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ジョンテリル・プルメリ(指)モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団 | |||||||||||||
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GMMC GMMC-751(2CD) |
録音年:2005年9月 モスクワ【デジタル録音】 | ||||||||||||
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カップリング/交響曲第4番、第6番「悲愴」 |
“これ以上ない一発勝負のスリル!” |
プルメリはワシントン響のコントラバス奏者から指揮者に転向したした人で、ドラティに指揮と作曲を学び、ジャズの作品もあるそうです。このモスクワ・フィルはコンドラシン、シモノフでお馴染みのオケかどうか疑いましたが、ライナーに記されているメンバーリストから判断して、あの有名なモスクワ・フィルと見て間違いないようです。演奏はことさらロシア的な民族色を生かしたものではなく、ごくオーソドックスなものですが、なかなか味わい深い点が多く存在します。第1楽章冒頭のクラリネットから教科書的な演奏を目指してものでないことは明らかで、終始深い共感が立ち込めています。一部の解釈に一貫性が欠けていたり、やや残響の多い録音のせいかトゥッティの響きが薄くなる点が残念ですが、それを上回る魅力が随所にあるのです。特に第2楽章の素晴らしさはホルンの感動的な演奏を中心として忘れられません。終楽章の188小節のフォルティシシモを生かしているのは、プレメリが決して表面的なスコアの読みに甘んじていないことの証明。この「5番」の録音で聴く限り、時折集中力を欠くソロが飛び出すことを除けばオケの力量も素晴らしく、本気モードを体感できる具体例として、終楽章483小節のトランペットの合の手のリズムと響きのハリは特筆ものです! ちなみに、カップリングの「第4番」「第6番」は、上記のトッティでの量感不足とともに声部のバランスに欠ける部分が目立ってしまい、演奏の質も「5番」よりも劣るようです。 |
第1楽章のツボ | |
ツボ1 | クラリネットは全ての音符をテヌートでねっとりと歌い上げるが、情感たっぷり。テンポの遅く、全体に呼吸の深いフレージングを行っているのが好印象。減とのバランスも良い。 |
ツボ2 | 現代的なすっきりとしたリズムに乗せてテーマは進行。43小節の結尾からのクレッシェンドを丁寧に生かし、フレージングに豊かさを与えている。 |
ツボ3 | ここも同様にふわっと歌い上げてほしかったが、ここはなぜかスラーを外している。 |
ツボ4 | 美しいフレーズの消え入り方。4小節間を一息で歌い上げる。 |
ツボ5 | 目立つ特徴こそないが、素直な共感がストレートに反映した美しいいフレージング。123小節のフルートは明らかに半拍早い。 |
ツボ6 | 音量は膨らませないが、テンポをかなり落とす。それが決して嫌らしくならずデリケート。 |
ツボ7 | ごく普通。ここからの表情の変化にメリハリが欲しい。 |
ツボ8 | チェロの音型がこれほど物を言うのは稀!これと高弦の主旋律の織り成すハーモニーは他では味わえない。 |
ツボ9 | テンポはインテンポのまま。管のフレーズはかなり強く吹かせており、音楽のフォルムがくっきり浮き上がる。クレッシェンドも忠実に再現。この管楽器と弦楽器の連携による有機的なニュアンスは、めったに耳にできないもの。 |
第2楽章のツボ | |
ツボ10 | 冒頭の弦はなんとノン・ヴィブラート!その意図するところは知る由もないが、ヴィブラートを欠いてもニュアンスが決して無機質なならず、共感が滲んでいる点は見事。ホルンがまた素晴らしい!広大なロシアの大地を思わせる大きな音楽を繰り広げ、音程のふらつきも皆無。振幅の大きなヴィブラートも効果的に作用。特に15〜16小節のクレッシェンドの高揚感は鳥肌もの!また20小節の高温に上り詰めた後、低音からまた浮上する際のなんと絶妙な間のセンス!クラリネットとの絡みも美しい色彩を醸し出している。 |
ツボ11 | 爆発力はないが、その直前まで弦で歌われる主題がロストロポーヴィチ旧盤を思わせるほど主情的で美しく、そのニュアンスとの連動において、実に意味深い高揚を達成している。 |
ツボ12 | 巧いが、テンポがだんだん先走るのが残念。 |
ツボ13 | 特徴なし。 |
ツボ14 | 冒頭の一撃直前で縦の線がずれるので効果半減。フォルテ4つ付近は声部バランスがやや濁りぎみ。 |
ツボ15 | ピアニッシモというよりピアノくらいの音量だが、繊細ぶらずに大きなフレージングを行っている素直さが良い。 |
第3楽章のツボ | |
ツボ16 | 全くテンポを落とさない。 |
ツボ17 | オーソドックス。声部のバランスにもう少し精妙さが欲しい。 |
ツボ18 | クラリネットとファゴットの連携は優秀。 |
第4楽章のツボ | |
ツボ19 | なんの衒いもない表現だが、内面に確信を秘めた響きで一貫。続くトランペットは実に巧い! |
ツボ20 | ホルンは完全に裏方だが木管の響きが克明で求心力がある。しかし、主部突入直前でホルンのバランスが強くなる箇所があるのが疑問。 |
ツボ21 | 58小節頭でティンパニの一撃アクセントあり。その後は特に強弱を施すことなくトレモロを続ける。81小節のアクセントも弱い。テンポはカラヤン風の標準スタイル。 |
ツボ22 | わずかに生かす程度。 |
ツボ23 | 明快に聞こえるが量感と厚みに不足する。 |
ツボ24 | インテンポだが、テンポがビシッとはキマッていない。 |
ツボ25 | 鈍すぎる! |
ツボ26 | ここも同じテンポのまま。 |
ツボ27 | トランペットの響きに決然とした意思と緊張感が希薄。 |
ツボ28 | 楽譜の音価より長め。 |
ツボ29 | 冒頭の一音のみチューバが突出し、トランペットが走り気味なのが惜しいが、全体に輝かしいい響きを醸し出している。 |
ツボ30 | 弦は曖昧ながら音を切っている。トランペットは明確に音を切っている。 |
ツボ31 | 改変なし。改変なしで全体のバランスを保つためには、499〜501小節までのトランペットの音量のみを抑え気味にする手法があるが、そレ実行し成功している例は少ない。その点、この演奏はまさに理想のバランスを意確保している。しかもその後のスフォルツァンドも忠実に実行している。 |
ツボ32 | はっきり聞こえるが、勇壮さに欠ける。 |
ツボ33 | プレスト以降、一貫してゆったりとしたテンポ。スコアどおりの終結。手応えは大きくない。 |
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