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ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー(指)モスクワ放送交響楽団 | |||||||||||||
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VENEZIA CDVE-24250 (2CD) |
録音年:1972年4月11日 【ステレオ録音】 | ||||||||||||
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カップリング/チャイコフスキー:交響曲第4番、第6番「悲愴」 |
“ロジェストヴェンスキー、豪放さと知性のバランス技!” |
スヴェトラーノフのチャイコフスキーの交響曲全集もそうですが、メロディア音源の多くはCD化されるたびに様々なマスタリングが行われ、どれがオリジナルに近いものなのか、アナログに立ち返って確認するしかない状況に陥っています。このロジェストヴェンスキーの全集は、スヴェトラーノフとは逆に日本で初期にCD化されて以来ほとんど再復刻される機会に恵まれませんでしたが、韓国Yedan盤は問題外として、ここで使用されたマスターはどういう代物なのでしょうか?VENEZIAの復刻は過去に良質なものが多かっただけに、全体を幕で覆ったようにこもった音質がまず残念でなりません(曲が進むにつれて霧が晴れますが…)。昔にLPで聴いた記憶をたどれば、元々残響は多めに取り入れられ、音は決してシャープに捉えられいなかったと思いますが、この復刻でもそのことは確認でき、一方では、今まで気づかなかった、ロジェストヴェンスキーの知的な統率力を認識できたたことは収穫でした。演奏としての魅力は、特に後半の2楽章が印象的。中でも第3楽章の出来栄えは、全チャイ5録音の中でも際立っています。インテンポで極めて正確に進行しますが、そのことが曲の持ち味を生かすことに繋がっており、オケのやる気、自信、センスがバランスよく融合していることも手伝って素晴らしい演奏を繰り広げています。終楽章は遂にソ連ならではの強烈な金管の咆哮が物を言って迫力十分ですが、これも更に良質な復刻であったなら感動も倍増したことでしょう。バーンスタインと同様に、372小節の4分休符を2分休符に変更しているのは、ソ連勢ではロジェヴェンくらいでしょう。後半482小節直前ではっきりとテンポを落とすのもユニーク。ここからのホルンの裏旋律の咆哮が見事!526小節以降のヴァイオリンとヴィオラが、一糸乱れぬ運弓技を見せ付けるあたりもお聴き逃しなく。 |
第1楽章のツボ | |
ツボ1 | Yedann盤よりは多少マシだが、もやがかかったような音質のせいで、弱音の持続音が途中で消滅してしまい、ほとんどニュアンスを感じ取ることができない。日本で発売されたLPはこのようなことはなかったはずだが…。 |
ツボ2 | ごく標準的なアンダンテ。木管の歌いまわしは淡白。やはり音質が悪いために音像がぼやけるのが残念。 |
ツボ3 | スラーには聞えず、骨っぽさが残る。 |
ツボ4 | ティンパニ(遠くで布団を叩いているような音)と共にいかにも旧ソ連らしい骨太なサウンドが繰り広げられる。呼吸にはそれほど深い共感は感じられない。 |
ツボ5 | ほとんどテンポを落とさずストレートに進行。木管がピコピコ飛び出すのがユニーク。 |
ツボ6 | ここでもほとんどテンポを揺らさず、極めてクール。 |
ツボ7 | 多少金属的な固い音が気になる。弦に合いの手を入れる木管の特にファゴットが野太い音を出し、土臭さを表出。 |
ツボ8 | 直前のリタルダンドも含め、ここから本腰を入れて音楽を奏でる感があり、音質も明瞭さを取り戻しているように聞えるが、アゴーギクは「お約束」の範囲を出ず、どこか踏み込み切れないものが残る。 |
ツボ9 | 全くインテンポで進行し、巨匠的な確信に満ちた足取り見せる。16分音符は不明瞭。最後のトランペットのリズムが、いかにも旧ソ連流。 |
第2楽章のツボ | |
ツボ10 | 最初の低弦の導入は、それほど厚みは感じさせないが、全ての符点2分音符を強めに弾かせ、なにやら不気味な物々しさを醸し出している。ホルン・ソロは強靭な肺活量を生かして朗々と響かせ、その巧さは驚異的。その分、翳りのニュアンスの完全に後退。オーボエの強烈な張り出し方も同様。 |
ツボ11 | ティンパニのドロドロっとした轟きにより物々しい山場を築くが、根源的な力感を感じさせない。 |
ツボ12 | 意外にもここでテンポを落とす。クラリネットも一音ごとに丁寧に奏で、9連音も技巧に偏らず、心から音楽を慈しんでいる。 |
ツボ13 | 正確だが無機質。 |
ツボ14 | さすがに堂に入った表現。フォルテ4つ直前の呼吸の溜めもビシッと決まっている。 |
ツボ15 | 感傷を排した高潔なフレージング。 |
第3楽章のツボ | |
ツボ16 | 少しテンポを落とす。インテンポのまま。 |
ツボ17 | 通常は最も聞き取りにくいヴィオラの音型まで克明に弾きあげているのが分かり、ニュアンスもしっかり立ち上ってくる。 |
ツボ18 | 破綻がなく、一本のラインで見事に連動している。 |
第4楽章のツボ | |
ツボ19 | 終楽章まで来ると、第1楽章前半の音質のモヤモヤはほとんど晴れ、LPで聴いた印象と近くなる。ている。テンポは標準的。威厳に満ちたニュアンスと弦の精巧さが光る。ピチカートの威力も魅力満点。 |
ツボ20 | ホルンはほとんど裏方。強烈なエッジを立てるオーボエが印象的。 |
ツボ21 | 主部直前、ティンパニが静かにトレモロを続けている間、完全にインテンポを貫いているのが珍しい。ティンパニは主部冒頭で一撃有。その後トレモロのまま。テンポはカラヤンに近い標準的なテンポ。 |
ツボ22 | ほとんど無視。 |
ツボ23 | 明確に張り出してはいるが、意外と力感は感じさせずにクール。 |
ツボ24 | ほぼインテンポで突入。296小節冒頭のティンパニの一撃は、奇跡的な音! |
ツボ25 | ここはズボッとした音。 |
ツボ26 | インテンポ。 |
ツボ27 | 例の軍事パレード風ファンファーレが痛快だが、息継ぎが意外と雑。 |
ツボ28 | 8分音符の音価はやや長め。 |
ツボ29 | 最初の2小節間の8分音符のリズムは、弦も感もティンパニも完全に融合して初めて凄みと推進力が確保できることをここで証明!弦のテーマとトランペットの対旋律の比重も完璧なバランス。 |
ツボ30 | 弦もトランペットもレガートで統一。 |
ツボ31 | 改変なし。 |
ツボ32 | 明快に鳴っている。 |
ツボ33 | テンポを動かさず、堂々とした進行のまま締めくくる。全体が一丸となった分厚い響きが、まさに旧ソ連オケの威光を遺憾なく発揮しており、手ごたえ十分。 |
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