晩年のボレット
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番ニ短調Op.30
ショパン:夜想曲第5番嬰ヘ長調Op.15-2
ホルヘ・ボレット((P)
デーヴィッド・アサートン(指)NHK響

録音:1988年11月9日NHKホール(デジタル・ライヴ)
“至上の歌とまろやかな音色に彩られた、感動必至のラフマニノフ!”
ラフマニノフもショパンも、以前にNHKの放映されましたが、その時の衝撃がリアルに蘇りました!
ラフマニノフは、ボレットの最晩年、演奏活動から離れる直前の貴重な記録であるだけでなく、彼のラフマニノフへの崇拝ぶりが演奏に完全投影され、技巧偏重ではない温かい情感を漂わせた不朽の名演である点で、忘れるわけには行きません。ボレットが遺した最高の協奏曲録音であるとともに、この演奏を抜きにしてこの作品が語れれるはずがありません!
第1楽章のテーマから、その深いリリシズムと甘美な音色は、他の誰とも異なる魅力を放ちます。その内面的な深さは、第2楽章でさらに開花。全てのタッチが愛で塗り固められており、中間の山場では叩き付ける打鍵をも持ち込まず、心を極限まで焦がして憧れのニュアンスを飛翔させる様は言葉も出ません!終楽章はかなりの低速ですが、そのテンポ以外は考えられない比類なき説得力!開始直後、耳元で囁くような弱音でのグリッサンドが奏でられると、もうモロメロ!展開部でも一切弛緩しないどころか、この夢の空間が永遠に続いて欲しいと願わずにはいられない魅力が連綿と流れ、再現部以降はもう涙が止まりません!
亡き名匠アサートンの、含蓄に富んだ棒も安定感抜群。
なお、ボレットのこの曲の録音は他にも2種存在しますが、録音の自然な臨場感は、他の録音を引き離しています。
ショパンも、奇跡としか言いようのない美しさ!「歌う」とは、こういうことなのです!ボレットが不世出のピアニストであったか改めて思い知ります。【湧々堂】
KKC-2088(2CD)
UHQCD新マスタリング
アニー・フィッシャー〜生誕100年
シューマン:ピアノ協奏曲イ短調*
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番**
モーツァルト:ピアノ協奏曲第22番#
アニー・フィッシャー(P)
クリストフ・ペリック(指)*
ミルディアス・カリーディス(指)**
フェルディナント・ライトナー(指)#
NHK響

録音:1985年10月18*、1987年10月16日**、1983年6月22日*、 (全てNHKホール/デジタル・ライヴ)
2014年に生誕百年を迎えるハンガリー出身の名女流アニー・フィッシャー。彼女は1980年以来、亡くなる前年の1994年まで数回日本を訪れ ています。ここではNHK交響楽団と共演した協奏曲4篇を初リリース。いずれも70歳頃の演奏ですが、エネルギーと気迫に満ちた演奏ぶりに感動させ られます。クレンペラーとの名盤で知られるシューマン、フリッチャイとの名盤で知られるベートーヴェンの第3番も違いを味わえます。かのリヒテルも尊敬したというアニー・フィッシャーの芸術を存分に味わ えます。 (Ki)
KKC-2092(8CD)
NHK交響楽団/世界一周演奏旅行1960
■Dics1〜ソ連
(1)チャイコフスキー:交響曲第5番
(2)ハイドン:チェロ協奏曲第2番
■Disc2〜ソ連、スイス
(1)チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番
(2)同:交響曲第6番「悲愴」〜第1、2楽章
■Disc3〜スイス、オーストリア、チェコ
(1)チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」〜第3、4楽章
(2)オーストリア、日本両国国歌
(3)J.シュトラウス:美しき青きドナウ
(4)ドヴォルザーク:チェロ協奏曲ロ短調
■Dics4〜ポーランド
(1)ポーランド、日本両国国歌
(2)矢代秋雄:チェロ協奏曲
(3)シャベルスキ:3つのソネット
(4)間宮芳生:杁(えんぶり)
(5)黛敏郎:越後獅子
(6)外山雄三:小交響曲〜第2楽章
(7)同:ラプソディー
■Disc5〜ドイツ、イタリア
(1)黛敏郎:曼荼羅交響曲
(2)ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番
(3)イタリア、日本両国国歌
(4)ブラームス:交響曲第1番〜第1、2楽章
■Disc6〜イタリア
(1)ブラームス:交響曲第1番〜第3、4楽章
(2)近衛秀麿:越天楽
(3)高田三郎:山形民謡によるバラード
(4)グリーグ:ピアノ協奏曲
(5)外山雄三:ラプソディー
■Disc7〜イギリス
(1)イギリス、日本両国国歌
(2)外山雄三:ラプソディー
(3)ショパン:ピアノ協奏曲第1番
(4)ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」〜第1、2楽章
■Disc8〜イギリス、フランス
(1)ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」〜第3、4楽章
(2)ブラームス:悲劇的序曲
(3)ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番
(4)ラヴェル:スペイン狂詩曲
■Dics1〜ソ連
堤剛(Vc)、岩城宏之(指)NHK響
録音:1960年9月4日/モスクワ、チャイコフスキー・ホール(ライヴ)
■Disc2〜ソ連、スイス
松浦豊明(P)、岩城宏之(1)、外山雄三(2)(指)NHK響
録音:1960年9月4日/モスクワ、チャイコフスキー・ホール(1)、9月9日/アスコナ、パラッツォ・スコラスティコ(ライヴ)
■Disc3〜スイス、オーストリア、チェコ
堤剛(Vc))、岩城宏之(指)NHK響
録音:1960年9月9日/アスコナ、パラッツォ・スコラスティコ(1)、9月13日(2)、14日(3)/ウィーン楽友協会ホール、9月17日/プラハ、スメタナ・ホール(4)(ライヴ)
■Dics4〜ポーランド
堤剛(Vc)、岩城宏之(指)NHK響
録音:1960年9月19日/ワルシャワ、フィルハーモニア(ライヴ)
■Disc5〜ドイツ、イタリア
園田高弘(P)、岩城宏之(指)NHK響
録音:1960年9月24日/ベルリン、ホッホシューレ・ザール(1)、9月26日/ミュンヘン、ドイツ美術館会議場(2)、10月7日/ローマ、アウディトリウム・フォノ・イタリアーノ(3)(4)(ライヴ)
■Disc6〜イタリア
松浦豊明(P)、岩城宏之(1)、外山雄三(2)‐(5)(指)NHK響
録音:1960年10月7日(1)、8日(2)‐(5)/ローマ、アウディトリウム・フォノ・イタリアーノ(ライヴ)
■Disc7
中村紘子(P)、ヴィルヘルム・シュヒター(指)NHK響
録音:1960年10月18日/ロンドン、ロイヤル・フェスティバル・ホール(ライヴ)
■Disc8〜イギリス、フランス
中村紘子(P)、ヴィルヘルム・シュヒター(1)、岩城宏之(2)‐(4)(指)NHK響
録音:1960年10月18日/ロンドン、ロイヤル・フェスティバル・ホール(1)、10月25日/パリ、サル・プレイエル(2)‐(4)(ライヴ)

※全てモノラル/日本語帯・解説付
1960年、NHK交響楽団は戦後初の世界一周ツアーを行いました。敗戦から15年、高度成長期を迎える前の日本の、文化復興を諸外国に披露する ため国を挙げての一大事業となりました。同年8月29日から11月4日まで、インドに始まりアメリカまで大成功の連続だった伝説を、55年を経て音 で確認することが実現しました。出演も岩城宏之、外山雄三の指揮、園田高弘、松浦豊明、中村紘子のピアノ、堤剛のチェロと超豪華。いずれも若く、岩城宏之(28)、外山雄三(29)、 園田高弘(32)、松浦豊明(31)で、堤剛は18歳、中村紘子に至っては16歳。彼らが日本の威信にかけて臨むエネルギーと緊張が伝わってきます。
このツアーのために、当時注目の若手邦人作曲家たちに新作を委嘱しましたが、それらが収録されているのも貴重。外山雄三の人気曲「ラプソディー」 もそのひとつで、ヨーロッパ各都市でアンコールとして奏されるたびに、聴衆が熱狂したと語り草になっています。今回、ワルシャワ、ローマ、ロンドンで の記録を収録、当時の聴衆と興奮を共有できます。 (Ki)

KKC-2100(2CD)
N響世界一周演奏旅行1960補巻
ルーセル:組曲ヘ長調Op.33
ヴォルフ(作曲者編):ゲーテ詩集〜竪琴弾きの歌(全3曲)
ショパン:ピアノ協奏曲第1番
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)
アレクサンダー・ウニンスキー(P)
パウル・クレツキ(指)NHK響

録音:1960年10月24日パリ、サル・プレイエル(ライヴ)モノラル
日本語帯・解説・歌詞対訳付
大注目のNHK交響楽団1960年の世界一周ツアー、番外編の録音が残っていました。10月24日にパリのサル・プレイエルで行われた公演で、大指 揮者パウル・クレツキと、大歌手フィッシャー=ディースカウが何とN響と共演しています。その後の共演はなく、パリゆえ実現した夢の公演といえます。 当時35歳のフィッシャー=ディースカウが絶品。ヴォルフ自身がオーケストラ伴奏に編曲した3曲の「竪琴弾きの歌」の繊細さ、マーラーへの共感い ずれも見事で、クレツキの指揮のもとN響がヨーロッパの響きを紡ぎ出しています。 もうひとつの注目は、1932年の第2回ショパン国際コンクール優勝者アレクサンダー・ウニンスキーを独奏に迎え、ショパンのピアノ協奏曲第1番を 演奏していること。ウニンスキーは歴代の優勝者のなかで、ショパンのピアノ協奏曲録音が入手できない人なので貴重。それもポーランド出身のクレツキ が伴奏しているのも価値を高めています。ウニンスキーのショパン演奏を語るうえでも必須の録音で、即興性満点(ことにフィナーレのコーダ)に驚かさ れます。 *古い音源を使用している場合は、テープ劣化によるお聴き苦しい点がございます。予めご了承下さい。

