湧々堂HOME 新譜速報 交響曲 管弦楽曲 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 歌劇 バロック 廉価盤 シリーズ
旧譜カタログ チャイ5 殿堂入り 交響曲 管弦楽 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 歌劇 バロック


交響曲・新譜速報1



※発売済のアイテムも含めて、約3ヶ月間掲載しています。
※新しい情報ほど上の段に記載しています。
※表示価格は全て税込みです。




Urania Records
LDV-14122(1CD)
マーラー:交響曲第1番「巨人」 ヴラディーミル・デルマン(指)
ミラノRAIS響

録音:1991年(ミラノ、ステレオ録音、DDD)
ソビエト連邦出身で、イタリアに帰化した指揮者、ヴラディーミル・デルマンが晩年に残したマーラーの交響曲第1番「巨人」(ライヴ録音)が、イタリアのインディペンデント・レーベル「ウラニア・レコーズ(Urania Records)」から登場。
デルマンはイタリアに帰化後、国内外の主要なオペラ劇場(ミラノ、ナポリ、ローマ、パレルモ)や主要なSOの指揮者として活躍。1985年から1987年まで、パルマで開催された「アルトゥーロ・トスカニーニ国際指揮者コンクール」の審査委員長を務め、同時に、コンクールに組み込まれたオーケストラ指揮者のための上級トレーニング・コースのディレクターも務めました。また、1993年にミラノSOを設立したことでも知られています。
前回好評を得たマーラーの第9番(LDV-14116)に続き、本アルバムでは1991年録音の第1番「巨人」を収録。第9番と同じくヴラディーミル・デルマン晩年の演奏です。マーラー最初の交響曲にして最も演奏機会の多い作品のひとつである交響曲第1番「巨人」をデルマンが最後の首席指揮者として率いた手兵、ミラノRAISOと共に演奏します。

NCM KLASSIK
NCMK-9016(1CD)
ベートーヴェン:交響曲第3番Op.55「英雄」 オーケストラ・アンサンブル・ソウル
イ・ギュソ(指)

録音:2021年8月31日ソウル・アーツ・センター(ソウル、韓国)
韓国を代表する室内オーケストラを目指しソウル大学音楽学部の卒業生たちによって2014年1月に創設されたオーケストラ・アンサンブル・ソウル。共演したピアニストのソン・ヨルムから「韓国のネヴィル・マリナーとアカデミー・オヴ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ(ASMF)」と激賞されるなど急速に存在感を高めてきたチェンバー・オーストラです。
創設以降、芸術監督を務めるイ・ギュソはウィーンで指揮法を学び、アンドレス・オロスコ=エストラーダからは「彼(イ・ギュソ)の指揮は簡潔だが、常にそれだけで十分です。なぜならばその音楽の全てが彼の頭と手の中にあるのですから。」と評されるなど、洗練されたバトンテクニックと音楽性を兼ね備えた期待の指揮者です。
2018年から2022年にかけてベートーヴェン生誕250周年を記念して、民間の音楽団体として初めて「芸術の殿堂(ソウル・アーツ・センター)」での「ベートーヴェン交響曲&ピアノ協奏曲全曲シリーズ」を企画して大喝采を浴びており、当盤にはそのシリーズのハイライトでもある「エロイカ」が収められています!
NCM KLASSIK
NCMK-9002(1CD)
モーツァルト:交響曲第29番イ長調 K.201
セレナード第13番ト長調 K.525「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」
オーケストラ・アンサンブル・ソウル、
イ・ギュソ(指)

録音:2017年2月27日-28日スタジオ・パジュ(韓国)
2014年にキム・ボムソリを迎えて行われた創立記念コンサートで堂々たるデビューを飾ったイ・ギュソ率いるオーケストラ・アンサンブル・ソウル。
前身である「ソウル大学室内O」から「オーケストラ・アンサンブル・ソウル」へと生まれ変わり、最初のレコーディングのためにイ・ギュソとメンバーが選んだのは、モーツァルトの「交響曲第29番」と「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」の2曲。後期の有名交響曲ではなく敢えて「第29番」を選曲したのは、その探求心と自信を証明していると言えるでしょう。
ドイツ・グラモフォンの元副社長でロッテルダム・フィル、フランス放送フィル、ソウル市立響のアーティスティック・アドバイザーを歴任したマイケル・ファインからイ・ギュソとオーケストラへ向けて「今、本当に楽しい気持ちであなたのモーツァルトを聴いています。スタイリッシュで、機敏で、温かく、透明感があり、対位法が最も自然な形で美しく表現されています。そして録音は暖かく、親密なサウンドを創り上げています。心から拍手を送ります!」という賛辞が送られました。


東武レコーディングズ
TBRCD-0157(5CD)
日本語解説付国内盤
税込定価
Genius Naozumi
■CD1
ブラームス:交響曲第1番
■CD2
ブラームス:二重協奏曲
ブラームス:ハンガリー舞曲第1番、第5番、第6 番
ブラームス:子守歌
■CD3
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付き」
■CD4
山本直純の管弦楽入門“楽器の紹介”
スッペ:「軽騎兵」序曲
楽器の紹介(打楽器、木管楽器、金管楽器、弦楽器)
■CD5
山本直純の管弦楽入門“オーケストラで世界をめぐる”
エルガー:威風堂々
レハール:「金と銀」
ブラームス:ハンガリー舞曲第5番
モーツァルト(山本直純編):トルコ行進曲
楽器の紹介(サキソフォン、チェレエスタ、ハープ)
ラヴェル:ボレロ
マスカーニ:「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲
山本直純:「男はつらいよ」のテーマ音楽
※山本直純の管弦楽入門で楽器紹介に使われている楽曲(一部断片)
前半(CD4):「ピーターと狼」(プロコフィエフ)、夕焼け小焼けの赤とんぼ(山田耕筰)、「剣の舞」(ハチャトゥリアン)、バディヌリ(バッハ:管弦楽組曲第2番)、五木の子守歌、クラリネットポルカ(作者不詳)、ぞうさん(團伊玖磨)、ガヴォット(ゴセック)、交響曲第5番〜2楽章(チャイコフスキー)、魔弾の射手「狩人の合唱」(ウェーバー)、オブラディ・オブラダ(ビートルズ)、夢見る人(フォスター)、小象のエフィー(アレック・ワイルダー)、チャールダッシュ(モンティ)、荒城の月(滝廉太郎)
後半(CD5):TAKE5(ポール・デズモンド)、引き潮(マックスウェル)、くるみ割り人形 (チャイコフスキー)
山本直純((指)お話)
新日本フィルハーモニーSO

■CD2
潮田益子(Vn)、
ローレンス・レッサー(Vc)
録音(CD1&2):1972年11月25日第3回定期演奏会東京文化会館、ステレオ
■CD3
秋山恵美子(S)、
大橋ゆり(A)、
饗場智昭(T)、
高橋啓三(Bs)
晋友会cho
録音:1990年12月24日オーチャードホール、デジタル
作曲はコメディからシリアス、指揮も硬から軟までと自由自在な音楽活動を展開した山本直純(1932〜2002)。その死は指 揮者としては早世の範疇に入るでしょう。指揮者としての真骨頂がここに記録されております。と最も古い演奏会が新しいオ ケの誕生という気概と気合に満ちた第3回定期演奏会のオール・ブラームス・プロ。この演奏を聴いた人々は圧倒的演奏と いう評価を下し、ソリストのレッサー氏も見事な演奏に太鼓判を押して発売許可の運びとなりました。ブラ1は山本直純の自 家薬籠中の十八番でありますが、ここまで熱い演奏も世の中にそうはないことでしょう。山本直純の『第九』と言えば“一万人 の第九”が知られますが音盤初レパートリーです。早めのテンポ、拘泥しない率直なトスカニーニ型のアプローチで極めてオ ーソドックスに第九と立ち向かう様は実に感動的。国際的知名度を獲得した時期の晋友会合唱団との共演という点もそそら れます。そして極めつけは晩年である2000年演奏の“管弦楽入門”。キングインターナショナルから同趣向のCD が出てい ますが曲目は一切かぶりません。トークの面白さ、教養の高さにも驚かされます。最後の最後の“男はつらいよ”のテーマ音 楽のしみじみ感には涙が出ます。山本直純のお陰でどれだけ日本の音楽が豊かになったか?を改めて考えるのも一興でし ょう。柴田克彦先生による詳細なライナーノートも必読です。

Pentatone
PTC-5187232(1CD)
ウィントン・マルサリス(1961-):ブルース・シンフォニー(2009)
I. Born in Hope
II. Swimming in Sorrow
III. Reconstruction Rag
IV. Southwestern Shakedown
V. Big City Breaks
VI. Danzon y Mambo, Choro y Samba
VII. Dialogue In Democracy
デトロイトSO、
ヤデル・ビニャミーニ(指)

録音:2023年12月1〜3日/コンサートホール(デトロイト)
ヤデル・ビニャミーニ率いるデトロイトSOが世界的トランペッター、ウィントン・マルサリス(1961-)が作曲した「ブルース・シンフォニー」を録音しまし た。北イタリアのクレーマ生まれのビニャミーニは、2010年にシャイーよりミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディSOのアシスタント・コンダクターに指名され、その 後レジデント・コンダクターとして研鑽を積み指揮活動を開始しました。2015年にはミラノ・スカラ座フィルにコンサート・デビューを果たし、以後積極的な演奏 活動を展開しております。
7楽章からなる「ブルース・シンフォニー」はブルースとアメリカ音楽がもつあらゆる側面をあらわしており、ラグタイムからハバネラまでさまざまな表情をみせ ます。聴く者をアメリカの革命時代、ニューオリンズにおけるジャズの黎明期、そして大都会のサウンドスケープを巡る音の旅へと誘います。ビニャミーニがデトロイ トSOを振ったはじめての録音であることも注目に値します。 (Ki)

CLAVES
50-3099(1CD)
モーツァルト:交響曲第40番ト短調 K.550
ディアナ・バルデス:ケツァルコアトル
ハイドン:交響曲第49番ヘ短調 Hob I:49
J.C.バッハ:交響曲 ト短調 Op.6/6
ロベルト・ゴンザレス=モンハス(指)
ヴィンタートゥール・ムジークコレ ギウム

録音:2023年9月/ヴィンタートゥール・シュタットハウス(スイス)
1629年結成のスイス最古のオーケストラ、ヴィンタートゥール・ムジークコレギウム。定期的に来日公演も行っている日本でもおなじみの団体です。
2021/22シーズンより同団の音楽監督に就任したゴンザレス=モンハスはこれまでヴィンタートゥール・ムジークコレギウム、サンタ・チェチーリア国立アカデ ミーO、ヴェルビエ祝祭Oのコンサートマスターを兼任していますが、近年は指揮者としても頭角を現しています。
モーツァルトの交響曲第39番を中軸にしたアルバム(50-3076)でも優れた演奏が評価されました。当アルバムでは交響曲第40番、ディアナ・バルデス (1984-)の新作委嘱、オーケストラのための「ケツァルコアトル」、ハイドンの交響曲第49番、そしてJ.C.バッハの交響曲 ト短調 Op.6/6という組み合わせです。
作曲家ディアナ・バルデスは新作「ケツァルコアトル」について「オーストリア人のモーツァルトとメキシコ人の私。モーツァルトの交響曲第40番と私自身の人生 経験からインスピレーションを得て、私はこの作品を美の絶え間ない再発明に捧げられた対位法と対話として創作しました。この音楽がアステカの伝統と神々に根 ざした作曲家の視点から、愛、痛み、情熱など、演奏者と聴衆を豊かな感情をもっていただきたいと思っています。羽の生えた蛇の姿で現れるアステカ神話の文化 神・農耕神「ケツァルコアトル」は、自然、力、闇と光の二面性、そして解放を象徴しており、この作品の音楽的物語の中心的要素となっています」と語っています。 (Ki)

GRAND SLAM
GS-2323(2CD)
限定生産
[疑似ステレオ版・オープンリール・テープ復刻]
フルトヴェングラーVPO/ベートーヴェン:『英雄』、シューベルト:『未完成』、ほか

(1)ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
(2)リスト:交響詩「前奏曲」
(3)シューベルト:交響曲第8番「未完成」
(4)ベートーヴェン:交響曲第7番
(5)ワーグナー:「ニュルンベルクのマイスタージンガ-」第1幕前奏曲
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)
VPO

録音:(1)1952年11月26、27日、(2)1954年3月3、4日、(3)1950年1月19〜21日、(4)1950年1月18、19日、
(5)1949年4月1〜4日/以上、ウィーン、ムジークフェラインザール
使用音源:Angel(Japan) AXA-3043,3062,3060 (4トラック、19センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:ステレオ(セッション録音、疑似ステレオ)
■制作者より  
ベートーヴェン編(交響曲第1、4、5、6)(GS-2321/22)に次ぐ疑似ステレオの続編登場です。ディスク1はベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」+リスト の「前奏曲」で、これはGS-2070(2011年)以来の約13年ぶりの登場です。ことに「英雄」は疑似ステレオの人気が非常に高く、復活を待ち望んでいたファン は多かったと思います。ディスク2はシューベルトの「未完成」、ベートーヴェンの第7、ワーグナーの「マイスタージンガー」前奏曲で、GS-2174(2017年)以来、 約7年ぶりの再発売となります。今回も2枚組1枚価格のご提供で、限定プレスとなります。(平林直哉)

Forgotten Records
fr-2301(1CDR)
R・シュトラウス:交響詩「死と変容」
ブラームス:交響曲第1番ハ短調Op.68
ポール・パレー(指)デトロイトSO

録音:1962年10月4日 放送録音
Forgotten Records
fr-2299(1CDR)
ワルベルク&ケルテス/ハイドン
交響曲第101番「時計」
交響曲第104番「ロンドン」*
ハインツ・ワルベルク(指)
イシュトヴァン・ケルテス(指)
バンベルクSO

録音:1961年
※音源:Opera1202
Forgotten Records
fr-2295(1CDR)
マーラー:交響曲第1番「巨人」 ウィリアム・スタインバーグ(指)
ボストンSO

録音:1960年1月8日 ボストン・シンフォニー・ホール放送録音
Forgotten Records
fr-2294(1CDR)
メリヒャル/ハイドン:交響曲集
交響曲第45番「告別」
交響曲第94番驚愕」
アロイス・メリヒャル(指)
ミュンヘンPO

録音:1949年
※音源:Mercury MG15028, Mercury MG15023
Forgotten Records
fr-2288(1CDR)
ドヴォルザーク:交響曲第8番*
グリーグ:「ペール・ギュント」第1組曲&第2組曲
ヨネル・ペルレア(指)
バンベルクSO

録音:1558年*、1957年(共にステレオ)
※音源:Vox STPL511.050, Vox STPL510.250
Forgotten Records
fr-2283(1CDR)
ヨースタ・ニューストレム(1890-1966):交響曲第2番「シンフォニア・エスプレシーヴァ」
交響曲第3番「海の交響曲」*
トゥール・マン(指)
ストックホルムコンサート協会O
イングリート・エクセル(S)*

録音:1950年
※音源:His Master's Voice DB11030/33, Metronome CLP-504
Forgotten Records
fr-2085(1CDR)
ハンニカイネンのシベリウス
交響曲第4番イ短調 Op.63
「カレリア」組曲*
交響詩「タピオラ」#
ウノ・ハンニカイネン(指)
ソヴィエト国立SO
シンフォニア・オヴ・ロンドン*
LSO#

録音:1958年、1959年1月7日*、1959年1月11日#
※音源:Melodiya4794/5, Everest SDBR3049, Everest SDBR3045
Forgotten Records
fr-2088C(2CDR)
スクロヴァチェフスキのシューベルト
交響曲第9番「グレート」
交響曲第8番「未完成」
「ロザムンデ」〜序曲 /間奏曲第2番/バレエ音楽第2番
スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ(指)
ミネアポリスSO

録音:1961年
※音源:Mercury SR90272, Mercury ST90218

DOREMI
DHR-8251(2CD)
クラウス・テンシュテット LIVE 第5集
(1)ベートーヴェン:交響曲第1番ハ長調 Op.21
ベートーヴェン:交響曲第2番ニ長調 Op.36
(2)チャイコフスキー:ロココの主題による変奏曲
(3)ブルックナー:交響曲第7番ホ長調
クラウス・テンシュテット(指)
(1)トロントSO
 録音:1977年9月8日マッセイホール
(2)ポール・トルトゥリエ(Vc)、フィラデルフィアO
 録音:1988年1月8日フィラデルフィア
(3)シカゴSO
 録音:1984年5月31日、6月2日シカゴ
テンシュテットのお宝ライヴ音源集、第5弾。トロント響、フィラデルフィア管、シカゴ響との貴重な演奏記録です。 (Ki)

Goodies
78CDR-3956(1CDR)
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」から第4楽章「歓喜の頌」
(シラー原詩-尾崎喜八訳詞)
橋本国彦(指)東京SO
国立音楽学校&玉川学園cho(岡本敏明指導)
香山淑子(S)(1910-)
四家文子(Ms)(1906-1981)
木下保(T)(1903-1982)
藤井典明(Br)(1915-1994)

日本ビクターJH232/4
1943年(昭和18年)5月13日日本青年館録音
日本最初の「第九」(第4楽章のみ)のレコード録音。指揮者、ソリスト、合唱団が すべて日本人によるもので、演奏会ライヴではなくセッション録音であることを 特記したい。しかも昭和18年5月は日・米戦争の真っ最中の出来事。オリジナルの SPレコード付録の解説書にレコード評論家野村あらえびす氏は、「戦争によって 海外からの原盤輸入が断たれたために、日本人の手によってこのような録音が生 まれたことは、喜ばしいことである」との記述があった。指揮者の橋本国彦(1904 -1949)は東京音楽学校(現東京芸術大学音楽学部)出身。作曲家、ヴァイオリニス ト、音楽教育者でもあった。(グッディーズ)

CPO
CPO-555417(1CD)
ホフマイスター:交響曲 ニ長調 「狩り」 Op.14
2つのホルンと管弦楽のための協奏曲 ホ長調…世界初録音
交響曲 ホ長調「ラ・プリマヴェーラ」…世界初録音
クリストフ・エス(Hrn)
シュテファン・ショットシュテット(Hrn)
プフォルツハイム南西ドイツ室内O
ヨハネス・メーズス(指)

録音:2020年9月17-19日
18世紀から19世紀にかけて、ウィーンで最も人気のある作曲家の一人として知られていたフランツ・アントン・ホフ マイスターは、9作のオペラ、約70の交響曲、50近い弦楽四重奏曲をはじめ、多くの協奏曲や宗教曲、声楽作 品を作曲し、音楽出版者としても活躍しました。彼は当時の音楽愛好家が好む作品をよく理解しており、自身の 新しいアイデアも作品に反映、その洗練された音楽スタイルは「最も注目すべき、優れた、そして多作な作曲家」と して広く評価されました。このアルバムにはホフマイスターの1780年代から1790年代の作品を収録。ホルン協奏 曲での2人の熟練したソリストのための華麗なパッセージ、「狩り」交響曲で聴かれる優雅で溌剌としたな狩猟の テーマと、滑らかで心地よいオーケストラの響きが全曲にわたって展開された「ラ・プリマヴェーラ(春)」の3曲をお楽し みください。ホルン協奏曲ではバンベルクSOの首席ホルン奏者を務めるクリストフ・エスと、彼が創設した ジャーマン・ホルン・サウンドのメンバーでアレンジャーのシュテファン・ショットシュテットが快演を聴かせます。

C Major
76-8508(DVD)
フェニーチェ劇場ニューイヤー・コンサート2024
ブラームス:交響曲第2番ニ長調op.73
ヴェルディ:歌劇「二人のフォスカリ」〜「風は凪ぎ、波は穏やか」
プッチーニ:歌劇「マノン・レスコー」〜間奏曲
プッチーニ:歌劇「トスカ」〜「星は光りぬ」、「歌に生き、愛に生き」
ヴェルディ:歌劇「椿姫」〜「おれたちはマドリードのマタドール」
プッチーニ:歌劇「蝶々夫人」〜ハミング・コーラス、「ある晴れた日に」
プッチーニ:歌劇「トゥーランドット」〜「誰も寝てはならぬ」
ポンキエッリ:歌劇「ジョコンダ」〜時の踊り
ヴェルディ:歌劇「ナブッコ」〜「行け、思いよ金色の翼に乗って」
プッチーニ:歌劇「トゥーランドット」〜「おお神聖なる父君陛下よ」
ヴェルディ:歌劇「椿姫」〜「乾杯の歌」
ファビオ・ルイージ(指)
フェニーチェ歌劇場O&cho
エレオノーラ・ブラット(S)
ファビオ・サルトーリ(T)

収録:2024年1月1日 フェニーチェ歌劇場、ヴェネツィア(ライヴ)
画面:NTSC,16:9
音声:PCMステレオ、DTS5.1
DVD9
字幕:英独韓,日本語、112分
1792年に開場したヴェネツィアのフェニーチェ歌劇場。ヴェルディのオペラ「エルナーニ」「アッティラ」「リゴレット」「椿姫」「シモン・ボッカネグラ」の5作品 がこの劇場で初演されおり、オペラ発祥の地イタリアのなかでもその存在感は随一の劇場です。また、度々火災に見舞われてきた歴史をもち、焼失した劇場を受け 継いで建設され、「フェニーチェ」という名称は、500年に1度、灰の中からよみがえるアラビアの不死鳥にちなんで名付けられています。一度目の火災は、1836 年12月。翌年には再建された、栄光の時代を迎えることになります。そして二度目は1996年1月。壊滅的な被害を受け、再建には8年もの歳月を要しています。 2003年12月にはイタリアの巨匠リッカルド・ムーティ指揮による再開場演奏会を開催、そして火災消失から蘇った不死鳥は、2004年元日にロリン・マゼール 指揮により再建を祝うニューイヤーコンサートを開催。その後、クルト・マズア、大野和士、ジョン・エリオット・ガーディナー、ジョルジュ・プレートル、チョン・ミョ ンフンなどが指揮台に立ち、新年の幕開けを祝っています。
再建からちょうど20年を記念した2024年は、NHKSOの首席指揮者でもあるファビオ・ルイージが登壇。歌手には北イタリアのマントヴァ生まれの正統 派ソプラノ歌手エレオノーラ・ブラット、そして情熱のテノール歌手ファビオ・サルトーリがソリストとして登場する新年の幕開けにふさわしい華やかなコンサートです。


BR KLASSIK
BR-900225JP(1CD)
数量限定生産
初回盤のみ日本語訳解説付

マーラー:交響曲第7番ホ短調「夜の歌」 バイエルンRSO
サー・サイモン・ラトル(指)

録音:2024年11月6-8日 ミュンヘン、イザールフィルハーモニー・イン・ガスタイクHP8(ライヴ)
壮大で悲劇的な第6番に続けて完成させた交響曲第7番についてマーラーは、コンサートの主催者に「自分の最上の作品」と書いて推薦し、初演は実際に 成功を収めたものの、やがてこの曲が複雑すぎると感じるようになります。その難解さを和らげるために彼は第2楽章と第4楽章に「夜の音楽」と名付けました が(作品全体にかかる「夜の歌」は第三者が付けたもの)、妻アルマに対しては、この作品で「重要なのは、落ち着くことのない生とひたむきな努力を通して人 間が何になるのかだ」と書いています。楽想として陽気、呑気、畏怖、歓喜と狂騒が入り混じり、ギターやマンドリンといった近代交響楽には稀な楽器が加わ り、楽曲の展開も論理を逸脱して迷走するかに見えつつ、最後に輝かしい大団円を迎えるこの曲こそ、マーラー自身の「落ち着くことのない人生とひたむきな 努力」のイメージかもしれません。 マーラーの演奏で際立って高い評価を得て来たラトルは、この曲においても1991年にバーミンガム市響を指揮して録音したEMI盤が画期的な名盤として 高く評価されています。そこでは、千変万化する楽想や複雑な構造を単純化することなく明晰に処理し、決してわかりやすくはない80分近い大作において、 圧倒的な説得力を持つ演奏を展開しました。ベルリン・フィルの歴代首席指揮者によるマーラー:交響曲全集でも第7番にラトルの演奏(2016年)を 充てていることも、その楽曲理解と指揮の卓越さの証。バイエルン放送響との初の来日公演で取り上げることからも、自信のほどがうかがわれます。世界最 高水準のオーケストラと評価され、ラトルの解釈を献身的に音にする楽団とのライヴ盤に注目です。

オクタヴィア
OVCL-00852(1SACD)
税込定価
2024年11月20日発
ブルックナー:交響曲第2番ハ短調(1877年ノーヴァク版第2稿) ジョナサン・ノット(指)東京SO

録音:2022年10月22日 ミューザ川崎シンフォニーホール、10月23日 東京・サントリーホール・ライヴ
音楽監督ジョナサン・ノットと東京SOによるブルック ナー・シリーズ、大好評を博した第1番(OVCL-00848)に続き、 「第2番」の登場です。 交響曲の大家として名高いブルックナーの中にあり、あまり取り 上げられることの少ない作品ながら、ノットは作曲家が曲中に遺 した様々なアイディアを基に熟考を重ね、全く新しい「第2番」 を生み出しました。 冴え渡るタクトはどこまでも音楽的で美しい、相思相愛の両者の 想いが惜しみなく詰まった見事な名演、価値ある名盤がここに誕 生!(オクタヴィア)

NIFC
NIFCCD-158(1CD)
ユゼフ・エルスネル(1769-1854):交響曲ハ長調 Op.11
ウェーバー:クラリネット協奏曲第2番変ホ長調 Op.74
モーツァルト:交響曲第21番イ長調 K.134
ロレンツォ・コッポラ(ピリオド・クラリネット)
マルティナ・パストゥシュカ(Vn、指揮)
{oh!} オルキェストラ・ヒストリチナ

※使用楽器:Clarinet in B flat with12keys, after Heinrich Grenser (c.1810, Dresden), made by Agnes Gueroult (Paris,1999)

録音:2023年10月10日-11日、3月4日ー5日、4月17日ー20日、ポーランド放送ヴィトルト・ルトスワフスキ・コンサート・スタジオ(ワルシャワ、ポーランド)
ポーランド国立ショパン研究所の自主レーベルNIFC。本アルバムでは、ウェーバーの友人であり、当時のクラリネットの名手でもあったハインリヒ・ベールマンのために書かれたクラリネット協奏曲に、エルスネル、モーツァルトの交響曲が組み合わされています。このアルバムに収められたユゼフ・エルスネル、カール・マリア・フォン・ウェーバー、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの管弦楽曲は、18世紀から19世紀にかけての古典派(モーツァルト、エルスネル)と初期ロマン派(ウェーバー)の時代に書かれたもので、ショパンは若い頃からこれらの作曲家の音楽に親しみ、特にワルシャワ時代のショパンに大きな影響を与えました。 ショパンと古典派を隔てたのはわずか1世代ほどですが、歴史的背景や当時の音楽のダイナミックな変容と激しい発展のため、それは1つのエポックのようでした。
アルバムのメインとなるウェーバーのクラリネット協奏曲第2番は、1811年に立て続けに作曲された3つの協奏曲のうちの一つで、ロマン派的な憂愁を帯びた旋律とヴィルトゥオーゾ性、そして華麗さが表現されています。他のウェーバーのクラリネット作品と同様、当時の名手ハインリヒ・ベールマンのために書かれ、ウェーバーの(指)ベールマンの独奏で初演やヨーロッパ中でのツアーを繰り広げました。
クラリネットの重要レパートリーにあげられるこの作品のソロを務めるのは、ハーグ王立音楽院でエリック・ホープリッチに学び、フライブルク・バロック・オーケストラ、レ・ザール・フロリサン、ラ・プティット・バンドなど、現代古楽シーンを代表するオーケストラとも度々共演を重ね、2004年からはバルセロナのカタルーニャ音楽院(ESMUC)で自身もヒストリカル・クラリネットを教えているイタリアの名手、ロレンツォ・コッポラです。

GRAND SLAM
GS-2321(2CD)
限定生産
フルトヴェングラーVPO/ベートーヴェン:交響曲第1・4・5・6番
(1)交響曲第1番ハ長調、作品21
(2)交響曲第6番ヘ長調、作品68「田園」
(3)交響曲第4番変ロ長調、作品60
(4)交響曲第5番ハ短調、作品67「運命」
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)
VPO

録音:(1)1952年11月24、27、28日 (2)1952年11月24、25日 (3)1952年11月1、2日 (4)1954年2月28日、3月1日
以上、ウィーン、ムジークフェラインザール
使用音源:EMI(Japan) AXA-3059,3060,3061 (4トラック、19センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:疑似ステレオ(録音セッション)
■制作者より   
本物ではないとわかっていても、ついつい聴きほれてしまうフルトヴェングラーの疑似ステレオ。2014年、当シリーズでも4トラック、19センチのオープンリー ル・テープを使用してベートーヴェンの交響曲第4番+第5番(GS-2119)、同第1番+第6番(GS-2124)を発売しましたが、またたく間に品切れとなりました。 そこで没後70年を機に、同一原盤ながら2枚組1枚価格の限定プレスで復活させることにしました!  なお、疑似ステレオ化に際して、第5番の第4楽章の62小節の休符が編集ミスによって短くなっていることが知られていますが、当CDではある程度の修正は 加えていますが、完全には復元出来ておりせん。ご了承下さい。(平林直哉)

Forgotten Records
fr-1957(1CDR)
クレンペラー〜Vox 録音集
シューベルト:交響曲第4番 「悲劇的」*
ブルックナー:交響曲第4番調「ロマンティック」#
オットー・クレンペラー(指)
コンセール・ラムルーO*、ウィーンSO#

録音:1950年11月19日-20日*
1951年3月8日、12日、15日#
※音源:Vox PL6800*, PL5520#
Forgotten Records
fr-1959(1CDR)
ベートーヴェン&ウェーバー
ベートーヴェン:交響曲第1番ハ長調 Op.21*
 交響曲第8番ヘ長調 Op.93#
ウェーバー:交響曲第1番ハ長調 Op.19+
ディミトリ・ミトロプーロス(指)NYO

録音:1951年4月1日+、1954年1月31日*、1957年5月5日#(ライヴ)

ANALEKTA
AN-28890(1CD)
2つのオーケストラ、1つの交響曲
ジャック・エテュ(1938-2010):交響曲第5番Op.81
ナショナル・アーツ・センターO
ケベックSO
トロント・メンデルスゾーンcho
アレクサンダー・シェリー(指)

録音:2024年3月8、9日サウザム・ホール、カナダ・ナショナル・アーツ・センター
カナダの作曲家ジャック・エテュ最後の作品とも言われ、彼が亡くなってから3週間後に初演された交響曲第5番。終楽章に合唱が加わるこ の大規模な作品を、オタワのナショナル・アーツ・センターO、ケベック・シティのケベックSOという2つのオーケストラによる管弦楽 (弦は概ね合同、管打楽器は選抜メンバーのようです)と、トロントのメンデルスゾーン合唱団で演奏したアルバム。それぞれの本拠地にてライ ヴを重ねたのち、万全の体制で臨んだセッション録音です。作品は第二次世界大戦時のフランスにおけるナチスの侵略から解放までを描い たもので、終楽章には占領下で書かれたポール・エリュアールの詩『自由』が用いられています。1927年のパリ解放から80年、指揮者と管 弦楽、合唱が一体となり深い共感を持ってこの大作をダイナミックに謳いあげています。

SOMM
ARIADNE-5033(2CD)
ブルックナー:交響曲第6&7番ほか
【CD1】
交響曲第6番イ長調 WAB106(ノーヴァク版)
テ・デウム WAB45*

【CD2】
交響曲第7番ホ長調 WAB107(ノーヴァク版)#
クリストフ・フォン・ドホナーニ(指)
北ドイツRSO
ウィルマ・リップ(S)*
エリーザベト・ヘンゲン(A)*
ニコライ・ゲッダ(T)*
ヴァルター・クレッペル(Bs)*
VPO*、ウィーン楽友協会cho*
ヘルベルト・フォン・カラヤン(指)*
南西ドイツRSO#
ハンス・ミュラー・クライ(指)#

録音:全てモノラル
1961年11月18日(ライヴ)ハンブルク、ムジークハレ(北ドイツ放送のエア・チェック)
1962年5月26日(ライヴ)ウィーン、楽友協会大ホール(オーストリア放送のエア・チェック)*
1955年9月22日(放送用の非公開スタジオ・ライヴ)シュトゥットガルト、ヴィラ・ベルク、ゼンデザール(南ドイツ放送のエア・チェック)#
※2つの交響曲=初CD化
このプロジェクトは、放送業界でも活躍したアメリカ・ブルックナー協会の事務局長ジョン・F・バーキーの膨大なエアチェック・テープを中心に、選りすぐりの初 出音源で交響曲全集をCD化するもの。同協会の総裁でブルックナー研究者のベンジャミン・コーストヴェットが監修と解説執筆を担当し、作品の作曲年 順にCD化してきました。第5巻は1880年代に作曲された傑作3曲を収録。 コーストヴェットによれば1950年代から60年代の演奏には、近年のものよりもドラマティックで精彩に富み、刺激的なものが見られる点を評価しているとの こと。交響曲第6番は当時32歳のクリストフ・フォン・ドホナーニの指揮。ブルックナーの交響曲の中では小粒で地味な存在とされがちな曲ですが、第1楽 章はAllegroではなくMajestoso、スケルツォ主部とフィナーレにも「速すぎずに」と書かれた指定を踏まえて、じっくりと構築して堂々たる威容を描き出しま す。フィナーレの最後に少しテンポを緩めて高揚と開放感をもたらすところはライヴらしい感興と言えそうです。 第7番は南ドイツ放送(SDR)SO(のちのシュトゥットガルトRSO)を創設以来20年余りにわたり首席指揮者として率いたハンス・ミュラー・ クライの指揮。前年に出版されたばかりのノーヴァク版を使い、第2楽章はシンバルやトライアングル入りです。演奏はテンポや音色の操作による楽想の描 き分けが巧みで、音楽をギクシャクさせることなく多彩な表情を聞かせます。特に第2楽章は弦の優しく慰めるような音色と、時に歩みを止めて沈思するか のようなテンポの動かし方が深い情感に誘います。日本ではあまり知られていない指揮者ですが、この演奏を通じて関心を持つ人もいるのではないでしょう か。 カラヤン指揮のテ・デウムはウィーン楽友協会の150周年記念演奏会シリーズの一環として行われたもので、この作品が初演された会場での演奏です。こ の曲を得意としたカラヤンの覇気漲る指揮で、ビッグネームが並ぶソリスト陣も堂々たる歌唱。交響曲第7番第2楽章のクライマックスを思わせる結尾部の 高揚感は素晴らしいものがあります。

FUGA LIBERA
FUG-831(1CD)
シテインベルク(1883-1946):交響曲第3番ト短調 Op.18*
ショスタコーヴィチ:バレエ組曲「ボルト」 Op.27a
ウラル・ユースSO
ドミートリー・フィラトフ(指)

録音:2023年7月 スヴェルドロフスク・フィルハーモニック大ホール、エカテリンブルク、ロシア
*=世界初録音
リムスキー=コルサコフの教えを受けその義理の息子でもあり、またショスタコーヴィチの師としても知られるシテインベルク。現在では作曲家と してよりも指導者として名を残す彼の交響曲第3番。第1番と第2番はネーメ・ヤルヴィなどの録音があり、第4番も録音がありますが、第3番 はこれが初めての録音とのこと。1927年中頃から28年いっぱいをかけて作曲され、1929年にレニングラードで作曲者自身の指揮で初演、 1930年代にはソヴィエト連邦内のみならず西側諸国でも演奏されましたが、その後演奏史がぱったりと途絶えてしまいます。ロシア五人組 など国民楽派の流れを受け継ぎ、ストラヴィンスキーと同世代でありながら世界的な音楽の新しい流れに乗らなかったその作風はロマン主義 の枠を出るものではありませんが、当時新作が大きな期待を持って待たれただけあって、これまでほとんど知られることのなかったこの作品も実 に聴き応えのある堂々たる出来栄え。全編非常にメロディアスで管楽器の使い方などもたいへん巧く、三管編成の大オーケストラを色彩感 豊かに駆使しています。演奏はウラル地方の若い優秀な奏者を集めたウラル・ユースSOと、2018年のエフゲニー・スヴェトラーノフ国 際指揮者コンクールで第2位の実力派ドミートリー・フィラトフ。作品を深く読み込み、積極的な音楽性でその素晴らしさを引き立てていま す。ショスタコーヴィチが二十代で書き上げたバレエ「ボルト」の組曲版も、一体感の高い溌溂とした演奏で楽しませてくれます。

CPO
CPO-555661(1CD)
グラジナ・バツェヴィチ:交響的作品全集 第3集
グラジナ・バツェヴィチ
交響曲第1番…世界初録音
ポーランド序曲
オーケストラのためのパルティータ
大SOのための協奏曲
イン・ウナ・パルテ
ケルンWDRSO
ウカシュ・ボロヴィチ(指)

録音:2023年6月5-10日
1942年から45年に書かれた 交響曲第1番は、このアルバムが世界初録音。第1番と附番されているものの、実際には2番目の交響曲で、 1938年に書かれた実質上の第1番はバツェヴィチ自身によってカタログから削除されてしまいました。この曲も出版 が許可されておらず、今回は自筆譜に基づいて演奏が行われています。「ポーランド序曲」は1954年の作品。こ ちらも出版されることのなかった作品ですが、複雑な変拍子を用いた活力あるリズムが優れた効果を生み出してい ます。他には1955年作曲の新古典派的な「パルティータ」と亡くなる2年前の1967年に書かれた「In una parte」を収録。ウカシュ・ボロヴィチ指揮のケルンWDRSOは、初期の実験的な作品から、多彩な音色を 用いた後期の作品まで、見事な演奏を披露します。
CPO
CPO-555500(1CD)
ポッター:交響曲全集 第2集
チプリアーニ・ポッター(1792-1871):交響曲 ハ短調(1826/1847)
コンチェルタンテ ニ短調- ピアノ、ヴァイオリン、チェロ、コントラバスとオーケストラのために
交響曲 変ロ長調(1821)/序曲「嵐」
ミシュカ・ラシュディ・モーメン(P)
ヨニアン・イリアス・カデシャ(Vn)
ティム・ポズナー(Vc)
フィリップ・ネルソン(Cb)
BBCウェールズ・ナショナルO
ハワード・グリフィス(指)

録音:2022年9月6-8日、2023年9月6日
チプリアーニ・ポッターはイギリスのピアニスト兼作曲家で、幼少期に父から音楽教育を受け、その後イギリスの音楽 家や、ウィーンでベートーヴェンの紹介によりアロイス・フェルスターに師事、帰国後すぐに人気作曲家、ピアニストと して名声を得ました。彼の音楽は魅惑的なメロディーが特徴で、特に交響曲が評価されています。 このアルバムには彼の2つの交響曲を中心に収録。交響曲ハ短調は初稿、改訂稿ともに彼の生存中には演奏さ れることはありませんでしたが、古典的な形式の中に様々なアイデアが重ね合わせられた興味深い作品。第1楽 章は劇的な再現部と印象的なコーダが特徴的なソナタ形式。第2楽章は5部形式で田園的な雰囲気を持ち、 第3楽章は付点リズムのメヌエット風スケルツォ。フィナーレはトッカータのような序章で始まり、哀愁のある主題が展 開されます。交響曲変ロ長調も存命中には演奏されず、1839年に演奏された改訂版は第1楽章の一部が残 存していますが、このアルバムでは1821年の初稿が演奏されています。コンチェルタンテは、当時の名手たちのた めに書かれたと推測され、初演の際のコントラバスはドメニコ・ドラゴネッティが担当しました。序曲「嵐」はポッターの 最後の管弦楽曲で、以後は小品の作曲、もしくは過去作品の改訂のみを行ったとされています。

MDG
MDG-91223306(1SACD)
メンデルスゾーン・プロジェクトVOL.5
シンフォニア第11番ヘ短調
シンフォニア第12番ト短調
シンフォニア第13番ハ短調
ドグマ室内オーケストラ
ミハイル・グレヴィチ(指)

録音:2023年6月24-26日、12月2-4日、マリエンミュンスター修道院コンサートホール
メンデルスゾーンは、12歳から14歳にかけて弦楽のためのシンフォニアを12曲作曲しています。ドグマ室内オーケストラは、同時期に書かれた5つの協奏曲 を含めたメンデルスゾーンのシリーズをリリース。本作はその第5弾完結盤です。 この全12曲の「シンフォニア」はメンデルスゾーンの家で毎週日曜日に開催されていた音楽会で演奏するために作曲されました。「シンフォニア」は番号が進むに つれ、作曲手法の洗練や楽器編成の変化など、メンデルスゾーンの作曲家としての成長が見て取れます。交響曲第1番(1824年作曲)の自筆のスコアにはシンフォ ニア第13番と記されていることから、これら一連のシンフォニアはメンデルスゾーンの交響曲の重要な入口と言えるでしょう。 第11番から第13番のシンフォニアは、若き天才がいかに彼が持つインスピレーションを意識的に作曲技法に落とし込んだのかがわかります。知的なバッハの対位 法、優雅なウィーン古典派の形式などを取り入れながら、自身の独創性を遺憾なく発揮しています。 (Ki)


BPO RECORDINGS
KKC-9891
(6CD+1Bluray)
日本語解説付国内盤
税込定価


ベルリン・フィルと小澤征爾

■CD1-6
(1)ベートーヴェン:「レオノーレ」序曲 第2番
(2)ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲 第1番
(3)ラヴェル:ピアノ協奏曲ト長調
(4)バルトーク:ヴィオラ協奏曲Sz120
(5)ハイドン:交響曲 第60番『うかつ者』
(6)チャイコフスキー:交響曲第1番「冬の日の幻想」
(7)ブルックナー:交響曲第7番ホ長調
(8)マーラー:交響曲第1番
(9)ヒンデミット:シンフォニア・セレーナ
(10)ベルリオーズ:幻想交響曲 作品14
(11)R・シュトラウス:アルプス交響曲 作品64
(12)ワーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルデ」前奏曲と愛の死

■ダウンロード・コード
CD1-6に収録されているすべての音源をハイレゾリューション(24bit/48kHz)で聴くことのできるダウンロード・コードが封入されています。
■Blu-ray Disc
(1)ベートーヴェン:「エグモント」序曲 作品84
(2)合唱幻想曲
(3)メンデルスゾーン:オラトリオ「エリヤ」作品70
(4)ブルックナー:交響曲第1番 ハ短調(リンツ稿)
■ボーナス
小澤征爾、ベルリン・フィルの名誉団員の称号を授与
■デジタル・コンサートホール
ベルリン・フィルの映像配信サービス「デジタル・コンサートホール」を7日間無料視聴できるチケット・コードが封入されています。
[特別二大エッセイ掲載]
小澤征良 「父を想ってくださるみなさまへ」
村上春樹 「僕の夜明け前の同僚 ― 小澤征爾の死を悼んで」
小澤征爾(指)BPO

■CD1-6
(1)収録:1988年5月30日
(2ピエール・アモイヤル(Vn)
収録:1985年11月13日
(3)マルタ・アルゲリッチ(P)
収録:1982年6月22日
(4)ヴォルフラム・クリスト(Va)
収録:1988年5月30日
(5)収録:1987年6月25日
(6)収録:1992年11月12日
(7)収録:1988年6月22日
(8)収録:1980年2月3日
(9)収録:1987年6月28日
(10)収録:1982年6月27日
(11)収録:1996年5月31日
(12)収録:1979年11月10日

■Blu-ray Disc
(1)収録:2016年4月10日
(2)ピーター・ゼルキン(P)、ベルリン放送cho
収録:2016年4月10日
(3)アンネッテ・ダッシュ(S)、ガル・ジェイムズ(S)、ナタリー・シュトゥッツマン(A)、ナディーヌ・ヴァイスマン(A)、ポール・オニール(T)、アンソニー・ディーン・グリフィー(T)、マティアス・ゲルネ(Br)、フェルナンド・ハヴィエル・ラド(Bs)、ヴィクトール・ルード(Bs)、ベルリン放送cho
収録:2009年5月17日
(4)収録:2009年1月31日

■ボーナス
収録:2016年4月
Blu-ray Disc (Concert videos)
画面:Full HD1080/60i,16:9
音声:2.0PCM Stereo24bit/48kHz
7.1.4Dolby Atmos24bit/48kHz
リージョン:ABC(worldwide)
字幕:英、独、日本語

初回特典:L判写真×3種
ベルリン・フィル・レコーディングスから、2024年2月6日に88歳で亡くなった世界的指揮者の小澤征爾の追悼ボックスがリリースされます。 ベルリン・フィルと小澤征爾は1966年のデビュー以来、両者の間には芸術上の特別な関係が築かれました。共演のハイライトとしては、1982年のベルリン・フィ ルハーモニーO100周年、2008年のカラヤン生誕100年、そして2003年に小澤征爾の盟友となったマーカス・ロバーツを引き連れて共演したヴァル トビューネコンサートなどが挙げられます。さらにベルリン・フィルと小澤征爾の共演 50周年を迎えた2016年には、ベルリン・フィルは彼に名誉団員の称号を 授与しています。 当ボックス・セットは、小澤征爾が毎シーズン数回の客演を重ね、特に親密な関係を育んできた1980年代のコンサート記録を主に収録。すべて初ディスク化となっ ています。プログラムは、オーストリア・ドイツの古典派、後期ロマン派、フランス音楽、20世紀の音楽が選ばれており、小澤征爾の幅広いレパートリーと多彩 な音楽性を物語る内容となっています。 特に印象的な録音としては、1980年収録のマーラーの交響曲第1番。瑞々しさと情熱溢れ、特に終楽章は堂々とした表現、コーダーにかけての盛り上がりはオ ケも白熱し噴出する高揚で締めくくられています。そして、1982年のマルタ・アルゲリッチとのラヴェルのピアノ協奏曲。躍動感溢れる二人の相乗効果でスリリ ングな演奏となっています。さらに、CD初登場レパートリーとなる1992年に演奏されたチャイコフスキーの交響曲第1番「冬の日の幻想」など小澤征爾とベ ルリン・フィルの精力的な活動の記録が鮮やかに蘇ります。 ブルーレイ映像には、マティアス・ゲルネ、アンネッテ・ダッシュ、ナタリー・シュトゥッツマンら一流のソリスト陣と共に、感動的な上演を成し遂げたメンデルスゾー ンのオペラトリオ「エリヤ」(2009年)、そして7年ぶりの共演となり50年のアニヴァーサリーを迎えた2016年にはベートーヴェンの「エグモント」序曲、合 奏幻想曲を熱演。ボーナス映像には、リハーサル時に名誉団員の称号を授与された際の映像も収録されています。 オリジナル・ブックレットおよび日本語冊子には、小澤征爾の長女で作家・エッセイストの小澤征良氏と、深い親交があった作家・村上春樹氏の二大エッセイを掲 載しています。日本盤初回特典として「L判写真×3種」が封入。 (Ki)

EUROARTS
20-67644(Bluray)
ラフマニノフ:交響曲第2番+ドキュメンタリー
ラフマニノフ:交響曲第2番ホ短調 Op.27
ドキュメンタリー『セルゲイ・ラフマニノフ・イン・ドレスデン』
シュターツカペレ・ドレスデン
アントニオ・パッパーノ(指)

収録:2018年7月ドレスデン、ゼンパー・オーパー(ライヴ)
画面:16:9HD
音声:PCM ステレオ
リージョン:All
字幕:英独韓,日本語
105分(本編62分 、ドキュメンタリー43分)
イタリア人の両親のもとロンドンで生まれ育ったアントニオ・パッパーノ。2002年から2024年6月まで英国ロイヤル・オペラ・ハウスの音楽監督として伝統 ある歌劇場を牽引、またローマの聖チェチーリア国立音楽院管の音楽監督も務めるなど、その高い音楽性と卓越した手腕を発揮しています。そして2024/25シー ズンよりLSOの首席指揮者に就任。同月には来日公演を果たし、今後目の離せない指揮者のひとり。 この映像は、パッパーノが初めてシュターツカペレ・ドレスデンとラフマニノフの交響曲第2番を演奏した際の映像です。ドレスデンの弦の美しさを堪能できるラフ マニノフの甘美な旋律、さらにパッパーノの指揮はまるで壮大なオペラのフィナーレのようです。 また楽曲ゆかりの地ドレスデンを代表するオケであるシュターツカペレ・ドレスデンによる演奏にも注目です。ラフマニノフの交響曲第2番は、ドレスデンの地で作 曲されました。ラフマニノフは、交響曲第1番の初演(1897年)が失敗に終わった後、満を持して発表したピアノ協奏曲第2番が大成功をおさめ(1901年)、 自信を取り戻し作曲家として成熟期を迎えようとしていました。しかし、ロシア国内では1905年1月の「血の日曜日事件」が起こり社会は混乱を極めていました。 ラフマニノフはこの状況下では音楽活動は難しいと判断し、家族とともにドレスデンに移り住み(1906〜09年)、交響曲第2番がここで完成したのでした(1906 〜07年)。ドレスデンでの生活はラフマニノフの創作意欲をかき立て、この交響曲第2番だけでなく、交響詩『死の鳥』など傑作が生まれました。 演奏とともに収録されているドキュメンタリーでは、1906年から1920年のドレスデンに保管されていた貴重な資料、写真、楽譜などが盛り込まれ、楽曲の背景 を克明に記しています。 (Ki)

MELBOURNE SYMPHONY ORCHESTRA
MSO-0002(1SACD)
ドヴォルザーク:交響曲第5番ヘ長調 op.76,
交響曲第6番ニ長調 op.60
ハイメ・マルティン(指)
メルボルンSO

録音:2023年11月17&18日(第5番)、2023年7月20&22日(第6番)
メルボルンSOの自主レーベルから、ドヴォルザークの交響曲ツィクルスが登場します。第1弾は交響曲第5番と第6番。首席指揮者兼芸術顧問のハイメ・ マルティンは、「アントニン・ドヴォルザークの音楽は、今でも私の心の近くにある。彼の音楽はどんな人にとってもノスタルジアを感じさせるものだ。私が10歳の ときに父が持っていた新世界交響曲のLPを初めて聴いて以来、彼の音楽は私の心に寄り添ってきた。メルボルンSOの世界一流の音楽家たちとドヴォルザー クのレコーディング・プロジェクトを始めることができ、大変光栄に思っています。」 第5番ではデール・バルトロップ、第6番ではテア・ヒサンベフがコンサートマス ターを務めています。やわらかさをたたえた豊かな響きの録音にも注目です。
MSOのドヴォルザークのツィクスルのジャケットには、メルボルンとビクトリア州を象徴する風景があしらわれます。この第1弾には、メルボルンから300キロ 弱のところにある『12人の使徒(ザ・トゥエルブ・アポストルズ)』(石灰岩が海に浸食されてできた複数の石柱群)の写真を見ることができます (Ki)

Aulicus Classics
ALC-0113(1CD)
アレッシオ・ミラーリア:交響曲第2番「オーラ(1、オーラ/2、霧の上昇/3、精霊の踊り/ 4、やまびこ/5、天空への旅) アレッシオ・ミラーリア(作曲、コンピュータ、制作)
アレッシオ・ミラーリアは、メディア、映画音楽の作曲家・プロデューサー・サウンドエンジニア。い ま最も注目されているクリエーターです。これまでに、美女と野獣、バットマン vs スーパーマン、ト イストーリー4、オッペンハイマー等にも関わっています。2018 年と2021年に「アカデミー・オヴ・コン テンポラリー・ミュージック・アワード」を受賞しています。 交響曲第2番はアコースティック楽器とコンピュータ音楽が溶け合っていて、音で映像を描いた様 な音楽です。効果音の様なフレーズが曲を上手く盛り上げて、映画音楽を数多く手掛けた作曲 者らしさが良く出ています。作曲者が指揮とコンピュータを操作してようで、録音も良くオーディオ的な 聴き方も楽しめる仕上がりになっています。

Goodies
78CDR-3956(1CDR)
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」から第4楽章「歓喜の頌」(シラー原詩-尾崎喜八訳詞) 橋本国彦(指)東京SO
国立音楽学校&玉川学園cho(岡本敏明指導)
香山淑子(S)、四家文子(Ms)、木下保(T)、藤井典明(Br)

日本ビクターJH232/4
1943年(昭和18年)5月13日日本青年館録音
日本最初の「第九」(第4楽章のみ)のレコード録音。指揮者、ソリスト、合唱団が すべて日本人によるもので、演奏会ライヴではなくセッション録音であることを 特記したい。しかも昭和18年5月は日・米戦争の真っ最中の出来事。オリジナルの SPレコード付録の解説書にレコード評論家野村あらえびす氏は、「戦争によって 海外からの原盤輸入が断たれたために、日本人の手によってこのような録音が生 まれたことは、喜ばしいことである」との記述があった。指揮者の橋本国彦(1904 -1949)は東京音楽学校(現東京芸術大学音楽学部)出身。作曲家、ヴァイオリニス ト、音楽教育者でもあった。(グッディーズ)

CLAVES
50-3096(1CD)
ベートーヴェン:交響曲第2番ニ長調 Op.36
ベートーヴェン:序曲「プロメテウスの創造物」Op.43
モーツァルト:交響曲第35番ニ長調 KV.385「ハフナー」
カメリスティ・デラ・スカラ
ウィルソン・エルマント(指)

録音:2021年11月/ダル・ヴェルメ劇場、ミラノ(イタリア)
ミラノ・スカラ座Oのメンバーで構成される室内オーケストラ「カメリスティ・デラ・スカラ」は1982年に創設。主なレパートリーには18世紀から現代 まで、あまり知られていない作曲家の作品の普及と支持にも情熱を注いでいます。これまでにマキシム・ヴェンゲーロフ、ゴーチエ・カピュソン、ルノー・カピュソン、 フランチェスコ・ピエモンテージ、アレクサンドル・カントロフ、ダヴィド・フレイ、ティル・フェルナー、ダニエル・ミュラー=ショット、セルゲイ・ババヤン、アレクセイ・ ヴォロディンといった世界的な演奏者と定期的に共演しているほか、ミラノ・スカラ座Oの首席奏者もソリストとして出演しています。
当アルバムでは2017年より首席客演指揮者をつとめるウィルソン・エルマントが指揮を務め、ベートーヴェンの交響曲第2番、序曲「プロメテウスの創造物」、 そしてモーツァルトの交響曲第35番「ハフナー」を収録。歴代のミラノ・スカラ座Oが育て上げた独特の音色とフレージングはこの室内オーケストラでも聴 くことができ、非常に丸みのあるふくよかなサウンドを聴かせてくれます。きめ細やかで表情豊かな演奏をお楽しみください。 (Ki)


BR KLASSIK
BR-900226(1CD)
シューマン:交響曲第2番ハ長調 Op.61
バーンスタイン:オーケストラのためのディヴェルティメント
バイエルンRSO
レナード・バーンスタイン(指)

録音:1983年11月10-11日(ライヴ)
ヘルクレスザール、ミュンヘン(ドイツ)
バイエルン放送傘下の楽団の録音をリリースするレーベルBR-KLASSIKの発足15周年を記念して、同放送のアーカイヴからバーンスタイン指揮のシューマ ンの第2番の入神の演奏が登場。1983年11月のライヴです。1976年のアムネスティ・インターナショナルのためのコンサートで意気投合したバーンスタイン とバイエルン放送響は1980年代に入ると定期的に共演を重ねました。当CDではバーンスタインが終生愛して曲と一体化するかのように没入して指揮した シューマンの第2番を、優秀な楽団が全力でサポートした演奏が展開されています。魑魅魍魎が跋扈するような第2楽章、陶酔的で幻想的かつ繊細さの 極みといった趣の第3楽章、神々しいばかりの輝きと推進力が感じられる第4楽章といった解釈の基本は1985年11月に録音されたウィーン・フィル盤と同じ ですが、演奏時間が各楽章わずかに短くなっており、引き締まった演奏となっています。ヘルクレスザールの音響もあいまってオケが溶け合って温かみのあるサ ウンドを聴かせるのも魅力です。同日に演奏されたディヴェルティメントはリラックスした雰囲気の中でオケの名技が発揮された演奏。 ※国内仕様盤には舩木篤也氏による日本語解説が付属します。

BR KLASSIK
BR-900229(2CD)
シューベルト:交響曲第8番ハ長調「グレート」 D944

コンダクターズ・イン・リハーサル
1. コンダクターズ・イン・リハーサル - フリードリヒ・シュロッフェルによる紹介
2-20. レナード・バーンスタインによるシューベルトの「グレート」のリハーサル風景
語り:フリードリヒ・シュロッフェル、
  レナード・バーンスタイン、ヨハネス・リツコフスキー(ホルン奏者)
編集・原稿:ベルンハルト・ノイホフ
リアリゼーション:カールハインツ・シュタインケラー
レナード・バーンスタイン(指)
バイエルンRSO

録音:1987年6月13-14日(ライヴ)ミュンヘン、ドイツ博物館 コングレスザール
初出!バーンスタインとBRSO、1987年の雄大な「グレート」がオリジナル・テープからCD化。 バーンスタインは1976年にアムネスティ・インターナショナルのためのコンサートでバイエルンRSOを(指)ここで楽団と意気投合し、1980年代に 入ると定期的に指揮するようになりました。1981年に録音された「トリスタンとイゾルデ」(フィリップス/現デッカ。レコード・アカデミー賞受賞)のようにバーン スタインらしさを優秀な楽団が全力でサポートする演奏が展開されていたことが想像されますが、レーベルの契約の関係で世に出たものは多くありません。こ こに登場するのは1987年のシューベルト:ザ・グレートのライヴ。同年に録音されて高い評価を得たコンセルトヘボウ盤(DG)のものと解釈の基本は同一 で、各楽章の演奏時間もほぼ同じ。バーンスタインの解釈がそのままに反映された雄大で雄弁、細部までリズムと歌がゆきわたった緻密な演奏が50分間に わたって展開されています。CD2はリハーサル(ドイツ語)が62分にわたっておさめられています。シューベルトにジャズの要素を見出したり、バーンスタインの 解釈を言葉と音でたどれる興味深いものとなっています。尚、リハーサルの文字起こしはありません。

オクタヴィア
OVCL-00863(1SACD)
税込定価
2024年10月23日発売
ハイドン交響曲集Vol.25
交響曲第57番ニ長調Hob. I:57
交響曲第44番ホ短調Hob. I:44「悲しみ」
交響曲第72番ニ長調Hob. I:72
飯森範親(指)
日本センチュリーSO

録音:2020年10月23日(第72番)、2022年9月18日(第44番、第57番) 大阪・ザ・シンフォニーホール・ライヴ
日本センチュリーSOが首席指揮者の飯森範親と共にスター トした「ハイドンマラソン」は、フランツ・ハイドン のすべての交響曲を演奏しようという一大プロジェクト。当盤は 第21回、第28回コンサートのライヴ収録です。 幾度の公演を重ね、信頼関係を築いてきた飯森と日本センチュ リー響は、精緻な構築と、細部までこだわりぬいた感性で、気品 あふれるハイドンを奏でています。柔和で晴々とした優美な演奏 は、まさに彼らの真骨頂といえるでしょう。(オクタヴィア)

ALTO
ALC-3147(10CD)
完全限定生産
チャイコフスキー:作品集


(1)交響曲第2番「小ロシア」
交響曲第3番

(2)交響曲第4番
交響曲第5番
交響曲第6番

(3)スラブ行進曲 Op.31

(4)交響曲第1番「冬の日の幻想」

(5)交響曲「ジーズニ」(セミヨン・ボガティレフによる補筆完成版)

(6)マンフレッド交響曲

(7)ピアノ協奏曲第1番変ロ短調 Op.23

(8)カプリッチョ風小品

(9)ピアノ協奏曲第2番ト長調 Op.44

(10)ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.47

(11)・フランチェスカ・ダ・リミニ

(12)ロココ風の主題による変奏曲

(13)「白鳥の湖」組曲 Op.20a
「くるみ割り人形」組曲 Op.71a
歌劇「チェレヴィチキ」よりポロネーズ
「眠れる森の美女」よりポロネーズ

(14)組曲第3番ト調 Op.55

(15)幻想序曲「ロメオとジュリエット」
イタリア奇想曲
「エフゲニー・オネーギン」よりポロネーズ

(16)弦楽セレナーデ ハ長調 Op.48

(17)「エフゲニー・オネーギン」よりワルツ
「眠れる森の美女」組曲 Op.66a

(18)序曲「1812年」
(1)ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー(指)ソヴィエト国立文化省SO
録音:1988/9年
(2)エフゲニー・ムラヴィンスキー(指)
レニングラードPO
録音:1960年-1961年
(3)アンタル・ドラティ(指)ミネアポリスSO
録音:1958年
(4)コンスタンティン・イワノフ(指)モスクワRSO
録音:1964年
(5)セルゲイ・スクリプカ(指)ロシア国立映画O
録音:1987年
(6)ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー(指)ソヴィエト国立文化省SO
録音:1989年
(7)スヴャトスラフ・リヒテル(P)、ヘルベルト・フォン・カラヤン(指)ウィーンSO
録音:1962年
(8)ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(Vc)、
キリル・コンドラシン(指)モスクワ・ユースSO
録音:1950年
(9)エミール・ギレリス(P)、キリル・コンドラシン(指)ソヴィエト国立SO
録音:1962年
(10)ダヴィッド・オイストラフ(Vn)、ユージン・オーマンディ(指)フィラデルフィアO
録音:1959年
(11)パヴェル・コーガン(指)モスクワ国立SO
録音:1990年
(12)ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(Vc)、
ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー(指)レニングラードPO
録音:1961年
(13)エフゲニー・スヴェトラーノフ(指)ソヴィエト国立SO
録音:1990年
(14)ウラディーミル・ユロフスキ(指)ロシア国立O
録音:2004年
(15)パヴェル・コーガン(指)モスクワ国立SO
録音:1990年
(16)ウラジーミル・フェドセーエフ(指)スクワRSO
録音:1992年
(17)ユージン・オーマンディ(指)フィラデルフィアO
録音:1959年
(18)アンタル・ドラティ(指)ミネアポリスSO、ミネソタ大学ブラス・バンド
録音:1958年
チャイコフスキーの未完の交響曲「ジーズニ」と、マンフレッド交響曲を含めた交響曲集と協奏曲を含む15の主要な管弦楽曲を集めた10枚組BOXが登場。アーティストもロジェストヴェンスキー、ムラヴィンスキー、コンドラシンといった指揮者、ソリストもリヒテル、ギレリス、オイストラフ、ロストロポーヴィチと非常に豪華。ロシアの巨匠たちの名演をたっぷりと収録しています。
※当タイトルは完全限定生産(初回生産限定)のため、ご注文数に対して十分な数量をご提供出来ない可能性がございます。予めご了承下さい。初回生産分完売後は再生産時期未定となります。
ALTO
ALC-3143(12CD)
完全限定生産
ショスタコーヴィチ:交響曲全集

(1)交響曲第1番ヘ短調 Op.10
交響曲第3番「メーデー」*

(2)交響曲第2番「十月革命に捧ぐ」

(3)主題と変奏 変ロ長調 Op.3

(4)交響曲第12番ニ短調「1917年」

(5)交響曲第4番ハ短調 Op.43

(6)交響曲第5番ニ短調 Op.47
組曲「馬あぶ」 (抜粋)

(7)交響曲第6番ロ短調 Op.54
交響曲第14番ト短調 Op.135*

(8)交響曲第7番0「レニングラード」

(9)交響曲第8番ハ短調 Op.65

(10)祝典序曲 Op.96
スケルツォ 嬰ヘ短調 Op.1

(11)交響曲第9番変ホ長調 Op.70

(12)交響曲第15番イ長調 Op.141

(13)交響曲第10番ホ短調 Op.93

(14)交響曲第11番「1905年」

(15)劇音楽「リア王」 Op.58a

(16)交響曲第13番「バビ・ヤール」

【ボーナス・ディスク】
交響曲第10番ホ短調 Op.93
(1)ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー(指)ソヴィエト国立文化省SO、ユルロフ・ロシアcho*
録音:1984年*、1985年
(2)ワレリー・ゲルギエフ(指)マリインスキー劇場O、マリインスキー劇場cho
録音:2009年&2010年
(3)ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー(指)ソヴィエト国立SO
録音:1970年
(4)エフゲニー・ムラヴィンスキー(指)レニングラードPO
録音:1962年〜1963年
(5)ルドルフ・バルシャイ(指)ケルンRSO
録音:1996年
(6)マクシム・ショスタコーヴィチ(指)LSO
録音:1990年〜1991年
(7)ウラディーミル・ユロフスキ(指)LPO、タチアナ・モノガロヴァ(S)*、セルゲイ・レイフェルクス(Br)*
録音(ライヴ):2006年*&2013年
(8)コンスタンティン・イワノフ(指)ソヴィエト国立SO
録音:1962年
(9)エフゲニー・ムラヴィンスキー(指)レニングラードPO
録音(ライヴ):1982年
(10)ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー(指)ソヴィエト国立SO
録音:1983年
(11)ワレリー・ゲルギエフ(指)マリインスキー劇場O
録音:2015年
(12)キリル・コンドラシン(指)モスクワPO
録音:1974年
(13)マクシム・ショスタコーヴィチ(指)LSO
録音:1990年
(14)ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(指)LSO
録音:2002年
(15)エドワルド・セーロフ(指)サンクトペテルブルク室内O、ニーナ・ロマノワ(Ms)
録音:1984年
(16)キリル・コンドラシン(指)モスクワPO、ユルロフ・ロシア合唱団、ヴィタリー・グロマツキー(Bs)
録音:1962年
【ボーナス・ディスク】
エフゲニー・ムラヴィンスキー(指)レニングラードPO
録音(ライヴ):1954年
ロジェストヴェンスキー、ゲルギエフ、ムラヴィンスキー、バルシャイ、M.ショスタコーヴィチ、ユロフスキ、イワノフ、コンドラシン、ロストロポーヴィチ、セーロフ。ロシアの楽壇を彩ってきた偉大な指揮者たちによる贅沢なショスタコーヴィチの交響曲全集。交響曲全15曲に5つの管弦楽曲を収録した11枚のディスクに加え、録音状態の良くなかったムラヴィンスキー&レニングラード・フィルによる交響曲第10番の1954年ライヴ・レコーディングに新たなリマスターを施したボーナス・ディスクがセットになっています。
※当タイトルは完全限定生産(初回生産限定)のため、ご注文数に対して十分な数量をご提供出来ない可能性がございます。予めご了承下さい。初回生産分完売後は再生産時期未定となります。

ALPHA
ALPHA-698(1CD)

NYCX-10495(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価

HAYDN2032Vol.16〜驚き〜
交響曲第98番変ロ長調 Hob. I:98
交響曲第94番ト長調 Hob. I:94「驚愕」
交響曲第90番ハ長調 Hob. I:90
ロッシーニ:歌劇「絹のきざはし」序曲
イル・ジャルディーノ・アルモニコ
バーゼル室内O (古楽器使用)
ステファノ・バルネスキ(コンサートマスター)
アンドレア・ブッカレッラ(Cemb)
ジョヴァンニ・アントニーニ(指)

録音:2021年10月11-15日 ドン・ボスコ、バーゼル、スイス
「交響曲の父」ことハイドンの生誕300周年となる2032年までに、現存する彼の交響曲全107曲を全て、最新の知見をふまえた古楽器 演奏で演奏・録音する「ハイドン2032」シリーズ。2014年からALPHAレーベルで進行中の録音プロジェクトも今や中盤ですが、初期と中 期の知られざる充実作群の面白さを重点的に紹介してきた過去15作の後に登場する今回のリリースは「驚き」の副題通り、後期の最も有 名な大編成作品群(通称『ロンドン交響曲』)を収録した1枚となりました。副題の出自である第94番「驚愕」(緩徐楽章が静かに始まって 間もなく、不意に総奏のフォルティシモが鳴り響く有名作)はもちろん、他の2曲も終楽章終盤まで気が抜けない思いがけぬ展開が潜んでお り、18世紀の演奏様式をふまえダイナミックかつ濃密な解釈を聴かせるアントニーニがここまで披露してきた若きハイドンの機知が、これら後 期作でも同様に脈々と生きていたことを深く実感できる名演を存分に愉しめます。今回はプロジェクトを共同で担ってきた2楽団の合同で (弦楽編成は8/8/5/5/3)コンサートマスターのバルネスキ他、ソリストとして活躍する古楽器奏者も多数参加。ブルージュの古楽コンクール 優勝者のブッカレッラが、通奏低音ではなく第98番第4楽章のごく一部で聴かれるソロのみに参加するという贅沢さ。アルバム末尾にロッシー ニ初期作の序曲があるのもまた驚きですが、音楽学者モーリッツ=バウアーの解説(独・英・仏語/国内仕様盤は日本語全訳付き)を踏ま えてこの流れの古楽器演奏で聴くことによって、イタリア歌劇の巨匠がいかにハイドンに多くを負っていたかも実感できることでしょう。

Linn
CKD-748(1CD)
シューベルト:交響曲第5番変ロ長調 D485
交響曲第8番ロ短調 「未完成」 D759
ロンド イ長調 D438
スコットランド室内O
ステファニー・ゴンリー(コンサートマスター/ソロ・ヴァイオリン)
マキシム・エメリャニチェフ(指)

録音:2023年3月22-27日 カイヤード・ホール、ダンディー、UK
(2024年に創立50周年を迎えたスコットランド室内Oと、その首席指揮者マキシム・エメリャニチェフによるシューベルト。世界中 で高い評価を得た前作「グレート」に続き、「未完成」と第5番という2つの人気曲を収録したアルバムが登場します。大きな反響を呼んだ読 売日本SOとの共演による「グレート」(2024年9月5日)の記憶も新しいところ、印象的だったそのテンポと同様今回の2曲においても 快速をキープ。しかしながら表情にごつごつとしたところが無くたいへん滑らかで、ドラマ性を必要以上に強調することも避け、シューベルトなら ではの歌が自然と浮かび上がるたいへん美しい演奏に仕上がっています。最後に収められた「ロンド」は、交響曲第5番と同時期(1816年) に書かれた弦楽合奏とヴァイオリンのための作品で、SCOコンサートマスターのゴンリーが伸びやかな演奏を聴かせます。

CPO
CPO-777919(1CD)
ハチャトゥリアン:交響曲第1番ホ短調
舞踏組曲
シューマン・フィルハーモニー
フランク・ベールマン(指)

録音:2014年3月24-27日ドレスデン、ルカ教会(ドイツ)
ベールマンとシューマン・フィルによるハチャトゥリアン交響曲全集の完結編。ハチャトゥリアンは21歳のときにミ ハイル・グネーシンから初めて作曲のレッスンを受け、完成度の高いピアノ曲や室内楽曲を作曲しました。更に研鑽を 積むために1929年にモスクワ音楽院に進んでミャスコフスキーの下で作曲を学び、1933年に舞踏組曲、翌年には 交響曲第1番を完成させました。交響曲はアルメニアのソビエト連邦加入15周年を記念する祝典曲として作曲さ れ、音楽院の卒業作品として認められました。「舞踏組曲」は、アルメニア文化に深く影響を受けたハチャトゥリアンら しく、独自のリズム感覚とオーケストレーションが巧みに生かされたドラマティックな作品です。
CPO
CPO-555472(1CD)
ヨハン・ヴィルヘルム・ヴィルムス(1772-1847):交響曲第6番ニ短調 Op.58
演奏会用序曲 ホ長調
序曲 変ホ長調
序曲 ヘ短調
演奏会用序曲 変ホ長調
ミュンヘン放送O
イヴァン・レプシッチ(指)

録音:2021年2月15-18日、6月9-11日
ベートーヴェンと同時代のオランダ生まれの作曲家ヨハン・ヴィルヘルム・ヴィルムス。父や兄からピアノと作曲の手ほど きを受け、フルートを独学で習得。19歳の時にアムステルダムに移り、演奏家および作曲家として成功を収めまし た。ハイドンやモーツァルトの影響を受けた彼の作品は、アムステルダムだけでなく、ライプツィヒでも高く評価されました が、1821年に妻を亡くした後、4人の子供を育てながら次第に公的な活動から身を引き、メノナイト教会のオルガン 奏者として生計を立てました。ヴィルムスの作品は約120曲が現存しており、その多くは器楽作品です。交響曲第6 番ニ短調は1834年頃の作品で、複雑な対位法と和声を駆使しており、熟達した作曲技法が見てとれます。アル バムには他に4つの序曲を収録。ホ長調の序曲は「牧歌的」、トラック6の変ホ長調の序曲は「英雄的」と表現され、 特に後者ではベートーヴェンの影響が顕著です。ヘ短調の序曲は「悲劇的」とされ、暗いムードに支配されています。 ミュンヘン放送Oと首席指揮者イヴァン・レプシッチの演奏です。

VOX
VOXNX-3047CD(1CD)
メンデルスゾーン:交響曲第4番、第5番他(2024リマスター)
序曲「フィンガルの洞窟」
交響曲第4番イ長調「イタリア」
交響曲第5番ニ長調「宗教改革」
ボルティモアSO
セルジュ・コミッショーナ(指)

録音:1974年6月26日、27日、11月7日 ボルティモア
1928年にルーマニアに生まれたセルジュ・コミッショーナは、15年間にわたりボルティモアSOの首席指揮者を務め、楽団の評価を飛躍的に高 めました。端正な造形、入念に整えられたバランス、隙のない仕上がりで、ここに収められた「イタリア」と「宗教改革」は『アメリカン・レコード・ガイド』で 同曲録音中のトップに推薦された名盤です。優秀録音で知られるマーク・オーボートとジョアンナ・ニックレンツのコンビ「エリート・レコーディングズ」が制 作したアナログ音源を名エンジニアのマイク・クレメンツが24bit/192kHzでデジタル化する「AUDIOPHILE EDITION」でのリリースです。

GRAND SLAM
GS-2327(2CD)
1枚分価格
フルトヴェングラー/3種のブラ1
ブラームス:交響曲第1番
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)
VPO

録音:(1)1947年11月17〜20、25日、ウィーン、ムジークフェラインザール
(2)1947年(?)
(3)1947年8月13日、ザルツブルク、フェストシュピールハウス
使用音源:(1)HMV (France, LA VOIX DE SON MAITRE) DB 6634/ 38, DBS 6639
(2VH7083-1/ 7084-2/ 7085-1/ 7086-2/ 7087-2/ 7088-2/ 7091-1/ 7092-1/ 7093-1/ 7099-1/ 7100-1)
(2)日本コロムビア DXM-163
(3)Private archive

録音方式:モノラル(1)SP録音、(2)SPからの復刻、(3)ラジオ放送用録音
■制作者より  
フルトヴェングラーとウィーン・フィルが演奏した1947年のブラームスの交響曲第1番の、SP復刻、LP復刻、ライヴ録音の3種類を収録した貴重盤です。SP 復刻はGS-2025(2007年)の、ライヴ録音はGS-2086(2012年)のそれぞれ久々の再発売となりますが、今回は1973年に日本コロムビアから発売され たDXM-163のLP復刻を加えました。この演奏はジョン・ハントのディスコグラフィ、「ヴィルヘルム・フルトヴェングラー 権力と栄光」(ジェラール・ジュファ ン著、下澤和義訳、音楽之友社)に所蔵の同じくディスコグラフィなどでは「フルトヴェングラーではなくカール・ベーム指揮ウィーン・フィルの演奏」とされてい ます。本当にベームなのか、非フルトヴェングラーなのか、実際に確かめてみてはいかがでしょうか? なお、このディスクではDXM-163のピッチは調整しました が、SP盤のつなぎ目に関しては修正せず、そのままにしてあります。また、ライヴ録音は一部に音揺れやレベル変動が含まれますし、第4楽章8分18秒付近には、 やや大きな音の変質が認められます。ご了承下さい。なお、今回も2枚組1枚価格の提供となります。(平林直哉)

Goodies
78CDR-3953(1CDR)
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」 フェリックス・ワインガルトナー(指)VPO

米 COLUBIA68855/68860-D(英 COLUMBIA LX532/7と同一録音)
1936年5月22&23日ウィーン録音
フェリック・ワインガルトナー(1863-1942)オーストリアの大指揮者。ライプツィ ヒ大学で哲学を専攻したが、音楽への魅力に惹かれグラーツ、ライプツィヒ、ヴァ イマルの音楽院で学んだ。1889年からドイツ各地の歌劇場を転々としたが、1908 年にマーラーの後任としてウィーン宮廷歌劇場とウィーン・フィルハーモニー管 弦楽団の音楽監督に就任した。この「英雄」はワインガルトナーが残した唯一の 「英雄」。(グッディーズ)

フォンテック
FOCD-9910(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価

2024年10月9日発売
ブルックナー:交響曲第6番イ長調 <ノーヴァク版> 尾高忠明(指)
大阪フィルハーモニーSO

録音:2024年1月22日 サントリーホール・ライヴ
2018年の音楽監督就任以来、ブルックナー演奏に邁進する尾高=大阪フィル。 ライヴCD 第6作である、2024年1月22日 第56 回東京定期演奏の「第6番」が登場。 低弦が奏でる荘重な主題で始まり、ブルックナー最美とも称せるアダージョ、峻厳なスケルツォを経て、 冒頭主題の輝かしい回帰へ至る極上の音楽時間。尾高 自在の境地が生んだ名演です。 (フォンテック)


Treasures
TRE-327(1CDR)
ルートヴィヒ/モーツァルト&ブラームス
モーツァルト
:歌劇「魔笛」序曲*
 歌劇「後宮からの逃走」*
ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲#
 交響曲第1番ハ短調Op.68+
レオポルド・ルートヴィヒ(指)
ハンブルク国立歌劇場O*、ハンブルク国立PO#,+

録音:1960年代中期*、1959年頃#,+(全てステレオ)
※音源:独EUROPA E-177*、日COLUMBIA MS-101-K#、独maritim KLASSIK 47473NK+
◎収録時間:73:37
“質実剛健一辺倒ではないルートヴィヒの人間味豊かな職人芸!”
■音源について
2つのオケの実体は同じものと思われますが、ここではレコードの表記のまま分けて記載しております。交響曲は独Opera録音。ここでは、音の輪郭が明瞭に立ち昇るライセンス盤を採用しました。ます。

★このブラームスは、マーラーの第9やチャイコフスキーの第5と並んで指揮者ルートヴィヒが残した屈指の遺産です。
 ハイドン変奏曲は、第2〜第3変奏のオケの潜在能力を活かした無垢な響きが印象的。無窮動的な第5変奏では、軽妙なリズムの冴えを見せつつ決して浮足立たない安定感が流石。終曲は、開始直後は意外なほど柔らかなテクスチュアを敷き詰めますが、次第に芯を湛えたマッシブな響きへと次第に醸成させる手腕に脱帽。
 交響曲はまさに男気溢れる快演!これほど衒いと無縁な演奏も珍しく、したがって造形の立派さで圧倒しようなどという魂胆もさらさらありません。スコアの丁寧な再現を最優先させる一途さには迷いも嘘もないので、聴き手は演奏に対すして高い信頼を寄せ、結果的に積極的に演奏のエッセンスを感じ取ろうとするのめり込む…というような独特の牽引力を孕んだ演奏と言えます。
 安易な演出とは無縁の基本姿勢は第1楽章序奏部からして明確ですが、表面的な煽りを超えたティンパニの激流とソリッドな強打が熱い響きを醸成し、早速これが生半可な演奏でないことを窺わせます。第2楽章冒頭部の呼吸の長さと深さはどうでしょう!しかも、繊細であっても決して痩せない音作りの妙味!第3楽章は、演奏時間4分台と速めのテンポを取りながら、響きのブレンドの良さは第2楽章と何ら変わらず。終楽章は、冒頭部のティンパニの奔流にまず息を呑み、第1主題に差し掛かるまで、ブラームスと縁の深いハンブルクのオケ特有の佇まいが自然に息づきます。特に2:39からのホルンからフルートへと続く確信に満ちた響きには、広大さというより一匹狼的な凄みすら感じます。第1主題の目の詰んだ弦の響きが深淵な空気を醸し出す様は実に感動的。ルートヴィヒの人間臭さを感じずにはいられないのが最後の締めくくり。ジョージ・セルが意図的にテンポを落として風格と品格を徹底的に刻印(2種のステレオ録音に共通!)して終わるのとは正反対の開放的な進行ぶりに、ルートヴィヒの子どものような純粋さを感じるのは私だけでしょうか?
 本来、職人芸と人間味は矛盾するかもしれませんが、音楽を過剰に立派な芸術品として祭り上げることのないルートヴィヒの音楽作りにおいては、この2つは共存するのです。【2024年9月・湧々堂】


オクタヴィア
OVCL-00847(1SACD)
2024年9月25日発売
チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」 大友直人(指)東京SO

録音:2023年9月16日ミューザ川崎シンフォニーホール・ライヴ
チャイコフスキーが生涯遺した交響曲の中でもとりわけ人気の高い第 6番「悲愴」。日本の音楽界をリードし続けている指揮者のひとり大 友直人と東京SOによるミューザ川崎シンフォニーホールでのラ イブ・レコーディングです。1989年以来、「悲愴」はこのコンビに よって16回も取り上げられ、その信頼関係のもと、けっして大仰にな らず、バランスよく構築された表現でありながらも、内に秘めたるも のを感じさせてくれるまさに名演となりました。ライブならではの緊 迫感とエネルギー感をぜひお楽しみください。(オクタヴィア)
オクタヴィア
OVCL-00861(1SACD)
2024年9月25日発売
ベルリオーズ:幻想交響曲 小林研一郎(指)
コバケンとその仲間たちオーケストラ

録音:2024年6月1日東京・サントリーホール・ライヴ
「コバケンとその仲間たちオーケストラ」は、2005年のスペシャ ルオリンピックスの公式文化事業の企画を機に設立されたオーケ ストラで、プロ・アマチュア・学生・障がいの有無に関わらず、 活動趣旨に賛同する奏者が集まり演奏しています。 当盤は、2024年6月に行われたコンサートのライブ録音です。オー ケストラ120余人が一丸となって壮大なドラマを描いた、パッ ション溢れる演奏をお聴きください。(オクタヴィア)

ACCENTUS Music
ACC-30652CD(1CD)
ブルックナー:交響曲第2番ハ短調WAB102(1877) バンベルクSO
クリストフ・エッシェンバッハ(指)

録音:2024年3月、ヨーゼフ・カイルベルト・ザール、バンベルク
2024年クラシック音楽界はブルックナーの生誕200周年に沸いており、続々と注目の録音がリリースされています。今回登場するのは、バンベルクSO と名誉指揮者であるクリストフ・エッシェンバッハによるブルックナーの交響曲第2番です。 両者といえば、シューマンの交響曲全集やサン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付き」などの名録音が存在しますが、コンサートでの初共演はもちろんピアニス トとしてのエッシェンバッハとでした。1965年10月1日。指揮台には、1977年には日本人で初めてVPOを指揮するなど海外 でも活躍した指揮者、岩城宏之が上がり、スメタナの「売られた花嫁」序曲とチャイコフスキーの交響曲第5番というプログラムのコンサートに、クララ・ハスキル・ コンクールで優勝したばかりの若手ピアニストとしてエッシェンバッハが登場。シューマンのピアノ協奏曲を演奏し、バンベルクの人々に強烈な印象を残しました。 それから半世紀以上経った2024年、クラシックの大作曲家の生誕200周年を祝うため、満を持して同地でセッション録音を行いました。ブルックナーの第2交 響曲は、初期作品ながら、すでにブルックナーの個性は横溢しています。マーラーやチャイコフスキーを得意とするエッシェンバッハは、耽美的、濃厚な抒情美、そし て幅広い表現力が独特。そうしたエッシェンバッハの指揮によって表現された壮大でドラマティックな緊張感と抒情的な美しさは聴きものです (Ki)


Hanssler
HC-24039(4CD)

KKC-6884(4CD)
日本語解説付国内盤
税込定価
ハイドン:交響曲全集 Vol.32〜35
CD1 Vol.32
(1)交響曲第66番変ロ長調 Hob.I:66
(2)交響曲第71番変ロ長調 Hob.I:71
CD2 Vol.33
(3)交響曲第62番ニ長調 Hob.I:62
(4)交響曲第74番変ホ長調 Hob.I:74
(5)交響曲第76番変ホ長調 Hob.I:76
CD3 Vol.34
(6)交響曲第77番変ロ長調 Hob.I:77
(7)交響曲第78番ハ短調 Hob.I:78
(8)交響曲第81番ト長調 Hob.I:81
CD4 Vol.35
(9)交響曲第80番ニ短調 Hob.I:80
(10)交響曲第79番ヘ長調 Hob.I:79
(11)交響曲第91番変ホ長調 Hob.I:91
ハイデルベルクSO
ヨハネス・クルンプ(指)

録音:(1)2022年6月30日&7月1日、(2)2022年7月2&4日、(3)2022年7月1&2日、4)2023年3月8&9日、(5)2022年10月10&11日、(6)2022年10月11〜13日、(7)2022年10月13&14日、(8)2023年3月9〜11日、(9)2023年5月19&20日、(10)2023年5月20&21日、(11)2023年5月22&23日
/ハイデルベルク=プファッフェングルント、ゲゼルシャフトハウス
颯爽としたピリオド・アプローチがたまらないハイデルベルクSOによるハイドンの交響曲。2023年5月、ついに全曲録音が完成しました!第28〜 31集(KKC-6788/ HC-23081)に続き、第32〜35集も4枚組セットでのリリースです!
2020/2021年シーズンより音楽監督をつとめるヨハネス・クルンプ率いる当団の演奏は常に新鮮!ハイドンへの敬愛を感じさせる繊細な弱音から時に荒々 しいと思えるアプローチまで、当団ならではのエネルギッシュな演奏はユーモアに溢れており、非常に説得力のある解釈を示したクルンプの手腕も確かなもので、 交響曲全曲録音の最後にふさわしい充実の演奏を聴かせてくれます。
「ハイデルベルクSOのハイドンは、力強さ、フレッシュさ、野性味、ユーモア、そして豊かな驚きに満ちており、この全曲録音がついに完成したことを 非常に嬉しく思います。当団との演奏は幸福への旅でもありました。それは、理想に向かうために、技術的な完璧さだけでなく、音楽への愛、特別なものを創 り出そうという団員の意志と結びついており、ハイドンの交響曲の世界に完璧に当てはまっています」(ヨハネス・クルンプ)
国内仕様盤(KKC-6884/7)はハイデルベルクSOのヴィオラ奏者、矢崎裕一氏による日本語解説書付です。 (Ki)

EUROARTS
20-66504(Bluray)
チェリビダッケ&ミュンヘンPOの芸術的遺産
(1)チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番
(2)シューマン:ピアノ協奏曲
(3)ドヴォルザーク:交響曲第9番『新世界より』
(4)プロコフィエフ:古典交響曲
ラヴェル:スペイン狂詩曲
ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
 イベリア
ミュンヘンPO
セルジウ・チェリビダッケ(指揮 )

(1)ダニエル・バレンボイム(P)
収録:1991年10月ミュンヘン、ガスタイク(ライヴ)
(2)ダニエル・バレンボイム(P)
収録:1991年7月エアランゲン・シュタットハレ(ライヴ)
(3)収録:1991年
(4)収録:1988年
(5)収録:1994年ミュンヘン、ガスタイク(ライヴ)
1979年から1996年の間ミュンヘン・フィル音楽監督を務めたカリスマ指揮者セルジュ・チェリビダッケ(1912-1996)。本作は、1988年から1994年 の、晩年のチェリビダッケと手兵ミュンヘン・フィルとの映像を集め、1枚のブルーレイに収録したもの。演目は、バレンボイムをソリストに迎えたチャイコフスキーと シューマンのピアノ協奏曲、チェリビダッケの中核的なレパートリーの1つドヴォルザークの交響曲第9番『新世界より』、厳しいリハーサルで知られているチェリビ ダッケ節が炸裂するリハーサル映像も収録されたプロコフィエフ『古典的交響曲』。そしてこの上なく精緻で豊かなサウンドで聴かせるラヴェルとドビュッシー。 チェリビダッケは、イタリア、北欧のオーケストラ、そしてシュトゥットガルトRSOで活躍した後、1979年ミュンヘン・フィルの首席指揮者に就任。1996 年に死去するまで、古典からロマン派、近代の作品で多くの名演を残し、オケの一時代を築きました。チェリビダッケの演奏は、妥協のないリハーサルと荘重なテン ポで知られ、また、録音を頑なに拒み続けたことなどのエピソードがあります。20世紀の音楽界において、もっとも印象深いカリスマ指揮者の一人です。 (Ki)

BR KLASSIK
BR-900720(9CD)
ベルナルト・ハイティンク:ポートレート第2集

【CD1】
1-4. ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調「合唱付き」 Op.125

【CD2】
ブルックナー:交響曲第4番 変ホ長調「ロマンティック」WAB 104(第2稿1878/80)

【CD3】
. ブルックナー:交響曲第7番ホ長調 WAB107

【CD4】
ブルックナー:テ・デウム WAB45
ブルックナー:交響曲第8番ハ短調 WAB108(第1楽章-第2楽章)*

【CD5】
ブルックナー:交響曲第8番ハ短調 WAB108(第3楽章-第4楽章)

【CD6】
ドヴォルザーク:交響曲第7番ニ短調 Op.70
スケルツォ・カプリチオーソ Op.66*

【CD7】
マーラー:交響曲第7番ホ短調

【CD8】
ショスタコーヴィチ:交響曲第8番 ハ短調 Op.65

【CD9】
ショスタコーヴィチ:交響曲第15番イ長調 Op. 141
全て、ベルナルト・ハイティンク(指)、バイエルンRSO
【CD1】
サリー・マシューズ(S)、ゲルヒルト・ロンベルガー(A)、マーク・パドモア(T)、ジェラルド・フィンリー (Bs)、バイエルン放送cho/録音:2019年2月20-23日ミュンヘン、フィルハーモニー・イン・ガスタイク(ライヴ)
【CD2】
録音:2012年1月19-20日ミュンヘン、フィルハーモニー・イン・ガスタイク(ライヴ)
【CD3】
録音:1981年11月19-20日ミュンヘン、ヘルクレスザール(ライヴ)
【CD4】
クラッシミラ・ストヤノヴァ(S)、イヴォンヌ・ナエフ(A)、クリストフ・シュトレール(T)、ギュンター・グロイスベック(Bs)、バイエルン放送cho/録音:2010年11月10-12日ミュンヘン、フィルハーモニー・イン・ガスタイク(ライヴ)、1993年12月15-17日ミュンヘン、ヘルクレスザール(ライヴ)*
【CD5】
録音:1993年12月15-17日ミュンヘン、ヘルクレスザール(ライヴ)
【CD6】
初CD化
録音:1981年3月26-27日ミュンヘン、ヘルクレスザール(ライヴ)、1981年3月24日ミュンヘン、ヘルクレスザール(セッション)*
【CD7】
録音:2011年2月14-18日ミュンヘン、フィルハーモニー・イン・ガスタイク(ライヴ)
【CD8】
録音:2006年9月23日ミュンヘン、フィルハーモニー・イン・ガスタイク(ライヴ)
【CD9】
初CD化
録音:2015年2月5-6日ミュンヘン、フィルハーモニー・イン・ガスタイク(ライヴ)
1958年にバイエルンRSOの定期演奏会で(指)以降60年以上にわたってオーケストラと緊密な協力関係を築いてきたベルナル ト・ハイティンク。今回の収録曲もオーケストラにとってはコンサートシーズンの目玉になるような大曲が多く、指揮者とオケとの盤石の信頼関 係がうかがわれます。「第九」は悠揚迫らざる音楽作りが曲の風格をさらに高めるような演奏。ブルックナーの第8番はハイティンクの同曲録 音の中でもっとも長い演奏時間をかけた重厚緻密な演奏として話題になりました。ショスタコーヴィチも第8番と第15番を収録、Deccaに録 音した交響曲全集でレコード・アカデミー賞に輝いたように、この作曲家もハイティンクの十八番。ドヴォルザークの第7番はコンセルトヘボウと の1957年録音があっただけなので、24年後の当録音はファンにとって非常に興味を惹かれるものでしょう。ドヴォルザークの第7番とショスタ コーヴィチの第15番は当セットが初出。レーベル情報では2025年前半に分売を予定しているとのことです。

Channel Classics
CCS-46924(1CD)
神童フェリックス 〜フェリックス・メンデルスゾーン初期作品集
キリエ ニ短調 MWV A3(1825)
弦楽のための交響曲第10番ロ短調 MWV N10(1823)
めでたし、海の星(アヴェ・マリス・ステラ)(1828)
交響曲第1番ハ短調 Op.11(1824) (ミシャ・スポルクによる編曲版)
カンタータ「ただ愛する神の摂理にまかす者」(1828)
ナネッテ・マンス(S)
アルス・ムジカO&cho
パトリック・ファン・デル・リンデン(指)

録音:2023年11月 ワロン教会、アムステルダム
オランダの合唱指揮者パトリック・ファン・デル・リンデンを中心に、若い世代のプレイヤーが集まって発足したアルス・ムジカによるメンデルスゾー ン初期作品集。作曲家がまだ若い頃、バッハをはじめとする古い時代の音楽の復権に意欲的だった師匠ツェルターの元で作曲を学んでいた 時期に遡る一連の初期作品は、バロック音楽を思わせる音運びやポリフォニックな曲構造が特徴的。ここでオーケストラはナチュラル・ホルンを 除き基本的に現代楽器を使っていますが、ノンヴィブラート中心のピリオド奏法を踏まえた弦楽合奏が作り出すハーモニーは透明感にあふ れ、緻密な合唱と溶け合うかのような美しい調和の中、曲の起伏をよく捉えメリハリの利いた解釈を聴かせてくれます。擬古的な書法に風格 が漂うキリエ、ナネッテ・マンスの美声がひときわ映える「めでたし、海の星」、作曲翌年の『マタイ受難曲』復活上演を予告するかのようなカン タータ「ただ愛する神の摂理にまかす者」といった声楽曲の傍ら、バロックさながらの弦楽交響曲と初期ロマン派の息吹が瑞々しい交響曲第 1番での冴えわたる器楽勢の活躍も聴き逃がせません。なお交響曲第1番はオランダの作曲家ミシャ・スポルクによる小編成への編曲版が 用いられており、ファン・デル・リンデンによれば、ファニーの誕生日祝いにメンデルスゾーン家で行われたと伝わる初演時の姿を想定したというこ とです。

Pentatone
PTC-5187353(4CD)
シューベルト:交響曲全集
(1)交響曲第1番ニ長調 D.82(1813)
(2)交響曲第6番ハ長調 D.589(1818)
(3)交響曲第2番変ロ長調 D.125(1815)
(4)交響曲第3番ニ長調 D.200(1815)
(5)交響曲第4番ハ短調「悲劇的」D.417(1816)
(6)交響曲第5番変ロ長調 D.485(1816)
(7)交響曲第9番ハ長調「ザ・グレート」D.944(1825-26)
(8)交響曲第8番ロ短調「未完成」D.759
【 「私の夢」第1部* / T.アレグロ・モデラート / 「私の夢」第2部* / U.アンダンテ・コン・モート】(1822)
トビアス・モレッティ(朗読)*
ビー・ロック・オーケストラ、
ルネ・ヤーコプス(指)

録音:(1)(2)2018年3月、
(4)(6)2020年2月ザール・インスブルック(インスブルック会議場内)
(3)(5)2019年7月デ・スピル・コンサートホール(ルセラーレ)
(7)(8)2020年12月デ・ジンゲル(アントワープ)
ルネ・ヤーコプス率いるビー・ロック・オーケストラのシューベルト交響曲全曲が遂にセットになって登場!
ベルギー第3の都市ヘント(ゲント)に2005年創設されたオリジナル楽器のビー・ロック・オーケストラ(B’Rock Orchestra)。実力派により構成された当 団は音楽的に互いを刺激し合い、ルネ・ヤーコプス、アイヴァー・ボルトン、アレクサンドル・メルニコフなどの演奏家との共演で名声を高めてきました。当団には 日本人演奏家も多く所属しており、2019年9月には待望の初来日を果たしております。変幻自在の音色で奏でることができる当団がヤーコプスのタクトにより自 由に歌い、そしてカラフルで刺激的な演奏を聴かせてくれます。シューベルト交響曲全曲集、新名盤の登場です!
「未完成」ではシューベルトの自伝的な作文「私の夢」の朗読付き。この作文は1822年7月3日に書かれた2部構成のもの。前半は母の死や父との関係が語 られ、後半は幻想的でロマンティックな世界へと進み、やがて父との和解がもたらされます。一方「未完成」の自筆スコアには同年10月30日という日付が記さ れています。ほぼ同時期に書かれたこれらを組み合わせることにより当時のシューベルトの精神性をあらわせるという考えのもと収録しました。朗読はトビアス・モ レッティです。
「幼少の頃、私のお気に入りの作曲家の中で初めてコンサートで歌う機会を与えられたのがシューベルトでした。やがて、母国の都市ヘントにある大聖堂の少年 合唱団のメンバーとなりボーイソプラノのソリストとして歌ってきました。その当時、私はディートリヒ・フィッシャー=ディースカウの歌うシューベルトの歌曲の録音 を聴き、ますますシューベルトの虜になりました。私はカウンターテナー歌手としてキャリアをスタートさせ、歌手として、そして指揮者として様々な作曲家の作品を 演奏してきましたが、指揮者として私が最も敬愛するシューベルトにかえってきました」(ルネ・ヤーコプス) ※当セットはCDフォーマットとなります。

Forgotten Records
fr-1930(1CDR)
シューベルト:交響曲第9番「グレイト」 ポール・パレー(指)
デトロイトSO

録音:1962年12月8日、ヘンリー・フォード・ホール講堂〔フォード講堂〕、デトロイト、ライヴ
Forgotten Records
fr-1932(1CDR)
グーセンス〜メンデルスゾーン:交響曲集
第4番「イタリア」/第5番「宗教改革」
ユージン・グーセンス(指)
LPO

録音:1957年(ステレオ)
※音源: Classic Club X512他
Forgotten Records
fr-1939(1CDR)
グラズノフ:交響曲第4番変ホ長調 Op.48*
カバレフスキー:交響曲第2番Op.19#
ジャック・ラフミローヴィチ(指)
サンタ・チェチーリア音楽院O

録音:1949年3月
※音源: Capitol P-8027他
Forgotten Records
fr-1943(1CDR)
オスカー・フリート
チャイコフスキー: 交響曲第6番「悲愴」*
リスト:交響詩「マゼッパ」#
オスカー・フリート(指)
ロイヤルPO(旧)*、BPO #

録音:1929年1月2日、2月4日-5日
※音源:英Columbia 9867/71他
Forgotten Records
fr-1945(1CDR)
ストコフスキー&ニューヨークPO
ヘンデル(ストコフスキー編): 組曲「水上の音楽」*
モーツァルト:交響曲第40番#
ショスタコーヴィチ:交響曲第1番+
レオポルド・ストコフスキー(指)
NYO

録音:1960年3月5日、カーネギー・ホール、、ニューヨーク、 US 、ライヴ
Forgotten Records
fr-1947(1CDR)
ブラームス: 交響曲第2番ニ長調 Op.73*
アルト・ラプソディ Op.53#
グレース・ホフマン(A)#
カール・バンベルガー(指)*,#
フランクフルト歌劇場O*、
ハンブルク NDR響&cho#

録音:1956年、ステレオ
※音源:Concert Hall CHT/BN-23*, (オープン・リール)

ONDINE
ODE-1454(1CD)
NX-B10

NYCX-10490(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価
フェルディナント・リース(1784-1838):交響曲第4番ヘ長調 Op.110(1818)
交響曲第5番ニ短調 Op.112(1813)
タピオラ・シンフォニエッタ
ヤンネ・ニソネン(指)

録音:2024年3月4日-7日エスポー(フィンランド)、タピオラ・ホール
2020年代からにわかに注目を集める「ベートーヴェンの弟子」フェルディナント・リース。これまでハワード・グリフィス指揮チューリヒ室内管のcpo盤が唯一の交 響曲全集でしたが、高性能室内オケとして知られるタピオラ・シンフォニエッタがONDINEレーベルで全曲録音を開始しました。2024年5月発売の第1番 &第2番に続いて、早くも第2弾が登場。ニソネン盤は曲が内包する爆発的なエネルギーと色彩の面にフォーカスしており、非常にエキサイティングな演奏と なっています。前作に続いて城代さや香(きのしろさやか)が第2ヴァイオリンをリードしています。 リース作品の番号付けは作曲順とは異なることが多く、ここに収録された第4番は1818年、第5番は1813年の作品で、後者は2番目の交響曲になりま す。当時リースは、ハイドンのロンドン交響曲をプロデュースしたヨハン・ペーター・ザロモンと出会ってロンドンに拠点を移しており、第5番はロンドン楽壇へのデ ビュー作。第1楽章は「運命動機」をはじめとしてベートーヴェンの第5交響曲を思わせるモチーフが頻出し、あたかもベートーヴェンの後継者であることを宣言 しているかのよう。「運命動機」はその後も随所に顔を出します。第4番でも、あちこちでベートーヴェンの交響曲のモチーフがこだましているのを聞き取ることが できるでしょう。それらがリース独自のモチーフと共に、彼の作品の特徴である大胆な転調やリズムの変化を多用した疾風怒濤風の表現に織り込まれている ところが聞きどころです。
国内仕様盤には相場ひろ氏による日本語解説が付属します。

CPO
CPO-555115(1CD)
NX-C04
カール・ライネッケ(1824-1910):管弦楽作品集第2集
交響曲第2番ハ短調 Op.134
序曲「ユーベルファイアー」 Op.166
荘厳なプロローグ Op.223
村の菩提樹の下での踊り Op161No.5
序曲「ダーメ・コボルト」 Op.51
ゼノビア序曲 Op.193
ミュンヘン放送O
ヘンリー・ラウダレス(指)

録音:ミュンヘン、バイエルン放送 第1スタジオ2015年6月10-14日、2016年7月18-22日
2024年に生誕200年を迎えたライネッケ。ブルックナーと同い年ですが、高名な音楽教育者の父の元に生まれた だけにいち早く音楽理論を習得し、作曲家及びピアニストとして早熟の才能を発揮しました。85年余りの生涯を 通じて数多く作品を遺すと共に、ライプツィヒ音楽院の教授およびゲヴァントハウスOの指揮者として音楽 界に多大な貢献をしました。番号付きの交響曲が3曲あり、ここに収録された第2番はデンマークの作家アダム・ エーレンシュレーガーの悲劇「ホーコン・ヤール」に触発されたもの。暗い音色と緻密で重々しいサウンド、ロマン ティックな旋律や悲愴さを帯びた高揚感、最後に輝かしく終わる様はまさに後期ロマン派の醍醐味といった趣があ ります。4つの序曲とゲヴァントハウス管のために作曲した「村の菩提樹の下での踊り」も同種の音楽。このコンビの 第1集(555114)と合わせて3曲の交響曲が揃いました。

VOX
VOXNX-3046CD(1CD)
メンデルスゾーン:交響曲第3番「スコットランド」*
劇音楽『夏の夜の夢』〜 序曲/スケルツォ/夜想曲/結婚行進曲
ボルティモアSO
セルジュ・コミッショーナ(指)

録音:1974年3月9日*、1977年6月
1928年にルーマニアのブカレストで生まれたセルジュ・コミッショーナはヴァイオリニストとして早くから才能を発揮。更にシルヴェストリらの指導を受けて 17歳で指揮者としてデビュー、ルーマニアの国立歌劇場の指揮者も務めました。その後イスラエルを経てアメリカに移住し、15年間にわたりボルティモ アSOの首席指揮者を務め、楽団の評価を一気に高めました。入念に整えられたバランスと隙のない仕上がりで、この指揮者の実力を伝えま す。優秀録音で知られるマーク・オーボートとジョアンナ・ニックレンツのコンビ「エリート・レコーディングズ」が制作したアナログ音源を名エンジニアのマイ ク・クレメンツが24bit/192kHzでデジタル化する「AUDIOPHILE EDITION」でのリリースです。 コミッショーナとボルティモア響の主な録音先はVanguardでしたが、VOX Turnaboutからメンデルスゾーンの交響曲第3番、第4番、第5番と「フィン ガルの洞窟」が出ていました。第3番「スコットランド」は「フィンガルの洞窟」とのカップリングで1975年にリリース(LP番号はQTVS 34604)されました が、今回カップリングされた『夏の夜の夢』の4曲はVOXのマスターテープ倉庫で発見された未発表音源です。レーベル情報によれば「フィンガルの洞 窟」は第4番&第5番と合わせて近日リリース予定とのこと。


Treasures
TRE-328(1CDR)
スワロフスキー〜ベートーヴェン&シューベルト
シューベルト:交響曲第8番「未完成」
ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調*
ハンス・スワロフスキー(指)
ウィーン国立歌劇場O

録音:1957年(モノラル)
※音源:ORBIS 21224、仏VEGA 30MT-10.107*
◎収録時間:69:51
“品格と内燃エネルギーを共存させるスワロフスキーの知られざる手腕!”
■音源について
スワロフスキーのシューベルトの交響曲は、他に「グレイト」が、ベートーヴェンは他に第2、3、5、6、8番の録音があります。

★まず「未完成」が掛け値なしで世紀の名演!この作品の潜在的な魅力をこれほど根底から炙り出した演奏が他にどれだけあるでしょう?第1楽章冒頭から、ふくよかで地に足のついた音に「あ〜この音!」と叫びたくなると同時に、単に楽器を器を弾くのではなく「奏でる」ことによる味わいの大切さを思い知らされます。第2主題直前のホルンのハーモニーの共鳴度も、昨今の薄っぺらさとは別次元の深淵さはどうでしょう!第2主題のチェロのユニゾンでさえ互いの共鳴を感じ取っている様が胸に迫ります。展開部冒頭は心の慄きがジリジリと増す過程では、呼吸に過度な振幅を与えず、その持久力によって全体の緊張感を確実に積み上げているのは、流石の職人芸。8:37の抑え難い内燃を表す弦の唸りも必聴!再現部0:50以降では、音の色彩と精神が一体化したように音楽が粒立ち、どこを取っても愛が強固に結晶されていて感動を禁じえません。とかく平板に流れがちな第2楽章も、何の変哲もないようでいて彫琢豊かな音像を形成しながら、惜しみない愛を投入。一切弛緩のない有機的なフレージングと尋常ならざる豊かなハーモニーで魅了し続けます。自己顕示や衒いを受け入れないこういう作品こそ職人的な指揮者の本質が活きるのでしょう。
 一方のベートーヴェンも、これまた心揺さぶる名演。第1楽章冒頭の打ち込みはまさに迷いのない意思の塊!「英雄」冒頭もそうですが、こうでなければなりません。近年ではマイルドにふわ〜っと開始するスタイルも散見されますが、そのどこに作曲家の意思を感じろというのでしょう?主部以降はデフォルメや誇張を用いない自然体のアプローチが続きますが、シューベルト同様、内声の連動力が極めて高いので音楽が常にキリッと立ち上がり、漫然と流れることがありません。展開部はテンポを一段落としてクレンペラーに近いテンポになりますが、瑞々しも緊張感も見事に維持。第2楽章は弦の美しさが古今を通じて傑出。言うまでもなく弦のブレンド具合が物を言う楽章なので、この点は見逃せません。特に2:23以降の血と汗を一杯に湛えながら一定の品格も保った進行は、この指揮者の矜持の表れとも言えましょう。終楽章は超高速を避け、リズムをきっちり浮き出るやや遅めのテンポを採用し、最後までイン・テンポで通します。テンポが遅くなるほど響きの凝縮と緊張の持続が困難となり、力量のない指揮者が安易に高速で突っ走る例が多いのは御存知の通り。暴走による痛快さよりも作品の造形を確実に打ち出しながら、誠心誠意演奏に集中するスワロフスキ-の指揮の下では、もちろん音楽が淀むことなどありません。コーダ最後の締めくくりで、あからさまに「句点」を打ち込むのも、この進行なら当然と納得させるものがあります。
 なお、2曲とも全てのリピートを敢行していますが、ベートーヴェンの終楽章提示部の繰り返しでは一部カットして演奏されています。 【2024年8月・湧々堂】


SOMM
ARIADNE-5031(2CD)
NX-D05
ブルックナー:交響曲第5番、他
【CD1】
交響曲第5番変ロ長調 WAB106・・・初CD化

【CD2】
弦楽五重奏曲 ヘ長調 WAB112
弦楽五重奏のための間奏曲 WAB113
【CD1】
クリストフ・フォン・ドホナーニ(指)
ベルリンRSO(現ベルリン・ドイツSO)
【CD2】
ウィーン・コンツェルトハウスSQ
フェルディナント・シュタングラー(第2ヴィオラ)

録音:【CD1】1963年12月8日 ベルリン、ケーペニック、放送会館(ステレオ、ライヴ/ベルリン放送のエア・チェック)
【CD2】1956年、ウィーン楽友協会ブラームスザール(MONO/初出LP:Vanguard VRS480による復刻)
アメリカ・ブルックナー協会の放送音源(エアチェック)から、選りすぐりの初出音源で交響曲全集をCD化するブルックナー・フロム・アーカイヴ第4巻、ドホナーニ 若き日の第5番のステレオ・ライヴが登場。 このプロジェクトは、放送業界でも活躍したアメリカ・ブルックナー協会の事務局長ジョン・F・バーキーの膨大なエアチェック・テープを中心に、選りすぐりの音源 で交響曲全集をCD化するもの。同協会の総裁でブルックナー研究者のベンジャミン・コーストヴェットが監修と解説執筆を担当していることも注目です。ここ まで作品の作曲年順にCD化しており、今回は1870年代後半の2作品を収録しました。CD1の交響曲第5番は当時34歳のクリストフ・フォン・ドホナーニ (指)ベルリンRSOの演奏です。オーケストラは現在のベルリン・ドイツSOで、1946年にRIASSOとして発足した楽団。コースト ヴェットは当演奏の意義について「この指揮者のキャリアの初期の記録であり、その客観的な解釈が戦後生まれの若き指揮者たちの模範となった」としていま す。CD2はウィーン・コンツェルトハウスSQとヴィオラのシュタングラーによる弦楽五重奏曲と間奏曲を収録。ヴァンガード・レーベルへのセッション録 音で、コーストヴェットは「ポルタメントの使用、抒情的な表現への傾斜、ロマンティックなテンポ設定とフレージングを古臭いと感じる人も少しはいるだろうが、 音楽の持つ感情や情緒的な雰囲気を丁寧に描こうとするウィーンの伝統的スタイルの典型であり、現在ではほぼ失われてしまったものを留めている」点を評 価しています。コンツェルトハウスSQの演奏は、ウェストミンスター・レーベルに録音したものが繰り返し再発売されてきた一方で当ヴァンガード盤は復刻から漏 れていたため、待望のCD化と言えるでしょう。 このシリーズ、交響曲の音源は初出のものを使うこと以外は明らかにされていませんが、ブルックナーの演奏史において独自の意義を認めたものや重要な貢 献を果たした指揮者のものが選ばれており、ブルックナー・ファンにとっては残る4曲(第6番から第9番)の選択にも注目です。

Profil
PH-20056(2CD)
エディション・シュターツカペレ・ドレスデン Vol.49
歴史的シェラック盤〜ゼンパーオーパー録音
(1) ブラームス:交響曲第4番ホ短調Op.98
(2) レーガー:モーツァルトの主題による変奏曲とフーガOp.132
(3) ヘルベルト・ブロムシュテットへのインタビュー(2021年)
(4) シューベルト:交響曲第5番変ロ長調D485
(5) ビゼー:歌劇「カルメン」抜粋(ドイツ語上演)【約53分】
カール・ベーム(指)
シュターツカペレ・ドレスデン
カルメン:エリーザベト・ヘンゲン(Ms)、ドン・ホセ:トルステン・ラルフ(T)、エスカミーリョ:ヨーゼフ・ヘルマン(Br)、ミカエラ:エルフリーデ・ヴァイトリヒ(S)ほか、
ドレスデン国立歌劇場cho

録音:1939年6-7月(1)、1937年6月(2)/ドレスデン・ゼンパーオーパー、
1942年6月(4)/ドレスデン衛生博物館、1942年12月4日(5)/ドレスデン・シュターツオーパー
profilレーベルの人気シリーズ「エディション・シュターツカペレ・ドレスデン」の第49弾は壮年期のカール・ベーム。世界初録音だった1937年レーガーの「モー ツァルトの主題による変奏曲とフーガ」、1939年のブラームス「交響曲第4番」をエレクトローラのシェラック盤から再生。当時はSP盤片面約4分ずつ止めて録 音しなくてはなりませんでしたが、レーガーは音響的にも音楽的にも流れがあり見事。当時雑誌で絶賛されたのも頷けます。
1941年に磁気テープが開発され、ドレスデン衛生博物館の舞台を放送スタジオにして新たなページが始まりますが、その記念すべき第1号がベーム指揮によ るシューベルトの交響曲第5番でした。また、1942年のベームお別れ公演の「カルメン」の抜粋もボーナス収録。どちらもシュターツカペレ・ドレスデン所蔵のテー プから再生。戦前の輝かしいシュターツカペレ・ドレスデンドレスデンの演奏を堪能できます。 (Ki)

Profil
PH-23086(1CD)
ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」(1888年版) ゲルト・シャラー(指)
フィルハーモニー・フェスティヴァ

録音:2023年8月20日/エーブラハ大修道院付属教会(ライヴ)
ブルックナーの交響曲全稿録音を目指しているゲルト・シャラーとフィルハーモニー・フェスティヴァが交響曲第4番の1888年版に挑戦しました。これまで 1874年版(PH22010)と「村の祭」付1878/80年版 (PH13049)を録音しましたが、3枚目は同曲でもっとも問題があるとされる第3稿こと1888年版。
1888年版は弟子たちが改訂を施したとされ長く顧みられませんでしたが、2004年にコーストヴェットの校訂譜が国際ブルックナー協会から出版され、録音や 実演も増えつつあります。今回の演奏はこだわり派のシャラーらしく「コーストヴェット版」とは明記されておらず、より古い出版譜も検討していることが伺え興味 津々です。
これまでのシャラーのブルックナー4番録音同様にテンポは速く推進力に満ち、引き締まった解釈がとても新鮮。これまで悪名高かった1888年版を改めて味わ う貴重な体験をさせてくれ、弟子たちの改訂が決して改竄ではなく師ブルックナーへの敬意と愛情をこめて行たことが感じられるかのようです。ブルックナー・イ ヤーの最重要リリースのひとつと申せましょう。 (Ki)

オクタヴィア
OVCL-00854(2SACD)
日本語解説付国内盤
税込定価

2024年8月28日発売
マーラー:交響曲第6番「悲劇的」 ジョナサン・ノット(指)
東京SO

2023年5月20日東京・サントリーホール、5月21日ミューザ川崎シンフォニーホール・ライヴ
音楽監督ジョナサン・ノットと東京SO、名コンビによるマーラー・シリーズに待望の 続編、交響曲第6番「悲劇的」が登場です。マーラーの長大な傑作を緻密に読み解き、冒頭 から見通しよく構築された音楽、全神経を注ぐ冴え漲るタクトにオーケストラが万全に応え フィナーレへ聴き手を誘います。最終楽章の破滅のハンマーはマーラー初期のアイディアを 取り入れるなど、両者が見事に描き出したマーラー観は聴く者を惹きつける魅力に溢れ、ま(オクタヴィア)

B RECORDS
LBM-066(2CD)
NX-E05
ベートーヴェン:交響曲全集 第1集
交響曲第1番ハ長調 Op.21
交響曲第2番ニ長調 Op.36
交響曲第4番変ロ長調 Op.60
オルケストル・コンスエロ
ヴィクトル・ジュリアン=ラフェリエール(指)

録音:2023年8月22、23日サン・ロベール修道院(ラ・シェーズ=デュー音楽祭ライヴ)
1990年生まれのチェロ奏者・指揮者ヴィクトル・ジュリアン=ラフェリエールにより、2021年に創設されたオルケストル・コンスエロ。それぞれの 演奏曲に最適になるように選ばれた若き名手たちによってフレキシブルに編成されるこのオーケストラが、ジョルジュ・シフラによって1966年に 設立されたラ・シェーズ=デュー音楽祭のサポートのもと、ベートーヴェンの全交響曲を4年計画でライヴ録音するプロジェクトを始動しました。 第1弾に第1番、第2番、第4番という一般的には人気の低い曲を集めてきたあたりに、彼らの本気度と自信のほどがうかがえます。ヴァイオリ ン13、ヴィオラ5、チェロ4、コントラバス3に管打楽器という小規模な編成による、溌溂とした表現と見透しのよいサウンドが魅力。

FUGA LIBERA
FUG-821(1CD)
NX-C04
ラフマニノフ:交響曲 第3番イ短調 Op.44
ラヴェル:ラ・ヴァルス
ウラルPO
ドミトリー・リス(指)

録音:2022年9月 スヴェルドロフスク・フィルハーモニック大ホール、エカテリンブルク、ロシア
ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンで度々来日してきたドミトリー・リス指揮ウラル・フィルによる、ラフマニノフの交響曲第3番。大成功を収めた第 2番から30年近い時をあけて作曲され、寡作となっていたロシア出国後のラフマニノフにとって最も力の入った作品の一つであるこの交響曲 は、リスとウラル・フィルにとってはナントのラ・フォル・ジュルネを含めて度々演奏してきた自家薬籠中の物。カップリングのラ・ヴァルスともども、切 れのあるリズムで聴かせています。

Avie
AV-2713(1CD)
エクソダス〜タル、カウフマン、ルビン:管弦楽作品集
ヨセフ・タル(1910-2008):エクソダス
ウォルター・カウフマン(1907-1984):インド交響曲
マルセル・ルビン(1905-1995):交響曲第4番「ディエス・イレ」
ジ・オーケストラ・ナウ、
レオン・ボットスタイン(指)

録音:2023年11月(ニューヨーク)
20世紀を代表する指揮者レナード・バーンスタインの伝記映画『マエストロ』を観たことがあるなら「ジ・オーケストラ・ナウ」を見聞きした事があるでしょう。映画のタングルウッド音楽祭のシーンに登場するのがまさにこのオーケストラです。「ジ・オーケストラ・ナウ」はニューヨークを中心とする大学院レベルの指揮者、教育者、音楽家によって設立された、世界中の活気に満ちた若い音楽家で構成されるオーケストラです。ユダヤ系アメリカ人指揮者のレオン・ボットスタインと共に世に知られていない作品を取り上げ広める活動も積極的に行っています。
フーゴ・カウダー、ハンス・エーリヒ・アポステル、アドルフ・ブッシュの作品を取り上げた前作「失われた世代」(AV-2684)に続いてAvieレーベルから2作目のリリースとなる今作は、20世紀の最初の10年間に生まれた3人のユダヤ人作曲家の管弦楽作品を取り上げます。ヨセフ・タル、ウォルター・カウフマン、マルセル・ルビンの3人はホロコーストから逃れた共通点を持ちますが、その後はそれぞれまったく異なる軌跡を辿って新たな人生とキャリアを歩みました。ここに収録された作品は3人の作曲家が各々の新しい環境に適応しながら、自分たちの声を見つけようともがいていた1940年代の作品です。

Signum Classics
SIGCD-877(1CD)
サントゥ・コンダクツ・ショスタコーヴィチ
ショスタコーヴィチ:交響曲第6番ロ短調 Op.54
交響曲第9番変ホ長調 Op.70
サントゥ=マティアス・ロウヴァリ(指)
フィルハーモニアO

録音:2023年4月27日&9月24日、サウスバンク・センターズ・ロイヤル・フェスティヴァル・ホール(ロンドン)
元々打楽器奏者としてキャリアをスタート後に指揮者に転向したロウヴァリは2013年に初めてフィルハーモニア管を指揮し、2018年に首席客演指揮者に就任。そして2021年からはサロネンの後任として首席指揮者の座に就き、オープニングコンサートで披露したR.シュトラウスの録音(OSIGCD-720/SIGCD-720)がリリースされると早速レコード芸術誌「特選盤」に選出。その後も英BBCミュージック・マガジン誌の「オーケストラル・チョイス」に選ばれたマーラーの交響曲第2番「復活」(XSIGCD-760/SIGCD-760)やストラヴィンスキー(XSIGCD-856/SIGCD-856)で躍進ぶりを証明してきましたが、続いてショスタコーヴィチの録音が登場!
今回収録されるのは2023年の4月と9月にレコーディングが行われた交響曲第6番と第9番。ロウヴァリが繊細な弱音からエネルギーあふれる強奏までフィルハーモニア管の持つ様々な表情を自在に引き出し、ショスタコーヴィチの交響曲作家としての肖像をくっきりと描いており、彼らの相性の良さを改めて示した演奏といえるでしょう。同コンビは2025年1月に待望の来日公演を予定しています!

GENUIN
GEN-24903(1CD)
クリスティアン・リディル:管弦楽のための音楽
フルート協奏曲 「パンの庭」(1999)
交響曲第1番「都市の風景」(1996-98)
バスーン協奏曲 「フランスのブラームス」(1994)
ロベルト・ファン・シュタイン(指)
ライプツィヒSO、他

録音:2022年-2023年
すでに「Genuinレーベル」から4枚目の作品集となる作曲家クリスティアン・リディル。2023年に80歳を迎えたポーランド出身の現代作曲家です。ロベルト・ファン・シュタインの指揮によってライプツィヒSOが録音したこのアルバムは全て世界初録音です。「洗練されたリズムで技術的にも形式的にも完璧」と評価を得ており何度でも聞きたくなる現代音楽です。特にフルート協奏曲である「Les jardins de Pan(パンの庭)」は優れた作品です。

Gramola
GRAM-99322(1CD)
NX-C01
モーツァルト:セレナード第13番ト長調「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」 K.525
ディヴェルティメント ニ長調 K.136
交響曲第39番変ホ長調 K.543
ウィーン・コンツェルト・フェライン
ミラン・トゥルコヴィチ(指)

録音:2023年9月6-8日
ウィーンを拠点とする世界的ファゴット奏者のトゥルコヴィチは近年指揮活動にも旺盛に取り組んでいます。こ のCDで彼が目指したのは「伝統的なウィーンのサウンドによるモーツァルト」。ソリストとしての活動に加え、 ウィーンSOの首席奏者、ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスのキー・メンバー、アンサンブル・ウィーン= ベルリンの創設メンバーというキャリアの積み重ねが生み出す味わい深いモーツァルトです。

LE PALAIS DES DEGUSTATEURS
PDD-037(2CD)
パイタのチャイコフスキー
(1)交響曲第4番ヘ短調 Op.36(1877)
(2)スラヴ行進曲 Op.31(1876)
(3)幻想的序曲『ハムレット』Op.67a(1888)
(4)イタリア奇想曲 Op.45(1880)
(5)幻想的序曲『ロメオとジュリエット』(1869/70/80)
(6)交響曲第6番ロ短調 Op.74『悲愴』(1893)
カルロス・パイタ(指)
(1)〜(5)ロシアPO、
(6)ナショナルPO

録音:(1)〜(5)1994年モスクワ音楽院大ホール(モスクワ)
(6)1980年キングスウェイホール(ロンドン)
仏「LE PALAIS DES DEGUSTATEURS」レーベルからショスタコーヴィチとブルックナーの交響曲第8番(PDD-036)のCD再発売・初出音源のリリー スが話題のパイタ。今度はチャイコフスキーをまとめたアルバムのリリースです!
20世紀アルゼンチンを代表する指揮者カルロス・パイタ(1932-2015)。1980年代に自身が創設したフィルハーモニックSOとR.シュトラウスの「英 雄の生涯」、ベートーヴェンの交響曲第7番、ドヴォルザークの交響曲第7番、ブルックナーの交響曲第4番「ロマンティック」などを自主レーベル「Lodia」からリリー スし、クラシック・ファンを楽しませてきました。
当アルバムはかつて「Lodia」からリリースされたチャイコフスキー!1980年、ナショナルPOとの『悲愴』、そして1994年、ロシア・フィ ルハーモニーOとの第4番と管弦楽曲の2枚組です。「自身が思い描く音楽をやりたいようにやる」というパイタの音楽は爆発そのもの。パイタの情熱的な 音楽は聴衆を魅了し、今もなおその演奏は色あせることなく輝き続けています。 (Ki)

DACAPO
MAR-8.224742(1CD)
NX-B10
ヴィクトー・ベンディクス(1851-1926):交響曲第1番&第3番
交響曲第1番ハ長調「Ascension 昇天」 Op. 16(1877-78)
交響曲第3番イ短調 Op.25(1891-92)
マルメSO
ヨアキム・グスタフソン(指)

録音:2022年6月7-10日マルメ・ライヴ・コンサートホール(デンマーク)
デンマーク交響楽の近代化に貢献したヴィクトー・ベンディクスの2作品が登場。ベンディクスはコペンハーゲンに生 まれニルス・ゲーゼとJ.P.E.ハルトマンに師事した後、リストとワーグナーの「新しい音楽」に傾倒し、ワイマールでリス トに師事。「ローエングリン」と「ニュルンベルクのマイスタージンガー」のデンマーク初演に携わり、1872年にはバイロ イトでワーグナーが指揮する「第九」の演奏会に出席しました。彼が遺した4曲の交響曲から、このアルバムには第 1番と第3番を収録。彼の初の管弦楽作品である第1番は山頂の神殿に向う過程での登山者の内面の変容、 人智を超えた高次元の存在への覚醒をテーマにした交響詩的な作品で、構想、形式、作曲技法のあらゆる面 でデンマーク作曲界にブレークスルーをもたらし、ランゴーの交響曲第1番にも影響を与えたと言われています。第3 番には表題はありませんが、幻想曲と題された第1楽章、ドイツ語で「Bunte Bilder=多彩な絵」と名付けられ た第2楽章、作品の核心とも言えるメランコリックな第3楽章からは、諦観にも通じる内省的な思考が感じられま す。スウィトナー、セーゲルスタムらに学んだスウェーデンの指揮者ヨアキム・グスタフソンとマルメSOが起伏に 富んだ演奏を聴かせ、作品の魅力を引き出しています。

ODRADEK RECORDS
ODRCD-450(3CD)
マーラー:交響曲全集Vol.3
スカルタッツィーニ(b.1971):「オーメン」
マーラー:交響曲第6番「悲劇的」
スカルタッツィーニ:「オーメン-オルクス」*
マーラー:交響曲第7番「夜の歌」*
ジモン・ガウデンツ(指)
イェナPO

録音:2023年3月21-24日、2023年5月9-13 日*、フォルクス・ハウス,イェナ・チューリンゲン・ドイツ
スイスの現代音楽の作曲家アンドレア・ロレンツォ・スカルタッツィーニとマーラーの交響曲 をカップリングしたシリーズ第3弾。スカルタッツィーニはスイスのバーゼル出身でルドルフ・ ケルターボーンとヴォルフガング・リームに作曲を師事した。ザルツブルク・イースター音楽 祭、ルツェルン音楽祭、ダルムシュタット夏期現代音楽講習会で作品が取り上げられている ほか、ヨーロッパの多くの団体によって作品が演奏されています。リームの影響を受けた新表 現主義とでも言うべき劇的な作品でマーラーの交響曲とのカップリングは非常に相性がよ い。スカルタッツィーニの新作「オーメン」の終盤のクライマックスの一撃から間髪入れずマー ラーの交響曲第6番が始まるようになっており、あたかも同じ作品もしくはスカルタッツィーニ がマーラーの交響曲を引用したかのような編集になっています。なお第 6番は通常の第2楽 章と第3楽章が入れ替えて演奏しており、第2 楽章があの美しい緩徐楽章となっています。ジ モン・ガウデンツの指揮するマーラーは音楽の造形をくっきりと堅実に作り上げる一方、非常 に激情的でドラマティック。21世紀の新しいマーラー像ここにあり、といった印象でマーラー・ ファンは必聴。

AfiA
AFIA-9004(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価

マーラー:交響曲第9番ニ長調 村中大祐(指)
オーケストラ・アフィア

録音:2023年3月31日、横浜みなとみらいホールにおけるコンサート・ライヴ録音
村中大祐=オーケストラ・アフィアによる待望のシリーズ第4 弾は、2023年3月、横浜みなと みらいホールで行われた20 世紀最高の名曲のひとつ、マーラーの交響曲第 9番のライブ録 音です。マーラー9と言えば、多くの名演がひしめき合う名作中の名作ですが、今回の録音で は、この作品に本来与えられている室内楽的なエッセンスから、大編成オーケストラの重厚で 巨大なスケール感までを見事に引き出して、“村中の「マーラー「第9」」は新たな視点を授け てくれた”と聴衆を唸らせました。日本人音楽家のチカラを結集した<村中=AfiA>の渾身の 演奏、是非ともお聴きください。

大熱演!!ユーリ・アーロノヴィチの初出音源3タイトル一挙リリース!
※このレーベルは、初発売後早期に廃盤となる可能性が高いです。お早めにご注文されることをおすすめいたします。

Spectrum Sound
CDSMBA-165(1CD)
(1)ストラヴィンスキー:組曲第2番〜小オーケストラのための
(2)チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」
(3)ショスタコーヴィチ:交響曲第7番「レニングラード」〜第4楽章(第2部〜第3部)
全て、ユーリ・アーロノヴィチ(指)
(1)(2)フランス国立O
ライヴ録音:1977年10月19日サル・プレイエル(パリ)【ステレオ】
(3)フランス放送新PO
ライヴ録音:1980年3月10日メゾン・ド・ラジオ・フランス内104スタジオ(パリ)【ステレオ】
驚きの初出音源のディスク化を進めているスペクトラム・サウンド。当アルバムはフランス国立視聴覚研究所(INA)保有音源からの復刻で、ユーリ・アーロノヴィ チの初出音源の登場!1977年、フランス国立管弦楽団と共演したストラヴィンスキーの組曲第2番、チャイコフスキーの悲愴交響曲です!アーロノヴィチといえば なんといってもボルテージの高い演奏が魅力ですが、歌うところはじっくりと歌い上げるのもまたアーロノヴィチならでは。母国の名曲をこれ以上ないほどの熱量 で演奏しております。
ボーナストラックは1980年3月、フランス放送新フィルハーモニー管弦楽団との公開収録から、アンコールとして演奏されたショスタコーヴィチの交響曲第7番 「レニングラード」第4楽章を収録。当日のプログラムが同曲(品番:CDSMBA-170で同時発売)で、鳴り止まない拍手に応えて第4楽章の中間部(第2部) から最後までを演奏しました。低音の鳴らし方はもちろん弦楽器の美しさもアーロノヴィチならではといえます。 (Ki)
Spectrum Sound
CDSMBA-166(1CD)
(1)ドヴォルザーク:交響曲第8番 ト長調 Op.88

(2)ムソルグスキー(ラヴェル編):展覧会の絵
全て、ユーリ・アーロノヴィチ(指)

(1)フランス国立O
ライヴ録音:1976年4月7日サル・プレイエル(パリ)【ステレオ】
(2)フランス放送新フィルハーモニー管弦楽団
ライヴ録音:1978年10月5日メゾン・ド・ラジオ・フランス内104スタジオ(パリ)【ステレオ】
ドヴォルザークでは弦楽器の美しさを際立たせた演奏を披露。最終楽章はダイナミックな演奏で聴衆を沸かせます。
「展覧会の絵」は息つく暇もないほどの大熱演を披露!!大砲と思わせるほどの大音量のティンパニが非常に印象的。そしてガチっとした音楽の組み立て方は流 石!の一言です。しかし、決して力尽くで押し通すことなく、メリハリの利いた解釈で聴き手を集中・熱狂させていきます。時よりアーロノヴィチの唸り声も聴こえる ボルテージの高い名演をご堪能ください! ※「展覧会の絵」の第9曲「バーバ・ヤガー」冒頭2秒ほど、マスター起因による歪みがございます。予めご了承ください。 (Ki)
Spectrum Sound
CDSMBA-170(1CD)
ショスタコーヴィチ:交響曲第7番「レニングラード」 ユーリ・アーロノヴィチ(指)
フランス放送新PO

ライヴ録音:1980年3月10日メゾン・ド・ラジオ・フランス内104スタジオ(パリ)【ステレオ】
アーロノヴィチが最も得意としたショスタコーヴィチ。各パートの鳴らし方、構成力、そして聴 衆を沸かせる熱き演奏。アーロノヴィチのすべての魅力がこの演奏から伝わってきます。オリジナルマスターの保管状態もよく、生々しい演奏がここに蘇ります。 (Ki)

KLARTHE
KLA-173(1CD)
「新世界2.0」
ドヴォルザーク:交響曲第9番新世界より」 (コリャール編曲によるエレクトロニカ版)
トゥールーズ室内O、
ジル・コリャール(指)

録音:2021年10月23〜26日/エリクシール・スタジオ
クラシック音楽の新たな可能性、響きを追求するジル・コリャール率いるトゥールーズ室内Oがドヴォルザークの傑作「新世界より」をエレクトロニカ版で リリース!
弦楽オーケストラは生音でその他管楽器パートを含むすべての楽器・音響はシンセサイザーで演奏。1893年作曲・初演から130年の時を経て全く新しい響き で演奏されます。 ※当アレンジはほぼすべて電子楽器によって演奏されており、アコースティックな弦楽オーケストラの生音とは全く異なります。原曲の交響曲とは大きくイメージが 違い、楽章によって電子音の音量の変化がございます。作品の内容および再生にはご注意くださいますようお願いいたします。

REFERENCE
FR-757SACD(1SACD)
ブルックナー:交響曲第7番ホ長調(1883年ノヴァーク版)
メイソン・ベイツ(1977-):レスルレクシト(2018)
ピッツバーグSO
マンフレート・ホーネック(指)

録音:2022年3月25-27日、ハインツホール、ピッツバーグ(ライヴ)
長年高音質レーベルとして高い評価を得ているREFERENCE RECORDINGS。そしてREFERENCE RECORDINGSはもちろん、PENTATONE,BIS,な ど録音に定評のある数々のレーベルの録音を40年以上に渡って担当しているsound mirror社がタッグを組んだ大好評「ピッツバーグ・ライヴ!」シリーズ。 シリーズ第15弾は、 ブルックナー生誕200年のタイミングでブルックナーの交響曲第7番、そしてマンフレート・ホーネックの60歳の誕生日を記念してピッツバー グSOが委嘱した現代アメリカの作曲家メイソン・ベイツによる「レスルレクシト」が収録されています。
ブルックナーが交響曲第7番の第1楽章を作曲し始めたのは、交響曲第6番の完成後すぐ、1881年9月、夏を過ごしたザンクト・フローリアンでのことでした。 1883年の9月5日にフィナーレのスコアが完成。初演は1884年12月30日、ライプツィヒでアルトゥール・ニキシュ指揮によって、そして1885年3月10日 にミュンヘンでヘルマン・レーヴィ指揮によって初演され、大成功を収めました。本作は第7番を作曲中に起こった様々な出来事、1881年12月8日に起こった、 ウィーンのリング劇場での火災や、ブルックナーが臨席した「パルジファル」の世界初演(1882年7月30日)、ワーグナーの死(1883年2月13日)などが大 きく影響しているとされています。またこの作品は、リヒャルト・ワーグナーの寛大な後援者であるバイエルン王ルートヴィヒ2世に捧げられています。「初版」はブ ルックナーの生前、初演の翌年の1885年に出版。国際ブルックナー協会による原典版は、ハース版(第1次全集版)は1944年に、ノヴァーク版(第2次全集版) は1954年に出版されています。この曲は、第1番〜第4番や第8番のように、ブルックナー自身による大改訂は行われていませんが、この作品が誕生するまで には、ブルックナーとその弟子や同僚でもあったフランツ・シャルクとヨゼフ・シャルク、フェルディナント・レーヴェらの助言や彼らとの議論に基づき、数多くの変 形や変更が行われました。そのうちのいくつかは自筆譜に見られ、また初版に初めて現れるものもあります。そのため、残された自筆稿・資料の解釈の相違から、 初版・ハース版・ノヴァーク版の間で、相違を見せる箇所がいくつかあります。 ホーネックは、ウィーン・フィルのメンバーだった頃からブルックナーの作品とは関りを持っており、ホーネックの深い洞察力と音楽的解釈は、聴くものにブルック ナーという人物に対する深い理解を与えてくれます。 (Ki)

GRAND SLAM
GS-2319(2CD)
限定生産
稀少音源つき限定盤/フルトヴェングラー/シューベルト:交響曲集
(1)交響曲第2番変ロ長調 D.125
(2)交響曲第3番ニ長調 D.200
(3)『ロザムンデ』序曲 D.644
(4)交響曲第8番ロ短調 D.759『未完成』
(5)交響曲第9番ハ長調 D.944『ザ・グレイト』
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)
(1)(2)VPO ※指揮者不明、かつてフルトヴェングラー指揮とされていた音源
(3)-(5)BPO
録音:(1)(2)不明、(3)-(5)1953年9月15日/ベルリン、ティタニア・パラスト

使用音源:(1)(2)日本コロムビア DXM-165(非フルトヴェングラー録音)
(3)-(5)Private archive(2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:モノラル(ラジオ放送用録音)
■制作者より  
この2枚組のメインは1953年9月15日に行われたオール・シューベルト・プログラムです。この中で「未完成」と「ザ・グレイト」は19センチ、2トラックのテー プを使用したGS-2160(2017年)を発売しましたが、今回は「ロザムンデ」序曲を含む全3曲を2トラック、38センチ、オープンリール・テープから復刻し、望 みうる最上の音質を獲得しました。この3曲だけでも十分に魅力的ですが、大きな余白をどう処理するか、そのままにするのか、他のライヴ録音を埋め草とするの かは思案しました。結果、かつて日本コロムビアのLP(DXM 165/1973年)で発売されたシューベルトの交響曲第2番、同第3番を加えることにしました。こ の2曲は今日ではフルトヴェングラーではなく別人の指揮とされており、同列に扱うことに対しては賛否があるかもしれません。しかしながら、DXM 165は今と なっては希少音源ですし、歴史的な事実を回顧するのも悪くはないだろうと判断しました(誰の指揮であるかの謎解きは、いまだなされていないようです)。なお、 第2番の第4楽章冒頭に欠落がありますが、修正は行っていません。また、2枚組1枚価格でのご提供となりますので、限定プレスとなります。(平林直哉)

Pentatone
PTC-5187208(1CD)
モーツァルト:交響曲第29番イ長調 K.201(1774)
クラリネット協奏曲 イ長調 K.622(1791)
交響曲第33番変ロ長調 K.319(1779)
エルンスト・シュラーダー(バセット・クラリネット)
ベルリン古楽アカデミー(ベルンハルト・フォルク:コンサートマスター)

録音:2023年10月22〜25日/テルデックス・スタジオ、ベルリン(ドイツ)
PENTATONEレーベルにおけるベルリン古楽アカデミー(Akamus)のモーツァルトの交響曲録音シリーズの第2弾。ドイツレコード批評家賞にノーミネートさ れた第1弾(PTC-5187059)では「ハフナー」「パリ」「オーボエ協奏曲」などを収録していましたが、今回は、10代から20代前半にかけてザルツブルクで作 曲された交響曲2曲と晩年のクラリネット協奏曲をカップリングした注目の内容です。
1773年から翌年にかけて完成された室内楽的な響きが特徴の交響曲第29番は、近い時期に書かれた交響曲第25番とともに後期の交響曲の完成度を予 見させる充実した重要な作品で、10代のモーツァルトが書いた交響曲の中でも高い人気を誇る曲となっています。また、1779年ザルツブルクで完成され、後に ウィーンで演奏された際にメヌエットが加えられ4楽章形式に変更された第33番は、カルロス・クライバーやムラヴィンスキーら昔日の巨匠たちも好んだ名曲です。
近年、より洗練され、さらに鋭さをましたAkamusは、モーツァルトがイタリア音楽の影響を昇華し明確な個性を見せはじめたこの充実期の2つの交響曲を、鮮 烈すぎるほどの演奏で提示します。第29番では付点のリズムを際立たせ、時に「疾風怒濤」を想起させる激しさが顔を出すという、この曲の持つ新たな側面を教 えてくれます。特に第1楽章最終部のエキサイティングなアッチェランドは聴きものです。第33番では、第38-41番という傑作に匹敵するようなポテンシャルを 曲の内部から引き出すスケールの大きな演奏で聴き手を圧倒します。弦楽器編成は5-5-3-2-1と第1弾の録音より一回り小さな編成を採用し、全体的にかなり 動きがあり、対比の強い解釈となっていますが、その中でも全体の楽器のバランスや統一感の乱れが一切ないところはAkamusの合奏能力のすごさを物語って います。
そしてこのアルバムの白眉となるクラリネット協奏曲では、Akamusが誇る名手エルンスト・シュラーダーが、作曲当時の当時の画像資料からバセット・クラリネッ トの形状から復元された楽器を使用し、バセット・クラリネットのためのオリジナル・エディションを採用して演奏。ヒストリカル・クラリネット演奏の第一人者にして、 学者としても高く評価されているシュラーダーは、特異な形状の楽器を卓越した技術で操り、豊かな低音という特徴を活かした個性的で美しい響きを堪能させてく れます。Akamusの演奏も、ここではバセット・クラリネットに寄り添い支える親密な響きで応えていますが、室内楽的にまとまりすぎず、スケール感を失わない点 はさすがの一言です。楽章ごとに、また場面ごとに楽器の響きの個性を変化させるシュラーダーの妙技には目を見張るものがあります。特に第2楽章の寂寥感を 垣間見せるバセット・クラリネットの音色は自然と涙がこぼれ落ちそうになります。クラリネット協奏曲の録音では、これまでにも使用楽器や楽譜、解釈など、さま ざまな試みがなされてきましたが、ここにまた大変興味深い録音が加わることになりました。未だ謎の多いモーツァルトが想定したバセット・クラリネットという楽 器の協奏曲に一つの解答を与える演奏になることでしょう。
最新の研究を基に、鮮烈な演奏で展開されるAkamusのモーツァルト・シリーズをお聴き逃しなく! (Ki)

LSO Live
LSO-0571(4SACD)
LSO Live25周年記念ボックス〜ドヴォルザーク、スメタナ、ヤナーチェク
(1)ドヴォルザーク:交響曲第6番ニ長調 op.60
(2)ヤナーチェク:シンフォニエッタ
(3)ドヴォルザーク:交響曲第7番ニ短調 op.70
(4)ドヴォルザーク:交響曲第8番ト長調 op.88
(5)ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」
(6)スメタナ:我が祖国
全て、LSO
(1)サー・コリン・デイヴィス(指)[録音:2004年9月]
(2)サー・サイモン・ラトル(指)[録音:2018年9月]
(3)サー・コリン・デイヴィス(指)[録音:2001年3月]
(4)サー・コリン・デイヴィス(指)[録音:1999年10月]
(5)/サー・コリン・デイヴィス(指)[録音:1999年9月]
(6)サー・コリン・デイヴィス(指)[録音:2005年5月]
2024年、LSO Liveは25周年を迎えます。これを記念して、生誕200年記念のスメタナ、そして没後120年のドヴォルザーク、生誕170年のヤナーチェク作品を集めた記念ボックスを発売します!2024年の最新リマスタリングのサウンドでSACDハイブリッド でお楽しみいただけます。 オーケストラの自主レーベルは今や世界の主流となっていますが、その嚆矢となったのがLSO Liveでした。1999年録音の記念すべき第1弾「ドヴォルザーク: 新世界より」が発売されて以降、怒涛のリリースは広く知られるところとなっております。 サー・コリン・デイヴィス(1927-2013)は1995年からLSOの首席指揮者を務め、2006-2013年はプレジデントも務めた、文字通りLSOの象徴的存在 でした。サー・コリン・デイヴィスのLSO Liveからの録音は、グラモー賞やグラモフォン・アワードを含めた世界中の名だたる賞を受賞しております。サー・コリ ン・デイヴィスの指揮によるLSOサウンドは絶妙のブレンド感とバランス感が際立ち、それでいてエネルギーにも満ちた至上の演奏です。ラトルは2017年9月か ら2023年秋まで音楽監督を務め、ブルックナーの交響曲や、ヤナーチェクのオペラ、さらにストラヴィンスキー作品、また、ヴァイオリンのエーベルレをゲストに迎 えたベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲など、記憶に残る名盤をLSO Liveに残しています。ラトルとのLSOはテンションが高く、コリン・デイヴィス時代から磨 かれた弦楽器の音色の美しさに、エネルギーに満ちたリズム感も加わった魅力があります。 (Ki)

Challenge Classics
CC-72959(1CD)
シューマン:交響曲第3番「ライン」
交響曲第4番ニ短調 Op.120
スタヴァンゲルSO
ヤン・ヴィレム・デ・フリエンド(指)

録音:2024年1月29日〜2月1日スタヴァンゲル・コンサートホール(ノルウェー)
2024年4月から京都市SOの首席客演指揮者に就任したことでも話題のヤン・ヴィレム・デ・フリエンドが、スタヴァンゲルSOを振ったシューマン の交響曲全曲録音。第1、2番(CC-72958)に続き、早くも第3、4番がリリースされます!
スタヴァンゲルSOは1938年に設立されたノルウェーの名門オーケストラで、現在はアンドリス・ポーガが首席指揮者を務め、カネラキス、エラス=カサド、 ガフィガンらも客演。また90年以降、ブリュッヘン、ヘレヴェッヘ、ビオンディを順に古楽芸術監督というポジションに迎え、歴史的奏法への造詣を深めてきたオー ケストラでもあります。
デ・フリエンドもブリュッヘンと同じくオランダ古楽界から活動をはじめ、今や指揮者として世界中で活躍する人物。ブリュッヘン仕込みの響きを一面にもつスタ ヴァンゲル響を、共感をもって鳴らしていきます。歴史的奏法を熟知した演奏が創り出す刺激的なシューマン。壮大なオーケストラの響きと透き通るようなポリフォ ニーとのバランスを追求したデ・フリエンドの演奏は、シューマンの複雑な内面をも表現するかの如く、深い解釈が魅力。スタヴァンゲル・コンサートホールの素晴 らしい音響で堪能するデ・フリエンドのシューマンの交響曲をお楽しみください! (Ki)
Challenge Classics
CC-72997(4CD)
シューベルト:交響曲全集
CD1
(1)交響曲第2番ニ長調 D.125
(2)交響曲第4番ハ短調『悲劇的』 D.417
CD2
(3)交響曲第1番ニ長調 D.82
(4)交響曲第3番ニ長調 D.200
(5)交響曲第8番ロ短調 『未完成』 D.759
CD3
(6)交響曲第9番ハ長調 『グレイト』 D.944
CD4
(7)交響曲第5番変ロ長調 D.485
(8)交響曲第6番ハ長調 D.589
ハーグ・レジデンティO、
ヤン・ヴィレム・デ・フリエンド(指)

録音:(1)(2)2017年8月30日〜9月1日、(4)(5)2018年6月5〜8日、(6)2019年11月28〜29日
アトリウム・メッペルヴェーグ 、ハーグ(オランダ)
(3)2016年6月21〜23日ザウダーストラント劇場、ハーグ(オランダ)
(7)(8)2022年1月18〜21日、2022年7月5〜7日アマレ・コンサートホール、ハーグ(オランダ)
2023年12月の読売日本SOとの〈第九〉演奏会が大いに話題となり、2024年4月から京都市SOの首席客演指揮者に就任した、今最も注目される指揮者の一人ヤン・ヴィレム・デ・フリエンド(ヤン=ウィレム・デ・フリーント)。そのデ・フリエンドがハーグ・レジデンティOを振ったシューベルトの交響曲全集が遂にセットでリリースされます!
2015年から2019年まで同団の首席指揮者を務めたデ・フリエンド。録音は2016年6月にはじまり、コロナ禍を経て2022年7月に完成しました。デ・フ
リエンドは1982年に創設したコンバッティメント・コンソート・アムステルダムの音楽監督として国際的な名声を確立。ピリオド奏法をモダン楽器に適用し、18
世紀の作品を中心に膨大なレパートリーを演奏してきました。その時代を経て独自のスタイルを築いたデ・フリエンドは世界各国のオーケストラに招かれております。
両者の良好な関係から生まれたシューベルト録音では、弦楽器群のふくよかで柔らかい音色に迫力ある力強さが加わり、聴き応えのある演奏を展開。旋律を優美に歌わせるデ・フリエンドらしいこの上なく美しいシューベルトを聴かせてくれます。シューベルト交響曲全集の新たな名盤誕生といえましょう。
※当セットはCDフォーマットでのリリースとなります。 (Ki)

H.M.F
HMM-902721(1CD)
ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」(ノヴァーク版/第2稿) パブロ・エラス=カサド(指)
アニマ・エテルナ・ブリュッヘ(ピリオド楽器/コンサートマスター:アンネ・カタリーナ・シュライバー)

録音:2024年1月、コンセルトヘボウ・ブリュッヘ(ベルギー)
harmoniamundiで、大注目のシリーズが始まります。スペインの「注目株」からもはや世界にその実力を認められた存在となったパブロ・エラス=カサド と、ピリオド楽器のオーケストラとして1987年にインマゼールによって創立されたアニマ・エテルナによる、ブルックナーのシリーズです!
アニマ・エテルナの音色は雄大な自然を感じさせる音色。エラス=カサドの指揮により、ブルックナーが音符にこめた無垢ともいえるまでに純粋な感情的な部 分が、惜しげもなく引き出され増幅されています。驚くほどに振幅の大きい感情の揺れ、そしてデュナーミクの豊かさには圧倒されます。レコーディングではリ スクをとりにいくことができると語るエラス=カサドが、アニマ・エテルナとともに新たに描くブルックナー像。注目です!
アニマ・エテルナは1987年、鍵盤奏者・指揮者のヨス・ファン・インマゼールによって設立された、ベルギーに本拠地をおく、ピリオド楽器のオーケスト ラ。1745-1945年そして現在にいたるまでの音楽をとりあげています。2020-21のシーズンからは様々な客演指揮者と演奏するようになり、2022年より、 パブロ・エラス=カサドともブルックナーのシリーズが始動しています。パブロ・エラス=カサドは1977年グラナダ生まれ。harmonimaundiには2012年 より録音を開始、2020年度第58回レコード・アカデミー賞大賞(ベートーヴェン:第九)および銅賞(ファリャ:三角帽子、恋は魔術師)。2023年に「 パルジファル」でバイロイト音楽祭にデビュー、2024年にも同演目で登場します。NHKSOとの共演で来日多数。 (Ki)

Myrios Classics
MYR-035(2CD)
ブルックナー:交響曲第1&2番
交響曲第1番ハ短調(1868年リンツ稿/トーマス・レーダー版、2016年出版)
交響曲第2番ハ短調(1872年第1稿/ウィリアム・キャラガン版、2005年出版)
フランソワ=グザヴィエ・ロト(指)
ケルン・ギュルツェニヒO

録音:2020年10・11月/シュトルベルガー・シュトラッセ・スタジオ(第1番)、ケルン・フィルハーモニー(第2番)
ロト&ギュルツェニヒのブルックナー全集シリーズ第5弾。第1番と第2番が2枚組で一気に登場!ブルックナーが最初に書いたスコアの形にこだわる当シリー ズ、今作も初稿を使っての演奏で、40歳を超えシンフォニストとして歩み始めた晩成作家の野心に満ちた実験性がひしひしと伝わってきます。
第1番「リンツ稿」(1868)は、第8番作曲後に大幅に改定した「ウィーン稿」(1891)と比べると若く荒々しい筆致を持っているのが特徴。ブルックナー 自身が指揮した初演は聴衆に好意的に受け入れられ、シンフォニスト・ブルックナーの道が拓かれた成功作といえるでしょう。暴れ馬的・原初的な力強さを存分 に湛え、かつしなやかに聴かせるロトの演奏がこの曲の醍醐味を余すところなく伝えてくれます。
いっぽう同じハ短調にして美しいメロディも多い第2番。発表は順風満帆ではなく、1872年の初稿は「演奏不能」といわれ改訂を余儀なくされ、初演さ れたのは1873年稿でした。大きな違いはアダージョとスケルツォの楽章順が逆転していることで、1872年稿はベートーヴェン『第九』的な楽章配列となっ ています。透き通った歌いぶりながらも音楽の立体感は失わず、様々な角度から作品に光が射し込むようなみごとな演奏です。 (Ki)

Audite
AU-97832(1CD)
ルツェルン・フェスティヴァル・シリーズ第20弾
(1)ドヴォルザーク:交響曲第8番
(2)ドヴォルザーク:交響詩「野鳩」
(3)スメタナ:歌劇「リブシェ」への前奏曲
チェコPO
ヴァーツラフ・ノイマン(指)

ライヴ録音:(1)1988年3月26日、(2)1984年8月25日、(3)1984年8月26日/クンストハウス(ルツェルン)
定評あるauditeレーベルの1stマスター・リリースのルツェルン・フェスティヴァル・シリーズ第20弾はノイマン率いるチェコ・フィルです!
祖国チェコの作品で高く評価されたヴァーツラフ・ノイマンが、長年首席指揮者を務めたチェコPOを振ったルツェルン音楽祭における 初出音源です!
冷戦時代であっても祖国を忘れずに誇りを持ち続けたノイマン。チェコ・フィル首席指揮者時代には祖国の文化大使として数え切れないほどのコンサート・ツアー に参加しました。
1969年夏、チェコPOは「鉄のカーテン」を越えた最初のオーケストラとしてルツェルン音楽祭に出演。その後、1984年から1990 年にかけて4度出演しています。当アルバムには1984年および1988年の演奏からドヴォルザークの交響曲第8番、交響詩「野鳩」、そしてスメタナの歌劇「リ ブシェ」への前奏曲を収録。豊かなニュアンスで表現されたノイマンの演奏は、祖国への熱い思いと愛情あふれる音楽を聴衆に届けています。
見事な復刻にも注目。同レーベル社主のルトガー・ベッケンホーフ氏が丁寧にリマスタリングしております。また32ページからなるブックレットには同音楽祭出 演時のノイマンの写真も多数掲載しております。 (Ki)

Simax
PSC-1394(1CD)
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番ハ短調 Op.37(スティヤン・オーレスキョル 編)*
ハイドン:交響曲第44番ホ短調「悲しみ(Trauer)」 Hob.I/44(スティヤン・オーレスキョル 編)
クリスチャン・イーレ・ハドラン(P)*
アイヴィン・オードラン(指)
ノルウェー管楽アンサンブル[インゲル・ヨハンネ・ベルグ(Fl)、ローセ・エリン・アウスタ・ネス(Fl)、ダーヴィド・F・ストゥンク(Ob)、クリスティーナ・オールヴァイン(Ob)、エーリク・ヨルダル(Cl)、インゲ・ノストヴォル(Cl)、ローアル・アルネス・オールム(Cl)、トール=エギル・ハンセン(Cl)、クリステル・ベルグビュー(Fg)、リアン・カリー(Fg)、クリスティン・ホーゲンセン(サクソフォーン)、モッテン・ノールハイム(サクソフォーン)、スタイナル・グランモ・ニルセン(ナチュラル・ホルン)、ブリット・クリスティン・ラーシェン(ナチュラル・ホルン)、スティヤン・オーレスキョル(バロック・トランペット)トルゲイル・ホーラ(バロック・トランペット)、トリル・G・ベルグ(サックバット)、ミゲル・T・セビジャーノ(サックバット)、タリヤイ・グリムスビュー(サックバット)、ローゲル・フィエルデ(チンバッソ)、アレックス・ロルトン(Vc)、ローゲル・モルラン(Cb)、グンヒル・P・トンデル(Cemb)、ホーコン・シューベルグ(ティンパニ)]

録音:2021年8月、オストレ・フレドリクスタ教会(オストフォル、ノルウェー)
ノルウェー管楽アンサンブルは、ノルウェー最古のオーケストラのひとつです。1734年までさかのぼり、ノルウェーの文化史でもっとも重要な責務を担ってきま した。現代楽器とピリオド楽器のプレーヤー24人による編成を基本にオスロの南、ハルデンを拠点に毎年120のコンサートで演奏しています。  「私たちは、やっと自由になったか? パンデミックの2年間は、音楽とその複雑さに情熱をかけて取り組んでいる私たち全員にとって、チャレンジだった。ふた たび扉が開いた今、世界観を変える何かをやってみよう。将来、『ビフォー・アフター』と讃えられるかもしれない」。彼らにとって3年ぶりのプロジェクト。ベートー ヴェンがナポレオン戦争を前にした不確定な時代に作曲した「ピアノ協奏曲第3番 ハ短調」と、ハイドンの「シュトゥルム・ウント・ドラング(嵐と衝動)」の典型的 な一作の「交響曲第44番ホ短調」を演奏しています。 ベートーヴェンとハイドンの管弦楽曲を「管楽アンサンブル」用に編曲する仕事は、スティヤン・オーレスキョル が手がけました。彼はノルウェー国立音楽大学で学 び、2004年からノルウェー管楽アンサンブルでトランペットを担当しています。「イングリッシュ・コンサート」など内外のバロック・アンサンブルやノルウェー室内 Oに参加。作曲家、アレンジャーとしても実績を重ねてきました。このアルバムでは、ナチュラル・ホルン、バロック・トランペット、サックバットといったピリ オド楽器の色彩と響きを活かした編曲が新鮮な興を呼びます。 アイヴィン・オードラン(1956?)は、ノルウェーでもっとも信頼されている指揮者のひとりです。ヨルマ・パヌラに学び、ベルゲン・フィルハーモニックのコンサー トマスターを務めた後、マリス・ヤンソンスの勧めで指揮者のキャリアをめざしました。2020年からタスマニアSOの首席指揮者・芸術監督。ノルウェー軍音 楽隊、トロンハイムSO、スタヴァンゲルSOをはじめとするオーケストラと多くのアルバムを作り、ケルンWDR交響楽を指揮したグリーグの管弦楽曲(全 曲)(audite21.439)が特に高い評価を得たアルバムとして知られます。 ノルウェー管楽アンサンブルが「共演を喜び、誇りに思う」というクリスチャン・イーレ・ハドラン(1983?)は、2011年の「BBC ニュージェネレーション・アーティ スト」のひとり。デリカシーと洗練と個性的なタッチを合わせもつ「真のピアノの名匠」と呼ばれる地位を確立しました。ヘンニング・クラッゲルードと共演したシン ディングの作品集や「シューマンとショパン」のソロ曲(PSC 1307)を手始めに、ユーハン・ダーレネ共演の『北欧ラプソディ』(BIS SA-2560)『ステンドグ ラス』(BIS SA-2730)など、高評価の「聴いて楽しい」アルバムを次々とリリースしています。 (Ki)

Polskie Radio
PRCD-2345(2CD)
初紹介旧譜
ダイアモンド・バトン賞 Vol.2
リスト:メフィスト・ワルツ第1番「村の居酒屋での踊り」
チャイコフスキー:交響曲第1番 ト短調「冬の日の幻想」Op.13
ヘンデル:歌劇「ソザルメ、メディアの王」HWV 30*
アグニェシュカ・ドゥチマル(指)、
ワルシャワPO、ポーランド放送アマデウス室内O*

録音:1978年-1980年
ポーランドの公共放送局『ポーランド放送(Polskie Radio/Polish Radio)』の自主レーベル「Polskie Radio」が制作する、女性指揮者として初めてミラノ・スカラ座に登壇したことでも有名なアグニェシュカ・ドゥチマルが2021年にダイアモンド・バトン賞を受賞した記念のアルバム。過去の録音からリストとチャイコフスキーの管弦楽作品はワルシャワPOと、ヘンデルの忘れられたオペラは彼女が1968年に創設した“アマデウス”ことポーランド放送アマデウス室内Oと録音したものが収録されています。
ダイアモンド・バトン賞はポーランド内外でポーランド音楽を有名にし、何百万人ものポーランドのラジオ聴取者にそれを紹介する傑出した芸術作品に与えられるものでペンデルツキやスクロヴァチェフスキなどの指揮者も受賞しています。

Dynamic
CDS-8043(1CD)
NX-B06
マーラー:交響曲第4番ト長調(エルヴィン・シュタインによる室内アンサンブル版) ララ・マレッリ(S)
アンサンブル・キャント・テル・イット
アンドレア・カッペレーリ(指)

録音:2023年12月27-28日
20世紀初頭のウィーンでシェーンベルクによって設立された「私的演奏協会」。ここではマーラーやブルックナー、ヨ ハン・シュトラウスらの作品を室内楽編成に編曲したものを愛好家たちが楽しんでいました。エルヴィン・シュタインは シェーンベルクの弟子で、団体の設立にも尽力、さまざまな編曲版を提供した作曲家です。このマーラーの第4番 は1921年の編曲で、編成は木管楽器、弦楽五重奏、打楽器、ハルモニウム、ピアノという小ぶりなもの。作品の テクスチャーが際立つ透明感溢れる音色に仕上がっています。 演奏する「アンサンブル・キャント・テル・イット」はイタリア、ノヴァーラの「グイード・カンテッリ」音楽院で結成され、アン サンブル名もCantelliへのオマージュを込めたものです。主として作曲コンクール「アルモニエ・デッラ・ナトゥーラ」の作 品の初演や、ノヴァーラ音楽院の作曲科の学生たちたちの作品の演奏に携わっています。 アンドレア・カッペッレーリは、歌劇、古典派から現代音楽まで幅広いレパートリーを持つ指揮者。イタリアを中心に 世界中で演奏活動を行い好評を博しています。

ALPHA
ALPHA-1068(1CD)
ブルックナー:交響曲第9番ニ短調 WAB109 (原典版) チューリヒ・トーンハレO
パーヴォ・ヤルヴィ(指)

録音:2023年9月 トーンハレ、チューリヒ
パーヴォ・ヤルヴィとトーンハレ管によるブルックナー後期三大交響曲のラストを飾るのは、フランクフルト放送響との録音から15年ぶりとなる第 9番。版は今回「原典版」としか表記されていませんが、旧録音で使用したコールス版ではなくノーヴァク版を基調としている模様です。旧録 音と比較するとスケルツォを除いて両端楽章は大幅に速くなっており、第1楽章で約1分40秒、第3楽章に至っては約3分も演奏時間が短 くなっています。旧録でゆったりめであった第1楽章は今回全体が引き締められた印象ですが、緩急を大きめに取って各主題の特性を生かし ており、コーダでは思い切ったためも聴かせています。第2楽章では詳細なスコアリーディングに基づくコントロールで各パートが埋もれることなく 明快に鳴り、オーケストレーションの面白さを鮮明に打ち出してブルックナーの意図した響きを強調。加えてタイトなアクセントで躍動感のある 音楽を生み出しています。音楽的な流れを強く意識した第3楽章はたっぷりとした表情で速いという印象はほとんど無く、コラールが際立った 極めて美しい演奏に仕上がりました。 オーケストラは前作第8番同様ヴァイオリンを両翼に配置し、チェロの後ろとなる左奥にコントラバス、その右隣りにホルン・セクションが並び、そ の後列ワーグナー・チューバ持ち替えの隣、全体の中央奥にバス・チューバ、その右にトロンボーン、一番右にトランペットというもの。低音金 管楽器とティンパニが中央に配され、独特の安定感が得られています。国内仕様盤には舩木篤也氏による日本語解説が付属します。


SWR music
SWR-19155CD(8CD)

NX-G03
プレートル&シュトゥットガルト放送SO名演集
■CD1
ベートーヴェン:「エグモント」序曲
交響曲第3番「英雄」*
■CD2
ブラームス:交響曲第1番*
4つのハンガリー舞曲[第1番ト短調/ 第3番ヘ長調/第4番 嬰へ短調/ 第5番ト短調]

■CD3
ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」(第2稿)
■CD4
ベルリオーズ:幻想交響曲*
ファウストの劫罰〜妖精の踊り/ラコッツィ行進曲
■CD5
ラヴェル:『ダフニスとクロエ』 第2組曲
 ラ・ヴァルス*
ビゼー:交響曲第1番#
■CD6
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」
マーラー:交響詩「葬礼」*
■CD7
レスピーギ:交響詩『ローマの噴水』
 交響詩『ローマの松』
ストラヴィンスキー:バレエ音楽 『火の鳥』(1919年版)*
■CD8
R・シュトラウス:「ばらの騎士」組曲(1945)
交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」*
交響詩「ドン・ファン」#
全て、シュトゥットガルトRSO
ジョルジュ・プレートル(指)


■CD1
録音:1995年10月6日 ブラティスラヴァ、Slowakische Philharmonie、1995年9月28-29日 シュトゥットガルト、リーダーハレ*
■CD2
録音:2000年12月8日*、1997年10月29,31日
録音:1995年9月22-23日
■CD4
録音:1994年3月24.25日*、2001年2月14,16日
■CD5
録音:1997年10月29、31日、1995年12月22日*、1991年6月28日#
■CD6
録音:1996年10月14、28日、1998年6月24、26日*
■CD7
録音:2004年10月21,22日、2000年12月8日*
■CD8
録音:1998年10月2日 ウィーン、ムジークフェライン
1997年10月31日 シュトゥットガルト、リーダーハレ*
1995年9月29日 シュトゥットガルト、リーダーハレ#
全て、ステレオライヴ録音
日本でのプレートルの人気がブレイクしたのは2008年。元旦にウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートに初登場 し、年末にはウィーンSOとのマーラーの第5番が2008年度のレコード・アカデミー賞交響曲部門を受賞し て、ドイツ・オーストリア音楽における巨匠として大きく注目されました。更に2010年にはニューイヤー・コンサートに 再登場(最年長記録)、秋にはウィーン・フィルとの日本公演を指揮して非常に強い印象を残したのでした。 シュトゥットガルトRSOでの任期は1996年から98年と長くはありませんが、その前後を含めて楽団創設 50周年記念コンサートやツアーを指揮し、楽団員からも慕われて退任後は名誉指揮者の称号を贈られ、定期 的に客演を続けました。オーケストラ曲の王道というべきレパートリーを揃えたこのセットは彼のファンにとって大きな 宝物となることでしょう。ブックレットにはドイツ・レコード批評家賞の審査員を務めるクリストフ・ヴラーツ氏によるエピ ソードをまじえた解説が掲載されています(英語とドイツ語)。 レーベルからの情報によれば、CD1、CD4、CD7は初CD化とのこと。 ジョルジュ・プレートル(1924-2017)の生誕100年にあたる2024年8月14日を前に、SWR(南西ドイツ放送)のアーカイヴから貴重なライヴ録音集が登 場。フランス生まれのプレートルはトランペットを学んだ後、デュリュフレに和声を、クリュイタンスらに指揮を学びました。歌劇場でのキャリアが豊かで、パリ・オペ ラ座、スカラ座、コヴェント・ガーデン、メト、ウィーン国立歌劇場などで活躍し、マリア・カラスがキャリアの後期において頼りにした指揮者の一人としても知られ ました。プーランクと親交があり、彼の作品の録音は高い評価を得ました。

Resonus
RES-10340(1CD)
NX-B08
エリナー・アルベルガ(1949-):管弦楽作品集
Tower タワー(2017)*
交響曲第1番「ストラータ」(2022)
Mythologies 神話(2000)
カスタリアンQ*
BBC響
トーマス・ケンプ(指)

録音:2023年9月20-22日
※全て世界初録音
ジャマイカ出身、現在はイギリスを拠点とする作曲家エリナー・アルベルガの管弦楽作品集。彼女は5歳でピアニストになることを決意するとともにこの頃から 作曲もはじめました。地元ジャマイカの音楽学校で基礎を学んだ後、ロンドンの王立音楽アカデミーに留学し研鑽を積み、卒業後はピアニストとして活動し ましたが、2001年から作曲に専念し、数多くの作品を発表しています。2021年の誕生日には、英国音楽界への高い貢献が称えられ、大英帝国勲章 (Order of the British Empire)が授与されるなどますます注目が高まっています。彼女の作品は複雑なハーモニーとダイナミズム、繰り返されるリズム・ パターンが特徴。近年は不協和音の使用も目立つなど作風の変遷も見られますが、とりわけジャマイカの民族音楽の要素やジャズが取り入れられたピアノ 曲などは高く評価されています。このアルバムには、アルベルガの親友でヴァイオリニスト、デイヴィッド・エンジェルの死を悼んで作曲した「タワー」、彼女初の交 響曲で、地球の構造からインスピレーションを得たという「ストラータ」と、神話の登場人物たちを描いた「神話」の3作品を収録。 演奏は、トーマス・ケンプが指揮するBBC響。「タワー」ではカスタリアンSQも参加し、力強く創造性溢れる作品を存分に聴かせます。

GRAND SLAMGS-2317(2CD)
日本語解説付国内盤
税込定価

1枚分価格
限定生産
バイロイトの第九[モノラル&疑似ステレオ]
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」
エリザベート・シュワルツコップ(S)、エリザベート・ヘンゲン(A)、ハンス・ホップ(T)、オットー・エーデルマン(Bs)、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)
バイロイト祝祭O&cho

録音:1951年7月29日フェストシュピールハウス、バイロイト
使用音源:[Disc1]HMV(U.K.) ALP1286/7、[Disc2]EMI(Japan) AXA3044B(4トラック、19センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:[Disc1]モノラル、[Disc2]ステレオ(疑似ステレオ)
■制作者より  
フルトヴェングラー没後70年記念、酔狂企画の第2弾は、不滅の名演であるバイロイトの第9を2種類の復刻で収録しました。Disc 1は英HMVの初出LP、 ALP1286/87からの復刻です。同種のものはGS-2009(2006年)に発売しましたが、今回は未使用と思われる極上の状態の盤を手に入れ、そこから新規 に復刻しました。このALP盤はフルトヴェングラーが亡くなった翌年に発売されたためか、フルトヴェングラーの残り香が感じられるような、独特の音がします。 Disc2は今でも人気のある疑似ステレオ版です。本物のステレオではないとわかっていても、つい引き込まれてしまう魅力があります。こちらは4トラック、19セ ンチのオープンリール・テープより復刻しており、GS-2084(2012年/廃盤)の原盤と同一です。2枚組1枚価格での提供ですので、初回限定プレスになります。 ご予約をお勧めします。  なお、Disc1は極上の状態のLPとはいえ、プチパチ・ノイズはゼロではありません。また、Disc 2は疑似ステレオ化に際して混入したと思われる機械音のよ うなノイズが含まれます。ご了承下さい。(平林直哉)

DOREMI
DHR-8245(2CD)
クラウス・テンシュテット LIVE 第3集
(1)ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調 『英雄』 Op.55
(2)ブルックナー:交響曲第8番ハ短調 WAB108
クラウス・テンシュテット(指)

(1)ボストンSO
 録音:1977年7月30日タングルウッド
(2)NYO
 録音:1992年4月14日ニューヨーク
テンシュテットのお宝ライヴ音源集、第3弾。マニアにはたまらない、92年ニューヨーク・フィルとのブルックナーの8番を収録!
DOREMI
DHR-8247(2CD)
クラウス・テンシュテット LIVE 第4集

(1)ベートーヴェン:交響曲第5番ハ短調 Op.67
(2)ベートーヴェン:交響曲第4番変ロ長調 Op.60
(3)R.シュトラウス:交響詩『ドン・キホーテ』 Op.35
(4)ブラッハー:パガニーニの主題による変奏曲 Op.26
(5)ブラッハー:協奏的音楽 Op.10
クラウス・テンシュテット(指)

(1)NYO
 録音:1985年1月17日ニューヨーク、エイヴリー・フィッシャー・ホール
(2)NYO
 録音:1980年5月29日ニューヨーク、エイヴリー・フィッシャー・ホール
(3)ローン・マンロー(Vc)、ポール・ニューバウアー(Va)、NYO
 録音:1985年1月17日ニューヨーク、エイヴリー・フィッシャー・ホール
(4)録音:1985年4月11日ニューヨーク、エイヴリー・フィッシャー・ホール
(5)シカゴSO
 録音:1976年12月9日シカゴ
ンシュテットのお宝ライヴ音源集、第4弾。R.シュトラウスやブラッハーの緻密で壮麗な管弦楽法による作品を巧みにドライヴ!

オクタヴィア
OVCL-00850(1SACD)
日本語解説付国内盤
税込定価
シューベルト:交響曲第7番「未完成」
交響曲第8番「ザ・グレイト」
劇音楽「キプロスの女王ロザムンデ」〜間奏曲第3番
久石譲(指)
フューチャー・オーケストラ・クラシックス

録音:2023年7月5日東京オペラシティコンサートホール、7月6日長野市芸術館メインホール・ライヴ
久石譲とFOCによるベートーヴェンとブラームスの交響曲全集 は、リズムが際立つタイトで生き生きとした音楽がインパクト と反響を呼びました。 当盤では切れ味の鋭いリズム、明瞭なハーモニーは推進力にあ ふれ、シューベルトの美しい旋律が流麗に歌い上げられます。 日本の若手トッププレーヤーが集結したFOCによる、未来へ向 かう音楽を、どうぞお楽しみください。(オクタヴィア)
オクタヴィア
OVCL-00848(1SACD)
日本語解説付国内盤
税込定価
ブルックナー:交響曲第1番ハ短調
(1877年リンツ稿、ノーヴァク版)
ジョナサン・ノット(指)
東京SO

録音:2023年10月21日東京オペラシティ・コンサートホール・ライヴ
さらなる深化をみせる音楽監督ジョナサン・ノットと東京交響 楽団、両者が魅せる幾度もの奇跡的名演、それは聴く者を圧倒 し続けています。2014年音楽監督就任当初から果敢に取り組 み築き上げてきたブルックナー、今回新たに待望の交響曲第1 番がラインナップに加わります。「若い頃、第7番に魅了され、 続いて3番、さらに2番、そして1番、経験するとそれ以前に私 が認識していたブルックナー像と違う姿が見えてきた」と語る ジョナサン・ノット。徹底した洞察力と創造力、互いを熟知し ている名コンビだからこそ探求し見えてきたブルックナーの新 たなヴィジョン。ライヴならではの白熱の名演奏をどうぞお楽 しみください。(オクタヴィア)
オクタヴィア
OVCL-00853(1SACD)
日本語解説付国内盤
税込定価
ショスタコーヴィチ:祝典序曲イ長調作品96
交響曲第5番ニ短調作品47
太田弦(指)九州SO

録音:2024年4月11-12日アクロス福岡シンフォニーホール・ライヴ
2024年4月にアクロス福岡シンフォニーホールにて 行われた、太田弦の首席指揮者就任を記念した九州 SOの定期演奏会。 若手指揮者の中でも屈指の実力を誇る太田の緻密な タクトが、九響の豊かなアンサンブルと音楽性を引 き出し、祝典序曲の華やかなファンファーレから重 厚な交響曲5番まで会場は湧きあがるような興奮に 包まれました。 新たな幕開けが伝える熱気と歓呼のボルテージをぜ ひお聴きください。(オクタヴィア)
オクタヴィア
OVCL-00849(1SACD)
日本語解説付国内盤
税込定価
ハイドン交響曲集Vol.24
交響曲第82番ハ長調Hob.T:82「熊」
交響曲第86番ニ長調Hob.T:86
交響曲第87番イ長調Hob.T:87
飯森範親(指)
日本センチュリーSO

録音:2022年3月31日大阪・ザ・シンフォニーホール・ライヴ
日本センチュリーSOが首席指揮者の飯森範親と共にスター トした「ハイドンマラソン」は、フランツ・ハイドン のすべての交響曲を演奏しようという一大プロジェクト。当盤は 第26回コンサートのライヴ収録です。 幾度の公演を重ね、信頼関係を築いてきた飯森と日本センチュ リー響は、精緻な構築と、細部までこだわりぬいた感性で、気品 あふれるハイドンを奏でています。柔和で晴々とした優美な演奏 は、まさに彼らの真骨頂といえるでしょう。(オクタヴィア)

Orchid Classics
ORC-100322(1CD)
NX-B06
クリス・バワーズ(1989-):若き日の自分へ
シェーンベルク:室内交響曲第1番(管弦楽版[1935])
チャールズ・ヤン(Vn)
アメリカン・ユース・シンフォニー
カルロス・イスカライ(指)

録音:2022年4月14日、2024年1月20日
2011年にセロニアス・モンク国際ジャズ・ピアノ賞を受賞し、アカデミー賞の短編ドキュメンタリー部門を受賞したピア ニスト・作曲家クリス・バワーズの「For A Younger Self=若き日の自分へ」。コロナ禍のパンデミックの中で書き 上げられたこの作品は、映画音楽作曲家として名を上げた彼の初の管弦楽作品であり、若者が自身の問題を克 服し、成長していくという物語をヴァイオリン協奏曲の形式で描こうとしています。ヴァイオリン独奏は、グラミー賞受 賞バイオリニストのチャールズ・ヤンが担当。併録のシェーンベルクは編成を拡大した、いわゆる「フル・オーケストラ」 版と呼ばれるもの。両曲ともカルロス・イスカライが指揮するアメリカン・ユース・シンフォニーが見事にバックを務めてい ます。

東武レコーディングズ
TBRCD-0156(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価

ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」(第1稿1874 年版) 朝比奈千足(指)東京都SO

録音:1982年10月12日五反田簡易保険ホール・ライヴ(第1稿・日本初演ライヴ)
2024 年のブルックナー・イヤーに送る待望の初CD 化。 今やかなりの知名度を獲得し支持者も獲得するに至ったブルックナー:「ロマンティック」 の第1稿。その日本初演ライヴ(1982 年10 月12 日)が極上音質で甦ります。演奏は朝 比奈千足(指揮)東京都交響楽団。インバルの録音が同年の9月ですから、朝比奈千 足の先見性には今更ながら脱帽です。虚心坦懐、一心不乱に突進する名演奏で。千 足氏も「特別な意識は全くなく、ひたすら新しい音楽の世界に没頭することができた」と 振返ります。 当時LPでのみ発売されたものの、マスターが存在しないとされ捜索すること五年余り。 ついにデジタルマスターを発見しCDとしては初発売となります。

BIS
BISSA-2510
(1SACD)
リスト:ファウスト交響曲 S108(3人の人物描写による)(1854年版)
村の居酒屋での踊り(メフィスト・ワルツ第1番) S110/2〜レーナウの「ファウスト」による2つのエピソードより第2曲(1859-62)
リエージュ王立PO
ゲルゲイ・マダラシュ(指)

録音:2023年8月29日〜9月1日/サル・フィルハーモニック(リエージュ)
ゲルゲイ・マダラシュ率いるリエージュ王立POがリストのファウスト交響曲とメフィスト・ワルツ第1番を録音し ました。ブタペスト生まれのマダラシュはリストアカデミーのフルート学科、ウィーン国立音楽大学の指揮科を卒業。これまでにサヴァリアSO首席指揮者、ディ ジョン・ブルゴーニュO音楽監督を歴任し、2019/2020シーズンよりリエージュ王立POの音楽監督に就任、2025年までの契約 が決まっております。
ファウスト交響曲はゲーテの『ファウスト』の3人の登場人物の性格描写を3つの楽章で表現した名作でベルリオーズに献呈しています。のちに合唱部分を追加 していますが、当演奏では作曲当初の「ファウスト」「グレートヒェン」「メフィストフェレス」の管弦楽曲を収録しております。カップリングはメフィスト・ワルツ第1 番です。同作はピアノ独奏曲に編曲され広く知られますが、リストの管弦楽曲らしいカラフルな音色が楽しめます。 (Ki)

DOREMI
DHR-824(2CD)
クラウス・テンシュテット LIVE 第2集

(1)ベートーヴェン:交響曲第5番『運命』
(2)シューマン:交響曲第3番『ライン』
(3)ハイドン:協奏交響曲 変ロ長調 Op.84, Hob.I/105
(4)ハイドン:ェロ協奏曲 ハ長調 Hob.VIIb/1
(4)ハイドン:交響曲第64番イ長調 『時の移ろい』 Hob.I/64
クラウス・テンシュテット(指)

(1)シカゴSO
 録音:1976年12月9日/シカゴ
(2)ニューヨーク・フィルハーモニック
 録音:1985年4月11日/ニューヨーク
(3)ジョゼフ・シルヴァースタイン(Vn)
 ジュール・エスキン(Vc)
 ラルフ・ゴンバーク(Ob)
 シャーマン・ウォルト(Fg)
 ボストンSO
 録音:1979年7月20日/タングルウッド
(4)ジュール・エスキン(Vc)
 ボストンSO
 録音:1980年7月26日/タングルウッド
(4)ボストンSO
テンシュテットの知られざるアメリカ・ライヴ音源集。第2弾は『運命』『ライン』と白熱まちがいなしの曲目にやられます。またハイドンの64番はテンシュテット お気に入りの得意曲で、よくとりあげた作品。 (Ki)


Treasures
TRE-321(1CDR)
ラインスドルフ&ボストン響〜厳選名演集Vol.6〜ドヴォルザーク他
リムスキー=コルサコフ:組曲「金鶏」*
ドヴォルザーク:交響曲第6番ニ長調 Op. 60
 スラブ舞曲Op.72−2/Op.72-8
エーリヒ・ラインスドルフ(指)
ボストンSO

録音:1965年4月23-24*、1967年(全てステレオ)
※音源:日ビクター SHP-2376*、SRA-2527、
◎収録時間:77:30
“ラインスドルフこだわりの「ドボ6」の比類なき昇華力!”
■音源について
2枚の日本の初期盤を音源として使用。ラインスドルフは、ドヴォルザークの交響曲第6番を1946年にも録音。チェコの指揮者以外でこの曲を2回以上セッション録音した人は珍しく、思い入れが強さが窺えます。

★ドヴォルザークは、チェコの民族色を全面に出すことはないと想像はできても、ここまで共感の丈を伸びやかに健康的に発散するとは予想外。
 交響曲の第1楽章のテーマをゆったりと郷愁を噛み締めながら開始したかと思うと直ぐにギアをアップ。その後はイン・テンポを基調に進行するのはいつものラインスドルフですが、要所要所での柔軟なルバートはまさに共感のなせる技であり、提示部の最後の静謐における精緻なハーモニー表出も流石の職人芸。楽章最後の2分間の追い込みは、ライヴ録音かと思うくらいの熱さで、明らかにベートーヴェンに対峙する時とは別のセンサーをフル稼働し、しかも造形美には寸分の緩みもないという見事さ!
 第2楽章は、弦の主題のい美しさにまず息を呑みます。当時のボストン響の音程の正確さは周知のとおりですが、それと相まった繊細を極めたフレージングは比類なし。それに対するホルンやフルートの優しい呼応にもホロリとさせられます。9:58からのチェロのユニゾンの気品溢れる邂逅からコーダに至るまでの目の詰んだニュアンスは、この作品の魅力を知り尽くした指揮者でなけれえば成し得ないでしょう。
 第3楽章は一点の曇りもない清々しい推進を見せながら、断固とした意志力も同時に炸裂。中間部でも安穏とした雰囲気に甘んじることはありません。
 終楽章はシンフォニックな響きの凝縮力が尋常ではありません。非ローカルなアプローチの永遠の基準ともいうべき盤石の構築力と共に、音楽の持つ潜在的な魅力を余すことなく抉り出したという点で、これに優る演奏を他に知りません。
 スラブ舞曲は特にノスタルジックな作風の2曲が選ばれていますが、これらもその魅力に寄り掛からずラインスドルフの美学との調和の上に育まれたニュアンスが導き出されるので、独特の存在感と味わいが醸成されます。Op.72-2の中間部が、これほど入念に立体感を持って楽想が立ち上ったことがあったでしょうか? 
 このドヴォルザークは、演奏者の共感の丈ををいかに芸術的に昇華させるべきかを教えてくれるという意味でもかけがえのないものです。【2024年6月・湧々堂】

DOREMI
DHR-8241(2CD)
クラウス・テンシュテット LIVE 第1集

(1)ベートーヴェン:ヴァイオリン、チェロとピアノのための三重協奏曲 ハ長調 Op.56

(2)ベートーヴェン:交響曲第7番

(3)マーラー:交響曲第1番『巨人』

(4)ハイドン:交響曲第45番『告別』
クラウス・テンシュテット(指)

(1)ジョゼフ・シルヴァースタイン(Vn)、ジュール・エスキン(Vc)、ピーター・ゼルキン(P)
 ボストンSO
 録音:1977年7月30日タングルウッド
(2)ボストンSO
 録音:1977年7月29日タングルウッド
(3)北ドイツRSO
 録音:1977年11月14日
(4)ボストンSO
 録音:1979年7月20日タングルウッド
貴重なライヴ音源をリリースしているDOREMIからテンシュテットのシリーズが始まりました。北ドイツとの『巨人』ライヴは知る人ぞ知る白熱の演奏。タングル ウッド音楽祭でのボストン響との録音もピーター・ゼルキンらと共演した三重協奏曲など濃密な内容です。

Pentatone
PTC-5187216(2CD)
ドヴォルザーク:交響曲&序曲集
交響曲第7番ニ短調 Op.70
交響曲第8番ト長調 Op.88
交響曲第9番『新世界より』
序曲『自然と人生と愛』
 「自然の中で」
 「謝肉祭」/「オセロ」
チェコPO
セミヨン・ビシュコフ(指)

録音:2023年9月27日〜10月13日/ルドルフィヌム、ドヴォルザーク・ホール(プラハ)
2018年10月よりチェコPOの首席指揮者・音楽監督を務めるセミヨン・ビシュコフ。2023年秋の来日ツアーではドヴォルザー クを演奏し、大いに盛り上がりました。その来日ツアー直前、2023年9月末から10月はじめに本拠地ドヴォルザーク・ホールで録音したドヴォルザークの 交響曲第7・8・9番、そして序曲『自然と人生と愛』が2枚組セットでリリースされます!
ドヴォルザークの最後の3つの交響曲は作曲家として最も充実した絶頂期の傑作。3篇それぞれが驚くほど幅広い様式で作曲され、随所にこの上なく美しい 旋律があらわれます。
序曲『自然と生命と愛』は作曲当初「自然の中で」「謝肉祭」「オセロ」の3部作として構想。初演は3曲をまとめて1892年4月28日プラハの芸術 の家にてドヴォルザーク自身の(指)国民劇場Oによって演奏され、最終的に3曲別々に出版されております。この序曲集もドヴォルザークの豊かな音 世界を堪能することができます。「チェコ音楽年2024」を記念する大注目の新譜です! (Ki)

BIS
BISSA-2696(11SACD)
マーラー:交響曲全集


■Disc1(56'45)
交響曲第1番ニ長調『巨人』
■Disc2(84'38)
交響曲第2番ハ短調『復活』

■Disc3&4(1h43'19)
交響曲第3番ニ短調

■Disc5(59'25)
交響曲第4番ト長調

■Disc6(75'30)
交響曲第5番嬰ハ短調

■Disc7(86'48)
交響曲第6番イ短調

■Disc8(77'30)
交響曲第7番ホ短調

■Disc9(83'13)
交響曲第8番変ホ長調『千人の交響曲』

■Disc10(81'32)
交響曲第9番ニ長調

■Disc11(78'20)
交響曲第10番嬰ヘ長調(クック版第3稿(第2版)(1989))
ミネソタO&cho
オスモ・ヴァンスカ(指)

交響曲第2番
ルビー・ヒューズ(S)、サーシャ・クック(Ms)、ミネソタO

交響曲第3番
ジェニファー・ジョンストン(Ms)、ミネソタcho、ミネソタ少年cho

交響曲第4番ト長調
キャロリン・サンプソン(S)

交響曲第8番
キャロリン・サンプソン(ソプラノI / いと罪深き女)、ジャクリン・ワーグナー(ソプラノII / 贖罪の女)、キャロリン・サンプソン(ソプラノIII / 栄光の聖母)、サーシャ・クック(アルトI / サマリアの女)、ジェス・ダンディ(アルトII / エジプトのマリア)、バリー・バンクス(テノール / マリア崇拝の博士)、ユリアン・オルリスハウゼン(バリトン / 法悦の教父)、クリスティアン・イムラー(バス / 瞑想の教父)、ミネソタcho(音楽監督:キャシー・サルツマン・ロメイ)、ナショナル・ルーテルcho、ミネソタ少年cho
アンジェリカ・カンタンティ・ユースcho

録音:2018年3月(第1番)、2017年6月(第2番)、2022年11月(第3番)、2018年6月(第4番)、2016年6月(第5番)、2016年11月(第6番)、2018年11月(第7番)、2022年6月(第8番)、2022年3月(第9番)、2019年6月(第10番)/オーケストラ・ホール(ミネアポリス)
オスモ・ヴァンスカ(指)ミネソタOのマーラー交響曲全集がセットで登場!! ★2003年にミネソタOの音楽監督に就任したヴァンスカは、ベートーヴェンの交響曲全曲録音(BIS SA-1825)などで評価を高めました。しかし、当団 は経営悪化に伴う労使対立が激しさを増し、2012年10月に経営側はロックアウトを決行。同年2012/13年のシーズンは全てキャンセルとなり当団の存続そ のものも危ぶまれる状況となりました。
その後、ヴァンスカは労使の合意が成立した2014年1月に首席指揮者に復帰。以後、団結力の増したミネソタOの演奏は一層密度の濃いものとなって おり、マーラーの交響曲全曲演奏・録音は当団の威信にかけた大企画となりました。2016年6月より2022年11月まで、コロナ禍を経て遂に完結した当全曲 録音。数々の賞を受賞し、批評家や聴衆から称賛された当録音はマーラーの交響曲全集の新たな名盤誕生といえましょう。 (Ki)

GRAND SLAM
GS-2316(1CD)
ウラニアのエロイカ2024新復刻(ボーナス・トラック付)
(1)交響曲第3番「英雄」

ボーナス・トラック
(2)第1楽章 アレグロ・コン・ブリオ
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)
VPO

録音:1944年12月19日/ウィーン、ムジークフェラインザール
録音方式:モノラル(ラジオ放送用録音)
【使用音源】(1)URANIA(U.S.A.) URLP7095(E3KP 4554-1A / E3KP4555-1B)
(2)URANIA(U.S.A.) URLP7095(ULP7095A)
■制作者より  
1953年に米ウラニア社から発売されたフルトヴェングラー指揮ウィーン・フィルのベートーヴェンの「英雄」(URLP 7095)は、今なお伝説として生き続けて います。当シリーズでは2004年にGS-2005としてLP復刻を発売、同様のものは複数存在します。しかし、今回はもう一歩踏み込んで、再度ウラニア盤のLP 復刻を行いました(新規の復刻で、GS-2005の原盤の流用ではありません)。調査した結果、ウラニア盤にはE3KPとULPの規格によるマトリクスを持つものが 存在するようです。E3KPの番号違い同士では大きな音質差はありませんが、E3KPとULPとは音質の差が非常に大きいことがわかりました。従いまして、この LP復刻では全曲をE3KPのマトリクスから採り、ボーナス・トラックとしてULPのマトリクスによる第1楽章を付け、音質差を検証出来るようにしました。また、マ トリクスだけではなく、ジャケットやレーベル面にも違いが多々あり、それらも容易に判断出来るよう、解説書には写真を掲載しています。  
なお、復刻には5枚のウラニア盤を用意し、最も状態の良い面を選んでマスタリングしましたが、LP特有のノイズが混入することは避けられませんでした。その 点は、ご了承下さい。また、ピッチは修正しています。(平林 直哉)

Goodies
78CDR-3946(1CDR)
シューマン:交響曲第4番ニ短調作品120 ハンス・プフィツナー(指)
ベルリン国立歌劇場O

日POLYDOR40141/4A (独 POLYDOR66410/3と同一録音)
1926年ベルリン録音
ハンス・プフィッツナーはドイツ後期ロマン派の作曲家。ドイツ人 の両親のもとにロシアで生まれ、幼少時にドイツに移住し指揮者としての地位 を固めた後、徐々に作曲活動を活発化させていった。レコード録音は機械式録 音(1925年以前)の後期から電気録音の初期の時代にベルリン国立歌劇場管弦楽 団を指揮したものがドイツPOLYDORに残されているが、その後は作曲活動に専念 したためか録音はほとんど無い。この録音は米ブランズウィック社が開発した 「ライト・レイ」方式の電気録音。プフィッツナーは機械式録音時代の1923年 にベルリン・フィルを指揮してこの曲を録音していた(独POLYDOR 69625/7)。 この音楽家のお気に入り作品。 復刻には「音のエジソン」 http://www.otono-edison.com/ SPレコード専用 MC型カートリッジの[スピリッツSP78rpm](3mil 針)とコルグの[DS-DAC-10R] DSD録音機を使用した。(グッディーズ)

Urania Records
LDV-14116(1CD)
マーラー:交響曲第9番ニ長調 ヴラディーミル・デルマン(指)、
ミラノRAI響

録音(ライヴ):1993年
ソビエト連邦出身で、イタリアに帰化した指揮者、ヴラディーミル・デルマンが晩年に残したマーラーの交響曲第9番(ライヴ録音)が、イタリアのインディペンデント・レーベル「ウラニア・レコーズ(Urania Records)」から登場。
デルマンはイタリアに帰化後、国内外の主要なオペラ劇場(ミラノ、ナポリ、ローマ、パレルモ)や主要なSOの指揮者として活躍。1985年から1987年まで、パルマで開催された「アルトゥーロ・トスカニーニ国際指揮者コンクール」の審査委員長を務め、同時に、コンクールに組み込まれたオーケストラ指揮者のための上級トレーニング・コースのディレクターも務めました。また、1993年にミラノSOを設立したことでも知られています。
本アルバムでは、1994年にこの世を去ったデルマンが、亡くなる1年前に残したマーラーの最高傑作ともみなされる交響曲第9番を収録。この第9番は、マーラー自身により完成させられた最後の交響曲で、全編を通して「死」や「別れ」といったネガティヴなテーマで描かれていますが、一転して夢見るような美しさへと変貌する箇所が散りばめられており、こうした表現の起伏もマーラーの作品の特徴のひとつと言えるでしょう。デルマンが死の間際に残した熱きタクトで、マーラーの世界を見事に描いています。
Urania Records
WS-121419(2CD)
レトロスペクティヴ
(1)シューベルト:交響曲第9番「ザ・グレイト」
(2)R.シュトラウス:交響詩 「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」
 「サロメ」 より7つのヴェールの踊り
(3)ムソルグスキー:展覧会の絵
(4)ブラームス:交響曲第3番ヘ長調 Op.90
トーマス・シッパーズ(指)
(1)シンシナティSO
(2)シンシナティSO
(3)NYO
(4)トリノ・イタリアRSO

録音:1965年-1967年
1977年に47歳という若さで早世したアメリカ人指揮者、トーマス・シッパーズ。シッパーズは、1970年からシンシナティSOの常任指揮者を務め、国際的な名声を築き上げましたが、ディスコグラフィーは、RCAやEMIで録音されたオペラ全集の重要な録音を除くと、あまり残っていません。この2枚組のアルバムには、ムソルグスキーの「展覧会の絵」、シューベルトの「ザ・グレイト」、シュトラウスの交響詩など、重要な録音にスポットを当てており、また、ブラームスの第3番に関しては、シッパーズによって録音された記録はありませんでしたが、RAIの貴重な資料として発見されました。


TreasuresTRT-023(1CDR)
モーツァルト:歌劇「魔笛」序曲
ワーグナー:歌劇「タンホイザー」序曲
チャイコフスキー:スラブ行進曲*
 交響曲第5番ホ短調Op.64#
ジョン・バルビローリ(指)ハレO

録音:1959年3月30日&4月2,5-9日
1959年3月31日*
1959年3月30日-31日#マンチェスター・フリー・トラッド・ホール(全てステレオ)
※音源:Pye GSGC-2038、日TEICHIKU_UDL-3082-Y*,#
◎収録時間:73:42
敵なし!バルビローリならではの怒涛のロマン!!”
■音源について
チャイコフスキーの交響曲は、いわゆる初期の黒金ラベル盤を採用するのが普通の選択だと思いますが、新品同様盤を何枚聴いても音が抜けきらなず、背景のゴロツキも特に第1楽章冒頭で目立つものばかり。そんな中、最も軽視していた日本のテイチク盤を聴いたら、音の太さといい素直な鳴りっぷりといい、大いに納得の行くものでしたので迷わずこれを採用しました。正規CDではとかくオケの技術的な不備が際立って聞こえますが、それ以上に音楽的に不可欠な要素が充満していることも気づかされました。ジャケ写は、英国のモノラルLPをベースにしています。

★NYO盤は、ここぞという箇所以外はテンポの揺れを抑え、逞しい精神が漲る名演でしたが、基本ラインはこちらも同じ。随所に弦のポルタメントを挟むなど、ややロマン的なニュアンスに傾斜していますが、テンポ自体は一層正当的なものになり、過度に感傷的なニュアンスに陥らない配慮も変わりません。第1楽章で、特に展開部に照準を合わせて、テンポ加速とともに激情を過熱させるのもNYOと同じ。全楽章を通じで一貫したコンセプトを感じ、共感の熱さも並々ならぬものを感じます。
 第1楽章第2主題でのテンポを落とさなず一気呵成を貫くのは、聴き手の期待から少しズレたアプローチをするバルビローリらしさですが、副次主題(5:32〜)では、バルビローリならやってくれるだろうという期待以上のむせ返るようなポルタメントの大放出!ただそれが、お上品なのレガートに流れない点にご注目。その直後の猛烈な突進力にも唖然としますが、その勢いを温存したまま弾丸モードで進行する展開部以降は手に汗握ること必至。コーダにおける決死の熱さは、逆に寸分の隙もない高性能なオケだったらなら醸し出されなかったかもしれません。
 第2楽章は、素朴な愛の告白の連続。表面的な美などどこにも存在しません。中間のクラリネット・ソロの後に現れるチェロのフレージング(5:26〜)は絶妙な強弱を交えてリアルに感情を吐露するねど前代未聞。そして、8:47以降のヴァイオリン群の弦が切れんばかりの夢中な歌いっぷり!一流オケによる数々の名盤を思い返しても、これほど音楽の本質を抉ったアプローチはなかったと思います。まさに体裁など二の次のバルビローリ節の真骨頂と言えます。
3楽章は、バルビローリ独自の色彩力が開花。コーダのティンパニを軸とした強烈なパンチ力はこの復刻を通じて初めて認識。
 CDではとかくこのティンパニの音は細身で硬質に感じられましたが、本来はこのように男性的な逞しさを湛えたものだったのです。それをさらに痛感するのが終楽章。テンポこそ中庸ですが、ニュアンスは常に勇猛果敢を貫き通しますが、全休止直前は世界の終わりの如き絶叫!それだけならまだしも、多くの演奏が小さくしぼんでしまう全休止後においても、音の張りと輝きを後退させない凄さたるや他に比類なき成果で、それを実現させているのも愚直な愛だけというところに、本物の芸、本当の美を感じずにはいられません。【2024年6月)・湧々堂】
 →さらなる詳細コメントはこちら


Spectrum Sound
CDSMBA-158(1CD)
マーラー:交響曲第10番(クック版) フランス国立放送O、
ジャン・マルティノン(指)

ライヴ録音:1970年5月27日/シャンゼリゼ劇場、パリ【ステレオ】
驚きの初出音源のディスク化を進めているスペクトラム・サウンド。当アルバムはフランス国立視聴覚研究所(INA)保有音源からの復刻で、ジャン・マルティノ ン指揮フランス国立放送Oの演奏でマーラーの交響曲第10番を収録!1970年5月27日、シャンゼリゼ劇場におけるライヴ収録、ステレオ音源です。
フランス指揮界における重鎮として活躍し、サン=サーンス、ドビュッシーなどフランス作品で評価の高いマルティノンですが、マーラーでも非常に見通しがよく、 堂々たる演奏を披露しております。
なお、マルティノンは1967年にマーラー国際交流協会(the International Association Gustav Mahler)よりメダルを授与されております。 マルティノンの豊かな音楽性は交響曲第10番の演奏でも光り輝いております。非常に貴重な復刻にご期待ください!ライヴ録音のため演奏後に拍手が入ります。 (Ki)

※このレーベルは、初発売後早期に廃盤となる可能性が高いです。お早めにご注文されることをおすすめいたします。
Spectrum Sound
CDSMBA-157(1CD)
カサドシュ&マルティノン
(1)ビゼー:「祖国」序曲 Op.19
(2)サン・サーンス:交響曲第3番ハ短調 Op.78 「オルガン付き」
(3)モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番イ長調 K.488
(2)ベルナール・ガヴォティ(Org)
(3)ロベール・カサドシュ(P)
(1)(2)フランス国立O、
(3)フランス国立放送O
ジャン・マルティノン(指揮 )

ライヴ録音:(1)(2)1975年1月8日、(3)1969年6月18日/シャンゼリゼ劇場、パリ【ステレオ】
驚きの初出音源のディスク化を進めているスペクトラム・サウンド。当アルバムはフランス国立視聴覚研究所(INA)保有音源からの復刻で、ジャン・マルティノ ン晩年の名演をお届け。大注目は「オルガン付き」!マルティノンは晩年、1970年9月(オルガン:マリー=クレール・アラン)と1975年1月(オルガン:ベルナー ル・ガヴォティ)に商業録音を残していますが、75年の同月1月8日、シャンゼリゼ劇場で演奏されたライヴがINAに残っていました!!あの名盤同様、ボルテー ジが高いにも関わらず決して演奏が破綻しないのがマルティノン。各パートの輪郭もはっきりしながら、音楽の見通しがよい当演奏は、マルティノン最晩年の「もう 一つの名演」といえます。
カップリングは1969年6月18日、ロベール・カサドシュをソリストに迎えたモーツァルトのピアノ協奏曲第23番です。マルティノンとの相性も非常によく、カ サドシュのクリアなタッチが生きた驚くほど美しい演奏です。すべてステレオで収録されていることも非常に喜ばしいです。ライヴ録音のため演奏後に拍手が入り ます。 (Ki)
※このレーベルは、初発売後早期に廃盤となる可能性が高いです。お早めにご注文されることをおすすめいたします。

Capriccio
C-8096(2CD)
NX-B10

NYCX-10477(2CD)
日本語解説付国内盤
税込定価

ブルックナー:交響曲第9番、他

【CD1】
交響曲第9番ニ短調 WAB109(ノーヴァク校訂 BSW9)
【CD2】
交響曲へ短調 WAB99(ノーヴァク校訂 BSW10)
リンツ・ブルックナーO
マルクス・ポシュナー(指)

録音:2021年11月9日&10日(CD1)、2022年2月23日&27日(CD2)
リンツ、ムジークテアター・リハーサルホール
CAPRICCIOレーベルと国際ブルックナー協会の主導でブルックナーの交響曲全11曲全18バージョン(稿)を録音するプロジェクト、#bruckner2024が遂 に完結。同一指揮者による全稿録音は史上初の快挙ですが、最新の知見を援用した解釈と、ブルックナーの細かい指示を丹念に踏まえたポシュナーの指 揮によって新たなブルックナー像を提示することに成功。「私たちが習慣にしてきた聴き方と伝統と見なしてきたものを問い直す企画」として ICMA(International Classical Music Award)2024の特別賞を受賞しました。 最終巻にはブルックナーの交響曲創造の出発点となった交響曲ヘ短調(別名「習作交響曲」、通称「第00番」とも)と未完の遺作となった第9番を収録。ど ちらも異稿は無く、使用楽譜はノーヴァク版ですが、このプロジェクトに一貫する「スコアの読み直し」によって新鮮なサウンドと解釈が聞かれます。 ヘ短調の交響曲はブルックナーが作曲の師キツラーに提出した最終課題の一つ。ブルックナー自身はこれを出版することを考えていた形跡があり、自信作で あったことがうかがわれます。ポシュナーはリピートを省いているので全曲の演奏時間は34分弱。インバル盤(Teldec、現Warner)の46分余りに比べてだい ぶ短くなっていますが、シューマンやメンデルスゾーンに連なるドイツ・ロマン派の風合いを感じさせる、颯爽としてチャーミングな作品として独自の魅力を提示し ています。 ブルックナーは1887年に第8番第1稿を完成させた後すぐに第9番の作曲に取り掛かりましたが、第8番第1稿が初演拒否されるとこれの改訂に取り掛か り、合わせて第1番、第3番、第4番、ミサ曲へ短調の改訂にまで手を伸ばしました。1889年に第9番に戻ったブルックナーですが、途中で詩篇第150篇と ヘルゴラントを作曲したためまたも遅延し、完成させることなく世を去りました。第4楽章にはかなりの部分の断片が遺されており、少なからぬ数の補筆完成の 試みがなされていますが、#bruckner2024ではブルックナー自身が関与してないものは対象外とするため、後世の補筆完成版は対象外となります。第9 番第1楽章は楽章を構成する主要動機がすべて導入部において提示されますが、ポシュナーはそれら個々の動機をわかりやすく示すことで楽章を貫く緊密 な構成を明らかにしてゆきます。従来のブルックナー演奏においては、テンポをあまり細かく動かさず(または動かしたと感じ取らせず)、また教会で聴くオルガン や合唱のように丸く溶け合った響きを求めるなど、その作品を神聖視するあまり教会音楽的に演奏する傾向もありましたが、ポシュナーは作曲者のテンポや 強弱記号を仔細に読み込んで反映し、民謡や民俗舞曲に由来するルーツ・ミュージック的な要素もしっかりと打ち出しており、その上でスケルツォの峻厳さや アダージョの浄化されるような美しさをシンフォニックに提示しています。
※国内仕様盤には石原勇太郎氏(音楽学/国際ブルックナー協会会員)による日本語の解説が付属します。

FUGA LIBERA
FUG-813(1CD)
パリの祭典
ミヨー:屋根の上の牛(カデンツァ…アルテュール・オネゲル)
シャブリエ:気まぐれなブーレ(作曲者の未完のスケッチに基づくティボー・ペリーヌによる管弦楽版) ※世界初録音
ラヴェル:ツィガーヌ (ラヴェル・エディションによる新校訂版) 世界初録音
ビゼー:交響曲 ハ長調
アレクサンドラ・スム(Vn)
ペレアス室内O
バンジャマン・レヴィ(指)

録音:2021年5月5-8日 サル・コロンヌ、パリ
2024年パリの祝祭をテーマに、第二帝政から1920年代の狂騒の時代まで約70年間の作品を集めたアルバム。ブラジルの大衆音楽に大 きな影響を受けたミヨーの「屋根の上の牛」で賑やかに始まり、最晩年のシャブリエが書き上げたピアノ曲の管弦楽版「気まぐれなブーレ」、新 しいラヴェル・エディションでの初録音となる「ツィガーヌ」、ビゼーが唯一残した交響曲が収められています。ミヨーとラヴェルではロシア出身で現 在はパリを拠点に活躍するヴァイオリニスト、アレクサンドラ・スムがソリストを務め、高い技術と表現力で聴く者に強く訴えかける素晴らしい演 奏を披露。バンジャマン・レヴィ率いるペレアス室内管弦団も世界観をストレートに歌い上げ、喧騒、郷愁、揺らぎに満ちた光の街の肖像画 を描きます。

Altus
ALTB-545(3SACD)
シングルレイヤー
完全限定生産
ヴァント&N響ライヴ集成/SACD3タイトルセット(全3枚)

【ALTSA-258】
ベルリオーズ:「ローマの謝肉祭」序曲
シューマン:交響曲第4番ニ短調

【ALTSA-260】
ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」(ハース版)

【ALTSA-261】
シューベルト:交響曲第3番ニ長調 D.200
ブラームス:交響曲第1番ハ短調 Op.68
ギュン ター・ヴァント(指)
NHK響

【ALTSA-258】
 録音:1979年11月21日/NHKホール
【ALTSA-260】
 録音:1982年4月14日/NHKホール
【ALTSA-261】
 録音:1983年12月8日/NHKホール
ALTUSから発売されているヴァントとN響のSACDシングルレイヤー盤3タイトルを、単売パッケージそのままにクラフト調の三方背ケースに収めた数量限定セッ トです。 【ALTSA-258】 白熱的なベルリオーズも聴きものですが、シューマン4番の堂々あたりを払うたたずまいは当時のヴァントとN響ならではのものです。冒頭の深々とした響きから 一気に引きこまれ、第3楽章からの熱気が大変で金管の壮絶な見せ場もあり、とてつもない大演奏に仕上がっております。実に一聴の価値ありで御座います。 【ALTSA-260】 冒頭のホルンも美しく、曲が進むほどにヴォルテージがあがっていき、激裂なハイヴォルテージの崇高な太団円で曲がとじられます。また第2楽章の切々たる味わ いは正に「秋の日のさびしさ」、ヴァントのブルックナーの内で最も熱い演奏の一つと申せましょう。録音も素晴らしく聴きやすい音質です。 【ALTSA-261】 ブラームスは第1回目NDRのスタジオ録音同様の少し速めのテンポで始まり、やはり当時の燃えるN響の面目躍如で高揚感が素晴らしく、ヴァントならでの緻密 な表現がまた見事。終楽章コーダでもテンポを煽らぬ正統ながら一音一音ゆるぎなく、しかも高ヴォルテージで音が積み重なる様は圧巻でライヴでも滅多にない大 演奏です。真の聴きものと申せましょう。シューベルトの品格も見事。音質も納得のいく良音です。 (Ki)


オクタヴィア
OVCL-00844(1SACD)
税込定価
2024年6月19日発売
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」 ヤン・ヴィレム・デ・フリーント(指)
読売日本SO
森谷真理(S)
山下裕賀(Ms)
アルヴァロ・ザンブラーノ(T)
加藤宏隆(Bs)
新国立劇場cho

録音:2023年12月23-24日東京芸術劇場コンサートホール・ライヴ
古楽界に新風を吹き込み、自身が創設したコンバッティメント・コン ソート・アムステルダムでは名曲・秘曲で多くの名盤を生み出し、 ヨーロッパ中に旋風を巻き起こしたオランダの名匠デ・フリーント。 現在は数々のヨーロッパの名門オーケストラに定期的に登壇、わが国 では2024年に京都市SOの首席客演指揮者に就任しています。モ ダン楽器によるピリオド奏法は今では一般的ではあるものの、2023年 末読売日本SOとの本ライヴには、デ・フリーントの才覚が全編 にほとばしり出ています。響きも音もここでは驚くほど独創的であり、 聴き手は「まったく新しい第九」を耳にすることになるでしょう。(オクタヴィア)
オクタヴィア
OVCL-00846(1SACD)
税込定価
2024年6月19日発売
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」 小林研一郎(指)
コバケンとその仲間たちオーケストラ
市原愛(S)
山下牧子(Ms)
笛田博昭(T)
寺田功治(Br)
史上最高の第九に挑むcho

録音:2023年12月10日東京・サントリーホール・ライヴ
「コバケンとその仲間たちオーケストラ」は、2005年のスペ シャルオリンピックスの公式文化事業の企画を機に設立された オーケストラで、プロ・アマチュア・学生・障がいの有無に関わ らず、活動趣旨に賛同する奏者が集まり演奏しています。この録 音は、2023年末の第九演奏会で、参加したオーケストラと合唱 団は総勢200名以上という大スケールのコンサートで話題となり ました。音楽の持つ情熱とエネルギーが収められた、“史上最高 の第九”への挑戦をお楽しみください。(オクタヴィア)


Capriccio
C-5484(3CD)
NX-D03
NYCX-10481(3CD)
日本語解説付国内盤
税込定価

マーラー版ベートーヴェン:交響曲集
交響曲第5番「運命」 Op.67
交響曲第3番「英雄」 Op.55
序曲「コリオラン」ハ短調 Op.62
交響曲第7番イ長調 Op.92
弦楽四重奏曲第11番ヘ短調「セリオーソ」 Op. 95
序曲「レオノーレ」第2番Op.72
序曲「レオノーレ」第3番Op.72b
交響曲第9番「合唱」 Op.125
ラインラント=プファルツ州立PO
マイケル・フランシス(指)
マルガリータ・ヴィルソーネ(S)
エヴリン・クラーエ(Ms)
ミヒャエル・ミュラー=カステラン(T)
デリック・バラード(Br)
ブルノ・チェコ・フィルハーモニーcho

録音:2021年10月8-9日、18-22日…交響曲第5番、第7番
2022年7月5-8日…交響曲第3番、コリオラン
2023年11月6-8日…弦楽四重奏第11番
2022年11月4-5日(ライヴ)…交響曲第9番
※マーラー研究家、前島良雄氏による日本語解説付き。
ウィーン・フィルの指揮者などを歴任したマーラーが、先輩作曲家たちの作品の演奏にあたりオーケストレーションに手を入れていたことは広く知られており、そ れぞれに録音も出ていますが、そのうちベートーヴェン作品をすべて演奏・収録したアルバムはありそうで無かった企画の一つ。すぐれた作曲家の眼を持つ練 達の指揮者マーラーの思考を系統的に追うのに好適なセットです。 マーラー自身の交響曲は曲も編成も大規模なものですが、彼が過去の作品に行った変更は少し方向が違います。場所により弦楽器に管楽器を重ねる、 弦の細かなフレーズを強調するために管のパートを省く、管の動きにオクターヴを付与する、といった楽器間のバランスを整えて効果的に響かせるためのもの が多く、また細かな演奏指示も書き込まれており、指揮者マーラーがどのパートを重視したか分かるのが興味深いところです。また金管楽器の改良や用法の 変遷に伴って、かつては音が出なかった旋律が足されたり、高すぎる音を下げるといった処理も行われています。しかしながら、ホルンは基本的に倍管となっ ており、「第九」はティンパニ2人を擁するマーラーらしい巨大編成へと変貌していることも事実。「英雄」葬送行進曲フーガのクライマックスや第4楽章コーダ 前にティンパニが加筆されていたり、「第九」第1楽章で低弦にトロンボーンを重ねたり第4楽章でコントラファゴットのサポートにチューバが動員されたりといった ところは、なかなか衝撃的でもあります。 英国出身の指揮者マイケル・フランシスが2019年から首席指揮者を務める手兵オケを指揮してこれらを次々と浮き彫りにしてゆきます。基本となるテンポ は速めで、オーケストラのサウンドは、溶け合った響きよりも細部のわかりやすい透明感を重視したもの。アクセントは強調され、フレーズを短めに切り上げると ころなどピリオド奏法を取り込んでいるようですが、すべてはマーラーの意図をより明瞭に提示するために採用されたものと思われます。第九の演奏時間は64 分と短めですが、第3楽章は清冽な響きでゆったりと奏で「アダージョ」の指定を守っていることを納得させます。速さやアクセントの強さ一辺倒ではなく、音楽 に豊かな表情と流れがあり、勢いと推進力がある引き締まった演奏で、数多いベートーヴェン録音の中にあっても聴きごたえのあるものとなっています。
※国内仕様盤にはマーラー研究家、前島良雄氏による日本語解説が付属します。

BIS
BISSA-2486(2SACD)
マーラー:交響曲第3番ニ短調 ジェニファー・ジョンストン(Ms)
ミネソタcho(女声)、ミネソタ少年cho
ミネソタO、
オスモ・ヴァンスカ(指)

録音:2022年11月14-18日/オーケストラ・ホール(ミネアポリス)
プロデューサー:ロバート・サフ
オスモ・ヴァンスカ(指)ミネソタOのマーラー交響曲全曲録音(第1〜10番)が遂に完結。当アルバムは第3番を収録 しております!
2003年にミネソタOの音楽監督に就任したヴァンスカは、ベートーヴェンの交響曲全曲録音(BIS SA-1825)などで評価を高めました。しかし、 当団は経営悪化に伴う労使対立が激しさを増し、2012年10月に経営側はロックアウトを決行。同年2012/13年のシーズンは全てキャンセルとなり当団の 存続そのものも危ぶまれる状況となりました。その後、ヴァンスカは労使の合意が成立した2014年1月に首席指揮者に復帰。以後、団結力の増したミネソタ Oの演奏は一層密度の濃いものとなっており、マーラーの交響曲全曲演奏・録音は当団の威信にかけた大企画となりました。
交響曲第3番はワーグナーを思わせる豪華な木管と金管に、多数の打楽器、アルト独唱、女声合唱、少年合唱も登場する大規模かつ並外れた傑作。2部構 成全6楽章、演奏時間は100分以上の大曲で終始情感に満ちています。ことに終楽章の深く吸い込まれるような音楽は、これまでに書かれた音楽の中で最も 美しい旋律といえます。
2022年11月の演奏会後に行われた当セッションは、2016年に始まったこの全曲録音の集大成にふさわしい感動的な演奏となっております。 (Ki)

B RECORDS
LBM-063(1CD)
NX-C04
ティエリー・エスケシュ(1965-):Vitrail(ステンドグラス)
ショスタコーヴィチ(ヴィクトル・デレヴィアンコ編): 交響曲第15番Op.141(打楽器、チェレスタ、ピアノ、ヴァイオリンとチェロのための)
トリオ・メシアン【ダヴィド・ペトルリク(Vn)、ヴォロディア・ファン・クーレン(Vc)、フィリップ・アタ(P)】
トリオ・クセナキス【エマニュエル・ジャケ、ロドルフ・テリー、ニコラ・ラモト(打楽器)】

録音:2023年8月1日 サル・エリー・ド・ブリニャック、アルカナ、ドーヴィル、フランス (ライヴ/拍手入り)
ショスタコーヴィチ本人もその出来栄えを激賞し、ギドン・クレーメルらも録音している交響曲第15番のヴィクトル・デレヴィアンコによる室内楽 版の新録音が登場。演奏するのはいずれもパリ高等音楽院を卒業したメンバーにより結成された、ピアノ三重奏団トリオ・メシアンと打楽器 アンサンブルのトリオ・クセナキスです。カップリングはフランスの作曲家、オルガニストのティエリー・エスケシュによる「ステンドグラス」。ライヴならで はの緊張感が心地よいアルバムです。

ALPHA
ALPHA-1057(1CD)
マーラー:交響曲第9番(ピリオド楽器による) マーラー・アカデミーO
フィリップ・フォン・シュタイネッカー(指)

録音:2022年9月 マーラー・ザール、トーブラッハ文化センター、イタリア
第一次大戦終結までオーストリア領だったイタリアの南チロル州で、クラウディオ・アバドによって創設された「マーラー・アカデミー・ボルツァーノ= ボ―ゼン」の活動の一環として、世界各国から集まった若い音楽家たちとヨーロッパの有名オーケストラの団員が共に演奏する機会を作る マーラー・アカデミーO。そのOriginalklang(ドイツ語で「本来の響き」)プロジェクトとして、マーラーの交響曲第9番が初演された 1912年にウィーンで使われていた楽器を世界中から集め(後世の再現楽器含む)、その演奏習慣を研究・習得して行われた録音が登場 します。この作品が生まれた地であるトーブラッハで行われた今回の録音は、ピリオド楽器によるおそらく初めてのもの。管楽器はヴィブラートを ほぼかけず、ガット弦を張った弦楽器のヴィブラートも控えめながらポルタメントを多くかけ、テンポは比較的速めという方向で作られる音楽 は、この作品に付きまとう死や情念といったイメージからはほど遠い、清涼感に溢れたものとなっています。特に第4楽章の澄み渡るような美し さは特筆もの。マーラー録音史に残る一枚と言えそうです。 指揮者のフィリップ・フォン・シュタイネッカーは、マーラー室内管やオーケストラ・レヴォリューショネル・エ・ロマンティークの首席チェロ奏者を務め た後、モダン楽器とピリオド楽器のオーケストラ双方で活躍する指揮者。当CDの巻末には後援者として内田光子氏の名前もクレジットされ ています。

WERGO
WER-7392(1CD)
王西麟(ワン・シーリン Xilin Wang,1936-):交響曲第3番 Op.26(1989/90) エマニュエル・シフェール(指)
中国国家SO

