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チャイコフスキー:交響曲第5番
村松 泰(指)新星日本交響楽団
第2楽章ホルン・ソロ:
CLUB la Boheme
B-3002C

録音年:1988年11月13日 岡崎市民会館大ホール 【デジタル・ライヴ録音】
演奏時間 第1楽章 15:15 / 第2楽章 13:31 / 第3楽章 6:02 / 第4楽章 13:38
“オケを統率しない指揮のあり方”
村松泰(むらまつとおる)は1944年生まれ。本業は愛知の外科医。チェロを学び、大学のオーケストラでは常任指揮者として10年間活躍し、山田一雄氏から多くを学んだ、とCDの解説には書かれていますが、新星日響を振るようになった経緯については詳述されていません。いずれにしてもアマチュア指揮者ということになるかと思いますが、ライヴということもあって、型にはまったプロ然とした演奏では望めない愛情のほとばしりを期待したのですが、延々と平凡な音楽が続いてしまいます。しかし、村松氏の曲への共感と表現意欲が全く感じられないかのというとそうでもなく、あえてティンパニを強打(第2楽章のそれはヤマカズと全く同じ)させたり、強弱の変化を駆使している箇所もあるのです。ただ、それをオケが受け止めきっていない気がしてならないのです。プロのオーケストラは、往々にして“アマチュアの臭い”に過剰に反応する傾向があります。このオケがそうだとは言い切れませんが、いみじくも団員の一人がライナーの中で「村松氏の指揮には、演奏者を統率管理しようとするところが全くなかった」と記しているように、指揮者が意図を示そうにも「俺たちを統率などしてくれるな」という無言の空気が立ちこめ、「とにかくいい音楽を一緒に作ろう」という絆がうやむやなまま演奏に臨んでしまったのではないでしょうか?やっと終楽章のコーダ以降で全体が一丸となっての音楽が聴け、終演後に「ブラボー」の絶叫が出るに至りますが、この見えない壁を感じながら聴き通すのはちょっと辛いものがあります。そもそも、統率しないで済む指揮などありえないと思うのですが…。
第1楽章のツボ
ツボ1 クラリネットは音色的な広がりは希薄。テンポは標準的。フレージングはいかにも平板。
ツボ2 閃きはないが、木管は繊細、弦の刻みもデリケート。
ツボ3 特徴なし。
ツボ4 楽譜どおり。
ツボ5 それまでの流れから全く変化を見せず、エスプレッシーヴォからは程遠い。フレージングもしなやかさに欠ける。
ツボ6 ここに至っても表情が沸き立たない。
ツボ7 ピチカート、感の跳躍音型、アルコの弦まで、全てが何も語っていない。
ツボ8 直前でやっとテンポを落とし、やっと指揮者の意思を垣間見ることができるが、ここからまたもや今まで同様の平板な歌が続く。
ツボ9 16分音符はほとんど聞えない。ティンパニが裸で聞えるので妙な凄みがあるが、それ以外は音が凝縮しきらずに終わってしまう感が否めない。
第2楽章のツボ
ツボ10 導入の弦は、奏者も指揮者もこれおほど心の震えを感じさせない演奏も珍しい。ホルンはハイセンスな音楽性を感じさせる。
ツボ11 ティンパニのトレモロに救われている感じ。ここも丁寧に弾いているという域を出ない。
ツボ12 ここから違う場面に移るそぶりを全く見せない。クラリネットの感じ切った弱音のニュアンスが素晴らしい!
ツボ13 バランスが最悪。高音域が全く響いていない。
ツボ14 冒頭で裸のティンパニ強打がまたもや出現。しかし、受け止める弦に厚味に乏しいので、せっかくの入魂の一撃が空しく余韻を引きずってしまうのが残念。芯から呼吸できていないので、高潮点の気付き方が著しく不安定。
ツボ15 弦の響きのクオリティが高い。ホルンの低弦の支えがやや強すぎる。
第3楽章のツボ
ツボ16 やや戸惑いながら、吹き始める。指揮者がテンポを示し切れていないのだろう。
ツボ17 全く音楽が華やぐことなく、むしろ表情が沈みがち。
ツボ18 だらしない吹き方。この後、弦を一旦ディミニュエンドするが、不自然。
第4楽章のツボ
ツボ19 一音ごとの立ち上がりが甘く、かといってきれいなレガートでもない。テンポは中庸。
ツボ20 ホルンは終始裏方。
ツボ21 クレッシェンドした後、なぜか弱音でポンと叩く。その後再びクレッシェンド。テンポは中庸。
ツボ22 特に強調していない。
ツボ23 これは素晴らしい!渾身の力を込めて弾き込んでいる。ただ他のパートが平凡。
ツボ24 ほとんどテンポは変えない。
ツボ25 強く打ち込んではいる。
ツボ26 TempoTから4小節間だけかなりゆっくりなテンポに落とし、ややテンポを上げて主部冒頭のテンポまで浮上。これがぎこちない。
ツボ27 ややここからテンポアップ。トランペットの巧さに驚愕!奇跡的!!ティンパニ強打がここでも炸裂。
ツボ28 複符点2分音符も8分音符も思い切り引き伸ばす。この箇所のために今までパワーを温存していたかのような、大斉奏!ティンパニ強打で音がひずむ。
ツボ29 弦のフレージングが美しく、響きも充実。ややトランペットを強調している。
ツボ30 弦もトランペットもテヌート気味。
ツボ31 改変型。
ツボ32 良く響いている。
ツボ33 最後の4小節でややテンポを落とす。


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