KKC-2102
近衛秀麿〜レーガー他
レーガー:祖国への序曲Op.140
バッハ:管弦楽組曲第3番BWV1068
バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第2番
潮田益子(Vn)
近衛秀麿(指)NHK響

録音:1967年4月26日、5月3日東京文化会館(ステレオ・ライヴ)
近衛秀麿(1898-1973)は、1926年にNHK交響楽団の前身である新交響楽団を結成した、まさに生みの親。1927年2月20日に行われた第1 回演奏会も近衛の指揮で行われました。彼は生涯に92回NHK交響楽団のステージに登場しましたが、その最後の演奏会にあたる1967年5月3日 で潮田益子と共演したバルトークのヴァイオリン協奏曲第2番の音源が残っていました。前年行われた第3回チャイコフスキー国際コンクール、ヴァイオ リン部門第2位入賞を果たした潮田の煌めくような独奏にピッタリ合わせ、バルトークならではの活き活きとした世界を繰り広げます。またドイツ国歌が 高らかに謳われるレーガーの「祖国への序曲」、高貴の極みのバッハの管弦楽組曲第3番と、近衛芸術を堪能できます。 (Ki)

KKC-2103
山田一雄 T〜シベリウス他
黛敏郎:曼荼羅交響曲
シベリウス:交響曲第2番ニ長調Op. 43
山田一雄(指) NHK響

録音:1976年10月13日NHKホール(ステレオ・ライヴ)
山田一雄(1912-1991)は、1941年にN響の前身である新交響楽団の補助指揮者、翌年専任指揮者となり、同楽団を育て上げました。当アルバム は何と山田一雄が20年ぶりにN響定期に登場した記念すべき公演。黛敏郎の「曼荼羅交響曲」はN響世界一周演奏旅行でも聴くことができますが、 さすが日本の現代音楽の旗頭・山田一雄、驚きの説得力で魔術のように聴き手の心を掴みます。もうひとつは山田一雄貴重なレパートリーと言うことので きるシベリウスの交響曲第2番。山田ならではの大きなドラマを聴かせてくれます。 (Ki)

KKC-2104(2CD)
山田一雄 U〜マーラー他
マーラー:交響曲第5番嬰ハ短調
モーツァルト:交響曲第38番「プラハ」
 交響曲第41番「ジュピター」*
山田一雄(指) NHK響

録音:1985年2月13日NHKホール、1990年11月26日サントリーホール* (ステレオ・ライヴ)
N響史で欠くことのできぬ貢献者山田一雄(1912-1991)。草創期から200回以上NHK交響楽団のステージに登場した彼が晩年にN響と共演した 貴重な記録です。1985年2月13日の第953回定期公演は、もともとスウィトナーの予定ながら急病で来日不能となり、山田一雄の代役が実現したもの。 十八番のマーラーだけに自在かつ自然。心から感動させられます。モーツァルトの透明さも絶品です。 (Ki)

KKC-2106(2CD)
岩城宏之のチャイコフスキー
交響曲第4番ヘ短調Op.36
交響曲第5番ホ短調Op.64*
交響曲第6番ロ短調Op.74「悲愴」#
岩城宏之(指) NHK響

録音:1968年3月17日東京文化会館、1974年6月19日*、1983年2月11日# 以上,NHKホール(全てステレオ・ライヴ)
NHK交響楽団の指揮者といえば岩城宏之(1932-2006)。1954年に指揮研究員として入団、1969年に正指揮者となり、亡くなるまでそのポストを 務めたまさにN響の顔と申せましょう。その岩城の十八番、チャイコフスキーの三大交響曲をお楽しみいただきます。第4番が35歳、5番が41歳、6 番が50歳と岩城の円熟の過程も見てとれます。ことに「悲愴」の大きく深い演奏は感動的。岩城宏之の芸術をたっぷり堪能できます。 (Ki)

KKC-2108(2CD)
若杉弘 T
(1)モーツァルト:交響曲第35番「ハフナー」
(2)同:交響曲第38番「プラハ」
(3)同:交響曲第41番「ジュピター」
(4)ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」
若杉弘(指) NHK響

録音:1995年5月18日(1)(2)(3)、1986年6月27日(4)/NHKホール(ライヴ)
若杉弘(1935-2009)は、東京藝術大学で伊藤栄一、金子登、斎藤秀雄に指揮を師事。1963年からNHK響の研究員として学ぶかたわら、 読売日本交響楽団、二期会、東京室内歌劇場の監督として活躍しました。さらにドイツ各地のオーケストラや歌劇場の音楽監督を務めるなど、ヨーロッ パで認められた日本の指揮者を代表する存在です。NHK響は1995年から死の時まで正指揮者を務めました。 当アルバムには若杉の魅力が最も発揮されたモーツァルトとブルックナーを収録。モーツァルトは気をてらわず、切れの良いリズム、きびきびとした音運 びを堪能できます。お宝は伝説となっているブルックナーの4番。何故か録音がないものの、若杉の気質と合い、稀有の感動的世界を作り上げています。 (Ki)

KKC-2110(2CD)
若杉弘 U
ヘンデル(モーツァルト編):メサイア
豊田喜代美(S)、永井和子(Ms)
近藤伸政(T)、勝部太(Br))
日本プロ合唱連合
若杉弘(指) NHK響

録音:1992年1月27日/サントリーホール(ライヴ)
れも若杉弘ならではのレパートリー。ヘンデルの名作「メサイア」ながら、モーツァルトが近代オーケストラ用に編曲した版を使用。驚くべき生気と 推進力で大曲をあっという間に聴かせてしまう凄さ。歌手陣も素晴らしく、ヘンデルにモーツァルトの魅力が加わった最強の作品となっています。 (Ki)

KKC-2112(3CD)
尾高忠明 T〜エルガー作品集
(1)交響曲第1番変イ長調Op.55
(2)交響曲第2番変ホ長調Op.63
(3)交響曲第3番ハ短調Op.88
(4)「威風堂々」第1番
(5)序奏とアレグロOp.47
(6)演奏会用序曲「フロワサール」Op.19
尾高忠明(指) NHK響

録音:1991年11月20日(1)、2009年5月15日(2)、2011年5月13日(3)、1975年7月23日(4)、1991年11月日(5)、2013年5月11日(6)/NHKホール(ライヴ)
高忠明(1947-)は1971年にNHK響で指揮者デビュー、以後数多く活躍し、2010年から正指揮者の任にあるNHK響の顔となって きました。彼はBBCウェールズ交響楽団の首席指揮者を務めるなどイギリスと縁が深く、NHK響でも積極的にイギリス作品を紹介しました。な かでもエルガーは絶品。ブルックナーやマーラーのような構成力はもとより、NHK響がイギリスならではの壮麗な響きを発しているのもさすがです。 (Ki)

KKC-2115(2CD)
尾高忠明 U
(1)ブルックナー:交響曲第8番(ハース版)
(2)尾高尚忠:交響曲第1番(2楽章版)
尾高忠明(指) NHK響

録音:2007年6月2日(1)、2011年5月7日(2)/NHKホール(ライヴ)
尾高忠明はブルックナーを振りたくて指揮者になったといわれるほど、この作曲家に強い思い入れを持っているとされます。満を持して2007年6月に N響と披露した第8番は、あまりの深さ、音楽の大きさで聴衆を圧倒する名演だったと語り継がれています。それがついにCD化されました。カップリン グは尾高の父でやはりNHK響の前身・新交響楽団の指揮者を務めた尚忠(1911-1951)の未完の交響曲。近年発見された第2楽章付で、稀な 父作子演となっていて、壮絶かつ胸を打つ世界を作り上げています。 (Ki)

KKC-2117(2CD)
山本直純
(1)ブリテン:青少年のための管弦楽入門
(2)ルロイ・アンダーソン:トランペット吹きの子守歌
 フィドル・ファドル/ラッパ吹きの休日
 シンコペー テッド・クロック
(3)レノン&マッカートニー:イエスタデイ
 ヘイ・ジュード
(4)ジョン・ウィリアムズ:「スター・ウォーズ」組曲(全3曲)
(5)ガーシュウィン:パリのアメリカ人
(6)バーンスタイン:「ウエストサイド物語」〜シンフォニック・ダンス
(7)ガーシュウィン:スワニー
山本直純(指) NHK響

録音:1979年3月25日(1)(2)(3)、1989年7月31日(4)、1990年8月1日(5)、
1991年7月31日(6)(7)/NHKホール(ライヴ)
山本直純(1932-2002)は昭和時代に放送等で絶大な人気を誇りました。陽気で豪快なキャラクターで、彼のおかげでクラシック音楽に興味を持った人々 も数知れません。そうした啓蒙的活動はもちろんながら、指揮者、作曲家としても天才で、NHK響をボストン・ポップスさながらに変身させています。 ブリテンの「青少年のための管弦楽入門」は自身がナレーターも務め、ユーモアたっぷりに楽器について教えてくれます。またジョン・ウィリアムズの「スター・ ウォーズ」、バーンスタインの「ウエストサイド物語」などクラシック様式で書かれた映画音楽やルロイ・アンダーソンの楽しいナンバーもポップな感覚満点。 高水準でクラシックの敷居を下げた最高の演奏をお楽しみいただけます。 (Ki)

KKC-2119(2CD)
園田高弘&N響
(1)シューマン:ピアノ協奏曲
(2)ブラームス:ピアノ協奏曲第1番
(3)ブラームス:ピアノ協奏曲第2番*
園田高弘(P)
ヴォルフガング・サヴァリッシュ(指)
イルジー・コウト(指)*
NHK響

録音:(1)1964年11月10日東京文化会館
(2)1969年4月17日東京文化会館、
(3)1999年10月23日NHKホール
(全てステレオ・ライヴ)
園田高弘(1928-2004)は、演奏、教育両活動で20世紀日本ピアノ界を代表する巨人。父とレオ・シロタに師事した後、1950年渡欧してベルリン とパリで学び、1954年に初来日したカラヤン指揮のNHK響とも共演しました。広範なレパートリーを誇りましたが、重厚なドイツ音楽に魅力が 発揮されています。このアルバムに収められた3作は、いずれも至難な技巧と構成力を必要とされ園田の音楽性にぴったり。サヴァリッシュの好サポート とあいまって、NHK響からドイツの響きを導き出しています。 (Ki)

