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エドワルド・セーロフ(指)ヴォルゴグラード・フィルハーモニー管弦楽団 | |||||||||||||
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ES-DUR ES-2013 |
録音年:1993年6月 ヴォルゴグラード・セントラル・ホール 【デジタル録音】 | ||||||||||||
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※カップリング/R・コルサコフ:スペイン奇想曲 |
“止まるところを知らぬ表現意欲を芸術的に統合する驚異的手腕!” |
セーロフは、レニングラード音楽院で学んでムラヴィンスキーの薫陶を受け、1969年にはカラヤンコンクールに入賞。以後世界的な活躍に乗り出した指揮者で、kontrapunktレーベルから出ているニールセンの交響曲全集でご記憶の方も多いことでしょう。ヴォルゴグラード・フィルとは1990年以来の付き合いで、このチャイ5は、両者の関係がいかに緊密なものであるかを示すだけでなく、セーロフの瑞々しい感性が音楽的感銘に確実に繋がった感動的な演奏となっています。ヴォルゴグラードは、北コーカサスに位置するロシア連邦の一州で、BPOのような輝かしい機能性こそありませんが、全霊を傾けた音楽への打ち込み方が素晴らしく、この意気込みがこの名演にさらに拍車をかけています。第1楽章の颯爽とした進行と、声部バランスの絶妙さ、響きの弛緩のなさは師のムラヴィンスキーを彷彿とさせますが、決してその亜流などではなく、全ての表情がそうせずにはいられない心のときめきに満ちているので、独特の説得力を生んでいます。第2楽章中間部の腰の据わったテンポ、各声部の隅々にわたる凝視力、ピチカート以降の入念な歌、最後の運命動機の高揚からコーダにかけてのテンポ設定の妙など、下記の“ツボ”も太字だらけになってしまったほど魅力は尽きません。第3楽章の羽根のような軽やかなフレージングも、単なる偶然とは思えず、中間部の細かいパッセージを互いに聴き合って丹念に表情を交わす風情も、そうそう聴けるものではありません。終楽章は、セーロフの音楽性満点のアイデアが縦横無尽!引き締まった音像と快速のテンポは、ムラヴィンスキーそっくりですが、普段埋没している裏の声部に至るまで意味を持たせ、それがわざとらしくなく、有機的な意味合いを以って迫るのです。最初のトランペットの運命動機を裸で強奏させ、それが単なる意表を突いた突出で終わっていないことに気付かされると、彼の才能をますます確信。主部突入で、まず木管の主役に立てて弦に移行する鮮やかなレスポンスと緊張の増幅力は、全く前代未聞の技!速いテンポの意味、テンポを切り替える意味、弦と金管のバランス等、全てが既成概念に縛られない自由さに溢れていながら、独善的ならず、ただひたむきな共感の表われとして聴き手に訴え掛けることができる才能には驚嘆を禁じ得ません。表面的なオケのテクニックや、感覚的な痛快さではなく、どうかその意味深い音のドラマをご堪能下さい! |
第1楽章のツボ | |
ツボ1 | クラリネットの響きはややムラがあるが、先へ進むにしたがって一貫したロシア的な逞しさを湛えた響きを醸し出す。主部直前の頃になると弦との溶け合いも良好。 |
ツボ2 | テンポはやや速めで、悲嘆に暮れない。木管の主題はここでも張り出しが強い。 |
ツボ3 | 弦の響きが、ややぎすぎすしている感じ。 |
ツボ4 | 強弱の切り替えしが俊敏。ムラヴィンスキーの影を感じる。 |
ツボ5 | スラーの意味を入念に生かしつつ、呼吸の振幅を大きくとった素晴らしいフレージングを展開! |
ツボ6 | アニマート直前のクレッシェンドの何と自然なこと! |
ツボ7 | ここからややテンポを速める。クラリネットの跳躍音型の張り出しがここでも強力。 |
