湧々堂HOME 新譜速報: 交響曲 管弦楽曲 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 オペラ バロック 廉価盤 シリーズもの マニア向け  
殿堂入り:交響曲 管弦楽 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 オペラ バロック SALE!! レーベル・カタログ チャイ5



AMBRONAY
(フランス)



ハルモニア・ムンディ傘下のレーベルAMBRONAY。フランスの古都アンブロネーは、音楽の聖地。アンブロネーには、1000年の歴史をもつ石造りの修道院があり、その音響はまさに最高、数々の演奏家たちを魅了しつづけてきました。その修道院では、四半世紀にわたって古楽フェスティヴァルが毎年開催されています。エスペリオンXXI&サヴァール、ザ・レア・フルーツ・カウンシル、レザール・フロリサン・・・極上の演奏者たちが集まり、素晴らしい音響の修道院内で毎晩開かれるコンサートは、実に親密な雰囲気で贅沢きわまりないもの。こんな夢のようなコンサートをお届けすべく、アンブロネー音楽祭が立ち上げたレーベルです。


※表示価格は全て税込み。品番結尾に特に表記のないものは、全て1CDです。
品番 内容 演奏者
AMY-001(4CD)
モンテヴェルディ:倫理的・宗教的な森 アディリアーナ・フェルナンデス、
フィリップ・ヤロフスキ、
ファビアン・ショフリン、
ステファン・ファン・ダイク、
スィリル・オーヴィティ、
ベルトラン・シュヴェル、
ステファン・アンボーデン、
セルジオ・フォレスティ、
ローザ・ドミンゲス、クリストフ・カレー、
ガブリエル・ガッリード(指)
エリマ・アンサンブル
作曲家モンテヴェルディの粋が集まったこの作品をガッリードがみごとに再現。彼は、1641年に出版された版をもとに研究をかさね、注意深く作品を分析し、作品を4 つの部分にわけています。第1部は「宗教的な典礼」と題して、4 声の無伴奏ミサ曲、協奏的ミサ曲など、第2 部は「晩課」と分類し、“主はわが主に言われた”と“主を恐れるものは幸いなり、そして“マニフィカト”。第3 部はこの録音の最も革新的な部分で、この森の曲集の中からガッリード自身がクリスティアン・マルティルスに捧げるとして“マルティーリの晩課”を新たに編みなおしました。当時よく歌われたそして第4 部は個々人と神との関係に焦点をあて、聖母マリアの嘆きなどが納められています。経験と訓練から得られた、まさにモンテヴェルディの演奏のひとつの金字塔と呼ぶにふさわしい力演です。  (Ki)
AMY-002
スカルラッティ:ソナタ集 アーリン・ジルベライク(クリストーフォリ・モデルの56鍵フォルテピアノ)
クリストーフォリは、ピアノの原型を発明した人としてその名を歴史にのこしています。スペイン・ポルトガルの女王から依頼されて開発した楽器は、女王の音楽の師、ドメイコ・スカルラッティにも愛用されました。アンブロネー修道院の類まれなる音響の中で響くこのフォルテピアノの音色は、色彩豊かで、微妙な陰影も自在に表現しています。ジルベライクの自由闊達な演奏に、身も心も躍ります。ジルベライクはストラスブール国立音楽院で教鞭もとる実力派です。 (Ki)
AMY-004
A・スカルラッティ:オラトリオ「ジュディッタ」 セリーヌ・リッチ(S ジュディッタ)
アドリアーナ・フェルナンデス(S オツィアス)、
マルティン・オーロ(CT オロフェルネ)、
ヴィンチェンツォ・ディ・ドナート(T アキオーレ)、
マリオ・チェッケッティ(カピターノ)
ブルーノ・ロスタン(Bs 祭司)、
マルタン・ジェステル(指)パルルマン・ド・ミュジーク


録音:2004年
アレッサンドロ・スカルラッティの「ジュディッタ」は、1693 年にナポリで発表されたオラトリオ。キリスト教の第二正典のエピソードの中でもとりわけ人気の高い、将軍ホロフェルネスの首を切り落としたユディトの話です。バロック音楽の指揮者、鍵盤楽器奏者として、近年急速に名声を高めているマルタン・ジェステルと、手兵パルルマン・ド・ミュジークによる演奏。フィレンツェ生まれのソプラノ、セリーヌ・リッチ、ブエノス・アイレス生まで、サヴァールなどから重用されているソプラノ、アドリアーナ・フェルナンデスなど、キャストも優れています。
AMY-005
ヨハン・アドルフ・ハッセ(1699 〜 1783):オラトリオ「荒野に燃え立つ蛇(Serpentes ignei in deserto deserto) ジェローム・コレアス(指)レ・パラダン、
ヴァレリー・ガベイユ(天使/ S)、
イザベル・プルナール(ヨシュア/ S)、
ステファニー・ドゥストラック(エリヤ、ナタナエル/ Ms)、
アンネッテ・マルケルト(モーゼ/C.A)
、ロバート・エクスパート(エレアザル/C.T)
本格的古楽の祭典、アンブロネー音楽祭レーベルより、ハッセの名曲「荒野に燃え立つ蛇」の初録音の登場。1735.6年か、1739年に作曲されたとされており、当時ヴェネツィアでよく行われていた慣習として、ラテン語のテクストで、詩篇51 のミゼレー レの序章として書かれたと考えられています。そのため、この作品はアリアの途中で終わっています。ハッセ自身が当時大人気 の歌手と結婚していたということもあり、彼は歌のことを知り尽くしていました。技巧的に華やかなアリア、それを引き立てる 凝った器楽パートなど、実に贅沢な作りの作品です。歌詞台本は、旧約聖書の民数記21章4-9節を題材としています。(モー セがエジプトから民を引き連れて脱出した旅の途中で、民がモーセに対してあまりの旅の辛さについて不服を申し立てると「主 は民の中に燃える蛇を送られたので、蛇は民にかみつき、イスラエルの多くの人々が死んだ」というくだり)。歌唱陣も、クリ スティやコルボとの共演で活躍しているガベイユ、他にもミンコフスキとの共演も多いドゥストラック、コープマンのカンター タ録音にもたびたび登場のマルケルト・・・アンブロネー音楽祭だからこそ実現した、実に壮観な顔ぶれとなっています。 (Ki)
AMY-006
ジョアン・ロドリーゲス・エステーヴェス:ミゼレーレ、
エレミアの哀歌、
スターバト・マーテル、
8声のためのミサ曲、
8声のための「大勢の群集が集まり」
グラハム・オライリー(指)
アンサンブル・ユーロペアン・ウィリアム・バード

録音:2005年9月24日フランス、ローヌ=アルプ地方アン県、アンブロネ修道院(ライヴ)
エステーヴェスは、バッハより15歳若く1年違いで亡くなった、同時代のポルトガルの作曲家。偶然にも、バッハと同い年のドメニコ・スカルラッティが移動する後を追うように、1719年、修行のためローマへ行き(スカルラッティはポルトガルへ)、1929年にポルトガルに戻りました(スカルラッティはスペインへ)。彼の作風は、リスボンをローマ以上にカトリック的にしたいという、修行の助成金を出してくれた国王ジョアン5世の希望と、彼の好みから、スティーレ・アンティコ様式を採りながら、同時にバロック的な華やかさも併せ持つものです。このディスクに収録されたミゼレーレは、1732 年に作曲された12 声のための作品で、エステーヴェスの最高傑作であると評価されているもの。併録のエレミアの哀歌、スターバト・マーテル、ミサ曲、「大勢の群集が集まり」ともに、素晴らしい宗教曲で、バッハの作品と並べても遜色が無いものばかりです。この録音で、オライリー率いるアンサンブル・ユーロペアン・ウィリアム・バードはエステーヴェスの美点を十全に引き出すことに成功しています。 (Ki)
AMY-008
リスト&ワーグナー
リスト:リヒャルト・ワーグナーの墓に
 ピアノ・ソナタ.ロ短調
 悲しみのゴンドラ第1番
ワーグナー(リスト編):イゾルデの愛の死
リスト:悲しみのゴンドラ第2番
ワーグナー:M.W.夫人のアルバムのためのソナタ
リスト:リヒャルト・ワーグナー,ヴェネツィア
  ピアノ・ソナタ.ロ短調(初期稿の終結)
トーマス・ヒツルベルガー(P)

録音:2006年4月
※使用楽器: Steingraeber 'Liszt' Piano
AMY-009(2CD)
バッハ:オブリガート・チェンバロとヴァイオリンのための6つのソナタBWV1014-1019 ミラ・グロデアヌ(Vn)、フレデリク・アース(Cem)
※使用楽器:1604年Groblicz(Vn)、1751年Hemsch(CEM)
クイケン、マンゼ、サヴァール…錚々たる顔ぶれが揃って認めるルーマニア出身の名手グロデアヌと、スコット・ロスの愛弟子にして、ヘレヴェッヘ指揮のカンタータでは通奏低音をつとめ、インマゼールも太鼓判を押す1968年ベルギー出身のフレデリク・アース。二人の出会いは音楽を愛する者にとって格別なものとなりました。完璧なバランス、尽きることのない創造性・・・。バッハの書いた、静寂から生まれ静寂に戻る哲学的な音楽の中にもふとした喜びや輝き、生命力が漲った名演奏の登場です。
AMY-010
ポーランドのバロック音楽
マルチン・ミェルチェフスキ:モテット「勝利の日」
聞け死すべき者ども
ヤン・ポドビェルスキ:前奏曲(オルガン独奏)
バルトロメイ・ピェンキエル:ミサ「ロンバルデスカ」
 ディアローグ
フランチシェク・リリウシュ:モテット「イエスは汝の喜び」
スタニスワフ・サジンスキ:ようこそ、天の女王よ 急ぎ来て歌え
ミコワイ・ジェレンスキ:マニフィカト
 聖イグナツィのモテット
グラハム・オライリー(指)
アンサンブル・エウロペーン・ウィリアム・バード、
アンサンブル・ヴェントスム
ポーランドは、ロシア、ドイツ、オーストリアによって3国分割されるまでは、ヨーロッパ屈指の大国として華やかな文化を発展させていました。その時期のポーランドのバロック音楽には驚くほど美しい曲が多いものの、外国ではまとまって聴くことが難しい状況でした。このアルバムは主として宗教作品が集められていますが、敬虔な祈りとひなびた美しさは絶品。合唱にクレマン・ジャヌカン・アンサンブルのメンバーが参加しているのも魅力です。
AMY-011
J.M.ハイドン(1737-1806):聖ヒエロニムスのミサ
ドルシェツキー(1745-1819):ミサ曲 変ロ長調
ピエール・カオ(指)
ヨハネッテ・ゾマー(S)
ブリッタ・シュヴァルツ(A)
ギ・ド・メイ(T)
コルネリウス・ハウプトマンbs
アルシス・ブルゴーニュ、
アンサンブル・ゼフィーロ

録音:2006年9月22日、ライヴ、アンブロネー修道院
AMY-012
プサルテリオン&フォルテピアノ
(1)C.P.E.バッハ:ソナタハ長調Wq87
(2)ショーベルト:ソナタop.7-2ヘ長調
(3)メルキオール・キエーザ:プサルテリオンのためのソナタハ長調
(4)ヨーハン・エルンスト・エベルリン:ソナタト長調
(5)モーツァルト:アダージョK.266
(6)ヴァイオリン・ソナタイ長調K.305(プサルテリオンで演奏)
アリーヌ・ジルベライヒ(フォルテピアノ)
マルギット・ユーベルラッカー(プサルテリオン)

