湧々堂HOME 新譜速報 交響曲 管弦楽曲 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 歌劇 バロック 廉価盤 シリーズ
旧譜カタログ チャイ5 殿堂入り 交響曲 管弦楽 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 歌劇 バロック


バロック以前・新譜速報1


※発売済のアイテムも含めて、約3ヶ月間掲載しています。
※新しい情報ほど上の段に記載しています。
※表示価格は全て税込みです。



Ars Produktion
ARS-38640(1CD)
アントニオ・チェスティ:カンタータ集
アントニオ・チェステ:私を放っておいて
ジョヴァンニ・ブオナヴェントゥーラ・ヴィヴィアーニ:「教会と室内のためのカプリッチョ・アルモニコ」よりアリア第6番
チェスティ:雪深く厳しいアルプス、Insegnatemi a morire
ヴィヴィアーニ:「教会と室内のためのカプリッチョ・アルモニコ」よりシンフォニア第2番
チェスティ:Ricordati mio core、Quanto siete per me pigri,o momenti!
ヴィヴィアーニ:「教会と室内のためのカプリッチョ・アルモニコ」よりアリア第3番
チェスティ:Ferma Lachesi,Fileno、Ferma Lachesi,ohime
アリーチェ・ボルチアーニ(S)、
イル・ザバイオーネ・ムジカーレ〔エヴァ・サラディン(Vn)、朝吹園子(Vn)、オリ・ハルメリン(テオルボ)、エラム・ロテム(ハープシコード)

録音:2021年11月&2022年2月
朝吹園子参加の古楽アンサンブル、イル・ザバイオーネ・ムジカーレによるアントニオ・チェスティ(1623-1669)のカンタータ集。チェスティは歌手やオペラ作曲家としてフィレンツェ、インスブルック、ウィーンなどで成功を収め有名でしたが、ジョヴァンニ・フィリッポ・アポローニの詩を基にしたカンタータも残しており、このアルバムに収録されました。
バーセル・スコラ・カントルムで出会った音楽家たちによって結成された古楽アンサンブル『イル・ザバイオーネ・ムジカーレ』に参加する朝吹園子は、バロック・ヴァイオリン&ヴィオラ奏者として活躍しており、東京藝術大学大学院修士課程修了後、ドイツのフライブルク音楽大学でヴィオラを、スイスのバーゼル・スコラ・カントルムでバロック・ヴァイオリンの研鑽を積み、スイスを拠点に国際的な演奏活動を行っています。

KLANGLOGO
KL-1401(1CD)
バード:歌曲集
Terra tremuit/Make ye joy to God/Prostrate O Lord I lie/5声のためのミサ曲/Alleluia, Ave Maria - Virga Jesse/How shall a young man prone to ill/O Lord my God/Laetentur coeli(聖歌集 第1巻より)/Laetentur coeli(聖歌集 第2巻より)/Miserere mei, Deus/Lord, make me to know/Ne irascaris Domine
ウィーン・ヴォーカル・コンソート
2001年に結成されたウィーン・ヴォーカル・コンソートは、オーストリアで最も有名な古楽アンサンブルのひとつです。5人のメンバーはそれぞれ、イタリア語教師、海洋生物学者、テクノロジー・ジャーナリスト、ランドスケープ・プランナー、建築家という非常にユニークな経歴を持っています。
イギリス・ルネサンスの巨匠であるウィリアム・バードの作品を取り上げたこのアルバムは、ウィーン中心部の歴史的なマリア・アム・ゲシュターデ教会で録音され、豊かで深みある美しい響きを聴かせます。

Urania Records
LDV-14105(1CD)
パヴォーナ:オルガンと宗教音楽
ピエトロ・アレッサンドロ・パヴォーナ(1728-1786):ソナタ ニ長調、ソナタ ト長調*、ソナタ ハ長調*、モテット「QUANDO VENIT E TORRENTE」*、パストラーレ ニ長調、ソナタ ハ長調*、ソナタ ヘ長調*、ソナタ 変ロ長調*、ソナタ ヘ長調*、シンフォニア ハ長調*
【ボーナストラック】レナート・ミアーニ(b.1965):トッカータ(B・マリアエ・ヴィルギニスに敬意を表して)
アルベルト・ガスパルド(Org)、
クリスティーナ・モスカ(S)、
クラウディオ・ラード(Vn)、
マウロ・スピナッツェ(Vn)、
マウロ・ザヴァーニョ(ヴィオローネ)

*世界初録音
18世紀の作曲家、ピエトロ・アレッサンドロ・パヴォーナのソナタは何世紀にも渡り、今日まで手稿が残されてきました。このアルバムにはそのソナタが収録され、ほとんどが世界初録音となっています。パヴォーナのソナタはヴェネツィアの巨匠たちが愛したスカルラッティのような単旋律と二部構成からなる古いスタイルと、当時すでにオーストリアを中心に流行していた二主題の新しいソナタ形式の間で揺れ動き、多様性を感じさせます。

Hyperion
CDA-68404(1CD)

JCDA-68404(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価

明けの明星
1. コルネリウス(1824-1874)(サー・アイヴァー・アルジャーノン・アトキンズ/オワイン・パーク編):ケルンの三王〔=東方の三博士〕 Op.8の3
2. 単旋聖歌:イントロイトゥス(入祭唱)「見よ、全能の主が来るのを」
3. ヨハネス・エッカルト(1533-1611):マリアは聖所に行って
4. ウィリアム・バード(1539/40-1623):見よ、全能の主が来るのを
5. 単旋聖歌:グラドゥアーレ(昇階唱)「シバの人はみな」
6. ジョアンナ・マーシュ(b.1970):冬の家の中に
7. ヤコブス・ハンドル(1550-1591):不思議な神秘が
8. ハウエルズ:ここに小さな扉がある
9. 単旋聖歌:アレルヤ「その星を見たので」
クレメンス・ノン・パパ(c.1510/15-1555/6):東から来た博士たちが-10. 東から来た博士たちがエルサレムに着いて、11. 博士たちがその星を見ると
12. ペルト(b.1935):明けの明星
13. エイドリアン・ピーコック(b.1962):それほどの徳を持ったばらはない
14. 単旋聖歌:オッフェルトリウム(奉納唱)「タルシシュの王たちが」
15. ラッスス(1530/32-1594):三つの奇跡
16. オワイン・パーク(b.1993):あなたの光を送って
17. 単旋聖歌:コンムニオ(拝領唱)「その星を見たので」
18. ジュディス・ビンガム(b.1952):マリアの愛の中で
ピエール・ド・マンシクール(c.1510-1564):光を放て, エルサレムよ-19. 光を放て, エルサレムよ、20. あなたの子らは遠くから来
21. 伝承曲(オワイン・パーク編):ベツレヘムよ, もっとも高貴な都市のどれも(「シュトゥットガルト」)
ジェズアルド・シックス〔ガイ・ジェームズ(C.T)、ジョゼフ・ウィックス(T)、ジョシュ・クーター(T)、マイケル・クラドック(Br)、サミュエル・ミッチェル(Bs)〕、
オワイン・パーク(指、Bs)、
ウィル・プライアー(C.T)

録音:2022年9月13日-15日、トリニティ・カレッジ礼拝堂(ケンブリッジ)
2014年に設立されたイギリスの若き男声ア・カペラ・アンサンブル、「ジェズアルド・シックス」。ディレクターを務めるオワイン・パークは、1993年生まれ、若くして作曲家、指揮者、歌手、オルガニストなど多彩に活動を拡げる天才ミュージシャンです。ジェズアルド・シックスは、イギリスのルネサンス期を代表する作曲家ウィリアム・バード(c.1543-1623)の没後400周年を記念したスペシャル・コンサート「シークレット・バード」を企画し、英米の大規模なツアーを行っています。
Hyperionからリリースされる8枚目のアルバムとなる本作では、ラッスス、バードからハウエルズ、ジュディス、ビンガム、オワイン・パーク、そしてペルトまで、16世紀から現代にかけての傑作を集成。有名な季節のキャロル、ルネサンス時代の珠玉の作品や21世紀のハイライトを織り交ぜています。レコーディングは、クリスマス・アルバム(『Christmas』CDA-68299)が制作されたケンブリッジのトリニティ・カレッジのチャペルにて行われ、このアルバムを通して、彼らの音楽的喜びを聴衆の心に贈ります。

Paladino Music
PMR-0125(1CD)
テレマン:2本のフルートのための6つのソナタ
テレマン:ソナタ第1番ト長調 TWV 40:101/ソナタ第2番ホ短調 TWV40:102/ソナタ第3番ニ長調 TWV40:103/ソナタ第4番ロ短調 TWV40:104/ソナタ第5番イ長調 TWV40:105/ソナタ第6番ホ長調 TWV40:106
エリック・ラム(Fl)、コナー・ネルソン(Fl)

録音:2022年6月27日-28日、ヴァインベルク城(オーストリア、ケーファーマルクト)
ドイツ・バロック音楽の大家、テレマンの創造性と多才さを示す代表的な作品のひとつに数えられる傑作を、現代の卓越したフルーティスト達の演奏で贈ります。
数多くの現代作曲家やアーティストたちと協力し200以上もの作品を初演してきたエリック・ラム。彼の働きにより21世紀のフルートのレパートリーは拡がり、17〜18世紀に作られ長く忘れられていた作品は陽の目を見ることになりました。カナダのフルート奏者コナー・ネルソンは、カーネギーホールのワイル・リサイタル・ホールでリサイタル・デビューを果たして以来、ソリストとしてミネソタSO、トロントSO、フリントSOなどと共演。WASMOヤング・アーティスト・コンペティションでグランプリを受賞した唯一の管楽器奏者です。

H.M.F
HMM-902678(1CD)
SOLO
ニコラ・マッテイス・Jr(息子)(1670年代後半〜1737):ファンタジア イ短調“Alia Fantasia”(ソロ・ヴァイオリンの為の2つのファンタジアより)
ニコラ・マッテイス・Sr(父)(1650年頃-1713以降):ヴァイオリンの為のエア集(Ayres for the Violin (抜粋))
 ・プレリュード
 ・パッサッジョ・ロット - アンダメント・ヴェローチェ
 ・ファンタジア
ヨーハン・ゲオルク・ピゼンデル(1687-1755):ソナタ イ短調
ルイ=ガブリエル・ギユマン(1705-1770):ソロ・ヴァイオリンの為のアミュズモン op.18(抜粋)
 〔アレグロ - アレグレット - アンダンティーノ - アレグロ/マエストーゾ- アリア/グラティオーゾ - ヴァリアツィ
 オーネ - アルトロ - アルトロ〕
ヨハン・ヨーゼフ・ヴィルスマイアー(1663-1722):パルティータ第5番ト短調
ビーバー:パッサカリア ト短調「守護天使」(ロザリオのソナタより)
イザベル・ファウスト(Vn/ヤコブス・シュタイナー(1658))

録音:2020年4月、テルデックス・スタジオ、ベルリン
世界最高峰のヴァイオリン奏者、イザベル・ファウスト。深遠極まりない、無伴奏による新譜の登場。奏でている音色はやわらかく、フレーズのひとつひとつ にふくよかな息遣いの音楽が宿っていながら、驚異的な集中にはただならぬオーラと鬼気迫るものすら感じさせるような演奏。ファウストの音楽だけでなく、彼 女が音楽に向かう姿勢までもが鮮烈にとらえられているかのうような、圧倒的な録音です。
プログラムはバロック後期の無伴奏ヴァイオリン作品。冒頭のマッテイス(息子)の作品は3分半ほどの作品。ファウストの演奏は静かに始まりますが、次第 にこの楽曲のもつバッハのシャコンヌのような鬼気迫る凝縮された世界に、聴き手は金縛りにあったように引き込まれてしまいます。ニコラ・マッテイス(息子) は当時コレッリのソナタを非常に優雅に演奏した、という記録が残されており、卓越した技術と音楽性を兼ね備えていた奏者だったことがうかがわれます(ハプ スブルク家の宮廷に仕え、残されている作品はヴァイオリン作品よりむしろバレエ音楽が多い)。
ピゼンデルはドレスデン宮廷楽団に仕えたドイツの最高のヴァイオリン奏者でした。イタリアを訪れ、ヴィヴァルディに師事し親交を深めたことでも名を残してい ます。彼のソナタはバッハにも影響を与えたと考えられています。
ギユマンはルイ15世やポンパドゥール夫人に仕えたヴァイオリン奏者・作曲家で、当時知名度・俸給の高さで群を抜いた存在でした。しかし浪費癖があり晩 年は借金に苦しみ飲酒も過ぎるようになるなど、波乱の人生を送ったといわれています。舞曲風の楽曲が連なるこのop.8は美しい装飾的な旋律が魅力です。
ヴィルスマイヤーは、ザルツブルク生まれで、ビーバーが率いる楽団の奏者でした。この作品は彼の唯一の出版譜に含まれるもので、楽譜の表紙には通奏低 音を伴う作品を意図していた形跡もありますが、現在はソロ・パートのみが現存。ビーバーのスコルダトゥーラの技法も取り入れた作品となっています。
ディスクの最後に収められているビーバーのパッサカリアは、無伴奏ヴァイオリン作品の最高峰のひとつ。ファウストの音楽は、たしかな歩みで音楽を運びつ つ、音の余白にまで、研ぎ澄まされた神経が行き届いていることが感じられるもの。なにかに突き動かされているように激しさを増す装飾は美しさを一切失わず、 その音の連なりが織りなす空気は、人智を超えた神秘の領域を感じさせます。

APARTE
AP-325(3CD)
リュリ:歌劇「テゼ」

クリストフ・ルセ(指)
レ・タラン・リリク
ナミュール室内cho
テゼ:マティアス・ヴィダル(T)
メデ:カリーヌ・デエ(Ms)
エグレ:デボラ・カシェ(S)ほか

録音:2023年3月3-5日

クリストフ・ルセとレ・タラン・リリクが探求を続けているリュリ。このたび、リュリの3作目の歌劇である「テゼ」が登場します。録音がきわめて少ない作品で、 このルセによる録音はまさしく大歓迎の新録音といえるでしょう。テゼ(=テセウス)はギリシャ神話の人物で、ミノタウロス(牛頭人身)退治などで知られますが、 ここではテゼの若い頃が舞台となっています。筋書きは、テゼに思いを寄せるエグレ(アグラエア)とメデ(メデア)を中心に、魔術師が登場、宮殿(ヴェルサイユ) やアテネなど舞台もめまぐるしく変わるなか、最後はエグレとテゼが結ばれる、というもの。ヘンデルのテゼオ(1713年)など、リュリ以降も多数の作曲家たちに よってこの物語を歌劇の題材にしています。 初演に際し、ちょうどのタイミングでフランス軍が戦いに勝利したというしらせを受け、リュリと台本作者のキノーは、急遽プロローグを朗らかな内容に変えるなど し、ルイ14世を戦いの神とするようなテキストも盛り込まれています。器楽編成も、当時絶大な権力を誇ったリュリの力をフル活用し、大編成をとりました(「王の 24のヴァイオリン」さらに「21の小ヴァイオリン」(ラ・プティット・バンド)が参加)。さらにあのオトテール兄弟(フルートとオーボエ)も参加、そしてトランペッ ト奏者には王のボディーガードを起用するなど、大編成な管弦楽と、王を喜ばせるポイントも多数盛り込んだ編成にしています。はたしてこの作品は大成功をおさ め、初演の1675年1月15日から翌年4月まで、休止期間はあったものの週3回のペースで上演されました。また、1754年のルイ16世の生誕の祝宴などで も演奏されるなど、フランスという国を代表する歌劇でありつづけました。 リュリの音楽の驚くべき声楽の雄弁さは圧倒的。また、器楽のみの楽曲も、たとえばトランペットやティンパニが活躍する第1幕第10場の「生贄の司祭の行進」な ど、実に華やかにして贅沢。ルイ14世とリュリ、両者が当時圧倒的な力をもっていたことも実感させられる壮麗な作品です。 ドラマの中心にいるのはメデ(=カリーヌ・デエ)。意志が強く悲劇的なメデの姿を華麗に演じ、リュリの歌劇の中でも最も熱狂的な作品である本作の魅力を存分 に引き出し、聴かせます。マティアス・ヴィダルとデボラ・カシェのデュエットにも胸をうたれるなど、聴きどころ満載。リュリがつくりあげた壮大な音楽を、ルセが 最高の歌唱陣と器楽奏者たちを率いて、これ以上ないかたちで壮麗に響かせます。 (Ki)

OEHMS
OC-1727(1CD)
NX-B07
タリス、バード、ギボンズ:鍵盤作品集
1. トマス・タリス(1505頃-1585):御身はまことに幸いなる者 I*
 (フィッツウィリアム・ヴァージナル・ブック109)
2. バード(1540頃-1623):おお、わが愛しの人よ
3. バード:勝利に寄せるガリアード
4. オーランド・ギボンズ:リンカンの旅籠
5. バード:ウト・レ・ミ・ファ・ソル・ラ*
6. ギボンズ:ファンタジア ト短調
7. ギボンズ:ナンのマスク、もしくはフランスのアルメイン
8. ギボンズ:マスク「おかえりなさい」
9. バード:ウォルシンガム(フィッツウィリアム・ヴァージナル・ブック 68)
10. ギボンズ:アルメイン:「王の宝石」(ムジカ・ブリタニカ 36)
11. ギボンズ:ああ、私をいじめないで、よき人よ(ムジカ・ブリタニカ 31)
12. バード:幸運(フィッツウィリアム・ヴァージナル・ブック 65)
13. ギボンズ:ファンタジア ハ長調
14. バード:パヴァン BK14a
15. バード:ガリアード BK14b
16. タリス:御身はまことに幸いなる者 II*(フィッツウィリアム・ヴァージナル・ブック 110)

※*…オルガンでの演奏
フリーデリケ・シュレク(チェンバロ&オルガン)
チェンバロ…ボッカラーリ(ナポリ)1699年ナポリ製のオリジナル楽器。マティアス・グリーヴィッシュが2019年にレストア
オルガン…ヨハン・クリストフ・ロイ製作 ライナウ、修道院教会 1715年

録音:2022年10月3-5日 ライナウ、修道院教会(スイス)…1、5、16
2023年2月6-8日 アーハーン、Alte Kirche Fautenbach(ドイツ)…2-4、6-15
バードとイギリス・ルネサンスの音楽をこよなく愛するフリーデリケ・シュレクによるバードの没後400周年記 念盤。 バーゼル・スコラ・カントルムでチェンバロを学んだシュレクはこれまでにOEHMSレーベルで「バード:鍵盤作品集」 (OC1724)、「時よとどまれ」(OC1864)、「From Byrd to Byrd - バードからバードへ」(OC1702)を発表し ています。バードの没後400年を記念した当アルバムは、バードとその師タリス、バードの後輩でイギリス・バロックの 鍵盤音楽に大きな貢献を成したギボンズの作品を合わせて収録しています。これらは「ヴァージナル音楽」と呼ばれ ますが、17世紀半ばまでのイギリスでは「ヴァージナル」は撥弦鍵盤楽器の総称で、実質的にチェンバロと同義でし た。当ディスクのチェンバロ演奏では、イギリスに大きな影響を与えたイタリア製の楽器を使っています。

Chateau de Versailles Spectacles
CVS-118
(DVD+Bluray)
NX-D09
モンテヴェルディ:歌劇「ポッペーアの戴冠」 ポッペーア…エルサ・ブノワ(S)
ネローネ…ジェイク・アルディッティ(C.T)
オッターヴィア、ヴィルトゥ(美徳)…アンブロワジーヌ・ブレ(Ms)
オットーネ…イェスティン・デイヴィス(C.T)
セネカ…アレックス・ローゼン(Bs)
アルナルタ、乳母、近親者1…スチュワート・ジャクソン(T)
フォルトゥーナ(幸運)、ドゥルジッラ…マヤ・ケラニ
アモーレ(愛)、ヴァレット…ジュリー・ロゼ(S)
ルカーノ、兵士1、近親者2…ローレンス・キルスビー(T)
リベルト、兵士2…リカルド・ロメオ(T)
リットーレ、近親者3…ヤニ・フランソワ(Bs-Br)
カペラ・メディテラネア(古楽器使用)
レオナルド・ガルシア・アラルコン(指)
テッド・ハフマン(演出)

収録:2023年1月28、29日 ヴェルサイユ宮殿王室歌劇場
収録時間:224分
DVD/Blu-ray(同内容)共通
片面二層ディスク、Dolby Digital2.0、NTSC、All Regions
字幕…日本語、仏語、英語、独語
※解説(日本語、仏語、英語、独語)、  歌詞(オリジナル伊語、日本語・仏語・英語・独語訳)入り
200ページを超えるフルカラー・ブックレット付属
日本語字幕、解説・歌詞翻訳…岡田Victoria朋子
2022年のエクサン・プロヴァンス音楽祭で上演され高い評価を得た、テッド・ハフマン演出、レオナルド・ガルシア・アラルコン指揮による「ポッペーアの戴冠」。そのプロダクション をヴェルサイユ宮殿王室歌劇場で収録した映像作品が登場しました。皇帝ネローネ(ネロ)を誘惑し強大な権力を我が物にする妖婦ポッペーアに、近年古楽ばかりでなく古 典派からマーラーまで幅広いレパートリーで躍進するエルサ・ブノワ、ネローネ役にはバロック・歌劇を中心に幅広い活動をしながら現代音楽にも定評のあるジェイク・アルディッ ティ、ネローネの皇后として夫の横暴に抗うべく策略を巡らすオッターヴィアに、安定した技術と卓越した演技力で古楽界に信頼の篤いアンブロワジーヌ・ブレという万全の布 陣。現在残る楽譜に楽器指定のないアンサンブルは、アマンディーヌ・ソラノとステファニー・ド・ファイー2人のヴァイオリンとコルネット2(うち一人は世界的名手ドロン・シャーウィ ン)、リコーダー2にコントラバスという編成に加え、通奏低音はマルゴー・ブランシャールほかヴィオラ・ダ・ガンバ2、キート・ガートほか3人の撥弦楽器にチェンバロとオルガンが加 わる強力なものとなっており、アラルコンの指揮のもと、カペラ・メディテラネアらしい熱い演奏で物語を盛り立てています。演出のハフマンは、バロックから現代までの幅広い歌劇 で現代社会と交錯させるなど、先鋭的でありながら説得力のある演出で定評のあるアメリカの演出家。ロシアによるウクライナ侵攻などの社会問題を鏡のように映し出し、観 るものの道徳的価値観に直接疑問を投げかける見事な舞台となっています。

OUR recordings
OU-6.220682(1SACD)
NX-B06

NYCX-10432(1SACD)
日本語解説付国内盤
税込定価
コレッリマニア
コレッリ:教会ソナタ(トリオ・ソナタ)ロ短調 Op.3-4
バッハ:コレッリの主題によるフーガ BWV579
ヘンデル:ソナタ ニ短調 HWV 367- アルト・リコーダーと通奏低音の為の
 組曲 変ロ長調 HWV434- チェンバロの為の
バッハ:4つのデュエット- リコーダーとヴィオラ・ダ・ガンバ編
 ホ短調 BWV802
 ヘ長調BWV803
 ト長調 BWV804
 イ短調 BWV805
テレマン:コレッリ風ソナタ第2番 イ長調(トリオ・ソナタ)
バッハ:ライプツィヒ・コラールより「われ神より去らじ」 BWV
658
コレッリ:ソナタ ト短調 Op.5-12「ラ・フォリア」
ミカラ・ペトリ(リコーダー)…1-12、17-26 (使用楽器…2022年製 ピッチ a=415)
ヒレ・パール(ヴィオラ・ダ・ガンバ)…1-12、17-26 (使用楽器…1686年 マティアス・アルバン製)
マハン・エスファハニ(Cemb)…1-26 (使用楽器…ドイツのマティアス・クラーマー 2003年製作のイタリア・モデル)

録音:2022年11月27-29日
1653年イタリア生まれのヴァイオリニスト・作曲家コレッリ。13歳でボローニャに移り17歳で「アカデミア・フィラルモニカ」の会員になりヴァイオリンの演奏と作曲を学びます。パリからイタリアでヴァイオリン奏者として成功を収め、1681年にはバイエルン選帝侯の下に仕え、1681年にトリオ・ソナタ作品1を発表。この「ヴァイオリンなどの旋律楽器、通奏低音を受け持つ低弦楽器とチェンバロ」で構成されたトリオ・ソナタの形式はコレッリが完成したものとされ、当時のヨーロッパ各国の作曲家たちに多大な影響を与えました。このアルバムでは、コレッリの代表的なトリオ・ソナタと、バッハ、ヘンデル、テレマンがコレッリに倣って書いたトリオ・ソナタの数々を収録。軽やかな旋律はミカラ・ペトリがリコーダーで演奏し、ヒレ・パールのヴィオラ・ダ・ガンバがこれを支え、マハン・エスファハニのチェンバロが旋律を彩っていくさまは見事という他ありません。コレッリ作品の持つ影響力の大きさをまざまざと感じさせる選曲も興味深いものです。アルバムの最後には、コレッリの極めつきともいえる、18世紀に異例のヒットを放ったテーマによる人気曲「ラ・フォリア」が置かれています。
ミカラ・ペトリはこの録音のために、通常より低いピッチの"特別な"リコーダーを準備。レーベルが誇る高音質録音によるくっきりとした音も魅力です。
※国内仕様盤には矢澤孝樹氏による日本語解説が付属します。

Urania Records
LDV-14103(2CD)
ランゼッティ:チェロ・ソナタ Op.5&6
サルヴァトーレ・ランゼッティ:ソナタ Op.5-1イ短調/ソナタ Op.5-2変ロ長調/ソナタ Op.5-3ニ長調/ソナタ Op.5-4ト長調/ソナタ Op.5-5ハ長調/ソナタ Op.5-6/ソナタ Op.6-1 ト長調/ソナタ Op.6-2イ短調/ソナタ Op.6-3 ヘ長調/ソナタ Op.6-4ハ長調/ソナタ Op.6-5 ニ長調/ソナタ Op.6-6ホ短調
クラウディオ・ロンコ(Vc)、
エマヌエラ・ヴォッツア(Vc)
ピリオド楽器使用
サルヴァトーレ・ランゼッティ(c.1710-c.1780)は、チェロ奏者として活躍しました。名手として活躍したランゼッティはいくつかの新しい技巧を完成させるなどチェロの演奏技術の発展に貢献しました。
クラウディオ・ロンコは、1980年にクレマンシック・コンソート(クレメンチッチ・コンソート)のソロ・チェロ奏者に就任し、アンサンブル415やエスペリオンXXでも活躍。さらには、セビリア古楽音楽祭をはじめとするヨーロッパの著名な古楽音楽祭から定期的に招聘されるなど、現在のイタリア古楽界における重鎮の1人。
現在は2001年に出会ったボローニャのアンサンブDSGとルサン・ペトロニオ・カペラ・ムジカーレで首席チェロ奏者を務めていたエマヌエラ・ヴォッツアと夫婦デュオを組み、コンサートやレコーディングに精力的に取り組んでいます。

Glossa
GCD-923540(1CD)
パラシオ・ソングブック〜3声とリュートのための音楽
1. フアン・デ・ウレーデ(c.1430-after1482):Nunca fue pena mayor
2. アントワーヌ・ブリュメル(c.1460-1513):Ave, ancilla trinitatis
3. ペニャローサ(c.1470-1528):Unica est columba mea
4. フアン・デル・エンシーナ(1468-1520):Romerico tu que vienes
5. アレクサンダー・アグリコラ(c.1446-1506):Tandernaken
6. ジル・バンショワ(c.1400-1460)/アグリコラ:Comme femme desconfortee
7. エンシーナ:Es la causa bien amar
8. バルトロメオ・トロンボンチーノ(c.1446-1506):Vox clamantis in deserto
9. 作曲者不詳:Zagaleja del Casar
10. ジャコモ・フォリアーノ(1468-1548):L’amor dona ch’io te porto
11ジョアン・アンブロージオ・ダルツァ(fl. 1508):Ricercar
12.ルイス・ミラン(c1500-c1561):O vos omnes qui transitis por esta via d'amor
13. 伝ハインリヒ・イザーク(c.1450-1517):Salve Sancta facies
14. ヨハネス・デ・クァドリス(before1410-1457?):Cum autem venissent ad locum
15. 作曲者不詳:Romance de Pasion - Tierra i cielos se quexaban
16. 作曲者不詳:Desecha de Pasion - Pues es muerto el Rey del cielo
17. 作曲者不詳:Adoramus te Domine
18. ギヨーム・デュファイ(c.1400-1474):Je vous prie
19. ウレーデ:De vos i de mi quexoso
20. 作曲者不詳:Amours, amours, vostre service
21. 作曲者不詳:Oya tu merced y crea
22. 作曲者不詳:Ora baila tu
ダ・テンペーラ・ヴェーリャ〔フロレンシア・メンコーニ(Ms)、ホナタン・アルバラド(T)、ブレノ・キンデレ(Br)、アリエル・アブラモビチ(Lute)〕

録音:2022年6月、スイス
中世後期およびルネサンス音楽のヒスパニック系レパートリーに特化したアンサンブル「ダ・テンペーラ・ヴェーリャ」がGlossaからレコーディング・デビュー。メゾ・ソプラノ、テノール、バリトンの3声とリュート伴奏のための知られざるスペイン歌曲集。
1870年初頭にマドリードの王宮図書館で発見され1890年に現代版が出版された15世紀の写本「Cancionero de Palacio」からの音楽を中心に、イベリア起源やヨーロッパの他の地域の類似レパートリー、関連レパートリーを含む様々な写本の音楽が対比され、初期イベリア音楽、スペイン声楽のより広い視野を提供します。

Christophorus
CHR-77474(2CD)
夢と幻影〜素晴しい夜を巡る詩的な旅
1. シュテファン・ツヴァイク(1881-1942):ノットゥルノ*
2. ドビュッシー:夢想
3. ヴァルター・カレ(1881-1904):Die Nacht winkt vor dem Fenster*
4. フランシス・ピルキントン(c.1570-1638):Thanks, gentle Moon, for thy obscured light /ダウランド:ダウランド氏の真夜中
5. 作曲者不詳(c.1610):暗闇は私の歓び
6. ヨーゼフ・フォン・アイヒェンドルフ(1788-1857):夜は静かな海のように*
7. エドゥアルト・メーリケ(1804-1875):真夜中に*
8. マラン・マレ:夢みる乙女
9. ウィリアム・シェイクスピア(1564-1616):ロメオとマーキュリオ*
10. マシュー・ロック(c.1630-1677):ファンタジー(組曲第5番より)
11. ロック:ファンタスティック ― コラント
12. ロック:エア ― サラバンド(組曲第5番より)
13. ライナー・マリア・リルケ(1875-1926):そしてそれはほとんど少女のようで*
14. フリッツ・カイル(b.1957):Il sogno di Giulia
15. ロマン・ビュシーヌ(1830-1899):夢のあとに*
16. フォーレ:夢のあとに(3つのメロディ Op.7より)
17. ベルトルト・ブレヒト(1898-1956):マリー・Aの思い出*
18. ハイドン:弦楽四重奏曲ヘ長調 Op.50-5「夢」より ポコ・アダージョ
19. コンラート・フェルディナント・マイヤー(1825-1898): 夜のざわめき*
20. ソロボダン・ヨヴァノヴィチ(b.1977):オデッセウスの夢の狭間で
21. シェイクスピア:ソネット第43番「目を閉じればものがよく見える」*
22. ーセル:ロンドー ― 第1幕の旋律〜ジグ(歌劇「妖精の女王」より)
23. ゲルトルート・ゴーズ(1878-1915):Traumgesindel*
24. パーセル:夜の従者たちの踊り ― 妖精の踊り(歌劇「妖精の女王」より)
25. ツェムリンスキー:真夜中に(リート集 Op.2より) / ユリウス・ローデンベルク(1831-1914):真夜中に*
セバスティアン・ミロー(朗読)*、
レゼスカパード(ヴィオール・コンソート)

録音:2023年2月、ドイツ
女流奏者4名からなるヴィオール・コンソート(ヴィオラ・ダ・ガンバ・アンサンブル)「レゼスカパード(Les Escapades)」が「夢」と「幻影」をテーマに素敵な夜を巡る詩的な旅。シェイクスピアやアイヒェンドルフ、メーリケ、リルケらの偉大な作家、詩人たちの作品を俳優&歌手として活躍するクリスティアン・ミローが朗読し、それらの詩に関連するような音楽をレゼスカパードが演奏。バロック、古典派、ロマン派、印象派の様々な時代の楽曲が取り上げられており、特にガット弦のヴィオールのためにバロック様式に特別にアレンジされたフォーレの「夢のあとに」やドビュッシーの「夢想」のまったく新しいサウンドにも注目です。
コンセプションとアレンジはレゼスカパードのメンバーであるザビーネ・クロイツベルガー。CD1は朗読と音楽がほぼ交互に収録されており、CD2は音楽部分だけがまとめて収録されています。

Hyperion
CDA-68408(1CD)
ゲレーロ:ミサ曲「偉大なる祭司を見よ」、マニフィカト&モテット集
フランシスコ・ゲレーロ(1528-1599):喜べ、バルバラ/どうして主の歌をうたえようか?/天国は、ある家の主人が(6声)/おお星よりも輝かしい十字架よ/さて、イエスは(4声)/ミサ曲「偉大なる祭司を見よ」/日々罪を犯し/あなたは祝福され、それは良いことです(5声)/かくも美しいあの女性はだれか?/第2旋法のマニフィカト
ブラバント・アンサンブル、
スティーヴン・ライス(指)

録音:2022年8月11日-13日、オール・セインツ教会(イースト・フィンチリー、ロンドン)
ネーデルラント、フランドル楽派を中心に未知なる音楽、ポリフォニーの発掘、研究に情熱を注ぐブラバント・アンサンブルとスティーヴン・ライス。これまでグラモフォン賞に3度ノミネートされているほか、ジョスカン・デ・プレの没後500周年にリリースされた「ジョスカン・デ・プレ:モテットとミサの楽章」(PCDA-68321)がレコード芸術特選盤に選出されるなど今や英国でも指折りのヴォーカル・アンサンブルとして日本でも認知度を高めてきた彼らが今回取り上げるのは、スペイン・ルネサンスの巨匠、フランシスコ・ゲレーロのミサ曲「見よ、大いなる司祭を」を中心とした作品集。
モラレスなどに師事し若くして成功を掴んだアンダルシア楽派のフランシスコ・ゲレーロは、スペイン・ポリフォニーの黄金時代の歴史においてビクトリアと並び重要視されている作曲家の一人。今回のアルバムではミサ曲「偉大なる祭司を見よ」をメインに様々なマニフィカトやモテットを収録しています。ジョスカン・デ・プレにばかり注目されがちな同時代の多くの優れた作曲家の作品に新たな命を吹き込み、現代へ伝承し続けるブラバント・アンサンブルの一切無駄のない洗練されたサウンドに耳を奪われることでしょう。

Signum Classics
SIGCD-767(1CD)
アンロックド〜ブレシャネッロ Vol.2
ジュゼッペ・アントニオ・ブレシャネッロ
(c.1690-1758):協奏曲とシンフォニア集 Op.1第2巻〔協奏曲第4番ホ短調(Vn、弦楽と通奏低音のための)、
 シンフォニア第4番変ロ長調(弦楽と通奏低音のための)、
 協奏曲第5番ハ短調(Vn、弦楽と通奏低音のための)、
 シンフォニア第5番ヘ長調(弦楽と通奏低音のための)、
 協奏曲第6番イ長調(Vn、弦楽と通奏低音のための)、
 シンフォニア第6番変ホ長調(弦楽と通奏低音のための)〕、序曲-組曲イ長調
ヴィヴァルディ:協奏曲 RV.366より「アダージョ」(ピセンデル編)
ラ・セレニッシマ、
エイドリアン・チャンドラー(指、Vn)

録音:2022年2月13日-16日、シーダーズ・ホール、ウェルズ・カテドラル・スクール(サマセット、イギリス)
英国屈指のバロック・ヴァイオリニスト、エイドリアン・チャンドラーによって1994年に創設されたピリオド・アンサンブル、ラ・セレニッシマ。"赤毛の司祭"ヴィヴァルディを中心とする18世紀ヴェネツィアとその周辺の作曲家たちの知られざる作品や、再発見された作品の世界初録音を続々と世に送り出し、これまで2度のグラモフォン賞に輝いています(「セレニッシマ」は、「晴朗きわまるところ」という意味の、ヴェネツィアの別称)。
シュトゥットガルトのヴュルテンベルク宮廷でカペルマイスターを務めたイタリアの作曲家&ヴァイオリニスト、ジュゼッペ・アントニオ・ブレシャネッロ(c.1690-1758)は、ヴィヴァルディと同時代の作曲家ですが、その音楽は比較的無名のままです。正当な理由で歴史の闇に包まれてしまう作曲家もいますが、ブレシャネッロの音楽には、復元すべき多くの説得力ある論拠がありました。ラ・セレニッシマは2014年のシーズンに初めてブレシャネッロを取り上げ、その後オペラ「ティスベ」を上演し、ヴァイオリン協奏曲(『エクストラ・タイム』〔SIGCD-641〕)、トリオ・ソナタ(『セッテチェント』〔SIGCD-663〕)などを録音してきました。
このアルバムは、前作『ビハインド・クローズド・ドアーズ』〔SIGCD-693〕でも取り上げられた、協奏曲とシンフォニア集 Op.1の後半が収録されています。また、終盤の序曲-組曲イ長調は盛り上がる「Giga」で締め括られ、コロナ禍により閉ざされていた(「Behind Closed Doors」)ところから、解き放たれ(「Unlocked)、高揚する気持ちが表れるようなプログラムとなっています。

Da Vinci Classics
C-00767(2CD)
フランチェスコ・レッチェ:ソナタとパルティータ(無伴奏ヴァイオリンのための67の作品集) ヴィンチェンツォ・ビアンコ(バロックVn)

録音:2022年12月8日&2023年5月10日
※世界初録音
1740年頃に生まれたと考えられるフランチェスコ・レッチェによる無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ。レッチェは、作曲家としても活躍しましたがヴァイオリニストの巨匠としても知られていて、当時ナポリの王立礼拝堂でコンサートマスターを務め、さらにサン・カルロ劇場でも働いていました。このアルバムに収められているソナタとパルティータは、ナポリで18世紀から19世紀にかけて作られた無伴奏ヴァイオリンのための作品としては初めてのものと言えるでしょう。

Glossa
GCD-923539(1CD)
大公のカストラート〜ガエターノ・ベレンシュタットのためのアリア集
ヘンデル
1. アリア「Sorte amor vuol che quest’alma」
2. アリア「Ogni tua bella stilla」
3. アリア「Pregio e sol d’un alma forte」
(歌劇 「リナルド」より)
アッティリオ・アリオスティ(1666-1729):
4. 序曲 (歌劇 「ティート・マンリオ」より)
ロッティ(1667-1740):
5. アリア「L’incauto che non teme」
(歌劇 「アスカニオ」より)
ガスパリーニ(1661-1727):
6. アリア「Vezzosetta tra questi fiori」
(歌劇 「アスティアナッテ」より)
カペッリ(1648-1726):7. アリア「Piaccia agl’astri ed al senato」
(歌劇 「ジューリオ・フラヴィオ・クリスポ」より)
ヘンデル
8. 序曲
9. アリア「Bel labro formato per farmi beato」
(歌劇 「オットーネ」より)
オリオスティ
10. アリア「Nel tuo figlio e nel tuo sposo」
(歌劇 「カイオ・マルツィオ・コリオラーノ」より)
ボノンチーニ(1670-1747):
11. アリア「O della sorte favor instabile」
(歌劇 「ファルナーチェ」より)
ヨハン・アドルフ・ハッセ
12. 序曲
13. アリア「Al fato io t’abbandono」
(歌劇 「アスタルト」より)
レオナルド・ヴィンチ(1696-1730):
14. アリア「Tra lo splendor del trono」
(歌劇 「捨てられたディドーネ」より)
ドメニコ・サッロ(1679-1744):
15. アリア「Gelido in ogni vena」
(歌劇 「ペルシャ王シロエ」より)
ジョヴァンニ・アントニオ・ジャイ(1690-1764):
16. Aria「Non fidi al mar che freme」
(歌劇 「デメトリオ」より)
フィリッポ・ミネッチャ(C.T)、
イ・ムジチ・デル・グラン・プリンチーペ、
サムエーレ・ラストルッチ(指)

録音:2023年2月、イタリア
ラ・ヴェネクシアーナやアントニオ・フローリオ&カペラ・ナポリターナ(旧イ・トゥルキーニ)、カルロ・イパタ&アウセル・ムジチなどの多くの録音・公演に参加し、極めて創造的な活動で注目を浴びるイタリア、フィレンツェ出身のカウンターテナー、フィリッポ・ミネッチャ。
ミネッチャの最新アルバム「大公のカストラート(Il castrato del granduca)」は、フィレンツェの偉大な先輩であるカストラート、ガエターノ・ベレンシュタットのために作曲された数々のアリアを集成し、ベレンシュタットの音楽の足跡を辿ります。
ベレンシュタットは生涯を通じてメディチ家とトスカーナ大公に仕え、イタリアのすべての重要なオペラハウスとロンドンでも歌い、ヘンデルを始め、アリオスティ、ボノンチーニ、ガスパリーニ、ハッセ、サッロ、ヴィンチなど、当時もっとも人気を誇った作曲家たちがこぞって彼の歌声と演技力を高く評価し、彼のために多くのアリアを作曲しました。

Glossa
GCD-924015(2CD)
ルクレール:音楽悲劇 「スキュラとグラウコス」 ジェルジ・ヴァシュヘージ(指)、オルフェオO、パーセルが、ユディト・ファン・ヴァンロイ(スキュラ)、シリル・デュボワ(グラウコス)、ヴェロニク・ジャンス(キルケ)、ジャンヌ・アムザル(L’Amour, Temire, une Bergere, une Sicilienne, 1ere Fille du choeur)、ハスナー・ベンナーニ(Venus, Dorine, une Dryade,2e Fille du choeur)、ダヴィド・ヴィチャク(Le Chef des Peuples, un Sylvain, Hecate)、ヨージェフ・ガール(1ere Propetide, un Berger)、マールトン・コマーロミ(2e Propetide)

録音:2022年3月24日-26日、リスト・フェレンツ音楽院大ホール(ブダペスト、ハンガリー)
20世紀末まで顧みられることのなかった数々の知られざるフランス・バロック作品を蘇らせ、次々と世に発信して注目を集めてきたハンガリー出身の奇才ジェルジ・ヴァシュヘージと、彼が結成したオルフェオO&パーセル合唱団。本アルバムでは、「フランスのコレッリ」とも呼ばれる18世紀フランスのヴァイオリン音楽の巨匠、ジャン=マリー・ルクレールが唯一残した音楽悲劇 「スキュラとグラウコス」 を取り上げています。
ルクレールは、コレッリの系譜を継ぐヴァイオリンの大家、ジョヴァンニ・バッティスタ・ソミスに師事、フランスでいち早く独自のヴァイオリン芸術を確立し、演奏家としても作曲家としても高い名声を確立していました。ヴァイオリンのためのソナタや協奏曲、トリオ・ソナタなどの器楽作品で知られるルクレールが、ルイ15世の皇太子の結婚祝賀として書いた唯一の音楽悲劇 「スキュラとグラウコス」 は、 美しい海の精(ニンフ)スキュラに思いを寄せる海神グラウコスに恋をした魔女キルケが、グラウコスに拒絶され、恋敵であるスキュラに恐ろしい呪いをかけるというプロローグと5幕からなる抒情悲劇です。
ヴァシュヘージと手兵のオルフェオO&パーセル合唱団、そして、豪華歌手陣がこの知られざる作品の魅力を再発見させてくれます。また、ヴァシュヘージは、このレコーディングに臨むにあたり、オリジナルの演奏稿を用いていることも注目ポイントのひとつと言えるでしょう。

Signum Classics
SIGCD-769(1CD)
インフィニット・リフレイン〜愛の隠れ家の音楽
モンテヴェルディ:Vorrei baciarti(マドリガーレ集第7巻より)、Se i languidi miei sguardi(マドリガーレ集第7巻「Lettera amorosa」より)/ヤコポ・メラーニ(1623-1676):Da torbido nembo(歌劇「Ercole in Tebe」第2幕第8場より)
モンテヴェルディ:Perche fuggi(マドリガーレ集第7巻より)
メールラ
(1595-1665):Ballo detto Pollicio(歌曲集第3巻より)
ダニエレ・ダ・カストロヴィッラーリ(1613-1678):Dove, m’ascondo(歌劇「La Cleopatra」第3幕第11場より)
モンテヴェルディ:Soave libertate(マドリガーレ集第7巻より)
カヴァッリ
(1602-1676):Io resto solo?… Misero, cosi va(歌劇「Eliogabalo」第1幕第11場)
フレスコバルディ:トッカータ第4番(トッカータ集第1巻より)
モンテヴェルディ:Tornate, o cari baci(マドリガーレ集第7巻より)
ボレッティ:Crudo Amor(歌劇「Ercole in Tebe」第1幕第3場より)
ストラデッラ(1643-1682):Oh quanti soli…Ahime, gl’e meglio piangere(歌劇「Il Trespolo Tutore」第3幕第5場より)
モンテヴェルディ:Se pur destina e vole(マドリガーレ集第7巻「Lettera amorosa」より)
レグレンツィ(1626-1690):Ballo del Granduca
ボレッティ:Entro l’orrida mole… Se per te lieto mi lice(歌劇「Ercole in Tebe」第2幕第14場より)
モンテヴェルディ:Con che soavita(マドリガーレ集第7巻より)/モンテヴェルディ、フランチェスコ・サクラティ(1605-1650):Pur ti miro, pur ti godo(歌劇「ポッペアの戴冠」第3幕より)
ランドール・スコッティング(C.T)、
ホルヘ・ナバーロ・コロラド(T)、
ローレンス・カミングス(指)、
エンシェント室内O

録音:2022年10月31日-11月2日、(ロンドン、イギリス)
17世紀、同性愛者たちの隠れ家となっていたヴェニス。何世紀にもわたって覆い隠されていたゲイの愛の物語がこのアルバムによって幕を開けます。モンテヴェルディのマドリガル集第7巻からの鮮やかで魅力的なデュエットや、秘められた愛の憧れを描くカヴァッリとストラデッラのソロ・アリア、さらにはあまり知られていないボレッティ、メラーニ、カストロヴィラーリの作品も収録しています。
ロイヤル・オペラ・ハウスやメトロポリタン歌劇場、バイエルン国立歌劇場に出演している圧倒的な歌唱力を誇るカウンターテナーのランドール・スコッティングと、歴史あるゲッティンゲン・ヘンデル音楽祭をはじめ、数々のオペラに出演しているテノールのホルヘ・ナバーロ・コロラド。この2人の歌唱を支えるエンシェント室内Oは2023年に創立50周年を迎えたオリジナル楽器オーケストラで、世界中で高い評価を得ています。

Aeolus
AE-10356(1CD)
ルクレール:ヴァイオリン・ソナタ集 Op.9Vol.1
ソナタ第6番ニ長調 Op.9-6/ソナタ第10番 嬰ヘ短調 Op.9-10/ソナタ第3番ニ長調 Op.9-3/ソナタ第8番 ハ長調 Op.9-8
エレーヌ・シュミット(Vn)、
フランソワ・ゲリエ(ハープシコード)、フランシスコ・マニャリヒ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)/ジョナサン・ペシェク(バロックVc)
フランスを代表するバロック・ヴァイオリニストの1人、エレーヌ・シュミットのAeolus第2弾! ルクレールのソナタ集Op.9の全曲録音プロジェクトがスタート!
1743年に出版されたルクレールの「ヴァイオリン・ソナタ集 Op.9」はフランス・バロック期のヴァイオリン作品の中でも最高傑作とされています。ルクレールのこの作品はヴァイオリンの技術を最高まで高めた難曲として知られており、滅多に演奏されることはありません。この録音にあたって何年も準備を積み重ねたエレーヌ・シュミットによって見事なヴァイオリンが披露されている他、各パートも最高の技術で演奏されています。

H.M.F
HMM-902710(2CD)
モンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り SV206 ピグマリオン 、
ラファエル・ピション(指揮 )
ソプラノ/セリーヌ・シーン、ペリーヌ・ドゥヴィエ
メゾ・ソプラノ/ルシール・リシャルドー
テノール/エミリアーノ・ゴンザレス・トロ、ザカリー・ワイルダー、アントナン・ロンドピエール、
エティエンヌ・バゾラ、ニコラ・ブルーイマン、ルノー・ブレ

録音:2022年1月聖霊教会(サンテスプリ教会)
ピション&ピグマリオンが、モンテヴェルディの聖母マリアの夕べの祈りを録音しました。冒頭のファンファーレから、かつてない極上のやわらかな響き。モンテ ヴェルディの「聖母マリアの夕べの祈り」は、"教会と王侯両家の "礼拝堂の音楽家が利用できるように、さまざまな機会のために独自に作曲されたヴェスパーの 楽曲を集めたアンソロジーであると位置づけられていますが、ピションは、「グローリア」の楽曲が全体を締めくくるのにふさわしい楽曲であることから、これは全 体としてひとつの作品であると考えています。そして、作品のテキストを、全体でひとつの作品という観点から再度読み解きなおし、言葉や場面にふさわしいハー モニーや表現を追求。モンテヴェルディが構想した作品の真の姿をつまびらかにすると同時に、作品固有の劇場感覚までをも存分に引き出しています。圧倒的な体 験です。
ピションは、2023年ザルツブルク音楽祭で「フィガロの結婚」を指揮し、「ラファエル・ピションは、VPOを、そのクッションの 効いたシロップのような心地よいサウンドからほど遠いところにある、歯切れのよい、硬派な古典主義の世界へと駆り立てた。クシェイの演出は音楽的であり、ピ ションの指揮は演劇的です。両者の協働は通常では考えられない高いレベルで最大の効果を発揮しています。細部に至るまで入念に考え抜かれ、その相乗効果に は息をのむ。」(フィナンシャル・タイムズ)と絶賛されています。 (Ki)
H.M.F
HAF-8905374(1CD)
シュッツ(1585-1672):イタリア語のマドリガーレ集第1巻 ポール・アグ ニュー(指)
レザール・フロリサン

録音:2022年5月、フィルハーモニー・ド・パリ
シュッツのイタリア語のテキストによるマドリガーレ集第1巻(第2集以降は存在しない)。出版は1611年。イタリアで、ガブリエリのもとで2年間修業を積んだ のちの、いわば「卒業制作」的なものでした。ふたつの合唱隊のために書かれており、モンテヴェルディのマドリガーレ集第5巻から6年後のもので、16世紀から 続くポリフォニックなマドリガーレの伝統の最高到達点とも言われています。テキストと音楽が実に見事に融合した、素晴らしい傑作として世に残されています。イ タリア語の言葉のニュアンスや、言葉の感情を、音楽で見事に表現しています。ポール・アグニューの的確な指揮が、若き日のシュッツが作品に込めた思いを美しく 響かせています。 (Ki)

BIS
BISSA-2589(1SACD)
『夜もすがら』
(1)R・シュトラウス(エリック・ムーレ編):メタモルフォーゼン(Metamorphosen) ArV290AV142(1944-45)
(2)マッダレーナ・カスラーナ(c.1544-c.1590)(サイモン・パーキン編):わが心は死ねぬ(Morir non puo il mio cuore)〜マドリガーレ集 第1巻(Il primo libro di madrigali)(1566)より
(3)ダニエル・キダン(1986-):じっとして(Be Still)(2020)〜弦とクロタルの為の
(4)ジェズアルド(c.1560-1613)(ミチ・ウィアンコ編):わが魂は死ぬばかりに悲しい(Tristis est anima mea)(1611)
(5)シェーンベルク:浄められた夜(Verklarte Nacht) Op.4【1943年弦楽オーケストラ版】
(6)パーセル(c.1659-1695)(レオポルド・ストコフスキー編):ディドーの嘆き(Dido’s La-ment)〜歌劇「ディドーとエネアス」 Z626〜
ユナイテッド・ストリングズ・オブ・ヨーロッパ、
ジュリアン・アズクール(指)
(3)ベイベイ・ワン(クロタル)

録音:(4)2020年8月12日、(6)2021年11月9日セント・シラス教会(ケンティッシュ・タウン、ロンドン)、
(1)(3)2022年5月26&27日、(2)(5)2022年10月10&11日/オール・セインツ教会(ダラム・ロード、ロンドン、イングランド)
ジュリアン・アズクールがリーダーを務める「ユナイテッド・ストリングズ・オブ・ヨーロッパ United Strings of Europe」(USE) は、王立音楽アカデミーの学生により結成され、2012年から活動を始めました。2020年に最初のアルバム『In Motion(動いている)』(BIS SA-2529)を リリース。「巧みな演奏と注目されるプログラム」(”BBC Music Magazine”)「魅惑的なぬくもりのあるビロードの音色」(”The Strad”)と表されました。 『Renewal(リニューアル)』(BIS SA-2549)、「弦楽セレナード」や「フィレンツェの思い出」の『チャイコフスキー』(BIS SA-2569)と BISレーベルで アルバムを作り、いずれも高く評価されました。
第4作『Through the Night(夜もすがら)』は「夜」をコンセプトに制作されたアルバムです。「主要テーマが、夜は変化と変形の為の空間と時間になりえ るという考え」(ジュリアン・アズクール)。16世紀から21世紀まで、500年ほどの時間を隔てた6作品のプログラムが組まれました。
R・シュトラウスが第二次世界大戦の末期に作曲した「メタモルフォーゼン」。「23のソロ弦楽器」の為の原曲をヴァイオリニストのエリック・ムーレが「8 つのヴァイオリン、4つのヴィオラ、3つのチェロ、コントラバスのため」に編曲した「オリジナルの荘重さとテクスチュアの多彩さを保ちながら、対位法が的確にわ かる」(アズクール)版による初録音です。
イギリスの作曲家サイモン・パーキンが「弦楽四重奏をともなう弦楽オーケストラ」のために編曲したマッダレーナ・カスラーナの「Morir non puo il mio cuore(わが心は死ねぬ)」。イギリスのダニエル・キダンが作曲した「Be Still(じっとして)」は、COVID-19のロックダウン下、「過ぎゆく一年の『時』を深く 考えた」という作品です。弦と打楽器のクロタル(アンティークシンバル)によって演奏されます。
アメリカの作曲家でヴァイオリニストのミチ・ウィアンコが「弦楽オーケストラ」用に編曲したカルロ・ジェズアルドの6声のモテット「Tristis est anima mea(わ が魂は死ぬばかりに悲しい)」。シェーンベルク自身の「1943年弦楽オーケストラ版」による「浄められた夜」。パーセルの「ディドーとエネアス」からのアリア「ディ ドーの嘆き」は、レオポルド・ストコフスキーが「個性的な響きに変容させた」版による演奏です。

Profil
PH-21053(2CD)
エディション・シュターツカペレ・ドレスデン53
ハッセ:三幕の音楽劇「オリンピーアデ」
クリステネ(シキオンの支配者):クリストフ・プレガルディエン(T)
アリステア(その娘):キャサリン・ロビン(Ms)
アルジェーネ(クレタの王女);ドロテア・レシュマン(S)
メガークレ(リチーダの友人):デイヴィッド・コーディア(T)
リチーダ(クレタの王子):ランドール・ウォン(男性ソプラノ)
アミンタ(リチーダの裁判官)、
アルカンドロ(クリステネの側近):スティーヴン・リッカーズ(C.T)
カペラ・サジタリアーナ・ドレスデン、
シュトゥットガルト室内cho
フリーダー・ベルニウス(指)

録音:1992年5月31日/ゼンパーオーパー(ライヴ)
大人気「エディション・シュターツカペレ・ドレスデン」シリーズの第53弾は1992年5月31日にゼンパーオーパーで行われたベルニウス指揮によるハッセの 音楽劇「オリンピーアデ」全曲。ドレスデン国立図書館所蔵の1756年版スコアを使用した演奏会形式での上演で、名のみ知られたこの作品が優れた演奏で復活し た記念すべき公演でした。
ヨハン・アドルフ・ハッセはドイツの作曲家ながらナポリでポルポラやスカルラッティに学び、イタリアで作曲家として成功しました。1731年 にドレスデン宮廷楽長となり、ナポリ楽派様式による歌劇を上演しました。
「オリンピーアデ」は1756年の作。古代ギリシャのオリンピックを題材にしているのも興味津々。メタスタージオの台本でも最も人気が高く、多くの作曲家が作 品化しています。カストラート用に書いた役はカウンターテナーのスティーヴン・リッカーズと男性ソプラノのランドール・ウォンが担い、当時の雰囲気を味わわせ てくれます。主役は実力派クリストフ・プレガルディエン。ヤーコプスとモンテヴェルディの「ウリッセの帰還」を録音したのと同時期です。
ドイツ合唱界の大御所フリーダー・ベルニウスは1985年以降古楽合唱へ転向、まさに実績を積んだ解釈が光ります。手兵シュトゥットガルト室内合唱団の美し さも光ります。

PAN CLASSICS
PC-10451(1CD)
エミリオ・デ・カヴァリエーリ(c1550-1602):エレミアの哀歌 エラム・ロテム(バス、音楽監督)
プロフェティ・デッラ・クインタ

録音:2023年3月23-27日スイス、フェアスアム、改革派教会
カヴァリエーリは外交官・振付師・オルガニスト・作曲家という経歴を持つ異才で、現存する作品はごく少ないものの、当時の最先端をゆくスタイルを用い、声楽・ 歌劇の発展に大きく寄与した人物。『エレミアの哀歌』は彼の代表作と言え、伝統的な5声のア・カペラ合唱だけでなく通奏低音つきの独唱や二重唱も登場しま す。またおどろくような和声進行など、およそルネサンス・ポリフォニーの枠から逸脱した革新性を持っていますが、同時にたまらない美しさをたたえた感動的な 名作です。
声楽アンサンブル「プロフェティ・デッラ・クインタ」はエラム・ロテムによってイスラエルのガリラヤ地方で創設され、現在はスイスのバーゼルを拠点として活動 しています。10年かけて『エレミアの哀歌』を研究・演奏してきた団体であるため、とても高い完成度の演奏がお聴きいただけます。 (Ki)

Chopin University Press
UMFCCD-101(1CD)
テレマン:無伴奏ヴァイオリンのための12のファンタジア パヴェウ・ウォサキエヴィチ(Vn)
国際的ソリスト、室内楽奏者として活躍し、ワルシャワのショパン音楽大学のヴァイオリン科教授や室内楽部門の責任者などを歴任したポーランドの重鎮パヴェウ・ウォサキエヴィチ。
本アルバムでは、バロック期の無伴奏独奏曲の中でも最も重要な位置を占める作品を取り上げています。ウォサキエヴィチの解釈で、テレマンの描いた美しい旋律を奏でます。

RICERCAR
RIC-456(1CD)
アルカデルト:ミサ・ノエ・ノエ 〜ルネサンスのクリスマス音楽
1. ジョスカン・デプレ(1450/55-1521):純血なる乙女、神の育て親
2. ジャック(ヤコブス)・アルカデルト(1507-1568): キリエ*
3. アルカデルト:グローリア*
4. ジャン・ムートン(1459-1522):ノエ・ノエ(クリスマスの歌/器楽による演奏)
5. アルカデルト:クレド*
6. アルカデルト:この日、祝福されし乙女マリアは
7. アルカデルト:サンクトゥス*
8. アルカデルト:アニュス・デイ*
9. アルカデルト:天の母后(レジーナ・チエリ)
10. アルカデルト:第1旋法によるマニフィカト
11. アルカデルト:その時、嬉しいことには
12. ジョスカン・デプレ/ジャン・ギヨ・ド・シャトレ(1512-1588):祝福あれ、天の母后よ

*=『Missa Noe Noe ミサ・ノエ・ノエ』より
ナミュール室内cho
カペラ・メディテラネア(古楽器使用)
レ・パストゥロー(グレゴリオ聖歌歌唱/指揮&独唱: フィリップ・ファヴェット)
レオナルド・ガルシア・アラルコン(指)

録音:2021年11月 グラン・マネージュ、ナミュール、ベルギー
地中海周辺諸国のバロック作品を、比類ないパッションと精緻な解釈を兼ね備えた名演で聴かせ話題を呼んできた、アルゼンチン出身の指 揮者レオナルド・ガルシア・アラルコン。近年は古典派以降の管弦楽作品の解釈でも注目すべき実績をあげていますが、今回の演目は意外 にもルネサンス。フランス語圏ベルギーの主要都市の一つナミュールに拠点を置く実力派集団ナミュール室内合唱団と共に、同市が出身地 と言われる名匠アルカデルトのミサ曲を中心とした選曲をお届けします。英国のタリスやスペインのカベソン、オルティスなどと同世代のアルカデ ルトは、若くしてローマ教皇庁のシスティナ礼拝堂ジュリア聖歌隊に加わり、そこで長く活躍した後にフランス王アンリ2世やシャルル9世に仕え た大家。『最後の審判』の芸術家ミケランジェロとも親交があったと言われています。今回の演目は聖母マリアにまつわる作品が集められてお り、中心を占めるのは同じく教皇庁で活躍したフランス語圏出身の作曲家ジャン・ムートンによるクリスマス音楽の旋律を軸に作曲された「ミ サ・ノエ・ノエ」。アラルコンは4声の端正な多声展開に複数の木管コルネットとトロンボーンからなる合奏、さらにリコーダー、ドゥルツィアン(ファ ゴットの前身)、オルガンといった楽器を添え、教皇庁やフランス王室など強力な為政者のもとで活躍したアルカデルトの在りし日を彷彿させる 壮麗な響きを再現。古楽器ならではの純正な和声の美しさ、決して迫力に頼らないしなやかな音作りで、多声音楽ならではの魅力を存分 に味わわせてくれます。バッハ解釈にも定評があるアラルコンならではの精緻な解釈に惹きつけられる名演です。

RAMEE
RAM-2205(1CD)
ごきげんよう、スザートさん 〜ティールマン・スザートの出版譜の世界〜
1. ティールマン・スザート(1510/15頃-1570以降): 千々の悲しみが、わたしの哀れな心を
2. トマ・クレキヨン(1505頃-1557頃):わたしは美ゆえに愛されて
3. クレキヨン:死がわたしを、残虐な妬みから
4. ニコラ・ゴンベール(1495頃-1560頃):悲痛な別れがわたしを苦悩に追いやり
5. スザート:Mon Amy わが友(器楽による演奏)
6. ジョスカン・デプレ(1450/55頃-1521):森のニンフたちよ(オケゲム追悼歌)
7. ジョスカン・デプレ:千々の悲しみ
8. スザート:わたしの方でも
9. スザート:もし今、私が辛い苦痛を耐え忍んでいるならば(器楽による演奏)
10. スザート:永遠なる父であらせられる方よ
11. スザート:サンクトゥス(『ミサ・イン・イッロ・テンポレ』より)
12. スザート:アニュス・デイ(『ミサ・イン・イッロ・テンポレ』より)
13. スザート:ホーブーケン〔ホーボーケン〕の踊り(器楽による演奏)
14. ジャン・ルコック(生歿年不詳、1514年頃活躍) :羊飼いの男女が
15. クレメンス・ノン・パパ(1510/15頃-1555/56頃):飲みすぎたせいなら
16. スザート:Ronde ロンド(器楽による演奏)
17. クレメンス・ノン・パパ:美しき女神が一柱
18. ピエール・ド・マンシクール(1510頃-1564):めでたし、明けの明星
19. スザート:おお、残酷なる運命よ
20. ラッスス: それを見たわたしは悲しくて
21. スザート:あなたはどこにいるのか(器楽による演奏)
22. スザート:人間には、何ひとつ確かなものなどなく
23. ラッスス:愛しき婦人よ、お願いです
24. スザート:ごきげんよう、薔薇の冠を戴いた方よ
ユートピア・アンサンブル
ミヒャエラ・リーナー(Ms)
バルト・ユーフェイン(C.T)
アドリアーン・デ・コステル(T)
リーフェン・テルモント(Br)
ギヨーム・オルリ(Bs)
ヤン・ファン・アウトレイフェ(Lute)

録音:2022年7月6-8日 聖パオロ教会、アントウェルペン、ベルギー
ラ・カピーリャ・フラメンカやウエルガス・アンサンブルといったベルギー随一の古楽アンサンブルで活躍してきた実力派古楽歌手たちが結集、そ れぞれの曲は決して長くないものの、どれも精巧な多声の歌の魅力が凝縮されたポリフォニー傑作集を録音しました。テーマはティールマン・ス ザート、16世紀屈指の印刷業界人です。15世紀にヨーロッパで発展した活版印刷術が16世紀初頭に楽譜印刷に応用されるや、音楽 は手書きで楽譜を書き写すしかなかった時代には考えられなかったほどの勢いで広範囲に届くようになりました。その大きな恩恵を受けたのが 15世紀末〜16世紀に活躍したフランス=フランドル楽派のポリフォニー作曲家たち。そして彼らの名声拡大に大きく寄与したのが、ヴェネ ツィアやアントウェルペン、パリなど多くの人々が行き交う大都市で活動していた出版業界人たち。おそらく自身も音楽家だったスザートはフラ ンドル地方随一の国際的な港湾都市アントウェルペンに拠点を構え、クレキヨンやクレメンス・ノン・パパ、ゴンベールといった同時代のフランド ル人作曲家たち、あるいはジョスカン・デプレのような往年の大御所たちの傑作を数々の曲集に編んで印刷、その普及に大きく貢献します。 スザートによって選ばれた作品の確かさをじっくり、リュート独奏を交えながら堪能できるプログラムには「千々の悲しみ」や「森のニンフたちよ」 など往年の名曲から、宗教曲・世俗曲を問わず仏・蘭・伊・ラテン語などさまざまな言語の佳品が並び、細部までよく整えられた演奏の確か さとあいまって、5世紀前の世界に軽々と私たちを誘ってくれる仕上がりになっています。

Chateau de Versailles Spectacles
CVS-104(1CD)

NYCX-10429(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価
ジャン・ジル(1668-1705):モテ「主よ、わが神、あなたが頼りなのです」
死者の為のミサ曲(レクイエム)
ユジェニー・ルフェーヴル(S)
クレマン・ドビューヴル(オートコントル〔高音テノール〕)
セバスティアン・モンティ(T)
ダヴィド・ヴィチャク(Br)
レ・パージュ・エ・レ・シャントル(ヴェルサイユ・バロック音楽センター合唱団、少年合唱団)
レ・フォリー・フランセーズ(古楽器使用)
コンサートマスター:パトリック・コーエン=アケニヌ(Vn)
ファビアン・アルマンゴー(指)

録音:2022年12月8-9日 ヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂
※ 国内仕様盤には、白沢達生氏による原盤解説の日本語訳が付属。
南フランスのプロヴァンス地方出身の天才作曲家ジャン・ジル。大クープランと同じ1668年に生まれ、生涯を通じて専らフランスの南側で活 躍しパリにもヴェルサイユにも来ないまま早世しましたが、ルイ14世の治世下で作曲したレクイエムが王室でもとりあげられ注目を浴び、18世 紀を通じて王室の葬儀で頻繁に再演されるという栄に浴しました。有名な定期演奏会コンセール・スピリチュエルも発足20年前に亡くなった この昔日の巨匠の作品を何度も演奏、パリの人々にも喝采を博し続けました。20世紀の古楽復権の流れでもシャルパンティエやデュ・モンと 並んで注目されてきた彼のレクイエムに、ブルボン家歴代の王たちの祈りの場となってきたヴェルサイユ宮殿の王室礼拝堂での最新録音が登 場。手稿譜の形でのみ残る珍しいグラン・モテ(合奏付き合唱曲)と共に演奏を聴かせるのは、フランス17〜18世紀音楽の知られざる魅力 を実演と録音を通じて根強く紹介し続けてきた実力派ファビアン・アルマンゴー率いるヴェルサイユ・バロック音楽センター(CMBV)の合唱団。 器楽陣にはCMBVでの研究成果を比類ない演奏に昇華してきた精鋭集団レ・フォリー・フランセーズが加わり、残された楽譜の持ち味を最 大限に引き出す精妙な解釈に仕上げられています。モテ「主よ、わが神、あなたが頼りなのです」では時として舞踏劇や歌劇を思わせる音 使いもあり、メリハリの利いた古楽器演奏と相俟ってジルの作風の広がりを印象づけてやみません。CMBVの音楽学者ジュリアン・デュブリュク による解説(仏・英・独語/国内仕様盤には日本語訳付)も充実、フランス・バロックの奥深さと欧州古楽界の層の厚さに改めて驚かされる 新録音です。

TOCCATA
TOCCATA NEXT
TOCN-0018(1CD)
NX-B03
18世紀ロンドンの声楽曲集
1-20. ヨハン(ジョン)・エルンスト・ガリアルド(1666/87-1747):アダムとイヴへの讃歌(1728年出版)*
21-23. ジェレマイア・クラーク(1674頃-1707):詩篇13篇 * - 宗教音楽集第2集(1801年出版)より (リチャード・ジョン・サミュエル・スティーヴンス 1757-1837編)
24. モーリス・グリーン(1696-1755):竪琴を持ったオルフェウス - カンタータと4つの英語の歌(1745/46年出版)より
25. エリザベッタ・デ・ガンバリーニ(1730-1765):Behold, and listen - イタリア語と英語の歌によるチェンバロの為のレッスン(1748年出版)より
26-31. ガリアルド:アポロとダフネ*- イタリア流儀に倣った6つの英語カンタータ(1716年出版)より
32-39. ヘンリー・キャリー(1688頃-1743):カンタータ「I go to the Elisian Shade」(狂気の歌)- 伴奏付き声の為のカンタータ(1724年出版)より
40. ジョン・ブロウ(1649-1708):前奏曲 イ短調(1700頃)
41-44. グリーン:詩篇119篇 *- 宗教音楽集第2集(1801年出版)より
(リチャード・ジョン・サミュエル・スティーヴンス編)
Lux et Umbrae(古楽声楽アンサンブル)
ロバート・クロウ(S)…1-2、5-6、9-10、13-14、17-23、
25、32-39、41-44
アネッテ・フィッシャー(S)…1-4、7-8、11-12、15-16、17-
20、24、26-31、41-44
ジュリア・ニルセン=サヴェージ(Vc)…21-23、26-31、41-44
シグルン・リヒター(Lute)…1-20、24、26-31、41-44
ミヒャエル・エーベルト(Cemb)…1-23、26-44

録音:2021年5月29、30日、2022年10月23-30日
*…世界初録音
18世紀前半のロンドンではイタリアを経てやってきたヘンデルが圧倒的な人気を誇っていました。彼は1719年に貴族たちによって設立された「王立音 楽アカデミー」で演奏するための大部分の歌劇を担当した他、ジョージ2世の為の「戴冠式アンセム」を上演するなど大活躍。イタリアから優れた歌 手を呼び寄せ、ロンドンにおける歌劇文化の興隆をもたらしました。もちろん同時代のロンドンにも優れた作曲家たちは存在していましたが、彼らのほと んどはヘンデルの名声の影に隠れてしまい、その作品の多くは忘れられてしまったのです。このアルバムでは6人の作曲家の作品を収録。曲の多くは神 話や旧約聖書から題材が取られており、演奏者や歌手たちには高い技巧が要求されます。なかでも注目はヘンデル作品の歌手として活躍し、後に 自作を発表したという、当時では珍しいイタリア系の女性作曲家エリザベッタ・デ・ガンバリーニの作品でしょう。イタリア・バロックの様式に基づく美しい 歌曲は上品な味わいを持っています。 演奏する「Lux et Umbrae=光と影の意」は2014年にソプラノ歌手ロバート・クロウとリュート奏者シグルン・リヒターによって設立されたアンサンブ ル。17世紀から18世紀のほとんど知られていない声楽作品の研究と演奏に尽力しています。

CORO
COR-16201(1CD)
オラツィオ・ベネヴォリ:ミサ曲「汝はペテロなり」
パレストリーナ:汝はペテロなり
オラツィオ・ベネヴォリ(1605-1672):ミサ曲「汝はペテロなり」-キリエ、グローリア
ボニファツィオ・グラツィアーニ(1604-/5-64):主よ、汝の憤りをもてわれを責めたもうなかれ
ベネヴォリ:ミサ曲「汝はペテロなり」-クレド
グラツィアーニ:さあ、諸人よ
ネヴォリ:ミサ曲「汝はペテロなり」-サンクトゥス、アニュス・デイ
グラツィアーニ:Ad mensam dulcissimi、Justus ut palma
イ・ファジョリーニ、
ザ・シティ・ムジク、
ロバート・ホリングワース(指)

録音:2023年6月28日-7月1日、セント・オーガスティン教会(ロンドン)
ロバート・ホリングワースによって1986年にオックスフォード大学で結成され、2006年5月にはロイヤル・フィルーハーモニック協会から"アンサンブル・アウォード"を授与されたイギリスの実力派古楽系アンサンブル、イ・ファジョリーニ。
Coroからのリリース第4弾となる新録音は、イタリア初期バロックの重要人物オラツィオ・ベネヴォリ(1605-1672)の多声合唱の芸術を探求!
パレストリーナの著名なモテット「汝はペテロなり」を基に作曲されたベネヴォリのミサ曲「汝はペテロなり」は、ローマに新しく建設されたサン・ピエトロ大聖堂のために書かれたものと思われます。この作品は編成が非常に特殊で、4つの合唱団〔合唱1:ソプラノ、ハイ・テノール、バリトン、バス/合唱2:ソプラノ、コルネット(ツィンク)、ハイ・テノール、バリトン、バス、トロンボーン/合唱3:メゾ・ソプラノ、ヴァイオリン、ハイ・テノール、バリトン、バス、バス・ヴァイオリン/合唱4:メゾ・ソプラノ、リコーダー、ハイ・テノール、バリトン、バス、バス・ドゥルツィアン/通奏低音1:オルガン、ハープ/通奏低音2:オルガン、キタローネ の、器楽も含めた4グループ(+通奏低音)〕によって構成されています。

Chateau de Versailles Spectacles
CVS-087(1CD)
リュリ:グラン・モテ集Vol.3
リュリ:ガリアよ、歓呼の声を上げて喜べ LWV37
アンリ・デュ・モン(1610-1684):聖母マリアの讃歌「わたしの魂は主を崇め」(マニフィカト)
リュリ:ザカリアの讃歌「祝福あれ、イスラエルの主なる神よ」LWV 64-2
 主よ、王を救い給え LWV77-4
 神はユダヤの地で知られ LWV77-17
レゼポペー(声楽&古楽器アンサンブル)
ステファーヌ・フュジェ(指)

録音:2022年3月18-21日ヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂
精鋭メンバーによる2022年来日が好評を博したレゼポペーが、本場ヴェルサイユ宮殿の礼拝堂で進めるリュリのグラン・モテ録音第3弾。 18世紀以前の作品研究を反映させた古楽解釈が盛んなフランスにあって、21世紀を担う逸材として高い評価を得ているステファーヌ・フュ ジェは今回、ルイ14世の筆頭後継者たる男子誕生を祝う「ガリアよ、歓呼の声を上げて喜べ」でプログラムを始め、リュリの急逝2年前に書 かれた「神はユダヤの地で知られ」まで、この作曲家がフランス王室で最も確たる権勢を見せていた時期の作を幅広く選んでいます。また同シ リーズ初の試みとして、リュリの傍ら彼より前から王室に迎えられ、ルイ14世時代ならではの教会音楽の確立に先んじて寄与していた大家 デュ・モンの充実作「マニフィカト」も収録、両者の作風の違いを軸にリュリ流儀の教会音楽の特徴が自ずと浮かび上がるようにしています。 25〜37名編成の合唱にはグヴェンドリーヌ・ブロンデール、クレール・ルフィリアトル、シリル・オヴィティ、マルク・モイヨンら個性派ソリストも多く、 坂本久美、湯川亜也子ら日本の気鋭歌手の名も。加えてオルガンとチェンバロをそれぞれ2台、曲によっては30人を超える弦楽奏者を含 む大編成の古楽器オーケストラ(オルガンにマリー・ファン・レイン、低弦にエマニュエル・ジャック、リコーダーとバスーンでメラニー・フラオー……と 多面的活躍で知られる名手たちも参加)が奏でる響きは、当時これらの作品の演奏に求められていた壮麗さはもちろん、両作曲家の細部 まで考え抜いた音使いの繊細さにも柔軟に対応。きわめて幅広い表現力で17世紀フランスの王室礼拝堂音楽の至芸を追求、各作品の 魅力を十全に引き出してゆきます。ヴェルサイユ・バロック音楽センターの音楽学者トマ・ラコントによる解説も充実(仏・英語)。舞台音楽ば かりではないリュリ芸術の真価を実感できる1枚です。
Chateau de Versailles Spectacles
CVS-099(1CD)
フランソワ・クープラン:王宮のコンセール
コンセール 第1番/コンセール 第2番
コンセール 第3番/コンセール 第4番
レ・フォリー・フランセーズ(古楽器使用)
【ジョスラン・ドービネ(フラウト・トラヴェルソ)、ニエルス・コラン=コッパル(リコーダー、バスーン)、ジャン=マルク・フィリップ(Ob)、エマニュエル・バルサ(Vc、バス・ド・ヴィオル〔=ヴィオラ・ダ・ガンバ〕)、ベアトリス・マルタン(クラヴサン〔=チェンバロ〕)】
パトリック・コーエン=アケニヌ(Vn・指揮)

録音:2021年7月27-29日プロヴァン楽器博物館、プロヴァン(パリ郊外イル・ド・フランス地方)
ウィリアム・クリスティのレザ―ル・フロリサンやジェラール・レーヌのイル・セミナリオ・ムジカーレなど、フランスにおける古楽復興の躍進を担った重 要団体で長くコンサートマスターを務めたパトリック・コーエン=アケニヌが、2000年に自ら結成したレ・フォリー・フランセーズ。Pierre Verany、ALPHA-、Cypres、NoMadMusicなど常にシーン最前線のレーベルで名盤を刻んできたこのアンサンブルが、満を持して自国の 音楽史に名高い傑作室内楽曲を録音しました。クープランの『王宮のコンセール』はルイ14世の治世末期に書かれたイタリア風の編成によ るフランス様式の曲集で、かつてはイタリア風の音楽を演奏することさえ憚られたフランス王室にあって、異国の様式を適切に取り込み「趣味 の融合」を図ったこの作曲家ならではの細やかな趣向が凝らされた充実曲集。ヴィヴァルディ『四季』と同時期の1724年に出版され、20世 紀以降は多くの名盤にも恵まれてきましたが、18世紀当時のフランス宮廷音楽の演奏再現を徹底追及してきたコーエン=アケニヌらの様 式感豊かな演奏はやはり格別。アンサンブル創設期から長く共演してきた重要メンバーに新世代の気鋭バスーン奏者ニエルス・コラン=コッ パルが加わる顔ぶれが、それぞれの楽器から引き出しうる音色の多彩さを最大限に生かした精妙な解釈を織り上げてゆきます。作曲者と同 じフランス語話者たちだからこそ探り当てうる機微の妙、じっくりお楽しみください。
Chateau de Versailles Spectacles
CVS-111(1CD)
ルイ15世時代のフランス舞台音楽における恋の歌
1. ラモー :天体のエール「照り映えろ、新たに生まれ出でた星々よ」 (「カストールとポリュクス」〔1737〕第5幕第7場より)
2. ジャン=バティスト・ニエル(1690頃-1771):恋の神のエール「わが両目を襲う眠りに」 (「ローマ人たち」〔1736〕第1幕第6場より)
3. フランソワ・ルベル(1701-1775)&フランソワ・フランクール(1698-1787):ガヴォット(「イスメーヌ」〔1747〕より)
4. エジディオ・ロムアルド・ドゥーニ(1708-1775):ロジーヌのエール「おお、この村で敬われてきたお父様」 (「収穫に勤しむ人々」〔1763〕第3幕第7場より)
5. ラモー:狂気の女神のエール「恋の神よ、さあ矢をつがえて」 (「プラテー」第3幕第4場より)
6. ルベル&フランクール:イスメーヌのエール「おお、わたしたちに声を聴かせた者よ」 (「イスメーヌ」〔1747〕第3場より)
7. ラモー:プレリュード(「イポリートとアリシ」〔1733〕第3幕より)
8. ラモー:フェードルのエール「恋の神の残虐なる母よ」 (「イポリートとアリシ」〔1733〕第3幕第1場より)
9. ラモー:テライルのエール「悲痛なる衣装、青ざめた炎に」 (「カストールとポリュクス」〔1737〕序幕第1場より)
10. ジャン=ジョゼフ・ムーレ(1682-1738):イフィスのエール「さあ恋をしましょう、ためらっていてはだめ」 (「タリーの祭典」〔1714〕第2幕第5場より)
11. ラモー:シャコンヌ(「プラテー」〔1745〕より)
12. モンドンヴィル:プシュケと悪鬼たちの対話「駄目だ、この苦しみが終わると思うなよ」 (「パフォスの祭典」〔1758〕第3幕第6場より)
13. モンドンヴィル:プシュケのエール「わたしの美しさは失われ」 (「パフォスの祭典」〔1758〕第3幕第6場より)
14. ルベル&フランクール:恋の神のエール「心ここにあらずで」 (「スカンデルベルク」〔1735〕序幕第3場より)
15. ラモー:諸芸術の精たちと喜びの精たちの歌「美の女神ヴェニュス、あなたこそ」 (「カストールとポリュクス」〔1737〕序幕第1場より)
16. ラモー:狂気の女神のエール「いそしみましょう、いとも華やかな音楽に」(「プラテー」第2幕第5場より)
マリー・ペルボスト(S)
ヴェルサイユ王室歌劇場O&cho
ガエタン・ジャリ(指)

録音:2023年1月7-9日 ヴェルサイユ宮殿「マレンゴの間」
フランスの音楽著作権協会ADAMIから2016年の新星歌劇歌手賞に選ばれて以来、ヨーロッパのシーンで演技力豊かな声が急速に話 題となり、歌劇界に留まらずバロック・歌劇蘇演や知られざるフランス近代歌曲の発掘で早くも注目すべき実績を次々と挙げているマリー・ ペルボスト。ヴェルサイユ宮殿を舞台に刻まれた新たなソロ・アルバムはルイ15世時代のフランスに光を当て、多様な劇音楽から有名・無名 にかかわらず魅力的なナンバーを厳選。ルイ15世の長く比較的安定した治世の中で育まれた、多角的な様相をみせる恋物語の数々の魅 力に迫ります。軸となる巨匠ラモーの3傑作(「イポリートとアリシ」〔1733〕、「カストールとポリュクス」〔1737〕、「プラテー」〔1745〕)からして 音楽面でも物語面でもそれぞれに異なり、同時期の王室を魅了したルベル&フランクールのタッグや世紀半ばのパリの寵児ドゥーニなど、他 の作曲家たちの作品にもバロック後期からロココの柔和さを経て古典派前夜まで、18世紀フランス音楽の多彩さと一貫性を矛盾なく実感さ せてくれる奥深い魅力がたっぷり。ソプラノ歌手でありながら低い音域でも豊かな情感描写を聴かせるペルボストならではの、演技性あればこ そのエールが集められているのも流石です。ヴェルサイユの王室歌劇場ほか数々のステージで名演を披露してきたガエタン・ジャリの経験値が 十全に活かされたオーケストラの音作りも頼もしく、どこから聴いても引き込まれずにおれないアルバムに仕上がっています。

ALPHA
ALPHA-992(1CD)
フランス17〜18世紀のオートコントル歌手たちVol. 3
ジャン=バンジャマン・ド・ラ・ボルド(1734-1794):歌劇「Thetis et Pelee テティスとプレ」(1765)より
1. Ouverture 序曲
2. Air Que mon destin est deplorable プレのエール「わが運命の忌々しさよ」
3. Air Ciel ! En voyant ce temple redoutable
   プレのエール「天よ! このみごとな神殿を前に」
 ピエール=モンタン・ベルトン(1727-1780)&ジャン=クロード・トリアル(1732-1771): 歌劇「Sylvie シルヴィ」(1765)より
4. Air Conduisez ces captifs
   アミンタスのエール「どうかこの囚われ人たちを連れて行ってください」
5. Air pour les Cyclopes 一つ目巨人たちのエール
6. Air gracieux 優美なエール
 トリアル:歌劇「La Fete de Flore フロールの祭典」(1771)より
7. Air Amour, si tu te plais a ma douleur mortelle
   イラスのエール「恋の神よ、わたしが死ぬほど苦しんでいるのがそんなに嬉しいか」
 グルック:歌劇「Iphigenie en Aulide オリードのイフィジェニー」(1774)より
8. Ouverture 序曲
9. Air J’obtiens l’objet que j’aime アシルのエール「ついに愛する相手を得て、わたしは」
 グルック:歌劇「Orphee et Eurydice オルフェとユリディス」
    (1774/「オルフェオとエウリディーチェ」パリ版)より
10. Air Accable de regrets オルフェのエール「後悔に苛まれて」
11. Ballets des Ombres heureuses 精霊たちの踊り
12. Air Quel nouveau ciel pare ces lieux !
   オルフェのエール「ここまで来ると空が見違えるようだ」
13. Air Malheureux, qu’ai-je fait... J’ai perdu mon Eurydice
   オルフェのエール「やりきれない、わたしはなんということをしてしまったのだ
   〜エウリディーチェを喪って」
 ゴセック:歌劇「Alexis et Daphne アレクシとダフネ」(1775)より
14. Air Loin des ces bois charmants a regret entraine
   アレクシのエール「この愛おしい森を心ならずも離れ」
15. Air Vers le sommet de la montagne
   アレクシのエール「この山の頂に辿り着き、わたしは」
 グレトリー(1741-1813):歌劇「Cephale et Procris セファルとプロクリス」(1773/1777改訂)より
16. Air Parais, mortel amoureux
   セファルのエール「さあ出ておいで、命限りある恋人よ」
17. Ballet des nymphes de Diane ニンフたちとディアーヌの舞踏
18. Contredanse コントルダンス
19. Air Deese des beaux jours セファルのエール「好日の女神よ」
 ジョゼフ・ルグロ(1739-1793):歌劇「Hylas et Egle イラとエグレ」(1775)より
20. Air C’est ici que j’ai vu pour la premiere fois イラのエール「ここでわたしは初めて」
 ニコロ・ピッチンニ(1728-1800):歌劇「Atys アティス」(1780)より
21. Air O funeste amitie; Confiance accablante !
   アティスのエール「おお残酷なる友情、恐ろしき秘密よ!」
 ヨハン・クリスティアン・バッハ:歌劇「Amadis de Gaule ゴールのアマディス」(1779)より
22. Largo ラルゴ
 グルック:歌劇「Iphigenie en Tauride トーリドのイフィジェニー」(1779)より
23. Air Quel Langage accablant pour un ami qui t’aime !
   ピラドのエール「そなたを慕ってきた友に、なんという言葉を」
ア・ノクテ・テンポリス(古楽器使用)
 コンサートマスター:ロドルフォ・リヒター
レイナウト・ファン・メヘレン(オートコントル〔高音テノール〕、指揮)

録音:2022年12月 AMUZ、アントウェルペン(ベルギー北部フランデレン州)
17〜18世紀のフランス音楽史を彩り、数々の重要作品の名舞台を華やがせた名歌手たちの活躍に光を当てたアルバムが、近年ALPHA-から続々登場して います。その中でも特に当時のフランスならではのオートコントルと呼ばれる高音域男声歌手たちを紹介してきたのが、この困難な声域で鮮やかな美声を自在 に操り、欧州古楽シーンを賑わせてきたベルギーの名歌手レイナウト・ファン・メヘレンと、彼を中心に名手が集まるア・ノクテ・テンポリス。17世紀にリュリの傑作 を続々初演したデュメニ、18世紀半ばにラモーと仕事を重ねたジェリオットに続いて彼らが今回紹介するのは、モーツァルトのパリ訪問時の手紙にもたびたび登 場する歌手=興行主ジョゼフ・ルグロ(1739〜1793)です。ルイ15世の治世後半、ドイツ語圏の交響曲や協奏曲がパリで注目されつつあった1760年代に 頭角を現し、広い音域にわたって演技力の高い柔軟な歌唱を聴かせたその技量は多くの人々に注目され、マリー=アントワネット妃の実家ウィーンから招か れパリを沸かせた名匠グルックも数々のフランス語歌劇でルグロを起用、とりわけ『オルフェオとエウリディーチェ』パリ版の表題役は歴史に残る配役となりました。 作曲家の知名度にかかわらず1760〜70年代のさまざまな名品からルグロの為の歌を厳選。ロマン派前夜のドラマティックな表現からロココ絶頂期の艶やか な旋律美まで、充実した古楽器オーケストラと共に古典派時代のフランス音楽特有の味わいをファン・メヘレンの美声で堪能できる興奮と発見に満ちたプログ ラムは見逃せません。ヴェルサイユ・バロック音楽センターの二コラ・ソーによる監修を経た珍しい18世紀フランス型のクラリネットの導入など、管弦楽パートの演 奏解釈にも趣向が凝らされています。
ALPHA
ALPHA-998
バッハとイタリア
A.スカルラッティ:アルペッジョ 〜トッカータ ニ短調
バッハ:半音階的幻想曲 BWV903
 協奏曲 ニ短調 BWV974 (アレッサンドロ・マルチェッロ[1669-1747]: オーボエ協奏曲 ニ短調 による)
 ラルゴ・エ・スピッカート 〜オルガン協奏曲 ニ短調 BWV596 (ヴィヴァルディ[1678-1741]: 調和の霊感 Op.3-11による)
 アレグロ〜〜オルガン協奏曲 ハ長調 BWV 594(ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 RV208「ムガール大帝」 による)
 イタリア協奏曲 ヘ長調 BWV971
マルチェッロ:アダージョ 〜チェンバロの為のソナタ 第7番
バッハ:アンダンテ 〜協奏曲 ハ長調 BWV Anh.151
 前奏曲(幻想曲) BWV921
 協奏曲 ヘ長調 BWV978(ヴィヴァルディ: 調和の霊感 Op.3-3による)
A.スカルラッティ:ラルゴ 〜チェンバロの為のトッカータ 第6番ト短調
ヴィヴァルディ(ジュスタン・テイラー編): ラルゴ 〜フルート協奏曲 ハ長調 RV443
バッハ:アンダンテ 〜協奏曲 ロ短調 BWV 979
 トッカータ ホ短調 BWV914
 協奏曲 ニ長調 BWV972(ヴィヴァルディ: 調和の霊感 Op.3-9による)
 ラルゴ 〜協奏曲 ト長調 BWV973 (ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲 ト長調 RV299による)
ジュスタン・テイラー(Cemb)
使用楽器:アサス城所有1730年頃のオリジナル楽器

録音:2023年3月 アサス城、フランス
コロナ禍に二度も来日し、私たちに素晴らしい音楽を停滞なしに届けてくれたチェンバロの若き俊才、ジュスタン・テイラーが大バッハとイタリア の関係を紐解く一枚。バッハは故郷のザクセン地方を離れることは滅多にありませんでしたが、ヨーロッパ中の最新の音楽情報を常に収集し ていました。なかでもコンチェルタンテ様式の発祥の地であるイタリアの革新的な音楽に細心の注意を払い、ヴィヴァルディやマルチェッロ兄弟 の作品を研究し、自身の鍵盤作品に、アルプスの向こうの煌びやかな輝きを巧みに盛り込んでいました。このアルバムには、バッハが研究のた めに鍵盤独奏用に編曲したイタリアの作品や、その集大成である半音階的幻想曲やイタリア協奏曲を収録。イタリアのオリジナル作品などの 小品で収録曲を繋いでゆく構成も興味深いものです。スコット・ロスが愛奏したことで知られるアサス城の名器を自在に操るテイラーの生き生 きとした表現がたいへん魅力的で、チェンバロにもここまで振幅のある表現が出来るのかと感心させられる一枚です。

ARCANA
A-548(1CD)
フックス:歌劇「アリアンナの冠」 ヴェネレ(美の女神ウェヌス)…モニカ・ピッチニーニ(S)
アリアンナ(クレタの王女アリアドネ)…カルロッタ・コロンボ(S)
テーティ(海の精テティス)…マリアンネ・ベアーテ・キーラント(A)
バッコ(酒の神バッコス)…ラファウ・トムキェヴィチ(C.T)
ペレオ(アイギナの王子ペレウス)…リ・メイリ(C.T)
シェーンベルクcho
ゼフィーロ・バロック・オーケストラ(古楽器使用)
アルフレード・ベルナルディーニ(指)

録音:2022年6月28日ヘルムート・リスト・ハレ、グラーツ、オーストリア
ウィーン古典派の三大作曲家が対位法を学んだ理論書『パルナスス山への階梯』の著者で、三代にわたる神聖ローマ皇帝に楽長として仕 えた大作曲家フックス。その晩年の知られざる傑作音楽劇が、欧州古楽シーン最前線をゆく演奏陣によって全曲録音されました。バッハや ヘンデルより四半世紀早く、A.スカルラッティやパーセルなどと同じ頃に生まれたフックスは1690〜1710年代が活動全盛期でしたが、 1723年プラハでの主君の戴冠式を祝う「権勢と貞節」を書きながら脚を悪くして随行できず半ば引退状態に。その中で1726年の皇妃誕 生日を祝うべく書かれた「アリアンナの冠」は、数々の木管・金管と打楽器が加わる充実編成の楽団と合唱を従え、5人のソリストが旋律美 豊かな歌を交わしてゆく一種のセレナータ。多声処理のたくみさや種々の楽器を活かして効果的な書法を繰り出す引き出しの多さはさすが 巨匠の至芸というほかなく、ヴィヴァルディやヘンデルら当時の現役世代にも比肩しうる緩急自在の音楽内容は、フックスが理論好みの書斎 派などではなく常に最前線の現役気質を失わなかったことを強く印象づけてくれます。物語は怪物ミノタウロスを退治した英雄テーセウスがナ クソス島に置き去りにしたアリアンナ(アリアドネ)を酒神バッコ(バッコス)が慰め、傍らで王子ペレオと海の精テーティが結ばれるというもの(北半 球の星座「かんむり座」はこの作品の表題に示された冠に由来)。キーラントやピッチニーニらシーン最前線の名歌手たち、頼もしくも切れ味 抜群なゼフィーロの古楽器演奏に加え、アーノンクールとの共演歴でも名高いシェーンベルク合唱団の参加も頼もしいところ。充実した作品 解説(英・独・伊語)と併せ、ウィーン音楽史を再訪したくなる刺激豊かな新録音と言ってよいでしょう。
ARCANA
A-551(1CD)
パオロ・デル・ビーヴィ、通称 パオロ・アレティーノ(1508-1584):聖土曜日の為の哀歌と応唱
第1の夜課
第2の夜課
第3の夜課
ザカリアの讃歌「祝福あれ、イスラエルの主なる神よ」
オデカトン【ジャンルイージ・ギリンゲッリ(C.T)、ジュゼッペ・マレット、マッシモ・アルティエーリ、マウロ・コッリーナ、ヴィンチェンツォ・ディ・ドナート、ジャンルーカ・フェラリーニ(T)、マウロ・ボルジョーニ、ガブリエーレ・ロンバルディ(Br)、エンリーコ・バーヴァ、マッテオ・ベロット(Bs)】
パオロ・ダ・コル(指)

録音:2021年8月24-27日聖イグナツィオ教会、アレッツォ(イタリア中部トスカーナ州)
徹底した音楽学的検証を経た上での充実した演奏解釈で、ルネサンス期のイタリア音楽の「生まれたての姿」の味わいを現代に蘇らせ続け るパオロ・ダ・コル指揮の男声アンサンブル、オデカトン。今回はフランドル楽派の精緻な多声音楽に大きな影響を受けていた作曲家が多かっ た16世紀中盤、フィレンツェのメディチ家にも仕えながら故郷アレッツォを中心に活躍した知られざる名匠パオロ・アレティーノ(「アレティーノ」は アレッツォ出身者を意味する通称、本名はパオロ・デル・ビーヴィ)の受難節音楽という秘曲中の秘曲に迫ります。この時期には現代で言うコ ントラルトから男声の中低音域までバランスよく、各声部が独立した動きを見せるポリフォニーの魅力を追求した音楽が多かったところ、パオ ロ・アレティーノはここでテノール、バリトン、さらにバスの低音域まで使ってバランスを低音寄りとし、随所で多声の綾よりも歌われる詩句の味 わいを優先させた朗読調とも言える音運びを使用。人肌の温もりを感じさせながらも隅々まで精緻にコントロールされたオデカトンの面々の 歌唱が、その作品が持つ不思議な魅力をこの上なく明晰に伝えてやみません。色彩感より構図や描線にこだわったというフィレンツェ画派の 名作群にも通じる奥深い音楽の響きが、16世紀イタリア音楽のさらなる豊饒さを改めて強く印象づけてくれる好企画です。

Channel Classics
CCS-455233(2CD)
NX-E02
18世紀パリのクラヴサン 〜フランスの鍵盤音楽と同時代の名器
【DISC1】
1-6.ルイ・マルシャン(1669-1732):ニ調の組曲 〜『クラヴサン曲集 第1巻』(1702年パリ刊)より
 1. Prelude プレリュード
 2. Allemande アルマンド
 3. Courante クラント
 4. Sarabande サラバンド
 5. Gigue ジグ
 6. Chaconne シャコンヌ
7-11. フランソワ・クープラン: ト長の組曲 〜『クラヴサン曲集 第1巻』(1713年パリ刊)第1組曲より
 7. Prelude プレリュード
 8. Courante クラント
 9. Sarabande La Majestueuse サラバンド「壮麗」
 10. La Milordine, Gigue ジグ「英国の青年貴族」
 11. Les Silvains 森の精たち
12-14. クープラン:ハ調の組曲〜『クラヴサン曲集 第1巻』第3組曲より
 12. La Tenebreuse, Allemande アルマンド「暗がり」
 13. Chaconne a deux temps, La Favorite 2拍子のシャコンヌ「寵姫」
 14. La Lutine 小鬼
【DISC2】
1-5. ラモー: 組曲  〜『新しいクラヴサン組曲集』(1728年パリ刊)より
 1. Allemande アルマンド
 2. Sarabande サラバンド
 3. Les Sauvages 未開の人々
 4. L’Enharmonique 異名同音
 5. L’Egyptienne エジプト風
6-10. アントワーヌ・フォルクレ(1672-1745)/ジャン=バティスト・フォルク(1699〜1782)編):組曲 ニ長調〜『クラヴサン曲集に編みかえられた
   父フォルクレ氏のヴィオール曲集』(1747年パリ刊)第1組曲より
 6. Allemande, La Laborde アルマンド「ラボルド」
 7. La Cottin コタン
 8. La Bellmont ベルモン
 9. La Portugaise ポルトガル風
 10. La Couperin クープラン
11-15. A.フォルクレ/J=B.フォルクレ編)):
   組曲 ハ長調〜『クラヴサン曲集に編みかえられた
   父フォルクレ氏のヴィオール曲集』第5組曲より
 11. La Rameau ラモー
 12. La Guignon ギニョン
 13. La Boisson ボワソン
 14. La Sylva シルヴァ
 15. Jupiter ジュピテール
ジョス・ファン・インマゼール(クラヴサン)

