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チャイコフスキー:交響曲第5番
エツィオ・ロジャッティ(指)フリウリ・ヴェネチア・ジュリア交響楽団
第2楽章ホルン・ソロ: アンドレア・リアニ または、アンドレア・アスティニ
Real Sound
RS-051-0059
録音年:2000年7月26日〜28日 イタリア・テオトロ・ジョヴァンニ  【デジタル録音】
演奏時間 第1楽章 14:48 / 第2楽章 12:37 / 第3楽章 5:50 / 第4楽章 12:32
カップリング/ボロディン:中央アジアの草原で、ラヴェル:シェエラザード、ブラームス:ハンガリー舞曲第5番&第6番
“指揮者の力量のあまりの低さに愕然。”
まず、カップリング曲のバラバラぶりは何でしょうか?ライナーには指揮者のこともイタリア語でしか書かれていないのでチンプンカンプン。演奏も問題が多すぎます。リズム感が悪く、音のイメージそのものが出来上がっていないとしか思えない箇所の連続で、強い音は常に確信を欠き、弱音は共感が滲み出てこないという、聴き所を探すのが一苦労の演奏です。ソロ・パートに耳を傾けると、技量的に大きな問題があるとは思えないので、これはひとえに指揮者の力不足と言えそうです。フレージングにも明確な意思を浸透させておらず、これでは何のために指揮者を置いているのかわかりません。もっと不可解なのは、第1楽章の展開部、229小節の第2ヴァイオリンの「シ♭」が「シ」になっていてる(全員がそう弾いている!)こと。たまたま楽譜の印刷ミスで♭記号がが落ちてしまったのでしょうか?いずれにしても気持ち悪いことこの上なく、ミスに気付かないまま弾かせているとしたら、これは問題外です。何か根拠がある改定とは思えないのですが、もし同様の演奏をご存知でしたら、ご一報いただければ幸いです。また、第3〜第4楽章は1トラックです。
第1楽章のツボ
ツボ1 クラリネットはやや野放図。音色も滲み出ない。弦ともども緊張感に欠け、バランスが良くない。
ツボ2 弦の刻みは美感に欠ける。木管は表情が湧き上がらない。
ツボ3 丁寧だが響きが不安定。
ツボ4 レガートを無視し、ただのスタッカートになっている。
ツボ5 完璧に楽譜に忠実!スラーの有無も徹底的に区別している。しかし、呼吸の振幅感が伝わってこない。
ツボ6 ただ強弱を付けただけといった感じ。
ツボ7 フォルティッシモであるにもかかわらず、なぜか弱音で自信なさそうに響く。
ツボ8 テンポを落として丁寧に歌っているが、共感が伝わってこない。
ツボ9 フォルティッシモというよりフォルテどまりにしているので、16分音符ははっきり聞き取れる。落ち着いたテンポで悠然と進行するが、緊張感がない。フォルティシシモ以降(503小節)のティンパニの32分音符の細かいリズムを簡略化し、弦の音型に合わせるだけにしているのも、緊張感を一層希薄にしている。
第2楽章のツボ
ツボ10 低弦は、一音ごとにたっぷりと表情を施し、濃密なロマンを漂わせている。ホルンは部分的にテンポが走るところがあるが、安定感のある美音を聴かせる。
ツボ11 ここもニュアンスに乏しい。
ツボ12 70小節の16分音符の最後の16分音符を長く伸ばし、即興的に吹かせている。ファゴットも同様。
ツボ13 響きにムラがある。
ツボ14 呼吸が浅い。フォルテ4つの頂点も、ティンパニが加わるから音量が増して聞こえるが、量感があまりにも乏しい。
ツボ15 音は丁寧だが、慈しみが不足。しかもインテンポで通すので、無機質な印象を与えてしまう。
第3楽章のツボ
ツボ16 ほとんどテンポを落とさない。
ツボ17 ややもたつき気味。管楽器の内声としての生かし方が徹底していないようだ。
ツボ18 音が歯抜けになっている。しかも2回とも。
第4楽章のツボ
ツボ19 やや表情の焦点が定まらないが、各音符を短めに切って、独特の推進力を出している。テンポはやや速め。
ツボ20 木管とホルンはほぼ同等のバランス。この付近から主部に入る直前までは、やっと前向きな表情が聴けるようになる。
ツボ21 ティンパニは冒頭で急速にクレッシェンドし、締めくくりの66小節で再度クレッシェンド。テンポは標準的。
ツボ22 無視。
ツボ23 よく聞こえるが、まったくと言っていいほど無表情。
ツボ24 インテンポなのか、遅くしたいのか迷っているような、奥歯に何か挟まったような粘り腰な進行が興を殺ぐ。
ツボ25 ズボッという鈍い音。
ツボ26 そのままのテンポ。
ツボ27 やや速めのテンポで威厳を醸し出そうとしているが、凝縮力が弱く、散漫な印象。
ツボ28 8分音符の音価はとても長い。それが勇壮なニュアンスに繋がっていない。
ツボ29 この冒頭も自信なさげ。ここに限らず、場面の重要な変わり目で、音を出すのか出さないのか曖昧な箇所が非常に多い。
ツボ30 弦ははっきりと音を切るが、トランペットは音を切ったり切らなかったり、変な所で息継ぎしたりと、フレージングセンスまるでなし。
ツボ31 改変型のように聞こえる。。499小節からトランペットを引っ込めるムラヴィンスキー型を採用しているが、残る弦に緊張感がないので、ここでは音楽を急激に萎ませているだけ。
ツボ32 普通の鳴り方。
ツボ33 最後までインテンポ。最後の4つの和音の前で完全に呼吸を伴わない間)ま)を作るので、推進力が途絶えてしまう。


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