録音:2018年4月18日/北京コンサートホール(ライヴ)
王西麟(1936-)は上海音楽院で作曲と指揮を学び、若くして中国音楽界で頭角を現した人物。しかし毛沢東の文化政策を批判したため地位を剥奪され、山西 省に追放されて強制労働を強いられ、また拷問により聴力にも支障をきたすという苦難に見舞われます。文化大革命が終結した1978年に北京に戻り作曲活動を 再開。西洋の近代・現代の音楽を積極的に研究し、ショスタコーヴィチや中国の民族音楽などにも影響を受け、表現豊かで力強い作曲スタイルを獲得、国内でも高 い評価を得るに至ります。2008年の北京オリンピックのために作曲された第6番をはじめ、これまでに9曲もの交響曲を発表しているシンフォニストでもありま す。
交響曲第3番は「1989年の天安門事件をうけ、世界中で民主主義と自由を追求する崇高な理想を持つ人々に捧げる」として書かれた4楽章から成る作品。王 は「自分のためだけに書くのではなく、この長い歴史のなかで亡くなったすべての人々のために書きたい」とコメントしており、「Symphony(=共に、鳴る)」と いう古典的な形式に、現代における新たな価値を与え、強い生命力を吹き込んでいます。 (Ki)


SOMM
ARIADNE-5028(2CD)
NX-D05
ピエール・モントゥー/晩年のロンドン・ライヴ集
■CD1
ウェーバー:祝典序曲
ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」
ラヴェル:スペイン狂詩曲
 ダフニスとクロエ 第2組曲*
■CD2
ハイドン:交響曲第104番「ロンドン」*
ストラヴィンスキー:春の祭典**
拍手とアナウンス**
LSO員及び関係者へのインタビュー集#
モントゥーへのインタビュー「ウィレム・ペイペルの交響曲第3番を語る」##
ドヴォルザーク:交響曲第7番〜第1楽章と第2楽章のリハーサルより+
ピエール・モントゥー(指)
BBCノーザンO
ロイヤルPO*、LSO**,+

録音:1963年10月18日 マンチェスター・タウンホール(ライヴ)・・・CD1 1-10
1960年12月25日 ロンドン、BBCスタジオ(ライヴ)・*
1963年5月29日 ロイヤル・アルバート・ホール(ライヴ)**
1992年-1995年#
1955年 アムステルダム##
1959年10月+
#のみステレオ、他はすべてモノラル
音源:BBCラジオのエアチェック・・・CD1&*,**
1875年にフランスで生まれたピエール・モントゥーは若き日にはパリ楽壇を牽引する活躍を見せ、特にディアギレフに信頼されてバレエ・リュスで重要作品の初演を担いま した。晩年には特にイギリスで人気と評価が沸騰し、85歳にしてLSOの首席指揮者に招かれましたが、その際モントゥーは25年間の契約を提示したと伝え られます。多くの指揮者は高齢になるとテンポが遅くなる傾向がありますが、モントゥーは最晩年まで弛緩の無いテンポと誇張の無い表現によって格調高い音楽を奏で続 けました。1960年代にPhilipsレーベル(現Decca)に行った録音は今もそれらの曲の最高水準に位置付けられており、このセットに収められたライヴ録音の数々からも 同様の「モントゥーらしさ」が聞こえてきます。 演奏の機会が稀なウェーバーの祝典序曲は曲の終わり近くに英国国歌の旋律が現れます。ベートーヴェンの「田園」は1958年にウィーン・フィルを指揮したDecca盤と そっくりな引き締まった演奏(ただしこのライヴでは第1楽章提示部のリピートを省略)。得意としたラヴェルも立派な出来。「ダフニスとクロエ」は1912年にモントゥーがバレエ 版の初演を指揮した作品です。この曲だけ冒頭に僅かな欠落があります。古典的な造形の中に細部の仕掛けとユーモアのセンスが結晶したハイドン作品もモントゥーの 十八番ですが、第104番「ロンドン」は正規録音が無かっただけにファンには嬉しい掘り出し物。「春の祭典」は初演からちょうど50年となる1963年5月29日に行われた 特別コンサートで、指揮者の年齢(88歳)が信じられない矍鑠とした演奏が展開されてゆきます。最後の音が鳴りやまぬうちにロイヤル・アルバート・ホールを埋め尽くした 聴衆から大歓声が沸き起こり、解説書によれば作曲者ストラヴィンスキーも客席からハンカチを振って演奏者を讃えたそうです。演奏直後のステージや会場の様子を伝 えるBBCのナレーションをカットしなかったのは、歴史的な演奏会の記録として好ましい配慮と言えるでしょう。 CD2の19-25はクラシック音楽のドキュメンタリーで名高いジョン・トランスキー(当盤の解説も執筆)が、モントゥーの指揮で演奏したLSOの奏者たちを中心 とする計8名にインタビューしたもの。いずれも短いものですが、当時の楽団員の高揚感が伝わります。第2ヴァイオリン奏者だったマリナーの声が聞けたり、ロンドン交響楽 団の初来日公演時のエピソードが混じっていたりするのは嬉しいところ。最後にはドヴォルザークの第7番のリハーサル約3分が収められています。 リマスターは歴史的録音の復刻で名高いポール・ベイリー。

BIS
BISSA-2441(1SACD)
ストラヴィンスキー:交響曲集
(1)3楽章の交響曲(1942-45)
(2)管楽器のための交響曲(1918-20原典版)
(3)交響曲 ハ調(1938-1940)
ディーマ・スロボデニューク(指)、
ガリシアSO

録音:(1)(3)2019年2月11〜15日、(2)2023年6月18&19日コルーニャ歌劇場(スペイン)
ストラヴィンスキーといえば『火の鳥』『ペトルーシュカ』『春の祭典』などバレエ音楽、管弦楽曲が有名で、交響曲を連想させる作曲家 ではありません。しかし彼が作曲した交響曲に属する5篇は、そのどれもが個性的ですべてが異なるキャラクターを持っています。当アルバムはその第1弾として 3篇を収録しております。
ストラヴィンスキーがアメリカで作曲した最初の大作「3楽章の交響曲」は、リズミカルなオスティナートと刺激的な音響効果でまるで『春の祭典』のよう。第二 次世界大戦に作曲されたこの作品は戦争に対するストラヴィンスキーのメッセージにも聴こえます。「管楽器のための交響曲」は、ストラヴィンスキーの友人だった クロード・ドビュッシーへのオマージュとして作曲された、短くコンパクトな作品。“Symphonies” と複数形がとられているため、交響曲の形式ではなく、“とも に鳴り響く”音楽を試みたと解釈されています。万華鏡の如く変化する形式は初演時に聴衆を驚かせましたが、今ではストラヴィンスキーの独創性を示す最高傑作 の一つに数えられます。「交響曲 ハ調」は戦中1938年から40年にかけ2つの大陸で作曲されたシンプルかつユーモアに富む作品です。
指揮のディーマ・スロボデニュークは1975年モスクワ生まれ。17歳でフィンランドに移住しシベリウス音楽院でレイフ・セーゲルスタム、ヨルマ・パヌラから指 揮を学びました。2016年より2021年までラハティSOの首席指揮者を務め、BISレーベルから「プーランク、プロコフィエフ、ブリテン:シンフォニエッタ 集」(BIS SA-2601)、「カレヴァラの情景」(BIS SA-2371)、「カレヴィ・アホ:協奏曲『シエイディ』、交響曲第5番」(BIS SA-2336)、「プロコフィエフ:歌劇『賭博者』による4つの描写と終結、バレエ音楽『石の花』からの組曲」(BIS SA-2301)などをリリースしています。
当演奏は2012年より2022年まで音楽監督を務めたガリシアSOとの共演。作風が常に変化そして進化したストラヴィンスキーの多面的で魅力的な一面 を見事に引き出しております。 (Ki)

CPO
CPO-555429(2CD)
NX-E07
ディッタースドルフ:オウィディウスの『変
身物語』による交響曲集

交響曲第1番ハ長調「四つの時代」
交響曲第2番ニ長調「ファエトンの墜落」
交響曲第3番ト長調「鹿に変えられたアクタエオン」
交響曲第4番ヘ長調「ペルセウスによって救われたアンドロメダ」
交響曲第5番イ長調「蛙に変えられたリュキアの農夫たち」
交響曲第6番ニ長調「石にされたフィネウスと仲間たち」
ハイルブロン・ヴュルテンベルク室内O
ケース・スカリオーン(指)

録音:2020年10月21-23日、11月19-21日
LP時代から人気のあったディッタースドルフの「変身物語」に基づく交響曲集に新録音が登場。 1781年、ディッタースドルフは古代ローマの詩人オウィディウスの『変身物語』に基づく交響曲シリーズの作曲を計 画します。この物語は古代神話の登場人物たちが動物や植物、鉱物、果ては神にまで変身していくエピソードを 集めた叙事詩で、後世数多くの演劇作品やオペラなどの題材になっています。ディッタースドルフは15曲の交響曲 を5曲ずつ3つのセットにし、そのセットのために造られた彫刻を合わせて出版することを計画。これは18世紀後半 における「最も野心的なプロジェクト」の一つとして評判になりましたが途中で頓挫。完成したのはここに収められた 6曲の交響曲だけでした。ハイドンを思わせる端正な音楽に現れる「変身」の場面は今も魅力的に響きます。

CD ACCORD
ACD-315(1CD)
NX-D05
シマノフスキ:作品集
演奏会用序曲 ホ長調 Op.12(第2稿)(1912-13)
おとぎ話の王女の歌 Op.31? ソプラノ独唱とオーケストラのために(1915)
交響曲第3番「夜の歌」 Op.27-ソプラノ独唱、合唱とオーケストラのために(1914-16)
イヴォナ・ソボトカ(S)
NMF合唱団
NFMヴロツワフPO
ジャンカルロ・ゲレーロ(指)

録音:2022年7月17日
2021年6月9-10日
2022年6月13-15日
文学作品からインスパイアされたシマノフスキの作品を収めた1枚。友人の詩人タデウシュ・ミチンスキの詩に共鳴し て書かれた「演奏会用序曲」、 妹ゾフィー・シマノフスカの詩に曲をつけた「おとぎ話の王女の歌」、そしてペルシャの 神秘主義の詩人ジャラール・ウッディーン・ルーミーの詩をミチンスキがポーランド語に翻訳したテキストを用いた「交 響曲第3番」の3曲。イヴォナ・ソボトカは2004年のエリザベート王妃国際音楽コンクールの優勝者。欧州の名門 歌劇場やオーケストラに出演し、サイモン・ラトルの指揮でシマノフスキ作品を歌ったアルバムなど が高く評価されて います。


LE PALAIS DES DEGUSTATEURS
PDD-036(2CD)
ショスタコーヴィチ&ブルックナー
(1)ショスタコーヴィチ:交響曲第8番ハ短調 Op.65
(2)ブルックナー:交響曲第8番ハ短調 WAB.108(ハース版)
カルロス・パイタ(指)、
フィルハーモニックSO

録音:(1)1981年収録場所不明(未発表ライヴ録音)、(2)1982年5月/キングスウェイホール(ロンドン)
20世紀アルゼンチンを代表する指揮者カルロス・パイタ(1932-2015)。1980年代に自身が創設したフィルハーモニックSOと、R.シュトラウスの「英 雄の生涯」、ベートーヴェンの交響曲第7番、ドヴォルザークの交響曲第7番、ブルックナーの交響曲第4番「ロマンティック」などを自主レーベル「Lodia」からリリー スし、クラシック・ファンを楽しませてきました。
1932年ブエノスアイレス生まれのパイタは裕福な家庭に育ち、幼少時からレコードやコンサートを通じクラシックに親しんできました。その後、テアトロ・コロン でフルトヴェングラーのリハーサルに接する機会を得て、以来フルトヴェングラーの演奏に傾倒し指揮者になることを決意しました。
「自身が思い描く音楽をやりたいようにやる」というパイタの音楽は爆発そのもの。演奏が破綻しようもパイタの情熱的な音楽は聴衆を魅了し、今もなおその演 奏は色あせることなく輝き続けています。
パイタ・ファン狂喜の未発表音源は、1981年にライヴ収録されたショスタコーヴィチの交響曲第8番です。ロシア作品が大得意だったパイタ。破壊的ともいえる 熱量で演奏するかと思いきや、極めて冷ややかで現実的。この作品がもつ痛々しさを表現しております。もちろんライヴならではの一期一会の音色はパイタの音楽 そのものです。
カップリングはパイタの代表的名盤、ブルックナーの交響曲第8番です。同音源は過去に「Lodia」レーベルからのライセンスで、ビクター音楽産業株式会社が国 内盤としてリリースしており、このリリースによって日本でも多くの熱狂的ファンを獲得しました。このブルックナー演奏は高揚感があり、宗教的でありながらも決し て神秘的ではない、爆演パイタたる所以がこの演奏にあらわれております。
カルロス・パイタの演奏はいつも賛否両論を呼びます。当アルバムでも「ショスタコーヴィチやブルックナーの音楽とはそういうものなのだろうか?」と考えさせ るものですが、この2つの作品の解釈について新たな展望を切り開いてくれることは間違いありません。聴衆の先入観、さらには既成概念を壊すような演奏をす る、唯一無二の指揮者パイタの至芸をお楽しみください! (Ki)

Urania Records
LDV-14114(1CD)
フランチェスコ・ザッパ:6つの交響曲
フランチェスコ・ザッパ(1717-1803):交響曲第1番変ホ長調/交響曲第2番ト長調/交響曲第3番変ロ長調/交響曲第4番ハ長調/交響曲第5番ニ長調/交響曲第6番変ホ長調
アタランタ・フーギエンスO、
ヴァンニ・モレット(指)

録音:2022年10月16日-17日
フランク・ザッパが図書館で作品を偶然発見したことにより、1984年にアルバム『フランチェスコ・ザッパ』(収録曲はすべてフランチェスコ・ザッパの作品)をリリースし、無名の作曲からの再発見・再評価のきっかけとなったという、数奇な運命を辿った18世紀イタリアの作曲家&チェリスト、フランチェスコ・ザッパの交響曲集。
1717年ミラノに生まれたフランチェスコ・ザッパは生前も激動の人生を送っており、オランダとドイツの宮廷で長い成功と名誉を獲得しながら、レオポルト・モーツァルトからの軽蔑により一種の「記憶喪失」さえ経験し、貧困と孤独のうちに亡くなりました。
演奏は、イル・ジャルディーノ・アルモニコのコントラバス奏者を務めた経歴を持ち、バロック音楽の研究、さらには現代音楽やジャズにも精通するマルチな才能を発揮するヴァンニ・モレットと、彼が率いるピリオド楽器使用の弦楽オーケストラ、アタランタ・フーギエンスOです。

Lyrita
SRCD-2417(4CDR)
ジョージ・ロイド:交響曲第1番〜第6番
ジョージ・ロイド(1913-1998):交響曲第2番/交響曲イ長調(第1番)*/交響曲第3番ヘ長調/シャレード組曲/交響曲第4番「北極」*/歌劇「ジョン・ソックマン」序曲/交響曲第5番変ロ長調/交響曲第6番
ジョージ・ロイド(指)、
BBCフィルハーモニック、
オールバニーSO*

録音:1986年-1992年、BBCスタジオ7(マンチェスター)&トロイ貯蓄銀行音楽ホール(ニューヨーク)*
ブリテンと同年に生まれ、20世紀のイギリスで活躍した作曲家ジョージ・ロイドが、自身の指揮でレコーディングした交響曲第1番〜第6番を収めた4枚組ディスク。第2番、第3番、第5番、第6番がBBCフィルハーモニックと、第1番、第4番がニューヨークのオールバニーSOとの共演。20代前半に書いた第1番〜第3番と、海軍に従事した第二次世界大戦での経験で負った精神的なショックと闘いながらも書き上げた第4番〜第6番の心境の変化にも注目です。
※当タイトルは、高品質メディア(SONY DADC/Diamond Silver Discs)を使用した、レーベル・オフィシャルのCD-R盤となります。
Lyrita
SRCD-432(1CDR)
リチャード・ブラックフォード(b.1954):サグラダ・ファミリア交響曲*
カンタータ「バベル」
BBCウェールズ・ナショナルO*、リチャード・ブラックフォード(指)*、アイコン・シンガーズ&アンサンブル、デイヴィッド・ヒル(指)、レベッカ・ボットーネ(S)、アレッサンドロ・フィッシャー(T)、スティーヴン・ガッド(Br)

録音:2022年4月21日-22日*&2023年9月26日、ホディノット・ホール(カーディフ、イギリス)*&セント・ジョージズ・ヘッドストーン(イギリス)
ロンドンの王立音楽大学でジョン・ランバートに、ローマでハンス・ヴェルナー・ヘンツェに作曲を学んだイギリスの作曲家リチャード・ブラックフォード。管弦楽や合唱作品、オペラ、バレエ音楽のほか、映画やテレビのための音楽、さらには「グレート・アニマル・オーケストラ」や、サン=サーンス「動物の謝肉祭」とヴェルディ「レクイエム」の新編曲といった意欲作を続々と世に送り出し常に話題をさらっています(ブラックフォード編のヴェルディ「レクイエム」は2024年3月3日に日本初演も行われました)。当盤にはブラックフォード自身がBBCウェールズ・ナショナルOを指揮した2作目の交響曲「サグラダ・ファミリア交響曲」と、2023年に英メイキング・ミュージックの最優秀クリエイター賞を受賞したカンタータ「バベル」を収録。ブラックフォードが描く壮大な世界観をご堪能ください。
※当タイトルは、高品質メディア(SONY DADC/Diamond Silver Discs)を使用した、レーベル・オフィシャルのCD-R盤となります。

Avie
AV-2684(1CD)
失われた世代
フーゴ・カウダー(1888-1972):交響曲第1番
ハンス・エーリヒ・アポステル(1901-1972):ハイドンの主題による変奏曲
アドルフ・ブッシュ(1891-1952)(ピーター・ゼルキン編):オリジナルの主題による変奏曲
レオン・ボットスタイン(指)、
ジ・オーケストラ・ナウ

録音:2022年11月
20世紀を代表する指揮者レナード・バーンスタインの伝記映画『マエストロ』を観たことがあるなら「ジ・オーケストラ・ナウ」を見聞きした事があるでしょう。映画のタングルウッド音楽祭のシーンに登場するのがまさにこのオーケストラです。「ジ・オーケストラ・ナウ」はニューヨークを中心とする大学院レベルの指揮者、教育者、音楽家によって設立された、世界中の最も活気に満ちた若い音楽家で構成されるオーケストラのひとつと言えます。またレオン・ボットスタインと共に、世に知られていない作品を取り上げ、広める活動も行っており、2022年11月にフーゴ・カウダーの「交響曲第1番」のアメリカ初演を行いました。カウダーの作品は、ブラームスやマーラーの影響を受けつつ独自の要素を持った音楽に仕上がっています。
ドイツ生まれでオーストリアの作曲家であるハンス・エーリヒ・アポステルは、シェーンベルクとベルクに師事し、ナチスに「退廃的」とみなされましたが、生涯自分の作風を貫きました。「ハイドンの主題による変奏曲」は、ハイドンの「交響曲第103番『太鼓連打』」の第2楽章のテーマが使われています。
アドルフ・ブッシュはヴァイオリニストとして知られていますが、作曲家としても作品を残しています。ここで収録されている「オリジナルの主題による変奏曲」は、ロマンティックなメロディが特徴で元々ピアノ連弾のために作られた作品です。

ALTO
ALC-1484(1CD)
ショスタコーヴィチ:交響曲第4番ハ短調 Op.43
劇付随音楽「ハムレット」組曲 Op.32a*
キリル・コンドラシン(指)モスクワPO、
エドワルド・セーロフ(指)レニングラード室内O*
1936年に予定されていた初演が直前で撤回され、その後25年間日の目を見ることがなかったショスタコーヴィチの交響曲第4番。キリル・コンドラシン&モスクワ・フィルの尽力によって1961年にようやく初演が実現し、その直後に行われたこのレコーディングは今なお同曲の決定的名演として最高の評価を得ているものです。これまでにも交響曲全集などとして何度か復刻されていましたが、今回分売として(しかもバジェット・プライス!)入手しやすくなったことは大変嬉しいニュースです。カップリングにはエドワルド・セーロフ&レニングラード室内Oによる劇付随音楽「ハムレット」(8曲抜粋版)を収録。


SWR music
SWR-19152CD(2CD)
NX-D05
ブルックナー:交響曲第7番ホ長調 WAB107
交響曲第8番ハ短調 WAB108(第1稿)
エリアフ・インバル(指)
シュトゥットガルトRSO

録音:2013年11月21&22日(第7番)、2015年10月1&2日(第8番)
リーダーハレ(シュトゥットガルト)、ベートーヴェンザール(ライヴ収録)
フランクフルト放送響との第3、4、8番の初稿の録音(Teldec/現Warner)により大きな議論を巻き起こし、これら初校への認識を広める上で決定的な役 割を果たしたエリアフ・インバル。卓越した細部の読みと指揮能力も相まって、現代に至る精緻で理知的なブルックナー解釈をリードしてきました。彼が定期 的に指揮していたシュトゥットガルト放送響とのアーカイヴから第7番と第8番が初めてリリースされます。インバルには両曲ともフランクフルト放送響と都響を指 揮した2種の録音がありますが、当盤はその中で最新の音源となります。解釈はTeldec盤の時点で練り上げられていたようで、第8番の演奏時間は3種と も75分台で楽章毎の差もごく少ないという完成度の高さに驚かされます。一方、第7番では2012年の都響盤(Exton)の58:34に対し1年半後の当盤 では62:01となり、全楽章において少しずつ演奏時間が延びているのが興味深いところ。オケも透明度の高いサウンドで精緻な演奏を繰り広げており、 シューリヒト、チェリビダッケ、ノリントンという個性的なブルックナー指揮者との録音を残してきたシュトゥットガルト放送響のディスコグラフィに貴重な追加となり ます。楽譜はインバルらしくノーヴァク版を使用(第7番第2楽章はシンバルあり)、拍手はカットされています。

Altus
ALTB-542(3SACD)
シングルレイヤー
限定生産
非圧縮SACD
チェリビダッケ来日SACD傑作選 /SACD3タイトルセット
【ALTSA140】
シューマン:交響曲第4番
ムソルグスキー(ラヴェル編):組曲『展覧会の絵』
ドヴォルザーク:スラヴ舞曲第8番
【ALTSA141】
ロッシーニ:『どろぼうかささぎ』序曲
R.シュトラウス:交響詩『死と変容』
ブラームス:交響曲第4番
ブラームス:ハンガリー舞曲第1番
ヨハン&ヨーゼフ・シュトラウス:ピツィカートポルカ
【ALTSA183】
ブルックナー:交響曲第8番
セルジュ・チェリビダッケ(指)
ミュンヘンPO

【ALTSA140】
録音:1986年10月14日/人見記念講堂(ライヴ)

【ALTSA141】
録音:1986年10月15日/東京文化会館(ライヴ)

【ALTSA183】
録音:1990年10月20日/サントリーホール(ライヴ)
ALTUSから発売されているチェリビダッケ来日公演のSACDシングルレイヤー盤3タイトルを、単売パッケージそのままにクラフト調の三方背ケースに収めた 数量限定セットです。
【ALTSAS140】 「このチェリの演奏を聴き、目からうろこだった。厳しいリハーサルで培われた精密でしなやかな響きが何とも心地よい。これほど豊かな味わいがあったのは驚き だった。こんなに色彩豊かなオーケストレーションだったのかと、初めてわかったような気がした。」(ライナーノーツより〜平林直哉)
【ALTSA141】 ミュンヘン・フィルも「チェリビダッケと残した最高のブラームス」と認めていた演奏で、息子イオアン氏によればこの演奏をEMIのブラームスの全集に入れたかっ たと語られる定評ある名演奏のSACD化。「死と変容」も美しい。
【ALTSA183】 まさに天空を登るかのようなコーダに茫然!怪物ティンパニスト、ペーター・ザードロの実力を日本中に知らしめた有名演奏がついにSACDシングルレイヤーで登 場!使用音源は映像用の音源でなく音声専用音源であるFM放送用録音を使用しており、その音質の良さが特徴。SACD化により弱音の繊細感など見事な仕上が り。 「チェリビダッケとミュンヘン・フィルの響きは、残響豊かなサントリー
Altus
ALTB-543(6SACD)
シングルレイヤー
限定生産
非圧縮SACD
ウィーン・フィル ORF戦後ライヴSACD大集成 /SACD4タイトルセット

(1)ベートーヴェン:交響曲第9番調 『合唱付き』
(2)ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲
ヴァイオリン、チェロとオーケストラのための協奏曲 イ短調 作品102
ブラームス:交響曲第1番
(3)マーラー:さすらう若人の歌
ベートーヴェン:交響曲第3番『英雄』
(4)ブルックナー:交響曲第3番ニ短調 WAB103(1889年稿)
(5)R・シュトラウス:交響詩『死と変容』
(6)R・シュトラウス:アルプス交響曲
(7)フランツ・シュミット:軽騎兵の歌による変奏曲
シューベルト:交響曲第9番ハ長調『ザ・グレイト』
(8)R・シュトラウス:交響詩『死と変容』
シューマン:交響曲第4番ニ短調 作品120
(9)ブルックナー:交響曲第8番ハ短調 WAB.108
(10)シューベルト:交響曲第5番変ロ長調 D. 485
ブラームス:交響曲第4番
(11)ブルックナー:交響曲第9番
(12)ブルックナー:交響曲第8番
(13)ブルックナー:交響曲第5番
(14)ブルックナー:交響曲第7番
(15)モーツァルト:交響曲第38番ニ長調「プラハ」
(16)モーツァルト:交響曲第40番ト短調 K. 550
(17)モーツァルト:交響曲第35番ニ長調「ハフナー」 K.385
R. シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」
ラヴェル:「マ・メール・ロワ」、「ダフニスとクロエ」第2組曲
(18)シューマン:ピアノ協奏曲
(19)ブラームス:交響曲第1番
全てVPO

(1)イルムガルト・ゼーフリート(S)、ロゼッテ・アンダイ(A)、アントン・デルモータ(T)、パウル・シェフラー(Br)、ウィーン・ジングアカデミー (合唱)、録音:1953年5月30日/楽友協会 大ホール(ウィーン) ロートヴァイスロート(赤白赤)放送グループによるライヴ録音(モノラル)
(2)ウィリー・ボスコフスキー(Vn)、エマヌエル・ブラベッツ(Vc)、録音:1952年1月27日/楽友協会 大ホール(ウィーン) ロートヴァイスロート(赤白赤)放送グループによるライヴ録音(モノラル)
(3)アルフレート・ペル(Br)、録音:1952年11月30日/楽友協会 大ホール(ウィーン) ロートヴァイスロート(赤白赤)放送グループによるライヴ録音(モノラル)
以上、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)
(4)録音:1960年2月14日/楽友協会 大ホール(ウィーン) オーストリア放送協会によるライヴ録音
(5)録音:1958年11月9日/楽友協会 大ホール(ウィーン) オーストリア放送協会によるライヴ録音
(6)録音:1952年4月20日/楽友協会 大ホール(ウィーン) ロートヴァイスロート(赤白赤)放送グループによるライヴ録音
(7)録音:1957年10月27日/楽友協会 大ホール(ウィーン) オーストリア放送協会によるライヴ録音
(8)録音:1962年12月16日/ムジークフェラインザール オーストリア放送協会によるライヴ録音
(9)録音:1961年10月29日/ムジークフェラインザール オーストリア放送協会によるライヴ録音
以上、ハンス・クナッパーツブッシュ(指)
(10)録音:1965年4月24日/楽友協会 大ホール(ウィーン)オーストリア放送協会によるライヴ録音(モノラル)
(11録音:1955年3月17日/コンツェルトハウス 大ホール(ウィーン)
 ロートヴァイスロート(赤白赤)放送グループによるライヴ録音(モノラル)
(12)録音:1963年12月7日/楽友協会 大ホール(ウィーン) オーストリア放送協会によるライヴ録音(モノラル)
(13)録音:1963年2月24日/楽友協会 大ホール(ウィーン) オーストリア放送協会によるライヴ録音(モノラル)
以上、カール・シューリヒト(指)
(14)カール・ベーム(指)
録音:1953年3月7日/楽友協会 大ホール(ウィーン) ロートヴァイスロート(赤白赤)放送グループによるライヴ録音(モノラル)
(15)ブルーノ・ワルター(指)
録音:1955年11月6日/楽友協会 大ホール(ウィーン) ロートヴァイスロート(赤白赤)放送グループによるライヴ録音(モノラル)
(16)ブルーノ・ワルター(指)
録音:1956年6月24日/楽友協会 大ホール(ウィーン) オーストリア放送協会によるライヴ録音(モノラル)
(17)アンドレ・クリュイタンス(指)
録音:1955年5月15日/楽友協会 大ホール(ウィーン) ロートヴァイスロート(赤白赤)放送グループによるライヴ録音(モノラル)
(18)ヴィルヘルム・バックハウス(P)、カール・ベーム(指)
録音:1963年3月17日/楽友協会 大ホール(ウィーン) オーストリア放送協会によるライヴ録音(モノラル)
(19)ール・ベーム(指)
録音:1954年11月6日/楽友協会 大ホール(ウィーン) ロートヴァイスロート(赤白赤)放送グループ によるライヴ録音(モノラル)
ALTUSから発売されているウィーン・フィル・ライヴのSACDシングルレイヤー盤4タイトルを、単売パッケージそのままにクラフト調の三方背ケースに収めた
数量限定セットです。
【ALTSA451】
ウィーン・フィルのアーカイヴに保管されていた貴重なオリジナルマスターテープからSACD化されたフルトヴェングラーの名演集!251分もの内容を贅沢にも1枚のSACDに完全収録。53年の『第九』を始め、ついに真の姿を現したと言っても過言ではない素晴らしい音質に生まれ変わっており、巨匠の究極の至芸に打ちのめされること間違いなし。
【ALTSA455】
ウィーン・フィルのアーカイヴに保管されていた貴重なオリジナルマスターテープからSACD化されたクナッパーツブッシュの名演集!2枚のディスクに合計5時間半以上を収録。雄大極まりない滔々たる流れをベースに巨人が大地を踏みしめる如く雄渾強靭な響きで奏されるシューマン4番は開いた口がふさがらない圧倒的名演。ブルックナーやシューベルトでのすべてを呑み込む巨大っぷりも言わずもがな。底抜けに展開され、限界なく巨大化していくクナッパーツブッシュの音楽の凄まじさ。
【ALTSA462】
ウィーン・フィルのアーカイヴに保管されていた貴重なオリジナルマスターテープからSACD化されたシューリヒトの名演集!2枚組で280分の長時間収録。やはり神髄はブルックナー9番。当盤に収録されているのは1961年録音のEMI盤に先立つ1955年のもの。シューリヒト流の美しさは既に完成しきっており、第3楽章のむせ返るような歌と神秘的なまでの悠久はたまらぬものがあります。シューリヒト本人も納得の出来栄えで後日オーケストラに感謝の手紙を書いているほどで、まさにウィーン・フィル録音史に残る宝物と言える名演です。
【ALTSA467】
ウィーン・フィルのアーカイヴに保管されていた貴重なオリジナルマスターテープからSACD化。1枚に255分もの長時間収録。ベームは名演の誉れ高い壮観のブル7からバックハウスとの掛け合いがたまらないシューマンまで、50〜60年代ならではのエネルギーにあふれた指揮ぶりが圧巻。そのほかワルターの十八番モーツァルト40番、クリュイタンスのエレガントきわまる『マ・メール・ロワ』など、聴かねば損の名演揃い。指揮者ごとに変わる魅惑の輝きを大いに堪能いただけます。

Forgotten Records
fr-2229E(1CDR)
ベイヌム&クリーヴランドOライヴ
ウェーバー:「魔弾の射手」序曲
ラヴェル:スペイン狂詩曲
ベルリオーズ:幻想交響曲
エドゥアルド・ヴァン・ベイヌム(指)
クリーヴランドO

録音:1955年12月22日セヴェランス・ホール(ライヴ)
Forgotten Records
fr-1922(1CDR)
マーラー:交響曲第6番「悲劇的」 ディミトリ・ミトロプーロス(指)
VPO

録音:1957年9月22日(初出ライヴ)

Gramola
GRAM-99306(1CD)
NX-C01
ブルックナー:交響曲 ニ短調 WAB 100(1869)
(2023年デイヴィッド・チャプマン校訂版)
聖フローリアン・アルトモンテO
レミ・バロー(指)

録音:2023年8月19日(ライヴ)
聖フローリアン修道院教会、ザンクト・フローリアン(オーストリア北部オーバーエスターライヒ地方)
※GRAM99311ブルックナー:交響曲全集より分売
リンツ郊外のザンクト・フローリアンにある聖フローリアン修道院は、かつてアントン・ブルックナーが聖歌隊で歌い、オルガニストを務め、今はその墓所となってい る場所。ここでは、古くは朝比奈隆と大阪フィルの第7番、カラヤンやブーレーズとウィーン・フィルの第8番など巨匠たちによる記念碑的なブルックナー演奏が 繰り広げられてきました。同地でブルックナーの没後100年を記念して1996年に創設されたのが、聖フローリアン・アルトモンテOとブルックナー週間 (Bruckner-Tage)音楽祭です。このアルバムは昨年発売された交響曲全集BOXに初出音源として含まれていた交響曲ニ短調の分売です。 演奏にはアメリカの音楽学者ディヴィッド・N・チャップマンの2023年校訂版が用いられており、このシリーズ共通でテンポは遅めで、とりわけ第1楽章は18分 という異例の長さ。これは録音場所の持つ長い残響の中で響きを濁らせないためで、チェリビダッケに私淑していたバローのこだわりが感じられます。

Capriccio
C-8095(1CD)
NX-B10

NYCX-10474(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価

ブルックナー:交響曲第3番ニ短調(第2稿)、
アダージョ(1876年/ノーヴァク校訂版)*
ウィーンRSO
リンツ・ブルックナーO*
マルクス・ポシュナー(指)

録音:2023年11月22日 ウィーン、放送文化会館&11月24日 ウィーン、ムジークフェライン
2023年2月22日 リンツ、ムジーク*
ブルックナーがワーグナーに献呈したことで「ワーグナー」のニックネームを持つ第3番には3つの稿があり、改訂の度に全体は短くなって、ワーグナー作品からの 引用は削られてゆきます。第3稿の完成時にはブルックナーは第5番まで書き終えており、その経験が反映されていますが、この経過を「完成度を高めた」と 取るか、「オリジナリティが減じた」と取るか、研究者でも評価が分かれます。CAPRICCIOの#bruckner2024では3つの稿すべてに加え、第1稿と第2稿 の間に作曲された1876年のアダージョも収録(ノーヴァクが「アダージョ2」と命名したもの)。これで第3番創作と改訂の軌跡を同一指揮者の解釈でたどれる こととなりました。 ポシュナーの解釈は重々しいサウンドやテンポから決別し、見通しよく、細部の指示をわかりやすく音にしてゆく姿勢で当初から一貫してきました。1876年の アダージョにはティントナーやヴァンスカの録音があり、いずれも演奏時間20分を越えますが、ポシュナーは約16分。瞑想性よりも清らかな抒情が感じられま す。それでも第2稿(1877年)の第2楽章(アンダンテ…クワジ・アダージョ。演奏時間約14分)と比べると、この微妙なテンポ指定の違いをしっかりと認識して 指揮していることがわかります。こうした態度は、異稿の録音が集積された今こそ意義や効用があらためて実感されることでしょう。 ブルックナー研究家のウィリアム・キャラガンはブルックナーの異稿について「自分の好み、理想の姿、究極の形を探すのはやめよう。すべてのスコアには価値が ある。特に第3番は傑作だ。どのような姿であろうとも」と語っており、その言葉に感じるところのあるファンには是非聞いて頂きたい1枚です。 ※国内仕様盤には石原勇太郎氏(音楽学/国際ブルックナー協会会員)による日本語の解説が付属します。


ICA CLASSICS
ICAC-5179(2CD)
NX-D03
ボールト〜初出ライヴ音源集

(1)ベートーヴェン::交響曲第3番「英雄」
(2) ベートーヴェン:『献堂式』 序曲
(3)ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲
(4)シューベルト:交響曲第9番「ザ・グレート」
(5)ウェーバー:「オイリアンテ」 序曲
(6)ロッシーニ:「絹のはしご」 序曲
(7)ケルビーニ:「アナクレオン」 序曲
エイドリアン・ボールト(指)

(1)LPO
録音:1972年5月10日 ロイヤル・フェスティバル・ホール、ロンドン
(2) BBCウェールズO
録音:1973年6月19日 BBCカーディフ放送局コンサートホール
(3)BBC響
録音:1976年10月3日 マイダ・ヴェール・スタジオ、ロンドン
(4)BBC響
録音:1977年3月2日 ロイヤル・フェスティバル・ホール、ロンドン
(5)BBCウェールズO
録音:1973年6月22日 BBCカーディフ放送局コンサートホール
(6)BBCスコティッシュSO
録音:1973年8月4日 BBCグラスゴー放送局コンサートホール
(7)ロイヤルPO
録音:1963年3月8日 ロイヤル・フェスティバル・ホール、ロンドン

全てライヴ録音(ステレオ)
BBCのアーカイヴから、エイドリアン・ボールトのライヴ音源が登場。いずれもこれまで商業発売の無いもので、Re:Soundのポール・ベイリー が丁寧なリマスターを行い、オリジナル・マスターテープから素晴らしい音を引き出しています。中でもメインと捉えられる3曲、ライヴ音源初登 場の「英雄」、名演として知られる1972年のスタジオ録音を凌ぐライヴならではの「ザ・グレート」、そして「ハイドン変奏曲」は、演奏がたいへ ん立派なうえに音質も良く、これらだけでもお宝ものの発掘と言えそうです。さらに「献堂式」はボールトにとって初登場レパートリー、「オイリア ンテ」はステレオ録音初登場と小品も充実。ボールトといえばホルストやエルガー、ヴォーン・ウィリアムズなどの英国音楽の解釈で知られます が、1912-13年にはライプツィヒ音楽院でニキシュに(指)レーガーに作曲の教えを受けており、ワインガルトナー、フルトヴェングラー、ワル ターといったドイツ系の指揮者たちに心酔していたこともあって、ドイツ音楽にもまた多くの名演を残しています。これはそんな巨匠の一面を新 たな音源で再確認することの出来るという意味でも、たいへん貴重な2枚組です。

ICA CLASSICS
ICAB-5180(6CD)
NX-G11
レオポルド・ストコフスキー/BBCレジェンズ・グレート・レコーディングス

(1)マーラー:交響曲第2番ハ短調 「復活」
(2)ショスタコーヴィ:交響曲第5番ニ短調 Op.47「革命」
(3)ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲第8番 ニ短調
(4)スクリャービン:法悦の詩 Op.54
(5)ベルリオーズ:幻想交響曲 Op.14
(6) レオポルド・ストコフスキーとデリック・クックの対話(インタビュー約9分)
(7) ブリテン:青少年のための管弦楽入門 Op. 34
(8)ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調 Op. 92
(9)ファリャ:恋は魔術師
(10) オットー・クレンペラー:メリー・ワルツ
(11)ヴォーン・ウィリアムズ:トーマス・タリスの主題による幻想曲
(12)ラヴェル:スペイン奇想曲
(13)ブラームス:交響曲第4番ホ短調 Op.98
(14)ノヴァーチェク(ストコフスキー編):常動曲(無窮動) Op.5-4

●ボーナス・ディスク(AVRO音源)
(15) ラヴェル:ファンファーレ 〜『ジャンヌの扇』
(16)フランク:交響曲 ニ短調
(17)プロコフィエフ:カンタータ「アレクサンドル・ネフスキー」 Op.78*
レオポルド・ストコフスキー(指)

(1)レイ・ウッドランド(S)、ジャネット・ベイカー(C.A)、BBC合唱団、BBCコーラル・ソサエティ、ゴールドスミス・コーラル・ユニオン、ハロー・コーラル・ソサエティ、LSO
録音:1963年7月30日 ロイヤル・アルバート・ホール、ロンドン (BBCプロムス) モノラル(ICA Ambient Mastering)
(2)LSO
録音:1964年9月17日 ロイヤル・アルバート・ホール、ロンドン ステレオ
(3)BBC響
録音:1964年9月15日 ロイヤル・アルバート・ホール、ロンドン ステレオ
(4)(5)ニュー・フィルハーモニアO
録音:1968年6月18日 ロイヤル・フェスティバル・ホール、ロンドン ステレオ
(7)(8)BBC響
録音:1963年7月23日 ロイヤル・アルバート・ホール、ロンドン(BBCプロムス) ステレオ
(9)グロリア・レーン(Ms)、BBC響
録音:1964年9月15日 ロイヤル・アルバート・ホール、ロンドン(BBCプロムス) ステレオ
(10) -(13)ニュー・フィルハーモニアO
録音:1974年5月14日 ロイヤル・アルバート・ホール、ロンドン ステレオ
(14)LSO
録音:1964年9月21日 ロイヤル・アルバート・ホール、ロンドン ステレオ
●ボーナス・ディスク
ソフィア・ヴァン・サンテ(Ms)*、オランダ放送合唱団*、オランダ放送PO
録音:1970年8月22日 デ・ドゥーレン、ロッテルダム ステレオ
BBC LEGENDSレーベルで発売されていたストコフスキーのライヴ音源5枚と、オランダの総合ラジオ放送協会(AVRO)に残されMedici MastersからCDが発売されていたロッテルダムでのライヴをセットとし、新たにリマスターを施したBOXセットが登場。ストコフスキー自身が書き 残した彼が理想とする音を目標として、Re:Soundのポール・ベイリーによって丁寧にリマスターが施されており、その特異なアゴーギクや楽器 法を鮮明かつダイナミックに楽しむことが出来ます。マーラーの「復活」がBBCプロムスで初めて演奏された際の、聴衆を激しい興奮に巻き込 んだライヴに始まり、ストコフスキーらしいカオス的な演奏が楽しめるショスタコーヴィチやベルリオーズ、大成功を収めたベートーヴェンの7番や、 ブラームスの4番など名演揃いで知られる生まれ故郷のロンドンでの最後の演奏会、得意としたフランクのオランダでの完成度高いライヴな ど、収録内容もたいへん素晴らしいものです。CD3にはマーラーの交響曲第10番補筆完成でも知られる音楽学者デリック・クックによるイン タビュー(英語)も収録。セットにブックレットは封入されておらず、収録データなどはスリーブケースに記載されています。

DUX
DUX-2022(1CD)
グジェゴシュ・フィテルベルク:交響曲ホ短調 Op.16(世界初録音) ウカシュ・ボロヴィチ(指)、
ポズナンPO

録音:2023年10月6日、アダム・ミツキェヴィチ大学講堂(ポズナン、ポーランド)
ポーランド楽壇の次代を担う若き名匠、ウカシュ・ボロヴィチが推し進めている知られざるポーランドの音楽家が遺した作品の発掘シリーズに加わるのは、グジェゴシュ・フィテルベルクの交響曲!
本アルバムでは、現在のラトビア出身のユダヤ系ポーランド人のヴァイオリニスト、作曲家、指揮者として活躍し、シマノフスキ、カルウォヴィチ、ルジツキ、シェルトらと共に若きポーランド(ムウォダ・ポルスカ)の一員でもあったグジェゴシュ・フィテルベルクが作曲した唯一の交響曲を世界初録音。
フィテルベルクは、著名な指揮者であり、精力的なプロモーターでもあったなど、さまざまな側面を持つ人物としても知られ、1918年のポーランド独立回復、第二次世界大戦後も、ポーランド音楽に多大な影響を与えました。1904年に作曲されたこの作品は、交響曲全体の中心的モチーフとなる主題が含まれた第1楽章、旋律美溢れる第2楽章、躍動感と現代的和声を用いた第3楽章など、当時のヨーロッパの流行を吸収した証拠が各所に見られ、フィテルベルクがしばしば指揮をしたカルウォヴィチやシマノフスキの初期の作品とともに、ポーランドの交響曲の発展における極めて重要な位置を占めています。 ポーランドの傑出した指揮者であり、忘れ去られた作品のたゆまぬ発掘者でもあるウカシュ・ボロヴィチが、この作品の解釈の可能性を見事に引き出しています。

Danacord
DACOCD-932(2CDR)
トマス・イェンセンの遺産 第22集

(1)モーツァルト:交響曲第33番変ロ長調 K.319
(2)ヴァイオリン協奏曲第3番ト長調 K.216*
(3)交響曲第34番ハ長調 K.338
(4)交響曲第39番変ホ長調 K.543- 第3楽章「メヌエット」#
(5)コレッリ:合奏協奏曲ハ短調 Op.6No.3
(6)J.C.バッハ:序曲(シンフォニア)変ロ長調 Op.18-2
(7)ハイドン:ノットゥルノ第7番ハ長調 Hob.II:31
(8)モーツァルト:セレナード第6番「セレナータ・ノットゥルナ」**
(9)歌劇「フィガロの結婚」 序曲
(9)歌劇「魔笛」序曲
トマス・イェンセン(指)、
デンマークRSO、
ティヴォリSO#、
トゥター・ギウスコウ(Vn)*
レーオ・ハンセン(Vn1)**、
アーネ・カレツキ(Vn2)**、
ゴナ・フレゼリクセン(Va)**、
ヘリエ・プロウ(Cb)**

(1)録音:1961年10月23日、放送コンサートホール(ライヴ放送)
(2)録音:1962年5月11日、カジノ・スレーイルセ(ライヴ放送)
(3)録音:1958年5月7日、エスビェア(ライヴ放送)
(4)録音:1942年秋
(5)録音:1962年11月19日(室内コンサート)
(6)録音:1962年9月27日(火曜コンサート)
(7)録音:1962年11月19日(室内コンサート)
(8)録音:1961年10月23日、デンマーク放送コンサートホール(ライヴ放送)
(9)録音:1962年5月11日、カジノ・スレーイルセ(ライヴ放送)
(9)録音:1958年5月7日、エスビェア(ライヴ放送)
20世紀のデンマーク楽壇を牽引した名指揮者、トマス・イェンセン(1898-1963)の遺産シリーズ第22集には、彼の得意としたバロックと古典のレパートリーから、コペンハーゲンとデンマーク国内ツアーの録音が集められました。イェンセンのモーツァルトは、弾むリズムと洗練されたスタイルに特色があったといわれ、トゥター・ギウスコウ(1930-2023)がソロを弾いたモーツァルト10代の「最良の果実」のひとつ、ヴァイオリン協奏曲第3番にその一端が示されます。ギウスコウは1951年からティヴォリSOのリーダーを務め、1954年からデンマーク王立Oに入団。団のメンバーと共にコペンハーゲンSQを結成したことでデンマーク音楽史に名を残しています。
※当タイトルは、高品質メディア(SONY DADC/Diamond Silver Discs)を使用した、レーベル・オフィシャルのCD-R盤となります。

SOMM
ARIADNE-5027(2CD)
NX-D05
ブルックナー:交響曲ニ短調、第2番他

(1)ミサ曲第2番ホ短調 WAB27(1882)
(2)交響曲ニ短調 WAV100(1869/ヴェス版)*
(3)交響曲第2番ニ短調 WAB102(ハース版)*
(1) カール・フォルスター(指)BPO、聖ヘトヴィヒ大聖堂が
(2) エドゥアルト・ファン・ベイヌム(指)
アムステルダム・コンセルトヘボウO
(3)ゲオルク・ルートヴィヒ・ヨッフム(指) ケルンRSO

録音:(1)1956年6月24日-7月1日 ベルリン、ヴィンターガルテン【Electrola E80010】、
(2)1955年3月13日 アムステルダム、コンセルトヘボウ(ライヴ)・オランダ放送のエアチェック
(3)1962年4月 ケルン、西部ドイツ放送局(WDR)ゼンデザール・西部ドイツ放送のエアチェック
*=初出
アメリカ・ブルックナー協会の事務局長で、放送業界でも活躍したジョン・F・バーキーの11,000本にも上るエアチェック・テープから、選りすぐりの音源で交響 曲全集をCD化するブルックナー・フロム・アーカイヴ第2巻。このシリーズは同協会の総裁でブルックナー研究者のベンジャミン・コーストヴェットが監修と解説 執筆を担当していることも注目で、当巻には1868年から73年の間に書かれた2曲の交響曲に加えてミサ曲第2番を収めています。 ニ短調交響曲の演奏はエドゥアルト・ファン・ベイヌム指揮のコンセルトヘボウ管。このコンビが第7番(1953年)、第8番(55年)、第9番(56年)と集中してブ ルックナーに取り組んでいた時期の演奏だけに出来栄えに期待されます。楽譜は1927年にウニヴェルザール出版社から出たブルックナー交響曲全集所収 のヨーゼフ・ヴェナンティウス・ヴェス(1863-1943)校訂版を使用。コーストヴェットによれば「ベイヌムらしい、キビキビとした演奏」とのこと。第2番はオイゲン・ ヨッフムの弟ゲオルク・ルートヴィヒ・ヨッフムのケルン放送響。コーストヴェットはこの演奏について「とても優れた演奏。深い情感、輝かしい想像力、充実した響 きを持つ作品として第2番を聞かせてくれる」と評しています。冒頭に収められたミサ曲第2番の指揮者カール・フォルスターは哲学や神学を学んだ人で、 1934年から63年までベルリンの聖ヘトヴィヒ大聖堂の楽長を務めました。戦時中は演奏を禁じられるなどの苦労をしましたが、戦後はいち早く合唱団を復 活させ、1961年には招かれてローマ教皇のために演奏しました。CDにはソリストの名前がありませんが、初出LPによればアグネス・ギーベル、マルガ・ヘフゲ ン、ヨゼフ・トラクセル、ゴットロープ・フリックが歌っています。

Goodies
78CDR-3939(1CDR)
シューマン:交響曲第4番ニ短調作品120 ブルーノ・ワルター(指)LSO

英 HMV DB3793/5
1939年4月26日ロンドン録音
ブルーノ・ワルター(1876-1962)はドイツ生まれ。ベルリンのシュテルン音楽院 を卒業後にピアニストとしてデビュー、後に指揮者に転向した。1894年ハンブ ルク歌劇場の指揮者だった時、音楽監督のマーラーと出 会い交友を深めた。その後ウィーン国立歌劇場、バイエルン州立歌劇場、ベル リン市立歌劇場、ライプツィヒ・ゲヴァントハウスOなどの楽長、音楽 監督を歴任。またウィーン・フィルやベルリン・フィルを指揮した。1938年オ ーストリアがナチスに併合されると、迫害を避けてフランス、イギリスを経由 してアメリカに逃れた。この録音はその途中に立ち寄ったロンドン(グッディーズ)

Altus
OALTSA-002(1SACD)
シングルレイヤー
完全限定生産
初SACD化
日本語帯・解説付
ブラームス:交響曲全集 ラファエ ル・クーベリック(指)
バイエルンRSO

録音:1983年4月26-29日、5月3-6日/ミュンヘン
忘れがたいORFEOの名盤をALTUSがライセンスしリマスター、初SACD化。より生々しく生まれ変わった高音質盤で演奏の素晴らしさが一層ひきたち、スケー ルの大きな音楽として耳に心に迫ってきます。
クーベリックが鍛え上げたバイエルン放送響と残した83年のブラームス。ライヴによる唯一の全集録音です。対抗配置を採用、透明な響きを基調としながらもブ ラームスの薫り高い音楽を薄めることなく充実の響きに昇華した「情熱的なモダニスト」クーベリックならではの名演。全体を見据える視野の広さとバランス感覚、 楽器の音色の繊細微妙な混ぜ方、燃えるべくして燃えるクライマックスなど4曲とも聴き応え抜群です。
「決して、極端な方向には偏らない。クーベリックはロマンティシズムとモダニズムを両方兼ね備えた音楽家だった。二つの潮流が流れ込む汽水域を悠々と、エレ ガントに泳ぎ切った指揮者だった。このブラームス演奏は、そんな彼の芸術の一つの到達点だ。」(鈴木淳史氏の解説より)

SACDの利点を活かし、1枚のディスクに全曲を長時間収録しております。
Altus
OALTSA-003(1SACD)
シングルレイヤー
完全限定生産
初SACD化
日本語帯・解説付
モーツァルト:交響曲第39-41番、他
交響曲第39番変ホ長調 KV543
交響曲第40番ト短調 KV550
交響曲第41番ハ長調「ジュピター」 KV551
フリーメイソンのための葬送音楽 ハ短調 KV 477
オイゲン・ヨッフム(指)
バンベルクSO

録音:1982年3月22-24日、11月18-20日/バンベルク、クルトゥーアラウム
忘れがたいORFEOの名盤をALTUSがライセンスしリマスター、初SACD化。より生々しく生まれ変わった高音質盤で演奏の素晴らしさが一層ひきたち、スケー ルの大きな音楽として耳に心に迫ってきます。
流麗きわまりない音楽に満たされた晩年ヨッフムのモーツァルト3大交響曲。中庸のテンポをわきまえ悠然とした足取りでたっぷりと響かせながらも、まったく 一本調子にならず様々な楽想が活き活きと耳に飛び込んできます。モーツァルトの音楽がここまで自然に湧きあがり空気に溶けていく演奏はなかなかありません。 「ジュピター」はリマスター効果も目醒ましく、終楽章フーガなどまさに神の音楽!併録の「葬送音楽」も至高の名演です。
「フレージングはじつに明晰。その巧みな包丁さばきは、まさに和食の名料理人をも思わせる。そして、和声によるふくよかな味付け。ヴィオラや木管などによる 中声部がほどよく前に出て絶好のバランス作り出す。一見して簡単そうなのに、その実は難しいことをやってのける職人技が随所で光る。」(鈴木淳史氏の解説より)

SACDの利点を活かし、1枚のディスクに全曲を長時間収録しております。

ATMA
ACD2-2453(1CD)
シベリウス:交響曲第2番、第5番
交響曲第2番ニ長調 Op.43
交響曲第5番変ホ長調 Op.82
ヤニック・ネゼ = セガン(指)
モントリオール・メトロポリタンO

録音:2023年9月16日(第2番)、2023年3月3日(第5番)/モントリオール・シンフォニー・ハウ
2019年に始まったネゼ=セガンとモントリオール・メトロポリタンOによるシベリウスの交響曲全集の第3弾。全曲中とくに人気の高い2作である第2 番と第5番を収録しています。
この2曲は15年を隔てて書かれた作品で、それぞれがシベリウスの音楽様式のひとつの頂点を形成しています。第2番は愛国心とロマンティシズムに満たされ た大きな作品で、じっくりと練り上げられたフィナーレが雄大に鳴動。一方、第5番は集中と厳格さが徹底的に追求され、第3番以降の小型交響曲における高度な 成熟が達成されています。
モントリオール生まれのネゼ=セガン、同郷オケとの相性は抜群で、こまやかなコントロールが行き届いたみごとな演奏を披露しています。ふくよかな響きをたっ ぷりと鳴らしつつも締めるところは締め、寄せては返す心地よい音楽の波を巧みに想像。2曲とも最終盤の幸福感がすばらしいです。少し暗めの音色もシベリウス と絶妙にマッチしており、ふとした瞬間に秋のわびしさを感じさせるような味わいも。
録音優秀。管楽器の質感やコントラバスの強奏がしっかりとわかります。第5番の終楽章ではシベリウスがいかに複雑なモザイクのように音を各パートに散りば めて全体を描いているのかが、その優れた音響効果から如実に伝わってきます。 (Ki)

ACCENTUS Music
ACC-30605CD(1CD)
ブルックナー:交響曲第9番 ニ短調 WAB109 ヤクブ・フルシャ(指)
バンベルクSO

録音:2022年11月、ヨーゼフ・カイルベルト・ザール
2024年クラシック音楽界はブルックナーの生誕200周年に沸いており、続々と注目の録音がリリースされています。今回登場するのは、2016年から首 席指揮者を務めているヤクブ・フルシャとバンベルクSOによるブルックナーの未完の交響曲第9番。両者は3つの稿による交響曲第4番(KKC-6613 /ACC-30533CD)の録音も行っており、長年のブルックナー演奏の経験から生まれた充実した演奏を聴かせています。 1894年11月30日、ブルックナーは交響曲第9番の第3楽章を完成させました。他の交響曲と同様に4楽章構成の作品として作曲されていましたが、そ の当時すでにブルックナーの体調は悪化。終楽章の作曲は彼の死の16か月前の1895年5月24日に開始されています。彼はこの楽章の172小節目まで 書き上げ、その後、200小節分は部分的にオーケストレーションされています。現在では、多くの補筆完成版が存在し演奏されていますが、今回フルシャはブルッ クナーによって完成された3楽章までの演奏を行っています。 ヤクブ・フルシャはバンベルクSOとの契約を2029年まで延長しており、両者の良好な関係が生んだ新録音となっています。 (Ki)

オクタヴィア
OVCL-00839(1SACD)
税込定価
2024年4月24日発売
ショスタコーヴィチ:交響曲第10番ホ短調 作品93 井上道義(指)NHK響

録音:2022年11月12-13日NHKホール・ライヴ
指揮者井上道義にとってショスタコーヴィチは生涯のテーマであり、その深く錯綜する心情に共鳴しつつ 寄り添ってきました。「ショスタコーヴィチは自分自身だ」と言うほど、オーバーラップできる絶対的な 何かがあるからこそ追求し続けられているのでしょう。何か…とは、ライナーノートの荒井英治氏(ヴァ イオリニスト)の言葉を借りると、圧倒的な「コンチクショー的飢餓感」かもしれません。きっと引退後 もショスタコーヴィチとともに生活しているのではないでしょうか。 2022年11月のN響との録音ですが、すでにロシア・ウクライナ戦争(2022年2月24日〜)が始まっており、 ショスタコが憑依したかの如く聴く者に様々な感情を抱かせる渾身の演奏となりました。(オクタヴィア)

Capriccio
C-8094(1CD)
NX-B10

NYCX-10469(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価

ブルックナー:交響曲第1番ハ短調(第2稿/ギュンター・ブロシェ校訂版)

.スケルツォ(1865年/ヴォルフガング・グランジャン校訂版)
リンツ・ブルックナーO
マルクス・ポシュナー(指)

録音:2023年2月7-9日(交響曲)、2024年1月8日(スケルツォ)
リンツ、ムジークテアター・リハーサルホール
CAPRICCIOレーベルと国際ブルックナー協会の主導で、ブルックナーの生誕200年にあたる2024年中にブルックナーの全交響曲のすべての稿(バージョン) を録音する企画 「#bruckner2024」の第15弾。 交響曲作家ブルックナーのデビュー作「第1番」をめぐる興味深いアルバム。最後に収められた1865年作のスケルツォは第1番のスケルツォ楽章として作曲さ れたと見られますが、後に差し替えられたため、演奏・録音の機会に恵まれませんでした。主部は第1稿、第2稿のスケルツォとは別物ですが、トリオの素材は 共通しており、ブルックナーの音楽的成長を知る上で興味深いものです。ここでは1995年に出版された楽譜を使用。もはやブルックナーのスペシャリストの感 のある当コンビの録音は貴重な資料となります。 交響曲第1番は1865年に着手され、翌66年に完成(第1稿)、68年にリンツで初演された後、1877年以後数回の改訂を経て91年に改訂版(第2稿) が完成しました。2つの稿の間には基本的な素材や構造の面では大きな違いはありませんが、第8番までの経験をふまえて世に出された第2稿ではオーケス トレーションがより熟達し、アーティキュレーションやフレーズは理解しやすいように整えられています。この点をブルックナーのオリジナルの発想が薄められたと見る か、完成度が高められたと取るか、評価の分かれるところですが、作曲家が公認して出版した演奏会用バージョンとしての第2稿の地位が揺らぐことはなく、 両者を比べて楽しみたいところです。
※国内仕様盤には石原勇太郎氏(音楽学/国際ブルックナー協会会員)による日本語の解説が付属します。

FUGA LIBERA
FUG-824(1CD)
NX-C04
ルイーズ・ファランク(1804-1875):交響曲第3番ト短調 Op.36
シューマン:交響曲第3番「ライン」
南オランダPO
ダンカン・ウォード(指)

録音:2022年11月、2023年5月 オランダ(ライヴ/拍手入り)
19世紀のパリで、ピアニストとして作曲家として指導者として、当時の女性としては異例の活躍をみせた ルイーズ・ファランク。彼女の残した交響曲の最高傑作とされる第3番と、彼女を高く評価していたシュー マンのやはり最高傑作とされる第3番をカップリングした興味深いアルバム。フランスにありながらドイツ・ オーストリア系の古典派ロマン派の影響を強く受け、堅固な構造と美しさをもつファランクの交響曲。高 い演奏技術と深い読み込みにより、その真価を明らかにしています。シューマンもたいへん立派な演奏。

ONDINE
ODE-1443(1CD)
NX-B10


NYCX-10470(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価

フェルディナント・リース(1784-1838):交響曲集
交響曲第1番ニ長調 Op.23(1809)
交響曲第2番ハ短調 Op.80(1814)
タピオラ・シンフォニエッタ
ヤンネ・ニソネン(指)

録音:2024年1月9日〜11日
エスポー(フィンランド)、タピオラ・ホール
フェルディナント・リースは人気コンポーザー・ピアニストとして欧州各地を席巻し、ピアノ・ソナタやピアノ協奏曲をはじめ、交響曲、弦楽四重奏曲からオペラや オラトリオに至る幅広いジャンルに作品を書きました。しかし師が余りにも偉大であったためか、「ベートーヴェンの弟子」のイメージが強く、その交響曲もベートー ヴェン作品を思わせるフレーズが出て来ることに関心が向けられがちで、なかなか独自の評価を得られずにいました。状況が変わったのは2020年代になってか ら。日本でリースの評伝が出版され、2024年2月には飯森範親の指揮でパシフィック・フィルハーモニア東京が全曲演奏会を開始。更にリースが1813年に 演奏会を行ったことのあるフィンランドのONDINEから交響曲全集の開始が発表されたのです。 リースの交響曲全集録音はハワード・グリフィス(指)チューリヒ室内管(1997-2002、cpoレーベル)が今のところ唯一の存在。ここに登場したニソネン盤は オケのサイズは大差無いと思われますが、アプローチにはかなり違いがあります。基本テンポが快速であること、舞曲を思わせるフレーズでの軽やかに跳ねるよう な処理、アクセントの利いたティンパニやブラスなど、古楽演奏のスタイルに通じる点が多く、音色は多彩で楽想ごとの表情付けは細かく且つ濃密。ころころと 表情を変えてゆくリースの音楽を、爽快な流れに乗って細大漏らさず伝え、その創意の豊かさで聴き手を驚かせます。世界初の全集として高品位のスタン ダードを目指したであろう端正なグリフィス盤に対して、ニソネン盤は作品の持つ感情表現のポテンシャルを引き出すことに挑戦し、見事な成果を挙げていま す。ベートーヴェンの名を借りなくても、聴く人を驚かせ感心させる作品であることを知らしめる快演と言えるでしょう。 ヤンネ・ニソネンは、ヴァイオリンを学びソリストやオーケストラのリーダーを務めた後、指揮を始め、ヘルシンキ・フィルやフィンランド放送響などフィンランドの主要 オーケストラを指揮しています。タピオラ・シンフォニエッタは1987年の創設で、その高度な演奏能力は現代音楽の分野でいち早く評価されてきましたが、近 年では古典的作品だけではなくブルックナーやマーラーの交響曲なども手掛けています。常任メンバーは44名で、この録音では第2ヴァイオリン首席を城代さ や香(きのしろさやか)が務めています。ONDINEからは年内に第3番と第4番の発売を予定しています。
※国内仕様盤には相場ひろ氏による日本語解説が付属します。

OEHMS
OC-1730(1CD)
NX-B10
エルガー:序曲「コケイン」Op.40
交響曲第1番Op.55
マンハイム国立劇場O
アレクサンダー・ソディ(指)

録音:2023年6月5-6日、2021年10月18-19日
2016/17年のシーズンからマンハイム国立劇場Oの音楽監督を務め、オーケストラのレパートリーを飛躍 的に拡大させた功績が知られる1982年オックスフォード生まれの中堅指揮者アレクサンダー・ソディ。前作のメシア ン:トゥーランガリラ交響曲(OEHMS OC472)では大規模なオーケストラを自在に操り、煌びやかな音楽を披露 しましたが、今作では彼のお国もののエルガーの2作品を演奏。明るく賑やかな序曲「コケイン」、長大重厚な「交 響曲第1番」と、各々の作品の持つ性格を鮮やかに描き分け、共感溢れる演奏を聴かせています。

SOMM
ARIADNE-5026(2CD)
NX-D05
フランツ・シュミット:交響曲第4番ハ長調(1933)*
オラトリオ『7つの封印の書』
ウィーンSO*
ルドルフ・モラルト(指)*
ヨハネ…ユリウス・パツァーク(T)
主の声…オットー・ヴィーナー(Bs)
四重唱…ハンニー・シュテフェク(S)/ ヘルタ・テッパー(A)/
エーリヒ・マイクート(T)/ フレデリック・ガスリー(Bs)
フランツ・イーレンベルガー(Org)
グラーツ大聖堂聖歌隊
ミュンヘンPO
アントン・リッペ(指)

録音:1954年9月7日 ウィーン・ムジークフェライン(オーストリア) MONO…*
1962年1月 シュテファニエンザール、グラーツ(オーストリア) STEREO
全て初CD化
プレスブルク(現在はスロヴァキアの首都ブラチスラヴァ)に生まれ、14歳の時に家族とともにウィーンに移り、ウィーン音楽アカデミーにて作曲をロベルト・フック スに、チェロをフェルディナント・ヘルメスベルガーに師事したフランツ・シュミット。卒業後はマーラー指揮のVPOのチェリストを務め たほどのチェロの腕前を誇っただけではなく、作曲家としても、独自の和声表現と対位法スキルを示し、1933年作曲の交響曲第4番はハンス・プフィッツナー に「ブルックナー作品よりも完璧に近い」と評されたほどの出来栄えを誇っています。 このアルバムには前述の交響曲第4番と1938年に完成されたオラトリオ『7つの封印の書』の歴史的録音を収録。 交響曲第4番が成功を収めた後、当時迫りくる世界情勢の悪化と自身の健康状態の悪化を鑑み、シュミットが自らの作曲活動の集大成として構想したの が新約聖書の『ヨハネの黙示録』を題材としたオラトリオ『7つの封印の書』です。こちらは大規模な管弦楽と独唱、混声合唱、オルガンを要する作品で 1938年に完成。ウィーン楽友協会創設125周年記念行事の一つとして、同年6月15日にウィーンで初演されました。アルバムに収録された1962年ライ ヴ録音は、ワルター指揮の「大地の歌」(1952)の情熱的な名唱で知られるユリウス・パツァークを筆頭に、ワーグナー歌手として名高いオットー・ヴィーナーを ソリストに迎え、聖職者としても知られるアントン・リッペが指揮を執り、劇的、かつ崇高な演奏を披露しています。交響曲第4番はウィーン国立歌劇場の首 席指揮者を務めたルドルフ・モラルトの指揮。 当CDは交響曲第4番がEpic LC3164、 『7つの封印の書』がAmadeo AVRS5004/05の復刻です。

CPO
CPO-777216(4CD)
CPO-B4

NYCX-10471(4CD)
日本語解説付国内盤
税込定価

フェルディナント・リース(1784-1838):交響曲全集
■CD1
交響曲第1番ニ長調 Op.23(1809)
交響曲第2番ハ短調 Op.80(1814)
■CD2
交響曲第5番ニ短調 Op.112(1813)
交響曲第3番変ホ長調 Op.90(1815)
■CD3
交響曲第4番ヘ長調 Op.110(1818)
交響曲第6番ニ長調 Op.146(1822)
■CD4
交響曲第7番イ短調 Op.181(1835)
交響曲第8番変ホ長調 WoO30(1822)
チューリヒ室内O
ハワード・グリフィス(指)

録音:チューリヒ、ノイミュンスター教会、1999年9月(CD1)、2001年8月(CD3)、2002年5月(CD4)
チューリヒ、ラジオスタジオ1、1997年9月(CD2)

※仕様変更:CD4がSACDハイブリッドから通常CDに、パッケージがマルチケースになりました。
1809年から1835年まで、「クラシック作曲家になりたい」という願いのもとに書かれた渾身の交響曲群は、驚くべきネタの宝庫だった! 師ベートーヴェンの 初期作に似たトリッキーな幕開けの『交響曲第1番』、「運命」動機が支配する『第5番』、バロック・テイストの『第6番』、モーツァルトの「ジュピター交響曲」 を彷彿とさせる『第8番』。19世紀初頭、音楽家が「クラシック作曲家」を名乗るためにクリアしなければならなかった課題の全てがここにある。芸術とは、クラ シックとは、オリジナリティとは何なのか。その答えを探している方にもお聴きいただきたい交響曲集。--かげはら史帆 1784年にボンで生まれたリースは1801年にウィーンに移り、ベートーヴェンに師事。後に人気コンポーザー・ピアニストとして欧州各地を席巻しました。ピア ノ・ソナタやピアノ協奏曲を始め、交響曲、弦楽四重奏曲からオペラやオラトリオに至る幅広いジャンルに作品を書いたのは師ベートーヴェンに通じます。作 風は盛期古典派様式から初期ロマン派のスタイル。8曲の交響曲はすべてオーソドックスな4楽章構成で、曲想も構成も親しみ易く、ベートーヴェン作品を 思わせるモチーフが随所に登場します。2024年2月にはパシフィックフィルハーモニア東京が飯森範親の指揮で交響曲第1番が日本初演されたのに続き、7月には同メンバーにて交響曲第2番の 日本初演も予定されているなど、ますます古典派の作曲家としてのフェルディナント・リースへの注目が高まっています。 国内仕様盤には『ベートーヴェンの愛弟子〜フェルディナント・リースの数奇なる運命』の著者、かげはら史帆氏による日本語解説が付属します。


Altus
ALT-544(2CD)
ブルックナー:交響曲第9番ニ短調 WAB109
(石原勇太郎による第4楽章 新補筆完成版)
坂入健司郎(指)
タクティカート オーケストラ

ライヴ録音:2023年10月11日東京芸術劇場 コンサートホール
ブルックナー生誕200周年に沸く2024年、その前哨戦として2023年10月11日(ブルックナーの命日!)に行われた特別演奏会のライヴ録音です。ブルッ クナー最後の交響曲であり未完の大作である第9番を、ブルックナー研究の第一線をゆく石原勇太郎氏による補筆完成版で収録。この演奏会でお披露目された補完 版のため、もちろん世界初録音。ブルックナーの交響曲を心底敬愛する坂入健司郎の指揮と、2020年に結成された新進気鋭の実力派楽団タクティカートオーケスト ラによる演奏です。若い世代のつくる新しいブルックナーの世界をお聴きください。
注目の第4楽章は、第3楽章までの流れや残された草稿を汲みつつもバランスの整ったフィナーレとして構築されています。最後にはまさにブルックナーといった 大きな終結和音がしっかりと鳴動。ブックレットには石原氏による構造解説も掲載されているので、繰り返し録音で聴き込めるのがありがたいところです
【第4楽章はこれまで多くの補筆が行われてきた。その中にあって、今回の新しい補筆最大の目的は「なるべくわかりやすい第4楽章」を示すことにある。誤解を 恐れずに言うならば、本補筆完成版は「「交響曲第9番」第4楽章入門」です。(石原勇太郎氏の解説より)】

■石原 勇太郎(音楽学・作曲)
千葉県八千代市出身。12歳からコントラバスを始め、東京音楽大学器楽専攻を卒業。卒業後音楽学に転向し、2016年、同大大学院修士課程音楽学研究領域修了。 専門は19世紀のドイツ・オーストリアの音楽、特にA.ブルックナー作品の分析研究。修士課程では「A.ブルックナーの交響曲第9番の全体構造――第4楽章の存 在と、その知られざる機能」と題した、交響曲第9番を4つの楽章で構成される交響曲として分析する研究を行い、高く評価された。現在も東京音楽大学大学院博 士後期課程で研究を続けており、全交響曲と全ての稿の調構造を、独自の方法で分析することでブルックナーの交響曲の新たな特徴を見出すことを試みています。研 究の他、国内オーケストラの定期演奏会曲目解説や、CDの付録解説等、音楽ファン向けの執筆にも積極的に取り組んでいます。作曲家としても活動しており、2014 年には第25回朝日作曲賞を受賞。受賞作は2015年度全日本吹奏楽コンクール課題曲として採用された。これまでにコントラバスを幕内弘司、永島義男、作曲を 村田昌己、藤原豊、指揮を三原明人の各氏に師事。また新垣隆氏の薫陶を受ける。国際ブルックナー協会、アメリカ・ブルックナー協会、日本音楽学会各会員。

BIS
BISSA-2721(1SACD)
ジョン・ピカード(1963-):作品集
交響曲第2番(1985-87)
ヴェルレーヌ歌曲集(2019-20rev.2022)(室内管弦楽共演のための版)*
交響曲第6番(2021)
エ マ・トリング(S)*
BBCウェールズ・ナショナルO
マーティン・ブラビンズ(指)

録音:2023年3月29〜31日ホディノット・ホール(カーディフ、ウェールズ)
イギリスの作曲家ジョン・ピカードは、独自の力強さをもつ、調性を大胆に拡大した語法の管弦楽と器楽の作品でもっともよく知られて います。ナッシュ・アンサンブルが彼の室内楽作品を演奏した『アレッポの園芸商』(BIS SA-2461)に次ぎ、2曲の交響曲と室内管弦楽共演の歌曲集がリリー スされます。
「交響曲第2番」は、1987年、ピカードが23歳の時に書き上げた作品です。アメリカのジャーナリストで作家のジョン・ハーシー John Hersey の著書、原 爆で焼かれた町の灰の中から再び存在を主張した植生を語る『Hiroshima(ヒロシマ)』に共感、インスピレーションを得て作曲されました。1989年3月、マンチェ スターでオダリーネ・デ・ラ・マルティネス指揮BBCフィルハーモニックOが初演。初めてプロのオーケストラによって演奏されたピカードの作品です。
「ヴェルレーヌ歌曲集」は、フランスの詩人ポール・ヴェルレーヌ Paul Verlaine の詩をテクストに作曲されました。「秋の日の ヴィオロンの ためいきの…」 という上田敏の訳で知られる『Chandon d’automne(秋の歌)』に始まり、恋する人への詩人の夢想といわれる『Le soleil d’or(黄金色の太陽)』で終わる。 表現の幅のある6つの詩が、ドラマティックな対比と気分の推移に沿ってつながっています。ソプラノのエマ・トリング Emma Tring は、ブリストル大学とギルド ホール音楽演劇大学で学び、今日の音楽を中心とするレパートリーでソリストとアンサンブル歌手として活動しています。
「交響曲第6番」は、COVID-19のパンデミックの真っ只中に作曲された作品です。穏やかに始まり、暗い「不安」の支配する気分に移ってゆく第1楽章。暗 闇からの救済をもたらす第2楽章。BISレーベル社長ロバート・フォン・バール氏に献呈され、この録音によって初めて演奏されました。
交響曲第5番や「協奏的変奏曲」を録音した(BIS SA-2261)マーティン・ブラビンズ指揮のBBCウェールズ・ナショナルOによるアルバムです。 (Ki)
BIS
BISSA-2757(1SACD)
モーツァルト:交響曲集
交響曲第34番ハ長調 K.338
メヌエット ハ長調 K.409
交響曲第35番「ハフナー」
交響曲第36番「リンツ」
フィルハーモニアO、
マイケル・コリンズ(指)

録音:2023年3月4〜6日フェアフィールド・ホールズ(クロイドン)
天才クラリネット奏者マイケル・コリンズ。近年は指揮者としても高く評価されており、この度フィルハーモニアOとモーツァルトの 交響曲交響曲第34番、35番「ハフナー」、36番「リンツ」を録音しました!
この3篇の交響曲はザルツブルクからウィーンに活動拠点を移したモーツァルト20代半ばの産物。大衆の好みに合わせ、多彩で変化に富んだ色彩豊かな音楽 がこれらの交響曲に見事にあらわれており、野心的な天才作曲家モーツァルトがヨーロッパの音楽の中心都市で確固たる名声を築こうとしていたことも示してい ます。
当アルバムには交響曲第34番のために書かれたのではないかと考えられるメヌエット ハ長調 K.409も収録。これまでモーツァルトのあらゆるクラリネット作品 を演奏・録音してきたコリンズだからこその深い解釈のもと、名門フィルハーモニアOから美しい響きを引き出しております! (Ki)

SILKROAD MUSIC
SRM-055SACD
(1SACD)
マーラー:交響曲第1番ニ長調「巨人」 ヤッシャ・ホーレンシュタイン(指)LSO

録音:1969年/クロイドン(ロンドン)
名演奏・優秀録音のライセンスでSACDハイブリッド盤をリリースしている香港のSILKROAD MUSICレーベル。当ディスクはUNICORNレーベルの誉れ 高き名盤、ヤッシャ・ホーレンシュタイン(指)LSOのマーラーの交響曲第1番「巨人」です。オリジナルのLPは入手難で知られるだけに、この度の SACDハイブリッド化でのリリースは大歓迎と申せましょう!
ワルターやクレンペラーと並んでマーラー、ブルックナー指揮者として高く評価されたホーレンシュタイン。フルトヴェングラーのアシスタントの経験から指揮スタ イルはフルトヴェングラーの影響も受けています。当演奏は深みのある独特な音色が魅力。動物の鳴き声、狩猟の角笛、村の踊り、葬送行進曲、英雄的で歓喜に満 ちた闘い、叙情的な回想など、この作品が持つ音世界を見事に表現しております。 (Ki)

Chandos
CHSA-5335(1SACD)
アルヴォ・ペルト:深き淵より
ショスタコーヴィチ:交響曲第13番 変ロ短調 Op.113「バビ・ヤール」
ヨン・ストゥールゴールズ(指)、
BBCフィルハーモニック、
アルベルト・ドーメン(Bs-Br)、
エストニア国立男声cho

録音:2023年3月19日-20日、メディア・シティUK(サルフォード)
2008年から2015年までヘルシンキ・フィルの首席指揮者を担い、その他にもラップランド室内Oの芸術監督を務め、現在はBBCフィルハーモニックとカナダ・ナショナル・アーツ・センターOの首席客演指揮者を務めているフィンランドを代表するマエストロ、ヨン・ストゥールゴールズ(ヨーン・ストルゴーズ)。2014年〜2015年に発売された「シベリウス:交響曲全集(CHAN- 10809)」と「ニールセン:交響曲全集(CHAN- 10859)」、2つの「生誕150周年記念盤」の世界的ヒットによって一躍脚光を浴び、その後ジョージ・アンタイルの管弦楽作品集(CHAN- 10941、CHAN--10982、CHAN--20080)でその秀でた実力を見せつけてくれました。また2023年1月に東京都SOとの来日公演を行い好評を博しています。
2020年に発売され、レコード芸術特選盤&優秀録音、英グラモフォン誌「Critics’ Choice」と高く評価されたショスタコーヴィチの「交響曲第11番」(RCHSA 5278/CHSA-5278)など、これまでも高く評価されてきたストゥールゴールズのショスタコーヴィチに通称「バビ・ヤール」の名を持つ「交響曲第13番」が加わります。初演時に当局から執拗な嫌がらせを受けながらも成功を収めた大作の真髄にストゥールゴールズがその深い洞察力で鋭く迫ります。

Evil Penguin Records
EPRC-0061(1CD)

XEPRC-0061(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価

スクリャービン:交響曲第2番ハ短調 Op.29 ブリュッセルPO
大野和士(指)

録音:2023年6月5日-7日、スタジオ4、フラジェ(ブリュッセル、ベルギー)
東京都SOの音楽監督、新国立劇場オペラ芸術監督、バルセロナSO音楽監督を兼務し、2022年9月1日からは縁の深いベルギーにおいてブリュッセル・フィルハーモニックの音楽監督として活躍中の日本を代表する指揮者の1人、大野和士。
急成長中のベルギーのレーベル「イーヴィル・ペンギン(Evil Penguin)」が、大野和士にとってベルギーにおける重要パートナーであるブリュッセル・フィルハーモニックとのレコーディング・プロジェクトをスタート。
注目度が高まるプロジェクトの第1弾となるのは大野和士自らが自身にとって「(様々な)作曲家の中で中心的かつユニークな役割を担っている」と評するアレクサンドル・スクリャービンの「交響曲第2番」です!
この日本においても東京都SOの指揮台に登壇しスクリャービンの交響曲を演奏して大喝采を浴びた大野和士にとって、その作品の数々は自家薬籠中の物。
さらに「ライヴ録音」ではなく「セッション録音」という点もレーベル、そしてベルギーの期待度の高さを表していると言えるでしょう。
ベルギーにおける大野和士体制のブリュッセル・フィルハーモニックの絶大な人気と充実ぶりを鮮明に伝えてくれる大注目のリリースです!

ALPHA
ALPHA-696(1CD)
HAYDN2032Vol.15〜王妃〜
ハイドン:交響曲第85番変ロ長調 Hob. I:85「王妃」
交響曲第62番ニ長調 Hob. I:62
交響曲第50番ハ長調 Hob. I:50
バーゼル室内O(古楽器使用)
ジョヴァンニ・アントニーニ(指)

録音:2021年3月16-18日&10月10-15日ドン・ボスコ、バーゼル、スイス
40年近くの歳月を通じて100曲以上の充実した交響曲を書き、門弟ベートーヴェンの同分野における新境地の開拓を導いた“交響曲の 父”ハイドン。作曲家生誕300周年の2032年までに、時に関連作も交えつつ現存する彼の交響曲を全て録音する「HAYDN 2032」プロ ジェクトで指揮を務めるのは、古楽器演奏の分野で目覚ましい存在感を発揮し続けてきた異才ジョヴァンニ・アントニーニ。2014年の企画 開始以来、指揮者と演奏者たちの才気と深い洞察が隅々まで行き届いた才気煥発な新解釈で注目を集めてきました。入念かつ順調に 中盤に差し掛かったプロジェクトの第15弾に選ばれたのは、ハイドンの作曲活動の拠点エステルハージ侯爵家での創造力の結実が遠隔地 から注目を集めつつあった作曲家40〜50代の充実作3曲。宮廷劇場を沸かせた舞台音楽に由来するドラマティックな書法を駆使、民俗 調と知的洗練の間でスリリングなバランスを聴かせるハイドン随一の手腕の魅力に、アントニーニのタクトが余すところなく光を当ててゆきます。 ナチュラル金管やティンパニが華やかに活躍する第50番、全楽章が同一調による異色の第62番、そしてフランス王妃マリー=アントワネット が愛したという逸話で知られる「パリ交響曲」中の白眉・第85番…古楽器を使いこなすバーゼル室内Oの妙演もさることながら、最 新研究を踏まえた背景解説(英仏独3言語、国内仕様盤では追補情報を含む日本語全訳付き )、テーマに沿った美麗写真を多数含む ブックレットの充実もこのシリーズならでは。作風の深まりに垣間見るハイドンの底知れぬ深さに気づかされる3曲、今回もじっくりお楽しみくだ さい。

BR KLASSIK
BR-900220(1CD)
NX-B08
ベルリオーズ:幻想交響曲 バイエルンRSO
コリン・デイヴィス(指)

録音:1987年1月15、16日(ライヴ)
ミュンヘン、フィルハーモニー・イン・ガスタイク(ドイツ)
2024年に創立75周年を迎えたバイエルンRSO(BRSO)のアーカイヴから、第3代首席指揮者コリン・デイヴィスが得意とした「幻想交響曲」の初 出音源が登場。すでに4種の録音があるデイヴィスの同曲ですが、他の録音とは一味違う演奏が展開されています。デイヴィスの「幻想交響曲」にはロンドン 響(1963年)、コンセルトヘボウ管(1974年)、ウィーン・フィル(1990年)、ロンドン響再録音(2000年)があり、特にコンセルトヘボウ盤はフィリップス・レーベ ル黄金期の名録音として同曲のベスト盤にしばしば挙げられてきました。感心するのは、この4種の録音を通じて演奏時間がほぼ同じであること。最短のコ ンセルトヘボウ盤(55:14)と最長のロンドン響再録音盤(56:44)との間の違いが1分半しかなく、各楽章の演奏時間にも大きなブレがありません。デイヴィ スの解釈がいかに完成されたものであったかを物語ります。そこに現れた当BRSO盤は拍手を除いて58:37と最長。特に第3楽章は他の演奏がいずれも 17分台前半なのに対して当盤は19分近くをかけており、荒涼とした心象風景を思わせる息詰まるような演奏になっています。フィナーレは落ち着いた歩み で始まりますが、半ばを過ぎたところからじわじわとテンポアップし、最終的にはコンセルトヘボウ盤とともに10分を切るタイムで終わります(拍手除く)。全体を 通して緊張感の高い演奏が続いた後だけに、聴衆が最後に味わったカタルシスは半端なかったようで、最後の音が鳴り終えるや大歓声が沸き起こっていま す。1983年から92年まで首席指揮者を務めながらBRSOとの「幻想交響曲」の録音が無かったので、彼のファンにとっては貴重な掘り出し物となるでしょ う。尚第2楽章はデイヴィスの常でコルネットを使用しています。

Myrios Classics
MYR-034(1CD)
ブルックナー:交響曲第9番ニ短調 WAB109(原典版/ノヴァーク校訂) フランソワ=グザヴィエ・ロト(指)
ケルン・ギュルツェニヒO

録音:2022年6月19-21日ケルン・フィルハーモニー(ライヴ)
ロト&ギュルツェニヒ管によるブルックナー全集録音第4弾、ついに第9番が登場。最晩年のブルックナーが残した3つの偉大な楽章に真正面から挑みます。 リリースのたびに作品イメージを書き換えてしまうほどの鮮烈さをみせる当シリーズ、今作も話題間違いなしの必聴演奏です。
すっきり見通しが良いのにしっかりとエネルギーにあふれ、重苦しくないのに重厚な説得力があり、オーケストラの能力をフルに引き出して完璧にコントロール するロトの指揮が全編に渡り冴えまくっています。曲のもつ大きなフレーズ、全体の流れにのせて音楽を奏でていく巧みな自然さが圧巻。対抗配置のヴァイオリ ン間で繊細に歌うヴィオラなど、声部バランスの美しさにも惚れ惚れします。丁寧かつ大胆に巨大な世界を生成していく第1楽章、『春の祭典』ばりに熾烈な リズムを打ち付ける第2楽章、純粋な美のなかで調性崩壊ぎりぎりの音響が心を震わす第 3楽章と、息つく暇もなく聴ききってしまいます。ブル9 の新たな名 盤を是非お試しあれ! (Ki)

BIS
BISSA-2459(1SACD)
C.P.E.バッハ:6つのシンフォニア『ハンブルク交響曲』とファンタジア集
シンフォニア第5番ロ短調 Wq.182-5(H.661)[T.アレグレット / U.ラルゲット / V.プレスト]*
ファンタジア ハ短調〜ソナタ ヘ短調 Wq.63-6(H.75)よりフィナーレ*
シンフォニア第3番ハ長調 Wq.182-3(H.659)[T.アレグロ・アッサイ* / U.アダージョ*# / V.アレグレット*]
ファンタジア ヘ長調 Wq.59-5(H.279)#
シンフォニア第2番変ロ長調 Wq.182-2(H.658)[T.アレグロ・ディ・モルト* / U.ポコ・アダージョ / V.プレスト#]
シンフォニア第4番イ長調 Wq.182-4(H.660)[T.アレグロ・ディ・モルト / U. ラルゴ・エド・イノチェンテメンテ / V.アレグロ・アッサイ]#
ファンタジア(即興)*
シンフォニア第6番ホ長調 Wq.182-6(H.662)[T.アレグロ・ディ・モルト / U.ポコ・アンダンテ / V.アレグロ・スピリトゥオーソ]#
ファンタジア ト短調 Wq.117-13(H.225)*
シンフォニア第1番ト長調 Wq.182-1(H.657)[T.アレグロ・ディ・モルト / U.ポコ・アダージョ / V.プレスト]#
マルツィン・シヴィオントキエヴィチ(チェンバロ*、フォルテピアノ#、指揮)
アルテ・デイ・スオナトーリ

録音:2022年8月7〜10日/ポーランド放送ルトスワフスキ・スタジオ(ワルシャワ)
1993年設立のポーランドのピリオド楽器団体アルテ・デイ・スオナトーリが鍵盤奏者マルツィン・シヴィオントキエヴィチの弾き振りで、 C.P.E.バッハの『ハンブルク交響曲』と鍵盤楽器のための幻想曲を録音しました。
C.P.E.バッハは、魅惑的な旋律、突然の遠隔転調、筆記体を思わせる流動的な表現からの意外な離脱など、常に聴き手を虜にする音楽を残しました。『ハンブ ルク交響曲』はC.P.E.バッハがハンブルク市のカントルと5つの大教会の音楽監督に着任した時期に当時のオーストリア大使ゴットフリート・ファン・スヴィーテン 男爵から委嘱された弦楽オーケストラ作品。極端なコントラストによって「破壊的」な音楽スタイルを示しており、アイディアの豊かさ、名人芸、作曲の鋭さから、現 在も多くの団体が演奏しています。シヴィオントキエヴィチ率いるアルテ・デイ・スオナトーリは最小編成の弦楽オーケストラで聴き手の心を揺さぶるような衝撃的 な演奏を披露しております。 (Ki)

オクタヴィア
OVCL-00767(2SACD)
税込定価
2024年3月20日発売
シューマン:交響曲全集
交響曲第1番変ロ長調作品38「春」
交響曲第2番ハ長調作品61
交響曲第3番変ホ長調作品97「ライン」
交響曲第4番ニ短調作品120
沼尻竜典(指)
トウキョウ・ミタカ・フィルハーモニア

録音:2021年3月14日(第2番)、9月4日(第4番)、2022年3月19日(第3番)、7月30日(第1番)
東京・三鷹市芸術文化センター・ライヴ
音楽監督・沼尻竜典が深い信頼関係を築くトウキョウ・ミタカ・フィルハーモニ アと、2021年から2022年にかけて行なったシューマン・ツィクルスのライヴが、 ついにCD化! 室内オーケストラの魅力が最大限に発揮された美しいフレーズの重なりや繊細な ハーモニーは秀逸。ライナーノーツには、八木宏之氏による沼尻竜典へのインタ ビューが収録され、作曲家シューマンに感じる「愛おしさ」など、指揮者の気持 ちを知る事ができる言葉が綴られています。 沼尻竜典によるドイツ音楽への愛の表明とも言うべき、渾身のアルバムです。(オクタヴィア)
オクタヴィア
OVCL-00841(1SACD)
税込定価
2024年3月20日発売
ハイドン交響曲集Vol.23

交響曲第29番ホ長調Hob.I:29
交響曲第55番変ホ長調Hob.I:55「校長先生」
交響曲第59番イ長調Hob.I:59「火事」
飯森範親(指)
日本センチュリーSO

録音:2022年12月9日(第59番)2023年8月4日(第29番、第55番)
大阪・ザ・シンフォニーホール・ライヴ
日本センチュリーSOが首席指揮者の飯森範親と共にスター トした「ハイドンマラソン」は、フランツ・ハイドン のすべての交響曲を演奏しようという一大プロジェクト。当盤は 第29回、32回コンサートのライヴ収録です。 幾度の公演を重ね、信頼関係を築いてきた飯森と日本センチュ リー響は、精緻な構築と、細部までこだわりぬいた感性で、気品 あふれるハイドンを奏でています。柔和で晴々とした優美な演奏 は、まさに彼らの真骨頂といえるでしょう。(オクタヴィア)


フォンテック
FOCD-9897(1CD)
税込定価
2024年3月6日発売
ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」<1878/80 年稿・ノーヴァク版> 飯守泰次郎(指)
東京シティ・フィルハーモニックO

録音::2023年4月24日サントリーホール・ライヴ
四半世紀に及ぶ欧州での経験に基づく音楽的アプローチを、日本の楽壇に根付かせた飯守泰次郎。 なかでもバイロイト音楽祭で体得したワーグナー演奏は特筆すべきもので、数多くの公演でその神髄 を伝えました。 飯守は、最後の演奏となった公演のプログラムに記しています。 「バイロイトでワーグナーの仕事をした経験が、ブルックナーのサウンドを構築する土台になってい ると思います。(中略)時空を超えて息づくブルックナーの音楽にただただ浸っていただけますよう 願っております。」 音楽の力を信じ、生涯を捧げたマエストロ?理想の演奏は、まさに時空を超えたのです。 (フォンテック)

CPO
CPO-555580(1CD)
NX-C04
エルンスト・アイヒナー(1740-1777):交響曲集
交響曲 ニ長調 Op.11No.3
交響曲 ヘ長調 Op.10No.3
交響曲 ニ長調 Op.1No.1
交響曲 変ロ長調 Op.7No.2
テレジアO(古楽器オーケストラ)
ヴァンニ・モレット(指)

録音:2022年6月28日-7月1日
歌劇や室内楽曲、そして多数の交響曲など優れた作品を多く書いたにもかかわらず、現在では全く忘れ去られた 作曲家エルンスト・アイヒナー。彼はドイツの宮廷音楽家の家庭に生まれ、まずは父親から音楽を学びました。ファ ゴット、ヴァイオリンの名手であり、ツヴァイブリュッケンの宮廷楽団員も務め、ロンドン、パリ、フランクフルトなどに演 奏旅行に出かけるなど活躍後、ベルリンのプロイセン宮廷楽団の奏者を務めたのち37歳で世を去りました。 このアルバムではイタリアのオーケストラ「テレジアO」が全作品から4曲を選び演奏。収録されたこれらの交 響曲は、全て三楽章の当時の定型に収まった交響曲初期の形式に則ったものですが、そのどれもが躍動感と緊 張感に溢れたもので、まさにこの時代に流行していた「疾風怒濤」の精神を反映した聴きごたえのあるものです。

BR KLASSIK
BR-900194(2CD)
NX-C03
マーラー:交響曲第3番ニ短調 ナタリー・シュトゥッツマン(A)
テルツ少年cho
バイエルン放送女声cho
バイエルンRSO
マリス・ヤンソンス(指)

録音:2010年12月8-10日
ミュンヘン、フィルハーモニー・イン・ガスタイク(ライヴ)
※既発のマーラー交響曲全集(900719)より分売
2010年はヤンソンスがマーラーの3番に取り組んだ年でした。2月にコンセルトヘボウ管(RCO)を指揮した 演奏はCDと映像でリリースされ、11月にはRCOとの来日公演でも演奏して聴衆に深い感銘を残しました。 このCDは、その翌月にミュンヘンで行われたバイエルンRSOとのライヴ録音。常に準備周到だった ヤンソンスですが、これはまさに万全の状態で臨んだ演奏会だったと言えるでしょう。各楽章の演奏時間は RCO盤とほぼ同じで、ここでもヤンソンスの解釈が迷いのないものであったことがうかがわれます。全6楽章、 100分近い長丁場を弛緩することなく曲の持つドラマ性を提示しながら、丁寧にオーケストラをまとめるヤン ソンスの手腕の見事さ。第4楽章でのシュトゥッツマンの独唱は暗闇の中に射し込む一筋の光のように鮮烈 な輝きを放ち、第5楽章での少年たちの歌声はまさに天使の合唱、そして最終楽章の荘厳かつ壮麗なクラ イマックスはオーケストラの実力を存分に見せつけるとともに、ライヴならではの高揚感に満ちています。

Onyx
ONYX-4244(1CD)
ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調 《ロマンティック》 (ノヴァーク版第2稿) ドミンゴ・インドヤン(指)
ロイヤル・リヴァプールPO
2006年から15年間、ロイヤル・リヴァプールPOの首席指揮者を務めたワシリー・ペトレンコに代わり、2021年9月から新たな首席奏者に就任したアルメニア系ベネズエラの若き注目指揮者、ドミンゴ・インドヤン。ONYX-からはこれまでに、フランスの管弦楽作品集、ラテン・グラミー賞獲得作曲家、ロベルト・シエッラによる交響曲第6番、イタリア・オペラの前奏曲&間奏曲集、そして、東京エムプラスの創立30周年を記念した日本限定盤として、チャイコフスキーの交響曲第6番 「悲愴」 (ライヴ録音!)をリリース。5枚目となる本アルバムでは、2024年に生誕200周年を迎えるブルックナーの名作『交響曲第4番(ロマンティック)』を取り上げています。 この交響曲は、ブルックナーが50歳を迎えた1874年に第1稿が完成しましたが、初演機会の無いまま78年から80年にかけてスケルツォの新稿への入れ替えを含む本格的な改訂が行われ、81年2月20日、ハンス・リヒター指揮のウィーン・フィルによって初演されました。「ロマンティック」 というタイトル、比較的親しみやすい曲想、そして、ブルックナーの作品としては演奏時間もそれほど長くないといった理由で演奏頻度が高いこの作品を、ベネズエラの音楽教育プログラム「エル・システマ」でヴァイオリンを学び頭角を現し、BBCプロムスでの指揮姿が話題となったドミンゴ・インドヤンの熱きタクトで贈ります。リヴァプールのフィルハーモニック・ホールでのライヴ演奏からの録音により、コンサートの興奮とドラマが見事に収められた1枚に仕上がりました。

Polskie Radio
PRCD-2366(1CD)
初紹介旧譜
レオポルド・ストコフスキー・イン・ポーランド
1. レオポルド・ストコフスキーのポーランドへの歓迎レポート
2. モニューシュコ:演奏会用序曲「おとぎ話」 【初出音源】
3-8. シマノフスキ:スターバト・マーテル Op.53 【初出音源】
9-12. ルトスワフスキ:交響曲第1番
13. レオポルド・ストコフスキーとヴィトルト・スタンコフスキの対話
1. 録音:1959年5月(ワルシャワ)
2. レオポルド・ストコフスキー(指)ポメラニアン・フィルハーモニーSO
録音:1960年5月19日-21日
3-8. レオポルド・ストコフスキー(指)ワルシャワPO&cho、アリナ・ボレホフスカ(S)、クリスティナ・シュチェパニスカ(A)、アンジェイ・ヒオルスキ(Br)
9-12. レオポルド・ストコフスキー(指)ワルシャワPO
録音:1959年5月22日&24日(ワルシャワ)
13.録音:1959年5月(ワルシャワ)
ポーランドの公共放送局『ポーランド放送(Polskie Radio/Polish Radio)』の自主レーベル「Polskie Radio」が制作する、同局のアーカイヴに眠る貴重な録音をCD化する「FROM THE POLISH RADIO ARCHIVES」シリーズから、20世紀の大指揮者レオポルド・ストコフスキーの秘蔵音源が登場!ポーランド移民の父を持つストコフスキーが77歳の頃に初めて“祖国”のオーケストラを指揮するためにポーランドを訪れた1959年と、その翌年の再訪時の録音が発掘されました。ソナタや交響詩の要素を含んだモニューシュコの色彩豊かな演奏会用序曲「おとぎ話」とシマノフスキの「スターバト・マーテル」はこれが初出。最後のトラックではストコフスキーの肉声も聴くことができるほか、ブックレットにはポーランド訪問時に撮影されたストコフスキーの写真が多数掲載されており、ストコフスキー・ファン垂涎の1枚です。

H.M.F
HMM-902317(1CD)
C.P.E.バッハ:交響曲集
ハ長調 H.649, Wq.174*
ニ長調 H.651, Wq.176*
ホ短調 H.652, Wq.177+
ト長調 H.657, Wq.182-1+
ハ長調 H.659, Wq.182-3+
イ長調 H.660, Wq.182-4*
ロ短調 H.661, Wq.182-5+
ベルリン古楽アカデミー【コンサートマスター:平崎真弓*、ゲオルク・カッルヴァイト+】

録音:2023年1月、b-sharp
ベルリン古楽アカデミーによる長年のプロジェクト、C.P.E.バッハの交響曲全曲録音の最終巻の登場です! コンサートマスターは平崎真弓(トラック表で*印)、そしてゲオルク・カッルヴァイト(トラック表+印)。平崎真弓は「ビーバー:ロザリオのソナタ」(KKC 6610)でレコード芸術2023年2月号特選、さらに2024年2月発売のムック「レコード芸術2023年総集編」で美山良夫氏セレクトの音楽史部門の第3 位に選ばれるなど、その評価、注目度とも急上昇中の奏者です。ゲオルク・カッルヴァイトは長年同団でコンサートマスターを務めており、その音楽づくりは広 く知られるところです。
1982年結成のベルリン古楽アカデミーが20年あまり取り組んでいるC.P.E.バッハ。バッハの息子であり、その自由と独創性によってハイドンやモー ツァルトへの道を切り開いた重要な存在です。C.P.E.バッハの交響曲は、管弦楽のための交響曲が11、弦楽のための交響曲が8(うち1曲は、管弦楽のため の交響曲の弦楽版)。これまでの録音は、HMC 901622にWq183-2,183-3,182-2,182-6、HMG 501711にWq173,178,179、HMM902420にWq 175,183-4、HMM902601にWq180,181、HMC 902132にWq173、HMC902167にWq.183-1が収録。
C.P.E.バッハの交響曲は、ベルリン時代(1738-68)そしてその後移ったハンブルク(1768年以降)の初めのころに多く書かれました。当盤に収録の 174,176,177はいずれも1750年代半ば、C.P.E.の創作力が最高潮にあった時期の作。ベルリン古楽アカデミーの実力をもってしても、C.P.E.バッハ の交響曲は創意に満ち、大きなチャレンジだといいます。期待にたがわずC.P.E.のオリジナリティと創意を、このうえない形で聴くことができる内容です。今回、 平崎真弓がコンサートマスターを務める楽曲もあり、楽団の世代交代をも感じさせる重要な録音の誕生となりました。 (Ki)

ALPHA
ALPHA-1004(4CD)
NX-F06

NYCX-10463(4CD)
日本語解説付国内盤
税込定価

メンデルスゾーン:交響曲全集、劇音楽『夏の夜の夢』(抜粋)

【CD1】
交響曲第1番ハ短調 Op.11
交響曲第5番「宗教改革」
【CD2】
交響曲第2番「讃歌」
【CD3】
交響曲第3番「スコットランド」
交響曲第4番「イタリア」
【CD4】
劇音楽『夏の夜の夢』 Op.61(抜粋)
1. 序曲
2. No.1スケルツォ
3. No.3合唱付きの歌
4. No.5間奏曲
5. No.7夜想曲
6. No.9結婚行進曲
7. No.11道化師たちの踊り
8. フィナーレ
チェン・レイス、マリー・ヘンリエッテ・ラインホルト(S)
パトリック・グラール(T)
チューリヒ・ジング・アカデミー
カタリナ・コンラディ、ソフィア・ブルゴス(S)
チューリヒ・ジング・アカデミー女声cho
チューリヒ・トーンハレO
パーヴォ・ヤルヴィ(指)

録音:2021年3月 トーンハレ・マーグ …CD 1&3
2021年5月 トーンハレ・マーグ …CD4
2023年1月 チューリヒ・トーンハレ …CD2
交響曲全5曲に『夏の夜の夢』まで収録した4枚組のボリュームで登場の、パーヴォ・ヤルヴィによるメンデルスゾーン。この作曲家らしい瑞々 しいメロディと躍動的なリズム、そして若々しい疾走感といった各作品の魅力を十二分に生かした、美しくもテンションの高い演奏を聴かせて います。ドイツを中心とした歌劇場で活躍するチェン・レイスとカタリナ・コンラディ、バロックから古典派の宗教作品を得意とするマリー・ヘンリ エッテ・ラインホルトとパトリック・グラール、来日ツアーも成功させているプエルトリコ系アメリカ人ソプラノのソフィア・ブルゴスと、個性的な歌手陣 が随所で持ち味を生かしているのもポイント。さらに低音金管古楽器の名手パトリック・ヴィバールが『夏の夜の夢』にオフィクレイドで、「宗教 改革」には(原盤ブックレットに表記がありませんが)セルパンで参加、「讃歌」のオルガンは名手クリスティアン・シュミットが務めています。

ODRADEK RECORDS
ODRCD-443(3CD)
マーラー:交響曲全集Vol.2
スカルタッツィーニ(b.1971):トルソ
 墓碑銘
マーラー:交響曲第2番復活」*
スカルタッツィーニ:精霊*
マーラー:交響曲第3番ニ短調
ジモン・ガウデンツ(指)
イェナ・フィルハーモニー
イェナ・フィルハーモニー・フィルハーモニーcho
イェナ・フィルハーモニー児童cho
ヤナ・バウマイスター(S)
エフェリン・クラーヘ(C.A)
イダ・アルドリアン(C.A)

録音:2019年5月23-26日、2019年11月 5-8日*、イェナ・フォルクスハウス、
第1弾のマーラーの交響曲第4番と第5番(ODRCD-440)が話題になったジモン・ガウデ ンツとイェナ・フィルハーモニーのマーラーの交響曲のシリーズ、第 2弾は第2番「復活」と 第3番の大編成2曲を3CD で発売。ジモン・ガウデンツは1974年、スイスのバーゼルの生 まれ。2010年から2013年までデンマークのオーデンセSOの首席客演指揮者を務め て大いに評価を高めた。2018年にイェナ・フィルの音楽総監督に就任、こちらでもオーケスト ラの水準を大いに高めて大評判を得ています。その充実ぶりはこの録音を聞けば一目瞭然、 歴史あるとはいえ11万人規模の中都市とは思えない緻密なアンサンブルと雄弁な音楽は 見事、そのオーケストラを駆使してガウデンツは、明晰で柔らかく透明感に満ちて温かいマ ーラーを奏でています。ガウデンツのマーラーはまさに2020 年代最先端のマーラーでしょう。 今回もイェナ・フィルのコンポーザー・イン・レジデンスを務めているアンドレア・ロレンツォ・ス カルタッツィーニ(1971-)の作品をマーラーの交響曲の前に置いています。なお「精霊」は交響 曲第3番に繋がる作られそのように演奏されています。

Channel Classics
CCSSA-46524(1SACD)
NX-C07
ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調 Op.55「英雄」
「コリオラン」序曲 Op.62
ブダペスト祝祭O
イヴァン・フィッシャー(指)

録音:2023年8月ルンバッハ・ストリート・シナゴーグ、ブダペスト、ハンガリー
第7番(2006年)、第4番と第6番(2010年)、第1番と第5番(2017年)と、稀に見るスロー・ペースで進められているイヴァン・フィッシャーと ブダペスト祝祭管によるベートーヴェン・シリーズに「英雄」が登場。53分(繰り返し全てあり)という、近年ではゆったり目のテンポ設定ながら遅 いという印象をほとんど感じさせません。精悍で引き締まった第1楽章に始まり、低い重心でじっくりと歌い込まれフーガのクライマックスも雄大 な第2楽章、特徴的なリズムを際立たせた第3楽章、堅固な構造美を感じさせながら気品と力強さを両立させた第4楽章と、心地よい緊 張の糸が切れることのない素晴らしい演奏となっています。「コリオラン」もメリハリのある骨太の演奏で聴き応えあり。DSD256録音による高 音質を最大限引き出すSACDハイブリッド・ディスクでの発売も嬉しいところです。

TOCCATA
TOCC-0661(1CD)
NX-B06
フリードリヒ・ブルク(1937-):管弦楽作品集 第5集
交響曲第13番「画家カジミール・マレーヴィチ[1878-1935]」(2014)
交響曲第14番「叫び」
リトアニア国立SO
イマンツ・レスニス(指)

録音:2014年6月、2015年6月
全て世界初録音
1937年ウクライナに生まれ、1974年からフィンランドに居住するフリードリヒ・ブルクの管弦楽作品集の第5集。こ のアルバムには画家からインスパイアされた2つの作品が収録されています。2014年に作曲された交響曲第13番 はウクライナにおける抽象絵画の先駆的存在カジミール・マレーヴィチの生涯と作品から触発されており、第1楽章 は画家の自画像(1908年作)から受けた印象、第2楽章はマレーヴィチの代表作の一つ「黒い台形と赤い正方 形」のイメージを2つの主題によるスケルツォで表現しています。「革命」と題された第3楽章は、1917年に起きたロ シア革命下でのマレーヴィチの人生や恐怖政治を描いたとされるプロコフィエフ風の音楽。交響曲第14番はムンク の 「叫び」に触発された単一楽章の交響曲。ブルクは2015年にヘルシンキでこの絵が展示された際に鑑賞し、 強い 印象を受けたといいます。そして絵から受けた印象をもとにこの作品を書き上げました。

Capriccio
C-8091(1CD)
NX-B10

NYCX-10464(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価

ブルックナー:交響曲第7番ホ長調(ホークショー版) ウィーンRSO
マルクス・ポシュナー(指)

」録音:2023年12月5-8日ウィーン、放送文化会館及びコンツェルトハウス大ホール
ICMA(International Classical Music Award)2024の特別賞「Spcecial Achivement Award」を受賞、「私たちが習慣にしてきた聴き方と伝統と見なして きたものを問い直す」と讃えられた#bruckner2024。第7番ではポール・ホークショーによる新校訂版(NBG III/1:7、2024年2月時点で未出版)を使用していま す。アルトゥール・ニキシュやヘルマン・レヴィが「ベートーヴェン亡き後に書かれた交響曲の中で最も重要なもの」等と高く評した第7番は、早くに成功を収めたこともあり、 稿は一つしかありません。しかし、ウィーン国立図書館に所蔵されている自筆総譜(整理番号 Mus.Hs19479/1-3)には、1883年9月の完成から1885年に印刷 用の彫版を起こすまでの間に書き込まれた追加や変更が少なからずあり、作曲家が意図した最終形を読み取る上での課題となって来ました。ハースは曲が最初に完 成した時の姿を求め、ブルックナー自身によるものも含めて後から書き加えられた部分を除去し、ノーヴァクは取捨選択の上で(しばしばカッコに入れるなどして)加筆部 分を盛り込んでいますが、そこにはブルックナー以外の人物による加筆も含まれています。新ブルックナー全集の編集主幹で#bruckner2024の監修者でもあるホーク ショーは、上記自筆総譜においてブルックナー自身が書いたか、承認したとされるものをすべて盛り込むべく努めたと当CDの原盤解説(英語とドイツ語)で書いています (第2楽章クライマックスではシンバルとトライアングルが効果的に用いられています)。詳細は楽譜出版と校訂報告を待たねばなりませんが、演奏上の選択肢が複数提 示されている箇所もあると思われます。 ポシュナーとウィーン放送響の演奏は、速めのテンポを基本としつつも曲想に応じて細かに操作している点と、緩徐楽章ではしっかりと時間をかけて祈りに似た抒情を紡 ぎ出している点、その結果曲全体としてバランスが取れた姿になっていることは従来通りですが、細部の磨き上げが更に高められた印象があります。一つ一つのフレーズ のダイナミクス、テンポ、リズムを吟味して極めて高精度で音にしてゆき、それでいて煩雑さや息苦しさの無い、良く流れて弾力のある音楽となっています。分厚い響きと 遅めのテンポによる往年の巨匠風ではなく、スリムな響きと強調されたアクセントを多用するピリオド風スタイルでもなく、現代オーケストラの機能の高さを存分に活かして 曲の姿を繊細かつ緻密に浮き上がらせた演奏ということが出来るでしょう。ポシュナーは2018年に録音されていた第8番(第2稿)を除く11の交響曲(計17の稿)を 2021年からの3年間で録音しており、演奏を担ったウィーン放送響もリンツ・ブルックナー管もあまり演奏されない稿や新しい校訂版の楽譜に取り組む中で「読む力」を 高め、この作曲家の語法が浸透してきた感があります。当シリーズも残すは習作のヘ短調、第1番(第2稿)、第3番(第2稿)、そして第9番の4曲。今後は毎月のよう にリリースが予定されており、完結が見えてきました。
※国内仕様盤には石原勇太郎氏(音楽学/国際ブルックナー協会会員)による日本語の解説が付属します。

ANALEKTA
AN-28888(8CD)
NX-E10
Living Art 〜クララ・シューマン、シューマン、ヨハネス・ブラームス: 作品集
【CD1】
1-4. シューマン:交響曲 第1番変ロ長調 Op.38「春」
5. ガブリエラ・モンテーロ(1970-):即興曲 第1番
6-8. クララ・シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調 Op.7
【CD2】
1-4. モンテーロ:即興曲 第2番-第5番
5-9. ブラームス:交響曲 第1番ハ短調 Op.68
【CD3】
1-4. シューマン:交響曲第2番ハ長調 Op. 61
5-11. C. シューマン:歌曲集
 5. 彼はやってきた Op.12-1
 6. 美しさゆえに愛するのなら Op.12-2
 7. なぜ他の人たちに尋ねようとするの Op. 12-3
 8. 私は暗い夢の中に立っていた Op.13-1
 9. 彼らは愛し合っていた Op.13-2
 10. 愛の魔法 Op.13-3
 11. 私はあなたの瞳に Op.13-5
【CD4】
1-4. ブラームス:交響曲第2番ニ長調 Op. 73
5-9. C. シューマン:歌曲集
 5.月は静かに昇った Op.13-4
 6. 無言のハスの花 Op.13-6
 7. 別れの時に
 8. 私の星
 9. おやすみなさいとあなたに言う
【CD5】
1-5. シューマン:交響曲第3番変ホ長調 「ライン」 Op.97
6-8. C. シューマン:歌曲集
 6. 海辺にて
 7. ある明るい朝に Op.23-2
 8. ローレライ
9-11. C. シューマン:4つの束の間の小品 Op.15 (第4曲はピアノ・ソナタの第3楽章として収録
12-15. C. シューマン:ピアノ・ソナタ ト短調
【CD6】
1-4. ブラームス:交響曲第3番ヘ長調 Op. 90
5-8. C. シューマン:ピアノ三重奏曲 ト短調 Op.17
【CD7】
1-4. シューマン:交響曲第4番ニ短調 Op. 120
5-7. C. シューマン:3つのロマンス- ヴァイオリンとピアノのための Op.22
8-10. C. シューマン:3つのロマンス- ピアノのための Op.11
11. ロマンス ロ短調
【CD8】
1-4. ブラームス:交響曲第4番ホ短調 Op. 98
5-7. C. シューマン:ゼバスティアン・バッハの主題による3つのフーガ
8-9. C. シューマン:前奏曲とフーガ 嬰へ短調
10-15. C. シューマン:3つの前奏曲とフーガ Op.16
16. スチュワート・グッドイヤー(1978-):クララ・シューマンの主題による即興
ナショナル・アーツ・センターO
アレクサンダー・シェリー(指) …CD11-4、6-8/CD 25-9/CD31-4/CD41-4/CD51-5/CD6 1-4/CD71-4/CD81-4
ガブリエラ・モンテーロ(P) …CD15-8/CD 21-4/CD512-15
アドリアンヌ・ピエチョンカ(S) …CD 35-11/CD45-9/CD56-8
リズ・アップチャーチ(P) …CD35-11/CD 45-9/CD56-8
スチュワート・グッドイヤー(P) …CD5 9-11/CD65-8/CD78-11/CD85-16
川崎洋介(Vn) …CD65-8/CD75-7
レイチェル・マーサー(Vc) …CD65-8
アンジェラ・ヒューイット(P) …CD 75-7

録音:2018-2023年
それぞれ4曲あるシューマンとブラームスの交響曲を第1番から1曲ずつとクララ・シューマンの作品をCD2枚に収録し、3人の親密な関係を紐 解こうという企画全4作、計8CDが早くもBOX化。企画の柱でもあるシェリーとナショナル・アーツ・センター管による交響曲の充実ぶりが大き な聴きものですが、同オケのコンサート・マスター川崎洋介のほか、スチュワート・グッドイヤー、アンジェラ・ヒューイットといった豪華ゲストも参加 の室内楽、歌曲も情感豊かな表現で楽しむことが出来ます。ゲストの作曲による関連作品も収録。


SOMM
ARIADNE-5025(2CD)
NX-D05
ブルックナー:交響曲ヘ短調、交響曲第1番他(ブルックナー・フロム・アーカイヴ第1巻)
アントン・ブルックナー
■CD1
(1)交響曲 ヘ短調 WAB99(1863)*
(2) 行進曲 ニ短調 WAB96(1862)**
(3) 管弦楽のための3つの小品(1862)**
(4) 詩篇112WAB35(1863)
■CD2
(1) 序曲 ト短調 WAB98(1863年改訂版)*
(2) 交響曲第1番ハ短調 WAB101(リンツ稿、ノーヴァク版)*
(3)弦楽四重奏曲 WAB111(1862)*
■CD1
(1)クルト・ヴェス(指) リンツ・ブルックナーO
(2)(3)ハンス・ヴァイスバッハ(指) ウィーンSO
(4) ヘンリー・スヴォボダ(指) ウィーンSO、ウィーン・アカデミー室内合唱団
■CD2
(1) ディーン・ディクソン(指) ケルンWDRSO
(2)オイゲン・ヨッフム(指) バイエルンRSO
(3)ケッケルト四重奏団

録音/音源
■CD1
(1)1974年6月11日/エアチェック
(2)(3)1944年5月9日/Family Records, SFLP-541
(4)1950年/Westminster LP, XWN18075
■CD2
(1)1959年/エアチェック
(2)1959年1月1日/エアチェック
(3)1951年5月9日/エアチェック
交響曲 へ短調のみステレオ
*初出、**初CD化
ブルックナー生誕200年記念!アメリカ・ブルックナー協会の協力を得て、ARIADNEレーベルの「ブルックナー・フロム・アーカイヴ」シリーズが始動。全6巻、 各2枚組で計12枚。レーベル情報によれば、11曲の交響曲を中心に初CD化を多数含む貴重な歴史的演奏が続々登場予定です。 ブルックナー・ファン にとって見逃せないシリーズとなることでしょう。 この企画はアメリカ・ブルックナー協会の事務局長ジョン・F・バーキーが保有する11,000種余りの録音から厳選した演奏をCD化するもの。CD化に際して はARIADNEレーベルの復刻で評価の高いラニ・スパールがマスタリングを担当し、アメリカ・ブルックナー協会の総裁で新アントン・ブルックナー全集の編集委 員でもあるベンジャミン・コーストヴェットが解説を寄稿します(英語のみ)。 第1巻は習作とされるへ短調の交響曲と第1番他を収録。へ短調交響曲はN響をはじめ日本での客演が多かったクルト・ヴェスによるステレオ録音というの が嬉しい驚きです。第1番の指揮はブルックナー指揮者の代名詞的存在オイゲン・ヨッフム。ヨッフムの同曲録音は2種類ありましたが、手兵バイエルン放送 響とのものはこれが初めてです。演奏・録音されることが稀な弦楽四重奏曲を演奏しているのは、ドイツで初めてベートーヴェンの弦楽四重奏曲全集をDG に録音したケッケルト四重奏団。軽快で引き締まった古典派的な造形で、シューベルトの初期作品を思わせる爽やかな抒情が感じられます。ヴィブラートの 使い方などに時代を感じる演奏。 大半がテープを音源とするためか、いわゆる「板起こし」に比べるとサーフェス・ノイズが無い分S/Nが良好でありながら、長期保存されたテープにありがちな転 写は感じられません。弦の実体感や金管楽器の輝かしく力強い強奏など、全般的にかなり良好な音質。マスタリングの妙もさることながら、放送局の仕事に 長らく携わっていたバーキー氏がエアチェックのクオリティと保存状態に非常に気を使っていたことが推察され、今後のリリースへの期待が高まります。 ジャケット表紙は1854年にウィーンで撮影されたブルックナーの写真。

Challenge Classics
CC-72958(1CD)
シューマン:交響曲第1&2番
交響曲第1番変ロ長調 Op.38
ヤン・ヴィレム・デ・フリエンド(指)
スタヴァンゲルSO

録音:2023年6月12-15日ノルウェー、スタヴァンゲル・コンサートホール
ベートーヴェン、メンデルスゾーン、シューベルトに続いて、シューマンの交響曲サイクルに乗り出したフリエンド。共演は初録音となるスタヴァンゲルSOです。
スタヴァンゲルSOは1938年に設立されたノルウェーのオーケストラで、現在はアンドリス・ポーガが首席指揮者を務め、カネラキス、エラス=カサド、ガフィガンらも客演しています。また90年以降、ブリュッヘン、ヘレヴェッヘ、ビオンディを順に古楽芸術監督というポジションに迎え、歴史的奏法への造詣を深めてきたオーケストラでもあります。
フリエンドもブリュッヘンと同じくオランダ古楽界から活動をはじめ、今や指揮者として世界中で活躍する人物。ブリュッヘン仕込みの響きを一面にもつスタヴァンゲル響を、共感をもって鳴らしていきます。歴史的奏法を熟知した演奏が創り出す刺激的なシューマン。見通しの良い弦楽器のトレモロをくぐり抜けて香ってくる管楽器の風合いなど非常に面白い質感が味わえます。軽やかにして炸裂感もしっかり。2番ではバッハやベートーヴェンといった過去の作曲家の音楽へのまなざし、語り口にも注目です。 (Ki)

Melodiya x Obsession
SMELCD-1002695(2CD)
初回生産限定
チャイコフスキー:後期三大交響曲集
■CD1
1-4. 交響曲第4番ヘ短調 Op.36
5-6. 交響曲第5番ホ短調 Op.64第1楽章、第2楽章
■CD2
1-2. 交響曲第5番ホ短調 Op.64第3楽章、第4楽章
3-6. 交響曲第6番ロ短調 Op.74「悲愴」
モスクワRSO
ウラディーミル・フェドセーエフ(指)

録音:CD1/1-4,1984年、モスクワ放送大ホール(ADD/ステレオ)
CD1/5-6, CD2,1981年、モスクワ放送大ホール(ADD/ステレオ)
激動の時代を生き抜き、旧ソ連時代から現在に至るまで長きにわたり精力的な活躍を続ける巨匠ウラディーミル・フェドセーエフ。
旧ソ連の崩壊前、冷戦時代に手兵のモスクワRSO(チャイコフスキー・シンフォニー・オーケストラ)を率いて収録されたチャイコフスキーの後期三大交響曲は、「第5番」と「第6番」の2作品がメロディア(Melodiya)と日本のビクターとの共同で録音が行われ大きな話題を呼びました。
また「第4番」は2曲から数年後となる1984年に同じくモスクワで録音が行われています。
80年代のフェドセーエフとモスクワRSOを代表する演奏として名高い「後期三大交響曲」。メロディア保管のマスターテープからの復刻にご注目下さい。
※当タイトルは完全限定生産(初回生産限定)のため、ご注文数に対して十分な数量をご提供出来ない可能性がございます。予めご了承下さい。初回生産分完売後は再生産時期未定となります。

GENUIN
GEN-24853(2CD)
ドヴォルザークドヴォルザーク:交響詩「水の精」 Op.107
交響曲第3番変ホ長調 Op.10
交響詩「真昼の魔女」 Op.108
交響曲第9番ホ短調 Op.95「新世界より」
南ヴェストファーレン・フィルハーモニー、
ナビル・シェハタ(指)

録音:2021年5月18日-20日、ベッツドルフ市立ホール(ドイツ)
1957年にジーガーラントOとして発足したドイツのオーケストラ、南ヴェストファーレン・フィルハーモニー。かつて児玉宏も首席指揮者を務めたこの楽団は2023年に新しい本拠地が完成し、それを記念しGenuinレーベルから「チャイコフスキー:交響曲第5番」のディスクをリリースしていましたが、今回はその続編としてドヴォルザークの「新世界より」をリリース!交響曲第3番と2つの交響詩をカップリングし、首席指揮者ナビル・シェハタとそのタクトに機敏に反応するオーケストラの抜群の関係性を存分に発揮しています。
ナビル・シェハタは1980年、エジプト人の父とドイツ人の母の間にクウェートで生まれ、5歳でドイツへ移住。2003年に難関ARDミュンヘン国際音楽コンクールのコントラバス部門で優勝し、翌2004年から2008年までベルリン・フィルの首席コントラバス奏者として活躍しました。一方で指揮をクリスティアン・ティーレマン、ダニエル・バレンボイムらに学び、2007年にドイツで指揮者デビュー。日本のオーケストラにも客演経験があります。南ヴェストファーレン・フィルハーモニーには2019年、約200名もの候補の中から選ばれ首席指揮者に就任しました。

Chandos
CHSA-5312(1SACD)
ニールセン:パンとシランクス Op.49FS87(1917-18)、
フルート協奏曲 FS 119(1926)*
交響曲第3番Op.27FS60「広がりの交響曲」(1910-11)**
エドワード・ガードナー(指)ベルゲンPO、
アダム・ウォーカー(Fl)*、
リナ・ジョンソン(S)**、
イングヴ・ソーバルグ(Br)

録音:2022年9月15日〔交響曲、ライヴ録音〕、2023年6月12日-16日〔その他の作品〕、グリーグホール(ベルゲン、ノルウェー)
ノルウェーの名門オーケストラ、ベルゲンPOの首席指揮者を2015年から務め、2021年からはLPOの首席指揮者を務めるエドワード・ガードナーによるニールセン・サイクル第2弾!「交響曲第3番」をメインに、元ロンドン響首席フルーティストである名手アダム・ウォーカーをソリストに迎えた「フルート協奏曲」、そして「パンとシランクス」というプログラム。
「交響曲第3番」は1910年から1911年にかけて作曲された作品で、特徴的なのは第2楽章にソプラノとバリトンのソリストが加わります。またその第2楽章の曲想から『ニールセンの田園交響曲』と呼ばれています。

Glossa
GCD-921135(9CD)
フランス・ブリュッヘン、モーツァルトとの人生 〜グロッサ・コンプリート・レコーディング
■Disc1/2
交響曲第39番変ホ長調 K.543
交響曲第40番ト短調 K.550
交響曲第41番ハ長調 K.551「ジュピター」
■Disc3
クラリネット協奏曲イ長調 K.622
歌劇「皇帝ティートの慈悲」K.621より 序曲、アリア「私は行くが、君は平和に」、アリア「夢に見し花嫁姿」
2つのクラリネットと3つのバセット・ホルンのための「アダージョ」変ロ長調 K.411
■Disc4
「ホルンのための音楽」
ホルンのための12の二重奏曲 K.487より第8番アレグロ
ホルン五重奏曲変ホ長調 K.407
ホルンのための12の二重奏曲 K.487より第7番アダージョ
ホルンのための12の二重奏曲 K.487より第2番メヌエット(アレグレット)
歌劇「ポントの王ミトリダーテ」K.87よりアリア「あなたから遠く離れて」
ホルンのための12の二重奏曲 K.487より第3番アンダンテ
ホルンのための12の二重奏曲 K.487より第12番アレグロ
ホルン協奏曲第3番変ホ長調 K.447*
ホルンのための12の二重奏曲 K.487より第9番メヌエット
ホルンのための12の二重奏曲 K.487より第5番ラルゲット
音楽の冗談 K.522
ホルンのための12の二重奏曲 K.487より第4番ポロネーズ
■Disc5
オーボエ協奏曲ハ長調 K.314
オーボエ四重奏曲ヘ長調 K.370
2本のヴァイオリン、ヴィオラ、コントラバス、オーボエと2本のホルンのためのディヴェルティメント K.251
アリア「あなたに明かしたい、おお、神よ」K.418
■Disc6
ヴァイオリン協奏曲第1番変ロ長調 K.207
ヴァイオリン協奏曲第4番ニ長調 K.218
ヴァイオリン協奏曲第5番イ長調 K.219「トルコ風」
■Disc7
ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲変ホ長調 K.364
ヴァイオリン協奏曲第3番ト長調 K.216
ヴァイオリン協奏曲第2番ニ長調 K.211
■Disc8
「アロイジア・ウェーバーのためのアリア集」
いえ、いえ、あなたにはできません K.419
アルカンドロよ、わたしは告白する ― どこから来るのかわたしにはわからない K.294
わたしはあなたに明かしたい、ああ! K.418
ああ、もし天に、恵み深い星たちよ K.538
わが憧れの希望よ-あなたにはどれほどの苦しみかわかるまい K.416
テッサーリアの民よ-わたしは求めはしません、永遠の神々よ K.316(K.300b)
私の感謝をお受け取り下さい、親切な後援者の皆様 K.383
■Disc9
フリーメイソンのための葬送音楽 ハ短調 K.477
2つのクラリネットと3つのバセット・ホルンのためのアダージョ 変ロ長調 K.411
レクイエム ニ短調 K.626
■Disc1/2
18世紀オーケストラ
フランス・ブリュッヘン(指)
録音:2010年3月、デ・ドゥーレン(ロッテルダム、オランダ)
ステレオ(デジタル、ライヴ録音)
■Disc3
エリック・ホープリッチ(クラリネット&バセット・ホルン)
ジョイス・ディドナート(Ms)
トニ・サラール=ヴェルドゥ(クラリネット/K.411)
ギィ・ファン・ワース(バセット・ホルン/K.411)
アネッテ・トーマス(バセット・ホルン/K.411)
ロレンツォ・コッポラ(バセット・ホルン/K.411)
18世紀オーケストラ
フランス・ブリュッヘン(指)
録音:2001年2月(K.622)、1986年6月(K.621/序曲)、2001年11月(K.621/アリア)、2001年12月(K.411)、オランダ
ステレオ(デジタル)
トゥーニス・ファン・デァ・ズヴァールト(ナチュラルホルン)
エルヴィン・ヴィーリンガ(ナチュラルホルン)
マルク・デストリュベ(Vn)
スタース・スヴィールストラ(Vn&ヴィオラ)
エミリオ・モレーノ(Va)
アルベルト・ブリュッヘン(Vc)
ロベルト・フラネンベルク(Cb)
クラロン・マクファデン(ソプラノ/K.87)
18世紀オーケストラ(K.447)
フランス・ブリュッヘン(指揮/K.447)
録音:2006年6月、2007年11月、2008年7月、イタリア、スペイン、オランダ
ステレオ(デジタル、ライヴ録音)
■Disc5
フランク・デ・ブライネ(Ob)
18世紀オーケストラ
ケネス・モンゴメリー
録音:2015年1月&10月、アムステルダム
ステレオ(デジタル)
■Disc6
トーマス・ツェートマイヤー(Vn&指揮)
18世紀オーケストラ
録音:2000年9月、ユトレヒト、オランダ(K.218&K.219)/2002年6月、クリチバ、ブラジル(K.207)
ステレオ(デジタル、ライヴ録音)
■Disc7
トーマス・ツェートマイヤー(Vn)
ルース・キリウス(ヴィオラ/K.364)
18世紀オーケストラ
フランス・ブリュッヘン(指)
録音:2005年10月、ロッテルダム(K.364)、ユトレヒト(K.211&K.216)
ステレオ(デジタル、ライヴ録音)
■Disc8
シンディア・ジーデン(S)
18世紀オーケストラ
フランス・ブリュッヘン(指)
録音:1998年5月&9月、フレーデンブルフ音楽センター(ユトレヒト、オランダ)
ステレオ(デジタル、ライヴ録音)
■Disc9
モーナ・ユルスルー(S)
ヴィルケ・テ・ブルンメルストルテ(A)
ゼーハー・ヴァンデルステイネ(T)
イェレ・ドレイエル(Bs)
ユーヘイン・リヴェン・ダベラルド(グレゴリオ聖歌指揮)
オランダ室内cho
18世紀オーケストラ
フランス・ブリュッヘン(指)
録音:1998年3月20日、東京芸術劇場
ステレオ(デジタル、ライヴ録音)
1981年の創立以来、20世紀の古楽復興運動を牽引し続けたフランス・ブリュッヘンと18世紀オーケストラにとって、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの音楽の演奏は自らの存在意義の1つと言えるものでした。
1997年以降、自身のレコーディングチーム&ブランドである「The Grand Tour」を立ち上げ、グロッサ(Glossa)レーベルと二人三脚で録音を発表してきたブリュッヘン&18世紀オーケストラの「モーツァルト録音」の全てを収めたこのボックスセットには「モーツァルトとの人生」というタイトルが付けられており、さらには「ポスト・ブリュッヘン時代」の最初の録音となった「オーボエ協奏曲」(2015年録音)も同オーケストラの歴史における重要なターニングポイントの証として加えられています。
この「モーツァルトとの人生」では、ヴァイオリンのツェートマイヤー、ホルンのファン・デァ・ズヴァールト、ソプラノのシンディア・ジーデン、メゾ・ソプラノのジョイス・ディドナート、そしてクラリネットのエリック・ホープリッチといった偉大なソリストたちが、巨匠フランス・ブリュッヘンとの「モーツァルトの旅」に参加していたことを思い出させてくれます。
そしてこの「モーツァルトとの人生」の最後を飾るのは、レクイエムの1998年東京ライヴ。今もなお同曲の演奏、録音史上に燦然と輝き続ける名演中の名演です。

Pentatone
PTC-5186989(2SACD)
シューマン:交響曲全集
(1)交響曲第1番変ロ長調 Op.38「春」(1841)
(2)交響曲第2番ハ長調 Op.61(1845-46)
(3)交響曲第3番変ホ長調 Op.97「ライン」(1850)
(4)交響曲第4番ニ短調 Op.120(1851年版/1841年作曲・1851年改訂)
ドレスデンPO
マレク・ヤノフスキ(指)
コンサートマスター:ハンデ・コデン(ゲスト・コンサートマスター)(1)、
ハイケ・ヤニッケ(2)、
ヴォルフガング・ヘントリッヒ(3)(4)

録音:(2)(3)2021年5月、(4)2021年8月、(1)2023年5月&6月/ドレスデン、クルトゥーアパラスト(文化宮殿)
精力的な演奏・録音活動を行っている巨匠マレク・ヤノフスキがドレスデンPOを振ったシューマンの交響曲 全集がリリースされます!
1870年創立の名門ドレスデンPO。ヤノフスキは2001年から2003年まで当団の首席指揮者を務め、その後2019年より再 びその座に就き、蜜月の関係を築いております。ヤノフスキによるストイックな音楽づくりと絶妙な音量バランスはシューマンの演奏でも傑出しており、作品ごと に違う表情を豊かに表現。新たなシューマン像を響かせます。そして巨匠ヤノフスキならではの神々しいまでに崇高な響きはこの演奏でも輝いており、新たな名 盤誕生は嬉しい限りです。
演奏の素晴らしさはもちろんのこと、ヨブ・マールセ、ジャン=マリー・ヘイセンなど、PENTATONEレーベルを立ち上げた名録音技師による高音質録音で あることも注目です。 (Ki)

GRAND SLAM
GS-2313(1CD)
マーラー:交響曲第9番ニ長調 ブルーノ・ワルター(指)コロンビアSO

録音:1961年1月16、18、28、30、2月2、6日/ハリウッド、アメリカン・リージョン・ホール
使用音源:Private archive (2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:ステレオ(録音セッション)
■制作者より  
2014年にGS-2120/21として発売した演奏の、10年ぶりのリマスターです。今回は2トラック、38センチのテープをStuderのA-80で再生し、全工程 をプロ用機器でマスタリングを行い、最善の結果を得られました。しかも、新盤は1枚に収録されており、利便性も増しています。 ところで、この演奏については『名指揮者ワルターの名盤駄盤』(宇野功芳著、講談社+α文庫、1995年/絶版)に「ウィーン盤とは別人のようにおとなしい」 「オーケストラ奏者の共感の度も薄いようだ」と書かれています。受け取り方は人それぞれですが、本当にその通りなのか、あらためてこのリマスター盤で聴いて 欲しいと思います。(平林 直哉)

H.M.F
HMX-2904102(2CD)
ロト&レ・シエクルのベルリオーズ
■CD1
(1)幻想交響曲Op.14 
(2)序曲「宗教裁判官
■CD2
(1)イタリアのハロルドOp.16 
(2)歌曲集「夏の夜」Op.7
フランソワ=グザヴィエ・ロト(指)
レ・シエクル

■CD1(HMM902644)
録音:2019年7月16、17日/アルフォールヴィル
■CD2(HMM902634)
タベア・ツィンマーマン(Va/(1))、
ステファヌ・ドゥグー(Br/(2))
録音:2018年3月2/3日フィルハーモニー・ド・パリ(1)、8月15/16日アルフォールヴィル、イル=ド=フランス国立オーケストラホール(2)
ロトのベストセラー、幻想交響曲と、最高峰のヴィオラ奏者タベア・ツィンマーマンをソリストに迎えての「イタリアのハロルド」がベルリオーズ限定2枚組セットで登場!

GRAND SLAM
GS-2314(1CD)
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」 エミリア・クンダリ(S)
ネル・ランキン(Ms)
アルバート・ダ・コスタ(T)
ウィリアム・ワイルダーマン(Br)
ウェストミンスター交響cho
ブルーノ・ワルター(指)、コロンビアSO

録音:1959年1月19、21、26、29、31日/アメリカン・リージョン・ホール(カリフォルニア)、1959年4月6、15日/セント・ジョージ・ホテル、ボールルーム(ニューヨーク)
使用音源:Private archive (2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
■制作者より   
2017年3月に発売したGS-2161以来、約7年ぶりのリマスターで再登場です。全工程をプロ用の機器でマスタリングを行い、音質を大幅に刷新しました。誤 解のないようにお伝えしておきますが、当シリーズではアナログ的な雰囲気を意図的に演出しているわけではありません。ひたすら、原音に忠実であろうとしてい るだけです。また、解説書には国内初出のLPジャケットやレーベル面などを多数掲載、見ても楽しめるように腐心しました。なお、このCDには歌詞対訳は付属し ておりません。ご了承下さい。(平林直哉) (Ki)


オクタヴィア
OVCL-00772(2SACD)
税込定価
2024年2月21日発売
ブラームス:交響曲全集(全4曲) 井上道義(指)

第1番:京都市SO
録音:2022年5月5日石川県立音楽堂〈いしかわ・金沢風と緑の楽都音楽祭〉
第2番:新日本フィルハーモニーSO
録音:2021年3月6日愛知・東海市芸術劇場
第3番:広島SO
録音:2021年7月9日広島文化学園HBGホール
第4番:広島SO
録音:2021年8月1日呉信用金庫ホール(呉市文化ホール)
全てライヴ
井上道義がこれまで取り上げる機会の少なかったのが、ブ ラームスの交響曲でした。 自身が書き下ろしたライナーノートで「ブラームスの交響 曲を4曲まとまった形でレコード化されることを、20歳だっ た“井上道義”は想像もしていなかった」と語るほどですが、 この度深い信頼関係を築く、京響、新日本フィル、広響と のライヴ録音が全集として結実しました。 相互の音楽性の融合、奏者同士の掛け合いが、幾重にも響 き合うサウンドとなり、一期一会の「井上のブラーム ス!」が誕生しました。(オクタヴィア)
オクタヴィア
OVCL-00838(1SACD)
税込定価
2024年2月21日発売
チャイコフスキー:交響曲第4番ニ長調作品29 ジョナサン・ノット(指)東京SO

録音:2023年7月22日ミューザ川崎シンフォニーホール・ライヴ
“NOTTISSIMO”と名付け迎えた音楽監督ジョナサン・ノットと 東京SOによる音楽の旅路、10年の節目を過ぎ数々の快演 を聴かせてきた名コンビが2023年「フェスタサマーミューザ KAWASAKI」で果敢に挑んだチャイコフスキー。前作、交響曲 第3番(OVCL-00835)に続き同公演で披露された交響曲第4番 もCD化!この作品で作曲家は何を表現したかったのか、なぜ ここにこの音があるのか…。楽譜をまったく新しい視点から見 つめ直すことで見えてきた、作曲家の持つ真のヴィジョン。こ のヴィジョンこそが習慣化された演奏スタイルを一新し、ここ に革新的なチャイコフスキー像が誕生したのです。 東京SOと魅せる奇跡的名演をお楽しみください。(オクタヴィア)

Polskie Radio
PRCD-22972299(3CD)
初紹介旧譜
ブラームス:交響曲全集(全4曲) イェジ・セムコフ(指)、
ポーランド国立RSO

録音:2008年2月3日(第1番)、3月29日(第2番)、10月11日(第3番)、2009年5月21日(第4番)、NOSPRコンサート・ホール(カトヴィツェ、ポーランド)
ポーランドに生まれのちにフランスに帰化した指揮者、イェジ・セムコフ(1928-2014)。レニングラード・フィルの副指揮者としてエフゲニー・ムラヴィンスキーの助手を務めながら指揮を教わり、エーリヒ・クライバーやブルーノ・ワルターにも師事。ボリショイ劇場やワルシャワ国立歌劇場、クリーヴランドOなど多くの重要な歌劇場、楽団のポストを歴任した実力者です。その活躍に比してレコーディングはあまり多くありませんが、オペラのほかロシア音楽や古典派、ロマン派の交響曲を得意とし、Voxレーベルから発売されベストセラーとなったシューマンの交響曲全集をはじめ一連の録音は非常に高く評価されてきました。
現在セムコフのディスクは残念ながら多くが廃盤、入手困難となっていますが、ポーランド放送(ポーランドの公共放送局)に実は録音が遺されていたブラームスの交響曲全集をポーランド放送の自主レーベル「Polskie Radio」がリリース。2008年から2009年にかけて、セムコフが79〜80歳の頃にレコーディングされていたもので、規律正しい中にも優れた色彩感を放つ音楽作りは、ブラームスの交響曲を既に聴き慣れているファンにもぜひおすすめしたい好演です。

Forgotten Records
fr-2178(2CDR)
ジョルジュ・ジョルジェスク/ベートーヴェン:交響曲集
交響曲第5番「運命」
交響曲第6番「田園」
交響曲第7番/交響曲第8番
序曲「レオノーレ」第3番
ジョルジュ・ジョルジェスク(指)
ジョルジュ・エネスコPO

録音:1961年(ステレオ)
※音源:ELECTRECORD ECE-080他


ICA CLASSICS
ICAC-5177(2CD)
NX-D03
A・ヤンソンス/チャイコフスキー&プロコフィエフ他
チャイコフスキー:
(1)『眠れる森の美女』〜序章: リラの精/ パ・ダクション: ローズ・アダージョ/パノラマ: アンダンティーノ/ワルツ
(2)フランチェスカ・ダ・リミニ Op. 32
(3)プロコフィエフ:古典 交響曲*
(4)チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調 Op. 64#
レニングラードPO
ソヴィエト国立SO*
アルヴィド・ヤンソンス(指)

録音:1971年9月13日 ロイヤル・アルバート・ホール
1971年9月17日 ロイヤル・フェスティヴァル・ホール#
1983年11月17日 アルスター・ホール*
全てステレオ
何度も重ねた来日や東京交響楽団との共演で日本でも親しまれた、ラトビアの名指揮者アルヴィド・ヤンソンス(1914-1984)。やはり日 本で親しまれ、2019年に亡くなったマリス・ヤンソンスの父としても知られる彼の生誕110年、没後40年となる今年、BBCに残された貴重 な録音が初めて正規発売となります。彼は英国とも繋がりが深く、1965年にはバルビローリの招きでハレ管弦楽団の首席客演指揮者に就 任しており、1984年、そのハレ管とのマーラー交響曲第5番演奏直後に心臓発作で倒れ、マンチェスターで没しました。そんな彼が1971年 9月13日プロムスで演奏した『眠れる森の美女』は過去にモノラルのCDが存在しましたが、同日の「フランチェスカ・ダ・リミニ」、その4日後の チャイコフスキー交響曲第5番、そして1983年ソヴィエト国立交響楽団との「古典」は今回が初出とみられます。しかも全てがステレオ。巨大 なロイヤル・アルバート・ホールで収録された2曲はさすがに分離感が低いですが、ヒストリカル録音のマスタリングで定評のあるポール・ベイリー が丁寧にリマスターを行い、演奏の質をダイレクトに伝える見事な音に仕上げました。大きな生き物のように一体となってうねる弦、強烈な圧 力で迫る金管の咆哮など、ムラヴィンスキーに鍛え上げられた全盛期のレニングラード・フィルのパフォーマンスも強烈で、これをダイナミックかつ 細やかにコントロールするヤンソンスの素晴らしい力量も満喫することが出来ます。プロムスならではのホールが揺れるような大歓声も会場の 興奮を物語っていますが、チャイコフスキーの5番は録音状態も良く出色の出来栄えと言えるでしょう。録音が少ないアルヴィド・ヤンソンスの 実力の高さを改めて知らしめる、必聴の音楽遺産です。

BR KLASSIK
BR-900217(1CD)
NX-B08
マーラー:交響曲第6番「悲劇的」 サイモン・ラトル(指)
バイエルンRSO

録音:2023年9月28,29日(ライヴ)
イザールフィルハーモニー・イン・ガスタイクHP8、ミュンヘン(ドイツ)
2023/24シーズンからヤンソンスの後を継いでバイエルン放送響の第6代首席指揮者に就任したサイモン・ラトル、マーラーの第6番やハイドンの天地創造 といった得意曲でシーズン・オープニングを飾りました。特にマーラーの第6番はベルリン・フィルへの初登場(1987年)と同フィル首席指揮者としての最後の演 奏会(2018年)でもとりあげた曲で、それをバイエルン放送響の任期の始めに持ってきたところに特別な思いと万全の自信がうかがわれます。演奏はいかに も曲を手の内に収めたもので、躍動感も流動性も十分に全曲が流れてゆく様はオケの妙技と相俟って圧巻です。悲劇一色で塗りこめることなく、重層する 音楽のテクスチャーをそのままに矛盾や希望もはらんだ巨大で多面的な建築物のように描き込んだ演奏は情報量も豊か。録音会場となったイザールフィル ハーモニー・イン・ガスタイクHP8の音響の良さも演奏の細部を伝える上で貢献しています。 尚、ラトルとバイエルン放送響はCDリリース後の2024年3月から5月にかけてウィーン、フンランクフルト、ケルン、シカゴ、フィラデルフィア、ニューヨークで、8 月から9月にかけてザルツブルク、ルツェルン、ベルリン、ロンドンでマーラーの第6番を演奏する予定で、ここからも同曲への自信が感じられます。 ※国内仕様盤には増田良介氏による日本語の解説が付属します。
BR KLASSIK
BR-900214(1CD)
NX-B08
ショスタコーヴィチ:交響曲第8番ハ短調 Op.65 ベルナルト・ハイティンク(指)
バイエルンRSO

録音:2006年9月23日(ライヴ)
フィルハーモニー・イン・ガスタイク、ミュンヘン(ドイツ)
2024年に創設75周年を迎えるバイエルン放送響のアーカイヴから貴重な初出音源が登場。オケよりも20歳先輩と言えるハイティンクは1958年にバイエ ルン放送響に初登場し、以後極めて長期にわたり共演を続けました。ここにリリースされるのは2006年9月に行われたショスタコーヴィチの第8番のライヴ。レ パートリーの広いハイティンクにあってもショスタコーヴィチは特別な作曲家だったようで、西側の指揮者として初めてショスタコーヴィチの交響曲全集の録音を 完成(Decca)させ、マーラーに通じる重層的かつ多面的な表現を秘めた交響曲作家としての真価を明かしました。その中でも第8番はコンサートでも定期 的にとりあげていたようですが、CDとなると前述の全集に含まれている1982年のコンセルトヘボウ管とのものしかありません。当盤の楽章毎の演奏時間は 26:08/6:39/6:59/9:09/15:52(total64:47)と、コンセルトヘボウ盤の26:02/6:16/5:58/8:49/14:49(total 61:54)に比べると第2楽章以 降は全般的に少し長めとなっています。近年ライヴ音源のCD化が進むハイティンクですが、ショスタコーヴィチに関しては同曲異演盤が極めて少ない状況な ので、コンセルトヘボウ盤から24年後の解釈を聴ける当盤の意義は大きいものがあります。

Capriccio
C-8088(1CD)
NX-B10

NYCX-10454(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価

ブルックナー:交響曲第3番 ニ短調(第3稿 ノーヴァク版) リンツ・ブルックナーO
マルクス・ポシュナー(指)

録音:2023年2月2-3日、7-8日リンツ、ムジークテアター・リハーサルホール
CAPRICCIOレーベルと国際ブルックナー協会の主導で、ブルックナーの生誕200年にあたる2024年中にブルックナーの全交響曲のすべての稿(バージョン) を録音しようという企画 「#bruckner2024」の第13弾。 ブルックナーの第3番には3つの稿があり、第1稿、第2稿、第3稿と進むにつれて小節数は少なくなります。1872年に一旦の完成を見た第1稿から1889年 の第3稿までの間には、オーケストラに自作の演奏を拒否されたこともありましたが、第7番ではついに大きな成功をおさめ、第8番(第1稿)の初演も成し遂げ ていました。そうした体験を経て改訂された第3番の第3稿は、先行の稿に比べて洗練されて無駄がなく、より効果的な音楽となっており、1890年の初演も 大成功に終わりました。一方で、荒々しいファンタジーが噴出し渦巻く「ブルックナーらしさ」が減ってしまったとの指摘もあります。ブルックナー研究者のトーマス・ レーダーが「何はともあれ、作曲者が他の稿の演奏を禁じてこれを『決定稿』とした事実は重んじられなければならない」と語る第3稿、練達のブルックナー解 釈者となったポシュナーの指揮は、各楽想に応じたテンポと表現の描き分けが精緻で明快。この曲の古典的な造形とロマン的な雰囲気を十全に伝えてくれ ます。
※国内仕様盤には石原勇太郎氏(音楽学/国際ブルックナー協会会員)による日本語の解説が付属します。

Edition HST
HST-122(1CD)
税込定価
J.B.ヴァンハル(1739-1813):交響曲集第28巻
交響曲ハ長調Bryan C14
交響曲へ長調Bryan F8
カッサシオン へ長調Weinmann III:F3 〜ウインナ・ヴィオロン(Cb)とヴァイオリン、ヴィオラとホルンのための
ハイドン・シンフォ二エッタ トウキョウ
リーダー;松井利世子(Vn)、ほか

録音:2023年6月、東京 文京シビック小ホール・ライヴ
ヴァンハルは18世紀末、当時流行っていたウインナ・ヴィオロン(現代コントラバ スの代用)のための(現存するヴィオロン・チェロ;小さなヴィオロンはまだ60年代ウイー ンに輸入されず、またヴィオロンはヴァイオリン・コントラバスに駆逐された)作品を注文 により多く作曲し、協奏曲のほか室内楽・街頭音楽も 10曲近く今日、伝承されてい る。2024年1月、国内NHK 地上波にて放映されたベルリンフィル有志による「ディヴェ ルティメント ト長調 Weinmann III:G7」もこちらのカッサシオン(街頭音楽)の姉妹曲とな る。(CD 既出:クラウス・シュトール(KB)、他”Contrabasso Vivace”:独 SIGNUM SIG X45-00,1979/80,1993)

Altus
ALTL-018(2CD)
東京ユヴェントス・フィルハーモニー第23回定期演奏会
パヌフニク:『平和への行列』
ゾンドイン・ハンガル(1948-1996):交響詩『海燕』〜ショスタコーヴィチの思い出に捧げる詩?(日本初演)
オグタイ・ズルファガロフ(1929-2016):ホリデー序曲(日本初演)
モソロフ(1900-1973):交響的エピソード『鉄工場』
ショスタコーヴィチ:バレエ音楽『ボルト』より 「荷馬車引きの踊り」(アンコール)
ショスタコーヴィチ:交響曲第7番ハ長調『レニングラード』
坂入健司郎(指)
東京ユヴェントス・フィルハーモニー/オーケストラ・リベルタとの合同演奏

録音:2023年1月7日/ミューザ川崎シンフォニーホール [東京ユヴェントス・フィルハーモニー創立15周年記念シリーズ]
2008年に「慶應義塾ユースオーケストラ」として結成され、2014年以降「東京ユヴェントス・フィルハーモニー」として活動している、坂入健司郎率いるオー ケストラによる2023年創立15周年記念演奏会のライヴ録音。慶応義塾大学とオーケストラ同士で交流のあった京都大学のOB・OGが中心となって2021年 に結成された「オーケストラ・リベルタ」との合同演奏会です。
「ソヴィエト音楽の諸相」というテーマで選曲を進めていたものの、世界情勢の変化を受けプログラムを組み直したというコンサート。後半の『レニングラード』 をメインとしつつ、ロシア音楽とその周囲とを幅広く感じさせる、凝った内容になっています。CD2枚組で全曲あまさず収録。
ポーランドの作曲家パヌフニクの『平和への行列』で幕を開ける演奏会。つづくモンゴルの作曲家ハンガルの『海燕』、アゼルバイジャンの作曲家ズルファガロフ の『ホリデー序曲』はどちらもロシア音楽からの影響があり、日本初演。キエフ生まれの作曲家モソロフの『鉄工場』はロシア・アヴァンギャルドの代表作として知 られ、またその強烈さゆえに政府に批判された問題作。そしてショスタコーヴィチの第七交響曲はレニングラード包囲戦をテーマに、皮肉と迫真、戦争と人間が壮大 に描かれた大曲。それぞれ曲そのものにまっすぐ打ち込んだ演奏であるからこそ、音楽が大きな意味を持って耳に迫ってきます。
Altus
ALTB-540(4CD)
限定生産
アーベントロート集成・絶倒編

【TALT056】
(1)ハイドン:交響曲第103番『太鼓連打』
(2)モーツァルト:交響曲第39番変ホ長調
(3)メンデルスゾーン:『夏の夜の夢』序曲
(4)メンデルスゾーン:『フィンガルの洞窟』序曲
R.シュトラウス
(1)『ドン・ファン』/(2)『死と変容』
(3)『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』

【TALT064】
モーツァルト
(1)セレナーデ第6番ニ長調『セレナータ・ノットゥルナ』 K.239
(2)ピアノ協奏曲第26番ニ長調『戴冠式』

【TALT069】
(1)カリンニコフ:交響曲第1番ト短調
(2)J.シュトラウス2世:『皇帝円舞曲』 、『美しく青きドナウ』 、『くるまば草』 序曲、『ジプシー男爵』 序曲
ヘルマン・アーベントロート(指 )


【TALT056】
 ライプツィヒ放送O
 録音:(1)1951年10月29日、(2)1953年2月9日、(3)1950年8月13日、(4)1949年9月18日
【TALT063】
 ライプツィヒ放送O
 録音:(1)1952年2月11日、(2)1949年10月24日、(3)1950年11月14日
【TALT064】
 ステファン・アスケナーゼ(P(2))
 シュターツカペレ・ドレスデン
 録音:1956年2月3日
【TALT069】
 ライプツィヒRSO
 録音:(1)1949年11月16日、(2)1950年11月18日
ALTUSから発売されているアーベントロート指揮のタイトルから4タイトルを、単売パッケージそのままにクラフト調の三方背ケースに収めた数量限定セットです。白熱の爆演を繰り出す指揮者として知られるアーベントロートは楽団員から尊敬を一身に集め、地元市民からも非常に愛されたユニークな人物でした。その独自の音楽世界をとくとお楽しみください。
【TALT056】
ハイドン103番、モーツァルト39番では、テンポや強弱をいたずらに掻き混ぜることなく、巨大かつ凝縮した芯のある響きを打ち立て、がっしりと堂々たる構築物を造り上げています。期せずしてどちらも変ホ長調、充実の極みと言える響きとずば抜けた頼もしさは最早ベートーヴェンの『英雄』にすら匹敵。これほどの聴き応えを誇る古典派シンフォニーは昨今滅多にお目にかかれますまい。そしてメンデルスゾーンの序曲はロマン派的自由と色彩をふわりと纏い、天才的な音楽をわくわくするような身のこなしで颯爽と奏でています。同時に常に深淵の暗闇のような重さを纏っているのも特徴的で、実に深い味わいのある演奏です。
【TALT063】
R・シュトラウスの交響詩はアーベントロートの真骨頂たる爆演気質がおおいに発揮された必聴のレパートリーと言えるでしょう。『ドン・ファン』開始部のほとばしりからして尋常ではありません。自在なテンポ、うずまく熱気、強靭なドラマ性。とことん壮大で痛快な大管弦楽が嫌というほど堪能できます。常に推進力にあふれた猛烈な音の運びはもはや芸術の域、誰にも止められません。『死と変容』クライマックスの際限なく膨れ上がるハ長調の轟音には唖然とさせられます。『ティル』の皮肉交じりのユーモアも切れ味鋭く、また豪快極まりなく、これでもかという強烈な語り口に痺れます。アーベントロート芸術のひとつの極北、と言っても過言ではない凄まじい内容です。
【TALT064】
アーベントロートは古典派音楽では「古典本来の美しさ」を真っ直ぐに提示する、こけおどしの無い演奏を聴かせます。いぶし銀の音色を伝家の宝刀とする老舗オーケストラ、シュターツカペレ・ドレスデンとの共演であるこのモーツァルトでは、アーベントロート流古典演奏の美質がしかと炸裂。鑿で削り出した彫刻のような音響の『セレナータ・ノットゥルナ』では純度の高い力強さに心が打たれます。名ピアニスト、アスケナーゼを迎えた『戴冠式』はそれぞれの個性が互いを高めあう演奏となっており、古典的均整の中にあって自由度が増し、豊かなイマジネーションが広がっていきます。
【TALT069】
泣けるメロディ満載の人気作カリンニコフの1番、アーベントロートの手にかかると面白さ倍増!ロマンの極致とも言うべき至高の精神が充溢。大胆なテンポ変化で各主題を濃厚に歌い、畳み掛けるところでは大いにオーケストラを煽り鼓舞し、有無を言わさぬテンションで突き進みます。フィナーレの爆発的な推進力は惚れ惚れするほど。所々カットがあるのはご愛嬌、それに劣らぬ深い魅力と特別な味わいを持った名演奏です。併録のJ.シュトラウスもオーケストラが生き物のごとくうねる大演奏。『皇帝円舞曲』や『ドナウ』が聴けるのが嬉しい! (Ki)
Altus
ALTB-541(6CD)
限定生産
アンチェル傑作ライヴ集・ステレオ有り

【TALT044】
(1)ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲
(2)ドヴォルザーク:交響曲第8番

【TALT045/6】
[CD1]
(1)ハイドン:交響曲第92番『オックスフォード』
(2)フランク:交響曲 ニ短調
[CD2]
(3)ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲
(4)プロコフィエフ:古典交響曲

(5)ハイドン:交響曲第104番『ロンドン』
(6)アンチェルのインタビュー(英語)

【TALT057/8】
[CD1]
(1)モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジーク
(2)メンデルスゾーン:交響曲第5番 『宗教改革』
(3)シューマン:交響曲第4番ニ短調
[CD2]
(4)ベートーヴェン:交響曲第6番 『田園』
(5)ベートーヴェン:交響曲第8番ヘ長調

【TALT061】
マーラー:交響曲第5番嬰ハ短調
カレル・アンチェル(指 )

【TALT044】
 ヘルマン・クレバース((1)ヴァイオリン)
 アムステルダム・コンセルトヘボウO
 録音:1970年1月28日(ステレオ、ライヴ録音)
【TALT045/6】
[CD1]
 ダニエル・ワイエンベルク((3)ピアノ)
 アムステルダム・コンセルトヘボウO(1)-(4)
 オランダ放送PO(5)
 録音:(1)-(3)1970年1月21日、(4)1969年2月23日、(5)1970年7月6日(すべてステレオ、ライヴ録音) 
(6)1968年7月/プラハ(Document CBC)
【TALT057/8】
 トロントSO
 ライヴ録音:(1)1968年11月10日(モノラル)、(2)1969年12月16・17日(モノラル)、(3)1969年12月9・10日(モノラル)、
(4)972年1月19日(ステレオ)、(5)1968年11月10日(モノラル)
【TALT061】
 トロントSO
 ライヴ録音:1969年11月4日/CBC(モノラル)
ALTUSから発売されているアンチェル指揮のタイトルから4タイトルを、単売パッケージそのままにクラフト調の三方背ケースに収めた数量限定セットです。
【TALT044】
コンセルトヘボウの名コンマスとして名を轟かせたクレバース独奏によるベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲に、これまた名演の誉れ高いドヴォルザークの8番。ステレオ録音で音質もたいへん良好です。ベルベットの如し、と讃えられたコンセルトヘボウの弦セクションを束ねたクレバース。その独奏はオーケストラと同質の美を持ちながらも力強く格調高く、しなやかにして芯のあるベートーヴェンを聴かせてくれます。ドヴォルザークの8番はアンチェルらしさが全開。チェコ・フィルにも負けず劣らずの名演です。コンセルトヘボウの美しい響きを最大限に生かしつつ、ドヴォルザークの音楽を共感と熱気を持って奏でています。アンチェル迫真の指揮に、充実の響きで持って完璧に応えるコンセルトヘボウに脱帽です。
【TALT045/6】
1970年1月21日のライヴを軸に、それ以外の音源もまとめて2枚組にしたものです。すべてステレオ録音で音質もたいへん良好。『オックスフォード』はコンセルトヘボウの弦の音色が絶品。明るい倍音をたっぷり含んだふくよかで輝きのある音。フランクの交響曲は第1楽章序奏の底なし沼のような深さが恐ろしく、うねりにうねって音楽が展開するさまに耳を奪われます。『パガニーニ狂詩曲』は重厚にして技巧もバッチリの独奏者・ワイエンベルクの技量にただただ感服!この3曲が1日のライヴと思うと凄い聴き応えです。69年の『古典交響曲』もアンチェルの類稀な手腕とオーケストラの機動力が一体となっています。繊細なオーケストレーションのスコアを巧みに処理し、色彩はじける演奏です。さらにボーナストラックとして、オランダ放送フィルとの『ロンドン』と、アンチェルの肉声が聴けるインタビュー(英語)を収録。この『ロンドン』がとにかく名演なので、ぜひとも一緒にお楽しみ頂きたいです!常に必要な音だけに満たされた空間で、充足感がたまりません。
【TALT057/8】
このアルバムにはカナダへ渡った直後、常任指揮者就任前後のトロント響とのライヴ録音を収録。頼もしく充実した『アイネ・クライネ』に始まりメンデルスゾーン、シューマン、そしてベートーヴェン2曲と聴き応えたっぷりの2枚組です。若き小澤の精密な演奏とは一線を画したであろう、巨匠然とした堂々たる力強い響きと豊かな表現力は当時のトロントの聴衆に新たな魅力を見せつけたことでしょう。72年の『田園』はステレオ録音で楽しめます。
【TALT061】
アンチェル亡命直後、小澤の後任として音楽監督を務めたトロントSOとのマーラー5番ライヴです。5番はこのTAHRA盤が唯一の録音でありアンチェルの類まれな解釈を知る貴重な録音。ぜひアンチェルの至芸をご堪能ください。全体的に落ち着いた速度設定で、特に目を引くのが第3楽章のテンポ。アーチ状の構成の中央に位置するこの楽章をアンチェルは驚くほどゆっくりとしたテンポで奏でています。はじめはかなり面喰らいますが、聴き進めるうちに不思議な心地よさに包まれ、マーラーの描いた広大な音楽世界をじっくり味わえる演奏だと気づかされます。フィナーレも勢いに流されることなく丁寧に積み上げ組み立て、堂々たる威厳をもった音響を造り上げています。

EUROARTS
20-50443(Bluray)
ベルリン・フィル2000年東京ライヴ ヒラリー・ハーン&ヤンソンス
ウェーバー:「オベロン」序曲
ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲 第1番 イ短調 Op.77
バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第1番 BWV1001より プレスト(アンコール)
ドヴォルザーク:交響曲第8番ト長調 Op.88、
 スラヴ舞曲 ハ長調 Op.72の7
ヒラリー・ハーン(Vn)
マリス・ヤンソンス(指)BPO

収録:2000年11月26日 サントリー・ホール、東京(ライヴ)
画面:16:9,1080/60i Full HD
音声:PCMステレオ,
DTS-HS MA5.1
リージョン:All、99分
2023年11月に第7代常任指揮者キリル・ペトレンコを率いて4年ぶりの来日公演を行ったベルリン・フィル。1957年の初来日以来、24回の日本公 演を行っており、ヘルベルト・フォン・カラヤンをはじめ、小澤征爾、クラウディオ・アバド、マリス・ヤンソンス、サイモン・ラトル、ズービン・メータ、そ してキリル・ペトレンコらの指揮により、最高峰の音楽を日本の聴衆に届けてきました。 今回リリースされるのは2000年にマリス・ヤンソンスと共に来日した際に行った東京・サントリーホールでのライヴ映像を収録したブルーレイ。ソリストにヒラ リー・ハーンを迎えた公演は聴衆を熱狂の渦に巻き込み、以前発売されていたDVDは(2050448廃盤)大ヒットとなりました。ヤンソンスは1976年にベ ルリン・フィルと初共演して以来しばしば客演しており、当演奏会では絶好調の指揮姿をみることができます。得意とするドヴォルザークの交響曲第8番は日本 の聴衆の度肝を抜く名演でした。さらに魅力なのはヒラリー・ハーンが独奏を務めるショスタコーヴィチの協奏曲。壮絶のひとことに尽きる演奏を繰り広げます。

GENUIN
GEN-24864(1CD)
モーツァルト:交響曲集第3集
交響曲第9番 ハ長調 K.73/75a
交響曲第14番イ長調 K.114
交響曲第20番 ニ長調 K.133
交響曲第24番変ロ長調 K.182/dA
ヨハネス・クルンプ(指)、
エッセン・フォルクヴァング室内O
2013年からエッセン・フォルクヴァング室内Oの首席指揮者を務めるヨハネス・クルンプ。両者によるモーツァルトの交響曲集の第3弾が登場しました。今回はモーツァルトがわずか13歳で作曲した「交響曲第9番」から始まり、1769年から1773年にかけて作曲された4つの初期交響曲が収録されています。これらの作品は、若かりし頃のものとは思えないほど、充実した内容となっており、聴くものを魅了します。演奏は当時の歴史に基づいた手段を駆使し、完璧なアンサンブルでなされています。今後のリリースも期待せずにはいられない素晴らしいモーツァルトを奏でています。

BIS
BISSA-9062
(17SACD+4DVD)
アラン・ペッテション-コンプリート・エディション


■Disc1(77'54)
(1)交響曲第1番(1951)(クリスチャン・リンドベルイ校訂版)
(2)交響曲第2番(1952/3)
■Disc2(70'52)
(3)交響曲第3番(1954-55)
(4)交響曲第15番(1978)
■Disc3(65'13)
(5)交響曲第4番(1959)
(6)交響曲第16番(1979)
(6)ユルゲン・ペッタション(アルト・サクソフォン)
■Disc4(68'53)
(7)交響曲第5番(1960-62)
(8)ヴィオラ協奏曲(1979)【独奏パートの補完:エレン・ニスベト】
■Disc5(80'53)
(9)交響曲第6番(1963-66)
(10)弦楽のための協奏曲第1番(1949-50)
■Disc6(71'27)
(11)交響曲第7番(1966-67)
(12)交響曲第11番(1973)
■Disc7(71'31)
(13)交響曲第8番(1968-69)
(14)交響曲第10番(1972)
■Disc8(70'11)
(15)交響曲第9番(1970)
■Disc9(79'45)
(16)交響曲第12番「広場の死者」(1973-74)(詩:パブロ・ネルーダ)
(17)8つの裸足の歌(1943-45)(オーケストレーション:アンタル・ドラティ)
■Disc10(66'46)
(18)交響曲第13番(1976)
■Disc11(79'56)
(19)交響曲第14番(1978)
(20)弦楽のための協奏曲第2番(1956)
■Disc12(61'06)
(21)ヴァイオリン協奏曲第2番(1977改訂稿)
(22)交響曲第17番(1980)(断章)(1980)【マルクス・ブリルカ&クリスチャン・リンドベルイによる補完】
■Disc13(54'00)
(23)弦楽のための協奏曲第3番(1956-57)
■Disc14(59'30)
(24)ヴァイオリンと弦楽四重奏のための協奏曲(1949)
(25)2つの悲歌〜ヴァイオリンとピアノための(1934)
(26)アンダンテ・エスプレシーヴォ〜ヴァイオリンとピアノのための(1938)
(27)ロマンツァ〜ヴァイオリンとピアノのための(1942)
(28)ラメント〜ピアノのための(1945)
(29)4つの即興曲〜弦楽三重奏のための(1936)
■Disc15(87'10)
(30)2つのヴァイオリンのための7つのソナタ(1951)
(31)フーガ ホ長調〜オーボエ、クラリネット、ファゴットのための(1948)
(32)交響的楽章(1973)
(33)幻想曲〜ヴィオラ独奏のための(1936)
■Disc16(50'33)
(34)「人の声」〜独唱者、混声合唱と弦楽オーケストラのための(1976)
■Disc17(71'35)
(35)6つの歌〜中声とピアノのための(1935)
(36)裸足の歌(1943-45)


●特典DVD
■Disc1
「Allan Pettersson - The First Symphony(アラン・ペッテション-最初の交響曲)」
 アラン・ペッテションの交響曲第1番について、作曲者の手稿から2010年の初演とその後の録音に至るまでの道のりを記録した1時間のドキュメンタリー
■Disc2
「The Voice of Man(人間の声)」
 スウェーデン・テレビ放送1973〜78年制作のペッテションについてのドキュメンタリー
■Disc3
「Who the hell is Allan Pettersson?(アラン・ペッテション、お前は一体何者?)」
 1974年制作のペッテションのドキュメンタリー
■Disc4
「The Song of Life(いのちの歌)」
 スウェーデン・テレビ放送1987年制作。ペッテションについてのドキュメンタリー
■Disc1(77'54)
(1)(2)クリスチャン・リンドベルイ(指)ノールショピングSO
録音:2010年5月〜6月/ルイ・ド・イェール・コンサートホール、ノールショピング
■Disc2(70'52)
(3)(4)レイフ・セーゲルスタム(指)ノールショッピングSO
録音:(3)1993年5月29日、(4)1994年3月24&25日/リンシェーピング・コンサートホール
■Disc3(65'13)
(5)(6)
(6)ユルゲン・ペッタション(アルト・サクソフォン)
クリスチャン・リンドベルイ(指)ノールショピングSO
録音:2013年1月/ルイ・ド・イェール・コンサートホール、ノールショピング
■Disc4(68'53)
(8)エレン・ニスベト(Va)
クリスチャン・リンドベルイ(指)ノールショピングSO
録音:(7)2017年6月、(8)2020年1月13-17日/ルイ・ド・イェール・コンサートホール、ノールショピング
■Disc5(80'53)
(9)クリスチャン・リンドベルイ(指)ノールショピングSO
(10)クリスチャン・リンドベルイ(指)ノルディック室内O
録音:(9)2012年1月、(10)2007年3月/ルイ・ド・イェール・コンサートホール、ノールショピング
■Disc6(71'27)
レイフ・セーゲルスタム(指)ノールショッピングSO
録音:(11)1992年4月29&30日、(12)1992年12月17日/リンシェーピング・コンサートホール
■Disc7(71'31)
レイフ・セーゲルスタム(指)ノールショッピングSO
録音:1997年3月/ルイ・ド・イェール・コンサートホール、ノールショピング
■Disc8(70'11)
(15)クリスチャン・リンドベルイ(指)ノールショピングSO
録音:2013年1月/ルイ・ド・イェール・コンサートホール、ノールショピング
■Disc9(79'45)
(16)エリク・エリクソン室内合唱団、スウェーデン放送合唱団、クリスチャン・リンドベルイ(指)ノールショピングSO
(17)アンデシュ・ラッション(Br)、クリスチャン・リンドベルイ(指)ノルディック室内O
録音:(16)2019年3月&2020年1月、(17)2007年3月/ルイ・ド・イェール・コンサートホール、ノールショピング
■Disc10(66'46)
(18)クリスチャン・リンドベルイ(指)ノールショピングSO
録音:2015年1月/ルイ・ド・イェール・コンサートホール、ノールショピング
■Disc11(79'56)
(19)クリスチャン・リンドベルイ(指)ノールショピングSO
(20)クリスチャン・リンドベルイ(指)ノルディック室内O
録音:(19)2016年1月、(20)2007年3月/ルイ・ド・イェール・コンサートホール、ノールショピング
■Disc12(61'06)
(21)ウルフ・ヴァリーン(Vn)
クリスチャン・リンドベルイ(指)ノールショピングSO
録音:(21)2017年1月、(22)2018年1月/ルイ・ド・イェール・コンサートホール、ノールショピング
■Disc13(54'00)
クリスチャン・リンドベルイ(指)ノルディック室内O
録音:2006年5月/ヘグドーンゲル教会、ハルノサンド
■Disc14(59'30)
(24)ウルフ・ヴァリーン(Vn)、SQ【スーイエ・パク(Vn1)、ダニエル・ヴラシ・ルカヒ(Vn2)、ゲルマン・チャクロフ(Va)、アレクサンダー・ウォルハイム(Vc)】
(25)-(27)ウルフ・ヴァリーン(Vn)、トーマス・ホッペ(P)
(28)トーマス・ホッペ(P)
(29)ウルフ・ヴァリーン(Vn)、ゲルマン・チャクロフ(Va)、アレクサンダー・ウォルハイム(Vc)
録音:(25)-(27)2022年9月5&6日、(24)(28)(29)2022年11月28日〜12月2日/聖ニコデモ教会、ノイケルン、ベルリン
■Disc15(87'10)
(30)デュオ・ジュラン(2つのヴァイオリン)、レンナルト・ヴァリーン(P)
(31)ノールショピングSOのメンバー【トマス・ブーディーン(Ob)、アルバロ・パストル・ヒメネス(Cl)、リヌス・ビョーンスタム(Fg)】
(32)クリスチャン・リンドベルイ(指)ノールショピングSO
(33)エレン・ニスベト(Va)
録音:(30)1999年7月&8月/ダンデリード・グラマー学校
(31)2023年5月19日、(32)2023年1月13日/ルイ・ド・イェール・コンサートホール、ノールショピング
(33)2020年5月29日/聖ペテロ教会、ダンデリード
■Disc16(50'33)
マリアンネ・メルネス(S)、マルゴット・ローディン(Ms)、スヴェン=エーリク・アレクサンデション(T)、エルランド・ハーゲゴード(Br)
スティーグ・ヴェステルベリ(指)スウェーデン放送合唱団、スウェーデンRSO
録音:1976年3月22日&1976年5月25日/王立スウェーデン音楽アカデミー、ストックホルム
■Disc17(71'35)
ペーテル・マッテイ(Br)、ベンクト=オーケ・ルンディン(P)
録音:2021年3月11-14日/オレブルー・コンサートホール、オレブルー
●特典DVD
■Disc1
フォーマット:NTSC16:9、Dolby Digital、Stereo、Region code:0(Worldwide)
言語:スウェーデン語、字幕:英独仏
■Disc2
フォーマット:NTSC16:9&4:3pillar box、Dolby Digital、Stereo Region code:0 (Worldwide)
言語:スウェーデン語、字幕:英
■Disc3
フォーマット:NTSC16:9&4:3pillar box、Dolby Digital、Stereo Region code:0 (Worldwide)
言語:スウェーデン語、字幕:英
■Disc4
フォーマット:NTSC16
BISレーベルの大偉業!アラン・ペッテションの17曲の交響曲、室内楽曲、声楽曲など未発表作品を含む全作品がボックスで登場。この度初SACDハイブリッド化されたディスクも多く、マティアス・シュピツバルトによる最新リマスタリングでお届けします。
ペッテション作品の録音は世界中の専門誌で数々の賞を受賞。非常に高い評価を得ています。ペッテションの音楽は唯一無二。壮大な構想、情熱、ダイナミズムという点ではマーラーの交響曲に匹敵するほど大規模で、20世紀の他の作曲家とはまるで違う世界が広がります。
貧しい労働者階級人々の住む界隈で育った子供時代を反映させた作品も多く、ペッテションの人生をあらわしたかのような暗黒で暴力的なパッセージが随所にあらわれるのが作品の特徴。一方、澄みきった響きや天国を夢見ているかのような美しい旋律もまたペッテション作品の魅力です。
当ボックスでは17枚のSACDハイブリッド盤に加えて、ペッテションと彼の作品について、さらにはペッテションを知る音楽家たちが出演した4枚のDVD(NTSC)も付き、300ページほどのブックレットも興味津々です。 (Ki)

CLAVES
50-3104(2CD)
ポシュナー/チャイコフスキー:2つの交響曲
(1)交響曲第5番ホ短調 Op.64
(2)交響曲第6番ロ短調 Op.74『悲愴』
スイス・イタリアーナO、
マルクス・ポシュナー(指)

録音:(1)2021年8月、(2)2022年10月
オーディトリオ・ステリオ・モロ・スタジオ( RSI )、ルガーノ
指揮者マルクス・ポシュナーが2015年より首席指揮者を務めるスイス・イタリアーナO(スイス・イタリア語放送O)と、チャイコフスキーの交響 曲第5番と第6番『悲愴』を録音しました!
ポシュナーはこれまでにドレスデンPO、ミュンヘンPO、ウィーンSO、ベルリン・コンツェルトハウス管弦 楽団、ベルリンRSO、ウィーンRSO、フランス国立O、NHKSO、東京都SOなどを指揮。2020年にはオーストリア・ミュージッ ク・シアター・アワードのベスト・オーケストラ賞を、ワーグナーの『トリスタンとイゾルデ』でベスト・オペラ指揮者賞をそれぞれ受賞しています。
当演奏では各楽器のキャラクターを生かしながら、じっくりと歌い上げるチャイコフスキーを展開。じわじわと湧き上がる唯一無二のチャイコフスキーの旋律を情 熱的に演奏しております!ポシュナーと当団、決定盤の登場です!! (Ki)

GRAND SLAM
GS-2308(1CD)
(1)ハイドン:交響曲第94番ト長調 「驚愕」
(2)チャイコフスキー:交響曲第4番ヘ短調 Op.36
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)、VPO

録音:(1)1951年1月11、12、17日、(2)1951年1月4、8、9、10日/ウィーン、ムジークフェライン
使用音源:Private archive (2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:モノラル(録音セッション)
■制作者より  
1951年1月、フルトヴェングラーは4回の第9公演とHMVのセッション録音とで、ウィーン・フィルと密に接していました。その最大の成果とされるのがこのディ スクのハイドンとチャイコフスキーです。同内容の演奏は2018年にGS-2179として発売しましたが、今回は新規にテープを取り寄せ、全工程をプロ用機器でマ スタリングを行いました。フルトヴェングラーとウィーン・フィルの絶好調の名演が、旧盤と比較して3割増しの情報量で楽しめます。(平林直哉)


PROMINENT CLASSICS
2506-5618(5CD)
マタチッチ最後のベートーヴェン:交響曲全曲演奏会
交響曲第1番ハ長調作品21
交響曲第3番「英雄」
交響曲第2番ニ長調作品36
交響曲第6番ヘ長調「田園」
交響曲第4番変ロ長調作品60
交響曲第5番「運命」
交響曲第8番ヘ長調作品93
交響曲第7番イ長調作品92
交響曲第9番「合唱」
ロヴロ・フォン・マタチッチ(指)
ザグレブPO
ラドミラ・スミッリャニチ(S))
マリヤ・クラシッチ(Ms)
イーゴル・フィリポヴィチ(T)
ネヴェン・ベレマリチ(Bs)
ザグレブ・フィルcho

録音:(第1、2番)1980年12月19日
(第3、4番)1981年1月16日
(第5、6番)1981年2月27日
(第7,8番)1981年5月22日
(第9番)1981年6月5日
ヴァトロスラフ・リシンスキ・コンサートホール(ステレオ・ライヴ)
HRTクロアチア放送による録音
*当時クロアチアはユーゴスラヴィアでした。
巨匠マタチッチはベートーヴェンを満遍なく取り上げていた指揮者ではありません。生涯で二度しか全曲演奏会をしなかったと言います。その最初のものは1962年のミラノ放送響とのもので、CDとして既出ですが音質には不満もあり、オケの響きの薄さには泣かされたものです。ついに登場する巨匠最後のベートーヴェン・ツィクルスは巨匠のお膝元である、ユーゴスラヴィア(現クロアチア)のザグレブ。もちろん手兵のザグレブ・フィルを率いての大演奏です。HRTクロアチア所蔵の音源は優秀なステレオ。正に巌の如きベートーヴェンがそそり立ちます。第1番、第2番、第8番という小ぶりな曲の内容の深さにも感動。第7番は青年のような元気溌剌さ。「運命」、「第九」の人生の苦みを体現するかのような切実な表現。壮大な「エロイカ」等、聞き所は満載。マタチッチを、更にはベートーヴェンを知るには必携の名演と言えましょう。解説には演奏分析の神、金子建志氏がマタチッチのベートーヴェン演奏の秘密を御開帳!

Champs Hill Records
CHRCD-167(1CD)
マーラー:大地の歌(マーラーの自筆譜によるピアノ伴奏版) クラウディア・ハックル(C.A)、
ニッキー・スペンス(T)、
ジャスティン・ブラウン(P)

録音:2021年8月9日-12日、チャンプス・ヒル・ミュージック・ルーム(イギリス)
マーラーは1907年、ドイツの詩人ハンス・ベートゲが翻訳した詩集「中国の笛」と出会いました。当時46歳のマーラーは巨大な「交響曲第8番」を完成させ、指揮者としても名声を集めており、キャリアの絶頂期を過ごしていました。その一方で、娘を亡くし、自らも心臓疾患を診断されるなど、重大な転機を迎えていました。1908年にこの「中国の笛」をもとに作曲された「大地の歌」は、”私が今まで作曲した作品の中で、この作品が最も個人的な作品である”とマーラーがブルーノ・ワルターに宛てた手紙の中で語っています。マーラーの歌曲集や連作曲集のほとんどと同じように、「大地の歌」もピアノ版とオーケストラ版の両方で構想されました。ピアノ版はマーラーの生前に発表されることはなく、死後数十年が経った1989年に発表されました。
イギリス系ドイツ人のコントラルト、クラウディア・ハックルは2013年に女性として初めてのビルギット・ニルソン賞を受賞し、ヨーロッパやアメリカのオーケストラと共演し、オペラにも数多く出演しています。このアルバムはハックルの発案で制作され、イギリスを中心に世界で活躍するテノールのニッキー・スペンスと、世界各国のオーケストラと共演する指揮者でピアニストでもあるジャスティン・ブラウンと共に録音されました。

NEOS
NEOS-12315(1CD)
グロリア・コーツ:室内オーケストラのための作品集
交響曲第1番「開放弦による音楽」(1972/1973)
Wir tonen allein(ソプラノ、ティンパニ、パーカッションと弦楽オーケストラのための)(1988)
Cette blanche agonie(ソプラノ、イングリッシュ・ホルン/オーボエ、ティンパニ、パーカッションと弦楽オーケストラのための)(1988)
交響曲第16番「時間の凍結」(1993)
ミュンヘン室内O、
イラン・ヴォルコフ(指)、
ジェシカ・ナイルズ(S)、
トビアス・フォーゲルマン(イングリッシュ・ホルン、オーボエ)

録音:2022年10月21日-23日、ウトーピア・ホール(ミュンヘン)
アメリカに生まれ、ミュンヘンを拠点に作曲家に加え女優、歌手、画家、作家などとしても活躍したグロリア・コーツ(1933-2023)の追悼盤ともいえる作品集がNEOS-レーベルから登場。1978年にポーランドの現代音楽祭「ワルシャワの秋」で演奏され大きな話題を呼んだ彼女の代表作「開放弦による音楽」を筆頭に、特徴であるグリッサンドや微分音が効果的に多用された室内オーケストラのための作品を収録。小澤征爾からボストンSOのアシスタント・コンダクターに招かれた経験を持ち、日本のオーケストラにも度々客演しているイスラエルの若き巨匠、イラン・ヴォルコフとミュンヘン室内Oによる2022年の録音です。

Diapason
DIAPCF-029(10CD)
シューベルト:交響曲全集、合唱作品集、歌曲集
(1)交響曲第1番ニ長調 D82
(2)交響曲第2番変ロ長調 D125
(3)交響曲第3番ニ長調 D200
(4)交響曲第4番ハ短調 D417「悲劇的」
(5)交響曲第5番変ロ長調 D485
(6)交響曲第6番ハ長調 D589
(7)交響曲第8(7)番ロ短調 D759「未完成」
(8)交響曲第9(8)番ハ長調 D944「ザ・グレート」
(9)劇付随音楽「ロザムンデ」 D797全曲
(10)岩の上の羊飼い D965
(11)ミサ曲第6番変ホ長調 D950
(12)ミサ曲第2番ト長調 D167より クレド
(13)水の上の霊の歌 D714
(14)詩篇第23番「主はわが羊飼い」 D706
15)ドイツ・ミサ曲 D872
(16)憂愁 D825
反抗 D865*
愛 D983a
16世紀の酒宴の歌 D847
愛の心 D747
永遠の愛 D825a
(17)セレナード D920
(18)アヴェ・マリア D839
(19)アンゼルモの墓で D504
乙女の嘆き D191b
(20)ガニュメート D544
(21)歌曲集「美しき水車小屋の娘」 D795全曲
(21)野ばら D257
スイスの歌 D559
ただあこがれを知る者だけが D877
子守歌 D498
夜咲きすみれ(花大根) D752
(22)ナイチンゲールに寄せて D497*
(23)歌曲集「冬の旅」 D911全曲
(24)子守歌 D867
(25)魔王 D328
(26)歌曲集「白鳥の歌」 D957全曲
(27)月に寄す D193
(28)ズライカU D717
(29)さすらい人の夜の歌 D224
(30)竪琴弾きの歌T-V
(31)トゥーレの王 D367
糸を紡ぐグレートヒェン D118
(32)ます D550
水の上で歌う D774
(33)漁師の歌 D881
(34)糸を紡ぐグレートヒェン D118
(35)春の小川 D361
僕の挨拶を送ろう D741
録音:1949年
(36)春に D882
(37)死と乙女 D531*
音楽に寄せて D547**
(38)憩いなき恋 D138
こびと D771
(39)シルヴィアに D891
若い尼僧 D828
恋人のそばに D162
(40)笑いと涙 D777
(41)それらがここにいたことは D775
(42)糸を紡ぐグレートヒェン D118
(43)アヴェ・マリア
(44)君はわが憩い D776*
ミューズの子 D764**
(45)魔王 D328
(1)ロイヤルPO、トーマス・ビーチャム(指)
録音:1953年
(2)VPO、カール・ミュンヒンガー(指)
録音:1959年
(3)ロイヤルPO
トーマス・ビーチャム(指)
録音:1958年-1959年
(4)ロンドン・モーツァルト・プレーヤーズ、ハリー・ブレック(指)
録音:1953年
(5)シカゴSO、フリッツ・ライナー(指)
録音:1960年
(6)アムステルダム・コンセルトヘボウO、エドゥアルト・ファン・ベイヌム(指)
録音:1957年
(7)レニングラードPO、エフゲニー・ムラヴィンスキー(指)
録音:1959年
(8)LSO、ヨーゼフ・クリップス(指)
録音:1958年
(9)ディアナ・エウストラーティ(Ms)、ベルリン・モテットcho、BPO、フリッツ・レーマン(指)
録音:1952-53年
(10)リタ・シュトライヒ(S)、ハインリヒ・ゴイザー(Cl)、エリック・ヴェルバ(P)
録音:1959年
(11)BPO
ベルリン聖ヘドウィッヒcho、エーリッヒ・ラインスドルフ(指)、ピラール・ローレンガー(S)、ベティ・アレン(C.A)、フリッツ・ヴンダーリヒ(T)、マンフレッド・シュミット(T)、ヨーゼフ・グラインドル(Bs)
録音:1960年
(12)クリーヴランドcho、クリーヴランドOのメンバー、ロバート・ショウ(指)
録音:1961年
(13)ウィーン国立歌劇場cho、クレメンス・クラウス(指)
録音:1950年
(14)ベルリン・モテットcho、ミヒャエル・ラウハイゼン(P)、ギュンター・アルント(指)
録音:1952-53年
(15)ベルリン聖ヘドヴィヒ大聖堂cho、ヴォルフガング・マイヤー(Org)、ベルリンSO、カール・フォスター(指)
録音:1959年
(16)シュトゥットガルト・ヴォーカル・アンサンブル、ヴァルター・ベーレ(P)*、マルセル・クーロー(指)
録音:1955-56年
(17)ディアナ・オイストラティ(Ms)、ベルシン・モテットcho、ミヒャエル・ラウハイゼン(P)、ギュンター・アルント(指)
録音:1952-53年
(18)イルムガルト・ゼーフリート(S)、エリック・ヴェルバ(P)
録音:1957年
(19)キルステン・フラグスタート(S)、エドウィン・マッカーサー(P)
録音:1956年
(20)ヘルマン・プライ(Br)、ジェラルド・ムーア(P)
録音:1960年
(21)ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)、ジェラルド・ムーア(P)
録音:1961年
(21リタ・シュトライヒ(S)、エリック・ヴェルバ(P)
録音:1959年
(22)エリーザベト・シューマン(S)、ジョージ・リーヴス(P)*、カール・アルヴィン(P)**
録音:1933年、1927年&1932年
(23)ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)、ジェラルド・ムーア(P)
録音:1955年
(24)エリーザベト・グリュンマー(S)、ジェラルド・ムーア(P)
録音:1958年
(25)ヘルマン・プライ(Br)、カール・エンゲル(P)
録音:1962年
(26)ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)、ジェラルド・ムーア(P)
録音:1951年、1955年&1957年
(27)リタ・シュトライヒ(S)、エリック・ヴェルバ(P)
録音:1959年
(28)エリーザベト・グリュンマー(S)、ジェラルド・ムーア(P)
録音:1958年
(29)ヘルマン・プライ(Br)、ジェラルド・ムーア(P)
録音:1960年
(30)ヘルマン・プライ(Br)、ジェラルド・ムーア(P)
録音:1960年
(31)イルムガルト・ゼーフリート(S)、エリック・ヴェルバ(P)
録音:1957年
(32)エリーザベト・グリュンマー(S)、ジェラルド・ムーア(P)
録音:1958年
(33)クリスタ・ルートヴィヒ(Ms)、ジェラルド・ムーア(P)
録音:1957年
(34)リーザ・デラ・カーザ(S)、カール・フーデッツ(P)
録音:1956年
(35)ハンス・ホッター(Br)、ジェラルド・ムーア(P)
録音:1949年
(36)ペーター・アンダース(T)、ミヒャエル・ラウハイゼン(P)
録音:1943年
(37)キャスリーン・フェリアー(C.A)、ブルーノ・ワルター(P)*、フィリス・スパー(P)**
録音:1949年
(38)ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)、クラウス・ビリンク(P)
録音:1948年
(39)エリーザベト・シュヴァルツコップ(S)、エドウィン・フィッシャー(P)
録音:1952年
(40)イルムガルト・ゼーフリート(S)、エリック・ヴェルバ(P)
録音:1955年&1957年
(41)ゲルハルト・ヒュッシュ(T)、ハンス・ウード・ミュラー(P)
録音:1938年
(42)ロッテ・レーマン(S)、、エルネー・バログ(P)
録音:1937年
(43)マリアン・アンダーソン(S)、コスティ・ヴェハーネン(P)
録音:1936年
(44)エリーザベト・シューマン(S)、カール・アルヴィン(P)*、ジェラルド・ムーア(P)**
録音:1932年&1936年
(45)ハインリヒ・シュルスヌス(Br)、フランツ・ルップ(P)
録音:1933年
芸術の国フランスの世界的クラシック音楽専門誌、「ディアパゾン(Diapason)」の自主製作レーベルの看板であるボックス・セット・シリーズの第29弾として登場するのは往年の超一流アーティストたちの演奏が選りすぐられたシューベルトの名演集!
ビーチャムやクリップス、ベイヌムからムラヴィンスキーまでバラエティに富んだ指揮者が選定された交響曲全集、フリッツ・レーマン&ベルリン・フィルの「ロザムンデ」全曲などに加え、ゼーフリート、フラグスタート、プライ、フィッシャー=ディースカウ、エリーザベト・シューマン、デラ・カーザ、シュヴァルツコップといったシューベルト演奏史を彩る大歌手たちによる歌曲集をたっぷり収録。たとえば三大歌曲集はフィッシャー=ディースカウ&ジェラルド・ムーア(「冬の旅」は名演と名高い1955年録音!)が選ばれ、「糸を紡ぐグレートヒェン」ではゼーフリート、デラ・カーザ、ロッテ・レーマンの聴き比べができるなど、シューベルティアンにもこれからシューベルトを聴き始める方にもオススメできる絶好のBOXセットとなっています。

Obsession
SMHQ-002(1CD)
HQCD
完全限定生産
マーラー:交響曲第1番「巨人」 カルロス・パイタ(指)ロイヤルPO

録音:1976年、キングズウェイ・ホール(ロンドン)/ADD
フルトヴェングラーに心酔し、その影響を感じさせる解釈と破格の大音響で一部マニアから熱狂的な支持を集めるアルゼンチン出身の指揮者カルロス・パイタ。2015年の末に83歳で逝去し新たな録音の登場に期待することはできなくなってしまいましたが、自身がスイスで立ち上げたレーベル「Lodia」からリリースされていたマーラーの「巨人」(1976年録音)がHQCDとなってObsessionより復刻。豪快でドラマティックな演出、パイタならではの爆発力を伴った音の洪水をHQCD化によって格段に向上した音質で存分に味わうことができます。に対して十分な数量をご提供出来ない可能性がございます。予めご了承下さい。初回生産分完売後は再生産時期未定となります。

ALPHA
ALPHA-1008(1CD)
シベリウス:交響曲第4番イ短調 Op.63
森の精 Op.15
悲しきワルツ Op.44
エーテボリSO
サントゥ=マティアス・ロウヴァリ(指)

録音:2021年11月、2022年6月、2023年3月  エーテボリ・コンサート・ホール、スウェーデン
サントゥ=マティアス・ロウヴァリが手兵エーテボリSOと進めるシベリウスの交響曲チクルス第4弾は、全7曲の交響曲の中で最も難解と 見られがちながら、傑作の呼び声もまた高い第4番です。シリーズのこれまでのアルバムで個性的でありつつも説得力のある解釈を聴かせ、 作品の新しい魅力を知らしめてきたロウヴァリ。今回も終始暗い影が支配するこの作品から、彼ならではの際立って精緻なスコア整理と、細 部まで行き届いたコントロールと表現力によって様々な側面を引き出し、その充実した内容をあぶり出すことに成功しています。併せて収録 されたのは、30歳を目前にしたシベリウスがスウェーデンの詩人ヴィクトル・リュードベリの詩に基づいて書き上げた標題音楽「森の精」。20分 を超える演奏時間を要する力作ながら、なぜか半世紀以上忘れられていたというこの作品をロウヴァリは素晴らしい躍動感と物語性で描き 上げ、その完成度の高さを証明してみせました。そして最後は人気曲「悲しきワルツ」のメリハリのある引き締まった演奏で、余韻を残すラスト の引きも見事。

SWR music
SWR-19130CD(1CD)
NX-B09
ドヴォルザーク:交響曲第7番ニ短調 Op.7
交響曲第8番ト長調 Op.88
ピエタリ・インキネン(指)
ドイツ放送PO

録音:2021年9月27-30日、2022年9月6-9日*
ドイツ放送フィルによるドヴォルザーク交響曲全集第6弾。前半3枚を指揮したチチョンより、第4弾からインキネンが引き継ぎ、素晴らしい演奏を披露してい ます。 今作に収録されているのは、ドヴォルザークの交響曲の中でもとりわけ人気の高い第8番と第7番。1884年から85年に書かれた第7番は、第3楽章にチェ コ民族舞曲フリアントのリズムが使われるなどスラヴ要素の濃い作品。第8番は更にボヘミアの要素が高く、とりわけ第3楽章の哀愁を帯びた旋律も一度聴 いたら忘れられないほどの魅力があります。 2017年からドイツ放送POの首席指揮者と務めるインキネンは、作品のスコアを丹念に読み込み、細かい対旋律までをも際立たせ ることでオーケストラから明瞭な響きを引き出し、メリハリあるテンポで全曲を聴かせます。

Capriccio
C-8093(1CD)
NX-B10

NYCX-10449(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価

ブルックナー:交響曲第2番ハ短調 ウィーンRSO
マルクス・ポシュナー(指)

録音:2023年4月11、12、14日ウィーン、放送文化会館(オーストリア)
CAPRICCIOレーベルと国際ブルックナー協会の主導で、ブルックナーの生誕200年にあたる2024年中にブルックナーの全交響曲のすべての稿(バージョ ン) を録音しようという企画 「#bruckner2024」の第12弾。第1稿のウィリアム・キャラガン校訂版による演奏ですが、第2楽章と第3楽章の順番を入れ 替えている点が目を引きます。1868年にリンツで交響曲第1番を初演したブルックナーは続いてニ短調の交響曲に取り組み、翌69年に完成させますが、この曲に当初予定していた第2 番を与えることなく、Nulte=無効と書いて封印してしまいました(今日では第0番と呼ばれることが多い)。心機一転、1871年に着手して翌年に仕上げた のがここに録音されている第2番(第1稿)です。初演は1873年、ブルックナー自身の指揮で行われました。 この録音では2005年に出版されたキャラガン版を使っていますが、第2楽章をアダージョ、第3楽章をスケルツォという、出版楽譜とは逆の配置にしていま す。これについて、当シリーズの監修者ポール・ホークショーは原盤解説(英語・ドイツ語)で、現在オーストリア国立図書館に収蔵されている自筆総譜では アダージョ、スケルツォの順であること等を理由に挙げています。結果として、第7番までと同じく第2楽章に緩徐楽章、その次にスケルツォという構成になりま した。 ポシュナーの演奏はこれまでと同様に曲の構造に応じてテンポを明瞭に切り替えるもので、他の録音と比べて速い箇所はより速く進めて軽快かつ迫力ある 印象を与えますが、緩やかな箇所はしっかりとテンポを落として清澄な抒情の雰囲気を描き出します。全体の演奏時間は61分弱で、ブロムシュテット指揮 のゲヴァントハウス盤と並んで同曲の最短レベルですが、ブロムシュテットと比べると第1楽章とスケルツォが速く、アダージョとフィナーレはより長い時間をかけて います。 ※国内仕様盤には石原勇太郎氏(音楽学/国際ブルックナー協会会員)による日本語の解説が付属します。

CPO
NYCX-10452(4CD)
日本語解説付国内盤
税込定価

フェルディナント・リース(1784-1838):交響曲全集
■CD1
交響曲第1番ニ長調 Op.23(1809)
交響曲第2番ハ短調 Op.80(1814)
■CD2
交響曲第5番ニ短調 Op.112(1813)
交響曲第3番変ホ長調 Op.90(1815)
■CD3
交響曲第4番ヘ長調 Op.110(1818)
交響曲第6番ニ長調 Op.146(1822)
■CD4
交響曲第7番イ短調 Op.181(1835)
交響曲第8番変ホ長調 WoO30(1822)
チューリヒ室内O
ハワード・グリフィス(指)
録音1999年9月(CD1)、2001年8月(CD3)、2002年5月(CD4)、1997年9月(CD2)
CD4のみSACDハイブリッド・ディスク(Stereo/Surround)

輸入品番…777216
“ベートーヴェンの愛弟子”が、8作もの交響曲を世に送り出していた…… 日本国内のプロ/アマチュアオーケストラでも演奏機会が増えつつあるフェルディナント・リース(1784-1838)の交響曲、世界唯一の全集が国内仕様盤と してリリース。1809年から1835年まで、「クラシック作曲家になりたい」という願いのもとに書かれた渾身の交響曲群は、驚くべきネタの宝庫だった! 師ベートーヴェンの 初期作に似たトリッキーな幕開けの『交響曲第1番』、「運命」動機が支配する『第5番』、バロック・テイストの『第6番』、モーツァルトの「ジュピター交響曲」 を彷彿とさせる『第8番』。19世紀初頭、音楽家が「クラシック作曲家」を名乗るためにクリアしなければならなかった課題の全てがここにある。芸術とは、クラ シックとは、オリジナリティとは何なのか。その答えを探している方にもお聴きいただきたい交響曲集。--かげはら史帆 1784年にボンで生まれたリースは1801年にウィーンに移り、ベートーヴェンに師事。後に人気コンポーザー・ピアニストとして欧州各地を席巻しました。ピア ノ・ソナタやピアノ協奏曲を始め、交響曲、弦楽四重奏曲からオペラやオラトリオに至る幅広いジャンルに作品を書いたのは師ベートーヴェンに通じます。作 風は盛期古典派様式から初期ロマン派のスタイル。8曲の交響曲はすべてオーソドックスな4楽章構成で、曲想も構成も親しみ易く、ベートーヴェン作品を 思わせるモチーフが随所に登場します。日本では長らく演奏されることの無かったリースの交響曲ですが、2024年2月には第1番が、7月には第2番が、飯森範親指揮のパシフィックフィルハーモニ ア東京によって日本初演される予定。遂にリースの時代が来るのか、大いに注目です。 国内仕様盤には『ベートーヴェンの愛弟子〜フェルディナント・リースの数奇なる運命』の著者、かげはら史帆氏による日本語解説が付属します。

CPO
CPO-555660(1CD)
NX-B02
グラジナ・バツェヴィチ:交響的作品全集 第2集
序曲(1943)
交響曲第2番(1951)
管弦楽のための変奏曲(1957)
3楽章の交響的音楽(1965)
ケルンWDRSO
ウカシュ・ボロヴィチ(指)

録音:2023年3月27-30日
cpoレーベルの好評シリーズ、グラジナ・バツェヴィチの交響的作品全集。第2集は新古典派の様式で書かれたダ イナミックな「序曲」で始まり、ヴィトルド・ロヴィツキによって1951年のポーランド音楽祭で初演された、伝統的な4 楽章形式の「交響曲第2番」が続きます。そして色彩豊かな音色を駆使した「管弦楽のための変奏曲」が続き、 最後に置かれた「3楽章の交響的音楽」は、短く攻撃的な第1楽章、曲の中心をなす大規模な密度の濃い第2 楽章、初期のバチェヴィチ作品を思わせるリズミカルな舞曲である第3楽章と、彼女の作風を総括したかのような 充実した音楽で構成されています。第1集と同じく、ウカシュ・ボロヴィチが指揮するケルンWDRSOによるメ リハリの利いた完成度の高い演奏で。

NATIONAL SYMPHONY ORCHESTRA
NSO-0013
(5SACD+2Bluray)
ベートーヴェン:交響曲全集
■Disc1(SACD Hybrid)
交響曲第1番ハ長調 op.21
交響曲第3番変ホ長調 op.55「英雄」
■Disc2(SACD Hybrid)
交響曲第2番ニ長調 op.36
交響曲第7番イ長調 op.92
■Disc3(SACD Hybrid)
交響曲第4番変ロ長調 op.60
交響曲第5番ハ短調 op.67
■Disc4(SACD Hybrid)
交響曲第6番ヘ長調 op.68「田園」
交響曲第8番ヘ長調 op.93
■Disc5(SACD Hybrid)
交響曲第9番ニ短調 op.125「合唱」
■Disc6(Blu-Ray/ pure audio/5.0DTS-HD MA24bit/192kHz2.0DTS-HD MA24bit/192kHz Dolby Atmos)
交響曲第1,2,3,4,5,6番
■Disc7(Blu-Ray/ pure audio/5.0DTS-HD MA24bit/192kHz2.0DTS-HD MA24bit/192kHz Dolby Atmos)
交響曲第7,8,9番+交響曲第9番(収録:2023年6月3日)の映像
ジャナンドレア・ノセダ(指)、
ワシントン・ナショナルSO、
カミラ・ティリング(S)、
ケリー・オコーナー(Ms)、
イサハ・サベージ(T)、
ライアン・マッキニー(Bs-Br)、
ワシントンcho

録音:第1番&第5番:2022年1月13,15,16日、第2番:2023年5月24&25日
第3番:2022年1月27,28,29日、第4番:2022年1月20,21,22日
第6番:2023年5月19,20日、第7番&第8番:2023年5月12,13日
第9番:2023年6月1,2,3日(映像は6月3日の収録)
セダ率いるワシントン・ナショナルSOによるベートーヴェン全集でSACD Hybridボックスで登場。ブルーレイ・オーディオ2枚もついており、こちら にはハイスペックの音源がつめこまれた上、第九の映像も収められているという豪華充実ボックスです。
ノセダとNSOは、2022年の1月から2023年の6月にかけて、ジョージ・ウォーカーの管弦楽曲と組んだプログラムでベートーヴェン交響曲全曲演奏を 実施。「ベートーヴェンの音(声)は、名曲を生み出した当時と同じように、今日でも新鮮で力強い」とノセダは言います。「ベートーヴェンにアプローチするこ とは冒険のようなものなのです。ただ、冒険が始まったことはわかるのですが、どんなところに導かれるかはまったくの未知なのです。ベートーヴェンでは、す べての瞬間が発見なのです」。このノセダの言葉のように、予定調和に終わらないベートーヴェンが展開されています。洗練された美しさの弦や管楽器が浮かび 上がらせるふとしたメロディの美しさにもハッとさせられます。第九での豪華歌唱陣も迫力の歌声です。
第九の歌唱陣は、ソプラノはスウェーデンの「美しい声とゆるぎない音楽性」の世界的ソプラノで、アメリカ・ヨーロッパ・英国の名だたる歌劇場で絶賛さ れているカミラ・ティリング。ケリー・オコーナーはベートーヴェンからジョン・アダムズ(オコーナーに「もう一人のマリアによる福音」をあて書きした)まで、 そしてゴリホフの「アイナマダール」など、幅広いレパートリーを抜群の安定感と存在感で聴かせるメゾ・ソプラノ。イサハ・サベージは2014年シアトルでのワー グナー国際コンクールで優勝したのを機に一躍世界からの注目を集めた、繊細さと力強さの稀有なバランスの声を持つアメリカのテノール。バス・バリトンはバ イロイトにも登場し、登場人物や歌詞の深い読み込みで、登場人物や詞への共感を呼ぶアメリカ出身のライアン・マッキニー。
カバーアートは、絵本作家でもあるモー・ウィレムズによる抽象画。ウィレムズは、ある晩ベートーヴェンの演奏会で心を動かされ、各曲を1年かけて何度も 聴き研究して、ベートーヴェンの作風やテクニックの変遷を実感したといいます。そのうえで、9つのパネルを作成しました。それぞれのパネルは各楽章をあらわ すパーツで構成されており、そのパーツは楽章の長さを表しているということです。ウィレムズのパネルを見ていると、ベートーヴェンの頭の中をウィレムズやノ セダの演奏を通してみているような心持ちになります。(ウィレムズはケネディ・センター・エデュケーション・アーティスト・イン・レジデンス(2019-22) を経て、現在も音楽と関わりのある活動を展開しています。キャリアの始めはセサミストリートの放送作家で、また、「ぞうさん・ぶたさん」シリーズはクレヨン ハウスから日本語翻訳版が出版されているなど、世界的な絵本作家でもあります。) (Ki)

オクタヴィア
OVCL-00835(1SACD)
税込定価
チャイコフスキー:交響曲第3番「ポーランド」 ジョナサン・ノット(指)東京SO

録音:2023年7月22日ミューザ川崎シンフォニーホール・ライヴ
2023年シーズン、“NOTTISSIMO”と名付け迎えた音楽監督ジョナ サン・ノットと東京SOによる音楽の旅路、じっくりと深化 し数々の名演を聴かせてきました。そんな名コンビが今夏「フェ スタサマーミューザKAWASAKI」で果敢に挑んだチャイコフス キー。鮮烈な記憶と熱狂を呼んだ新章の幕開けがついにCD化! チャイコフスキーが遺した「ピアノ協奏曲第1番」「白鳥の湖」と 同時期に書かれ、「ポーランド」の愛称で親しまれる交響曲第3番。 この作曲家のロマンティシズムが満ち溢れた名曲を、圧倒的な音 楽と綿密にコントロールされた鮮烈なオーケストラサウンドとラ イヴならではの熱気と気迫をもって迎える感動的なフィナーレ、 意欲満点で双方初めて挑んだ最高峰の名演奏をどうぞお聴き逃し なく!(オクタヴィア)

フォンテック
FOCD-895(1CD)
税込定価
2024年1月17日発売
ブルックナー:交響曲第7番ホ長調 <ハース版> 尾高忠明(指)
大阪フィルハーモニーSO

録音:2023年1月24日 サントリーホール・ライヴ
尾高忠明=大阪フィルによるブルックナーCD 第5弾は、2023年1月24日 第55回東京定期で演 奏された「第7番」です。2018年以来、ブルックナー演奏に邁進する両者。円熟深める尾高の(指)そして同曲演奏39 回目と なる大阪フィルの歴史が織り成すブルックナー。堅牢な響きと限りなく美しい音色が融合する、稀有な 名演の誕生と申せましょう。「ブルックナー 新しい伝統」を刻みます。 (フォンテック)

BPO RECORDINGS
KKC-9852
(2CD+Bluray)
初回限定特典付
2024年カレンダー
日本語解説付国内盤
税込定価

ラフマニノフ生誕150周年第2弾
■CD1
交響曲第2番
交響詩『死の島』*
■CD2
ピアノ協奏曲第2番
交響的舞曲*

■Blu ray Disc
Concert videos
上記全曲のコンサート映像(すべてHD映像)

■Audio:
上記全曲のロスレス・スタジオ・マスター音源の音声トラック
キリル・ペトレンコ(指)BPO

■CD1
収録:2021年3月20日、2021年1月16日*
■CD2
キリル・ゲルシュタイン(P)
収録:2022年6月25日、ヴァルトビューネ、ベルリン、2020年2月15日フィルハーモニー、ベルリン*
■Blu ray Disc
画面:Full HD1080/60i,16:9
音声:2.0PCM,7.1.4Dolby Atmos
リージョン:ABC(worldwide)
総収録時間:161分
字幕:英、独、日本語
■Audio:
2.0PCM Stereo24-bit /48-96kHz
7.1.4Dolby Atmos24-bit /48kHz

※ダウンロード・コード
この商品には、上記全曲のハイレゾ音源(24-bit /192kHz迄)をダウンロードするためのURLとそのパスワードが封入されています。

※デジタル・コンサートホール
ベルリン・フィルの映像配信サービス「デジタル・コンサートホール」を7日間無料視聴できるチケット・コードが封入されています。
2023年11月、ベルリン・フィルを率いて来日を果たしたキリル・ペトレンコ。2019年8月にベルリン・フィルの首席指揮者に就任以来、同コンビの演奏を日本で待ち望んできたファンには待望の来日公演となりました。11月14日に高松市で日本公演がスタートし、6都市10公演のツアーは、万雷の拍手と歓声により大成功をおさめました。その熱狂と余韻も冷めやらぬ中、ベルリン・フィル・レコーディングスより新譜がリリースされます。ラフマニノフ生誕150周年を記念した第2弾アルバムで、交響曲第2番、『死の島』、交響的舞曲、そして第1弾としてリリースされたキリル・ゲルシュタインとのピアノ協奏曲第2番という内容。ペトレンコは、インタビューで「ラフマニノフの音楽を聴くといつも自分の故郷の一部を聴いているような気持になります。」と語っているほど、ラフマニノフの音楽は重要な意味を持っています。ペトレンコは、ベルリン・フィルに2006年に初登場し、その後わずか3回の共演で首席指揮者に選ばれました。その最初に指揮をしたのが、ここにも収録されている楽曲「ラフマニノフの交響曲第2番」でした。その記念すべき作品を首席指揮者として15年ぶりに指揮をした演奏がここに収められているのです。
1906年、ラフマニノフは交響曲第2番を作曲。交響曲第1番が大失敗に終わった後、交響曲第2番の初演の成功は、ラフマニノフの復活を意味する出来事となりました。ラフマニノフが、20世紀初頭の新古典主義の潮流に逆らい、調性に忠実であり続け、物憂げな音楽言語でハリウッドの映画音楽のスタイルを先取りした、自信に満ちた作品です。ペトレンコは、当エディションの核となる作品における膨大な感情的表現だけでなく、その見事なテクスチュアも強調しています。そしてラフマニノフが1917年に亡命するまで定期的に指揮していた交響詩「死の島」。アルノルト・ベックリンが描いた同名の絵画の白黒コピーから着想を得た、5拍子で、高波に浮かぶ船のように揺れ動く曲想。レクイエムに用いられる荘重なディエス・イレ(怒りの日)のモチーフは、この曲だけでなく、ラフマニノフの他の作品にも繰り返し登場しています。
2022年のヴァルトビューネで演奏されたキリル・ゲルシュタインとのピアノ協奏曲第2番。1901年の初演にはラフマニノフ自身がピアノを演奏、ベルリン・フィルにおける同曲の初演は1903年、そして1908年にはラフマニノフ自身がベルリン・フィルでソロ・デビューを果たし、ピアニスト、作曲家としてのラフマニノフの輝かしい国際的キャリアの礎を築いた最初の作品。ラフマニノフ最後の作品『交響的舞曲』。ここでもディエス・イレのモチーフが何度も繰り返し鳴り響きます。晩年のラフマニノフはこの作品を自分の最高傑作と語っていたとも言われています。当エディションを締めくくるにふさわしい一作と言えるでしょう。 (Ki)

King International
KKC-4339(2SACD)
シングルレイヤー
税込定価
ベートーヴェン:交響曲全集
(1)交響曲第1番ハ長調 作品21
(2)交響曲第2番ニ長調 作品36
(3)交響曲第3番「英雄」
(4)交響曲第4番変ロ長調 作品60
(5)交響曲第5番「運命」
(6)8交響曲第6番「田園」
(7)交響曲第7番イ長調 作品92
(8)交響曲第8番ヘ長調 作品93
(9)交響曲第9番「合唱」
(10)ドヴォルザーク:交響曲第8番ト長調 作品88
ヘルベルト・ブロムシュテット(指)
シュターツカペレ・ドレスデン
ヘレーナ・デーゼ(S)/マルガ・シムル(A)/ペーター・シュライヤー(T)/テーオ・アダム(Bs-Br)/ライプツィヒ放送cho
ドレスデン国立歌劇場合cho

録音:(1)1979年12月19〜21日
(2)1979年12月19〜21日
(3)1976年3月17〜21日
(4)1978年8月21〜24日
(5)1977年3月14〜18日
(6)1977年6月6〜9日
(7)1975年2月24〜26日
(8)1978年2月14〜16日
(9)1979年4月9〜11日、1980年3月31日)
(10)1974年5月6〜10日
全盛期のエテルナのアナログ・レコードの音を限りなく再現すべく、オリジナル音源から新規デジタル・マスタリングした、キングインターナショナルのシリーズ「ドイツ・シャルプラッテンETERNAの芸術」。第5弾は、ブロムシュテットの「ベートーヴェン交響曲全集」。シュターツカペレ・ドレスデンの首席指揮者を務めていた1970年代後半に行った全曲録音。古都ドレスデンの伝統的な響きを生かしたブロムシュテット40〜50代の貴重な演奏を克明に記録した名録音。ボーナス・トラックとして、シュターツカペレ・ドレスデンとの録音の中でも最高傑作のひとつと言われる名演奏・名録音として知られる「ドヴォルザークの8番」も収録しています。往年の伝説的名ティンパニスト、ゾンダーマンの妙技も聴きものでお見逃しなく。引き続き企画監修は、ヴィンテージレコードショップ「エテルナトレーディング」の店主で、日本にETERNAのレコードを流布させた“仕掛け人”でもある高荷洋一氏。 (Ki)

GRAND SLAM
GS-2310(1CD)
ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲
交響曲第4番ホ短調 Op.98
ブルーノ・ワルター(指)コロンビアSO

録音:1960年1月18、27日(2)1959年1月2、4、6日、2月9、12、14日*/ハリウッド、アメリカン・リージョン・ホール
使用音源:Private archive (2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:ステレオ(録音セッション)
■制作者より  
ワルターとコロンビアSOによる傑作のひとつ、ブラームスの交響曲第4番とハイドンの主題による変奏曲は、2016年にGS-2150として発売しました。 今回は高品質のテープにプリントした2トラック、38センチのオープンリール・テープを新たに取り寄せ、全工程をプロ用機器でマスタリングを施しました。  音質が鮮明になったために、1年以上も時間的な開きのある2曲のセッションにおける音質傾向の違いもはっきりと聴き取れるようになりました。通常ですと、 1枚のCDを通して聴くことを考慮し、なるべく違和感のないように双方の音を整音することが日常的に行われています。しかしながら、当CDでは両セッションに おける音質の違いを尊重し、音を均さないようにしてあります。(平林 直哉)
GRAND SLAM
GS-2311(1CD)
チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」 ジャン・マルティノン(指)VPO

録音:1958年3月31〜4月3日/ウィーン、ゾフィエンザール
使用音源:Private archive (2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:ステレオ(録音セッション)
■制作者より   
1958年春、英デッカはフランス人指揮者マルティノンを招き、ウィーン・フィルを起用してロシア物の代表作の新録音を行いました。録音の前後にこの組み合 わせによる演奏会はなく、マルティノンとウィーン・フィルはセッションのみの出会いだったようです。しかしながら、この謎めいた共演は無類の個性を持った「悲愴」を完成させました。当シリーズでは2トラック、38センチのオープンリール・テープを使用して2017年9月にGS-2170として発売しましたが、今回、新規 のテープを取り寄せ、全工程をプロ用機器にてマスタリングを施し、心残りのないように制作しました。  なお、当CDでは、唯一無二の共演である「悲愴」の印象を薄めないよう、他の演奏と組み合わせず、あえて1曲のみで制作しました。ご了承下さい。(平林 直哉)

Altus
PALTSA-1004(8SACD)
限定生産
ギュンター・ヴァント 不滅の名盤〜ベルリン・ドイツSO編
【PALTSA001/2】
[Disc1] シューベルト:交響曲第7(8)番ロ短調「未完成」 D.759
[Disc2] ブルックナー:交響曲第9番(原典版)

【PALTSA003/4】
[Disc1] シューベルト:交響曲第8(9)番「ザ・グレート」 D.944
[Disc2] ストラヴィンスキー:バレエ組曲「火の鳥」(1945年版)、チャイコフスキー:交響曲第5番

【PALTSA005/6】
[Disc1] ベートーヴェン:(1)交響曲第1番ハ長調 作品21、交響曲第3番「英雄」
[Disc2] ベートーヴェン:(3)交響曲第4番、(4)序曲「コリオラン」 、序曲「エグモント」

【PALTSA007/8】
[Disc1] ベートーヴェン:(1)交響曲第6番「田園」、
(2)交響曲第5番「運命」  
[Disc2] ベートーヴェン:(3)交響曲第6番「田園」
(4)交響曲第5番「運命」
ギュンター・ヴァント(指揮)
ベルリン・ドイツSO

【PALTSA001/2】
録音:1993年3月20日/コンツェルトハウス・ベルリンにおけるライヴ

【PALTSA003/4】
録音:[Disc1]1993年6月14日、[Disc2]1987年4月5・6日/ベルリン・フィルハーモニーにおけるライヴ

【PALTSA005/6】
録音:(1)(2)1994年2月15日、(3)1996年4月9日、(4)(5)1994年11月28日/ベルリン・フィルハーモニーにおけるライヴ

【PALTSA007/8】
録音:(1)1992年9月26日、(2)1992年11月2日、(3)(4)1994年11月1・2日/コンツェルトハウス・ベルリンにおけるライヴ
PROFIL音源をライセンスし、ALTUSがリマスター・SACDハイブリッド化して発売した「ギュンター・ヴァント 不滅の名盤」シリーズ。ここからベルリン・ドイ ツSOとの共演である4タイトル(全8枚)を、単売パッケージそのままにクラフト調の三方背ケースに収めた数量限定セットです。
【PALTSA-001/2】シューベルトとブルックナー、ふたつの未完成交響曲を1日で演奏した93年のライヴ。共にヴァントの得意とした作品で大変な聴きごたえで す。恐ろしい低音が聴き手を一気に音楽へ引きずり込む「未完成」。そして泣く子も黙るヴァントのブル9!完璧に整っていながらも熾烈・強烈な音響で、圧倒的な 完成度でもって至高の音の大伽藍を築き上げています。
【PALTSA-003/4】緻密にして長さを全く感じさせない「グレート」は終楽章の開放感が抜群。「火の鳥」は一般的な1919年版ではなく1945年版を使って いるのがヴァントならでは。力強さ、美しさ、歌と構築が見事に結晶化したチャイ5もたまりません!
【PALTSA-005/6】ヴァントを語る上で外せない至高のベートーヴェンを収録。第1・3番は同日のライヴで、1番から実に力強く引き締まった彫刻のような響き。 「英雄」ではその音作りが更なる深化を生み、圧倒的な音の建造物となって聴き手の前に立ち現れます。葬送行進曲でのティンパニの淀みない強打は崇高すぎて 恐ろしいほど。ヴァント90年代を代表する偉大な演奏です。
【PALTSA-007/8】92年と94年、2種類の「田園」「運命」ライヴです。基本的に同じ解釈ですが92年はコントロールされた演奏の完成形と言え、突き詰め た厳しさが支配しています。一方94年は自由度が増し、おおらかな演奏へとシフトしつつあるヴァントの音楽性の変化が感じられます。完璧な造形美を持った 92年の「運命」、しなやかな流麗さがたまらない94年の「田園」。いずれの年も甲乙つけがたい魅力があり、ヴァントならではの極意が詰まった名演と言える でしょう。 (Ki)
Altus
ALTB-536(3CD)
限定生産
アーベントロート集成・驚倒編

【TALT022】
(1)ブラームス:交響曲第1番ハ短調
(2)シューマン:交響曲第1番『春』

【TALT023】
ベートーヴェン:『エグモント』序曲
交響曲第3番『英雄』

【TALT053】
ベートーヴェン:交響曲第9番『合唱』
ヘルマン・アーベントロート(指)

【TALT022】
(1)バイエルン国立O、
(2)ベルリンRSO
録音:(1)1956年1月16日、(2)1955年9月18日(ライヴ、モノラル)
【TALT023】
ベルリンRSO
録音:1954年2月13日/ベルリン国立歌劇場(ライヴ、モノラル)
【TALT053】
ティッラ・ブリーム(S)、ディアナ・オイストラーティ(A)、ルートヴィヒ・ズートハウス(T)、 カール・パウル(Bs)、ベルリンRSO、ベルリン国立歌劇場cho
録音:1950年12月31日/ベルリン、放送局ホール1(ライヴ、モノラル)
ALTUSから発売されているアーベントロート指揮のタイトルから3タイトルを、単売パッケージそのままにクラフト調の三方背ケースに収めた数量限定セットです。 白熱の爆演を繰り出す指揮者として知られるアーベントロートは楽団員から尊敬を一身に集め、地元市民からも非常に愛されたユニークな人物でした。その独自の 音楽世界をとくとお楽しみください。
【TALT-022】ブラームスの1番は知る人ぞ知る奇演中の奇演。まるで慣性の法則完全無視、吹き飛ばされそうなテンポ設定!特に終楽章、誰が予想するよりも速 く、誰が予測するよりも遅く、前へ後ろへと引っ張りまわされる驚愕の指揮ぶり。そのほとばしる音楽表現にオケが負けじと喰らい付き、手に汗握る圧巻の演奏を 披露!めちゃくちゃ面白いです。シューマンも燃え上がる演奏で個性爆発。
【TALT-023】『英雄』第1楽章で頻出するスフォルツァンドやクレッシェンドでの「踏み込みの良さ」、急激にガッと圧力をかける勢いがアーベントロートならでは。 作曲時のベートーヴェンが前人未到の規模の音楽世界に決然と乗り込んでいった感覚が現代によみがえったような、白熱の演奏です。高速のスケルツォでは、トリ オのホルンが爆鳴き!想像を絶する猛々しさで、ばりばりと空気をつんざきます。フィナーレのコーダは興奮のるつぼ。オーケストラが嬉々として演奏する姿が目に 浮かぶような、目まぐるしくも充実した圧倒的演奏です。
【TALT-053】『第九』は宇野功芳氏が絶賛した大名演。ライナーノートは氏の解説付きです。氏はこの1950年大晦日公演をベストワンとし、フルトヴェングラー が「ドラマティック」なら、アーベントロートは「大暴れ」であり「なりふり構わぬ『第九』」であると評しています。思い切りの良さ、流動するテンポ、時に荒々しい までの凄味、そして激遅の第3楽章!あふれ出る歌の洪水はワルターもかくや。第4楽章では大時代的なスタイルが爆発、コーラスも戦前ドイツの唱法がまだ残っ ている稀な例であると氏は語ります。強烈なベートーヴェンをご堪能あれ。
Altus
ALTB-538(3CD)
限定生産
スメターチェクの至芸

【ALT481】
(1)ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」  
(2)シューマン:交響曲第1番「春」

【ALT489】
R=コルサコフ:(1)交響組曲「シェエラザード」 、
(2)「見えざる町キテージと聖女フェヴローニャの物語」組曲

【ALT490】  
(1)ショスタコーヴィチ:交響曲第3番「メーデー」
(2)プロコフィエフ:交響曲第7番「青春」
ヴァーツラフ・スメターチェク(指)

【ALT481】
(1)アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ(P)&プラハSO、 (2)プラハRSO
録音:(1)1957年5月29日(ライヴ、モノラル)、(2)1971年(セッション、ステレオ)
【ALT489】
(1)プラハRSO、(2)プラハSO
録音:(1)1975年6月3-5日、(2)1967年1月17日(ともにステレオ)
【ALT490】  
(1)プラハRSO&プラハ放送cho(チェコ語歌唱)、(2)チェコPO
録音:(1)1974年9月、(2)1970年6月(ともにステレオ)
ALTUSから発売されているスメターチェク指揮のタイトルから3タイトル(全3枚)を、単売パッケージそのままにクラフト調の三方背ケースに収めた数量限定セッ トです。世界を股にかけ活躍し、チェコでは「空飛ぶ指揮者」「音楽大使」と呼ばれ、日本では「チェコのカラヤン」とのキャッチフレーズで親しまれたスメターチェ クの偉大な演奏をお楽しみあれ。
【ALT-481】完璧主義者ミケランジェリとの「皇帝」は整然としたオーケストラと生き生きしたソロの対話が素晴らしい名演。また「春」は商業録音の残されてい ないレパートリーで貴重な記録。こちらはすこぶる良好なステレオ録音となっておりスメターチェクの至芸が心行くまで堪能できます。
【ALT-489】この『シェエラザード』は国内初出時、盤鬼として知られる音楽評論家・平林直哉氏が絶賛した大名演。このたびALTUSによる最新のリマスターが なされ再び世に出されることになりました。「「シェエラザード」がやはり素晴らしい。スメターチェクは正攻法にオーケストラをきちっと制御し、見通しの良い響き を再現しています。スメターチェクらしい繊細さも十分に生きています。手綱をゆるめず、最後まで凜々しく格調を保っており、後味も最高だ。(平林直哉氏の解説よ り)」
【ALT-490】スメターチェクの20世紀ロシア交響曲集!アヴァンギャルドな曲想を物ともせず、壮絶なテンションで迫力のドラマを生み出すショスタコーヴィチ3 番は何たる凄味!手に汗握る疾走感に決然とした展開、チェコ語で高らかに歌い上げられる終結合唱にもおおいに痺れます。対するプロコフィエフ7番は美しい歌 にあふれ、うきたつリズム感のなかで次々と旋律を紡いでは戯れていく展開に心躍ります。両曲ともスメターチェク抜群の解釈と巧みなオーケストラ・ドライヴに魅 せられる、知る人ぞ知る超名演!