使用楽器:
【DISC1】
パリのジャン=アンリ・エムシュ1761年製作のオリジナル楽器(修復: エミー
ル・ジョバン)
【DISC2】
アントウェルペンのアンドレアス・リュッケルス(ルッカ―ス)1646年製作、パリの
パスカル・タスカンにより1780年に拡張改造済のオリジナル楽器(修復: フォ
ン・ナーゲル工房)
【DISC3】
パリのジャン=クロード・グージョン1749年頃製作、パリのジャック=ジョアシャ
ン・スワネンにより1784年に拡張改造済のオリジナル楽器(修復: マルク・デュコルネ工房)

録音:2022年11月7日、12月12日、2023年2月20日フィラルモニー・ド・パリ
クラヴサン〔チェンバロ〕奏者として研鑽を重ねつつ早くから18〜19世紀モデルのフォルテピアノを演奏、LPレコードの時代からモーツァルトや ベートーヴェンが馴染んでいた響きの真相に迫ってきたベルギーの大御所ジョス・ファン・インマゼール。その後も古楽器を使ったレパートリーは 20世紀まで及び、古楽器オーケストラ指揮の傍らドビュッシーやラフマニノフの鍵盤作品も当時のピアノで録音していますが、今回は満を持 して、そうした後の時代の響きまで細やかな解像度で解釈してきた彼ならではのクラヴサン独奏曲集を録音。使用楽器は現代随一の古楽 鍵盤製作家3人の手で丁寧に修復された、18世紀パリ屈指の製作家たちによるオリジナル楽器3台。ルイ14世の治世末期から古典派前 夜の1768年までに刊行された重要なクラヴサン曲集群から名品を厳選、さまざまな世代の巨匠7人の至芸に、18世紀パリそのままの響き を通じて迫ります。前世紀からの伝統を受け継いだマルシャンやクープラン、バロック末期に新機軸を打ち出したラモーやフォルクレ、タッチで音 量に強弱がつかない特性を逆手に取りピアノとは違ったダイナミックな音楽表現を聴かせるバルバストルやデュフリ、A-L.クープランと、深い作 品分析を経ての趣き豊かな演奏でそれぞれの世界の違いを味わえる喜びは格別。国内仕様盤では各楽器について詳述された原盤解説 の訳に加えて各作曲家紹介も付属します。時代が進むにつれクラヴサンより人気を得ていったフォルテピアノの機微を知る奏者ならではのク ラヴサン芸術後期の世界、じっくりお楽しみください。

ANALEKTA
AN-29196(1CD)
PARIS1790〜ビダル氏によるフランス革命期のギター音楽〜
 ビダル氏(ファーストネーム不明)(生年不明-1803):
1-2. Concerto pour la guitare ギター[と弦楽の為の]協奏曲
 1. Allegretto
 2. Rondo-Allegretto
3. Prelude general 総前奏曲(『新しいギター奏法』より)
4. Variations sur les Folies d’Espagne
   スペインのフォリアによる変奏曲(生前未出版)
5-6. Sonate pour la guitare avec accompagnement de violon
   ヴァイオリン伴奏付きのギター・ソナタ(生前未出版)
 5. Allegro
 6. Presto
7-9. Trios Contredanses 三つのコントルダンス
   (『歌劇・コミークのエール、メヌエット、コントルダンスによる
    ギターの為の変奏曲集』Op.18より)
 7. コントルダンス第10番「ラ・デュフール」
 8. コントルダンス第11番
 9. コントルダンス第12番
10-11. Duo pour gutare et violon
   ギターとヴァイオリンの為の二重奏曲 Op.28-5
 10. Allegretto
 11. Allegro
12. Variations sur Pierrot dit a Madeleine
   「ピエロがマドレーヌにこう言った」による変奏曲
   (『ギターとクラヴサンの伴奏付き歌曲集 諸々の小品や変奏曲と
    1片の通奏低音付きソナタを含む』Op.19より)
13-14. Duo pour gutare et violon
    ギターとヴァイオリンの為の二重奏曲 Op.24-3
 13. Allegretto
 14. Rondo
15. Sonate pour guitare avec la basse
   ギターと通奏低音の為のソナタ
   (『ギターとクラヴサンの伴奏付き歌曲集 諸々の小品や変奏曲と
    1片の通奏低音付きソナタを含む』Op.19より)
パスカル・ヴァロワ(バロック・ギター)
 使用楽器:ストラディヴァリのモデルによるクロード・ギボール製作の再現楽器
ジャック=アンドレ・ウル(Vn)[1-2、5-6、10-11、13-15]
オリヴィエ・B.ブロー(Vn)[1-2]
ジェシー・デュベ(Va)[1-2]
アマンダ・ケースマート(Vc)[1-2、15]
ジャン=ギィ・コテ(バロック・ギター)[15]

録音:2023年1月4-6日コレージュ・ダルマ・スタジオ(カナダ・ケベック州)
バーゼル・スコラ・カントルムでホプキンソン・スミスに師事、18〜19世紀初頭のギター音楽の真価を古楽器で探り続けるフランス語圏カナダ 出身のパスカル・ヴァロワが、フランスとベルギーの音楽院図書館の蔵書に作品を見つけ、その質の高さに驚いたという18世紀末の謎めいた ギター作曲家「ビダル(ヴィダル)氏」。ギター発祥の地スペイン出身であることと、フランス革命の寵児ナポレオンが皇帝になる直前の1803年 に亡くなったこと以外は、ファーストネーム含め生涯について殆ど知られておらず、ただ楽譜と同時代の絶賛だけが残っていたこのギター奏者 =作曲家の作品群から室内楽曲と独奏曲を厳選、1776年にコンセール・スピリチュエルで披露された作品と思われる1曲の室内編成協 奏曲を含むプログラムでその作曲家像に迫ります。単弦6コースの楽器が登場し始める過渡期の作品ながら、ヴァロワは熟慮の末に複弦5 コースのバロック・ギターを使用。この種の楽器ならではのダイナミックな和音の魅力も、細やかな音運びの妙味も余さず伝える解釈は聴きど ころに事欠きません。他の弦楽勢も作品に潜む機微をよく捉えたアンサンブルを聴かせ、グルックやサリエリ、グレトリー、ケルビーニといった作 曲家たちの傍らに広がっていたフランス・ギター音楽の豊かさにはっとさせられる1枚です。

Chateau de Versailles Spectacless
CVS-098(1CD)
シャルパンティエ:わたしの魂は主を崇め(マニフィカト) H79
ジャック・ダニカン・フィリドール(通称「若きフィリドール」1657-1708):トランペット隊のファンファーレ
 トランペット隊だけで奏でる行進曲
 フォンテーヌブロー
 ティンパニ演奏
シャルパンティエ:わたしたちは神であるあなたを讃えます(テ・デウム) H.146
ラ・シャペル・アルモニーク(声楽&古楽器アンサンブル)
ヴァランタン・トゥルネ(指)

ソリスト:グヴェンドリーヌ・ブロンデール(ドゥシュ〔=ソプラノ〕1)
 セシル・アシル(ドゥシュ2)
 ダヴィド・トリクー(オートコントル〔=高音テノール〕)
 マティアス・ヴィダル(ターユ〔=テノール〕)
 ジョフロワ・ビュフィエール(バス=ターユ〔=バリトン〕)

録音:2022年11月19-22日、ヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂
古楽器演奏に長年の実績がある国フランスで、2020年代に最も注目されている若手指揮者の一人ヴァランタン・トゥルネの最新録音は、 有名曲「テ・デウム」を含むシャルパンティエの大規模声楽作品集。太陽王ルイ14世が治める17世紀フランスにあって、活動初期には王室 音楽総監督リュリの妨害で王室関係の仕事を得られなかったにもかかわらず、パリ市内のさまざまな機関から作曲依頼を受け、膨大な量の 傑作を残したのがシャルパンティエでした。20世紀にその真価が再評価されてゆく過程で最も注目されたのが、さまざまな規模の合奏を伴う 教会向けの声楽曲の数々。特に、トランペットによる前奏がウィーン・フィルの「ニューイヤー・コンサート」を始めとしたヨーロッパの放送番組で 多用される「テ・デウム」はシャルパンティエの代表作の一つですが、トゥルネは持ち前のフランス音楽への適性をここでも存分に生かし、豊か な合唱の響きはもちろん、室内楽的なアンサンブルが映える局面も細やかに仕上げてゆき、この作曲家ならではの伸縮自在の音作りの妙 味をじっくり堪能させてくれます。17人の合唱と5人のソリストが織りなす音響美を支えるオーケストラは、弦楽14名に数々の管楽器群が加 わる手堅い構成。サヴァールやモルテンセンなど歴戦の古楽人たちとの共演で知られるバロック・ヴァイオリン奏者マンフレード・クレーメルや、民 俗音楽越境系の活躍でも知られるリュート奏者キート・ガートなど超ベテラン奏者たちも加わって、多層的な古楽器演奏の魅力も存分に 味わえる演奏内容となっています。長年のシャルパンティエ研究で知られるカトリーヌ・セサックの詳細な解説(仏・英・独語)も読みごたえたっ ぷり。

RICERCAR
RIC-455(1CD)
秘密のコンチェルト 〜ルッツァスキの女声重唱の為の声楽作品群〜
ルッツァスコ・ルッツァスキ(1545頃-1607):『1、2、3部のソプラノ[と通奏低音]の為のマドリガーレ集』(1601)より
1. あなたを愛しています、わが命の君
2. 恋の神がもたらす、いとも苦き甘やかさ
3. 鋭く射抜く、恋の神の矢
4. 優しきそよ風
5. こうして穏やかに風は吹き
   (『2声または3声のマドリガーレとカンツォーナ集』〔1661〕より/モンテヴェルディ〔1567〜1643〕作曲)
6. シレーナたちの歌「花咲ける青春の只中にある者は」
   (歌劇「アルチーナの島からのルッジェーロの解放」〔1625〕より/フランチェスカ・カッチーニ〔1587〜1641〕作曲)
7. ああ戻ってこい、わが心よ
8. あまりにも多くの力を
9. わが心よ、憔悴するな
10. わが心の君、あなたのことはもう愛していないのだから
11. 苦しみの何たるやを知らないのは
12. Belle ne fe’ natura 美しき者たちが、自然とは何かを教えてくれる
   (「ラ・ペッレグリーナ」〔1589〕より/ルーカ・マレンツィオ〔1553/54〜1599〕作曲)
13. おお春よ
14. 少女たちの合唱「喜びの中で申せましょう」
   (歌劇「アルチーナの島からのルッジェーロの解放」〔1625〕より/F.カッチーニ作曲)
15. わたしはほんの小娘よ
16. 泣いているわたしの、この両目
17. 魔法にかかった者たちの嘆きの歌「ルッジェーロはひどく不幸せで」
   (歌劇「アルチーナの島からのルッジェーロの解放」〔1625〕より/F.カッチーニ作曲)
ラ・ネレイード(声楽アンサンブル)
カミーユ・アレア、ジュリー・ロゼ、アナ・ヴィエイラ・レイテ(S)
ヨアン・ムーラン(Cemb)
マノン・パパセルジオー(ヴィオラ・ダ・ガンバ、トリプルハープ)
ガブリエル・リニョル(アーチリュート)

録音:2022年8月サンテーユ聖母教会、シラン(南仏ラングドック地方エロ―県)
ヨーロッパ最前線で活躍する気鋭の女性歌手3人が、巨匠ルッツァスキの作品を中心に、女声トリオというユニークな編成で歌われていた作 品を集めたアルバム。物語の始まりは、教皇領として接収される17世紀初頭までに、名門エステ家の本拠として欧州屈指の高度な宮廷文 化が花開いた古都フェラーラ。美術史でも重要な画家たちの活躍地として知られるその宮廷では、ルネサンス期からすぐれた多声音楽の担 い手たちの至芸が聴かれました。ジョスカン・デプレやオブレヒト、ヴィラールト、チプリアーノ・デ・ローレといった往年のネーデルラント楽派の巨匠 たちとの縁を経て、この宮廷で16世紀末に高い名声を誇ったのが「コンチェルト・デッレ・ドンネ」と呼ばれる女性音楽家の集い。その技量の 高さは他のイタリア諸都市の音楽家たちを嫉妬させたほどで、ローマでは「麗しのアマリッリ」の作曲家ジュリオ・カッチーニが自身の娘たちととも に同様のアンサンブルを組織したほど。ここではフェラーラ宮廷のために数多くの名品を提供したルッツァスキの曲集からの音楽を軸に、カッチー ニの娘フランチェスカの傑作歌劇に含まれる女声三重唱や同時代の重要マドリガーレ作曲家マレンツィオとモンテヴェルディの曲も収録。同 じ音域で重なり合うメロディが織りなす和声変化の妙を存分に楽しませつつ、この編成をよく生かしたルネサンス末期〜バロック初期のユニー クな音世界を探ります。通奏低音にはRICERCARにソロ録音も多いヨアン・ムーランら実力派が集い、弦をはじく音と弓奏する音の交錯が 歌の機微を的確にサポートしてゆくところも魅力的です。

INVENTA
INV-1012(2CD)
NX-C08
ヒエロニムス・フィンデルスのミサ曲と同時代の世俗曲集
【CD1】
1. 作者不詳(アンドルー・ローレンス=キングの即興付き):愛しい人の褐色の瞳
2. ベネディクトゥス・アッペンツェラー(1480頃-1558頃):愛しい人の褐色の瞳5声
3-7. ヒエロニムス・フィンデルス(1525-26に活躍):ミサ曲「愛しい人の褐色の瞳」
8. マットイス・ピペラーレ(1450頃-1515頃):愛しい人の褐色の瞳
9. ヨハネス・ヒセリン=フェルボネット(1491-1507に活躍):あなたは最も素晴らしい人
10. フィンデルス:「あなたは最も素晴らしい人」によるサルヴェ・レジーナ
11. 作者不詳(アンドルー・ローレンス=キングの即興付き):「あなたは最も素晴らしい人」によるパヴァヌとガリアルド
【CD2】
1. アントワーヌ・ド・フェヴァン(1470頃-1512頃):今はただ死を待つばかり
2-6. ヴィンデルス:ミサ曲「今はただ死を待つばかり」
ヨハネス・ヒセリン=フェルボネット:今はただ死を待つばかり
マットイス・ピペラーレ:今はただ死を待つばかり
ケンブリッジ・シドニー・サセックス大学cho
アンドルー・ローレンス=キング(プサルタリー&ハープ)
デイヴィッド・スキナー(指)

録音:2022年9月19-22日
ジョスカン・デ・プレに続く世代の作曲家の一人、ヒエロニムス・フィンデルスのミサ曲をとりあげた貴重なアルバ ム。フィンデルスがジョスカンの訃報に接して書いた哀歌「おお、避けがたき死よ O mors inevitabilis」は 当時大いに人気を博したようですが、その生没年さえ定かではなく、16世紀前半に活躍したフランドル楽派 の中で謎の多い作曲家の一人です。ここでは当時の流行歌の旋律を引用したパロディ・ミサを2曲とサル ヴェ・レジーナを収録。解説(英語のみ)によれば、ミサ曲「今はただ死を待つばかり」はゴンベール作との説も あり、またミサ曲「愛しい人の褐色の瞳」は近年までフィンデルス作とはされていなかったとのことですが、研究 が進んで現代譜が出版されたことで、こうして演奏・録音が可能になったそうです。「あなたは最も素晴らしい 人」によるサルヴェ・レジーナには素材となった旋律が二つあり、恋人を「この地上で比べる者が無いほど素晴 らしい」と賛美する曲とグレゴリオ聖歌の旋律とを巧みに組み合わせて聖母マリア賛歌としています。それぞれ の「元唄」も収録してあるので、曲の構造がわかりやすくなっています。

Tactus
TC-660201(1CD)
ビアンケッリ:カンタータとアリア集
マリオ・ビアンケッリ
(1660-1730):Torna o core/ため息ばかり/Sciolto il cor/Penero se m'odii/Per tutto ove il pensier/A Lidia ch'agli amanti/Son disperato/Vendetta,vndetta/Brillando il ciel/A voi che l'accendeste
アルスエンブル

録音:2022年8月
イタリアのリミニ出身の作曲家マリオ・ビアンケッリ(1660-1730)のカンタータとアリア集。リミニのガンバルンガ図書館には17世紀の古文書や典礼写本などが残されています。それらの中にはギターやヴァイオリンなどの楽器の演奏技術でヨーロッパ中に賞賛された音楽家ビアンケッリの貴重な作品も残されていました。それらの作品はこの知られざる作曲家ビアンケッリの唯一現存が確認されている楽曲となります。
Tactus
TC-840003(1CD)
ダンテの詩による歌曲集
ルイジ・コンフィダーティ(1772-1847):Francesca da Rimini
ドミニコ・アラレオーナ(1881-1928):Canti di Maggio Op.6-3
スタニスラオ・ガスタルドン(1861-1939):Il Sonetto di Dante
ルイジ・マンチネッリ(1848-1921):Sei Melodie n.1- Tanto gentile e tanto onesta pare
フィリッポ・マルケッティ(1831-1902):La Pia
ボーイト:Due Melodie di R. Schumann n.1- Canzone della sera
カステルヌオーヴォ=テデスコ:4 Sonetti da La Vita Nova - i. Cavalcando l’altr’ier per un cammino, ii. Negli occhi porta la mia donna Amore, iii. Tanto gentile e tanto onesta pare, iv. Deh, peregrini che pensosi andate
アントニーノ・パルミンテリ(1846-1915):La Pia
ハンス・フォン・ビューロー(1830-1894):Sonetto di Dante Alighieri op.22
ロッシーニ:Francesca da Rimini - Recitativo ritmato Faro come colui che piange e dice
プッチーニ:Storiella d’amore - Melodia Noi leggevamo insieme
ポンキエッリ:Noi leggevamo insieme
マリオ・ピラティ(1903-1938):Sonetto xv da La Vita Nova
フランチェスコ・モルラッキ(1784-1841):Lamento del Conte Ugolino
マヌエラ・カスター(Ms)
ラッファエーレ・コルテージ(P)、
ダフネ四重奏団

録音:2021年8月
偉大な詩人であるダンテは、何世紀にもわたりさまざまな芸術家にインスピレーションを与え続けてきました。本アルバムでは、19世紀〜20世紀半ばまでの時代に焦点を当て、プッチーニやロッシーニなどの著名な作曲家から、あまり知られてはいないものの、この時代において非常に重要な作曲家たちの音楽が散りばめられています。
Tactus
TC-490002(1CD)
イザベラ・デステの手紙の中の音楽と音楽家
ロレンツォ・ダ・パヴィア:Lettera a Isabella d'Este, Venezia,4Settembre1503
マルコ・カーラ:Farsi che si forsi che no
バルトロメオ・トロンボンチーノ:Se mi duol esser gabato
チェーザレ・ゴンザーガ:Lettera a Isabella d'Este, Modena,2Dicembre1510
マルコ・カーラ:Cantai mentre nel core、Non e tempo d'aspectare
アノーニモ=マルコ・カーラ?:Dulces exuviae
イザベラ・デステ:Lettera a Ercole 1, Mantova,30Agosto1490
ヨハネス・マルティーニ:Flos Virginum、Les biens/Des biens d'amours、[senza testo]/[textless]、Tan que Dieu voldra
フェランテ・デステ:Lettera a sua sorella Isabella d'Este, Roma,20Ottobre 1495
アノーニモ:Morte! - Che Voy?、Non te smarrir cor mio
イザベラ・デステ:Lettera ad Anna d'Alencon, Mantova,24Novembre1517
アノーニモ:De tus biense
ジョスカン・デ・プレ?:Fortuna desperata
フランチェスコ・スピナチーノ:Adiu mes amours
ギャレオット・デル・カッレット:Lettera a Isabella d'Este, Casali,14Gennaio1497
バルトロメオ・トロンボンチーノ:Lassa donna i dolci sguardi、Se gran festa me mostrasti
エルコレ1世・デステ:Lettera a sua figlia Isabella d'Este, Ferrara,25 Ottobre1490
ピエトレクイン、コンペレ:Mais que ce fust secretement
アントワーヌ・ブリュメル:Esmu suy que plus ne porroie
ジョスカン・デ・プレ
:Una mosque de Biscayo
アノニマ・フロットリスティ

録音:2022年2月
イタリア・ルネサンス期の文化・芸術、そして政治に大きな影響を与えたマントヴァ侯妃、イザベラ・デステ(1474-1539)は、熱狂的な音楽愛好家であり、また自身も音楽家でありました。彼女がしたためた、或いは受け取った膨大な手紙の数々は、現代の古楽研究において、非常に重要な情報源と言えるでしょう。
アノニマ・フロットリスティは2008年に結成されたイタリアの古楽アンサンブルで、中世〜ルネサンス期の楽曲をレパートリーとし、活動しています。

Hyperion
CDA-68414(1CD)
ルートヴィヒ・ダーザー:ミサ曲「パーテル・ノステル」
ルートヴィヒ・ダーザー(1526-1589):
1. 主をほむべきかな
2. パーテル・ノステル(われらの父よ)
3-18. ミサ曲「パーテル・ノステル」(9. アヴェ・マリア)
19-20. あなたに向かってわたしは目を上げます
21. わたしは主を愛する
22. われらはみな神に感謝します
23-24. このことを覚えていなさい、ヤコブとイスラエルよ
25. わたしをお救いください
26. 長い間活動が遮られ
27. 兄弟よ、身を慎み、目を覚ましていなさい
28-32. 光であり昼間の明るさであるキリストよ
チンクエチェント

録音:2022年10月、聖母教会(ドイツ、アドラースベルク)
ヨーロッパ各国(オーストリア、ベルギー、イギリス、ドイツ、スイス)のプロフェッショナルな歌手が集ったルネサンス系男声ヴォーカル・アンサンブルの最高峰、「チンクエチェント」。これまで、ジャン・リシャフォールやフィリップ・シェーンドルフ、フィリップ・デ・モンテ、ヤコブ・ルニャール、ハインリヒ・イザークなど、フランドル楽派を中心とするルネサンスの知られざるプログラムでアルバムを彩ってきたチンクエチェントの新録音は、ルートヴィヒ・ダーザー(1526-1589)の宗教音楽集!
その生涯と作品がミュンヘンとシュトゥットガルト、カトリックとルター派の両方にまたがっているドイツ・ルネサンス期の作曲家、ルートヴィヒ・ダーザー。フランドル楽派の影響を受け、同時代人からは非常に尊敬されていた作曲家でしたが、ミュンヘンで彼の後任を務めたオルランド・ディ・ラッソ(ラッスス)の登場により、音楽史上ではすっかり影が薄くなってしまいました。本作は充実のミサ曲「パーテル・ノステル」のほか、ラテン語のモテットやドイツ語のコラールのセレクションを含んでおり、両者の様々なスタイルを楽しむことができます。知られざる巨匠ダーザーの入門に最適な1枚です。

Caprice
CAP-21940(1CD)
ラテン・バロックの祭り〜17世紀・18世紀ラテン・アメリカの歌と踊り
フアン・デ・アラウホ
(1646-1712):!Vaya de gira!
作者不詳:Cachua Nino il mijor
マヌエル・デ・メーサ・イ・カリーソ(1725-1773):!Oigan, escuchen, atiendan!
アラウホ:Corderito, por que te escondes?
ガスパル・フェルナンデス(1566-1629):Venimo con glan contento
作者不詳:(H)ara vale hava
作者不詳:Tata guasu ana retamengua
アラウホ:Morenita con gracia es Maria
作者不詳:Cachua serranita
作者不詳:!Oigan todos y todas!
作者不詳:Tonada del Chimo
フライ・マヌエル・コレイア(c.1600-1653):Dime Pedro, por tu vida
ベルナルド・ハヴェシュタット(1714-1781):Cad Burenieve - Jesus cad - Ventenlu
フランシスコ・ロペス・カピリャス(1614-1674):Alleluia dic nobis Maria
作者不詳:Tonada el Congo
フアン・グティエレス・デ・パディーリャ(c.1590-1664):Circumdederunt me dolore mortis
アンサンブル・ビヤンシコ〔イェシカ・ベックルンド(S)、カトリン・ロレンツェン(S)、カルロッタ・ヘードベリ(A)、カスパル・フォン・ヴェーベル(C.T)、ルーヴェ・トロンネル(T)、エマヌエル・ロール(T)、ヤマンドゥ・ポントヴィーク(Br)、エーリク・アルネローヴ(Bs)、ヨーラン・モンソン(リコーダー、打楽器)、ドーヒョ・ソル(バロック・ギター)、マグダレーナ・モルディング(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、ノーラ・ロール(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、ロルフ・ランドベリ(打楽器)、イェスペル・ラーグストレム(打楽器)、ペーター・ポントヴィク(音楽監督)〕

録音:2022年4月、スウェーデン
『ラテン・バロックの祭り』は、17世紀から18世紀のバロック期、ラテン・アメリカの歌と踊りのプログラムによるアルバムです。古楽器アンサンブル「アンサンブル・ビヤンシコ Ensemble Villancico」は、1995年、デンマークの指揮者ペーター・ポントヴィク Peter Pontvik によってストックホルムに設立されました。初期ワールド・ミュージック、特にラテン・アメリカのバロック音楽と北欧地域に関連する古楽をレパートリーに活動し、「自発性のある、軽やかで洗練されたスタイル」と評されてきました。このアルバムで演奏されるキリスト教カトリックの世界観を反映する曲も、『ウプサラの歌本』など過去のアルバムと同様、オリジナルの言語で歌われます。南アメリカ先住民のグアラニー語、マプチェ語(マプドゥングン語)、モチカ語、スペイン語あるいはラテン語。先住民やアフリカ人とヨーロッパ人の子孫たちの日常の宗教生活と「祭り」を思い起こすアルバムとして作られました。
『!A la xacara!(バロック期のジャングルブック)』(CAP 21658)と『Hy hy hy hy hy hy hy(バロック期の新ジャングルブック)』(CAP 21688)以来の Caprce Records 録音です。

PARNASSUS ARTS
PARARTS-003(3CD)
ポルポラ(1686-1768):歌劇『ポリフェーモ』(3幕のオペラ・セリア、1735年初演) アーチ:ユーリ・ミネンコ(C.T)
ウリッセ:マックス・エマヌエル・ツェンチッチ(C.T)
ポリフェーモ:パヴェル・クディノフ(Bs)
ガラテア:ユリア・レージネヴァ(S)
カリプソ:ソーニャ・ルニェ(C.A)
ネレーア:ナレア・ソン(S)
ジョルジュ・ペトルー(指)
アルモニア・アテネア

録音:2021年7月1-3・5・9日&8月20日、2022年8月23-27・29日/アテネ・コンサートホール
名カウンターテナー、ツェンチッチがアーティスティックディレクターを務める「PARNASSUS ARTS」からポルポラの3幕のオペラ・セリア『ポリフェーモ』が 登場。2021年のバイロイト・バロック・オペラ・フェスティヴァルでも披露された演目で、当代随一の歌手が結集した古楽オペラ・ファン垂涎のたまらない内容で す。
1730年頃、イギリスでは絶大な人気を誇っていたヘンデルに対抗する団体として「貴族オペラ」が設立されました。ポルポラはこの団体お抱えの作曲家として ロンドンで5つのオペラを作曲、その最後の作品が『ポリフェーモ』です。ヘンデルがバレエや合唱を巧みに用いて人気を得ていたのに対し、貴族オペラは歌手の 技巧で勝負。声楽教師でもあったポルポラに師事し、伝説的カストラートとして名を残すファリネッリもここで大いに活躍し、バロック・オペラ黄金期が築かれるこ とになります。
「ポリフェーモ」(=ポリュペモス)はキュクロプス(=サイクロプス)のことで一つ目の巨人。物語はこの巨人が登場する2つのギリシア神話が組み合わされてい ます。まずニンフのガラテアと羊飼いのアーチ(=エイシス)の恋仲を邪魔するポリフェーモの話。巨人が岩を投げアーチを殺してしまいますが、アーチは川の神と して復活するというもの。次にウリッセが出てきて、ポリフェーモにワインを飲ませ酔っぱらわせ、目を潰し撃退するという八岐大蛇的物語が続きます。
演奏は言わずもがなたいへん充実。器楽も声楽も物語の展開に合わせ変幻自在に音楽を繰り出してきます。技巧的なアリアから叙情的に歌いあげるアリアまで、 役者それぞれの歌の多彩さにも注目です。映画『カストラート』の日食シーンでも有名なアーチのアリア「アルト・ジョーヴェ」は、スローテンポの音楽にのった歌 声がぐさりと胸を突きぬく迫真の出来。

H.M.F
HMM-902613(1CD)
1740年頃のロンドン〜ヘンデルの音楽家たち
チャールズ・ワイデマン(カール・フィリップ・ヴァイデマン)(c.1705-1782):ジャーマン・フルート(トラヴェルソ)のた
めの協奏曲第6番ホ短調 op.2
ヘンデル:トリオ・ソナタ第5番 ト短調 op.2HWV390
サンマルティーニ:リコーダー協奏曲 ヘ長調
ピエトロ・カストルッチ(1679-1752):ヴィオラ・ダ・ガンバのためのソナタ ト短調
ジェイムズ・オズワルド(1710-1769):カレドニアン・ポケット・コンパニオン〔Hugar Mu Fean, Sleepy Maggy, The
Cameronian’s Rant, Up in the Morning Early〕、スコットランド民謡に基づくソナタ〔O Mother what shall I do (Largo),
Ettrick Banks (Adagio), She rose and let me in (Andante), Cromlit’s Lilt (Largo), Polwart on the Green (Andante)〕
ヘンデル:ヴォクソールの演奏会のためのホーンパイプ HWV356
ラ・レヴーズ

録音:2021年10月、パリ
ラ・レヴーズの新譜は、1740年代のロンドンの音楽をプログラムにした1枚。当時のロンドンといえばヘンデル。ヘンデルが自身のオーケストラに招いた奏者 はみな、ヨーロッパを代表するヴィルトゥオーゾたちでした。彼らはまた、作曲家としても活躍し、楽器の普及など、イギリスの音楽生活に力強い変化の風をもたら しました。当時のヘンデル周辺には多大な影響力があったことに感じ入る内容です。
ジュゼッペ・サンマルティーニは当時のヨーロッパ中で知られていた大名手で、ヘンデルのオペラOの首席オーボエ奏者でした。ここに収録された作品は 彼の作品の中でも今でも人気のある作品です。ヴァイオリン奏者のカストルッチはローマ時代からヘンデルと共に活動しており、1715年にヘンデルと共にロンド ンにうつり、コンサートマスターに就任しました。ワイデマン(英国で知られた名。本名はカール・フリードリヒ・ヴァイデマン)はヘンデルのオーケストラに1725 頃に参加しました。フルートの名手であっただけでなく、作曲でも名を成した存在で、ここに収録された作品もギャラント様式風で、彼に続く世代の作品を先取りし たようなスタイルとなっています。また、スコットランド人のジェイムズ・オズワルド(1710-1759)は、1761年ジョージ三世の室内楽作曲家に就任する一方、 スコットランド民謡に基づく作品集の楽譜がベストセラーとなり(フルートやヴァイオリンで演奏可)、ひいては自国の音楽をロンドンの客間で流行させたという成 果を残しています。
ラ・レヴーズは2004年にバンジャマン・ペローとフロランス・ボルトンによって結成された、ソロで活躍する音楽家たちによる古楽アンサンブル。17-18世紀 の音楽に注力しています。劇場や文学など、他分野の芸術と関連づけられた興味深いプログラムの数々は世界の注目を集め、高く評価されています。 (Ki)
H.M.F
HMM-905334(2CD)
SANCTISSIMA〜聖母マリアの被昇天の祝日のための晩祷と祝祷
■CD1Vespers
1Bells
2パレストリーナ (c.1525-1594):Assumpta est Maria
3作曲者不詳(聖歌):Deus in adjutorium
4作曲者不詳(聖歌):Assumpta est Maria in calum
5ダヴィド・ベドナル (b.1979):Assumpta est Maria*3’36
6作曲者不詳(聖歌):Dixit Dominus1’59
7作曲者不詳(聖歌):Assumpta est Maria 0’27
8作曲者不詳(聖歌):Maria Virgo assumpta est0’29
9オリヴィエ・ターネイ (b.1984):In Homeward Flight*4’48
10作曲者不詳(聖歌):Laudate pueri1’47
11作曲者不詳(聖歌):Maria Virgo assumpta est0’32
12作曲者不詳(聖歌):In odorem unguentorum quorum currimus0’24
13ジョン・ジュベール (1927-2019):Reflection on the plainchant antiphon ‘In odorem’* 3’54
14作曲者不詳(聖歌):Latatus sum2’04
15作曲者不詳(聖歌):In odorem unguentorum quorum currimus0’27
16作曲者不詳(聖歌):Benedicta filia tua Domino0’29
17ジル・スウェイン (b.1946):Benedicta filia*3’51
18作曲者不詳(聖歌):Nisi Dominus1’45
19作曲者不詳(聖歌):Benedicta filia tua Domino0’31
20作曲者不詳(聖歌):Pulchra es et decora filia Jerusalem0’29
21キム・ポーター(b.1965):Pulchra es et decora*3’47
22作曲者不詳(聖歌):Lauda Jerusalem Dominum 2’19
23作曲者不詳(聖歌):Pulchra es et decora, filia Jerusalem0’29
24作曲者不詳(聖歌):Ave Maris Stella2’56
25ジェイムズ・マクミラン (b.1959):Ave Maris Stella4’26
■CD2Vespers & Benediction
Vespers
1作曲者不詳(聖歌):Exaltata est0’38
2作曲者不詳(聖歌):Hodie Maria Virgo calos ascendit0’32
3ジュリアン・アンダーソン (b.1967):Magnificat* 9’16
4作曲者不詳(聖歌):Hodie Maria Virgo calos ascendit0’35
5作曲者不詳(聖歌):Benedicamus Domino 0’31
Benediction
6サンドストレム (1942-2019):O salutaris hostia*4’03
7フランシスコ・ゲレーロ (1528-1599):Ave Virgo sanctissima4’01
8マシュー・マルタン (b.1976):Sanctissima* 4’15
8サンドストレム (1942-2019):Tantum ergo* 2’58
10作曲者不詳(聖歌):Adoremus1’39
11作曲者不詳(聖歌):Ave Regina calorum 1’26
12フェリーチェ・アネーリオ (1560-1614):Ave Regina calorum5’19
ORAシンガーズ

録音:2017年1,8月
聖母マリアの被昇天を祝う晩祷と祝祷の礼拝を、ルネサンスの名曲と現代の名作、そして伝統的な聖歌によって作り上げたプログラム。礼拝に実際に参加してい るような厳かな気分になると同時に、幻想的で奥深い合唱曲の世界にいざなわれる魅惑の2枚組です。 ORAシンガーズは、英国の合唱アンサンブル。何世紀にもわたる英国の合唱の伝統を現代風にアレンジしており「音楽の彗星」とも評されています。現代合唱曲の 世界有数の委嘱者であり、100名の作曲家に100の新曲を委嘱することを目標に掲げています。2018年のオーパス・クラシック賞でアンサンブル・オブ・ザ・ イヤーに選ばれ、その「揺るぎないエレガントな」演奏と「素晴らしくエキサイティングな」録音の両方で批評家の称賛を浴びています。 (Ki)
H.M.F
HMX-8904057(8CD)
シャルパンティエ・ボックス


■CD1〜61:02
(1)聖チェチーリアの殉教 H.413
(3)マニフィカト H.73(3つの声、フルートと通奏低音のためのモテット)
■CD2〜46:45
(1)歌劇「アクテオン」 H.481
(2)「強制結婚」と「エスカルバーニャ伯爵夫人」(H.494)序曲
■CD3,4,5〜61:08+59:01+61:06
歌劇「メデ」 H.491
■CD6〜48:41
(1)聖ペテロの否認 H.424
(2)四旬節のための瞑想 H.380-389
■CD7-8〜60:16+62:19
歌劇「ダヴィデとヨナタン」 H.490
レザール・フロリサン(器楽・合唱)
ウィリアム・クリスティ((指)チェンバロ、オルガン)
(※[CD1](3)および[CD6](1)(2)以外)

■CD1〜61:02
ドミニク・ヴィス(C-T)、ミシェル・ラプレニ(T)、フィリプ・カントール(Bs)、ワルター・ファン・ホーヴェ(Fl)、クリストフ・コワン(Vc)ほか
録音:(1)(2)1979年11月 (3)1981年5月
■CD2〜46:45
ドミニク・ヴィス(C-T)、ミシェル・ラプレニ(T)、フィリップ・カントール(Br)
録音:1982年4月
■CD3,4,5〜61:08+59:01+61:06
メデ:ジル・フェルドマン(S)、ジャゾン:ジル・ラゴン(T)、クレオン:ジャック・ボナ(Bs)、ネリーヌ:ゾフィー・ブーラン(S)、クレウス:アニェス・メロン(S)、オロンテ:フィリップ・カントール(Br)他
録音:1984年4月ヴェルサイユ宮劇場
■CD6〜48:41
(1)オスティアリア:アニェス・メロン(S )、アン キッラ:モニク・ザネッティ(S ) 、ドミニク・ヴィス 、ジェラール・レーヌ (C-T ) ほか、エリザベス・マティファ(バス・ヴィオール)、イヴォン・ルペラン(Cem)、エリック・ベロ(テオルボ)
(2)ドミニク・ヴィス、ジェラール・レーヌ(C-T)、イァン・ハニーマン、ミシケル・ラプレニ(T)、フィリップ・カントール、フランソワ・フォシェ(Bs)、エリザベス・マティファ(バス・ヴィオール)、イヴォン・ルペラン(Cem)、エリック・ベロ(テオルボ)
録音:1985年4月
■CD7-8〜60:16+62:19
ダヴィデ:ジェラール・レーヌ(C-T)、ヨナタン:モニク・ザネッティ(S)、女予言者:ドミニク・ヴィス(C-T)、サウル:ジャン=フランソワ・ガルデイユ(Bs)、ヨアベル:ジャン=フランソワ・フシェクール(T)ほか
録音:1988年6月
レザール・フロリサンの40年にわたる録音活動からシャルパンティエ作品の選りすぐりがボックスで登場!1979年にクリスティによって設立されたアンサンブ ル「レザール・フロリサン」。シャルパンティエの音楽劇「花咲ける芸術」から名前をとっており、シャルパンティエはクリスティにとって特別な存在であることがわ かります。クリスティはこれまでにシャルパンティエの作品を25ほど録音しております。このたび、最初期の録音も含むかたちで再発売のはこびとなりました。最 初期のドミニク・ヴィスの他では得難い歌声、第二期ともいえる時期の中心メンバーであったジェラール・レーヌやモニク・ザネッティらと、体系的にグループの歴 史を感じることができます。また「メデ」に関してクリスティは2度録音を行っていますが1984年の最初の録音が復刻されており、当時のシャルパンティエ再興 への熱量が感じられる演奏には圧倒されます。 〜シャルパンティエはこれまでも、そしてこれからも、レザール・フロリサンの礎であり続けるのです〜と、リュリなどのフランス・バロックも知り尽したクリスティが 今なお特別な思いを寄せているシャルパンティエの名録音の数々、ご堪能ください! ブックレットには、クリスティのインタビュー、および各作品についての解説が掲載されています(日本語訳なし)。歌唱歌詞はハルモニアムンディのホームページに 掲載されています。 (Ki)

WAON RECORDS
WAONCD-530(1CD)
HQCD
アレッサンドロ・ピッチニーニ:リュートとキタローネのためのタブラチュア曲集
1 トッカータ第1番(1623)
2 真のスペイン風カポーナのチャッコーナ( 1639)
3 トッカータ第16番(1623)
4 トッカータ第23番(1623)
5 ベルガマスカ(1639)
6 ロマネスカ風フォリアにもとづく変奏曲( 1623)†
7 変奏曲形式のチャッコーナ(1623)†
8 若い娘(1623)†
9 アルマンドとして知られるフランスの俗謡にもとづく変奏曲( 1623)†
10 アルマンドにもとづくコレンテ第6番(1623)†
11 "半音階的"トッカータ第3番(1623)†
12 パッサカリア(1639)
13 トッカータ第1番(1639)
14 "半音階的"トッカータ第12番 (1623)
15 トッカータ第2番(1623)
16 変奏曲形式のサラバンダによるアリア( 1623)
17 情念豊かなアリア第1番(1623)
〔( )は出版年〕
佐藤亜紀子〔アーチリュート/テオルボ†〕

録音:2021年11月8-11日、千葉市美浜文化ホール 音楽ホール
[5.6448MHz DSD Recording &192kHz24bit Editing ]
Microphones:PureT Records current transmission microphones with Schoeps MK2H capsules,
designed and manufactured by Mouri Tadaharu 毛利忠晴 (PureT Records),2015(last modified2018), Tokyo
Stereo setting:A-B pair microphones
Preamplifier:PureT Records PT-CMP01, designed and manufactured
by Mouri Tadaharu 毛利忠晴 (PureT Records), 2015(last modified2016), Tokyo
AD converter:Mytek Digital Brooklyn ADC
Recorder:TASCAM DA-3000
Master clock:Grimm Audio CC2
DSD/PCM to PCM converter:Weiss Saracon-DSD
17世紀初頭を代表するリュート奏者・作曲家のアレッサンドロ・ピッチニーニによる、アーチリュートとキタローネのための独奏曲集。演奏するのは佐藤亜紀子。 故左近径介氏と水戸茂雄氏、さらにユングヘーネル、ホプキンソン・スミスらのもとでも学び、BCJなどにも参加しています。ピッチニーニはアルフォンソ2世といっ た君主、貴族らに仕え、その楽曲はボローニャで出版された2冊の出版譜を通じて知られています。2023年が出版記念400年となる『リュートとキタローネの ためのタブラチュア曲集第1巻』(1623)は、作品自体が素晴らしいのはもちろん、リュートの演奏その他に関する重要な序文(当時のイタリアにおけるリュート 奏法に関する詳細かつ具体的な指南であるだけでなく、ほかの器楽曲にもあてはまる助言や、ピッチニーニによる楽器の発明などに関する記述など)を含んでい るという点でも重要な楽譜です。リュートの重要な作品を体系的に録音した貴重な録音の登場といえましょう。佐藤は一音一音を慈しむように奏でており、驚くほ ど色彩豊かな音色を引き出しています。たっぷりとした息遣いの自然な音楽の流れ、舞曲での活き活きとしたリズムと表情も魅力です。楽器の音色を色彩豊かにと らえた録音も見事です。ピッチニーニの最初の曲集(1623年)出版400周年記念。 (Ki)

Audite
AU-97803(1CD)
ダーフィット・ポーレ:愛の歌
ダーフィット・ポーレ(1624-1695):「12の愛の歌」より第1曲〜第6曲(パウル・フレミングの詩による)
ヨハン・フィリップ・クリーガー(1649-1725):ソナタ第1番ニ短調 Op.1-1
ポーレ:「12の愛の歌」より第7曲〜第12曲
ベンヤミン・リコ、アレックス・ポッター(C.T)
エー・ゲー・バロック【e.g.baroque】
イリーナ・グラノフスカヤ、アンヌ・マリー・アレル(Vn)
レア・ラヘル・バダー(Vc)
ベルンハルト・ライヒェル(リュート&ギター)
シモン・ボルツキ(リコーダー)
ペーター・クーンシュ(パーカッション)
クレメンス・フリック(チェンバロ、オルガン、音楽監督)

録音:2021年9月28日〜10月1日/イエス・キリスト教会(ベルリン)
ベルリン古楽アカデミー、ラウテン・カンパニー、フライブルク・バロック・オーケストラで活躍する奏者たちによって2021年の結成されたピリオド楽器アンサ ンブル、e.g.batoque(エー・ゲー・バロック)のCDデビュー・アルバムです。二人の俊英カウンターテナーをゲストに迎え、17世紀ドイツの作曲家ダーフィット・ ポーレの声楽曲という世界初録音となる珍しいレパートリーを録音しています。
1625年マリエンベルク生まれの作曲家ダーフィット・ポーレは、おそらくドレスデンにおいて、ドイツ・バロック初期の巨匠ハインリヒ・シュッツに学んだとされ ています。師であるシュッツとは生涯に渡り良好な関係を保ち、シュッツはポーレの子供の代父(名付け親)にもなっているようです。ポーレは数多くの作品を残し たようですが、現在ではその多くは失われてしまっています。
パウル・フレミングの詩による「12の愛の歌」は、1650年にポーレが仕えていたカッセル宮廷での雇い主であった、ヘッセン=カッセル方伯ヴィルヘルム6世 へ捧げた最初の作品でした。当時人気のあった詩人パウル・フレミングの詩によるこのドイツ語の歌曲は、二人の歌手と2つのヴァイオリンと通奏低音のために書 かれていて、愛、喪失、痛み、幸福、決意、禁欲といった内容を歌っています。ドイツ・バロックの録音は、現在でも教会音楽中心で、宗教世俗音楽が取り上げられ ることは少ないので、大変貴重な録音になります。ポーレが、シュッツが取り込んだイタリア音楽の要素をどのようにドイツ語のテキストに適応させているのかと いった作曲技法の点でも注目です。
またアルバムにはポーレの作品をはさんで、同時代の作曲家ヨハン・フィリップ・クリーガーのトリオ・ソナタ1曲を収録しています。イタリアにも赴き、その最新 の作曲技法を学び、トリオ・ソナタや鍵盤音楽など、質の高い音楽を残したクリーガーの作品も聴きどころになるでしょう。
ドイツの若きカウンターテナー、ベンヤミン・リコ、とauditeでの録音も多い実力派カウンターテナー、アレクッス・ポッターの二重唱、そしてバーゼル・スコラ・ カントールムで学んだ鍵盤奏者クレメンス・フリックが、主にドイツの優れたピリオド楽器グループで活躍するメンバーを集めて2021年に結成したe.g.baroque (e.g.とは、現在では英語でも用いられるラテン語のexempli gratiaの略で、日本語では「例えば」に当たります)による演奏も楽しみな1枚となるでしょう。
CDの装丁には、フェルメールの「手紙を読む女」の2021年の修復後の画像が使用されています。修復後に発見されたキューピッドが描かれた「画中画」によ り、女性が読んでいる手紙の内容が恋文であるという可能性が濃厚になってきました。CDジャケットだけでなく、ブックレット全体にもこの絵画がうまくあしらわ れていて、ポーレの歌曲の内容を連想させるようなすてきな装丁になっています。

BONGIOVANNI
GB-2604(3CD)
モンテヴェルディ:歌劇『ウリッセの帰還』 ウリッセ:レオナルド・デ・リージ
ペネロペ:ソヨン・チョイ
ミネルヴァ:ミラ・ドツィオ
ネットゥーノ:ロレンツォ・トージ
ジョーヴェ、アンフィノモ:ミケーレ・フラカッソ
メラント、ジュノーネ:木本真唯子他
フェデリコ・バルダッツィ(指)
アンサンブル・サン・フェリーチェ

録音:2022年6月22日フィレンツェ
モンテヴェルディの傑作『ウリッセの帰還』全曲。比較的若い歌手を起用していて、若々しく力強い歌唱がたっぷり聴ける録音です。モンテヴェルディならではの ドラマ性がうずまくサウンド。
BONGIOVANNI
GB-2589(2CD)
パイジェッロ:世俗カンタータ『復讐された愛』 愛:サブリナ・サントロ
アポロ:ロベルタ・アンダロー
ダフネ:マリナ・エスポジト
アルチェオ:レオポルド・プンツィアーノ
栄光:ヴァレリア・ラ・グロッタほか
マリアーノ・パッティ(指)
ジョバンニ・パイジェッロ音楽祭室内O

録音:2015年9月11日ターラント
パイジェッロの知られざる作品『復讐された愛』の復活蘇演ライヴ。ソリスト、合唱、オーケストラのために書かれ、カンタータともオペラとも言えるような内容 です。 (Ki)

ATMA
ACD2-2831(1CD)
カルカッタ1789〜ヨーロッパとインドの交点
作者不詳:Sakia*(ヒンドゥスターン・アリア c.1789) 〜アンサンブルの為の
J.C.バッハ:五重奏曲 ヘ長調 Op.22-2(1785) 〜オーボエ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロとオブリガート・チェンバロの為の
 五重奏曲 ニ長調 Op.22-1(1785) 〜トラヴェルソ、オーボエ、ヴァイオリン、チェロとオブリガート・チェンバロの為の
ヘンデル::四重奏曲 ト長調『私はとこしえに歌います』(c.1717) 〜オーボエ、2つのヴァイオリンと通奏低音の為の
パーセル::愛が甘き情熱なら*(『妖精の女王』) / 美しき島*(『アーサー王』)
アーベル(1723-1787):四重奏曲 変ロ長調 Op.12-5(1774) 〜オーボエ、ヴァイオリン、ヴィオラと通奏低音の為の
バード(vers/c.1750-1805):オリエンタル・ミセラニー(1789)より第15曲 Rekhtah “Mera peara ab ia re” * 〜アンサンブルの為の
ヘンデル:Ahi perche, giusto ciel(『ロデリンダ』) / Will the sun forget to streak(『ソロモン』) / Falsa imagine(『オットーネ』) 〜ジャーマンフルートorオーボエ、声、チェンバロの為の
バード:オリエンタル・ミセラニー(1789)より第13曲 Terana “Dandera vakee” * 〜チェンバロとシタールの為の
パーセル:ロンドー(『インドの女王』)*

*=ノットゥルナによる編曲版
クリストファー・パラメータ(Ob、指 )
ノットゥルナ

録音:2021年11月15-18日/ケベック、ミラベル、サン・オーギュスタン教会
インドの伝統音楽とパーセル、ヘンデル、J.C.バッハなどを組み合わせ、イギリス植民地時代の18世紀インドの音楽生活を魅力的に描いたアルバム。カルカッタ の公文書館で発見された1789年のコンサート・プログラムが基になっています。古楽アンサンブルにシタールやタブラといった楽器を加えた演奏で、独特な官能 性をもつ大変おもしろいサウンドが生まれています。 (Ki)

Pentatone
PTC-5187032(1CD)
パーセル:歌劇『ダイドーとイニーアス』 Z.626 ダイドー:フルア・バロン(Ms)
イニーアス:マシュー・ブルック(Bs-Br)
ベリンダ:ジュリア・セメンツァート(S)
ソーサラー(魔女の親玉):エイヴリー・アムロー(A)
女2:ヒラリー・クローニン(S)
水夫:ニッキー・スペンス(T)
精霊:ティム・ミード(C.T)
魔女1:ヘレン・チャールトン(Ms)
魔女2:マーサ・マクローリン(Ms)
デイヴィッド・ベイツ((指)オルガン)
ラ・ヌオヴァ・ムジカ

録音:2022年11月16〜18日ハムステッド・ガーデン・サバーブ、セント・ジュード教会(ロンドン)
グルックの『オルフェオとエウリディーチェ』(PTC-5186805)やヘンデルの楽器オブリガート付きのアリアを集めた『歌劇・アリア集』(PTC-5186892) など注目の録音をPENTATONEレーベルで行うデイヴィッド・ベイツ率いるイギリスの気鋭の古楽グループ、ラ・ヌオヴァ・ムジカによるヘンリー・パーセル の『ダイドーとイニーアス(ディドーとエネアス)』が登場です。
バロック・歌劇を代表する作品の一つであるだけでなく、英語による最も有名な歌劇とも言えるパーセルの『ダイドーとイニーアス』。全編が歌われる完全な 歌劇としてはパーセルが残した唯一の作品で、古代ローマの詩人ウェルギリウスの叙事詩「アエネーイス」のひとつのエピソードである英雄アイネイアースとカルタ ゴの女王ディードーの悲恋を原作として、パーセルと同時代の人気劇作家ネイハム・テイトが台本を書いた作品です。
ダイドーを歌うのはイギリス人の父とシンガポール人の母のもと、北アイルランドに生まれた、フルア・バロン。欧米各国の劇場で引く手あまたの注目のメゾ・ソ プラノです。イニーアスを歌うマシュー・ブルックは現在世界で最も活躍するバス・バリトン歌手の一人であり、バロック音楽のソリストとしても定評があります。タ イトルロールの二人以上に美しい持ち歌が割り振られているダイドーの侍女ベリンダには、バロックから古典派作品を得意とするイタリア人ソプラノ、ジュリア・セメ ンツァートを起用。これまでにも名歌手が歌ってきた美しいアリアのあるベリンダを若き実力派がどのように歌うかにも注目です。典型的なヴィランながら物語の 黒幕である魔女たちの親玉であるソーサラーはエイヴリー・アムロー、出番は短いながらストーリーに強烈な印象を残す精霊にはこのグループと共演の多いカウン ターテナー、ティム・ミードなど、全歌手に実力派を配した豪華なキャストとなっています。またオーケストラは弦楽器4-4-2-4でコントラバスなし、通奏低音には、 テオルボ、ギター、ハープと撥弦楽器が多く配置され、チェンバロとオルガンも各2台用いられています。ここに打楽器奏者も二人、オーボエ&リコーダー奏者が加 わり、合唱団も14人と、ピリオド楽器によるこの作品の演奏としてはかなり大規模な編成となっています。オーケストラには、古楽ファンにはお馴染みのイギリス のベテラン、ヴィオラ奏者ジェーン・ロジャーズも参加しています。
この大きな編成で、音楽と物語のコントラストを重要視したという指揮者のベイツは、1時間ほどの短い歌劇をスピーディに、一気呵成に聴かせてくれることで しょう。劇音楽を得意とするグループだけに期待が高まる録音です。 (Ki)

CPO
CPO-555458(1CD)
NX-B10
ブクステフーデ:われらがイエスの四肢 Bux WV75
げに彼はわれらの病をにないたもう BuxWV31
歌劇・ムジカ(声楽&古楽器アンサンブル)
グレゴール・メイヤー(指&Org)

録音:2021年1月22-24日
ブクステフーデの受難カンタータを収めた1枚。連作カンタータ「われらがイエスの四肢」はブクステフーデ唯一のラテ ン語詞によるカンタータで、彼の代表作の一つとされるもの。磔刑に処されたイエスの身体の各所に思いを馳せつ つ、瞑想的で神秘的なサウンドが時に驚くほどの不協和音を伴って聴き手の心に強く訴えかけます。併録の「げに 彼はわれらの病をにないたもう」は、より劇的な起伏を持つ作品。歌劇・ムジカは2011年創設、ドイツ初期バ ロックの声楽作品に取り組んでいます。ここではSSATBの5名の歌手にヴァイオリン2、ヴィオラ・ダ・ガンバ2、ヴィオ ローネ、トゥルツィアン、リュートとオルガンが加わり、繊細緻密な演奏を披露しています。
CPO
CPO-555456(2CD)
NX-D11
1700年前後のコラール・カンタータ集
【CD1】
ブクステフーデ:Nimm von uns,Herr
ヨハン・トプフ(1700頃):Mit Fried und Freud
パッヘルベル:Was Gott tut, das ist wohlgetan
ヨハン・バレンティン・メーダー(1649-1719):Ach Herr, mich armen Sunder
クリーガー(1649-1726):Ein feste Burg ist unser Gott
エマヌエル・ケーゲル(1654-1724):Meinem Jesum lass ich nicht
ヨハン・ザムエル・ヴェルター(1560-1720):Wer nur den lieben Gott
【CD2】
ヴェルター:Jesu, meine Freude
ゲオルク・エスターライヒ(1664-1735):Herr Jesu Christ
クリスティアン・アウグスト・ヤコビ(1688-1725):Komm, heilger Geist
コンラート・ミヒャエル・シュナイダー(1673-1752):Du Friedefurst, Herr Jesu Christ
バッハ:Christ lag in Todes Banden
ラルパ・フェスタンテ(声楽&古楽器アンサンブル)
クリストフ・ヘッセ(指)

録音:2019年2月27-29日、2020年3月3-5日
17世紀後半のドイツで流行したコラール・カンタータ "Per Omnes Versus"の様式による作品を集めた セット。ドイツ・バロックに力を注ぐcpoらしい企画です。この様式によるカンタータではテキストはすべてルター 派コラールの言葉から採られているのが特徴。自由詩等を交えてよりドラマティックな展開を可能にしたカン タータとは一線を画しています。素材が限られるだけに各作曲家の腕が問われるところ。アルバムの最後はこ のジャンルの最後の大輪の花と呼ぶべきバッハのカンタータ第4番「キリストは死の絆につかせたまえり」で結ば れます。

Da Vinci Classics
C-00762(1CD)
サント=コロンブ:無伴奏ヴィオラ・ダ・ガンバ作品集(全35曲) シルビア・デ・ロッソ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)

録音:2022年4月
ヴィオラ・ダ・ガンバの歴史において謎めいた存在であり続けている17世紀の人物、ムッシュ・ド・サント=コロンブの作品集。サント=コロンブはヴィオラ・ダ・ガンバ独奏のために作曲した最も多作な作曲家であり、200曲以上の無伴奏曲を残しています。本作では1992年にフランス・トゥールニュの図書館の司書によって発見された1690年頃の手稿から、世界初録音を含む35の組曲楽章(プレリュード、アルマンド、サラバンド、ガヴォット、ジーグなど)を収録。この手稿は不規則な記譜法が特徴でボウイングやフレージングの指示がないため、演奏者によって様々な解釈が可能となっています。サント=コロンブが発明したという説もある7弦のヴィオラ・ダ・ガンバを使用した演奏です。

GENUIN
GEN-23830(1CD)
エロスと暴力
カルロ・ジェズアルド
(1566-1613):5声のマドリガーレ(第5巻と第6巻より)
クロード・ヴィヴィエ(1948-1983):7人の女声と打楽器のための聖歌
ミケランジェロ・ロッシ:(1601/2-1656):5声のマドリガーレ(第1巻と第2巻より)
ヴァルター・ナスバウム(指)、
ミヒャエル・ロートショプフ(朗読)、
スコラ・ハイデルベルク

録音:2007年8月、2021年9月
ルネサンスから現代まで幅広いレパートリーを誇るスコラ・ハイデルベルク。このアルバムでもその特徴を活かしたプログラムとなっています。指揮者であるヴァルター・ナスバウムによって設立されたスコラ・ハイデルベルクは、1600年前後のイタリアの音楽と現代音楽は非常に近いものであると考えています。このアルバムではヨーロッパを代表する合唱団であるスコラ・ハイデルベルクの多様なテクニックを活かしたハイレベルな歌唱によって、そのことを体現できるものとなっています。

Chopin University Press
UMFCCD-106(1CD)
シェドルツェのパイプオルガン
バッハ:協奏曲ヘ長調 BWV978(原曲:ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲ト長調 Op.3-3RV310)、コラール「親愛なるイエスよ、我らここに集いて」 BWV731
7世紀ワルシャワのオルガン曲集より:第1旋法によるカンツォーナ
スターリー・ソンチの聖クレア修道会の写本より:アリア50、Sub Elevatione
ブクステフーデ:前奏曲、フーガとチャコーナ ハ長調 BuxWV137
ヴワディスワフ・ジェレンスキ(1837-1921):前奏曲ト長調 Op.38-17
レオン・ボエルマン(1862-1897):神秘的な詩 Op.30-2
フランク
:前奏曲、フーガと変奏曲 Op.18
モーツァルト:ピアノ・ソナタ ヘ長調 KV332より「アダージョ」
パッヘルベル:シャコンヌ へ短調
フレスコバルディ:音楽の花束 Op.12より「主日のミサ」
ドメニコ・ツィポーリ:パストラーレ
パドリー・ダヴィデ・ダ・ベルガモ(1791-1863):Suonatina
ジャック・ボワヴァン(1649-1706):第1旋法による組曲
フランシスコ・コレア・デ・アラウホ(1584-1654):Tiento de medio registro de dos tiples de segundo tono
アントニオ・デ・カベソン:パバーナとそのグローサ
パッヘルベル:トッカータ ト短調
マウゴジャタ・トジャスカリク=ヴィルヴァ(Org)
マーク・コードル(Vc)、
マレク・トポロフスキ(ハープシコード)

録音:2017年(シェドルツェ、ポーランド)
オルガニストのマウゴジャタ・トジャスカリク=ヴィルヴァは、演奏活動の傍ら、オルガンの修復や保存にも大きく関わっており、2000年からポーランドの都市、シェドルツェで幅広く活動してきました。
シェドルツェには、11台ものオルガンが現存し、本アルバムでは、そのうちの7つのオルガンの音色を楽しむことができます。

DUX
DUX-1667(1CD)
400年前の音楽1662Vol.1
ジョヴァンニ・ステファーニ
(?-c.1626):Filli vezzosa、Tirinto mio tu mi feristi、Se per voi、Torna, torna ostinato core
ビアージョ・マリーニ(1594-1663):Novello Cupido、Hor che l’alba、Mirate nel Cielo notturno、O dolci brine
カルロ・ミラヌッツィ (c.1590-c.1647):Fuggi, fuggi dolente core、Ah fallace infido Amore、Ecco un legato d’Amore、Ut, re, mi, fa, sol, la
アンサンブル・デル・パッサート

録音:2022年11月
ソプラノ、ヒストリカル・ギター、キタローネの組み合わせが生み出す繊細な響きを愛する古楽アンサンブル「アンサンブル・デル・パッサート」のデビュー・アルバム。今日、後期バロック音楽の影に隠れてしまっている17世紀イタリアの3人の作曲家を取り上げ、およそ400年前のヨーロッパの音楽文化の姿を魅力的なサウンドとともに紹介します。これらの作品からは、当時流行していた愛の主題や、宮廷舞踊、民俗的なテキストに基づくイベリア起源の歌曲の影響を聴くことができます。

Aulicus Classics
ALC-0087(1CD)
ジョン・ジェンキンズ(1592-1678)&ウィリアム・ローズ:ファンタジア組曲集
ジェンキンズ:ファンタジア組曲 ト短調
ローズ:ファンタジア組曲 ハ短調
ジェンキンズ:ニューアーク包囲戦
ローズ:ファンタジア組曲 ハ短調
ジェンキンズ:ファンタジア組曲 イ短調
アンサンブル・コンチェルト【クラウディア・コンブス(Vn)、マッシモ・ペルチヴァルディ(Vn)
ロベルト・ジーニ(指,ディヴィジョン・ヴィオル)、 マルコ・アンジレッラ(ディヴィジョン・ヴィオル)、サラ・ディエーチ(Org)】

録音:2015年7月29-31日 イタリア パルマ
17世紀英国の作曲家、ジョン・ジェンキンズ(1592-1678)とウィリアム・ローズのファンタジア組曲を、イタリアのヴィオラ・ダ・ガンバ奏者、ロベルト・ジーニ率 いるアンサンブル・コンチェルトが演奏しています。 ジョン・ジェンキンズは主として地方の宮廷で活動したために高い名声を得ることはな かったが、17世紀の英国のリュート奏者、作曲家の中でも傑出した人物であった。一 世代下のウィリアム・ローズは対照的にロンドンの宮廷で華々しく活躍したが、清教徒 革命の際の内戦で戦死した。二人は友人だったという。 パーセルなども含め英国人作曲家のバロック音楽をイタリアの団体が演奏したCDは 多くはなく、特にジェンキンズのようにもともとCDがあまり多くないと極めて珍しい。モ ンテヴェルディなど17世紀のバロック音楽を主とするロベルト・ジーニの演奏は瑞々し さが際立って魅力的だ。

Paradizo
PA-0021(1CD)
我が騎士の歌 〜アントニオ・デ・カベソンと、スペイン・ルネサンスの器楽合奏曲
 第1部
1. カベソン: Pパバーナに装飾をつけて
2. A.カベソン:「騎士の歌」の調べによる変奏曲
3. ムダーラ(1510-1580):ロマンセ「牛を見張れ」
4. ニコラ・ゴンベール(1495-1560):あの騎士に伝えてください
5. 作者不詳:牛を見張れ
 第2部
6. カベソン(1541-1602):ピエール・サンドランの「甘き思い出」
 第3部
7. ルイス・デ・ナルバエス(1500頃-1555):ロマンセ「モーロ人の王がグラナダの街を歩いていると」
8. チプリアーノ・デ・ローレ(1515-1565):親愛なる殿方よ
9. ナルバエス:ジョスカン・デ・プレの「千々の悲しみ(皇帝の歌)」
 第4部
10. A.カベソン:イタリアのパバーナ
11. A.カベソン:ミラノのガリャルダによる変奏曲
12. A.カベソン:「ご婦人のお望みは」の調べによる変奏曲
13. 作者不詳:愛しきもの
 第5部
14. A.カベソン:トーマス・クレキヨンの「わたしは苦しき死を受け入れよう」
15. A.カベソン:別れを告げて去る者は
16. ディエゴ・オルティス(1510-1570):レセルカーダ第2番「甘き思い出」
17. A.カベソン:「牛を見張れ」による変奏曲
 第6部 
クリストバル・ド・モラレス
(1500-1553):ミサ「あの騎士に伝えてください」
18. キリエの祈り
19. いと高きところにホサナ/祝福あれ
20. Agnus Dei 神の仔羊
 第7部
21. A.カベソン:チプリアーノ・デ・ローレの「別れの時」
22. ジャック・アルカデルト(1505頃〜1568): 白く愛おしい白鳥は
カプリッチョ・ストラヴァガンテ(古楽器使用)【ジェイ・ベルンフェルド、アンヌ=マリー・ララ、クリスティーヌ・プリュボー、フランソワーズ・エノック(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、パトリシア・ラヴァーユ(リコーダー)、マイク・フェントロス(ビウエラ、キタローネ、ギター)、マッシモ・モスカルド、バンジャマン・ペロー(G)、フランソワーズ・ジョアネル(Hp)】
スキップ・センペ(チェンバロ、ヴァージナル、指揮)

録音:1998年(Astree)
アメリカ屈指のジャズの本場にして、同国の歴史の上でもフランス文化と深いつながりを持つニューオリンズ出身のチェンバロ奏者スキップ・セン ペ。フランスの精鋭古楽器奏者たちを集めて1986年に彼が結成したカプリッチョ・ストラヴァガンテはDeutsche Harmonia MundiやAstr ee/Naive、発足初期のALPHAなどシーン最前線の古楽レーベルに数々の名盤を刻んだのち、2005年からはセンペの自主レーベル Paradizoで快進撃を続けています。別レーベルで制作された充実盤も折に触れてParadizoから再発売されていますが、今回は1998年 に録音されAstree/Naiveレーベルから発売されたものの、長くプレスが切れていた幻のスペイン・ルネサンス作品集が新装復活。ALPHA レーベル初期の立役者である古楽器録音の天才技師ユーグ・デショーによるリマスターを経て、数百年前の音楽を奏でる名手たちの素材 感溢れる古楽器の響きが一層生々しく甦ります。ル・ポエム・アルモニークやクレマン・ジャヌカン・アンサンブル、ラルペッジャータなどでも大活 躍をみせる俊才たちばかりの編成で、たおやかに音を重ねるガンバ合奏はスペイン・ルネサンスの精妙な音作りの中、躍動感を秘めた血脈を 触感確かに伝える比類ない解釈を続けてゆきます。スペイン王室の絶大な信頼を得ていた盲目の鍵盤奏者カベソンの傑作変奏曲群を中 心に、ナルバエスやオルティス、ムダーラらスペイン音楽史上の大家たちの重要作品群に、彼らに影響を与えたデ・ローレやゴンベールらフラン ドル楽派の傑作群を添えた選曲の確かさも出色。入手難が惜しまれたこの名盤の新装版は、亡き元メンバーのチェロ奏者ミシェル・ミュルジ エの思い出に捧げられています。

ARCANA
A-549(1CD)
華やげるヴィオラ・ダ・ガンバ芸術の晩期
アーベル(1723-1787):アレグロ ニ長調 A18
C.P.E.バッハ:ヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音の為のソナタ ハ長調 Wq136/H558
C.P.E.バッハ:ロンド II ハ短調 Wq.59-4/H 283
アーベル:ヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音の為のソナタ イ短調 B93
テレマン:ファンタジア XI ニ短調 TWV40:36
バッハ:ヴァイスのリュート・ソナタ WeissSW47によるトリオ・ソナタ イ長調 BWV 1025より
アーベル:アンダンテ ニ長調 A10
アンドレ・リスレヴァンド(ヴィオラ・ダ・ガンバ)[1-4,6-16]
 使用楽器:パリのギヨーム・バルベ1687年製作モデルに基づく、パリのジュディト・クラフト2017年
製作の再現楽器
ジャドラン・ダンカム(バロックリュート[6-8,12-15]、テオルボ[3])
 使用楽器:
 〔バロックリュート〕レーゲンスブルクのG.D.ブッフシュテッター1747年モデル(ウンヴェルドルベン作の
リュートを改作)に基づく、ホルムファース(イギリス)のトニー・ジョンソン2012年製作の再現楽器
  〔テオルボ〕ニュルンベルクのゼバスティアン・シェッレ1728年製作モデルに基づくベルゲン(ノル
ウェー)のラース・テレセン2021年製作の再現楽器
エミール・ダンカム(フォルテピアノ)[2-4,6-8]
 使用楽器:ウィーンのアントン・ヴァルター1792年製作モデルに基づくディヴィショフ(チェコ)のポー
ル・マクナルティ2022年製作の再現楽器

録音:2022年3月23-30日、8月4-8日ムーシカ・スタジオ、リスレヴァンド エヴイェ、ノルウェー
ヴェテラン古楽撥弦奏者ロルフ・リスレヴァンドの子で、2022年ARCANAから『解き放たれたフォルクレ』(A486)でソロ録音デビューを果たし た新世代のヴィオラ・ダ・ガンバ奏者アンドレ・リスレヴァンド。フランス音楽に特化していた前作から一転、今度はドイツと英国で18世紀に活 躍した作曲家たちに焦点を当て、ガンバと同じく当時すでに全盛期を過ぎ廃れかかっていたリュート(およびテオルボ)と、新たに普及していった フォルテピアノを交えた編成で「ヴィオラ・ダ・ガンバ史の秋」の比類ない魅力に迫ります。テレマンのファンタジアやアーベルの小品など無伴奏作 品で聴かせる、パッションを秘めた人間味豊かな音楽性もさることながら、フォルテピアノの玄妙な響きがガンバのたおやかな美音やリュートの 撥弦音と重なり合う、C.P.E.バッハやアーベルの前古典派流ソナタの味わいは何ともユニーク。鍵盤ぬきにガンバとリュートだけで奏でられる ヴァイス原作のバッハ編曲作品も魅力的な響き。自身バロック・ヴァイオリン奏者としての活動歴を持ち古楽器の機微をよく知る名技師ライ ナー・アルントの的確なエンジニアリングを得て、古楽器ならではの音色美や音作りをじっくり味わえる仕上がりになっています。

Channel Classics
CCS-45823(1CD)
ブーレのステップで 〜宮廷舞踏と18世紀ヨーロッパ諸国の様式〜
カンプラ:舞踏歌劇「優雅なヨーロッパ」組曲
ヨハン・ヘルミヒ・ルーマン:『ゴロヴィン伯爵邸祝宴音楽』BeRI 1による組曲
バッハ:チェンバロ協奏曲 第4番 イ長調 BWV1055
テレマン:序曲 ト長調 「昔日と現代の諸国民」TWV 55:G4による組曲
ヴィヴァルディ:4つのヴァイオリンの為の協奏曲 ホ短調 RV550(『調和の霊感』作品3-4)
パーセル:歌劇「妖精の女王」Z 629による組曲
カメラータ・エアソン(古楽器使用)
 ヴァイオリン4、ヴィオラ2、チェロ、コントラバス、テオルボ&ギター、チェンバロ

録音:2021年6月7-11日ガーニソンス教会、コペンハーゲン
コペンハーゲンを拠点に2010年から活動を続けてきた古楽器アンサンブルのカメラータ・エアソンが、フランス様式とイタリア様式という二大潮 流だけでは語りつくせないバロック後期のヨーロッパ音楽世界を概観。東はオスマン帝国領のあったバルカン半島から西はスペインまで、南はイ タリア半島から北はデンマークやスウェーデンまで…と欧州各地にルーツを持つ、あるいはそれらの土地にインスパイアされた楽曲を丁寧に 集め、組曲形式と協奏曲形式の間を行き来しながら至高のガット弦サウンドを堪能させてくれます。時に舞曲のリズムをはっきり際立たせた 彫琢の深い音楽作りも聴かせながら、しなやかなカンタービレの味わいは古楽器ならではの音運びの魅力が存分に生かされ、何筋ものメロ ディラインが音を重ねてゆく心地良さがCHANNEL CLASSICSならではの克明なエンジニアリングで伝えられる快感は格別。アンサンブルの メンバーはデンマークに限らずスウェーデン、ノルウェー、アイスランドなど北欧諸国や英国で研鑽・活動歴を重ねてきた実力派たちで、北欧の グループだけにスウェーデン宮廷の俊才ルーマンやテレマンの北欧向け音楽まで視野に入れているのも頼もしいところ。夏には清涼感、冬に は季節との親和性を楽しめそうな極上バロック・アルバムと言ってよいでしょう。

RAMEE
RAM-2204(1CD)
鏡 Kagami 〜ヴィオール小曲集〜
●プロローグ
ヒューム(1569頃-1645頃):良きこと、再び
●第1幕
マラン・マレ:アルペジオによるプレリュード ヘ長調
マレ:気まぐれ
バッハ:アダージョとアレグロ(ソナタ ニ長調 BWV1028より)
●第2幕
シャルル・ドレ(1710頃-1755):組曲 第1番ト長調
●第3幕
バッハ:アンダンテ(ソナタ ニ長調 BWV1028より)
パーセル(坂本龍右 編):わたしが地に横たえられる時(ダイドーの嘆き/歌劇「ダイドーとイニーアス」より)
フランソワ・クープラン:葬式
バッハ:アンダンテ(イタリア協奏曲 BWV971より)
●エピローグ
マレ:ファンタジア
上村かおり(ヴィオール〔ヴィオラ・ダ・ガンバ〕)
アリーン・ジルベライシュ(Cemb)
リカルド・ロドリゲス・ミランダ(ヴィオール/通奏低音)

録音:2022年6月29日-7月2日聖母被昇天教会、 バス・ボドゥー(ベルギー南東部リエージュ州)

日本語解説…上村かおり
日本語の固有語である「かがみ」は、「神(かみ)」が「我(が)」を囲んでいると読み解くこともできます。鏡を見ると、そこに映るのは神性に囲まれた我である、と。 わたしは、音楽が内にある感情を鏡で見るように浮き上がらせ、その伴奏をしてくれることを思い、この物語のタイトルを「かがみ」とした。このCDはまた、バロック 時代の作曲家たちが、音楽を、神による天地創造を映し出す鏡であるだけではなく、人間の感情を「フィグーラ」(音形の上行や下行、また跳躍、調性、フラッ ト、シャープなど)によって表現し、「アフェクト」(特定の感情を喚起する作用)を生み出し得るものと考えていたことへのオマージュでもある。  ――上村かおり(解説より) ベルギーのブリュッセルを拠点に、リチェルカール・コンソートやレザール・フロリサン、ル・ポエム・アルモニークといった幅広い世代の第一線古楽アンサンブルで中心 的なメンバーとして活躍を続けるヴィオール奏者の上村かおり。長く充実したキャリアを経て2021年に満を持してリリースされた初のソロ・アルバム『優 Yuu』(『レコード芸術』誌特選)は、ヴィオールという楽器ひとつで驚くほど豊かな世界が紡ぎ出される無伴奏作品集でしたが、今回新たに届けられたアルバムは世 界中に共演者を持つフランスのチェンバロ奏者アリーン・ジルベライシュと、やはりベルギーやフランスで多忙な活躍を続けるリカルド・ロドリゲス・ミランダという頼も しい演奏仲間との室内楽。17〜18世紀の英仏独さまざまな地域のヴィオール作品を自在かつ入念に配したプログラムは3幕仕立ての演劇風に編まれ、冒 頭の無伴奏曲から静かに動き出すその音楽物語は起伏に富んで変幻自在、まさに数百年前のヨーロッパで、客席と親密な距離感の舞台に心を吸い寄せ られるような静かな求心力に満ちています。18世紀半ばに活躍したドレの珍しい曲集やマレ、クープランなどフランス宮廷流音楽の見事な演奏もさることなが ら、美しい陰翳を感じさせる鍵盤の低音に続いて主旋律がヴィオールで描き出される「イタリア協奏曲」の緩徐楽章や、パーセルの傑作歌劇「ダイドーとイニー アス」の名場面から紡ぎ出された坂本龍右の編曲による思わぬ独奏など、知っていたはずの曲が思わぬ装いで登場するトラックも実に魅力的。演奏者の上 村自身が書き下ろした日本語解題とともに、擦弦と撥弦の交錯に深く引き込まれるアルバムです。

ALPHA
ALPHA-1007(1CD)
魂は音 〜アンリ・グルヌラン:ギターによるフランス風組曲集(1680)
アンリ・グルヌラン(1625/35頃-1700頃):ギター曲集、およびその他の通奏低音を弾く手引きを添えた合奏向け作品の数々』
 (1680年出版)…15と22を除く
組曲 イ短調
組曲 ニ長調
アントワーヌ・ボエセ(1587-1643):わたしは死ぬことなく息絶える
組曲 ト短調
ジャン・ド・カンブフォール(1605-1661)?:月のレシ(「夜の王室舞踏劇」第3部より)
組曲 ニ短調
パサカーユ(パッサカリア)
ブリュノ・エルストロフェール(バロックギター)
 使用楽器:パリのアレクサンドル・ヴォボアン1676年製作モデルに基づくアルベ(フランス)のフィリップ・モテ=リオ2023年製作楽器
 A=400Hz
シャンタル・サントン=ジェフリ(S)

録音:2023年4月
 ボシェ城(フランス西部オート・ブルターニュ地方)
フランス・バロックの独奏曲といえば何といってもクラヴサン(Cemb)やヴィオール(ヴィオラ・ダ・ガンバ)の音楽が有名ですが、同国の音楽美 学を確立させた一大文化人である国王ルイ14世はそれらの名手を宮廷に多く抱えながら、自身はスペイン風ギターを好んで奏でていまし た。世紀初頭にスペイン人ブリセーニョによってパリに紹介され、当時クラヴサン音楽家たちもその作品を手本と仰いだリュートより弾きやすく、 和音を中心に鳴らす奏法の手軽さもあって、世紀末頃にはテオルボの名手でもあったド・ヴィゼーが、ギター向けの音楽で王から信頼を得て いたことも知られています。しかしルイ14世の治世全盛期のギター音楽は意外に知られておらず、王室音楽総監督リュリと同世代のアンリ・ グルヌランという作曲家の作品が、4編の組曲他こうしてまとめて紹介されることとなったのは画期的というほかありません。グルヌランについて はこれまでその作品が顧みられず、生涯もほとんど知られていません。しかし1680年に発表された彼の曲集には、ルイ・クープランのクラヴサン 曲を連想させる「小節線のない」プレリュードや分散和音を生かした書法がギターに合うよう応用されており、同時代のリュート音楽とはまた 違った機動性豊かな舞曲の魅力を味わうことができます。世紀前半と後半の様式をそれぞれ代表するボエセとカンペールの声楽作品では、 バロックから近代歌曲までフランス作品に抜群の適性をみせるサントン=ジェフェリも参加。テオルボの名手として現代と17世紀の作品を行 き来するブリュノ・エルストロフェールの自在な撥弦、細やかな音使いを的確に収めたALPHAならではの自然派録音で、その魅力をじっくりお 楽しみください。
ALPHA
ALPHA-988(1CD)
サン=ジャンの私の恋人 〜バロックから近代シャンソンまで
 <青春時代>
1. テッド・グルヤ(1910-2000) &ジョルジュ・マルティーヌ:わたしの青春時代はなくなった
2. マラン・マレ:人間の声
3. 作者不詳:うちの庭の暗がりで
4. 作者不詳:ルイ王の娘
 <古い歌をいくつか>
5.フィーアダンク(1605-1646):カンツォーナ ハ長調
6. モンテヴェルディ(1567〜1643):わたしを死なせてください
   (歌劇「アリアンナ」より)
7. カヴァッリ(1602-1676):ああ、わたしは生きている(歌劇「エジスト」より)
 <いつかの恋景色>
8. ポール・マリニエ(1866-1953):彼女からのお返事
9. ポール・デルメ(1862-1904):小さい敷石
10. シャルル=アンドレ・カシャン(1896-1955):恋人たちは何処へ
11. レイモン・ルグラン(1908-1974):あるお嬢さんの夜
12. レオン・フォセー(1829-1877):チロルの鴨の群れ
13. アンリ・コル(生歿年不詳、20世紀に活躍)、ラルフ・カルセル(生年不詳-1968):圧巻のタンゴ
14. エミール・カララ(1915-1973):サン・ジャンの私の恋人

※編曲:ヴァンサン・デュメストル、ルカス・ぺレス、ヴァンサン・ブショ
ル・ポエム・アルモニーク(声楽&古楽器アンサンブル)
 ステファニー・ドゥストラック(Ms)
 ヴァンサン・デュメストル(テオルボ、指揮)
 フィオナ=エミリー・プパール、サンドリーヌ・デュペ(Vn)
 ルカス・ぺレス、アリス・トロスリエ(バス・ド・ヴィオール〔ヴィオラ・ダ・ガンバ〕)
 シリル・プーレ(Vc)
 ヴァンサン・レルメ(アコーディオン)
 二コラ・ローゼンフェルド(バスーン、各種リコーダー)
 マリー・ヴァン・レイン(クラヴサン〔チェンバロ〕、オルガン)

録音:2022年10月
 タンデム、アラス(フランス北東部パ=ド=カレー地方)
16〜17世紀のエール・ド・クールやフランス各地に口承で伝わってきた民衆歌など、ルイ14世の時代よりもさらに古いフランス音楽を高雅で 自然に現代に蘇らせ、世界中から熱いまなざしを集めてきた21世紀のユニークな古楽グループ、ル・ポエム・アルモニーク。イタリア・バロックで も実績を示しつつ、中心メンバーの母語であるフランス語を歌詞とする音楽への適性はやはり抜群で、詩句の味わいを最大限に引き出す新 鮮で薫り高い演奏解釈はどの時代の作品でも出色の仕上がりを誇ります。その親和性が「古楽」の枠に縛られないことを立証するユニーク な選曲のアルバムが登場。彼らと同じくフランス民衆世界の古謡を得意とするレ・リュネジアンの『うんざりだ、冬ってやつは』(ALPHA887)で も絶妙な妙声を聴かせたステファニー・ドゥストラックの味わい深い歌い口は、さりげなく織り交ぜられたバロック宮廷音楽と近代シャンソンを 易々と行き来し、無理なく即興的な音を紡いでゆくアコーディオンと共に、時にはシャンソンを古楽のように、また古楽をシャンソンのように聴か せる巧妙さ。古楽器アンサンブルをバックバンドとして、サティやトゥルーズ=ロートレック、モディリアーニらが生きた1900年前後から20世紀中 盤までの、古き良きフランスの芳香に満ちたシャンソンの名曲群をしなやかに歌いこなすそのセンスは、もはやクロスオーヴァ―やジャンル越境 などといった表現が陳腐に思えるほど、圧倒的に自然な「フランスの息吹」に貫かれています。聴くほどに惹きつけられるその魅力に、主宰者 デュメストルが学究性に閉じこもらないセンス抜群の古楽プレイヤーであることを改めて強く認識する1枚です。

TOCCATA
TOCCATA NEXT
TOCN-0024(1CD)
NX-B03
コロンビア万歳! 第2集
マウリシオ・アリアス=エスゲーラ(1984-):Improvisacion-1, ‘Recuerdos’ (2022)
ホアン・ドミンゴ・コルドバ(1971-):Pasillo de concierto ヘ長調(2006)
カタリナ・ペラルタ(1963-):Solo de piano I(1990/2014改訂)
ペラルタ:Solo de piano II(1990/2014改訂)
アリアス=エスゲーラ:Improvisacion-2, ‘Criatura en movimiento’ (2022)
ペドロ・サルミエント(1977-):Sarta para piano(2019)
コルドバ:Pasillo fiestero, El Intachable(2001頃)
カロリナ・ノゲラ(1978-):Danzas Fugitivas(2020)
アンパロ・アンヘル(1944-):前奏曲第6番 ‘Franz Liszt, homenaje a Chopin’- ピアノのために(2021)
ペドロ・フェリペ・ラミレス(1979-):Los siete juegos de Agustin(2022)
アリアス=エスゲーラ:Improvisacion-3, ‘Petit hommage a Cowell’(2022)
パーチョ・カサス(1978-)3つのリフレクションズ(2015)
ホアン・アントニオ・クエリャ(1966-):3つのアンコール ハ調(2022)
マウリシオ・アリアス=エスゲーラ(P)

録音:2022年6月12-15日
コロンビアを拠点に活躍する若きピアニスト・作曲家マウリシオ・アリアス=エスゲーラによる現代コロンビアのピアノ作品集。第1集(TOCN0015)に続く今作 でも、自作も含めた9人の作曲家の作品を紹介しています。 アンパロ・アンヘルによるショパンとリストへのオマージュ「前奏曲」や、耳なじみのよい舞曲、前衛的な曲まで幅広いスタイルの作品を楽しめます。エスゲーラ自 身の作品はオーケストラの響きを思わせる曲からコロンビアの伝統的な舞曲をアレンジしたものなど、即興演奏のように聞こえますが、実は緻密に書かれてい ます。アルバムを締めくくるのは、コロンビア国立SOのCEOなどコロンビア音楽界で要職を務めるホアン・アントニオ・クエリャの「3つのアンコール」。これ は30年以上前のコンサートバンド用の組曲をエスゲーラの委嘱により編曲したもので、コロンビア音楽の歴史を振り返る"アンコール"にもなっています。

Chateau de Versailles Spectacles
CVS-095(2CD)
NX-D09
グルック:歌劇「エコーとナルシス」 エコー…アドリアナ・ゴンザレス(S)
ナルシス…シリル・デュボワ(T)
恋の神アムール…ミリアム・ルブラン(S)
シニル…サヒ・ラティア(T)
エグレ…セシル・アシル(S)
アグラエ…アデル・カルリエ(S)
タナイス…ローラ・ジャレル(S)
シルフィ…リュシー・エデル(Ms)
ル・コンセール・スピリチュエル
エルヴェ・ニケ(指)

録音:2022年10月20-23日 ヴェルサイユ宮殿王室歌劇場
バロック期以来のイタリア・歌劇作法への違和感から、作品全編がオーケストラと共に一貫性ある物語を紡ぎ出す独特な歌劇を確立、後 年のワーグナー楽劇の先駆ともいうべき「改革歌劇」の語法を大成させたグルック。ウィーンの神聖ローマ皇室で絶対的信頼を得た後、マ リー=アントワネットの導きで訪れたパリでも注目され、フランス・歌劇の世界でも新しい模範となりました。しかし最後の完成作「エコーとナル シス」はパリでもウィーンでも驚くほど上演回数が伸びず、失敗作との印象からか後世にも顧みられる機会が少なく録音物さえ滅多にありませ ん。18世紀のフランス語歌劇復権に精力的なエルヴェ・ニケは今回、ルネ・ヤーコプス指揮の1987年録音以来40年近く全曲録音がな かったこの幻の重要作と正面から向き合ってみて、上に引用した通り作品本来の充実度に驚きを禁じ得なかったとのこと。神々の呪いにより ナルシスは水面に映った自分の姿に恋焦がれ、エコーは他者の言葉をオウム返しに語る以外に話せなくされたがゆえにナルシスへの思いを伝 えられない…物語を味わい深く描き取ったグルックの音楽はクラリネットを含む管楽器群を生かした色彩感にあふれ、ニケのタクトで起伏豊 かな解釈を聴かせるル・コンセール・スピリチュエルの演奏はまさしく抒情的の一言。最前線歌手二人がつとめる表題役の頼もしさに加え、ニ ンフらを演じる女声歌手たちも精彩に富んだ音楽の機微をよく伝えてくれます。グルックの晩年を見直す好機となりそうな待望のリリースと言 えるでしょう。
Chateau de Versailles Spectacles
CVS-101(2CD)

NYCX-10411(2CD)
日本語解説付国内盤
税込定価
18世紀フランス王室の祝典 〜1773年、アルトワ伯の結婚に寄せて〜
【DISC1】
1-8. 第1の組曲
 1. フランクール(1698-1787)&フランソワ・ルベル(1701-1775):
   序曲(「トロフィ」より)〜エール(リュリの「アルミード」に加筆した楽曲)
 2. フランクール&ルベル:荘重なエール〜快活に (「平和の舞踏劇」第2部「イフィスとヤント」に加筆した楽曲)
 3. ピエール=モンタン・ベルトン(1727-1780): 快速なエール
   (カンプラの「ヴォルスクの王妃カミーユ」に加筆した楽曲)
 4. ブラサック伯ルネ・ド・ガラール・ド・ベアルン(1698-1771): エール
   (「恋の神の帝国」第3部「炎の精たち」より)
 5. アントワーヌ・ドーヴェルニュ(1713-1797): 陽気なエール(「エネーとラヴィニ」より)
 6. ジョゼフ=ニコラ=パンクラス・ロワイエ(1703-1755): 優美で穏やかなエール(「ザイード」より)
 7. ロワイエ:ロンド形式による狩猟の調べ(「ザイード」より)
 8. フランクール&ルベル:シャコンヌ(「平和の舞踏劇」第2部「イフィスとヤント」より)
9-20. 第2の組曲
 9. フランクール&ルベル:序曲(「スカンデルベルク」より)
 10. ラモー: 壮麗なエール
   (「結婚の神と恋の神の祭典」第2部「カノープ」より)
 11. フランクール&ルベル:優美なエール(「ピラムとティスベ」に加筆した楽曲)
 12. フランクール:快速なエール(『フランクール氏の様々な合奏用エール集』より)
 13. フランクール:ガヴォットI&II(リュリの「アルミード」に加筆した楽曲)
 14. ドーヴェルニュ:きわめて快速なエール(「エネーとラヴィニ」より)
 15. フランクール&ルベル:仮面のエール
   (「幸福の舞踏劇」からの転用により「スカンデルベルク」に挿入した楽曲)
 16. ベルナール・ド・ビュリ(1720-1785): 快速なシャコンヌによるエール
   (リュリの「アルミード」に加筆した楽曲)
 17. ジャン=ジョゼフ・カサネア・ド・モンドンヴィル: ガヴォットI&II(「イスベ」より)
 18. フランクール:快速なエール(『フランクール氏の様々な合奏用エール集』より)
 19. ラモー:ガヴォットI&II(「ダルダニュス」第2版より)
 20. フランクール:コントルダンス(『フランクール氏の様々な合奏用エール集』より)
【DISC2】
1-9. 第3の組曲
 1. ラモー:行進曲(「結婚の神と恋の神の祭典」より)
 2. ド・ビュリ:遅いエール〔「イマとゼリス」より〕
 3. ド・ビュリ:軽やかなロンド〔「イマとゼリス」より〕
 4. ラモー:優美なロンド(「恋の驚き」第2部より)
 5. ラモー:快速なエール(「イポリートとアリシ」に追加した楽曲)
 6. ジョゼフ・イアサント・フェラン(1709-1791): 優美なロンド(「ゼリ」より)
 7. ジャン=クロード・トリアル(1732-1771): 快速なコントルダンス(「花の女神の祭典」より)
 8. フランクール&ルベル:シャコンヌ(「ノワジの公子殿」より)
 9. ベルトン:シャコンヌ(デマレとカンプラ「[トーリドの]イフィジェニー」に加筆した楽曲)
10-23. 第4の組曲「トランペット、ティンパニとホルン群を交えて」
 10. ラモー:序曲(「ザイス」より)
 11. ラモー:優美なムニュエ〔メヌエット〕(「栄光の神殿」より)
 12. ラモー:ロンド(「ダルダニュス」第2版より)
 13. フランクール&ルベル:穏やかなエール (ファヴァールの「サランシの薔薇冠の乙女」に加筆した楽曲)
 14. フランクール:ロンド形式によるエール(リュリの「アルミード」に加筆した楽曲)
 15. ルイ・グラニエ(1725-1800):優美なエール
 16. ドーヴェルニュ:狩人たちのアントレ(「エネーとラヴィニ」より)
 17. フランクール&ルベル:ロンドI&II(「ピラムとティスベ」に加筆した音楽)
 18. フランクール:陽気なロンド(「ノワジの公子殿」より)
 19. モンドンヴィル:ミュゼット(「ティトンとオロール〔曙の女神〕」より)
 20. モンドンヴィル:ミュゼット(「パルナスス山の謝肉祭」より)
 21. ルベル:ムニュエI〜フランクール:ムニュエII (いずれもカンプラの「優雅なヨーロッパ」に加筆した楽曲)
 22. ロワイエ:シャコンヌ(「ピリュス」より)
 23. ラモー:タンブランI&II(「ダルダニュス」第2版より)
レザンバサドゥール=ラ・グランド・エキュリ(古楽器使用)
アレクシス ・コセンコ(指)
ヴェルサイユ宮殿王室歌劇場

※国内仕様盤解説日本語訳…白沢達生
フランス随一のフラウト・トラヴェルソ奏者として注目を集め、録音ではポーランドの気鋭古楽器楽団アルテ・デイ・スオナトーリや自身が創設 したレザンバサドゥ―ルの指揮者としてALPHAやChateau de Versailles Spectacles、Aparteなどの気鋭レーベルで活躍をみせてきた アレクシス・コセンコ。レザンバサドゥールは近年、古楽器による管楽合奏団ラ・グランド・エキュリ(創設者は近年亡くなった古楽器シーンの大 先達ジャン=クロード・マルゴワール)を吸収してさらに勢いを増し、メンデルスゾーンの交響曲録音(Aparte)でも注目されているなか登場す るこのアルバムでは、18世紀後半のユニークな王室音楽祭典の再現に挑みます。テーマは1773年のアルトワ伯(翌年ルイ16世となる王太 子ルイ=オーギュストの弟、革命と王政復古の後1825年にシャルル10世として戴冠)の結婚祝宴。そこでは王室音楽総監督を務めた大 御所フランクールが音楽をとりしきり、彼の長年の共作者F.ルベル(「四大元素」の作曲家J-F.ルベルの子)やドーヴェルニュ、モンドンヴィルと いった同時代作曲家たちの往年の傑作群から曲が厳選され、古典派時代にありながらルイ14世時代以来の流儀にならったバロック風の食 卓音楽が続きました。最新監修の楽譜に基づくこの録音は、過去いくつか出ていた同祭典音楽の再現録音より曲数がはるかに多いうえ、 1773年当時の王室楽団とほぼ同じ70人規模の大編成(弦楽器12/11/9/12/4、フルート2、オーボエ5、クラリネット2、ファゴット6、ホ ルン4、トランペット1、ティンパニ1)で、まさにその頃オープンしたヴェルサイユ宮殿王室歌劇場の音響の中、革命前夜のフランス王室音楽の 壮麗さを追求。シーン最前線をゆく名手たちの妙技もさることながら、これほどの編成で一体感あるスリリングな演奏を実現したコセンコの巧 みな指揮にも驚かされます。なお国内仕様盤では原盤解説の翻訳に加え、登場する各作曲家の紹介も添えられます。

Challenge Classics
CC-72955(1CD)
ユニコ・ヴィルヘルム・ファン・ヴァッセナール(1692-1766):6つのコンチェルト・アルモニコ
第1番ト長調/第2番ト長調
第3番イ長調/第4番ヘ短調
第5番変ホ長調/第6番変ロ長調
マイク・フェントロス(指)
ラ・スフェラ・アルモニオーサ

ライヴ録音:2022年10月30日/オランダ、アルクマール
古楽アンサンブル「ラ・スフェラ・アルモニオーサ」による、ウィレム・デ・フェッシュ(CC-72829)、ピーテル・ヘレンダール(CC-72911)に続くオランダ 古楽作曲家シリーズ第3弾。ひと昔前はペルゴレージ作とされ、ストラヴィンスキーの『プルチネッラ』に使われた(協奏曲第2番第4楽章→タランテッラ)ことで も有名なヴァッセナールの『コンチェルト・アルモニコ』をライヴ録音。
『コンチェルト・アルモニコ』は1740年にハーグで出版されましたが、作曲者でありオランダの高名な貴族家系の人物であったヴァッセナールが名を明かさず に発表したため、長いこと作曲者が不明でした。当初は出版した人物のカルロ・リッチョッティが作曲者ではないかとされ、20世紀には、曲の内容からペルゴレー ジ作と推測されていました。1980年にオランダの音楽学者アルバート・ダニングが自筆譜を発見し、ようやく歴史家のみが知っていたヴァッセナールの名が音楽 学者にも知られることになったのです。
作品は6曲とも独奏者を置かずアンサンブルとしての協奏を行うタイプで、緩・急・緩・急の4楽章形式で書かれています。弦楽と通奏低音のみのシンプルな 編成でイタリア風の美しい旋律にあふれながらも、楽章間で劇的な転調を見せるなど刺激的な側面もありとても充実した曲集。演奏もたいへん力強く聴き応えあ り、ヴァッセナールの巧みな筆致がじっくりと堪能できるディスクです。 (Ki)
Challenge Classics
CC-72961(1CD)
マンハイムからベルリンへ 〜チェロ・ピッコロのためのソナタ集
クリストフ・シャフラート(1709-1763):チェロとオブリガート・チェンバロのためのソナタ ハ長調*
フランツ・ベンダ(1709-1786):チェロと通奏低音のためのソナタ ニ長調*
アントン・フィルツ(1733-1760):チェロと通奏低音のためのソナタ イ長調Op.5-2
ゲオルク・ザート(1708-ca.1778):独奏チェロとチェンバロのためのソナタ ヘ長調*
ヨーゼフ・ベネディクト・ジカ(ca.1720-1791):チェロと低音のためのソナタ ト長調*
ヨハン・クリストフ・フリードリヒ・バッハ(1732-1795):チェロとフォルテピアノのためのソナタ イ長調
オクタヴィ・ドスタラー=ラロンド(Vc・ピッコロ)
アルテム・ベログロフ(フォルテピアノ)
ヴィクトル・ガルシア・ガルシア(Vc)

