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セルジュ・チェリビダッケ(指)デンマーク放送交響楽団 | |||||||||||||
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MEMORIES ME-1029(2CD) |
録音年:1970年2月19日 【ステレオ・ライヴ録音】 | ||||||||||||
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カップリング/ドビュッシー:イベリア、ダラピッコラ:タルティニアーナ・ゼコンダ |
“灼熱の凝縮力!圧倒的説得力を持つチェリのチャイ5の原点!” |
晩年まで引き継がれることになるテンポ配分、強弱対比等の大枠は、既にこの時期に完成されていたことが分かります。シュトゥットガルト時代にも感じられたレスポンスの良さと、最晩年の大伽藍のような壮麗な音像をミックスしたようなスタイルが特徴的ですが、演奏時間が両端楽章においてEMI盤より2分近く短いことでも分かるように、ライヴ特有の熱気も手伝って、音楽の表情が伸びやかに克明に迫り、瑞々しい生命力に溢れている点では、チェリのチャイ5の中でもトップクラスです。第1楽章の第2主題に入る前の金管の輝かしい突出と音像の厚味は晩年のそれを彷彿とさせ、息を殺した弱音重視型には至っていません。第2楽章の副次旋律が弦で歌いだす箇所の切々とした迫真の呼吸は、完全に音楽的な表情に結びつき、心に染みます。終楽章の大々的な運命動機の斉奏も、フレーズ結尾を徹底してディミニュエンドする手法はとらず、容赦なくティンパニ強打を炸裂させ、自然な力感を重視しています。その力感は全休止以降からコーダにかけてますます顕著になり、504小節以降の、これも他の録音では聴けない入魂の快速プレストを経て、見事に締めくくられます。また、是非注目していただきたいのが、デンマーク放送響の技術とセンス!第2楽章のホルンやクラリネットのソロは、ちょっと他では聴けない感動的なフレージングです。音質は多少揺れたり強音が混濁したりしますが、これらの生きた表情が次々と迫る中では大してハンディとは感じられません。 |
第1楽章のツボ | |
ツボ1 | 柔らかいテヌートの弦に乗せたクラリネットは、後年ほど神経質にならず、程よい緊張を湛えながらの自然体のフレージング。テンポもごく標準的。全体に漂うデリカシーは、チェリならではのもの。 |
ツボ2 | 弦の刻みを優しく撫でるように弾かせるのは晩年まで一貫している手法。テンポは通常比べるとかなり遅いが、晩年ほどの失速ではない。それでもわずかに木管のテーマが走り気味になる。 |
ツボ3 | シルクのような感触。 |
ツボ4 | これも晩年まで一貫している、独特の柔らかさを持つスタッカート。 |
ツボ5 | スフォルツァンドを避け、インテンポでしなやかにフレージング。強弱のメリハリは大きくとらずに慎ましやかだが、独特の緊張が漲っている。 |
ツボ6 | ここでもインテンポ。アニマート以降はテンポを落とすが、決して耽溺せず、独特の緊張が漲る。 |
ツボ7 | ピチカートのなんという瑞々さ!管とアルコの弦のやり取りは心が通い合い、共通の優しい表情を浮かべながら微笑んでいる。 |
ツボ8 | この副次主題に入る直前の弦の音を沈静させ、そこからこの主題にスーッと忍び込む呼吸の絶妙さは奇跡的!チェリ独自のデリカシーが、完全に音楽的に生き切った最高の例!半音階の下行(173小節)から放たれる香気も比類なし。 |
ツボ9 | ここからテンポアップするのは、この録音とシュトゥットガルト時代まで。16分音符ははっきりはしないが、明快に音を立たせていることが窺える。ティンパニの固い打ち込みと共に、凝縮力の強い音像で迫る。 |
第2楽章のツボ | |
ツボ10 | 弦の導入は晩年のように物々しくならずに自然体だが、響きのバランスが非の打ち所がない!ホルンが絶品!一見地味だが、全ての音を感じ切りながらフレージングが連綿と流れ、弦との融合も絶妙。音色そのものも美しい。 |
ツボ11 | 決してフォルティティもを強調しない。しなやかな呼吸が完全に音に反映し、恍惚的な美しさを表出! |
ツボ12 | クラリネットが素晴らしい!こんなに憂いのある音色で儚い命を感じさせる吹き方があるとは!! |
ツボ13 | 次第にディミニュエンドしてアルコに滑りこむ流れが絶妙。108小節の最後の4分音符で、誰かが変な音を発している。 |
ツボ14 | 灼熱の高揚感!全体のバランスを崩さずに、各頂点を完璧に築いている。呼吸のうねり、テンポの変動は最少だが、音楽が真に息づいている。 |
ツボ15 | 感動的!完全に徹底制御された「正確な美」ではなく、泉の底から自然に湧き出るような優しいニュアンスは、他のチェリの録音では感じられないもの。最後の消え入り方は言葉にできない美しさ。オケのセンスにも脱帽。 |
第3楽章のツボ | |
ツボ16 | 若干テンポを落とす。 |
ツボ17 | 俊敏なレスポンスの中にも優しさが滲む。決して弾き飛ばしのない確実なニュアンス表出は流石。 |
ツボ18 | 実に流麗!オケのクオリティの高さを思い知る。 |
第4楽章のツボ | |
ツボ19 | テンポは標準的。他を寄せ付けない荘厳さではなく、声部のバランスの安定と精神的な深みを湛えた音色が印象的。 |
ツボ20 | ホルンは裏方だが、木管との溶けあいが絶妙。 |
ツボ21 | ティンパニは最初に極限までクレッシェンド。その後は一定の弱音でトレモロ。テンポは通常より遅めだが、晩年ほどではない。 |
ツボ22 | ほんのわずか生かしているように聞こえる。 |
ツボ23 | 特に強調していない。全体のバランスを重視しているのは他の録音でも共通。 |
ツボ24 | ここから一気に加速。晩年には望めない俊敏な切り替えし。 |
ツボ25 | 直前の一撃と同じ強さ。特に強調はしない。 |
ツボ26 | 提示部冒頭のテンポに戻る。 |
ツボ27 | 大きくテンポを落としておいて、436小節から倍のテンポで突進!他の演奏でもこの手法をとっているが、この切り替えしがここまで完璧に成された例はない。音の力感も素晴らしい。 |
ツボ28 | 8分音符の音価は本来の長さを維持。全休止でパラパラと拍手が入る。 |
ツボ29 | テンポは標準的。実に伸びやかなフレージング。バランスはもちろん潔癖を極める。 |
ツボ30 | 弦はレガート。トランペットは音を優しく切っている。 |
ツボ31 | 改変型。トランペット主導なのは他の録音でも同じ。壮麗さに極み! |
ツボ32 | 強奏ではないが、明瞭に鳴っている。 |
ツボ33 | 546小節以降、堂々たるインテンポで最後まで通す。ティンパニの打ち込みが生き、音の量感パワーが充溢! |
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