録音:2007年2月
プサルテリオン(プサルテリウムのフランス語呼称)は、ツィターの祖先。共鳴板に張られた弦を、指やプレクトラム(特別のバチ)で演奏しました。このプサルテリオンは、15世紀頃からほとんど使われることはありませんでしたが、ダルシマーやツィターといった楽器へと変遷を遂げ、18世紀頃には現在のピアノの原型となるスクエア・ピアノなどが生まれました。「スクエア・ピアノとは、いわば‘鍵盤つきダルシマー’のような音色でした。つまり、一度鍵盤を押して音が鳴ると、その鍵盤を離してもしばらく音が鳴り続け、衰弱して音が止む(つまりダンパー(消音機)がついていない)、というものです。この事実は、C.P.E.バッハやモーツァルトのいくつかの楽曲を理解するうえで非常に重要です。(演奏者自身によるブックレットより抄訳)ダンパー(消音機)のない鍵盤楽器の音色の饗宴、18世紀ヨーロッパにおける「ピアノのあけぼの」の目撃者となる1枚。C.P.E.バッハやモーツァルトの身近にもあった楽器の、ニュアンスや独特の残響を堪能できます。ヴァイオリン・ソナタやピアノ・ソナタを、旋律部分をプサルテリオンがうけもち、伴奏部分をフォルテピアノが受け持つかたちで演奏しています。 (Ki)
AMY-013
バロックの太陽
ルイージ・ロッシ:太陽の預言、3声のセレナータ、ほか、
マルコ・マラッツォーリ:太陽の預言
レ・パラダン、ジェローム・コレア(指)

録音:2007年9月
バロック時代のローマでとりわけカンタータ作曲家として活躍した、ロッシとマラッツォーリの作品集。「太陽の預言」は、太陽が、死や悲しみと対話する物語。光り輝く太陽、影、様々な表情が魅力です。ロッシやマラッツォーリの貴重な音源。   (Ki)
AMY-014
ヴィヴァルディの「春」〜パロディー版モテット

ジャック・アントワーヌ・ドゥノワイエ(1759年没):大規模な合唱と管弦楽のためのミサ曲(1758)
ミシェル・コレット(1707-1795):主を讃えまつる(ヴィヴァルディ:「春」より)(1766)
マルティン・ジェステル(指)
ル・パルルマン・ドゥ・ムジーク、
ラ・マイトリーズ・ドゥ・ブルターニュ
ユディット・ゴーティエ、
ロドリーゴ・デル・ポーゾ、
クリストフ・アインホルン、
ジャン=ルイ・ジョージェル

録音:2007年アンブロネー音楽祭(ライヴ)
近年発見されたドゥノワイエのミサ曲は、ラモーに敬意を表して書かれた作品。注目は、コレットのモテット。この作品が書かれた40年ほど前にヴィヴァルディが書いた四季の「春」のパロディーで、高らかに神の讃美を歌い上げます(トラック10)。バロック時代、バッハもペルゴレージ作品からの引用をするなど、パロディーはごく普通に行われていたこと。合唱で「春」の有名な旋律を聴くと、清清しさ倍増。さわやかなモテットです。 (Ki)
AMY-015
ペーター:フィリップス(1561-1628):モテット&マドリガーレ集 カペッラ・メディテラーニア、
レオナルド・ガルシア・アラルコン(指)、
マリアーナ・フローレス、
マリア・ヒノホサ・モンテネグロ、
ファビアン・ショフリン、
ホアン・サンチョ、マシュー・ベイカー

録音:2007年10月
ペーター・フィリップスは、彼が生きていた当時、ヨーロッパ中で最もよく知られた作曲家でした。彼の作品はまだまだ知られていませんが、莫大なエネルギー、力強い表出に満ちた作風で、発掘が待たれるところです。瑞々しい音で、生き生きとしたアンサンブルが見事にとらえられています。   (Ki)
AMY-016
マラン・マレ:三重奏の曲集(1692刊行)
ニ長調/ホ短調/ハ長調
変ロ長調/ト短調
≪オゥ・ピエ・ドゥ・ロワ(王のステップ)≫
[ディルク・ベルナー(Cem&指)ミヒャエル・フォルム(フルート、指揮)、スレファニー・シャフト(トラヴェルソ)、松永綾子(Vn)、レイラ・シャイェ(Vn)、レベッカ・ルソ(ドゥシュ・ドゥ・ヴィオール、バス・ドゥ・ヴィオール)、ドローレ・コスタイア(テオルボ)]

録音:2007年8月
太陽王につかえた作曲家マラン・マレは、1692年に三重奏の曲集を出版しました。その様式の多様性は今なお私たちを魅了してやみません。オゥ・ピエ・ドゥ・ロワによるこれらの演奏は、丹念に装飾が施された典雅なものとなっています。ヴァイオリンの松永は、「ラ・メラヴィーリア・パルランテ」(KDC5063)にも参加している名手。このディスクでも決して前に出すぎることはありませんが、メリハリのあるヴァイオリンで聴かせます。  (Ki)
AMY-017
ABBO ABBAS
1000年代のフランス・イギリスのポリフォニー音楽集
カタリーナ・リヴリアニク(指)、ダイアロゴス

録音:2006年、2008年
ABBOとは、950年頃から1004年まで生きたフランスの偉大な僧。大変博識だった人物で、王、教皇たちとの政治の面でも極めて重要な役割を果たし、「第二のカエサル」と称されました。最期はあまりに能力が高かったために嫉妬を買い、槍で刺されて亡くなったといわれています。アッボは、フランス・フルリーの地の教会の僧長を務めていました。この教会は、英国のウィンチェスター教会ときわめて似た音楽慣習をもっていました。この両方の教会で歌われていた音楽を集めたもの。アッボの死を悼む音楽も収録。アッボの偉大さと数奇な運命を追想する1枚となっています。 (Ki)
AMY-018
ルソン・ド・テネブルの深遠なる世界
あなたの神殿に対する熱情が私を食い尽くしているので神よ私を救いたまえ(詩編68)
あなたの神殿に対する熱情が私を食い尽くしているので退けたまえ
F.クープラン:ルソン・ド・テネブル.第1のルソン
シャルパンティエ:イン・モンテ・オリヴェーティ、
F.クープラン:ルソン・ド・テネブル.第2のルソン
シャルパンティエ:オリーブ山上で、
F.クープラン:第3のルソン
ミシェル・ランベール(1610-1696):ミゼレーレ(世界初録音)
レ・ドゥモワゼル・ドゥ・サン=スィル
[エマニェル・マンドリン(オルガン、指)、ドロテー・ルクレール、ジュリエット・ペッレ、エウゲニー・ワルニエ(第1ソプラノ)、セシル・コテ、メラニー・エミリエン、アンヌ・モーガール(第2ソプラノ)、オードリー・ケッセディアン、ブリギット・ル・バロン、セシル・ピロルジェ(A)

録音:2008年10月
フランス・バロック音楽の中でも最も円熟し、かつ内容の深い作品として愛されているF.クープランの「ルソン・ド・テネブル」を中心に、彼と同時代に活躍していた作曲家の作品を集めたもの。ランベールのミゼレーレは世界初録音。ルソン・ド・テネブルではソプラノ歌手たちの澄んだ響きの声に心打たれます。  (Ki)
AMY-019
無伴奏ヴァイオリン作品集
バッハ:シャコンヌ
ヴェストホフ(1656-1705):組曲第4番ハ長調
ピゼンデル(1687-1755):無伴奏ソナタイ短調
バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番ト短調BWV1001
ビーバー:パッサカリアト短調
ミラ・グロデアヌ(Vn)
※使用楽器:MarcinGroblicz,1604

録音:2008年10月
グロデアヌによる新譜は、楽々としたバッハのシャコンヌから始まるヴァイオリン・ソロ作品集。シャコンヌの演奏は数多くありますが、グロデアヌの演奏は、極めてしなやかで楽々としています。有名な冒頭も、弦の美しい音色ばかりが印象に残る独特なもの。内声までたっぷりと歌った見事な弾きぶりで、ゆったりと聴かせます。ヴェストホフやピゼンデル作品が収録されているのも嬉しいところです。 (Ki)
AMY-020
ストロッツィ(1619-1677)〜超絶技巧の女性作曲家
カンタータ「わが涙よ」op.7ほか
レオナルド・ガルシア・アラルソン(指)
カペッラ・メディタレーニア

録音:2008年10月
ストロッツィは、17世紀のヴェネツィアで活躍した作曲家、歌手。かけた瞬間、あれ?ディスク違いかな、と思ってしまうほどにフォークロアの色調が強い1枚です。op.7のカンタータ「わが涙よ」は、9分弱のカンタータですが、大規模で情熱的なレチタティーヴォから軽快なアリエッタまで、幅広い書法を含んでいます。人間の声を知り尽くしたストロッツィの、歌詞のリズムと情緒的内容を見事に表現した声楽作品を堪能できる1枚です。 (Ki)
AMY-021
Belle Virginie
ドライブ、酔っ払いとその妻、
恋人の旅立ち、海人の別れ他
ムジーク・プル・ラ・ヌーヴェル・フランス

録音:2009年2月
フランスの中世の世俗歌曲を思わせるような、濃厚なフランスの民俗的要素が感じられる民謡集。ムックリのような楽器の音色や、様々な笛の音色など、声も楽器も楽しめる内容となっています。 (Ki)
AMY-022
パーセル:歌劇「ディドーとエネアス」 ソレン・ラヴァナン・リンク(Ms ディドー)
アルハンドロ・メーラプフェル(Br エネアス)
ソ・イェリ(S ベリンダ)
ファビアン・ショフリン(CT 魔女)
ほか
レオナルド・ガルシア・アラルコン(指)
ラ・カペラ・メディテラネア,ラ・ヌーヴェル・メネストランディエ

録音:2009年,ジュネーヴ
パーセルの傑作「ディドーとエネアス」には、既に多数の名盤がありますが、ここに新たな名盤が登場しました。なんといってもアラルコ ン率いるラ・カペラ・メディテラネアがいい!レオナルド・ガルシア・アラルコンは、1976年、アルゼンチンのラ・プラタ生まれ。チェンバ ロを学び、1997年にスイス、ジュネーヴでクリスティーヌ・ジャコテに師事。1999年にはジュネーヴでラ・カペラ・メディテラネアを結成。 以来鍵盤楽器奏者、指揮者として活躍しています。そのアラルコンの「ディドーとエネアス」、強い表現意欲を持ったもので、序曲から悲劇的 な緊張感に満ちてます。一方で柔らかい気品や舞曲での沸き立つリズムも見事。 主役ディドーを歌うソレン・ラヴァナン・リンクは、1980年生まれの若いメッゾ。現在スイスを中心に活動、バロック、古典派を歌えば、ワー グナー「パルジファル」の花の乙女やヴェルディ「アイーダ」の巫女も歌うという活躍ぶり。 アルハンドロ・メーラプフェルはアルゼンチン出身のバリトン。非常に広範なレパートリーを誇っており、中でもバロック音楽で高い評価を 受けています。 ソ・イェリ 徐 藝俐(Yeree Suh)は、韓国出身のソプラノ。ソウルで学んだ後、ドイツに留学。2003年、インスブルック古楽祭でヤーコプ スが指揮したモンテヴェルディ《オルフェオ》に出演、以来ドイツ語圏を中心にバロック、古典派の声楽作品で活躍しています。 (Ki)
AMY-023
ハイドン:ナクソス島のアリアンナ、歌曲、カンツォネッタ集