録音:2021年11月19-21日オランダ、フェルップ
*世界初録音
カナダのチェリスト、オクタヴィ・ドスタラー=ラロンドは2018年に小ぶりなバロック・チェロを手に入れました。これは4弦のチェロ・ピッコロ(調弦G-d-a-e')として弾くべきものと思い、すぐに試したところ、明るくクリスタルのような美しい高音が得られたそう。そしてこの楽器を存分に活躍させるプログラムを練 り、録音したのが当盤。
18世紀半ばのマンハイムとベルリンで書かれたギャラント様式のチェロ作品集。初録音も多く、初めて聴く曲ばかりです。チェロ・ピッコロの独特な音色はもち ろん、木製のハンマーが金属弦を叩くフォルテピアノもニュアンス豊か。多様な表情がたのしめるアルバムです。 (Ki)

H.M.F
HMM-902398(1CD)
ロカテッリ〜ヴィルトゥオーソ、詩人
ロカテッリ:合奏協奏曲 ハ短調 op.1-11
ヴァイオリン協奏曲 イ長調 op.3-11
合奏協奏曲 変ホ長調 「アリアンナの嘆き」 op.7-6
ヴァイオリン協奏曲 ハ短調 op.3-2
パストラーレ(合奏協奏曲 ヘ短調 op.1-8より)
イザベ ル・ファウスト(Vn)
イル・ジャルディーノ・アルモニコ
ジョヴァンニ・アントニーニ(指)

録音:2022年12月13-17日、エウレギオ・マーラー文化センター(イタリア、トブラハ)
世界最高峰のヴァイオリン奏者としての存在感を確かなものにしているイザベル・ファウスト。毎回注目の新譜ですが、今回は、アントニーニ率いるイル・ジャ ルディーノ・アルモニコと共演して、「18世紀のパガニーニ」と謳われるロカテッリの作品を録音しました。グラモフォン・アワードなど世界的に大変高い評価 を得たモーツァルトのヴァイオリン協奏曲全曲(KKC-5691/HMC-902230、2015-16年録音)以来の録音での共演。気品に満ちつつも華があり、「ア リアンナの嘆き」でのやわらかくも劇的な響きなど、天下一品。演奏と作曲の両面で破格の才の持ち主であった音楽家ロカテッリの天才ぶりを実感させてくれる プログラムです。
「18世紀のパガニーニ」と呼ばれるロカテッリ。1733年に24曲の無伴奏カプリース集『ヴァイオリンの技法 op.3』をしておりますが、それぞれに超絶 技巧のカデンツァが含まれ、今なお実現可能すれすれの技術的難曲ばかり。まるでパガニーニといえます。また、しばしば奏者が要求される左手の極限までの 伸長(当時のヴァイオリンよりも、現代のヴァイオリンのほうが指板が長いですが、ファウストは、ロカテッリが、ヴァイオリンの指板が長くなったきっかけでは、 とすら言っています)、高音域の多用、弦の上での弓の頻繁な跳躍(ロカテッリは1年で12本の弓を消耗させたという伝説もある)など、ありとあらゆる高 い技術が要求されます。しかしその音楽は、じつに典雅にして、オペラのような劇的な表現をも擁しています。ここに収録された作品にも、前例のないヴィルトゥ オジティで、ヴァイオリンの音楽を劇的に進化させたロカテッリの神髄が詰まっています。ディスク最後に収録されているパストラーレは、独奏ヴァイオリンと管 弦楽を含まないアンサンブルによる演奏ということを忘れる瞬間もあるような、多彩な音色に驚かされます。ファウストとイル・ジャルデイーノ・アルモニコ、そ してアントニーニのアンサンブルの妙で聴く、ロカテッリの決定盤の登場です。 (Ki)

CORO
COR-16199(1CD)
ストリッジョ:40声&60声のミサ曲 「かくも幸せな日が」
アレッサンドロ・ストリッジョ:40声のモテット 「見よ, 至福の光を」、ミサ曲 「かくも幸せな日が」
ヴィンチェンツォ・ガリレイ:コントラプンクト第2番
ストリッジョ:Fuggi, spene mia、O giovenil ardire、Altr’io che queste spighe、D’ogni gratia et d’amor、O de la bella Etruria invitto Duce、Caro dolce ben mio、Miser’oime
単旋聖歌:「御身よりほかにわれは」
タリス:40声のモテット 「御身よりほかにわれは」
イ・ファジョリーニ、
ロバート・ホリングワース(指)

録音:2010年9月29日-10月1日、トゥーティング・オール・セインツ教会(ロンドン、イギリス)
ロバート・ホリングワースによって1986年にオックスフォード大学で結成され、2006年5月にはロイヤル・フィルーハーモニック協会から"アンサンブル・アウォード"を授与されたイギリスの実力派古楽系アンサンブル、イ・ファジョリーニ。ザ・シックスティーンの自主レーベルであるCoro第3弾は、2011年にデッカからリリースされ、グラモフォン・アーリー・ミュージック賞やディアパゾン・ドール賞を受賞したアレッサンドロ・ストリッジョの名録音が復刻。
イタリア後期ルネサンス音楽の作曲家、アレッサンドロ・ストリッジョは、膨大なマドリガーレや劇音楽を作曲するとともに、その両者を融合させた「マドリガル・コメディ」の発案者としても知られています。本アルバムでは、約400年間消失しており現代になってパリで発見された、40声&60声のミサ曲 「かくも幸せな日が」 を中心に、トマス・タリスの傑作、「御身よりほかにわれは」 など、数多の声部が緻密に絡み合い壮麗な盛り上がりを魅せる16世紀の偉大な合唱芸術を取り上げています。

NovAntiqua Records
NA-72(1CD)
闇夜の静寂の中で〜ヴィオール・コンソートのためのナポリの音楽
シピオーネ・ステッラ(1558-1622):Partite sopra la Romanesca
フランチェスコ・ランバルド(1587-1642):Partite sopra Fidele
イッポーリト・タルタリーノ(1539-1582):Canzon sopra Susanna
ジョヴァンニ・デ・マック(1548-1614):Seconde Stravaganze、 Prima Gagliarda
ジェズアルド:Canzon francese del Principe
リナルド・ダッラルパ(15??-1603):Partite sopra Zefiro
デ・マック:Capriccietto
ジョヴァンニ・マリア・トラバーチ(1575-1647):Sesto tono cromatico
デ・マック:Canzone detta Le Due Sorelle
アスカニオ・マヨーネ(1570-1627):Ricercare
ステッラ:Seconda breve canzon
タルタリーノ:Canzon d'Ippolito
トラバーチ:Gagliarda prima
ランバルド:Gagliarda
トラバーチ:Seconda Gagliarda
デ・マック:Prime Stravaganze
ヘクトール・デッラ・マッラ(1570-1634):Spagnoletto
ジョヴァンニ・マリア・サビーニ(1588-1649):Gagliarda falsa
ビクトリア:Tenebrae factae sun
コンソルテリア・デッレ・テネブレ〔テオドーロ・バウ(トレブル・ヴィオール)、ロジータ・イッポーリト(テノール・ヴィオール)、マルコ・カソナート(バス・ヴィオール)、ノエリア・レヴェルテ・レシェ(バス・ヴィオール)〕

録音:2021年、4月24日-27日(イタリア)
大英図書館に保存されているルイージ・ロッシ(1598-1653)の写本から、ナポリの音楽を集めたヴィオール・コンソートのための作品集。ルイージ・ロッシはイタリアの初期バロック音楽の作曲家で、その生涯の大部分が謎に包まれてはいるものの、室内カンタータを主とする数多くの作品が自筆譜で遺されています。
コンソルテリア・デッレ・テネブレは、2016年に結成されたイタリアのヴィオラ・ダ・ガンバ四重奏団。デビュー作となった本アルバムは、2021年のブルージュ国際古楽コンクールで優勝したテオドーロ・バウにとって、初となるガンバ・コンソートの録音でもあります。

Perfect Noise
PN-2205(1CD)
ドリーミング・アンド・ウェイキング
ゴットフリート・フィンガー:ア・グラウンド、チャコーナ(ソナタ第10番 Op.3-10)、チャコーナ(ソナタ 第8番Op.3-8)
ジャコモ・カリッシミ:ソナタ ニ短調
ソロモン・エクレス:Bellamira
カプスペルガー:トッカータ、コレンテ
ベネデット・マルチェッロ:ソナタ第12番Op.2-12
サンマルティーニ:無伴奏フルートのためのソナタ
ジョヴァンニ・ザンボーニ・ロマーノ:ソナタ第6番
ヴァイス:ソナタ第6番
作曲者不詳:イタリアン・グラウンド
アイリス・リヒティンガー(バロック・リコーダー、ルネサンス・リコーダー)、
アクセル・ヴォルフ(リュート、テオルボ)

録音:2021年3月
古楽界のスペシャリストであるアイリス・リヒティンガーとアクセル・ヴォルフによるリコーダーとリュートのための作品集。今作では、多国籍のるつぼであったバロック時代のロンドンで生まれた、様々な国の作曲家の作品を取り上げました。人工的なサウンド・シェイプやデジタル・リバーブを使用しない、もっと自然なレコーディングが行われています。
演奏者のアイリス・リヒティンガーは、このアルバムで披露しているリコーダー以外にも声楽、さらにピアニストとしても活躍しています。その深い洞察力と豊かな表現力で音楽の本質的な部分を誰にでも分かるように伝える能力に優れた音楽家です。このアルバムでもリュートのアクセル・ヴォルフと共にそれぞれの作品の魅力を伝えてくれています。
Perfect Noise
PN-2206(1CD)
生涯の旅〜セバスティアン・ゲオルゲ:室内楽作品集
フォルテピアノ、2つのヴァイオリンとチェロのためのソナタ(四重奏曲)ロ長調 SG V13/2つのフルート、ヴィオラとチェロのための四重奏曲 ヘ長調 SG VII1/2つのヴァイオリン、ヴィオラとチェロのための四重奏曲 ニ短調 SG VI9/フォルテピアノとフルートのためのソナタ ニ長調 SG V4/チェロ・オブリガート、フルート、ヴァイオリンと通奏低音のための四重奏曲 ロ長調 SG VII2/2本のフルート、2本のヴァイオリンとチェロのための五重奏曲 ロ長調 SG VIII4
アンサンブル・アルテラ・パルス

録音:2022年1月24日-26日
マインツ出身でモスクワやサンクトペテルブルクで活躍した作曲家セバスティアン・ゲオルゲの室内楽作品集。この知られざる作曲家は、1766年頃にモスクワを訪れ活躍しました。当時のモスクワは音楽活動が盛んで高賃金を求めて海外から作曲家が多く訪れていました。セバスティアン・ゲオルゲもその一人で、新たなインスピレーションを得て様々な作品を作曲し、カペルマイスターとしてモスクワ大学などでも活躍しました。

MUSICAPHON
M-56995(1CD)
ブローネンミューラー:ソナタとアリエッタ集
エリアス・ブローネンミューラー(1666?-1762?):オーボエ、ヴァイオリンと通奏低音のための6つのソナタより 第1番変ロ短調、第2番変ロ長調、第3番変ホ長調
ハープシコードのための3つのトッカティーナ イ短調
ソプラノ、オーボエ、ヴァイオリンと通奏低音のための4つのアリエッタ
オーボエのためのソロ ト短調
ヴァイオリンのためのソロ ホ長調
オーボエ、ヴァイオリンと通奏低音のための6つのソナタより 第4番イ短調、第5番ホ短調、第6番ニ長調
アンサンブル・コンサート・ロイヤル・ケルン

録音:2022年3月6日-8日(ドイツ)
コンサート・ロイヤル・ケルンは、バロック・オーボエの名手カルラ・シュレーターによって結成されたドイツのピリオド・アンサンブル。18世紀以降、演奏されていない貴重な作品をアーカイヴやライブラリーで探し出し、これらの作品の蘇演を目指しています。本アルバムでは、ドイツの作曲家、エリアス・ブローネンミューラーが残した知られざる作品を探求しています。

Raumklang
RK-4104(1CD)
向かい合って
ビーバー:パルティア第6番(2つのヴァイオリンと通奏低音のための)、ソナタ第4番「 神殿での奉献」(「ロザリオのソナタ」より)(スコルダトゥーラ・ヴァイオリンと通奏低音のための/2本のヴァイオリン版)
パッヘルベル:コラール・パルティータ「神の御業はすべて善きことなり」(ソロ・オルガンのための)
ビーバー:無伴奏ヴァイオリンのためのパッサカリア 「守護天使」(「ロザリオのソナタ」より)(Vnとヴィオラ版)
バッハ:ソナタ BWV1038(2つのヴァイオリンと通奏低音のための)、前奏曲とフーガ BWV550(ソロ・オルガンのための)
パッヘルベル:パルティア第2番ハ短調(「音楽の喜び」より)(2本のスコルダトゥーラ・ヴァイオリンと通奏低音のための)
アーバン・ストリングス〔ゲオルク・カルヴァイト(Vn、ヴィオラ)、タベア・ヘーファー(Vn)、レオ・ファン・ドゥセラール(Org)、ヴァルター・ルーマー(ヴィオローネ)〕

録音:2022年11月&12月
ベルリン古楽アカデミーのコンサートマスター兼ソリストであるゲオルク・カルヴァイトを中心としたアーバン・ストリングス。このアルバムで彼らは17世紀の慣習に従って個々の声部がはっきりと聴こえるように配置し、音響空間を意識した録音を行っています。国際的に活躍する4人のアーティストたちはスコルダトゥーラの有無にかかわらずヴァイオリンの調律を変え、神秘的な響きを生み出しています。

Hyperion
CDA-68403(1CD)
マガリャンイス:ミサ曲集
フィリーペ・ヂ・マガリャンイス(c1563-1652):目覚め給え,なんぞ眠り給いたるや,主よ
フランシスコ・ゲレーロ(1528-1599):主よ,きたれ
マガリャンイス:ミサ曲「主よ,きたれ」、第1旋法によるマニフィカト
ピエール・ド・マンシクール (c1510-1564):まことに主が
マガリャンイス:ミサ曲「まことに主が」、私は自らの罪を恐れ
ルイス・トスカノ(指)、
クペルチノス

録音:2022年6月24日-27日、ボム・ジェズ教会(ブラガ、ポルトガル)
ファースト・アルバム「カルドーゾのレクイエム」(CDA-68252)が、いきなり2019年度の『グラモフォン賞古楽部門賞』を受賞するという快挙を達成し、前作「ペドロ・デ・クリストのマニフィカト」(CDA-68393)は英グラモフォン誌の『エディターズ・チョイス』を獲得したクペルチノスの最新盤は、ポルトガルの作曲家フィリーペ・ヂ・マガリャンイス(c1563-1652)によるミサ曲集。マガリャンイスは16〜17世紀に活躍し、当時教育者としても名高かった作曲家マヌエル・メンデスの愛弟子であったと考えられています。そして、1623年から1641年まで王立礼拝堂の司祭を務め、最も尊敬されるポルトガルの音楽家の一人でした。
指揮者のルイス・トスカノはブラバント・アンサンブル、アルス・ノヴァ・コペンハーゲン、ムジカ・フィクタなどのアンサンブルに参加するポルトガルのテノールです。2009年にクペルチノ・デ・ミランダ財団によって設立されたクペルチノス(Cupertinos/元:Cappella MusicalCupertino de Miranda)は、コインブラ大学とのパートナーシップ、ディレクターのルイス・トスカノ、音楽学者のホセ・アブレウらの研究によって、広大なポルトガルのポリフォニー音楽を専門的に取り上げています。

Tactus
TC-680002(1CD)
カンタータ&シンフォニア集
ボノンチーニ(1670-1747):Non ardisco pregarti, amata bella
カルダーラ:Io soffriro tacendo
ジョヴァンニ・ボノンチーニ:チェロのためのシンフォニア第1番
カルダーラ:Arda il mio petto amante
フランチェスコ・バルトロメオ・コンティ(1681-1732):Dimmi, o sorte nemica
カルダーラ:チェロのためのシンフォニア
エマヌエーレ・ダストルガ(1680-1757):Che ti giova, Amor crudele
アンドレア・ステファノ・フィオーレ(1686-1732):Di quel sguardo fatal
アウラータ・フォンテ〔神谷美穂(S)、ペリクリ・ピーテ(Vc)、ジャンジャコモ・ピナルディ(アーチリュート)、ヴァレリア・モンタナーリ(ハープシコード)〕

録音:2021年6月(バニャカヴァッロ、イタリア)
神聖ローマ皇帝レオポルト1世の時代以降ウィーンが音楽の都として発展しつつあった18世紀初頭、当時のウィーンで最も高く評価され深化していったスタイルの中でもとりわけ際立っていた室内カンタータ。中でもイタリア各地からやってきた作曲家や文人たちによって確立されたイタリア語のカンタータは、宮廷の教養ある娯楽のために好んで作曲され、写本の形で大量に流通し、主に1810年代から1840年代にかけて作られた膨大な量の書物に収集されました。現在、これらのカンタータは様々なコレクションや図書館に散在しており、重要な音楽学的研究の対象となっています。ここに収録される6曲のカンタータは、すべてウィーンのオーストリア国立図書館に所蔵されている写本から抜粋されたもので、いくつかの歴史的データと他の同時代の資料との照合によっておそらくすべてが1710〜1712年頃に作曲されたものと考えられています。
2021年にリリースされたボノンチーニのカンタータ集(TC670202)でも柔らかく響く歌声を聴かせた日本人ソプラノ、神谷美穂が今回も秀逸な歌唱を披露。カンタータと同時期に作曲されたボノンチーニとカルダーラによるチェロと通奏低音のためのシンフォニア2作品も収録されています。

Gimell
CDGIM-053(1CD)
シェパード:ミサ・カンターテ
ジョン・シェパード(c.1515-1558):1-30. ミサ・カンターテ
31-38. 称賛のことばを述べよ
39-45. イエス、時代の救い主よ
46-50. 神の殉教者は
51-67. 喜べ、喜べ、喜べ、聖母マリアよ
68-74. 祝福されたわたしたちに喜びを
75-80. 喜べ、キリストを産んだ聖母よ
タリス・スコラーズ、
ピーター・フィリップス(指)
1973年の結成から現在まで、ルネサンス宗教音楽演奏の世界最高峰としての地位を確立し続けてきた"究極のポリフォニー" タリス・スコラーズ。タリス・スコラーズの記念すべき結成50周年を祝う2023年リリースのニュー・アルバムは、なんとジョン・シェパードのミサ曲とモテット集!
イングランド・ルネサンス期の作曲家ジョン・シェパードはオックスフォード大学モードリン・カレッジの少年聖歌隊員監督(Informator Choristarum)を務め、王室礼拝堂のジェントルマンにも叙された音楽家。タリス・スコラーズは1989年に最初のシェパード・アルバム「メディア・ヴィタ」(CDGIM016)をリリースしており、これが2枚目のシェパード録音となります。多くの作品を遺しながらも比較的録音の少ないシェパードの知られざる傑作を、50年間この時代の音楽だけを追究し続けてきたタリス・スコラーズの歌声でお届けします。
 1989年にリリースされたタリス・スコラーズのシェパードの最初のディスク ― 「メディア・ヴィタ(人生の中で)」 ― は、イングランド・ルネサンス期のポリフォニーの、新たなアイコンを生み出した。今回は、私たちの2番目のシェパードのアルバムであり、「ミサ・カンターテ」や、祝祭的な規模で書かれた唯一の奉納アンティフォナ「喜べ、キリストを産んだ聖母よ」といった傑作を収録しています。これらは、シェパードが自ら作り出した16世紀中期の様式による傑作です。彼は、同時代のほとんどだれよりも多くの作品を書いたので ― そしてまた、録音の数が今でも比較的少ないので ― 彼とともに進むためのまだ長い道が残されているのです。ピーター・フィリップス(日本語訳:SOREL)

CLAVES
50-3065(1CD)
明暗法
(1)ダリオ・カステッロ(1602-1631):ソナタ第2番
(2)ジョヴァンニ・ダ・パレストリーナ(1525頃-1594)―フランチェスコ・ロニョーニ(1570頃-1626):私の愛しい人よ、汝は麗しい
(3)ウィリアム・バード(1543頃-1623):第3パヴァーヌのためのガリアード
(4)ヤコブ・ファン・エイク(1590-1667):最も美しい娘ダフネが
(5)ミケランジェロ・ロッシ(1601頃-1656):トッカータ第2番
(6)ヨハン・ハインリヒ・シュメルツァー(1623頃-1680):ソナタ「カッコウ」
(7)ヨハン・カスパール・ケルル(1627-1693):「カッコウ」によるカプリッチョ
(8)シュメルツァー:ソナタ第2番
(9)エイク:今夜は何をいたしましょう
(10)ロッシ:トッカータ第7番
(11)ダリオ・カステッロ(1602-1631):ソナタ第1番
(12)パレストリーナ(ロニョーニ編):ああ私はこんなに傷ついて
(13)バード:第5パヴァーヌのためのガリアード
デュオ・エオリーネ【シャルロッテ・シュナイダー(Fl)、ギィ=バティスト・ジャコテ(オルガン/ユルゲン・アーレント製作(1999年)A’=440Hz)】

録音:2022年7月修道院教会、パイェルヌ(スイス)
フルート奏者シャルロッテ・シュナイダーと鍵盤奏者ギィ=バティスト・ジャコテによるデュオ・エオリーネは2017年結成。2つの楽器の組み合わせが生み出す 音楽を探求しており、16世紀から17世紀にかけてのレパートリーを中心に、自らデュオ版に編曲しています。歴史的な演奏法に基づいた彼らの音楽は説得力が あり、同時代の様々な音楽のキャラクターの違いを見事に表現しております。
フルート(トラヴェルソ)は7種類の楽器を、作品にあわせて使い分けて演奏。またオルガンは現代最高のオルガンビルダー、ユルゲン・アーレントが1999年に 製作した楽器で演奏。フルートとオルガンの透き通った響きが、スイス、パイェルヌの修道院教会に美しく交わります。 (Ki)

CPO
CPO-555483(1CD)
NX-B02
ヨハン・アンドレアス・シュトライヒャー/アンナ・マリア(ナネッテ)・シュトライヒャー:ピアノ曲集
J. A. シュトライヒャー(1761-1833):ロンドー、またはカプリース Op. 1No.1
 La pensee de l‘objet cheri
 ピアノのための7つの変奏曲 Op.2
 4手クラヴサンのための6つの変奏曲
アンナ・マリア(ナネッテ)・シュトライヒャー(1796-1833):Klage uber den fruhen Tod derr Jungfer Ursula Saboma Stage in Augsburg
 ピアノフォルテのための2つの行進曲
 ピアノフォルテのための大ソナタ
クリスティアン・フリードリヒ・ダニエル・シューバルト(1739-1791):私のクラヴィーアに
ザラ・ヴェゲナー(S)
ステファニア・ネオナート(フォルテピアノ)

使用楽器:ナネッテ・シュトライヒャーが1814年にウィーンで製作したオリジナル
ヨハン・アンドレアス・シュトライヒャーが1784年にアウクスブルクで製作したオリジナル

録音:2021年4月26-28日
トラック1を除き、全て世界初録音
古典派からロマン派へと移り行く時代のウィーンで鍵盤楽器とその音楽に大きな影響を与えたのがヨハン・アン ドレアス・シュトライヒャーとアンナ・マリア(ナネッテ)・シュトライヒャーの夫妻。その2人の作品を2人が作った楽 器(シュトゥットガルトにあるヴュルテンベルク歴史博物館所蔵)で演奏した、cpoらしいこだわりの企画です。 シュトライヒャー夫妻はピアノ製造だけでなく、演奏家として活動。アンドレアスはコンサートピアニストとしても 高い評価を獲得し、ナネッテは自宅でサロンを開き若い芸術家たちに活躍の機会を与えました。ここに収録 された作品も、サロンでの繊細で親密な雰囲気が似合いそうな音楽です。シューベルト、シューマン、ショパン などロマン派時代の歴史的鍵盤楽器での録音が数多いトビアス・コッホの演奏で。
CPO
CPO-555365(2CD)
NX-D11
ゲオルク・フリードリヒ・カウフマン(1679-1735):宗教作品全集
昇天祭オラトリオ『Rustet euch, ihr Himmelschore』備えよ、天の聖歌隊よ
2. ディアローグ・カンタータ 「O, ich elender Mensch, wer wird mich erlosen」 われは幸うすき者、だれかわれを救わん
【CD2】
1. ペンテコステ初日のカンタータ 「Die Liebe Gottes ist ausgegossen」
2. ペンテコステ初日のカンタータ 「Komm, komm, du freudenvoller Geist」
3. カンタータ 「nverzagt, beklemmtes Herz」
4. マリア訪問の祝日のためのカンタータ「Nicht uns Herr, sondern deinem Namen gib Ehre」
イザベル・シッケタンツ(S)
エリザベート・ミュックシュ(S)
ブリッタ・シュヴァルツ(A)
トビアス・フンガー(T)
クリストフ・プファラー(T)
トビアス・ベルント(Bs)
コレギウム・ヴォカーレ・ライプツィヒ
メルゼブルガー・ホーフムジーク(古楽器使用)
ミヒャエル・シェーンハイト(指)

録音:2022年
ゲオルク・フリードリヒ・カウフマンはドイツ、テューリンゲン州オストラモンドラで生まれた作曲家。その生涯については不明なことが多いのですが、オルガン の名手であり、パッヘルベルの弟子で後継者となったヨハン・ハインリヒ・ブットシュテットに師事した模様です。その後、ザクセンのメルゼブルクで当時大聖 堂のオルガニストを務めていたヨハン・フリードリヒ・アルベルティに師事。アルベルティの退任後は後を継ぎ、メルゼブルクの宮廷音楽家と大聖堂のオルガ ニストとなって、亡くなるまでこの任を務めたとされています。 カウフマンはその職務上、数多くの作品を書いたと考えられますが、現存する作品はごく少なく、宗教的な作品はここに収録されたものがすべて。どれも 当時の流行の様式と作曲技法を採り入れ、声楽と器楽を適切に扱って十分な効果をあげる術を心得ていたことが伝わります。カンタータではレチタ ティーヴォ・アッコンパニャートやオブリガート楽器付きのアリアのように声楽と器楽を巧みに組み合わせた楽曲が多く、また壮麗さを求める場面ではトラン ペットとティンパニを効果的に使っています。

Chopin University Press
UMFCCD-103(1CD)
ペルゴレージ:スターバト・マーテル
パヴェウ・ウカシェフスキ:聖母マリアの追悼曲
アンナ・ミコワイチク=ニェヴィエジャウ(S)
ワンダ・フラネク(メゾ・ソプラノ、アルト)
ズビグニェフ・ピルフ(Vn)
ラドスワフ・カミエニャシュ(Vn)
ピオトル・フルペク(Va)
ヤロスワフ・ティール(Vc)
ヤヌシュ・ムシャウ(Cb)
マルタ・ニェジヴィエツカ(ポジティフ・オルガン、ハープシコード)

録音:2017年7月28日ー31日(ポーランド)
イタリアのナポリ楽派オペラ作曲家、ジョヴァンニ・バッティスタ・ペルゴレージは、26年という短い生涯の中でオペラ・ブッファの基礎を築き、古典派音楽の様式を最も早く示した人物として音楽史に名を遺しています。
本アルバムでは、1736年に作曲され18世紀で最も再版された作品でもある宗教音楽 「スターバト・マーテル」 に、2010年、ペルゴレージの生誕300周年を記念して、ポーランドを代表する作曲家のひとり、パヴェウ・ウカシェフスキが作曲した 「聖母マリアの追悼曲」 (本アルバム世界初録音)がカップリングされています。この作品は、ペルゴレージのスターバト・マーテルと類似した構造と、同様のメッセージを持つ現代ラテン語の詩に基づいて書かれており、ウカシェフスキは、構造(アリアとデュエットに分かれた13のパート)、配役、感情面の点での類似性を維持しながら、ペルゴレージのスタイルに拡張された調性、歌手に要求される声の質感に適した現代的な表現手段を用いています。
Chopin University Press
UMFCCD-119120(2CD)
ヨハン・ゴットリープ・ゴルトベルク(1727-1756):ハープシコード独奏作品全集
前奏曲とフーガ ヘ短調/ソナタ ヘ長調*/ソナタ ニ長調/前奏曲 ハ長調/24のポロネーズ
アリナ・ラトコフスカ(ハープシコード)

録音:2018年1月(ポーランド、ニエシャバ)
*世界初録音
「ゴルトベルク変奏曲」の逸話に名を残すヨハン・ゴットリープ・ゴルトベルク(1727-1756)のハープシコード独奏曲全曲を、ゴルトベルクの研究者でもあるアリナ・ラトコフスカが録音した画期的な1枚。ポーランド・グダニスクに生まれたゴルトベルクは、バッハとその息子W.F.バッハに師事したとされ、鍵盤楽器の名手として歴史に名を残しました。数としては少ないながらも魅力的なゴルトベルクの作品は、古楽界で高く評価されています。ハープシコードの国際コンクールでの優勝経験もあるアリナ・ラトコフスカは、ゴルトベルグの名を冠した音楽祭の発起人、ゴルトベルクに関する書籍の著者、彼の2つの協奏曲の楽譜の編集者として、長年にわたってゴルトベルグ作品の研究と普及活動に携わってきた人物です。これまで知られていなかった3楽章制のソナタ(ヘ長調)は、コレクションの所有者から許可を得て今回初録音されました。

Snakewood
SCD-202301(1CD)
もうひとつのヴェネツィア
ディオゲニオ・ビガーリャ:ヴァイオリンと通奏低音のためのドレスデン・ソナタ第2番 ハ長調
アントニオ・カルダーラ:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ヘ長調 E.M.28
アルビノーニ
:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ 変ロ長調 E.M.651
ジョルジョ・ジェンティーリ:チェロと通奏低音のためのソナタ イ長調 CORRER Busta128.108、
 カプリッチョ第11番 ロ短調(Vnとチェロ、もしくはチェンバロのための室内カプリッチョ集 Op.3より)、
 チェロと通奏低音のためのソナタ ト長調 CORRER Busta128.109
アルビノーニ:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ト短調 E.M.65f
ジョヴァンニ・バッティスタ・レアーリ:ソナタ第7番 変ロ長調(Vnと通奏低音のための室内ソナタ集 Op.2より)
スカラムッチャ〔ハビエル・ルピアニェス(Vn&ディレクター)、イネス・サリナス(Vc)、パトリシア・ヴィンテム(ハープシコード)〕

録音:2022年5月2日-6日、オランダ/DAD
マイケル・タルボット教授によって最近発見されたアルビノーニの2つのヴァイオリン・ソナタを収録したハビエル・ルピアニェス率いるアンサンブル・スカラムッチャの最新作。その他にもヴェネツィアのサン・マルコ大聖堂コンサートマスターであったジョルジョ・ジェンティーリが作曲したチェロと通奏低音のためのソナタなども収録し、18世紀初頭のヴェネツィアに私たちを誘います。その頃のヴェネツィアというとヴィヴァルディが印象深いですが、その他にも様々な知られざる名曲が残っています。 ハビエル・ルピアニェスは、オランダのハーグ王立音楽院でエンリコ・ガッティに師事しバロック・ヴァイオリンの学士号を取得後、ガッティの指導の下ヴィヴァルディの新作を発見し修士号を取得。2013年には、知られざるバロック・レパートリーの発掘のためにピリオド・アンサンブル、「スカラムッチャ」を結成し、2018年にスカラムッチャのメンバーらとともに、バロック音楽専門のレコード・レーベル&楽譜出版社「Snakewood」を設立しています。

Indesens Calliope Records
IC-019(1CD)
ヴァイオリンとの旅〜トレッリ:ヴァイオリン作品集
トレッリ:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ホ短調 A.1.3.8
ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ イ長調 A.1.3.11
ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ト短調 A.1.3.10
アッレマンダ ホ短調 A.1.3.4(Medulla Musica より)
コレンテ ホ短調 A.1.3.3(Medulla Musica より)
ヴィヴァーチェ イ長調 A.1.3.1(Medulla Musica より)
ジーガ イ長調 A.1.3.2(Medulla Musica より)
ヴァイオリンとチェロによる室内楽のためのシンフォニア ニ短調 A.4.1.8
ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ニ長調
アッレマンダ イ短調 A.1.3.5(Medulla Musica より)/コレンテ イ短調 A.1.3.7(Medulla Musica より)
ジーガ・スタシャート イ短調 A.1.3.
ヴァンサン・ベルナール(ハープシコード&オルガン)、
シューイン・コン(Vn)、
ディアナ・ヴィナグレ(Vc)、
パルシバル・カストロ(テオルボ&ギター)

録音:2022年9月13日-16日、テンプル・ド・ジャンジャン(スイス)

※ソナタ A.1.3.8を除く作品は世界初録音
イタリア盛期バロック音楽の作曲家、ヴァイオリニストとした活躍したジュゼッペ・トレッリは、合奏協奏曲や独奏楽器のための協奏曲の発展に大きく貢献した人物として広く知られています。本アルバムでは、ほとんどが世界初録音となるヴァイオリンと通奏低音のための作品を取りあげています。
EUバロック・オーケストラに参加した後、ラ・チェトラ・バロック・オーケストラや、フライブルク・バロック・オーケストラ、アンサンブル・ジル・バンショワ、RIAS室内合唱団などと共演を重ね、2009年にはリヨン大聖堂のオルガニストに就任した古楽演奏家、ヴァンサン・ベルナールを筆頭に、ヴァルマンステ音楽祭などでヴァンサン・ベルナールと共演し、リエージュ・フィルの第2ヴァイオリン・リーダーを7年間務めたあと古楽に目覚め、ジュネーヴ音楽学校で歴史的楽器を学んだバロック・ヴァイオリニスト、シューイン・コンなど、国際的に活躍する古楽演奏家たちによって、トレッリの知られざる側面に光を当て、ヨーロッパ中に点在するこれら作品が持つ音楽の多様性を明らかにしています。

Challenge Classics
CC-72943(1SACD)
Unico ウニコ 〜18世紀初頭オランダのリコーダー・ソナタ集
ジャン=バティスト・ルイエ・ド・ガン(1688-ca.1720):ソナタ第3番ト長調(フルートと通奏低音のための12のソナタ Op.1より)
シブランドゥス・ファン・ノールト(1659-1705):フルートと通奏低音のためソナタ第1番 ヘ長調(『イタリア趣味の混合』より)
ウィレム・デ・フェッシュ(1687-1761):ソナタ第3番ト長調(12のソナタ Op.8より)
シブランドゥス・ファン・ノールト(1659-1705):チェンバロ独奏のためのソナタ第4番 イ短調(『イタリア趣味の混合』より)
ウニコ・ヴィルヘルム・ファン・ヴァッセナール(1692-1766):ソナタ第1番ヘ長調 / 第2番 ト短調 / 第3番ト短調
テウン・ヴィッセ(リコーダー)
テウン・ブラケン(Cemb)

録音:2022年10月17-20日オランダ、ウェストザーン
バロック時代のアムステルダムは、作曲・楽器制作・楽譜出版において、ヨーロッパのなかでも重要な都市のひとつでした。器楽音楽の花形であったイタリアと も深く関係し、イタリアの人気作曲家の多くはアムステルダムで作品を出版しています。オランダはいわば、最新のイタリア音楽に一番早く触れることのできた場所 であり、オランダのリコーダー音楽を集めたこのアルバムからも、イタリア音楽からの大きな影響が感じられるでしょう。
ヴァッセナール(Unico Wilhelm van Wassenaer)の3曲あるリコーダーとチェンバロのためのソナタがプログラムの中心になっています。これらはヴァッ セナールがパリを訪れて演奏した際に「まったくコレッリのソナタのようだ」と評されたものですが、それだけに留まらず、作曲家の確かな個性(unico 伊)が刻 まれた作品であることにも注目です。
5本のリコーダーと2種のチェンバロから、それぞれのソナタにふさわしい楽器を選んで演奏。また録音会場はオランダの18世紀の教会で、音楽と音響が完璧 に一致した世界を聴かせてくれます。 (Ki)

ATMA
ACD2-2858(1CD)
なんかあやしげ 〜クープラン、マレ、ラモー:ヴィオール二重奏曲集
[FANTAISIES VOLANTES 空飛ぶファンタジア]
マレ:空飛ぶ戯れ(ヴィオール曲集第5巻)*
F.クープラン:2つのヴィオールのためのコンセール第13番より 第1、2楽章(『趣味の融合』)
マレ:エコー・ファンタジア(ヴィオール曲集第1巻)
F.クープラン:2つのヴィオールのためのコンセール第13番より 第3楽章(『趣味の融合』)
マレ:庭の張り出し(ヴィオール曲集第5巻)* / シャコンヌ ト長調(ヴィオール曲集第1巻)
[LA MUSETTE DU ROI DE PERSE ペルシャ王のミュゼット]
ラモー:クリカン(コンセールによるクラヴサン曲集)*
F.クープラン:2つのヴィオールのためのコンセール第12番より 第1、2楽章(『趣味の融合』)
ラモー:リヴリ(コンセールによるクラヴサン曲集)*
F.クープラン:2つのヴィオールのためのコンセール第12番より 第3、4楽章(『趣味の融合』) / 第15組曲(クラヴサン組曲第4巻)より「ショワジのミュゼット」「居酒屋のミュゼット」
[ANGUILLE SOUS ROCHE 岩陰のうなぎ]
F.クープラン:第22組曲(クラヴサン組曲第4巻)より「戦利品」「戦利品の続きのエール」
マレ:人間の声(ヴィオール曲集第2巻)
F.クープラン:第22組曲(クラヴサン組曲第4巻)より「夜明け」「うなぎ」
*レ・ヴォワ・ユメーヌ編曲版
レ・ヴォワ・ユメーヌ [スージー・ナッパー(バス・ヴィオール)、メリザンド・コリヴォー(バス・ヴィオール)、トマス・アヨーティ(声)]

録音:2021年5月4-6日/ケベック
2023年に来日公演もあったヴィオール・アンサンブル「レ・ヴォワ・ユメーヌ」の最新盤。今作は20年来の共演仲間であるスージー・ナッパーとメリザンド・ コリヴォーの二重奏アルバムです。
アルバムのタイトルになっている「something fishy何か魚のような」「anguille sous roche岩の下のうなぎ」は(魚臭いものが立ち込めるイメージから) 何か臭うぞ、あやしいぞ、という意味を持っています。選ばれた楽曲も、やさしく楽しいものでありながら、どこか不思議でつかみどころのない幻想的な性格や標 題をもち、フランス・バロックならではのウィットに富んだものばかり。超現実的な響きがたのしめます。 (Ki)
ATMA
ACD2-2824(1CD)
おしゃべりはもうたくさん 〜17世紀イタリアの器楽音楽
ダリオ・カステッロ(1602?-1631):3声のソナタ第10番ニ短調(新様式による協奏ソナタ集第2巻)
ジョヴァンニ・レグレンツィ(1626-1690):3声のソナタ第1番ニ短調『ラ・コルナーラ』(2声または3声のための18のソナタ集 Op.2)
ジョヴァンニ・バッティスタ・グリッロ(15??-1622):4声のカンツォン第16番ト長調(種々の楽器のためのカンツォン集)
タルクィニオ・メールラ(1594or1595-1665):カンツォーネ第24番 ハ短調『ラ・ヴァルカレンガ』(2声または3声のためのカンツォーネ集第4巻 Op.17)
ビアージョ・マリーニ(before1597-1663):2重音を含むヴァイオリン・ソナタ第4番 イ短調(ソナタ、シンフォニア、カンツォーネ、パッサメッツォ、バレ、協奏曲、ガイヤルドとリトルネッロ集 Op.8)
マリー・ナドー・トランブレ(1991-):即興曲
タルクィニオ・メールラ:カンツォーネ第18番ニ長調『騎士』(2声または3声のためのカンツォーネ集第4巻 Op.17)
ビアージョ・マリーニ:『ラ・モニカ』によるトリオ・ソナタ ニ短調(ソナタ、シンフォニア、カンツォーネ、パッサメッツォ、バレ、協奏曲、ガイヤルドとリトルネッロ集 Op.8)
フランチェスコ・ロニョーニ・タエッジョ(16世紀後半-1626?):パレストリーナのマドリガル『丘や野原は』に基づくディミニューション ニ短調(『種々のパッサッジョの森』)
ネイサン・モンドリー(1991-):即興曲
ダリオ・カステッロ:3声のソナタ第12番イ短調(新様式による協奏ソナタ集第2巻)
タルクィニオ・メールラ:カンツォン第19番ハ長調『ラ・プステルラ』(2声または3声のためのカンツォーネ集第4巻 Op.17)
ダリオ・カステッロ:ソナタ第4番ニ短調(新様式による協奏ソナタ集第2巻)
マリー・ナドー・トランブレ(Vn)
ル・バロクダ(古楽器アンサンブル)

録音:2022年6月13・14日/ケベック
17世紀イタリアで花ひらいた器楽音楽の芸術を、ヴァイオリンとリコーダーを主役として紹介するアルバム。ダイナミックで実験的、当時ほとんど過激とまでみら れた「普通じゃない」作品が集められており、火花が飛び散るような鮮烈な演奏が繰り広げられています。ルネサンス時代に大きく発展し完成をみた声楽の芸術に 替わって、器楽が新しいパラダイムとして登場し、さまざまな探求や発明、研究がおこなわれたバロック時代特有の熱気がまざまざと感じられます。アルバムタイト ル「Basta parlare!」(話すのをやめて、もう十分!)も、声に替わる新たな表現としての器楽を極めていくのだという決意表明なのでしょう。 (Ki)

Paraty
PTY-2622131(1CD)
ハープによるラモー
ラモー(ルッツァーティ編):クラヴサン曲集ニ長調〜一つ目の巨人/ミューズたちの対話/歓喜(ロンドー)/ため息/優しい訴え(ロンドー)
クラヴサン曲集ホ長調〜アルマンド/ロンドー形式のジグ/鳥のさえずり/タンブラン/村娘(ロンドー)
王太子妃
新クラヴサン組曲ト長調〜雌鶏/メヌエット/未開人/エンハーモニック
コンスタンチェ・ルッツァーティ(Hp)
※カマック製

録音:2021年12月ロワイモヨン修道院
コンスタンチェ・ルッツァーティはイザベル・モレッティ門下のフランスのハープ奏者。演奏家としてのみならず、18世紀フランスのクラヴサン音楽のハープ編曲 を研究し、自身も実践してレパートリー拡充に努めています。
当アルバムも彼女自身の編曲によるラモー作品集。もともとクラヴサンとハープは弦をはじく奏法など共通点も多く、自然な仕上がりとなっています。ヴェルサ イユ宮殿を彷彿させる典雅な雰囲気に満ちています。

Coviello
COV-92302(1CD)
トーマス・ゼッレ(1599-1663):ラテン語の宗教コンチェルト 第1巻
Veni Domine et noli tardare
Beatus qui miseretur
Domine exaudi orationem meam
Ecce nunc benedicite
Non mortui laudabunt te Domine
Jubilate Deo omnis terra
Ecce quam bonum
Confitebor tibi Domine
Cantate Domino
Kyrie eleison / Gloria in excelsis Deo
Ecce quomodo moritur
アントニウス・アダムスク(指)
ゲッティンゲン・バロックO

録音:2021年9月2-5日ドイツ、ビュッケン
ハンザ同盟の中心都市として栄え、多くの著名人が集まり、音楽家も多かったハンブルク。この地で1641年からカントールとして働いていたのがトーマス・ゼッ レ(1599-1663)です。1650年頃、彼は自分の作品を後世に残すため、書き続けてきた宗教曲から自信作を選び曲集としてまとめました。それがこのアルバ ムに収録された楽曲。編成にもバリエーションがあり、ゼッレの残した貴重な音楽遺産がたのしめます。 (Ki)

PAN CLASSICS
PAS-1135(1CD)
「闇から光へ」〜1575-1577年、ペスト時代におけるヴェネツィアの悔悛音楽
アンドレア・ガブリエーリ(1532/33-1585):O crux splendidior(8声)*
Nativitas tua, Dei genetrix virgo(7声)*
詩編31〈Beati quorum remissae sunt / Delictum meum / Tu es refugium meum /In camo et fraeno maxillas eorum〉(6声)**
Usquequo Domine(7声)*
Eructavit cor meum(6声)*[器楽演奏]
Deus, Deus meus, respice in me(10声)*
ロバート・キール(1952-):ヴィジリア『闇から光へ』(2022)
ジョヴァンニ・ガブリエーリ(1557-1612):
Deus, Deus meus ad te de luce vigilo(10声)*
アンドレア・ガブリエーリ:詩編6〈Domine ne in furore tuo / Quoniam non est in morte / Discedite a me〉(6声)**
ジョヴァンニ・クローチェ(1557-1609):Miserere mei(6声)〜『6声のための7つの悔悛詩篇(1599年、ニュルンベルク)』より
ジョヴァンニ・バッティスタ・グリッロ(d.1622):Exaltabo te Domine(8声)〜『宗教的コンチェルトとシンフォニー(1618年、ヴェネツィア)』
ジョヴァンニ・ガブリエーリ:Jubilate Deo(8声)〜『サクレ・シンフォニーエ(1597年、ヴェネツィア)』

* 『アンドレアとジョヴァンニによるコンチェルト集』(1587年、ヴェネツィア)より
** 『ダビデ悔悛詩篇』(1583年、ヴェネツィア)より
ブルース・ディッキー(コルネット、音楽監督)
ハナ・ブラシコヴァ(S) 他
コンチェルト・パラティーノ

録音:2022年11月14-17日/アントワープ、AMUZ
コルネットや、神の楽器トロンボーンの音色を基調とし、声楽と重ね合わせ天上の音楽を聴かせる名門アンサンブル「コンチェルト・パラティーノ」による美しい アルバム。声と器楽の絶妙な混じりあい、微妙な響きの無限のグラデーションを堪能できます。
1575から1577年にかけて、ヴェネツィアはペストの猛威によって人口の3分の1を失うという大打撃を受けました。人々は伝染病の収束と神への感謝を祈 念するために「レデントーレ教会」の建設をはじめ、1599年に教会が完成、当時最高の音楽家たちによる音楽が無事演奏されるに至りました。
このアルバムはレデントーレ教会で響いた音楽の再現でありながら、現代のポスト・コロナにおける音楽の在り方をも考えさせるもの。2022年の新作であるロ バート・キールの『闇から光へ』を収録し2つの時代を往来します。『闇から光へ』はコンチェルト・パラティーノに寄り添う編成で、響きもバロック語法を採り入 れて書かれた楽曲。ひどく美しく、それでいて強い祈りを感じる作品です。ふたりのガブリエーリをはじめヴェネツィア・バロックの巨匠たちの音楽も絶品。嘆き悔 みながらも光のほうへと進んでいく感覚がアルバム全体に流れていて感動的です。 (Ki)

Tactus
TC-690203(1CD)
ブレシャネッロ:無伴奏ガリコーネのためのパルティータとシンフォニア集
ブレシャネッロ(1690-1757):前奏曲/シンフォニア第1番 ハ長調/パルティータ第5番変ロ長調/パルティータ第6番 ト短調/シンフォニア第7番ハ長調/シンフォニア第9番 変ロ長調/パルティータ第11番ハ短調/パルティータ第12番 ハ長調/パルティータ第15番ト短調/パルティータ第16番 ニ短調
ダヴィデ・レブッファ(ガリコーネ)

録音:2020年10月
リュート属の楽器の一種であるガリコーネのために書かれたブレシャネッロの作品集。ガリコーネは18世紀前半に流行した弦楽器で、一般的には「マンドーラ」と呼ばれ、地域や形状等によってカリション、コラション、ガリコーネ、ガリコン、カルケドン、ガリゾーナ、カレッツォーノ、コロチオン、ガリモンなど様々な名前で呼ばれています。13コース前後のリュートに比べ、6コース前後のこれらの楽器はよりシンプルで演奏しやすく、ドイツ、オーストリア、ボヘミアの貴族(一般的にプロの器楽奏者から排除されていた女性を含む)から愛用されていました。
ジュゼッペ・アントニオ・ブレシャネッロ(1690-1757)は、シュトゥットガルトのヴュルテンベルク公に仕えたカペルマイスター(宮廷楽長)でした。ブレシャネッロが1737年以降に作曲されたと思われるこの作品を演奏している楽器は、1754年製作のオリジナル楽器です。
Tactus
TC-670203(1CD)
ビガーリャ:ソプラノと通奏低音のためのカンタータ集
ディオゲニオ・ビガーリャ(1678-1745):Ah Santi Numi/Aure dolci,erbe molli,ameni fiori/Bel piacer d'un amante/Dove vai mio ben crudele/Ecco perfida Irene/Erano ancor immote/Filli,che vedo o cieli/Gran crudelta di stella/Non lasciarmi o bella speme
イ・ソリスティ・アンブロジアーニ

録音:2021年7月
18世紀前半にヴェネツィアで活躍した作曲家ディオゲニオ・ビガーリャ(1678-1745)によるソプラノと通奏低音のためのカンタータ集。同時代に活躍した作曲家アルビノーニ、特にヴィヴァルディの作品の一部にはビガーリャのからの引用が見られ、影響を受けていたことが窺えます。当時の作曲家たちに影響を与えた知られざるビガーリャの作品をお楽しみください。
Tactus
TC-670291(1CD)
ビガーリャ:12のヴァイオリン・ソナタ Op.1
ディオゲニオ・ビガーリャ(1678-1745):ソナタ第1番/ソナタ第2番/ソナタ第3番/ソナタ第4番/ソナタ第5番/ソナタ第6番/ソナタ第7番/ソナタ第8番/ソナタ第9番/ソナタ第10番/ソナタ第11番/ソナタ第12番/チェロと通奏低音のためのソナタ ト長調
イ・ソリスティ・アンブロジアーニ

録音:2021年7月
18世紀前半にヴェネツィアで活躍した作曲家ディオゲニオ・ビガーリャ(1678-1745)によるヴァイオリン・ソナタ集。同時代に活躍した作曲家アルビノーニ、特にヴィヴァルディの作品の一部にはビガーリャのからの引用が見られ、影響を受けていたことが窺えます。当時の作曲家たちに影響を与えた知られざるビガーリャの作品の中から、1722年頃にアムステルダムで出版された『ベネディクト会の神父ビガーリャ氏によるヴァイオリン独奏またはフルートとチェロまたは通奏低音のための12のソナタ 作品1』の全曲と、1曲のチェロ・ソナタを収録しています。

Glossa
GCD-C80419(1CD)
ガンバの魂〜トバイアス・ヒュームの音楽
ヒューム(c.1569-c.1645):ムシケー(音楽)
スピリット・オヴ・ガンボ(ガンバの魂)
ヒューム大佐/愛
エマ・カークビー(S)、ラビリント〔パオロ・パンドルフォ(ヴィオラ・ダ・ガンバ&ディレクター)、グイド・バレストラッチ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、フアン・マヌエル・クインターナ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、アルバ・フレスノ(コンソート・バス)、エドゥアルド・エゲス(テオルボ、リュート、バンドラ、ギター)〕

録音:1995年12月、ソルヌタン教会(スイス)
話題盤を次々と生み出すヴィオラ・ダ・ガンバの革命家、パオロ・パンドルフォ率いるラビリントが古楽系ソプラノの第一人者、エマ・カークビーをゲストに迎えてのトバイアス・ヒュームの作品集。「ヒューム大佐」の別名でも知られ、軍人として生計を立てながらディレッタントの音楽家としてヴィオール演奏、作曲の両面で底知れぬ才能を発揮したイギリスの奇才ヒューム。パンドルフォが躍動する「ガンバの魂」、そして名ソプラノ、カークビーの歌声の素晴らしさにも改めて感嘆させられるアルバムです。

Da Vinci Classics
C-00736(1CD)
アーベル:ドレクセルの写本
カール・フリードリヒ・アーベル(1723-1787):ドレクセルの写本よりヴィオラ・ダ・ガンバのための29の小品
ガエターノ・シモーネ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)

録音:2022年3月
アメリカの銀行家であり楽譜収集家であったジョセフ・ウィリアム・ドレクセル(1833-1888)のコレクションに含まれている、カール・フリードリヒ・アーベルが作曲した無伴奏のガンバのための作品集。アーベルはバロックから古典派への過渡期の時代にヴィオラ・ダ・ガンバの極めて優れた名手としてヨーロッパ中に名を馳せました。またヨハン・クリスティアン・バッハとともに西洋音楽史における最初の予約制定期演奏会「バッハ=アーベル・コンサート」を設立したことでも知られています。この写本に含まれる作品は自身が演奏するための草稿や覚書のメモのような簡潔で短いものも含まれ、即興演奏をそのまま記録したかのような新鮮なインスピレーションに満ちていて、アーベルの豊かな演奏技術やスタイルを想像しながら楽しむことができます。
ガエターノ・シモーネはパオロ・パンドルフォなどに学び、ヴィオラ・ダ・ガンバやチェロの演奏家としてイタリア国内および海外で定期的に演奏活動を行っているほか、次の世代の優秀な音楽家を育てるため教育活動にも力を入れています。

MIRARE
MIR-668(1CD)
ブクステフーデ:救世主〜受難と復活のカンタータ集
1. Jesu, meines Lebens Leben(イエスは我が生命の生命) BuxWV62
2. Furwahr, er trug unsere Krankheit(げに彼は我らの病を負い)BuxWV 31
3. Ich bin die Auferstehung(我は蘇りなり) BuxWV44
4. Laudate pueri(主をほめたたえよ)BuxWV 69
5. Befiel dem Engel, das er komm(来たれと天使に告げて言え) BuxWV10
6. Quemadmodum desiderat cervus(鹿の谷川を慕いあえぐがごとく) BuxWV92
7. Herr, ich lasse dich nicht(主よ、我汝を去らじ) BuxWV36
8. Herzlich lieb hab ich dich, o Herr(心より我汝を愛す、おお主よ) BuxWV41
リチェルカール・コンソート
フィリップ・ピエルロ(指&ヴィオラ・ダ・ガンバ)
ハンナ・バヨディ=ヒルト、イェツァベル・アリアス(S)
ダヴィド・サガストゥム(A)
ユーゴ・イマ(T)
マティアス・ヴィエヴェグ(Bs)

録音:2022年10月10-15日
ピエルロ率いるリチェルカール・コンソートの新譜はブクステフーデ。キリストの受難と復活を主題にしたカンタータを中心に選曲されています。劇的かつ慰めの 柔らかさもあわせもつサウンドは、聴き手をこの世の苦しみから解き放ってくれるようです。柔らかく、かつ鮮烈、そして自然な音楽に魅了される1枚です。レオナ ルド・ダ・ヴィンチ作とされる同名の絵画がジャケットに使用されています。

BIS
BISSA-2663(1SACD)
ウィリアム・バードの名誉
ウィリアム・バード(c.1540-1623):
(1)「汝詩人の友よ(Thou poet’s friend)」
(2)4声のイン・オミネ第1番
(3)「哀れなアルビヌス(Wretched Albinus)」
(4)6声のファンタジー第2番
(5)「白百合とともに(With lilies whites)」
(6)5声のファンタジー:ブラウニング「木々の葉は青く(Browning ‘The Leaves be Greene’)」
(7)「この心地よく楽しい五月(This sweet and merry month of May)」
(8)「おお主よ、御身のしもべエリザベスを女王に(O Lord, make thy servant, Elizabeth)」
(9)「すべて海のように(All as a sea, the world no other is)」
(10)5声のファンタジー
(11)「悲しみよ、永遠にわれに来たれ(Come to me, grief, for ever)」
(12)「セレンジャーのラウンド(Sellenger’s Round)(arr. F. H. Mountney and Walter Bergmann)」
(13)「幸なるかな主を恐れる者(Blessed is he that fears the Lord)」
(14)「なぜ私は神とインクとペンを使うか(Why do I use my paper, ink and pen)」
(15)6声のファンタジー第1番
(16)「ああ、おろかな魂よ!(Ah silly soul!)」
(17)「主に向かいて高らかに喜べ(Rejoice unto the Lord)」
(18)4声のファンタジー第1番
(19)「汝、聖なるミューズよ(Ye sacred Muses)」
チェリス・ヴィオール・コンソート
【イブラヒム・アジズ(トレブル・ヴィオール 、テナー・ヴィオール) 、アリソン・キンダー(トレブル・ヴィオール 、テナー・ヴィオール) 、ケイト・コンウェイ(テナー・ヴィオール) 、サム・スタドレン(テナー・ヴィオール 、バス・ヴィオール)、 ジェニファー・ブロック(バス・ヴィオール) 、ハリー・バーコック(テナー・ヴィオール)(4)(15)】
ヘレン・チャールストン(Ms) (1) (3) (5) (7) (8) (9) (11) (13) (14) (16) (17) (19)

録音:2022年11月7〜9日/セント・マーティン教会、イースト・ウッドヘイ、ハンプシャー、イングランド
「信仰と女王と国と友人たちを讃えた」イギリスの音楽家ウィリアム・バードの歿後400年の記念アルバム。イギリスを代表するプレーヤー を集めて結成されたアンサンブル「チェリス・ヴィオール・コンソート」(チェリス・コンソート・オブ・ヴァイオルズ)によるコンソート曲と、メゾ・ソプラノのヘレン・ チャールストを加えたマドリガルなどの声楽曲が演奏されています。
このコレクションでは、バードの音楽とそれぞれの作品に反映された「人としてのバード」に焦点をあてることがめざされました。「献身的なカトリックの信仰を もちながら、その信仰を違法にしたプロテスタントの女王に気に入られ、深く考えることのできるまじめな性格でありながら、鋭いウィットとユーモアをもつ。師で あり友であったトマス・タリスを失い、個人的な、深く心に訴える音楽を寄せた忠実な友人」。それぞれの音楽とその背景にある「誇り高きイギリス人」の姿が探ら れていきます。ライナーノート(英語、ドイツ語、フランス語)をメンバーのアリソン・キンダーが手がけ、それぞれの曲とバードのつながりを述べています。
ソロを歌うヘレン・チャールストは、2018年のロンドン・ヘンデル歌唱コンペティションで第1位を獲得、2021年から2023年の「BBC ニュージェネレーショ ン・アーティスト」のひとりに選ばれました。サンフランシスコのフィルハーモニア・バロックO、ベルリン古楽アカデミー、ロンドンのガブリエリ・コンソート、 スコットランドのドゥネディン・コンソートなど、イギリスと世界のクラシカル音楽シーンの最前線で活動。2022年に「BBC プロムス」にデビュー、ウィグモア・ホールのリサイタルも行っています。『パーセル・ファンタジア』(BISSA-2583)につづく、チェリス・ヴィオール・コンソートの新録音です。 (Ki)

RICERCAR
RIC-450(1CD)
アントワーヌ・ゴスワン:作品集
アントワーヌ・ゴスワン(またはアントニウス・ユソニウス、1546頃-1598頃):
1. Ist keiner hie, der spricht zu mir ここじゃ誰も俺に話しかけないのか(器楽による演奏)
2. Eolo crudel come turbasti l’onde 風の神アイオロスよ、おまえは容赦なく波を荒立て
3. Missa ferialis, Kyrie キリエ 〜『平日のミサ曲』より(器楽による演奏)
4. Laetatus sum わたしは嬉しいのです
5. Der Wein, der schmeckt mir also wohl ワインほど旨いものはない
6. Im Land zu Wirtenberg so gut ヴュルテンベルク公の土地は素晴しく(器楽による演奏)
7. Vatter unser im Himelreich 天にまします我らが父よ
8. Ich ruf zu dir Herr Jesu Christ 我は汝に呼ばわる、主イエス・キリストよ
9. Missa invidiosa amor, Agnus Dei アニュス・デイ 〜『“嫉妬深き恋人よ”によるミサ曲』より
10. Missa cognovi Domine, Kyrie キリエ 〜『“お気に留めてください、主よ”によるミサ曲』より
11. Im Maien hort man die Hannen kreen 五月、雄鶏の啼き声が聞こえ
12. Qual meraviglia se mi piacqu’il boscoなんと素晴しい、森で楽しみを見つけられたなら
13. Non trovo cosa alcuna s'io non pago 何も手には入らないんだ、俺が金を払わなきゃ
14. Missa ferialis, Sanctus サンクトゥス 〜『平日のミサ曲』より
15. Frohlich zu sein ist mein Manier / Wer frisch will sein陽気でいるのが俺の流儀さ/快適でいたい者は(器楽による演奏)
16. Missa cognovi Domine, Sanctusサンクトゥス 〜『“お気に留めてください、主よ”によるミサ曲』より
17. Die Fasnacht ist ein schone Zeit 謝肉祭こそは麗しき季節(器楽による演奏)
18. Ad te levavi oculos meos わたしはあなたを見上げ
19. Vor Zeiten was ich lieb und werth かつてはわたしも親切で裕福だったが
ル・ミロワール・ド・ミュジーク(声楽&古楽器アンサンブル)【ミリアム・トレヴィザン(S)、ザビーネ・ルッツェンベルガー、テッサ・ロース(Ms)、イヴォ・アウン・デ・オリヴェイラ、ジェイコブ・ローレンス(T)、ティム・スコット・ホワイトリー(Bs)、クレール・ピガニオル(ゴシックハープ、トリプルハープ)、アリエノール・ヴォルテーシュ(ルネサンス・ヴァイオリン)、エリザベス・ラムジー、ブライアン・フランクリン(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、マルク・レヴォン(シターン、ヴィオラ・ダルコ)、カタリナ・アンドレス(ボンバルド、テノール・ドゥルツィアン)、ジルケ・シュルツェ(バス・ドゥルツィアン)、エティエンヌ・アスラン(木管コルネット)、ヘンリー・ヴァン・エンゲン(サックバット)】
バティスト・ロマン(ルネサンス・ヴァイオリン&指揮)

録音:2022年10月 サン=レジェ教会、ライメン(フランス東部アルザス地方)
ルネサンス後期、16世紀後半に活躍したフランドル楽派のゴスワンは、現在のフランス語圏ベルギー東部にあたるリエージュ司教領で生まれ 育ち、巨匠ラッススに見出されミュンヘンのバイエルン選帝侯宮廷の音楽家となりました。その後ケルン選帝司教の宮廷のあるボンにも活動 拠点を得、さらにニュルンベルクで幾つかの曲集を出版しています。リエージュ司教領にも近いマーストリヒトやスロヴェニア、オーストリア南部な どでも写本が見つかっており、さらにヴェネツィアで出版されたマドリガーレ集アンソロジーにも曲が含まれているところからも生前の高い名声が 窺えます。この録音はゴスワン一人に捧げられた極めて珍しいアルバムで、マルク・レヴォンやエリザベス・ラムジーら中世と初期ルネサンスに通 じた精鋭古楽プレイヤーたちが妥協のない作品解釈でその魅力を網羅的に紹介。ミュンヘンの宮廷では16世紀の時点でヴァイオリン奏者と して記録もされているゴスワンの活動を、初期ヴァイオリン研究の先端をゆくバティスト・ロマン(英訳も添えられたライナーノートの執筆者でも あります)を含む演奏陣の解釈で聴けるのも頼もしいところ。ガンバやバロック・ヴァイオリンとも一味違うルネサンス期の羊腸弦楽器の響きを 得て、多声の世俗曲も教会音楽もひときわ生々しい響きで味わえます。

CPO
CPO-555475(2CD)
NX-D11
カール・ハインリヒ・グラウン(1704-1759):歌劇「アウリスのイフィゲニア」 イフィゲニア…ハンナ・ツムザンデ(S)
ダイダミア…サンタ・カルニーテ(S)
クリュテムネストラ…ジュヌヴィエーヴ・チュミ(Ms)
アナクシメネス…テリー・ウェイ(A)
アキレス/長老…ミルコ・ルートヴィヒ(T)
セルシテス…アンドレアス・ハイネマイヤー(Bs)
アガメムノン/長老…ドミニク・ヴェルナー(Bs)
バロックヴェルク・ハンブルク(古楽器使用)
イラ・ホッフマン(指)

録音:2021年3月11-13日
世界初録音
フリードリヒ2世に重用され、プロイセンの宮廷楽長を務めたカール・ハインリヒ・グラウン。その作品群の録音に熱心に取り組んでいるcpoレーベルから、オペラ 「アウリスのイフィゲニア」の世界初録音が登場。この作品はグラウンが特に高い評価を得ていたイタリア語のオペラ・セリアで、ギリシャ悲劇の一つ、ギリシャ軍 の総大将アガメムノンのためにその娘イフィゲニアがアルテミスへの生贄となる物語を題材としています。 1731年にハンブルクで上演された後、楽譜が散逸して上演機会を失っていましたが、ハンブルク所縁の作品に取り組むバロックヴェルク・ハンブルクとイラ・ ホッフマンにより復活。レチタティーヴォと3曲の合唱等の楽譜は失われたものの、序曲と35曲ものアリアなど残存する素材から再構築し、すぐれた歌手陣に よって充実した音楽を聴くことができます。
CPO
CPO-555594(3CD)
NX-G11
アンリ・デマレ(1661-1741):歌劇「シルセ」 シルセ…ルシール・リシャルド(Ms)
ユリス…アーロン・シーハン(T)
アステリー…テレサ・ワキム(S)
エルフェノール…ジェシー・ブルムバーグ(Br)
アマンダ・フォーサイス(S)
ダグラス・ウィリアムズ(Bs-Br)
ミレイユ・ルベル(Ms)
ジェイムズ・リーズ(T) 他
ボストン古楽音楽祭O(古楽器使用)
ロバート・マーリー(指)
ポール・オデット&スティーヴン・スタッブス(音楽監督)

録音:2022年8月7-19日
アンリ・デマレはルイ14世時代のフランス楽壇で高く評価され、1687年にリュリが世を去るとその後継者の一人と目されました。「シルセ」は1694年の 作品。先輩リュリが打ち立てた抒情悲劇のスタイルでドラマティックかつ格調高く書かれており、色彩豊かなオーケストラも魅力です。当盤と同じく 2022年に録音されたセバスティアン・デラン指揮の盤が最近リリースされるなど、欧米でにわかに注目を集めている模様。 当盤は、ボストン古楽音楽祭とブレーメン放送とcpoの共同制作により、ブレーメンで2週間近くをかけて収録したもの。フランスの中堅メゾ・ソプラノ、 ルシール・リシャルドが題名役を熱唱し、アメリカのテノールでグラミー賞を受賞したアーロン・シーハンらと共演しています。本拠ボストンでは2023年6 月に上演が予定されています。
CPO
CPO-555578(1CD)
NX-B02
ハンザ同盟の古都の音楽 第1集
 ヨハン・フィーアダンク (1605-1646):
1. Der Herr Zebaoth ist mit uns
 Ander Theil Geistlicher Concerten,1643
 2人のソプラノ、2人のテノール、管楽、弦楽と通奏低音のために
2. Das ist ein kostlich Ding
 Erster Theil Geistlichen Concerten,1641
 2人のソプラノ、バスと通奏低音のために
3. ソナタ4声
 Ander Theil darinnen … Capricci, Canzoni vnd Sonaten,1641
 2つのヴァイオリン、2つのツィンクと通奏低音のために
 カルパー・モヴィウス(1610-1671):
4. Schaffe in mir, Gott, ein reines Herz
 Triumphus Musicus,1640
 4声部からなる2つの合唱のために
5. Gott ist unser Zuversicht und Starke
 4声部からなる2つの合唱のために
 フィーアダンク
6. カプリッチョ イ短調
 Ander Theil darinnen … Capricci, Canzoni vnd Sonaten,1641
 2つのヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音のために
7. ソナタ ニ短調
 2つのツィンク、3つのサクバットと通奏低音のために
 オイハリウス・ホフマン(1540頃-1588):
8-11. Kompositionen fur Stralsunder Honoratioren (XXIIII Cantiones,1577)
 8. Fur Thomas Brandenburg:Doce me, Domine
 9. Fur Heinrich Busch:Cantabo Domino
 10. Fur Joachim Ketel:Vigila super nos
 11. Fur Heinrich Hagemeister:Desine ab ira
12. Ich suchte des Nachts
 Ander Theil Geistlicher Concerten,1643
 5つの声部、2つのヴァイオリンと通奏低音のために
13. ソナタ ニ短調
 Ander Theil darinnen … Capricci, Canzoni vnd Sonaten,1641
 ツィンク、3つのサクバットと通奏低音のために
14. Meine Harfe ist zur Klage worden
 Erster Theil Geistlichen Concerten,1641
 4つの声部と通奏低音のために
 モヴィウス:
15. In dich hab ich gehoffet, Herr
 Hymnodia Sacra,1639
 2人のソプラノ、バスと通奏低音のために
16. Mein Gott, warum hast du mich verlassen?
 2人のソプラノ、バスと通奏低音のために
 フィーアダンク
17. Ich beschwore euch
 Ander Theil Geistlicher Concerten,1643
 ソプラノ、アルト、テノール、5部の弦楽と通奏低音のために
18. Ich freue mich im Herren
 Hochzeitskomposition1643
 4つの声部と弦楽、管楽と通奏低音のために
ヨーロッパ・ハンザ・アンサンブル(古楽器使用)
マンフレート・コルデス(指)

録音:2022年6月7-9日
cpoの新シリーズ「ハンザ同盟の古都の音楽」がスタート。第1集はシュトラールズントです。シュトラールズントは13世紀にハンザ同盟に加入し、14世紀から 15世紀にかけて栄えました。その歴史地区はヴィスマールの歴史地区とセットでUNESCO世界遺産に指定されています。 このアルバムには同地で17世紀に活躍した作曲家たちの器楽曲と宗教的声楽作品が収録されています。声楽も器楽もヴィルトゥオーゾ的な扱いがなさ れ、当時の演奏水準の高さをうかがわせます。ヴァイオリンに加え、サクバット、ツィンクなどが初期バロックに相応しい音彩を添えています。この分野の第一人 者マンフレート・コルデスとヨーロッパ・ハンザ・アンサンブルによる演奏で。

Linn
CKD-684(1CD)
カール・シュターミッツ(1745-1801):フルート、ヴァイオリンとチェロ(または2つのヴァイオリンとチェロ)のための6つの三重奏曲 Op.14
三重奏曲 第1番ト長調
三重奏曲 第2番ハ長調
三重奏曲 第3番ヘ長調
三重奏曲 第4番ト短調
三重奏曲 第5番へ長調
三重奏曲 第6番イ長調
ラポテオーズ(古楽器使用)【ラウラ・ケサダ(フラウト・トラヴェルソ)、ビクトル・マルティネス(Vn)、カルラ・サンフェリクス(Vc)、アシス・マルケス(Cemb)】

録音:2022年3月28-31日ナショナル・センター・オヴ・アーリー・ミュージック、ヨーク、UK
バロック後期とウィーン古典派の間にあって、ドイツ語圏の器楽の発展に大きく貢献したマンハイム楽派の中心人物ヨハン・シュターミッツを父 に持ち、自身ヴァイオリンやヴィオラ・ダモーレの名手としても活躍しながらヨーロッパ各地を渡り名声を博したカール・シュターミッツ。ボッケリーニ やチマローザと同世代のこの実力派が、高まる名声を英国やオランダに伸ばそうとしていた時期にロンドンで出版された作品14の三重奏曲 集を、ここではチェンバロ入りの編成による古楽器演奏で全曲堪能できます。元の楽譜はフルート、ヴァイオリン、チェロ(または2つのヴァイオリ ンとチェロ)で演奏するようにできており低音部に数字は付されていませんが、鍵盤楽器は英国やオランダの音楽愛好家たちも好んで使った 楽器で、当時の絵にもチェンバロを加えて室内楽に興じる人々の姿が頻繁に描かれています。チェンバロを通奏低音楽器として加えることに よりアンサンブルは煌びやかで安定感が生まれ、チェロがソロとして立ち回る場面もより効果的に聴こえるのが頼もしいところ。現代楽器では 伝わりにくい音色対比や響きの溶けあいが作品の魅力を一段と引き立て、スペインの古楽器奏者たちによる巧みな演奏と相俟って、カー ル・シュターミッツの他の作品も改めて聴いてみたくなる面白さが秘められた1枚になっています。

PROSPERO CLASSICAL
PROSP-0066(1CD)
スカルラッティ父子のカンタータとソナタ
アレッサンドロ・スカルラッティ:カンタータ『行け、わが溜め息』H.53
ドメニコ・スカルラッティ:ソナタ ト短調 K.108
アレッサンドロ・スカルラッティ:カンタータ『ここにようやく落ち着いて』H.618
ドメニコ・スカルラッティ:ソナタ へ短調 K.466
アレッサンドロ・スカルラッティ:カンタータ『行け、わが溜め息』 H.54
アレッサンドロ・スカルラッティ:カンタータ『蝶はさまよい』 H.256(ドメニコ・スカルラッティのソナタ 嬰へ短調 K.25、ト短調 K.450、嬰へ短調 K.67を含む)
テンタ・ラ・フーガ[アリス・デュポール=ペルシエ(S)、ペトル・スカルカ(Vc)、ディルク・ヴェルナー(Cemb)]

録音:2021年11月23-26日スイス、バーゼル、ヴァルデンブルク
スカルラッティ一族の中でも特に有名な音楽家として知られているアレッサンドロ・スカルラッティとその息子ドメニコ・スカルラッティ 。アレッサンドロはナポリ楽派の中心的存在で、オペラ、オラトリオ、カンタータなどの声楽曲で高く評価されていました。一方ドメニコは、主にス ペインで書かれた多くの鍵盤曲で名を残しています。このアルバムでは父のカンタータと息子の鍵盤曲を組み合わせ、ひとつの作品であるかのように演奏。書法の 違いがありつつもどこか親和性のある世界が生まれています。 (Ki)

ACCENT
ACC-24395(1CD)
クヴァンツ:フルート協奏曲集
協奏曲 ト短調 QV5:196
協奏曲 ニ短調 QV5:86
協奏曲 イ短調 QV5:236
協奏曲 ト長調 QV5:173
フランク・トインス(フラウト・トラヴェルソ)
レ・ビュッファルダン

録音:2011年10月/アントワープ、AMUZ
2012年に発売された同内容のCD(ACC-24258、廃盤)の再発売です。
バロック・フルートの名手フランク・トインス&レ・ビュッファルダンによるクヴァンツのフルート協奏曲集。2012年に生誕300周年を迎えたフリードリヒ2世 のフルートの師であったことから、近年再注目の動きが熱いクヴァンツ。彼の作品は随所に散りばめられたロココ調の典雅な装飾が美しく、技巧性に富んだ旋律の 数々には聴き応えがあります。本アルバムでは、比較的多く演奏される協奏曲ト長調(QV 5:174)ではなく、むしろト長調(QV5:173)を収録していることに 注目。近年知名度が上がったとはいえ、クヴァンツの作品のみを収録したアルバムはまだまだ少なく、希少な名盤といえましょう。
フランク・トインスはクイケンにバロック・フルートを学び、アニマ・エテルナ、ラ・プティット・バンドのメンバーとしても活躍する名手。レ・ビュッファルダンは、 トインスが創設したバロック・アンサンブル団体。ドイツのフルート・ソナタ集(ACC-24194)に引き続き、今回もドイツ・バロックに焦点を当てた新譜となります。 (Ki)

PROSPERO CLASSICAL
PROSP-0069(1CD)
ヨハン・ゴットリープ・ヤニッチュ(1708-1763):室内楽作品集
フルート、オーボエ、ヴァイオリンと通奏低音のための室内ソナタ ニ長調 『こだま』
フルート、オーボエ、ヴィオラと通奏低音のための室内ソナタ ハ短調
フルート、ヴァイオリン、ヴィオラと通奏低音のためのソナタ ト長調 Op.1-2*
オーボエ・ダモーレ、2つのヴィオラと通奏低音のための室内ソナタ ホ短調 *
オーボエ、ヴァイオリン、ヴィオラと通奏低音のための四重奏曲 ト短調 『血潮したたる』
フライタクスアカデミー

録音:2022年5月22-24日/チューリッヒ放送スタジオ
*世界初録音
音楽に造詣が深くフルートの名人だったフリードリヒ大王のもとには、多くの音楽家が集まりました。ヤニッチュもまた大王の宮廷楽団に在籍していた作曲家で、 ここで「金曜アカデミー」なるものを開催し、中流階級の人々にも宮廷音楽を聴かせる場を提供していました。ここから名をとった古楽アンサンブル「フライタクス アカデミー」による、ヤニッチュの四重奏作品集です。
ヤニッチュは対位法の大家として名を知られた作曲家であり、その実力が遺憾なく発揮された4声体書法が味わえます。同時にフルートやオーボエと弦の色彩の 対比が鮮やかで、ギャラントな性格と見通しの良い和声をまとっているのも大きな特徴。充実していながらも堅苦しさのまったくない、隅々まで耳を澄まして聴き たくなるようなとても美しい音楽です。2曲は世界初録音。 (Ki)

Passacaille
PAS-1136(1CD)
ジャック=フィリップ・ラモニナリ(1707-1802):2つのヴァイオリンと低音のための6つのソナタ Op.1(1749) ヘミオリア

録音:2021年11月/フランス、アラス
※世界初録音
ジャック=フィリップ・ラモニナリは18世紀初頭に北フランスで生まれた作曲家で、ヴァイオリニストとしても活躍しました。世界初録音となるこの「作品1」は 急緩急の3楽章からなるトリオ・ソナタ6曲で構成された曲集で、ラモニナリが当時のイタリア音楽に精通していたことを伝えるものです。ラモーのようなフランス 趣味も感じますが、よりイタリアのスタイルに近い音楽と言えるでしょう。
2008年創設のフランスの古楽アンサンブル「へミオリア」は、イタリア音楽のレパートリー開拓に重きを置いて活動するグループ。同時に自国の作曲家の発掘 にも力を注いでいます。 (Ki)
Passacaille
PAS-1138(1CD)
ルネサンス期パルマ、ファルネーゼ宮廷の音楽
チプリアーノ・デ・ローレ(1515/16-1565) / ジローラモ・ダッラ・カーサ(?-1601) / オラツィオ・バッサーニ(c.1550-1615):Io canterei d’amor si novamente
リュートのロレンツィーニ(?-1608):Branle
ピエトロ・ポンティオ(1532-1596):Urbs beata Jerusalem
ファブリツィオ・デンティーチェ(1539-1581):Amor che degg’io far / Volta de Spagna
クラウディオ・メールロ(1533-1604):Dunque fia ver dicea che mi convegna / Ingiustissimo Amor, perche si raro / La Pazza
ジャケス・デ・ヴェルト(1535-1596):Il dolce sonno mi promise pace / Amor io fallo e veggio il mio fallire
サンティーノ・ガルシ・ダ・パルマ(1542-1604):Ballo del Serenissimo Duca di Parma
ゴットフリート・パーマーツ(fl.1576-1578):Gloria
ジョスキーノ・ペルソエンス(c.1530-c.1590):Nell’aria in questi di
ジョルジョ・マイネリオ(c.1535-1582):La Fiamenga
クラウディオ・メールロ:Sa questo altier ch’io l’amo e ch’io l’adoro
チプリアーノ・デ・ローレ / ジローラモ・ダッラ・カーサ:Qual’e piu grande o amore
フローリス・デ・レイケル(リュート、ルネサンスギター)
ラタス・デル・ビエホ・ムンド

録音:2022年7月3-5日/ベルギー、リール、イエズス会教会
16世紀のパルマは、ファルネーゼ家のもと一流音楽の名所として発展していました。その宮廷には多くの名音楽家が集結し、器楽やマドリガーレの発展に大き な影響を与えています。その熱気が感じられる、パルマの音楽遺産の豊かさを再発見するアルバムです。 (Ki)

Challenge Classics
CC-72938(1CD)
ダウランド:『ラクリメ、或いは7つの涙』(1604)
古い涙
ジョン・スーチ卿のガイヤルド
新たな古い涙
デンマーク王のガイヤルド
ため息の涙
エセックス伯のガイヤルド
哀しみの涙
ジャイルズ・ホビー氏のガイヤルド
偽りの涙
トマス・コリアー氏のガイヤルド
愛の涙
ニコラス・グリフィス氏のガイヤルド
真実の涙
ディゴリー・パイパー船長のガイヤルド
ダウランドはいつも哀しむ
ジョージ・ホワイトヘッド氏のアルマンド
ヘンリー・アンプトン卿のガイヤルド
ヘンリー・ノエル氏のガイヤルド
ジョン・ラングトン氏のパヴァーヌ
バクトン氏のガイヤルド
ニコルズ夫人のガイヤルド
ジャドラン・ダンカム(Lute)
アル ベルト・ラージ(トレブ ル・ヴィオー ル )
アッカデミア・ストゥルメンターレ・イタリアーナ

録音:2023年1月19-22日/イタリア、ヴェローナ、ナザレ教会
ヴィオールをメインに自在な編成で活動するイタリアの名アンサンブル「アッカデミア・ストゥルメンターレ・イタリアーナ」。バッハの『フーガの技法』(CC-72842 / KKC-6275)、ラモーの『コンセール集』(CC-72905 / KKC-6507)に続くChallengeレーベル第3弾はダウランドの名品『ラクリメ』! ドイツでもフランスでも常に「お国もの」の固定観念を超えた正攻法にしてハイレベルな古楽演奏を聴かせてきた彼ら、今作も注目必至の完成度です。
ダウランドは1598年から1606年まで、デンマーク王クリスチャン4世の宮廷リュート奏者を務めました。『ラクリメ、或いは7つの涙』は1603年から 1年間ロンドンに滞在したときに出版され、クリスチャン4世の妹アンネに捧げられています。編成はヴィオール5パートとリュートという類を見ない珍しいもので、 ダウランドの出版作品の中で唯一のヴィオール合奏曲でもあります。
スコアは各パートが向きを変えて印刷されていて、テーブル中央に置いた1冊の楽譜を6人の奏者がぐるりと囲んで演奏できるようになっています。これに より楽器の並び方が決まり、奏者間のコミュニケーションにも形が生まれてくるのが面白いところです。
流動的にたゆたうヴィオール合奏と装飾的で瞬発力のあるリュートが織り成す対話は、永遠をおもわせる美しさを持ちながらも、ときに刺激的で斬新。ラージ 率いる盤石のヴィオール群と若き名手ジャドラン・ダンカムのまばゆい閃きに満ちたリュートが、この名作をより深く、より哀しく、よりあたたかく、現代に解き 放ちます。 (Ki)

Evil Penguin Records
EPRC-0052(1CD)

KKC-6723(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価
ドイツ音楽集
(1)バッハ:ブランデンブルク協奏曲第5番 ニ長調 BWV1050
(2)テレマン:フルート、ヴァイオリンとチェロのための協奏曲 イ長調 TWV53:A2(ターフェルムジークより)
(3)バッハ:管弦楽組曲第2番ロ短調 BWV1067
(4)テレマン:4声のソナタ第2番ト短調 TWV43:g1(パリ四重奏曲第4番)
(5)ステファン・ヨハネス・ハンケ(1984-):Starfish Rebellion II(ヒトデの反逆II
ヴェリタ・バロック・アンサンブル

録音:(1)2022年6月8日ドイツ、ケーテン城
(2)2022年7月27日ドイツ、ゾンダースハウゼン城
(3)2022年11月16日ドイツ、ラティンゲン、ヴァッサーブルク・ハウス・ツム・ハウス
(4)2022年4月26日ドイツ、ヴォルフスブルク城
(5)2022年12月16日ドイツ、ゾンダースハウゼン城
フルーティストのタヤ・ケーニッヒ=タラセヴィチと、チェリストのバルトロメオ・ダンドロ・マルケージによってパンデミック中に設立された新進古楽アンサンブル 「ヴェリタ・バロック」によるデビュー盤。
バッハとテレマンの作品をゆかりのバロック様式のお城で録音するという贅沢な試みで、それぞれの場所で異なる音響効果が感じられます。演奏がまた魅力的。 構えてしまいがちな名曲を並べていながら、肩肘はらないリラックスした柔軟な語り口。豊かな残響ともきれいに溶け合っています。
最後にアンサンブルのレジデンス・コンポーザーであるSJハンケの委嘱作品を収録。バロック編成のために書かれ、始めこそユニゾンを軸としたトゥッティを思 わせますが、大胆な発想と爽快な疾走感でぐんぐん音楽が前進。各楽器のソロが入り乱れるネオ合奏協奏曲といった趣も。アルバム全体を通して、若い音楽家のあ ざやかな視点に目の醒める思いがする1枚です。 (Ki)

ANIMAL MUSIC
ANI-108(1CD)
「バロック時代のプラハの音楽」
ヨハン・カスパール・フェルディナント・フィッシャー(1656-1746):「オ・クルークス・ヴェネラビリス」
 「クルークス・トゥア、ドミネ」
 6声のソナタ
フェルディナント・トビアス・リヒター(1651-1711):モテット「ネポムクの聖ヨハネ」
 モテット「聖母マリア」
ゲオルク・ロイター(1656-1738):モテット「教会の献堂式の続唱」
ベネディクト・アントン・アウフシュナイター(1665-1742):奉献唱「パシオーネ・ドミニ」
アンナ・フラヴェンコヴァー(S)
ペトラ・ノスカイオヴァー(メゾ・ソプラノ)
ルボミール・モラヴェツ(C.T)
スタニスラフ・プシェドタ(T) ミハル・ポスピーシル(Bs)
ズザナ・オンドシェチコヴァー(バロック・ヴァイオリン)
イジナ・シュトリンクロヴァー(バロック・ヴァイオリン)
ダグマル・ヴァレントヴァー(バロック・ヴァイオリン)(3)
カテジナ・トルナヴスカー(バロック・ヴィオラ)
インゲボルグ・ラドク・ジャドナー(バロック・チェロ、ヴィオラ・ダ・ガンバ)
ペトル・ソルニチュカ(ヴィオローネ、ヴィオラ・ダ・ガンバ) プジェミスル・ヴァチェク(アーチ・リュート)
ムジカ・アンティカ・プラハ、パヴェル・クリカル((指)オルガン)

録音:1996年5月/ネポムク市音楽ホール(旧聖ヨハネ神学校教会)、フラデツ・クラーロヴェー
このアルバムには、プラハの赤星十字騎士団修道院(旧フランシスコ・クレア修道院)のアーカイブからムジカ・アンティカ・プラハが1996年に録音したバロッ ク時代のプラハの音楽を収録。「オ・クルークス・ヴェネラビリス」、「クルークス・トゥア、ドミネ」は1997年にリリースされていますが、残りの5作品はこの度初 CD化されます。
1982年から1997年までの15年間、パヴェル・クリカル率いるムジカ・アンティカ・プラハは、17世紀初頭から18世紀初頭のバロック音楽の復活蘇演と 録音に力を入れていました。クリカルは1920年代のアメリカのジャズとダンス音楽の演奏で有名なオリジナル・プラハ・シンコペーテッド・オーケストラのバンド リーダーとして活躍した音楽家で、トランペット、ピアノ、オルガンなどを演奏するマルチな才能の持ち主。様々なジャンルを演奏してきたクリカルだからこそ表現で きる自然で自由な解釈が魅力です。バロック時代のプラハの音楽の繁栄を象徴する作品がここに蘇ります。

APARTE
AP-334(1CD)
音楽の四つ葉のクローバー
ダニエル・シュペール:おお素晴らしき日
あなたは身籠るだろう
トッカータ ex D.f
イエスはわが希望
5声のソナタ〜2本のコルネットと3本のトロンボーンのための
見よ、義人がいかに死すかを
4本のトロンボーンのためのソナタ
3人の悩める職人による
3本のファゴットのためのソナタ
マイエンとグククスの歌
舞踊組曲【バレ/サラバンド/メヌエット】
3人の悩める兄弟
舞踊組曲【ソナチナ/バレ/クーラント/ガヴォット/サラバンド/ジグ】
マルク・ポシャール(指)
カペラ・イティネリス

録音:2022年12月7-10日マーラー・ホール(ドッビアーコ)
ダニエル・シュペール(1636-1707)はドイツ・バロックの作曲家で笛吹き。音楽のみならず、冒険小説作家、政治評論家としての顔を持つ才人でした。彼の 作品をピリオド楽器で奏した注目盤の登場です。
カペラ・イティネリスは、バーゼル・スコラカントールムの仲間たちにより2016年に結成されたリコーダーとコルネット合奏団。旅を意味するグループ名は、彼 らがバーゼルからローザンヌまで2週間かけて徒歩で旅行したことがグループ結成につながったとのことで、「古楽と旅行のアンサンブル」と名乗っています。
シュペールの宗教音楽以外は独特なユーモアと風刺の感覚に満ちていて興味津々。カペラ・イティネリスも才気煥発で、独創的な音楽を存分に味わえます。

PAN CLASSICS
PC-10447(1CD)
カルダーラ:バスのためのアリア集
歌劇『神々の争い』(1723)より
アリア「Su cedete al dio dell’armi」
歌劇『テミストクレス』(1736)より
レチタティーヴォ「Cosi dunque tradisci」とアリア「Aspri rimorsi atroci」
歌劇『カイオ・マルツィオ・コリオラーノ』(1717)より
アリア「Tronchi, si, la falce irata」
歌劇『ミトリダーテ』(1728)より
アリア「Vedea modesto volto」
歌劇『スペインのシピオーネ』(1722)より
アリア「Minaccera le sponde」
歌劇『オーリードのイフィジェニー』(1718)より 序奏
歌劇『アフリカのシピオーネ』(1735)より
アリア「Quanto ria tal pena sia」
歌劇『イル・バティスタ』(1727)より
アリア「Piu di belva」
歌劇『サンタ・フェルマ』(1717)より シンフォニア
歌劇『キリストの神殿奉献』(1735)より
レチタティーヴォ「Sapienza increata」とアリア「Quando il tenero tuo labbro」
歌劇『ニトクリス』(1722)より
アリア「Furie implacabili」
アレクサンドル・バルド(Bs-Br)
アンサンブル・モザイク

録音:2022年5月23-25日/オーストリア、聖フローリアン修道院
ドゥセ率いるアンサンブル・コレスポンダンスの常連でもあるバス歌手アレクサンドル・バルド。彼は自らウィーン国立図書館でアントニオ・カルダーラの声楽曲の写本を調査し、その名人芸と表現力に富んだバスのアリアの数々に感銘を受けたといいます。カルダーラはヴェネチア出身ですが創作の大半を ウィーン宮廷楽団のために行った作曲家で、バスのためのアリアはこの宮廷楽団に在籍していた名バス歌手、クリストフ・プラウン(Christoph Praun1696-1772)を意識して書かれたもの。充実した声楽書法がこのプラウンの類まれな才能を物語っています。 (Ki)

ARCANA
A-547(1CD)

NYCX-10405(1CD)
税込定価
フレスコバルディと南イタリアの作曲家たち 〜16-17世紀ナポリ前衛音楽の影響〜
フレスコバルディ:トッカータ 第1番(1615)
ジョヴァンニ〔ジャン〕・ド・マック(1550頃-1614):レ・ファ・ミ・ソの調べによるカプリッチョ
ド・マック:風変わりな協和音(1600頃)
ド・マック:ガリアルダ 第1番
ロッコ・ローディオ(1530頃-1620頃):リチェルカータ 第3番(1625)
フレスコバルディ:トッカータ 第10番(1615)
シピオーネ・ステッラ(1558-1642):ロマネスカの調べによるパルティータ
フランチェスコ・ロンバルド(1587-1642):トッカータ
ロンバルド:ガリアルダ
フレスコバルディ:ルッジェーロの調べによるパルティータ(1616)
フレスコバルディ:「ラ・バッターリャ(戦い)」の調べによるカプリッチョ(1637)
フレスコバルディ:舞踏曲〜チャッコーナ(1637)
ミケランジェロ・ロッシ(1601頃-1656):トッカータ 第1番(1634頃)
フレスコバルディ:ガリアルダ 第2番(1627)
ベルナルド・ストラーチェ(生歿年不詳、17世紀中盤に活躍):チャッコーナ(1664)
M.ロッシ:コルレンテ 第3番(1634頃)
フレスコバルディ:トッカータ 第9番「最後まで弾けば疲れなしには済まされず」(1627)
フレスコバルディ:ドゥレッツェを用いたカプリッチョ 第9番(1624)
フレスコバルディ:トッカータ 第7番(1627)
フレスコバルディ:リチェルカール「第5声部は鍵盤で弾かずに歌い手に任せること」(1635)
フレスコバルディ:ガリアルダ 第5番(1627)
ジョヴァンニ・サルヴァトーレ(17世紀初頭-1688頃):第9正格旋法によるフランス風カンツォーナ 第2番(1641)
フレスコバルディ:パッサカリアの調べによる100のパルティータ(1637)
フランチェスコ・コルティ(Cemb) A=440Hz ミーントーン
使用楽器:ルバルバストル(フランス)のフィリップ・ユモー2005年製作[2-5、7-9、18]
ルバルバストル(フランス)のフィリップ・ユモー2007年製作[1、6、10-17、19-23]
アンドレス・ロカテッリ(リコーダー)…20

録音:2022年9月7-10日 サンテーユ聖母教会、シラン(フランス南部ラングドック地方エロー県)
収録時間:81分

※国内仕様盤解説日本語訳…白沢達生
2018年の単独来日で話題を呼び、ARCANA-レーベルではヘンデル『八つの組曲』(A499/NYCX-10285)が大きなヒットとなったイタリアの実力派チェン バロ奏者フランチェスコ・コルティ。古楽器楽団イル・ポモ・ドーロとのバロック・オペラやバッハ協奏曲でも名盤を連発していますが、今回は古楽鍵盤奏者として の原点に立ち返り、17世紀前半にローマ教皇庁のオルガン奏者として活躍しバロック鍵盤音楽史上に不滅の地位を築いたフレスコバルディに迫ります。この 重要作曲家の精巧にして多面的な音楽語法は無から生じたわけではなく、前世紀以来ナポリで育まれていた、不協和音を多用する実験精神旺盛な鍵 盤技法から大きな影響を受けていたことが音楽史研究の末明らかになっていますが、ここでは具体的な作品の演奏を通じてその影響関係を探求。バロック 期のイタリアのモデルに基づく2台のチェンバロを駆使し、1600年前後の和声感覚に立ち返って織り上げられる高雅な解釈に触れるうち、フレスコバルディの 傑作群という金字塔的存在の「下絵」が明かされてゆくような、発見に満ちた選曲と曲順となっています(有名なトッカータや変奏曲が多数含まれている点も 好感度大)。欧州古楽界に数多くの愛奏者を持つ名工フィリップ・ユモーが手掛けた楽器はいずれも、イタリア式楽器ならではの鋭角的な音の立ち上がりが 急速なパッセージで粒立ちの良さを失わないばかりか、各音に含まれる豊饒な音色成分がこの上なく魅力的。数々の古楽名盤の録音場所にもなっている 教会のほどよい残響をよく伝える、ALPHAレーベルでの活躍も目覚ましいエンジニア吉田研の精妙な仕事も頼もしい1枚です。

RAMEE
RAM-2104(1CD)
アントニオ・ペレイラ・ダ・コスタ:合奏協奏曲集
合奏協奏曲集Op.1(1741)より
協奏曲第7番ヘ長調
協奏曲 第8番ハ短調
協奏曲 第9番イ長調
協奏曲 第6番ロ短調
協奏曲 第5番ト短調
協奏曲 第10番ハ長調
アンサンブル・ボンヌ・コルド(古楽器使用)【サラ・デコルソ、ダイアナ・リー(Vn独奏)、ディアナ・ヴィナグレ(Vc独奏、芸術監督)、フェルナンド・ミゲル・ジャロト(オルガン、チェンバロ、楽譜校訂)】

録音:2021年10月25-28日 メニーノ・デウス教会、リスボン
バッハやヘンデルより12歳年下(タルティーニやクヴァンツらと同世代)で、ポルトガル領マデイラ島の中心都市フンシャルの大聖堂で楽長をし ていた謎多き作曲家ペレイラ・ダ・コスタによる合奏協奏曲集。作曲家の生涯についてはほとんど判っていませんが、ここに収録されている作 品は1741年、歴史的にポルトガルと縁が深かった英国の王都ロンドンで刊行された曲集からとられています。ヴァイオリン2挺とチェロを独奏 楽器群として弦楽合奏と対置させた合奏協奏曲形式は、1714年に出版されたコレッリの先例に続いて英国では根強い人気を保ってお り、ペレイラ・ダ・コスタの作例もその形式を踏襲していますが、均整のとれたコレッリ流のバランス感覚に貫かれていながら野趣あふれる音使い も随所で聴かれ、演奏の細やかさとあいまって作曲者の知名度の低さとは無縁の音楽的興奮が詰まっており興趣が尽きません。1738年に 同じロンドンで刊行されていたスペイン宮廷の名手ドメニコ・スカルラッティの鍵盤ソナタやその翌年に出たヘンデルの合奏協奏曲集Op.6、ス カルラッティのソナタ群を下敷きにして1744年に刊行されたエイヴィソンの合奏協奏曲集などと聴き比べればさらに興味深いことでしょう。近 年ヨーロッパ各地の古楽拠点への進出で躍進めざましいポルトガルの名手たちを中心とするアンサンブル・ボンヌ・コルドは、独奏楽器群の他 は各パート一人ずつの弦楽編成と撥弦楽器を添えた通奏低音陣で、全体に室内楽的な緊密さを生かしたスリリングな名演に仕上がってい ます。

