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チャイコフスキー:交響曲第5番
ハンス・スワロフスキー(指)南ドイツ・フィルハーモニー管弦楽団
第2楽章ホルン・ソロ/
HIGHLAND
CLD-1243
録音年:不明 【ステレオ録音】
演奏時間: 第1楽章 13:58 / 第2楽章 11:54 / 第3楽章 5:47 / 第4楽章 12:35
■このCDは廃盤ですが、中古でよろしければ捜索いたします。
“スワロフスキーの遺した知られざる名演!”
福田康夫首相の座右の銘「光れども輝かず」という言葉が見事に当てはまる味わい深い演奏。アバドやメータの師匠として知られながら、指揮者としてしての力量は疑問視されることが多いスワロフスキー。しかし、この演奏だけで判断すれば、決して取るに足らない指揮者などでなはなく、例えばS・イッセルシュテットの演奏と言われても信じてしまう人が多いと思われるほど、実直さと一途さ、一本筋の通った安定感のある造形力は極めて得難い魅力です。かつて日本でもCD化された「幻想交響曲」などと同時期に行われた録音と思われ、録音は古めかしいいですが、それを上回る魅力がいっぱい詰まっています。演奏スタイルは実にオーソドックス。自分を出そうというきはこれっぽっちもなく、かといって無機質な演奏に陥らずに、音楽の魅力自体をじっくりと聴き手に届けてくれるのです。特に注目すべきは第2楽章。甘美なフレージングの連続を決してこびることなく見事に描き分け、しかもこの録音に対して周到な準備を持って望んだことを窺わせるきめ細やかな表情の数々が心を捉えます。終楽章は後半に進むにしたがって熱気が増しますが、聴き手に腰を据えてしっかりと音楽を届けるという使命は決して捨て去っていないので、聴く側は最後まで音楽を味わうというゆとりを持てるのです。
さらに、特筆すべきはオケの巧さ。もちろん現在のシカゴ響のような巧さとは次元が異なり、機能性が優位に立つことなくセンスのみで勝負しているので、軽く聴いただけでは「巧い」という印象を持てないかもしれませんが、昔のウィーン・フィルに対して用いる意味での「巧さ」がここには明らかに存在しているのです。少なくともチャイ5ファンであれば聴いておいて損はない逸品です!
第1楽章のツボ
ツボ1 ごく標準的なテンポで、細部にこだわらずにオーソドックスな進行を続けますが、クラリネットの音色感は伝わり、弦との融合も美しい。上層部広範に進むにしたがって陰影が濃くなる。
ツボ2 クラリネットとファゴット融合はまずまず。ここでもテンポは中庸だが、メカニックな響きに陥っていないので素朴な味がある。が
ツボ3 特に特徴はなく楽譜どおり。
ツボ4 極端な呼吸の減衰は避け、ここでも素朴そのもの。
ツボ5 スフォルツァンドをかなり意識して実行。一気に緊張が走る。テンポはそのままだが、その自然な進行がむしろしっくりと来る。
ツボ6 基本的にインテンポのままで、アニマートに差し掛かってからややテンポを落とす程度。
ツボ7 絶品の響き!この時代のドイツ・オケ特有の響きとでもいおうか、木目調の風合いが魅力。テンポはここでも不変。
ツボ8 直前でも一切テンポを落とさずそのまま突入。しかし表情には多少甘美さ盛り込み、最小限のメリハリは与えている。
ツボ9 16分音ピアノは不明瞭。テンポもインテンポのままだが、実に素晴しい風格美を披露!スワロフスキーにこんな一面があるとは思いも寄らなかった。ちなみにこのような熟練技を思わせる格調高いニュアンスはここだけではなく、全楽章を通じて随所に散りばめられている。
第2楽章のツボ
ツボ10 弦の序奏は演出一切なし。特に最初のクレッシェンドとディミニュエンドはいかにも素朴。ホルンはヴィブラートが多少かかるが嫌らしくなく、技巧的にも安定してる。何よりも音楽を感じながら誠実に吹いているのが良い。クラリネットの合いの手も効果的。
ツボ11 爆発的な大音量こそ出さないが、フワッと包み込むようなスケール感が見事にキマッている。
ツボ12 テンポはインテンポ。クラリネットの9連音が微妙に不安定になるのが惜しい。注目はその後の75小節!この後各小節どとに結尾をサッとディミニュエンドし、ため息をつくような余韻を与えるのは画期的!これに近い表現を行なう指揮者もいるが、ここまでニュアンスが結実した例はない!この演奏全体の白眉と言いいたい瞬間。
ツボ13 かなりの弱音。そのためハーモニーの焦点がやや曖昧になっているのが残念。
ツボ14 ここでもテンポをストレートに突入。それが返って男らしい逞しさを感じさせ、納得させられてしまう。アゴーギクは最少。フォルテ4つの頂点に至るまでに緊迫感がじりじりと増し、遂に炸裂。巧妙な計算を感じさせない一途な熱さに打たれる。
ツボ15 真のピアニッシモが出現!このオケの弦が持つ潜在的なクオリティの高さも感じるが、このテクスチュアの風合い感は一度接したら忘れられない。
第3楽章のツボ
ツボ16 わずかにテンポを落とす。しかも、ファゴット以降の管の音の隈取が極めて明瞭。
ツボ17 メカニックな意味での面白さには掛けるが、個々の楽器の持ち味が中庸のテンポによってはっきり感じ取れる。
ツボ18 完璧!かなりオンマイクで捉えられているのではっきり聞き取れる。この曲を演奏しようとする全てのクラリネット、ファゴット奏者は、まずこの演奏を耳に焼き付けるべし!
第4楽章のツボ
ツボ19 やや遅めのテンポで慎重に滑り出し、不安と期待が入り混じったような表情を醸し出している。このテンポで意味深いニュアンスを出した演奏は実はあまり多くない。その後の弦のピチカートこれまた素晴しいい響き!
ツボ20 ホルンは完全に裏方だが、ハーモニーを支える機能を確実に果たしている。この間のニュアンスの深みも例えようなく素晴しい。
ツボ21 ティンパニは終始一定の音量でトレモロのまま。テンポはやや快速。弦の刻みはかなり強靭。
ツボ22 全く無視。
ツボ23 輪郭は不明瞭だが意志の強さは伝わる。
ツボ24 テンポ不変。
ツボ25 鈍い。
ツボ26 テンポ不変。
ツボ27 ややテンポアップ。トランペットが巧い。
ツボ28 楽譜の音価に忠実
ツボ29 ゆったりとしたテンポによる演奏としては理想のもの。冒頭の弦の刻みは勇壮、管のハーモニーのブレンド管も見事。弦が奏するテーマは地に足がしっかり着いており。安定抜群。
ツボ30 弦は音を切るが、トランペットはテヌート気味。このトランペットは深みと輝きを併せ持つ素晴しいい響き!
ツボ31 改変型。
ツボ32 右後方からはっきり聞こえる。これまた純朴な響き。
ツボ33 このコーダも先を急がずにじっくりと進行。この演奏全体のスタイルを象徴するような実直な進行だが、この安定感と手応えは破格のもの。の


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