ツボ8 | テンポを落として、甘美なニュアンスをしっかり表出。低音の弦に至るまで、歌に溢れている。 |
ツボ9 | 16分音符の頭をよく聞こえないが、リズムの立ち上がりは実に明快。その鋭利な緊張感が弦に引き継がれ、確信に満ちたインテンポのまま幕を閉じる。トランペットが荒いのだけが難点。 |
第2楽章のツボ | |
ツボ10 | 低弦の導入は神経質にならず、素直なフレージングが心地よい。ホルンは一箇所音、フレーズの立ち上げ時に音が出ないところがあるが、流れは美しい。オーボエはやや明るすぎる。 |
ツボ11 | フォルティシシモの符点4分音符と、次に来るスラーの音型を丁寧に分けてフレージングするのが珍しい。しかも不自然にならない。 |
ツボ12 | 第1楽章から随所で聴かれるクラリネットの独特の音色がここでも確認できる。土の匂いを感じさせるその音色は、決して技巧的ではなく、不思議と心に迫るものがある。ただ、ここはやや気負い過ぎのようだ。 |
ツボ13 | 各和音ごとに。丁寧に思いを込めている。続く弦の木管の音楽的な語り掛けも素晴らしい。 |
ツボ14 | 142小節からインテンポで駆け抜け、フォルテ4つの頂点で大きくリタルダンド。その後テンポを立て直すのが通例だが、ここでは落としたテンポのまま、運命動機の再現まで進むのが進むのが異例。 |
ツボ15 | デリカシーに溢れ、ホルンの柔らかなリズム打ちと共に香気を漂わせる。 |
第3楽章のツボ | |
ツボ16 | 完全なインテンポで成功した例。 |
ツボ17 | 巧妙さはないが、各パートが目配せしながら対話しているようなニュアンスが、心に染み入る。 |
ツボ18 | 隙のない美しいラインを描いている。 |
第4楽章のツボ | |
ツボ19 | 威厳に満ちている。テンポはやや速め。響きのクオリティも良好。この後のトランペットがいきなりフォルテで飛び込んでくるのにはビックリ!スフォルツァンドの指示を遵守した結果。しかし、その直後クレッシェンドして18小節では再びフォルテとなり運命動機を神をお告げのように印象付ける。これが実に説得力絶大! |
ツボ20 | ホルンはほぼ裏方。ホルンと木管の絡みが終わると、トランペットの動機が再び強奏。先の強奏と連動していることに気付かされる! |
ツボ21 | これまた画期的!冒頭でティンパニを完全に消し去り、木管のリズムの弦だけでエネルギーを次第に増幅させ、次第に声部が増えるに従ってティンパニもフ浮上させて音の厚味を深めていく!しかもその音の積み上げの完璧なこと!!ムラヴィンスキー並みの快速テンポも、効果絶大。 |
ツボ22 | 2分音符にアクセントを付けるというよりも、次の8分音符に?げるための「足場」として生かしている。 |
ツボ23 | コントラバスも魂を込め抜いているが、他のパートも鳴らしきって、全体に響きが飽和状態にならず調和しているのが驚異的! |
ツボ24 | 完全にインテンポ。 |
ツボ25 | 強打ではないが、次の金管の音型を引き立たせるのに意味を持っている。 |
ツボ26 | ここでも確信を持ってインテンポ。 |
ツボ27 | かなりの快速テンポ。しかも決死の響き! |
ツボ28 | 8分音符の音価はやや長め。 |
ツボ29 | 冒頭から管楽器にも強靭にリズムを刻ませ威厳を誇示。弦が加わると引き締まった強靭なソノリティがさらに横溢。の |
ツボ30 | 弦は切る箇所とテヌート気味にする箇所をしっかり区別し、トランペットは一貫して明確に音を切っている。この細かな配慮も前代未聞。 |
ツボ31 | 改変なし。直後のsfffの生かし方も、アバド&BPO盤以上の説得力。 |
ツボ32 | 良く聞えるが、周りの音の厚味に比べてやや軽い。 |
ツボ33 | 546小節から快速に転じ、完全なインテンポのまま終わる。 |
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