Glossa
GCD-921305(1CD)
ダビデハープ〜2台のハープのための協奏曲集
ヴァイス:パルティータ ニ長調(ヘ長調に移調)
作者不詳:アントレー第14番、メヌエット第16番、メヌエット第11番、アリア第12番、アリア第1番、ブーレ第5番
カイエターノ・シェガ:前奏曲
作者不詳:ソナタ第1番、アリア第8番ブーレ
ヨハン・カスパール・フェルディナント・フィッシャー(1656-1746):ハープ前奏曲
ヴァイス:協奏曲 Dal Weiss S.、前奏曲ヘ長調
バッハ:イタリア協奏曲 BWV971
マラ・ガラッシ(Hp)、
フローラ・パパドプーロス(Hp)

録音:2021年8月、サン・バルトロメオ・アポストロ教会(ノマーリオ、イタリア)
イタリアが生んだバロック・ハープの第1人者、そして日本が世界に誇るハーピスト、長澤真澄、西山まりえ両氏の師匠として古楽ファンにお馴染みのハープ奏者マラ・ガラッシ。悲劇の女王マリー・アントワネットがヴェルサイユ宮殿で聴いたハープの調べを再現するという壮大な企画「天空のハープ」(GCD- C81302)で大きな反響を呼んだマラ・ガラッシの新たなアルバムは、ギリシャ出身でミラノ市立音楽院における教え子の一人でもある、フローラ・パパドプーロスとのデュオ・アルバム。
バロック期のドイツでは、「ダビデハープ」(ダビデ王が描かれ、ブレイ・ピンにより意図的にビリついた音を出す造りを持ったハープ)をはじめ、様々なタイプのハープが使用されてきました。本アルバムでは、これまであまり知られていなかったドイツのレパートリーをこの時代の5種類のハープを用いて紹介する好企画。作品は、ドレスデンの "Musikalische Rustkammer"、シレジアの修道士ピウス神父のコレクションなど、ドイツの様々なコレクションから提供されています。アルバムの最後に収録されているイタリア協奏曲は、ハープ写本やリュート二重奏曲のスタイルをもとに彼女たちが編曲したものです。

fra bernardo
FB-2388771(1CD)
ヤコブス・バルビロー(c.1455-1491):ミサ曲&モテット集
キリエ・パスカレ(4声)
モテット 「Osculetur me」 (4声)
ミサ曲 「Faulx perverse」 (4声)(世界初録音)
ビューティー・ファーム〔マッテオ・ピガート(C.T)、アヒム・シュルツ(T)、フィリップ・カヴェン(Br)、ティム・スコット・ホワイトリー(Bs)、ヨアヒム・ヘフバウアー(Bs)〕

録音:2023年1月、マウアーバッハ・カルトジオ会修道院(オーストリア)
"ビューティー・ファーム"は、2014年に設立された男声ヴォーカル・アンサンブル。コレギウム・ヴォカーレ・ヘントやチンクエチェント、グランドラヴォア、カピラ・フラメンカ、ウエルガス・アンサンブルなどの一流合唱団、アンサンブルで活躍してきたメンバーでスタートし、オーストリア、マウアーバッハのカルトジオ会修道院を拠点に、ルネサンス期のフランコ=フレミッシュ・ポリフォニーの音楽を中心に歌っています。これまで、オケゲム、ラ・リュー、オブレヒトといったルネサンスの巨匠や知られざるフランドル楽派のミサ曲の録音で評価を重ねると、2021年にリリースされたパレストリーナの「教皇マルチェルスのミサ」(PFB2017671)でその名声をさらに高めてきました。
最新作となる本アルバムでは、南ネーデルラント出身のルネサンス音楽の作曲家、ヤコブス・バルビロー(ジャック・バルビロー)のミサ曲とモテットを取り上げています。バルビローは、神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世から優れた歌手としても高い評価を得ており、アントワープ(アントウェルペン)大聖堂の聖歌隊長職も務めていたとされています。現存する作品は非常に少ないですが、3つの世俗歌曲は、ハインリヒ・イザークやヤーコプ・オブレヒトがパロディ・ミサの作曲に利用するなど、キーゼヴェッターやフェティスといった近代の研究家からも、フランドル楽派の至高の作曲家の一人として認められています。若くしてこの世を去ったフランドル楽派の重要な作品を、ビューティー・ファームは、このレコーディングを通して印象的に示しています。

Forgotten Records
fr-1891(1CDR)
パレストリーナ:ミサ曲集
教皇マルチェルスのミサ
聖母被昇天ミサ「マリアは天に昇らされたまいぬ」
フェルディナント・グロスマン(指)
ウィーン・プロ・ムジカcho

録音:1956年
※音源:Vox PL 10020

Hanssler
HC-22084(1CD)
ラ・クレモナ〜イタリアの協奏曲集
(1)ドゥランテ:弦楽と通奏低音のための協奏曲 ト短調
(2)レーオ:4つのヴァイオリンと通奏低音のための協奏曲 ニ長調
(3)ヴィヴァルディ:3つのヴァイオリン、弦楽と通奏低音のための協奏曲 ヘ長調 RV551
(4)ヴィヴァルディ:4つのヴァイオリン、ヴィオラと通奏低音のための協奏曲 ロ長調 RV553
(5)ロカテッリ:4つのヴァイオリン、弦楽と通奏低音のための協奏曲 ヘ長調 Op.4-12
(6)サンマルティーニ(1700-1765):4つのヴァイオリン、弦楽と通奏低音のための協奏曲 イ長調*
ラインハルト・ゲーベル(指)
ベルリン・バロック・ゾリステン【クシシュトフ・ポロネク(1)(6)(コンサートマスター)、町田琴和(2)(3)(4)(5)(6)、ドリアン・ジョジ(2)(3)(4)(5)(6)、ライマー・オルロフスキー(1)(2)(5)、クリストフ・シュトロイリ(4)(6)、アンジェロ・デ・レーオ(2)(3)(4)(5)、ヨハンナ・ステムラー、アンナ・マッツ(Vn)、ヴァルター・キュスナー、ユリア・ガルテマン(Va)、クリスティン・フォン・デア・ゴルツ、クレメンス・ヴァイゲル(Vc)、ウルリヒ・ヴォルフ(ヴィオローネ)、ラファエル・アルパーマン(Cemb)】

録音:2022年10月13-17日/b-sharpスタジオ(ベルリン)
*=世界初録音
積極的な録音が続いている名門ベルリン・バロック・ゾリステン。当アルバムは17世紀〜18世紀に活躍したフランチェスコ・ドゥランテ、レ オナルド・レーオ(1694-1744)、アントニオ・ヴィヴァルディ、ピエトロ・ロカテッリ、ジョヴァンニ・バッティスタ・サンマルティーニ(1700-1765)がそれぞれ作曲した3挺または4挺のためのヴァイオリン協奏曲集です。華麗で快活なヴァイオリンの魅力が詰まった実に美しい協奏 曲を現代の名手が見事に演奏しております。 (Ki)

WAON RECORDS
WAONCD-550(1CD)
(HQCD)
フランスバロック・ソナタの展翅(てんし)
アンヌ・ダニカン・フィリドール (1681-1728):リコーダーのためのソナタ
ニコラ・シェドヴィル (1705-1782):〈ヴィヴァルディの忠実な羊飼い〉より ソナタ 第4番
マラン・マレ:マレ風ソナタ
ジャンバティスト・カナヴァス (1713-1784):チェロ・ソナタ 作品2の1
フランソワ・クープラン:恋する小夜鳴鳥
ジャック・オトテール:組曲ソナタ 作品5の4
本村睦幸 (リコーダー)
ジュゴンボーイズ【山本徹(Vc), 根本卓也(Cemb)】

録音:2021年12月13-15日、千葉市美浜文化ホール 音楽ホール
リコーダー奏者本村睦幸の最新盤は、フランスバロック・ソナタの展翅(てんし)と題した1枚。展翅(てんし)とは、標本などにするため、昆虫などの羽をひろ げること。フランス趣味・イタリア趣味の「ソナタ」に、性格的小品もまじえて、美しい1枚の絵のようにプログラムされています。
フィリドールのソナタは、「リコーダー」を楽器指定しているフランスの楽曲。シェドヴィルの作品は、ヴィヴァルディの作品13と偽って出版されたもので、当時 のフランスでヴィヴァルディの作品と思われていた曲を元にアレンジした楽章と、シェドヴィル自身による楽章を交えた構成。材料はイタリアですが、フランスのロコ コ趣味が色濃く反映されたユニークな作品です。マレの作品はもともとはヴァイオリンとヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのための作品ですが、ヴァイオリンのパー トはトラヴェルソでもほぼ演奏可能、そしてここではトラヴェルソと同じ音域のリコーダーを用いて演奏しています。イタリアに生まれフランスに帰化したカナヴァス の作品、さらにクープランの描写的小品をはさんで、最後はオトテールのソナタでディスクが締めくくられます。1枚全体が美しい絵画かタペストリーのよう。どの 曲も心地よい素朴さ、典雅な風合いに満ちており、親密なアンサンブルにも非常に好感がもてます。 (Ki)

RICERCAR
RIC-451(3CD)
NX-D09
マラン・マレ:ヴィオール曲集 第5巻(1725/全曲)
【DISC1】
1-13. 組曲 イ長調
 1. Prelude プレリュード (17)
 2. Allemande アルマンド (18)
 3. Sarabande サラバンド (19)
 4. Gigue ジグ (20)
 5. Marche a la Turque トルコ風の行進曲 (21)
 6. Gavotte ガヴォット (22)
 7. Menuet ムニュエ(メヌエット)(23)
 8.2e Menuet & Double 第2ムニュエとドゥーブル (24&25)
 9. La petite Bru, Air gracieux 優美なエール「息子の愛らしき嫁」(26)
 10. Fantaisie ファンタジア (27)
 11. Grand Rondeau 大ロンド (28)
 12. La Babillarde & Double
   ラ・バビヤルド(おしゃべり好き)とドゥーブル (29&30)
 13. Chaconne シャコンヌ (31)
14-26. 組曲 ニ長調
 14. Prelude プレリュード (47)
 15. Allemande la Flateuse アルマンド「追従」(48)
 16. Sarabande サラバンド (49)
 17. Gigue ジグ (50)
 18. Gavotte ガヴォット (51)
 19. Menuet ムニュエ (52)
 20.2e Menuet 第2ムニュエ (53)
 21. La Fromental & Double
   ラ・フロマンタル(小麦向きの土壌)とドゥーブル (54&55)
 22. Chaconne シャコンヌ (56)
 23. Fantaisie & Double ファンタジアとドゥーブル (58&58b)
 24. Allemande La Dornel アルマンド「ドルネル」 (59)
 25. Allemande dans le gout des Anciens
   昔日の人々の趣味に合わせたアルマンド (60)
 26. Rondeau Le Brillant ロンド「華麗」(62)
27-37. 組曲 ト短調
 27. Prelude プレリュード (63)
 28. Fantaisie ファンタジア (64)
 29. Allemande La Freval des Loges
   アルマンド「フレヴァル・デ・ロージュ」(65)
 30. Sarabande サラバンド (66)
 31. Gigue la Pagode ジグ「パゴダ(東洋の人形)」(67)
 32. Gavotte ガヴォット (68)
 33. Menuet ムニュエ (69)
 34. Allemande La Marianne アルマンド「マリアンヌ」 (70)
 35. Tombeau pour Marais le Cadet
   若きマレを悼むトンボー(71)
 36. Rondeau le Badin ロンド「道化者」 (72)
 37. La Georgienne ou la Maupertuy
   ラ・ジョルジエンヌ(ジョージア風)またはラ・モーペルテュイ (73)
【DISC2】
1-20. 組曲 ト長調
 1. Prelude プレリュード (74)
 2. Allemande La Fiere アルマンド「高慢」(75)
 3. Sarabande サラバンド (76)
 4. Gigue la precieuse ジグ「高級」(77)
 5. Gavotte ガヴォット (78)
 6.2e Gavotte legere 軽やかな第2ガヴォット (79)
 7. Menuet ムニュエ (80)
 8.2e Menuet 第2ムニュエ (81)
 9. Rondeau le Troilleur ロンド「ぶどう踏み」(82)
 10. Chaconne シャコンヌ (83)
 11. La Tatillone 狭量 (84)
 12. Saillie du Jardin 庭園の高台 (85)
 13. Gigue la pointilleuse ジグ「目打ち」 (86)
 14. Le Jeu du Volant 空を飛べる者たちの戯れあい (87)
 15. Allemande Poisat アルマンド「ポワザ」 (88)
 16. Basse variee pour la viole ヴィオールのための低音部変奏 (88a)
 17. Le Rondeau Villeneuve ロンド「ヴィルヌーヴ」 (89)
 18. Le petit Badinage 些細な冗談 (90)
 19. Dialogue 対話 (91)
 20. La Poitevine ポワトヴィーヌ(ポワトゥー風) (112)
21-40. 組曲 ホ短調
 21. Prelude プレリュード (92)
 22. Allemande La Beuron アルマンド「ブーロン」(93)
 23. La Simplicite Paysanne 農民らしい朴訥さ(94)
 24. Allemande la Baily Duchene アルマンド「ラ・バイー・デュシュネ」 (95)
 25. Gavotte Singuliere 風変わりなガヴォット(96)
 26.2e Gavotte La Mignone 第2ガヴォット「愛らしさ」 (97)
 27. Sarabande サラバンド (98)
 28. Menuet ムニュエ (99)
 29.2e Menuet 第2ムニュエ (100)
 30. Resveries Mesplaiziennes 楽しくない夢想のあれこれ (101)
 31. Marche Persane la Savigny ペルシャ風の行進曲「ラ・サヴィニ」(102)
 32. Rondeau Le Plaisant ロンド「楽しさ」(103)
 33. Gigue la resolue ジグ「決然」 (104)
 34. Les Amusements さまざまな愉しみ (105)
 35. Le Contraste 対比 (106)
 36. Le Caprice Bellemont カプリース「ベルモン」 (107)
 37. Le Tableau de l’Operation de la Taille
   膀胱結石摘出手術の図 (108)
 38. Les Relevailles 快癒 (109)
 39. Suitte その続き (110)
 40. Suitte さらにその続き (111)
【DISC3】
1-5. 組曲 ニ短調
 1. Le Tact 触覚 (114)
 2. La meme piece rendue facile 「触覚」を弾きやすくした版 (115)
 3. La Paraza パラザ (113)
 4. Caprice カプリース(気まぐれ) (61)
 5. Variations sur une basse contrainte オスティナート変奏曲 (57)
6-18. 組曲 ヘ長調
 6. Prelude プレリュード (32)
 7. Allemande la bois Guillaume アルマンド「ギヨームの森」(33)
 8. Sarabande サラバンド (34)
 9. La Demoi Gigue ジグ「ドゥモワ」 (35)
 10. Menuet ムニュエ (36)
 11.2e Menuet & Double 第2ムニュエとドゥーブル (37&38)
 12. Gavotte ガヴォット (39)
 13. Rondeau Paysan ロンド「農民(田舎風)」(40)
 14. Rondeau le doucereux ロンド「優しさ」 (41)
 15. Idee Grotesque & Double
   イデ・グロテスク(突飛な考え)とドゥーブル (42&43)
 16. Les Forgerons 鍛冶屋たち (44)
 17. Le Toucher du clavecin クラヴサンの演奏 (45)
 18. Prelude en harpegement 分散和音によるプレリュード (46)
19-35. 組曲 イ短調
 19. Prelude le Soligni プレリュード「ソリニ」(1)
 20. Allemande la Facile アルマンド「平易」 (2)
 21. Sarabande サラバンド (3)
 22. La Mariee (4)
 23. Gavotte ガヴォット (5)
 24. Gigue ジグ (6)
 25. Menuet & Double ムニュエとドゥーブル (7)
 26.2e Menuet 第2ムニュエ (8)
 27. La Sincope 裏拍 (9)
 28. Petit Caprice 小さなカプリース (10)
 29. Rondeau ロンド (11)
 30. La Bagatelle バガテル(遊び心) (12)
 31. Fantaisie ファンタジア (12b)
 32. Grande Gavotte 大ガヴォット (13)
 33. Gigue La Mutine ジグ「暴徒」 (14)
 34. Rondeau moitie pince et moitie coup d’archet ou
tout coup d’archet si l’on veut
   ロンド、半分はピツィカートで半分は弓奏、もしくは好み次第で全て弓奏でもよし (15)
 35. Prelude en harpegement
   分散和音によるプレリュード (16)
フランソワ・ジュベール=カイエ(バス・ド・ヴィオール〔=ヴィオラ・ダ・ガンバ〕)

ラシェロン(古楽器使用)【マリー=シュザンヌ・ド・ロワ、アンドレアス・リノス(バス・ド・ヴィオール)、ミゲル・アンリ(テオルボ、テオルブ・ド・ピエス〔=フランス式小型テオルボ〕、バロックギター)、アンドレ・ハインリヒ(テオルボ)、フィリップ・グリスヴァール(クラヴサン〔チェンバロ〕)】

録音:2021年5月、8月サンテーユ聖母教会、シラン(南仏ラングドック地方エロ―県)
フランス・バロックの大家マラン・マレが生前に出版した500曲あまりのヴィオール作品の全てを録音するという前人未踏の挑戦を2014年から 続けてきたフランスの名手フランソワ・ジュベール=カイエが、ついに最終巻となる第5巻をリリース。フランス王室楽団の指揮者をしながら、自 身ヴィオールの名演奏家として「天使のごとく弾く」と讃えられ、太陽王ルイ14世の寝室で入眠間際まで演奏を聴かせたこともあったマレ。フラ ンス宮廷風かつユニークな書法を駆使して描かれたヴィオール曲の数々の中でも、晩年に出版された第5巻はマレの作曲家人生の集大成 ともいうべき存在。ジュベール=カイエは共演する通奏低音奏者と楽器の組み合わせを組曲ごとに変え、圧巻の技量で細部まで解像度高 くもスケール感豊かに聴かせます。その演奏解釈はますます冴えわたり、1分程度の小品からポワトゥー風組曲のような長めの作品まで、まさ に新時代の決定版と呼ぶにふさわしい名演。楽譜に記された説明の朗読とともに奏でられる有名な「膀胱結石摘出手術の図」でも、惚れ 惚れするほどの気品がさながら上質のバロック絵画のごとく場面の生々しさを際立たせ、精妙な通奏低音とともにバロック期の宮廷文化の気 配を脈々と伝えてやみません。演奏者自身による解説(仏語・英語)は今回も読みごたえ十分。

Dynamic
DYNDVD-37983(2DVD)
NX-D05

DYNBRD-57983(Bluray)
NX-D05
カヴァッリ(1602-76):歌劇「セルセ」 セルセ・・・・・・・・・カルロ・ヴィストーリ(C.T)
アマストレ・・・・・・エカテリーナ・プロツェンコ(S)
アルサメーネ・・・・ガイア・ペトローネ(Ms)
ロミルダ・・・・・・・・カロリーナ・リッポ(S)
アデランタ・・・・・・ディオクレア・ホッジャ(S)
アリオダーテ・・・・カルロ・アッレマーノ(T)
アリストーネ・・・・ニコロ・ドニーニ(Bs)
ペリアルコ ・・・・・ニコロ・バルドゥッチ(C.T)
エルヴィーロ・・・・アコ・ビシェヴィチ(C.T)
キューピッド・・・・・マーリオ・フマローラ(黙役) 他
オーケストラ・バロッカ・モード・アンティクオ
フェデリコ・マリア・サルデッリ(指
演出:レオ・ムスカート

収録:2022年7月25日、29日、31日
ヴァッレ・ディトリア音楽祭、ヴェルディ劇場、マルティーナ・フランカ(イタリア)
収録時間:161分
音声:イタリア語
PCMステレオ2.0/Dolby Digital5.1(DVD)
PCMステレオ2.0/DTS-HD Master Audio5.1(Blu-ray)
字幕:日本語・イタリア語・英語・フランス語・ドイツ語・韓国語
画角:16/9 NTSC All Region
DVD…片面二層ディスク×1片面単層ディスク×1
Blu-ray…片面二層ディスク 1080i High Definition
興味深い蘇演プロジェクトの数々で話題を集めるヴァッレ・ディトリア音楽祭より、イタリア・バロック・オペラの創始者モンテヴェルディの高弟として、17世紀中 盤に絶大な人気を誇ったフランチェスコ・カヴァッリの歌劇「セルセ」の登場です。「セルセ」といえば、ヘンデルのオペラがその冒頭のアリア〈オンブラ・マイ・フ〉と 共に良く知られていますが、この台本は作家ニコロ・ミナートが元々はカヴァッリのために書いたもの。この作品は1655年ヴェネツィア初演の後1660年パリで 再演されカヴァッリの声価はフランスでも大いに高まりました。外題役のカルロ・ヴィストーリ、セルセの弟アルサメーネ役のガイア・ペトローネら中堅、若手を中 心としたフレッシュな歌手陣による演唱、レオ・ムスカートと彼のチームによるペルシャ模様を駆使したカラフルな舞台美術と演出が、バロック・オペラの名匠、 フェデリコ・マリア・サルデッリ率いるオーケストラ・バロッカ・モード・アンティクオの伸びやかな演奏と相まって、この隠れていた名作を見事、現代に蘇らせていま す。

OMF
KCD-2098(1CD)
税込定価
スプレッツァトゥーラ 〜さりげなく〜
ダリオ・カステッロ(1602-1631):高音楽器独奏のためのソナタ第1番
チプリアーノ・デ・ローレ(1515or1516-1565):別れの時には〈編曲:リッカルド・ロニョーニ〉
ジョヴァンニ・バッティスタ・フォンターナ(1589-1630):ヴァイオリン独奏のためのソナタ第3番
ジョヴァンニ・デ・マック(1548or1550-1614): ストラヴァガンツェ第2番
ジョヴァンニ・バッティスタ・フォンターナ:ヴァイオリン独奏のためのソナタ第2番
パレストリーナ(c.1525-1594):
野山は花のにぎわい〈編曲:フランチェスコ・ロニョーニ・タエッジョ〉
パレストリーナ:私はこんなに傷ついて〈編曲:フランチェスコ・ロニョーニ・タエッジョ〉
ジョヴァンニ・バッティスタ・リッチョ(fl.1589-1621):フラウト、またはコルネットのためのカンツォン
フレスコバルディ: トッカータ第9番
フレスコバルディ:カンツォン『ラ・ベルナルディニア』
ベルナルド・ストラーチェ(fl.1664):戦いのバッロ
ジョヴァンニ・アントニオ・パンドルフィ・メアッリ(1624-c.1687):ソナタ第5番『ラ・クレメンテ』
アンドレア・ファルコニエーリ(1585or15861656): 甘き旋律
イ・フィラトーリ・ディ・ムジカ
中島恵美(リコーダー/フラウト・トラヴェルソ)
曽根田駿(チェンバロ /古楽ハープ)

録音:2022年10月18日-20日神奈川県立相模湖交流センター
2人が操る4種類の楽器の魅力16〜17世紀イタリアの作品 ―『イ・フィラトーリ・ディ・ムジカ』の初アルバム。2人が操る4種類の楽器の魅力が活きる、16世紀後半から17世紀のイタリアの作品に焦 点を当て、リサーチの先にある自由な表現を追求する1枚。 ― イ・フィラトーリ・ディ・ムジカは東京藝術大学で出会った中島恵美(リコーダー/フラウト・トラヴェルソ)、曽根田駿(チェンバロ/古楽ハー プ)の2人によって結成されたデュオ。2014年から活動を開始し、中世からバロックまでの音楽をレパートリーとしています。「歴史的演奏 法;Historically informed performance」の追及に力を入れ、資料を研究することによって、より自由でより豊かな演奏を目指して 活動しています。

Linn
CKD-718(1CD)
ハンガリー人のチャールズ氏 〜18世紀のダブリンにおけるヘンデルの好敵手〜

〜第1部〜
1-2. ヘンデル:序曲(セレナータ「忠実な羊飼い」 HWV8cより)
3. ヘンデル:アリア「抜け目ない狩人は」(歌劇「エジプトのジューリオ・チェーザレ」 HWV17より/ジョン・ウォルシュ2世〔1709-1766〕編曲による器楽版)
4-7. ハッセ:協奏曲 ヘ長調
8. ヘンデル:バルバリーニ氏のメヌエット(オルガン協奏曲 第1番ト短調 Op.4-1より)

〜第2部〜
9-16. ヘンデル(ジョン・ウォルシュ1世編): 『水上の音楽』より
 9. Allegro - Andante - Allegro
 10. Passepied
 11. Minuet
 12. Bouree
 13. Hornpipe
 14. Andante
 15. Overture
 16. Alla Hornpipe

〜第3部〜
17-20. ヘンデル:合奏協奏曲 ト長調 Op.3-3/HWV 314
21. テレマン:ナポリターナ(『忠実な音楽の師』ソナタ 変ロ長調 TWV41:B4より)
22-24. ロレンツォ・ボッキ(生歿年不詳、18世紀に活躍):ソナタ 第10番(『室内のための音楽の楽しみ』より)
25. チャールズ氏、おそらくチャールズ・ヴァーンズバーグ(1705/10頃-1780?):狩猟(『二つのホルンのための12の二重奏曲』組曲第1番より)
26. リュリ:トルコの儀式の場面のための行進曲(舞踏喜劇「町人貴族」 LWV43より)
アイリッシュ・バロック・オーケストラ(古楽器使用)
 ソロ:ジョナサン・バイアーズ(Vc)…22-24
 ミリアム・カチョル(フラウト・トラヴェルソ)…3, 17-20
 レオ・ドゥアルテ(オーボエ…4-7、オーボエ・ダモーレ…21)
 ニコラ・ボウド(シャリュモー)…4-7
 ミケーレ・ファットーリ(バスーン)…4-7
 アンネケ・スコット(Hrn)…3、25
 パトリック・ブロデリック(Hrn)…25
ピーター・ウィラン(指)

録音:2022年4月27-29日セント・ピーター教会、ドロヘダ、アイルランド
1742年、ヘンデルが『メサイア』初演のためアイルランドのダブリンを訪れた際に行われた演奏会の記録をもとに、そこで複数の管楽器を使っ て名演を聴かせた謎の音楽家「チャールズ氏」の存在を解き明かしながら、当時の音楽会プログラムを再現したアルバム。近年躍進めざまし いアイリッシュ・バロック・オーケストラならではの上質な演奏で、有名・無名を問わずさまざまな作曲家が手掛けた作品に触れられるのが魅 力。「チャールズ氏」と英語名で記録されている人物は記録でこそ「ハンガリー人」と説明されているものの、その正体はおそらく英国王室音楽 家協会に名前のあったチャールズ〔またはカルロ〕・ヴァーンバーグCharles Vernbergではないかと推察されており、ナチュラル・ホルンを闊達 に吹きこなしただけでなく、オーボエ・ダモーレや当時まだ珍しかったクラリネット、あるいはその前身楽器シャリュモーなどを巧みに演奏したとのこ と。現代古楽シーンでこれらの楽器の演奏を通じ注目されてきたアンネケ・スコットやニコラ・ボウドといった名手たちが、古楽器ならではの味わ いをよく生かした細やかなアンサンブルを展開。ヘンデルが挑まねばならなかった同時代のライヴァルたちの技量をよく際立たせたトラックの数々 をじっくりお楽しみください。

Chateau de Versailles Spectacles
CVS-102
(2CD+DVD+BD)
NX-E02
シャルパンティエ:「ダヴィドとジョナタス(ダヴィデとヨナタン)」〜序幕付全5幕の抒情悲劇(全曲) ダヴィド…レイナウト・ファン・メヘレン(T)
ジョナタス…カロリーヌ・アルノー(S)
サウル…ダヴィド・ヴィチャク(Br)
太陽神の神官…フランソワ=オリヴィエ・ジャン(T)
ジョアベル…アントナン・ロンドピエール(T)
サミュエル(サムエル)の亡霊…ジョフロワ・ビュフィエール(Bs)
アシス…ヴィルジル・アンスリ(Bs-Br)
羊飼いの女…ジュリエット・ペレ(S)、ブランディーヌ・サンサル(Ms)
奴隷の女…マルト・ダヴォスト、ローラ・オルム(S)
奴隷の男…ロマン・シャンピオン(T)、フランソワ・ジョロン(Br)
民衆…ロマン・シャンピオン(T)
戦士…ローラン・ドルイユ(Br)
マルグリット・ルイーズ(合唱&古楽器アンサンブル)
ガエタン・ジャリ(指)

収録:2022年11月12-16日 ヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂
<CD>
収録時間:119分
<DVD、Blu-ray>
収録時間:132分
Dolby-digital2.0/NTSC/ALL REGIONS
字幕:仏語、英語、独語
演出:マーシャル・ピンコスキ
フランス17世紀を代表する作曲家の一人シャルパンティエの傑作オペラ「ダヴィドとジョナタス」、待望の新録音が本場ヴェルサイユから登 場! シャルパンティエは若い頃に画業を学ぼうと訪れたローマで、巨匠カリッシミの作品に衝撃を受け音楽へ転向、帰国後は太陽王ルイ 14世の王室音楽総監督リュリの君臨により活動を大幅に制限されながらも、パリのさまざまな機関から仕事を受けて躍進しました。旧約聖 書の物語に取材した「ダヴィドとジョナタス」は妨害者リュリの急逝直後1688年に披露された抒情悲劇(フランス語台本による本格的な悲 劇オペラ)で、この作曲家の第一級の手腕が生きた傑作でありながら全曲録音は滅多になされず、新録音がフランス古楽界の精鋭たちに よってなされたのは大いに歓迎すべきことと言ってよいでしょう。俊才集団マルグリット・ルイーズの器楽勢には異才集団ネヴァーマインドのバ ス・ド・ヴィオール(ヴィオラ・ダ・ガンバ)奏者ロバン・ファロ、豊かなキャリアを誇るリコーダーのセバスティアン・マルクなど名手たちも参加。近年ま すます活躍の場を広げているレイナウト・ファン・メヘレン、カロリーヌ・アルノー、ダヴィド・ヴィチャクらを筆頭に、端役のシーンに至るまで本場フ ランスならではの堂に入った演奏でこの傑作が味わえるのは頼もしい限り。映像では17世紀当時の?燭の明かりを尊重したマーシャル・ピン コスキの演出が、ヴェルサイユ王室礼拝堂での上演を鮮やかに盛り上げ、演奏の魅力をいっそう際立たせています。

ALPHA
ALPHA-975(1CD)
ジョヴァンニ・レグレンツィ:オラトリオ『悔悛者の心の死』 罪を犯した人間…ラファエレ・ジョルダーニ(T)
悔悛する心の寓意…クリスティーナ・ファネッリ(S)
希望の寓意…ハナ・ブラジコヴァー(S)
痛みの合唱…ウィリアム・シェルトン(C.T)、マヌエル・ヌニェ ス・カメリーノ(T)、ロマン・ボクレール(Bs)
アンサンブル・マスク(古楽器使用)【ソフィー・ジェント、トゥオモ・スニ(Vn)、カスリーン・カジオカ(Va)、メリザンド・コリヴォー(Vc)、ブノワ・ファンデン・ベムデン(Cb)、マノン・パパセルジオー(ハープ、リローネ)、アンドレ・ハインリヒ(テオルボ)】
オリヴィエ・フォルタン(チェンバロ、指揮)

録音:2022年8月洗礼者聖ヨハネ御生誕教会、コラヴィレール(フランス東部フランシュ=コンテ地方)
17世紀半ばから後半にかけ、ミラノやボローニャ、ヴェネツィアなどで活躍した作曲家レグレンツィは、カヴァッリやカリッシミら17世紀中盤のイタ リアを代表する作曲家たちの後を受け、コレッリやA.スカルラッティら後期バロックと呼びうる時代の大家たちとの橋渡しをなす存在。複数の ヴァイオリンが歌い交わす室内楽曲の発展に大きく寄与した一方、声楽作品も多く残していますが、録音は必ずしも多くありません。ここでは ヴェネツィア滞在中の1673年に初演された、人間の罪深さを自覚し信心深く生きることを促すカトリック寓意物語『悔悛者の心の死』を、長 くスキップ・センペの頼れるアシスタントとして活躍してきたオリヴィエ・フォルタンを中心に集まった名手たちがコントラスト鮮やかに全曲演奏。コ レッリやムファットなどにも通じる端正な音作りやA.スカルラッティやボノンチーニの初期作品にも比しうる歌心には、すでに次の世紀の到来さえ 予感させるものがあります。鈴木雅明やフィリップ・ヘレヴェッヘらとの共演でも注目されるハナ・ブラジコヴァーを筆頭に表現力きわだつ歌手た ちの妙技を、欧州各地で多忙な活躍を続ける腕利きの器楽勢が鮮やかにサポート。通奏低音以外は各パート一人ずつとは思えない変幻 自在の響きの聴きごたえに唸らされます。


H.M.F
HAF-8905363(1CD)
ジェズアルド:聖週間のレスポンソリウム レザール・フロリサン、
ポール・アグニュー(T,指)

録音:2018年9月、アンブロネー修道院
カルロ・ジェズアルドは、当時の他の作曲家とは異なり、とてつもなく裕福な貴族でした。当時の音楽家のほとんどは、雇われの身分だったので、貴族でありな がら音楽家であることはむしろ憚られることでしたが、ジェズアルドは自分の音楽での業績に、ほとんど強迫観念ともとれるくらいに、誇りをもっていました。そし て、当時音楽作品を出版することは自分の地位や条件を向上させるため、新しい仕事を見つけるため、あるいは単にお金のためでしたが、ジェズアルドはただ純粋 に自分の素晴らしい作品を後世に残すために、自分の作品を出版していました。そして晩年、自分の命が尽きると確信したとき、城の一室を印刷所に改装し、究極 のマドリガル集である第5集と第6集、そして聖週間のレスポンソリウムを制作・印刷しました。それは、体調を崩した彼が、生涯の最高傑作と自負しているものを 後世に残そうとしたことにほかなりません。これらは、ジェズアルドが自ら自分の作品の中で最も優れた音楽の中から選んだものといえるでしょう。
レスポンソリウムは、宗教的マドリガーレと位置付けることもできます。イースター前の木・金・土曜の典礼(受難の朗読)のために書かれました。聖週間は鐘を 鳴らさずに、木の棒を叩いて大きな音を出し礼拝の開始や終了を告げました。このディスクでも、冒頭と最後に木を鳴らす大きな音が入っています。
H.M.F
HAF-8905311(2CD)
ジェズアルド:マドリガーレ集第5集&第6集
[CD1]マドリガーレ集第5集(1611, ジェズアルド)
[CD2]マドリガーレ集第6集(1611, ジェズアルド)
レザール・フロリサン、
ポール・アグニュー(T,指揮)

録音:[CD1]2020年10月 [CD2]2020年9月、フィルハーモニー・ド・パリ
ポール・アグニューとレザール・フロリサンによる、ジェズアルドのマドリガーレ集、完結編の登場です。不協和音や半音階的な表現を駆使された驚くべき現代性 を響かせながら、愛と死、喜びと悲しみが、最小限の身振りながら効果抜群に表現されています。
カルロ・ジェズアルドは、当時の他の作曲家とは異なり、とてつもなく裕福な貴族でした。当時の音楽家のほとんどは、雇われの身分だったので、貴族でありな がら音楽家であることはむしろ憚られることでしたが、ジェズアルドは自分の音楽での業績に、ほとんど強迫観念ともとれるくらいに、誇りをもっていました。そし て、当時音楽作品を出版することは自分の地位や条件を向上させるため、新しい仕事を見つけるため、あるいは単にお金のためでしたが、ジェズアルドはただ純粋 に自分の素晴らしい作品を後世に残すために、自分の作品を出版していました。そして晩年、自分の命が尽きると確信したとき、城の一室を印刷所に改装し、究極 のマドリガル集である第5集と第6集、そして聖週間のレスポンソリウムを制作・印刷しました。それは、体調を崩した彼が、生涯の最高傑作と自負しているものを 後世に残そうとしたことにほかなりません。これらは、ジェズアルドが自ら自分の作品の中で最も優れた音楽の中から選んだものといえるでしょう。 (Ki)
H.M.F
HMM-902708(1CD)
ヘンデル:戴冠式用アンセム集
ヘンデル:オケイジョナル・オラトリオ(機会オラトリオ)HWV 62
ウィリアム・クロフト(1678-1727):主は太陽であり盾である(The Lord is a sun and a shield)
ジョン・ブロウ(1649-1708):シャコンヌ ト長調
ヘンデル:戴冠式用アンセム集〔司祭ザドク HWV258/汝の手を強めよ Let thy hand be strengthened HWV259/ 王は歓喜する The King shal rejoice HWV260/私の心のよりどころとなるもの My heart is inditing HWV261〕
ベルリン古 楽アカデミー
RIAS室内cho
ジャスティン・ドイル(指)

録音:2022年10月
ヘンデルは、1727年、イギリスに帰化します。同じ年、ジョージ1世が亡くなり、ジョージ2世が即位することとなり、ヘンデルはその戴冠式のための音楽を書 くよう依頼されます。ジョージ1世のもとでヘンデルは水上の音楽やジュリアス・シーザーなどを発表しておりましたが、ジョージ1世を継ぐ新国王の戴冠式という イベントを花火のように彩るような音楽を書きました。RIAS室内合唱団とベルリン古楽アカデミーが、この壮大にして壮麗な作品を、これ以上なくゴージャスに響 かせています。現在でも、この作品の一部は実際に戴冠式などの典礼で演奏されています。ウィリアム・クロフトの作品は、1714に行われたジョージ1世の戴冠 礼拝で演奏されたもの。実に壮麗な音楽を聴きながら英国の歴史までも体感できるような1枚です。 (Ki)

2L
2L-175SABD
(Blu-ray Disc Audi
+SACD)
オールドホール写本聖母ミサ
1.セーラム聖歌(『オールドホール写本』):キリエ
2.アレン(fl.c.1400)(『オールドホール写本』):グローリア
3.ジョン・クック(c.1385-1442)(『オールドホール写本』):ステラ・チェリ(天の星)
4.マリアンネ・ライダシュダッテル・エーリクセン(1971-):太陽は万人に輝く
5.作者不詳(early C15)(『オールドホール写本』):敬虔な母
6.リオネル・パワー(c.1370-1445)(『オールドホール写本』):アヴェ・レジーナ・チェロールム(めでたし天の后)
7.フォンテインズ(fl.c.1400)(『オールドホール写本』):高貴なる家より出で
8.作者不詳(C15)(『オールドホール写本』):レジーナ・チェリ(天の后)(詠唱)
9.作者不詳(C15)(『オールドホール写本』):レジーナ・チェリ(天の后)
10.トマス・ダメット(c.1389-1437)(『オールドホール写本』):祝福されしマリア、神の母
11.カタリーナ・ビセンス(1983-):間奏
12.ジョン・クック(c.1385-1442)(『オールドホール写本』):アヴェ・レジーナ
13.オリヴァー(early C15)(『オールドホール写本』):サンクトゥス(聖なるかな)
14.トマス・ビュタリング(C15)(『オールドホール写本』):男を知らぬ処女の母は
15.オリヴァー(early C15)(『オールドホール写本』):アニュス・デイ(神の子羊)
16.リオネル・パワー(c.1370-1445)(『オールドホール写本』):祝福されし家系
17.デイヴィッド・ラング(1957-):アレルヤ
18.デイヴィッド・ラング:アーメン
トリオ・メディイーヴァル【アンナ・マリア・フリーマン、リン・アンドレーア・フグルセット、ヨールン・ロヴィーセ・フーサン】
カタリーナ・ビセンス(オルガネット)

録音:2022年6月 ウラニエンボルグ教会(オスロ、ノルウェー)
『オールドホール写本』は、14世紀後期から15世紀初期のイギリスとフランスの宗教曲を収めた最大で最重要のコレクションです。19世紀末にカトリックの神 学校にあることがわかるまで、400年という歳月の大部分、歴史から忘れられていました。この写本には、通常ミサに使われるポリフォニーや聖母マリアのアンティ フォンといった曲が収められ、中世後期の宗教音楽の最良の源とみなされています。 ECMからヒット作を生み出してきたノルウェーのヴォーカルアンサンブル「トリオ・メディイーヴァル(Trio Mediaval)」の『慰め』(2L165SABD)につづく 2L の第2作アルバムは、この『オールドホール写本』から選んだ曲と新しく書かれた曲による「聖母マリアのためのミサ曲」として作られました。写本からは、「キ リエ」「グローリア」「アニュス・デイ」といったミサ通常文による曲とジョン・クック の「ステラ・チェリ」やリオネル・パワーの「アヴェ・レジーナ・チェロールム」 といった曲が選ばれ、トリオ・メディイーヴァルからノルウェーのマリアンネ・ライダシュダッテル・エーリクセン とアメリカのデイヴィッド・ラング に新曲が委嘱さ れました。ラングの「アレルヤ」「アーメン」はユダヤ教とキリスト教に共通する言葉による「瞑想」、エーリクセンの「太陽は万人に輝く」はペトロニウスの『サテュ リコン』の一節をテクストに使った作品です。 イマーシブ・オーディオのスペシャリスト、2L のモッテン・リンドベルグのプロダクションによりオスロのウラニエンボルグ教会で録音セッションが行われました。チ リ出身のカタリーナ・ビセンス(1983?)が参加、小型オルガン「オルガネット」を演奏しています。
[Pure Audio Blu-ray ディスクと SACD ハイブリッドディスクをセットにしたアルバムです。Pure Audio Blu?ray ディスクにはインデックスを除き映像は収 録されていません。SACD ハイブリッドディスクはSACDブレーヤーとCDプレーヤーで再生できますが、Pure Audio Blu-ray ディスクはCDやDVDのプレーヤーでは再生できないので、Blu?ray プレーヤーもしくは Blu?ray 対応のPCをお使いください]

Da Vinci Classics
C-00729(1CD)
ロドヴィコ・フェッロナティ:ヴァイオリンと通奏低音のための室内ソナタ集 Op.1(1710)Vol.1
ソナタ第1番ハ長調/ソナタ第3番 ト長調/ソナタ第5番ヘ長調/ソナタ第7番ニ長調/ソナタ第9番 ハ長調
アンサンブル・ロカテッリ

録音:2022年3月、チーゴレ(イタリア)
すべて世界初録音
その生涯と音楽活動がほとんど謎に包まれたままになっている、18世紀前半に活躍した人物ロドヴィコ・フェッロナティの貴重な作品集。文化的な都市パドヴァ出身のフェッロナティは作曲家、ヴァイオリニストでありながら、今日ではおそらく視覚芸術の分野で最もよく知られています。彼はベルガモの大聖堂教会を飾る絵画の注文に携わり、著名な画家ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロとも交流がありました。音楽分野では、サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂のヴァイオリニストを務めたこと、ベルガモで共に学んだロカテッリに影響を与えたことや、ピゼンデルがフェッロナティのヴァイオリン協奏曲を所有し大切にしていたことなどが知られています。フェッロナティのOp.1が当時のイタリア音楽界に大きな関心をもたらしたことは、この曲集に収録されたソナタのうち2曲が、パルマで発見されたアンソロジーに(アルビノーニ、コレッリ、ソミスらの作品と一緒に)収録されていることからも明らかでしょう。ヴァイオリンとチェロ、コントラバス、アーチリュート、チェンバロの組み合わせによるアンサンブル・ロカテッリの美しい演奏にも注目です。

Hyperion
CDA-68417(1CD)
マショー:恵みの泉
1. 与えてください、領主様/2. 人民を導く者は/泣け、王国よ/武器を握って/3. 監獄に入れられていてもとても心地良いので/4. 祝福された処女/汚れを知らず子を産んだ人/あなたに向かって私たちはため息をつき/5. ようこそ、価値ある女性/6. とても甘美な女性/7. 私は嘆願するのをやめません「泉のレイ」/8. 光であるキリスト/来たれ、創造主たる聖霊よ/苦難が近づき/9. わが心には闘争があり/10. 監獄に入れられていてもとても心地良いので
オルランド・コンソート〔マシュー・ヴェンナー(C.T)、マーク・ドーベル(T)、アンガス・スミス(T)、ドナルド・グレイグ(Br)〕

録音:2022年7月5日-7日、洗礼者聖ヨハネ教区教会(ラフトン、エセックス)
1988年にイギリス国立古楽センターで結成された男声ヴォーカル・クヮルテット、オルランド・コンソート。かつてアンドルー・カーウッドが在籍し、現在はタリス・スコラーズのメンバーでもあるドナルド・グレイグが低声部を支える精緻な歌声で、中世ポリフォニー音楽の最高峰として活動しています。
14世紀アルス・ノーヴァを代表する作曲家・詩人ギヨーム・ド・マショー。これまで、レコード芸術海外盤REVIEW「今月の特選盤」や英グラモフォン誌「エディターズ・チョイス」、グラモフォン賞ノミネート、ICMA(国際クラシック音楽賞)ノミネートなど、極めて高い評価を獲得してきたマショー・プロジェクトは、ついに第10弾という節目を迎えました。本アルバムでは、マショーが生きた疫病、戦争、争いの世界と、宮廷的で精神的な愛の理想を対比させ、当時の音楽をオルランド・コンソートの見事なアンサンブルが生き生きと再現しています。

Ars Produktion
ARS-38625(1CD)
スペインのハープシコード音楽
カベソン:Diferencias sobre el Canto del Cavallero
ルイス・ベネガス・デ・エネストローサ:Cinco diferencias sobre Las Vacas
フランシスコ・コレア・デ・アラウホ:Segundo tiento de Quarto Tono por elami, a modo de cancion
セバスチャン・アギレラ・デ・エレディア:Obra de8° tono alto. Ensalada
フアン・カバニーリェス:Gallardas I
D.スカルラッティ:ソナタ ハ短調 K.56、ソナタ ニ短調 K.213
アントニオ・ソレール:Sonata no48en Modo Dorico
セバスティアン・デ・アルベロ:Recercata Prima、Fuga Prima、ソナタ・プリマ
フアン・セセ・バラゲール:フーガ第2番
ホアキン・ベルトラン:フーガ第2番、Pieza contrapuntistica no6
バシリオ・デ・セセー:Intento no6
アルベニス:ソナタ ニ長調
イネス・モレノ・ウンシージャ(ハープシコード)

録音:2021年4月30日-2021年5月3日
16世紀から19世紀かけて作曲されたスペインのハープシコード音楽。ドメニコ・スカルラッティのように有名な作曲家の作品から知られざる作曲家の作品まで網羅していますが、どの作品も質の高いものばかりです。特にこのアルバムに選ばれた作品は、この時代の鍵盤音楽の多様性を表しています。

Ars Produktion
ARS-38360(2SACD)
シュナイダー:主であるキリスト
フリードリヒ・シュナイダー(1786-1853):オラトリオ「主であるキリスト」
アレクサンダー・リューケン(指)、ヴッパータールSO、カントライ・ブレーメン=ゲマルケ、ドロテア・ブラント(S)、レナ・クライフェルト(A)、ファビアン・シュトロートマン(T)、リヒャルト・ロギエヴァ・ストヤノヴィチ(Bs)

録音:2022年5月
ドイツのピアニスト、オルガン奏者でもあった作曲家のフリードリヒ・シュナイダー(1786-1853)による三部作のオラトリオ。オラトリオ「幼児キリスト」(ARS-38353)に続く二作目となります。元々は四部作を想定しキリストの生涯をオラトリオにする予定だったシュナイダーでしたが、「栄光のキリスト」は作曲されませんでした。

H.M.F
HMM-932013(2CD)
テレマン:ブロッケス受難曲(全曲) ルネ・ヤーコプス(指)RIAS室内cho、
ベルリン古楽アカデミー
ダニエル・ベーレ(T/福音史家、信仰心Y)
ヨハネス・ヴァイサー(Br/イエス、信仰心X) マリー=クロード・シャピュイ(Ms/ユダ、信仰心V、娘T)
ドナート・ホーヴァール(T/ペトロ、ピラト、信仰心W、) ブリギッテ・クリステンセン(S/シオンの娘T、信仰心T、マリア、女T)
リディア・トイシャー(S/シオンの娘U、信仰心U、娘

録音:2008年3月
ブロッケスは、18世紀ドイツ文学界の重要人物。彼が書いたこの受難曲のテキストには、テレマンのほかにも、ヘンデルやカイザー、マッテゾンら13人もの作曲 家が付曲しています。テレマンの受難曲は1716年4月2日に初演、大成功をおさめ、かの大バッハ1739年(45歳頃、自らがマタイ・ヨハネ両受難曲を作曲し た後)に全曲を写譜して研究したほどに有名曲となりました。ヤーコプスは、人間味豊か、絡み合う音が魅力のテレマンの名作を、大変見事に、瑞々しく現代によみ がえらせました。 序曲は器楽によるシンフォニア。まるでオーボエ協奏曲のような充実したシンフォニアを、名団体ベルリン古楽アカデミーで聴けるとは! バッハの受難曲が福音書家 の役割が非常に大きいのに対し、テレマンの作品は、それぞれのソリストが「信仰心」という役割を持ち、場面場面で、二重唱や三重唱で信者(=わたくし)の心を 代弁、活躍します。イエスが十字架上で「わが神、わが神、なぜ私をお見捨てになったのですか」と言う場面は、実に人間味に溢れていてドラマティック。終曲コラー ルでは、トランペットの響きも高らかに、イエスの死による私たちが罪から救い出されるということを力強く讃美していて、大変輝かしい終結となっています。ヤー コプスの完璧なコントロールの指揮の下、歴史的名曲の理想的な名演です。 (Ki)
H.M.F
HMM-931956(1CD)
ティク・トク・ショク〜F.クープラン:作品集
フランソワ・クープラン
1 神秘的な防塞(第6組曲)
2 ティック・トック・ショック、あるいはマイヨタン(第18組曲)
3 クープラン(第21組曲) 
4 信心女たち(第19組曲)
5 さまよう亡霊たち(第25組曲)
6 編物をする女たち(第23組曲)
7 キテラ島の鐘(第14組曲)
8 タヴェルニのミュゼット(第15組曲)
9 葦(第13組曲) 
10 アタランテ(第12組曲)* 
11 パッサカリア(第8組曲)
12 ミューズ・プラティヌ(第19組曲)
13 奇術(第22組曲)
14 戦いのどよめき(第10組曲) 
15 子守歌あるいは揺籠の中のいとし子(第15組曲)
16 空想にふける人(第25組曲)"
17 ラ・ロジヴィエール(第5組曲)
18 双生児(第12組曲)"
19 かわいい子供たち、あるいは愛らしいラジュール(第20組曲)
20 ジャック・デュフリ:ラ・ポトゥアン
アレクサンドル・タロー(P)
トラック10:パブロ・ピコ(タンブール)

録音:2006年7月/パリ、IRCAM大ホール
まさに衝撃的な一枚。かけた瞬間、ドビュッシー作品かと錯覚するほどの色彩感、量感、情感。ゆったりとふくよか、ビロードのようでありながら、立ち上が りがどこまでもくっきりとした不思議な音色は、聴く者をとらえて放しません。 2007年に発売され大きな話題となった名盤、アレクサンドル・タローが演奏する、ピアノによるF.クープラン作品集(2006年録音)が再登場します。タロー 本人が「playする、という考えに基づいて曲をきめました。自分がしばしばコンサートでも演奏するティク・トク・ショクを中心に据えました。F.クープランのもっ とも「ピアニスティック」な作品を集め、これらのplay-ful な側面を強調しています。」と語っているように、どの曲もきわめて清冽かつ明確に演奏されています。 冒頭に収録されている「神秘的なバリケード」は、一音一音にしっかりと意志と力強さがこめられており、聴いていてストレートに心に響く演奏。また、「ティク・ トク・ショック」も、これほどまでにクープラン作品が超絶技巧だとはと驚かされるもの。最後にデュフリの作品が収録されているのも心憎いところです。

Naive
OP-30579(1CD)
ジョヴァンニ・レグレンツィ(1626-90):モテット集
1イエス・キリストの母であるマリアが(alma redemptoris mater)[5声]
2花よ、白く咲け、枝よ、緑に育て(albescite flores, virescite frondes)[4声]
3自分の持っているものをすべて捨てない人は(Qui non renuntiat omnibus quae possidet)[3声]
4アヴェ・レジーナ・チェロールム(ave, regina caelorum)[5声]
5驚け、天国の住人たちよ、言葉を失え、天使たちよ(obstupescite caelites, obmutescite angeli)[4声]
6誰が聖なるシオンの山に登るのか?(quis ascendit in montem sanctum sion?) [2声]
7リタニー[5声]
8エルサレムの娘よ、歓喜し喜べ(exultemus omnes et laetemur, filiae ierusalem)[2声]
9もっとも聖なる十字架よ、我らは汝を讃えまつる(adoramus te, sanctissimam crucem)[4声]
10天上の女王よ(regina caeli laetare)[5声]
11死すべきものよ、目覚めよ(expergiscimini mortales, surgite a somno)[3声]
12皆の者よ、来たれ、走れ、人々よ(venite omnes, currite populi)[4声]
13慈悲深き聖母よ(salve regina, mater misericordiae)[5声]
リナルド・アレッサンドリーニ((指)オルガン)
コンチェルト・イタリアーノ
ソニア・テドラ(S)
エレーナ・カルツァニガ(C.A)
ヴァレリオ・コンタルド、ラッファエレ・ジョルダーニ(T)
サルヴォ・ヴィターレ(Bs)
ウゴ・ディ・ジョヴァンニ、フランコ・パヴァン(テオルボ)

録音:2019年7月11-14日、ローマ
アレッサンドリーニ率いるコンチェルト・イタリアーノの最新盤は、17世紀に非常に影響力があり、亡きあともしばしばその作品が演奏・研究されていた、ジョヴァ ンニ・レグレンツィ(1626-1690)のモテット集。カリッシミやリュリとほぼ同時代を生きましたが、レグレンツィという名前は今日ではあまり聞かれなくなってい ます。しかし、ロッティ、カルダーラ、ヴィヴァルディなど多くの弟子を育てたほか、バッハやヘンデルはレグレンツィの楽曲から主題をとって作曲するなど、当時大 きな存在でした。生前出版された楽譜の中から、モテットに特化した4つの曲集を選び、その中からこのCDはプログラムされています。どれも声は1パート1人 によって演奏され、その鮮烈かつ洗練されたアンサンブルは美の極致。2声から5声による緻密なハーモニーをお楽しみいただけます。 (Ki)

Coviello
COV-92304(1CD)
トーマス・ゼッレ(1599-1663):大地は主そのものである D148
ヨハネ受難曲(1643)
主をたたえよ D147
アントニウス・アダムスク(指)
ゲッティンゲン・バロックO

録音:2022年3月17-20日
テレマンもカントルを務めたハンブルクにあるヨハネウム学院で、1641年から亡くなるまでカントルとして活躍したトーマス・ゼッレ。1643年に書かれた「ヨ ハネ受難曲」はカラフルな楽器書法が特徴的な傑作。 (Ki)

TYXart
TXA-22172(1CD)
ヴェルナー・ヴォルフハイム氏の蔵書からのリュート曲集
オイゲン・マイアー(1934-):Chiajeri (Taugwalder)
エミル・フレイ(1889-1946):Junges Madchen in den Bergen (Morgenstern) op.49/1
オイゲン・マイアー:Wela Wag (Taugwalder)
ヴェルナー・ベルッチ(1950-):Die Felswand (Meyer) Wege III
オイゲン・マイアー:Ds Hittuliechtje (Taugwalder)
ヨゼフ・ラウバー(1864-1952):Fruhlingsnacht (Hesse) op.37/2
オイゲン・マイアー:Dr Schuelschatz (Taugwalder)
ハンス・フーバー(1852-1921):Mir traumte von einem Myrtenbaum (Heyse) op.61/32.47
オイゲン・マイアー:Dr Bluusuchnopf (Taugwalder)
ワルター・クルヴォワジエ(1875-1931):Morgens (Storm) op.2/7
オイゲン・マイアー:Herbschtwind (Taugwalder)
ハインツ・ホリガー(1939-):Herbst (Morgenstern) Sechs Lieder VI
作者不詳:[タイトルなし]-ドゥーブル-第2ドゥーブル
アシャズ・カシミール・ヒュルツ(1658-1723):ガヴォット-ドゥーブル
作者不詳:サラバンド-ドゥーブル
作者不詳:ソナタ
アシャズ・カシミール・ヒュルツ:サラバンド
作者不詳:ジーグ-ドゥーブル
作者不詳:シャコンヌ イ短調
エザイアス・ロイスナー(the Younger,1636-1679):アルマンド-ドゥーブル
作者不詳:クーラント-ドゥーブル
作者不詳:[タイトルなし]
ジェルマン・ピネル(c.1600-1661):サラバンド-ドゥーブル
作者不詳:[タイトルなし]
エヌモン・ゴーティエ(c.1575-1651):スペインのサラバンド-別の手法で-ドゥーブル
ヨハン・ハインリヒ・シュメルツァー(c.1623-1680):チャッコーナ イ長調(ホフシュテッター編)
ベルンハルト・ホフシュテッター(Lute)

録音:2020年12月
1928年から29年にかけて、ヴェルナー・ヴォルフハイム博士の音楽蔵書がオークションに出されました。その中にはバッハの『フーガの技法』『音楽の捧げも の』の初版といった大変貴重なものもあります。この蔵書に含まれるリュート曲集を初録音したのが当盤。 (Ki)

Challenge Classics

CC-72948(1CD)

メアッリ(1624-ca.1687):ヴァイオリンのための教会ソナタと室内ソナタ Op.3&4(インスブルック、1660年)
ラ・チェスタ Op.3-2
ラ・メラーナ Op.3-3
ラ・クレメンテ Op.3-5
ラ・ステッラ Op.4-5
ラ・モネッラ・ロマネスカ Op.4-3
ラ・サッバティーナ Op.3-6
ラ・ヴィヴィアーナ Op.4-2
ラ・ビアンクッチャ Op.4-4
ラ・カステッラ Op.3-4
ラ・ベルナベア Op.4-1
ラ・ステッラ Op.3-1
ラ・ヴィンチョリーナ Op.4-6
エヴァ・サラディン(Vn)
ジョナ サン・ペシェク(Vc)
ヴェラ・シュニーダー(Hp)
ヨハネス・ケラー(オルガン、チェンバロ)

録音:2022年9月27-30日/スイス、聖パンタレオン教会
スイスのバーゼルを拠点に活動するバロック・ヴァイオリン奏者、エヴァ・サラディンによるChallenge Classicsデビュー盤。17世紀に栄えた豊かなヴァイオ リン音楽の世界から、あまり取り上げられないパンドルフィ・メアッリのソナタを選んで演奏しています。
パンドルフィ・メアッリは、ヴァイオリン音楽を開花させたイタリアのカステッロやマリーニと、その後にヴァイオリン音楽の頂点を築いたオーストリアのビーバーや シュメルツァーとをつなぐ作曲家として重要な人物。ここに収録されたソナタは1660年に出版されたもので、幅広い性格と雰囲気を持った多種多様な音楽です。 (Ki)

ATMA
ACD2-2422(1CD)
合唱の芸術 第3集「バロック Vol.2」
テレマン:4声のモテット『全ての民よ、主を誉め称えよ』 TWV7:25より ハレルヤ
ヨハン・ルートヴィヒ・バッハ:6声のモテット『われらの苦悩よ』 JLB33
バッハ:4声のモテット『主をたたえよ、すべての異教徒よ』 BWV230
ロッティ:10声のモテット『十字架につけられ』
ゼレンカ:聖週間のための27のレスポンソリウムより 『神殿の幕は避け』(4声)、『おおすべての人々よ』(4声)
テレマン:4声のモテット『神はわがやぐら』 TWV8:
ホミリウス:4声のモテット『涙とともに種蒔く者は』HoWV V.11、『天にましますわれらの父よ』 HoWV V.27、 『見よ、偉大なる愛よ』 HoWV V.48
ヨハン・クリストフ・バッハ:4声のアリア『わが命は今にも尽きぬ』
マティアス・マウテ(指)
アンサンブル・アートコラール

録音:2021年4月26-27日/ケベック、ミラベル、聖オーギュスタン教会
後期バロックの合唱曲を収録したアルバム。ア・カペラか、オルガンのみの伴奏で、シンプルな編成から伝わってくる声の美しさに癒されます。
「合唱の芸術」シリーズは、ルネサンスから現代までの6世紀にわたる合唱の歴史をたどる、大がかりなプロジェクト。今後3年間で全11集を刊行予定です。発 売順は1からではなく、これまでにはクリスマスの音楽を収めた第7集(ACD2-2426)が発売されています。
アンサンブル・アートコラール(旧アンサンブル・ヴォーカル・アーツ・ケベック)は伝統的な合唱曲をレパートリーの柱とし、40年以上の歴史を持つ合唱団。 2018年より指揮者・作曲家・リコーダー&フルート奏者として活躍しているマティアス・マウテを芸術監督に迎えています。 (Ki)

EVIDENCE
EVCD-095(1CD)
それゆえ愛は私を苦しめる
作者不詳:愛の苦しみから
カリッシミ:飾らぬ美しさ
ルイージ・ロッシ:地獄の怒り
トリカリオ:さあ、憤りを胸に
カスタルディ:タステッジョ・ソアーヴェ
ストラデッラ:涙を果てしなく流した後
作者不詳:人里離れた地に
作者不詳:ついに斃れ
アンヌ=ソフィ・オノレ、ユリア・ヴィシニェフスキ(S)
アンドレアス・リノス(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、バンジャマン・ナルヴェ(キタローネ)
サム・クラウザー(チェンバロ、指揮)

録音:2022年9月24-27日/ポール・ロワイヤル修道院国立博物館(ポール・レ・ザモー)
ンヌ=ソフィ・オノレは1987年ノルマンディのカーン生まれのソプラノ。愛に関するさまざまな感情を表す8曲に挑戦。女性の可愛らしさ、怖さ、辛さを見事 に表現しています。

のすたるぢあ
Nostalgia-2201(1CD)
神々の雄弁術〜ドニ・ゴーティエの音楽
ドニ・ゴーティエ(1603-1672):組曲Aメジャー〔プレリュード、アルマンド「アンドロメダ」、クーラント「貞潔な浮気女」、ジグ「アタランテ」、ロンド風シャコンヌ〕/組曲Dメジャー〔パヴァーヌ「献辞」、クーラント「ミネルウァ」、サラバンド、ジグ「賛辞」〕/組曲Fメジャー〔アルマンド「雄弁家アポロン」、クーランド&ドゥブル、サラバンド「森のディアーナ」、カナリー〕/組曲Aマイナー〔プレリュード、アルマンド「オルペウス」、クーラント「悩殺美人」、サラバンド、ジグ「エコー」、友人ランクロの死への解答〕
佐藤豊彦(フランス式リュート)

録音:2022年11月14日-17日、炎の博記念堂文化ホール(佐賀県有田町)
※使用楽器:ラウレンティウス・グライフ(1611)
リュート界の第一人者であり、日本が誇る世界的巨匠佐藤豊彦が、自主レーベル「のすたるぢあ(Nostalgia)」からリリースする新録音。佐藤豊彦が自身の最後のソロ録音となるアルバムに選んだのは、17世紀フランスのリュート奏者&作曲家、ドニ・ゴーティエ(1603-1672)の作品が収録された曲集『神々の雄弁術(La Rhetorique des Dieux)』(「神々の修辞学」とも。一部は従兄のエネモン・ゴーティエ(1575-1651)の作と言われている曲もあり)からの音楽です。
ここで言う「神々」とはギリシャ神話やローマ神話に出てくる様々な神たちのことで、今回の収録作品でも、アンドロメダ、アタランテ、ミネルウァ(ミネルヴァ)、アポロン、ディアーナ、オルペウス(オルフェウス)、エコーなどの名前が登場します。
これまでもフランスのリュート音楽と日本の「禅」や「粋」、「侘び寂び」との共通点等を探りながら独自の境地を切り拓いてきた佐藤豊彦ですが、本作でも、ギリシャ・ローマ神話の神々と日本の八百万の神との共通点や、(一部の例外を除いて)一切装飾のない楽譜と禅の精神との関係等を感じながら、ドニ・ゴーティエの作品を紐解いてゆきます。繰り返しのあるすべての舞曲では、1回目は装飾無しで演奏され、2回目は今までのように多彩な装飾が施されています。

CORO
COR-16197(1CD)

PCOR-16197(1CD)
国内盤仕様
税込定価
パレストリーナ Vol.9〜ミサ曲「ドレミファソラ」
ミサ曲 「ドレミファソラ」(ヘクサコルド・ミサ)
神から遣わされた男がいた
生まれた子供は
正しい男は棕櫚の木のように
ヘロデは死刑執行人を送り
あなたの僕(しもべ)たちが声をほぐして
ソロモンの雅歌 第22-24番
わが愛する者よ, あなたは美しく、
この者はだれか、
わたしは園へ下っていった
ここにもっとも神聖な福音書記者がいる
大いに尊敬されるべきは
この弟子である
ザ・シックスティーン、
ハリー・クリストファーズ(指)

録音:2021年5月5日-7日、セント・オーガスティン教会(キルバーン、ロンドン)
※国内盤:日本語解説書&歌詞訳付き
英国が誇る合唱界の至宝、ザ・シックスティーン。現在のザ・シックスティーンを代表する一大シリーズとなった「パレストリーナ・プロジェクト」の最新作となる「第9集」が登場!
ルネサンス期のポリフォニーを代表する作曲家であり、史上最高の典礼音楽作曲家の一人であるパレストリーナ。世界中の聖楽に影響を与え続けてきたパレストリーナが遺した100曲を超えるミサ曲の中からハリー・クリストファーズが選んだミサ曲を中心に、旧約聖書の「ソロモンの雅歌」に基づく連作モテット集からの3曲や関連するイムヌス、モテットなどでプログラムを構成するという秀逸なプロジェクト。
第9巻では、中世・ルネサンス音楽の教会旋法の基礎をなす音階であるヘクサコルド(ヘクサコード)によるミサ曲 「ドレミファソラ」 を中心に、パレストリーナが洗礼者聖ヨハネと福音者聖ヨハネのために書いた栄光ある音楽にもスポットライトを当てています。

Signum Classics
SIGCD-751(2CD)
海外の英国人
パーセル:シャコンヌ ト短調 Z730
テレマン:序曲=組曲 ト短調 TWV55:g5
若ニコラ・マッテイス:ヴァイオリン協奏曲 変ロ長調
カルダーラ&ニコラ・マッティス:「La Verita nell’Inganno」の序曲&バレエ音楽
ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調「お気に入り」 Op.11RV277
ジュゼッペ・アントニオ・ブレシャネッ:序曲=組曲 ハ長調、シャコンヌ イ長調
ラ・セレニッシマ、
エイドリアン・チャンドラー(ディレクター、ヴァイオリン)

録音:2022年10月、シーダーズ・ホール(イギリス、サマセット)
英国屈指のバロック・ヴァイオリニスト、エイドリアン・チャンドラーによって創設された著名なピリオド・アンサンブル、ラ・セレニッシマ!
ヴィヴァルディを中心に、知られざる作品や再発見された作品の世界初録音を続々と世に送り出し、2度のグラモフォン賞に輝いている彼らの最新作は、若ニコラ・マッテイス(c1677-1737)の人生と作品を称える1枚!イタリア人の父とイギリス人の母の間にロンドンで生まれたマッテイスは、1700年にイギリスを離れウィーンの宮廷へ赴くまでの間に、ヘンリー・パーセルの様式に染まっていました。18世紀初頭のヨーロッパ大陸において、英国の様式や英国の音楽家が知られていなかったと考えるのは容易いですが、本作の選曲は実際にはそうではなかったことを物語っています。素晴らしい舞曲、組曲のほか、驚くほど美しいヴィヴァルディの協奏曲、イギリス人(パーセル)とイタリア人(ブレシャネッロ)による2つの素晴らしいシャコンヌが収録されています。

fra bernardo
FB-2281535(1CD)
ヴィオリーノ Vol.3〜1680年頃ウィーンのヴァイオリン音楽
神聖ローマ皇帝レオポルト1世:シャコンヌ SMC
シュメルツァー:ソナタ第2番
作曲者不詳:カプリッチョ第5番
作曲者不詳:ソナタ第8番
作曲者不詳:シャコンヌ第6番
シュメルツァー:ソナタ第6番
作曲者不詳:ソナチネ第17番
シュメルツァー:ソナタ ニ長調
作曲者不詳:サラバンダ・ヴァリアータ
神聖ローマ皇帝レオポルト1世:ガヴォット SMC、別れ〜シャコンヌ SMC
ヴェロニカ・スクプリク(Vn)、
イェルク・ヤコビ(Org)

録音:2022年3月23日-25日、聖ラウレンティウス教会(ラングヴァルデン、ドイツ)
※使用楽器:ヴァイオリン Cahuzsac Brothers, London1787/オルガン Hermann Kroger Berend Hues1650/51
ラルぺッジャータやオルトレモンターノ、コンチェルト・パラティーノなどでも活躍するドイツの女流ヴァイオリニスト、ヴェロニカ・スクプリクによるオーストリアのヴァイオリン秘曲集第3弾。ヨハン・ハインリヒ・シュメルツァー(1623-1680)のソナタに加え、ロンドンの大英図書館に所蔵されている貴重なバロック時代の写本から特に魅力的な作曲者不詳の作品に焦点を当てています。さらに作曲家である神聖ローマ皇帝レオポルト1世(1640-1705)による極めて質の高いシャコンヌを収録し、17世紀末ウィーンで作曲された知られざる作品を改めて発見できる一枚です。

Glossa
GCD-924503(1CD)
レオナルドの橋
Kuh-Pareh/Non val aqua al mio gran foco/Staralla ben cussi/Parvaz/Pan de miglio caldo/Saltarello e Piva/Sera ne lo cor mio/Tu dormi/So stato nel inferno/Semai Pire mey foroush/Cavalca Sinisbaldo/Hijaz Semai/Noi che semper naveghemmu
マルコ・ビーズリー(ヴォイス)、
キヤ・タバシアン(ディレクター)、
コンスタンティノープル

録音:2022年3月、スタジオ・ピッコロ(モントリオール、カナダ)
レオナルド・ダ・ヴィンチは1502年、オスマン帝国のバヤズィト2世が行った事業計画でイスタンブールの金角湾に幅23m、長さ350m、高さ40m(大きさは諸説あり)にも及ぶ巨大な橋の設計図を制作したものの、そのあまりに大規模な土木工事は当時としては難しく、ついに実現することはありませんでした。本アルバムでは、彼が結びつけようとした2つの文化圏の音楽を対話させることでこのプロジェクトに命を吹き込み、500年の時を経て彼が思い描いた東洋と西洋の架け橋を築きます。
イラン出身で古代ペルシャ音楽を学んだキヤ・タバシアンと中世とルネサンス、ヨーロッパ、地中海と中東の伝統を受け継ぐ広範な音楽を紹介してきたコンスタンティノープル(編成は、セタール、カーヌーン、ケメンセ、ウード、ゲイチャク等)は、これまでもイスラム・オスマン帝国とキリスト教・ヨーロッパの2つの文化の重要な仲介者となったアリ・ウフキの音楽や、ペルシャの偉大な神秘主義詩人、ジャラール・ウッディーン・ルーミーの詩にインスピレーションを得た作品などを制作してきました。今回のレコーディングにはタバシアンの親愛なる友人である歌の都ナポリの至宝、マルコ・ビーズリーをゲストに迎え、プロジェクトに参加した8人の音楽家たちによって架けられたこの橋がリスナーによって何度も旅され、渡られることを願っています。
Glossa
GCD-923904(2CD)
マルコ・ダ・ガリアーノ(1582-1643):プロローグと5幕の歌劇 「ラ・フローラ(または花のクリスマス)」(フィレンツェ, 1628) エレーナ・サルトーリ(指)、
アッラバストリナ、
クラリッサ・レアーリ(S)、
ヴァレリア・ラ・グロッタ(S)、
マウロ・ボルジョーニ(Br)、
マルタ・フマガッリ(Ms)、
アリアンナ・ストルネッロ(S)、他

録音:2022年6月6日-10日&9月13日-14日、フジニャーノ・コレッリ(ラヴェンナ、イタリア)
オペラの誕生は1600年頃、フィレンツェで始まり、この新しいジャンルは重要な政治的行事の伴奏に使われました。作曲家のマルコ・ダ・ガリアーノ(1582-1643)は、モンテヴェルディによるこの新しい様式を知り、メディチ家のために「ラ・フローラ」を作曲しました。この作品は吟遊詩人アンドレア・サルヴァドーリの台本を基に作曲され、1628年、パルマ公オドアルド・ファルネーゼとマルゲリータ・デ・メディチの結婚式の際に上演されました。
初演から400年経て今、イタリアの女流鍵盤奏者で指揮者であるエレーナ・サルトーリと、サルトーリが率いる古楽アンサンブル&choのアッラバストリナ(アッラバストリーナ)の演奏で蘇ります。

KLANGLOGO
KL-154748-7(7CD)

PKL-154748-7(7CD)
国内盤仕様
税込定価
ヤコブ・ファン・エイク(c.1590-1657):笛の楽園全曲 シモン・ボルツキ(リコーダー)

※国内盤:解説日本語訳&日本語曲目表記オビ付き
ヤコブ・ファン・エイク(c.1590-1657)による「笛の楽園」は、管楽器のための曲集としてこれまでに作られたものの中でも最も大規模な作品のひとつです。ルネサンスからバロックへの移行期に活躍した作曲家ヤコブ・ファン・エイクは、カリヨン奏者でもあり鋳造、調律も行い、さらにはリコーダーの名手でした。その作品は、ファン・エイクが生まれつき目が見えなかったため、口述で伝えられたものが出版されました。「笛の楽園」は約150曲という膨大な曲数があり、有名な教会音楽や、民謡の変奏曲なども含まれています。この貴重な全曲録音では、シモン・ボルツキが、テナー・リコーダーの深く豊かな低音の音色から、ソプラニーノ・リコーダーによるきらめくような名人芸まで、26本ものリコーダーを駆使して多様な表現をみせています。
ドイツのリコーダー奏者シモン・ボルツキは、フランクフルト音楽舞台芸術大学でミヒャエル・シュナイダー教授にリコーダーを師事、その後ベルリン芸術大学で研鑽を積むと同時にベルリン音楽大学で古典声楽を学びました。17〜18世紀の音楽に特に注力しており、ベルリン・リコーダー・オーケストラの芸術監督兼指揮者としても活躍しています。これまでにリリースしたCDは、グラモフォン誌にて「エディターズ・チョイス」に選ばれるなど高い評価を受けています。

Hyperion
CDA-68416(1CD)
バード:5声のミサ曲
ウィリアム・バード(1539/40-1623):アヴェ・ヴェルム・コルプス/日々自らの罪に悩まされたるわれらは/5声のミサ曲より キリエ、グローリア/悲しみと不安が/5声のミサ曲より クレド/アヴェ・マリア/5声のミサ曲より サンクトゥス、ベネディクトゥス/死の悲しみがわれをとりまく/5声のミサ曲より アニュス・デイ/よりよき生活のうちに/エレミアの哀歌(失われた声部の再構築:オワイン・パーク
ジェズアルド・シックス〔ガイ・ジェームズ(C.T)、ジョゼフ・ウィックス(T)、ジョシュ・クーター(T)、マイケル・クラドック(Br)、サミュエル・ミッチェル(Bs)〕、オワイン・パーク((指)バス)

録音:2022年6月&9月、オール・ハロウズ教会(イギリス、ロンドン)
2014年に設立されたルネサンス・ポリフォニーを専門とするイギリスの若き男声ア・カペラ・アンサンブル、「ジェズアルド・シックス」。ディレクターを務めるオワイン・パークは、1993年生まれ、若くして作曲家、指揮者、歌手、オルガニストなど多彩に活動を拡げる天才ミュージシャンです。
ジェズアルド・シックスは、イギリスのルネサンス期を代表する作曲家ウィリアム・バード(c.1543-1623)の没後400周年を記念したスペシャル・コンサート「シークレット・バード」を企画し、英米の大規模なツアーを行っています。7枚目のアルバムとなる本作もバード没後400周年を記念したもので、おそらく1594年末から1595年初頭頃に作曲されたと思われるラテン語の(隠れカトリックのための)傑作「5声のミサ曲」を中心に、並外れた美しさを誇るラテン語のモテットを散りばめ、バードの作品の力強さと優しさを的確に捉えた素晴らしいアルバムが完成しました。1560年代のリンカーン在学中に作曲されたと思われる「エレミアの哀歌」は、オックスフォードとテンベリーに残る資料を繋ぎ合わせても3か所に不完全な声部(T)が残っており、オワイン・パークが当時の様式を守りながら巧妙に再構築しています。

CPO
CPO-555586(3CD)
NX-G11
カール・ハインリヒ・グラウン(1703-1759):歌劇「シッラ」 シッラ:ローマの独裁者…ベジュン・メータ(C.T)
メテッロ:評議員…ヴァレル・サバドゥス(カンターテナー)
レントゥーロ:評議員…ハーゲン・マツァイト(C.T)
ポストゥミオ:評議員…サミュエル・マリーニョ(S)
オッターヴィア:ポストゥミオの婚約者…エレオノーラ・ベッロッチ(S)
フルヴィア:オッターヴィアの母・・・ロベルタ・インヴェルニッツィ(S)
クリソゴーノ:奴隷解放者…メルト・スング(T)
コーロ・マギーニ(合唱)
インスブルック音楽祭O(古楽器使用)
アレッサンドロ・デ・マルキ(指)

録音:2022年8月2-9日
世界初録音
古代ローマの政務官で独裁官となったシッラ(ルキウス・コルネリウス・スッラ)の物語。シッラが内戦によって政敵を 倒して恐怖政治を確立した後、突然の退位を発表するまでが、奔放な恋愛模様を絡めて描かれています。この 話は18世紀に人気があったようで、モーツァルトやヘンデルも「シッラ」を題材とした歌劇を書きました。グラウンの作 品ではプロイセン王フリードリヒ2世による台本が注目されます。カウンターテナーのベジュン・メータやヴァレル・サバ ドゥス、男声ソプラノのサミュエル・マリーニョ、ソプラノのロベルタ・インヴェルニッツィと豪華キャストを揃えるところは、さ すが名門音楽祭。アレッサンドロ・デ・マルキが指揮するインスブルック音楽祭Oも輝かしい演奏を聴かせ ます。 ※オリジナルはフランス語台本ですが、ここではGiovanni Pietro Tagliazucchiによるイタリア語台本に基づき、 イタリア語で上演されています。

CPO
CPO-555525(2CD)
NX-D11
ヨハン・ハインリヒ・ローレ(1716-1785):ルカ受難曲(1744) 小間使いI…シーリ・ソーンヒル(S)
福音史家…マルクス・シェーファー(T)
ペトロ、テスト、不正を働くもの II…ヒューゴ・ハイマス(T)
イエス…ティロ・ダールマン(Bs-Br)
ピラト、不正を働くもの I、隊長…マティアス・フィーヴェク(A)
エルヴィラ・ビル(Ms)
ケルン・アカデミー(古楽器使用)
ミヒャエル・アレクサンダー・ヴィレンズ(指)
録音:2022年6月24-27日、8月19日
マグデブルクのアルトシュタット・ギウナジウムで30年以上カントール職を務め、当時絶大な名声を誇っていた ハインリヒ・ローレが1744年の受難節に書いた「ルカ受難曲」。ケルン・アカデミーとヴィレンズは2016年に ローレの「マタイ受難曲」世界初演を行い、アルバムを発表、高く評価されています。この「ルカ受難曲」は、ル カによる福音書の第22章39節から23章の終わりまでを原文として、新しく構成されたテキストを用いたもの で、各セクションはアリアを中心に、レチタティーヴォ、コラール、合唱が配置されています。1744年、ローレ30 歳前の作品ですが、その作曲技法は熟練の域に達しており、18世紀の中部及び、北ドイツで書かれた受 難曲を代表する名作の一つに位置づけられるものです。福音史家はベテラン、マルクス・シェーファーが担当。 他の歌手たちも素晴らしい歌唱を聴かせます。

CPO
CPO-555577(1CD)
NX-B10
クリストフ・グラウプナー(1683-1760):2人のソプラノとバスの為のカンタータ全集
1. Ein jeglicher sei gesinnet GWV1126/21
2. Zerflies‘, mein Herz, in Blut GWV1127/20
3. Nun ist auferstanden GWV1128/21
4. Christ lag in Todesbanden GWV1130/21
5. Du schones Wohnhaus GWV1133/20
マリー・ルイーゼ・ヴェルネブルク(S)
ハンナ・ツムザンデ(S)
ドミニク・ヴェルナー(Bs)
キルヒハイマー・バッハコンソート(古楽器使用)
フロリアン・ヘイエリック(指)

録音:2022年7月16-17日(ライヴ)
全て世界初録音
ドイツ、ザクセン公国に生まれたグラウプナー。クーナウに学び、ハンブルク歌劇場のチェンバロ奏者を務 めながら(同じ時期にヘンデルがヴァイオリン奏者として在籍していた)、次々と歌劇を作曲していました。 当時はバッハよりも高い評価を受けていたというグラウプナーcpo声楽作品シリーズです。 今作では1720年から21年に作曲された2人のソプラノとバスの為のすべてのカンタータを選曲。この5曲は 聖週間から復活祭後の3度目の日曜日までの教会暦によるもので、グラウプナーが従事していたダルムシュ タット宮廷の歌手たち、とりわけソプラノ歌手の高い能力を存分に駆使した、歌の妙技が盛り込まれていま す。18世紀作品を得意とする2人のソプラノ歌手ヴェルネブルクとツムザンデ、安定の歌唱を聴かせるヴェル ナーによる演奏でお楽しみください。

Resonus
RES-10312(1CD)
NX-B05
テレマン:無伴奏フルートの為の12のファンタジア TWV40:2-13
第1番イ長調 TWV40:2
第2番イ短調 TWV40:3
第3番ロ短調 TWV40:4
第4番変ロ長調 TWV40:5
第5番ハ長調 TWV40:6
第6番ニ短調 TWV40:7
第7番ニ長調 TWV40:8
第8番ホ短調 TWV40:9
第9番ホ長調 TWV40:10
第10番嬰ヘ短調 TWV40:11
第11番ト長調 TWV40:12
第12番ト短調 TWV40:13
サミ・ユンノネン(Fl)

録音:2022年2月15-17日
1727年から1732年にかけて作曲されたテレマンの「無伴奏フルートの為の12のファンタジア」。通奏低音付きの 作品が主流だった18世紀にかかれた少数の無伴奏作品の一つで、全曲は緩-急-緩-急による古典的な形式の ソナタと、舞曲などを織り交ぜた新しい形式のソナタがバランスよく配置されており、技巧の見せ場もふんだんに盛り 込まれています。 演奏はフィンランドの奏者サミ・ユンノネン。2012年にヘルシンキ音楽センターでデビュー・リサイタルを行って以来、 アイスランドSO、香港シンフォニエッタなどの首席奏者を務めるかたわら、ソリストとして活躍。2017年には フィンランド独立100周年の公式文化使節としてロシアへのツアーを行うなど、高く評価されています。 使用楽器は2000年代に制作されたムラマツ・フルート24K。
Resonus
RES-10316(1CD)
NX-B05
ユーハン・ヘルミク・ルーマン:フルートの為の室内楽作品集
ソナタ第4番ト長調 BeRI204? フルートと通奏低音の為の
ソナタ第10番ホ短調 BeRI210- フルートと通奏低音の為の
. アリア「Suse Zeiten eilet nicht」 - 『食卓の為の音楽』のカンタータから
ソナタ第8番イ長調 BeRI208- フルートと通奏低音の為の
アリア「I eder basta var」 HRV600- 『Brollops Music結婚式の為の音楽』より
トリオ・ソナタ第3番ホ短調 BeRI115
フラウグィッシモ【フー・ユウェイ(Fl)、ヨハン・レフヴィング(テオルボ&バロック・ギター)、マグダレーナ・ロト=ヒル(Vn)、エミリー・アトキンソン(S)、ヘンリク・パーソン (ヴィオラ・ダ・ガンバ)】

録音:2021年11月22-24日
スウェーデンのバロック期を代表するユーハン・ヘルミク・ルーマンの作品集。ストックホルムの音楽一家に生まれた ルーマンは、王室礼拝堂の一員として才能を認められたのち、王の許しを得てロンドンに留学、ヘンデルから教えを 受け、その影響を故国に広めたことで「スウェーデン音楽の父」「スウェーデンのヘンデル」と称されました。 このアルバムにはフルートとギターに特化した作品を演奏するユニークなアンサンブル「フラウグィッシモ」を中心に、フ ルートが活躍するルーマンの室内楽とアリアを収録。師ヘンデルに倣い多楽章で構成された3つのフルート・ソナタ、 フルート・パートのオブリガートを含む2曲のアリアと、18世紀初頭のストックホルムでの宮廷サロン・コンサートを想起 させる華やかなトリオ・ソナタを聴くことができます。

Chateau de Versailles Spectacles
CVS-090(1CD)
フランス・バロック声楽作品に描かれる女性たち
ジャン=バティスト・モラン(1677-1745):序曲(カンタート「結婚の神と恋の神」序曲より序奏部分)
ルイ・アントワーヌ・ドルネル(1680-1765):独唱と合奏の為のカンタート「クロリンダの墓標」
ニコラ・ラコ・ド・グランヴァル(1676-1753):あなたの容赦ない掟の数々により(『真面目な歌、酒の歌』〔1709〕より)
リュリ:アルミードの嘆き(『姿を偽った恋人たちの舞踏劇』〔1664〕より)
エリザベート・ジャケ・ド・ラ・ゲル(1665-1729):抒情悲劇「セファルとプロクリス」より
 アテネの人々のエール
 プロクリスのエール「人里を離れて」
 暁の女神のエール「夜啼鶯たちは、夜明けとともに」
 ブーレ
作者不詳:齢15の少女がひとり(南仏ベアルン地方の伝承歌)
モンテクレール(1667-1737):独唱と合奏の為のカンタート「ルクレツィアの死」
作者不詳:縛られず満たされた私たちの魂は(『女王の舞踏劇』〔1609〕より)
ヴィクトワール・ビュネル(Ms)
アンナ・レイノルト(Ms)
ギレム・ヴォルムス(バス=バリトン)
アンサンブル・イル・カラヴァッジョ(古楽器使用)
 ロクサナ・ラステガル、ピエール=エリック・ニミロヴィチ(Vn)
 ロナルド・マルティン・アロンソ(バス・ド・ヴィオール〔ヴィオラ・ダ・ガンバ〕)
 バンジャマン・ナルヴェ(テオルボ、バロックギター)
カミーユ・ドラフォルジュ(クラヴサン〔チェンバロ〕、指揮)

録音:2021年12月17-19日 ヴェルサイユ宮殿「マレンゴの間」
フランスの古楽シーン最前線をゆく若き俊才たちが、解像度の高いフランス・バロック解釈を聴かせてくれる声楽作品集。フランス語の詩や台 本の持ち味を最大限生かしながら、そこにイタリア由来の音楽様式を接ぎ木して生まれたルイ14世時代のフランス宮廷音楽様式。そうした ルーツをふまえつつ、イタリア語の作品も交えてその魅力を探るプログラムが興味深く起伏に富んでおり、長めのカンタート(フランス式カンター タ)でも短い歌曲でも、演奏は深い味わいに満ちています。歌い手は、ル・ポエム・アルモニークやレ・クリ・ド・パリなど一流アンサンブルに加わり 着実に実績を上げてきたヴィクトワール・ビュネル、レザ―ル・フロリサンやピグマリオン、カペラ・メディテラネアなどの注目公演で存在感を発揮 してきたアンナ・レイノルト、古楽に縛られない歌劇界での活躍も目立つギレム・ヴォルムスの3人。さまざまなアンサンブルで活躍する古楽器 奏者たちが集うアンサンブル・イル・カラヴァッジョも古楽器それぞれの音色をよく生かして声を支え、団体名の由来となった画家の作風にも通 じるコントラスト鮮やかな解釈で耳を惹きつけてやみません。選曲のテーマは「女主人公たち」。運命に翻弄されながら自らの人生を選び取っ てゆく伝説上の女性たちから酒飲み男の恋慕の歌まで、描き出される女性像の多彩さも魅力の一つ。作曲家たちそれぞれの個性がよく際 立つ選曲にもなっており、フランス古楽を聴き深めてゆく上でも参考になる学びの多い1枚と言ってよいでしょう。

ATHENE
ATH-23213(2CD)
NX-C04
フローベルガー:チェンバロの為の組曲集 第3集
【CD1】
組曲 イ短調 FbWV630
組曲 ヘ長調 FbWV617
組曲 イ長調 FbWV638
組曲 嬰ヘ短調 FbWV646
組曲 変ホ長調 FbWV654”Das Nachtlager”
組曲 ホ短調 FbWV651
【CD2】
組曲 イ短調 FbWV601
組曲 ニ長調 FbWV624
組曲 ト短調 FbWV609
組曲 ホ短調 FbWV623
組曲 ロ短調 FbWV652
組曲 ホ長調 FbWV656” Der Clavier Trompler”
ギルバート・ローランド(Cemb)
アンドルー・ウッダーソン復元、2段鍵盤、フレンチ・モデル(2005)
1750年グルマン(パリ)製チェンバロに基づく

録音:2022年7月11-13日
バロック時代の組曲形式の創始者とみなされているフローベルガーの組曲のほとんどはアルマンド、クーラント、サラ バンド、ジーグの4曲で構成されていますが、この第3集にはジーグを欠く3曲構成の組曲もいくつか収録されていま す。内容は驚くほど多彩で、どれも聴きごたえがあります。演奏は1946年スコットランド生まれのチェンバロ奏者ギ ルバート・ローランド。現在ヨーロッパにおける最古参奏者の一人で、DIVINE ARTレーベルのヘンデル:組曲 や、NAXOSレーベルでのソレール:ソナタ全集、ラモー:クラヴサン曲集などが高く評価されています。

Dynamic
DYNDVD-37971(DVD)
NX-D03

DYNBRD-57971(Bluray)
NX-D03
リュリ:歌劇「アシスとガラテア」 アシス…ジャン=フランソワ・ロンバール(T)
ガラテア…エレナ・ハルシャーニ(S)
ディアナ/ナイアス II/シラ…ヴァレーリア・ラ・グロッタ(S)
アボンダンス/アメント/ナイアス I…フランチェスカ・ロンバルディ・マッズッリ(ソプラノ
コーモス/ティルシス…マルクス・ヴァン・アルスデール(T)
アポロン/ユノーの祭司/テレモス…セバスティアン・モンティ(T)
ポリュペモス…ルイージ・デ・ドナート(Bs)
ネプチューン…グイド・ロコンソロ(Br)
ドリュアス…シルヴィア・スペッソト(S)
シルウァヌス…ダヴィデ・ピーヴァ(Bs)
ダンサー:カロリーヌ・デュクレ、ロベール・ル・ニュス、アルベルト・アルコス、
グートルン・スカムレッツ
フィレンツェ五月音楽祭O&cho(古楽器使用)
フェデリコ・マリア・サルデッリ(指)
演出:バンジャマン・ラザール

収録:2022年7月9日 フィレンツェ五月音楽祭歌劇場(ズービン・メータ・ホール)
収録時間:112分
音声:フランス語
PCMステレオ2.0/Dolby Digital5.1(DVD)
PCMステレオ2.0/DTS-HD Master Audio5.1(Blu-ray)
字幕:日本語・英語・ドイツ語・イタリア語・フランス語・韓国語
画角:16/9 NTSC All Region
DVD…片面二層ディスク
Blu-ray…片面単層ディスク 1080i High Definition
フランス・バロック音楽の大家ジャン=バティスト・リュリが、不慮の事故による病で他界する前年、1686年に貴族の祝宴のために作曲し、 作曲家最後の完成したオペラとなった牧歌劇「アシスとガラテア」。この作品はフランス風序曲で荘重に始まり、数々の歌唱とバレ(舞踊)が繰り広げられ、 華々しいパッサカリアで締めくくられるというリュリならではの秀作です。本作は、フィレンツェの出身であるにもかかわらずイタリアで演奏される機会が極端に少 ないリュリの作品を復興させることを目的に、作曲家生誕390年にあたる2022年に発足したフィレンツェ市の「リュリ・プロジェクト」の第1弾として上演収録 されました。バンジャマン・ラザールによる美しい舞台美術とグートルン・スカムレッツ振付のエレガントなバレが目を楽しませてくれます。歌手陣には、ガラテア 役を優美に演ずるエレナ・ハルシャーニとアシス役のノーブルな表情が出色のジャン=フランソワ・ロンバール、二人のタイトルロールを中心に優れた若手歌手 を起用。リュリへのオマージュとして指揮杖で床を打ち鳴らす名匠サルデッリに導かれたフィレンツェ五月音楽祭オーケストラがピリオド楽器に持ち替え、活気 と古雅な味わいに満ちた演奏を繰り広げます。

ALPHA
ALPHA-935(1CD)

NYCX-10402(1CD)
国内盤仕様
税込定価
18世紀のヴェネツィア共和国とヴァイオリンの名手たち
ヴェラチーニ:8つの楽器のための協奏曲 ニ長調
ロカテッリ:ヴァイオリン協奏曲 第2番ハ長調 Op.3-2〜『ヴァイオリンの技法』より(無伴奏ヴァイオリンのための二つのカプリッチョを含む)
タルティーニ:ヴァイオリン協奏曲 ヘ長調 D61
ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 RV208「ムガール大帝」
シュシャーヌ・シラノシアン(Vn)
ヴェニス・バロック・オーケストラ(古楽器使用)
アンドレア・マルコン(チェンバロ、指揮)

録音:2022年7月 ロニーゴ(イタリア北東部ヴェネト州内陸部)
収録時間:76分
※国内仕様盤解説日本語訳…白沢達生
鬼才インマゼールとのデュオ・アルバムや古楽器によるメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲録音で話題を呼び、その後もタルティーニ、ロンベ ルク、バッハと幅広い時代の音楽で痛快な名演を聴かせ続けるヴァイオリン奏者シュシャーヌ・シラノシアン。タルティーニの協奏曲集に続くアン ドレア・マルコン&ヴェニス・バロック・オーケストラとの新たな録音は「赤毛の司祭」ヴィヴァルディが自ら鮮やかなカデンツァまで書いた協奏曲 「ムガール大帝」に、いずれ劣らぬ同時代の実力派作曲家3人の協奏曲をカップリングした充実企画! いずれもバロック期にしてはかなり長 大と言ってよい力作ばかりで、ヴェラチーニの管楽器入り協奏曲、無伴奏カプリッチョをカデンツァ風に添えてのロカテッリ『ヴァイオリンの技法』か らの1編、タルティーニの艶やかな旋律と和声に陶然とさせられるD 61と、それぞれの作曲家の個性の違いが明確になる選曲が絶妙。シラノ シアンはますます冴えわたる弓さばきで18世紀イタリアならではの歌心とヴィルトゥオジティを縦横無尽に披露し、マルコン率いる合奏勢もこれ に応えて地中海の情熱をはらんだ起伏豊かなドラマを聴かせてくれます。バロック舞踏とヴィヴァルディ研究で注目されるオリヴィエ・フレの解説 (国内仕様盤は日本語訳付)も的確かつ注目の情報を盛り込んだ読み応えある内容。多角的に生々しい18世紀へ引きずり込まれること 必至の、ALPHAレーベルならではの突き抜けたイタリア・バロック・アルバムの登場です。

Chateau de Versailles Spectacles
CVS-080(2CD)
NX-D09

NYCX-10401(2CD)
国内盤仕様
税込定価
モンテヴェルディ:歌劇「オルフェオ」 オルフェオ…マルク・モイヨン(Br)
エウリディーチェ/ムジカ(音楽)…ルチアーナ・マンチーニ(メゾ=ソプラノ)
女の使者…サラ・ミンガルド(メゾ=ソプラノ)
プロセルピナ/スペランツァ(希望)…マリアンネ・ベアーテ・キーラント(シェラン) (メゾ=ソプラノ)
カロンテ/プルトーネ…サルヴォ・ヴィターレ(Bs)
アポロ…フリオ・ザナージ(Br)
ニンフ…リズ・ヴィリセル(S)
羊飼いI/精霊II…ビクトル・ソルド(T)
羊飼いII/精霊IV…ガブリエル・ディアス(C.T)
羊飼いIII/精霊I/木霊…アレッサンドロ・ジャングランデ(カウンターテナー/テノール)
羊飼いIV/精霊III…ヤニス・フランソワ(バス=バリトン)
ラ・カペラ・レイアル・デ・カタルーニャ、ル・コンセール・デ・ナシオン(古楽器使用)
コンサートマスター:マンフレード・クレメール(Vn)
ジョルディ・サヴァール(指)

録音:2021年6月30日-7月4日 ヴェルサイユ宮殿王室歌劇場
※国内仕様盤日本語解説…小宮正安
歌詞日本語訳…萩原里香
2021年、パリ・オペラ・コミック座とヴェルサイユ王室歌劇場などの共同制作で実現した、ジョルディ・サヴァール指揮による「オルフェオ」再録 音。先にリリースされたオペラ・コミック座収録の映像作品に続き、ヴェルサイユでセッション録音されたCDが登場します。地中海諸国の17世 紀音楽はいうまでもなくサヴァールにとって自家薬籠中のもので、「オルフェオ」も2002年に満を持しての録音(映像とCD)がありましたが、今 回の新録音では主人公オルフェオに超実力派古楽歌手マルク・モイヨンを起用! その圧倒的な「声の演技」は、さながら動物たちや草木を も感動させたという伝説の竪琴詩人オルフェウスそのもの。ほかの歌手勢も旧盤で主役を演じたフリオ・ザナージや同役で再登場のサラ・ミン ガルドの他、マリアンネ=ベアーテ・キーラントやルチアーナ・マンチーニなど注目の歌手、さらに羊飼いや精霊たちに至るまで存在感ある才人 揃い。また、長年の共演で信頼関係を重ねてきた大御所プレイヤーも数多く参加しており、バロック・ハープのアンドリュー・ローレンス=キング などベテラン続々の通奏低音陣や打楽器のペドロ・エステバンに加え、リコーダーにはピエール・アモン、木管コルネットにはジャン=ピエール・カ ニアックといったソリスト級の俊才たちも随所で妙技を披露。ヴェルサイユ宮殿という古楽音楽劇にうってつけの「場」を得てじっくり収録された 解釈は、音楽劇というもののあり方から問い直す説得力に貫かれ、バロック・ファンならずとも深く聴き込み甲斐のある、新たなる決定的盤と いうべき内容に仕上がっています。