KKC-2121
安川加寿子&N響
(1)モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番
(2)ダンディ:フランスの山人の歌による交響曲*
(3)ラヴェル:左手のためのピアノ協奏曲#
安川加寿子(P)
森正(指)、岩城宏之(指)*、
外山雄三(指)#
NHK響

録音:(1)1981年5月28日NHKホール、
(2)1966年4月5日東京文化会館、
(3)1975年10月8日NHKホール
(全てステレオ・ライヴ)
安川加寿子(1922-1996)は幼くしてフランスに渡り、ラザール・レヴィに師事して日本へ純フランス風ピアニズムを伝えた名ピアニスト。東京藝術大 学で多くの弟子を育てましたが、同時に多くのフランス作品を日本に紹介しました。ここではモーツァルトとラヴェルを披露。さらに珍しいのがダンディの「フ ランスの山人の歌による交響曲」。あくまで交響曲で、ピアノはオーケストラの楽器のひとつとしてとらえられますが、非常に技巧的で華麗なピアニズムを 発揮します。 (Ki)

KKC-2122
吉田雅夫、千葉馨&N響
(1)モーツァルト:フルート協奏曲第2番
(2)尾高尚忠:フルート協奏曲*
(3)R・シュトラウス:ホルン協奏曲第2番#
(4)R・シュトラウス:ホルン協奏曲第1番##
吉田雅夫(Fl) 、千葉馨(Hrn)
ジャン・マルティノン(指)
外山雄三(指)*、岩城宏之(指)#
ロヴロ・フォン・マタチッチ(指)##
NHK響

録音:(1)1963年4月15日東京文化会館(ステレオ)、
(2)1961年11月30日杉並公会堂(モノラル)
(3)1965年3月26日東京文化会館(ステレオ)
(4)1969年5月27日東京文化会館(ステレオ)
日本の管楽器界を代表する巨匠ふたり、フルートの吉田雅夫(1915-2003)とホルンの千葉馨(1928-2008)。吉田は1942年から1963年まで、千葉は1949年から1983年までNHK響の奏者を務め、オーケストラの個性を創り上げることに貢献しました。両巨匠は独奏者としてNHK響と協奏曲を演じもしました。吉田雅夫の演奏によるモーツァルトの第2番は何とマルティノンの指揮。柔らかい音 色と推進力が魅力。尾高の協奏曲は大オーケストラ版で、他の追随を許さぬ説得力で心を打たれます。千葉馨はリヒャルト・シュトラウスの協奏曲2篇。 第1番はマタチッチの指揮が魅力。シュトラウスならではのボルテージの高さを千葉が見事に再現しています。 (Ki)

KKC-2123(2CD)
堀米ゆず子&N響
(1)シベリウス:ヴァイオリン協奏曲
(2)ドヴォルザーク:ヴァイオリン協奏曲*
(3)モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第2番**
(4)ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲#
堀米ゆず子(Vn)
ヘルベルト・ケーゲル(指)
ヘルベルト・ブロムシュテット(指)*
外山雄三(指)**、広上淳一(指)#
NHK響

録音:(1)1980年9月20日NHKホール
(2)1981年11月13日NHKホール、
(3)1987年7月14日サントリーホール
(4)2010年1月20日(4)サントリーホール
(全てステレオ・ライヴ)
堀米ゆず子(1957-)は、1980年に行われたエリーザベト王妃国際コンクールのヴァイオリン部門で、日本人として初優勝を飾りました。その直後、 日本でのデビュー・コンサートとなったのがケーゲル指揮NHK響とのシベリウスの協奏曲でした。その貴重な記録が世に出ます。シベリウスの協 奏曲はコンクールの本選でも弾いた作品で、23歳とは思えぬ堂々とした精神、内心からの共感に溢れる熱い演奏は語り草となっています。ケーゲルの伴 奏も聴きものです。さらにドヴォルザーク、モーツァルトから最近のベートーヴェンまで、堀米の成熟の過程がみてとれます。 (Ki)

KKC-2125(2CD)
中村紘子&N響
(1)チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番
(2)ショパン:ピアノ協奏曲第1番
(3)矢代秋雄:ピアノ協奏曲*
中村紘子(P)
岩城宏之(指)、森正(指)*
NHK響

録音:(1)1963年2月26日日比谷公会堂(モノラル)
(2)1967年7月8日(2)旧NHKホール(ステレオ)
(3)1967年11月29日東京文化会館(ステレオ)
中村紘子(1944-2016)は、日本のクラシック演奏家のなかで最も人気を誇ったひとり。彼女のおかげでピアノ音楽に興味を持った人も多い大スターで した。惜しくも昨年他界されましたが、今回最初期の演奏が蘇りました。中村のトレードマークであるチャイコフスキーの協奏曲は18歳当時のもので、 現在聴くことのできるいちばん古い記録。音楽に向う真摯な態度に圧倒されます。注目は矢代秋雄の協奏曲。1967年の作で、中村紘子により放送初演され、 その3週間後にステージ初演されました。まさにその際の演奏で、今日多くのピアニストに愛奏される名作が、まさに世に出た瞬間にタイムスリップでき ます。 (Ki)

KKC-2127(7CD)
NHK交響楽団/ベートーヴェン生誕200年記念ツィクルス1970
■Dics 1 第1夜
交響曲第1番ハ長調Op.21
交響曲第3番変ホ長調Op.55「英雄」
■Disc 2 第2夜
交響曲第8番ヘ長調Op.93
交響曲第5番ハ短調Op. 67「運命」
■Disc 3 第3夜
交響曲第2番ニ長調Op. 36
交響曲第6番ヘ長調Op.68「田園」
■Dics 4 第4夜
交響曲第4番変ロ長調Op.60
交響曲第7番イ長調Op.92
■Disc 5 第5夜
交響曲第9番ニ短調Op.125「合唱」
■Disc 6 第6夜
荘厳ミサ曲Op.123
■Disc 7 その他
エグモント序曲Op.84
レオノーレ第3番Op.72b
レオノーレ第1番Op.138
コリオラン序曲Op.62
合唱幻想曲ハ短調Op.80
ヴォルフガング・サヴァリッシュ(指)
NHK響

■Dics 1 
録音:1970年4月15日東京文化会館
■Disc 2 
録音:1970年4月20日東京文化会館
■Disc 3 
録音:1970年4月25日東京文化会館
■Dics 4 
録音:1970年4月30日東京文化会館
■Disc 5 
録音:1970年5月6日東京文化会館
中沢桂(S)、伊原直子(A)、丹羽勝海(T)、大橋国一(Bs)、東京放送cho、二期会、日本合唱協会、藤原歌劇団合唱部
■Disc 6 
録音:1970年5月13日東京文化会館
蒲生能扶子(S)、長野羊奈子(A)、丹羽勝海(T)、大橋国一(Bs)、東京放送cho、二期会、日本合唱協会、藤原歌劇団合唱部
■Disc 7
ヴォルフガング・サヴァリッシュ(P)
東京放送cho、二期会、日本合唱協会、藤原歌劇団合唱部
(全てステレオ録音)
NHK交響楽団が初の世界一周ツアーを行ってからちょうど10年の1970年は、ベートーヴェンの生誕200年でした。それを記念して、当時の名誉 指揮者サヴァリッシュが全交響曲と荘厳ミサ曲の連続演奏会を催しました。日本でも人気のある楽聖の記念ということもあり、NHK交響楽団としても一 大事業となりました。同年4月15日から5月13日まで6回に分けられ、交響曲の前には序曲や合唱幻想曲まで演奏されていたものの音源がすべて残っ ており、47年を経て音で確認することが実現しました。 合唱付きのピアノ協奏曲の体をなす合唱幻想曲では、サヴァリッシュ自身がピアノ・パートを受け持ち、名人芸を発揮しているのも興味津々。 独唱陣も豪華。今は亡き中沢桂、大橋国一の美声を聴くことができるのも貴重です。 演奏史譚・山崎浩太郎氏入魂の解説は読み物としても面白く、臨場感伝わる力作。サヴァリッシュによるベートーヴェンの主要管弦楽集という魅力も含め、永久保存の宝物となること間違いなしのBoxです。 (Ki)

KKC-2134
ストラヴィンスキーとN響伝説の共演
ストラヴィンスキー:交響詩「うぐいすの歌」
バレエ組曲「火の鳥」(1945年版)
花火
バレエ音楽「ペトルーシュカ」より*
イーゴリ・ストラヴィンスキー(指)
NHK響

録音:1959年5月1日大阪フェスティバルホール、5月3日日比谷公会堂* (全てモノラル・ライヴ)
大作曲家ストラヴィンスキーは1959年の4月から5月にかけ、一か月ほど日本に滞在しました。その間、NHK響で自作を指揮したことは、日 本音楽史の重大事として知られています。その際に演奏した「火の鳥」は映像で残されていて、世紀の巨匠がN響を振る感動的な光景を目にすることが できます。それらがついにCD化されました。「火の鳥」「うぐいすの歌」に加え、ペトルーシュカの抜粋が19分ほどありました。黛敏郎や岩城宏之が団 員として参加したといわれる伝説の演奏、永久保存の日本音楽史の宝と申せましょう。 (Ki)

KKC-2135
ベートーヴェン:「レオノーレ:序曲第3番
 交響曲第5番ハ短調Op.67「運命」
ショスタコーヴィチ:交響曲第1番ヘ短調Op.10
コンスタンティン・シルヴェストリ(指)
NHK響