楽しい苦痛(6つの創作されたカンツォネッタより)
すこぶる平凡な話(12のクラヴィア伴奏歌曲第1部より)
羊飼いの歌「母は私に髪を結えと言う」(6つの創作されたカンツォネッタより)
かつて女性の美しさが
はじめてのキス(12のクラヴィア伴奏歌曲第1部より)
母の遅すぎた到着(12のクラヴィア伴奏歌曲第1部より)
彼女は決して恋について話さない(6つの創作されたカンツォネッタ第2集より)
誠実(6つの創作されたカンツォネッタより)
精霊の歌
この心臓をえぐる苦痛で
さすらい人(6つの創作されたカンツォネッタ第2集より)
ナクソスのアリアンナ
人生は夢(12のクラヴィア伴奏歌曲第2部より)
ステファニー・ドゥストラック(Ms)
アリーン・ジルベライヒ(フォルテピアノ)

録音:2009年11月
ハイドンの歌曲作品で、愛にまつわるものを集めた1枚。愛らしいリートとカンツォネッタの数々が、センチメンタルな旅路へと誘います。ドゥストラックは古楽シーンで活躍めざましいメゾソプラノで、ここでも芝居っけたっぷりのチャーミングな歌を披露。フォルテピアノのジルベライヒは「プサルテリウム&プサルテリオン」(AMY012)でも凝ったコンセプトのCDで私たちを魅了した名手。ストラスブールの音大で教員も務める実力派で、なかなかに主張のある伴奏が光ります。 (Ki)
AMY-024(2CD)
ヘンデル:オラトリオ「ユダス・マカベウス」 ソレダード・デ・ラ・ローサ(S)
マリアーナ・レウェルスキ(Ms)
ファビアン・ショフリン(CT)、櫻田亮(T)
アレハンドロ・メーラプフェル(Br)
エティエンヌ・ドゥベジュ(Bs)
レオナルド・ガルシア・アラルコン(指)
レザグレモン,ナミュール室内cho

録音:2009年9月26日
「見よ、勇者が帰る」が得賞歌として有名な、ヘンデルのオラトリオ「ユダス・マカベウス」。異教徒からユダヤの民を開放した英雄ユダス・マカバイを描いている話ですが、そこにさらに、反革命勢力のジャコバイトを打ち破ったばかりのカーナボン公爵を重ね合わせて描いていたため、作品は大成功を収めました。ヘンデルの時事性への鋭敏な感覚が発揮された例でしょう。 この演奏は、2009年9月26日にアンブロネで行われた上演の録音。タイトルロールは櫻田亮(さくらだまこと)。2008年には東京でもマカベウスを歌い絶賛された櫻田だけに、完全に役を掌中に収めた歌。櫻田の透明な美声はもちろんのこと、一族を率いる英雄のカリスマも伝わってくる今日最高のユダスといって過言ではないでしょう。指揮のアラルコンは1976年、アルゼンチンのラプラタ生まれ。現在はジュネーヴを拠点に活躍しています。またデ・ラ・ローサ、ショフリン、メーラプフェルもアルゼンチン出身で、ことにデ・ラ・ローサはブレイク間近と言われる逸材です。ベルギーのワロン地域の町ナミュールで1987年に結成されたナミュール室内合唱団と、そのオーケストラとして1995年に結成されたレザグレモンが、アラルコンのスッキリと明快な音楽で、極上のヘンデルを聞かせてくれます。 (Ki)
AMY-025
女性作曲家の作品集
イザベッラ・レオナルダ
:アヴェ・スアヴィス・ディレクティオ,
 3声のソナタ第7番
フランチェスカ・カッチーニ:これは誰だ,
マリア愛しいマリア、
 私はやつれ一人にさせて
カテリーナ・アッサンドラ:二人のセラフィム,
 4声のカンツォン,
 オ・クワム・スアヴィス(ああなんと優しいことか),
 オ・サルタリス・オスティア(ああ救いの犠牲よ)
バルバラ・ストロッツィ:アポッロがテーティの胸に抱かれてから、ほか
マリア・クリスティーナ・キール(S)
ジャン=マルク・エメ(指)コンチェルト・ソアーヴェ
2010年5月23−26日,アンブロネ
2010年3月に久々の来日を果たしたアルゼンチンのソプラノ、マリア・クリスティーナ・キールの新録音です。イザベッラ・レオナルダ(1620 − 1704)、フランチェスカ・カッチーニ(1587− 1641以降)、カテリーナ・アッサンドラ(1590頃− 1618以降)、バルバラ・ストロッツィ(1619 − 1677)と17世紀の女性作曲家の声楽、器楽作品を収録。キールは、若い頃からの透明な美声はそのままに、ベテランの旨みを著しく増し、 静かな歌い口に感情がジワリと滲んで、たいへん聞き応えがあります。
AMY-026
ファルヴェッティ:「大洪水」 フェルナンド・ギマランイス(Tノエ)
マリアナ・フロレス(Sラド)
マッテオ・ベッロット(Bs神)
エヴェリン・ラミレス・ムノス(A正義の女神)
ファビアン・ショフリン(CT死)
マガリ・アルノー(S水)他
レオナルド・ガルシア・アラルコン(指)
カッペッラ・メディテラネア,ナミュール室内cho

録音:2010年9月6-10日、ジュジュリュー
バロック声楽ファンは要注目の新録音です。ミケランジェロ・ファルヴェッティ(1642―1692)はシチリア島のパレルモ生まれの作曲家で、1682年、島東部の海峡町メッシーナの大聖堂の楽長に就任、この「大洪水」は同年同地で初演されました。「大洪水」とはもちろん旧約聖書のノアの箱舟で有名な洪水のことで、この作品は宗教的題材による一種のオラトリオです。しかし南イタリア気質の強い音楽には抹香臭さはなく、音楽には明るく澄んだ美しさがあります。またファルヴェッティは大スカルラッティよりも二世代前に当たり、まだモンテヴェルディやカヴァッリの様式も色濃く残しています。台本は四部から成り、第1部「天上にて」、第2部「地上にて」、第3部「洪水」、第4部「ノエの箱舟で」。ノアの箱舟の話を知っていれば話は理解できます。ヘンデルの「ユダス・マカベウス」(AMY024)がたいへん好評だったアラルコン、ここでもラテン的色彩に満ちた素晴らしい演奏を繰り広げてくれます。アラルコンは、当時のシチリアにはまだイスラム文化の残影があったことを考慮し、アラブの打楽器を絶妙に採りいれ、絶大な効果を上げています。歌手たちも優秀。他にほとんど録音のないファルヴェッティの素晴らしい音楽をお楽しみください! (Ki)
AMY-027
情熱と忘我
カヴァッリ:ディドーネの嘆き
ロッシ:オルフェの涙
A.スカルラッティ:「狂乱するディドーネ」―いとしい名前,同―怒りと波のうねりが
ファッジョーリ:独唱のためのカンタータ
ストロッツィ:ああマリア様
モンテヴェルディ:聖母の涙
パーセル:ダイドーの嘆き
カヴァッリ:カンツォン
A.スカルラッティ:シンフォニア,協奏曲ヘ長調,協奏曲ニ長調,協奏曲イ短調
ファルコニエーリ:パッサカッレ
マリーニ:第一旋法のシンフォニア,第六旋法のシンフォニア、ほか
ステファニー・ドゥストラック(Ms)
アマリリス

録音:2010年9月20-23日,ジュジュリュー
バロック声楽音楽で大人気のメッゾソプラノ、ステファニー・ドゥストラックの新録音は、「情熱と忘我」と題され、様々な作曲家の作品が集められています。美しくかつ劇的に歌うドゥストラックの歌は、ことに悲しみの歌で本領発揮、カヴァッリ、A.スカルラッティ、パーセルそれぞれのディドの嘆きはいずれも胸を引き裂くものです。さらにモンテヴェルディ、カヴァッリといった有名作曲家の作品に加え、ルイージ・ロッシ、ミケランジェロ・ファッジョーリ、バルバラ・ストロッツィらの珍しい作品まで収録。伴奏は、リコーダー奏者エロイーズ・ガイヤールと鍵盤楽器奏者ヴィオレーヌ・コシャールが率いるアマリリス。軽めの肌触りの気品のある演奏が素晴らしく、伴奏以外に器楽曲も演奏、素敵に仕上がっています。 (Ki)
AMY-028
17世紀ヴェネツィア〜三人の作曲家の作品集
ローゼンミュラー:ソナタ第9番、
 ソナタ第10番、ソナタ第7番、
 ソナタ第2番、ソナタ第11番、第12番
レグレンツィ:3声によるソナタ、
 4声によるソナタ、ソナタ第1番、
 4声によるソナタ第7番
ストラデッラ:シンフォニア18番

 シンフォニア11番、シンフォニア22番
マンフレード・クレーマー(指)
ザ・レア・フルーツ・カウンシル

録音:2010年9月
1677年頃、ヴェネツィアでは三人の巨匠たちがその栄華をきそっていました。三人とは、ローゼンミュラー、レグレンツィ、そしてストラデッラ。三人は名誉と迫害とに翻弄されながら生活をおくっていました。彼らは特にヴァイオリンという楽器に関して革新的で、情熱的でした。マンフレード・クレーマー率いるザ・レア・フルーツ・カウンシルの名手たちが、この三人の作曲家たちの魅力を存分に引き出して聴かせます。豊かな響きと声部の美しい絡み合いにただただ聴き入ってしまう1枚です。 (Ki)
AMY-029
ヴィヴァルディ:“サン・マルコ聖堂でのヴェスプレ”
主は言われた(ディキシト・ドミヌス)RV807
主よ、私をお助けくださいRV593
主よ、あなたに感謝しますRV596
主を畏れる者は幸いであるRV795
褒め称えよ、神のしもべたちよ(ラウダーテ・プエリ)RV600
褒めよ、エルサレムよRV609
マニフィカトRV610
私は喜んだ(詩篇122)RV607
マリア・ソレダード・デ・ラ・ロサ(S)
マリアナ・フロレス(S)
カロリーヌ・ウェイナンツ(S)
ジョエル・シャリエ(A)
エヴェリン・ラミレス(A)
ファビアン・ショフラン(CT)
ヴァレリオ・コンタルド(T)
フェルナンド・ギマランイス(T)
アレハンドロ・メーラプフェル(Bs)
リオネル・デミュール(交唱)
レオナルド・ガルシア・アラルコン(指)
レザグレマン,ナミュール室内cho

