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クルト・マズア(指)ライプチヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 | |||||||||||||
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WARNER 25646-14322 |
録音年:1987年 ライプチヒ・ゲヴァントハウス 【デジタル録音】 | ||||||||||||
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カップリング/幻想序曲「ロメオとトジュリエット」 |
“マズアがベートーヴェン以上の共感で歌い上げた感動作!”” |
王道交響曲のほとんどを録音し尽くしたマズアにとって、これは意外にも初録音。しかも、彼が残した録音の中でも傑出した出来栄えです!ゲヴァントハウスOが長年保持し続けてきた古風な音色美と、音のエッジのまろやかさが生きたサウンドが、ホームグラウンドであるホールに完全に溶け込んで美しく鳴り渡り、録音がそれを見事に捉えていること、更にマズア自身の表現力も、ここで遂に最大限のものを絞り尽くした感があり、強烈な個性こそないももの、安心してこの曲の醍醐味を堪能できます。「安心して」という言葉は時に曲者ですが、決して安全運転という意味ではなく、表現の全てが完全に熟成しきったものとして繰り広げられるのです。第1楽章冒頭のニュアンスから、只ならぬ表現意欲が満ちており、スコアの指示の枠組みの中でその意味を汲み取り、マズア自身の感性を織り込むバランス感覚にも驚かされます。随所に現れるカンタービレも、全てが共感の塊で、それを阿吽の呼吸で感じ取りながら奏でるオケの力量とメロウな響きにも釘付け!第1楽章展開部などで、注意深く聴いていると、低弦の対旋律が弓を最大に駆使しながらその音価の最大容量まで歌い抜き、ドイツ的な腰の強さで迫ってくる箇所にハッとさせられたり、全体的に洗練されたスタイルをとりながらも、金管をテヌートで咆哮させるなどのロシア的流儀もスパイスとしても盛り込もといった粋な計らいも散見されます。あえて欠点といえば、音色的にモノトーンで統一され、その変化で魅了する瞬間が少ないことですが、ゲヴァントハウス管の響きそのものが音楽な説得力を誇っているので、物足りなさを感じさせません。「ビジネス」に貪欲なマズアが、誠心誠意、聴き手の心に食い入ることだけを目指した一世一代の名演です。 |
第1楽章のツボ | |
ツボ1 | 濃厚な翳りを帯びたレガートが美しく、2本のクラリネットの溶け合い、弦とのブレンドも万全。呼吸が比較的浅いことの多いマズアにしては、このフレージングの説得力は驚き。 |
ツボ2 | やや遅めのテンポで、前の雰囲気を見事に受け継いでいる。アレグロのリズム感を避け、沈鬱なニュアンスで一貫。 |
ツボ3 | 決して媚びず、ドイツ的な無骨さが顔を出す。 |
ツボ4 | 倦怠的な息の抜き方が見事。弦の均質なクオリティの高さも印象意的。 |
ツボ5 | 何と自然で気品溢れるスフォルツァンド!強弱の振幅が豊かなホールトーンとともに魅力満点! |
ツボ6 | animatoの箇所まで、アゴーギクは最少に止めているが、感情の揺れ動きが微妙なテンポの揺れに反映されている。絶品! |
ツボ7 | ピチカートの各音のエッジがまろやか!上行の後半に行くにつれてまろやかさが優しさに変わり、その直後に弦が優雅に滑り込み、弦を大きく膨らませるという心憎いセンス! |
ツボ8 | ほとんどの場合、各小節最後の8分音符は音量を弱めるが、ここでは弓を一杯に使いきり、一定音量で粘りながら歌い抜く。ディミニュエンドの半音階下行の自然な消沈も美しい。この副次主題の歌わせ方だけでも、この録音の価値は不滅! |
ツボ9 | ほんのわずかにテンポアップする。残響がやや多めなので冒頭の8分音符は埋没。 |
第2楽章のツボ | |
ツボ10 | 弦は、一音ごとに丁寧にニュアンスを盛り込んだ迫真の表現。ホルンは、ホールトーンの特性を最大に生かし、大らかに歌い上げている。技術的にも非の打ち所がない。クラリネットは完全に裏方。オーボエとは対等に対話。 |
ツボ11 | 豊かな流線型のフレーズを崩さないように配慮しながら、音量ではなく音の厚みで頂点を築いている。 |
ツボ12 | 先のホルン・ソロ同様に、このクラリネットも完璧に吹きこなし、音もホール一杯に響いているが、やや陰影に欠ける。その後のファゴットは切なさ一杯だが、9連符を省略して、4分音符のまま下る。 |
ツボ13 | ここもホールトーンの効果も手伝って響きはまろやか。 |
ツボ14 | 充実しきった響きと自然な呼吸が一体となり、素晴らしいフレージング!加速の配分バランスも最高。フォルテ4つの高潮でも音が美しく調和している。直前のチューバの見事な響きも必聴! |
ツボ15 | マズアの強面の顔から想像できない繊細な詩情が息づくフレージング! |
第3楽章のツボ | |
ツボ16 | テンポを落とすが、フォゴットの入りがぎこちない。 |
ツボ17 | 弦を主体にして構築。 |
ツボ18 | 一本の線とまではいかない。音量も少し弱い。 |
第4楽章のツボ | |
ツボ19 | 慎重に手探りで覗き込むような導入。テンポはやや遅め。音量も控えめに徹している。このテンポで全く先走り感がなく、響きも安定しきっているのは流石。 |
ツボ20 | 木管も含め全体に弱音を通す。ティンパニが初めて登場する直前まで音量を抑制し、不安感を描き立てるのが特徴的。そのティンパニの登場する際の決然とした響きが素晴らしい! |
ツボ21 | ティンパニはスコア遵守で、アクセントを置かずに、トレモロで強弱を付けのみ。弦との調和が素晴らしい。テンポはカラヤンに近い。 |
ツボ22 | わずかにアクセントを置いている。 |
ツボ23 | 音の輪郭は明確ではないが、力が漲りバランスも良い。 |
ツボ24 | わずかにテンポをアップするが、やや中途半端。 |
ツボ25 | 控えめ。 |
ツボ26 | 提示部冒頭のテンポに戻るが、前のテンポとのコントラストが効いているとは言えない。 |
ツボ27 | ほとんどインテンポのまま進行するが、音の熱し方が見事で、このオケのアンサンブル能力の高さも思い知らされる。 |
ツボ28 | 本来の音価より少し長め。ティンパニは最後にさり気なく一撃で締めくくっている。 |
ツボ29 | 歌わせ方に特に特徴はないが、弦のクオリティの高さを痛感。 |
ツボ30 | 弦もトランペットもスコアどおり。スタカートでもテヌートでもない。 |
ツボ31 | スコアどおり。503小節のスフォルツァンドも遵守。 |
ツボ32 | 良く鳴っているが、メロウなニュアンス。 |
ツボ33 | 354小節あたりから更に加速し、そのままインテンポで突進。音が空転せず、見事に凝縮感を保ったエンディング。 |
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