録音:1964年4月11日東京文化会館(全てモノラル・ライヴ)
熱心なファンを持つルーマニア出身の指揮者コンスタンティン・シルヴェストリ。彼が1964年に来日し、NHK響を指揮した公演のうち、4月 11日の回をCD化。注目は他で聴くことのできないベートーヴェンの「運命」。シルヴェストリならではの自由な解釈が痛快です。また作曲者とも面識のあっ たショスタコーヴィチの交響曲第1番も興味津々。作品の芯をえぐる名演です。 (Ki)

KKC-2136
グリンカ:歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲
ドヴォルザーク:序曲「謝肉祭」
ベルリオーズ:幻想交響曲Op.14
コンスタンティン・シルヴェストリ(指)
NHK響

録音:1964年4月21日東京文化会館(全てモノラル・ライヴ)
熱心なファンを持つルーマニア出身の指揮者コンスタンティン・シルヴェストリ。彼が1964年に来日し、NHK響を指揮した公演のうち、4月 21日の回をCD化。圧巻は幻想交響曲。第1楽章の表情の濃さと熱い音、逆に即物的な第4楽章、わざとらしさのない第5楽章いずれも緻密。N響 がシルヴェストリに終始興じているのも聴きものです。 (Ki)

KKC-2137(4CD)
ウィリー・ボスコフスキー
■Disc 1
ウェーバー:歌 劇「オベ ロン」序 曲
モーツァルト:交響曲第35番ニ長調「ハフナー」
ベートーヴェン:交響曲第8番ヘ長調Op.93
■Disc 2
J・シュトラウス:「こうもり」序曲
 ポルカ「クラップフェンの森で」
 ワルツ「ウィーン気質」/トリッチ・トラッチ・ポルカ
 加速度円舞曲/ペルシャ行進曲
 チック・タック・ポルカ/ポルカ「浮気心」
 皇帝円舞曲
ヨゼフ・シュトラウス:ワルツ「うわごと」
 ポルカ・マズルカ「女心」
■Disc 3
J・シュトラウス:ポルカ「雷鳴と電光」
 ワルツ「美しく青きドナウ」/ポルカ「狩り」(2種)
 アンネン・ポルカ/ワルツ「千夜一夜物語」
 ピチカート・ポルカ
J・シュトラウスT:ラデツキー行進曲
ヨゼフ・シュトラウス:かじやのポルカ
 ワルツ「オーストリアの村つばめ」
 ワルツ「わが人生は愛と喜び」
 ポルカ「憂いもなく」/マズルカ「とんぼ」
 ポルカ「騎手」
エドゥアルト・シュトラウス:ポルカ「テープは切られた」
■Disc 4
J・シュトラウス:「くるまば草」序曲
 ワルツ「愛の歌」/新ピチカート・ポルカ
 エジプト行進曲/ワルツ「ウィーンの森の物語」
 ポルカ「ハンガリー万歳」/常動曲
 ワルツ「南国のばら」/ポルカ「観光列車」
ヨゼフ・シュトラウス:ポルカ「風車」
J・シュトラウスT:ラデツキー行進曲
ウィリー・ボスコフスキー(指)
NHK響

録音:1963年8月25旧NHKホール、31日、9月10日東京文化会館大ホール(全てモノラル・てライヴ)
ウィリー・ボスコフスキー(1909-1991)は、ウィーン・フィルのコンサートマスターから指揮者となった生粋のウィーン子。そのボスコフスキーが 1963年に、NHK響でシュトラウス一家の作品をふんだんに紹介したことは語り草となっています。そのすべてをCD化。ウィーン風のリズムにN 響が見事に応えているのも聴きものです。「狩のポルカ」ではピストルで打ち合う演出に会場も大ウケ。さらに彼がモーツァルトやベートーヴェンの交響曲 を指揮した珍しい音源も含め、残されたボスコフスキーとN響の全記録を公開します。 (Ki)

KKC-2141(3CD)
ライトナー/ブラームス:作品集
(1) 交響曲第1番ハ短調Op.68
(2) 交響曲第2番ニ長調Op.73
(3) ハイドンの主題による変奏曲Op.56a
(4) 交響曲第4番ホ短調Op.98
(5) ドイツ・レクイエムOp.45
フェルディナント・ライトナー(指)
NHK響
曽我栄子(S)、芳野靖夫(Br)、
国立音楽大学cho

録音:1988年12月18日サントリーホール(1)、1983年6月22日(2)、7月8日(3)以上NHKホール、
1983年7月14日名古屋市民会館(4)、1979年2月21日NHKホール(5)
(すべてステレオ・ライヴ)
N響にたびたび客演しておなじみのドイツの巨匠フェルディナンド・ライトナー。彼のブラームスは世界的に評価が高く、N響ともブラームスの交響曲第1、2、4番を演奏しています。そのすべてをCD化。さらに「ハイドンの主題による変奏曲」と「ドイツ・レクイエム」も収録しました。悠然とした流 れのなかに人間的な温かみあふれる名演。N響のドイツ音楽の代表的名盤と申せましょう。ことに曽我栄子と芳野靖夫の名唱光る「ドイツ・レクイエム」 はもう一度聴きたかったという声の大きかった演奏です。ことに曽我女史はなんども歌った「ドイツ・レクイエム」の中でも最高の演奏でした。とのお墨 付き。ご期待ください。 (Ki)
KKC-2147
クルツのロシア・バレエ作品集
カバレフスキー:組曲「道化師」(全10曲)*
チャイコフスキー:「くるみ割り人形」より5曲*
リムスキー=コルサコフ:スペイン奇想曲
ハチャトゥリヤン:「ガイーヌ」〜ばらの乙女の踊り/子守歌/剣の舞
 「仮面舞踏会」〜ワルツ
プロコフィエフ:「3つのオレンジへの恋」〜スケルツォ/行進曲#
バーバー:弦楽のためのアダージョ#
エフレム・クルツ(指)
NHK響

録音:1962年5月5日*、5月26日旧NHKホール(公開収録)、6月7日# 東京厚生年金会館(全てモノラル・公開収録)
エフレム・クルツ(1900-1995)はロシア出身、革命後は欧米で活躍した指揮者で、1962年にN響と共演しました。ここではクルツ十八番のロシア・ バレエ及び劇音楽の小品を聴かせてくれます。いずれも華やかな舞台を彷彿させ、フィギュア・スケートでもお馴染みのハチャトゥリヤンの「仮面舞踏会」 のワルツもロシアならではの濃厚な歌い回しが絶品。運動会の定番音楽「ギャロップ」を含むカバレフスキーの「道化師」も貴重。バーバーの名作「弦 楽のためのアダージョ」も、クルツの手にかかるとまるでチャイコフスキーのようになるのに驚かされます。 (Ki)
KKC-2148
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番ニ短調Op.47
交響曲第9番変ホ長調Op.70*
エフレム・クルツ(指)
NHK響

録音:1962年4月14日旧NHKホール、5月15-17日東京文化会館 *(モノラル・ライヴ)
エフレム・クルツ(1900-1995)はペテルブルグ音楽院でグラズノフに師事しているので、ショスタコーヴィチの兄弟子にあたります。同じ時代の空気を 吸ったクルツのショスタコーヴィチは、さすがの説得力にあふれています。ことに名作第5番は他に録音がなく貴重。第9番は1949年のニューヨーク・フィ ルとの録音がありますが、こちらの方が新しくクルツの解釈が堪能できます。
KKC-2149
チャイコフスキー:交響曲第4番ヘ短調Op.36
幻想序曲「ロミオとジュリエット」*
エフレム・クルツ(指)
NHK響

録音:1962年5月21日/杉並公会堂、6月7日/東京厚生年金会館* (全てモノラル・公開収録)
エフレム・クルツのチャイコフスキーといえばバレエ音楽の名盤が有名ですが、交響曲はあまり聴く機会がありませんでした。クルツがN響と共演したチャ イコフスキーの交響曲第4番が日の目を見ます。クルツは同年代ロシアのムラヴィンスキーやアノーソフと共通する大きさと推進力に満ち、ロシアならでは のチャイコフスキーを聴かせてくれます。「ロミオとジュリエット」の歌い回しも最高です。 (Ki)
KKC-2150(2CD)
マルケヴィチとN響の全共演
チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」
ムソルグスキー:展覧会の絵
イーゴリ・マルケヴィチ(指)
NHK響

録音:1983年1月12日NHKホール(ステレオ・ライヴ)
ロシア出身のマルケヴィチは1983年に一度だけN響と共演しました。その時の名演は今日でも語り草となっています。今回すべてをCD化。最晩年 のマルケヴィチが到達した凄みと深みに慄然とさせられる、まさに歴史に残る演奏と申せましょう。


NHK名演奏家・幻のライヴ・シリーズ

KKC-2073
リリー・クラウス/戦後初来日時のNHK録音
ハイドン:ピアノ・ソナタ第52番変ホ長調 Hob.]Y.52
モーツァルト:幻想曲ハ短調K.475
 ピアノ・ソナタ第14番ハ短調K.457
 グルックの主題による10の変奏曲K.455
リリー・クラウス(P)

録音:1963年1月27日、NHKによるスタジオ・モノラル録音
リー・クラウス2度目(戦後初)の来日時の演奏が残されていました。クラウス一家は第2次世界大戦中、ジャワで日本軍に抑留された経験を持つだけに、 デリケートな事情の絡む来日として話題になりました。意外にもコンサートのライヴでなく、スケジュールの合間にNHKのスタジオで録音された放送用セッ ション。そのため拍手などの会場ノイズはありません。モノラルではありますが、鮮明なピアノの音に当時のNHKの録音技術の高さが伺えます。 いずれもクラウスが絶対の自信をもつ逸品。モーツァルトでもハイドンでも、クラウスの演奏は優雅で繊細というより、おきゃんで生命力満点。非常な 魅力に満ちています。クラウスならではの、クリスタルのように結晶化したピアノの音色を存分に味わえます。 今回も来日時のインタビュー、批評など興味深く貴重な資料を満載しています。

