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ルドルフ・アルベルト(指)セント・ソリ管弦楽団 | |||||||||||||
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Accord 4769143[AC] |
録音年:1959年 パリ・ワグラム 【ステレオ録音】 | ||||||||||||
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カップリング/弦楽セレナード[ローラン・ドゥアット(指)ルクセンブルクRSO<'73>] |
“他に例のない個性的解釈の連続!” |
ルドルフ・アルベルトは現代音楽を得意とする指揮者で、1956年にメシアンの「異国の鳥たち」の世界初録音を行ったことで知られ、現代音楽ファンにはお馴染みのCOL
LEGNOレーベルや、BMGの「ドイツ現代音楽集」にも参加しています。そのアルベルトが指揮するチャイコフスキーとなれば、感傷を排したエルネスト・ブールのようなクールな演奏になるのかと思ったらこれが大間違い!スコアを厳格に再現するというよりも、スコアの全てを一旦解きほぐし、徹底的に再構築した極めて演奏なのです。その再構築の仕方そのものは冷静でありながら、出てくる音楽は実に濃厚でエキセントリック!よくありがちな、再構築作業そのものに自己満足して、聴き手に音楽の醍醐味を伝えてくれない演奏とは異なり、その独特の解釈の背後にチャイコフスキーの作品への並々ならぬ共感を感じさせるので、これは「ただの変な演奏」で片付けるわけには行きません!フランスのオケと言えばパリ音楽院と決まっていた頃に、かくも技量もセンスも備えたオケが活躍していたことも驚きです。 それにしても、なんと刺激的な演奏でしょう!出てくる音の全てが、スコアに書かれた音の単なる再現に止まらず、聴き手に対して「こんなに素敵な曲なんですよ!」と訴えかける意欲を孕んでおり、数々の改変も好き嫌いの問題ではなく、奏しなければいられなかった熱い思いを是非感じていただければと思います。特に第1楽章コーダ、終楽章コーダに顕著なようにテンポ設定の思い切りの良さは天晴れという他なく、乱暴な自己顕示のいやらしさがないのも見事。終楽章は特に個性的なアイデア満載で、主部中程(167小節〜)の運命動機の斉奏や、コーダの決め技のカッコ良さは史上屈指のもの!録音も古い割には良好なのも嬉しい限りです。 |
第1楽章のツボ | |
ツボ1 | いかにもフランス的なコクを湛えて良く響くクラリネットが印象的。テヌートの4分音符の下降でややテンポを落とし、ロマンディックな志向性を示す。 |
ツボ2 | 冒頭の弦の刻みが意外なほど小気味よいところに、早速アルベルトの一筋縄では行かない音楽性の片鱗が現れている。リズムの打ち込みは軽くても音楽までは軽くならず、不思議な味わいを感じさせる。 |
ツボ3 | ほんのわずかにアクセントが付く。 |
ツボ4 | 全てをスラーでつなげたような画期的フレージング!つまり、74小節の全ての8分音符が一続きに連なっているのだが、これによって絶妙な切迫感が生まれている。単にオケの弾き方のクセかもしれないが…。この直後、84小節で、突如ティンパニが咆哮し、テンポも追い上げ、凝縮力がアップ! |
ツボ5 | 最初のタイがやや長め。テンポはほとんど落とさないが、強弱の陰影が実に音楽的なニュアンスに富んでいる! |
ツボ6 | アクセントを強調してはいないが、身を粉にしたフレージングが心を打つ!アニマートの4小節のフレーズの沈静の仕方も吸い込まれるように美しい!しかし186小節で、その陶酔を打ち破るようにティンパニが強烈な一撃! |
ツボ7 | 美しいピチカート。チャーミングな表情も覗かせる。 |
ツボ8 | とろけるような愛の歌!181小節の最後で微かにポルタメンとがかかるが、ここではこれ以外考えられない。 |
ツボ9 | ここから加速!16分音符は明瞭ではないが聞き取れる。この加速は更にヴォルテージを高め、ティンパニの強固な打ち込みとともに戦慄の緊張感を意味出している。 |
第2楽章のツボ | |
ツボ10 | 弦の序奏は一音ごとに丹念に表情を込め、情y巻が溢れている。ホルンは、ヴィブラート全開で明るい音色ながら、作品の内面に寄り添牛製が感じられるので、音楽的な説得力あり。 |
ツボ11 | ここもティンパニの打ち込みが強烈! |