Audite
AU-97809(1CD)
大運河(カナル・グランデ)の3人のアントニオ〜ロッティ、カルダーラ、ヴィヴァルディ
(1)ヴィヴァルディ:弦楽の為の協奏曲 ト短調 RV.157
(2)ロッティ(1667-1740):牧場を包む優しき風
(3)カルダーラ:「残酷なる愛の嫉妬」からの序曲(器楽曲)
(4)カルダーラ:アヴェ・レジナ・チェロールム(めでたし天の女王)
(5)カルダーラ:「ジョナータ」からの序奏(器楽曲)
(6)ヴィヴァルディ:ニシ・ドミヌス(主が家を建てられるのであれば)RV.608
(7)カルダーラ:「イザヤの福音を告げる預言」からの序奏(器楽曲)
(8)ロッティ:聖なる愛、最愛の光風
(9)ヴィヴァルディ:弦楽の為の協奏曲 ト短調 RV.155
(10)ロッティ:我が罪より顔を背け
アレックス・ポッター(C.T)
ラ・フェスタ・ムジカーレ
ヴィオラ・ダモーレ:マリア・パーヒェ(6)
ヴァイオリン独奏:アンネ・マリー・ハラー(9)

録音:2022年7月4-7日/インマヌエル教会、ヴッパータール
世界初録音=(2)-(5)(7)(8)(10)
ヴェネツィアで同時代に活躍したアントニオという名前を持つ3人の作曲家、ヴィヴァルディ、ロッティ、カルダーラにスポットを当てたアルバム。名カウンターテ ナー、アレックス・ポッターを招いて、アルトの為のカンタータと合奏曲を収録しています。
メインとなるのはヴィヴァルディの有名な詩篇曲「ニシ・ドミヌス(主が家を建てられるのであれば)」RV.608。美しい旋律が満載の名曲です。またヴィヴァル ディの2曲の弦楽の為の協奏曲は他の作品の序曲のように配置されています。
晩年にサン・マルコ寺院で楽長を務めたロッティは、痛切な宗教合唱曲「十字架に付けられ」で知られていますが、ここではアルト独唱の為の宗教曲という珍 しい作品(世界初録音)が聴けます。合唱曲とは異なるロッティの魅力を知ることができるでしょう。
20代にサン・マルコ寺院の聖歌隊員や器楽奏者として活躍し、後にマントヴァ、ローマ、ウィーンと渡り歩いた作曲家カルダーラは数多くの歌劇を作曲したこ とで知られていますが、同様にオラトリオも数多く残しています。ここではオラトリオや宗教的劇作品からの器楽合奏曲が3曲収録され、フーガの様式を巧みに用 いたその劇的な作風は器楽作曲家としてのカルダーラの作曲能力の高さを示しています。また、ウィーンの神聖ローマ-皇帝の宮廷のために作曲された美しい「ア ヴェ・レジナ・チェロールム(めでたし天の女王)」も聴きものです。
ヘレヴェッヘやラーデマン、サヴァールといった指揮者たちからの信頼も厚い実力派カウンターテナー、アレックス・ポッターは宗教曲を得意としています。この 録音でも、見事にコントロールされた美声で、3人のアントニオの名作を清新に歌い上げています。auditeレーベルで多彩なゲストと共に貴重な録音をリリースし 続けるドイツのピリオド楽器オーケストラ、ラ・フェスタ・ムジカーレの表現力あふれる合奏もすばらしいものです。
ヴェネツィアの街を二分する大運河「カナル・グランデ」を彩った17世紀末から18世紀初頭の美しい宗教音楽をお楽しみください。 (Ki)
Audite
AU-97784(1CD)
ビトウィーン・スフェア〜ポリエッティ&シェーネヴォルフ
(1)アレッサンドロ・ポリエッティ(〜1600-1683):第7旋法のリチェルカーレ
(2)マルクス・シェーネヴォルフ(1977-):鶴の群れに※
(3)ポリエッティ:雄鶏と雌鶏の鳴き声によるカンツォーネ
(4)ポリエッティ:第2旋法のフーガ
(5)シューネヴォルフ:雲間を泳ぐために※
(6)ポリエッティ:第3旋法のリチェルカーレ
(7)ポリエッティ:第5旋法のリチェルカーレ「この日こそ喜びあふれ」
(8)ポリエッティ:3つの主題による第1旋法のリチェルカーレ
(9)シェーネヴォルフ:急降下※
(10)シェーネヴォルフ:魂の旅※
(11)ポリエッティ:フーガ
(12)ポリエッティ:第1旋法のリチェルカーレ
(13)ポリエッティ:第4旋法のリチェルカーレ
(14)シェーネヴォルフ:求愛※
(15)ポリエッティ:小夜啼鳥の為のリチェルカーレ
(16)ポリエッティ:リチェルカーレのシンコペーション
(17)ポリエッティ:リチェルカーレによる小夜啼鳥の為のカプリッチョ
(18)第2旋法のリチェルカーレ
(19)シェーネヴォルフ:風が舞い春を告げる※
マルクス・シェーネヴォルフ:「リコーダー四重奏の為の“うなり“」より
ボレアス・カルテット・ブレーメン(リコーダー四重奏団) 【ジン-ジュー・ペク、エリザベト・シャンポリオン、ユリア・フリッツ、ルイーゼ・マンスケ】

録音:2022年8月27-30日/フンクハウス・ハルベルク・ザールブリュッケン、グロッサー・ゼンデザール
古楽を中心に活躍する名歌手ドロテー・ミールズをゲストに迎えたデビュー・アルバム『「バゼヴィの写本」〜オーストリア、マルガレーテ王女の宮廷音楽』(AU-97783)で、権威ある国際的音盤賞であるインターナショナル・クラシカル・ミュージック・アワード(ICMA)を受賞(2022年)した、2009年の結成のドイツ のリコーダー四重奏団、ボレアス・カルテット・ブレーメンによるセカンド・アルバム。17世紀初頭の作曲家アレッサンドロ・ポリエッティと現代作曲家マルクス・ シェーネヴォルフの作品を組み合わせて構成した1枚です。
アレッサンドロ・ポリエッティは、1600年までに生まれ1683年に没したルネサンス最後期からバロック初期のイタリアの作曲家で、ウィーンのハプスブルク家 の宮廷のオルガニストでした。特に描写的な鍵盤音楽で知られていて、自身の名前(ポリエッティ=鶏)からか、「雄鶏と雌鶏の鳴き声によるカンツォーネ」や「小 夜啼鳥の為のリチェルカーレ」など鳥の鳴き声を模倣した特異な音楽を作曲し、その模倣描写は現代に感覚からは過激とも思えるほどです。ボレアス・カルテッ トは、ポリエッティの特異な鍵盤音楽をリコーダー四重奏で演奏。様々な音域の楽器と鳥の鳴き声そのもののような吹き方まで繰り出す超絶技巧を駆使して、ポリ エッティの個性的な作品を鮮烈に奏でています。ここにドイツの現代作曲家シェーネヴォルフのリコーダー四重奏の為の音楽が織り交ざり、幻想的で不思議な音 楽空間が生み出されています。40種類以上のリコーダーを駆使して、16世紀と現代の音楽を自由自在に行き来するボレアス・カルテットによる16世紀と21世 紀という2つの時代の音響領域(スフィア)を巡る旅をお楽しみください。 (Ki)

ARCANA
A-545(1CD)
ゴンザーガ家の輝き 〜デ・ヴェルトからモンテヴェルディまでの宗教作品集〜
モンテヴェルディ:フランス様式による「わたしは心から主であるあなたを祝い」第3番 〜『宗教的・倫理的な森』(1640)より
パッラヴィチーノ(1551頃-1601):五旬節の時は満ち 〜『讃美の聖唱歌集』(1605)より
サロモーネ・ロッシ(1570頃-1630):あなたの聖なる王冠は天使たちに歓迎をもって認められ 〜『ソロモンの歌集』(1623)より
ジャケス・デ・ヴェルト(1535-1596):わたしは悲しみに蝕まれています、神よ 〜『5声のモテット集 第1巻』(1566)より
モンテヴェルディ:聖母マリアの連祷 〜『モンテヴェルディ氏による4声のミサ曲、独唱群と合唱による1〜8声の詩篇曲および聖母マリアの連祷』(1650)より
デ・ヴェルト:誰もがまずは上等なワインを 〜『5声のモテット集 第1巻』(1566)より
ジョヴァンニ・ジャコモ・ガストルディ(1554頃-1609):第8旋法によるマニフィカト(聖母マリアの讃歌) 〜『聖母マリアの讃歌を含む、全ての荘厳なる晩課のための詩篇曲集』(1593)より
パッラヴィチーノ:わたしは主の憐れみをとこしえに歌い 〜『讃美の聖唱歌集』(1605)より
モンテヴェルディ:歌え、主に向かって新しき歌を 〜ジューリオ・チェーザレ・ビアンキの『モテット集 第1巻 [中略]モンテヴェルディ氏のモテット1曲を含む』(1620)より
アマンテ・フランツォーニ(1575-1630):第6旋法による「ディクシット・ドミヌス(主は言われた)」 〜『聖母マリアの讃歌を含む、全ての荘厳なる晩課のための詩篇曲集』(1619)より
デ・ヴェルト:Speremus Meliora omnes わたしたちはみな至上の善を願います! 〜『5声のモテット集 第1巻』(1566)より
ロッシ:Yesusum midbar 皆で来たれ、渇きに苛まれる者たちよ 〜『ソロモンの歌集』(1623)より
ガストルディ:Regina coeli 天の皇后よ〜『ローマ式典礼による終課全編』(1597)より
ビスカントレス(声楽&古楽器アンサンブル)
ルーカ・コロンボ(指)

録音:2020年9月18-20日パラッツォ・ピニャーノ礼拝堂、クレモナ、イタリア
ルネサンスからバロックにかけてのマドリガーレや宗教曲を、当時の様式に従って専門的に演奏するイタリアの新しい古楽合唱団ビスカントレ ス。少数精鋭の室内楽的な響きの確かさから合唱における精緻なアンサンブルまで、一貫して手堅くも魅力的な解釈を聴かせるこの団体 が、ルネサンス期にさまざまな分野の芸術を擁護・推進しイタリア宮廷文化を牽引したマントヴァのゴンザーガ家にゆかりのある作曲家たちの 作品を集中的にとりあげたアルバムです。軸となっているのはフランドル出身でイタリアに渡った16世紀屈指のマドリガーレ作曲家デ・ヴェルト と、独唱中心のオペラばかりでなくルネサンス以来の合唱音楽にも新技法を大きく取り入れ発展させた大家モンテヴェルディ。マントヴァ宮廷 との縁で生まれた彼らの作品の他、フランツォーニやガストルディといった演奏機会の少ない作曲家たちの作品に潜む細やかな機微まで鮮や かに浮かび上がらせる好演です。解説も充実(伊語/仏英訳付)。

Linn
CKD-717(1CD)
フィリップス&デリング:ラテン語によるモテット集
ピーター・フィリップス(1560/61-1628):見よ、ユダの民の獅子を(8声)
フィリップス:使徒たちはめいめい様々な言語で語り(5声)
リチャード・デリング(1580頃-1630):イエス、あらゆる心の喜び(5声)
フィリップス:悲しみのパヴァーンとガリアード*
デリング:天は静まり返り(6声)
フィリップス:ごきげんよう、父なる方の約束された救世主イエス(8声)
デリング:この上なく思慮深き乙女よ(6声)
フィリップス:ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ*
フィリップス:Jubilate Deo a8全地よ歓呼して神を迎えよ(8声)
デリング:おお善きイエス様(5声)
フィリップス:わたしは歓喜に包まれるだろう(8声)
デリング:ファンタジア(5声)*
フィリップス:救世主は甦り(5声)
フィリップス:元后あわれみの母(サルヴェ・レジーナ/5声)
ダウランド(1563頃-1626):パドゥアン(4声)*
デリング:誰を見たのか、羊飼いたちよ(6声)
* は器楽曲
ケンブリッジ・ゴンヴィル・アンド・キーズ・カレッジcho
 キョウコ・カナウェイ、エドワード・ヒギンボトム(Org)
イン・エコー(古楽器使用)
 ガウェイン・グレントン、コナー・ヘイスティングス(木管コルネット)
 ボヤン・チチッチ(Vn)
 レイチェル・バート(Va)
 エミリー・ホワイト(Tb)
 リチャード・ブースビー(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
 ウィリアム・ハント(ヴィオローネ)
 アダム・クライトン(バス・サックバット)
マシュー・マーティン(指)
ピッチ:A=464Hz 調律:1/4コンマ・ミーントーン

録音:2022年7月11-14日 ミンチンハンプトン聖トリニティ教会、グロスターシャー、イングランド
16世紀のエリザベス1世治世下での音楽文化発展を受け、さらにイタリア音楽などの影響も受けつつ独自の深まりをみせた17世紀初頭の 英国音楽。ここでは英国国教会のもと前世紀以来抑圧されてきたカトリック信仰を守り、海を渡ってスペイン領ネーデルラントで活躍をみせ た2人の英国人作曲家たちによるラテン語モテットの数々が集められています。ピーター・フィリップスはダウランドやモーリーと同世代の1560 年頃の生まれ、デリングはその20年ほど年下でギボンズやイタリアのフレスコバルディと同世代。独唱主体ではないルネサンス風の多声様式 をベースにコンチェルト様式をほどよく取り入れた作風の魅力を、さまざまな音楽家たちとの共演で知られ、上質かつ安定したハーモニーで定 評のあるケンブリッジ・ゴンヴィル・アンド・キーズ・カレッジ合唱団の味わい深い解釈で。この合唱団ともゆかりの深い大御所ヒギンボトムがオル ガンを弾き、器楽勢にはヴァイオリンのボヤン・チチッチ、ガンバのリチャード・ブースビーら名手が揃い、合奏曲トラックでも豊かでインスピレー ションに満ちた音楽を聴かせてくれます。

RAMEE
RAM-2202(1CD)
1723〜ヴァイオリンとオルガンによるバロック期のソナタ
バッハ:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ト長調 BWV1021
ビーバー:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ 第5番ホ短調 C.142(1681)
コレッリ:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ イ長調 Op.5-6
バッハ:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ホ短調 BWV1023
バッハ:プレリュード、ラルゴとフーガ ハ長調 BWV545/529
ヨハン・ゲオルク・ピゼンデル(1688-1755):ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ホ短調 JunP IV.1
アントニオ・ベルターリ(1605-1669):チャッコーナ(シャコンヌ)ハ長調
ナージャ・ツヴィーナー(Vn)
※使用楽器:ローマのダヴィド・テクレル1723年製作のオリジナル楽器
ヨハネス・ラング(Org)
※使用楽器:ツァハリアス・ヒルデブラント1723年建造のオリジナル楽器

録音:2022年8月29日-9月1日シュテルムタル十字架教会(ライプツィヒ近郊)
”音楽の父”こと大バッハが、亡くなるまで勤め上げたライプツィヒ聖トーマス教会の聖歌隊監督の座についたのが1723年。その年に作られ た二つの古楽器を使い、ちょうど300年後にあたる2023年を記念すべく録音されたこのアルバムは、希代のオルガニストとして知られた一方 で生涯ヴァイオリンも演奏し続けたバッハの作品を軸にプログラムが編まれています。他にはドイツ語圏南部とイタリアで17世紀に活躍をみせ た作曲家たちや、バッハとも交友があり影響関係も指摘されているドレスデンの名手ピゼンデルらの名品をチョイス。チェンバロと違い音が減 衰しないオルガンならではの音使いが効果的に用いられ、書法の緻密さが浮き彫りになるのも興味深いところ。ヴァイオリンと通奏低音のため の二つのソナタの他、バッハ作品では室内楽の書法を応用したオルガン作品も味わえます。バロックから後期ロマン派まで広範なレパートリー を誇るヨハネス・ラングが楽器の特性をよく踏まえた音色変化を巧みに使いこなせば、英仏の古楽シーンで経験を積んできたドイツ人バロッ ク・ヴァイオリン奏者ナディア・ツヴィーナーも銘器の美音を鮮やかに際立たせる音運びで、各作品の味わいを印象づけてやみません。当時の 楽器であればこその説得力を随所で感じる高感度なバロック・アルバム。バッハ研究の大家クリストフ・ヴォルフとの共著もある音楽学者マル クス・ゼンプフによるライナーノート(英・独・仏語)も、深い作品愛と楽器愛を感じさせる充実した内容になっています。

RICERCAR
RIC-452(1CD)
完璧に踊るには 〜13〜16世紀のヨーロッパ宮廷舞曲〜
1. 作者不詳(13世紀):L王の第3エスタンピと舞曲(フランス国立図書館の写本fonds francais884cより)
2. 作者不詳(13世紀):ドゥクティアによる組曲(大英図書館の写本Harley 978より)
3. 作者不詳(14世紀):見出されたもの(ロバートブリッジ写本より)
4. 作者不詳(14世紀):マンフレディーナとロッタ(大英図書館の写本Additional 29987より)
5. ドメニコ・ダ・ピアチェンツァ(1390-1470): バス・ダンス「ゾリオーシャ」
6. アントニオ・コルナッツァノ(1430-1484): グリエルミーノの娘(3声版/モンテカッシーノ写本より)
7. ジョヴァンニ・アンブロージオ(生歿年不詳)/グリエルモ・エブレオ・ダ・ペーザロ(1420〜1484)編)):フランス風舞踏曲、通称「恋心」
8. アンブロージオ:フランス風舞踏曲、通称「ライン地方の子」
9. アンブロージオ:そう踊りなさい、ロジーナ
10. コルナッツァノ:スペイン王
11. フランシスコ・デ・ラ・トレ(1460-1504): 高い音の舞曲
12. イザーク(1450-1517):グローリア(「ラ・スパーニャによるミサ曲」より)
13. イザーク:アニュス・デイ(「ラ・スパーニャによるミサ曲」より)
14. ジル・バンショワ(1400頃-1460):悲痛なる快楽
15.作者不詳(15世紀末):「悲痛なる快楽」によるバス・ダンス(『マルグリット・ドートリッシュのバス・ダンス集』より)
16. 作者不詳(16世紀初頭):パヴァーヌ「ラ・モニーナ」(バイエルン州立図書館の写本Mus MS1503より)
17. 作者不詳:サルタレッロ「ラ・コマリーナ」(バイエルン州立図書館の写本Mus MS1503より)
18. 作者不詳:舞踏曲「誘惑者」(フランス国立図書館の写本Vm7 676より)
19. 作者不詳:サルタレッロ「サルッツォ侯爵」(バイエルン州立図書館の写本Mus MS1503より)
20. イレール・ペネ(1501?-歿年不詳):楽しき森に
21. クローダン・ド・セルミジ(1490-1562): 楽しき森に
22. ヴィンチェンツォ・ルッフォ(1508-1587): 「ラ・ガンバ」の調べを低音と高音で
23. ディエゴ・オルティス(1510-1570):Recercda Quarta 第4レセルカーダ
24. トワノ・アルボー(1520-1595):バス・ダンス「あなたに愉悦を授けよう」
25. ピエール・アテニャン(1494-1552):トゥルディオン「それは大いに喜ばしく」(『ダンスリー〔舞曲集〕第2巻』より)
26. クロード・ジェルヴェーズ(1525-1583?)/ピエール・ファレーズ(1510頃-1575頃)編)):パヴァーヌ・パスメズ、イタリアのパスメズ〔=パッセメッツォ〕とガリアルド(『ダンスリー 第6巻』〔1550〕、『俗謡集 第1巻』〔1571〕より)
27. ジェルヴェーズ:アルマンドによる組曲(『ダンスリー 第3巻』〔1557〕より)
28. ジャン・デストレ(生歿年不詳、16世紀に活躍): シャンパーニュのブランルによる組曲(『ダンスリー 第1巻』〔1559〕より)
29. アテニャン:バス・ダンス「ラ・ブロス」(『九つのバス・ダンス』〔1530〕より)
30. 作曲者不詳(16世紀後半):名もなきガリアの調べ(ヴォルフガング・キュファー〔生年不詳-1566〕の採譜例より)
31. デストレ:ブランル・ゲによる組曲(『ダンスリー 第1巻』〔1559〕より)
イントゥ・ザ・ウィンズ(古楽器使用)
 アナベル・ギボー(ショーム、各種リコーダー)
 レミ・レコルシェ(ビュシーヌ、スライドトランペット、サックバット、各種リコーダー)
 マリオン・ル・モアル(ボンバルド、各種リコーダー)
 アドリアン・ルボワソン(ショーム、ボンバルド、ドゥルツィアン、各種リコーダー)
 ローラン・ソーロン(各種打楽器)

録音:2022年5月
 サンテーユ聖母教会、シラン(南仏ラングドック地方エロー県)
十字軍遠征のあった13世紀から人文主義文化が盛り上がるルネサンスの16世紀まで、ヨーロッパ宮廷人たちの暮らしを折にふれ彩り続け たのが、宮廷舞踏と音楽でした。文字が読めて紙とインクを使えた宮廷人・知識人たちが書き残した当時の写本や初期印刷物の数々をも とに、ここでは中世から近世に至るヨーロッパ宮廷舞踏の音楽の数々を、入念に再現製作された当時流の様々な管楽器のアンサンブルで 演奏。管楽器は金管・木管とも宮廷の楽師たちが頻繁に演奏していたことは当時の史料からも裏付けられますが、現代のオーケストラ楽器 ともバロックの古楽器とも違う素材感豊かなその響きは、曲の古風な節回しや和声とあいまって昔日のヨーロッパ宮廷文化の気配を強く喚 起してやみません。演奏は中世音楽の専門家も多いフランスのトゥールを拠点とするイントゥ・ザ・ウィンズ。軸となるのは15世紀イタリアの舞 踏家コルナッツァロによる欧州初の宮廷舞踏指南書で(アルバムタイトルもここから取られています)、そこから数世紀遡っての中世舞曲の 数々やルネサンス期の楽曲も、それぞれの時代の定番と言ってよい名曲がほどよく織り交ぜられており、古い舞曲のリファレンスとしても十分お 勧めできる内容となっています。

Chateau de Versailles Spectacles
CVS-089(1CD)
暖炉のそばで愛し合おう 〜シャルパンティエ:世俗歌曲集
暖炉のそばで愛し合おう
小さな真紅の美しい目、真一文字のあざやかな口
ものみな生まれ変わり、花開く
どうかルイよ、その用心深さで
隣人の女姓クロディーヌは
わたしのスカーフをくしゃくしゃにしないでくださいね(通称「ル・バヴォレ」)
わたしのすべての苦悩のもとになる女性
ボルドーの美酒を飲み干したなら
どうか返してください、わたしの喜びを
戻ってこい、傲岸なる溜息よ
ファンション、かわいい小さなファンション
『ル・シッド』の三つの短詩
ああ、何もあなたを止められないのでしょうか?
あなたの高潔に適うような猛者は
無駄だよ、熱心な恋敵たち
この林を潤す小川よ
緑の梢よ、さあ萌え立て
木々にとまった鳥たちよ
寂しい荒野よ、陰鬱な隠れ家よ
嘆くのは早いぞ、酒神バッコスの子らよ
泉のほとりで
あの緑なす木蔭に行こう
何も恐れずこの森に
真の快楽にはたどりつけぬ、恋の神の刺激なしには
もう愛してはいない
夢を見させて
グレゴワール、どんだけ寝てんだ
ああ、なんて残念なこと
恋は不可欠、必要悪なんだよ
クレール・ルフィリアトル、グワンドリーヌ・ブロンデール(ドゥシュ〔=ソプラノ〕)
シリル・オヴィティ(オートコントル〔=高音テノール〕)
マルク・モイヨン(ターユ〔=テノール〕)
ジョフロワ・ビュフィエール(Bs)
レゼポペー(通奏低音/古楽器使用)
 アリス・コカール(バス・ド・ヴィオロン)
 マティアス・フェレ(バス・ド・ヴィオール〔=ヴィオラ・ダ・ガンバ〕)
 ピエール・ランデルクネシュト(テオルボ、バロックギター)
 レオ・ブリュネ(テオルボ)
 ステファーヌ・フュジェ(クラヴサン〔=チェンバロ〕、指揮)

録音:2022年3月24-28日 ヴェルサイユ宮殿「十字軍の間」、フランス
20世紀以来めざましい復権をみせてきたフランス・バロック音楽の世界でも、とりわけ大きな名誉回復を経験した作曲家の一人シャルパン ティエ。生前は王室音楽総監督リュリが「壁」となり、長いあいだ王室での音楽活動には食い込めずにいたものの、パリ市内では数多くの重 要な機関から依頼を受け、半世紀ほどの生涯の間に驚くほど多くの作品を残しました。ルイ14世の治世下と違ってリュリの妨害もない現代 ではフランス17世紀屈指の作曲家として注目されていますが、それでも評価は宗教曲や劇音楽に集中しており、作例も多い恋歌や戯れ歌 の数々はなかなか体系的に取り上げられる機会がありません。その渇を癒して余りある今回の録音には、ALPHAでのル・ポエム・アルモニー ク初期の名盤群で鮮烈な印象をシーンに与えてきたクレール・ルフィリアトル、驚くほど広い音域を自在に操り中世からバロックまで縦横無尽 に歌いこなすマルク・モイヨン、そして今を時めくフランス古楽界の最重要テノール歌手のひとりシリル・オヴィティら錚々たる歌い手が揃い、 2022年の来日も好評だったステファーヌ・フュジェを軸とした通奏低音陣が緩急あざやかに伴奏。シャルパンティエと同じ母語を日常的に話 し、17世紀フランス音楽に深く親しんできた名手たちでなくては到達できない自然な歌い口で、この作曲家が綴った美の諸相を細やかに解 き明かしてゆきます。数々の恋愛歌は世紀初頭のエール・ド・クール(宮廷歌曲)にも通じる奥深さ、対する「酒の歌」は演劇的な魅力に満 ちた曲の持ち味をよく生かした仕上がり。聴き深めるほどにフランス古楽への愛が深まること間違いなしの名演というほかありません。
Chateau de Versailles Spectacles
CVS-108(1CD)
ルイ15世のクラヴサン 〜18世紀中盤のフランス鍵盤芸術〜
ガブリエル・デュビュイソン(1716頃-1754):プレリュード
ラモー:La Dauphine 王太子妃
ベルナール・ド・ビュリ(1720-1785):Sarabande, La *** ou Les Sentimens
 サラバンド「***氏、または心情の機微」
ド・ビュリ:ムニュエ(メヌエット)1「西風の精」〜ムニュエ2「花の精」
クロード・バルバストル(1725-1799):ルベル氏のガヴォット
シャルル・ノブレ(1715-1769):Allemande アルマンド
ジャック・デュフリ(1715-1789):La Pothouin ラ・ポトウアン
デュフリ:ラ・ド・ヴォカンソン
デュフリ:Rondeau [de la Premiere suite] ロンド
ジャン=バティスト・フォルクレ(1699-1782):ラ・アングラーヴ
ジョゼフ=ニコラ=パンクラス・ロワイエ(1703-1755):愛らしさ
デュフリ:ラ・デュ・ビュク
ロワイエ:スキタイ人の行進
コレット(1707-1795):星々
デュフリ:La Damanzy ラ・ダマンジ
ラモー:Musette en rondeau ロンド形式のミュゼット
ラモー:Tambourin タンブラン
ド・ビュリ:Chaconne シャコンヌ
ラモー:Les Tendres Plaintes 優しい嘆き
ラモー:Les Cyclopes 一つ目巨人たち
バルバストル:ラモー「ピグマリオン」のコントルダンス
クレマン・ジョフロワ(クラヴサン〔チェンバロ〕)
使用楽器:パリのジャン=クロード・グージョン1749年製作モデル(パリ楽器博物館所蔵)に基づくジャン=フランソワ・ショドゥルジュ製作の再現楽器

録音:2022年10月16-19日ヴェルサイユ宮殿プチ・トリアノン、フランス
先代の太陽王ルイ14世ほどではないにせよ、実に60年近くもフランス王の座を守ったルイ15世。その治世(1715-1774)には17世紀以 来のフランス様式も根強く人々を魅了し続けた一方で、太陽王のもとでは考えられなかったほど諸外国の音楽文化がフランスに流入、ひとき わ華やかなロココの響きが王室やパリの人々を魅了しました。王は音楽にあまり関心を示さなかったものの、レグザンスカ王妃やポンパドゥール 夫人、王女たちをはじめ周囲には一流作曲家と親しく交流し感性を豊かに育んだ音楽愛好の女性たちが多く、人々が室内で奏でたクラヴ サンのための独奏曲も次々と世に送り出されました。伝統的なフランス様式とイタリアやドイツなど諸外国の様式の間で、折々の流行を先導 していったクラヴサン作曲家たちの名品群は、ウィーン古典派風の音楽が定着してゆく前の、驚くほど豊かで独特な音楽世界を垣間見せてく れます。近年フランス古楽界で多忙な活躍をみせ、とりわけ声楽作品の通奏低音奏者としても経験豊かなクレマン・ジョフロワは、大御所ラ モーの出世作2集から名匠デュフリによる1768年の曲集まで幅広い年代を視野に入れ、ルイ15世時代の音楽文化の広がりをクラヴサン 一つで辿れるプログラムを厳選。この時代の銘器をモデルとする素晴らしい再現楽器をヴェルサイユ宮殿の音響空間で奏で、絶妙なタッチが 快い機微細やかな演奏で各作品の魅力をじっくり伝えます。ラモー「一つ目巨人たち」やロワイエ「スキタイ人の行進」といった有名作のほか、 2019年に新発見され未だ謎も多いデュビュイソン作曲による1732年出版の曲集や、競合録音が殆どないベルナール・デュ・ビュリの1737 年の曲集など稀少な作品が多く収録されている点も見逃せません。
Chateau de Versailles Spectacles
CVS-110(1CD)
王冠の調べ 〜パーセルとヘンデルの『戴冠式アンセム』
祝典行列
パーセル:英国王ジェイムズ2世の戴冠式のためのアンセム「わが心は麗しき言葉に満ち」 Z30
ファンファーレ1
パーセル:アンセム「わたしは嬉しかったのです」 Z.19
万歳!
ヘンデル:ジョージ2世の戴冠式のためのアンセム「汝の手よ強くあれ」 HWV259
ファンファーレ2
ヘンデル:ジョージ2世の戴冠式のためのアンセム「司祭ザドク」 HWV258
ファンファーレ3
ヘンデル:ジョージ2世の戴冠式のためのアンセム「主よ、王は汝の力を喜ばん」 HWV260
ファンファーレ4
ヘンデル:ジョージ2世の戴冠式のためのアンセム「わが心は麗しき言葉に満ち」 HWV261
ファンファーレ5
ヘンデル:主を讃えよ 〜オラトリオ『ソロモン』 HWV67第3幕
神よ、チャールズ王を讃えたまえ(ゴッド・セイヴ・ザ・キング)
ヴェルサイユ王室歌劇場O&cho(声楽&古楽器アンサンブル)
ガエタン・ジャリ(指)

録音:2022年12月28-31日 ヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂
英国王チャールズ3世の戴冠式が行われる2023年にふさわしい新録音が、海を挟んだフランスのヴェルサイユ宮殿に集う古楽演奏家たち から届けられました。1727年のジョージ2世戴冠式のために作曲され、歴代の英国王の戴冠式でも歌われてきたヘンデルの傑作『戴冠式 アンセム』全4曲に加え、同じ1727年の戴冠式でも一部が再演されたジェイムズ2世戴冠式(1685)のためのパーセルの作品2曲を収録。 それら演奏作品の合間には18世紀以前の祝典でも一般的に使われていたナチュラル・トランペットを使ったファンファーレが挿入され、ヴェル サイユ王室礼拝堂の音響とあいまって聖職者臨席のもと行われる戴冠式の雰囲気がそのまま伝わってくるかのような生々しさ! その迫真の 存在感をきわだたせているのは欧州古楽器演奏シーンの最先端をゆくガエタン・ジャリ指揮の実力派集団。フランス17〜18世紀の声楽曲 の演奏に秀でた彼らは、まさにルイ14世時代のフランス宮廷音楽から英国王室の音楽が大きな影響を受けていた頃の作品であるパーセル の2曲を鮮やかな臨場感で聴かせ、その雰囲気の延長線上で精妙かつダイナミックにヘンデルの壮麗な作品群を堪能させてくれます。アルバ ム前半はファンファーレを挟みながら編成の小さな曲から大きな曲へと進む曲順になっていて、パーセルとヘンデルの音楽的連続性にも気づ かされる仕組み。作品が生まれた文脈を考え抜いている実力派集団だからこその臨場感をじっくりお楽しみください。

Capella de Ministrers
CDM-2355(1CD)
アラゴンの女王たち
1. 作者不詳(13世紀):ロンデル「めでたしマリア様、お優しく慈愛に溢れた方」〜バイボナ写本より
2. アダン・ド・ラ・アル(1237頃-1388以降): ロバンはわたしを愛し 〜『ロバンとマリオンの物語』より
3. シチリア王/エルサレム王シャルル・ダンジュー(1226/27-1285):讃歌「至高の旋律に」
4. ヴァルター・フォン・デア・フォーゲルヴァイデ(1170頃〜1230頃):パレスティナの歌「ついに始まる、人生の真価が」
5. 作者不詳(13世紀):コンドゥクトゥス「あなたは大いなる力で大海を操り」〜オルフェオ・カタラの写本 Ms1より
6. 作者不詳(14世紀):モテトゥス「めでたし天の皇后/贖罪主を育てた母なる方」〜ラス・ウェルガス写本より
7. マショー(1300頃-1377):ヴィルレー「優しく美しき婦人よ」
8. ポルトガル王ディニシュ1世(1279-1325): カンティガ「おお、あなたにはこれまであえて言わなかったが」
9. ヤーコポ・ダ・ボローニャ(1340以前〜1360以降): マドリガーレ「羽根の白い立派な鷹が」
10. 作者不詳(14世紀):ヴィルレー「おや、寝坊が過ぎるのではありませんか」
11. 楽匠エギディウス(生歿年不詳、14世紀に活躍): バッラータ「薔薇と百合が」〜オルフェオ・カタラの写本Ms 1より
12. ヨアネス・グラネティ(生歿年不詳、14世紀に活躍):キリエ「主よ、いとも慈悲深き方よ」〜オルフェオ・カタラの写本Ms 2より
13. 作者不詳:讃歌「その日、合唱は歌声をあげ」
14. 作者不詳(15世紀?):ロマンセ「アルブルケルケ、アルブルケルケ」〜『王宮の歌集』より
15. ペレ(またはペドロ)・オリオラ(生歿年不詳、1440-1484頃に活躍):笑話「おお、道行く人よ」
16. 作者不詳(15世紀):La Spagna. Danca 舞曲「ラ・スパーニャ」〜ボローニャ写本より
17. フアン・デル・エンシーナ(1468-1529): ロマンセ「不実な女性に」
18. ルイス・デ・ミラン(1500頃-1561頃):ソネット「おお嫉妬よ、恋人たちの恐ろしき邪魔者よ」〜『エル・マエストロ』より
マリア・ヨナス、エリア・カサノバ、ベアトリス・ラフォン(歌)
ダビド・アンティク(各種リコーダー)
カペリャ・デ・ミニストレルス(声楽&古楽器アンサンブル)
カルレス・マグラネル(ビウエラ・ダルコ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、指揮)

録音:2022年1月13-16日 サンタ・マリア教会、レケナ(スペイン東部バレンシア地方)
スペイン南東部のバレンシアに拠点を置き、中世からルネサンスにかけての音楽遺産を筋の通ったユニークなテーマに沿って発掘・紹介し続 けている音楽学者=ガンバ奏者カルレス・マグラネル率いるカペリャ・デ・ミニストレルス。今回は中世以来イベリア半島東部に拠点を置きな がら、婚姻関係を通じて遠くバルカン方面や中近東まで影響力を誇ったアラゴン王家に光をあて、その覇権が及んだ地域の音楽遺産から ヨーロッパ音楽の変遷を浮き彫りにしてゆくアルバムとなりました。アンジュー家やフォワ伯家、カステーリャ王室、ナファロワ(ナバラ)王室、ポルト ガル王室、さらにはハンガリー王家や十字軍国家なども巻き込みながら13〜15世紀を席捲した一族の歴史を辿る中、おのずと中世のロン デルやヴィルレー、ドイツ語圏のミンネゼンガーの音楽やイベリア宮廷のカンティガ、さらにはアルス・ノーヴァを経てイタリアの初期マドリガーレへ ……と、音楽史上の重要なポイントに自ずと一通り触れてゆくプログラムは何度も再訪したくなる奥深さ。弓奏ビウエラとヴィオラ・ダ・ガンバを 含む複数の弓奏弦楽器、古い形のギターやハープ、リュートなどの撥弦楽器にリコーダー、ショーム、ダルシマー、バグパイプといった素朴にし て奥深い音色が美しい管楽器まで、異世界的な魅力を放つ中世楽器の響きとあいまって、ギヨーム・ド・マショーやスペイン・ルネサンス作品 など古楽ファンなら多少は馴染みも感じるであろう演目さえきわめて新鮮に響きます。マグラネルのチームの良さが最大限に生かされた音楽 史アルバムと言ってよいでしょう。質感高く臨場感のある録音も秀逸。

CEDILLE
CDR-90000217(3CD)
NX-C10
サン=ジョルジュ(1745-1799):歌劇「名無しの愛人」 ニコル・キャベル(S)
ジェフリー・アグパロ(T)
デイヴィッド・ ガヴァーツェン(Bs-Br)
エリカ・シュラー(S)
マイケル・セントピーター(T)
ナタリー・コラス(S)
ヘイマーケット・オペラO
クレイグ・トロンピター(指)

録音:2022年6月20-22日
2010年にシカゴに設立されたヘイマーケット・オペラは、17世紀から18世紀に書かれたオペラやオラトリオなどの演 目を当時の楽器で演奏することを目的とし、これまでに世界初演を含む30以上の作品を上演してきました。 今回採り上げられたのは、フランスで活躍したサン=ジョルジュの歌劇「L'amant anonyme 名無しの愛人」。 作曲家のパトロンでもあったフェリシテ・ド・ジャンリスの戯曲に基づく、歌唱部分に対話を織り込んだオペラ・コミック 形式で書かれたこの作品は彼の6作の歌劇の中でも最も人気のあった演目ですが、現在では上演される機会が なく、このアルバムが世界初録音となります。主役レオンティーヌを歌うのは2005年の"BBCカーディフ・シンガー・オ ブ・ザ・ワールドの優勝者ニコラ・キャベル。存在感のある歌唱を聴かせます。相手役はシカゴ出身のテノール、ジェ フリー・アグパロ。芸術監督で歌劇場の創設者でもあるグレイグ・トロンピターが総勢19人のコンパクトな編成の古 楽器オーケストラから活力ある音色を引き出しています。CD3ではオーケストラのみのナンバーを収録し、組曲風 にお楽しみ頂けます。

Forgotten Records
fr-1869(1CDR)
チマローザ: チェンバロ・ソナタ集
第1番〜第32番
ロベール・ヴェイロン=ラクロワ(Cemb)

録音:1955年11月-12月、1956年7月
※音源: Westminster XWN 18698、W-9307

APARTE
AP-298(1CD)
驚くべきロワイエ〜劇音楽の管弦楽組曲
ジョゼフ・ニコラ・パンクラス・ロワイエ
(1)愛の力(全15曲)
(2)ザイード、グラナダの女王(全14曲)
(3)アルマシス(全6曲)
(4)ピリュス(全4曲)
(5)ザイード、グラナダの女王(異稿2曲)
クリストフ・ルセ(指)
レ・タラン ・リリク

録音:2021年12月14-16日/ノートルダム大聖堂
クリストフ・ルセのロワイエ、といえば当然クラヴサン曲と思いますが、今回の新譜は何とオーケストラ曲集。手兵レ・タラン・リリクを指揮しての劇音楽中の組曲 で、「ピリュス」以外は世界初録音という興味津々のアルバムです。
ルセが1993年にオワゾリールからリリースしたロワイエのクラヴサン曲集のディスクは名盤として高く評価され、2009年にもambroisieレーベルから新録音を出し注目されました。チェンバロ曲は知られてはいるもののオーケストラは珍しく、ロワイエの新しい面の再発見につながると申せましょう。
劇音楽のオーケストラ・ナンバーゆえ各種舞曲や行進曲、エールなどですが、ロワイエの叙情性と洗練に対する感覚が光ります。チェンバロ曲として有名な「スキ タイ人の行進曲」の原曲「ザイード」の「トルコ人のためのロンドーによるエール」もルセの指揮で聴くことができるのは理想的。ロワイエのオーケストラ曲にみられ るチェンバロ的書法をはじめ、ルセほど適任は考えられぬ感性と解釈になっています。
いずれの曲も魅力的で聴きごたえ満点。ルセの指揮とレ・タラン・リリクもロワイエの個性とドラマ感覚を驚くべき深みと安定感で再現し、彼のオーケストラ曲の 魅力を再認識させてくれます。 (Ki)
APARTE
AP-312(1CD)
ジェズアルド:サクレ・カンティオーネス
(1)幸いなるかな天の女王
(2)エルサレムよ、あなたの光が
(3)幸いあれ、いと優しきマリアよ
(4)主よ、御身のあわれみと慈悲を思い起こしたまえ
(5)あなたを讃美させてください
(6)主よ、聖霊が
(7)主よ、わたしの嘆きに
(8)主よ、なんと悲しいことか
(9)わたしは嘆き疲れ
(10)私は日々罪を犯し
(11)おお、この道を行ったすべての人よ
(12) 神よ、聞 き給え
(13)けがれなきマリアと
(14)ああ 祝福された十字架よ
(15)あなたの慈しみを
(16)神は避けどころ
(17)われ、苦悩と悲しみにあいたり
(18)あなたのみ顔を輝かせてください
(19)恩寵の母マリア
ジュゼッペ・マレット(指)
イル・ポモ・ドーロcho

録音:2021年5月19-23日聖ロッコとセバスティアーノ同胞団(クミアーナ、イタリア)
近年古楽界で最も注目される団体のひとつイル・ポモ・ドーロ。この合唱団がルネサンス異端の作曲家ジェズアルドの「サクレ・カンティオーネス」に挑戦しまし た。カルロ・ジェズアルド(1566-1613)はナポリの貴族の家に生まれ、作曲家としてマドリガーレや宗教曲を作りましたが、極端な半音階や不協和音などほと んど現代音楽ばりの作風を示すなど激しい気性を反映させていました。
ストラヴィンスキーが絶賛し、20世紀作曲家たちを驚させた彼の代表作をテノール歌手としても有名なジュゼッペ・マレット指揮のイル・ポモ・ドーロがフレッシュ に再現。演奏が非常に難しいことでも知られますが、彼らは正確なうえ激烈な表現も驚きで、420年を経てジェズアルドが思い描いていた音世界が完璧に実現し ました。超注目のアルバムです。 (Ki)

CPO
CPO-555078(1CD)
NX-B10
レオポルト1世(1640-1705):死者のためのミサ曲(レクイエム) 他
死者のためのミサ曲(レクイエム)
3つのレクツィオ
聖母マリアの7つの悲しみのモテット
ブレーメン・ヴェーザー=ルネサンス(古楽アンサンブル)
マンフレート・コルデス(指)

録音:2016年2月10-12日
第10代神聖ローマ帝国皇帝レオポルト1世。三十年戦争で衰退した領土を受け継ぐも、持ち前の政治力で領 土を拡大、ハプスブルク家の復興の足掛かりを築きました。高度な教育を受け、作曲家としても優れた才能を開 花させた皇帝は、生涯に150曲を超えるイタリア語のアリアを始め、80曲の教会音楽、17曲のバレエ音楽など、 多数の作品を残しました。 このレクイエムが書かれるきっかけとなったのは、彼の最初の妻マルガリータ・テレサ・デ・エスパーニャ(ドイツ名マルガ レーテ・テレジア・フォン・シュパーニエン)が1673年3月12日にこの世を去ったことで、当時33歳の君主は大きな 悲しみに打ちひしがれました。彼はこの悲痛な思いを音楽で癒すために「Missa pro defunctis 死者のためのミ サ曲」を作曲。16世紀から「苦しく悲しい心情」を表すとされたト短調をベースに書かれた、5声の合唱、3本のト ロンボーンと通奏低音を伴う器楽アンサンブルを要する大規模な作品です。皇帝の作品が18世紀後半になって も演奏され続けたのは、単に君主への敬意だけではなく、完成度の高さゆえであることは間違いないでしょう。ルネ サンスからバロック期の作品を得意とするマンフレート・コルデスが指揮するブレーメン・ヴェーザー=ルネサンスの演 奏で。
CPO
CPO-555533(2CD)
NX-D11
テレマン:最晩年の管弦楽作品集
組曲 ニ長調 TWV55:D21
ディヴェルティメント TWV50:22
組曲 ニ長調 TWV55:D22
シンフォニア・メロディカ TWV50:2
組曲 ニ長調 TWV55:D23
ファンファーレTWV50:44
組曲 ヘ長調 TWV55:F16
ディヴェルティメント TWV50:23
ディヴェルティメント TWV50:21
組曲 ト短調 TWV55:g9
ラ・スタジオーネ・フランクフルト
ミヒャエル・シュナイダー(指)

録音:2014年1月、2018年3月、2018年3月、2016年3月、2021年6月
テレマン作品の第一人者、ミシャエル・シュナイダーとラ・スタジオーネがテレマン最晩年の作品を録音。 1834年にラトヴィアの首都リガの大聖堂付きの音楽家だったゲオルク・ミヒャエル・テレマン(1748-1831)の遺品 から、彼の祖父テレマンの自筆譜や書簡などが発見されました。その中には1760年代に書か れたとみられる9巻にのぼる楽譜があり、このCDの収録曲はそこから採られています。テレマンが得意としていたフラ ンス風序曲のスタイルによる管弦楽組曲やイタリア風のシンフォニアなど、洗練された筆致によるテレマンの「白鳥 の歌」と言うべき作品群です。
CPO
CPO-555315(1CD)
NX-B10
ナポリ18世紀の驚異〜管弦楽曲と協奏曲集
ドメニコ・サッロ(1679-1744):歌劇「シーロのアキッレ」よりシンフォニア
フィリッポ・コッレ(18世紀):ヴァイオリン、弦楽とチェンバロのための協奏曲 ハ長調
フェデリーゴ・フィオリッロ(1755-1823):ヴァイオリンと室内オーケストラのための協奏曲 変ロ長調
ジェンナーロ・マンナ(1715-1779):室内オーケストラのためのシンフォニア 変ホ長調
ファブリツィオ・ファラスカ(Vn)
ラ・レアル・カペッラ・ディ・ナポリ(古楽器アンサンブル)
イヴァノ・カイアッツァ(指)

録音:2016年9月
18世紀のナポリは当時のナポリ王国の首都として、パリ・ロンドンについでヨーロッパで3番目の大都市でし た。2つの歌劇場、フィオレンティーニ歌劇場とサン・バルトロメオ歌劇場が建設され、カストラートを含む歌手 たちもナポリで訓練を受けるなど、歌劇の一大中心地となっていました。1738年のウィーン条約によりブルボ ン王カルロがナポリを治めることになると、サン・バルトロメオ歌劇場を取り壊し、王好みの豪華なサン・カルロ 劇場が建設されます。サン・カルロ劇場は建物の見事さと高水準の上演によって名所となり、現在でも定期 公演が続けられています。このアルバムには当時活躍していた作曲家たちの優れた管弦楽曲と協奏曲を収 録。サッロの歌劇「シーロのアキッレ」は1737年11月4日のサン・カルロ劇場の?落としの演目で、この時は サッロ自身が指揮を行い大好評を博したということです。 この録音は、ほかならぬサン・カルロ劇場で行われたもの。演奏のラ・レアル・カペッラ・ディ・ナポリは、16世紀 に設立されペルゴレージやポル ポラ、スカルラッティの作品を演奏した団体にちなんでいます。2曲のヴァイオリ ン協奏曲でソロを弾くイタリアのヴァイオリニスト、ファブリツィオ・ファラスカの演奏も聴きものです。

Challenge Classics
CC-72933(1SACD)
ヤコブ・オブレヒト(1457/59-1505):ミサ曲『優しきマリア』
作者不詳:優しきマリア
プファビンシュヴァンツ(fl.1481-1499):優しきマリア
ヤコブ・オブレヒト:ミサ曲『優しきマリア』
ルートヴィヒ・ゼンフル(ca.1490-1543):優しきマリア
作者不詳:優しきマリア
ストラットン・ブル(指)
カペラ・プラテンシス

録音:2022年9月9-12日/オランダ、フースデン
これまでオケゲムやデ・プレ、ヒエロニムス・ボスにちなんだ合唱曲を精力的にリリースし、古楽ア・カペラの分野で気を吐いてきたカペラ・プラテンシスが、ル ネサンス・ポリフォニーの最高峰として知られるオブレヒトのミサ曲『Maria zart(優しきマリア)』に満を持して挑みました。
演奏に1時間近くかかるオブレヒトの『優しきマリア』は当時としては破格の大曲で、もっとも野心的な作品のひとつとみなされています。ルネサンス時代の複 雑な記譜法が用いられ、体系的に理解し現代によみがえらせることは至難。既にある録音もそれぞれ違いがあります。入念な研究と準備期間、そしてパンデミック を経て、2022年にやっとセッション録音が行われた当録音。最高水準の演奏で聴く対位法芸術の傑作をお楽しみください。 (Ki)
Challenge Classics
CC-72931(1CD)
レオポルト・ホフマン(1738-1793):6つのディヴェルティメント Op.1
ヴィオラ、チェロ、ヴィオローネのための3つのディヴェルティメント
 第1番イ長調
 第2番変ロ長調
 第3番イ長調
ヴァイオリン、チェロ、ヴィオローネのための3つのディヴェルティメント
 第4番変ホ長調
 第5番ニ長調
 第6番ヘ長調
ムジカ・エレジェンティア[マッテオ・チッキッティ(ヴィオローネ、指揮)、パオラ・ネルヴィ(Vn、ヴィオラ)、アントニオ・コロッチャ(Vc)]

録音:2022年8月/イタリア、サッレ
※全曲世界初録音
レオポルト・ホフマンはゲオルク・クリストフ・ヴァーゲンザイルの弟子であり、オーストリア皇室の音楽教師やシュテファン大聖堂の楽長を務めた人物。鍵盤奏者 として有名でしたが、弦楽のための室内楽の作曲にも力を入れました。初録音となるディヴェルティメント Op.1は、2種の編成による6曲の三重奏曲集。おおむ ね古典派のすっきりした響きを用いたディヴェルティメントですが、ところどころバロックのトリオ・ソナタ的な音響が出てきたりと手が込んでいます。楽章構成も 2楽章のものから5楽章のものまで幅広く様々。
マッテオ・チッキッティ率いるムジカ・エレジェンティアは、ヴァーゲンザイルの同編成のソナタ集も世界初録音しています(CC-72896)。18世紀の知られざ る音楽の紹介者として注目です。 (Ki)

Signum Classics
SIGCD-757(1CD)
ミュージック・トゥ・ヒアー...フェッラボスコ:1609年からのリラ・ヴィオールのための音楽
アルフォンソ・フェッラボスコ2世(1575-1628):「1,2&3本のリラ・ヴィオールのためのレッスン集」 より 〔プレリュード2(P.34)
アルメイン-コラント(P.17)
ガリアード-コラント(P.25)
アルメイン-コラント(P.31)*
ガリアード-コラント(P.30)*
プレリュード3(P.35)
アルメイン-コラント(P.1)
ガリアード-コラント(P.2)
アルメイン-コラント(P.3)
プレリュード1(P.34)
ガリアード-コラント(P.11)
アルメイン-コラント(P.12)
パヴァン-コラント(P.14)〕
リチャード・ブースビー(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、
森川麻子(ヴィオラ・ダ・ガンバ)*

録音:2020年6月27日、7月11日&7月28日、セント・メアリー・モードリン教会(シェボーン、グロスタシャー)
ニコラウス・アーノンクールとチャールズ・メドラムに学び、パーセル・クヮルテット、フレットワークの創設メンバーとして英国古楽界を牽引し、ロンドンの王立音楽カレッジでヴィオラ・ダ・ガンバを教える名手、リチャード・ブースビー。フレットワークのメンバーである森川麻子を迎え、作曲家、ヴィオール奏者として活躍したフェッラボスコ2世のリラ・ヴィオール(17世紀にイギリスで人気の高かったヴィオラ・ダ・ガンバの一種)のための音楽を探求します。
アルフォンソ・フェッラボスコ2世(父親は同姓同名の作曲家、アルフォンソ・フェッラボスコ1世)は、エリザベス1世からチャールズ1世の治世にかけ、英国王室のヴィオール奏者として務めるなど、当時のイギリスにおいて最も成功を収めた作曲家の一人です。フェッラボスコは、劇作家ベン・ジョンソンの舞台作品の音楽、多くの詩人の詩を用いた歌曲や、ヴィオールのための多くの作品を残し、当時のイギリスで大きく花開いたヴィオール・コンソートの発展に貢献しました。
本アルバムでは、フェッラボスコによるソロとデュオのリラ・ヴィオールのための作品を取り上げ、発見されていない最後の宝石のようなこの素晴らしい音楽をリチャード・ブースビーの類まれなテクニックと感性によって現代に伝えます。

Da Vinci Classics
C-00695(1CD)
フランスのクラヴサンの巨匠たち
ルイ・マルシャン(1669-1672):プレリュード(組曲第1番ニ短調より)
ルイ・クープラン:バスクのブランル(クラヴサン組曲ヘ長調より)
ラモー:ラモー、キュピ、第1タンブーラン(コンセールによるクラヴサン曲集より/ジークベルト・ランペ編曲 )、サイクロプス(第3組曲より)
フランソワ・クープラン:葦、フランス人気質またはドミノ(クラヴサン曲集第3巻第13組曲より)
ジョゼフ=ニコラ=パンクラス・ロワイエ(1703-1755):めまい、スキタイ人の行進(クラヴサン曲集第1巻より)
アルマン=ルイ・クープラン(1727-1789):苦悩(クラヴサン曲集より)
スウィトラーナ・シャバルティナ(ハープシコード)

録音:2020年1月、キーウ(ウクライナ)
ウクライナ・キーウ出身の鍵盤楽器奏者、スウィトラーナ・シャバルティーナによるフランス・クラヴサン音楽の精華!バロック時代のフランス鍵盤楽派のスタイル、ジャンル、考え方、視点を刺激的かつ魅力的なパノラマで表現した1枚です。ラモー唯一の室内楽曲「コンセールによるクラヴサン曲集」は、著名なハープシコード奏者ジークベルト・ランペの編曲版が用いられています。フランソワ・クープランとジョゼフ=ニコラ=パンクラス・ロワイエの作品は、カーニバルやトルコ行進曲を思わせる絵画的な音楽でアルバムを色鮮やかにし、アルマン=ルイ・クープランの「苦悩」はバロックのメランコリーを痛切に表現しています。

RICERCAR
RIC-454(1CD)
シャルル=ジョゼフ・ヴァン・エルモン(1715-1790):聖週間の為の暗闇の朝課(ルソン・ド・テネブル) スケルツィ・ムジカーリ(声楽&古楽器アンサンブル)
 フアン・ウェイリャン、デボラ・カシェ、フリート・ド・ヘイテル(S)
 ベニアミーノ・パガニーニ(Cemb)
 ヴァランタン・バジュ(バス・ド・ヴィオロン、チェロ)
 マティルド・ヴォルフス(バス・ド・ヴィオロン)[10、16]
 フランソワ・ダンボワ(テオルボ)
ニコラ・アクテン(オルガン、指揮)
調律:ラモー/ピッチ:A=411Hz

録音:2022年8月16-19日 聖ヒラリウス教会、ビールベーク(ベルギー中部フラームス・ブラバント地方)
ベルギーは古楽器奏者たちが多く活躍していることもあり、従来あまり知られていなかった18〜19世紀の音楽遺産が近年ますます発掘さ れつつありますが、ここで録音されたヴァン・エルモンは20世紀半ばにERATOレーベルで企画された宗教音楽大全シリーズでも現代楽器に よるグラン・モテの録音があり、名前だけはご存知の方もいるかもしれません。C.P.E.バッハやJ.シュターミッツら前古典派の大御所たちと同世 代で、ブリュッセル中心部の聖ミシェル&グデュル大聖堂の聖歌隊長を30年以上務めた後、南ネーデルラントの宮廷楽長としても活躍した この作曲家、フランス語ばかりかオランダ語、ラテン語、イタリア語も使いこなし、多くの教会音楽作品を残しました。ここでとりあげられているル ソン・ド・テネブルは17世紀に遡る伝統を持つフランス風作品で、復活祭前の節制期間である受難節の最終週、夜明け前から行われる暗 闇の祈りの為の音楽。虚飾を廃し小編成の器楽伴奏だけで独唱者が歌うメロディは静謐でありながら歌心に満ち、イタリア・歌劇の様式 をほどよく取り入れた音作りで聴き手を深い鑑賞体験へといざないます。演奏のスケルツィ・ムジカーリはイタリアや英国の17世紀音楽を中心 に演奏してきた声楽&古楽器アンサンブル。限られた楽器編成から驚くほど多彩な響きが引き出される通奏低音演奏の巧みさにも驚かさ れ、フランス・バロックに通じる玄妙な気配を感じさせながら確実に古典派へと向かうメロディアスさにも事欠かないヴァン・エルモンの音楽とあ いまって興趣の尽きない1枚に仕上がっています。
RICERCAR
RIC-445(1CD)

NYCX-10391(1CD)
国内盤仕様
税込定価
ドイツ・バロック・レクイエム 〜バロック期ドイツのルター派宗教作品集
アンドレアス・シャルマン(生没年不詳/1663年頃活躍):主よ、我らが境遇を忘れ給うな
トマス・ゼレ(1599-1663)/ヨハン・ヘルマン・シャイン(1586-1630):シンフォニア「そして安息日が過ぎると」 (器楽合奏)
S心の貧しい人は幸いである
クリスティアン・ガイスト(1650-1711):涙とともに種蒔く人は
トビアス・ミヒャエル(1592-1657):主に贖われし者
ヴォルフガング・カール・ブリーゲル(1626-1712):おお、主よ、知らしめたまえ
アンドレアス・ハンマーシュミット(1611/12-1675):おお、なんと空しいことか、全ての人は
ハインリヒ・シュヴェンマー(1621-1696):正しき者の魂は神の手の中にあり
シャイン:愛すべきかな、汝の住まうところは
われ、汝らを慰めん
ハンマーシュミット:死は勝利の中に呑まれたり
ヨハン・フィリップ・フェルチュ(1652-1732):死せるものは幸いである
ハンマーシュミット:わたしは目を上げ、山並を見やる
ヴォクス・ルミニス(古楽器アンサンブル、合唱)
編成:ソプラノ7、カウンターテナー2、テノール4、バス2、ヴァイオリン2、ヴィオラ2、テノール・ヴィオール2、バス・ヴィオール1、ヴィオローネ、オルガン
リオネル・ムニエ(バス、指揮)

録音:2021年6月、2022年7月ガディンヌ聖母教会、ベルギー
※国内仕様盤日本語解説、歌詞日本語訳…加藤拓未
ドイツ語圏の17世紀作品の解釈できわめて高い評価を博してきた少数精鋭の声楽集団ヴォクス・ルミニス。卓越したバス歌手であるリオネ ル・ムニエ率いる彼らの今回のテーマは、なんとブラームスの「ドイツ・レクイエム」。とはいえ彼らがブラームスを歌うわけではなく、ブラームスがル ター訳のドイツ語版聖書から選りすぐったものと同じテキストを用いた作品を中心とした、ドイツ・バロックの宗教作品を集めています。同様の テキストにはシュッツなどにも作品例がありますが、敢えて知られざる作品を集めているのが彼ららしいところ。重心の低いずっしりとしたアンサン ブルも彼らの真骨頂で、これらの作品の魅力を十二分に引き出す素晴らしい演奏を聴かせます。バロック作品の研究に熱心であったブラー ムスがそこから多くのインスピレーションを受けていたことも知られており、ここに収録された作品の精神が、ブラームスへと受け継がれたと言って も過言ではないでしょう。

Linn
CKD-711(1CD)
英国16〜17世紀のリュート・ソングと器楽曲
1. ダウランド:C彼女はわたしの過ちを許してくれるだろうか
2. ダウランド:前奏曲(リュート独奏)
3. ダウランド:わたしは見た、好きな女性が泣いているのを
4. ダウランド:流れよ、わが涙
5. ダウランド:ディゴリー・パイパー大尉のガリアード(リュート独奏)
6. トーマス・カンピオン(1567-1620):そんな女性たちに用はない
7. カンピオン:夜は糸杉の幕を下ろし
8. カンピオン:岸を求めて風に揉まれてきた帆でさえ
9. ダウランド:ミニャルダ(リュート独奏)
10. トーマス・フォード(1580頃-1648):では恋とはいかなるものか、とコライドンは歌う
11. フォード:美しく、優しく、残酷な
12. ジョン・ダニエル(1564-1626頃):Pavan パヴァン(リュート独奏)
13-15. ダニエル:未亡人M. E.が亡夫の葬儀で見せた涙
16. ダニエル:今なお欲望を外へ向けている男は
17. ダウランド:暗闇に居続けさせてくれ
18. リュリ(ロベール・ド・ヴィゼー編):アポロンのアントレ(テオルボ独奏)
19. パーセル:おお、孤独よ Z406
20. ド・ヴィゼー:プレリュード(テオルボ独奏)
21. パーセル:太陽も今や輝きを遮られ(夕べの讃歌)Z 193
アレクサンダー・チャンス(C.T)
トビー・カー(リュート、テオルボ)

録音:2021年9月 ゼングヴァルデン(ドイツ北西部オストフリースラント地方)
古楽復興の重要な拠点である英国で、20世紀後半の古楽復興の牽引役の一人として、みごとな美声で数々の名演を紡ぎ出してきたカ ウンターテナー歌手マイケル・チャンス。その息子アレクサンダー・チャンス初の本格的なソロ・アルバムは、父と同じく英国音楽への深い愛と抜 群の適性を実感させてくれる、輝かしい未来も予感できる上質なリュート・ソング集です。エリザベス朝時代から活躍をみせたメランコリーの音 楽家ダウランドや同時代のキャンピオンの作品を中心に「英国のオルフェウス」と称えられた17世紀後半のヘンリー・パーセルの名曲に至るま で、有名曲をほどよく交えつつ、当時の英国人たちを陶然とさせたフランス宮廷音楽も選曲。ある時は静謐な悲痛さをもって、またある時は 皮肉っぽさを交えた晴朗さで、高音域まで伸びやかな美声の味わいが引き立つさまざまな作品の面白みをじっくり引き出してゆく名歌唱がた まりません。LINNならではの秀逸な録音技術により、デュオ・パートナーのトビー・カーが聴かせる玄妙な撥弦も克明に楽しめ、400年以上 前の英国ではシンプルな響きの中でいかに変幻自在の多様な音楽が楽しまれていたか再認識させられることでしょう。

ALPHA
ALPHA-927(1CD)
17世紀ヴェネツィアの教会音楽、世俗音楽
1. モンテヴェルディ: D主は言われた(ディクシット・ドミヌス)第2番 SV264〜『宗教的・倫理的な森』第13曲
2. ジョヴァンニ・レグレンツィ(1626-1690): アダージョ 〜4声のソナタ集『ラ・チェトラ』作品10 第6ソナタより*
3. アレッサンドロ・グランディ(1590-1630): おお、あなたはなんと美しいことか
4. タルクィニオ・メールラ(1595-1665):舞踏曲「エッカルド」〜『カンツォーネ集または教会様式および室内様式によるコンチェルト式ソナタ集』Op.12 第19曲より*
5. ジョヴァンニ・アントニオ・リガッティ(1613-1648): わたしの魂は主を讃え(マニフィカト)〜『ミサ曲、および3声のコンチェルト式アリアによる詩篇曲集』第9曲
6. モンテヴェルディ:わたしはイエスさまから遠く隔たれ 〜『マドリガーレ集 第7巻』所収の「哀れなわたしは語るべきか、それとも黙すべきか」SV 136によるコントラファクトゥム
7. モンテヴェルディ:腕達者にもほどがある、恋の神という暴君は SV102〜『マドリガーレ集 第5巻』より*
8. モンテヴェルディ:あなたの頬は美しく〜『マドリガーレ集 第5巻』所収の「その胸を傷つけるというの」(連作マドリガーレ「見たまえシルヴィオ」第4部SV 97d)によるコントラファクトゥム
9. モンテヴェルディ:主を誉め讃えよ(ラウダーテ・ドミヌム)第1番 SV272〜『宗教的・倫理的な森』第21曲
10. レグレンツィ:わたしは呻き苦しんでいます 〜『死者に捧ぐ続唱』より
11. レグレンツィ:わたしは祈ります、跪き頭を低くして 〜『死者に捧ぐ続唱』より
12. アントニオ・ロッティ(1667-1740):8声の「その方は十字架にかけられ」
13. サロモーネ・ロッシ(1570-1630):5声の荘重なシンフォニア 〜『シンフォニアとガリアルダ集 第1巻』より*
14. ロッシ:ガリアルダ「ラ・マサラ」 〜『シンフォニアとガリアルダ集 第1巻』より*
15. ロッシ:ガリアルダ「ラ・ノルシーナ」〜『シンフォニアとガリアルダ集 第1巻』より*
16. カヴァッリ(1602-1676): Agnus Dei 神の仔羊(アニュス・デイ) 〜「コンチェルト式ミサ曲(ミサ・コンチェルタータ)」より
17. ジョヴァンニ・バッティスタ・フォンターナ(1589-1630): ソナタ第16番〜『1、2、3声の為の18のソナタ』より*
18. レグレンツィ:元后あわれみの母(サルヴェ・レジーナ) 〜『連祷・応唱精選曲集』作品7 第6曲
19. レグレンツィ:深き淵より 〜『コンチェルト式の聖唱歌・祝典歌集』作品9 第16曲

*…器楽曲
アンサンブル・レ・シュルプリーズ(古楽器使用)
【ジャンヌ・アムザル、ウジェニー・ルフェーヴル(S)、ジュリア・ボーミエ(Ms)、ポラン・ビュンドゲン(アルト=カウンターテナー)、クレマン・ドビューヴル、セバスティアン・オブレシュト(T)、フランソワ・ジャロン、ギヨーム・オルリ(Bs)、ガブリエル・グロスバール、アナエル・ブラン=ヴェルダン(Vn)、サラ・デュビュ(木管コルネット、リコーダー)、ジュリエット・ギニャール(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、リュシル・テシエ(ドゥルツィアン、リコーダー)、ガブリエル・リニョル(テオルボ、バロックギター)、マチュー・ブティノー(Cemb)[1,17]、ルイ=ノエル・ベスティオン・ド・カンブラ(オルガン、チェンバロ、指揮)

録音:2022年5月セント女子大修道院(フランス中西部シャラント地方)
ヴェロニク・ジャンスやマティアス・ヴィダルといった名歌手たちとの緊密なアンサンブルで、フランス17〜18世紀の知られざる声楽作品の魅力を脈々と伝えてきた アンサンブル・レ・シュルプリーズ。演奏作品が作曲された当時のあり方と妥協なく対峙し、現代のリスナーの興奮を誘う演奏へと昇華させるそのセンスは、フラ ンスのバロック音楽様式にも大きな影響を与えたイタリア音楽にも抜群の適性をみせることが、今回のアルバムで立証されました。17世紀の“水の都”ヴェネ ツィアを舞台に、その音楽活動の一大拠点だったサン・マルコ教会の音楽監督として巨匠モンテヴェルディが迎えられていた時代に光を当て、知られざる作曲 家たちの作品も含め声楽・器楽および聖俗両面の作品を鮮やかに組み合わせ、17世紀後半に至る豊かな音楽遺産を起伏に富んだプログラムで堪能させ てくれます。弦・管・鍵盤8人からなる器楽勢のアンサンブルも魅力なら、詩句とメロディの官能性を鮮やかに引き出してゆく歌手それぞれの声と各楽器の音色 の溶けあいや交錯も実にエキサイティング。サン・マルコ教会に限られない諸々の教会や貴族の私邸、アーケードの下に陣取った楽隊などの音楽によるヴェネ ツィアの祝祭シーズンを再現したかったと語る指揮者ベスティオン・ド・カンブラの狙いは、ALPHAならではの自然派録音が捉えた響きの克明さも手伝って十二 分に実現していると言ってよいでしょう。
ALPHA
ALPHA-739(1CD)

NYCX-10389(1CD)
国内盤仕様
税込定価
聖女マリア/母マリア/娼婦マリア
ホルスト(1874-1904):I. やさしきイエスよ 〜『4つの歌』 Op.35
ヴァルター・フォン・デア・フォーゲルヴァイデ(1170-1230): パレスチナの歌*
ジョージ・クラム(1929-2022):Return I. God-Music〜『ブラック・エンジェルズ 暗黒界からの13のイメージ』
デュファイ:Ave Maris Stella めでたし、海の星*
マルタン:アヴェ・マリア 〜『マリア三部作』
ビクトリア:アヴェ・マリア*
クルターグ(1926-):Teil1「子守歌」 〜『カフカ断章』 Op.24
作者不詳:アドヴェント・ソング「マリアはいばらの森を行った」**
マルタン:マニフィカト 〜『マリア三部作』
ロッティ(1667-1740):十字架に架けられて*
リリ・ブーランジェ:ピエ・イエズ*
パトリツィア・コパチンスカヤ(1977-):Felino フェリーノ
ヒルデガルト・フォン・ビンゲン(1098-1179): おお、血の赤さよ
ハイドン:ソナタIII「女よ、これがあなたの息子です」〜十字架上の7つの言葉』Hob.XX:1
クルターグ:Teil4「またもや、またもや」 〜『カフカ断章』 Op.24
マルタン:スターバト・マーテル 〜『マリア三部作』
ハンス・アイスラー/ベルトルト・ブレヒト(1898-1956): Kuppellied*
クルターグ:Teil3「罰としての性交」 〜『カフカ断章』 Op.24
ハイドン:地震 〜『十字架上の7つの言葉』Hob.XX:1
カルダーラ:アリア「私の涙の海に」 〜『キリストの足元のマッダレーナ』

*…ミチ・ウィアンコ編曲
**…ヴォルフガング・カチュナー編曲
アンナ・プロハスカ(S)
パトリツィア・コパチンスカヤ(ソロ・ヴァイオリン、リーダー)
カメラータ・ベルン

録音:2019年12月、2020年夏・スイス放送協会ドイツ語放送スタジオ、チューリヒ
※ 国内盤仕様解説・歌詞日本語訳…伊東信宏
2022年に発売されたイザベル・ファウストとの共演盤『カフカ断章』(HMF)が高い評価を受けたアンナ・プロハスカ。ALPHAレーベルからも個 性的なアルバムをリリースしてきている彼女が、今回は長年の盟友、奇才パトリツィア・コパチンスカヤと手を組み、新約聖書に登場する聖母 マリアとマグダラのマリアという2人の物語に挑みます。コパチンスカヤにとっては2019年リリースの『つかの間と、永遠と』の流れを汲む企画と言 え、そこでマルタンの『キリスト受難の6つの印象(複連祭壇画)』を中心に据えたのと同様、今回も同じマルタンの『マリア三部作(三連祭壇 画)』を核とした選曲により、聖なるマリア、母としてのマリア、そして卑しい身分の象徴としてのマリアとその救済という側面に切り込み、西洋世 界に於ける女性のイメージの二面性を描き出すとともに、その意味を問うという内容となっています。2人が絶大な信頼を置く作曲家、ヴァイ オリニストであるミチ(美智)・ウィアンコが多くの曲で編曲を務めており、カメラータ・ベルンの高いアンサンブル能力と、その音色が持つ煌びやか さを内に秘めたほの暗さを魅力的に引き出しました。さらにはプロハスカとコパチンスカヤによる、作品の振幅の激しさをものともしない表現力 と強烈な個性が、時に寄り添い時に激しくぶつかり合いながら、このアルバムの得も言われぬ魅力を作り出しています。

299 MUSIC
NIKU-9050(2CD)
税込定価
F・クープラン クラヴサン曲全集3
クラヴサン曲集:第2・12・14・23オルドル/クラヴサン奏法:前奏曲第2 番
中野振一郎(Cemb)、DISC-2(14)築山茉以(チェンバロ2)

録音:2021年9月28-39日、2022年5月30 日 岐阜・サラマンカホール
ロココの戯れ、フランス的甘さ、そして謎めいたムードなど、ユニークかつ多様な作品群の情緒あふれる世界を、そ の流麗で円熟味を増した表現と時折垣間見える遊び心で深みと新鮮さを与え展開する。長年にわたりチェンバロ界を リードし続ける中野振一郎が映し出す、フランソワ・クープランの成し遂げた偉業の真価。

PROSPERO CLASSICAL
PROSP-0065(2CD)
ビーバー:ロザリオのソナタ
[CD1]
「喜びの秘蹟」 ソナタ第1番〜第5番
「哀しみの秘蹟」 ソナタ第6番〜第10番
[CD2]
「栄光の秘蹟」 ソナタ第11番〜15番
「パッサカリア」 ソナタ第16番
メレット・リュティ(Vn、指揮)
レ・パシオン・ド・ラーム

録音:(ソナタ第1〜15番)2022年1月23-29日/レールベルク
(パッサカリア)2019年9月27-20日/チューリッヒ放送スタジオ
「レ・パシオン・ド・ラーム」(デカルトの『情念論』に由来)はベルン出身のヴァイオリニスト、メレット・リュティが2008年に結成したスイスの古楽アンサンブ ル。さまざまな音楽祭に出演し多くのアーティストと共演しながら、ビーバーの作品に長年取り組んできました。演奏してきた作品にはもちろん名作『ロザリオのソ ナタ』も含まれます。そして今回リリースされるのは『ロザリオ』のスタジオ録音。これまで培ってきた演奏経験が大いに活かされた出来栄えで、高度な技術を要す るヴァイオリン・パートがみごとに敬虔な祈りに昇華されていきます。通奏低音にはチェンバロとオルガンが合体したクラヴィオルガヌムや、キラキラした音を出す サルテリオが登場。リュートは野入志津子が担当しています。アンサンブル全体が呼吸するかのようにうごき、音楽が豊かに湧き上がってくる演奏。名盤ひしめく『ロ ザリオ』にまたひとつ注目盤が加わりました (Ki)

Passacaille
PAS-1132(1CD)
テレマン:オラトリオ『解放されたイスラエル』 TWV.6:5
ヨハン・ハインリヒ・ローレ(1716-1786):オラトリオ『解放されたイスラエル』 V.I:II
ミリアム・フォイエルジンガー(S)
エ ルヴィラ・ビ ル(Ms)
ダニエル・ヨハンセン(T)
アンドレ・モルシュ(Bs)
セバスティアン・ミルス(Bs)
ペーター・ファン・ヘイゲン(指揮 )
イル・ガルデリーノ

録音:2022年8月16-19日/ベルギー、ブルージュ
モーセの十戒で有名な旧約聖書の「出エジプト記」に基づく、イスラエルの民がエジプトの奴隷から解放される物語。ヘンデルのオラトリオ『エジプトのイスラエル 人』が比較的知られていますが、テレマンもまた同じ題材を基にしたオラトリオを書いています。作曲家後期の作品にあたり、その筆致は驚くほど充実。迫力たっぷ り、聴き応え満載の音楽です。同じ題材による知られざるドイツの作曲家ヨハン・ハインリヒ・ローレの作品も収録。こちらもまた充実した内容で、なかなかに聴か せる音楽です。 (Ki)

MIRARE
MIR-612(1CD)
ブルターニュのエレノアのグラドゥアーレ集〜フォントヴローのクリスマス
・真夜中のミサ
・夜明けのミサ
・日中のミサ
ヴォックス・クラマンティス、
ヤーン=エイク・トゥルヴェ(指)

録音:2021年11月22-28日、フォントヴロー修道院
エレノアは、1275年、イングランド王国のベアトリクスとブルターニュ公ジョン2世との間に生まれました。1283年、8歳でエイムズベリー修道院に入り、 1304年にフォントヴローの修道院長となり、1342年にそこで亡くなりました。現在、リモージュ市立図書館には、彼女の紋章が刻まれたグラドゥアーレ集が所 蔵されています。そこには、グレゴリオミサに加え、通常ミサの全レパートリーが含まれています。ここでは、音楽学的な貴重さという観点からではなく、純粋に 2021年のクリスマスを祝うために作られたかのような作品を選び、文脈を変えずに様々な音色(鈴や鳥の声など)を加えるなどして収録されています。実際に僧 たちが修道院の中で歩いたりしながら歌っているのを覗くような気分になれる録音で、非常に静謐な空気に満ちています。 (Ki)

Pentatone
PTC-5187082(1CD)
「シルク・バロック」
テレマン:ベルはいかがでしょうか(ユディト・ステーンブリンク編)
ラモー:悲しい仕度、青白いたいまつ
J.ステーンブリンク:中国のポロネーズ(メランテ編)
馬術【中国伝統音楽】
ヴィヴァルディ:トリオ・ソナタOp.1-12「ラ・フォリア」
ラモー:プレリュード・フォー・プレリュード(J.ステーンブリンク編)
ルベル:混沌
即興【父へ〜ウー・ウェイ】
テレマン:ハーレキナード
テレマン:千載一遇の好機
J.ステーンブリンク:シルク・ロンドー〜マイテへ
ルクレール:ガヴォット
瑶族舞曲【中国伝統音楽】
バッハ:アンダンテ
夕べの音楽【中国伝統音楽】
オランダ・バロック
ウー・ウェイ(中国笙)

録音:2019年1月/HCO ヒルフェルスム(オランダ)
レイチェル・ポッジャーなど世界的なアーティストと共演をしてきたオランダ古楽界の精鋭集団オランダ・バロック(元オランダ・バロック協会)と中国笙の第一 人者ウー・ウェイの奇跡のコラボレーション・アルバム。
バッハ、ヴィヴァルディ、テレマン、ラモーなどのバロック時代を代表する作曲家の音楽と中国伝統音楽を見事に融合させた「シルク・バロック」がCDフォー マットで再発売されます!
中国笙は37本の竹管からなる笙(日本の雅楽などで用いられる笙は17本の竹管)で、中国独自の響きを携えます。演奏のウー・ウェイは1970年中国生まれ。 上海音楽院で学んだ後ベルリン芸術大学に留学。ベルリンでは東アジアの楽器と西洋楽器との混合アンサンブル“アジアン・アート・アンサンブル”に創設メンバー として参加し世界各国の作曲家への委嘱と初演を行ってきました。ソリストとして活躍する一方、2013年からは上海音楽院の教授として後進の育成にあたり、中 国伝統音楽はもちろんのこと現代音楽、即興などの指導にも力を注いでおります。(日本語帯はつきません。) ※CD再発売にともない、SACDハイブリッド盤(PTC-5186800)は廃盤となります。 (Ki)

PAN CLASSICS
PC-10448(1CD)
オレンジの樹のある中庭 〜セビリア大聖堂にまつわるルネサンス音楽集
〈オレンジの樹の中庭〉
即興:Istijbar Raml-al-Maya
作者不詳(15世紀後半):Propinan de melyor
〈聖母マリアの祭壇〉
ペドロ・デ・エスコバル(1465頃-1535頃):Virgen bendita sin par
フランシスコ・ゲレーロ(1528-1599):Virgo prudentissima
クリストバル・デ・モラーレス(1500頃-1553):Regina caeli, laetare
〈ヒラルダの塔から街を見下ろす〉
フアン・バスケス(1500頃-1560頃):Del rosal sale la rosa / -Que razon podeis tener- / Morenica me era yo
ミゲル・デ・フエンリャーナ(1553頃活躍-1578):Tiento del IV tono / Fantasia No.34sobre un passo forcado, Ut re mi fa sol la
〈アンティグア聖母礼拝堂、フランシスコ・ゲレーロとフランシスコ・ペラーザの墓前で〉
ペドロ・デ・エスコバル:Agnus Dei
フランシスコ・ゲレーロ:In elevatione Domini:Hei mihi, Domine
フランシスコ・ペラーザ(1564-1598):Medio registro alto (de) primer tono
〈聖歌隊の裏側、エルナンド・コロンの墓前で〉
エンリケ・フォクサー(1488没):Pues con sobra de tristura
作者不詳(15世紀後半):N ina y vina
〈チャプター・ハウス〉
アロンソ・ムダーラ(1510頃-1580):Tiento II & Fantasia XVIII sobre fa, mi, ut, re. Segundo tono / Fantasia XVI. Primer tono / Pavana I / Gallarda
〈聖歌隊〉
アロンソ・ロボ(1555-1617):Vivo ego, dicit Dominus
フランシスコ・デ・ペニャローサ(1470頃-1528):Agnus Dei III (Vita dulcedo/De tous bien playne)
〈オレンジの樹の中庭〉
即興:Istijbar Raml-al-Maya
マリア・マルティネス・アイェルサ(編曲、指)
ロイヤル・ウィンド・ミュージック(リコーダー合奏)

録音:2022年8月22-25日/オランダ
11人のリコーダー奏者からなる「ロイヤル・ウィンド・ミュージック」によるルネサンス音楽集。大小12種類(ソプラニーノ1、ソプラノ2、アルト2、テナー2、バセッ ト2、グレート・バス1、コントラバス1、サブ・コントラバス1)のルネサンス・リコーダーを駆使し、驚くほど雄弁なサウンドを創生しています。ブックレットには各 曲でどのリコーダーを誰が吹いてるのかを表したリスト付き。
舞台はスペインの誇る最大規模の聖堂、セビリア大聖堂。モスクの跡地に建てられ、モスクの名残である「ヒラルダの塔」などもあるユニークな建造物です。中庭 はオレンジの樹があり、アルバム・タイトルのもとになっています。
アルバムはセビリア大聖堂を中庭から始まりぐるりと回遊し、また中庭に戻ってくる構成で、そこにスペイン・ルネサンスの大作曲家たちの作品が散りばめられて いるというもの。時代の香りが漂ってくるような雰囲気がたまらない1枚です。 (Ki)

Da Vinci Classics
C-00703(1CD)
18世紀のフルート・ソナタ集
テレマン:トラヴェルソ、ヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音のためのソナタ ト短調 TWV42:G7
C.P.E.バッハ:フルートと通奏低音のためのソナタ ホ短調 H.551. WQ124
フォルトゥナート・ケッレリ:フルート、ヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音のためのトリオ・ソナタ ト長調(世界初録音)
カール・フリードリヒ・アーベル:フルート、ヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音のためのソナタ 変ロ長調 WKO110d, A5:5A
J.C.バッハ:フルート、チェロとハープシコードのためのソナタ Op.2-5, W. B47b
ピエール・プローヴォ:トラヴェルソ、ヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音のためのソナタ ト短調(世界初録音)
ラ・レジョイサンス〔マリヤ・ミリュウジーナ(トラヴェルソ)、アマリリス・ドゥエニャス(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、ナタリア・レンタス(ハープシコード)〕

録音:2022年2月、ナショナル・スカルプチャー・ミュージアム(バリャドリッド、スペイン)
ラ・レジョイサンスは、ケルン音楽舞踊大学で学んだ音楽家達によって2018年に結成され、ドイツ・ザールランド放送局主催の国際バロック・コンクールでは第1位を受賞。アンサンブルの名前の由来は、バッハ、ヘンデル、テレマンなどが組曲の1楽章として使用した、速いテンポと祝祭性のある特徴を持つ、フランスの伝統的な舞曲「rejouissance(喜び、歓喜)」に由来します。
本アルバムでは、18世紀に作曲されたトリオ・ソナタを軸に、1750年代から1770年代頃に流行したギャラント様式が、その長い生涯で生み出した様々な方向性を示す代表的な作品を集成。このジャンルがどのように発展していったか、その軌跡を辿ります。

Tactus
TC-652090(2CD)
トレッリ:合奏協奏曲集 Op.8
クリスマスのためのパストラーレ付き12の合奏協奏曲(コンチェルト・グロッソ)集 Op.8(ボローニャ,1709)(2本のヴァイオリン、弦楽と通奏低音のための)〔協奏曲第1番 ハ長調、協奏曲第2番イ短調、協奏曲第3番ホ長調、協奏曲第4番 変ロ長調、協奏曲第5番ト長調、協奏曲第6番 ト短調 「クリスマスのために」(クリスマス協奏曲)、協奏曲第7番 ニ短調、協奏曲第8番ハ短調、協奏曲第9番ホ短調、協奏曲第10番 イ長調、協奏曲第11番ヘ長調、協奏曲第12盤 ニ長調〕
ロベルト・ノフェリーニ(Vn)、
ジェレミー・キジョーニ(Vn)、
アンサンブル・ロカテッリ、
キアラ・カッターニ(指,Cemb)

録音:2020年7月、サン・ロレンツォ・マルティーレ教会(ダルミネ、ベルガモ)
「ピリオド楽器、ガット弦、ピリオド・ボウによるパガニーニのカプリース」(PTC781690/TC781690)の衝撃的な録音で話題を呼んだ、イタリアの鬼才バロック・ヴァイオリニスト、ロベルト・ノフェリーニ。イタリア音楽の宝庫Tactusレーベルからリリースされる新たなアルバムでは、トレッリの「合奏協奏曲集 Op.8」の全曲を録音!
ジュゼッペ・トレッリは1658年イタリア・ヴェネト州のヴェローナに生まれ、25歳で同市の大聖堂ヴァイオリニストに採用され、その後もボローニャ、アンスバッハ(バイエルン)、ベルリン、アムステルダムなどでヴァイオリニストやコンサート・マスターとして活動したヴァイオリニスト&作曲家。ヴェネツィア楽派、ローマ楽派、ナポリ楽派とともに、イタリア・バロック音楽の基幹をなすボローニャ楽派の名声と成功に貢献した作曲家の一人です。
1709年に弟のフェリーチェ・トレッリによって出版された、ジュゼッペ・トレッリの代表作「合奏協奏曲(コンチェルト・グロッソ) Op.8」は、特に有名な「クリスマス協奏曲(第6番) Op.8-6を始めとする一部や抜粋の録音は数多くあるものの、12曲全体のまとまった録音は少ないだけに、イタリアの鬼才ノフェリーニと、ソミスのアルバム(TC681908)でも共演したチェンバリスト、キアラ・カッターニ率いるアンサンブル・ロカテッリによる新たなレコーディングが重要なマイルストーンとなることでしょう。

Urania Records
LDV-14098(1CD)
J.P.デュポール:チェロ・ソナタ集
:6つのチェロとヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ Op.1(1766)より、ソナタ第3番ハ長調、ソナタ第4番 ニ長調/6つのチェロ・ソナタ Op.2(1767/70)より、ソナタ第1番 ニ長調、ソナタ第3番ヘ短調/6つのチェロと通奏低音のためのソナタ Op.3(1773)より、ソナタ第1番ニ長調、ソナタ第3番ニ短調/6つのチェロ・ソナタ Op.4(1789)より、ソナタ第2番ホ短調、ソナタ第3番 ハ長調
クラウディオ・ロンコ(Vc)、
エマヌエラ・ヴォッツア(Vc)ピリオド楽器使用
フランス・チェロ派の創始者マルタン・ベルトーの弟子であり、近代チェロ派の創始者といわれるジャン=ルイ・デュポールの兄でもあったジャン=ピエール・デュポール(1741-1818)。当時大変なヴィルトゥオーゾであったデュポールはベルリンに渡り、宮廷の音楽監督を務めました。その際、モーツァルトやベートーヴェンといった作曲家たちとの交流もあったと伝えられています。
クラウディオ・ロンコは、1980年にクレマンシック・コンソート(クレメンチッチ・コンソート)のソロ・チェロ奏者に就任し、アンサンブル415やエスペリオンXXでも活躍。さらには、セビリア古楽音楽祭をはじめとするヨーロッパの著名な古楽音楽祭から定期的に招聘されるなど、現在のイタリア古楽界における重鎮の1人。
現在は2001年に出会ったボローニャのアンサンブDSGとルサン・ペトロニオ・カペラ・ムジカーレで首席チェロ奏者を務めていたエマヌエラ・ヴォッツアと夫婦デュオを組み、コンサートやレコーディングに精力的に取り組んでいます。

Glossa
GCD-924014(3CD)
ジャン・バティスト・シュトゥック(1680-1755):音楽悲劇「ポリドール」 ジェルジ・ヴァシュヘージ(指)、オルフェオO、パーセルcho、ユディット・ファン・ヴァンロイ(Venus, Deidamie)、エレーヌ・ギュメット(Ilione)、タシス・クリストヤニス(Polydore)、トマ・ドリエ(Polymnestor)、シリル・デュボワ(Un Triton, Timanthe, Sthenelus, un Thrace, un Grec)、ダヴィド・ヴィチャク(Neptune, le Grand Pretre de l’Hymen, l’Ombre de Deiphile)、クロエ・ブリオ(Thetis, une Matelote, Theano)

録音:2022年9月12日-15日、ベーラ・バルトーク国立コンサート・ホール(ブダペスト芸術宮殿、ハンガリー)
20世紀末まで顧みられることのなかった数々の知られざるフランス・バロック作品を蘇らせ、次々と世に発信して注目を集めてきたハンガリー出身の奇才ジェルジ・ヴァシュヘージと、彼が結成したオルフェオO&パーセル合唱団。次なるリリースはイタリアのトスカーナに生まれ後にフランスに帰化したジャン・バティスト・シュトゥック(1680-1755)の音楽悲劇「ポリドール」。シュトゥックはラモーとほぼ同世代の作曲家で、リュリ亡き後も続いていたパリでのオペラへの嗜好に対し、公爵家から資金の援助を受けながら作品を書き続けました。「ポリドール」はパリ移住後の1720年の作品。ギリシャ人、トラキア人、トロイア人の神話を題材に、戦争、家族、愛が織り込まれた悲劇的な物語です。これまでアリアなどが抜粋されて録音されることはありましたが、全曲の録音はとても貴重なものと言えるでしょう。
今回も厚い信頼関係で結ばれたジェルジ・ヴァシュヘージと手兵のオルフェオO&パーセル合唱団が高品質な演奏を披露。ユディット・ファン・ヴァンロイやタシス・クリストヤニスなどのソリスト陣も素晴らしく、この知られざる作品の魅力を再発見させてくれます。
※アーティスト名表記について
これまで、Gyorgy Vashegyiの日本語表記を「ジュルジ・ヴァシェジ」としておりましたが、今後は原音表記に近い「ジェルジ・ヴァシュヘージ」に変更させていただきます。よろしくお願いいたします。
Glossa
GCD-923538(2CD)
ペドロ・アントーニオ・アヴォンダーノ(1714-1782):オラトリオ「アベルの死」 マッシモ・マッツェオ(音楽監督)、
ディヴィーノ・ソスピーロ、
ケル・カマリーニャ(S)、
アナ・ヴィエイラ・レイテ(S)、
ヴァレンティーナ・ヴァッリアーレ(S)、
フィリッポ・ミネッチャ(A)、
セルジョ・フォレスティ(Bs)

録音:2022年2月28日-3月3日(ポルトガル)
ポルトガルを拠点にしている古楽オーケストラ、ディヴィーノ・ソスピーロはこれまでもマッシモ・マッツェオ指揮の下、ポルトガルの作曲家の作品の復興に努めてきました。このアルバムで取り上げる作曲家ペドロ・アントーニオ・アヴォンダーノ(1714-1782)もその中の一人です。アヴォンダーノは、18世紀にリスボンで活躍したイタリア系音楽家の一族の子孫でした。彼の作曲した「アベルの死」(1780年頃)は多数のオペラ作品でも知られる著名な台本作家ピエトロ・メタスタージオの人気作を題材にしたもので、バロック時代以降、40回ほど演奏された記録が残っています。アヴォンダーノは最初の殺人事件の物語であるこの作品に、バロック音楽が持つ表現力の可能性を余すところなく発揮しており、熱狂的なドラマとして描いています。素晴らしい歌手陣で録音されたこのアルバムは、世界初録音となります。

Audax Records
ADX-11201(1CD)
4声のソナタ集
ヨハン・ゴットリープ・ゴルトベルク(1727-1756):ソナタ ハ短調 DurG14
テレマン:ソナタ イ短調 TWV43:a5
ヘンデル:ソナタ ト長調 Op.5, No.4
ファッシュ:ソナタ ニ短調 FaWV N:d3
ヨハン・ゴットリープ・ヤニチュ(1708-1762):四重奏曲 ニ長調(世界初録音)
ヨハネス・プラムゾーラー(Vn)、アンサンブル・ディドロ〔ヨハネス・プラムゾーラー(Vn)、ロルダン・ベルナベ(Vn)、アレクサンドル・バルド(Va)、チェ・グゥリム(Vc)、フィリップ・グリスヴァール(ハープシコード)〕

録音:2021年12月1日-3日、マーラー・オーディトリアム(トブラッハ、イタリア)
南チロルから世界へと羽ばたいた"21世紀世代"のバロック・ヴァイオリニスト、ヨハネス・プラムゾーラーは、アンサンブル・ディドロやインターナショナル・バロック・プレーヤーズを主宰し、師であるレイチェル・ポッジャーのブレコン・バロックのメンバーとしても活躍する次世代の名手。2013年に自身のレーベルAudax(オーダックス)を立ち上げ、数々の知られざるバロック・レパートリーを発掘してきたプラムゾーラーが新たに開拓するのは、3つの旋律楽器と通奏低音による4声の「カルテット・ソナタ」集!
バロック時代に「トリオ・ソナタ」が流行し、18世紀前半には通奏低音付きの四重奏(カルテット・ソナタ)が出現しましたが、後に「弦楽四重奏」のスタイルの隆盛によってほとんど無視されるようになっていきました。
バロックと初期古典派の間の重要な仲介役となるカルテット・ソナタの中から、今回はファースト・ヴァイオリン、セカンド・ヴァイオリン、ヴィオラ、通奏低音からなる弦楽器編成の作品が選ばれました。いずれも、フランス、イタリア、ドイツの様式を折衷した混合様式の好例となる作品で、弦楽四重奏の登場によってほとんど注目を浴びなくなったレパートリーに特徴的な「学究的で彫琢されたポリフォニー」を備えています。

NovAntiqua Records
NA-81(2CD)
様々な作曲家による無伴奏ヴァイオリン作品集
■CD1
チューニング
トーマス・バルツァー(c.1631-1663):ヴァイオリンのための前奏曲
バッハ:9つの小前奏曲より第3番 BWV926(エンリコ・ガッティ編)
ジョヴァンニ・バッサーノ(1558-1617):リチェルカータ第1番
バッハ
:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番ハ長調 BWV1005よりラルゴ
トーマス・バルツァー:前奏曲、アルマンド、クーラント、サラバンド
バッハ:パルティータ第1番 BWV825よりサラバンド(エンリコ・ガッティ編)
ニコラ・マッテイス(c.1640/50-c.1714):壊れたパッサッジョ、声域、速い動きで、幻想曲
フィリップ・ハカール(1645-1691):サラバンド
ビーバー:パッサカリア
■CD2
タルティーニ:ソナタ
パーセル:前奏曲 ZN 773
ジルヴィウス・レオポルト・ヴァイス(1687-1750):前奏曲(エンリコ・ガッティ編)
バッハ
:ソナタ第2番 BWV1003よりアンダンテ
ジルヴィウス・レオポルト・ヴァイス:サラバンド(エンリコ・ガッティ編)、
 幻想曲(エンリコ・ガッティ編)、ヨハン・ショップ(c.1590-1667):前奏曲
バッハ
:無伴奏フルートのためのパルティータ BWV1013よりアルマンド(エンリコ・ガッティ編)
トーマス・バルツァー:前奏曲
エンリコ・ガッティ(Vn/ドン・ニコラ・アマティ1730年頃製作)

録音:2019年6月20日-21日&10月17日-19日(ロンジャーノ、イタリア)
イタリアが生んだバロック・ヴァイオリンの世界的名手エンリコ・ガッティが、40年もの歳月をかけて取り組んできたプロジェクトがついに完成。10人の作曲家による無伴奏ヴァイオリンの為の作品を通じて、人間や芸術家につきまとう「孤独」という概念から、哲学的・人間的な道を100分間で探求するコンセプト・アルバムになっています。付属する100ページにも及ぶメディア・ブックには、イタリアの写真家シルヴィア・カンポレージが撮影したジャケットを含む17枚の写真と、様々な作家や哲学者によるテキスト(イタリア語/英語)が掲載され、“ヴァイオリンの詩人”エンリコ・ガッティが生涯をかけて構想してきた一つの到達点を見ることができるでしょう。