KKC-2074(2CD)
リリー・クラウス1967年6月14日東京文化会館ライヴ
シューベルト:4つの即興曲Op.90
 楽興の時Op.94の1-3
 優雅なワルツOp.77(全12曲)
 ピアノ・ソナタ第20番イ長調D.959
モーツァルト:トルコ行進曲
バルトーク:ルーマニア民俗舞曲
シューベルト:グラーツのギャロップ D.925
リリー・クラウス(P)

録音:1967年6月14日/東京文化会館(モノラル・ライヴ)
シューベルトの「即興曲」といえば、数ある名盤のなかでも、リリー・クラウスの1967年録音ヴァンガード盤が屈指の名演とされています。同じ年に 東京でそれを実演、NHKが収録した世にも貴重なライヴ音源が残っていました。天下の名盤と同時期の日本公演が残っていたのはまさに奇跡、日本ピア ノ音楽演奏史上の宝の発見と申せましょう。さらにこれが、かの名盤に優るとも劣らぬ名演。研ぎ澄まされた音色と端正な演奏はクラウスならでは。さら に日本の聴衆を前に興が乗り、セッション録音以上の渾身の魔術を聴かせてくれます。さらに大作「ピアノ・ソナタ第20番イ長調D.959」も披露。これも硬質な音色と引き締まった解釈で長さを感じさせない名演。非常に感動的。さら にアンコールで弾かれたバルトークの独特の節回しはハンガリーの血を感じさせます。当時のプログラム、批評も収録。史料としても価値があります。 (Ki)

KKC-2076
フリードリヒ・グルダ1967年2月東京文化会館ライヴ
バッハ:イタリア協奏曲BWV971*
モーツァルト:ピアノ・ソナタ第11番イ長調K.331*
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第14番「月光」
 エコセーズWoO.83
 ピアノ・ソナタ第20番ト長調Op.49-2〜メヌエット
フリードリヒ・グルダ(P)

録音:1967年2月16日*、2月25日/東京文化会館(モノラル・ライヴ)
グルダは1930年生まれながら初来日は1967年2月で、すでに欧米で高い評価を受けている大物だったため、非常な話題となりました。東京で2 回リサイタルを行ないましたが、そのなかから選りすぐりの3曲とアンコール2篇をNHKが収録、放送しました。その音源がNHKに残されていて、今 回初めて日の目を見ました。気品あふれる大人の音楽はグルダならではで、明晰で清澄な音色が魅力。モーツァルトの「ピアノ・ソナタ第11番」第1楽 章では、各変奏の繰り返しで楽譜にない装飾音の多用が日本の聴衆を驚かせました。ベートーヴェンの「月光」も1964年ザルツブルク音楽祭のライヴ 録音を彷彿させる名演。くぐもった音色で淡々と進めながらも滋味あふれる音楽性が独特で新鮮。語り草になっていた演奏、グルダの魅力を満喫できます。 (Ki)


EVEREST

KKC-4024(1SACD)
アンティル:バレエ組曲「コロボリー」
ヒナステラ:バレエ音楽「パナンビ」
ユージン・グーセンス(指)LSO

録音:1958年8月/ウォルサムストウ・アセンブリー・ホール(ロンドン) ステレオ
“ステレオ初期に立体的な音像をリアルに再現した、真の優秀録音!”
故・長岡鉄男氏が生涯にわたり 超優秀録音として激賞し続けた凄さは、今日でも全く色褪せておらず、さらにSACD化でますます強力なものに生まれ変わりました。「外盤A級セレクショ ン」では『マルチマイクでミキシングしてアンペックス300(2トラック)で録音したものだが、鮮度の高さ、情報量の多さ、分離、音場感は抜群である。 ffはスペアナで見る以上に強烈である』と述べられています。 作曲者ジョン・アンティル(1904-1986)はオーストラリアの作曲家。原住民アボリジニーの儀式から受けた強烈な印象を描いています。打楽器を多用 した大編成のオーケストラによる原色的響きが新鮮です。 (Ki)

ステレオ初期に各社が「自然なステレオ感」を出すために競い合っていた中、作品の個性を最大限に引き出す形でそれそれを実現させた録音として、グーセンス指揮によるこの2曲とヒナステラの「エスタンシア」は、最大の成功例と言えましょう。オケも超優秀。グーセンスのアプローチも突き抜けており、あらゆる条件が完備されているのです。
グーセンスは、晩年はオーストラリアを中心に活躍しましたが、その地が生んだアンティルの作品「コロボリー」の凄いこと!この曲についての予備知識など一切不要。「春の祭典」などの打楽器が活躍する作品が好きな方にはたまらない痛快佳曲で、とにかくエキゾチシズム大全開!1曲目“歓迎式典”の、左チャンネルから聞こえる太鼓の連打と右チャンネルから聞こえるコントラフォゴットの掛け合いからゾクゾクすること必至。続く2曲目の“夕星のための踊り”では、前半の弦の囁きとオーボエの距離感が絶妙に捉えられており、うっとりするような雰囲気をいかんなく発揮。終曲の後半は、全パートが阿鼻叫喚!それでも音像に歪みが見られないのは、今回の復刻の大きな成果と言えましょう。
「パナンビ」は、打楽器炸裂の第2曲と終曲が、やはり凄いことになっています。
全ての楽器が横一線に並んではっきり聞こえるだのではない、この録音の凄さをとくとご堪能ください。【湧々堂】

KKC-4025(1SACD)
スクリャービン:法悦の詩Op.54
アミロフ:交響的ムガム「キュルド・オヴシャリ」
レオポルド・ストコフスキー(指)
ヒューストンSO

録音:1959年3月/ヒューストン、ステレオ録音
ストコフスキーによる極彩色オーケストラ・アルバム。「外盤A級セレクション」では「演奏はストコフスキーらしく、スクリャー ビンも法悦というよりはテレビ演説みたいな賑やかさがあるが、録音は鮮烈で情報量が多く歪みは少なく音像は驚くほど小さく輪郭鮮明、しっかり定位し、 音場も広い。アミロフの曲の方が更にワイドでダイナミック」と述べられています。フィクレト・アミロフ(1922-1984)はアゼルバイジャンの作曲家。中近東風のエキゾチックな音楽が魅力。 (Ki)

KKC-4026(1SACD)
ベルリオーズ:幻想交響曲Op.14 ユージン・グーセンス(指)LSO

録音:1959年5月/ウォルサムストウ・アセンブリー・ホール(ロンドン)、ステレオ
長岡鉄男氏の愛弟子・炭山アキラ氏によれば『この音源が持つケタ外れのエネルギー感と音像の実体感(特に5楽章の鐘がすごい)、噴き出す溶岩のような熱さと重量感を、文字通り全身に浴びたくなる。この圧倒的な実在感は、エヴェレストが試みた35mm映写フィルムに磁性体を塗ったテープを用いた超弩級の録音システムなくしては後世へ残すことのかなわなかったものであろう。俗に「アナログ録音の方がデジタルよりも音が厚い」といわれることがあるが、それを極限まで突き詰めたのが35mm録音といって差し支えないだろう。』 (Ki)

KKC-4027(1SACD)
グローフェ:組曲「グランド・キャニオン」
ピアノ協奏曲
ヘスス・マリア・サンロマ(P)
ファーデ・グローフェ(指)ロチェスターPO

録音:1959年2月/ロチェスター(ステレオ) ステレオ
この後にはオーディオ効果的にも優れた録音が多く登場しているので、この録音は影が薄くなりがちですが、作曲者の意図した音楽を知る上でこの自作自演録音は無視するわけには行きません。
オン・マイク録音で捉えられた音像を聴くと、グローフェが目指したのは単なる絵画的な描写音楽ではなく、ベートーヴェンの「田園」のような心象風景の具現化として迫り、有名な「山道を行く」などは特にそんな印象を強く残します。
ピアノ協奏曲は、ガーシュウィンの作品とともに、アメリカ産ピアノ協奏曲の二大名曲。
プエルトリコのピアニスト・ヘスス・マリア・サンロマへ献呈され、初演もサンロマが行っています。ハリウッド版ラフマニノフといった趣きで楽しませてくれます。【湧々堂】

KKC-4028(1SACD)
ショスタコーヴィチ:交響曲第9番変ホ長調Op.70
プロコフィエフ:組曲「キージェ中尉」
マルコム・サージェント(指)LSO

録音:1959年10月/ウォルサムストウ・アセンブリー・ホール(ロンドン)、ステレオ
ショスタコーヴィチが現役で活躍中の1950年代後半に録音された貴重な記録。長岡鉄男氏の愛弟子・炭山アキラ氏によれば『楽器の1本ごとが前進すれば手で触れられそうな実体感を聴かせ、ぐいぐいと聴くものを引っ張る推進力には圧倒される。現代の最新デジタル技術も極めて 高度な収録を可能にしているが、半世紀前のアナログ録音が持つこの厚みと実体感はデジタルにとって望んでもなかなか得られないものといってよいだろ う』 (Ki)

KKC-4032(1SACD)
ストラヴィンスキー:バレエ組曲「春の祭典」 サー・ユージン・グーセンス(指)LSO

録音:1959年10月/ウォルサムストウ・アセンブリー・ホール(ステレオ)
1921年に「春の祭典」のイギリス初演を行なったのはグーセンス指揮ロンドン交響楽団でした。作曲当時の雰囲気を知る演 奏者による、貴重な記録と申せましょう。「春の祭典」は今日でこそ20世紀屈指の名作として親しまれていますが、1959年当時は録音の数も少なく、 不協和音と野蛮なリズムに満ちた現代音楽として恐れられていました。しかしこの演奏は今日の耳でも、鮮度の高さ、情報量の多さ、分離、音場感の明 快さに加え、物凄いエネルギーに満ちた名録音で、SACD化により凄みを増しています。 (Ki)

KKC-4033(1SACD)
ヴィラ=ロボス:カイピラの小さな汽車(ブラジル風バッハ第2番)
ヒナステラ:バレエ音楽「エスタンシア」
 バレエ音楽「パナンビ」
サー・ユージン・グーセンス(指)LSO