録音:2010年10月2日、アンブロネイ
Ambronayレーベルで立て続けに話題の録音をリリース、人気がうなぎのぼりのレオナルド・ガルシア・アラルコン、新譜はヴィヴァルディの宗教曲です。アラルコンはヴィヴァルディの8つの宗教曲を独自に組み立て、サン・マルコ聖堂でこのように演奏されたかもしれない、という“ヴェスプレ”に仕立てています。8曲はいずれも人気のあるものばかりで、録音もあれこれあるものの、アラルコンの軽さと活気のある演奏だと「こんな素敵な曲だったのか!」と驚くばかり。ことに2010年1月からアラルコンが芸術監督に就任したナミュール室内合唱団の巧さは実に見事。ソリストも文句なし。ヴィヴァルディアンだけでなく、広く声楽好き、バロック音楽マニアに聞いていただきたい内容です。 (Ki)
AMY-030
少女聖歌隊のための宗教合唱曲集
ポルポラ:主をほめたたえよしもべらよ
サルヴェ・レジナ
主をほめたたえよ、エルサレムよ
マリリア・ヴァルガス(S)、
高橋美千子(S)、
デルフィーヌ・ガルー(A)、
マルティナ・パストゥシュカ(1stVn)、
マルタン・ジェステル(指)、
ル・パルルマン・ド・ミュジーク、
ジャン=ミシェル・ノエル(合唱指揮)、
ブルターニュ聖歌隊

録音:2011年9月16日、アンブロネ大修道院ライブ録音(フランス)
リヨンとジュネーヴに挟まれる位置に存在するフランス中央西部の都市アンブロネでは、毎年9月に古楽界屈指の名手達が集う音楽祭が開かれます。本CDでは、2009年9月に行われたアンブロネ音楽祭でのライブ録音を収録。演奏曲は18世紀を代表するイタリア人作曲家ポルポラの宗教合唱曲集。いずれも1744年にヴェネツィアで開催された聖母被昇天を祝う式典用の合唱曲として、ポルポラがオスペダレット養育院の少女聖歌隊のために作曲したものです。どれも聞き応え十分なものばかりで、ヴェネツィアでも指折りの大養育院を支える少女聖歌隊の実力を実感できます。ポルポラの音楽は活動場所を同じくする音楽家ヴィヴァルディとはまた違った魅力に満ち溢れたもの。気品あふれる器楽の伴奏と、女性特有の瑞々しい輝きに満ちた柔らかい歌声とのハーモニーが絶品です!
ソプラノを歌うのはブラジル出身の歌姫マリリア・ヴァルガスと、アンサンブル・プラネタ脱退後ソリストとしてヨーロッパにも活躍の幅を広げている高橋美千子!アルトを担当するデルフィーヌ・ガルーは、近年ミンコフスキやサヴァールと共演し、フランスを中心にますます注目を集める若手実力派です。大修道院の素晴らしい音響の下、ジェステル率いるル・パルルマン・ド・ミュジークの清廉な演奏と、若手ソリスト達の瑞々しい歌声のハーモニーを堪能することが出来る1枚です。 (Ki)
AMY-031
(2CD+DVD)
J.S.バッハ、音楽劇集
[CD1]「フェーブスとパンの争い」BWV 201
[CD2]「満足せるエーオルス」BWV 205
[BONUS DVD]2011年アンブロネー音楽祭ライブ:「岐路のヘラクレス」BWV 213
セリーヌ・シェーン(S)、
クリント・ファン・デア・リンデ(C-T)、
櫻田亮(T)、ファビオ・トランピ(T)、
クリスティアン・イムラー(Bs)、
アレハンドロ・メーラプフェル(Br)、
レオナルド・ガルシア・アラルコン(指)
レザグレモン、ナミュール室内Cho

録音:[CD]2011年9月6-7日、ナムール(ベルギー)
[DVD]2011年9月10日、アンブロネー音楽祭ライブ録音

CD1:43’45”
CD2:37’48”
BONUS DVD:42’54”
NTSC/字幕:なし
ファルヴェッティの『大洪水』を録音した希少なアルバム(AMY 026)も話題となったアラルコン率いるナミュール室内合唱団&レザグレモンが、再 びバロック声楽ファン注目必至の新譜をリリース!「バッハ・ドラマ」というアルバムのタイトル通り、J.S.バッハの世俗カンタータの中でもひときわ劇的 な要素が強い3作品が収録されています。『フェーブスとパンの争い』と『岐路のヘラクレス』のテキストを手がけたのは、かの『マタイ受難曲』も手掛 けたC.F.ピカンダー。いずれの作品も最初と最後を荘厳な合唱が飾り、その合間にソリスト達によって華麗なレチタティーヴォとアリアが交互に歌われま す。3作品とも快活な雰囲気に満ちた曲調で、個性豊かな登場人物たちが色鮮やかな音楽と共に見事に表現されています。活き活きとしたソリスト達の掛 け合いはもちろんのこと、洗練された器楽アンサンブルも大きな聴き所。壮大なオーケストラサウンドから古楽器の小さなアンサンブルまで、多彩な響き に魅せられます。
ソリストの豪華さも本アルバムの大きな魅力。ソプラノを歌うセリーヌ・シェーンは、その美貌と美声で世界的注目を集める名手。クリント・ファン・デル・ リンデはバッハ・コレギウム・ジャパンとの共演も多く、高貴な歌声と迫真の表現力が高く評価されているカウンターテナーです。『ユダス・マカベウス』(MIR 024)で国内外問わず絶賛された櫻田亮は今回も素晴らしい歌声を披露しています。ナミュール室内合唱団の歌声は相変わらず瑞々しく、快活な音楽劇 にはまさにぴったり。レザグレモンと共に、透明感あふれるハーモニーを生み出しています。ボーナスDVDとして、2011年のアンブロネー音楽祭ライブ 映像を収録!J.S.バッハの劇空間を目でも堪能できる豪華なアルバムに仕上がっています。
AMY-032
ルイ・マルシャン(1669-1732):組曲 ニ調〔プレリュード、アルマンド、クーラントT&U、サラバンド、ジーグ、シャコンヌ、ガヴォット〕(第1巻、1699)
 組曲 ト調〔プレリュード、アルマンド、クーラント、サラバンド、ジーグ、ガヴォット、メヌエットT&U〕(第2巻、1702)
 3つの小品〔ヴェニシエンヌ(ヴェネツィア風)、バダン(おどけた)、ガヴォット〕
ラモー:組曲 イ調〔プレリュード、アルマンドT&U、クーラント、ジーグ、サラバンドT&U、ヴェニシエンヌ、ガヴォット、メヌエット〕(第1巻、1706)
クリストフ・ルセ(Cemb/1716年ドンゼラーグ製)

録音:2011年2月20-22日/装飾芸術博物館(リヨン、フランス
リストフ・ルセ、チェンバロ・ソロ待望の新譜は、リヨンの有名な装飾芸術博物館に収蔵されている銘器ドンゼラーグのチェンバロを用いてのマルシャ ンとラモーという、なんともそそられる内容。マルシャンもラモーも、17~18世紀当時を代表するヴィルトゥオーゾ奏者・作曲者でした。マルシャンの作品は、 高貴さと荘重な雰囲気、そしてセンチメンタルな感情の表出がみられ、中・低音域が効果的に響くように書かれており、そのヴィブラートを思わせるよう な装飾のかけ方と相まって、まるでテオルボのような印象。ラモーの作品は、これに比べると比較的高めの音域中心に書かれており、チェンバロ特有の繊 細な音色がより活きるものとなっています。今回ルセが用いたのは、リヨンの地に遺された貴重な楽器ドンゼラーグ。マルシャンは、リヨンに生まれ学び、 そしてラモーは1703 年の一時期をリヨンで過ごしました。ルセがユゲット・ドレフュスの下で学んだのもリヨンの地でした。リヨンという地で時代を超え て結び付けられる人物と楽器による、豪華なコラボレーションです。それまでのG’ -Bまでの楽器よりも音域が拡張(Fまで低音が拡張)され、パンチ 力を増し、それでいて透明な魅力に満ちた音色をもつ楽器、ドンゼラーグ。フランスの二人の巨匠が遺した様々な表情に満ちたエレガントな作品を、ルセ 一流の歌心と装飾とで印象的に聴かせてくれます。 (Ki)
AMY-033
セファルディの古き歌曲集
美しい夜(イェルサレム民謡)
聖母マリアのカンティガ第37番-不思議な奇跡
同曲集-序曲
フランス王(トルコ民謡)
天の星(アレクサンドリア伝承曲)
そこを騎士が通った(トルコ民謡)
聖母マリアのカンティガ第100番聖母マリア、夜明けの星よ
祭礼の踊り(アルジェリア伝承曲)
母よ、私はイェルサレムへ行きたい(イェルサレム民謡)
聖母マリアのカンティガ第15番-すべての聖人たち
ユスキュダル(トルコ伝承曲)
1時に私は生まれ(サライェボ民謡)
カンティガ第209番大きな誤ちをして
エマニュエル・バードン(指)
カンティクム・ノヴム

録音:2010年12月7-10日、ポミエ教会(フランス
スペイン、アラブ古い民族音楽を得意とするアンサンブル団体カンティクム・ノヴムが、15世紀から16世紀のセファルディ(スペイン系ユダヤ人)の 歌曲を収録した希少なアルバムをリリース!トルコ、アルジェリア、サライェボなどに渡ったセファルディの人々の古き歌曲の数々を堪能することが出来ます。 また、中世イベリア半島の単旋律歌曲集を代表する、アルフォンソ10世編纂の「聖母マリアのカンティガ集」からも珠玉の作品を抜粋。力強く艶のある 歌声と、アラブ音楽の影響も色濃い独特な旋律の魅力を堪能できる1枚です。
カンティクム・ノヴムはフランスを中心に活躍するアンサンブル団体。フィゲーラスやサヴァールらの下で演奏経験を積んだE.バードンによって1996 年に創立され、中世・ルネサンスのスペイン、アラブ音楽を得意のレパートリーとしています。ウード、カーヌーン(チター型の琴)といった民族楽器を ふんだんに用いた活気あふれるサウンドがこの団体の大きな魅力。グルノーブル・ルーヴル宮音楽隊やレ・フォリ・フランセーズのメンバーらとの共演も多 く、ニースやアンブロネーなどの各地の音楽祭でも活躍しています。 (Ki)
AMY-036
ファルヴェッティ:オラトリオ「ナブッコ」 フェルナンド・ギマランイス(T ナブッコ)
アレハンドロ・メーラプフェル(Br ダニエーレ)
ファビアン・ショフリン(CT アリオーコ)
カロリーヌ・ウェイナンツ(S アナニア)
マリアナ・フロレス(S アザリア,イドラトリア)
マグダレーナ・パディリャ・オリヴァレス(S ミザエレ)
マッテオ・ベッロット(Bs エウファーテ)
カピュシーヌ・ケラー(S スペルビア)
レオナルド・ガルシア・アラルコン(指)
カペッラ・メディテラネア,ナミュール室内Cho