ARCANA
A-544(1CD)
マッシミリアーノ・ネーリ(1620頃-1670以降):様々な楽器のためのソナタ集
1. Sonata Decimaquinta a dodeci - Op.2第15ソナタ(12声のための)
2. Sonata Prima a tre - Op.2第1ソナタ(3声のための)
3. Salve Virgo benignissima めでたし、至福の乙女
4. Sonata Undecima a nove - Op.2第11ソナタ(9声のための)
5. Sonata Seconda a4- Op.1第2ソナタ(4声のための)
6. Sonata Prima a4- Op.1第1ソナタ(4声のための)
7. Liebster Jesu 最愛のイエスよ [カテリーナ・ジアーニ(1630-1673以降)作曲]
8. Sonata Decima a otto - Op.2第10ソナタ(8声のための)
9. Canzon Seconda a4- Op.1第2カンツォン(4声のための)
10. Sonata Terza a tre - Op.2第3ソナタ(3声のための)
11. Sonata Quinta a quatro - Op.2第5ソナタ(4声のための)
12. Sonata Seconda a tre - Op.2第2ソナタ(3声のための)
13. Ad charismata caelorum 魅惑の天に向けて
14. Sonata Decimaquarta a dodeci - Op.2 第14ソナタ(12声のための)
コンチェルト・シロッコ(古楽器使用)
 ジュリア・ジェニーニ(リコーダー、ドゥルツィアン、指揮)
 編成:ヴァイオリン2、ヴィオラ2、ヴィオラ・ダ・ガンバ1、ヴィオローネ2、
  木管コルネット2、リコーダー3、サックバット3、ドゥルツィアン1、テオルボ2、
  オルガン、チェンバロ
ヴォーチェス・スアーヴェス(声楽アンサンブル)…3、7、13
 ピッチ:A=415Hz(弦楽器&鍵盤楽器)/A=466Hz(管楽器)
 調律:1/4コンマ・ミーントーン

録音:2022年2月12-16日ラントガストホーフ、ライエン(スイス北部バーゼル・ラントシャフト州)
古楽奏者・研究者育成の世界的拠点バーゼル・スコラ・カントルムで研鑽を重ねた気鋭奏者が集うコンチェルト・シロッコとヴォーチェス・ス アーヴェスは、イタリアのARCANAレーベルへの録音を通じてクローチェ、ベルナルディ、ピッキといった知られざる17世紀イタリアの作曲家たち を続々発掘、その優れた実績の再評価に寄与してきました。これほどの結束力と専門性を兼ね備えた17世紀音楽の演奏団体は決して多 くはありませんが、今回のアルバムも既存盤全てと同じく、各楽器の個性がきわだつ小編成作品から、当時の演奏作法に通じた弦・管・鍵 盤の名手が何人もいなくては実現不可能な大編成の充実作まで収録。巨匠モンテヴェルディ亡き後、歌劇作曲家カヴァッリが人気を誇った 17世紀中盤のヴェネツィアで活躍したネーリの作品は、この“水の都”で器楽芸術が最初に発展した時代の面影を残しながらも、端正な気 品を感じさせる整った曲構成が18世紀の音楽をも予感させ、12声部にも及ぶ大規模な合奏曲はヴィラールトやガブリエーリの複合唱形式 にも、バロック後期のコレッリやヴィヴァルディの合奏協奏曲にも通じる音使いが聴かれ興趣が尽きません。小編成の作品も声楽・器楽共に コントラスト鮮やかな展開が聴き手を飽きさせず、生前のネーリがドイツ語圏や遠くスウェーデンまで名声を轟かせていたことを裏付けてあまり ある面白さ。バーゼルの名手たちの妙技に聴き惚れながら、知られざるバロック中期の音楽世界に思いを馳せたい1枚です。研究に基づき、 弦楽器などと管楽器はほぼ全音違うピッチを採用しており、管楽器が移調して演奏することで解決されています。

TUDOR
TUD-7504(1CD)
NX-A14
おお、大いなる奇跡
モンテヴェルディ:Christe Adoramus te キリストよ、われらは御身をあがめ
 Domine ne in furore tuo 主よ、われらを懲らしめたもうな
A・スカルラッティ:Domine refugium factus est
 Completi Sunt
 O Magnum Mysterium おお、大いなる奇跡
 Tenebrae factae sunt あたりは闇となり
 Caligaverunt Oculi Mei わたしの両目は、涙で曇らされて
 Salve regina 元后あわれみの母
ヴェルディ:Pater Noster 天にましますわれらの父よ
 Laudi alla vergine Maria 聖母マリアの讃歌
 Ave Maria アヴェ・マリア
ルツェルン・ヴォーカル・ゾリステン
【メンバー】
フランソワーズ・アルブレヒト/レナーテ・レーマン
コリンネ・リュシャー/ブリギット・シュミット
ウルズラ・ヴィック=ヴァイス(S)
ヨハンナ・クラウス/カリン・マリア・クラウアー
ギラ・ラーセンズ=ティヴァー/ヨハンナ・モン(A)
エルンスト・デスター/ウルス・デットヴァイラー/ローベルト・ランカー
宇佐美 尊(T)
ハンスペーター・ブラント/ルイス・キュファー
ロルフ・ニュンリスト/ペーター・タールマン (Bs)
フランツ・クサヴァー・ヤンス(指)

録音:1978年頃
※初CD化
1970年、ルツェルン音楽祭でアレッサンドロ・スカルラッティの「聖チェチーリアの夕べの祈り」の世界初演をきっかけに、フランツ・クサヴァー・ヤンスとハン ス・イェルク・ヤンスの2人によって創設された声楽アンサンブル「ルツェルン・ヴォーカル・ゾリステン」。ペーター・マークやヴォルフガング・サヴァリッシュ、ミシェ ル・コルボら錚々たる指揮者たちとも共演し、バロックから近現代まで幅広い演目を歌いましたが、出発点となったアレッサンドロ・スカルラッティには特に 注力、1983年から88年まで毎年ルツェルン音楽祭の期間中に、聖レオデガー教会でハンス・イェルク・ヤンスの指揮のもと演奏を重ねました。 このアルバムにはモンテヴェルディ、アレッサンドロ・スカルラッティ、ヴェルディの教会音楽を収録。3人ともオペラ作曲家として知られ、宗教的作品にもそ のドラマティックな感覚が生かされています。ルツェルン・ヴォーカル・ゾリステンは、作品の持つ敬虔な宗教性を生かし、重厚なアカペラで歌い上げてい ます。*既発のLPより復刻となります。

CPO
CPO-555388
NX-B10
タルティーニ:ヴィオラ・ダ・ガンバによる協奏曲とソナタ集
協奏曲 ニ長調
合奏協奏曲 ト短調(原曲:ソナタ「悪魔のトリル」)(ジャンルカ・ベルサネッティ編)
協奏曲 イ長調
ソナタ ト短調(レーデンブルク・コレクションより)
ソナタ 変ロ長調(レーデンブルク・コレクションより)
オペラ・プリマ(古楽器使用)
クリスティアーノ・コンタディン(ヴィオラ・ダ・ガンバ&指揮)

録音:2020年7月8-11日
稀代のヴァイオリン・ヴィルトゥオーゾ、タルティーニの作品をヴィオラ・ダ・ガンバで弾く意欲的な企画が登場。 タルティーニが活躍した時代のイタリアでは、きらびやかなサウンドを持つヴァイオリン属がガンバ属にとって代わ るタイミングでしたが、ここではあえてガンバを主役に据えています。1曲目に収められた協奏曲ニ長調は、タル ティーニの弟子ジュリオ・メネギーニによる筆写譜でソロ楽器が「ヴィオラ」と指定されています。この「ヴィオラ」は 小型のチェロを指していたと推測されますが、当録音のプロデューサーと演奏家は、当時は楽器の呼称が曖 昧だったのを逆手にとってガンバで演奏することを思いつきました。更にタルティーニ自身がソロ楽器を「ヴィオ ラ」と指定したイ長調の協奏曲にも挑戦しています。 2曲のソナタは2015年に発見された「レーデンブルク・コレクション」に収められているもので、ヴァイオリン・ソナ タがガンバ用にアレンジされています。タルティーニの代名詞とも言える「悪魔のソナタ」は、現代作曲家のジャ ンルカ・ベルサネッティがバロックの合奏協奏曲の形式に編曲したもの。ガンバはソロだけでなく、伴奏を含め 様々な役割を担います。ガンバ特有のサウンドの魅力を、オリジナル曲とは違った風味で味わう一枚です。演 奏はガンバ奏者クリスティアーノ・コンタディン率いるアンサンブル"オペラ・プリマ"。テレマンやグラウン作品で高 い評価を得ています。
CPO
CPO-555513(1CD)
NX-B02
ザムエル・シャイト(1587-1654):Liebliche Krafft-Blumlein
Liebliche Krafft-Blumlein(1635)
aus des Heyligen Geistes Lustgarten abgebrochen
通奏低音を伴う12曲のデュエット
マリー・ルイーゼ・ヴェルネブルク(S)
ダニエル・ヨハンセン(T)
ザンクトガレン修道院コレギウム・インストゥルメンターレ(古楽器アンサンブル)
ミヒャエル・ヴェルジン(ポジティフオルガン&指揮)

録音:2021年10月4-7日
曲集として世界初録音
ハインリヒ・シュッツ、ヨハン・ヘルマン・シャインとともに「ドイツ・バロックの3大S」と呼ばれるザムエル・シャイト。3 人の中では作品がまとまって録音される機会が少ないので、この 「Liebliche Krafft-Blumlein(愛らしい 小さな花束の意)」 の登場は初期バロック音楽ファンにとって嬉しい企画です。聖書によるテキストを用いた 通奏低音付きの12の二重唱で構成された曲集は、これまでごく一部のみが録音されたものの全曲録音は なく、とても貴重なものとなります。シュッツの歌劇「ダフネ」(555494)やアンドレア・ガブリエリのモテット (555291)を歌ったソプラノ、マリー・ルイーゼ・ヴェルネブルクと、ルドルフ・ルッツが指揮するバッハのカン タータでおなじみのテノール、ダニエル・ヨハンセンのソロ、オルガニストとしても活躍するミヒャエル・ヴェルジンが 指揮するザンクトガレン修道院コレギウム・インストゥルメンターレの演奏でお聴きください。
CPO
CPO-555479(1CD)
NX-B10
ヨハン・シュターミッツ(1717-1757):ヴァイオリン協奏曲集
ヴァイオリン協奏曲第2番ハ長調
ヴァイオリン協奏曲第3番ヘ長調
ヴァイオリン協奏曲第4番ヘ長調
交響曲 変ホ長調
ダヴィド・カストロ=バルビ(Vn)
ハイルブロン・ヴュルテンベルク室内O
ケヴィン・グリフィス(指)

録音:2021年2月10-13日
ボヘミア出身の作曲家・ヴァイオリニスト、ヨハン・シュターミッツのヴァイオリン協奏曲集。 マンハイムの宮廷楽団の首席ヴァイオリニストから宮廷楽長に昇進し、このオーケストラを育て上げるとともに、 当時活躍していた作曲家たちをまとめ「マンハイム楽派の父」として尊敬を集めました。 彼は50作以上の交響曲を書くとともに、ソナタ形式の発展にも尽力。バロック期と古典派の時代の端境期 を埋めるハイドンの先人として活躍、また二人の息子、カールとアントンも優れた作曲家になりました。 そんなヨハン・シュターミッツですが、現代に伝わるヴァイオリン協奏曲はごくわずかです。そのほとんどは主題を はさみながら進行するリトルネッロ形式で書かれた第1楽章を持つヴィヴァルディの協奏曲の形式を模していま す。このアルバムに収録された3曲のなかで、最も技術的に難しいのは第2番の第1楽章で、シュターミッツが 得意とした旋律の幅広い跳躍と重音がたっぷりと織り込まれた華やかな作品です。アルバムには交響曲も1 曲収録されています。

ALPHA
ALPHA-944(1CD)

NYCX-10387(1CD)
国内盤仕様
税込定価
ダウランド:ラクリメ、あるいは7つの涙
ジョン・ダウランド:ラクリメ、あるいは7つの涙 (1604/全曲)
1. 昔のままの涙
2. デンマーク王のガリアード
3. 新たにした昔の涙
4. ジョン・ソーチ卿のガリアード
5. ため息の涙
6. ニコラス・グリフィス氏のガリアード
7. 悲しみの涙
8. ジャイルズ・ホビー氏のガリアード
9. 偽りの涙
10. エセックス伯のガリアード
11. 愛の涙
12. ディゴリー・パイパー船長のガリアード
13. 真実の涙
14. ヘンリー・ノエル氏のガリアード
15. ヘンリー・アンプトン卿の葬送
16. バクトン氏のガリアード
17. ジョン・ラングトン氏のパヴァン
18.2つのトレブル声部を伴うトーマス・コリアー氏のガリアード
19. ジョージ・ホワイトヘッド氏のアルメイン
20. ニコルス夫人のアルメイン
21. いつも悲しむダウランド
ミュジカル・ユモール(ヴィオール合奏)
 ジュリアン・レオナール
 ニコラス・ミルン
 ミリアム・リニョル
 リュシル・ブーランジェ
 ジョシュ・チータム
 トーマス・ダンフォード(Lute)

録音:2018年10月15-18日 コンダ=シュル=トリンクー教会、フランス
※ 国内仕様盤 解説日本語訳…佐々木勉
ジュリアン・レオナールを中心に、フランスほかヨーロッパで活躍するヴィオール(=ヴァイオル、ヴィオラ・ダ・ガンバ)奏者たちとリュートのトーマス・ダ ンフォードによるアンサンブル、ミュジカル・ユモールが奏でるダウランド。1604年に出版された『ラクリメ、あるいは7つの涙』全21曲を収録して います。トレブル、テナー、ベースそれぞれ2種類の楽器を使用。通常続けて演奏される7つの「涙」を、間に動きのあるガリアードを挟んで分 ける曲順とすることで各曲の個性と美しさが際立ち、たいへん新鮮に響きます。名手たちそれぞれが奏でる声部の綾もたいへん魅力的。

Opus Arte
OA-1349BD(3DVD)
NX-E09

OABD-7300BD(3Bluray)
NX-F10
モンテヴェルディ:三部作
(1)歌劇「オルフェオ」
(2)歌劇「ウリッセの帰還」
(3)歌劇「ポッペアの戴冠」
(1)オルフェオ … クリスティアン・アダム(T)、 音楽/エウリディーチェ … ハナ・ブラシコヴァ(S)、 使者 … リュシール・リシャルド(C.A)、 プロセルピーナ … フランチェスカ・ボンコンパーニ(S)、 カロンテ/プルトーネ … ジャンルカ・ブラット(Bs)、 希望 … カンミン・ジャスティン・キム(C.T)、 アポロ … フリオ・ザナージ(Br)他
(2)ウリッセ … フリオ・ザナージ(Br)、 ペネーロペ … リュシール・リシャルド(C.A)、 テレーマコ … クリスティアン・アダム(T)、 ミネルヴァ/フォルトゥーナ(幸運) … ハナ・ブラシコヴァ(S)、 時/ネットゥーノ/アンティノー… ジャンルカ・ブラット(Bs)、 ピサンドロ … ミハウ・チェルニアフスキ(C.T)、 アンフィーノモ … ガレス・トレシダー(T)、 エウリーマコ … ザカリー・ワイルダー(T)他
(3)ポッペーア/フォルトゥーナ(幸運) … ハナ・ブラシコヴァ(S)、 ネローネ … カンミン・ジャスティン・キム(C.T)、 オッターヴィア … マリアンナ・ピッツォラート(S)、 セネカ … ジャンルカ・ブラット(Bs)、 オットーネ … カルロ・ヴィストーリ(C.T)、 ドゥルジッラ/美徳の女神/知恵の女神 … アンナ・デニス(S)、 アルナルタ/美の女神 … リュシール・リシャルド(C.A)、 アモーレ(愛)/小姓 … シルヴィア・フリガート(S)他、
モンテヴェルディcho&イングリッシュ・バロック・ソロイスツ、
ジョン・エリオット・ガーディナー(指)、
演出:ジョン・エリオット・ガーディナー&エルサ・ルーク

収録:フェニーチェ歌劇場、ヴェネツィア(イタリア)
2017年6月19日…オルフェオ
2017年6月20日…ウリッセの帰還
2017年6月25日…ポッペアの戴冠
収録時間:506分
音声:イタリア語
PCMステレオ2.0/Dolby Digital5.1(DVD)
PCMステレオ2.0/DTS-HD Master Audio5.1(Blu-ray)
字幕:日本語・イタリア語・英語・フランス語・ドイツ語・韓国語
画角:16/9 NTSC All Region
DVD…片面二層ディスク×3
Blu-ray … 片面二層ディスク×3 1080i High Definition
2017年、モンテヴェルディ生誕450年周年にあたり、ガーディナーは「Monteverdi450」と銘打った一大プロジェクトを立ち上げ、2017年4月から10月にかけて世界16都市を巡る演奏ツアーを行いました。その中でもブリストル、ヴェネツィア、ザルツブルク、エジンバラ、ルツェルン、ベルリン、パリ、シカゴ、ニューヨークの9都市ではモンテヴェルディの歌劇3作のツィクルスを上演するという快挙を成し遂げました。この演奏ツアーを実現したガーディナーは、今でこそバッハやベートーヴェンの演奏で広く知られていますが、モンテヴェルディこそが彼の原点となる作曲家で、イングリッシュ・バロック・ソロイスツもその前身はモンテヴェルディOと名付けられています。
このBOXは、そのツアーの一環としてモンテヴェルディゆかりの地ヴェネツィアのフェニーチェ歌劇場で上演された2回目のツィクルスから収録された「オルフェオ」、「ウリッセの帰還」、「ポッペアの戴冠」の3作を合わせたもの。
愛妻エウリディーチェの死を嘆き、黄泉の国へと旅立つ主人公を描いた「オルフェオ」では、ヘンデルやハイドンの作品を中心にバロック歌手として注目を集めるクリスティアン・アダム、BCJへの客演で日本でもおなじみのハナ・ブラシコヴァの二人を筆頭に物語が展開します。
神々の思惑に翻弄されながら異国をさまよい妻ペネローペの待つ故郷へ向かう主人公の物語「ウリッセ」では前作「オルフェオ」でアポロを演じたフリオ・ザナージが題名役を歌い、使者役で存在感を発揮したリュシール・リシャルドがペネーロペを、またエウリディーチェを歌ったハナ・ブラシコヴァがミネルヴァ役を担当。ここでも圧倒的な存在感を示しています。
また、神話や聖書に拠らず、歴史から題材を得た史上初の歌劇と言われる「ポッペアの戴冠」は、モンテヴェルディ晩年の名作。現存する2種類の手稿本
には歌と低音部しか書かれておらず、演奏者の自由度が高い作品として知られています。前2作で重要な役回りを担当するハナ・ブラシコヴァがポッペアを歌い、強烈な存在感を放つ希代の悪女を堂々と歌い上げています。
3作品とも、実力派の歌手を揃えた声楽陣とイングリッシュ・バロック・ソロイスツによる素晴らしいステージがガーディナーの指揮のもとに繰り広げられます。

Audite
AU-97821(1CD)
ロカテッリ:6つの劇場風序曲と協奏曲集 Op.4より
劇場風序曲第1〜6番Op.4-1〜6
協奏曲 ニ長調 Op.4-7
協奏曲 ヘ長調 Op.4-8「コルノ・ダ・カッチャを模倣して」
チューリンゲン・バッハ・コレギウム
ゲルノット・ジュスムート(ソロ・ヴァイオリン 1&アンサンブル・リーダー)
ラファエル・ヘーヴィケ(ソロ・ヴァイオリン2)
フェルツィタス・ヴェームシュルテ&ユルゲン・カルヴァート(Vn)
アンドレアス・シュリク(Va)
ドグマル・シュペングラー=ジュスムート(Vc)
フリチョフ・マルティン・グラブナー(ヴィオロー ネ)
アクセル・ヴォルフ(バロック・リュート)
クリスティアン・シュテッツナー(Cemb)

録音:2022年7月4-6日/アルンシュタット、オーバーキルヒェ(跣足教会)
ピエトロ・ロカテッリは、「ヴァイオリン壊し」の異名を持つイタリア後期バロックのヴァイオリニスト、作曲家。ベルガモに生まれ、ローマで学んだ後、アムステルダ ムに定住し、活動しました。後のパガニーニにも大きな影響を与えたとされる超絶技巧を要する曲集『ヴァイオリンの技法』作品3で有名なロカテッリですが、作品 4「6つの劇場風序曲と協奏曲集」は劇場作品の序曲のような楽曲と合奏協奏曲で構成される作品集です。ソロ・コンチェルトではない弦楽合奏曲ですが、ソロ・ パートにはロカテッリならでは技巧的要素が満載。他の作曲家の序曲やシンフォニア、合奏協奏曲とは一線を画すロカテッリならではの曲集となっています。
演奏のチューリンゲン・バッハ・コレギウムは、シュターツカペレ・ベルリンやシュターツカペレ・ヴァイマールでコンサートマスターを務めたベテラン・ヴァイオリ ン奏者ゲルノット・ジュスムートが2018年に結成したピリオド楽器アンサンブル。名前通りバッハの作品を中心に、その周辺の技巧的作品を主なレパートリーとし ています。ここでは室内楽的編成でロカテッリの技巧的な合奏曲を切れ味鋭く演奏し、ジュスムートをはじめとする各演奏家の圧倒的技巧が楽しめる刺激的な演奏 を聴かせてくれます。古楽ファンにはおなじみの、リュートの名手アクセル・ヴォルフが参加している点にも注目です。 (Ki)

Paraty
PTY-2222129(1CD)
祝福されしこだま〜エリザベス一世とジェイムズ一世時代のリュート・ソング集
(1)フェッラボスコ二世:貧しいハーミットのように
(2)ロバート・ジョーンズ:横たわれ、悲しい心よ
(3)トマス・フォード:パヴァン、リチャード・ウェストン卿の喜び
(4)ロバート・ジョーンズ:もしこの肉体の中に
(5)マイケル・カヴェンディッシュ:この場所で彷徨う
(6)ダウランド:行け透き通った涙よ
(7)フェッラボスコ二世:2つのリラ、ヴィオールの為のアルメイン
(8)フォード:では私の愛をどう表したらよいか
(9)ダウランド:別れのファンタジー
(10)フェッラボスコ二世:2つのリラ、ヴィオールの為のコラント
(11)フィリップ・ロセター:ローラが微笑むとき
(12)ジョーンズ:あなたの愛を求めたら
(13)フォード:12年のうちに2度言った
(14)ダウランド:彼女は私の過ちを赦してくれるだろうか
(15)ジョーンズ:かつて私は残酷な心を救った
(16)フォード:パヴァン、メイン氏の選択
(17)キャンピオン:荒天に船出するな
(18)アンソニー・ホルボーン:楽園(全5部)
(19)ロビン・ファロ:功徳
ロビン・ファロ(指)
アンサンブル・プレ・ド・ヴォートル・オレイユ

録音:2021年9月/サン・シルヴァン教会(サン・ソーヴァン)
「あなたの耳のそばで」という意の団体名によるアンサンブル・プレ・ド・ヴォートル・オレイユ。2018年にエリザベス朝作品のCDをリリースしましたが、さ らなる探求で声楽にリュートのタブラチュアの付いた譜が数多く存在することを知り、当時出版された美しい作品を集め、イギリス・リュートソングの偉大な伝統を 味わせてくれます。ピッチは405Hz。 (Ki)

APARTE
AP-301(3CD)
ジョゼフ・マルシャン:ヴァイオリンと通奏低音の為のソナタを含む組曲
(1) 第1組曲イ調(全8曲)
(2) 第2組曲ロ調(全7曲)
(3) 第3組曲ハ調(全5曲)
(4) 第4組曲ニ調(全7曲)
(5) 第5組曲ホ調(全8曲)
(6) 第6組曲ヘ調(全9曲)
(7) 第2組曲ト調(全8曲)
{oh!}トリオ【マルティナ・パストゥシカ(Vn)、クシシュトフ・フィルルス(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、アンナ・フィルルス(チェンバロ、ポジティフ・オルガン)】

録音:2020年5月、2021年5月/聖ヤン教会(ミコウフ、ポーランド)
ジョゼフ・マルシャン(1673-17479は今日忘れられていますが、ルイ14世の音楽家のひとりで、シャペル・ロワイヤル、王の24のヴィオロンなどのバス・ヴィ オール奏者を務めました。教師としても名を馳せ、演奏家としては非常に特異なスタイルを持っていたとされます。
1707年作のヴァイオリンと通奏低音の為の7つの組曲はソナタを含み、恐るべき二重トリルを用いた最初のものとされます。イタリア的な様式ながら和声の 美しさやバス・パートの妙技など個性が光る18世紀初頭の宝石と申せましょう。
{oh!}トリオは1980年代生まれの3人のポーランドの演奏家が2012年に結成した古楽団体。知られざるマルシャンの作品を生き生きと蘇らせました

Da Vinci Classics
C-00675(1CD)
フランチェスコ・フェオ(1691-1761):カンタータ集 Vol.2
フランチェスコ・フェオ(1691-1761):ソプラノとアルトの為のカンタータ「最後の審判」
アルトのためカンタータ「地獄」
ソプラノの為のカンタータ「L’eternita」
ソプラノとアルトの為のカンタータ「Il fine dell’uomo」
ロレンツォ・トッツィ(ハープシコード&指揮)、
ローマバロッカ・アンサンブル、
ルチア・カサグランデ・ラフィ(S)、
エリザベッタ・パルッキ(A)

録音:2022年5月、スペッロ(イタリア)
ロンドンの大英図書館が所蔵するナポリの作曲家フランチェスコ・フェオ(1691-1761)の手書き作品集は、その質と量から17世紀におけるカンタータの道徳的・宗教的インスピレーションを知るうえで非常に貴重な資料と言えるでしょう。同時代の作曲家から称賛され「ヘンデルやバッハと比肩しうる」と言われたフェオの作品をイタリア古楽界の実力者たちの演奏でお楽しみいただけます。

Tactus
TC-520004(1CD)
ミケランジェロ・ガリレイ&ヴィンチェンツォ・ガリレイ:リュート作品集
ミケランジェロ・ガリレイ(1575-1631):コッレンテ、
 ヴォルタ、トッカータ、サルタレッロ 全15曲
ヴィンチェンツォ・ガリレイ(c.1520-1591):パッサメッツォ、
 ファンタジア・オッターヴァ、
 リチェルカーレ・テルツォ、
 ガイヤルド 他 全17曲
クリスティアン・ツィンマーマン(Lute)

録音:2021年10月
ドイツのクリスティアン・ツィンマーマンがルネサンス期の2種のコピー楽器によって奏でたミケランジェロ・ガリレイとヴィンチェンツォ・ガリレイによるリュート作品集。天文学者として有名なガリレオ・ガリレイの父ヴィンチェンツォと兄弟にあたるとミケランジェロの作品で、ヴィンチェンツォはハープシコードやヴィオラ・ダ・ガンバにも造詣が深く息子たちに音楽を教えました。ガリレオ・ガリレイの作品は残っていませんが、ミケランジェロはマクシミリアン1世に仕え宮廷のリュート奏者としても活躍しました。
Tactus
TC-710090(2CD)
ギモ・コレクションのマンドリンの為の写本
ジョバンニ・バッティスタ・ヘルバシオ(c.1725-c.1785):マンドリンと通奏低音の為のソナタ [ms. Gimo141]、マンドリンと通奏低音の為のソナタ [mss. Gimo142-143] 、マンドリンと通奏低音の為のソナタ [ms. Gimo144]、マンドリンと通奏低音の為のソナタ [mss. Gimo145-146]、マンドリン二重奏曲 [mss. Gimo147-148]、2本のマンドリンと通奏低音の為のシンフォニア [ms. Gimo149]、2つのマンドリンと通奏低音の為の三重奏曲 [ms. Gimo150]
エマヌエレ・バルベッラ(1718-1777):2本のマンドリンの為のソナタ [ms. Gimo12]、2本のマンドリンの為のン重奏曲 [ms. Gimo13]、2本のマンドリンの為のソナタ [ms. Gimo14]、2本のマンドリンの為のソナタ [mss. Gimo15-16-17]、2本のマンドリンと通奏低音の為のソナタ [mss. Gimo18-19]
ジョアッキーノ・コッキ(1715?-1804?):2つのマンドリンと通奏低音の為のシンフォニア
不詳:2つのマンドリンと通奏低音の為の三重奏曲
アンサンブル・ガランテリー・ア・プレトッリのソリストたち

録音:2017年10月-2019年5月
スウェーデンの小さな町ギモ(Gimo)の名にちなんで名付けられたコレクションからマンドリンの作品を収録しました。このコレクションは、1762年頃にジェーン・ルフェーブルによって集められたイタリアの作品集です。
Tactus
TC-661604(1CD)
トマソ・ペゴロッティ:和声の楽しみ オペラ・クヴィンタ

録音:2021年6月
公証人と音楽家を兼業していたトマソ・ペゴロッティ(1666-1749)による「和声の楽しみ」。父親から法律と音楽を学んだトマソ・ペゴロッティは両方の世界で活躍し、輝かしい経歴を持っていました。この作品は12のソナタによって構成されており、作曲者であるペゴロッティがヴァイオリンに関して技術的にもかなりの腕前を持っていたことが窺える作品となっています。

PAN CLASSICS
PC-10446(1CD)
マウリツィオ・カッツァーティ(1616-1678):モテットとソナタ集
Annuntio vobis. Per un SantO
ソナタ第3番「La Bulgarina」
Dulcis amor. Del Santissimo SacramentO
ソナタ第4番「La Calcagnina」
Stillae sparse per me.
La Calva. 独奏ヴァイオリンまたはヴァイオリンと通奏低音の為の
Regina coeli
ソナタ第12番「La Strozza」
Factum est praelium magnum
La Pezzola. 独奏ヴァイオリンまたはヴァイオリンと通奏低音の為の
Mortali, che fate?(Aria Morale)
ソナタ第6番「La Giralda」
Eja crudeles. Per un Martire, o per il SantissimO
マウロ・ボルジョーニ(Br)
セイチェント・ストラヴァガンテ
 ダヴィッド・ブルッティ(コルネット)
 ニコラ・ラモン(オルガン、チェンバロ、レガール)
 パオロ・ペッローネ(Vn;ゲスト参加)

録音:2021年4月15-18日/イタリア
マウリツィオ・カッツァーティ(1616-1678)は17世紀イタリアの作曲家の中では幾分マイナーな存在ですが、66巻もの印刷譜を出版し、あらゆるジャンル の楽曲を2000曲近く作曲したというかなりの多作家です。北イタリアのさまざまな宮廷や施設で働き、ボローニャのサン・ペトローニオ大聖堂で宮廷楽長を務め、 晩年はマントヴァのゴンザーガ公爵のもとで活躍しました。彼の音楽的功績は、偉大な革新者モンテヴェルディの一世代後に生まれ、そのスタイルを取り入れつつ 発展させたことと言えるでしょう。ゆえにモンテヴェルディの陰に隠れがちな存在ではありますが、イタリアの優れた歌手、ボルジョーニが彼の作品に特化したアル バムを発表したことで、その魅力を再発見できるようになりました。協奏的な処理が見られる独唱モテットを中心に、器楽曲もからめて構成した内容です。

arcantus
ARC-22032(1CD)
テレマン:2つの序曲と協奏曲
(1)序曲(組曲)ハ長調「水の音楽〜ハンブルクの潮の満干」TWV55:C3
(2)ヴィオラ・ダ・ガンバ、リコーダー、弦楽と通奏低音の為の協奏曲 イ短調TWV52:a1
(3)序曲(組曲)変ロ長調「諸国の人々」TWV55:B5
(1)-(3)ネストル・ファビアン・コルテス・ガルソン(指)、ブレーメン・バロックオーケストラ
(2)リナ・マンリケ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、アンニカ・フォーグルーブ(リコーダー)

録音:2021年9月/ザンクト・パウリ教会(ブレーメン)
2015年にバロック・チェロ奏者ネストル・ファビアン・コルテス・ガルソンによって結成された気鋭のピリオド楽器オーケストラ、ブレーメン・バロックオーケ ストラのarcantusレーベルにおける2枚目のアルバムは、テレマンの2つの序曲と協奏曲。「水の音楽〜ハンブルクの潮の満干」はハンブルク市海軍鎮守府創設 100周年記念に作曲された、いわばテレマン版「水上の音楽」で、海にまつわる神話を題材とし、舞曲で構成された祝祭にふさわしい大規模な組曲です。もう一 つの組曲「諸国の人々」は、ドイツ、スウェーデン、デンマークといった各国の過去と現在の人々を舞曲で描写した楽曲で、諸民族の音楽を研究していたテレマンな らではの工夫に満ちた組曲です。ヴィオラ・ダ・ガンバとリコーダーという珍しい独奏楽器を持つ協奏曲イ短調は、多種多様な楽器の組み合わせのために作曲さ れたテレマンの協奏曲の中でも珍しい組み合わせの楽曲で、頻発する付点のリズムが曲に躍動感を与えている隠れた名曲です。
バロック時代の演奏における装飾を研究するネストル・ファビアン・コルテス・ガルソン率いるブレーメン・バロックオーケストラの即興性あふれる切れ味鋭いア ンサンブルは、テレマンの創意あふれる管弦楽法が聴ける3つの作品の魅力を存分に引き出しています。ヴィオラ・ダ・ガンバとリコーダーのソリストも抜群のテ クニックで演奏に花を添えています。

Channel Classics
CCS-45323(1CD)
『シュポア・コレクション Vol.2』 〜18世紀製オリジナル楽器によるフルート作品集
(1)ヴィヴァルディ:フルート協奏曲 ト短調 「夜」 Op.10-2RV439
(2)ルクレール:フルート協奏曲 ハ長調 Op.7-3
(3) C.P.E.バッハ: フルート協奏曲 ニ短調 Wq.22/H426
(4)クヴァンツ(1697-1773):フルート協奏曲 第182番ニ長調 「ポツダムのために」 QV5:4
(5)ミシェル・ブラヴェ(1700-1768):フルート協奏曲 イ短調
(6)ロバート・ウッドコック(1690-1728):協奏曲 第9番ホ短調
フロリレジウム(古楽器使用【アシュリー・ソロモン(各種フラウト・トラヴェルソ、指揮)、ボヤン・チチッチ、アリス・エヴァンズ(Vn)、ジェーン・ロジャーズ(Va)、ジェニファー・モーシェス(Vc)、ロージー・ムーン(Cb)、フレッド・ヤコブス(テオルボ)、ジュリアン・パーキンズ(Cemb)】

(1)使用楽器:トリノのパランカ1750年頃製作、黒檀製に象牙製リングと銀製キー
(2)使用楽器:パリのビゼ1735年頃製作、ボックスウッド製に象牙製リングと交換品の銀製キー
(3)使用楽器:ポツダム(ベルリン近郊)のキルスト1775年頃製作、黒檀製に象牙製リングと銀製キー
(4)使用楽器:製作者不詳(おそらくザクセン地方、ドレスデン近郊マイセン)、1790年頃製作、陶器製
(5)使用楽器:パリのT.ロー(ロット)1740年頃製作、ボックスウッド製に象牙製リングと装飾入り銀製キー
(6)使用楽器:ロンドンのステインズビー2世1740年頃製作、象牙製に銀製リングと銀製キー
※使用楽器は全てキー1個のモデル

録音:2022年6月 ミュジークハーフェン、ザールダム(オランダ)
収録時間:82分
2020年3月にリリースされた先行盤(CCS43020)に続く、フランクフルトの歴史的楽器蒐集家ペーター・シュポアの名高い古楽器コレクショ ンを使った新録音。イタリア、フランス、ドイツの重要作曲家たちがそれぞれ残した重要な作品と同時期、ないし各作曲家と何らかの関係を 見出せる楽器を6本厳選し、それらを使い分けてその真相に迫ります。ソナタを集めていたVol.1に対し、今回は6人の作曲家による協奏曲 6曲をチョイス。18世紀の一般的な演奏習慣を踏まえ、名手ボヤン・チチッチをはじめとする弦楽器奏者たちは通奏低音以外1パート1人 ずつで、俊才アシュリー・ソロモンの細やかな息遣いや闊達な吹奏を通じて真価を発揮する各銘器の味わいを殺さない、親密にして緊密な アンサンブルは企画の趣旨によく合致していると言ってよいでしょう。有名なヴィヴァルディ「夜」の緩急あざやかな解釈もさることながら、クヴァン ツ作品での艶やかなロココ情緒も、リコーダー作品で有名なウッドコックの協奏曲に聴く歌心の豊かさも、大西洋をまたいで活躍を続ける経 験豊かなアシュリー・ソロモンとフロリレジウムなればこその瑞々しさ。CHANNEL CLASSICSの創設者で名録音技師ジャレッド・サックスによ る丁寧なエンジニアリングも彼らの妙技を克明に伝えてくれています。知る人ぞ知るリコーダー奏者ワルター・ファン・ハウヴェ(フランス・ブリュッヘ ンの高弟にして盟友)がプロデューサーとして名を連ねているのも見逃せません。

En Phases
ENP-010(1CD)
エルコーレ・バルナベイ(1622-1687):さまざまな組み合わせの3声〔と通奏低音〕のためのマドリガーレ風コンチェルト集(1669年ローマ刊)
1. Fulminate, begli occhi ? Fortezza amorosa 愛の力: よく見て驚きなさい、美しい両眼よ
2. Gia minaccia Amore 今や脅かされているのです、恋の神に
3. Altro frutto non colsi この苦しみの果実だけでいい
4. Preludio プレリュード(アンジェロ・ミケーレ・バルトロッティ〔1615頃-1681頃〕作曲)…テオルボ独奏
5. Non piu strali, ben mio もう矢を射ないでください、愛しい人よ
6. Mal’accorti miei lumi 惑わされた我が両眼よ
7. Toccata トッカータ(ジャコモ・シモネッリ〔生歿年不詳、1668-1684頃活躍〕作曲)…チェンバロ独奏
8. Perch’io vado lontano 遠く離れたところに来てしまったので
9. Non merita pieta 情けは何の役にも立たない
10. Ti mascio, anima mia (Partita dolente)悲しい別れ: 我が魂にも等しい君から離れるのだ
11. Ardo tacito amante 私は黙々と恋心を募らせ、灼けるようです
12. Ch’io non v’ami ? あなたを愛していないか、ですって?
13. Passacaglie パッサカリア(ベルナルド・パスクィーニ〔1637-1710〕作曲)…チェンバロ独奏
14. Spira dagl’occhi suoi (belta crudele)
残酷な美しさ:愛する人が両眼で射かけてくる
15. Tal’hora intento in un bel volto 時折、その美しい顔に見入ってしまい
16. Ardo e taccio il mio mal 私はこの身を焦がしながら、痛みについては黙して語らず
17. Bei labbri, io non vi chieggio 麗しき唇よ、あなたにお願いすることはない
18. Preludio プレリュード(バルトロッティ作曲) …バロックギター独奏
19-20. Oh se poteste mai/Hor se ’l gelo de gl’anni 離れ離れでいること:あなたにはわかるまい
ファエンツァ(声楽&古楽器アンサンブル)【ミリアム・アルブー(S)、マリーヌ・フリブール(Ms)、アンドレア・ガヴァニン(C.T)、フランシスコ・マニャリク(T)、ヤン・イェルン・ブレーデヴォルト(Bs)】

アンヌ=ソフィー・エスレ(ディスカント&バス・ガンバ、リローネ)
エリアズ・エルスラン(バス・ガンバ)
マルコ・オルヴァ(テオルボ、アーチリュート、リローネ、バロックギター)
カロリーヌ・リエビ(バロックハープ)
中川亜由美(チェンバロ、オルガン)

録音:2022年8月31日-9月4日
 トレドエ=ロケモー聖母教会、ブルターニュ、フランス
17世紀前半にはフレスコバルディやベネヴォリ、世紀後半にはコレッリやA.スカルラッティが活躍したことで知られる「永遠の都」ローマ。その両 時代の間にこの芸術都市で活躍したベルナベイは、ルネサンス末期に一世を風靡したマドリガーレという曲種を17世紀半ばになお探求した 注目すべき作曲家の一人。パスクィーニやストラデッラなど多くの重要な音楽家たちを擁護した貴族フラヴィオ・オルシーニのもとで活躍を続け た末、1669年に発表された曲集には、多声音楽全盛の時代に流行ったこの曲種を用いながら、独唱芸術に重きを置く17世紀ならではの コンチェルト様式が存分に生かされた興味深い音作りが見られます。少し上の世代のマッツォッキやM.ロッシらのマドリガーレより後期バロック のカンタータに近く、官能的な詩句に品のある艶やかさをまとわせる旋律美は何とも魅力的。演奏は異才歌手=撥弦奏者マルコ・オルヴァを 中心に結成されたファエンツァ。初期のALPHAレーベルにも録音がある才人集団で、Hortusからほぼ同時に発売される彼らのフランス・バ ロック曲集とともに注目したいリリースと言えるでしょう。

Chateau de Versailles Spectacles
CVS-076(2CD)
NX-D09
カヴァッリ:歌劇「エジスト」 ル・ポエム・アルモニーク(古楽器使用)
エジスト…マルク・モイヨン(T)
クローリ…ソフィー・ユンカー(S)
リディオ…ザッカリー・ワイルダー(T)
クリメーヌ…アンブロワジーヌ・ブレ(Ms)
夜の精、太陽神アポロ…ダヴィド・トリクー(T)
イッパルコ…ロマン・ボクレール(Br)
暁の女神アウローラ、恋の神アモーレ、時の精オーラ…ユジェニー・ルフェーヴル(S)
デーマ…ニコラス・スコット(T)
美の精ベレッツァ、フェードラ…マリールー・ジャカール(Ms)
エーロ、美の女神ヴェネレ…カロリーヌ・マング(Ms)
チネア、セメレ…ヴィクトワール・ビュネル(Ms)
ディドーネ、快楽の精ヴォルピア…フロリアーヌ・アスレール(Ms)
コンサートマスター…フィオーナ=エミリー・プパール(Vn)
オーケストラ編成…ヴァイオリン6、ヴィオラ・ダ・ガンバ、チェロ、コントラバス、リローネ/キタリーノ持替、アーチリュート、テオルボ/バロックギター/コラシオーネ持替、トリプルハープ、チェンバロ/オルガン/スピネット、リコーダー、リコーダー/ドゥルツィアン持替、木管コルネット
ヴァンサン・デュメストル(指)

録音:2021年3月17-22日、ヴェルサイユ宮殿王室歌劇場
20世紀末の結成以来、知られざる17世紀音楽の復権に大きな貢献を果たし続けてきたフランスの古楽アンサンブル、ル・ポエム・アルモ ニーク。彼らは太陽王ルイ14世の時代に古典的形式が整うより前の、17世紀初頭の知られざるフランス音楽の魅力を強く印象づけてきた 一方、その同時代に最初の大躍進を見せつつあったイタリア初期〜中期バロックの音楽にも驚くべき適性をみせ、ユニークな名演で世界中 を魅了し続けてきました。ここに全曲CD録音されたカヴァッリ「エジスト」は、彼らが主宰者デュメストルとともに10年来さまざまな歌手陣を招 いて披露してきた、いわば自家薬籠中のレパートリー!17世紀前半のヴェネツィアに君臨した巨匠モンテヴェルディの歿年にあたる1643 年、その門下で躍進を続け新たなイタリア・オペラの寵児となりつつあったカヴァッリが、その後も緊密な協力関係を続けることになるファウス ティーニの台本を得て披露した作品で、20世紀に現代楽器オーケストラで蘇演されていますが全曲録音は今回がおそらく初。恋心を錯綜 させる二人の男女を軸とした物語は、圧倒的な演技力を声に宿らせる異才モイヨン演じる主人公エジストの乱心をめぐって驚くべき展開を みせ、弦楽を中心に小規模ながら充実した編成のオーケストラが深い心理描写で歌手たちに応えるさまは圧巻。ドゥルツィアン(ファゴットの 前身)とリコーダーのジェレミー・パパセルジオー、3種の鍵盤を使いこなすエリザベート・ガイガーら経験豊かな名手の立ち回りも鮮やかです (弦には畑野達哉も参加)。ユンカー、ワイルダー、マングら欧州が注目する気鋭歌手たちの活躍も見事で、カヴァッリという作曲家の真価を 深く掘り下げた名演に仕上がっています。
Chateau de Versailles Spectacles
CVS-085(2CD)
NX-D09
デマレ:歌劇「シルセ」 シルセ…ヴェロニク・ジャンス(S)
ユリス…マティアス・ヴィダル(T)
エオリー…カロリーヌ・ミュテル(S)
ポリート、ファンタス…ロマン・ボクレール(Br)
エルフェノール…ニコラ・クルジャル(Bs)
愛の神アムール(アモーレ)…セシル・グランジェ(S)
ニンフ…マリー・ピコー(S)
商業神メルキュール(メルクリウス)…ピエール・デレ(T)
幸運な恋人、ギリシャ人、夢の精…マチュー・モンターニュ(オートコントル〔高音テノール〕)
水の神、神官の長、悪夢の神フェベトル(ポベトル)…アルノー・リシャール(バス=バリトン)
レ・ヌーヴォー・キャラクテール(声楽&古楽器オーケストラ)
コンサートマスター…クリストフ・ロベール(Vn)
セバスティアン・デラン(指)

録音:2022年1月10-12日、ヴェルサイユ宮殿王室歌劇場
太陽王ルイ14世に愛された王室音楽総監督リュリが1687年に不慮の事故で世を去った後、ラモーが1733年に「イッポリトとアリシ」で衝 撃のデビューを果たすまでの約半世紀、フランス・オペラの世界は決して不毛だったわけではありません。むしろその逆で、マラン・マレやカンプラ などが注目すべき傑作を折々に書く一方、他にも注目すべき作曲家が名を馳せていました。中でもデマレは、礼拝音楽で台頭した同世代 のド・ラランドと並ぶ実力で早くから注目され、1699年に恋人の父から糾弾されフランスを追われなければ、1歳違いのカンプラと並ぶ名声を 博したかもしれません。実際、国を追われた後もスペイン王室やロレーヌ公の宮廷で重用されていますが、オペラの全曲録音がなされるように なったのはようやく21世紀に入ってからのこと。まだフランスにいた1694年の「シルセ」はリュリ風の抒情悲劇の作法を完璧に使いこなした傑 作で、部分録音で垣間見えていた作品像の全貌に触れられる全曲録音は待望というほかありません。フランス宮廷流の大小ヴィオラ3パー トを含む5部編成の弦楽に撥弦・擦弦・鍵盤からなる通奏低音勢が多彩な音色を使い分け、各一対のトラヴェルソとバスーン(リコーダー持 替)、オーボエに打楽器も加わる総勢33人の器楽勢の傍ら、合唱も22人と充実した編成がフランス宮廷の豪奢な音楽生活を彷彿とさせ ます。ジャンス、ヴィダルといった有名歌手たちが深い情感表現に満ちたデマレの旋律を鮮やかに歌い上げ、俊才続々の器楽陣営を率いる 才人デランの指揮も実に精妙。今後デマレのさらなる再発見に期待が募る注目リリースです。

NAXOS/映像作品
2.110750(DVD)
NX-D03

NBD0161V(Bluray)
NX-D03
カヴァリエーリ:「魂と肉体の劇」 時 / 現世 / 地獄に落ちた魂…ゲオルク・ニグル(Br)
知性…シリル・オヴィティ(T)
魂…アネット・フリッチュ(S)
肉体…ダニエル・シュムッツハルト(Br)
忠告…フローリアン・ベッシュ(Bs-Br)
快楽…マルゲリータ・マリア・サラ(C.A)
快楽の仲間…ミハル・マルホルト(Br)
マトゥシュ・シムコ(T)
守護の天使…カルロ・ヴィストーリ(C.T)
現世の命 / 祝福された魂…ジュゼッピーナ・ブリデッリ(Ms)
ダンサーたち
アルノルト・シェーンベルクcho
イル・ジャルディーノ・アルモニコ(古楽器使用)
ジョヴァンニ・アントニーニ(指)
演出:ロバート・カーセン

収録:2021年9月27、29日 アン・デア・ウィーン劇場、ウィーン(オーストリア)
収録時間:101分
音声:イタリア語
PCMステレオ2.0(DVD/Blu-ray)
字幕:日本語・英語・ドイツ語・イタリア語・韓国語
画角:16/9 NTSC All Region
DVD…片面二層ディスク
Blu-ray…片面単層ディスク
1080i High Definition
音楽史上、ルネサンスからバロックへの様式の転換期にあたる1600年、イタリアのローマでエミーリオ・デ・カヴァリエーリによる宗教的音楽劇「魂と肉体の劇」 が上演されました。この作品は、モノディ様式による独唱、合唱と器楽曲(シンフォニアや舞踊を伴った舞曲など)で構成される総合芸術として、時を置か ずイタリア各地で開花する「オペラ」の先駆けとなった最古の音楽劇の一つとして知られています。 本上演では、アネット・フリッチュ、シリル・オヴィティ、ゲオルク・ニグルら注目の歌手たち、ニコラウス・アーノンクールとの数々の共演でその声価を高めたアルノ ルト・シェーンベルク合唱団、ジョヴァンニ・アントニーニ率いる古楽アンサンブルの雄、イル・ジャルディーノ・アルモニコらによる生気に満ちた演唱と共に、鬼才 ロバート・カーセンのコンテンポラリーダンス・チームを縦横に駆使した演出が、この「魂と肉体の劇」に現代の観衆に強くアピールする新風をもたらしています。

Opus Arte OA-1361D(DVD)
NX-C10


OABD-7308D(Bluray)
NX-D09
ジョン・ブロウ(1649-1708):歌劇「ヴィーナスとアドニス」

パーセル:歌劇「ディドーとエネアス」
「ヴィーナスとアドニス」
ヴィーナス…イーダ・レンスレーヴ(S)
アドニス…ベルント・オーラ・ヴォルングホーレン(Br)
キューピッド…ルパート・エンティクナップ(C.T)
ヴィーナスの侍女、第2のミューズ…クリスティーナ・ラルソン・マルムベリ(S)
女羊飼い、第1のミューズ…リサ・カルリオト(S)
女羊飼い、第1の猟師、第3のミューズ…マティルダ・シデーン・シルヴェル(A)
羊飼い、第2の猟師…ミカエル・ステンベーク(T)
羊飼い、第3の猟師…アラシュ・アザルバッド(Bs)

「ディドーとエネアス」
ディドー…イーダ・レンスレーヴ(S)
エネアス…ベルント・オーラ・ヴォルングホーレン(Br)
妖婆…ルパート・エンティクナップ(C.T)
ベリンダ…クリスティーナ・ラルソン・マルムベリ(S)
第2の侍女、第1の魔女、廷臣…リサ・カルリオト(S)
第2の魔女、精霊、廷臣…マティルダ・シデーン・シルヴェル(A)
水夫、廷臣…ミカエル・ステンベーク(T)
廷臣…アラシュ・アザルバッド(Bs)

コンフィデンセン音楽祭O(古楽器使用)
(コンサートマスター:ペーター・スピシュスキー)
:ウーロフ・ボマン(指)
演出:ウィリアム・レルトン

収録:2021年8月18日コンフィデンセン(ウルリクスダール宮殿劇場)ソルナ(スウェーデン)
収録時間:映像97分
音声:英語
PCMステレオ2.0/DTS5.1(DVD)
PCMステレオ2.0/DTS-HD Master Audio5.1(Blu-ray)
字幕:日本語・英語・ドイツ語・フランス語・韓国語
画角:16/9 NTSC All Region
DVD…片面二層ディスク
Blu-ray…片面単層ディスク 1080i High Definition
ストックホルム郊外ソレナに18世紀中葉に設立された現存するスウェーデン最古のオペラ劇場「コンフィデンセン(ウルリクスダール宮殿劇場)」。その劇場を 会場として2021年夏に開催された第3回コンフィデンセン音楽祭のメイン・プログラム ? ジョン・ブロウ / ヘンリー・パーセルによるオペラ「ヴィーナスとアドニ ス」/「ディドーとエネアス」 ? の上演映像をお届けします。 初期英国バロックオペラを代表する「ディドーとエネアス」は、パーセルの音楽の師のひとりジョン・ブロウによる、「ヴィーナスとアドニス」(完全なスコアが現存す る最古の英国オペラ)に触発されてパーセルが創作した作品と言われています。本上演では、この師弟の2つのオペラをスウェーデン出身のソプラノ、イーダ・ レンスレーヴとノルウェー出身のバリトン、ベルント・オーラ・ヴォルングホーレンが題名役として優雅な時代衣装を身にまとい、共にギリシャ神話に題材を採っ たオペラをパーセルが師ブロウから何を受け継ぎ、いかにそれを発展深化させたのかを見事に演じ分けています。スウェーデン出身、2019年からコンフィデン セン音楽祭の音楽監督を務める古楽演奏界の新鋭ウーロフ・ボマンのタクトのもと、名ヴァイオリニスト、ペーター・スピシュスキー率いるオーケストラが、こぢん まりとしたロココ・スタイルの劇場を古雅な響きで満たしています。 (Ki)

ALPHA
ALPHA-926(2CD)
NX-D09
マレ:歌劇「アリアーヌとバッキュス」 アリアーヌ(アリアドネ)…ユディト・ファン・ヴァンロイ(S)
栄光の女神、コルシーヌ…マリー・ペルボスト(S)
舞踏の女神テルプシコル(テレプシコーレ)、 夢の精…エレーヌ・カルパンティエ(S)
セーヌ川のニンフ、女神ジュノン(ユノー)…ヴェロニク・ジャンス(S)
酒の神バッキュス(バッコス)、夢の精…マティアス・ヴィダル(T)
ジェラルド、大神ジュピテール(ユピテル)…マチュー・レクロアール(Br)
アドラスト…ダヴィド・ヴィチャク(Br)
王、祭司長…トミスラフ・ラヴォワ(バス=バリトン)
牧神パン、水夫2、リカス、悪夢の神フォペトル(ポベトル)、ファンタス、アルクトン…フィリップ・エステーフ(Br)
恋の神、エリーズ、ナクソス島民…マリーヌ・ラフダル=フラン(S)
喜びの精、王の従者、水夫1、商業神メルキュール(メルクリウス)…ダヴィド・トリクー(T)

ヴェルサイユ・バロック音楽センターcho
ル・コンセール・スピリチュエル(声楽&古楽器アンサンブル)
 コンサートマスター…オリヴィエ・ブリアン(Vn)
 通奏低音…トゥルモー・ダーレン、マルジョレーヌ・カンボン(バス・ド・ヴィオロン)
  斎藤由香(バス・ド・ヴィオール〔ヴィオラ・ダ・ガンバ〕)
  エリザベート・ガイガー(クラヴサン〔チェンバロ〕)
  マリー・ラングレ、ニコラ・ワティンヌ(テオルボ)
エルヴェ・ニケ(指)

録音:2022年4月 ピュトー・リュリ音楽院オーディトリアム(パリ郊外)
ヴィオールの比類ない名手として名を馳せたフランスの作曲家マラン・マレは、王室楽団でオペラ指揮者としても活躍。1693年にはジャン= バティスト・リュリの後を継いで王室音楽総監督の座にあった息子ルイ・リュリとの共作で「アルシード(エルキュールの勝利)」を作曲、その後 「アリアーヌとバッキュス」(1696)、「アルシオーヌ」(1706)、「セメレ」(1709)と3編の抒情悲劇を独力で完成させ、オペラを書く手腕でも高 く評価されました。18世紀以前のフランス・オペラ蘇演に確かな実績を持つ鬼才エルヴェ・ニケによる今回の録音は、リュリ亡き後の歌劇作 曲家としてマレが本格的な歩みを始めた重要作でありながら全曲録音に恵まれてこなかった「アリアーヌとバッキュス」の全貌に触れられる待 望のプロジェクト! ミノタウロス退治の恋人テーセウスに去られ悲しむアリアーヌに迫る酒神バッキュスの物語で、同じパリを沸かせたルーセル 作品を130年以上先取りする名品をダイナミックに聴かせます。抜群の心理表現を見せるヴェロニク・ジャンス、21世紀のフランス歌劇界で 圧倒的な活躍をみせるマティアス・ヴィダルと活躍目覚ましいファン・ヴァンロイによる表題役の鮮やかな歌唱もさることながら、二人のテオルボ 奏者が加わる豪華な通奏低音勢をはじめ、1700年頃のパリ・オペラ座の編成を忠実に再現したオーケストラも存在感抜群!ALPHAレー ベルの真骨頂ともいうべきバロックオペラ録音です。
ALPHA
ALPHA-949(1CD)
『無骨なる美しさ』 〜テレマンとバロック期の民衆伝承音楽〜
作者不詳(フランソワ・ラザレヴィチ編):ポーランドの二つの伝承曲
作者不詳(ラザレヴィチ編):ウフロヴェツ 写本(1730)とポーランドの伝承曲による組曲
 [表題なし] 〜Hungaricus(ハンガリー風)〜Hajdukujymy ハイドゥクを踊ろう (ジヴィエツ地方〔ポーランド〕の伝承歌)〜Hungaricus
テレマン:さまざまな序曲(管弦楽組曲)よりモスクワの人々(序曲 変ロ長調 TWV55:B5より)
 イェニチェリたち(序曲 ニ長調 TWV55:D17より)
 トルコの道化師(序曲 変ロ長調 TWV55:B8より)
 ハナー風ロンド(序曲 ホ長調 TWV55:E2より)
作者不詳(ラザレヴィチ編):ミサの後、教会から出ると(モラヴィア地方〔チェコ〕の伝承歌)
テレマン:フルート協奏曲 ニ長調 TWV 51:D2
作者不詳(ラザレヴィチ編):沈むよ、お陽さまが(クルピェ地方の伝承歌)
テレマン&作者不詳(ラザレヴィチ編&ユリエ・モラル編):組曲 ロ短調
 Allegro(テレマン:トリオ・ソナタ ロ短調 TWV42:h2より〔ラザレヴィチ編〕)
 Hora din caval(ルーマニアの伝承曲/モラル編)
 Adagio(テレマン:フルート協奏曲 ニ長調「ポーランド風協奏曲」TWV51:D3より〔ラザレヴィチ編〕)
 Presto(テレマン:トリオ・ソナタ ロ短調 TWV42:h2より〔モラル編〕)
作者不詳(ラザレヴィチ編):(モラヴィア地方の伝承曲)
作者不詳:ウフロヴェツ写本による組曲(ラザレヴィチ編)
 [表題なし]〜Olacs〜[表題なし]〜[表題なし]〜[表題なし]
テレマン:二つのハナーツ(ハナー地方の舞曲)〜ロストック写本による
テレマン:ハナスキー(ハナー地方の舞曲)〜序曲(管弦楽組曲)ホ長調 TWV55:E1より
テレマン&作者不詳(ラザレヴィチ&モラル編): Vivement(ロストック写本より)〜Braul Oltenesc(ルーマニアの伝承曲)
作者不詳(ヨセフ・ジャーク編):陽気に行こう、娘さん(スロヴァキアの伝承歌)
テレマン:二つのポロニエ(ポーランドの舞曲)
作者不詳:ウフロヴェツ写本による組曲(ラザレヴィチ編)
 [表題なし]〜Hungaricus(ハンガリー風)〜Hungaricus〜[表題なし]〜Olas
レ・ミュジシャン・デュ・サン=ジュリアン(古楽器使用)【フランソワ・ラザレヴィチ(フラウト・トラヴェルソ〔ロッテンブルフ・モデル〕、 フラウト・トラヴェルソ〔デンナー・モデル〕、ヴェルヴィエ〔ベルギー〕のバグパイプ、ヴェルヴィエのミュゼット〔鞴式バグパイプ〕、フルラ〔セルビアの縦笛〕、フルイエル〔ルーマニアの縦笛〕)】

 ヨセフ・ジャーク、アマリリ・ビレ(Vn)
 ディアーヌ・シュメラ(Va)
 エレーヌ・リショー(Vc、歌)
 クロエ・リュカ(コントラバス、ヴィオローネ)
 ユリエ・モラル(ツィンバロム〔ダルシマー〕)
 エリック・ベロック(アーチリュート、シターン)
 ピエール・リゴプロス(ザルブ〔イランの脚付太鼓〕、
  バラバン〔アゼルバイジャンのダブルリード管楽器〕、
  ダヴル〔トルコの両面太鼓〕、サガット〔フィンガーシンバル〕)

録音:2022年12月3-6日、ヴィルファヴァール農園(フランス)
今や世界的な活躍をみせるフランスの個性派フラウト・トラヴェルソ(バロックフルート)奏者フランソワ・ラザレヴィチは、世界各地の横笛や各 種の縦笛、バグパイプなども使いこなす名手。バロックの古典的レパートリーだけでなく、時に民俗音楽プレイヤーも加わる主宰団体レ・ミュジ シャン・ド・サン=ジュリアンでは中世音楽からフランス17〜19世紀の俗謡、アイルランド伝統音楽など広範な演目に柔軟な音楽性を発 揮。今回のアルバムでは、生前は同世代のバッハよりも高い人気を誇ったテレマンを扱いますが、いかにもラザレヴィチらしい変幻自在の選曲 に驚かされます。20代の頃ポーランドのシロンスク(シュレジエン)地方の貴族に仕えていた頃、スラヴ系の民俗音楽の豊かな「無骨なる美し さ」に衝撃を受け、後年も「彼らの即興に接していれば、僅か数週間で一生分のメロディに出会える」と語ったほど大きな影響を受けたテレマ ンの音楽から、民俗音楽との関連を示す作品を厳選、伝統音楽のフィールドで活躍する奏者を交えつつ、ツィンバロムやバラバン、フルラと いった民俗楽器を使って野趣あふれる演奏を繰り広げます。原盤解説でも「18世紀音楽の再現より、テレマン作品に潜むエネルギーを引き 出したかった」と語りながら、作品の本質を見失わず確かな筋道を探り当ててゆくセンスはさすが新時代の本格古楽器奏者と言えるでしょ う。民衆音楽から大きな影響を受けていたバロック期の宮廷音楽の素顔に、意外な角度から迫った1枚。ALPHA初期から活躍する技師 アリーヌ・ブロンディオの丁寧なエンジニアリングも魅力の一端を担っています。

SOMM
SOMMCD-0661(1CD)
NX-B04
音楽の花束
フレスコバルディ:音楽の花束(1635)よりオルガン・ミサ
ミサ曲第2番:In Festis duplicibus I (Cunctipotens Genitor Deus)
ミサ曲第1番:In Dominicis infra annum (Orbis factor)
ミサ曲第3番:In Festis Beatae Mariae Virginis I (Cum jubilo)
リチャード・レスター(Org)
グリーンウッド・コンソート(声楽アンサンブル)【イーデン・ビショップ(Br)、リアム・フリート(Br)、ジョシュア・トーマス=ノース(Br)、マーク・ベネット(バリトン&指揮)

録音:2022年7月29-30日
イギリスのチェンバロ・オルガン奏者で音楽学者リチャード・レスターは、スカルラッティのソナタ全集をはじめ80枚を超える録音があります。最近はフレスコバル ディの研究に取り組み、その独創性に焦点を当てた本も出版しました。このCDは彼がフレスコバルディの生誕440年と没後380年を記念してリリースするも の。選ばれた作品は「音楽の花束」です。 この作品は第1番「主日のミサ」、第2番「使徒のミサ」、第3番「聖母のミサ」からなり、それぞれの日にちなんだグレゴリオ聖歌の旋律に基づくミサ(キリエ) の部分と、前奏としてのトッカータ、後奏としてのトッカータ、カンツォーナ、カプリッチョ、リチェルカーレ等の鍵盤楽曲で構成されています。トッカータ等の部分に は即興性と名技が込められており、ローマのサン・ピエトロ大聖堂のオルガニストを務めていたフレスコバルディの腕前を彷彿させます。この録音ではキリエの部 分にバリトン歌手4人が参加しています。

Temperaments
TEM-316072(1CD)
ジャン=アダン・ギラン(1680頃-1739):『マニフィカトのための4つの組曲』(1706年パリ刊)
ジャン=アダン・ギラン(1680頃-1739):『マニフィカトのための4つの組曲』(全曲)(1706年パリ刊)
第1旋法によるマニフィカトのための組曲
第2旋法によるマニフィカトのための組曲
第3旋法によるマニフィカトのための組曲
第4旋法によるマニフィカトのための組曲
アンドレ・イゾワール(Org)
使用楽器:ジャン=ミシェル・ボワザール1714年建造
復元:エルフェール=エルマン製作所(1983)/ゲオルク・ヴェステンフェルダー(1990〜97)
レ・ドモワゼル・ド・サン・シール(女声合唱〔マニフィカト朗唱〕)
エマニュエル・マンドラン(指)

録音:1997年9月サン=ミシェル=アン=ティエラシュ修道院(フランス北東部ピカルディ地方)
※TEM316012の再発売
ドイツともイタリアとも違う独自の歴史をもつフランスのオルガン音楽。その演奏伝統は同国の音楽語法の発展に深く関与しており、クープラン 一族をはじめクラヴサン(Cemb)の音楽で知られる作曲家たちも皆オルガン奏者として研鑽を積んでいました。フランス・バロックのオルガン 芸術はまた、ドイツ語圏におけるオルガンの巨匠バッハも関心を寄せるなど国際的にも影響力を持ったほか、サン=サーンスやヴィドールら19 世紀フランスの作曲家たちが古楽を再発見してゆく上でも早くから楽譜校訂がなされ、交響楽派以降のオルガン音楽家たちもその至芸から 多くを学んでいます。 ここでとりあげられているギランはバッハと同世代で、1702年にドイツ語圏からフランスに来て、おそらくは上の世代の名匠マルシャンに師事し たと考えられているオルガン奏者にして作曲家。1706年に出版されたオルガン曲集はパリから遠く離れたベルリンで発見され、初版から200 年後の1906年にはギルマンの監修を経て再出版されています。20世紀末に18世紀当時の状態に修復された歴史的楽器を用いてその 音楽世界を読み解くのは、ヴィドールやデュプレに遡るフランス・オルガン演奏の伝統を引く名匠アンドレ・イゾワール(1935-2016)。礼拝で の使用を前提としていた作品本来の形にあわせ祈りの詩句の歌唱を織り交ぜながら、曲や声部ごとパイプを使い分けて音色の違いを生か し、独特のリズムで演奏がなされるフランス・バロック流のオルガン音楽の魅力を十全に伝えてくれる名演です。楽器修復直後にリリースされ 高く評価されたこの録音のカタログ復活は大いに歓迎すべきことと言ってよいでしょう。

CLAVES
50-3074(2CD)
フレスコバルディの手稿譜〜フレスコバルディ:鍵盤作品集
CD1(オルガンによる演奏)
オルガンのためのトッカータ(No.4)
カンツォーナ(No.11)
リチェルカーレ(No.12)
カッコウによるカプリッチョ(No.6)
トッカータ(No.48)
聖母マリアの祝日のために:アヴェ・マリス・ステラ(No.49)
聖体奉挙のためのトッカータ(No.99)
トッカータ(No.96)
リチェルカール・カンツォーナ(No.104)
カンツォーナ(No.105)
フレスコバルディのガリアルダ-ガリアルダ(No.85-86)
トッカータ第3旋法(No.143)
カンツォーナ・フレスコバルディ(No.147-148)
カンツォーナ第14番(ラ・サッバティーナ)(No.182)
カンツォーナ第15番(No.183)
トッカータ・ピヴァ第4番(No.190)
フレスコバルディの聖体奉挙(No.210)
ジローラモ・フレスコバルディのカンツォン(No.193)
CD2(チェンバロによる演奏)
トッカータ第6番(F.Baldi)(No.129)
コレンテ第4番(No.138)
トッカータ第3番(No.16)
バレット(No.60)
チャッコーナ
カンツォーナ第5番(No.22)
ルッジェーリ(No.107)
ラ・モニカ(No.108)
トッカータ-カンツォーナ(No.31)
ジローラモ・フレスコバルディ氏のトッカータ(No.87)
GerFB氏のコレンテ(No.88)
G.フレスコバルディ氏のファンタジー(No.208)
コレンテ(No.114)‐アッラマナ(No.115)
バレット(No.117)‐コレンテ(No.122)
トッカータ・ア・モ・デッラ・ロマネスカ(No.125)
ロマネスカ(No.206)
トッカータ(No.9)
フィオレンツァのアリアによるパルティータ(No.1)
アルペッジャータ(No.69)
パッサカリア(No.65)
※No.はエティエンヌ・ダルベレとコンスタンツェ・フレイによるエディション(2018年ミラノ、ゼルボーニ音楽出版)に基づく。
アドリアン・ピエス(オルガン&チェンバロ)
録音:(CD1)2021年7月/サン・フランソワ教会(ローザンヌ)、(CD2)2021年8月/聖ミヒャエル教会(ハイティンゲン)
オルガン:バルトロメオ・フォルメンテッリ製作(1990年製作、イタリアン・スタイル、ローザンヌ、サン・フランソワ教会)
チェンバロ:マティアス・グリーヴィッシュ製(2014年製作、17世紀イタリアン・モデル、バンメンタール)
スイスの若手鍵盤奏者、アドリアン・ピエスによるフレスコバルディの鍵盤作品集。音楽愛好家だったフラヴィオ・チーギ枢機卿(1631-1693)が収集した手 稿譜(現在はヴァチカン図書館内のFondo Chigiに所蔵されている)を中心とするいくつかの手稿譜から、トッカータ、カンツォーナ、リチェルカーレなど多様な フレスコバルディの作品が収録されています。カッコウの鳴き声を基にした愛らしい「カッコウによるカプリッチョ」、ミサの際に奏でられる荘厳な「聖体奉挙のた めのトッカータ」、スタイリッシュで颯爽とした「パッサカリア」など、鍵盤音楽の歴史に名を刻む天才フレスコバルディの様々な作品をオルガンとチェンバロで楽し める2枚組です。
演奏のアドリアン・ピエスは、バーゼル・スコラ・カントールムで、アンドレア・マルコン、ロレンツォ・ギエルミらに学んだスイスの鍵盤奏者。現在はローザンヌを 中心に演奏家、研究者として活躍し、シャヴァンヌ・プレ・ルナン教会のオルガニストを務めています。ここでは、インスピレーションあふれる即興と確かなテクニッ クでフレスコバルディの楽曲の魅力を伝えてくれます。すばらしいフレスコバルディ・アルバムの登場です! (Ki)

BIS
BISSA-2645(1SACD)
『愛の痛み』〜カウンターテナーによるオペラ・アリア集
(1)リッカルド・ブロスキ(c.1698-1756):アルバーチェのアリア「私は波間に揺れる船のようだ」(歌劇「アルタセルセ」第3幕第1場)
エジーディオ・ロムアルド・ドゥーニ(1708-1775):(2)ティマンテのアリア「哀れな子」(歌劇「トラキアの王デモフォンテ」 第3幕第5場)
(3)ティマンテのアリア「嵐が弱まることを」(歌劇「トラキアの王デモフォンテ」 第1幕第4場)
ヘンデル:(4)歌劇「ジュリオ・チェザーレ」HWV 17序曲
(5)アルミレーナのアリア「私を泣かせてください」(歌劇「リナルド」 HWV7第2幕第4場)
(6)セルセのアリア「オンブラ・マイ・フ)」(歌劇「セルセ」 HWV40(第1幕第1場)
(7)セルセのアリア「恐るべき冥府の復讐の女神よ」(歌劇「セルセ」 HWV40第3幕第9場)
ヴィヴァルディ:(8)ファルナーチェのアリア「凍りついたようにあらゆる血管を」(歌劇「ファルナーチェ」 RV711第2幕第6場)
(9)オルランドのアリア「真っ暗な深淵の世界に」(歌劇「怒れるオルランド」 RV728第1幕第5場)
(10)ルッジェーロのアリア「あなただけに、僕の愛しい人)」(歌劇「怒れるオルランド」 RV728第1幕第12場)
(11)シンフォニア(歌劇「狂えるファルナーチェ」 RV728第1幕)
(12)ロターリオのアリア「私の胸の中に」(歌劇「ティエテベルガ」 RV737第2幕第13場)
ニコロ・バルドゥッチ(カウンターテナー)
バロック・アカデミー・ヨーテボリ・シンフォニー
ダン・ラウリン(リコーダー、指揮)、ソル・ドヒョ(テオルボ、バロックギター)、アンナ・パラディソ(Cemb)

録音:2022年3月7-11日/ヨンセレード教会、パーティレ(スウェーデン)
ナポリのカンタータとアリアを集めた『カストラポリス』(BIS SA-2585)のソリストに起用されたニコロ・バルドゥッチ(1999-)の アルバム第2作。カストラート歌手ファリネッリの兄、リッカルド・ブロスキの歌劇「アルタセルセ」のアリア、エジーディオ・ロムアルド・ドゥーニのロンドンで上演 された歌劇「トラキアの王デモフォンテ」からティマンテの2曲のアリア、ヘンデルの歌劇「セルセ」の「オンブラ・マイ・フ」の名で親しまれているアリア、失われ た歌劇「ティエテベルガ」 のためにヴィヴァルディが書いたロターリオのアリア「私の胸の中に」などに序曲とシンフォニアを加えたプログラムを歌っています。「楽 しそうにのびのびと歌う」(「Opera Wire」)。前作を企画したダン・ラウリンの指揮。「バロック・アカデミー・ヨーテボリ・シンフォニー」は、2008年ごろに設 立された約20人の古楽器アンサンブルです。 (Ki)

EVIDENCE
EVCD-094(1CD)
ここで止まって〜小アジアのスケッチ
(1) ヴェラール(カヴァフィス詩):ここで止まって
(2) ヴェラール(カヴァフィス詩):1903年の日々
(3) キプロス伝承歌:聖母の嘆き
(4) ヒカスカル旋法による即興
(5) スミルナ伝承曲:鎖より重い
(6) キュルディ旋法による即興
(7) セファルディ民謡:私は許嫁を送った
(8) ペロポネソス伝承曲:今、鳥たちが
(9) ヴェラール(カヴァフィス詩):1903年12月
(10) ニクリズ旋法による即興
(11) セファルディ民謡::あなたの扉を開けて
(12) ニクリズ・シルト
オウレリア・ラムプロポウロウ(サントゥール)、
ドミニク・ヴェラール(歌、ウード)

録音:2022年5月12-16日 サン=フロラン教会
ギリシャ近代を代表する詩人コンスタンディノス・カヴァフィス(1863-1933)が提唱した小アジアに放浪の終止符を求めた集団を歌った詩にドミニク・ヴェ ラールが付曲したものと、各都市に伝わる歌を集めた東方的味わいの濃いアルバム。ギリシャやトルコの旋法に基づくサントゥール(ツィンバロン風楽器)の即興が はさまれています。アンサンブル・ジル・ヴァンショワのリーダーでもあるドミニク・ヴェラールの多才ぶりに感心させられます。

Audax Records
ADX-11206(1CD)
A.スカルラッティ:室内カンタータ集
アレグロ ト短調/Al fin m’ucciderete H 21(1705)*/Sarei troppo felice H 631(1702)*/トッカータ イ短調/Sento nel core certo dolore H 655*/メヌエット ホ短調/La Lezione di Musica H 547*/トッカータ第3番 ト短調/La dove a Mergellina H 356 (1725)
ルシール・リシャルドー(Ms)、
フィリップ・グリスヴァール(ハープシコード)

録音:2022年3月13日-16日、フランス
*=世界初録音
南チロルから世界へと羽ばたいた"21世紀世代"のバロック・ヴァイオリニスト、ヨハネス・プラムゾーラーの自主レーベル、Audax Records。アンサンブル・ディドロの中核メンバーであり、ヨハネス・プラムゾーラーの伴奏としても多くの演奏&レコーディングで共演しているフランスのハープシコード奏者、フィリップ・グリスヴァールの新録音は、シチリア出身でナポリ楽派の礎を築いた偉大な作曲家、アレッサンドロ・スカルラッティ(ドメニコ・スカルラッティの父)の鍵盤作品と、殆どが世界初録音となる、これまであまり知られていなかったA.スカルラッティの室内カンタータ(カンタータ・ダ・カメラ)を特集しています。優美で悲哀に満ちたレチタティーヴォとアリアを歌うのは、ジョン・エリオット・ガーディナーを始めとする多くのオペラ録音等に参加してきたフランスのメゾ、ルシール・リシャルドー。詩人や作曲家の才能を発揮するための好機として発展した、限りなく洗練され苦悩に満ちた芸術を、一流のパフォーマンスで発掘してゆきます。

Christophorus
CHR-77470(1CD)
音楽は最高の慰め〜トランペットとオルガンのためのバロック作品集
アルビノーニ:協奏曲変ホ長調(原曲:ヴァイオリン)
バッハ:シューブラー・コラール集より 第1曲 「目覚めよと、われらに呼ばわる物見らの声」 BWV.645
テレマン:忠実な音楽の詩より ソナタ ト短調 TWV.41:a3(原曲:オーボエ)
バッハ
:カンタータ第137番 「主よ頌めまつれ、力強き栄光の王をば」 BWV.137
タルティーニ:協奏曲ニ長調(原曲:ヴァイオリン)
バッハ:カンタータ第147番より コラール 「主よ人の望みの喜びよ」
トレッリ:協奏曲ニ長調
ヴィヴァルディ:協奏曲へ長調 RV.20(原曲:ヴァイオリン)
リュリ:叙情悲劇 「テセウス」 より 行進曲
ヨアヒム・K.シェーファー(Tp)、
マティアス・アイゼンベルク(オルガン/クリスティアン・フリードリヒ・ゲッテル1867年製)

録音:2022年10月10日-12日、聖ニコライ教会(グリューンリヒテンベルク、ドイツ)
「トランペット・アンサンブル・ヨアヒム・シェーファー」など、数々のアンサンブルを創設しリーダーを務めてきたドレスデンのトランペットの名手、ヨアヒム・(カール・)シェーファー。ルターの言葉である「音楽は最高の慰め」をタイトルに表した新たなアルバムは、テレマン、アルビノーニ、ヴィヴァルディといったバロック期の協奏曲と、バッハのコラール作品をカップリング。
レコーディングが行われたグリューンリヒテンベルクの教会に佇む、1867年にクリスティアン・フリードリヒ・ゲッテルが製作したロマンティック・オルガンは、美しさだけでなく、コンサートピッチ a=432ヘルツのロマン派調律が施された歴史的価値のある楽器でもあります。シェーファーは、19世紀に一般的であったこの低い調律を支持しており、彼の考えでは、「この調律は自然界に見られる自然な振動状態に近く、楽器がとても良いサウンドで響き、聴衆の耳に心地良い感覚を与えることができます。」と語ります。
本アルバムでは、シェーファーの奏でる輝かしいトランペットの音色と、歴史的オルガンが織り成す美しいハーモニーが、当時の聴衆が耳にしたであろう素晴らしき音楽の世界へと誘います。

Signum Classics
SIGCD-740(1CD)
スカルラッティ:ディキシット・ドミヌス&ミサ曲
フランチェスコ・スカルラッティ:16声と器楽のためのディキシット・ドミヌス(Tono 8)
16声と器楽のためのミサ曲(Toni 2)
アルモニコ・コンソート、
クリストファー・モンクス(指)

録音:2022年2月1日-2日、オール・ハロウズ教会(イギリス)
タリスの「40声のモテット」とストリッジョの「60声のミサ曲」を組み合わせたアルバム、「スーパーサイズ・ポリフォニー」(SIGCD--- 560)で大きな注目を集めたアンサンブル、アルモニコ・コンソート。Signum Classicsとの10枚目となるクリストファー・モンクス指揮のフランチェスコ・スカルラッティの声楽曲集は、この録音のためにF.スカルラッティの自筆譜のみから作成された特別な楽譜を使用しています。
2001年にクリストファー・モンクスを中心にルネサンスからバロックまでの音楽に情熱を持った学生たちによって生まれたアルモニコ・コンソートは、聴衆からその魅力的で想像力の富んだ解釈によって高い評価を得てきました。特に指揮者であるクリストファー・モンクスは後期ルネサンスからバロックの音楽に非常に精通しており、この演奏でも手腕を発揮しています。

Etcetra
KTC-1787(1CD)
コレッリ&ヘンデル:ローマでの出逢い〜オーボエ、弦楽とクラヴィオルガヌム
ヘンデル:オーボエ協奏曲 ト短調 HWV287
コレッリ:トリオ・ソナタ へ短調 Op.3-9
ヘンデル
:ハープシコード組曲 ニ短調 HWV428より前奏曲、アレグロ、アルマンド、クーラント
サンティアゴ・デ・ムルシア(1673-1739):イタリアのフォリア Saldivar Codex n4よりデスパシオ(抜粋)
コレッリ:ラ・フォリア Op.5-12、
 オーボエとヴァイオリンのためのソナタ ハ長調 WoO4
ヘンデル
:オラトリオ「時と悟りの勝利」 HWV46aよりソナタ(序曲)のアダージョ、
 ハープシコード組曲 ニ短調 HWV428よりエアとドゥーブル、
 トリオ・ソナタ ト短調 HWV390よりアダージョ、アレグロ
コレッリ:トリオ・ソナタ ニ短調 Op.1-11
ヘンデル:オーボエ協奏曲「カッコウとナイチンゲール」 ヘ長調 HWV295
ムジカ・グローリア、
ベニャミーノ・パガニーニ(クラヴィオルガヌム&指揮)、
ネール・ヴェルトメン(オーボエ&指揮)

録音:2022年3月(ベルギー、ルーヴェン)
ベニャミーノ・パガニーニ(1994-)とネール・ヴェルトメン(1999-)が率いる若くて活気のある古楽アンサンブル、ムジカ・グローリア!
よく知られた名曲はもちろん、あまり知られていない曲も遠慮なく取り上げ、愛情深い演奏で聴かせるムジカ・グローリア、『ファッシュのオーボエ』『バッハ一族とフルート』に続く最新盤は、ヘンデルとコレッリの邂逅にインスピレーションを得た1枚! 1707〜1708年のヘンデルのローマ滞在中、オラトリオ「時と悟りの勝利」の初演にはコレッリが参加しており、両者の間で序曲に関する論争が起こったとされています。1999年生まれのネーレ・ヴェルトメンは、5歳の時にすでに古楽に魅了されていたといい、マルセル・ポンセールのクラスでバロック・オーボエの修士号を最優秀の成績で取得した気鋭の奏者。歴史的楽器を用い、歴史的情報に基づく色彩豊かで生き生きとした演奏をお楽しみください。

Aeolus
AE-10204(1CD)
デュパール:ハープシコードのための組曲全集
フランソワ・デュパール(シャルル・デュパール)(1676-1751):組曲第3番ロ短調/組曲第2番ニ長調/組曲第1番イ長調/組曲第4番ホ短調/組曲第5番ヘ長調/組曲第6番ヘ短調/組曲第7番ニ長調*/組曲第8番ニ短調*
ボブ・ファン・アスペレン(ハープシコード)

録音:2020年
*世界初録音
大バッハが感銘を受け楽譜を自ら筆写し、自身の創作にも取り入れたことなどで知られているフランソワ・デュパール(シャルル・デュパール)(1676-1751)の「クラヴサンのための6つの組曲」に、新たに発見、改訂された2つの組曲を加えた完全な全集が登場!
オランダ古楽界の大家ボブ・ファン・アスペレンは、デュパールの生涯やこの組曲の成り立ちと演奏法についての洞察、また大バッハらへ与えた影響について改めて研究し、多くの情報を加えて再定義した論文を2021年に発表。この研究の過程で新たに発見された2つの組曲がアスペレンの手によって改訂され、ここに初めて録音されました。作曲から3世紀もの時を経て初めて日の目を見るデュパールの知られざる遺産、古楽ファンは必聴です。
レオンハルトの高弟である世界的チェンバリスト、ボブ・ファン・アスペレンは、これまでAeolusレーベルに「バッハの鍵盤作品集」、「フローベルガー・エディション」、「ルイ・クープラン・エディション」など多くの重要なレコーディング・プロジェクトを世に贈り出しています。

NovAntiqua Records
NA-73(1CD)
ストゥルース
フィリップ・グラス:「グラス・ワークス」よりオープニング(1982)
カルロ・ジェズアルド:Tristis Est Anima Mea(1611)
タルクィニオ・メールラ:Canzonetta spirituale sopra alla nanna(1638)
バッハ:6声のリチェルカーレ(1747)
ゲオルギイ・イヴァノヴィチ・グルジエフ&トーマス・ド・ハルトマン:Kurd Shepherd Melody(1926)
マラン・マレ:聖ジュヌヴィエーヴ・デュ・モン教会の鐘の音(1723)
クリストファー・タイ:3声のシット・ファスト(c.1550)、6声のイン・ノミネ(c.1550)
バッハ
:Stirb in mir, Welt, und alle deine Liebe(1738)
パーセル:歌劇「妖精の女王」よりシャコンヌ(中国の男女のための踊り)(1692)
アンナ・フセク(リコーダー、バロック・ヴァイオリン、ゴシック・ベル)、
アンサンブル・アルラウネ

録音:2018年8月
バロック時代の「多才な音楽家」の伝統を受け継ぎ、「リコーダーのロックスター」などとも評されるアンナ・フセクとアンサンブル・アルラウネによる、実験的な性格を持ったコンサート・インスタレーション『STRUES』を音盤化した1枚。「strues」はラテン語で蓄積、層、重なりなどを意味し、「築く、組み立てる」という動詞の未来形でもあります。16世紀、17世紀、18世紀、20世紀の4つの世紀の音楽が、最も複雑なポリフォニック形式からオスティナートまで、反復と組み合わせをキーに構造的に重ねられてゆきます。各作品は弦楽をメインとする古楽器のためにアレンジされており、越境古楽がお好きな方には特におすすめです。
NovAntiqua Records
NA-75(1CD)
ルネサンス時代のイタリアとフランスのリュート音楽
ジャン=ポール・パラダン、ピエール・サンドラン、クローダン・ド・セルミジ、ギヨーム・ド・モルレー、フランチェスコ・ダ・ミラノらの作品(全26曲)
マルコ・ペシ(Lute)

録音:2020年8月
フランドルのピエール・ファレーズ(c.1510-c.1575)は、イタリアとフランスのリュート作曲家の作品を集めた大規模なリュート音楽のアンソロジーを編集し出版した最初の人物として知られています。1568年に出版された『Luculentum』には163曲のリュート曲が収録されており、本作ではそこから26曲、幻想曲、舞曲、有名な声楽曲のリュート編曲など、ルネサンス期のリュート音楽のあらゆるジャンルを選び収録しています。
NovAntiqua Records
NA-76(1CD)
中世の歌と器楽
コノン・ド・ベテュヌ、モニオ・ダラス、フランチェスコ・ランディーニ、ニコロ・ダ・ペルージャ、ギヨーム・デュファイ、ヨハンネス・チコーニアらの作品(全17曲)
エネア・ソリーニ(歌、打楽器、指揮)ほか

録音:2019年3月〜10月
12世紀から15世紀のさまざまな音楽を幅広く集め、古の時代の明確なイメージを伝えてくれる1枚。エネア・ソリーニ(1975-)は音楽のみならず美術も学び、歌手だけでなく楽器奏者、レコード製作者としても活躍するマルチなアーティストです。
NovAntiqua Records
NA-82(1CD)
17世紀ボローニャのバスのためのカンタータ集
ジョヴァンニ・パオロ・コロンナ、アッティリオ・アリオスティ、ジャコモ・アントニオ・ペルティ、フランチェスコ・アントニオ・ピストッキの作品
ガブリエーレ・ロンバルディ(Br)、
トーマス・キジョーニ(Vc)、
エリザ・ラ・マルカ(テオルボ)、
ミケーレ・ヴァンネッリ(ハープシコード)

録音:2020年7月(イタリア、ボローニャ)
17〜18世紀の音楽の発展にとって重要な中心地であったイタリア・ボローニャに縁のある低声と通奏低音のためのカンタータを集めた1枚。チェロのための独奏曲の最も古い例のひとつであるドメニコ・ガブリエッリの無伴奏チェロ・ソナタも収録されています。歌唱はリナルド・アレッサンドリーニのコンチェルト・イタリアーノや、クラウディオ・カヴィーナのラ・ヴェネクシアーナをはじめとする名門古楽アンサンブルとの共演も多いガブリエーレ・ロンバルディです。

ACCENTUS Music
ACC-30598CD(1CD)
ライプツィヒ1723〜テレマン、グラウプナー、バッハ
バッハ:カンタータ「イェス 十二弟子呼びて言いたもう」BWV 22
グラウプナー:カンタータ「主を讃えよ、すべての異邦人よ」GWV 113/23b
テレマン:カンタータ「Ich mus auf den Bergen weinen und heulen」TVWV 1:591
グラウプナー:カンタータ「主よ、深き淵より、われ汝を呼ぶ」 GWV 1113/23a
バッハ:カンタータ「汝まことの神にしてダヴィデの子」 BWV23
Albgut(声楽アンサンブル)
[イザベル・シッケタンツ(S)ステファン・クナス(A)フローリアン ジーヴァース (T)マルティン・シッケタンツ(Bs)]
カペラ・イェネンシス(バロック・アン サンブ ル )

録音:2022年7月、パウル・ゲルハルト教会、ライプツィヒ
12世紀の聖トーマス教会完成とともに創設された、聖トーマス教会少年合唱団。バッハは1723年から1750年まで、この教会のトーマスカントル(音楽監督) を務めていました。その伝統は現在も引き継がれ、現在は第18代目のトーマスカントルとしてアンドレアス・ライズがその任に就いています。バッハが活躍してい た18世紀当時、ドイツの音楽家にとってはこの「トーマスカントル」の地位は名誉ある重要な仕事であり、1722年にヨハン・クーナウが死去すると、後任として 多くの候補者が現れました。市の評議会が第1候補として名前をあげたのは、当時ハンブルクの5つの主要教会の音楽監督を務めていたテレマンでした。しかし待 遇面で折り合いがつかず断念。次にダルムシュタットの宮廷楽長で、クーナウの弟子であったグラウプナーを当たったものの、雇い主のヘッセン公が辞任を許可せ ずまたもや断念。ライプツィヒ市は最終的にバッハを選ばざるを得なくなり、1723年バッハはトーマスカントルに就任し、1750年に亡くなるまでその任を務めあ げました。 本盤は、バッハがカントル採用試験の際に提出したカンタータ23番や、初録音のグラウプナーのカンタータ「主を讃えよ、すべての異邦人よ」、そしてテレマンの未 出版のカンタータ「Ich mus auf den Bergen weinen und heulen」など、聴き手が審査員になったつもりで、この歴史的なこの任命を巡る争いを聴くこ とができます。演奏は気鋭の歌手4人による声楽アンサンブルAlbgutと、若きバロック・アンサンブル、カペラ・イェネンシスの初共演です。 (Ki)
ACCENTUS Music
ACC-30620C(1CD)
キリスト復活の物語
シュッツ:『善良な羊飼いはよみがえられた』 SWV469
 『復活祭オラトリオ(イエス・キリスト復活の物語)』 SWV50
ミヒャエル・プレトリウス:『ハレルヤ、キリストはよみがえり』
アンサンブル・ポリハルモニーク

録音:2022年2月、ベルリン、イエス・キリスト教会
KING INTERNATIONAL U-21ハインリヒ・シュッツ(1585-1672)は、初期バロックを代表する作曲家。バッハが1685年生まれなので、ちょうど100年前の生まれの人。ガブリエリやモン テヴェルディらイタリア・バロックの華やかな要素と、後期フランドル楽派の対位法的な技巧を、ドイツの教会音楽の伝統の中に巧みに結合させた作風で、プロテス タントの精神を音楽に投影したという意味では、バッハと並び、歴史上最高の音楽家と呼べる存在と言えるでしょう。 本盤に収録されている、最初のオラトリオとされる『イエス・キリストの復活の物語(復活祭オラトリオ)』は、1623年にドレスデン王宮の礼拝堂で復活節第3主 日晩課に初演されました。シュッツの初期の代表作でヴェネツィア留学での複合唱様式体得を生かし、洗練された手法で復活という神秘性を音楽で表現していま す。演奏は、ルネサンスとバロック時代の音楽を専門に、歴史的作品の演奏を行っているアンサンブル・ポリハルモニーク。シュッツとプレトリウスのイースターを祝 う作品集です。 (Ki)

H.M.F
HMN-916119(1CD)
ルイーズ夫人のための音楽
■[田舎の音楽]
ジョン・フロウ(1649-1708):羊飼いよ、みなおいで Come shepherds all (『ヴィーナスとアドニス』より)
リュリ:漁師のためのエア (アルチェステ、またはアルシードの勝利 LWV 50より)
 歌え、踊れQue l’on chante (アティス LWV 53より)
 ブレー(ヴェイルサイユの王の大喜遊曲 LWV 38)
マシュー・ロック (ca. 1621-1677):Lilk (テンペストより)
パーセル:それゆえ、あなたのつまらない神と Hence with your trifling deity (アテネのタイモン Z. 632)
作曲者不詳:おろかな英国 De foolish English nation (The Comical History of Don Quixote)
ジョン・ブロウ:この甘い木立で In these sweet groves (Venus and Adonis)
■[ソフトな音楽]
リュリ:みな、眠れDormons, dormons tous (アティス LWV 53)
パーセル:エア (Bonduca, or the British Heroine, Z. 574)
ホーンパイプHornpipe (Bonduca, or The British Heroine, Z. 574) 1’21
準備せよ、祭りが始まる Prepare, the rites begin (テオドシウス、または愛の力 Z. 606より)
 見よ、夜だってそこに (妖精の女王 Z. 629より) EL 4’27
サムエル・エイクロイド(1684-1706頃に活躍):フランスから最近来たにやけた男が歌う新しい歌(A new song sung by a fop newly come from France)
ジョン・ブロウ:フルートのための楽曲(ヴィーナスとアドニス)
ヴィーナス!アドニス!(ヴィーナスとアドニス)
マシュー・ロック:ヴィーナス降臨のためのシンフォニー(Symphony for the descending of Venus)(プシケ)
■[狂気の歌]
リュリ:この芝のなんという緑!Que ces gazons sont verts ! (Roland, LWV 65)
マシュー・ロック:悪魔と怒りの歌(プシケより)
リュリ:黄泉の国の祭りのエアAir de la fete infernale (Alceste ou le Triomphe d’Alcide, LWV 50)
作曲者不詳:暗黒の牢獄からForth from the dark and dismal cell
ジョン・エックレス(1668-1735):Oh! Take him gently from the pile (Cyrus the Great, or The Tragedy of Love)
■[嘆きの歌]
リュリ:天よ!私をつつむ空気 Ciel ! Quelle vapeur m’environne (Atys, LWV 53)
ルシル・テシエ(リコーダー、バロック・オーボエ 、バロック・バスーン)、
アンサンブル・レヴィアタン

録音:2021年9月、サル・コルトー、パリ
フランスのマルチ楽器奏者、ルシル・テシエ率いるアンサンブル・レヴィアタン(リヴァイアサン、海中の聖獣のこと)による、17世紀英国の音楽集。17世紀英国、 といってもその切り口は実に興味深いもので、当時活躍した女スパイゆかりの音楽集となっています。
ルイーズ・ド・ペナンコエ・ド・ケルアイユ(ルイーズ夫人)は、ルイ14世に雇われたスパイで、チャールズ2世(1630-1685、王位1660-1685)の愛人 でした。最初はチャールズ2世の王妃キャサリン付きの女官としてロンドンの宮廷に入り込み、チャールズ2世の寵愛を受け、ポーツマス侯爵夫人という称号まで 与えられます。彼女はルイ14世から、太陽王の影響がイギリスにも及ぶように命じられていました。チャールズ2世はたいへんなフランス趣味で、王位につくと、 ルイ14世にならって弦楽合奏団(24のヴァイオリン)を結成、宮廷や礼拝堂では、フランス人や、フランスで学んだ音楽家を雇いました。また、英国の音楽家をフ ランスに派遣したりと、フランスの芸術を英国に取り入れようとしました。そんな中ルイーズも、独自の音楽施設まで与えられ、そこでリュリのオペラからの楽曲を 楽員に演奏させるなど様々な催しを開いていました。チャールズ2世はこれを喜びましたが、彼がますますフランス趣味になることはルイ14世の意図と合致。ルイー ズは非常にうまく立ち回りながら、文化的・政治的な目的を遂行したのです。さらに音楽家たちも、チャールズ2世宮廷の動向を、フランスに報告したりもしてい たようです。しかしそんなルイーズのおかげもあって、英国でも豊かで華麗、かつ表現力豊かなレパートリーが生み出されることとなったのです。こうした視点から プログラムされた音楽を聴いていると、海峡で隔てられた国同士の音楽でも、器楽の編成や書法などに似た部分が感じられ、大変興味深いです。
ルシル・テシエはパリ国立高等音楽院やバーゼル音楽院などで学んだ、様々な楽器を演奏でき、さらに歌も歌えるプレイヤー。コンセール・スピリチュエル、レザー ル・フロリサンなどでも活躍しています。さらに、2016年からソルボンヌ大学で「英国の舞台音楽の狂気」について研究もしています。2015年、アンサンブル・ レヴィアタンを設立。17世紀の英国の舞台音楽を中心としたレパートリーで活動をスタートさせますが、現在ではイタリア、ヘンデル、フランス音楽など、主にバロッ ク期の作品に多く取り組んでいます。

Passacaille
PAS-1097(1CD)
青の間 〜17世紀パリのサロン音楽
ロベール・ド・ヴィゼー(c.1650-1665?after1732):前奏曲 ニ短調
セバスティアン・ル・カミュ(1610?1677):愛しい人よ、残酷なる愛しい人よ
ヴィゼー:パッサカリア ニ短調
セバスティアン・ル・カミュ:今でも愛するこの素敵な場所
作者不詳:あなたを愛することで、そう思っていた
ヴィゼー:アルマンド『おしゃべり』
ミシェル・ランベール(1610?1696):恋人の影
カミュ:平穏な日々を過ごしていました
カミュ:この木立の中では、もう愛せない
ヴィゼー:前奏曲 ハ短調
シャルパンティエ(1643?1704):かなしい砂漠
ヴィゼー:サラバンド ハ短調
ヴィゼー:前奏曲 イ短調
ヴィゼー:アルマンド イ短調
シャルパンティエ:ああ、夢見させておくれ
ヴィゼー:ロンドー『仮面舞踏会』
シャルパンティエ:私に苦悩をくれるもの
ヴィゼー:シャコンヌ イ短調
カミュ:夜が続くままに
シャルパンティエ:この森で恐れもせず
デボラ・ カシェ(S)
ソフィー・ファンデン・エインデ(テオルボ)

