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チャイコフスキー:交響曲第5番
ウラジーミル・ヴェルビツキー(指)スロヴァキア・フィルハーモニー管弦楽団
第2楽章ホルン・ソロ:
CLASSIC
VISIONS
5366[CV]
(2CD)

録音年:不明  【デジタル録音】
演奏時間 第1楽章 14:24 / 第2楽章 11:47 / 第3楽章 6:00 / 第4楽章 12:21
カップリング/序曲「嵐」、交響曲第6番「悲愴」、ロマンスOp.5、舟歌
“無私無欲!“無表情という表情”で一貫した不思議な説得力!”
チェコのOPUSレーベルのライセンスCD。これは他に類を見ない不思議な魅力を持つチャイ5です。この演奏はとにかく地味。迫力、スケール感、ロシア的な情感など、この曲に期待しがちな要素の一切がここにはなく、普通ならただ聴き映えのしない演奏で終わるところですが、なぜか最初から最後まで引き付けて離さない魅力あるのです。テンポの変動も極めて少なく、オケにも華々しい技巧を感じることもないので、その魅力を説明するのは困難ですが、一言で言うとしたら、「誠実さ」でしょうか?確かに、誠実なだけなら他にもたくさんあります。しかし、自分の主張を出すのではなく、スコアに書かれた音符を音楽的に鳴らすことに終始しながら無味乾燥に陥らず、音色の統一感、内声の完璧かつ自然なバランスを一貫して保持したこの安定感は、とても偶然の産物とは思えず、通常使われる「誠実」という言葉の意味以上の誠実さを込めているからこそ、最後まで聴き手を引きつけるのではないでしょうか?そのスタイル、音色の統一感は終始一貫しており、どの部分をとっても、目立たない裏のパートに至るまで、惰性で鳴っている箇所などまずありません。これらの要素が一体となった安定感が、音楽的な感銘に繋がっているように思えます。ヴェルビツキーのその姿勢と、スロヴァキア・フィルのひたむきにアンサンブルに徹する態度が幸せな形での融合していることも無視できません。スロヴァキア・フィルは、チェコ・フィル同様、やや細身の音色ですっきりと音が立つ反面、中低域の量感には不足するため、骨太で豪快な解釈をする指揮者との演奏は、両者の持ち味が出し尽くされないまま終わってしまうことが多いですが、その点でもこの演奏はまさに理想的。第2楽章のコーダなど、どんな指揮者でもそれらしく詩情を漂わせるのに苦心するものですが、ここでは「無表情と紙一重」の表情があるのです!このチャイ5は、演奏において奏者の個性の反映が不可欠とする常識を覆す可能性をも孕んだ演奏として、いろいろ考えさせられるものであることは確かです。なお、ヴェルビツキーは、ぺシェックの後任として、1982年から1984年まで、このオケの主席を指揮者を務めました。
第1楽章のツボ
ツボ1 クラリネットも弦も陰影に乏しいが、響きの均整は取れている。テンポは標準的で、インテンポを基調。
ツボ2 牧歌的な素朴さが漂う。
ツボ3 不器用ながら誠実な奏で方。
ツボ4 テンポこそ落とさないが、一音ごとに丁寧に下降する。
ツボ5 強弱の振幅は抑え目。誠実なフレージングを心がけている。
ツボ6 決して表情を誇張しない。響きの美感に欠けるが、しみじみとした共感が滲み出る。
ツボ7 インテンポで、ここでも表情を変えない。しかし無機質ではなく、端正な職人芸の雰囲気を醸しだしている。
ツボ8 ここもほとんどテンポを落とさず、積極的に表情が沸き立つこともない。しかし誠実なフレージングが好感触。
ツボ9 テンポは変えていない。16分音符の頭は聞き取れる。スケール感はないが、響きが制御され、心からの共感を込めた朴訥な音像が印象的。
第2楽章のツボ
ツボ10 弦は各音符の表情を入念に施すのではなく、楽譜の指示の範囲を出ない。ホルンが素晴らしい。インテンポを貫きながら呼吸感を感じさせ、微かなヴィヴラートも嫌味でなく心に迫る。オーボエも巧い!
ツボ11 強烈なパンチで圧倒せず、インテンポでサラッと流れる洗練されたフレージング。
ツボ12 クラリネットは明朗すぎるが、技術的には万全。続くファゴットが心に迫る。
ツボ13 ここもテンポを変えないので、結果的に通常よりも速めのテンポになっている。ピチカートの木目調の響きが印象的。続く弦と管楽器の温かな風情が漂う対話も美しい。
ツボ14 142小節の冒頭は迫力に欠けるが、やや速めのインテンポで堅実にフレージングを重ね、フォルテ4つの高揚は、今までが地味路線だっただけに強いインパクトがある。142小節最後の8分音符と次の2連の8分音符を全く同じ音価で弾かせているのが珍しい。
ツボ15 全く情に溺れない。やや速めのテンポで淡々と進行するが、無機質な印象はなく、むしろ内面から込み上げる共感が滲み、不思議な求心力がある。この曲全体の演奏スタイルを象徴している箇所。
第3楽章のツボ
ツボ16 ほとんどテンポを変えない。
ツボ17 全くと言っていいほど特徴がなく、技術的に華麗な面もないのだが、なぜか訴え掛けるものがある。音色の均質性によるところが大きいかもしれない。
ツボ18 強く張り出さないが、美しい下行ラインを描く。
第4楽章のツボ
ツボ19 弦はまさにメゾフォルテで、節度を持って鳴らしている。大袈裟に威厳を振り撒いたりしない。
ツボ20 ホルンは木管はほぼ同等のバランス。
ツボ21 固いティンパニが冒頭でクレッシェンドした後、62小節で少しだけクレッシェンド、66小節で明確にクレッシェンド。弦が明確にリズムを刻むが、ティンパニと溶け合ってはいない。テンポは中庸。
ツボ22 無視。
ツボ23 明確に旋律線として打ち出すのに止めている。室内楽的なバランスが保たれている。
ツボ24 主部冒頭のテンポのまま。
ツボ25 強打ではないが、響きが固いのでよく響く。
ツボ26 インテンポ。
ツボ27 ややテンポアップ。しかしこれ見よがしにテンションを高めることはない。
ツボ28 8分音符は本来の音価より長め。
ツボ29 テンポは標準的。全パートが絶妙のバランスで融合している。堅実かつ地味な進行だが、音楽的な説得力に満ちている。
ツボ30 弦ははっきりと音を切り、トランペットはテヌート気味。このトランペットの美しさは必聴!
ツボ31 502小節のみ、弦の音型と合わせているようだ。全体の響きが飽和していないので、フルートの音型まで生かされていて、絶妙なバランス。
ツボ32 一音ずつ丹念に響かせている。
ツボ33 546小節から完全なインテンポ。最後のティンパニ連打が固い響きで轟くが、威圧感はない。スケール感には乏しいのだが、しっかりと味わいを残す。


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