東武レコーディングズ
TBRCD-0151(4CD)
税込定価
近衞秀麿 京都大学SOとの歴史的名演集

■CD1
(1)リスト:交響詩「前奏曲」
(2)ベートーヴェン:交響曲第2番(ステレオ収録)
(3)ベートーヴェン:「レオノーレ」序曲第3番
(4)ヨゼフ・シュトラウス:ポルカ「村の鍛冶屋」
(6)ベートーヴェン:「レオノーレ」序曲第3番
■CD2
(1)シューマン:交響曲第3番「ライン」
(2)ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番
■CD3
(1)モーツァルト:交響曲第41番「ジュピター」
(2)R・シュトラウス:管楽セレナード
(3)グリーグ:二つの悲しい旋律
(4)マーラー:さすらふ若人の歌
(5)ワーグナー:歌劇「タンホイザー」序曲
■CD4
(1)グリンカ:歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲
(2)ドビュッシー:「小組曲」
(3)ブラームス:交響曲第1番
近衞秀麿(指)
京都大学SO

■CD1
録音:(1)1964年12月21日大阪公演 大阪サンケイホール
(2)-(4)1964年12月16日京都公演・京都会館(ステレオ)
(6)1964年12月21日大阪公演 大阪サンケイホール

■CD2
霧生トシ子(P)
録音:1968年12月9日大阪公演 大阪厚生年金会館中ホール

■CD3
録音:1970年12月21日大阪公演 大阪厚生年金会館大ホール
市来崎のり子(Ms)

■CD4
録音:1971年6月28日大阪公演 大阪厚生年金会館中ホール
晩年の近衞秀麿が密接な関係を築き上げたのが京都大学SO。近衞は合宿にも参加し、長期間の練習で熱く指導 した。時として学生を鼓舞し、叱咤し、激励して秘中の秘とも言える音楽を伝授した。ブラームスやモーツァルトの壮麗、豪 快。ワーグナー、マーラー、R・シュトラウスの心に染み入るしみじみさ。ロマン派直系の音楽家として大胆な表情付け で聞き手に迫るシューマン、ヨゼフ・シュトラウス。ベートーヴェンの格調。近衞がフルトヴェングラーに比肩する偉大な指揮 者であることが証明されています。録音がほとんどモノラルなのは残念ながら鑑賞に不足はない。64 ページに及ぶブックレット には、貴重な写真、当時のメンバーの証言を含めた菅野冬樹氏書下ろしの近衞へのオマージュ、金子建志氏が近衞版改 訂の秘密に迫った分析を掲載した永久保存盤。


Treasures
TRE-314(1CDR)
レイボヴィッツ/ベートーヴェン名演集Vol.1
ベートーヴェン
:序曲「レオノーレ」第3番*
交響曲第9番「合唱」
ルネ・レイボヴィッツ(指)ロイヤルPO
インゲ・ボルク(S) 、ルート・ジーヴェルト(A)、リチャード・ルイス(T)、 ルートヴィヒ・ヴェーバー(Bs)、
ビーチャム・コーラル・ソサエティ

録音:1962年2月15日*、1961年5月2-3, 5,7日(共にステレオ)
※音源:英Readers Digest RDS-1013*、日ビクター RBS-6-7
◎収録時間:74:37
“響きの機能美に隠れがちな作曲家に寄り添ったレイボヴィッツの熱き魂!”
■音源について
RCAのチャールズ・ゲルハルトがプロデュースし、エンジニアとしてDECCAのケネス・ウィルキンスンが参加したベートーヴェンの交響曲全集から。使用音源の選択はかなり悩みましたが、総合的に判断して日本盤を採用しました。ドイツ盤は音像がスッキリと立ち上がり、ティンパニの弱音ロールなど美しいのですが、その分音像の広がりが抑え気味。英盤も優秀ですが、スケール感も音の太さも日本盤の方が優ると感じました。ステレオ初期のビクター盤の優秀さが、ここでも実証されています。

★この交響曲全集は、CDで聴く限り、新ウィーン楽派の使徒レイボヴィッツならではの機能的な響きの痛快な響きは分かっても、作品に内在する闘志や精神力を感じにくく、結局は「通好み」の域を出ないのでは?と感じていたところ、この復刻によってそのモヤモヤは一気に吹き飛び、感動が一杯詰まった名演揃いであることが実感できました!
 第1楽章は、いかにも現代的な快速テンポ。情念を一切取り払ったすっきりとした響きが耳に飛び込みます。1:18や2:35のティンパニ追加など、レイボヴィッツならではの積極的なスコアの補正は、古臭さを伴わずフレッシュで斬新な響きをもたらすと共に、音楽に推進力をもたらします。再現部冒頭の激しさは尋常ではなく、音量だけを肥大化させた演奏とは違う決死の覚悟を感じずにはいられません。12:40で発作的にフォルティッシモで山場を築いたり、イン・テンポのまま敢然とコーダへ滑り込むのにも明確な意志が感じられるのです。
 第2楽章も造形はあくまでも清潔に保ちつつ、火の玉のような情熱を持って快速進行。0:45からのホルンの補強は誰よりも盛大、というより露骨過ぎて、初めて聴いた時に吹き出してしまったのを覚えていますが、知性派と思われがちなレイボヴィッツの人間臭いケレン味が出たシーンと言えましょう。
 フルトヴェングラー的な物々しさから開放し、清々しい音像と推進力を取り戻そうとする意志が最も顕著に出たのが第3楽章。演奏時間もなんと12分半!アゴーギクはほとんど顔を出さず淡々と進行しているようでいて、全ての音は共感とときめきで粒立ち、その純粋な佇まいに、宗教的な敬虔さを持ち込む必要性を感じさせません。
 終楽章は、冒頭がこれまた粘着性皆無の突進型。低弦のレチタティーヴォにここまで人間臭い語りを禁じて決然と進行させた例は極めて稀有でしょう。"Seid umschlungen, Millionen!"(トラック10)で顕著なように、伸びやかで情熱的な合唱も特筆もの。最後のPrestissimoは、冒頭で盛大にティンパニが、締めくくりではホルンが盛大に追加されますが、これらもこの復刻盤で聴けば、それだけが前時代的な誇張として目立つことなく、シラーの詩を想起させる星の彼方の神に届けとばかりに響き渡るのです!
 他のレヴューでも何度も申し上げていますが、「作曲家の意志に忠実」とは、決して古い楽器や文献を引っ張りすことではなく、作曲家がその曲を書かずにいられなかった気持ちに寄り添うことが大前提であり、再現された自分の音楽が聴衆に感動ももたらしてほしいという願いまで叶えてあげなければならないはずです。この「第9」を聴くと、レイボヴィッツは、その点を十分に体で理解していた指揮者だとつくづく思います。「古きを訪ねて何も見出さない」演奏に辟易としている方に、特に傾聴していただきたい名録音です。【2023年12月・湧々堂】


King International
KKC-2714(3CD)
税込定価
The Last Symphonies
シューベルト:交響曲第8番「ザ・グレイト」
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」
シューベルト:交響曲第7番「未完成」
ショスタコーヴィチ:交響曲第15番
外山雄三(指)大阪SO

録音:2022年6月29日(Disc1)/2019年4月12日(Disc2)/11月21日(Disc3)/すべてザ・シンフォニーホール(ライヴ)
2023年7月11日に92歳で歿した巨匠指揮者・外山雄三の追悼盤。大作曲者たちの最後の交響曲を集めたもので、外山の録音としては初レパートリー ばかりなのに注目です。
外山は亡くなる一か月半前の5月27日、東京でシューベルトの交響曲第8番「ザ・グレイト」を指揮中(パシフィックフィルハーモニア東京)に体調に異変 をきたし退場、それが最後の指揮活動となってしまいました。約11か月前の2022年6月29日に大阪で同曲を指揮(大阪SO)、その巨匠的な風格と 迫力が伝説となっていたため、東京での指揮を期待するファンが多く、ショッキングな出来事でした。
今回、その大阪公演のライヴ音源をCD化。かくしゃくとしていた外山の円熟芸を堪能できます。全体で1時間に及ぶ雄大な流れで、冒頭から深い響きに引 き込まれ、熱気あふれるフィナーレまで息もつけぬ演奏にひたれます。もうひとつのシューベルト、「未完成交響曲」も淡々とした運びのなかに得も知れぬ哀しみ が忍び寄る名演となっています。
ドヴォルザークの「新世界より」も外山のCD初。これも45分の悠然たる巨匠芸にひたれます。またショスタコーヴィチの交響曲第15番は外山の歴史証言 というべき壮絶な演奏。軽快と思われがちな作品からどす黒い世界を導き出し聴き手を凍りつかせます。 (Ki)

H.M.F
HMM-905336

KKC-6787(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価

メシアン:トゥーランガリラ交響曲 マルク=アンドレ・アムラン(P)
ナタリー・フォルジェ(オンド・マルトノ )
トロントSO
グスターボ・ヒメノ(指)

録音:2023年5月、ロイ・トムソン・ホール、トロント(カナダ)
トゥーランガリラ交響曲。メシアンの最初の大規模な管弦楽曲であり、フランス生まれの電子楽器オンド・マルトノが用いられているほか、ピアノやチェレスタ など鍵盤楽器も登場する編成、そしてその壮大なスケールで音楽史上燦然と輝く大名作のひとつです。ここでまた注目の新譜が登場します!管弦楽は、1967年に、小澤征爾(指)メシアン立ち合いのもと、本作を世界初録音したオーケストラであるトロントSO。1922年に設立された同団の100周年記念の一 環として、大変に力の入ったプロジェクトといえるでしょう。音楽監督に新しく就任したヒメノ(2020/21のシーズンから音楽監督に就任。ルクセンブルク・フィ ルの音楽監督でもあります)との初共演盤でもあります。ピアノにはカナダを代表するピアニスト、マルク=アンドレ・アムラン。マルトノにはメシアン研究家で、 ツェンダーやカンブルランら様々な指揮者とも共演しているナタリー・フォルジェ。2016年よりパリ国立高等音楽院でマルトノ科の教授も務めている人物です。
トゥーランガリラ交響曲はトリスタンとイゾルデの伝説に基づいておりますが、究極的には「愛の歌」であり「喜びへの讃歌」であるとし、愛について、メシアンは、 内省的な部分と壮大な部分、あるいは官能的で親密な部分と巨大なリズム・エネルギーの動き、といった対照的な状態をもって描かれていきます。そのダイナ ミクス、色彩、感情の豊かさを類を見ないものです。ヒメノ率いるトロントSOは、すべてのエネルギーを重ね合わせてこの作品に挑み、さらに本作を何度 も演奏したことがあるナタリー・フォジェのマルトノの妖しい魅力、そしてこちらも本作を何度も演奏したこともあるアムランの輝かしい音色、すべてが一体となっ て、このメシアンの大傑作を一大スペクタクルとして響き渡らせます。 (Ki)

Hanssler
HC-23081(4CD)

KKC-6788(4CD)
日本語解説付国内盤
税込定価

ハイドン:交響曲全集 Vol.28〜31
■CD1 Vol.28(77'54)
(1)交響曲第16番変ロ長調 Hob.I:16
(2)交響曲第72番ニ長調 Hob.I:72
(3)交響曲第12番ホ長調 Hob.I:12
(4)交響曲第13番ニ長調Hob.I:13
■CD2 Vol.29(70'59)
(5)交響曲第21番イ長調 Hob.I:21
(6)交響曲第22番変ホ長調 Hob.I:22「哲学者」
(7)交響曲第23番ト長調 Hob.I:23
(8)交響曲第24番ニ長調 Hob.I:24
■CD3 Vol.30(73'01)
(9)交響曲第28番イ長調 Hob.I:28
(10)交響曲第29番ホ長調 Hob.I:29
(11)交響曲第30番ハ長調 Hob.I:30「アレルヤ」
(12)交響曲 ニ長調 Hob.deest
■CD4 Vol.31(78'04)
(13)交響曲第55番変ホ長調 Hob.I:55「学校の先生」
(14)交響曲第68番変ロ長調 Hob.I:68
(15)交響曲第67番ヘ長調 Hob.I:67
ハイデルベルクSO
ヨハネス・クルンプ(指)

録音:(1)-(4)2021年3月ヴィースロッホ、パラティン
(5)-(8)2021年11月バート・ヴィルトバート、トリンクハレ
(9)-(12)2022年3月、(13)-(15)2022年6月ハイデルベルク=プファッフェングルント、ゲゼルシャフトハウス
颯爽としたピリオド・アプローチがたまらないハイデルベルクSOによるハイドンの交響曲全曲録音。2023年春、ついに全曲録音が終了し、2024年 に未発の第28集〜第35集がリリースされます。第27集までは単売でリリースしておりましたが、第28〜31集、第32〜35集はそれぞれ4枚組のセッ トの形で一挙にリリース。単売でのリリースはございません。当セットは第28〜31集をおさめたアルバムです!
2020/2021年シーズンより音楽監督をつとめるヨハネス・クルンプ率いる当団の演奏は常に新鮮!ハイドンへの敬愛を感じさせる繊細な弱音から時に荒々 しいと思えるアプローチまで、当団ならではのエネルギッシュな演奏はユーモアに溢れており、非常に説得力のある解釈を示したクルンプの手腕も確かなものです。
「ハイデルベルクSOのハイドンは、力強さ、フレッシュさ、野性味、ユーモア、そして豊かな驚きに満ちており、この全曲録音がついに完成したことを 非常に嬉しく思います。当団との演奏は幸福への旅でもありました。それは、理想に向かうために、技術的な完璧さだけでなく、音楽への愛、特別なものを創 り出そうという団員の意志と結びついており、ハイドンの交響曲の世界に完璧に当てはまっています」(ヨハネス・クルンプ)
国内仕様盤(KKC-6788/91)はハイデルベルクSOのヴィオラ奏者、矢崎裕一氏による日本語解説書付です。

Hanssler
HC-23053(1CD)
ピーター・ルジツカ(1948-):ベンヤミン交響曲〜独唱、児童合唱とオーケストラのための
エレジー
リニ・ゴング(S)、
トーマス・バウアー(Br)
フランクフルト歌劇場児童cho
フランクフルトRSO、
ピーター・ルジツカ(指)

録音:(1)2019年3月29日、(2)2023年4月17日/hrゼンデザール(フランクフルト)
ドイツの文芸批評家、哲学者ヴァルター・ベンヤミン(1892-1940)の壮絶な人生を描いたペーター・ルジツカ(1948-)作曲の「ベンヤミン交響曲」。第二 次世界大戦中、ナチスからの逃亡中にピレネーの山中で服毒自殺を遂げたとされてきたベンヤミンですが、近年の研究で暗殺説も浮上しています。ドイツ出身のア メリカ政治哲学者、思想家ハンナ・アーレントははベンヤミンを「文の人」と呼んでいました。
ルジツカはハンブルク州立歌劇場、ハンブルク・フィルの音楽を務め、ハンブルク音楽演劇大学の教授も務めます。これまで多く (Ki)


Treasures
TRE-099r(1CDR)

音源変更・再復刻
レオポルド・ルートヴィヒのマーラー
マーラー:交響曲第9番
レオポルド・ルートヴィヒ(指)LSO

録音:1959年11月17-20日 ロンドン・ウォルサムストー・アセンブリー・ホール(ステレオ)
※音源:米EVEREST SDBR-3050-2
◎収録時間:75:51
“露骨な感情表現から開放した「マラ9」の世界初のステレオ録音!”
■音源について
以前は、落ち着きのある音が特徴的な英W.R.C盤(SCM-16〜17)を音源に使用しましたが、各楽器のニュアンスがより明確に伝わる米エベレストの金紫ラベル盤を新たに採用して再復刻しました。ジャケ写に写っているのは、マーラー・メダル
※旧盤と区別するために、この再復刻盤の品番結尾には"r"の一文字を付しています。

★この録音は、同曲の世界初のステレオ録音であるだけでなく、それまでの豊穣なロマンを濃厚に湛えたマーラー像から一旦離れ、ストレートな純音楽的アプローチで訴えかける力を持つことを証明した点でも、見逃すわけには行きません。
近年の、細部を微視的に突き詰めた演奏に慣れた耳で聴くと淡白に感じられるかもしれませんが、主情を排し、作品の全体像を素直に大らかに再現する姿勢と素朴な呼吸感からは、人生の終焉を映すイメージからも開放された極めて純度の高い音楽を感じることができます。第1楽章展開部の自然な陰影と巧みな声部バランスの確保は、ルートヴィヒの職人芸の極み。14:00頃からの空気感は、まさに虚飾とは無縁の至純の美!、コーダで独奏ヴァイオリンと木管が醸し出す透明感も単に痩せた弱音とは異なり、これ以上何を加える必要があるでしょうか。
第2楽章も、諧謔性を強調などせず、あくまでも音楽自体の律動を重視。3つの舞曲のテンポ切り替えがいちいち括弧で括ったような説明調にならず、自然に滑りこませる技にもご注目を。
そして極めつけの終楽章!これほど気負わず、作り込まず、音楽を豊かに紡ぎ尽くした演奏は稀でしょう。バーンスタインのような分かりやすい感情表出とは対照的ですが、5:35のヴァイオリン・ソロ以降の各パートの呼応の妙、自然発生的な深遠なニュアンス表出には、この演奏を単に淡白と言わせないだけの強固な共感と含蓄がぎっしり詰まっています。
「過激なマーラー像を見直し、謙虚にスコアを読み直す」と多くの指揮者が口にしますが、結局出てくる音楽には何のヴィジョンも感じられないか、立派に響いているだけの演奏も少ないくないようです。バーンスタインとの差別化を図るために「謙虚さ」をアピールするなら、せめてこのルートヴィヒの演奏を聴いてからにしてほしいものです。【湧々堂】

Altus
ALTSA-1008(1SACD)
シングルレイヤー
限定生産盤
フルトヴェングラー復帰三日目ライヴ
ベートーヴェン:交響曲第5番『運命』
『エグモント』序曲
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)
BPO

ライヴ録音:1947年5月27日/ティタニア・パラスト(ベルリン)
フルトヴェングラーのベルリン・フィル復帰三日目ライヴを、MagistraleレーベルからのライセンスでALTUSがSACD化。Magistrale盤(MG17600102 /通常CD)と同じソースであるDRA(ドイツ放送協会アーカイヴ)のオリジナル音源を使用し、かつALTUSが独自の技術をもって一からSACD用にマスタリン グした、唯一無二の音盤です。
フルトヴェングラーの放送録音には、当時の機材でうまく収録するために、録音時に音量レベルを調節したであろうケースが散見されます。全体のバランスをと りつつ、静かすぎるところは大きめに、大音量のところは小さめにすることで、音楽を「聴けるように収録する」操作がなされていたのです。このDRA音源の『運 命』も、音質の生々しさにはまったく不足なしですが、第1楽章より第4楽章の方が(トロンボーンが加わり、音楽的にも盛り上がりを増すにもかかわらず)全体 の音量が抑えられていました。そこで、現代のマスタリング技術をもって本来のダイナミクスを復活させようと試みたのが、ALTUSの新シリーズ〈re-Dynamics series〉です。フルトヴェングラーの強弱の幅は誰しもが驚くものだったといいます。第3楽章から第4楽章にかけてのブリッジでは、聴こえないような最弱音か ら天へと突き抜ける最強音までの長大なクレッシェンドが、まさに途轍もない音として鳴り響いていたことでしょう。このようなダイナミクスを、前後の、全体のバ ランスを見ながら、一つずつ丁寧に復元したのが当盤。さらにピッチについても、より本来に近い響きを求めて、微妙な調整を施しました。
〈re-Dynamics series〉の音造りは、SACDの広いレンジ感にぴったりのものです。SACDであればこそ、この壮大な音の変化、フルトヴェングラーの凄絶 なまでの演奏を追体験できることでしょう。限定生産につき、お早めのご入手をお勧めします。
録音場所の表記はDRAの資料に合わせティタニア・パラストとしております。

GRAND SLAM
GS-2305(1CD)
ブルックナー:交響曲第9番ニ短調(原典版) カール・シューリヒト(指)VPO

録音:1961年11月20〜22日/ウィーン、ムジークフェラインザール
使用音源:Private arvchive (2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:ステレオ(録音セッション)
■制作者より  
シューリヒトとウィーン・フィルのセッション録音によるブルックナーの交響曲第9番は、今や説明不要の定番でしょう。当シリーズでは2013年に英HMVの LP、ASD493を使用したGS-2092を発売しましたが、今回は初めて2トラック、38センチのオープンリール・テープを使用した復刻盤が登場します。最近の 他のCD同様、全工程をプロ用の機器でマスタリングを行い、非常に透明感に溢れ、細部がよく聴き取れる音に仕上がっています。 なお、念のために申し添えますと、音の透明感や瑞々しさは調整して得られるものではありません。素材である元の音をきちんと生かすことで、得られるものです。 (平林 直哉)


SWR music
SWR-19139CD(5CD)
NX-F06
ガリー・ベルティーニ/SWR録音集〜ハイドンからドビュッシーまで
【CD1】
(1)・モーツァルト:交響曲第40番 ト短調 K.550
(2)ハイドン:交響曲第53番ニ長調 「帝国」 Hob.I:53
(3)ハイドン:交響曲第95番ハ短調 Hob.I:95
【CD2】
(1)ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調 Op.92
(2)シューベルト:交響曲第8番「未完成」
【CD3】
ブラームス:交響曲集
(1)交響曲第1番ハ短調 Op.68
(2)交響曲第3番ヘ長調 Op.90
【CD4】
ベルリオーズ:作品集
(1)幻想交響曲 Op.14
(2)歌劇「ベンヴェヌート・チェッリーニ」 序曲
【CD5】
(1)ドビュッシー:選ばれた乙女 L.62
(2)ワーグナー:歌劇「さまよえるオランダ人」 序曲
楽劇「トリスタンとイゾルデ」前奏曲と愛の死
シュトゥットガルトRSO
ガリー・ベルティーニ(指)

【CD5】
(1)イレアナ・コトルバス(S)
グレンダ・モーリス(A)
シュトゥットガルト放送cho

録音:1996年12月1日(ライヴ) 東京芸術劇場…CD1(1)
(2)1985年1月25日(ライヴ) Liederhalle Stuttgart…CD1(2)、CD3:(2)
1983年2月3日(ライヴ) Liederhalle Stuttgart…CD1:(3)

1995年4月13日(ライヴ)Liederhalle Stuttgart…CD2:(1)
1996年11月8日(ライヴ) Staatstheater Karlsruhe …CD2(2)、CD3:(1)
1978年4月14日(ライヴ) Liederhalle Stuttgart…CD4(1)
1978年9月28日 Liederhalle Stuttgart…CD4(2)
1984年9月 SDR Funkstudio Stuttgart…CD5:(1)
1996年11月28日(ライヴ) 東京芸術劇場…CD5:(2)
ケルン放送響や東京都響との名演の数々で日本にも多くのファンを持つガリー・ベルティーニ。彼がシュトゥットガルト放送響と遺した演奏が南西ドイツ放送のマ スターテープから初CD化。いずれもベルティーニ得意のレパートリーで、シュトゥットガルト放送響との初顔合わせから1996年の来日公演のライヴを含む、資料 としても貴重なボックスセットです。 ベルティーニは現モルドヴァ(当時はルーマニア領)に1927年に生まれました(生年に関しては異説あり)。母は生物学者で医師、父は詩人で翻訳家だったと言 います。子供のうちに一家はパレスチナへ移住。ベルティーニはヴァイオリンを学び、ミラノのヴェルディ音楽院に進みましたが、その後パリのエコール・ノルマル、パリ 音楽院、ソルボンヌ大学で作曲、(指)音楽学を学びました。その後はイスラエルで活動。1955年に合唱団Rinat(現イスラエル国立合唱団)を創設、 1965年にはイスラエル室内アンサンブル(現イスラエル室内管)を創設し、ジョスカン・デ・プレから同時代の新作までを演奏してイスラエル楽壇に多大な貢献を 果たしました。メニューインに招かれてヨーロッパ・デビューをイギリスで飾ったのは40歳近い1966年のこと。ドイツ・デビューは更に遅く、1971年。その後は着実 に活動の場を広げるとともに評価を高め、ケルンRSOの首席指揮者やフランクフルト歌劇場の音楽総監督などを歴任しました。 シュトゥットガルト放送響には1978年4月に初登場、その時の演奏がここに収められたベルリオーズの幻想交響曲ですが、初顔合わせとは思えない繊細緻密 かつダイナミック、緊張感に満ちた演奏を展開しています。5か月後には同じ作曲家による序曲をスタジオ収録するために招かれており、デビュー・コンサートが成 功であったことがうかがわれます。オーケストラに対するベルティーニの要求は厳しいものであったと伝えられていますが、1971年から77年まで首席客演指揮者 を務めたチェリビダッケに練磨されていたシュトゥットガルト放送響との相性は良かったものと思われます。その後もベルティーニは客演を続け、1996年秋には楽 団の日本ツアーを指揮しました。このセットの冒頭と最後に収められた演奏は、そのツアーでの録音から採られています。 日本ではマーラー指揮者の印象が強いベルティーニですが、古典派からロマン派では引き締まった造形から熱い情熱がほとばしるような演奏を聞かせます。ここ に収められたのは、いずれも彼が得意とした曲ですが、ハイドンの2曲とモーツァルト、シューベルトは録音では初出レパートリーのようです。モーツァルトとハイドン における品格、シューベルト「未完成」に聴く表現の振幅の大きさが聴きものです。ロマン派以後のレパートリーでは、「イゾルデの愛の死」のクライマックスにおけ る圧倒的な高揚感と、その後に続く浄化された響きに息をのみます。ドビュッシーでは、オーケストラと合唱の妙なるサウンドから官能性が立ち上る様は耳をとら えて離しません。 すべて南西ドイツ放送(SWR)のオリジナルマスターからのマスタリングですが、1980年代のライヴ録音の一部で演奏ノイズ、電気的なノイズ、左右チャンネルの 偏りが少しあります。

オクタヴィア
OVCL-00830(1SACD)
税込定価
2023年12月20日発売
モーツァルト:交響曲集
交響曲第31番ニ長調 K.297(300a)「パリ」*
交響曲第23番ニ長調 K.181(162b)#
交響曲第16番ハ長調 K.128
交響曲第17番ト長調 K.129
飯森範親(指)
パシフィックフィルハーモニア東京

録音:2023年2月6-7日#、4月4-5日* 以上、埼玉・和光市民文化センターサンアゼリア、
7月10-11日 東京・タクトホームこもれびGRAFAREホール〈保谷こもれびホール〉
パシフィックフィルハーモニア東京は、1990年に設 立した東京ニューシティOから名称を変え、 2022年度より新たなスタートを切りました。初代音 楽監督として飯森範親を迎え、「伝統と革新」とい うテーマを打ち出した意欲的な活動が注目を集めて います。 第1弾アルバムに選んだのは、モーツァルトの初期 交響曲。全てセッション録音で取り組み、楽員同士 熱い意見交換も交わし合いながら作り上げまし た。新たな門出にふさわしい華々しく軽やかなサウ ンドは、オーケストラのさらなる飛躍を予感させま す。(オクタヴィア)

Capriccio
C-8092(1CD)
NX-B07

NYCX-10443(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価

ブルックナー:交響曲第1番
(第1稿 レーダー版)
リンツ・ブルックナーO
マルクス・ポシュナー(指)

録音:2023年2月2-3日、7-8日
リンツ・ミュージックシアター
※国内仕様盤=石原勇太郎氏(音楽学/国際ブルックナー協会会員)による日本語解説付属
1863年にへ短調の習作交響曲を書き上げ、1865年にはミサ曲ニ短調(第1番)で成功を収めたブルックナーが、いよいよ交響曲作家として名乗りを挙げ ようと取り組んだのが第1番。1865年に着手し、66年に完成、68年にリンツで初演されました。ブルックナーはその後、1877年にこの曲に改訂を施し、87 年からは更なる改訂作業に取り組んで91年に改訂版が完成しました。前者(第1稿)は「リンツ稿」、後者(第2稿)は「ウィーン稿」とも呼ばれます。しかし、 ハース版、ノーヴァク版ともに出版された「リンツ稿」にはその後の改訂による素材が取り込まれていました。#bruckner2024の監修者ポール・ホークショー による原盤解説によれば、ここで使用されているトーマス・レーダー校訂版は、1868年の初演時のパート譜をもとに後年の改訂部分を取り除いて初演時の 姿を再構成する試みで、新ブルックナー全集の一環として2016年に出版されたものです(NBG III/1:1/1)。リンツ初演以後の改訂で生じた要素を除 去する試みとしてはウィリアム・キャラガン校訂版という先例があり、ティントナーやシャラーが録音しています。異同が注目されるところです。 曲は古典的な4楽章構成。ドイツ・ロマン派的な語法によりつつ、後年のブルックナーらしさも時折顔を出します。ポシュナーは引き締まったサウンドと造形を 基本に、アダージョではブルックナーらしい抒情を堪能させます。

BR KLASSIK
BR-900218(1CD)
NX-B07
ブルックナー:交響曲第7番ホ長調 WAB107 バイエルンRSO
ベルナルト・ハイティンク(指)

録音:1981年11月19&20日
ミュンヘン、ヘルクレスザール(ライヴ)
ベルナルト・ハイティンクがバイエルンRSOの定期演奏会にデビューした1958年から65年となる2023/24シーズンを記念して、1981年のブルック ナー:交響曲第7番が初CD化。この時期、バイエルン放送響は18年にわたって楽団を率いたラファエル・クーベリックが1979年に退任し、ようやく後任に 決めたキリル・コンドラシンが81年春に急逝して、首席指揮者が空白のまま3シーズン目に入っていました(同市内のライバル、ミュンヘン・フィルは79年から チェリビダッケが就任)。そのような中で楽団を支えた客演指揮者の一人がハイティンクでした。 ハイティンクは1963年から72年にかけてブルックナーの交響曲全集を録音(第7番は66年)。そこでは思い切ったテンポの伸縮や強奏強打をまじえてドラマ ティックな面を強調する解釈が聞かれますが、1978年の第7番の再録音(オケはどちらもコンセルトヘボウ管)では、そうした操作は目立たないようになり、作 品の持つ自然な流れの中でドラマを紡いでゆく巧者ぶりが発揮されています。ここに収められた1981年の演奏も78年盤に通じるスタイルで、安心して音楽 に浸ることができると同時に、細部に耳を凝らすとオケが指揮者の解釈に敏感に反応していることが感じられます。録音は最近のものに比べれば細部の解 像度がやや落ちるものの、クーベリック時代のサウンドを留めるオケの音でハイティンクのブルックナー解釈を味わえるのは貴重でしょう。 円熟期のハイティンクにとってブルックナーの第7番は特別なレパートリーだったようで、日本公演だけ見ても1997年(ウィーン・フィル)、2009年(シカゴ響)、 2015年(ロンドン響)と演奏しており、2019年にはベルリン・フィルへの最後の客演と、ウィーン・フィルとの引退公演でも指揮しました。それだけに録音録画 も少なからず遺していますが、ここに壮年期の演奏が加わったことは彼の芸術を愛するファンにとって大きな喜びとなることでしょう。

Profil
PH-23085(1CD)
ブルックナー:交響曲第2番ハ短調(1877年第2版) ゲ ルト・シャラー(指)
フィルハーモニー・フェスティヴァ

録音:2023年10月1日エーブラハ大修道院付属教会(ライヴ)
2024年のブルックナー・イヤーに向けて交響曲全版の網羅的な録音を進めるゲルト・シャラーとフィルハーモニー・フェスティヴァが、第2番の1877年第2 版に挑戦しました。彼らは同曲の1872年(キャラガン校訂)原典版を2011年7月にライヴ録音していますが、ひとまわりを経て第2版演奏が実現しました。
ブルックナーの交響曲第2番は1872年版初演後、いつものように細かい修正を続けますが、1876年に大幅な改訂が行われ最終的な理想形を目指しました。 今回それを演奏・録音しましたが、いろいろな意味で前作とは大きく変化しています。
全体の長さはさほど違いがありませんが、第2楽章と第3楽章が逆になっているのと、1877年版は非常にコンパクトでバランスが良くなっています。シャラー はこの曲がなぜあまり演奏されないのか謎であるとし、「傑作だ!」と結んでいます。ますます大きくなったシャラーの解釈、作品観の変わる力演にご期待ください。 (Ki)

Altus
PALTSA-1001(6SACD)
限定生産
ギュンター・ヴァント 不滅の名盤/ミュンヘン・フィル編〜ブルックナー:交響曲第4・5・6・8・9番
【PALTSA009/10】
(1)ハイドン:交響曲第76番変ホ長調 Hob. I:76
ブルックナー:交響曲第6番イ長調 WAB.106(原典版)
(2)ブルックナー:交響曲第9番ニ短調 WAB109(原典版)
【PALTSA011/2】
(3)ブルックナー:交響曲第8番ハ短調 WAB.108(1884-90年、ハース版)/第1楽章〜第3楽章
(4)ブルックナー:交響曲第8番ハ短調 WAB. 108(1884-90年、ハース版)/第4楽章
シューベルト:交響曲第7(8)番ロ短調「未完成」 D.759
【PALTSA013/4】
(5)ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」 WAB.104(1878-80年原典版)
(6)ブルックナー:交響曲第5番変ロ長調 WAB. 105(原典版)
ギュン ター・ヴァント(指)
ミュンヘンPO

(1)録音:1999年6月24日
(2)録音:1998年4月21日
(3)録音:2000年9月15日
(4)録音:1999年9月28日
(5)録音:2001年9月13〜15日
(6)録音:1995年11月29日・12月1日

全てミュンヘン、ガスタイクにおけるライヴ
PROFIL音源をライセンスし、ALTUSがリマスター・SACDハイブリッド化して発売した「ギュンター・ヴァント 不滅の名盤」シリーズ。ここからミュンヘン・フィ ルとのブルックナー3タイトル(全6枚)を、単売パッケージそのままにクラフト調の三方背ケースに収めた数量限定セットです。
ブルックナー演奏に歴史と伝統を持つミュンヘン・フィルの熱量と、己の信念を貫くヴァントの緊張度の高い指揮が相まった、他では聴けない絶妙のバランスが 特徴です。気高く美しい第4番、妥協なき構築感の第5番、引き締まったリズムが躍動する第6番、圧巻の音楽を聴かせる第8番、深遠な音響が胸を打つ第9番。 晩年のヴァントが全霊をかけて臨んだ名演たちをお聴きください。ALTUSリマスターの効果も抜群です。 (Ki)
Altus
PALTSA-1002(4SACD)
限定生産
ギュンター・ヴァント/不滅の名盤 北ドイツ放送響編I〜ブラームス:交響曲全集 他
【PALTSA017/8】
(1).バッハ:ヴァイオリン協奏曲第1番 イ短調 BWV1041
(2)ブラームス:交響曲第1番ハ短調 作品68
(3)ハイドン:オーボエ協奏曲 ハ長調 Hob. VIIg: C1
(4)ブラームス:交響曲第2番ニ長調 作品73
【PALTSA019/20】
(5)モーツァルト:フルート協奏曲第1番 ト長調 K.313
(6)ブラームス:交響曲第3番へ長調 作品90
(7)リゲティ:ロンターノ
(8)ブラームス:交響曲第4番ホ短調 作品98
ギュン ター・ヴァント(指)
北ドイツRSO

(1).ロラント・グロイッター(Vn)
 ライヴ録音:1992年3月15-17日(場所記載なし)
(2)ライヴ録音:1990年2月14日ケルン、フィルハーモニー
(3)パウルス・ヴァン・デル・メルヴェ(Ob)
 ライヴ録音:1992年1月12-14日ハンブルク、ムジークハレ
(4)ライヴ録音:1992年11月29-30日、12月1日ハンブルク、ムジークハレ
(5)ヴォルフガング・リッター(Fl)
 ライヴ録音:1988年12月/ハンブルク
(6)ライヴ録音:1990年2月14日ケルン、フィルハーモニー
(7)ライヴ録音:1987年ハンブルク、ムジークハレ
(8)ライヴ録音:1990年12月17日ハンブルク、ムジークハレ
PROFIL音源をライセンスし、ALTUSがリマスター・SACDハイブリッド化して発売した「ギュンター・ヴァント 不滅の名盤」シリーズ。ここから北ドイツ放送響 とのブラームス2タイトル(全4枚)を、単売パッケージそのままにクラフト調の三方背ケースに収めた数量限定セットです。
ヴァントの手兵、北ドイツ放送響との90・92年録音のブラームス。当コンビのひとつの到達点と言える響きにあふれています。第1番は第1楽章序奏の快速さ や展開部の猛烈な盛り上がりがまさにヴァント。第2番は室内楽的でなく十分にシンフォニックでありながら、各楽器の音色が美しく組み合わされていく立体感に 驚かされます。第3番は第2楽章がことのほか美しく、歌がどんどんとオーケストラに広がっていく様は聴いていて惚れ惚れ。第4番は殆ど壮絶の極みというとこ ろまで巨大化していくパッサカリア後半が凄まじいの一言。ALTUSリマスターの効果も抜群です。
北ドイツ放送響の首席奏者がソロをとった協奏曲はどれもモダン楽器の気品あふれる音色によるのびのびとした好演。難曲『ロンターノ』もさすがヴァントとい う指揮ぶりです。 (Ki)
Altus
PALTSA-1003(6SACD)
限定生産
ギュンター・ヴァント/不滅の名盤 北ドイツ放送響編II〜ブルックナー:交響曲第3・4・5・7・8・9番
【PALTSA023/4】
(1)ブルックナー:交響曲第3番ニ短調 WAB. 103(ノヴァーク第3稿/1889年)
(2)交響曲第8番ハ短調 WAB.108(ハース版/1884-90年稿)
【PALTSA025/6】
(3)ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」 WAB.104(1878-80年原典版)
(4)交響曲第5番変ロ長調 WAB.105(原典版)
【PALTSA027/8】
(5)ブルックナー:交響曲第7番ホ長調 WAB. 107(1885年ハース原典版)
(6)交響曲第9番ニ短調 WAB.109(原典版)
ギュン ター・ヴァント(指)
北ドイツRSO

(1)ライヴ録音:1985年12月23日
(2)ライヴ録音:2000年4月30日-5月3日
(3)ライヴ録音:1996年10月11-13日
(4)ライヴ録音:1995年10月8-10日
(5)ライヴ録音:1999年4月18-21日
(6)ライヴ録音:1998年4月5-7日

全てハンブルク、ムジークハレ
PROFIL音源をライセンスし、ALTUSがリマスター・SACDハイブリッド化して発売した「ギュンター・ヴァント 不滅の名盤」シリーズ。ここから北ドイツ放送響 とのブルックナー3タイトル(全6枚)を、単売パッケージそのままにクラフト調の三方背ケースに収めた数量限定セットです。
真打・北ドイツ放送響とのブルックナー。逞しい音響の絶頂期を感じさせる85年の精悍な第3番に、最晩年の圧倒的な深みを湛えた2000年の第8番。ブルッ クナー歿後100周年記念の第4番に、北ドイツ放送響50周年記念の第5番。引き締まった構築感の清々しい第7番に、作品への没入感が凄まじく、静寂も爆発 もすべてに魂が宿った迫真の第9番。徹底したスコアの読みから生み出される、比類なき生命力!ALTUSリマスターの効果も抜群です。 (Ki)


東武レコーディングズ
TBRCD-0147(4CD)
税込定価
3850★★
ブリュッヘン+新日本フィルの音楽遺産2
(1)ラモー:歌劇「ナイス」序曲とシャコンヌ
(2)シューマン:交響曲第2番
(3)シューマン:交響曲第4番
(4)モーツァルト:交響曲第31番「パリ」(四楽章版)
(5)シューベルト:交響曲第9番「ザ・グレート」
(6)ハイドン:交響曲第102番、
(7)ハイドン:交響曲第103番「太鼓連打」
(8)ハイドン:交響曲第104番「ロンドン」
(9)アンコール(ハイドン:交響曲第104番〜第4楽章)
フランス・ブリュッヘン(指)
新日本フィルハーモニーSO

録音:(1)(2)(4)2005年2月18日すみだトリフォニーホール(第381回定期演奏会)
(3)2007年1月26日すみだトリフォニーホール(第412回定期演奏会)
(5)2005年2月25日サントリーホール(第382回定期演奏会)
(6)-(9)2009年2月28日すみだトリフォニーホール(ハイドン特別演奏会)
抜群のコンビネーションを見せた「ブリュッヘン+新日本フィル」。ベートーヴェン全集の衝撃のリリースは、ブリュッヘンの 当意即妙なアイディアにオケが見事な反応を示す好演として絶賛されました。今回はその名コンビによる第2弾。ラモーから シューマンまでのヨーロッパ音楽を俯瞰する名曲揃い。ブリュッヘンという人は融通の利かない学究一途からは対極にいる 音楽家であります。いわば常にエキサイティングな演奏を目指す一流のエンターテイナーであり、それだからこそ他の古楽 器指揮者とまるで異なる次元に位置しています。宇野功芳氏がブリュッヘンを賞賛したのも頷ける面白演奏ばかりです。シ ューマンの第4番などはこの曲がもはやベートーヴェンの第7番と相似形であることを示した個性豊かな演奏。第2番は巨匠 にとって音盤としては初のレパートリー、イキイキ艶やかな快演。。モーツァルトの第31番は何と第2楽章の異稿、通常稿の 順番で演奏し、全四楽章の交響曲で演奏する異端ぶり。ブリュッヘンの旧録は通常版でしたので必聴!

Urania Records
WS-121414(2CD)
マーラー:交響曲第3番ニ短調*
ワーグナー:楽劇「神々の黄昏」(抜粋)
エーリヒ・ラインスドルフ(指)ボストンSO
シャーリー・ヴァーレット(Ms)*、
ニューイングランド音楽院cho*、
ボストン少年cho*

録音:1966年10月(ボストン)*&1965年1月8日(ボストン、ライヴ録音)
※STEREO ADD
ステレオ録音技術の普及後、バーンスタイン、ショルティと並んでいち早くマーラーの交響曲録音に取り組んだ指揮者の一人であるオーストリア出身のエーリヒ・ラインスドルフ。交響曲第5番と第6番を復刻したディスク(WS-121410)に続いて、近年入手が難しくなっていた第3番の音源がウラニア・レコーズより復刻されます。ミュンシュの下で黄金期を築いたボストンSOをミュンシュから引き継ぎ、音楽監督を務めていた時期である1966年の録音。さらに1965年のボストンでのライヴ・レコーディングから、ラインスドルフが大得意としていたワーグナーの作品より「神々の黄昏」(抜粋版)がカップリングされているのも嬉しいポイントです。
Urania Records
WS-121415(2CD)
チャイコフスキー:交響曲第1番&第6番ほか
チャイコフスキー:交響曲第1番1「冬の日の幻想」
交響曲第6番ロ短調 Op.74「悲愴」
スラヴ行進曲 Op.31/序曲「1812年」
ピアノ協奏曲第1番変ロ短調 Op.23*
ニコライ・ゴロワノフ(指)、
モスクワRSO、エミール・ギレリス(P)*

録音:1944年(スラヴ行進曲)、1946年(P協奏曲)、1947年(交響曲)、1948年(序曲)
※MONO ADD
個性的かつ大胆な解釈と強烈な演奏で知られる20世紀前半のソ連の大指揮者、ニコライ・ゴロワノフのチャイコフスキー作品集がウラニア・レコーズより復刻。音楽監督を務めていたモスクワRSOとの1940年代の録音をCD2枚組に収録しています。ゴロワノフ節炸裂の悲愴交響曲や序曲「1812年」など聴きどころ満載。またピアノ協奏曲第1番は30歳頃のエミール・ギレリスと共演した1946年録音が復刻されています。


フォンテック
FOCD-9894(1CD)
税込定価
2023年12月6日発売
ブルックナー:交響曲第8番ハ短調 飯守泰次郎(指)
東京シティ・フィルハーモニックO

録音:2023年4月7日 サントリーホール ライヴ
作品への情熱的な献身、そして伝説に昇華する導き―日本の演奏史に比類なき足跡を刻み、去る 8月15日に逝去した大指揮者 飯守泰次郎。 1960年代にミトロプーロス、カラヤン両国際コンクールに入賞。70 年代からバイロイト音楽 祭で歴史的公演に参加した後、東京シティ・フィル、名古屋フィル、関西フィル、仙台フィルの 常任指揮者を歴任しました。シティ・フィルとは2000 年、2010年にベートーヴェン全交響曲演奏会、さらに2000-08 年には、演奏会形式を超えた<オーケストラル・オペラ>でワー グナーの7作品公演をおこないました。2014-18 年には新国立劇場のオペラ芸術監督を務め、ハリー・クプファー新演出による『パ ルジファル』を皮切りに、『ニーベルングの指環』を含むワーグナー作品を演奏、そしてカタリ ーナ・ワーグナーの鮮烈な演出『フィデリオ』でのベートーヴェンの精神を体現する名演は、同 劇場開場20周年シーズンを国際的な成功へと導いたのです。 受賞歴も数多く、2000年第32回サントリー音楽賞、2012 年日本芸術院賞、文化功労者は 特筆すべきもので、2014 年12月より芸術院会員を務めました。 弊社は1998 年に演奏されたブルックナー「ロマンティック」以来、飯守指揮による数々の名 演を製品化してまいりました。 当該CD は2023 年4月7日におこなわれた、東京シティ・フィル特別演奏会の記録です。 奇しくも最晩年の演奏となったブルックナー、すべての虚飾を排し人智を超えた境地がここにあ ります。 (フォンテック)

Altus
ALTSA-1005(6SACD)
シングルレイヤー
限定生産
国内製作
日本語帯・解説付
ムラヴィンスキーレニングラード・フィル 来日公演集成/SACD5タイトルセット(全6枚)
【ALTSA001】
ベートーヴェン:交響曲第4番変ロ長調
リャードフ:バーバ・ヤーガ
グラズノフ:バレエ「ライモンダ」第3幕間奏曲
【ALTSA002】
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番
【ALTSA051/2】(2SACD)
[DISC1]
ワーグナー:楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より 第1幕へ
の前奏曲
ブラームス:交響曲第2番ニ長調
チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調*
[DISC2]
(1)ワーグナー:歌劇「ローエングリン」 第1幕前奏曲/歌劇「タンホイザー」序曲
(2)ウェーバー:歌劇「オベロン」序曲
シューベルト:交響曲第8(7)番未完成」
(3)ウェーバー:歌劇「オベロン」序曲
シューベルト:交響曲第8(7)番「未完成」
チャイコフスキー:バレエ音楽「くるみ割り人形」より 抜粋(第6曲:客の退場、夜、ネズミの出現/第7曲:くるみ割り人形とネズミの戦闘、くるみ割りの勝利と王子への変身/第8曲:冬の森/第9曲:雪片のワルツ/第14曲:パ・ド・ドゥ/第15曲:終曲のワルツ)
【ALTSA054】
(1)シベリウス:交響曲第7番
チャイコフスキー:バレエ音楽「くるみ割り人形」より 抜粋(第6曲:客の退場、夜、ネズミの出現/第7曲:くるみ割り人形とネズミの戦闘、くるみ割りの勝利と王子への変身/第8曲:冬の森/第9曲:雪片のワルツ/第14曲:パ・ド・ドゥ/第15曲:終曲のワルツ)
(2)モーツァルト:交響曲第39番
(3)チャイコフスキー:交響曲第5番
(4)チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」
【ALTSA063】
(1)ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」
ワーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルデ」より 前奏曲と愛の死/楽劇「ジークフリート」より 森のささやき/楽劇「ワルキューレ」より ワルキューレの騎行
(2)グラズノフ:交響曲第5番変ロ長調
チャイコフスキー:バレエ音楽「眠りの森の美女」より 抜粋(序曲[プロローグ]、アダージョ、パノラマ、ワルツ)
エフゲニー・ムラヴィンスキー(指)
レニングラードPO

【ALTSA001】
ライヴ録音:1973年5月26日/東京文化会館
【ALTSA002】
ライヴ録音:1973年5月26日/東京文化会館
【ALTSA051/2】(2SACD)
[DISC1]
ライヴ録音:1977年9月27日/東京文化会館
ライヴ録音:1977年10月19日/NHKホール*
[DISC2]
(1)ライヴ録音:1977年9月27日/東京文化会館
(2)ライヴ録音:1977年10月12日/東京文化会館
(3)ライヴ録音:1977年10月8日/フェスティバルホール
【ALTSA054】
(1)ライヴ録音:1977年10月19日/NHKホール
(2)ライヴ録音:1977年10月12日/東京文化会館
(3)ライヴ録音:1975年6月7日/東京文化会館
(4)ライヴ録音:1975年5月13日/東京文化会館
(5)ライヴ録音:1975年6月7日/東京文化会館
【ALTSA063】
(1)ライヴ録音:1979年5月21日/東京文化会館
(2)ライヴ録音:1979年6月8日/NHKホール
ALTUSレーベルの大ベストセラー、ムラヴィンスキー&レニングラード・フィルの来日公演。SACDシングルレイヤー盤5タイトル(全6枚)を、単売パッケージ そのままにクラフト調の三方背ケースに収めた数量限定セットです。
73年の伝説的名演ベートーヴェン4番&ショスタコーヴィチ5番(ALTSA-001、002)、77年の2つの圧倒的『未完成』(ALTSA-051/2)、75年の凄ま じいチャイコフスキー5・6番(ALTSA-054)、79年の超名演グラズノフ(ALTSA-063)などすべてが必聴。ぜひSACDでお楽しみください。 (Ki)
Altus
ALTSA-1006(3SACD)
シングルレイヤー
限定生産
国内製作
日本語帯・解説付
ムラヴィンスキーレニングラード・フィル ウィーンライブ集成/SACD3タイトルセット
【ALTSA287】
チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調
【ALTSA288】
ウェーバー:歌劇『オベロン』 序曲
ブラームス:交響曲第2番ニ長調
【ALTSA289】
シューベルト:交響曲第8番『 未完成』
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番ニ短調
エフゲニー・ムラヴィンスキー(指)
レニングラードPO

【ALTSA287】
ライヴ録音:1978年6月12、13日ウィーン楽友協会 大ホール
【ALTSA288】
ライヴ録音:1978年6月13日ウィーン楽友協会 大ホール
【ALTSA289】
録音:1978年6月12日(ショスタコーヴィチ)、13日(シューベルト)ウィーン楽友協会 大ホール
ALTUSレーベルの大ベストセラー、ムラヴィンスキー&レニングラード・フィルの78年ウィーン・ライヴ。SACDシングルレイヤー盤3タイトルを、単売パッケー ジそのままにクラフト調の三方背ケースに収めた数量限定セットです。
ムラヴィン史上最高との呼び声も高い超弩級のチャイコフスキー5番(ALTSA-287)、ダイナミックレンジの凄まじさに驚嘆のブラームス2番(ALTSA-288)、 緊張感たまらぬ十八番の『未完成』&『革命』(ALTSA-289)とすべて必殺の名演。ぜひSACDでお楽しみください。 (Ki)
AltusALTSA-1007(4SACD)
シングルレイヤー
限定生産
国内製作
日本語帯・解説付
若杉弘&N響/ブルックナー・チクルス&メシアン・管弦楽作品集
【ALTSA431/3】 (3SACD)
ブルックナー:交響曲全集
[Disc1]
(1)交響曲第1番ハ短調 WAB101 第1稿 (リンツ稿 )ノヴァーク版
(2)交響曲第2番ハ短調 WAB102 第2稿ノヴァーク版
(3)交響曲第3番ニ短調 WAB103 第3稿ノヴァーク版
[Disc2]
(1)交響曲第4番変ホ長調『ロマンティック』 WAB104 1878・80年稿ノヴァーク版 
(2)交響曲第5番変ロ長調 WAB105 原典版・ノヴァーク版
(3)交響曲第6番イ長調 WAB106 ノヴァーク版
[Disc3]
(1)交響曲第7番ホ長調 WAB107 ノヴァーク版・第 2版
(2)交響曲第8番ハ短調 WAB108 第2稿ノヴァーク版
(3)交響曲第9番ニ短調 WAB109 ノヴァーク版
【ALTSA483】
メシアン:作品集
(1)忘れられた捧げもの(1930)
(2)教会のステンドグラスと小鳥たち(1986)〈日本初演〉
(3)かの高みの都市(1987)
(4)われら死者のよみがえりを待ち望む(1964)
(5)聖体秘蹟への賛歌(1932)
(6)キリストの昇天(1932-33)
(7)天国の色彩(1963)
(8)神の顕現の三つの小典礼
(9)輝ける墓(1931)
木村かをり((2)(3)(7)(8)ピアノ)
原田 節((8)オンド・マルトノ)
東京混声cho((8)女声合唱)
大谷研二((8)合唱指揮)
若杉弘(指)NHK響

【ALTSA431/3】
[Disc1]
(1)録音:1998年2月28日
(2)録音:1997年1月13日
(3)録音:1996年2月26日
[Disc2]
(1)録音:1997年2月24日
(2)録音:1998年1月27日
(3)録音:1997年3月18日
[Disc3]
(1)録音:1996年1月29日
(2)録音:1996年3月31日
(3)録音:1998年3月13日
【ALTSA483】
(1)録音:1996年1月29日
(2)録音:1996年2月26日
(3)録音:1996年3月31日
(4)録音:1997年1月13日
(5)録音:1997年2月24日
(6)録音:1997年3月18日
(7)録音:1998年1月27日
(8)録音:1998年2月28日
(9)録音:1998年3月13日
ACDシングルレイヤー盤2タイトルを、単売パッケージそのままにクラフト調の三方背ケースに収めた数量限定セット。
ALTUSがその全貌を初めてCD・SACD化した若杉&N響のブルックナー・メシアン・チクルス。これは1996年から98年にかけて3期9公演に渡り行われた「2 つの世紀のカトリック」と題されたチクルスで、各回ブルックナーの交響曲1曲とメシアンの作品を組み合わせるという意欲的なプログラムで構成されていました。 演奏も最高水準で若杉弘を語るには外せない伝説の公演です。
通常CDではブルックナー10枚組・メシアン3枚組として発売されている当録音。こちらのSACDは長時間収録で、ブルックナー3枚+メシアン1枚の計4枚 にCDと同内容をもれなく収録しています。ALTUS入魂のマスタリングが聴きもので、レーベル屈指の極上音質を誇るSACDとしてお薦めできる自信作。ぜひご 堪能ください。 (Ki)

CPO
CPO-777665(1CD)
NX-B10
ナタナエル・ベリ:交響曲第4番/第5番
交響曲第4番「交響的小品」
交響曲第5番「Triologia delle passioni 情熱=受難の三部作」
ノールショピングSO
アリ・ラシライネン(指)

録音:2011年6月6-8日
1879年ストックホルム生まれのナタナエル・ベリ(ベルク)の交響曲全集、完結編。1879年に生まれた彼は 獣医の資格を持ち、1939年まで国防省で少佐として軍馬の管理をしたのち、作曲家に転身。アッテルベリ やペッタション=ベリエルらとともに20世紀前半のスウェーデンを代表する独創的な作品を書き上げました。 彼の作品目録には6曲の歌劇をはじめ、いくつかのバレエ音楽、オーケストラ伴奏付き声楽作品、交響詩や 室内楽曲がありますが、何よりも重要なのが5曲の交響曲です。彼の交響曲はどれもタイトルを持っており、 このアルバムに収録されたのは第4番と第5番。第4番は彼の友人アッテルベリとの賭けから生まれたという軽 妙な作品ですが、条件の一つである「20分以内」という長さを超過してしまったため、ベリは罰金を払うことに なったというエピソードがあります。最後の交響曲となる第5番は、華やかでドラマティックな音楽。タイトルの 「passioni」には情熱の意と苦しみの意があり、そのどちらも満たすかのような起伏のある各楽章が聴きどころ です。終楽章の終結部では天に向かって静かに昇っていくかのようなコラールが登場。情熱と受難は長い逡 巡の末、和解に至るという結末です。


Treasures
TRE-281(1CD)
F.レーマン〜モーツァルト:作品集1
オペラ序曲集*
 後宮からの誘拐/フィガロの結婚、
 ドン・ジョヴァンニ/コシ・ファン・トゥッテ、
 劇場支配人/魔笛/イドメネオ
交響曲第40番ト短調K.550
フリッツ・レーマン(指)
BPO*、ウィーンSO

録音:1952年7月9日*、1953年5月3-4日(共にモノラル)
※音源:DGG LPEM-19040*、29311
◎収録時間:64:20
“今こそ傾聴すべき、楽器や奏法を弄るではない真の原点回帰!”
■音源について
共に1960年代のドイツ盤を採用。

★フリッツ・レーマン(1904-1956)は、ドイツ・マンハイム生まれ。ソプラノ歌手ロッテ・レーマンの弟。アルヒーフレーベルから後にリヒターに引き継がれることになるバッハのカンタータなどの指揮を託されて、グラモフォンには管弦楽の王道レパートリーの録音を多く遺していますが、ステレオ録音が本格化する前に他界したせいか、その真価は広く認識されているとは言えません。
 レーマンの芸風を知るには、上記のバッハやブラームスのドイツ・レクイエムなどの声楽を伴う作品は必聴ですが、オーケストラ作品でまず傾聴すべきはモーツァルトでしょう。端正で内省的な音作りは、ここに聴く「40番」との相性が抜群。決して激情に任せることがないので、第一印象は極めて地味に感じられますが、聴けば聴くほど無垢のモーツァルトがひたひたと迫ります。
 第1楽章は上品に滑り出しますが、そのまま平板に流れるのではなく、高い集中力で全体を凝縮しながら起伏の大きな音楽を展開。第2楽章は極めて遅いテンポを取りながら息の長い呼吸が弛緩することなく一貫しているところに、レーマンの楽想への趣味の良い寄り添い方を痛感。これみよがしに語るのではない、どの箇所も一音一音が大切に育まれています。特に展開部ではゆったりとしたモードに甘んじることなく音楽を熱く内燃させている点にもご注目。第3楽章は実に美しく清潔なインテンポが印象的。それが中間の平和な光を湛えたニュアンスと確かなコントラストも成した例は稀でしょう。終楽章も感情を制御し、声部バランスを吟味しながら作品の造型を丁寧に紡ぎ出します。こういう真面目なスタイルの演奏はとかく無為無策なだけの場合もありますが、レーマンはそれとは明らかに異なることを実感していただけることでしょう。
 一方、序曲集においては、本編のドラマを連想させるニュアンスを誰しも期待するところですが、過度なテンポ・ルバートや外面的効果を狙わず純音楽的なアプローチは不変。ただ、「後宮からの逃走」「魔笛」などのテンポの速い曲ではオケの自発性に任せて推進力を確保している点もあり、レーマンが決して柔軟性のない堅物ではないことが分かります。特に「魔笛」の一途な推進性は比類がないほどで、BPOの巧さとも相俟って、この序曲の最高位の録音だと確信しています。「フィガロの結婚」は、いわゆる「名演」という形容が似合わない名演!これほど指揮操作を聴き手に意識させず、楽譜に書かれた音符以外の素材を排除し、音楽の力だけで押し通した演奏は珍しく、しかも、その真摯なアプローチがトスカニーニ的な強烈な圧ではなく、自然で人間的な配慮の上に為されているので、そこから導かれる音楽に窮屈さは皆無。それが美しくも伸び伸びとしたニュアンスとして結実し、確実に訴えかけるのではないでしょうか。
 フリッツ・レーマンの指揮には、今まで聞き慣れた作品であっても「そもそもこういう曲だったな〜」と聴き手を原点に立ち返らせ、作品の素晴らしさを再認識させる作用があると思うと、50代で世を去ってしまったのは実に痛恨の極みです。【2023年11月・湧々堂】

LSO Live
LSO-0572(4CD)
エルガー:交響曲、エニグマ変奏曲、行進曲集、他

■Disc1
(1)交響曲第1番変イ長調op.55
(2)行進曲「威風堂々」第3番ハ短調、第2番イ短調、第5番ハ長調

■Disc2
(1)交響曲第2番変ホ長調op.63
(2)戴冠式行進曲op.65
帝国行進曲op.32/威風堂々第1番

■Disc3
(1)交響曲第3番ハ短調op.88(A.ペイン(1936〜2021)補筆)
(2)ヴォーン・ウィリアムズ:トマス・タリスの主題によるファンタジア
(3)行進曲「威風堂々」第4番

■Disc4
(1)序奏とアレグロ
(2)エニグマ変奏曲
(3)チェロ協奏曲
■Disc1
(1)サー・コリン・デイヴィス(指)/録音:2001年9月30&10月1日、バービカン・ホール
(2)バリー・タックウェル(指)/録音:1988年4月26&27日/ウォルサムストー・タウン・ホール
■Disc2
(1)サー・コリン・デイヴィス(指)/録音:2001年10月4&5日、バービカン・ホール
(2)バリー・タックウェル(指)/録音:1988年4月26&27日、ウォルサムストー・タウン・ホール(op.65とop.32は4月27日のみ録音)
■Disc3
(1)サー・コリン・デイヴィス(指)/録音:2001年12月13&14日、バービカン・ホール
(2)サー・アントニオ・パッパーノ(指)/録音:2020年3月15日、バービカン・ホール】
(3)バリー・タックウェル(指)/録音:1988年4月26&27日、ウォルサムストー・タウン・ホール
■Disc4
(1)サー・コリン・デイヴィス(指)/録音:2005年9月2日3&12月9日、バービカン・ホール
(2)サー・コリン・デイヴィス(指)/録音:2007年1月6&7日/バービカン・ホール
(3)フェリックス・シュミット(Vc)、ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス(指)/録音:1988年9月28&29日、ウォルサムストー・タウン・ホール
LSOによるエルガー作品がボックスで登場。サー・コリン・デイヴィス指揮の交響曲ほか、パッパーノ指揮によるエルガーと同時代の作曲家ヴォーン =ウィリアムズの初出音源、さらにバリー・タックウェルとの名演「威風堂々」も盛り込まれた注目リリースです!
LSO(LSO)が設立されたのは1904年、その最初期、エルガーもオーケストラを指揮していました。また、1926-32年、エルガーは自作自演の 形でLSOと作品を録音、この録音は多くの指揮者たちの大きな指標ともなりました。その録音に大きな影響を受けたサー・コリン・デイヴィス(1927-2013) もエルガーにも並々ならぬ思い入れがありました。エルガーのことを“大きくて丸々としていて、犬を連れて川岸を散歩するのが好きだったりと、まるでファルス タッフのようだった。陽気な茶目っ気があるかと思えばメランコリックな面もあり、そうした二面性は作品にもあらわれているが、大きな魅力だ”とデイヴィスは語 りました。さらに”楽譜を見ると、エルガーは自分が何をどうしてほしいか、というのが明確にある作曲家であり、「poco accelerando (少しずつ速くする) 、 そしてその後にsubito tempo primo(直ちにもとのテンポにもどす)、と書いてあるが、これを指示通りにすると聴き手は突然落馬したような印象になります。エル ガーの細かな楽譜への指示はいつも注意深く読み解かなければならない。”と、その綿密に書きこまれた楽譜の読み込みを、行間までを読むように研究していまし た。そうしたデイヴィスがのこしたライヴはエルガー作品の新たな決定版として長く語り継がれるものとなっています。
「威風堂々」は、1955-68年LSOの首席ホルン奏者を務めたバリー・タックウェル指揮。LSOレーベルとしては初登場音源。こちらも管楽器が豪快に鳴って おり、管楽器セクションでも世界に名を轟かせる礎をつくったともいえるタックウェルとLSOとの引き締まった演奏となっています。
パッパーノ指揮によるヴォーン=ウィリアムズは初出音源。この作品は1910年に作曲者自身の(指)LSOの弦楽メンバーによって初演されました。弦楽のみに よる演奏はオルガンの響きのようでもあり、きわめて美しいSF映画の世界に迷い込んだような、静謐で厳かな神秘的な雰囲気。パッパーノが導く美しい歌と音色 を堪能できます。
チェロ協奏曲も初出音源です。LSOに定期的に客演していたデ・ブルゴス(1933-2014)指揮。チェロの独奏は、ロンドンの王立音楽院で名誉ア ソシエイトとなり、音楽院で忙しく教鞭をとっている英国の名手フェリックス・シュミット。冒頭の激しい慟哭から、イギリスの巨匠の風格たっぷりに聴かせます。デ・ ブルゴスも暗くうねる旋律をこれでもかと怒涛のように展開しております。 (Ki)

オクタヴィア
OVCL-00834(1SACD)
税込定価
2023年11月22日発売
ハイドン交響曲集Vol.22
交響曲 第67番 へ長調 Hob.I:67
交響曲 第68番 変ロ長調 Hob.I:68
交響曲 第11番 変ホ長調 Hob.I:11
飯森範親(指)
日本センチュリーSO

録音:2022年5月26日(第67番、第68番)、12月9日(第11番)  大阪、ザ・シンフォニーホール・ライヴ
日本センチュリー交響楽団が首席指揮者の飯森範親と共にス タートした「ハイドンマラソン」は、フランツ・ヨーゼフ・ ハイドンのすべての交響曲を演奏しようという一大プロジェ クト。当盤は第27回、29回コンサートのライヴ収録です。 幾度の公演を重ね、信頼関係を築いてきた飯森と日本セン チュリー響は、精緻な構築と、細部までこだわりぬいた感性 で、気品あふれるハイドンを奏でています。柔和で晴々とし た優美な演奏は、まさに彼らの真骨頂といえるでしょう。(オクタヴィア)


東武レコーディングズ
TBRCD-0142(4CD)
税込定価
チャイコフスキー名演集〜3大交響曲&管弦楽作品集

■CD1
(1)交響曲第4番
(2)『白鳥の湖』抜粋
■CD2
(3)交響曲第5番
(4)『エフゲニー・オネーギン』よりポロネーズ
(5)幻想序曲『ロミオとジュリエット』
■CD3
(6)交響曲第6番『悲愴』
(7)フランチェスカ・ダ・リミニ
(8)『モーツァルティアーナ』より祈り
■CD4
(9)弦楽セレナーデ
(10)フィレンツェの想い出
(11)デンマーク国家による祝典序曲
秋山和慶(指)広島SO

録音:(1)2012年2月17日アステールプラザ大ホール(ディスカバリー・シリーズ「ロマン派の旅路19〜世紀を彩った作曲家」W)
(2)2011年9月16日アステールプラザ大ホール(ディスカバリー・シリーズ「ロマン派の旅路19〜世紀を彩った作曲家」V)
(3)2012年1月7日広島市文化交流会館(YMFGもみじニューイヤーコンサート)
(4)(5)2012年4月10日広島市文化交流会館(第318 回定期演奏会)
(6)2003年8月6日広島国際会議場フェニックスホール(平和の夕べコンサート)
(7)(8)2013年1月18日広島市文化交流会館(第325 回定期演奏会)
(9)(11)2016年4月17日広島市文化交流会館(第359 回定期演奏会)
(10)2013年2月28日アステールプラザ大ホール(ディスカバリー・シリーズ「音楽の街を訪ねて」4)
今、円熟の境地にある巨匠、秋山和慶のチャイコフスキー。固い友情で結ばれた広島SOとのヒューマンな名演集で ある。チャイコフスキーを音楽の暴力として表現する方法はたやすい。そんな手法に秋山は目もくれずに丁寧な刺繍のよう に旋律美を丹念に清潔に紡いでゆきます。 交響曲第4 番の静寂が放射するパワー。交響曲第5番における甘いドラマを禁じたストイックなまでのスタイルが自らを律す る芸術家の厳しさを象徴しています。『悲愴』では血の通ったドラマが展開して心に染み渡る。 特筆したいのは「フィレンツェの思い出」の弦楽合奏版で、オーケストラでは滅多に演奏されないという希少性だけでなく、交 響曲にも匹敵する対位法のお手本のような、見事な表現です。いわゆる聴いていて腑に落ちる、納得の演奏とはこういう 演奏のことを言うのでしょう。珍しい「デンマーク国家による祝典序曲」が収録されているのも有難く、こういう秘曲までも衒うこと なく、阿ることもなく只管誠実に語り掛けてくれる秋山和慶には自然と頭が下がってくる。

Myrios Classics
MYR-033(1CD)

KKC-6772(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価

ブルックナー:交響曲第3番ニ短調 WAB103(1873年第1稿/ノヴァーク版) フランソワ=グザヴィエ・ロト(指)
ケルン・ギュルツェニヒO

録音:2022年9月/ケルン・フィルハーモニー(ライヴ)
大好評ロト&ギュルツェニヒ管のブルックナー全集シリーズ、第3弾。ブルックナーの交響曲中とくに頻繁に改訂され第3稿まである第3番を収録しています。 心酔するワーグナーに捧げられ、同じく終生あこがれ続けたベートーヴェンの「第九」を思わせる楽想も入れ込んだ大作に対して、ロトが選んだ版は大胆な実験 精神と喜びにあふれた1873年初稿。ブルックナーのやりたいことが原形のまま詰まったスコアであり、一番長い演奏時間を要し、またロト自身が高く評価して いる稿でもあります。
細部までこだわり、洗練された音を真新しく響かせていく充実の演奏。巨大な音楽でありながらも推進力に富み、まったく退屈せずに全曲を聴きとおせます。 颯爽としたスピード感を崩さずに重々しく分厚い音塊を巧みに積み上げていくフィナーレは息もつかせぬ衝撃的おもしろさ。アダージョ冒頭を始め、ふとした箇所 であらわれる素朴な歌いまわしも実に美しくさわやかで絶品。終始、今まさに音楽が生まれんとする瑞々しさと輝き、感動に満ちあふれています。 (Ki)

NATIONAL SYMPHONY ORCHESTRA
NSO-0007(1SACD)
ジョージ・ウォーカーシンフォニア集
:シンフォニア第1番(1984,1996改訂)
(フロム財団委嘱)
シンフォニア第2番(1990)
(クーセヴィツキー財団委嘱)
シンフォニア第3番(2002)
シンフォニア第4番“Strands(糸)” (2011)
(ナショナルSOほか共同委嘱)
シンフォニア第5番“Visions” (2016)
ジャナンドレア・ノセダ(指)
ワシントン・ナショナルSO
アーロン・ゴールドマン(Fl)
シャナ・オシロ(S)、デ・マルクス・ボルズ(T)、ダニエル・J・スミス(Bs-Br)、V・サヴォイ・マクイルヴァン(Bs-Br)

録音:[第1番]2022年1月13,15,16日/[第2番]2023年5月24,25日/[第3番]2023年6月1,2,3日/[第4番]2022年1月27,28,29日/[第5番]2023年5月12,13日
2022年1月から、NSOとノセダは生誕100年となる黒人作曲家ジョージ・ウォーカーの5つのシンフォニア全曲を演奏会で取り上げ、録音してきました。デ ジタルでは曲ごとに配信されておりましたが、フィジイカルではこのディスクで一挙に登場となります。
ジョージ・ウォーカーは、1996年に音楽家として初めてピューリッツァー賞(音楽部門)を受賞した、アメリカを代表する作曲家。1922年、ジャマイカからの 移民で医師であった父と、アメリカの政府の印刷局で働いてウォーカーの才能を早くから認めた母のもとに生まれました。オバーリンでピアノを学んだのち、カー ティス音楽院でピアノと作曲を学び、1945年、同音楽院初の黒人の卒業生となりました。1984年から2016年の間に生涯で5作となるシンフォニアを作曲し ています。
第1番は穏やかで抒情的な部分とエネルギッシュの対比が印象的な2楽章からなる作品。第2番はギターも登場する華やかな作品。第3番は急-緩-急の3楽 章から成り、ウォーカーが最も充実していた時期の作品で、非常にクリアで切れ味の鋭い和声が冴え渡った作品です。第4番はウォーカー90歳を記念してNSOは じめシンシナティなどの複数のオーケストラが共同で委嘱したもので、讃美歌の引用をしながらそれぞれのリズムを分解して融合させ、最後はエネルギーに満ちて 終わります。第5番は2015年の6月27日に起きた、白人至上主義者の21歳の若者がアフリカ系アメリカ人を9人射殺するという世界に衝撃を与えたニュース にショックを受けて書かれました。終止緊張感に満ちたリズムや音階で、ピアノも登場(ウォーカーもコンサート・ピアニストとしてキャリアをスタートさせたことを 思い出させます)。時折現れる歌唱陣は時に聖歌を、時に奴隷制を思わせるテキストを歌ったり語ります。最後は静かに断絶するように終わります。怒りに満ちた 作品であるとともに聴き手に様々なことを考えさせる作品であります。 (Ki)

BIS
BISSA-2701(1SACD)
ヘルヴィ・レイヴィスカ(1902-1982):管弦楽作品集 第1集
シンフォニア・ブレヴィス(短い交響曲)(Sinfonia brevis) Op.30(1962rev.1972)
管弦楽組曲第2番Op.11(1937?38)(ニュルキ・タピオヴァアラの映画『ユハ(Juha)』の音楽から)*
交響曲第2番Op.27(1954)
ラハティSO、
ダリア・スタセフスカ(指)

録音:2023年1月2〜5&7日、2023年5月12&13日*/シベリウスホール、ラハティ(フィンランド)
制 作:インゴ・ペトリ
クライナ出身のダリア・スタセフスカ(1984-)は、タンペレ音楽院でヴァイオリンと作曲、ヘルシンキのシベリウス・アカデミーでヴァ イオリンとヴィオラ、ヨルマ・パヌラとレイフ・セーゲルスタムの下で指揮を学びました。2021/2022年のシーズンからラハティSOの首席指揮者を務め、 ラハティ国際シベリウス・フェスティヴァルの音楽監督とBBC響の首席客演指揮者のポストにも就いています。2023年、「BBC Music Magazine」の 「パーソナリティ・オブ・ザ・イヤー賞」を受賞しました。
新しいアルバムは、オッリ・ムストネンと共演したラウタヴァーラとマルティヌーのピアノ協奏曲(BIS SA-2532)に次ぐ、ラハティSO首席指揮者として の録音の第2作。フィンランドで最初の重要な女性作曲家ヘルヴィ・レイヴィスカの管弦楽作品を録音するシリーズの最初のアルバムです。
レイヴィスカは、1902年にヘルシンキで生まれ、エルッキ・メラルティンとアルトゥール・ヴィルナーにピアノと作曲を学びました。一般の聴衆がまだ「女性作曲 家」に偏見を抱いていたとされる時代、シベリウス・アカデミーでライブラリアンとして働きながら管弦楽曲、室内楽曲、器楽曲、歌曲、映画のための音楽などを作 曲しました。近年、注目される機会が多くなり、「ピアノ協奏曲 ニ短調」と「交響曲第1番変ロ長調 」のセッション録音(Hanssler Classic HC-23050)が 最近リリースされました。
「管弦楽組曲第2番」は、フィンランドの前衛的、実験的作風の映画監督ニュルキ・タピオヴァアラ(1911-1940)が1937年に作った『ユハ(Juha)』の ために彼女が書いたスコアの4曲を組曲にした作品です。「春の到来」「ユモレスク」「子守歌」「エピローグ」。映画の基になったユハニ・アホ(1861-1921) の同名小説は、アーレ・メリカントとレーヴィ・マデトヤのオペラの原作にも使われています。
「交響曲第2番」は、レイヴィスカが、後期ロマンティシズムのスタイルから対位法によるポリフォニーと線的なアプローチに移ろうとしていた時期、1954年に 作曲されました。第1楽章「アンダンティーノ・クワジ・アレグレット-ピウ・アニマート・エ・リトミコ」第2楽章「アレグロ・モルト」第3楽章「アンダンテ・カンター ビレ」の3楽章の作品です。1955年4月5日、ニルス=エーリク・フォウグステットがフィンランドRSOを(指)ヘルシンキで初演しました。
「シンフォニア・ブレヴィス(短い交響曲)」は、1962年に作曲され、1972年に改訂された作品です。単一楽章で書かれ、ポリフォニーと線的スタイルが印象 を残す作品です。エーリク・クロンヴァル指揮ヘルシンキ・フィルハーモニックによる録音で初めて演奏され、その後、ラジオ放送でしばしば演奏されています。 (Ki)

GRAND SLAM
GS-2306(1CD)
ベートーヴェン:序曲「コリオラン」*
交響曲第3番「英雄」
ブルーノ・ワルター(指)
コロンビアSO

録音:1959年4月15日*、1958年1月20、23、25日/アメリカン・リージョン・ホール(カリフォルニア)
使用音源:Private archive (2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:ステレオ
■制作者より
交響曲第6番「田園」(GS-2297)に続く、ワルターのベートーヴェン・シリーズです。「英雄」はGS-2125以来約8年ぶりのリマスター音源で、「コリオラン」 序曲は初復刻となります。今回も状態の良い2トラック、38センチ、オープンリール・テープを使用し、プロ用の機器によりマスタリングを行いました。いかにもアナログらしい、広がりの豊かな瑞々しい音質で楽しめます。(平林 直哉)

Glossa
GCD-921134(1CD)
C.P.E.バッハ:ハンブルク交響曲集 Wq182
シンフォニア第1番ト長調
シンフォニア第2番変ロ長調
シンフォニア第3番ハ長調
シンフォニア第4番イ長調
シンフォニア第5番ロ短調
シンフォニア第6番ホ長調
アレクサンダー・ヤニチェク(コンサートマスター)、
18世紀オーケストラ

録音:2021年5月&2022年9月、カイゼル運河教会(アムステルダム、オランダ)
2024年3月、フランス・ブリュッヘン最後の来日となった2013年以来約11年ぶりの来日公演を予定している18世紀オーケストラの2023年2枚目となるリリースは、バッハの次男、C.P.E.バッハの代表作「ハンブルク交響曲集」!スヴィーテン男爵(ゴットフリート・ファン・スヴィーテン)の依頼によって弦楽と通奏低音のために書かれたこの作品は、当時としては非常に高い演奏技術が必要とされる曲集。アレクサンダー・ヤニチェクがリードする18世紀オーケストラは作品が要求する豊かなハーモニー、大胆なダイナミクス、流れるようなメロディに明らかな喜びをもって応え、極めて意欲的な音楽作りで彼らにしか響かせることのできない「ハンブルク交響曲」を作り上げています。
ブリュッヘン亡き後、様々な客演ソリストや客演指揮者を迎えて活動する18世紀オーケストラが今回のレコーディングでコンサートマスターに迎えたのはオーストリア出身のヴァイオリニスト、アレクサンダー・ヤニチェク。シャーンドル・ヴェーグに指名されコンサートマスターを務めたカメラータ・ザルツブルクや、アソシエイト・アーティストの地位に就いているスコットランド室内Oでの活躍でよく知られるほか、ヨーロッパ室内Oをたびたび指揮し内田光子とも繰り返し共演しています。

ALTO
ALC-1496(1CD)
ジェローム・モロス:交響曲第1番他
交響曲第1番/最後の審判
オーケストラのためのワルツによる変奏曲
Biguine/オーケストラのための壮大な物語
ジョアン・ファレッタ(指)LSO

録音:1993年
アメリカの作曲家ジェローム・モロスの作品集。彼は映画音楽作曲家としてもよく知られており「大いなる西部」はアカデミー賞にノミネートされました。このアルバムでは「交響曲第1番」をメインとして彼のクラシック作品もお聴き頂けます。

BIS
BISSA-2496(1SACD)
マーラー:交響曲第8番『千人の交響曲』 キャロリン・サンプソン(ソプラノI / いと罪深き女)、ジャクリン・ワーグナー(ソプラノII / 贖罪の女)、キャロリン・サンプソン(ソプラノIII / 栄光の聖母)、サーシャ・クック(アルトI / サマリアの女)、ジェス・ダンディ(アルトII / エジプトのマリア)、バリー・バンクス(テノール / マリア崇拝の博士)、ユリアン・オルリスハウゼン(バリトン / 法悦の教父)、クリスティアン・イムラー(バス / 瞑想の教父)
ミネソタcho、ナショナル・ルーテルcho、ミネソタ少年cho、アンジェリカ・カンタンティ・ユースcho
オスモ・ヴァンスカ(指)ミネソタO

録音:2022年6月10-12日(ライヴ)、2022年6月14-16日(セッション)/オーケストラ・ホール(ミネアポリス)
好評を博しているオスモ・ヴァンスカ率いるミネソタOによるマーラー・シリーズ。当アルバムは交響曲第8番『千人の交響曲』 を収録!独唱にはキャロリン・サンプソン、ジャクリン・ワーグナー、クリスティアン・イムラーなど実力派を迎えております。この『千人の交響曲』でもヴァン スカならではの緻密な構成と細部にまで注意が払われた圧巻の仕上がり。繊細かつ丁寧な音楽づくりが魅力です。また録音にも注目。オーケストラ全体の響き を自然にとらえ、演奏の一体感を堪能することができます。
BISレーベルで数多くの録音を残してきたヴァンスカが最上級の演奏に達したマーラーの交響曲シリーズ。これまでに第1番『巨人』(KKC-6034 / BIS SA-2346)、第2番『復活』(KKC-5995 / BIS SA-2296)、第4番(KKC-6131/ BIS SA-2356)、第5番(KKC-5831 / BIS SA-2226)、第6番(KKC-5994/ BIS SA-2266)、第7番(KKC-6184 / BIS SA-2386)、第9番(KKC-6686/ BIS SA-2476)、第10番 (KKC-6321/ BIS SA-2396)がリリースされております。
2003年にミネソタOの音楽監督に就任したヴァンスカは、ベートーヴェンの交響曲全集などで評価を高めました。しかし、当団では経営悪化に伴う労 使対立が激しさを増し、2012年10月に経営側はロックアウトを決行。その後の2012/13年のシーズンは全てキャンセルとなり、当団の存続そのものも危 ぶまれる状況となりました。ヴァンスカは、労使の合意が成立した2014年1月に首席指揮者に復帰し、以後、団結力の増したミネソタOの演奏は一層 密度の濃いものとなっております。

Cybele
SC-832301(1CD)
バッハ家の管弦楽作品集
ヨハン・ベルンハルト・バッハ:管弦楽組曲 ト短調
C.P.E.バッハ:ハンブルク交響曲第5番ロ短調
J.C.バッハ:交響曲 ト短調
バッハ:ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲 ハ短調 BWV1060
パヴェル・ストルガレフ(Ob)
ベルンハルト・フォルク(Vn,指)
ノイエ・フィルハーモニー・ヴェストファーレン
ベルリン古楽アカデミーのコンサートマスターとしても活躍しているヴァイオリニスト、ベルンハルト・フォルクが指揮するバッハ・ファミリーの作品集。
フランスの宮廷舞踏とイタリア器楽の妙技を融合させたヨハン・ベルンハルト・バッハの管弦楽組曲にはじまり、独創的で辛口、大胆なコントラストを駆使したカー ル・フィリップ・エマヌエル・バッハの「疾風怒濤」な交響曲、モーツァルトの小ト短調に影響を与えた荒々しい熱狂によるヨハン・クリスティアン・バッハの交響曲 を収録。
最後におかれた大バッハのヴァイオリンとオーボエのための協奏曲は、2台のチェンバロのための協奏曲から復元されたもので、二つの独奏楽器が効果的に組み 合わされます。ジグザグ音型でエネルギッシュに展開していく終楽章は後の時代の激しい音楽を予感しているかのよう。 (Ki)


Gramola
GRAM-99311(11CD)
NX-K10
ブルックナー:交響曲全集(全10曲)
交響曲 ニ短調(通称第0番) WAB100(1869)(2023年デイヴィッド・チャプマン校訂版)…初出音源
交響曲第1番ハ短調 WAB101(1890/91年ウィーン稿)
交響曲第2番ハ短調 WAB1022(1872年初稿/2005年ウィリアム・キャラガン校訂版)
交響曲第3番ニ短調 WAB103(1873年第1稿)
交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」 WAB104(1888年第3稿/2004年ベンジャミン・コーストヴェット校訂版)
交響曲第5番変ロ長調 WAB105(1876-78)
交響曲第6番イ長調 WAB106(1881)*
交響曲第7番ホ長調 WAB107(1883-85)(1954年ノーヴァク版 2018/19年 ポール・ホークショー校訂版)
交響曲第8番ハ短調 WAB108(1890)(2014年 ポール・ホークショー校訂版)*
交響曲第9番ニ短調 WAB109(1887-96未完)
レミ・バロー(指)
聖フローリアン・アルトモンテO
オーバーエスターライヒ・ユースSO*

録音:2013-2023年聖フローリアン修道院教会、ザンクトフローリアン(オーストリア北部オーバーエスターライヒ地方)
リンツ郊外のザンクト・フローリアンにある聖フローリアン修道院は、かつてアントン・ブルックナーが聖歌隊で歌い、オルガニストを務め、今はその墓所となってい る場所。ここでは、古くは朝比奈隆と大阪フィルの第7番、カラヤンやブーレーズとウィーン・フィルの第8番など巨匠たちによる記念碑的なブルックナー演奏が 繰り広げられてきました。同地でブルックナーの没後100年を記念して1996年に創設されたのが、聖フローリアン・アルトモンテOとブルックナー週間 (Bruckner-Tage)音楽祭。その常任指揮者レミ・バローが指揮して行われた10曲の交響曲のライヴ録音をBOX化しました(第6番と第8番はオーバーエ スターライヒ・ユースSOの演奏) 。 会場となった聖フローリアン修道院はとても長い残響があり、チェリビダッケに師事したことのあるバローは、響きの混濁を避けつつ、長く美しい残響と音楽を一 体化するためにテンポをゆったりと保ち、雄大な音楽として聴かせます。このため、第3番と第5番では89分、第8番では103分を越える演奏時間となりまし た。同時にバローは最新の楽譜校訂研究にも目配りしており、一部の曲では新しい校訂版を使用。このBOXが初出となる交響曲ニ短調ではディヴィッド・ チャプマンによる2023年校訂版を使っています。
※第1番から第9番までの単独アルバムはSACDハイブリッド盤で発売されていましたが、このBOXではお求めやすい価格にするために通常CDでの発売と なります。 ※レーベルからの情報によれば交響曲ニ短調は通常CDとして2024年に単独リリースが予定されているとのことです。


ICA CLASSICS
ICAC-5176(1CD)
NX-B03
カバレフスキー:歌劇「コラ・ブルニョン」序曲
ショスタコーヴィチ:交響曲第8番ハ短調 Op. 65
ボーンマスSO
コンスタンティン・シルヴェストリ(指)

録音:1961年4月27日ウィンター・ガーデンズ・パヴィリオン、ボーンマス(ライヴ/モノラル)
シルヴェストリと翌年には彼が首席指揮者の座に就くことになるボーンマスSOとの、1961年のライ ヴ録音。シルヴェストリのショスタコーヴィチといえばウィーン・フィルとの第5番、モスクワ放送響との第1番、 日本でのN響との第1番ライヴ、ルーマニアでの第10番ライヴなどが知られますが、第8番の登場は初め てとなります。さらに、同時収録の「コラ・ブルニョン」もまた初レパートリーという嬉しい1枚。BBCのアーカ イヴからのCD化で、Re:Sound社のポール・ベイリーによる丁寧なリマスタリングにより、モノラルながらシ ルヴェストリらしい演奏の凄まじさがひしひしと伝わる音に仕上がっています。

Phi
LPH-040(1CD)
シューマン:交響曲第1番変ロ長調 Op.38 「春」
交響曲第3番変ホ長調 Op.97「ライン」*
アントワープSO
フィリップ・ヘレヴェッヘ(指)

録音:2019年10月*、2022年10月エリザベート王妃記念ホール、アントワープ(アントウェルペン)
ヘレヴェッヘが、1996年と2006年に古楽器オーケストラのシャンゼリゼOと録音し、高い評価を得たシューマンの交響曲。その経験 を経た今回の全集再録音では、機能性の高いモダン楽器のオーケストラによってさらに深化した解釈と幅の広い表現を聴くことが出来ます。 引き締まったアクセントと各楽器の伸びやかな歌、そしてダイナミックなオーケストラの鳴りが素晴らしく、なかでも「春」のスケルツォや「ライン」冒 頭などは格別の響き。2010年に自主レーベルPhiを立ち上げて以降、「本当に取り組みたい曲だけ指揮する」と標榜するヘレヴェッヘが敢え て臨んだ再録音だけに、大きな意味のある全集になったといえるでしょう。

CD ACCORD
ACD-266(3CD)
NX-F01
スクロヴァチェフスキ生誕100年を記念して
【CD1】
スタニスワフ・スクロヴァチェフスキ:1. プレリュード、フーガとポストリュード(1946-1948)
オネゲル:交響曲第2番(1941)
【CD2】
モーツァルト:レクイエム ニ短調 K.626(1791)
【CD3】
エンニオ・ポッリーノ(1910-1959):交響詩「サルデーニャ」(1933)
ペトラッシ(1904-2003):管弦楽のための協奏曲 第1番(1934)
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
ステファニア・ヴォイトヴィチ(S)
クリスティナ・シュチェパンスカ(Ms)
ボグダン・パプロツキ(T)
ヴィトルド・ピレウスキ(Bs)
ワルシャワ・フィルハーモニーcho
ワルシャワPO
スタニスワフ・スクロヴァチェフスキ(指)

録音:全てモノラル
1956年2月11日(CD1&CD2)、6月22日(CD3)
ワルシャワ・フィルハーモニーホール(ライヴ)
指揮者・作曲家のスタニスワフ・スクロヴァチェフスキの生誕100年(2023年10月3日)を記念して、母国ポーランドのワルシャワ・フィルハーモニーの アーカイヴから1956年の録音が初CD化。 正規盤の無かったモーツァルトのレクイエムや若き日の快速テンポによる「英雄」を含む興味深いリリースです。 スクロヴァチェフスキはポーランドのルヴフ(現ウクライナのリヴィウ)に生まれました。4歳でピアノとヴァイオリンを学び始め、特にピアノで目覚ましい才能を 発揮して11歳の時にはデビュー・リサイタルを行うほどでしたが、第2次世界大戦中に手にケガを負い、その後は指揮と作曲に専心します。1946年 以降はヴロツワフ、クラクフ、カトヴィツェのオーケストラで指揮者を務め、1956年にはローマで行われた国際指揮者コンクールで優勝。2年後には ジョージ・セルの招きでアメリカ・デビューを果たしました。1956年から59年にかけて、ポーランド国内ではワルシャワ・フィルのポストを得て定期的に指 揮。ここに収められた2つのコンサートでは世界へ羽ばたく前夜の指揮を聴くことができます。全6曲中、「英雄」を除く5曲にはスクロヴァチェフスキによる 正規録音が無かったので貴重なリリースと言えるでしょう。 スクロヴァチェフスキは1947年にシマノフスキ国際コンクールの作曲部門で入賞し、フランス政府の奨学金を得てオネゲル(とナディア・ブーラン ジェ)に師事しているので、自作(初演)と師の作品を組み合わせた2月11日のプログラムは師への敬意を込めたものかもしれません。後半に置かれた モーツァルトのレクイエムは作曲家の生誕200年であることにちなんだ選曲と思われますが、結果的に前年秋に世を去ったオネゲルへの追悼のような 形になりました。4人のソリストと合唱団は声を張った熱唱に傾きがちで、このあたりには甚大な犠牲を出した第2次大戦から10年余りという時代の 空気も感じられます。その中で意外なのはラクリモーサの結びの「アーメン」。ここは多くの場合、悲しみのどん底から救いを求めるかのような絶唱になり がちですが、スクロヴァチェフスキは柔らかな発声と控えめな音量で歌わせ、最後は消え入るように終わらせています。 6月22日のプログラムでは、前半後半を通じてこの人らしい精彩に富んだ演奏を聴かせます。「英雄」の演奏時間は44分余り。ザールブリュッケン放 送響盤(2005年)も読響盤(2012年)も弛緩とは無縁の充実した演奏でしたが、それらに比べると当盤の演奏時間は5分ほど短く、若きスクロヴァ チェフスキの覇気が漲る演奏となっています。 ブックレット(ポーランド語と英語)は表紙込みで84ページもあり、楽曲解説や演奏者の紹介に加えて当日のコンサート・プログラムの表紙写真やオー ケストラと合唱団のメンバー全員の名前が掲載されるなど、丁寧な作りになっています。
※すべてオリジナル・テープからCD化していますが、ベートーヴェンの「英雄」ではマスターに起因するゆがみが少しあるとのことです。

ONDINE
ODE-1422(1CD)
NX-B07
オッリ・ムストネン(1967-):交響曲第3番&第2番
交響曲第3番「Taivaanvalot 天空の光」(2020)- テノールと管弦楽のために
交響曲第2番「Johannes Angelos ヨハネス・アンジェロス」 (2013)*
イアン・ボストリッジ(T)
トゥルクPO
オッリ・ムストネン(指)

録音:トゥルク・コンサート・ホール(フィンランド)、2022年11月24-26日、2023年5月29-30日*
ピアニスト・指揮者として目覚ましく活躍するオッリ・ムストネン。彼は作曲活動にも力を注いでいます。 8歳からエイノユハニ・ラウタヴァーラの指導のもとで作曲を学び、いくつかの室内楽作品を書き上げたのち、2010年代の始めから交響曲の作曲にも取り組 んでいます。このアルバムには2013年作曲の第2番と2020年作曲の第3番を収録。ビザンチウムと、古代都市コンスタンティノープル(現在のイスタンブー ル)からインスパイアされたという交響曲第2番は、聖母マリアと正教会の司教職の紋章にちなんで名づけられた第1楽章「ブラケルナエのバナキア」のハープと 弦楽器の神秘的な響きで幕を開け、終楽章で、オスマン帝国によって都市が陥落するまでの情景が描かれています。交響曲第3番は、フィンランドの国民 的叙事詩カレワラの第47章から第49章の物語に基づいており、フィンランド神話のシャーマニズム的な要素が盛り込まれています。この録音では、声楽パー トを初演者イアン・ボストリッジが歌い、ムストネンとの息のあった演奏を聴かせます。

FUGA LIBERA
FUG-820(1CD)
NX-B10
ミヤスコフスキー:交響曲集
交響曲第17番嬰ト短調 Op.41
交響曲第20番ホ長調 Op.50
ウラル・ユースSO
アレクサンドル・ルーディン(指)

録音:2022年6月 スヴェルドロフスク・フィルハーモニック大ホール、エカテリンブルク、ロシア
モスクワ出身のチェリスト、指揮者アレクサンドル・ルーディンとウラル・ユースSOによるミヤスコフスキー。2つの大戦間の後期、実験的な作風から離れ古 典へと寄っていく時期に書かれた2つの交響曲を収録しています。45分ほどの比較的大規模な中に、不安や焦燥感、重々しさと大きなクライマックスなど、ミ ヤスコフスキーらしさがふんだんに盛り込まれた傑作第17番。逆に明るさと郷愁に満ちミヤスコフスキーの別の側面を聴くことの出来る25分ほどの第20番。長年ミヤスコフスキーにこだわり続けてきたというルーディンはウラル・ユース響を自在に操り、繊細さと力強さを併せ持つ力演で作品を内面から描き上げ、その高 い完成度に比して不当に知られていないとされるその作品の真価を問います。

BELVEDERE
BELVED-08071(3CD)
NX-D10
モーツァルト週間へのデビュー・コンサート
【CD1】
●1980年 モーツァルト週間
歌劇「魔笛」 - 序曲 K.620
交響曲第34番ハ長調 K.338
オーボエ協奏曲 ハ長調 K.314
交響曲第35番「ハフナー」 K.385
【CD2&3】
●2006年 モーツァルト・イヤー オーケストラ・ワークショップ
モーツァルト:交響曲第25番ト短調 K.183の公開リハーサル(ドイツ語)
【CD1】
ヴェルナー・ヘルベルス(Ob)
アムステルダム・コンセルトヘボウO
ニコラウス・アーノンクール(指)
録音:1980年1月29日 ザルツブルク祝祭大劇場
【CD2&3】
カメラータ・ザルツブルク
ニコラウス・アーノンクール(指)
録音:2006年6月10日 モーツァルテウム、大ホール
モーツァルトの生誕200周年にあたる1956年に生地ザルツブルクで始まった音楽祭「モーツァルト週間」は、毎年彼の誕生日(1月27日)前後にオーストリ ア内外から演奏家を迎えて開催されます。この3枚組のセットでは、CD1にニコラウス・アーノンクールがコンセルトヘボウOを率いて初登場した 1980年の演奏を収録。CD2とCD3には2006年の公開リハーサルを収めています。 1980年の演奏は、アクセントの強調、時に極端と思えるテンポ設定、ダンスのステップを思わせるリズムの強調が聴かれ、抑制されたヴィブラートや、荒々し いほどに強奏される金管と打楽器といった、今では珍しくないHIPスタイル。聴衆の拍手は好意的に聞こえますが、『クーリエ』祇には「彼らはモーツァルトのメ ロディの自然な流れにわざわざ逆らうようなフレージングで演奏した」との批判的な評が載りました。当時はカラヤンやバーンスタインらが名声を極めており、こ の演奏の3日後には音楽祭にベームが登場して最後の3つの交響曲を指揮しました。後に話題となるアーノンクールとコンセルトヘボウ管の一連のモーツァ ルト録音はまだ世に出る前で、この演奏は当時の主流や伝統と異なる、非常に挑戦的なものとして響いたことが想像されます。彼らはこの年の11月に第 34番と第35番をテルデックに録音してモーツァルト交響曲シリーズに着手、賛美両論を巻き起こしつつ、その後の古典派作品の演奏に決定的な影響を 与えることになりますが、ここに収められた演奏はそうした歴史の転換を予告するものだったと言えるでしょう。オーボエ協奏曲でソロを吹くヴェルナー・ヘルベル スは1970年からコンセルトヘボウ管の首席奏者を務めつつ古楽演奏の研究実践に取り組み、またエボニー・バンドのリーダーとして埋もれていた近現代作 品の再評価に取り組みました。このCDは2023年6月に他界した彼への追悼盤でもあります。 CD2とCD3は、モーツァルト生誕250年にあたる2006年6月に行われた公開リハーサルの模様です。モーツァルト解釈の権威と認められていたアーノンクー ルはアーティスト・イン・レジデンスに迎えられ、カメラータ・ザルツブルク相手に自らの音楽観を存分に伝えます。リハーサルはドイツ語で、文字での掲載はあり ません。

VOX
VOXNX-3028CD(1CD)
NX-B03
ラフマニノフ:交響曲第3番イ短調 Op.44
交響曲 ニ短調「ユース・シンフォニー」#
幻想曲「岩」 Op.7*
セントルイスSO
レナード・スラットキン(指)

録音:1977年10月1-2日、1979年*、1980年10月#
スラットキンとセントルイス響の画期的業績の一つ、ラフマニノフの管弦楽作品全集から交響曲第3番他が24bit/192kHzリマスターによる「VOX AUDIOPHILE EDITION」で復活。先にリリースされていた第2番&ヴォカリーズは『ステレオ』誌上での既発盤との比較で「最も顕著な違いはオーケストラ の立体感。前後左右の広がりと距離感が正確で、ステージの奥行きも深みを増す。グロッケンシュピールのようにトゥッティで他の楽器に埋もれやすい楽器の 音も鮮明に聴こえるので、管弦楽の演奏効果を熟したラフマニノフならではの工夫が伝わり、演奏に引き込む力が一気に強まる」と高評を得ました。 スラットキンは第3番を2011年にデトロイト響と再録音していますが、全3楽章を通じて演奏時間はほぼ同じで、当盤時点で解釈は熟成の域に達していた ことがうかがわれます。初出時に『レコード芸術』で「広々とした音場の中にオケが展開する。奥行きもとれ、解像度高く、それでいて全体はよく融け合ってい る。音はしなやかで艶があり、パートの定位ははっきりしていて、歪みや混濁は出ていない」(相澤昭八郎氏の録音評)と高評価を得ました。アナログ・テイス トを留めるリマスターによりリフレッシュされた名録音の魅力に浸ることが出来ます。
VOX
VOXNX-3029CD(1CD)
NX-B03
ラフマニノフ:交響曲第1番ニ短調 Op.13
交響詩「ロスティスラフ公」(1891)*
セントルイスSO
レナード・スラットキン(指)

録音:1976年12月3日、1980年10月*
スラットキンとセントルイス響の画期的業績の一つ、ラフマニノフの管弦楽作品全集から交響曲第1番他が24bit/192kHzリマスターによる「VOX AUDIOPHILE EDITION」で復活。先にリリースされていた第2番&ヴォカリーズは『ステレオ』誌上での既発盤との比較で「最も顕著な違いはオーケストラ の立体感。前後左右の広がりと距離感が正確で、ステージの奥行きも深みを増す。グロッケンシュピールのようにトゥッティで他の楽器に埋もれやすい楽器の 音も鮮明に聴こえるので、管弦楽の演奏効果を熟したラフマニノフならではの工夫が伝わり、演奏に引き込む力が一気に強まる」と高評を得ました。 この第1番は初出時に『レコード芸術』で「セントルイス響の名技を生かした明晰な表現が作られている」(小石忠男氏による演奏評)、「広々とした音場の 中にオケが展開する。奥行きもとれ、解像度高く、それでいて全体はよく融け合っています。音はしなやかで艶があり、パートの定位ははっきりしていて、歪みや 混濁は出ていない」(相澤昭八郎氏の録音評)と高く評価されました。アナログ・テイストを留めるリマスターによりリフレッシュされた名録音の魅力に浸ることが 出来ます。

ACCENTUS Music
ACC-80544CD(4CD)
フランツ・シュミット:交響曲全集

■CD1(46'51)
交響曲第1番ホ長調
■CD2(51'46)
交響曲第2番変ホ長調
■CD3(50'43)
交響曲第3番イ長調
■CD4(60'41)
交響曲第4番ハ長調
歌劇「ノートル・ダム」間奏曲&謝肉祭の音楽
BBCウェールズ・ナショナルO
ジョナサン・バーマン(指)

■CD4
アリス・ニアリー(Vc)、フィリップ・シャルツ(Tp)、ティム・ソープ(Hrn)、サラ=ジェーン・ポルスモゲ(イングリッシュホルン)

録音:[第1番]2020年7月 [第2番]2021年10&11月 [第3番]2021年9月 [第4番&ノートルダム]2022年10月
2024年に生誕150周年を迎えるフランツ・シュミット(1848-1910)。近年再評価が進んでおり、ベルリン・フィルの首席指揮者キリル・ペトレンコも彼の 作品を取り上げ、またパーヴォ・ヤルヴィ指揮で交響曲全集もリリースされるなど、フランツ・シュミットの認知度が高まっています。そして今回、フランツ・シュミッ トの作品に情熱をもって取り組んでいるイギリスの指揮者ジョナサン・バーマンとBBCウェールズ・ナショナルOによる交響曲全集がリリースされます。ジョ ナサン・バーマンは、LPOの首席指揮者ウラディミール・ユロフスキ(当時)のアシスタント指揮者を務めたこともある、注目の若 手指揮者です。 フランツ・シュミットはオーストリア=ハンガリー帝国プレスブルク(現スロヴァキアの首都ブラチスラヴァ)出身。ウィーンで活躍した作曲家。ウィーン・フィルのチェ ロ奏者、またオルガンやピアノの名手でもありました。ウィーン・フィル時代にはマーラーのもとで首席チェロ奏者を務めていました。また1927年からはウィーン 音楽アカデミー院長に就任、オーストリア音楽界に多大な足跡を残した人物です。同時代の作曲家には、プフィッツナーやレーガー、同年生まれにはシェーンベルク がいますが、その作風はブルックナーとブラームスの伝統を受け継ぐ重厚な後期ロマン派。 交響曲第1番は1899年シュミットが25歳の時の作品。ウィーン楽友協会の作曲賞において審査員全会一致の一等賞の評価を得ています。ドイツ=オーストリア の後期ロマン派の音楽の伝統を感じる内容。交響曲第2番は1913年に完成。8本のホルンや打楽器を含む巨大編成の作品。全3楽章で第2楽章は変奏曲形式と いう革新的な構成となっています。1928年に完成した第3番は、シューベルト没後100年(1928年)を記念した作曲コンクールのために書かれた作品。結果 はスウェーデンのアッテルベリの交響曲第6番に次いで第2位を獲得しています。そして、娘エマの死に深く悲しみレクイエムとして作曲された交響曲第4番。構成 は4楽章形式ではありますが、アタッカで進められ単一楽章のように演奏されます。また娘エマへの死を悼む印象的な部分としてトランペットのソロが冒頭と最後に 奏されます。絶望感と孤独感におおわれた作品ではありますが、シュミットの傑作のひとつと言えるでしょう。カップリングには、歌劇「ノートルダム」より間奏曲と 謝肉祭の音楽。歌劇の完成より前に構想され、1903年にウィーン・フィルで初演されて以来ドイツ・オーストリアでは人気の高い作品となっています。

APARTE
AP-328(1CD)
モーツァルト:交響曲全集Vol.2
(1)交響曲第29番イ長調K.201
(2)オーボエ協奏曲ハ長調K.314
(3)交響曲第40番ト短調K.550
マキシム・エメリャニチェフ(指)
イル・ポモ・ドーロ
イワン・ポディヨーモフ(Ob)(2)

録音:2023年2月9-11日 サラ・デッラ・カリタ(パドヴァ)
メリャニチェフと手兵イル・ポモ・ドーロによるモーツァルト交響曲全集、待望の第2弾が登場、人気の高い40番ト短調がメインなのにも注目です。
エメリャニチェフはクルレンツィス指揮ムジカエテルナの「ダ・ポンテ三部作」録音の才気煥発な通奏低音で注目されましたが、現在ではイル・ポモ・ドーロ を指揮してバロック・オペラのアルバムをリリースして高い評価を得ています。もともとモスクワ音楽院でロジェストヴェンスキーの厳しい訓練を受けたサラブレッ ドなうえ、音の指向性や奏者の数による変化なども綿密に計算するなど考えに考え抜いた録音となっています。
今回は第29番と第40番のカップリング。驚かされるのは40番第1楽章のテンポの類のない速さ。しかし丁寧な演奏のため、少しも乱暴な感じはしません。 むしろモーツァルトの気性の激しさ、ハイな状態にふさわしいとさえ思えてくる説得力で、議論を巻き起こしそうな解釈と申せましょう。
今回のフィルアップはオーボエ協奏曲。1986年ロシア出身、モーリス・ブルグ門下でバンベルクSOやマーラー室内Oを経て2016年以来ロイ ヤル・コンセルトヘボウOの首席奏者を務めている俊才。バロック・オーボエのひなびた響きに魅了されます。 (Ki)

MDG
MDG-93822616(1SACD)
エディション・ホーフカペレ2〜宮廷コンサート
アントン・ライヒャ(1770-1836):大序曲ニ長調
アンドレアス・ロンベルク:ヴァイオリン協奏曲第8番変ホ長調
パウル・ヴァインベルガー(1758-1821)交響曲ニ長調
ボン宮廷楽団(ボン・ベートーヴェンOのメンバー)
ディルク・カフタン(指)
ミハイル・オヴルツキ(Vn)

録音:2021年3月25,26日(ライヒャ、ロンベルク)、2023年1月9-12日(ヴァインベルガー)、ラ・レドゥーテ、ボン=バート・ゴーデスベルク
ベートーヴェンを主軸に、周辺の音楽、作曲家にも焦点を当て、当時の宮廷音楽「ハルモニームジーク」を再現していくシリーズ第2弾。 ベートーヴェンというと宮廷や教会に雇用されない自立した音楽家というイメージがありますが、ベートーヴェン家は、祖父が宮廷楽長で父が宮廷テノール歌手と 代々ボン宮廷と関わりがあり、ルートヴィヒ自身も音楽家としてのキャリアは宮廷音楽家でありました。 このアルバムでは、楽聖ベートーヴェンの生誕の地ボンを本拠地とし、1907年に設立されたボン・ベートーヴェンOのメンバーによる演奏で、ベートーヴェ ンが若き日を過ごしたボンの音楽文化を再現しています。 ボヘミア出身のアントン・ライヒャはベートーヴェンと同年生まれで、ケルン選帝侯マクシミリアンの宮廷楽団のフルート奏者としてボンに移りそこでベートーヴェン と知り合います。後にパリ音楽院の作曲教授として名声を得、古典派様式の管楽室内楽に優れた作品を残した事で知られています。アンドレアス・ヤーコプ・ロン ベルクはヴァイオリニストとして1790年、ボンの選帝侯の宮廷楽団に入団し、前述の通りここには若きベートーヴェンとライヒャも所属しており、彼らと親交を持 ちました。優れたヴァイオリン奏者として活躍したロンベルクによるヴァイオリン協奏曲は、ベートーヴェン・トリオ・ボンのミハイル・オヴルツキが卓越した技巧で 演奏しています。パウル・ヴァインベルガーは6曲の交響曲を作曲。このニ長調の作品は名人芸を披露するようなソロパートがあり、実験的なアプローチと豊かな サウンドが際立った作品。今回200年ぶりにボン・ベートーヴェンOのメンバーによって再演されました。 (Ki)

H.M.F
HAF-8905371(2CD)
ハイドン:パリ交響曲集+ヴァイオリン協奏曲
交響曲第84番変ホ長調 Hob.I:84
交響曲第85番変ロ長調 Hob.I:85「王妃」
ヴァイオリン協奏曲第1番ハ長調 Hob.VIIa:1*
交響曲第86番ニ長調 Hob.I:86
交響曲第87番イ長調 Hob.I:87
レザール・フロリサン
ウィリアム・クリスティ(指)
テオティム・ラングロワ・ド・スワルテ(Vn,指*)

録音:2020年10月(第84&87番)、2022年3月(第85,86番、協奏曲)/シテ・ド・ラ・ミュジーク(パリ)
クリスティ率いるレザール・フロリサンが、ハイドンの交響曲を録音しました!クリスティは「自分は今、人生において、好きなことをさせてもらえる時期」と語り、 ハイドンの作品には絶大な敬意を抱いていて、ハイドン作品はずっとやりたいことリスト(机の上)にあった、といいます。これまでにもオラトリオは録音してき ていますが、交響曲!バロックに長年取り組んできた音楽家として、ハイドンの作品に最高級の敬意を払いながら、あらためて真価を問い、ハイドン作品に新鮮 味をもたらし、ハイドンのために身を捧げたいと語るクリスティの並々ならぬ思いが詰まったハイドン。レザール・フロリサンの器楽メンバーの素晴らしさがこれ 以上ない形で引き出されており、どの音も、喜びと明るさ、そして軽やかさに満ちています。
ハイドンの「パリ交響曲」はいずれも当時のパリの新設オーケストラ、コンセール・ド・ラ・オランピックのために書かれたものですが、ハイドンがウィーンで 指揮していたオーケストラはこれよりも小規模だったことなどから、様々な規模のオーケストラが演奏したと考えています。ただ、パリの聴衆のために書かれたと いうことで、フランスが好む華やかさがあり、パリのこの新オーケストラのアンサンブルの正確さと質が生きる作品になっていることは確かとも述べています。こ こではVnI=6名、VnII=4-6名、Vla=3-4名、Vc=4-5名、コントラバス2名、そして管楽器という編成で演奏しています。
ヴァイオリン協奏曲第1番は、エステルハージお抱えのオーケストラ(総勢15名ほど)のコンサートマスターだった、作曲家にしてヴァイオリンの大名手のルイー ジ・トマジーニのために書かれた作品。弦楽アンサンブルとソロのための作品です。クリスティはここで、ド・スワルテに指揮をまかせ、自身はリハーサルの時 も本番の時も、オーケストラの中に座っていたといいます。ハイドンによる、ポルポラ仕込みの洗練されたイタリア様式の熟練が光る名作です。ド・スワルテの瑞々 しくも大胆な演奏にも注目です。
ライヴ収録のため、各曲の最終楽章終了後拍手が入ります。 (Ki)


Melodiya x Obsession
SMELCO-1001087(2CD)
完全限定生産
ジャクリーヌ・デュ・プレ・イン・モスクワ
ソビエト連邦国歌イギリス国歌
ハイドン:交響曲第83番ト短調 《めんどり》
エルガー:チェロ協奏曲ホ短調 Op.85
シベリウス:交響曲第2番ニ長調 Op.43
ブリテン:青少年のための管弦楽入門 〜 XV.フーガ
ジャクリーヌ・デュ・プレ(Vc)
ジョン・バルビローリ(指)BBC響

録音(ライヴ):1967年1月7日、モスクワ音楽院大ホール/ステレオADD
「カラヤン・イン・モスクワ」や「グールド・イン・モスクワ」、「ブーレーズ・イン・モスクワ」、「ストラヴィンスキー・イン・モスクワ」、「ミュンシュ・イン・モスクワ」など、東西の音楽史的交流の貴重な記録を遺す人気シリーズ「ライヴ・イン・モスクワ」の最新巻として、「ジャクリーヌ・デュ・プレ・イン・モスクワ」がMelodiya x Obsessionから登場!
BBC交響楽団がジョン・バルビローリとピエール・ブーレーズと共に1967年に巡ったプラハ、レニングラード、モスクワのツアーのうち、1967年1月7日にモスクワ音楽院で行われた演奏会(指揮はバルビローリ)の様子を収録。1966年からロストロポーヴィチに学んでいたジャクリーヌ・デュ・プレがモスクワ市民に披露したエルガーのチェロ協奏曲はCDリリースされていましたが、開幕のソ連国歌&イギリス国歌から、ハイドンとシベリウスの交響曲、割れんばかりの拍手喝采、リハーサルの様子を伝えるボーナス・トラックまでの演奏会全体が初リリースとなります。
※当タイトルは完全限定生産(初回生産限定)のため、ご注文数に対して十分な数量をご提供出来ない可能性がございます。予めご了承下さい。初回生産分完売後は再生産時期未定となります。

Gutman Records
GUTMANCD-231(1CD)

JGUTMANCD-231(1CD)
日本語解説付き国内盤
税込定価

ブルックナー:交響曲第6番(ロルフ・フェルベーク編/アンサンブル版) カメラータRCO、
ロルフ・フェルベーク(指)

録音:2022年9月2日、ワロン教会(アムステルダム、オランダ)
Gutman Recordsにブルックナーの交響曲第7番(JGUTMANCD211/GUTMANCD211)やマーラーの交響曲第4番(JGUTMANCD173/GUTMANCD173)、第9番(JGUTMANCD150/GUTMANCD150)を小編成アレンジでレコーディングしてきたカメラータRCOが、今度はブルックナーの交響曲第6番をリリース!カメラータRCOは世界最高峰のオーケストラ、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(RCO)のメンバーで組織されるアンサンブル。今回演奏されるのは指揮を務めるロルフ・フェルベーク自身による編曲版で、前作の交響曲第7番同様、各1名の弦五部とクラリネット、ホルン、ティンパニにピアノとアコーディオンを加えた計10名の編成。ベイヌム、ヨッフム、ハイティンクらと共に長きにわたってブルックナー演奏の伝統を築いてきたRCOのメンバーが“ブル6”の演奏史に新たな1ページを刻みます。
今回指揮と編曲を担った1989年生まれのロルフ・フェルベークは2019年からカメラータRCOの常任客演指揮者として度々共演しており、彼らのための編曲もいくつも手掛けています。オランダ国内の多くの主要オーケストラを指揮しており、2023/24シーズンにはオランダ・フィルやロッテルダム・フィルにもデビューを予定しているほか、国外ではロンドン響、ミュンヘン・フィル、フランス放送フィルなど数々の一流オーケストラでアシスタント指揮者を歴任。またフリーのホルン奏者としても複数のオーケストラに客演し、エド・デ・ワールトやマルクス・シュテンツ、ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン、ネーメ・ヤルヴィといった著名な指揮者と共演しています。

Forgotten Records
fr-1894(1CDR)
ベルワルド交響曲集
第1番ト短調「厳粛」
第3番ハ長調「風変わりな」
ハンス・シュミット=イッセルシュテット(指)
ストックホルムPO

録音:1962年2月19日、21日(ステレオ)
※音源:Opera 1211他
Forgotten Records
fr-1900(1CDR)
シューマン:交響曲第3番「ライン」*
ブラームス:交響曲第1番ハ短調 Op.68#
ゲオルク・ショルティ(指)
パリ音楽院O*、フランス国立放送O#

録音:1959年9月5日ブザンソン音楽祭*、1956年12月6日#(ともに放送用ライヴ音源)
Forgotten Records
fr-1901(1CDR)
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」
スメタナ:交響詩「我が祖国」〜モルダウ#
 歌劇「売られた花嫁」〜序曲/フリアント/道化師の踊り
ディーン・ディクソン(指)ケルンRSO

録音:1959年、ステレオ
※音源:Bertelsmann 11331他
Forgotten Records
fr-1902(1CDR)
マーラー:交響曲第1番「巨人」
ワーグナー:序曲「ファウスト」 #
ジョルジュ・セバスティアン(指)
フランス放送PO

録音:1960年4月28日 、1962年10月9日#
(共に放送用音源)
Forgotten Records
fr-1903(1CDR)
シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調 Op.54
ブラームス:交響曲第1番ハ短調 Op.68#
ローズル・シュミット(P)
ヨーゼフ・カイルベルト(指)
バンベルクSO、BPO #

録音:1951年、バンベルク*、1951年3月9日、11日#
※音源:Mercury MG15020*、Telefunken SK7008#
Forgotten Records
fr-1904(1CDR)
チャイコフスキー:交響曲第4番ヘ短調 Op.36*
ムソルグスキー(ラヴェル編):組曲「展覧会の絵」#
ラファエル・クーベリック(指)
フランス国立放送O

録音:1955年2月12日* 、1956年2月23日# 、(共に放送用ライヴ)
Forgotten Records
fr-1906(1CDR)
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」
スメタナ:歌劇「売られた花嫁」序曲#
ラファエル・クーベリック(指)
フランス国立放送O

録音:1955年2月10日#、1958年3月13日*、(共に放送用ライヴ)
Forgotten Records
fr-1909(1CDR)
ドヴォルザーク:交響曲第4番ニ短調 Op.13*
チャイコフスキー:フィレンツェの思い出 ニ短調 Op.70#
ヘンリー・スヴォボダ(指)
ウィーン国立歌劇場O*、
ウィーン国立歌劇場弦楽合奏団#

録音:1950年10月# 、1952年頃*
※音源:Concert Hall F-11*、Westminster WL5083#
Forgotten Records
fr-1917(1CDR)
バンベルガー/ブラームス&ワーグナー
ブラームス:交響曲第1番ハ短調
ワーグナー:「タンホイザー」序曲#
 「さまよえるオランダ人」序曲#
カール・バンベルガー(指)
フランクフルト歌劇場SO*、
バーデン国立歌劇場O#

録音:1956年*、1959年頃#
※音源:Musical Masterpiece Society MMS2096*, MMS2142#

QUERSTAND
VKJK-2302(1CD)
ハードカヴァーブック仕様
「エディション・バーディッシェ・シュターツカペレ01」
R.シュトラウス:アルプス交響曲
ゲオルク・フリッチュ(指)
バーディッシェ・シュターツカペレ
(バーデン州立O)

録音:2023年4月23,24日 ドイツ バーデン=ヴュルテンベルク州 カールスルーエ (ライヴ)
今ドイツで大いに注目されている、ドイツ伝統の質実剛健指揮者、ゲオルク・フリッチュによる R.シュトラウス:アルプス交響曲。2020年から音楽総監督を務めるカールスルーエのバーデン 州立劇場のオーケストラ、バーディッシェ・シュターツカペレを指揮してのライヴ録音。これが期 待以上のたいへん素晴らしい演奏。 フリッチュは1963 年、東ドイツ時代のマイセンの生まれ。2003 年から2019年まで16シーズン に渡ってキール劇場の音楽総監督を務めて名を上げたという、昨今のドイツでも稀になった歌 劇場叩き上げ指揮者です。ドイツ伝統の質実剛健の音楽は 21世紀の今高く評価され、シュト ゥットガルト歌劇場に度々招かれ、またジュネーヴ歌劇場では目玉公演であるワーグナーの指 環を託された。しかし録音はまだ少なく、今年 9月に神奈川POに客演 してその素晴らしさを初めて知ったという人も少なくないでしょう。 この録音はフリッチュの実力を知るに打って付けのものだ。地方歌劇場とはいえ 300年近い歴 史を誇るオーケストラから、シュトラウスらしい充実した響きと熱のこもった雄弁な音楽を引き出し ています。フリッチュは間違いなく向こう10年でドイツで特に注目される指揮者になることでしょう。 ハードカヴァーブック仕様。彼らのシリーズは続く予定。

Capriccio
C-8090(1CD)
NX-B07

NYCX-10435(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価

ブルックナー:交響曲第5番(ノーヴァク版) ウィーンRSO
マルクス・ポシュナー(指)

録音:2023年2月15&16日ウィーン放送文化会館(オーストリア)
CAPRICCIOレーベルと国際ブルックナー協会の主導で、ブルックナーの生誕200年にあたる2024年までにブルックナーの全交響曲のすべての稿(バージョ ン) を録音しようという企画、 「#bruckner2024」第10弾。 稿の問題の無い第5番ではノーヴァク版を使用。1908年にアルミン・クナープがいち早く指摘した通り「冒頭の22小節に作品全体の主題と動機の原形が すべて詰まって」いて、それらを素材に構築された壮大な対位法の織物を、ポシュナーはしっかりと音にして伝えてくれます。約71分という演奏時間はやや速 めのテンポを思わせますが、フレージングやアーティキュレーション、アクセントを細かく丁寧に処理しているため、「速さ」が前面に感じられることはありません。 神秘的、瞑想的、時にメランコリックなコラール風の旋律はしっかりと腰を据えて聴かせます。ポシュナーはフィナーレをクライマックスととらえているようで、ヨッフ ム/ドレスデンやヴァント/北ドイツ放送響とほぼ同じタイムをかけた第4楽章は特に聴きものとなっています。 ※国内仕様盤には専門誌等で好評を得ている石原勇太郎氏(国際ブルックナー協会会員)による日本語解説が付属します。

Gramola
GRAM-99283(1SACD)
NX-C01
ブルックナー:交響曲第1番ハ短調 WAB101ウィーン稿(1891) 聖フローリアン・アルトモンテO
レミ・バロー(指)

録音:2022年8月20日(ライヴ)聖フローリアン修道院教会、ザンクトフローリアン(オーストリア北部オーバーエスターライヒ地方)
品番タイトル リンツ大聖堂のオルガニストとして働いていたブルックナーが、オルガン演奏と並行して1865年から作曲を開 始、翌年に完成、1868年に初演された「交響曲第1番」。彼は初演後に幾度かの改訂を行っています が、交響曲第8番完成・改訂後の1890年から1891年にかけて大規模な改訂を行いました。これは初期 の作品をもう一度演奏したいという指揮者ハンス・リヒターの要請によるものとされ、この稿の初演は1891年 12月13日にリヒターが指揮するウィーン・フィルハーモニーが行っています。番号こそ「第1番」であるものの、 改訂されたのが晩年であることもあり、同じ主題を持ちながらも曲の様式は1877年改訂のいわゆる「リンツ 稿」とは随分変化しており、洗練された作風から生まれた響きは朴訥さよりも濃厚なものになっています。聖 フローリアン修道院教会の長く美しい残響を活かしたテンポ設定による雄大な演奏を高音質で存分にお楽 しみいただけます。

Altus
ALT-530(1CD)
マーラー:交響曲『大地の歌』 藤村実穂子(Ms)、宮里直樹(T)
大野和士(指)東京都SO

録音:2021年4月26日/サントリーホール(無観客ライヴ)
都響と音楽監督・大野和士による2021年4月26日の『大地の歌』。これはコロナウィルスの影響で残念ながら急遽中止になってしまった公演ですが、会場の サントリーホールでは無観客での通し演奏がなされ、録音もされていました。その音源がついにCDで発売されます。藤村実穂子、宮里直樹という名歌手を配し、 大野ならではの真摯な音作りでじっくり築き上げたマーラーの世界。叙情的ながら多彩な表現が散りばめられたスケールの大きな演奏で、音楽が力強く迫ってきます。
この長大なフィナーレは、オーケストラによる長い中間部分あたりから、俄然情感を強める。もしかすると、無観客という状況が、演奏家に何か常ならぬ悲壮感 を生じさせたのだろうか。きわめて表現力がある木管楽器のソロ。ひとことひとことに重みがある藤村実穂子の歌。そして、演奏家たちの濃密なやりとり。録音を 聴いていても、音楽の中に呑み込まれそうな演奏だ。すさまじく迫真的だ。」(許 光俊氏のライナーノートより)
同年4月20日に東京文化会館で披露された『巨人』はALT-522としてCD発売中。当盤とあわせて同時期の大野/都響のマーラー演奏がお楽しみいただけ ます。 (Ki)

ALPHA
ALPHA-918(1CD)
ショスタコーヴィチ:交響曲第14番 「死者の歌」 Op.135
5つの断章 Op.42
アスミク・グリゴリアン(S)
マティアス・ゲルネ(Br)
フランス放送PO
ミッコ・フランク(指)

録音:2021年6月、2022年8月 オーディトリアム、ラジオ・フランス、パリ
ドイツの実力派バリトン、マティアス・ゲルネと、ミッコ・フランク指揮フランス放送POが、ショスタコーヴィチが残したバスと 管弦楽の為の作品のリリースを開始。第1弾の交響曲第14番には今世界で最も注目されているソプラノの一人、2022年にはヤナーチェ ク「イェヌーファ」でレコード・アカデミー賞ビデオ・ディスク部門を受賞し、ノット指揮東京SOによる「サロメ」で成功を収めたのも記憶に 新しい、アスミク・グリゴリアンが参加しています。深みのある声で低音域も美しく響かせるゲルネと、豊かな声量と艶を持つグリゴリアン、2人の 表情が死について歌われたこの作品に奥行きを生み、フランクによるオーケストラの繊細なコントロールと相まって、濃厚な陰影を感じさせる 秀演となっています。今後は交響曲第13番「バビ・ヤール」と、「ミケランジェロの詩による組曲」のリリースを予定。

Linn
CKD-667(1CD)
メンデルスゾーン::交響曲第3番「スコットランド」 Op.56
交響曲第5番「宗教改革」 Op.107
スコットランド室内O
マキシム・エメリャニチェフ(指)

録音:2022年2月 ケアード・ホール、ダンディー、UK
スコットランド室内Oと首席指揮者マキシム・エメリャニチェフにより、その就任前に録音されたシューベルト「グレート」(NYCX- 10112/CKD-619)は、「同曲の最もスリリングな演奏」(BBCマガジン)など各所で絶賛されました。2024年1月に迎える楽団創立50周 年を記念すべく今回録音されたのは、メンデルスゾーンがスコットランドを旅行中その自然に触発されて構想してから10年以上、彼の一生の 半分近い歳月をかけて手を加えられ、生涯最後に完成させた交響曲となった第3番「スコットランド」。そして、若きメンデルスゾーンが試作的 な第1番に続いて2つ目の交響曲として完成させた、ルター派のコラール「神はわがやぐら」を引用する第5番「宗教改革」を併せて収録して います。どちらの作品でもヴィブラートを抑えた少人数の弦の透明感が印象的。「スコットランド」は各パートをよく鳴らし、メロディの歌謡的な 美しさのみならず、オーケストレーションの面白さも前面に出す快演となっています。「宗教改革」も力強くオーケストラを歌わせ、エコーのよう な効果も心地よく生かしつつメロディを伸びやかに表現し、この作品の素晴らしさを十二分に発揮。なお古楽鍵盤奏者としてピリオド奏法に 造詣の深いエメリャニチェフらしく、第4楽章では本来の指定通りにセルパンを使用しています。

Urania Records
LDV-14104(1CD)
フランス革命後のミラノの交響曲集
ボニファツィオ・アジオーリ(1769-1832):交響曲へ短調、
 交響曲ト長調「Azione teatrale campestre」
ジュゼッペ・ガッツァニーガ(1743-1818):交響曲ニ長調
アレッサンドロ・ロッラ(1757-1841):交響曲ニ長調 BI.533、交響曲ホ短調 BI.537
ジュゼッペ・ニコリーニ(1762-1842):交響曲変ロ長調
ステファノ・パヴェージ(1779-1850):交響曲変ロ長調
アタランタ・フーギエンスO、
ヴァンニ・モレット(指)

※全曲世界初録音
フランス占領時代のイタリア北西部、ロンバルディア州の交響曲を代表する作品を集めたアルバム。5人の作曲家は皆イタリアに生まれ、フランス革命前後の激動の時代の中で活動しました。18世紀末から19世紀初頭のミラノの劇場や教会、音楽祭などで奏でられた音楽をイメージさせる内容となっています。


ICA CLASSICS
ICAB-5174(20CD)
NX-L05
BBCレジェンズ グレート・レコーディングス 第4集

■CD1&2
マーラー:交響曲第7番ホ短調
モーツァルト:交響曲第41番ハ長調 「ジュピター」*

■CD3
チャイコフスキー:マンフレッド交響曲
レスピーギ:ローマの松 *

■CD4
シューベルト:ピアノ・ソナタ 第9番 ロ長調 Op.147D.575
ピアノ・ソナタ 第12番ヘ短調 D.625
ピアノ・ソナタ 第13番イ長調 Op.120D.664
楽興の時 Op.94D.780〜第1番ハ長調

■CD5
マーラー:交響曲第4番ト長調
ベルリオーズ:序曲「海賊」

■CD6
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調「皇帝」 Op.73
モーツァルト:ピアノ協奏曲 第26番ニ長調「戴冠式」 K.537*

■CD7
リリ・ブーランジェ:詩篇 第24番 「全地は主のもの」
 ピエ・イエズ
 詩篇 第130番「深き淵より」
フォーレ:レクイエム Op.48

■CD8
ブルックナー:交響曲第5番変ロ長調 WAB105

■CD9
マーラー:さすらう若人の歌
若き日の歌 より*
 ドン・ファンの幻想/もう会えない!/春の朝/ 思い出
 シュトラスブルクの砦に 10. 私は緑の野辺を楽しく歩いた
 夏に小鳥はかわり(夏の歌い手交替す)
 いたずらっ子をしつけるために/うぬぼれ
リュッケルト歌曲集 より
 私は仄かな香りを吸い込んだ/私の歌を覗き見しないで
 私はこの世に捨てられて/真夜中に

■CD10
グリーグ:ピアノ協奏曲 イ短調 Op.16
ドビュッシー:前奏曲集 第1巻

■CD11
シューベルト:交響曲第8番ロ短調 「未完成」
ビゼー:小組曲 Op.22
ラヴェル:ダフニスとクロエ 第2組曲
シベリウス:交響曲第7番ハ長調 Op.105*

■CD12
ブリテン:戦争レクイエム

■CD13
リスト:ピアノ協奏曲 第1番**
ピアノ協奏曲 第2番*
メフィスト・ワルツ 第1番S.514a
パガニーニの「鐘」による華麗な大幻想曲 S. 420#
超絶技巧練習曲集 S.139〜XI. 「夕べの調べ」(1838年版)#

■CD14
リムスキー=コルサコフ:歌劇「ムラダ」 〜貴族の行進
 交響組曲「シェエラザード」
スクリャービン:法悦の詩*

■CD15&16
ベートーヴェン:交響曲第8番ヘ長調 Op.93
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」

■CD17
モーツァルト:ホルン協奏曲 第3番変ホ長調 K.447
ブリテン:セレナーデ Op.31
シューマン:アダージョとアレグロ 変イ長調 Op.70#
モーツァルト:ディヴェルティメント 第14番 変ロ長調 K.270(アンソニー・バインズ編曲 木管五重奏版) より*
 I. Allegro molto/  IV. Presto
ミヨー:ルネ王の暖炉 〜VI. ヴァラブルでの狩り*
ピーター・ラシーン・フリッカー(1920-1990):木管五重奏曲 Op.5##

■CD18
ティペット(1905-1998):二重弦楽合奏の為の協奏曲
ベルク:ヴァイオリン協奏曲「ある天使の想い出に」
ヤナーチェク:シンフォニエッタ*

■CD19
エルガー:チェロ協奏曲 ホ短調 Op.85*
ブラームス:二重協奏曲 イ短調 Op.102**
ドビュッシー:チェロ・ソナタ ニ短調 CD144

■CD20
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第29番「ハンマークラヴィーア」
ピアノ・ソナタ 第31番変イ長調 Op.110*
■CD1&2
クラウス・テンシュテット(指)LPO
録音:1980年8月29日 アッシャー・ホール、エディンバラ
1985年9月13日 ロイヤル・アルバート・ホール*(STEREO ADD)
■CD3
コンスタンティン・シルヴェストリ(指)ボーンマスSO
録音:1963年2月22日 ウィンター・ガーデンズ、ボーンマス、1967年9月20日コルストン・ホール、ブリストル*
(STEREO ADD)
■CD4
スヴャトスラフ・リヒテル(P)
録音:1979年3月31日 ロイヤル・フェスティバル・ホール(STEREO ADD)
■CD5
ヘザー・ハーパー(S)、ジョン・バルビローリ(指)BBC響
録音:1967年1月3日 スメタナ・ホール、プラハ(STEREO ADD)
■CD6
クリフォード・カーゾン(P)、ピエール・ブーレーズ(指)BBC響
録音:1971年2月17日 ロイヤル・フェスティバル・ホール
1974年8月14日 ロイヤル・アルバート・ホール*(STEREO ADD)
■CD7
ジャネット・プライス(S)、バーナデット・グリーヴィ(C.A)、イアン・パートリッジ(T)、ジョン・キャロル・ケース(Br)、BBC交響cho、BBC響、ナディア・ブーランジェ(指)
録音:1968年10月30日 フェアフィールド・ホールズ、クロイドン(STEREO ADD)
■CD8
ヤッシャ・ホーレンシュタイン(指)BBC響
録音:1971年9月15日 ロイヤル・アルバート・ホール(STEREO ADD)
■CD9
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)、カール・エンゲル(P)録音:1970年2月16日 ロイヤル・フェスティバル・ホール(STEREO ADD)
■CD10
アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ(P)、ラファエル・ブリューベック・デ・ブルゴス(指)ニュー・フィルハーモニアO
録音:1965年6月17日(MONO ADD)*、1982年4月13日 (STEREO ADD)
■CD11
エイドリアン・ボールト(指)フィルハーモニアO、ロイヤルPO*
録音:1963年3月8日 ロイヤル・フェスティバル・ホール*、1964年7月30日 ロイヤル・アルバート・ホール・プロムナード・コンサート(STEREO ADD)
■CD12
ステファニア・ヴォイトヴィチ(S)、ピーター・ピアーズ(T)、ハンス・ヴィルブリンク(Br)、メロス・アンサンブル、ウォンズワース・スクール少年cho、ニュー・フィルハーモニアO&cho、
カルロ・マリア・ジュリーニ(指)
録音:1969年4月6日 ロイヤル・アルバート・ホール(STEREO ADD)
■CD13
ジョン・オグドン(P)、コンスタンティン・シルヴェストリ(指)ボーンマスSO**、コリン・デイヴィス(指)BBC響*
録音:1967年9月20日 コルストン・ホール、ブリストル**、1969年4月24日クイーン・エリザベス・ホール、1971年9月18日 ロイヤル・アルバート・ホール*(STEREO ADD)
1970年1月20日 BBCスタジオ#((MONO ADD))
■CD14
ジョン・ジョージアディス(Vnソロ)、エフゲニー・スヴェトラーノフ(指)LSO、ソヴィエト国立SO*
録音:1968年8月22日 ロイヤル・アルバート・ホール*、1978年2月21日 ロイヤル・フェスティバル・ホール(STEREO ADD)
■CD15&16
ヘザー・ハーパー(S)、ジャネット・ベイカー(Ms)、ロナルド・ダウド(T)、フランツ・クラス(Bs)、ニュー・フィルハーモニアcho、ジョージ・セル(指)ニュー・フィルハーモニアO
録音:1968年11月12日 ロイヤル・フェスティバル・ホール(MONO ADD)※ポール・ベイリーによる新リマスター
■CD17
デニス・ブレイン(Hrn)、ピーター・ピアーズ(T)、ベンジャミン・ブリテン(P)、マルコム・サージェント(指)BBC響、ジョン・ホリングスワース(指)、デニス・ブレイン木管五重奏団
録音:1953年7月30日 ロイヤル・アルバート・ホール、1956年6月19日 BBCスタジオ*、1956年6月21日 オールドバラ教区教会、オールドバラ音楽祭#、1957年8月24日 フリーメイソン・ホール、エディンバラ音楽祭##(MONO ADD)
■CD18
エディト・パイネマン(Vn)、ルドルフ・ケンペ(指)BBC響
録音:1975年10月12日 フェアフィールド・ホールズ、クライドン*、1976年2月18日 ロイヤル・フェスティバル・ホール(STEREO ADD)
■CD19
ポール・トルトゥリエ(Vc)、ヤン・パスカル・トルトゥリエ(Vn)、アーネスト・ラッシュ(P)、エイドリアン・ボールト(指)*、ジョン・プリッチャード(指)BBC響
録音:1959年2月10日BBCスタジオ、1972年11月14日*
1974年4月17日** ロイヤル・フェスティバル・ホール(STEREO ADD)
■CD20
ルドルフ・ゼルキン(P)
録音:1968年5月13日(MONO ADD)、1971年6月16日(STEREO ADD)* ロイヤル・フェスティバル・ホール
英国BBCに残された巨匠たちの演奏の記録を、可能な限り良質のマスター を用いてデジタル・リマスターを施した安定の音質でリリースし、世界中のヒスト リカル・ファンに高い支持を得ていた「BBCレジェンズ」。1998年から2010年 まで活動し、現在はほぼ入手不能となっているこのレーベルの遺産を引き継 いだICA CLASSICSより、その名演の数々を復刻するBOXセット第4弾が 発売となります。名演の誉れ高いホーレンシュタインのブルックナー第5番、カオ ス的な盛り上がりを聴かせるシルヴェストリの「ローマの松」などのほか、第1集 (ICAB-5113/廃盤)、第2集(ICAB-5141/廃盤)、第3集(ICAB- 5167)同様、20枚の内容すべてが超弩級の演奏内容であることが驚き。い ずれもこの機会を逸すると、次の入手はかなり難しいものばかりです。基本的 にBBCレジェンズからリリースされた時点でのリマスタリング音源を使用していま すが、その全てをポール・ベイリー(元EMIアビー・ロード・スタジオ、現 Re:Sound社)監修のもと改めてチェック。中でもCD15と16のセルが指揮し たベートーヴェンについては、ベイリーの手で新たにリマスターが施され、ティンパ ニの強烈な打撃などモノラルとは思えないほどの臨場感と迫力に溢れた音に 仕上がっており、演奏の素晴らしさを際立たせることに成功しています。録音 は全てライヴ。ブックレットは付属しませんが、録音とリマスタリングに関するデー タは各CDのスリーブに記載されています。

Altus
ALTL-016(2CD)
アイヴズ:答えのない質問
ヴォーン・ウィリアムズ:トマス・タリスの主題による幻想曲
マーラー:交響曲第2番『復活』*
中江早希(S)*、谷地畝晶子(A)*
東京ユヴェントス・フィルハーモニーcho*
坂入健司郎(指)
東京ユヴェントス・フィルハーモニー

ライヴ録音:2022年1月15日/ミューザ川崎シンフォニーホール
坂入健司郎が2008年に結成して以来、継続して演奏会を開き人気を博している東京ユヴェントス・フィルハーモニー。2022年1月15日に行われたこの公 演は、余儀なくされたコロナ禍の沈黙を打ち破る記念碑的な演奏会として企画されたもの。マーラーの『復活』は坂入がこのタイミングで是非とも取り上げたいと 思っていた作品で、カップリングも含め、コンサート全体が音楽を奏でることへの讃歌となっています。
『復活』のスコアには第1楽章終了後に5分以上のインターバルを置くようにとの指示があります。演奏会ではここで休憩をはさみ、第2楽章以降を後半のプロ グラムとして演奏しました(CDでも同じ個所で2枚に分かれています)。これにより、アイヴズとヴォーン・ウィリアムズの作品が『復活』第1楽章への布石として 機能し、この楽章の悲劇性をより迫真なものにしているように感じられます。これをバネとして後半が始まり、フィナーレの壮麗なクライマックスに至るまで上り続 けていくイメージがまさにプログラミングの妙。中江早希、谷地畝晶子の独唱も素晴らしく、オーケストラは指揮者と阿吽の呼吸で盛り上がり、力強い合唱も加わっ て大いなる讃歌が築かれていきます。 (Ki)

MDG
MDG-91222656(1SACD)
メンデルスゾーン・プロジェクトVOL.4
シンフォニア第8番ニ長調
シンフォニア第9番ハ長調
シンフォニア第10番ロ短調
ドグマ室内オーケストラ
ミハイル・グレヴィチ(指)

録音:2021年5月17-21日、マリエンミュンスター修道院コンツェルトハウス
メンデルスゾーンは、12歳から14歳にかけて弦楽の為のシンフォニアを12曲作曲しています。ドグマ室内オーケストラは、同時期に書かれた5つの協奏曲 を含めたメンデルスゾーンのシリーズをリリース。本作はその第4弾。 この全12曲の「シンフォニア」はメンデルスゾーンの家で毎週日曜日に開催されていた音楽会で演奏するために作曲されました。「シンフォニア」は番号が進むに つれ、作曲手法の洗練や楽器編成の変化など、メンデルスゾーンの作曲家としての成長が見て取れます。交響曲第1番(1824年作曲)の自筆のスコアにはシンフォ ニア第13番と記されていることから、これら一連のシンフォニアはメンデルスゾーンの交響曲の重要な入口と言えるでしょう。 第4弾には、楽器編成に管楽器が加わった第8番、『スイス』の副題を持つ第9番、そして単一楽章で書かれた第10番の3作品が収録されています。 (Ki)

BR KLASSIK
BR-900212(2CD)
NX-B09
ブルックナー:テ・デウム ハ長調
交響曲第8番(第2稿 ハース版)
バイエルンRSO
ベルナルト・ハイティンク(指)

録音:2010年11月10-12日 ミュンヘン、フィルハーモニー・イン・ガスタイク(ライヴ)…テ・デウム
1993年12月15-17日 ミュンヘン、ヘルクレス・ザール(ライヴ)…交響曲第8番
ベルナルト・ハイティンクがバイエルンRSOの定期演奏会にデビューした1958年から65年となる2023/24シーズンを記念して、バイエルン放送収 録の音源から2010年のブルックナー:テ・デウムと1993年の交響曲第8番が初CD化。緻密かつ壮大な第8番が特に聴きものです。 ハイティンクのブルックナー:テ・デウムの録音にはコンセルトヘボウ管(1966)とウィーン・フィル(1988)があり(共にPhilips/現Decca)、これが3種目。ブルッ クナーを得意とする指揮者でも必ずしもこの作品を録音するわけではないので、ハイティンクがこの曲に寄せる格別な思いがうかがわれます。ここでも、作品 の壮大さと神秘的な美しさを遺憾なく表現した演奏を展開しています。 しかし、その後に収められた交響曲第8番は、その上をいく聴きもの。ハイティンクの同曲録音には6種があります。コンセルトヘボウ管との1969年盤は速め のテンポを基本としつつも緩急強弱を細かく操作し、後年のハイティンクを知る人が驚くようなアッチェレランドをかけるなどドラマティックな面を強調した演奏で すが、同じオケを振った1981年盤では慌てず騒がずの正攻法による堂々とした演奏が展開され、解釈が完成の域に入ったことが感じられます。そのスタイル はその後の演奏にも一貫し、1995年のウィーン・フィル盤はレコード・アカデミー賞に輝きました。このバイエルン盤の演奏も基本的に変わりませんが、他の演 奏に比べるとわずかながらテンポを落とし、すべての楽想を噛みしめて緻密に抉り出そうとするかのような緻密さを大きなスケール感の中で実現した演奏に なっています。 バイエルン放送響は創設指揮者ヨッフム以来のブルックナー演奏の伝統を誇っていますが、この演奏が行われた1993年12月当時、本拠地ミュンヘンでは チェリビダッケとミュンヘン・フィルの特異なブルックナー演奏が大評判となって世界中からファンが詰めかけるような事態になっており、バイエルン放送響もその評 判は意識せざるをえなかったはず。そのような状況下、同響の首席指揮者がコリン・デイヴィスからロリン・マゼールに代わった直後のコンサートでブルックナーの 第8番の指揮を託されたのが、当時すでに35年の共演歴を持っていたハイティンクでした。チェリ&ミュンヘンへの対抗心があったのは指揮者ではなくオーケス トラの方と思われますが、ここではハイティンクの解釈を通して曲の立派さを隅々まで音にしようとする執念のようなものさえ感じられます。結果としてハイティン クの同曲録音の中で最長の演奏時間となりました。ハイティンクの録音では特に第4楽章でティンパニの強打が目立つことがありますが、ここでは他の録音に 比べれば控えめでオーケストラ全体に調和したバランスとなっているのも解釈に沿ったものと感じられます。ブルックナー・ファンにとってもハイティンク・ファンにとっ ても聴き逃せない演奏の登場と言えるでしょう。 両曲とも演奏後の拍手はカットされています。

CPO
CPO-555572(1CD)
NX-B10
ヒューゴ・カウン(1863-1932):交響的作品集
交響詩「ミネハハ」 Op.43-1
交響詩「ハイアワサ」 Op.43-2
交響曲第3番ホ短調 Op.96
ベルリンRSO
ジョナサン・シュトックハンマー(指)

録音:2022年5月31日-6月3日
ヒューゴ(フーゴ)・カウンは1863年、ベルリン生まれの作曲家。地元で音楽を学んだ後1886年にアメリカ大 陸に渡り、当時ドイツ系のコミュニティがあったミルウォーキーに居を構えました。この地で合唱指揮者、作曲 家として活動するとともに、音楽学校でも教鞭を執り、多くの後進を育てました。1900年初頭にはドイツに 帰国、ベルリンで教職に就きます。その後はベルリンに定住し1912年にはプロイセン芸術アカデミー会員に 任命されました。 このアルバムにはロングフェローが1855年に発表した叙事詩「ハイアワサの歌」から題材をとった2つの交響詩 が収録されています。「ミネハハ」はドヴォルザークの「新世界より」第3楽章のLargoのようにイングリッシュホル ンの旋律で始まりますが、すぐにワーグナー風の半音階的な旋律へと移っていきます。「ハイアワサ」は伝説的 な英雄をネイティヴ・アメリカンの旋律を用いて描いています。交響曲第3番は1913年に作品。1914年に 初演された後人気を博し、プフィッツナーやフルトヴェングラーもこの曲を演奏したとされています。

GENUIN
GEN-23848(1CD)
ベートーヴェン:「献堂式」序曲
チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調 Op.64
アンドレス・ロイカウフ(b.1972):南ヴェストファーレン=ファンファーレ(世界初録音)
南ヴェストファーレン・フィルハーモニー、
ナビル・シェハタ(指)

録音:2021年5月18日-20日、ベッツドルフ市立ホール(ドイツ)
1957年にジーガーラントOとして発足して以来、ドイツのヴェストファーレン州、ヒルヒェンバッハを拠点に活動するオーケストラ、南ヴェストファーレン・フィルハーモニー。かつて児玉宏も首席指揮者を務めたこのオーケストラは2020年3月に新たな本拠地となる「音楽の家」の建設を開始し、途中建設現場が大規模な水害に襲われるアクシデントがありながらも2023年に完成。それを記念して首席指揮者ナビル・シェハタとの新しいアルバムがリリースされます。ベートーヴェンが新築された劇場のこけら落としのために作曲したまさにこの機会にぴったりな「献堂式」序曲にチャイコフスキーの情熱的な交響曲第5番、そして1972年スイス生まれのドイツ人音楽家、アンドレス・ロイカウフによる快活な「南ヴェストファーレン=ファンファーレ」が初めて録音され、きわめて祝祭的なムードのアルバムに仕上がっています。
ナビル・シェハタは1980年、エジプト人の父とドイツ人の母の間にクウェートで生まれ、5歳でドイツへ移住。9歳からコントラバスを始めると2003年に難関ARDミュンヘン国際音楽コンクールで優勝し、翌2004年から2008年までベルリン・フィルの首席コントラバス奏者として活躍。様々な名門オーケストラやアンサンブルとともに日本を含む世界各地でツアーやマスタークラスを行ってきました。一方で指揮をクリスティアン・ティーレマン、ダニエル・バレンボイムらに学び、2007年にドイツで指揮者デビュー。日本のオーケストラの指揮台にも何度も登場しています。南ヴェストファーレン・フィルハーモニーには2019年、約200名もの候補の中から選ばれ首席指揮者に就任。新築された「音楽の家」と新しい道を歩み始めたオーケストラを牽引し、今後ますます飛躍してゆくことでしょう。

Onyx
ONYX-4232(1CD)

PONYX-4232(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価
ロベルト・シエッラ:交響曲第6番
シエッラ:交響曲第6番
弦楽オーケストラのためのシンフォニエッタアレグリア/ファンダンゴズ
オーケストラのための2つの小品
ドミンゴ・インドヤン(指)、
ロイヤル・リヴァプールPO

録音:2021年10月14日&16日(交響曲第6番、ライヴ)&2022年5月20日(アレグリア、2つのオーケストラのための小品、ファンダンゴズ)、リヴァプール・フィルハーモニー・ホール(イギリス)
2022年6月10日(弦楽オーケストラのためのシンフォニエッタ)、フライアリー(イギリス)
2006年から15年間、ロイヤル・リヴァプールPOの首席指揮者を務めたワシリー・ペトレンコに代わり、2021年9月から新たな首席奏者に就任したアルメニア系ベネズエラの若き注目指揮者、ドミンゴ・インドヤンの第2弾!
1953年プエルトリコ生まれの作曲家、ロベルト・シエッラによる交響曲第6番をメインとした作品集。ロベルト・シエッラは40年以上に渡り、グラミー賞にノミネートされ、これまでにラテン・グラミー賞を獲得しています。彼はミルウォーキーSO、フィラデルフィアO、プエルトリコSO、ニューメキシコSOのコンポーザー・イン・レジデンスを務めており、現代音楽の分野で目が離せないアーティストのひとりといってもよいでしょう。
このアルバムには彼の25年間に渡る創作活動の一部が収録されており、特徴的なオーケストレーション、プエルトリコ音楽を取り入れるなどロベルト・シエッラの魅力をたっぷりと収めたものになっています。活気にあふれ魅力的な旋律が美しいロベルト・シエッラの作品を、ベネズエラの音楽教育プログラム「エル・システマ」でヴァイオリンを学び頭角を現し、BBCプロムスでの指揮姿が話題となったドミンゴ・インドヤンの指揮でお楽しみください。

Urania Records
WS-121412(2CD)
ドヴォルザーク:交響曲集
(1)交響曲第7番ニ短調 Op.70
(2)交響曲第8番ト長調 Op.88
(3)交響曲第9番「新世界より」
(4)スケルツォ・カプリチオーソ Op.66
(5)伝説 Op.59より第4番、第6番、第7番
ジョン・バルビローリ(指)ハレO

(1)録音:1957年8月8日、マンチェスター
(2)録音:1957年6月、マンチェスター
(3)録音:1959年4月、マンチェスター
(4)録音:1958年9月、マンチェスター
(5)録音:1958年9月、マンチェスター
名演と名高いジョン・バルビローリとハレOのドヴォルザーク後期交響曲集をウラニア・レコーズから復刻。初期のステレオ録音で収録されたこの録音は、バルビローリらしい闊達な演奏で定評があります。特に第9番「新世界より」はバルビローリの情熱的な演奏が活かされており、現在でも名演の一つとして数えられています。また第8番では抒情的な美しい演奏を展開しており、理想的なドヴォルザークの演奏の一つと言えるでしょう。歴史的録音の復刻に定評のあるウラニア・レコーズの音質にぜひご期待ください。

Signum Classics
SIGCD-759(1CD)
疾風怒濤 Vol.3
モーツァルト:アダージョとフーガ ハ短調 K.546
シュヴァイツァー:歌劇「アルチェステ」より「Er ist gekommen… Zwischen Angst und zwischen Hoffen」
コジェルフ:交響曲 ト短調
パイジェッロ:歌劇「トリノのハンニバル」より「Misera, ch’ei peri!... Smarrita, tremante」
ハイドン:交響曲第44番 ホ短調「悲しみ」
モーツァルティスツ、
イアン・ペイジ(指)、
エミリー・ポゴレルツ(S)

録音:2023年1月、セント・ジョンズ・スミス・スクエア(イギリス、ロンドン)
クラシカル・オペラを指揮したモーツァルトの初期作品録音で名を馳せたモーツァルトのスペシャリスト、イアン・ペイジが2017年に新たに結成したアンサンブル「モーツァルティスツ」による、大型プロジェクト「疾風怒濤(シュトゥルム・ウント・ドラング)」の第3巻!
1760年代から1780年代に芸術界を席巻した疾風怒濤運動を探求する全7巻に及ぶシリーズで、第1巻(SIGCD-619)と第2巻(SIGCD-636)はどちらも英グラモフォン誌の「エディターズ・チョイス」に選ばれています。本作はシリーズ初のモーツァルト作品で幕を開け、ハイドンの疾風怒涛交響曲の名作である交響曲第44番「悲しみ」で締めくくられます。間にはシュヴァイツァー、パイジェッロらの激しいオペラ・アリアとコジェルフの傑作であるト短調交響曲が収録されています。

ALTO
ALC-1491(1CD)
バーナード・ハーマン:交響曲第1番
交響曲第1番*
Concerto Macabre(Pと管弦楽の為の)
堕落者のために/組曲「The Devil and Daniel Webster」
ジェームズ・セダレス(指)、
フェニックスSO*
、ニュージーランドSO

録音:1992年-1995年
アメリカの作曲家であり指揮者であったバーナード・ハーマンの「交響曲第1番」。ハーマンは映画音楽の作曲家として著名でヒッチコックの作品や、「市民ケーン」などの作曲家として知られています。ジュリアード音楽院電ナビ指揮者として活動したほか、純音楽の分野ではウォルトンなどの影響がみられます。ニュージーランドで指揮者として活躍するジェームズ・セダレスが、手兵の二つのオーケストラで奏でます。
ALTO
ALC-1494(1CD)
グレツキ:交響曲第3番「悲歌のシンフォニー」
古風な3つの小品/すべてあなたのもの
ヴウォジミエシュ・カミルスキ(指)
ベルリンRSO、
ステファニア・ヴォイトヴィチ(S)、他

録音:1982年&1996年
ポーランドを代表する作曲家、ヘンリク・グレツキの代表曲のひとつ「交響曲第3番「悲歌のシンフォニー」」。この作品は1977年4月に初演されましたが、その際ソロ・ソプラノを務めたのがステファニア・ヴォイトヴィチです。ポーランドを代表するソプラノ歌手の最高の歌声で、ポーランド音楽の近現代を代表する作品をお楽しみいただけます。

LSO Live
LSO-0887(1SACD)
ブルックナー:交響曲第7番ホ長調 WAB107 (Version1881?83; Cohrs A07)
〔ベンヤミン=グンナー・コールス校訂版(2015年)による世界初録音〕
サイモン・ラトル(指)LSO

録音:2022年9月18日&12月1日、バービカン・ホール
黄金コンビのラトル&LSOによる、2022年録音のブルックナー第7番の登場。コールス版による世界初録音です。弦楽器のしたたるような美しさ、そして 世界が認める管楽器セクションの雄大な響きとブレンド具合、躍動するリズム、すべてが最高の形で結実した演奏の登場です。
ブルックナーが交響曲第7番の第1楽章を作曲し始めたのは、1881年9月、夏を過ごしたザンクト・フローリアンでのことでした。1883年の9月5日にフィナー レのスコアが完成。初演は1884年12月30日、ライプツィヒでアルトゥール・ニキシュ指揮によって、そして1885年3月10日にミュンヘンでヘルマン・レー ヴィ指揮によって初演され、大成功を収めました。この作品は、ワーグナーの寛大な後援者であるバイエルン王ルートヴィヒ2世に捧げられています。 この作品には、1881年12月8日に起こった、ウィーンのリング劇場(ブルックナーの居宅の真向かい)での火災(386人もの人々が亡くなった)や、ブ ルックナーが臨席した「パルジファル」の世界初演(1882年7月30日)、ワーグナーの死(1883年2月13日)などが大きく影響しているとされていま す。第1楽章のコラール風の旋律はパルジファルの「救済」というテーマを、第2楽章は火災の犠牲者への追悼(ワーグナー追悼ともいわれます)、第3楽 章のスケルツォの弦楽器の動きは舐め上げる炎のよう、といわれることもあります。 この作品が誕生するまでには、ブルックナーとその弟子や同僚でもあったフランツ・シャルクとヨゼフ・シャルク、フェルディナント・レーヴェらの助言や彼らと の議論に基づき、数多くの変形や変更が行われました。そのうちのいくつかは自筆譜に見られ、また初版に初めて現れるものもあります。
このコールス版は、ブルッ クナー自身が演奏で何度も耳にした「初版」を中心資料として、ブルックナーの手稿譜などに基づいて構成されています。ラトルは、これまでにコールス版に基 づくブルックナーは第6番(LSO0842/KKC6175)、第4番(LSO 0875/KKC6557)と2作発表しておりいずれも世界中の注目を集めてきて います(第8番(LSO3042/ KKC9333)はハース版に基づく映像)。このたびの第7番でも、ラトルがどのようにブルックナーの姿に寄り添いながら音 楽を彫りあげているか、注目です。 (Ki)

オクタヴィア
OVCL-00823(1SACD)
税込定価
2023年9月27日発売
ショスタコーヴィチ:交響曲第4番 ハ短調 作品43 ジョナサン・ノット(指)東京SO

録音:2022年10月16日ミューザ川崎シンフォニーホール・ライヴ
ジョナサン・ノットと東京交響楽団、ファンを虜にして止まない 唯一無二の相思相愛から奏でられる圧倒的音楽。その名コンビに よるショスタコーヴィチ・シリーズ第3弾となる、待望の交響曲第 4番です。 ショスタコーヴィチの全交響曲の中でも、最大編成を要し難解な 楽曲を、両者は綿密に読み解き、冴え漲るタクトに応える圧巻の パフォーマンスはもちろんのこと、ライヴならではの気迫と臨場 感、鮮麗なオーケストラサウンドが響き渡ります。 最高峰の名演をお楽しみください。(オクタヴィア)

オクタヴィア
OVCL-00827(1SACD)
税込定価
2023年9月27日発売
チャイコフスキー:交響曲第5番 ホ短調 作品64 小林研一郎(指)
コバケンとその仲間たちオーケストラ

録音:2023年6月25日 東京・サントリーホール・ライヴ
「コバケンとその仲間たちオーケストラ」は、2005年のスペ シャルオリンピックスの公式文化事業の企画を機に設立され たオーケストラで、プロ・アマチュア・学生・障がいの有無 に関わらず、活動趣旨に賛同する奏者が集まり演奏していま す。 当盤は2023年6月に開催された演奏会のライヴ録音です。炎の コバケンのタクトに、深い信頼関係を築くオーケストラのサ ウンドが呼応する白熱の演奏がサントリーホールに響きわた ります。(オクタヴィア)

H.M.F
HMM-902703(1CD)
モーツァルト:交響曲第36番「リンツ」
交響曲第38番「プラハ」
アンサンブル・レゾナンツ、
リッカルド・ミナージ(指)

録音:2021年9月オトマールシェン・キリスト教会(ハンブルク)
苛烈なまでの表現力と推進力で聴き手を興奮の渦に巻き込んだリッカルド・ミナージ&アンサンブル・レゾナンツによる「モーツァルト:三大交響曲集」 (HMM-902629/ KKC-6161)から3年。その続編となる録音がついにリリースされます!今作では、後期三大交響曲の前に連なる交響曲第36番「リンツ」 と第38番「プラハ」を取り上げています。
交響曲第36番「リンツ」は、1783年10月から11月にかけてオーストリアの都市リンツに滞在していたモーツァルトが、予約演奏会のためにわずか4 日という短期間で書き上げたというエピソードで知られる作品。短期間で書き上げたとは思えない充実した内容で、の天才モーツァルトの速筆ぶりを示す交響曲 として取り上げられる機会も多い交響曲です。モーツァルトの交響曲ではじめて冒頭に緩やかな序奏が配置され、その後の輝かしく生き生きとした主題を盛り上 げています。
交響曲第38番「プラハ」は、1786年のプラハでの「フィガロの結婚」上演の大成功した翌年、招待を受け初めてプラハを訪れたモーツァルトが当地で 初演した交響曲です。メヌエット楽章を欠く、3楽章形式である理由は判明していませんが、当時大流行した「フィガロの結婚」の旋律を散りばめた構成は、プ ラハの聴衆たちを大いに喜ばせました。大成功を収めたコンサートの後、モーツァルトは「人生において最も幸せな日」と語ったと伝えられています。
リッカルド・ミナージは、自身が優れたバロック・ヴァイオリン奏者であり、ムジカ・アンティクァ・ローマやイル・ポモ・ドーロといったピリオド楽器アンサ ンブルでは自らヴァイオリンを取って指揮することが多かったのですが、2017年、ハンブルクを拠点とし自主的な活動を行う室内オーケストラ、アンサンブル・ レゾナンツのアーティスト・イン・レジデンスに就任して以降、このアンサンブルとの共演ではほぼ指揮に徹しているようです(現在では首席客演指揮者に就任 しています)。全世界から先鋭的なアーティストが集まると呼ばれる芸術の街ハンブルクにおいて、1994年に創設され、モダン楽器を用いながらさまざまな時 代の演奏スタイルを柔軟に取り入れ、古典から前衛的作品までを弾きこなし、最も独創的と評されるまでになったアンサンブル・レゾナンツは、リッカルド・ミナー ジの指揮の下、より先鋭性を増し、世界の音楽シーンで圧倒的な存在感を持つようになりました。学究性と感性が融合するミナージの独創的な解釈を見事に音 にする高度な技巧と表現力を有しています。
後期三大交響曲の演奏も、嵐のようなすさまじさが大きな話題となりましたが、続編となるこのアルバムでも、そのすさまじさは健在で、より凄みを増してい るような印象さえ受けます。アルバムの冒頭、「リンツ」の序奏と第1主題から、エネルギー全開の圧倒的な演奏が繰り広げられます。張り詰めた空気を持つ緩 徐楽章の濃密さも聴きものです。弦楽器の鋭い刻みや、金管楽器の強奏、ティンパニの強烈な打撃が、すさまじい音の渦と化しています。この有名な2つの交 響曲を初めて聴くかのようにハッとさせられる瞬間が連続して訪れる、かなり攻めた解釈ですが、ぎりぎりのところでバランスを保ち、曲の構造を保つミナージ の手腕は驚異的で、ミナージの解釈を見事に音にするアンサンブル・レゾナンツの高度な技術も脱帽ものです。リッカルド・ミナージとアンサンブル・レゾナン ツの圧巻の演奏がもたらす衝撃的なモーツァルト体験をお聴き逃しなく! (Ki)
H.M.F
HAF-8932276(1CD)
王妃のハープ〜マリー・アントワネットの宮廷の音楽
ジャン=バティスト・クルムフォルツ(1747-1790):ハープ協奏曲 第5番op.7変ロ長調(1778)
ハイドン:交響曲第85番「王妃」Hob.I:85(1785)
ヨハン・ダヴィド・ヘルマン(1760?-1846):ハープとオーケストラの為の協奏曲第1番 op.9ヘ長調(1785-1789)
グルック:「精霊の踊り」〜オルフェオとエウリディーチェより(編):メストレ)
グザヴィエ・ドゥ・メストレ(Hp)
ウィリアム・クリスティ(指)、
レザール・フロリサン

録音:2016年6月27,28日、ヴェルサイユ宮殿王立歌劇場(ライヴ)
クリスティ率いるレザール・フロリサンが、ハープのメストレをゲストに迎えた1枚が再登場します。タイトルに「王妃のハープ」とあるように、マリー・アントワネッ ト (1755-1793)と、彼女が愛した楽器、ハープの楽曲をおさめた内容です。2016年6月に行われた演奏会のライヴ録音。1曲目の作曲家クルムフォル ツは、ボヘミア出身の作曲家でありハープ奏者。楽器製作者とともに、ハープの改造や奏法に取り組み、それまでになかったハープの為の作品を残しています。 クルムフォルツが対位法を師事したのが、作曲家ハイドン。マリー・アントワネットが気に入っていたとされる交響曲第85番を収録しています。クリスティによ るシンフォニーの録音ということで、注目のプログラムといえましょう。荘重なアダージョを経て軽快なヴィヴァーチェとなる第1楽章から、楽器間のアンサンブ ルも十分にたのしめる演奏。終楽章の最後まで、快活さと典雅さを感じさせる演奏です。ドイツ人のヨハン・ダヴィド・ヘルマンは、アントワネットのピアノ教師 で、作曲家。自身はハープ奏者ではありませんでしたが、3つのピアノ・ソナタ、3つのピアノ協奏曲のほか、3つのハープ協奏曲をのこしています。このハー プ協奏曲はすべてルイ14世の妹(ハープ奏者)、つまりアントワネットの義妹にささげられています。今日ハープ奏者にも知られざる存在の作品ですが、モーツァ ルトのフルートとハープの為の協奏曲と同様、ハープ奏者ではない作曲家によるハープ作品、ということでも重要な作品です。演奏会でアンコールとして演奏 されたグルックの「精霊の踊り」は、メストレ自身の編曲によるハープ独奏版。メストレの歌心に胸を打たれるトラックです。 (Ki)

RCO Live
RCO-23001(9CD)
ブルックナー:交響曲全集
(1)交響曲第1番ハ短調 WAB101(1877年リンツ稿、ハース校訂1935年出版)※
(2)交響曲第2番ハ短調,WAB102(1872/1877年稿、ハース校訂1938年出版)※
(3)交響曲第3番ニ短調 WAB103(1889年稿、ノーヴァク校訂1959年出版)
(4)交響曲第4番変ホ長調『ロマンティック』(1880年第2稿、ハース校訂1936年出版)※
(5)交響曲第5番変ロ長調WAB105(1878年稿、ノーヴァク校訂1951年出版)
(6)交響曲第6番イ長調 WAB106(1881年稿、ノーヴァク校訂1952年出版)
(7)交響曲第7番ホ長調 WAB107(1885年稿、ノーヴァク校訂1954年出版)※
(8)交響曲第8番ハ短調,WAB108(1890年稿、ノーヴァク校訂1955年出版)
(9)交響曲第9番ニ短調 WAB109(1894年原典版、ノーヴァク校訂1951年出版)※
ロイヤル・コンセルトヘボウO
録音場所:すべてアムステルダム・コンセルトヘボウ

(1)ベルナルド・ハイティンク(指)
録音:1972年2月10日(NOS)
(2)リッカルド・シャイー(指)
録音:1990年4月29日(NSO & RNW)
(3クルト・ザンデルリング(指)
録音:1996年11月8日(NOS)
(4)クラウス・テンシュテット(指)
録音:1982年10月28日(NOS)
(5)オイゲン・ヨッフム(指)
録音:1986年12月4日(NOS)
(6)マリス・ヤンソンス(指)
録音:2012年3月7-9日(AVRO)
(7)ベルナルド・ハイティンク(指)
録音:2006年4月2日(AVRO)
(8)ズービン・メータ(指)
録音:2005年12月2日(AVRO)
(9)リッカルド・シャイー(指)
録音:1996年6月6日(AVRO & RNW)
※初出
ロイヤル・コンセルトヘボウOは、2024年9月4日のブルックナー生誕200年に向け、9人の指揮者(イヴァン・フィッシャー、チョン・ミョンフン、クラ ウス・マケラ、クリスティアン・ティーレマン、アンドリュー・マンゼ、ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン、ウラディーミル・ユロフスキ、シモーネ・ヤング、リッカルド・シャ イー)によるブルックナー・チクルスを1年半かけて行い、その記念すべき日をお祝いします。
このボックス・セットは、ブルックナー全曲演奏会に先駆けて、ブルックナー生誕200年を祝うもの。長い歳月を経てブルックナー演奏の伝統を培ってきたオー ケストラの1970年代以降の輝かしい名演を集めた貴重なセットとなります。今回は、オランダ放送協会(NOS),総合ラジオ放送協会(AVRO),ラジオ・ネー デルランド(RNW)の音源から多数の初出音源を含んでおり、見逃せない内容となっています。
初出音源は、交響曲第1 番 / ベルナルド・ハイティンク(録音:1972 年2 月10 日)、交響曲第2 番/リッカルド・シャイー(録音:1990 年4 月29 日)、交響曲第4 番/クラウス・テンシュテット(録音:1982 年10 月28日)、交響曲第7番/ベルナルド・ハイティンク(録音:2006年4月2日)、交響曲第9番/リッカルド・シャイー(録音:1996年6月6日)の5曲。
コンセルトヘボウ管は、ベイヌム、ヨッフム、ハイティンクといった指揮者のもと、また数多くの客演指揮者たちによって、一世紀にわたる豊かで壮大なブルックナー 演奏の伝統を確立してきました。当ボックスに収められた過去50年間の録音はその歴史と伝統を証明するものといえるでしょう。 (Ki)

ACCENT
ACC-24394(1CD)
アーベル(1723-1787):後期交響曲集
交響曲 ハ長調 WKO37*
交響曲 変ロ長調 WKO38*
協奏交響曲 ニ長調 WKO43(独奏:ヴァイオリン、オーボエ、チェロ)
交響曲 変ホ長調 WKO39*
交響曲 ニ長調 WKO41*
マルティン・ヨップ(Vn 、指 )
マイン・バロックオーケストラ

録音:2022年10月1-4日ドイツ、イトシュタイン、ユニオン教会
*世界初録音
アーベル生誕300年を記念して、世界初録音となる4曲の交響曲を紹介します。バロックから古典派へと移る時代を生きたアーベルは、 だんだんと過去の楽器となっていったヴィオラ・ダ・ガンバの最後の巨匠であり、またJ.C.バッハとともに市民向けの近代的な定期演奏会「バッハ・アーベル・コ ンサート」を開いた人物としても名を知られています。交響曲は46曲残されており、当盤には後期の作品を収録。どれも急緩急の3楽章で1曲15分程度の小粒 な作品ですが機知と愉悦に富んだ魅力的な音楽ばかりで、ハイドンと通じあう世界を持っています。独奏者が美しい歌の掛けあいを聴かせる協奏交響曲も耳に楽 しい名品。
マイン・バロックオーケストラはコンサートマスター兼指揮者のマルティン・ヨップのもと、25年以上に渡り17-18世紀の音楽を演奏し、国際的な評価を得て いるオーケストラ。今回の録音には、ハイデルベルクSOをはじめヨーロッパを中心に活躍するヴィオラ奏者、矢崎裕一氏も参加しています。 (Ki)

Chandos
CHAN-20165(1CD)

XCHAN-20165(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価
ミェチスワフ・ヴァインベルク(1919-1996):夜明け Op.60(世界初録音)
交響曲第12番Op.114「ショスタコーヴィチの思い出に」
ヨン・ストゥールゴールズ(指)、
BBCフィルハーモニック

録音:2022年9月15日&11月24日-25日(第12番)、メディア・シティUK(サルフォード)
ショスタコーヴィチの交響曲録音で快進撃を続けるヨン・ストゥールゴールズ&BBCフィルの新録音は、ショスタコーヴィチに捧げられたヴァインベルクの交響曲第12番!
近年再評価が著しいミェチスワフ・ヴァインベルク(1919-1996)の「交響曲第12番」は、ヴァインベルクと深い交流の合ったドミートリイ・ショスタコーヴィチに捧げられています。当初コンドラシンの指揮によって初演される予定だったこの作品ですが、コンドラシンにより大幅な省略と改訂されたことにヴァインベルクが怒り、中止となりました。最終的にマキシム・ショスタコーヴィチの指揮で1979年に初演されることとなりました。
1917年の10月革命の記念日以降5年ごとに大規模なイベントが開かれ、一流のアーティストが貢献することが通例となっていました。このアルバムに収められている「夜明け Op.60」は40周年の記念に作曲されたと考えられていますが、ヴァインベルク生前には演奏された記録は残っておらず、録音としてはこのアルバムが世界初録音となります。
ヨン・ストゥールゴールズ(ヨーン・ストルゴーズ)は、BBCフィルハーモニックと、オタワのナショナル・アーツ・センターOの首席客演指揮者を務めており、指揮者の他ヴァイオリニストとしても活躍しています。またラップランド室内Oの芸術監督としても長年の間、高い評価を得ています。2014年〜2015年に発売された「シベリウス:交響曲全集(CHAN-10809)」と「ニールセン:交響曲全集(CHAN-10859)」、2つの「生誕150周年記念盤」の世界的ヒットによって一躍脚光を浴び、その後ジョージ・アンタイルの管弦楽作品集でその秀でた実力を見せつけてくれました。直近ではショスタコーヴィチの優れた録音を続けて生み出し、第1弾(CHSA5278)はレコード芸術特選盤&優秀録音、第2弾はレコード芸術準特選盤&優秀録音に選ばれ、6月にリリースされた第3弾(CHSA5310)は「モーストリー・クラシック」、「音楽の友」等にも好レビューが掲載されました。
また近年では2023年1月に東京都SOとの来日公演を行い好評を博しています。


Epitagraph
EPITA-042(1CD)
(UHQCD)
限定発売
世界初!アセテート盤から復刻!
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」
グレ・ブロウエンスタイン(S)、イーラ・マラニウク (A)、ヴォルフガンク・ヴィントガッセン (T)、ルートヴィヒ・ウェーバー(Bs)
バイロイト祝祭O&cho
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)

録音:1954年8月9日、バイロイト祝祭劇場(ライヴ)
フルトヴェングラーの第九といえば、1951年のバイロイト音楽祭再開記念公演でのものがあまりにも有名ですが、3年後の54年の夏にも巨匠はバイロイトで ベートーヴェンの第9交響曲を指揮していました。「ルツェルンの第九」(54年8月22日ルツェルン音楽祭公演)の半月前、亡くなる3か月前のことです。 吉田秀和からも絶賛された至宝の第九ですが、オリジナルの放送テープ(演奏会のラジオ放送用録音)はすでに消失されているようで、音質劣悪の海外盤、プライ ヴェートCDが90年代に出回った後、2012年にORFEOが遺されていた「状態の良くない」テープを最新のデジタル修復技術で復刻してCDを発売、大きな評 判を集めたのはまだ記憶に新しいところです。 今回、エピタグラフが本録音のアセテート盤からの復刻音源を入手!!キング関口台スタジオで丁寧かつ入念なマスタリングを施してCD化。盤復刻にともなうスク ラッチ・ノイズこそありますが、高域を損なわないように過度なノイズ・リダクションはしていません。ORFEO盤より一枚ヴェールを剥がしたような生々しさがあ ります。従来に勝る鮮明(高域の伸び!)、良好音質のCDを“高音質CDの決定版”UHQCDにして発売。すべてのフルトヴェングラー・ファン必聴必携の名盤誕生!
■今回の音源=アセテート盤について
今回の音源はエピタグラフがアメリカの知人を経由して入手したアセテート盤からの復刻テープをデジタル・トランスファーしたもの。経年変化で磁気劣化が避けら れないアナログテープに比べ、記録保存用に当時最適であったアセテート盤が50年代後半にアメリカで作られ、この知人は個人的に保有していたとのこと。 51年のバイロイト、54年のルツェルンのときと違い、EMIの録音スタッフはこの日の収録には関与しておりません。録音状態は万全ではなく、アセテート盤の復刻 やアナログテープへのコピーに伴うスクラッチ・ノイズやテープヒス、さらにはオリジナル・テープ収録の際にテープデッキの不具合で生じたと思われるワウ・フラッ ター(微妙なテンポの揺れ)も数か所に散見されますが、スクラッチ・ノイズの軽減化と第1楽章のピッチ修正以外はあえて手を加えておりません。ORFEO盤の ライナーノーツによると使用した素材テープには「強烈な雑音やそれに被さっている変調雑音、目立つハム音、歪み、バリバリ音、短い音飛び」があったようですが、 そこまでの不良箇所は認められませんでした。なお、このCDにはORFEO盤には含まれていない終了後の拍手の音(一瞬)も収録しています。
フルトヴェングラー最後の咆哮ともいうべき54年バイロイトの第九 最晩年にもかかわらず、熱気と覇気を充分にみなぎらせ、最後まで緊張感を持って、圧倒的な迫力で壮絶なクライマックスに導いています。随所に見せるティンパ ニの強烈連打、終結部における急激なテンポ変動、火のように燃える激しさ、燃焼度は51年盤(リハーサルでなく本番での演奏)をも凌ぎ、枯淡の境地を見せて いる「ルツェルンの第九」にはないところです。 (Ki)

Pentatone
PTC-5187059(1CD)
モーツァルト:交響曲第35番「ハフナー」
.歌劇『後宮からの誘拐』K.384(作曲者自身によるハルモニームジーク版)より「序曲」
オーボエ協奏曲 ハ長調 K.271k/K.314*
交響曲第31番ニ長調 K.297/300a「パリ」
交響曲第31番より第2楽章「アンダンテ」の初稿版
クセニア・レフラー(Ob)*
ベルリン古楽アカデミー
ベルンハルト・フォルク(コンサートマスター)

録音:2022年9月27〜29日アルト=ブリッツ、クルトゥーアシュタール(ベルリン)
ベルリン古楽アカデミー(Akamus)が、PENTATONEレーベルでモーツァルトの交響曲録音をスタート!第1弾となるこのアルバムでは、20代のモーツァルト が作曲した交響曲第31番「パリ」と第35番「ハフナー」が選ばれています。
1778年、モーツァルトが22歳の時にパリで依頼され、完成させた交響曲第31番は、その地名を取って「パリ」の愛称で知られています。私的な場での初演 の後、パリの公開演奏会であるル・コンセール・スピリチュエルで演奏され、その後何度も演奏されている成功作でした。当時の最大規模のオーケストラの編成(弦 楽器群に加え、フルート、オーボエ、クラリネット、バスーン、ホルン、トランペットが各2、ティンパニ)で、モーツァルトがはじめてクラリネットを導入した交響曲となっ ています。ル・コンセール・スピリチュエルでの2回目の演奏会の際に、第2楽章が変更されたので、第2楽章には2種類の稿が残存しています。どちらの稿が最 初に作られたかには異論があるようですが、この2種類の稿はかなり印象の異なるため、この録音では、一般的に演奏される稿を第2楽章に配置し、異なる稿は「初 稿」としてアルバムの最後に収録しています。聴き比べができるうれしい内容です。
1782年に完成した交響曲第35番は、ザルツブルクの名家の息子で、モーツァルトの友人でもあったジークムント・ハフナー二世およびハフナー家のために作 曲されたセレナードを基としていることから、その姓を取って「ハフナー」と呼ばれています。2オクターヴの跳躍から始まる印象的な冒頭のテーマを持つ交響曲で、 「パリ」と同じく大規模な編成を取っています。
このアルバムには、20代のモーツァルトの作品を代表するこの2曲の交響曲に加え、やはり同時期に作曲されたオーボエ協奏曲と「後宮からの誘拐」の序曲が 収録されています。オーボエ協奏曲は、ザルツブルクの宮廷楽団に仕えていたイタリアのベルガモ出身のオーボエ奏者ジュゼッペ・フェレンディスのために1777 年の夏に作曲されたとされています。「後宮からの誘拐」は1782年に完成した3幕のドイツ語による歌劇で、1778年7月にウィーンのブルク劇場で初演されま した。当時のエキゾティックな「トルコ趣味」が特徴的な歌劇となっています。既存の作品をトルコ軍楽隊の影響を受けた管楽合奏(ハルモニームジーク)用に編曲 して演奏することが当時流行していましたが、ここではモーツァルト自身による管楽器合奏編曲版の「序曲」が収録されています。交響曲第35番「ハフナー」の終 楽章のテーマは「後宮からの誘拐」から取られており、それを示すようにアルバムでは「ハフナー」のすぐ後に「後宮からの誘拐」のハルモニームジーク版「序曲」 が配置されているのです。こうしたアルバム構成の妙もさすがベルリン古楽アカデミーのアルバムと言えるでしょう。
2022年に結成40周年を迎えたピリオド楽器オーケストラの老舗であるベルリン古楽アカデミー。現在までピリオド楽器演奏のトップランナーであり続け、先鋭 的な演奏で常に注目を集める録音をリリースしています。このモーツァルトでは、弦楽器6-5-4-3-2の編成で臨んでいます。ベルリン古楽アカデミーの演奏は豪 放にして繊細。圧倒的なトゥッティ、細やかに色彩が変化する緩徐楽章のハーモニーなど、相反する特徴が自然に共存するすばらしい演奏です。オーボエ協奏曲で は、同団の首席オーボエ奏者である、ピリオド・オーボエの第一人者クセニア・レフラーが担当し、美しい音色と圧巻のテクニックを聴かせてくれます。ハルモニーム ジーク版の「後宮からの誘拐」序曲における管楽器奏者たちの妙技ぶりも聴きものです。シリーズの続編に、期待が高まるベルリン古楽アカデミーのモーツァルト の交響曲シリーズ第1弾です。 (Ki)

Chateau de Versailles Spectacles
CVS-094(1CD)
ハイドン:交響曲「朝」「昼」「晩」
ハイドン:交響曲第6番ニ長調 「朝」Hob.I:6
 交響曲第7番ハ長調 「昼」Hob.I:7
グルック:精霊の踊り(歌劇「オルフェとユリディス」〔「オルフェオとエウリディーチェ」パリ版〕より)
ハイドン:交響曲第8番ト長調 「晩」Hob.I:8
ヴェルサイユ王室歌劇場O(古楽器使用)
ステファン・プレフニャク(指)

録音:2022年6月1-6日ヴェルサイユ宮殿「十字軍の大広間」
後に「交響曲の父」と綽名されることになるハイドンが若い頃、長く仕えることとなったエステルハージ侯爵家に来て間もなく宮廷催事のために 書いた3連作の交響曲「朝・昼・晩」。さまざまな楽器のソロを含む聴きどころ満載の物語性豊かなこの傑作は、同じオーストリアの音楽史を 舞台音楽の領域で大いに盛り上げたグルックの改革歌劇第1作「オルフェオとエウリディーチェ」とほぼ同時期に生まれました。フランス南西部 ビアリッツに拠点を置くバレエ・カンパニー「マランダン・バレエ・ビアリッツ」を率いるティエリー・マランダンは、後年フランス王室に迎えられフランス 王妃となった元オーストリア公女のマリー=アントワネットを描いた新作バレエのため、この3連作交響曲とグルックの歌劇からの抜粋を音楽と して選択。刺激に満ちたステージを彩った選曲をそのまま、ほかでもないアントワネット妃の本拠にもなったヴェルサイユ宮殿を舞台に古楽器 演奏で録音したアルバムの登場です。エステルハージ侯爵邸での交響曲演奏では使われなかったとも言われるチェンバロも、ここでは当時の 一般的な演奏習慣に倣って導入。その響きも絶妙な効果をあげる中、近年カウンターテナー歌手ヤクプ・ヨゼフ・オルリンスキとの共演でも注 目されているポーランドの気鋭古楽指揮者ステファン・プレフニャクが全編にわたりメリハリの利いたスリリングな演奏解釈を聴かせ、ハイドンとグ ルックの綴った作品の造形美を隅々まで堪能させてくれます。バレエとは別に音楽だけで鑑賞する甲斐のある充実録音です。

Orchid Classics
ORC-100257(1CD)
NX-B03
シューマン41/51
シューマン:交響曲第4番ニ短調
(1)初稿(1841)
(2)改訂版 Op.120(1851)
ブカレストSO
ジョン・アクセルロッド(指)

録音:2023年3月18-21日
シューマンの交響曲第4番は1841年の初稿と1851年の改訂版、2つのヴァージョンの存在が知られて います。クララと結婚した1841年に書かれたニ短調交響曲(初稿)は、シューマン自身は作品に自信を 持っていたものの、初演時に成功を収めることがなく、出版は見送られてしまいました。10年後の1851 年、シューマンはオーケストレーションなどの変更を行い、また楽章も切れ目なく続けて演奏されるように 改訂。1853年にシューマン自身の指揮で初演され、翌年出版。一方初稿は、シューマンの死後ブ ラームスが編集を行い、クララの反対意見を受けながらも楽譜を1891年に出版しました。現在ではもっ ぱら1851年の改訂版が演奏されますが、このアルバムでは2つのヴァージョンを演奏。シューマン自身の 言葉によると「野生的なフロレスタン(初稿)と穏やかなオイゼビウス(改訂版)」ほどに違うという各々の作 品を、2022年からブカレストSOの首席指揮者を務めるジョン・アクセルロッドが掘り下げます。

Altus
ALT-531(1CD)
ブルックナー:交響曲第7番 ホ長調 WAB.107(ノヴァーク版) ロー ター・ツァグロゼク(指)
読売日本SO

ライヴ録音:2019年2月22日/サントリーホール
ツァグロゼクと読響、2019年のライヴ録音。自らの信念、揺るぎない美学に基づく、磨きぬいたサウンドで奏でられるブルックナー7番です。美しくも壮大な交 響曲を緊張感を失わずに芯の通った音楽として巧みに築き上げる見事な手腕に脱帽。オーケストラと指揮者の一体感がすばらしく、後半楽章の充実ぶりにも目を 瞠る渾身の名演です。
ブックレットには、2023年7月に行われた電話インタビュー〈ローター・ツァグロゼクが語るブルックナー《交響曲第7番》〉(インタヴュー・翻訳・構成:来住 千保美)を掲載。「読響とブルックナー演奏をしたいと思った決め手は、読響の演奏スタイルを作る能力と響きの構築力の高さ」「《第7番》の仕事の質的内容、つ まり作曲技法、意味付けとそのバランスは交響曲というジャンルの中で、記念碑的なものだと思います」等々、貴重なコメントの端々から音楽に対する真摯なまな ざしが感じられます。 (Ki)
Altus
ALT-532(1CD)
モーツァルト:歌劇『フィガロの結婚』 序曲
ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 Op.68
坂入健司郎 (指)
読売日本SO

ライヴ録音:2022年4月29日読響創立60周年記念・甲府特別演奏会 YCC県民文化ホール(山梨県立県民文化ホール)
2022年に行われた「読響創立60周年記念 甲府特別演奏会」のライヴ録音です。指揮はこれが読響との初共演となった坂入健司郎。王道の管弦楽レパートリー をとりあげ正面からじっくりと組み立てていった演奏で、オーケストラと指揮者双方の長所が見事に混じりあっています。精緻なバランスを維持しながらも音楽が 大きくふくらんで発展していくブラームスは充実の聴き応え。
「じつに流れがいいブラームスだった。第1楽章の序奏は、淀みないテンポにより主部との連結もスムースだ(序奏の動機が発展して主題旋律を作り出すという 道筋の強調)。そして、歌謡的な旋律ではオーケストラに気持ちよく歌わせ、ハーモニーも立体的にふくらます。第2楽章でも、よく旋律を歌わせているのがわかる。 第3楽章は、慎重なバランス作りの結晶だ。スケルツォ部後半のリズムの踊らせ方もいい。終楽章も、沸騰することなく、冷静に組み立てていく。その先にあかあか と浮かび上がる巨大なコーダ。」(鈴木淳史/ライナーノートより)

Hanssler
HC-23050(2CD)
ヘルヴィ・レイヴィスカ(1902-1982):ピアノ協奏曲 ニ短調 Op.7(1935)
交響曲第1番変ロ長調 Op.23(1947)
オリヴァー・トリンドル(P)
シュターツカペレ・ワイマール 、
アリ・ラシライネン(指)

ン録音:2023年4月24〜27日/オーケストラ練習ホール、ワイマール(ドイツ)
ヘルヴィ・レイヴィスカは、20世紀フィンランドで交響曲をはじめとする大きな編成の管弦楽曲を手がけた作曲家のひとりです。1902年、ヘルシンキ生まれ。 エルッキ・メラルティンとアルトゥール・ヴィルナーにピアノと作曲を学びました。1933年から1968年までシベリウス・アカデミーでライブラリアンとして働き、 その合間に作曲を行いました。番号つきの3つの交響曲と番号のない「シンフォニア・ブレヴィス」、管弦楽のための「三重フーガ」、カンタータ、映画の音楽、管 弦楽組曲、歌曲、ヴァイオリン・ソナタ、ピアノ曲、室内楽曲を書いています。生前名声を得ることはなかったものの、近年、あらためて注目されるようになりました。
世界初録音の2曲。「ピアノ協奏曲 ニ短調」は、1931年から1935年にかけて作曲されました。「アレグロ・マ・ノン・トロッポ-アレグロ」「ヴィヴァーチェ」 「アンダンティーノ・マ・トランクィッロ-マエストーソ-アンダンティーノ・カンタービレ」の〈フーガ〉。1935年11月23日、エルンスト・リンコ(1889-1960) のソロ、トイヴォ・ハーパネン(1889-1950)指揮のヘルシンキ・フィルハーモニックにより初演されました。この初演に接したウーノ・クラミ、スルホ・ランタ、 セリム・パルムグレンといった作曲家たちは、彼女の構成力とオーケストレーションを賞賛した一方、ソロ・パートやクライマックスの処理に関して意見を述べました。 この曲は初演後、スコアが紛失したため、残っていたピアノ・リダクションとパート譜から復元して演奏と録音が行われました。独ヘンスラー・レーベルに多くのア ルバムを録音し、めったにしか演奏されない曲を献身的に紹介しているオリヴァー・トリンドル がソロを担当しています。
「交響曲第1番変ロ長調」は、1947年の作品です。「アレグロ・モデラート-テンポ・ディ・ヴァルス」「アンダンテ・ソステヌート」「ヴィヴァーチェ」の〈スケ ルツォ〉、「アレグロ・ノン・トロッポ」という古典的な4楽章で書かれています。ニルス=エーリク・フォウグステットがフィンランドRSOを指揮して1948 年3月18日に初演。この初演のためレイヴィスカは、85,000FIM(約4,000EUR)をローンで用意したと言われます。この作品は1951年までに3回演奏され、 2022年、70年の沈黙を経て蘇演されました。伝統主義者、ロマンティストという側面とマデトヤの影響のうかがえる交響曲です。
シュターツカペレ・ワイマールは、1491年に創設された最古のオーケストラのひとつ。アリ・ラシライネンは、シベリウス・アカデミーでヨルマ・パヌラに学び、フィ ンランドとスカンディナヴィア、ドイツやスイスのオーケストラを指揮してきました。

Arte dellarco Japan
ADJ-070(1CD)
オーケストラ・リベラ・クラシカ(OLC)第41回定期演奏会
ハイドン:交響曲第3番ト長調 Hob.I:3
 交響曲第102番変ロ長調 Hob.I:102
ベートーヴェン:交響曲第8番へ長調 Op.93
鈴木秀美(指)
オーケストラ・リベラ・クラシカ

ライヴ録音:2018年6月23日/三鷹市芸術文化センター 風のホール
オーケストラ・リベラ・クラシカ(OLC)第41回定期演奏会をライヴ収録した当盤は、ハイドンの交響曲第3番、第102番、そしてベートーヴェンの交響曲第8 番です!
大規模室内楽のようなハイドン初期作品の特徴があらわれた交響曲第3番、いぶし銀のような雰囲気と音色が魅力の第102番、そして哄笑とユーモア、狂気?! のベートーヴェンの交響曲第8番を鈴木秀美率いるOLCによるオリジナル楽器の色彩豊かな音色でお送りいたします! (Ki)

Onyx
ONYX-4243(1CD)
日本語解説付き限定盤
チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調 作品74 「悲愴」 ドミンゴ・インドヤン(指)、
イヤル・リヴァプールPO

録音(ライヴ):2021年11月18日&21日
2006年から15年間、ロイヤル・リヴァプールPOの首席指揮者を務めたワシリー・ペトレンコに代わり、2021年9月から新たな首席奏者に就任したアルメニア系ベネズエラの若き注目指揮者、ドミンゴ・インドヤン。
ONYX-からはこれまでに、フランスの管弦楽作品集、ラテン・グラミー賞獲得作曲家、ロベルト・シエッラによる交響曲第6番をリリースしてきたインドヤン。本アルバムは、東京エムプラスの創立30周年を記念した日本限定盤として、チャイコフスキーが最後に完成させた大作、交響曲第6番 「悲愴」 を収録。チャイコフスキーが切り開いた独自の境地が示されたこの作品は、19世紀後半の代表的交響曲のひとつとして高く評価されています。
今回収録された 「悲愴」 は、インドヤンがRLPOの首席指揮者に就任して間もない2021年11月に行われた演奏会のライヴ録音で、前半に地元出身の名ピアニスト、スティーヴン・ハフを独奏者に迎えたブラームスのピアノ協奏曲第1番、後半にこの 「悲愴」 という曲目で、11月18日と21日の2回行われました。日本向けの特別企画についてロイヤル・リヴァプールPO、ONYX-(オニックス)と協議を重ねた結果、両者の全面的な協力により、「悲愴」の日本限定でのリリースが実現しました。ベネズエラの音楽教育プログラム「エル・システマ」でヴァイオリンを学び頭角を現し、BBCプロムスでの指揮姿が話題となったドミンゴ・インドヤンが、ペトレンコ時代とは一味違った解釈でこの傑作の持つ魅力を引き出しています。
増田良介氏による書き下ろしの日本語解説付き、そして、カバー、バックインレイも日本語仕様に拘った完全限定生産盤です。

ODRADEK RECORDS
ODRCD-440(2CD)
マーラー:交響曲全集Vol.1
(1)スカラタッツィーニ(b.1971):魔力
(2)マーラー:交響曲第4番ト長調
(3)スカラタッツィーニ:調和
(4)マーラー:交響曲第5番嬰ハ短調
ジモン・ガウデンツ(指)
イェナ・フィルハーモニー
(2)リナ・ジョンソン(S)

録音:(1)(2)2022年4月27-30日、 (3)(4)2022 年5月17-20日
ここ10年ほどで特に注目を浴びている指揮者、ジモン・ガウデンツが、音楽総監 督を務めるイェナ・フィルハーモニーを指揮してマーラーの交響曲、それも第 4番と 第5番を一気に2枚でリリース。ジモン・ガウデンツは1974 年、スイスのバーゼルの 生まれ。2010年から 2013年までデンマークのオーデンセSOの首席客演指 揮者を務め、軽快で見通しの良い新鮮な音楽で評判を呼んだ。2018 年にイェナ・フ ィルハーモニーの音楽総監督に就任し、この歴史ある町のオーケストラの水準を大 いに高めています。ここでのマーラー2曲はどちらもガウデンツの力量が良く表れた名 演。音楽は常に明快で重くなることがなく、しかし分析的になったり冷たさを感じさせ たりすることもなく、あくまで風通し良く前に進む。力みなく響きが鳴るのでマーラー の大編成でももたれることなく、耳に心地よい。まだ 40代のガウデンツ、これを聞け ば今後が楽しみになること間違いない。 各交響曲の前に収録されているアンドレア・ロレンツォ・スカルタッツィーニ(1971 年 生まれ)は、2018年からイェナ・フィルハーモニーのコンポーザー・イン・レジデンス を務めています。リナ・ジョンソンは近年メキメキと頭角を現しているソプラノ。ノルウェー のアウステヴォル生まれで、両親はノルウェー人と米国人。

GRAND SLAM
GS-2300(1CD)
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」 イルムガルト・ゼーフリート(S)
ロゼッテ・アンダイ(A)
アントン・デルモータ(T)
パウル・シェフラー(Bs)
ウィーン・ジングアカデミーcho
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)VPO

録音:1953年5月31日/ムジークフェラインザール(ウィーン)
使用音源:Private archive(2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:モノラル(ラジオ放送用録音)
■制作者より  
1953年1月23日、フルトヴェングラーはウィーン・フィルとの第9公演の第3楽章の途中で意識を失い、倒れてしまいました。計3回の公演はキャンセル され、フルトヴェングラーは入院しました。同年5月末の第9はその振り替え公演であり、フルトヴェングラーは立派にリベンジを果たしたのです。  当シリーズでこの第9を発売するために何年もかけて準備をし、音も含めて資料性の高いものを目ざしました。まず、フルトヴェングラーが倒れたその時に会 場にいた人の貴重な証言、キャンセルされた公演のプログラム、5月31日のプログラムとチケット、サナトリウムに入院しているフルトヴェングラーを捉えた珍 しい写真等、現時点で揃えられるものはすべて投入しました。これらの資料を最も有効な形にするために、このCDを制作したと言っても過言ではありません! (平林 直哉)
GRAND SLAM
GS-2301(1CD)
(1)シューマン:交響曲第4番ニ短調 Op.120
(2)バッハ:管弦楽組曲第3番ニ長調 BWV1068
(3)ベートーヴェン:交響曲第8番ヘ長調 Op.98
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)BPO

録音:(1)1953年5月14日ベルリン=ダーレム、イエス・キリスト教会
(2)1948年10月24日、(3)1953年4月14日/ベルリン、ティタニア・パラスト

使用音源:Private archive (1)(2)(2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
(3)(2トラック、19センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:モノラル(録音セッション)(1)、(ラジオ放送用録音)(2)(3)
■制作者より  
不滅の名演、シューマンの交響曲第4番については、もはや説明不要でしょう。GS-2184(2018年)以来の最新リマスターで、新規のテープを使用し、最善 の方法で復刻しました。バッハは当シリーズ初登場です。ベートーヴェンのみ2トラック、19センチのテープを使用しており、GS-2198(2019年)以来のリマス ターですが、他の2曲同様、プロ用機器の威力がいかんなく発揮されています。とにかく、フルトヴェングラー&ベルリン・フィルの濃密さが1枚に凝縮されたディ スクです。(平林 直哉)

Goodies
78CDR-3914(1CDR)
ブラームス:交響曲第2番ニ長調作品73 ピエール・モントゥー(指)
サン・フランシスコSO

米 VICTOR11-9237/40
1945年3月19日サン・フランシスコ録音
ピエール・モントゥー(1875-1964)はフランス生まれの大指揮者。パリ音楽院で ヴァイオリンと指揮法を学び、1906年コロンヌOを指揮して指揮者デビュ ー。1911年からディアギレフのロシア・バレエ団の指揮者をつとめ、ストラヴィ ンスキーの「春の祭典」、「ペトルーシュカ」などの初演を指揮した。第一次 世界大戦(1914-1918)でモントゥーは兵役に服したが1916年に除隊、アメリカに 渡り、翌年からメトロポリタン歌劇場の指揮者に就任、1935年から1953年まで サンフランシスコSOの常任となり、同楽団の黄金時代を築いた。モントゥ ーはその後フリーになり1963年にLSOと共に来日した。

MClassics
MYCL-00045(1SACD)
税込定価
シベリウス:交響曲第3番ハ長調
カレリア組曲
交響詩「フィンランディア」
村川千秋(指)山形SO

録音:2022年4月16-17日 山形テルサホール、2023年1月15日 山形・やまぎん県民ホール 大ホール・ライヴ
山形SOの創立者で今年90歳を迎える巨匠、村川千秋と同楽団 の初CDが遂に登場です。当録音は、山形SOの創立50周年記 念となる第300回定期演奏会と、村川千秋の90歳を祝ったやまぎん県 民ホールでの公演の記念碑的なライヴ・レコーディングです。50年前村川 が種を蒔き山形県民によって愛され育った山形SO。収録曲は村 川千秋が最も大事にするレパートリーであるシベリウス。情熱の漲る村川 のタクトによって、山形の自然を想起させる壮大で豊かなシベリウスの音楽 が威風堂々奏でられます。温かみのある美しい弦楽器、色彩豊かなソロ イスティックな木管楽器、力強く輝かしい金管、打楽器セクション。日本の 地方オーケストラの雄へと成長した、現在の充実した山響のサウンドが堪 能出来ます。村川千秋が自身を捧げ、心血を注ぎこんできた山響とシベ リウス。次の未来へと繋ぐ決意漲る魂のハーモニーです。

Dynamic
DYNDVD-37950(3DVD)
NX-D05

DYNBRD-57950(2Bluray)
NX-D05
ベートーヴェン:交響曲全集

【DVD】
Disc1…交響曲第1番-第3番
Disc2…交響曲第4番-第6番
Disc3…交響曲第7番-第9番
【Blu-ray】
Disc1…交響曲第1番-第5番
Disc2…交響曲第6番-第9番
フィレンツェ五月音楽祭O
マンディ・フレドリッヒ(S)
マリー・クロード・シャピュイ(Ms)
AJ. グリュッカート(T)
タレク・ナズミ(Bs)
フィレンツェ五月音楽祭cho
ズービン・メータ(指)

収録:2021年9月-10月、2022年9月フィレンツェ五月音楽祭歌劇場(イタリア)
収録時間:382分
音声:ドイツ語(交響曲第9番のみ)
PCMステレオ2.0/DTS5.1(DVD)
PCMステレオ2.0/DTS-HD Master Audio5.1(Blu-ray)
字幕:なし
画角:16/9 NTSC All Region
DVD…片面ニ層ディスク×3
Blu-ray…片面ニ層ディスク×2 1080i High Definition
ズービン・メータは1936年生まれ。小澤征爾(1935年生まれ)と同じ世代になります。ウィーンで学び、1959年にはウィーン・フィルとベルリン・フィルを指揮 して好評を博し、以来国際的な活躍は60年を越えました。そのメータにしてベートーヴェンの交響曲全集の録音・録画が今まで無かったのには驚かされま す。 メータが初めてベートーヴェンの交響曲を録音したのは1974年録音の第7番。ロサンゼルス・フィルの音楽監督に就いてから実に12年目のことで、ベートー ヴェンの交響曲に対してはかなり慎重に臨んでいたことがうかがわれます。その後、1978年に第5番と第8番を、1980年に第3番をニューヨーク・フィルと録 音。セッション録音されたものはこれがすべて、という少なさです。 一方コンサートでは定期的に取り上げており、第3、5、6、8、9番にはライヴ録音盤があります。第5番には、ベルリン・フィルとイスラエル・フィルとの合同コン サートという極めて特別なイベントのライヴがあり、第9ではニューヨーク・フィルとの特別演奏会(1983年)、バイエルン放送響、ミュンヘン・フィル、バイエルン 国立管の合同オーケストラとの東日本大震災復興支援コンサート(2011年)、東京バレエ団創立50周年記念公演のモーリス・ベジャール振付によるバレ エ版(イスラエル・フィル、2014年)の3種があります。これらからメータがベートーヴェンの交響曲に特別な思いを持っていることが想像されます。 そのメータが人生初のベートーヴェン交響曲全集のパートナーに選んだのはフィレンツェ五月音楽祭O。1985年から32年の長きにわたり首席指揮 者を務め、その後もしばしば歌劇やコンサートで共演を重ねています。このコンビのベートーヴェン・ツィクルスは当初ベートーヴェンの生誕250年にあたる 2020年の秋から翌年初めに予定されていましたが、新型コロナ感染症の拡大で延期となり、2年後に完結したもの。彼らの熱意とこだわりがうかがわれま す。 ここでの演奏は、歴史的奏法を採り入れたスリムでシャープな演奏とも、ドイツ風の低重心なサウンドによる演奏とも異なり、また40〜50年前のメータのよう なダイナミックで豊麗なスタイルとも異なります。テンポは全体的にゆったりとして、一つ一つの音とフレーズをかみしめるようなメータの指揮をオーケストラが渾 身の演奏で支えています。それでいてサウンドは明るく軽く、何か吹っ切れたようなものを感じさせます。新しさの追求でもなく、古き良き時代への回顧でもな く、とても独特で個性的なベートーヴェン演奏と言えるでしょう。イタリアのオーケストラによるベートーヴェン交響曲全集はとても少なく、その点でも興味深い 企画となっています。
DynamicCDS-7950(5CD)
NX-D05
ベートーヴェン:交響曲全集(全9曲) フィレンツェ五月音楽祭O
マンディ・フレドリッヒ(S)
マリー・クロード・シャピュイ(Ms)
AJ. グリュッカート(T)
タレク・ナズミ(Bs)
フィレンツェ五月音楽祭cho
ズービン・メータ(指)

収録:2021年9月-10月、2022年9月フィレンツェ五月音楽祭歌劇場(イタリア)
ズービン・メータは1936年生まれ。小澤征爾(1935年生まれ)と同じ世代になります。ウィーンで学び、1959年にはウィーン・フィルとベルリン・フィルを指揮 して好評を博し、以来国際的な活躍は60年を越えました。そのメータにしてベートーヴェンの交響曲全集の録音・録画が今まで無かったのには驚かされま す。 メータが初めてベートーヴェンの交響曲を録音したのは1974年録音の第7番。ロサンゼルス・フィルの音楽監督に就いてから実に12年目のことで、ベートー ヴェンの交響曲に対してはかなり慎重に臨んでいたことがうかがわれます。その後、1978年に第5番と第8番を、1980年に第3番をニューヨーク・フィルと録 音。セッション録音されたものはこれがすべて、という少なさです。 一方コンサートでは定期的に取り上げており、第3、5、6、8、9番にはライヴ録音盤があります。第5番には、ベルリン・フィルとイスラエル・フィルとの合同コン サートという極めて特別なイベントのライヴがあり、第9ではニューヨーク・フィルとの特別演奏会(1983年)、バイエルン放送響、ミュンヘン・フィル、バイエルン 国立管の合同オーケストラとの東日本大震災復興支援コンサート(2011年)、東京バレエ団創立50周年記念公演のモーリス・ベジャール振付によるバレ エ版(イスラエル・フィル、2014年)の3種があります。これらからメータがベートーヴェンの交響曲に特別な思いを持っていることが想像されます。 そのメータが人生初のベートーヴェン交響曲全集のパートナーに選んだのはフィレンツェ五月音楽祭O。1985年から32年の長きにわたり首席指揮 者を務め、その後もしばしば歌劇やコンサートで共演を重ねています。このコンビのベートーヴェン・ツィクルスは当初ベートーヴェンの生誕250年にあたる 2020年の秋から翌年初めに予定されていましたが、新型コロナ感染症の拡大で延期となり、2年後に完結したもの。彼らの熱意とこだわりがうかがわれま す。 ここでの演奏は、歴史的奏法を採り入れたスリムでシャープな演奏とも、ドイツ風の低重心なサウンドによる演奏とも異なり、また40〜50年前のメータのよう なダイナミックで豊麗とも異なります。テンポは全体的にゆったりとして、一つ一つの音とフレーズをかみしめるようなメータの指揮をオーケストラが渾身の演奏で 支えています。それでいてサウンドは明るく軽く、何か吹っ切れたようなものを感じさせます。新しさの追求でもなく、古き良き時代への回顧でもなく、とても独 特で個性的なベートーヴェン演奏と言えるでしょう。イタリアのオーケストラによるベートーヴェン交響曲全集はとても少なく、その点でも興味深い企画となって います。

ANALEKTA
AN-28884(2CD)
NX-D09
クララ、ロベルト、ヨハネス 〜ロマンスと対位法
シューマン:交響曲第4番ニ短調 Op.120
クララ・シューマン:3つのロマンス 〜ヴァイオリンとピアノの為の Op.22*
 3つのロマンス 〜ピアノの為の Op.11
 ロマンス ロ短調
ブラームス:交響曲第4番ホ短調 Op.98
C.シューマン:ゼバスティアン・バッハの主題による3つのフーガ
 前奏曲とフーガ 嬰へ短調
 3つの前奏曲とフーガ Op.16
スチュワート・グッドイヤー(1978-):クララ・シューマンの主題による即興
ナショナル・アーツ・センターO
アレクサンダー・シェリー(指)
スチュワート・グッドイヤー(P)
アンジェラ・ヒューイット(P) *
川崎洋介(Vn) *

録音:2019-2023年
それぞれ4曲あるシューマンとブラームスの交響曲を第1番から1曲ずつとクララ・シューマンの作品を収録し、3人の親密な関係を紐解こうとい う企画の第4弾にして完結編。ディスク1枚目にはロベルトがクララの誕生日に贈った交響曲第4番と、クララによる「ロマンス」を収録。2枚目 にはブラームスがバッハを始めとしたバロック以前の作品研究の成果を巧みに盛り込み昇華した交響曲第4番と、バッハを手本に対位法を駆 使したクララのピアノ作品を収録しています。アレクサンダー・シェリーとナショナル・アーツ・センター管によるこれら2つの交響曲は、速めのテンポ 設定と力強さ、隅々までよく歌いメリハリの効いた表現がたいへん効果的な充実した演奏。クララの室内・器楽作品には前作同様スチュワー ト・グッドイヤーが参加してリリカルなピアノを聴かせてくれるほか、ラストにはクララをテーマにした美しい即興も披露しています。また作品22に は名手アンジェラ・ヒューイットが登場、ここでは川崎洋介のヴァイオリンによく寄り添い、情感あふれる表現で作品のロマン性をよく引き出して います。

ICA CLASSICS
ICAC-5172(1CD)
NX-B03
ベルリオーズ:劇的交響曲「ロメオとジュリエット」 H.76より
 争い - 騒動 - 領主の仲裁
  ロメオ一人 - 哀しみ - 遠くから聞こえる音楽と舞踏会 - キャピュレット家の饗宴
 愛の場面 - 夜 - キャピュレット家の庭
 スケルツォ 〜「女王マブ」
 キャピュレット家の墓のロメオ - 祈り - ジュリエットの目覚め -忘我の喜び、絶望 - 最後の苦しみと恋人たちの死
スクリャービン:法悦の詩*
BBC響&cho
LSO*
ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー(指)

録音:1976年1月24日 ロイヤル・フェスティバル・ホール*
1981年4月1日 ロイヤル・アルバート・ホール
いずれもライヴ、ステレオ
2018年に亡くなったロシアの巨匠ゲンナジー・ロジェストヴェンスキーは、自国の音楽の優れた解釈者であると同時に、ロシアを超えて広くレ パートリーを求め続けたことでも知られますが、今回BBCのアーカイヴから登場する2つの初出レパートリーは、国や時代の異なる作品に対応 する彼の高い音楽性と統率力を堪能出来る内容となっています。ロジェストヴェンスキーのベルリオーズといえば、1971年レニングラード・フィ ルとのロンドンでの爆演を始めとした数種類の「幻想交響曲」が有名ですが、ここにハイライトとは言え、大作「ロメオとジュリエット」が登場する ことはたいへん喜ばしいことと言えるでしょう。「幻想」からさらに磨きを掛けた絢爛豪華なオーケストレーションの妙を存分に発揮させ、BBC響 を自在に操った細部のコントロールと力の解放はロジェストヴェンスキーの面目躍如。その5年前のライヴとなるロンドン響とのスクリャービンも、 自国で生まれた革新的な作品への深い理解と表現意欲をひしひしと感じる熱量の高いものとなっています。ライヴの音場感をよく伝え、レン ジも広く見透しのクリアなポール・ベイリーによるリマスターも、この演奏の素晴らしさを十二分に伝えています。

DB Productions
DBCD-210(1CD)
NX-B07
メンデルスゾーン:交響曲第3番 イ短調 Op.56「スコットランド」
ヘレン・グライム(1981-):Elegiac Inflections
ピーター・マックスウェル・デイヴィス(1934-2016):ストラスクライド協奏曲第10番 Op.179
ヴェステロース・シンフォニエッタ
サイモン・クロフォード=フィリップス(指)

録音:2022年6月13-17日
スコットランドに因んだ3つの作品を紹介するアルバム。メンデルスゾーンの交響曲第3番は、タイトルに 「スコットランド」とあるように、彼が同地を旅行していた際に構想されたもの。ヘレン・グライムはスコットラ ンド生まれの現代作曲家。2016年からウィグモア・ホールのコンポーザー・イン・レジデンスを務めるなど 活躍しています。マクスウェル=デイヴィスの「ストラスクライド協奏曲」はスコットランド室内Oのた めに書かれた10曲からなる協奏曲の中の最後の曲。なかでも、各奏者たちの妙技が生かされた快活 な終楽章が聴きどころです。

VOX
VOXNX-3021CD(1CD)
NX-B03
チャイコフスキー:交響曲第3番「ポーランド」
幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」
ユタSO
モーリス・アブラヴァネル(指)

録音:1972-73年
1974年LP初リリース
ピアノ協奏曲第1番やバレエ音楽「白鳥の湖」と相前後して書かれた交響曲第3番は、長調で始まる5楽 章構成というチャイコフスキーの交響曲としては例外的な作品です。アブラヴァネルの明晰な指揮は、民族 舞曲の要素を的確に打ち出しつつ、各楽章をくっきりと性格づけており、オケの明るめのサウンドと相まって 楽しめる録音になっています。「フランチェスカ・ダ・リミニ」は、ややもすれば重苦しく晦渋になりがちな曲です が、アブラヴァネルとユタ響は曲のドラマ的な展開を明瞭に音にしてゆき、クライマックスでは壮絶なサウンドを 聴かせます。混濁の少ない広々とした音場の中に、金管・木管がクリアかつ自然に立ち現れる録音が大き な効果を挙げています。
VOX
VOXNX-3025CD(1CD)
NX-B03
チャイコフスキー:マンフレッド交響曲
スラヴ行進曲
ユタSO
モーリス・アブラヴァネル(指)

