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チャイコフスキー:交響曲第5番
レナード・バーンスタイン(指)ニューヨーク・フィルハーモニック
第2楽章ホルン・ソロ/ ジェームズ・チェンバーズ
SONY(国内)
SRCR-1621

SONY(輸入)
SM5K-87987(5CD)
録音年:1960年5月16日 ニューヨーク・マンハッタンセンター 【ステレオ録音】
演奏時間: 第1楽章 14:41 / 第2楽章 14:19 / 第3楽章 6:11 / 第4楽章 12:38
SM5K-87987はチャイコフスキー:交響曲全集。管弦楽曲(ロメオとジュリエット/フランチェスカ・ダ・リミニ/スラヴ行進曲/ハムレット)を併録。
“これ以上ない一発勝負のスリル!”
バーンスタインの「チャイ5」全曲録音は、この録音を皮切りに3種類しか存在しませんが、この時点の自分のイメージと解釈のベースを完全に確立していたことが伺えます。定規で測ったようなテンポ設定はどこにもなく、全てが感情の発露の結果から生じる表情が溢れており、通常の演奏の価値基準を超えた魅力がここにはあります。もう少し腰を落ち着けて表情を決めて欲しいと思う箇所もありますが、綺麗ごとを並べる暇がないほどの表現意欲の前に、軽薄とか深みが足りないはという言葉は無意味でしょう。とにかく、この一発勝負的な面白さは、同時期のバーンスタインの録音の中でもあまり例がなく、もちろん再録音でもこのスリルは後退しています。しかし、闇雲に暴走しているだけでなく、スコアを凝視し、丁寧なアーティキュレーションを心がけている点も見逃せません。もちろんそれも、スコア至上主義によるものではなく、バーンスタイン自身が音楽的と確信した表情の表れであり、自信の感性と完全にマッチしたものが選択されていることがひしひしと伝わるだけに、固有の説得力があるのです。特に聴きものはやはり終楽章。初めて聴く方は、この運動会の駆け足マーチのような疾走感に驚くことでしょう。木管はテンポに載れ切れていない箇所もありますし、金管による運命動機の斉奏は何かのパレードの音楽のようにゴキゲンですが、音楽としての立派さよりも止められない衝動に全てを掛けた心意気がたたまらなく魅力的!実に細かくテンポの変動を施していますが、全てが曲想にマッチしている点も、天才の証でしょう。ちなみに、この録音が行われた5月15日には、バーンスタインの自作、交響組曲「波止場」も録音されています。
第1楽章のツボ
ツボ1 クラリネットは繊細なニュアンスよりも、メゾフォルテの箇所から早くも強烈な情念を放出するなど、はっきりと自己主張の強い表現を展開。上層部最後、低弦のテヌートで下降する音型のスフォルツァンドが強靭
ツボ2 軽快なリズムに乗せ、やや速めのアレグロで進行。特に木管が軽妙にスウィングするので、暗さは皆無。
ツボ3 あっさりと通過。この間、16分音符で細かく上下動する木管の精妙さは聴きもの。
ツボ4 繊細さとは無縁。あくまでも推進力を維持。
ツボ5 ややテンポを落とし、最初の音の引き延ばしがやや長めに取り、バーンンスタインらしい生々しい情念を吐露。しかもきわめて求心力が高い響きを醸し出し感動的。最初の4小節で、スコアどおりのフレージングを実行しているのも特徴的。
ツボ6 フォルテッシも部分でも音量は上げないが、テンポをさらに落として、泣きの表情を強める
ツボ7 第1音で汚い音を発する。主部冒頭とほとんど同じテンポで軽快に駆け上がる。
ツボ8 直前の大きなリタルダンドが切なく、その雰囲気を大切に維持しながらゆったり歌われる副次主題は人間的な温かみが満点。後半に進むにつれてさらにテンポを落とす手法もバータイン特有のもので、晩年に至るまでこのスタイルは維持される。
ツボ9 ここからテンポを上げて猛進し、コーダでガクッと序奏部と同じテンポまで落として締めくくる。このスタイルも晩年まで維持される。
第2楽章のツボ
ツボ10 弦の序奏は一音ごとに丹念に表情を込めて濃厚な雰囲気が横溢。ホルンは技巧は万全だが、チェンバーズ特有の音色は、美くしさ、切なさとは程遠い。クラリネット、オーボエとの連携にも無頓着。
ツボ11 テンポは落とすが、それほど呼吸は深くなく、バーンスタインにしては平凡。
ツボ12 これまた、他のパートと溶け合う気構えがまるで感じられず、勝手に吹いている感が否めない。しかし、この後のテンポは、このクラリネットのテンポをそのまま引き継いでいるので、バーンスタインの解釈かもしれないが、いずれにしても、66小節までのゆったりとしたテンポ感と明らかに異なるのは違和感が残る。
ツボ13 かなり強い音で響かせ、精妙とはいえないが荘厳なニュアンス。
ツボ14 バーンスタイン節炸裂!フレーズのうねり自体は決して大きくないが、オケを牽引する力、パッションの持久力が見事な高揚に結びついている。
ツボ15 全体を通じてもっとも繊細な響きを醸し出したシーン。
第3楽章のツボ
ツボ16 テンポを落とす。
ツボ17 目まぐるしく主役が入れ替わるシーンだが、各声部の自己主張がこれほど行き届き、楽しませてくれる演奏は少ない。協調性に欠けるといわれたこのオケの特性がプラスに働いた瞬間。
ツボ18 終結部に入る直前でリタルダンドするのが珍しい。。クラリネットとファゴットの連携は曖昧。
第4楽章のツボ
ツボ19 標準的なテンポ。弦同士のハーモニーも良く溶け合い、威厳を感じさせる。トランペットが動機を吹き始めてまもなく、20小節で一旦テンポを落とす
ツボ20 ホルンが異常に突出。主旋律が完全に裏方と化しているのはどう考えてもおかしいが、この楽章に限り、全体にホルンが強めに録音されているようだ。
ツボ21 ティンパニは58小節で軽くアクセントあり。その後はトレモロのまま。テンポは極めて快速。それでも足りないとばかりにオケをを引引きずり回し空中分解スレスレまで暴走
ツボ22 そんな暴走中につき、全く無視。
ツボ23 このバスは録音のバランス調整でやや強調されているようだが、弾ききっている姿が目に浮かぶほど真に迫っている。
ツボ24 直前までにぎりぎりまでテンポを落とすが、ここから主部冒頭のテンポに戻る。
ツボ25 やや鈍い。
ツボ26 インテンポで猛進。
ツボ27 ここも快速。452小節と454小節で、ティンパニが音を追加している。
ツボ28 楽譜の音価より長め。ティンパニは最後に軽くアクセントあり。
ツボ29 全体が見事に凝縮し、勇壮な雰囲気満点。弦の弓を返す箇所も細かく支持しているようだ。
ツボ30 トランペット登場直前でテンポを落とすのが憎い演出!弦は音を切っているが、トランペットはテヌート気味。
ツボ31 改変なし。
ツボ32 はっきり聞こえるが、音色はくすんでいる。
ツボ33 直前のプレストまで猛進。モルト・メノ・モッソ直前でテンポを落とし、後は荘重なテンポのまま進行。最後の4小節でさらに念を押すようにテンポを落とす。


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