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ヴィクトル・フェドトフ(指)神奈川フィルハーモニー管弦楽団 | |||||||||||||
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Classical Records CR-119(2CD) |
録音年:1999年9月1日 神奈川県民ホール 【デジタル・ライヴ録音】 | ||||||||||||
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カップリング/ピアノ協奏曲第1番(ピアノ/ポリーナ・フェドトワ)、「エフゲニ・オネーギン」〜ポロネーズ、「四季」〜4月 |
“バレエ音楽の大家フェドトフの格調高いチャイ5!” |
スタミナの持続力、音色の統一ぶり、アンサンブルの安定感など、とても日本のオケとは思えぬ素晴らしさです!このCD発売には、フェドトフと、カップリングの協奏曲でソロを弾いている娘のフェドトワの意向が働いているものと思われますが、フェドトフの録音はバレエ音楽ばかりで、この演奏がここまで感動的となると、CD化を希望したとしても何の不思議もありません。フェドトフの音楽作りは、民族色を盛り込むよりも、洗練された造型と直截なダイナミズムが特徴的で、その意味ではムラヴィーンスキー的(レニングラード・フィルとの関わりも強い)と言えましょう。まず、第1楽章の冒頭の響きから音色が安定しきって、気品が漂ってくるのにびっくり!この楽章では際立って個性的な表現こそありませんが、全てのフレージングが堂に入り、構築も揺るぎなく、作品の魅力がストレートに伝わって来ます。第2楽章は管楽器のソロのセンスも聴きものですが、運命動機の斉奏(6:48)の渾身の重量感、副次主題がフォルテ4つで最高潮に達するまでの緊迫のテンポ設定と格調を維持した爆発力に、この巨匠の真価を知ることができます。第3楽章は、一息での軽妙なフレージングが、まるでバレエの1シーンのような風情。ホルンのゲシュトップ効果がこれほど生き切った例も実に稀です。終楽章はそれこそ巨匠芸の集大成!フレージングはどこまで行っても自然体。そんな中、トロンボーンやチューバ(フェドトフは音楽院でチューバと指揮を専攻)の裏旋律の生かし所を心得て音像に馬力を注入させたり、172小節で金管を中心にして壮麗に運命動機が鳴り渡る最中、弦の上下行する音型の隅々にまで輝かしい色彩を与える等々、芸の懐の深さに感心することしきりです。日本の地方オケがここまでやった、という感慨を別にしても、これは世界中のクラシック・ファンに聴いて欲しいと願わずに入られません。録音も明快。 |
第1楽章のツボ | |
ツボ1 | クラリネットも弦も、暗い沈思の風情が魅力的。テンポは中庸。テンポの揺れは少ないが、ニュアンスは濃い。 |
ツボ2 | リズムがきりっと締まり、木管の技術も安定。 |
ツボ3 | 響きに緊張が宿っている。 |
ツボ4 | 粘らずに洗練美に溢れる。 |
ツボ5 | 前の部分から引き続きインテンポ。強弱の振幅は大きくないが、響きが安定し、共感も滲む。 |
ツボ6 | アニマートで若干テンポが落ちるが、決して溺れず格調を保持。 |
ツボ7 | 快速なテンポに変え、実にスマートな駆け上がり。アタックが柔らかい。 |
ツボ8 | 西欧風な洗練を感じる。テンポを少し落とすが、ここでも大袈裟な表現を用いず、フレージングが洗練しつくされていて美しい。 |
ツボ9 | 16分音符はやや埋没しているが、立ち上がりは明快。テンポはここから速め、緊迫感も増す。凝縮力の高い推進が見事。 |
第2楽章のツボ | |
ツボ10 | この冒頭の弦も洗練されている。テンポも粘らない。6小節目の第2ヴァイオリンの入りも実に自然。ホルンの巧さに鳥肌!もちろんクレヴェンジャーのような巧さではないが、郷愁を湛えた音色と語り口が説得力大。 |
ツボ11 | フォルティシシモに差し掛かる直前で全くテンポを落とさず、むしろ加速気味にして、56小節で再びテンポを落とす見事な運び。呼吸も深い。 |
ツボ12 | テンポを落とさずインテンポのまま突入。クラリネットに巧みはないが、誠実なフレージングが好印象。このあと一段テンポを上げ、運命動機斉奏に備える。 |
ツボ13 | なんと、聞えないくらいのピアニッシモ!運命動機が高らかに斉奏した後だけに、場面転換効果が絶大。 |
ツボ14 | しっかりとした弓圧を加えつつ入念にフレージングし、ロシア的郷愁を醸し出す。150小節辺りから加速を開始し、フォルテ4つの手前では限界の超高速に達する。最高潮点で溜め込んだパワーを炸裂させた後、再び元のテンポに落ち着く。このテンポ変動にぴったり付いてくるオケの力量も見事! |
ツボ15 | 気品溢れるカンタービレ。弱音を強調し過ぎずに詩情を醸すところに、フェドトフのセンスが光る。 |
第3楽章のツボ | |
ツボ16 | ほとんどテンポを落とさず突入。 |
ツボ17 | 大敢闘賞もの!アンサンブルが見事なだけでなく、要所ごとにアクセントが確実に盛り込まれているので、音像がきりっと立ち上がる。 |
ツボ18 | 音の輪郭は明確でないが、流れは美しい。 |
第4楽章のツボ | |
ツボ19 | 威圧感はないのに、威厳が満ちる。フレージング把握までも洗練されている。テンポは標準より若干速め。 |
ツボ20 | ホルンは堂々と主張しながら、煩くならない。 |
ツボ21 | 冒頭でクレッシェンド、62、64、66小節でそれぞれアクセントの山を築く。テンポは標準てきなものよりやりやや遅め。 |
ツボ22 | 無視。 |
ツボ23 | 良好なバランスで鳴っている。 |
ツボ24 | テンポを変えずに突入。 |
ツボ25 | バランスの範囲内で鳴っている。 |
ツボ26 | テンポ不変。 |
ツボ27 | ことさら快速ではないが、直前のテンポの落とし方が意味深く壮大。 |
ツボ28 | 音符の音価に忠実。 |
ツボ29 | 全休止は必要以上に間を置かない。響きは充実しつくされ、渾身の斉奏が続く。 |
ツボ30 | 弦のトランペットも音を切る。 |
ツボ31 | 改変なし。 |
ツボ32 | 実に立派に轟く。 |
ツボ33 | テンポ自体は中庸で、そのまま最後までインテンポを通すが、音が芯から熱していて、格調を維持したまま見事に終結。 |
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