録音:2012年9月10-13日、アンブロネ
知られざる作曲家の傑作が発掘されたと大きな話題になった「大洪水」(AMY 026)に続いての、アラルコンによるファルヴェッティ第2弾、「ナブッコ」 が登場です。ミケランジェロ・ファルヴェッティ(1642−1692)はシチリア島のパレルモの生まれ。1682年から本土との海峡町メッシーナの大聖堂の 楽長を務め、同地で亡くなりました。「ナブッコ」は1683年にメッシーナで初演されたオラトリオです。有名なヴェルディの「ナブッコ」と同様、旧約聖 書に登場するネブカドネツァル(歴史上の新バビロニア王ネブカドネザル2世)に題材を採っていますが、波乱万丈なヴェルディのオペラとは異なり、ファ ルヴェッティのオラトリオはダニエル書の第2章と第3章に基づいており、ことに第3章で扱っている有名な「燃える炉の中に放り込まれる三人」の話が 主になっています。音楽は大変充実しており、多彩な楽器を用いて見事に蘇った譜面と生き生きした演奏もあいまって、ファルヴェッティの音楽の魅力がたっ ぷり楽しめます。間もなくスカルラッティらナポリ派が台頭する時代、ファルヴェッティはモンテヴェルディ以来の短い音楽を連ねて劇的な場面を作る最後 の世代に当たるのかもしれません。 歌手は、アラルコンの声楽大作で常連になっている歌手が多数出演しています。ナブッコのフェルナンド・ギマランイスはポルトガルのテノール。「大洪水」 でも主役のノエ(ノア)を歌っており、アラルコンの信頼厚い歌手です。ダニエーレのアレハンドロ・メーラプフェルは、アルゼンチン、サン・カルロス・デ・ バリローチェ生まれのバリトン。アラルコンとはパーセル「ディドーとエネアス」およびヘンデル「ユダス・マカベウス」でも共演しています。アリオーコのファ ビアン・ショフリンは、アルゼンチン、ブエノスアイレス生まれのカウンターテノール。南米を代表するカウンターテノールとして幅広く活躍しています。ア ナニアのカロリーヌ・ウェイナンツは、ベルギーのソプラノ。バロックの声楽作品で活躍しています。 78分ほどと手頃な長さですが、かなりの充実感を与えてくれるこのオラトリオ、バロック声楽ファンは逃せません! (Ki)
AMY-037
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第6番op.18-6
弦楽四重奏曲第15番op.132
テルプシコルドQ
【ジローラモ・ボッティリェーリ(1Vn)
ラヤ・ライチェヴァ(2Vn)、
カロリーネ・ハース(Va)、
フランソワ・グリン(Vc)】

録音:2010年6月23-27日、スイス
1997 年に結成され、2001 年にジュネーヴの国際コンクールで優勝したことで一挙に注目を集めているテルプシコルド四重奏団のベートーヴェン四重 奏曲集。これまでシューベルトやハイドンといったメジャーどころを録音し、着々と評価を高めてきた若手実力派による満を持してのベートーヴェンという ことで、注目必至です。作品の時代に合わせ、モダン楽器とピリオド楽器を使い分ける柔軟なスタイルでも注目されるテルプシコルド四重奏団ですが、今 回はベートーヴェンということで、19 世紀半ばのパリで作られたピリオド楽器を使用!近年はピリオド楽器を用いた演奏スタイルも普及してまいりました が、ベートーヴェンの交響曲ジャンルに比べ、室内楽ジャンルでの広まりはまだまだ途上ということもあり、ぜひとも聞き逃せないアルバムといえましょう。 ガット弦ならではの柔らかな音色が強烈なアタックによる音色の濁りや余分な重量感を取り除き、全体的に清潔感あふれるハーモニーが作りだされていま す。楽器ごとの音量バランスも素晴らしく、軽やかさと重厚感の絶妙なバランスが生み出す洒脱な演奏はテルプシコルド四重奏団ならでは。中期の代表作、 6 曲からなる作品 18 の弦楽四重奏曲の最後を飾る第 6 番では爽やかで活気あふれる演奏を、晩年の大作である第 15 番では前向きなテンポ感の中にも しっかりと重心を感じられる充実した演奏を聴かせてくれます! モザイク四重奏団やフェシュテティーチ四重奏団に次ぐ注目のアンサンブル団体として、今 後のリリースにも期待必至です。 (Ki)
AMY-038
モーツァルト:クラリネット協奏曲 イ長調 KV 622
レクイエム KV 626*
レオナルド・ガルシア・アラルコン(指)
ナミュール室内Cho
ニュー・センチュリー・バロック
ベンジャミン・ディールティエンス(Cl)
ルーシー・ホール(S)、
アンジェリック・ノルドゥス(MS-)、
フイ・ジン(T)、
ヨセフ・ワーグナー(Bs-Br)

録音:2012年4月22-26日、012年9月28日-10月2日
1976年生まれ、古楽を中心に、声楽・合唱指揮でもとりわけ高い評価を得ているアルゼンチンの指揮者、アラルコンによるモーツァルトの登場。アラ ルコンの指揮は、抜群のリズム感覚と、声楽作品では言葉に対する鋭敏なセンスを持ち、音楽のもつドラマのちからをストレートに引き出して聞き手に届 けてくれるもの。レクイエムでは、一音一音の細かな表情づけ、言葉の切り方などにアラルコンの抜群のセンスを感じさせます。また、合唱指揮者として の力量も確かなものだと納得。クラリネット協奏曲は、モーツァルトが、当時活躍していたクラリネットの名手シュタートラーのために書いたものですが、 この協奏曲、そして名曲クラリネット五重奏曲のクオリティをみると、モーツァルトにとってのクラリネットという楽器は、バッハにとってのオルガンのよう に重要な存在だったのではとアラルコンは語っています。 クラリネットのベンジャミン・ディールティエンスは、ヴォルフガング・マイヤーに師事、ロイヤル・フランダース・フィルの首席奏者などを務めたほか、ベ ルリン古楽アカデミー、オクトフォロスなどにもしばしば登場しています。また、モダン楽器も演奏、コンセルトヘボウOにも登場したほか、20世 紀の音楽を演奏する団体でも活躍しました。ブリュッセル音楽院のクラリネットの教授を務めています。 (Ki)
AMY-039
変身
ヨハン・クリストフ・ペツ:パッサカリア〜パストラール協奏曲ヘ長調より
バッハ:コントラプンクトゥス14〜フーガの技法より
バッハ(ルピアニェス編):14のカノンBWV1087〜ゴルトベルク変奏曲、アリアの8音のバスに基づく
伝承曲「コーデンノウのエニシダ」
 「ボニー・クリスティ」
ジェミニアーニ:ソナタ第1番「コーデンノウのエニシダ、ボニー・クリスティ」
伝承曲「トランケールの茂みで」
ジェミニアーニ:ソナタ第2番「トランケールの茂みで」
伝承曲「この前に沼越えてやって来た時」
ジェミニアーニ:ソナタ第3番「この前に沼越えてやって来た時」
ポンティエル:セント・マーティン・レーン
コレット:コミック協奏曲第25番「未開人」
マリーニ:4声のパッサカリア
メルーラ:チャコーナ
ジュゼッピーノ・デル・ビアボ:逃れよ
マリーニ:「逃れよ、悲しい心よ」によるソナタ
伝承曲:ジョン、今キスしに来て
レス・エスプリ・アニモ

録音:2013 年 8 月/ジュジュリュー礼拝堂
オランダを拠点に活動し、今ヨーロッパで最も期待・注目されている若手バロック・アンサンブル「レス・エスプリ・アニモ」。日本人ヴァイオリニスト、バディ アロヴァ朋絵を含む7名で構成され、昨2012年に日本初公演を行ない話題となりました。ストーリー性のあるプログラムと躍動感あふれる演奏に定評 のある彼ら、2枚目のアルバムとなる当ディスクも非常に凝った作りを見せてくれます。テーマはずばり「変身」。流行歌や名作が第三者の手を経て新たな 作品となったものを、その素材と結果の両者を披露してくれます。
ミシェル・コレットのコミック協奏曲第25番「未開人」も「変身」の典型例。第1楽章はラモーのオペラ「優雅なインドの国々」のアリアによる技巧 的変奏、第2楽章は思想家ジャン=ジャック・ルソーの作曲したオペラ「村の占い師」のアリアの編曲、終楽章はイギリス起源の有名なフランス民謡が用 いられていて、その原型ポンティエルの「セント・マーティン・レーン」も収録されるという周到さ。また、当時のイギリスの流行歌を採り入れたジェミニ アーニのソナタや、現在のイスラエル国歌の一節にもなっているジュゼッピーノ・デル・ビアボの「逃れよ」も興味津々。レス・エスプリ・アニモのフレッシュ な演奏、ご存知ない向きはぜひぜひお試し下さい。驚きます! (Ki)
AMY-040
カルロス・ガルデル:ブエノスアイレスのカンシオネロ ディエゴ・フローレス(歌)、
ウィリアム・サバティエ(バンドネオン)、
シロ・ペレス(ギター)

[録音:2013年10月22-25日/文化ホール、ジュジュリュー礼拝堂(フランス)
カルロス・ガルデル(1890-1935)は伝説のタンゴ歌手。飛行機事故で夭折しましたが、その甘い美声は現在も不動の地位を占めています。彼の作曲 したタンゴはピアソラのような現代的なものでなくオトナの色気に満ち、クラシックの世界にも波及しそうな気配です。 アルゼンチンのバリトン、ディエゴ・フローレスは1972年生まれ。テアトル・コロンで「ジャンニ・スキッキ」のマルコ、「カルメン」のモラレス役で評 判になりました。ミュージカルの世界でも活躍。ピアソラのスペシャリストとして知られるバンドネオン奏者ウィリアム・サバティエと絶妙なアンサンブルを 聴かせてくれます。 (Ki)

AMY-041(2CD)
モンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り セリーヌ・シェーン(S)
ファビアン・ショフラン(CT)
フェルナンド・ギマランイス(T)
ツァハリ・ヴィルダー(T)
マッテオ・ベッロット(Br)
ヴィクトール・トレス(Br)
セルジョ・フォレスティ(Bs)
レオナルド・ガルシア・アラルコン(指)
カペラ・メディテラネア,ナミュール室内Cho

録音:2013年9月7-12日、アンブロネ
絶好調のアラルコンとカペラ・メディテラネアがモンテヴェルディの宗教音楽の大傑作「聖母マリアの夕べの祈り」を録音!期待を遥かに超える素晴らし い出来栄えです!!様々なタイプの演奏のあるこの曲ですが、アラルコンはソリストたちと合唱を極めて巧みに使い分けて目を見張る効果を上げています。 たとえば声楽パートが6声あるディクシット・ドミヌスでは、ソリストたちだけ、合唱だけ、ソリストと合唱の混合と細かく切り替えて、編成の変容による 立体的効果を上げています。こうした演奏はこれまでにもありましたが、ここまで徹底した例はなかったでしょう。優秀なソリストたちがナミュール室内合 唱団と見事に融合し、アラルコンの入念な構想がズバリ決まっています。また「オルフェオ」のトッカータを用いた有名な冒頭のドミネも、曲を知っている 人ならちょっとビックリするはず。 そのソリストは、アラルコンの録音の常連が多々。何といってもセリーヌ・シェーンの透明極まりないソプラノの美しさが絶品。通常第2ソプラノに振られ るパートも多くシェーンが受け持っています。ファビアン・ショフランはアルゼンチン、ブエノスアイレス生まれのカウンターテノール。「聖母マリアの夕べの 祈り」は、既にウィリアム・クリスティとディエゴ・ファソリスの録音に参加しているというベテランです。またファルベッティの「大洪水」(AMY 026)や 「ナブッコ」(AMY 036)で主役を務めたポルトガルのテノール、フェルナンド・ギマランイスのキリッとした美声はここでもとても魅力的。その他の歌手 も全員高水準。ナミュール室内合唱団は、各パート5、6人の編成で、スッキリした透明な響きを持ちつつ、素朴な温かさもあるという優れもの。もちろ ん、カペラ・メディテラネアはアラルコンの意図を受けて、鮮やかな色彩感に満ちた万全の演奏を繰り広げています。名盤あまたの聖母マリアの夕べの祈 りですが、このアラルコンの新録音は新たにもう一つ加える価値のあるの内容です。 なお、適宜アンティフォナを挿入、マニフィカトは7声のものを採用、ラウダ・イェルサレムは全音下げていますが、マニフィカトは移調しないままで演奏 しています。 (Ki)
AMY-042
旅への誘い
デュパルク:「旅へのいざない」、「ため息」、「悲しき歌」、「前世」
ジャック・ド・ラ・プレール(1888-1969):「Odelette」、「願い」、「Dedette」、「夜想曲」
ドビュッシー:シャルル・ボードレールの5つの詩〔「バルコニー」、「夕暮れの調べ」、「噴水」、「黙想」、「恋人たちの死」〕
 ステファヌ・マラルメの3つの詩〔「ため息」、「取るに足らない願い」、「扇」〕
リリ・ブーランジェ(1893-1918):天上の林間の空き地(Clairieres dans le ciel)
 〔「もしこれがちっぽけな夢にすぎなかったら(Si tout ceci n’ est qu’ un pauvre reve)」、
  「私たちは強く愛し合うでしょう(Nous nous aimerons tant)」、
  「あなたは私を心から見つめ(Vous m’ avez regarde avec toute votre ame)」〕
レイナルド・アーン:「いとしい傷(La chere blessure)」
ステファニー・ドゥストラック(Ms)
パスカル・ジュルダン(P)