録音:2022年7月9-10日/ベルギー、ヘント、カペル・テルハーゲン
17世紀フランスで最大のサロンを抱えていたランブイエ侯爵夫人。その寝室は青を基調とした独特のもので「青の間 Chambre Bleu」と呼ばれました。また 彼女のサロンに出入りする女性たちは「プレッシューズ Precieuses」と呼ばれ、国境を越えたエレガントな空間で、洗練された会話を交わしていました。2人の 女性奏者が、この優美な世界を音楽で再現します。暗い色調の歌が多く、ふかみのある表現が特徴的です。 (Ki)
Passacaille
PAS-1126(1CD)
テレマン:低音のないヴァイオリン作品集
メランテ氏による4つのヴァイオリンのための協奏曲 ト長調 TWV 40:201
『忠実な音楽の師』より 第20課 二重奏曲 ト長調 TWV 40:111
メランテ氏による4つのヴァイオリンのための協奏曲 ト長調 TWV 40:202
6つの二重奏曲第2巻より 第1番ト長調 TWV 40:124
6つの二重奏曲第2巻より 第3番ロ短調 TWV 40:126
テレマン氏による4つのヴァイオリンのためのソナタ ハ長調 TWV 40:203
6つの二重奏曲第2巻より 第2番イ短調 TWV 40:125
二重奏のための6つのカノン風ソナタより 第3番 ニ長調 TWV 40:120
二重奏のための6つのカノン風ソナタより 第1番 ト長調 TWV 40:118
低音を伴わないソナタ集より 第1番二重奏曲 ニ長調 TWV 40:103
イマジナリウム・アンサンブル “THE SHARP BAND”
[メンバー]
エンリコ・オノフリ(音楽監督、ヴァイオリン)
使用楽器:18世紀初頭イタリア、作者不明/タルティーニの弓を複製したP.ジェルモーネ製のバロック弓
アレッサンドロ・タン ピ エーリ(第 2ヴ ァイオリン )
使用楽器:2014年ラヴェンナ、M.ミノッツィ製/1730年頃のイギリス・モデルに基づくM.ゴッテロ製のバロック弓
ボリス・ベゲルマン(第 3ヴァイオリン)
使用楽器:2009年ローマ、E.アッティリ製/F.ウンベルト・ドロス製のバロック弓
マリア・クリスティーナ・ヴァシ(第4ヴァイオリン)
使用楽器:1791年ウィーン、マティアス・ティール製/1730年頃のイタリア・モデルに基づくR.アシュメッド製のバロック弓

録音:2022年8月14-17日/イタリア、モンダイーノ、テアトロ・ディモーラ・ラルボレート
「Sharp violins proclaim... 鋭いヴァイオリンの音色が、嫉妬と絶望、怒りと憤り、苦痛と情熱を歌う。美しく気高い貴婦人のために―」ジョン・ドライデンの『聖 セシリアの日のための歌』にある言葉からアイデアを喚起されたエンリコ・オノフリが、さまざまな感情による対照的なムードをヴァイオリンのみで表現する意欲的な アルバムを発表。彼の組織するイマジナリウム・アンサンブルは一時的に低音不在となり、少数のヴァイオリンがすべてを担う「シャープ・バンド」に姿を変えました。
テレマンは通奏低音のない室内楽作品を数多く残しています。なかでもヴァイオリン4本のみによる協奏曲は他に類をみない珍しい編成の作品であり、また様々な 楽器で演奏可能な二重奏曲も、多様なスタイルと深い表現力が組み込まれた逸品ぞろい。近い音域でぶつかり合い火花を散らしながら駆け抜けたかと思えば、美し い和声に支えられ綿々たる歌を綴っていく、鋭くかつどこまでも繊細、まさにシャープな音楽の饗宴です。今回オノフリが目指す世界にうってつけの作品が選ばれま した。
古楽ヴァイオリン界で人気・実力ともにひとつの頂点を成すオノフリと共演するメンバーは、タンピエーリ、ベゲルマン、ヴァシの3人。いずれもオノフリと長い付 き合いがあるお馴染みの奏者で、もはや以心伝心と言えるアンサンブルの妙に驚嘆させられます。
「メランテ氏による」という作品がありますが、これはテレマン(Telemann)のアナグラムによる別名(Melante)。イタリア受けを狙った遊び心ある署名です。 (Ki)

APARTE
AP-269(2CD)
リュリ:『アシとガラテー(アシスとガラテア)』 LWV 73 [プロローグ]
アンブロワジーヌ・ブレ:ディアーヌ
ベネディクト・トーラン:ラバンダンス(豊かさ)
ロベール・ゲッチェル:コモス
シリル・オヴィティ:アポロン
デボラ・カシェ:森の妖精
フィリップ・エステフ:森の精霊
[パストラル]
シリル・オヴィティ:アシ(アシス)
アンブロワジーヌ・ブレ:ガラテー
エドウィン・クロスリー=メルセル:ポリフェーム
デボラ・カシェ:アマント、ナイアス
ベネディト・トーラン:シッラ、ナイアス
ロベール・ゲッチェル:テレーム
エンゲラン・ド・イス:ティルシス、ジュノンの従者
フィリップ・エステフ:ネプチューン

録音:2021年7月16-18日、ジャン=バティスト・リュリ音楽院、プトー(フランス)
リュリ最後のオペラ「アシスとガラテー」。リュリとしては13年ぶりのパストラル(悲劇でない)作品で、初演当時から賛否両論を巻き起こしながらも何度も上演 が重ねられた傑作です。30年ほど前にミンコフスキが全曲録音して以来、久々の全曲録音の登場となりました。演奏陣は、フランス・バロックの要、クリストフ・ル セ率いるレ・タランリリク、そして歌唱陣も今最前線で活躍する歌手が顔をそろえた超強力盤。海の妖精ガラテアと羊飼いアシスとの恋、そして嫉妬深い、ポリフェー ムの暴力を描いたドラマティックな物語にリュリがつけた音楽は、どの瞬間を切り取っても美しく心揺さぶられる瞬間の連続。美しい旋律、器楽作品の繊細さなど、 作品の魅力をルセがこれ以上ないかたちで引き出しています。
『アシとガラテー』は、アネ城での祝祭のために書かれました。悲劇の形式をとっていないのもそのためで、リュリとしては13年ぶりの、悲劇のスタイルから離 れたかたちの作品となります。物語は、海の妖精ガラテアと羊飼いアシスとの恋が、嫉妬深いポリフェームの暴力に脅かされながらも実っていく様子が描かれてい ます。台本は、長年タッグを組んでいたキノーが健康上の理由で仕事ができなかったため、コメディ=フランセーズで大変な評判を呼んでいたジャン・ガルベール・ ド・カンピストロンが担当しました。アネ城で城の構造をうまく使いながら行われた初演は大成功で、13日までにほぼ毎晩行われました。 (Ki)

Hortus
HORTUS-207(1CD)
「東方への旅〜フランシスコ・ゲレーロのセビリャからエルサレムへの旅路をたどって」
フランシスコ・ゲレーロ(1528-1599):宗教的カンシオンとヴィラネスカ集(1589年ヴェネツィア)より10曲、他、ビザンチン&オリエント音楽と即興を交えて。
ル・バンケ・デュ・ロワ
ヘルトゥルディス・ベルガラ(S)、ヤニック・ルボッセ(C.T)、ジョルジュ・カミル・アブラッラー(バリトン、オリエント&ビザンチン歌唱)、サミル・ホムシ(ウード、リック、ダルブーカ)、ジュリー・デサン(ヴィオラ・ダ・ガンバ) ブノワ・タントテュリエ(コルネット、リコーダー)、エマニュエル・ヴィニュロン(バス・ドゥルシアン、リコーダー)
オリヴィエ・グラドフェル(ヴィオラ・ダ・ガンバ、ボンバルド、テノール・ドゥルシアン、リコーダー&音楽監督)

録音:2021年8月24-27日/サン=ブノワ=デュ=ソー(アンドル県)
モラレス、ビクトリアと並ぶスペイン・ルネサンス時代の大作曲家フランシスコ・ゲレーロ(1528-1599)は、スペインやポルトガルの各地で、神聖ローマ皇帝 マクシミリアン2世などの王侯貴族の宮廷や教会に主に仕えていましたが、1588年、エルサレムへの旅を決意、セビリアを発ちました。その帰途に二度にわたっ て海賊の襲撃を受け、金品を奪われあげく人質としてとらえられ、やがて釈放されるも一文無しとなり、身代金も負わされ、負債者監獄へと収監されてしまいまし た。その後、セビリアの雇用主に救われることになるのですが、1590年に、こうした旅の顛末を書き記した著作「エルサレムへの旅」を出版、ベストセラーになっ たそうです。この書物を基に、ゲレーロの旅路を音楽でたどる企画によるこのアルバムには、ゲレーロの世俗音楽、教会音楽に加え、旅の途中でゲレーロが触れた であろうオリエントやビザンチンの音楽が収録されています。ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者のオリヴィエ・グラドフェルが結成したフランスの古楽アンサンブル、ル・バ ンケ・デュ・ロワは、多様な文化的・音楽的背景を持ったメンバーで構成されており、演奏に当たっては、文献研究はもちろん、口承による伝統までも参照した多 角的なアプローチをしている個性的なグループです。このアルバムでも、伸びやかなソプラノとカウンターテナーによる歌唱に、リコーダー、ドゥルシアン、コルネッ トなどが重なる、正統的古楽演奏で聴かせるトラックと、ビザンチン唱法を取り入れたり、アラブ音楽での使用されるウード(リュートに似た楽器)、リック(タンバ リンの一種)、ダルブーカ(太鼓の一種)などの民族楽器を取り入れたりするなどのオリエント的アプローチによるトラックが入り混じり、不思議な雰囲気を醸し出 しています。16世紀末のスペインとオリエントの音楽の雰囲気を伝える魅惑のアルバムです。 (Ki)
Hortus
HORTUS-209(1CD)
神のごときチプリアーノ・デ・ローレ〜チプリアーノ・デ・ローレ:マドリガーレ集
チプリアーノ・デ・ローレ(?-1565):マドリガーレ集(別れの時には、麗しの乙女、他) 〜ジョローラモ・ダッラ・カーザ、ジョヴァンニ・バッサーノ、ジョヴァンニ・バッティスタ・ボヴィチェッリらによるディミニューションをまじえて
アドリアン・ヴィラールト(1490-1562):リチェルカール第10番
マルコ・ダッラクィッラ(1480?-1538?):リチェルカール(リュート独奏)、他
アンサンブル・イル・バッロ
ヴェロニク・ブーラン(S)
カミーユ・アントワネ(Vn)
ブノワ・タンテュリエ(コルネット、ミュート・コルネット、バス・リコーダー)
イザベル・デュモン(各種ヴィオラ・ダ・ガンバ)
スタンレー・スミス(バス・ヴィオラ・ダ・ガンバ)
アンヌ・デュモン(チェンバロ、サックバット)
レオナルド・ロレード・デ・サ(リュート、テオルボ&音楽監督)

録音:2021年4月22&23日/サン=ブノワ=デュ=ソー(アンドル県)
「神のごとき」(IL DIVINO)と称されたルネサンス後期の作曲家チプリアーノ・デ・ローレのマドリガーレを、それらを基としたディミニューションをまじえて 歌唱・演奏したアルバム。デ・ローレはネーデルラント出身で。主にイタリアで活躍、半音階の使用など情感表現豊かなマドリガーレを作曲し、後世に大きな影響を 与えました。あのモンテヴェルディもデ・ローレの作品から強い影響を受けたとされています。このアルバムは、デ・ローレの、ペトラルカの詩に付けられたマドリ ガーレを中心に集められています。面白いのは、それらのマドリガーレを基にした他の同時代作曲家たちの器楽によるディミニューションをまじえて歌ったり、演奏 したりしているところ。デ・ローレの原曲を豊かに装飾するディミニューションを加えることで、より色彩豊かな音楽として再現しています。ここに同時代のリュート 独奏曲や器楽曲が加わることで、さらにデ・ローレの音楽の先進性を際立たせるアルバム構成となっています。リュート奏者レオナルド・ロレード・デ・サが主宰す るフランスの古楽アンサンブル、アンサンブル・イル・バッロは、主に、16&17世紀のイタリア音楽をレパートリーとした声楽&器楽のグループです。伸びやかなソ プラノの歌唱を中心に、ヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバ、コルネット、サックバット、リコーダーを奏でる器楽奏者たちも即興的装飾を豊かに加えながら、美しく 演奏しています。演奏にもプログラムにも工夫が凝らされた魅力的なチプリアーノ・デ・ローレ・アルバムとなっています。 (Ki)

arcantus
ARC-22038(1CD)
レスピロ〜「ベネチアのアックア・アルタ」
(1)ガブリエリ:「神の祝福」(10声)〜サクラ・シンフォニア集第1巻より
(2)ガブリエリ:5声のカンツォーナ
(3)ガブリエリ:「聖なるマリアよ」(7声)〜サクラ・シンフォニア集第1巻より
(4)シュッツ:「主に感謝します」 BWV 267〜コルネット、3声と通奏低音のための
(5)ガブリエリ:「キリエ」(5声)〜サクラ・シンフォニア集第2巻より
(6)ガブリエリ:「神は御名によって」(8声)
(7)ローゼンミュラー:「天よ、上からしたたらせよ」〜2つのコルネット、ソプラノと通奏低音のための
(8)ガブリエリ:6声のカンツォーナ
(9)シュッツ:「見よ、いちじくの木を」BWV 394
(10)ガブリエリ:「主よわれをあわれみたまえ」(6声)〜サクラ・シンフォニア集第1巻より
(11)ガブリエリ:「主よ、聞きたまえ」(7声)〜サクラ・シンフォニア集第1巻より
(12)ガブリエリ:「われ主をたたえん」(10声)〜サクラ・シンフォニア集第1巻より
アンサンブル・レスピロ、
アンドレーアス・ノイハウス(指)

録音:2021年10月/聖マルティーニ教会(ミンデン)
ヨーロッパ第一級の音楽の中心地として、多くの重要な音楽家たちの活動の場でもあったベネチア。サン・マルコ大聖堂はベネチアの中でも最も海抜の低い場所 に位置し、昔から浸水被害(「アックア・アルタ」満潮を意味するイタリア語で、北アドリア海における異常潮位現象をさします)に悩まされてきました。
ジョヴァンニ・ガブリエリ(1554?57?-1612)は叔父のアンドレアとともに同大聖堂のオルガニストを努めてきました。ルネサンス音楽よりバロック音楽への 橋渡しをしたガブリエリの作品は、華やかさの中に巧みに考えられた音響効果抜群の音楽を残しました。
アンサンブル・レスピロは当アルバムで17世紀に活躍したシュッツ、ガブリエリ、ローゼンミュラーの音楽を通し、同時代の音楽的な繁栄を再現します。 (Ki)

arcantus
ARC-22037(1CD)
「ボッケリーニの夢」〜チェロとハープシコードのための作品集
(1)スプリアーニ:トッカータ第10番
(2)ボッケリーニ:ソナタ ハ長調 G.17
(3)パスクィーニ:フォリアによるパルティータ
(4)スプリアーニ:トッカータ第1番
(5)カベソン:騎士の歌
(6)ボッケリーニ:ソナタ ト長調 G.5
(7)ストラーチェ:チェンバロのためのパッサカリア
(8)スプリアーニ:トッカータ第11番
(9)カベソン:パヴァーヌ
(10)スプリアーニ:トッカータ第6番
(11)ボッケリーニ:ソナタ ハ長調 G.6
ミメ・ヤマヒロ・ブリンクマン(バロックVc)、
マリアンジョーラ・マルテッロ(ハープシコード)

録音:2021年1月31日-2月3日/ストックホルム
名手ミメ・ヤマヒロ・ブリンクマンがマリアンジョーラ・マルテッロとアルバム「ボッケリーニの夢」をリリースします。ミメ・ヤマヒロ・ブリンクマンは桐朋学園大 学でモダン・チェロを学んだ後、ハーグ王立音楽院でバロック・チェロとヴィオラ・ダ・ガンバを学びました。ラ・プティット・バンド、バッハ・コレギウム・ジャパン、 ターフェルムジーク・バロック・オーケストラなどと共演し、ソリストとしても活躍する才能あふれる古楽奏者で、これまでARCANTUSレーベルより「バッハ: 無伴奏チェロ組曲(全曲)」(ARC-19014)をBISレーベルより「チェロ・ライジング」(BIS SA-2214)などをリリースしております。
アルバム「ボッケリーニの夢」では、スプリアーニ、パスクィーニ、カベソン、ストラーチェ、ボッケリーニの作品を、まるで地中海の陽光のように、名手2人が新鮮 かつ喜びに満ちた演奏で届けてくれます。当録音のプロデューサーとサウンド・エンジニアはBISレーベルの数多くの名録音でも知られるマリオン・シュヴェーベ ルが担当しております。 (Ki)

ALIA VOX
AV-9952(1CD)
EROS&SUBTILIATAS〜エロスと繊細
1. ヴィンチェンツォ・ルッフォ:La Gamba
2. フィリップ・ヴェルデロー:Dormendo un giorno
3. ヴィンチェンツォ・ルッフォ:Dormendo un giorno
4. ヴィンチェンツォ・ルッフォ、フィリプ・ヴェルデロー:Dormendo un giorno
5. ト調のパヴァーヌ(アルカート城所蔵手稿譜)
6. ト調のサルタレロ(アルカート城所蔵手稿譜)
7. ヴィンチェンツォ・ルッフォ、ジャック・アルカデル:Quand’io penso al martire
8. ジャン・ゲロ:Madonna io v’amo
9. イ調のリチェルカール(アルカート城所蔵手稿譜)
10. ヴィンチェンツォ・ルッフォ:Lieti felici spirti
11. ニ調のパヴァーナ(アルカート城所蔵手稿譜)
12. ニ調のサルタレッロ(アルカート城所蔵手稿譜)
13. ヴィンチェンツォ・ルッフォ:Gentil mia donna
14. ト調のリチェルカール(アルカート城所蔵手稿譜)
15.ドメニコ・フェッラボスコ:Io mi sono gioveneta(アルカート城所蔵手稿譜)
16. ジャック・アルカデル:O felici occhi miei
17. ヴィンチェンツォ・ルッフォ、ジャック・アルカデル:O felici occhi miei
18. ヴィンチェンツォ・ルッフォ:La Disperata
19. ヴィンチェンツォ・ルッフォクレマン・ジャヌカン:Martin menoit
20. ハ調のパヴァーナ(アルカート城所蔵手稿譜)
21. ハ調のサルタレッロ(アルカート城所蔵手稿譜)
22. ヴィンチェンツォ・ルッフォ:El Cromato
23. ヴィンチェンツォ・ルッフォ、ジャック・アルカデル・Da’ bei rami scendea
タスト・ソロ【アンネ=カトリン・オルセン(S)、リッカルド・ピサーニ(Br)、ベルトラン・キュイエ(ルネッサンス・チェンバロ)、ベレンジェル・サルダン(ルネッサンス・ハープ)、ポー・マルコ(ヴィオラ・バスタルダ)、ボル・ズリヤン(ルネッサンス・リュート)】
ギエルモ・ペレス(オルガネット&指揮)

録音:2021年11月、フランス
ALIA VOXから、サヴァールがおすすめするアンサンブル、タスト・ソロのタイトルが発売されます。ヴィンチェンウォ・ルッフォ(1508頃〜1587)とその同 時代の作曲家たちによる作品をプログラムしたものです。ルッフォは16世紀イタリアの様々な土地の聖堂(教会)で活躍した作曲家で、ヴェローナにいた頃にはモ ンテヴェルディの師匠であったマルカントニオ・インジェニエーリを指導したともされています。当時のイタリアではダンスから派生した音楽スタイル(舞曲)が非常 にさかんに生み出されていましたし、リチェルカール(リチェルカーレ)と題されたファンタジアの作曲技法など、様々なスタイルの作品が大いに発展しました。当時 はまた、器楽・声楽演奏についての研究もさかんで、器楽同様、声楽にも様々な超絶技巧を要する楽曲が生み出され、それに関する論文も多数書かれました。演 奏者たちはこれらの論文にもあたりながら、ここでは、初期ルネッサンス期のイタリアの室内楽の演奏でスタンダードであった編成(高音域にダンパーを持たない小 型チェンバロ、非常にシンプルなハープ、ヴィオラ・ダ・ガンバとリュート)をとっています。非常に緻密で美しいタペストリーのように音楽が紡がれていきます。

Chateau de Versailles Spectacles
CVS-092(1CD)
『暗闇と深淵』 〜独唱と通奏低音によるルソン・ド・テネブル、18世紀フランス語圏から
エクトール=ジョゼフ・フィオッコ(1703-1741):第1の哀歌
ジャン=バティスト・フォルクレ(1699-1782)またはアントワーヌ・フォルクレ(1672-1744):三つのヴィオールのための組曲
ピエール=ルイ・ポリオ(1724-1796):『エレミア哀歌』による聖土曜日のための第1ルソン
ジョゼフ・ボダン・ド・ボワモルティエ:通奏低音を伴わない三つのフルートのためのソナタ(バスーン、ヴィオラ・ダ・ガンバ、チェロと通奏低音による演奏)
ジョゼフ・ミシェル(1688-1736):エルサレム、エルサレムよ 『高音部、チェロおよびバスーンと通奏低音による-聖週間第2日のための第3ルソン』より
ミシェル=リシャール・ド・ラランド(1657-1726):聖金曜日のための第3ルソン
ウジェーヌ・ルフェーヴル(S)
アンサンブル・ルヴィアタン(古楽器使用)【カミーユ・デュポン(Vc、バス・ド・ヴィオール〔ヴィオラ・ダ・ガンバ〕)、ジュリー・デサン(バス・ド・ヴィオール、ヴィオローネ)、クレマン・ジョフロワ(クラヴサン〔チェンバロ〕)、ロリス・バリュカン(Org)】
リュシル・テシエ(バスーン、指揮)

録音:2022年5月2-4日 ヴェルサイユ宮殿プチ・トリアノン礼拝堂、ヴェルサイユ、フランス
キリスト教社会で春の日曜日に祝われる復活祭に先立ち、救世主イエスが現世で十字架にかけられ苦しみぬいて絶命したことを思い返し ながら、人類の罪深さを考え直す「聖週間」。バロック期のフランス語圏では、この時期の夜明け前に行われていた祈りの時間帯をずらし、日 中に小編成の峻厳・清廉な音楽を通じて行うルソン・ド・テネブル(暗闇の朝課)の儀式があり、そのために書かれた楽曲が多く現存していま す。その特質上、華美な響きを避けてオルガン一つ、ないしそこに低音楽器を添える程度で独唱者が歌う小編成の音楽に仕上げられます が、ここではフランス古楽シーン最前線で活躍する若き名手たちが、バスーン、ヴィオール(ガンバ)、ヴィオローネ、チェロという4種の低音楽器 を用い、クラヴサンやオルガンとともに、趣深いくすんだ響きで18世紀初頭の祈りの場を再現。近年発見された手稿譜によるフォルクレ父子ど ちらかの組曲や人気作曲家ボワモルティエの名品編曲など器楽トラックも充実していますが、躍進めざましい独唱者ウジェーヌ・ルフェーヴル の温もり豊かな独唱がこれらの古楽器の響きと実によくなじむ一連のルソンは、演奏機会の少なさが不思議なほど魅力的に聴こえ興趣が尽 きません。ブリュッセルのイタリア系作曲家フィオッコやブルゴーニュ地方ディジョンのジョゼフ・ミシェルなど、フランス王室に縛られない選曲で視野 を広げてくれるプログラムも好感度大。ヴェルサイユ宮殿の小礼拝堂の穏やかな音響をよく捉えた自然派録音でお楽しみください。

ARCANA
A-541(1CD)
カプスベルガー、アンブロジーニ:テオルボ作品集
〔環境音〕昔日の防波堤ムラッツィの傍らで
ジョヴァンニ・ジローラモ・カプスベルガー(1580頃-1651):無題の独奏曲
クラウディオ・アンブロジーニ(1948-):Tastata タスタータ (2017)
カプスベルガー:コルレンテ
アンブロジーニ:Tastata riflessa 水面の煌めきのタスタータ (2017)
〔環境音〕川に入る歩み 〜2019年の高潮
カプスベルガー:トッカータ 第1番
アンブロジーニ:Toccata トッカータ (2018)
カプスベルガー:ガリアルダ
アンブロジーニ:Aria アリア (2017)
〔環境音〕ヴェネツィア・ビエンナーレ庭園入口に停泊するゴンドラ群
カプスベルガー:無題の独奏曲
アンブロジーニ:Canzone カンツォーネ (2018)
カプスベルガー:リチェルカータ
アンブロジーニ:Canzone in eco こだまを返し合うカンツォーネ (2018)
〔環境音〕停泊するクルーザー群
カプスベルガー:ヴェネツィア風アリア
アンブロジーニ:Sarabanda サラバンダ (2018)
カプスベルガー:バッターリャ(戦い)
アンブロジーニ:Ciaccona チャッコーナ (2017)
〔環境音〕サン・マルコ広場の高潮、鐘の音とカモメの合唱
カプスベルガー:トッカータ 第2番
アンブロジーニ:Ricercare リチェルカーレ (2018)
カプスベルガー:ロマネスケ
環境音〕フラーリ教会(モンテヴェルディの墓所)の近くにいた子供たち
アンブロジーニ:Arpeggiata アルペッジャータ (2018)
ステファノ・マイオラーナ(テオルボ)

録音:2021年2月1-6日 グラッシ宮殿小劇場、ヴェネツィア
歴史ある水の都ヴェネツィアという「場」に焦点を当て、そのサウンドスケープの中に佇む歴史的建造物の中でかつて愛奏されていた古楽器テ オルボを用い、17世紀の作曲家カプスベルガーと現代作曲家アンブロジーニの独奏曲の魅力に迫るアルバム。低音側に弦を多く追加した リュートの一種テオルボは、17世紀初頭にオペラ歌手たちを支える通奏低音楽器として重宝されただけでなく、当時から独奏にも使われ、 特に「テオルボのドイツ人」の綽名で知られたローマ暮らしのドイツ系作曲家カプスベルガーの作品は各地で筆写されて人気を誇りました。他 方アンブロジーニはフランスの若手登竜門ローマ賞やヴェネツィア・ビエンナーレでの受賞経験を持つ1948年生まれの作曲家。早くからバロッ ク以前の音楽に関心を示し、16世紀ヴェネツィアの音楽を現代の響きの中でアレンジするなど、ダラピッコラや(彼自身も私淑した)マデルナ などイタリア20世紀の先人たちにも通じる古楽再発見と新作創出を並列的に行う作曲スタイルで知られています。ヴェネツィア音楽院で学 び、この水の都に限りない愛着を寄せるアンブロジーニが自ら同地で録った環境音(各20〜40秒程度)が「場」への憧憬を誘う中、時に静 謐・繊細に、時にダイナミックに重ねられる古楽器の撥弦が、様式感確かな両作曲家の音楽それぞれの味わい深さをじっくり引き出してゆく1 時間。現代ギター奏者にも馴染み深いスペイン・バロック作曲家サンティアゴ・デ・ムルシアの作品集(A484)も注目されたステファノ・マイオ ラーナの解釈が光ります。

ARCANA
A-540(2CD)
NX-D09
フランチェスコ・ドゥランテ:弦楽のための協奏曲集
協奏曲第8番イ長調「ラ・パッツィア(狂気)」
協奏曲第4番ホ短調
協奏曲第2番ト短調
協奏曲第9番変ロ長調
ニコラ・フィオレンツァ(1700頃-1764): 4部のヴァイオリンと通奏低音のためのシンフォニア ハ短調
ドゥランテ:協奏曲第7番ハ長調
ドゥランテ:協奏曲第5番イ長調
ポルポラ(1686-1768):チェロ協奏曲 イ短調
ドゥランテ:協奏曲第6番イ長調
協奏曲第3番変ホ長調
協奏曲第1番ヘ短調
アッカデーミア・デラヌンチアータ(古楽器使用)
 コンサートマスター:カルロ・ラッザローニ(Vn)
 マルチェッロ・スカンデッリ(Vc)
リッカルド・ドーニ(チェンバロ、オルガン、指揮)

録音:2021年10月10-14日、2022年5月2-6日 サン・ベルナルディーノ教会、アッビアーテグラッソ(イタリア北部ミラノ県)
ナポリ楽派のオペラ作曲家たちがヨーロッパを席巻した18世紀にあって、A.スカルラッティ亡き後のナポリで数々の音楽院の院長を歴任し、 夭逝の天才ペルゴレージを筆頭に数々のすぐれた作曲家を育てたフランチェスコ・ドゥランテ。作曲家としての評判もイタリア半島の外にまで 広まり、同世代の大バッハはライプツィヒで彼の作品を上演しましたが、その楽譜の完成度の高さから後々までバッハ本人の作とされたものも ありました。教会音楽を中心に声楽曲で注目されてきた作曲家ながら、器楽では明確なソロを持たない4声部の協奏曲を1730〜40年 代に多く作曲、録音でも散発的にとりあげられてきました。今回のように体系的な録音はコンチェルト・ケルンの取り組み(Capriccio)など大 変少なく、しかも作曲家と同じイタリアの最前線団体による古楽器演奏で聴けるのは嬉しい限り。アッカデーミア・デラヌンチアータは、チェロの 名手マリオ・ブルネロをソロに迎えてのバッハ協奏曲集というユニークな企画(A535/NYCX-10364)をリリースしたばかり。今回も地中海の 息吹を感じさせる深い作品解釈を聴かせ、個々の作品の味わいをじっくり解き明かしてゆきます。短くもさまざまな楽章構成を持つドゥランテ 作品は、ナポリ楽派ならではのカンタービレの魅力とドゥランテの真骨頂である対位法の妙が併存する興味深い音作りの連続。同世代のポ ルポラによる魅惑のチェロ協奏曲と、破天荒な性格で問題も起こしつつスリリングな傑作を多く残したフィオレンツァの異色編成作を併録、そ の作風の違いも楽しめる構成も魅力です。

Paradizo
PA-0020(1CD)
英国ルネサンスのリコーダー・コンソート集
 第1のコンソート
1. イングランド王ヘンリー8世(1491-1547): Consort コンソート
2. ヘンリー8世:Taunder Naken ライン河のほとりアンデルナハで
3. ヒュー・アシュトン(1485頃-1558):Hugh Ashton’s Maske ヒュー・アシュトンのマスク
 第2のコンソート:ダウランド『ラクリメ、または七つの涙ほか』(1604)より
4. ダウランド:LaCHR-imae Antiquae いにしえの涙
5. ダウランド:Captaine Digorie Piper his Galiard ダイゴリー・パイパー大尉のガリアード
6. ダウランド:The Earle of Essex Galiard エセックス伯のガリアード
7. ダウランド:Mrs. Nichols Almand ニコル嬢のアルマンド
8. ダウランド:M. George Whitehead his Almand ジョージ・ホワイトヘッド氏のアルマンド
 第3のコンソート
9. ヒューム(1569頃-1645):A Maske マスク/The Earle of Sussex delight サセックス伯の喜び
10. 作者不詳(『フィッツウィリアム・ヴァージナル・ブック』より): Muscadin マスカディン
11. 作者不詳(『フィッツウィリアム・ヴァージナル・ブック』より):The Irish Ho Hoane アイリッシュ・ホー・ホーン
 第4のコンソート
12. ウィリアム・バード(1540頃-1623):Browning ブラウニング/The LeAV-es by Green 葉よ生い茂れ
13. アルフォンゾ・フェラボスコ2世(1575-1628):四つの音によるパヴァーン
14. トーマス・レイヴンズクロフト(1588頃-1635):おお人よ、忘れるなかれ
15. レイヴンズクロフト:The Three RAV-ens 3羽の大鴉
 第5のコンソート
16. 作者不詳(『フィッツウィリアム・ヴァージナル・ブック』より): Praeludium プレルディウム
17. 作者不詳(『フィッツウィリアム・ヴァージナル・ブック』より): Watkins Ale ワトキンズのエール
18. ヒューム:My joyes are coming 楽しみが次々訪れる/The Lady of Bedfords Delightベッドフォードの奥方の喜び
 第6のコンソート
19. クリストファー・タイ(1505頃-1572頃): In Nomine ‘Crye’ イン・ノミネ「呼び声」
20. ジョン・ボールドウィン(1560-1615):A Browning ブラウニング
21. ヘンリー・ストニングズ(生歿年不詳、16世紀末〜17世紀初頭に活躍):愛しきブラウニング
 第7のコンソート:ホルボーン『パヴァーン、ガリアード、アルメインおよびその他の商品集』(1599)より
22. アントニー・ホルボーン(1545-1602):PAV-an. Spero パヴァーン「スペロウ(わたしは期待する)」
23. ホルボーン:ガリアード「それは聖なる降誕祭前夜のことだったが」
24. ホルボーン:Galliard. Heigh ho holiday ガリアード「ヘイ・ホー、休日だ」
25. ホルボーン:Almaine. The Night Watch アルメイン「不寝番」
 第8のコンソート
26. ジャイルズ・ファーナビー(1563頃-1640): For Two Virginals 2台のヴァージナルのために
27. ロバート・ジョンソン(1583頃-1633):Alman アルメイン
28. 作者不詳:Almande Guerre gay アルマンド「陽気な戦い」
     (『フィッツウィリアム・ヴァージナル・ブック』より)/ソロモン王が良くなかったことには(『ダブリン・ヴァージナル写本』より)
 第9のコンソート:ホルボーン
    『パヴァーン、ガリアード、アルメインおよびその他の小品集』(1599)より
29. ホルボーン:PAV-an. Heres Paternus パヴァーン「父方の子孫」
30. ホルボーン:Galliard (#32) ガリアード(第32曲)
31. ホルボーン:ガリアード「ムイ・リンダ(とても愛らしい)」
32. ホルボーン:Almaine. The Fruit of Love アルメイン「愛の果実」
33. ホルボーン:Almaine (#57) アルメイン(第57曲)
34. ホルボーン:PAV-an Funerals パヴァーン「葬送」
レゾナンス・コンソート(古楽器使用)
 ジュリアン・マルタン、マリーヌ・サブロニエール、エヴォレーヌ・キーナー、ピエール・ボラーニョ、ブノワ・トイゴ (各種リコーダー)
スキップ・センペ、オリヴィエ・フォルタン、
エマニュエル・フランケンベルフ (ヴァージナル、チェンバロ)

録音:2021年
ルネサンス期の英国で、ヴィオラ・ダ・ガンバ(ヴァイオル)と同じように合奏を愉しむ楽器として愛されていたリコーダー。高音部から低音部まで 大小さまざまな同属楽器を集めた合奏は「ホール・コンソート」と呼ばれ、多くの作曲家たちの作例が当時そのような編成で実演されていたに もかかわらず、リコーダーのホール・コンソートを集めたアルバムは意外に多く出てきません。その渇を癒してあまりある新録音が、21世紀最高 のチェンバロ奏者のひとりスキップ・センペのプライベートレーベルParadizoから登場。名手ジュリアン・マルタンを筆頭に、センペ率いるカプリッ チョ・ストラヴァガンテをはじめフランス語圏の一流アンサンブルで活躍をみせてきた俊才5人が聴かせるサウンドは、リコーダー同士の音が溶け 合うコンソートならではの響きの妙もさることながら、各パートの動きが活発な曲ではそれぞれの個性や個々の音色の温もりが自由闊達に際 立ち、平穏な古楽のイメージを良い意味で覆すスリリングな聴き応えに事欠きません。センペらが古雅な鍵盤の音色を響かせるトラックとの 対比も絶妙のプログラムは、音楽ほか諸芸術の嗜みで知られる英国王ヘンリー8世やクリストファー・タイが手がけた16世紀の佳品の数々か ら「処女王」エリザベス1世の治世末期を彩った巨匠たちの有名作まで名品続々。この分野をよく知るリスナーも古楽ビギナーも必ずや惹か れるであろう要素がそこかしこに秘められた好企画です。

Dynamic
CDS-7982(1CD)
NX-B03
マウロ・ダライ(1687-1757):ドレスデン協奏曲集
協奏曲 ニ短調 ? 2つのヴァイオリンのために
協奏曲 ニ長調*
協奏曲 変ロ長調*
協奏曲 変ロ長調「アンナ・マリアのために」*
協奏曲 ヘ長調(伝:カルロ・ズッカーリ作) **
協奏曲 ニ長調「アンナ・マリアのために」(オーケストラ・パートはエミリオ・ゲッツィによる) **
レアーレ・コンチェルト(古楽器使用)
ダニエレ・ファンフォーニ(ソロ・ヴァイオリン)[ジョフレード・カッパ 1690年製 …*]
ルカ・ファンフォーニ(ソロ・ヴァイオリン)[ロレンツォ・ストリオーニ1778年製 …**]
アントネッラ・タネッティ(Vn1)[マリヌス・カピッキオーニ 1928年製]
フランチェスコ・フェッラーティ(Vn1)[パオロ・アントニオ・テストーレ 1723年製]
ダヴィデ・クアリア(Vn2)[ジャン=バティスト・ヴィヨーム 1840年製]
ミケーレ・ブラギニ(Va)[製作者不詳 18世紀]
マッシミリアーノ・ファンフォーニ(Vc)[ジローラモ・アマティ 1600年頃製]
アントニーノ・アンジェロ・アリベルティ(室内オルガン、bourdon at 8’)
 [フランチェスコ・ジベリーニ 2010年製]

録音:2022年1月22-25日
世界初録音
パルマ出身のヴァイオリニスト・作曲家マウロ・ダライ。1712年から1726年及び1730年から1739年にサンタ・マリ ア・デッラ・ステッカータ大聖堂に仕えていたこと以外、彼の経歴はほとんど知られておりませんが、スペイン王フェリペ 5世の宮廷に仕え、スペイン王妃となったエリザベッタ・ファルネーゼのお気に入りとしてかなりの富と名声を得たとされ ています。彼はフェリペ5世から下賜された1718年製のストラディヴァリウスを生涯大切にし、ヴァイオリン曲を中心 に、ソナタやカンタータなど、いくつかの作品を残しました。このアルバムに収録された協奏曲の譜面はドレスデンのザ クセン国立図書館に所蔵されているため「ドレスデン協奏曲」と呼ばれており、ヴィヴァルディ作品をモデルとしながら も、スタイルはより自由で、時にはギャラント様式も取り入れたモダンなものとなっています。作品が捧げられた「アン ナ・マリア」とは当時ヴェネツィアでヴィルトゥオーゾ奏者として活躍したヴィヴァルディの弟子アンナ・マリア・デッラ・ピエ タのことです。前作「ヴァイオリン協奏曲第1番-第12番(CDS-7892)」と同じくダニエレ・ファンフォーニとルカ・ファン フォーニを中心としたアンサンブル「レアーレ・コンチェルト」が演奏しています。


CPO
CPO-555435(1CD)
NX-B02
アダルベルト・ギロヴェッツ(1763-1850):フルート四重奏曲集 Op. 37
四重奏曲 ハ長調 Op. 37No. 1
四重奏曲 ト長調 Op. 37No. 2
四重奏曲 ニ長調 Op. 37No. 3
アルディンゲロ・アンサンブル【カール・カイザー(Fl)、アンネッテ・レーベルガー(Vn)、ゼバスティアン・ヴォールファルト(Va)、マルティナ・イェッセル(Vc)】

録音:2020年8月15-17日
ボヘミア出身の作曲家アダルベルト・ギロヴェッツのフルート四重奏曲集。父親から音楽の教育を受け、プラハでは 法学を学び、不動産の管理人として働くうちに、雇い主のフランツ・フォン・フュンフキルヒェン伯爵に楽才を認めら れ宮廷楽団で演奏するという変わった経歴を持っています。その後はヨーロッパを演奏して巡り、ハイドンやモーツァ ルトの音楽に影響を受けた作品を書き上げ名を広めました。フランス革命時にはイギリスに向かい、ここでハイドン と邂逅、補佐を務めるという栄誉に浴し、その後ウィーンに定住。数多くの舞台音楽を遺しています。 ここに収録されたフルート四重奏曲はどれも演奏時間20分余りの充実した規模をもつもの。全て急緩急の3楽 章で書かれ、各声部にヴィルトゥオーゾ的な見せ場があります。アルディンゲロ・アンサンブルは古典派からロマン派 の室内楽に取り組むグループで、特にハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンと同時代の作曲家の紹介に努めてい ます。フルートを吹くカール・カイザーはフライブルク・バロック・オーケストラやラ・スタジョーネ・クランクフルトのメンバー としても活躍する大ベテラン。
CPO
CPO-555528(1CD)
NX-B02
フローリアン・レオポルト・ガスマン(1729-1774):オーボエ四重奏曲&五重奏曲 他
歌劇「アモールとプシュケー」による五重奏曲 変ロ長調- オーボエ、弦楽四重奏のために H571
歌劇「アモールとプシュケー」による五重奏曲 変ロ長調- オーボエ、弦楽四重奏のために H573
四重奏曲(ディヴェルティメント) 変ホ長調- オーボエ、弦楽四重奏のために H482
四重奏曲(ディヴェルティメント) 変ホ長調- オーボエ、弦楽四重奏のために H483
四重奏曲(ディヴェルティメント) ニ長調- オーボエ、弦楽四重奏のために H486
カッサシオ- 2つのイングリッシュ・ホルン、ファゴットと2つのホルンのために H532
ラヨシュ・レンチェス(オーボエ/イングリッシュ・ホルン)
レナ・ゲルスバッハー(イングリッシュ・ホルン)
ヴォルフガング・ウィプフラー(Hrn)
ヨゼフ・ヴァイスタイナー(Hrn)
リボール・シーマ(Fg)
シゲティSQ

録音:2021年6月5-6日、2021年10月3日
ボヘミア出身、ドイツで活躍した作曲家レオポルド・ガスマンの室内楽作品集。 ボローニャでジョヴァンニ・バッティスタ・マルティーニに師事したとされますが、詳細は分かっていません。イタリアの様 式による22作の歌劇をはじめ、数多くの室内楽作品や宗教曲を書き、グルックの後継者としてウィーンに招かれ、 1772年には宮廷楽長に任命されています。ガスマンの功績の一つに、1765年、旅行先のヴェネツィアで サリエリ の才能を見抜き、ウィーンに連れて行き教育を施したことが挙げられます。 現在では彼の歌劇を耳にする機会があまりありませんが、存命中には高い人気がありました。このアルバムに収録 された作品中、2つの五重奏曲は大ヒットした歌劇「アモールとプシュケー」からとりわけ人気が高かったアリアを編 曲したもの。他の作品も彼を重用した皇帝ヨーゼフ2世のお気に入りでした。これらの美しい響きに富んだ作品 に、名手ラヨシュ・レンチェスとその仲間たちが新しい息吹をもたらしています。
CPO
CPO-555540(1CD)
NX-B10
ウィリアム・スメザーゲル(1751-1836):序曲集第1集
序曲第1番ニ長調 Op. 5No. 1*
序曲第2番変ロ長調 Op. 5No. 2
序曲第3番ト長調 Op. 5No. 3*
序曲第4番変ホ長調Op. 5No. 4*
序曲第5番へ長調 Op. 5No. 5*
序曲第6番イ長調 Op. 5No. 6*
プフォルツハイム南西ドイツ室内O
ダグラス・ボストック(指)

録音:2021年6月3-5日
*…世界初録音
イギリスの作曲家ウィリアム・スメザーゲルの作品集。ロンドンで洗礼を受け、1770年からオール・ハロウズ・バ イ・ザ・タワー教会、1775年からはセント・メアリー・アット・ヒル教会、この2か所のオルガニストを同時に50年 間にわたって務めるとともに、ロンドンの遊園地ヴォクソール・ガーデンズのオーケストラでヴィオラ奏者を務めて いたことも知られています。 この6つの序曲(シンフォニアと表記されることもあり)はハイドンの作品を思わせる華麗な作品で す。とりわけ第1番では管楽器に多彩な活躍の場を与え、ソリストとして目立たせています。他の曲もどれも 魅力的でウィットに富んでいます。

Pentatone
PTC-5187047(1CD)
「麗しき柔和さ」〜17世紀イギリスの歌曲集
(1)パーセル:音楽が愛の糧ならば Z.379a
(2)ジョン・ブロウ(169-1708):かわいらしいセリーナ
(3)パーセル:薄紫の薔薇(ヨークシャーの祝祭歌「その昔、勇者は故郷に留まるをよしとせず」より)Z.333
(4)ペルハム・ハンフリー(C.1647-1674):父なる神への讃歌(「罪を許してくださいますか」)
(5)ジョン・ブロウ:「ヴィーナスとアドニス」序曲
(6)パーセル:暗く陰気な絶望の迷宮の中で Z.190
(7)パーセル:ようこそ、偉大なる陛下(チャールズ2世の歓迎歌「失せよ、不敵な反逆者よ」1683年より)Z.324
(8)ウィリアム・ウェッブ(c.1600-1657):力強きモーフィアス
(9)パーセル:目覚めよ、わがミューズ(メアリー女王の誕生日のためのオード「目覚めよ、わがミューズ」1690年 Z.320)
(10)パーセル:輝かしき夜の女王が(ヨークシャーの祝祭歌「その昔、勇者は故郷に留まるをよしとせず」より)Z.333
(11)ジョン・ブロウ:パーセルが現れ、ライヴァルは勝ち誇るのをやめた(「ヘンリー・パーセル氏の死に寄せるオード」より)
(12)パーセル:主よ、守り給え(「テ・デウムとユビラーテ」より)Z.232
(13)パーセル:シャコンヌ(「アーサー王」より)
(14)パーセル:おお、私を泣かせてください(「妖精の女王」より嘆きの歌)Z.629
(15)麗しき柔和さで(メアリー女王の誕生日のためのオード「いまや、輝かしき日は来たる」1689年より)Z.332
(16)ジョン・ブロウ:かわいそうなセラドン、無駄にため息をつくばかりで
(17)パーセル:祭壇を飾れ(メアリー女王の誕生日のためのオード「この祝祭を祝え」より)Z.321
(18)ペルハム・ハンフリー:眠りよ、ぬくき眠りよ、来たりて、我が目を閉じよ(夕べのためのアンセム)
(19)パーセル:夕べの讃歌(いまや日はその光を覆い隠し)Z.193
ティム・ミード(C.T)
デイヴィッド・ベイツ(指&Org)、
ラ・ヌオヴァ・ムジカ

録音:2022年3月22-27日/諸聖人教会、ロンドン(イギリス)
デイヴィッド・ベイツ率いる、2007年結成のイギリスの優れた古楽グループ、ラ・ヌオヴァ・ムジカのPENTATONEレーベル3枚目のアルバムは、現代屈指の カウンターテナーの一人、ティム・ミードを迎えての17世紀イギリスの歌曲集。パーセルの歌曲やオード、劇音楽などからの歌を中心に、同時代の作曲家であるブ ロウ、ハンフリー、ウェッブの作品を収録しています。比較的録音の珍しい作品が集められていますが、イギリス古楽の持つ、抑制された美と深い情感を持つ楽曲ば かりで、ティム・ミードの美声と卓越した歌唱技術は、そうした楽曲の数々の魅力を存分に伝えてくれます。ベイツ率いるイギリスのピリオド楽器の名手たちによる 器楽も丁寧な表現で歌を見事にサポート。思わず、聴き入ってしまうこと請け合いです。パーセルの楽曲をカウンターテナーのレパートリーとして現代に蘇らせた往 年の名歌手、アルフレッド・デラー以来の伝統を受け継ぐ、優れた17世紀イギリス・アルバムの登場です。 (Ki)

Signum Classics
SIGCD-736(1CD)
ラヴシック
ウィリアム・ローズ(c.1602-1645):I’m sick of love:O let me lie/ゲール語による伝承曲(ロバート・A・スミス編):There’s none to soothe my soul to rest
エティエンヌ・ムリニエ(1599-1676):Enfin la beaute que j’adore
ウィリアム・ローズ:Perfect and endless circles are
パーセル:When Orpheus sang all nature did rejoice、「キング・アーサー」より組曲
ジョン・ブロウ(1649-1708):Tell me no more you love; in vain
マルク・アントニオ・チェスティ(1623-1669):あこがれの人のまわりに
ヘンリー・ローズ(1596-1662):私は起き上がり、深く悲しむ
アイルランドの伝承曲(ジョン・パイク・ハラー編):真夜中に
パーセル:恋していると彼女はもう告白する
ダウランド
:Complaint: Fortune my foe、Time stands still
ブロウ:The self-banished
スコットランドの伝統的なバラード(リチャード・ラングドン編):メアリーの夢
パーセル:O, lead me to some peaceful gloom
イギリスの伝統的なバラード(トマス・レイヴンズクロフト編):三羽のカラス
不詳:Packington’s Pound
ピエール・ゲドロン(c.1570-c.1620):Cesses mortels de soupirer
伝統的なスコットランドのバラード(ジョン・ジェイコブ・ナイルズ編):Black is the colour of my true love’s hair
パーセル:O solitude, my sweetest choice
ランドール・スコッティング(C.T)、
スティーヴン・スタッブス(Lute)

録音:2020年11月2日-3日、アレグロ・レコーディングス(アメリカ)
そのスタイリッシュで美しい歌声、そしてカリスマ的なステージでの存在感で活躍の場を拡げ、ロイヤル・オペラ・ハウスやメトロポリタン歌劇場、そしてバイエルン国立歌劇場にも出演している大注目のカウンターテナー、ランドール・スコッティングのSignum Recordsへのアルバム第2弾が登場!デビュー・アルバムとなった前作「王冠〜セネジーノのための英雄的アリア集(SIGCD-719)」は、BBCミュージックマガジン誌にて絶賛され5つ星を獲得しました。
失恋や喪失感をテーマにしたこのアルバムでもその美しい魅惑的な声とデビュー・アルバムで証明された表現力で歌い上げています。

CORO
COR-16195(1CD)

PCOR-16195(1CD)
国内盤仕様
日本語解説&歌詞訳&日本語曲目表記オビ付き
目を凝らしてじっと見つめ〜バード、クレメンス、デ・モンテ、タバコヴァ、ファン・ヴィルダー
ウィリアム・バード(c.1540-1623):主よ、起きて、安息所におはいりください
フィリップ・ファン・ヴィルダー
(c.1500-1554):おお甘美な眼差し
バード:主よ、ひどくお怒りにならぬように
バード:あなたの聖なる町々は荒野(あらの)となり
フィリップ・デ・モンテ(1521-1603):おお甘美で優しい人、イエス・キリストよ
ドブリンカ・タバコヴァ(b.1980):主よ、起きて、安息所におはいりください
ヤコブス・クレメンス・ノン・パパ(c.1510/15-1555/56):悲しみと苦悩が
バード:悲しみと苦悩が
バード:おお主よ、どうかわれらの捕らわれの状態を変えてください
ヤコブス・クレメンス・ノン・パパ:わたしは野の花
タバコヴァ:おお主よ、どうかわれらの捕らわれの状態を変えてください
デ・モンテ:バビロンの川のほとりに
バード:異国の地で主なる歌を歌えようか?
バード:目をさましていなさい
ザ・シックスティーン、
ハリー・クリストファーズ(指)

録音:2022年11月9日-11日、セント・ハロウズ教会(ゴスペル・オーク、ロンドン)
※国内盤:解説:ハリー・クリストファーズ、アンドルー・スチュワート(日本語訳:SOREL)
英国合唱界の至宝、ザ・シックスティーンの最新アルバムは、ザ・シックスティーンの中心的行事の一つであるイギリス・ツアー「合唱巡礼(Choral Pilgrimage)」の2023年プログラムを収録した「目を凝らしてじっと見つめ(A Watchful Gaze)」。2023年で記念すべき没後400周年となるイギリス・ルネサンスの大家ウィリアム・バード(c.1543-1623)の作品を中心に、クレメンス・ノン・パパ、フィリップ・デ・モンテ、フィリップ・ファン・ヴィルダーなどバードに影響を与えてきた作曲家たちの音楽が組み合わされています。そして世界初録音となるのは、1980年ブルガリア出身、11歳からロンドン在住で国際的に活躍する作曲家、ドブリンカ・タバコヴァの2作品。バード没後400周年を記念してザ・シックスティーンから委嘱された新作で、バードの音楽遺産を受け継ぎつつ、現代的なポリフォニーの美しさが際立つ作品となっています。

Christophorus
CHR-77468(2CD)
来たれ、時よ、わたしを解き放ってください 〜ドイツ・バロックの聖歌集
フィリップ・ハインリヒ・エルレバッハ(1657-1714):来たれ、時よ
ヨハン・ヒルデブラント(1614-1684):ああ神よ!
ヨハン・ショップ(c.1590-1667):涙のパヴァーヌ
ヨハン・ヒルデブラント:ああいと高き神よ
ゲオルク・ベーム:Mein Herz tichtet ein feines Lied
ヨハン・ヴォルフガング・フランク(1644-c.1710):Las, O Herr, dein Ohr sich neigen
スウェーリンク(1562-1621):もしも運命の女神に愛されるなら
ヨハン・クリーガー(1652-1735):Hier lieg ich in der Noth
ウィリアム・ヤング(c.1610-1662):アリア
ガスパーロ・カサーティ(c.1610-1641):天にましますわれらの父よ
アントニオ・ベルターリ(1605-1669):5声のソナタ
ヨハン・アウグスティン・コベリウス(1674-1731):Ich furchte keinen Tod auf Erden
CD2〜ジョヴァンニ・アントニオ・リガッティ(1613-1648):めでたし天の后
ハインリヒ・イグナツ・フランツ・ビーバー:4声のための嘆きのバレット
フェルディナント3世(1608-1657):賛歌「イエスよ、乙女らの花冠」
ジョヴァンニ・レグレンツィ(1626-1690):ソナタ第6番
ハインリヒ・バッハ(1615-1692):ああ、私の頭が水で満ちていたなら
ダヴィッド・フンク(1648-1701):組曲
クリスティアン・ガイスト(c.1650-1711):主の祈り
ヨハン・ルドルフ・アーレ(1625-1673):イエスの甘き思い出
クレメンス・ティーメ(1631-1668):ヴィオールのためのソナタ ニ短調
ヨハン・フィリップ・クリーガー(1649-1725):我は平安に入りて
フランツ・ヴィッツム(C.T)、
バーゼル・カプリコルヌス・コンソート(CD1)、
レゼスカパード(CD2)

録音:2011年2月28日-3月3日(スイス/CD1)、2008年10月1日-4日(ドイツ/CD2)
ドイツの男声ヴォーカル・アンサンブル、シュティムヴェルクのメンバーで、その優れた歌声と詩の解釈で国際的な称賛を得ているカウンターテナー、フランツ・ヴィッツム。バーゼル・カプリコルヌス・コンソート、レゼスカパードと共演した彼の最初の2枚のソロ・アルバムが、この度2枚組CDとなって新たに発売されます。ドイツ・バロックで特にその真価を発揮する声質を持つヴィッツムは、この2枚のアルバムで三十年戦争(1618-1648)当時の聖歌に専念し、澄み切った歌声、洗練されたノンビブラート唱法を聴かせています。

Glossa
GCD-921633(2CD)
アンドレ=エルネスト=モデスト・グレトリ:音楽悲劇「アンドロマケ」 エルヴェ・ニケ(指)、
コンセール・スピリチュエル、
ヴェルサイユ・バロック音楽センターcho、カリーヌ・デエ(ソプラノ/アンドロマケ)、マリア・リッカルダ・ウェッセリンク(メソ・ソプラノ/ヘルミオネ)、セバスティアン・ゲーズ(テノール/ピュロス)、タシス・クリストヤニス(バリトン/オレステス)

録音:2009年10月18日-19日、シャンゼリゼ劇場(フランス)&ブリュッセル・ボザール・パレス(ベルギー)
日本の聴衆に衝撃を与えた2008年の来日公演における大編成でのヘンデルや、2010年のパーセルの歌劇「アーサー王」の上演などで群を抜いた演奏能力を示し、その音楽性が高く評価されてきたエルヴェ・ニケとコンセール・スピリチュエル。ヴェルサイユ・バロック音楽センターとパラツェット・ブル・ザネの協力を得て、フランス・バロックの埋もれた音楽悲劇(トラジェディ・リリック)の復活再演を実現させてきた彼らが2009年に録音し翌年にリリースされた、アンドレ=エルネスト=モデスト・グレトリ(1741-1813)の音楽悲劇「アンドロマケ」のディスク(GCD-921620)は長らく廃盤で入手できなくなっていましたが、この度新装再発売が決定!
ベルギーのリエージュで生まれ、18世紀後期のフランス・オペラ界に大きな功績を遺したグレトリが作曲した唯一の音楽悲劇「アンドロマケ」は、17世紀フランスの名作家ジャン・ラシーヌ(1639-1699)の「アンドロマケ(アンドロマック)」を原作とした作品。マリー・アントワネットの庇護を受け、ナポレオンからはレジオン・ドヌール勲章を授けられるなど栄華を極めたグレトリの生涯や、ギリシャ神話やギリシャ悲劇に登場する「アンドロマケ」を主役としたストーリーの知名度の高さとは相反するかのように、ほとんど知られてこなかった音楽悲劇の“音楽”の部分が、マレやデトシュ、リュリの音楽悲劇を見事に蘇演させてきたニケ&コンセール・スピリチュエルの手腕で見事に蘇った重要盤です。

Urania Records
LDV-14097(1CD)
オラツィオ・アルバーニのリュート・ブック
作曲者不詳:トッカータ、フォリア、コレンテ、ガリアルダ、鳥の歌、ファンタジア、Se mai amor[Villanella]、ヴォルタ、フランスの歌、バレット
ロレンツィーノ・トラチェッティ(c.1550-1598):Preludium overo Tochata、ファンタジア、ガリアルダ
ヴィンチェンツォ・ピンティ(1542-1608):Romanesca del Sig.r CAV-aliere、ガリアルダ
アンドレア・ダミアーニ(Lute)

※全曲世界初録音
イタリアはウルビーノにあるアルバーニ図書館が所蔵するオラツィオ・アルバーニ(1576-1653)のコレクションから、16世紀のローマで最も有名なルテニストであったロレンツィーノ・トラチェッティ、ヴィンチェンツォ・ピンティの作品と、作曲者が判明していない埋もれていた作品を組み合わせて収録した1枚。ローマ時代のポリフォニーの伝統とバロック音楽の様式が交わるわずかな瞬間をとらえています。全曲世界初録音。

BIS
BISSA-526(1SACD)
『コルネットと鍵盤楽器のための音楽』
(1)ジョヴァンニ・バッティスタ・フォンタナ(1571-1630):ソナタ第3番
(2)フレスコバルディ:カンツォーナ第3番「ラ・ルッケジーナ(ルッカの女)」
(3)アンニーバレ・パドヴァーノ(1527-1575):第6旋法によるトッカータ
(4)ダリオ・カステッロ(? - c.1658):ソナタ第1番
(5)ガブリエーリ(c.1532/33-1585):「キ・ラ・ディーラ」によるフランス風カンツォン
(6)ジョヴァンニ・ジローラモ・カプスベルガー(c.1580-1651):シンフォニア第13番
(7)アンドレア・ファルコニエーリ(c.1585-1656):ラ・モナルカ(君主)
(8)リッカルド・ロニョーニ(c.1550-before 1620):陽気な羊飼い
(9)アンジェロ・ノターリ(1566-1663):ああ、いつもの情熱が燃えあがってくる
(10)作者不詳:旅立ちの歌
(11)ジローラモ・ダッラ・カーサ(d. 1601):ある日シュザンヌが
(12)ジョヴァンニ・サルヴァトーレ(1611-1688):第9旋法によるトッカータ第2番
(13)ジョヴァンニ・マルティーノ・チェザーレ(c.1590-1667):ラ・フォッカリーナ
(14)フランチェスコ・ロニョーニ・タエッジョ(after 1580-after 1626):恋人よ、あなたは美しい
(15)ジョヴァンニ・バッティスタ・フォンタナ(1571-1630):ソナタ第2番
(16)ビアージョ・マリーニ(1594-1663):オルガンとヴァイオリンまたはコルネットのためのソナタ
セイチェント・ストラヴァガンテ【ダーヴィド・ブルッティ(コルネット)、ニコラ・ラモン(オルガン、チェンバロ)】
[楽器 Cornetto:Straight Cornetto by Andrea Inghisciano 2019/Curved Cornetto by Paulo Fanciullacci 2018/Mute Cor-netto by Andrea Inghisciano/Organ:Anonymous Organ built in Venice around 1660/Regal:Nicola
Ferroni 2017/Harpsichord:Romain Legros after Giovanni Battista Giusti, 1681]

録音:(2)(3)(8)(10)-(15)2019年11月14-17日/パッロキアーレ・ディ・モンテ・サン・ジョヴァンニ教会(ボローニャ)、
(1)(5)(6)(7)(9)2020年6月24&25日 サン・マルティーノ・ヴェスコヴォ教会(ヴェーシャ、ペルージャ)、
(4)(16)2020年8月26&27日/サン・バルトロメオ教会(カプリーレ、ベッルーノ、イタリア)
ルネサンスの時代には声楽曲を楽器で演奏することがよく行われたと言われています。「言葉がないと、甘美な音楽に流れる感情はどう 表現されるだろう」。このアルバムは、そうした「素晴らしくバロック的な思いつき」から作られました。フォンタナの2つの「ソナタ」、パドヴァーノとサルヴァトーレ の「トッカータ」、カプスベルガーの「シンフォニア」などの間に、ヴェネツィアのオルガニスト、アドリアン・ガブリエーリが、アドリアン・ヴィラールトのシャンソン「Qui la dira la peine de mon coeur(わが心の痛みを誰が語れよう)」を編曲した「「キ・ラ・ディーラ」によるフランス風カンツォン」といった曲をはさむプログ ラム。
「セイチェント・ストラヴァガンテ Seicento Stravagante」(贅沢な17世紀)は、コルネット奏者のダーヴィド・ブルッティと鍵盤楽器奏者のニコラ・ラモン がルネサンスと初期バロックの音楽を演奏するために結成したデュオ。2018年6月のラヴェンナ音楽祭期間中にサン・ヴィターレ聖堂で3回のコンサートを行っ てデビューし、高い評価を獲得しました。ブルッティはこのアルバムで、ストレート・コルネット、カーブド・コルネット、ミュート・コルネットの3種の楽器を使い分 けています。 (Ki)

MIRARE
MIR-624(1CD)
レシ
組曲ニ調
(1)ジャック・ボワヴァン:レシ・グラーヴェ
(2)アンリ・デュモン:アルマンド
(3)マラン・マレ:鐘あるいはカリヨン
(4)同:人間の声
(5)アンリ・デュモン:デュモン氏のパヴァーヌ
組曲ホ調またはト長
(6)ジャン=アダム・ギラン:ティルセによるレシ
(7)同:トリオ
(8)マラン・マレ:ジグ「もめごと」
(9)同:嘆き
(10)同:シャコンヌ
(11)ジャン=アダム・ギラン:ディアローグ
(12)マラン・マレ:昔のリュート作曲家の流儀によるパヴァーヌ
組曲イ調
(13)ダンドリュー:ティルセによるレシ
(14)アンリ・デュモン:オルガン・タブラチュアによるアルマンド
(15)ルイ・クープラン:ピエモンテ人
(16)マラン・マレ:サラバンド
(17)同:花嫁
(18)同:ファンタジー
組曲ニ調
(19)ルイ・マルシャン:レシ
(20)ピエール・デュ・マージュ:バス・ド・トロンペット
(21)ルイ・クープラン:クープラン氏のサラバンド
(22)ピエール・デュ・マージュ:プラン・ジュ
サロメ・ガセラン(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
エマニュエル・アラケリヤン(Org)、
マティアス・フェレ、アンドレアス・リノス、コリンナ・メッツ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、
ジャスティン・テイラー(Cemb)

録音:2021年9月 聖アポリネール・ド・ボラン教会(ベルギー)、12月 サン・トゥルザンヌ教会(スイス)
サロメ・ガセランはアンジェとナントの音楽院で学んだ後、リヨンとデン・ハーグで研鑽を積んだ若きヴィオラ・ダ・ガンバ奏者。才色兼備の音楽家ながら、ラグ ビー選手も考えたという異色の経歴を持っています。
ルイ14世治下のフランスではクープランらの鍵盤音楽が台頭しましたが、同時にマラン・マレらの活躍でヴィオラ・ダ・ガンバが独奏楽器として華開きもいまし た。それで生まれた魅力的な作品を集めました。調性ごとにいろいろな作曲家の小品を組曲にして変化をもたせています。 (Ki)

Hyperion
CDA-68415(1CD)
ジョスカン・デ・プレ:千々の悲しみ*
モラレス:ミサ曲 「千々の悲しみ」#、
 ミサ曲 「千々の悲しみ」(1535/7年初稿版より サンクトゥス、
 ベネディクトゥス、アニュス・デイ)#、第1旋法によるマニフィカト
作者不詳(16世紀スペイン):Desilde al cavallero*
モラレス:ミサ曲 「Desilde al cavallero」+
デ・プロファンディス、
ロバート・ホリングワース(指)*#、
イーモン・ドゥーガン(指)+、
マーサ・マクロリナン(A)*、
リンダ・セイス(リュート、ビウエラ)*

録音:2022年5月2日-4日、セント・ジュード・オン・ザ・ヒル教会(ロンドン)
イ・ファジョリーニやケンブリッジ・タヴァナー合唱団のメンバーとして活動したマーク・ドゥーリッシュによって2011年に結成され、その独創的な活動で注目を浴びるルネサンス音楽専門の男声ヴォーカル・アンサンブル、デ・プロファンディス。 Hyperionからは「ベルナルディーノ・デ・リベーラ」(CDA68141)、「セバスティアン・デ・ビバンコ」(CDA68257)、「フアン・エスキベル」(CDA68326)と、知られざるスペイン・ルネサンスの音楽を精力的にレコーディングしてきたデ・プロファンディスのHyperion第4弾は、クリストバル・デ・モラレス(c.1500-1553)の2つのミサ曲とマニフィカトを収録。 モラレスはジョスカン・デ・プレの死後、パレストリーナとラッススが台頭する間の時代に活躍した、スペイン・ルネサンスの大家であり、おそらく当時もっとも有名な作曲家です。これまでの録音(デ・リベーラ、デ・ビバンコ、エスキベル)に比べれば著名な音楽家ですが、本格的な調査・研究は途上であり、今回収録されるミサ曲やマニフィカトの録音も限られていました。メインとなるミサ曲「千々の悲しみ(Mille regretz)」は、天正遣欧少年使節団が帰国後に豊臣秀吉に聴かせたというエピソードでも有名なジョスカンの「千々の悲しみ」で知られる、フランスのシャンソンを元にしたパロディ・ミサ。ミサ曲「Desilde al cavallero」は、今日ではあまり知られておりませんが、カベソンやゴンベールの作品にも用いられている当時のスペインの流行歌を基にしており、いずれもモラレスの比較的早い時期に書かれたであろうと考えられています。 決まった音楽監督置かず、プロジェクトごとにその道のスペシャリストを指揮者に招くというのもデ・プロファンディスの特徴の1つです。今作では、イ・ファジョリーニの創設者ロバート・ホリングワースと、ザ・シックスティーンのアソシエイト・コンダクターであり、Coroレーベルでは知られざるポーランド・バロックの録音シリーズでその手腕を発揮してきた実力者、イーモン・ドゥーガンがそれぞれ指揮を担当。ジョスカンの「千々の悲しみ」と「Desilde al cavallero」の原曲もマーサ・マクロリナンの歌で収録し、ミサ曲「千々の悲しみ」は、サンクトゥス〜アニュス・デイの部分は1544年版と1535/7年初稿版の両ヴァージョンを収録するなど、隙の無いプログラム構成も大きなポイントです。

Da Vinci Classics
C-00658(1CD)
ジュリオ・サン・ピエトロ・デル・ネグロ(ca.1570-a.1620):モテット集「愛への憧れ」(世界初録音) スコラ・カントルム・バレンシス、
ジルベルト・スコルダーリ(オルガン&指揮)、
トーマス・チギオーニ(Vc)

録音:2022年4月、キエーザ・デル・アマルティファーナ(モノポリ、イタリア)
17世紀初頭における「前衛作曲家」と位置付けられるジュリオ・サン・ピエトロ・デル・ネグロの音楽的存在感については、未だに十分な考察がなされていません。
しかしながら、近年の研究や彼の伝記によって、同時代の音楽文化の枠組みの中でデル・ネグロが果たした役割が再認識されつつあります。
今回収録された15曲のモテットは、「セコンダ・プラティカ」と呼ばれる音楽様式で作曲されており、デル・ネグロの真価の再評価の一端を担うことでしょう。
Da Vinci Classics
C-00653(1CD)
ギターのためのドイツ・バロックの音楽
ブクステフーデ:組曲ホ短調 BuxWV.237
フローベルガー:組曲イ長調 FBWV.608
バッハ:パルティータ ハ短調 BWV.997
ヴァイス:ソナタ第13番ニ長調 WEISSSW.18(ロンドン・マニュスクリプト)
フランチェスコ・モルメンティ(G)

録音:2021年7月、サン・ミケーレ・ア・カノーヴァ教会(イタリア)
撥弦楽器の中で、バロック時代を代表する楽器といえば、リュートとチェンバロ。
この2つの楽器のために書かれた音楽の演奏にギターで取り組んだフランチェスコ・モルメンティは、イタリアのギタリスト兼音楽学者。
2015年のアジア・インターナショナル・ギター・フェスティヴァル&コンクールでも第2位を獲得するなど、世界各地で活発に活動を続けています。

ARCANA
A-539(1CD)
モッシとモンタナーリ、18世紀ローマのヴァイオリン音楽
アントニオ・モンタナーリ(1676-1737):ドレスデン・ソナタ ニ短調
ジョヴァンニ・モッシ(1680頃-1742):ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ニ短調 Op.6-4*
モンタナーリ:ドレスデン・ソナタ ホ短調
モッシ:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ホ長調 Op.6-5*
モンタナーリ:ドレスデン・ソナタ イ短調*
モッシ:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ト短調 Op.5-6*
ガブリエーレ・プロ(Vn、指揮)
 使用楽器:クレモナのジュゼッペ・グヮルネリ・デル・ジェズ1730年製作モデルによるラヴェンナのマルコ・ミンノッツィ2018年製作の再現楽器
アニマ&コルポ(古楽器使用)【マリア・カルヴォ(Vc)、シモーネ・ヴァッレロトンダ(アーチリュート、バロックギター)、クリスティアーノ・ガウディオ(Cemb)】

録音:2021年7月18-21日サンタゴスティーノ教会講堂、サン・ジネジオ(イタリア南東部マチェラータ県)
*=世界初録音
バロック期を通じ、芸術愛好の貴族や高位聖職者たちによって豊かな音楽文化が育まれていた永遠の都ローマ。17世紀末にはボローニャ で腕を磨いたヴァイオリンの名手コレッリが拠点を構え、作曲・演奏の両面で大いに活躍をみせました。その影響力は諸外国にも及んだ一 方、地元ローマでもコレッリ亡き後なお数多くのすぐれたヴァイオリン奏者=作曲家が活躍していたことは見過ごせません。イタリア屈指の古楽 レーベルARCANAが世に問うこのアルバムは、その中でも特に注目すべきモッシとモンタナーリの二人に光を当てたもの。コレッリの影響を色 濃く残しながら、流麗な歌心を通奏低音とヴァイオリン一つで紡ぎ出すモッシのソナタ、歯切れの良さとコントラストの明快さ、着想の多様さが 魅力的なモンタナーリの「ドレスデン・ソナタ」、両者ともコレッリに師事したかは定かでないながら、いずれ劣らぬ充実ぶり。楽都ローマの器楽 面での充実が彼らによって担保されていたことがよくわかります。ヴァイオリンのガブリエーレ・プロが端正に奏でる主旋律もさることながら、シモー ネ・ヴァッレロトンダの小気味良い撥弦をはじめ、味わい深い音色を聴かせる通奏低音の立ちまわりも聴きどころに事欠きません。

Linn
CKD-708(1CD)
よく整えられたヴィオール合奏曲集 第3巻』 バッハ:ヴィオール合奏による作品集 3
バッハ:3声のシンフォニア 第1番 ハ長調 BWV 787〜『インヴェンションとシンフォニア』より
われらの主キリスト、ヨルダン川に来り BWV 684〜『クラヴィーア練習曲集 第3巻』より
フーガ 第3番嬰ハ長調 BWV 872〜『平均律クラヴィーア曲集 第2巻』より*
すべての世の慰めなるキリストよ BWV 673〜『クラヴィーア練習曲集 第3巻』より
フーガ 第24番ロ短調 BWV 893〜『平均律クラヴィーア曲集 第2巻』より*
われらみな唯一の神を信ず BWV 680〜『クラヴィーア練習曲集 第3巻』より
フーガ 第15番ト長調 BWV 884〜『平均律クラヴィーア曲集 第2巻』より
プレリュード 第18番嬰ト短調 BWV 863〜『平均律クラヴィーア曲集 第1巻』より*
フーガ 第18番嬰ト短調 BWV 863〜『平均律クラヴィーア曲集 第1巻』より*
「これぞ聖なる十戒」によるフゲッタ BWV 679 〜『クラヴィーア練習曲集 第3巻』より
フーガ 第2番ハ短調 BWV 847〜『平均律クラヴィーア曲集 第1巻』より
プレリュード 第12番ヘ短調 BWV 881〜『平均律クラヴィーア曲集 第2巻』より
フーガ 第12番ヘ短調 BWV 881〜『平均律クラヴィーア曲集 第2巻』より
3声のシンフォニア 第8番ヘ長調 BWV 794〜『インヴェンションとシンフォニア』より
フーガ 第23番ロ長調 BWV 892〜『平均律クラヴィーア曲集 第2巻』より*
フーガ 第11番ヘ長調 BWV 880〜『平均律クラヴィーア曲集 第2巻』より
「イエス・キリスト、われらが救い主」によるフーガ BWV 689〜『クラヴィーア練習曲集 第3巻』より
フーガ 第21番変ロ長調 BWV 866〜『平均律クラヴィーア曲集 第1巻』より
キリエ:永遠の父なる神よ BWV 669〜『クラヴィーア練習曲集 第3巻』より
フーガ 第18番嬰ト短調 BWV 887〜『平均律クラヴィーア曲集 第2巻』より*
キリエ:永遠の父なる神よ(別のやり方で)BWV 672〜『クラヴィーア練習曲集 第3巻』より
キリエ:聖霊なる神よ BWV 674〜『クラヴィーア練習曲集 第3巻』より
フーガ 第20番イ短調 BWV 889〜『平均律クラヴィーア曲集 第2巻』より
「いと高き天にいます神にのみ栄光あれ」によるフゲッタ BWV 677〜『クラヴィーア練習曲集 第3巻』より
フーガ 第8番嬰ニ短調 BWV 877〜『平均律クラヴィーア曲集 第2巻』より*
フーガ 第5番ニ長調 BWV 850〜『平均律クラヴィーア曲集 第1巻』より
ファンタジア ト長調 BWV 572

無印:原調による演奏
*:半音または全音低く移調して演奏
ファンタズム(古楽器使用)【ローレンス・ドレフュス(ディスカント・ガンバ、指揮)、エミリア・ベンジャミン(ディスカント・ガンバ)、ジョナサン・マンソン(テノール・ガンバ)、ハイディ・グレーガー(バス・ガンバ、ヴィオローネ)、マルック・ルオラヤン=ミッコラ(バス・ガンバ)】

a=415Hz

録音:2022年5月23-26日アルトグリーニッケ教区福音教会、ベルリン
『マタイ受難曲』やブランデンブルク協奏曲第6番、チェンバロを伴う3曲のソナタなど、バッハは18世紀初頭すでに廃れはじめていた古い弓奏 弦楽器ヴィオール(ヴィオラ・ダ・ガンバ)をさまざまな名曲で活躍させました。この種の楽器の全盛期は16〜17世紀で、ディスカント(高音域) の小型楽器からバス、時には最低音域を受け持つヴィオローネまで大小揃えたコンソートは教会奏楽の伴奏から貴人たちが愉しむ合奏ま で、さまざまな局面に活躍の場を見出していました。オルガンをはじめ鍵盤楽器の独奏用に書かれた曲をヴィオール合奏に編曲して弾く習慣 も古くからあり、英国を代表するヴィオール合奏団ファンタズムはその史実に倣うかのごとく、バッハの『平均律クラヴィーア曲集』の収録曲をヴィ オール合奏で演奏したアルバムをこれまでに2作LINN RECORDSに録音してきました。好評を受けての第3弾は、この演奏形態の歴史的 ルーツにも触れるオルガン作品『クラヴィーア練習曲集 第3巻』や『インヴェンションとシンフォニア』からの作品も多数収録。バッハが生まれた 17世紀のドイツに息づいていた伝統の息吹も感じさせながら、名手揃いのファンタズムならではの気品漂う解釈は今回も深い余韻を残す演 奏に仕上がっています。本来の楽器での演奏とはまた違った角度から光が当たることで、それぞれの曲に潜む思わぬ奥深さにも気づかされま す。

Chateau de Versailles Spectacles
CVS-088(1CD)
フランス・バロックのカンタートの世界
クレランボー(1676-1749):カンタート「オルフェ」((1710年パリ刊/同年の手稿譜〔フランス国立図書館所蔵〕による演奏)
シャルル・ピロワ(1670頃-1724):カンタート「ユリディスの冥府への再送還」(1717年パリ刊)
ダンドリュー(1682-1738):オルフェのリラ((『クラヴサン曲集 第2巻』〔1728年パリ刊〕より)
ラモー:カンタート「オルフェ」(1721年の手稿譜〔フランス国立図書館所蔵〕による演奏)
マラン・マレ:人間の声((『ヴィオール曲集 第2巻』〔1701年パリ刊〕より))
ウジェーヌ・ルフェーヴル(ドゥシュ〔ソプラノ〕)
ザッカリー・ワイルダー(ターユ〔テノール〕)
エティエンヌ・バゾラ(バス・ターユ〔バリトン〕)
ジョゼフ・コッテ、ルイ・クレアック(Vn)
トマ・ルコント(フラウト・トラヴェルソ)
ヴァレリー・バルサ=ジャフレ(フラウト・トラヴェルソ、バロック・ピッコロ)
アントワーヌ・トゥーシュ(Vc)
マティルド・ヴィアル(バス・ド・ヴィオール〔ヴィオラ・ダ・ガンバ〕)
ロナン・カリル(クラヴサン〔チェンバロ〕)
ティボー・ルーセル(テオルボ、リュート)

録音:2022年3月14-17日プティ・トリアノン宮殿礼拝堂、ヴェルサイユ、フランス
「フランスにはフランスならではの音楽を」と、自国の音楽を何より優先させた太陽王ルイ14世が世を去ったのが1715年。その少し前から、イ タリア人作曲家たちの室内カンタータを手本にフランス独自の発展をみせていたフランス語歌詞によるカンタートの数々は、時としてヴァイオリン やフルートを加えた編成で充実した音楽描写が聴かれ、個々に小さなオペラのような魅力が詰まっています。カンプラやクレランボーの傑作群 は録音も多くなされてきましたが、ヴェルサイユ宮殿の催事部門Chateau de Versailles Spectaclesが主宰するレーベルで制作されたこ のアルバムでは、フランス最前線でソロ及びアンサンブルで活躍する実力派ばかりが居並ぶ充実編成が目を引きます。テーマは古代神話の 詩人音楽家オルフェウスの物語。クレランボーの傑作に始まり、その人気をふまえた続編として出版されたピロワの珍しい作品、作曲者の知 名度に反して意外に録音が多くないラモーの『オルフェ』といった充実選曲を、バロックのオペラや宗教曲で広範に活躍する3人の歌手が細や かな解釈で歌い上げる一方、アンサンブル経験豊かなソリスト続々の器楽勢も随所で耳を惹く立ちまわりをみせ、聴きどころに事欠きませ ん。最後を飾るのは、ネヴァーマインドのルイ・クレアック、ピグマリオンやアンサンブル・コレスポンダンスのジョゼフ・コッテという、フランス第一線の 古楽団体で活躍する俊才ヴァイオリニスト2人。「歌なし」で締めくくられる最終トラックがもたらす余韻も実に味わい深いものがあります。

H.M.F
HMM-902712(2CD)
ビーバー:ロザリオ・ソナタ
[CD1]
「喜びの秘蹟」
第1番ニ短調「受胎告知」,第2番イ長調「訪問」,第3番ロ短調「降誕」,
第4番ニ短調「拝謁」,第5番イ長調「神殿のイエス」
「苦しみの秘蹟」
第6番ハ短調「オリーヴの山で苦しみ」,第7番ヘ長調「鞭打ち」,
第8番変ロ長調「いばらの冠をのせられ」,第9番イ短調「十字架を背負う」
[CD2]
第10番ト短調「磔刑」
「栄光の秘蹟」
第11番ト長調「復活」,第12番ハ長調「昇天」,第13番ニ短調「聖霊降臨」,
第14番ニ長調「聖母被昇天」,第15番ハ長調「聖母の戴冠」、第16番「守護天使」(パッサカリア)
アマンディーヌ・ベイエ(Vn)
使用楽器:第1, 10, 16番/1996年製ピエール・ジャケ製(アマティ・モデル)*
第2,4,6,11,14番/2015年シャルル・リシェ製、ヤコブス・シュタイナー・モデル)**
第3,7,8,12番/2011年マルセロ・ヴィアナ・クルス製、ジョヴァンニ・バッティスタ・グァダニーニ・モデル)**
第3,7,8,15番/2021年マルセロ・ヴィアナ・クルス製、ジョヴァンニ・パオロ・マッジーニ・モデル)*
弓:1998年アントニーノ・アイレンティ製*、2005年エドゥアルド・ゴル製**
バルドメロ・バルシエラ/ヴィオラ・ダ・ガンバ 、ヴィオローネ
フランチェスコ・ロマノ/アーチリュート
ナチョ・ラグナ/テオルボ
アンナ・フォンターナ(チェンバロ、ポジティブ・オルガン)

録音:2022年9月
17世紀のヴァイオリン音楽の至難の名曲、ビーバーのロザリオ・ソナタ。多様なスコルダトゥーラ(変則調弦)が指定されている上に、自身ヴァイオリンの 名手でもあったビーバーが、自身の腕前を披露するために各曲に高い技術と深い内容を盛り込んだ超難曲です。数多くの名盤が存在しますが、ここで、ベイエ による、きらりと光る名演の登場。ビーバーが見事に楽譜に書き起こした即興性に満ちたパッセージや旋律が、躍動的なリズムとともに生きもののように聴き手 に迫ってきます。どの曲も高い技術で演奏されているのはもちろん、ひとつのフレーズの中でも下降音型と上行音型で表情がまったく異なる歌にみちているなど、 細部まで美しい表情に満ちていて、非常に人間味にあふれています。通奏低音のメンバーと織りなす美しいアンサンブルも聴きものの充実の演奏です。
注目なのが、この録音が生まれるきっかけ。それはベルギーの国際的ダンス・カンパニー、ローザスの公演でした。2022年2月にベルギーで初演された 「Mystery Sonatas/ for Rosa」の公演では、ビーバーのロザリオ・ソナタの楽曲をバックにローザスのダンサーが踊りましたが、その音楽演奏をベイエら が担当しました。聖書の物語に基づく音楽ではありますが、楽曲にはクーラントはサラバンドなどの舞曲も含まれており、舞曲の要素も多分に含まれるロザリオ のソナタ。ダンサーたちはバラの花びらや棘を思わせる動きをしながら作品が進行、美しい照明もあいまって、舞台は絶賛されました。そこでの体験はベイエにとっ て大変大きなもので、ぜひ録音を、ということで実現したのがこのディスクです。ダンサーたちの動きに合わせて演奏しているかのような、抜群のリズムと躍動 感に満ちたこの名演奏の理由のひとつといえるでしょう。ジャケット写真もローザスの公演のものとなっております。 (Ki)

Evil Penguin Records
EPRC-0050(1CD)
イン・メモリアムI
シューベルト:「しぼめる花」の主題による序奏と変奏曲 D802Op.160(原曲:フルートとピアノ)
ソナタ イ長調 D574Op.post.162(原曲:ヴァイオリンとピアノ)
ロンド ロ短調 D895Op.70(原曲:ヴァイオリンとピアノ)
幻想曲 ハ長調 D934(原曲:ヴァイオリンとピアノ)
ピーター・ウィスペルウェイ(Vc)
パオロ・ジャコメッティ(P)

録音:2014-2017年
2023年にウィスペルウェイが発表する「イン・メモリアム」シリーズの第1弾。今作は過去にリリースされたシューベルトとブラームスの録音プロジェクトから、 シューベルトの作品を抜粋して再構成したアルバムです。どれも元は別の楽器のために書かれた作品でありながら、チェロの音色にも非常にマッチする美しい名品 ばかり。ウィスペルウェイが厚い信頼を寄せるピアニスト、パオロ・ジャコメッティの伴奏も息ぴったりです。シューベルトの音楽は、音楽愛好家だったウィスペルウェ イの息子にも大きな影響を与えたそうです。
「2022年、60歳の誕生日を迎える半年前に、息子のドリアンが亡くなりました。私も家族もたいへんなショックを受け、毎日が根底から揺らいでいる状態です。 音楽を通して、前向きで建設的な癒しをもたらすことが、私の進むべき道だと思います。」(ピーター・ウィスペルウェイ)
2023年10月頃に「イン・メモリアムII」として、バッハとコダーイのソロからの新録音をリリース予定。 (Ki)

Initiale
INL-13(1CD)
スフマート
コレッリ(編曲者不詳):ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタOp.5
ヴィヴァルディ:チェロ・ソナタRV47〜前奏曲
ジャコギルボベ・チェルヴェット:トリオ・ソナタOp.1の3
マラン・マレ:組曲ト短調〜前奏曲
マルチェッロ:2つの低音のためのソナタOp.6の2
ジャン=バティスト・バリエール:チェンバロ・ソナタ第4番〜アダージョ
 チェロ・ソナタ第6番
ヴィヴァルディ:チェロ・ソナタRV47〜ラルゴ
ジャン=バティスト・バリエール:チェロ曲集第3巻〜ソナタ第2番
セ・テトランジュ・エクラ【ゴーチエ・ブルタン(Vc)、アニエス・ボワソンノ=ギルボ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、クロエ・リュカ(ヴィオローネ)、ノラ・ダルガザンリ(チャンバロ)】

録音:2020年10月26-29日ボン・スクール・ルター派教会(パリ)
セ・テトランジュ・エクラは低弦だけの編成による若き古楽器団体。パリ音楽院の学生で結成され、17-8世紀の低弦レパートリーに興味と情熱を燃やしていま す。グループ名はアラゴンの詩からとられ、「長く残る香り」を意味します。18世紀の聴衆を驚かせたオーディオ効果をお楽しみください。 (Ki)

H.M.F
HMM-902709(1CD)
鳥たちのコンサート
(1)パーセル:鳥への前奏曲〜「妖精の女王」より
(2)ファン・エイク:イギリスのナイチンゲール〜「笛の楽園」より
(3)テオドール・シュヴァルツコップ:ナイチンゲールとカッコウの模倣によるソナタ:アレグロ/ジーグ
(4)クープラン(ラ・レヴーズ編):恋のナイチンゲール〜「クラヴサン曲第3巻」より
(5)ジャン=バティスト・ブセ(ラ・レヴーズ編):どうして、甘いナイチンゲール〜「エール第14巻」より
(6)モンテクレール:さえずり〜2本のフルートのためのコンセール第5番
(7)クープラン(ラ・レヴーズ編):嘆くホオジロ〜「クラヴサン曲第3巻」より
(8)コレット:カッコウ
(9)サン=サーンス(ヴァンサン・ブショ編):森の奥のカッコウ〜「動物の謝肉祭」より
(10)ブリテン(ヴァンサン・ブショ編):カッコウ〜「金曜の午後」より
(11)ラモー(ヴァンサン・ブショ編):雌鶏
(12)サン=サーンス(ヴァンサン・ブショ編):雌鶏と雄鶏〜「動物の謝肉祭」より
(13)ラヴェル(ヴァンサン・ブショ編):女王の陶器人形レドロネット〜「マメール・ロワ」より
ヴァンサン・ブショ:絶滅危惧種の謝肉祭
(14)前奏曲:センザンコウの悲しみ
(15)アルマンド:ジャワスローロリス
(16)クーラント:昔の家禽ドードー
(17)間奏曲:レソミラ63
(18)サラバンド:白フクロウと黒フクロウ
(19)ガヴォット:インドガビアル(ワニ)
(20)間奏曲:レソミラ92
(21)ヴァルス・ツイスト:ナマコ
(22)ジーグ:人類、その進化
ラ・レヴーズ【セバスティアン・マルク(リコーダー、フラジオレット)、野崎剛右(フラジオレット、リコーダー、ミュゼット、ゲムスホルン)、フローランス・ボルトン(バス・ヴィオール、パルドゥシュ・ヴィオール)、バンジャマン・ペロー(テオルボ、バロックギター)、ジャン・ミゲル・アリスティサバル(Cemb)、シルヴァン・ルメートル(マリンバ、ヴィブラフォン、打楽器)】

録音:2022年6月/サン=ジャン=ド=ブレイ・カトリック教会(1)-(13)、2022年1月/シテ・ドゥ・ラ・ミュジーク(パリ)(14)-(22)
鳥は人類が音楽を始めるはるか昔からさえずっていました。人間が計算し考え抜いた完璧な音楽を作る間に、鳥は妙なる調べを自然に繰り出します。
作曲家たちは自然現象やある種の騒音を表現する試みをしてきましたが、鳥のさえずりは世界中で音楽化され、それぞれが工夫を見せています。ルネサンス、バ ロックはもとより、サン=サーンス、ラヴェル、ブリテンらの近代手法による鳥描写も楽しめます。
さらにヴァンサン・ブショがサン=サーンス作品をもじって作った「絶滅危惧種の謝肉祭」が聴きもの。古典組曲の様式であまり親しみのない動物たちを描き、最 後「人類」で閉めているのも意味深長でいろいろ考えさせられます。ブックレットはフルカラーで各種鳥類や動物の詳細な説明もあり愛蔵したくなる美しさです。
ラ・レヴーズはフローランス・ボルトンとバンジャマン・ペローにより2004年に創設された古楽器団体。17-8世紀作品が中心ですが、音楽と時事問題を組み 合わせたテーマで作品を構成し話題となっています。 (Ki)

BONGIOVANNI
GB-2602(2CD)
ピッチンニ:歌劇『ディドン』 デニア・マッツォラ・ガヴァッツェーニ(ディドン)
ゴナ・ジョン(エリーゼ)
シュザンナ・ハコブヤン(フェニス)
後田翔平(エネー)
ジョルジョ・ヴァレリオ(イアルベ)
フルヴィオ・オッテッリ(アラスペ/アンキセスの影)
アブ・ハルモニアエcho
オルケストラ・フィラルモニカ・イタリアーナ
ダミアーノ・チェルッティ(指)

録音:2021年5月/カストレッツァート、オーディトリアム・カヴァッリ・ムジカ
イタリアからパリに渡り、グルックと対立させられ論争に巻き込まれるほどの名高いオペラ作曲家として活躍したニコロ・ピッチンニ(1728-1800)。ジャン・ フランソワ・マルモンテルのフランス語の台本による3幕の叙情悲劇『ディドン』は、1783年10月16日にフォンテーヌブローでルイ16世とマリー・アン トワネットの立会いのもと初演されたオペラで、その後も何回も演奏された名作です。同じ題材を用いたベルリオーズの『トロイアの人々』にも影響を与えた とされています。 (Ki)
BONGIOVANNI
GB-2259(2CD)
パイジェッロ:歌劇『空想のソクラテス』 クラウディア・マルキ(ドンナ・ローザ)
ヨランダ・アウヤネット(エミーリア)
ダニエラ・スキッラーチ(ラウレッタ)
リンダ・カンパネッラ(チッラ)
フィリッポ・ピーナ・カスティリョーニ(イッポリート)
ドメニコ・コライアンニ(マストロ・アントニオ)
クリストフォロス・スタンボーリス(ドン・タンマーロ・プロモントリオ)
マッテオ・ペイローネ(カランドリーノ)
サヴォナ・G.マンツィーノ劇場cho
サヴォナSO
ジョヴァンニ・ディ・ステファノ(指)

ライヴ録音:1998年11月5・7・8日/サヴォナ、キアブレラ劇場
ジョヴァンニ・バッティスタ・ロレンツィと、啓蒙主義者のフェルディナント・ガリアーニが手がけた台本による3幕の喜劇『空想のソクラテス』。1775年10月 にナポリのヌオーヴォ劇場で初演され、大成功を収めたオペラです。内容は古代の哲学にかぶれソクラテスに心酔しすぎた男ドン・タンマーロ・プロモントリオが、 自身をソクラテスだと信じ込んでしまいソクラテスの生き方をなぞってしまうがために起こすドタバタ劇。指揮者ジョヴァンニ・ディ・ステファノ自らの校訂譜を使 用。
同品番で出ていた商品が、品番を変えずバーコードのみ変わって廉価再発売。ブックレットはトラックリストのみ。以前のバーコード(8007068225927)の 商品は廃盤になります。

CPO
CPO-555459(2CD)
NX-D1
シャイン(1586-1630):イスラエルの泉(1623)
【CD1】
イスラエルの泉 第1部 1-13
【CD2】
イスラエルの泉 第2部 14-26
オペラ・ムジカ【イザベル・シッケタンツ(ソプラノ1)、ハイディ・マリア・タウベルト(ソプラノ2)、スザンネ・ラングナー(A)、トビアス・フンガー(T)、フリーデマン・クロス(Bs)】
ティルマン・シュタインヘーフェル(ヴィオローネ)
グレゴール・メイヤー(指揮&ポジティフオルガン)

録音:2021年1月15-18日
ハインリヒ・シュッツ、ザムエル・シャイトと共にドイツ初期バロック音楽の隆盛に貢献したヨハン・ヘルマン・シャイン。ワ イマールの宮廷楽長やライプツィヒの聖トーマス教会の楽長を務め、ルター派の教えを魅力的な音楽で伝えるとと もに、ヴェネツィア楽派のコンチェルタート様式による教会音楽の発展に貢献しました。 この1623年に出版された5声と通奏低音からなる26曲のマドリガーレ集「イスラエルの泉」はライプツィヒ時代にお ける彼の代表作であり、ドイツ・オランダのモテットの伝統に、イタリアのマドリガーレの様式を融合させた意欲作。ド イツ17世紀のプロテスタントの心情も的確に反映された荘厳かつ美しい曲集です。演奏は2011年に指揮者グ レゴール・メイヤーによって設立されたオペラ・ムジカ。実力派の歌手たちをメンバーとするアンサンブルです。

Resonus
RES-10308(1CD)
NX-B05
イングランド王政復古期の歌曲集
ジョン・ブロウ(1649-1708):The Glorious Day is Come
Couch’d by the pleasant Helliconian spring
パーセル:『Dioclesian ダイオクリージャン』 Z.627, Act V- Oh, the sweet delights of love
3. A New Ground 新しいグランド ホ短調 ZT. 682
歌劇「妖精の女王」 Z. 629, Act V - O let me weep
歌劇「妖精の女王」 Z. 629? 序曲
Celebrate This Festival この祝祭を祝え Z. 321- Crown the altar, deck the shrine
Love’s Goddess Sure Was Blind 愛の女神は確かに盲目だった  Z. 331- Many such days may she behold
ブロウ:Laudate Nomen Domini
ブロウ:The Queen’s Epicedium
パーセル:O dive custos Auriacae domus 「徳」らに命じよ Z.504
フランチェスコ・コルベッタ(1615-1681):シャコンヌ
パーセル:She loves and she confesses too
 彼女は恋し、愛をうちあける Z.413
ジョン・エクルズ(1668-1735):Haste, give me wings
ブロウ:組曲第2番ニ短調- グラウンド
パーセル:乙女の最後の祈り Z. 601- No, resistance is but vain
 パーセル:組曲第6番ニ長調 Z. 667より【16. Prelude/ Almand/ [Hornpipe]】
パーセル:ドン・キホーテの滑稽な物語 Z. 578 - From rosy bow’rs
パーセル:歌劇「妖精の女王」 - If love’s a sweet passion
チェルレオ(古楽器使用)【エミリー・オーウェン(S)、ジェニー・ハーパー(S)、トビー・カー(テオルボ&バロック・ギター)、ケイト・コンウェイ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
サトコ・ドイ=ラック(Cemb)】

録音:2022年1月6-8日
2014年にギルドホール音楽演劇学校の生徒たちが結成した古楽アンサンブル、チェルレオ。メンバーは在学中に接したイングランド王政復古時代の 音楽に魅了され「誰もがパーセルの「ダイドーとエネアス」に感激した」といいます。彼らのCD第一作は原点ともいうべきパーセルとブロウの音楽集。二 人のソプラノはともにボーイ・ソプラノにも通じる澄んだ声質で、若き日のエマ・カークビーの声を思い出させます。同じ古楽歌手といってもフランスやイタリ アの歌手たちとは微妙に違ったイギリスらしい声で聞かせます。

Chateau de Versailles Spectacles
CVS-086(2CD)
NX-D09
リュリ:「プシュケ」 〜序幕付全5幕の抒情悲劇(全曲) プシュケ/苦悩する女…アンブロワジーヌ・ブレ(S)
美の女神ヴェニュス/ミューズ…ベネディクト・トーラン(S)
恋の神/アグロール/ニンフ…デボラ・カシェ(S)
花の女神フロール/シディプ/ニンフ/ミューズ…ユジェーヌ・ルフェーヴル(S)
ヴェルテュムヌ/青年に扮した恋の神/メルキュール…シリル・オヴィディ(オートコントル〔高音テノール〕)
火の神ヴュルカン/苦悩する男/憤怒の鬼…ロバート・ゲチェル(T)
パレモン/海の精シレーヌ/西風の精ゼフィール/憤怒の鬼/酒の神バッコス…ファビアン・イオン(T)
アポロン/西風の精ゼフィール/サティール…ザッカリー・ワイルダー(T)
大神ジュピテール/苦悩する男/サティール…フィリップ・エステーフ(Br)
リカス/王/モミュス/川の神/憤怒の鬼…アナス・セガン(Br)
軍神マルス…マチュー・エム(Br)
合唱のみ…ドミニク・ボヌタン、ブノワ・プロシェロ(オートコントル)
レ・タラン・リリク(古楽器使用)
クリストフ・ルセ(クラヴサン〔=チェンバロ〕、指揮)