録音:1958年8、11月/ウォルサムストウ・アセンブリー・ホール(ステレオ)
南米の情熱と熱気が50年以上を経ても色褪せない名録音。ブラジルの田舎をのどかに走る汽車を描いたヴィラ=ロボス作品は、 ブラジルの熱い空気感も伝わってくるようなリアルさ。ヒナステラの情熱的なバレエ音楽も原色的強烈さが魅力。SACD化により、物凄い音圧で迫るオー ケストラ・サウンドをさらに満喫できます。 (Ki)

KKC-4034(1SACD)
ファリャ:バレエ音楽「三角帽子」(全曲) エンリケ・ホルダ(指)LSO

録音:1959年11月/ウォルサムストウ・アセンブリー・ホール(ステレオ)
50年以上前の録音とは信じ難い音場感で、一曲目冒頭の手拍子からして、目の前にいるようなリアルさで伝わってきます。 SACD化により音の鮮明さ、楽器の分離が驚異的に向上しました。何より物凄い生命力とエネルギーに驚嘆させられ、スペイン的な情熱と独特な色香に 満ちたファリャの魅力をたっぷり味わせてくれます。 (Ki)

KKC-4035(1SACD)
レスピーギ:ローマ三部作
交響詩「ローマの噴水」
交響詩「ローマの松」
交響詩「ローマの祭り」*
サー・マルコム・サージェント(指)
サー・ユージン・グーセンス(指)*
LSO

録音:1959年10月、1960年8月*/ウォルサムストウ・アセンブリー・ホール(ステレオ)
オーケストラの機能を駆使しつくすレスピーギのローマ三部作。まるでハリウッド映画のような極彩色のパノラマが広がります。 ことに「ローマの祭り」のオーケストラの騒乱ぶり、「ローマの松」の最後の盛り上がりなど、SACD化された情報量の多さに押しつぶされそうな錯覚さ えおこします。また、「ローマの松」でレスピーギが指示した鳥の鳴き声のレコードの部分、静寂のなかで聴こえる針音もリアル。最高のオーディオ・ファ イルと申せましょう。

KKC-4036(1SACD)
バルトーク:管弦楽のための協奏曲 レオポルド・ストコフスキー(指)
ヒューストンSO

録音:1960 年 3 月/ヒューストン(ステレオ)
ストコフスキーは、67年に及ぶその長い演奏活動にわたり、録音を続けました。しかし最盛期の高音質録音が少なく、今日 その凄さを実感できずにいるのが残念の極み。このバルトークはまさにそれを伝える超貴重な録音。オーケストラの機能を駆使した作品なうえ、ストコフ スキーならではの演出上手で一気に聴かせていまします。みなぎる生命力も感動的。
KKC-4037(1SACD)
ベートーヴェン: 交響曲第1番ハ長調Op.21
交響曲第8番ヘ長調Op.93
ヨーゼフ・クリップス(指)LSO

録音:1960年1月/ウォルサムストウ・アセンブリー・ホール(ロンドン) ステレオ
トーヴェンの交響曲中、クリップスの良さが実感できるのは第1番。またウィーン古典派の名残りが感じられる優美な世界を、 絶妙に表現。第8番の明るさもクリップスにぴったり。ますますクリアな響きとなり、演奏の見事さを再認識させてくれます。 (Ki)
KKC-4038(1SACD)
ベートーヴェン: 交響曲第2番ニ長調Op.36
交響曲第4番変ロ長調Op.60
ヨーゼフ・クリップス(指)LSO

録音:1960年1月/ウォルサムストウ・アセンブリー・ホール(ロンドン) ステレオ
ベートーヴェンの交響曲第2番はクリップス向きの音楽ですが、新リマスタリングにより単に優雅なだけでなく、不思議な陰が 感じられて絶妙な美しさを再認識できます。第4番もクライバーやムラヴィンスキーのような個性的演奏ではないものの、自然でおおらかな魅力に満ちて います。 (Ki)
KKC-4039(1SACD)
ベートーヴェン:交響曲第3番5「英雄」 ヨーゼフ・クリップス(指)LSO

録音:1960年1月/ウォルサムストウ・アセンブリー・ホール(ロンドン) ステレオ
クリップスの「英雄」は、力で押しまくるところのない悠然とした構えで、大きな世界に身を任せられます。その丁寧かつオーソドッ クスな解釈は、この作品を理解するうえで最適な演奏と申せましょう。55年前の録音とは思えぬエネルギーは伝わってきます。 (Ki)
KKC-4040(1SACD)
ベートーヴェン: 交響曲第5番「運命」
「エグモント」序曲Op.84
ヨーゼフ・クリップス(指)LSO

録音:1960年1月/ウォルサムストウ・アセンブリー・ホール(ロンドン) ステレオ
リップスの「運命」は正統派中の正統派。どこも気をてらわず、極めてまっとうですが、これこそが実は凄いこと。聴き手に 何の疑問や違和感も抱かせず、安心して音楽にひたることができます。音質の向上により、細かいニュアンスや音楽の大きさが格段に増しました。 (Ki)
KKC-4041(1SACD)
ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」 ヨーゼフ・クリップス(指)LSO

録音:1960年1月/ウォルサムストウ・アセンブリー・ホール(ロンドン) ステレオ
これまでクリップスの「田園」は優しく穏やかな演奏と評されてきましたが、オリジナル35ミリ磁気テープからのリマスタリン グにより、メリハリに富む世界が浮かび上がりました。鳥のさえずりや嵐の描写もレンジの広さで、古いハリウッド映画を観るような印象があります。 (Ki)
KKC-4042(1SACD)
ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調Op.92 ヨーゼフ・クリップス(指)LSO

録音:1960年1月/ウォルサムストウ・アセンブリー・ホール(ロンドン) ステレオ
クリップスによるベートーヴェンの7番は、ロンドン交響楽団からウィーン・フィルのような響きを引き出しているのが驚き。全 体にきわめてオーソドックスで、心から安心して聴くことのできる名盤。最新リマスタリングにより、クリップスの凄さを再認識できます。 (Ki)
KKC-4043(1SACD)
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」 ジェニファー・ヴィヴィアン(S)、
シャーリー・カーター(Ms)、
ルドルフ・ペトラク(T)、
ドナルドソン・ベル(Bs)、
ヨーゼフ・クリップス(指)LSO

録音:1960年1月/ウォルサムストウ・アセンブリー・ホール(ロンドン) ステレオ
35ミリ磁気テープからの新リマスタリングにより、驚くべき音世界が再現されました。第1楽章の推進力、第3楽章の澄みきっ た世界とウィーンの香り、フィナーレの熱気と盛り上がりいずれも「優雅でおとなしい演奏」という評価を一新する凄さ。数ある「第九」のなかでも屈指 の内容であることを知らしめてくれます。 (Ki)

KKC-4050(1SACD)
ストラヴィンスキー:バレエ組曲「ペトルーシュカ」(1911年版) ユージン・グーセンス(指)LSO

録音:1959年5月ウォルサムストウ・アセンブリー・ホール(ステレオ)
※日本語解説付
意外にもグーセンスは、「ペトルーシュカ」を作曲者自身よりも早く世界初録音した指揮者でした。これはそれから四半世紀後 にステレオ録音したものですが、作曲当時の雰囲気を知る演奏者による貴重な記録と申せましょう。1950年代にこれほど超大編成のオーケストラ曲を、 今日の耳でも驚くべき情報量の多さと分離、音場感の明快さで録音。それがSACD化により凄みを増しています。 (Ki)
KKC-4051(1SACD)
アナトール・フィストゥラーリ
ハチャトゥリヤン:バレエ音楽「ガイーヌ」より
剣の舞/デュエット/バラの乙女たちの踊り/ゴパーク/子守歌/レズギンカ/ロシア人の踊り/ガイーヌのアダージョ/クルド族の若者たちの踊り/長老たちの踊り/火焔
アナトール・フィストゥラーリ(指)LSO

録音:1959年11月ウォルサムストウ・アセンブリー・ホール(ステレオ)
※日本語解説付
ハチャトゥリヤンの「ガイーヌ」は1942年の作で、まだ最新作の時代に、驚くべき音質のレコードが外国で制作されていました。 フィストゥラーリとしては珍しいレパートリーですが、彼はもともとロシア出身。常ならざる力の入った鮮やかな演奏を繰り広げます。35ミリ磁気テープの 驚異的情報量による「剣の舞」は圧巻。血わき肉躍る興奮をもたらしてくれます。 (Ki)
KKC-4052(1SACD)
リリー・ブーランジェの世界
リリー・ブーランジェ:深き淵より(詩篇130)
詩篇24/詩篇129
古い仏教徒の祈り/ピエ・イエス
オラリア・ドミンゲス(C.A)
レイモン・アマデ(T)、
ミシェル・セネシャル(T)、
ピエール・モレー(Br)、
アラン・フォキュール(Boy-S)、
イーゴリ・マルケヴィチ(指)ラムルーO
エリザベート・ブラッスールCho

録音:1959 年サル・プレイエル(パリ)ステレオ
※日本語解説付
音楽史上稀にみる逸材でありながら、25歳で夭折した女性作曲家リリー・ブーランジェ。あまりに凄すぎる彼女の作品を最 初に世に出したのがマルケヴィチ。彼はリリーの姉ナディアの弟子で、ともにロシアの血をひく点でも作品の解釈者として最適と申せましょう。50年以上 前の録音とは信じ難い、一種異様な緊張感が超優秀録音を通して伝わってくる超名演。絶筆「ピエ・イエス」を、アラン・フォキュールのボーイ・ソプラ ノが哀しいまでにピュアな感情で綴っています。 (Ki)
KKC-4053(1SACD)
ホルヘ・ボレットのリスト
ピアノ・ソナタ ロ短調
葬送〜詩的で宗教的な調べ
メフィスト・ワルツ第1番
ホルヘ・ボレット(P)