録音:2014 年7月8-10日
1998年にアンブロネーで開催されたアカデミーでクリスティに見出されて以降、バロック・オペラのほかにも、「カルメン」や、モーツァルト、ロッシー ニのオペラなどにも登場し、来日も果たしているなど幅広く活躍しているドゥストラック。フランス歌曲の粋の世界へと私たちをいざなう1枚の登場です。 美しくも強い力を持つ彼女の歌声と、豊かな子音のフランス語で聴く歌曲は絶品。ナディア・ブーランジェの妹リリ・ブーランジェの作品や、1921年ロー マ賞で第1位を獲得し、パリ音楽院留学時代の矢代秋雄に和声を教えたジャック・ド・ラ・プレールらの作品も収録されている、興味深いプログラムとなっ ています。ピアニストのパスカル・ジュルダンは、ハイドシェック、ロジェ・ムラロらに師事した逸材。ドゥストラックとは20年以上も共演を重ねていると あって、このディスクでも、彼女の息や声色の少しの変化も見逃さない見事なピアノをつけています。
AMY-043
アーシェナイ(遭遇)〜オスマン帝国の音楽的出会い
スペイン王アルフォンソ10世:カンティガ166番
ディミトリエ・カンテミール:朝のそよ風が
 セファルディのロマンス「黒い肌」 
ハラド・アルマン(アフガニスタン):砂漠の服
アルメニア伝統音楽源泉:山頂からの風よ
ディミトリエ・カンテミール:マーカム「ウザル・サキル(鶴)」
アルメニア伝承音楽「明るい花」
トルコ伝統音楽「今日、私は悲しい」
セファルディのロマンス&ハラド・アルマン:朝食は
 セファルディのロマンス「眠れ、眠れ、可愛い娘」
ハラド・アルマン(イラン):お酌よ、私の胸は高鳴る
トルコ伝統音楽「シルト」
スペイン王アルフォンソ10世:カンティガ383番
エマニュエル・バルドン(指)
カンティクム・ノヴム【ギュライ・ハチェル・トルク、マシャル・アルマン、エマニュエル・バルドン(唄)、シャディ・ファティ(タール、シュランジス)、アリョーシャ・ルニャール(ニッケルハープ、フィドゥラ)、エマニュエル・ギグ(カマンシェ、ヴィエーレ)、ゲナエル・ビハン(笛)、フォリップ・ロシュ(ウード)、アンリ=シャルル・カジェ、イスマイル・メスバヒ(打楽器)】

録音:2014年9月19-23日/フランス
16世紀、スレイマン1世治下のオスマン帝国を中心に、東と西との音楽的出会いを集めた興味深いアルバム。またキリスト教徒、イスラム教徒、ユダ ヤ教徒が一緒に学べる学校を設立したスペイン王アルフォンソ10世、南欧ユダヤ人であるセファルディのロマンスなど、エキゾチック。またウードやター ルなどイスラム系民族楽器と西欧楽器の関係など、驚きの連続です。1996年結成のカンティクム・ノヴムは地中海沿岸やシルクロードの音楽をレパートリー にする団体。 (Ki)
AMY-056
シャルパンティエ: 四旬節の黙想 H. 380-389
ロベール・ド・ヴィゼー(1650から1665頃-1732以降):11.ド・ヴィゼー嬢へのトンボー
セバスティアン・ド・ブロサール(1655-1730):モテ「王キリストよ、救いたまえ」
マラン・マレ:ヴィオール曲集第1巻よりニ調の前奏曲
セバスティアン・ド・ブロサール:モテ「おお、怒りの日よ」
アンサンブル・レ・シュルプリーズ(声楽/器楽-古楽器使用)
パコ・ガルシア(オートコントル〈高音域テノール〉)
マルタン・カンデラ(ターユ〈テノール〉)
エティエンヌ・バゾーラ(バス=ターユ〈バリトン〉)
ジュリエッタ・ギニャール(ヴィオール)
エティエンヌ・ガレティエ(テオルボ)
ルイ=ノエル・ベスティオン・ド・カンブーラ((指)オルガン、クラヴサン)

録音:2019年9月9-11日サン=ピエール・ルター派教会、パリ
シャルパンティエが復活祭前日までの期間である四旬節のために書いた10篇のプティ・モテと、同時代のブロサールによるモテ2曲を中心とした アルバム。この時期には伝統的にイエスの死の理由、つまり人類の罪に思いを馳せ自粛節制して過ごす風習があり、そのため礼拝のための宗 教曲も演奏編成が最小限に絞られました。シャルパンティエはフランス王室の音楽監督リュリに締め出されながらも、パリのさまざまな宗教組 織に高く評価され名品を多く残しており、四旬節向けの小編成作品でも傑作が少なくありません。『四旬節の黙想』は男声での静謐な表現 が美しい名品中の名品。一方ブロサールは楽譜収集家として有名ながら、彼自身の作品は録音もたいへん少なく、同時代のシャルパンティ エとの作風対照例としても好適なカップリングと言えそうです。マレやド・ヴィゼーの器楽トラックも含め、フランス語圏で活躍をみせる古楽プレイ ヤーたちならではの洗練のきわみといえる新録音。男声中低域3人と通奏低音のみというアンサンブルが、心地よい響きを生み出します。ルイ =ノエル・ベスティオン・ド・カンブーラは1989年フランス生まれの俊英。
AMY-058
『冬の旅』〜世界のクリスマス音楽を女声ア・カペラで〜
1. 伝承歌(フランス、16世紀)/マイケル・マグリン編)): またクリスマスになった
2. 伝承歌(イングランド)/エロディ・ポン編)): 神が歓びをくださるように(星影さやけき)
3. 伝承歌(フランス、15世紀)/
ガブリエル・バタイユ(1574/75-1630)編)): わたしが崇める美しき星
4. 伝承歌(カタルーニャ地方、18/19世紀)/
ポリーヌ・ラングロワ・ド・スワルト編)): その母から生まれた子は
5. 伝承歌(イングランド、1800年前後): ひいらぎとつたは
6. 伝承歌(ブラジル)/マリーザ・モンチ編)): ボルボレータ(蝶々)
7. チャイコフスキー/
ラングロワ・ド・スワルト編)):金平糖の精の踊り
8. 伝承歌(16世紀、イングランド):コヴェントリーのキャロル
9. 伝承歌(リトアニア)/ラングロワ・ド・スワルト編)): 白銀の雨が振ってきた
10. 伝承歌(『コルトーナのラウダ集』〔イタリア、16世紀〕より)/
ラングロワ・ド・スワルト編)):いとも気高き光/ラウダ・ノヴェッラ(新たなる賛美の歌を)
11. エロディ・ポン:聞こえるかい、遠くから声が
12. 伝承歌(アイルランド)/ラングロワ・ド・スワルト編)): みどり児に栄光あれ
13. 伝承歌(ルーマニア)/ラングロワ・ド・スワルト編)): ルーマニアに着くまで
14. 伝承歌(スウェーデン)/ポン編)):聖女ルシア
15. ダニー・エルフマン(1953-):アイス・ダンス(『シザーハンズ』より)
16. オラ・イェイロ(1978-)/ラングロワ・ド・スワルト編)): オーロラ
レズィティネラント(声楽アンサンブル)
マノン・クザン、エロディ・ポン、
ポリーヌ・ラングロワ・ド・スワルト(歌)
ティエリー・ゴマール(打楽器)

録音:2021年2月8-11日
バシャス聖母教会(フランス中南部ルシヨン地方)
幼い頃から古楽に親しみ、早くからチェンバロやヴィオラ・ダ・ガンバの演奏を学んだのち歌手に転じたポリーヌ・ラングロワ・ド・スワルトが、演劇 シーンでも活躍する同世代の若き歌手二人とともに結成した女声ア・カペラ・ユニット、レズィティネラント。フランス語で「放浪する者たち」を 意味するグループ名が示す通り、さまざまなジャンルにわたって30もの異なる言語の歌を聴かせる彼女たちにしか紡ぎ出せないクリスマス・ア ルバムが、フランスの古楽音楽祭団体を母体とするAmbronayレーベルから登場。世界各地の歌を巡るプログラムに唯一の器楽奏者とし てゲスト参加しているのは、凄腕オルガネット奏者クリストフ・デリーニュとのタッグで数々の中世音楽アルバムを制作してきた、凄腕パーカッ ショニストのティエリー・ゴマール! 低音が存在しない、澄み切った和声が美しい女声ア・カペラの浮遊感を活かしながら、そこに絶妙な彩りを 添えてゆく各種打楽器の響きが好ましく、ジャケット写真がまるでこのアルバムをサウンドトラックとする映画の一場面のようにも見えてきます。 リトアニア語、カタルーニャ語、ルーマニア語など、日本では決して馴染み深いとはいいがたい異国語も雰囲気満点、「ここではないどこか」の 気配に満ちた音の旅に誘われる1枚です。

AM-210
グリーグ:ピアノ協奏曲イ短調 Op.16
プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番ハ長調 Op.26
ニコライ・ルガンスキー(P)
ケント・ナガノ(指)
ベルリン・ドイツSO