ツボ12 | このクラリネットは。ヴィブラートがわざとらしく珍妙に聞こえるが、続くファゴット初めてする木管の走句はそれも深い味を出している。この後、99小節のTempo Precedenteから空前絶後の高速に転じ、ピチカート登場まで猛進!確かにスコア上にもここにあえてテンポの指示があるが、それ以上に高速テンポを敢行したは例は他に思いあたらない。 |
ツボ13 | やや低弦よりのバランス。この後の弦と木管の掛合いは、まさにフランスのオケで聞く醍醐味が満点! |
ツボ14 | 直前まで加速しておいてから、一呼吸置いてからフォルテ3つになだれ込む。凄いのはこの後!149小節からテンポを速める指示があるが、これを見事に実行した希少な例!しかも、金管の廉16分音譜の連音を突出させながら頂点を目指し、フィルテ4つで極限のパワーを大噴射!そこには小細工が一切ないので、止むに止まれぬこの高揚に手に汗握ること必至!つかの間の沈静を経て、158小節からの運命動機の再現も異常な高速!それによって、その後の夢遊的な表情が一層引き立つ。165小節からのクラリネットとファゴットのユニゾンの存在感にもびっくり! |
ツボ15 | 表面的なデリカシーとは無縁。息の長い心のこもったフレージング。 |
第3楽章のツボ | |
ツボ16 | この楽章の最初の2〜3秒だけ、なぜかモノラル。中間部への入りは全くのインテンポ。しかも、フレージングがブレない。サクソフォンのように軽やかなファゴットにもご注目を! |
ツボ17 | この楽章がいかに木管が物を言う音楽であるかが実感できるほど、素晴らしいニュアンスの連続。 |
ツボ18 | 距離が遠く不明瞭。 |
第4楽章のツボ | |
ツボ19 | テンポ自体は標準的なもので、弓圧も決して強靭ではないが。深々と風格の空気が溢れ、独特の威厳を表出。トランペット動機はフォルテで飛び込む。 |
ツボ20 | 裏のホルンもよく聞き取れるが、オーボエが独特の音色で存在感と牽引力を示しているのが特徴的。 |
ツボ21 | 主部直前でティンパニが激しく急速にクレッシェンド。その後81小節まで弱音のトレモロをキープ。テンポはやや速め。弦の刻みが強靭で鋭利。意思の力満点の推進力!70小節の木管の際立ち方の鮮烈。 |
ツボ22 | 全く無視。 |
ツボ23 | バスはあえて音量を抑えているように聞こえるが、よく聞くとファゴットとバランスを保っていることことがわかる。だとしたら、その配慮も他にあまり例を見ない。 |
ツボ24 | ほとんどインテンポのまま突入。 |
ツボ25 | 今までの例からここも強烈な一打を期待したが、ここは普通の鳴り方。 |
ツボ26 | 完全にインテンポ。 |
ツボ27 | ここもインテンポ快速。極めて勇壮で感動的!452小節と454小節のティンパニはそれぞれ一音追加(バーンスタイン盤と同じ)しており、その響きも立派! |
ツボ28 | 楽譜の音価より若干長め。 |
ツボ29 | 実に清々しい進行。腰を抜かすのはこの後!!483小節と485小節に3連音でトランペットの合いの手が入るが、484小節の弦楽器がそれに呼応するように、16分音譜を3連譜に変更している!単なるアンサンブルのズレかと思って聞き直したが、どう聞いても正確に3連恩音を刻んでいるのである。しかも、その前の482小節は通常通りに弾かせ、この小節のみ変更しているのだから、なんとも凝った演出!もちろん他に例がない。 |
ツボ30 | 弦もトランペットも音を切っている。 |
ツボ31 | トランペットの音型に改変なし。但し、502小節の頭でシンバルの一撃(セル&クリーブランド盤と同様)を追加!セルよりもバッチリと決まっていう。ちなみにアルベルトは、ドヴォルザークの「新世界」(Accord*4769147)の終楽章でもシンバルを追加していた。よほどシンバルが好みだったのだろうか? |
ツボ32 | モルト・メノ・モッソからスパッとギア・チェンジして高速進行に転じる。また、トランペットは一人だけで高声部を吹かせているようで、その違和感は全くなく、かえっ切れの良いてスピード感を出すことに成功している。 |
ツボ33 | 快速インテンポのまま終わると見せかけておいて、符点2分音譜のみを長く引き伸ばし、最後の4つの和音を機関銃のように打ち込むという、だまし討ち的終結!! |
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