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チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調 Op.64
アラン・ロンバール(指)フランス国立ボルドー・アキテーヌ管弦楽団
第2楽章ホルン・ソロ:
VALOIS
V-4723
(2CD)

録音年:1994年4月 ボルドー 【デジタル録音】
演奏時間 第1楽章 14:14 / 第2楽章 12:03 / 第3楽章 5:35 / 第4楽章 11:11
カップリング/交響曲第4番、交響曲第6番「悲愴」
“今のところ史上最悪のチャイ5です”
このチャイ5はないない尽くしで、ほとんど魅力的なところが見つかりません。テンポは変に不安定で、声部のバランスも悪く、トゥッティの音は汚いだけで迫力に結びつかず、弱音は表情を伴わず、アゴーギクは音楽の流れに即しておらず、リズム感は弱い…。これ以上書いても空しくなるばかりです。ロンバールは、エラートに精力的に録音していた頃からこの種の傾向は指摘されていましたが、未だに成熟を見せず、オケに自身の解釈を伝える能力に欠けるという以前に、音楽を感じ取る資質自体が欠落しているとしか思えません。11分弱で駆け抜ける終楽章ならば、間が持つのではと期待しましたが、余計腹立たしさが募るばかり。しかも、このオケとは昨日今日の付き合いではなく、1983年以来音楽監督を務めているのですから頭を抱えてしまいます。
第1楽章のツボ
ツボ1 クラリネットは色彩が滲むが、フレージング自体は単調。4分音符のテヌートがかなり短めだったり、唐突なアクセントがやや不自然。
ツボ2 最初の弦の刻みが横のラインを築かず、一つ一つ独立して鳴らされるのが不気味。テンポはやや遅め。木管は哀愁が漂う。
ツボ3 ややぎこちない。
ツボ4 特徴なし。
ツボ5 スフォルツァンドを露骨に表現。冒頭弱音の部分が長めにとられているのが印象的。その後の強弱指定にも忠実だが、それに縛られているようで、呼吸が湧き上がってこない。
ツボ6 音の切り上げが早く、余情が掻き消される。
ツボ7 テンポアップして、小気味よく駆け上がる。アルコの弦がいかにも雑。
ツボ8 急にテンポを落とし、弱音で丁寧に歌っているが、音楽自体が小さくなってしまい、音も痩せて聞こえる。
ツボ9 テンポ変動なし。16分音符の頭はよく聞こえない。外面的な大きな音ばかりが耳につく。
第2楽章のツボ
ツボ10 最初の弦の導入は、それぞれの符点2分音符が響き切らないうちに次の音に移ってしまうように聞こえる。呼吸が浅いと言うことだろう。ホルンは以外にもノンヴィブラート。朴訥な感じ。強弱の付け方がやや不自然。
ツボ11 背景の管楽器が無駄に大きい音を出し続けているので、弦のうねりを押しつぶしている。
ツボ12 クラリネットもファゴットもそつなく歌っている程度。
ツボ13 軽く流す感じ。
ツボ14 ここからいかにも性急なテンポになる。直前のアゴーギクがあまりにも雑なのでこのテンポが全く生きない。
ツボ15 またもや痩せきった弱音。
第3楽章のツボ
ツボ16 ほとんどテンポを落とさない。ファゴットのニュアンスが平板。
ツボ17 暇をもてあましているような、だらだらとした演奏。
ツボ18 普通の出来ばえ。
第4楽章のツボ
ツボ19 冒頭の弦の響きが、全く練り上げられていない。4小節目で急に音が大きくなる。確かにスコアにはここにフォルテと記されているが、そのまま音を大きくするとはなんという単純な発想だろう!
ツボ20 ホルンは裏方。というか。全く木管と溶け合うそぶりを見せない。
ツボ21 冒頭でティンパニがクレッシェンドしている途中から弦が超高速で切り込む。しかし弦の音は上ずっていて、ホルンが下品な音を被せ、80小節あたりは、バランスがメチャクチャ。
ツボ22 157小節で一旦フレーズを切り上げるアーティキュレーションが不自然。これもスコアにはスラーでそのように括られている。しかしその後のスラーの括りは全く無視。159小節のアクセントも無視。
ツボ23 よく聞こえるが、それだけ。
ツボ24 テンポは変わらない。
ツボ25 強打ではないがよく聞こえる。
ツボ26 テンポを変えない。
ツボ27 軽快なテンポで一直線。
ツボ28 8分音符の音価はやや長め。しかも前代未聞のだらしない引き伸ばし。
ツボ29 かなり速め。元気一杯だが、相変わらず音が汚らしく、聴いていて痛快ではなく不快。
ツボ30 弦もトランペットも、音をテヌート気味につなげている。
ツボ31 スコアどおりだが、499小節でトランペットを一旦引っ込めるムラヴィンスキー型を採用
ツボ32 よく鳴っている。
ツボ33 決然としたインテンポで終わる。ロシア的な勇壮さを醸したかったのかもしれないが、響きの重心が軽い。


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