録音:1972-73年
1974年LP初リリース
チャイコフスキーの交響曲全集を作る時にこの曲を除外する指揮者は少なくありませんが、アブラヴァネルと ユタ響の録音はこの曲のファンにとって嬉しい贈り物と言えるでしょう。アブラヴァネルの解釈と指揮は楽曲の 構造と音楽の展開をわかりやすく伝える点で「啓蒙的」と呼びたくなるようなもの。ここでも緩急の巧みな推 移によってドラマの展開をわかりやすく伝えてくれます。同時にチャイコフスキーが用いた様々な管楽器のサウ ンドを誇張なくクリアに捉え、広い音場の中に再現する録音も見事で、これが50年前のものと知って感心 する人は多いでしょう。緩やかな歌と巧みなテンポアップとの対比は「スラヴ行進曲」で一層の効果を挙げて います。

Signum Classics
SIGCD-760(2CD)
マーラー:交響曲第2番「復活」 サントゥ=マティアス・ロウヴァリ(指)
フィルハーモニアO、
マーリ・エーリクスモーエン(S)、
ジェニファー・ジョンストン(Ms)、
フィルハーモニアcho

ライヴ録音:2022年6月8日、サウスバンク・センターズ・ロイヤル・フェスティヴァル・ホール
クレンペラー、マゼール、シノーポリ、そしてサロネンと引き継がれてきたフィルハーモニアOのマーラー演奏の歴史に新たな1ページが加わりました。しかしそれはマーラー自身の「伝統とは火を守ることであり、灰を崇拝することではない」という言葉を体現しているかのように、新鮮な演奏で2021年より首席指揮者として活躍しているサントゥ=マティアス・ロウヴァリとフィルハーモニアOの更なる飛躍を感じさせるものとなりました。
ロウヴァリは元々打楽器奏者としてキャリアをスタートさせシベリウス音楽院で研鑽を積みましたが、やがて指揮にも興味を持つようになりました。2013年に初めてフィルハーモニア管を指揮し、2018年には首席客演指揮者になっています。そして2021年の首席指揮者就任時オープニングコンサートではR.シュトラウスを披露し、その録音(OSIGCD--720,SIGCD--720)は、レコード芸術誌において「特選盤」に選ばれています。

DUX
DUX-1897(1CD)
ジェジュン・リュウ(b.1970):交響曲第2番(世界初録音) スンヘ・イム(S)、ミョンジュ・イ(S)、ジョンミ・キム(Ms)、オリヴァー・クック(T)、サミュエル・ユン(Bs-Br)
ラルフ・ゴトーニ(指)
韓国国立cho、スウォン市cho、ソウル国際音楽祭O

録音:2021年10月22日
COVID-19の混乱の中、発表された交響曲第2番は、5人のソリストと合唱団を含む、非常に大きな編成で作曲されました。歌詞にはシェイクスピアのソネットが採用され、混沌とする世界や、未来への希望が表現されています。2021年のソウル国際音楽祭の開幕前日に、世界初録音として収録されました。

Gutman Records
GUTMANCD-173(1CD)

JGUTMANCD-173(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価
マーラー:交響曲第4番ト長調(エルヴィン・シュタイン編曲室内アンサンブル版) カメラータRCO、
ルーカス・マシアス・ナバロ(指)、
ユディト・ファン・ヴァンロイ(S)

録音:2017年5月18日-20日、MCO(ヒルフェルスム、オランダ)
2007年から2015年までロイヤル・コンセルトヘボウO(RCO)の首席オーボエ奏者を務めたほか、クラウディオ・アバドから厚く信頼されルツェルン祝祭Oやアバドが設立したモーツァルトO(ボローニャ)の首席奏者にも招かれるなど、名実ともにトップ・オーボイストに登り詰めたスペイン出身のルーカス・マシアス・ナバロ。現在は活躍の場を指揮者というポジションに移し新たな経験と実績を積み上げているナバロが、RCO退団後の2017年に“古巣”RCOのメンバーで構成されるカメラータRCOを指揮した、室内アンサンブル版によるマーラーの交響曲第4番。この室内アンサンブル版は、主宰する私的演奏協会でこの作品を演奏したいと望んでいたシェーンベルクの依頼で、弟子であり友人でもあったエルヴィン・シュタインによって編曲されたもの。金管楽器を一切使用せず、各パート1名ずつの弦楽器と木管楽器にピアノとアコーディオンを加えた12名編成となっており、室内楽的な響きがこの作品の持つ天国的な美しさと好相性を生み出しています。ソプラノ独唱には幅広いコンサート・レパートリーを持ち、RCOとの共演経験も持つオランダ出身のソプラノ、ユディト・ファン・ヴァンロイを起用。こちらも見事な歌唱を聴かせてくれています。
Gutman Records
GUTMANCD-150(2CD)

JGUTMANCD-150(2CD)
日本語解説付国内盤
税込定価
マーラー:交響曲第9番ニ長調(クラウス・ジモン編曲室内アンサンブル版) カメラータRCO、
グスターボ・ヒメノ(指)

録音:2014年6月27日-29日、MCO(ヒルフェルスム、オランダ)
2001年からロイヤル・コンセルトヘボウO(RCO)の打楽器奏者として同団を支え、2012年からはマリス・ヤンソンスの副指揮を務めるなどまさにRCOを知り尽くしている打楽器奏者&指揮者、グスターボ・ヒメノが、RCOのメンバーで構成される室内アンサンブル、カメラータRCOを指揮した室内アンサンブル版によるマーラーの交響曲第9番。編曲はBastille Musiqueレーベルにも自身の編曲・指揮でマーラーの交響曲第5番(RBM003/BM003)を録音しているドイツ生まれのピアニスト兼指揮者、クラウス・ジモンによるもので、各パート1名ずつの弦楽器と木管楽器、金管楽器にピアノとアコーディオンが加わった16名編成での演奏。編成の小ささによって各声部がクリアになり大編成のオーケストラとは一味違った新鮮な響きを獲得できていることに加え、マーラーの演奏に豊富な経験を持つメンバーの個々の技量の高さも浮き彫りとなり、まったく物足りなさを感じさせない充実の演奏はマーラー・ファンはもちろん、マーラーの大編成サウンドを得意としない人にもぜひとも聴いてほしい一枚です。この度Gutman Recordsの取り扱い開始を記念して、解説日本語訳に加え鈴木淳史氏の書き下ろし解説を封入した国内仕様盤も同時リリースいたします!
Gutman Records
GUTMANCD-211(1CD)

JGUTMANCD-211(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価
ブルックナー:交響曲第7番ホ長調(アンサンブル版) カメラータRCO、
オリヴィエ・パテイ(指)

録音:2019年10月6日、聖バーフ大聖堂(ハーレム、オランダ)
ロイヤル・コンセルトヘボウO(RCO)の首席クラリネット奏者、オリヴィエ・パテイがRCOのメンバーで構成される室内アンサンブル、カメラータRCOを指揮し、小編成によるブルックナーの交響曲第7番をレコーディング。有名な第2楽章をはじめこの作品が持つ旋律美をフル・オーケストラとは違ったサウンドで堪能することができる聴き逃がせない録音です。弦五部とクラリネット、ホルン、ティンパニにピアノとアコーディオンを加えた計10名での演奏で、一般的に採用されるハンス・アイスラー、エルヴィン・シュタイン、カール・ランクルらの共同編曲による室内アンサンブル版とは異なる編成となっている点にも注目です。国際的な名声を得るきっかけとなったブルックナー屈指の人気作を、RCOの精鋭たちが奏でる小編成ならではの明瞭さを備えた新鮮な演奏でお楽しみください。
1981年フランス生まれのクラリネット奏者、オリヴィエ・パテイはARDミュンヘン国際音楽コンクールで聴衆賞、カール・ニールセン国際コンクールで第1位を獲得しソリストとしてのキャリアをスタート。また20歳でパリのギャルド・レピュブリケーヌに入団し、その後もロッテルダム・フィル、マーラー室内管などの名門オーケストラで地位を築き、2013年からRCOの首席奏者を務めています。このレコーディングでは指揮の役割を務め、それぞれが非常に高い技量を持つ同僚たちをうまくまとめ上げ、さらに個々の魅力も最大限に引き出しています。


Treasures
TRE-293(1CDR)
超厳選!赤盤名演集Vol.11〜クレンペラーの「大地の歌」
マーラー:大地の歌
フリッツ・ヴンダーリッヒ(T)
クリスタ・ルートヴィッヒ(Ms)
オットー・クレンペラー(指)
フィルハーモニアO、ニュー・フィルハーモニアO

録音:1964年2月&1966年7月(ステレオ)
※音源:東芝 AA-8100
◎収録時間:63:53
“永遠に光り続ける普遍的芸術の象徴!”
■音源について
「東芝の赤盤」のしっかり芯が宿った音、音場の豊かな広がり、音を発した瞬間に音の粒子まで感じさせる手応は格別!英国EMIから技術者を招いて始動し、英仏メタルを用いてプレスしていた当時の川口工場(1955年発足)の優秀な技術の結晶と言えますが、初期の赤盤はビニールの素材が関係しているのか微妙なチリチリノイズの混入率が高いので、CD-R復刻に際してはそれが回避された第二版以降にも耳を通して最良のものを採用しています。
なお、1971年に新設した御殿場の大工場に移設以降の音質は下降の一途を辿り、赤盤もなくなりました。

★言わずと知れた同曲の不朽の名演奏。晩年のクレンペラーのイメージを覆すアグレッシブな表現と、声楽陣揺るぎなき共感とフォルムが一体化してたこの説得力を超越するものは未だに登場せず、今後も考えられません。
第1楽章でまず耳に飛び込むのは、冒頭における懐の深さとスケール感を兼ね備えたクレンペラーの指揮。老境特有のリズムの弛緩がないので、音量の大きさではなくあくまでも空間の広がりが見事に再現されます。続くヴンダーリッヒは、持ち前の清々しい美声より幾分くすみを帯びた重心の低い音色を発し、その色合いがクレンペラーの敷き詰める色彩と絶妙にマッチして、この楽章に不可欠な厭世観を余すことなく表出。3:45以降のオケのみで奏される箇所は、奏者の顔もクレンペラーの顔も浮かばない程ひたすら音楽のみが淀みなく流れ、そこから導かれる諦観力に言葉も出ません。後半6:16以降、ヴンダーリッヒが放つ内なる叫びの凄さは、何度聴いても鳥肌もの。第2楽章は水墨画を思わせるオケの色彩は世の儚さを知る人間だけが為せる技。ルートヴィッヒの歌唱は、後年のバーンスタイン、カラヤンとの共演盤も高水準ながら、オケのニュアンスとの相乗効果はこの録音には敵いません。第3楽章は何と言ってもテンポが味!3分半を超えるゆったり感の中からしか五音音階ならではのニュアンスは醸し出されないと痛感するばかり。それに歩調を合わせるヴンダーリッヒも、楷書の筆致で丁寧に表情を紡ぎます。終楽章のルートヴィッヒは、バーンスタイン盤では陰のニュアンスに比重が置かれていたのに対し、ここではより自然で大きな構えの中からニュアンスが浮上。「「おお見よ、銀の小船のように月が青い空に…」の一節など音楽の構えが大きく、呼吸にも伸びやかさと深みが感じられます。
 人間誰しも人生を悲観的に捉える瞬間はあるものですが、情報が氾濫し、容易に模範解答が見つかる現代においては、一人で悩み苦しむしかない闇の怖さと、やっと見出した一筋の光の有り難さ、美しさを身をもって知る人間とはその「悲観」の意味合いは異なり、それを演奏に投影させる方法も多様化して当然です。しかしこのクレンペラー盤には、時代に関係なく全ての人間が抱える「生きることの難しさ」という命題が内包されており、それを普遍的な芸術美にまで昇華させた空前絶後の名演として永遠に存在意義を失わない演奏だと確信しています。【2023年8月・湧々堂】

ALIA VOX
AVSA-9955(1SACD)
メンデルスゾーン:交響曲第4番「イタリア」
1-4最終稿(1834年)
5-8初稿(1833年)
ジョルディ・サヴァール(指)
ル・コンセール・デ・ナシオン〈リナ・トゥール・ボネ(コンサートミストレス)〉

録音:2022年10月26-28日、カタルーニャ自治州カルドーナ城参事会教会
ジョルディ・サヴァールがメンデルスゾーンを録音しました!サヴァールのディスコグラフィで初登場の作曲家です。これまで、古代や中世・バロックの音楽を 国や地域を問わず奏でてきたサヴァール。近年はハイドン、ベートーヴェン、シューベルトに続いて、19世紀の音楽へとその足を伸ばし、歴史の中で生まれた 素晴らしい作品を新鮮かつごく自然な形で響かせ、当時の人々が受けた衝撃と感動を現代の私たちに追体験させてくれています。 今回の曲は天才メンデルスゾーンが旅から受けた感動がこれ以上ない躍動感で表出している「イタリア」、しかも2種の稿を収録。コンサートミストレスは人気急上昇のボネ、ということで、ど こをとっても大注目の新譜です!
オーケストラは、リナ・トゥール・ボネがコンサート・ミストレスを務めるほか、2022年メンデルスゾーン・アカデミーに参加した若手奏者からの選抜メンバー も参加しているなど、メンデルスゾーンへの並々ならぬ思い入れのあるメンバーたちによって構成されています。
交響曲第4番は1833年、メンデルスゾーン自身の指揮で初演され、絶大に高い評価を受けましたがメンデルスゾーン自身は満足することはなく、この作品 の改訂を求め、二度と指揮することはありませんでした。メンデルスゾーンは、第2楽章のテーマをシンプルにし、続く楽章のトリオをよりドラマティックにし、フィ ナーレにピチカートを入れ、フィナーレを長くしました(264小節から305小節に)。第1楽章の改訂版は現存していませんが、手紙から何かしらの加工を試 みたと考えられています。1834年のこの改訂稿は2001年になって初めて出版されました(これには19世紀におけるメンデルスゾーン(=ユダヤ)をめぐ る事情などもあったと考えざるをえません)。1847年(メンデルスゾーンの死後)に上演された時に会場にいたベルリオーズは「メンデルスゾーンの交響曲は、 金メダルのように一瞬にして鋳造された傑作です。」と述べています。サヴァールはメンデルスゾーンの手紙などを検証、検討を重ねた結果、両方のヴァージョ ンを録音することに決めました。「お聴きになられると、どちらの版も、色彩、リズム、器楽書法、すべてにおいて見まごう事なき天才の刻印があらわれている ことに驚くでしょう」と述べています。サヴァールがおしげもなく軽やかに提示し解放する、天才メンデルスゾーンの創造の軌跡と天才の刻印、天才が旅から受 けた豊かな刺激の実りを強く感じる演奏です。 (Ki)

GRAND SLAM
GS-2297(1CD)
ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」 ブルーノ・ワルター(指)コロンビアSO

録音:1958年1月13、15、17日/カリフォルニア、アメリカン・リージョン・ホール
使用音源:Private archive (2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:ステレオ(録音セッション)
■制作者より  
2014年8月に発売したGS-2115以来、9年ぶりのリマスターで再登場です。今回復刻に使用したのはGS-2115と同じくアメリカから入手した2トラック、 38センチ、オープンリール・テープの「Safety copy」ですが、当GS-2297では音採りから最終調整まですべてプロ用の機器でマスタリングを行い、めざま しい効果を獲得しました。今度こそ、本当の〈最終形〉です。  解説書は内容を刷新し、このLPの国内初出に関連した情報を限りなく収集しました。国内盤に関する 情報こそ、日本のレーベルの仕事であると認識しています。(平林 直哉)

C Major
80-9504(5Bluray)
ブルックナー:交響曲全集
■BD1
交響曲ヘ短調WAB99(第00番「習作」)
交響曲ニ短調WAB100(第0番)
交響曲第5番変ロ長調WAB105
■BD2
交響曲第1番ハ短調 WAB101(ウィーン稿)
交響曲第7番ホ長調 WAB107(ノーヴァク版)
■BD3
交響曲第2番ハ短調,WAB102(第2稿/1877年)
交響曲第8番ハ短調,WAB108(ハース版/1939年)
■BD4
交響曲第3番ニ短調 WAB103(1877年第2稿・ノーヴァク版)
交響曲第6番イ長調 WAB106
■BD5
交響曲第4番変ホ長調『ロマンティック』(1880年第2稿 ハース校訂 1936年出版)
交響曲第9番ニ短調 WAB109(原典版 新全集IX、1951年出版 ノーヴァク校訂)
●ボーナス映像「ディスカヴァリング・ブルックナー」(日本語字幕付)
各交響曲について(ティーレマンと音楽学者ヨハネス=レオポルド・マイヤー氏による対話)
クリスティアン・ティーレマン(指) VPO
■BD1
収録:2021年3月ウィーン楽友協会(無観客ライヴ)
■BD2
収録:2021年2月、ウィーン楽友協会(無観客ライヴ)(第1番)、8月、ザルツブルク音楽祭(ライヴ)(第7番)
・マルツァー(第7番)
■BD3
収録:2019年4月(第2番)、10月(第8番)、ウィーン楽友協会(ライヴ)
■BD4
収録:2020年11月(第3番)、2022年4月(第6番)、ウィーン楽友協会(ライヴ)
■BD5
収録:2020年8月、ザルツブルク祝祭大劇場、ライヴ(第4番)、2022年7月、ザルツブルク祝祭大劇場、ライヴ(第9番)

画面:16:9、1080i
音声:PCMステレオ、DTS-HD MA5.0
■BD50
[ボーナス映像 ]
言語:ドイツ語、字幕:英韓,日本語
総収録時間:1018分
2024年のブルックナー生誕200年に向けたティーレマン&ウィーン・フィルによるプロジェクト「ブルックナー11/Bruckner11」が遂に全集で登場!5枚組のブルーレイ・ディスクでの発売です。
BD1は、第5交響曲そして「習作交響曲」と呼ばれている「ヘ短調WAB99」と「ニ短調WAB100」をウィーン・フィル史上初めて演奏・収録した話題作。そしてウィーン稿を使用した第1番と2021年8月のザルツブルク音楽祭で演奏された第7番を収録したBD2。BD3には、2019年にウィーン楽友協会で収録された第2番と第8番。交響曲中もっとも改訂稿の多い第3番と唯一改訂されていない第6番という組み合わせでリリースされたBD4。最後となる5枚目は、ともにザルツブルク音楽祭で演奏された第4番「ロマンティック」と未完の第9番という内容です。
さらに本セットには各交響曲についてティーレマンと音楽学者ヨハネス=レオポルド・マイヤー氏が語ったインタビューと、リハーサル風景を収録したボーナス映像が付属しています。9つの交響曲に関して、クリスティアン・ティーレマンは、最初の4つの交響曲ではそれぞれの第2稿を用い、『第8番』ではハース版を選択。そうした版に関する考えや、実際の演奏についてなど、個々の交響曲についてふたりが討論しています。その会話からは、ブルックナーの音楽に対する指揮者の知識の深さと、作品群への並々ならぬ洞察力が伝わってきます。
ベルリン・ドイツオペラ(1997年〜2004年)、ミュンヘン・フィル(2004年〜2011年)、シュターツカペレ・ドレスデン(2012年〜2024年)、ザルツブルグ復活祭音楽祭の芸術監督(2013年〜2022年)、そしてバイロイト音楽祭での活躍など、今やドイツを代表する指揮者として着実にキャリアを積んでいるクリスティアン・ティーレマン(1959〜)。ウィーン・フィルとは、2008年〜2010年にかけて収録された「ベートーヴェン交響曲全集」や2019年ニューイヤーコンサートなど何度も共演しています。またティーレマンはすでに手兵シュターツカペレ・ドレスデンとブルックナーの番号付き交響曲9曲を残しており(757504/KKC9656)、今回のウィーン・フィルとの演奏も日頃からブルックナーへの熱い思いを語っていたティーレマンらしいプロジェクトと言えるでしょう。そして最後にティーレマンは、この一連のウィーン・フィルとのブルックナーの演奏・収録についてこのように述べています。「ベートーヴェンの交響曲のチクルスや、ワーグナー「リング」の演奏ように、過去に遡って自身の学んできたことを思い出し、新しい視座を与えてくれるものでした。そして聴衆はブルックナーと共に、彼の長年にわたる創作の発展を体感することができるでしょう。それをウィーン・フィルと取り組めて本当に幸運でした。」それもそのはず、ウィーン・フィルが一人の指揮者で11の交響曲を収録したのは今回が初めてということ。ブルックナーの音楽的遺産をウィーン・フィル&ティーレマンの演奏で、現代から未来への音楽愛好家たちに捧げた究極のセットです。 (Ki)

オクタヴィア
OVCL-00824(1SACD)
税込定価
2023年8月23日発売
ハイドン:交響曲第69番ハ長調 Hob.I:69「ラウドン将軍」
交響曲第71番変ロ長調 Hob.I:71
交響曲第53番ニ長調 Hob. I:53「帝国」
飯森範親(指)
日本センチュリーSO

録音:2021年9月30日(第69番、第71番)、2022年5月26日(第53番)
大阪、ザ・シンフォニーホール・ライヴ
日本センチュリーSOが首席指揮者の飯森範親と共にスタートした「ハイドンマラソ ン」は、フランツ・ハイドンのすべての交響曲を演奏しようという一大プロジェ クト。当盤は第25回、27回コンサートのライヴ収録です。 幾度の公演を重ね、信頼関係を築いてきた飯森と日本センチュリー響は、精緻な構築と、細 部までこだわりぬいた感性で、気品あふれるハイドンを奏でています。柔和で晴々とした優 美な演奏は、まさに彼らの真骨頂といえるでしょう。(オクタヴィア)

ALPHA
ALPHA-694(1CD)

NYCX-10417(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価

ハイドン交響曲全曲録音シリーズ Vol.14〜帝国の響き
交響曲第53番ニ長調 Hob. I:53「帝国」
交響曲第54番ト長調 Hob. I:54
交響曲第33番ハ長調 Hob. I:33
序曲 ニ長調 Hob. Ia:7(人形音楽劇『ゲノフェーファ 第4部』〔本編は音楽消失〕の為の序曲、交響曲第53番の異版終楽章に転用)
バーゼル室内O(古楽器使用)
ジョヴァンニ・アントニーニ(指)

録音:2021年3月-10月ドン・ボスコ、バーゼル、スイス
作曲家生誕300周年となる2032年までに「交響曲の父」ハイドンが残した107曲もの交響曲を全て録音してゆくHAYDN 2032シリーズ では、指揮を務めるジョヴァンニ・アントニーニ自身のグループであるイル・ジャルディーノ・アルモニコと共に、古楽器を使いこなし瑞々しい演奏 を聴かせるバーゼル室内Oも既に多くの名演を聴かせてくれています。第14弾の演目に選ばれたのは、作曲家の生前から高い人 気を誇り、19世紀半ばに「帝国 L’Imperiale」の綽名が添えられた交響曲第53番をはじめ、トランペットとティンパニが添えられ勇壮な響 きが堪能できる中期の充実作3編。当初は契約により、エステルハージ侯爵家のために書いた作品の宮廷外での発表を禁じられていた宮 廷楽長ハイドンでしたが、この頃には主君の計らいもあってパリやロンドン、アムステルダムなど大都市を中心に多くの作品が各地でさかんに演 奏されるようになり、急速に国際的な知名度を築きつつあった時期でした。短期間のうちに何度か手直しされ序奏や金管パートの拡張が あった第54番、初期作品では異例とも言える大編成をとる第33番に加え、第53番フィナーレの異稿としても使われた人形音楽劇のため の序曲も収録。舞台音楽でも経験を積みつつあったハイドンの真相に迫ります。今回もアントニーニ自身のコメントや最新研究を踏まえた作 品解説などライナーノートも充実(英、仏、独語/国内仕様盤は日本語訳付)。

Capriccio
C-8089(1CD)
NX-B07

NYCX-10414(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価

ブルックナー:交響曲第2番ハ短調(第2稿/ホークショー版) リンツ・ブルックナーO
マルクス・ポシュナー(指)

録音:2022年2月1日リンツ・ミュージックシアター、リハーサル・ホール(オーストリア)
#bruckner2024の監修者で当CDに使われた楽譜(NBG III/1:2/2出版準備中)の校訂者ポール・ホークショーは、当CDに寄せた原盤解説の中で 第2番の歴史をこのように整理しています。1871年作曲着手、翌72年9月完成。同年中の演奏を目指してオットー・デッソフ指揮ウィーン・フィルがリハーサルに取り組むも、演奏は却下。1873年 10月26日、ブルックナー自身の指揮するウィーン・フィルにより初演。1876年2月20日、同じ顔触れで再演。1877年、大幅に改訂(=第2稿)。以後 1877年の第2稿と称する楽譜は、1892年ウィーンのAlbert J. Gutmann社よりブルックナーの弟子シリル・ヒュナイス(ツィリル・ヒューナイス)校訂により刊 行されたのを初めに、1934年ハース版、1965年ノーヴァク版、2007年キャラガン版と刊行されてきました。 この中でハース版とノーヴァク版は第2稿(1877年稿)をうたいながらも第1稿(1872年稿)が混在していることが指摘されており、キャラガン版は1872年稿 の要素を除いたものとされています。バレンボイム&ベルリン・シュターツカペレ、ティーレマン&ウィーン・フィルが採用しており、国際的に認知されているといえ るでしょう。そのキャラガン版は1892年に出版された稿の一部を注釈付きで取り入れているため、それを除いて1877年稿の姿に最も迫ったのが今回のホー クショー版ということです。1892年稿については、校訂者ヒュナイスの作業がブルックナー自身の承認を得たものか否かという、ブルックナーにありがちな「作曲 家本人の意思を踏まえた改訂か、弟子たちが勝手に行った改竄か」問題をはらんでおり、キャラガンはブルックナーの意思が(ある程度以上)反映されたもの と考え、ホークショーは否定的なようです。ホークショーの作業の具体像については『NBG III/1:2/2』の刊行が待たれますが、一足先に録音が聴けること に興味を惹かれるファンは少なくないことでしょう。 ポシュナーの演奏は引き締まったテンポとメリハリの利いた造形でベートーヴェン的といいたくなるようなアプローチですが、第2楽章の穏やかな表情を湛えたサ ウンドと広々としたテンポは、ブルックナーの緩徐楽章を聴く楽しみに浸らせてくれます。
(参考データ)演奏時間比較 ポシュナー/ホークショー版(16:15/13:57/6:18/15:12=51:47)/バレンボイム/キャラガン版(17:23/13:03/7:51/16:02=54:19)
※国内仕様盤には専門誌等で好評を得ている石原勇太郎氏(国内ブルックナー協会会員)による日本語解説が付属します。

GRAND SLAM
GS-2298(1CD)
モーツァルト:交響曲第39番変ホ長調 K.543
チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」*
ヴイルヘルム・フルトヴェングラー(指)BPO

録音:1942年または1943年ベルリン、1951年4月19日または22日カイロ *
使用音源:Private archive(2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:モノラル(ラジオ放送用録音)
■制作者より
ともに2トラック、38センチ、オープンリール・テープからの復刻となりますが、モーツァルトの交響曲第39番は当シリーズ初登場となります。これはいまだに 録音日が特定されていませんが、戦後のテープ録音のようなしっかりした音質で鳴り渡るので、驚いてしまいました。モーツァルトらしからぬ重厚な解釈ですが、こ れこそがフルトヴェングラーの魅力です。一方、「悲愴」はGS-2187(2018年、廃盤)以来のリマスターですが、全工程をプロ用の機器で行い、全体の情報量は 大幅にアップ、感激もひとしおです。(平林 直哉)
GRAND SLAM
GS-2296(1CD)
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
リハーサル風景(交響曲第7番の第2楽章より)*
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)
BPO
ルツェルン祝祭O*

録音:1952年12月7日ベルリン、ティタニア・パラスト、
1951年8月15日ルツェルン、クンストハウス *
使用音源:Private archive(2トラック、19センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:モノラル(ラジオ放送用録音)
■制作者より
当GS-2296は2015年に発売したGS-2130(廃盤)の最新リマスター盤です。使用したのは前回同様ベルリンで入手した2トラック、19センチのオープンリー ル・テープですが、全工程をプロ用機器を使用してリマスターした結果、情報量がかなり増しただけではなく、歪み感も大幅に減少しています。従って、特にメイン の「英雄」は初めて聴いたような新鮮さがあります。また、リハーサルは前回同様、唯一の対訳付き(英訳も含む)です。わずかではありますが、冒頭部分は他のディ スクには含まれておらず、当ディスクが最長の収録になります。また、解説書も増ページし、旧盤との差別化をはかっています。(平林 直哉)

GENUIN
GEN-23818(1CD)

XGEN-23818(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価
マーラー:交響曲第2番「復活」(室内楽版)(ブルーノ・ワルターの4手ピアノ版を基にした、2台ピアノ、ソプラノ&アルト独唱、トランペットと合唱のための編曲版 グレゴール・マイヤー(P)、ヴァルター・ツォラー(P)、アンニカ・シュタインバッハ(S)、ヘンリエッテ・ゲッデ(A)、エマヌエル・ミュッツェ(Tp)、ゲヴァントハウスcho、フランク=シュテッフェン・エルスター(指)

録音:2021年12月21日、2022年2月3日-4日&5月9日-10日、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス(ドイツ)
ライプツィヒのゲヴァントハウス合唱団が新型コロナ禍に創り上げた、新たな小編成版『復活』を日本語解説付きの国内仕様盤として新規リリース!
マーラーの交響曲第2番『復活』が完成された当時、ハンブルクで合唱指揮者としてマーラーの補佐をしていた後の巨匠ブルーノ・ワルターが、1900年頃にマーラーの監視下で編曲した(マーラーの手による注釈や訂正もある)4手ピアノ連弾版。フランク=シュテファン・エルスターが指揮するゲヴァントハウス合唱団とゲヴァントハウスでピアニストとして活動するグレゴール・マイヤーとヴァルター・ツォラーの2人がこのワルター編の4手ピアノ版を拡張し、2台ピアノ+独唱と合唱(とトランペットやフリューゲル・ホルン)版として整えた新たな室内楽版の復活交響曲。作品の先鋭的な性質、冒険的な和声と形式がくっきりと浮かび上がる珍しい小編成バージョンを、ゲヴァントハウスの有力合唱団の歌声でお贈りします。

DUX
DUX-1844(1CD)
ウカシェフスキ:交響曲第1番&第2番
パヴェウ・ウカシェフスキ
(1968-):交響曲第1番「摂理の交響曲」〜ソプラノ、メゾソプラノ、バリトン、混声合唱と管弦楽のための
交響曲第2番「Festinemus amare homines」〜ソプラノ、2台のピアノ、合唱と交響楽のための*
マルチン・ナウェンチ=ニェショウォフスキ(指)、ピオトル・ボルコフスキ(指)*、ポドラシェ歌劇場PO、ポドラシェ歌劇場フィルハーモニーcho、アンナ・ミコワイチク=ニェヴィエジャウ(S)、ラヴェル・ピアノ・デュオほか

録音:2007年(第2番)、2009年12月(第1番)
ポーランドの合唱界の顔と言うべき人気作曲家であるパヴェウ・ウカシェフスキ(1968ー)の合唱付き交響曲集第1弾。栄誉あるフレデリク賞も受賞しているウカシェフスキの作品はイギリスをはじめ海外でも高い関心を集めており、著名な合唱団が次々と取り上げています。これまでに8つの交響曲を書き上げているウカシェフスキですが、第5番「コンチェルタンテ」を除く7曲はすべて合唱付きで、その作風はグレツキの遺伝子を受け継いでいます。

Danacord
DACOC-D-926(2CDR)
トマス・イェンセンの遺産 第16集
(1) シベリウス:交響曲第5番
(2)シベリウス:交響曲第6番
(3)シベリウス:抒情的なワルツ Op.96a、悲しきワルツ
(4)スメタナ:モルダウ
(5)ラウリツ・ラウリトセン(1882-1946):小組曲(弦楽オーケストラのための)
エアリング・ブレーネ(1896-1980):コンチェルト・センツァ・ソレンニタ(厳粛さのない協奏曲) Op.20(フルートと管弦楽のための)*
(6)ポウル・シアベク(1888-1949):ヴァイキングの歌 Op.22(テノールと管弦楽のための)**、
 歌劇「華麗なる宴」 Op.25より「序曲」、
 大学入学式のカンタータ Op.16、
 大学入学式の大学祝典音楽 Op.17
(7)ニールセン:交響曲第2番「四つの気質」
トマス・イェンセン(指)、
デンマークRSO、
ヨハン・ベンソン(Fl)*、
ニルス・ムラー(T)**

(1)録音:1957年5月14日(放送録音)
(2)録音:1962年11月25日(放送)
(3)録音:1947年6月25日(スタジオ録音
(4)録音:1947年6月25日(スタジオ録音)]
(5)録音:1962年2月13日(ライヴ放送)
(6)録音:1963年6月8日(ライヴ放送)
(7)録音:1944年3月17日(スタジオ録音)
デンマークの名指揮者、トマス・イェンセン(1898-1963)のシリーズ第16集はシベリウスの交響曲第5番と第6番を収録。交響曲第2番と第7番(第1集:DACOC-D-911)、第3番(第6集:DACOC-D-916)、第1番と第4番(第13集:DACOC-D-923)が、このシリーズですでにリリースされており、今回で全曲の復刻が完成です。
[Disc2]にはイェンセンがキャリアを通じて演奏してきた3人のデンマークの作曲家たち、ラウリツ・ラウリトセン、エアリング・ブレーネ 、ポウル・シアベクの作品が収録されました。「カール・ニルセンの影」から現れたこの3人は、明確な個性をもちながら、典型的なデンマークの語法の作品を発表したことで知られます。すべて初めてのリリースとなります。
ニールセンの「四つの気質」は、1944年に HMV がコペンハーゲンのコンサートホールで行ったセッションで録音され、テスト・プレスが行われただけで、レコードとしてリリースされなかった音源です。
※当タイトルは、高品質メディア(SONY DADC/Diamond Silver Discs)を使用した、レーベル・オフィシャルのCD-R盤となります。
Danacord
DACOC-D-927(2CDR)
トマス・イェンセンの遺産 第17集

(1)ベートーヴェン:交響曲第4番
(2)交響曲第6番ヘ長調 Op.68「田園」
(3)ハイドン:交響曲第104番「ロンドン」*
(4ベートーヴェン:序曲「レオノーレ」第3番**
(5ブラームス:ヴァイオリン協奏曲***
トマス・イェンセン(指)、
デンマークRSO、
オーフス市立O*、
ティヴォリ・コンサートホールSO**、
アイザック・スターン(Vn)***

(1)録音:1962年5月2日(ライヴ放送)
(2)録音:1962年8月8日(ライヴ放送)
(3)録音:1955年12月20日(ライヴ放送)
(4)録音:1942年秋(スタジオ録音)
(5)録音:1961年11月30日(ライヴ放送)
トマス・イェンセンの遺産シリーズの第17集には、ベートーヴェン、ハイドン、ブラームスの作品が、ライヴ放送コンサートの録音で収められています。ハイドンの「ロンドン交響曲」は、1955年12月20日、オーフス・コンサートホールの柿落としコンサートでのライヴ録音。アイザック・スターンがソロを弾いたブラームスの協奏曲は、ユージン・オーマンディ指揮フィラデルフィアOとの共演でスタジオ録音した翌年、1961年にデンマークRSOに客演した際の演奏です。
※当タイトルは、高品質メディア(SONY DADC/Diamond Silver Discs)を使用した、レーベル・オフィシャルのCD-R盤となります。

Onyx
ONYX-4237(1CD)
ミェチスワフ・ヴァインベルク(1919-1996):チェロ・コンチェルティーノ Op.43
ヴァイオリン・コンチェルティーノ Op.42
モルドバの主題によるラプソディ Op.47-3
交響曲第7番Op.81
ウェン=シン・ヤン(Vc)、
タッシロ・プロプスト(Vn)、
ミュンヘン・ユダヤ室内O、
ダニエル・グロスマン(指)
近年注目が高まっているポーランドの作曲家、ミェチスワフ・ヴァインベルク(1919-1996)の協奏的作品を集めた1枚!
ポーランドのワルシャワでユダヤ人の家庭に生まれたヴァインベルクは、1939年にナチスのポーランド侵攻から逃れるために旧ソ連に亡命。そこで出会ったショスタコーヴィチと親交を深めるものの、反ユダヤ政策によって苦難の生涯を送ったことで知られています。「チェロ・コンチェルティーノ」は2016年に発見されたばかりの作品で、後にチェロ協奏曲として改作されました。1948年に作曲されたこの作品には、同年に起きたKGBによる義父の殺害という痛ましい出来事が反映されています。ハープシコードと弦楽合奏というユニークな編成のために書かれた「交響曲第7番」は、ロシアの指揮者ルドルフ・バルシャイに献呈されています。2人の名手、ウェン=シン・ヤンとタッシロ・プロプストの素晴らしい技巧にも注目です。


REFERENCE
FR-752SACD(1SACD)
チャイコフスキー:交響曲第5番
シュルホフ(1894?1942):弦楽四重奏のための5つの小品(ホーネック編)
ピッツバーグSO
マンフレート・ホーネック(指)

録音:2022年6月17-19、ハインツホール、ピッツバーグ(ライヴ)
長年高音質レーベルとして高い評価を得ているREFERENCE RECORDINGS。そしてREFERENCE RECORDINGSはもちろん、PENTATONE,BIS, など録音に定評のある数々のレーベルの録音を40年以上に渡って担当しているsound mirror社がタッグを組んだ大好評「ピッツバーグ・ライヴ!」シリーズ。 シリーズ第14弾は、チャイコフスキーの交響曲第5番とチェコの作曲家でホロコーストの犠牲となったエルヴィン・シュルホフの作品。
2008年からピッツバーグSOの首席指揮者を務めているマンフレート・ホーネック。チャイコフスキーの交響曲第5番は、就任前の2006年に同団と 初共演の際に演奏した思い出深い作品。名盤ひしめく名曲ですが、ホーネックは初共演から何度もスコアを見直し研究を重ね今回の演奏に挑んだと言います。感 情のこもった深い表現から荒々しい金管まで、はっきりしたコントラストを出し、音楽の高揚感とオーケストラと指揮者の一体感が素晴らしい演奏となっています。 カップリングのシュルホフの弦楽四重奏のための5つの小品は、ホーネックとトマーシュ・イルによるオーケストラ編曲版。シュルホフはジャズの影響を受けた作 品も多く、1924年にに作曲された本作は彼の作品で最も演奏される機会の多い作品です。シュルホフはナチス台頭により強制収容所で48年の生涯を閉じま した。 (Ki)

ALPHA
ALPHA-987(1CD)
ブルックナー:交響曲第8番ハ短調 WAB108 ノーヴァク版 第2稿(1890) チューリヒ・トーンハレO
パーヴォ・ヤルヴィ(指)

録音:2022年9月 トーンハレ、チューリヒ
収録時間:81分
パーヴォ・ヤルヴィとチューリヒ・トーンハレOによるブルックナー後期3大交響曲の第2弾として、フランクフルト放送響との全集録音から 10年ぶりの再録音となる第8番が登場。約15年ぶりの再録音となった前回の第7番では全ての楽章においてテンポが速くなっているのが特 徴でしたが、第8番では逆に全楽章で遅くなっており、特に第4楽章では2分30秒を超える差が生じています。しかしながら演奏は、むしろよ り引き締まった印象を与えるもので、たいへん力強く聴きごたえのある出来栄え。またホールの特性もあってか各パートのフレーズが際立ち、 見通しのよい録音であることも良い結果をもたらしているといえるでしょう。 今回もヴァイオリンを両翼、左奥にコントラバスという弦の配置を採用していますが、金管楽器については、前回第7番で右に独立して配置 したワーグナー・チューバはホルンと持ち替えとなるために左へ集約、その代わりバス・チューバ(シンカポールSOの夏目友樹がエキストラ 参加)をティンパニ隣の最上段ほぼ中央に配してワーグナー・チューバとのアンサンブルに親和性を持たせ、その右にトロンボーン、さらに右にト ランペットという、やや特殊な配置となりました。中央に低音金管楽器が置かれることで得られる安定感に加え、第1楽章クライマックスではト ランペットとホルンによるリズム動機が左右から鳴り響くという効果も得られています。

BR KLASSIK
BR-900213(1CD)
NX-B07
ブルックナー:交響曲第4番(第2稿1878/80) バイエルンRSO
ベルナルト・ハイティンク(指)

録音:2012年1月19日&20日
ミュンヘン、フィルハーモニー・イン・ガスタイク(ライヴ)
ベルナルト・ハイティンクがバイエルンRSOの定期演奏会にデビューしたのは1958年。それから65年となる2023/24シーズンに先立ちバイ エルン放送収録の音源から2012年のブルックナー:交響曲第4番を初CD化します。 ハイティンクのブルックナーの第4番はこれで5種目。1965年の初録音は緩急のコントラストを大きめにとった演奏でドラマティックな解釈に感じられます が、1985年盤以降は盤石と言える安定感を示し、解釈が成熟の域に入っていたことが感じられます。その中で当盤はフィナーレに重きを置き、そこに 向かって音の伽藍を築いてゆくような演奏と言えるでしょう。演奏会場ガスタイクのややドライな音響がここでは幸いし、クライマックスの強奏でも解像度 を保っています。 バイエルン放送響には創設指揮者ヨッフムの時代から続くブルックナー演奏の伝統があり、2005年からは当時の首席指揮者ヤンソンスがブルックナー の交響曲に継続して取り組んでいました。一方、ガスタイクはミュンヘン・フィルの本拠地でもあり、聴衆はチェリビダッケやティーレマンのブルックナー解釈 にもなじんでいました。そのような状況で、曲を熟知し、自然体で作品の威容を描き出すハイティンクの指揮の下、バイエルン放送響も持てる力を傾 注した演奏になりました。これはハイティンクにとってのみならず、オーケストラにとっても記念すべき1枚と言えるでしょう。

VOX
VOXNX-3020CD(1CD)
NX-B03
チャイコフスキー:交響曲第1番
交響曲第2番ハ短調「小ロシア」
ユタSO
モーリス・アブラヴァネル(指)

録音:1972-73年
1974年LP初リリース
明晰・明快な解釈によるアブラヴァネルのチャイコフスキー。親しみやすいメロディが多い第1番と第2番で は、伸びやかに、あるいは弾むように、主旋律を歌わせます。陰影やメランコリックな表現にも事欠かないの ですが、濃厚な情念や暗鬱さに耽溺しないのがアブラヴァネルの見識でしょう。バランス感覚にすぐれた演 奏を、立体的な音場感と解像度のあるアナログ期の名録音で楽しめます。 *ブックレットには初出時のジャケット写真と原盤解説が掲載されています。
VOX
VOXNX-3024CD(1CD)
NX-B03
チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調「悲愴」
5. 幻想序曲「ハムレット」
ユタSO
モーリス・アブラヴァネル(指)

録音:1972-73年
1974年LP初リリース
アブラヴァネルの「悲愴」は明快な造形と巧みな緩急が生み出すドラマティックな表現が印象的。第3楽章 の最後ではテンポアップして華麗に終わるのでライヴならば拍手が湧くところでしょう。終楽章は慰めや優し さが支配的な中にも劇的な起伏のある演奏。弦の多彩な音色変化(特に柔らかさ)と木管の艶、金管の 抜けの良さなどに音質改善が感じられます。ハムレットも語り上手な演奏。 *ブックレットには初出時のジャケット写真と原盤解説が掲載されています。

Pentatone
PTC-5187043(1CD)
マーラー:交響曲第1番ニ長調「巨人」 セミヨン・ビシュコフ(指)
チェコPO

録音:2021年10月12〜15日ルドルフィヌム、ドヴォルザーク・ホール(プラハ)
2018年10月よりチェコPOの首席指揮者・音楽監督としての任期をスタートさせたセミヨン・ビシュコフが全身全霊で臨んでいる マーラーの交響曲全曲録音。当アルバムは第1番「巨人」を収録しております。
当団にとってマーラーの全曲録音は1976年から1982年にかけてのヴァーツラフ・ノイマンとの録音以来。オーストリアで活躍したマーラーですが生まれは 当時のオーストリア帝国に属するボヘミア王国のイーグラウ近郊のカリシュト村(現チェコのイフラヴァ)。この全曲録音は当団にとって重要なプロジェクトとなっ ております。
マーラーは「交響曲は一つの世界のようなものであるべきで、すべてを包摂するものでなければならない」という有名な言葉を残していますが、第1番「巨人」 は動物(カッコウ)の鳴き声、狩猟の角笛、農村の踊り、フレール・ジャックの民謡の引用など、まさにマーラーが目指した「交響曲」の世界を創り上げています。
「マーラーの交響曲は人生の“ポリフォニー”を表現するものであり、これらの作品を録音することは、生涯をかけて抱いてきた夢、そして喜びです」と語るビシュ コフ。温かく優しい音色を全面に引き出し、マーラーが描いたボヘミアの香り高き演奏を聴かせてくれます。 (Ki)


PROMINENT CLASSICS
2506-5616(3CD)
ブラームス:交響曲全集
■Disc1
交響曲第1番ハ短調Op.68
ハンガリー舞曲集(第1番、第3番、第4番、第5番)
■Disc2
交響曲第3番へ長調Op.90
交響曲第2番ニ長調Op.73
■Disc3
ピアノ四重奏曲第1番(シェーンベルク編)
交響曲第4番ホ短調Op.98
ジョルジュ・プレートル(指)

■Disc1
シュトゥットガルトRSO
録音:2000年12月8日(第1番)、(2)1997 年10月29日〜31日(ハンガリー舞曲)

■Disc2
ベルリン・ドイツSO
録音:2008年10月27日(第3番),2011年2 月6日(第2番)、 全て,フィルハーモニー・ベルリン
■Disc3
ローマ聖チェチリア音楽院O
録音:2009年3月17日(P四重奏)、2010 年5月31日(第4番)
全てデジタル、ライヴ録音
ライヴによるプレートルのブラームス交響曲全集が待望のセット化です(第 1番:SSS0197、第2、3番:SSS0129、第4番:TBRCD0028)。外箱に分売 3枚 を収めた形になります。 演奏は定評ある期待通りの雄渾なブラームスです。もちろん、プレートルなら ではの仕掛満載の名演奏です。カップリングのシェーンベルクがオーケストレ ーションしたピアノ四重奏曲第1番も聞きものです。

GRAND SLAM
GS-2295(1CD)
ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲
交響曲第4番ホ短調 Op.98
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指揮BPO

録音:1943年12月12〜15日ベルリン、旧フィルハーモニー
使用音源:Private archive (2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:モノラル(ラジオ放送用録音)
■制作者より  
かつてフルトヴェングラーの放送録音を担当していたフリードリヒ・シュナップは、フルトヴェングラーの演奏で最も素晴らしいのはブラームスだと語っていまし た。この2曲は複数の録音の中でも最も劇的で振幅の大きな演奏として有名ですが、当シリーズでは2014年にメロディアのLPからの復刻盤(GS-2107、廃盤) を発売しています。そこで、今回は初めて2トラック、38センチのオープンリール・テープからの復刻盤登場です。LP復刻も独特の味わいがありますが、やはり総 合的な情報量ではテープ復刻が優っていると思われます。マスタリングはこれまで同様に全工程をプロ用の機器で行い、万全を期しています。  なお、解説書には戦時中にヨーロッパ特派員として活躍していた齋藤正躬(さいとう・まさみ 1911-1967)が、この演奏と同じ1943年にストックホルム でフルトヴェングラーを聴いた際の手記を掲載しています。(平林 直哉)。


東武レコーディングズ

TBRCD-0140(2CD)
税込定価
ブラームス:交響曲全集
(第1番〜第4番)
ガリー・ベルティーニ(指)東京都SO

録音:2003年6月17日東京芸術劇場,ライヴ(第2番、第4番)
2003年6月22日サントリー・ホール,ライヴ(第1番、第3番)
死の直前まであんなに元気だったのに、あまりにも呆気なく世を去った巨匠ベ ルティーニ。これだけの大指揮者が日本を頻繁に訪れていた当時は、水か空気 のように当たり前に感じていましたが、今になって思うと奇跡の連続のような見事 な演奏を毎回繰り広げていたことに気付かされます。初登場となるブラームスの 交響曲全集を聞いてみましょう。この演奏は2003年6月の都響出演時に一気に 演奏されたもので、ベルティーニの演奏プランの統一性がはっきりと読み取れま す。程の良い快速とでも呼びたいもたれないテンポ感。重苦しさを排除しながら も軽薄に陥らない至芸。オペラティックに歌わせたかと思えば、締める所は古典 的に徹底して締める。隅々まで計算された演奏です。ベルティーニは“トスカニ ーニの再来”という賛辞を受けたと言いますが全くその通りです。巨匠の手足と でも賞賛したい都響の献身的な姿も特筆ものです。音質もデジタルで良好。 解説はベルティーニの多くのコンサート、オペラをヨーロッパ、日本で聞いてきた 許光俊氏。


Spectrum Sound
CDSMBA-143(1CD)
マルティノン&プレートル〜ライヴ・イン・フランス 1968&1961
シューマン:交響曲第4番ニ短調 Op.120
ベルリオーズ:幻想交響曲*
ジャン・マルティノン(指)、
ジョルジュ・プレートル(指)*
フランス国立放送O

ライヴ録音:1968年9月10日メゾン・デ・ザール・エ・ロワジール・ド・ラ・ヴィル・ド・ソショー(フランス)
1961年12月5シャンゼリゼ劇場
【共にステレオ・ライヴ】
積極的なリリースが続いているスペクトラム・サウンド。当アルバムはフランス国立視聴覚研究所(INA)保有音源からの復刻で、1968年9月10日、ジャン・ マルティノン(指)フランス国立放送O演奏のシューマンの交響曲第4番と、1961年12月5日、ジョルジュ・プレートル(指)フランス国立放送O 演奏のベルリオーズの幻想交響曲、いずれもステレオによる正規初出音源です!
マルティノンといえば、その人柄をあらわしているかのような気品に満ちた音楽が魅力。演奏時58歳の折り目正しいシューマンは冷静でありながら非常に熱い 音楽を展開しています。
後半は演奏時36歳のプレートルによるエネルギッシュな「幻想交響曲」。決して突っ走ることなく、じわじわと盛り上げる演奏で、若きプレートルの貴重な記録 といえます。
ライヴ録音のため演奏後に拍手が入ります。
※このレーベルは、初発売後早期に廃盤となる可能性が高いです。お早めにご注文下をおすすめします。


Audite
AU-21464(3CD)

KKC-6731(3CD)
日本語解説書付国内盤
税込定価
ヘルベルト・フォン・カラヤン/ルツェルン音楽祭初期録音集成(1952〜1957)
■CD1
(1)ベートーヴェン:交響曲第8番
(2)モーツァルト:ピアノ協奏曲第24番ハ短調 K.491
(3)バッハ:2台の鍵盤のための協奏曲第2番 ハ長調 BWV1061
■CD2
(4)ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」
(5)ブラームス:交響曲第4番
■CD3
(6)ブラームス:ヴァイオリン協奏曲
(7)オネゲル:交響曲第3番「典礼風」

デジタルのボーナス・トラック
バッハ:ミサ曲 ロ短調 BWV232(全曲)
全て、ヘルベルト・フォン・カラヤン(指)

(2)ロベール・カサドシュ(P)
(3)ゲザ・アンダ(P)、クララ・ハスキル(P)
(6)ナタン・ミルシテイン(Vn)
(1)(2)(3)(6)(7)ルツェルン祝祭O
(4)(5)フィルハーモニアO

ライヴ録音:(1)(2)1952年8月16日、(3)(7)1955年8月10日、(4)(5)1956年9月6日、(6)1957年8月17日
クンストハウス、ルツェルン(モノラル)

デジタルのボーナス・トラック
ウィーンSO、ウィーン楽友協会cho
エリーザベト・シュヴァルツコップ(S)、エルザ・カヴェルティ(A)、エルンスト・ヘフリガー(T)、ハンス・ブラウン(Bs)
録音:1951年9月1日
※商品インレイに印字されたQRコードから聴くことができます
定評あるauditeレーベルの1stマスター・リリースのルツェルン・フェスティヴァル・シリーズ第19弾は、ヘルベルト・フォン・カラヤンのルツェルン音 楽祭における初期のライヴ録音集成!現存するオリジナルマスターからの復刻で、バッハの2台の鍵盤のための協奏曲第2番(同シリーズ第17弾 KKC-6462/ AU-95650で発売中)を除く全作品が未発表の正規初出音源という驚きの内容です!カラヤンが自身のキャリアを再構築していた時期の貴重な記録 で、ルツェルン祝祭O(1952年、1955年、1957年)とフィルハーモニアO(1956年)との共演です。
ヘルベルト・フォン・カラヤンはルツェルン音楽祭を代表するアーティストのひとりで、1948年から1988年までの40年間、スイス祝祭O(ルツェ ルン祝祭O)、フィルハーモニアO、ウィーンSO、BPOと計9回登場し、同音楽祭にその名を刻みました。
1946年、VPOとの第二次世界大戦後初の演奏会を前に戦時中ナチスの党員であったことを理由に公開演奏停止処分と受け ていたカラヤン。ルツェルン国際音楽祭(現在のルツェルン音楽祭)は、オーストリア国外で初めてカラヤンを起用した招聘元であり、カラヤンの国際的な指揮 者として復帰を後押しした重要な舞台でした。同音楽祭に対し、カラヤンはのちに「私は常に恩義を感じている」と告白しています。
現存する音源にはバッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームス、オネゲルと多岐にわたります。エキサイティングでリズミカルにして引き締まった解釈は、 カラヤンが各作品の譜面に忠実ながら、実に表現力の豊かな指揮者であることを示しています。また協奏曲を振るのも得意とし、アンダ&ハスキルのバッハ、ミ ルシテインのブラームス、カサドシュのモーツァルトと、繊細でありながら極めて存在感のある伴奏者としても秀でております。
演奏の素晴らしさに加えて今年(2023年)にレーベル50周年を迎えるaudite(2000年にFermateレーベルと合併)の見事な復刻にも注目。同レー ベル社主のルトガー・ベッケンホーフ氏が丁寧にリマスタリングしております。またブックレットには今回初めて掲載された音楽祭の写真も多数掲載。資料的価値 はもちろんのこと、歴史的に見ても非常に重要な演奏会が正規初出音源でリリースされることは大歓迎と申せましょう。
デジタルのボーナス・トラックとして、1951年9月1日、同音楽祭の最後に演奏したバッハのミサ曲 ロ短調 BWV232全曲を聴くことができます。
国内仕様版(KKC-6731/3)には音楽歴史学者でルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘン教授のヴォルフガング・ラザート著「 “明快なる構成” 〜ヘ ルベルト・フォン・カラヤンのルツェルンでの初期のライヴ録音」の寺西肇による翻訳の充実の日本語解説書付です。 (Ki))

H.M.F
HMSA-0069(1SACD)
シングルレイヤー
日本語解説付国内盤
限定盤
税込定価

ベートーヴェン:交響曲第5番 ハ短調 op.67「運命」
ゴセック:17声の交響曲 ヘ長調 RH64
フランソワ=グザヴィエ・ロト(指)
レ・シエクル(管弦楽/ピリオド楽器使用)

録音:2017年3月フィルハーモニー・ド・パリ(ベートーヴェン)、2020年2月ブローニュ=ビヤンクール、ラ・セーヌ(ゴセック)
「運命」は、基本的にロトらしい推進力に満ちた早目のテンポによります。歯切れの良いリズム、聴いたことのないような弦のフレージング、明るく輝かしい音色 など、まさにロトとレ・シエクルにしかできない演奏を繰り広げ充実感の極み。  カップリングは「ガヴォット」で有名なゴセックの17声の交響曲。ゴセックはシンフォニストとして非常な人気を誇り、また当時フランスの管楽 器奏者の水準が高く、それが作品に反映されているため、ベートーヴェンは多くのことを学び作品に応用したとされます。このたびのSACD化により、高音の伸び がより豊かになっており、実際に演奏会場のベスト・ポジションで聴いているような印象になっています。 (Ki)
H.M.F
HMSA-0070(1SACD)
シングルレイヤー
日本語解説付国内盤
限定盤
税込定価

ベートーヴェン:交響曲第3番 変ホ長調 作品55「英雄」
メユール(1763-1817):序曲〜歌劇「アマゾネス、あるいはテーベの創生」より
フランソワ=グザヴィエ・ロト(指)
レ・シエクル(管弦楽/ピリオド楽器使用)

録音:2020年3月トゥルコアン市立劇場(グルノーブル)(ベートーヴェン)、
2020年2月セーヌ・ミュジカル、ブローニュ・ビリヤンクール(メユール)
ベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」でロトは、抜群のリズム感の良さと引き締まった造形、みなぎる緊張感で、作品の革新的な面を高らかに響かせます。 カップリングには、メユールの歌劇「アマゾネス」序曲を収録。メユールはベートーヴェンより7歳年長で、ナポレオン時代のフランスを代表するオペラ作曲家。考 えられている以上にベートーヴェンと共通点が多く、オーケストラの職人でした。シューマンも、ベートーヴェンとメユールの作品の類似性を指摘しています。この たびのSACD化により、18-19世紀の天才による作品がより豊かなサウンドで響きます。 (Ki)

オクタヴィア
OVCL-00820(3SACD)
税込定価
2023年7月19日発売
初回限定特別装丁BOXケース&紙ジャケット仕様
ブラームス:交響曲全集
交響曲第1番ハ短調 作品68
交響曲第2番ニ長調 作品73
交響曲第3番ヘ長調 作品90
交響曲第4番ホ短調 作品98
久石譲(指)
フューチャー・オーケストラ・クラシックス

録音:第1番:2023年5月10-11日 長野市芸術館 メインホール(セッション)
第2番:2021年7月8日 東京オペラシティ コンサートホール、10日長野市芸術館 メインホール(ライヴ)
第3番:2022年2月9日 東京オペラシティ コンサートホール(ライヴ)
第4番:2022年7月14日 東京オペラシティ コンサートホール、16日長野市芸術館 メインホール(ライヴ)
クラシック音楽へのかつてないアプローチが大きな話題を集める、久石譲とFOCによる挑戦。 このブラームス全集は、2020年から取り組んだブラームス・ツィクルスより第2番・第3番・ 第4番と、新たにセッション録音をした第1番が収録されています。3年半という時間をかけた 入魂のアルバムです。 久石譲のもと若手トッププレーヤーが集結したFOCは、瞬発力と表現力が爆発。作曲家なら ではの視点で分析された演奏は、常識を打破するような新しいブラームス像をうち立ててい ます。(オクタヴィア)

Capriccio
C-5509(1CD)
NX-B07
ジグムント・ノスコフスキ(1846−1909)交響曲第2番ハ短調「エレジー風」(1875-79)
交響曲第1番イ長調(1874-75)
ラインラント=プファルツ州立PO
アントニ・ヴィト(指)

録音:2022年10月17-21日
ノスコフスキはワルシャワ音楽院でヴァイオリンと作曲を学んだ後、プロイセン芸術アカデミーに留学して名教師として名高いフリードリヒ・キールとリヒャルト・ヴュ ルストに学びました。その3曲の交響曲は「ポーランド人作曲家による初の本格的な交響曲」と評価されています。このディスクではアントニ・ヴィトが第1番と 第2番を指揮し、母国の交響楽に記念すべきページを開いた作品に渾身の演奏を聴かせます。 交響曲第1番は演奏時間約45分の大作。シューマンに通じるスタイルと響きや第4楽章のフーガなどにベルリンでの学習の成果を感じさせます。第2番は 演奏時間約35分ですが、内容としては一段と緻密さを増し、当時プロイセンとロシアに分割支配されていた母国ポーランドへの思いを反映したドラマティック な作品となっています。作曲家自身が指揮した初演時のプログラムで「がんじがらめの祖国」と書かれていた第1楽章では、序奏に続いて悲劇的な音楽が 展開します。第2楽章のスケルツォは「希望と蜂起」。スラヴ風の舞曲にはさまれたファンファーレが印象的。第3楽章は「倒れた英雄たちへのエレジー」、悲愴 で荘重な緩徐楽章です。「苦難を越えて天界へ」と題された第4楽章は、前進と頓挫を思わせる場面が交互する中から勇壮で民族的な旋律が表れ、最 後は輝かしく結ばれます。当時の独立運動のシンボル的な歌で後にポーランド国歌となる「ドンブロフスキのマズルカ」を思わせるモチーフも見えかくれします。 ノスコフスキは第2番を仕上げた翌年ワルシャワに帰国し、後進の育成に力を注ぎました。在世中にはポーランドの独立回復を見届けることが叶わなかったノ スコフスキですが、彼の門下からはシマノフスキやフィテルベルクをはじめ数多くの音楽家が輩出し、ポーランドに交響楽の伝統を築きました。

VOX
VOXNX-3023CD(1CD)
NX-B03
チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調 Op. 64
祝典序曲「1812年」 Op.49(1880)
ユタSO
モーリス・アブラヴァネル(指)

録音:1972-73年
1974年LP初リリース
総収録時間:61分
アブラヴァネル&ユタ響のチャイコフスキー:交響曲全集は、明晰な解釈と明快な造形そして晴れやかな サウンドが特徴。この2曲では強弱緩急のメリハリを大きくつけて、ドラマティックかつ爽快な仕上がりになって ます。その中で第2楽章のホルン・ソロはたっぷりとしたテンポで朗々と歌い上げていて印象的。今回のリマス ターにより弦の強奏でのザラツキが軽減され、木管にはみずみずしさが、金管にはヌケの良さが加わりまし た。 ブックレットには初出時のジャケット写真が掲載されています。

SOMM
ARIADNE-5022(2CD)
NX-C09
マーラー演奏のパイオニアたち
【CD1】
1-2. マーラー:嘆きの歌
3. マーラー:アダージョ- 交響曲第10番より
4. レオポルド・ストコフスキーへのインタビュー(約23分)
【CD2】
1-4. マーラー:交響曲第4番ト長調
5. アルフレッド・フリーゼへのインタビュー(約18分)
ジョーン・サザーランド(S)…CD1:1-2
ノーマ・プロクター(C.A)…CD1:1-2
ピーター・ピアーズ(T)…CD1:1-2
ゴールドスミス・コーラル・ユニオン…CD1:1-2
テレサ・シュティッヒ=ランダル(S)…CD2:4
LSO…CD1:1-2、CD2:1-4
ワルター・ゲール(指)…CD1:1-2、CD2:1-4
BBC響…CD1:3
ヘルマン・シェルヘン(指)…CD1:3

録音:1956年5月13日(ライヴ) ロイヤル・フェスティヴァル・ホール(UK)…CD1:1-2
1948年11月21日 BBCスタジオ(UK)…CD1:3
1960年2月9日 BBC Maida Vale Studios(UK)…CD2:1-4(全てMONO)

インタビュー
1970年4月8日…レオポルド・ストコフスキー(指揮者)
1962年8月16日…アルフレッド・フリーゼ(ティンパニ奏者)
冒頭の「嘆きの歌」は英国初演のライヴ録音。超絶的なコロラトゥーラで一世を風靡したジョーン・サザーランドや、イギリスを代表する名歌手の一人ピー ター・ピアーズのマーラー録音はきわめて稀少です。指揮のワルター・ゲールはシェーンベルク門下のドイツ系ユダヤ人で、ナチスを逃れてイギリスに渡り活動し ました。明晰な楽曲分析に基づく的確な指揮で評判があったようですが、彼のマーラーの録音もまた稀少。CD2にはゲール指揮による交響曲第4番が収め られています(マーラー生誕100年記念祭のライヴ)。第10番のアダージョはヘルマン・シェルヘンの指揮。レーベルによれば、いずれもリリースされるのは初との ことです。定評あるポール・ベイリーによるマスタリング。 これらに加えて、ストコフスキーとフリーゼのインタビューを収録しているのもポイント。ストコフスキーは1910年にマーラー指揮で行われた第8番「千人の交響 曲」初演時のリハーサルに立ち会っており、ニューヨーク・フィルのティンパニ奏者だったフリーゼは1909年にマーラーの指揮で演奏した経験があります。二人の 回想(共に英語)はマーラー自身の指揮に関する貴重な証言です。尚フリーゼのインタビューは文字起こしされてブックレットに掲載されています。

Spectrum Sound
CDSMBA-141(1CD)
モーツァルト:「フィガロの結婚」序曲
シューベルト:交響曲第9番「ザ・グレート」
カール・ミュンヒンガー(指)
フランス国立放送O

ライヴ録音:1966年5月18日シャンゼリゼ劇場(ステレオ)【初出音源】
積極的なリリースが続いているスペクトラム・サウンド。当アルバムはフランス国立視聴覚研究所(INA)の貴重音源からの復刻で、1966年5月18日、シャン ゼリゼ劇場におけるカール・ミュンヒンガー(指)フランス国立放送Oのモーツァルトの「フィガロの結婚」序曲とシューベルトの交響曲第9番「ザ・グレート」 の実況録音。嬉しいステレオによる正規初出音源です。
アーベントロートやクレメンス・クラウスといった名指揮者のもとで研鑽を積み、フルトヴェングラーからも薫陶を受けたミュンヒンガー。戦後、生地シュトゥットガ ルトにて室内Oを結成し、60年代には同団を世界的なオーケストラに育て、バロック音楽のブームを牽引しました。ここに聴くモーツァルトとシューベルトで は密度の高い演奏を繰り広げており、ミュンヒンガー50代、充実の演奏を堪能できます。 (Ki)
※このレーベルは、初発売後早期に廃盤となる可能性が高いです。お早めにご注文下をおすすめします
Spectrum Sound
CDSMBA-142(1CD)
(1)ブラームス:交響曲第1番ハ短調 Op.68
(2)ベートーヴェン:交響曲第5番ハ短調 Op.67「運命」
(1)サー・ゲオルク・ショルティ(指)
(2)オイゲン・ヨッフム(指)
フランス国立放送O

ライヴ録音:(1)1956年12月6日シャンゼリゼ劇場、(2)1960年9月20日モントルー(モノラル)【初出音源】
積極的なリリースが続いているスペクトラム・サウンド。当アルバムはフランス国立視聴覚研究所(INA)の貴重音源からの復刻で、ゲオルク・ショルティ指揮の ブラームスの交響曲第1番(1956年12月6日、シャンゼリゼ劇場)、とオイゲン・ヨッフム指揮のベートーヴェンの交響曲第5番「運命」(1960年9月20日、 モントルー)、いずれも正規初出音源の登場です。 ★ショルティは演奏当時44歳。音楽づくりに妥協のないショルティが筋肉質でダイナミックなブラームスを展開。一方、ヨッフムは演奏当時57歳。真にドイツ音楽 の正統を受け継ぐ指揮者として地位を築いた時期の充実の「運命」。ともにモノラル音源ながら両巨匠の貴重な記録が日の目を見ます。 (Ki)
※このレーベルは、初発売後早期に廃盤となる可能性が高いです。お早めにご注文下をおすすめします



Treasures
TRE-282(1CDR)
スワロフスキー/シューマン&スメタナ
スメタナ:歌劇「売られた花嫁」序曲
 交響詩「モルダウ」
シューマン:交響曲第1番「春」*
 交響曲第3番「ライン」#
ハンス・スワロフスキー(指)
ウィーン祝祭O、
ウィーン国立歌劇場O*、ウィーンSO#、

録音:1958年頃、1959年*、1955年1月19&21日#(全てモノラル)
※音源:W.R.C TT-17、仏ODEON XOC-819*,#
◎収録時間:75:27
“模範解答的な佳演の域を超えるスワロフスキーの熱き表現!”
■音源について
シューマンの「春」の一部で音が震える箇所がありますが、マスターに起因するものと思われます。

★特にシューマンの2曲は、同じくウィーンのオケを振ったベートーヴェンの交響曲と並ぶスワロフスキーの魅力を知る上で欠かせない録音。「春」は、何と言っても冒頭のファンファーレが通常版より三度低いマーラー版を採用しているのが特徴ですが、演奏そのものが実に意欲的で、文字通り春のワクワク感一杯の快演!序奏部から細部まで表情に抉りが効いており、主部はキビキビしたテンポで居ても立っても居られない愉しさを炸裂させますが、内声の抉りは変わらず貫徹。コーダ9:01からのイン・テンポ進行は、脂肪過多の造がこの作品に不釣り合いだと言わんばかりに確信に満ちています。第2楽章も耽溺せずに推進性を維持しつつロマンの息吹をふんだんに放出。第3楽章はオケの響きに惚れ惚れ。その古き佳き音色と洗練されたスワロフスキーの音楽作りとのブレンド感が絶妙。終楽章は2:57からのホルン合奏とフルートのトリルの美しさを経て、春の日差しが優しく微笑むかのような再現部冒頭の表情が忘れられません。
 「ライン」(こちらは通常バージョンと思われます)は、第1〜2楽章が相当な高速イン・テンポ進行ですが、スワロフスキーが速めのテンポを取る際の常として、ここでも強引さのない自発性が音楽に伸びやかな生命感を与えています。第4楽章も荘厳さを誇張せず、ルバートを抑えて淡々と進行しますが、少しも無機質感はなく、この作品の「陽」の部分に比重を置いたアプローチの中でのこのスタイルは、むしろ見事に調和が取れています。終楽章もイン・テンポが基調で、後半4:02でも少しもテンポを落とさないは珍しいですが、良質なモノラル録音が立体感のある音像を刻んでいるおかげで、まさに淀みを知らない川の流れを具現化しています。なお、楽章開始直後の9小節目のトランペットが割愛されていますが、そういう版があるのでしょうか?少なくとも、トスカニーニ、ワルター、セル、ジュリーニ、レイボヴィッツでは同じ現象は確認できませんでした。
 2曲のスメタナも共感度満点!特に、「モルダウ」のテーマにおけるハープとヴァイオリンの織りなす色彩とホルン合奏の深淵さは古今を通じて傑出しており、中間の舞曲のリズムを丁寧に育みながらの温かなスウィング感、夜の場面のきめ細やかなフレージングと艶やかさはもはや恍惚境と言ってよく、本場チェコ勢の演奏でもここまで愛を注ぎ尽くした例は稀でしょう。
【2023年6月・湧々堂】

LSO Live
LSO-0878(1SACD)
ショスタコーヴィチ:交響曲第15番イ長調 op.141
交響曲第6番ロ短調 op.54
ジャナンドレア・ノセダ(指)LSO

録音:2019年10月31日(第6番)、2022年2月6,13日(第15番)
熱量が高く、巧みな語 り口と、どんな旋律も美しく歌わせるノセダの指揮に、LSOのメンバーが全開で応えており、圧巻の演奏の登場となっております。
交響曲第5番の成功(1937年秋)を受けて、前作に匹敵するような作品を作ることを期待され注目された「第6番」。1939年4月に書き始められ、 1939年11月5日、10月革命22周年を記念した演奏会でムラヴィンスキー指揮のレニングラード・フィルによって初演されました。聴衆の反応は非常に 熱狂的で直ちに終楽章が再演されました。熱量の高い冒頭にはじまり、交響曲という壮大なジャンルをショスタコーヴィチがわがものにしていることを感じさせ ます。ノセダはひとつひとつの旋律を美しく歌わせながら際立たせており、LSOの奏者たちが全開で指揮にこたえています。また、楽章全体が対位法で表現さ れており、この後ショスタコーヴィチは数々の弦楽四重奏曲の傑作、そして「前奏曲とフーガ」を生み出してゆくことになります。
最後の交響曲である第15番は、ショスタコーヴィチの体調が悪化してた1970年から71年にかけて書かれたもので、冒頭から不穏な空気が漂う上、ロッシー ニの「ウィリアム・テル」序曲やワーグナーのワルキューレの「死の宣告」など他作品からの引用、そして作品冒頭で現れたEs-As-C-H-Aの音列が最後にチェ レスタで何かを象徴するかのように奏でられるなど、様々に秘められたメッセージを感じる作品です。荒々しい高揚感から静かで天上のように美しい室内楽的な 部分まで振幅が大きいながらも最後はフッと終わってしまうような作品を、ノセダはそれぞれの素材を効果的に響かせながら導きます。 30年ほどの間を隔てて書かれたまったく性格の異なる交響曲2作を、ノセダがどう解き明かすか、注目です。 (Ki)

LAWO Classics
LWC-1258(1CD)
モーツァルト:交響曲第39番&第40番交響曲第39番 変ホ長調 K.543
交響曲第40番ト短調 K.550
ノルウェー放送O、
ペトル・ポペルカ(指)

録音:2022年1月24日-28日&8月22日、NRKラジオ・コンサート・ホール(オスロ、ノルウェー)
2022年8月、マティアス・ピンチャーの代役として東京SOの指揮台に登場し日本デビューを果たすと、驚異的な名演を繰り広げて話題を席巻し、日本の聴衆の心を鷲掴みにした指揮者ペトル・ポペルカ。1986年プラハ出身のポペルカはシュターツカペレ・ドレスデンの副首席コントラバス奏者を務めた経歴を持ち、本格的な指揮活動を開始したのは2016年からとまだ7年ほどしか経っていないにもかかわらず、既にチェコ・フィル、NDRエルプフィル、hr響といった一流オーケストラを指揮。さらに2022/23シーズンにはゲヴァントハウス管、シュターツカペレ・ベルリン、バンベルク響、SWR響、WDR響、ベルリン放送響、スウェーデン放送響、ルクセンブルク響、アトランタ響などにデビューまたはデビュー予定という、次代の音楽界を牽引するであろう存在としてクラウス・マケラらと共に今世界中から熱い視線が送られている気鋭の指揮者です。
2020年8月に首席指揮者に就任して以来良好な関係を維持しているノルウェー放送Oとはマリアンネ・ベアーテ・シェラン(マリアンネ・ベアーテ・キーラント)の「シベリウス:オーケストラ伴奏付き歌曲集(PLWC-1239)」で伴奏としての録音はあったものの純粋な彼らのディスクとしては初。モーツァルト晩年の大傑作、交響曲第39番&第40番を選曲したこのアルバムが新時代の到来を予感させる大注目のコンビ“ポペルカ&ノルウェー放送管”の大きな一歩となることでしょう。

ACO
ACOJP-1(1CD)
日本語解説付き
バッハ、ベートーヴェン、ブラームス
バッハ:2つのヴァイオリンのための協奏曲 二短調 BWV1043*
ベートーヴェン
:弦楽四重奏曲 変ロ長調 作品130より 第5楽章 カヴァティーナ(弦楽オーケストラ編曲:リチャード・トネッティ)、
 大フーガ 変ロ長調 作品133(弦楽オーケストラ編曲:リチャード・トネッティ)
ブラームス:交響曲第3番 ヘ長調 作品90
リチャード・トネッティ(Vn1)*、
ヘレナ・ラスボーン(Vn2)*
リチャード・トネッティ(芸術監督、ヴァイオリン)、
オーストラリア室内O

録音:2005年10月21日-24日、ABCユージン・グーセンス・ホール(バッハ)/2016年5月14日-20日、シドニー・シティ・リサイタル・ホール(ベートーヴェン/ライヴ)/2015年8月23日-24日、メルボルン・ハマー・ホール(ブラームス/ライヴ)
オーストラリアの人間国宝(National Living Treasure)であり同国を代表するヴァイオリニスト、指揮者、作編曲家、リチャード・トネッティが芸術監督を務めるオーストラリア室内O(ACO)の自主制作盤! 2023年の来日公演を記念して、日本語の解説も収録した記念盤が制作されました。トネッティ&ACOの輝かしい録音資産の中から、2005年に録音されたバッハの2台ヴァイオリン協奏曲(ソロはトネッティと首席ヴァイオリニストのヘレナ・ラスボーン)、2016年に録音されたベートーヴェンの弦楽四重奏曲(トネッティ自身の編曲による弦楽オーケストラ版!)、2015年に録音されたブラームスの交響曲第3番を厳選収録。世界に鮮烈な新風を送り続け、日本とも「深いつながり」を持つリチャード・トネッティ&オーストラリア室内管の来日記念盤にご注目ください!
オーストラリア室内Oは1975年創立。1990年に当時弱冠25歳のリチャード・トネッティを芸術監督に迎え、クラシック界のニューウェーブとして国内外で多彩な活動を展開。チェロ以外のメンバーの立奏や、ガット弦の使用など特徴的なスタイルで、バロック音楽から現代音楽まで幅広く取り上げています。リチャード・トネッティはオーストラリアで初めてススキ・メソードを取り入れ、サトゥ・ユリコ・ヴァンスカや後藤和子などの日本に縁のあるメンバーもスズキ・メソードで研鑚を積んでいます。詳しくはACO公式WEBサイトの日本語ページもご覧ください。 https://www.aco.com.au/jp

Diapason
DIAP-159(2CD)
マーラー:作品集
(1)交響曲第3番ニ短調
(2)「若き日の歌」より第1曲、第3曲、第6曲、第7曲
「少年の魔法の角笛」より第1曲、第4曲、第5曲、第6曲、第7曲、第9曲、第10曲
「リュッケルト歌曲集」より第2曲、第3曲、第4曲、第5曲
(1)レナード・バーンスタイン(指)NYO
マーサ・リプトン(Ms)
スコラ・カントルム女声cho
トランスフィギュレーション教会少年cho
録音:1961年

(2)クリスタ・ルートヴィヒ(Ms)
ジェラルド・ムーア(P)
録音:1957年&1959年
フランスの世界的クラシック音楽専門雑誌である「ディアパゾン(Diapason)」が音楽史に輝く名曲の歴史的名演を選出し、新たなマスタリングを施して復刻するシリーズ『レ・ザンディスパンサーブル・ド・ディアパゾン 〜ディアパゾンが選んだ決定盤』。
シリーズの第159巻として登場するのは、レナード・バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィルハーモニックによるマーラーの「交響曲第3番」です。この録音は、バーンスタインのマーラー・ツィクルス第1回目にあたるもので、40代前半のバーンスタインによる若々しい情熱に溢れた演奏となっています。カップリングは、長年ウィーン国立歌劇場で活躍し、コンサートではバーンスタインとマーラーの「交響曲第3番」で度々共演し、リサイタルでもマーラーの歌曲を取り上げていた名歌手クリスタ・ルートヴィヒと、様々な歌手や器楽奏者との共演でも知られるジェラルド・ムーアのピアノによるマーラーの歌曲集が収録され、充実の内容となっています。
Diapason
DIAP-CF028((10CD)
マーラー:交響曲全集

(1)交響曲第1番「巨人」

録音:1961年
(2)交響曲第2番「復活」

(3)交響曲第3番

(4)交響曲第4番

(5)交響曲第5番

(6)交響曲第6番「悲劇的」

(7)交響曲第7番

(8)交響曲第8番「千人の交響曲」

(9)交響曲第9番

(10)交響曲第10番(断章)
(1)パウル・クレツキ(指)VPO
録音:1961年
(2)ブルーノ・ワルター(指)NYO、エミリア・クンダリ(S)、モーリン・フォレスター(A)、ウェストミンスターcho
録音:1958年
(3)レナード・バーンスタイン(指)、ニューヨーク・フィルハーモニック、マーサ・リプトン(Ms)、スコラ・カントルム女声合唱団、トランスフィギュレーション教会少年合唱団
録音:1961年
(4)フリッツ・ライナー(指)CSO、リーザ・デラ・カーザ(S)
録音:1958年
(5)ルドルフ・シュワルツ(指)LSO
録音:1958年
(6)ディミトリ・ミトロプーロス(指NYO
録音:1955年
(7)キリル・コンドラシン(指)モスクワPO
録音:1975年
(8)
ヤッシャ・ホーレンシュタイン(指)LSO、他
録音:1958年
(9)ブルーノ・ワルター(指)コロンビアSO
録音:1961年
(10)ジョージ・セル(指)クリーヴランドO
録音:1958年
芸術の国フランスの世界的クラシック音楽専門誌、「ディアパゾン(Diapason)」の自主製作レーベルの看板であるボックス・セット・シリーズの第28弾として、マーラーの交響曲全集が登場します!
マーラー指揮者と言えば必ず名前が挙がるレナード・バーンスタインやブルーノ・ワルターを始めとして、作曲家としても活躍したパウル・クレツキによる「巨人」、R.シュトラウスには作曲を、そしてジョージ・セルには指揮を師事したルドルフ・シュワルツの「第5番」など、往年の指揮者たちのマーラー解釈をご堪能いただけるBOXセットとなっています。

MDG
MDG-90122926
(1SACD)
ヨーゼフ&ミヒャエル ハイドン「奇跡の兄弟」
ミヒャエル・ハイドン:交響曲第39番ハ長調
 序曲「償われた罪人」
ハイドン:人形歌劇「フィレモンとバウチス」(神々の会議)への前奏曲
 交響曲第96番「奇跡」ニ長調
ハイドン・フィルハーモニー
エンリコ・オノフリ(指)

録音:2023年4月11-16日、ケルンテン州立音楽院、アルバン・ベルク・ザール、オシアッハ、オーストリア
1987年東西冷戦下、指揮者アダム・フィッシャーのもと、ウィーン・フィルとハンガリー国立フィルのメンバーによって設立されたハイドン・フィルハーモニー。 「オーストリア、ハンガリー両国の選りすぐりの音楽家を集め、ハイドンの作品をともに演奏することで音楽的に国境を克服しよう」というフィッシャーの考えのも と、一流の演奏家たちが集合しました。現在はアダム・フィッシャーに次いでニコラ・アルトシュテットが芸術監督を務め、2022年からはアルトシュテットに加え、 イタリア・バロック界の鬼才エンリコ・オノフリがアーティスティック・パートナーとなり、さらに注目を集めています。
そして今回、アダム・フィッシャーが録音を続けてきたハイドン・フィルハーモニーとの「ハイドン録音シリーズ」は、エンリコ・オノフリを指揮に迎え新スタート。 ハイドン兄弟(ヨーゼフと弟ミヒャエル)の交響曲とそれぞれの序曲を収録した内容。フランツ・ハイドンの実弟であるミヒャエル・ハ イドン。その生涯のほとんどをザルツブルクの宮廷音楽家として過ごし、モーツァルトとも親しい存在でした。ここに収録された第39番の交響曲 もモーツァルトの『ジュピター』に影響を与えたとも言われています。 一方、ハイドンの交響曲第96番「奇跡」は、ロンドン交響曲(ザロモン・セット)の一曲。ロンドンの興行師兼音楽家ザロモンの招きにより、ハイドンはイ ギリスを訪問して大成功を収めます。当時イギリスでは市民階級が台頭、音楽も一部の貴族階級の独占的な芸術ではなくなり、広く市民社会層にも迎えられるよう になっていました。それまでエステルハージ宮廷音楽家であったハイドンは、ロンドンで近代的な市民社会のもとに大成功を納めた作曲家といえるでしょう。
ひとりは世界に、ひとりは愛する地に留まって成功を収めた対照的な兄弟の奇跡的な共演盤の登場です。

GRAND SLAM
GS-2294(1CD)
ブルックナー:交響曲第5番(改訂版) ハンス・クナッパーツブッシュ(指)VPO

録音:1956年6月3〜6日ゾフィエンザール(ウィーン)
使用音源:Private archive (2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:ステレオ(録音セッション)
■制作者より  
クナッパーツブッシュ(指)ウィーン・フィルによるブルックナーの交響曲第5番は、ステレオ初期の名盤として今なお珍重されています。当シリーズでも2トラッ ク、38センチのオープンリール・テープより復刻したGS-2112(2014年5月)を発売していますが、今回はマスタリングの全行程をプロ用の機器を使用し、め ざましい音質改善を獲得しました。使用したテープには「DECCA CS6114/5(ZAL3218/20)、レコード用」と、番号とマトリクスが添えられていることから、 アメリカ・ロンドン盤のLPプレス用マスターかと思われます。そのせいでしょうか、その広がりの豊かさ、そして暖かく新鮮で瑞々しい音色は、とても1956年の ステレオ録音とは思えません。きっと、多くの人が改訂版であることを忘れ、この法悦に満ちた音世界にどっぷりと浸かれると思います。(平林 直哉)

CLAVES
50-3076(1CD)
ベートーヴェン:献堂式 Op.124
(2)モーツァルト:交響曲第39番変ホ長調 K.543
タッローディ:啓蒙の断片【世界初録音】
(4)モーツァルト:フリーメイソンのための葬送音楽 K.477
ロベルト・ゴンザレス=モンハス(指)
ヴィンタートゥール・ムジークコレギウム

録音:2022年9月/ヴィンタートゥール・シュタットハウス(スイス)
1629年結成のスイス最古のオーケストラ、ヴィンタートゥール・ムジークコレギウム。定期的に来日公演も行っている日本でもおなじみの団体です。
2021/22シーズンより同団の音楽監督に就任したゴンザレス=モンハスはこれまでヴィンタートゥール・ムジークコレギウム、サンタ・チェチーリア国立アカデ ミーO、ヴェルビエ祝祭Oのコンサートマスターを兼任していますが、近年は指揮者としても頭角を現しています。
このアルバムではモーツァルトの交響曲第39番を中軸にベートーヴェンの献堂式、アンドレア・タッローディ(1981-)の「啓蒙からの断片」、モーツァルトの「フ リーメイソンのための葬送音楽」を収録しております。タッローディは天才トロンボーン奏者クリスチャン・リンドベルイの愛娘で数多くの賞を受賞している現代ス ウェーデンを代表する作曲家の一人。「啓蒙からの断片」はヴィンタートゥール音楽祭およびゴンサレス=モンハスからの委嘱作で、モーツァルトの交響曲第39番 からインスピレーションを受けて作曲。随所にモーツァルトの作品からの引用や断片が登場します。 (Ki)

H.M.F
HMSA-0067(1SACD)
シングルレイヤー
日本独自企画・限定盤
税込)定価
マーラー:「巨人」〜交響曲形式による音詩(交響曲第1番の1893年ハンブルク稿、2部から成る)
第1部 「青春の日々より」花、果実、そして茨の絵
1第1楽章:春、そして終わることなく(序奏とアレグロ・コモド)
2第2楽章:花の章(アンダンテ)
3第3楽章:順風満帆(スケルツォ)
第2部  「人間喜劇」
4第4楽章:難破!(カロ風の葬送行進曲)
5第5楽章:地獄から(アレグロ・フリオーソ)
フランソワ=グザヴィエ・ロト(指)
レ・シエクル(管弦楽)

録音:2018年2月、3月、10月
ロトとレ・シエクルによるマーラーの「巨人」がSACDシングルレイヤーで登場します!ハルモニア・ムンディ・フランス・レーベルからハイレゾ音源の提供を受け て、SACDリマスタリングを施した、日本独自企画のリリース。限定生産となります。
マーラーは1889年11月20日に初のオーケストラ作品である交響詩をブダペストで初演しました。その後1893年にハンブルグの宮廷指揮者に任命された際、 その作品を改訂し、「“ 巨人」交響曲形式による音詩”と名付けました。徹底的にオーケストレーションを直し、あまりにベートーヴェン的だった序奏部を独創的 な高周波のような弦のトレモロにし、木管を倍増、コールアングレやバスクラリネットなども加え、可能な限り自然の音をイメージさせるスコアにしました。第2楽 章に「ブルーミネ」(花の章)を含むこの第2版は、同年10月27日にハンブルクで初演されました。今回のロトとレ・シエクルの演奏はこの第2版によります。ロト の演奏は、「花の章」の甘美な音楽が、続く荒廃の世界を強調する働きを持つことを際立たせています。SACD化により、初演当時の風合い豊かなサウンドが、な んともまろやかに響きます。 (Ki)
H.M.F
HMSA-0068(1SACD)
シングルレイヤー
日本独自企画・限定盤
税込)定価
サン=サーンス:交響曲第3番「オルガン付き」
ピアノ協奏曲第4番ハ短調 作品44
フランソワ= グザヴィエ・ロト(指)
レ・シエクル(管弦楽)
ダニエル・ロト(Org/サン=シュルピス教会、1862年カヴァイエ=コル製)
ジャン=フランソワ・エッセール(P/1874年製のエラール)

録音:2010年
ロトとレ・シエクルによるサン=サーンスの「オルガン付き」がSACDシングルレイヤーで登場します!ハルモニア・ムンディ・フランス・レーベルからハイレゾ音源 の提供を受けて、SACDリマスタリングを施した、日本独自企画のリリース。限定生産となります。
サン=サーンスの交響曲第3番は名作の誉れ高いものですが、物々しく演奏されるのが常でした。しかし作曲者サン=サーンス本来の資質は軽妙洒脱、威圧感 や重苦しさとは無縁のはず。フランソワ=グザヴィエ・ロトが古楽器オーケストラ「レ・シエクル」を指揮した本盤は、物々しさや重苦しさは姿を消し、これぞサン= サーンスが思い描いた響き、とまさに目から鱗が落ちる思いがします。オルガンを受け持つのはフランソワ=グザヴィエの実父で有名なオルガニスト、ダニエル・ロ ト。パリのサン=シュルピス教会の名器が素晴らしい響きを聴かせてくれます。このたびのSACD化により、よりなめらかに自然にオルガンとオーケストラの響き が融合しているさまをお楽しみいただけます。カップリングはこれもシリアスな曲調で名高いピアノ協奏曲第4番。ジャン=フランソワ・エッセールが1874年製の エラールのフォルテピアノでいとも見事に披露。まるで古典派協奏曲のようなたたずまいとなっています。 (Ki)

Goodies
78CDR-3908(1CDR)
ベートーヴェン:交響曲第2番ニ長調作品36 パウル・ファン・ケンペン(指)
ドレスデンPO

独 GRAMMOPHON67608/12S
1941年ドレスデン録音
指揮者のパウル・ファン・ケンペン(1893-1955)はオランダ生まれ。アムステル ダム音楽院で、ユリウス・レントヘン、ベルナルト・ズヴェールス に作曲と指揮法を、ルイ・ツィマーマン(1873-1954)にヴァイオリンを学び、ア ムステルダム・コンセルトヘボウOの第2ヴァイオリン奏者としてキャリ アをスタートした。1932年にドイツ国籍を取得し、1933年に指揮者デビュー。 1934年にドレスデンPOの音楽監督に就任。1942年か ら1944年までアーヘン市立歌劇場の音楽監督をつとめた。第二次大戦後、活動 の場をオランダに移したが、戦時中のナチス政権とのかかわりを問題視され物 議を醸した。1955年アムステルダムで死去。ファン・ケンペンはSPレコード にベートーヴェンの交響曲第5番(ドレスデン・フィル)と交響曲第8番(ベルリン ・フィル)を独 POLYDORに録音していた。(グッディーズ)


Treasures
TRE-306(1CDR)
ブルックナー:交響曲第8番ハ短調 WAB 108 (1890年稿・ノヴァーク版) ヤッシャ・ホーレンシュタイン(指)
ウィーン・プロ・ムジカO(ウィーンSO)

録音:1955年(モノラル)
※音源:英VOX PL-9682
◎収録時間:76:29
“マーラーにもブルックナーにも適応できるホーレンシュタイン独自の音作り!”
■音源について
英国の黒銀ラベル盤(RIAA)2枚組を採用。

★いかにもホーレンシュタインらしい、人間臭さに背を向けた超然とした佇まいは、まさにこの作品との相性は抜群!
 第1楽章第1主題の全く勿体ぶらない粛々としたした進行も決して淡白なのではなく、どこか突き抜けた別次元の空気感を醸し出します。第2主題も媚びる素振りは皆無。ウィーンのオケ特有の緩さに求心力を注入したフレージングが印象的で、第3主題直前(2:48〜)の木管の孤独感は、これまたホーレンシュタインならでは。再現部における第3主題の直截な放射力は、朝比奈のような無骨さとは好対照で、まさに宇宙的な空間を想起させます。
 重量的にも音色的にも鉛を思わせる音作りは、第2楽章の3拍子の重心が常に下方向へ向かって独特のスケール感を生み出すのに大きく貢献。特の後半部分は圧倒的。
 第3楽章は、辺りを払うような超然とした空気と孤高感が最高次元に結実。否、古今の同楽章の演奏の頂点に君臨するものと言っても過言ではありません。ルバートは最小限ながら呼吸は深く大きく、先を見通したフレージングの持久力も手伝って、感覚的な美しさを超えた崇高さを生み出します。第1主題B(1:50〜)は各音に内容が極限まで充満させながら決して流れは淀まず、第1主題A(4:26〜)の深みも尋常ではなく、6:01からのワーグナー・チューバの響きも格別。核心に食い込む7:27からの木管のアクセントに痺れた後は、晩年のチェリビダッケの演奏など物足りないと思う方も多いのでは。激烈な16:49以降や、シンバルを伴う最高潮の19:30以降の空前絶後のスケール感に何も感じない人などいるでしょうか?20:24以降の弦の本気度もこれ以上のものを知りません。
 終楽章は、6:44で一旦リテヌートするのが印象的な以外は各楽想に激しい緩急のコントラストを与えていませんが、音の求心力と音楽の核心のみを抉り出そうとする集中力はここでも不変。音像の安定感もこれ以上望めないほど盤石。コーダの2分半は、華麗な大団円に終止する指揮者では実現できるはずのない真の魂の音楽が結実!ここにあえてトラック[5]を追加した意図をお汲み取りいただければ幸いです。 【2023年6月・湧々堂】


King International
KKC-4335(1SACD)
限定発売
「世界の調和」は真正ステレオ!
フルトヴェングラーのヒンデミット
交響曲「世界の調和」
管弦楽のための協奏曲 作品38*
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)
VPO、BPO*

録音:1953年8月30日 フェストシュピールハウス、ザルツブルク(ライヴ)
1950年6月20日 ティタニア・パラスト、ベルリン(ライヴ)*
解説:小石忠男
「STEREO IS CCIR!」 CCIR(ヨーロッパのイコライザー・カーヴ)はSTEREOだ! イタリア・チェトラ社のFE(フルトヴェングラー・エディション)シリーズの制作元ミラノ・ディスコス社から取り寄せたマスターテープのケースには「世界の調和」 についてこう明記されていた!もう1曲「管弦楽のための協奏曲」の方には「ATTENTION :MONO IS CCIR !!」との注が。この違いは?!
非ナチ化裁判でフルトヴェングラーを擁護するなど、深い友情で結ばれてきたドイツの作曲家ヒンデミット。代表作2曲「世界の調和」と「管 弦楽のための協奏曲」に遺した巨匠の貴重なライヴ。 「ヒンデミット作品は、贅肉のない引き締まった面を強調する指揮者が多い中、フルトヴェングラーは、深いところに根ざした拡張的アプローチを通じて、より肉厚 で高貴な音楽を造り出しています。現代的かつ機動的で清潔に演奏されるのが「世界の調和」の常道だが、フルトヴェングラーにかかると、厳密に定めた歩調と、重 みをつけた響きによって、けっして有名とはいえないこの作品も貫禄を帯びてくる。てらいもなければ、ナンセンスの入る余地もないヒンデミットの書法には、解釈 上の大きな誤差が生じるはずもないが、フルトヴェングラーの演奏はただ効果的というだけではない。時に熱を帯びる積極的な関与が見られ、つねに愛情が向け られています。「世界の調和」の二種類の録音のうち、優れているのはザルツブルクで演奏された二番目の方です。音質面でも、フルトヴェングラーの録音中、特 筆すべきすばらしさの一枚と言えるでしょう。」(『フルトヴェングラー グレート・レコーディングズ』ジョン・アードイン著 藤井留美訳 音楽之友社発行) 「ウィーン・フィルを指揮した「世界の調和」だが、これはディテールのすみずみまで克明に処理しながら、彫りの探さと壮大な高潮を兼ねそなえた秀演です。い わばフルトヴェングラーならではの表現だが、第1楽章では共感と情熱の激しさが端的に示されており、旋律の息ながく歌う粘着力もみごとに作品の内面と結び 付いています。ヒンデミット特有の和音の変転を、えぐり出すように表現しているのも、この作曲者の書法を知りつくした結果です。第2楽章の歌の表情のもつ豊 富なニュアンス、第3楽章の鮮明な楽想の表出もすばらしく個性的で、同時に作品の本質を鋭い感性で表わしています。この曲のように精緻な対位法を駆使した作品 で、水平的な歌を弱めることがないのも、さすがというほかはない。 「オーケストラのための協奏曲」では、ベルリン・フィルの独奏と合奏の鮮烈な名技が、圧倒的と感じられます。この二つの曲で、ウィーン・フィルとベルリン・フィ ルがそれぞれの作品と密着しているのは、おどろくべきことだが、これはフルトヴェングラー自身が意識して選んだことかも知れない。この協奏曲では、コンチェル ティーノのきめこまかく、また機能的な書法が、ベルリン・フィルの名技にうってつけです。あるいは合奏のデリケートな表情と結ばれた運動性の美しさ、爽快と いえるほどのリズム感の確かさも、実にあざやかというほかはない。これは録音の古さを超えて、きき手に迫る演奏というべきでしょう。その意味で、フルトヴェング ラーは、いまも生きているのです。」(小石忠男、ライナー・ノーツより)
「世界の調和」は1982年チェトラ盤LP(FE-22)が”ステレオ”表示で出た時に、翌年発売されたワーグナーの「指環」とともに大騒ぎされました。キングレコー ドでは84年に国内初出LP(K17C-9425)として発売されましたが、疑似ステレオではないかとの疑念からモノラル盤にしております。88年にチェトラでCD 化されましたが(CDE-1049)、こちらも同様にモノミックスした音に。これをキングでは輸入盤日本語解説つきで発売(KICC-7152)、日本に来たマスターテー プからのCD化は見送られてきました。 このたびSACD化にあたって、39年ぶりにミラノ・ディスコスが制作したアナログ・テープ(38cm/秒、2トラック)の音質をチェックしてみたところ、余りに音 が良すぎることにびっくり!純正モノラルや疑似ステレオとは明かに違う2チャンネル録音の<空間を感じさせる雰囲気>があります。これは2020年に「オリジナ ル・ステレオ録音!!」として発売した「魔弾の射手」全曲(KKC-4246/7)のときに調べた以下の記事を思い起こさせます。 仏フルトヴェングラー協会会報1983年9月号 P.Jaquard氏(以下の記事翻訳、桧山浩介氏訳、レコ芸85年2月号『名演奏家ディスコグラフィ』より) 「1953,54年のザルツブルク音楽祭ではフルトヴェングラー自身の提案によって、ステージ左右にセットされた3本ずつのマイクを通じて2チャンネルで収録され ていた。マスターテープのスピードは76cm/秒(2トラック)で、録音エンジニアは巨匠の娘婿にあたるアルフレッド・クンツです。」 「世界の調和」は1953年ザルツブルク音楽祭での録音です。まさにこの記事に該当する画期的録音ではないかと思わせる今回、マスターテープを一切加工せず に、世界初SACD化を行ないました。「世界の調和」は他社(EMI,ORFEO等)からもすでにCD化されていますが、もっともオリジナル音源に近い音でSACD化したフルトヴェングラーの貴重な名演・録音をご堪能ください。 (Ki)

GRAND SLAM
GS-229(1CD)
ハイドン:交響曲第88番ト長調Hob. I:88*
シューベルト:交響曲第9番「ザ・グレイト」
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)BPO

録音:1951年12月4&5日*、1951年11月27&28日、12月2&4日/イエス・キリスト教会、ベルリン・ダーレム(ドイツ)
使用音源:Private archive (2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
■制作者より  
この2曲はフルトヴェングラーとベルリン・フィルが戦後に初めて行ったセッション録音であり、今でも伝説的に語りつがれています。同内容のCDはLP復刻の GS-2017(2006年)、2トラック、38センチのオープンリール・テープを使用したGS-2152(2016年)として発売しました。今回は3度目の正直ではあり ませんが、GS-2152同様に2トラック、38センチのオープンリール・テープ(シューベルトのみ新規のテープ)を使用、全行程をプロ用の機器でマスタリングを 施しました。結果は、驚くほど瑞々しく繊細な音質を獲得出来ましたので、これならばリマスターの意義を感じてもらえるだろうと判断しました。(平林 直哉)
GRAND SLAM
GS-2292(1CD)
ベルリオーズ:幻想交響曲 Op.14a シャルル・ミュンシュ(指)パリO

録音:1967年10月23〜26日サル・ワグラム(パリ)
使用音源:Private archive (2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:ステレオ(録音セッション)
■制作者より  
この演奏は2トラック、38センチのオープンリール・テープを使用し、2018年にGS-2178として発売しました。リマスター盤は当分の間出すつもりはなかっ たのですが、「既存のCDの中には第3楽章の途中で妙な空白があるのが、GS-2178はそうなっていないので、再プレスをして欲しい」との声が寄せられました。 そこで、同じ出し直すのであれば音を刷新すべきだと判断し、新たに2トラ38のテープを取り寄せ、プロ用の機器でリマスタリングを行いました。結果は予想を遙 かに上まわるもので、再発売の価値は十分にあると思います。  なお、ミュンシュ&パリOのもうひとつの名演、ブラームスの交響曲第1番ですが、これは日本がTPPに加入したため、当シリーズで再発売が出来るのは 2039年以降となります。ご了承下さい。(平林 直哉)

Audite
AU-97761(1CD)
リスト:ファウスト交響曲
メフィスト・ワルツ第3番S.216(管弦楽編)(編曲:アルフレート・ライゼナウアー〜キリル・カラビツ)【世界初録音】
アイラム・エルナンデス(T)
ワイマール国民劇場cho、
イェンス・ペーターアイト(合唱指揮)
テューリンゲン少年cho、
フランツィスカ・クバ(合唱指揮)
キリル・カラビツ(指)
シュターツカペレ・ワイマール

録音:2022年6月12&13日/ワイマール・ホール
キリル・カラビツ率いるシュターツカペレ・ワイマールが同団の本拠ワイマールにまつわる作品を演奏する好評のシリーズ。当アルバムはリストの第3弾で「ファ ウスト交響曲」とメフィスト・ワルツ第3番の管弦楽編を収録しております。
1848年、リストがワイマールの宮廷楽団の常任楽長に就任しました。ゲーテとシラーの記念碑が建立されたのと同じ日に初演された「ファウスト交響曲」はゲー テの「ファウスト」に登場する3人の性格描写を各楽章で行い、幻想的、叙事的、心理的な世界を音化した傑作です。当初、管弦楽だけで演奏するために作曲され ましたが、のちに「神秘の合唱」を追加。カラビツ率いるシュターツカペレ・ワイマールが3人の登場人物の心理を見事に表現しております。カップリングはメフィ スト・ワルツ第3番の管弦楽版を収録。ライゼナウアー編をカラビツが編曲しており、この編曲では世界初録音となります。


Spectrum Sound
CDSMBA-138(1CD)
ベルリオーズ:幻想交響曲 Op.14
ドビュッシー:管弦楽のための3つの交響的素描『海』
シャルル・ミュンシュ(指)
フランス国立放送O

ライヴ録音:1966年1月10日バーデン=バーデン劇場、ドイツ(モノラル)【初出音源】
音源:フランス国立視聴覚研究所音源提供
丁寧な復刻で評価を高めているスペクトラム・サウンド。当アルバムはフランス国立視聴覚研究所(INA)の貴重音源からの復刻で、シャルル・ミュンシュ(指) フランス国立放送O演奏のベルリオーズの幻想交響曲とドビュッシーの「海」を収録。正規初出音源です。
ミュンシュの十八番プログラムの『幻想交響曲』と『海』。同曲を収めたライヴ録音はこれまでもリリースされていますが、中でも伝説の超名演、1967年11月 14日のパリOのお披露目演奏会を収めたアルバムは驚異的な演奏で大ベストセラーとなっております。
初出となった当録音はその前年の1966年1月10日、バーデン=バーデンにおけるフランス国立放送Oとの演奏。晩年まで熱量の高い演奏で聴衆を魅 了したミュンシュですが、当演奏も大炸裂しております。一期一会のひらめきに満ちた名演をお楽しみください! (Ki)

Spectrum Sound
CDSMBA-139(1CD)
ブラームス:交響曲第3番ヘ長調 Op.90
チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調 Op.64*
ポール・パレー(指)
フランス国立放送O

ライヴ録音:1964年5月12日、1970年11月25日* シャンゼリゼ劇場(ステレオ)【初出音源】
1962年盤同様、感傷に流されず、イン・テンポを基調とした演奏。有名なマーキュリー録音だけでは知ることができないパレーの底力を思い知る一枚です。パレーはこのとき既に80歳を超えていましたが、随所でパレー自身の鼻歌が聞かれるほどその表現意欲は衰えを知らず、知的に造形を制御しつつも、純粋に音楽に夢中になる心が、音楽に瑞々しさと感動をもたらしてくれるのです。
 スコアの指示を鵜呑みにしないのは言うまでもありませんが、特筆したいのは、あえてテンポ指示を遵守している箇所では、それに相応しいニュアンスが必ず浮揚させている点。例えば第2楽章、99小節(6:32〜)のテンポ・プレチェデンテの指示を踏襲してテンポを落としていますが、そこにはそうしなければならない浮き上がらないであろう荘重なスケール感が確実に存在しているのです。108小節のピチカート以降(7:01〜)は、ニュアンスがますます豊穣に。142小節の副次主題の再現は熱さの極みで、149小節(9:38〜)から瞬時にギアチェンジしてテンポ・アップする技が、これほど効果的なもの珍しく、その後のルバートと大きな呼吸の膨らませ方もまさに巨匠芸!
 どこか響きが空虚で、確実にニュアンスを炙り出した例が少ない終楽章冒頭にもご注目!特に大きな音を出しているわけでもないのに、フレージングが強力び刻印されていることに驚きを禁じえません。高速テンポの馬力に頼らずとも、風格と品格ある響きは醸し出せるという証しです。また16小節からの弦のピチカートが惰性皆無で、ここまで魂を注ぎ込んだ演奏も他にないでしょう。さらに、その後の管楽器のブレンド感も極上!後半全休止後、モデラートの音の質感も、楽章冒頭と同じく、ここまで響きが練られた例は稀。音圧が変に軽く、地に足がついていない演奏が多いのですが、474〜503小節の充実ぶりは空前絶後と言えます。
 オケの響きはもちろんフランス流儀の軽く明るいものですが、内容は重量級です。【湧々堂】 →さらなる詳細レヴューはこちら

Goodies
78CDR-3906(1CDR)
ダンディ:「フランス山人の歌による交響曲」 マルグリット・ロン(P)
ポール・パレー(指)コロンヌO

仏COLUMBIA LFX 332/4
1934年5月24-25日パリ録音
作曲者ダンディが毎年夏を過ごしたセヴェンヌ地方山地の民謡を主題にして作 曲。マルグリット・ロン(1874-1966)はフランスのニーム生まれ。17歳でパリ音 楽院の一等賞を得た後、マルモンテル(1816-1898)教授のもとでさらに研鑽を つみ、1893年にサル・プレイエルでデビューし、1906年32歳でパリ音楽院教授 に就任した。指揮者のポール・パレー(1886-1979)はノルマンディのル・トレポ ール出身。パリ音楽院在学中の1911年、カンタータ「ヤニッツァ」でローマ大 賞を受賞。第1次世界大戦(1914-1918)にフランス陸軍に従軍したがドイツ軍の 捕虜となり、ダルムシュタット収容所生活の間に音楽家たちと交友を築いた。 大戦後は指揮者として活躍した。このシリーズで、この曲と同じセッションで 録音されたベートーヴェンの田園交響曲(78CDR-3259)が出ている。(グッディーズ)
Goodies
78CDR-3907(1CDR)
ブラームス:交響曲第1番ハ短調 作品68 レオポルド・ストコフスキー(指)
ハリウッド・ボウルSO

米 VICTOR 18-0020/24
1945年8月1日ロサンジェルス録音
このオーケストラは1922年にロサンジェルス地域で活動するミュージシャンが 集まって野外劇場(ハリウッド・ボウル)演奏会を開いたのが始まり。1945年に 指揮者のレオポルド・ストコフスキーのもとでハリウッド・ボウル交響楽団が 設立された。これはその最初の録音。だがこのオーケストラは7シーズンで解散 した。その後ハリウッド・ボウルでの夏のコンサートはロサンゼルス・フィル によって続けられている。レオポルド・ストコフスキー(1882-1971)はロンドン 生まれ。1912年にフィラデルフィア管弦楽団の指揮者に就任し1940年までその 地位にあった。ストコフスキーはレコードの発展に大きく貢献した。1925年に 電気録音による初のオーケストラ録音、1932年にはベル研究所の世界初のステ レオ録音の実験に参加し成功させた。この録音は日・米戦争終結の2週間前に行 われた。レコードはSP盤ながら従来の落とせば割れるシェラック盤ではなく、 LPと同じビニール製。(グッディーズ)

Acte Prealable
AP-0505(1CD)

PAP-0505(1CD)
国内盤仕様
税込定価
ラウル・コチャルスキ(1885-1948):交響曲集 Vol.1
1-7. 愛より Op.99(ライナー・マリア・リルケによる7つの詩)
8-21. 交響的伝説 Op.53(管弦楽のための勇敢王ボレスラウスと聖司教スタニスラウスの交響的伝説)
22-31. 幻想交響曲 Op.73(エヴォカシオン)
ヴォイチェフ・ロデク((指)8-31)、
フィルハルモニア・ルベルスカ(8-31)、
カタジナ・ドンダルスカ(ソプラノ、1-7)、
フィルハルモニア・ドルノシロンスカ(1-7)、
シモン・マコフスキ((指)1-7)

録音:2022年11月30日-12月1日、フィルハルモニア・ドルノシロンスカ(1-7)、2021年11月8日-10日、フィルハルモニア・ルベルスカ(8-31)
※国内盤:解説日本語訳&日本語曲目表記オビ付き
これまでにも「Acte Prealableレーベル」より室内楽作品集をリリースしてきたポーランドの作曲家、ラウル・コチャルスキ(1885-1948)による交響曲集の第1弾がついにリリースです。コチャルスキは幼い時からそのピアノの腕前をアントン・ルビンシテインに絶賛されたアーティストでもあり、特にそのショパンの演奏は、高く評価されました。作曲家としては200曲以上もの歌曲を中心にピアノ曲、バレエ、オペラ、交響曲、ヴァイオリン協奏曲、チェロ協奏曲、ヴァイオリン・ソナタ、チェロ・ソナタ、ピアノ・トリオ、さらにはピアノ協奏曲に至るまであらゆるジャンルの作品を残しています。現在では残念ながら演奏機会に恵まれない作品も多いですが、ロマン派らしい美しいメロディに溢れた作品を残していることがこのアルバムからも窺えます。

Forgotten Records
fr-1882(1CDR)
オネゲル:交響曲第2番「弦楽の為の」*
マルティヌー:交響曲第3番H.299 #
ブジェティスラフ・バカラ(指)ブルノPO

録音:1956年1月、1956年#
※音源: Muza L 0166*、L 0150 #
Forgotten Records
fr-1881(1CDR)
リスト:ダンテ交響曲 アルフレッド・ウォーレンステイン(指)
ロサンゼルスPO

録音:1953年2月
※音源: 米Decca DL 9670
Forgotten Records
fr-1883(1CDR)
ステンハンマル:交響曲第2番ト短調 Op.34*
感傷的なロマンス第1番 #
フランチェスコ・アスティ(Vn)#
トール・マン(指)
ストックホルムPO*、イェーテボリSO#

録音:1930年3月13日#
1959年8月15日-16日、ストックホルム・コンサートホール(ステレオ)*
※音源: Swedish Society Discofil SLT 33198*、 HMV Z 206
Forgotten Records
fr-1884(1CDR)
ウォーレンステイン/ラフマニノフ&チャイコフスキー
ラフマニノフ:交響曲第2番*
チャイコフスキー:ワルツ集#
 眠れる森の美女 〜ワルツ
 白鳥の湖 〜ワルツ
 くるみ割り人形 〜花のワルツ
 エフゲニー・オネーギン 〜ワルツ
 弦楽セレナード 〜ワルツ
 交響曲第5番 〜第3楽章
アルフレッド・ウォーレンステイン(指)
ロサンゼルスPO

録音:1952年頃# 、1960年1月23日-24日(ステレオ)*
※音源:Capitol SP 8386*、Brunswick AXL 2012 #
Forgotten Records
fr-1885(1CDR)
スヴェンセン:交響曲第2番変ロ長調 Op.15*
ハチャトゥリアン:交響曲第1番#
アレクサンドル・ガウク(指)モスクワRSO

録音:1956年*、1959年#
※音源:Melodiya D 3048/9* D 4920/1 #
Forgotten Records
fr-2111(1CDR)
パレー、グリュミオー、ジャンドロン
モーツァルト:「フィガロの結婚」序曲
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」
ブラームス:二重協奏曲 イ短調
R・シュトラウス:交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」
アルテュール・グリュミオー(Vn)
モーリス・ジャンドロン(Vc)
ポール・パレー(指)
モンテ・カルロ国立歌劇場O

録音:1959年8月19日(モナコ、モナコ公レーニエ3世&公妃グレース・ケリー夫妻臨席)・モノラル・ライヴ

GRAND SLAM
GS-2291(1CD)
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番ト長調 Op.58
交響曲第7番イ長調 Op.92
コンラート・ハンゼン(P)
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)BPO

録音:1943年10月31日〜11月3日/旧フィルハーモニー、ベルリン
使用音源:Private archive (2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:モノラル(ラジオ放送用録音)
■制作者より
フルトヴェングラーとベルリン・フィルによる大戦中のライヴ、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番(独奏:コンラート・ハンゼン)と同交響曲第7番については、 もはや説明不要かと思われます。今回の2曲は当シリーズ初めての2トラック、38センチのオープンリール・テープからの復刻となります。  最近では会場のノイズを除去するだけではなく、演奏に伴うノイズ(靴音、譜面をめくる音、息継ぎなど)さえも軽減するのが当たり前になっています。これも、 ひとつの考え方かもしれませんが、GSシリーズでは鑑賞を著しく阻害する電気的なノイズ以外は除去せず、その日に起こったことはすべて音楽として捉え、テープ に刻まれた情報を尊重したマスタリングを行っています。  なお、交響曲第7番の第4楽章冒頭の2小節は、オリジナル録音に欠落がありますが、復刻に使用したテープは補修がなされています。この2小節は非フルトヴェ ングラーのようにも思えますが、それほど不自然には聴こえないので、そのままにしてあります(多くのディスクではこの欠落を展開部のコピーで補っていますが、 楽譜の音とは異なるので、この処理も完全に正解とは言いがたいでしょう)。また、収録日には諸説ありますが、ここでは最も一般的なものを採用しています。(平林直哉)

OEHMS
OC1718(2CD)
NX-C05
マーラー:交響曲第3番ニ短調 ベッティナ・ランチ(A)
エッセン・フィルハーモニー合唱団女声団員
アールト児童cho
ベルリン・ドイツ・オペラ児童cho
エッセンPO
トマーシュ・ネトピル(指)

録音:2023年1月
1975年、チェコに生まれ、ストックホルム王立音楽院でヨルマ・パヌラに指揮法を学んだトマーシュ・ネトピル。“チェコの次代を担う若手”として聴衆の期待を 一身に集めている注目の指揮者です。2002年に開催された“第1回ゲオルク・ショルティ指揮者コンクール”で優勝、プラハ国立劇場の音楽監督を経て 2013/2014年からはエッセンPOとアールト歌劇場の音楽監督を務めています。 チェコと深い関係にあるマーラーの音楽に強く共感しているネトピル。今回は巨大なオーケストラと女声・児童合唱、アルト独唱を要する第3番の録音。冒頭 の8本のホルンの斉奏に導かれた長大な第1楽章をはじめ、マーラーが愛する「子供の不思議な角笛」からの引用が聴かれる第3楽章と第5楽章、ニーチェの 「ツァラトゥストラはかく語りき」を用いたアルト独唱が美しい第4楽章など、様々な素材を巧みに用いた聴かせどころの多い作品を、ネトピルは鮮やかに聴かせ ます。

TOCCATA
TOCC-0657(1CD)
NX-B03
フリードリヒ・ブルク(1937-):管弦楽作品集 第4集
交響曲第15番「Reflections リフレクションズ」(2015)
交響曲第16番「The River Dnieper ドニプロ川」(2016)
リトアニア国立SO
イマンツ・レスニス(指)

録音:2015年9月、2016年6月
全て世界初録音
1937年、ウクライナのハルキウ(ハリコフ)生まれの作曲家ブルク。現在はフィンランドに住み、タンゴの作曲家として 知られていますが、彼の作品の中で重要な位置を占めるのが20曲を越える交響曲です。3つの楽章からなる第 15番は、フィンランドの軍人で大統領マンネルヘイム、エストニアの革命家で初代大統領パッツ、スウェーデンとロ シアという強国にはさまれたフィンランドのウーシマー地方の歴史から想を得ています。バスドラムやティンパニなど打 楽器を多用するニールセン風の音楽に、シベリウスを思わせる繊細なワルツをまじえています。第16番はロシアから ベラルーシ、ウクライナを経て黒海にそそぐ大河「ドニプロ(ドニエプル)川」沿岸地域の歴史から着想した作品。 「チョルノービリ(チェルノブイリ)の物語」と題された第2楽章は1986年の原発事故の破局や恐怖を描き、「嵐と啓 蒙」と題された終楽章も予定調和的な解決からは程遠く、この地域の多難な歴史があらためて思い起こされま す。

Goodies
78CDR-3903(1CDR)
モーツァルト:交響曲第40番ト短調 K.550 アルトゥーロ・トスカニーニ指揮
NBC響

1938年3月7日&1939年2月27日ニューヨーク、NBC放送8Hスタジオ録音
英HMV DB 3790/2(米VICTOR 15733/5と同一録音)
アルトゥーロ・トスカニーニ(1887-1967)はイタリアのパルマ生まれ。最初チェ ロを学んだ。1888年南米への演奏旅行中に指揮者の代役をつとめ、それを機に 指揮者に転向した。1898-1908年ミラノ・スカラ座音楽監督、1908-1915年ニュ ーヨーク・メロポリタン歌劇場音楽監督、1926-1936年ニューヨーク・フィル音 楽監督を歴任した。1930-1931年バイロイト音楽祭に出演、1934-1937年ザルツ ブルク音楽祭に出演した。1937年ムッソリーニの独裁政権に反対してアメリカ に亡命、一旦引退を表明したが、NBC交響楽団が創立されて復帰し、途中一年間 の空白(1943年)があったが、1954年まで常任指揮者をつとめた。この交響曲40 番はモーツァルトの原譜にないクラリネットが加えらている。(グッディーズ)

オクタヴィア
OVCL-00813(1SACD)
税込定価
2023年5月24日発売
ハイドン:交響曲集Vol.20
交響曲第56番ハ長調Hob.T:56
交響曲第40番ヘ長調Hob.T:40
交響曲第74番変ホ長調Hob.T:74
飯森範親(指)
日本センチュリーSO

録音:2020年10月23日(第40番)、2021年7月30日(第56番)、9月30日(第74番)大阪、ザ・シンフォニーホール・ライヴ
日本センチュリーSOが首席指揮者の飯森範親 と共にスタートした「ハイドンマラソン」は、フラ ンツ・ハイドンのすべての交響曲を演奏 しようという一大プロジェクト。当盤は第21回、 24回、25回コンサートのライヴ収録です。 幾度の公演を重ね、信頼関係を築いてきた飯森と日 本センチュリー響は、精緻な構築と、細部までこだ わりぬいた感性で、気品あふれるハイドンを奏でて います。柔和で晴々とした優美な演奏は、まさに彼 らの真骨頂といえるでしょう。(オクタヴィア)


Biddulph
BIDD-85027(1CD)
NX-B04
初出音源〜ビーチャム唯一のラフマニノフ!!
ラフマニノフ:交響曲第3番イ短調 Op.44*
合唱交響曲「鐘」Op.35[英語による歌唱。第3楽章は1936年改訂版]
サー・トーマス・ビーチャム(指)LPO*
イソベル・ベイリー(S)
パリー・ジョーンズ(T)
ロイ・ヘンダーソン(Br)
フィルハーモニックcho
サー・ヘンリーウッド(指)BBC響*

録音:1937年11月18日 ロンドン、クイーンズ・ホール(ライヴ)*
1937年2月10日 ロンドン、クイーンズ・ホール(ライヴ)
Biddulphからラフマニノフの交響曲第3番英国初演時のライヴ録音他が登場。両曲にとって音に残された最古の演奏記録で、ビーチャムとウッドのラフマニ ノフ録音が世に出るのは初です。 交響曲第3番はイギリス及びヨーロッパ初演時のライヴ。1936年に作曲された第3番は同年11月6日にストコフスキー指揮のフィラデルフィアOに よって初演されましたが、欧州での初演は翌37年11月18日まで待たねばなりませんでした。その大任を務めたのがビーチャム率いるロンドン・フィル。速めの テンポと強い推進力を土台に時に激しい情熱を感じさせる演奏を繰り広げます。ビーチャムはこの演奏の翌月、マンチェスターでハレ管を指揮して第3番を演 奏しましたが、なぜかその後は指揮することがなく、ラフマニノフ作品の録音も残されていません。この音源は第3番の演奏記録として最初のもので、またビー チャム唯一のラフマニノフ録音ということになります。 BBCプロムスの創設者で指揮者のヘンリー・ウッドはラフマニノフと親交があり、1921年にはリヴァプールでラフマニノ フの合唱交響曲『鐘』をイギリス初演しています。その際にウッドは特に第3楽章の演奏が非常に難しかったとラフマ ニノフに伝えましたが、これはウッドが英語の詞で上演したことと関係があるとみられます。15年後の1936年10 月、ウッドはラフマニノフをシェフィールド音楽祭に招き、前半にはラフマニノフ自身のソロでピアノ協奏曲第2番を演 奏、後半に『鐘』を演奏しました。その時のスコアはラフマニノフがウッドの意見をいれて第3楽章の声楽パートを全 面的に書き直したもので、ここに収録された1937年の演奏でも使われています。
ウッドはラフマニノフの作品を熱 心にとりあげましたが録音は残されておらず、この音源がウッド唯一のラフマニノフ録音となります。また『鐘』の録音 としても最初のもので、いくつもの観点から貴重な記録と言えるでしょう。
※これらの音源はBBCの放送をロシア音楽の熱心なファンだったHarold Vincent Marrotが個人的にディスク録 音したもので、Marrotからディスクを相続したマイク・セルが大英図書館サウンド・アーカイヴに遺贈、同館クラシッ ク音楽部門学芸員のジョナサン・サマーズの協力の元で復刻されました。尚、交響曲第3番第2楽章9:52から 10:04にかけて、放送受信時に入ったとみられるノイズによるお聞き苦しい箇所があります。

BR KLASSIK
BR-900209(1CD)
NX-B07
マーラー::交響曲第7番「夜の歌」 バイエルンRSO
ベルナルト・ハイティンク(指)

録音:2011年2月14-18日ミュンヘン、フィルハーモニー・イン・ガスタイク(ライヴ)
総収録時間:82分
ハイティンクがバイエルンRSOの定期公演を初めて指揮したのは1958年。以来60年余りの長きにわたる共演を続けました。バイエルン放送のアーカイヴからこの度発掘されたのは2011年2月のライヴ録音で、マーラーの交響曲第7番「夜の歌」。マーラーを得意としたハイティンクだけに、この曲にはコンセルトヘボウOとの録音が3つ(1969、82、85年)とベルリン・フィルとの録音と録画が一つずつ(いずれも1992年)ありますが、21世紀の演奏が世に出るのはこれが初めてです。この演奏の当時82歳目前だったハイティンクですが、その約20年前のベルリン・フィル盤と比べても演奏時間はほとんど同じ。極端なデフォルメもなく、高齢になっても弛緩することのなかった彼らしいバランスの取れた演奏が聞かれます。バイエルン放送SOも細心かつ渾身の演奏で指揮にこたえています。

CZECH RADIOSERVIS
CR-1179(2CD)
プラハの春音楽祭ゴールド・エディション Vol.4

■CD1
(1)マーラー:交響曲第1番「巨人」
(2)ブリテン:フランク・ブリッジの主題による変奏曲Op.10

■CD2
(1)ドヴォルザーク:交響曲第7番ニ短調
(2)R.シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」
■CD1(78‘43)
(1)ジョン・バルビローリ(指)チェコPO
録音:1960年5月24日、プラハ、スメタナ・ホール(モノラル・ライヴ)
(2)チャールズ・マッケラス(指)イギリス室内O
録音:1966年5月16日、プラハ、ドヴォルザーク・ホールモノラル・(ライヴ)
■CD2(74‘36)
(1)カルロ・マリア・ジュリーニ(指)ウィーンSO
録音:1975年5月28日、プラハ、スメタナ・ホール(ステレオ・ライヴ)
(2)ベルナルト・ハイティンク(指)ロイヤル・コンセルトヘボウO
録音:1980年5月18日、プラハ、スメタナ・ホール(ステレオ・ライヴ)
チェコ放送の自主レーベル「ラジオサーヴィス」のシリーズ『プラハの春音楽祭ゴールド・エディション』の第4弾は、バルビローリ、マッケラス、ジュリーニ、ハイティ ンクらの貴重な演奏が収録されています。
1960年ジョン・バルビローリ(1899〜1970)とチェコ・フィルによるマーラー交響曲第1番「巨人」。バルビローリは1958年から2度目の同音楽祭登場。 6月24日に行われたコンサートはテレビで生放送され、そのカリスマ性に多くの聴衆は惹きこまれました。バルビローリのチェコでの評価は、1962年録音のフラン クの交響曲(SUPRAPHON)でいっきに高まりましたが、この音楽祭での演奏はその録音に先駆けた形となります。ここには収録されていませんが、同日に自作の 『エリザベス朝組曲』、そしてドゥシークの2台のピアノと管弦楽のための協奏曲を演奏しています。バルビローリは当時すでに世界的名声を得ており、イギリスのマ ンチェスターに本拠を置くハレOの常任指揮者に就任(1943〜1970)、その他にもベルリン・フィル、ウィーン・フィルといった主要オーケストラを指揮し 数多くの録音を残しています。またこのプラハの春音楽祭での反響や前述のフランクの録音への評価もあり、SUPRAPHONでのレコーディングの話もあったよう ですが(マーラーの交響曲など)、バルビローリの死去によりその計画の実現は不可能となってしまいました。
20世紀の弦楽アンサンブル作品の金字塔のひとつブリテン(1913〜1976)の『フランク・ブリッジの主題による変奏曲』。ブリテンの出世作ともなった本作は、 師ブリッジの「弦楽四重奏のための3つの牧歌」(1906)からの旋律を用いた鮮やかな変奏曲。プラハでは、この1966年の音楽祭での演奏が初演だったといい ます。演奏はイギリス室内O。ジェフリー・テイトが初代首席指揮者に就任、その後レイモンド・レッパードやコリン・デイヴィス、ダニエル・バレンボイムらの 著名な客演指揮者と共演し高い評価を獲得。最初のパトロンにはブリテンも名を連ねており、ゆかりが深く、現在は新国王チャールズ3世がパトロンを務めています。 イギリス室内管は、1966年に2つの演奏会を行いました。ひとつは当時芸術監督の任にあったバレンボイムとの演奏会、もうひとつがここに収録されている客演 指揮者のチャールズ・マッケラス(1925〜2010)です。マッケラスは、この音楽祭以降ヤナーチェクをはじめ、チェコ音楽の紹介に終生尽力し、チェコ・フィルの 常任客演指揮者として数多くの録音を残しています。
カルロ・マリア・ジュリーニ(1914〜2005)のプラハでの人気は高く、1977年には音楽祭の閉幕コンサートを任され「第9」をチェコ・フィルと演奏するな ど定期的に訪れていました。ここに収録されているドヴォルザークの交響曲第7番は、2度演奏しており、一つは1968年ニュー・フィルハーモニア管と、そしても う一つがこの1975年ウィーンSOとの演奏です。この第7番はロンドン・フィルハーモニック協会から依頼を受け作曲。同時期に敬愛するブラームスの交響 曲第3番の初演に立ち会ったことも影響し、これまでの民族色豊かな作風から脱却した内容。とはいえチェコの民謡や独特なリズムを模した第3 楽章など民族的なカラーも盛り込まれており、ジュリーニは得意とするブラームス的な部分と、民族色濃厚な部分を共に音楽的に導き完璧な演奏を聴かせています。
そして最後は音楽祭2度目の登場となったベルナルト・ハイティンク(1929〜2021)指揮ロイヤル・コンセルトヘボウOによるR.シュトラウス「ツァラトゥ ストラはかく語りき」。同コンビでは、PHILIPSレーベルから1973年録音で同曲がリリースされ、名盤の誉高い演奏。また当時のプラハ放送の録音技師の高い技 術により、ハイティンク&コンセルトヘボウ管の至芸を存分に堪能することができます。 (Ki)


Spectrum Sound
CDSMBA-134(1CD)
(1)ブラームス:交響曲第2番ニ長調 Op.73
(2)ドビュッシー:「海」
シャルル・ミュンシュ(指)、
フランス国立放送O

ライヴ録音(1)1965年11月16日/シャンゼリゼ劇場(ステレオ)、(2)1966年9月13日/ブザンソン市民劇場(ステレオ)【初出音源】
丁寧な復刻で評価を高めているスペクトラム・サウンド。当アルバムはフランス国立視聴覚研究所(INA)の貴重音源からの復刻で、シャルル・ミュンシュ(指) フランス国立放送O演奏のブラームスの交響曲第2番とドビュッシーの「海」を収録。いずれもステレオ音源です!ブラームスはAUVIDIS VALOISレーベ ルからリリースされたことはありますが現在は入手困難。一方ドビュッシーは正規初出音源となります。晩年まで熱量の高い演奏をしたミュンシュ。どっしりとした ブラームスと色彩感豊かドビュッシー。一期一会のひらめきに満ちた名演がここによみがえります。 (Ki)
※このレーベルは、初発売後早期に廃盤となる可能性が高いです。お早めにご注文下をおすすめします。


Altus
ALT-527(1CD)
準・メルクル/台湾フィルハーモニック 2022年ライヴ
メンデルスゾーン:序曲『フィンガルの洞窟』
メンデルスゾーン:交響曲第4番『イタリア』
ドビュッシー:夜想曲*
ラヴェル:ラ・ヴァルス
ラヴェル:ラ・ヴァルス
準・メルクル(指)
台湾フィルハーモニック(國家交響樂團)
台北室内cho*

ライヴ録音:2022年11月4・10日(メンデルスゾーン)、11日(ドビュッシー、ラヴェル)/國家表演藝術中心 コンサートホール(台北)
2023年5月に来日公演のある準・メルクル&台湾フィルハーモニック、ALTUSから来日記念盤が登場!近年めきめきと実力をつけ世評を高めているオーケス トラによる、気合の入った2022年最新ライヴ音源です。
「台湾フィルハーモニックはまだ若く、その歴史はわずか37年しかありません。しかし、すでに高度な洗練と芸術性を備え、その音からも、メンバーの情熱が伝 わってくることと思います。古典派初期から現代音楽まで、幅広い時代のスタイルと作品にすでに親しんでいます。台湾フィルハーモニックは、アジアを代表するオー ケストラのひとつになるという大きな希望を抱きながら、聴衆のために演奏する喜びを常にかみしめて活動しています。」(準・メルクル)
想像を超える大演奏。技術は驚くほど高く、隙の無いアンサンブルに度肝を抜かれます。さらに音楽の語り口も抜群、息の長いフレーズをのびやかに歌いつつも 引き締まったリズム感でぐいぐいと曲をひっぱっていきます。『イタリア』終楽章での高速にして実体感を失わない木管の歯切れよさ、オケ全体に波及するまぎれ もない推進力、クライマックスの迫真の追い込みなどを聴けば、音楽のよろこびを最高度に体現したすばらしい演奏であることが如実にわかるでしょう。弦楽の美 しさも特筆もので、繊細で品のあるヴァイオリンと重心が低く懐の深いバスが織り成す稀有なバランス感覚は絶品。準・メルクルのきちっと繊細でかつ色彩感のあ る音作りともたいへん相性のよいオーケストラです。
収録曲それぞれ、さまざまな側面から音楽を楽しませてくれます。メンデルスゾーンはオケの高い機動力と響きの明るさ、ドビュッシーは音の伸びのよさやヴォ カリーズとのきめ細かい溶け合いが実に魅力的。最後のラヴェル『ラ・ヴァルス』は堂々たる快演で、管弦楽の粋を尽くした響きが存分に発せられ空間を満たして いきます。
ハイスペックなDXD録音にも注目。台湾での録音からマスタリング、CD化まで手掛けたALTUS斎藤啓介氏によれば、その鮮明な効果はCDで聴いても十分 に感じられるとのこと。ご期待ください。 (Ki)

C Major
80-7508(2DVD)

80-7604(Bluray)
ブルックナー:交響曲第4&9番

交響曲第4番変ホ長調『ロマンティック』(1880年第2稿 ハース校訂 1936年出版)
交響曲第9番ニ短調 WAB109(原典版 新全集IX、1951年出版 ノーヴァク校訂)

■ボーナス映像「ディスカヴァリング・ブルックナー」
各交響曲について(ティーレマンと音楽学者ヨハネス=レオポルド・マイヤー氏による対話)
クリスティアン・ティーレマン(指)VPO

収録:2020年8月、ザルツブルク祝祭大劇場、ライヴ(第4番)
2022年7月、ザルツブルク祝祭大劇場、ライヴ(第9番)
◆DVD
画面:16:9、1080i
音声:PCMステレオ、DTS5.0
DVD9
[ボーナス映像 ]
言語:ドイツ語
字幕:英韓,日本語
Total time:197分
交響曲:142分、ボーナス:55分
◆Bluray
画面:16:9、1080i
音声:PCMステレオ、
DTS-HD MA5.0
BD50
[ボーナス映像]
言語:ドイツ語
字幕:英韓,日本語
Total time:197分
交響曲:142分、ボーナス:55分
2024年のブルックナー生誕200年に向けたティーレマン&ウィーン・フィルによるプロジェクト「ブルックナー11/Bruckner 11」。C majorの映像によるブ ルックナー交響曲全集は、第5交響曲、そして「習作交響曲」と呼ばれている「ヘ短調 WAB99」と「ニ短調 WAB100」をウィーン・フィル史上初めて演奏・収録し た第1弾。ウィーン稿を使用した第1番と2021年8月のザルツブルク音楽祭で演奏された第7番を収録した第2弾。第3弾は、2019年にウィーン楽友協会で収録 された第2番と第8番。そして交響曲中もっとも改訂稿の多い第3番と唯一改訂されていない第6番という組み合わせでリリースされた第4弾。 今回発売されるシリーズ最後となる第5弾は、ともにザルツブルク音楽祭で演奏された第4番と第9番を収録したディスクです。
「ロマンティック」という副題や、長大すぎない演奏時間であることから、ブルックナーの9曲の交響曲の中で最も人気の高い交響曲第4番。ティーレマンは、ブ ルックナーの最終イメージに最も近いと評価されているハース版第2稿で演奏。遅めのテンポで一音一音丁寧に紡ぎだされるブルックナーの世界を描き出してい ます。 そしてブルックナー最後の交響曲で、フィナーレの第4楽章を作曲途中で作曲家自身が亡くなったため、未完に終わった交響曲第9番。ブルックナーのもとに残さ れた第4楽章の自筆譜には、さまざまな段階のスケッチが存在しており、それを素材として、フラグメントとして演奏するか、あるいは補筆完成して演奏するという ような指揮者もいますが、ティーレマンは、このように述べています。「このままで良いと思います。足りない部分はあるのでしょうか?確かに補筆完成の取り組み は良いですが、第3楽章まで素晴らしい演奏が行われ、完全な静寂の中に消えていくのも悪くはありません。いえ、とても良いことでしょう。若い頃に聴いたカラ ヤン指揮ベルリン・フィルの演奏の感動的な沈黙を忘れることが出来ません。」そして一連のウィーン・フィルとのブルックナーの演奏・収録については、「ベートー ヴェンの交響曲のチクルスや、ワーグナー「リング」の演奏ように、過去に遡って自身の学んできたことを思い出し、新しい視座を与えてくれるものでした。そして聴 衆はブルックナーと共に、彼の長年にわたる創作の発展を体感することができるでしょう。それをウィーン・フィルと取り組めて本当に幸運でした。」 (Ki)

APARTE
AP-315(1CD)
メンデルスゾーン:ピリオド楽器による交響曲第4&5番
交響曲第4番イ長調「イタリア」
交響曲第5番ニ短調「宗教改革」
アレクシス・コセンコ(指)
レ・ザンバサドゥール〜ラ・グランド・エキュリ

録音:2022年5月7-9日イル・ド・フランス国立Oホール(アルフォールヴィル)
バロック・フルート奏者としても活躍するアレクシス・コセンコが2010年に創設した古楽集団レ・ザンバサドゥール〜ラ・グランド・エキュリ。彼らが時代楽器 と当時の解釈によるメンデルスゾーンの全管弦楽作品シリーズを開始しました。めったに用いられない版にも焦点を当てており、大物な割に版の違いやピリオド解 釈などといったことまで注目されることがまだあまり多くない感のあるメンデルスゾーンだけに期待できます。
シリーズ第1弾は交響曲第4番「イタリア」と第5番「宗教改革」。完璧主義者だったメンデルスゾーンは常に自分の作品に不満を持ち、手を入れていました。彼 は1934年に大改訂を始めたものの、完全に終わる前に世を去ってしまいました。コセンコによれば、
・終楽章の素材を40小節拡張
・主題(特に第2楽章)を作り直し
・第3楽章メヌエットの輪郭と展開部を大幅に変更 さらにイタリアから離れスコットランドの雰囲気が感じられるようになっているとのこと。1830年代にドイツで用いられていた楽器により、聴いたことのない「イタ リア」交響曲の世界が蘇りました! (Ki)

IDIS
IDIS-6750(1CD)
カラヤン・スペクタキュラーVol.11
ベートーヴェン:交響曲第5番『運命』
交響曲第8番ヘ長調 Op.93*
ヘルベルト・フォン・カラヤン(指) BPO

ライヴ録音:1957年11月3日東京(ステレオ)、
1961年4月8日ロンドン(モノラル)*
カラヤンの貴重なライヴ音源。東京公演はステレオで残されているもの。IDISレーベル2023年リマスター。

CPO
CPO-777973(1CD)
NX-B10
ハチャトゥリアン:交響曲第3番「交響詩曲」
ガイーヌより組曲第3番
シューマン・フィルハーモニー
フランク・ベールマン(指)

録音:2015年12月8-10日(ライヴ)
ハチャトゥリアンの交響曲第3番は、1947年の「ロシア革命30周年記念」のために交響詩として作曲され、その 年の12月にムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルによって初演されました。15本のトランペットとオルガンを含 む大編成のオーケストラのために書かれ、荒れ狂うような音の洪水の中、五音音階による民族的な旋律が時折 聞こえてくるなど、ハチャトゥリアンらしさ満点。最後は圧倒的な大音響で結ばれます。 その特異な編成によって一般的な演奏には向かないという批判を受けましたが、スターリンが没した後、「交響曲 第3番」として復活しました。録音が少ない曲だけに、最新録音の登場は歓迎されるでしょう。併録のガイーヌから の抜粋も聴きものです。

DACAPO
MAR-8.207002(7CD)
NX-G05
ルーズ・ランゴー(1893-1952):交響曲全集
【CD1】
交響曲第1番「岩山の田園詩」 BVN32
【CD2】
交響曲第2番「春の目覚め」 BVN53(オリジナル版)
. 交響曲第3番「青春のさざめき」 BVN96
【CD3】
交響曲第4番「落葉」 BVN124
交響曲第5番BVN191(第1版)
交響曲第5番「草原の自然」 BVN216(第2版)
【CD4】
交響曲第6番「引き裂かれた天国」
交響曲第7番BVN188(1926年版)
交響曲第8番「アメリエンボーの思い出」 BVN 193
【CD5】
交響曲第9番「ダウマー妃の町から」 BVN282
交響曲第10番「向こうに見える雷の住みか」 BVN298
交響曲第11番「イクシーオン」 BVN303
【CD6】
交響曲第12番「ヘルシングボリ」 BVN318
交響曲第13番「驚異の確信」 BVN319
交響曲第14番「朝」 BVN336
【CD7】
Drapa(On the Death of Edvard Grieg), BVN 20(1913最終版)
Sfinx(Sphinx), BVN37(1913改訂版)
Hvidbjerg-Drapa, BVN343…世界初録音
Danmarks Radio(Radio Denmark), BVN351…世界初録音
Res absurda!?, BVN354…世界初録音
交響曲第15番「海の嵐」 BVN375
交響曲第16番「太陽の氾濫」 BVN417
デンマーク国立SO&cho
トーマス・ダウスゴー(指)

録音:1998年8月-2008年6月
デンマーク音楽史上屈指の天才にして問題児、ルーズ・ランゴーの交響曲全集。作曲家の母国のレーベルと演 奏家たちが10年余りをかけて取り組んだ一大プロジェクトです。収録内容の点でも演奏と録音のクオリティの点で も、このレパートリーの基準となるにふさわしいものと言えるでしょう。
※初出時の6.200001(SACDハイブリッド・ディスク)から、通常CDに仕様変更しての再発売となります。


PROMINENT CLASSICS
2506-5612(2CD)
UHQCD
ブルックナー:交響曲第8番ハ短調 エフゲニ・スヴェトラーノフ(指)
ハーグ・レジデンティO(ハーグPO)

録音:2000年3月25日アントン・フィリップザール,デジタル・ライヴ
スヴェトラーノフにとって2002年10月に予定されていたNHK SO との共演がその死によって幻になってしまったのがブルックナー8番です。 極限まで遅いテンポを採用するようになったスヴェトラーノフ最晩年の心境 がブルックナーにどう反映されるのか?その回答がハーグ・レジデンティ管 弦楽団との当ライヴです。ハーグ・レジデンティ管とスヴェトラーノフの演奏 はいくつか商品化されていますがいずれも残念なことにオーケストラの実力 が弱点となっておりますが、ここでは奇跡が起きております。艶やかな弦楽 器といい重量感溢れる金管の咆哮。オーケストラと巨匠が死力を尽くした感 のある凄絶なライヴ。スヴェトラーノフ研究の権威はやしひろし氏によるマス タリングと解説も嬉しいところです。

フォンテック
FOCD-9880(1CD)
税込定価
2023年5月10日発売
マーラー 交響曲第2番「復活」 小泉和裕(指揮)九州SO
安井陽子(S)、福原寿美枝(A)、
九響cho、RKB女声cho、九州大学男声合唱団コールアカデミー、九大混声cho 、久留米大学附設高等学校合唱部 、多目的混声cho"Chor Solfa!"、ちくしの混声cho、アクロス福岡公募メンバー

録音:2022 年10 月7・8 日 アクロス福岡シンフォニーホール(1LP)ライヴ)
2019 年<千人> 、20 年<第3 番>とリリースのたびに絶賛を集める小泉和裕/九州交響楽 団によるマーラー。宿望の第三弾。 コロナ禍によって公演延期を余儀なくされ、2022 年10 月に実現した「復活」。 2013 年の音楽監督就任以来、新たな最盛期を迎えた小泉=九響。 万感の想いを込めた“死と再生をめぐる物語” ??マーラー演奏はここに極まります。 (フォンテック)

Urania Records
WS-121410(2CD)
マーラー:交響曲第5番嬰ハ短調
交響曲第6番 イ短調「悲劇的」
エーリヒ・ラインスドルフ(指)ボストンSO

レコーディング・プロデュース:1963年(第5番)、1966年(第6番)、ボストン(ステレオ、ADD)
オーストリア出身の指揮者エーリヒ・ラインスドルフによるマーラーの「交響曲第5番」と「第6番」がウラニア・レコーズから復刻。録音された1960年代は、マーラーの生誕100年ということもあり、ゲオルク・ショルティやレナード・バーンスタインがデッカとCBSに、そしてラインスドルフはRCAに次々とマーラーの作品を録音するという時代でした。ラインスドルフは1963年からボストンSOの音楽監督を務めており、ここに収められているのはそのボストン響との録音となります。ラインスドルフによって遺されたこの「第5番」と「第6番」は年月を経ても色褪せることのない美しい演奏となっています。


BR KLASSIK
BR-900207(1CD)
NX-B07
チャイコフスキー:交響曲第5番
リスト:交響詩「マゼッパ」
バイエルンRSO
ズービン・メータ(指)

録音:2013年2月25日-3月1日(ライヴ)
ミュンヘン、フィルハーモニー・イン・ガスタイク(ドイツ)
バイエルンRSOとズービン・メータによる、なんと初めての録音。チャイコフスキーの第5番はロス・フィルとの1977年録音(Decca)以来36年ぶりの 再録音です。 メータはバイエルンRSOを度重ね指揮しており、2018年秋には急病でキャンセルしたヤンソンスに代わって日本ツアーを指揮。『音楽の友』誌で 同年のベスト・コンサートに選ばれました。2020年1月にヤンソンス追悼コンサートの指揮を任されたのもメータ。これほどの厚い信頼関係がありながら、これ までLPもCDも無かった(バイエルン放送響調べ)というのは意外です。このアルバムは2013年2月から3月にかけて行われた演奏会の際に収録されたもの。 チャイコフスキーの第5番は、第3楽章を除きロス・フィル盤よりも若干遅めのテンポをとり、この曲の魅力である歌うような旋律をしっかりと聴かせます。「マゼッ パ」はメータの得意曲で機能性抜群のオーケストラを駆使したゴージャスなサウンドと高揚感をたっぷりと味わえます。

Capriccio
C-8085(1CD)
NX-B07

NYCX-10397(1CD)
国内盤仕様
税込定価
ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」(第3稿/コーストヴェット版) ウィーンRSO
マルクス・ポシュナー(指)

録音:2021年11月26-28日ウィーン放送文化会館(オーストリア)
CAPRICCIOレーベルと国際ブルックナー協会の主導で、ブルックナーの生誕200年にあたる2024年までにブルックナーの全交響曲のすべての稿(バージョン) を録音しようという企画、 「#bruckner2024」の第8弾。 先に発売されて好評の第1稿と第2稿に続き、当CDで交響曲第4番の3つの稿が最新のコーストヴェット版で揃いました。第4番の第3稿はブルックナーが弟 子のレーヴェやシャルク兄弟らの意見をきいて改訂したことから「改ざん版」などと呼ばれた時期もありましたが、コーストヴェットはそのような見方を排し、第3稿 を実際の演奏経験を経た上でブルックナー自身による実用的な改訂版と位置付けています。ポシュナーは速めのテンポを基調にしつつ、緩急の差をはっきりと 付けるなど曲想の変化を明瞭に打ち出してゆき、コーストヴェットの考えを音として立証しています。 ポシュナーの指揮で揃った第1稿及び第2稿との聞き比べに加え、フルシャ/バンベルク響やヴァンスカ/ミネソタ管など第3稿を採用した他の演奏といった聞き 比べの楽しみも広がりそうです。
※国内仕様盤には専門誌等で好評を得ている石原勇太郎氏(国内ブルックナー協会会員)による日本語解説が付属します。

J.S.Bach-Stiftung
C-143CD(1CD)
NX-E03
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」 バッハ財団O(古楽器使用)
ルドルフ・ルッツ(指)

録音:2022年8月17日 Tonhalle St. Gallen(スイス)ライヴ
2006年にルドルフ・ルッツによって創設されたバッハ財団O&choは、毎月1回のコンサートで、バッハ のカンタータ全曲演奏を行っており、これらの録音は入念な解釈と優れた演奏で高く評価されています。 ルッツはベートーヴェンの演奏でも優れた手腕を発揮することで知られ、2013年のスイス・ツアーで演奏された第9 番のアルバム(B904CD)は大好評をもって迎えられました。今回のアルバムは2022年8月に行われた演奏会の ライヴ録音で、曲目は「英雄」と呼ばれる第3番。ルッツは標準的なテンポをとりながらも引き締まった演奏を聴か せます。ブックレットでは、ドイツの音楽学者アンセルム・ハーティンガーが作品を多面的に分析するとともに、彼とル ドルフ・ルッツの対談も掲載されており(英語とドイツ語)、ルッツがベートーヴェンに寄せる強い思いも知ることができ ます。

Goodies
78CDR-3903(1CD)
モーツァルト:交響曲第40番ト短調 K.550 アルトゥーロ・トスカニーニ(指)
NBC響

1938年3月7日&1939年2月27日ニューヨーク、NBC放送8Hスタジオ録音
英HMV DB3790/2(米VICTOR15733/5と同一録音)
アルトゥーロ・トスカニーニ(1887-1967)はイタリアのパルマ生まれ。最初チェ ロを学んだ。1888年南米への演奏旅行中に指揮者の代役をつとめ、それを機に 指揮者に転向した。1898-1908年ミラノ・スカラ座音楽監督、1908-1915年ニュ ーヨーク・メロポリタン歌劇場音楽監督、1926-1936年ニューヨーク・フィル音 楽監督を歴任した。1930-1931年バイロイト音楽祭に出演、1934-1937年ザルツ ブルク音楽祭に出演した。1937年ムッソリーニの独裁政権に反対してアメリカ に亡命、一旦引退を表明したが、NBCSOが創立されて復帰し、途中一年間 の空白(1943年)があったが、1954年まで常任指揮者をつとめた。この交響曲40 番はモーツァルトの原譜にないクラリネットが加えらています。 復刻には「音のエジソン」 http://www.otono-edison.com/ SPレコード専用 MC型カートリッジの上級モデル〔ゼロSP 78rpm〕(3mil 針)とコルグの[DS-DAC -10R]DSD録音機を使用した。(グッディーズ)

Forgotten Records
fr-1864(1CDR)
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」*
ダンディ:交響詩「ヴァレンシュタイン」#
ディミトリ・ミトロプーロス(指)NYO

録音:1949年12月11日*、1950年4月14日#、カーネギー・ホール・ライヴ
Forgotten Records
fr-1871(1CDR)
クリップスのベートーヴェン
交響曲第1番ハ長調 Op.21*
交響曲第8番ヘ長調 Op.93#
ヨーゼフ・クリップス(指)
アムステルダム・ コンセルトヘボウO

録音:1952年5月24日*、1952年9月5日#、コンセルトヘボウ(共にライヴ)
Forgotten Records
fr-1875(1CDR)
オーマンディ/シベリウス:交響曲集
交響曲第2番ニ長調 Op.43*
交響曲第4番イ短調 Op.63#
ユージン・オーマンディ(指)
フィラデルフィアO

録音:1947年10月31日*、1954年11月28日#
※音源: Columbia ML-4131*、ML-5045#
Forgotten Records
fr-18761CDR)
オーマンディ/シベリウス:交響曲集2
交響曲第2番ニ長調 Op.43*
交響曲第4番イ短調 Op.63#
ユージン・オーマンディ(指)
フィラデルフィアO

録音:1951年12月16日#、1954年12月19日*
※音源: Columbia ML-4672#、ML-5045*
Forgotten Records
fr-1878(1CDR)
アノーソフ/シベリウス&カバレフスキー
シベリウス:交響曲第1番*
カバレフスキー:交響曲第2番Op.19#
ニコライ・アノーソフ(指)
ソヴィエト国立RSO

録音:1956年#、1957年*
※音源: Melodiya D 02952/3*、D-03816#

オクタヴィア
OVCL-00811(1SACD)
税込定価
エルガー:交響曲第2番変ホ長調作品63 大友直人(指)
東京SO

録音:2023年1月29日ミューザ川崎シンフォニーホール・ライヴ
日本を代表する指揮者、大友直人と東京SOによる エルガー:交響曲第2番がEXTONレーベルから登場です。 「威風堂々」、「愛の挨拶」で広く知られるイギリスの 大作曲家エルガーの音楽を誰よりも積極的に取り上げて きた大友。知られざる隠れた名作であるこの交響曲第2 番も、東京SOとは1997年を皮切りに度々披露され、 今日ついにCD化が実現する運びとなりました。大友の冴 え漲るタクトに呼応するオーケストラ・サウンドを、 DSD11.2MHzの臨場感溢れる高音質ライヴ・レコーディ ング、ブックレットにはエルガー研究の権威でもある等 松春夫によるエッセイを掲載し価値ある名盤となりまし た。ここに生まれた壮大なエルガーの世界をお楽しみく ださい。(オクタヴィア)

GRAND SLAM
GS-2264(2CD)
ブルックナー:交響曲集
(1)交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」(改訂版)
(2)交響曲第8番ハ短調(改訂版)
ブ ルーノ・ワルター(指)
(1)NBC響、(2)NYO

録音:(1)1940年2月10日NBC、8Hスタジオ(ニューヨーク)
(2)1941年1月26日カーネギー・ホール(ニューヨーク)
使用音源:Private archive
録音方式:モノラル(ラジオ放送用録音)
■制作者より  
ブルーノ・ワルター・ライヴ1(GS-2258/59)、同2(GS-2260/61)、同3(GS-2262/63)に続く第4弾、最終編です。今回はブルックナーの交響曲 第4番「ロマンティック」と第8番ですが、演奏された当時はまだ原典版が未出版のため、2曲ともに改訂版での演奏となります。第4番はワルター唯一のライヴ であり、第8番の方はこの録音しかワルターの演奏は存在しません。  音質はアセテート盤を原盤としているためにお聴き苦しい箇所が含まれますが、ワルターのディスコグラフィ上でも貴重な録音であり、ブルックナーの演奏史を 語る上でも貴重な資料と言えます。何でも値上がりしているこのご時世ですが、今回の2枚組も“1枚価格”でのご提供となります。(平林 直哉)

ACCENTUS Music
ACC-60568BD(4Bluray)

ACC-70568DVD(4DVD)
アンドリス・ネルソンス〜2つのオーケストラを振った映像集

■(1)BD&DVD1(2014年ルツェルン音楽祭)
ブラームス:セレナード第2番イ長調Op.16、
アルト・ラプソディOp.53、
交響曲第2番ニ長調Op.73

■(2)BD&DVD2(2015年ルツェルン音楽祭)
マーラー:「子供の不思議な角笛」より【ラインの伝説 / 美しくトランペットが鳴り響く所 / この世の生活 / 原光 /魚に説教するパドバの聖アントニオ / 起床合図 / 少年鼓笛兵】、
交響曲第5番

■(3)BD&DVD3(2018年第21代カペルマイスター就任記念公演)
シュテッフェン・シュライエルマッハー(1960-):オーケストラのためのレリーフ (世界初演、ライプツィヒ・ゲヴァントハウスOとボストンSOによる委嘱作品)
ベルク:ヴァイオリン協奏曲
メンデルスゾーン:交響曲第3番「スコットランド」

■(4)BD&DVD4(2017年ライプツィヒ・ライヴ)
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」、
 序曲「オセロ」、
 「ルサルカ」より“月に寄せる歌”、“ポロネーズ”、“ああ、無駄よ、無駄”
わが母の教え給いし歌
スメタナ:「ダリボル」より“いいわ、彼に与えましょう”
アンドリス・ネルソンス(指)

■(1)ルツェルン祝祭O
サラ・ミンガルド(A)
バイエルン放送cho
収録:2014年8月15、16日KKLルツェルン・コンサート・ホール(ライヴ)

■(2)ルツェルン祝祭O
マティアス・ゲルネ(Br)
収録:2015年8月19&20日ルツェルン、文化会議センター(ライヴ)

■(3)バイバ・スクリデ(Vn)
ライプツィヒ・ゲヴァントハウスO
収録:2018年2月22、23日ライプツィヒ、ゲヴァントハウス(ライヴ)
■(4)ライプツィヒ・ゲヴァントハウスO
クリスティーネ・オポライス(S)
収録:2017年5月ライプツィヒ、ゲヴァントハウス(ライヴ)

■Bluray
画面:Full HD,16:9
音声:DTS HD MA5.0,PCM、ステレオ
リージョン:All
BD25
字幕:独英仏韓,日本語
425'01
■DVD
画 面:NTSC ,16:9
音声:DTS、HD,PCMステレオ
リージョン:All
DVD9
字幕:独英仏韓,日本語
425'01
現代を代表する指揮者アンドリス・ネルソンスが、世界屈指の 2つのオーケストラを振ったコンサート映像を集めたボックス・セットがリリースされます。
2003年にクラウディオ・アバドとミヒャエル・ヘフリガーによって設立されたルツェルン祝祭O。2014年1月のアバドの逝去を受け、2016年にリッ カルド・シャイーが音楽監督に就任するまでの2年間代役として指揮台に立ったのはアンドリス・ネルソンスでした。ネルソンスは、2014年のオープニング・コンサー トで当初アバドが振る予定だったオール・ブラームスの演目をそのまま引き継いで演奏。翌 2015年にはマティアス・ゲルネをソリストに迎えたマーラー「子供の 不思議な角笛」と交響曲第5番を演奏。音楽の深淵を見るゲルネの“角笛”とアバドの名演に匹敵するネルソンスのマラ5は必聴です。
そしてライプツィヒ・ゲヴァントハウスOの第21代カペルマイスターに就任したアンドリス・ネルソンスが、2018年2月に行った就任記念コンサート の映像と、2017年5月に“客演”したときのコンサート映像も収録。2017年9月より就任が決まっていたライプツィヒ・ゲヴァントハウス管のポストは、正 式就任が2018年2月に延長され、2月と3月には就任記念コンサートとオーケストラ創立 275周年記念コンサートが続けて行われ華やかなスタートとなり ました。また、ネルソンスと同郷のヴァイオリニスト、バイバ・スクリデをソリストに迎えた20世紀を代表する名作ベルクのヴァイオリン協奏曲。同じくラトヴィ ア出身の世界的ソプラノ歌手クリスティーネ・オポライスによるドヴォルザークの「ルサルカ」からのアリア集など多才なソリストたちとの共演も注目の映像です。 (Ki)

H.M.F
HMM-902694
(1SACD)
シューベルト:交響曲第5番変ロ長調 D485
交響曲 ロ短調 「未完成」
パブロ・エラス=カサド(指)
フライブルク・バロック・オーケストラ

録音:2021年11月
パブロ・エラス=カサドとフライブルク・バロック・オーケストラによるシューベルトの交響曲集、第2弾の登場。第1弾(HMC 902154)では第3(1815年) &4番(1816年)という組み合わせでしたが、今回は第5番(1816年)および未完成(1822年)という組み合わせ。 19歳の時に書かれた交響曲第5番は、シューベルトの心の闇を感じさせない、朗らかでリズミカルな作品。エラス=カサド持前のリズムの良さにFBOが機敏 に反応しており、細やかかつ躍動感に満ちた演奏は見事です。未完成でも、シューベルトが楽譜に記した細かな音符ひとつひとつにいたるまで、丹念に表情づ けがなされています。特に第2楽章冒頭の管のアンサンブルの美しさは絶品。第5番にはない、絶望や不安に駆られたような瞬間も、実に劇的な効果をもっ て奏されます。明るい5番、絶望や不安が垣間見られる未完成という2作品のコントラストがきわめて鮮やかな1枚。エラス=カサドの歌心とリズムに満ちた 指揮と、FBOの機動力が素晴らしい化学反応を起こした名演です。 (Ki)

Pentatone
PTC-5187065(1SACD)
シューベルト:交響曲第8番「未完成」
交響曲第9番「ザ・グレイト」
ドレスデンPO
マレク・ヤノフスキ(指)
コンサートマスター:ハイケ・ヤニッケ(未完成)、ラルフ=カルステン・ブレムゼル(ザ・グレイト)

録音:2020年11月ドレスデン、クルトゥーアパラスト(文化宮殿)
ヤノフスキによるストイックな音楽づくりと絶妙な音量バランスは当録音でも傑出しており、神々しいまでに崇高な響きを見事に引き出しております。今回の シューベルトの解釈は伝統を重んじながらも活力と激しさを兼ね備えており、非常に大きな音楽を展開。名盤ひしめく当楽曲ですが、巨匠ヤノフスキが導き出し たひとつのこたえともいえる名演を聴かせてくれます。
演奏の素晴らしさはもちろんのこと、PENTATONEレーベルが誇る技術陣が結集した高音質録音であることも注目です。 (Ki)

ACCENTUS Music
ACC-70570DVD
(4DVD)
リッカルド・シャイー&ルツェルン祝祭O〜第一期


■DVD1
マーラー:交響曲第8番変ホ長調「千人の交響曲」

■DVD2
メンデルスゾーン:「夏の夜の夢」〜演奏会用序曲Op.21
劇付随音楽Op.61より抜粋
チャイコフスキー:マンフレッド交響曲Op.58

■DVD3
ラヴェル:優雅で感傷的なワルツ
ラ・ヴァルス
「ダフニスとクロエ」組曲 第1番
「ダフニスとクロエ」組曲 第2番
ボレロ

■DVD4
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第3番二短調 Op.30*
エチュード「音の絵」 第2番イ短調 Op.39-2(アンコール)*
ヴォカリーズ(管弦楽版)
交響曲第3番イ短調
リッカルド・シャイー(指)
ルツェルン祝祭O

■DVD1
リカルダ・メルベート(ソプラノ1/罪深き女)、ユリアーネ・バンセ(ソプラノ2/贖罪の女)、アンナ・ルチア・リヒター(ソプラノ3/栄光の聖母)、サラ・ミンガルド(メゾ・ソプラノ/サマリアの女)、藤村実穂子(アルト/エジプトのマリア)、アンドレアス・シャーガー(テノール/マリア崇拝の博士)、ペーター・マッティ(バリトン/法悦の神父)、サミュエル・ユン(バス/瞑想の神父)、バイエルン放送cho、ラトヴィア放送cho、オルフェオン・ドノスティアラ、テルツ少年cho
収録:2016年8月12日&13日 KKLコンサートホール、ルツェルン音楽祭2016(ライヴ)
■DVD2
収録:2017年8月、KKL コンサートホール、ルツェルン(ライヴ)
■DVD3
収録:2018年8月、ルツェルン文化会議センター・コンサートホール、ライヴ
■DVD4
デニス・マツーエフ(P)*
収録:2019年8月、ルツェルン音楽祭(ライヴ)

画面:NTSC,16:9
音声:PCM STEREO,
DD5.1,DTS5.1
リージョン:ALL
DVD9
字幕:独英仏韓,日本語
390'13
2016年よりルツェルン祝祭管の音楽監督に就任したリッカルド・シャイー。音楽監督就任コンサートのライヴ映像をはじめ、両者の活動の第一期となる2016 年〜2019年の間に行われたルツェルン音楽祭でのライヴ映像をまとめたDVDボックスがリリース。
ルツェルン祝祭管は1938年に大指揮者トスカニーニのもとへ、名だたる演奏家たちが集まり結成されたスイス祝祭Oを前身とし、2003年故・クラウ ディオ・アバドとルツェルン音楽祭の芸術総監督ミヒャエル・ヘフリガーによりルツェルン音楽祭のレジデント・オーケストラとして創設されました。そして2014 年のアバド逝去後は、アンドリス・ネルソンスやベルナルト・ハイティンクが登場していましたが、2016年からシャイーが正式にルツェルン祝祭管の音楽監督に就 任。2017年10月には、ルツェルン祝祭管として11年ぶり、シャイー就任後初の来日公演を行い、大成功をおさめました。
就任記念コンサートで演奏されたマーラー交響曲第8番。これはアバドが進めていたマーラー・チクルスのなかで、唯一演奏できなかった楽曲。このシャイーの 就任コンサートをもってチクルスが完成しました。2017年来日公演直前のコンサートでは、メンデルスゾーンの「夏の夜の夢」、チャイコフスキーのマンフレッド交 響曲といった劇文学を題材とした作品を取り上げ、オール・ラヴェル・プログラムを行った2018年、そしてデニス・マツーエフをソリストに迎えたオール・ラフマ ニノフ・プログラムの2019年と、両者の華やかなスタートを彩ったライヴ映像が収録されています。

CPO
CPO-555462(1CD)
NX-B10
ヴィルヘルム・ベルガー(1861-1911):小協奏曲/交響曲
小協奏曲 イ短調 Op.43a - ピアノとオーケストラの
交響曲 変ロ長調 Op.71
オリヴァー・トリンドル(P)
ロイトリンゲン・ヴュルテンベルクPO
クレメンス・シュルト(指)

録音:2021年3月11-12日、2020年11月2-5日
1861年、ボストンで楽譜店を営んでいたブレーメン出身の父のもとに生まれたヴィルヘルム・ベルガー。翌年 家族でドイツに帰国し、優れた音楽の才能を発揮、14歳で初の公開演奏会を開くとともに、多数の歌曲や ピアノ曲を作曲しました。その後、ベルリン高等音楽院で専門教育を受け、1888年から1903年まではクリ ントヴォルト=シャルヴェンカ音楽院の教員を務める傍ら、ベルリン音楽協会の指揮者を務めるなど、ベルリン 作曲家サークルの中心的存在として活躍しました。 彼の作風はヨハネス・ブラームスに近いものですが、時折挟まれる不協和音や、精緻な対位法の使用など は、彼の次世代であるマックス・レーガーの作曲様式を先取りするものでもあります。49歳という短命にもかか わらず、100作以上の作品を遺し、それらの何曲かは彼の死後も長らく演奏されていましたが、近年では演 奏機会はほとんどありません。これまでに出版された形跡のない小協奏曲 Op.43は、ピアノの妙技を際立 たせるのではなく、ブラームスのピアノ協奏曲のようにピアノをオーケストラの楽器の一つとして扱うことで、作品 全体がポリフォニックで重厚な響きで覆われています。このアルバムでは名手オリヴァー・トリンドルがピアノを担 当、見事な演奏を聴かせます。その10年後に書かれた交響曲はベルガーの代表作です。

Chandos
CHSA-5311(1SACD)

RCHSA-5311(1SACD)
国内盤仕様
税込定価
ニールセン:ヴァイオリン協奏曲 Op.33*
交響曲第4番「不滅」
エドワード・ガードナー(指)、
ベルゲンPO、
ジェームズ・エーネス(Vn)*

録音:2022年6月14日-17日、グリーグホール(ベルゲン、ノルウェー)
国内盤:解説日本語訳&日本語曲目表記オビ付き
ノルウェーの名門オーケストラ、ベルゲンPOの首席指揮者を2015年から務め、2021年からはLPOの首席指揮者を務めるエドワード・ガードナーによるニールセン!2楽章形式で緩徐楽章から始まる壮大な「ヴァイオリン協奏曲」では、ソリストにグラミー賞、グラモフォン賞、ジュノー賞などの栄誉ある音楽賞を多数受賞してきたカナダの天才ヴァイオリニスト、ジェームズ・エーネスを迎えるという豪華な布陣。
「交響曲第4番」は第一次世界大戦を背景に作曲され、ニールセン自身が「不滅」という副題を付けた作品。ニールセンの作品の中でも今日最も演奏されている作品のひとつです。ティンパニが2組編成になっているなど、ニールセンのアイデアの詰まった作品となっています。


BR KLASSIK
BR-900196(2CD)
NX-B09
モーツァルト:交響曲集
交響曲第39番変ホ長調 K.543
交響曲第40番ト短調 K.550*
交響曲第41番「ジュピター」 K.551#
バイエルンRSO
ヘルベルト・ブロムシュテット(指)

録音(ライヴ):2019年12月17-21日 ミュンヘン、フィルハモニー・イン・ガスタイク
2013年1月31日-2月1日 ミュンヘン、ヘルクレスザール*
2017年12月18-22日 ミュンヘン、ヘルクレスザール#
初CD化の第39番を加えて、後期三大交響曲が完成。 2022年7月11日に95歳の誕生日を迎えたヘルベルト・ブロムシュテット。高齢にもかかわらず精力的に演奏活動を行っています。日本にもしばしば来日 し、2022年10月には足腰の怪我を克服して桂冠名誉指揮者を務めるNHKSOを(指)マーラーとシューベルトの交響曲を演奏し聴衆を沸かせま した。この2枚組は、すでに発売されている交響曲第40番・第41番(900164)に、今回初CD化となる交響曲第39番を加えたもの。 ブロムシュテットは 「第40番の交響曲には人間の内面に存在する全ての暗い側面が表現されている」と語るほど、第40番に魅せられているといい、この演奏でも端正な表現 の中に、情熱的なモーツァルト像を構築しています。第41番では最終楽章の壮大なフーガが圧巻。そして柔和な雰囲気と華やぎに彩られた第39番は、齢 を重ねても若さを失わないブロムシュテットらしい演奏。熟成された正攻法のモーツァルトです。

FUGA LIBERA
FUG-816(1CD)
ラフマニノフ:交響曲第2番ホ短調 Op.27 ウラルPO
ドミトリー・リス(指)

録音:2021年7月 スヴェルドロフスク・フィルハーモニック大ホール、エカテリンブルク、ロシア
ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンで度々来日してきたドミトリー・リス指揮ウラル・フィルによる、ラフマニノフ の交響曲第2番が登場。ラフマニノフの全作品中で最も人気のあるものの一つであり、美しいメロディに 溢れたこの交響曲を雄大なスケールで歌い上げていると共に、各楽章のクライマックス、終楽章のコーダ などはライヴならではの巻き上げでぐいぐい引き込まれます。ロシア伝統の解釈に則った、たいへん立派な 仕上がりです。


Myrios Classics
MYR-032(1CD)

KKC-6696(1CD)
国内盤仕様
税込定価
ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」(1874年第1稿) フランソワ=グザヴィエ・ロト(指)
ケルン・ギュルツェニヒO

録音:2021年9月19-21日ケルン・フィルハーモニー(ライヴ)
※国内盤=日本語帯・解説付
2022年2月に第7番をリリースして大好評を博したロトとギュルツェニヒOのブルックナー交響曲シリーズ、待望の第2弾の登場です。曲は人気 の第4番ですが、通常版ではない1874年第1稿を選んでいるのが注目です。
ロトとギュルツェニヒOは2022年7月の日本公演で同曲を披露し、壮絶な演奏で聴衆の度肝を抜いたことは記憶に新しいですが、当アルバムはケル ンでのライヴ。やはりロトならではのリズム感の良さと豪快にオーケストラを鳴らしきる芸風がDXD録音で迫ります。
交響曲第4番「ロマンティック」の1874年第1稿は1878/80年稿と多くの点で異なり、とりわけ第3楽章は全く別の音楽となっています。ブルックナー 自身この版を未整理とみなし、演奏不可能、楽器の重ねすぎで不明瞭と大改訂を決めたといわれます。自由さと過激さを高く買う向きもありますが、これまで の演奏は雑然とした印象を与えるものが多かったのも事実でした。
ロトとギュルツェニヒOとの演奏はそうした欠点が全く気にならず、むしろ粗削りな原石的魅力を放ちます。2024年のブルックナー生誕200年に向け、 交響曲全集プロジェクトを進めるなかでも注目の一枚と申しましょう。 (Ki)

GRAND SLAM
GS-2283(1CD)
(1)フランク:交響曲 ニ短調
(2)ブラームス:第2番ニ長調 Op.73
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)VPO

録音:1945年1月28日ムジークフェラインザール(ウィーン)
使用音源:(1)Private archive (2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
(2)Private archive(2トラック、19センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:モノラル(放送用ライヴ録音)
■制作者より  
フルトヴェングラーがスイスに亡命する直前の公演であるフランクの交響曲とブラームスの第2番は、その凄まじい演奏内容により、今や伝と化しています。当シ リーズでは2015年に2トラック、19センチのオープンリール・テープを使用してGS-2132(廃盤)を発売しましたが、約8年ぶりに音質を刷新、再度カタログ に計上しました。  まず、フランクは新たに入手した2トラック、38センチのオープンリール・テープを使用し、より安定した音質を獲得しました。ブラームスはGS-2132に使用し たものと同じ2トラック、19センチのテープを使用しましたが、マスタリングの全行程をすべてプロ用の機器を使用し、音質の改善をはかりました。  なお、日付けについては諸説ありますが、ここではベルリンで入手したテープ(GS-2132に使用)の記録に従い、2曲ともに「1月28日」としています。 (平林 直哉)
GRAND SLAM
GS-2288(1CD)
ブラームス:交響曲第2番ニ長調 Op.73 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)BPO

録音:1952年5月7日ドイツ博物館コングレスザール(ミュンヘン)
使用音源:Private archive (2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:モノラル(放送用ライヴ録音)
■制作者より
1952年5月、フルトヴェングラーとベルリン・フィルがミュンヘンで演奏したブラームスの交響曲第2番は、凄まじい演奏内容と音質の明晰さで知られています。 当シリーズではGS-2189(2018年)として発売しましたが、今回は同じく2トラック、38センチのオープンリール・テープを復刻の素材とし、リマスターの全行 程をプロ用の機器で行い、最善を目ざしました。 また、このブラームスはHMV/EMIによって発売が予告されて以来、何度も先送りされた経緯がありますが、解説書ではそういった歴史的背景や、当日のプログ ラムなど、関連する情報を多数掲載しています。(平林直哉)

Hanssler
HC-22078(1CD)
モーツァルト:交響曲集
(1)交響曲第34番ハ長調 K.338
(2)交響曲第35番ニ長調 K.385「ハフナー」
(3)交響曲第36番ハ長調 K.425「リンツ」
マティアス・マナージ(指)
ジリナ・スロヴァキア・シンフォニエッタ

録音:2022年11月17-19日/フィルハーモニー・ジリナ(スロヴァキア)
現在最も注目されている指揮者の一人マティアス・マナージが、ジリナ・スロヴァキア・シンフォニエッタとモーツァルトの交響曲第34番、第35番「ハフナー」、 第36番「リンツ」を録音しました。
交響曲とオペラの両面で高く評価され、歴史に基づいた演奏など、洞察力に富んだ解釈には定評があるマナージは、オルガニスト、聖歌隊の指揮者を親にもち、 シュトゥットガルトでトーマス・ウンガーに、ウィーンでカール・エスターライヒャーにそれぞれ指揮を学び、ハインツ・ホリガー、マンフレート・ホーネック、ミゲル・ ゴメス=マルティネスのアシスタントをつとめました。これまでにキール・オペラハウス、ワルシャワ・ポーランド国立歌劇場、ライプツィヒ歌劇場、オルデンブルク州 立劇場、カッセル州立歌劇場、ブレーメン劇場などでオペラ指揮者として活躍しております。
モーツァルトの交響曲でも説得力のある深みのある演奏を展開。オペラ作曲家モーツァルトの表現も熟知したマナージらしいエレガントで卓越した音楽性で魅了 します。 (Ki)

ATMA
ACD2-2454(1CD)
シベリウス:交響曲第3番ハ長調 Op.52
交響曲第4番イ短調 Op.63
ヤニック・ネゼ = セガン(指)
モントリオール・メトロポリタンO

録音:2021年6月(第3番)、2022年2月(第4番)
2000年からモントリオール・メトロポリタンOの芸術監督・首席指揮者を務めているヤニック・ネゼ=セガンによる、同郷オケとのシベリウスの交響曲録音シリーズ第2弾。第1番を収録した第1弾(ACD2-2452)に続き、今回は第3番・第4番の2曲を収録。第3番はシベリウスが小型交響曲へと舵を切ったターニングポイント的作品。シンプルな旋律と薄い和声、最低限の楽器の重ね方で作るひびきの面白さが追求され、ある意味大胆で実験的な音楽が展開されます。ネゼ=セガンは楽曲の要素を的確にとらえ、丁寧に整えながらも、共感たっぷりに、ときに熱っぽく演奏。しなやかな呼吸で歌い上げています。弦はふんわりとした弱音からガリガリと圧をかけた強音まで表情豊か。
第4番はさらに洗練された書法もさることながら、陰鬱な暗さが影を落とす交響曲で、開放的な第3番とは対称的。終楽章では短調と長調が同居したようないびつなバランスの響きがあらわれます。そこでもネゼ=セガンはのびのびと自然に音楽をとらえ、かつスコアを信頼しそのまま鳴らしきることで、シベリウスの狙った鈍く光るようなサウンドを鮮やかに描き出しています。オーケストラとの一体感も素晴らしく、指揮者の意図がはっきり伝わる良好な関係であることが分かります。 (Ki)

BIS
BISSA-2534(1SACD)
ブルックナー:交響曲第4番『ロマンティック』(1878/80年稿ノヴァーク版) トーマス・ダウスゴー(指)
ベルゲンPO

録音:2020年1月20-22日グリーグ・ホール、ベルゲン(ノルウェー)
数多くの録音で評価を集めるトーマス・ダウスゴーがベルゲンPOと進めているブルックナーの交響曲全曲録 音。当アルバムは交響曲第4番『ロマンティック』を収録しております。
ブルックナーの9曲の交響曲の中で最も人気の高い『ロマンティック』。第1稿が完成したのは1874年ですが、それから改訂が何度も行われ、1881年 ハンス・リヒター指揮のVPOによって初演され成功を収め作品です。ダウスゴーは第2稿、1878/80年稿ノヴァーク版を使用。 当演奏でもダウスゴーらしい見通しの良いクリアな響きを大切にし、緊密な構成力でこの名曲を演奏しております! (Ki)


Altus
ALT-523(1CD)
ベルリオーズ:幻想交響曲 大野和士(指)東京都SO

録音:2019年4月20日/東京芸術劇場コンサートホール(第876回定期演奏会Cシリーズ)
東京都SOと音楽監督・大野和士によるALTUSライヴシリーズ、マーラー「巨人」(ALT-522)に続く第2弾。ベルリオーズ没後150年にあたる2019年 に演奏された「幻想交響曲」を収録しています。
壮麗な近代オーケストレーションの開祖的作品にして、狂気をはらんだ幻想性をもつ特異な交響曲。ベルリオーズの天才的なアイデアが満載のスコアを、大野は明瞭 な響きではっきりと音楽化し、そのうえで熱のこもった歌として聴かせます。各奏者の美しくこまやかな動きからトゥッティの壮絶な強打まで、すべてが有機的につな がり、大きな流れの上で凄味あふれるクライマックスを構築。オーケストラを聴く醍醐味そのもののような、聴き応えある名演奏です。
「フィナーレも、そこに描かれているはずの一種グロテスクな地獄絵図そのものよりも、それを描きだしてしまう若い男の情念のほうに聴きての注意を向かせる。言 い換えるなら、書き綴られた音符そのものではなく、それを透かして、それを書いた男の夢と欲望に歪んだ顔つきを見せてくれます。」(許 光俊氏の解説より)

Profil
PH-23012(8CD)
ギュンター・ヴァント〜Profilブルックナー大集成


■Disc1
交響曲第3番ニ短調(ノヴァーク第3稿)
■Disc2
交響曲第4番変ホ長調(1878/80年原典版)
■Disc3
交響曲第5番変ロ長調(原典版)
■Disc4
交響曲第6番イ長調(原典版)
■Disc5 
交響曲第7番ホ長調(ハース原典版)
■Disc6
交響曲第8番ハ短調(ハース版)
■Disc8 
交響曲第9番ニ短調(原典版)
ギュンター・ヴァント(指)

■Disc1 53’59”
北ドイツRSO
録音:1985年12月23日ハンブルク、ムジークハレ
■Disc2 72’47”
ミュンヘンPO
録音:2000年9月15日ミュンヘン、ガスタイク
■Disc3 75’41”
ミュンヘンPO
録音:1995年11月29日、12月1日ミュンヘン、ガスタイク
■Disc4 57’37”
ミュンヘンPO
録音:1999年6月24日ミュンヘン、ガスタイク
■Disc5 63’31”
北ドイツRSO
録音:1999年8月18-21日ハンブルク、ムジークハレ
■Disc6、7 33’39” 55’49”
北ドイツRSO
録音:2000年4月30日-5月3日ハンブルク、ムジークハレ
■Disc8 64’11”
ミュンヘンPO
録音:1998年6月24日ミュンヘン、ガスタイク
2024年のブルックナー・イヤーに向け、真打の強力Boxが発売となります。ブルックナー・ファンにとりギュター・ヴァントは特別の存在と申せましょう。なか でも北ドイツRSOとミュンヘン・フィルを振ったライヴは宇野功芳氏の絶賛もありベストセラーとなっていましたが、今日入手困難でもあり、発売を希望す る声を多く寄せられていました。
今回、7篇の交響曲をまとめ超お手頃価格にBox化。通常CDですが音質も良く、ヴァントの至芸をたっぷりと堪能できます。お買い逃がしなく! (Ki)

DUX
DUX-1901(1CD)
ポーリッシュ・ロマンティック・シンフォニーズ
フランチシェク・ミレツキ(1791-1862):交響曲 ハ短調(1855)
ユゼフ・ヴィエニャフスキ(1837-1912):交響曲 ニ長調 Op.49(1890)
パヴェウ・プシトツキ(指)、
アルトゥール・ルービンシュタインPO
このアルバムでは19世紀にポーランドで作曲された知られざる交響曲を二曲収録しています。フランチシェク・ミレツキ(1791-1862)はピアニスト兼作曲家として活躍し、交響曲はこの一曲のみ残しています。ポズナンのアダム・ミツキェヴィチ大学図書館に写本が保存されており、1972年にポーランド音楽出版社から出版されました。ミレツキは歌劇場でも活躍した人物でそのこともあってかこの交響曲はオペラのスタイルも持っています。しかし、決して感情的な部分だけの作品ではなく、器楽に対する豊富な知識と、その作曲技法によって交響曲として成功しており、ポーランド音楽の「古典派」から「ロマン派」への転換期にふさわしい作品となっています。
ポーランドの著名なヴァイオリニスト、ヘンリク・ヴィエニャフスキの弟であるユゼフ・ヴィエニャフスキ(1837-1912)の交響曲は、彼の最後の作品のひとつです。主にピアノ曲や室内楽曲を残したユゼフ・ヴィエニャフスキとしては、珍しい管弦楽作品となります。またこの作品は演奏された記録が見つかっておらず、このアルバムに収録された音源は非常に貴重なものと言えます。
DUX
DUX-1898(1CD)
クシシュトフ・メイエル(b.1943): ピアノ協奏曲 Op.46
交響曲第6番「ポーランド交響曲」*
アントニ・ヴィト(指)、カトヴィツェ・ポーランドRSO、
クラクフ・ポーランド放送O*
パヴェル・ギリロフ (P)

録音:1984年1月12日&19日-20日、1992年4月30日
第二次世界大戦下に生まれたポーランドの作曲家クシシュトフ・メイエル。1982年に作曲された交響曲第6番「ポーランド交響曲」はポーランド民主化運動と切っても切り離せない関係にあります。この曲は形式的な意味でのプログラム性はないですが、作曲者はそこにポーランド音楽のモチーフを引用し、自由の喪失という問題を象徴的に言及しています。また一方で1979年から1989年という長い年月をかけて作曲された「ピアノ協奏曲」はジャズを含む様々な音楽の要素を盛り込んでおりピアノの妙技が印象的な作品です。この二曲を聴き比べることでよりクシシュトフ・メイエルの音楽を深められる興味深いアルバムに仕上がっています。

Urania Records
WS-121409(2CD)
マーラー:交響曲第1番&第2番
マーラー:交響曲第1番 「巨人」
交響曲第2番ハ短調「復活」*
ヘルマン・シェルヘン(指)、
LPO、VPO&cho*、
ミミ・ケルツェ(S)*、
ルクレティア・ウェスト(A)*

録音:1954年、9月(第1番)、1958年10日-12日、ウィーン(第2番)
ヘルマン・シェルヘンは、ミトロプーロスやワルター、そしてクレンペラーなどと共に、マーラーの作品を継続的に指揮していた音楽家の一人でした。シェルヘンのレパートリーはとても幅広く、バッハから同時期の作曲家であるクセナキスまで指揮を行い、その作品を世界に広めていきました。ここで収録されているマーラーもその一端であり、元々十年以上前にウラニア・レコーズから復刻された音源で、その美しさから当時の批評家から高い評価を受けました。マーラーを語る際に必ず名を出されるシェルヘン。そのシェルヘンの実演がウラニア・レコーズから再び、待望の復刻です。


Treasures
TRE-276(1CDR)
S・ゴールドベルク指揮によるモーツァルト
アイネ・クライネ・ナハトムジーク*
交響曲第5番K.22
交響曲第21番K.134
交響曲第29番K.201
シモン・ゴールドベルク(指)
オランダ室内O

録音:1960年12月6-10*、1961年7月6-8日(全てステレオ)
※音源:日VICTOR SFON-10516*、FONTANA SFL-14073
◎収録時間:65:02
“高潔かつ清新!S.ゴールドベルクの美学がここに凝縮!”
■音源について
ビクターが発売していたフィリップス音源盤は、同時期のキングレコードと同様、極めて優秀。特にオケ作品において、等身大のスケール感を再現しているように感じます。

「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」1曲だけでも、ゴールドベルクが真のモーツァルティアンであることは明らか。ゴールドベルクばらではの味わいを十分に湛えながら、迫りくるのは只々モーツァルトの音楽のみ。関係の深かったカザルスの露骨なまでに濃厚な演奏とは好対照と言えます。
 第1楽章、0:30からのヴァイオリンのヴィブラートの一瞬の幻想!ノン・ヴィブラートでこのニュアンスを無きものにすることがいかに残酷であることか思い知ります。快速イン・テンポを通しながらも少しもメカニックに走らず、全ての音符には慈愛が横溢。しかもその愛の注入には強引さがないので、品格ある音楽のフォルムが保たれているのです。
 第2楽章も清潔なヴィブラートが琴線に触れますが、その至福な空気を一変させる3音(5:15〜)の毅然とした切込みは、ゴールドベルクの美学の象徴と言えましょう。
 第3楽章中間部の透明なテクスチュアも聴きものですが、終楽章は、オケの人数設定の絶妙さがものを言い、軽妙さを保ちつつ響きの厚みと内声の無理のない連動を確保しているのが流石。
 そのゴールドベルクのモーツァルト観が更に飛翔するのが交響曲第29番で、クレンペラーやカンテルリと並ぶ同曲トップクラスの名演です。
第1楽章はかなりの高速進行。このテンポでは、特に連続する18分音符が「ただ弾いているだけ」に陥りがちですが、ここでは「アイネ・クライネ…」同様、機械的な運動性以上の凛としたニュアンスが確実に沸き立っているのです。
第2楽章も、単なる感覚的な美を超えた至芸。各パートのブレンドと自然な呼吸が常に一体化しており、だからこそアンサンブルの精緻さも有機的な佇まいの醸成に繋がっているのでしょう。そして、終楽章ぼあまりにも素晴らしいピュアな生命力の飛翔!0:50からの装飾音がかくも瑞々しく弾んだ例が他にあるでしょうか?バーンスタイン&VPO盤の同じ箇所を比べると、まるで別の曲のようです。その音型の微笑みの表情が、曲の最後にはピークに達する様にもご注目下さい。【2023年3月・湧々堂】

Treasures
TRE-282(1CDR)
スワロフスキー/シューマン:交響曲集他
スメタナ:歌劇「売られた花嫁」序曲
 交響詩「モルダウ」
シューマン(マーラー編):交響曲第1番「春」*
シューマン:交響曲第3番「ライン」#
ハンス・スワロフスキー(指)
オーストリアPO、
ウィーン国立歌劇場O*、ウィーンSO#、

録音:1958年頃、1959年*、1955年1月19&21日#(全てモノラル)
※音源:W.R.C TT-17、仏ODEON XOC-819*,#
◎収録時間:75:27
“模範解答的な佳演に留まらないスワロフスキーの熱き表現意欲!”
■音源について
シューマンの一部で一瞬音が震える箇所がありますが、マスターに起因するものと思われます。

★コメント準備中【湧々堂】

Treasures
TRE-286(1CDR)
超厳選!赤盤名演集Vol.10〜シルヴェストリの「幻想」
ファリャ:「はかなき人生」〜間奏曲&スペイン舞曲第1番
 「恋は魔術師」〜火祭りの踊り
ベルリオーズ:幻想交響曲*
コンスタンティン・シルヴェストリ(指)
パリ音楽院O

録音:1961年1月31日&2月1日、1961年2月6-8&11日*(全てステレオ)
※音源:東芝 WS-23 、WS-10*
◎収録時間:64:26
“伝統に阿らないシルヴェストリに必死に食らいつくパリ音楽院管!”
■音源について
状態の良い「東芝の赤盤」の音の素晴らしさを堪能するシリーズ。英国EMIから技術者を招いて始動し、英仏メタルを用いてプレスしていた当時の川口工場(1955年発足)の高い技術の一端を知ることができます。
但し、初期盤はビニールの素材が関係しているのか微妙なチリチリノイズの混入率が高く、復刻に際してはそれが回避された第二版以降にも耳を通すことが不可欠となります。
 ここでは、日本の「ワールドレコードクラブ特選」と称するボックスに収められている赤盤レコードを採用。「幻想」終楽章のラストは残響が尻切れのように聞こえますが、正規CDでも同様でしたのでマスターに起因する現象と思われ、修正は行いませんでした。
 なお、1971年に御殿場に大工場を新設して以降はレコードの音質は下降の一途を辿り、赤盤も消滅しました。

★この「幻想」は、奇想天外な解釈の面白さというより、シルヴェストリの作品に対する純粋な共感力とオケの発信力を前面に立てたアプローチが特徴的で、シルヴェストリの芸風を単に奇を衒ったものと捉える向きも納得せざるをえないでしょう。とは言え、並々ならぬイマジネーションが隅々に敷き詰められていることに変わりなく、1楽章2:30以降の木管の意味深い浮遊や、3:11からの強弱の入念な対比、5:30からの固定観念のメロディのもがき、12:25からのピチカートの生々しさなど、凡百の演奏とは明らかに次元が異なります。コーダの木管による低音の響きはパリ音楽院ならではの魅力!
第2楽章は冒頭の弦のみならず、ハープの末端の音まで克明に描写し、3:07で唐突なアクセントを施すなど、優美さ流れすぎて不安と苦悩を無視した演奏にはないこだわりが心を捉えます。4:27〜4:35までのテンポ操作は指揮者のセンスが問われる箇所ですが、ここでの誤魔化しのないニュアンスにもご注目を。
3楽章は全体を通じて最大の聴きもの!イングリッシュホルンはもちろんのこと、6:27以降のチェロの明るい音色など、パリ音楽院特有の響きで初めてハッと気づかされる表情が満載。雷鳴が遠ざかる際の呼吸の脱力感も実にリアルで、その後の孤独な情景が絶妙な遠近感を伴って迫る演奏など他に滅多にないでしょう。フランス人以外の指揮者がパリ音楽院を振った「幻想」は、先にアルヘンタ盤がありますが、ニュアンスの突き詰め方の差は、この楽章を聴けば歴然でしょう。
 明るい音色と言えば、第4楽章冒頭のホルンも他では聴けない風合い。その後、終楽章に掛けては生々しい原色で塗り固めながら血湧き肉躍る進行を見せ、洗練のヴェールを完全に払拭。ミュンシュやクリュイタンスの「幻想」がどんなに熱狂的でもフランス的なエレガンスを捨て去ることがないのに対し、シルヴェストリは全く唯我独尊。音色以外の全てのニュアンスを自身のイメージに塗り替え、それに対してパリ音楽院管は対抗するのではなく、むしろ想定外のニュアンスが溢れ出るのを楽しんでいるかのように熱演を展開。
名手揃いのオケに対して、その伝統的流儀をも超えて表現意欲を奮い立たせてしまうシルヴェストリの指揮者としての力量は、もっと広く認識されるべきではないでしょうか?【2023年4月・湧々堂】

Treasures
TRE-293(1CDR)
超厳選!赤盤名演集Vol.11〜クレンペラーの「大地の歌」
マーラー:大地の歌
フリッツ・ヴンダーリッヒ(T)
クリスタ・ルートヴィッヒ(Ms)
オットー・クレンペラー(指)
フィルハーモニアO、ニュー・フィルハーモニアO

録音:1964年2月&1966年7月
※音源:東芝 AA-8100
◎収録時間:63:53
“永遠に光り続ける「大地の歌」の極北!”
★コメント準備中【湧々堂】

Treasures
TRE-294(1CDR)
超厳選!赤盤名演集Vol.12〜クーベリック/田園&ハンガリー舞曲
ブラームス:ハンガリー舞曲集
 第1&第3番(以上,ブラームス編)
 第5&第6番(以上,シュメリング編)
 第17〜第21番(以上,ドヴォルザーク編)
ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」*
ラファエル・クーベリック(指)
ロイヤルPO

録音:1958年11月20日、1959年1月21-23日*(全てステレオ)
※音源:東芝 ASC-5018、WS-19*
◎収録時間:62:41
“40代半ばにしてクーベリックに備わっていた作品の本質を突く手腕!”
■音源について
状態の良い「東芝の赤盤」の音の素晴らしさを堪能するシリーズ。英国EMIから技術者を招いて始動し、英仏メタルを用いてプレスしていた当時の川口工場(1955年発足)の高い技術の一端を知ることができます。
但し、初期盤はビニールの素材が関係しているのか微妙なチリチリノイズの混入率が高く、復刻に際してはそれが回避された第二版以降にも耳を通すことが不可欠となります。
 「田園」も「ハンガリー舞曲」同様ASC規格の赤盤が存在しますが、微妙なノイズ混入があるため、後発の「ワールドレコードクラブ特選」と称するボックスに収められている赤盤を採用しました。
 なお、1971年に御殿場に大工場を新設して以降はレコードの音質は下降の一途を辿り、赤盤も消滅しました。

「ハンガリー舞曲集」は、単に民族色の抽出以上に、指揮者の潜在的な音楽センスが浮き彫りになる試金石のような作品。チェコ出身のクーベリックは、当然ながら東欧的な土の匂いは体に染み付いているはずですが、それを露骨に表面化はせず、その「血」を原動力としながらも、むしろ洗練された普遍的なフォルムを追求し続けます。強弱や緩急を自在に組み合わせた方言丸出しの解釈には目もくれず、素直なスコアの再現に徹しながら、通り一遍の平凡な演奏に陥らない、あのチェリビダッケも認めたクーベリックの音楽センスの本質が詰まった名演と言えましょう。元々はピアノ連弾曲だったことを踏まえてか、過度にシンフォニックな響きに傾くことも避けているのも特徴的。
 「1番」第2主題の繰り返し時にわずかにテンポを落とすユニークさや、「3番」冒頭のオーボエの晴朗さは、土俗性より純音楽的な味わいとなって迫りますし、「5番」は慣習的なテンポの緩急から開放したイン・テンポ寄りの推進力が痛快。「第6番」も同様ですが、アクの強いシュメリング版を用いながらここまですっきりとした洗練美を引き出した演奏を他に知りません。「17番」「20番」は、ビーチャムが築いたロイヤル・フィルの明るい音色が功を奏し、暗い楽想に艶をもたらしています。
 「田園」は、70年代の全集があるのでこのロイヤル・フィル盤は影が薄いですが、実はとんでもない名演!個性のひけらかしとは無縁であると同時に、オケの自発性の引き出し方が尋常ではありません。第1楽章はいわゆる中庸のテンポですが、決して無為無策の結果ではなく、作品が最も息づくテンポとして結実。オケのパステル調の色彩も作品にほんのりと華を添えます。提示部リピートあり。そして、第2楽章の充実ぶり!シルキーなテクスチュアの統一感、呼吸の深さ、温かさに心奪われます。8:24〜8:44の各パートの有機的な連動ぶりや、最後のカッコウの囁きのリズムセンスは、これ以上望めないほどの素晴らしさ!第4楽章がまた独特。大音量で誤魔化した単純さとは一線を画し、真のドラマを湛えた雄渾さは比類なし!終楽章はかなりの高速なのにまず驚きますが、そこから放たれる華やぎと清流のようなフレージングを聴けば、そのテンポの意味にすぐに気づくはず。3:40以降のピチカートも水しぶきを想起させ、同じくピチカートを強調したクレンペラー盤にはない心のときめきがあります。感謝の気持をしみじみ噛みしめるのは最後の1分間!ここでようやくテンポを緩めるのです。これらの魅力的なテイストは、パリ管との再録音では完全に消滅しているのです。【2023年4月・湧々堂】

Treasures
TRE-295(1CDR)
ライナーのモーツァルトVol.1
アイネ・クライネ・ナハトムジーク*
ディヴェルティメント第17番K.334#
交響曲第40番K550
フリッツ・ライナー(指)CSO

録音:1954年12月4日*、1955年4月23&26日#、1955年4月24日(全てモノラル)
※音源:米RCA LM-1966*,#、米RCA LM-2114 *
◎収録時間:77:33
“モーツァルトだからこそ浮上する強面ライナーの内面に宿る歌心!”
★コメント準備中【湧々堂】

Treasures
TRE-296(1CDR)
ライナーのモーツァルトVol.2
音楽の冗談K.522*
ディヴェルティメント11番K.251#
交響曲第41番「ジュピター」
フリッツ・ライナー(指)
NBC響団員*,#、CSO

録音:1954年9月16日*、1954年9月21日#、1954年4月26日(全てモノラル)
※音源:独RCA LM-1952-B、米RCA LM-2114 *
◎収録時間:75:36
“モーツァルトだからこそ浮上する強面ライナーの内面に宿る歌心!”
★コメント準備中【湧々堂】

Treasures
TRE-299(2CDR)
コンヴィチュニー/ベートーヴェン&ブルックナー
ベートーヴェン:交響曲第7番
ブルックナー:交響曲第5番*
フランツ・コンヴィチュニー(指)
ライプチヒ・ゲヴァントハウスO

録音:1959年6月11-19日、1961年6月26-28&30日*(全てステレオ)
※音源:日VICTOR SFON-5506、日COLUMBIA OP-7084*
◎収録時間:63:21+59:40
“攻めの表現にも誇張に傾かない恐るべきバランス感覚!”
■音源について
ブルックナーだけで80分を少し超えるため、ベートーヴェンを併録して2枚組としました。これまでも国内盤で素晴らしい音を発するレコードがあれば、輸入盤初期盤に頼らず躊躇なく国内盤を使用していますが、ここでも2曲とも日本盤を選択。特にフィリップス音源のビクター・プレス盤は、音の芯と太さが顕著に感じられ(逆にピアノ録音は大味になることもある)、ゲヴァントハウス管の質感との相性も抜群です。ブルックナーにおいても。既出CDのデジタル臭に邪魔されない素朴な響きが聴き取れることは言うまでもありません。

★まず、ベートーヴェン冒頭の打ち込み音の鉄壁なバランス!ティンパニの存在が過剰だったり脆弱過ぎたりと、今一つの演奏が多い中で、この文字通り渾然一体となった響きにはどなたも膝を打つこと必至!コンヴィチュニーといえば、「いぶし銀」という紋切り型の形容ばかりが目に付きますが、それを成し遂げているのもこのバランス感覚があればこそのことだと思います。そのこだわりが音楽に脈打つ精神と一体化したときの味わいと感動は計り知れません。序奏の間、章節の頭にトランペットのアクセントがありますが、これもただの誇張ではなく心の鼓動として響くのです。6:12からのフルートの隠し味の重要性を思い知らせる演奏も稀有。展開部は内声処理能力の高さに唖然。それを突出させるのではなく、あくまでも内声の範疇で意味を持たせて響かせるというのは、近年耳にできなくなった奥義と言えましょう。11:27からの持続音は末端まで精神が充満!11:46の楽想の唐突な変化にはどんな名盤でも違和感を覚えますが、これは違和感どころか想定外のフワッとした質感があまりにも美しく、かつ移行の仕方が絶妙の極み!この箇所でこれ以上の演奏は知りません!提示部リピートあり。第2楽章は弱音に頼らない潔い進行。1:36以降の第1と第2のヴァイオリンが同等に主張させつつ、そこに恣意性を感じさせないのも流石。2:20からの内燃パワーも凄まじく、これこそ本物の渾身!第3楽章はコーダの畳み掛けに唖然。こんなこと、安易に真似しても響きを軽薄にするだけでしょう。終楽章は、微妙に前のめりになるテンポ感を一貫させることで切迫感を伴った推進性を確保し、体ごと持っていかれる勢いまで昇華!近年「ただ速いだけ」の演奏が増えているのはご承知の通り。しかも、それでもそれなりに感動する曲だから困ったものですが、「技」を感じさせるコンヴィチュニーから受ける感銘の深さは明らかに別格です。
コンヴィチュニーのベートーヴェンの全集は、一部緊張感が弱い曲もありますが、第7番は間違いなく超特選です!
 一方、ブルックナーは、コンヴィチュニーが真のブルックナー指揮者だったことを裏付けるのに十分な感動作!ここでも、大掴みなアプローチをしているようでいて実は細部まで突き詰めるコンヴィチュニーの指揮者としての力量も思い知らせれます。
第1楽章第1主題は、音量とともに求心力も同時に増幅される凄さにご注目。ピチカートの第2主題は、微妙に縦の線をずらすことにより、オケの木目調の風合いが一層活き、強弱変化が確実に表情変化に結びついています。第3主題は、純朴な楽想に対してこれ以上何のニュアンス注入も不要で、オケと指揮者の性格そのものだけで魅了するという事実に勝るものなし!7:10からリテヌートして一旦文節を区切る丁寧さは、流れを阻害するどころか、音像の自然な構築に大きく貢献。8:42から次第に姿を表す弦のトレモロの幻想性とホルンとのブレンド感は空前絶後の魅力!展開部10:40からのフルートの神秘的フレーズと弦の存在感の対比が織りなす空気には言葉を失いますが、その後も他のニュアンスが考えられないほどの音楽が展開されのですから、もはや神がかりとしか言いようがありません。第2楽章は曲頭のピチカートの説得力が尋常ではありませんが、驚きは2:57からの第2主題!そのとてつもない深淵さは人工美と対極的でありながら、一定の距離感も保たれているので、独特の超然としたニュアンスが現出されるのです。第3楽章は、野武士的な居住まいが、理知的な構築重視の演奏からは得られない勇壮さと温もりを醸し出します。
 終楽章は、まずクラリネットの第1主題(0:42)をあえて茫洋とした雰囲気に抑えているのが印象的。竹を割ったようなスパッとした響きを避けているのは、恐ろしく粘る低弦の伏線だと気づきますが、そのリズム感の後退は決して生命力の減退ではなく、続く第2主題(第1群)の可憐なニュアンスと見事なコントラストを成すことになるのです。しかも、その可憐さに幾分憂いが滲んでいるあたり、なんという感性でしょう!6:48からの第2主題(第3群)はメカニックなフォルティッシモとは無縁の雄渾さが欲しいところですが、既存のオケでは望めない以上、このコンヴィチュニーのアナログ復刻に頼るしかなく、また他を望む必要性もないでしょう。コーダでは全体が猛烈な強奏をぶちまけますが、そうでもしなければ表しきれない内容の飽和ぶりに感動を禁じえません。鼓膜を刺激するだけの煩い大音量とはわけが違うのです!
 湧々堂が推奨する「ブル5」
の名盤第1位が揺るぐことなど想像できません。【2023年5月・湧々堂】

Treasures
TRE-303(1CDR)
C.デイヴィスのハイドン&モーツァルト
ハイドン:交響曲第84番変ホ長調 Hob.I:84*
モーツァルト:交響曲第28番 ハ長調 K. 200
 交響曲第38番 ニ長調 「プラハ」K.504
コリン・デイヴィス(指)
イギリスCO

録音:1960年9月30日&10月2日*、1962年12月7-8日(全てステレオ)
※音源:LOISEAU LYRE SOL-60030*、SOL-266
◎収録時間:74:23
“最後のモーツァルト指揮者、コリン・デイヴィスの真骨頂!”
■音源について
C.デイヴィスのハイドンは意外と少なく、この「84番」はデイヴィス初のハイドンで、後の70年代のコンセルトヘボウOとの録音まで途絶えます。一方、モーツァルトの録音はデビュー当初から積極的で、「プラハ」は3種の録音が存在。これはその最初の録音です。

★ワルター、ベームの次の世代のモーツァルト指揮者として真っ先に挙げたいのがコリン・デイヴィス!録音の上ではレパートリーが限定的で、マーラーやブルックナーの録音も少ないせいか、巨匠としての決定的な評価を得られないまま亡くなってしまった感が拭えず、、また、ピリオド奏法をベースにした紋切り型の演奏が主流となった昨今だからこそ、C.デイヴィスのモーツァルトの素晴らしさを再認識してほしいと強く願う次第です。
 そのアプローチに衒いや誇張が一切ないのは言うまでもありませんが、極めてオーソドックスなフォルムを丁寧に構築しながら、伸びやかさと品格を与え、更に程よい軽みも付与するという絶妙なニュアンス!これを30代前半の時点で既に実現していたことに驚きを禁じえません。
 「プラハ」は、最後のドレスデン盤の立派な演奏も捨てがたいですが、ここに聴くECOの奏者のセンスも相俟っての瑞々しさはかけがえのない魅力。表面上は何も変化していないようでいて、モーツァルトへの愛がそのまま演奏の集中力に直結したような魅力を考えると、どうしてもこのECO盤を強く推したくなります。第1楽章展開部の特に6:32以降で、各声部が締め付けすぎずに一定の凝縮性を保ったテクスチュアもその表れ。第2楽章1:08からの神の警告のような管楽器のユニゾンも同様。その呼吸の大きさと芯の湛え方、その後の鎮静への向かい方も見事で、ECOの透明度の高いアンサンブルの魅力も最大限に発揮されています。7:41からも聴き逃し厳禁!呼吸の繊細さとフワッとした感触、間合いの絶妙さは息を呑むほどです。終楽章はやや遅めのテンポがポイント。疾走すれば耳に届かない可憐なニュアンスがこのテンポだとしっかり浮き上がります。
 「第28番」も、純度の高いECOの響きを活かした汚れのない音像を実現。特に第2楽章でそれが顕著ですが、第3楽章はやや管楽器を優位に立てることによって醸し出されるハーモニーによって予想外の愉しさが零れます。終楽章は高速ながら猛進ではなく、細い弦の動きをはじめてするあらゆる内声が有機的な下支えをしている点にご注目を。
 肝心なのはこれらのニュアンスが、「モーツァルトはこうあらねば」という頭の中の理想だけで発せられたのではなく、デイヴィスの本心から溢れ出たもので、どこをとっても自然体であるということ。これを真のモーツァルティアンと呼ばず何と呼べばよいのでしょう! 【2023年5月・湧々堂】

Treasures
TRE-304(1CDR)
ラインスドルフ&ボストン響・厳選名演集Vol.5〜ブラームス
交響曲第2番ニ長調 Op. 73
交響曲第4番 ホ短調 Op. 98*
エーリッヒ・ラインスドルフ(指)
ボストンSO

録音:1964年12月14&16日、1966年4月26−27日*(全てステレオ)
※音源:Victor SHP-2383、RCA LSC-3010*
◎収録時間:78:30
“作品によって豹変するラインスドルフの底知れぬ魅力!”
■音源について
「第2番」は日本盤、「第4番」はフランス盤を採用。「第2番」は、ラインスドルフ唯一のセッション録音です。

★ラインスドルフは、レコーディングに際してはテンポの変動を抑えて、楽譜の忠実な再現を心掛けていたそうですが、「第2番」ではそのこだわりを貫徹しながら、有機的なフレージングも疎かにしない見事な演奏を披露しています。
第1楽章冒頭の弦の温かさは、かつてのボストン響ならではの魅力。第2主題はで、惰性的なレガートを避け、音を丁寧に切るあたりにも頑固なこだわりが垣間見れます。展開部7:11以降は、インテンポを守り抜きながら精神的な高揚をもたらし、緊張感に満ちた音像を確立。楽器間の連動も極めて密接で、安易な田園風を目指していないことは明らかです。インテンポの美学は、終楽章でつに全開に!開始しばらくはその厳格さに圧倒されますが、再現部以降、ライブのような熱気も孕み感動的なクライマックスを迎えます。最後後の最後で僅かなリテヌートも許さずに締めくくる例は前代未聞!そこまでテンポの揺れを嫌わなくても…と言いたくなりますが、感情に流されまいとする意地の張り方がかえって人間的で微笑ましく思うのは私だけでしょうか?
ところが、「4番」となると、その厳格なテンポの統制よりも、この曲をロマン派作品の爛熟の象徴として捉え、その香気にふんだんに放射することを最優先し、第2番とはまるで別人のよう。
第1楽章の第2主題に差し掛かる頃には内燃パワーが早くもマックスに達し、心の震えそのものの音化にどこまでも邁進。6:09からの管と弦のすすり泣きの応酬は心にビリビリ響き、10:50からは弦のトレモロまで必死に燃え盛り、その熱は圧巻の締めくくりまで増幅の一途を辿るのです。第2楽章は、フランス盤故か冒頭が朗々と明るく響くのに一瞬驚かされますが、すぐにクラリネットをはじめてする管の強弱ニュアンスの細やかさに惹きつけられます。第2主題(3:57〜)も実に深遠。弱音に頼らないので格別の味わいを残しますが、それが8:24では恐ろしく分厚い響きに発展。浄化された美ではないそのエネルギーの襲来に息を呑むこと必至!第2楽章は、まさに体当たり的熱演。前任者のミュンシュの同曲録音が落ち着き払ったものだったので、むしろこちらの方がミュンシュ的と言えましょう。熱気に打たれ通しで到達した終楽章冒頭では、ボストンSOの響きのブレンド素晴らしさを痛感。相変わらず演奏はどこを取っても火傷しそうなほど熱く、憑かれたような集中力も只事ではなく、最後の一音まで精神的高揚の限界に挑み続けるのです。
 ラインスドルフのクールなイメージを覆すのにこれ以上の録音はないと思われますし、もちろん「ブラ4」史上トップクラスの名演であることは疑いようもありません、 【2023年4月・湧々堂】

Treasures
TRE-305(1CDR)
カラヤン&VPO/デッカ録音名演集Vol.2
ブラームス:交響曲第3番
ドヴォルザーク:交響曲第8番*
ヘルベルト・フォン・カラヤン(指)VPO

録音:1961年(ステレオ)
※音源:日KING SLC-1742、SLC-1751*
◎収録時間:69:53
“カラヤンの芸術が「人工的」でも「嘘」でもないということの証明!”
■音源について
2曲とも、国内の優秀なKING盤を採用。英メタルを使用したプレスだけでも何種類も発売されていますが、その生々しいサウンドの魅力と特有のチリノイズのなさを考慮するとここで使用した2つの盤が最良という結論に至りました。なお、SLC-1742は同じ品番でもラベルの「溝あり」と「溝なし」が存在しますが、ここでは「溝あり」盤を使用。「溝なし」は盤自体も薄く、音の差は歴然としています。

★2曲とも後の再録音がありますが、VPOの伝統美とカラヤンのスタイリッシュな指揮が絶妙に同居するこのデッカ録音の魅力には及びませんし、カラヤンの全ての交響曲録音の中でも傑出した名演と言っても過言ではないでしょう。
 ブラームスは、剛直な構築に傾かず、流線的なフレージングを中心に据えたカラヤン特有のアプローチではありますが、感覚美優先の後年の録音では埋もれてしまった素直な心の震えがここには存在します。第1楽章2:14以降や、展開部4:04以降の些細なフレーズにも細やかな慈しみを感じ、展開部後半の山場での本気の呼吸の飛翔にも感動を禁じえません。
 第2楽章の哀愁に満ちた楽想にも暗く耽溺せず、温かな慈悲の心と前向きな光さえ感じるニュアンスには言葉を失います。その最たる例が、6:10以降!これぞ、カラヤンとVPO両者が同じ理想を目指して本気で臨んだ究極の芸術美です。
 その両者の完全合致ぶりは第3楽章も同様。終楽章は素直な推進力一辺倒に見えて、ここでもVPOの持ち味を取り込んで血の通ったニュアンスに結実させるカラヤンのセンスに脱帽です。5:26ではクナッパーツブッシュ等と同じティンパニの追加があり(後の2種のBPOでは追加なし)。
 ドヴォルザークも、何度聴いても唸らせる名演!ブラームスとは打って変わって、バリバリ鳴るVPOの響きの魅力が全開。綺麗事のないカラヤンの指揮は良い意味での粗削りのアンサンブルにも表れており、その本気度に心打たれるのです。
特に展開部後半の渾身の響きは、当時のVPOの響きの魅力とも相まってワーグナー的な色彩を帯び、その生命力の放射ぶりに息を呑みます。
第2楽章冒頭の陰影も、まさに誤魔化しのない迫真のニュアンス!3:57からのウィーン訛り全開のキュートな微笑みも、カラヤンにしては意外かもしれません。
 第3楽章は、3:02からの露骨ながら統制の取れたポルタメント(85年盤はサラッとしている)が必聴。
 終楽章は、抜群の推進力を見せながらも決してスポーティに流れず味わい満点なのは、これまたVPOとのコンビネーションの賜物。聴き所の一つであるホルンのトリルの咆哮もこうでなければ!そしてコーダは、全ての鎧の脱ぎ捨てた白熱の追い込み!聴き手をその熱狂に牽引するようなカラヤンは、他のセッション録音ではまず出会えません。
 巷間、カラヤンの音楽は人工的とか嘘臭い等となど言われますが、それは必ずしもカラヤンの本質を突いておらず、そう捉えられるのは録音技術の進歩がもたらした「錯覚」では?と、この2曲を聴たびに強く思うのです。【2023年3月・湧々堂】
■音源について
英国の黒銀ラベル盤(RIAA)2枚組を採用。

★コメント準備中【湧々堂】

Treasures
TRE-307(1CDR)
ヨッフム&手兵バイエルン放送響とのモーツァルト
交響曲第33番変ロ長調 K. 319
交響曲第36番K.425「リンツ」*
交響曲第39番変ホ長調 K.543#
オイゲン・ヨッフム(指)
バイエルンRSO

録音:1954年11月29-30日*、1955年10月2日#、1954年6月1-2日(全てモノラル)
※音源:英HELIODOR 478-435*,#、DGG 29-307
◎収録時間:78:52
“おおらかなヨッフムと陽のモーツァルトとの幸福な出会い!”
■音源について
それぞれイギリス、ドイツの再発盤ですが、初期盤よりも明らかに素直で自然な音が出ます。

★ヨッフムの音楽作りの特徴の最たるものは「おおらかさ」でしょう。決して理詰めではなく、素直に美しいと感じるものを最良のものと確信して表出する姿勢は生涯変わりませんでしたが、壮年期の録音では、人生の重みをそのまま反映した晩年の演奏とは違い、健康的な音作りがストレートに感じられるものが多く、中でもモーツァルトは、その屈託のない楽想との絶妙な相性を示しています。 
 第33番は後半2つの楽章におけるリズムから立ち上る可憐な表情が印象的。「リンツ」は、第1楽章序奏部では深遠さや神秘さをつい求めがちですが、ここでは遅めのテンンポを採用しながらも伸びやかさを失わず、ありのままのモーツァルトを再現。主部以降も特定の声部を突出させることなく、極めてオーソドックな路線に徹していますが、再現部直前の7:28からの微細なルフト・パウゼのように、よく聴けば人間臭い隠し味が散見され、それが単に通り一遍の演奏で終わらせない魅力となっています。楽想の潜在的なニュアンスを拡大解釈しないのも特徴的。第2楽章など、もっと夢見心地の表情付けも可能でしょうがそれをせず、上記の微細なルフト・パウゼを差し挟む以外は楽譜の丁寧な再現に徹し、モーツァルトに解釈など不要とばかりの自然体を通す潔さ!
 しかし、何と言っても一番の聴き物は第39番でしょう。ヨッフムの南欧的で伸びやかな音楽作りが最も功を奏していると共に、解釈の痕跡を残さない職人芸にここまで徹した演奏も珍しいでしょう。もはや「リンツ」で顔をのぞかせていたヒューマンな表情付けさえ殆どなく、ヨッフムの顔も脳裏をよぎりません。あるのはひたすらモーツァルトのみ!第2楽章の悲痛な第2主題も過剰に泥沼化しないので、コーダの平和裏な佇まいに美しい弧を描きながら帰結。終楽章も、作品の推進性にただただ身を任せるのみです。
 一口に「おおらか」と言ってもビーチャムのような無邪気さとは異なり、これはまさに、素材の素晴らしさだけで勝負した一級の料理を味わうのと同じ醍醐味と言えましょう。【2023年5月・湧々堂】


Treasures
TRE-308(1CDR)
オーマンディ〜「古典」名演集Vol.1
ハイドン:交響曲第101番「時計」
モーツァルト:交響曲第30番*
 交響曲第31番「パリ」#
ユージン・オーマンディ(指)
フィラデルフィアO

録音:1962年1月28日、1962年4月8日*、1961年1月29日#(全てステレオ)
※音源:米COLUMBIA MS-6812、MS-6122*,#
◎収録時間:62:17
“オーマンディと古典的様式美との高い親和性を実証!”
■音源について
使用した2枚のLPは、共に2 eyesラベル盤。「パリ」の終楽章冒頭のみモノラルに聞こえますが、音源に起因するものですのでご了承下さい。

★オーマンディのハイドンやモーツァルトを称賛する声はあまり耳にしませんが、楽想の魅力を引き立てる端正な造形力と無理のないテンポ感を目の当たりにすると、録音の少なさは只々痛恨と言わざるを得ません。
 「時計」第1楽章序奏の晴朗さ、透明度、温もり、幻想性…これらの要素は手を取り合って同居する風情からして惹きつけられます。主部はそれを引き継ぎつつ、衒いとは無縁の素直な進行の心地よいこと!第2楽章は後半5:51以降が特に聴き物で、音量を少しも弱めずに明快な音像を保ち、6:45ので一瞬低弦を唸らせて軽いスパイスを加味する等のオーマンディらしいが、ハイドンらしさを際立たせているのです。第3楽章の淀みを知らないテンポ感も最高。終楽章は、ハイドン特有の機知を漏らさず捉えた自然な飛翔ぶりに心躍ること必至!
 モーツァルトに関しても、オーマンディが米コロンビアに遺したステレオ録音はこの2曲のみ。ワルターの存在がある以上、ワルターのレパートリーと被らないこの2曲だけを任された形だと思いますが、演奏自体は穴埋どころではなくすこぶる名演!
 「30番」は、作品の祝典的な雰囲気とオーマンディ&フィラデルフィアのコンビ特有の華やかな音色美が完全に合致。感覚的美を十分に湛えつつ、少しも軽薄さに傾かないところが流石ですが、その特質をさらに発揮した大名演が「パリ」
 一定の品格と華やかさが常に同居させながら、オーマンディには珍しほどの音楽する楽しさを全開にしたアグレッシブなアプローチに、心躍るばかりです。
第1楽章提示部の内声の充実と凝縮力の高さは、60年代以降のオーマンディがほとんど見せない快活なテンポ感と一体となって生きる喜びを発散し尽くします。展開部は、ドラマティックな流れを俊敏な呼吸で駆け抜ける様が痛快この上なし!再現部5:12の弱音ティンパニが見せる奇跡のニュもお聴き逃しなく。
 第2楽章冒頭の分厚い響きはいかにもオーマンディ・サウンドですが、常にリズムが立っているので全くもたれません。終楽章に至っては、もう理屈抜きで楽しい!一発勝負的なノリの良さと、それだけに終始せずに作品のフォルムをしっかり堅持する職人技が相俟って、中途半端な原点回帰的演奏には望めない、今を生きる人々に訴えかける芸術を築き上げているます。オーマンディのステレオ録音の名演として迷わず挙げたい超逸品です! 【2023年3月・湧々堂】

TRT-022(1CDR)
シュヒター/チャイコフスキー&シベリウス
チャイコフスキー:イタリア奇想曲*
シベリウス:交響詩「フィンランディア」**
 悲しきワルツ#
チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調##
ヴィルヘルム・シュヒター(指)
北西ドイツPO

録音:1954年11月25日*、1957年8月29日**、1955年2月22日#、1956年10月22-25日##(全てモノラル)
※音源:伊EMIL QUM-6361、HMV XLP-20009##
◎収録時間:72:31
“シュヒターの厳しい制御が活きた品格漂う名演奏!”
■音源について
全てElectrola - Imperial音源。

