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ドミートリ・キタエンコ(指)NHK交響楽団 | |||||||||||||
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NTT PCDZ-1332 (2CD) 非番品 |
録音年:1994年7月21日 東京・オーチャード・ホール【ステレオ・ライヴ録音】 | ||||||||||||
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オリジナル・カップリング/ピアノ協奏曲第1番(ピアノ:V・クライネフ)、グリンカ:「ルスランとリュドミラ」序曲 |
“ロシア色を極力排し、洗練を目指したキタエンコのチャイ5!” |
NTT主催のいわゆる冠コンサートの100回記念公演ライヴ。キタエンコは、ロシア出身とは思えないくらい、ヨーロッパ的というか、ごく標準的な演奏に終始しているのがまず意外です。海外での活動も盛んなだけに、ロシア色に傾き過ぎることがないのは当然としても、音符を律儀に鳴らすことに終始して、それ以上のイメージの膨らみが感じられないのが残念でなりません。N響定期公演へのデビューは1997年ですから、オケの側にもまだ彼の意思が浸透しきっていないのかもしれません。楽譜に忠実で、小細工を排した洗練された演奏を目指しているようですが、それが音楽の美観につながらず、何か一線を越えるのを恐れるような、思い切りの悪さばかりが目立つ演奏となってしまいました。 |
第1楽章のツボ | |
ツボ1 | クラリネット、弦、共に陰鬱な表情を入念に表出。比較的遅いテンポで、呼吸感も素晴らしい。テヌートの扱いにロシア色を感じさせる。 |
ツボ2 | その暗さを損なわないように、軽やかに弦が刻み始める。木管の響きは洗練されており、安定している。 |
ツボ3 | 繊細。 |
ツボ4 | さらっとした質感。 |
ツボ5 | 全くのイン・テンポで進行し、強弱もあまり膨らませない。 |
ツボ6 | 楽譜に忠実という以上のものは感じない。フォティッシモ部分も、情感を抑え気味。 |
ツボ7 | 最後まで微妙にずれたまま駆け上がる。管と弦の応答は平凡。 |
ツボ8 | 綺麗に歌い上げているが、表面的な感じ。 |
ツボ9 | インテンポのまま。16分音符は聞こえない。このテンポで進むなら、もっと響きに重厚さと緊張感が欲しい。 |
第2楽章のツボ | |
ツボ10 | 1小節ごとに入念にフレージング。ホルンは出だしの吹き方が素っ気ない。その後は良く歌っているが、高音から低音への音の移行がスムースではない。24小節からのオーボエは巧い。 |
ツボ11 | 実にハイセンスは山場の築き方。大上段に構えず、楽譜の枠内でしなやかに歌い上げる。 |
ツボ12 | さらっと流れるが、十分に共感を込めたクラリネット。テンポは変えない。 |
ツボ13 | 普通の出来ばえ。響きに艶が欲しい。特徴なし。 |
ツボ14 | 楽譜に忠実に音量を上げていくが、フォルテ4つに達したときの達成感があまりない。 |
ツボ15 | 大変美しいのだが、なぜか心に迫ってこない。 |
第3楽章のツボ | |
ツボ16 | ほとんどテンポを変えない。こういう場面転換時でも、それを意識的に打ち出すのを嫌う傾向があるようだ。 |
ツボ17 | 平凡で華を感じない。 |
ツボ18 | 普通の出来。239小節のルフト・パウゼが異様に長いが、ただ無音状態が長いとしか感じられない。 |
第4楽章のツボ | |
ツボ19 | 正確にリズムを刻んだ堅実な運び。 |
ツボ20 | ホルンは木管と終始同等のバランスで奏でる。トランペットによる運命動機は、なかなか意味深い音色を聴かせる。 |
ツボ21 | ティンパニは、主部冒頭、62小節、66小節で、一撃する。 |
ツボ22 | ほとんど無視。 |
ツボ23 | 強力に打ち出しているようだが、輪郭がはっきりせず、力感が伝わってこない。 |
ツボ24 | テンポもニュアンスも変化なく突入。 |
ツボ25 | はっきり打ち込むが、それほど意味深くない。 |
ツボ26 | ここでもほとんどテンポを変えない。TempoTへの移行がどこか不安定。 |
ツボ27 | テンポをここから速めるが、切迫感がない。 |
ツボ28 | 複符点2分音符を盛大に引き伸ばす。その結果8分音符は本来の音価となる。 |
ツボ29 | 全休止の後の最初の音が微妙に欠ける。編集ミスか? |
ツボ30 | 弦はカラヤン風なレガートで統一。トランペットもそれに近い。 |
ツボ31 | 改変型とムラヴィンスキー型の複合技。499小節はトランペットを引っ込めて、だんだんと浮上させると共に、音型を従来の方法で改変している。最初にトランペットを引っ込める意味が良く分からない。 |
ツボ32 | 良く鳴っているが、意思が感じられない。 |
ツボ33 | あまり安定感のないインテンポ。響きに厚みが乏しいが、最後の4音のみ強靭に打ち込む。 |
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