録音:1960年頃(ステレオ)
※日本語解説付
Everestの35ミリ磁気テープ録音は、大編成のオーケストラに威力を発揮すると思われがちですが、ピアノ独奏も驚くべき凄さ。 19世紀風ヴィルトゥオーゾとして人気の高いホルヘ・ボレット壮年期のリスト録音が登場します。大柄な技巧が圧倒的ながら、ボレットの魅力である独特 なコクのあるピアノの音色が最高。眼前に広がるピアノの響きの渦に酔わされます。 (Ki)
KKC-4054(1SACD)
ストコフスキー編曲集
ワーグナー:ヴォータンの別れ〜「ワルキューレ」より
 魔の炎の音楽〜「ワルキューレ」より
ショパン:マズルカ.イ短調Op.17の4
 前奏曲ニ短調Op.28の24
 ワルツ第7番嬰ハ短調Op.64の2
ジャスティン・モーガンの讃美歌による幻想曲
レオポルド・ストコフスキー(指)
ヒューストンSO

録音:1960年3月ヒューストン(ステレオ)
※日本語解説付
ストコフスキーは、67年に及ぶその長い演奏活動にわたり、録音を続けました。しかし最盛期の高音質録音が少ないのと、 有名曲に極彩色のオーケストレーションをまとわせて非常な人気を誇っていたことが歴史的事実でしか伝わりません。その一端を満喫できるアルバムが登 場します。ショパンの名作を驚くべき楽器法で再構築。オーケストラの機能を駆使しているだけでなく、ストコフスキーならではの演出上手で一気に聴か せていまします。 (Ki)


Andre Charlin
KKC-4058
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第28番イ長調Op.101
ピアノ・ソナタ第30番ホ長調Op.109
エリック・ハイドシェック(P)

録音:1965年頃
ハイドシェックは、1967-73年に仏EMIでベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集を録音しましたが、これはその前、伝説的エンジニアのアンドレ・シャ ルランに認められて後期ソナタを録音しています。オリジナルマスターは廃棄され現存していませんが、今回サブマスターから入念にリマスタリングを施し た結果、当時20代だったハイドシェックの輝かしい音色と鮮烈な演奏が蘇りました。ことに第28番第2楽章とフィナーレの奔放さは、伝説の宇和島ラ イヴの「告別ソナタ」を彷彿させる凄さ。それをアンドレ・シャルランが余すことなくとらえています。
シャルラン・レーベルは1960-70年代に録音の良さで一世を風靡したレーベル。伝説のエンジ ニア、アンドレ・シャルランはワンポイント録音にこだわり、エネルギーに満ちながら透明なサウン ドに定評がありました。シャルラン絶頂期に若きハイドシェックを数枚録音していました。それら は1993年にヴィーナス・レコードからCD発売(限定盤)されましたが、オリジナルマスターが 廃棄されていたため、CD化されても伝説的な録音とは思えぬクオリティでした。その後アンドレ・ シャルランの遺族もレーベルを立ち上げますが、あまり状態の良くない盤起しを音源としていまし た。今回、サブマスターが存在する数点を念入りに修復しました。その第1弾はハイドシェックの 3点。マスター劣化による音の古さはあるものの、鮮やかに蘇った伝説の録音をご堪能下さい。 (Ki)
KKC-4059
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第31番変イ長調Op.110
ピアノ・ソナタ第32番ハ短調Op.111
エリック・ハイドシェック(P)

録音:1963年頃
ハイドシェックが1967-73年に仏EMIでベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集を録音する以前、伝説的エンジニアのアンドレ・シャルランに認められ て後期ソナタを録音しました。今回サブマスターから入念にリマスタリングを施した結果、27歳の青年ハイドシェックの驚くべき深い音楽性と美しいタッ チが蘇りました。ハイドシェックが音楽に傾ける真摯な態度と湧き出る即興性を、アンドレ・シャルランが奇跡的に収録しています。 (Ki)
KKC-4060
ブラームス:ピアノ・ソナタ第3番ヘ短調Op.5 エリック・ハイドシェック(P)

録音:1970年代半頃
ハイドシェックとしては他で聴くことのできない貴重なレパートリー。1970年代半ばの録音とされ、LP未発売で1993年に一度だけヴィーナス・レコー ドからCDが限定発売されました。何故かその音源は部分的に逆相だったり、電気的なノイズが多いうえ、ピアノの線も細く、ハイドシェックの芸術を伝 えるものとは言い難いクオリティでした。オリジナルマスターは廃棄され現存していませんが、今回サブマスターから入念に修復を施した結果、まさにハイ ドシェックの巨大な演奏が出現しました。情熱的なワルツの第3楽章の奔放さはハイドシェックならではで引き込まれます。アンドレ・シャルランのワイポ イント録音マジック全開で、ブラームスならではの低音が眼前で弾かれているような凄まじさです。 (Ki)


コンドン・コレクション

KKC-4102
コンドン・コレクション(1)〜ホロヴィッツ
ラフマニノフ:前奏曲ロ短調Op.32の10
前奏曲イ短調Op.32の8
サン=サーンス(リスト編):死の舞踏
ホロヴィッツ:カルメン変奏曲
シューベルト(リスト編):「白鳥の歌」〜愛の便り
ショパン:練習曲変ホ短調Op.10の6
 練習曲ハ短調Op.25の12
ホロヴィッツ:ワルツ ヘ短調
チャイコフスキー:ドゥムカOp.59
ラフマニノフ:前奏曲ト短調Op.23の5
ホロヴィッツ:変わり者の踊り
リスト(ブゾーニ編):モーツァルトの「フィガロの結婚」による幻想曲
ウラディーミル・ホロヴィッツ(P)

日本語帯・解説付
20世紀最高のピアニストのひとりウラディーミル・ホロヴィッツ。彼が1928年にアメリカ・デビューで大センセーションを巻き起こした頃の記録。 1925年から1932年にドイツのピアノ・ロールメーカー「ウェルテ・ミニヨン」社で記録したもので、若きホロヴィッツの天才ぶりを目の当たりにできま す。大半の曲は実際の録音がありますが、若き日の演奏を最新の音で再現しているのが強み。ショパンの「練習曲変ホ短調」など、ホロヴィッツならでは の歌い回しに興奮させられます。また、リスト=ブゾーニの「フィガロの結婚」による幻想曲、自作のワルツなどその後録音しなかったものも貴重です。 (Ki)
KKC-4103
コンドン・コレクション(2)〜コルトー
ショパン:練習曲イ短調「木枯らし」Op.25の11
ショパン(リスト編):乙女の願い
ショパン:練習曲変ト長調「蝶々」Op.25の5
 練習曲ハ短調Op.25の12
 アンダンテ・スピアナートと華麗な大ポロネーズOp.22
 即興曲第3番変ト長調Op.51
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第30番ホ長調OP.109
ショパン (リスト編 ):春
スクリャービン:練習曲嬰ニ短調Op.8の12
シャブリエ:牧歌
バッハ:チェンバロ協奏曲第5番BWV1956〜アダージョ
リスト:ハンガリー狂詩曲第11番イ短調
フォーレ(コルトー編):ドリーOp.56〜子守歌
サン=サーンス:ワルツ形式による練習曲Op.52の6
アルフレッド・コルトー(P)

日本語帯・解説付
深い音楽性と味わいで人気の高いピアニスト、アルフレッド・コルトー(1877-1962)。彼壮年期1920年代に制作したピアノ・ロール。後年の枯れた 芸風とは異質の情熱的な演奏を味わえます。さらにベートーヴェンのピアノ・ソナタ第30番、スクリャービンやシャブリエなど、後に録音しなかった作品 が貴重。どれも素晴らしく、さすがコルトーと唸らされます。 (Ki)
KKC-4104
コンドン・コレクション(3)〜パハマン
リスト:リゴレット・パラフレーズ
メンデルスゾーン:そよぐ風Op.102の4
ショパン:ノクターン第7番嬰ハ短調Op.27の1
モーツァルト:トルコ行進曲
バッハ:イタリア協奏曲BWV971
シューベルト:楽興の時ヘ短調Op.94の3
ショパン:ワルツ第6番変ニ長調Op.64の1「小犬」
 ワルツ第7番嬰ハ短調Op.64の2
 マズルカ第31番変イ長調Op.50の2
 マズルカ第34番ハ長調Op.56の2
 華麗なワルツ第4番ヘ長調Op.34の3
 マズルカ第45番イ短調Op.67の4
 前奏曲ヘ長調Op.28の23
 即興曲第2番嬰ヘ長調Op.36
メンデルスゾーン:五月のそよ風Op.62の1
ショパン:ノクターン第9番ロ長調Op.32の1
 バラード第3番変イ長調Op.47
ウラ ディーミル・ド・パハマン(P)

日本語帯・解説付
ウラディーミル・ド・パハマン(1848-1933)は繊細なタッチと弱音で知られ、稀代のショパン弾きとして絶大な人気を誇りました。彼の録音はかなり ありますが、当時の録音技術ではその「羽毛のタッチ」はノイズに消され、電気録音になってからは老齢でテクニック的に万全の演奏ができませんでした。 ここでは彼の最盛期の、それも規模の大きな作品に触れられる奇蹟のひとときを味わえます。録音のないモーツァルトの「トルコ行進曲」で示す端正な美 しさ、バッハの「イタリア協奏曲」での非ロマン的解釈に驚かされます。 (Ki)
KKC-4105
コンドン・コレクション(4)〜パキータ・セゴビア
グラナドス:演奏会用アレグロOp.46
 歌劇「ゴエスカス」〜間奏曲
アルベニス:アラゴンOp.47の6
 スペインのセレナードOp.181
 セビーリャOp.47の3
シャミナード:モレナOp.67
ドライエ:蝿Op.12
パキータ・セゴビア:パストラール【1.サテュロスとニンフの踊り/2.キャラヴァン】
ドビュッシー:アラベスク第2番ト長調
リスト:コンソレーション第3番変ニ長調
オルセン:蝶々Op.50の5
モシュコフスキ:スペイン舞曲集〜第2曲/第5曲「ボレロ」
 火花Op.36の6
 スペイン奇想曲Op.37
パキータ・マドリゲラ・セゴビア(P)

