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ゲオルグ・ショルティ(指)シカゴ交響楽団 | |||||||||||||
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ユニバーサル UCCD-3749 |
録音年:1987年9月 シカゴ・オーケストラ・ホール 【デジタル録音】 | ||||||||||||
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※カップリング/バレエ音楽「白鳥の湖」(7曲) |
“ショルティお気に入りのチャイ5のこれが最終結論!” |
どの楽章も、前回の録音より演奏時間が短くなっていることにも象徴されるように、剛直さよりも、完全に気心の知れた主兵オケの自発性を尊重しているのがまず印象的で、ショルティ自身の円熟味も、ここへ来て頂点を極めた感があります。自発性といっても、ショルティの意思を汲んだ表現に徹していることは言うまでもなく、前回の同コンビの演奏のスタイルを踏襲している部分が多いのですが、表情が一層伸びやかで、人間味を増し、聴き手の琴線に触れる演奏になっているのです。第2楽章の副次旋律が弦で切々と歌われる箇所は、前回の録音でも心に染みましたが、この録音ではさらに懐が深くなり、コーダの息を潜めた繊細極まりないピアニッシモは、にわかに信じがたいほど美しく、何度聞いても涙を誘います。第3楽章の軽やかさは、良い意味で肩の力を抜いたリズムの自然な弾力が心地よく、まるで天上の響き。これだけでも、この再々録音の価値は十分に伝わりますが、終楽章はさらに驚き!速めのテンポ設定、主部突入時のティンパニの処理、499小節のトランペット音型の改変など、ここへ来て初めて取り入れる手法が登場するのは、ショルティがその都度真摯に作品を見つめ直している何よりの証しで、特に721小節(7:33)で、クーセヴィツキー盤同様に8分休符を挟み入れているのは、かなり多岐にわたりスコアを比較検討した結果のことでしょう。結局これがショルティの最後のチャイ5録音となったわけですが、75歳にして円熟を極め、持てる音楽性の全てを注ぎ込んだ名演として、多くの人に聴いていただきたい逸品です。私自身、この演奏を耳にして、ショルティの音楽性のほんの一部分しか認識していなかったことを痛感した次第です。なお、シカゴ響のヴィルトゥオジティに照準を合わせて聴きたい方は、'75年盤のほうがお気に召すことでしょう。 |
第1楽章のツボ | |
ツボ1 | 全体に筆致が太く、逞しい造型で迫る。2本のクラリネットの色彩も、弦の厚味も磐石で、凄み全開。柔軟なアゴーギクも印象的。 |
ツボ2 | 切々とした詩情が漂う。 |
ツボ3 | 多少アクセントが付く。 |
ツボ4 | 音の線は太いが、憂いを湛える。 |
ツボ5 | インテンポ進行が、前回録音よりもしなやかで、フォルムが美しい。洗練された美の極み。 |
ツボ6 | アニマートの箇所からテンポを落としてたっぷり歌うが、あくまでも毅然としている。 |
ツボ7 | 力感が漲ると共に優しさも覗かせる。 |
ツボ8 | かつてのどの録音よりもセンチメンタル。ポルタメントが掛かる寸前まですすり泣いている。 |
ツボ9 | 強弱の付けかたが念入り。勇壮な響きを経て、最後の消え入り方にも強い意思を感じる。 |
第2楽章のツボ | |
ツボ10 | 低弦の旋律線が極めて克明なのは今までどおりだが、繊細さと深みを加味。ホルンは完璧。繊細なニュアンスがふわっと漂うといった風情ではないが、安心して身を委ねることができる。クラリネット、ファゴットと続く旋律は、表情が深く、美しさの極み! |
ツボ11 | この騒ぎ散らすことのない風格!ふっくらとした呼吸が心の迫る。 |
ツボ12 | 前回録音と同じ奏者と思われる。感動的な巧さ! |
ツボ13 | 今までの鋼鉄ばりの響きから一変!優しくまろやかに響かせ、続くアルコの弦とオーボエのフレージングへ美しく連なる。 |
ツボ14 | 今までのどの録音よりも呼吸、表情共に深く、フォルムが美しい。フォルテ4つの手前でテンポは落とすがルフト・パウゼ風にならず、一呼吸で高潮点に登り詰める。 |
ツボ15 | 極限のピアニッシモで開始!彼岸の境地に感動! |
第3楽章のツボ | |
ツボ16 | この楽章の第一音から一貫してインテンポ。 |
ツボ17 | 前回の録音と双璧の完璧さ。こちらの方がゆとりが感じられる。 |
ツボ18 | 今回も完璧。 |
第4楽章のツボ | |
ツボ19 | 筆致が太く堂々としている今までと同様だが、響きがふくよかになっている。音程の確かさは言うまでもない。 |
ツボ20 | ホルンはほとんど裏方。 |
ツボ21 | ティンパニが冒頭でクレッシェンドして一撃を加える。その後は弱音でトレモロを続ける。前回よりも速めテンポ設定で、ショルティらしい決然とした進行を見せる。 |
ツボ22 | 多少生かしている程度。 |
ツボ23 | 量感十分。クラリネットが巧さは必聴! |
ツボ24 | ほんのわずかテンポを落とす。 |
ツボ25 | 角の丸い響きだが、全体とのバランスは良い。 |
ツボ26 | 主部冒頭のテンポに戻る。 |
ツボ27 | ややテンポアップする。 |
ツボ28 | 本来の音価どおり |
ツボ29 | 弦の音程があまりにも正確で、一台の巨大楽器のように響く。 |
ツボ30 | 弦はテヌート風。トランペットは完全にテヌート。 |
ツボ31 | なんとこの録音で初めて改訂版を採用。 |
ツボ32 | 自然な臨場感の中、立派に鳴り渡る。フォルムも完璧 |
ツボ33 | 546小節から最後まで完全なインテンポ。堂々たる終結。 |
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