★1959〜1962年に常任指揮者としてN響を徹底的に鍛え上げたシュヒターは、人間的にはかなり陰湿だったという証言もありますが、遺されている放送録音を聴く限り、オケとの間に壁など感じず、むしろ品格とスケールを兼ね備えた演奏が多いのは興味深いことです。そして、手兵の北西ドイツ・フィルとの録音でも同様の矜恃を強く滲ませたものが多いのです。
 「イタリア奇想曲」は、まず冒頭テーマのアーティキュレーションの高いセンスに唸らされます。第2部〜第4部にかけてノリに任せず目の詰んだアンサンブルを育む姿勢はまさにシュヒターそのものですが、そこには温かな風情も漂います。最後の第5部に入ってもすぐには加速せず、12:40付近からアクセル全開となるのにはビックリ!
 「フィンランディア」では勇壮さの中に熱い共感を込めた演奏を展開しますが、より感動的な「悲しきワルツ」。冒頭部の機械的なまでのイン・テンポ感が感情を希薄に追い込むほどの苦悩の裏返しのように響き、オケの渋い色彩も手伝って1:44からの明るい楽想でもその絶妙な暗さは持続。2:30のルフト・パウゼも意味深!後半は、テンポを追い込みつつ決然とアゴーギクを敢行。高次元の芸術的昇華を見せるのです。これほどの名演が埋もれたままでよいはずがありません!
 「チャイ5」も間違いなくシュヒターの代表的名演。N響とも演奏した十八番曲だけに、精緻なアンサンブルと入念なニュアンス注入が常にセットで実現されているのを聴くと、身を粉にして作品に奉仕するシュヒターの真摯さが尋常ではないことを痛感するばかり。それがロシア的かどうかなど問題ではなく、とにかく、どの表現も切実に胸に迫るのです。
第1楽章冒頭クラリネットは素朴さを保持したまま声部間のバランスも同時に確保し、オケの特性を十分に知り尽くした上でそれを有効活用し尽くそうとするシュヒターの意思が早速感じ取れます。第1主題のテンポもまさに理想的で、このテンポ以外では全ての楽想が真に息づくことはないと思わせるだけの確信が宿っているのです。4:17からはドイツ流の金管の張り出し方が物を言い、特に、4:30からのトロンボーンがフレーズ末端まで鳴らし切ることの大切さに気付かされます。少しも媚びない第2主題や副次主題は、シュヒターの音楽作りの根底にある品格の現れ。音楽の品位を保とうとすると音楽自体が小さくまとまりがちですが、シュヒターの指揮にはその心配はご無用。
鬱蒼とした森の囁きを思わせる第2楽章のホルンの響きも素敵で、特に最後の一吹きのアクセントはお聴き逃しなく!4:01のルフト・パウゼがこれほど意味を持って響く例も稀。「悲しきワルツ」でも確認できたように、これだけでもシュヒターが厳しいビルダー以上の才能の持ち主だったことの証左と言えましょう。第3楽章の遅いテンポ設定はケンペ&BPO盤でも見られるドイツ流儀の象徴ですが、オケの音色的特徴も含めて楽想との相性は抜群。そのドイツ流儀は、終楽章で更に全開に。テンポこそカラヤンに近いですが、虚飾を排した進行と実直な音の積み上げに安易な感傷の入り込む隙はなく、全く様相は異なります。
 シュヒターは、録音で聴く限りドイツ音楽よりも北欧・スラブ系作品との相性の方が良かったよう思われますが、その真価をこの4曲からもはっきり感じていただけることでしょう。【2023年3月・湧々堂】


SWR music
SWR-19123CD(6CD)
NX-E10
カール・ベーム SWR録音集1951-1979年

■CD1
(1)モーツァルト:交響曲第40番 ト短調 K.550
(2)ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番 ト長調 Op.58
■CD2
(1)ベートーヴェン:交響曲第2番ニ長調 Op. 36
(2)ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調 Op. 92
■CD3
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」
■CD4
(1)ブラームス:交響曲第1番ハ短調 Op.68
(2)シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調 Op.54
■CD5
(1)ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調 Op.95
(2)ヒンデミット:ウェーバーの主題による交響的変容
■CD6
ブルックナー:交響曲第7番ホ長調
全てカール・ベーム(指)
シュトゥットガルト放 RSO

■CD1
ブランカ・ムスリン(P)
録音:(1)1974年9月18日ライヴ(STEREO)※SWR19432CD/93.014と同一音源
(2)1951年4月15日ライヴ(MONO)※93.014と同一音源
■CD2
録音:1979年2月14日 ライヴ (STEREO)
■CD3
ルート=マルグレート・ピュッツ(S)、シビッラ・プラーテ(A)、ヴァルター・ガイスラー(T)、カール=クリスティアン・コーン(Bs)、シュトゥットガルト放送cho、シュトゥットガルトフィルハーモニーcho
録音:1959年11月12日 シラー生誕200周年記念演奏会のライヴ (MONO)
■CD4
ブランカ・ムスリン(P)
録音:(1)1951年4月15日 (スタジオ) (MONO)
(2)1954年12月10日 (ライヴ)(MONO)
■CD5
録音:(1)1954年12月10日ライヴ (MONO)
(2)1951年4月15日 ライヴ (MONO)
■CD6
録音:1974年9月18日ライヴi (STEREO)
※※第1楽章の冒頭にオリジナル・テープに由来する2小節の欠落があります。
没後30年余りを経た今も日本でファンの多いカール・ベーム。ベルリン・フィルやウィーン・フィル、ロンドン響との演奏 が多数発売されていますが、シュトゥットガルトのSWRにも少なからぬ量の演奏が遺されており、この度オリジナル・ テープからまとめて復刻されます。嬉しいことにレパートリーはモーツァルトやベートーヴェン、ブラームス、ブルックナー、 ドヴォルザーク...とベームが得意としたものが多数。CD1はSWRレーベルで出ていた93.014と同一音源(新規リ マスターではないとのこと)ですが、他はオリジナル・テープからの初CD化となります。録音は1951年からベーム晩年 の1979年まで広範囲にわたっていますが、演奏はいずれもベームらしく力強いサウンドと堅固な造形による弛緩の 無いもの。シュトゥットガルト近郊で生まれた詩人シラーの生誕200周年を祝う「第九」のような特別な演奏会の 記録は特に貴重です。 尚、ブルックナーの第7番は放送局のマスターで冒頭2小節が欠落しているとのこと。いきなり第1主題から始まりま すが、演奏自体はベームらしい立派なものとなっています。

オクタヴィア
OVCL-00741(1SACD)
2023年3月22日発売
モーツァルト:交響曲第41番「ジュピター」
交響曲第39番変ホ長調 K.543
沼尻竜典(指)
トウキョウ・ミタカ・フィルハーモニア

録音:2019年3月9日(第41番)、2020年8月1日(第39番) 東京・三鷹市芸術文化センター・ライヴ
「トウキョウ・ミタカ・フィルハーモニア」は、1995年から三鷹市芸術文化センターを本拠地として 活動し、メンバーは国内外のオーケストラやソリストとして活躍する日本人若手演奏家が多く 参加する、高い技術と生き生きとした多彩なアンサンブルが魅力のオーケストラです。 ドイツのリューベック歌劇場や、びわ湖ホール、神奈川フィルで高い評価を受ける沼尻が描く、 隅々まで行き届いた美しい音楽と自然な歌心をライヴ録音で収録しました。 正統派モーツァルト後期交響曲をどうぞお楽しみください。(オクタヴィア)
オクタヴィア
OVCL-00806(1SACD)
2023年3月22日発売
ハイドン交響曲集Vol.19
交響曲第46番ロ長調 Hob.T:46
交響曲第34番ニ短調 Hob.T:34
交響曲第8番ト長調 Hob.T:8「晩」
飯森範親(指)
日本センチュリーSO

録音:2020年1月17日(第8番) 大阪、いずみホール、
2020年10月23日(第34番)2021年7月30日(第46番)
大阪、ザ・シンフォニーホール
日本センチュリーSOが首席指揮者の飯森範親と共にスタートした「ハイドンマラソン」 は、フランツ・ハイドンのすべての交響曲を演奏しようという一大プロジェクト。当盤は第 18回、21回、24回コンサートのライヴ収録です。 幾度の公演を重ね、信頼関係を築いてきた飯森と日本センチュリー響は、精緻な構築と、細 部までこだわりぬいた感性で、気品あふれるハイドンを奏でています。柔和で晴々とした優美な 演奏は、まさに彼らの真骨頂といえるでしょう。(オクタヴィア)

TOCCATA
TOCC-0643(1CD)
NX-B03
リヒャルト・フルーリー:管弦楽作品集 第3集
交響曲第1番ニ短調(1922-23)
交響曲第4番ハ長調「Liechtensteinische リヒテンシュタイン風」(1950-51)
BBC響
ポール・マン(指)

録音:2022年1月11-12日
スイスの作曲家リヒャルト・フルーリー。音楽一家に生まれ、地元の音楽院でフェリックス・ワインガルトナーに(指) ウィーンではヨーゼフ・マルクスに作曲を学びました。やがてゾロトゥルン市のオーケストラを30年間指揮するととも に、作曲家としても活動。後期ロマン派の作風を踏襲する雄大な作品を数多く遺しています。 このアルバムには1920年代の交響曲第1番と50年代の交響曲第4番を収録しています。抒情的で壮大な第1 番はブルックナーを彷彿させ、またハリウッド映画の音楽のようなゴージャスな響きを味わえる第4番は、彼が幼少 期に訪れたリヒテンシュタインでの思い出からインスパイアされたという作品です。ポール・マンが指揮するBBC交響 楽団が作品の持ち味を存分に生かした演奏を聴かせます。

SOMM
ARIADNE-5020(1CD)
NX-B04
ヴォーン・ウィリアムズ・ライヴ 第4集
(1)トマス・タリスの主題による幻想曲
(2)2台ピアノのための協奏曲 ハ長調(J. クーパー&R. ヴォーン・ウィリアムズ編)
(3)交響曲第8番ニ短調
アーサー・ホイットモア(P)
ジャック・ロウ(P)
ディミトリ・ミトロプーロス(指)NYO
(3)ジョン・バルビローリ(指)ハレO

録音(全てライヴ/MONO):
(1)1943年8月29日 Carnegie Hall、ニューヨーク(USA)
(2)1952年2月17日 Carnegie Hall、ニューヨーク(USA)
(3)1964年5月15日 Free Trade Hall、 マンチェスター(UK)
2022年、ヴォーン・ウィリアムズ生誕150年を記念したアルバムの第4集。第3集ではヴォーン・ウィリアムズの自作自演をご紹介しましたが、この第4集は ヴォーン・ウィリアムズ作品の熱心な支持者であったミトロプーロスが1942年にニューヨーク・フィルの弦楽セクションを指揮した「トマス・タリスの主題による幻 想曲」と、1952年に演奏した「2台ピアノのための協奏曲」を収録。熱気あふれる雰囲気が聴きどころです。後半には、1964年バルビローリがハレ管を指 揮した交響曲第8番を収録。この曲は1956年にバルビローリとハレ管によって初演されており、作品の見せ場を知り尽くしたバルビローリならではの充実した 演奏が楽しめます。 今回の復刻も、これまでに数々の名盤の復刻にあたった英国を代表するリマスター・エンジニア、ラーニ・スパールが手掛けており、丁寧なリマスターによるノイ ズの少ないリアルな音が蘇りました。なお、ブックレットにはヴォーン・ウィリアムズの評伝を執筆した英国の研究家サイモン・ヘファーによる解説(英語のみ) が掲載されています。

GENUIN
GEN-23818(1CD)
マーラー:交響曲第2番「復活」(ブルーノ・ワルター編4手ピアノ版,声楽とトランペット入り) グレゴール・マイヤー(P)、
ヴァルター・ツォラー(P)、
アンニカ・シュタインバッハ(S)、
ヘンリエッテ・ゲッデ(A)
エマヌエル・ミュッツェ(Tp)
ゲヴァントハウスcho

録音:2021年12月21日,2022年2月3-4日,5月9-10日 ドイツ ライプツィヒ
ウィルス禍の下で生まれたミニマム復活交響曲の CD。マーラーの復活交響曲を その弟子である若き日のブルーノ・ワルターが 4手ピアノ用に編曲したことは知られ ているでしょう。これは既に録音もあるのだが、今回はそこにオリジナルの楽譜から独 唱と合唱(ただし少人数)を持ってきて演奏してしまったのだ。4 手ピアノ編曲では声 部がよく聞き取れるので透明感が著しく増し、マーラーの音楽の近代性が露わにな る。一方大編成のオーケストラ相手では全力で声を張り上げなくてはならない独唱 合唱は、力みなく美しい声を響かせることができます。するとよく知っているはずの復 活交響曲が、なんと新鮮に聞こえることか!このミニマム復活交響曲は、オリジナル の復活交響曲をよく知っていれば知っているほど発見の多い演奏でしょう。マーラー・ マニアやワルター・ファンにはぜひ聞いてほしい。なおトランペットはあくまで補助的 に用いられています。 グレゴール・マイヤーとヴァルター・ツォラーはどちらもゲヴァントハウス合唱団のピア ニスト。マイヤーは合唱の練習にも当たっています。このミニマムな復活交響曲は、新型 ウィルスの猛威の下で彼らが大編成の合唱作品を上演できないことから思いついたと いう。つまりこれは、不遇な時代に負けるわけにはいかない芸術家魂の結実なのだ。 アンニカ・シュタインバッハとヘンリエッテ・ゲッデはどちらもドイツの優秀な若手歌手。  (Ki)

BIS
BISSA-2476(1SACD)
マーラー:交響曲第9番 オスモ・ヴァンスカ(指)
ミネソタO

録音:2022年3月21-25日/オーケストラ・ホール(ミネアポリス)
好評を博しているオスモ・ヴァンスカ率いるミネソタOによるマーラー・シリーズ。当アルバムは交響曲第9番を収録!当演奏 でもヴァンスカならではの緻密な構成と、細部にまで注意が払われた圧巻の仕上がり。繊細かつ丁寧な音楽づくりが魅力です。また録音にも注目。オーケストラ 全体の響きを自然にとらえ、演奏の一体感を堪能することのできる録音です。
ベルクが「マーラーが書いた中で最も輝かし作品」と激賞した交響曲第9番。形式、主題、調性あらゆる面で広大で感情的な第1楽章、喜びと 遊び心に満ちた第2楽章、辛辣な皮肉と怒りを表した第3楽章、そして神秘的なアダージョで締めくくる第4楽章で構成されたマーラー最大の傑作です。
BISレーベルで数多くの録音を残してきたヴァンスカが最上級の演奏に達したマーラーの交響曲シリーズ。これまでに第1番「巨人」(KKC 6034/ BIS SA2346)、第2番「復活」(KKC 5995/ BIS SA2296)、第4番(KKC6131/ BIS SA2356)、第5番(KKC5831/ BIS SA2226)、第6番(KKC 5994/ BIS SA2266)、第7番(KKC6184/ BIS SA2386)、第10番(KKC6321/ BIS SA2396)がリリース されております。
2003年にミネソタOの音楽監督に就任したヴァンスカは、ベートーヴェンの交響曲全集などで評価を高めました。しかし、当団では経営悪化に伴う労 使対立が激しさを増し、2012年10月に経営側はロックアウトを決行。その後の2012/13年のシーズンは全てキャンセルとなり、当団の存続そのものも危 ぶまれる状況となりました。ヴァンスカは、労使の合意が成立した2014年1月に首席指揮者に復帰し、以後、団結力の増したミネソタ管の演奏は一層密度の 濃いものとなっております。 (Ki)

Chandos
CHSA-5265(1SACD)
シューベルト:交響曲集 Vol.3
交響曲第1番ニ長調 D.82
交響曲第4番ハ短調 D.417「悲劇的」
歌劇「フィエラブラス」序曲 Op.76D.796
エドワード・ガードナー(指)、
バーミンガム市SO

録音:2022年7月15日-16日、タウン・ホール、バーミンガム(イギリス)
2015年からノルウェーの名門ベルゲン・フィルの首席指揮者を務め、2021年からはユロフスキの後任としてロンドン・フィルの首席指揮者を務めているエドワード・ガードナー。イギリスの次代を担うマエストロとして、今後の活躍も期待されるガードナーによるシューベルト交響曲全集の第3弾!かつて首席客演指揮者を担ったバーミンガム市SOと共に若書きのシューベルトの作品を洗練された演奏で聴かせてくれています。
作曲当時16歳であった「第1番」は、すでに若いシューベルトが交響曲の形式と技法を理解していたということを明らかにします。その作品からはハイドン、モーツァルト、初期のベートーヴェンからの影響を受けていたことを感じさせるでしょう。その3年後に書かれた「第4番」はより野心的な作品で、曲全体の主題を統一させようというシューベルトの工夫が見て取れます。このアルバムではシューベルトの後期の交響曲へと向かっていく過程を窺い知ることが出来ます。
Chandos
CHSA-5309(1SACD)
ラフマニノフ:「幻想的小品集」〜前奏曲 Op.3-2(レオポルド・ストコフスキ編)
交響曲第2番ホ短調 Op.27
ジョン・ウィルソン(指)、
シンフォニア・オヴ・ロンドン
BBCミュージック・マガジン賞をはじめとしたこれまでの数々の受賞に続き、2022年度には「ラヴェル:管弦楽作品集」(RCHSA--5280/CHSA--5280)がレコード・アカデミー賞の管弦楽曲部門、そして英グラモフォン賞の空間オーディオ部門を受賞するなど名実共に世界のトップクラスへと登り詰めつつあるジョン・ウィルソン&シンフォニア・オヴ・ロンドン。2022年10月リリースの「ラフマニノフ:交響曲第3番」(RCHSA--5297/CHSA--5297)に続いて、2023年に生誕150周年を迎えたラフマニノフの代表作、交響曲第2番が待望のリリース!
ラフマニノフが「ピアノ協奏曲第2番」の成功によって「交響曲第1番」の初演の失敗から立ち直り、公私共に軌道に乗りつつあった時期に書かれた交響曲第2番は、甘美な旋律やドラマチックな展開で「ピアノ協奏曲第2番」などと並ぶラフマニノフの最高傑作の一つとして広く親しまれています。人気作品なだけに過去にもアンドレ・プレヴィンをはじめ数々の名指揮者が録音を遺してきましたが、ジョン・ウィルソン&SOLはその演奏内容の充実度も去ることながら、これまでのChandosからの一連のリリースで常に高く評価されてきた音質面でも際立つものがあるといえるでしょう。カップリングには「鐘」の愛称で親しまれる「前奏曲」の、ストコフスキによる管弦楽編曲版を収録。

Sterling
CDS-11282(1CDR)
オーレ・イェッレモー(1873-1938):交響曲第2番
ヴァイオリン協奏曲(1933)
ノルウェー・カプリース(Vnと管弦楽の為の)(1935)
交響曲第2番 ロ短調(1922-26)
マクリスSO、
ヨルン・フォスハイム(指)、
クリストフェル・トゥン・アンデシェン(Vn)

録音:2022年4月22日-23日&25日、ザドゥジュビナ・イリエ・コラルカ(ベオグラード、セルビア)
オーレ・イェッレモーは、ノルウェー中部、ドヴレ村の小作農の家に生まれました。父からフィドル演奏を教わり、その後、音楽隊でコルネットを演奏。1891年、20歳の時に首都クリスチャニア(現オスロ)に赴き、陸軍音楽学校に入学しました。当時を代表する音楽家と知り合い、国立劇場のヨハン・ハルヴォシェンの下でヴァイオリンとヴィオラを弾きました。1919年から1932年まで音楽院でヴァイオリンと和声学と作曲法を教えました。1932年の「交響曲第3番 イ長調」が代表作のひとつに挙げられています。
「ヴァイオリン協奏曲」は、1934年5月、ヨハン・シモンセンのソロ、イェッレモー指揮フィルハーモニック協会の共演で初演された作品です。「アレグロ」「アンダンテ」「アレグロ・コン・ブリオ」の3楽章で構成されています。「ノルウェー・カプリース」は、「ヴァイオリンと管弦楽の為のロンド」の名で発表され、伝統の踊り「ハリング」のリズムと後期ロマンティシズムの語法で書かれています。ソリストのクリストフェル・トゥン・アンデシェンは、バラット=ドゥーエ音楽学校とノルウェー国立音楽大学、マンハッタン音楽学校で学んだ若いヴァイオリニストです。
「交響曲第2番ロ短調」は4楽章の作品です。「牛飼いの娘のロック(牛寄せの声)」の即興が特徴的な第1楽章。「靄と日の光」の第2楽章。厳粛な気分のトリオをもつ「スケルツォ」の第3楽章。「丘を下り家路につく」第4楽章。1926年1月に初演され、聴衆に好評だったにもかかわらず、その後、ずっと放置されていました。ヨルン・フォスハイムとマクリスSOによるこの録音が96年ぶりの再演です。
※当タイトルは、高品質メディア(SONY DADC/Diamond Silver Discs)を使用した、レーベル・オフィシャルのCD-R盤となります。

Da Vinci Classics
C-00667(1CD)
リスト:ダンテ交響曲 S.648(2台ピアノ版)
悲愴協奏曲ホ短調 S.258-1(2台ピアノ版)
ダンテ交響曲 S.648(2台ピアノ版)
デュオ・ソッリーニ・バルバターノ〔マルコ・ソッリーニ(P)、サルヴァトーレ・バルバターノ(P)〕、
ボロメーオ大学cho、
マルコ・ベリーニ(指)

録音:2022年4月、ボロメオ大学(パヴィア、イタリア)
リストはベートーヴェンの「第九交響曲」のように、音楽と詩の相互作用の中にこそ、この行き詰まりを打開する道があることを発見し、ここに収録されている2つの曲が、リストが独自のソナタ形式を追求したことを雄弁に物語っています。
壮大かつ劇的な「ダンテ交響曲」はもちろんのこと「悲愴協奏曲」では1870年代にハンス・フォン・ビューローが編曲、カデンツァを書いて出版した楽譜ではなく、本来のリスト自身のカデンツァを復元しビューローのカデンツァを省略した大変珍しい版を用いているところが要注目です。
2004年に結成されたデュオ・ソッリーニ・バルバターノはイタリアを代表するピアノ・デュオの1つ。
コンサート、レコーディングにおいても目覚ましい活躍を展開しており、ザグレブで行われたクロアチアとイタリアの外交関係樹立20周年を記念した特別なコンサートに招聘されるなど親善大使的な役割も担う名匠2人です。

Pentatone
PTC-5186992(1CD)
マーラー:交響曲第2番「復活」 クリスティアーネ・カルク(S)、エリーザベト・クールマン(A)
プラハ・フィルハーモニックcho
セミヨン・ビシュコフ(指)
チェコPO

録音:2018年11月&12月/ルドルフィヌム、ドヴォルザーク・ホール(プラハ)
続々とリリースしているセミヨン・ビシュコフ率いるチェコPOによるマーラーの交響曲全曲録音。当アルバムは2018年11月& 12月に収録した第2番「復活」で、クリスティアーネ・カルク、エリーザベト・クールマンという充実の歌手を迎えた注目の録音です。
当団にとって全曲録音は1976年から1982年にかけて録音したヴァーツラフ・ノイマン以来となります。オーストリアで活躍したマーラーですが生まれは当 時のオーストリア帝国に属するボヘミア王国のイーグラウ近郊のカリシュト村(現チェコのイフラヴァ)。この全曲録音は当団にとって重要なプロジェクトとなって おります。
「マーラーの交響曲は人生の“ポリフォニー”を表現するものであり、これらの作品を録音することは、生涯をかけて抱いてきた夢、そして喜びです」と語るビシュ コフ。2018年10月より当団の首席指揮者・音楽監督としての任期をスタートさせたビシュコフが全身全霊で臨むマーラーはこのオーケストラがもつ温かく優 しい音色を全面に出した好演で、ビシュコフが生涯かけての夢をここに実現しております。ことにアダージェットは言葉を失うほどの美しさ。細部へのこだわりと 洗練された演奏はビシュコフ率いるチェコ・フィルでなければ表現できない輝かしいマーラーの世界が広がります。 (Ki)

ATMA
ACD2-2866(1CD)
アイスストーム・シンフォニー
マクシム・グーレ(1980-):アイスストーム・シンフォニー[I. 混乱 / II. あたたかさ / III. 暗黒 / IV. 光]
なんて日だ [I. 陽気な朝 / II. 果てしない労働 / III.2人の夕べ / IV. 安らかな夜]
大げさな話
ジャック・ラコンブ(指)
モントリオール・クラシカル・オーケストラ

録音:2022年8月14・15日/ケベック
ラシカルなものからゲーム音楽に至るまで幅広い創作活動を行うケベックの作曲家、マクシム・グーレの作品集。『アイスストーム・シンフォニー』は1998年 1月4日に起きた大規模停電が題材になっています。長く続いた雨氷によって1か月ものあいだ電力供給が滞ったケベック州史上最大の自然災害をとりあげ、人 間の太刀打ちできない環境の脅威とその後にあらわれる希望の光を、壮大に描いています。ゲーム音楽のような分かりやすいサウンドでありながら、人間の力、不 可能なことと可能なことについて考えさせられる交響曲です。

VOX
VOXNX-3002CD(1CDR)
NX-B03
ベートーヴェン:交響曲第4番 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)BPO

録音:1943年(ライヴ)
収録時間:36分
1951年にVOXレーベルからPL7210の番号でリリースされたフルトヴェングラー(指)ベルリン・フィルの ベートーヴェン:交響曲第4番の復刻です。この音源は初出LPでは1945年の録音と記載されていま したが、その後の研究により1943年6月、ベルリンでのライヴ録音ということが判明しました。 復刻素材 はレーベル所蔵のLPを使用し、アメリカ、ナッシュヴィルのスタジオで2022年に新規リマスター しました。収録時間36分余り。ブックレットに初出時のLPジャケットをカラーで掲載しています。 ※ディスクはCDRになります。

ANALEKTA
AN-28882(2CD)
NX-D09
クララ、ロベルト、ヨハネス〜情感と構成力
【DISC1】
シューマン:交響曲第3番「ライン」
クララ・シューマン:海辺にて*
 ある明るい朝に Op.23-2*
 ローレライ*
 4つの束の間の小品 Op.15(第4曲は ピアノ・ソナタの第3楽章として収録)
 ピアノ・ソナタ ト短調
【DISC2】
ブラームス:交響曲第3番
クララ・シューマン:ピアノ三重奏曲 ト短調 Op.17
ナショナル・アーツ・センターO
アレクサンダー・シェリー(指)
スチュワート・グッドイヤー(P)
川崎洋介(Vn)
レイチェル・マーサー(Vc)
ガブリエラ・モンテーロ(P)
アドリアンヌ・ピエチョンカ(S)
リズ・アップチャーチ(P)*

録音:2020年-2022年
収録時間:137分
それぞれ4曲あるシューマンとブラームスの交響曲を第1番から1曲ずつとクララ・シューマンの作品を収録し、3人の親密な関係を紐解こうとい う企画の第3弾。まずは企画の柱でもあるシェリーとナショナル・アーツ・センター管による、2つの交響曲の充実ぶりが大きな聴きもの。今回は 名手スチュワート・グッドイヤーも参入し、精悍さと繊細な美しさを併せ持つそのタッチが、ガブリエラ・モンテーロの深い情熱を秘めた表現との 好対照を聴かせます。またナショナル・アーツ・センター管のコンサート・マスターである川崎洋介が室内楽にも参加し、端正ながらも奥行きの ある表現を聴かせています。

Profil
PH-22069(1CD)
ヴィルヘルム・ペーターゼン:交響曲第3番嬰ハ短調 コンスタンチン・トリンクス(指)
フランクフルトRSO

録音:2021年8月30日-9月3日 ヘッセン放送ゼンデザール
ヴィルヘルム・ペーターゼン(1890-1957)はヒンデミットと同世代のドイツの作曲家。大作指向でしたが、今日名前や作品を聞く機会は多いといえません。前 衛とは無縁な伝統的なスタイル、とりわけ精緻な対位法的書法は、ブルックナーの弟子だった作曲の師フリードリヒ・クローゼ譲りで、独墺系交響曲のファンの琴線 に触れること間違いなしの新しいレパートリーの出現と申せましょう。
聖職者だった父の任地ギリシャのアテネで生まれ、翌年ドイツへ帰国。ミュンヘンで作曲をクローゼ、指揮をモットルに師事しました。交響曲は全部で5篇あり、第 3番嬰ハ短調は1934年初演。3楽章60分の大作で、印象的な主題と歌に満ちた主題が互いに競いクライマックスへ至る第1楽章、親しみやすい第2楽章、非常 に陽気な第3楽章と、さまざまな主題が絶え間なく変化、発展します。
指揮はハンス・ロットの交響曲やプロコフィエフの歌劇「炎の天使」で熱い演奏を聴かせてくれたコンスタンチン・トリンクス。これも堂々とした解釈で、未知の 作品から深い感動をひきだしています。 (Ki)

GRAND SLAM
GS-2287(1CD)
(1)ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」*
(2)スメタナ:交響詩「モルダウ」
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)VPO

録音:1952年11月24&25日*、1951年1月24日ムジークフェラインザール(ウィーン)
使用音源:Private archive (2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:モノラル(録音セッション)
■制作者より  
新音源を使用した最新リマスターによるフルトヴェングラー&VPOのベートーウェンはこれまでに第3番「英雄」(GS-2280)、第4番+第7番(GS-2282)、 第1番+第5番「運命」(GS-2284)、第9番「合唱」(GS-2205)と発売してきましたが、今回の「田園」+「モルダウ」が最終巻となります。残念ながら第2 番と第8番がこのシリーズにはありませんが、主要な7曲が最上の音質で味わえるようになりました。フルトヴェングラーのベートーヴェンと言えば、最近、1991 年12月に発売された交響曲全集(東芝EMI TOCE7530〜4)が4万円〜8万円程度で取り引きされているようです。しかし、最新のGS盤さえあれば、音質 はむろんのこと、解説書の充実度も考慮すれば、もはやそのような法外な中古盤を買う必要は全くなくなったと言えます。(平林 直哉) (Ki)

SOREL CLASSICS
SCCD-003(1CD)
2023年2月10日までのご注文分は
税込¥2050!!
ジュディス・ラング・ザイモント(b.1945):交響曲第4番「澄んだ、冷たい(水)」(2013)
ピアノ三重奏曲第 1番「ロシアの夏」(1989)*
ニルス・ムース(指)ヤナーチェクPO
ピーター・ウィノグラード(Vn)*
ピーター・ウィリック(Vc)*
ジョアン・ポーク(P)*

録音:2015年3月 チェコ オストラヴァ、1995 年10月 米国 ニューヨーク州 パーチェイ*
米国の作曲家、ジュディス・ラング・ザイモントの作品集。ザイモントは1945 年、米国テネシー州のメンフィスの生まれ。ジュリアード音楽院で学び、若くして作曲家として認められた。ロ マン主義の流れを汲みつつ新しい感覚と技法も盛り込んだ作風は非常に説得力のあるも の。交響曲第4番は2013年の作。「川」「氷」「にわか雨」「小湖」「海」のタイトルがついた5 つ の楽章の 40分以上かかる大作で、ザイモントの集大成的作品。ピアノ三重奏曲第 1番「ロ シアの夏」は1989年の作。ノスタルジックな美しい作品です。

オクタヴィア
OVCL-00808(1SACD)
税込定価
2023年2月22日発売
マーラー:交響曲第5番嬰ハ短調 ジョナサン・ノット(指)東京SO

録音:2022年7月16日 東京・サントリーホール、7月17日 りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール・ライヴ
2023年シーズンで10年の節目を迎える指揮者ジョナサン・ノットと東京SOによる音楽の 旅路、これまで度々取り組んできた名コンビによるマーラー・シリーズに新たな1枚「交響曲第5番」 が登場です。 益々の深化を目指しお互いを熟知しているからこそ成せる壮麗なマーラーの世界、迫真の名演を どうぞお楽しみください。(オクタヴィア)
オクタヴィア
OVCL-00803(1SACD)
税込定価
2023年2月22日発売
シューベルト:交響曲第8(9)番「ザ・グレイト」 ヤン・ヴィレム・デ・フリーント(指)
京都市SO

録音:2022年5月20-21日 京都コンサートホール ・ライヴ
ヤン・ヴィレム・デ・フリーントは、オランダ出身の指揮者・ヴァイオリニストで、現在バルセロナ交響 楽団、リール国立O、シュトゥットガルトPOの首席客演指揮者 を務めるほか、世界中のオーケストラに客演しています。EXTONでは彼が創設したコンバッティ メント・コンソート・アムステルダムのCDが好評を博しました。 2022年5月に京都市SOと共演したライヴ録音のCD化。デ・フリーントと京響の相性の 良さが表れる演奏に、会場は喝采と興奮に包まれました。 ヤン・ヴィレム・デ・フリーントは2024年4月から首席客演指揮者に就任予定で、これからの彼 らの演奏に注目です。(オクタヴィア)

Chandos
CHSA-5334(1SACD)
ショスタコーヴィチ:交響曲第12番&第15番
ショスタコーヴィチ:交響曲第12番ニ短調 Op.112「1917年」
交響曲第15番イ長調 Op.141
ヨン・ストゥールゴールズ(指)、
BBCフィルハーモニック

録音:2022年8月5日-6日(第15番)&9月15日-16日、メディア・シティUK(サルフォード)
2008年から2015年までヘルシンキ・フィルの首席指揮者を担い、その他にもラップランド室内Oの芸術監督を務め、現在はBBCフィルハーモニックとカナダ・ナショナル・アーツ・センターOの首席客演指揮者を務めているフィンランドを代表するマエストロ、ヨン・ストゥールゴールズ(ヨーン・ストルゴーズ)。2014年〜2015年に発売された「シベリウス:交響曲全集(CHAN- 10809)」と「ニールセン:交響曲全集(CHAN- 10859)」、2つの「生誕150周年記念盤」の世界的ヒットによって一躍脚光を浴び、その後ジョージ・アンタイルの管弦楽作品集(CHAN- 10941、CHAN--10982、CHAN--20080)でその秀でた実力を見せつけてくれました。また直近では2023年1月に東京都SOとの来日公演を行い好評を博しています。
2020年に発売され、レコード芸術特選盤&優秀録音、英グラモフォン誌「Critics' Choice」と高く評価されたショスタコーヴィチの「交響曲第11番」(RCHSA- 5278/CHSA--5278)に続き、十月革命を描いた「第12番」と最後の交響曲となった「第15番」のリリースです。随所で見せる緻密なテンポ設定によってきっちりとコントロールされた前作、今作でも期待が高まります。


Treasures
TRE-292(1CDR)
ストコフスキーのビゼー
「カルメン」組曲【前奏曲/衛兵の交代/アルカラの竜騎兵/ジプシーの踊り/間奏曲/密輸入者たちの行進/アラゴネーズ】*
「アルルの女」組曲第1番【前奏曲/メヌエット/アダージェット/カリヨン】#
「アルルの女」組曲第2番【田園曲/間奏曲/メヌエット/ファランドール】
交響曲第1番ハ長調+
レオポルド・ストコフスキー(指)
フィラデルフィアO*、ヒズ交響楽団#,+

録音:1927年4月30日,5月2&10日*、1952年2月29日#、1952年3月20日+
※音源:日RCA RVC1523*、英RCA VIC1008#,+
◎収録時間:79:58
“50年代のストコフスキーの本能的な美への執着と妥協なき表現!”
■音源について
「カルメン」はSPからのLP復刻。ストコフスキー&フィラデルフィア管の録音を集めた10枚組(1977年発売)の中の1枚を採用。他の曲は英国盤(Large,溝)を採用しています。

「カルメン」は、往年のフィラデルフィア管の各奏者のセンスを存分に堪能。“衛兵の交代”3:48からののトランペットのリズムの感じ方は、全ての音楽家の鏡と称したいほど。“アルカラの竜騎兵”冒頭のファゴットも、コーダのフルート・ソロも然り。
“間奏曲”の弦楽器登場以降のシルクのような感触にうっとりしない人などいるでしょうか?古い録音のハンデを超えて迫る艶やかさは、後輩のオーマンディに引き継がれることになるのです。
 「ヒズ響」を振った他の曲は、これらの曲の最高峰の名演であることは間違いなし!濃密な色艶はもちろんのこと、本能的な美への執着とその表現の妥協のなさは、全てを浄化してしまった1976〜1977年のステレオ盤から見出すのは困難です。
 「アルルの女」第1組曲の“メヌエット”のリズムの弾力と切実さ、中間部のむせ返るほどの香気、“アダージェット”の弱音の官能美、第2組曲“ファランドール”(後半を一部短縮)の生の満喫度全開の推進力と喜び、そして最後の一音の天空に届けと言わんばかりの引き伸ばしなど、他の演奏では望めないものばかりです。
 そして、より強くお薦めしたいのが交響曲!ストコフスキーと言えば先ず派手なスコアの改変が想起されますが、アレンジは人を驚かせるのが目的ではなく、自身が感じる作品の魅力を最高に引き上げる一手段に過ぎなかったことをこの演奏によって痛感させられます。1977年のストコフスキーの最後の録音を聴くと、最後の仕事としてスコアへの忠誠を目指したのかもしれませんが、肉体的老化による表現意欲の減退からか、全てが無作為のまま流れがちでしたが、この録音はもちろん意欲満々。アレンジ云々以前に、とにかく音楽に対して積極的に愛を注入しているので、表現に訴求力があるのです。
 第1楽章は疾走型ではない上にモノラル録音なのに、このハリツヤはどうでしょう!本物の色彩感覚が備わっていれば、モノラルでもその威力がはっきりと音化されるのです。一音ごとにニュアンスをしっかり刻印しつつ、リズムは決してぶら下がらずにキリッと爽快。1:44からのピチカートがこれほど微笑んでいる演奏も他に知りません。4:19では低弦の下降音型の追加がセンス満点ですが、1977年盤ではオリジナルに戻っていました。4:21からのヒュンヒュン鳴りまくる弦や4:43からの強弱の細かい指示も、生煮え感ゼロ!
 第2楽章のオーボエ・ソロは、この作品のイメージからするとやや太めの筆致にも思えますが、ルバートの指示が極めて綿密な上にここまで切実に訴えかけられると、それもむしろ納得。ちなみに、この箇所も1977年盤では常識的なフレージングに徹していました。
 3楽章のトリオは、木管の浮き出しを克明にすることによって牧歌的な空気がリアルに立ち込めます。
 終楽章は、第1楽章と同様1977年盤よりもテンポはゆったりしていますが、音の芯の強靭さは明らかにこちらが上で、第2主題の色合いの絶妙な変化も旋律の魅力もこのテンポでなければ浮かび上がリにくいことは、高速で走る他の録音を聴いても明らかです。その辺の直感的なさじ加減も最晩年にはできなくなってしまったのか?と思うと悲しくなりますが…。
 それにしても、「人生最後の録音」というだけで手放しで持ち上げる風潮は何とかならないものでしょうか?このビゼーはその最たる例で、1977年盤の方が優っているのはステレオ録音(但し残響過多)であることと、オーボエの巧さくらいではないでしょうか?
 いずれにしても、精神力も体力も最高に充実していたと思われる50年代のストコフスキーの究極芸を味わうのに、このビゼーを無視することなどあり得ません!録音もモノラルながら素晴らしく、1977年盤と比べてどちらが「音楽的」な響きを発しているか、言うまでもありません。【湧々堂・2023年1月】


ACCENTUS Music
ACC-80575CD(10CD)
ブロムシュテット/ブルックナー:交響曲全集
■CD1
交響曲第1番ハ短調 WAB 101[1865/66年リンツ稿,1955年ノヴァーク版]
■CD2
交響曲第2番ハ短調 WAB 102[1872年稿,キャラガン校訂版]
■CD3
交響曲第3番ニ短調 WAB 103[1873年第1稿,1977年ノヴァーク版]
■CD4
交響曲第4番変ホ長調『ロマンティック』 WAB 104[1878/80年,1953年ハース版]
■CD5
交響曲第5番変ロ長調 WAB 105[1875/77年,ノヴァーク版]
■CD6
交響曲第6番イ長調 WAB 106[1879/81年,ハース版]
■CD7
交響曲第7番ホ長調 WAB 107[1881/83年,ハース版]
■CD8&■CD9
交響曲第8番ハ短調 WAB 108[1890年,ハース版]
■CD10
交響曲第9番ニ短調 WAB 109(1887/96年,コールス校訂版2000年)
ヘルベルト・ブロムシュテット(指)
ライプツィヒ・ゲヴァントハウスO


■CD1
録音:2011年6月
■CD2
録音:2012年3月
■CD3
録音:2010年9月
■CD4
録音:2010年10月
■CD5
録音:2010年5月
■CD6
録音:2008年9月
■CD7
録音:2006年11月
■CD8&CD9
録音:2005年7月
■CD10
録音:2011年11月
ブロムシュテット&ゲヴァントハウス管によるブルックナーの交響曲全集がACCENTUS MUSICより新装丁となって発売します。2005年〜2012年にかけ て録音された両者のブルックナー交響曲全集は、以前Querstandレーベルより発売されていましたが、ライセンス切れのためしばらく市場に流通しておりませ んでしたが、この度2024年のブルックナー・イヤー目前にACCENTUS MUSICより待望の再発売がなされました。
ブロムシュテットのブルックナー録音といえば、かつてシュターツカペレ・ドレスデンを指揮して第4番(1981/DENON)と第7番(1980/DENON)を録音。 その後サンフランシスコ響と録音した第6番(1990/DECCA)、第 4番(1993/DECCA)、そしてゲヴァントハウス管と録音した第9番(1995/DECCA)は、 現在でも根強い人気がある名盤です。さらには、バイエルン放響との第9番(2009)、ベルリン・フィルとの第3番(2017)があり、それらは近年のブロムシュ テットの好調ぶりを伝える見事なもので、ブロムシュテットのブルックナー観が色濃く投影された緻密な演奏を聴かせています。
そしてゲヴァントハウス管とともに7年を経て完成させた本セット。1998年、クルト・マズアの後任として音楽監督に就任したブロムシュテット。2005年の 任期満了までその厳しいトレーニングで機能性と音色にさらに磨きをかけ、引き締まった力強いサウンドに鍛えなおしたブロムシュテット。7年間に渡って、ライ プツィヒ・ゲヴァントハウスOのシェフとして、絶大な信頼を獲得し、現在も名誉指揮者として定期的に指揮台に立っています。
ブルックナー自身が「小生意気な娘」と呼んでいたとも言われている第1番。同曲の録音は本盤が唯一のブロムシュテット。初期の作品でありながらも、その 響きはブルックナー独自の語法が見え隠れし、後年の大成を予見させる作品と言えます。第2番にも初期作品ながら、すでにブルックナーの個性は横溢しています。 ブロムシュテットの指揮は細部まで表情豊かであり聴きものです。ワーグナーに献呈されたことから「ワーグナー交響曲」の愛称をもつ第3番。しかし1874 年 にウィーン・フィルから初演を拒否されたことから最初の校訂作業が行われ第3稿まで存在します。ブロムシュテットは、20世紀中頃から見直されるようになっ た1873年初稿版を取り上げています。ブルックナーの交響曲の中でもっとも演奏される第4番。冒頭のホルンをはじめ、美しい旋律に溢れています。ブロム シュテットも同曲は2度録音している手中にある作品です。そして第5番は、ブルックナーの生涯の中で困難な時期を象徴する楽曲です。作曲家としての実力 を示す精緻な対位法とブルックナー自身の深い信仰心をあらわす神聖なコラールという構成で、ブロムシュテットのより構築的な魅力が示された演奏です。第6 番は、第2、3楽章のみが先に公開演奏されました。しかし部分初演の成功があったのにもかかわらず、全曲初演されたのはブルックナーの死後でした。一方、 1884年12月にライプツィヒで初演されたこの第7番。初演は大成功をおさめ、この成功がブルックナーにさらなる作曲家として名声をもたらすこととなります。 美しい旋律と色彩豊かなオーケストレーションにより、現代でも演奏機会の多い作品です。オケから自然な響きを引き出し、この上ない美しさを感じる演奏です。 第8番は、ブルックナーが完成させた最後の交響曲であり、最高傑作と評価の高い交響曲。曲の長さ、多彩な展開、圧倒的なクライマックスとあらゆる意味で これまでの作品を上回っています。ブルックナーの強烈な個性が作品に溢れんばかりのエネルギーを与え、またブロムシュテットの底知れない溌剌としたエネル ギーを感じる演奏です。そして最後未完の大作、第9番。終楽章が未完のまま1896 年に作曲者は亡くなっています。本盤ではブロムシュテットは、ベンヤミン =グンナー・コールス校訂による原典版を用いています。 (Ki)


Altus
ALTSA-055R(1SACD)
シングルレイヤー
最新リマスター
限定生産
ケーゲル/ドレスデン・フィル 来日公演1989〈2023年新リマスター版〉
ベートーヴェン:「エグモント」序曲
交響曲第6番へ長調 「田園」
交響曲第5番「運命」
指揮者によるアンコール曲紹介
バッハ:管弦楽組曲第3番〜エア
ヘルベルト・ケーゲル(指)
ドレスデンPO

録音:1989年10月18日サントリーホール(NHKによる実況録音)
収録時間:99分
「ケーゲルの演奏では歓喜が力いっぱい描かれようとしているさなか、破綻や矛盾が起きる。その破綻や矛盾ゆえ、歓喜や勝利は形骸化せずにすみ、痛ましさと 引きかえに強いリアリティを獲得する」(許 光俊)
暗く、厳しく、そして恐ろしく深い歌が、空間を満たしては消えていく空前の大演奏。孤高の指揮者ケーゲルが自らの命を絶つ1年前、最後の来日公演となった 89年の演奏会を、印象的なアンコールまでまるごと収録。
2011年に一度SACDで発売された音源ですが、あらためて現在の最新技術を駆使して2023年に新規リマスター。音の広がりと空気感が向上し、倍音が美 しく空に消えていくさままで繊細に表現。ケーゲルが響かせたかった音楽により近づき、思いを馳せることができるようになった、と言えるできばえです。99分収 録、非圧縮シングルレイヤーSACD。 (Ki)

 これは、通常の名演の概念とは全く次元が異なります。一人の人間の苦悩が完全に音に転化し尽くされ、不気味な生々しい空気が醸し出されるといった「事件」が、まさに目の前で繰り広げられることのショックが全身を襲う、“演奏行為を超えた演奏”です。それだけに、「運命」を聴こうとするときに気軽に棚から取り出す気になれないCDでもあります。
 当時FMでこの演奏を聴いた私は、「運命」の第1音から只ならぬ空気を発していることに仰天しました。そのどこか血の気の失せた「無」に近い音、強さを装いながらも本当は立っていられない様な不安定さが、強烈に切り込んでくる演奏とは逆の意味でショッキングだったのです。もちろんケーゲルがこの後ピストル自殺することなど、想像もできませんでしたが、この時の彼の精神状態が平常でなかったことは、今聴いてもはっきりと感じ取れてしまいます。第3楽章の不気味かつ意味不明のルフトパウゼ、
 終楽章冒頭の“ドーミーソー”の異常な引き延ばしなど、造形的にも破綻寸前。全体を通じて、いかにもドイツ的な重厚な響きに溢れていますが、崖っぷちのぎりぎりのところで必至に振り絞った音楽と一体となっての壮絶なニュアンスは、音楽的な感動以上のものをもたらすのです。これがデジタル録音で蘇っては、リアル過ぎてぎて、ちょっと辛いものがあります。ただ、クラシック・ファンならこの演奏を一度は体感しておくべきだと思います。人生には、怖くても直視しなければならないことがあるのです。

 「田園」
の序奏冒頭から衝撃的!結尾の一音をテンポを落としながら異常に引き伸ばし、さらに不気味なパウゼを挟んでからやっと主題が滑り出すのには、慈しみを超えてこの世のはかなさを映すかのようなニュアンス。その後も独特のアーティキュレーションを駆使してテヌート気味に切々と歌われるので、「楽しい気分」というより得も言われぬ幻想を秘めた音像が広がります。第2楽章に入るとそこはもう天上世界!これ以上魂を込めようがない入念なフレーズがゆったりと流れ、テクチュアはどこまで行っても至純の極み。後半のカッコウの囀りも天使の囁きのように意味ありげに語り、深い呼吸を湛えたまま優しく失速するコーダの美しさもこの世のものとは思えません。第3〜4楽章は随所に現われる粘着質のフレージングが心を抉り、どこか猟奇的な雰囲気が鮮烈。、テンポの切り返しのが鮮烈!
 終楽章に至っては、感動という一言では収まりません!第1〜2楽章同様、ここでも音像自体は透明な美しさに溢れていますが、後ろ髪を引かれるような寂寥感と、もう後はないような切迫感が渾身の弦の響きにも強烈に絞り出す金管の響きにも立ち込めているのです。コーダ8:13以降の失速のうちに呼吸が鎮まっていく様は、涙なしに聴ける人がいるでしょうか!
 「エグモント」がまた凄い!最初の和音が音量を抑えて緊迫感を孕み、再度繰り返される際には金管を激烈に突出させて内面のもがき苦しみを惜しげもなく表出。ケーゲル特有のテヌートもこの曲では一層顕著で、それによって精神的な浮き沈みが生々しく立ち昇ることになります。終結部も音を外に向かって放射することを意地でも避け、中低音重視の純ドイツ的な音像の厚味を湛えながら、内面からの燃焼と意志の強さで圧倒します。この意味深い求心力も、他に類例を見ません。【湧々堂】

IDIS
IDIS-6749(1CD)
カラヤン・スペクタキュラーVol.10
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付き」
テレサ・シュティッヒ=ランダル(S) 、ヒルデ・レッセル=マイダン(A)、ヴァルデマール・クメント(T)、ゴットロープ・フリック(Bs)
ヘルベルト・フォン・カラヤン(指)
ローマRAISO&cho

ライヴ録音:1954年12月4日/ローマ
カラヤンの54年イタリア・ライヴ音源。カラヤンはこの年の春に初来日を果たし、翌年にはベルリン・フィルの首席指揮者に就任します。54年11月30日にフ ルトヴェングラーが没して間もない12月4日のライヴというのも何かを感じたくなるポイントです。 (Ki)

FUGA LIBERA
FUG-809(1CD)
ショスタコーヴィチ:交響曲第10番 ウラルPO
ドミトリー・リス(指)

録音:2021年11月22日(ライヴ) スヴェルドロフスク・フィルハーモニック大ホール、エカテリンブルク、ロシア
ドミトリー・リスが特に深い思い入れを持つというショスタコーヴィチの交響曲第10番。2019年に南オラン ダ・フィルとの同曲をリリースしていますが(録音は前年)、この大曲をわずか3年で再録音ということになり ました。スターリン独裁政治の抑圧からの解放が描かれているとされるこの作品を、今回はもう一つの手 兵、ロシアのウラル・フィルとのライヴで収録しています。作曲家が自由に作曲することが困難であった時 代を生きたショスタコーヴィチに心を寄せるリスにとって、この作品は特別な意味を持つもの。ロシアの音 楽家たちにとってこの曲が意味しているものは自明であり、個人の意見を正直に述べることが危険だった 時代に、独自の崇高な手法でそれを行った作曲者に深い敬意を持って演奏しているということです。第 2楽章の激しさ、フィナーレでの凄まじい追い込みなど、彼らの思いが入った素晴らしい演奏です。


Altus
ALTSA-1002(3SACD)
シングルレイヤー
チェリビダッケ&LSO/7つの演奏会1978〜1982
(1)ヴェルディ:「運命の力」序曲
ヒンデミット:交響曲「画家マティス」
プロコフィエフ:組曲「ロメオとジュリエット」
(2)ブラームス:交響曲第3番
ブラームス:交響曲第1番
ブラームス:ハンガリー舞曲第1番
(3)シューマン:交響曲第2番
ラヴェル:スペイン狂詩曲
ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
ワーグナー:「タンホイザー」序曲
(4)モーツァルト:交響曲第38番「プラハ」
シベリウス:「エン・サガ」
プロコフィエフ:交響曲第5番
(5)ティペット:「真夏の結婚」〜祭典の踊り
(6)ドビュッシー:管弦楽のための「映像」〜イベリア
ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」
(7)コダーイ:ガランタ舞曲
ラヴェル:組曲「マ・メール・ロア」
ブラームス:交響曲第1番
(8)デュカス:魔法使いの弟子
ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調*
フォーレ:レクイエム**
アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ(P)*
マリー・マクローリン(S)s**
グウィン・ハウエル(Bs)**
リチャード・ヒコックス(合唱指揮)** 
ロンドン交響cho**
セルジュ・チェリビダッケ(指)LSO

(1)録音:1978年4月11日
(2)録音:1979年5月31日
(3録音:1979年9月18日
(4)録音:1979年9月21日
(5)録音:1980年4月10日
(6)録音:1980年4月10日
(7)録音:1980年4月13日
(8)録音:1982年4月8日
全てライヴ録音:ロンドン/ロイヤル・フェスティヴァル・ホール
Prominent ClassicsレーベルからCDとして発売されベストセラーを記録しているチェリビダッケとロンドン響のライヴ録音集を正規にライセンス、ALTUS リマスターでSACDシングルレイヤー化。すべてチェリビダッケのご子息セルジュ・イオアン・チェリビダーキ氏の認可を受けた公式音源としての発売です。
1978年から82年にかけて行われたチェリビダッケとロンドン響の一連のコンサート。このころ両者の関係はたいへん良好で、80年には来日公演もありました。 時期的にはミュンヘン・フィル首席に就任する前後であり、チェリビダッケの超越的な演奏スタイルはすでに確立されています。どれも素晴らしい演奏ぞろいで、特 にミケランジェリとのラヴェル、フォーレの「レクイエム」はとてつもない名演。伝説的な7つのコンサートを3枚のSACDに長時間収録、存分にチェリビダッケの 妙技をご堪能いただけます。 (Ki)

Onyx
ONYX-4232(1CD)

PONYX-4232(1CD)
国内盤国内盤仕様
解説日本語訳&日本語曲目表記オビ付き
税込定価
ロベルト・シエッラ:交響曲第6番
弦楽オーケストラのためのシンフォニエッタ
アレグリア/ファンダンゴズ
オーケストラのための2つの小品
ドミンゴ・インドヤン(指)、
ロイヤル・リヴァプールPO
2006年から15年間、ロイヤル・リヴァプールPOの首席指揮者を務めたワシリー・ペトレンコに代わり、2021年9月から新たな首席奏者に就任したアルメニア系ベネズエラの若き注目指揮者、ドミンゴ・インドヤンの第2弾!
1953年プエルトリコ生まれの作曲家、ロベルト・シエッラによる交響曲第6番をメインとした作品集。ロベルト・シエッラは40年以上に渡り、グラミー賞にノミネートされ、これまでにラテン・グラミー賞を獲得しています。彼はミルウォーキーSO、フィラデルフィアO、プエルトリコSO、ニューメキシコSOのコンポーザー・イン・レジデンスを務めており、現代音楽の分野で目が離せないアーティストのひとりといってもよいでしょう。
このアルバムには彼の25年間に渡る創作活動の一部が収録されており、特徴的なオーケストレーション、プエルトリコ音楽を取り入れるなどロベルト・シエッラの魅力をたっぷりと収めたものになっています。活気にあふれ魅力的な旋律が美しいロベルト・シエッラの作品を、ベネズエラの音楽教育プログラム「エル・システマ」でヴァイオリンを学び頭角を現し、BBCプロムスでの指揮姿が話題となったドミンゴ・インドヤンの指揮でお楽しみください。


Pentatone
PTC-5187067(1CD)
マーラー:交響曲第5番嬰ハ短調 ラファエル・パヤーレ(指)、
モントリオールSO

録音:2022年8月17&18日メゾン・サンフォニク・ド・モンレアル(ケベック)
今最も注目されている指揮者の一人、南米ベネズエラ出身のラファエル・パヤーレ。2022/2023シーズンより音楽監督をつとめている名門モントリオー ルSOとの録音第1弾「マーラーの交響曲第5番」がPENTATONEレーベルよりリリースされます!パヤーレの同団デビューは2018年。その後、 2021/2022シーズンより実質的な活動はスタートさせており、その演奏は既に大きな話題を呼んでいます。
パヤーレは「エル・システマ」でフレンチ・ホルンを学んだのち、シモン・ボリバルSOのメンバーとして活躍。その後、指揮者を目指しクラウディオ・アバド、 グスターボ・ドゥダメルのアシスタントをつとめ研鑽を積んできました。2012年、コペンハーゲンで開催されたマルコ国際指揮者コンクールで優勝したことによ り、世界にその名が知られるようになり、これまでVPO、LSO、バーミンガム市SOなど、世界の名だたるオー ケストラとの共演歴を誇ります。
後期ロマン派を得意とするパヤーレにとってマーラーは最も大事な作曲家であり、情感豊かな表現は実に見事なもの。彼の才能を知る上でも当録音は必聴と いえましょう! ★録音はテルデックス・スタジオの名エンジニア、マルティン・ザウアーが担当。録音の素晴らしさにも大注目です。 (Ki)


Treasures
TRE-270(1CDR)
アンチェル〜ヤナーチェク&ドヴォルザーク
ヤナーチェク:タラス・ブーリバ
ドヴォルザーク:交響曲第6番*
カレル・アンチェル(指)チェコPO

録音:1963年4月16-20日、1966年1月22-24日*(共にステレオ)
※音源:日COLUMBIA WS-3033、OS-2339*
◎収録時間:64:45
“アンチェルが潔癖な響きに込めた強烈な共感と民族魂!”
■音源について
両曲とも、SUPRAPHON原盤。復刻に使用したのは極めて良質な日本COLUMBIA盤。ジャケットはチェコ盤を採用しています。

ヤナーチェクは、「シンフォニエッタ」がなぜか冴えなかったのに対し、「タラス・ブーリバ」は彼の特色である引き締まった造形力と揺るぎない内燃パワーが完全に調和した名演!第1曲の冒頭のテーマは淡白なフレージングながら色彩的なニュアンスが濃密に刻印されているので、独特のロマンの香気が横溢。戦闘シーンやコーダの追い込みも、響きの凝縮力が尋常ではありません。第2曲は、色彩的な魅力が更に浮き彫りに。楽想変化の対応も無慈悲なまでに機敏かつ生々しく、プロコフィエフの「ロメオとジュリエット」同様、人間ドラマをベースにした音楽の素材の特色を浮き彫りにするアンチェルのセンスは、傑出しています。終曲最後の開放感とテクチュアの安定感も盤石。この作品を緊張感を維持しつつ、これほど精妙に描ききった演奏も珍しいでしょう。
 これと好対照のアプローチを見せるのがドヴォルザーク。響きにもテンポにも無駄がないのは言うまでもないですが、作品をを立体的に浮き上がらせることより、牧歌的な側面の育みを優先しているので、知らずに聞いたらアンチェルの指揮だと気づかない人も多いのではないでしょうか。アンチェルは、作品を自分の美学に引き寄せる引き寄せるタイプではなく、一定の合理性は堅持しつつも自らを作品の側にピタッと嵌め込むセンスにおいても史上屈指の存在だと、この録音で確信した次第です。
 例えば、第1楽章冒頭の不純物皆無のテクスチュア。通常アンチェルはそれを更にシェイプアップさせて室内楽的な精緻な響きを生み出すことが多いのですが、ここでは、その引き締め操作を感じさせません。しかも、その絶妙な緩ませ方を全楽章で貫徹。決して短絡的に楽章単独の雰囲気に合わせているのではなく、スコア全体を俯瞰し集約させて一貫した流れを生み出しているのです。コーダで一瞬音楽が静まりますが、そこでのノスタルジーはワーグナー風の堅牢さを目指していては生まれないはずです。
 第2楽章は、何と言ってもチェコ・フィルの潜在的な素朴な響きが命。アンチェルの仕事はそれを清潔に維持するのみですが、4:54からの舞曲風のフレーズや、その直後の突然の断末魔のような響きが濁りがちなシーンでも素朴さと美しさを共存させているのは流石です。
 アンチェル特有の透徹美を最もストレートに感じるのが第3楽章。特に中間部の5:26以降のアンサンブルの制御がそのまま音楽の気品に結びついている様は、息を呑むばかり。
 終楽章では遂に揺るぎない造形力を発揮しますが、響きの純度の高さはもちろん不変。楷書スタイルで一点一画を丁寧に描くことに徹し、ボヘミア的色彩を添加する必要もなし。それで聴き手を惹きつけてやまないのは、誰よりもその作品を愛し、魅力的に再生できるという強い自負が演奏の根幹に流れているからでしょう。9:17のルフト・パウゼには民族の誇りを感じずにはいられず、何度聴いても胸が熱くなります!【湧々堂・2023年1月】


Spectrum Sound
CDSMBA-132(1CD)
(1)フランク:交響曲 ニ短調
(2)ストラヴィンスキー:バレエ組曲「火の鳥」(1919年版)
アンドレ・クリュイタンス(指)フランス国立放送O

ライヴ録音:1959年6月19日パリ、シャンゼリゼ劇場(ステレオ)
音源:フランス国立視聴覚研究所音源提供
(24bit/192KHz digital restoration and remastering from the original master tapes)
丁寧な復刻で評価を高めているスペクトラム・サウンド。好評のフランス国立視聴覚研究所(INA)保有音源からの正規初出復刻、当アルバムには1959年6 月19日、シャンゼリゼ劇場におけるクリュイタンス(指)フランス国立放送Oのライヴ初出音源を収録しております!
同公演前半のプログラム、ルジェ・ド・リール(ベルリオーズ編)のラ・マルセイエーズ、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番(ギレリス)、バッハ(シロティ 編)の前奏曲 ロ短調 BWV855a(ギレリス)は、altusレーベル(ALT-507)からリリースされていますが、この度Spectrum Soundから後半のプログラム、 フランクの交響曲 ニ短調とストラヴィンスキーの組曲「火の鳥」が完全正規初出でのリリースとなります。
クリュイタンスらしいエレガントな表情は当演奏でもひと際輝いており、50代半ばの最も充実した時期の当ライヴも十分にご堪能いただけます。ステレオ音源で の正規初出であることも大歓迎と申せましょう。 (Ki)

Spectrum Sound
CDSMBA-133(1CD)
(1)ブラームス:交響曲第2番ニ長調 Op.73
(2)ブラームス:交響曲第4番ホ短調 Op.98
(1)ジョルジュ・プレートル(指)
(2)アンドレ・クリュイタンス(指)
フランス国立放送O

(1)ライヴ録音:1968年2月28日シャンゼリゼ劇場(ステレオ)
(2)ライヴ録音:1959年2月19日ジュネーヴ(モノラル)
音源:フランス国立視聴覚研究所音源提供
保有音源からの正規初出復刻、当アルバムには1968年2 月28日、シャンゼリゼ劇場におけるプレートル(指)フランス国立放送Oのブラームスの交響曲第2番(ステレオ)と1959年2月19日、ジュネーヴにお けるクリュイタンス(指)フランス国立放送Oのブラームスの交響曲第4番(モノラル)の初出音源を収録。情熱あふれる40代半ばのプレートル、力強くも 気品に満ちた50代半ばのクリュイタンス、二人の至芸を存分にお楽しみください!

Hanssler
HC-22077(1CD)
ハイドン:交響曲全集 Vol.27
交響曲第3番ト長調 Hob.I:3
交響曲第33番ハ長調 Hob.I:33
交響曲第108番「B」 変ロ長調 Hob.I:108
交響曲第14番イ長調 Hob.I:14
ハイデルベルクSO
ヨハネス・クルンプ(指)

録音:2021年3月パラティン、ヴィースロッホ(ドイツ)
颯爽としたピリオド・アプローチがたまらないハイデルベルクSOによるハイドンの交響曲全曲録音第27集の登場!同シリーズ第25巻以降、ハイドンの 作曲家としての成長がわかるよう年代順に構成しています。2020/2021年シーズンより音楽監督をつとめるヨハネス・クルンプ率いる当団の演奏は常に新鮮! ハイドンへの敬愛を感じさせる繊細な弱音から時に荒々しいと思えるアプローチまで、当団ならではのエネルギッシュな演奏はユーモアに溢れており、非常に説得 力のある解釈を示したクルンプの手腕も確かなものです。
ハイデルベルクSOによるハイドンの交響曲全曲録音シリーズは、レコード芸術誌の特集「新時代の名曲名盤500」で、第88番、第92番「オックスフォー ド」、第94番「驚愕」、第102番、第104番「ロンドン」が第1位に選ばれるなど、表現力の豊かさ、演奏水準の高さで注目されております。全集に向 けて、今後のリリースも要注目です! (Ki)

C Major
80-7308(2DVD)

80-7404(Bluray)
ブルックナー:交響曲第3&6番
交響曲第3番ニ短調 WAB103(1877年第2稿・ノーヴァク版)
交響曲第6番イ長調 WAB106

■ボーナス映像「ディスカヴァリング・ブルックナー」
各交響曲について(ティーレマンと音楽学者ヨハネス=レオポルド・マイヤー氏による対話)
クリスティアン・ティーレマン(指)VPO

収録:2020年11月(第3番)、2022年4月(第6番)、ウィーン楽友協会(ライヴ)
◆DVD
画面:16:9、NTSC
音声:PCMステレオ、DTS5.0
DVD9
[ボーナス映像 ]
言語:ドイツ語、字幕:英韓,日本語
Total time:181分(交響曲:123分、ボーナス:58 分)
◆Bluray
画面:16:9、1080i
音声:PCMステレオ、
DTS-HD MA5.0
BD50
[ボーナス映像 ]
言語:ドイツ語、字幕:英韓,日本語
Total time:181分(交響曲:123分、ボーナス:58 分)
2024年のブルックナー生誕200年に向けたティーレマン&ウィーン・フィルによるプロジェクト「ブルックナー11/Bruckner 11」。C majorの映像によるブ ルックナー交響曲全集は、第5交響曲、そして「習作交響曲」と呼ばれている「ヘ短調 WAB99」と「ニ短調 WAB100」をウィーン・フィル史上初めて演奏・収録し た第1弾。ウィーン稿を使用した第1番と2021年8月のザルツブルク音楽祭で演奏された第7番を収録した第2弾。そして第3弾には、2019年にウィーン楽友協会 で収録された第2番と第8番がリリースされ、さらにボーナス映像として、ティーレマンと音楽学者のヨハネス=レオポルド・マイヤー氏による対話「ディスカヴァリ ング・ブルックナー」が各交響曲について収録されており、ブルックナーの交響曲への理解が一層深まり、映像全集完成に向け、ますます期待が高まっています。そ して今回発売されるのは、交響曲第3番と第6番のカップリング。
まずリヒャルト・ワーグナーに献呈されたことから「ワーグナー」とも呼ばれている交響曲第3番。この作品は彼の交響曲の中で最も数多く改訂されたものとし て有名であり、ブルックナー自身、彼の協力者、後代の楽譜編纂者によって何度も改訂されています。1872年に第1稿が完成したものの初演は1877年まで持ち 越されました。長い年月を要したのは、すでに第2番の初演をめぐって揉めていたウィーン・フィルが、第3番の初演にも躊躇し、この作品を演奏不可能と判断した からです。そして1877年12月16日、ブルックナー自身が指揮をした初演は大失敗に終わり、この時の経験は彼の人生における最大の挫折の一つとなり、修正や 改訂は13年後まで続けられ、大幅に縮約され再演された最終稿は成功を収めました。 ティーレマンは本演奏で第2稿(1877年/ノヴァーク版)を使用しています。ティーレマンは版の選択について以下のように述べています。「演奏される機会の多い 第3稿(1889年)は非常に簡略化されています。価値ある多くの要素が省略されて、非常に短くされてしまっているので第2稿を使用することに決めました。(中 略)第1稿は、私自身は気に入っていますが、ワーグナーに大きな影響を受けつつ彼に捧げることで、ブルックナーは少しばかり自分を見失っていたのかもしれませ ん。しかし第2稿の終わりでは再び自分自身のスタイルを見出したことがよく分かり、最も完成度が高い版といえるでしょう。」また、ブルックナー作品の楽譜の完 全全集では独立して出版されている「1876年版アダージョ」は、今後ウィーン・フィルと録音する予定もあるとのこと。
そして第3番と反して殆ど改訂されていない交響曲第6番。当時第4番の成功で背中を押されていたブルックナーでしたが、ウィーンの聴衆の反応は冷ややかな ものがあり、彼の存命中には全曲演奏されることはなく(ウィーン・フィルが第2・3楽章を部分初演)、ブルックナーの死から2年後、マーラー指揮によ り、短縮版が演奏されただけでありました。とはいえこの第6番は、ブルックナーの全作品中、最も霊感と魅力に満ちた瞬間を持つ大胆で輝かしい作品。しかし多 くの指揮者が取り上げる第4,7,8,9番と比べると、第1,2,3,6番というのは、まだまだ知り尽くされていない作品でもあります。ティーレマンも若い頃には実 演に接する機会もなく、最初に第6番の演奏を聴いたのは、ムーティ指揮ベルリン・フィルだといいます。現在「ブルックナー指揮者」ともいわれるティーレマンで も、第6番の交響曲の演奏頻度多くはなく、今回改めてウィーン・フィルと作品を掘り下げることは、自身の発見の旅でもあったと語っています。 (Ki)

Hyperion
CDA-68405(1CD)
ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲第7番&第9番
南極交響曲(交響曲第7番)*
交響曲第9番ホ短調
マーティン・ブラビンズ(指)、
BBC響、BBC交響cho*、
エリザベス・ワッツ(S)*

録音:2022年3月13日-14日、ワトフォード・コロシアム(ワトフォード、イギリス)
2003年から2016年まで名古屋フィルの常任指揮者を務め、その後も度々来日公演を成功させ、2016年からはイングリッシュ・ナショナル・オペラの音楽監督という大役を任されているイギリスの名指揮者マーティン・ブラビンズ。1920年版の「ロンドン交響曲(CDA68190)」で話題を呼んだブラビンズとBBCSOのヴォーン・ウィリアムズ・サイクル第6弾は、交響曲第7番(南極交響曲)と交響曲第9番で全集録音の最終巻を締めくくります。作曲者の高齢期に書かれたこの2つの交響曲は、当初は誤解や過小評価をされながらも、どちらも創造的な活力、傑出したオーケストラの色彩、成熟した交響的思考に満ち溢れ、現在ではイギリス音楽、20世紀の交響曲を代表する作品の1つとしての評価が確立してきました。
マーティン・ブラビンズ&BBC響のヴォーン・ウィリアムズ・サイクルは、その堅実な演奏と優れた解釈、そして稀少作品のカップリングなど秀逸な企画によって、第1巻〜第3巻まで連続で英グラモフォン誌の「エディターズ・チョイス」に選出され、第4巻は同誌「クリティクス・チョイス」にも選ばれグラモフォン賞2021にノミネートしています。レコード芸術の「海外盤REVIEW」でも度々「今月の特選盤」に選ばれるなど、世界で絶賛されてきた注目シリーズの完結編にご注目ください。


Capriccio
C-8087(1CD)
NX-B07

NYCX-10373(1CD)
国内盤仕様
税込定価
ブルックナー:交響曲第8番ハ短調 WAB108(第1稿/ホークショー版) リンツ・ブルックナーO
マルクス・ポシュナー(指)

録音:2022年7月4-6日リンツ・ミュージックシアター、リハーサル・ホール(オーストリア)
ブルックナーが交響曲第8番の作曲に着手したのは1884年夏。同年12月に第7番の初演が大成功を収め、自信を深めた彼は1887年8月に第8番(第 1稿)を完成。第7番のミュンヘン初演を成功させたヘルマン・レヴィに初演を託しますが、レヴィはスコアを吟味した結果これを辞退。ショックを受けたブルック ナーは全面的な改訂に取り掛かり、1890年に第2稿を完成させます。これは1892年に初演されて好評を得ましたが、その陰で第1稿は埋もれてしまいま した。ブルックナー生誕130年の1954年5月2日にはオイゲン・ヨッフムの指揮で第1稿の第1楽章が初演されましたが、全曲初演は1973年9月2日(ハン ス・フーベルト・シェーンツェラー指揮)を待たねばならず、その後も第1稿が「市民権を得た」と言える状況にはなりませんでした。 第1稿と第2稿の違いは大きく、第1楽章の最後を第1稿はフォルテ3つのコーダで力強く締めくくりますが、第2稿はが息絶えるようにして終わります。スケル ツォのトリオは同じモチーフによるものの音楽は全面改訂され、第2稿のアダージョとフィナーレでは第1稿にあったいくつものパッセージが削除されています。ポ シュナー指揮による演奏時間は第1稿が82:06、第2稿が76:12となっています。 多くの人が「まとまりが良いと感じる」のは第2稿でしょうけれども、第1稿はブルックナーが最初に出した結論で、彼が描こうとしたヴィジョンが豊富に盛り込まれ ています。第1稿が国際的に注目されたのはインバル指揮フランクフルト放送響の初録音(1982年)で、その後いくつかの録音が発表されてきましたが、それ らは1972年に出版されたノーヴァク版によるものでした。ホークショーによれば、当録音に使われた彼の校訂版は、テキストの細部やアーティキュレーションに おいてノーヴァク版との間に少なからぬ相違があるとのことです。
※国内仕様盤には石原勇太郎氏(音楽学/国際ブルックナー協会会員)による日本語の解説が付属します。

IBS CLASSICAL
IBS-142022(1CD)
マーラー:交響曲第4番ト長調(カルロス・ドミンゲス=ニエトによる室内楽版) ラケル・ロヘンディオ(S)
カメラータ・ガラ(室内オーケストラ)【ゴンサロ・ボーテ(Vn1)、パトリシア・カバニージャス(Vn2)、カルメン・ペレス(Va)、ノーラ・プラット(Vc)、シャビエル・ボイシャデル(Cb)、サレタ・スアレス(Fl)、パウ・ロドリゲス(Ob)、マヌエル・ホダル(Cl)、マリアナ・モスケラ(Fg)、フランシスコ・ガルシア・ロメロ(Hrn)、マイテ・ガルシア(Hp)、カロリナ・アルカラス(パーカッション)、アレハンドロ・ムニョス(指)】

録音:2021年9月7-9日
世界初録音
マーラーの作品群の中でも、比較的編成が小さく室内楽的な響きを持つ交響曲第4番。この作品を室内オーケストラ用に編曲した版は、シェーンベ ルクと同世代の作曲家エルヴィン・シュタインの1921年のものが良く知られていますが、この演奏は1972年生まれのスペインの指揮者カルロス・ドミン ゲス=ニエトがアレンジした版を用いています。シュタイン版では切り詰めた弦と管楽器、パーカッションを使用し、不足する音を補うためにピアノ、ハルモ ニウムを使用しますが、こちらはピアノとハルモニウムを用いず、シュタイン版では用いられないファゴット、ホルン、ハープを使うことで軽やかで天国的な響 きを描き出しています。 演奏は2006年に創設されたスペインのカメラータ・ガラ。詩人で作家のアントニオ・ガラの名を冠した室内オーケストラで、指揮者アレハンドロ・ムニョス のもとスペイン全土で100回以上のコンサートを行い数多くの賞を受賞しています。ヨーロッパの歌劇場で活躍するラケル・ロヘンディオが第4番の終楽 章と3つの歌曲で美しい声を披露しています。


ICA CLASSICS
ICAC-5170(1CD)
NX-B03
ベートーヴェン:『プロメテウスの創造物』序曲
R・シュトラウス:交響詩「死と変容」
ドヴォルザーク: 交響曲第8番
ミュンヘンPO
ロドルフ・ケンペ(指)

録音: 1972年9月9日 ロイヤル・アルバート・ホール BBCプロムスに於けるライヴ(ステレオ)
1972年9月9日プロムスに於けるケンペとミュンヘン・フィルのライヴ音源が登場。演目もベートーヴェン、リヒャルト・シュトラウス、ドヴォルザー クとケンペが得意とする作曲家が並ぶのが嬉しいところ。当日のプログラムでは、リヒャルト・シュトラウスとドヴォルザークの間にクルト・グントナー をソリストとするメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲が演奏されており、翌10日には過去にBBCレジェンズから発売され高い評価を得た マーラーの「復活」が演奏されています。ケンペとミュンヘン・フィルにとって1972年といえば、独エレクトローラにベートーヴェンの交響曲全集録 音が進行している充実した時期であり、9月6日には前日に発生したミュンヘン事件の追悼式で「英雄」第2楽章を演奏、そのすぐ後のライ ヴということになります。当日は、この年のプロムスに於ける彼らの3回のコンサートの初日であったためか、1曲目『プロメテウスの創造物』序曲 冒頭では、巨大なキャパシティを持つロイヤル・アルバート・ホールの音場にオーケストラがやや戸惑うかのような様子も聴かれますが、それもす ぐに修正され、「死と浄化」でのきめ細やかでメリハリの効いた表情はまさに彼らの面目躍如たるもの。そしてドヴォルザークではライヴのケンペ ならではの白熱した演奏を聴かせており、終演後の歓声と割れんばかりの拍手が聴衆の熱狂を伝えています。BBCに残されていたオリジナ ル・テープを、ヒストリカル音源の復刻で高い評価を得ているポール・ベイリーがデジタル・リマスター。ヴァイオリン両翼配置が映える良質なステ レオ録音で、メディアとして発売されるのは今回が初めてとなる貴重なものです。

ICA CLASSICS
ICAC-5171(1CD)
NX-B03
ショスタコーヴィチ:交響曲第10番
バラキレフ(カゼッラ編):イスラメイ*
クルト・ザンデルリンク(指)ニュー・フィルハーモニアO
キリル・コンドラシン(指)ロイヤルPO*

録音: 1973年5月15日、1978年1月24日* ロイヤル・フェスティヴァル・ホール・ライヴ(ステレオ)
ザンデルリンク指揮によるショスタコーヴィチの交響曲第10番といえば、1977年ベルリン交響楽団とのセッション録音と、1978年フランス国 立管弦楽団とのライヴ録音などが知られますが、それらより前となる1973年のライヴ録音が登場します。当時首席客演指揮者の座にあっ たニュー・フィルハーモニア管との録音は、1980年代に入ってからのベートーヴェンなどがよく知られますが、今回のライヴはその経歴初期のも のとはいえ両者のコミュニケーションは万全。重心の低い音楽運びはザンデルリンクならではですが、第1楽章や第4楽章クライマックスでの凄 まじい巻き上げや、第2楽章の緊張感などは素晴らしいもので、終演後の拍手も熱狂的。カップリングはコンドラシン指揮による「イスラメイ」と いうもので、ここに収録されたカゼッラ編曲版はソヴィエト時代から彼のレパートリーであったようですが、録音のリリースは初めてのようです。色 彩感豊かで非常に細やかなオーケストレーションを整然とまとめつつ、疾走するようなクライマックスへと導くコントールはさすがの一言。良質な ステレオ録音で、BBCに残されたオリジナル・テープから、ヒストリカル音源の復刻で高い評価を得ているポール・ベイリーがデジタル・リマス ター。これらの演奏の魅力を最大限引き出す素晴らしい音に仕上げています。

GRAND SLAM
GS-2284(1CD)
ベートーヴェン:交響曲第1番ハ長調 Op.21
交響曲第5番ハ短調 Op.67「運命」*
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)VPO

録音:1952年11月24、27日、
1954年2月28日、3月1日*/ムジークフェラインザール(ウィーン)
使用音源:Private archive (2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:モノラル(録音セッション)
■制作者より  
新音源を使用したフルトヴェングラー&VPOのセッション録音によるベートーヴェン・シリーズは、これまで第3番「英雄」(GS-2280)、第4番+第7番 (GS-2282/2023年1月発売予定)と続けました。その続編はもう少し間隔を置いて発売する予定でしたが、「一刻も早く聴きたい」との声が多かったので、 急きょ繰り上げてのリリースとなります。これまで通り新規のテープを使用、マスタリングの全行程をプロ用の機器で行い、これ以上はあり得ないレベルを目ざしま した。  なお、ベートーヴェン・シリーズの最後は第6番「田園」+スメタナの「モルダウ」の組み合わせとなります。(平林 直哉)

Goodies
78CDR-3890(1CDR)
プロコフィエフ:交響曲第1番「古典交響曲」 セルジュ・チェリビダッケ(指)BPO

仏 VSM SL141/42(英HMV C3729/30と同一録音)
1948年2月4,5,6日ベルリン録音
指揮者35歳の初録音レコード。セルジュ・チェリビダッケ(1912-1996)はルーマ ニア生まれ。ベルリンに学び、その地で第2次世界大戦の終戦を迎えた。当時ベ ルリン・フィルの常任指揮者だったヴィルヘルム・フルトヴェングラー(1886- 1954)が大戦中のナチスとの関係をとがめられ謹慎生活をおくっていた。後継の 指揮者にレオ・ボルヒャルトが選ばれたが、ボルヒャルトが急死したため、後 任者さがしコンクールが開かれ応募したチェリビダッケが審査員全員一致で優 勝し、ボルヒャルトの死の8日後にベルリン・フィルの野外コンサートで指揮者 デビューした。1947年のフルトヴェングラー復帰後もチェリビダッケはベルリ ン・フィルに留まっていたが、1954年フルトヴェングラーの死後カラヤンがベ ルリン・フィルの首席指揮者になってから、イタリア、スウェーデンのオーケ ストラに客演した。この録音はチェリビダッケが35歳の初録音。約4分のSP レコード一面に 1日を費やすこの指揮者の姿がデータから窺えます。 チェリビダッケはこのシリーズでロンドン・フィルを指揮したモーツァルト: 交響曲第25番K.183(78CDR-3254)が出ています。(グッディーズ)


Treasures
TRE-269(1CDR)
F.ブッシュのベートーヴェン「第9」
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付」
フリッツ・ブッシュ(指)
デンマーク放送SO&cho
シェシュティン・リンドベリ=トルリンド(S)
エリセ・イェーナ(Ms)
エリク・ショーベリ(T)
ホルガー・ビルディン(Bs)

録音:1950年9月7日 ライヴ
※音源:MELODIA M10-46963-003
◎収録時間:62:08
“理性と直感で一時代先を見通すフリッツ・ブッシュのベートーヴェン!”
■音源について
フリッツ・ブッシュ指揮によるベートーヴェンの「第9」の全曲録音は、死の前年のこの1950年盤が唯一。DGGやReliefからもレコード化されましたが、どれもLP1枚での発売でした。ここで採用しているメロディア盤は、余裕の2枚3面カッティング!なお、瑞西Guild HistoricalからCD化もされていますが、過剰なノイズ処理のせいでパサついた響きと化していました。

★フリッツ・ブッシュにとってデンマーク放送響は、ナチス・ドイツを離れてから亡くなる年まで首席指揮者を務めた最重要拠点。その名コンビによる集大成ともいうべき感動的な演奏がここの展開されます。
 まず、第1楽章冒頭の弱音序奏部の緊張が、大袈裟な見栄の前触れではなく、有り余る主張を必死に抑えながらすっきりとした造形美も兼ね備えている点にご注目を。その序奏と主部の爆発とが見事にコントラストを成す様に、並外れたバランス感覚と普遍的な美への志向が垣間見られます。どこまでもイン・テンポを基調に厳しいフォルムを堅持しますが、オケの自発性に根ざした推進力が絶えないので、強引さや窮屈さとは無縁。
 第2楽章のティンパニは、こうでなければという粉砕力!慣習的な管楽器の補強も恣意感ゼロ。トリオ主題がこれほど強靭なイン・テンポ進行を遂げる例も稀で、明るく楽しい音楽に傾く素振りなど見せないこの厳しさは、戦争等の局限の苦難の末に獲得した不屈の意思がなければ実現不可能でしょう。
 第3楽章も、ルバートはほとんど用いず、情緒的な陰影を超えた音楽。敬虔な静謐とは異なる美中の美がここにあります!雑味を排したテクチュアは、音楽の本質のみを厳選し尽くした成果。6:00辺りからはこれ以上ないほど淡白に進行しますが、それだけにその後に登場するピチカートは瑞々しく響き、希望の光を宿すのです。
 終楽章は声楽陣が充実。特に合唱の完成度は極めて高く、「歓喜の合唱」でオケと合唱の縦の線が合っているだけでなく、ここまでリズムと呼吸が一体化している例は稀でしょう。その直前にティンパニのロールが加わりますが、クナ的な猛獣モードに傾かないのがブッシュらしいところ。その合唱を核として、アンサンブルは最後まで弛緩せず、時代を先取りしたようなスタイリッシュなフォルムを纏いながら着実にエネルギーを貯え、コーダではそれを余すことなく放出するのです!【湧々堂・2022年12月】

オクタヴィア
OVCL-00801(1SACD)
税込定価
2023年1月25日発売
エルガー:交響曲第2番変ホ長調 作品63 尾高忠明(指)
大阪フィルハーモニーSO

録音:2022年4月8-9日、大阪・フェスティバルホール・ライヴ
尾高&大阪フィルのコンビによるエルガー第2弾。第1番ほどの壮麗さがないため初演からさほど脚光を浴 びなかったこの交響曲も、エルガーが「自身をさらけ出した」という想念の深さで、今では名作として確固た る地歩を築いています。 尾高はオケの部厚い響きを基調に、「Nobilmente」(上品に、気高く)に、大きなエモーショナルを加 え、一大叙事詩のようなスケールで謳い上げています。すでに、英国エルガー協会から「エルガーメダル」を 授与されている尾高の、この作曲家への傾倒ぶりが全編に脈動し、熱きテンションのままに一気に聴き通 すアルバムとなりました。(オクタヴィア)
オクタヴィア
OVCL-00804(1SACD)
税込定価
2023年1月25日発売
ハイドン交響曲集Vol.18
交響曲第3番ト長調 Hob.I:3
交響曲第15番二長調 Hob.I:15
交響曲第5番イ長調 Hob.I:5
飯森範親(指)
日本センチュリーSO

録音:2021年4月22日 大阪、ザ・シンフォニーホールにてライヴ
日本センチュリーSOが首席指揮者の飯森範親と共にスタートした「ハイドンマラソン」 は、フランツ・ハイドンのすべての交響曲を演奏しようという一大プロジェクト。当盤は第 23回コンサートのライヴ収録です。 幾度の公演を重ね、信頼関係を築いてきた飯森と日本センチュリー響は、精緻な構築と、細 部までこだわりぬいた感性で、気品あふれるハイドンを奏でています。柔和で晴々とした優美な 演奏は、まさに彼らの真骨頂といえるでしょう。(オクタヴィア)

APARTE
AP-307(1CD)
モーツァルト〜始まりと終わり
交響曲第1番変ホ長調K.16
ピアノ協奏曲第23番イ長調K.488
交響曲第41番ハ長調K.551「ジュピター」
マキシム・エメリャニチェフ(P,指)
イル・ポモ・ドーロ

録音:2022年6月28-30日 ノートルダム・デュ・リバン(パリ)
メリャニチェフがモーツァルトの大プロジェクトに着手しました。手兵イル・ポモ・ドーロを指揮して交響曲全集に挑戦します。さらに魅力なのは、毎回フィルアッ プに協奏曲が入ること。ピアノの場合はもちろんエメリャニチェフが独奏を務めます。
エメリャニチェフはクルレンツィス指揮ムジカエテルナの「ダ・ポンテ三部作」録音の才気煥発な通奏低音で注目されましたが、現在ではイル・ポモ・ドーロ を指揮してバロック・オペラのアルバムをリリースし高い評価を得ています。もともとモスクワ音楽院でロジェストヴェンスキーの厳しい訓練を受けたサラブレッド なうえ、音の指向性や奏者の数による変化なども綿密に計算するなど考えに考え抜いた録音となっています。
モーツァルトは彼らのレパートリー・イメージからは新しい方の作曲家ですが、もともとエメリャニチェフ最愛の作曲家であり、シリーズで深く探求することでと もに音楽的な成長も目指しているとのこと。第1弾は第1番と第41番のカップリング。単に最初と最後の番号というだけでなく、第1番第2楽章の主題(ジュ ピター音型)が「ジュピター」終楽章の壮大なフーガで用いられていることも再認識させてくれます。
今回のフィルアップはピアノ協奏曲第23番。フィルアップどころか一番聴いてみたいと思う向きも多いはず。1823年グラーフのフォルテピアノのレプリカを 用い、「ダ・ポンテ三部作」以上に自在で魅力的な演奏を繰り広げています。

Nimbus Alliance
NI-6432(1CDR)
エイドリアン・ウィリアムズ(b.1956):交響曲第1番(2020)、
室内協奏曲 「ネッド・ケリーのポートレイト」(1998)
イギリスSO、
ケネス・ウッズ(指)

録音:2021年4月8日&12月1日-2日
この「交響曲第1番」は、イギリスSOの「21世紀交響曲プロジェクト」のためにケネス・ウッズがエイドリアン・ウィリアムズに委嘱したもので2019年末には完成されていましたが、2021年に録音されるまでに様々な改訂がなされています。この作品はケネス・ウッズにとって「希望を与えてくれたもの」となったということです。同時収録の室内協奏曲は、オーストラリアに実在した無法者ネッド・ケリーを題材にしたものです。演奏が非常に難解な作品ではありますが、その分聴き応え十分な音楽になっています。
※当タイトルは、高品質メディア(SONY DADC/Diamond Silver Discs)を使用した、レーベル・オフィシャルのCD-R盤となります。

Forgotten Records
fr-1856B(2CDR)
モーツァルト:交響曲集
第28番ハ長調 K.200 /第29番イ長調 K.201 # /第30番二長調 K.202 /第31番 「パリ」/第32番ト長調 K.318 /第33番変ロ長調 K.319 + /第34番ハ長調 K.338 # /第35番「ハフナー」*
オットー・アッカーマン(指)
ワルター・ゲール(指)+
ヘンリー・スウォボダ(指)#,*
オランダPO、ウィーン国立歌劇場O#

録音:1954年、1955年#,+
※音源: Musical Masterpiece Society MMS 3027/29 他
Forgotten Records
fr-1862(1CDR)
シューリヒト&アラウ〜ベートーヴェン
ピアノ協奏曲第3番ハ短調 Op.37*
交響曲第5番「運命」ハ短調 Op.67 #
クラウディオ・アラウ(P)
カール・シューリヒト(指)
フランス国立放送O

録音:1959年3月24日、シャンゼリゼ劇場*
1956年9月23日、モントルー音楽祭#、共にライヴ

Altus
ALTXR-1001(2XRCD)
新規リマスター
初XRCD化
完全限定生産
チェリビダッケ、幻のリスボン・ライヴ「XRCD」
ブルックナー:交響曲第8番ハ短調
セルジュ・チェリビダッケ(指)
ミュンヘンPO

ライヴ録音:1994年4月23日コリセウ・リスボン(ステレオ)
ポルトガル国営放送(RTP)によるデジタル録音
通常CDプレーヤーで再生可能な高音質規格として1996年にビクター社が開発、高音質ブームの先駆けとして一世を風靡した「XRCD」。専用カッティングマ シンの老朽化に伴い製造の継続が困難となり、2022年内をもってXRCD規格そのものの生産終了が発表されています。XRCDにこだわって数多くのタイトル を発売してきたGLOBAL CULTURE AGENCYレーベルの協力のもと、ビクターにてXRCD用のマスタリングを施し製品化。これがXRCD最終プレスになりま す。CDともSACDとも違った個性を持つXRCDの魅力をお楽しみください。
正規盤・初出CDが大ベストセラーを記録しているチェリビダッケ伝説のリスボン・ライヴ。「チェリビダッケの最高傑作にしてブルックナー演奏の頂点」とまで 賞賛される伝説の名演です。極限をも超えた超スローテンポで繰り広げられるチェリビダッケの魔術、その崇高なまでの神々しさ!ポルトガル大使館の協力で発見 され、ご子息セルジュ・イオアン・チェリビダキ氏とミュンヘン・フィルの承認を得て世に出た、貴重極まる歴史的音源です。 (Ki)
Altus
ALTXR-1003(XRCD)
新規リマスター
初XRCD化
チェリビダッケのシューマン&ブラームス 東京ライヴ「XRCD」
シューマン:交響曲第4番ニ短調 Op.120
ブラームス:交響曲第4番ホ短調 Op.98*
セルジュ・チェリビダッケ(指)
ミュンヘンPO

ライヴ録音:1986年10月14日昭和女子大学 人見記念講堂
1986年10月15日東京文化会館*
通常CDプレーヤーで再生可能な高音質規格として1996年にビクター社が開発、高音質ブームの先駆けとして一世を風靡した「XRCD」。専用カッティングマ シンの老朽化に伴い製造の継続が困難となり、2022年内をもってXRCD規格そのものの生産終了が発表されています。XRCDにこだわって数多くのタイトル を発売してきたGLOBAL CULTURE AGENCYレーベルの協力のもと、ビクターにてXRCD用のマスタリングを施し製品化。これがXRCD最終プレスになりま す。CDともSACDとも違った個性を持つXRCDの魅力をお楽しみください。
世に大きな衝撃を与えたチェリビダッケ89年の来日公演から、特に人気の高い2演目、シューマンとブラームスそれぞれの交響曲第4番を最新マスタリングで XRCD化。これまでCD、SACD、LPと発売され好評を受けてきた音源が、新たな魅力を持つディスクとして生まれ変わりました。チェリビダッケの至芸に唸らさ れる最強のカップリングです。 (Ki)

ALPHA
ALPHA-932(1CD)
ブルックナー:交響曲第7番 チューリヒ・トーンハレO
パーヴォ・ヤルヴィ(指)

録音:2022年1月 チューリヒ・トーンハレ
※ 国内仕様盤日本語解説…舩木篤也
フランクフルトRSOと11年の歳月をかけて完成させたブルックナー交響曲全集の発売が記憶に新しいパーヴォ・ヤルヴィが、その第 7番を再び取り上げました。先の全集の中でも第7番はパーヴォ初のブルックナー録音として2006年11月の収録であったため、再録音のタ イミングとして近すぎるとは言えないでしょう。旧盤と収録時間を比較すると全ての楽章で速くなっており、特に第2楽章では1分30秒近い差 が出ていますが、演奏はくっきりとした音楽の輪郭を感じさせながら、むしろロマンティックな印象を与えるもので、フレーズ感のメリハリの効い た、個性的な解釈も随所に聴くことが出来ます。また今回は版の明記がされておりませんが、第2楽章での打楽器の使用を始め旧盤同様 ノーヴァク版を基調としながらも、第4楽章冒頭の頻繁なリタルダンドなどは前回以上にイン・テンポで進められている印象です。対位法的な 面白さをしっかり味わえるヴァイオリンの両翼配置に加え、ワーグナー・チューバをホルンとは反対となる右側、トロンボーンとバス・チューバの前 に持ってくることでアンサンブルの親和性を向上させるとともに、響きに奥行きを与えることにも成功。再録音の期待に応える素晴らしいアルバ ムです。パーヴォ・ヤルヴィとチューリヒ・トーンハレ管は、ブルックナー生誕200年となる2024年までに、さらに第8番、第9番の録音を予定し ているということです。
ALPHA
ALPHA-692(1CD)
ハイドン交響曲全曲録音シリーズ Vol.13
1-4. 交響曲第31番ニ長調 Hob. I:31「ホルン信号」
5-8. 交響曲第59番イ長調 Hob. I:59「火事」
9-12. 交響曲第48番ハ長調 Hob. I:48「マリア・テレジア」
イル・ジャルディーノ・アルモニコ(古楽器使用)
 コンサートマスター:ステファノ・バルネスキ(Vn)
ジョヴァンニ・アントニーニ(指)

録音:2021年4月10-16日、マーラー・ホール(エウレジ
オ文化センター)、ドッビアーコ(イタリア北東部ボルツァーノ県)
ハイドン生誕300周年にあたる2032年までに、この「交響曲の父」が残した107曲の交響曲全てを録音してゆくジョヴァンニ・アントニーニの 注目企画が、第1巻(ALPHA670)がリリースされた2014年から8年を経てますます充実をみせています。エステルハージ侯爵家での30年 近くに及ぶ現役活動中、ウィーンから遠く離れた侯爵領で世評を気にせず試行錯誤を繰り返しながら書かれたハイドンの一連の交響曲は、 ティンパニやトランペット、クラリネットを使わない小規模な二管編成でも驚くほど多彩な音楽作法で聴きどころが尽きませんが、今回はその 中でも特に味わい深い中期前半の3曲を厳選。各パートのソロが多く聴きどころに事欠かない長大な第31番「ホルン信号」、独立した管楽 器パートが一対のオーボエとホルンだけの小規模編成で変幻自在の展開が続く第59番「火事」、打楽器が入らないオリジナル版の演奏で も勇壮なスケールを存分に感じさせる第48番「マリア・テレジア」、といずれもアントニーニ自身の楽団であるイル・ジャルディーノ・アルモニコな らではの、全奏者の個性が生かされながら豊かな一体感あふれる解釈が映える作品ばかり。特に「ホルン信号」では、圧倒的かつ痛快な吹 奏でデュナーミク豊かなサウンド作りをみせる4人のナチュラルホルン奏者たちの活躍もさることながら、コントラバスやヴィオラにまでソロが出てく る終楽章での大規模室内楽風アンサンブルが絶妙で、個々の楽器の妙味をじっくり味わえます。最新研究を反映した解説(国内仕様盤 は日本語訳付き)でも、各曲の表題にまつわる謎やアントニーニの解釈上の見解など情報満載。どこまでも見逃せない内容です。

BERLINER PHILHARMONIKER
KKC-9784
(2CD+1Bluray)
初回封入特典付
税込定価
ショスタコーヴィチ:交響曲集

■CD1:交響曲第8番Op.65
■CD2:交響曲第9番Op.70、
 交響曲第10番Op.93

■Blu-ray Disc
□Video
上記全曲のコンサート映像(すべてHD映像)
インタビュー映像(キリル・ペトレンコ)

□Audio:
上記全曲のロスレス・スタジオ・マスター音源の音声トラック
2.0PCM Stereo 24-bit / 96kHz
7.1.4Dolby Atmos 24-bit / 48kHz

□ダウンロード・コード
この商品には、上記全曲のハイレゾ音源(24-bit / 96kHz)をダウンロードするためのURLとそのパスワードが封入されています。
□デジタル・コンサートホールベルリン・フィルの映像配信サービス「デジタル・コンサートホール」を7日間無料視聴できるチケット・コードが封入されています。
キリル・ペトレンコ(指)BPO

□Video
画面:Full HD 1080/60i,16:9
音声:2.0PCM,7.1.4Dolby Atmos
リージョン:ABC(worldwide)
総収録時間(コンサート):152分
字幕:英、独、日本語

録音:2020年11月13日(第8番)、2020年10月31日(第9番)、2021年10月29日(第10番)
すべてベルリン・フィルハーモニー
BPOと首席指揮者キリル・ペトレンコによるショスタコーヴィチの交響曲第8,9,10番のボックス・セットが発売されます。2019年8月に行われたキリル・ペトレンコの首席指揮者就任公演をもって、ベルリン・フィルの新時代が始まりました。1972年生まれのペトレンコは、2006年にベルリン・フィルにデビュー。以来、目の覚めるような圧倒的演奏を聴かせ、2015年夏にサー・サイモン・ラトルの後任に選ばれました。両者のディスクとしては、ベートーヴェンやチャイコフスキーのコンサート・レパートリーの礎石となる交響曲や、フランツ・シュミットやルーディ・シュテファンといった現代において正当な評価を受けていない20世紀の作曲家の作品など、ペトレンコにとって重要なレパートリーが収録された「ファースト・エディション」(KKC-9600/6)に続く2作目のボックス・セットとなります。
本セットは、新型コロナウイルスのパンデミック中に行われた録音です。2020年11月2日から30日までフィルハーモニーは、新型コロナウイルスの感染拡大に伴うドイツ連邦政府と州政府の制限措置により閉鎖されることになりました。交響曲第9番は、閉鎖直前の10月31日に、そして11月13日に演奏された交響曲第8番は無観客公演となりました。閉鎖直前の公演となった2020年10月31日の公演では、この後計画されているホール閉鎖を「沈黙」で表現するために、ジョン・ケージの「4分33秒」が急遽演奏され、象徴的な公演となりました。
交響曲第8番は、第2次世界大戦の最中に書かれ、悲しみと絶望、そして美しさと希望が刻印されています。ベルリン・フィルとペトレンコは、観客のいないコンサートホールに向けて、この演奏がこの時期に人々の架け橋となることを願ってプログラムしました。ペトレンコはこの時の演奏について、「ベルリン・フィルと私は、ショスタコーヴィチの交響曲を聴衆のいない会場で、それでもあらゆる聴き手に届くように演奏しました。それは特異な体験でした。」と語っています。
そして第8番とは対極にある交響曲第9番。1945年11月3日ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルにより初演。第2次世界大戦末期、ショスタコーヴィチは戦争の勝利を讃える作品を書くことを期待されていましたが、彼はこれらの主張を退け、この交響曲ではヒロイックな栄光を明確に拒否し、軽妙で人を小馬鹿にしたような異なる作品を完成させ強い非難を受けることとなりました。
最後に、スターリンの死後、初めて書かれた交響曲第10番。スターリン時代を想起させるような抑圧的でしばしばグロテスクな音楽が続きますが、最後は希望に満ちた楽章で締めくくられます。ペトレンコは、この作品についてこう言います。「ショスタコーヴィチは、スターリンの軛から解放され、自身の創造力を再び見出したのです。長くつづいた闇に、再び光が射した瞬間でした。」
今回のリリースに際して、キリル・ペトレンコはこう語っています。「極めて限られた条件下でのみ合奏することができたパンデミック期に、私はショスタコーヴィチの音楽をかつてないほど身近に感じたのです。さらに、本盤が世に出る今、ショスタコーヴィチの音楽は、単に過去の声であるだけでなく、生々しい今日性を帯びてしまいました。ショスタコーヴィチの音楽は、とりわけ今日のような時期に、自由と民主主義の理想を信じるために必要な自信と力を私たちに与えます。彼は、私たちを勇気づけてくれるロールモデルなのです。」
本作の表紙を飾るのはドイツの写真家トーマス・デマンドの作品。無数のロッカーが壁一面に並ぶ光景は、抑圧され閉ざされた環境を象徴しており、このショスタコーヴィチの交響曲を表現しているようにも見えます。さらに、オリジナルの解説書に収録された一見美しい花々の写真にも想像力を働かせることができ、アートワークとしても充実した内容となっています。 (Ki)


Altus
ALT-522(1CD)
マーラー:交響曲第1番「巨人」 大野和士(指)東京都SO

ライヴ録音:2021年4月20日/東京文化会館(第924回定期演奏会Aシリーズ)
ALTUSが都響のライヴ・シリーズを開始いたします。第1弾は2015年より音楽監督を務める大野和士との「巨人」、2021年ライヴです。ALTUSが会場録 音から行い、丁寧なマスタリングを施しCD化。若杉弘、ベルティーニ、インバルらと共に日本のマーラー演奏史に大きな足跡を残してきた都響の「今」を鮮やかに とらえた、要注目のリリースです。
渦巻くエネルギーの咆哮に任せるのではなく、たいへん丁寧なアプローチで静と動がしなやかに交替していきます。しかし音楽の持つ威力、味わいは薄まってい ません。鮮度の高い明晰な響きを保ちつつも、ぐっと抑えるところや引き延ばすところに独特のねばりが見られ、深みのある陰影が描かれています。異なる角度か ら作品が照らされて、予想外の方向に伸びた影が聴き手にはからずも覆いかぶさってくるような感覚。
「第3楽章の演奏が、もっとも色が濃い。淡々と運んでいるときでも、音色が影を帯びる」「マグリットの絵か何かのような、明快明晰に見えるのに幻想的という 趣である」「「巨人」の中には、晩年の作品でいっそうはっきりしてくる要素が、まだひっそりと芽生えたばかりの状態で隠れています。それに大野は光を当ててみせ るのである」(許光俊氏の解説より) (Ki)

Altus
ALTSA-1001(1SACD)
シングルレイヤー
国内プレス
新規リマスター
初SACD化
500セット限定
日本語帯・解説付
チェリビダッケ、幻のリスボン・ライヴ「SACD」
ブルックナー
:交響曲第8番ハ短調
セルジュ・チェリビダッケ(指)
ミュンヘンPO

ライヴ録音:1994年4月23日/コリセウ・リスボン(ステレオ) ポルトガル国営放送
(RTP)によるデジタル録音
規盤・初出CDおよびLPが世に送り出され、大ベストセラーを記録しているチェリビダッケ伝説のリスボン・ライヴ。「チェリビダッケの最高傑作にしてブルッ クナー演奏の頂点」とまで賞賛される伝説の名演が、ALTUSの手によってSACD化されました。完全限定生産、500セットのみの販売です!
既発のCDやLPではなくオリジナル音源に立ち戻り、改めて徹底的にマスタリング。SACDのポテンシャルを最大限生かせるように音を一新しました。生まれ変 わったおどろきの高音質をぜひ体感ください。全曲が1枚のディスクに収められていることもSACDの利点で、100分を超える大演奏が贅沢にも一続きにお聴 き頂けます。
極限をも超えた超スローテンポで繰り広げられるチェリビダッケの魔術、その崇高なまでの神々しさを、おどろきの高音質でじっくりと堪能いただけます。ポルト ガル大使館の協力で発見され、ご子息セルジュ・イオアン・チェリビダキ氏とミュンヘン・フィルの承認を得て世に出た、貴重極まる歴史的音源です。 (Ki)


Spectrum Sound
CDSMBA-119(1CD)
ポール・パレー・ライヴ録音集イン・パリ1966&1973
(1)シューマン:交響曲第3番「ライン」
(2)シューマン:交響曲第4番ニ短調 Op.120
(3)シャブリエ:狂詩曲「スペイン」
(4)ラヴェル:ラ・ヴァルス
ポール・パレー(指)
(1)(3)フランス国立放送PO、
(2)(4)フランス国立放送O

ライヴ録音:(1)(3)1973年10月2日オペラ=コミック座(ステレオ)、
(2)(4)1966年6月28日シャンゼリゼ劇場(ステレオ)
“パレーが生涯持ち続けた瑞々しい表現へのこだわり”
丁寧な復刻で評価を高めているスペクトラム・サウンド。当アルバムはフランス国立視聴覚研究所(INA)保有音源からの正規初出復刻で、巨匠パレーは晩年まで熱量の高い演奏をしたことで知られています。このシューマンではどっしりとかまえ、折り目正しく背筋を伸ばして聴きたくなるような偉大 な演奏を展開。またシャブリエの「スペイン」では豪快で煌びやかに、ラヴェルの「ラ・ヴァルス」ではラヴェルならではのキラキラとした世界を存分に表現。終始 香り高き演奏を展開しており、演奏直後、聴衆からの「ブラボー!」もうなずける熱演です。ステレオによる収録ということも嬉しい限りです! (Ki)
※このレーベルの商品は早期に廃盤となるケースが多いので、お早めのご注文をおすすめいたします。

全てデトロイト響とのセッション録音がありますが、ここに収録されている演奏はライヴ特有のノイズや傷を超越して迫り来る感動があり、決して蔑ろにできません。特に1966年の録音の2曲は、パレーの鼻歌と唸り声に象徴されるように表現意欲満点で、マーキュリー時代の直截なダイナミズムも健在なので、感動もひとしおです。
 交響曲第4番は、このオケならではの透明なテクスチュアをそのまま活かしながら内部に孕んだ熱気は相当なもの。第2楽章は特に鼻歌が盛大に聞こえますが殊の外音程が良いので耳障りではありません。
第3楽章中間部の一筆書きのようなフレージングは、マーキュリー録音からよく聞かれた特徴。終楽章は、セッション録音と同様に超高速ですが、縦割りの立体感がこれでもかと際立っていたのに対し、こちらの方が明らかにニュアンスが多彩で色彩も豊か。
 「ラ・ヴァルス」も、テンポの切り替えしを微細にわたって行き渡らせ、ニュアンスはまさに千変万化。その名人芸とライヴならではの即興性が一体化して、最後まで聴き飽きることなどまずありません。シンバルの響きがこんなに強烈なのも珍しいですが、単にマイクに近いからと片付けられないほど、この演奏のスタンスを象徴しているかのうような打ち鳴らし方!
 1973年の録音はさすが向こう見ずな推進性は後退していますが、「ライン」ではその代わりに時折見せるたそがれの表情が切々と迫り、これまた涙を誘います。テンポはゆったり目でもリズムは老化していないので、音楽の瑞々しさはそのまま。第3楽章は、淡々とする中にもノスタルジーが横溢。そこへ呼吸の深さと慈愛の心がブレンドされて独自のパステル調の音彩が生まれる様をとくとご堪能下さい。【湧々堂・2023年1月】

Spectrum Sound
CDSMBA-131(1CD)
ブルックナー:交響曲第7番ホ長調 WAB107 マリユス・コンスタン(指)、
フランス国立放送PO

ライヴ録音:1971年3月16日メゾン・ド・ラジオ・フランス内オリヴィエ・メシアン・ホール、スタジオ104(ステレオ)
丁寧な復刻で評価を高めているスペクトラム・サウンド。好評のフランス国立視聴覚研究所(INA)保有音源からの正規初出復刻、最新盤はマリユス・コンスタ ン(指)フランス国立放送POによるブルックナーの交響曲第7番。1971年3月16日、オリヴィエ・メシアン・ホール、スタジオ104にお けるライヴ収録です!
1925年、ルーマニアの首都ブカレヒトに生まれたコンスタン。その後フランスに移住。パリ音楽院でメシアン、ブーランジェ、オネゲルら20世紀を代表する作曲 家に師事し、1963年には現代音楽アンサンブル「アルスノヴァ」を設立したことでも知られる音楽家です。作曲家、編曲家としてのキャリアだけでなく指揮者とし ても活躍しましたが、録音は非常に貴重。ことに交響曲を振った録音は非常に珍しく、この度日の目を見た音源は指揮者コンスタンを知れる貴重な記録です。
終始澄み切った解釈で清らかな音楽を展開するコンスタンのブルックナーは息をのむ美しさ。その高い音楽性を示したブルックナーの演奏は指揮者としての力量 の高さをあらわしております。
※このレーベルの商品は早期に廃盤となるケースが多いので、お早めのご注文をおすすめいたします。

TCO
TCO-0005(1SACD)
ジョージ・ウォーカー:アンティフォニー
シンフォニア第4番「Strands」
ライラック*
シンフォニア第5番「Visions」
フランツ・ウェルザー=メスト(指)
クリーヴランドO
ラトニア・ムーア(S)*

録音:2020年10月、2021年10月、2022年3月
フランツ・ウェルザー=メストが率いるクリーヴランド管のレーベル最新作は、2022年が生誕100年となるアメリカを代表する作曲家、ジョージ・ウォーカー (1922-2018)の作品集!ピューリッツァー賞を受賞した声楽とオーケストラのための作品「ライラック」、そして弦楽合奏のための「アンティフォニー」およびシ ンフォニア第4番&5番を収録しています。 「ジョージ・ウォーカーの音楽はとても濃密で、それが10分ほどの作品だとしても、30分の長さのほかの音楽と同じくらい精神的に疲弊します。トリッキーであり、 難しく、要求が多く、挑戦的で、激しさと本物の声があります。私はそれを非常に楽しんでいます。」(ウェルザー=メストの言葉) ジョージ・ウォーカーは、1996年に音楽家として初めてピューリッツァー賞(音楽部門)を受賞した、アメリカを代表する作曲家。1922年、ジャマイカからの移 民で医師であった父と、アメリカの政府の印刷局で働いてウォーカーの才能を早くから認めた母のもとに生まれました。オバーリンでピアノを学んだのち、カーティ ス音楽院でピアノと作曲を学び、1945年、同音楽院初の黒人の卒業生となりました。クリーヴランド管との縁は、1947年4月にまでさかのぼります。当時就任 2年目に入ったばかりの音楽監督、ジョージ・セルに「親愛なるマエストロ・セル、はじめてお便り申し上げます。この弦楽合奏のためのアダージョをご覧いただき たく存じます。この曲を気に入っていただき、演奏していただけることを願っています。・・・」という手紙とともに、作品を送ったのです。セルはこの時この作品 を演奏はしませんでしたが、のちにこれは「弦楽のためのリリック」という名で傑作のひとつに数えられることとなりました。ウォーカーは、生涯を通じて、自分の 音楽を世界の偉大なオーケストラや有名なホールで演奏してもらうために闘い続けました。ウォーカーは2018年、彼の作品に再び注目が集まるのを見届けるこ となく、96歳でこの世を去りました。 本盤の中でも特に注目なのが、声楽とオーケストラのための作品「ライラック」。ウォルト・ホイットマンによるエイブラハム・リンカーンへの追悼詩「When Lilacs Last in the Dooryard Bloom'd」の4節に合わせたこの作品で、ウォーカーは、この作品でピューリッツァー賞を受賞しました(ボストン響による委嘱作、世界 初演は小澤征爾の指揮によって1996年に行われました)。無調作品ですが、歌の旋律は常にハーモニーに彩られて、ライラック、鳥、星というこのテキストの3つ の重要な要素が効果的に音で描かれてゆきます。 (Ki)

BRIDGE
BCD-9572(1CD)
アメリカのロマンティシズムの古典
ブリストー(1825-98):交響曲第4番
「理想郷」
フライ(1813-64):ナイアガラ交響曲
レオン・ボツタイン(指)
ザ・オーケストラ・ナウ

録音:2022年 1月 米国 ニューヨーク州 アナンデール=オン=ハドソン
ロマン派の珍しい作品を復活させることに尽力している指揮者、レオン・ボツタイ ンのBRIDGE への5枚目のCD は、19世紀半ばの米国の作曲家の珍しい交響曲 2曲。ジョージ・フレデリック・ブリストー(1825-1898)はニューヨークに生まれ育った 作曲家。交響曲第 4番「理想郷」は、米国への移民を扱った作品。ウィリアム・ヘン リー・フライ(1813-1864)は、フィラデルフィア生まれの作曲家、音楽評論家。ナイア ガラ交響曲は12分半の作品ながら大変意欲的な作風で、むしろ当時最先端だった 交響詩の分野の米国での最初の作品かもしれない。こうした作品ではレオン・ボツタ インの本領発揮で、レア作品好きには大いに満足できる内容でしょう。 ※Botstein は日本ではボットスタイン,ボトスタイン,ボツスタインなどと表記される が、本人はボツタインに近く発音しています。

ALPHA
ALPHA-898(1CD)
フランク:交響曲 ニ短調
交響詩「贖罪」 (管弦楽の断章) 第1版
交響詩「呪われた狩人」
フランクフルトRSO
アラン・アルティノグル(指)

録音:2022年1月、2022年6月 HRゼンデザール、ヘッセン放送、フランクフルト
コンサートのみならずオペラでも世界的に高い評価を得ているアラン・アルティノグル(アルティノグリュ)が、2020/21のシーズンからシェフを務め る(パンデミックのため実質2021/22シーズンから)フランクフルトRSOとの初録音に選んだのは、2022年が生誕200年であるフラ ンクの作品集。有名な交響曲と、演奏機会の多くない2曲を組み合わせたプログラムとなっています。特に「贖罪」は、オラトリオ『贖罪』の間 奏曲として1872年に作曲されたものの、翌年別の曲に差し替えられお蔵入りとなったもので、2021年に世界初録音(FUG791)が行われ た貴重な作品。今回の録音にあたっては「呪われた狩人」と共に、最新の出版譜が使用されています。故国フランスの近代音楽史に大きな 影響を与えたフランクの作品を、アルティノグルは深い共感を持って歌い上げます。

MClassics
MYCL-00040(1SACD)
税込定価
シューマン:交響曲第2番
ブラームス:大学祝典序曲
山下一史(指)
愛知室内オーケストラ

録音:2022年4月16日 名古屋、三井住友海上しらかわホール(ライヴ)
2022年4月、創立20周年を迎えた愛知室内オーケストラの音楽監 督に山下一史が就任しました。当盤は就任披露演奏会となった第 31回定期演奏会のライヴ・レコーディングです。愛知室内オーケストラ は国内外で研鑽を積んだ東海地区で活躍する演奏家で構成され、 近年では国内外の一流アーティスト、指揮者が客演しています。また、 あまり演奏機会のない楽曲を紹介するなど積極的な演奏活動が大き な注目を浴び、人気が高まっています。そのオーケストラが山下一史を 迎え新たな時代へと舵を切ります。就任披露に選んだ楽曲は、山下 が得意とする王道のドイツロマン派の代表作、シューマンの交響曲第2 番です。山下はオーケストラから瑞々しくも、深いコクのあるサウンドを 導き出します。このオーケストラ特有の溌溂とした自発的な音楽に、山 下の躍動感のあるダイナミックなサウンド。高らかに鳴り響く希望の音楽 をお聴き下さい。


Spectrum Sound
CDSMBA-118(1CD)
ベートーヴェン:交響曲第4番変ロ長調 OP.60
ドビュッシー:6つの古代のエピグラフ
ドビュッシー:「海」
エルネスト・アンセルメ(指)
フランス国立放送PO

ライヴ録音:1967年1月11日メゾン・ド・ラジオ・フランス内オリヴィエ・メシアン・ホール、スタジオ104(ステレオ)
音源:フランス国立視聴覚研究所音源提供
丁寧な復刻で評価を高めているスペクトラム・サウンド。当アルバムはフランス国立視聴覚研究所(INA)の貴重音源からの復刻、最新盤はアンセルメです!
「作曲家の精神にしたがうべき」と主張したアンセルメの音楽は時代、作品ごとに表情を変え、その強いこだわりが演奏にあらわれています。当演奏では得意と するベートーヴェンとドビュッシーで構成。ベートーヴェンでは構築のはっきりとさせながらも雄弁な語り口が実に印象的。後半のドビュッシーでは、作品が生まれ た時代を知るアンセルメならでは。詩的な雰囲気も見事に引き出しております。
亡くなる2年前、80代半ばとは思えぬほどの熱い音楽は、巨匠アンセルメだからこそといえましょう。ステレオで収録されていたことも非常に喜ばしく、臨場感 あふれる演奏を体感できます。 (Ki)
※このレーベルの商品は早期に廃盤となるケースが多いので、お早めのご注文をおすすめいたします。

Spectrum Sound
CDSMBA-117(1CD)
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付き」 マリア・ポーザ(S)、アルレット・シュデル(C.A)、ゲオルク・イェルデン(T)、ジャック・マルス(Bs)
フランス国立放送O&cho
ポール・パレー(指)

ライヴ録音:1966年11月8日シャンゼリゼ劇場(ステレオ)
音源:フランス国立視聴覚研究所音源提供
丁寧な復刻で評価を高めているスペクトラム・サウンド。当アルバムはフランス国立視聴覚研究所(INA)の貴重音源からの復刻で、20世紀を代表するフランス の指揮者ポール・パレーがフランス国立放送Oを振った、1966年11月8日、シャンゼリゼ劇場における「第九」のライヴ録音です!
当時80歳になろうという巨匠パレー。その熱量は当演奏でも実に凄まじいもの。パレーらしい雄々しく輪郭のはっきりとした快演は聴き手を興奮の渦に包みま す。当音源はステレオで収録されており、ソリストの生々しい歌声と臨場感のあるライヴ演奏を楽しめます。 ※日本語解説は付きません。 (Ki)
※このレーベルの商品は早期に廃盤となるケースが多いので、お早めのご注文をおすすめいたします。

BIS
BISSA-2669(3SACD)
シューマン:交響曲&序曲集
(1)交響曲第1番「春」
(2)ツヴィッカウ交響曲
(3)序曲.スケルツォとフィナーレ
(4)歌劇「ゲノヴェーヴァ」序曲
(5)序曲「メッシーナの花嫁
(6)交響曲第2番ハ長調 Op.61
(7)交響曲第4番ニ短調(原典版)
(8)「ゲーテのファウストからの情景」序曲
(9)序曲「ジュリアス・シーザー」
(10)交響曲第3番「ライン」
(11)交響曲第4番ニ短調(現行版)
(12)「マンフレッド」序曲
(13)序曲「ヘルマンとドロテア」
トーマス・ダウスゴー(指)、
スウェーデン室内O

録音:(3)(6)2005年3月、(7)(8)(9)2006年3月、(2)(12)2006年10月、(4)(5)2006年12月、(10)(11)2007年5月、(1)(11)(13)2007年8月/エレブルー・コンサートホール(スウェーデン)
ダウスゴーとスウェーデン室内Oによるシューマンの交響曲&序曲集がセットになって登場します!現代的感覚満点の鮮烈オーケス トレーションで独自のカラーを打ち出したシューマンの録音。交響曲第4番は原典版と現行版を収録。また、あまり聴く機会の少ない序曲も含まれていているのも 当セットのポイントです。小編成で透明なサウンドを持つスウェーデン室内Oの響きが「灰色の管弦楽法」と評されるシューマンのイメージを一新させていま す。
同コンビの録音は名盤揃い!ブラームスの交響曲全集(KKC-6443/6 / BIS SA-2556)、メンデルスゾーンの交響曲第1番&第3番『スコットランド』 (KKC-6432/ BIS SA-2469)、ブランデンブルク協奏曲と6人の作曲家による新作委嘱を交えた「ザ・ブランデンブルク・プロジェクト」(KKC-6359/61/ BIS SA-2199)はいずれもレコード芸術誌「特選盤」。またシューベルトの交響曲全集(BIS SA-2514)も高く評価されており、なかでも交響曲第5番 変ロ 長調 D.485(BIS SA-1786)と交響曲第8番 ロ短調 「未完成」 D.759(BIS SA-1656)の両曲は、レコード芸術誌の特集「新時代の名曲名盤500」で同 曲のベスト・ワン・ディスクに選ばれており、数多の名盤が揃う同曲の筆頭として注目されております。 (Ki)


King International
KKC-4310(1SACD)
シングルレイヤー
税込定価
モーツァルト:交響曲選集
(1)交響曲第32番ト長調KV318
(2)交響曲第33番変ロ長調KV319
(3)交響曲第34番ハ長調KV338
(4)交響曲第39番変ホ長調KV543
(5)交響曲第40番ト短調KV550
(6)交響曲第41番ハ長調KV551「ジュピター」
オトマール・スイトナー(指)
シュターツカペレ・ドレスデン

(1)録音:1974年1月4-7日、10月28日
(2)録音:1974年1月4-7日、10月28日
(3)録音:1974年1月4-7日、10月28日
(4)録音:1974年11月21、22日&1975年3月17、18日
(5)録音:1974年11月21、22日&1975年3月17、18日
(6)録音:1973年3月5、6日
全盛期のエテルナのアナログ・レコードの音を限りなく再現すべく、マスターテープから新規デジタル・マスタリングした、キングインターナショナルの新シリー ズ「ドイツ・シャルプラッテンETERNAの芸術」。企画監修には、ヴィンテージレコードショップ「エテルナトレーディング」の店主で、日本にETERNAのレコー ドを流布させた“仕掛け人”でもある高荷洋一氏を招き、最大限アナログ・レコードに忠実な音質を目指すべく、徳間より受け継ぎ、キングレコードに保管され ているマスターテープからSACD用に通常3倍の時間をかけマスタリングを行いました。第1弾として、アナログ時代から最も美しいモーツァルト演奏として高 く評価されている、スウィトナー指揮シュターツカペレ・ドレスデンのモーツァルト:交響曲選集(第32〜34番、第39〜41番)をリリース。 またブックレットには、高荷氏によるエテルナの歴史と録音についての詳細な解説、音楽評論家でありレコードの歴史にも精通している重鎮板倉重雄氏による日 本でのエテルナの受容史をまとめた「徳間ジャパンとドイツ・シャルプラッテン」、ドイツ文学者の粂田 文による東ドイツの痕跡をめぐる考察「東ドイツの2つの 録音」、さらに座談など充実の内容が収められており、往時、壁の向こうで鳴り響いていた真に真面目な音の記録を感じ取ることができます。
第2弾リリースは、ズスケ・カルテットの「ベートーヴェン:弦楽四重奏全集」を予定(2023年1月予定)しています。 (Ki)

オクタヴィア
OVCL-00796(1SACD)
税込定価
2022年12月21日発売
ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」(1878/80年稿 ノーヴァク版) ジョナサン・ノット(指)
東京SO

録音:k2021年10月16日 東京・サントリーホール・ライヴ
ジョナサン・ノットと東京SO、すっかりお馴染みのベストコンビが着実に積み重ねてきたブルック ナー。中でもひときわ人気の高い交響曲第4番「ロマンティック」が満を持してリリースとなります。2021年 10月サントリーホールで行われた演奏会のライヴレコ―ディング盤で、EXTONレーベルでは第8番、第5 番、第9番に次ぐ第4弾です。細部まで神経を張り巡らせ、そこから生まれる極上のハーモニーを丁寧に積 み上げ、大伽藍となるエネルギー。重厚なサウンドとライヴならではの臨場感が聴くものを圧倒し、興奮へ と導きます。相思相愛のノット&東響にしか成しえない名演です。(オクタヴィア)

CD ACCORD
ACD-299(1CD)
NX-C09
ペンデレツキ:ピアノ協奏曲「復活」(2007年版)
交響曲第2番「クリスマス」
バリー・ダグラス(P)
ワルシャワPO
アンドレイ・ボレイコ(指)

録音:2022年3月11日&12日(1-3)、2021年11月27日(4-6)
ワルシャワ・フィルハーモニー・ホール
ポーランドを代表するレーベルから故クシシュトフ・ペンデレツキに捧げるアルバム。 ピアノ協奏曲「復活」は ペンデレツキ自身が"ネオロマンティックな精神から生まれた"と語っており、2001年に起きたアメリカ同時多発テロ事件への思いも込 められています。2001年から翌年にかけて初稿が書かれ、2007年に改訂が施されました。バルトークやプロコフィエフを思わせるサウンドと、最終楽章に現 れる美しい聖歌の旋律が強い印象を残します。 「クリスマス」と題された交響曲第2番は1980年にズービン・メータとニューヨーク・フィルの委嘱で書かれた作品で、クリスマスの聖歌が曲のあちこちに引用さ れていますが、曲全体としてはショスタコーヴィチに近い激しさを持っています。 アンドレイ・ボレイコはサンクトペテルブルク生まれですが父方はポーランド系で、2019/20のシーズンよりワルシャワPOの音楽監督を 務めています。 ペア・ノアゴーとヨーン・ストルゴーズ

CPO
CPO-777898(1CD)
NX-B10
ルイ・グラス(1864-1936):交響曲全集 第3集
交響曲第4番ホ短調 Op. 43
ライン州立PO
ダニエル・ライスキン(指)

録音:2014年6月24日-7月1日
ダニエル・ライスキンとライン州立POによるルイ・グラスの交響曲集。第3弾は演奏時間に 約1時間を要する大規模な交響曲第4番の登場です。ルイ・グラスはニールセンと同じ時代に活躍したデンマーク の作曲家ですが、彼の創作の源泉は留学先のブリュッセルで影響を受けたフランクとブルックナーでした。この作品 は1905年に構想され、完成したのが1908年のこと。3管編成に6本のホルンを擁する、彼の交響曲の中でも最 も強力な管楽器セクションを有しており、また以前の3つの交響曲よりも厳格な構成によって書かれており、それま での彼の特質でもあった牧歌的な雰囲気はありません。1911年にコペンハーゲンで初演され、すぐに注目を集め 同地で何度も演奏された他、サンクトペテルブルク、オスロ、ストックホルムでも相次いで演奏、そして1930年には ワルシャワ、作曲家の死後の1936年には更に3回演奏された記録があります。その後は残念なことに公開演奏 が行われることはありませんでしたが、彼はこの作品で同時代デンマークにおける最も重要な交響曲作曲家として の地位を固めることとなりました。
CPO
CPO-555556(1CD)
NX-B10
グラジナ・バツェヴィチ:交響的作品全集 第1集
交響曲第3番(1952)
交響曲第4番(1953)
ケルンWDRSO
ウカシュ・ボロヴィチ(指)

録音:2021年11月20-26日
cpoレーベルの新シリーズ、グラジナ・バチェヴィチの交響的作品全集。第1集では1950年代に書かれた2つの交 響曲を収録。どちらも彼女が交通事故でけがを負う前の作品であり、パリ留学で培ったフランスの微妙な音色の 使い分けがなされた見事に活きています。第3番は大編成のオーケストラのために書かれているものの、新古典派 の伝統に基づく軽快な表現も見いだせるユニークな作品です。第4番も同様で、編成にはイングリッシュホルン、E ♭およびバスクラリネット、コントラファゴット、ハープなどが加わっており、多彩な響きが随所に用いられています。 また、作品には彼女の特質でもあるポーランドの民俗音楽の素材を採り入れており、伝統とインスピレーションの 見事な融合が味わえます。演奏はポーランド人指揮者ウカシュ・ボロヴィチが指揮するケルンWDRSO。こ の新しいプロジェクトを担うにふさわしい顔ぶれです。

SOMM
ARIADNE-5019(2CD)
NX-C09
ヴォーン・ウィリアムズ・ライヴ 第3集
【CD1】
1-9. 交響曲第2番「ロンドン交響曲」
10-17. 交響曲第5番

【CD2】
1-4. 交響曲第5
5-10. カンタータ「ドナ・ノビス・パーチェム」
LSO…CD1:1-9
LPO…CD1: 10-17、CD2:1-4
レニー・フリン(S)…CD2:5-10
ロイ・ヘンダーソン(Br)…CD2:5-10
BBC響&cho……CD2:5-10
レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ(指)

録音:全てライヴ
1946年7月31日…CD1:1-9
1943年7月31日…CD1:10-17
1952年9月3日…CD2:1-4
以上、BBCプロムス Royal Albert Hall,London(UK)
1936年11月 BBC Studios, England(UK)…CD2: 5-10
2022年、ヴォーン・ウィリアムズ生誕150年を記念したアルバムの第3集。今作はヴォーン・ウィリアムズ自身がタクトを執った4つの作品をクリアな音で復刻し ています。アルバムの1枚目には、1946年プロムスで演奏された「交響曲第2番」のLSOによる演奏と、1943年にロンドン・フィルハーモニー管 弦楽団が世界初演した際の「交響曲第5番」を収録。またCD2には同じくロンドン・フィルが1952年に演奏した「交響曲第5番」と、1936年に録音された BBCSO&合唱団との「ドナ・ノビス・パーチェム」が収録されています。 今回の復刻も、これまでのシリーズと同じく、英国を代表するリマスター・エンジニア、ラーニ・スパールが手掛けています。なお、ブックレットにはヴォーン・ウィリア ムズの評伝を執筆した英国の研究家サイモン・ヘファーによる解説(英語のみ)が掲載されており、ヴォーン・ウィリアムズと2番目の妻アーシュラ・ウッドの関 係など、これまであまり知られることのなかった興味深いテーマに光が当てられています。 ペア・ノアゴーとヨーン・ストルゴーズ

philharmonia・rec
PHR-0113(1CD)
ドヴォルザーク:交響曲第8番ト長調Op.88
交響曲第7番ニ短調Op.70
フィルハーモニア・チューリッヒ
ジャナンドレア・ノセダ(指)

録音:2021年10月(第8番)、2022年3月(第7番)、チューリッヒ歌劇場(ライヴ)
ファビオ・ルイージの後任として2021/22シーズンよりチューリッヒ歌劇場の音楽監督を務めているジャナンドレア・ノセダ。先日、契約期間を2027/28 シーズン終了までと延長を発表。就任から充実の関係を築いている両者初のディスクがリリースされます。
ノセダがチューリヒとの最初の演奏会で選んだプログラムは、ドヴォルザークの交響曲第8番。この作品は、夏の間に避暑として過ごしていたボヘミアの小さ な村ヴィソカで作曲されました。ドヴォルザークは、このヴィソカの自然豊かで美しい情景に触発され、交響曲第8番をはじめ「ルサルカ」や「アルミーダ」 などの数々の名作を生み出しています。またアメリカで国際的成功を収めた後も、ここヴィソカの別荘で晩年を過ごしたといいます。交響曲第8番は、ヴィソカ での幸福感に満ちた生活を表すかのように、明るくボヘミアの抒情に溢れた作品となっています。ノセダは、均整の取れた調和的な響きを保ちつつ、メリハリの 利いた表現で楽曲を華やかに締めくくっています。
そしてカップリングには、別日に演奏された同じくドヴォルザークの交響曲第7番。ドヴォルザークの後期三大交響曲の中で最初の作品となりますが、第8番 が「陽」とすれば第7番は「陰」。ブラームスの交響曲第3番を意識して作曲したと言われ、シンフォニックな重厚感とボヘミアの民族的な雰囲気を感じられる 作品です。ノセダとチューリヒの演奏は、厚みのある響きの中にも、美しく透明感のある音色で自然な流れを作っています。またノセダの楽曲を深く読み込んだ 多彩な表現の数々は、新鮮な驚きがあり何度も聴きたくなる演奏です。

GRAND SLAM
GS-2282(1CD)
ベートーヴェン:交響曲第4番変ロ長調 Op.60
交響曲第7番イ長調 Op.92
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)VPO

録音:1952年12月1&2日、1950年1月18&19日*/ムジークフェラインザール(ウィーン)
使用音源:Private archive (2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
■制作者より 
フルトヴェングラー&VPOのセッション録音によるベートーヴェンの交響曲第4番+第7番ですが、2トラック、38センチのオープンリール・テープによる復刻盤はGS-2166(2017年)として一度発売しています。しかしながら、前回の第3番「英雄」(GS-2280)と同じく、高品質のテープにプリントしたものを再度取り寄せ、マスタリングの全行程をプロ用の機器で行いました。これ以上はあり得ないレベルに達したと自負しています。 フルトヴェングラーと言えば、最近55枚組のボックス・セットが話題になりました。あのリマスターは演奏中に発生したノイズを取り除き、聴きばえをよくするために高域を極端に強調したものです。これも考え方のひとつですが、果たしてこれがオリジナルの良さを伝えているのか疑問に思えます。 なお、解説書はGS-2166よりも増ページして、資料を充実させました。(平林 直哉)


OTTO KLEMPERER FILM FOUNDATION
KKC-4317(16SACD)
クレンペラー&ウィーン響/ VOXレコーディング&ライヴ録音集1951〜1963


■Disc1
ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」
メンデルスゾーン:交響曲第4番「イタリア」
■Disc 2
ベートーヴェン:ミサ・ソレムニス
■Disc 3
ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」
■Disc 4
マーラー:交響曲第2番「復活」
■Disc 5
マーラー:交響曲第2番「復活」
■Disc 6
マーラー:大地の歌
■Disc 7
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」
シューベルト:交響曲第4番「悲劇的」*
■Disc 8
メンデルスゾーン:交響曲第3番「スコットランド」
ショパン:ピアノ協奏曲第2番*
■Disc 9
シューマン:ピアノ協奏曲イ短調 Op.54
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番
■Disc 10、11
モーツァルト:交響曲第41番「ジュピター」
マーラー:交響曲第4番ト長調
■Disc 12、13
バッハ:管弦楽組曲第3番
ブラームス:交響曲第3番
ベートーヴェン:交響曲第7番
■Disc 14
録音:1958年2月26日(ライヴ)
ブルックナー:交響曲第7番
■Disc 15、16
ベートーヴェン:序曲「コリオラン」
交響曲第2番ニ長調 Op.36
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
オットー・クレンペラー(指)ウィーンSO

■Disc1
録音:1951年3月8〜12&15日(VOX)
■Disc 2
イローナ・シュタイングルーバー(S)、エルゼ・シュールホフ(C.A)、エーリヒ・マイクート(T)、オットー・ヴィーナー(Bs)、ウィーン・アカデミーcho
録音:1951年3月8〜12&15日(VOX)
■Disc 3
録音:1951年3月8-12&15日(VOX)
■Disc 4
イローナ・シュタイングルーバー(S)、ヒルデ・レッセル=マイダン(Ms)、ウィーン・アカデミーcho、ウィーン楽友協会cho
録音:1951年5月14-16日(VOX)
■Disc 5
イローナ・シュタイングルーバー(S)、ヒルデ・レッセル=マイダン(Ms)、ウィーン・アカデミーcho ウィーン楽友協会cho
録音:1951年5月18日(ライヴ)
■Disc 6
エルザ・カヴェルティ(A)、アントン・デルモタ(T)
録音:1951年5月20-23日(VOX)
■Disc 7
録音:1951年5月20-23日(VOX)
プロ・ムジカO*
録音:1950年11月19-20日、パリ*
■Disc 8
ヘルベルト・ハフナー(指,第1楽章のみクレンペラーの指揮)
録音:1951年5月20-23日(VOX)
ギオマール・ノヴァエス(P)*
録音:1951年6月9-11日(VOX)*
■Disc 9
ギオマール・ノヴァエス(P)
録音:1951年6月9-11日(VOX)
■Disc 10、11
テレサ・シュティッヒ=ランダル(S)、録音:1955年6月21日(ライヴ)
※全コンサートCD初収録
■Disc 12、13
録音:1956年3月8日(ライヴ)
※全コンサートCD初収録
■Disc 14
録音:1958年2月26日(ライヴ)
■Disc 15、16
1963年6月16日(ライヴ)
※全コンサートCD初収録
アメリカに亡命したユダヤ系ハンガリー人であるジョージ・デ・メンデルスゾーン=バルトルディ(大作曲家メンデルスゾーンの子孫だと称していた)によって、 1945年に創設されたアメリカのレーベル、ヴォックス・レコード(VOX)。クレンペラーをはじめ、ホーレンシュタイン、ホルショフスキ、ブレンデル、ギトリス、といっ た一流の演奏家の録音を多く残しています。 今回リリースされるセットは、クレンペラーとウィーンSOによる1951年のVOXレコーディングと1963年までのライヴ録音を、SACD用にリマスタリングし た16枚組SACD Hybridのボックスです。リマスタリング&修復エンジニアのボリス=アレクサンダー・ボールズ氏は、「これらの芸術的な価値がきわめて高い歴史 的なスタジオ録音とコンサート録音を復刻するにあたって、私たちの主要な意図は、音楽の情報をできるだけ欠陥のない無傷な状態に保ち、劣化する要因を取り除 いて最大限に自然な音を提供することにあった。」と語っており、現在の基準に沿った実りあるリスニング体験が得られるよう、細心の注意が払われています。
最初にクレンペラーがVOXに録音したのは、1946年パリでプロ・ムジカOとのバッハの「ブランデンブルク協奏曲」、その後に1950年にはモーツァル ト交響曲第25&36番を録音。そしてメンデルスゾーンが新たにクレンペラーに提案したのがウィーンSOとの録音シリーズです。1951年のVOXへの録音 は、クレンペラーの指揮者としてのキャリアのなかでもきわめて重要な年だったと捉えられています。クレンペラーは、戦後ヨーロッパに戻って行った演奏活動におけ る第1期(1946〜51年)で、戦前の名声を再確立することができました。この時期は、アムステルダム・コンセルトヘボウOとの高水準な演奏の数々(伝説 的アムステルダム・コンサート1947-1961/KKC4258)と並ぶ魅力的な記録となっています。特にここに収録されているベートーヴェンの「ミサ・ソレムニス」 は、レコード化されたクレンペラーのその他の演奏と比べても類をみない演奏となっています。特に晩年クレンペラーは、楽曲の構造をより深く展開し、次第にテンポ を遅くするようになります。1946〜51年頃のクレンペラーは戦前のスタイルを引き継いでおり、時として速めのテンポをとるなど、推進力のある演奏を展開してお り、そういう意味でも1951年はクレンペラーの演奏の分水界でありました。特に7月に行われたオランダ音楽祭でのマーラーの「復活」はその頂点を極めている といっても良いでしょう。
1951年のVOXレコーディングは3回に分かれて行われました。そして周知の通り3回目の録音の後、クレンペラーはVOXと決別することになります。クレンペ ラーは6月9〜11日にかけて、メンデルスゾーンの「スコットランド」(すべて録り終えることはできなかった)、とピアニストのギオマール・ノヴァエスとのピアノ協 奏曲の録音を行い、6月14日からウィーンSOとともにギリシア・ツアーに出ています。その後クレンペラーの予定ではウィーンには戻らず、ロンドンへ行き、 南北アメリカ・ツアーを終えたのち、1952年はじめにウィーンに戻り、残りを録音するつもりでいました。しかし、1951年9月には、クレンペラーが録音したレコー ドが発売されており、まだ録音してないはずの「スコットランド」はクレンペラー指揮として全曲リリースされていたのです。(未録音の楽章は、ヘルベルト・ハフナー によって録音されていた)それを知ったクレンペラーはVOXと関係を断つことにします。 しかし、その間にクレンペラーにはさらなる災難が降りかかっていました。南米でのコンサートが成功を収め、ニューヨーク経由でモントリオールに戻ったクレンペラー は、階段を踏み外し転倒、大腿骨骨折という大怪我を負います。予定されていた北米ツアーは中止、さらには長期にわたり国外に滞在したこと共産圏ハンガリーでの 滞在歴などが重なりパスポートが没収され、1954年1月までヨーロッパに渡ることが出来なくなりました。うつ状態の2年間を過ごすことになったクレンペラーで すが、好機も到来します。レコード・プロデューサー、ウォルター・レッグの仲介によりEMIとの新しい契約が締結、後のレコード史に刻まれた名演の数々を生み出 すことになります。
また同時収録されているウィーンSOとのライヴ録音も注目。ウィーンSOとクレンペラーのはじめての共演は1920年12月18日のベートーヴェン音 楽祭でのコンサートでした。そして1958年10月1日未明の寝煙草による火災で負った大火傷など度々の災難を経て、1963年6月16日アン・デア・ウィーン 劇場でウィーンSOとのコンサートが行われました。偶然かそうでないかは定かではありませんが、クレンペラーが初めてウィーンSOと共演したコンサート と同じく、両者最後の共演となったコンサートもまたオール・ベートーヴェン・プログラムとなりました。1920年の演目は、交響曲第2番、レオノーレ序曲、交響曲第 5番でしたが、1963年はコリオラン序曲、交響曲第2番、第3番という順で演奏されました。この演奏会を聴きに来ていたオーストリアの作家フランツ・タッシエが このように書き残しています。「ウィーンSOは素晴らしかった。偉大な夜に、偉大な指揮者としか演奏しないかのように振る舞うやり方を、彼らが知っていた」 (Ki)


Altus
ALT-521(6CD)
限定生産
準・メルクル&N響/ライヴシリーズ・コレクション
【ALT006/7】(2CD)
(1)ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
(2)R.シュトラウス:死と変容
(3)ドビュッシー:交響詩『海』
(4)モーツァルト:『ドン・ジョヴァンニ』序曲
(5)ブラームス(シェーンベルク編):ピアノ四重奏曲第1番 ト短調
【ALT017】
(1)バルトーク:ルーマニア民俗舞曲
(2)ドヴォルザーク:交響曲第9番ホ短調『新世界より』
【ALT057】
(1)メンデルスゾーン:交響曲第3番イ短調『スコットランド』
(2)メンデルスゾーン:交響曲第4番イ長調『イタリア』
【ALT081/2】(2CD)
マーラー:交響曲第2番『復活』
準・メルクル(指)NHK響

【ALT006/7】(2CD)
ライヴ録音:(1)〜(3)1997年6月23日サントリーホール、
(4)(5)1998年4月29日NHKホール
【ALT017】
ライヴ録音:(1)2001年1月17日サントリーホール、
(2)2001年1月27日NHKホール
【ALT057】
ライヴ録音:(1)2001年1月17日サントリーホール、
(2)2001年9月14日NHKホール
【ALT081/2】(2CD)
ミカエラ・カウネ(S)、
リオバ・ブラウン(Ms)、
二期会cho
ライヴ録音:2003年10月23日NHKホール
2022年のNHK音楽祭で来日し素晴らしい演奏を聴かせた準・メルクル。ALTUSより発売された準・メルクルとNHKSOのライヴを網羅したセットが 限定生産で登場します。輝かしいN響デビューとなった97年のドビュッシー&シュトラウスから、CD化の要望が多かったメンデルスゾーン、2003年度のN響ベ ストコンサート2位に入った『復活』など、4タイトル6枚分を全て収録!どれも素晴らしい演奏と音質を誇るALTUS屈指の名シリーズ。単売のパッケージをケー スごとそのまま紙スリーブに入れた仕様で、これはお買い得! (Ki)

Profil
PH-20038(2CD)
ブルックナー:交響曲第4番『ロマンティック』(1878/80年稿)
交響曲第5番変ロ長調
ルドルフ・ケンペ(指)
ミュンヘンPO

録音:1975、1976年ミュンヘン
過去の名録音のリマスター復刻にも力を入れているProfilより、最晩年ケンペの超名盤が登場!少しずつ現れてくる主題を絶妙にコントロールし雄大に鳴らしき り、複雑な箇所でも推進力を失うことなく旋律を歌わせ、かつ全体を見晴らしよく描き音楽を構築していく、古今東西のブルックナー演奏のなかでも最高峰と謳わ れる4番と5番です。ケンペの揺るぎない演奏解釈とミュンヘン・フィルの美しく渋みのある音色が織り成す大名演!
これまでもいくつかレーベルを変えてリリースされてきた音源ですが、新しい音で聴けるのが興味深いところ。Volker Rittinghaus氏による新規リマス タリング。 (Ki)
Profil
PH-20037(3CD)
ブラームス:交響曲全集
交響曲第1番ハ短調 Op.68
交響曲第2番ニ長調 Op.73
交響曲第3番へ長調 Op.90
交響曲第4番ホ短調 Op.98
ハイドンの主題による変奏曲
ルドルフ・ケンペ(指)
ミュンヘンPO

録音:1974、1975年ミュンヘン
過去の名録音のリマスター復刻にも力を入れているProfilより、最晩年ケンペの超名盤が登場!正攻法でありながら杓子定規的な硬さが微塵もなく、自然な揺 らぎをもつ生きた音楽として奏でられるブラームス。ケンペのこまやかなコントロールが曲の隅々まで行き届いた、絶妙としか言いようのない音楽の流れに胸を打 たれます。交響曲全4曲にハイドン変奏曲、どれも類まれな名演!
これまでもいくつかレーベルを変えてリリースされてきた音源ですが、新しい音で聴けるのが興味深いところ。Volker Rittinghaus氏による新規リマス タリング。 (Ki)


OTTO KLEMPERER FILM FOUNDATION
KKC-4315(2SACD)
1947年ザルツブルク音楽祭ライヴ / クレンペラー&ウィーン・フィル
ラジオ・アナウンス
パーセル(1659〜1695):組曲「妖精の女王」(ハロルド・バーンズ編)
ロイ・ハリス(1898〜1979):交響曲第3番(1939)
マーラー:交響曲第4番ト長調
ラジオ・アナウンス
オットー・クレンペラー(指)VPO
ヒルデ・ギューデン(S)

録音:1947年8月24日、ザルツブルク音楽祭、ライヴ
当ディスクは、1973年 7月 6日に世を去ったクレンペラーの、没後 50年の記念として企画。1947年 8月24日、ザルツブルクの祝祭劇場でウィーン・フィ ルを指揮したコンサートを収録したもので、これがクレンペラー唯一のザルツブルク音楽祭への出演。音源はオーストリア放送協会(ORF)の資料館で最近発見 され、スウェーデン放送のトランスクリプション・ディスク(放送用音源)を使用しリリースされます。これまでに、パーセルの組曲「妖精の女王」は発売されて いましたが、その他の音源は初出となり、コンサート・プログラムすべてを聴くことができる、貴重な盤となります。
2020年に創立100周年を迎えたザルツブルク音楽祭ですが、その歴史は戦争の影が色濃く残ります。1938年オーストリアはナチス・ドイツに併合され、 反ナチやユダヤ系の音楽家たちは一掃されてしまいます。逆に戦後は、戦中に活躍した芸術家が活動停止処分を受け、戦争の爪痕も残る中、1945年8月12 日に音楽祭は開催。そして1947年からはフルトヴェングラー、ベーム、クレンペラーが活動を再開、当演奏会の記録は戦前の活況を取り戻してきたそんな中開 催されたものでした。特に演目には、クレンペラーが自らを導いてくれる人として生涯尊敬し、ナチ政権下で、禁じられていたユダヤ系の大作曲家マーラーの交 響曲第 4番をメイン・プログラムとし、パーセルの組曲「妖精の女王」、アメリカ人作曲家のロイ・ハリスの交響曲第 3番を演奏し、戦後を強く意識した内容となっ ています。
1947年のクレンペラーは、アメリカへの亡命以降、2度目の欧州ツアーのために渡欧。8月にはこのザルツブルク音楽祭に出演しオーケストラ・コンサート と「フィガロの結婚」を(指)その後ウィーン国立歌劇場で「ドン・ジョヴァンニ」を(指)そしてブダペスト国立歌劇場音楽監督に就任し、12月にはコンセル トヘボウOに客演と多忙を極めていました。しかしその中でも、このザルツブルク音楽祭はこの年のハイライトであり、またその裏側にもドラマがありま した。当時まだ知名度の低かったオーストリア人作曲家、ゴットフリート・フォン・アイネム(1918〜1996)の新作オペラ「ダントンの死」がクレンペラーの手 でザルツブルク音楽祭にて世界初演されるはずでした。しかしクレンペラーは一度は引き受けたものの、興味を失ってしまい指揮をキャンセルします。この件が 原因で以後クレンペラーはザルツブルク音楽祭への出演機会がなくなってしまいます。一方、代役とし
一つの演奏会から歴史の裏側が見て取れる、非常に興味深い内容となっています。 (Ki)

オクタヴィア
OVCL-00798(1SACD)
税込定価
2022年11月23日発売
ハイドン交響曲集Vol.17
交響曲第33番ハ長調 Hob.T:33
交響曲第48番ハ長調 Hob.T:48「マリア・テレージア」
交響曲第36番変ホ長調 Hob.T:36
飯森範親(指)
日本センチュリーSO

録音:2019年11月22日 大阪、いずみホール・ライヴ
日本センチュリーSOが首席指揮者の飯森範親と共にスタートした「ハイドンマラソン」は、 フランツ・ハイドンのすべての交響曲を演奏しようという一大プロジェクト。当盤は第20 回コンサートのライヴ収録です。 幾度の公演を重ね、信頼関係を築いてきた飯森と日本センチュリー響は、精緻な構築と、細 部までこだわりぬいた感性で、気品あふれるハイドンを奏でています。柔和で晴々とした優美な 演奏は、まさに彼らの真骨頂といえるでしょう。(オクタヴィアs)

LSO Live
LSO-0570(4SACD)
ブラームス:交響曲全曲他
交響曲第1番ハ短調 op.68
悲劇的序曲 op.81
ヴァイオリンとチェロのための協奏曲 イ短調 op.102(二重協奏曲)
交響曲第2番ニ長調 op.73
セレナード第2番イ長調 op.16
交響曲第3番ヘ長調 op.90
交響曲第4番ホ短調 op.98
ベルナルト・ハイティンク(指) LSO
ゴルダン・ニコリッチ(Vn)、
ティム・ヒュー(Vc)

録音:2003-2004年/バービカン・センター
ハイティンク&LSOのブラームスの交響曲シリーズが、2022年最新リマスタリングでSACDハイブリッドで登場!かつて第3番(LSO 0544)および第4番(LSO 0547)収録の盤のみ、SACDハイブリッドでリリースされていましたが、全曲そろっての最新リマスタリングでの登場となります。ハイティンクとLSOとの 素晴らしい信頼関係を、よりリアルに感じ取れる貴重なリリースです! (Ki)

TUDOR
TUD-1741(2SACD)
NX-C07
ブラームス:交響曲第1番ハ短調 Op. 68
ブラームス:ハンガリー舞曲集
 第1番/第3番/第10番
ドヴォルザーク:交響曲第6番 ニ長調 Op. 60
ブラームス:ハンガリー舞曲集
 第17番/第18番/第19番
 第20番/第21番
バンベルクSO
ヤクブ・フルシャ(指)

録音:2020年9月21-24日、2021年1月25日、2021年1月22-25日、2020年9月24日、2020年10月1日
CD層…Stereo
SACD…Stereo、マルチチャンネル5.1
チェコのブルノに生まれた指揮者ヤクブ・フルシャが、2016年から首席指揮者を務める名門バンベルクSOを指揮して録音を進めてきたドヴォルザーク &ブラームス・シリーズ、2作同時発売で一挙完結! バンベルクSOは、チェコのプラハにあったドイツ系住民によるオーケストラを前身としています。第2次大戦末期にチェコを逃れて古都バンベルクに移り 住んだ音楽家たちが終戦の翌年1946年にバンベルク響を旗揚げ。以後、重心の低いドイツ的なバランスと中欧的な音色を持つサウンドは、カイルベルト、 ヨッフム、ホルスト・シュタインといったドイツ系マエストロの音楽作りと相まって人気がありました。近年はジョナサン・ノットの下で機能性を一段と向上させ、そ のバトンを引き継いだフルシャと共に高い評価を得ています。 フルシャの発案でブラームスの4つの交響曲とドヴォルザークの最後の4つの交響曲を組みあわせるシリーズは、2017年にホ短調の2曲を組み合わせてス タートし、番号を遡ってリリースされ、コロナ禍を乗り越えて遂に完結します。フルシャは第1弾の原盤ライナーで、この二人の作曲家が自分自身とオーケスト ラにとって欠くことのできない存在であること、ブラ-ムスとドヴォルザークとの間には通じ合うものもあれば、似て非なるものもあり、二人の作品を対照させるこ とでそれが浮き彫りになると語っていました。 バンベルク響のブラームス:交響曲全集はホルスト・シュタイン(1997年)以来となります。フルシャは楽団のあたたかな響きを活かしつつ、中庸のテンポを採っ て旋律をのびやかに歌わせ、楽団の伝統を尊重した音楽作りを展開。 ヴァイオリンを両翼配置にし、第1番と第2番では第1楽章のリピートを採り入れてス ケールの大きな音楽に仕上げています。今作では8曲のハンガリー舞曲も収録。こちらも聴きどころです。 また、チェコゆかりのバンベルク響とはいえ、ドヴォルザークの交響曲の録音は一部を除くと決して多くない点でも注目です。今回のリリースでは、ブラームスの 第2番から影響を受けたとされる同じ調性の第6番をブラームスの第1番と合わせるという意外性も魅力。牧歌的な旋律をたっぷりと歌わせます。
TUDOR
TUD-1742(2SACD)
NX-C07
ブラームス:交響曲第2番ニ長調 Op. 73
ドヴォルザーク::交響曲第7番ニ短調 Op. 70
バンベルクSO
ヤクブ・フルシャ(指)

録音:2019年5月6-8日、2020年9月28日-10月1日
CD層…Stereo
SACD…Stereo、マルチチャンネル5.1
チェコのブルノに生まれた指揮者ヤクブ・フルシャが、2016年から首席指揮者を務める名門バンベルクSOを指揮して録音を進めてきたドヴォルザーク &ブラームス・シリーズ、2作同時発売で一挙完結! バンベルクSOは、チェコのプラハにあったドイツ系住民によるオーケストラを前身としています。第2次大戦末期にチェコを逃れて古都バンベルクに移り 住んだ音楽家たちが終戦の翌年1946年にバンベルク響を旗揚げ。以後、重心の低いドイツ的なバランスと中欧的な音色を持つサウンドは、カイルベルト、 ヨッフム、ホルスト・シュタインといったドイツ系マエストロの音楽作りと相まって人気がありました。近年はジョナサン・ノットの下で機能性を一段と向上させ、そ のバトンを引き継いだフルシャと共に高い評価を得ています。 フルシャの発案でブラームスの4つの交響曲とドヴォルザークの最後の4つの交響曲を組みあわせるシリーズは、2017年にホ短調の2曲を組み合わせてス タートし、番号を遡ってリリースされ、コロナ禍を乗り越えて遂に完結します。フルシャは第1弾の原盤ライナーで、この二人の作曲家が自分自身とオーケスト ラにとって欠くことのできない存在であること、ブラ-ムスとドヴォルザークとの間には通じ合うものもあれば、似て非なるものもあり、二人の作品を対照させるこ とでそれが浮き彫りになると語っていました。 バンベルク響のブラームス:交響曲全集はホルスト・シュタイン(1997年)以来となります。フルシャは楽団のあたたかな響きを活かしつつ、中庸のテンポを採っ て旋律をのびやかに歌わせ、楽団の伝統を尊重した音楽作りを展開。ヴァイオリンを両翼配置にし、第1番と第2番では第1楽章のリピートを採り入れてス ケールの大きな音楽に仕上げています。 また、チェコゆかりのバンベルク響とはいえ、ドヴォルザークの交響曲の録音は一部を除くと決して多くない点でも注目です。ボヘミア民族色の強い第7番では 全編にわたりフルシャならではの音楽が展開されています。

Epitagraph
EPITA-029(1CD)
(UHQCD)
ブルックナー:交響曲第9番ニ短調 (原典版) ブルーノ・ワルター(指)VPO

録音:1953年8月20日(ザルツブルク音楽祭) 祝祭劇場、ザルツブルク(ライヴ)
1953年という年はワルターにとって、充実・多忙の1年となりました。米コロンビアレコードにニューヨーク・フィル(NYP)とモーツァルト「35番ハフナー」 「39番」「40番」、ブラームス「1〜3番」などを録音する一方で、ウィーン・フィル(VPO)とともに8月にザルツブルク音楽祭、9月にはエジンバラ音楽祭に 出演しています。ちなみに9月8日エジンバラでのブラームス「ドイツ・レクイエム」=Epitagraphレーベルの EPITA.019はこのときのライヴです。
53年8月19・20日、ザルツブルク音楽祭で行われた2日間の2日目の録音。プログラムのほかの曲目は、初日が「オイリアンテ」序曲、モーツァルト「プラハ」、 2日目はベートーヴェン「2番」でした。 ワルターは総じて速めのテンポで歩を進め、ときおり見せる優美な表情が安らぎを与えてくれます。圧巻はフィナーレ。引き締まった表情で劇的に歩みを進める強 い意志と劇的構成力は圧倒的な感動を生み出してやみません。ウィーン・フィルは強靭かつしなやかに美音を響かせ、この名曲の深遠・崇高・広大な世界に没入 させてくれます。曲の最初から終わりまで途切れはなく、終了後は拍手がはいっていますので臨場感も豊かというべきでしょう。 ワルターによるブルックナーの交響曲の録音は4番、7番、8番、9番が残されていますが、もっとも数多く取り上げたのが最後の第9番。1959年11月にコロン ビアSOを指揮してセッション録音をのこしているほか、ライヴだけでも5種類【(1)1946年3月17日カーネギーホール(CaH)におけるNYP盤、(2)48年 2月28日フィラデルフィアO盤、(3)本盤、(4)53年12月27日CaHにおけるNYP盤、(5)1957年2月10日CaHにおけるNYP盤】ありますが、最も 感動的な演奏をUHQCDにしてご紹介します。
放送音源より復刻されたテープからのCD化で、国内盤初登場になります。 音質は復刻につきまとうノイズこそ少し残っているものの、従来の海外盤を凌ぐ生々 しさ!高域の伸び、低域の重厚さ等、良好で鮮明な音。PP からffに変化するそのダイナミックレンジの広さも(この時代のものとしては)驚異的というしかありま せん。キング関口台スタジオで丁寧かつ最新技術によるリマスタリング、しかも“高音質CDの決定版”UHQCDにして発売!

Edition HST
HST-919(6CD)
PP ケース入り
税込定価
ヴァンハル(1739-1813)&伝ヴァンハル;15 の交響曲集 (HST-919)
■CD1(第15巻;HST-095)
ハ長調Bryan C8/ニ長調Bryan D6/
(伝)変ホ長調Bryan Es14=Grave Es15(ディッタース作?)
■CD2(第18巻;HST-106)
ハ長調Bryan C27
(伝)ハ長調Bryan C24=Kimball C14, (ホフマン作?)
(伝)ハ長調C25(シュテルケル作?)
■CD3(第21巻;HST-108)
ハ長調「デ・シリー」 Bryan C4
ハ長調「混乱稿」C7a
(伝)変ホ長調Bryan Es9(トウシュムラン作?)
■CD4(第22巻;HST-112)
(伝)ニ長調Bryan D11(シュテルケル作?)
(伝)イ長調Bryan A6(ディッタース作?)
■CD5(第23巻;HST-114)
ハ長調Bryan C28
(伝)変ロ長調Bryan B8(ケルツル作?)
■CD6(第24巻;HST-117)
ハ長調Bryan C18
(伝)変ホ長調Bryan Es11(ポコルニー作?)
ハイドン・シンフォ二エッタ トウキョウ
リーダー;松井利世子、
福本 牧(Vn)、
小原 圭(Vc)、他

録音:2010-19年、東京・三鷹、風のホール、近江楽堂(新宿)などにてライヴ収録
1790年代、作曲家を訪問した伝記作家ドウラヴェッツへ「交響曲100曲、弦楽四重 奏曲100曲、作曲した」と語ったが今日では70数曲のみの真作交響曲が伝承され、真 偽不明な伝ヴァンハル作が50曲近くにのぼる。

Glossa
GCD-921131(2CD)
ボッケリーニ:6つの交響曲 Op.35
交響曲 ヘ長調 Op.35-4/交響曲 変ロ長調 Op.35-6/交響曲 変ホ長調 Op.35-2/交響曲 イ長調 Op.35-3/交響曲 ニ長調 Op.35-1/交響曲 変ホ長調 Op.35-5
マルク・デストリュベ(コンサートマスター)、
18世紀オーケストラ

録音:2021年5月&2022年5月、カイゼル運河教会(アムステルダム、オランダ)
1782年に初演されたボッケリーニの「6つの交響曲」Op.35を、18世紀オーケストラのヴィオラ奏者、エミリオ・モレーノがその情熱と知識をもって改めて編集し収録しました。富と名声、仕事を求めてヨーロッパ中を旅していたボッケリーニは、1769年スペインの宮廷に招かれドン・ルイス皇子の演奏家兼作曲家として雇われました。その後ドン・ルイス皇子が権力争いに敗れ、失脚した後にもボッケリーニへの支援は止まず、特にまだスペインでは発展途上であった交響曲の分野で熱心に援助がなされました。宮廷の楽団は弦楽五重奏団でしたが、皇子が追放されてから7年後に作られたこの「6つの交響曲」Op.35は、各パートごとに最大4人の弦楽器奏者で演奏されることを想定して書かれていました。
マルク・デストリュベは、18世紀オーケストラの共同コンサートマスターを務める他、アニマ・エテルナ、CBC放送O、オレゴン・バッハ祝祭Oなどのコンサートマスターとして世界中のツアーや音楽祭で演奏してきた名手です。今回の録音でも長年共に歩んできた18世紀オーケストラのメンバーを見事にまとめています。

TOCCATA
TOCC-0676(1CD)
NX-B03
トーマス・ド・ハルトマン(1885-1956):管弦楽作品集 第2集
交響詩第1番Op. 50(1934)
幻想的協奏曲 - コントラバスと管弦楽のために Op. 65(1942-44)
レオン・ボッシュ(Cb)
リヴィウ国立フィルハーモニーSO
テオドレ・クチャル(指)

録音:2021年9月15、20、21、23日
※全て世界初録音
ウクライナ出身のトーマス・ド・ハルトマン。作曲をアレンスキーやタネーエフ、リムスキー=コルサコフに師事、1907年に発表したバレエ『赤い花』で人 気を博しました。ロシアの著述家・神秘思想家ゲオルギイ・グルジエフや画家ワシリー・カンディンスキーとの共同作品を書いたことでも知られています。 このアルバムに収録された2作品はどちらも世界初録。大規模な編成を要する「交響詩第1番」、刺激的な不協和音を効かせた第1楽章にはじま り、回顧風な雰囲気を持つ緩徐楽章を経て、快活な民謡風のフィナーレで締めくくられるコントラバスとオーケストラのための「幻想協奏曲」。同郷ウ クライナ出身の指揮者クチャルの巧みな演奏で。 ペア・ノアゴーとヨーン・ストルゴーズ

ICA CLASSICS
ICAB-5167(20CD)
NX-L05
BBCレジェンズ・グレート・レコーディングス 第3集
■Disc 1
シューベルト:交響曲 第2番変ロ長調 D 125
ブラームス:交響曲第2番 ニ長調 Op. 73
■Disc 2
エルガー:序奏とアレグロ Op. 43
交響曲第1番変イ長調 Op. 55
■Disc 3
R・シュトラウス:4つの最後の歌#
マーラー:さすらう若者の歌
マーラー:リュッケルトの5つの歌 より私は快い香りを吸い込んだ/ 私はこの世に捨てられて/真夜中に
R. シュトラウス:あなたは私の心の王冠 Op. 21-2*
R. シュトラウス:憩え、わが心 Op. 27-1*
R. シュトラウス:献呈 Op. 10-1*
ブラームス:子守歌 Op. 49-4*
ブラームス:セレナード Op. 106-1*
■Disc 4
(1)ケルビーニ:歌劇「アナクレオン」序曲
(2)ベートーヴェン: 交響曲第3番変ホ長調 Op. 55「英雄」
(3)R. シュトラウス:ドン・ファン Op. 20
(4)ベルリオーズ:『ファウストの劫罰』 Op. 24より ラコッツィ行進曲
■Disc 5
バッハ:半音階的幻想曲とフーガ ニ短調 BWV 903
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第22番ヘ長調 Op. 54
シューベルト:ピアノ・ソナタ 第11番ヘ短調 D 625
シューベルト:3つのピアノ曲(即興曲) D 946
シューベルト:4つの即興曲 D 899より 第3番/. 第4番
■Disc 6
(1)シベリウス:交響曲第2番ニ長調 Op. 43
(2)チャイコフスキー:『眠れる森の美女』 組曲
(3)ベートーヴェン:エグモント序曲
■Disc 7
リスト:ファウスト交響曲 S 108
■Disc 8
モーツァルト:レクイエム K. 626 ニ短調
ブリテンとの対話(聞き手…ドナルド・ミッチェル)*
■Disc 9
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第9番ホ長調 Op. 14-1
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第10番ト長調 Op. 14-2
シューベルト:さすらい人幻想曲
シューマン:アベッグ変奏曲 Op. 1*
シューマン:ウィーンの謝肉祭の道化 Op. 26*
ショパン:練習曲 嬰ハ短調 Op. 10-4*
■Disc 10
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」
■Disc 11…BBCL4160
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番*
ムソルグスキー:展覧会の絵
シューラ・チェルカスキー(1909-1995):悲愴的前奏曲
リムスキー=コルサコフ(ラフマニノフ編):熊蜂の飛行
■Disc 12
ハイドン:交響曲第100番「軍隊」
ハイドン:交響曲第101番「時計」
ヒンデミット:ウェバーの主題による交響的変容*
■Disc 13
バッハ:カプリッチョ ホ長調 BWV 993「ヨハン・クリストフ・バッハを讃えて」
レーガー:バッハの主題による変奏曲とフーガ Op. 81
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第24番嬰へ長調 Op. 78「テレーゼ」
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第21番ハ長調 Op. 53「ワルトシュタイン」
■Disc 14
ショスタコーヴィチ:交響曲第8番 ハ短調 Op. 65
■Disc 15
ウェーバー:歌劇「オベロン」 序曲
シューベルト:交響曲第9番「グレイト」
ブラームス:悲劇的序曲*
■Disc 16
ハイドン:チェロ協奏曲 第1番ハ長調 Hob. VIIb:I*
サン=サーンス:チェロ協奏曲 第1番#
エルガー:チェロ協奏曲 ホ短調 Op. 85
■Disc 17
チャイコフスキー:バレエ『くるみ割り人形』 Op. 71第2幕
ショスタコーヴィチ:バレエ『ボルト』組曲〜 序曲/ 官僚の踊り/ 間奏曲/ 御者の踊り
ストラヴィンスキー:バレエの情景*
■Disc 18…BBCL4210
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲 第3番(カデンツァ…サム・フランコ)
ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲集 「四季」 Op. 8-1-4
ヴィヴァルディ:2つのヴァイオリンのための協奏曲 イ短調 Op. 3-8RV 522より第3楽章
■Disc 1
ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲 第4番ヘ短調
シベリウス:交響曲第4番イ短調 Op. 63*
■Disc 20
スカルラッティ:ソナタ集〜 ニ短調 K. 141/ヘ長調 K. 518/ニ短調 K. 32/ヘ短調 K. 466/イ長調 K. 533/ ロ短調 K. 27/ ト長調 K. 125
ドビュッシー:ピアノのために
ドビュッシー:『映像』 第1集 より 水の反映
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第27番ホ短調 Op. 90*
スクリャービン:ピアノ・ソナタ 第4番嬰へ長調 Op. 30*
プロコフィエフ:『つかの間の幻影』*〜 第1番、第3番、第5番、第10番、第11番、第17番
プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ 第3番イ短調 Op. 28*
■Disc 1…BBCL4104
カール・ベーム(指)LSO
録音:1977年6月28日 ロイヤル・フェスティヴァル・ホール (ステレオ)
■Disc 2…BBCL4106
ジョン・バルビローリ(指)ハレO
録音:1970年7月24日 聖ニコラス教会(キングス・リン音楽祭) (ステレオ)
■Disc 3…BBCL4107
セーナ・ユリナッチ(S)、クリスタ・ルートヴィヒ(Ms)、マルコム・サージェント(指)BBC響#
アンドレ・クリュイタンス(指)フィルハーモニアO
ジェフリー・パーソンズ(P)
録音:1957年12月2日 ロイヤル・フェスティヴァル・ホール、1961年9月11日 ロイヤル・アルバート・ホール、1978年7月15日 ウィグモア・ホール  *=(ステレオ)
■Disc 4…BBCL4112
ロイヤルPO(1)(2)、BBCノーザンSO(3)、LSO(4)
ピエール・モントゥー(指)
録音:1960年1月25日 BBCスタジオ81、 1960年11月12日 BBCスタジオ(2)、1960年12月21日 ミルトン・ホール(3)、1961年12月15日 キングズウェイ・ホール(4)  (モノラル)
録音:1969年6月5日 クイーン・エリザベス・ホール(ステレオ)
■Disc 5…BBCL4045
ウィルヘルム・ケンプ(P)
録音:1969年6月5日 クイーン・エリザベス・ホール(ステレオ)
■Disc 6…BBCL4115
BBC響*、ニュー・フィルハーモニアO、レオポルド・ストコフスキー(指)
録音:1964年9月15日 ロイヤル・アルバート・ホール(1)
1965年9月10日 キングズウェイ・ホール(2)
1973年7月7日 BBCスタジオ(3)
 *=ステレオ
■Disc 7…BBCL4118
ジョン・ミッチンソン(T) BBCノーザン・シンガーズ男声cho、BBCノーザンSO、ヤッシャ・ホーレンシュタイン(指)
録音:1972年4月23日 サルフォード大学 (ステレオ)
■Disc 8…BBCL4119
ヘザー・ハーパー(S)、アルフレーダ・ホジソン(C.A)、ーター・ピアーズ(T)、ジョン・シャーリー=カーク(Bs)、オlールドバラ祝祭cho、イギリス室内O、ブリテン(指)
録音:1971年7月20日 スネイプ・モルティングス・コンサート・ホール
録音:1969年2月 レッド・ハウス、オールドバラ*  (モノラル)
■Disc 9…BBCL4126
スヴャトスラフ・リヒテル(P)
録音:1963年1月27日*、同年2月2日 ロイヤル・フェスティヴァル・ホール (モノラル)
■Disc 10…BBCL4131
マリアンネ・ヘッガンデル(S)、アルフレーダ・ホジソン(C.A)、ロバート・ティアー(T)、グウィン・ハウエル(Bs)、LPO&cho、クラウス・テンシュテット(指)
録音:1985年9月13日 ロイヤル・フェスティヴァル・ホール (ステレオ)
■Disc 11…BBCL4160
シューラ・チェルカスキー(P)、ゲオルグ・ショルティ(指)LSO*
録音:1968年1月30日 ロイヤル・フェスティヴァル・ホール*
 1982年2月20日 ウィグモア・ホール  (ステレオ)
■Disc 12…BBCL4176
オイゲン・ヨッフム(指)LPO、LSO*
録音:1973年1月30日、1977年6月23日* ロイヤル・フェスティヴァル・ホール (ステレオ)
■Disc 13…BBCL4177
ルドルフ・ゼルキン(P)
録音:1973年6月4日 ロイヤル・フェスティヴァル・ホール (ステレオ)
■Disc 14…BBCL4189
エフゲニー・スヴェトラーノフ(指)LSO
録音:1979年10月30日 ロイヤル・フェスティヴァル・ホール (ステレオ)
■Disc 15…BBCL4195
クラウス・テンシュテット(指)LPO
録音:1983年4月7日*、1984年10月7日 ロイヤル・フェスティヴァル・ホール (ステレオ)
■Disc 16…BBCL4198
ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(Vc、指)*
LSO
ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー(指)
録音:1965年7月1日*、5日、7日#  ロイヤル・フェスティバル・ホール(モノラル)
■Disc 17…BBCL4204
BBC響 ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー(指)
録音:1981年4月29日*、1987年8月18日 ロイヤル・アルバート・ホール(ステレオ)
■Disc 18…BBCL4210
ヘンリク・シェリング(Vn、指)、ホセ・ルイス・ガルシア(Vn)
イギリス室内O
録音:1972年2月26日 クイーン・エリザベス・ホール (ステレオ)
■Disc 19…BBCL4237
マルコム・サージェント(指)BBC響
録音:1963年8月16日4、1965年9月2日*  ロイヤル・アルバート・ホール (ステレオ)
■Disc 20…BBCL4261
エミール・ギレリス(P)
録音:1957年4月22日 メモリアル・ホール、ファリンドン・ストリート (モノラル)
 1984年10月15日 セント・ジョンズ教会、スミス・スクエア (ステレオ)
英国BBCに残された巨匠たちの演奏の記録を、可能な限り良質の マスターを用いた安定の音質でリリースし、世界中のヒストリカル・ファン に高い支持を得ていた「BBCレジェンズ」。1998年から2010年まで 活動し、現在はほぼ入手不能となっているこのレーベルの遺産を引き 継いだICAレーベルより、その名演の数々を復刻するBOXセット第3 弾が発売となります。第1集(ICAB-5113/廃盤)第2集(ICAB- 5141/国内在庫終了次第廃盤)同様、20枚組の内容すべてが超 弩級の演奏内容であることが驚き。いずれもこの機会を逸すると、次 の入手機会はかなり難しいものばかり。どうぞこの機会をお見逃しな く。録音は全てライヴ(インタビュー除く)。

BR KLASSIK
BR-9007191(12CD)
NX-K03
マーラー:交響曲全集(第1番〜第9番)


■CD1
交響曲第1番ニ長調

■CD2
交響曲第2番ハ短調「復活」

■CD3-4
交響曲第3番ニ短調

■CD5
交響曲第4番ト長調

■CD6
交響曲第5番嬰ハ短調

■CD7
交響曲第6番イ短調「悲劇的」

■CD9
交響曲第8番変ホ長調「千人の交響曲」

■CD10
交響曲第9番ニ長調

■CD11
(1)交響曲第3番リハーサル風景
(2)交響曲第4番のコンサートについてマリス・ヤンソンスとアンチェ・デルフナーの対談(ドイツ語)

■CD12
(1)交響曲第5番リハーサル風景
(2)交響曲第7番のコンサートについてマリス・ヤンソンスとハナー・ヴァイスの対談(ドイツ語)
(3)ベルンハルト・ノイホフによる交響曲第7番のコンサート・ガイド(ドイツ語)
マリス・ヤンソンス(指)
バイエルンRSO

■CD1
録音:2007年3月1-2日 ミュンヘン、ヘルクレスザール(ライヴ)
■CD2
アニヤ・ハルテロス(S)
ベルナルダ・フィンク (A)
バイエルン放送cho
録音:2011年5月13-15日ミュンヘン、フィルハーモニー・イン・ガスタイク(ライヴ)
■CD3-4
ナタリー・シュトゥッツマン(A)
テルツ少年cho
バイエルン放送女声cho
録音:2010年12月8-10日ミュンヘン、フィルハーモニー・イン・ガスタイク(ライヴ)
■CD5
ミア・パーション(S)
録音:2010年12月15-17日ミュンヘン、ヘルクレスザール(ライヴ)
■CD6
録音:2016年3月10-11日 ミュンヘン、フィルハーモニー・イン・ガスタイク(ライヴ)
■CD7
録音:2011年5月4-6日 ミュンヘン、フィルハーモニー・イン・ガスタイク(ライヴ)
■CD9
トワイラ・ロビンソン(ソプラノ1)、クリスティーヌ・ブリューワー(ソプラノ2)、アンナ・プロハスカ(S)、ヤニーナ・ベヒレ(アルト1)、藤村実穂子(アルト2)、ヨハン・ボータ(T)、ミヒャエル・フォッレ(Br)、アイン・アンガー(Bs)、ラトヴィア国立cho、テルツ少年cho、バイエルン放送cho、
録音:2011年10月12-14日ミュンヘン、フィルハーモニー・イン・ガスタイク(ライヴ)
■CD10
録音:2016年10月20日、21日  ミュンヘン、フィルハーモニー・イン・ガスタイク(ライヴ)
■CD11
(1)録音:2010年12月8-10日 ミュンヘン、フィルハーモニー・イン・ガスタイク(ライヴ)
※リハーサルはドイツ語。CD冒頭にバイエルン放送の解説者を務めたフリードリヒ・シュロッフェルによるイントロダクション(ドイツ語)が収録されています。
(2)録音:2010年12月17日
■CD12
(1)録音:2006年3月9-10日 ミュンヘン、フィルハーモニー・イン・ガスタイク(ライヴ)
※リハーサルはドイツ語。CD冒頭にバイエルン放送の解説者を務めたフリードリヒ・シュロッフェルによるイントロダクション(ドイツ語)が収録されています。
(2)録音:2018年4月19、20日
(3)ベルンハルト・ノイホフによる交響曲第7番のコンサート・ガイド(ドイツ語)
(語り)カルステン・ファビアン、マリス・ヤンソンス、ベルンハルト・ノイホフ
2007年3月9日 バイエルン放送ラジオ
バイエルンRSOの第5代首席指揮者として2003年から2019年まで数々の名演奏を繰り広げ、2019年12月1日に世を去ったたマリス・ ヤンソンス。バイエルンRSO及び合唱団の団員とは家族のような、人間味あふれる関係であり、それが演奏にも反映していたと伝えられてい ます。 このBOXセットは、交響曲第1番から第9番を収録したもの。マリス・ヤンソンス・エディション(900200)に収録されたものと同じ音源で、第3番、第4 番、第6番、第8番は単独ではリリースされていなかったものです。生涯マーラーの音楽に魅了されていたというヤンソンスと、1967年から71年にかけ てラファエル・クーベリックとともにマーラーの交響曲全集を録音したバイエルンRSOの共演から生まれた完成度の高い演奏です。加えて望み うる最高のソリストを揃えた声楽陣の充実ぶりにも注目。また第8番ではヤンソンスの故郷ラトヴィアの合唱団を招いていることから、この演奏に特別な 思いを寄せていたことがうかがわれます。 BOXには今回が初出となるリハーサル風景やインタビューも収録されており(ドイツ語)、ヤンソンスのマーラーの音楽に寄せる思いやそれを現実の音に してゆく様子が伝わります。

C Major
80-7108(2DVD)

80-7204(Bluray)
ブルックナー:交響曲第2&8番
交響曲第2番ハ短調,WAB102(第2稿/1877年)
交響曲第8番ハ短調,WAB108(ハース版/1939年)

◆ボーナス映像「ディスカヴァリング・ブルックナー」
各交響曲について(ティーレマンと音楽学者ヨハネス=レオポルド・マイヤー氏による対話)
クリスティアン・ティーレマン(指)
VPO

収録:2019年2月、ウィーン楽友協会(ライヴ)

◆DVD
画面:16:9、NTSC
音声:PCMステレオ、DTS5.1
DVD9
[ボーナス映像 ]
言語:ドイツ語
字幕:英韓,日本語
Total time:205分
交響曲:150分、ボーナス:55分
◆Bluray
画面:16:9、1080i
音声:PCMステレオ、
DTS-HD MA5.1
BD50
[ボーナス映像 ]
言語:ドイツ語
字幕:英韓,日本語
Total time:205分
交響曲:150分、ボーナス:55分
2024年のブルックナー生誕200年に向けたティーレマン&ウィーン・フィルによるプロジェクト「ブルックナー11/Bruckner 11」。C majorの映像によるブ ルックナー交響曲全集は、第5交響曲、そして「習作交響曲」と呼ばれている「ヘ短調 WAB99」と「ニ短調 WAB100」をウィーン・フィル史上初めて演奏・収録し た第1弾、そして第2弾はウィーン稿を使用した第1番と2021年8月のザルツブルク音楽祭をライヴ収録した第7番という組み合わせでした。今回は、2019年2月 にウィーン楽友協会で収録された第2番と第8番の映像がリリースされます。
1866年に完成し1868年に初演された「交響曲第1番」ハ短調(第1稿)の次に、ブルックナーは、「ニ短調」の交響曲を1869年に作曲。当初この作品を「第2 番」とするつもりでしたが、最終的にはこの作品には番号が付けられることなく、この作品は現在「交響曲第0番」WAB.100 と呼ばれています。その後ブルック ナーは、「交響曲第2番」に取り掛かり、1972年9月に完成、翌1973年作曲者自身の指揮によりウィーン・フィルで初演されました。しかしその後も大幅に手を加 え1876年2月に再演されました(これが第2稿)。 ティーレマンは、ボーナス映像のインタビューで第2番や初期の交響曲を演奏することに対してこのように述べています。「ブルックナーの初期の交響曲はもっと注 目されてよい作品群です。ただ、これらの作品は指揮者にとっても大きな挑戦となるので、敬遠されていることも原因の一つです。なぜなら、これら初期の交響曲 は、詳細な勉強を重ねた上で演奏しないと、単に退屈でつまらない演奏になってしまうからです。しかも初期の交響曲たちは、最初から救いの手を差し伸べてはく れません。こちらが全身全霊をかけて作品に取り組んで、はじめて作品がこちらへと近づいてきてくれるのです」
一方、「交響曲第8番」については、交響曲として頂点を極めており、さらにはハース版については完璧だと、ティーレマンは語っています。ティーレマンはブルッ クナーの交響曲の中でもとりわけこの第8番を多く取り上げており、2007年にウィーン・フィルとはハース版を、2008年にベルリン・フィルとはノヴァーク版を、 2009年シュターツカペレ・ドレスデンとはハース版を選択しています。ティーレマンはここでハース版を選択した理由について、そして他の歴史的指揮者たちの使 用版についてもインタビューで述べています。
映像全集完成に向け、ますます期待の高まる内容となっています。 (Ki)

Danacord
DACOCD-924(2CDR)
トマス・イェンセンの遺産 第14集
■Disc 1
(1)オーレ・シュミット:交響曲第1番Op.14a(1956)
(2)ヴァウン・ホルムボー(1909-1996):モノリス Op.76M207(交響的変容第2番)
(3)ゴナ・ベアウ(1909-1989):聖歌(1946)(弦楽オーケストラのための)
(4)ニルス・ヴィゴ・ベンソン(1919-2000):交響的変奏 Op.92(1953)
(5)ニールセン:フルート協奏曲 FS119(1926)*
■Disc 2
(1)ヘンツェ:夜の小品とアリア(1957)(ソプラノと管弦楽のための)**
 夜の小品 I
 アリア I「ばらの雷雨に変わるところ)
 夜の小品 II
 アリア II「眠そうな鳥」
 夜の小品 III
(2)オネゲル:交響曲第5番「3つのレ」(1950)
(3)ニールセン:歌劇「サウルとダヴィデ」 FS25(1898-1901)より 第2幕への前奏曲†
 劇付随音楽「母」 FS94(Op.41)(1920)より 前奏曲 第7場†
 歌劇「仮面舞踏会」 FS39(1904-06)より 若い雄鶏たちの踊り†
(4)プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第2番***
トマス・イェンセン(指)、
デンマークRSO、ティヴォリ・コンサートホールO†、
ホルガー・ギルバト=イェスパセン(Fl)*、
カーラ・ヘニウス(S)**、
ヴァンディ・トヴォレク(Vn)***

■Disc 1
(1)録音:1957年5月27日(初演)(ライヴ放送)
(2)録音:1961年5月26日(ライヴ放送)
(3)録音:1962年1月20日(放送)
(4)録音:1958年8月7日(ライヴ放送)
(5)録音:1954年4月(スタジオ録音)
■Disc 2
(1)録音:1962年9月27日(ライヴ放送)
(2)録音:1962年9月27日(ライヴ放送)
(3)録音:1942年7月2日(スタジオ録音)
録音:1942年9月8日(スタジオ録音)
(4)録音:1949年9月15日(ライヴ放送)(一部省略、欠落)
トマス・イェンセン(1898-1963)の「遺産」シリーズ第14集は、「デンマーク放送」の未発表音源を中心とした20世紀音楽のプログラム!イェンセンが密接に関わりを持っていたカール・ニールセンやニルス・ヴィゴ・ベンソンといった作曲家の他、オーレ・シュミットとデンマーク音楽の本流から離れたところで作曲活動を行ったゴナ・ベアウの作品、彼はさらにヘンツェ、オネゲル、プロコフィエフの「傑作」を周到に造形することにより、カトリックの嗜好と共感に根ざしたヨーロッパ・モダニズムとの多様なつながりも示してみせました。
オネゲルの交響曲第5番は、シリーズ第2集(DACOCD912)に収録された1962年10月24日「国連の日コンサート」の「予行演習」となった9月27日のライヴ放送の録音。ポーランド=ウクライナ系のヴァイオリニスト、ヴァンディ・トヴォレク(1913-1990)がソロを弾いたプロコフィエフの協奏曲は、78回転のSP原盤から復刻された録音です。3つの楽章の盤と盤の繋ぎ目にあたる部分に欠落があり、また、トヴォレク自身が第2楽章と第3楽章のソロ・パートの一部を省略して演奏しています。
指揮者としても有名なオーレ・シュミットが作曲した交響曲第1番は初演の録音で、初出音源。カール・ニールセンの「フルート協奏曲」は、初演者で作品を献呈されたホルガー・ギルバト=イェスパセン(1890-1975)が共演してDeccaレーベルに録音した1954年4月のスタジオ録音が復刻されました。
※当タイトルは、高品質メディア(SONY DADC/Diamond Silver Discs)を使用した、レーベル・オフィシャルのCD-R盤となります。
Danacord
DACOCD-940(2CDR)
ヨン・フランセン〜初期録音選集
モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」序曲
ブラームス:交響曲第4番
グリーグ:ピアノ協奏曲**
シューベルト:交響曲第5番
ヨハン・ペーター・エミリウス・ハートマン(1805-1900):序曲「ヘーコン・ヤール」 Op.40*
ゲーゼ:演奏会序曲「オシアンの余韻」 Op.1*
フィン・フフディング(1899-1997):交響的幻想曲第1番「進化」 Op.32*
スヴェン・エーリク・タープ(1908-1994):喜劇『わがマリオネット劇場』 序曲 Op.53、ジェリコの戦い Op.51
クヌーズオーウ・リスエーヤ(1897-1974):トルグートの踊り
ヨン・フランセン(指)、
王立デンマークO、
デンマーク国立放送O*、
アイリーン・ジョイス(P)**

録音:1951年〜1958年
ヨン・フランセンは、コペンハーゲンの王立劇場の首席指揮者を30年間にわたって務め、しなやかなテンポの切り替え、おおらかなフレージング、豊かな管弦楽の響きを活かした演奏に定評があったデンマークの名指揮者です。ニルス・W・ゲーゼの「春の幻想曲」や、カール・ニールセンの「愛の賛歌」、歌劇「仮面舞踏会」などの録音で知られます。Danacordレーベルからリリースされる今回のアルバムには彼が1950年代にColumbia、Odeon、Philipsレーベルに録音した作品が新たなリマスタリングを施され収録されています。ブラームスの「交響曲第4番」やシューベルトの「交響曲第5番」、ゲーゼの「オシアンの余韻」と、J.P.E.ハートマンの「ヘーコン・ヤール」をはじめとするデンマークの作品は、インスピレーションに満ちた彼の音楽の特色がもっとも表れたと言われる録音です。
※当タイトルは、高品質メディア(SONY DADC/Diamond Silver Discs)を使用した、レーベル・オフィシャルのCD-R盤となります。

DACAPO
MAR-6.220644(1SACD)
NX-B08

NYCX-10355(1SACD)
国内盤仕様
税込定価
ルーズ・ランゴー(1893-1952):交響曲第1番「岩山の田園詩
岸壁の牧歌」BVN 32(1908-1911)
ベント・ヴィルホルト・ニルセンの比較校訂版による世界初録音
サカリ・オラモ(指)BPO

録音:2022年6月16-18日 ライヴ
1893年に生まれたルーズ・ランゴーはデンマークの音楽史上屈指の天才。11歳の時にオルガンを演奏してデビュー・コンサートを行い、これを聴いたグリーグ は感心しただけでなく空恐ろしささえ感じたと言われます。交響曲第1番に取り組んだのは14歳の時。17歳の時に完成させました。曲は5つの楽章からな り、それぞれに「打ち寄せる波と垣間見える太陽」「山に咲く花たち」「過去からの声」「登山」「勇気」というタイトルが付けられ、交響詩風の構成となっていま す。しかし、演奏時間の長さとオーケストラ編成の巨大さが災いし、デンマークの管弦楽作品の演奏を使命とするデンマーク・コンサート協会は演奏を拒否。 その後ランゴーは家族で時々訪れていたベルリンにアプローチし、アルトゥール・ニキシュに楽譜を託したところ、これが突破口となって初演が決まりました。マッ クス・フィードラーの指揮する総勢102名のベルリン・フィルによる1913年4月10日の初演は大成功で、19歳のランゴーは6回もステージに呼び出されたの でした。 初演後、ランゴーは演奏に使った総譜をベルリンの音楽研究所に寄贈しました。総譜は第2次大戦末期にソ連軍がモスクワへと持ち去ってしまいますが、 1959年に当時の東ベルリンに戻って来ます。ここに収録されたのは、初演から109年を経たベルリン・フィルによる再演のライヴ録音です。低音を厚めに鳴ら し、息の長い高揚やスケールの大きな音楽作りをするオラモの指揮にベルリン・フィルが応えた迫真の演奏で、後期ロマン派の濃厚かつ壮大な世界が広がり ます。SACDハイブリッドでの高音質リリースも嬉しいポイントです。
※国内仕様盤には原盤解説の日本語訳が付属します。

OEHMS
OC-1717(1CD)
NX-B03
マーラー:交響曲第2番ハ短調「復活」 ジュリア・モンタナーリ(S)
ベッティナ・ランチ(A)
プラハ・フィルハーモニーcho
エッセンPO
トマーシュ・ネトピル(指)

録音:2022年5月26-27日
2002年にフランクフルトで開催された「第1回サー・ゲオルグ・ショルティ指揮者コンクール」で優勝したトマーシュ・ ネトピル。チェコの次代を担う指揮者として、現在も期待を一身に集めます。エッセンPO とのマーラーの交響曲シリーズ第3弾は、独唱と合唱を伴う大規模な作品である第2番「復活」です。チェコと深 い関係にあるマーラーの音楽に深く共感するネトピルの演奏は、極めてオーソドックスな解釈によるもの。テンポや ダイナミクスを極端に設定することはせず、音楽の流れを極力大切にすることに主眼を置いており、第2楽章での 特徴的なヴァイオリンのポルタメントを活かすなど旋律を豊かに歌わせることも忘れてはいません。 第1楽章の冒頭から迫力に満ちており、最終合唱のクライマックスではソリスト、合唱とともに、復活の喜びが高ら かに奏されます。※こちらのCDの収録時間は83分を超える長時間になっているため、一部のプレイヤーでは正 常に再生できない可能性がございます。予めご了承ください。 ペア・ノアゴーとヨーン・ストルゴーズ

CPO
CPO-777943(1CD)
NX-B10
パウル・ヴラニツキー(1756-1808):交響曲集
交響曲 ト長調 Op. 50
交響曲 ニ長調 Op. 37
交響曲 イ長調 Op. 51
ハノーファー北ドイツ放送PO
ロルフ・グプタ(指)

録音:2014年6月16-20日、2016年2月23-25日
モラヴィア出身の作曲家パウル(パヴェル)・ヴラニツキーの交響曲集。20歳の時に活躍の機会を求めウィーンに移 住しハイドンやモーツァルトと交流を深め作曲家として活動。彼の作曲様式はベートーヴェンの初期の交響曲にも 影響を与えるなど、1770年代後半のウィーンにおける最も重要な交響曲作曲家の一人としてみなされました。 最近の研究によると、彼は少なくとも47曲の交響曲を作曲したとされており、このアルバムに収録されたOp.50と Op.51は1804年末、オッフェンバッハにある出版社アンドレから出版された最後のシリーズに属するものです (Op.37は1799年に同出版社から出版)。この3曲はどれも第1楽章の冒頭にはゆったりとした序奏が置かれる など、楽章構成、主題の形成などハイドンをモデルしたものと考えられますが、主題の用い方における統一感など にはヴラニツキーの独自性が感じられます。 ロルフ・グプタはノルウェー出身の指揮者。現代作曲家としても活躍する彼は、バロックから現代作品まで幅広い レパートリーを持っています。

GRAND SLAM
GS-2281(1CD)
マーラー:「大地の歌」 キャスリーン・フェリアー(C.A)
ユリウス・パツァーク(T)
ブルーノ・ワルター(指)VPO

録音:1952年5月15&16日ムジークフェラインザール(ウィーン)
使用音源:Private archive (2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:モノラル(録音セッション)
■制作者より  
ワルターとウィーン・フィルによるマーラーの「大地の歌」は、レコード史上の金字塔とも言うべきもので、今さら特に説明を加えるまでもないと思います。当シ リーズではデッカの初期LP LXT2721/2を使用して復刻したGS-2019(2007年)がありましたが、テープ復刻を主流にして以来、ずっとこの演奏の2トラッ ク、38センチのオープンリール・テープを探していました。ところが2022年の夏、ようやく念願叶ってテープを発見、入手しました。音質は、感無量と言ったとこ ろです。SACDも含めた競合盤は多数あり、何を今さらと思う人も多いかもしれません。確かに音質に関しては千差万別の受け取り方があるので一概には言えま せんが、実際にこのCDを耳にした人の8割以上は、リリースの意義を理解していただけるものと思います。  なお、当CDには歌詞対訳は添付されておりません。ご了承下さい。(平林 直哉)
GRAND SLAM
GS-2280(1CD)
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)VPO

録音:1952年11月26&27日ムジークフェラインザール(ウィーン)
使用音源:Private archive (2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:モノラル(録音セッション)
■制作者より  
もはや説明不要の名盤、VPOとのベートーヴェン「英雄」。2トラック、38センチ、オープンリール・テープによる復刻盤を一度GS-2158(2017年)で発売 しましたが、その際は標準的なテープにコピーされたものを簡易に再生してマスタリングしたものでした。それでも大好評でまたたく間に完売してしまいました。し かし、今回はその時に使用したテープを使い回さず、高品質のテープにプリントしたものを新たに取り寄せ、それを録音スタジオに持ち込み、全行程をプロ用の機 器でマスタリングを行いました。結果は全く驚くべきもので、時間とお金をかけた甲斐がありました。同様の方法で残るベートーヴェンの交響曲第1番、第4番、第 5番、第6番「田園」、第7番も準備中です。ご期待下さい。また、解説書もそれぞれ大幅に改訂しております。(平林 直哉)


PROMINENT CLASSICS
2506-5610(1CD)
朝比奈+シュトゥットガルト放送響
イベール:『寄港地』
大栗裕:交響管弦楽のための組曲『雲水讃』
プロコフィエフ:交響曲第2番
朝比奈隆(指)
シュトゥットガルトRSO

録音:1966年2月19日シュトウットガルト・フンクハウス、スタジオ(ステレオ)
朝比奈隆の 20世紀音楽が聴ける!それもシュトゥットガルト放送響とのスタジオ 録音、しかもステレオ収録です。ご子息の指揮者朝比奈千足氏もこの演奏のことは 覚えておられ、留学先のブレーメンからシュトゥットガルトを訪ねてスタジオ収録に同 席したそうです。当時のシュトゥットガルト放送響は首席指揮者がミューラー・クライで したがシューリヒトも存命で頻繁に客演し睨みを聞かせておりました。全盛期のオー ケストラの輝かしく力強いサウンド、技術的な完璧さに脱帽です。肝心の演奏です が、『寄港地』はドビュッシーの『海』と双璧をなすかのような光彩陸離の華麗な音楽 絵巻。色彩的な表現も見事です。『雲水讃』は大栗作品の中でも今なお人気のある 名曲です。1962年に朝比奈が大阪フィルと初演。仏教色の強い作品をドイツの名 門オケが奏でるという興味もつきません。大栗裕の研究家、音楽学者の白石知雄氏 によるアナライゼーションを解説に収録。そして極めつけはプロコフィエフの交響曲 第2番です。これは録音に恵まれないこの曲の屈指の名演奏です。余裕のあるテン ポ設定で拍節感も素晴らしく緊張の中にも身を任せられる包容力を持った魅力的な 演奏。ソナタ形式の第1楽章から、一転して気の抜けない千変万化の饗宴を描きつ くします。なお、朝比奈は翌1967年の10月にNHK SOに初客演し、この曲 を日本で演奏しております。そしてこれが恐らく日本初演と目されております。朝比 奈がベートーヴェン、ブラームス、ブルックナーの大家として超然とする以前の「現 代音楽の紹介者」を兼ねていた時代の貴重な記録。木之下晃氏による貴重な50 代 の朝比奈の写真であしらいました。 ※英語、日本語によるライナーノート付。

GENUIN
GEN-22783(1CD)
モーツァルト:交響曲集第2集
交響曲第1番 変ホ長調K.16
交響曲第28番 ハ長調K.200
交響曲第41番「ジュピター」
ヨハネス・クルンプ(指)
エッセン・フォルクヴァング室内O

録音:2019年9月20-23日(K.16,K.551),2021年6月24-27日(K.200)
ヨハネス・クルンプ率いるエッセンのフォルクヴァング室内OによるGENUINの モーツァルト4枚目、モーツァルトの交響曲集としては2枚目のCD。(既発は ホルン協 奏曲全集 GEN18618,交響曲第13、16、29、40番 GEN-19636,ディヴェルティメント K.136-138 GEN22762)。 これまでのCDはいずれも好評だったこのコンビのモーツァルト、今回も素晴らしい。ヨ ハネス・クルンプは1980年、シュトゥットガルト生まれの指揮者。2013年に1958年創立の エッセン・フォルクヴァング室内Oの首席指揮者、音楽監督に就任、この地方オ ーケストラを注目の楽団へと引き上げた。また2020年からはハイデルベルクSO の芸術監督に就任している。クルンプはピリオド演奏から影響を受けつつ、室内オーケ ストラならではの透明でキビキビしたモーツァルトを生み出しており、大変魅力的であ る。このCDでは最初と最後の交響曲を収録しており、9歳の作品も32歳の作品もどちら も様式に適った、そして充実した音楽に仕立てている。

Goodies
78CDR-3881(1CDR)
モーツァルト:交響曲第25番ハ短調 K.183 オットー・クレンペラー(指)
パリ・プロ・ムジカO

仏 POLYDOR A6345/6
1950年2月パリ、プレイエル音楽堂録音
オットー・クレンペラー(1885-1973)はドイツ生まれ、1910年からドイツ各地の オペラハウスでキャリアを積んだ。1927年から31年にはベルリンのクロール・オ ペラの指揮者をつとめた。ユダヤ人だった彼は1937年ナチスの迫害を逃れてアメ リカに移住、市民権を得てロサンジェルス・フィルハーモニーの音楽監督になっ た。だがカリフォルニアの土地にはなじめずその地位を離れた。第2次世界大戦 が終わるとヨーロッパ楽壇に復帰した。この録音はヨーロッパ復帰直後にパリで 行われた。プロムジカOの実体はラムルーO。この録音はSPレコ ード末期のもので日本ではほとんど知られていなかったもの。このシリーズで同 時期に録音された交響曲「リンツ」(78CDR-3433)が出ている。 復刻には「音のエジソン」 http://www.otono-edison.com/ SPレコード専用 MC型カートリッジの上級モデル「ゼロSP 78rpm」(3mil 針)とコルグのNu 1DSD録音機を使用した。(グッディーズ)


Treasures
TRE-288(1CDR)
若き日のマゼール/モーツァルト
交響曲第38番 ニ長調 「プラハ」 K. 504
交響曲第39番 変ホ長調 K. 543
ロリン・マゼール(指)
ベルリンRSO

録音:1966年9月23日-9月1日(ステレオ)
※音源:英PHILIPS 6856019
◎収録時間:62:10
“モーツァルトで浮き彫りになるマゼールの「ケレン味のない」音作り!”
■音源について
マゼールによるモーツァルトの交響曲のセッション録音は、1960年代のに数曲(1,28,25,29,38,39,40,41番)遺したのみ。

★マゼールの芸風について語るとき、「ケレン味満点」という表現がよく使われます。そのイメージを決定づけたのは、来日時のベートーヴェンの交響曲ではないでしょうか?ティンパニを追加しまくり、埋もれた対旋律を強調したりと、楽譜至上主義の人からは擬い物扱いさえされました。「作曲家が楽譜に書き込めることには限界がある」との考えのもと、スコアをあえて再構成することを終生貫徹したマゼールですが、私はその根底にあるのは強烈かつ純粋なな音楽への愛情であり、その愛を演奏に確実に内包させる手腕はは古今を通じて屈指のものだと思っています。
 そう思う最大の理由は、マゼールの引き出す音楽から「こうやって鳴らせば面白いでしょ?」という説明めいたものを感じたことがないからです。それはおよそ「ケレン味」とは正反対で、美しいと思うもの浮かび上がらせるにはこうするしかない!という当然の欲求から出た表現なので、感覚的な異質感を超えて聴く者を感動へと導くのです。その「こういうアプローチもありますよ!」的な音楽作りをする指揮者はむしろ最近増えている気がしており、残念でなりません。本気でそうしたいという切実さがなければ理屈しか伝わらず、聴き手は「そうですか。だから何?」と言うしかない。研究発表であって表現にはなり得ず、感動とも無縁です、そういう演奏こそ「ケレン味満点」と呼ぶべきではないでしょうか?
 マゼールの真の音楽愛を裏付けるもう一つの事実は、彼が遺した数少ないモーツァルトの素晴らしさ。見せかけの効果を狙って何とかなる代物ではないのです。「プラハ」」は、最晩年にN響を振って創意と瑞々しさを兼ね備えたたむせ返るほど濃密な名演を聴かせてくれましたが、それより半世紀も前のこの録音も然り。しかも驚くべき完成度!
 第1楽章序奏部に、愛のない音などどこにも見当たりません。1:40からの低弦とファゴットの連携ラインを克明に浮上させるのはいかにもマゼールですが、そこに無頓着な演奏と比べると、全体のニュアンスの豊かさと意味深さは雲泥の差。主部4:42からのヴィブラート全開の第2ヴァイオリンも愛に溢れかえり、4:55のヴィオラの突出もこれなしの演奏が考えられなくなるほどの説得力。その間の木管群による色彩表出にも余念なし。展開部はさらに声部の連動が密となり、その凝縮力には唖然とするばかりです。
第2楽章は、ニュアンスの微妙な移ろいへの反応が機敏かつ的確で、特に4:08からの色彩の陰りをこれほど感じ取って順応した演奏も稀でしょう。
第3楽章ではテンポのセンスの良さに感服。ごく標準的なテンポですが、そのテンポ自体が音楽的と呼びたいほど、全ての楽想が確実にニュアンスを発揮し尽くしており、その直感的なセンスはモーツァルト演奏において不可欠な条件でしょう。
 宇野功芳氏の指揮した演奏について何度も申し上げた通り、いわゆる常識的な演奏ではない演奏に対し単純に変な演奏だと決めつけることほど虚しいことはありません。そうシなければいられない真意を感じ取れず、未知の感動を期待せず、自分の好みしか信用できない…、そんな人間ではないと自覚されている全ての方なら、マゼールのモーツァルトの比類なき魅力を認識ていただけることでしょう。 。【2022年9月・湧々堂】

Signum Classics
SIGC-D687JP(6CD)
ベートーヴェン:交響曲全集&バリー
■CD1
ベートーヴェン:交響曲第1番
 交響曲第2番ニ長調 Op.36
ジェラルド・バリー(b.1952):「ベートーヴェン」
■CD2
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
バリー:ピアノ協奏曲
■CD3
ベートーヴェン:交響曲第4番
 交響曲第5番「運命」
バリー:ヴィオラ協奏曲
■CD4
ベートーヴェン
:交響曲第6番「田園」
バリー:アイルランド侵略
■CD5
ベートーヴェン:交響曲第7番
交響曲第8番ヘ長調 Op.93
■CD6
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付き」
バリー:永劫回帰
トーマス・アデス(指)、
ブリテン・シンフォニア、
ニコラス・ホッジス(P)、
マーク・ストーン(Br)、
ローレンス・パワー(Va)、
ジョシュア・ブルーム(Bs)、
ジェニファー・フランス(S)、
クリスティアーネ・ストーティン(Ms)、
エド・ライオン(T)、
マシュー・ローズBs)、
ロイヤル・ホロウェイcho

録音:2017年〜2019年、シアター・ロイヤル(ブライトン)&バービカン・センター(ロンドン)
ブリテンの再来とも称されるイギリスの人気作曲家、指揮者、ピアニスト、トーマス・アデス(1971-)。日本では武満徹作曲賞2020の審査員にも選ばれ、多くの作品が名だたるアーティストたちによって演奏・録音されるなど、近年は特に作曲家として華々しい活躍を魅せています。
ベートーヴェンの交響曲全9曲に、アイルランド国立SOのコンポーザー・イン・レジデンスなどを務め、ベートーヴェンから大きな影響を受けたというアイルランドの作曲家ジェラルド・バリー(b.1952)の作品を組み合わせて収録してきた、「ベートーヴェン&バリー」プロジェクト。2枚ずつリリースされていた全3巻がセットになった6枚組に、小室敬幸氏書き下ろしの日本語解説を封入したBOXセットが登場!
ジェラルド・バリーの「ベートーヴェン」はベートーヴェンの謎多き手紙「不滅の恋人」のテキストを歌うミニ・オペラ的作品。「永劫回帰(The Eternal Recurrence)」は、ベートーヴェンの「第九」とペアになる作品としてニーチェの「ツァラトゥストラはかく語りき」からの抜粋をテキストに用いて作曲されたソプラノと管弦楽のための作品。その他、ニコラス・ホッジスやローレンス・パワーがソリストを務める協奏曲など興味深いバリーの作品にも注目。トーマス・アデスの刺激的でユニークな解釈のベートーヴェンと合わせて、ベートーヴェン・ファン必聴必携の交響曲全集となることでしょう。

Chandos
CHSA-5315(1SACD)
ストラヴィンスキー:交響曲集
グリーティング・プレリュード(1955)
交響曲 ハ調(1938-40)
ディヴェルティメント(1934,1949改訂)
サーカス・ポルカ(1942)
3楽章の交響曲(1942-45)
アンドルー・デイヴィス(指)
BBCフィルハーモニック

録音:2019年4月26日&2022年3月21日-22日、メディアシティUK(マンチェスター、イギリス)
イギリス音楽を得意とし、BBCSO、メルボルンSOなどの音楽監督を務めてきたイギリスを代表する指揮者、アンドルー・デイヴィスによるストラヴィンスキー!
ストラヴィンスキーの「春の祭典」や「ペトルーシュカ」を初演したピエール・モントゥーの80歳の誕生日を祝った「グリーティング・プレリュード」から始まり、大半がパリで書かれ、作曲当時妻と娘を失うというストラヴィンスキーにとっては非常につらい時期に作曲された「交響曲 ハ調」(シカゴSO創立50周年記念委嘱作品)が収録されています。また、ニューヨーク・フィルハーモニックから委嘱され、第2次世界大戦を伝える映像を観たことに影響されたという「3楽章の交響曲」など激動の時代に作曲された作品を多く集めた今作。これまでに多数のオーケストラや音楽祭などで主要なポストを務めてきた巨匠アンドルー・デイヴィスが卓越したタクトでストラヴィンスキーの名曲を奏でます。
Chandos
CHSA-5297(1SACD)
ラフマニノフ:交響詩「死の島」 Op.29
ヴォカリーズ Op.34-14(作曲者自身による管弦楽版)
交響曲第3番イ短調 Op.44
ジョン・ウィルソン(指)、
シンフォニア・オヴ・ロンドン

録音:2021年9月9日-11日、セント・オーガスティン教会(キルバーン、ロンドン)
3年連続となるBBCミュージック・マガジン賞受賞(「デュティユー:バレエ音楽 「狼」」〔RCHSA5263/CHSA5263〕、「レスピーギ:ローマ三部作」〔RCHSA5261/CHSA5261〕、「コルンゴルト:交響曲嬰ヘ調」〔RCHSA5220/CHSA5220〕)や、2021年のBBCプロムスでの初コンサートの世界的な評価で著しい躍進を続けるジョン・ウィルソンと、彼が再結成した“シンフォニア・オヴ・ロンドン”、次なるリリースは「ラフマニノフ」!
スイスの画家アルノルト・ベックリンの油彩画を題材にした「死の島」、愁いを帯びた名旋律が様々なアレンジで広く親しまれている「ヴォカリーズ」と組み合わせこのアルバムのメインに据えたのは、ラフマニノフ晩年の傑作として名高い「交響曲第3番」。1917年に起こったロシア革命によりアメリカへ亡命したラフマニノフは、多忙な演奏活動、指揮活動のため思うように作曲に専念できず、亡命後から世を去るまでの25年間で書いた管弦楽作品はわずか4曲にとどまります。そんな中スイスのルツェルン湖畔に構えた別荘で大部分が書き上げられ1936年に完成した交響曲第3番は、有名な交響曲第2番やピアノ協奏曲第2番で見られたようなロシアらしい甘美でロマンチシズム溢れる曲風からはやや離れ、より複雑で洗練された管弦楽法が際立つ作曲家人生の集大成ともいえる作品です。ジョン・ウィルソン&SOLは煌びやかな管楽器、しなやかな弦のサウンドを存分に活かし、彼らならではの豊かな色彩感でこの傑作の魅力を余すところなく引き出しています。

Da Vinci Classics
C-00618(1CD)
マーラー:交響曲第4番(エルヴィン・シュタイン編曲による室内楽版) アンサンブル・ジュリオ・ルスコーニ、
ダリオ・ガレニャーニ(指)、
マルコ・ピソーニ(芸術監督)

録音(ライヴ):2022年1月5日、ラ・カーサ・デッラ・ムジカ(チェザーノ・ボスコーネ、イタリア)
エルヴィン・シュタインが1921年に編曲を施したマーラーの「交響曲第4番」の室内楽版をイタリア勢がレコーディングしました!
ソプラノ、フルート、オーボエ、クラリネット、2本のヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、ピアノ、ハーモニウム、そして打楽器という編成のシュタイン版マラ4。ここではハーモニウムの代わりとしてアコーディオンが用いられています。
アンサンブル・ジュリオ・ルスコーニはマルコ・ピソーニの呼びかけにより2013年に結成されたイタリアの室内オーケストラ。バッハから近現代作品まで、幅広いレパートリーを誇っています。
指揮者のダリオ・ガレニャーニはマウリシオ・カーゲルのアシスタントを務め、シェーンベルクの「月に憑かれたピエロ」のイラン初演を担当した経歴の持ち主。
特に近現代音楽のフィールドでの活躍は目覚ましく、今回もその巧みなタクト捌きで小編成マーラーを見事にまとめています。

Channel Classics
CCS-44722(1CD)
ハイドン:交響曲「朝」「昼」「晩」
交響曲第6番ニ長調「朝」Hob. I:6
交響曲第7番ハ長調「昼」Hob. I:7
交響曲第8番ト長調「晩」Hob. I:8
フロリレジウム(古楽器使用)
コンサートマスター:アガタ・ダラスカイテ(Vn)
アシュリー・ソロモン(指揮・フルート)

録音:2021年11月セント・ジョーンズ教会、アッパー・ノーウッド、ロンドン
小編成の室内楽編成を軸に、時には合唱を交えた大規模編成の作品も演目に選びながら、17〜18世紀の楽団規模に合わせ弦楽合 奏の員数を絞った緊密なアンサンブルで、バロックや古典派の音楽本来の姿を問い続けてきた英国の古楽器アンサンブル、フロリレジウム。 ハイドン作品ではウィスペルウェイとのチェロ協奏曲の録音(CCS7395)がある他、後期のロンドン交響曲を当時の室内楽編曲版で演奏も しています(第104番はチェロ協奏曲のアルバムに併録、他に第93・94・101番も室内楽版で録音〔CCSSA19603〕)が、今回は当初か ら小編成のオーケストラでの演奏を念頭に置いて作曲された初期の3連作「朝・昼・晩」が選ばれました。エステルハージ侯爵家に雇われて 間もない若きハイドンが主君の余興のために書いたこれら3曲は、侯爵家に雇われていたヴァイオリンのトマジーニやチェロのクラフトなど名手た ちの腕前が際立つよう、随所に各楽器のソロが盛り込まれている点が魅力の一つ。作曲当時の侯爵家でこれらの交響曲を披露した宮廷 楽団の規模通り(チェンバロ抜き・弦は3/3/2/2/1)で、室内楽とオーケストラの区別も明確ではなかった18世紀半ばの音作り本来の面白 さに迫り、フロリレジウムの持ち味が最大限に活かされた出色の好演に仕上がっています。あらゆる細部に深い音楽知が潜む後年の大作群 への第一歩が早くも詰まった初期の傑作を、作曲家の真意に迫った解釈で味わえる絶好の1枚と言えましょう。


LSO Live
LSO-0858(1SACD)
KKC-6600(1SACD)
国内盤仕様
税込定価
ノセダ/ャイコフスキー:Sym#5
チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調Op.64
リムスキー=コルサコフ:「見えざる町キーテジと聖女フェヴローニャの物語」組曲
ジャナンドレア・ノセダ(指)LSO

録音:2019年11月3日、28日* ロンドン、バービカン・ホール(ライヴ)
交響曲第4番の熱演で注目されたノセダ&LSOのチャイコフスキー第2弾。待望の第5番が登場となります。チャイコフスキーの5番といえば、ノセダの親 分ゲルギエフをはじめ名盤・名演揃いですが、新たな一枚が加わります。
ノセダの演奏は推進力に満ち、「熱い」の一言に尽きます。第1楽章とフィナーレの主部はどちらもテンポが速くスヴェトラーノフを思わせますが、ノセダは さすがイタリア人、カンタービレなメロディの歌わせ方が絶品。この名作を新たな気持ちで聴くことができます。
カップリングはリムスキー=コルサコフのオペラ「見えざる町キーテジと聖女フェヴローニャの物語」中の4つのオーケストラ・ナンバー「前奏曲」「婚礼の行列」 「ケルゼネツの戦い」「フェヴローニャの死と見えざる町への巡礼」を組曲としたもの。「ロシアのパルジファル」とも称される作で、オーケストレーションの素 晴らしさはほとんど神業。ロシア民謡を多用した美しい音世界に浸れます。LSOは驚愕の巧さでノセダの音楽づくりを実現しています。 (Ki)

EUROARTS
20-54388D(DVD)
アバド&ポリーニ/ルツェルン音楽祭2004
マーラー:交響曲第5番嬰ハ短調
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第4番
マウリツィオ・ポリーニ(P)
ルツェルン祝祭O、
クラウディオ・アバド(指)

収録:2004年8月18,19日 ルツェルン,コンサート・ホール(ライヴ)
画面:16:9、NTSC
音声:PCMステレオ、107分
これまでボックス・セットにしか収録されていなかった、2004年にアバドとポリーニがルツェルン音楽祭で共演した際の映像がDVDで単独リリースされます。
アバドは、2002年にベルリン・フィルの首席指揮者を退任した後、自身が設立したマーラー室内OやモーツァルトOといった若手オーケストラへ の心血を注いでいました。中でも音楽監督を務めていたルツェルン祝祭Oはアバドにとって特別な存在でした。音楽祭のために毎年優秀な若手音楽家やベ ルリン・フィルやウィーン・フィルの旧知の名奏者がアバドに下に集結し、毎年洗練された演奏を展開していました。
ここに収録されている演奏も、そうしたアバドを中心とした熱い連帯感を感じることのできる音楽で、マーラーの交響曲第5番では、終楽章が終わると同時に 拍手とブラボーの嵐が沸き起こりました。ポリーニをソリストに迎えたベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番では、ポリーニの水晶のように磨き上げられた演奏と、 躍動するオーケストラ、ソリストを引き立たせるアバドの指揮振り、すべてが一体となった見事な演奏でルツェルン音楽祭の歴史に残る名演のひとつと言えるで しょう。 (Ki)

Challenge Classics
CC-72803(1SACD)
シューベルト:交響曲全集第4集
交響曲第5番変ロ長調 D.485
交響曲第6番ハ長調 D.589
ヤン・ヴィレム・デ・フリエンド(指)
ハーグ・レジデンティO

録音:2022年1月18-21日/ハーグ、コンサートホール・アマーレ
2015年からハーグ・レジデンティOの首席指揮者を務めているヤン・ヴィレム・デ・フリエンドによるシューベルト全集録音シリーズ第4弾。完結編と して、第5番と第6番を収録。SACDハイブリッドで音質優秀。
第5番はクラリネット、トランペット、ティンパニが省かれた編成による、軽やかな作品。フリエンドはしなやかな響きながらも過度に走ったりせず、モダン・オケ らしいふっくらとした音楽を聴かせます。第6番は当時大人気だったロッシーニの様式を採り入れたと作品と言われ、終楽章はいくつかの情景が連鎖していくオペ ラのワンシーンのような音楽。ここでもフリエンドは柔らかくも充実した響きで、旋律を優美に奏でています。 (Ki)

Arte dellarco Japan
ADJ-068(2CD)
オーケストラ・リベラ・クラシカ/第44回定期演奏会
ハイドン:交響曲第4番ニ長調 Hob.I:4
ハイドン:交響曲第104番ニ長調 Hob.I:104「ロンドン」
モーツァルト:フルート協奏曲第1番ト長調 K.313
J.C.バッハ:フルート協奏曲 ニ長調 W.C79
バルトルド・クイケン(Fl)(3)
鈴木秀美(指)、
オーケストラ・リベラ・クラシカ

ライヴ録音:2019年11月9日上野学園 石橋メモリアルホール
オーケストラ・リベラ・クラシカ(OLC)第44回定期演奏会をライヴ収録した当盤は、ハイドンの交響曲第4番、第104番「ロンドン」、そして巨匠バルトルド・ クイケンを独奏に迎えたモーツァルトのフルート協奏曲第1番とヨハン・クリスチャン・バッハのフルート協奏曲という充実のプログラムです!
ハイドンの交響曲第4番は颯爽とした勢いと、彼の頭の回転を示すかのように不思議なフレージングが特徴的な初期作。一方、ハイドンの代表作「ロンドン」はハ イドンが63歳の時の産物。最初期・最後期、ともにニ長調の交響曲を組み合わせるのも鈴木秀美率いるOLCならではといえます。
そしてバルトルド・クイケンとの2つの協奏曲も大注目!鈴木秀美をはじめOLCのメンバーの中にもクイケン兄弟から様々な形で多くを学んできました。バルト ルド・クイケンを独奏に迎えての演奏は実に感慨深く、生き生きとした彼らの音楽は愛情と温かさに満ちています。当演奏会ではモーツァルトの第1番と知られざ る名曲J.C.バッハという2篇の協奏曲が演奏されました。OLCのアルバムから新たな必聴盤の登場です! (Ki)