録音:2013 年2月イエス・キリスト教会(ベルリン)
ニコラーエワ秘蔵の天才少年として世に出たルガンスキーも40歳を超え、超絶のテクニックはそのままに、ますます自在な妙技を繰り広げる存在となっ ています。待望の新録音は久々の協奏曲。これまでラフマニノフやチャイコフスキーの協奏曲は高い評価を受けましたが、今回は彼にとって初のグリーグ とプロコフィエフの第3番。共演はケント・ナガノ指揮ベルリン・ドイツ響で、今年2月にベルリンのイエス・キリスト教会にてセッション録音されました。
グリーグは落着いたテンポで辛口の叙情を歌いあげ、どこかリヒテルの名演を彷彿させます。どんな強音でも透明さを失わない打鍵、第3楽章の若々 しい推進力で、この名作を限りなく新鮮なものにしています。ケント・ナガノのバックアップも絶妙で、終始充実したオーケストラの響きを聴かせてくれます。
ルガンスキー初の録音となるプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番は、2011年12月来日時のデュトワ指揮NHK交響楽団との共演が語り草となって いますが、約1年後の当演奏もそれを凌ぐ凄さです。ルガンスキーは轟き渡る音ながら透明な所がまさにプロコフィエフ向き。ゾッとするような難技巧を 呆れる程の正確さで涼しげにこなし、テンポはアルゲリッチの超名盤ばりの速さで、ケント・ナガノの指揮ともどもボルテージの高い胸のすく快演となって います。ことに第3楽章に現れる二度重音のグリッサンドのすさまじい効果は鳥肌ものです。やはりプロコフィエフの3番はこのような演奏でこそ輝く理 想像で、アルゲリッチ盤に優るとも劣らぬ出来のうえ、録音の新しさと鮮明さでは明らかに優っていると申せましょう。 両曲ともにスタインウエイですが、ルガンスキーならではの奏法でとても明るく軽やかな音がするのも聴きものです。暗く重いと思いこまれているロシア・ ピアニズムの先入感を一新してくれます。 (Ki)

AMY-301
コラン・ド・ブラモン:カンタータ「シルセ(キルケー)」(8曲)
ギリシャとローマの祭典(6曲)
クープラン:比類ないリュリ氏の不滅の思い出のために作曲されたアポテオズ(輝かしい成果)という題名による器楽コンセール(12曲)
 パルナソス山の平和
マルゴ・ブロンシャール&シルヴァン・サルトル(指)
レゾンブル
フランソワ・クープラン(1668− 1733)と、フランソワ・コラン・ド・ブラモン(1690− 1760)の作品を収録。コラン・ド・ブラモンは、 1719年に王室の音楽監督に就任したほどの人物ながら、その作品は録音が極端に少なく、今回の2曲はたいへん貴重です。レゾンブル Les Ombresは、ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者のマルゴ・ブロンシャールと、フラウト・トラヴェルソ奏者のシルヴァン・サルトルによって2006年 に結成された若いバロックアンサンブル。この録音では随所に朗読を挟んでいるのも特徴です。
AMY-302
テレマン:組曲ト長調「ドン・キホーテのブルレスカ」全曲TWV55G:10
リコーダーとフルートのための協奏曲ホ短調TWV55G:e1
組曲イ長調「ガリバー組曲」TWV40:108
2つのフルートのための協奏曲イ短調TWV52:a2
「忠実な音楽の師」よりトリオ・ソナタ.ハ長調TWV42:C1
ターフェルムジーク(食卓の音楽)第1集〜第6曲 終曲ホ短調TWV50:10
レゼスプリ・アニモ

録音:2011年4月23日-24日、フランス
バロックを代表する音楽家の1人、テレマン。小説と音楽の融合をテーマにした本CDでは、テレマンが残した数多の作品の中から「ドン・キホーテのブルレスカ」や「ガリバー組曲」など、小説を題材にした作品が収録されています。ドン・キホーテを題材とした作品はヨーロッパではお馴染みですが、器楽曲としてこの題材に取り組んだのはテレマンが最初であるといえましょう。ブルレスカ(滑稽物)らしく時に陽気に、時に情熱的にドン・キホーテのキャラクターを描写しています。「ガリバー組曲」は、巨人ガリバーと小人たちという対照的なキャラクターの見事な描写分けが最大の魅力。テレマンは小人の動きを描写するために24/1拍子や32/3拍子といった驚くべき拍子を用いており、CDのリブレットに載せられた楽譜を見ながら聴くとまた違った楽しみが味わえます。テレマンらしい軽快かつ優雅な響きに満ちた1枚です。レゼスプリ・アニモは2009年にオランダで結成された新進気鋭の演奏団体。若手実力派達の活気にあふれた演奏によって、テレマンが作り出す魅力的な世界が生き生きと表現されています! (Ki)
AMY-303
ルベル父から息子へ
ジャン=フェリ・ルベル:舞踊の地方色/リュリ氏のトンボー
フランソワ・ルベル&フランソワ・フランクール:「平和のバレ」〜何とまばゆい光が天を
 パリ裁判への前奏
 ヴィーナスのためのエール
 パリのためのミュゼット
 ジュノンのためのサラバンド
 楽しみのためのエール
 平和の子供歌
 メヌエット/光輝讃頌
 レシタテイフと二重唱「優しい愛」
 アマトゥス人のためのエール
 タンブーラン
 彼は鎖に繋がれ呻く
 シャコンヌ
 イスメーヌはすべて弱すぎる、ああ
 二重唱「とても優しい風が
同:「スカンデルベルク」〜狂乱、愛
ジュリエット・ペレ(S)、
エティテンヌ・バゾラ(Br)、
アンサンブル・レ・シュルプリーズ

録音:2013 年 3 月/ジュジュリュー礼拝堂
時代を先んじた不協和音で始まるバレエ音楽「四大元素」で知られるジャン=フェリ・ルベル(1666-1747)。彼の息子フランソワ(1701-1775)も作 曲家で、フランソワ・フランクールと組んで数篇のオペラを作曲しましたが、今日忘れられています。
当アルバムがデビュー盤となるアンサンブル・レ・シュルプリーズは2010年結成のフレッシュな古楽器合奏団。グループ名はラモーのオペラ「愛の驚 き Les surprise de l’ Amour」に由来するそう。団員たちはニケ、クリスティ、ルセから鍛えられていて、まさに驚くべき水準を示しています。2012年 にアントワープで行われた国際若手演奏家プレゼンテーションで入賞し、各界から注目を集めています。 (Ki)
AMY-304
ヘンデルとハイム
ハイム:トリオ・ソナタ.ハ短調 op.1-4
ヘンデル:アリア「A languir ed a penar」〜オペラ「アドメート」HWV 22より
ハイム:トリオ・ソナタ.ニ短調 op.1-1
ヘンデル:トリオ・ソナタ.ヘ長調 op.2-7
 アリア「Torni omai la pace all’ alma」〜オペラ「エジプトの王トロメーオ」
HWV 25より
ハイム:トリオ・ソナタ.イ短調 op.1-3
ヘンデル:アリア「Ah! Tu non sai」〜オペラ「ゲルマニアの王オットーネ」HWV 15より
 トリオ・ソナタ.ト短調 op.2-5
 羊飼いの男女の踊り(Ballo di pastori e pastorelle)〜オペラ「ゴールのアマディージ」HWV 11より
ラウラ・リルチェンテ(L’AURA RILUCENTE)〔ヘリベルト・デルガド・グティエーレ(Vn)、サラ・バニャーティ(Vn)、シルヴィア・セッラノー・モネステローロ(Vc)、マキシミリアン・エールハルト(Hrp)、ホルヘ・ロペス=エスクリバーノ(Org, Cem)〕

録音:2014年11月24-27日
ニコラ・フランチェスコ・ハイム(1678-1729)はヘンデルのオペラ作品の多くにリブレット作者として携わりました。作曲の才も際だっていたものの 歴史に埋もれてしまって、まだまだ発見の価値のある作品がたくさん遺されています。ハイムがリブレットを手掛けたヘンデルのオペラを中心としたアリア を器楽曲に編曲したものと、それに関連したトリオ・ソナタを組み合わせた興味深いプログラムです。 (Ki)
AMY-307
「新しいヨーロッパ」
ホアン・デ・カストロ:Entre dos alamos verdes
マヌエル・コレア:Dime Pedro, por tu vida
エティエンヌ・ムリニエ:Orillas del claro Tajo
作曲者不詳:Entre dos alamos verdes
フランシスコ・ゲレーロ:Sicut cervus
作曲者不詳:Deus in adiutorium meum
作曲者不詳:Laudate Dominum
コレッリ:トリオ・ソナタ第4番 op.2
B.ド・ハヴェシュタット:Duamtumn vil
D.ツィポリ:Zuipaki
 Chapie Zuichupa
作曲者不詳:Tonada El Diamante
作曲者不詳:Lanchas para Baylar
クスコの伝統音楽:Siwar situy
作曲者不詳:Cachuas al Nacimiento de Nuestro Senor Jesucristo
フローベルガー:Phantasia supra Ut-Re-Mi-Fa-Sol-La, FbWV 201 (Extract)
作曲者不詳:Y technepa Sacramento
フランコ:Santa Maria in ilhuicac
Pinheiro:Laetatus sum
作曲者不詳:Sao qui turo
ホアン・グティエレス・デ・パディラ:A la xacara, xacarilla
セコンダ・プラクティカ
録音:2016年4月
16世紀から17世紀にかけて、スペインやポルトガルは多くの土地を植民地化しました。当時のスペイン・ポルトガルの音楽、そして植民地に伝わって いた音楽、両者が融合して生まれた新しい音楽を収録したのがこの1枚。どこか懐かしい素朴な歌や、敬虔な宗教的作品など、珠玉の楽曲を楽しむこと ができます。 (Ki)
AMY-311
17世紀イタリアの小品による「四季」
<春>
E.シャンポリオン:リコーダーのための前奏曲
ジョヴァンニ・P.ダ・パレストリーナ(1524-1595):野山は花の賑わい (E.シャンポリオン、A.サリエル編)
フランチェスコ・トゥリーニ(1595-1656):ソナタ「なんと長い間、まったく」
(〜ジャン・シェルダヴォワーヌ(1538-1580)「若い娘」による)
マルコ・ウッチェリーニ(1603-1680):鶏とカッコウの結婚
チャコーナ〜モンテヴェルディ、メルーラ、ベルターリ、D.ブダイによる変奏曲 (F.A.ハイドゥ、D.ブダイ編)
<夏>
F.A.ハイデュ:ヴァイオリン独奏のための前奏曲
ウッチェリーニ:満足したルチミニア
ジョヴァンニ・バッティスタ・フォンタナ(1589-1630):ソナタ第7番
D.ブダイ:カナリオ
<秋>
作者不詳/伝トーマス・プレストン(1542-ca.1563):ラ・ミ・レによるリュート独奏のための前奏曲(A.サリエル、D.ブダイ編)
メルーラ:ラ・カッタリーナ
ダリオ・カステッロ(1590-1658):ソナタ第12番
アンドレア・ファルコニエーリ(1585-1656):パッサカリア (D.ブダイ編)
間奏曲〜イヴ・モンタン(1921-1991)「枯葉」による即興、メルーラ「ラ・カラヴァッジア」風
タランテッラ〜アタナシウス・キルヒャー(1602-1680)による変奏曲 (D.ブダイ編)
<冬>
ビアージョ・マリーニ(1594-1663):バレット第2番より「撤退」によるヴィオラ・ダ・ガンバ独奏のための前奏曲
(D.ブダイ、E.シャンポリオン編)
ファルコニエーリ:甘美なメロディ
トゥリーニ:2声の高音部と通奏低音のためのソナタ
マントヴァーナ〜ウッチェリーニとマリーニによる変奏曲 (D.ブダイ編)
プリスマ
【メンバー】
エリーザベト・シャンポリオン(リコーダー)
ダヴィド・ブダイ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
フランチェスカ・アンナ・ハイドゥ(Vn)
アロン・サリエル(Lute)