録音:2022年1月29-31日 ヴェルサイユ宮殿王室歌劇場
18世紀以前の知られざる音楽劇蘇演に大きな貢献をみせてきたフランスの古楽歌劇カンパニー、レ・タラン・リリク。特にフランス語台本のオ ペラは、指揮者ルセほか多くのメンバーにとって日常言語の延長上にあるといってもよい言葉と音楽性の相性の良さが抜群のパフォーマンスに 繋がります。17世紀、ルイ14世の治世下にあって演劇と音楽の融合を追求し続けた王室音楽総監督リュリの劇音楽は、そんな彼らの本 領がここぞとばかりに発揮される領域。Aparteから2019年に「イシス」を、また2022年秋には「アシスとガラテー」をリリースしたのも記憶に新 しいところ、今度は抒情悲劇第6作「プシュケ(プシシェ)」が堂々登場!音楽入り演劇のあり方を巡って決裂する直前の劇作家モリエールと の共作による同題のトラジェディ=バレから7年後、悲劇作家ピエール・コルネイユの弟トマ・コルネイユと長命で知られるフォントネルの台本を もとに披露された牧歌的神話劇を、本場ヴェルサイユの王室歌劇場を舞台に鮮やかに現代に甦らせます。同作の全曲録音はcpoにも先 行盤(777367)がありますが、フランスの演奏陣によるものはこれが初。シリル・オヴィディやデボラ・カシェらフランス古楽界で押しも押されもせ ぬ活躍をみせる名歌手らの存在感もさることながら、自身プシュケをテーマにした歌曲アルバムも発表しているアンブロワジーヌ・ブレが喜怒哀 楽の機微を鮮やかに歌い上げる題名役も見事なもの。リコーダーのセバスティアン・マルクや低音弦のエマニュエル・ジャック、無孔ナチュラルト ランペットを吹きこなすジャン=フランソワ・マドゥーフら器楽勢の充実ぶりにも目を見張らされます。同レーベルの常どおり解説も充実(原文フ ランス語、英独訳付)。

RICERCAR
RIC-446(1CD)
『夜が来るたび』 〜独唱とリュートによるルネサンス世俗声楽曲
●黄昏〜
1. フィリップ・ヴェルドロ(1480/85-1530/52): おお、甘美なる夜
2. バルトロメオ・トロンボンチーノ(1470頃-1525以降): 眠ってしまうのか、わたしはむしろ
●恋人の不在〜
3. 伝フランシスコ・ゲレロ(1528-1599):こうも夜が暗くては
4. ジャン=ポール・パラダン(またはジョヴァンニ・パオロ・パラディーノ 1500-1566):ファンタジア第1番(リュート独奏)
5. 作者不詳:そうした夜はあまりに長い〜『ウプサラの歌集』より
6. ディエゴ・ピサドール(1509/10-1577以降): こうも夜が暗くては
7. 作者不詳:夜、誰もが休んでいるというのに〜オッタヴィアーノ・ペトルッチ編『フロットラ集 第4巻』(1505)より
●夢〜
8. パレストリーナ(1525/26-1594): どうか、決して私の心から
9. ラッスス:夜が来るたび
10. クレマン・ジャヌカン(1485頃-1558):夜が来るたび
11. トマ・クレキヨン(1505頃-1557)/編曲者不詳:夜が来るたび 〜ピエール・ファレーズの曲集より(リュート独奏)
12. クレキヨン:夜が来るたび
●月の輝き〜
13. パラダン:ファンタジア第2番(リュート独奏)
14. クレキヨン:月が、恋人たちの悩みの種なら
15. フアン・バスケス(1500頃-1563):月が上ったら
16. パレストリーナ:ああ、わたしが月の恋人であれば
17. 作者不詳:おお、輝かしい月よ〜『ウプサラの歌集』より
18. パラダン:ファンタジア第4番(リュート独奏)
19. ジョスカン・デプレ(1450頃-1521):恋の悩みはあまりにも大きく
●夜明け〜
20. ラッスス:夜は冷え込み、また暗くもあり
21. 作者不詳:夜には朝が続くもの〜ペトルッチ編『フロットラ集 第8巻』(1507)より
22. パラダン:ファンタジア第3番(リュート独奏)
23. ピエール・ド・マンシクール(1510-1564) :見よ、太陽と夜が
24. 作者不詳:夜明けにおいでなさい、恋人よ〜『ウプサラの歌集』より
25. ジョン・レノン(1940-1980)&ポール・マッカートニー(1942-): ブラックバード
ドゥルセス・エクスヴィエ【ロマン・ボクレール(Br)、ボル・ズリヤン(Lute)】

使用楽器:7コースのリュート:ヴェネツィアのG.イエベル(ヒーバー)1580年頃製作のモデルに基づくロンドンの
スティーヴン・ゴットリーブ1984年製作の再現楽器
 6コースのリュート:ボローニャのH.フレイ1530年頃製作のモデルに基づくアレアウ(ブラジル)のセサ
ル・アリアス2018年製作の再現楽器

録音:2022年5月 サンテーユ聖母教会(南仏エロー県)
16世紀には、パレストリーナやラッススらによる教会音楽はもとより、ヴェルドロやジャヌカンらの世俗音楽も、多くの場合は3〜5声が別々のメ ロディを歌いあわせるポリフォニー楽曲として作曲されました。しかし当時のさまざまな史料から、そうした歌もリュート1挺を従えた独唱で演奏 される機会が少なからずあったことも判っています。既にジョスカン・デプレの世俗歌曲群をその手法で、多くの声部をリュートで受け持って見 事なアルバム(RIC403/国内仕様盤NYCX-10071)を制作している、スロヴェニア出身の新世代名手ボル・ズリヤンとフランスの古楽歌 手ロマン・ボクレールのタッグは今回、たった一人で過ごす夜に去来する恋の悩みを歌ったイタリア語マドリガーレやフランス語シャンソン、および スペイン語歌曲を集め、黄昏から夜明けまでの時の流れを追ったプログラムを二人だけでじっくり解釈。幾人もの歌手が歌うよりも現代人の 感覚に近いと言ってもよい孤独感を鮮やかな演奏に結晶させました。温もりあるボクレールの美声もさることながら、ジェズアルドのマドリガーレ をリュート独奏で演奏した驚くべきアルバム(RIC434/NYCX-10311『レコード芸術』誌特選)で新たに注目を浴びたズリヤンの細部まで 行き届いた解釈も見事なもの。一連の切ない詩句による歌の末、不意にアンコールのように盛り込まれたビートルズの「ブラックバード」もあま りに自然な美しさではっとさせられます。

INVENTA
INV-1005(1CD)
NX-B05
世界一の富豪のための16世紀のヴィオール音楽集
イザーク(1450頃-1517):Las rauschen
イザーク:Fortuna - Bruder Conrat
ピエール・ド・ラ・リュー(1452頃-1518):Ain frolich wesen
アダム・レナー(1485頃-1520頃):Ach ainigs ain
ジョスカン・デ・プレ(1450頃/1455-1521):Entre iesuis
 私はもの思いに沈んだ
ド・ラ・リュー:Carmen
イザーク:Zart liebster frucht
作者不詳:Plus oultre pretens
作者不詳:Vil gluck und hayl
パウル・ホフハイマー(1459-1537):On frewdt verzer ich
アントワーヌ・ブリュメル(1460頃-1512/1513):アンデルナハで
ピエール・アラミレ(1470頃-1536):T'Andernacken
作者不詳:Ways nit
イザーク:La la ho ho
ルートヴィヒ・ゼンフル(1486頃-1543):Carmen in la
ゼンフル:Carmen in re
ゼンフル:Alles regres
ジョスカン・デ・プレ:Plus miltz regretz
ド・ラ・リュー:Tous les regretz
ド・ラ・リュー:Jouyssance vous donneray "Iam sauche, Jani sauche"
ド・ラ・リュー:Carmen
ホフハイマー:Fro bin ich dein
イザーク:Guretzsch
レナー:Jetzt hat volbracht
ゼンフル:Dem ewigen Gott
 Albrecht mirs schwer
 In lieb und freid hab ich mein bscheid
リナロール・コンソート(ヴィオール・アンサンブル)【デイヴィッド・ハッチャー、森川麻子、アリソン・キンダー、クレア・ホラチェク】

録音:2020年2月11-13日
フレットワークなどで活躍するデイヴィッド・ハッチャーや森川麻子といった日本の古楽ファンにもなじみ深いメンバーが参加する「リナロール・アンサンブル」 がInventa Recordsにデビュー。このアルバムのタイトルとなっている「世界一の富豪」とはドイツのアウクスブルクを拠点としたフッガー家の当主ヤーコ プ・フッガー(1459-1525)のこと。フッガー家は15世紀から16世紀にかけて貿易や鉱山経営で巨大な富を築き、神聖ローマ帝国のメインバンク同 然の地位に君臨、ヤーコプは貴族に叙せられ「世界一の富豪」と呼ばれました。彼の宮廷で演奏された音楽はオーストリア国立図書館に大量の手 稿譜の形で収蔵されており、それを目にしたデイヴィッド・ハッチャーが校訂して現代譜に起こし、今回の録音に臨みました。収録曲は主に16世紀初 頭のドイツ語圏やフランドルのものです。
INVENTA
INV-1010(1CD)
NX-B05
世界一の富豪のための16世紀のヴィオール音楽集 Vol.2
ゲオルク・ブランケンミュラー(1480頃-?):Inn stetter hut*
コンラート・ルプシュ(1475頃-1530頃):Nun bit wir den hayligen geist*
ルートヴィヒ・ゼンフル(1486頃-1543):M. dein bin ich/Es taget vor dem walde das drit*
ゼンフル:in bin ich das erst*
パウル・ホフハイマー(1459-1537):Die prunlein die da vliessen
ゼンフル:Die prunlein die da fliessen*
 Fortuna/Nasci pati mori
 Fortuna/Ich stund an ainem morgen
イザーク(1450頃-1517):Maudit soyt
作者不詳:Carmen Hercules
ゼンフル:Ich armer man/mein herz ist alles/ ach got wem soll ichs clagen
ノエル・バウルデヴェイン(1480頃-1509-13活躍):Ach got wem soll ichs clagen
ゼンフル:Fortuna/Helena desiderio*
ゼンフル:Fortuna/Virgo prudentissima*
イザーク:File vos
ゼンフル:Carmen Lamentatio*
ブランケンミュラー:Kein clag hab ich*
ゼンフル:M. dein bin ich/Es taget vor dem walde das viert*
ゼンフル:Ich sag und clag das ander*
作者不詳:Naves pont*
イザーク:Carmen
ゼンフル:Unseglich schmerz entpfindt mein hertz
バルトロメ・ジンガー(1520代頃活躍):Ain diernlein zart
ゼンフル:Kain sach mir nye auff erden*
バウルデヴェイン:Ach hulff mich layd
イザーク:Carmen
ゼンフル:Warhafftig mag ich sprechen wol
イザーク:Wolauff gut gsell von hinnen
ゼンフル:On allen schertz*
*…手稿譜からの小品
リナロール・コンソート(ヴィオール・アンサンブル)【デイヴィッド・ハッチャー、森川麻子、アリソン・キンダー、クレア・ホラーチェク、ティム・リン】
ジェイムズ・ギルクリスト(T)

録音:2021年10月
このアルバムのタイトルとなっている「世界一の富豪」とはドイツのアウクスブルクを拠点としたフッガー家の当主 ヤーコプ・フッガー(1459-1525)のこと。フッガー家は15世紀から16世紀にかけて貿易や鉱山経営で巨大 な富を築き、神聖ローマ帝国のメインバンク同然の地位に君臨、ヤーコプは貴族に叙せられました。芸術を庇 護したので多くの芸術家が集まり、その宮廷で演奏された音楽はオーストリア国立図書館に大量の手稿譜の 形で収蔵されています。ここに録音されたのは当時のドイツ、フランドル、フランスで高い名声を得ていた作曲 家たちによる作品で、当時の流行歌をヴィオール(ヴィオラ・ダ・ガンバ)合奏用に編曲したもの。一部の曲に はテノールのジェイムズ・ギルクリストが参加して「元唄」を歌っています。当時の流行歌は各地の宮廷に同じも のが流布していましたが、トラック1-4,6,13,14,16-20,24,29は当コレクションでしか見られない 貴重な曲です。

CPO
CPO-555497(1CD)
NX-B02
18世紀の室内楽作品集
フェリーチェ・ジャルディーニ(1716-1796):オーボエ四重奏曲 ハ長調 Op. 23No. 6
ヨハン・クリスティアン・バッハ:フルート、オーボエ、ヴァイオリン、チェロとチェンバロのための五重奏曲 ニ長調 Op. 22No. 1W. 876
ジャルディーニ:チェンバロと弦楽三重奏のための四重奏曲 ハ長調 Op. 21No. 6
ジャルディーニ:チェンバロと弦楽三重奏のための四重奏曲 ヘ長調 Op. 21, No. 1
J. C. バッハ:五重奏曲 ニ長調 Op. 11No. 6W. B75
ラストレー(古楽器アンサンブル)

録音:2021年6月14-16日
17世紀から19世紀にかけて"トリノ音楽アカデミー"は英国貴族たちの憧れの的でした。ロンドンとトリノを結ぶネッ トワークが強化され、トリノには英国貴族とその教師たちが在籍するとともに、イギリスを発祥とする友愛団体として のフリーメイソンの教義もヨーロッパ諸国へと広まっていきます。また逆にイタリアの文学者、画家、彫刻家、音楽家 たちはイギリスに渡り、新たな文化を吸収しました。このアルバムではイギリスで活躍し2つの文化の懸け橋となった 2人の作曲家フェリーチェ・ジャルディーニとヨハン・クリスティアン・バッハの作品を収録。ジャルディーニはチェンバロ、 ヴァイオリン奏者としてヨーロッパで活躍したのち、1752年にロンドンのキングス劇場でのイタリア・オペラの上演で 成功、興行者としても注目された作曲家。かたやJ.C.バッハは大バッハの末息子で、イタリアで学んだ後、ロンドン に移住。様々な作品を発表し成功を収めました。 17-18世紀のレパートリーを歴史的解釈に基づいて古楽器で演奏するアンサンブル、ラストレーの演奏で彼らの 作品を楽しめます。
CPO
CPO-777882(1CD)
NX-B10
テレマン:ヴァイオリン協奏曲全集 第8集
協奏序曲(組曲) ト短調 TWV 55:g8
2つのヴァイオリンのため協奏曲 変ロ長調 TWV 52:B2
2つのヴァイオリンのための協奏曲 ト長調 TWV 52:G2
2つのヴィオレッタのための協奏曲 ト長調 TWV 52:G3
3つのヴァイオリンのための協奏曲 ヘ長調 TWV 53:F1
エリザベス・ウォルフィッシュ(Vn/ヴィオレッタ&指)
ウォルフィッシュ・バンド(古楽アンサンブル)

録音:2013年10月5-8日
cpoの人気シリーズ、テレマンのヴァイオリン協奏曲集の第8集は、2つまたは3つのヴァイオリンをソロ楽器とする協 奏的作品を収録しています。これらはアイゼナハ時代(1708-1712)及び1730年代の作品で、荘重な序曲で 始まる組曲や「ヴィオレッタ」というソロ楽器を指定したTWV 52:G3はフランス風の表情記号を持つ楽章で構成 される一方、TWV 52:B2とG2は緩急緩急、TWV 53:F1は急緩急とイタリア的な構成。テレマンの作曲技 法やアイディアの豊かさにあらためて感心させられる1枚です。バロック時代に「ヴィオレッタ(ヴィオレット)」と呼ばれた 楽器は多種多様で実態は不明ですが、このディスクではフランス・バロックに見られる2種類の変則調弦を施した バロック・ヴィオラを使っているとのこと。

Dynamic
DYNDVD-37936(DVD)
NX-D03

DYNBRD-57936(Bluray)
NX-D03
ニコラ・ポルポラ(1686-1768):歌劇「アンジェリカ」 オルランド…テレーザ・イエルヴォリーノ(Ms)
メドーロ…パオラ・ヴァレンティーノ・モリナーリ(S)
アンジェリカ…エカテリーナ・バカノヴァ(S)
リコーリ…ガイア・ペトローネ(Ms)
ティティロ…セルジョ・フォレスティ(Br)
ティルシ…バルバラ・マッサーロ(S)
ファットリア・ヴィッタディーニ(ダンス・カンパニー)
ラ・リラ・ディ・オルフェオ(古楽器使用)
フェデリコ・マリア・サルデッリ(指)
演出、舞台美術、衣装:ジャンルカ・ファラスキ


収録:2021年7月30日~8月3日 第47回ヴァッレ・ディトリア音楽祭
ドゥカーレ宮殿、マルティーナ・フランカ(イタリア)
収録時間:147分
音声:イタリア語
PCMステレオ2.0/Dolby Digital 5.1(DVD)
PCMステレオ2.0/DTS-HD Master Audio 5.1(Blu-ray)
字幕:日本語・イタリア語・英語・ドイツ語・フランス語・韓国語
画角:16/9 NTSC All Region
DVD…片面二層ディスク
Blu-ray…片面二層ディスク 1080i High Definition
ナポリ楽派を代表する作曲家のひとり、ニコラ・ポルポラの歌劇(セレナータ)「アンジェリカ」は、宮廷の慶事を祝う機会音楽として作曲され、その台本が劇作 家メタスタージオの一作目であるとともに、後年「ファリネッリ」としてその名声を馳せるカストラートのカルロ・ブロスキが、歌手デビューを飾った作品としても知ら れています。そのロンドン時代はヘンデルのライバルと目され、ウィーン時代にはハイドンが師事したポルポラの音楽は、華やかな色彩と豊かな楽想に満ちたも の。演出・舞台美術・衣装は著名な服飾デザイナー、ジャンルカ・ファラスキが担当。題名役のエカテリーナ・バカノヴァ、オルランド役のテレーザ・イエルヴォ リーノら粒ぞろいの歌唱陣と、ラ・リラ・ディ・オルフェオ(ラッファエーレ・ペー主宰)が古楽演奏を中心に活躍する名匠フェデリコ・マリア・サルデッリのタクトのもと 躍動感と抒情に溢れる演唱を繰り広げます。
Dynamic
CDS-7936(2CD)
NX-C09
ニコラ・ポルポラ(1686-1768):歌劇「アンジェリカ」 オルランド…テレーザ・イエルヴォリーノ(Ms)
メドーロ…パオラ・ヴァレンティーノ・モリナーリ(S)
アンジェリカ…エカテリーナ・バカノヴァ(S)
リコーリ…ガイア・ペトローネ(Ms)
ティティロ…セルジョ・フォレスティ(Br)
ティルシ…バルバラ・マッサーロ(S)

ラ・リラ・ディ・オルフェオ(古楽器使用)
指揮:フェデリコ・マリア・サルデッリ
録音:2021年7月30日~8月3日  第47回ヴァッレ・ディトリア音楽祭
ドゥカーレ宮殿、マルティーナ・フランカ(イタリア)
ナポリ楽派を代表する作曲家のひとり、ニコラ・ポルポラの歌劇(セレナータ)「アンジェリカ」は、宮廷の慶事を祝う機会音楽として作曲され、その台本が劇作 家メタスタージオの一作目であるとともに、後年「ファリネッリ」としてその名声を馳せるカストラートのカルロ・ブロスキが、歌手デビューを飾った作品としても知ら れています。そのロンドン時代はヘンデルのライバルと目され、ウィーン時代にはハイドンが師事したポルポラの音楽は、華やかな色彩と豊かな楽想に満ちたも の。題名役のエカテリーナ・バカノヴァ、オルランド役のテレーザ・イエルヴォリーノら粒ぞろいの歌唱陣と、ラ・リラ・ディ・オルフェオ(ラッファエーレ・ペー主宰)が古 楽演奏を中心に活躍する名匠フェデリコ・マリア・サルデッリのタクトのもと躍動感と抒情に溢れる演唱を繰り広げます。

Glossa
GCD-923536(1CD)
愛しき星たちよ〜アンナ・マリア・ストラーダのためのアリア集
ヴィヴァルディ:歌劇「試練の中の真実」よりアリア「Con piu diletto il mio Cupido」
ドメニコ・サッロ:歌劇「ティベリウス・センプロニウス・グラックス」よりアリア「Aria Se veglia, se dorme, l’amante mio core」
ヘンデル:歌劇「ロタリオ」よりアリア「Scherza in mar la navicella」
レオナルド・ヴィンチ:歌劇「エラクレア」よりレチタティーヴォ「Io gelosa non sono」、アリア「Il ruscelletto amante」
レオナルド・レーオ:歌劇「シロのアキレス」よりレチタティーヴォ「Ma per pieta」、アリア「Non vedi tiranno ch’io moro d’affanno」
ヘンデル:歌劇「アルチーナ」よりアリア「Ah! Mio cor!」
レオナルド・レーオ:歌劇「パルミラの女王ゼノビア」よりアリア「Quando irato il ciel s’oscura」
ガルッピ:歌劇「シリアのアドリアーノ」よりアリア「Infelice in van mi lagno」
レオナルド・レーオ:歌劇「シロのアキレス」よりアリア「No, ingrato, amor non senti」
ヘンデル:歌劇「アルミニオ」よりアリア「Scaglian amore e sangue」
ジョヴァンニ・アルベルト・リストーリ:歌劇「シリアのアドリアーノ」よりアリア「Oh Dio, mancar mi sento」
ニコラ・ポルポラ:歌劇「ティリダート」よりレチタティーヴォ「Non so piu dov’io sia」、アリア「Vi conosco amate stelle」
マリー・リス(S)、
アプコルディス・アンサンブル、
アンドレア・ブッカレッラ(指)

録音:2019年10月18日-22日(バーゼル、スイス)
バロックオペラ・チェスティ・コンクール2018およびベルカント国際コンクール・ヴィンチェンツォ・ベッリーニ2017で第1位を獲得したスイスの若きソプラノ、マリー・リスの初めてのソロ・アルバムは、1730年代のロンドンでヘンデルのプリマドンナを演じた名ソプラノ、アンナ・マリア・ストラーダのために書かれたアリア集。ローザンヌ高等音楽院とロンドンの王立音楽院で学んだリスは既にドミトリー・シンコフスキー、マクシム・エメリャニチェフ、ミシェル・コルボといった著名な指揮者と共演しており、中でもファビオ・ビオンディ指揮のエウローパ・ガランテとの共演でヴィヴァルディの長らく失われていた歌劇「アルジッポ」を演奏したヨーロッパ・ツアーで大きな成功を収め、各方面から賞賛を浴びました。今後ますますの活躍が期待される注目の若手ソプラノが、自身が共同設立したアンサンブル、アプコルディス・アンサンブルと共にバロック時代の知られざるオペラ・アリアを歌い上げます。

Glossa
GCD-924207(1CD)

PGCD-924207(1CD)
国内盤仕様
税込定価
チャッコーナ!
パーセル:ファンタジア, グラウンド上の3声 Z.731
アントニオ・ベルターリ:3声のチャッコーナ
タルクィニオ・メールラ:チャッコーナ(教会と室内のための協奏的ソナタによるカンツォン Op.12より)
ヨハン・ハインリヒ・シュメルツァー:チャッコーナ
ザムエル・カプリコルヌス:2声のチャッコーナ(Vnとガンバのための)(パルティトゥーアブーフ・ルートヴィヒ 第37番より)
ベルターリ:チャコーナ
パーセル:3声のソナタ Op.12-6
ニコラ・マッテイス:リチェルカータ、Diverse bizzarrie Sopra la Vecchia Sarabanda o pur Ciaccona from "Ayres for the violin", book I
パーセル:シャコンヌ(ほどかれたゴルディウスの結び目 Z.597より)
ヴィターリ:3声のチャッコーナ Op.7-3
ニコラ・マッテイス・ジュニア:アリア・ファンタジア(シュランク2世のコレクションより)
作曲者不詳:シャコンヌ(シュランク2世のコレクションより)
コレッリ:3声のソナタ Op.2-12
トマゾ・アントニオ・ヴィターリ:無題(アダージョ・パート)(シュランク2世のコレクションより)
パッヘルベル:カノンとジグ
ライラ・シャイエーク(バロックVn、指)
、ラ・チェンティフォリア

録音:2022年6月、リーエン(スイス)
スイスが誇る古楽専門の音楽大学「バーゼル・スコラ・カントルム(SCB)」で古楽界の大御所キアラ・バンキーニに学び、2010年からはバンキーニの後任として自身もSCBでバロック・ヴァイオリンの教授を務めながら、バンキーニのアンサンブル415やラ・リゾナンサ、コンチェルト・ケルンなどのメンバーとして様々なコンサートや録音で存在感を示してきたバロック・ヴァイオリニスト、ライラ・シャイエーク(レイラ・シャイエ)。
2021年のリリースをもって3巻からなるルクレールのヴァイオリン協奏曲集を完結させたシャイエークの新録音は17世紀に書かれたシャコンヌ集!遅くとも16世紀には南米からスペインに伝わったとされその後瞬く間にヨーロッパ全土に広がり、ポピュラー音楽の基礎ともなったといわれるシャコンヌ(チャッコーナ、チャコーナ)。本アルバムではドレスデンのシュランク2世の有名なコレクションから、ベルターリ、パーセル、シュメルツァー、マッテイス、コレッリといった作曲家の作品を収録。そしてアルバムの最後を飾るのはパッヘルベルの「カノンとジグ」。カノンだけが飛びぬけて知名度が高く単独で演奏されることも多いですが、ここでは通常無視されてしまっているジグも合わせて収録しています。
このアルバムがデビュー盤となるラ・チェンティフォリアは2019年にシャイエークが設立したアンサンブル。Glossaレーベルでもおなじみのエヴァ・サラディンをはじめ、朝吹園子、ダニエーレ・カミニティ、ジョナサン・ペセク、ヨハネス・ケラーといったそれぞれが古楽界で大活躍する名手たちで構成され、バロック時代の音楽を主に演奏しています。

Da Vinci Classics
C-00631(1CD)
2本のリュート〜ルネサンス時代のリュート二重奏のための傑作選
トーマス・ロビンソン(c.1560-c.1610):プレイン・ソング、パッセメッツォ・ガリアルド、女王の真夜中
フランチェスコ・ダ・ミラノ(1497-1543):ファンタジア、カノン、ラ・スパーニャ
ホアン・アンブロージオ・ダルサ(FL.1508):サルタレッロ、ピヴァ
ジョン・マーチャント(FL.1588-1611):ファンタジー
ジョン・ジョンソン(c.1545-1594):フラット・パヴァン、フラット・ガリアルド
ヴィンチェンツォ・ガリレイ(c.1520-1591):二重奏のファンタジア、コントラプント第1番、コントラプント第2番
オルランド・ディ・ラッソ:ファンタジア第10番、ファンタジア第4番、ファンタジア第9番
ジョン・ダウランド:ウィルビー卿ご帰館
アルフォンソ・フェッラボスコ1世(1543-1588):スペインのパヴァン
ジョン・ジョンソン:ロジェーロ
ジョヴァンニ・アントニオ・テルツィ(c.1545-1594):クラウディオ・ダ・コレッジオのカンツォーネ
フランチェスコ・トマージ(Lute)、
ファブリツィオ・カルタ(Lute)

録音:2020年5月-2022年5月、360DBスタジオ(ローマ、イタリア)
ルネッサンス期には、トーマス・ロビンソン、フランチェスコ・ダ・ミラノ、ヴィンチェンツォ・ガリレイ、ジョヴァンニ・アントニオ・テルツィらによるリュート・デュオのための作品が比較的多く作曲されており、このアルバムにはそれらのほとんどが収められています。
これらのデュオ作品は、ルネッサンス期のリュート音楽の技法、雰囲気、ジャンル、スタイルのパレット全体を引き出しており、2つの楽器が互いに対話することによって、さらにその効果を高めています。
フランチェスコ・トマージとファブリツィオ・カルタは、忠実な歴史公証と当時の演奏法への敬意を持って見事なアンサンブルを奏でています。

CRD
CRD-3542(1CDR)
カノン
テレマン:6つのカノン風ソナタ TWV40:118-123
モーツァルト:4声または5声のカノン集、
 2声, 3声または多声部のカノン集、
 カノン「謎」 K.89
マヤ・マガブ(Vn)、他
マヤ・マガブはイギリスのヴァイオリニストで現在ロサンゼルスで活動しています。彼女はパーセル・スクールと王立音楽院の奨学生となり、ケンブリッジ大学のゴンヴィル・アンド・キーズ・カレッジで音楽学位を取得しました。ソリストまたは室内楽奏者として活動していた彼女は、エリザベス女王から招待を受けバッキンガム宮殿で演奏を行ったり、ロンドン・モーツァルト・プレイヤーズのメンバーとしても活躍していました。
このアルバムは非常に特殊な形の録音方法を実践しており、いわば「リモート室内楽」の形で作成されました。その際カノン形式は非常に有効的で次の旋律を次のプレイヤーへまるで音楽の手紙の様につなげていくことが出来たのです。また録音も音源をマイクに非常に近づけなくてはならず、その結果非常にクリアな音で収録されています。
※当タイトルは、高品質メディア(SONY DADC/Diamond Silver Discs)を使用した、レーベル・オフィシャルのCD-R盤となります。

Challenge Classics
CC-72926(1CD)
変奏の技法〜スウェーリンク(1562-1621):世俗作品集
大公の舞踏会 SwVW 319
フィリッピのパヴァーヌ SwVW 329
わが青春の日は既に過ぎ SwVW 324
緑の菩提樹の下で SwVW 325
私はライン川を渡る SwVW 322
スペインのパヴァーヌ SwVW 327
そうでなくては SwVW 330
もしも運命の女神に愛されるなら SwVW 320
マルスの神 SwVW 321
涙のパヴァーヌ SwVW 328
愚かなシモン SwVW 323
アルマンド・グラティエ SwVW 318
ファビオ・アントニオ・ファルコーネ(Cemb)

録音:2021年10月25-28日/スイス、ヌーシャテル美術・歴史博物館
オランダ古楽の巨匠作曲家スウェーリンクの、世俗的な歌と踊りによる変奏曲集。宗教作品とは異なる軽妙な筆致で書かれ、時にユーモラスな一面さえ垣間見え る、めっぽう楽しい作品群です。ほとんどの楽曲は人生の最後の20年間に書かれたとされており、成熟したスタイルで完成度高く作られているのも注目すべきポ イントです。
演奏しているファルコーネは、ルネサンスと初期バロック専門の古楽奏者。通奏低音奏者として自らのアンサンブルも立ち上げ器楽・声楽両方のレパートリーを 探求しており、ここに収録されたスウェーリンク作品を弾く土壌がしっかりとある、おあつらえの奏者と言えるでしょう。楽器はヌーシャテル美術・歴史博物館所蔵 のルッカース・チェンバロ(1632/1745年製)を使用しています。 (Ki)

ARCANA
A-538(1CD)
『若きモーツァルトとミラノでの出会い』 〜モテット、詩篇曲、マニフィカト
ヨハン・クリスティアン・バッハ: 詩篇109番「主は言われた(ディクシット・ドミヌス)」 W E15*
モーツァルト:奉献唱「憐れんでください、主よ」K. 222
 モテット「喜び踊れ、汝幸いなる魂よ(エクスルターテ・ユビラーテ)」 K. 165
ジョヴァンニ・アンドレア・フィオリーニ(1715/16-1778):モテット「おお、聖なる饗宴」 *
メルキオッレ・キエーザ(1740以前?-1799以降):モテット「雷鳴轟く天をもって」*
アンブロジオ聖歌
アンティフォナ「わたしの霊は神に歓喜し」
J. C. バッハ:マリアの讃歌「わたしの魂は主を崇め(マニフィカト)」 W E22
ロビン・ヨハンセン(S)
カルロ・ヴィストーリ(アルト=カウンターテナー)
ギスリエーリcho
独唱…上記ソリストが参加しない曲中のソロ
 フェデリーコ・フィオリオ(男声ソプラノ)
 マヒミリアーノ・バニョス(アルト=カウンターテナー)
 ラファエーレ・ジョルダーニ(T)
 アレッサンドロ・ラヴァジオ(Bs)
ギスリエーリ合奏団(古楽器使用)
コンサートマスター:マルコ・ビアンキ(Vn)
ジュリオ・プランディ(指)
スコラ・グレゴリアーナ・ギスリエーリ
レナート・カデル(指)

録音:2022年3月13-16日 マーラー・ホール(エウレジオ文化センター )、ドッビアーコ(イタリア北東部ボルツァーノ県)
*=世界初録音
オペラの本場イタリアを10代の頃から何度か訪れ、本格的な声楽作法を血肉としていったモーツァルト。そこで当時、水の都ヴェネツィアやカ トリックの総本山ローマ、南のナポリと並んで見過ごせない音楽拠点になっていたのが、オーストリアのハプスブルク皇室が支配者だったミラノで した。イタリア古楽シーン最前線をゆくギスリエーリ合奏団は今回、中世以来の独特な聖歌の伝統もあるこの古都に注目。徹底した音楽研 究と豊かな音楽性を通じて、18世紀中盤から後半にかけ同地で活躍した作曲家たちの優れた教会音楽作品を集め、モーツァルトが同地 で作曲・披露した有名な独唱モテットK. 165と組み合わせたアルバムを制作しました。アルバム冒頭と末尾を飾るのは、天才少年がロンド ンで出会い刺激を受けた大バッハ末男ヨハン・クリスティアンのミラノ時代の2傑作(「マニフィカト」では気鋭の男声ソプラノ歌手フェデリーコ・フィ オリオが、圧巻のソロで18世紀のカストラート歌唱を彷彿させます)。古楽器演奏シーンで着々と存在感を高めているソプラノのロビン・ヨハン センが聴かせる晴朗なモーァルト作品もさることながら、キエーザやフィオリーニら今では知名度の低い作曲家たちの秘曲も聴き応えがありま す。古典派前夜のイタリアに花開いたオペラさながらの歌心あふれる傑作群を、驚くべき名唱で聴かせてくれる本格派の18世紀流解釈で す。

Lauda
LAU-023(1CD)
カルロス・パティーニョ(1600-1675):スペイン語による声楽作品集
1. 思慮よ、溜息の前に幸せがあると思うな
2. 恋では、至上の洗練にはたどりつけない
3. 奥ゆかしき野の花よ
4. エスパニョレータス(器楽/ルカス・ルイス・リバヤス〔1626-1667〕作曲)
5. 恋の神は、花の精に想いを伝えたいのだが
6. 海の精は、夜明けの白い輝きを打ち負かそうと
7. パバーナ(器楽/リバヤス作曲)
8. うんざりするほど長い夜に
9. 麗しきお嬢さん、きみがカスティーリャに帰ってくれば
10. ラ・ボルハ(器楽/アンドレア・ファルコニエーリ〔1585/86-1656〕作曲)
11. ロエチェスにひとり、農家の娘がおりました
12. 高く伸びたポプラ並木の蔭で
13. だめ、眠らないで
14. あなたの眼差しの輝きがわたしを追い
15. さあ踊ろう、界隈の娘たちよ!
特記のないトラックは全てパティーニョ作曲
ラ・グランド・シャペル(声楽&古楽器アンサンブル)【ホネ・マルティネス、アウロラ・ペーニャ、ロレーナ・ガルシア(S)、ガブリエル・ディアス・クエスタ(C.T)、ヘラルド・ロペス・ガメス(T)、マリア・アレハンドラ・サトゥルノ(ビウエラ・デ・アルコ〔ヴィオラ・ダ・ガンバ〕)、サラ・アゲラ(ダブルハープ)、マヌエル・ミンギロン(テオルボ、バロックギター)、ホルヘ・ロペス=エスクリバノ(Org)】
アルベルト・レカセンス(指)

録音:2021年9月29日-10月1日 サント・ドミンゴ王室修道院、トレド
セビーリャ大聖堂の少年聖歌隊に連なり巨匠アロンソ・ロボ門下に学び、後年スペイン王室の聖歌隊で長く活躍をみせた教会音楽の作曲 家カルロス・パティーニョ。その作曲歴は宗教曲だけに留まらず、俗世向けのスペイン語による声楽作品も多く書いていたことが明らかになって います。音楽学者で古楽指揮者のアルベルト・レカセンスは今回のアルバムで、そうしたパティーニョの世俗作品を集め、コンチェルタンテ様式 が全盛だった欧州諸国を横目にユニークな発展を遂げた17世紀スペイン音楽の世界へ聴き手を誘います。イタリア晩期ルネサンスのマドリ ガーレにも通じる精巧な多声処理の中、詩句に潜む変幻自在のニュアンスを捉えて美しい響きへと昇華させてゆく演奏は、その一貫した高 雅さで聴く人を深く魅了してやみません。LAUDAの常通りライナーノートはモノクロながら図版も多く充実しており(西・英・仏・独語、歌詞は 西語、英・仏語訳付)、黄金時代末期のスペイン芸術の素顔に高い解像度で迫れる好企画となっています。

Capella de Ministrers
CDM-2254(1CD)
地中海諸国、中世からルネサンス音楽のグロテスク趣味
1. 作者不詳(13世紀):コンドゥクス「東方ヨリ驢馬ゾ来タリテ」
2. 作者不詳(14世紀):ホケトゥス「幾百年モ先マデ」
3. 作者不詳(16世紀):愛しきカボチャの君、どうしたものか 〜『王宮の歌集』(1505-20頃)より
4. 作者不詳(16世紀):糸紡ぎを失くしてしまった、紡錘もない 〜『王宮の歌集』より
5. 作者不詳(1500年頃):エンサラーダ「おお学者のホアン・ベリェ!お願いだから」
6. フアン・デル・エンシーナ(1568/69-1530/33):今はよく食べ、酒を飲もうじゃないか〜『王宮の歌集』より
7. アロンソ・ペレス・デ・アルバ(生年不詳-1503):聖マルティンは、糸紡ぎの女を一目でも見ようと〜『王宮の歌集』より
8. 作者不詳(16世紀):ハンス・ハント 〜『王宮の歌集』より
9. 作者不詳(16世紀):見たまえ、あの顔色の悪い痩せた修道士を 〜『王宮の歌集』より
10. 作者不詳(15世紀):聖なるかな、聖なるかな、智天使を統べるお方よ
11. マテオ・フレチャ1世(1481-1553):サン・サバヤ・ググルンベ 〜エンサラーダ「黒人女」より
12. トワノ・アルボー(1520-1595)/ミヒャエル・プレトリウス:モレスカスとカナリアス
13. ジョヴァンニ・ドメニコ・ダ・ノーラ(1510/20頃-1592):我ら三人、目は見えぬ
14. アドリアン・ヴィラールト(1490頃-1562):怠け者の年増女たちよ
15. オルランドゥス・ラッスス:アッラーに祈れ、おお奴隷よ!
16. ロレンツォ・デ・メディチ“イル・マニーフィコ”(1449-1492):我らはバレンシアの艶男
17. ロレンツォ・デ・メディチ:コンフォルティーニ菓子の歌
18.アドリアーノ・バンキエーリ:さあ滑稽な話の始まりだ、籠から鳥たちが逃げてゆくんだ〜『謝肉祭最終日の祝祭』(1608)より
カペリャ・デ・ミニストレルス(声楽&古楽器アンサンブル)【デリア・アグンデス(S)、ウゴ・ボリバル(アルト=カウンターテナー)、ホルヘ・モラータ(T)、アントニオ・サブコ(Br)、ロベルト・カセス(ルネサンスギター)、ミゲル・アンヘル・オレロ(打楽器)】
カルレス・マグラネル((指)ヴィオラ・ダ・ガンバ)

録音:2021年2月15-18日 サンタ・マリア教会、レケナ(スペイン東部バレンシア地方)
音楽は長い間、美しい響きと調和こそ理想とされてきた芸術領域。かつて文学学者フィリップ・トムソンは自著『グロテスク』(1972)で、よほど 拡大解釈しない限り「グロテスクという概念があてはまりそうな音楽作品は一切見いだせない」と言明したそうですが、半世紀の後その主張に アルバム1枚をかけて圧巻の雄弁さをもって反駁したのが、スペイン東部バレンシア地方に拠点を置く古楽集団カペリャ・デ・ミニストレルス。 中世末期からルネサンス末期にかけての膨大な現存作品から18の事例をあげ、美術や文学などと全く同じように、音楽もまたその本来の 魅力を全く手放さずに劇場的・文学的な醜悪さを体現できることを、驚くほど起伏に富んだ演奏実践を通じて例証してみせました。詩句や 音使いに潜む時としてユーモラスな醜さの側面を、ある時は卓越した演奏を通じ、またある時はラジオドラマさながらの演劇性豊かな解釈で 伝えるその巧みさは、さながら千変万化の表情描写で人間心理の闇を暴き出しつつも鑑賞者を魅了せずにはおかない、盛期ルネサンスの 画家たちの至芸のよう。スペインのエンサラーダやイタリアのヴィラネスカ、マドリガーレ・コメディアなど、美だけでなく荒唐無稽を描出できてこそ の曲種の数々を、技量充分の感性豊かな歌唱と古楽器演奏で味わい尽くせます。音の輪郭をよく伝えるCdMレーベルならではのエンジニ アリングも絶妙。「グロテスク」の語源や意味変遷にも迫った解説文(バレンシア=カタルーニャ語/英西仏語訳付)も読みごたえがあります。

Hyperion
CDA-68399(1CD)
マショー:運命の妙薬
Qui n’aroit autre deport/Tieus rit au main/Joye, plaisance/En amer a douce vie/Dame, de qui toute ma joie vient 2vv /Dame, a vous sans retollir/Dame, mon cuer en vous remaint/Dame, de qui toute ma joie vient 4vv
オルランド・コンソート〔マシュー・ヴェンナー(C.T)、マーク・ドーベル(T)、アンガス・スミス(T)、ドナルド・グレイグ(Br)〕

録音:2021年11月2日-4日、洗礼者聖ヨハネ教区教会(ラフトン、エセックス)
1988年にイギリス国立古楽センターで結成された男声ヴォーカル・クヮルテット、オルランド・コンソート。
かつてアンドルー・カーウッドが在籍し、現在はタリス・スコラーズのメンバーでもあるドナルド・グレイグが低声部を支える精緻な歌声で、中世ポリフォニー音楽の最高峰として活動しています。
ギヨーム・ド・マショーの録音プロジェクトでも注目を浴びてきたオルランド・コンソートの新録音は、「運命の妙薬」。男性から女性への愛が歌われ、その詩を作ったのは誰かという問いかけをするというものです。それを各パート一人ずつという編成で正確に歌い上げるオルランド・コンソートの見事なアンサンブルをご堪能ください。

Arte dellarco Japan
ADJ-069(2CD)
日本初のモンテヴェルディのマドリガーレ全集・完結編
モンテヴェルディ
■CD1
マドリガーレ集第9巻『2声と3声のマドリガーレとカンツォネッタ』(1651)
1.「すてきな羊飼いさん」
2.「西風が戻り」
3.「誰も私に忠告しないように」
4.「愛の神は常に、楽しんでもよいと」
5.「お前の胸に」
6.「愛したくない」
7.「今日、そよ風はなんと甘く」
8.「踊りへ、喜びへ、楽しみへ」
9.「なぜ、僕を嫌ってたのに」
10.「そう、可愛らしく美しい」
11.「ほらほら、幼く愛らしい羊飼いたちよ」
12.「愛する人よ、命の人よ」

■CD2
「薄情な女たちのバッロ」〜マドリガーレ集第8巻『戦いと愛のマドリガーレ』(1638)より
プルート:小笠原美敬
ヴィーナス:鈴木美登里
愛の神:染谷熱子
薄情な女:森川郁子
地獄の霊たち:上杉清仁、谷口洋介、中嶋克彦、小笠原美敬
4人の薄情な女たち:森川郁子、染谷熱子、鈴木美登里、上杉清仁
■CD1
ラ・フォンテヴェルデ【鈴木美登里・染谷熱子(S)、布施奈緒子(Ms)、上杉清仁(C.T)、谷口洋介・中嶋克彦(T)、小笠原美敬(Bs)】
金子浩(リュート / バロック・ギター)、伊藤美恵(バロック・ハープ)、上尾直毅(Cemb)

■CD2
若松夏美・荒木優子(Vn)、成田寛・佐藤駿太(Va)、山本徹(Vc)
西澤誠治(ヴィオローネ)、金子浩(Lute)、伊藤美恵(バロック・ハープ)、上尾直毅(チェンバロ / オルガン)

録音:2013年10月7-9日、2014年9月21-23日、2016年5月15-18日、2017年5月15-18日、
2017年9月11-14日、2018年4月8-10日、2018年7月23-25日、2018年12月4-6日/秩父ミューズパーク音楽堂
鈴木美登里を中心に結成された本格派声楽アンサンブル、ラ・フォンテヴェルデ。6年の歳月をかけたモンテヴェルディのマドリガーレ全集、そのアルバム最終章 はマドリガーレ集第9巻『2声と3声のマドリガーレとカンツォネッタ』と第8巻『戦いと愛のマドリガーレ』より「薄情な女たちのバッロ」を収録。ここに完結いた します!
日本人としてははじめてで、ヨーロッパでもほとんど例のない貴重な試みであるこの一大企画では、作曲家の成長と作風の変化に焦点を当て、モンテヴェルディ の生涯に沿ってプロジェクトを進めていく形を取っています。もっぱらオペラなどの大作で知られる作曲家の半世紀をかけたライフワークが今ここに巻を追って響 きとなります!
モンテヴェルディは『オルフェオ』や『ポッペアの戴冠』などのオペラで一世を風靡し、バロックの扉を開いた作曲家です。しかし彼がライフワークとしていたのは、 16世紀から17世紀にかけてヨーロッパ全土で流行したマドリガーレでした。1587年に出版されたマドリガーレ第1巻から1651年の第9巻に至るまで、彼は 実に半世紀以上の年月をその創作に費やし、新しい作曲技法や様式を追求し続けました。第9巻は1630年頃流行した舞踏歌と同じスタイルの三重唱が多数でそ の多くが有節歌曲です。巨匠のライフワーク、今ここに完結いたします! (Ki)

PAN CLASSICS
PC-10444(1CD)
オスティナート
ビーバー:ソナタ第6番
ゲオルク・アーノルド(1621-1676):カプリッチョ
ビーバー:ソナタ第75番
アントニオ・ベルターリ(1695-1669):チャッコーナ
ハインリヒ・デーベル(1651-1693):ソナタ イ長調
ヨハン・ヨーゼフ・ヴィルスマイアー(1663-1722):ソナタ(スコルダトゥーラ b- es'- b''-es'')
ヨハン・ハインリヒ・シュメルツァー(c1623-1680):チャッコーナ
グナール・レツボール(指)
アルス・アンティクヮ・アウストリア

録音:2021年12月16-19日オーストリア、ザンクト・フローリアン修道院
古楽ヴァイオリン音楽の伝道師・レツボールによる「オスティナート」をテーマとしたアルバムです。「オスティナート」(ラテン語でobstinatus:頑固な)は絶 えず繰り返されるフレーズのことで、執拗低音とも言われます。このバスの動きは即興的な音楽展開に最適で、通奏低音を伴うバロック時代にうってつけの形式で あったため、数々の名品が生み出されました。
シュメルツァーとベルターリのチャッコーナはこのジャンルの代表格。現代ポップスにも通用するコード進行を持ち、シンプルな骨格から耳に楽しい音楽が沸き上 がってくる佳曲です。これにヴァイオリンの名手ビーバーによるオスティナートを主体とした2つのソナタと、アーノルド、デーベル、ヴィルスマイアーといったあまり 知られていない作曲家の作品を絡めた、レツボールならではの技ありの構成。めくるめくオスティナートの世界を堪能できます。
このアルバムでレツボールは、ビーバーが楽長を務めたザルツブルクの宮廷では特別な通奏低音があったという研究結果のもと、リュート、キタッラ・アッティオ ルバータ、コラシオーネという豪華な音響効果を持った通奏低音編成を採用しています。
PAN CLASSICS
PC-10443(1CD)
ジュゼッペ・サンマルティーニ:リコーダー・ソナタ集
1-3ソナタ ト長調 Sibley No. 25(GSM 1324)
4-6ソナタ ニ短調 Sibley No. 20(GSM 1319)
7-9ソナタ ニ長調 Sibley No. 17(GSM 1316)
10-12ソナタ ト短調 Sibley No. 14(GSM 1313a)
13-16ソナタ ヘ長調 Sibley No. 27(GSM 1326a)
タマル・ラロ(リコーダー)
ダニエル・オヤルサバル(チェンバロ、オルガン 1-7, 9-16)
ジャドラン・ダンカム(リュート 1, 3, 4, 6, 8, 9, 11, 15, 16)
エイアル・ストリート(ファゴット 1-4, 6, 13, 14, 16)
ホセチュ・オブレゴン(Vc 7-9)
イスマエル・カンパネロ(ヴィオローネ 1, 3)

録音:2021年11月/スペイン、ラス・ロサス・デ・マドリード
イスラエル人リコーダー奏者タマル・ラロによるソロ・デビュー盤。ジュゼッペ・サンマルティーニは1720年頃にロンドンで大活躍したオーボエ奏者・作曲家。 当時のオーボエ奏者はリコーダーも演奏するのが一般的で、サンマルティーニは30曲以上のリコーダー・ソナタを残しています。そのほとんどは「シブリー手稿譜 Sibley manuscript」と呼ばれる写本に収められており、このアルバムに収録された作品もその写本によっています。後期バロックにあたる時代、リコーダーは だんだんと忘れられていく古い楽器になりつつありました。そんな中、時代と共に大きく発展した器楽書法を駆使して書かれたこれらのソナタは、自由で大胆な創 意に基づく、リコーダー音楽の頂点ともいえるものになっています。 (Ki)

ACCENT
ACC-24386(1CD)
ビーバー:祭壇または宮廷用のソナタ集(ザルツブルク 1676年)〜2つのトランペット、2つのヴァイオリン、3つのヴィオラ、通奏低音のための
二重奏曲第10番(トランペット2)[C 135]
ソナタ第1番(8声:クラリーノ2、ヴァイオリン2、ヴィオラ3、通奏低音)[C 114]
ソナタ第2番(6声:ヴァイオリン2、ヴィオラ3、通奏低音)[C 115]
ソナタ第3番(6声:ヴァイオリン2、ヴィオラ3、通奏低音)[C 116]
二重奏曲第7番(トランペット2)[C 132]
二重奏曲第8番(トランペット2)[C 133]
二重奏曲第9番(トランペット2)[C 134]
ソナタ第4番(5声:クラリーノ、ヴァイオリン、ヴィオラ2、通奏低音)[C 117]
ソナタ第5番(6声:ヴァイオリン2、ヴィオラ3、通奏低音)[C 118]
ソナタ第6番(5声:ヴァイオリン2、ヴィオラ2、通奏低音)[C 119]
二重奏曲第2番(トランペット2)[C 127]
二重奏曲第4番(トランペット2)[C 129]
二重奏曲第5番(トランペット2)[C 130]
ソナタ第7番(5声:クラリーノ2、ヴァイオリン2、通奏低音)[C 120]
ソナタ第8番(5声:ヴァイオリン2、ヴィオラ2、通奏低音)[C 121]
ソナタ第9番(5声:ヴァイオリン2、ヴィオラ2、通奏低音)[C 122]
二重奏曲第11番(トランペット2)[C 136]
二重奏曲第12番(トランペット2)[C 137]
ソナタ第10番(5声:クラリーノ、ヴァイオリン、ヴィオラ2、通奏低音)[C 123]
ソナタ第11番(5声:ヴァイオリン2、ヴィオラ2、通奏低音)[C 124]
二重奏曲第1番(トランペット2)[C 126]
二重奏曲第3番(トランペット2)[C 128]
二重奏曲第6番(トランペット2)[C 131]
ソナタ第12番(8声:クラリーノ2、ヴァイオリン2、ヴィオラ3、通奏低音)[C 125]
フロリアン・ドイター、
モニカ・ワイズマン(Vn 、指 )
アルモニー・ウニベルセル

録音:2021年5月31日、6月4日ドイツ、ニーダーエーエ、聖レオデガル教会
優れたヴァイオリン奏者として名をとどろかせたザルツブルクの宮廷楽長ビーバー。宗教・世俗どちらの機会でも演奏できるように書かれた12曲からなる「祭 壇または宮廷用のソナタ集」は、ビーバーが多くの演奏機会を持つ人気奏者であったからこそ生まれたもので、聖俗が高い次元で融合されたみごとな名作です。2 本のトランペットを伴う編成が目を引きますが、これは当時ザルツブルク宮廷における祝祭的な場でトランペット二重奏によるファンファーレが習慣的に演奏されて いたことからきていると思われます。このアルバムではそこからアイデアを発展させ、12曲のソナタの中にビーバーが書いた12曲のトランペット二重奏を挿入し て演奏しています。 (Ki)

Andre Charlin
AMS-82HR(1CD)
2022年リマスタリング
カンプラ:モテット「主がシオンの繁栄を回復したもうとき」(詩篇125番)
クリスマス・オラトリオ「われらの主イエス・キリストの降誕」
エディット・ゼーリヒ(S)、エリック・タピー(T)、ジャック・エルビヨン(Br)、マック・シェーファー(Org)
ストラスブール音楽院cho、
ストラスブール・コレギウム・ムジクムO、
ロジェ・ドゥラージュ(指揮)

録音:1966年サン・ルイ教会(ストラスブール)
デジタライゼーション&リマスタリング:ブリュノ・ゴリエ(2022年
18世紀初頭、リュリとラモーの時代の狭間の世代を代表する音楽家カンプラ。とりわけ「優雅なヨーロッパ」のような歌劇作品で知られるカンプラですが、宮廷 だけでなく教会で活動を行っていたこともあり、教会音楽作品も多く残しています。今回は彼の教会作品の中からクリスマス・オラトリオと詩篇を収録。器楽伴奏 に乗って歌われるクリスマス・オラトリオは、聖夜を祝うにふさわしい壮大な響きにあふれています。2曲目の詩篇はカンプラ初期の作品。重厚で厳格な雰囲気と いうよりも、しなやかで軽快な響きが印象的な作品で、フランス・バロックならではの魅力を存分に感じられる作品といえましょう。2曲ともフランス舞曲のリズム が頻繁に使用されており、心地良いテンポ感に心満たされます。テノールを担当するのはスイスの世界的テノール歌手タピー。その他、世界的に活躍する名手達の 共演にも注目の1枚です! (Ki)
これまでリリースされていたCDは16bit/44KHzでしたがこの度24bit/96KHzでリ リースされます。リマスタリングのエンジニアは半世紀以上シャルランの音に惚れこみ、シャルラン・レーベルの存続に大きく貢献してい る名エンジニア、ブリュノ・ゴリエです。ゴリエはシャルランの録音についての研究だけでなく、シャルランに関わるものの収集など「シャ ルラン愛」に満ちた人物。シャルランの遺産を後世に伝えるべく、並々ならぬ思いでマスタリングしており、実に生々しく、驚くべき熱量 で蘇ります!

Stradivarius
STR-37199(1CD)
テレマン:12の幻想曲TWV 40:14-25
〜通奏低音なしのヴァイオリンのための
アンカ・ヴァシーレ・カラマン(Vn)

録音:2021年7月1日 イタリア ロンバルディア州 イゼーオ
テレマンのヴァイオリン曲の代表作の一つである、無伴奏ヴァイオリンのための幻想 曲集全12曲の新録音。アンカ・ヴァシーレ・カラマンはルーマニア生まれのヴァイオリニ スト。4歳からヴァイオリンを始め、ブカレストで学んだ後、2006 年にローマのサンタ・チ ェチーリア国立アカデミアに留学。そしてイタリアを中心に国際的に活躍しています。ここ でのテレマンはモダン楽器による丁寧な演奏で、テレマンの創意が伝わって来る。 カラマンの無伴奏作品シリーズは「パガニーニ:24 のカプリース(STR37193)」「バッハ:ソナタとパルティータ(全曲)(STR37196)」、「イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ集 Op.27(STR37200)」の3タイトルが発売になっています。

MDG
MDG-92622776
(1SACD)
ヴィルトゥオーゾの芸術 Vol.1〜ソロ・コンチェルト集
ヴィヴァルディ:リコーダー協奏曲(RV441)ハ短調
ニコラ・フィオレンツァ:チェロ協奏曲 ヘ長調
ヨハン・ゴットリープ・グラウン:ヴィオラ協奏曲(Cv:VIII:116) 変ホ長調
ヨハン・ヨアヒム・クヴァンツ:ホルン協奏曲(QV 5)嬰ニ長調
ヨハン・メルヒオール・モルター:ティンパニとオーケストラのための交響曲
カテルヴァ・ムジカ【スザンヌ・ホッホシャイト(リコーダー)、イモーラ・ゴンボス(Vc)、ヴォルフガング・.ファブリ(Va)、O.ニコライ(Hrn)、F.コッホ(ティンパニ)】
ドイツのルール地方の西部に位置するヴェストファーレンで活動する古楽アンサンブル、カテルヴァ・ムジカのMDG初アルバムがリリースされます。同団は、1998 年にエルケ・ファブリ、ヴォルフガング・ファブリ夫妻によって設立。オリジナル楽器による演奏で、歴史的な音楽をただ蘇らせるだけではなく、現代的なアプローチ を取り込んだ生き生きとした演奏で定評があります。 第1弾は、18世紀の技巧的な5つのソロ協奏曲を収録。ドイツの前古典派の作曲家ヨハン・ゴットリープ・グラウンのヴィオラ協奏曲。18世紀ヨーロッパ屈指の名フ ルート演奏家であったヨハン・ヨアヒム・クヴァンツによるなんと嬰ニ長調のホルン協奏曲。ドイツ後期バロックから前古典派に至る過渡期の作曲家ヨハン・メルヒオー ル・モルターによる交響曲はティンパニがソロ楽器として登場します。あまり知られていない18世紀ナポリの作曲家・ヴァイオリニストのニコラ・フィオレンツァのチェ ロ協奏曲はソロ楽器を効果的際立たせた華麗な作品。そしてヴィヴァルディのリコーダー協奏曲は、生き生きとしたリコーダーのトリルが伸びやかに響きます。 (Ki)

MarchVivo
MV-007(1CD)
NX-B10

NYCX-10367(1CD)
国内盤仕様
税込定価
クープラン一族のクラヴサン音楽
ルイ・クープラン(1626頃-1661):組曲 イ短調〜『ボーアン写本』(17世紀後半-18世紀初頭)より
 ブランロシェ氏のトンボー(追悼曲)
 シャコンヌ
フランソワ・クープラン:.『クラヴサン奏法』(1716)より
  第7のプレリュード
  第3のプレリュード
  第1のプレリュード
  第4のプレリュード
  第2のプレリュード
 アルマンド
  第5のプレリュード
  第8のプレリュード
  第6のプレリュード
 第14組曲より〜『クラヴサン曲集 第3巻』(1722)より
  恋する夜啼鶯
  驚き怯えるヒワ
  嘆いてばかりのムシクイ
  シテール島の鐘
  ささやかなものごと
アルマン=ルイ・クープラン(1727-1789):.『クラヴサン曲集』(1751)より
 シェロン/苦悩/フランス風
フランソワ・クープラン:神秘の障壁〜『クラヴサン曲集 第2巻』(1717)第6組曲より
ルイ・クープラン:クープラン氏のシャコンヌ ヘ長調
バンジャマン・アラール(クラヴサン〔=チェンバロ〕)
使用楽器:アントウェルペンのアンドレアス・リュッケルス1646年製作、パリのパスカル・タスカン1780年拡張改造モデルに基づくキース・ヒル2001年製作の再現楽器

録音:2020年2月1日フアン・マルク財団、マドリード (ライヴ/セクションごとに拍手入り)
※国内仕様盤解説日本語訳:白沢達生
フランスの名手バンジャマン・アラールが、若き古楽器演奏家たちの登竜門ブリュッヘ(ブルージュ)国際古楽コンクールを制したのが2004年。 翌年パリのサン=ルイ=アン=リル教会に新設されたオーベルタン・オルガンの専属奏者となり、この足鍵盤の音栓まで充実した楽器をはじ め各地のオルガンで堂々たるバッハ演奏を聴かせる一方、録音でもチェンバロとオルガンの双方を等しく弾きこなし、ALPHAやHarmonia Mundi Franceでバッハの鍵盤作品を続々と録音してきました。逆にバッハ以外を演奏するアラールの様子に触れる機会は滅多にありませ んでしたが、2022年5月の来日公演アンコールではスカルラッティのソナタの驚くべき解釈を披露、バッハ作品へのこだわりが彼の適性や嗜好 の限界を示すものではなかったことを明らかにしました。そのことをさらに裏付ける驚くべき録音が意外にもスペインのレーベルMarch Vivoから 登場。2020年2月1日にマドリードで行われた演奏会の記録で、フランス音楽史に名高いクープラン一族の最も重要な3人の作品を厳選 したプログラム。3人それぞれの作風は大きく違いますが、そのいずれにおいてもごく自然な佇まいで様式感を捉え、曲ごとの個性を描き分け てゆく解釈の妙は圧巻の一言。彼のバッハ演奏を特徴づける寛いだ安定感はここでも健在で、ライヴの臨場感に貫かれていながら危うさとは 全く無縁、各作曲家の音楽世界にじっくり浸らせてくれます。イタリア屈指の古楽器奏者たちの名録音を数多く手掛けてきたロベルト・キネッ ラートのマスタリングで、現代最高峰の域にあるクラヴサン音楽の比類ない境地をじっくりお楽しみ頂けます。

Naive
E-7545[NA](1CD)
ジョアン・アンブロシオ・ダルツァ:saltarello ala ferrarese/piva ala ferrarese/caldibi castigliano/caldibi saltarello (ホプキンソン・スミスによる再構築版)/pavana ala ferrarese/poi che volse la mia stella/pavana ala venetiana/saltarello ala venetiana/piva ala venetiana/poi che’l ciel contrario adverso/calata ala spagnola ditto terzetti di zuan ambroso dalza/tastar de corde
フランチェスコ・スピナチーノ:リチェルカーレ第6, 13, 23, 4, 25, 15, 12, 9番
マルケット・カーラ:io non compro piu speranza
ホプキンソン・スミス(6弦リュート/ヨエル・ファン・レネプ、1977年ボストン製)

録音:2021年4月、フランス
至高のリュート詩人として世界が絶賛するホプキンソン・スミス。音楽が素晴らしいことはもちろん、歴史に関する膨大な知識と探求心で、歴史に埋もれてしまっ た楽譜を熱心に掘り起こしてもいます。このたび、歴史上(1507-1508、ベニス)初めて印刷(出版)されたタブラチュア譜から、リュートの楽器の最初期の作品 と考えられる楽曲を録音しました。「私の音楽の再構築を異端視する批評家もいるかもしれないが、スピナチーノの作品で現在まで残されているものの多くがひど く混乱した状態であることから、再構築が必要だと私は考えた。作品をそのまま演奏されない運命のままとしてしまうか、素晴らしいタペストリーのほつれた糸を 引き締めて芸術作品として再提示するかのどちらかだ」とはスミスの言葉。スミスはこれらの繊細なポリフォニーを、15世紀後半の伝統に基づいて作られた6弦 のリュートで奏でています。調弦も、15-16世紀の論文などを考慮したもの。中世という遠い時代と幻想を呼び起こす神秘的な魅力に満ちた作品が、リュートとい う楽器を持った至高の語り部によって、現代に響きます。舞曲の形式によるものから自由な形式によるものまで、ホプキンソン・スミスという最高の語り部を得た 作品がよみがえりました。
Naive
OP-7365(2CD)
モンテヴェルディ:マドリガーレ集第7巻
マドリガーレ集第7巻〜1,2,3,4&7声のための作品、およびその他の作品
[CD1]
1. プロローグ
2. シンフォニア
3. “Il luogo de’ suoi amori”
4. “Perche fuggi tra salci”
5. “Vorrei baciarti, o filli”
6. “Tornate, o cari baci”
7. “Eccomi pronta ai baci”
8. “Se i languidi miei sguardi”
9. “Ecco vicine, o bella tigre, l’hore”
10. “Al lume delle stelle”
11. “Non e di gentil core”
12. “Non vedro mai le stelle”
13. “Oh viva fiamma”
14. “Augellin, che la voce al canto spieghi”
15. “Amor, che deggio far”
[CD2]
1. Entrata grave (B. Marini)
2. “Con che soavita”
3. “Dice la mia bellissima licori”
4. “Parlo, miser, o taccio?”
5. “Se’l vostro cor, madonna”
6. “oh, come sei gentile”
7. “Interrotte speranze, eterna fede”
8. “Ohime, dov’e il mio ben?”
9. “Soave libertate”
10. “Vaga su spina ascosa”
11. “Io son pur vezzosetta pastorella”
12. “Ah, che non si conviene”
13. “Tu dormi? Ah, crudo core”
14. “Se pur destina e vole”
15. “Chiome d’oro, bel tesoro”
リナルド・アレッサンドリーニ(Cemb・指)、
コンチェルト・イタリアーノ

録音:2020年10月
アレッサンドリーニのモンテヴェルディ最新録音の登場です。アレッサンドリーニはこれまでにマドリガーレ集第2巻、第3巻、第4巻、第5巻、第6巻、第8巻と 録音しているほか、オルフェオなどの重要作品も録音。モンテヴェルディにかけてはひとしおの思い入れをもっています。ここでも、音楽自体がテキストの世界を物 語るようなモンテヴェルディのドラマティックな作風を見事にとらえ、よい意味で非常になまめかしい演奏を展開しています。歌い手たちの、たいへん表情豊かな 歌唱力に圧倒されると同時に、器楽アンサンブルの面々による繊細かつ絶妙な歌とのバランスも見事です。 (Ki)

ALIA VOX
AVSA-9951(1SACD)
ラス・ウエルガス写本〜聖なる動物寓話と象徴
CODEX LAS HUELGAS-Bestiaire et symboles du divin

1. Iocundare, plebs fidelis, cuius Pater est in celis
2. Audi pontus, audi tellus
3. Aterni numinis
4. Kyrie, fons bonitatis
5. Gaude, Virgo, plena Deo
6. Alpha, bovi et leoni / [Domino]
7. Virgines egregie Virgines sacrate
8. Cum sint difficilia Salomoni tria
9. Virgo sidus aureum
10. O Maria, maris stella / O Maria, Virgo davitica
11. Flavit auster
ラ・カペラ・レイアル・デ・カタルーニャ、
エスペリオンXXI
ジョルディ・サヴァール

録音:2021年7月15日、フォンフロワド修道院内礼拝堂、ナルボンヌ、フランス(ライヴ録音)
サヴァールはこれまでに220タイトル以上のリリースを世に送り出しています。最近ではベートーヴェンやシューベルトの交響曲でも世界をうならせていますが、 ここで再び中世作品を録音しました。 1325年に編纂されたラス・ウエルガス写本は、1904年に初めて「再」発見されました。写本というのは様々な理由で持ち出されたりし、歴史の中でその所在 を点々とすることが多いですが、このラス・ウエルガス写本は、本来あるべき場所(=巡礼の道の途中にある、スペイン北部のシトー会修道院=)にずっと留まって いたという意味でも、奇跡的な写本です。編纂されたのが1325年、実際に掲載されている作品は、それより3世紀ほど前の音楽であり、西暦1000年前後の音 楽世界への手がかりとなる貴重な写本です。サヴァールは、186ある作品の中から11をセレクト。最古の多声部による楽曲や、独立したメロディを同時に歌うよ うな楽曲など、のちに発展する多声音楽の萌芽のような作品も見られるなど、作品の美しさだけでなく歴史的にもきわめて貴重な作品が収録されています。また、 テキストは、動物が信仰の象徴として描かれたもので、鷲、子羊、魚、さらにはキリストの犠牲の象徴であるペリカンや、未知の世界との境界を守る存在である竜な ど、様々な動物も登場します。サヴァールが、1000年以上もむかしの音楽の世界をこれ以上なく魅力的に味わわせてくれます。 (Ki)

Coviello
COV-92202(1CD)
14の厳粛な歌 〜ガンバにのせて
ヒューム(1569-1645):Humorous Pavin
マショー(1377没):Douce dame
アンドレーアス・グリューフィウス(1616-1664):Mein sind die Jahre nicht
フリードリヒ・ヴィルヘルム・マルプルク(1718-1795):Lebe, liebe, trinke, larme
コンスタンティン・クリスチャン・デデキント(1628-1715):Wir sind ein Traum der Zeiten
ヨハン・ジギスムント・ショルツ(1705-1750):Alles eilt zum Untergange
伝ハイドン:uberliefert Bonny Barbara Allan
パーセル:Strike The Viol
シューベルト:Der Tod und das Madchen
ブラームス:Denn es gehet dem Menschen wie dem Vieh
ブラームス:O Tod, wie bitter bist du
アダム・クリーガー(1725-1666):Nun sich der Tag geendet hat
トリュステット(1944-):Ach ich
後奏曲
ニコラス・トリュステット(ヴィオラ・ダ・ガンバ、歌)

録音:2020年11月24-27日
弾き語り」とは最も古い演奏形態の一つであり、古代神話のオルフェウスから中世のトルバドゥール、現代の多くのスターまで脈々と続いています。古楽器の専 門家であるニコラス・トリュステットが様々な時代の歌を弾き語りで披露、歌だけでなく語りも入った、不思議な感触のアルバム。 (Ki)

Chandos
CHAN-0828(1CD)
アルティッシマ〜ハイ・バロック時代のトランペット作品集
ゴットフリート・ライヒェ(attrib.)(1667-1734):Abblasen
クリストフ・グラウプナー(1683-1760):トランペット、2挺のヴァイオリン、ヴィオラと通奏低音のための協奏曲 ニ長調 GWV308
ロマヌス・ヴァイヒライン(1652-1706):2本のトランペット、2挺のヴァイオリン、2挺のヴィオラと通奏低音のための8声のソナタ ハ長調 Op.1-1
ゴットフリート・フィンガー(c.1660-1730):トランペット、オーボエと通奏低音のためのソナタ ハ長調
ヨハン・ザムエル・エンドラー(1694-1762):トランペット、2本のホルン、ヴァイオリン、オーボエ、バスーン、ティンパニ、弦楽と通奏低音のための7声のシンフォニア CobE13(ピリオド楽器による初録音)
テレマン:トランペット、2本のオーボエと通奏低音のための協奏曲ニ長調 TWV43:D7
フィリップ・ヤーコプ・リトラー(c.1637-1690):2本のトランペット、ヴァイオリン、3挺のヴィオラ、チェロと鍵盤楽器のための7声のチャッコーナ
カペル・ボンド(1730-1790):トランペット、4挺のヴァイオリン、ヴィオラ、チェロと通奏低音のための協奏曲第1番ニ長調
ジョシュ・コーエン(バロック・トランペット)、
アンサンブル・スプレッツァトゥーラ、
ダニエル・エイブラハム(指)

※使用楽器:Baroque trumpets in D, C, and F by Matt Martin (Norwich Natural Trumpets), 2017, after Kodisch, c.1700
録音:2020年1月6日ー10日、スペンサーヴィル・アドベンチスト教会(メリーランド、アメリカ)
ワシントンD.C.出身のバロック・トランペット奏者、ジョシュ・コーエンのChandosデビュー盤。コーエンは、ターフェルムジーク・バロックO、ワシントン・バッハ・コンソート、モントリオール古楽スタジオ、アポロズ・ファイアなど、北米の古楽器アンサンブルや古楽器オーケストラの首席奏者やソリストとして共演するなど、北米で最も人気のあるクラリーノ(Tp)奏者のひとりとして活躍しています。
これまでにアンサンブル・カプリスとの共演で、高い演奏技術を要するブランデンブルク協奏曲の録音を残しているコーエン。Chandosデビューを飾る本アルバムでは、17世紀後半から18世紀半ばにかけて作曲されたバロック・トランペットのための幅広いレパートリーを取り上げています。現在のバルブやピストンが開発される遥か以前、1500年代から使用されるようになったとされるバロック・トランペットは、モダン・トランペットが誕生する1800年代後期にかけて、宗教作品、オーケストラ作品、独奏作品と多岐にわたり用いられました。バルブ機構が存在しないため、倍音以外の音を出すための唇の絶妙なコントロールなど、より高い演奏技術が求められるこの楽器を、現代のヴィルトゥオーゾの妙技で華々しく奏でます。

Etcetra
KTC-1764(2CD)
フランソワ・クラフト(1729-1795):ソナタ、ディヴェルティメント、メヌエット 〜ハープシコード作品集
ディヴェルティメント ト長調 Op.5-2
ソナタ ト長調 Op.4-1/12のメヌエット(第1番〜第3番)*/ソナタ ニ長調 Op.4-2/12のメヌエット(第4番〜第6番)*/ソナタ ハ長調 Op.4-3/ディヴェルティメント ヘ長調 Op.5-6/ソナタ 変ロ長調 Op.4-4/12のメヌエット(第7番〜第9番)*/ソナタ ヘ長調 Op.4-5/12のメヌエット(第10番〜第12番)*/ソナタ ト長調 Op.4-6
ヤン・デフリーハー(ハープシコード)、
アン・クノップ(Vn)*
バロック期から次の音楽の時代へという過渡期に活躍したフランソワ・クラフト(1729-1795)の作品は、その内容の素晴らしさにもかかわらず、知られざる作品となってしまいました。そこに注目したのがベルギーのリコーダー、ハープシコード、通奏低音奏者であり、コンサート・プレゼンター、作曲家として活動するヤン・デフリーハー。これまでにも自身がリーダーを務めるアンサンブル、レ・グーゾータンティクなどを率いて知られざるバロックの音楽家たちを広める活動を行っています。
クラフトのハープシコード作品集の「全曲盤世界初録音」盤は登場です。

CPO
CPO-555437(2CD)
NX-D11
テレマン:フランス風典礼歴カンタータ集 1714/1715第2集
ただ愛する神の摂理にまかす者 TVWV 1:1593
無邪気さと良心TVWV 1:1440
聖なるキリストはよみがえり給えり TVWV 1:1136
そして彼らはお互いに会話をして TVWV 1:1438
われらの救い主イエス・キリスト TVWV 1:976
シオンの民よ雄々しくあれ TVWV 1:1606
われは知る、わが救い主は生きておられることを TVWV 1:874
偉大な神よ、私たちはあなたの前に横たわる TVWV 1:1668
われは知る、わが救い主は生きておられることを TVWV 1:876
ザビーネ・ゲッツ(S)
リーゼロッテ・フィンク(A)
ファビアン・ケリー(T)
ハンス・クリストフ・ベーゲマン(Bs)
ユリー・グルツカ(S)
ルカ・ゼッガー(A)
ハンス・イェルク・マンメル(T)
ゴットホルト・シュヴァルツ(Bs)
グーテンベルク・ソロイスツ(声楽)
ノイマイヤー・コンソート(器楽)
フェリックス・コッホ(指)

録音:2021年11月22-26日、2021年12月13-14、22-23日
テレマン作品の復興に力を注ぐcpoレーベル、このアルバムは1714/15の教会歴(典礼歴)のために作曲された 規模の大きな編成によるカンタータ全72曲の録音プロジェクトの第2弾にあたります。 今作の2枚組には「死者の日曜日(Laetare)、四旬節の日曜日(Oculi)、復活祭、三位一体後の第22から 第24日曜日のカンタータを9作収録、場面、機会に即したテレマンの優れた音楽表現を楽しむことができます。 フェリックス・コッホの指揮によるこのプロジェクトは、ハンス・クリストフ・ベーゲマンやハンス・イェルク・マンメルといった バロック歌唱に実績のあるヴェテラン歌手とともに、このプロジェクトのために選抜された若き歌手たちが組織する ヴォーカル・アンサンブル「グーテンベルク・ソロイスツ」の演奏。テレマン・ファンだけではなく多くの人にお聴きいただき たい1枚です。
CPO
CPO-777991(1CD)
NX-B10
フランツ・クサヴァー・リヒター: 6つの交響曲集 Op. 2
交響曲 ニ長調 Op. 2No. 1
交響曲 ヘ長調 Op. 2No. 2
交響曲 ハ長調 Op. 2No. 3
交響曲 変ホ長調 Op. 2No. 4
交響曲 ト長調 Op. 2No. 5
交響曲 ニ長調 Op. 2No. 6
南西ドイツ・プフォルツハイム室内O
ヨハネス・メーズス(指)

録音:2019年9月5-7日
モラヴィア生まれの作曲家、フランツ・クサヴァー・リヒターは、ヨハン・シュターミッツと並んで、マンハイム楽派の創始 者であり、プファルツ選帝侯カール・テオドールの高名な宮廷楽団に1747年に加わり、作曲家、ヴァイオリニスト、 バス歌手として活躍したことで知られています。この作品番号2の6つの交響曲は1759年にオランダ、アムステルダ ムのフンメル社から出版され、カール・テオドールに献呈されています(作品番号はリヒター自身が附番したのではな く、出版社が付けたものであるため、決して初期の作品というわけではありません)。作品は全て急-緩-急の3楽 章で構成されており、これは当時流行していた歌劇の「序曲=シンフォニア」に倣ったものです。総譜には管楽器 パートが書かれていますが、これは「ad libitum(好みにあわせて)」とされており、必ずしも必要なわけではありま せん(この演奏では使われています)。第4番だけは例外的に終楽章にメヌエットが置かれており、こちらはリヒター の実験的な試みが成功しています。 なお、この録音は、ハイデルベルク科学アカデミーの南西ドイツ宮廷音楽研究センターによる新版で演奏されてい ます。

EVIDENCE
EVCD-088(1CD)
ジャケ・ド・ラ・ゲール:ユディット&セメレ
(1)聖書カンタータ「セメレ」
(2)トリオ・ソナタ第4番ト短調
(3)聖書カンタータ「ユディット」
(4)組曲ト長調(Vnでも演奏可能なクラヴサン小品集)
エロイーズ・ガイヤール(指)
アンサンブル・アマリリス、
マイリス・ド・ヴィユトレイ(S)

録音:2021年11月5-7日/ラ・クロワ(アントルーグ=シュル=ラ=ソルグ)
17世紀フランスを代表するクラヴサンの名手にして女性作曲家エリザベート・ジャケ・ド・ラ・ゲール。フランス・バロックの作曲家ダカンが夫の甥で、彼のクラヴサン曲にも影響を及ぼしています。
ジャケ・ド・ラ・ゲールはクラヴサン曲のみならず、世俗・神聖両カンタータも多数残しています。そのなかから旧約聖書に登場するふたりの女性、勇気と美徳を体現したユディト、節度と尊厳を体現したセメレを描いた2篇をエロイーズ・ガイヤール率いるアンサンブル・アマリリスが美しく再現。ジャケ・ド・ラ・ゲールの天性のドラマ的感覚が光ります。アンサンブル・アマリリスは1994年結成の女性団体。
器楽作品であるトリオ・ソナタ第4番は、半音階や大胆な和声などコレッリの影響を感じさせる新しい楽器法と、彼女ならではのフランス的な装飾技法の融合が興味深い作品。アンサンブル・アマリリスのフレッシュな演奏で味わえます。 (Ki)

H.M.F
HMM-902315(1CD)
マラン・マレ:作品集
1. プレリュード*
2. ガヴォット*
3. ミュゼット(ヴィオール曲集第4巻、組曲イ短調より)
4. スペインのフォリアのクプレ(ヴィオール曲集第2巻より)
5. ラ・レヴーズ(夢、夢想、夢見る女)(ヴィオール曲集第4巻、異国趣味の組曲より)
6. ファンタジー*
7. グラン・バレ*
8. サラバンド*
9. 膀胱結石手術図(ヴィオール曲集第5巻)
10. クーラント*
11. 作者不詳(伝:マラン・マレ):Les Regrets(後悔)(ヴィオール曲集第2巻 組曲ホ短調より)
12. プレリュード(ヴィオール曲集第2巻 組曲ニ短調より)
13. サラバンド・グラーヴ(ヴィオール曲集第2巻 組曲ニ短調より)
14. きわめて速く-遅く(マレ風ソナタ)
15. ル・バディナージュ(ヴィオール曲集第4巻、異国趣味の組曲より)[ピアノ・ソロ編曲]
16. ジグ - ドゥーブル*
17. アルマンド*

*=ヴィオール曲集第3巻 組曲イ短調より
ケラス&タローcVictor Toussaint
ジャン=ギアン・ケラス(Vc/ジョフレド・カッパ、1696年製)
アレクサンドル・タロー(P/YAMAHA CFXグランドピアノ)
ギョーム・ガリエンヌ(コメディ・フランセーズ会員/9)

録音:2022年8月、大ホール、アルセナル・ド・メス(フランス)
ケラスとタローが、マラン・マレを録音しました。モダン・チェロとピアノによるマラン・マレというだけでも興味津々なうえ、ふたりによる演奏となれば、黙っ て通り過ぎるわけにはいきません。ケラスはその圧倒的なうまさと音楽で、洋の東西、時代を問わずに演奏活動を展開、そしてタローはラモーのクラヴサン曲集 のピアノによる演奏で世界をあっといわせた存在。そんなふたりによるマレ!ひとつの組曲を核に、さまざまなキャラクターの小曲を合間にちりばめた、1枚をと おしてたのしめるプログラムも魅力。ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロで演奏するとどちらかといえばゆったりと典雅、内省的な印象すらあるマレ。ケラスと タローによる演奏は、フレーズひとつひとつに満ちる歌、さりげない装飾音にただよう繊細なエレガンスが美しく、そしてスタイリッシュ。かと思うと、ワールド ミュージックを聴いているような感覚になるような場面もあるなど、1曲1曲が実に新鮮。膀胱結石手術図の患者役にはコメディ・フランセーズの役者をゲスト に迎えた力の入りよう。タローのソロも、ラモーやクープランにつづき、衝撃の美しさに心がふるえます。そしてスペインのフォリアでの、ケラスの圧倒的うまさ!! 絶対注目です!!! (Ki)

Signum Classics
SIGCD-731(1CD)
トム&ウィル〜ウィールクス&バード
没後400周年記念アルバム

1. ウィリアム・バード:諸々の異邦人よ、主をほめまつれ/2. バード:If Women Could be Fair/3. トマス・ウィールクス:Say Dear, When Will Your Frowning Leave/4. ウィールクス:Like Two Proud Armies/5. ウィールクス:パヴァン第3番/6. ウィールクス:Thule, the Period of Cosmography/7. ウィールクス:What Joy so True/8. ウィールクス:In Nomine a4/9. バード:Ye Sacred Muses (1)/10. ジェイムズ・マクミラン:Ye Sacred Muses (2)(世界初録音)/11. ウィールクス:In Nomine a5(1)/12. ウィールクス:Hark all ye Lovely Saints Above/13. ウィールクス:Death Hath Deprived Me/14. ロデリック・ウィリアムズ:Death, be not Proud(世界初録音)/15. ウィールクス:In Nomine a5(2)/16. バード:Who Made Thee Hob/17. バード:This Sweet and Merry Month of May/18. バード:Browning (The Leaves Be Green)/19. バード:Alack, When I Look Back/20. バード:O Lord Make thy Servant Elizabeth
キングズ・シンガーズ
〔パトリック・ダナキー(C.T)、
エドワード・バトン(C.T)、
ジュリアン・グレゴリー(T)、
クリストファー・ブリュートン(Br)、
ニック・アシュビー(Br)、
ジョナサン・ハワード(Bs)〕
フレットワーク

録音:2022年1月13日ー15日、セント・バーソロミュー教会(サフォーク、イギリス)
ルネサンス・ポリフォニーからジャズ・ポップスまで、2000曲以上ものレパートリーを誇り、2018年に結成50周年を迎えた男声ア・カペラ・グループのレジェンド、キングズ・シンガーズ。エドワード・バトン(C.T)、ニック・アシュビー(Br)が加わった新メンバー(2019年7月来日公演時のメンバー)による2022年の新録音は、森川麻子やリチャード・ブースビーら、名ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者達によって1986年に創設され、2021年で35周年を迎えた世界最高峰のヴィオール・コンソート、フレットワークとの共同企画。
本アルバムでは、ともに1623年に没し、2023年に没後400周年を迎えるウィリアム・バードとトマス・ウィールクスというエリザベス朝時代の作曲家に焦点を当てています。有名な作品はもとより、これまでに演奏される機会が少なかった貴重な作品まで幅広く取り上げており、イギリス・ルネサンスの最盛期の中で活躍した、この偉大な作曲家たちの作品の深淵に迫ります。また、バード、ウィールクスの精神を引き継ぎ書かれた、ジェイムズ・マクミラン、名バリトンとしても知られるロデリック・ウィリアムズの新作をカップリング。これまでに、べリオ、リゲティ、ペンデレツキ、武満徹、ウィテカーなど各時代を代表する現代作曲家から200を超える作品を捧げられてきたキングズ・シンガーズの新たなレパートリーにも注目です。

Ars Produktion
ARS-38619(1CD)
鳥愛好家の喜び
ジョン・ウォルシュ(1666-1736):ムクドリ
パーセル:鳥の前奏曲、ソナタ ハ長調 Z.808
ウィリアム・ウィリアムズ(1675-1701):SONATA SECUNDA
アンジェロ・ミケーレ・バルトロッティ(1615-1681):パッサカリア ト長調
ジャック=マルタン・オトテール:甘い眠り、POURQUOY DOUX ROSSIGNOL
ラモー:LE RAPPEL DES OISEAUX
マルコ・ウッチェリーニ(1603/10-1680):SONATA DECIMA SETTIMA A TRE、ARIA SOPRA ‘LA BERGAMASCA’
モンテヴェルディ:O COME SEI GENTILE, CARO AUGELLINO
ウィリアム・ウィリアムズ:SONATA SESTA IN IMITATION OF BIRDS
アンサンブル・ソノリタ:IMPROVISATION ‘IN THE FOREST’
タルクィニオ・メールラ(1595-1665):シャコンヌ
アンサンブル・ソノリタ

録音:2021年10月17日-21日
アンサンブル・ソノリタは、リコーダー2本、ハープシコード、チェロ、アーチリュートまたはバロック・ギターで編成されたピリオド・アンサンブルです。彼らによって演奏されるイギリス、フランス、イタリアのバロック作曲家の作品には鳥の声が描写されていたり、自然の風景からインスピレーションを受けていたことが窺えます。「自然」と「芸術」の切っても切り離せない関係性を垣間見ることの出来る興味深いアルバムです。

Footprint Records
FR-127(1CD)
2つの管弦楽組曲と3つのアリア
テレマン:序曲(組曲) ハ長調 TWV 55:C6
ヘンデル:言いなさい、わたしの心の人よ(歌劇 「アルチーナ」 から)
ヴィヴァルディ:凍りつく血潮が(歌劇 「ファルナーチェ」 から)
ヘンデル:戻ってきて、また私を喜ばせて(歌劇 「アルチーナ」 から)
バッハ
:管弦楽組曲(序曲)第1番ハ長調 BWV 1066
ヘレーナ・エーク(S)、
カールソン・バロック、
ドロットニングホルム・バロック・アンサンブルの木管楽器奏者たち、
ヨーラン・カールソン((指)チェンバロ)

録音:2021年6月21日-24日、クヴィル教会(フィエールバッカ、スウェーデン)
カールソン・バロックは、ヨーラン・カールソンが結成したヨーテボリを拠点に活動する15人のプレーヤーの古楽アンサンブルです。2009年に最初のコンサートを行い、2014年にアルバム第1作『Characters』(FR076)をリリース。コレッリ、ジャン=フェリ・レベル、ヴィヴァルディ、チャールズ・アヴィソン、テレマンという多彩なプログラムの演奏は、各国のメディアから注目され、好意的な評を獲得しました。2作目のアルバムでは、ドロットニングホルム・バロック・アンサンブルの木管楽器奏者が加わったテレマンの「ダルムシュタット序曲」の 「ハ長調」 の作品と、バッハの4つの「管弦楽組曲(序曲)」の 「第1番ハ長調」、そして、へンデルとヴィヴァルディの歌劇のアリア3曲を演奏しています。アリアのソロを歌うソプラノのヘレーナ・エークは、カールソンをはじめとする古楽アンサンブルや現代音楽の音楽家たちとコラボレーションを行い、フレードリク・シクステンの 「スウェーデン・クリスマス・オラトリオ」(FR069)でも歌いました。

Perfect Noise
PN-2204(1CD)
エスパニョレタス〜スペイン黄金時代のサウンド(1600年代のミンストレルの音楽)
アントニオ・デ・カベソン:パヴァーヌとそのグロサ
シャイト
(1587-1654):ガリアルダ
エルナンド・デ・カベソン(1541-1602):甘き思い出
ガスパル・サンス(1640-1710):カナリオス
バルトロメオ・デ・セルマ・イ・サラベルデ(c.1595-after1638):カンツォン第4番
アントニオ・デ・カベソン:「牝牛の番をしておくれ」の主題によるディフェレンシアス
スヴェーリンク(1562-1621):スペインのパヴァーヌ
アントニオ・ヴァレンテ(c.1520-c.1581):イントルチャの踊り
ディエゴ・オルティス(c.1510-1570):レセルカーダ第1番、第4番、第7番、第2番
アンドレア・ファルコニエーリ(c.1585-1656):3声のパッサカリア
アントニオ・マルティン・イ・コル(c.1680-1734):Bayle Del Gran Duque
フランシスコ・コレア・デ・アラウホ(1584-1654):Gaybergier de Toma Crequilion
アントニオ・マルティン・イ・コル(c.1680-1734):マリサパロス
サンス
:エスパニョレタス
アントニオ・マルティン・イ・コル:フォリア
ティールマン・スザート(1510/15-1570):スペインのパヴァーヌ
シャイト:音楽の遊戯より ガリアード、クーラント
プレトリウス
:スパニョレッタ
コンシエルト・イベリコ〔アンナ・シャル(ソプラノ&テノール・コルネット、ミュート・コルネット、リコーダー)、イネス・ピナ・ペレス(ルネサンス・リコーダー)、フアン・ゴンサレス・マルティネス(ルネサンス・トロンボーン、音楽監督)、エスター・ファン・デル・ヴェーン(ドゥルシアン)、フェルナンド・オリバス(スパニッシュ・ギター、テオルボ)、リア・スーター(オルガン/エーファース製作)、ノラ・ティーレ(パーカッション)〕

録音:ヴァルンフリート教会(ドイツ)
オランダのハーグ王立音楽院で研鑽を積み、カペラ・クラコヴィエンシス(ポーランド)、ル・セルクル・ド・ラルモニー(フランス)など、ヨーロッパ全土で有名な古楽オーケストラやアンサンブルとの共演を重ねて来たトロンボーン奏者、フアン・ゴンサレス・マルティネスによって、2017年に結成された若き古楽器アンサンブル、「コンシエルト・イベリコ」。
14世紀から18世紀にかけてヨーロッパ全土で活躍し、宮廷や教会、一般の人々のための娯楽としても、その高い演奏技術を生業とした職業音楽家(ミンストレル)。本アルバムでは、彼らの文化が最も繁栄し、スペインの美術、音楽、文学隆盛の時代にあたる「スペイン黄金世紀」の音楽を収録。当時の広く親しまれてきた華やかな音楽を、現代の若き名手達による解釈で伝えます。

Tactus
TC-700703(1CD)
ジョヴァンニーニ:ミサ・ア・クワトロ・ブレーヴェ・コンチェルタータ (1762) カペラ・ムジカーレ・ディ・サンタ・マリア・イン・カンピテッリ

録音:2018年7月
18世紀イタリアのカンピテッリにあるサンタ・マリア教会の楽長であったフランチェスコ・ジョヴァンニーニ(1709/11-1775)の作品をメインとしたアルバム。聖母修道院に遺されてたジョヴァンニーニのアーカイヴから発掘されたミサ曲を再現するために最良な方法は何か。そのためには18世紀当時行われたミサを再現することだと結論に至りこのアルバムは収録されました。当時の慣習に従い、ミサ曲の合間に朗読やグレゴリオ聖歌、その他にもベルナルド・パスクィーニの作品、ドメニコ・ツィポーリの作品も収録されており、リスナーはこのアルバムを通してジョヴァンニーニの時代に行われたミサを追体験することが出来ます。

QUERSTAND
VKJK-2109(1CD)
ビーバー&ムッファト:ヴァイオリン作品集
ビーバー:ソナタ第3番ヘ長調〜ヴァイオリンと通奏低音のた
めの
ビーバー:ロザリオのソナタ〜磔刑
ムッファト:「音楽とオルガンの資料」〜パッサカリア ト短調
ビーバー:ロザリオのソナタ〜パッサカリア
ムッファト:ソナタ ニ長調 ヴァイオリンと通奏低音のための
ビーバー:ソナタ第 1番イ長調〜ヴァイオリンと通奏低音のための
ドーラ・シラージ(バロック・ヴァイオリン)
フローラ・ファーブリ(Cemb)

録音:2021年9月6-8日 ドイツ フライブルク
今注目のハンガリー出身の二人の女性演奏家によるビーバーとムッファトのヴァイオリン 作品集。ドーラ・シラージはブダペストのフランツ・リスト音楽大学を修了後、フライブルクに移 ってゴットフリート・フォン・デア・ゴルツ(フライブルク・バロックオーケストラのリーダー)に学 ぶ。バロックの室内楽を中心に活動しつつ、バロック・ヴァイオリンのソリストとしても名声を築 きつつある。ドイツ仕込みの折り目正しい格調高い演奏を基本にしつつ、時折見せつ熱っぽ さが素敵だ。フローラ・ファーブリはブダペストで学んだ後、ミュンヘンでクリスティーネ・ショ ルンスハイムに学んだチェンバロ奏者。彼女はマンハイム歌劇場などの歌劇場でコレペティ トゥーア(練習伴奏ピアニスト)も務めているからか、伴奏の勘所が非常に良く、ここでもシラ ージのヴァイオリンを絶妙に引き立てています。選曲も良くビーバーとムッファトの魅力をたっぷ り楽しめる。
QUERSTAND
VKJK-2110(1CD)
フランスのヴィオル作品集
フォルクレ:ルクレール
 ラボルド/ブロン
マレ:人間の声
フォルクレ:摂政/トロンシャン
サント=コロンブ:コンセール第44番トンボー「悔い」
ウデリンヌ:組曲 ニ短調
マレ:スペインのフォリア
アンサンブル・アルト・デコー【ユリアーネ・ラーケ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、イレーネ・クライン(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、カーステン・ローフ(Cemb)、マグヌス・アンデション(Lute)】

録音:2021年9月6-9日 ドイツ ベルリン ヴァンゼー
ユリアーネ・ラーケ率いるアンサンブル・アルト・デコーによる新録音は、フランスのヴィオ ルの三大作曲家、アントワーヌ・フォルクレ(1672-1745)、マラン・マレ、サント =コロンブ(1640頃-1690頃)の作品。さらに17 世紀の謎多きヴィオル奏者、ルイ・ウデリン ヌの組曲も収録。ラーケのヴィオラ・ダ・ガンバはいつもながら雄弁。フランスバロックというこ とで華やかさもあるものの、やはりドイツ風の理路整然とした趣も残っていて、伴奏含め完 成度の高い仕上がりになっています。
QUERSTAND
VKJK-2201(1CD)
「ヴルピウス:モテット集第4巻〜聖歌集第2集
ある人がエルサレムからエリコへ下って行く途中(ルカによる福音書第10 章)
神よ、私の心は定まりました(詩篇108)
キリストが昇天した時
今日、聖霊降誕の日が来た
誰かが 私の主を取り去った(ヨハネによる福音書第 20章,マタ
イによる福音書第28章)
復活のいけにえに
エルサレムよ大きな喜びで喜べ
見なさい、何という幸せ、何という喜び
イエスはナインという町に行った
イエスはエルサレムへ行く時
民よ、主に喜びの声をあげに走って来なさい
主の聖所で主を称えなさい
言葉は肉となり
ルネ・ミヒャエル・レーダー(指揮,オルガン)
カペラ・ダレミンツィア
カペラ・ヴォカーレ・ヴァルトハイム

録音:2017年8月21-26日 ドイツ ザクセン州 ヴァルトハイム
querstand によるメルヒオール・ヴルピウス(1570 頃―1615)のモテット集の第 4巻。今回 は1603 年に出版された聖歌集 Cantiones Sacrae 第2 巻から、8声、10声、12声、14声 のモテットを収録しています。ヴルピウスは 1596年からワイマールのカントールを務めた歌 手、作曲家。高名な作曲家だったが45歳ほどで亡くなり、その作品は長らくザクセンのヴァ ルトハイムの教会図書館に所蔵されたままだった。2002 年からこれらの作品の研究が進 み、それを受けてルネ・ミヒャエル・レーダー率いるカペラ・ダレミンツィアによって網羅的な 録音が進んでいます。今回は多声作品が多いので演奏も充実したもの。

GENUIN
GEN-22802(1CD)
ヨハン・クリストフ・フリードリヒ・バッハ(1732-1795):オラトリオ「ラザロの復活」(1773) アンドレアス・ミチュケ(指)
ゲッレールト・アンサンブル

録音:2021年11月19-20日パウル・ゲルハルト教会、ライプツィヒ(ライヴ録音)
「ラザロの復活」はバッハの息子、ヨハン・クリストフ・フリードリッヒ・バッハと詩人ヨハン・ゴット フリート・ヘルダーのコラボレーションにより完成したドラマティックなオラトリオで新約聖書の軌 跡的な物語を題材にした、色彩豊かでニュアンスに富んだ作品。歴史的な演奏の実践を最 高レベルで実現したドイツ中部の若手演奏家たちによる感動的な気迫のライヴ録音です。

TYXart
TXA-19126(1CD)
ヤコブ・フリードリヒ・クラインクネヒト(1722-1794):2つのフルートと通奏低音のためのトリオ・ソナタ集
ソナタ ト長調 Ms238*
ソナタ ト長調 Op.2-1
ソナタ ト短調 Op.2-2
ソナタ ニ長調 Op.2-3
ソナタ ハ長調 *
アンサンブル・ラ・カントナーダ 【白井美穂、ジュジャ・チゲ(フラウト・トラヴェルソ) 、マリー・コロンバ(V