RCO Live
RCO-19007(15CD)
ニコラウス・アーノンクール& ロイヤル・コンセルトへボウO/
ライヴ放送録音集1981-2012




■CD1&CD2
バッハ:ヨハネ受難曲BWV245(1724/1749)
■CD2(続き)
メンデルスゾーン:詩篇第42「枯れた谷に鹿が水を求めるように」Op. 4
■CD3&CD4
ハイドン:オラトリオ「天地創造」 Hob.XXI-2
■CD4(続き)
モーツァルト:演奏会用アリア「どうしてあなたを忘れられよう」 K. 505
■CD5
モーツァルト:交響曲第39番変ホ長調 K. 543
交響曲第40番ト短調 K. 550
■CD6
モーツァルト:交響曲第41番ハ長調 K.551「ジュピター」
ピアノ協奏曲第13番ハ長調K.415/387b
■CD7&CD8
ベートーヴェン:ミサ・ソレムニス
■CD8(続き)
ベートーヴェン:交響曲第1番ハ長調Op.21
ああ不実なる人よ Op. 6
■CD9
シューベルト:交響曲第8(9)番ハ長調「ザ・グレイト」
■CD10
(1)シューベルト:交響曲第7(8)番ロ短調「未完成」
(2)ブラームス:交響曲第1番ハ短調Op.68
■CD11
シューマン:マンフレッド序曲O
交響曲第1番変ロ長調 Op.38「春」
交響曲第3番変 ホ長調 Op.97「ライン」
■CD12
(1)ブラームス:悲劇的序曲
 交響曲第3番へ長調 Op.90
(2)ドヴォルザーク:聖書の歌 Op.99
■CD13[66:32]
ドヴォルザーク:交響曲第7番
リハーサル断片
■CD14
(1)ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」
(2)J・シュトラウス:美しく青きドナウ
 「こうもり」より 三重唱「ひとりになるのね」、「故郷の調べは」*
■CD15
メンデルスゾーン:「夏の夜の夢」 Op. 21&61
ニコラウス・アーノンクール(指)
ロイヤル・コンセルトへボウO
■CD1&CD2
クルト・エクヴィルツ(テノール:福音史家)、ロベルト・ホル(バス:イエス)、ヨランタ・ラデック(S)、マルヤーナ・リポフシェク(A)、アントニー・ロルフ・ジョンソン(T)、アントン・シャリンガー(Bs)
録音:1984年4月15日
■CD2(続き)
録音:2009年4月26日(メンデルスゾーン)
■CD3&CD4
録音:2000年10月22日
■CD4(続き)
シャルロット・マルジョーノ(S)、マリア・ボン(P)
録音:1992年1月9日
■CD5[64:08]
録音:1991年1月27日
■CD6
マルコム・フレイジャー(P)
録音:1981年9月18日
■CD7&CD8
マルリス・ペーターゼン(S)、エリーザベト・クールマン(A)、ヴェルナー・ギューラ(T)、ジェラルド・フィンリー(Br)、オランダ放送cho
録音:2012年4月25日
■CD8(続き)
シャルロット・マルジョーノ(S)
録音:1998年3月19日
■CD9
録音:1992年11月11日
■CD10
(1)録音:1997年11月7日
(2)録音:1996年3月24日
■CD11
録音:2004年11月28日
■CD12
(1)録音:1996年1月20日
(2)クリスティアン・ゲルハーヘル(Br)
録音:2004年11月28日
■CD13
(1)録音:1998年3月20日
(2)録音:1998年3月16-17日
■CD14[80:40]
(1))録音:1997年4月3日
(2)マグダ・ナドール(S)、アーリーン・オジェー(S)*、トーマス・ハンプソン(Br)
録音:1984年6月7日
■CD15
ユリア・クライター(S)、エリーザベト・フォン・マグヌス(アルト、ゲルト・ベックマン(ナレーター)
オランダ室内cho
録音:2009年4月26日
2015年12月に演奏活動の引退を表明、翌2016年3月5日86歳で死去した指揮者のニコラウス・アーノンクール。1975年3月21日に指揮したJ.S.バッ ハの『ヨハネ受難曲』の伝説的なデビュー公演以来、コンセルトへボウOとは密接な関係を保ってきました。2000年からは名誉客演指揮者のポストに就き、 2013年10月25日と27日の2日間に亘り、アムステルダムでおこなったコンセルトヘボウ管との最後のコンサート「ブルックナーの第5交響曲」(映像で発売済 /RCO14106,RCO14103)まで、コンセルトヘボウ管との公演は延べ276に上り、そのどれもが観客にとっても忘れがたい特別なコンサートとなっています。 当ボックスセットには、1981年の「モーツァルト:交響曲第41番"ジュピター"」から、2012年の「ベートーヴェン:ミサ・ソレムニス」までの未発表放送音源が CD15枚分収録されています。 今でこそ古楽器やピリオド奏法が広く知られていますが、それは古楽界の先駆者であるアーノンクールの活躍が大きく影響しています。また、バロックや古典派の 音楽をモダン楽器でどう演奏するかという貴重な知識をオーケストラにもたらしただけではなく、彼の音楽哲学はロマン派の音楽においても同様の説得力を持ち、 現在まで受け継がれています。アーノンクールが残した数々の名演奏とともに、アーノンクールとコンセルトへボウ管の演奏史を振り返ることのできる内容です。

ALPHA
ALPHA-645(1CD)
シベリウス:交響曲第3番ハ長調 Op. 52
交響曲第5番変ホ長調 Op. 82
ポヒョラの娘 Op. 49
イェーテボリSO
サントゥ=マティアス・ロウヴァリ(指)

録音:2018年5月、2019年6月、2022年6月 イェーテボリ・コンサート・ホール、スウェーデン
世界各国で高い評価を得た第1番、第2番に続く、ロウヴァリとイェーテボリ響によるシベリウス交響曲全集の第3弾が登場。これまで第2番 はレコード芸術誌2021年11月号「新時代の名曲名盤500」で同曲の第1位に、第1番は第2位に選出されています。今回はシベリウス 転換期の重要作第3番と高い人気の第5番、そして第3番の前年に書かれた交響詩「ポヒョラの娘」を収録。これまでのアルバム同様、今 回もテンポやダイナミクスの設定に個性的な解釈が聴かれますが、新鮮であると共に大きな説得力を持つことに驚かされます。 交響曲第3番はヘルシンキ郊外の豊かな自然に触発されたと言われる美しい作品ですが、その純朴な主題や展開は扱いがやや難しいとこ ろ。ロウヴァリは第1楽章冒頭の低弦から躍動的に歌わせ、その後も大きなメリハリを付けながら熱く迷いのない音楽を展開。それは、シベリ ウスの中後期交響曲の始まりとされるこの作品にの中にも息づく、初期作品に顕著であったロシア音楽の影響と、フィンランドの民族性を併 せて強く認識させるものとなっています。また第5番はシベリウス自らの50歳を祝う演奏会のために作曲された祝典的な内容で、近年特に人 気のある作品。ロウヴァリはここでもオーケストラをたっぷりと鳴らしてクライマックスを形作り、作曲家が、頭上を16羽の白鳥が旋回する様の 美しさに触発されたと語った自然描写を雄大に描ききっています。何曲も書かれるうち、長さも楽器編成もどんどん小さく濃密になっていった シベリウスの交響曲に対して、比較的大規模な編成で書かれ続けた交響詩ですが、ここに収録された「ポヒョラの娘」も三管編成。フィンラン ドの民族抒情詩『カレワラ』に登場する英雄ワイナミョイネンと、彼が出会ったポヒョラの娘の物語を、ロウヴァリは活き活きと描いています。
ALPHA
ALPHA-872(1CD)
憧れ〜ライヴ・イン・ロッテルダム
ベルク:初期の7つの歌 (レインベルト・デ・レーウ編)
 4つの歌曲 Op. 2(ヘンク・デ・フリーヘル編)
マーラー:交響曲第4番ト長調 (エルヴィン・シュタイン編)
バーバラ・ハンニガン(S)
ラウル・ステファニ(Br)
カメラータRCO
ロルフ・フェルベーク(指)

録音:2021年4月30日 デ・ドゥーレン、ロッテルダム、オランダ (無観客ライヴ)
主にオランダで指揮者、編曲者として活躍しているロルフ・フェルベークと、ロイヤル・コンセルトヘボウOの団員で組織される室内アン サンブル、カメラータRCOによるベルクとマーラー。ベルクの『初期の7つの歌』では、ピアニストとして活躍したレインベルト・デ・レーウがオリジナ ルのピアノ譜から編曲した版(作曲者自身による管弦楽版も参考にしていると思われます)、『4つの歌曲』はオランダ放送フィルの打楽器奏 者であり、デ=メイ「指輪物語」の管弦楽編曲などでも知られるヘンク・デ・フリーヘルによる版を使用。マーラーの交響曲第4番は、シェーンベ ルクの弟子であったエルヴィン・シュタインが「私的演奏協会」のために編曲したもの。ソリストを務めるのは後期ロマン派、新ウィーン楽派から 同時代音楽までのスペシャリストであるバーバラ・ハンニガンと、オランダの若きバリトン、ラウル・ステファニ。2020年からの世界的パンデミックの 中で、様々な管弦楽作品を小編成のカメラータRCOのために編曲してきたというフェルベークとアンサンブルの意思疎通は非常に親密なもの で、ハンニガンらも奥行きのある表情でこの秀演をさらに表現豊かなものにしています。このアルバムはロッテルダムのデ・ドゥーレンにて収録さ れたストリーミング用無観客公演の様子を収めたもの。今の時代ならではのライヴ・パフォーマンスと言えるでしょう。

TOCCATA
TOCC-0512(1CD)
NX-B03
チャールズ・ローランド・ベリー(1957-):管弦楽作品集 第1集
序曲「オリンピック・マウンテン」(2003)
交響曲第4番(2017)*
交響曲第5番(2021)#
モラヴィアPO
リヴィウ国立PO*
ポーランド・ヴィエニャフスキPO#
ジョエル・エリック・スーベン(指)
テオドレ・クチャル(指)*,#

録音:2003年6月8日、2020年11月17-20日 Philharmonic Hall, Lviv(ウクライナ)*、2022年5月15-18日 Philharmonic Hall, Lublin(ポーランド)#
全て世界初録音
1957年、マサチューセッツ州ボストンに生まれた作曲家チャールズ・ローランド・ベリー。 カリフォルニア大学でピーター・ラシーン・フリッカーに作曲を学んだ後、ポール・クレストンに師事しました。フリーメイ ソンに惹かれ、マスターメイソンの地位を持つというベリー(彼によればモーツァルトやシベリウスも同様という)は、フ リーメイソン由来の哲学や神秘的な思想と、現実的な考えを合わせ持ち、クラシック音楽の新作は「聴いて楽し く、弾いて楽しい音楽でなければ」を持論としています。ここに収められた3作品は、アメリカ人ならば「ビッグ・カント リー(大いなる田舎、故郷)」という言葉を連想させる、素朴でありながらも雄大な映画音楽風のサウンドを持っ ています。序曲「オリンピック・マウンテン」はワシントン州のオリンピック国立公園のイメージ。「交響曲第4番」は5 という数を神秘的に解釈した標題音楽風の作品。2021年の作品である「交響曲第5番」は、不安げな音楽 で始まり、管楽器や打楽器の活躍する中間部を経て、最後は賢者に擬せられたホルンの導きで皆が協和する 世界に至るという筋書きを持っています。2つの交響曲を指揮するのはテオドレ・クチャルです。

フォンテック
FOCD-9873(1CD)
2022年10月5日発売
ブルックナー:交響曲第5番変ロ長調 <ノーヴァク版> 尾高忠明(指)
大阪フィルハーモニーSO

録音:2022年2月 14日 第 54回東京定期演奏会 サントリーホール・ライブ
尾高忠明は、2018年に大阪フィル第 3代音楽監督に就任。爾来各シーズンを通じ、ブルック ナーの交響曲を必ず演奏してまいりました。その第 4弾が、2022年 2月の第 555回定期、 そして直後に開催された第 54回東京定期で演奏された「第 5交響曲」です。 円熟とともに自在さを深める尾高の指揮は、朝比奈時代より継承するオーケストラの力感溢れる 響きを更なる高みへと導きました。 尾高=大阪フィルによる「ブルックナー 新しい伝統」― 神秘のピッツィカートから天空を仰ぐ ばかりの大伽藍を建立する時間です。 (フォンテック)

NIFC
NIFCCD-143(1CD)
リピンスキ:交響曲集
スタニスワフ・モニューシュコ:演奏会用序曲「おとぎ話」
カロル・リピンスキ:交響曲 ハ長調 Op.2-2、
 交響曲 変ロ長調 Op.2-3
{oh!} オルキェストラ・ヒストリチナ、
ディルク・フェルミューレン(指)

録音:2019年9月&2021年8月(ポーランド)
小泉元首相のお気に入りの作曲家としても知られる「ポーランドのパガニーニ」ことカロル・リピンスキ(1790-1861)の知られざる交響曲に、NIFCが積極的に録音を進めている19世紀ポーランド楽壇の重要人物、スタニスワフ・モニューシュコのもっとも優れたオーケストラ作品とされる「おとぎ話 Bajka」をカップリング!
リピンスキは当時の最も偉大なヴァイオリン・ヴィルトゥオーゾのひとりであり、19世紀前半のポーランドのピアノ音楽を代表するのがショパンなら、ヴァイオリン音楽を代表するのはリピンスキだと言うことができるでしょう。1818年に彼と2度共演したパガニーニは、「1番のヴァイオリニストが誰かは分からないが、2番目はリピンスキである」と述べ、リピンスキにアマティのヴァイオリンを遺贈しています。またシューマンもリピンスキの演奏を称え、彼に「謝肉祭」を献呈しました。ここに収められた2つの交響曲はどちらも1810年以前に書かれたもので、旋律の豊かさ、創意工夫が若きリピンスキの疑う余地のない才能を証明しています。一方、モニューシュコの演奏会用序曲「おとぎ話」は、1848年頃に作曲・初演されたもので、作曲者自身の一番のお気に入り作品でした。作品はソナタや交響詩の要素を含んでおり、旋律の独創性、主題の巧みな扱い、色彩的なオーケストレーションなど、モニューシュコの魅力が詰まっています。これらの作品を色鮮やかに聴かせるのは、ヤクブ・ゴウォンベク(ポーランド古典派の作曲家、c.1739-1789)の交響曲集(NIFCCD-115)でも素晴らしい演奏を披露した、ポーランドの古楽器オーケストラ「{oh!} オルキェストラ・ヒストリチナ」(ヒストリカル・オーケストラ 「oh!」)です。

Chandos
CHAN-20161(1CD)
ルース・ギップス:管弦楽作品集 Vol.2
序曲「シャンティクリア 」 Op.28
オーボエ協奏曲 ニ短調 Op.20
交響詩「青白い馬に乗った死」 Op.25
交響曲第3番Op.57(全曲世界初録音)
ユリアナ・コッホ(Ob)、
ラモン・ガンバ(指)、
BBCフィルハーモニック

録音:2019年12月19日&2022年1月6日、メディアシティUK(イギリス、マンチェスター)
ヴォーン・ウィリアムズやゴードン・ジェイコブに師事したイギリスの女性作曲家、ルース・ギップス(1921-1999)の管弦楽作品集第2弾!「交響曲第2番」や「交響曲第4番」を収めた第1弾(CHAN20078)に続き、指揮はラモン・ガンバ、今作は第2次世界大戦中に書かれた3作品と、これまでにほとんど聴かれることの無かった「交響曲第3番」を収録しています。変化に富んだ「オーボエ協奏曲」(ソロはLSOの首席奏者、ユリアナ・コッホ!)、未完のオペラのための序曲「シャンティクリア」、ウィリアム・ブレイクの絵画に基づく交響詩「青白い馬に乗った死」、グロッケンシュピールやチェレスタ、タムタムなど多数の打楽器を必要とする大編成のオーケストラのために書かれ、終楽章ではフーガも繰り広げられる「交響曲第3番」、どの作品も彼女の管弦楽に対する優れた手腕を示しています。
イギリスの海辺のリゾート地、ベクスヒル=オン=シーに生まれたルース・ギップスは、16歳で王立音楽院に入学し、作曲家・ピアニストとして急速に成長。ゴードン・ジェイコブやレイフ・ヴォーン・ウィリアムズに師事したほか、レオン・グーセンスにオーボエを学び、バーミンガム市立Oのオーボエ奏者としても活躍しました。彼女の英国音楽界への貢献は多岐にわたっており、近年録音も増えてきています。

KLANGLOGO
KL-1513(1CD)
ブラームス:交響曲第1番&第2番
ブラームス:交響曲第1番ハ短調 Op.68
交響曲第2番ニ長調 Op.73
ハワード・グリフィス(指)、
フランクフルト・ブランデンブルク州立O

録音:2014年9月29日-10月2日、コンサートホール・“ C.P.E.バッハ”・フランクフルト(オーダー、ドイツ)
ハワード・グリフィスは1950年イギリス生まれの指揮者。ロンドンの王立音楽大学を卒業後世界各地の一流オーケストラの指揮台に立っており、これまでに様々なレーベルからリリースされてきたディスクは100枚を数えます。グリフィスが2007/08シーズンから2018年まで音楽総監督を務めたフランクフルト・ブランデンブルク州立O(ヘッセン州のフランクフルト・アム・マインではなくポーランド国境近くのブランデンブルク州のフランクフルト・アン・デア・オーダーが拠点)は、浮ヶ谷孝夫の指揮による日本公演での成功をはじめ、わが国においても着実にファンを獲得しているオーケストラ。
ドイツのオーケストラにとっては避けては通れないこの偉大な作品を録音するにあたってグリフィスは、マイニンゲン宮廷Oの楽長も務めた19世紀の指揮者、フリッツ・シュタインバッハ(1855-1916)が遺した資料を可能な限り収集し徹底的に研究。ブラームス演奏の最高の解釈者としてブラームス本人にも認められていたシュタインバッハが遺した痕跡に従ってテンポ設定やフレージングなど細部まで突き詰め、ブラームス存命当時の演奏スタイルの再現を試みています。オーケストラもグリフィスの要求に高水準の演奏で応えており、無数の演奏が生み出されてきた名曲に新たな彼らなりの答えを見出しています。
KLANGLOGO
KL-1514(1CD)
ブラームス:交響曲第3番&第4番
ブラームス:交響曲第3番ヘ長調 Op.90
交響曲第4番ホ短調 Op.98
ハワード・グリフィス(指)、
フランクフルト・ブランデンブルク州立O

録音:2015年6月22日-25日、コンサートホール・“ C.P.E.バッハ”・フランクフルト(オーダー、ドイツ)
ハワード・グリフィスは1950年イギリス生まれの指揮者。ロンドンの王立音楽大学を卒業後世界各地の一流オーケストラの指揮台に立っており、これまでに様々なレーベルからリリースされてきたディスクは100枚を数えます。グリフィスが2007/08シーズンから2018年まで音楽総監督を務めたフランクフルト・ブランデンブルク州立O(ヘッセン州のフランクフルト・アム・マインではなくポーランド国境近くのブランデンブルク州のフランクフルト・アン・デア・オーダーが拠点)は、浮ヶ谷孝夫の指揮による日本公演での成功をはじめ、わが国においても着実にファンを獲得しているオーケストラ。
交響曲第1番、第2番の翌年に録音セッションが行われたブラームス・サイクルの後半となる交響曲第3番、第4番でもグリフィスは、第1番、第2番と同様にマイニンゲン宮廷Oの楽長も務めた19世紀の指揮者、フリッツ・シュタインバッハ(1855-1916)が遺した資料を可能な限り収集し徹底的に研究。ブラームス演奏の最高の解釈者としてブラームス本人にも認められていたシュタインバッハが遺したコメントのひとつひとつまで拾い上げ、細かいテンポ設定、絶妙な強弱のバランス、アクセントの微妙な変化を効果的に表現。オーケストラの好演にも助けられブラームスが描いていた演奏スタイルの再現を見事に形にしています。細部までこだわり抜かれた演奏は数多くの名盤がひしめくこの名曲においても一聴の価値のあるアルバムに仕上がっています。

GRAND SLAM
GS-2277(1CD)
フランク:交響曲 ニ短調 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)VPO

録音:1953年12月14日、15日ウィーン、ムジークフェラインザール
使用音源:Private archive (2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
モノラル(録音セッション)
■制作者より  
1953年にセッション録音されたフランクはGS-2169(2017年/廃盤)以来の再登場となります。今回もまた2トラック、38センチのオープンリール・テー プを録音スタジオに持ち込み、マスタリングの全行程をプロ用の機器で行いました。その出来栄えはマスタリング・エンジニアも驚くほど、圧倒的な素晴らしさです。 柔らかく繊細な表情から、仰ぎ見るような巨大なスケール感までくまなく捉えられ、音色は万華鏡のように多彩です。おそらくは、フルトヴェングラーの生の音に最 も近いものと思われます。  では、このフランクに何を組み合わせるべきか? いくつか候補をあげ、悩みに悩みました。しかし、このフランクに匹敵する音質のものは他にありません。従っ て、この突出した演奏の印象をより大切にするには、フランクのみの収録が最善と判断しました。  また、解説書にはこのフランクに関連する情報を限りなく収拾し、掲載しました(全12ページ)。(平林 直哉)

SWR music
SWR-19120CD(1CD)
NX-B06
ニールセン:交響曲第2番ロ短調「四つの気質」 Op. 16FS 29
交響曲第4番「不滅」 Op. 29*
シュトゥットガルトRSO
ロジャー・ノリントン(指)

録音:2003年12月18-19日、2001年1月17-19日*
※初CD化
ロマン主義からモダニズムへの移行期にあった20世紀初頭の作曲家の中でも、特に既成概念から逸脱した独創性で知られ、当時としては挑発的な存在 として受け止められていたニールセン。6曲ある交響曲はどれも独自性の高いものですが、ここに収録された2曲の交響曲はどちらも彼の特徴が良く表れて います。 第2番は中世の時代、人間の人格を構成すると考えられていた"4つの気質"を音楽で描いたもので、各々異なる性格が絶妙に表現されています。第4番 は彼の代表作の一つであり、ニールセン自身による「滅ぼし得ざるもの(不滅)」というタイトルが付されています。 ノリントンは1998年から2011年の13年間にわたりシュトゥットガルトRSOの首席指揮者を務め、作曲当時に聴衆が感じたサウンド・イメージに 迫るために、時代考証に基づいてオーケストラのサイズ・配置・奏法を調整し、弦楽器のノンヴィブラート演奏を基調とする「シュトゥットガルト・サウンド」と呼 ばれる独自のスタイルを編み出しました。古典派やロマン派の作品でめざましい効果を発したこのスタイル、ここでは荒々しい自然の力を感じさせるような箇 所でも響きが濁らず、ニールセンのオーケストレーションを明快かつ劇的に聞かせます。

SWR music
SWR-19432CD(10CD)
NX-G09
偉大な指揮者たち - SWR録音集


【CD1】
(1)モーツァルト:交響曲第40番
(2)ベートーヴェン:交響曲第1番

【CD2】
(1) ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」
(2)シューベルト:交響曲第5番

【CD3】
ブラームス:交響曲第3番
ハイドンの主題による変奏曲

【CD4】
シューマン:交響曲第1番「春」
交響曲第4番ニ短調 Op. 120*
序曲「ジュリアス・シーザー」#

【CD5】
ブルックナー:交響曲第7番

【CD6】
マーラー:交響曲第6番「悲劇的」

【CD7】
(1)チャイコフスキー:交響曲第5番 ホ短調 Op. 64
(2)ボロディン:交響曲第2番

【CD8】
エルガー:序曲「南国にて」
序奏とアレグロ*/エニグマ変奏曲#

【CD9】
ストラヴィンスキー:バレエ音楽『プルチネッラ』
 バレエ音楽『ミューズを率いるアポロ』*
 ロシア風スケルツォ#
【CD10】
R・シュトラウス:歌劇「ばらの騎士」演奏会組曲(1945年版)
交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」*
交響詩「ドン・ファン」#
【CD1】
(1)カール・ベーム(指)シュトゥットガルトRSO
録音:1974年9月18日、
(2)ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)シュトゥットガルトRSO
1954年3月30日(モノラル)
【CD2】
カール・シューリヒト(指)シュトゥットガルトRSO
録音:(1)1957年2月14日 、(2)1960年4月11日 (全てモノラル)
【CD3】
ハンス・クナッパーツブッシュ(指)シュトゥットガルトRSO
録音:1963年11月15日 (全てモノラル)
【CD4】
ハンス・ロスバウト(指)バーデン・バーデン&フライブルク南西ドイツRSO
録音:1960年9月8日、1961年12月19日*、1961年12月18日#(全てモノラル)
【CD5】
クルト・ザンデルリンク(指)バーデン・バーデン&フライブルク南西ドイツRSO
録音:1999年12月15-17日
【CD6】
キリル・コンドラシン(指)バーデン・バーデン&フライブルク南西ドイツRSO
録音:1981年1月13-15日
【CD7】
(1)レオポルド・ストコフスキー(指)シュトゥットガルトRSO
録音:1955年5月20日 モノラル
(2)カルロス・クライバー(指)シュトゥットガルトRSO
録音:1972年12月12日ステレオ
【CD8】
ロジャー・ノリントン((指)シュトゥットガルトRSO
録音:2010年9月30日-10月1日、2007年12月13-14日#、2010年10月4-5日 *
【CD9】
ミヒャエル・ギーレン(指)、エッダ・モーザー(S)、ヴェルナー・ヘルヴェヒ(T)、バリー・マクダニエル(Bs)、シュトゥットガルトRSO、バーデン・バーデン&フライブルク南西ドイツRSO#
録音:1973年2月12日(ライヴ)、1973年7月24日 *、1998年4月17日#
【CD10】
ジョルジュ・プレートル(指)、ディートヘルム・ヨナス(Ob)、シュトゥットガルトRSO
録音:1990年2月15-17日*
1997年10月31日#
この10枚組BOXには南西ドイツ放送が所有する、12人の伝説的な指揮者の1955年から2010年までの録 音がまとめられています。 南西ドイツRSO(ドイツ語: SWR Sinfonieorchester)は、ドイツのバーデン=ヴュルテンベルク 州にある南西ドイツ放送所属のオーケストラ。その歴史の中で何度も名称を変更しながら、2016年に合併し、 現在ではSWR南西ドイツRSOとして活動しています。オーケストラは長年にわたり、多くの伝説的な 指揮者と共演、彼らは首席指揮者として指揮を執ったり、時には客演指揮者として招かれたりして数々の名演 を生み出してきました。 この10枚組のCDでは、20世紀を代表する指揮者たち12人の演奏を、オリジナルマスターテープからの良質な 復刻でお楽しみいただけます。

Goodies
78CDR-3881(1CDR)
モーツァルト:交響曲第25番ハ短調 K.183 オットー・クレンペラー(指)
パリ・プロ・ムジカO

仏 POLYDOR A6345/6
1950年2月パリ、プレイエル音楽堂録音
オットー・クレンペラー(1885-1973)はドイツ生まれ、1910年からドイツ各地の オペラハウスでキャリアを積んだ。1927年から31年にはベルリンのクロール・オ ペラの指揮者をつとめた。ユダヤ人だった彼は1937年ナチスの迫害を逃れてアメ リカに移住、市民権を得てロサンジェルス・フィルハーモニーの音楽監督になっ た。だがカリフォルニアの土地にはなじめずその地位を離れた。第2次世界大戦 が終わるとヨーロッパ楽壇に復帰した。この録音はヨーロッパ復帰直後にパリで 行われた。プロムジカOの実体はラムルーO。この録音はSPレコ ード末期のもので日本ではほとんど知られていなかったもの。このシリーズで同 時期に録音された交響曲「リンツ」(78CDR-3433)が出ています。(グッディーズ)

Treasures
TRT-019(1CDR)
イッセルシュテット/シューベルト&チャイコフスキー
シューベルト:交響曲第5番変ロ長調
チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調Op.64*
ハンス・シュミット・イッセルシュテット(指)
北ドイツRSO

録音:1955年4月17-20日、1952年9-10月*(共にモノラル)
※音源:Capitol P-18021、DECCA ACL-3*
◎収録時間:72:34
“ロシア的色彩とは無縁!無骨なカンタービレで真剣勝負!”
■音源について
シューベルトは濃緑/金ラベル。これが最初期盤と思われます。チャイコフスキーは英国ではLXT-2758が初出で、ACL-3はその再発盤。このシリーズは音がざらついている盤に遭遇することもありますが、これは極めて良好。

シューベルトは、イッセルシュテットの人柄をそのまま映したたような誠実な歌に満ちた演奏。中でも第2楽章は自然体でありながら呼吸はとてつもなく深く、ホルンの巧さと共に芳しさを湛えるコーダは絶品。第3楽章中間部の慈しみの表情も、取って付けたものではなく真心そのものです。
 チャイコフスキーも堅実そのものの演奏ですが、決して型に嵌って安住しているのではなく、作品への並々ならぬ共感を端正な造形の中に凝縮しています。特にチャイコフスキーにおいてこの種のタイプの演奏はとかく面白味に欠けると一蹴されがちなうえに、モノラル録音なので聴き手の側からニュアンスを感じ取ろうとする姿勢が必要ですが、聴けば聴くほど地味さだけを理由に退けられない魅力が詰まっています。
 第1楽章でまず唸るのは主部のテンポ設定。「付点四分音符=104」のスコア表記はかなり速めで、採用例もほとんどどありません。ここではもちろんそれよりも遅いテンポを採用。中庸と言えばそれまでですが、音符の一つ一つの意味がくっきり浮かび上がるようにテンポを慈しんでいるように感じられるのです。特に付点リズムが持つニュアンスは、このテンポより遅くても早くても表出されないでしょう。因みにこのテンポはムラヴィンスキーの1960年盤とほぼ同じですが、そのアポロ的な威容とは対極的な純朴さが心に染みるのです。第2主題にも色気を注入するなど眼中になく、ひたすら自分たちの流儀を通す一途さと確信性は、スタンダードな「ロシア的アプローチ」が確立していなかった時代だからこそ生まれたものと言えましょう。
第2楽章もホルン・ソロをはじめとして流麗なカンタービレで化粧を施すことなく、ドイツ風の入念なフレージングを貫徹。クラリネット・ソロ(6:02〜)以降では類例のない独自の陰影を見せ、その後はますます呼吸の深度を深めます。10:27辺りからの熱いフレージングも現代ではあり得ない無骨さ丸出しですが、その体を張った打ち込みをどうして笑えましょう。3楽章のワルツも当然レントラー風。終楽章は当時としては珍しくない短縮ヴァージョン(ロジンスキー等と同じく210小節〜315小節までカット)を採用。しかも206小節からの4小節は弦を抑え、フルートを追加しています。
172小節からの運命動機の斉奏は、伝統的なドイツ流儀が最も顕著に出た箇所。テンポを落とし、リズムの重心を下げ、ロシア的な攻撃性とは異なる粘りのある進行。ステレオ時代以降にもドイツのオケでこれとよく似たバランスの響きを耳にしますが、これがムラヴィンスキー・スタイルが世界に知れ渡る以前から培われてきたドイツ人による「ロシア的」なイメージだったことを窺わせます。
 チャイコフスキーの交響曲第5番は、北ドイツ放送響の第1回演奏会(1945年)の演目でもあり、オケも指揮者も特別な思いで録音に臨んだことは想像に難くありません。【2022年9月・湧々堂】「チャイ5」の詳細レヴュー

CPO
CPO-555511(1CD)
NX-B10
エミーリエ・マイヤー(1812-1883):交響曲第3番ハ長調
交響曲第7番ヘ短調
ハノーファー北ドイツ放送PO
ヤン・ヴィレム・デ・フリエンド(指)

録音:2022年3月7-11日
エミーリエ・マイヤーは、北ドイツ、メクレンブルクの生まれ。20代の末に作曲家を目指し、バラードで有名なカー ル・レーヴェに学び、オペラを含む広い分野の作曲を精力的に行ったという点で、当時としては数少ない成功した 女性作曲家の一人と言えるでしょう。とはいえ、同時代の女性作曲家たちと同じように、どれほど素晴らしい作品 を発表してもその才能が正当に評価されることはなく、21世紀になってようやく、作品の演奏機会が増え、注目が 高まっています。 「女性版ベートーヴェン」とも呼ばれる彼女の作品は、どれも古典主義に則った形式の中にロマンティックな旋律が 盛り込まれており、恵まれた才能が窺えるものばかりです。このアルバムには2曲の交響曲を収録。最終楽章に ピッコロ、トライアングル、シンバル、バスドラムが使用されていることから「軍隊交響曲」と呼ばれる第3番、1856
CPO
CPO-555416(1CD)
NX-B10
ゲオルク・ヴィルヘルム・ラウヒェネッカー(1844-1906):交序曲の形式による交響的作品
交響曲第1番 ヘ長調
東洋風幻想曲
ゼバスティアン・ボーレン(Vn)
ザラストロ四重奏団
ヴィンタートゥーア・ムジークコレギウム
ハワード・グリフィス(指)

録音:2020年10月26-29日、2020年9月21日
ミュンヘンで生まれたゲオルク・ヴィルヘルム・ラウヒェネッカー。現在ではその名前はほとんど忘れられてしまいました が、活躍当時はヨーロッパで高い知名度を誇っていました。作曲をフランツ・ラハナーに学び、16歳で渡仏。1864 年にはカルパントラの劇場Oの首席指揮者に就任するなど活躍を始めましたが、1870年に勃発した普 仏戦争によりスイスに亡命。1875年にはそれまで教会音楽を演奏していたムジークコレギウムを、ヴィンタートゥー ア市初のプロ・オーケストラとして再編・指揮したほか、作曲家、市のオルガニストとして、また楽器商、教育者とし ても重要な足跡を残しました。このアルバムに収録された3作品のうち、「東洋風幻想曲」以外は彼が設立した ヴィンタートゥーア市立O(現ヴィンタートゥーア・ムジークコレギウム)のために書かれたものです。ラウヒェネッ カーは熱心なワグネリアンであったと伝えられていますが、古典的な佇まいを持つ交響曲第1番には標題音楽的 な要素は見当たらず、むしろ絶対音楽への強い志向が感じられます。21歳の作品である「東洋風幻想曲」は、 熟達したヴァイオリニストであったラウヒェネッカー自身の技巧を示すための協奏的な作品です。


King International
KKC-4303(5CD)
アーベントロート不滅の遺産(最新リマスター)


■CD 1
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」
■CD 2
ブラームス:交響曲第1番ハ短調 Op.68
 交響曲第3番ヘ短調 Op.90*
■CD3
チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」
■CD 4
モーツァルト:交響曲第41番「ジュピター」
 ディヴェルティメント 第7番ニ長調 KV205
 セレナード 第8番「ノットゥルノ」*
■CD 5
ハイドン:交響曲第88番ト長調「V字」
 交響曲第97番ハ長調*
ヘンデル:管弦楽のための二重協奏曲 第3番 ヘ長調*
ヘルマン・アーベントロート(指)

■CD 1
ライプツィヒRSO
エディット・ラウクス(S)/ディアナ・オイストラティ(A)/ルートヴィヒ・ズートハウス(T)/カール・パウル(Bs)/ライプツィヒ放送cho/ライプツィヒ音楽大学cho
録音:1951年6月29日*
■CD 2
ライプツィヒRSO
録音:1949年10月20日 / 1952年3月17日*
■CD3
ライプツィヒRSO
録音:1952年1月28日
■CD 4
ライプツィヒRSO
ベルリンRSO*
録音:1956年3月26日/ 1956年4月12日*
■CD 5
ライプツィヒRSO
ベルリンRSO*
録音:1956年/ 1955年9月15日*

原盤:ドイツ・シャルプラッテン
国内製造品
日本語帯・解説付(解説:宇野功芳)
ヘルマン・アーベントロートはフルトヴェングラーやクナッパーツブッシュと同世代のドイツの巨匠指揮者。旧東ドイツのライプツィヒを拠点に活躍していたため、 西側にとっては”幻”の指揮者でしたが、ドイツ・シャルプラッテンと契約した徳間音工が”幻”の音源を発掘、1974年にLPシリーズで発売、「悲愴」「第九」「ブ ラ3」「ハイドンV字」等、宇野功芳の推薦紹介とあいまって、レコード業界に大反響をまきおこしました。2008年にはキングレコードが宇野功芳に監修を依頼、L Pで20枚分ある音源の中から推薦演奏のみ厳選し、CD5点を発売。ベストセラーを記録しています(「アーベントロートの芸術」KICC-701〜5)。 廃盤になって久しいアーベントロート不滅の遺産CD5枚がセットとなってキングインターナショナルから登場!2トラック、38p/秒速のアナログ・マスターテープ より、キング関口台スタジオでデジタル・リマスタリングをおこない、音にいっそう磨きをかけて発売します。巨匠の内奥にまで迫ったアナログ本来の音再現にご注 目ください。ブックレットは宇野功芳の“熱烈”解説(22,000字)を転載します。
「アーベントロートはワルターより7つ、シューリヒトより3つ年下であり、クレンペラーより2つ、フルトヴェングラーより3つ年上です。ゲヴァントハウス管弦 楽団ではワルターの後任、コンヴィチュニーの前任であった。まさに大指揮者の時代の輝かしい一人です。第2次大戦後、東ドイツを拠点としたため、レコード発 売が遅れてしまったわけだが、現在残された20点の演奏は、そのほとんどが名演であり、わけてもヘンデル、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームス、 チャイコフスキーなど、実にすばらしい。録音も含めて僕がとくに推賞したいのはハイドンの「第88番」とチャイコフスキーの「悲愴」であり、つづいてヘンデルの「二 重協奏曲」、ハイドンの「第97番」、モーツァルトの「ジュピター」、同じく「ディヴェルティメントK205」、ベートーヴェンの「第9」における前半の2つの楽章、ブラー ムスの「第3」も絶品だ。また録音がやや古いのを我慢すれば、ブラームスの「第1」やチャイコフスキーの「第4」も絶対に聴き逃せない。このシリーズはいずれも 1949年から56年にかけて行われた放送用の録音で、一回限りの演奏であるため、流れに血が通っているのも大きな特長です。」(1989年記) 宇野功芳(ブックレット解説より) (Ki)


Treasures
TRT-018(1CDR)
マタチッチのロシア音楽1
ボロディン:「イーゴリ公」より
 序曲/ダッタン人の行進/だったん人の踊り
チャイコフスキー:交響曲第5番*
ロヴロ・フォン・マタチッチ(指)
フィルハーモニアO、チェコPO*

録音:1958年9月、1960年3月12-15日*(全てステレオ)
※音源:仏TRIANON TRI-33114 、独musicaphon BM30SL-1614*
◎収録時間:71:21
““マタチッチの強力なオーラでチェコ・フィル・サウンドが豹変!”
音源について
チャイコフスキーはスプラフォン音源ですが、あえて音に腰の座った安定感があるドイツの重量盤を採用しました。スプラフォン盤のCDでは気づかなかった手応えがここにはあります。

★マタチッチとフィルハーモニア管の「ロシア管弦楽曲集」は、ステレオ初期のありとあらゆる管弦楽曲録音の中でも演奏・音質両面において頂点をなす名演の一つだとと、私は長年確信し続けています。ウィーン・フィルやベルリン・フィルとは違う「無色透明」を旨とするフィルハーモニア管の音色を野性味と重量感のあるサウンドに激変させていることに、まずマタチッチの偉大さを思い知りますが、その演奏内容は奇跡の連続!例えば「だったん人の踊り」。主席のシドニー・サトクリフと思われる有名なオーボエ・ソロ(3:16)は、技術も表現もこれ以上の演奏は不可能と思われるほどで感動的で、そこへそっと身を寄せる弦のシルキーさも空前絶後!これを味わえる喜びと相まって聴くたびに涙がこぼれます。他の魅力まで書けばきりがありませんので、無理やりチャイコフスキーへ移ります。
 そのチャイコフスキーは、N響との共演盤でも十分満足ですが、こちらはこちらで聴き所満載です。相手は伝統的な音色美を誇るチェコ・フィル。さすがのマタチッチもその純朴なサウンドの上にスラブ的な豪放さを植え付けるのに苦労したと見え、技術的にも表現的にも純朴すぎるその「癖」を制御せずにやり過ごしている箇所も散見されます。ただ、それを強引に理想に近づけようとすればオケの美観を失いかねず、説得力のある演奏からも程遠くなってしまうという読みと、スタジオ録音の制約もあって、オケに最重要ポイントのみの徹底に終始したのかも知れません。いずれにせよ、ギリギリまで突き詰めるのではないマタチッチの懐の深さが、音楽のスケール感の確保に繋がっていると思われます。
第1楽章冒頭クラリネットから、クラリネットの2本使用が音色の幅を広げていることを誇示するかのように太い音色で吹かせているのがいかにもマタチッチで、第2主題や副次主題が少しも女々しく傾かず、精神的な強靭さを湛えているのも同様。コーダでトランペットが合いの手を入れる512小節(12:26)の8分音符と16分音符が音価どおりに吹かれることは稀ですが、ここではチェコ・フィルの素朴さがスコアの素の姿を示しており興味深い現象です。
 第2楽章のホルン・ソロは史上屈指の名演で、濃厚なヴィブラートを駆使してオペラ・アリアのように歌いあげる様はあっぱれ!このように思い切り歌わせる姿勢は楽章全体に一貫しており、細かいルバートのタイミングや強弱の加減程度の指示に抑えて、あとは呼吸で勝負するような気宇壮大な空気が横溢。ちまちましたことを言えなくなるほどの説得力は、そこから生まれている気がします。
 第3楽章は小気味良い楽想がチェコ・フィルにピッタリ。終結部の木管の絶妙な浮き出しは、先述のピンポイント的な指示の一つと思われ、その徹底ぶりが尋常ではありません。
 終楽章もマタチッチならではの勇壮な音楽。172小節以降、運命動機を斉奏する金管に木管軍が呼応する際にピッコロを核としたバランスを徹底して光彩陸離たる輝きを注入するいかにもマタチッチらしい趣味で、鄙びたチェコ・フィル・サウンドは跡形もありません。曲の終盤に向けて、チェコ・フィルが伝統の殻を破リ続けてマタチッチ寄りのサウンドにどんどん近づく様はそれだけでもワクワクします。【2022年8月・湧々堂】
「チャイ5」の詳細レヴュー


SOMM
ARIADNE-5017(2CD)
NX-C09
クーセヴィツキー/ロンドン・フィル、ライヴ録音集
【CD1】
チャイコフスキー:交響曲第5番 ホ短調 Op. 64
ドキュメンタリー「セルゲイ・クーセヴィツキーの思い出」
 イントロダクションとボストンSO Part. I
【CD2】
ドキュメンタリー「セルゲイ・クーセヴィツキーの思い出」(続き)
 1. ボストンSO Part. II
 2. LPO
シベリウス:交響曲第2番ニ長調 Op. 43*

●ドキュメンタリー「セルゲイ・クーセヴィツキーの思い出」使用曲

【CD1:5】
ベルリオーズ:ラコッツィ行進曲b…1、2、4
チャイコフスキー:交響曲第5番第1楽章(抜粋) a…1
R・シュトラウス:ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら(抜粋) b…3
チャイコフスキー:ロメオとジュリエット(抜粋) b…1
リスト:ファウスト交響曲のリハーサルよりb
【CD2:1】
シベリウス:タピオラよりb…1
ドビュッシー:海より第3楽章(抜粋) b…1
ベートーヴェン:交響曲第3番第4楽章(抜粋) b…3
シベリウス:交響曲第2番第2楽章(抜粋) b…3
コープランド:エル・サロン・メヒコ(抜粋) b…1、3
チャイコフスキー:交響曲第4番第4楽章(抜粋) b…2
チャイコフスキー:交響曲第4番第4楽章(抜粋) b…3
チャイコフスキー:交響曲第5番第2楽章(抜粋) a
【CD2:2】
シベリウス:交響曲第2番第1楽章(抜粋) a…4
ムソルグスキー:歌劇「ホヴァーンシチナ」前奏曲(抜粋) a
チャイコフスキー:交響曲第5番第2楽章(抜粋) a
チャイコフスキー:交響曲第5番第3楽章(抜粋) a…4
チャイコフスキー:交響曲第5番第3楽章(抜粋) a
チャイコフスキー:交響曲第5番第4楽章(抜粋) a…4
セルゲイ・クーセヴィツキー(指)
LPO

録音:すべてライヴ(モノラル)
1950年6月1日 Royal Albert Hall、London
1950年6月8日 Royal Albert Hall、London*

●ドキュメンタリー「セルゲイ・クーセヴィツキーの思い出」演奏者内訳(全て初CD化)

LPO…a
ボストンSO…b

語り手
ジョン・トランスキー(プロデューサー&インタビュアー)
ハリー・エリス・ディクソン(ボストンSO 元ヴァイオリニスト)…1
エヴァレット・"ヴィック"・ファース(ボストンSO 元ティンパニスト)…2
ハリー・シャピロ(ボストンSO 元準首席ホルン奏者)…3
パトリック・ストレヴェンス(LPO 元準首席ホルン奏者)…4
21世紀の名指揮者セルゲイ・クーセヴィツキーとLPOによる1950年6月の演奏会ライヴ録音、初CD化。 クーセヴィツキーはロシアで生まれ、地元でコントラバス奏者として活躍した後に渡米。1924年にボストンSOの常任指揮者に就任してからはほぼ四 半期にわたり、オーケストラを高い水準に引き上げるとともに、アメリカの聴衆にフランスやスラヴ系の音楽を紹介しました。このロンドン・フィルとの演奏は、彼 が1949年に健康問題でボストンSOの音楽監督を辞任した翌年のもの。75歳の高齢とはいえ、この演奏会の直前にはパリでベートーヴェンの第9 を演奏するなど、まだまだ充実した活動を行っていたクーセヴィツキーの迫力ある演奏が記録されています。アルバムの余白には、ドキュメンタリー制作者ジョ ン・トランスキーがクーセヴィツキーの下で演奏していたボストンSOとロンドン・フィルの元楽団員たちに対して1992年から2017年にかけて行ったイン タビューを含むドキュメンタリー音声が収録されており(英語)、彼がどれほどオーケストラのメンバーに愛されていたか、またオーケストラに影響を与えたかを知る ことができます。ここで使われている音源も含め、全ての音楽はエンジニア、ラーニ・スパールによってリマスターが施されており、モノラルでありながらもクリアで 深みのある音を楽しむことができます。また、ブックレットには歴史的録音の権威であるロブ・コーワンがこの貴重な録音と演奏への賛辞を寄せています(英語)。
SOMM
ARIADNE-5016(1CD)
NX-B04
ヴォーン・ウィリアムズ・ライヴ 第1集
劇音楽「すずめばち」 アリストファネス組曲 - 序曲*
交響曲第6番ホ短調**
交響曲第9番ホ短調#
マルコム・サージェント(指)
BBC響*,**、ロイヤルPO#

録音:すべてライヴ(モノラル)
1957年9月12日 Royal Albert Hall、London*
1964年8月4日 Royal Albert Hall、London**
1958年4月2日 Royal Festival Hall、London#
マルコム・サージェント(1895-1967)は1950年から1957年までBBCSOの常任指揮者を務め、華麗な指揮スタイルと緩急自在なテンポ設定で 英国作品を中心に幅広いレパートリーを演奏、人気を博しました。ヴォーン・ウィリアムズ作品も得意としており、ここでは1957年に演奏された「すずめばち」 序曲、1958年の「交響曲第9番」、1964年の「交響曲第6番」、この3曲のライヴ録音を収録。サージェントは2つのオーケストラの個性を際立たせつつ、 品の良さを併せ持った見事な音楽を聴かせます。なかでも「交響曲第9番」の演奏は、晩年の作曲者自身の立ち合いの下に行われた世界初演という、 歴史的な録音です。ヴォーン・ウィリアムズの厚い信頼を得ていたサージェントならではの快演が繰り広げられています。 今回の復刻は、これまでにも数々の名盤の復刻にあたった、英国を代表するリマスター・エンジニア、ラーニ・スパールが手掛けており、丁寧なリマスターにより ノイズの少ないリアルな音が蘇りました。 なお、ブックレットにはヴォーン・ウィリアムズの評伝を執筆した英国の研究家サイモン・ヘファーによる解説(英語のみ)が掲載されています。

Pentatone
PTC-5187021(1CD)
マーラー:交響曲第5番嬰ハ短調 ヤン・ヴォボジル(ホルン独奏)、
スタニスラフ・マサリク(トランペット独奏)
セミヨン・ビシュコフ(指)チェコPO

録音:2021年12月8-11日/ルドルフィヌム、ドヴォルザーク・ホール(プラハ)
当団にとって全曲録音は1976年から1982年にかけて録音したヴァーツラフ・ノイマン以来となります。オーストリアで活躍したマーラーです が生まれは当時のオーストリア帝国に属するボヘミア王国のイーグラウ近郊のカリシュト村(現チェコのイフラヴァ)。この全曲録音は当団にとっても最も重要かつ 力をいれたプロジェクトとなっております。
「マーラーの交響曲は人生の“ポリフォニー”を表現するものであり、これらの作品を録音することは、生涯をかけて抱いてきた夢、そして喜びです」と語るビシュ コフ。2018年10月より当団の首席指揮者・音楽監督としての任期をスタートさせたビシュコフが全身全霊で臨むマーラーはこのオーケストラがもつ温かく優 しい音色を全面に出した好演で、ビシュコフが生涯かけての夢をここに実現しております。ことにアダージェットは言葉を失うほどの美しさ。細部へのこだわりと 洗練された演奏はビシュコフ率いるチェコ・フィルでなければ表現できない輝かしいマーラーの世界が広がります。
ェン・ライスをソリストに迎えた第4番(KKC-6504 / PTC-5186972)も好評発売中です! (Ki)


Spectrum Sound
CDSMBA-108(2CD)
「オハン・ドゥリアンへのオマージュ」〜1971・1980・1981年ライヴ音源集
(1)ワーグナー:「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕前奏曲
(2)ハイドン:交響曲第102番
(3)ストラヴィンスキー:バレエ組曲「火の鳥」(1919年版)
(4)モーツァルト:「ドン・ジョヴァンニ」序曲
(5)ブルックナー:交響曲第9番ニ短調
オハン・ドゥリアン(指)
(1)フランス国立O、(2)-(5)フランス放送ニューPO

録音:(1)1971年1月13日、
(4)(5)1981年5月8日シャンゼリゼ劇場(パリ)、
(2)(3)1980年5月22日メゾン・ドゥ・ラ・ラジオ・パリ104スタジオ(パリ)
録音方式:ステレオ(ライヴ)
フランス国立視聴覚研究所(ina)提供の正規音源を使用したSpectrum Soundレーベルのベルアーム・シリーズから今年(2022年)に生誕100年を迎え た指揮者オハン・ドゥリアン(1922-2011)へのオマージュとして、1971年、1980年、1981年のライヴのからワーグナーの「ニュルンベルクのマイスタージ ンガー」第1幕への前奏曲、ハイドンの交響曲第102番、ストラヴィンスキーのバレエ組曲「火の鳥」(1919年版)、モーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」序曲、 そしてブルックナーの交響曲第9番を収録したアルバムが登場します!
ドゥリアンは1922年イェルサレム生まれ。同地の音楽学校で学んだのち、パリにてロジェ・デゾルミエール(1898-1963)とジャン・マルティノン(1910-1976)に指揮を師事しています。
正規録音が少ないために日本ではその名は親しまれていませんが、ドゥリアンの音楽は一聴価値ありの唯一無二の実に見事なもの。悠然としたワーグナー、たっ ぷりと歌うハイドン、驚くほど遅いテンポから不思議な響きを生み出すストラヴィンスキー、スケールの大きなモーツァルト、そして立派かつ柔らかな響きがこの上 なく美しいブルックナーと、“ドゥリアン節”炸裂の演奏を展開しております。この度のリリースは未亡人アリス・ドゥリアン全面協力のもと実現。記念すべき年に復 刻された熱量高いドゥリアンの演奏をご堪能ください。平林直哉氏の日本語解説書付。スクリャービンの「法悦の詩」とブラームスの交響曲第3番を収録したアル バム(CDSMBA-076)も好評発売中です!


Treasures
TRE-279(1CDR)
ノイマンのブルックナー
グリンカ:幻想曲「カマリンスカヤ」#
リスト:交響詩「前奏曲」
ブルックナー:交響曲第1番*
ヴァーツラフ・ノイマン(指)
ライプチヒ・ゲヴァントハウスO

録音:1967年10月17日#、1965年12月13-14日ライプツィヒ救世主教会*、1968年2月22-23日 (全てステレオ)
※音源:独DECCA _SXL-20087*、ETERNA 8-25-847
◎収録時間:74:34
“ノイマンの端正な造形力にオケの魅力が完全バックアップ!”
■音源について
全てETERNA音源。ノイマンは、1964年からライプチヒ・ゲヴァントハウス管の音楽監督に就任。プラハの春へのソヴィエの介入を東ドイツが賛同したことに抗議して1968年に辞任。その後のチェコ・フィルでの活躍はご存じのとおりです。

★ノイマンのチェコ・フィル時代の録音の多くは高い評価を得ていますが、端正で丁寧な音作りである反面、どこか根源的な力が希薄だと感じる方も多いのではないでしょうか。腰高のサウンド自体はチェコ・フィルの持ち味であり、マタチッチのような巨匠でも、チャイコフスキーの録音において重厚な音を引き出すのに苦労していることが窺われますし、スプラフォンの録音やホールの特性も関係しているかもしれません。
 では、そのそもノイマンが目指す音色とはどんなものなのか?その答えはゲヴァントハウス時代の録音にあると思います。過度な重圧感を避け、楷書風のフォルムを守る姿勢はこの頃から変わっていないことがまず分かります。しかも、この頃の録音は、マーラーの「5番」など名演揃い!そう考えると、ノイマン&チェコ・フィルの録音の薄味感は、清潔さを重んじるノイマンの音作りがチェコ・フィルの個性によって過度に際立ってしまった結果とも言えそうです。
 一方で、その前のたった4年間だけのゲヴァントハウス時代の録音は、指揮者ノイマンの魅力の本質を知る意味で聴き逃がせないものばかり、中でもこのブルックナーは、マーラーの「5番」等とと並ぶ名演で、ノイマンの威圧感を嫌う音作りがゲヴァントハウス管のいぶし銀の響きに清潔感を与え、野武士的な演奏では気づかない木工細工のような佇まいをもたらしている点で、他に類を見ない魅力を誇ります。
 第1楽章冒頭の弦の刻みは確実に音色ニュアンスが滲み、単調なリズムしか感じさせない演奏との差にハッとさせられます。随所に顔を出す管楽器も意味深く呟き、トゥッティでは伝統美を有していた頃のこのオケの魅力が炸裂。峻厳にして端正な造形力で惹きつけます。必要以上にルバートを効かせない第2主題の歌い口も、後年まで一貫していたノイマンの特色が現れていますが、オケの音色と相まって、その伸縮性の少ないフレージングが素朴さを更に押し広げます。展開部の混沌とした楽想も、再現部への以降の進行も少しも物々しくなく、ノイマンの音楽性と作品との親和性が独特の説得力を醸成。コーダでは、フェルマータ後の弦(13:12)が灼熱のフォルティッシモを掻き鳴らし、後年のノイマンからはあまり想像できない凝縮度の高い響きを発するのです。
 第2楽章も見通しの良いテクスチュアを基調とし、折り目正しくフレージング。ヴィオラのアルペジオ以降の副主題にみる純朴さなどは、ノイマンの誠実さの賜物。3楽章の荒くれたた楽想も徹底して楷書で制御し尽くしますが、内面に静かな闘志を湛えます。中間部でドヴォルザーク的なノスタルジーを感じるのは、気のせいでしょうか?
 「火のように」という指示のある終楽章でも端正な造形美を崩さないのを目の当たりにすると、ノイマンにとってこのスタイルが単なる個人的嗜好ではなく、譲れない矜持であることをまざまざと思い知らされます。その信念の達成に向けた意志力が音楽に精神的な強さを与え、野暮ったいドイツ流儀一辺倒の演奏とは違う均整の取れた安定感をもたらすのです。第2主題に入る前や、展開分後半のヴァイオリンとチェロの執拗な応酬等で、かなり熾烈な響きを発しますが、クナッパーツブッシュ的な毒気はなく、構築美一筋で貫く頑固さそのものが音楽に独特の生命力を注入しているかのよう。そして極限まで魂が昇華したコーダの凄さ!大げさな大伽藍に貶めないノイマンの品格があればこそのこの感動!ゲルハルト・ボッセやペーター・ダムが在籍していた頃のゲヴァントハウス管の魅力とともに、とくとご堪能ください。
 教会での録音なので残響は長めですが、響きが混濁することなくブルックナーに相応しい雰囲気を醸し出しているのも嬉しい限りです。【湧々堂・2022年8月】


ICA CLASSICS
ICAC-5169(2CD)
NX-C07
ショスタコーヴィチ:交響曲第4番ハ短調 Op. 43
交響曲第11番ト短調 Op. 103「1905年」*
BBC響、BBCフィル*
ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー(指)

録音:1978年9月9日 ロイヤル・アルバート・ホール、ロンドン(ステレオ/アナログ録音)
1997年10月4 ブリッジウォーター・ホール、マンチェスター2(ステレオ/デジタル録音)*
ライヴ録音:拍手入り
全て初CD化
ショスタコーヴィチ本人とも親交の深かったゲンナジー・ロジェストヴェンスキー(1931-2018)によるライヴがBBCのアーカイヴから発掘されまし た。交響曲第4番は、1962年にエディンバラでロジェストヴェンスキーとフィルハーモニアOによって西側初演が行われた因縁の作品。 今回発売の1978年に行われたBBCSOとのライヴは、力づくといった印象はないながらも、要所要所での巻き上げは非常に効果的 で凄まじいもの。第1楽章後半の難所での堰を切ったような煽りなども聴きどころで、一糸乱れぬオーケストラの巧さもさることながら、ロジェス トヴェンスキーの統率力の妙も味わうことが出来ます。クリアなステレオ録音。1905年にサンクトペテルブルクで起こった、労働者のデモ隊に 軍隊が発砲した「血の日曜日事件」を題材にしたと言われる交響曲第11番は、1997年BBCフィルとの共演を収録。冒頭からライヴならで はの緊張感とその高まりがひしひしと伝わり、途中大きな山をいくつも築きながら到達する惨事の描写の荒々しさ、悲痛さの中にも揺るがぬ 強い意志を感じさせる追悼の音楽、圧倒的な力強さのフィナーレ、鐘の音も絶妙なバランスで鳴るなど、作品の物語性や意図を十二分に 伝えながらも、スコアがしっかり読み取れるような明確さも併せ持つ手腕はさすが。最後の音が鳴り止まないうちに嵐のような拍手が巻き起こ ります。見透し良く分離も十分なデジタル録音。いずれもレーベルのデータでは「初CD化」となっており、第4番に関しては以前DVD(音声は モノラル)が発売されておりましたが、第11番についてはパッケージとして発売されるのは初めてとみられ、世界中のショスタコーヴィチ・ファンに とって大きなプレゼントとなる一枚と言えるでしょう。

BR KLASSIK
BR-900205(1CD)
NX-B07
マーラー:交響曲第9番 バイエルンRSO
サイモン・ラトル(指)

録音:2021年11月24-27日
イザールフィルハーモニー・イン・ガスタイクHP8(ライヴ)
2021年11月、バイエルンRSOは、次期首席指揮者サー・サイモン・ラトルの指揮でマーラーの交響曲第9番を演奏し、大きな反響を呼 んだ。これはその演奏会のライヴ録音だ。ラトルはこの曲について、「演奏者の性格を可視化して、深い絶望のようにも愛や憧れのようにも響きうる、 他に類のない作品」と語る。だが、一切のデフォルメを排し、細部まで透徹した響きに貫かれたこの演奏は、むしろ、聴く人に応じて、絶望にも愛にも 憧れにも感じられるのではないだろうか。いわば、多義性が多義性のままに提示された名演奏だ。――増田良介
2021年11月26日、バイエルンRSOは、61年にも及ぶ共演歴を持ち、そのひと月あまり前に逝去したベルナルト・ハイティンク追悼の特別 コンサートを行いました(翌日にも公演)。曲目はハイティンクの指揮で演奏したことのあるマーラー交響曲第9番。指揮は2023/24シーズンから首席 指揮者に就任するサイモン・ラトル。クーベリック、マゼール、ヤンソンスといった歴代首席指揮者が培ってきたマーラー演奏の伝統と、世界最高峰と評 価される演奏能力を持つオーケストラが、現代屈指のマーラー指揮者の下で繰り広げた演奏は圧倒的な出来栄えとなりました。ウィーン・フィル及び ベルリン・フィルと同曲のCDを出しているラトルも、このコンサートの出来に感激してCD化を強く要望。ここにCDリリースとなりました。

PROSPERO CLASSICAL
PROSP-0048(1CD)
プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第2番ト短調 Op.63
ミャスコフスキー:交響曲第25番変ニ長調 Op.69
プロコフィエフ:『ロメオとジュリエット』 Op.64より 仮面
ダーヴィト・ネベル(Vn)
ダニエル・ユペール(指)
ベルギッシュSO

録音:2021年8月/ケルン
ダニエル・ユペールは有望なドイツの指揮者で、ベルギッシュSOの20119/2020シーズンの音楽監督を務めました。世評も高く、同オケの水準がかなり 高まったと認識されています。その成果があらわれた録音の登場です。
ダーヴィト・ネベルはチューリヒ生まれのヴァイオリニスト。クリスチャン・ヤルヴィとの共演でSONYから協奏曲アルバムが発売されています。
「仮面」はこの演奏のために特別にアレンジされたヴァイオリンとオーケストラのための版を使用。 (Ki)

Altus
ALTSA-379(1SACD)
シングルレイヤー
限定生産盤
ブルックナー:交響曲第3番ニ短調
交響曲第9番ニ短調
ロヴロ・フォン・マタチッチ(指)
フランス国立O

録音:1965年1月26日、1963年1月29日*/シャンゼリゼ劇場(ステレオ・ライヴ)
INA(フランス国立視聴覚研究所)に残されたマタチッチの名演ブルックナー・フランスライヴ2曲をまとめて初SACD化!もともと上質ステレオ録音でしたが、 改めて入念なリマスターが施されており、SACDの効果も相まってマタチッチの力強く偉大な演奏がより迫真的に楽しめるようになっています。フランス国立管の 音色とマタチッチの個性がまじりあって紡ぎ出される無二の世界をお楽しみください。
「マタチッチというと、酒豪で不器用な人間だったことが知られているので、とにかく力業で、グイグイ押す指揮者という印象が強い。確かに、それは決して間違っ てはいないけれども、併行して、細部に対するこだわりも非常に強かったのである」「マタチッチのブルックナー第9番となれば、これをまっ先に聴けば良いでしょう。 圧巻はアダージョではあるまいか。これほど厳しく凜々しく、祈りに満ちた演奏は希有であろう」…平林直哉氏の解説より
Altus
ALT-520(1CD)
シューリヒト&スイス・ロマンド管
ブラームス:交響曲第4番ホ短調 Op.98
バッハ:管弦楽組曲第2番ロ短調 BWV1067
カール・シューリヒト(指)
スイス・ロマンドO

録音:1952年5月3日、1955年8月4日* 共にスイス・ロマンド放送によるモノラル録音
シューリヒトがスイス・ロマンド管と共演した、貴重な放送音源を収録。50年代の録音ながら丁寧なマスタリングで音を整え、すっきりと知的にして必要なもの をしっかりと汲み取った辛口の名演がおおいに堪能できます。ブラームスの4番は幾つか残されている録音のなかで最も古いもので、このころのシューリヒトの音 作りを知る興味深い演奏。またこちらも秀演といえるバッハの管弦楽組曲では、オーケストラの首席フルート奏者アンドレ・ぺパンの鮮やかな妙技が味わえます。
■「(ブラームス4番は)年代が最も早いせいか、シューリヒトらしい枯淡の味わいと、きりりとひきしまった精悍さが融合され、非常に鮮やかな印象を残す」「(バッ ハは)最近の流行とは正反対の、大きな編成による演奏であるが、この1955年のライヴは大柄ではあってもはつらつとしており、好ましい」…平林直哉氏の解説 より (Ki)

GRAND SLAM
GS-2276(1CD)
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)、BPO
ティルラ・ブリーム(S)、エリーザベト・ヘンゲン(A)、ペーター・アンダース(T)、ルドルフ・ヴァツケ(Bs-Br)、ブルーノ・キッテルcho

録音:1942年3月22〜24日/ベルリン、旧フィルハーモニー
使用音源:Private archive(2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:モノラル(ラジオ放送用録音)
■制作者より  
言わずと知れたメロディア/ユニコーン系列音源によるベートーヴェンの第9です。同一演奏はGS-2146(2016年3月/廃盤)でも復刻しましたが、今回は 新たに2トラック、38センチのオープンリール・テープを取り寄せ、それを録音スタジオに持ち込んで全行程をプロ用機器でマスタリングしました。近年では演奏ノ イズ、会場ノイズを除去する傾向が強いですが、当CDではそのような操作は行わず、原音の響きを尊重しています。  また、解説書には作曲家の橋本國彦が留学中にフルトヴェングラーとベルリン・フィル、ブルーノ・キッテル合唱団による第9を聴いた時の文章を掲載していま す。橋本が聴いたライヴは別の年の公演ですが、黄金のコンビによる第9を旧フィルハーモニーで体験した数少ない日本人の証言として、まことに貴重です。  なお、同じく解説書には合唱指揮者ブルーノ・キッテルと4人の独唱者の写真を掲載していますが、過去にこのような形で写真を掲載しているディスク類は非常 に少ないと思われます。(平林 直哉)

オクタヴィア
OVCL-00791(1SACD)
税込定価
2022年8月24日発売
ハイドン:交響曲集Vol.16
交響曲第51番変ロ長調 Hob.I:51
交響曲第28番 イ長調 Hob.I:28
交響曲第91番変ホ長調 Hob.I:91
飯森範親(指)
日本センチュリーSO

録音:2019年11月22日 大阪、いずみホール・ライヴ
日本センチュリーSOが首席指揮者の飯森範親と共にスタートした「ハイドンマラソン」は、フランツ・ヨーゼフ・ ハイドンのすべての交響曲を演奏しようという一大プロジェクト。当盤は第17回コンサートのライヴ収録です。 幾度の公演を重ね、信頼関係を築いてきた飯森と日本センチュリー響は、精緻な構築と、細部までこだわりぬいた 感性で、気品あふれるハイドンを奏でています。柔和で晴々とした優美な演奏は、まさに彼らの真骨頂といえるで しょう。(オクタヴィア)
オクタヴィア
OVCL-00789(1SACD)
税込定価
2022年8月24日発売
R.シュトラウス:アルプス交響曲
歌劇「ばらの騎士」〜第1ワルツ集
ウラディーミル・アシュケナージ(指)
チェコPO

録音:1999年3月21、22、27日
プラハ、ルドルフィヌム、ドヴォルザーク・ホール
巨匠アシュケナージのチェコ・フィル音楽監督在任時代の名盤復活! アシュケナージは、この曲のスペクタクルなオーケストレーションを、華美や誇張には見向きもせず、精緻か つ雄大な音楽をくり広げています。この時代にスペシャリスト達が揃っていたチェコ・フィルの、特に金管セク ションのあざやかな名技には耳を奪われるでしょう。 キャニオンクラシックス原盤、20世紀の掉尾を飾った名録音です。(オクタヴィア)
オクタヴィア
OVCL-00792(1SACD)
税込定価
2022年8月24日発売
R.シュトラウス:家庭交響曲
交響詩「ドン・ファン」
ウラディーミル・アシュケナージ(指)
チェコPO

録音:k1997年4月19日、20日
プラハ「芸術家の家」ドヴォルザーク・ホール
ロイヤル・フィルやベルリン・ドイツSOの指揮者を歴任してきたアシュケナージが、1997年初頭、 チェコ・フィルとのコンサートで圧倒的成功を収めたのが、この「家庭交響曲」。 その熱量そのままに、一気に収録したのが本アルバムで、音楽監督就任後の初録音でもあります。 ここに聴く豊潤なロマンの躍動こそアシュケナージの真骨頂であり、また絶頂期にあったチェコ・フィルの全 セクションが壮麗な輝きを見せる、楽曲終半も大いなる聞きものです。’オクタヴィア)

Goodies
78CDR-3878(1CDR)
チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調作品74「悲愴」 ブルーノ・ワルター指揮
ベルリン国立歌劇場O

独 POLYDOR 69771/5
1925年3月ベルリン録音
ブルーノ・ワルター(1876-1962)はドイツ出身の大指揮者。ベルリンのシュテル ン音楽院を卒業後ピアニストとしてデビュー、後に指揮者に転向した。1894年 ハンブルク歌劇場の指揮者だった時、音楽監督のマーラー(1860- 1911)と出会い親交を深めた。その後ウィーン国立歌劇場、ライプツィヒ・ゲ ヴァントハウスOの楽長、音楽監督を歴任、またウィーン・フィルやベ ルリン・フィルも指揮した。1938年オーストリアがナチス・ドイツに併合され ると迫害を逃れてフランス、イギリスを経てアメリカに移住した。この録音は ラッパ吹き込み末期のもので、ワルターはこの曲をその後再録音をしなかった ので貴重な一枚。 復刻には「音のエジソン」http://www.otono-edison.com/ SPレコード専用 MC型カートリッジ、スピリッツ(4mil針)とコルグのNu 1DSD録音機を使用した。(グッディーズ)

ALPHA
ALPHA-875(1CD)

NYCX-10342(1CD)
国内盤仕様
税込定価
モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲
ピアノ協奏曲 第23番イ長調 K. 488
交響曲第40番ト短調 K. 550「十二音技法」
アンドレアス・シュタイアー(フォルテピアノ)
使用楽器:ウィーンのアントン・ヴァルター1790年頃製作モデルに基づくクリストフ・ケルン製作の再現楽器
ル・コンセール・ド・ラ・ロージュ(古楽器使用)
ジュリアン・ショーヴァン(Vn、指揮)

録音:2021年9月アルスナル、メス(フランス北東部ロレーヌ地方)
※ 国内盤仕様解説日本語訳…白沢達生
Aparteレーベルでのハイドン「パリ交響曲」シリーズで注目すべき実績を上げた後、ALPHAでモーツァルトの重要な管弦楽作品を体系的に 録音してゆくSimply Mozartシリーズを開始したフランス最前線の古楽器オーケストラ、ル・コンセール・ド・ラ・ロージュ。「ジュピター」などを 収録し世界中で高い評価を博した第1弾(ALPHA776/NYCX-10256)に続き、第2作は同じ後期交響曲群中唯一の短調作品である ト短調の第40番と、パリに自筆譜が残っている2作(「ドン・ジョヴァンニ」序曲、ピアノ協奏曲第23番)という重要作揃いのプログラムです。協 奏曲のソリストに迎えられたフォルテピアノの大御所アンドレアス・シュタイアーは、意外にもモーツァルト協奏曲の録音が決して多くはなく、20 世紀終わりにTeldecからリリースされたコンチェルト・ケルンとの4曲(第9、17、18、19番)以来の満を持しての新録音!随所に聴こえる通 奏低音としての即興含め、当時の演奏習慣を踏まえた装飾が盛り込まれた解釈の流麗さはますます冴えわたるばかり。シュタイアーとともに 自筆譜を検討し演奏に反映させたというル・コンセール・ド・ラ・ロージュの各セクションも古楽器ならではの機微に満ちた解釈で、ヴァイオリン を弾きながら指揮するショーヴァンのもと意欲溢れる一体感で各作品の深みと迫力をあざやかに伝えてやみません。なおここではクラリネットの 入った版を使用。終楽章の半音階的楽想をふまえ第40番にあえて添えられた「十二音技法」という副題(彼らのコンサートの聴衆から募集 し、団員によって選ばれたものとのこと)にも現れている通り、作品本来の姿を徹底して見つめ直した先に垣間見えるモーツァルトの先進性に 改めて驚かされます。自筆譜がパリに辿り着いた経緯やシュタイアーへのインタビューなど、解説も貴重な情報満載です(仏・英・独語/国 内仕様盤は日本語訳付)。

TOCCATA
TOCC-0636(1CD)
NX-B03
エミール・タバコフ(1947-):交響曲全集 第7集
15の弦楽器のための協奏曲(1979)
交響曲第9番(2015)…世界初録音
ソフィア・ソロイスツ・チェンバー・アンサンブル
ソフィアPO
エミール・タバコフ(指)

録音:1980年2月3日、2018年3月18日(ライヴ)
秘曲づくしのTOCCATAの人気シリーズの一つが、ブルガリアの作曲家、指揮者エミール・タバコフの交響曲集全 集です。この第7集には2015年の「第9番」と、1979年の「15の弦楽器のための協奏曲」が収録されていま す。 交響曲第9番は、オーケストラの表現能力の極限を探る純音楽作品として書かれており、表題性はないものの 彼の作品によくあるように、荒々しいオーケストラは混迷する社会を、ソロ楽器の旋律は人間の尊厳をたたえる 声のように聴こえます。冒頭楽章には壮大なアダージョが置かれ、躍動感あふれる第2楽章のスケルツォが続きま す。そして穏やかなラルゴを経て、ゆったりとした楽想で始まる最終楽章は、激しく荒々しいアレグロ・モデラートに 変化。古典的な形式を継承した見事な作品に仕上がっています。「15の弦楽器のための協奏曲」は習作であ るものの、各楽器の超絶技巧が際立つエネルギッシュな作品です。

Channel Classics
CCSSA-42822(1SACD)
NX-C03
ブルックナー:交響曲第9番 ブダペスト祝祭O
イヴァン・フィッシャー(指)

録音:2021年3月 コングレス・センター、ブダペスト、ハンガリー
CD層…Stereo SACD層…Stereo、5.0マルチチャンネル
2012年に録音された交響曲第7番以来の、イヴァン・フィッシャーとブダペスト祝祭Oによるブルックナーに第9番が登場。ブルック ナーがこの作品の第3楽章を書き上げた時に70歳だったことから、「自分が70歳の誕生日を迎えるまでこの作品は録音しない」と決めていた というフィッシャー。2021年1月に70歳を迎え、満を持してこの大作に臨みました。彼は過去に試みられた様々な補筆完成の動きに敬意を 表しながらも、「第3楽章終結の、終わりなく続くかと思われるホルンの音はあたかも作曲者の最後の息のようだし、もうこれ以上語ることは無 いと感じさせる」として、3つの楽章で作品は完結していると解釈。ブルックナー自身がこの作品の総譜に書き込んだ「わが愛する神に」という 献辞に引っかけ、この録音を「わが愛するブルックナーに捧げる」と、深い思い入れを語っています。演奏の方は、緩急織り交ぜたメリハリのあ るテンポ設定に加え、管と弦との対比を鮮明にどのパートも大きな表現を伴ってよく歌わせており、結果ヴァイオリンの両翼配置も効果的なも のとなって、ダイナミックでありながら雄大な美しさを湛えた、たいへん聴き応えのある仕上がりとなっております。これらを最大限楽しむことの出 来るSACDハイブリッドでの発売も嬉しいところ。彼らの大作録音を心待ちしていたファンの期待に大いに応えるアルバムといえるでしょう。
Channel Classics
CCSBOX-7322(4CD)
NX-F01
ブラームス:交響曲全集、管弦楽作品集
【DISC 1】
ハンガリー舞曲 第14番ニ短調 (イヴァン・フィッシャー編)
ハイドンの主題による変奏曲 Op. 56a
交響曲第1番ハ短調 Op. 68
【DISC 2】
交響曲第2番ニ長調 Op. 73
悲劇的序曲/大学祝典序曲
【DISC 3】
交響曲第3番ヘ長調 Op. 90
セレナーデ 第2番
【DISC 4】
交響曲第4番ホ短調 Op. 98
ハンガリー舞曲 第11番ニ短調
シィク地方の民族音楽(Vn、ヴィオラ、コントラバスによる) 〜ハンガリー舞曲 第3番に使われたオリジナル・メロディ
ハンガリー舞曲 第3番ヘ長調
ハンガリー舞曲 第7番イ長調
ブダペスト祝祭O
イヴァン・フィッシャー(指)

録音:2009年1月…DISC 1
 2012年2月…DISC 2、
 2013年4月…DISC 4
 2020年8月30日-9月1日…DISC 3
 ブダペスト芸術宮殿

※DISC 3、トラック1の00'21''付近に小さなノイズが発生しますが、レーベルより電気的なノイズではなく収録時のものという回答を得ております。ご了承くださいませ。
10年以上の歳月をかけて録音され、リリースされるたびにその個性的かつ説得力のある解釈が話題となった、イヴァン・フィッシャーのブラーム ス交響曲全集が待望のBOX化です。全体にメリハリのあるテンポ感ながら奇をてらった印象は全く無く、隅々まで歌い込まれたダイナミックで 躍動感のある表現が大きな魅力。併せて収められた管弦楽作品の名作も嬉しいところですが、ハンガリー舞曲からフィッシャーによるオリジナ ルの編曲や、原曲の民族音楽の雰囲気を楽しめるトラックも収録するなど、彼らならではのこだわりが満載の内容となっています。単品では SACDハイブリッドでのリリースでしたがBOX化にあたり通常CDへと変更、大幅にお求め安くなったことは歓迎できる点といえるでしょう。


Pentatone
PTC-5186978(3CD)
ブロムシュテット/ブラームス:交響曲全集
■CD1
(1)交響曲第1番ハ短調 Op.68
(2)悲劇的序曲 ニ短調 Op.81
■CD2
(3)交響曲第2番ニ長調 Op.68
(4)大学祝典序曲 Op.80
■CD3
(5)交響曲第3番ヘ長調 Op.90
(6)交響曲第4番ホ短調 Op.98
ヘルベルト・ブロムシュテット(指)
ライプツィヒ・ゲヴァントハウスO

録音:(1)2019年9月、(2)(3)(4)2019年10月、(5)(6)2021年4月
ゲヴァントハウス(ライプツィヒ)
(1)-(4)ライヴ、(5)(6)セッション
1927年生まれのヘルベルト・ブロムシュテット。現役最高齢の巨匠がライプツィヒ・ゲヴァントハウスOと録音したブラームスの交響曲全曲がついにセッ トとなって登場いたします!
録音はゲヴァントハウスにて、2019年9月、10月のライヴと2021年4月のセッションです。当初、全てライヴ収録の予定でしたが、長引くコロナ禍の 影響で交響曲第3、4番のみセッションとなりました。
ブロムシュテットは1998年から2005年の7年間に渡ってライプツィヒ・ゲヴァントハウスOのシェフを務め、その後当団の名誉指揮者として指揮台 に立っており、現在も非常に良好な信頼関係を築いています。
ブロムシュテットの境地といえるブラームスは、楽譜を丁寧に読み込みその音楽に魂を宿らせたような生命力に満ちた演奏を展開しており、各作品の成り立ち、 分析そして研究を重ね、導き出したひとつのこたえがこの演奏に結実。指揮者として60年以上のキャリアの巨匠が94歳で成し遂げた前代未聞の大偉業。祈り とともに魂のこもった演奏は感動せずにはいられません。 (Ki)

ALIA VOX
AVSA-9950
(2SACD)
シューベルト:交響曲集〜Transfiguration(変容)
[Disc1] 交響曲 ロ短調「未完成」
[Disc2] 交響曲第9番ハ長調「ザ・グレイト」
ジョルディ・サヴァール(指)
ル・コンセール・デ・ナシオン

録音:2021年9月26-29日、カタルーニャ
サヴァールが、初のシューベルト・アルバムをリリースします!ベートーヴェン(AVSA 9937(第1-5番)および9946(第6-第9))で世界中に、まさに新し く生まれたばかりのようなフレッシュなベートーヴェンの交響曲を届けてくれたサヴァール。このシューベルトも、名演名盤ひしめく作品ですが、サヴァールならでは の楽譜や作曲家へのまなざしに裏打ちされた、ほかにはないシューベルトとなっています。音楽史を生きてきたともいえるサヴァールとル・コンセール・デ・ナシ オンの面々の耳と経験と感性が、まさにシューベルトの楽譜の生々しい筆跡やインクのにおい、あるいはシューベルトの体温までもが感じられるような、「生まれた て」の演奏が展開されています。当時の空気のにおいや当時のオーケストラの熱気が伝わってくるような、実に鮮烈かつ不思議なシューベルトとなっています。
サヴァールは、タイトルを「Transfiguration(変容)」としたことについて、シューベルトが書いた短い詩のようなテキスト「私が愛について歌うと、それは苦しみ になってしまう。私が苦しみについて歌うと、それは愛となる」に触れ、シューベルトの音楽の内的・精神的世界の底知れない広さと、シューベルトの筆が生み出し た奇跡のような音楽に驚かされない瞬間はない、と語っています。そうしたサヴァールの思いや発見、気づき、ひらめきと、そうしたものを実際に音にのせて響か せることの巧みさに、聴き手もまた驚かされ、感動するのです。 (Ki)

Skani
SKANI-141(1CD)
ヤーニス・イヴァノフス(1906-1983):交響曲第17番ハ長調(1976)
交響曲第18番ホ短調(1977)
ラトビア国立SO、
グンティス・クズマ(指)

録音:2022年
名門ラトビア国立SOとグンティス・クズマによる大きなプロジェクト、ヤーニス・イヴァノフスの交響曲シリーズ最新作。イヴァノフスは21曲もの交響曲を遺しラトビア音楽史上もっとも才能に恵まれたシンフォニストとみなされているものの、最近までその作品に接する機会に恵まれていませんでした。今回収録された2つの作品もこれまで放送用コピーか70年代、80年代の古いLPレコードでしか入手できなかったもので、このCDリリースによってその不朽の音楽がようやく日の目を見ることになります。グンティス・クズマは2014/15シーズンよりラトビア国立SOの指揮者を務め、2022/23シーズンからはリエパーヤSOの首席指揮者への就任が決まっている期待の俊英です。

Prima Facie
PFCD-181182(2CD)
デイヴィッド・ゴライトリー(1948-2018):レターズ・オヴ・リグレット
ムード/ピアノ・ソナタ第1番
交響曲第1番(ミドルスブラ交響曲)
海景/ウェアデールの肖像
ローソン・トリオ、
ギャヴィン・サザーランド(指)、
プラハ市PO、他

録音:1996年〜2021年
イギリス・ダラム生まれの作曲家、デイヴィッド・ゴライトリー。1990年代後半〜2000年にかけて録音された代表的な作品の数々に、2018年に彼が逝去したことを受けてローソン・トリオが新たに録音した素晴らしいピアノ・トリオ「レターズ・オヴ・リグレット」を加えて、デイヴィッドの人生と音楽を讃えるアルバムが完成しました。

Hyperion
CDA-68396(1CD)
ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲第6番、
イギリス民謡集(煤けたズボン*、The Carter*、Ward the Pirate*)、
交響曲第8番、イングランド・マイ・イングランド#
マーティン・ブラビンズ(指)、
BBC響、BBC交響cho*#、
ロデリック・ウィリアムズ(Br)#

録音:2019年11月5日*#&2021年9月21日-22日、ワトフォード・コロシアム(ワトフォード、イギリス)
2003年から2016年まで名古屋フィルの常任指揮者を務め、その後も度々来日公演を成功させ、2016年からはイングリッシュ・ナショナル・オペラの音楽監督という大役を任されているイギリスの名指揮者マーティン・ブラビンズ。1920年版の「ロンドン交響曲(CDA68190)」で話題を呼んだブラビンズのヴォーン・ウィリアムズ・サイクル第5弾は、作曲者本人はその影響を否定しましたが、第2次大戦を反映したかのような作品で「戦争交響曲」ともいわれる問題作、「交響曲第6番」と、指揮者であるジョン・バルビローリに捧げられ古典的な要素を含んだ「交響曲第8番」を収録。
その他にもBBC交響合唱団が参加した「イギリス民謡集」や、2016年ロイヤル・フィルハーモニック協会賞を受賞、リーズ・リーダー音楽祭2016の芸術監督も務め、日本ではバッハ・コレギウム・ジャパンとの定期的な共演でも知られるイギリスの名バリトン、ロデリック・ウィリアムズを迎えた「イングランド・マイ・イングランド」といった珍しい声楽曲も収録されており、充実の内容となっています。
第1巻〜第3巻まで連続で英グラモフォン誌の「エディターズ・チョイス」に選ばれ、第4巻は同誌「クリティクス・チョイス」にも選ばれグラモフォン賞2021にノミネート、レコード芸術「海外盤REVIEW」でも絶賛されてきた絶好調のRVWサイクル。今作も目が離せません。

Danacord
DACOCD-923(2CDR)
トマス・イェンセンの遺産 第13集

■CD 1
ニールセン
(1)交響曲第5番Op.50
(2)パンとシランクス Op.49
(3)交響曲第6番「素朴な交響曲」
(4)若き芸術家の棺の傍らで

■CD 2
シベリウス
(1)交響詩「フィンランディア」*
(2)交響曲第1番ホ短調 Op.39
(3)交響曲第4番イ短調 Op.63
トマス・イェンセン(指)、
デンマークRSO、
ティヴォリ・コンサートホールO*

■CD 1
(1)録音:1954年4月7日(スタジオ録音)
(2)録音:1956年2月1日(ライヴ放送)
(3録音:1952年6月17日-19日(スタジオ録音)
(4)録音:1958年1月12日(ライヴ放送)
■CD 2
(1)録音:1947年7月2日(スタジオ録音)]*
(2)録音:1963年9月9日(ライヴ録音)]
(3)録音:1961年11月30日(ライヴ放送)]

※復刻/デジタルマスタリング:クラウス・ビューリト
デンマークの指揮者トマス・イェンセン(1898-1963)の「遺産」シリーズから、ニールセン&シベリウスの交響曲集が登場。今回も初CD化となるライヴ録音や放送音源、スタジオ録音などから復刻されています。ニールセンから直接音楽理論を学び彼の作品を早くから世に紹介したことで知られるイェンセンは、ニールセン本人が指揮した交響曲第5番の初演にチェリストとして参加していました。また、シベリウスが指揮した交響曲でもチェロを弾いており、シベリウスの音楽への情熱と見識にも自信をもっていたと言われています。CD1にはニールセンの交響曲第5番と第6番に加え、交響詩「パンとシランクス」、そして30歳の若さでこの世を去った画家、オーロフ・ハートマンの葬儀のために書かれた弦楽オーケストラのためのメランコリックな小品「若き芸術家の棺の傍らで」の1950年代の録音を収録。CD2にはシベリウスの「フィンランディア」、交響曲第1番と第4番の初出音源を収録。「フィンランディア」のみティヴォリ・コンサートホールOの演奏、他はデンマークRSOによる演奏です。
※当タイトルは、高品質メディア(SONY DADC/Diamond Silver Discs)を使用した、レーベル・オフィシャルのCD-R盤となります。

ONDINE
ODE-1401(1CD)
NX-B07
ターリヴァルディス・ケニンシュ(1919-2008): 交響曲第2番/第3番/第7番
交響曲第2番「Sinfonia concertante 協奏交響曲」(1967)- フルート、オーボエ、クラリネットと管弦楽のために
交響曲第3番(1970)
交響曲第7番(1980) - パッサカリアの形式による交響曲*
トマーソ・プラトーラ(Fl)
エギルス・ウパトニエクス(Ob)
マールティンシュ・ツィルツェニス(Cl)
ザンダ・シュヴェーデ(Ms)
ラトヴィア国立SO
アンドリス・ポーガ(指)

録音:2021年12月13-16日、2021年8月30日-9月2日*
1919年にラトヴィアで生まれた作曲家ターリヴァルディス・ケニンシュ。パリでメシアンとトニー・オーヴァンに師事。 作曲家としていくつかの賞を受賞した後、1951年にカナダに移住、教育者としてこの国の音楽発展に力を尽く しました。このアルバムは彼の交響曲シリーズの最終巻となるもので、ケニンシュの番号のついた8曲の交響曲の うち、3曲を収録しています。"トリプル・コンチェルト"とも言える交響曲第2番は、第2楽章にミクマク族(北アメリ カ大陸東部に住む先住民族)の子守歌に基づく旋律が用いられた雄大な作品。またその数年後に完成された 第3番は、ケニンシュの交響曲作家としての歩みを一歩進めたものとして評価されています。交響曲第7番は彼 の父親のテキストに基づくアリアで終わるという作品で、当時のソ連軍による母国ラトビアの占領に対する作曲者 の心の傷も反映されているようです。

Capriccio
C-8086(1CD)
NX-B05

NYCX-10332(1CD)
国内盤仕様
税込定価
ブルックナー:交響曲第3番ニ短調 WAB 103(1873年初稿/ノーヴァク版) ウィーンRSO
マルクス・ポシュナー(指)

録音:2022年1月23-24日Wien、Radio Kulturhaus(オーストリア)
2022年1月25日Konzerthaus(オーストリア)
※国内仕様盤には石原勇太郎氏(音楽学/国際ブルックナー協会会員)による日本語解説が付属
CAPRICCIOレーベルと国際ブルックナー協会の主導で、ブルックナーの生誕200年にあたる2024年までにブルックナーの全交響曲のすべての稿 (バージョン)を録音しようという企画、 「#bruckner2024」の第5弾。今回リリースされるのは、ブルックナーの交響曲の中で異稿が最も多い「交響 曲第3番」の初稿(1873年作曲)です。楽譜はノーヴァク版を使用。 第3番の各稿の中では初稿が最も長く、また「ワーグナー」のニックネームの由来であるワーグナーの楽劇から引用したモチーフが最も多く使われてお り、独自の魅力となっています。しかし、今では信じられない話ですが、初演のためのリハーサルに臨んだウィーン・フィルから「演奏不能」と宣告されてし まい、初演は行われませんでした。その後の改訂稿に比べると「整理が付いていない」「作曲法が練れてない」とされることもある初稿ですが、ブルック ナーの革新的な着想がよりオリジナルな形に留められていることから評価する声も強く、演奏・録音の機会は着実に増えています。 マルクス・ポシュナーとウィーンRSOによる演奏は、特に速い楽章では速めのテンポを採り、若々しい気概を感じさせます。一方緩徐楽章で はしっかりとテンポを緩め、しっとりとした情感や先に進むのを戸惑うような風情を醸します。第3番第1稿再評価の転機をもたらしたインバル/フランク フルト盤の演奏時間(23:59/18:53/06:09/16:17)と比べると、特に前半2楽章において顕著な違いがあり、イメージがかなり異なる演奏となっ ていることが想像できるでしょう。

C Major
76-2304(5Bluray)
レナード・バーンスタイン・ボックスVol.2

■BD1
シベリウス
(1)交響曲第1番ホ短調op.39
(2)交響曲第2番ニ長調op.43
(3)交響曲第5番変ホ長調op.82
(4)交響曲第7番ハ長調op.105

■BD2
ベートーヴェン
(1)弦楽四重奏曲第16番ヘ長調op.135(弦(2)ハイドン:ミサ曲第7番ハ長調Hob.XXII:9『戦時のミサ』

■BD3
ハイドン
(1)交響曲第94番ト長調Hob.T-94「驚愕」
(2)交響曲第92番ト長調Hob.T-92「オックスフォード」
(3)交響曲第88番ト長調作品56Hob.T-88「V字」
(4)協奏交響曲 変ロ長調Hob.T-105

■BD4
(1)ベルリオーズ:幻想交響曲
(2)ルーセル:交響曲第3番ト短調作品42
サン=サーンス:交響詩「オンファールの糸車」
トマ:「レーモン」序曲

■BD5
Bernsteinat100バーンスタイン生誕100周年記念~タングルウッド音楽祭
バーンスタイン
(1).『キャンディード』序曲
(2)プラトン「饗宴」によるセレナーデより第1楽章
(3).交響曲第3番「カディッシュ」より第2楽章第2部「カディッシュ2」
(4)「ミサ」よりチェロと管弦楽のための三つの瞑想曲 第3曲
(5)『ウェスト・サイド・ストーリー』よりプロローグ/ジェット・ソング/マリア/〜あんな男に〜私は愛している〜/トゥナイト(クインテット)
(6)マーラー:「子供の魔法の角笛」より“歩哨の夜の歌”
(8)ジョン・ウィリアムズ:ハイウッドの幽霊(世界初演)
(9)マーラー:交響曲第2番「復活」より終楽章

(アンコール)
(10)バーンスタイン:『ウェスト・サイド・ストーリー』より“どこかに”


■ボーナス
タングルウッドのバーンスタイン+ビデオ・メッセージ
■BD1
シベリウス
(1)収録:1990年ウィーン、ムジークフェラインザール
(2)収録:1986年ウィーン、ムジークフェラインザール
(3)収録:1987年ウィーン、コンツェルトハウス
(4)収録:1988年ウィーン、ムジークフェラインザール
レナード・バーンスタイン(指)VPO
映像監督:ハンフリー・バートン
音声:PCM2.0,DTS5.1
画面:4:3
リージョン:All
収録時間:166:00
■BD2
(1)レナード・バーンスタイン(指)VPO
収録:1989年ウィーン、ムジークフェラインザール
(2)ジュディス・ブレゲン(S)、ブリギッテ・ファスベンダー(A)、クラエス・アーカン・アーンシェ(T)、ハンス・ゾーティン(Bs)、バイエルンRSO&cho、レナード・バーンスタイン(指)
収録:1984年ドイツ、オットーボイレン大聖堂バジリカ教会
音声:PCM2.0,DTS5.1
画面:4:3
リージョン:All
字幕(ミサ曲):英独仏西韓中
収録時間:93:00
■BD3
(1収録:1985年10月ムジークフェラインザール(ウィーン)
(2)収録:1983年ムジークフェラインザール(ウィーン)
(3)収録:1983年11月ムジークフェラインザール(ウィーン)
(4)ライナー・キュッヒル(Vn)、フランツ・バルトロメイ(Vc)、ヴァルター・レーマイヤー(Ob)、ミハエル・ヴェルバ(Fg)
収録:1984年10月ムジークフェラインザール(ウィーン)
レナード・バーンスタイン(指)VPO
映像監督:ハンフリー・バートン
画面:4:3(デジタルリマスター) 
音声:PCMステレオ
収録時間:111:00

■BD4
(1)収録:1976年11月、パリ、シャンゼリゼ劇場
映像監督:ハンフリー・バートン、イヴ=アンドレ・ユベール
(2)収録:1981年11月、パリ、シャンゼリゼ劇場
映像監督:ディルク・サンダース
レナード・バーンスタイン(指)フランス国立O
画面:4:3new digital remastered in HD
音声:PCMステレオ 
リージョン:All
収録時間:108:00
■BD5
(1)アンドリス・ネルソンス(指)ボストンSO
(2)五嶋みどり(Vn)、クリストフ・エッシェンバッハ(指)ボストンSO
(3).ナディーヌ・シエラ(S)、キース・ロックハート(指)ボストンSO
タングルウッド祝祭女声cho
(4)キアン・ソルタニ(Vc)、クリストフ・エッシェンバッハ(指)ボストンSO
(5)イザベル・レナード、ジェシカ・ボスク、トニー・ヤスベック。マイケル・ティルソン・トーマス(指)ボストンSO
(6)トーマス・ハンプソン(Br)。アンドリス・ネルソンス(指)ボストンSO
(7)マイケル・ティルソン・トーマス(指)ボストンSO
(8)ヨーヨー・マ(Vc)、ジェシカ・ジョウ(Hp)。ジョン・ウィリアムズ(指)ボストンSO
(9)ナディーヌ・シエラ(S)、スーザン・グラハム(Ms)、アンドリス・ネルソンス(指)ボストンSO。タングルウッド祝祭cho
(10)オードラ・マクドナルド アンドリス・ネルソンス(指) 全員参加

■ボーナス
タングルウッドのバーンスタイン+ビデオ・メッセージ
収録:2018年8月25日、タングルウッド音楽祭(ライヴ)
画面:16:9,HD,1080i
音声:PCMステレオ、DTS-HDMA5.1
字幕(ボーナス):英独韓,日本語
リージョン:All
収録時間:コンサート:127:00 
ボーナス:14:00
20世紀の偉大な指揮者の一人レナード・バーンスタイン。生誕100年を祝った2018年に発売された「レナード・バーンスタイン生誕100周年記念DVDボッ クス」(74-30080)に続くボックス・セット第2弾。今回はコンサート映像を中心とした内容でブルーレイ・ボックスでの発売です。 BD1には、バーンスタインは晩年の芸風を反映したウィーン・フィルとのシベリウスが収録されています。通常は北欧の響きを感じさせるシベリウスですが、バー ンスタインは熱気を含んだ高いヴォルテージの演奏、さらにウィーン・フィルの濃厚な響きと豊かな表現力で、北欧のオケが奏でるシベリウスとは異なる魅力を聴 かせてくれます。またハンフリー・バートンのカメラワークも秀逸。 BD2は、バーンスタインが亡くなる一年前、ウィーン・フィルによって開かれたカラヤンの追悼公演で演奏された、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第16番(弦楽 合奏版)。第3楽章レントの音楽がマーラーの交響曲第3番終楽章に影響を与えたことでも知られる作品で、10分を超えるアダージョは特に感動的な仕上がり。カッ プリングには、1984年にドイツの世界遺産オットーボイレン大聖堂バジリカ教会で収録されたハイドンのミサ曲第7番「戦時のミサ」。荘厳な雰囲気の中でのバー ンスタインの祈りが観る者の胸を打ちます。 BD3には、ウィーン・フィルと蜜月関係にあった1980年代前半に残したハイドンの交響曲3作品とウィーン・フィルのメンバーをソリストに据えた協奏交響曲が 収録されています。溌剌とした躍動感に満ちた演奏で、ウィーン・フィルの美しく豊かな音色を駆使し、生命力あふれるハイドン像を描いています。またバーンスタ インの情熱的な指揮ぶりは、映像で楽しむ醍醐味といえるでしょう。 BD4は、バーンスタインがフランス国立Oと共に、1976年にシャンゼリゼ劇場で行ったベルリオーズの「幻想交響曲」と、1981年に披露したルーセル、 サン=サーンス、トマというフランス・プログラム。バーンスタインは「幻想交響曲」を2度ニューヨーク・フィルと(63年/68年)そしてフランス国立管とはこの ライヴと同時期にセッション録音を行っています。 ニューヨーク・フィルとの若い才気溢れる演奏とは異なり、風貌もバーンスタインとしては珍しく髭を蓄えた姿で 登場、さらにハンフリー・バートンの抜群のカメラワーク、楽曲を熟知したフランス国立管とバーンスタインの個性が相乗効果を生んだ色彩豊かな演奏となっていま す。 続くは、ルーセルがボストンSOの創立50周年を記念して委嘱された交響曲第3番。「幻想」と同じくニューヨーク・フィルとの録音もある同曲(1961 年)。 躍動感溢れるリズムと極彩色の音楽、バーンスタインの鮮やかな指揮ぶりは、映像でこそ楽しめると言えるでしょう。 BD5では、バーンスタインを語る上で欠かせない音楽祭のひとつ、タングルウッド音楽祭の2018年8月のライヴ映像。2018年のタングルウッドは、もちろんバー ンスタイン一色。様々なプログラムを通してバーンスタインの音楽、活動を取り上げています。この8月25日のコンサートは五嶋みどり、ヨーヨー・マ、ティルソン・ トーマス、エッシェンバッハ、ネルソンスとゆかりのアーティストが勢ぞろいしたガラ・コンサート。第 1部は作曲家バーンスタイン。 第 2部はバーンスタインが好ん だ作曲家の作品が取り上げられています。 ボーナス映像には、バーンスタインとタングルウッドの歴史、そしてヨーヨー・マ、ティルソン・トーマス、ネルソンスらが 語るバーンスタインの思い出が収録されています。 (Ki)

GRAND SLAM
GS-2275(1CD)
(1)ブラームス:交響曲第3番ヘ長調 Op.90
(2)ベートーヴェン:「レオノーレ」序曲第2番 ハ長調 Op.72
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)BPO

録音:(1)1954年4月27日ベルリン、ティタニア・パラスト
(2)1954年4月4、5日ベルリン高等音楽院
使用音源:Private archive(2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:モノラル(ラジオ放送用録音(1)、録音セッション(2))
■制作者より  
ブラームスはGS-2184(2018年発売【廃盤】)以来、2度目の登場です。今回も旧音源を使い回さず、テープを録音スタジオに持ち込んで全行程をプロ用の 機器でリマスタリングし、音質を刷新しました。間違いなく過去最高の音質だと自負しています。音は乾いた感じですが、全体のバランスや明瞭度は同じ会場での 1949年のライヴを大きく上回っており、ファンにはたまりません。「レオノーレ」序曲第2番は本シリーズ初登場です。ブラームスと同様、フルトヴェングラーとベ ルリン・フィルの最晩年の熟した響きが堪能できます。 ※おことわり:「レオノーレ」序曲第2番では特に長い間の部分でゴーストが目立ちます。これは古いテープにしばしば起こる劣化現象のひとつですが、マスタリング の際にあまり強引に除去しようとすると音質に悪影響を与えますので、当ディスクではそうした修正は必要最低限にとどめています。ご了承下さい。(平林 直哉)

Naive
V-7262[NA]
メンデルスゾーン(1809-147):作品集
弦楽のためのシンフォニア第2番ニ長調(1821)
ヴァイオリンと弦楽のための協奏曲 ニ短調(1822)
ソプラノと弦楽のためのサルヴェ・レジーナ 変ロ長調(1824)*
弦楽四重奏のためのフーガ 変ホ長調(1827)
弦楽のためのシンフォニア第5番変ロ長調(1821)
ピアノと弦楽のためのラルゴ ニ短調(1820)
3声のフーガ ト短調(1820)
3声のフーガ ニ短調(1820)
ファビオ・ビオンディ(Vn、指揮)
エウローパ・ガランテ
パオラ・ポンチェット(フォルテピアノ)
モニカ・ピッチニーニ(S)*

録音:2020年7月11-13日、サラ・ギスレリ(アッカデミア・モンティス・レガリス)、モンドヴィ(イタリア)
ビオンディ率いるエウローパ・ガランテがメンデルスゾーンを録音しました!メンデルスゾーンが11歳から18歳の間に書き上げた作品がプログラムされています。 ビオンディは、「メンデルスゾーンの”若書き”の作品と成熟した時期の作品を見分けるのは難しい、なぜならメンデルスゾーンは最初からすべてを持っていたから」 と語っていますが、たしかにどれも、名曲として知られる作品と同様の天才のきらめきに満ちた美しい作品ばかり。バッハの伝統と、ロマン派のみずみずしい萌芽 とが感じられます。「ヴァイオリン協奏曲」は、独奏楽器と弦楽群が対等な扱われ方で、バロック期の協奏曲のようでありながら、ソロ楽器の随所に美しく歌うメ ロディもちりばめられた魅力的な作品。ビオンディのヴァイオリン・ソロの美しさが炸裂し、また、技巧的な部分も華やかさに満ちています。「サルヴェ・レジーナ」 は独唱と弦楽のための作品ですが、弦楽のアンサンブルが、伴奏に徹するというより歌いまくっていて、少年メンデルスゾーンが書き上げた宗教作品の美しさをこ れ以上なく引き出しています。バロックのレパートリーを知り尽くしたビオンディとエウローパ・ガランテによるメンデルスゾーンは、メンデルスゾーンが過去の巨匠 に大きな敬意を持ち、バッハ復興に大きな役割を果たしたことを考えるとさらに格別な意味と重みがあります。 (Ki)

Edition HST
HST-121(1CD)
税込定価
J.B.ヴァンハル(1739-1813);交響曲集第27巻 (HST-121)
交響曲変ホ長調「スヴィーテン男爵」 Bryan Es13(ca.1780)
交響曲ハ長調Bryan C5(1769-71?)
交響曲へ長調Bryan F5(1767-68?)
(以下Bonus-)
チェロ・ソナタ(バスを伴うチェロ独奏曲)イ長調 Weinmann
VIId:A1(ca.1775) (*)
ハイドン・シンフォ二エッタ トウキョウ
リーダー;松井利世子、福本 牧(Vn)、他
(*)小原 圭(Vc独奏)、古庄正典(Cb)

録音:2022年4月26日、江東公会堂小ホール(東京)にて、ライヴ収録
※Es13, A1は世界初録音!
- Es13はハイドン作やヴァンハル作などとして伝承されてきたが、メヌエット楽 章以外は現在ではスヴィーテン男爵作と考えられています。(本 CD ではメヌエット 楽章はBryan Es4で既出であるため省略。) - C5は真作とされ、今回デジタル収録は世界初録音となります。 - チェロ・ソナタは希少であるが、当時ヴァンハルは3曲以上のチェロ協奏曲を 作曲し、さらに伝説のモーツアルトらとのカルテット・パーティではチェロを担当し ていたことからも、チェロ曲作曲の名士であったと推測されます。

DACAPO
MAR-8.204002(4CD)
NX-F10
ペア・ノアゴー(1932-):8つの交響曲

【CD1】
交響曲第3番(1972-1975)
交響曲第7番(2004-2006)…世界初録音
【CD2】
交響曲第1番「厳格」(1953-55/1956改訂)
交響曲第8番(2010-2011)…世界初録音
【CD3】
交響曲第6番「一日の終わりに」(1999)
交響曲第2番(1970/1971改訂)
【CD4】
交響曲第5番(1987-1990/1991改訂)
交響曲第4番(1981)
ウッラ・ミュンシュ(A)
デンマーク国立放送合唱団
デンマーク国立声楽アンサンブル
デンマーク国立RSO
トマス・ダウスゴー(指)
VPO
サカリ・オラモ(指)
オスロPO
ヨーン・ストルゴーズ(指)

録音:2007年12月20-22日 Danish Radio Concert Hall, Copenhagen(デンマーク)
2008年6月2-5日 Danish Radio Concert Hall, Copenhagen(デンマーク)
2013年5月16-17日 Konzerthaus Wien, Vienna(オーストリア)
2013年5月25-26日 Konzerthaus Wien, Vienna(オーストリア)
2015年5月25-28日 Oslo Konserthus(ノルウェー)
2015年6月1-5日 Orchestra Rehearsal Room, Oslo Opera House(ノルウェー)
2022年7月13日に90歳の誕生日を迎えたデンマークを代表する現代作曲家ペア・ノアゴー。 この4枚組BOXには、60年にわたる彼の作曲生活から生まれた8曲の交響曲がまとめられています。 「私の交響曲は、それだけでひとつの大陸のような気がする」とノアゴー自身が語るように、さまざまな要素が内包 されており、また書かれた年代によって全く違う様相を帯びています。 1953年に書かれた、シベリウスを思わせる北欧の自然の描写が美しい交響曲第1番から、独自の作曲手法 「無限セリー」を用いた第3番、スイスのアーティスト、アドルフ・ヴェルフリに影響されたという交響曲第4番を経 て、2010-11年に書かれた簡潔な書法による古典的な形式を持つ第8番まで、それぞれの作品は作曲家の 成熟成を示すとともに、ノアゴーの「私の交響曲にはそれぞれの個性があり、同じことの繰り返しはない」との言葉 通り、どの曲も独自の世界を持っています。この8曲でノアゴーの音楽語法を存分に楽しめます。 演奏家の顔ぶれも充実しており、サカリ・オラモとウィーン・フィルによる第1番と第8番は2015年のグラモフォン・ア ウォード(最優秀現代音楽録音)に選ばれました。

CPO
CPO-555319(1CD)
NX-B10
カール・レーヴェ:交響曲 ニ短調/交響曲 ホ短調 他
交響曲 ニ短調(1835)
交響曲 ホ短調(1834)
序曲「テミスト」
イェナ・フィルハーモニー
ジモン・ガウデンツ(指)

録音:2019年9月17-20日
歌曲の作曲家として名高いカール・レーヴェが書いた2曲の交響曲が登場。ホ短調交響曲については、レー ヴェ自身が「1834年12月15日に作曲を完了した」と書いたメモが残っており、ニ短調交響曲に関しては、 1835年に作曲されたと推測されています。楽器編成は2曲ともよく似ており、特に4本のホルンが活躍する のが特徴といえるでしょう。ニ短調交響曲では第2楽章がスケルツォ、第3楽章が緩徐楽章(アンダンテ)と いう、当時の一般的な並びとは逆の配置になっています。終楽章は嬰ヘ長調で始まり、ニ長調、ニ短調へと 移行する斬新な展開を見せます。どちらの交響曲も演奏時間は30分ほど。古典的な構成に歌うようなメロ ディ、ロマン派の短調作品らしい悲劇性や哀感を湛え、急速楽章はオペラの序曲のようにドラマティックであり ながら対位法的な展開もあり、ドイツ・ロマン派の交響曲に関心がある人ならばきっと楽しめる作品です。 「テミスト」は同名オラトリオのための序曲。古典的な佇まいを持つ小さな作品です。ジモン・ガウデンツが指揮 するイェナ・フィルハーモニーの演奏で。


PROMINENT CLASSICS
2506-5600(10CD)
チェリビダッケ+ロンドン交響楽団・伝説のコンサート集
■CD1
ヴェルディ:「運命の力」序曲
ヒンデミット:交響曲「画家マティス」
プロコフィエフ:「ロメオとジュリエット」組曲[モンタギュー家とキャピュレット家/少女ジュリエット/仮面/別れの前のロメオとジュリエット/アンティル列島の娘たちの踊り/墓の前のロメオ/タイボルトの死]
■CD2
ブラームス
:交響曲第3番
■CD3
ブラームス
:交響曲第1番
ブラームス:ハンガリー舞曲第1番
■CD4
シューマン
:交響曲第2番
ラヴェル:スペイン狂詩曲
ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
■CD5
ワーグナー
:「タンホイザー」序曲
モーツァルト
:交響曲第38番「プラハ」*
シベリウス:交響詩「エン・サガ」*
■CD6
プロコフィエフ:交響曲第5番
ティペット:歌劇「真夏の結婚」〜祭典の踊り*
■CD7
ドビュッシー:「映像」〜イベリア
ムソルグスキー(ラヴェル編):組曲「展覧会の絵」
■CD8コダーイ:「ガランタ舞曲」
ラヴェル:組曲「マ・メール・ロア」
■CD9
ブラームス
:交響曲第1番
デュカス:交響詩「魔法使いの弟子」*
■CD10
ラヴェル
:ピアノ協奏曲
フォーレ:レクイエム
セルジュ・チェリビダッケ(指)LSO
(以下CD10)
アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ(P)
マリー・マクローリン(S)
グウィン・ハウエル(Bs)
リチャード・ヒコックス(指)ロンドン交響cho

■CD1
録音:1978年4月11日

■CD2CD3
録音:1979年5月31日

■CD4
録音:1979年9月18日

■CD5
録音:1979年9月18日
録音:1979年9月21日*

■CD6
録音:1979年9月21日
録音:1980年4月10日*
■CD7
録音:1980年4月10日

■CD8
録音:1980年4月13日

■CD9
録音:1980年4月13日
録音:1982年4月8日*

■CD10
録音:1982年4月8日
全てロンドン、ロイヤル・フェスティヴァル・ホールにおけるライヴ録音

※英語、日本語によるライナーノート付
チェリビダッケという人はいつの時代も完成していた人なのではないか?という気持ちも新たな伝説の名演集が復活。70 年代後半はロンドン交響楽団と蜜月状態にあったのがチェリビダッケ。絵の具の豊富なパレットから色鮮やかな音楽を聞か せてくれます。このコンビは1980 年4 月に過密スケジュールの日本公演も行いました。このセットにも来日公演曲目が網羅 されております。ロンドン交響楽団はプレヴィン時代からアバド時代の移行期間ともいえる充実した季節です。リーダー(コン サートマスター)のマイケル・デイヴィスをはじめとして、トロンボーンのデニス・ウィック(展覧会における妙技等)、トランペット のモーリス・マーフィー(目立つ箇所だらけ!)等の名人揃い。ミュンヘンフィル着任前のアグレッシヴなチェリビダッケに見 事に呼応します。来日公演でも披露されながらなぜかリリースがないティペットの“祭典の踊り”(唯一の録音)も収録。ミケラ ンジェリにとってもベストの出来、最高音質である絶美のラヴェル。神秘的なフォーレ。ご子息セルジュ氏の公認を得た正規 リリースです。 ※この度東武レコーディングの海外音源の発掘を担当してきたProminent Classics がレーベルとして独立。CD 日本プレス。 美麗夫婦箱10 枚組。木之下晃氏による来日時の写真をあしらいました。

H.M.F
HMM-902448(2CD)
ケルビーニ:『ロドイスカ』序曲
ベートーヴェン:交響曲第4番 変ロ長調 op.60
メユール:交響曲第1番ト短調(1808)
ベートーヴェン:交響曲第8番
ベルリン古楽アカデミー【コンサートマスター:ベルンハルト・フォルク】

録音:2021年4,5月、テルデックス・スタジオ(ベリリン)
ハルモニアムンディがリリースしているベートーヴェン・イヤー・シリーズ交響曲編の完結編となる、ベルリン古楽アカデミーによる第4番&第8番の登場!こ れまでの交響曲のリリースでは、同時代の作品がカップリングとして収録されておりましたが、それは今回も同様。今回は、ケルビーニ、そ してメユール(1763-1817)の作品が選ばれています。ベルリン古楽アカデミーのうまさと、録音の素晴らしさを存分にたのしむことのできる内容です。
ベートーヴェンでは、交響曲第4番終楽章のファゴットの刻みなど、超絶技巧のきわみですが、わずかな乱れもない見事なもの。ティンパニの豊かな響きも耳 にのこります(ティンパニ奏者は若くして首席奏者に就任した、1990年セビリア出身のフランシスコ・マヌエル・アンガス・ロドリゲス。安倍圭子氏の招きで 桐朋学園で学んだこともあり、ベルリン国立歌劇場で活躍したのち、バイロイト音楽祭でも演奏していました)。第8番第1楽章の快速テンポが生み出す、まる で舞曲のような軽やかさにもまた驚き。そうした第1楽章を経ての第2楽章のメトロノーム風の刻みも非常に効果的に響きます。
ケルビーニのオペラ『ロドイスカ』は1791年にパリで初演されました。大成功を収めた作品で、当時200回以上上演されたといいます。愛しあう男女が 父親によって引き裂かれるも、様々な苦難と試練や誤解を経てめでたく結ばれるという内容ですが、序曲はオペラの内容を予見させるというよりも、シンフォニー を思わせるスタイルとなっています。ケルビーニの友人でもあったメユールの作品は、シューマンらによって「ベートーヴェンの交響曲第5番への返答」と評さ れることもある作品です(終楽章のリズムが運命と似ていることなどが理由)が、彼がこの交響曲に取り組んでいたときに、第5番(1808年作曲)をどこ まで知っていたかは今となってははっきりしません。それよりもむしろ、フランス革命期にこのような素晴らしい交響曲が存在し、その後のフランスのオーケスト ラ作曲にも大きな足跡を残したこと、そしてベルリン古楽アカデミーによる決定的な名新録音が誕生したことを祝いたい内容です。 (Ki)

Epitagraph
EPITA-026
(3UHQCD)
マーラー:交響曲第1番「巨人」
交響曲第2番「復活」#
交響曲「大地の歌」*
ブルーノ・ワルター(指)NYO
マリア・シュターダー(S)#
モーリン・フォレスター(A)#
ウェストミンスター合唱団#
キャスリーン・フェリアー(A)*
セット・スヴァンホルム(T)*

録音:1950年2月12日(巨人)、1957年2月17日(復活)、1948年1月18日(大地の歌)
カー ネギ ー・ホ ー ル 、ニューヨー ク(ライヴ )
Produced by Epitagraph(原盤:エピタグラフ)
エピタグラフ・レーベルによるブルーノ・ワルター没後60年企画。モーツァルト(「第25・29・35・38・39番」EPITA.020/1、「第40・35・39番」 EPITA.025)、ブラームス(交響曲全集EPITA.022/4)とリリースを続けてきて今度は極めつけのマーラー!マーラー直伝の解釈で、数多く名演名盤を遺してい るワルターが絶頂期に手兵ニューヨーク・フィルとカーネギー・ホールでのライヴで遺した交響曲第1番「巨人」・第2番「復活」・「大地の歌」の3曲を3枚のディス クに収録。「巨人」はキングレコードからLP(K22C-181、セブンシーズ・レーベル)が発売されたことがあったものの、今回は国内初CD,「復活」と「大地の歌」 は国内初出音盤になります。 ★「巨人」・・・1950年2月12日のライヴ。ワルターがお気に入りの曲を、戦後初めてニューヨーク・フィルとの定期で振ったもので、第1楽章の終結やフィナーレ など生々しい迫力で最高の盛り上がり!メロディーのロマンティックな歌わせ方も豊かで、第2楽章のチェロや第3楽章の木管などオーケストラ奏者の名人芸も光っ ています。 「復活」・・・1957年2月17日、CBSへのセッション録音前日のライヴ(このスタジオ録音の最終セッションは1年後に持ち越された)。激しい気魄とエネルギー に満ちた熱演ライヴで、スケールの大きさも巨大。音質も従来の海外盤CDに勝るとも劣らぬ生々しさが感じられます。当時カナダの若手だったモーリン・フォレス ターが抜擢され、ワルターの自宅でレッスンを受けるなどしてこの演奏会がきっかけでマーラー歌手としての名声を築くことになった のは有名です。 「大地の歌」・・・1948年1月18日、不世出の名アルト、キャスリーン・フェリアーとのカーネギーでの共演ライヴ。前年(1947年) にエディンバラ音楽祭ではじめて共演したワルターが48年カーネギーでの公演に招いたもので、52年のウィーン・フィルと組んでの 有名なDECCA録音につながります。バーンスタインはボストンに向かう途中に車のラジオでこの日曜コンサートの放送を聴き、後日 (22日)ワルターに「私の大きな音楽体験の一つでした。あなたはとても、とても、偉大な巨匠です」と手紙を送っています(『ブルー ノ・ワルター 音楽に楽園を見た人』エリック・ライディング&レベッカ・ペチュフスキー共著、高橋宜也訳、音楽之友社2015年刊)。 音質は従来の海外盤より鮮明で、原盤復刻にともなうスクラッチ・ノイズがありますが、高域も落ちることなく臨場感たっぷりに響い てきます。深く豊かなフェリアーの歌声は一段と鮮明に胸に迫ってきて、感無量です。 以上、いずれもラジオ中継された放送原盤から復刻されたCDで、曲の最初から終りまで楽章間に音の途切れはなく、終了後は拍手 が入っていて臨場感は抜群!高域の伸びや低域の重厚さ等、音質は比較的良好で、“高音質CDの決定版”であるUHQCDにして発売 します。マーラー解釈の伝道師ワルターの絶頂期ライヴであるこの3枚組こそファン待望・必携のセットといえるでしょう。 (Ki)

MDG
MDG-91222566
(1SACD)
メンデルスゾーン・プロジェクトVOL.3
シンフォニア第7番ニ短調
ヴァイオリンとピアノのための二重協奏曲ニ短調
ドグマ室内オーケストラ
ミハイル・グレヴィチ(指)
ア ニ カ・トロイトラ ー(P)

録音:2021年8月8-11日マリエンミュンスター修道院コンツェルトハウス
メンデルスゾーンは、12歳から14歳にかけて弦楽のためのシンフォニアを12曲作曲しています。ドグマ室内オーケストラは、同時期に書かれた5つの協奏曲 を含めたメンデルスゾーンのシリーズをリリース。第1弾(MDG-91221936),第2弾(MDG-91222116)に続く本作は、シンフォニア第7番と「ヴァイオリ ンとピアノのための二重協奏曲」が収録されています。メンデルスゾーンが14歳の時の作品「ヴァイオリンとピアノのための二重協奏曲」。メンデルスゾーンらし い華麗で甘美な旋律は若き日のメンデルスゾーンの溢れる才能を感じることのできる作品です。
MDG
MDG-63222442
(3CD)
ヨゼフ・ボフスラフ・フェルステル(1859-1951):交響曲全集
交響曲第2番Op.29
交響曲第1番Op9
交響曲第3番Op.36*
交響曲第4番Op.54*
組曲ト短調『イン・デン・ベルゲン』Op.7#
交響曲第5番Op.141#
オスナブリュックSO
ヘルマン・ボイマー(指)

録音:2007年3、5月、録音:2008年2月4-5,20,22日*、録音:2009年2月23〜24日、5月4〜5日#
マーラーと同世代に属し、マーラーの支持者でもあったチェコの作曲家、ヨゼフ・ボフスラフ・フェルステルの貴重な交響曲全集。フェルステルは、プラハ音楽院 に学び、作曲と批評・教育、そして絵画に生きた多彩な音楽家でした。長くハンブルクやウィーンで暮らし、第一次世界大戦が終わり、祖国がチェコスロヴァキア共 和国として独立するとプラハに戻り、以後の人生をチェコで過ごします。プラハ音楽院で教授を務めた彼は1939年には院長となり、1946年には人民芸術家に 叙せられます。フェルステルはその生涯に170以上の作品を書いています。1888年に書かれた第1番は彼の母の死を追悼して書かれたもの、緊張感と哀悼にみ ちた美しい作品です。1890年に書かれた第2番は、彼の友人でもあったマーラーが高く評価したといわれる作品で、葬送行進曲とスケルツォが見事な対比を描 いた力作。ハンブルク時代の初期に書かれた第3番。彼の初期作品である組曲『イン・デン・ベルゲン』。独特の美しさを持った最後の交響曲第5番など、作品に はフェルステルの家族の思い出が反映されているものが多く、また「薔薇の騎士」「トスカ」「トリスタンとイゾルデ」「ルサルカ」からの引用も見て取れたりと、注 目情報もいくつかあり、加えて、近代チェコの作曲家にも関わらず、その作風には民俗的なものは希薄で、後期ロマン主義的とも神秘主義的とも言われる重厚な雰 囲気が魅力十分なものとなっているのがポイントです。 (Ki)

RUBICON
RCD-1073(1CD)
シベリウス:交響曲第5番他
交響曲第5番変ホ長調 Op.82
交響曲第6番ニ短調 Op.104
交響曲第7番ハ長調 Op.105
オウェイン・アーウェル・ヒューズ(指)
ロイヤルPO
イギリスのRubicon(ルビコン)よりスタートした、ウェールズの指揮者オウェイン・アーウェル・ヒューズとロイヤルPOによるシベリウスの交響曲サイクル第3弾となる最終巻。交響曲第1番と第3番を収録した第1巻(PRCD-1055/RCD-1055)は、レコード芸術海外盤REVIEWで「今月の特選盤」に選ばれた他、英グラモフォン誌では2020年11月号の「エディターズ・チョイス」、更に年間通して批評家に選出される「クリティクス・チョイス2020」にも選ばれるなど好調な滑り出しを見せました。第2巻(PRCD-1072/RCD-1072)では、そのスケールの大きな演奏で、シベリウス・ファンを驚嘆させたオウェイン・アーウェル・ヒューズ。最終巻では人気曲である第5番と、第一次世界大戦で中断を余儀なくされながらも完成させた第6番、第8番が焼失したことから事実上の最後の交響曲となった第7番を収録。たっぷりとした芳醇な響きと細部まで拘りぬかれた音作りによるシベリウスの交響曲サイクルがここに堂々完成です。
1942年にウェールズのカーディフに生まれたオウェイン・アーウェル・ヒューズ(オワイン・アルウェル・ヒューズ)は、作曲家・指揮者として成功したアーウェル・ヒューズ(1909-1988)の息子として育ち、ボールト、ハイティンク、ケンペらに指揮を学び、40年以上にわたって情熱的な音楽制作を続けてきました。日本での知名度はまだ途上ながらも、欧米では堅実に評価を積み重ね、2009年にはCBE(大英帝国勲章第3位)を受勲している実力者です。

CORO
COR-16192(1CD)
ハイドン:交響曲集 Vol.8
交響曲第103番「太鼓連打」
ミサ曲 変ロ長調 Hob.XXII:12「テレジア・ミサ」
メアリー・ベヴァン(S)、
キャスリン・ウィン=ロジャーズ(Ms)、
ジェレミー・バッド(T)、
サムナー・トンプソン(Br)、
ハリー・クリストファーズ(指)、
ヘンデル&ハイドン・ソサエティ

録音:2022年1月28日&30日、シンフォニー・ホール(ボストン)
アメリカ最古のピリオド・オーケストラ、「ヘンデル&ハイドン・ソサエティ(HHS)」と、2008年にHHSの第13代音楽監督に就任したハリー・クリストファーズのコンビによるハイドンの交響曲ライヴのシリーズ第8弾!
1791から1795年のロンドン訪問期に作曲された12の「ロンドン交響曲集」のうちの最後から2番目の曲であり、第1楽章の冒頭と最後にあるティンパニの長い連打が印象的なことから「太鼓連打」の愛称で呼ばれる「交響曲第103番」。そして1799年に作曲されハイドンの後期六大ミサ曲の中の1曲、「テレジア・ミサ」。編成は大きくないもののハイドンの美しい旋律が溢れた傑作のひとつです。歌手陣は前作「ネルソン・ミサ」(COR16181)でも好評を博したのと同じ布陣で、2019年にMBEを受勲した今をときめくソプラノ、メアリー・ベヴァンを中心にキャスリン・ウィン=ロジャーズ、ジェレミー・バッド、サムナー・トンプソンといった名歌手が勢揃い。古楽器演奏で高い評価を得ているハリー・クリストファーズとHHSの名コンビが充実の演奏を披露しています。

Quartz
QTZ-2146(1CD)
ブラームス:悲劇的序曲 Op.81
ハイドンの主題による変奏曲
交響曲第2番ニ長調 Op.73
リマ・スシャンスカヤ(指)、
ロンドン・ナショナルSO

録音:2021年5月1日-2日
“オイストラフの最後の弟子”としてその精神を受け継ぐ演奏で世界中の聴衆を魅了し、ワシントン・ポスト紙にも「今日生きている最も偉大なヴァイオリニストの一人」と絶賛された名ヴァイオリニスト、リマ・スシャンスカヤ。近年はヴァイオリニストとしての活動と並行して指揮者としても類稀なる才能を発揮しており、既にヨーロッパの主要なコンサートホールやアジアなどで指揮台に立ち、その評価をますます高めています。彼女はベートーヴェンの「第九」やラフマニノフの交響曲第2番、モーツァルトのレクイエムにオルフのカルミナ・ブラーナなど管弦楽における重要な大作を主なレパートリーに据えており、このアルバムでもこれまでいくつかの録音で共演しているロンドン・ナショナルSOを率いてブラームスの3つの名曲に挑んでいます。

Halle
CDHLD-7558(2CDR)
ヴォーン・ウィリアムズ:南極交響曲(交響曲第7番)
ノーフォーク狂詩曲第1番
交響曲第9番ホ短調
揚げひばり
マーク・エルダー(指)ハレO、
ソフィー・ベヴァン(第7番)、
ハレ合唱団のソプラノ&アルト歌手たち(第7番)、
マシュー・ハミルトン(合唱指揮)(第7番)、
リン・フレッチャー(Vn)(揚げひばり)

録音:2019年1月24日(第7番)、ブリッジウォーター・ホール(マンチェスター)/2021年11月15日-17日(第9番)、ハレ・セント・ピーターズ教会(マンチェスター)/2005年11月5日ー6日、BBCスタジオ7(マンチェスター)
長き歴史を誇るイギリス、マンチェスターの雄、ハレOと音楽監督マーク・エルダー。交響曲第7番(南極交響曲)と交響曲第8番の初演を担うなど(初演の指揮はどちらもジョン・バルビローリ)、作曲者とも縁の深いハレOの自主レーベルが贈る、レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ(RVW)の生誕150周年記念盤第2弾。
交響曲第1番〜第6番&第8番まではマーク・エルダー体制の2010年〜2017年に録音・リリースが行われており、2019年&2021年にレコーディングされた交響曲第7番(南極交響曲)と第9番のリリースによって、エルダー&ハレ管による全9曲の交響曲全集が完成しました。
更に、近代英国音楽の名曲アルバム「イギリスの風景」(CDHLL7512)に収録されていた「ノーフォーク狂詩曲第1番」とリン・フレッチャー(1997年から2019年までハレOのコンサートマスターを務めた名手)がソロを弾く「揚げひばり」をカップリングし、彼らのヴォーン・ウィリアムズ録音の集大成を完璧なものとしています。
これまでグラモフォン賞ノミネート(第1番、第3番)、グラモフォン「エディターズ・チョイス」(第1番、第3番、第5番、第8番)、BBCミュージック・マガジン「ディスク・オヴ・ザ・マンス」(第3番)&「オーケストラル・チョイス」(第4番、第6番)に選ばれるなど、安定して高い評価を築いてきたエルダー&ハレ管による交響曲全集を締めくくるアルバムにご注目ください。
※当タイトルは、高品質メディア(SONY DADC/Diamond Silver Discs)を使用した、レーベル・オフィシャルのCD-R盤となります。
※5枚組の交響曲全集BOX(CDHLD7557JP/プレス盤)も別途リリース予定です。

APARTE
AP-293(1CD)
1773年モーツァルトとグレトリ
50-50

モーツァルト:交響曲第25番ト短調K.183
グレトリ:組曲「セファールとプロクリス」
モーツァルト:歌劇「エジプト王タモス」〜組曲
マルティン・ヴァルベルグ(指)
オルケルテル・ノルド

録音:2021年11月/セルブ教会(ノルウェー)
ノルウェーのチェロ奏者でもある指揮者マルティン・ヴァルベルグが2009年に創設した古楽器アンサンブル、トロンハイム・バロック。17-8世紀作品を主要レ パートリーとし高い評価を受けていますが、2018年にオルケルテル・ノルドと改名してさらなる可能性を模索。
今回は1773年に焦点を当て、この年に作られたモーツァルトとグレトリの作品を並べています。モーツァルトは当時17歳。「小ト短調」として知られる交響曲 第25番と、後年の傑作「魔笛」のルーツといわれる「エジプト王タモス」。どちらも才気煥発でモーツァルトの天才性を再認識させてくれます。
一方グレトリは31歳、軽みとシリアスさを兼ね備えたオペラ・コミックを確立させ順風満帆な創作活動を行っていました。
同じ年に作られた両者の純オーケストラ作品は、どちらも強さと輝かしさという共通点がありますが、フランスの舞台音楽が交響曲へ新たに進化していく様をた どることができます。 (Ki)

BIS
BISSA-2362
(1SACD)
シンガポール響のスクリャービン
法悦の詩Op.54
ピアノ・ソナタ第5番Op.53*
プロメテウスOp.60
エフゲニー・スドビン(P)
ラン・シュイ(指)
シンガポールSO
シンガポール響cho、
シンガポールSO青年cho

録音:2017年7/8月エスプラネード・コンサート・ホール(シンガポール)、
2006年8月ヴェステロース・コンサート・ホール*
スドビン久々の新譜、それもファン狂喜のスクリャービン・アルバム。録音は2017年に行われていたもので、ラン・シュイ指揮シンガポールSOと問題作「プ ロメテウス」を披露。さらに「法悦の詩」も興味津々。
オルガンを含む大編成のオーケストラ(「プロメテウス」はさらに混声合唱とピアノ独奏も含む)というカオスの世界ですが、BISの超優秀録音で各楽器の主張 と綾がはっきり見えて新鮮。どんなに複雑な部分でも透明で音の美しさを満喫できます。
「法悦の詩」と同時期の作で共通点の多い「ピアノ・ソナタ第5番」もスドビンの演奏でカップリング。ただしこちらは2006年の録音で、BISSA-1568に収 録されているものと同ソース。プロメテウスともどもスドビンの色彩とニュアンスにあふれる弱音の妖しい魅力に酔わされます。 (Ki)

ONDINE
ODE-1391(1CD)
NX-B07
ルードヴィグ・ヌールマン(1831-1885):交響曲第3番/序曲集
演奏会用序曲 変ホ長調 Op. 21(1856)
葬送行進曲「アウグスト・セーデルマンの思い出に」 Op. 46(1876)
シェイクスピアの「アントニーとクレオパトラ」への序曲 Op. 57(1881)
交響曲第3番ニ短調 Op. 58(1881)
オウルSO
ヨハネス・グスタフソン(指)

録音:2021年5月27-31日
スウェーデンの作曲家・指揮者ルードヴィグ・ヌールマン。 10代から20代始めにライプツィヒ音楽院に留学、イグナーツ・モシェレスらに師事するとともに、シューマンから大きな影響を受けました。その 後、ストックホルムに戻り、ストックホルム王立音楽院にて教鞭を執りながら、指揮者としても活躍しています。作曲家としては4曲の交響曲をはじめ、 管弦楽曲からカンタータ、歌曲まで幅広いジャンルの作品を書き上げ、「スウェーデンのブラームス」の異名をとりました。このアルバムに収録された交響 曲第3番は、後世の作曲家ヴィルヘルム・ステンハンマルに「美しさに満ちた作品。私にとってはブラームスのどの交響曲よりも大切だ」と言わしめたほど の出来栄えを誇っています。他には3曲の序曲を収録。1856年に作曲された「演奏会用序曲 変ホ長調」は、ゆったりとした序奏にソナタ形式のアレ グロが続く、伝統的な形式の作品です。「葬送行進曲」はスウェーデン王立歌劇場で彼の同僚として働いていたアウグスト・セーデルマンを偲んで書か れた曲。43歳の若さで亡くなった友人への心からの悲しみの表明です。 ヨハネス・グスタフソン指揮オウルSOによる演奏で。


Audite
AU-95745(2CD)
ルツェルン・フェスティヴァル・シリーズ第18弾
ハイドン:交響曲第99番
シェーンベルク:ピアノ協奏曲 Op.42
チャイコフスキー:交響曲第4番
ジョン・オグドン(P)
ラファエル・クーベリック(指)
ニュー・フィルハーモニアO

ライヴ録音:1968年9月8日クンストハウス(ルツェルン)(モノラル)
正規初出音源! クーベリックの同音楽祭初登場は1948年8月28日でした。この演奏会の数週間前、チェコの共産化に反対したクーベリックは同年エディンバラ音楽祭へ参 加するために渡英、そのままイギリスに亡命しています。ルツェルン・フェスティヴァルにはその後1990年まで計25回出演し、同音楽祭には欠かすこの出来 ない、また自身にとっても最も重要な音楽祭となりました。これまでバルトークのオペラ『青ひげ公の城』(1962年8月15日)(AU-95626)がCD化 されています(クーベリックは1972年にスイス国籍を取得。1996年、ルツェルンにて死去しています)。
1968年に起こったチェコスロバキアの変革運動「プラハの春」の弾圧から数日後の9月8日、クーベリックはルツェルン・フェスティヴァルに登場。ニュー・フィ ルハーモニア管弦楽団との共演でハイドンの交響曲第99番、ジョン・オグドンをソリストに迎えたシェーンベルクのピアノ協奏曲、そしてチャイコフスキーの交響 曲第 4 番を演奏しております。
ハイドンの交響曲第99番はクーベリックお得意の作品。終始快活さに満ちた演奏で幕開けを飾りました。
ジョン・オグドンが正規録音には残していないシェーンベルクのピアノ協奏曲。オグドンは厳格な十二音技法によって書かれているこの曲を正確に理解し、聴 衆の心を掴むことに成功しており、クーベリックとの入念なリハーサルをうかがい知ることができます。
ブゾーニ国際コンクール(1960年)、ブダペスト国際ピアノ・コンクール(1961年)、チャイコフスキー国際コンクール(1962年)そのすべてで優勝し ているオグドンが一躍世界的なピアニストとして活動を展開していた60年代。剛腕ピアニストでロマン派を得意としていましたが、実際は繊細で内面的な性格 の音楽表現を好んでいたとのことで当時の現代作品も積極的に演奏していました。オグドン唯一の出演となった同音楽祭、しかもシェーンベルクの録音は貴重か つ価値のあるリリースといえます。
そして、チャイコフスキーの交響曲第4番!クーベリックが14歳の時、フルトヴェングラーの指揮する同曲を聴き、指揮者を志したというほどの思い入れのあ る作品で、シカゴ交響楽団(1951年録音)、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1960年録音)、バイエルン放送交響楽団(1969年)など多くの名 演でも知られます。
「クーベリックはチャイコフスキーの交響曲をまるで精神の勝利、運命の力に対する自由の宣言のように唱えた」と同音楽祭閉幕演奏会ののち評論家がコメン トしていたほどの力演。ルツェルンに居を構えたチェコの移民クーベリックは、ルービンシュタイン、メニューイン、ストラヴィンスキーらの賛同を得て、芸術の断 絶を訴えただけでなく、「1968年8月21日以降のチェコスロバキア移民のための基金」への支援をルツェルンの市民に求めました。
チャイコフスキーの交響曲第4番の変化に富むテンポ、多彩な音色、そしてドラマティックな音楽づくりと、クレンペラーが育て上げた名門オケと驚くほどの熱 量で盛り上げており、その演奏は人々を魅了し大反響を呼びました。
演演奏の素晴らしさに加えてauditeレーベルの見事な復刻にも注目。同レーベル社主のルトガー・ベッケンホーフ氏が丁寧にリマスタリングしております。またブックレットには今回初めて掲載された音楽祭の写真も掲載。資料的価値はもちろんのこと、歴史的に見ても非常に重要な演奏会が正規初出音源でリリースされることは大歓迎と申せましょう。 (Ki)

GRAND SLAM
GS-2272(1CD)
フルトヴェングラー/ハイドン&チャイコフスキー
(1)チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調 Op.64
(2)ハイドン:交響曲第88番ト長調Hob. I:88『V字』
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)
トリノ・イタリアRSO

録音:(1)1952年6月6日Sala del Conservatorio(トリノ)
(2)1952年3月3日Auditorium A, via Montebello(トリノ)
使用音源:Private archive (2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:モノラル(ラジオ放送用録音)
■制作者より  
フルトヴェングラーの指揮したチャイコフスキーの交響曲第5番は、時に「フルトヴェングラーの最悪の演奏」とも言われますが、本当にそうでしょうか? 確か に音質は乾いた固い音ですが、当盤のより明瞭な音で聴けば、フルトヴェングラーのやりたいことがよくわかるはずです。いずれにせよ、フルトヴェングラーが振っ た唯一の第5番の記録としては非常に貴重であることは間違いありません。なお、第4楽章のカットはフルトヴェングラー独自のもので、音の欠落ではありません。 また、第4楽章の471小節で思わずわき起こった拍手はカットせずに含まれています。 ハイドンは編成が小さいためか、まず音が非常に豊かに捉えられていることに驚かされます(たとえば、第1楽章の冒頭では、フルトヴェングラーが音楽に合わ せて息をもらしている様子がはっきりと聴きとれます)。演奏内容もライヴらしくもの凄く熱く燃え上がっており、フルトヴェングラーとトリノ・イタリア響による最 高の演奏かもしれません。  (おことわり)アセテート盤を原盤としているため、SP盤に似たノイズが混入します。特にチャイコフスキーには修復出来ないレベル変動がわずかに含まれますこ とをご了承下さい。(平林 直哉)
GRAND SLAM
GS-2273(1CD)
マーラー:交響曲第9番ニ長調 ジョン・バルビローリ(指)BPO

録音:1964年1月10、11、14、18日ベルリン・ダーレム、イエス・キリスト教会
使用音源:Private archive (2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:ステレオ(録音セッション)
■制作者より  
バルビローリ&ベルリン・フィルの定番、マーラーの交響曲第9番はGS-2182(2018年4月【廃盤】)に発売、またたく間に完売してしまいました。その後、 再プレス案も浮上しましたが、望みうる最上の結果を得るために、全行程をプロ用の機器を使用してマスターを作り直しました。結果は予想以上で、やった甲斐が ありました。  解説書も前回掲載したバルビローリのインタビューに加え、マニアックな情報も加え、コレクターズ・アイテムとしての価値を高めました。(平林直哉)

Hanssler
HC-22023(1CD)
ペーター・ルジツカ(1948-):自作自演集
(1)「ヘルダーリン交響曲」〜バリトン、室内合唱とオーケストラのための
(2)「ムネーモシュネー〜記憶と忘却」〜ソプラノ、18の弦と打楽器のための
(1)トーマス・E・バウアー(Br)、北ドイツ放送合唱団、ジェームズ・ウッド(合唱指揮)、ドイツ放送PO、ペーター・ルジツカ(指)
(2)サラ・マリア・サン(S)、ドイツ放送PO、ペーター・ルジツカ(指)

録音:(1)2012年6月17日コングレスザール、ザールブリュッケン(ライヴ)
(2)2021年5月7&8日ザールラント放送大ホール、ザールブリュッケン
指揮者で作曲家のペーター・ルジツカの自作自演集。歌劇「HOLDERLIN(ヘルダーリン)」は2008年11月にベルリンで初演されました。その前身である音 楽劇「CELAN(セラン)」と同様、この作品はルジツカの代表作です。「ヘルダーリン交響曲」はこの歌劇のいわば凝縮した内容。この作品はマーラーやツェムリン スキーの声楽付きの交響曲を思わせます。 (Ki)

TOCCATA
TOCC-0645(1CD)
NX-B03
フリードリヒ・ブルク(1937-):管弦楽作品集 第3集
交響曲第22番「In the Ocean 海で」(2019)
交響曲第23番「In the Ingrian Mode イングリアの様式で」(2021)
リトアニア国立SO
マーリス・クプチス(指)

録音:2021年5月17-22日、2021年11月22-26日
世界初録音
1937年にウクライナのハルキウ(ハリコフ)で生まれ、1974年からはフィンランドに住むブルク。この交響曲第 3集では、2019年と2021年に作曲された直近の交響曲を紹介しています。すでに80歳を超えている作 曲家の作品としては、驚くばかりの生命力を有しており、いずれも社会問題に目を向けた渾身の仕上がりと なっています。交響曲第21番は、世界の海の汚染への懸念が作曲の原動力となっており、環境問題への 取組を促す作品。第23番はフィンランドとロシアの国境にひっそりと住む"イングリア人"へのオマージュ。イン グリアの民謡を素材にした作品です。どちらの作品も精緻な対位法とオーケストラの豊かな響きが用いられ ており、どこかしら荒々しさも感じられる多彩な表情を持っています。ブルク作品を得意とするクプチスと、 1989年に設立されたリトアニア国立SOによる演奏です。

SWR music
SWR-19119CD(1CD)
NX-B06
マルティヌー:交響曲第5番
交響曲第6番「交響的幻想曲」*
シュトゥットガルトRSO
ロジャー・ノリントン(指)

録音:2008年2月16-18日、2003年9月25-26日*
マルティヌーの6曲の交響曲は、彼がアメリカに滞在していた1942年から1953年にかけて作曲されました。第5番は、ニューヨーク・タイムズ紙のインタ ビューでマルティヌー自身が「よく出来た、有機的で秩序のある作品」と語った自信作。第6番は1955年のボストン響創立75周年の為の委嘱作 で、初演を担った指揮者シャルル・ミュンシュを念頭に書き上げたとされています。マルティヌーはこの曲をそれまでの交響曲とは根本的に異なるものと 考えて「交響的幻想曲」の副題を付けました。ドヴォルザークのレクイエムの旋律をはじめとする様々な楽想が入り混じり、秩序と構成を重んじた第5 番とは対照的に自由で幻想的な作品になっています。 ノリントンは1998年から2011年の13年間にわたりシュトゥットガルトRSOの首席指揮者を務め、作曲当時に聴衆が感じたサウンド・イメー ジに迫るために、時代考証に基づいてオーケストラのサイズ・配置・奏法を調整し、弦楽器のノンヴィブラート演奏を基調とする「シュトゥットガルト・サウ ンド」と呼ばれる独自のスタイルを編み出しました。透明感と立体感を保ち、曲の構造を明らかにする演奏スタイルは、エルガーなどの20世紀作品で も効果を発揮しましたが、さらに時代が下ったマルティヌーをどう響かせるのか、大いに注目されます。
SWR music
SWR-19118CD(1CD)
NX-B02
ハイドン:交響曲第102番変ロ長調 Hob. I:102
チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」
シュトゥットガルトRSO
セルジュ・チェリビダッケ(指)

録音:1959年9月17日(ライヴ)
20世紀後半の指揮者の中で、チェリビダッケは間違いなく最も偉大かつ強烈な個性を持つ人物の一人でした。とことんまで作品の解釈を練り上げ、納得の ゆく音が出せるまでリハーサルに時間をかけた演奏は、極めて完成度の高いものでありながら、同時にライヴ特有の燃焼度も備えていました。現象学から影 響を受けた独自の理により、録音では自身の音楽は伝えられないと主張し続けたチェリビダッケですが、放送録音には同意しており、そのおかげで彼の演奏 に触れて強い感銘を受けた音楽ファンや音楽家が世界に多くいます。このCDもそうした放送用録音の一つで、放送スタジオでのライヴ収録です。 演奏曲目として選ばれた2曲はチェリビダッケがとりわけ好んでいた曲で、繊細さと透明感を持つハイドン、緩急強弱の振幅を大きくとったドラマティックなチャイ コフスキーと、コントラストのあるプログラムになっています。晩年のミュンヘン・フィルとの演奏のような極端に遅いテンポをとることはありませんが、引き締まった 造形の中でも、ハイドンの第1楽章での壮大な序奏や、チャイコフスキーの第2楽章の中間部での不気味なティンパニが刻むリズムにはチェリビダッケらしさが うかがわれます。またフォルティシモでの爆発するような迫力も壮年期のチェリらしいもの。SWRが保有するマスターテープから最新のリマスターが行われてお り、モノラルながらたいへん聴きやすい音となっています。 その後チェリビダッケは、1971年6月にシュトゥットガルトRSO創立25周年コンサートにお けるブルックナー:交響曲第7番の指揮が好評を博したのをきっかけに、翌1972年から1977年まで実質的な首席指揮者として同楽団をドイツ有数の水 準に引き上げました。

Goodies
78CDR-3875(1CD)
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)BPO

日POLYDOR 60024/28(独 POLYDOR 69855/9と同一録音)
1926年10月16日)、10月30日、1927年1月30日ベルリン録音
(古いコードのため雑音があります)
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(1886-1954)はベルリン生まれの大指揮者。 1922年アルトゥール・ニキシュ(1855-1922)の後任としてベルリン・フィルの常 任指揮者に就任した。この「運命」はフルトヴェングラーの初のレコード録音 で、1925年に始まったマイクロフォンを使用した電気録音だが、ドイツ・ポリ ドール社は米ブランズウィック社が考案したライト・レイ方式の電気録音を採用 した。若き日の大指揮者の姿が浮き彫りにされているような素朴で力強い音であ る。全曲を3回のセッションに分けての録音。フルトヴェングラーは10年後の 1937年にこの曲を同じベルリン・フィルと再録音しています。本シリーズ78CDR- 3521で出ています。比較試聴は興味深い。(グッディーズ)

Pentatone
PTC-5186894(1CD)
シューベルト:交響曲第9番「グレート」
交響曲第8番「未完成」(「私の夢」第1部&第2部付き)*
ルネ・ヤーコプス(指)
ビー・ロック・オーケストラ
トビアス・モレッティ(朗読)*

録音:2020年12月デ・ジンゲル(アントワープ)
ルネ・ヤーコプス率いるビー・ロック・オーケストラのシューベルトの交響曲録音全集が遂に完結!当アルバムは第8番「未完成」と第9番「ザ・グレート」を収 録しております!
「未完成」ではシューベルトの自伝的な作文「私の夢」の朗読付き。この作文は1822年7月3日に書かれた2部構成のもの。前半は母の死や父との関係が語 られ、後半は幻想的でロマンティックな世界へと進み、やがて父との和解がもたらされます。一方「未完成」の自筆スコアには同年10月30日という日付が記さ れています。ほぼ同時期に書かれたこれらを組み合わせることにより当時のシューベルトの精神性をあらわせるという考えのもと収録しました。朗読はトビアス・モ レッティです!
ベルギー第3の都市ヘント(ゲント)に2005年創設されたオリジナル楽器のビー・ロック・オーケストラ(B’Rock Orchestra)。実力派により構成された当 団は音楽的に互いを刺激し合い、ルネ・ヤーコプス、アイヴァー・ボルトン、アレクサンドル・メルニコフなどの演奏家との共演で名声を高めてきました。当団には 日本人演奏家も多く所属しており、2019年9月には待望の初来日を果たしました。変幻自在の音色で奏でることができる当団がヤーコプスのタクトにより自由に 歌い、そしてカラフルで刺激的な演奏を聴かせてくれます。
演奏の素晴らしさはもちろんのこと、エルド・グルートなどPENTATONE レーベルが誇る技術陣による録音です。なお、当ディスクはCD仕様となります。 (Ki)」

KLARTHE
KLA-057(1CD)
ウェーバー:作品集
(1)交響曲第1番ハ長調 Op.19
(2)ホルン小協奏曲 ホ短調 Op.45
(3)アダージョとロンド J.115
(4)クラリネット協奏曲第2番変ホ長調 Op.74
(2)ダヴィド・ゲリエ(Hrn)
(3)トマ・ブロシュ(グラス・ハーモニカ)
(4)ニコラ・バルディルー(Cl)
ヴィクトル・ユーゴー・フランシュ・コンテO
ジャン=フランソワ・ヴェルディエ(指

録音:2015年12月CRR(フランス)
ロマン派初期に活躍したウェーバーの交響曲第1番、ホルン小協奏曲、アダージョとロンド、クラリネット協奏曲第2番を収録したアルバム。ウェーバーは抒情に 満ちた、まるで詩人のような想像力豊かな作品を書きました。当アルバムでは鬼才クラリネット奏者ニコラ・バルディルー、ホルン奏者ダヴィド・ゲリエらの名手が 演奏。演奏機会こそ少ないこれらの作品の再発見ともいえる魅力満載なアルバムです。 (Ki)

C Major
80-6908(2DVD)

80-7004(Bluray)
ブルックナー:交響曲第1番ハ短調 WAB101(ウィーン稿)
交響曲第7番ホ長調 WAB107(ノーヴァク版)

■ボーナス映像「ディスカヴァリング・ブルックナー」
各交響曲について(ティーレマンと音楽学者ヨハネス=レオポルド・マイヤー氏による対話)
クリスティアン・ティーレマン(指)
VPO

収録:第1番:2021年2月、ウィーン楽友協会(無観客ライヴ)
第7番:2021年8月、ザルツブルク音楽祭(ライヴ)

◆DVD
画面:16:9、NTSC
音声:PCMステレオ、DTS5.1、DVD9
[ボーナス映像 ]
言語:ドイツ語、字幕:英韓,日本語
Total time:181分
交響曲:127分、ボーナス:54分
◆Bluray
画面:16:9、1080i
音声:PCMステレオ、DTS-HD MA5.1
BD50
[ボーナス映像 ]
言語:ドイツ語、字幕:英韓,日本語
Total time:181分
交響曲:127分、ボーナス:54分
2024年のブルックナー生誕200年に向けたティーレマン&ウィーン・フィルによるプロジェクト「ブルックナー11/Bruckner 11」。すでにソニー・クラシカル からも第8,3,4,2,5番のCDが発売中ですが、C majorレーベルからは映像による全集がスタート。第5交響曲、そして「習作交響曲」と呼ばれている「ヘ短調 WAB99」と「ニ短調 WAB100」をウィーン・フィル史上初めて演奏・収録した第1弾(806804(BD)/806708(DVD))に続き、今回ご案内する第2弾はウィー ン稿を使用した第1番と2021年8月のザルツブルク音楽祭をライヴ収録した第7番という組み合わせです。
ブルックナーの交響曲第1番は、大きく分けてリンツ稿とウィーン稿があります。ウィーン稿は作曲から25年後(第8番第2稿より後)に作曲者自身によって改訂さ れており、ウィーン稿の響きは初期の作品というより、後期ロマン派を感じさせるものとなっています。ブルックナー自身にとっても「生意気なお転婆」と評してい たように愛着がこもった作品です。シュターツカペレ・ドレスデンとの演奏では(744704(BD)/744608(DVD))、改訂前の稿である「リンツ稿」を選択していた だけに、ウィーン・フィルとの演奏にも期待が高まります。 そして第7番。当代きってのブルックナー指揮者と言われるだけあって、ティーレマンの指揮はさすがで、音楽に対して真摯であり、細部まで神経を張りめぐらせ た丁寧な演奏で、完成度の高い演奏となっています。この第7番は、ザルツブルク音楽祭でのライヴ映像で、コンサートではエレーナ・ガランチャをソリストに迎え マーラーのリュッケルト歌曲集がともに演奏されています。(未収録)
ティーレマンは、このウィーン・フィルとのシリーズについて改めてこう語っています。「ウィーン・フィルのブルックナーの全曲録音に選ばれたのは幸運だった。ま るで宝くじに当たったみたいだ。それにブルックナーは特別だ。」 (Ki)

GRAND SLAM
GS-2271(1CD)
(1)ブラームス:交響曲第1番ハ短調 Op.68
(2)ベートーヴェン:「レオノーレ」序曲第3番
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)
トリノ・イタリアRSO

録音:(1)1952年3月7日トリノ、Sala del Conservatorio
(2)1952年3月3日トリノ、Auditorium A, via Montebello
使用音源:Private archive (2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:モノラル(ラジオ放送録音)
■制作者より  
フルトヴェングラーがトリノ・イタリアRSOを振ったブラームスの交響曲第1番、1952年3月7日のライヴはカナダ・ロココのLP(2017/1972年) が初出でした。しかし、このLPは極端に出力レベルが低く、宇野功芳著「フルトヴェングラーの全名演名盤」(講談社+α文庫/絶版)の中でも「採るべき何もない」 とされていました。その後、CDではいくらかましな音で聴けるようになりましたが、今回入手したテープは間違いなく過去最高の情報量です! これを聴くと、同 じ1952年にライヴ録音されたベルリン・フィル、ウィーン・フィルを上回るとまでは言いませんが、かなり肉迫するものだということが実感されるのでしょう。 「レオノーレ」序曲第3番はGS-2048(2010年4月【廃盤】)に世界初出としてCD化したものです。過去には「1952年3月3日、トリノ」と表示された CDは複数発売されていますが、それらの中身はすべて「1950年7月、アムステルダム・コンセルトヘボウ」です。最近制作されたイタリア国営放送(RAI)の自 主制作盤には本物の「1952年3月3日」の演奏が含まれているらしいですが、一般市販CDとしてこのライヴが聴けるのは現在のところGS品番が唯一です。(平林 直哉)

Halle
CDHLD-7557JP(5CD)
日本向け限定生産
ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲全集

CD1:海の交響曲(交響曲第1番)
CD2:ロンドン交響曲(交響曲第2番)、
 交響曲第8番
CD3:田園交響曲(交響曲第3番)、
 交響曲第4番
CD4:交響曲第5番ニ長調、
 交響曲第9番ホ短調
CD5:交響曲第6番ホ短調、
 南極交響曲(交響曲第7番)
マーク・エルダー(指)、ハレO、キャスリン・ブロデリック(S)(第1番)、ロデリック・ウィリアムズ(Br)(第1番)、ハレcho(第1番)、ハレ・ユース合唱団(第1番)、スコラ・カントルム(第1番)、アド・ソレム(第1番)、ジェイムズ・バートン(客演合唱指揮)(第1番)、サラ・フォックス(第3番)、ソフィー・ベヴァン(第7番)、ハレchoのソプラノ&アルト歌手たち(第7番)、マシュー・ハミルトン(合唱指揮)(第7番)

録音:2014年3月29日(第1番)、2010年10月14日(第2番)、2013年9月9日-10日(第3番)、2016年4月7日(第4番)、2011年11月9日(第5番)、2016年11月10日(第6番)、2019年1月24日(第7番)、2012年2月3日(第8番)、2021年11月15日-17日(第9番)、ブリッジウォーター・ホール(マンチェスター/第1番、第2番、第4番、第5番、第6番、第7番)、ハレ・セント・ピーターズ教会(マンチェスター/第3番、第9番)、BBCスタジオ(サルフォード/第8番)

☆日本向け500セット完全限定のSONY DADCプレス盤
☆書き下ろし日本語解説(等松春夫)付き
長き歴史を誇るイギリス、マンチェスターの雄、ハレOと音楽監督マーク・エルダー。交響曲第7番(南極交響曲)と交響曲第8番の初演を担うなど(初演の指揮はどちらもジョン・バルビローリ)、作曲者とも縁の深いハレOの自主レーベルから、レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ(RVW)の生誕150周年を記念した交響曲全集がリリース!
マーク・エルダー体制の2010年〜2017年に録音・リリースが行われていた交響曲第1番〜第6番&第8番の音源と、未発売だった交響曲第7番&第9番を組み合わせて5枚組の全集ボックスが完成。これまでグラモフォン賞ノミネート(第1番、第3番)、グラモフォン「エディターズ・チョイス」(第1番、第3番、第5番、第8番)、BBCミュージック・マガジン「ディスク・オヴ・ザ・マンス」(第3番)&「オーケストラル・チョイス」(第4番、第6番)に選ばれるなど、安定して高い評価を築いてきたエルダー&ハレ管による充実の交響曲全集にご期待ください!
ブックレット(英語)にはハレのアーカイヴから収集した写真やハレ管とヴォーン・ウィリアムズの歴史的な関係を示す資料等、貴重な資料も掲載しています。「いつものようにエルダーによるハレの演奏は、技術的にも表現的にも傑出している」(BBCミュージック・マガジン)

※「CDHLD7557JP」はSONY DADCプレスによる、日本向けの限定生産盤となります。海外で発売される「CDHLD7557」品番の商品はCD-R盤です。予めご了承ください。


ELECT
ERT-1044(5CD)
UHQCD
ベートーヴェン:交響曲全集

(1)交響曲第1番/(2)交響曲第3番「英雄」
(3)交響曲第2番/(4)交響曲第6番「田園」
(5)交響曲第4番/(6)交響曲第5番「運命」
(7)「エグモント」序曲/(8)交響曲第8番
(9)交響曲第7番/(10)レオノーレ序曲第3番
(11)交響曲第9番「合唱」(ルーマニア語歌唱)
(12)「コリオラン」序曲
ジョルジュ・ジョルジェスク(指)
ブカレスト・ジョルジュ・エネスコPO
エミリャ・ペトレスク(S),マルタ・ケスラー(Ms)、イオン・ピソ(T)、マリウス・リンツラー(Bs)、 ジョルジュ・エネスコ・フィルcho、ルーマニア放送cho

録音:(1)1961年5月、(2)1961年3月
(3)1961年4月20日、(4)1961年10月
(5)1962年1月、(6)1961年8月
(7)1962年1月11日、(8)1961年5月
(9)1962年1月、(10)1962年1月
(11)1961年7月、(12)1961年8月
全てルーマニア文化宮殿ホール(ステレオ)
※CD日本プレス。美麗夫婦箱5枚組。英語、日本語によるライナーノート付
ジョルジュ・ジョルジェスク(1887-1964)は、ルーマニアを代表する大指揮者でジョルジュ・エネスコ・フィルの音楽監督を 1920年から1944年までと1954から1964年まで務めました。1918 年から1920年にはゲヴァントハウス管の副指揮者としてアルトゥ ール・ニキシュに直接師事しました。ニキシュに影響を受けた巨匠であり同年代のボールトとも共通するのがヴァイオリンを両翼 に配置した古典的演奏スタイルです。1961年から 1962年のスタジオ録音。当時ルーマニアはソ連の庇護のもとにありました が、本国ソ連でも全てがステレオ録音に移行していなかったこの時期に、高水準のステレオ録音でベートーヴェン全集が遺され ていたことは驚嘆と喜びを隠せません。この全集についてはDANTE/LYS のCD がありましたが市販LP からの板起こしで、2012 年にマスターテープから初の正規 CD 化(ERT1001 廃盤)がなされ、大変な反響を呼びました。長らく品切れでしたので、この度 マスターに立ち返り新たにマスタリングしなおし、UHQCD で洗い上げた音質で復活します。ジョルジェスクの演奏は、「田園」な どクライバー並の超快速で歌心に満ちたもの。リズム感も明快。どこをとってもきびきびしていて聴かせます。エネスコフィルも如 何にも鄙びた味わいで、木管の懐かしい響きも心を打ちます。「合唱」はルーマニア語による歌唱となります。研究好きの方には メンゲルベルクなどを思わせる楽譜の改訂なども興味深いところと言えましょう。


King International
KKC-90006(2Bluray)
朝比奈隆/ブルックナー交響曲選集
■Disc1
(1)交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」(ハース版)
(2)交響曲第5番変ロ長調(ハース版)
(3)交響曲第7番ホ長調(ハース版)
■Disc2
(4)交響曲第8番ハ短調(ハース版)
(5)交響曲第3番ニ短調(ハース版)
(6)リハーサル(交響曲第3番)
(7)実相寺昭雄監督インタビュー(2002年春収録)
(8)鼎談(朝比奈隆×実相寺昭雄×松原千代繁)(1999年6月21日収録)
朝比奈隆(指揮)
新日本フィルハーモニー交響楽団
映像演出:実相寺昭雄

収録:1992年5月13日東京文化会館(ライヴ)【第4番】、
9月2日サントリーホール(ライヴ)【第5番】
9月8日サントリーホール(ライヴ)【第7番】、
1993年2月16日サントリーホール(ライヴ)【第7番】
1996年12月12日東京文化会館(ライヴ)【第3番】
12月9日新日本フィルハーモニー交響楽団練習場【第3番のリハーサル】
実相寺昭雄監督が撮影した朝比奈隆指揮新日本フィルによるブルックナーの交響曲選集は2010年に(株)写影からDVDで発売され話題となりましたが、入 手困難な状態が続いておりました。再発売を希望される声にお応えし、アップコンバートしてブルーレイにて発売となります。
いずれも朝比奈の得意としたブルックナーでその恰幅の良さ、音楽の大きさや深さは真似のできない至芸と申せましょう。
アップコンバートにより画質もクリアになり、偉大な芸術をたっぷりと堪能できます。 (Ki)
King International
KKC-90008(2Bluray)
朝比奈隆/ブラームス・チクルス
■Disc1
(1)交響曲第1番ハ短調Op.68
(2)ピアノ協奏曲第1番ニ短調Op.15
(3)ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op.77
(4)交響曲第2番ニ長調Op.73
■Disc2
(5)交響曲第3番ヘ長調Op.90
(6)ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲イ短調Op.102
(7)ピアノ協奏曲第2番変ロ長調Op.83
(8)特典映像:俳優・寺田農 実相寺昭雄監督と朝比奈隆先生の思い出
(9)交響曲第4番ホ短調Op.98
朝比奈隆(指揮)
新日本フィルハーモニー交響楽団
伊藤恵(ピアノ)(2)、
藤川真弓(ヴァイオリン)(3)、
豊嶋泰嗣(ヴァイオリン)(6)、
上村昇(チェロ)(6)、
園田高弘(ピアノ)(7)
映像演出:実相寺昭雄

収録:1990年2月5日(1)(6)、
5月1日(2)(5)、
4月3日(3)(4)、
6月1日(7)(9)
オーチャードホール(ライヴ)
1990年に朝比奈隆と新日本フィルが行ったブラームス・チクルスを実相寺昭雄監督が映像化した貴重な記録。2010年に(株)写影からDVDで発売されま したが、アップコンバートしてブルーレイにて発売となります。
交響曲第1番と第4番は「交響的肖像」(KKC90001/2)に収録されているものと同じですが、交響曲全曲に加え、協奏曲4篇それも超豪華なソリストとの 共演も含まれるためこのアルバムの価値は計り知れません。朝比奈隆のブラームスの世界に浸りきることができる贅沢な時価を過ごせます。 (Ki)

IDIS
IDIS-6746(1CD)
カラヤン・スペクタキュラー Vol.8
ベートーヴェン:交響曲第1番
交響曲第6番「田園」*
NYO、RAIトリノSO*
ヘルベルト・フォン・カラヤン(指)

ライヴ録音:1958年11月22日、1954年2月12日*
EMIでのフィルハーモニアとの全集録音と同時期の、カラヤンのベートーヴェン・ライヴ。カラヤンがどのオーケストラからでも常に最高のサウンドを引き出して いたことが分かる貴重な音源です。IDIS最新リマスターでの発売。 (Ki)「


Treasures
TRT-020(1CDR)
超厳選!赤盤名演集Vol.7〜シルヴェストリによるスラブ作品集
ボロディン:「イーゴリ公」〜だったん人の踊り*
ブラームス:ハンガリー舞曲第5番/第6番(シュメリンク編)
ドヴォルザーク:スラブ舞曲第1番Op.46-1/第2番Op.46-2
チャイコフスキー:交響曲第5番#
コンスタンティン・シルヴェストリ(指)
パリ音楽院O、フィルハーモニアO#

録音:1961年1月30日-2月1日*、1961年2月2日、1957年2月21-22日#(全てステレオ)
※音源:TOSHIBA WS-23 、WS-20#
◎収録時間:75:31
“実行すべきことをしたに過ぎないシルヴェストリの純粋な狂気!”
■音源について
「ワールド・レコード・クラブ特選」と題されたLP8枚組ボックスから、英COLUMBIAと同一のYAXスタンパーによる赤盤を採用。

★シルヴェストリが遺したチャイコフスキーの三大交響曲の中でも最もその個性を発揮し尽くしたのがこの「5番」。その奇想天外なアイデアだけを捉えて「異常」とか「爆演」とか呼ばれます、ウィーン・フィルのような伝統的な音色を持たずに機能美とセンスを旨とする当時のフィルハーモニア管に、土埃と汗の匂いを注入していることが重要で、シルヴェストリが真の指揮者であることを実証しています。大胆なテンポや強弱の変化が、もしも綺麗に整理されたアンサンブルから飛び出たらどうなるでしょう?テンポもフレージングも音色も全てが不可分であることを理解した上で、音楽を生き生きと再現するという指揮者の使命を純粋に果たしているにすぎないシルヴェストリのアプローチ。そこには個人的な趣味も投影されているとは思いますが、作品への愛が本物であるからこそ、常識離れであっても作品の本質からは逸脱しないのです。
 そのことは、第1楽章冒頭クラリネットと弦のフレージングから明らか。「何となく暗い」雰囲気だけで進行することが多い中、この訥々とした語り口と艶の失せた音色を名手揃いのオケに徹底敢行させ、しかも主体的な表現に結実させています。主部の暗さも遅めのテンポと一体となって醸し出され、1小節ごとにニュアンスを確かめつつトボトボと歩を進めます。第2主題の128小節からの4小節間で顕著なように、レガートを回避して甘美路線に傾くこと戒める意思の強さや、洗練された声部バランスで見通しよく鳴り響く感覚的な心地よさとの決別ぶりは一貫して揺るぎません。
 第2楽章ホルン・ソロはデニス・ブレイン。日頃からソリスティックな吹き方をしないブレインにしてもここでの吹き方はかなり陰影が抑制的なのは、シルヴェストリの指示なのかもしれません。逆に中間のクラリネット・ソロ(バーナード・ウォルトンと思われる)は、涙なしには聴けない切なさ!続くファゴットからポルタメントを含む弦への連なりは、全楽章を通じての白眉!これを聴いてシルヴェストリをまがい物呼ばわりなどできましょうか?ラストシーンでは、独自のアティキュレーションを施しつつ、後ろ髪引かれる風情を醸成。その思い悩んだ気持ちのまま、すぐにワルツで踊るなどあり得ないということでしょうか?続く第3楽章冒頭の音価を引き伸ばすのみならず、4拍子に聞こえるほどリズムの輪郭をぼかす大胆さ!3拍子が拍節が明確化してからも、夢の中をを彷徨うようにテンポは微妙に揺れ続けます。
 終楽章の主部は速めのテンポで突進しますが、アンサンブルは正確無比にも拘らずスマートさは皆無。土埃を立てながら馬車が駆け出すようなこの表現も、シルヴェストリ特有の音色センスの賜物。驚くのは再現部冒頭(6:30〜)の突然のテンポアップ!スコア上ではここでアニマート(生き生きと)の指示がありるので、その意味を汲んで果敢にニュアンス化したわけですが、シルヴェストリにとっては果敢でも何でもなくやるべきことをやったまでのこと。それにしてもこのレスポンスの良さ!オケがフィルハーモニア管で本当に良かったと痛感するばかりです。後半全休止前の猛進も凄まじいですが、504小節のプレスト以降は速さは、未だこれを超えるものはなく、このテンポを言い渡されたフィルハーモニア管の面々の心理、演奏不可能なテンポをあえて要求したシルヴェストリの真意をあれこれ想像するのも一興。
 シルヴェストリの音楽を聴くたびに思うのは、アプローチが十分に常識離れしているにもかかわらず、「常識こそが非常識だ!」などという強い主張を表面化させない凄さ!音楽の魅力を出し切ることにしか興味がないかのようなこの純粋さはマタチッチを彷彿とさせますが、何かに夢中になるということは理屈を飛び超えて人を惹きつけるものだということを聴くたびに再認識させられるのです。
 戦争も体験せず、悩まず苦しまずスマホですぐに答えを導き出せる世の中。しかも、自分自身にどこか自信がなく、人の目ばかりを気にする風潮は世界中のあらゆる分野で見られる現象ですから、昨今のクラシック音楽の演奏が生温いものばかりになってしまったのも必然と言えましょう。そんな中から、シルヴェストリにような「「純粋な狂気」を持つアーチストが生まれるなど考えられませんが、復刻ではあってもこうして、「真の音楽表現」に触れる機会は決して無くならないはずです。それを心から味わいたいと願う聴衆が存在する限り…。【2022年6月・湧々堂】

CPO
CPO-555354(1CD)
NX-B10
アルヴェーン(1872-1960):交響的作品集 第3集
交響曲第2番ニ長調 Op. 11
スウェーデン狂詩曲第3番「ダーラナ狂詩曲」 Op. 47
ベルリン・ドイツSO
ウカシュ・ボロヴィチ(指)

録音:2019年5月21-24日
スウェーデンを代表する作曲家の一人アルヴェーン。1960年まで生きて二つの世界大戦を目撃したにもか かわらず、生涯を通じて後期ロマン派の重厚な作風を捨てることなく、美しい旋律と豊かな響きを駆使した 作品を書き上げました。この交響的作品集第3集には、1897年から1898年にかけて書かれた交響曲第 2番を中心に収録。 交響曲第2番は、優しさと明るさに満ちたロマンティックな第1楽章、葬送行進曲風の哀愁に満ちた楽想を 持つ第2楽章、エネルギッシュな主部と伸びやかなトリオが好対照を成す第3楽章、そして重苦しい雰囲気 の前奏曲に導かれパワフルでバロック風な趣きを持つフーガで全曲を堂々と完結する第4楽章と、それぞれの 楽章が豊かな個性を持っており、作曲家自身が「芸術の決定的な突破口」と呼んだほどの成功を収めた作 品です。同時収録は、スウェーデンの民謡のモチーフが印象的な「スウェーデン狂詩曲第3番」。アントニ・ヴィ トに師事したポーランドの指揮者ボロヴィチが指揮するベルリン・ドイツSOの演奏です。


LSO Live
LSO-0875(2SACD)

KKC-6557(2SACD)
国内盤仕様
(日本語解説付)
税込定価
2021年グンナー=コールス版「ブル4」の世界初録音!
■CD1
ブルックナー:交響曲第4番(1878-81年/Cohrs A04B)
第1楽章:Bewegt, nicht zu schnell(動いて、しかし速すぎずに)(作業段階B, 1881)
第2楽章:Andante quasi Allegretto(作業段階B, 1881)
第3楽章:Scherzo. Bewegt - Trio. Nicht zu schnell, Keinesfells schleppend-Scherzo da capo (スケルツォ。動いて/トリオ。速すぎず、遅くなりすぎず/スケルツォ・ダ・カーポ)(作業段階B, 1881)
第4楽章:Finale. Bewegt, nicht zu schnell(フィナーレ。動いて、しかし速すぎずに)(作業段階C, 1881年, カットあり版)

■CD2
ブルックナー:交響曲第4番
(1) Discarded Scherzo. Sehr schnell ? Trio. Im gleichen Tempo ? Scherzo da capo (1874/revised 1876;Cohrs A04B-1)(取り外されたスケルツォ-非常に速く/トリオ-同様のテンポで/スケルツォ・ダ・カーポ)(1874年/1876年改訂/Cohrs A04B-1)
(2) Discarded Finale (‘Volksfest’). Allegro moderato 取り外されたフィナーレ(民衆の踊り)(1878; Cohrs A04B-2)
(3) Andante quasi Allegretto (Work Phase A, 1878; extended initial version/1878年、作業段階A、第2楽章の当初の長いヴァージョン)
(4) Finale. Bewegt; doch nicht zu schnell (Work Phase B, 1881; unabridged)(作業段階B, 1881年, カットなし版)
サイモン・ラトル(指)LSO

録音:2021年10月、ジャーウッド・ホール、セント・ルークス、ロンドン
2022年秋に来日するラトル&LSOが、ブルックナー交響曲第4番を録音しました。2021年に出版されたグンナー=コールス校訂版(アントン・ブルックナー 原典版全集/Anton Bruckner Urtext Gesamtausgabe/ABUGA・・・アーノンクールをパトロンとしてスタート、2015年より出版を開始。現在のパトロ ンはラトル)に基づく世界初録音という注目すべき内容です。2021年10月の録音(無観客収録)ですが、これに先立ち9月に演奏会で取り上げ絶賛されました。 オーケストラが非常によく鳴っていて、ラトルが信念をもって掲げる明確なヴィジョンに、オケが一丸となって応えているのがよく感じられる演奏となっています。 グンナー=コールスの版は、様々な作業段階によって異なる楽曲の姿を、コールスが一つの版としてまとめているのではなく、その異なる姿を、ossiaや、カットが ある場合小節から小節へ飛ぶポイントを記すなどしてひとつの譜面上に提示しているのが特徴。最終的な取捨選択の判断は指揮者(演奏者)にゆだねられていま す。Disc1には全曲が通しで収録。第1-3楽章は1881年2月のリヒターによる初演時時点に成立していた作業段階B、そしてフィナーレはブルックナーが提案 したカットあり版=作業段階C(今回、演奏可能な版として初めて出版されたそう)を採用しています。そしてDisc2には、様々な段階での楽章が収録されていま す。ブルックナーの作曲工房をおとずれ、作曲過程を追体験できるような、大変興味深い2枚組となっています。 (Ki)
(以下、グンナー=コールスのコメント抄訳) =ブルックナーは、1878年から1881年にかけて交響曲第4番(1874年にいったん完成)を改訂、新しいスケルツォの作曲を含め、まったく新しい自筆譜を書 き下ろしました。また、ブルックナーは1880年にフィナーレをあらたに作曲しています。さらに、1880-81年の間に行われた演奏(ブルックナー自身の指揮の ものも)のため、もしくはその演奏のあとに、大規模な修正が行われています。その修正は、ブルックナー自身やコピストたちによって、自筆スコア、およびそのコ ピー、パート譜に書き入れられました。このように、様々な“work phases(作業段階)”が存在しています(前半3楽章には2つ、フィナーレには3つ)。これらの 改訂が、ウィーンのコピスト、ジョヴァンニ・ノルによって、ブルックナーの指示のもとに1881年の終わりに用意された、新しいスコアを形作っています。したがっ て、ロマンティックの「第2稿」についてあれこれ議論するのはもしかしたら適切ではないのかもしれません。 私が作成した交響曲第4番の新版(ABUGAアントン・ブルックナー原典版全集 Anton Bruckner Urtext Gesamtausgabe作品目録では「Cohrs A04B」と表記)は、1878年から1881年の間の、交響曲の各楽章の異なる作業段階を、少なくとも資料から特定できる範囲内ですべて明確に示し、演奏可能 にすることを目標としています。ノルによる清書は、ブルックナー自身によって修正され、この清書をもって、ブルックナー自身、音楽出版2社に出版を依頼してい ました(1885年および1886年)。このブルックナーの修正を受けたノルの清書も、新版の主要な資料となっています。 この版の世界初録音となる当盤では、1881年末に完成した交響曲「ロマンティック」の第2段階(作業段階B)を演奏、さらに、フィナーレでは、ブルックナー 自身が提案したカットを初めて尊重しています。Disc 2には、(1)初期のスケルツォ(1874年に作曲、1876年に改訂。のちに取り外されたもの。1878年に有 名な「狩」のスケルツォに置き換えられた)、(2)1878年のフィナーレ「民衆の踊り」(これは取り外され、1880年に新しいフィナーレに置き換えられた)、そして (3)1878年の第2楽章のより広範囲にわたる最初の作業段階、そして最後に、(4)カットされる前のフィナーレ(1881年)が収録されています。=


GRAND SLAM
GS-2270(1CD)
オスカー・フリート
(1)ベルリオーズ:幻想交響曲
(2)チャイコフスキー:「くるみ割り人形」組曲
オスカー・フリート(指)
(1)ソビエト国立SO
(2)ロイヤルPO

録音:(1)1937年モスクワ、(2)1929年2月5、6日
使用音源:(1)Private archive(2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
(2)コロンビア L2318/20(SP盤/78回転)
録音方式:モノラル
■制作者より  
オスカー・フリート(1871-1941)はベルリンに生まれ、主にドイツで活躍するも旧ソ連に亡命、その地で謎の死を遂げた指揮者です。マーラーと親しく交わり、 マーラーの交響曲第2番「復活」を史上初めて録音したことでも有名です。 フリートはラッパ吹き込みの時代に「復活」のみならず、R.シュトラウスのアルプス交響曲、ブルックナーの交響曲第7番などの大曲を録音していますが、その録 音遺産の中でもひときわ異彩を放っているのがベルリオーズの幻想交響曲とチャイコフスキーの「くるみ割り人形」組曲です。 1937年のモスクワで光学式フィルムに収録されたと言われる幻想交響曲は、第1楽章の冒頭に象徴されるように、亡霊がさまようような恐ろしさに満ちてい ます。不意にテンポは揺れ、響きは暗く沈み込んでいきます。ことに印象的なのは、足を引きずるような第4楽章、そして第5楽章の異様な鐘の音です。 この演奏は2007年6月、CDRのシリーズ“Serenade”で一度復刻し、CDRながらスマッシュ・ヒット作となりました(SEDR-5000)。その時はLP復刻(オ イロディスクのLP)でしたが、今回は2トラック、38センチのオープンリール・テープを使用、望みうる最善の音を獲得しました。 チャイコフスキーはSP復刻です。こちらはまったりと遅い曲と、狂気のような快速曲とが対比されています。たとえば〈行進曲〉はトランペットのタンギングがつ いていけるギリギリの速さ。そして、〈トレパック〉はそれこそ“トレパニック”のような超快速で、おまけに加速して終わる、とんでも演奏です。〈花のワルツ〉も冒 頭の粘りのあるハープがその先を予告、曲が進むにつれてヴォルテージが上がり、異様な雰囲気となります。ちなみに、フリートは「くるみ割り人形」組曲を1927 年にベルリン国立歌劇場O(ドイツ・ポリドール)と録音していますが、こちらはごく標準的な演奏です。 解説書は、ここぞとばかりに文字情報、写真等を盛り込みました(表紙込みの12ページ)。この史上屈指の怪奇演奏とともに、たっぷりと楽しめます。(平林 直哉)
GRAND SLAM
GS-2268(1CD)
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」 エリーザベト・シュワルツコップ(S)、エルザ・カヴェルティ(A)、エルンスト・ヘフリガー(T)、オットー・エーデルマン(Bs)
ルツェルン祝祭cho
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)
フィルハーモニアO

録音:1954年8月22日/ルツェルン、クンストハウス
使用音源:Privatearchive(2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:モノラル(ラジオ放送用録音)
■制作者より  
あまりにも有名な“ルツェルンの第9”、当シリーズでも一度CD化(GS-2157/2016年11月発売【廃盤】)しましたが、ほどなく完売してしまいました。再 プレスも検討しましたが、今回も思い残すことがないように全行程をプロ用の機器を使用してリマスタリングを施しました。結果、従来盤よりも前後、左右、上下の 空間的な広がりが増しただけでなく、神々しいまでの透明感も獲得出来ました。この音で聴くと、フルトヴェングラーの第9のベスト・ワンは、このルツェルン盤で はないかと思うほどです。むろん、再生装置や再生環境によって結果は異なるかもしれませんが、旧盤との差は明確に出ていることだけは確かです。また、音だけ ではなく、解説書も大幅改訂をしました。(平林 直哉) (Ki)

C Major
80-6708(2DVD)

80-6804(Bluray)
ブルックナー:交響曲集
交響曲ヘ短調WAB99(第00番「習作」)
交響曲ニ短調WAB100(第0番)
交響曲第5番変ロ長調WAB105

■ボーナス映像「ディスカヴァリング・ブルックナー」
各交響曲について(ティーレマンと音楽学者ヨハネス=レオポルド・マイヤー氏による対話)
クリスティアン・ティーレマン(指) VPO

収録:2021年3月ウィーン楽友協会(無観客ライヴ)
◆DVD
画面:16:9、NTSC
音声:PCMステレオ、DTS5.1
DVD9
ボーナス映像
言語:ドイツ語、字幕:英、韓、日本語
Total time:254分
◆Bluray
画面:16:9、1080i
音声:PCMステレオ、
DTS-HD MA5.1
BD50
ボーナス映像
言語:ドイツ語、字幕:英、韓、日本語
Total time:254分
2024年のブルックナー生誕200年に向けたティーレマン&ウィーン・フィルによるプロジェクト「ブルックナー11/Bruckner 11」。すでにソニー・クラシカルか らも第8,3,4,2番のCDがリリースされていますが、この度C majorレーベルから映像による全集がスタートします。第1弾としてリリースされるのは、第5交響 曲、そして「習作交響曲」と呼ばれている「ヘ短調 WAB99」と「ニ短調 WAB100」をウィーン・フィル史上初めて演奏・収録しています。今回ティーレマンは番号 付き交響曲9曲に加えて「習作交響曲」を演奏することについて以下のように述べています。「ブルックナーは9曲の交響曲を書いたのではなく、11曲の交響曲を 書いたということです。人々はこの2曲をそれほど良い曲だとは思っていないかもしれないが、2曲ともに完成度は非常に高く、”これぞブルックナー”と感じること のできる部分が多くあります。またこの素晴らしいウィーン・フィルとブルックナーの11曲の交響曲をともに演奏する最初の指揮者という栄誉を思いかげず手にす ることができたのは、驚きであり大きな喜びです。」
またこのセットには各交響曲についてティーレマンと音楽学者ヨハネス=レオポルド・マイヤー氏とが語ったインタビューと、リハーサル風景を収録したボーナス 映像が付属しています。その映像には、ティーレマン自身が特別だという交響曲第5番を最初に聴いた際の記憶も鮮明に語っています。「特別だと思う理由は、最 初に聴いた時に感動したから。それは私が16歳の時、ベルリン・フィル、カラヤン指揮の演奏だった。私は茫然自失しフィルハーモニーの駐車場に向かった。これ までこんなに素晴らしい音楽は聴いたことがなかった。」
ベルリン・ドイツオペラ(1997年〜2004年)、ミュンヘン・フィル(2004年〜2011年)、シュターツカペレ・ドレスデン(2012年〜2024年)、ザルツブルグ 復活祭音楽祭の芸術監督(2013年〜2022年)、そしてバイロイト音楽祭での活躍など、今やドイツを代表する指揮者として着実にキャリアを積んでいるクリ スティアン・ティーレマン(1959〜)。ウィーン・フィルとは、2008年〜2010年にかけて収録された「ベートーヴェン交響曲全集」や2019年ニューイヤーコン サートなど何度も共演しています。またティーレマンはすでに手兵シュターツカペレ・ドレスデンとブルックナーの番号付き交響曲9曲を残しており(757504/ KKC9656)、今回のウィーン・フィルとの録音も日頃からブルックナーへの熱い思いを語っていたティーレマンらしいプロジェクトと言えるでしょう。 (Ki)

H.M.F
HMM-905357(1CD)
マーラー:交響曲第4番ト長調 フランソワ=グザヴィエ・ロト(指)
レ・シエクル
サビーヌ・ドゥヴィエル(S)

録音:2021年11月/セーヌ・ミュジカルRIFFX第1スタジオ(ブローニュ・ビリヤンクール)
ロトとレ・シエクルがマーラーの交響曲第4番のピリオド楽器演奏に挑みました。第1番「巨人」は同じ組合せで、第5番と3番はケルン・ギュルツェニヒ Oと録音し絶賛されましたが、シエクル向きと思われる4番も期待が高まります。
マーラーの交響曲第4番はまさに20世紀の夜明け1901年11月25日に初演されました。大規模な第2、3番の後、伝統的な4楽章構成に復帰した かのような古典的なたたずまいで、マーラー作品中では明るく親しみやすいとされています。
レ・シエクルは「巨人」の時と同様に作品が作られた頃のピリオド楽器を用いています。ピリオド奏法基本で、死神が弾くのをイメージした第2楽章のヴァイ オリン・ソロもノン・ヴィブラートで繰り広げられるのが新鮮。また随所で響くハープの低音の効果にも驚かされます。
終楽章でソプラノ独唱を担うのはサビーヌ・ドゥヴィエル。ラファエル・ピジョンの夫人で、ロト&シエクルともメサジェの「お菊さん」のアリアなどを録音し たアルバムをリリースしていて息もピッタリ。明るい声質のノン・ヴィブラートで清らかに天上の生活を歌いながら、どこか残酷で怖い感覚が背後から迫り、一気 に最晩年の「大地の歌」へつながる世界に気づかせてくれるかのようです。
ロトはやや速めのテンポで生気に満ち、何よりオーケストラの透明な音色が魅力。マーラーの4番観が完全に覆される衝撃的な演奏で、一見明暗の対照的 な第5番との相似性を示してくれます。2021年11月のセッション録音で、強奏部でも豊かに響く音質も極上。超注目盤の登場です! (Ki)

Altus
ALTSA-508(1SACD)
シングルレイヤー
INA 秘蔵音源・バーンスタイン&フランス国立管ライヴ
ベルリオーズ:「ローマの謝肉祭」序曲 作品9
シューマン:交響曲第2番ハ長調 作品61
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番ニ短調 作品47
レナード・バーンスタイン(指)
フランス国立放送O

ライヴ録音:1966年11月30日パリ、シャンゼリゼ劇場(ステレオ)
INA(フランス国立視聴覚研究所)所有音源をライセンスしCD化して話題となったディスクのSACD化。限定数生産です。
シューマン2番にショスタコ5番というバーンスタインの一番熱いところを凝集した名プログラムで完全初出、しかもステレオ録音というインパクト大のリリース。 オーケストラにとってはミュンシュ最後の来日公演からわずか1ヶ月後の演奏会。バーンスタインはニューヨーク・フィル音楽監督時代にして同年にウィーン国立歌 劇場デビューを果たしており、ヨーロッパでの存在感がまさに大きくなっていた頃。この時この組み合わせが生んだ演奏はフランス流の音色を保ちつつもたいへん に白熱していて気合十分、強靭なドライヴ感で手に汗握る音楽が展開されます。聴衆の大喝采も頷ける大名演!
〈随所に彼が指揮台を踏み鳴らす音が収録されていて、ライブ録音のスリル満点。曲全体は圧倒的なスピード感をもって邁進していく〉〈オーケストラはバーンス タインに容赦なく統御されているらしく、メロディーラインを歌いながらオーケストラをドライブする様子がはっきりと記録されていて、白熱した演奏会の様子が手 にとるようにわかる。〉〜白柳龍一氏の解説より (Ki)


EUROARTS
20-72119(DVD)
カラヤン・イン・リハーサル&パフォーマンス
(1)シューマン:・交響曲第4番
本番(27分)/リハーサル風景 (62分)

(2)ベートーヴェン:交響曲第5番『運命』
本番(31分)/リハーサル風景 (21分)
ヘルベルト・フォン・カラヤン(指)

(1)ウィーンSO
監督:アンリ=ジョルジュ・クルーゾー
撮影:クルト・ユーネック
録音:ギュンター・ヘルマンス
製作年:1965年
(2)BPO
監督:アンリ=ジョルジュ・クルーゾー
撮影:アウグスト・カーニエル、クルト・コーダル
録音:ギュンター・ヘルマンス
収録:1966年1月,2月 ベルリン、ユニオン・スタジオアトリエ

画面:4:3
NTSC、モノクロ
音声:PCMステレオ
リージョン:All
字幕:独、英、140分
カラヤンによって1965年設立された映画フィルム・プロダクション「コスモテル」(現ユニテル)。カラヤンは、時代に先駆けていちはやく映像時代の到来を予 見し、今日の音楽映像の礎となる作品を制作していきます。中でも、フランスの映画監督アンリ=ジョルジュ・クルーゾーとの共同制作は、その独特のカメラワーク とコンセプトは後世にも大きな影響を与えています。 その共同制作第1弾となったのが、このシューマンの交響曲第4番でした。カラヤンとウィーンSOは、1940年代後半から50年代なかばまで『カラヤン・ コンサート』として現代に語り継がれる一連の演奏会で知られた名コンビでもありましたが、その後はほとんど指揮台に登場することなく、公式なレコーディングと してはリヒテルとのチャイコフスキーが残されるのみ。いわば久々に古巣へ戻ったカラヤンが、壮年の生気みなぎる指揮ぶりでかつての手兵を誘導していく様子が、 この映像作品には克明に記されてます。 カップリングは、ベルリン・フィルとのベートーヴェン交響曲第5番。スタジオで収録された映像は、。「音楽が創造される現場を撮る」というクルーゾー監督のコン セプトが明確にしめされ、演奏そのものにリアルに肉薄しようとしたカメラ・ワークが特徴です。 (Ki)
EUROARTS
20-72723(Bluray)
カラヤン〜ベートーヴェン:「運命」&「第9」

(1)ベートーヴェン:交響曲第5番『運命』
本番とリハーサル風景

(2)ベートーヴェン:交響曲第9番『合唱』

■特典映像:『指揮の芸術』 
監督:アンリ=ジョルジュ・クルーゾー
ヘルベルト・フォン・カラヤン(指)BPO

(1)ドイツ語 字幕:英、仏
監督:アンリ=ジョルジュ・クルーゾー
収録:1966年1月、2月ベルリン、ユニオン・スタジオアトリエ
画面:モノクロ

(2)アンナ・トモワ=シントウ(S)、アグネス・バルツァ(Ms)、ルネ・コロ(T)、ヨセ・ヴァン・ダム(Bs)
ベルリン・ドイツ・オペラcho
収録:1977年12月31日ベルリン、フィル
監督:ハンフリー・バートンハーモニー(ライヴ)

画面:Full HD,16:9
音声:PCMステレオ
リージョン:All
字幕:英、仏、原語:ドイツ語、119分
1965年から1966年にかけてカラヤンはフランスの映画監督アンリ=ジョルジュ・クルーゾーと映像作品を制作しています。「メディアの寵児」と言われてい たカラヤンは映像時代の到来をいち早く予見し、フィルム・プロダクション「コスモテル(現ユニテル)」を設立。そこに協力したのがアンリ=ジョルジュ・クルーゾー でした。カラヤンはリハーサルとコンサートの違いを映像によって明らかにすることに重きを置いており、クルーゾーとの一連のシリーズは「指揮の芸術」と題され、 演奏に忠実なカメラワークとともにモノクロ映像で収められています。 今回そのうちベートーヴェンの『運命』(リハーサル付き)をブルーレイ化。更に、1977年のニューイヤー・イヴの『第9』映像も収録。ベルリン・フィルとの2度目、 1970年代のスタジオ全集録音と時期が重なるこのジルヴェスターのライヴは、ソリストもテノールのコロをのぞいてほぼ同じ(全集ではシュライヤー)。磨き抜か れた弦の美音などカラヤン色が徹底され、もっとも完成された内容として知られるものです。画質はDVDクオリティですが貴重な映像のリリースです。

REFERENCE
FR-747SACD(1SACD)
ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」
スティーヴン・スタッキー(1949-2016):「沈黙の春」*
ピッツバーグSO
マンフレート・ホーネック(指)

録音:ハインツホール、ピッツバーグ(ライヴ)、2017年6月23,24&25日、2018年4月20,21&22日*
長年高音質レーベルとして高い評価を得ているREFERENCE RECORDINGS。そしてREFERENCE RECORDINGSはもちろん、PENTATONE,BIS, など録音に定評のある数々のレーベルの録音を40年以上に渡って担当しているsound mirror社がタッグを組んだ大好評「ピッツバーグ・ライヴ!」シリーズ。 シリーズ第13弾は、ベートーヴェンの交響曲第6番「田園」とカップリングには2016年に亡くなったアメリカの作曲家スティーヴン・スタッキーの「沈黙の春」 (ピッツバーグSOの委嘱作品)が収録されています。自然破壊に警告を発した先駆書として全世界に大きな影響を与えた、ピッツバーグ出身の作家レイチェ ル・カーソンの代表作『沈黙の春』の出版50年を記念し、マンフレート・ホーネック指揮で2012年2月12日に初演されました。自然を忘れた現代の人 間に自然の美しさを想起させる音楽となっています。 そして同じく自然への賛美や畏怖心をあらわした偉大な音楽ベートーヴェンの交響曲第6番「田園」。ホーネックはライナーノーツでこのように述べています。「第 5楽章の最後の2つの和音は、第2楽章を彷彿とさせる長三度の音程です。これはカッコウの最後の言葉なのか、それとも別れの言葉なのだろうか。いずれ にしても、ベートーヴェンの他の8曲のように力強い終結ではなく、特に第5番とは全く対照的なエンディングです。(中略)私たちの目の前にいるベートー ヴェンは、輝く英雄ではなく、我々と同じく自然や神と純粋かつ完全に調和しながら、深い感謝を表明しなければならない人間なのです。」他にも解説には、 作品の歴史と音楽的構造、そしてホーネック自身の解釈について興味深い内容が書かれています。
ホーネックは2008年から首席指揮者を務めているピッツバーグSOとの契約を2027/2028シーズンまで延長。ピッツバーグSOはこれまでに、 フリッツ・ライナー、アンドレ・プレヴィン、ロリン・マゼール、マリス・ヤンソンスなど、多くの世界的指揮者たちが率いてきました。また、メイソン・ベイツ、 ジョナサン・レシュノフ、ジェームズ・マクミラン、ジュリア・ウォルフなど現代作曲家への委嘱作品をはじめ、常に新しい作品にも力を入れてきています。マン フレート・ホーネックとのシーズンも14年目となり、125年の歴史を誇るオーケストラと共に、今後の更なる活動にも注目が集まっています。 (Ki)

TOCCATA
TOCC-0646(1CD)
NX-B03
デレク・スコット(1950-):管弦楽作品集 第2集
交響曲第1番変イ長調 Op.23(1995/2021管弦楽版)
交響曲第2番ト短調 Op.26(1996?97/2021管弦楽版)
交響詩「シルヴァー・ソード」 Op.39(2021)
リエパーヤSO
ポール・マン(指)

録音:2022年3月22-26日
世界初録音
1950年バーミンガム生まれの作曲家デレク・スコット。音楽学、歴史学の教授であり、音楽、文化、イデオロ ギーを研究する彼は、ポピュラー音楽と舞台音楽の歴史に特別な関心を抱いており、自身の作品にもこの研究 成果を反映させています。このアルバムに収録された2曲の交響曲はもともと吹奏楽のために書かれたもので、吹 奏楽版の時にはハイドンを思わせる古典的な響きが用いられていましたが,管弦楽版に編曲したことにより、より 強靭な音のテクスチャーが強調されました。交響詩「シルヴァー・ソード」は1956年に発表されたイギリスの小説 家イアン・セライリエの小説を基にした音楽で、描かれているのは第二次世界大戦後に父と母を探す3人のポー ランド人の子供たちの物語。1983年に作曲した自身の劇付随音楽から派生したこの交響詩には、物語の中か ら闘争と希望の場面が凝縮されています。

Forgotten Records
fr-1840(1CDR)
ハイドン:交響曲第102番変ロ長調 Hob.I:102*
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」#
ゲオルク・ショルティ(指)*,#
フランス国立放送O*、パリ音楽院O#

録音:1959年8月1日ザルツブルク* 、1959年9月3日ブザンソン#、ともに放送用ライヴ
Forgotten Records
fr-1841B(1CDR)
セルマー・マイロヴィツ〜 SP復刻Vol.1
ベルリオーズ:幻想交響曲*
グレトリー:バレエ組曲「共和主義者ロジエール」#
セルマー・マイロヴィツ(指)大PO

録音:1934年3月14日、16日、21日*
1934年12月12日#
※音源:Pathé PDT 10/15* PD 7#
Forgotten Records
fr-1839(1CDR)
ヴァンデルノート〜モーツァルト:交響曲集Vol.3
第40番ト短調 K.550*
第41番「ジュピター」#
アンドレ・ヴァンデルノート(指)
パリ音楽院O

録音:1956年10月3日-4日*、1957年2月4日-5日#、12日#、1957年4月15日-16日*、1957年6月7日*
※音源:La Voix de son Maître FALP 470


Treasures
TRT-021(1CDR)
ミトロプーロス/ボロディン、チャイコフスキー他
ボロディン(R=コルサコフ編):だったん人の踊り*
イッポリトフ=イワーノフ:「コーカサスの風景」組曲第1番**
チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調Op.64#
ディミトリ・ミトロプーロス(指)NYO

録音:1953年4月20日*、1952年12月1日**、1954年3月27日# (全てモノラル)
※音源:米COLUMBIA CL-751*,** 、英PHILIPS SBL-5205 #
◎収録時間:79:04
“絶頂時のミトロプーロスのだけが可能な壮絶無比な魂の叫び!”
■音源について
3曲ともミトロプーロス唯一のセッション録音。1日で1曲録音してしまう例は昔は珍しくありませんが、これらはアンサンブルの傷も皆無ではないことからほぼ無編集の一発録りと思われ、閃きが命のミトロプーロスにとって、それはむしろ望ましいスタイルだったと言えるでしょう。チャイコフスキーの音源は、米COLUMBIAの6つ目盤ではなく、あえて英PHILIPS盤を採用。

★この「チャイ5」は、ニューヨーク・フィルの機能性と自主性を全面的に信頼した上で、ミトロプーロスが全身で感じ取った音楽のイメージをストレートに表現に転化し尽くした驚異的名演!全てのニュアンスが個性的でありながら、全体を俯瞰する構成力と細部の掘り下げとの調合も同時に完全遂行するという離れ業は、絶頂時のミトロプーロスだけが実現可能なものと言えましょう。
 第1楽章序奏部は単なる悲しみを超え、抑えきれない不安がクラリネットの野太い音色に乗せて塊となって押し寄せます。それが主部に入ると洗練味を増し、集中力も加味して見事な推進を見せます。第2主題前の104小節から、管楽器の一斉に抑えて弦だけで高潔な響きを醸し出すという配慮は、理屈を超えたセンスの高さの表れ。第2主題は、楽章全体のビジョンを象徴するかのように呼吸がとてつもなく深いこと!ピン・ポイントでテンポに緩急を付加する場面も頻出しますが、全てが正直な衝動の反映であり、安易な思いつきの印象を与えないのです。
 第2楽章は、ホルンのスコア遵守度の高さがまず印象的。クラリネット・ソロが登場する中間部に至るまでの呼吸のしなやかさと官能美は、間違いなく世界最高峰!マッチョな盛り上がりで煽るロシア流儀とは別世界です。クラリネット・ソロの後はフレーズの結尾を執拗にリテヌートし、その後ろ髪を引かれる風情に心惹かれますが、108小節のピチカート以降は、全体の白眉!もはや神憑り的フレージングと呼ぶしかなく、セッション録音でこれが実現できたのは奇跡!終結部の弱音に頼らない濃密なフレージングにも言葉を失い、背景のホルンのリズムの遠近感も前代未聞で忘れられません。
 第3楽章冒頭第1音は、音価の引き伸ばし方がいかにもミトロプーロス。中間部の強弱対比の鮮やかさはまるで人間のお喋りのようで実にリアル。コーダで運命動機がいきなり飛び込むシーンのドキッとする唐突感は、無敵の瞬発力を誇るミトロプーロスの棒でなければ実現不可能でしょう。
全楽章において、マッシブな造形力がびっしりと張り巡らされていますが、感覚的な馬力や暴力性とは無縁で、全てが心の奥底からの魂の叫びの音化であることがミトロプーロスらしさの所以。終楽章の冒頭や終結部などは、その好例と言えましょう。504小節からの弦の8分音符を装飾音として扱うのも他に類例なし。
 全体に息づく生死にかかわるようなのっぴきならないニュアンスの数々は現代には求めようもなく、いくら机の上でアイデアを凝らしても追いつくものではなく、「やり過ぎ」とか「古臭い」といった上辺の現象だけを捉えて済まされる代物でもないのです!→「チャイ5」の詳細レヴュー
 「コーカサスの風景」も、エキゾチックな魅力を最大に引き出した名演。特に有名な“酋長の行列”は、土俗性と格調がミックスされた独特の雰囲気が、絶妙な粘度を持つリズムと共に迸ります。 【2022年6月・湧々堂】

DUX
DUX-1803(1CD)
クシシュトフ・メイエル(b.1943):チェロとオーケストラのための室内協奏曲 「Canti Amadei」(1983-1984)
交響曲第5番 Op.44(1978-1979)
バルトシュ・コジャク(Vc)、
ソポト・ポーランド室内PO、
ラファウ・ヤニャク(指)

録音:2021年8月23日-26日
クシシュトフ・メイエルの「Canti Amadei」は、ロシアのチェリスト、イヴァン・モニゲッティとの親交から生まれました。彼らがモーツァルトの交響曲を聴いている時にモーツァルトをテーマにした作品を作曲することになり、この「Canti Amadei」が生まれました。冒頭ではモーツァルトの作品が引用され、その後メイエルの独自の音楽に引き込まれていきます。
クシシュトフ・メイエルは、クシシュトフ・ペンデレツキ、ヴィトルト・ルトスワフスキといったポーランドの現代作曲家の重鎮に師事した他、フランスのナディア・ブーランジェにも師事しました。彼は作曲家の他、ピアニスト、音楽学者としても活躍しています。

BSOrec
BSOREC-0002(1CD)

NYCX-10324(1CD)
国内盤仕様
税込定価
ブレット・ディーン(1961-):TESTAMENT テスタメント- 管弦楽のための音楽(原曲: 12人のヴィオラ奏者のための音楽)
ベートーヴェン:交響曲第2番ニ長調Op. 36
ウラディーミル・ユロフスキ(指)
バイエルン国立O

録音:2020年10月5日&6日ミュンヘン、バイエルン国立歌劇場
※国内盤には片桐卓也氏による日本語解説付き
2021年にスタートしたバイエルン国立歌劇場の自主レーベルBSOrecから待望の第2弾CDが登場。2021/22シーズンから劇場の音楽総監督兼オーケスト ラの首席指揮者に就任したウラディーミル・ユロフスキとの初録音という点でも注目です。 バイエルン国立歌劇場は、新型コロナ感染症の拡大に伴い2020年3月からロックダウンされていましたが、ここに録音されている2020年10月のコンサートは劇 場再開後、最初のアカデミー・コンサート(バイエルン国立管の定期演奏会)。演奏者にも聴衆にも特別な思いがあったことでしょう。 プログラム冒頭はブレット・ディーンのテスタメント(管弦楽版)で、この「テスタメント」とはベートーヴェンが書いた「ハイリゲンシュタットの遺書」のこと。ディーンは遺書 の内容に加えてその筆跡や筆圧などに刺激を受け、湧き上がる創造力と苦悩とのせめぎ合いを思わせるエネルギーに満ちた音楽を作曲しました。随所にベー トーヴェン作品(ラズモフスキー第1番など)が引用されています。オリジナルは12人のヴィオラ奏者のための作品でしたが、ここでは管弦楽用に編曲されたもの が演奏されています。 ユロフスキが組み合わせたのは「ハイリゲンシュタットの遺書」と同時期に描かれた交響曲第2番。「遺書」の凄絶な内容に反して、苦悩の陰の薄い晴朗な音楽 と見られがちな作品において、ユロフスキは極めて力強くダイナミックな解釈を繰り広げています。ユロフスキは早くからベートーヴェンに多面的に取り組んでおり、エ イジ・オヴ・インライントゥンメント管との演奏ではピリオド楽器の奏法と発想を研究し、ベルリン放送響とはマーラー編曲版をとりあげています。ベートーヴェンの オーケストラ・スコアの持つ可能性について研究と実践を重ねてきたユロフスキらしい、細部まで精緻かつ力強くて激しい音楽となっています。

Capriccio
C-7422(6CD)
NX-D03
シャーンドル・ヴェーグ&カメラータ・ザルツブルク名演集
【CD1】*
ベートーヴェン
1-7.弦楽四重奏曲第14番嬰ハ短調 Op. 131(弦楽合奏)
8. 大フーガ 変ロ長調 Op. 133(弦楽合奏)
【CD2】
1-9. ハイドン:十字架上のキリストの最後の7つの言葉(弦楽四重奏版) Op. 51Hob. III:50-56(弦楽合奏)
【CD3】
シューベルト
1-4. 交響曲第5番変ロ長調 D. 485
5-8. 交響曲第6番ハ長調 D. 589
【CD4】
シューベルト
1-2. 交響曲第8番「未完成」
3-6. 交響曲第9番「ザ・グレート
【CD5】
1-4.ブラームス:弦楽五重奏曲第2番 ト長調 Op. 111(弦楽合奏)
5-9. シェーンベルク:浄められた夜(弦楽合奏版)
【CD6】
1-3. バルトーク:ディヴェルティメント BB 118
4-6. ベルク:抒情組曲からの3つの小品
(弦楽合奏版)
7-16. ストラヴィンスキー:バレエ音楽『ミューズを率いるアポロ』
インターナショナル・ミュージシャンズ・セミナー・ソロイスツ*
カメラータ・ザルツブルク(モーツァルテウム・カメラータ・アカデミカ,ザルツブルク)
シャーンドル・ヴェーグ(指)

録音:1987/89年 St. Buryan Church, Cornwall(UK)…CD1
1992年3月15日 Grosser Saal, Wiener Konzerthaus, Vienna(オーストリア)…CD2
1990年11月 Mozarteum, Salzburg(オーストリア)…CD3:1-4
1993年12月10-12日(ライヴ) Mozarteum, Salzburg(オーストリア)…CD3:5-8
1994年2月25日、27日 Mozarteum, Salzburg(オーストリア)…CD4:1-2
1993年3月26、28日 Mozarteum, Salzburg(オーストリア)…CD4:3-6
1991年10月26-27日、11月1-2日 Mozarteum, Salzburg(オーストリア)…CD5
1988年5月 Alte Aula, Salzburg(オーストリア)…CD6:1-3
1989年3月 Mozarteum, Salzburg(オーストリア)…CD6:4-6
1988年11月 Mozarteum, Salzburg(オーストリア)…CD6:7-16
このBOXには、1979年から指揮者を務めたカメラータ・ザルツブルク(モーツァルテウム・カメラータ・アカデミカ)との名演を中心に収録。ハイドン、シュー ベルト、ブラームスなどのウィーン古典派、ロマン派から、20世紀のシェーンベルクやベルク、バルトーク、ストラヴィンスキーまでの多彩な作品を、ヴェー グはモダン楽器小編成オーケストラの機動性を生かしながらも、自然かつ魅力的に聴かせます。既にORFEOレーベルから発売されている13枚組 BOX【ORFEO録音集 1983-1996年】(J999713)の収録曲とは違ったレパートリーをお楽しみください。またベートーヴェンの2作品は、イギリスの コーンウォールで開催された室内楽セミナーでの演奏。ヴェーグが1972年から教えていたインターナショナル・ミュージシャンズ・セミナーの奏者たちが見 事に弾きこなしています。


Treasures
TRE-254(1CDR)
アルベール・ヴォルフ〜1960年代の貴重ライヴ!
(1)ベルリオーズ:序曲「海賊」*、
(2)ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」*
(3)ベルリオーズ:「ベンベヌート・チュエルリーニ」序曲
(4)オネゲル:交響詩「夏の牧歌」
(5)フランク:交響曲ニ短調
アルベール・ヴォルフ(指)
パリ音楽院O*、デンマークRSO

録音:(1)(2)1955年6月20-22日
(3)1962年3月15日ライヴ
(4)1962年3月1日ライヴ
(5)1965年1月28日ライヴ、全てモノラル
※音源:(1)(2)LONDON LL-1297、(3)-(5)ARTE SYMFONIA ARTE-SYMFONIA-003
◎収録時間:76:58
“アルベール・ヴォルフの知られざる晩年の完熟至芸!”
■音源について
アルベール・ヴォルフ(1884-1970)はパリ生まれ。パリ音楽院で学んだ後ストラスブールで指揮者としてデビュー。1921年にオペラ=コミック座の首席指揮者となった後、コンセール・ラムルー管(前任者ポール・パレーは2歳年下)、コンセール・パドルー管の首席指揮を歴任。1935年にルーセルの交響曲第4番を初演するなど、パリ楽壇にとって欠かせない存在でした。1951年からはデッカとの録音を開始。ステレオ初期までに数点のレコードを遺していますが、その後晩年に至るまでの録音は皆無に等しいので、定期的に客演を重ねていたとされるデンマーク放送響とのこのライヴ録音は極めて貴重です。

★ヴォルフは同じフランスの指揮者で言えば、年齢的にはモントゥーとミュンシュの間の世代ですが、その芸風は馬力で押しまくるのではない手作り感が特徴的なので、モントゥーに近いと言えましょう。
 50年代の2曲の序曲(セッション録音)は小気味好いリズムに乗せて華やかな色彩が飛び交う佳演ですが、「ベンベヌート・チュエルリーニ」ではテンポがグッと遅くなり、一点一画を丁寧に描くスタイルがより顕著になります。注目はこの遅いでもリズムが単なる鈍重に傾かず、温かな風合いを帯びていること。第3主題(6:14〜)のシルキーなフレージングも、ヴォルフの人柄とセンスを表わすかのよう。そのシルキーさはオネゲルで全開に。特に弦の響きは、技術的な性能の良さとも相俟って得も言われぬ透明度で心に染みます、中間部の舞曲もそれまでの深い呼吸感をそのまま維持しているので、この箇所だけが突出して浮き立つ印象を与えません。
 そして稀代の名演、フランク!第1楽章3:14のヴィブラートに象徴されるように、作品の構造解析型のアプローチとは一線を画し、琴線に触れる音を紡ぐことに専心。その結果として導き出された大柄で懐の深い音像は、聴き手の心を捉えてやみません。再現部における声部感の熾烈な絡みも聴きもの。第2楽章では、イングリッシュホルンの主題登場後から弱音器付きの弦によるスケルツォ開始までの幽幻なニュアンスと呼吸の深さは、史上屈指。終楽章はクレンペラーと似た低速モードですが、透明度はヴォルフが断然優位。アゴーギクの操作はむしろ抑制して一定の推進力を確保する配慮も感じられます。「勝利の動機」(4:23〜)の開放感も、とかく過度に深刻になりやすいこの作品に相応しいスパイスとして作用し。コーダに至るまでアグレッシブな表現を敢行し続けます。
これほどの表現意欲を保ちながらレコーディングから遠ざかってしまったのは、商業主義的な世界から距離を置きたかったせいかもしれませんが、いずれにせよ、音楽家として最高に幸せだったであろうことは、想像に難くありません。【2022年6月・湧々堂】

BIS
BISSA-2514(4SACD)
シューベルト:交響曲全集
■Disc1(BIS SA-1989)
(1)交響曲第1番ニ長調 D.82(1813)
(2)「葬送行進曲」〜歌劇『アドラスト』(未完)D.137(1819-20)より
(3)交響曲第2番変ロ長調 D.125(1814-15)
(4)「ロザムンデ」序曲 D.644(1820)
■Disc2(BIS SA-1786)
(5)交響曲第3番ニ長調 D.200(1815)
(6)交響曲第4番ハ短調 「悲劇的」 D.417(1816)
(7)交響曲第5番変ロ長調 D.485(1816)
■Disc3(BIS SA-1987)
(8)交響曲第6番ハ長調 「小さなハ長調」D.589(1817-18) 
(9)劇付随音楽「ロザムンデ」 D.797(1823)より
 間奏曲第1番ロ短調
 間奏曲第3番変ロ長調
 間奏曲第2番ニ長調
 バレエ音楽第2番ト長調
 バレエ音楽第1番ロ短調/ト長調
■Disc4(BIS SA-1656)
(10)交響曲第8番ロ短調 「未完成」 D.759(1822)
(11)交響曲第9番ハ長調 「グレイト」 D.944(1825-26)
トー マス・ダウスゴー(指)
スウェーデン室内O

録音:(10)2006年10月、
(11)2007年12月、
(7)2009年5月、
(5)2010年1月、
(6)2011年8月、
(8)(9)2012年2月、
(1)-(4)2013年6月
エレブルー・コンサートホール(スウェーデン)

※ベーレンライター社から出版している「新シューベルト全集(Neue Schubert-Ausgabe)」の原典版に基づいて演奏しています。「新シューベルト全集」では「未完成」が第7番、「グレイト」が8番となっていますが、当アルバムでは従来の番号を踏襲しています。
ダウスゴーとスウェーデン室内Oによるシューベルト交響曲全集が遂にセットになって登場します!現代的感覚満点の鮮烈オーケ ストレーションが評価されるきっかけとなったシューベルト録音。なかでも交響曲第5番 変ロ長調 D.485(BIS SA-1786)と交響曲第8番 ロ短調 「未完成」 D.759(BIS SA-1656)の両曲は、レコード芸術誌の特集「新時代の名曲名盤500」で同曲のベスト・ワン・ディスクに選ばれており、数多の名盤が揃う同曲 の筆頭として注目されております!
シューベルトの交響曲は亡くなってから数週間後の1828年11月19日に開かれた追悼演奏会で披露されるなど、シューベルトの死後に日の目を見ました。「グ レイト」は1838年、「未完成」は1865年にそれぞれ初演されています。
交響曲第1番から第6番は1813年から1818年にかけての作品。ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンといった諸先輩作曲家からの影響を受けながらも歌 曲作曲家としての面目をはっきりと示し全体的に明るさと朗らかさが漂う第3番、「悲劇的」の副題で知られる名曲第4番、ロココ的で小市民的な生活感情を象徴 しているとも言われる第5番など、シューベルトの独創性がいたるところにあらわれているのが魅力です。室内オーケストラ編成によるダウスゴーの解釈はまさに 唯一無二。すがすがしく透き通るような音に込められたシューベルトの世界が広がります。
同コンビの録音は名盤揃い!ブラームスの交響曲全集(KKC-6443/6 / BIS SA-2556)、メンデルスゾーンの交響曲第1番&第3番『スコットランド』 (KKC-6432/ BIS SA-2469)、ブランデンブルク協奏曲と6人の作曲家による新作委嘱を交えた「ザ・ブランデンブルク・プロジェクト」(KKC-6359/61/ BIS SA-2199)はいずれもレコード芸術誌「特選盤」となっています。 (Ki)

C Major
80-6108(DVD)

80-6204(Bluray)
ザルツブルク音楽祭2021/ブロムシュテット&ウィーン・フィル
オネゲル:交響曲第3番「典礼風」
ブラームス:交響曲第4番ホ短調Op.98
ヘルベルト・ブロムシュテット(指)
VPO

収録:2021年8月28・29日、ザルツブルク祝祭劇場(ライヴ)
◆DVD
画面:16:9NTSC
音声:PCMステレオ、DTS5.1
リージョン:All 、DVD9、80分
◆Bluray
画面:1080i 16:9FullHD
音声:PCMステレオ、
DTS-HD MA5.1
リージョン:All、BD50、80分
2021年101年目を迎えたザルツブルク音楽祭のライブ映像がリリース。現役最高齢指揮者のヘルベルト・ブロムシュテット(1927-)とウィーン・フィルによる演 奏で、プログラムはオネゲルの交響曲第3番とブラームスの交響曲第4番。ブロムシュテットは、このプログラムを2020/21年シーズンで取り上げ(N響とは残念 ながら中止となってしまいましたが)、2020年7月に行われたバンベルクSOとの演奏会は、ロックダウンを経ての久々のステージとあって大成功を収めてお り 、ウ ィーン・フ ィル と の 演 奏 も 期 待 が 高 ま り ま す 。
ブロムシュテットとウィーン・フィルの共演の歴史は意外にも浅く、2011年1月26日にアーノンクールの代役としてウィーン・モーツァルト週間に登場したのが最 初。ウィーン・フィルは2019年に、これまでの偉大なる音楽活動の功績を讃えてブロムシュテットに名誉会員の称号を贈っています。
フランス六人組の一人アルテュール・オネゲル。第2次世界大戦終結後の1945年から46年にかけて作曲され、シャルル・ミュンシュが初演を行った第3交響曲 「典礼風」。全3楽章からなり各楽章には、「怒りの日」「深き淵より」「我らに平和を」とミサと詩篇からとられたタイトルが付けられています。戦争という蛮行へ の怒り、そして平和への祈りがあらわれた作品です。ブロムシュテット&ウィーン・フィルによる高い集中力と緊張感で表現した見事な演奏で、作曲当時の状況と、 2020年以来のパンデミック、そして現在の世界情勢に置き換えることもできる、非常に意義深いプログラムといえるでしょう。
ブロムシュテットのブラームスといえば、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管との全集は記憶に新しいところですが、第4交響曲は中でもブロムシュテットの十八 番。ウィーン・フィルの伸びやかで清らかな弦と安定感のある木管の美しさは絶美。そして、バッハのカンタータ第150番のシャコンヌが基となっているフィナーレ は、とても94歳とは思えない力強い指揮とテンポで最後まで緊張感を保った演奏となっています。

Goodies
78CDR-3873(1CDR)
メンデルスゾーン:交響曲第4番「イタリア」 セルゲイ・クーセヴィツキー(指)
ボストンSO

仏 DISQUES GRAMOPHONE DB2605/07 (米Victor 8889/91 と同一録音)
1935年1月23日ボストン・シンフォニー・ホール録音
セルゲイ・クーセヴィツキー(1874-1951)はロシア帝国トヴェリ生まれ。モスクワ ・フィルハーモニー協会音楽演劇学校(現ロシア舞台芸術大学)卒業後コントラバス 奏者として活動を始めた。1908年にベルリンで指揮者デビューし、ロシア革命後の 1920年にパリに移住。1924年にピエール・モントゥーの後任としてアメリカのボス トン交響楽団の常任指揮者となり1949年までつとめた。後任はシャルル・ミュン シュ。クーセヴィツキーはボストン交響楽団を世界的に有名にした。またフランス の作曲家モーリス・ラヴェルにムソルグスキーのピアノ曲「展覧会の絵」のオーケ ストラ編曲を依頼したことも知られている。レコード録音はすべて米VICTOR。(グッディーズ)

ALPHA
ALPHA-690(1CD)
ハイドン交響曲全曲録音シリーズVol.12〜遊びと愉しみ
ハイドン:交響曲第61番ニ長調 Hob. I:61
 交響曲第66番変ロ長調 Hob. I:66
作曲者不詳(伝ヨハン・ミヒャエル・ハイドン〔1737-1806〕):おもちゃの交響曲 ハ長調 Hob. II:47(ベルヒテスガーデンの音楽)
ハイドン:交響曲第69番ハ長調「ラウドン」Hob. I:69
バーゼル室内O(古楽器使用)
ジョヴァンニ・アントニーニ(指)

