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ネーメ・ヤルヴィ(指)エーテボリ交響楽団 | |||||||||||||
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BIS BISSACD-1408(SACD) |
録音年:2004年8月16日〜17日 スウェーデン、エーテボリ・コンサート・ホール 【デジタル録音】 | ||||||||||||
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カップリング/イタリア奇想曲、交響的バラード「ヴォエヴォーダ」 |
“超優秀録音がチィコフスキーのオーケストレーションを徹底解析” |
ヤルヴィという人は、ロシアものであっても、エストニア出身と言うイメージから想像するローカリティとはかけ離れた、スタンダードな演奏をすることが多いように思いますが、ここでも、いかにも郷愁を誘う「泣き」や、捻じ伏せるようなダイナミズムで圧倒するのではなく、比較的グローバルなチャイコフスキーを展開しています。ただ、そこに揺るぎない統一感と強固な構築が脈打っているのなら良いのですが、慌てず騒がず巨匠の足取りで貫徹している場面(第1楽章など)と、エネルギーを外を放射するような場面(終楽章の運命動機斉奏など)が、ビシッと一本筋の通ったコンセプトで結びついているように感じられないので、聴後の印象は今ひとつ物足りなさを覚えます。決してルーティンと言うわけではなく、誠心に演奏しているのですが、心にグッと食い込んでくるものに欠けるのです。第2楽章の中間部のクラリネット・ソロ以降のフレージングの深さと確かさ、終楽章の早いパッセージの中での管楽器の出し入れの妙は、流石はベテランと言いたくなりますが、オケの個々のプレーヤーの音色の統一感も不足気味。ヤルヴィが長年手塩に掛けたオケなので、鉄壁のヤルヴィ・サウンドを築き上げたものと思っていたのですが…。カップリングの2曲でも同様の印象。ただ、録音の良さは尋常ではありません! |
第1楽章のツボ | |
ツボ1 | クラリネットの音色は、温かみがあり、優しく包み込んでくれる。8小節目の休符を長めに取り、たっぷっりと呼吸。15小節(フォルテの指示)から、弦も含めて音の量感が凄い。20小節目のフェルマータも長め。テンポは中庸。 |
ツボ2 | クラリネットとファゴットでは、ややファゴットに力点を置き、独特の仄暗さを演出。 |
ツボ3 | 特に意識していない。 |
ツボ4 | 音量の減衰を意識せず、芯の強さを維持している感じ。 |
ツボ5 | テンポを変えず、全部を大きなレガートでフレージング。 |
ツボ6 | ほんの少しテンポを落とす。スフォルツァンドはあまり綺麗ではない。 |
ツボ7 | テンポ不変。ピチカートは骨太な響き。 |
ツボ8 | 際立った個性はないが、誠実に共感を込め抜いている。 |
ツボ9 | テンポ変動なし。16分音符は埋没しているが、その直後の強弱の振幅を徹底的に強調している。風格豊かに進行するが、ティンパニにもう少し重みが欲しいところ。 |
第2楽章のツボ | |
ツボ10 | コントラバスの粘り腰のフレージングが見事。しかも美しい!ホルンは巧みに欠け素朴。20小節で、高音から急に低音を吹く(ミの音)で音が詰まる。編集も可能だったと思うのだが…。続くオーボエは線がきつく明るい。 |
ツボ11 | 意外にも呼吸が浅い。フォルティシシモも、もっと意味深く響いて欲しい。 |
ツボ12 | このクラリネットは素晴らしい!ファゴットが登場するまでい1フレーズで豊かに歌い、その最後の70小節で音量を極限まで落とし、テンポも落として、孤独の淵に入り込んでいる。弦も同時に表情を形作っているので、ヤルヴィのこだわりと思われる。気を取り直したように、ファゴットが野太い響きで飛び込んでくるタイミングがまた絶妙! |
ツボ13 | 見事に揃い、温かな音色を聞かせる。 |
ツボ14 | フォルティシシモはもっとパンチが出せると思うが、フォルテ4つに向かうまでの弛緩のない豊かな流れと、リタルダンドのタイミングノ良さは、流石ベテラン。 |
ツボ15 | 比較的速めのテンポで、情に流されまいとする意思を強く感じさせる。ホルンの持続音は、明確に浮き立たせているが、やや機械的に響く。 |
第3楽章のツボ | |
ツボ16 | ほとんどテンポを変えない。ここでもファゴットの響きはかなり太く、独特の逞しさを感じる。しかし、やや自己顕示が強すぎるかも。 |
ツボ17 | コントラバスの細かい動きがはっきり聞き取れる!録音が超優秀であることを再確認。 |
ツボ18 | 強烈なオンマイクで録られているが、一音ごとのアタックは明快ではない。 |
第4楽章のツボ | |
ツボ19 | 実に穏当なテンポで、譜面どおりの域を出ないが、安定感は万全。トランペット登場時、リズムを刻む弦のピチカートと同じ音型をファゴットが刻んでいるが、その最後の19小節で、バランスの比重を弦からファゴットに移しているのは単なる偶然か?いずれにしても、かつてのどの演奏からも感じ取れなかった味がある。よく耳を澄ましてお聴きいただきたい! |
ツボ20 | ホルンは、ほとんど裏方に徹しながらも、随所で浮上し、色彩に絶妙な変化を持たせている。 |
ツボ21 | ティンパニは最初にクレッシェンドして、後は一定音量でトレモロのまま。弦は俊敏なレスポンスを全開にさせ、快速テンポで疾走。70小節で弦を抑え、木管の音型を強調。 |
ツボ22 | ほんの少し生かしている。 |
ツボ23 | 完璧にはっきり聞こえる!しかもヴァイオリンパートも、続くフルートも、不自然な感じを与えずに、全てが明瞭に浮き立っている。ここでも録音の凄さに驚愕。 |
ツボ24 | 直前でリタルダンドして、ここからまた以前の快速に戻る。 |
ツボ25 | 素晴らしい一撃!今までティンパニはやや軽量級の響きだったが、ここへ来て渾身の一撃。決して激烈な強打ではない音楽的な響き! |
ツボ26 | そのままインテンポ。 |
ツボ27 | 「きわめて速く」と言うほどではないが快速で突き進む。途端ペットのリズム感が最高に良い。ここでもティンパニの打ち込みが意味深い。 |
ツボ28 | 8分音符の音価はやや長め。 |
ツボ29 | 全休止が異様に長く不自然。弦は運命動機を確信を持って堂々と歌い、金管は磐石のリズム感が印象的。 |
ツボ30 | 弦ははっきりと音を切っている。トランペットも切ってはいるがやや曖昧。 |
ツボ31 | 改変型。ヴァイオリンの音に合わせている。 |
ツボ32 | オンマイクで極めて明瞭に聞こえるが、響き自体はかなり素朴。 |
ツボ33 | テンポに独自の操作を持ち込まず、ごく普通の進行。 |
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