日本語帯・解説付
大ギタリスト、セゴビアの夫人だったパキータ・マドリゲラ(1900〜65)。彼女のピアニストとしての技量は伝説となっていますが、音で聴くことがで きませんでした。ここでは彼女がハイティーンの頃にピアノ・ロールへ記録した驚きの演奏を楽しめます。スペインがらみの作品を集めていますが、その歌 い回し、明るい音色、情熱はアルゲリッチを思わせもします。超貴重。 (Ki)
KKC-4106
コンドン・コレクション(5)〜ブゾーニ
リスト:パガニーニによる練習曲〜狩
 超絶技巧練習曲〜鬼火
 ポロネーズ第2番ホ長調
バッハ(ブゾーニ編):シャコンヌ
ショパン:前奏曲集Op.28(全23曲)
フェルッチョ・ブゾーニ(P)

日本語帯・解説付
フェルッチョ・ブゾーニ(1866-1924)はレコード黎明期に少しの録音を残し、いずれも神々しいものですが、残念なことに大曲を残すまでは存命でき ませんでした。ゆえにブゾーニの代表作であるバッハの「シャコンヌ」編曲、リストの「ポロネーズ」、ショパンの「前奏曲集」などがピアノ・ロールで遺 されたことは人類の財宝と申せましょう。各曲で示す個性と大きな表現は驚き。あらゆるピアノ関係者が聴かねばならない演奏でしょう。 (Ki)


国内制作盤
KKC-026
平尾貴四男:室内楽曲集Vol.1
ピアノ・ソナタ(1948)
フルートとピアノのためのソナチネ(1941)
ヴァイオリン・ソナタ(1947)
平尾はるな(P)、野口龍(Fl)、久保陽子(Vn)

録音:1980年4月23日、5月22日/世田谷区民会館(セッション録音)
平尾貴四男(1907-1953)は独学の人が多かった昭和初期の時代に、パリのスコラ・カントルムで正式な作曲法と理論をマスターした作曲家。作曲・教育両面で日本音楽界を牽引する存在になり得たにもかかわらず、ガンのため46歳の若さで歿したため作品数はあまり多くありません。それらは精密に彫琢された純音楽が中心で、ドイツ的な傾向の強かった日本作曲界には珍しいフランス風の洒脱さと、自身の育ちの良さから来る高貴な作風が魅力的。品良く香る日本情緒も絶妙。
当アルバムは愛娘・平尾はるながピアノを担当した室内楽曲集。日本ピアノソナタ史屈指の名作ながら、録音にあまり恵まれない同曲、平尾自身がフルートの名手(横溝正史の「悪魔が来たりて笛を吹く」のモデル)だったこともあり、楽器の機能を駆使したどこか和風のソナチネ、恩師ガロワ・モンブランに捧げられたヴァイオリンソナタといずれも充実度満点。ことに「フルートとピアノのためのソナチネ」は若き日の武満徹を感激させ、弟子入りを熱望させたいわくつきの作品。
すべてセッション録音(旧アジアレコード音源)。しかし久保陽子と平尾はるなの火花を散らすようなデュオはコンサート・ライヴばりの白熱ぶり。平尾作品はピアノパートが特に難しく書かれていますが、愛娘だけあり完璧で自在かつ説得力満点。物凄いパワーに圧倒されます。 (Ki)
KKC-4067
バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988 豊増昇(P)

旧東ドイツでの放送用セッション録音・モノラル
日本人による「ゴルトベルク変奏曲」のオフィシャルな最初の録音は、神西敦子によるコロムビア盤とされていますが、それ以前に豊増昇が録音を残し ていました。1950-60年代に旧東ドイツで放送用セッション録音されたもので、遺族が奇跡的にマスターを所蔵していた貴重な記録。モノラルで、放送 用のため繰返しを一切行っていませんが、カット等はない全曲演奏。豊増は当時日本を代表するバッハの権威で、その演奏で「ゴルトベルク」を聴くこと ができるのは幸せな限り。極めて端正な楷書風の造形感のなかにも、活力と愉悦に満ちた音楽を聴かせ、ピアノのよる「ゴルトベルク変奏曲」の魅力を存 分に味あわせてくれます。豊増芸術の粋を示した名演の登場です。 (Ki)
KKC-4068
バッハ:フーガの技法BWV1080
(エーリッヒ・シェエーブシュによるヴォルフガング・グレーザー版の2台ピアノ用編曲)
豊増昇、アマデウス・ウエーバージンケ(P)

録音:1971年4月13日日比谷公会堂(ライヴ)モノラル
バッハ最晩年の作「フーガの技法」は、未完なうえ楽器の指定もない大作。さらにフーガという高度な作曲技法を極限まで追求しているため、おいそ れと近づくことのできない要塞の呈をなしています。日本でも滅多に演奏されませんが、バッハの権威だった豊増昇は、1950年(昭和25年)に東京で 独奏しています。その21年後の1971年に東京の日比谷公会堂で、ドイツの名ピアニスト、アマデウス・ウエーバージンケと2台のピアノで披露しました。ヴォ ルフガング・グレーザー校訂譜を、エーリッヒ・シェエーブシュが2台のピアノ用に編曲した楽譜によりますが、楽器の指定はないものの、3つの変奏は「2 台のクラヴィアのため」と明記されているため、全体として説得力に満ちています。技術的にも余裕で、複雑の極みの音符から、いとも清明な音楽を引き 出し思わずひき込まれます。 (Ki)
KDC-21
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番、
伊福部昭:「ピアノ組曲」〜七夕
舘野泉(P)、
渡邉暁雄(指)日本PO

録音:1980年5月24日/東京文化会館(ステレオ・ライヴ)
現在左手ピアニストとして活躍する舘野泉が1980年の若き日、デビュー20周年を記念して行なったコンサート幻のライヴが現れました。LP時代に一度だけ非売品として世に出はしたものの、レコード会社の消滅などで、音源が行方不明となっていました。それをついに発見、リマスタリングのうえ日の目を見ることとなりました。舘野泉のラフマニノフのピアノ協奏曲第3番はこれしか音源が存在せず極めて貴重。また、オーケストラが渡邉暁雄指揮日本フィルというのも非常な魅力。彼のラフマニノフのピアノ協奏曲第3番もここでしか聴くことができません。演奏は雄大かつ緊張感あふれ、難技巧の要求される名協奏曲を余裕で征服しています。渡邉暁雄のサポートも絶妙で、作品の北方的ロマンを存分に描いています。二大巨匠によるこれほどの充実の名演が埋もれてきたのは驚きの限り。もともとレコード発売を前提としていたため、録音も本格的。会場にいるかのようなリアルなサウンドを再現しています。加えて、アンコールとして弾かれた伊福部昭のピアノ小品「七夕」が絶品。若き舘野の至芸を味わえます。当盤はキングインターナショナル制作・販売です。輸入盤等はなく、他からは入手できません。   (Ki)
KDC-22
モーツァルト:歌劇「魔笛」序曲、
ブラームス
:ピアノ協奏曲第1番、
シベリウス:即興曲Op.5-5
舘野泉(P)
渡邉暁雄(指)日本PO

録音:1980年5月24日東京文化会館(ライヴ)
左手のピアニストとして活躍する舘野泉が1980年の若き日、デビュー20周年を記念して行なったコンサート幻のライヴ。大反響のラフマニノフに次いでの第2弾は大曲ブラームスのピアノ協奏曲第1番。オーケストラが渡邉暁雄指揮日本フィルというのも非常な魅力。渡邉氏のブラームスのピアノ協奏曲第1番はここでしか聴くことができませんが、緊張感にあふれた大きな音楽作りがさすが巨匠。また「魔笛」序曲も氏ならではの人間的温かみに満ちた滋演。舘野の演奏も雄大かつ緊張感あふれ、難技巧の要求されるこの協奏曲を余裕で征服しています。表現もナイーヴで清潔感に満ちています。渡邉暁雄のサポートともども、二大巨匠によるこれほどの充実の名演が埋もれてきたのは驚きの限り。もともとレコード発売を前提としていたため、録音も本格的。会場にいるかのようなリアルなサウンドを再現しています。加えて、アンコールとして弾かれたシベリウスの小品も絶品。若き舘野の至芸を味わえます。   (Ki)
KDC-24
諸井三郎記念コンサート・ライヴ
諸井三郎:交響的断章(1928)、
ピアノ協奏曲第2番Op.31(遺作)、
交響曲第3番Op.25
園田高弘(P)、
山田一雄(指)東京都SO

録音:1978年4月6日東京文化会館(ステレオ・ライヴ)
Naxosの日本作曲家シリーズで大きな衝撃と感動を与えた諸井三郎の交響曲第3番。碩学・片山杜秀氏もしばしば引き合いに出していた山田一雄による1978年の驚愕のライヴ音源が発見されました。これは前年77年3月に世を去った諸井三郎を追悼し、友人の中島健蔵、今日出海、江戸英雄、柴田南雄、團伊玖磨らが主催して行ったコンサートで、遺作となったピアノ協奏曲の世界初演も行われました。当録音は、このコンサートが後世の宝になると確信した中島ら主催者一同が、旧アジアレコードの浅野芳廣氏に録音を依頼、念入りかつ丁寧な仕事がなされました。しかし時期尚早で発売のめどがつかないままお蔵となり、忘却の彼方へ沈みましたが、今回満を持してのリリースとなります。演奏はさすが山田一雄。白髪を振り乱し、指揮台の上を飛び跳ねる入魂ぶりで、異常なボルテージの高さと音楽の大きさに圧倒させられます。まるでブルックナーのような大作・交響曲第3番は彼のベスト演奏のひとつに数えられると申せましょう。園田高弘も難技巧の要求されるピアノ・パートを巨匠風に征服。いずれも今日では味わえない大物の演奏となっています。ピアノ協奏曲第2番は、その後再演されておらず唯一の音源。もともとレコード発売を前提としていたため、録音も本格的。会場にいるかのようなリアルなサウンドを再現しています。ブックレット解説はもちろん片山杜秀氏の書き下ろし。氏にとっても思い出のコンサートだけに非常な力作となっています。 (Ki)


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