録音:2020年8月14-17日、2021年6月1-5日
ドン・ボスコ・バーゼル、スイス
2032年の作曲家生誕300周年に向け、100曲以上が現存しているハイドンの交響曲の全てを録音してゆくジョヴァンニ・アントニーニの HAYDN 2032プロジェクト。今回はハイドンがエステルハージ侯爵家での作曲経験を充分に積み、ひときわ充実した楽器編成のために交 響曲を書く機会が増えてきた1775〜76年の作品3曲に、「おもちゃの交響曲」を加えた選曲。20世紀にハイドン作ではないと判 明して以降、レーオポルト・モーツァルトかエドムント・アンゲラーかなど、異説が多く提唱されながらも今なお作曲者が確定していない「おもちゃ の交響曲」ですが、少なくとも1760年代には楽譜が存在していた真正の18世紀作品であることだけは間違いなく、滅多になされない古楽 器での録音を俊才アントニーニによる技ありの指揮で聴けるのは画期的です。ハイドン作の3曲のうち比較的知られている第69番は、晩年 まで戦果を上げ続けた老将軍ラウドン(ロウドン)にちなんだ作品。トランペットとティンパニが響きに華やぎを添えます。第66番は比較的小ぶ りの編成ながら、豊かな音作りにハイドンの芸術性の充実が感じられるもの。イル・ジャルディーノ・アルモニコやゼフィーロでも活躍する名手エ ミリアーノ・ロドルフィ(Ob)や、引く手あまたのカルレス・クリストバル(Fg)など俊才古楽器奏者も加わるバーゼル室内Oの 機動力も頼もしく、音楽学者クリスティアン・モーリッツ・バウアーによる最新研究を踏まえた恒例の解説(英・仏・独語/国内仕様には日本 語訳付)とともにハイドン作品の奥深さを十全に伝えてくれます。

オクタヴィア
OVCL-00780(1SACD)
税込定価
2022年6月22日発売
ハイドン交響曲集Vol.15
交響曲第89番ヘ長調 Hob.T:89
交響曲第4番ニ長調 Hob.T:4
交響曲第10番ニ長調 Hob.T:10
飯森範親(指)
日本センチュリーSO

録音:2019年8月9日 大阪、いずみホール・ライヴ
日本センチュリーSOが首席指揮者の飯森範親と共にスタートした「ハイドンマラソン」は、フランツ・ヨーゼフ・ハ イドンのすべての交響曲を演奏しようという一大プロジェクト。当盤は第16回コンサートのライヴ収録です。 幾度の公演を重ね、信頼関係を築いてきた飯森と日本センチュリー響は、精緻な構築と、細部までこだわりぬいた 感性で、気品あふれるハイドンを奏でています。柔和で晴々とした優美な演奏は、まさに彼らの真骨頂といえるでしょ う。(オクタヴィア)
オクタヴィア
OVCL-00790(5CD)
税込定価
2022年6月22日発売
久石譲/ベートーヴェン:交響曲全集 久石 譲(指)
フューチャー・オーケストラ・クラシックス

録音:2016年7月16日 (Sym.1)、2016年7月17日(Sym.2)、2017年2月12日 (Sym.3, Sym.4)、2017年7月16日 (Sym.5)、2017年7月17日(Sym.6)、2018年2月12日 (Sym.7, Sym.8)、2018年7月16日 (Sym.9)
長野市芸術館メインホール・ライヴ
かつてない現代的なアプローチが話題を集めた、久石譲によるベートーヴェン・ツィクルス。作曲家 ならではの視点で分析したベートーヴェンは、推進力と活力に溢れ、大きな話題となりました。 2019年に発売した特別装丁BOX&紙ジャケット仕様の全集CDは、ご好評のうちに完売と なっておりましたが、熱いご要望の声にお応えし、プラスチックケース仕様にて再発売いたします。(オクタヴィア)

オクタヴィア
OVEP-00019(DVD)
税込定価
2022年6月22日発売
阪哲朗/ベートーヴェン交響曲選集
交響曲第6番へ長調 「田園」 op.68
交響曲第7番イ長調 op.92
阪哲朗(指)山形SO

録音:2020年6月21日 やまぎん県民ホール(山形県総合文化芸術館)(第6番)、
2021年1月16、17日 山形テルサホール(第7番) ・ライブ
 ここに描かれたのは、2020-21年の山響と私による生きた記録です。新しく買い直した、 真っ新なベーレンライターの楽譜を用い、自筆譜(あるものは)も参考にした。演奏に際して交わ したオーケストラとの音楽的対話、共同作業は、今後の演奏への大きな礎となるでしょう。そして偉 大なベートーヴェンを通じて音楽とは何か、感動とは何かという根本的な問いをもう一度、個人 個人が改めて考え直すことができた貴重な時間だった。 今回、皆様にお届けするのはコロナ禍での活動休止から復活した無観客ライブで演奏・配信し た第6番「田園」、そして私と山響のベートーヴェンが熟成してきた2021年1月定期での第7番 だ。1年という時間を経て変化する山響と私のベートーヴェンをお楽しみいただけるのでは?と 思う。――山形SO常任指揮者 阪 哲朗

ATMA
ACD2-2813(1CD)
R.シュトウス:メタモルフォーゼン
ペルト:交響曲第4番『ロサンジェルス」*
ジャン = マリー ・ゼイトウニ(指)
イ・ムジチ・ドゥ・モントリオー ル

録音:2021年6月22・23日、2020年1月24・25日*
1983年設立のイ・ムジチ・ドゥ・モントリオールとその芸術監督を2021年6月まで務めたジャン=マリー・ゼイトウニによるATMA初のアルバム。世界大戦 の惨禍とドイツの死を23人の独奏者の集積で描いたR.シュトラウスの『メタモルフォーゼン』に、作曲家が「偉大なる人間の精神、人間の尊厳への敬礼」と表現 したペルトの交響曲第4番を組み合わせた選曲。ゆったりした音楽の流れが続き、悲劇的な響きが次第に崇高な美しさの中へと溶けていくような感覚にとらわれ ます。コロナ禍の制約を受けて時を隔てて録音された2曲を同時に聴くと、音楽の持つ深いメッセージ性を感じます。
「音楽とは友であり、理解者であり、共感者であり、赦しを与える者であり、慰めをもたらす者であり、哀しみの涙を拭い、喜びの涙の源となり、同時に肉体と魂 を痛ませる棘でもあります」―アルヴォ・ペルト (Ki)

H.M.F
HMSA-0054(1SACD)
シングルレイヤー
限定盤
税込定価
マーラー:交響曲第5番嬰ハ短調 フランソワ= グザヴィエ・ロト(指)
ケルン・ギュルツェニヒO

録音:2017年2月20-22日シュトールベルク街スタジオ(ケルン)
国内プレス、日本独自企画
日本語帯・解説付
爆発的な人気を誇る指揮者ロトと、ケルン・ギュルツェニヒOによるマーラー5番がSACDシングルレイヤーで登場! ハルモニア・ムンディ・フランス・ レーベルからハイレゾ音源の提供を受けて、SACDリマスタリングを施した、日本独自企画のリリースです。
マーラーの交響曲第5番は、1904年、マーラー自身の指揮で、ケルン・ギュルツェニヒOによって初演された、オーケストラにとって特別な作品。アダー ジェットは抑えた感情ながらワーグナー『トリスタンとイゾルデ』の「イゾルデの愛の死」のような陶酔感で静かに盛り上がる、まさに至福の響き。このたびの SACD化により、より豊かな響きでおたのしみいただけます。 (Ki)
H.M.F
HMSA-0055(1SACD)
シングルレイヤー
限定盤
税込定価
マーラー:交響曲第3番ニ短調 フランソワ = グザヴィエ・ロト(指)
ケルン・ギュルツェニヒO
サラ・ミンガルド(C.A)
スコラ・ハイデルベルク女声cho
ケルン大聖堂児童合唱隊

録音:2018年10月ケルン・フィルハーモニー
国内プレス、日本独自企画
日本語帯・解説付
爆発的な人気を誇る指揮者ロトと、ケルン・ギュルツェニヒOによるマーラー3番がSACDシングルレイヤーで登場!ハルモニア・ムンディ・フランス・レー ベルからハイレゾ音源の提供を受けて、SACDリマスタリングを施した、日本独自企画のリリースです。
マーラーの交響曲第3番は、ケルン・ギュルツェニヒOと、クレールフェルトの歌劇場のオーケストラとの共同メンバーにより1902年に初演されました。 ロトはやや速めのテンポながらヴィブラート控え目、金管もまろやかに響かせるなど才気煥発ぶりが光ります。牧歌的な歌いまわしも絶妙です。このたびのSACD 化により、強奏部での豊かな響きもより広がりをもって聴こえます。また、歌声の美しさも際立ちます。
2CDでのリリースでしたがこのSACDシングルレイヤーは1枚での発売です。

GRAND SLAM
GS-2269(1CD)
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」 ハンス・クナッパーツブッシュ(指)
ミュンヘンPO

録音:1953年12月17日ドイツ博物館コングレスザール(ミュンヘン)
使用音源:Private archive (2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:モノラル(ラジオ放送用録音)
■制作者より  
クナッパーツブッシュが1953年にミュンヘン・フィルを指揮したベートーヴェンの「英雄」は、クナらしさが発揮された最初の「英雄」(LP初出の頃は1950年、 バイエルン放送響と誤記されていました)として知られています。近年ではさまざまなレーベルからCD化されていますが、今回入手した2トラック、38センチのオー プンリール・テープは恐らくこれまででは最も鮮明な音質で、感動もひとしおです。また、インターバルも終演後の拍手も収められていますが、過去に拍手入りで発 売されたものは珍しいと思います(ミュンヘン・フィルのボックス・セットは未確認)。(平林 直哉)

Hanssler
HC-22016(1CD)
エミーリエ・マイヤー(1812-1883):交響曲第6番ホ長調
交響曲第3番ハ長調「軍隊交響曲」
マルク・ニーマン(指)、
ブレーマーハーフェンPO

録音:2021年10月4-6日/ゼンデザール、ブレーメン
女性作曲家エミーリエ・マイヤー(1812-1883)の交響曲第6番と第3番「軍隊交響曲」を収録したアルバム。同時代の作曲家たちから「女ベートーヴェン」 との異名を付けられたほどの才能の持ち主マイヤー。その名の所以は最も成功した交響曲の作曲家としてみなされているからです。
薬局経営の父ヨハンと母ヘンリエッタのもとに生まれたマイヤーは幼いころからピアノの手ほどきを受けたものの体調面や家庭問題から作曲家を目指したのは 30歳近くになってから。カール・レーヴェに師事したことで作曲家の道に進むことを決意しました。1842年に出版した作品が評判を呼びファニー・メンデルスゾー ンやクララ・シューマンと並び優れた作曲家として注目されたものの、同時代の女性作曲家たちと同様、ジェンダーの差別により真っ当な評価を得られなかったの もまた事実。交響曲の作曲は“創造的な男性の知性の領域”であるという前提条件の元、マイヤーの作品もまた“例外的”であると評され、どれほど素晴らしい作 品を発表してもその差別は常につきまといました。
8つの交響曲を残したマイヤー。当録音では第3番「軍隊交響曲」と第6番を収録。ロマンティックなメロディと力強さを兼ね備えた作品はロマン派時代最も才 能に恵まれた作曲家マイヤーの真の実力を示すものです。 (Ki)

BR KLASSIK
BR-900934(4CD)
NX-C07
コンダクターズ・イン・リハーサル〜M・ヤンソンス編 第2集

(1)R・シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」 〜リハーサル風景(54:11)
(2)ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」 〜ハーサル風景(53:55)
(3) R・シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」〜リハーサル風景(53:22)
(4)シベリウス:交響曲第2番〜リハーサル風景(54:02)

※すべてリハーサルのみ。コンサート本番の演奏は含みません。
マリス・ヤンソンス(指)
バイエルンRSO

(1)録音:2011年3月14-18日
ミュンヘン、フィルハーモニー・イン・ガスタイク(ドイツ)
(2)録音:2012年5月14-18日
ミュンヘン、ヘルクレスザール(ドイツ)
(3) 録音:2014年2月24-28日
ミュンヘン、ヘルクレスザール(ドイツ)
(4)録音:2015年11月12-13日

全てミュンヘン、ヘルクレスザール(ドイツ)
第1集(900931)に続くマリス・ヤンソンスとバイエルンRSOとの膨大なリハーサル録音から4作品を厳選した4枚組セット。今作ではヤンソ ンスが愛したR・シュトラウスの「英雄の生涯」(2011)と「ドン・ファン」(2014)、2012年の来日公演でも好評を博したベートーヴェンの「交響 曲第5番」、2015年のシベリウス「交響曲第2番」のリハーサル風景が収録されており、ヤンソンスとオーケストラとの関係が熟成されてゆくのも感じ取 ることができます。 リハーサルはドイツ語。また各CD冒頭にバイエルン放送の解説者を務めたフリードリヒ・シュロッフェルによるイントロダクション(ドイツ語)が収録されて います。

Altus
AL-519(1CD)
坂入健司郎/名古屋フィル 2021年ライヴ
ボロディン:交響詩『中央アジアの草原にて』
グラズノフ:サクソフォン協奏曲*
チャイコフスキー:交響曲第4番ヘ短調Op.36*
 バレエ音楽『白鳥の湖』〜スペインの踊り(アンコール)
堀江裕介(Sax)
坂入健司郎(指)名古屋PO

ライヴ録音:2021年8月18日愛知県芸術劇場コンサートホール、
2021年8月20日東京オペラシティ コンサートホール
気鋭指揮者・坂入健司郎がはじめて名古屋フィルと共演した2021年ライヴ。ロシア音楽でまとめられたプログラムから様々な響きを引き出し、表現力の多彩 さと明快な構築感で大いに魅せた充実の演奏が、プログラム丸ごと音盤でお楽しみいただけます。メインのチャイコフスキー4番は曲全体をみごとに見通して輝か しく段階的に盛り上げていき、ここぞという所で予想値を超える大エネルギーを放射、圧巻のコントロールで鳴らし切った快演です。名フィル客員奏者でもある堀 江裕介が巧みなソロを吹くグラズノフの協奏曲も聴きもの。同じプログラムを演奏した愛知・東京2公演の録音からより良い記録状態のものを収録しています。
「ボロディンの「中央アジアの草原にて」は、澄み切った響きが丁寧に重ねられていく。堀江裕介をソリストに迎えたグラズノフのサクソフォン協奏曲は、フランス 音楽かと思わせる色彩をふりまく。後半は、チャイコフスキーの交響曲第4番。終楽章は、様々な方向性の音楽が入り交じるロンド形式だ。それらの音楽の繋ぎを滑 らかにしたり、逆にコントラストを強くしたりと変化をつけることで、熱狂的なコーダを自然に導く上手さ。悲しみも喜びも、すべては最後に肯定されます。そして、そ んな〈幻想〉を実現させるには、このような緻密な流れの作りや構造が必要である」(鈴木淳史氏の解説より抜粋) (Ki)

B RECORDS
LBM-042(1CD)
マーラー(シェーンベルク編、ライナー・リーン補筆完成): 大地の歌(室内管弦楽版) ステファヌ・ドゥグー(Br)
ケヴィン・アミエル(T)
ル・バルコン
マキシム・パスカル(音楽監督)

録音:2020年7月2日 サン=ドニ大聖堂・サン=ドニ音楽祭におけるライヴ録音(拍手無し)
古典から現代まで幅広いフランス音楽の解釈者として近年大きな注目を浴びており、コロナ禍にあっても二度の来日を成功させている 1985年生まれの俊英マキシム・パスカルによる、室内管弦楽版「大地の歌」が登場です。シェーンベルクによるこの編曲版は、元の大管弦 楽の音響を極限までそぎ落とした見通しのよい響きが特色ですが、精鋭集団ル・バルコンがライヴ録音ながら鉄壁のアンサンブルを聴かせ、 その面白さを存分に堪能させてくれるのが嬉しいところ。ソリストは男声2人の起用で全体のメリハリが気になりますが、ラファエル・ピション指揮 の「マタイ受難曲」(Harmonia Mundi)でのイエス役の名唱も記憶に新しいステファヌ・ドゥグーがバリトンを担当しており、彼が歌う「告別」 の深く沁みる味わいは格別の美しさを湛え、大きな聴きどころとなっています。


WEITBLICK
SSS-7000(1CD)
(UHQCD)
スヴェトラーノフ〜モンペリエ・ライヴ
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」Op.95
エフゲニ・スヴェトラーノフ(指)
ロシア国立SO

録音:1997年7月20日カストリーズ城、モンペリエ(デジタルライヴ録音)
※初出音源
最晩年様式に片足を突っ込んでいた時期のド迫力ライヴ。マルチマイクに よる楽器の輪郭がはっきりした生々しい録音も特徴的。スヴェトラーノフこだ わりの両翼配置が楽しめます。本国ロシアの演奏よりも録音状態が上なのも マルです。ロシア国立響の持つパワフルさをフルに生かした快演。本場フラ ンスのブラボーも納得! WEITBLICK 初の UHQCD で登場です。スヴェトラーノフの権威であるはや しひろし氏による入魂のマスタリングとライナーノートで万全の環境でリリース されます(英訳あり)。


Epitagraph
EPITA-022(3CD)
(UHQCD)
ワルター&ニューヨーク・フィルのブラームス(1951年ライヴ)
(1)交響曲第1番ハ短調 作品68
(2)交響曲第2番ニ長調 作品73
(3)交響曲第3番ヘ長調 作品9
(4)交響曲第4番ホ短調 作品98
(5)悲劇的序曲 作品81
ブルーノ・ワルター(指)NYO

録音:(1)1951年1月21日、(2)1951年2月4日、(3)1951年1月28日、(4)1951年2月11日、(5)1954年12月19日
(いずれもニューヨーク、カーネギー・ホールでのライヴ)
Produced by Epitagraph(原盤:エピタグラフ)
1951年にカーネギー・ホールで演奏されたワルター&ニューヨーク・フィルのブラームス・チクルス、その交響曲全曲がついに3UHQCDで登場。2番は 2004年にターラで初CD発売されましたが、1番、3番は世界初CD。4番は国内初CD。50年代のニューヨーク時代がワルターのピークの時代ともいわれている ワルターのライヴ・ブラームス、待望の全集登場です。
宇野功芳の激賞でターラの国内盤も大ヒットとなった「2番」、今回のエピタグラフの音は冒頭ラジオ・アナウンス付きで、ターラ音源とは入手ルートが違います。 音質は優るとも劣らない鮮明かつ迫真の音。あらためて聞き惚れてしまいます。「1番」「3番」「4番」もオーケストラの強大な響きを武器に、雄大な構成感、濃密な 叙情性をともない、情熱の限りをぶちまけた激烈な演奏が展開されており、ワルターもやはりライヴの人であったことを痛感させられます。全曲拍手入り。
ボーナス・トラックにはこれもまた世界初CD化になる「悲劇的序曲」(54年ライヴ)を収録。2回のスタジオ録音(1953年にニューヨーク・フィルと/60年にコ ロンビア響と)も名演でしたが、さらに彫りが深く自発性に富んだ凄演となっております。この曲も終演後盛大な拍手が入っています。 「ニューヨーク・フィルとの総演奏曲数は1306曲で一番多いのはベートーヴェンの199曲、続いてブラームスの157曲、次いでモーツァルトが121曲であった」 (前述の丹野克洋氏の提供資料)― ベートーヴェンについで演奏回数が多かったブラームス。その愛着ぶりを叙実に示すワルターのライヴ・ブラームス、ファン必 携の交響曲全集と申せましょう。 (Ki)
Epitagraph
EPITA-25(1CD)
(UHQCD)
限定発売
世界初出の40番、国内初CDの35番&39番・・・
モーツァルト:交響曲第40番ト短調 K.550
交響曲第35番ニ長調 K.385「ハフナー」
交響曲第39番変ホ長調 K.543
ブルーノ・ワルター(指)NYO

録音:1950年2月5日 (交響曲第40番)、1944年2月6日 (第35番)、1945年12月23日 (第39番)
カー ネギー・ホー ル 、ニューヨー ク(ライヴ )
Produced by Epitagraph(原盤:エピタグラフ)
現在ベストセラー中の「モーツァルト交響曲集(第25・29・35・38・39番)」(EPITA.020/1)につづいて、同じエピタグラフ・レーベルからブルーノ・ ワルターのピークの時代ともいわれているニューヨーク時代のカーネギー・ホールでのライヴ盤が登場。曲目は愛好曲モーツァルトのトップ3(交響曲40番・35 番・39番)です。うれしいことに40番は1950年録音で世界初出盤,35番・39番は1944年・45年録音で国内初CDになります。
音質は復刻にともなうスクラッチノイズが少し残っているものの、鮮烈かつ豊麗な響きをともなった放送録音の魅力がたっぷり。全曲とも拍手が盛大に入ってい て、生々しく臨場感たっぷりに、カーネギー・ホールでの雰囲気を楽しめます。ワルターは持ち前のロマンティックな表現に力強く輝かしい威力と彫りの深い立体的 な構成感を付加しており、これぞまさしく全盛期のモーツァルト演奏を堪能できます。とりわけ、世界初出になる第40番ト短調は音質も良好で、比類なく貴重な名 演と申せましょう。 ただし40番はオリジナル原盤に、第4楽章の後半(3:29〜31)に3秒ほど欠落があったため同曲のCBSスタジオ録音(53年2月23日)で補正しております。 (Ki)

GENUIN
GEN-22788(1CD)
ティルマン・シレスク(b.1969):交響曲第1番「夜の光」(2020) クリスティアン・K・フランク(指)
シュターツカペレ・ワイマール

録音:2019年12月17-19日、2021年5月25-26日ドイツ、ワイマール
※世界初録音
ティルマン・シレスクという名前はルーマニア系を思わせるがドイツ、フランクフルト出身。 フランクフルト大学でジャズとポップ・ミュージックで学位を取得、現在は主に映画音楽の世 界で活躍しています。しかし2001年以来、コンサート用のシリアスな作品を手掛けており、この 作品は満を持しての初の交響曲となります。映画音楽での経験を活かし巧みな管弦楽法を駆 使した全4楽章42分の聴き応えのある交響曲で明らかにマーラー、特にショスタコーヴィチ の影響を色濃く感じさせる大作。

PROSPERO CLASSICAL
PROSP-0042(3CD)
ブラームス:交響曲全集
交響曲第1番ハ短調 Op.68
交響曲第2番ニ長調 Op.73
大学祝典序曲 Op.80
交響曲第3番ヘ長調 Op.90
交響曲第4番ホ短調 Op.98
ニコラス・ミルトン(指)
ゲッティンゲンSO

録音:2021年1月26-29日、2月2-5日ドイツ、ロックホール・ゲッティンゲン
ゲッティンゲンSOと、2018年から首席指揮者を務めるニコラス・ミルトンによる、ブラームスの交響曲全4曲と『大学祝典序曲』。ゲッティンゲンはブラー ムスが学生時代に滞在し、ヨアヒムと一緒に大学の授業も受けていたゆかりのある土地で、ここで耳にした学生歌が『大学祝典序曲』に使われることになります。 この地にブラームスの生前から存在する老舗オーケストラであるゲッティンゲン響が、現代の空気のなかで奏でる注目のブラームス。堂々としたテンポ設定による 第1番、軽やかに華麗に聴かせる第2番、はっとするような明るさを持つ第3番、濃厚に歌いながらも瑞々しさを失わない第4番。最新録音の美しさもあいまって、 新しいブラームスの魅力を提示する注目のセットとなっています。 (Ki)

FIRST HAND RECORDS
FHR-120(1CD)
ショスタコーヴィチ:交響曲第6番ロ短調Op.54
交響曲第9番変ホ長調Op.70
スティーヴン・ロイド=ゴンザレス(指)
BBCウェールズ・ナショナルO

録音:2021年11月30日〜12月2日イギリス、カーディフ、BBCホディノット・ホール
イギリス人指揮者スティーヴン・ロイド=ゴンザレスによるショスタコーヴィチの交響曲。第6番と第9番は15曲の交響曲の中でも比較的小ぶりな作品ながら、作曲家のより謎めいた部分が垣間見える不思議な作品です。夜想曲のようなラルゴと、活気に満ちた第2・3楽章の対比が特徴的な第6番。ハイドン風におちゃらけて始まったかと思えば、名人芸の旋風を経て荒涼とした世界へと進んでいく第9番。ユニークな語り口が求められる両曲を、明快な表現でストレートに聴かせてくれる好演です。 (Ki)

GRAND SLAM
GS-2262(2CD)
ブルーノ・ワルター・ライヴ3
(1)ウェーバー:「オベ ロン」序曲
(2)ハイドン:交響曲第92番「オックスフォード」
(3)ベートーヴェン:交響曲第1番
(4)スメタナ:「売られた花嫁」序曲
(5)シューベルト:交響曲第9番「ザ・グレイト」
モーツァルト作品集
(6)12のメヌエット K.568より第12番
(7)6つのメヌエット K.599より第5番
(8)3つのドイツ舞曲 K.605
ブルーノ・ワルター(指)NBC響

録音:(1)(2)1939年3月18日、(3)1939年3月25日、(4)1940年3月2日、(5)1940年2月24日、(6)(7)(8)1940年3月9日
ニューヨーク、NBC、8Hスタジオ
使用音源:Private archive
録音方式:モノラル(ラジオ放送用録音)
■制作者より  
ワルターとNBC響のライヴ・シリーズ1(GS-2258/59)、同2(GS-2260/61)に続く第3弾です。アセテート盤を原盤としており、多少のノイズは 入りますが、既存のディスクと比較すると、音の情報量は格段に優れています。とにかく、この熱くドラマティックな演奏は感動的です。また、シューベルトの「ザ・ グレイト」は長く入手出来なかったもので、特に貴重です。(平林 直哉)

BIS
BISSA-2480(1SACD)
アラン・ペッテション:作品集
(1)交響曲第15番(1978)
(2)幻想曲〜ヴィオラ独奏のための(1936)
(3)ヴィオラ協奏曲(1979)(独奏パートの補完:エレン・ニスベト)
(2)(3)エレン・ニスベト(ヴィオラ/ニコロ・アマティ1714年製作)
クリスチャン・リンドベルイ(指)
ノールショピングSO

録音:(1)(3)2020年1月13-17日ルイス・デ・ギア・コンサートホール、ノールショピング(スウェーデン)、
(2)2020年5月29日聖ペテロ教会、ダンデリード(スウェーデン)
クリスチャン・リンドベルイがノールショピングSOと録音を続けている現代スウェーデンの作曲家アラン・ペッテションの交響曲シ リーズ。当アルバムでは交響曲第15番とヴィオラ協奏曲を収録しました。交響曲第15番は冒頭から尋常ならぬ緊張感ではじまる作品。冒頭のホルンとトロンボー ンが簡潔ながらインパクトの強い和音が特徴的。亡くなる2年前の1978年、晩年の集大成ともいえる大作です。
カップリングは1979年に書かれたヴィオラ協奏曲。未完のため当録音ではスウェーデンのヴィオリスト、エレン・ニスベトが独奏パートを補完させて演奏してお ります。ペッテションの初期作品ヴィオラ独奏のための「幻想曲」(1936年6月、作曲者自身がヴィオリストとしての道を歩み始めた頃の作品)とあわせてペッテ ションのヴィオラの世界もお楽しみください。 (Ki)

Goodies
78CDR-3869(1CDR)
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」 ニコライ・マルコ指揮
デンマーク国立RSO

HMV Z.7008/12
1949年デンマーク録音
ニコライ・マルコ(1883-1961)はウクライナ生まれ。父親がウクライナ人、母親が ロシア人。1906年ペテルブルク大学を卒業後、1909年にペテルブルク音楽院を修了、 マリインスキー劇場の指揮者にに就任、6年後に首席指揮者に昇格した。1909年よ りミュンヘンでフェリックス・モットルに指揮法を師事した。1918年にヴィテプス ク音楽院の楽院長に就任し、1921年からモスクワ音楽院で教鞭を執った。さらにキ エフ、ハリコフでも指揮法の指導にあたった。1925年からレニングラード音楽院教 授に就任、翌1926年にはレニングラード・フィルハーモニーSOに常任指揮者 になったが、1928年その座をアクサンドル・ガウクに譲り、1929年に西側からの出 演要請を受けたのを機に、妻と一緒にソビエト連邦を去り、ウィーン、プラハに移 住、さらにコペンハーゲンでデンマーク国立RSOの創設に携わり永久客演 指揮者の称号を与えられた。1940年にアメリカに渡り指揮法の教師をつとめた。コ ペンハーゲン時代からEMIに多くの録音を残しています。さらに1956年オーストラリ アのシドニーSOの首席指揮者に就任し、1961年シドニーで没するまで音楽監 督の地位にあった。1959年には東京SOの招きで来日しています。 復刻には「音のエジソン」 http://www.otono-edison.com/ SPレコード専用MC型 カートリッジ(3mil針)とコルグのNu 1DSD録音機を使用した。(グッディーズ)

ACCENTUS Music
ACC-30574CD(1CD)
モーツァルト&ヴォジーシェク
モーツァルト:交響曲第38番「プラハ」
ヴォジーシェク:交響曲ニ長調Op.23
ヘルベルト・ブロムシュテット(指)
ライプツィヒ・ゲヴァントハウスO

録音:2020年9月、ライプツィヒ、ゲヴァントハウス(ライヴ)
ヘルベルト・ブロムシュテットとライプツィヒ・ゲヴァントハウスOは、1964 年から1968年まで同団のカペルマイスターを務めていたチェコの名指揮 者ヴァーツラフ・ノイマン の想い出に寄せて、この度チェコにゆかりのあるプログラムを録音しました。
ヤン・ヴァーツラフ・ヴォジーシェク(1791-1825)は、モーツァルトが亡くなった1791年にチェコで生まれました。そして奇しくもモーツァルトと同い年 である34歳の時に、肺結核でこの世を去っています。ここに収録されているのは、ヴォジーシェク唯一の交響曲ニ長調(1823年に完成)。ヴォジーシェクは、 プラハ大学で学んだ後、22歳のときにウィーンに移り、そこで同時代の作曲家ベートーヴェンやシューベルトとも交流を深めていました。この交響曲も友人シュー ベルトの交響曲と同じように生前出版されることはありませんでした。現在では彼の作品の中では良く演奏される演目となっています。ベートーヴェンの初期の 交響曲のような古典派の様式に、モーツァルトのようなチャーミングな旋律がちりばめられた魅力的な作品です。
そしてモーツァルトの「プラハ」。1786年12月、オペラ「フィガロの結婚」がプラハで上演され一躍評判を呼び、モーツァルトは翌1787年1月にプラハか ら招待を受けます。プラハに到着したモーツァルトは自分の音楽がこれほどまでに熱狂的に受け入れられることに驚きを覚えました。そして交響曲第38番は、 プラハで初演され、その後に続くモーツァルトの後期交響曲の幕開けを飾ることになります。ブロムシュテットの「プラハ」はドレスデン・シュターツカペレ(1982 年)との録音がありますが、本盤でで端正な演奏できめ細やかで音楽性の深い表現を聴かせてくれます。

Hanssler
HC-22019(1CD)

KKC-6544(1CD)
国内盤仕様
税込定価
ハイドン:交響曲全集 Vol.26

交響曲A 変ロ長調 Hob.I:107(第107番)
交響曲第11番変ホ長調 Hob.I:11
交響曲第32番ハ長調 Hob.I:32
交響曲第15番ニ長調 Hob.I:15
ハイデルベルクSO
ヨハネス・クルンプ(指)

録音:2020年7月パラティン、ヴィースロッホ(ドイツ)
※国内仕様盤=ハイデルベルクSOのヴィオラ奏者、矢崎裕一氏による日本語解説書付
颯爽としたピリオド・アプローチがたまらないハイデルベルクSOによるハイドンの交響曲全曲録音シリーズ。レコード芸術誌の特集「新時代の名曲名盤 500」でハイドンの交響曲第88番、第92番「オックスフォード」、第94番「驚愕」、第102番、第104番「ロンドン」の当団の演奏が第1位に選ばれるな ど、表現力の豊かさ、演奏水準の高さで注目されております。
当シリーズは鬼才トーマス・ファイが率いて録音を進めてまいりましたが、2014年に自宅で転倒し重傷を負ってしまったために録音がストップ。ベンヤミン・シュ ピルナー指揮のもと2016年より録音を再開し、2020/2021年シーズンよりヨハネス・クルンプを新たな音楽監督に指名しました。第25巻に次ぐ第26巻 にはエスターハージー宮殿に仕える前の1760年から1761年頃に作曲された4つの交響曲を収録しました。モルツィン伯爵に仕えていた時代からエスターハー ジー宮殿時代の前までの“ハイドンとの旅”をお楽しみください。
クルンプは「ハイドンの初期の作品は演奏される機会が少なく、私たち音楽家さえほとんど知らないというのが現状です。これらの初期作品はハイドンの独創性にあふれ私たちに喜びを与えてくれます。」と語っており、新たなシェフを迎えた当団がその思いとともに初期の交響曲を演奏しております! (Ki)

Chandos
CHSA-5303(6SACD)
ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲全集
海の交響曲(交響曲第1番)(1903-09、1923最終改訂)*#
ロンドン交響曲(交響曲第2番)(1913年原典版/世界初録音)*
田園交響曲(交響曲第3番)(1921完成)*+、交響曲第4番ヘ短調*
交響曲第5番ニ長調(1938-43、1951改訂)*、
交響曲第6番ホ短調(1944-47、1950改訂)*
南極交響曲(交響曲第7番)(1949-51)§$、
交響曲第9番ホ短調(1956-57)§
交響曲第8番ニ短調*
●ボーナス・トラック
レイフ・ヴォーン・ウィリアムズの回想(1955年放送)、バーバラ・フーパーによるジョン・バルビローリへのインタビュー(1958年)、ロバート・レイトンによるエイドリアン・ボールトへのインタビュー(1966年放送)、アーシュラ・ヴォーン・ウィリアムズの回想(1965年放送)
リチャード・ヒコックス(指)LSO*#、
アンドルー・デイヴィス(指)ベルゲンPO§、
スーザン・グリットン(S)#、
ジェラルド・フィンリー(Br)#、
レベッカ・エヴァンズ(S)+
マーリ・エーリクスモーエン(S)$、
ロンドン交響cho、
ベルゲン・フィルハーモニーcho$、
エドヴァルド・グリーグcho§$

録音:2006年(第1番)、2000年(第2番)、2002年(第3番)、2001年(第4番)、1997年(第5番)、2003年(第6番&第8番)、2017年(第7番)、2016年(第9番)
レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ(RVW)の多くの画期的なレコーディングを世に送り出してきた英Chandosが満を持してリリースする生誕150周年記念BOX! Chandosのヴォーン・ウィリアムズといえば、1987年〜1990年に録音されたブライデン・トムソン(指)&LSOによる交響曲全集(CHAN9087/91)の名盤がありましたが、1997年からリチャード・ヒコックスとLSOによって新たな交響曲全集の録音プロジェクトがスタート。このプロジェクトは当初からサラウンド・サウンドで録音され、ハイブリッドSACDでリリースされた最初のヴォーン・ウィリアムズ交響曲全集となりました。特に、「1913年原典版」の世界初録音となった『ロンドン交響曲』は世界中で話題となり、グラモフォン大賞(レコーディング・オヴ・ザ・イヤー)やディアパゾン・ドールを始めとする多くの賞に輝いています。ヒコックスが志半ばに倒れた後は、アンドルー・デイヴィス&ベルゲン・フィルがその遺志を継ぎ、交響曲第9番と第7番を録音して全集を完成させました。Chandosならではの特別ボーナス・トラックとして、ヴォーン・ウィリアムズと夫人アーシュラによる放送音源、RVWの交響曲の初演を担ってきたバルビローリとボールトのインタビューなど、約50分に及ぶ貴重な特典音声が収録されています。

Diapason
DIAP-145(1CD)
シューマン:交響曲集
(1)交響曲第2番ハ長調 Op.61
(2)交響曲第3番「ライン」
(1)クリーヴランドO、ジョージ・セル(指)
録音:1958年
(2)BPO、フェルディナント・ライトナー(指)
録音:1953年
フランスの世界的クラシック音楽専門雑誌である「ディアパゾン(Diapason)」が音楽史に輝く名曲の歴史的名演を選出し、新たなマスタリングを施して復刻するシリーズ『レ・ザンディスパンサーブル・ド・ディアパゾン 〜 ディアパゾンが選んだ決定盤』。第145巻は、シューマンの交響曲集!
ジョージ・セル&クリーヴランド管弦団という一糸乱れぬアンサンブルを誇ったコンビによる「第2番」に、シュトゥットガルト歌劇場の黄金時代を支え、ベルナルト・ハイティンクの師でもあるドイツ人指揮者フェルディナント・ライトナー&ベルリン・フィルの屈指の名演「ライン」をカップリングし、聴き比べも興味深い一枚です。

オクタヴィア
OVCL-00758(1SACD)
税込定価
2022年5月25日発売
マーラー:交響曲第1番ニ長調「 巨人」 ジョナサン・ノット(指)東京SO

録音:2021年5月27日 ミューザ川崎シンフォニーホール・ライヴ
ジョナサン・ノットと東京SO、多くの聴衆を熱狂させて止まない名コンビによる待望の新録 音が登場です。2014年音楽監督に就任して以来、数々の名演をくり広げ、ファンを虜にしてき たジョナサン・ノット。未曾有の感染症拡大の影響を受ける中、満を持しての登壇が叶い披露さ れたマーラーの「巨人」。マーラーの交響曲の中でも人気の高いこの曲を、これまでの演奏スタイル とはアプローチを変え、より濃く綿密微細に音楽を操り、そこに生まれた巨大なうねりと迸る情熱 は、聴く者を惹きつける魅力に満ち満ちています。(オクタヴィア)
オクタヴィア
OVCL-00775(3SACD)
税込定価
2022年5月25日発売
マーラー:交響曲第4番ト長調
交響曲第5番嬰ハ短調*
交響曲第6番「悲劇的」#
井上道義(指)ロイヤルPO
イヴォンヌ・ケニー(S)

録音:1989年4月3, 5日 ロンドン、聖オーガスティン協会、1990年5月9日* 1988年5月3, 4日# 以上ロンドン、ロイヤル・フェスティバルホール・ライヴ
1988年から1990年にかけて録音された、若き日の井上道義とロイヤル・フィルハーモニー管弦 楽団によるマーラー交響曲第4・5・6番。キャニオン・クラシックス原盤、待望の再発売です。 EXTONリマスタリングを施し、SACDハイブリッド盤3枚組のセットとなって生まれ変わりました。 高い完成度と評された輝かしい名演を、高音質盤でどうぞお楽しみください。(オクタヴィア)

Forgotten Records
fr-1826(1CDR)
フェリクス・プロハスカ〜モーツァルト
交響曲[第40番ト短調 K.550*、
交響曲第41番「ジュピター」
「ドン・ジョヴァンニ序曲、
「フィガロの結婚」序曲/「魔笛」序曲
フェリクス・プロハスカ(指)
ウィーン国立歌劇場O

録音:1953年4月モノラル*、1960年ステレオ
※音源:Vanguard SRV-102* SRV-118SD
Forgotten Records
fr-1831D(1CDR)
アーベントロート〜ハイドン:交響曲集
第88番ト長調 Hob.I:88「V字」*、
第97番ハ長調 Hob.I:97#
ヘルマン・アーベントロート(指)
ライプツィヒRSO*、ベルリンRSO#

録音:1955年1月10日*、1955年1月20日#
※音源:Eterna 820047

H.M.F
HMM-902664(2CD)
シューマン:交響曲全集(全4曲) パブロ・エラス=カサド(指)
ミュンヘンPO

録音:2019年3-4月、ガスタイク、ミュンヘン
エラス=カサドの指揮は、引き締まったリズムに貫かれていながら、濃密かつ華やか、そして鮮やか。130年を超える歴史あるミュンヘン・フィルのサウンド は完璧で、管楽器が華やかに鳴り響く場面での壮麗な響きはもちろんのこと、室内楽のように濃密な場面でのたっぷりとした歌など、エラス=カサドとともに、 これ以上なく生き生きとしたシューマン像を響かせます。シューマンは、ベートーヴェンの影に押しつぶされることなく、交響曲という厳格な形式の中に、その自 由なインスピレーションを注ぎ込みました。ミュンヘン・フィルのロマン派作品演奏の伝統と、エラス=カサドの綿密な曲作りにより、シューマンの魂や息遣いが すぐそこに感じられるとともに、シューマンが当時前衛的な作曲家であったことをあらためて認識させてくれるよう。新しいシューマン像が見事に浮彫になってい ます。全集で一挙に聴けることにもまた価値のある発売といえるでしょう。
パブロ・エラス=カサドは1977年グラナダ生まれの注目指揮者。オーケストラ、合唱からオペラまで、バロックからコンテンポラリーまで、底から湧き上が るエネルギーとパワー、そして曲に対しての緻密なコンセプトとそれを実現するプロセスと技術の確かさで、世界を魅了しています。これまでに 4度(2009、 2011、2019、2020)来日しており、特に2020年の第九公演は絶賛されました。また、2020年度第58回レコード・アカデミー大賞・交響曲部門(第九 と合唱幻想曲/HMM-902431およびKKC-6234)&銅賞・管弦楽曲部門(ファリャ:三角帽子、恋は魔術師/HMM-902271およびKKC-6127)を 受賞するなど、その演奏活動およびCDの評価と注目度ともに、非常に高いものがあります。
H.M.F
HMSA-0053(1SACD)
シングルレイヤー
税込定価
日本独自企画・限定盤
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」
合唱幻想曲 ハ短調 op.80
パブロ・エラス=カサド(指)
フライブルク・バロック・オーケストラ
:チューリヒ・ジング・アカデミー
クリスティアーネ・カルク(S)
ゾフィー・ハルムセン(A)
ヴェルナー・ギューラ(T)
フロリアン・ベッシュ(Bs)
クリスティアン・ベザイデンホウト(フォルテピアノ)

録音:2019年11月
2020年度第58回レコード・アカデミー賞大賞・交響曲部門受賞の名盤を、SACDシングルレイヤーでおとどけします。ハルモニア・ムンディ・レーベルか らハイレゾ・マスターの提供を受け、キング関口台スタジオでリマスタリングを施した、日本独自企画・限定盤です。CD(HMM-902431およびKKC-6234) は2枚組でしたが、SACDでは1枚での発売となります。このたびのSACD化により、より豊かな奥行きと響きが再現されました!
「第九」は、冒頭からストレートに一気呵成にたたみかけ刻み込んでくる、パワーに満ちた演奏。これまでに様々な歴史的名演が存在しますが、エラス=カ サドは今まさにこの作品が書かれたかのように、新鮮に、大胆にストレートに譜面を響かせています。演奏時間は61'13(I: 13:35、II:13:32、III:12:07、 IV:21:59)。エネルギッシュでありながら、颯爽とした演奏に、今あらためての真の第九像を観る感すらあります。終楽章冒頭もまさに「プレスト」。しかしすべ てのテンポ設定は楽譜に書かれたもので、ここでも不自然さやぎこちなさはまったくありません。エラス=カサドが、これまでの慣習にとらわれることなく、まっ さらな目で緻密に譜面の検証を重ねたうえでの大胆な演奏となっております。「歓喜の歌」と重なる管弦楽も実にぴちぴちと喜びに満ちており、見事です。管弦楽、 ソリスト、合唱すべてが輝かしく混然一体となって炸裂した、実に新鮮なパワーに満ちた、鮮烈な第九の登場といえましょう。
合唱幻想曲も、ベザインデンホウトのソロの迫真の説得力と迫力に思わず聴き入ってしまいます。器楽とのアンサンブルも絶妙。ふとした表情の変化や、影か ら光への移行などを、ベザイデンホウトもエラス=カサドの歌に満ちた統率が光る管弦楽ももらさずとらえており、ベートーヴェンの筆に込められた創造性が響 き渡ります。ベザイデンホウトはこの作品について、「1808年のベートーヴェン自身がピアノ独奏を担当した演奏会は彼にとって大いなる心の傷だったろう。そ れは既にかなり進行していた難聴の中での、ある種の白鳥の歌としてこの演奏会に臨んでいたはず。その演奏会では冒頭部分は即興で演奏されたが、おそらく これはベートーヴェンがプロのヴィルトゥオーゾ演奏家として演奏したごく最後の記録であろう。ベートーヴェンは聴衆に”これはヴィルトゥオーゾ・ピアニストと しての最後の証言となるでしょう。これからはあなた方に純粋に音楽を提供していくことになる”と伝えています。」と述べていますが、まさにこの演奏は、天才ベザ イデンホウトの、過去の偉大なる天才ピアニストでもあったベートーヴェンへの敬意に満ちたオマージュであり、同時に腕前の勝負を挑む挑戦状ともいえるような、 意欲的な演奏だといえるでしょう。ベザイデンホウトがさらなる飛躍と深化を遂げ、持ち前の音楽性に加え、力強さも増してきていることを感じる力演です。ブッ クレットには、ハルモニアムンディ社長のクリスティアン・ジラルダン氏による、「歓喜の歌」についての興味深い考察も掲載されております。注目盤です! (Ki)

Forgotten Records
fr-1808(1CDR)
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」 エルナ・スポーレンベルグ(S)
マリア・フォン・イロスファイ(A)
フランス・フローンス(T)
ヘルマン・シャイ(Bs)
ウィレム・ファン・オッテルロー(指)
ハーグPO、
アムステルダム・トンクンストcho

録音:1952年5月3日-5日
※音源:Philips A 00145/6L、A 00220/1L
Forgotten Records
fr-1821(1CDR)
エネスコ:交響曲第1番変ホ長調 Op.13
ルーマニア狂詩曲第2番
ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー(指)
モスクワRSO

録音:1962年(ステレオ)
※音源:Melodiya D 09505/6、S 0253/4

Altus
ALTSA-320
(2SACD)
シングルレイヤー
完全限定生産
ベートーヴェン:交響曲全集
交響曲第1番ハ長調 Op.21
交響曲第2番ニ長調 Op.36
交響曲第3番変ホ長調「英雄」Op.55
交響曲第4番変ロ長調 Op.60
交響曲第5番ハ短調「運命」Op.67
交響曲第6番ヘ長調「田園」 Op.68
交響曲第7番イ長調 Op.92
交響曲第8番ヘ長調 Op.93
交響曲第9番ニ短調「合唱付き」Op.125
エディト・ケルテス=ガブリ(S)
アリス・エルケ(C.A)
アンドール・カポシー(T)
イヴァン・サルディ(Bs)
ミラノRAI合唱団
ロヴロ・フォン・マタチッチ(指)
ミラノ・イタリアRSO

ライヴ録音:1962年/ミラノ音楽院、大ホール(イタリア放送協会録音)
ベートーヴェンを得意としたマタチッチですが生涯2度しかベートーヴェン・ツィクルスを行わず、正規に収録されたのはこの62年ミラノのみ。通常CDでリリー スされベストセラーを記録した全集録音が、このたびSACDで登場しました。2枚のディスクにたっぷり全9曲を収録しています。オーケストラの能力を引き出す 天才といわれたマタチッチが天分を発揮、色気をたたえた木管、存在感あるティンパニ、立派な鳴りっぷりの弦楽器など、どこをとっても大変に魅力的で、1曲1 曲聴きごたえ抜群です。マタチッチ芸術の極意が刻まれた豪放なる大演奏をお楽しみあれ。ブックレットもイタリアのマタチッチ研究の第一人者トンマーソ・マネー ラ氏によるマタチッチの生涯と当録音についての興味深い考察など充実の内容。 (Ki)


東武レコーディングズ
TBRCD-0134(5CD)
税込定価
ブリュッヘン/ベートーヴェン:交響曲全集

■CD1
交響曲第1番
交響曲第3番「英雄」
■CD2
交響曲第2番
交響曲第6番「田園」*
■CD3
交響曲第4番
交響曲第5番「運命」
■CD4
交響曲第8番
交響曲第7番*
■CD5
交響曲第9番「合唱付き」
フランス・ブリュッヘン(指揮)
新日本フィルハーモニーSO
栗友会cho、リーサ・ラーション(S)、ウィルケ・テ・ブルメルストゥルーテ(A) 、ベンジャミン・ヒューレット(T)、デイヴィッド・ウィルソン=ジョンソン(Br)

■CD1 :録音:2011年2月8日すみだトリフォニーホール
■CD2 :録音:2011年2月8日すみだトリフォニーホール、2011年2月16 日すみだトリフォニーホール*
■CD3 :録音:2011年2月11日すみだトリフォニーホール
■CD4 :録音:2011年2月21日サントリーホール 、2011年2月16 日すみだトリフォニーホール*
■CD5:録音:2011年2月21日サントリーホール
巨匠フランス・ブリュッヘン(1934-2014)が愛した新日本フィルとのベートーヴェン全集が登場。ブリュッヘンにとってモダ ン・オケとの録音が世に出るのは世界初となります。元々長身痩身の人でしたが、この時期はさらに痩せて眼光の鋭さが目 立ちます。演奏は生命力が漲るこの眼光通りの見事さです。ピリオドアプローチだからこそ正しい演奏であるという単純な図 式とは一線を画する類まれな統率力と斬新なアイディアに満ちたベートーヴェン。アジテーション溢れる表現者ブリュッヘン の面目躍如の趣があります。録音も上々で、未亡人、ソリスト、合唱団のリリース快諾も頷ける一品。美麗夫婦箱による装丁。 オーケストラの配置はヴァイオリン両翼。右サイドにチェロ、左サイドにヴィオラ、コントラバスとなっております。 ※安田和信氏による解説より 音楽に内在する意味を聴き手に印象づけるために興味深い工夫が仕掛けられていた点も興味深かった。第 3 番《英雄》の 冒頭で指揮台に上がるや否や、拍手も収まらぬまま、いきなり主和音2連発をお見舞いした時、聴き手の多くは驚愕したは ず。また、第 9 番終楽章で、それまで舞台にいなかったバリトン歌手が袖からさっと姿を表し、手振りを交えながら「おお友 よ、このような音ではなく」と歌い始めたのもユニークだった(他の独唱者たちはその後に入場)。ブリュッヘンは、歴史的な情 報からヒントを得る演奏解釈に取り組み続けてきたパイオニアではあるが、作品の特徴を聴き手に伝えるためならば、いろい ろな手段を使うのも躊躇わないのだろう。
■「デヴィッド・ウィルソン・ジョンソン(バリトン歌手)が語るブリュッヘン+新日本フィル『第九』の秘密」
歌い出しのところで急いでステージに上がるというのは、フランスのアイデアなんです。 第4楽章の嵐のような不協和音が、親しみやすいバリトンの声によって静められ、やがて兄弟愛の偉大なテーマが歌われる・・・・・・。彼は常に革命家であり、そうすることで二つの異なるスタイルの音楽の衝撃とコントラストを強調しようと考えたのです。 フランスはまた、4人のソリストが汚れたジーンズとTシャツを着て、合唱団やオーケストラの正装と対照的であることを好みました。私はこのやり方が非常に強力な音楽的および社会的声明につながると思ったので、数人の指揮者をこうしようと提案したことすらあります。

TOCCATA
TOCC-0466(1CD)
NX-B03
クリストファー・ライト/ニコラス・バートン: 管弦楽作品集
ニコラス・バートン(1950-):アコード:1楽章の交響曲(2018)
クリストファー・ライト(1954-):ホルン協奏曲(2011)
 交響曲(2015)
リチャード・ワトキンズ(Hrn)
ロイヤル・スコティッシュ・ナショナルO
ジョン・アンドルーズ(指)

録音:2021年10月14、15日
世界初録音
このアルバムでは2人の英国作曲家の作品を聴くことができます。 一人目の作曲家は1950年ノーフォーク生まれのニコラス・バートンで、二人目は1954年にサフォークで生まれた クリストファー・ライトです。彼らは親友であり、その作風は違いますが二人とも調性感のある作品を書いています。 大学時代から最近まで交流がある二人は共同の録音計画をたて、一度は新型コロナ感染症のパンデミックのた め立ち消えになったものの、2021年10月にこのアルバムでやっと実現しました。バートンの「アコード=調和」は 2018年にバンベリーSOのために書かれた作品。和声の拡張の可能性を追求し、最終的には抒情的で 静謐な曲が生まれたということです。ライトの「ホルン協奏曲」はホルンのアクロバティックなパートと、弦楽器の讃美 歌のような美しい旋律が組み合わされた作品。「交響曲」はマーラーの交響曲のような激しさと静寂が交錯する聴 きごたえのある作品。「ポストモダン」と呼ばれる時代を代表する、後期ロマン派時代に回帰したかのような音楽で す。

BISCOITO FINO
BC-239(1CD)
シューマン:交響曲集
交響曲第2番ハ長調 Op.61
交響曲第4番ニ短調 Op.120(現行版)*
ジョン・ネシリング(指)
、サンパウロSO

録音:2007年7月5&6日、2006年3月30日-4月1日*/文化芸術劇場(サンパウロ)
BISレーベルでおなじみの指揮者ジョン・ネシリング。サンパウロSOを振ったドイツ・ロマン派の大家シューマンの交響曲第2番、第4番が遂にリリースさ れます!
作曲家シェーンベルクと指揮者ボダンツキーの甥の孫にあたるジョン・ネシリングは1947年リオ・デ・ジャネイロ生まれの指揮者。ウィーンでハンス・スワロフ スキーに、タングルウッドでレナード・バーンスタインに師事しています。
1997年から2009年までサンパウロSOの音楽監督のポストにあったネシリング。当録音は厚い信頼関係が結ばれた熱量の高い演奏を披露。メリハリの 利いたリズムと美しく磨き上げられたサウンドが実に素晴らしく、煌めく弦楽器とクリアな管楽器との対比が実に見事です。同団を南米随一の世界的オーケストラ に育てたネシリングの集大成といえるシューマンの演奏。既発の交響曲第1番「春」&第3番「ライン」(BC-231)とともにお楽しみください。 (Ki)
BISCOITO FINO
BC-248(1CD)
チャイコフスキー:祝典序曲「1812年」
交響曲第6番ロ短調「悲愴」*
ヤン・パスカル・トルトゥリエ(指)、
ョン・ネシリング(指)*、
サンパウロSO

録音:2009年8月、2006年7月*/文化芸術劇場(サンパウロ)
ジョン・ネシリングのチャイコフスキー・アルバム、ついに「悲愴」交響曲がリリースされます!1997年から2009年までサンパウロSOの音楽監督のポス トにあったネシリングはBISレーベルから多くの録音をリリースしてきました。母国Biscoito Finoレーベルからも同団との録音を中心に発売してきましたが、な かでもチャイコフスキーの交響曲は要注目です!ネシリングのすばらしさは情熱豊かな演奏でも決して破綻しないこと。同団を南米随一の世界的オーケストラに育て たネシリングが非常に大きな演奏を展開します。「1812年」の指揮はヤン・パスカル・トルトゥリエです。
ネシリングのチャイコフスキーの交響曲第5番(BC-274)、交響曲第4番(BC-233)も好評発売中です。 (Ki)

GRAND SLAM
GS-2260(2CD)
ブルーノ・ワルター・ライヴ2
(1)ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
(2)スメタナ:交響詩「モルダウ」
(3)ブラームス:交響曲第1番ハ短調 Op.68
(4)ヘンデル:合奏協奏曲 ト短調 Op.6-6
(5)ワーグナー:ジークフリート牧歌
(6)ブラームス:交響曲第2番ニ長調 Op.73
ブルーノ・ワルター(指)NBC響

録音:(1)(2)1940年3月2日、(3)1939年3月18日、(4)(6)1940年2月17日、(5)1939年4月8日/ニューヨーク、NBC、8Hスタジオ
録音方式:モノラル(ラジオ放送用録音)
■制作者より  
GS-2258/59に続く、NBCSOとのライヴ・シリーズの第2弾です。第1弾の繰り返しになりますが、これらの音源はかつてCDRのSEDR規格で発売 されたものですが、プレスされたCDで保管したいというファンの要望に応え、2枚組1枚価格で発売します。 ワルターにとって、このライヴが行われた頃はナチスに追われ、娘の急死などの悲劇に襲われた苦難の時期でした。しかし、演奏そのものは信じがたいほどの情 熱に溢れ、きき手にぐんぐん迫って来ます。また、スメタナとヘンデルは初CDとなります。 これらはアセテート盤に収録されたもので、特有のノイズが入りますが、原音を損なわないように必要最低限のノイズ処理しか行っていません。しかしながら、ブ ラームスの交響曲第1番には回転ムラが含まれ、これは修正出来ておりません。ご了承下さい。(平林直哉)

ALPHA
ALPHA-838(1CD)
チャイコフスキー:交響曲第1番「冬の日の幻想」
イタリア奇想曲
歌劇「エフゲニー・オネーギン」〜ワルツ*
チューリヒ・トーンハレO
パーヴォ・ヤルヴィ(指)

録音:2019年10-11月*。2021年1月 トーンハレ・マーグ、チューリヒ、スイス
新型コロナ・ウイルス感染症による世界的パンデミックを乗り越えて完成、2021年10月に発売され大 ヒットとなったパーヴォ・ヤルヴィとチューリヒ・トーンハレOによるチャイコフスキーの交響曲全集。 セットのみでの発売だった交響曲第1番が待望の分売にて登場しました。ロシア民謡的なフレーズの躍 動感も素晴らしく、緊密なアンサンブル、各奏者の生き生きとした表現、濃密なオーケストラのうねりが 作品のロマン性を引き立て、それでいて気品も感じさせるという、パーヴォならではチャイコフスキー像が刻 まれています。
ALPHA
ALPHA-839(1CD)
チャイコフスキー:交響曲第3番ポーランド」
歌劇「エフゲニー・オネーギン」 〜ポロネーズ
戴冠式祝典行進曲 ニ長調*
チューリヒ・トーンハレO
パーヴォ・ヤルヴィ(指)


録音:2019年10-11月*、2021年1月 トーンハレ・マーグ、チューリヒ、スイス
新型コロナ・ウイルス感染症による世界的パンデミックを乗り越えて完成、2021年10月に発売され大 ヒットとなったパーヴォ・ヤルヴィとチューリヒ・トーンハレOによるチャイコフスキーの交響曲全集。 セットのみでの発売だった交響曲第3番が待望の分売にて登場しました。第1楽章第1主題やスケル ツォ、終楽章のポラッカなどでのキビキビとしたリズムの処理、そして各パートまで行きわたった細やかな歌 心はパーヴォならでは。作品の魅力を最大限引き出しており、現状、ほかの交響曲と比べて人気がある とは言えない評価を引き上げるに十分です。やはりリズムのキレが際立つ「ポロネーズ」、「1812年」と同 じロシア帝国国歌をラストで高らかに歌い上げる「戴冠式祝典行進曲」も素晴らしい演奏。

Goodies
78CDR-3868(1CDR)
モーツァルト:交響曲第40番ト短調 K.550 フレデリック・ストック(指)CSO

米 VICTROLA 7394/96
1930年12月22日シカゴ、220Sミシガン・アヴェニュ、オーケストラ・ホール録音
フレデリック・ストック(1872-1942)はドイツ出身のアメリカの指揮者。軍楽隊長 だった父親から初期の音楽教育を受け、13歳でケルン音楽院のヴァイオリン科に入 る。1890年に卒業しケルン市立Oのヴァイオリン奏者になった。1895年アメ リカのシカゴSO員候補者を見つけるためにドイツ訪問中のドイツ人指揮者セ オドア・トマス(1835-1905)に出会い、オーディションの結果シカゴSOの ヴィオラ奏者に選ばれた。渡米後指揮者としての才能を認められ、1899年に准指揮 者に昇格。1905年にトマスが急逝するとシカゴSOの音楽監督の地位を引き継 いだ。1911年シカゴSOの終身音楽監督になった。録音は1916年にColumbiaに、 その後Victorにも録音をした。シカゴSOにおけるストックの任期(37年間)は オーマンディのフィラデルフィアOと並んでアメリカ人指揮者の最長記録。 今や忘れられた名指揮者フレデリック・ストックの演奏を是非楽しんでいただきた い。(グッディーズ)

Capriccio
C-5476(1CD)
NX-B05
ハンス・ヴィンターベルク(1901-1991):交響曲第1番 他
交響曲第1番「シンフォニア・ドラマティカ」(1936)
ピアノ協奏曲第1番(1948)
リトモフォニー(1966/67)
ジョナサン・パウエル(P)
ベルリンRSO
ヨハネス・カリツケ(指)

録音:2021年6月28日-7月1日
ユダヤ系チェコ人の作曲家ハンス・ヴィンターベルク。プラハで育ち、チェコ音楽の伝統を受け継ぐ新しい作曲家たちの一人です。 ヴィンターベルクは9歳で音楽のレッスンをはじめ、プラハ音楽院で微分音の作曲家として知られるアロイス・ハーバに師事、作曲法を学びました。ブルノ を中心に歌劇場やアンサンブルの作曲家として活躍していましたが、1945年にテレジエンシュタットに収容されてしまいます。 しかし同年5月8日に収 容所が解放されたことで彼は奇跡的に生き延び、戦後の1947年にドイツに移住。この間にもいくつかの作品を作曲しました。その後はバイエルン放 送のエディターとして、またR・シュトラウス音楽院で教育者として働きながら音楽界の発展に寄与することとなります。 彼は自身の音楽を東欧と西欧の「架け橋」と考えるとともに、その原点はシェーンベルクであることを認めています。しかし、明確な十二音技法を用い ることはなく、自身の音楽を複雑なリズムと拡張された半音階で構成、独自の作風を築いています。アルバムに収録された「シンフォニア・ドラマティカ」 は彼の最初の交響曲であり「戦争における大惨事の予感である」と言及しています。ピアノ協奏曲は彼がドイツにわたって最初に書いた作品のひと つ。また1966年の「リトモフォニー」は彼の最後の作品であり、4度目の幸福な結婚生活の中で書かれた充実した筆致によるものです。

Capriccio
C-7388(10CD)
NX-E05
CAPRICCIOレーベル40周年記念名演集/交響曲集
【CD1】
フランソワ=ジョセフ・ゴセック: 交響曲集
1-3. 交響曲 ハ短調 Op. 6, No. 3
4-7. 大管弦楽のための交響曲 ニ長調 「狩り」 Op. 13 No. 3
8-10. 協奏交響曲 ニ長調 「ミルザ」
11-14. 17声の交響曲 ヘ長調
【CD2】
ウィリアム・ボイス:交響曲集 Op. 2
1-3. 交響曲第5番ニ長調 「聖セシリアの日のためのオード」
4-6. 交響曲第1番変ロ長調 「新年のオード」
7-8. 交響曲第6番ヘ長調 「ソロモン」
9-11. 交響曲第3番ハ長調 「花冠」
12-14. 交響曲第7番変ロ長調 「ピューティアのオード」
15-17. 交響曲第2番イ長調 「誕生日のオード」
18-20. 交響曲第4番ヘ長調 「羊飼いの運命」
21-23. 交響曲第8番ニ短調 「ウースター序曲」
【CD3】
C.P.E.バッハ:シンフォニア集 Wq 183/H 663-666
1-3. シンフォニア ニ長調 Wq 183/1 H. 663
4-6. シンフォニア 変ホ長調 Wq 183/2 H. 664
7-9. シンフォニア ヘ長調 Wq 183/3 H. 665
10-12. シンフォニア ト長調 Wq 183/4 H. 666
シンフォニア集 Wq 182/H 657-659
13-15. シンフォニア ト長調 Wq 182/1 H. 657
16-18. シンフォニア 変ロ長調 Wq 182/2 H. 658
19-21. シンフォニア ハ長調 Wq 182/3 H. 659
【CD4】
ルイジ・ボッケリーニ:交響曲集
1-4. 交響曲第13番ハ長調 Op. 37 No. 1, G 515(1786)
5-8. 交響曲第15番ニ短調 Op. 37 No. 3, G 517(1787)
9-12. 交響曲第16番イ長調 Op. 37 No. 4, G 518(1787)
新ベルリンCO
ミヒャエル・エルクスレーベン(指)
録音:1992年5、6月
【CD5】
ヴィルフガング・アマデウス・モーツァルト
1-6. ディヴェルティメント 第17番ニ長調 K 334(320b)
7-9. ディヴェルティメント ヘ長調「ザルツブルグ・シンフォニー第3番」 K 138(125c)
10. ディヴェルティメント ヘ長調 K 138のリハーサル
【CD6】
ベートーヴェン:交響曲集
1-4. 交響曲第3番変ホ長調「英雄」 Op. 55
5-8. 交響曲第1番ハ長調 Op. 21
【CD7】
ブラームス
1-4. 交響曲第3番ヘ長調 Op. 90
5. ハイドンの主題による変奏曲 Op. 56a
【CD8】
チャイコフスキー
1-4. 組曲第3番ト長調 Op. 55
5-8. 組曲第4番ト長調 「モーツァルティアーナ」 Op. 61
【CD9】
シュルホフ(1894-1942):
1-4. 交響曲第2番(1932)
5-10. 室内オーケストラのための組曲(1921)
11-14. 交響曲第5番「ロマン・ロラン」(1938/39)
【CD10】
ショスタコーヴィチ:交響曲第7番 「レニングラード」
【CD1】
マルティン・サンドホフ(Fl)…8-10
アンドレア・ケラー(Vn)…8-10
コンチェルト・ケルン
ヴェルナー・エールハルト(指)
録音:2003年1月13-16日

【CD2】
アカデミーCO
ネヴィル・マリナー(指)
録音:1993年2月6-8日

【CD3】
C. P. E. バッハCO
ハルトムート・ヘンヒェン(指)
録音:1986年10-11月

【CD4】
新ベルリンCO
ミヒャエル・エルクスレーベン(指)
録音:1992年5、6月

【CD5】
カメラータ・ザルツブルク
シャーンドル・ヴェーグ(指)
録音:1986年6月

【CD6】
ドレスデンPO
ヘルベルト・ケーゲル(指)
録音:1982、83年

【CD7】
ベルリンSO
クルト・ザンデルリンク(指)
録音:1990年

【CD8】
シュトゥットガルトRSO
ネヴィル・マリナー(指)
録音:1987年10月3日
シュトゥットガルト(ドイツ)

【CD9】
バイエルンRSO
ジェイムズ・コンロン(指)
録音:2003年12月2-5日
ヘルクレスザール、ミュンヘン(ドイツ)

【CD10】
ケルン・ギュルツェニヒO
ドミートリー・キタエンコ(指)
録音:2002年7月16-18日
Delta-music社のレコード制作部門として1982年にケルン近郊で設立されたCAPRICCIOは、当時主 流となりつつあったデジタル録音技術を使い、ドイツ語圏の演奏家と音楽を中心に制作を行いました。様々 なジャンルの名盤がありますが、この10枚組にはCAPRICCIOレーベルが得意とする初期古典派の作品か ら近代までの交響曲を収録。この中にはシャーンドル・ヴェーグが指揮するカメラータ・ザルツブルクのモーツァ ルトをはじめ、ネヴィル・マリナーとアカデミーCOによるウィリアム・ボイスの交響曲集や、ベストセ ラーを記録したヘルベルト・ケーゲルとドレスデンPOのベートーヴェン、弦の響きの美 しさで知られるサンデルリンクとベルリンSOのブラームス、ジェイムズ・コンロンとバイエルン放送交響楽 団によるシュルホフなど、膨大なカタログの中から素晴らしい演奏が選ばれており、レーベルの歴史を俯瞰す るものとしても貴重なBOXとなっています。

Capriccio
C-8083(1CD)
NX-B05

NYCX-10304(1CD)
国内盤仕様
税込定価
ブルックナー:交響曲第4番(第2稿/コーストヴェット版)
1878年稿フィナーレ「民衆の祭り」*
リンツ・ブルックナーO
ウィーンRSO*
マルクス・ポシュナー(指)

録音:2021年2月16-19日
リンツ、ムジークテアター・リハーサルホール
2021年11月29日 ウィーン、放送文化会館*
※収録時間は83分16秒と長時間になっているため、一部のプレイヤーでは正常に再生できない可能性がございます。予めご了承ください。
「#bruckner2024」の第4弾。「ロマンティック」のニックネームを持つ人気曲、第4番の登場です。 ここで取り上げられているのは第4番の使用楽譜として最も一般的な第2稿(いわゆる1878/80年稿)で、新ブルックナー全集として出版されている ベンジャミン・コーストヴェット校訂のもの(Korstvedt NBG III/1:4/2、2019年出版)が使われています。また1878年にブルックナーが第2稿を完 成させた際のフィナーレである「民衆の祭り Volksfest」と呼ばれる楽章も追加で収録し、CDのプログラム機能を使えば第2稿の最初の姿を聞くこと が出来るようになっています。 ポシュナーは今回も引き締まったテンポを基調としつつ(各楽章の演奏時間はヴァント/ベルリン・フィル盤に比べて第1楽章が1分遅い程度でほぼ同 じ)、緩急・強弱の幅を大きめに取りドラマティックな音楽に仕上げています。また「民衆の祭り」の演奏時間はフルシャ盤の17:57に比べてだいぶ速 く、聞き比べも興味深いことでしょう。 ※国内仕様盤には石原勇太郎氏(音楽学/国際ブルックナー協会会員)による日本語の解説が付属します。

ONDINE
ODE-1404(1CD)
NX-B04
シベリウス:交響曲第7番*
組曲『クリスティアン2世』、
組曲『ペレアスとメリザンド』
フィンランドRSO
ニコラス・コロン(指)

録音:2021年10月*、2021年12月
2021年9月8日、フィンランドRSOの歴史に新たなページが拓かれました。1983年ロンドン生まれのニコラス・コロンの首席指揮者就任記 念コンサート。1927年に創設された楽団の歴史上初めてフィンランド国外から首席指揮者が迎えられたのです。 ニコラス・コロンはヴィオラ、ピアノ、オルガンを学び、イギリス・ナショナル・ユース管にヴィオラ奏者として参加。このユース管で一緒だったロビン・ティチアー ティ(コロンと同年生まれ)たちと共に、暗譜・立奏を旨とするオーロラOを2004年に創設し、その首席指揮者としてダイナミックな音楽作りや、 異なるジャンルのパフォーマーとの共演、更にはコンサートホール以外の場所にも演奏の場を広げて注目を集め、名門ひしめくロンドンのオーケストラ界 にあって勝るとも劣らない人気と評価を誇るまでに育て上げました。 2010年代に入るとドイツ、フランス、スペインや北欧のオペラハウスと名門オーケストラに招かれるようになり、ハーグ・レジデンティ管の首席指揮者 (2016-21)、ケルン・ギュルツェニヒ管の首席客演指揮者(2017-)を務めるなど評価を高めて来ました(2019年には東京都響にも出演)。2017 年3月にフィンランド放送響を初めて指揮すると、2度目の客演に先立つ2019年5月2日に次期首席指揮者に指名されるという異例の抜擢。最初 の共演が与えたインパクトの強さ、今後の期待の大きさが想像されます。 その注目のCD第一作はオーケストラの血肉となっているシベリウス。コロンの指揮の師コリン・デイヴィスが得意としたレパートリーでもあります。コロンと フィンランド放送響は2021年12月6日のフィンランド独立記念日ガラ・コンサートで交響曲第7番と『クリスティアン2世』を演奏しており、このCDは同 時期の録音。先立って録音された『ペレアスとメリザンド』共々、高揚感に加えて弦のしっとりとした質感、仄暗い音色で奏でる弱音部の美しさも印象 的で、オーケストラのカラーをうまく引き出しています。ONDINEレーベルのオーケストラ録音を数多く手がけ、優秀録音で評価の高いベテラン、エンノ・ マエメツが録音・編集・マスタリングを担当しており、オーディオ的にも楽しみな1枚。このコンビはONDINEレーベルに継続的な録音予定があり、コロン の指揮する本格的なシンフォニー・レパートリーを聴く機会が増えそうです。
■コロンさんを迎えて
2017年に初めて彼はフィンランド放送響を振りに来た。最初のリハーサルから「なんて素晴らしい指揮者だ」と話題になり、その週のコンサート後、彼をハンヌ・リントゥ氏の後任にしてはどうかという声が多く上がった。私はその時演奏はしなかったもののコンサートを聴きに行っており、オーケストラのサウンドが普段より格段にあたたかくなっていると感じた。プログラムはアデスのピアノ協奏曲とプロコフィエフの5番。難しい曲なのに良く合っているだけでなく、表情豊かだった。隣に座っていた妻と良い意味で驚いた記憶がある。
しばらくしてオーケストラの会議があり、満場一致で彼にオファーを出そうと決まった。そして去年2021年9月に常任指揮者としてデビュー。以前はフィンランド放送響というとマイナーな曲、難解な現代曲を多く演奏していたが、コロン氏就任以来、年間を通してのプログラムも王道を行くものが多く、個人的にも非常に嬉しい。彼の良いところは無駄のない指揮、充実した音楽表現、リハーサルの進め方、雰囲気作り等々オーケストラが次のレベルに達するのに必要な事を兼ね備えていることだ。とりわけバロック、古典派へのアプローチが好きで、彼自身も今後意欲的に取り上げたいと言っていたので今後が楽しみ。彼の登場によりオールラウンダーになったフィンランド放送響。これからもご注目ください!!【小山裕幾(フィンランド放送交響楽団 首席フルート奏者】

BR KLASSIK
BR-900931(4CD)
NX-C07
コンダクターズ・イン・リハーサル マリス・ヤンソンス編

【CD1】
ストラヴィンスキー:ペトルーシュカ - リハーサル風景
【CD2】
チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」- リハーサル風景
【CD3】
ショスタコーヴィチ:交響曲第7番「レニングラード」 - リハーサル風景
【CD4】
ラフマニノフ:交響的舞曲- リハーサル風景
演奏は全て
バイエルンRSO
マリス・ヤンソンス(指)

【CD1】
録音:2001年10月11、12日ミュンヘン、フィルハーモニー・イン・ガスタイク(ドイツ)
【CD2】
録音:2004年6月23-25日ミュンヘン、フィルハーモニー・イン・ガスタイク(ドイツ)
【CD3】
録音:2016年2月9-12日ミュンヘン、フィルハーモニー・イン・ガスタイク(ドイツ)
【CD4】
録音:2017年1月24-27日
ミュンヘン、ヘルクレスザール(ドイツ)

※すべてリハーサルのみ。コンサート本番の演奏は含みません。
演奏家にとってはコンサート本番がすべてですが、その本番を作り上げるリハーサルこそ、指揮者の解釈やオーケストラを導く力量を明らかにします。こ の4枚組のセットでは、マリス・ヤンソンスとバイエルンRSOの膨大なリハーサル録音から、ヤンソンスに縁の深いスラヴ系音楽のリハーサルをと り上げており、その音楽作りを目撃しているような気分を味わえるでしょう。ヤンソンスがバイエルン放送響の首席指揮者に任命されながらも正式な着 任前だった2001年の「ペトルーシュカ」と、2004年の「悲愴」、更に2016年の「レニングラード」及び翌2017年の「交響的舞曲」へと辿ることで、指 揮者とオーケストラとの関係が熟成されてゆくのも感じ取ることができます。 リハーサルはドイツ語。また各CD冒頭にバイエルン放送の解説者を務めたフリードリヒ・シュロッフェルによるイントロダクション(ドイツ語)が収録されてい ます。

CPO
CPO-555551(2CD)
NX-B10
ヨセフ・タル(1910-2008):交響曲全集
【CD1】…999921
交響曲第1番/交響曲第2番
交響曲第3番/祭りの幻影
【CD2】…999922
交響曲第4番「ジュビリー」
交響曲第5番/交響曲第6番
ハノーファー北ドイツ放送PO
イスラエル・イノン(指)

録音:2002年9月…CD1、2003年1月、2月…CD2
ユダヤ教のラビを父として生まれベルリンで育ったヨセフ・タル。幼い頃からシナゴーグでユダヤ音楽に親しみ、 ベルリン音楽大学でパウル・ヒンデミットらに師事、1931年に卒業した彼は、ナチス政権から逃れ、1934年 にパレスチナからエルサレムに移住。1937年にパレスチナ音楽院のピアノ・音楽理論・作曲の教師として招 聘され活躍を始めます。やがてイスラエル電子音楽センターを設立したほか、国際現代音楽協会のイスラエ ル代表として活動。イスラエル音楽界に重鎮として君臨しました。 彼の作風は若い頃に学んだヨーロッパの伝統に基づいていながらも、ヨーロッパ(特にドイツ)のモダニズムと は異なる新しい国民的スタイルを創造することを試み、時にはユダヤの旋律を採り入れることも積極的に行 いました。 この6曲の交響曲は1952年からおよそ40年の年月をかけて書かれており、第1番のみが3楽章形式である ほかは、どれも単一楽章で構成され、簡潔で集中力に満ち、突き抜けた表現力を持っています。

Forgotten Records
fr-1790(1CDR)
ヴァンデルノート〜モーツァルト:交響曲集 (Vol.1)
第36番ハ長調 K.425 「リンツ」*
第38番ニ長調 K.504 「プラハ」#
第39番変ホ長調 K.543 +
アンドレ・ヴァンデルノート(指)
パリ音楽院O

録音:1957年3月19日-20日* 、1958年1月24日#、1958年1月27日-28日#、1958年4月13日#、
※音源:La Voix de son Maitre FALP 484* FALP 485
Forgotten Records
fr-1792(1CDR)
ロヴィツキ〜ショスタコーヴィチ
交響曲第1番ヘ短調 Op.10*
交響曲第5番二短調 Op.47 #
ヴィトルト・ロヴィツキ(指)
ウィーンSO*、ワルシャワPO#

録音:1960年10月28日-30日ムジークフェライン大ホール、ウィーン*
1958年10月6日-8日コンサート・ホール、ワルシャワ・フィルハーモニック#(共にステレオ)
※音源:Fontana 875 044 FY*、DG SLPM 138 031 #
Forgotten Records
fr-1794(1CDR)
プラハ室内管〜ハイドン:交響曲集
第73番ニ長調 Hob.I:73 「狩り」*
第96番ニ長調 HOB.I:96 「奇跡」#
プラハCO

録音:1961年12月8日#、14日-15日*
※音源:Supraphon DV 5873 SUA 10466 SUA ST 50446
Forgotten Records
fr-1795(1CDR)
シルヴェストリのドヴォルザーク
交響曲第7番二短調 Op.70*
交響曲第8番ト長調 Op.88 #
コンスタンティン・シルヴェストリ(指)
VPO* 、LPO #

録音:1957年7月24日-25# 、1960年2月22日-23日ムジークフェライン大ホール*(全てステレオ)
※音源:HMV. ASD 396* ASD 470 #
Forgotten Records
fr-1804(1CDR)
ヴァンデルノート〜モーツァルト:交響曲集 (Vol.2)
第25番ト短調 K.183*/第29番イ長調 K.201 #
第33番変ロ長調 K.319 +
第35番ニ長調 K.385 「ハフナー」**
アンドレ・ヴァンデルノート(指)
パリ音楽院O

録音:1956年10月2日#、1957年1月21日-22日+、1957年6月3日**、1958年1月20日*、1958年1月24日**
※音源:La Voix de son Maitre FALP 458(
Forgotten Records
fr-1806(1CDR)
レイボヴィッツ/シューベルト&ビゼー
シューベルト:交響曲第1番ニ長調 D.82 *
ビゼー:交響曲(第1番) ハ長調#
ルネ・レイボヴィッツ(指)パリRSO

録音:1952-3年
※音源:Oceanic OCS 33

GRAND SLAM
GS-2258(2CD)
ブルーノ・ワルター・ライヴ1
(1)ハイドン:交響曲第86番ニ長調Hob. I:86
(2)モーツァルト:交響曲第35番「ハフナー」
(3)シューベルト:交響曲第5番
(4)R・シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」
(5)ベルリオーズ:幻想交響曲
ブルーノ・ワルター(指)NBC響

録音:(1)1940年2月10日、(2)1940年2月17日、(3)1940年3月9日、(4)1940年3月2日、(5)1939年4月1日/
NBC、8Hスタジオ(ニューヨーク)
録音方式:モノラル(放送用録音)
■制作者より  
ワルターがNBCSO客演した時のライヴはGRAND SLAMとは別のCD-Rのシリーズ“SERENADE”で発売していました。しかし、CDで保存しておき たいというファンの声があることと、これらの音源が最近入手が難しくなってきていますので、それらを考慮して2枚組1枚価格で発売することに決定しました。 この頃のワルターはナチスに追われて財産を没収されるなど、最も苦難な時期でした。ところが、残されたライヴ録音からは次々と敵をなぎ倒すような激しさと、 ワルター独特の溢れるような歌心がミックスされた、まことにユニークな演奏が展開されています。ワルター・ファンはもちろんのこと、スリリングな演奏を求める 人にもぴったりだと思います。  なお、これらの音源はアセテート盤で収録されており、さまざまなノイズが混入しています。マスタリングにあたっては、修正は最小限にとどめ、原音の豊かな響 きを尊重しています。(平林 直哉)


King International
KKC-90003(Bluray)
朝比奈隆/続・交響的肖像
(1)ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲
(2)ベートーヴェン:歌劇「フィデリオ」〜前口上+序曲冒頭
(3)実相寺昭雄との対談−指揮の形〜武智鉄二との交友〜オペラと歌舞伎
(4)チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」
(5)ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番
朝比奈隆(指)
新日本フィルハーモニーSO、
園田高弘(P)(5)、
寺田農(語り)(2)

録音:(1)1992年5月13日東京文化会館
(2)1994年12月1日昭和女子大学人見記念講堂
(4)1994年2月3日サントリーホール
(5)1994年2月3日サントリーホール】(初出)
1080i MPEG-4 AVC color 4:3
リニアPCM STEREO
48kHz 16bit、2 層ディスク
2021-2年は朝比奈隆の歿後20年、映画監督の実相寺昭雄の歿後15年にあたります。朝比奈の円熟期1990年代に氏を崇拝する実相寺が制作した「朝比 奈隆 交響的肖像」は、2021年末にブルーレイ・ディスクへアップコンバート発売され話題となりました。
その際、どうしても見当たらず、失われたとされたマスターテープ1巻の所在が判明したため、今回補巻として日の目をみることとなりました。
注目は園田高弘をソリストに迎えたラフマニノフのピアノ協奏曲第2番の初出音源。園田と朝比奈はベートーヴェンやブラームスなどドイツ作品を重厚壮大に演じ る印象がありますが、両者とも師はロシア人で正統派伝統を聴かせてくれます。ともに唯一の録音となりますが、独奏もオーケストラも全く甘くなく、「男の哀しみ」 がひしひしと迫ります。
またこれまでCDで発売されていたブラームスの「ハイドンの主題による変奏曲」とチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」も実相寺監督による映像が付いた ことでさらなるイマジネーションが広がります。ことに「悲愴」終演直後のマエストロの手がチャイコフスキーの心を表しているようで深く考えさせられます。
オーソドックスなコンサート映像ながら実相寺色が濃厚に表れているのもファン興奮。園田高弘の表情や指遣いの捉え方も独特で、非常に貴重です。 (Ki)

King International
KKC-90004
(2Bluray)
朝比奈隆/ベートーヴェン交響曲全集
交響曲第1番ハ長調Op.21
交響曲第2番ニ長調Op.36
交響曲第3番変ホ長調「英雄」Op.55
交響曲第4番変ロ長調Op.60
交響曲第5番ハ短調「運命」Op.67
交響曲第6番ヘ長調「田園」Op.68
交響曲第7番イ長調Op.92
交響曲第8番ヘ長調Op.93
(4)交響曲第9番ニ短調「合唱付き」
朝比奈隆(指)
新日本フィルハーモニーSO
豊田喜代美(S)、秋葉京子(Ms)、林誠(T)、高橋啓三(Bs-Br)、晋友会cho

録音:1989年2月5日(第1、3番)、3月11日(第2、7番)、4月6日(第4、6番)、5月15日(第5、8番)、1988年12月14日(第9番)/サントリーホール(ライヴ)
1080i MPEG-4 AVC color 4:3
リニア PCM STEREO
48kHz 16bit、2 層ディスク
1988年12月から1989年5月にかけて朝比奈隆と新日本フィルがサントリーホールで行ったベートーヴェンの交響曲全曲チクルス。実相寺昭雄監督が映像 収録し、1991年に朝比奈隆生誕80周年と新日本フィル財団法人化20周年を記念してレーザーディスクで発売されました。2009年にDVDで再発売されまし たが、今回、演奏家ら30年を経てアップコンバートのうえブルーレイ・ディスクにパワーアップしてのリリースとなりました。
時は昭和から平成に変わったばかりで、昭和的な雰囲気が残っているのみならず、伝説的な大物奏者たちの若き日の姿を目にすることができます。当時80歳 の朝比奈隆は若々しささえ感じさせるエネルギーとオーラに満ち、9篇どれもが圧倒的な力で迫ります。聴衆の熱狂ぶりも凄まじく、伝説のコンサートの場へタイム スリップさせてくれる実相寺監督のマジックを味わえます。 (Ki)

Skani
SKANI-132(1CD)
ペーテリス・バリソンス(1904-1947):3つの前奏曲
交響曲第2番 「ロマンティック」
ギンタラス・リンケヴィチュス(指)
リエパーヤSO

録音:2021年
1930年代はラトビア音楽の発展にとって重要な意味をもつ時代だったと言われます。すべての世代の作曲家の作品、音楽教育、演奏活動、定期刊行物、5年毎に開催される「ラトビア・ソングフェスティヴァル」と、この時代のラトビアの音楽には大きな飛躍の跡が見られました。
ペーテリス・バリソンスは、そうした時代に足跡を残した作曲家のひとりです。エルネスツ・ヴィーグネルスとヤーニス・メディンシュに作曲、ヤーゼプス・ヴィートリスに指揮を学び、1945年にラトビア音楽院の教授に就任するものの、2年後、交響曲第3番を完成させないまま没しました。後期ロマンティシズムのスタイルの作品を手がけ、ソングフェスティヴァルのための合唱作品がもっともよく知られています。「アレグロ・モルト」「アンダンティーノ」「アンダンテ・フェローチェ」の 「3つの前奏曲」。交響曲第2番「ロマンティック」 は〈愛のめざめ〉〈歓喜〉〈エロティカ〉〈愛の死〉の4楽章から構成された作品です。ギンタラス・リンケヴィチュス(b.1960)とリエパーヤSOによるセッション録音です。
Skani
SKANI-133(1CD)
カールリス・ラーツィス(b.1977):ピアノ協奏曲第1番*
ラトビア交響曲**
アトヴァルス・ラクスティーガラ(指)、
リエパーヤSO、
アグネセ・エグリニャ(P)*、
アルトゥールス・ノヴィクス(アコーディオン)**

録音:2021年8月、グレート・アンバー・コンサートホール(リエパーヤ、ラトビア)
カールリス・ラーツィスは、オーケストラや器楽の音楽と同時に、ミュージカルをはじめとする劇場や映画の音楽、ジャズ、ポップミュージックと、幅広いジャンルを手がけ、現代ラトビアでもっとも名を知られた作曲家のひとりと言われます。
「ピアノ協奏曲第1番」 は、〈アレグロ〉〈岐路〉〈絶望〉、ラトビア民謡の子守歌を使った〈子守歌〉の4楽章から成る作品です。「ラトビア交響曲」 は、ラーツィスがタイ旅行から帰国してすぐ、タイの印象にラトビアとラトビアの自然を反映させて作曲したという作品です。〈暗い夜〉〈湖〉〈ラトビア・スケルツォ〉ラトビア民謡による〈急げ、いとしい太陽よ〉の4楽章で構成され、ラーツィスの気に入りの楽器「フランスのミュゼット」アコーディオンも加えた、色彩豊かなオーケストレーションが特徴的な音楽です。

Chandos
CHSA-5299(1SACD)
ペヤチェヴィチ(1885-1923)ピアノ協奏曲、交響曲
ピアノ協奏曲ト短調 Op.33(1913)*
交響曲嬰ヘ短調 Op.41(1916-17, 1920改定)
ピーター・ドノホー(P)*、
サカリ・オラモ(指)BBC響

録音:2021年12月6日ー7日、フェニックス・コンサート・ホール(フェアフィールド・ホールズ、クロイドン、イギリス)
BBCSOの現首席指揮者を務めるフィンランドの名匠サカリ・オラモ!
☆20世紀前半に活動したクロアチアの女流作曲家、ドーラ・ペヤチェヴィチの代表作!
サカリ・オラモは、2015年にロイヤル・フィルハーモニック・ソサエティの「コンダクター・オヴ・ザ・イヤー」を受賞したフィンランド出身の名指揮者。現在はBBCSOの首席指揮者、フィンランドRSOの名誉指揮者を務め、過去にはロイヤル・ストックホルムPOの首席指揮者&アーティスティック・アドヴァイザー、バーミンガム市SOの音楽監督、フィンランドのコッコラ歌劇場やオストロボスニア室内Oの首席指揮者を歴任している名匠です。Chandosでは2019年度のレコード・アカデミー賞で「特別賞 録音」に選ばれた「シベリウスのレンミンカイネン組曲(CHAN-20136)」他、フロラン・シュミット(CHSA5200)、ウィリアム・オルウィン(CHSA5253)、エセル・スマイス(CHSA5240)など、録音の少ない知られざる傑作をBBCSOと共に取り上げ、その実力とChandosの優秀録音の名声を高めまてきました。
サカリ・オラモが円熟のタクトで新たに開拓するのは、20世紀前半に活動したクロアチアの女流作曲家、ドーラ・ペヤチェヴィチ(1885-1923)の代表作となる「ピアノ協奏曲」と「交響曲」。クロアチアの名門貴族の下ハンガリーで生まれ、クロアチア音楽院で個人レッスンを受けたあとドレスデンとミュンヘンに留学して作曲を学び、ドイツ、オーストリア、チェコスロバキア、ハンガリーなどを旅し、当時の一流の芸術家、詩人、知識人たちと知り合いました。
1913年に作曲された「ピアノ協奏曲」は、これまで室内楽曲、ピアノ曲、歌曲しか書いてこなかった彼女にとって初めての管弦楽作品であり、クロアチアの作曲家による最初のピアノ協奏曲と言われます。「交響曲嬰ヘ短調」は第一次世界大戦中ボランティア看護師として働きながら作曲し、1920年の初完成演奏のために改訂されています。どちらも雄大なオーケストラと濃厚なロマンが反映された大作で、華麗なピアノ書法が試されるピアノ協奏曲では、Chandosのソロ録音でも再注目を浴びている名手ピーター・ドノホーがソロを担います。

King International
KKC-4301(2SACD)
ローマのフルトヴェングラー「田園・運命・英雄」
ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」
交響曲第5番「運命」
交響曲第3番「英雄」*
ウィルヘルム・フルトヴェングラー(指)
ローマ・イタリアRSO

録音:1952年1月10日、19日* RAIオーディトリアム・フォロ・イタリコ、ローマ(放送用ライヴ)
1952年1月、フルトヴェングラーがイタリアを楽旅したときの、ローマ・イタリア放送(RAI)用ライヴ。RAIが録音スタジオとして使用していたRAIオーディト リアム・フォロ・イタリコ (Auditorium Rai del Foro Italico)での収録。10日の「田園」と「運命」、19日の「英雄」がローマ・イタリアRSOを指揮 して披露されています。聴衆を入れての燃える巨匠のライヴ、それも極めつけのベートーヴェン!「英雄」の最後にはブラボー連発の大拍手が40秒を超えて収録さ れています。今回、この「田園」「運命」「英雄」の3曲を2 SACD ハイブリッド化!イタリアのオケということで、軽く見られがちですが、どうしてどうして、ここ に聴かせる音楽はまさにフルトヴェングラー!かつて宇野功芳もローマでのこの3曲について「オーケストラの能力、あまりにデッドな録音というような不備を超え て、晩年の彼の深い、スケール雄大な表現が身に迫って来る名演であり、実演ということでいっそう高い価値を有している」(『フルトヴェングラーの名盤』1977 年芸術現代社刊より)と高く評価しております。
発売履歴・・「田園」「運命」はイタリア・チェトラ社で1980年に発売されたLP(FE-5、7)に収録。キングレコードでLP:K17C-9543,9542 (1986.3.21)  CD:KICC-2347,2346(1994.1.21)、KICC-1264/5(2016.6.22)で発売。「英雄」は同じくチェトラ社のLP(FE-6)に収録。キングレコードで LP:K17C-9541(1986.3.21) CD:KICC-2292(1993.7.21), KICC-1264/5で発売。
ミラノ・ディスコス社がローマ・イタリア放送局に残されていた放送用原盤から復刻した音質はスクラッチ・ノイズが少し残っているものの総じて明瞭、良好です。 キング関口台スタジオでアナログ・マスターテープ(2トラック、38p/秒速)から丁寧にデジタル・リマスタリングを施した世界初のSACD化にご期待ください。
SACD層は収録可能時間を活かし、「田園」全楽章(46:48)と「運命」全楽章(36:55)を1枚目のディスクに収録しています。

●『フルトヴェングラーの全名演名盤』『フルトヴェングラーの名盤』に書かれた宇野功芳の批評(全文)をライナーノーツに転載します。以下はその抜粋。「(田園は)オケの円熟味は皆無、オーボエなど実に下手だが、そのような悪い条件の中からも、あたかも最晩年のようなフルトヴェングラーの感慨が、ほかのどの盤よりも強く伝わってくる。その意味で、実に貴重なCDといえよう。」(『フルトヴェングラーの全名演名盤』1998年講談社刊より)
●「(運命は)1954年のスタジオ録音のスタイルを基本として、それに実演の味をつけ加えたもので、フルトヴェングラーの「第五」CDの中でも異彩を放っている注目盤。その大きな原因はローマのオケがフルトヴェングラーに慣れていないため、克明な棒を振ったところにある。」(『フルトヴェングラーの全名演名盤』1998年講談社刊より)
●「(英雄は)この第1楽章は、1944年、および1952年の2つのウィーン盤のそれと並んで、フルトヴェングラーの偉大さを後世にまで伝える記念すべき名演といえよう。」(『フルトヴェングラーの名盤』1977年芸術現代社刊より)

H.M.F
HMSA-0044(1SACD)
シングルレイヤー
日本独自企画
限定盤
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 op.64 
序曲「フィンガルの洞窟」(ヘブリディーズ諸島)op.26 
交響曲第5番ニ短調 op.107「宗教改革」(2017年出版のブライトコプフ&ヘルテル社版を使用した世界初録音盤)
イザベル・ファウスト(Vn/ストラディヴァリウス「スリーピング・ビューティ」1704年製)
パブロ・エラス=カサド(指)
フライブルク・バロック・オーケストラ

録音:2017年3月19-22日、バルセロナオーディトリウム第1ホール、Paul Casals
現代最高のヴァイオリン奏者の一人、イザベル・ファウストが演奏するメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲が、SACDシングルレイヤー(STEREO)で登場。 ハルモニア・ムンディからハイレゾ・マスターの提供を受け、オーディオ評論家、角田郁雄氏の技術監修のもと、関口台スタジオでリマスタリングを施しました。こ のたびのSACD化により、ファウスト自身の存在がより近く感じられるようです。交響曲の演奏にもしびれます。日本独自企画・限定盤です。
指揮は1977年スペイン生まれの躍進著しいエラス=カサド、管弦楽は「ピリオド・オーケストラのベルリン・フィル」とも称されるフライブルク・バロック・オーケ ストラという注目の布陣。ファウストの光のような音色と管弦楽の見事なアンサンブルにより、屈指の人気曲に、またひとつ新鮮な名演が生まれました。
メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲は、1844年に完成、その後も磨きをかけ、翌45年、メンデルスゾーンの盟友にして本作にも多大なアドヴァイスをした、 ライプツィヒ・ゲヴァントハウスOのコンサートマスター、フェルディナント・ダーフィトによってライプツィヒで初演されました。初演時から大成功をおさめ た本作は、続くヨーロッパ各地の初演も名手が手がけています。1845年のドレスデン初演は当時15歳のヨーゼフ・ヨアヒム、1846年ベルリン初演はベルギーの ユベール・レオナール(フランクのピアノ四重奏曲第1番を献呈された人物で、フォーレのヴァイオリン・ソナタ誕生時にも重要な役割を果たした)でした。彼らが 演奏しておそらく書き込みもされていたであろう実際の譜面はもう残されていませんが、それでも様々な資料が出版されており、それらを検証していくと、19世紀 と現代とでは演奏スタイルに異なる部分があると考えられます。たとえば開放弦の多用。ポルタメントの多用。ボウイングのスタイルも現代とは異なっていました。 そして、ヴィブラートは、継続的にではなく、要所要所で装飾的に用いられていたと考えられます。ファウストももちろんこれらの資料につぶさにあたったうえでこ の録音に臨んでいますが、ここに繰り広げられている演奏が呼び起こす実に新鮮な感動は、歴史的演奏や慣習、すべてを越えた域にあるといえるでしょう。 
また、当盤が録音された2017年は、マルティン・ルターの宗教改革(1517)の500年記念にあたります。ここに収録された交響曲「宗教改革」は、ルターの アウクスブルクの信仰告白から300年にあたる1830年に完成されました。序奏で管楽器が奏でる「ドレスデン・アーメン」がなんとも痛切に響き、全体的に非 常に引き締まった音づくり。管楽器が奏でるコラールも荘重になりすぎず、終楽章も鮮やかなデュナーミクで颯爽とかけぬけるような演奏となっています。同じく 1830年に作曲された「フィンガルの洞窟」も、メンデルスゾーンがスコットランドに旅した時に感動した光景が鮮やかに眼の前に浮かぶよう。メンデルスゾーンの 才能にあらためて感動し、エラス=カサドとフライブルク・バロック・オーケストラの力量にも圧倒される内容です。 (Ki)

Global Culture Agency
GCAC-1044
(1SACD)
シングルレイヤー
2022 年新リマスター
初SACD化
国内製造品
日本語帯・解説付
ベーム・ヨッフム・ケンプ/ライヴ・イン・パリ1969&1973
(1)「ベーム・イン・パリ1973」
モーツァルト:交響曲第29番
R.シュトラウス:交響詩『ドン・ファン』
ブラームス:交響曲第2番

(2)「ヨッフム・ケンプ・イン・パリ1969」
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番(カデンツァ:ヴィルヘルム・ケンプ)
ブルックナー:交響曲第5番(原典版)
(1)カール・ベーム(指)フランス国立放送O
(2)ヴィルヘルム・ケンプ(P)、
オイゲン・ヨッフム(指)フランス国立放送O

ライヴ録音:(1)1973年5月25日パリ、サル・プレイエル
(2)1969年10月22日パリ、シャンゼリゼ劇場(共にステレオ)
Spectrum SoundからCDでリリースされたものの廃盤となっているタイトルを、Global Culture AgencyがライセンスしてSACD化。フランス国立視聴 覚研究所(INA)所有のオリジナル音源(24bit/192kHz)から、国内で独自リマスターを施して商品化しています。
2種のパリ・コンサートを贅沢にも合わせて収録。ベームのブラームス、ヨッフムのブルックナー、ケンプのベートーヴェン…どれもがまさに得意曲で大勝負といっ たドイツ・オーストリア系組合せの醍醐味にあふれています。ライヴならではの熱気と共に味わう至高の名演!
「ベーム・イン・パリ1973」 Spectrum Sound/CDSMBA-001のSACD化 「まず、モーツァルト。きりりと引き締まった構成と、細部にまで徹底して磨きをかけた美しさはベームならではです。「ドン・ファン」は言うならば作曲者直伝で あろう。R.シュトラウスと直接の親交を持ったベームにとっては、まさにお家芸と言えます。ブラームスも素晴らしい。たとえば、第2楽章の渋くほの暗い音色はまさ にドイツのオーケストラのようだ。」(平林直哉氏の解説より)
「ヨッフム・ケンプ・イン・パリ1969」 Spectrum Sound/CDSMBA-003のSACD化 「(ベートーヴェン)ケンプのタッチが克明に捉えられていて、ファンにはたまらないものです。とにかく、この人肌のように柔らかい音色、聴き手を慰撫するよう なやさしさはケンプならではです。なお、ケンプはこの演奏でも、いつものように自作のカデンツァを弾いています。ヨッフムの伴奏も素睛らしい。古典的な均整美 に溢れ、 明るく朗らかな雰囲気に満ちており、理想的と言えます。」「(ブルックナー)音質が非常に鮮明なためにとても聴きごたえがある。オーケストラの機敏な反 応も手に取るようにわかる。音楽の勢いは無駄なくエネルギー化されています。この演奏は恐ろしく色彩が豊かであり、それこそ万華鏡のようだ。こうした手さばき が可能ゆえに、スペシャリストの名を冠せられるのでしょう。」(平林直哉氏の解説より) (Ki)
Global Culture Agency
GCAC-1045
(1SACD)
シングルレイヤー
2022年新リマスター
初SACD化
国内製造品
日本語帯・解説付
スヴェトラーノフ・S.ネイガウス/ライヴ・イン・パリ1973
スヴィリドフトリプティク
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番
チャイコフスキー:交響曲第6番『悲愴』
スタニスラフ・ゲンリホヴィチ・ネイガウス(P)
エフゲニ・スヴェトラーノフ(指)
フランス国立放送O

ライヴ録音:1973年2月7日パリ、シャンゼリゼ劇場(ステレオ)
Spectrum SoundからCDでリリースされたものの廃盤となっているタイトルを、Global Culture AgencyがライセンスしてSACD化。フランス国立視聴 覚研究所(INA)所有のオリジナル音源(24bit/192kHz)から、国内で独自リマスターを施して商品化しています。
ロシアの巨匠がパリで繰り広げた貴重なライヴ録音。Spectrum Sound/CDSMBA-002のSACD化です。シンフォニーもコンチェルトも、ロシア流儀に貫か れた大演奏。フランスのオーケストラと聴衆を大いに刺激した公演だったことがうかがえる、熱気あふれる音楽の饗宴です。
「(スヴィリドフ)日本ではめったに演奏されないが、過去にはロシアから来日したオーケストラが時々プログラムにかかげていた。明快で親しみやすく、変化に 富んだ曲想を考えると、もっと頻繁に演奏されても良いと私は思う。スヴェトラーノフは実に見事にいきいきと描いています。」「(ラフマニノフ)ロシア音楽通にはた まらない組み合わせです。演奏はお涙ちょうだい式の、安っぽいメロドラマとは一線を画しています。私が一番感動的だと感じたのは第2楽章だった。ソロもとび きりの美しさだが、伴奏がこれまた最高です。こんなに明るくしなやかで、しかも繊細さに満ち溢れたオーケストラは聴いたことがない。正直、スヴェトラーノフが これほどのきめの細やかさを持っていたとは驚いた。」「(チャイコフスキー)いかにもスヴェトラーノフならではの名演です。オーケストラの音が完全にロシアの 団体そっくりの響きを出していることに感心させられます。破滅を予告したような第3楽章が終わり、感動のフィナーレ。ここでスヴェトラーノフは、私淑していたムラ ヴィンスキーのような厳しく透徹した表現で締めくくっています。」(平林直哉氏の解説より) (Ki)

ICA CLASSICS
ICAC-5164(1CD)
NX-B03
ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲第5番ニ長調、
交響曲第6番ホ短調*
エイドリアン・ボールト(指)BBC響

録音:1975年8月4日、1972年8月16日* ロイヤル・アルバート・ホール、ロンドン (ステレオ/ライヴ)
リマスター:ポール・ベイリー(BBCに残るオリジナル・テープより新リマスタリング)
1950年代から60年代にかけて2度、ヴォーン・ウィリアムズの交響曲全集を録音し、多くの初演を任されるなど作曲家本人からも篤く信頼 されていたエイドリアン・ボールトが、70年代にロイヤル・アルバート・ホールで行った交響曲第5番と第6番のライヴ録音。BBCのオリジナル・ テープから、復刻音源のリマスターで世界中から信頼を得ているポール・ベイリーが丁寧に作業を行い、生々しいステレオで楽しむことができま す。第5番は今回初めてCDとして登場するもので、全体に穏やかな中にも力強く形作られるクライマックス、その雄大な広がりなど、作品と 作曲家を知り抜いたボールトならではのツボを得た表現が大きな魅力。初演と同じ指揮者、オーケストラ、そして会場での録音となる第6番 は以前CDでリリースされたことがありました(BBC Classics/IMP)が、今回のリマスタリングで音の立ち上がりが抜群に良くなり、輪郭もくっき りとして、冒頭の崩れるようなフォルティシモから素晴らしい迫力を楽しめます。八十代とは思えないボールトの統率力と、深い作品解釈を堪 能できるアルバムです。

TOCCATA
TOCC-0626(1CD)
NX-B03
ミッシャ・スポリアンスキー(1898-1985):管弦楽作品集
わが夫と私:序曲(1967)
ブギー(1958)
5楽章の交響曲(1941頃-69)
リエパーヤSO
ポール・マン(指)

録音:2021年11月22-26日
世界初録音
父はオペラ歌手であり、妹はピアニスト、兄はチェリストという音楽一家に生まれたミッシャ・スポリアンスキー。幼い 頃ロシアからワルシャワ、ウィーンへと移り、音楽教育は主にドレスデンで受けましたが、1914年に勃発した第一 次世界大戦のためベルリンに移動。ここではピアニストとしてカフェで働きながら作曲を始めます。やがて1920年 代のベルリンでキャバレー音楽の作曲家として人気を博し、またピアニストとして名テノール、リヒャルト・タウバーが 歌う『冬の旅』を伴奏するなど八面六臂の活躍をしましたが、ユダヤ系であったため、1930年代にナチス政権の 弾圧を逃れ、ロンドンへと移住します。 ここで映画音楽家としてのキャリアを始めたスポリアンスキーはヒッチコックをはじめとした大物監督らに重用され、 数々の作品で大成功を収めました。スポリアンスキーはオーケストラ作品も残していましたが、これらはほとんど演 奏される機会がありませんでした。このアルバムには完成までに約30年を要し、スポリアンスキーのホロコーストへ の思いが描かれた「交響曲」や、オーケストラ・ジャズ「ブギー」、モーツァルトを思わせる軽快な「わが夫と私」の序 曲の3曲を収録。波乱万丈の人生を送ったスポリアンスキーの思いが音で描かれています。

BERLINER PHILHARMONIKER
BPHR-1001S
(38CD+15Bluray)
税込定価
ベルリン・フィル・レコーディングス〜交響曲全集


(1)シューマン:交響曲全集(第1〜4番)
(2)シューベルト:交響曲全集(第1〜8番)
 ミサ曲第5番 変イ長調
 ミサ曲第6番 変ホ長調
 歌劇「アルフォンソとエストレッラ」(全3幕)
(3)シベリウス:交響曲全集(第1〜7番)
(4)ベートーヴェン:交響曲全集(第1〜9番)
(5)ブルックナー:交響曲全集(第1〜9番)
(6)マーラー:交響曲全集(第1〜10番)
全て、BPO
(1)サー・サイモン・ラトル(指)
2CD+1Blu-ray(元品番:KKC9083)
(2)ニコラウス・アーノンクール(指)
8CD+1Blu-ray(元品番:KKC5445)
(3)サー・サイモン・ラトル(指)
4CD+2Blu-ray(元品番:KKC9137)
(4)サー・サイモン・ラトル(指)
5CD+3Blu-ray(元品番:KKC9151)
(5)指揮:小澤征爾、パーヴォ・ヤルヴィ、ヘルベルト・ブロムシュテット、ベルナルド・ハイティンク、マリス・ヤンソンス、クリスティアン・ティーレマン、ズービン・メータ サー・サイモン・ラトル
9CD+4Blu-ray(元品番:KKC9507)
(6)指揮:ダニエル・ハーディング アンドリス・ネルソンス 
グスターボ・ドゥダメル、ヤニック・ネゼ=セガン、キリル・ペトレンコ、サー・サイモン・ラトル、ベルナルド・ハイティンク、クラウディオ・アバド
10CD+4Blu-ray(元品番:KKC9612)

=特典=
ポストカード 12 枚セット+2022DCH プログラム冊子
2014年にベルリンPOが立ち上げた、自主レーベル「ベルリン・フィル・レコーディングス」。 ベルリン・フィル・レコーディングスの中核となる交響曲のツィクルス。これまでに発売されたシューマン、シューベルト、シベリウス、ベートーヴェン、ブルックナー、 マーラーの交響曲集6タイトルを、特別仕様ボックスに収納。80セット数量限定商品としてリリースされます。 外装箱は、ベルリン・フィルの本拠地フィルハーモニーホールの外観をイメージしたデザイン。特典には12タイトルのジャケット写真をプリントしたポストカードセッ トに、2022年版のデジタル・コンサート・ホールのプログラムが付属。愛蔵版としてお届けします。 (Ki)

KLARTHE
KLA-043(1CD)
マーラー:『大地の歌』 エヴ=モー・ユボー(Ms)、ユッシ・ミュリュス(T)
ヴィクトル・ユーゴー・フランシュ=コンテO
ジャン=フランソワ・ヴェルディエ(指)

録音:2013年7月&2014年7月/アコースティック・スタジオ(フランス)
メゾ・ソプラノのエヴ=モー・ユボーとテノールのユッシ・ミュリュスを独唱に迎えてヴィクトル・ユーゴー・フランシュ=コンテOが『大地の歌』を録音し ました。本来、第9番にあたる交響曲としてマーラーが作曲した『大地の歌』は、「第9」が死につながることを避け、交響曲としなかった作品。マーラー独自の世 界観を見事にあらわしたペシミスティックな耽美主義の作品です。 (Ki)

SWR music
SWR-19531CD(7CD)
NX-C06
ベルリオーズ録音集
【CD1】
序曲「宗教裁判官」 Op. 3
幻想交響曲 Op. 14

【CD2、3】
『キリストの幼時』 Op. 25

【CD4、5】
歌劇「ベンヴェヌート・チェッリーニ」 Op. 23(ワイマール版)

【CD6、7】
死者のための大ミサ曲(レクイエム) Op. 5
全て、ロジャー・ノリントン(指)シュトゥットガルトRSO


【CD1】
録音:2003年7月2-4日 ライヴ

【CD2、3】
クリスティアーネ・エルツェ(S)、マーク・パドモア(T)、フランク・ボザート(T)、クリストファー・モルトマン(Br)、ラルフ・ルーカス(Bs-Br)、ミハイル・ニキフォロフ(Bs)、ベルンハルト・ハルトマン(Bs)、南西ドイツ放送ヴォーカル・アンサンブル
録音:2002年9月26-27日 ライヴ
【CD4、5】
ブルース・フォード(T)、ローラ・クレイクム(S)、フランツ・ハヴラタ(Bs)、モニカ・グロープ(Ms)、クリストファー・モルトマン(Br)、ラルフ・ルーカス(Bs)、ヨハネス・クム(T)、ラインハルト・マイヤー(Bs)、エッケハルト・ワーグナー(T)、エッケハルト・フォーグラー(Bs)、マティアス・ホフマン(Br)、ライプツィヒ放送cho
録音:2003年9月19日 ライヴ

【CD6、7】
トビー・スペンス(T)、南西ドイツ放送ヴォーカル・アンサンブル、ライプツィヒ放送cho
録音:2003年5月9日 ライヴ
1998年から2011年までの13年間にわたりシュトゥットガルトRSOの首席指揮者を務めたロジャー・ノ リントン。このBOXセットには、その間に録音されたベルリオーズの5作品が収録されています。ノリントンは、作曲 当時の演奏を再現するために、オーケストラのサイズや配置を調整し、弦楽器のノンヴィブラート演奏を基調とす る「シュトゥットガルト・サウンド」と呼ばれる独自のスタイルを編み出し、透明感を保持した美しい響きによる演奏 を行いましたが、これらベルリオーズでも、そのアプローチは変わることはありません。幻想交響曲や、オラトリオ『キリ ストの幼時』でのピュア・トーンはもちろんのこと、とりわけダイナミック・レンジが広いことで知られる「死者のための大 ミサ曲(レクイエム)」でもこのアプローチは健在であり、3組の合唱団とバンダを含む規模の大きなオーケストラを 率いて、神々しいまでの音楽を聴かせるところがノリントンの真骨頂といえるでしょう。またイタリアのルネサンス期に 実在した彫刻家を主人公とした歌劇「ベンヴェヌート・チェッリーニ」は2幕構成のワイマール初演版での演奏。こち らも素晴らしい独唱者を迎え、美しい音楽が展開されていきます。

Capriccio
C-5464(1CD)
NX-B05
ジグムント・ストヨフスキ(1870-1946):交響曲 ニ短調ほか
交響曲 ニ短調 Op. 21(1898)
組曲 変ホ長調 Op. 9 - 管弦楽のために(ハンス・フォン・ビューローの思い出に) (1891)
ラインラント=プファルツ州立PO
アントニ・ヴィト(指)

録音:2021年5月25-28日
1870年、ポーランドのキェルツェ市近郊で生まれた作曲家ジグムント(ジギスモンド)・ストヨフスキ。母親から初期の音楽教育を受け、17歳の時に地元の オーケストラとともにベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番を演奏し、コンサート・ピアニストとしてデビュー。その翌年にパリへ移り、コンセルヴァトワールで学びま した。その後、1898年にライプツィヒで開催された「パデレフスキー音楽コンクール」に提出した「交響曲ニ短調」が第1位を獲得。1901年11月5日には、こ の年に設立されたワルシャワPOの初コンサートで交響曲が演奏されるという栄誉にあずかるとともに、翌月にはリサイタルに出演、 1902年1月にはソリストとしてサン=サーンスのピアノ協奏曲第4番を演奏、当時のポーランドにおける最高の音楽家の一人として音楽界に君臨しました。 また、1901年に行われたインタビューに於いて、彼自身が最も影響を受けた音楽家は、ポーランドのヴァイオリニスト・作曲家ヴワディスワフ・グルスキと、ピア ニスト・作曲家イグナツィ・ヤン・パデレフスキだと述べています。 その後、1905年に渡米、ジュリアード音楽院で教鞭を執るなど、ニューヨークでも偉大な作曲家、ピアニスト、教育者として高く評価されましたが、彼の死 後、急速に忘れられてしまい、後期ロマン派の作風を色濃く反映した作品はこれまであまり演奏されることがありませんでした。 しかし、近年になり"ポーランドの音楽史の中でショパンとシマノフスキを繋ぐ重要な作曲家の一人"として近年注目を集めており、演奏機会も少しずつ増え ています。 このアルバムでは、彼の出世作「交響曲 ニ短調」と、初期の作品「組曲 変ホ長調」を収録。ポーランドを代表する指揮者アントニ・ヴィトが共感を込めて 演奏しています。

Forlane
FOR-516656(5CD)
ベートーヴェン:交響曲全集
CD1)交響曲第2番、第5番/CD2)交響曲第4番、第7番/CD3)交響曲第1番、第3番/CD4)交響曲第6番、第8番/CD5)交響曲第9番
アラン・ロンバール(指)
ボルドー=アキテーヌ国立O
ガブリエラ・ベニャチコヴァー(S)、ベアトリス・ユリア=モンゾン(Ms) 、ジェイムズ・マクレイ(T)、フランツ・グルントヘーバー(Br) 、ブラティスラヴァ・スロヴァキア・フィルハーモニーcho

録音:1991年7月パン・ガラン文化センター、ボルドー
オークション等で高値で取引される幻の名盤が待望の復活です。 フランスの名指揮者アラン・ロンバール(1940-)はニューヨークでバーンスタインの 助手を務めた後ストラスブール・フィルやボルドー・アキテーヌ国立Oの指 揮者など務め、当FORLANE レーベルやEMI やERATO などに数々の録音を残 してきました。またドイツ物も得意としており、ベートーヴェン、ブラームス、シュー ベルトの交響曲全集やマーラーなども録音しています。 このベートーヴェンも無駄にアタックを入れずレガートを多く取り入れた独特のエ レガントな演奏になっています。かと言って迫力がないわけではなく、フォルテは ちゃんと鳴っているし、いざとなればアタックもついています。フランスの指揮者・ フランスのオケによるベートーヴェン交響曲全集も珍しく一聴の価値があります。
Altus
ALT-513(3CD)
ゴロワノフの芸術 第6集/スクリャービン:交響曲全集&ピアノ協奏曲
(1)交響曲第1番ホ長調 「芸術讃歌」 作品26
(2)ピアノ協奏曲 嬰へ短調 作品20
(3)交響曲第2番ハ短調「悪魔的な詩」 作品29
(4)交響曲第4番「法悦の詩」 作品54
(5)交響曲第3番ハ短調「神聖な詩」 作品43
(6)交響曲第5番「プロメテ - 火の詩」 作品60
(7)前奏曲 「夢」 作品24
(1)リュドミラ・レゴスタエヴァ(Ms)、アナトーリ・オルフェノフ(T)、モスクワ放送cho
(2) ゲンリヒ・ネイガウス(P)
(4) セル ゲイ・ポポフ(トラン ペット)
(6)アレクサンドル・ゴリデンヴェイゼル(P)、モスクワ放送cho
ニコライ・ゴロワノフ(指)
モスクワRSO

モノラル録音:(1)1948年、(2)1946年、(3)1950年、(4)1952年、(5)1946年、(6)1947年、(7)1952年
ムラヴィンスキーと対を成すロシアの伝説的指揮者ニコライ・ゴロワノフ、シリーズ第6集は今年2022年生誕150周年に沸くスクリャービン! CD3枚にわたり、強烈な音塊が火柱となって噴きあがる白熱の大演奏が堪能いただけます。交響曲は全5曲を収録、その圧倒的解釈はもはや歴史的遺産であり 貴重そのもの。狂気さながらの凄絶さで猛進しつつも曲の勘所を見極めた緩急自在のドライブで聴き手を興奮の坩堝に巻き込みます。
近年の演奏と比べれば一見自由極まりないトンデモ演奏かと思ってしまいますが、第2主題の大胆な浮かび上がらせ方など「こう在るべくして在る」もので、複 雑な楽曲を明快に(力技で?)解きほぐし生命力みなぎる音楽として練り上げ、猛然と押し出してくる無二の面白さがあります。ソリスト陣もこの時代ならではの名 手ぞろい。ピアノ協奏曲でのネイガウス、『プロメテ』でのゴリデンヴェイゼルはスクリャービンの書法を熟知したロシア・ピアニズムをおおいに炸裂させ、トランペッ ト大活躍の『法悦』では首席奏者ポポフが高らかに吹きまくります。
「ゴロワノフの録音の中では、彼の特徴を最も顕著に伝えるものと言って良い。とにかく、ここにはゴロワノフがスクリャービンを好きすぎて、狂わんばかりに棒 を振っている姿が目に浮かぶようなのです。このむせかえるような音は、まさにゴロワノフだ。」(平林直哉氏の解説より) (Ki)
Altus
ALT-516(1CD)
ゴロワノフの芸術 第7集
チャイコフスキー:交響曲第6番 「悲愴」
ニコライ・ゴロワノフ(指)モスクワRSO

モノラル録音:1948年
ムラヴィンスキーと対を成すロシアの伝説的指揮者ニコライ・ゴロワノフ、シリーズ第7集はチャイコフスキーの『悲愴』!強烈な音塊が魂の 嗚咽となってあふれだす白熱の大演奏です。手加減無しで両極端に振り回すドライブでオーケストラと聴き手をまとめて翻弄、ハイボルテージの歌に打ちのめさ れ、地獄の裂け目のごときパウゼに戦慄し、泣き所では圧倒的にたくましい音響に心がえぐられます。一度味わったらその魔力から一生逃れられない命懸けの『悲 愴』。壮絶演奏の頂点!
「その抜き差しならない気迫に満ち溢れた響きは、とても尋常ではない。曲が進むにつれ、ゴロワノフ節はこれでもかと振るわれます。なぜこのようにテンポを動 かすかという疑問以上に、自分の耳に聴こえた作曲家の魂を、全霊を傾けて表現しようとしているゴロワノフの気迫に、ただただ圧倒されるのみです。これは好 き嫌いを超えた尊さではあるまいか。」(平林直哉氏の解説より) (Ki)


DREYER-GAIDO
CD-21140
(10CD+4SACD)
マーラー:交響曲全集


■Dsic1:交響曲第1番ニ長調 《巨人》
■Disc2-3:交響曲第2番 《復活》
■Disc4-5:交響曲第3番ニ短調
■Disc6:交響曲第4番ト長調
■Disc7:交響曲第5番嬰ハ短調
■Disc8-9:交響曲第6番 《悲劇的》
■Disc10:交響曲第7番 《夜の歌》
■Disc11-12(SACD):交響曲第8番 《千人の交響曲》
■Disc13-14(SACD):交響曲第9番ニ長調、
 交響曲第10番嬰ヘ長調〔アダージョ、プルガトリオ〕
ガブリエル・フェルツ(指揮)、
シュトゥットガルトPO(第1番〜第7番、第10番)、
ドルトムントPO(第8番&第9番)、
ブルノ・チェコ・フィルハーモニーcho(第2番、第3番、第8番)、
ヘン・ライス(S)(第2番)、
ターニャ・アリアーネ・バウムガルトナー(Ms)(第2番)、アレクサンドラ・ペーターザマー(Ms)(第3番)、カルフ・アウレリウス少年cho(第3番)、ジャネット・ヴェルネッケ(S)(第4番)、エミリー・ニュートン(S)(第8番)、ミヒャエラ・カウネ(S)(第8番)、アシュリー・トゥーレ(S)(第8番)、アイリス・ヴァーミリオン(A)(第8番)、藤村実穂子(A)(第8番)、ブレンデン・パトリック・グンネル(T)(第8番)、マルクス・アイヒェ(Br)(第8番)、カール=ハインツ・レーナー(バス)(第8番)、ブラティスラヴァ・スロヴァキア・フィルハーモニーcho(第8番)、ドルトムント合唱アカデミー少年cho(第8番)

録音(ライヴ):2012年2月24日(第1番)、2013年3月12日(第2番)、2010年4月30日(第3番)、2011年1月25日(第4番)、2009年1月13日(第5番)、2008年2月15日(第6番)、2007年4月23日−24日(第7番)、2018年7月3日−4日(第8番)、2019年7月2日−3日(第9番)、2010年11月3日(第10番)、シュトゥットガルト&ドルトムント(ドイツ)
※CD21041(第7番)、CD21045(第6番)、CD21052(第5番)、CD21065(第3番)、CD21072(第4番)、CD21082(第1番)、CD21116(第2番)、CD21118(第8番)、CD21133(第9番&第10番)からのBOXセット化。
ラ市の管弦楽団および歌劇場の音楽総監督、シュトゥットガルト・フィルの首席指揮者、シュトゥットガルト市の音楽総監督、バーゼル歌劇場の首席客演指揮者という錚々たるポジションを歴任し、2013/14シーズンからは、ドルトムント市の音楽総監督、ドルトムント・フィルの首席指揮者として活躍。さらに2017/18シーズンからは、セルビアのベオグラード・フィルの首席指揮者にも就任しているドイツ期待のマエストロ、ガブリエル・フェルツ。ドルトムント・フィルとは2023年まで契約が延長されるなど、好調な関係を築いています。
シュトゥットガルト・フィル時代から10数年かけて積み上げてきたフェルツの集大成ともいうべきマーラーの交響曲集が、CD10枚+SACD4枚の14枚組全集BOXとなってリリース! 同世代のドイツ人指揮者の中では初めてマーラーの交響曲全10曲をすべて録音したというガブリエル・フェルツの偉業にご注目ください! 108ページのブックレット(英語、ドイツ語)には、多数の譜例も使用した指揮者自身による全曲の解説と、作家&ジャーナリストのフォルカー・ハーゲドルンによるオリジナルの寄稿文が掲載されています。

Pentatone
PTC-5186852(1CD)
ブラームス:交響曲第3番ヘ長調 Op.90
交響曲第4番ホ短調 Op.98
ヘルベルト・ブロムシュテット(指)
ライプツィヒ・ゲヴァントハウスO

録音:2021年4月ゲヴァントハイス(ライプツィヒ)
1927年生まれのヘルベルト・ブロムシュテット。現役最高齢の巨匠がライプツィヒ・ゲヴァントハウスOと録音を進めてきたブラームスの交響曲プロジェ クトの最終となる第3番と第4番がリリースされます!
ブロムシュテットは1998年から2005年の7年間に渡ってライプツィヒ・ゲヴァントハウスOのシェフを務め、その後当団の名誉指揮者として指揮台 に立っており、現在も非常に良好な信頼関係が築かれております。
ブロムシュテットの境地といえるブラームスは、楽譜を丁寧に読み込みその音楽に魂を宿らせたような生命力に満ちた演奏を展開しており、各作品の成り立ち、 分析そして研究を重ね、導き出したひとつのこたえがこの演奏に結実しております。指揮者として60 年以上のキャリアの巨匠が祈りとともに魂のこもった演奏 を聴かせてくれます! (Ki)

King International
KKC-2711(3CD)
税込定価
ブラームス:交響曲全集
交響曲第1番ハ短調Op.68
交響曲第2番ニ長調Op.73
交響曲第3番ヘ長調Op.90
悲劇的序曲Op.81
交響曲第4番ホ短調Op.98
外山雄三(指)大阪SO

録音:第1番:2020年10月8日
第2番:2021年10月22日
第3番:2017年10月26日
第4番:2021年10月22日
悲劇的序曲:2020年2月27日
ずべてザ・シンフォニーホール(ライヴ)
2021年に90歳を迎えた日本で現役最長老指揮者・外山雄三。彼が大阪SOとブラームスの交響曲全集を完成させました。全曲中第1番と「悲劇的序曲」 は2020年、第2番と4番は2021年という最新ライヴです。
第1番と4番がゆっくりめ、第2番と3番が速めなのが特徴ですが、全体に悠然として滋味あふれる大きな音楽を聴かせてくれます。ブラームスの音楽とはいえ、 ことさら重厚になることもなく、若々しささえ湛えた自然な語り口が魅力。巨匠外山雄三90歳の境地を披露してくれます。 (Ki)


Altus
ALT-512(5CD)
ヤンソンス親子&レニングラード・フィル
来日ライヴ・コレクション

(1)【ALT094】
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番
ワーグナー:歌劇「ローエングリン」第3幕前奏曲
(2)【ALT095】
チャイコフスキー:交響曲第5番、
 バレエ音楽「白鳥の湖」より第2幕『情景』
(3)【ALT443/4】(2CD)
チャイコフスキー:交響曲第4番
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番
(4)【ALT445】
ワーグナー:楽劇『ニュルンベルクのマイスタージンガー』 第1幕前奏曲
ベルリオーズ:幻想交響曲
シベリウス:悲しきワルツ
ワーグナー:歌劇「ローエングリン」第3幕前奏曲
(1)(2)アルヴィド・ヤンソンス(指)
(3)(4)マリス・ヤンソンス(指)
レニングラードPO

ライヴ録音:(1)(2)1970年7月1日大阪フェスティバルホール
(3)1986年10月19日サントリーホール
(4)1989年10月25日Bunkamura オーチャードホール
全てステレオ
ALTUSからリリースされているヤンソンス父子とレニングラード・フィルの来日公演実況録音、4タイトルCD5枚分をまとめたお買い得価格の数量限定セット です。単売のパッケージをそのままジュエルケースごと紙ケースに収納した仕様。ショスタコーヴィチの5番、ローエングリンの3幕前奏曲は両氏とも演奏している ので聴き比べ可能!お早めにどうぞ!
父アルヴィドは、ムラヴィンスキーがキャンセルしたため代役で出演した1970年公演を収録。レニングラード・フィルがほとんど体で覚えてしまっているという 作品を指揮しながらも、民族的要素とテクスチュア描出をバランスよく備えた感覚や、メリハリを利かせながらも格調高い表現が秀逸。ムラヴィンスキーの補佐を通 して培った緻密なサウンド構築と濃厚な情念が一体となった、きわめて魅力的な演奏が聴けます。オケのハイテンションぶりも尋常ではなく、特に終楽章コーダな ど無敵と言いたくなる凄まじい馬力に仰天。
息子マリスは、これまたムラヴィンスキーの代役で登壇し新時代の大名演となった86年の重厚プログラムと、サンクトペテルブルク・フィルに改称前の圧倒的に ロシアな演奏を叩き出した89年、ふたつの公演を収録。ムラヴィンスキー仕込みのレニ・フィル鉄壁の響きと、マリスの美しく見通しの良い音楽性が真正面からせ めぎ合う、手に汗握る稀有な名演!特有のあたたかみがありつつも、激烈ティンパニや壮絶アッチェレランドが凄まじい燃焼度。
父子ともスコア細部のこだわりに非常な説得力があり、フレージング処理に独自の色合いを添えてコントラストを生かす秘術が受け継がれています。クライバー 父子と関連付けて論じたくなるような、クラシック・ファンの好奇心をくすぐる名演集です。

Altus
ALTSA-431(3CD)
シングルレイヤー
完全限定SACD
若杉弘&N響/ブルックナー・チクルス 1996-98
(1)交響曲第1番ハ短調 WAB101 第 1 稿 (リンツ稿 )ノヴァーク版
(2)交響曲第2番ハ短調 WAB102 第 2 稿ノヴァーク版
(3)交響曲第3番ニ短調 WAB103 第 3 稿ノヴァーク版
(4)交響曲第4番変ホ長調『ロマンティック』 WAB104 1878・80 年稿ノヴァーク版
(5)交響曲第5番変ロ長調 WAB105 原典版・ノヴァーク版
(6)交響曲第6番イ長調 WAB106 ノヴァーク版
(7)交響曲第7番ホ長調 WAB107 ノヴァーク版・第 2 版
(8)交響曲第8番ハ短調 WAB108 第 2 稿ノヴァーク版
(9)交響曲第9番ニ短調 WAB109 ノヴァーク版
若杉弘(指)NHK響

(1)録音:1998年2月28日
(2)録音:1997年1月13日
(3)録音:1996年2月26日
(4)録音:1997年2月24日
(5)録音:1998年1月27日
(6)録音:1997年3月18日
(7)録音:1996年1月29日
(8)録音:1996年3月31日
(9)録音:1998年3月13日
2020年に初めてその全貌がCD化されて大きな話題となった若杉弘&N響の伝説的ブルックナー・チクルスが大好評を受けて初SACD化。世界に誇るべき 至高のブルックナー演奏を高音質で堪能できます。SACDならではの長時間収録で、全9曲・合計592分もの大演奏を3枚のシングルレイヤー盤に収めました。 長大な第8番も楽章を隔ててディスクを分けることなく一気にお聴き頂けます。
ブルックナー没後100周年/サントリーホール開館10周年である1996年(N響もちょうど創立70周年でした)から98年にかけて3期9公演に渡り行わ れたこのブルックナー・チクルスは、「2つの世紀のカトリック」と題され各回ブルックナーの交響曲1曲とメシアンの作品を組み合わせるという意欲的なプログラ ムで大きな話題を呼びました。リハーサルもすべてサントリーホールで行われ、ホールの響きを完璧に手中にしてから本番に臨むという破格に贅沢なプロジェクト でもあり、そのため回数を追うごとに解釈は深まり場慣れもしていき、第3期の3曲(第5番・第1番・第9番)は指揮者・オーケストラ・会場が一体となって至 高のブルックナーを奏でる素晴らしい完成度の演奏会となりました。第7番・第3番は過去にBMGレーベルでCD化されましたが廃盤。2020年発売のALTUS 全集(通常CD盤)はBMG録音とは別ラインのNHK保管音源をもとにマスタリングを施し、かつ初の全曲盤として再提示したものでした。演奏はもちろんのこと 音質面でも好評価を頂き、「レコード芸術」誌では特選盤に選ばれました。SACD用に音を調整して作られた今回のセットでは、より一層の細やかな響きを楽しめ ること請け合いです。CD盤に付いていた充実の解説もそのまま転載しています。 (Ki)


東武レコーディングズ
TBRQ-9009(2CD)
(UHQCD)
初回税込特価
チェリビダッケ/リスボンのブル8!
ブルックナー:交響曲第8番
セルジュ・チェリビダッケ(指)
ミュンヘンPO

録音:1994 年4 月23 日コリセウ・リスボン・ポルトガル国営放送(RTP)によるデジタル・ライヴ
チェリビダッケの最高傑作どころか、ブルックナー演奏の頂点とまで賞賛された伝 説のライヴ「チェリビダッケ、リスボン・ライヴ」が正規盤として初登場。この演奏はプラ イヴェート盤で発売されるや否やセンセーションを巻き起こしたうえに入手困難とな り、ネットオークションでも高値を記録した幻の演奏です。極限をも超えた超スローテ ンポで全曲を貫徹。そして点描のようにあらゆるエレメントを彫琢してまいります。こ れはチェリビダッケ晩年の特徴的なアプローチでありますが、ここまでチェリビダッケ の魔術が決まりに決まっている演奏は他にありません。演奏時間は 100 分を超え崇 高な神々しさにはひれ伏すばかり。ミュンヘン・フィルの音色はどこまでも柔らかく繊 細、それと同時に眼前に巨大な建築物が突如として聳え立つかのような恐ろしい存 在感を誇ります。これを聞くとチェリビダッケがマーラーにはあまり関心が向かなかっ たことも不思議ではありません。このブルックナーにはハイドンからベートーヴェン、 ワーグナー、ドビュッシーからラヴェル、ストラヴィンスキーまでヨーロッパ音楽の全て が内包されているかのような素材の多さと複雑味が感じられます。この年の 10 月に は来日公演が予定されておりました。ブル8も予定に入っていましたが、体調不良の ためにキャンセル。以後の来日は叶わぬ夢となりました。音源発掘も困難を極め、ポ ルトガル大使館の協力を得てのついに発見。ご子息セルジュ・イオアン・チェリビダ キ氏、ミュンヘン・フィルの承認を得た正規盤です。 タイミング:[19:22][15:47][33:23][31:11]
★湧々堂の「殿堂入り」名盤コメント

Profil
PH-22010(1CD)
ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」(1874年第1稿) ゲルト・シャラー(指)
フィルハーモニー・フェスティヴァ

録音:2021年7月25日旧エーブラハ大修道院付属教会
ルックナーの交響曲全バージョン録音を刊行中のゲルト・シャラーとフィルハーモニア・フェスティヴァは交響曲第4番の1878/80年版を2007年に、 1878年「村の祭りフィナーレ」版を2013年に録音していますが、今回1874年第1稿に挑戦しました。
1873年の大みそかに交響曲第3番を完成されたブルックナーは、新年2日から新作に着手し、11か月で完成させたのが第4番第1稿となりました。しかし4 年後に第3楽章を「狩りのスケルツォ」に書き換え、さらにフィナーレを「村の祭り」と差し替えました。さらに1880年にフィナーレを改めたものが現在多く演奏 される版のもととなっています。
1874年第1稿は近年録音も増えてきましたが、決定稿とは非常に異なる印象を与えます。和声もリズムも様式化した後年の作より大胆で複雑、全体にごつご つしていてベートーヴェンを思わせさえします。シャラーはそれを強調して作品の先進性を示していて聴き応え満点。実際シャラー自身、交響曲第4番の諸版のな かで個人的に気に入っているとしています。
ゲルト・シャラーは1965年バンベルク生まれ。1993年にハノーファー州立歌劇場で指揮者としてのキャリアをスタートさせ、1998年にブラウンシュヴァイク 州立歌劇場、2003年から2006年までマグデブルク劇場の総音楽監督を務めました。2024年9月のブルックナー生誕200年祭に向けて交響曲の全バージョ ン録音を刊行中です。 (Ki)

Pentatone
PTC-5186972(1CD)
マーラー:交響曲第4番ト長調 チェン・ライス(S)
セミヨン・ビシュコフ(指)チェコPO

録音:2020年8月21-26日ルドルフィヌム、ドヴォルザーク・ホール(プラハ)
PENTATONEレーベルがチェコPOとの長期プロジェクトを発表!第1弾として現在当団の首席指揮者・音楽監督を務めるセミヨン・ビシュコフによるマーラーの交響曲全曲録音です!当アルバムは注目のソプラノ、チェン・ライスをソリストに迎えた第4番を収録しております。
チェコ・フィルにとってマーラーの交響曲録音は数多くあるものの、全集は1976年から1982年にかけて録音したヴァーツラフ・ノイマン以来となります。
オーストリアで活躍したマーラーですが生まれは当時のオーストリア帝国に属するボヘミア王国のイーグラウ近郊のカリシュト村(現チェコのイフラヴァ)。この企画はチェコ・フィルにとっても最も重要かつ力をいれたプロジェクトとなっております。
「マーラーの交響曲は人生の“ポリフォニー”を表現するものであり、これらの作品を録音することは、生涯をかけて抱いてきた夢、そして喜びです。」と語るビシュコフ。2018年10月より当団の首席指揮者・音楽監督としての任期をスタートさせたビシュコフが全身全霊で臨むマーラーはこのオーケストラがもつ温かく優しい音色を全面に出した好演。今後の録音にもご期待ください!!なお、今後チェコ・フィルはスークの交響曲全集、ドヴォルザークの作品の録音も計画されているのとのこと。こちらも期待が高まります。 (Ki)

オクタヴィア
OVCL-00778
(1SACD)
税込定価
2022年2月23日発売
ハイドン交響曲集Vol.14
第85番変ロ長調 Hob.T:85 「王妃」
第23番ト長調 Hob.T:23
第20番ハ長調 Hob.T:20
飯森範親(指)
日本センチュリーSO

録音:2019年5月24日 大阪、いずみホール・ライヴ
日本センチュリーSOが首席指揮者の飯森範親と共にスタートした「ハイドンマラソ ン」は、フランツ・ハイドンのすべての交響曲を演奏しようという一大プロジェク ト。当盤は第15回コンサートのライヴ収録です。 幾度の公演を重ね、信頼関係を築いてきた飯森と日本センチュリー響は、精緻な構築と、 細部までこだわりぬいた感性で、気品あふれるハイドンを奏でています。柔和で晴々とし た優美な演奏は、まさに彼らの真骨頂といえるでしょう。(オクタヴィア)


Profil
PH-22007(20CD)
ブルックナー:交響曲全集


■Disc 1
交響曲ヘ短調
■Disc 2
交響曲第1番ハ短調(1866年/キャラガン校訂)
■Disc 3
交響曲第1番ハ短調(1891年ウィーン版)
■Disc 4
交響曲第0番ニ短調
■Disc 5
交響曲第2番ハ短調(1872年/キャラガン校訂)
■Disc 6
交響曲第3番ニ短調(1874年/キャラガン校訂)
■Disc 7
交響曲第3番ニ短調(1890年シャルク版)
■Disc 8
交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」(1878/80年版)
■Disc 9 
交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」(1878年版「村の祭り」フィナーレ/キャラガン校訂)
■Disc 10
交響曲第5番変ロ長調
■Disc 11
交響曲第6番イ長調
■Disc 12 64’52”
交響曲第7番ホ長調(1885年ノーヴァク版)
■Disc 13, 14 
(1)交響曲第8番ハ短調(1888年異版)
(2)キツラー:葬送音楽〜アントン・ブルックナーの思い出(シャラーによるオーケストレーション復元)
■Disc 15, 16
交響曲第9番ニ短調(ゲルト・シャラー改訂による完全版)
■Disc 17
ミサ曲第3番ヘ短調(1893年版)
■Disc 18
(1)詩篇146
(2)オルガン曲集〜即興演奏用の主題集(エルヴィン・ホーン編纂)
アンダンテ ニ短調 (WAB130)
後奏曲 ニ短調 (WAB126)
前奏曲とフーガ ハ短調 (WAB131)
フーガ ニ短調 (WAB125)
前奏曲ハ長調 (WAB129)
■Disc 19, 20
交響曲第9番ニ短調(ゲルト・シャラー編によるオルガン版)
ゲルト・シャラー(指&Org)
フィルハーモニー・フェスティヴァ
■Disc 1
録音:2015年9月レゲンテンバウ・バート・キッシンゲン(ライヴ)
■Disc 2 
録音:2011年7月エーブラハ、大修道院附属教会(ライヴ)
■Disc 3
録音:2019年5月26日バートキッシンゲン・レゲンテンバウ・マックス・リットマンザール(ライヴ)
■Disc 4 
録音:2015年3月レゲンテンバウ・バート・キッシンゲン(ライヴ)
■Disc 5
録音:2011年7月エーブラハ、大修道院附属教会(ライヴ)
■Disc 6
録音:2011年7月エーブラハ、大修道院附属教会(ライヴ)
■Disc 7
録音:2017年9月23日エーブラハ、大修道院附属教会(ライヴ)
■Disc 8
録音:2007年7月29日エーブラハ、大修道院附属教会(ライヴ)
■Disc 9
録音:2013年1月レゲンテンバウ・バート・キッシンゲン(ライヴ)
■Disc 10
録音:2013年7月エーブラハ、大修道院附属教会(ライヴ)
■Disc 11
録音:2013年8月エーブラハ、大修道院附属教会(ライヴ)
■Disc 12 64’52”
録音:2008年7月29日エーブラハ、大修道院附属教会(ライヴ)
■Disc 13, 14 
録音:2012年7月エーブラハ、大修道院附属教会(ライヴ)
■Disc 15, 16 
録音:2016年7月エーブラハ、大修道院附属教会(ライヴ)
■Disc 17
録音:2015年7月エーブラハ大修道院付属教会
■Disc 18
(1)アニア・フェグリー(S)、フランツィスカ・ゴットヴァルト(A)、クレメンス・ビーバー(T)、ティモ・リーホネン(Bs)、ミュンヘン・フィルハーモニー合唱団
(2)ゲルト・シャラー(Org)
録音:2015年7月エーブラハ大修道院付属教会
■Disc 19, 20
録音:2020年11月2-5日エーブラハ、大修道院附属教会(ライヴ)
ブルックナーに献身するゲルト・シャラーとフィルハーモニー・フェスティヴァは2024年9月の生誕200周年に向け、各版を網羅した全集を鋭意制作中です。
シャラーは2007年から2020年までにブルックナーの全9曲の交響曲のみならず、第00番や第0番、第4番の「村の祭り」フィナーレ版、第9番のシャラー による補筆完成版とオルガン用編曲を収録しました。もちろんまだ完結していませんが、今回20枚組特別価格でパイロットBoxを発売します。
またオルガニストとして現存するオルガン曲をすべて録音しているのも貴重。さらにミサ曲第3番と詩篇146という宗教声楽作品も大歓迎。
オーケストラはフィルハーモニー・フェスティヴァ、フランコニアにあるエーブラハ大修道院附属教会でのコンサートのライヴ録音が主となっています。教会の響 きはブルックナーの音楽にぴったりで、あたかも巨大なオルガンのような壮麗さに圧倒されます。
通常これだけの作品を揃えるのは困難なうえ、驚きの価格なため、ぜひとも1セット揃えておきたい魅力のBoxとなっています。
今回のブックレットはマヌエラ・ノイマンによる独・英計29ページの楽曲解説付きです。 (Ki)

Gramola
GRAM-99261(1SACD)
NX-B08

NYCX-10292(1SACD)
日本語解説付国内盤
税込定価
ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」
(1888年 第3稿 /2004年コーストヴェット校訂版)
聖フローリアン・アルトモンテO
レミ・バロー(指)

録音:2021年8月21日(Brucknertageにおけるライヴ収録)
聖フローリアン修道院教会、ザンクトフローリアン(オーストリア北部オーバーエスターライヒ地方)
さまざまな稿(バージョン)が存在するブルックナーの交響曲。なかでも第4番はその微妙な違いのため、稿の選択がかなり困難になります。第3稿については長 い間、弟子のレーヴェが勝手に手を入れたという見方をされてきましたが、今回用いられているコーストヴェット校訂版が2004年に国際ブルックナー協会から 出版された頃から再評価され、ブルックナー自身が認めた版であるという説が高まっています。バローは約20年間、第2稿(1878/80)を用いて演奏してきた ため、2011年に初めて第3稿で演奏したときには、まるで「慣れ親しんだ風景が草木に覆われて、どことなく異質なもの」に感じられたそうです。しかしこの第3 稿こそブルックナーの成熟の証しであり、修正点はすべて工夫が凝らされており、磨きのかかった作品はよりニュアンスに富み、さらに聴きやすくなっているとバ ローは解説で語っています。とりわけスケルツォの終結部や、終楽章のコーダ、クライマックス直前で用いられる弱奏シンバルの効果は絶大。バローの泰然自若 たる演奏はブルックナーの思いを真摯に伝え、聴衆の温かい拍手がこれに応えています。 今作もバロー自身が音源監修に携わり、エンジニア陣がこだわりぬいた高音質録音により豊かな残響が余すことなく再現されています。
*国内仕様盤には国際ブルックナー協会会員、石原勇太郎氏の解説が付属します。

DUX
DUX-1762(1CD)
パヴェウ・ウカシェフスキ(1968-):シンフォニエ・サクレ第2集
交響曲第3番「天使たちのシンフォニー」〜 ソプラノ独唱、混声合唱とオーケストラのための
交響曲第6番「永遠の命の歌」〜 合唱とオーケストラのための
アンナ・ミコワイチク=ニィエヴィジアウ(S)、
ポドラシェ・オペラ&PO&cho、ミ
ロスワフ・ヤチェク・ブワシュチク(指)

録音:2021年6月28日-7月2日、スタニスワフ・モニューシュコ・ポドラシェ・オペラ&フィルハーモニック・コンサート・ホール(ビャウィストク、ポーランド)
日本では合唱作品、宗教作品の作曲家として高い人気を誇り、母国ポーランドではワルシャワの名門ショパン音楽大学の副学長の要職にある現在のポーランドを代表する大作曲家の1人、パヴェウ・ウカシェフスキ。
今回リリースされる「シンフォニスト」としてのウカシェフスキの姿にスポットライトをあてた好プログラムには、それぞれ宗教、神話をテーマ、題材とする2つの交響曲を収録。
2010年に発表された「交響曲第3番」は豊かな合唱のテクスチャーとラテン語によるソプラノ独唱のパートが作品を豊かにし、繊細でパステル調の音色を探求しています。
2020年に発表されたばかりの「交響曲第4番」では、ギリシャ神話に登場する「時」を神格化した神々であるクロノスとカイロスを各楽章のタイトルとしており、異なる時限を表現しています。
合唱の巧みな使い方、音楽への反映は、さすがウカシェフスキと思える手腕が発揮されており、壮大なシンフォニーのスケールを高めています。

Glossa
GCD-921119(2CD)
限定盤
モーツァルト:後期三大交響曲
交響曲第39番変ホ長調 K.543
交響曲第40番ト短調 K.550
交響曲第41番ハ長調 K.551「ジュピター」
フランス・ブリュッヘン(指)、
18世紀オーケストラ

録音(ライヴ):2010年3月4日、デ・ドゥーレン(ロッテルダム、オランダ)
しばらく廃盤・入手不可状態が続いていたフランス・ブリュッヘン&18世紀オーケストラの名盤、モーツァルトの後期三大交響曲(2010年、ロッテルダム・ライヴ)が、数量限定にて再生産されました。同音源が収録されていた『モーツァルト・レコーディングス』(GCD921121S)も近年レーベル在庫切れ・入手困難となっていただけに待望の復活となります。
1980年代後半のPHIL-IPS時代の録音から約30年後に遂に登場したモーツァルトの「後期三大交響曲」の新録音。2014年、フランス・ブリュッヘンが逝去する数ヵ月前にリリースされ、各誌で絶賛レビューが相次ぎ、レコード・アカデミー賞の交響曲部門や、仏ディアパソン誌のディアパゾン・ドール・ド・ランネ(年間最優秀賞)を受賞した超名盤です。
※当タイトルは数量限定生産のため、ご注文数に対して十分な数量をご提供出来ない可能性がございます。予めご了承下さい。


SWR music
SWR-19112CD(2CD)
NX-B06
ロヴィツキのチャイコフスキー
【CD1】
交響曲第5番ホ短調 Op. 64
【CD2】
交響曲第6番ロ短調「悲愴」#
バレエ音楽『くるみ割り人形』組曲*
ヴィトルド・ロヴィツキ(指)
バーデン・バーデン&フライブルク南西ドイツRSO
シュトゥットガルトRSO*

録音:1962年2月14日 バーデン・バーデン、ハンス・ロスバウト・スタジオ(モノラル)
1969年11月12日 バーデン・バーデン、ハンス・ロスバウト・スタジオ(ステレオ)#
1979年3月14日 シュトゥットガルト、スタジオ des SDR(ステレオ)*
20世紀ポーランドを代表する指揮者の一人、ヴィトルド・ロヴィツキ(1914-1989)。ロシアのタガンログに生まれ、1923年にポーランドに移住。クラクフの音 楽院に入学し、在学中の1933年に指揮者としてデビューを果たしました。1938年に音楽院を卒業すると、同学院のヴァイオリン科教授に就任、ナチス・ド イツとソビエト連邦によるポーランド占領期にはクラクフで過ごしました。戦後はポーランド国立RSOをカトヴィツェで復活させるとともに、1958年- 77年まではワルシャワ国立POの音楽監督を務めました。何度も海外公演を行い、ポーランド政府から数回にわたり叙勲されていま す。その後西ドイツに移り、1982年から1985年までバンベルクSOの首席指揮者を務めたほか、ロンドンSO、フィルハーモニアO、ロイ ヤルPO、読売日本SO、ウィーンSOなどにも客演しました。同時代の音楽にも積極的に取り組み、ルトスワフスキの 「管弦楽のための協奏曲」は彼に献呈されています。 録音はロンドン響とのドヴォルザーク:交響曲全集やリヒテルとの協奏曲など限られたものしかなく、このチャイコフスキー・アルバムはすべて初出音源で、ロヴィ ツキのディスコグラフィの欠落を補う貴重なもの。ロヴィツキの指揮は速めのテンポで細部まで的確にコントロールしており、耽美的・感傷的なムードに溺れるこ となく、筋肉質でシャープ、タフな表現を基本的な特徴としています。それは1979年録音の『くるみ割り人形』の抒情的な「花のワルツ」でも変わらず、生涯 を通してストレートな演奏を聴かせたロヴィツキらしい解釈を楽しめます。 *オリジナルの放送用テープより新たにマスタリングされています。

GRAND SLAM
GS-2253(2CD)
(1)ブルックナー:交響曲第8番ハ短調(改訂版)
(2)シューベルト:交響曲第9番ハ長調 D.944「ザ・グレイト」
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)VPO

録音:(1)1954年4月10日ムジークフェラインザール(ウィーン)
(2)1943年5月12日ストックホルム・コンサートホール(ストックホルム)
使用音源:Private archive (2トラック、19センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:モノラル(ラジオ放送用ライヴ録音)
■制作者より  
ブルックナーはGS-2015/16(2006年11月発売/廃盤)、シューベルトはGS-2128(2015年4月発売/廃盤)のそれぞれ最新リマスターによる音質刷 新版での再登場となります。この2枚組ではテープ録音(2トラック、19センチ、オープンリール・テープ)のみの音源を使用、2枚組ながら1枚価格です! シュー ベルトは終演後の拍手がすべて収録(約3分半)されているのも珍しいです。 なお、シューベルトの第2楽章330〜347小節にカットがありますが、これはフルトヴェングラー独自の見解によるもので、原盤および製造過程の事故ではあり ません。また、ブルックナーには混信と思われるノイズが、そしてシューベルトにはアセテート盤に起因するノイズがそれぞれ含まれています。ご了承下さい。 (平林 直哉)

Hanssler
HC-21029(1CD)
バッハ・ファミリーの交響曲集
(1)W.F.バッハ:弦楽と通奏低音のための交響曲 ニ長調 BR-WFB C Inc.1【世界初録音】
(2)C.P.E.バッハ:弦楽と通奏低音のための交響曲 変ホ長調 Wq/H deest【世界初録音】
(3)C.P.E.バッハ:弦楽と通奏低音のための交響曲 ハ長調 Wq/H deest【世界初録音】
(4)C.P.E.バッハ:弦楽と通奏低音のための交響曲 ホ短調 Wq 177(1759)
(5)ヨハン・クリストフ・フリードリヒ・バッハ:弦楽と通奏低音のための交響曲 ニ短調
(6)J.E.バッハ:弦楽、2つのファゴットと通奏低音のための交響曲 変ロ長調 BR-JEB C 1【世界初録音】
(7)J.L.バッハ:2つのヴァイオリン、2つのオーボエ、弦楽と通奏低音のための協奏曲 ニ長調
(8)バッハ:ヴァイオリン、2つのオーボエ、3つのトランペット、弦楽、ティンパニと通奏低音のためのシンフォニア BWV 1045
ベルリン・バロック・ゾリステン
クシシュトフ・ポロネク(コンサートマスター、(7)(8)独奏ヴァイオリン)
(7)町田琴和(第2独奏ヴァイオリン)
ドリアン・ジョジ、ヘレーナ・オッテンリップス、クリストフ・シュトロイリ、ライマー・オルロフスキー、アンナ・ルイーザ・メーリン、マリー・ラーダウアー=プランク(Vn)
ヴァルター・キュスナー、ユリア・ガルテマン(Va)
ジョアン・バシュ、ファビアン・ボレック(Vc)
ウルリヒ・ヴォルフ(ヴィオローネ)
ラファエル・アルパーマン(Cemb)
(7)(8)クリストフ・ハルトマン、アンドレーアス・ヴィットマン(Ob) (6)マルクス・ヴァイトマン、ルイーザ・スローザル(Fg)
(8)ラインハルト・フリードリヒ、アンドレ・ショッホ、フェリックスビルデ(Tp)
(8)ライナー・ゼーガーズ(ティンパニ)
ラインハルト・ゲーベル(指)

録音:2021年4月11-15日ベルリン・フィルハーモニー、カンマームジークザール(ベルリン)
世界最高峰のメンバーが揃ったベルリン・バロック・ゾリステン。近年は独ヘンスラー・レーベルより積極的なリリースが続いております。期待の新録音は「バッ ハ・ファミリーのカンタータ集」(HC-19081)の続編でバッハ一族が作曲した弦楽のための交響曲(シンフォニア)を集めた「バッハ・ファミリーの交響曲集」です!
当アルバムでは大バッハの息子たちヴィルヘルム・フリーデマン(1710-1784)、カール・フィリップ・エマヌエル、ヨハン・クリストフ・フ リードリヒ(1732-1795)、大バッハの甥ヨハン・エルンスト(1722-1777)、大バッハの再従兄ヨハン・ルートヴィヒ(1677-1731)、そして大バッハ自身 の作品を収録。このうち4曲が世界初録音という実に興味深い内容です。
バロック時代もこれまであった音楽の形式を“否定”する形で新たな表現方法が生まれてきました。1740年代初頭、大バッハの2人の息子がイタリアから伝わっ た管弦楽法や作曲技法の斬新な扱いを取り入れ、「交響曲(シンフォニア)」というジャンルで自身の音楽を表現しました。以後、当ジャンルが最高峰と認められる までに発展したことは、18世紀における最も重要かつ重大な音楽的成果の一つと言えます。ここで聴く弦楽のための交響曲は作曲家の個性を現れた興味深い作 品ばかり。ゲーベル率いるベルリン・バロック・ゾリステンが敬愛を込めて演奏しております。なお、当録音ではベルリンPOのコンサート マスターに就任したポーランド出身のクシシュトフ・ポロネクがコンサートマスターと独奏ヴァイオリンを担当しております!
ゲーベルはムジカ・アンティクヮ・ケルン(MAK)と1986年から1987年にかけて録音したブランデンブルク協奏曲で「ピリオド楽器演奏における新たなア プローチ」として評価され、以後革新的な演奏で聴衆を魅了してきました。2018年にベルリン・バロック・ゾリステンの音楽監督に就任し、モーツァルトのセレナー ド第6番「セレナータ・ノットゥルナ」&第13番「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」(HC-21013)、ヘンデルの6つの合奏協奏曲 Op.3(HC-19031)、ベ ンヤミン・アップルをソリストに迎えた「バッハ・ファミリーのカンタータ集」をリリースしております。 (Ki)

King International
KKC-4299(2SACD)
限定発売
ルガーノのフルトヴェングラー/完全全曲
ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」
モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番*
R.シュトラウス:交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)
BPO
イヴォンヌ・ルフェビュール(P)*

録音:1954年5月15日 テアトロ・アポロ、ルガーノ(ライヴ)
解説:宇野功芳
1954年の11月30日に世を去る大指揮者が咲かせた最後の花々。この年の5月、フルトヴェングラーはベルリン・フィルを率いて最後の演奏旅行に出ました。4日に パリ・オペラ座で「運命」「未完成」などを(指)14日にはトリノでブラームスの「第3」ほかを振り、15日にはルガーノのテアトロ・アポロで(前半に)ベートーヴェンの「田 園」、(後半に)モーツァルトの「ピアノ協奏曲K.466」、R.シュトラウスの「ティル」を演奏しています。このルガーノにおける全曲の実況録音を収めたのが本ディスクです。 しかもこのディスクのマスターは (イタリア・チェトラが発売した)世界初出LPと同じ、ミラノ・ディスコスが制作したアナログ・テープ(1/4インチ幅、秒速38cm)。もとも と非常に良好な音質をキング関口台スタジオで最新デジタル・リマスタリングによりさらに改善、2枚組のSACDハイブリッド盤として発売します。
発売履歴・・・世界初出となったのがイタリア・チェトラの2枚組LP(LO529)。その音源(マスターテープ)からキングレコードが、「田園」はLP: SLF-5017〜 8(1980.6)、 K17C-9419(1984.10)、KIJC-2014〜5(1992.3.5), CD:K35Y-44(1980) ,KICC-2295(1993.7.21),KICC-1267(2016.6.22)で発 売。「K.466」はLP:SLF-5017〜8、K17C-9424(1984.10)、KIJC-2014〜5、CD:K33Y-192(1986.10.5)、KICC-2295,KICC-1267で発売。「ティル」は LP:SLF-5017〜8、K17C-9424、KIJC-2014〜5で発売しましたが、CD化はされておりませんでした。
これまでキングレコードから何回も発売を繰りかえしてきた名盤ですが、そのきっかけとなったのは1980年の最初から執筆された宇野功芳の名解説(7000 字)。今回初めてCD化される「ティル」も含めて、その貴重な全文をブックレットに転載します。 「(田園は)最晩年のフルトヴェングラーの心の中を垣間見るような演奏なのだ。彼の心の中はこれほどまでに淋しかったのだ。それがぼくを共感させるのです。」 「(モーツァルトのK.466は)1954年におけるフルトヴェングラーの代表盤のひとつであり、彼は最晩年に至って初めて理想のモーツァルトを鳴らし得たのであった。」 「(ティルは)演奏だけに焦点を当てれば、ぼくは第1にこの1954年のベルリン盤を採りたいのです。」 (宇野功芳 ライナー・ノーツより)

Arte dellarco Japan
ADJ-066(1CD)
オーケストラ・リベラ・クラシカ第43回定期演奏会
モーツァルト:歌劇『コジ・ファン・トゥッテ』 K.588より
 序曲
 アリア「岩のように」*
 レチタティーヴォ「ああ、行ってしまう…」*
 ロンド「お願いです、愛しい人」*
ハイドン:交響曲第10番ニ長調 Hob.I:10
 交響曲第100番ト長調 Hob.I:100『軍隊』
鈴木秀美((指)チェロ)
中江早希(ソプラノ独唱)*
オーケストラ・リベラ・クラシカ

ライヴ録音:2019年6月29日三鷹市芸術文化センター、風のホール
オーケストラ・リベラ・クラシカ(OLC)第43回定期演奏会をライヴ収録した当盤はモーツァルトの歌劇『コジ・ファン・トゥッテ』より序曲と主役のフィオルディ リージが歌うアリア2曲、ハイドンの交響曲第10番そして名曲第100番『軍隊』です!
フィオルディリージ役は現在最も注目されている気鋭のソプラノ中江早希が独唱を務めました。中江が最も得意するモーツァルト。2016年6月のOLC第37 回定期演奏会で超絶技巧を要するモーツァルトのコンサート・アリア2曲を歌いその圧倒的な歌唱で注目され、同ライヴを収録したディスク(ADJ-057)はレコー ド芸術誌の特選盤をはじめ絶賛されています。鈴木秀美が絶大な信頼を寄せる中江が豊かな声量と表現力で見事に歌い上げます。ブックレットには中江早希訳の 歌詞対訳付です。
後半はハイドンの交響曲10番と「ハイドン・セット」でおなじみの第100番『軍隊』を収録!第10番は当時の弦楽器の基本的なサイズである3-3-1-1-1で 演奏。そして軍楽隊の楽器であったトライアングル、シンバル、大太鼓などの打楽器が加わる編成の『軍隊』。ハイドンの代名詞『軍隊』を初期の爽やかな交響曲と 共に鈴木秀美率いるOLCのメンバーがお届けします! (Ki)


C Major
76-0604(4Bluray)
限定盤
偉大なる指揮者たち
■BD1
カルロス・クライバー
ドキュメンタリー「I AM LOST TO THE WORLD〜私はこの世に忘れ去られて」
■BD2
ゲオルク・ショルティ
ドキュメンタリー「JOURNEY OF A LIFETIME〜人生の旅」
ボーナス〜ショスタコーヴィチ:交響曲第1番
プロコフィエフ:「古典交響曲
ムソルグスキー:「ホヴァーンシチナ」前奏曲
■BD3
レナード・バーンスタイン
ドキュメンタリー「LARGER THAN LIFE〜偉大なるカリスマ」
ボーナス〜グスターヴォ・ドゥダメル、ケント・ナガノ、マリン・オールソップ
■BD4
ヘルベルト・フォン・カラヤン
ドキュメンタリー「MAESTRO FOR THE SCREEN〜スクリーン上のマエストロ」
コンサート〜バッハ:ブランデンブルク協奏曲第3番ト長調BWV1048、管弦楽組曲第2番ロ短調BWV1067
■BD1
監督:ゲオルク・ヴューブボルト
日本語字幕付
■BD2
ゲオルク・ショルティ(指)CSO
収録:1977年
■BD3
監督:ゲオルク・ヴューボルト
プロデューサー:ベルンハルト・フライシャー
日本語字幕付
■BD4
監督:ゲオルク・ヴューボルト,プロデューサー:ベルンハルト・フライシャー
ヘルベルト・フォン・カラヤン(指)BPO
映像監督:フランソワ・レシャンバック
収録:1967年、1968年、サル・プレイエル、パリ
日本語字幕付


画面:16:9/4:3
音声:PCMステレオ
324分
カルロス・クライバー、ゲオルク・ショルティ、レナード・バーンスタイン、ヘルベルト・フォン・カラヤンの20世紀後半を代表する名指揮者たちのドキュメンタリー 映像をブルーレイ・ボックス化。(DVDボックス(74-4108)は廃盤となります。)
2004年に逝去した伝説のカリスマ指揮者、カルロス・クライバーのドキュメンタリー映像。取り上げるレパートリーを絞り込み、少ない演奏会、決して多くはな い録音ではありましたが、ひとたび舞台に上がると聴く者すべてを魅了する演奏をした、生きながらにして伝説の指揮者でありました。タイトルの「Ich bin der Welt abhanden gekommen」はマーラーの「リュッケルトの詩による5つの歌曲集」の"私はこの世に忘れられて"からとられています。 この映像は、関係者、楽団員らの興味深い証言とバイロイトの「トリスタンとイゾルデ」のオーケストラピットでの映像など、クライバーのカリスマ性、音楽性を垣間 見ることのできる貴重な内容となっています。
22年間率いたシカゴ響の黄金期を築き、デッカの名プロデューサー、カルショーと録音されたワーグナーの「リング」全曲録音など、オーケストラ史、録音史に 多大なる功績を残したゲオルク・ショルティ。ショルティは亡くなる直前に優れた自伝を残していますが、この映像では、ヴァレリー未亡人の協力を得て、様々な貴 重な写真、映像を用いて、ショルティの生涯を立体的に伝えてくれます。後半は、ショルティとシカゴSOの演奏の映像。記録によると1977年10月19日 収録で、このコンビの黄金時代の記録です。
20世紀を代表する偉大な音楽家レナード・バーンスタイン。彼は指揮者、作曲者、そして教育者としても大きな業績を残したまさに万能の人物。このドキュメン タリーは、バーンスタインの幼少期時代のエピソードを交え、音楽家としてのストイックな姿勢、音楽だけでなく膨大な芸術に関する知識、タングルウッド、マーラー、 ウェストサイド・ストーリー、札幌の夏の風物詩となったPMFなどバーンスタインとは切っても切り離せない話題、そして共演者ら周囲に対してオープンマインドに 接する様子や彼の子供たちジェイミー、アレクサンダー、ニーナが語る父親としての顔など、様々な角度からバーンスタインという人間を掘り下げた内容です。
ヘルベルト・フォン・カラヤン生誕100周年を記念して製作されたドキュメンタリー「スクリーン上のマエストロ」。このドキュメンタリーは、カラヤンの「映像作 品制作」を中心とした内容で、徹底的に映像美を追求するカラヤンに加え、個人秘書、カメラマン、ベルリン・フィルの団員、大賀典雄(ソニー創業者)などの証言、 1957年の日本公演から1988年のブルックナーの交響曲第8番までのカラヤンのさまざまな映像作品の抜粋によって構成されています。最新メディアの先進的 な採用を積極的に行っていたカラヤンが特にこだわりを見せたのが「映像」。ゲオルク・ヴューボルトによるこのドキュメンタリーは、1957年のベルリン・フィル との初来日公演で行われた映像収録に触発され、クラシック音楽にとって映像がもつ大きな可能性に気付き、その後一貫して映像収録にこだわり続けたカラヤン の姿を克明に描いています。

DUX
DUX-1713(1CD)
クシシュトフ・メイエル(1943-):交響曲第9番Op.126「信仰と希望の交響曲」 ポズナンPO
クラクフ・シマノフスキ・フィルハーモニーcho、
ヤクブ・クレノヴィチ(指)

2016年3月18日、ポズナン・フィルハーモニー・コンサート・ホール(ポズナン、ポーランド)
現代のポーランドを代表する作曲家の1人、クシシュトフ・メイエルの大作、ダビデの詩篇による合唱とオーケストラのための交響曲第9番「ダビデの詩篇による合唱とオーケストラのための交響曲第9番「信仰と希望のシンフォニー」作品126を収録」を収録。
この最新作は、明確なメッセージが込められたモニュメンタルな声楽と器楽のシンフォニーとして作曲されています。
2015年に作曲の作業を開始した際、メイエルは古代のダヴィデ詩篇に手を伸ばし、ポーランドと世界の現状について、「嘘の言葉」が広がり、人々が「戦争に突入」し、ますます明確に「平和を憎む」ことへの憂慮を表明すべく筆を進めたと言います。
楽章ごとにアンサンブルの規模や編成、使用楽器が大きく異なり、フルキャストで演奏されるのは終楽章のみという「交響曲第9番」。
2016年にポズナン・フィルハーモニー・コンサート・ホールで世界初演が行われた際のライヴ・レコ―ディングです。


Altus
ALT-510(2CD)

INA秘蔵音源・バーンスタインのマーラー・ライヴ
マーラー:交響曲第1番「巨人」*
交響曲第2番「復活」
レナード・バーンスタイン(指)
モンテカルロ国立歌劇場O*
ベルト・モンマール(S)、
オラリア・ドミンゲス(Ms)、
フランス国立放送O&cho

録音:1962年8月11日モナコ大公宮殿前庭(モノラル・ライヴ)*
1958年11月13日パリ、シャンゼリゼ劇場(モノラル・ライヴ)
INA(フランス国立視聴覚研究所)所有音源をライセンスしてALTUS入魂のマスタリングでCD化。40代前半のバーンスタインによる情熱みなぎるマーラー・ラ イヴ!「巨人」は記念すべき初CD化であり、「復活」もしばらく市場から姿を消していた音源です。
両曲とも1回目のマーラー全集録音前でありながら、曲への共感度・燃焼度ともに最高レベルの大演奏。オーケストラも完璧に食らいついています。「巨人」は夭 逝の天才フルート奏者・加藤恕彦(ひろひこ)氏が主席奏者に在籍していた時期のモンテカルロ歌劇場管。演奏は清々しいまでの覇気にあふれ、第3楽章の民族的 歌いまわしやフィナーレの圧倒的大団円感が抜群。またフランス国立管との「復活」はリマスター効果めざましく、コントラバスやティンパニの迫りくる存在感、世 界がひっくり返るような大音響、どこまでも歌い上げ高まりゆく合唱など、バーンスタイン迫真の表現がとことん楽しめます。
◆〈若きバーンスタインのほとばしる情熱が全編に横溢している上に、歌うべきところは徹底的に歌い上げる〉〈マーラーの音楽に対して、並々ならぬ自信をもって 指揮をしている姿が目に浮かんでくる〉〜白柳龍一氏の解説より

PROSPERO CLASSICAL
PROSP-0030(1CD)


KKC-6478(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価
シューベルト:歌劇『フィエラブラス』序曲 D796
交響曲(第7番)ホ長調 D729 「2020年リヒャルト・デュンサー補筆完成版」
スケルツォ. アレグロ・モデラート 【D936(1828) 第3楽章、マリオ・ヴェンツァーゴ補筆完成版(2021)】
マリオ・ヴェンツァーゴ(指)ベルンSO

録音:2021年6月1-5日/スイス、カジノ・ベルン
旧全集では完成品と見做され、第7番とナンバリングされたシューベルト未完のホ長調交響曲(D729)。オーストリアの作曲家リヒャルト・デュンサーの手によ る2020年補筆完成版を収録しています。
D729はロ短調交響曲『未完成』D759の前年、1821年にスコア譜の状態で筆が進められました。荘重な序奏をもつ第1楽章は冒頭から100小節以上もオー ケストレーションまで完成されていて、以降は主旋律などの核となる部分が書かれるのみですが全4楽章にわたり小節線がきちんと引かれ、最後の終止線までの 骨格が残されています。これを基にした補完版は、ブライアン・ニューボールド版(1982年)がネヴィル・マリナーの録音などで比較的知られているでしょう。
このCDでは、中間楽章に別の未完成交響曲の楽章(D708A、D936A)を採用するという少し変わった手法が取られています。D708AはD729の直前に 書かれていた交響曲。またD936Aは「第10番」とも言われる死の直前に書かれていた交響曲で、ベリオの『レンダリング』の素材にもなった名品。あえて別の 断章を組み合わせることで、音楽的完成度の高い楽章が続く充実した交響曲として書き上げるという試みがなされています。
指揮は『未完成』D759の補完版を自ら書き録音もしているヴェンツァーゴ。今回も補筆段階から関り、アイデアを出し共に進めてきた企画となっています。ま た、ヴェンツァーゴによるスケルツォ楽章の「第2案」も収録。これは未来を志向した音楽であるD936Aのスケルツォに基づいたもので、シューベルトが見ていた かもしれない前衛的で大胆な世界へと果敢に切り込んでいく音楽となっています。
歌劇『フィエラブラス』は1823年に書かれたシューベルト最後のオペラ。序曲も大変充実した音楽で、同時期に書かれた作品としてこれ以上ないカップリング です。 (Ki)

MDG
MDG-95222356
(1SACD)
グラズノフ:交響曲第7番「田園」
交響詩「ステンカ・ラージン」 Op.13
抒情的な詩 Op.12/序曲「謝肉祭」Op.45
ミケル・キュトソン(指)
ニーダーラインSO
エストニア出身のミケル・キュトソン率いるニーダーラインSOによるグラズノフ。 交響曲第7番「田園」はグラズノフ37歳の作品で、副題はベートーヴェンの交響曲第6番「田園」を元に描かれているところからそう呼ばれています。色彩的なオー ケストレーション、ロシアの自然賛歌を、朗々と歌いあげる作品。そしてロシア民謡「ヴォルガの舟歌」を用いて巨大かつ壮絶な盛り上がりをみせる傑作『ステンカ・ ラージン』。甘美でまさに抒情的な旋律に息をのむ『抒情的な詩』。賑やかな祭りの喧騒をあらわした『謝肉祭』とロシア的な要素にあふれた交響曲と管弦楽作品 が収録されています。 ミケル・キュトソン率いるニーダーラインSOの演奏は、グラズノフの音楽的魅力をうまく引き出した、壮大かつロマンあふれる演奏となっています。 (Ki)


Treasures
TRE-265(1CDR)
ヴェルディケ〜ハイドン:交響曲集Vol.1
交響曲第100番ト長調 「軍隊」 Hob.I:100
交響曲第101番ニ長調 「時計」 Hob.I:101
交響曲第102番変ロ長調 Hob.I:102*
モーゲンス・ヴェルディケ(指)
ウィーン国立歌劇場O

録音:1956年6月ウィーン楽友協会小ホール(ステレオ)
※音源:墺amadeo AVRS-12013St*、AVRS-12014St
◎収録時間:74:20
“今こそ聴きたい、永久に光を失わないハイドンの究極形!”
音源について
★ステレオ最初期とは思えぬ高音質録音としても知られるヴェルディケのハイドン。Vanguard原盤ですが、米プレス盤はどれも音がやや腰高で粗雑感が否めません。その点このamedeoのライセンス盤は腰の座った風格溢れる響きが素晴らしく、米盤では気づかなかった多彩なニュアンスに出会えて感動もひとしおです!

★作品への一途な愛や表現の貪欲さよりも、使用楽譜、楽器、奏法等で他者と差別化を図ることに熱心な演奏が増えつつある昨今、その傾向が最も顕著なのが、ハイドン、モーツァルト。中途半端にピリオド奏法を採用している時点で表現の伸びしろが抑えられているのですから、一時代前の巨匠のような、自身の全てを注入して魂を揺さぶる演奏など生まれにくいのは当然と言えましょう。ましてや、世の中全体の技術の進歩に伴って人間力がますます低下するとあっては、手応え満点の演奏なんて無理な注文かもしれません。ただ、ビーチャムやクレンペラーのような演奏はもう聴けないにしても、他に目指す道がある!と思わせてくれるのがヴェルディケのハイドン。全ての曲が、指揮者の存在を超越して作品の潜在的な魅力が絶え間なく放出される驚異的な名演ですあり、これぞ普遍的芸術の極みです!
その成果の最大の要因は、ヴェルディケの堅固な造形力と響きの凝縮力。音符を素直に見つめ、バランスよく配合することで生まれる凛とした威容は他に例を見ませんし、オケもウィーン的な風情を残しつつ、過度に甘美に傾くことを制御することで得も言われぬ気品が醸成されます。ハイドン特有のユーモアおw拡大解釈しない姿勢、全ての演奏家の規範と言えましょう。
「軍隊」第1楽章序奏からして、その声部バランスの完璧さと品格に息を呑み、コーダでの内声の充実による響きの厚みには惚れ惚れするばかり。そこに誇張は一切ないので、全ての表情が瑞々しく、音楽に生命が宿るのです。第2楽章の打楽器の鳴らし方も同様。こういう場面で単純にどんちゃん騒ぎしてハイドンらしさを出していると勘違いしている演奏がなんと多いことでしょう。
 「時計」1楽章序奏でもまず響きの美しさと厚みに惹きつけられ、特に1:16からの低弦の唸りから木管への橋渡しの絶妙さは必聴!主部以降は中庸のテンポで何もしていないよでいて、指揮者が成すべき任務を全て完遂し、気づくと最後まで心地よい緊張の虜に。このパリッとした風情は、作品の力と指揮者の義務を十分に知り尽くした人だけが醸し出せるものでしょう。第2楽章も淡々とした進行の中に楽器同士を有機的に連動させることに専心。2:50からはトランペットが突如として浮揚しますが、これが誇張に響かず、不思議な幻想を招くのです。終楽章でハッとさせられるのはテンポ。従来からよく耳にしてきた何の変哲もないヴィヴァーチェですが、多くの指揮者が採用したのにはそれだけの理由があるのだと思い知らされます。2:05からの管楽器の立ち上がりを聴けば、このテンポ以外以外にあり得ないと痛感されることでしょう。そして展開部以降の壮絶なドラマ!メリハリの効いたリズムと折り目正しいフレージングがウィーン流儀の甘美な感触と見事に融合し、極上のコクが醸し出されるのです。
102番も、ハイドンの交響曲は楽譜を丁寧に紡ぎ出せば楽しさも味わいも自然に湧き出るということを実証。突飛なアクセントやデフォルメなど出る幕なし。ハイドンの音楽は、演奏者自らが楽しんでしまっては音楽自体が微笑んでくれないのかもしれません。第2楽章は弦のシルキーさが心に染み、特にチェロ・パートの美しさは格別。第3楽章の中間部のウィーンのオケの特質が最大に活きた響きそれ自体が音楽!オケの合奏力の高さも特筆もの。終楽章はまず推進力が見事!最近はもっと高速でシャープな演奏が溢れていますが、「スピーディ」では困るのです!温もり、潤い、まろやかさを伴った爽快さががピリオド奏法ではほとんど見出だせないのは悲しい限りです。
今後、指揮者の人間的な魅力がますます稀薄になろうとも、ヴェルディケが示したような指揮者の本分だけは忘れないでほしいものです。「分かりやすい演奏効果」優先では、「豊穣な音楽」など本当に過去の遺物となってしまうと思うのです。 【2021年12月・湧々堂】


GENUIN
GEN-22742(4CD)
ハインツ・レーグナー/ライプツィヒ・ゲヴァントハウスでのライヴ録音集
(1)メンデルスゾーン:序曲「静かな海と楽しい航海」
(2)ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」
(3)シューベルト:交響曲第8番「未完成」
(4)シューベルト(マーラー編):弦楽四重奏曲第14番「死と乙女」
(5)レーガー:モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ Op.132
(6)ラヴェル:クープランの墓
(7)ブルックナー:交響曲第6番
(8)ガーシュウィン:パリのアメリカ人
ハインツ・レーグナー(指)
(1)(2)(8)MDR室内PO
(3)-(7)MDR響

録音:(1)1999年2月20日、(2)1999年2月28日、(3)1995年8月25日、(4)1997年9月21-22日、(5)1998年10月20日、(6)2001年8月8日、(7)1994年7月12日、(8)1997年12月25日、ライプツィヒ・ゲヴァントハウスにおけるライヴ(全て)
ライプツィヒ生まれの指揮者ハインツ・レーグナー(1929-2001)が、ライプツィヒのMDR響(旧ライプツィヒ放送響)とMDR室内フィルハーモ ニーを指揮したライヴ録音集。突出して素晴らしいのが、ディスク1に収録されているメンデルスゾーンと&ベートーヴェン。
 メンデルスゾーンの序曲は、タイトルから連想される屈託のない楽しさを超越し、まるで人生の一大叙事詩のように圧倒的な説得力で迫ります。とにかく、サラッと流す瞬間が皆無。序奏部から憧れと切なさが入り混じったニュアンスを内声の抉り出しによって徹底表出。絶妙なルフト・パウゼからの主部は、あのケーゲルを思わせる屈折美の連続で、6:51からは憚ることを知らないフレーズの愛撫から恍惚の光が滲みます。10:35からの大胆なテンポの落とし方も、凄い凝縮力。最後のファンファーレで初めて緊張から開放されますが、コーダでは砂に水が染み込むような儚さを漂わせるのです。メンデルスゾーン自身の想定をも超えているであろう、恐るべき高内容の名演の誕生です!
 「田園」がこれまたレーグナーならではの内声の充実ぶりが最高次元に達した超名演!第1楽章冒頭ではヴィオラを中心とした声部の彩の表出に驚かされ、第2主題前のルフトパウゼや、1:46からの末端まで慈しみぬいたフレージングは、レーグナーの作品への愛情が、単なる「共感」以上の深さであることを物語ります。声部の炙り出しにしても、理屈でオケを説き伏せたのではなく、全パートに主役として歌うことを求めた結果としての音像が広がるので、どこを取っても音楽が温かいのです。
 そのレーグナーの温かな人間味が大きな包容力で迫るのが第2楽章。ここでも全パートが惜しげもなく歌い、支え合いうことで生まれるハーモニーは、あまりにも豊かで純粋なので、聴き手も感性全開で臨む必要があります。
第4楽章は、レーグナーのバランス感覚の妙に脱帽。ティンパニの強打に頼る単純志向とは無縁の声部操作と楽想への執着ぶりから、真のドラマが醸成されるのです。
 そして感動的な終楽章!これほど生への感謝が音化された演奏は稀ではないでしょうか?忘我の先の平穏な空気感をたたえた緩やかなテンポがまず素敵。ピチカート以降はパステル調の色彩が拡散し、人間と自然への愛を本当に知る尽くした人間だけがなし得る佇まいを繰り広げるのです。
ところで、ジャケットに使われているレーグナーの顔写真。その優しい目の奥にとてつもない悲しみを感じるのは気のせいでしょうか?  【湧々堂 2022年3月】

Diapason
DIAPCF-024(11CD)
チャイコフスキー:交響曲、協奏曲&室内楽作品集 〜 仏ディアパゾン誌のジャーナリストの選曲による名録音集



【CD1】
(1)交響曲第1番ト短調 Op.13「冬の日の幻想」
(2)交響曲第2番ハ短調 Op.17「小ロシア」
(3)スラヴ行進曲 Op.31

【CD2】
(1)交響曲第3番ニ長調 Op.29「ポーランド」
(2)幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」Op.32
(3)アレクサンドルV世戴冠式行進曲ニ長調

【CD3】
(1)交響曲第4番ヘ短調 Op.36
(2)幻想序曲「ハムレット」Op.67
(3)幻想序曲「ロメオとジュリエット」

【CD4】
(1)交響曲第5番ホ短調 Op.64
(2)幻想曲「テンペスト」Op.18
(3)序曲「1812年」Op.49

【CD5】
(1)交響曲第6番ロ短調 Op.74「悲愴」
(2)イタリア奇想曲 Op.45
(3)序曲「1812年」Op.49

【CD6】
(1)ロココ風の主題による変奏曲 Op.33
(2)マンフレッド交響曲 Op.58

【CD7】
(1)ピアノ協奏曲第1番変ロ短調 Op.23
(2)ピアノ協奏曲第2番ト長調 Op.44
(3)「四季」〜11月「トロイカ」

【CD8】
(1)ピアノ三重奏曲イ短調 Op.50「ある偉大な芸術家の思い出のために」
(2)協奏的幻想曲ト長調 Op.56

【CD9】
(1)ヴァイオリン協奏曲ニ長調 Op.35
(2)ゆううつなセレナード Op.26
(3)弦楽六重奏曲ニ短調 Op.70「フィレンツェの

【CD10】
(1)弦楽セレナード ハ長調 Op.48
(2)弦楽四重奏曲第1番ニ長調 Op.11
(3)ワルツ・スケルツォ Op.34
(4)なつかしい土地の思い出 Op.42
瞑想曲ニ短調 Op.42-1
(5)スケルツォ ハ短調 Op.42-2
(6)メロディ変ホ長調 Op.42-3

【CD11】
弦楽四重奏曲第2番ヘ長調 Op.22
弦楽四重奏曲第3番変ホ短調 Op.30

録音選定:デュック・ムソー、ディディエ・ファン・モエレ、クリストフ・フス、ローラン・ミュラロ、ベルトラン・ボワサール、ジャン=ミシェル・モルコー
【CD1】
(1)ニコライ・ゴロワノフ(指)モスクワRSO
録音:1948年
(2)ディミトリ・ミトロプーロス(指)ミネアポリスSO
録音:1946年
(3)パウル・ファン・ケンペン(指)アムステルダム・ロイヤルコンセルトヘボウO
録音:1951年

【CD2】
(1)エイドリアン・ボールト(指)ロンドンPO
録音:1956年
(2)イーゴリ・マルケヴィチ(指)LSO
録音:1962年
(3)ヴィアチェスラフ・オフチニコフ(指)モスクワRSO
録音:1979年
【CD3】
(1)アンタル・ドラティ(指)LSO
録音:1960年
(2)エイドリアン・ボールト(指)ロンドンPO
録音:1952年
(3)セルゲイ・クーセヴィツキー(指)ボストンSO
録音:1936年
【CD4】
(1)エフゲニー・ムラヴィンスキー(指)レニングラードPO
録音:1960年
(2)エフゲニー・スヴェトラーノフ(指)ソヴィエト国立SO
録音:1970年
(3)ニコライ・ゴロワノフ(指)モスクワRSO
録音:1948年
【CD5】
(1)イーゴリ・マルケヴィチ(指)LSO
録音:1962年
(2)キリル・コンドラシン(指)ビクターSO
録音:1958年
(3)アンタル・ドラティ(指)ミネアポリスSO、ミネソタ大学吹奏楽団
録音:1958年
【CD6】
(1)ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(Vc)、ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー(指)レニングラードPO
(2)アレクサンドル・ガウク(指)モスクワRSO
録音:1949年
【CD7】
(1)エミール・ギレリス(P)、カレル・アンチェル(指)チェコPO
録音:1953年
(2)シューラ・チェルカスキー(P)、リヒャルト・クラウス(指)ベルリンPO
録音:1955年
(3)ラフマニノフ(P)
録音:1920年
【CD8】
(1)レオニード・コーガン(Vn)、ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(Vc)、エミール・ギレリス(P)
録音:1952年
(2)タチアナ・ニコラーエワ(P)、キリル・コンドラシン(指)ソヴィエト国立SO
録音:1950年頃
【CD9】
(1)ダヴィド・オイストラフ(Vn)、ユージン・オーマンディ(指)フィラデルフィアO
録音:1959年
(2)ヤッシャ・ハイフェッツ(Vn)、アルフレッド・ウォーレンスタイン(指)ロサンゼルス・フィルハーモニック
録音:1954年
(3)レオニード・コーガン(Vn)、エリーザベト・ギレリス(Vn)、ルドルフ・バルシャイ(Va)、ゲンリフ・タラリアン(Va)、スヴャトスラフ・クヌシェヴィツキ(Vc)、ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(Vc)
録音:1956年
【CD10】
(1)ゲオルク・ショルティ(指)イスラエルPO
録音:1958年
(2)ハリウッドSQ〔フェリックス・スラットキン(Vn)、ポール・シュアー(Vn)、ポール・ロビン(Va)、エリナー・アラー(Vc)〕
録音:1952年
(3)ダヴィド・オイストラフ(Vn)、ウラディーミル・ヤンポルスキ(P)
録音:1956年
(4)ミロン・ポリアキン(Vn)、ウラディーミル・ヤンポルスキ(P)
録音:1939年
(5)ナタン・ミルシテイン(Vn)、レオポルド・ミットマン(P)
録音:1938年
(6)ヨーゼフ・ハシッド(Vn)、ジェラルド・ムーア(P)
録音:1940年
【CD11】
ボロディン・クヮルテット〔ロスティスラフ・ドゥビンスキー(Vn)、ヤロスラフ・アレクサンドロフ(Vn)、ディミトリー・シェバリーン(Va)、ヴァレンティン・ベルリンスキー(Vc)〕
録音:1953年頃
芸術の国フランスの世界的クラシック音楽専門誌、「ディアパゾン(Diapason)」の自主製作レーベルの看板であるボックス・セット・シリーズの第24弾として、いよいよチャイコフスキーの交響曲集(+協奏曲&室内楽曲)が登場します!!
ムラヴィンスキーやスヴェトラーノフ、ゴロワノフ、ガウク、コンドラシン、ロジェストヴェンスキー、オフチニコフなどのロシア人指揮者の演奏を数多く選出するのと同時に、ケンペンやボールト、マルケヴィチ(出身はロシア帝国)、ミトロプーロス、ドラティ、クーセヴィツキーなどの演奏も収録するなど、ディアパゾン誌ならではの選曲眼とコネクションは今回の第24弾「チャイコフスキー」でも存分に発揮されています。
協奏曲や室内楽曲の演奏者もギレリスやロストロポーヴィチ、ニコラーエワ、チェルカスキー、ラフマニノフ、ハリウッドSQ、ボロディン・クヮルテットなど非常に多彩で豪華!
ディアパゾン誌が自信を持って送り出すチャイコフスキー・ボックスが堂々の登場です!

オクタヴィア
OVCL-00777(12CD)
三方背BOX+プラケース仕様
税込定価
2022年1月26日発売
ショスタコーヴィチ交響曲全集 at 日比谷公会堂
交響曲第1番ヘ短調Op.10※2種類演奏を収録
交響曲第2番ロ長調Op.14 「十月革命に捧げる」
交響曲第3番変ホ長調Op.20 「メーデー」
交響曲第4番ハ短調Op.43
交響曲第5番ニ短調Op.47
交響曲第6番ロ短調Op.54
交響曲第7番ハ長調Op.60 「レニングラード」
交響曲第8番ハ短調Op.65
交響曲第9番変ホ短調Op.70
交響曲第10番ホ短調Op.93
交響曲第11番ト短調Op.103 「1905年」
交響曲第12番ニ短調Op.112 「1917年」
交響曲第13番変ロ短調Op.113 「バビ・ヤール」
交響曲第14番ト短調Op.135 「死者の歌」
交響曲第15番イ長調Op.141
井上道義(指)
サンクトペテルブルクSO(第1番-第3番、第5番-第7番、第10番、第13番)、
千葉県少年少女オーケストラ(第1番)、
東京フィルハーモニーSO(第4番)、
新日本フィルハーモニーSO(第8番、第9番、第15番)、
名古屋フィルハーモニーSO(第11番、第12番)、広島SO(第14番)
セルゲイ・アレクサーシキン(Br)(第13番、第14番)
アンナ・シャファジンスカヤ(S)(第14番)
栗友会(合唱)(第2番、第3番)
東京オペラシンガーズ(男声合唱)(第13番)

録音:2007年11月3日(第1番-第3番)、11月4日(第5番・第6番)、11月10日(第1番・第7番)、11月11日(第10番・第13番)、11月18日(第14番)、12月1日(第4番)、12月5日(第11番・第12番)、12月9日(第8番)、2016年2月13日(第9番・第15番)
日比谷公会堂にてライヴ収録
「今はショスタコーヴィチは僕自身だ!」と語る井上道義2007年に成し遂げた「ショスタコーヴィチ交響曲全曲演奏 会at日比谷公会堂」。昭和のクラシックの殿堂として多くのコンサートが行なわれてきた日比谷公会堂にて、計1万 人を上る観客を動員し、国内外の各オーケストラが競うように快演を生み、各方面で絶賛の嵐を受け、大成功を収 めました。 この大偉業は一部2016年の公演を入れて、全集として2017年2月に豪華パッケージとなり大きな反響をよびまし たが、限定数量での生産だったため、発売日当日には完売してしまい、再発売を望む声が相次ぎました。 約5年の時を経て、ついに新装パッケージで再発売となります。ブックレットには、亀山郁夫氏の新たなライナーノート と井上道義によるコメントも追加され、読み応え十分。(オクタヴィア)

Altus
ALTL-015(1CD)
マーラー:交響曲第4番ト長調(エルヴィン・シュタインによる室内楽版) 中山美紀(S)
青木尚佳 (コンサートマスター)
坂入健司郎(指)
東京ユヴェントス・フィルハーモニー

録音:2020年8月23日/宮地楽器ホール(小金井市文化センター)【東京ユヴェントス・フィルハーモニー特別演奏会】
東京ユヴェントス・フィルハーモニーは2008年に慶應義塾の高校生・大学生を中心として結成されたオーケストラ。指揮者・坂入健司郎のもと、マーラーやブ ルックナーなど大編成の作品の演奏・録音が高く評価されてきました。今では慶応出身者以外の社会人などもメンバーに名を連ね、年齢層も幅広く、演奏会のた びに充実した音楽を聴かせる名団体として広く知られています。
コロナ禍で演奏会の開催がままならず、音楽家にとっていかに音楽を届ければ良いのかを突きつけられた2020年。特別演奏会という形で演奏されたこのマー ラーは、無観客で室内楽編成の演奏を録音し、ライヴ盤CDで発売するという試みであり、一斉自粛を抜けて安全に行える演奏会のあり方を少しずつ模索しだした 時のもの。同年ミュンヘン・フィルのコンマスに選ばれたヴァイオリニスト青木尚佳と、マーラー「千人」(ALTL-012/3)にも参加したソプラノ中山美紀を迎えた、 この時にしか出来ない特別な演奏会。新鮮な音楽の喜びを伝えてくれる1枚です。
「演奏する曲目は、マーラーの交響曲第4番――コロナ禍の100年前、スペイン風邪が猛威をふるっていた頃にシェーンベルクが主宰する「私的演 奏協会」が演奏者の規模を縮小しプロ・アマ問わず集まった好楽家が“密”な音楽を提供できるようエルヴィン・シュタインが編曲したもので、まさにコロナ禍の今 だからこそ我々が取り上げるべき作品でした」(坂入健司郎)/「音楽を心から愛し、信頼するマエストロのもとユヴェントスにしか出せないエネルギーが解き放た れる本番は、いつ聴いても心を動かされます」(青木尚佳)/「自宅から飛び出して約半年ぶりに聴いた楽器の音は、身震いするほどの美しさでした。相手の目を 見、耳を澄ませ、音の香りや色彩を感じ、そんな風に息遣いまで分かち合えるアンサンブルができて、ようやく私の中の音楽が息を吹き返したような体験をしまし た」(中山美紀) 〜解説書より抜粋

GRAND SLAM
GS-2257(1CD)
“フルトヴェングラー・ステレオ・トランスクリプション 2”
(1)シューマン:交響曲第4番ニ短調 Op.120
(2)ハイドン:交響曲第88番ト長調 Hob.I:88
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)BPO

録音:(1)1953年5月14日、(2)1951年12月4&5日/イエス・キリスト教会(ベルリン)

使用音源:(1)ドイツ・グラモフォン 139 971(未刊行テスト・プレスLP)
(2)ドイツ・グラモフォン 139 969(未刊行テスト・プレスLP)
録音方式:ステレオ(モノラル録音の電気的ステレオ)
■制作者より 
未刊行に終わったテスト・プレスLPより復刻した“フルトヴェングラー・ステレオ・トランスクリプション”の第2弾は、セッション録音によるシューマンの交響曲 第4番とハイドンの同第88番です。演奏内容については、もはや説明不要でしょう。今回の2曲は最も音質の安定したもので、疑似ステレオの効果はライヴによる 「運命」+「エグモント」序曲(GS-2256)よりも勝っているかもしれません。特にシューマンは幻想的な作風ですので、ステレオ化は非常に成功していると言え ます。  なお、このディスクはLPからの復刻ですので、LP特有のノイズが混入します。ご了承下さい。(平林 直哉)
GRAND SLAM
GS-2256(1CD)
“フルトヴェングラー・ステレオ・トランスクリプション 1”
ベートーヴェン:交響曲第5番『運命』
『エグモント』序曲 Op.84
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指揮BPO

録音:1947年5月27日ベルリン放送会館、ゼンデザール
使用音源:ドイツ・グラモフォン 139 962(未刊行テスト・プレスLP)
録音方式:ステレオ(モノラル録音の電気的ステレオ)
■制作者より
1960年代後半から1970年代前半にかけて、フルトヴェングラーのLPはドイツ・エレクトローラの“ブライトクランク”、そしてドイツ・グラモフォンの“ステレオ・ トランスクリプション”と、疑似ステレオ盤がごく普通に売られていました。従って、この頃にフルトヴェングラーに親しんだ人たちは、疑似ステレオ盤をごく当たり 前に聴いていたのです。  フルトヴェングラーの“ステレオ・トランスクリプション”は国内では13枚組LPとして発売されましたが(のちに分売もあり)、ドイツ国内ではなぜかこのシリー ズは全く発売されませんでした。ところがこのほど、未刊行のテスト・プレスを複数手に入れました。つまり、本国では番号を決め、テスト・プレスまで行われたの にもかかわらず、製品化はされなかったのです。 この“幻のテスト・プレス”復刻シリーズの第1弾は、もはや説明不要のベルリン復帰3日めのライヴです。制作者自身も含め、当時この音でフルトヴェングラー を聴いたファンには良き思い出の品となるかもしれません。この疑似ステレオこそが本物のフルトヴェングラーの音に近いなどとは言いませんが、オリジナル・モノ ラルとは全く異なった趣があることだけは確かです。未体験の人も、案外やみつきになるかもしれません。 なお、この“フルトヴェングラー・ステレオ・トランスクリプション”シリーズはLP復刻ですので、LP特有のノイズが混入します。あらかじめ、ご了承下さい。(平林 直哉)

EUROARTS
20-57373(4Bluray)

20-57379(4DVD)
ベートーヴェン:交響曲全集
交響曲第1番ハ長調 作品21
交響曲第2番ニ長調 作品36
交響曲第3番変ホ長調 作品55「英雄」
交響曲第4番変ロ長調 作品60
交響曲第5番ハ短調 作品67「運命」
交響曲第6番ヘ長調 作品68「田園」
交響曲第7番イ長調 作品92
交響曲第8番ヘ長調 作品93
交響曲第9番ニ短調 作品125「合唱」

●ボーナス映像
「インタビュー:クラウディオ・アバド、ベートーヴェンについて語る」(26分)
クラウディオ・アバド(指)BPO

収録:2001年2月 ローマ,サンタ・チェチーリア音楽院、2000年5月1日 ベルリン,フィルハーモニーザール(第9番)
◆Bluray
画面:16:9、Full HD
音声:PCMステレオ、
DTS-HD MA5.1
リージョン:All
BD25
字幕:英独仏伊西、413分
◆DVD
画面:16:9、NTSC
音声:PCMステレオ、DTS5
リージョン:All DVD9
字幕:英独仏伊西、413分
アバドとベルリン・フィルによる「ベートーヴェン交響曲全集」の映像が復活しました。
2014年1月20日80歳で惜しくも亡くなった指揮者のクラウディオ・アバド。数々の主要オーケストラで首席指揮者を歴任し、後進の育成に心血を注いだ晩年 など数々の名演と偉業を残しています。その中でも、ベルリン・フィルと残した「ベートーヴェン交響曲全集」は、アバドの数ある録音の中で名演の一つと言えるで しょう。
この全集は、ベーレンライター新校訂譜の採用などで注目され、2000年5月ベルリンでの第9番でスタートしたプロジェクト。しかしアバドが病に倒れ一時は完成 が危ぶまれたものの、アバドが奇跡の復活を遂げ、2001年2月ローマで残りの8つの交響曲を一気に収録。現代のベートーヴェン演奏を語る上で欠くことのでき ない重要な演奏です。
本セットには、ボーナス映像として指揮者の目線と同じ映像を観られる「コンダクター・カメラ」が部分的に入っていて、マエストロ気分でベルリン・フィルの楽団 員の演奏を観る事が出来ます。またアバドがベートーヴェン観を語ったインタビュー映像も26分収録されています。

ONDINE
ODE-1388
NX-B04
ターリヴァルディス・ケニンシュ(1919-2008): 交響曲集
交響曲第5番(1976)
交響曲第8番「シンフォニア・コンチェルタータ」(1986) - オルガンと管弦楽のための
弦楽のためのアリア(1984)(弦楽オーケストラ編)
イヴェタ・アプカルナ(Org)
ラトヴィア国立SO
アンドリス・ポガ(指)

録音:2021年3月15-19日
1919年にラトヴィアで生まれた作曲家ターリヴァルディス・ケニンシュ。パリでメシアンとトニー・オーヴァンに師事。作曲家としていくつかの賞を受賞した後、1951 年にカナダに移住、教育者としてこの国の音楽発展に力を尽くしました。 若い頃は「室内楽が芸術の最高の形である」と信じていたためか、ケニンシュが交響曲作曲に手を染めたのは1959年になってから。しかしその後、1970年代 から80年代にかけて次々と交響曲を発表し、現在では「ラトヴィアを代表する交響曲作曲家」と認められています。 このアルバムにはどちらもロンドンで初演された第5番と第8番の交響曲を収録。現代的な世界と魔法で輝くおとぎ話の世界が混在するかのような短い第1楽 章で始まる交響曲第5番にはケニンシュの故郷の伝統的な旋律が織り込まれています。またケニンシュ最後の交響曲となった、1986年に初演された第8番 はプーランクの「オルガン協奏曲」を思わせるオルガンを伴う交響曲。複雑なリズムとオルガンの華麗な響きが見事に融合した作品です。アルバムの最後には弦 楽五重奏を原曲とする「弦楽のためのアリア」がたっぷりとした響きの弦楽合奏で奏されます。 交響曲第8番で巧みなオルガンを演奏するのは、ラトヴィアが誇るオルガニスト、イヴェタ・アプカルナ。ラトヴィアの文化大使でもある彼女は、現在ドイツのハンブ ルクにあるエルプ・フィルハーモニーのオルガン奏者を務めるなど世界的に活躍しています。 アンドリス・ポガ

Capriccio
C-8082(1CD)
NX-B05
ブルックナー:交響曲第0番ニ短調「Die Nullte」 WAB100 ノーヴァク版 リンツ・ブルックナーO
マルクス・ポシュナー(指)

録音:2021年2月22-24日リンツ・ミュージックシアター、リハーサル・ホール(オーストリア)
2024年はブルックナーの生誕200年。これを記念してブルックナーのすべての交響曲のすべての稿(バージョン)を録音しようという企画 「#bruckner2024」 の第3弾の登場です。 今回は通称「第0番」と呼ばれる交響曲ニ短調が取り上げられています。この曲は第1番より後の1869年頃に完成されましたが、 1895年にブルックナーが自作を整理した際に「Die Nullte(無効)」と書き込んで番号を与えませんでした。しかし、ブルックナーは楽譜を処分することなく残し ます。ブルックナー学者のホークショーは原盤解説書で「ブルックナーはこの作品の価値判断を後世に委ねたのではないか」と書いています。実際この曲は、初 期作品ながらブルックナーらしい構成を備え、金管の強奏や木管の印象的なソロ、コラール風の旋律や民俗舞曲風のリズムなど、彼の交響曲の特色を多く 持っています。  ポシュナーは今回も速めのテンポを基調としつつ、緩急・強弱の幅を大きく取りメリハリのある音楽に仕上げています。 様々な旋律が交錯する第1楽章、ア ダージョではなくアンダンテの美感を備えた第2楽章、力強く重厚なスケルツォと思い切りテンポを落とした幻想的なトリオの対比が印象に残る第3楽章、そして 劇的で雄大な最終楽章と聞きどころも満載。使用楽譜はノーヴァク版ですが、今回も演奏に際しては緻密な読み直しが行われたことが推察されます。 ※国内仕様盤には石原 勇太郎氏(音楽学/国際ブルックナー協会会員)による日本語の解説が付属します。

ALPHA
ALPHA-784(1CD)
ペルゴレージ:スターバト・マーテル(悲しみの聖母) 〜1769年パリ版*
ハイドン:交響曲第49番ヘ短調「受難」 Hob.I:49 (1768)
ジョディ・デヴォス(S)
アデル・シャルヴェ(Ms)
フランス放送少年少女cho
ル・コンセール・ド・ラ・ロージュ(古楽器使用)
オーレリアン・ドラージュ(チェンバロ、オルガン)
カミーユ・ドラフォルジュ(Org)
ジュリアン・ショーヴァン(Vn、指揮)

録音:2021年4月 フランス放送オーディトリアム、パリ*
カーン歌劇場、カーン(フランス北部バス=ノルマンディ地方)
フランスのシーン最前線で最もダイナミックな活躍をみせている古楽器オーケストラの一つで、とりわけ古典派以降の作品解釈で評価が高い ル・コンセール・ド・ラ・ロージュ。ここで聴かせるのは競合多きペルゴレージの傑作『スターバト・マーテル』……と思いきや、演奏陣にはこちらも 近年ますます存在感を強めつつあるフランス少年少女合唱団の名が。ごく一般的な独唱二人版と音楽そのものは同じでありながら、ここで は1769年にパリで楽譜出版された合唱入りヴァージョンを使用。随所で合唱が響きに膨らみを持たせ絶妙なアクセントとなっており、それは 冒頭から素晴らしい効果をあげています。ナポリの作曲家ペルゴレージが1736年に早世した後も、彼の『スターバト・マーテル』は畢生の傑 作として愛され、特にイタリア音楽の愛好者が増えつつあったパリでは定期演奏会コンセール・スピリチュエルの定番曲として、折々に編成を 変えながら再演され続けました。指揮者ショーヴァンは今回グヮダニーニ1780年製オリジナルのヴァイオリンを携えコンサートマスターとして楽 隊を率い、20名程度の合奏を40名規模の合唱と効果的に対話させながら、俊才デヴォスとシャルヴェの美声とともにメリハリある音楽作り を聴かせます。さらに興味深いことに、アルバム後半には当の楽譜がパリで出版される前年、ハイドンが古来の教会音楽作法を駆使して作 曲した、交響曲第49番「受難」を併録(作品の性質をふまえ通奏低音楽器としてオルガンを導入)。演奏の精妙さとあいまって両作は驚く ほど自然に繋がり、これらの作品が人気を誇った18世紀後半のパリの気配が鮮やかに甦るかのよう。ヴェルサイユ・バロック音楽センターの ジュリアン・デュブリュクとショーヴァンによる、当時の演奏実践をふまえた解説も興味深い内容となっています。

Goodies
78CDR-3855(1CDR)
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」 ハンス・プフィツナー(指)BPO

仏 POLYDOR 66939/44
1929年ベルリン録音
ハンス・プフィツナーはドイツの後期ロマン派を代表する作曲家の 一人。ドイツ人の両親のもとにロシアで生まれた。幼少時ドイツに移住し、指 揮者としての地位を固めた後、徐々に作曲活動を活発化させて行った。プフィ ツナーが指揮者として活躍した時代は、機械式録音から電気録音への移行期 だった。プフィッツナーのベートーヴェン交響曲はこのシリーズで第4番(78CDR -3840)(1924年機械式録音)、第6番「田園」(78CDR-3843)(1930年電気録音)、 第8番(78CDR-3847)(1933年電気録音)が出ています。 復刻には「音のエジソン」http://www.otono-edison.com/SPレコード専用MC型 カートリッジ(3mil針)とコルグのNu 1DSD録音機を使用した。(グッディーズ)
Goodies
78CDR-3856(1CDR)
ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」
交響曲第8番ヘ長調作品93 - 第2楽章*
ハンス・プフィツナー(指)
ベルリン新SO、BPO*

独GRAMOPHONE 69642/7
1923年12月ベルリン録音
ハンス・プフィツナーのこの曲の第1回目の録音。機械式録音(通称ラッパ吹き 込み)。ハンス・プフィツナーはドイツの後期ロマン派を代表する 作曲家の一人。ドイツ人の両親のもとにロシアで生まれた。幼少時ドイツに移 住し、指揮者としての地位を固めた後、徐々に作曲活動を活発化させていった。 プフィツナーが指揮者として活躍した時代は、機械式録音から電気録音への移 行期だった。プフィッツナーのベートーヴェン交響曲はこのシリーズで第3番 「英雄」(78CDR-3855)(1929年電気録音)、第4番(78CDR-3840)(1924年機械録音)、 第6番「田園」(78CDR-3843)(1930年電気録音)、第8番(78CDR-3847)(1933年電気 録音)が出ています。 復刻には「音のエジソン」http://www.otono-edison.com/SPレコード専用MC型 カーリッジ(3mil針)とコルグのNu 1DSD録音機を使用した。(グッディーズ)



OTTO KLEMPERER FILM FOUNDATION
24-1121(5Bluray)
日本限定盤
数量限定盤
ベートーヴェン:交響曲全集
)
■BD1
交響曲第1番ハ長調Op.21
交響曲第3番変ホ長調Op.55「英雄」
■BD2
交響曲第4番変ロ長調Op.60
交響曲第5番ハ短調Op.67「運命」
■BD3
交響曲第2番ニ長調Op.36
交響曲第6番ヘ長調Op.68「田園」
■BD4
交響曲第8番ヘ長調Op.93
交響曲第7番イ長調Op.92
■BD5
交響曲第9番ニ短調Op.125「合唱つき」


◎ボーナス・オーディオ
オットー・クレンペラーについて/ガレス・モリスによる回想録(インタビューアー:ジョン・トランスキー)
オットー・クレンペラー(指)
ニュー・フィルハーモニアO

■BD1
収録:1970年5月26日
放映(BBC TV):1970年6月19日(第1番)、6月21日(第2番)
■BD2
収録:1970年6月2日
放映(BBC TV):1970年6月26日
■BD3
収録:1970年6月9日
放映(BBC TV):1970年6月19日(第2番)、6月28日(第6番)
■BD4
収録:1970年6月21日
放映(BBC TV):1970年7月3日
■BD5
テレサ・ツィリス=ガラ(S)、ジャネット・ベイカー(Ms)、ジョージ・シャーリー(T) テオ・アダム(Br)、ニュー・フィルハーモニアcho
収録:1970年6月30日
放映(BBC TV):1970年7月5日
全て、ロンドン、ロイヤル・フェスティヴァル・ホール
音声:PCM Mono
画面:4:3 、リージョン:0
50GB
ドイツ語(第9のみ)、404'44 mins
2019年にリリースされた、クレンペラー生涯最後のベートーヴェン・チクルス、1970年ベートーヴェン生誕200年記念演奏会のBlu-rayBOXが、この度シンプルな装丁で再登場します!!(普及版のため解説書は付属しません。なおオリジナルBOX(KKC-9476)は、現在在庫分で終了となります。)
以前クラシカ・ジャパンで放映され、神々しいばかりの『田園』などマニアのあいだで話題となっていたクレンペラー最後のベートーヴェン・サイクル。
新たにリマスターされて画質・音質共に大幅にアップ。演奏の様子をクリアな映像で見ることができるため、楽員たちの献身的というほかない真剣な様子がそれだけでも感動的。1970年のテレビ放映プログラムなので音声はモノラルですが、情報量も十分に多くたいへん聴きやすい音になっています。
このベートーヴェン・サイクルのライヴ映像は、1967年にデッカを退職してBBCテレビ音楽部門の責任者になっていたジョン・カルショーの尽力で制作されたものです。カルショーは米キャピトル時代の1953年にクレンペラーと契約しようとして、上層部に阻まれ断念した過去がありました。
クレンペラーは1966年8月に腰部を骨折して大きな手術を受け、療養のため約6か月間という予定外の空き時間を過ごすことになります。
その長い空き時間に、死や宗教の問題について思いを巡らせ、1967年1月には、47年間のカトリック信仰を終えてユダヤ教に改宗。背景には、イスラエル在住の妹マリアンネの危篤状態に、前年の姉レギーナの死、そしてなかなかうまくいかないイスラエルとの関わり方の問題などもありました。
1967年2月に現場復帰したクレンペラーは、マーラー交響曲第9番のリハーサルの際、近くにあった指揮棒を手に取って気に入り、楽員の意見も聞き入れて三十数年ぶりに指揮棒を使用することに決定。1971年9月の最後のコンサートまでの4年7か月、基本的には棒を使って指揮しています。クレンペラーの最晩年様式は、死や宗教への強い思いで始まり、指揮の方法も、楽員が見やすい指揮棒スタイルに変更。それが超低速化した演奏を崩壊寸前で食い止め、独自の世界を築き上げることに繋がったものと考えられます。 (Ki)

LSO Live
LSO-0859(1SACD)
ショスタコーヴィチ:交響曲第7番『レニングラード』 ジャナンドレア・ノセダ(指)LSO

録音:2019年12月、バービカン・ホール
LSOと首席客演指揮者であるノセダによるショスタコーヴィチの交響曲ツィクルス第5弾、第7番の登場。第二次世界大戦下のレニングラードで作曲された 大作ですが、兵士たちの行進の跫音、強迫観念的な執拗な繰り返し、逃れることのできない恐怖・・・脆い勝利を求めて空しくもがく様子が、緊迫感と迫力満 点で聴き手に迫ります。第5&1番(KKC 6245&LSO 0802)、第8番(KKC 6243&LSO 0822)、第4番(KKC 6244&LSO 0832)、第9番(KKC 6319&LSO 0828)につづいて、ノセダとLSOとの緊迫感ある演奏を高音質で楽しむことができます。 (Ki)

ALIA VOX
AVSA-9946(3SACD)
ベートーヴェン:交響曲第6-9番
[CD1]交響曲第6番ヘ長調 op.68「田園」[42'06]〈録音:2020年7月〉
[CD2]交響曲第7番イ長調 op.92 [39'12]
交響曲第8番ヘ長調 op.93 [24'51]
[CD3]交響曲第9番ニ短調 op.125 [63'58]
ジョルディ・サヴァール(指)
ル・コンセール・デ・ナシオン(コンサート・マスター:ヤコブ・レーマン)
ラ・カペラ・ナシオナル・デ・カタルーニャ
サラ・グジ(S)、ライラ・サロメ・フィッシャー(A)、ミン・ジ・レイ(T))、マヌエル・ヴァルサー(Bs)

録音:第6&7番…2020年7月18-21日、カタルーニャ自治州バルセロナ県カルドナ城聖ビチェンス参事会教会
第8番…2020年10月10-11日、国立音楽フォーラム、ヴロツワフ(ポーランド)
第9番…2021年9月30日、10月1日、カタルーニャ自治州バルセロナ県カルドナ城聖ビチェンス参事会教会
ベートーヴェンの第1番〜第5番(AVSA 9937)から約1年。ついに、完結編となる第6〜9番の登場。2019年6月から始まった、サヴァールによるベートー ヴェン交響曲ツィクルスの演奏会と連動したこの録音プロジェクトも、ついに完結となります。ベートーヴェンにつづいては、シューベルトが予定されているとのこ と。サヴァールの探求心と音楽世界は、とどまるところを知りません!
ピリオド楽器のベートーヴェン交響曲も今となっては珍しくはなくなってきましたが、あらためて、コンセール・デ・ナシオンの面々が奏でる、ピリオド楽器の音 色の独特の風合いが際立っていることは特筆に値するといえるでしょう。「田園」でも、管楽器の表現が「嵐」での管楽器やティンパニの響きが非常に素晴らしい。 第7番での弦楽器の軽やかながらも推進力のある表現も見事。そしてなんといっても第九!終楽章でも、器楽が奏でるひとつひとつのパッセージが細部まで高精 度で浮かびあがりながら、全体として美しくひとつの響きとなっています。声楽陣も、器楽の響きと同様柔らかく、精緻なアンサンブルとバランスで聴かせます。「音 楽史」を生きてきたともいえるサヴァールと奏者たちが導き出したひとつのベートーヴェン像への答えともいえる演奏。大注目です!

