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サイモン・アッディソン(指)イングリッシュ・フィルハーモニ管弦楽団 | ||||||||||||||
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INTERSOUND CCD903(2CD) |
録音年:1980年代後半 【デジタル録音】 | |||||||||||||
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※カップリング/チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」 |
“大敢闘賞!手抜き一切なしの通好みの好演!!” |
「SPECIAL VALUE 2 DISC SET」と銘打たれているように、古今の名曲を廉価で発売したシリーズで、演奏は全てアッディソン指揮のイングリッシュ・フィルでした。指揮者もオケもその実体が未だにつかめませんが、演奏そのものはなかなかどうして、無視できない素晴らしい仕上がりなのです!低予算、短期間で満足なリハーサルもせずに立て続けに録音し続けたに違いありませんが、それを考えるとこのクオリティの高さは驚異的というしかありません。スタイルは堅実そのもの。あえて言えば、ハイティンク&ACOの名演を思わせるような、バランス感覚の素晴らしさで一貫しているのです。オケの人数はフル編成よりも若干少ないようですが、そのハンディを感じさせず、かえって見通しのよい音像実現にプラスに作用。オケの技量も超一級です!莫大な費用を投じて、権威のある録音技師、有名指揮者、メジャー・オケと全ての条件が整っても、全ての点でこの足元にも及ばない演奏はいくらでもあります。それを思うとこの演奏はどんなに賞賛しても足りません。特に終楽章では、アッディソンの指揮者としての統率力、楽器を効果的かつ趣味良く鳴らすセンスが総動員された素晴らしい出来ばえで、こんなところで燻っていないで早く日の目を見てほしいと願わずにいられません。主部に入って、金管による運命動機が奏でられる前後の壮麗さ、格調の高さは感動的で、展開部221小節でトロンボーンパートのみに付けられているクレッシェンドの指示を見逃さずに遵守し、しかも、なぜここにあえてクレッシェンドと記したのかが明快に分かる奏で方をするのですから、感激もひとしお!これは快挙です!!後半モデラート以降の弦のフレージング処理にも高い見識を垣間見せ、ますますこの指揮者の他の演奏も聴きたい衝動に駆られます。堅実な構築に徹したチャイ5を求める方は、是非中古市場で見かけたら即ゲットすることをオススメします。 |
第1楽章のツボ | |
ツボ1 | クラリネットの技巧は極めて安定しており、音色も美しいが、これといったニュアンスは感じられない。弦とのバランスは良好。テンポは標準的。 |
ツボ2 | ごく標準的なアンダンテでデリケートに進行。クラリネットとファゴットは、不気味なほど均等に溶け合っている。 |
ツボ3 | スコアどおり。 |
ツボ4 | 偶然の産物かもしれないが、ほんの微かにリタルダンドするのがニクイ!73小節からのエネルギーの減衰も自然で美しい。 |
ツボ5 | 完全にインテンポで突入するあたりに、指揮者の洗練されたセンスを感じさせる。呼吸の振幅は決して大きくないが、流れが美しい。 |
ツボ6 | ここでもほとんどテンポを揺らさず、スコア指定の範囲内で真面目に歌っている。 |
ツボ7 | 音色にもう少し精彩が欲しいが、美しいピチカートの連鎖。テンポはここでもほとんど同じ。 |
ツボ8 | オケのクオリティが相当高いことを伺わせる瞬間。弦の清潔な質感はいかにも英国的。管楽器とのブレンドもメロウな感触を生み、なんともいえぬ余韻を漂わせている。 |
ツボ9 | ほんの少し加速。16分音符冒頭は埋没。固いティンパニの響きと溶け合い、確信に満ちたコーダを築いている。驚くような個性こそないが、この安定感に指揮者の手腕の確かさを窺い知ることができる。 |
第2楽章のツボ | |
ツボ10 | 人数がやや少なめなのか、弦の響きはやや厚みに乏しい。ホルンは予想通り巧い。巧すぎる! |
ツボ11 | エネルギーを溜め込まず一気に駆け上がる。 |
ツボ12 | クラリネット、ファゴット、共に響きがやや明るめだが、これまた巧い。しかしそれ以上のニュアンスは特に感じられない。 |
ツボ13 | 妙に整然とピチカート。ここに限らず、このオケはアンサンブルの縦の線がずれるということがほとんどない!この後の冒頭主題と対旋律で絡む管楽器が素晴らしい溶け合いと歌のセンスを聴かせる。 |
ツボ14 | 固いティンパニが功を奏し、音量は大きくないが、メリハリの効いた大きなフレージングを展開している。フォルテ4つの頂点は、そのティンパニの力にやや頼りすぎるきらいがあるが、渾身の力を込めているのがひしひしと伝わる。終結部に入る直前の力感は実に見事! |
ツボ15 | 耽溺せずサラッとしたフレージングで通すが、不思議と淡白な印象を与えない。これも指揮者のセンスの賜物だろうか? |
第3楽章のツボ | |
ツボ16 | インテンポのまま。 |
ツボ17 | ここも全く危なげなし!しかも音符の描き上げが実に丁寧。 |
ツボ18 | 破綻はしないが、2つの楽器のつなぎ目がわかる。 |
第4楽章のツボ | |
ツボ19 | 冒頭の弦のフレージングは、慎重かつ意味深いレガートで一貫。 |
ツボ20 | ホルンはほとんど裏方。 |
ツボ21 | ティンパニは主部冒頭で強烈なアクセントを置き、その後は手ル屋かにクレッシェンドして、最後のアクセントはやや控えめ。録音のバランスが良いせいか、ティンオアニならではの衝撃と手ごたえが十分に感じられる。テンポはオーソドックス。アンサンブル全体の凝縮力も高く、立派な造型。 |
ツボ22 | 完全に無視し、全体をレガート風に歌い上げている。 |
ツボ23 | 厚みはないが、改造後抜群の録音のせいもあって、しっかりと音像が浮き立つ。 |
ツボ24 | ほぼインテンポで突入。 |
ツボ25 | 硬質のティンパニが見事な一撃。 |
ツボ26 | ほとんどインテンポ。 |
ツボ27 | 2つの8分音符のリズムはややつぶれ気味だが、勝利の輝きに満ちた素晴らしい推進力を発揮。 |
ツボ28 | 8分音符の音価はやや長め。締めくくりのティンパニの一撃のタイミングの良さは奇跡的! |
ツボ29 | 実に流麗なレーガーとに心奪われる。しかも、弦の運命動機は延々4小節に渡り弓を返さず、そのレガートの妙味を自ら味わうように紡ぎだしている。この後も、ほぼ4小節ごとに、同じボウイングを繰り返している。これだけでもアッディソンという指揮者が凡百の指揮者でないことは明らか! |
ツボ30 | その弦とニュアンスを合わせるように、トランペットも美しいレガート! |
ツボ31 | 改変なし。 |
ツボ32 | スケールがやや小振りだが明快に鳴っている。 |
ツボ33 | 慌てず騒がず、一歩一歩着実に音符を噛みしめながら進行。ここでもティンパに大活躍!この雄弁なティンパニのおかげで全体の響きが見事に引き締まり、勢いで押し切る演奏とは違う確かな安定感を生んでいる。 |
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