録音:2018年3月31日-4月3日
フランス、ジュジュリュー
若きアンサンブル「プリスマ」による、17世紀イタリアのソナタ、タランテッラ、チャコーナなどの小品にメンバーによるオリジナル作品や シャンソン「枯葉」までも取り混ぜた小品集。季節を感じさせる内容別に配置し、リコーダー、ヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバ、 リュートといったメンバーが、高音2声と通奏低音によるトリオ、あるいは四重奏、ソロなどの形で編成にも変化を付け、たいへん 魅力的に聴かせてくれます。それぞれの季節の最初には、楽器ごとに各メンバーが作曲、あるいは編曲を手掛けたソロ曲も収 録。一見有名ではない曲が多いですが、いずれも親しみやすく美しい作品ばかりで、例えばトゥリーニによるソナタ「なんと長い 間、まったく」は、映画「めぐり逢う朝」でサント・コロンブの娘二人が愛らしいデュエットを聴かせた(実際はフィゲーラスとキールが幼 い声を模して歌っています)ことでも知られる「若い娘」をもとにした変奏曲。新しい世代の感性が400年の時を越えて音楽に新 たな命を吹き込む、楽しいながらもスリリングなアルバムとなっています。
AMY-312
『トランシルヴァニア人』 イタリア半島とハンガリー王国、1600年前後の音楽交流 〜カイオーニ写本所収の作品とハンガリー伝統音楽を中心に〜
1. トッカータ「ディルータ」(ダーヴィド・ブダイ)
2. 朝の歌(ハンガリーの伝承歌)
3. ラ・ロマーナ〔ローマ気質/ロマ気質〕(タルディーティ)
4. サラバンダ〔=サラバンド〕「ジェスネーリ」(作者不詳/カイオーニ写本より)
5. ラ・モニカの調べによるソナタ(マリーニ)
6. ハンガリー式カヴァルの独奏(エリザベート・シャンポリオン)
7. 高い崖から(ハンガリーの伝承歌)
8. ハンガリーの舞踏曲(ピッキ)
9. パドアーナ〔=パヴァーナ〕「ハンガリー」(ピッキ)
10. ガリアルダ〔ガリアルド〕「ハンガリー」(ブダイ)
11. バラッド「英国の理髪師」(ハンガリーの伝承歌)
12. フェレンツ・クルチャールのポントゾー(ハンガリーの男性向け伝統舞踊)
13. 二人の少女が花を摘みに(ハンガリーの伝統民俗歌)
14. イントラーダ(作者不詳/カイオーニ写本より)
15. ハンガリー風組曲(マイネリオ/カイオーニ写本より)
16. フランス風トッカータ(ブダイ)
17. どうかお目こぼしください、主よ(ハンガリーの伝承歌)
18. わたしはスミレの種をまいた(ハンガリーの伝承歌)
19. 腰帯の踊り-悪魔の道をたどり(ハンガリーの伝統舞踊)
20. チャラ・カラテイ地方およびパラトカ地方の踊り「ひとり者」(ハンガリーの伝統舞踊)
プリスマ(古楽器使用)【エリザベート・シャンポリオン(リコーダー、ハンガリー式カヴァル)、フランツィスカ・ハイドゥ(ヴァイオリン、歌)、ダーヴィド・ブダイ(バス・ヴァイオリン、フォーク・ヴィオラ)、アロン・サリエル(アーチリュート、マンドリン)、ゲスト: ガーボル・ユハース(コントラバス、テオルボ)】

録音:2020年3月2-5日 ジュジュリユ(フランス南東部ローヌ地方)
クラシック音楽とハンガリー民俗音楽といえば、20世紀のバルトークやコダーイ以前から、リスト、ヨアヒム、ブラームスといった作曲家たちが非定 住者ロマ(ジプシー)の伝統音楽を自作品に取り入れてきたことで有名。しかしその先例は意外やバロック初期のイタリア音楽にも、さまざまな かたちで確認できます。そうした歴史的文化交錯に意識を向け、民俗楽器やその専門家たちも動員して生々しいバロック像の刷新を体現し てみせる新録音。低音域まで充実した響きで満たされる撥弦サウンドに乗せ、リコーダーやバルカン半島周辺の伝統的な縦笛カヴァルといっ た管楽器の味わい豊かな音色と、異国情緒あふれるハンガリー伝統の弓奏との交錯が織りなすユニークな聴覚体験は、今まで知っていたバ ロックの通念を静かに覆す発見の瞬間にあふれています。近現代作品での中東欧音楽にたぎる躍動感に惹かれる方々にも、古楽再発見の 思いがけないきっかけを呼び込むアルバムとしてお勧めしたい1枚です。
AMY-313
『機を織るように』 〜17世紀イタリアのヴァイオリン音楽さまざま
1. エッカルドと呼ばれたる舞踏曲-『コンチェルタート様式による教会と室内のカンツォーナまたはソナタ集』より(メールラ)
2. 3声のカンツォーナ -『聖なる音楽集』より(カヴァッリ)
3. ジェンナーロと呼ばれたる舞踏曲 -『コンチェルタート様式による教会と室内のカンツォーナまたはソナタ集』より(メールラ)
4. 「若き貴婦人」の調べによる即興(マルコ・クロゼットによる)
5. 若き貴婦人、緑なす月桂樹の木蔭で(ガブリエーリ/イグナシオ・ラマルによる分割装飾付き演奏)
6. 第7ソナタ -『ヴァイオリン、コルネット、ドゥルツィアン、及びこれに類する他の楽器のための1、2、3声のソナタ集』より (フォンターナ)
7. 第8シンフォニア -『さまざまなソナタ、シンフォニア、ガリアルダ 第3巻』より(ロッシ)
8. ベルガマスカ -『さまざまなソナタによる組曲集』より(ヴィターリ)
9. 第3ソナタ -『先進様式によるコンチェルタート様式のソナタ集 第1巻』より(カステッロ)
10. ポッリチオと呼ばれたる舞踏曲-『コンチェルタート様式による教会と室内のカンツォーナまたはソナタ集』より(メールラ)
11. 第9シンフォニア-『さまざまなソナタ、シンフォニア、ガリアルダ 第3巻』より(ロッシ)
12. 3声のソナタ「イル・コリジーノ」-『マドリガーレ集』より(トゥリーニ)
13. わが主君たる貴婦人タロリリャ・デ・カラリェノス閣下のために作られたるフォリア-『カンツォーナ、シンフォニア、ファンタジア集 第1巻』より(ファルコニエーリ)
14. わが心よ、なぜ死なぬのか?(モンテヴェルディ/マヤ・カディシュによる分割装飾付き演奏)
15. 第9シンフォニア -『シンフォニアおよびガリアルダ集 第1巻』より(ロッシ)
ラ・ヴァゲッツァ(古楽器使用)
イグナシオ・ラマル、マヤ・カディシュ(Vn)
ジャンルーカ・ジェレミア(テオルボ)
アナスタジア・バラヴィエーラ(Vc)
マルコ・クロゼット(チェンバロ、オルガン)

録音:2020年7月11-15日 ジュジュリュ、フランス
「前世紀の音楽よりもずっと複雑で、獣のような音楽」――17世紀初頭のイタリアに花開いた器楽芸術について、新進気鋭の国際派古楽 器グループ「ラ・ヴァゲッツァ」はそう説明しています。2016年の結成以降、急速に古楽シーンの前線へ出てきた彼らは英国、スペイン、フラン ス、イタリアからメンバーが集い、活気あふれるバロック本来の音楽の奔放さを脈々と伝える、緩急自在の演奏で注目を浴びつつある団体で す。記念すべき最初のアルバムは彼らの持ち味が最大限に生きる、まさに獣のような大胆さを秘めたイタリア初期バロックの傑作選。撥弦・弓 奏をダイナミックに交錯させてのコントラスト豊かな音楽作りは、聴くほどに惹き込まれるクオリティ!バロック流儀の即興装飾演奏(分割装飾、 ディミヌツィオーネ)も自在そのもので、陰影差の対比がきわだつ17世紀イタリア絵画にも通じる痛烈な音楽美を心ゆくまで味わえる仕上がり になっています。16世紀の大家ガブリエーリに始まり、ナポリのファルコニエーリ、ヴェネツィアのフォンターナやカステッロを経て、有名なシャコンヌ の作曲家の父で、生前は息子よりはるかに有名だったボローニャのG.B.ヴィターリにいたる、イタリア音楽史のつながりを概観できる選曲も魅 力の一つです。
AMY-314
NX-B09
『リュリに憧れたドイツの作曲家たち』
ムファット(1653-1704):『調和の捧げもの』ソナタ 第2番ト短調(1682)
ヨハン・カスパー・フェルディナント・フィッシャー(1656-1746):『春の便り』組曲 第1番ハ長調(1695)
ムファット:『音楽の花束 第2集』組曲 第1番「貴族の若者」(1698)
テレマン:序曲(管弦楽組曲) 変ホ長調 TWV 55:Es4
エル・グラン・テアトロ・デル・ムンド(古楽器使用)【コリーヌ・オルモンド、川久保洋子(Vn)、ミヒャエル・フォルム(リコーダー)、ミリアム・ホルデ・オンパネラ(Ob)、クラウディウス・カンプ(ファゴット、リコーダー)、ヨナス・ノルドベルイ(テオルボ)、ブルーノ・ウルタド・ゴサルベス(バス・ド・ヴィオロン、ヴィオラ・ダ・ガンバ)】
フリオ・カバリェロ・ペレス(チェンバロ、指揮)

録音:2021年2月7-10日C.Jボネ文化会館、ジュジュリュー(フランス南東部ローヌ地方アン県)
スペイン出身の古楽器奏者たちを中心に、ヨーロッパで幅広い活躍をみせる名手たちが古楽教育の一大拠点バーゼルで結成した新しい古 楽アンサンブル「エル・グラン・テアトロ・デル・ムンド」。そのCDデビューにあたって選ばれたプログラムは、舞踏のステップと強く結びついたフランス 組曲様式にドイツ人たちが開眼したばかりの頃、いかにみずみずしい音楽がそこで紡がれたのかを強く実感させる選曲。同い年のイタリア人コ レッリとは友人同士であり、若い頃はルイ14世の王室音楽総監督リュリのもとで学び、イタリアとフランスの様式をどちらも自家薬籠中のもの としたムファットの『調和の捧げもの』は、イタリア風の合奏様式を軸にした曲集。この曲集からの作品が冒頭に置かれていることによって、本 盤後半を彩るフランス様式の傑作選『音楽の花束』や、同世代でやはりリュリの様式を強く意識しながら活動を続けたJ.C.F.フィッシャーの創 意豊かな組曲などにみる「フランス趣味」がきわだって聴こえる構成になっています。最後のテレマン作品ではポーランド民俗音楽からインスパ イアされた野趣あふれる音使いも鮮やか。アンサンブルにはカフェ・ツィマーマンなどでも活躍してきた大ベテランのリコーダー奏者ミヒャエル・フォ ルムや、リ・インコーニティ、レ・タンブルなどの一員として名盤多き川久保洋子など名だたる俊才たちが参加。古楽器が響きあう空間の気配 をよく捉えた録音とあいまって、バッハ前夜のフランス風ドイツ音楽特有の華やぎがひときわ魅力的に伝わります。


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