Altus
ALTSA-054(1SACD)
シングルレイヤー
完全限定盤
ムラヴィンスキー/レニングラード・フィル 来日公演75&77
(1)シベリウス:交響曲第7番
(2)チャイコフスキー:バレエ音楽『くるみ割り人形』より(第6曲:客の退場、夜、ネズミの出現/第7曲:くるみ割り人形とネズミの戦闘、くるみ割りの勝利と王子への変身/第8曲:冬の森/第9曲:雪片のワルツ/第14曲:パ・ド・ドゥ/第15曲:終曲のワルツ)
(3)モーツァルト:交響曲第39番
(4)チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調
(5)チャイコフスキー:交響曲第6番『悲愴』
エフゲニ ー・ムラヴィンスキ ー(指)
レニングラードPO

(1)録音:1977年10月19日NHKホール
(2)録音:1977年10月12日東京文化会館
(3)録音:1975年6月7日東京文化会館
(4)録音:1975年5月13日東京文化会館
(5)録音:1975年6月7日東京文化会館
ムラヴィンスキー&レニングラード・フィルは1973、75、77、79年と来日し、年代ごとのプログラムの個性と、全てを貫く凄まじいまでのムラヴィンスキー節 で日本の聴衆を魅了しました。ALTUSがディスク化し大いなる衝撃とともに世に提示された至宝の遺産から、75年と77年の来日公演をまとめて長時間収録で SACD化。CD盤(ALT-054、ALT-058、ALT-059)と同じ解説原稿を使用、どれも初SACD化となるタイトルです。チャイコフスキーの5、6番などムラヴィ ンスキーにとっての重要レパートリーが披露されております。 (Ki)
Altus
ALTSA-051(2SACD)
シングルレイヤー
完全限定盤
ムラヴィンスキー/レニングラード・フィル来日公演77
(1)ワーグナー:楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕前奏曲
ブラームス:交響曲第2番
(2)チャイコフスキー:交響曲第5番
(3)ワーグナー:歌劇「ローエングリン」第1幕前奏曲
ワーグナー:歌劇「タンホイザー」序曲
(4)ウェーバー:歌劇「オベロン」序曲
シューベルト:交響曲第8 『未完成』
(5)ウェー バ ー:歌 劇「オベ ロン」序 曲
シューベルト:交響曲第8番『未完成』
チャイコフスキー:バレエ音楽「くるみ割り人形」より(第6曲:客の退場、夜、ネズミの出現/第7曲:くるみ割り人形とネズミの戦闘、くるみ割りの勝利と王子への変身/第8曲:冬の森/第9曲:雪片のワルツ/第14曲:パ・ド・ドゥ/第15曲:終曲のワルツ)
エフゲニ ー・ムラヴィンスキー(指)
レニングラードPO

(1)録音:1977年9月27日東京文化会館
(2)録音:1977年10月19日NHKホール
(3)録音:1977年9月27日東京文化会館
(4)録音:1977年10月12日東京文化会館
(5)録音:1977年10月8日大阪、フェスティバルホール
(ライヴ、ステレオ)
ムラヴィンスキー&レニングラード・フィルは1973、75、77、79年と来日し、年代ごとのプログラムの個性と、全てを貫く凄まじいまでのムラヴィンスキー節 で日本の聴衆を魅了しました。ALTUSがディスク化し大いなる衝撃とともに世に提示された至宝の遺産から、77年の来日公演をまとめて長時間収録SACDで 限定発売。CD盤(ALT-051、ALT-052、ALT-053、ALT-286)と同じ解説原稿を使用、どれも初SACD化となるタイトルです。『未完成』は東京公演と、後 に発見された大阪公演を聴き比べることが可能です。 (Ki)
Altus
ALTSA-063(1SACD)
シングルレイヤー
完全限定盤
ムラヴィンスキー/レニングラード・フィル 来日公演79
(1)ベートーヴェン:交響曲第6番『田園』
ワーグナー:『トリスタンとイゾルデ』 前奏曲と愛の死
◇『ジークフリート』〜森のささやき
◇『ワルキューレ』〜ワルキューレの騎行
(2)グラズノフ:交響曲第5番
チャイコフスキー:バレエ音楽『眠りの森の美女』より[序曲(プロローグ)、アダージョ、パノラマ、ワルツ]
エフゲニ ー・ムラヴィンスキー(指)
レニングラードPO

(1)録音:1979年5月21日東京文化会館
(2)録音:1979年6月8日NHKホール
(ライヴ、ステレオ)
ラヴィンスキー&レニングラード・フィルは1973、75、77、79年と来日し、年代ごとのプログラムの個性と、全てを貫く凄まじいまでのムラヴィンスキー節 で日本の聴衆を魅了しました。ALTUSがディスク化し大いなる衝撃とともに世に提示された至宝の遺産から、79年の来日公演をまとめて長時間収録SACDで 限定発売。CD盤(ALT-063、ALT-064)と同じ解説原稿を使用、どれも初SACD化となるタイトルです。期せずしてムラヴィンスキー最後の日本での演奏会と なった6月8日の公演では熱い共感みなぎるグラズノフを披露。 (Ki)
Altus
ALTSA-0012(2SACD)
シングルレイヤー
完全限定盤
特価
ムラヴィンスキー/レニングラード・フィル 来日公演73
ベートーヴェン:交響曲第4番
リャードフ:『バーバ・ヤーガ』
グラズノフ:バレエ音楽『ライモンダ』第3幕間奏曲
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番『革命』
エフゲニ ー・ムラヴィンスキー(指))
レニングラードPO

録音:1973年5月26日東京文化会館(ライヴ、ステレオ)
2000年にALT-001、ALT-002として発売、ALTUSレーベルの幕開けを告げ、以降レーベルの代名詞ともなったムラヴィンスキー73年来日公演実況録音。 大好評のロングセラーを受けて2011年にはSACDシングルレイヤー盤(ALTSA-001、ALTSA-002)が発売されました。今回ご案内するのはこのSACDシ ングルレイヤー盤を、単売のパッケージそのまま2枚セットにして紙ケースでまとめたお徳用バージョン。SACDの需要・普及も高まる昨今、未聴の方にぜひお聴 き頂きたいALTUSの会心作です!NHK秘蔵のオリジナルマスターテープ(放送用編集前)をテレフンケン製のレコーダーにて再生、DSD方式にデジタル変換し SACD用のマスタリングを施して製作されています。
Disc1 ベートーヴェン 〈多くの部分でレニングラード・フィルの管楽器奏者たちの名妓と、アンサンブル能力の高さを楽しむことができます。特に”クラリネットを 中心とした協奏交響曲”と言うべき2楽章を聴いて欲しい〉〈(第3楽章は)透かし彫りの徹底が、室内楽的レベルにまで高められたモティーフのリレーの面白さを 堪能させてくれる〉/Disc2 ショスタコーヴィチ 〈あの張りつめた緊張感を昨日のように再現してくれる〉〈録音が鮮明なせいもあって、彫刻家が鋭いノミで余分 な要素を一気に削り取っていく現場に居合わせたかのような緊張感が伝わってくる。「切れ味の鋭い演奏」といった紋切り型の称賛が陳腐に思えてくるほどの峻 烈さ〉〜金子建志氏の解説より

ANALEKTA
AN-288801(2CD)
クララ、ロベルト、ヨハネス Vol.2〜リリカル・エコーズ
シューマン:交響曲第2番ハ長調 Op.61
クララ・シューマン:歌曲選集*〔彼はやってきた Op.12-1、美しさゆえに愛するのなら Op.12-2、なぜ他の人たちに尋ねようとするの Op.12-3、私は暗い夢の中に立っていた Op.13-1、彼らは愛し合っていた Op.13-2、愛の魔法 Op.13-3、私はあなたの瞳に Op.13-5〕
ブラームス:交響曲第2番ニ長調 Op.73
クララ・シューマン:歌曲選集*〔月は静かに昇った Op.13-4、無言のハスの花 Op.13-6、別れの時に、私の星、おやすみなさいとあなたに言う〕
アレクサンダー・シェリー(指)、
カナダ・ナショナル・アーツ・センターO、
エイドリアン・ピエチョンカ(S)*、
リズ・アップチャーチ(P)*

録音(交響曲):2018年3月22日-23日&4月4日-6日、サウザン・ホール、ナショナル・アーツ・センター(カナダ)
※録音(歌曲):2021年7月8日-10日、ジョージ・ウェストン・リサイタル・ホール、メリディアン・アーツ・センター(カナダ)
カナダの名門オーケストラの一つ、ナショナル・アーツ・センターO(NAC管)と、2015年からピンカス・ズーカーマンより音楽監督の職を引き継ぎ、精力的に演奏・録音活動を行っているアレクサンダー・シェリー。「クララ、ロベルト、ヨハネス」は、3人のドイツ・ロマン派の巨人、クララ・シューマン、シューマン、ブラームスの間の密接に絡み合った個人的および芸術的なつながりを探るという興味深いプロジェクト。今後2年間で計4枚のアルバムを予定しており、クララ・シューマンの研究家Julie Pedneault-Deslauriersとブラームスの伝記作家Jan Swaffordの協力も得て、ロベルトとヨハネスの交響曲にクララの管弦楽作品や室内楽、歌曲などを組み合わせた綿密なプログラムが編まれてゆきます。
第2巻は、ロベルトとヨハネスそれぞれの「交響曲第2番」に、クララが結婚初期に書いた歌曲からの素晴しきセレクションをカップリング。歌うのは、ニューヨークのメトロポリタン・歌劇、ウィーン国立歌劇場、ロイヤル・歌劇・ハウスなど世界の主要な歌劇ハウスで歌ってきたカナダのソプラノ、エイドリアン・ピエチョンカ(アドリアンヌ・ペジョンカ)。2010年にカナダのグラミー賞と呼ばれる「ジュノー賞」を受賞したほか、彼女が参加したMETのプーランク「カルメル派修道女の対話」は、2022年のグラミー賞にノミネートしています。

Da Vinci Classics
C-00513(1CD)
ルイス・フェリペ・ラミレス・サンティリャン(1970-):交響曲集
交響曲第3番
FES-C*
交響曲第1番*
エル・ピアノ+
モスクワRSO、アレクサンドル・ポリアニチュコ(指)*/+、セルゲイ・スクリプカ(指)*/+、イリーナ・ポポヴァ(P)+

録音:2020年3月26日-27日、2007年12月22日*/+(モスクワ、ロシア)
1970年、メキシコシティ出身のメキシコ人作曲家ルイス・フェリペ・ラミレス・サンティリャンの2つのシンフォニーを含む管弦楽作品集。
メキシコのCIEMで作曲を学んだ後、現在は作曲家、アレンジャー、ギタリストとして活躍中のサンティリャン。
2004年の「交響曲第1番」、2020年の「交響曲第3番」と一緒に作曲されたピアノ協奏曲風の作品「エル・ピアノ」は、サウル・マスリ監督のショートフィルム「影」で使用された2004年の作品です。
打楽器やブラス・セクションの活躍、独特のリズム感が特徴的な作品群です。

Skani
SKANI-126(1CD)
ヤーニス・イヴァノフス(1906-1983):交響曲第15番変ロ短調 「Symphonia ipsa」(1972)
交響曲第16番変ホ長調(1974)
ラトビア国立SO、
グンティス・クズマ(指)

録音:2021年、大ギルド・コンサートホール(リガ、ラトビア)
ヤーニス・イヴァノフス(1906-1983)は、ラトビア音楽史上もっとも才能に恵まれた「交響曲」作家とみなされています。ラトビア国立SOとグンティス・クズマが録音した2つの交響曲は、これまで、1970年代と1980年代のラジオ放送のコピーとLPレコードでしか聴くことのできなかった作品です、「Symphonia ipsa」(交響曲それ自体)の副題をもつ「交響曲第15番」は「モデラート」「モルト・アレグロ」「モルト・アンダンテ(アダージョ)」「モデラート.アレグロ」、「交響曲第16番」は「アレグロ・モデラート」「アレグロ」「アンダンテ.ペザンテ」「アレグロ・モデラート」と、いずれも4楽章で構成されています。イヴァノフスが、ラトビアを支配下に置いていたソビエト連邦の「ブレジネフ体制の衰退期」という時代の政治的空気を反映した一連の作品を発表する端緒を開いたと言われる交響曲です。

RUBICON
RCD-1072(1CD)
シベリウス:交響曲第2番&第4番
交響曲第2番ニ長調 Op.43
交響曲第4番イ短調 Op.63
オウェイン・アーウェル・ヒューズ(指)
ロイヤルPO
イギリスのRubicon(ルビコン)よりスタートした、ウェールズの指揮者オウェイン・アーウェル・ヒューズとロイヤルPOによるシベリウスの交響曲サイクル第2弾。交響曲第1番と第3番を収録した第1巻(PRCD1055/RCD1055)は、レコード芸術海外盤REVIEWで「今月の特選盤」に選ばれた他、英グラモフォン誌では2020年11月号の「エディターズ・チョイス」、更に年間通して批評家に選出される「クリティクス・チョイス2020」にも選ばれるなど好調な滑り出しを見せました。期待の第2巻は、シベリウスがシンフォニストとして大きな一歩を踏み出した交響曲第2番と、咽頭癌と診断されたシベリウスが生命の危機に怯え、お酒と煙草を断って禁断症状に悩まされた時期に書かれた交響曲第4番を収録。
1942年にウェールズのカーディフに生まれたオウェイン・アーウェル・ヒューズ(オワイン・アルウェル・ヒューズ)は、作曲家・指揮者として成功したアーウェル・ヒューズ(1909-1988)の息子として育ち、ボールト、ハイティンク、ケンペらに指揮を学び、40年以上にわたって情熱的な音楽制作を続けてきました。日本での知名度はまだ途上ながらも、欧米では堅実に評価を積み重ね、2009年にはCBE(大英帝国勲章第3位)を受勲している実力者です。


Spectrum Sound
CDSMBA-102(2CD)
完全限定盤
若かりしマエストロ小澤征爾の貴重音源
■CD1
(1)ベートーヴェン:『エグモント』序曲
(2)モーツァルト:ディヴェルティメント ニ長調 K.136
(3)ベートーヴェン:交響曲第1番
(4)モーツァルト:交響曲第41番『ジュピター』
■CD2
(5)ブラームス:ハンガリー舞曲第1番、第3番、第5番、第6番
(6)モーツァルト:歌劇『魔笛』序曲
(7)シューベルト:交響曲第8番『未完成』
(8)カバレフスキー:組曲『道化師』
(9)モーツァルト:交響曲第28番ハ長調 K.200
(10)J・シュトラウス:『こうもり』序曲
小澤征爾(指)
(1)-(8)トゥールーズ・キャピトル国立O
(9)(10)フランス国立PO

録音:(1)-(3)1960年4月19日、(4)(5)1960年4月21日、(6)-(8)1960年4月25日/トゥールーズ【放送用録音/モノラル】
(9)(10)1960年12月14日/フランス放送協会(ORTF)(パリ)【放送用録音/モノラル】
国立視聴覚研究所(INA)提供による音源を使用したスペクトラム・サウンドの大好評のベルアーム・シリーズ。今回は小澤征爾が1960年収録の貴重な録音 が日の目をみます!小澤征爾は1959年に第9回ブザンソン国際指揮者コンクール第1位を受賞。その翌年1960年4月、放送用の収録でトゥールーズ・キャピ トル国立Oを振った録音がこの度正規初出としてお目見えします。4月19日、21日、25日と3日間の収録でベートーヴェンの交響曲第1番、『エグモント』 序曲、モーツァルトの交響曲第41番『ジュピター』、ディヴェルティメント、歌劇『魔笛』序曲、ブラームスのハンガリー舞曲集、シューベルトの交響曲『未完成』、 カバレフスキーの組曲『道化師』と実に多彩なプログラムを披露。マエストロ小澤征爾の国際的なキャリアとしてはじめての録音をINAの正規音源からスペクトラ ム・サウンドが丁寧に復刻いたしました。
また、同年12月14日、フランス国立POを振ったモーツァルトの交響曲第28番とヨハン・シュトラウス2世の歌劇『こうもり』序曲も収 録。こちらも放送用セッションながら小澤征爾のパリ・デビューということで、これもまた貴重な録音を聴くことができます。
若かりしマエストロがすがすがしくタクトを振る姿が聴いているだけで想像できる名演。翌年以降、世界をまたにかけ活躍がはじまったマエストロ。その世界的指 揮者が産声をあげたような溌溂とした演奏をお楽しみいただけます。平林直哉氏による日本語解説書付。
日本市場向けの完全限定発売。限定盤のためお早目のお求めをおすすめいたします。


ICA CLASSICS
ICAD-5162(2DVD)
NX-E07

ICAD-5163(Bluray)
NX-F01

NYDX-50200(Bluray)
国内版仕様
税込定価
シベリウス:交響曲全集
交響曲第1番ホ短調 op. 39
交響曲第2番ニ長調 op. 43
交響曲第3番ハ長調 op. 52
交響曲第4番イ短調 op. 63
交響曲第5番変ホ長調 op. 82
交響曲第6番ニ短調 op. 104
交響曲第7番ハ長調 op. 105
ヨーロッパ室内O
パーヴォ・ベルグルンド(指)

収録:1998年8月23日(第2&4番)、24日(第1&5番)、25日(第3,6,7番) フィンランディア・ホール(ヘルシンキ) ヘルシンキ音楽祭におけるライヴ
総収録時間…230分
PCMステレオ2.0(DVD&Blu-ray)
画角:16/9 NTSC All Region
DVD...片面二層ディスクx2
Blu-ray…片面二層ディスク 1080i High Definition
*SDマスターからのアップコンバート
シベリウス演奏の権威パーヴォ・ベルグルンドが、7つの交響曲を指揮したコンサート映像が初めてリリースされます。ベルグルンド3回目にして最後となったシベリウス: 交響曲 全集を録音したヨーロッパ室内O(COE)と、全集完成の翌年に故郷ヘルシンキで行った全曲演奏会。シベリウス時代のヘルシンキのオーケストラのサイズを、欧州諸 国から集まった腕利きの奏者たちで実現したCOEとのCDは、その透明で精緻を極めた演奏によって今も高く評価されていますが、ここではシベリウスの母国に乗り込んだ楽団 員たちの高揚感も加わり、実にダイナミックな演奏が展開されています。左手で指揮棒を持つことから「左手のマエストロ」と呼ばれたベルグルンドの指揮姿は溌剌として表情も 豊かです。 原盤解説書(日本語・英語)にはCOEの首席オーボエ奏者ダグラス・ボイドの回想と、ヴェイヨ・ムルトマキによるベルグルンドのインタビューを掲載。シベリウス全集の録音が COEの楽団員からの発案であったことなどが語られています。 国内仕様盤には、シベリウスに関する研究・著作で知られる神部智氏の解説を別途追加いたします。 パーヴォ・ベルグルンド(1929-2012)はヘルシンキに生まれ、早くからヴァイオリンを学んだ。シベリウス・アカデミー卒業後、ウィーンとザルツブルクで学び、1949年から58年ま でフィンランドRSOの第1ヴァイオリン奏者を務めた。62年から71年まで同響の首席指揮者、75年から79年までヘルシンキ・フィルの音楽監督。またボーンマス交 響楽団、ロイヤル・ストックホルム・フィル、デンマーク王立Oの首席指揮者も務めた。 シベリウス作品の演奏には特に定評があり、ボーンマスSO(1972-77年)、ヘルシンキ・フィル(1984-87年)、ヨーロッパ室内管(1995-97年)と、10年ごとに交響曲 全集の録音を完成させ、どれも高い評価を得ています。

ALPHA
ALPHA-688(1CD)
ハイドン交響曲全曲録音シリーズVol.11『パリの人々のお気に入り』
交響曲第82番ハ長調「熊」Hob. I-82
交響曲第87番イ長調 Hob. I-87
交響曲第24番二長調 Hob. I-24
交響曲第2番ハ長調 Hob. I-2
バーゼル室内O(古楽器使用)
ステファノ・バルネスキ(コンサートマスター)
ジョヴァンニ・アントニーニ(指)

録音:2019年5月18-22日、2020年8月13日 ラントガストホフ、リーエン(スイス北部バーゼル近郊)
作曲家の生誕300周年にあたる2032年に向けて、ハイドンの交響曲全てを録音してゆくアントニーニのプロジェクトは今回11作目。中期 の作品が中心となっていたこれまでの選曲から一歩進んで、作曲家50過ぎの重要作2作が軸となるプログラムです。 テーマは「パリの人々のお気に入り」。オーケストラ演奏会が新たな娯楽として注目され始めていた当時のパリでは、ドイツ語圏で書かれた交 響曲が人気を集めていましたが、その活況に大きく貢献した作曲家の一人がハイドンでした。彼の交響曲第82〜87番の6曲は、かのフラン スの首都で開催されていた演奏会の一つコンセール・ド・ラ・ロージュ・オランピークのために作曲されたため「パリ交響曲集」と呼ばれており、今 回は「熊」の綽名で知られる大編成向け第82番と、やや小ぶりの編成が緻密に活かされた第87番の2曲がこのセットから選ばれています。 他の2曲はいずれも初期作品で、それらの作曲に至る「前史」となった重要作。その経緯を含め、今回も指揮者アントニーニと音楽学者モー リッツ=バウアーによって現場経験と最新研究をふまえ書かれた解説文は興味深い内容となっています。バーゼル室内Oは今回、コ ンサートマスターや管楽器のトップ奏者に平素イル・ジャルディーノ・アルモニコで活躍するプレイヤーたちも編入、ピリオド楽器を使う意義が十 全に伝わってくるメリハリの効いた解釈は今回も絶好調。初期のエステルハージ宮廷楽団のサイズまで員数を絞った第2番のクリスピーさか ら、トランペットとティンパニが存分に存在感を発揮する「熊」の豪奢な響きまで、変幻自在の創意が秘められているハイドン世界の魅力を存 分にお楽しみください。
ALPHA
ALPHA-774(10CD)
NX-F01
ハイドン交響曲全曲録音シリーズ 1st BOX(Vol.1-10)
■Disc 1〜『ラ・パッショーネ ~情熱と受難~』(ALPHA670
ハイドン:交響曲第39番ト短調 Hob.I- 39
グルック:ドン・ジュアン、または石像の宴 〜無言舞踏劇(1761年パリ版)
ハイドン:交響曲第49番ヘ短調「受難」Hob.I- 49
 交響曲第1番ニ長調 Hob.I-1
■Disc 2〜 『哲学者』(ALPHA671)
ハイドン:交響曲第46番ロ長調 Hob.I-46
 交響曲第22番変ホ長調 Hob.I-22「哲学者」
W.F..バッハ(1710-1784):交響曲 ヘ長調 BR C-2/Fk 67 〜弦楽合奏と通奏低音の為の
ハイドン:交響曲第47番ト長調 Hob.I-47
■Disc 3〜 『ひとり、物思いに』
ハイドン:交響曲第42番ニ長調 Hob.I-42
歌劇「無人島」HOB.XXVIII-9 〜序曲
交響曲第64 番イ長調 Hob.I-64
アリア「ひとり、物思いに」Hob/XXIVb-20
交響曲第4番二長調 Hob.I-4
■Disc 4〜 『迂闊者』(ALPHA674)
ハイドン:交響曲第60番ハ長調 Hob.I-60「迂闊者」
 交響曲第70番ニ長調 Hob.I-70
  交響曲第12番ホ長調 Hob.I-12
チマローザ:カンタータ「宮廷楽長」
■Disc 5〜『才気の人』(ALPHA676)
ハイドン:交響曲第80番ニ短調 Hob.I-80
 交響曲第81番ト長調 Hob.I:81
ヨーゼフ・マルティン・クラウス(1756-1792):交響曲 ハ短調 VB 142
ハイドン:交響曲第19番ニ長調 Hob.I:19
■Disc 6〜 『哀歌』(ALPHA678/国内仕様: NYCX-10005)
ハイドン:交響曲第3番ト長調 Hob.I-3
 交響曲第26番ニ短調 Hob.I-26「哀歌(ラメンタツィオーネ)」
  交響曲第79 番ヘ長調 Hob.I-79
  交響曲第30番ハ長調 Hob.I-30「アレルヤ」
■Disc 7〜 『劇場監督たち 〜宮廷劇場にまつわる交響曲集〜』(ALPHA680/国内仕様: NYCX-10042)
ハイドン:交響曲第67番ヘ長調 Hob.I-67
モーツァルト:劇付随音楽『エジプトの王タモス』KV345/336a(抜粋)
ハイドン:交響曲第65番イ長調 Hob.I-65
 交響曲第9番ハ長調 Hob.I-9
■Disc 8〜 『ラ・ロクソラーナ 〜ハイドンと東方〜』(ALPHA682/国内仕様: NYCX-10120)
ハイドン:交響曲第63番ハ長調 Hob.I-63「ラ・ロクソラーナ」
 交響曲第43番変ホ長調 Hob.I-43「マーキュリー」
バルトーク:ルーマニア民族舞曲集 Sz 68/BB 76
作曲者不詳:ソナタ・ユクンダ(愉しき奏楽)-クロムニェジーシュ修道院所蔵の手稿譜より(1673-1680年頃)
ハイドン:交響曲第28番イ長調 Hob.I-28
■Disc 9〜 『別れのとき』(ALPHA684/国内仕様: NYCX-10185)
ハイドン:交響曲第35番変ロ長調 Hob. I-35
 交響曲第45番嬰ヘ短調「告別」Hob. I-45
 ベレニーチェの告別の場面(レチタティーヴォとアリア)Hob.XXIVa: 10
 交響曲第15番ニ長調 Hob. I-15
■Disc 10〜 『一日の時の移ろい』(ALPHA686/国内仕様: NYCX-10231)
ハイドン:交響曲第6番ニ長調「朝」Hob. I-6
 交響曲第7番ハ長調「昼」Hob. I-7
 交響曲第8番ト長調「晩」Hob. I-8
モーツァルト:セレナード第6番ニ長調 KV 239「セレナータ・ノットゥルナ」
■Disc 1
イル・ジャルディーノ・アルモニコ(古楽器使用)
ジョヴァンニ・アントニーニ(指)
録音:2013年10月24-24日、テルデックス・スタジオ、ベルリン
■Disc 2
イル・ジャルディーノ・アルモニコ(古楽器使用)
ジョヴァンニ・アントニーニ(指)
録音:2014年6月16-20日、テルデックス・スタジオ、ベルリン
■Disc 3
フランチェスカ・アスプロモンテ(S)
イル・ジャルディーノ・アルモニコ(古楽器使用)
ジョヴァンニ・アントニーニ(指)
録音:2015年11月18-22日、テルデックス・スタジオ、ベルリン
■Disc 4
リッカルド・ノヴァーロ(Br)
イル・ジャルディーノ・アルモニコ(古楽器使用)
ジョヴァンニ・アントニーニ(指)
録音:2016年3月13-17日、テルデックス・スタジオ、ベルリン
■Disc 5
バーゼル室内O(古楽器使用)
ジョヴァンニ・アントニーニ(指)
録音:2016年10月24-25日、ラントガストホフ、リーエン(スイス北部バーゼル近郊)、2016年6月23-27日、ベルリン、テルデックス・スタジオ…5-14
■Disc 6
バーゼル室内O(古楽器使用)
ジョヴァンニ・アントニーニ(指)
録音:2017年3月2-7日、ラントガストホフ、リーエン(スイス北部バーゼル近郊)
■Disc 7
バーゼル室内O(古楽器使用)
ジョヴァンニ・アントニーニ(指)
録音:20017年10月2-6日、ラントガストホフ、リーエン(スイス北部バーゼル近郊)
■Disc 8
イル・ジャルディーノ・アルモニコ(古楽器使用)
ジョヴァンニ・アントニーニ((指)トラヴェルソ、シャリュモー)
録音:2018年5月18-22日、マーラー・ホール(エウレジオ文化センター)、ドッビアーコ(イタリア北東部ボルツァーノ県)
■Disc 9
サンドリーヌ・ピオー(S)
イル・ジャルディーノ・アルモニコ(古楽器使用)
ジョヴァンニ・アントニーニ(指)
録音:2018年11月1-5日、マーラー・ホール(エウレジオ文化センター)、ドッビアーコ(イタリア北東部ボルツァーノ県)
■Disc 10
イル・ジャルディーノ・アルモニコ(古楽器使用)
ジョヴァンニ・アントニーニ(指)
録音:2019年1月18-22日、マーラー・ホール(エウレジオ文化センター)、ドッビアーコ(イタリア北東部ボルツァーノ県)
20世紀末のイタリアで、生命感あふれる演奏でバロック音楽解釈に新風を巻き起こした才人古楽器集団イル・ジャルディーノ・アルモニコを 率いるリコーダー奏者ジョヴァンニ・アントニーニ。近年はルネサンス作品を集めた驚くべきアルバムを作ったり、古楽器と現代楽器を使い分け ながら多角的な活動を続けるバーゼル室内Oとも痛快なベートーヴェン交響曲全集をリリースするなど、その活動領域の広がりは目 を見張るばかり。2013年以降はAlphaレーベルを録音パートナーに選び、ハイドン生誕300周年となる2032年までにこの作曲家の100 曲以上ある交響曲を全て録音するというプロジェクトも手がけ、アルバムが出るたび大きな話題を呼んできました。自身のグループであるイ ル・ジャルディーノ・アルモニコと精鋭集団バーゼル室内Oという二つの楽団を共演に選び、イタリア古楽界の先端で活躍する名手た ちもメンバーとして加えながら、今夏までにリリースされてきた10枚がこのたびBOX化。起伏のドラマに富んだ鮮烈な演奏はどの巻をとっても比 類なく、細部に至るまで考えられた新鮮な解釈が思いがけないハイドン芸術の粋を十全に伝えてやみません。時代背景や作品成立の経緯 を伝えるハイドン作品以外の併録作も絶好の名演揃いです。なおバーゼル室内管では笠井友紀がコンサートマスターを務めています。

TOCCATA
TOCC-0618(1CD)
NX-B03
ウィリアム・ワーズワース(1908-1988):管弦楽作品集 第4集
「春の祝祭」序曲 Op. 90(1970)
交響曲第7番「コスモス」 Op.107(1980)
ジュビレーション:オーケストラの為の祝祭 Op. 78(1965)
コンフルエンス:交響的変奏 Op. 100(1976)
リーガ・バルターボラ(Vn)
リエパーヤSO
ジョン・ギボンズ(指)

録音:2021年2月4-5日:2021年6月16-18日
※世界初録音
イギリス、ロンドン生まれの作曲家ウィリアム・ワーズワース。彼は18世紀から19世紀にかけて桂冠詩人として活躍した「ウィリアム・ワーズワース (1770-1850)」の弟クリストファーのひ孫にあたります。ヴォーン・ウィリアムズとシベリウスの香りが感じられる、大いなる自然を賛美した作品を書 き、同世代のエドマンド・ラッブラとも良い影響を与え合っていました。 この第4集には4つの作品を収録。最も早い時期に書かれた「ジュビレーション=歓喜」は1965年の作品。タイトルが示す通り、活力ある陽気な雰 囲気を持ち、要所要所で金管楽器が活躍します。1970年に書かれた「春の祝祭」序曲はスコットランドの大規模な"ピットロコリー祝祭劇場"創立 20周年の為の委嘱作。万物が成長する春のように、次々に楽想が溢れ出る快活な作品です。1976年の「コンフルエンス: 交響的変奏」はワー ズワースの巧みなオーケストレーションの才能が発揮された曲。そして、彼が若い頃から魅了されていたという、宇宙の起源についての考察が反映され た1980年の「交響曲第7番」は、切れ目なく続く7つの部分から成る単一楽章の作品で、ハープとチェレスタの使用が 作品に神秘的な雰囲気を与 えています。このシリーズを通じてジョン・ギボンズの指揮による見事な演奏を聴かせます。

SWR music
SWR-19530CD(2CD)
NX-A13
シューマン:交響曲全集
交響曲第1番変ロ長調 「春」 Op. 38
交響曲第3番変ホ長調 「ライン」 Op. 97
ロジャー・ノリントンによる演奏への解説(英語)
交響曲第1番変ロ長調 Op. 38について(2:35)
交響曲第3番変ホ長調 Op. 97について(2:43)
交響曲第2番ハ長調 Op. 61
交響曲第4番ニ短調 Op. 120
ロジャー・ノリントンによる演奏への解説(英語)
交響曲第2番ハ長調Op. 61について(2:30)
交響曲第4番ニ短調Op. 120について(2:43)
シュトゥットガルトRSO
ロジャー・ノリントン(指)

録音2004年9月1、3日(第1番、第3番)、2004年9月7、9日(第2番、第4番)
シュトゥットガルト、リーダーハレ(ドイツ)
ロジャー・ノリントンとシュトゥットガルトRSOによる、2004年9月にライヴ収録されたシューマンの交響曲全集。 ノリントンによるシューマンは、ピリオド楽器を使用したロンドン・クラシカル・プレイヤーズとの第3番と第4番(1989)、シュトゥットガルト放送響との第2番(1999) の録音がありますが、1998年にシュトゥットガルト放送響の首席指揮者に就任して5年を経たこの全集では、ノンヴィブラート奏法による弦楽器の美しく明快な 響きである、ノリントンの持ち味ともいえる「ピュアトーン」が一層練り上げられ、存分に堪能できます。 また、今回は初出時に倣い、それぞれの交響曲についてのノリントンのレクチャー(英語)がボーナス・トラックとして収録されています。


Myrios Classics
MYR-030(1CD)
ロトのブルックナー第7番
ブルックナー:交響曲第7番ホ長調(ノヴァーク版/2003年第3改訂版)
フランソワ=グザヴィエ・ロト(指)
ケルン・ギュルツェニヒO

録音:2019年12月/ケルン・フィルハーモニー(ライヴ)
大活躍のロトがケルン・ギュルツェニヒOとブルックナーに挑戦しました。2024年のブルックナー生誕200周年に向けた交響曲全集シリーズの第1 弾で、まず第 7番がとりあげられました。
ロトはブルックナーを「モダニズムの先駆者」とみなしていて意欲満点。ヴァントが長年育んだブルックナーの交響曲伝統を持つギュルツェニヒ管との共演は 伝統と革新がないまぜとなり新しいブルックナー像を作り上げるはずと申せましょう。
各楽章の演奏時間は T. 18:17” U. 18:15” V. 8:59” W. 11:10” で、一般的な演奏よりかなり速いことがうかがえます。いつものロトらしくアプローチは無駄がなく、フットワークも軽く常に透明な響きに満ちているのがブルッ クナーの交響曲としては新鮮に聴こえます。
ライヴ録音ですが、ハイレゾDXD処理された高音質サウンドも注目。オーディオファンにもオススメです。 (Ki)


Epitagraph
EPITA-020(2CD)
UHQCD
限定発売
モーツァルト:交響曲集(第25・29・35・38・39番)
交響曲第25番ト短調 K. 183
交響曲第29番イ長調 K. 201
交響曲第38番「プラハ」
交響曲第35番「ハフナー」
交響曲第39番変ホ長調 K. 543
ブルーノ・ワルター(指)NYO

録音:1956年3月11日 (25番)、同年3月4日(29番・39番)、1954年11月28日(38番)、1953年1月4日(35番)
カーネギー・ホール、ニューヨーク(ライヴ)
Produced by Epitagraph(原盤:エピタグラフ)
ワルターがニューヨーク・フィルを(指)1953年からモーツァルト生誕200年にあたる56年までニューヨーク・カーネギー・ホールで行なってきたモーツァ ルトの交響曲ライヴ、第25番、第29番、第35番「ハフナー」、第38番「プラハ」、第39番の全5曲。ワルターがニューヨークを拠点に引退前、活躍していた頃 の手兵NYPとのモーツァルト交響曲ライヴ―この2枚組の価値を推し量れます。
1990年にキングレコード(セブンシーズ・レーベル)から25・29・35番はKICC-2072で、38・39盤はKICC-2073で(国内)初発売されました(原盤は米ミュー ジック・アンド・アーツ。いまはすでに廃盤。)全5曲いずれも宇野功芳によって激賞され、とくに「ワルター最高の<小ト短調>」との評価の「25番」、同曲5種 類のCDの中でも”ベスト・ワン“にあげている「プラハ」などは大評判を呼び、キングのCDが中古市場でプレミア価格をつけてきました。
このミュージック・アンド・アーツ原盤をも上回る最高音質のCDがエピタグラフから登場します。鮮烈かつ豊麗な放送録音。音は上も下も充分に伸びていて、 モノラル録音の不満を感じさせないほどです。インターバルもカットされることなく収録されており、拍手も盛大に入っていて、臨場感たっぷりに、カーネギー・ ホールでの雰囲気を楽しめます。 NYPは柔軟で機能的、パワフルさと繊細さを兼ね備えた響きで対応。1960年に指揮者活動から引退したワルターのモーツァルトにかける熱い想いがこみあげ てくるような不滅の名演ライヴとなっています。
“高音質CDの決定版”であるUHQCDで発売!限定発売となっておりますのでお早めにお求めください。 (Ki)

★宇野功芳著『名指揮者ワルターの名盤駄盤』(講談社+α文庫 1995)の“ワルターの全レコード評”より(ブックレット=解説書にも引用します。)
●交響曲第25番ト短調(モーツァルト)ニューヨーク・フィル ’56・3・11… ワルター最高の<小ト短調>。全盛期のライヴの息吹きを伝えて凄絶であり、4ヵ月後のウィーンでのライヴに酷似するが、録音はニューヨーク盤のほうが輝かしく、ぼくはこれをもってトップにしたい。
●交響曲第38番ニ長調「プラハ」(モーツァルト)ニューヨーク・フィル ’54・11・28… 「プラハ」はワルターの得意中の得意であり、5種類のCDはいずれも名演だが、その中のベスト・ワンとして、ぼくはこのニューヨーク・フィルとのライヴを挙げたいと思う。彼のこの曲に対する解釈はフランス盤のところで詳述するが、ニューヨーク・フィルは輝かしい威力と厚みのある豊麗さにおいて、フランス国立放送局のオケやウィーン・フィルを凌いでおり、ワルターのロマンティックな表現に立体感をあたえて比類がなく、録音も音質がやや荒れてはいるが生々しく、ほんとうにホールにすわって、今ワルターの指揮ぶりを実際に見ているような気にさせてくれます。


Helicon
HELSA-001(2SACD)
日本独自企画・限定盤
税込定価
マーラー:交響曲第9番ニ長調 レナード・バーンスタイン(指)
イスラエルPO

録音:1985年8月25日テルアヴィヴ、マン・オーディトリアム(ライヴ)
マーラーといえばバーンスタインとくるほど貴いもの。イスラエル・フィルとのマーラー9番は、HEL 029656/ KKC 5220で発売されておりましたが、この たび日本独自企画でSACDハイブリッドで発売の運びとなりました。この演奏は、1985年8月25日にテルアヴィヴで行われたイスラエル・フィルとの共演のラ イヴ録音。彼らはこの直後に来日公演を行い、大阪と東京でマーラーの交響曲第9番を披露、稀代の名演として伝説となっています。それとほぼ同時期ゆえ、幻の 日本公演をまざまざと蘇らせてくれる神業を聴かせてくれます。普通の演奏会とは次元の違う、一期一会的事件の記録と申せましょう。宇野功芳氏も絶賛している 衝撃的かつ壮絶な演奏です。ブックレットには、KKC-5220発売時に掲載の山崎浩太郎氏の演奏に関してのノートと曲目解説にくわえ、今回、宇野功芳氏による この演奏の聴きどころについての文章(『KAWADE夢ムック 文藝別冊 バーンスタイン』(河出書房新社、2014年)より)も、一部抜粋して掲載しております。 (Ki)

Lyrita
SRCD.391(1CDR)
ダニエル・ジョーンズ:交響曲第12番&第13番
1. 交響曲第12番(1985)
2. 交響曲,ジョン・ファッセルを記念して〔交響曲第13番〕(1992)
3. テノール, 混声四部合唱と管弦楽のためのカンタータ 「カム,マイ・ウェイ,マイ・トゥルース,マイ・ライフ」(1987)
1. BBCウェールズSO、ブライデン・トムソン(指)
2. BBCウェールズ・ナショナルO、テクウィン・エヴァンズ(指)
3. モルドウィン・デイヴィス(T)、BBCウェールズ合唱団&O、チャールズ・グローヴス(指)

BBC放送日:1. 1990年3月22日
2. 2017年1月23日
3. 1987年10月10日(BBC放送、イギリス)
20世紀中期のウェールズにおける最大の作曲家とされており、複合拍子(Complex Metres)の考案者としても知られるダニエル・ジョーンズ(1912-1993)。交響曲集第6弾は、彼の交響曲の中で最も簡潔で鋭敏な作品となった交響曲第12番と、友人への個人的な賛辞の意が含まれている交響曲第13番が収録されています。
※当タイトルは、高品質メディア(SONY DADC/Diamond Silver Discs)を使用した、レーベル・オフィシャルのCD-R盤となります。

Urania Records
WS-121391(2CD)
チャイコフスキー:後期交響曲集
交響曲第4番ヘ短調 Op.36
交響曲第5番ホ短調 Op.64
交響曲第6番ロ短調 Op.74「悲愴」
幻想序曲「ロメオとジュリエット」*
ラファエル・クーベリック(指)VPO

録音:1960年&1955年*
※STEREO録音/ADD
※リマスタリング:ノエミ・マンゾーニ&ウラニア・レコーズ
1961年にバイエルンRSOの首席指揮者に就任する1年前、ラファエル・クーベリックが1960年にウィーンPOを指揮して録音を行ったチャイコフスキーの後期交響曲集。
ウィーン・フィルの壮大かつ豪快とも言えるチャイコフスキーは、ウィーンの名門との貴重な録音の1つ、そして後のクーベリックのバイエルンでの黄金時代を暗示しているかのような堂々たる演奏として高く評価され続けています。


Altus
ALT-508(2CD)
INA秘蔵音源・バーンスタイン&フランス国立管ライヴ
ベルリオーズ:「ローマの謝肉祭」序曲
シューマン:交響曲第2番
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番
レナード・バーンスタイン(指)
フランス国立放送O

ライヴ録音:1966年11月30日/パリ、シャンゼリゼ劇場(ステレオ)
INA(フランス国立視聴覚研究所)所有音源をライセンスしてALTUS入魂のマスタリングでCD化。シューマン2番にショスタコ5番というバーンスタインの一 番熱いところを凝集した名プログラムで完全初出、しかもステレオ録音というインパクト大のリリースです!
オーケストラにとってはミュンシュ最後の来日公演からわずか1ヶ月後の演奏会。バーンスタインはニューヨーク・フィル音楽監督時代にして同年にウィーン国立 歌劇場デビューを果たしており、ヨーロッパでの存在感がまさに大きくなっていた頃。この時この組み合わせが生んだ演奏はフランス流の音色を保ちつつもたいへ んに白熱していて気合十分、強靭なドライヴ感で手に汗握る音楽が展開されます。聴衆の大喝采も頷ける大名演!
〈随所に彼が指揮台を踏み鳴らす音が収録されていて、ライブ録音のスリル満点。曲全体は圧倒的なスピード感をもって邁進していく〉〈オーケストラはバーンス タインに容赦なく統御されているらしく、メロディーラインを歌いながらオーケストラをドライブする様子がはっきりと記録されていて、白熱した演奏会の様子が手 にとるようにわかる。〉〜白柳龍一氏の解説より

Forgotten Records
fr-1741(1CDR)
ティリオン&ティエラク:交響曲集
ルイ・ティリオン(1879-1966):交響曲第2番ロ短調 Op.17*
ジャック・ティエラク(1896-1972):ノルマンド交響曲#
ウジェーヌ・ビゴー(指)
フランス国立放送O*、
フランス放送PO#

録音:1959年10月22日*、1962年5月31日#、放送用ライヴ
Forgotten Records
fr-1743(1CDR)
ハイドン&モーツァルト
ハイドン:交響曲第92番「オックスフォード」*
 交響曲第104番*
モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジーク」#
 「コシ・ファン・トゥッテ」序曲#
アレクザンダー・ファリス(指)*
ミュアー・マシソン(指)#
シンフォニア・オヴ・ロンドン

録音:1958年2月1日#、1959年* ステレオ
※音源:WRC ST-28*、SSCP-15 #

NoMadMusic
NMM-101(2CD)
ブラームス:交響曲第1番ハ短調Op.68
ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op.77
ステファニー =マリー・ドゥガン(Vn )
ジェレミー・ローレル(指)
ル・セルクル・ド・ラルモニー

録音:2021年4月/エクサン=プロヴァンス大劇場
マド・レーベルからバッハのチェンバロ伴奏付ヴァイオリン・ソナタ全集をリリースして注目されたステファニー=マリー・ドゥガン。パリ音楽院でモダン及 びバロック・ヴァイオリンを教え、日本人弟子も多いベテラン。指揮者としてジャン=ギアン・ケラスのアルバム「相棒」にも参加しています。
今回はブラームスの協奏曲に挑戦。たっぷりと歌いこんだ演奏が魅力。バックを務めるのはジェレミー・ローレル指揮ル・セルクル・ド・ラルモニー。18世紀と 19世紀の音楽、特に歌劇を得意とし、シャンゼリゼ劇場でのモーツァルトのシリーズは話題となりました。その組合せよるブラームス。交響曲第1番が若さ溢れ る颯爽とした姿で出現。今後目の離せない逸材と申せましょう。 (Ki)

BIS
BISSA-2556
(4SACD)
ダウスゴー/ブラームス交響曲全集
■Disc1(BIS SA-1756)
交響曲第1番ハ短調 Op.68
愛の歌 Op.52&65より9曲【作曲者編】
ハンガリー舞曲集より第1番、第3番、第10番【作曲家編】
■Disc2(BIS SA-2253)
交響曲第2番ニ長調 Op.73
ハイドンの主題による変奏曲
ハンガリー舞曲集より第5-7番【編):トーマス・ダウスゴー】
大学祝典序曲
■Disc3(BIS SA-2319)
交響曲第3番ヘ長調 Op.90
6つの歌 (@『. 御者クローノスに D.369/A.メムノン D.541/B.秘めごと D.719/C.老年の歌 D.778/D .エレンの歌(初稿) D.838/E .タルタロスから来た群れ D.583) 【原曲:シューベルト】
ハンガリー舞曲集より第11-16番【編):トーマス・ダウスゴー】
アルト独唱と男声合唱および管弦楽の為の「アルト・ラプソディ」 Op.53デン)
■Disc4(BIS SA-2383)
交響曲第4番ホ短調 Op.98
ハンガリー舞曲集より第2番、第4番、第8番、第9番、第17-21番【トーマス・ダウスゴー編曲】
悲劇的序曲
トーマス・ダウスゴー(指)
スウェーデン室内O

■Disc1(BIS SA-1756)
録音:2011年3月エレブルー・コンサートホール(スウェーデン)

■Disc2(BIS SA-2253)
録音:2016年5&6月エレブルー・コンサートホール(スウェーデン)

■Disc3(BIS SA-2319)
アンナ・ラーション(A)、
ヨハン・ロイター(Br)、
スウェーデン放送cho
録音:2016年11月、2017年3月エレブルー・コンサートホール(スウェーデン)

■Disc4(BIS SA-2383)
録音:2018年4月、2018年9月エレブルー・コンサートホール(スウェーデン)
透き通るようなオーケストレーションかつ刺激的な演奏で注目を集めるトーマス・ダウスゴー率いるスウェーデン室内O。ブラー ムスの交響曲全4曲とハンガリー舞曲集などを組み合わせたアルバム4枚がお買い得なセットになって登場します!
小編成のオーケストラで演奏されるダウスゴーのブラームスは絶品の一言。またダウスゴーが編曲によるハンガリー舞曲集も聴き逃せません!そして、声楽つ きピアノ連弾曲として有名な「愛の歌」から9曲をブラームス自身がオーケストレーションした作品、そして「6つの歌」と、そのカップリングにも注目です。
ダウスゴーは1997年にスウェーデン室内Oの音楽監督し就任して以来BISやSIMAXレーベルに積極的に録音しています。シューマン、ベートーヴェ ン、シューベルトの交響曲録音における極めて大胆な解釈は絶賛されております。また、2021年にリリースされた「ザ・ブランデンブルク・プロジェクト」も注 目を集めました。そしてメンデルスゾーンの交響曲録音も開始しております! (Ki)


Urania Records
WS-121397(2CD)
シャルル・ミュンシュ・イン・コンサート
(1)ハイドン:交響曲第100番「軍隊」
(2)ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」
(3)シベリウス:交響詩「エン・サガ」
シャルル・ミュンシュ(指)ボストンSO、
タングルウッド音楽祭cho*
、ヒルデ・ギューデン(S)*、
ドナルド・グラム(Br)*

録音:(1)(ライヴ):1959年10月9日
(2)(ライヴ):1960年1月31日
(3)(ライヴ):1965年7月30日
(4)(ライヴ):1958年7月19日
全てステレオ
20世紀を代表する伝説的な指揮者の1人であるシャルル・ミュンシュは、ピエール・モントゥーと並んで、この時代のフランスにおいて最も偉大な指揮者であると同時に、ナチスに抵抗したフランス人の英雄でもあり、レジオン・ドヌール勲章を授与されたことも有名です。 オネゲル、ロジェ=デュカス、ロパルツ、ルーセル、シュミットなどの作品の初演を手懸けたフランスでの長い活動を経て、ミュンシュは1946年に渡米。 アメリカの市民権を得て、1949年にボストンSOの常任指揮者に就任し、RCAへ交響曲を中心に数多くの演奏を録音しました。 今回発売となる2枚のCDに収められた演奏は、いずれもミュンシュのアメリカでのキャリアにおける重要なドキュメントであり、新たにデジタル・リマスタリングを施されての復刻は大いに歓迎されることでしょう。音質面の向上にも要注目です!

東武レコーディングズ
TBRCD-0128(5CD)
税込定価
ベートーヴェン:交響曲全集
(1)交響曲第2番ニ長調 作品36
(2)交響曲第1番ハ長調 作品21
(3)「プロメテウスの創造物」作品43 序曲
(4)ボッセによる解説(通訳:菅野美智子)
(5)交響曲第3番変ホ長調 作品55「英雄」
(6)交響曲第8番ヘ長調 作品93
(7)交響曲第5番ハ短調 作品67「運命」
(8)交響曲第7番イ長調 作品92
(9)交響曲第4番変ロ長調 作品60
(10)交響曲第6番ヘ長調 作品68「田園」
(11)七重奏曲 変ホ長調 作品20 より第1、3、4楽章
(12)交響曲第9番ニ短調 作品125「合唱付き」
ゲルハルト・ボッセ(指)
新日本フィルハーモニーSO
(11)崔文洙(Vn)、篠ア友美(Va)、服部 誠(Vc)、中田延亮(Cb) 、山本正治(Cl)、坪井隆明(Fg)、吉永雅人(Hrn)
(12)釜洞祐子(S)、寺谷千枝子(MS)、櫻田 亮(T)、藤村匡人(Br)、晋友会合唱団

録音:(1)(7)2002 年7 月30 日すみだトリフォニーホール、(2)-(4)1999 年3 月7 日カザルスホール、(5)2001 年2 月16 日すみだトリフォニーホール、(6)(8)2002 年8 月30 日すみだトリフォニーホール、(9)(18)2002 年8 月20 日すみだトリフォニーホール、(11)(12)2002 年12 月25 日Bunkamura オーチャードホール (全曲ライヴ録音)
1922 年にライプツィヒに生まれ、長らくゲヴァントハウスOの第1コンサートマスターを務めた上で指揮者として活 躍。日本を終の棲家と定めて、日本の音楽界への貢献は計り知れない名指揮者ゲルハルト・ボッセ。ミュージック・アドヴァイ ザーを務めた新日本フィルとの1999 年から2002 年に遺したベートーヴェン:交響曲全集をこの度ボックスCD 化。ボッセの 崇高な理想のもと紡ぎ出される見事なベートーヴェン。楽団創立 50 年を祝う新日本フィルの俊敏が反応も言わずもがな、さ らにブックレットには夫人・菅野美智子氏による慈愛と優れた分析に満ちたエッセイ、野本由紀夫氏による詳細な楽曲・演奏 解説を収録。
東武レコーディングズ
TBRCD-0113(6CD)
税込定価
ベートーヴェン:交響曲全集、管弦楽曲集
(1)交響曲第1 番/(2)交響曲第3 番「英雄」
(3)交響曲第4 番/(4)交響曲第7 番
(5)交響曲第5 番「運命」
(6)交響曲第6 番「田園」
(7)交響曲第2 番/(8)交響曲第8 番
(9)「フィデリオ」序曲/(10)「エグモント」序曲
(11)「レオノーレ」序曲第3 番
(12)交響曲第9 番「合唱付」
(13)「コリオラン」序曲/(14)12 のドイツ舞曲
(15)「プロメテウスの創造物」序曲
(16)序曲「命名祝日」/(17)「シュテファン王」序曲
(18)ウェリントンの勝利
秋山和慶(指)広島SO
(12)菅栄三子(S)、竹本節子(A) 、藤川泰彰(T)、三原剛(Br) 、ディスカバリー・ベートーヴェン、「第九」特別合唱団

録音:(1)(10)2001 年5 月25 日、(7)(13)2001 年10 月26 日、(2)2002 年1 月22 日、(3)(15)2002 年5 月10 日、(5)(17)2002 年10 月31 日、(6)(14)(16)2003 年2 月19 日、(4)(9)(18)2003 年5 月8 日、(8)2003 年11 月26 日 以上、アステールプラザ大ホール
(11)(12)2004 年2 月15 日 広島国際会議場フェニックスホール
終身名誉指揮者を務め固い絆で結ばれている広島SOとのベートーヴェン・シリーズ演奏会をCD 化。珍しい曲目も収録していることも要注目。
東武レコーディングズ
TBRCD-0119(4CD)
税込定価
ブラームス:交響曲全集、管弦楽曲集
(1)交響曲第1 番/(2)大学祝典序曲
(3)交響曲第3 番/(4)交響曲第2 番
(5)交響曲第4 番/(6)悲劇的序曲
(7)ハイドンの主題による変奏曲
(8)ハンガリー舞曲集(全曲)
(9)ハンガリー舞曲第1番(アンコール)
秋山和慶(指)広島SO

録音:(1)(2)2004 年5 月21 日、(4)(6)2004 年11 月4 日、(3)2005 年5 月13 日、(5)2005 年7 月9 日、(7)(8)(9)2005 年11 月17 日 広島国際会議場フェニックスホール
終身名誉指揮者を務め固い絆で結ばれている広島SOとのブラームス・シリーズ演奏会をCD 化。ハンガリー舞曲を全曲収録していることも偉業と言えます。

H.M.F
HMM-905348(1CD)
サン=サーンス:交響曲第3番「オルガン付き」
ピアノ協奏曲第4番ハ短調Op.44*
ジャン=フランソワ・エッセール(P)*、
ダニエル・ロト(Org)
フランソワ=グザヴィエ・ロト(指)レ・シエクル

録音:2010年5月16日サン=シュルピス教会(パリ)、
6月16日オペラ・コミック*(ともにライヴ)
ト&レ・シエクルのサン=サーンス、ASM 04/KKC 5197(ともに廃盤)の再発盤の登場です。
サン=サーンスの交響曲第3番は名作の誉れ高いものですが、物々しく演奏されるのが常でした。しかし作曲者サン=サーンス本来の資質は軽妙でオシャレ、威圧 感や重苦しさとは無縁のはず。そうした疑念を解消する演奏がついに登場しました。フランソワ=グザヴィエ・ロトが古楽器オーケストラ「レ・シエクル」を指揮した もので、古楽器による同曲のCD も初めて。まさに物々しさや重苦しさは姿を消し、テンポも早めで、オルガンも荘厳というより、そよそよと風が吹くような爽やか さ。これぞサン=サーンスが思い描いた響き、とまさに目から鱗が落ちる思いがします。オルガンを受け持つのはフランソワ=グザヴィエの実父で有名なオルガニス ト、ダニエル・ロト。パリのサン=シュルピス教会の名器が素晴らしい響きを聴かせてくれます。カップリングはこれもシリアスな曲調で名高いピアノ協奏曲第4番。 ジャン=フランソワ・エッセールが1874年製のエラールのフォルテピアノでいとも見事に披露。まるで古典派協奏曲のようなたたずまいとなっています。 (Ki)

ORF
ORF-3243(2CD)
「モメンタム」
(1)ベートーヴェン:クロイツェル・ソナタ イ長調Op.47(クリストフ・エーレンフェルナー編弦楽合奏伴奏版) *
(2)ベートーヴェン:交響曲第1番ハ長調Op.21
(3)バルトーク:ディヴェルティメントSz.113
(4)ヤナーチェク:牧歌Op.3
ヴァヒド・カデム=ミサーク(指&Vn*)
アカデミア・アレグロ・ヴィーヴォ

録音:(1)2020 年8 月8、9 日、(2)2019 年9 月15 日、(3)(4)2019 年8 月3、4 日、アルテンブルク修道院
ウィーン・トーンキュンストラーOのコンサート・マスターでもあるヴァヒド・カデ ム=ミサークが率いているアカデミア・アレグロ・ヴィーヴォの最新録音。 1枚目はベートーヴェン。クロイツェル・ソナタの伴奏を弦楽アンサンブルに編曲したも ので、意外なほど曲想に合っています。NAXOS でも同様の編曲が出ていましたが編 曲者が異なり、聴き比べてみるのも一興。交響曲はキレのある演奏ですが、モダン楽 器の長所を生かしたようなツヤのある音色で嫌味のない演奏に好感が持てます。 2枚目はバルトークとヤナーチェクという民族的でありながら尖った作品を演奏。やは りキレの良い演奏は気持ち良い。

Goodies
78CDR-3852(1CDR)
税込定価
ブラームス:交響曲第4番ホ短調作品98 ヘルマン・アーベントロート(指)LSO

英 HMV D1265/70
(1927年3月27日録音)
初期HMV盤特有の針音大
この曲の初の全曲録音。ヘルマン・アーベントロート(1883-1956)はドイツの 名指揮者。1923年ベルリン・フィルを指揮したR.シュトラウス:死と変容 (独POLYDOR 65871/3)他数枚が機械式録音時代にあったが、これは電気録音初期 にブラームス:交響曲第1番(英HMV D1454/8)(1928年3月28日)と共にロンドン交 響楽団を指揮した貴重な演奏。アーベントロートはロンドン響を1937年まで指 揮した。その後はドイツを中心に活躍し、正規録音の他ライヴ録音が多数CD化 されています。 復刻には「音のエジソン」 http://www.otono-edison.com/ SPレコード専用 MC型カートリッジ(3mil針)とコルグのNu 1 DSD録音機を使用した。(グッディーズ)

BIS
BISSA-2368
(1SACD)
アンデシュ・エリーアソン(1947-2013):作品集
(1)交響曲第3番〜ソプラノサックスと管弦楽の為の(1989/2010)
(2)トロンボーン協奏曲(2000)
(3)交響曲第4番(2005)
(1)アンデシュ・パウルソン(ソプラノサックス)、ヨーテボリSO、ユハンネス・グスタフソン(指)
(2)クリスチャン・リンドベルイ(Tb)、ロイヤル・ストックホルムPO、サカリ・オラモ(指)
(3)ロイヤル・ストックホルムPO、サカリ・オラモ(指)

録音:(1)2017年11月8-10日ヨーテボリ・コンサートホール、
(2)2011年9月23日&(3)2020年1月ストックホルム・コンサートホール(スウェーデン)
[全作品世界初録音]
アンデシュ・エリーアソンは、1947年、スウェーデンのダーラナ地方、ボルレンゲの労働者階級の家庭に生まれました。「わたし自身の 歌とラジオで耳にした曲」が、もっとも早い音楽体験だったと言います。9歳のときトランペットを習い、まもなくしてジャズバンドのリーダーになると編曲も手がけ はじめました。地元のオルガニストに和声法と対位法を教わり、1966年から1972年まで王立ストックホルム音楽大学でイングヴァル・リードホルムに作曲法、ヴァ ルデマル・セーデルホルムに対位法を学びました。1972年からは、一年間、ストックホルムの「電子音楽スタジオ(Elektronmusik studion)(EMS)」にメ ンバーとして在籍しました。音楽大学では、十二音技法からミュジーク・コンクレートまで、さまざまな技法と「旬の」モダニズムを研究したものの、「千年以上の伝 統と決別すること」はできないと知り、「音楽は水(H2O)のようなもの。メロディ、ハーモニー、リズムが一体となって流れなければならない」という信念のもと、 数多くの作品を創り出していきました。1992年、「交響曲第1番」で「NOMUS(北欧音楽委員会)賞」を受賞。1993年から1994年まで、ヘルシンキのシベ リウス・アカデミーの客員教授を務めました。
BISレーベルの新しいアルバムの3曲は、すべて初録音の作品です。「交響曲第3番」は、アルトサックス奏者のジョン=エドワード・ケリーのためにノルウェー のトロンハイムSOが委嘱、最初「シンフォニア・コンチェルタンテ」の副題がつけられていました。「アジタート」の〈Cerca(探究)〉に始まり、〈Solitudine (孤独)〉〈Fremiti(震え)〉〈Lugubre(悲痛)〉「エピローグ」が〈Nebbie(霧)〉の「極端に対照的な5幕のドラマ」として書かれた作品です。1989年11 月16日、ケリーのアルトサックス、ロナルド・ゾルマン指揮トロンハイムSOにより初演。2010年に「ソプラノサックスと管弦楽のため」の版が作られました。 1992年のカーネギーホールのデビュー以来、ソプラノサックスの第一人者のひとりとして認められ、エリーアソンと親しかったアンデシュ・パウルソンのソロによ る録音です。
「トロンボーン協奏曲」は、クリスチャン・リンドベルイのために作曲され、彼に献呈された作品です。エリーアソンは、彼の通常の協奏曲の「急-緩-急」ではな く「アダージョ-アレグロ・モデラート -レント、カンタービレ」の1楽章の作品として作り、「交響的議論」の中にトロンボーンを組みこみました。2000年9月の マルメSOとの初演の際、外交的な性格のリンドベリに「カゴに入れられた鳥のように演奏」することをエリーアソンが求めたと言います。
「交響曲第4番」は、ミュンヘンのコンサートシリーズ「musica Viva」のためバイエルン放送からと、ヨーテボリSOから委嘱を受けて作曲されました。 2005年に完成。2007年にバイエルンRSOとヨーテボリSOが初演した後、サカリ・オラモ、アンドルー・マンゼ、ヨン・ストゥールゴールズがそれ ぞれ、この作品を取り上げました。「アレグロ-アダージョ-コン・モート、ミナッチョーゾ(脅かすように)-アダージョ」の4つの楽章がつづけて演奏されます。こ の交響曲は、2013年5月20日、エリーアソンが病死したため実現しなかったものの、三部作の最初の曲として構想され、最後の数小節が「大きく開けた場所へ の戸口」のようだと言われます。 (Ki)

オクタヴィア
OVCL-00763(1SACD)
税込定価
2021年11月26日発売
ハイドン交響曲集Vol.13
交響曲 第 94番 ト長調 Hob. I:94 「驚愕」
交響曲 第 1番 ニ長調 Hob. I:1
交響曲 第 64番 イ長調 Hob. I:64 「時の移ろい」
飯森範親(指)
日本センチュリー交響楽団

録音:2019年1月25日(第94番)、2020年1月17日(第1番、第64番)
大阪、いずみホール・ライヴ
日本センチュリー交響楽団が首席指揮者の飯森範親と共にスタートした「ハイドンマラソ ン」は、フランツ・ヨーゼフ・ハイドンのすべての交響曲を演奏しようという一大プロジェク ト。当盤は第14回、第18回コンサートのライヴ収録です。 幾度の公演を重ね、信頼関係を築いてきた飯森と日本センチュリー響は、精緻な構築と、 細部までこだわりぬいた感性で、気品あふれるハイドンを奏でています。柔和で晴々とし た優美な演奏は、まさに彼らの真骨頂といえるでしょう。(オクタヴィア)

CPO
CPO-555228(4CD)
NX-G11
シューベルト:交響曲全集と断章集
【CD1】
1. 交響曲第1番ニ長調 D 82
2. 序曲 ニ長調 D 2a(断章)…世界初録音
3. 交響曲 ニ長調 D 2b(断章)…世界初録音
4. 序曲 ニ長調 D 2g(断章)…世界初録音
5. 2つのオーケストラ作品 D 74a…世界初録音
D 71c(断章)…世界初録音
6. 交響曲第2番変ロ長調 D 125
7. オーケストラ作品 D 94a(断章)…世界初録音
【CD2】
1. 交響曲第3番ニ長調 D 200
2. 交響曲第5番変ロ長調 D 485
3. 交響曲第7番ロ短調 「未完成」 D 759
4. 交響曲第7番のスケルツォよりアレグロ(断章)
【CD3】
1. 交響曲第4番ハ短調 「悲劇的」 D 417
2. 交響曲第6番ハ長調 D 589
3. 交響曲 ホ長調 D 729(断章)
【CD4】
1. 交響曲第8番ハ長調 「ザ・グレート」 D 944
オルフェオ・バロックO(古楽器使用)
ミヒ・ガイック(指)

録音:2018年5月2-5日(ライヴ)、2018年5月7-10日、2021年4月25-28日
オルフェオ・バロックOの創立25年記念企画は、新シューベルト全集及びホーエネムスのシューベルティアーデ音楽祭との協力によるシューベル ト交響曲全集&断章集です。もととなっているのは、2018年5月にシューベルティアーデ音楽祭で4日間連続で行われた演奏会のライヴ録音。演奏 会では新シューベルト全集(Neue Schubert-Ausgabe)の研究者ミヒャエル・クーベが作品紹介を行いましたが、CD1 に収められた6曲の断章は クーベによって校訂譜が編集されたもので、これが世界初録音です。 ガイッグとオルフェオ・バロック管は2011年にドイツ・ハルモニア・ムンディにシューベルトの交響曲第5番と序曲集の録音を行っていますが、ここでは更に 一歩進んだ最新の知見に基づくシューベルト演奏をしているものと期待されます。 指揮者のミヒ・ガイックはオーストリア、シェーフリング出身。ザルツブルク・モーツァルテウム大学でヴァイオリンを学び、在学中にニコラウス・アーノンクール から強い影響を受け、イングリッド・セイファートとシギスヴァルト・クイケンからバロック・ヴァイオリンの指導を受けました。1983年にラルパ・フェスタンテ・バ ロックOを創設、1995年まで音楽監督を務めた後、1996年にオーボエ奏者のカリン・ファン・ヘールデンとともにオルフェオ・バロックO を創設。これまでに40作以上のアルバムを録音し、世界中で高く評価されました。
CPO
CPO-777309(1CD)
NX-D11
ユリウス・レントヘン:交響曲集
交響曲第7番へ短調「エディンバラ」
交響曲第14番ニ長調「ヴィンタートゥール」
交響曲第12番ハ長調「バビロンにて」
交響曲第11番ト短調「Wirbel」
交響曲第23番ハ短調
交響曲第22番嬰へ長調
交響曲第24番ホ長調
フランクフルト・ブランデンブルク州立O
ヘルシンボリSO
ダーヴィッド・ポルセライン(指)

録音:2006年9月25-28日、2007年5月29日-6月6日
cpoレーベルが力を入れている作曲家の一人がユリウス・レントヘン。ライプツィヒに生まれ、オランダに帰化し たピアニスト・作曲家で、ブラームスと交流がありました。1887年にはブラームスの指揮で「ピアノ協奏曲第 2番」のソリストを務めています。そのためか初期作品にはブラームスやシューマンの影響も見られますが、晩 年にはここから脱却し、かなり独創的な作品を書いていました。 この2枚組はダヴィッド・ポルセラインの指揮による一連の交響曲シリーズの続編で、今作にはレントヘンの 最後の3つの交響曲が含まれています。交響曲第7番以外の6曲は、全て10分から15分程度の単一楽 章で書かれており、凝縮された形式の中に多彩な音楽が詰まっています。なかでも第12番「バビロンにて」 ではティンパニ、スネアドラムとバスドラム、シンバル、トライアングルによる「トルコ風音楽」の使用と壮大なオ ルガンの響きが全体を印象付けています。第7番の「エディンバラ」のみ4楽章。1930年12月4日にアッ シャーホールで初演され大好評を博しました。

Danacord
DACOCD-914
(2CDR)
トマス・イェンセンの遺産 第4集
(1)ニールセン:交響曲第1番ト短調 FS16(Op.7)
(2)小組曲 FS6(Op.1)(弦楽の為の)*
(3)交響曲第2番ロ短調 FS29(Op.16)「四つの気質」
(4)ヘアマン・D・コペル(1908-1998):祝祭序曲 Op.33(1939)
(5)ヴァウン・ホルムボー(1909-1996):墓碑銘 Op.68 M189(1956)(交響的変容第1番)
(6)スヴェン・エーリク・タープ(1908-1994):交響曲第2番 変ホ長調 Op.50(1949)
(7)ポウル・シアベク(1888-1949):ラルゴ Op.33(1935)(弦楽オーケストラの為の)
「デンマークに生まれて」によるパラフレーズ Op.43(1938)
(8)夜 Op.41(1938)(管弦楽とピアノの為の交響的情景)**
魔女 Op.48(1939)(ソプラノ、管弦楽とオルガンの為の)***
トマス・イェンセン(指)、
デンマークRSO、王立O*、
ボリス・リンデルーズ(P)**、
キアステン・シュルス(S)***

(1)録音:1952年6月14日-15日、デンマーク放送コンサートホール(コペンハーゲン)
(2)録音:1941年1月31日&2月22日、オッドフェロー・パレス(コペンハーゲン)
(3)録音:1947年10月3日、デンマーク放送コンサートホール(コペンハーゲン)
(4)録音:1958年6月11日、デンマーク放送コンサートホール(コペンハーゲン) (ライヴ放送)
(5)録音:1959年5月22日、デンマーク放送コンサートホール(コペンハーゲン) (ライヴ放送)
(6)録音:1962年3月、ヘルシンキ(ライヴ録音)(1962年7月22日ラジオ放送)
(7)録音:1959年2月15日、デンマーク放送コンサートホール(コペンハーゲン) (ライヴ放送)
(8)録音:1958年6月5日、デンマーク放送コンサートホール(コペンハーゲン) (ライヴ放送)
デンマークの指揮者トマス・イェンセン(1898-1963)の「遺産」シリーズの第4作。カール・ニールセンの作曲家としてのキャリアの第一歩となった3つの作品が「Disc 1」、ニールセンの音楽から影響を受け、自身の音楽との融合を図りながら作曲を行なったニールセンの次の世代の作曲家4人の作品が「Disc 2」に収められています。イェンセンが、第二次世界大戦後、デンマークRSOを指揮してDeccaとHMVのために録音したニールセンの「交響曲第1番」と「交響曲第2番」は、「デンマークに生まれた音楽」を印象づける「筆遣い」と「情熱」をもった、「もっとも信頼できる」という評価が今も変わらない演奏。クラウス・ビューリトにより、角のとれたゆったりとした音にリマスタリングされています。弦楽の為の「小組曲」は、デンマークがドイツ軍に占領された第二次世界大戦中、コペンハーゲンのオッドフェロー・パレスでイェンセンが王立Oを指揮したHMVの録音。ヘアマン・D・コペルの「祝祭序曲」は、プロコフィエフとショスタコーヴィチの「ロシア・モダニズム」とニールセンに倣った「和声の転回」を交えた作品。ホルムボーの「墓碑銘」は、彼の「メタモルフォーゼ」スタイルで書かれた4曲の『交響的変容』の最初の作品。1959年にコペンハーゲンで開催された「バレエと音楽」のフェスティヴァルの一環として行われたイェンセンとデンマークRSOによるラジオ放送が収録されています。タープは、パリのいわゆる「Les Six(六人組)」のネオクラシカル・スタイルに関心を寄せながらも、「ニールセン」を意識する作品を発表したと言われています。「交響曲第2番」は〈瞑想に耽り〉〈活力にあふれ〉〈晴れやかに〉の3楽章の作品です。カール・ニールセンとトマス・ラウプに作曲を学んだポウル・シアベクの作品が3曲。H・C・アンデルセンの詩に作曲した彼の歌曲「デンマークに生まれて」による「パラフレーズ」。バレエのために書いた音楽をピアノと管弦楽のために改作した「夜」。スウェーデン系フィンランドの詩人、エーリク・アクセル・カールフェルトの「魔女のサバト」を詠んだ詩をテクストにした「魔女」は、シアベクのもっともよく演奏される作品のひとつです。「Disc 2」の録音はすべて、今回初めてCD化されます。
※当タイトルは、高品質メディア(SONY DADC/Diamond Silver Discs)を使用した、レーベル・オフィシャルのCD-R盤となります。

Urania Records
WS-121396(2CD)
ブラームス:交響曲全集
交響曲第1番ハ短調 Op.68
交響曲第2番ニ長調 Op.73
交響曲第3番ヘ長調 Op.90
交響曲第4番ホ短調 Op.98
ラファエル・クーベリック(指)VPO

録音:1957年9月23日-24日(第1番)、1957年3月4日-8日(第2番)、1957年9月24日-25日(第3番)、1957年3月24日-25日(第4番)
※リマスタリング:ノエミ・マンゾーニ&ウラニア・レコーズ
1962年にバイエルンRSOの首席指揮者に就任したラファエル・クーベリックは録音活動の活躍の場をドイツ・グラモフォンに移すことになりますが、それ以前の決して長いとは言えない1950年代のデッカ時代にレコーディングが行われ、クーベリックの数ある録音の中でも代表的名演の1つに数えらえるウィーン・フィルとのブラームスの交響曲全集!
1950年のザルツブルク音楽祭でウィーン・フィル・デビューを果たし、その後も同オーケストラと良好な関係を保ち続けたクーベリックの50年代、デッカ時代の頂点の1つとも言えるブラームス全集が、ウラニア・レコーズの新たなリマスタリングを施されてその輝きを増しています。


TOKYO FM
TFMCSA-0041
(2SACD)
シングルレイヤー
完全限定生産
2021年新リマスター
[Disc1]166'25''
[Disc2]160'45"
日本語帯・解説付
カラヤン&BPO/ベートーヴェン交響曲全集(1977年普門館ライヴ)
[Disc1]
交響曲第1番ハ長調 作品21
交響曲第2番ニ長調 作品36
交響曲第3番変ホ長調「英雄」作品55
交響曲第4番変ロ長調 作品60
交響曲第5番ハ短調「運命」作品67
[Disc2]
交響曲第6番ヘ長調「田園」作品68
交響曲第7番イ長調 作品92
交響曲第8番ヘ長調 作品93
交響曲第9番ニ短調「合唱付き」
バーバラ・ヘンドリックス(S)
ヘルイェ・アンゲルヴォ(A)
ヘルマン・ヴィンクラー(T)
ハンス・ゾーティン(Bs)
田中信昭(合唱総指揮)
日本プロ合唱団連合、
東京藝術大学cho
ヘルベルト・フォン・カラヤン(指)
ベルリンPO

録音:1977年11月13日(第1・3番)、14日(第2番)、15日(第4・7番)、16日(第5・6番)、18日(第9番)
TOKYO FMが録音した帝王カラヤン&ベルリン・フィルの1977年ベートーヴェン・チクルス、東京・普門館ライヴを長時間収録でSACD化。シングルレイヤー の収録時間を活かし2枚のディスクに交響曲全9曲を集約しました。ティンパニはテーリヒェンとフォーグラー、コンサートマスターはシュヴァルベ、シュピーラー、 ブランディスという当時の黄金メンバーが来日し最高のサウンドを披露した伝説的ライヴ。カラヤンが激賞した田中信昭氏率いる合唱団との第9も見事な熱演で す。聴き継がれるべき記念碑的録音!
今回改めてリマスターを施し、さらなる音質改善をめざしました。白熱のトゥッティがまばゆく炸裂し、また同時にしなやかな空気感が大きく広がり、カラヤン全 霊の指揮に対して待ってましたとばかりにベルリン・フィルが応えるさまが目に浮かぶ極上の音質!交響曲の1曲1曲が圧倒的スケールで迫ってくる、真の大演奏 を大いに愉しめます。何と贅沢な逸品なのでしょう! (Ki)


BERLINER PHILHARMONIKER
KKC-5952
(22SACD+DVD)
日本語帯・解説付
税込定価
再プレス!「フルトヴェングラー 帝国放送局(RRG) アーカイヴ 1939−45」


■CD1
フルトヴェングラー:ピアノとオーケストラのための交響的協奏曲

■CD2
(1)ヘンデル:合奏協奏曲Op6-5
(2)ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」
(3)R.シュトラウス:4つの歌曲(誘惑 Op.33-1、森の喜びOp.49-1、愛の賛歌Op.32-3、冬の愛Op.48-5)
(4)交響詩「ドン・ファン」

■CD3
(1)ワーグナー:「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕前奏曲
(2)シューマン:ピアノ協奏曲
(3)ベートーヴェン:交響曲第7番
■CD4

ベートーヴェン
:交響曲第9番「合唱つき」

■CD5
(1)グルック:「アルチェステ」序曲
(2)シューマン:チェロ協奏曲

■CD6
ブルックナー:交響曲第5番

■CD7
(1)ブラームス:ピアノ協奏曲第2番
(2)ワーグナー:「トリスタンとイゾルデ」より前奏曲と愛の死

■CD8
ハインツ・シューベルト(1908-1945):賛歌的協奏曲(初演)

■CD9
(1)シューベルト:交響曲第8番「ザ・グレート」
(2)モーツァルト:交響曲第39番

■CD10
(1)シベリウス:エン・サガ
(2)シベリウス:ヴァイオリン協奏曲ニー

■CD11
(1)ベートーヴェン:交響曲第4番(聴衆なし)
(2)ベートーヴェン:交響曲第4番(コンサート・ライヴ)

CD12
(1)ベートーヴェン:「コリオラン」序曲
(2)ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」

■CD13
(1)ペッピング:交響曲第2番(初演)
(2)ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番

■CD14
(1)ブルックナー:交響曲第6番(第2〜4楽章のみ)
(2)シューマン:チェロ協奏曲
(3)R・シュトラウス:交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」

■CD15
(1)ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲
(2)ブラームス:ピアノ協奏曲第2番

■DVD
ドキュメンタリー
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)BPO
■CD1
エドウィン・フィッシャー(P)/録音:1939年1月19日、旧フィルハーモニー(特別コンサート)
■CD2
(1)録音:1939年9月13日、マズーレンアレ放送局(放送用コンサート)
(2)録音:1939年9月13日、マズーレンアレ放送局(放送用コンサート)
(3)ピーター・アンダース(T)
録音:1942年2月15,16,17日、旧フィルハーモニー
(4)録音:1942年2月15,16,17日、旧フィルハーモニー
■CD3
(1)録音:1942年2月26日、AEG工場
(2)ヴァルター・ギーゼキング(P)/録音:1942年3月1〜3日、旧フィルハーモニー
(3)録音:1942年3月1、2日、旧フィルハーモニー
■CD4
ブルーノ・キッテルcho、ティルラ・ブリーム(S)、エリーザベト・ヘンゲン(A)、ペーター・アンダース(T)、ルドルフ・ヴァッケ(Bs)/録音:1942年3月22〜24日、旧フィルハーモニー
■CD5
(1)録音:1942年10月25〜28日、旧フィルハーモニー
(2)ティボール・デ・マヒューラ(Vc)/録音:1942年10月25〜28日、旧フィルハーモニー
■CD6
録音:1942年10月25〜28日、旧フィルハーモニー
■CD7
(1)エドウィン・フィッシャー(P)/録音:1942年11月8,9日、旧フィルハーモニー
(2)録音:1942年11月8,9日、旧フィルハーモニー」
■CD8
録音:1942年12月8日、旧フィルハーモニー
■CD9
(1)録音:1942年12月6日、旧フィルハーモニー
(2)録音:1943年1月2日、マズーレンアレ放送局
■CD10
(1)録音:1943年2月7〜10日、旧フィルハーモニー
(2)ゲオルク・クーレンカンプ(Vn)/録音:1943年2月10日、旧フィルハーモニー
■CD11
(1)録音:1943年6月28、29日、旧フィルハーモニー
(2)録音:1943年6月28、29、30日、旧フィルハーモニー
■CD12
(1)録音:1943年6月30日、旧フィルハーモニー
(2)録音:1943年6月30日、旧フィルハーモニー
■CD13
(1)録音:1943年10月31日、11月1〜3日、旧フィルハーモニー
(2)コンラート・ハンゼン(P)/録音:1943年10月31日、11月1〜3日、旧フィルハーモニー
■CD14
(1)録音:1943年11月13,14日、旧フィルハーモニー
(2)ピエール・フルニエ(Vc)/録音:1943年11月16日、旧フィルハーモニー
(3)録音:1943年11月16日、旧フィルハーモニー
■CD15
(1)録音:1943年12月15日、旧フィルハーモニー
(2)アドリアン・エッシュバッハー(P)/録音:1943年12月15日、旧フィルハーモニー
●初回限定だったフルトヴェングラーに関する貴重なドキュメンタリー映像(DVD)も今回再び封入!
●特典:フルトヴェングラー特製2022年カレンダー(カードサイズ)を限定300枚
●戦時中(1939〜45年)にドイツ帝国放送が収録したベルリン・フィルとフルトヴェングラーによる放送録音を集成したエディション。
●嬉しいことに、初出音源も収録!(ラヴェル:ダフニスとクロエ第1組曲(抜粋)、シューベルト:交響曲「未完成」第2楽章)
●ドイツ帝国放送のテープ音源としては、今現在の最高技術をもってサンプリング(28bit/96kHz)を行い、ベルリン・フィルが自ら手掛ける戦時のフルトヴェングラー最高音質の登場。
●当時の演奏を再現できる最良の音源を選択。現存するドイツ帝国放送テープをすべて網羅し、オリジナル・テープを基本に、最高の条件でセット化。
●22枚組SACD ハイブリット盤。日本だけの特典映像付(DVD)。
●初回特典:フルトヴェングラー2019年カレンダー(A5サイズ)

戦時下の激動の時代にあっても、自らの芸術活動に命を懸けたフルトヴェングラー。指揮者フルトヴェングラーの中で戦時中の演奏は最も重要なもので す。戦時中のベルリン・フィル&フルトヴェングラーの現存する演奏をすべて網羅し、過去最高の品質で蘇らせた当セットは、これまでのあらゆる盤を凌 駕する決定盤と言えるでしょう。 また、戦時のフルトヴェングラーの録音を語る上で欠かせないのが、「テープの遍歴」についてです。ソ連軍は、ベルリン占領後、ドイツ帝国放送にあっ たおよそ1500本のテープを戦利品として押収。そのテープをもとにモスクワ放送の番組に使用したり、露メロディア・レーベルからLPを発売したりと利 用されてきました。しかし1987年にはオリジナル・テープのコピー20本が、さらに1991年には押収した原テープが自由ベルリン放送(SFB)へ返還さ れ、今日までベルリン・ブランデンブルク放送(RBB、旧SFB)のアーカイヴに保存されていました。今回、当セットで使用されている音源のほとんどは、 1987年と1991年に返還されたテープをベルリン・フィルが新たに28bit/96kHzでサンプリングしたもの。担当したトーンマイスターによると、これら のテープは30年という時間がたっているにも関わらず、非常に良い状態でサンプリングすることができたと言います。また、以前から多くのCDで問題に されていたピッチについても、当時の正しい音程、速度を基準としてサンプリングを行っています。残念ながら演奏会記録が残っているのに、欠けている プログラムについては、テープがすでに消失した可能性がきわめて高く、当セットに収録されている音源が、現存する戦時のベルリン・フィルとフルトヴェ ングラーの演奏のすべてだと考えられています。 仕様は、最高音質でのサンプリングを活かすべく、SACDハイブリット盤でのリリースとなります。解説書は、ソ連軍による戦後の押収からコピーの返還、 マスター・テープの発見に至るまで、この録音をめぐる歴史について書かれた興味深い内容となっています(日本語訳付)。さらに日本のみの初回特典として、 フルトヴェングラーの貴重な映像を交えたドキュメンタリーを含むDVD1枚と2019年版フルトヴェングラー・カレンダー(A5)が付属します。 (Ki)

Altus
ALT-500(5CD)
完全限定生産
カール・ベーム&ウィーンフィル〜東京ライヴ・コレクション1977&1980
(1)【ALT-026/7】2CD
ベートーヴェン
[CD1] 交響曲第6番「田園」
[CD2] 交響曲第5番「運命」、
 レオノーレ序曲第3番(アンコール)
(2)【ALT-065】1CD
ベートーヴェン:交響曲第2番、
 交響曲第7番
(3)【TFMC-1011】2CD
[CD1] モーツァルト:交響曲第29番
R.シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」
[CD2] ブラームス:交響曲第2番
ワーグナー:「ニュルンベルクのマイスターシンガー」第1幕前奏曲(ゲネプロ)
カール・ベーム(指)VPO

ライヴ録音:(1)1977年3月2日NHKホール、
(2)1980年10月6日昭和女子大人見記念講堂、
(3)1977年3月11日東京文化会館(すべてステレオ)
ベームとウィーン・フィルの伝説的来日公演、ALTUSとTOKYO FMからリリースされている3タイトルCD5枚分をまとめた数量限定特別価格セットです。単 売のパッケージをそのまま紙ケースに収納した仕様となっており、大変お買い得な価格となっております。数量限定ですのでお早めにどうぞ!
【ALT-026/7】…「77年3月2日のベーム、ウィーン・フィルの来日公演はまさに夢と陶酔のひとときであった。普通、極上の名演奏はマイクに入らないもの だが、この録音には当夜のすべてが刻み込まれています。奇蹟というほかない。」〜宇野功芳・ライナーノートより
【ALT-065】…1980年最後の来日演奏会、昭和女子大学人見記念講堂こけらおとしコンサート。「巨人ベームのエネルギーが最後に最も激しく燃焼した瞬間 だった」〜ウィーン・フィル、クラリネット奏者 E.オッテンザマー
【TFMC-1011】…FM東京のマスターテープをもとに今CD用のアナログテープを作り、そこから16bit/44.1KHzに落とし込みCD化。「AAD」によるあ たたかで野太い見事な音質。ベーム伝説の美演を堪能できます!

GRAND SLAM
GS-2251(1CD)
ブラームス:交響曲第4番ホ短調 Op.98
ハイドンの主題による変奏曲*
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)BPO

録音:1948年10月24日ティタニア・パラスト(ベルリン)
1950年6月20日ティタニア・パラスト(ベルリン)*
使用音源:Private archive(2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:モノラル(ラジオ放送用ライヴ録音)
■制作者〜 
交響曲第4番は旧EMI系で発売されていたものと同一音源で、GS-2198(2019年/廃盤)でも復刻しましたが、このGS-2251ではすべてのマスタリン グ行程を最初からやり直し、望みうる最上の音質に仕上げました。「ハイドンの主題による変奏曲」は当シリーズ初復刻となります。復刻の素材はともに2トラック、 38センチのオープンリール・テープです。  また、解説書にはドイツ文学者、文芸評論家の小宮豊隆(1884-1966)が1924年5月にミュンヘンでフルトヴェングラー(指)ベルリン・フィルの演奏会を 聴いた時の印象記を掲載しています。ヨーロッパでフルトヴェングラーを聴いた日本人の手記はいくつか知られていますが、これはおそらく最も古いものに属する と思われます。(平林 直哉)


SOMM
ARIADNE-5013(1CD)
NX-B04
ビーチャム・コンダクツ・シベリウス
シベリウス:交響曲第1番ホ短調 Op. 39
組曲『歴史的情景』 第2番Op. 66*〜II. 愛の歌/III. はね橋にて

■インタヴュー〜Playing for Beecham ビーチャムのために演奏すること#
ジョン・トランスキーとビーチャム時代のロイヤルPOの奏者、ジョン・アンダーウッド(Va)とレイモンド・オーヴンズ(Vn2)の会話
ロイヤルPO
トーマス・ビーチャム(指)

録音:1952年8月17日 アッシャー・ホール、エディンバラ(UK)
1947年4月17日 People's Palace Theatre、ロンドン(UK)*
2015年1月6日#
存在は知られていたものの、これまでに発売されていなかった1952年、ビーチャムのシベリウス:交響曲第1番のライヴ録音登場。全曲初出! SOMM RECORDINGSよりロイヤルPOの創立75周年を記念して貴重な音源がリリースされます。1946年にトーマス・ビーチャムが創 設したロイヤルPOはその年の9月15日にクロイドンで最初の演奏会を行い、すぐさま人気を博しました。収録されているのは、1952年 エディンバラ国際フェスティヴァルでビーチャムによって演奏されたシベリウス:交響曲第1番のライヴ録音です。ビーチャムはこの演奏に先立つ3か月前に、同じ作 品をセッション録音しましたが、このライヴはビーチャム伝記作者ジョン・ルーカスの言葉を借りると「ぞくぞくするようなパフォーマンス」と言えるものです。併せて収録 された1947年4月の「歴史的情景」も初出音源です。 最後に収録されたジョン・トランスキーによる30分に及ぶインタビューは、ビーチャムの下で演奏してきた2人の奏者が指揮者とオーケストラの思い出を語ったもの (英語)。当時のメンバーは、ホルンの首席を名手デニス・ブレインが務め、トランペットは19歳で首席奏者に任命されたリチャード「ボブ」ウォールトン。打楽器 奏者にはルイス・ポコック、他錚々たる管楽器奏者たちがビーチャムのために演奏していたという話は、演奏と同じく聴き手を興奮させます。 この録音は、音楽演奏リサーチ・センターの創設者であるジョン・トランスキーが1987年に作成、管理していたアーカイヴに含まれていたもので、SOMM RECORDINGSから発売されている「ビーチャム・コレクション・シリーズ」もこの中から選ばれた音源が用いられています。

NAXOS/映像作品
NAXOS-2.110704
(DVD)
NX-C05

NBD0135V(Bluray)
NX-C05
ベートーヴェンとその時代 第1集
【コンサート I】
C.P.E.バッハ:交響曲 へ長調 Wq. 175, H. 650(1755)
ベートーヴェン:交響曲第2番ニ長調 Op. 36(1801-02)
C.P.E.バッハ:交響曲 ト長調 Wq. 183/4, H. 666(1775?76)
4. ベートーヴェン:交響曲第1番
【コンサート II】
ヴラニツキー(1756-1808):交響曲 ハ短調 「フランス共和国との和平に」 Op. 31(1797)
モーツァルト:歌劇「バスティアンとバスティエンヌ」序曲
. ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
ベルリン古楽アカデミー(古楽器使用)
ベルンハルト・フォルク(コンサートマスター)
SWRシュヴェツィンゲン音楽祭2020

収録時間:165分
音声:PCMステレオ2.0/DTS5.1(DVD)
PCMステレオ2.0/DTS-HD Master Audio 5.1(Blu-ray)
字幕:なし
画角:16/9 NTSC All Region
DVD…片面二層ディスク
Blu-ray・・・片面二層ディスク 1080i High Definition
収録:2020年10月24、25日 シュロステアター、シュヴェツィンゲン(ドイツ)
ベートーヴェン・イヤー(生誕250周年)の2020年10月SWRシュヴェツィンゲン音楽祭にて、ベルリン古楽ア カデミーによるベートーヴェンと彼の同時代作曲家に光を当てた連続演奏会が、4夜に渡り開催されました。 当盤は第1集として第1夜と第2夜のコンサートを収録しています。第1夜の演目は、C.P.E.バッハの2つの 交響曲とベートーヴェンの交響曲第1番、第2番。指揮者のいない小編成のオーケストラによる機敏でフレッ シュな演奏は2人の作曲家の持ち味を巧みに描き分けています。第2夜はヴラニツキーの交響曲とベートー ヴェンの交響曲第3番「英雄」。「英雄」の前には同曲の第1楽章の冒頭のモチーフがそっくりなモーツァルト の歌劇「バスティアンとバスティエンヌ」の「序曲」が演奏されました。モラヴィア出身のヴラニツキーはモーツァル トと親交があり、当時指揮者としても名高く、ベートーヴェンが自身の第1交響曲の初演を依頼したことでも 知られています。作品はハイドンの影響を受けつつも、巧みな管弦楽法による軽快かつ芳醇なスタイルで、 モーツァルトの作品を彷彿させます。ピリオド楽器を縦横無尽に操るベルリン古楽アカデミーの奏者たちによ る、ベートーヴェンと彼の同時代の作曲家の楽曲をご堪能ください。
NAXOS-2.110705
(DVD)
NX-C05


NBD-0136V(Bluray)
NX-C05
ベートーヴェンとその時代 第2集
【コンサート III】
ケルビーニ:歌劇「ロドイスカ」より序曲
メユール(1763-1817):交響曲第1番ト短調(1808-09)
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」7(1808)
【コンサート IV】
ホルツバウアー(1711-1783):交響曲 変ホ長調「海の嵐」(1769)
ユスティン・ハインリヒ・クネヒト(1752-1817):交響曲 ト長調「自然の音楽的描写、あるいは大交響曲」(1784-85)
ベートーヴェン:交響曲第6番へ長調「田園」 Op. 68(1808)
ベルリン古楽アカデミー(古楽器使用)
ベルンハルト・フォルク(コンサートマスター)
SWRシュヴェツィンゲン音楽祭2020

収録:2020年10月28、29日 シュロステアター、シュヴェツィンゲン(ドイツ)
収録時間:155分
音声:
PCMステレオ2.0/DTS5.1(DVD)
PCMステレオ2.0/DTS-HD Master Audio 5.1(Blu-ray)
字幕:なし
画角:16/9 NTSC All Region
DVD…片面二層ディスク
Blu-ray・・・片面二層ディスク 1080i High Definition
ベートーヴェン・イヤー(生誕250周年)の2020年10月SWRシュヴェツィンゲン音楽祭にて、ベルリン古楽ア カデミーによるベートーヴェンと彼の同時代作曲家に光を当てた連続演奏会が、4夜に渡り開催されました。 当盤は第3夜と第4夜のコンサートを収録。第3夜の中心を成すのはベートーヴェンの交響曲第5番「運 命」とメユールの交響曲第1番。この2曲はほぼ同年代に作曲され、楽想的にもいくつかの共通点が認めら れます。このメユールの作品は、後年それを聴いたシューマンが称賛したという対位法を駆使した躍動感溢 れる音楽。第4夜で取り上げられたのは、ベートーヴェンの交響曲第6番「田園」と、その20年ほど前に書か れたクネヒトの交響曲「自然の音楽的描写、あるいは大交響曲」、そして「海の嵐」と名付けられたホルツバ ウアーの交響曲。そのいずれもが自然を音で描いた作品として共通し、特にクネヒトの作品はベートーヴェン との近似性でも知られています。ピリオド楽器を奏でるベルリン古楽アカデミーの奏者たちの姿や、その楽器 配置など、楽曲以外にも見所満載の映像です。


BIS
BISSA-9060(1SACD)

KKC-6435(1SACD)
国内盤仕様
税込定価
スウェーデン放送所蔵音源によるバイロイトの「第9」
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」
エリーザベト・シュヴァルツコップ(S)、
エリーザベト・ヘンゲン(A)、
ハンス・ホップ(T)、
オットー・エーデルマン(Bs)
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)
バイロイト祝祭O&cho

録音:1951年7月29日/バイロイト祝祭劇場(ライヴ)
まさに1951年7月29日、スウェーデン放送によって中継放送された番組、冒頭の3か国語(ドイツ語、英語、スウェーデン語)によるアナウンスから巨匠の入場、 渾身の指揮、やや長めのインターバルをはさみ、最後の2分半以上に及ぶ大歓声と嵐のような拍手(と番組終了のアナウンス)まで、85分間、一切のカットなしに 当夜のすべての音をSACDハイブリッド盤に収録しました。
発掘のきっかけはキングインターナショナルと縁の深かった仏ターラ・レーベルの主宰者故ルネ・トレミヌ氏が遺していった『Furtwangler / A Discography by Rene Tremine』(ターラ・プロダクション 1997年刊)A4版56ページの冊子。この中の「バイロイトの第九」(1951年7月29日 バイロイト、祝祭歌 劇場O)の項の最後の行に次のような記述が―Bavarian Radio, Munich and Swedish Radio(archive LB 14784)。バイエルン放送、ミュンヘ ン放送、そしてスウェーデン放送も放送していたというのです!
この1行の記述を頼りに、弊社では長年の付き合いがあるスウェーデンBISのロベルト・フォン・バール会長に音源探しを依頼。そしてついに、見つかったのです! あのトレミヌ氏でさえも入手できずに、70年もの間スウェーデン放送局に眠っていた「バイロイトの第九」放送音源が。

■バール氏からのメール
「音の状態は悪くない。思ったより良好。SACDハイブリッドで出すことに決めた。マスターテープを借りられた。これから音質とノイズ等のチェックをおこない、年 内緊急発売を目指してスタジオ作業中だ。マスターテープに遺された音は一切カットせずに、85分間を1枚のCDにも収録する予定です。この伝説の名演の核 心に触れられることに我々スタッフ一同も興奮しています。」

Arte dellarco Japan
ADJ-065(1CD)
オーケストラ・リベラ・クラシカ第42回定期演奏会
ハイドン:交響曲第103番変ホ長調 Hob.I:103「太鼓連打」
ミサ曲 ハ長調 Hob.XXII:9「太鼓ミサ」(戦時のミサ)
鈴木秀美(指)、
オーケストラ・リベラ・クラシカ
中江早希(ソプラノ独唱)、布施奈緒子(アルト独唱)、谷口洋介(テノール独唱)、小笠原美敬(バス独唱)、コーロ・リベロ・クラシコ(合唱)

ライヴ録音:2018年10月13日/上野学園 石橋メモリアルホール
録音:櫻井卓
オーケストラ・リベラ・クラシカ(OLC)第42回定期演奏会を収録した当盤はティンパニが大活躍のハイドンの「太鼓連打」と「太鼓ミサ」!鈴木秀美率いる OLC、コーロ・リベロ・クラシコ(CLC)、そして実力派独唱者による演奏です!
導入部がティンパニの連打で始まる交響曲第103番「太鼓連打」。ティンパニ奏者、菅原淳が躍動感に溢れる演奏を展開し、この個性的な作品の魅力を際立た せております。また、第3楽章のメヌエットのトリオでは、クラリネットが目立って現れるのも魅力。そして、終楽章の冒頭のホルンのファンファーレもまたこの作品 の華やかさを表現しております。ミサ曲 ハ長調 Hob.XXII:9「戦時のミサ」、通称「太鼓ミサ」もまたティンパニが効果的にあらわれる作品。敬虔な雰囲気と戦争 の雰囲気が交じり合ったミサ曲です。
合唱は声楽アンサンブル「ラ・フォンテヴェルデ」のメンバーを中心とした古楽のスペシャリスト達が集めって創設されたコーロ・リベロ・クラシコ(CLC)が担当。 また、独唱は圧倒的な歌唱力で注目されているソプラノ中江早希をはじめ、アルト布施奈緒子、テノール谷口洋介、バス小笠原美敬と実力派の歌手が揃いました。 歌詞対訳付です。
ティンパニが意味深い箇所で登場するこの2大作品をOLCとCLC、そしてソリスト達の名唱でお楽しみください! (Ki)

GRAND SLAM
GS-2249(1CD)
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」 イシュトヴァン・ケルテス(指)VPO

録音:1961年3月22-24日ゾフィエンザール(ウィーン)
使用音源:Private archive(2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
■制作者より
2トラック、38センチ、オープンリール・テープ復刻シリーズとして2017年に発売したケルテス&ウィーン・フィルの「新世界より」(GS-2159)は、またたく 間に完売してしまいました。それをそのまま再プレスすることも検討しましたが、永遠の名盤にふさわしい音質を獲得するためにも、全行程をプロ用の機器により 最初からマスタリングをやり直すことにしました。結果は大正解だと思います。また、解説書も前回とは大幅に内容を変えています。(平林 直哉)

スリーシェルズ
3SCD-0065(1CD)
税込定価
鹿野草平(b.1980):よみがえる大地への前奏曲(2011)* ※管弦楽版初演
交響曲第1 番「2020」(2021) ※世界初演
松井慶太(指)
オーケストラ・トリプティーク(コンサートマスター三宅政弘)
早稲田吹奏楽団(指導:竹内公一)*

録音:2021 年4 月24 日杉並公会堂
解説:鹿野草平、池辺晋一郎
人類にとって未曾有の事態となり世界中に傷跡を残しているコロナ禍。 作曲家の鹿野草平が、その犠牲者への哀歌と、それを乗り越え、未来を切り拓く人類の叡智を、交響曲として描きました。 鹿野草平(1980-)は、東京音楽大学で池辺晋一郎、西村朗、三木稔らに、学外で水野修孝に学んだ作曲家で、吹奏楽作曲 や、ゲーム、アニメ音楽や、伊福部昭百年紀の楽譜作成でも知られています。鹿野の作品について、彼の師匠の作曲家の 池辺晋一郎は「音の連鎖に光が降り注いでくる」と形容しています。確かに、マーラー、ショスタコーヴィチ、芥川也寸志、伊 福部昭、矢代秋雄、黛敏郎、吉松隆への敬愛を感じさせる部分もあり、日本に新たなシンフォニスト登場!と言えるでしょう。 作曲者は交響曲第1 番について下記のように述べています。 オーケストラで演奏される楽曲で、「交響曲」ほど純粋に音だけでものごとを語る手法は他にありません。壮大な音楽、悲壮 な音楽。かつて様々な天才作曲家が、数々の交響曲を生み出してきました。私はこの状況に際し作曲家・音楽家の役割と して、2020 年から続く惨禍と亡くなった方々への哀悼、そして困難を乗り越え平和を取り戻す人類の叡智を、交響曲という 手段で表現し、後世に記憶を残さなければならないと考え、このたび新作交響曲を完成させました。
■池辺晋一郎によるメッセージ「鹿野草平のこれから」より一部紹介
鹿野草平の「よみがえる大地への前奏曲」と「交響曲第 1 番」を聴いた。その印象は、「作曲の喜び」という一語に尽きる。フ ル編成のオーケストラ作品を書きおおせるという高揚と興奮の感覚、おびただしい数の音符を五線に記すという圧倒的な 充足感──スコアはそのような快感と汗で、満ちています。(作曲家 池辺晋一郎)

LPO
LPO 0121(1CD)
マーラー:交響曲第8番「千人の交響曲」 ジュディス・ハワース(S)、アンネ・シュヴァーネヴィルムス(S)、ソフィア・フォミナ(S)、ミヒャエラ・ゼリンガー(Ms)、パトリシア・バードン(Ms)、バリー・バンクス(T)、ステファン・ガッド(Br)、マシュー・ローズ(Bs)
ウラディーミル・ユロフスキ(指)、
LPO&cho、ロンドンSOcho
ケンブリッジ・クレア・カレッジcho
ティフィン少年cho

録音:2017年4月8日、ロイヤル・フェルティバルホール(ライヴ)
冒頭から圧倒的な熱量と迫力。400名以上の奏者たちを率いるユロフスキとLPOの信頼関係が結実した稀有の名演!「デュナーミク、フレージング、バランスの 隙の無い采配、そして完ぺきな構成力」と絶賛された、近年でも特に評価の高かったマーラー8番演奏会のライヴ録音です。英国が誇るソプラノのジュディス・ハ ワース、気品ある元帥夫人としてもおなじみのシュヴァーネヴィルムス、2006年にグラインドボーンでデビューした気鋭の英国のバリトン、マシュー・ローズをはじ め、注目の布陣。オーケストラに歌劇に活躍しているユロフスキだからこそなしえた力演です! (Ki)


Spectrum Sound
CDSMBA-080(2CD)
マルティノンの「英雄」

■CD1
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
ブラームス:交響曲第1番〜第1&2楽章

■CD2
ブラームス:交響曲第1番〜第3&4楽章
マーラー:交響曲第1番「巨人」
ジャン・マルティノン(指)
フランス国立放送O

ライヴ録音:(ベートーヴェン)1967年2月21日シャンゼリゼ劇場(パリ)【ステレオ】
(ブラームス)1970年9月30日/シャンゼリゼ劇場(パリ)【ステレオ】
(マーラー)1971年11月17日/シャンゼリゼ劇場(パリ)【ステレオ】
音源:フランス国立視聴覚研究所音源提供(24bit/192KHz digital restoration and remastering from the original master tapes)
丁寧な復刻で評価を高めているスペクトラム・サウンド。当アルバムはフランス国立視聴覚研究所(INA)の貴重音源からの復刻!今回はジャン・マルティノン (1910-1976)がフランス国立放送O(フランス国立O)を振った正規初出音源集で、ベートーヴェンの「英雄」(1967年2月21日)、ブラー ムスの交響曲第1番(1970年9月30日)、そしてマーラーの「巨人」(1971年11月17日)といずれもシャンゼリゼ劇場におけるライヴ。すべてステレオで の収録です!意外なことにマルティノンはこの3篇は商業録音には残していませんでした。それだけにこの復刻は晩年のマルティノンの至芸を楽しめるだけでなく、 貴重音源が日の目を見たことになります。
「英雄」は同オケとのライヴ音源(1970年1月28日)がアルトゥス・レーベル(ALT-450)よりリリースされていますが、当音源はその3年前の1967年の ライヴでマルティノンらしい端正な演奏が魅力です。「ブラ1」は同年1970年11月、マルティノンの来日公演で日フィルを振ったライヴがCD化されていました が、フランス国立放送管との当ライヴ音源(1970年9月30日)はもちろん初出。マルティノンらしい色彩豊かなオーケストラの響きとブラームスの格調高い音楽 が見事にマッチした美演です。そして「巨人」ですがこちらも1970年11月に日フィルと共演していますが当録音は翌1971年の演奏。マルティノン晩年の円熟 を見せながらも躍動感に満ちた演奏は実に感動的です!平林直哉氏による日本語解説書付です! (Ki)
Spectrum Sound
CDSMBA-081(2CD)
マルティノンの「運命」

■CD1
(1)ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」
(2)サン・サーンス:交響曲第3番「オルガン付き」

■CD2
(3)ブラームス:交響曲第2番
(4)ムソルグスキー:「展覧会の絵」
(1)(3)(4)ジャン・マルティノン(指)フランス国立放送O
(2)ポール・パレー(指)フランス国立フィルハーモニックO

ライヴ録音:(1)1970年9月4日ブザンソン【ステレオ】
(2)1973年5月29日メゾン・ド・ラジオ・フランス104スタジオ、グランド・オーディトリアム(パリ)【ステレオ】
(3)1972年3月26日/リーダーハレ(シュトゥットガルト)【ステレオ】
(4)1972年3月1日シャンゼリゼ劇場(パリ)【ステレオ】
音源:フランス国立視聴覚研究所音源提供(24bit/192KHz digital restoration and remastering from the original master tapes)
丁寧な復刻で評価を高めているスペクトラム・サウンド。フランス国立視聴覚研究所(INA)の貴重音源からの復刻でも注目を集めています!当アルバムには二 人のフランス人指揮者ジャン・マルティノン(1910-1978)とポール・パレーの正規初出音源を収録。その内容はマルティノンがフランス国立 放送管を指揮したベートーヴェンの「運命」(1970年9月4日/ブザンソン)、ブラームスの交響曲第2番(1972年3月26日/リーダーハレ)、ムソルグスキー の「展覧会の絵」(1972年3月1日/シャンゼリゼ劇場)、そしてパレーがフランス国立フィルハーモニックを指揮したサン=サーンスの「オルガン付き」(1973 年5月29日/メゾン・ド・ラジオ・フランス104スタジオ)という充実のプログラムです。
パレーの「オルガン付き」は演奏時80代半ばでありながらも驚くべき若々しさに満ちた演奏。ステレオで聴くことができるオルガンの大迫力なサウンドも注目 に値します。
マルティノンの「運命」では明晰な解釈が持ち味。ブラームスの第2番では驚くほど遅いテンポから始まり唯一無二の演奏を展開。そして「展覧会の絵」では色 彩感を大切に丁寧なタクトが光り、神経の行き届いた美しさが魅力です。マルティノン、パレーともに円熟期ながらその至芸は圧巻。その生々しいライヴ感がすべて ステレオで聴くことができるのは非常に喜ばしいことと言えましょう。平林直哉氏による日本語解説書付です! (Ki)


King International
KKC-4291(6CD)
フルトヴェングラー不滅の遺産〜ターラ編

【CD 1】
1. ブラームス:交響曲第4番ホ短調 作品98
2. バッハ:管弦楽組曲第3番ニ長調 BWV 1068

【CD 2】
ブラームス
1.ハイドンの主題による変奏曲 作品56a     
2.交響曲第1番ハ短調 作品68

【CD3】
1.ラヴェル:高雅にして感傷的なワルツ〜リハーサル(部分練習と全曲通し演奏)  
2.ストラヴィンスキー:バレエ音楽「妖精の口づけ」よりの交響組曲(ディヴェルティメント)

【CD 4】
ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調 作品55「英雄」
(1).最初の録音
(2) 第2楽章冒頭の再録音(4:47)

【CD 5】
1.メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」作品26
2.モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジークK.525
3.J・シュトラウス:皇帝円舞曲
4.ベートーヴェン:交響曲第4番変ロ長調 作品60

【CD 6】
1.スメタナ:交響詩「モルダウ」
2.ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調 作品92
3.同:交響曲第7番イ長調 〜第2楽章のリハーサル
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)

【CD 1】
BPO
録音:1948年10月22日 ゲマインデハウス、ダーレム、ベルリン(放送用コンサート)(1)
1948年10月24日 ティタニア・パラスト、ベルリン(定期演奏会でのライヴ)(2)
原盤:仏ターラ FURT 1025(P)1998
【CD 2】
BPO
録音:1954年5月4日 歌劇座、パリ(ライヴ)(1)
1952年2月10日 ティタニア・パラスト、ベルリン(ライヴ)(2)
原盤:仏ターラFURT2005(P)2009
【CD3】
BPO
録音:1953年4月15日 NWDR(北西ドイツ放送)スタジオ、ベルリン (1)
1953年5月18日 ティタニア・パラスト、ベルリン(ライヴ)(2)
原盤:仏ターラ(FURT 1015)(P)1997(1) /(FURT1019)(P)1999(2)
【CD 4】
(1)録音:1947年11月10,11,12,17日 ムジークフェラインザール、ウィーン
(2)録音:1949年2月15日 ブラームスザール、ウィーン
VPO
原盤:仏ターラ(FURT 1027)(P)1999
【CD 5】
VPO
録音:1949年2月15日 ブラームスザール、ウィーン(1)/1949年4月1日(2)、1950年1月24日(3)、
1950年1月25,30日(4) ムジークフェラインザール、ウィーン
原盤:仏ターラ(FURT1085)(P)2003
【CD 6】
VPO(1、2)
ルツェルン祝祭O(3)
録音:1951年1月24日 ムジークフェラインザール、ウィーン(1)、
1950年1月18,19日 ムジークフェラインザール、ウィーン(2)、1951年8月15日 ルツェルン(3)
原盤:仏ターラ(FURT 1086)(P)2003(1,2) / FURT 1089(P)2004(3)
【CD 1】
ブラームス「4番」(1948)・・・1948年10月24〜26日ベルリン・フィルの定期演奏会のリハーサルを兼ね、22日にゲマインデハウスで放送用収録がおこなわれた。「ブラ4」と「管弦楽組曲第3番」。バッハはすでにLP時代にDGGから発売されていた。98年にターラからメジャー初出、正規発売となった「ブラ4」(FURT1025)。2日後定期での演奏はEMIから初出されたときから、戦後ベルリン・フィル定期の「ブラ4」として、名演の名をほしいままにしてきたが、リハーサルを兼ねた22日の放送用音源がついに国内盤で登場!放送用コンサートのため拍手はないが、これもまた大熱演!劇的迫力も申し分なし。 カップリングは24日の本番のときの「管弦楽組曲第3番」。国内盤(国内製)は同様に初めて。アリアではくり返しが行われており、感情移入が強い。3種ある
巨匠の「アリア」といえばこの録音が真っ先に挙げられよう。
【CD 2】
ブラームス「1番」(1952)・・・1952年2月定期公演のライヴ。名演が数多い巨匠の「ブラ1」の中でも音質優秀、戦後のベルリン・フィルの定期として価値は高い。LP時代DGGから発売され、「音質も含めて最高の名演」との評価が多く、衝撃を与えてきたが、出だしのティンパニの連打からフィナーレの怒涛のコーダまで、ターラの新マスタリング=衝撃の音質にはびっくり! カップリングは54年パリ・歌劇座での同じブラームスの「ハイドン・ヴァリエーション」。こちらも新マスタリング。ターラ初出CD(FURT1023/4)とくらべ、音質大幅UPされレンジ幅は広く、低音・高音ともくっきり出てくる。
【CD 3】
ラヴェルの「高雅にして感傷的なワルツ」(リハーサル風景)・・・巨匠の唯一の録音であり、フランスものとして貴重。53年4月16〜18日のハンブルク公演の演目であり、本番前のリハーサルとして前日(15日)ベルリンのNWDR(北西ドイツ放送)スタジオで収録された(説が有力)。前半の部分練習と後半の全曲遠し演奏からなっており、全曲演奏部分には今回のCDでトラック番号をいれています。「彼のドビュッシー、ラヴェルの中では音質も含めてこれが最も美しい。デリカシーも充分だし、官能的な味も良く出ているからだ。」(宇野功芳)(『フルトヴェングラーの全名演名盤』講談社刊)
なお、この本の中で指摘しているピッチの異常な高さはターラ盤再プレス段階で修正されております。
カップリングには1か月後ティタニア・パラストでの定期演奏会でとりあげられたストラヴィンスキー「妖精の口づけ」。これもまた唯一の録音で、巨匠のストラヴィ
ンスキーとしてはほかに50年ザルツブルクでの「3楽章の交響曲」だけなので貴重。「きわめて親しみやすい音楽に変えられており、静寂な詩情よりは粘った情
緒が前面に押し出されています。」(宇野功芳)(『フルトヴェングラーの全名演名盤』講談社刊) 
両曲とも音質は良好。
【CD 4】
「英雄」(1947、1949)・・巨匠が最も得意にした「エロイカ」。HMVにも2回録音しているが、これは最初のほう。いまや幻となっている47年11月の全曲録音です。当時、SP用のオートチェンジャーによるレコードプレーヤーが開発されたが、第2楽章の冒頭(第1面)が演奏時間が長すぎ、プレーヤーにかからなかった。そこでEMIの要請をうけ49年にこの箇所だけを再録音したのです。以降、本家のマスターテープは第2楽章の冒頭は再録音がずっと使用されています。49年の再録音は感情の入れ方が違うし、会場も小ホールに変更されるなど巨匠にとっても不本意であったにちがいない。テープ録音時代になり、52年に全曲を再録音、あの名盤を生み出すのであるが、ターラが復刻したこの1回目の録音も音質鮮明で、楽器群のバランスに配慮したスケールの大きい「エロイカ」が堪能できます。ターラのCDでは2テイクを収録しており極めて貴重。
【CD 5】
2003年ターラがHMVのSPから巨匠のセッション録音の名演を復刻、「フィンガルの洞窟」「アイネ・クライネ」「皇帝円舞曲」そして「ベト4」の(2種類あるうちの)最初のほうの録音です。ベートーヴェン「4番」(1950)・・・HMV/ EMIに50年、52年と2回録音しているが、この50年盤は「ウィーン・フィルの柔らかい、魅力的な音色感が光り」「第1楽章には晩年の静の境地、言葉を換えれば“禅”に通じるものが感じられる」(宇野功芳、『フルトヴェングラー全名演名盤』講談社刊)。
「EMIのSP盤はそのあとのLP盤よりすぐれていてまとまりもよく、少し速目だが、オーケストラの演奏は堂々としている・・1943.6.27盤と並ぶ(フルトヴェングラーの同曲の)最高の盤」(ピーター・ビリー/横山一雄訳 『レコードのフルトヴェングラー』音楽之友社刊)
ターラの復刻技術には、Webファン・サイトでも音質評価が高い。

【CD 6】
ベートーヴェン「第7番」・・・1950年にHMVにいれた有名なセッション録音だが、本家EMIではLP用のマスターテープ編集段階で第4楽章(1:54付近、第214小節)に当時の女性エンジニアらしき声が混入してしまい、CDになってもこのマスターテープが使用されていた。日本では新星堂がSPから復刻したことがあったが、2003年ターラがオリジナルSPから最良の復刻をしてくれた。サーフィスノイズこそ残っているものの、明快にしてダイナミックな音感はききごたえ充分!「(重要なのは)興奮を掻き立たせるうねるような(指)破竹のごとき勢いとしだいに高まっていくコーダの持続音のまとめ方、全体についてのすぐれた形式感です。」(ピーター・ビリー/横山一雄訳 『レコードのフルトヴェングラー』音楽之友社刊)
「モルダウ」・・・HMVSP録音から名曲、巨匠唯一の録音の復刻。「第7」第2楽章のリハーサル(51年ルツェルンでの本番前の演奏)・・・ほかでは入手困難な貴重音源。99〜188小節の断片ながら、巨匠のトークとともに旋律の歌わせ方がわかり極めて興味深い。音質も鮮明。

BIS
BISSA-2469
(1SACD)
メンデルスゾーン:交響曲第1番ハ短調 Op.11
交響曲第3番『スコットランド』
トーマス・ダウスゴー(指)
スウェーデン室内O

録音:2019年6月9-14日/エレブルー・コンサートホール(スウェーデン)
れまでシューマン、シューベルト、ブラームスなどBISレーベルより積極的なリリースが続いているダウスゴー率いるスウェーデン 室内O。2021年にリリースした「ザ・ブランデンブルク・プロジェクト」(KKC-6359/61 / BIS SA-2199)ではブランデンブルク協奏曲と6人の作 曲家による新作委嘱を交えた構想18年の大企画を録音し、レコード芸術誌「特選盤」、朝日新聞 For your collection「推薦盤」など高く評価されています。 期待の新録音はメンデルスゾーンを取り上げました。メンデルスゾーンといえば序曲「美しいメルジーネの物語」、付随音楽「夏の夜の夢」、序曲「フィンガルの洞窟」 を収めたアルバム(BIS SA-2166)をリリースしており「メンデルスゾーンの比類なき精神を捉えた演奏」としてヨーロッパで話題の録音となりました。期待の 交響曲第1弾は第1番と第3番『スコットランド』です!
第1番はメンデルスゾーン15歳の時の作品で、既に12曲の『弦楽の為の交響曲』を書いていたとはいえ2管編成フル・オーケストラを用いた初の交響曲。 早熟の天才ぶりが眩しい音楽ですが、ダウスゴーは見通しのよさと生命力あふれる演奏を展開しております。一方、美しく抒情的な旋律が魅力の『スコットランド』 も実に見事!手兵スウェーデン室内管はダウスゴーが作り出す細かなニュアンスも表現しており、刺激的で繊細な緩急を交えた演奏はここでも光ります。1997 年以来長きに渡る信頼関係から生まれる圧倒的な演奏をお楽しみください! (Ki)

REFERENCE
FR-744SACD
(1SACD)
ブラームス:交響曲第4番
ジェイムズ・マクミラン(1959-):管弦楽の為のラルゲット(2017)*
ピッツバーグSO
マンフレート・ホーネック(指)

録音:2018年4月20-22日、2017年10月27-29日*
ハインツホール、ピッツバーグ(ライヴ)
長年高音質レーベルとして高い評価を得ているREFERENCE RECORDINGS。そしてREFERENCE RECORDINGSはもちろん、PENTATONE,BIS, など録音に定評のある数々のレーベルの録音を40年以上に渡って担当しているsound mirror社がタッグを組んだ大好評「ピッツバーグ・ライヴ!」シリーズ。 シリーズ第12弾は、ブラームスの交響曲第4番、そしてカップリングはマクミランの「管弦楽の為のラルゲット」。 マンフレート・ホーネックは2008年から首席指揮者を務めているピッツバーグSOとの契約を2027/2028シーズンまで延長。ピッツバーグSOは これまでに、フリッツ・ライナー、アンドレ・プレヴィン、ロリン・マゼール、マリス・ヤンソンスなど、多くの世界的指揮者たちが率いてきました。また、メイソン・ ベイツ、ジョナサン・レシュノフ、ジェームズ・マクミラン、ジュリア・ウォルフなど現代作曲家への委嘱作品をはじめ、常に新しい作品にも力を入れてきています。 マンフレート・ホーネックとのシーズンも13年目となり、125年の歴史を誇るオーケストラと共に、今後の更なる活動にも注目が集まっています。
ブラームスの最後の交響曲第4番。ブラームスの交響曲の集大成ともいえる作品で、1885年10月25日マイニンゲンでブラームス自身の指揮によって初演 されました。見事な建築のような絶対音楽でありながら、ブラームス晩年の特有な哀愁と美しさを存分に湛えた孤高の魅力あふれる作品。ホーネックは、その 音楽的構造や、独自の解釈について、ライナーノーツで語っています。 スコットランド出身の現代作曲家ジェームズ・マクミラン。ここに収録されている「管弦楽の為のラルゲット」は、ホーネックの音楽監督就任10周年を記念して、 オーケストラから委嘱された作品。2017年10月に世界初演され、このアルバムにはその際の演奏が収録されています。

Capriccio
C-8081(1CD)
NX-B05
ブルックナー:交響曲第8番 リンツ・ブルックナーO
マルクス・ポシュナー(指)

録音:2018年2月5日、7-9日リンツ・ミュージックシアター、リハーサル・ホール(オーストリア)
「私たちはリハーサルの過程で、ブルックナーの交響曲の中にこれほどの爆発力や明るい色彩、とてつもない大胆さがあることに何度となく驚きました --それにはスコアをいったん疑い、間違った伝統と真の伝統を区別する必要があったのです。」-マルクス・ポシュナー
ブルックナーは交響曲を一旦完成させてからも、さまざまな理由で手を加えることがあったために、同じ作品にいくつもの異稿・異版が存在する場合があり、これ らの違いを聞いて楽しむのも熱心なブルックナー・ファンにとって大いなる喜びとなっています。 2024年はブルックナーの生誕200年にあたり、これを記念してブルックナーのすべての交響曲のすべての稿(バージョン)を録音しようという企画 「#bruckner2024」の第2弾が早くも登場。最高傑作ともいわれる第8番(1890年版)です。ポシュナーは、速めのテンポを採り全曲を約77分にまとめてい ます。全体として引き締まった演奏ですが、第1楽章と第3楽章ではオーケストラを重厚に響かせているため、軽い印象を与えません。また緩急・強弱の幅を 大きくとっていることと、随所に現れる民謡や民族舞曲に似た部分を強調しているのもこの演奏の特徴。管楽器の浮き上がらせ方などに独自の工夫もうかが えます。使用楽譜自体はよく知られたノーヴァク版ですが、演奏に際しては緻密な読み直しが行われたことが推察されます。

ONDINE
ODE-1393(1CD)
NX-B04
トーマス・ラルヒャー(1963-):作品集
交響曲第2番「Kenotaph 慰霊碑」(2015-16)…世界初録音
連作歌曲『失われた夜』- バリトンとオーケストラの為の(2008)*
アンドレ・シュエン(Br)
フィンランドRSO
ハンヌ・リントゥ(指)

録音:2019年1月(ライヴ)、2021年5月*
オーストリアの作曲家トーマス・ラルヒャーの作品集。2015年から16年に作曲された「交響曲第2番」はオース トリア国立銀行の設立200年記念の委嘱作で、2016年にセミヨン・ビシュコフが指揮するウィーン・フィルハーモ ニーOによって初演されました。シリア紛争から逃れるため、地中海を渡る途中で命を落とした数多くの 難民を悼み「慰霊碑」とタイトルを与えられたこの作品は、もともとオーケストラの為の協奏曲として構想されて おり、現代的な佇まいの中に強烈な感情表現が噴出する見事な作品に仕上がっています。「失われた夜」は オーストリアの女性詩人インゲボルク・バッハマンのテキストに基づく連作歌曲。詩の持つほの暗い雰囲気を丁寧 に表現したラルヒャーの音楽は、瞑想的かつ夢幻的。聴き手を非現実的な世界へといざないます。

ORFEO
C-210241(1CD)
NX-B08
ツェムリンスキー:抒情交響曲 Op. 18
シュレーカー(1878-1934):あるドラマへの前奏曲
カラン・アームストロング(S)
ローランド・ヘルマン(Br)
ウィーンRSO
ミヒャエル・ギーレン(指)

録音:1989年1月27日(ライヴ)
ウィーン・ムジークフェライン(オーストリア)
1993年8月31日(ライヴ)
ウィーン・コンツェルトハウス(オーストリア)
ミヒャエル・ギーレンが得意とするドイツ後期ロマン派の2作品。ツェムリンスキーの「抒情交響曲」はマーラーの 「大地の歌」を思わせる歌とオーケストラの為の連作歌曲の形式を持つ曲。インドの詩人ラビンドラナート・タ ゴールの詩(英語からドイツ語に翻訳された歌詞)は、愛を主題として書かれており、ツェムリンスキーの音楽語法 の全てが用いられた意欲的な作品です。全体に官能的な旋律が横溢していますが、ギーレンは音楽に没入す ることはなく、淡々と理知的に表現しています。ソリストにはワーグナー歌手として知られるカラン・アームストロング と、モーツァルトやワーグナーの歌唱で知られるローランド・ヘルマンが起用されており、オーケストラの厚みのある 響きに負けることのない素晴らしい歌を楽しめます。 アルバムにはツェムリンスキーと同世代の作曲家シュレーカーの「あるドラマへの前奏曲」も収録されています。

BR KLASSIK
BR-900200
(57CD+11SACD+2DV D)
マリス・ヤンソンス・エディション


■CD1
1-4ベートーヴェン:交響曲第1番ハ長調Op.21
5.ヨハネス・マリア・シュタウト(1974-):マニアイ-オーケストラの為の(2011)
6-8.ベートーヴェン:交響曲第2番ニ長調Op.36
10.望月京(1969-):ニライ(2012)-ベートーヴェンの交響曲第2番と第6番の間奏曲

■CD2
1-4.ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調Op.55「英雄」
5.ロディオン・シチェドリン(1932-):ベートーヴェンのハイリゲンシュタットの遺書
-管弦楽の為の交響的断章(2008)

■CD3
ベートーヴェン
1-4.交響曲第4番変ロ長調Op.60
5-8.交響曲第5番ハ短調Op.67「運命」
9.ラミンタ・シェルクシュニューテ(1975-):炎(2010)

■CD4
1-5.ベートーヴェン:交響曲第6番ヘ長調Op.68「田園」
6.ギヤ・カンチェリ(1935-2019):混声合唱と管弦楽の為の「Dixiディキシー」(2009)

■CD5
1-4.ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調Op.92
5.イェルク・ヴィトマン(1973-):管弦楽の為の演奏会用序曲「コン・ブリオ」(2008)
6-9.ベートーヴェン:交響曲第8番ヘ長調Op.93

■CD6
1-4.ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調Op.125「合唱付き」

■SACD7
1-4.ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調Op.125「合唱付き」

■CD8
ベートーヴェン
1-6.ミサ曲ハ長調Op.86
7.「レオノーレ」序曲第3番ハ長調Op.72

■CD9
1-5.ベルリオーズ:幻想交響曲Op.14
6.ヴァレーズ:イオニザシオン-13人のパーカッション奏者の為の

■CD10/11
ブラームス
■CD10
1-4.交響曲第1番ハ短調Op.68

■CD11
1-4.交響曲第4番ホ短調Op.98

■SACD12
ブラームス
1-4.交響曲第2番ニ長調Op.73
6-8.交響曲第3番ヘ長調Op.90

■CD13
1-4.R・シュトラウス:歌劇「インテルメッツォ」からの4つの交響的間奏曲Op.72
ブラームス
5-8.交響曲第4番ホ短調Op.98
9.ハンガリー舞曲第5番ト短調(A.パーロウ版)

■CD14/15
ブリテン:『戦争レクイエム』Op.66

■CD16
1-4.ブルックナー:交響曲第3番ニ短調WAB103(第3稿1889年)

■CD17
1-4.ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調WAB104「ロマンティック」
(1878年第2稿/1880年最終楽章改訂)

■CD18
1-4.ブルックナー:交響曲第6番イ長調WAB106(1879-81)

■SACD19
1-4.ブルックナー:交響曲第7番ホ長調WAB107(1881-83)

■SACD20

1-4.ブルックナー:交響曲第8番ハ短調WAB108(1890年第2稿)
■CD21
1-3.ブルックナー:交響曲第9番ニ短調WAB109(オリジナル・ヴァージョン)

■CD22
1-6.ブルックナー:ミサ曲第3番ヘ短調-ソリスト、合唱、オルガンとオーケストラの為の…初CD化

■CD23
1-4.ドヴォルザーク:交響曲第8番ト長調Op.88
5-8.ヨーゼフ・スーク(1874-1935):弦楽セレナーデ変ホ長調Op.6
9.ドヴォルザーク:謝肉祭Op.92

■CD24
1-10.ドヴォルザーク:『スターバト・マーテル』Op.58

■CD25
1.シャブリエ:狂詩曲「スペイン」
2.ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー
3.エネスコ:ルーマニア狂詩曲第1番イ長調Op.11
4-7.ラヴェル:スペイン狂詩曲
8.リスト:ハンガリー狂詩曲第2番(カール・ミュラー=ベルクハウスによる管弦楽版)

■SACD26
ハイドン
1.シンフォニアニ長調Hob.Ia:7「序曲」
2-5.交響曲第88番ト長調Hob.I:88
6-11.ミサ曲変ロ長調Hob.XXII:14『ハルモニー・ミサ』

■CD27
1-3.ルトスワフスキ:管弦楽の為の協奏曲
4-6.シマノフスキ:交響曲第3番Op.27「夜の歌」
7.アレクサンドル・チャイコフスキー(1946-):交響曲第4番Op.78

■CD28
1-4.マーラー:交響曲第1番ニ長調「巨人」

■CD29
マーラー: 交響曲第2番 ハ短調 「復活」

■CD30/31
マーラー:交響曲第3番ニ短調…初CD化

■CD32
1-4.マーラー:交響曲第4番ト長調…初CD化

■SACD33
マーラー: 交響曲第5番 嬰ハ短調

■CD34
1-4.マーラー:交響曲第6番イ短調…初CD化

■SACD35
1-5.マーラー:交響曲第7番ホ短調「夜の歌」

■CD36
マーラー:交響曲第8番変ホ短調「千人の交響曲」…初CD化

■SACD37
1-4.マーラー:交響曲第9番ニ長調

■CD38
1-14.モーツァルト:レクイエムニ短調KV626…初CD化
(ジュスマイヤー版)

■CD39
1-8.アルヴォ・ペルト(1935-):ベルリン・ミサ…初CD化
9-20.プーランク:スターバト・マーテルFP148…初CD化
21-23.イーゴル・ストラヴィンスキー:詩篇交響曲

■CD40
ラフマニノフ
1-4.鐘Op.35
5-7.交響的舞曲Op.45

■SACD41…NEOS原盤
ヴォルフガング・リーム(1952-):レクイエム?シュトローフェン

■CD42
1-4.サン=サーンス:交響曲第3番ハ短調Op.78「オルガン」
5-11.プーランク:オルガン協奏曲ト短調FP93
1-4.ショスタコーヴィチ:交響曲第5番ニ短調Op.47

■SACD44
1-4.ショスタコーヴィチ:交響曲第7番ハ長調Op.60「レニングラード」

■CD45
1-4.ショスタコーヴィチ:交響曲第10番ホ短調Op.93

■CD46
ショスタコーヴィチ
1-4.ピアノ協奏曲第1番ハ短調Op.35…初CD化
5-9.交響曲第9番変ホ長調Op.70…初CD化

■CD47
1-13.ロディオン・シチェドリン(1932-):カルメン組曲
14-17.レスピーギ:ローマの松P141

■CD48
1-4.シューベルト:交響曲第8番ハ長調D944「ザ・グレイト」

■CD49
1-6.シューベルト:ミサ曲第2番D167
7-16.グノー:聖セシリアの荘厳ミサ曲

■CD50
1-4.シューマン:交響曲第1番変ロ長調Op.38「春」
5-8.シューベルト:交響曲第3番ニ長調D200

■CD51
シベリウス
1.交響詩「フィンランディア」Op.26
2-4.カレリア組曲Op.11
5-8.交響曲第2番ニ長調Op.43

■CD52
R・シュトラウス
1.交響詩「ドン・ファン」Op.20
2-7.英雄の生涯Op.40

■CD53
R・シュトラウス
1-9.交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」Op.30
10.ブルレスケニ短調AV85

■CD54
R・シュトラウス
1-22.アルプス交響曲Op.64
23.交響詩「死と変容」Op.24

■CD55
R・シュトラウス
1.「ばらの騎士」組曲AV145
2.ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずらOp.28
3-6.4つの最後の歌AV150

■CD56
1-15.ストラヴィンスキー:バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1947年版)
16-30.モデスト・ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」(ラヴェルによる管弦楽版)

■CD57
ストラヴィンスキー
1-14.バレエ音楽「春の祭典」(1947年版)
15-26.バレエ音楽「火の鳥」(1945年版)

■SACD58
チャイコフスキー
1-4.交響曲第5番ホ短調Op.64
5.幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」Op.32

■CD59
1-3.ショスタコーヴィチ:交響曲第6番ロ短調Op.54
4-7.チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調Op.74「悲愴」

■CD60
1.チャイコフスキー:幻想序曲「ロミオとジュリエット」…初CD化
2-8.ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」組曲第2番(1919年版)…初CD化
9.ヴァレーズ:アメリカ(1922年版)

■CD61/62/63
チャイコフスキー:歌劇「スペードの女王」

■CD64/65
ヴェルディ:レクイエム

■DVD66…映像
ハイドン
1.シンフォニアニ長調HobIa:7「序曲」
2-5.交響曲第88番ト長調Hob.I:88
6-11.ミサ曲「ハルモニー・ミサ」Hob.XXII:14

■DVD67…映像
1-25.シェーンベルク:『グレの歌』
ボーナス・トラック:ミヒャエル・バイヤーによる解説(ドイツ語のみ)

■CD68…初CD化
1-12.マリス・ヤンソンス、バイエルンRSOとの最初のリハーサル
オープニング・スピーチとベルリオーズ:想交響曲
2003年10月23日、24日のミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイク公演の為のリハーサル

■CD69…初CD化
1-17.マリス・ヤンソンス、バイエルンRSOとのリハーサル
チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調Op.64

■CD70…初CD化
1-18.マリス・ヤンソンス、バイエルンRSOとのリハーサル
R・シュトラウス:ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら
バイエルンRSO、
マリス・ヤンソンス(指)

■CD1
録音:2012年11月27日東京、サントリーホール(ライヴ)…1-4、6-8
2012年2月9日、10日ミュンヘン、ヘルクレスザール(ライヴ)…5
2012年11月8日、9日ミュンヘン、ヘルクレスザール(ライヴ)…10
■CD2
録音:2012年10月18日、19日ミュンヘン、ヘルクレスザール(ライヴ)…1-4
2008年12月18、19日ミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイク(ライヴ)…5

■CD3
録音:2012年11月26日東京、サントリーホール(ライヴ)…1-4
2012年11月27日東京、サントリーホール(ライヴ)…5-8
2012年5月17日、18日ミュンヘン、ヘルクレスザール(ライヴ)…9

■CD4
プリツカ・エーゼル(S)…6
ガブリエーレ・ヴァインフルター(A)…6
バイエルン放送cho、ミヒャエル・グレーザー(合唱指揮)…6
録音:2012年11月8、9日ミュンヘン、ヘルクレスザール(ライヴ)…1-5
2009年10月29、30日ミュンヘン、ヘルクレスザール(ライヴ)…6
■CD5
録音:2012年11月30日東京、サントリーホール(ライヴ)…1-4
2012年12月1日東京、サントリーホール(ライヴ)…6-9
2008年9月25日、26日ミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイク(ライヴ)…5
■CD6
クリスティアーネ・カルク(S)
藤村実穂子(A)
ミヒャエル・シャーデ(T)
ミヒャエル・フォッレ(Br)
バイエルン放送cho、ペーター・ダイクストラ(合唱指揮)
録音:2012年12月1日東京、サントリーホール(ライヴ)
■SACD7
クラッシミラ・ストヤノワ(S)
リューバ・ブラウン(A)
ミヒャエル・シャーデ(T)
ミヒャエル・フォッレ(Bs)
バイエルン放送cho、ミヒェエル・グレーザー(合唱指揮)
録音:2007年10月27日バチカン、教皇パウロ6世オーディエンス・ホール(ライヴ)
■CD8
ゲニア・キューマイヤー(S)…1-6
ゲルヒルト・ロンベルガー(Ms)…1-6
マキシミリアン・シュミット(T)…1-6
ルカ・ピサローニ(Bs-Br)…1-6
バイエルン放送cho、ハワード・アーマン(合唱指揮)
録音:2018年1月11日、12日ミュンヘン、ガスタイク・フィルハーモニー(ライヴ)
2004年1月29日、30日(ライヴ)…7
■CD9
録音:2013年3月7日、8日ミュンヘン、ガスタイク・フィルハーモニー(ライヴ)…1-5
2010年7月1日、2日ミュンヘン、ガスタイク・フィルハーモニー(ライヴ)…6
■CD10/11

録音:2007年10月30日、31日ミュンヘン、ヘルクレスザール(ライヴ)…CD10
2012年2月6日-10日ミュンヘン、ヘルクレスザール(ライヴ)…CD11
■SACD12
録音:2006年3月16日、17日ミュンヘン、ヘルクレスザール(ライヴ)…1-4
2010年1月16日ウィーン、楽友協会大ホール(ライヴ)…5-8
■CD13
録音:2019年11月8日ニューヨーク、カーネギーホール(ライヴ)
■CD14/15
エミリー・マギー(S)
マーク・パドモア(T)
クリスティアン・ゲルハーヘル(Br)
マックス・ハンフト(Org)
テルツ少年cho、ラルフ・ルーデヴィヒ(合唱指揮)
バイエルン放送cho、ミヒャエル・グレーザー(合唱指揮)
録音:2013年3月13日-15日ミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイク(ライヴ)
■CD16
録音:2005年1月20日、21日ミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイク(ライヴ)
■CD17
録音:2008年11月26-28日ミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイク(ライヴ)
■CD18
録音:2015年1月22日、23日ミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイク(ライヴ)
■SACD19
録音:2007年11月4日ウィーン楽友協会大ホール(ライヴ)
■SACD20
録音:2017年11月13-18日ミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイク(ライヴ)
■CD21
録音:2014年1月13-17日ミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイク(ライヴ)
■CD22
サリー・マシューズ(S)
カレン・カーギル(Ms)
イルケル・アルジャユレク(T)
スタニスラフ・トロフィモフ(Bs)
バイエルン放送cho、ミヒャエル・グレーザー(合唱指揮)
録音:2019年1月21-25日ミュンヘン、ヘルクレスザール(ライヴ)
■CD23
録音:2016年1月29日、30日ミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイク(ライヴ)1-4、9
2016年1月25日ミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイク(スタジオ)…5-8
■CD24
エリン・ウォール(S)
藤村実穂子(Ms)
クリスティアン・エルスナー(T)
リー・リアン(Bs)
バイエルン放送cho、ミヒャエル・グレーザー(合唱指揮)
録音:2015年3月24-26日ミュンヘン、ヘルクレスザール(ライヴ)
■CD25
デニス・マツーエフ(P)…2
録音:2015年10月8日、9日ミュンヘン、ヘルクレスザール(ライヴ)
■SACD26
マリン・ハルテリウス(S)
ミカエラ・クナプ(S)
ユディト・シュミット(C.A)
クリスティアン・エルスナー(T)
ベルンハルト・シュナイダー(T)
フランツ=ヨーゼフ・ゼーリッヒ(Bs)
バイエルンcho、ペーター・ダイクストラ(合唱指揮)
録音:2008年10月7日ヴァルトザッセン大聖堂(ライヴ)
■CD27
ラファエル・バルトミンスキー(T)…4-6
アンドレアス・レーン(独奏ヴァイオリン)…4-6
ニムロット・ゲツ(独奏ヴィオラ)…7
バイエルン放送cho、ミヒャエル・グレーザー(合唱指揮)
録音:2009年10月8日、9日ミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイク(ライヴ)…1-3
2008年12月18日、19日ミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイク(ライヴ)…4-6
2009年1月14-16日ミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイク(ライヴ)…7
■CD28
録音:2007年3月1日、2日ミュンヘン、ヘルクレスザール(ライヴ)
■CD29
アニャ・ハルテロス(S)
ベルナルダ・フィンク(A)
バイエルン放送cho、ミヒャエル・グレーザー(合唱指揮)
録音:2011年5月13-15日ミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイク(ライヴ)
■CD30/31
ナタリー・シュトゥッツマン(A)
テルツ少年cho、ラルフ・ルーデヴィッヒ(合唱指揮)
バイエルン放送cho、ミヒャエル・グレーザー(合唱指揮)
録音:2010年12月8-10日ミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイク(ライヴ)
■CD32
ミア・パーション(S)
録音:2010年12月15-17日ミュンヘン、ヘルクレスザール(ライヴ)
■SACD33
録音:2016年3月10日、11日ミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイク(ライヴ)
■CD34
録音:2011年5月4-6日ミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイク(ライヴ)
■SACD35
録音:2007年3月8日、9日ミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイク(ライヴ)
■CD36
トワイラ・ロビンソン(ソプラノ1)
クリスティーヌ・ブリューワー(ソプラノ2)
アンナ・プロハスカ(S)
ヤニーナ・ベヒレ(アルト1)
藤村実穂子(アルト2)
ヨハン・ボータ(T)
ミヒャエル・フォッレ(Br)
アイン・アンガー(Bs)
ラトヴィア国立cho、マリス・シルマイス(合唱指揮)
テルツ少年cho、ゲルハルト・シュミット=ガーデン(合唱指揮)
バイエルン放送cho、ペーター・ダイクストラ(合唱指揮)
録音:2011年10月12-14日ミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイク(ライヴ)
■SACD37
バイエルンRSO、マリス・ヤンソンス(指)
録音:2016年10月20日、21日ミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイク(ライヴ)
■CD38
ゲニア・キューマイヤー(S)
エリザベート・クルマン(Ms)
マーク・パドモア(T)
アダム・プラヘトカ(Bs-Br)
バイエルン放送cho、ハワード・アーマン(合唱指揮)
録音:2017年5月11日、12日ミュンヘン、ヘルクレスザール(ライヴ)
■CD39
ゲニア・キューマイヤー(S)
バイエルン放送cho、ペーター・ダイクストラ(合唱指揮)
録音:2005年6月2日、3日ミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイク(ライヴ)…1-8
2007年11月8日、9日ミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイク(ライヴ)…9-20
2009年3月5日、6日ミュンヘン、ヘルクレスザール(ライヴ)…21-23
■CD40
タティアナ・パヴロフスカヤ(S)…1-4
オレグ・ドルゴフ(T)…1-4
アレクセイ・マルコフ(Br)…1-4
バイエルン放送cho、ペーター・ダイクストラ(合唱指揮)…1-4
録音:2016年1月14日、15日ミュンヘン、ヘルクレスザール(ライヴ)…1-4
2017年1月26日、27日ミュンヘン、ヘルクレスザール(ライヴ)…5-7
■SACD41…NEOS原盤
モイツァ・エルトマン(S)
アンナ・プロハスカ(S)
ハンノ・ミュラー=ブラッハマン(Br)
バイエルン放送cho
録音:2017年3月31日ミュンヘン、ヘルクレスザール(ライヴ)
■CD42
イヴェタ・アプカルナ(Org)
録音:2019年3月11-15日ミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイク(ライヴ)
■CD43
録音:2014年4月30日-5月2日ミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイク(ライヴ)
■SACD44
録音:2016年2月9-12日ミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイク(ライヴ)
■CD45
録音:2010年3月4日ミュンヘン、ヘルクレスザール(ライヴ)
■CD46
イェフィム・ブロンフマン(P)…1-4
ハンネス・ロイビン(Tp)…1-4
録音:2012年10月15-19日ミュンヘン、ヘルクレスザール(ライヴ)…1-4
2011年3月21日ウィーン楽友協会大ホール(ライヴ)…5-9
■CD47
録音:2017年11月13-17日ミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイク(ライヴ)…1-13
2019年5月15-17日ミュンヘン、ヘルクレスザール(ライヴ)…14-17
■CD48
録音:2018年2月1日、2日ミュンヘン、ヘルクレスザール(ライヴ)
■CD49
リューバ・オルゴナソヴァ(S)
クリスティアン・エルスナー(T)
グスタフ・バラーチェク(Bs)
バイエルン放送cho、ペーター・ダイクストラ(合唱指揮)
録音:2007年3月29日ミュンヘン、ヘルクレスザール(ライヴ)
■CD50
録音:2018年3月21日、22日ミュンヘン、ヘルクレスザール(ライヴ)…1-4
2015年1月26-30日ミュンヘン、ヘルクレスザール(ライヴ)…5-8
■CD51
録音:2015年11月12日、13日ミュンヘン、ヘルクレスザール(ライヴ)…5-8
2015年10月15日、16日ミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイク(ライヴ)…1-4
■CD52
アントン・バラコフスキー(独奏ヴァイオリン)
録音:2014年2月24-28日ミュンヘン、ヘルクレスザール(ライヴ)…1
2011年3月14-18日ミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイク(ライヴ)…2-7
■CD53
ダニール・トリフォノフ(P)…10
録音:2017年10月10日-13日ミュンヘン、ヘルクレスザール(ライヴ)
■CD54
録音:2016年10月13日-15日ミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイク(ライヴ)…1-22
2014年2月24-28日ミュンヘン、ヘルクレスザール(ライヴ)…23
■CD55
アニャ・ハルテロス(S)…3-6
アンドレアス・レーン(独奏ヴァイオリン)…5
録音:2006年10月19日、20日ミュンヘン、ヘルクレスザール(ライヴ)…1
2009年3月25-27日ミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイク(ライヴ)…3-6
2009年3月5日、6日ミュンヘン、ヘルクレスザール(ライヴ)…2
■CD56
ヘンリク・ヴィーゼ(Fl)…1-15.
マルティン・アンゲラー(Tp)…1-15
ルーカス・マリア・クーエン(P)…1-15
ヴィーナー・ミッテルバッハ(Sax)…16-30
ハンネス・ロイビン(Tp)…16-30
ハンスイエルク・プロファンタ―(ユーフォニアム)…16-30
録音:2015年4月14-17日ミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイク(ライヴ)…1-15
2014年11月13日、14日ミュンヘン、ヘルクレスザール(ライヴ)…16-30
■CD57
録音:2009年1月14-16日ミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイク(ライヴ)…1-14
2016年11月14-17日ミュンヘン、ヘルクレスザール(ライヴ)…15-26
■SACD58
録音:2009年10月9日ミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイク(ライヴ)…1-4
2010年7月1日、2日ミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイク(ライヴ)…5
■CD59
録音:2013年3月18-21日ミュンヘン、ヘルクレスザール(ライヴ)…1-3
2013年6月4-7日ミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイク(ライヴ)…4-7
■CD60
録音:2015年10月13-16日ミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイク(ライヴ)…1
2013年3月18-21日ミュンヘン、ヘルクレスザール(ライヴ)…2-8
2015年10月13-16日ミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイク(ライヴ)…9
■CD61/62/63
ヘルマン…ミーシャ・ディディク(T)
リーサ…タチアナ・セルジャン(S)
伯爵夫人…ラリッサ・ディアドコワ(Ms)
トムスキー伯爵…アレクセイ・シシリャエフ(Br)
エレツキー…アレクセイ・マルコフ(Br)
ポリーナ/ダフニス…オクサーナ・ヴォルコーワ(Ms)
チャカリンスキー…ワディム・サプレチニー(T)
スリン…トマシュ・スワヴィンスキー(Bs-Br)
ナルモフ…アナトーリ・シフコ(Bs)
チャプリツキー…ミハイル・マカロフ(T)
女家庭教師…オリガ・ザボーワ(Ms)
プリレパ…ペラゲヤ・クリナヤ(S)
司会者…ベルンハルト・シュナイダー(T)
マーシャ…ケルスティン・ローゼンフェルト(S)
バイエルン国立歌劇場児童cho、ステラリオ・ファゴーネ(合唱指揮)
バイエルン放送cho、マーティン・ライト(合唱指揮)
録音:2014年10月4日-13日ミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイク(ライヴ)
■CD64/65
クラッシミラ・ストヤノヴァ(S)
マリナ・プルデンスカヤ(Ms)
サイミール・プルグ(T)
オルリン・アナスタソフ(Bs)
バイエルン放送cho、ミヒャエル・グレーザー(合唱指揮)
録音:2013年10月7-11日ミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイク(ライヴ)
■DVD66…映像
マリン・ハルテリウス(S)
ミカエラ・クナプ(S)
ユディト・シュミット(C.A)
クリスティアン・エルスナー(T)
ベルンハルト・シュナイダー(T)
フランツ=ヨゼフ・ゼーリヒ(Bs)
バイエルン放送cho、ペーター・ダイクストラ(合唱指揮)
録音:2008年10月7日ヴァルトザッセン大聖堂(ライヴ)
■DVD67…映像
デボラ・ヴォイト(S)
藤村実穂子(Ms)
スティグ・アンダーソン(T)
ヘルヴィヒ・ペコラロ(T)
ミヒャエル・フォッレ(語り手、バリトン)
NDRcho、ミヒャエル・グレーザー、ヴェルナー=ハンス・ハーゲン(合唱指揮)
ライプツィヒMDR放送cho、ハワード・アーマン(合唱指揮)
バイエルン放送cho、ミヒャエル・グレーザー(合唱指揮)
録音:2009年10月22日、23日ミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイク(ライヴ)
■CD68…初CD化
録音:2003年10月23日、24日のミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイク公演の為のリハーサル
■CD69…初CD化
録音:2009年10月9日、ミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイク公演の為のリハーサル。

■CD70…初CD化
録音:2009年3月5日、ミュンヘン、ヘルクレスザール公演の為のリハーサル


LPサイズの豪華BOX(30.8 x 30.8 x 5.6cm)重量 2.61Kg
バイエルンRSOの第5代首席指揮者として2003年から2019年まで数々の名演奏を繰り広げたマリス・ヤンソンス。2019年12月1日に 世を去ると、その訃報は世界の音楽界に大きな悲しみをもたらしました。特にバイエルンRSO及び合唱団の団員とは家族のような、人間 味あふれる関係であり、それが演奏にも反映していたと伝えられています。 このBOXセットは、BR-KLASSIKに遺された録音・録画からヤンソンスとバイエルンRSOの業績を集大成したもので、LPサイズの豪華ボッ クスにはCD,DVD合わせて70枚もの録音・録画が収められており、マーラーの交響曲4曲やモーツァルトのレクイエムなど12曲が初CD化。 オールカラー全72ページの大判ブックレットにはヤンソンスの幼少期を含む貴重な写真が多数掲載されています。 マリス・ヤンソンスの人と芸術を愛する人には、是非手許に置いて頂きたいBOXとなっています。
● 初めてCD化された曲目
1. ブルックナー:ミサ曲第3番…CD22
2. マーラー:交響曲第3番…CD30/31
3. マーラー:交響曲第4番…CD32
4. マーラー:交響曲第6番…CD34
5. マーラー:交響曲第8番…CD36
6. モーツァルト:レクイエム…CD38
7. ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第1番…CD46
8. ショスタコーヴィチ:交響曲第9番…CD46
9. ペルト:ベルリン・ミサ...CD39
10. プーランク:スターバト・マーテル ...CD39
11. チャイコフスキー:幻想序曲「ロミオとジュリエット」..CD60
12. ストラヴィンスキー:火の鳥...CD60
※11と12は配信限定でリリースされていたもののCD化。他は初出音源。
● 「マリス・ヤンソンスによるバイエルンRSOによるリハーサル風景」(ドイツ語)…CD68,69,70
2003年10月23日・24日のバイエルンRSOとの最初のリハーサルでのオープニング・スピーチとベルリオーズ: 幻想交響曲
2009年10月9日のチャイコフスキー:交響曲第5番
2009年3月5日のR・シュトラウス「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」
これらの音源からは、ヤンソンスがバイエルンRSOにどのように意向や指示を実行したのか、そしてこの指示が音にもたらした変化、そして、
作品の背景にある解釈などが直に伝わってきます。この録音には、両者の特別なコラボレーションが見事に記録されています。

●ブックレットに掲載されている主なもの
1. 2013年にヤンソンスがエルンスト・ジーメンス賞を受賞した際のトーマス・ハンプソンの祝辞
2. Renade Ulmによるヤンソンスの回想
3. 2018年2月28日にFlorian Zinneckerが行ったヤンソンスへのインタビュー。ヤンソンスが常に6本の指揮棒を持っていたことに触発されて。
4. サイモン・ラトル、ヤンソンスを語る。2020年11月30日、Johan Johnによるインタビュー。
5. マリス・ヤンソンスの訃報
6. マリス・ヤンソンス年譜
7. バイエルンRSOと合唱団のプロフィール
8. 各CDの曲目と録音データ、クレジット
9. ヤンソンスの写真60点余り。
1歳半でピアノを弾く様子からカーネギーホールでの最後のコンサートまで
(1-7はドイツ語と英語)

フォンテック
FOCD-9856(3CD)
税込定価
2021年10月6日発売
尾高忠明/シベリウス:交響曲全集(全7曲) 尾高忠明(指)札幌SO

録音:札幌コンサートホールKitara
2013年2月28日、3月1・2日(第1番・第3番)
2014年2月28日、3月1日(第2番・第4番)
2015年2月13・14日(第5番・第6番・第7番)
1998年から2004年までミュージック・アドヴァイザー/常任指揮者、そして音楽監督(2004-15) を務め、公演はもとより活発なCD録音、新たな聴衆の啓発など、札幌交響楽団の躍進に大きな足跡を 残した尾高忠明。 2013−15年、尾高は毎シーズン最後の定期公演でシベリウスをとりあげ、音楽監督としての集大成 として交響曲全7曲の演奏に取り組みます。 英国音楽とともに、彼らの主要レパートリーであった北欧音楽の精髄シベリウス。レコード芸術誌上で、「演奏の素晴らしさに加えて録音も最高の水準というライヴ収録の限界を超越した名盤」と評 価されたこの演奏。札響創立60周年を記念し、モニュメンタルな全集としての登場です。 (フォンテック)

Altus
ALTSA-325
(2SACD)
シングルレイヤー
セル・ケンペ・シェルヘン INA名演集
「新リマスターSACDシングルレイヤー盤」

■DISC1
(1)モーツァルト:交響曲第33番変ロ長調 K.319
 ブラームス:交響曲第2番ニ長調 Op.73
 モーツァルト:ピアノ協奏曲第24番ハ短調 K.491
 ベルリオーズ:幻想交響曲
■DISC2
(1)バッハ:フーガの技法〜コントラプンクトゥス14(シェルヘン編)
 バリフ:角笛と猟犬
 マーラー:交響曲第5番嬰ハ短調
(2)パーセル:『妖精の女王(真夏の夜の夢)』 Z.629 抜粋
 モーツァルト:交響曲第29番イ長調 K.201
 プロコフィエフ:交響組曲『キージェ中尉』
■DISC1
(1)ジョージ・セル(指)、
フランス国立O
ライヴ録音:1958年5月6日シャンゼリゼ劇場(モノラル)
(2)クリフォード・カーゾン(P)、
ルドルフ・ケンペ(指)、
フランス国立O
ライヴ録音:1959年8月15日ザルツブルク音楽祭(モノラル)

■DISC2
(1)ヘルマン・シェルヘン(指)、
フランス国立O
ライヴ録音:1965年11月30日 シャンゼリゼ劇場(ステレオ) 
(2)ヘルマン・シェルヘン(指)、
パリRSO
録音:1954年1月20日パリ(モノラル)
セル、ケンペ、シェルヘン、3人の名指揮者のINA音源を用いたベストセラーをまとめた長時間収録SACD2枚組です。解説書は既発売のCD版原稿をす べて網羅。ALTUSの新技術〈High sampling overtone〉を駆使した最新マスタリングで音質一新!総収録時間283分。
磨き上げられたアンサンブルと颯爽としたテンポ感で眼の醒めるような演奏を聴かせるセル。編成がどんどん大きくなっていくプログラミングの妙が「幻想」 で見事に炸裂するケンペ。自らオーケストラ編曲したバッハの絶筆未完フーガやブーイングとブラボー入り乱れる超絶のマーラー(ステレオ録音!)が貴重なシェ ルヘン。どれも注目の演奏です。 (Ki)

Altus
ALT-497(1CD)
ゴロワノフの芸術 第3集
ボロディン:交響曲第2番
R.シュトラウス:ホルン協奏曲第1番*
ヤ コフ・シャピ ロ(Hrn)*
ニコライ・ゴロワノフ(指)
モスクワRSO

モノラル録音:1947年、1952年4月4日*
ムラヴィンスキーと対を成すロシアのカリスマにして、強烈な爆演で知られるロシアの伝説的指揮者ニコライ・ゴロワノフの音源をALTUS渾 身のマスタリングで発売!脳も灼けつく怒涛の大演奏、異様な指揮者の存在感が生む空前の大迫力。
このボロディンは言わずと知れた大名演。暴れまわるオーケストラ、超弩級の激しさと張り裂けんばかりの歌、人類の表現しうる限界を感じさせない激烈な音楽 が大展開されます。冒頭の主題提示からゴロワノフも気合十分、「ダッダッダッダッ…」と野太く叫ぶように歌っております。終楽章の天を衝くハイテンションなどと んでもない代物。終始ありったけのエネルギーが注ぎ込まれた唯一無二の超絶演奏です。
「ボロディンの交響曲第2番はゴロワノフの録音遺産の中でも、突出して濃厚、強烈です。第1楽章の終わり、信じがたいほどの強烈なリタルダンドは、かのメ ンゲルベルクがベートーヴェンの第9交響曲の一番最後に行った腕も折れよと力を込めたそれと並んで、レコードに記録された“世界の2大リタルダンド”であろ う。第4楽章も音の爆発と強烈なロシア情緒とが交錯する、凄まじいばかりの乱舞です。ゴロワノフのそれが猛獣の叫び声だとすると、他の指揮者はせいぜい柴 犬の鳴き声であろう。」(平林直哉氏の解説より)
Altus
ALT-498(1CD)
ゴロワノフの芸術 第4集
ベートーヴェン:「エグモント」序曲
 交響曲第1番ハ長調 Op.21*
リスト:交響詩「オルフェウス」**
 交響詩「ハンガリー」#
ニコライ・ゴロワノフ(指)
モスクワRSO

モノラル録音:1951年12月13日 1948年11月12日*、1952年**、1953年#
ムラヴィンスキーと対を成すロシアのカリスマにして、強烈な爆演で知られるロシアの伝説的指揮者ニコライ・ゴロワノフの音源をALTUS渾 身のマスタリングで発売!脳も灼けつく怒涛の大演奏、異様な指揮者の存在感が生む空前の大迫力。
ベートーヴェンの1番はこんな演奏が可能だったのかと度肝を抜かれます。序奏のたっぷり濃厚な歌と、そのなかから時折フォルテで奏される和音の立ち上がり のスピード!殻を突き破って主部に入るとテンションが爆発、怒涛の音楽となります。しかし第2主題でぐっとブレーキを踏みこむなど音楽作りには抜かりなし。あ らゆる仕掛けの嵐に吹き飛ばされそうな名演です。
「「エグモント」序曲の冒頭はトランペットの絶叫とティンパニのトレモロが加えられ怒号のような和音で開始されます。主部は細部の乱れおかまいなしに加速され、 時おりトランペットがむき出しにされます。交響曲第1番も圧倒的です。開始してすぐに顔面を殴られたような強烈な音にしびれるが、続く主部は異常なスピードで ある。第4楽章は「エグモント」序曲同様にティンパニのトレモロが加えられ異様におどろおどろしく始まる。古典的な枠にとらわれない、非常にロマンティックな 名演と言えるでしょう。」(平林直哉氏の解説より) (Ki)

CPO
CPO-555508(4CD)
NX-E05
ヘンドリク・アンドリーセン(1892-1981):交響的作品集全集
【CD1】 777721
交響曲第1番/バレエ組曲
交響的練習曲
クーナウの主題による変奏曲とフーガ
【CD2】 777722
交響曲第2番/リチェルカーレ
マシェラータ
ヴィルヘルムス・ラプソディ
【CD3】 777723
交響曲第3番/協奏交響曲
序曲「シャンテクレール」
【CD4】 777845
交響曲第4番
ラプソディ『リベルタス・ヴェニト』
カプリッチョ/ カンツォーネ
フィオン(ヘルダーラント&オーファーアイセルO)
(旧名称:オランダSO)
ダーヴィッド・ポルセライン(指)

録音:2011年6月28日-7月1日、2012年6月26-27日、2013年2月11-14日、2012年6月25-28日、2013年2月12-13日、2012年6月27-29日
既発売のダーヴィッド・ポルセラインとオランダSO(初出当時)によるヘンリク・アンドリーセンの4枚のアル バムをまとめたBOXの登場! ヘンドリク・アンドリーセンはオランダの作曲家、オルガン奏者。即興演奏の巧みさで知られ、オランダのカトリック 典礼音楽を一新した人でもあります。しかし、実はとても多才な作曲家であり、その作品もオルガン曲だけに留 まらず、ここで聴ける4つの交響曲や管弦楽曲など注目すべきものが数多くあります。ロマン派と前衛の折衷とも いえる作風で、旋律は聴きやすく、生前から管弦楽作品も高い人気を誇っていました。 交響曲第1番は1930年10月1日にエドゥアルト・ファン・ベイヌム指揮のハールレムOによって初演さ れ、その2年後にはアンドリーセン自身が同じオーケストラを指揮して演奏するなど注目を浴びた作品です。コン セルトヘボウ管の創立50周年の記念に書かれた交響曲第2番、1932年に正式にオランダの国歌に認定され たメロディを用いた「ヴィルヘルムス・ラプソディ」、終楽章に輝かしいフーガが置かれたエネルギッシュな交響曲第3 番、そして彼の作品の中で最も知られる交響曲第4番などのほか、1941年に書かれたにもかかわらず、戦争の 暗い気分を払拭するかのように陽気で華麗なラプソディ『リベルタス・ヴェニト』など、アンドリーセンの作曲技法の 集大成ともいえる作品群を楽しめます。 ※フィオンは2019年にオランダSOとアーネム・フィルとの合併で誕生したオーケストラ。ヘルダーラント州と オーバーアイセル州の音楽活動の中心的存在です。

Diapason
DIAP-139(1CD)
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」 イルムガルト・ゼーフリート(S)、
モーリーン・フォレスター(A)、
エルンスト・ヘフリガー(T)、
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)、
聖ヘトヴィヒ大聖堂聖歌隊、
、フェレンツ・フリッチャイ(指)BPO

録音:1957年12月−1958年1月
Diapasonが音楽史に輝く名曲の歴史的名演を選出し、新たなマスタリングを施して復刻するシリーズ『レ・ザンディスパンサーブル・ド・ディアパゾン 〜 ディアパゾンが選んだ決定盤』。
シリーズの第139巻は、ハンガリーが生んだ夭折の天才指揮者フェレンツ・フリッチャイが50年代後半のベルリン・フィルを振った名演の誉れが高いベートーヴェンの「第九」!!
エルンスト・ヘフリガーなど当時有数の世界的名歌手たちをソリストに揃え、ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウにとって唯一の「第九」のセッション録音となったこのフリッチャイ盤。
白血病を患い休養を余儀なくされる前のフリッチャイがベルリン・フィルを完璧にコントロールした名演です。ディアパゾン・レーベルのリマスタリングにも要注目!

Danacord
DACOCD-912
(2CDR)
トマス・イェンセンの遺産 第2集
(1)ショスタコーヴィチ:交響曲第5番
(2)ストラヴィンスキー:ピアノと管楽器の為の協奏曲(1923−24 rev.1950)*
(3)クヌーズオーウ・リスエーヤ(1897−1974):小序曲(1934)(弦楽オーケストラの為の)
 トランペット小協奏曲 Op.29#
(4)ショスタコーヴィチ:歌劇「カテリーナ・イズマイロヴァ」より〔仔馬は雌馬のところに急ぎ
 森の奥深いところに湖がある〕+
オネゲル:交響曲第5番「3つのレ」
バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第2番 $
トマス・イェンセン(指)、
デンマークRSO、
ヘアマン・D・コペル(P)*、
ジョージ・エスクデール(Tp)#、
ガリーナ・ヴィシネフスカヤ(S)+、
ヘンリク・シェリング(Vn)$

(1)録音:1963年10月31日、デンマーク放送コンサートホール(コペンハーゲン)(ライヴ放送)]
(2)録音:1954年11月4日、デンマーク放送コンサートホール(コペンハーゲン)(ライヴ放送)]
(3)録音:1949年1月27日−28日]
(4)録音:1962年10月24日、国連の日コンサート(パリ)(ライヴ放送)]
※すべてモノラル録音
※復刻/デジタルマスタリング:クラウス・ビューリト
デンマークの指揮者トマス・イェンセン(1898−1963)の「遺産」シリーズの第2作。「20世紀の傑作」とされる作品が、ライヴとスタジオの録音で収録されています。ショスタコーヴィチの「交響曲第5番」は、イェンセンが1963年11月13日に亡くなる2週間前、デンマークRSOを最後に指揮したコンサートのライヴ録音です。LPもCDもリリースされてこなかった音源です。ストラヴィンスキーの「ピアノと管楽器の為の協奏曲」は、ヘアマン・D・コペル(1908−1998)がソロを弾いた『ヘアマン・D・コペル 作曲家・ピアニスト 第1集』(DACOCD 561-562)に収録された音源です。リスエーヤの「トランペット小協奏曲」の「初録音」は、1934年から1956年までロンドンSOの首席トランペット奏者を務めたジョージ・エスクデールがソロを担当しています。[Disc 2]の3曲は、イェンセンが「同時代」のレパートリーにも手腕を発揮したことを示す演奏です。1962年10月24日、パリで行われた「国連の日コンサート」のライヴ録音です。
※当タイトルは、高品質メディア(SONY DADC/Diamond Silver Discs)を使用した、レーベル・オフィシャルのCD-R盤となります。
Danacord
DACOCD-913
(2CDR)
トマス・イェンセンの遺産 第3集

(1)チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲*
(2)ブラームス:交響曲第4番
(3)ブラームス:ドイツ・レクイエム#
トマス・イェンセン(指)、
デンマークRSO、
エンドレ・ヴォルフ(Vn)*、
アグネス・ギーベル(S)#、
エーリヒ・ヴェンク(Br)、
デンマーク放送cho団#

(1)録音:1949年10月19日&21日
(2)録音:1955年4月23日、シャンゼリゼ劇場(パリ、フランス)(ライヴ放送)
(3)録音:1962年2月2日、デンマーク放送コンサートホール(コペンハーゲン)(ライヴ放送)
※すべてモノラル録音
※復刻/デジタルマスタリング:クラウス・ビューリト
デンマークの指揮者トマス・イェンセン(1898−1963)の「遺産」シリーズの第3集。ブラームスの「交響曲第4番」とオランダのソプラノ歌手アグネス・ギーベル(1921−2017)とドイツのバス・バリトン、エーリヒ・ヴェンク(1923−2012)がソロを歌った「ドイツ・レクイエム」は、このアルバムで初めてリリースされる、「イェンセンの遺産」に欠かせない重要なアーカイヴ録音です。チャイコフスキーの「ヴァイオリン協奏曲」は、『エンドレ・ヴォルフ 第1集』(DACOCD 714-715)と同じ音源。
※当タイトルは、高品質メディア(SONY DADC/Diamond Silver Discs)を使用した、レーベル・オフィシャルのCD-R盤となります。


King International
KKC-90001(2Bluray)
朝比奈隆 交響的肖像
(1) 実相寺昭雄との対談1〜ヴァイオリン奏者から指揮者へ
(2) 実相寺昭雄との対談2〜戦後初めて渡欧した時のエピソード。フルトヴェングラーとの出会い
(3) ブラームス:交響曲第4番ホ短調Op.98(4) 実相寺昭雄との対談3〜ベルリン・フィルを指揮したこと〜カラヤンの印象
(5) 実相寺昭雄との対談4〜音楽の道へ〜出会った人々
(6) ブラームス:交響曲第1番ハ短調Op.68
(7) 実相寺昭雄との対談5〜阪急電鉄への入社
(8) ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲Op.56a〜主題と第1変奏のみ
(9) 実相寺昭雄との対談5〜つづき 中国大陸での難民生活
(10) リハーサルと実相寺昭雄との対談6〜下積み時代
(11) リハーサルと実相寺昭雄との対談7〜フルトヴェングラーとの出会い
(12) ブルックナー:交響曲第3番ニ短調
(13) 実相寺昭雄との対談8
(14) ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調「英雄」
(15) 実相寺昭雄との対談9
(16) 実相寺昭雄との対談10
(17) マーラー:大地の歌
(18)松原千代繁・寺田農の対談
朝比奈隆(指)
新日本フィルハーモニーSO

演出・監修:実相寺昭雄


(3)収録:1990年6月1日オーチャードホール
(6)収録:1990年2月5日オーチャードホール
(8)収録:1990年2月5日オーチャードホール
(12)収録:1996年12月12日東京文化会館
(14)収録:1989年2月5日
(17)川上洋司、伊原直子
収録:1994年5月9日東京文化会館(初出)
(18)収録:2021年7月20日

画面:4:3
音声:PCM STEREO
2021年は朝比奈隆の歿後20年、映画監督の実相寺昭雄の歿後15年にあたります。朝比奈の円熟期1990年代に、氏を崇拝する実相寺が制作した「朝比 奈隆 交響的肖像」は1999年に日本コロムビアからDVD3枚組でリリースされ話題となりました。長らく入手困難となっていましたが、今回ブルーレイ・ディス クにアップコンバートして登場します。
前回未収録のベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」と完全初出のマーラー「大地の歌」、朝比奈・実相寺対談の未発表部分も復活させ、全体で8時間に及ぶす べての点でパワーアップしながらお手頃価格にしての記念発売となります。
朝比奈の「大地の歌」は大阪フィルとの演奏が発売されていますが、この1994年5月9日東京文化会館でのライヴは存在が半ば伝説化していた音源。ついに 日の目を見ます。
新日本フィルも今年2021年が創立50周年にあたり、同団事務局長・専務理事だった松原千代?氏が実相寺昭雄鍾愛の俳優・寺田農と両巨匠の思い出など を語った最新映像も収録。
いずれの交響曲もノーカット収録。オーソドックスなコンサート映像ながら実相寺色が濃厚に表れているのもファン興奮。リハーサルの場面でさえ映画の1シー ンのように迫ってきます。音質も良好。 (Ki)


Spectrum Sound
CDSMBA-033(1CD)
カール・ベーム・ライヴ・アット・サル・プレイエル・パリ 1975
モーツァルト:交響曲第41番「ジュピター」
ワーグナー:『トリスタンとイゾルデ』〜「前奏曲」と「愛の死」
ベートーヴェン:レオノーレ序曲第3番
R.シュトラウス:『サロメ』〜ラスト・シーン
ビルギット・ニルソン(S)
カール・ベーム(指)フランス国立O

ライヴ録音:1975年6月25日/サル・プレイエル(パリ)(ステレオ)
音源:Licensed by Radio France, INA & Birgit Nilsson Foundation
(24bit/192KHz digital restoration and remastering from the original master tapes)
丁寧な復刻で評価を高めているスペクトラム・サウンド。フランス国立視聴覚研究所(INA)が保有する音源からのCD化シリーズ最新盤は、ベームがフランス国 立Oを振った1975年6月25、サル・プレイエルにおけるライヴのステレオ音源です!
カール・ベームが最も得意としたモーツァルトのジュピター。ウィーン・フィル、ベルリン・フィルなど名門オーケストラとの名盤が存在しますが、このライヴ録 音でも細部にまで意識の届いた演奏を展開しており、さすがベーム!と思わせます。その凄さは速いパッセージでも一音一音を大切にしながら音楽が流れていき、 ベームの巨匠芸を堪能できます。
ビルギット・ニルソンを独唱に迎えたワーグナーの『トリスタンとイゾルデ』から「前奏曲と愛の死」とR.シュトラウスの歌劇『サロメ』からファイナル・シーンも 必聴です!ニルソンはベームが最も信頼を寄せたソプラノ歌手で、自身が最も得意としたワーグナーとR.シュトラウスの主要な歌劇をベームとともに録音しており ます。圧倒的な存在感を示す歌唱は何よりも魅力ですが、ベーム指揮の演奏ではニルソンの実力が最大限引き出されているのがこの演奏でもよくわかります。力 強さと柔らかさを併せ持った20世紀を代表する名歌手の歌声をご堪能ください。平林直哉氏による日本語解説付。 (Ki)

Goodies
78CDR-3847(1CDR)
税込定価
ベートーヴェン:交響曲第8番ヘ長調作品93 ハンス・プフィツナー(指)BPO

米 BRUNSWICK 90252/4(独 POLYDOR 15020/2と同一録音)
1933年ベルリン録音
ハンス・プフィツナーはドイツの後期ロマン派を代表する作曲家の 一人。ドイツ人の両親のもとにロシアで生まれた。幼少時ドイツに移住し、指 揮者としての地位を固めた後、徐々に作曲活動を活発化させて行き、ドイツの 後期ロマン派を代表する作曲家になった。プフィツナーが指揮者として活躍し た時代は、機械式録音から電気録音への移行期だった。このシリーズでは機械 式録音(1924年)のベートーヴェン:交響曲第4番(78CDR-3840)、電気録音(1928年) のシューマン:交響曲第2番(78CDR-3837)、1930年録音のベートーヴェン:交響 曲第6番「田園」(78CDR-3843)が出ています。 復刻には「音のエジソン」 http://www.otono-edison.com/ SPレコード専用 MC型カートリッジ(3mil針)とコルグのNu 1DSD録音機を使用した。(グッディーズ)


東武レコーディングズ
TBRCD-0112(1CD)
税込定価
トールケース仕様
「日出る国へ新世界=`昭和十二年の日米同時生放送」
(1)ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」
(2)J・シュトラウス(近衞編):喜歌劇「こうもり」組曲
近衞秀麿(指)NBC響

録音:(1)1937年2月16日、(2)1937年2月14日,NBC8H スタジオ
音源提供:アメリカ議会図書館(Library of Congress)
協力:近衞音楽研究所、
ウィスコンシン歴史協会(Wisconsin Historical Society)、
NBC ユニヴァーサルLLC、Donald Meyer(Lake Forest college)
1937 年2 月16 日、ニューヨークのNBC、8H スタジオにおいて、オーケストラ 音楽の日米同時生放送という画期的な演奏会が行われた。曲目はドヴォルザー ク作曲の交響曲第9 番「新世界」。オーケストラは“トスカニーニのオーケストラ”と してクラシック音楽ファンに知られるNBC SO。 指揮台に立ったのは前年 1936 年に日本の外務省より音楽特使として叙任さ れた近衞秀麿(1898〜1973)。言うまでもなく、戦中に三度に渡って首相を務め た近衞文麿の実弟であり、日本でオーケストラを初めて作り、生涯に渡ってオー ケストラ音楽の紹介に努めた大指揮者です。 演奏会は大成功に終わった。そして近衞には全米各地の名門オーケストラに 客演するツアーが約束された。しかし 7 月の日中戦争の勃発を引き金にした日 米関係の悪化が近衞の指揮者としての運命を翻弄する。そして遂には全てが見 果てぬ夢となってしまった……。 『新世界』の演奏の二日前にも近衞はラジオ番組にも出演し、自ら編曲したヨ ハン・シュトラウスの喜歌劇『こうもり』組曲を指揮し放送しています。これらの音源が アメリカ議会図書館で良好な音質で発見された!さらに近衞が NBC SO に登壇するに至るコレスポンダンスも発見。 近衞秀麿研究の第一人者である菅野冬樹による綿密な調査に基づく書下ろ し原稿による重厚な新書版書籍付き。好事家にとってはなぜトスカニーニより先 に NBC SOと日本人指揮者が共演できたのか?そしてどういう演奏をして いるのか?という興味が明らかになります。そして芸術と言えども時代背景とは不可 分な関係であることを証明する正に戦争と音楽のドキュメント。

Profil
PH-18083(1CD)
エディション・シュターツカペレ・ドレスデンVol.52
ブルックナー:交響曲第1番ハ短調(1877年リンツ稿)
クリスティアン・ティーレマン(指)
シュターツカペレ・ドレスデン

録音:2017年9月1日/ドレスデン、ゼンパーオーパー(ライヴ)
ディション・シュターツカペレ・ドレスデン・シリーズ第52弾。ティーレマンとシュターツカペレ・ドレスデン2017年のブルックナー「交響曲第1番」といえば、 9月6日にミュンヘンのフィルハーモニーで行われたライヴ映像がC Majorからリリースされた全集に収録され、このBOXは、「レコード芸術」誌2021年9月 号にて特選として絶賛されました。こちらはその5日前にドレスデンのゼンパーオーパーで行われたコンサートのライヴCD。
ティーレマンは2012年のシュターツカペレ・ドレスデンの首席指揮者就任以来、ブルックナーの交響曲プロジェクトを続け、その8回目にとりあげられたのが第 1番でした。
ブルックナーの交響曲第1番は1868年の作ですが、1877年、84年に改訂が行われ、さらに1890年に行われたのがここで用いられている「リンツ版」。ブ ルックナーの若々しい野性味が晩年の円熟の書法で磨かれた逸品となっています。
ティーレマンの解釈はミュンヘン・ライヴと基本的には共通してやや遅めのテンポによる堂々としたものですが、ドレスデンのゼンパーオーパーの深い響きもあい まり充実した感動を与えてくれます。 (Ki)


TOCCATA
TOCC-0613(1CD)
NX-B03
マルコム・アーノルド(1921-2006):管弦楽作品集
美食大協奏曲 Op. 76−ウェイター、食事と大オーケストラの為の…世界初録音
交響曲第9番Op. 128
アンナ・ゴルバチョヴァ=オギルヴィ(S)
リエパーヤSO
ジョン・ギボンズ(指)

録音:2021年6月14-16日
2021年に生誕100年を迎えるマルコム・アーノルド。優れた映画音楽の作曲家として、また20世紀イギリスを代表するシリアスな交響曲の作曲家として評 価されています。 このアルバムに収録された2つの作品は、アーノルドの対照的な側面をはっきりと示しています。タイトルを見るだけでも興味深い「美食大協奏曲」は、陽気 で親しみやすいアーノルド。1961年に初演された"ホフナング音楽祭(イギリスで開催されていた抱腹絶倒の冗談音楽祭)"の為の作品で(アーノルドは音 楽祭の創設者で漫画家のジェラルド・ホフナングの友人だった)、一連のコース料理が音で描かれています。ウェイターが儀式用のナプキンを運び入れ、牡蠣 をはじめとしたオードブル、スープ、メインのローストビーフ、チーズと続き、デザートのピーチメルバ(こちらはグノーのアヴェ・マリアのパロディ)が到着。そしてコー ヒーと食後酒で締めるというもの。本来はウェイターが大きな役割を占めますが、音だけで聴いても存分に楽しめます。この曲は世界初録音です。転じて、交 響曲第9番はシリアスな音楽。病と闘い完成が大幅に遅れてしまったこの曲、アーノルド自身が「地獄を通り抜けた」と語った後に作曲されただけあって、暗 鬱な第4楽章の最後で光が差すような長調への転調が強い印象を残します。

ALPHA
ALPHA-776(1CD)
モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」序曲
ヴァイオリン協奏曲 第3番ト長調 K. 216
交響曲第41番ハ長調 K. 551「ジュピター」
ル・コンセール・ド・ラ・ロージュ(古楽器使用)
ジュリアン・ショーヴァン(Vn、指揮)

録音:2021年2月12-14日、シャトレ座、パリ
ル・コンセール・ド・ラ・ロージュ(古楽器使用)
ジュリアン・ショーヴァン(Vn、指揮)
Aparteレーベルでの数々の名盤、特に一連のハイドン『パリ交響曲』の録音では、同時代の知られざる名作を次々と併せて紹介し、注目 を浴びた古楽器合奏団コンセール・ド・ラ・ロージュ。古典派解釈の確かさは、それらのアルバムにフランスの批評メディアが続々絶賛を寄せて きたことからもわかります。シュシャーヌ・シラノシアン、ジュスタン・テイラー、タミ・クラウスといった新世代の古楽器奏者たちとの連携もさることな がら、創設者・指揮者のジュリアン・ショーヴァンがピリオド奏法のヴァイオリン奏者としてもずば抜けた技量を誇っている点は見逃せません。サ ンドリーヌ・ピオーによるフランス19世紀歌劇・アリア集『恋の相手は...』(ALPHA445/NYCX-10063)でALPHAからもリリース実績のある 彼らが、同レーベルでモーツァルトの重要作品を定期的に発表してゆくことになり、その記念すべき第一弾がこの申し分ない選曲の一枚とな ります。モーツァルトの全管弦楽曲中最も注目度の高い作品の一つ「ジュピター」をはじめ、隅々まで考え抜かれた解釈により各作品が驚く ほどみずみずしく蘇る古楽器演奏で、細やかな音楽言語への徹底した読み込みがいたるところで効果を発揮。それでいて冒頭に掲げられた 「フィガロの結婚」序曲の沸々と盛り上がる勢いといい、ヴァイオリン協奏曲におけるショーヴァンの濃密かつ圧倒的な「格」といい、一糸乱れぬ 統率力と各奏者の自発性の絶妙なバランスといい、それらがまさに新時代の画期的名演と呼びうる強い存在感をこのアルバムに与えていま す。作曲家自身の手紙からの引用を多数盛り込んだ解説も興味深く、生の18世紀の音像に迫ろうという強い気概が演奏の上質さにみご と結実した、頼もしい新シリーズの始まりと言えるでしょう。

ICA CLASSICS
ICAC-5161(4CD)
NX-F01
ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームス: 交響曲集
【CD1】
ハイドン:交響曲第100番ト長調「軍隊」
交響曲第101番ニ長調「時計」*
【CD2】
モーツァルト:交響曲第29番イ長調 K. 201
行進曲 ニ長調 K. 335*
セレナード第9番ニ長調 K. 320「ポストホルン」*
【CD3】
ベートーヴェン:交響曲第5番ハ短調 Op. 67「運命」
交響曲第7番イ長調 Op. 92*
【CD4】
ブラームス:悲劇的序曲 Op. 81
交響曲第4番ホ短調 Op. 96*
ニコラウス・アーノンクール(指)
ヨーロッパ室内O

【CD1】
録音:1999年12月4日 コンセルトヘボウ、アムステルダム、2004年6月21日 シュテファニエンザール、グラーツ*
【CD2】
録音:1989年7月12日 シュテファニエンザール、グラーツ、1996年4月1*
【CD3】
録音:2007年6月24日ヘムルート・リスト・ハレ、グラーツ
2002年6月23日シュテファニエンザール、グラーツ*
【CD4】
録音:1999年6月28日、1997年7月10日*、シュテファニエンザール、グラーツ
ヨーロッパ室内管40周年記念盤。アーノンクールとの記念碑的ライヴ、全曲初CD化! 2021年に創立40周年を迎えたヨーロッパ室内O。創立に深くかかわったクラウディオ・アバドを始め、トップ・クラスの指揮者・演奏家と演奏を重ね て来ましたが、その中で特別に深い絆を持っていたニコラウス・アーノンクールとの名演奏の数々が陽の目を見ます。腕利きの奏者が揃ったヨーロッパ室内管 は、モダン楽器の楽団でありながら小振りな編成とクリアな響き、柔軟かつ意欲的な音楽性を備え、アーノンクールの理想を具現化できるオーケストラとして 常に彼の厳しい要求に応え、アーノンクールも特別な信頼と愛情を寄せ続けました。「リスクを取って転ぶほうが安全を優先するよりもずっとよい」「偉大な音 楽作りとはつねに大失敗と隣り合わせなのだ」を持論としたアーノンクール。ここに収められた「偉大な音楽作り」の数々は、すべてCD初出です。 演奏は、全般的にこのコンビに予想される引き締まったテンポとアクセントの利いたドラマティックなもので、ライヴらしい勢いや精彩が感じられます。特にハイド ンでは作曲者が仕込んだ細部の仕掛けを鮮明に音にしており、アーノンクールの面目躍如といったところ。ベートーヴェンの交響曲第5番では、驚いたことに 16年前のTeldec盤よりもすべての楽章で演奏時間が短くなっており、緊迫度や燃焼度の更なる高まりが感じられます。

Pentatone
PTC-5186765(1CD)
モーツァルト:交響曲第38番「プラハ」
交響曲第39番変ホ長調 K.543
アンドルー・マンゼ(指)
ハノーファー北ドイツ放送PO

録音:2021年3月13-18日/NDRハノーファー、放送局スタジオ大ホール
もともと高名なバロック・ヴァイオリンとして知られているアンドルー・マンゼ。近年は指揮者としての活躍も目覚ましく、2014年から首席指揮者を務めてい るハノーファー北ドイツ放送POとの積極的な演奏会および録音が続いており、PENTATONEレーベルからリリースしているメンデルスゾー ンの交響曲全曲録音、ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」&第7番(KKC-6207 / PTC-5186814)は各誌で高い評価を得ました。
当アルバムはモーツァルトの交響曲第2弾で第38番「プラハ」、第39番を収録。前作、第40番&41番「ジュピター」(KKC-6129 / PTC-5186757) でも聴かれたHIP奏法を踏襲しつつマンゼらしい細やかな表情と絶妙なテンポ設定で聴き手を魅了します。弦楽器の美しさとティンパニのメリハリの利いた打音 で輪郭のハッキリとしたモーツァルトを展開。前作同様マンゼはすべてリピートで演奏しており、モーツァルトの野心的な面を表現しながらも独特な緊迫感を持っ て音楽を構築しており、同団との厚い信頼関係とともに“マンゼ節” で聴かせます。当ディスクはCD仕様となります。

GRAND SLAM
GS-2247(1CD)
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)VPO

録音:1944年12月19日ウィーン、ムジークフェラインザール
使用音源:Private archive(2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:モノラル(ラジオ放送用録音)
■制作者より 
2トラック、38センチ、オープンリール・テープ復刻シリーズに、遂に“ウラニアのエロイカ”が登場します! この「英雄」交響曲は、フルトヴェングラーの録音遺 産の中でも特別に有名であることは、今さら説明不要でしょう。今回入手したテープは非常に明瞭でバランスが取れており、1950年代のモノラル録音にも匹敵す るクオリティです。たとえば、第1楽章の冒頭の和音を聴いただけでも、ホール内にきれいにこだまする様子が、これほど明確に再現された例はなかったと思われ ます。  また、今回は新事実(?)と思われることが発見されました。つまり、インターバルが全く途切れておらず、この演奏はマイクを前にした通し演奏ではないかと推 測されることです(詳細は解説参照)。  さらに、決定盤とすべく、解説書には図版やLPジャケットなどをふんだんに盛り込みました(全12ページ)。(平林 直哉)

CAvi music
85-53490(1CD)
マーラー:交響曲第6番イ短調 「悲劇的」 アダム・フィッシャー(指)、
デュッセルドルフSO

録音(ライヴ):2020年2月27日−3月2日、デュッセルドルフ・トーンハレ(ドイツ)
ンガリーが誇る敏腕指揮者ファミリー、フィッシャー兄弟の兄アダム・フィッシャーと、彼が2015/2016シーズンから首席指揮者を務めるデュッセルドルフSO。これまで英グラモフォン誌の「エディターズ・チョイス」に度々選ばれ、「交響曲第1番」では2019年の英BBCミュージック・マガジン賞で見事「オーケストラ賞」を受賞するなど、着実に評価を積み上げてきたマーラー交響曲チクルス。ついに最終巻となるシリーズ第10巻、交響曲第6番 「悲劇的」が登場!
2020年の2月末から3月初旬にかけて、デュッセルドルフ・トーンハレで3回のライヴ演奏が行われ、録音されたマーラーの「交響曲第6番」。その直後にコロナ・パンデミックによる最初のロックダウンが始まり、その後多くの音楽仲間の生活を破綻させました。交響曲第6番が描かれた時代や内容と今回のパンデミックの類似性も感じ、「今後、私のマーラー第6番と言えば、パンデミックと最後のコンサートを連想せざるを得ない」とアダム・フィッシャー自身が振り返る印象的なライヴとなりました。巨大なオーケストラをコントロールしながら、緻密な室内楽的なサウンド作りも繊細に組み立てて来たアダム・フィッシャー&デュッセルドルフ・フィルのマーラー第6番。シリーズの締めくくりに相応しい堂々たる「悲劇的」にご期待ください!

MUSICAPHON
M-56829(1CD)
シュルホフ&マウトナー:管弦楽作品集
エルヴィン・シュルホフ:交響曲第2番
ミヒャエル・マウトナー(b.1959):ユナイテッド・カラーズ(サクソフォン、ピアノ、打楽器、弦楽の為の)
シュルホフ:フルート、ピアノ、弦楽の為の二重協奏曲
エルヴィン・クラムバウアー(Fl)、クレメンス・ツァイリンガー(P)、ペーター・ロールスドルファー(Sax)、オーストリア室内SO、エルンスト・タイス(指)

録音:2004年2月(ドイツ)
チェコに生まれ多彩な作品を生み出すもナチスによって強制収容所に収容され、そこで生涯を終えた作曲家、エルヴィン・シュルホフの作品は、近年になって再評価が進んでいます。交響曲第2番は比較的演奏機会が多く、20分弱の作品ですが、第3楽章にジャズの要素を取り入れるなど意欲的ながら洗練された一曲です。ミヒャエル・マウトナーはザルツブルクのモーツァルテウム大学で学び、ウィーンを拠点に作曲活動や指揮活動などを精力的に展開しています。

SWR music
SWR-19105CD(2CD)
NX-B06
シベリウス:3つの歌曲/交響曲第2番、第4番、第5番
【CD1】
十二夜 Op. 60 第1番 死よ近づくな
6つの歌曲 Op. 36 第6番 3月の雪の上のダイヤモンド
7つの歌曲 Op. 17 第6番 夕べに
キム・ボルイ(Bs)
交響曲第2番ニ長調Op. 43*
【CD2】
交響曲第4番イ短調 Op. 63**
交響曲第5番変ホ長調 Op. 82#
バーデン=バーデン・フライブルクSWRSO
ハンス・ロスバウト(指)

録音:1955年12月6日、1955年1月7日*、1961年1月10日**、1955年12月5日#
すべてモノラル
モーツァルトやベートーヴェン、そしてマーラーや1950年代以降の音楽の解釈・演奏が高く評価された指揮者ハ ンス・ロスバウト(1895-1962)。シベリウス作品の録音はとても少なく、1954年と1957年にベルリン・フィル ハーモニーOと録音した「フィンランディア」などの小品集の他、数えるほどしか知られていません。この2枚 組には1955年と1961年にスタジオ録音された3曲の交響曲と珍しい歌曲を収録。全てが初出音源、かつロ スバウトとしては他にも録音のないレパートリーで、彼らしい緻密なアプローチと柔軟なテンポ設定による見事な シベリウスが堪能できます。歌曲でソロを歌うキム・ボルイ(1919-2000)はヘルシンキ出身のバス歌手。1960 年からストックホルム王立歌劇場に所属し、80年に引退するまでオペラとコンサートで活躍、また、デンマーク音 楽アカデミーで後進の指導にあたるなどフィンランドの声楽界の発展に寄与しました。 いずれも、SWRのオリジナルテープから丁寧にリマスターされており、モノラルながら聴きやすい音となっています。

オクタヴィア
OVCL-00761(1SACD)
税込定価
2021年9月22日発売
ショスタコーヴィチ:交響曲第8番ハ短調 作品65
ステージ・オーケストラの為の組曲(ジャズ組曲第2番)より【行進曲/リリック・ワルツ/小さなポルカ/ワルツ第2番/ダンス第1番】
井上道義(指)
新日本フィルハーモニーSO

録音:2021年7月3日 東京・サントリーホール・ライヴ
高い評価を受ける井上道義のショスタコーヴィチ演奏の最新盤は、新日本フィルとの2021 年7月のライヴ録音です。 交響曲第8番では、堅固に構築された音楽で、激しい葛藤と悲しみのレクイエムを聴かせ ます。過去に幾度も共演を重ねた新日本フィルは、コンサートマスターの崔文洙を中心と して、美しく壮烈な響きで井上に応えました。 一方ダンサブルな「ステージ・オーケストラの為の組曲」(「ジャズ組曲第2番」)は瑞々し く鮮やかな演奏で、明るくアルバムを締めくくります。 作曲家の二面性を見事に表現する濃密な快演をお楽しみください。(オクタヴィア)

Altus
ALT-495(1CD)
ゴロワノフの芸術第1集
ラフマニノフ:交響曲第2番ホ短調 作品27
交響的舞曲〜第1・3楽章*
ニコライ・ゴロワノフ(指)
モスクワRSO

モノラル録音:1953年5月25日、1949年6月17日*
ムラヴィンスキーと対を成すロシアのカリスマにして、強烈な爆演で知られる伝説的指揮者ニコライ・ゴロワノフの音源をALTUS渾身のマス タリングで発売!脳も灼けつく怒涛の大演奏、異様な指揮者の存在感が生む空前の大迫力。ここまで熾烈な演奏はそうありません。衰えを知らぬ最晩年のラフマニ ノフ2番と、貴重な交響的舞曲(抜粋)の録音を収録。
「ゴロワノフの芸風はムラヴィンスキーと全く対照的です。ムラヴィンスキーが余分な響きを極力排除し、透明で繊細な音楽を奏でていたのに対し、ゴロワノフ は野人のように粗野で熱っぽく、鼻がひん曲がるほどのロシア臭気を発していたのである」「ロシアの指揮者について語る時、ゴロワノフの存在は絶対に無視でき ない」「交響曲第2番では冒頭から異様に太くたくましい音の塊が出現し、第2楽章も終始オーケストラが乱れるほど熱くなっています。第3楽章はロシアのセンチメ ンタリズム満開、第4楽章の粗野な盛り上がりもゴロワノフならではである」(平林直哉氏の解説より)

Altus
ALSA-4 41(4SACD)
シングルレイヤー
完全限定生産
2021年新マスタリング
チェリビダッケ/フランス国立放送O
INAライヴ録音大集成

■Disc1
(1)ルーセル:交響曲第3番
ブラームス:交響曲第4番
(2)シェーンベルク:6つの管弦楽伴奏付き歌曲 Op. 8
シューベルト:交響曲第8番『未完成』
ベートーヴェン:交響曲第7番
ドヴォルザーク:スラヴ舞曲集 第1番
ミヨー:ブラジルの郷愁〜第11曲『ラランジェイラス』
ラヴェル:高雅で感傷的なワルツ(管弦楽版)
ストラヴィンスキー:小管弦楽組曲第2番より『ギャロップ』
(3)ブラームス:悲劇的序曲
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番『皇帝』
■Disc2
(1)ベートーヴェン:交響曲第6番『田園』
ストラヴィンスキー:バレエ音楽『ペトルーシュカ』抜粋
(2)ブラームス:交響曲第3番ヘ長調 Op. 90
ミヨー:ブラジルの郷愁 Op. 67b
レスピーギ:交響詩『ローマの松』
(3)シューベルト:『ロザムンデ』 序曲
ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調 Op. 104*
デュティユー:メタボール
■Disc3
シューベルト
(1)6つのドイツ舞曲(ウェーベルンによる管弦楽編)
交響曲第5番変ロ長調 D. 485
J・シュトラウス:『こうもり』序曲
 ウィーンの森の物語/フィガロ・ポルカ
 ピツィカート・ポルカ/トリッチ・トラッチ・ポルカ
 皇帝円舞曲
(2)モーツァルト:レクイエム ニ短調 K. 626
(3)ウェーバー:『魔弾の射手』 序曲
ハイドン:交響曲第102番
シューマン:交響曲第2番
■Disc4
(1)シューマン:ピアノ協奏曲
プロコフィエフ:『ロメオとジュリエット』組曲第2番 抜粋
(2)ラヴェル:スペイン狂詩曲
(3)ラヴェル:『マ・メール・ロワ』
(4)ラヴェル:道化師の朝の歌
(5)ラヴェル:ラ・ヴァルス
(6)ラヴェル:『ダフニスとクロエ』 第1,2組曲
セルジュ・チェリビダッケ(指)
フランス国立放送O

■Disc1
(1)録音:1974年10月23日/シャンゼリゼ劇場(ライヴ)
(2)録音:1974年9月17日/シャンゼリゼ劇場(ライヴ)
(3)アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ( ピアノ)
録音:1974年10月16日/シャンゼリゼ劇場(ライヴ)
■Disc2
(1)録音:1974年2月6日/シャンゼリゼ劇場(ライヴ)
(2)録音:1974年2月15日/シャンゼリゼ劇場(ライヴ)
(3)ピエール・フルニエ(Vc)*
デュティユー:メタボール
録音:1974年10月2日/シャンゼリゼ劇場(ライヴ)
■Disc3
(1)録音:1973年12月30日/シャンゼリゼ劇場(ライヴ)
(2)アーリーン・オジェー(S)
グーリ・プレスナー(C.A)
アダルベルト・クラウス(T)
ロジェ・ソワイエ(Bs)
ジャン・ポール・クレダー(合唱指揮)
フランス国立放送合唱団
録音:1974年2月22日/シャンゼリゼ劇場(ライヴ)
(3)録音:1974年2月27日/シャンゼリゼ劇場(ライヴ)
■Disc4
(1)マルタ・アルゲリッチ(P)
録音:1974年5月29日/シャンゼリゼ劇場(ライヴ)
(2)録音:1973年12月23日
(3)録音:1974年2月6日/シャンゼリゼ劇場(ライヴ)
(4)録音:1974年5月29日/シャンゼリゼ劇場(ライヴ)
(5)録音:1974年10月2日
(6)録音:1974年10月16日/シャンゼリゼ劇場(ライヴ)
ジャン・ポール・クレダー(合唱指揮)
フランス国立放送cho
ALTUS屈指のベストセラー、チェリビダッケ&フランス国立OのINA音源シリーズをすべてまとめた長時間収録SACD4枚組。当盤のためにリマスター され通常CD版とは異なる魅力を付加。最新リマスタリングにはALTUSの新技術〈High sampling overtone〉が採用されており、自然な倍音とオーケストラ の確かな質感がチェリビダッケの名演をより引き立たせてくれます。
1973・74年録音ですべてステレオ。ミケランジェリ、フルニエ、アルゲリッチとの協奏曲録音は超絶の名演。他にも極上に美しい『未完成』、スローテンポに仰 天の『ペトルーシュカ』、チェリの叫びも高らかな凄演『ローマの松』、精緻な佇まいに涙の『モツレク』、ユニークなウィーン音楽に圧倒的最弱音のラヴェル作品な どなど、何所をとってもチェリビダッケの威容をビシビシ感じる圧巻の内容!
解説書には既発盤に使われた原稿をもれなく収録。鈴木淳史氏、久保木泰夫氏、許 光俊氏による各ディスクの解説から演奏者プロフィールに楽曲解説、シェー ンベルク『6つの管弦楽伴奏付き歌曲』歌詞対訳まで、全60ページを超える充実のブックレットです。 (Ki)


東武レコーディングズ
TBRQ-9006(2CD)
UHQCD
税込定価
ベートーヴェン:交響曲第6 番「田園」
ベートーヴェン:交響曲第3 番「英雄」
*ダグ・ハマーショルドの思い出に捧ぐ
オットー・クレンペラー(指)
フィラデルフィアO

録音:1962 年10 月19 日アカデミー・オヴ・ミュージック,ライヴ録音(ステレオ)
良好なステレオ録音でリリースのクレンペラー+フィラデルフィアの正規盤シリー ズ。肝心のオール・ベートーヴェン・プログラムについては、オーケストラ・アーカイ ヴの音源に難があり、商品化が見送られておりました。本年ついに良好な音源を ペンシルバニア大学にて発見!これで3プログラムが全て揃いました。クレンペラ ーはそもそもストコフスキーの後任と目されていたのにそれが破談となったために オーマンディとは深い確執がありました。1935 年の登壇後 27 年振りのフィラデル フィア客演が決まった際には新聞でも大きく取り上げられ大ニュースとなりました。 ヴァイオリンは、左右両翼。低弦左サイドの古典型オーケストラ配置。強烈な遅い テンポで繰り広げられるシリアスなベートーヴェン。超デッドなホール故に輪郭が はっきりし、緊張感の途切れがありません。オーケストラの個性が強く、金管の華や かさや木管の巧さは特筆もの。巨匠はこの時一か月以上アメリカに滞在し、フィラ デルフィアのみならず、ニューヨーク、ワシントン DC、ボルティモアへも巡演しまし た。そしてこれが最後のアメリカ訪問となりました。「英雄」はこの前年に飛行機墜 落で命を落とした国連事務総長ダグ・ハマーショルドに捧げられております。万感 胸に迫る名演です。

DREYER-GAIDO
CD-21133(2SACD)
マーラー:交響曲第9番ニ長調#
交響曲第10番嬰ヘ長調〔アダージョ、プルガトリオ〕*
ガブリエル・フェルツ(指)、
ドルトムントPO#、
シュトゥットガルトPO*

録音(ライヴ):2019年7月2日−3日、コンツェルトハウス・ドルトムント(ドイツ)#/2010年11月3日、リーダーハレ・ベートーヴェンザール(シュトゥットガルト)*
リューベック市劇場、ブレーメン劇場のカペルマイスター、アルテンブルク・ゲラ市のOおよび歌劇場の音楽総監督、シュトゥットガルト・フィルの首席指揮者、シュトゥットガルト市の音楽総監督、バーゼル歌劇場の首席客演指揮者という錚々たるポジションを歴任し、2013/14シーズンからは、ドルトムント市の音楽総監督、ドルトムント・フィルの首席指揮者として活躍。さらに2017/18シーズンからは、セルビアのベオグラード・フィルの首席指揮者にも就任しているドイツ期待のマエストロ、ガブリエル・フェルツ。
ドルトムント・フィルとは2023年まで契約が延長されるなど、好調な関係を築くガブリエル・フェルツ。シュトゥットガルト・フィル時代から15年かけて積み上げてきたフェルツの集大成ともいうべきマーラーの交響曲録音の最新盤として、ドルトムント・フィルとの「交響曲第9番」がついに登場。更に、シュトゥットガルト・フィル時代の2010年に録音していた「交響曲第10番(オリジナル・フラグメントとなる〈アダージョ〉と〈プルガトリオ〉の2楽章)も併録され、交響曲第1番〜第10番までの全10曲が揃いました。マーラーの交響曲全10曲をすべて録音したのは、同世代のドイツ人指揮者としては初めての偉業となるそうです。交響曲第9番は、前作「交響曲第8番」(CD21118)と同様に、マルクス・ハイランドがトーンマイスターを務める名レコーディング・プロダクション "TRITONUS" による録音です。

フォンテック
FOCD-9852(4CD)
2021年9月8日発売
ブルックナー交響曲選集
■Disc1
交響曲第3番<第3稿、ノーヴァク版>
■Disc2
交響曲第4番「ロマンティック」<第2稿、ノーヴァク版に基づく>
■Disc3
交響曲第6番<ノーヴァク版>
■Disc4
交響曲第7番<ノーヴァク版>
飯守泰次郎(指)東京シティPO

■Disc1
録音:2001年1月18日東京文化会館
■Disc2
録音:1998年5月28日サントリーホール
■Disc3
録音:2003年1月9日東京文化会館
■Disc4
録音:1999年2月15日サントリーホール
巨匠のブルックナー演奏が、最新リマスタリングで鮮やかに蘇る。バイロイト音楽祭での歴史的公演など、欧州での充実した活動を経て、東京シティ・フィル、名古屋 フィル、関西フィルの常任指揮者、新国立劇場歌劇部門芸術監督を歴任し、現在 仙台フィルの常任 指揮者を務める飯守泰次郎。 新国立劇場在任中は、「パルジファル」「ニーベルングの指環」全曲を含むワーグナー作品上演を指 揮し高い評価を集め、2014年から日本芸術院会員を務めます。 その芸術は円熟を深め、傘寿を記念しワーグナー歌手のトップたちと共演した2021年5月の「ニー ベルングの指環」ハイライト特別演奏会は、世界に誇る公演となりました。 1999年発売の「ロマンティック」以来、フォンテックは飯守の名演奏をCD化してまいりました。今 回の「ブルックナー 交響曲選集」は、音楽評論家のヒューエル・タークイ氏が「伝統的に必要とされ る温かみを維持しながら、同時に大胆なほど独創的でもある」と激賞した「第4番」を含む4作品を収 録しています。 飯守のブルックナー、まさに感動の軌跡です。 (FONTEC)

ALPHA
ALPHA-782(1CD)
チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」
幻想序曲「ロメオとジュリエット」*
チューリヒ・トーンハレO
パーヴォ・ヤルヴィ(指)

録音:2019年11月、2021年1月* トーンハレ・マーグ、チューリヒ、スイス
2019/20のシーズンに予定されていた、トーンハレOと新音楽監督パーヴォ・ヤルヴィによるチャイコフスキー・チクルス。新型コロナ・ウ イルスの世界的パンデミックの影響で予定変更を余儀なくされていましたが、アーティストと関係者たちの熱意により、2021年1月に無観客 ライヴにて約1年遅れで完結し、併せて行われた録音が交響曲全集として発売されることとなりました。先に発売されていた第5番、第4番 (と第2番)に続き、後期3大交響曲の完結として第6番「悲愴」の分売も決定。パーヴォ・ヤルヴィにとって2007年のシンシナティ響との盤 (Telarc)以来の再録音となる「悲愴」ですが、実は第4番と並んでチクルス最初期に演奏・録音されていたもの。しかしながら、新たにタッグ を組んだ彼らの相性の良さを示す、各奏者の自発的な表現とアンサンブルの緊密さの同居、全体がうねるような濃密さを既に聴くことが出 来ます。木管楽器同士のやり取りが室内楽的な印象を与えながら、オーケストラが高みに導かれるフォルテもまた雄大で、映像に例えれば 高解像度かつ被写界深度の深い演奏といえ、比較的速めのテンポ設定の中でも、作品の魅力を十二分に引き立てています。「ロメオとジュ リエット」はチクルス終盤に収録されたもの。こちらも美しく力強い演奏です。

ALPHA
ALPHA-778(5CD)
NX-E03
チャイコフスキー:交響曲全集、管弦楽作品集
【DISC 1】(ALPHA-659/NYCX-10175)
交響曲第5番ホ短調 Op. 64
幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」
【DISC 2】(ALPHA-735/NYCX-10212)
交響曲第2番「小ロシア」
交響曲第4番ヘ短調 Op. 36
【DISC 3】(ALPHA-782/NYCX-10249)
交響曲第6番「悲愴」
幻想序曲 「ロメオとジュリエット」
【DISC 4】(初出)
交響曲第1番「冬の日の幻想」
イタリア奇想曲 イ長調 Op. 45
「エフゲニー・オネーギン」〜「ワルツ」
【DISC 5】(初出)
交響曲第3番「ポーランド」
「エフゲニー・オネーギン」〜「ポロネーズ」
戴冠式祝典行進曲 ニ長調
チューリヒ・トーンハレ管弦楽団
パーヴォ・ヤルヴィ(指)

録音:2019年10-11月…交響曲第4番、第6番、フランチェスカ・ダ・リミニ、「ワルツ」「ポロネーズ」
2020年1月…交響曲第2番、第5番
2021年1月…交響曲第1番、第3番、イタリア奇想曲、ロメオとジュリエット、戴冠式祝典行進曲
トーンハレ・マーグ、チューリヒ、スイス
新音楽監督パーヴォ・ヤルヴィ就任の記念として、2019/20のシーズンに肝いりで計画されたトーンハレOによるチャイコフスキー・チ クルス。新型コロナ・ウイルスの世界的パンデミックの影響で予定変更を余儀なくされていましたが、アーティストと関係者たちの熱意により約1 年遅れで完結し、併せて行われた録音が、スイスのオーケストラ初のチャイコフスキー交響曲全集として発売されることとなりました。リリース済 みの第5番、第2番と第4番、全集と同時発売の第6番に加え、2021年1月に無観客ライヴが行われた第1番と第3番を収録し、さらに厳 選された管弦楽作品も収められる嬉しい内容です。初登場の第1番でのロシア民謡的なフレーズの躍動感も素晴らしいもの。緊密なアンサ ンブル、各奏者の生き生きとした表現、濃密なオーケストラのうねりが作品のロマン性を引き立て、それでいて気品も感じさせるという、パー ヴォ・ヤルヴィならではチャイコフスキー像が刻まれています。
ALPHA
ALPHA-767(1CD)
イェルク・ヴィトマン(1973-):「コン・ブリオ」管弦楽のための演奏会用序曲(2008)
R・シュトラウス:二重小協奏曲(クラリネット、ファゴットと弦楽のための)TRV 293
ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調 Op. 92
アイルランド室内O
イェルク・ヴィトマン(指、Cl)
ディエゴ・ケンナ(Fg)

録音:2020年2月ICOスタジオ、リムリック大学構内、アイルランド
現代を代表する作曲家であり、クラリネット奏者そして指揮者であるヴィトマンと、彼の手兵アイルランド室内O(ICO)によるアルバ ム。冒頭に収録された「コン・ブリオ」は、マリス・ヤンソンスとバイエルンRSOによるベートーヴェン・チクルスの際、交響曲第7番と第 8番とに組み合わせる新作を依頼されたヴィトマンが、第7番の主題を元に自由に展開して書き上げた作品(ヤンソンスとBR響によるサント リーホール・ライヴがBR-KLASSIKより発売済み 900137)。今回が作曲者自身による待望の初録音となります。晩年のリヒャルト・シュト ラウスによる二重小協奏曲は、バロックの合奏協奏曲を連想させる古典的な構成の中に劇的要素を盛り込んだ小さいながらも聴き応えの ある作品で、ヴィトマンのクラリネットに加え、ハインツ・ホリガーとの来日公演などで日本でもファンの多いファゴット奏者、ディエゴ・ケンナの妙 技が聴けるのも嬉しいところです。メイン演目のベートーヴェンでは、舞踏の聖化と評されたそのリズムが躍動的であるだけでなく、実に瑞々し く響くたいへん魅力的な演奏に仕上がっています。

SWR music
SWR-19529CD(4CD)
NX-C05
ブラームス:交響曲全集(全4曲
ドイツ・レクイエム*
クリスティーナ・ランツハーマー(S)
フローリアン・ベッシュ(Bs)
南西ドイツ放送ヴォーカル・アンサンブル
北ドイツ放送cho
シュトゥットガルトRSO
ロジャー・ノリントン(指)

録音:2005年7月4-6日、2014年2月20-21日*
1998年から2011年の13年間にわたりシュトゥットガルトRSOの首席指揮者を務めたノジャー・ノリントン。このコンビの演奏はどれも、ノリン トンが長年積み重ねて来た作品成立当時の演奏法研究の成果を機能性の高いモダン・オーケストラにつぎ込んだもので、作品のイメージをリフレッ シュしたと高く評価されました。ブラームスについては、1990年代にロンドン・クラシカル・プレイヤーズを(指)ピリオド楽器と奏法による交響曲全集を 録音し、新鮮なブラームス像を造りあげており、このシュトゥットガルトRSOとの演奏は、ほぼ15年ぶりとなる2度目の全集録音です。この演 奏はもともと映像作品としてリリースされ、後に音声のみのCDとして発売されたもの。ノリントンの看板のひとつであるノン・ヴィヴラートから生まれる「ピュ ア・トーン」はここでも健在、早めのテンポで生き生きと奏されるブラームスは、ノリントンのモットーである「偉大な作品をもう一度考え直し、新しく蘇らせ ること」を実現しています。 今回、同時収録された「ドイツ・レクイエム」は2014年の録音。こちらもピュア・トーンを生かした透明感ある美しい響きが特徴。ソプラノのクリスティー ナ・ランツハーマーとバスのフローリアン・ベッシュの歌声にも注目です。


PROSPERO CLASSICAL
PROSP-0020(2CD)
アーノンクール〜チューリッヒ告別演奏会2011
モーツァルト:セレナード第10番『グラン・パルティータ』
ベートーヴェン:交響曲第5番『運命』
(ボーナストラック)
『運命』第2・3楽章リハーサル風景
ニコラウス・アーノンクール(指)
フィルハーモニア・チューリッヒ(チューリッヒ歌劇場O)

ライヴ録音:2011年11月25‐27日/チューリッヒ、トーンハレ
2021年アーノンクール没後5年記念リリース。収録されているのは1970年代からオペラやコンサートを演奏し続けてきたチューリッヒ歌劇場での最後の コンサート。モーツァルトの『グラン・パルティータ』とベートーヴェンの『運命』という手加減無し王道ど真ん中のプログラムでアーノンクールらしくオーケスト ラと観客に別れを告げた、伝説的な公演が美しいパッケージで商品化されました。ハードカバーの解説書には初公開の写真も多数掲載。またボーナス・トラック として『運命』のリハーサル風景が収録されています。
1974 年にアーノンクールをチューリッヒに招いたのは歌劇場監督のクラウス・ヘルムート・ドレーゼ氏で、この2011年のコンサートは同年に他界したドレー ゼ氏の追悼コンサートでしたが、結果的にアーノンクールと歌劇場オーケストラとの最後のコンサートにもなり、会場は特別な雰囲気に包まれました。そして残 された演奏は永遠の闘士アーノンクールの面目躍如、ヒリヒリした緊張感と色褪せない鮮烈さを持ち、常に覇気にあふれた、まさにアーノンクール・サウンドそ のもの。翌日の『Neue Zurcher Zeitung』紙には「激烈な別れ」と書かれ、ある評論家は1895年にブラームスがこけら落としを振って以来、トーンハレ における「最も狂ったベートーヴェンの第5番の演奏」とさえ評しました。涙の別れとは一線を画した、歴史上まれに見る大いに刺激的な告別演奏会をぜひとも ご堪能下さい。 (Ki)

Hanssler
HC-21035(1CD)
ハイドン:交響曲全集 Vol.25
交響曲第18番ト長調 Hob.I:18
交響曲第2番ハ長調 Hob.I:2
交響曲第20番ハ長調 Hob.I:20
交響曲第17番ヘ長調 Hob.I:17
交響曲第19番ニ長調 Hob.I:19
ハイデルベルクSO、
ヨハネス・クルンプ(指)

ン録音:2020年7月/パラティン、ヴィースロッホ(ドイツ)
颯爽としたピリオド・アプローチがたまらないハイデルベルクSOによるハイドンの交響曲全曲録音シリーズ。レコード芸術誌の特集「新時代の名曲名盤 500」でハイドンの交響曲第88番、第92番「オックスフォード」、第94番「驚愕」、第102番、第104番「ロンドン」の当団の演奏が第1位に選ばれるな ど、表現力の豊かさ、演奏水準の高さで注目されております。
当シリーズは鬼才トーマス・ファイが率いて録音を進めてまいりましたが、2014 年に自宅で転倒し重傷を負ってしまったために録音がストップ。その後ベンヤ ミン・シュピルナー指揮のもと2016 年より録音を再開しました。
当団は 2020/2021年シーズンよりヨハネス・クルンプを新たな音楽監督に指名。当アルバムはクルンプ指揮によるはじめての録音となります。クルンプは「ハ イドンの初期の作品は演奏される機会が少なく、私たち音楽家さえほとんど知らないというのが現状です。これらの初期作品はハイドンの独創性にあふれ私た ちに喜びを与えてくれます。」と語っており、新たなシェフを迎えた当団がその思いとともに初期の交響曲を演奏しております!今後の展開にも非常に期待が高ま ります! (Ki)


ACCENTUS Music
ACC-30533CD(4CD)
ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」(3つの版による)
CD1(72'16):1874年第1稿(コーストヴェット校訂2021)
CD2(68'52):1878/80第2稿(コーストヴェット校訂2018)
CD3(67'56):1888年第3稿(コーストヴェット校訂2004)
CD4(ボーナス):1878年版「村の祭り」フィナーレ+草稿
ヤクブ・フルシャ(指)
バンベルクSO

録音:2020年11月ヨーゼフ・カイルベルト・ザール
ブルックナーの交響曲にはいくつかの「稿」が存在することはよく知られています。ここに収録されている、第4番「ロマンティック」もそうした作品のひとつです。 今回ヤクブ・フルシャ率いるバンベルク交響楽は長年のブルックナー演奏の経験をもとに3つの版を録音。フルシャ自身も指揮者にとってすべての版を録音でき るということはまたとない機会であると考えこのプロジェクトに賛同。また聴き手にとっても異なる版を同じ演奏者で聴くことは、作曲家意図、版が複数存在す る意義などを判断することができるでしょう。
「ロマンティック」という副題や、長大すぎない演奏時間であることから、ブルックナーの9曲の交響曲の中で最も人気の高い作品第4番。1874年の初稿 を完成させた後、ブルックナー自身によって1878年と80年に改訂、さらに1887/88年には弟子のレーヴェらによって、ブルックナーの監修のもとに改訂 されました。それから1936年に音楽学者のローベルト・ハースが1878/1880年稿を底本に弟子たちの校訂を取り除いた版が出版され、1953年には音 楽学者のレオポルト・ノヴァークがハース版に修正を加えた版が出版されました。この録音は、2004年に国際ブルックナー協会から出版された、1888年稿(第 3稿)を底本として音楽学者ベンジャミン・コーストヴェットが改訂したものを使用しています。
さらにボーナスとして、『村の祭り』と名付けられた、“まぼろし”のフィナーレといくつかの草稿を収録。ブルックナー自身が「Volksfest(村の祭り、あるい は民衆の祭りとも)」と呼んだフィナーレは、第1稿の改訂作業中の1878年8月1日から9月30日までのあいだに作曲されたもので、通常、ブルックナーの第 4番とされる形態、すなわち、1878年に書かれた第1、2、3楽章の第2稿が活かされ、1879年から1880年にかけて書き上げられた第4楽章の第3稿と を合わせたことにより、取り外されました。このフィナーレは全体ではずいぶんと趣きの異なる味わいで、楽章全体の長さが短い替わりに、そのぶんキャッチで ユニークな内容ともなっています。 (Ki)

ACCENTUS Music
ACC-10511BD(Bluray)

ACC-20511DVD(DVD)
ルツェルン音楽祭2020
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番*
交響曲第2番ニ長調Op.36
交響曲第3番「英雄」
マルタ・アルゲリッチ(P)
ヘルベルト・ブロムシュテット(指)
ルツェルン祝祭O

収録:2020年8月14-15日、ルツェルン文化会議センター・コンサートホール(ライヴ)
◆Bluray
画面:Full HD,16:9
音声:DTS HD MA5.1,
PCMステレオ
BD25/135'47
◆DVD
画面:NTSC,16:9
音声:DTS5.1,DD5.1
PCMステレオ
DVD9/135'47
ルツェルン音楽祭2020のライヴ映像。アルゲリッチをソリストに迎え、ブロムシュテット指揮&ルツェルン祝祭管で行われたオール・ベートーヴェン・プラグラ ム。オーケストラは小編成で、奏者間も広くとったcovid 19感染防止対策を取った配置。そしてアルゲリッチ79歳、ブロムシュテット93歳、両者とも年齢を全く 感じさせない見事な演奏を聴かせてくれます。 特にアルゲリッチは圧倒的なテクニック、躍動感あふれる安定した演奏、洗練された音楽性でもってベートーヴェンの音楽を隅から隅まで表現しています。ここで 演奏したピアノ協奏曲第1番は、1949年アルゲリッチのステージ・デビューの時に演奏した演目。アルゲリッチが深化させた音楽性を存分に感じる演奏と言える でしょう。 そしてブロムシュテット。老巨匠に対する円熟や枯淡の境地とは無縁。ブロムシュテットはいくつになっても、オーケストラから瑞々しい音楽を引き出し、颯爽とし た演奏を聴かせてくれます。今回もルツェルン祝祭Oから透明感あふれる音を引き出し、生き生きとした鮮やかな演奏を展開しています。また名手揃いのル ツェルン祝祭管の演奏も、単なる技巧だけにはたよらない、洗練された音楽を繰り出しています。 (Ki)

Challenge Classics
CC-72895(1SACD)
ハイティンク〜コンセルトヘボウにおける最後のコンサート
ブルックナー:交響曲第7番ホ長調
ベルナルト・ハイティンク(指)
オランダ放送PO

ライヴ録音:2019年6月15日/オランダ、コンセルトヘボウ
2019年に引退を表明したハイティンクが生まれ故郷アムステルダムのコンセルトヘボウで最後に指揮した演奏会のライヴ録音です。オーケストラはキャリア 最初期の1955年から関りを持ち、1957年から首席指揮者を務めたオランダ放送PO。そして最後に選んだ曲目は自身の重要なレパー トリーとして生涯何度も取り上げてきたブルックナーの第7番。同年のベルリン・フィルやウィーン・フィルとの最後の演奏会でも披露したプログラムであること から、ハイティンクが特別な想いを込めてこの曲を選んだことが分かります。澄み切った解釈で清らかに流れる音響は滋味豊かにして瑞々しくもあり、長大な時 間を一息でつなぐ雄大さは音楽の中で深呼吸したくなるような心地よさ。またオランダ放送フィルの整っていながらも柔らかさ、温かさを含ませた独特の音色は ブルックナーとの相性も実に良く絶品。故郷オランダとのかけがえのない感動的な名演奏が記録されています。マルチチャンネル付SACDハイブリッドでの発 売も嬉しい、オーケストラ・ファンすべてに捧げたいアルバムです。 (Ki)

GRAND SLAM
GS-2245(2CD)

フルトヴェングラー〜ベルリン復帰の2大公演
【CD 1】
ベートーヴェン:交響曲集
(1)交響曲第6番ヘ長調 Op.68「田園」
(2)交響曲第5番ハ短調 Op.67「運命」
【CD 2】
(3)メンデルスゾーン:「真夏の夜の夢」序曲
(4)ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)BPO
(4)ユーディ・メニューイン(Vn)

録音:(1)(2)1947年5月25日ベルリン、ティタニア・パラスト
(3)(4)1947年9月30日ベルリン、ティタニア・パラスト
使用音源:Private archive(2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:モノラル(ラジオ放送用録音)
■制作者より  
2トラック、38センチ、オープンリール・テープ復刻シリーズの強力新譜登場です。フルトヴェングラーがベルリンに復帰した初日の公演(1947年5月25日) のベートーヴェンの「田園」+「運命」、および同年9月にメニューインと共演したベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲+メンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」序曲、 これらが過去最高の情報量で蘇ります。しかも、2枚組で1枚価格の登場です! 再プレスは非常に困難なので、予約なさることをお勧めします。(平林 直哉)


東武レコーディングズ
TBRQ-9004(2CD)
UHQCD
税込定価
1枚分価格
トスカニーニ・メモリアル・コンサート1957
(1)ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
(2)ドビュッシー:交響詩「海」
(3)エルガー:エニグマ変奏曲
(1)ブルーノ・ワルター(指)
(2)シャルル・ミュンシュ(指)
(3)ピエール・モントゥー(指)
シンフォニー・オヴ・ジ・エアー

録音:1957年2月3日カーネギーホール,ライヴ録音(モノラル)
※1957年1月16日。就寝中に大往生を遂げたトスカニーニ。2月3日にカーネギーホールで行われたのが「メモリアル・コンサート」。トスカニーニとも御縁が深かった三大巨匠(ワルター、ミュンシュ、モントゥー=登壇順)が、それぞれトスカニーニの十八番を振るという伝説の演奏会。オーケストラは旧NBCSOであるシンフォニー・オヴ・ジ・エアー。トスカニーニが長らく応援していたミラノにある音楽家の老人ホーム“カーサ・ヴェルディ”への基金コンサートも兼ねていたことが解りました。この度ニューヨーク・パブリック・ライブラリー所蔵のマスターテープからの商品化が実現しました。演奏内容の素晴らしさは言わずもがな。その上当盤の音質のダイナミックレンジの広さは既出盤の比ではありません。カーネギーホールの豊かな響きがキッチリ収録されております。ワルター協会からのLP初出が1973年。ほぼ50年を経て初の正規発売となります。
ワルターは80歳を超えておりましたが、このコンサートの直前1月23日にはシカゴ響に客演。さらに2月17日にはニューヨークフィルとマーラーの「復活」を演奏。同時にスタジオ録音も行うという気力体力の充実が目覚ましい時期です。「英雄」は悠然としたテンポを基調としながらも繊細で効果的なテンポ変化を駆使しティンパニの強打は凄まじく、宇野功芳先生が絶賛したことも有名。この名演は直前にマルケヴィッチが同オケを指揮していた(録音セッション)からなどというまことしやかな説がありますが、有名な第三楽章ホルンのトリオなど最初は低く(小さく)、次は高く(強く)という、進軍が遠くから近づいてくるような絶妙な指揮ぶりはワルターだけです。演奏後の聴衆の拍手を制する姿も感動的。
ミュンシュの「海」。その豪快さに圧倒されます。音色の艶やかさには目も眩むよう。練習嫌いと言われておりますが客演オケでもいつものビュンと矢を射るような音の突き刺さり方はどこでも徹底しております。モントゥーのしみじみとしか言いようがない「エニグマ」。ゆったりしたテンポで、渋い悲しみを籠めた名演です。同じオケを同じ日に振ってこの明らかな音色の違い。つくづくこの時代の大指揮者は自分の音楽の理想がはっきりしていたものだと感慨無量です。

東武レコーディングズ
TBRQ-9003(1CD)
UHQCD
税込定価
ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」 浮ケ谷孝夫(指)
東京21世紀O

録音:2021年4月9日東京芸術劇場(ライヴ)
ドイツに浮ケ谷あり!と人に知られたマエストロ浮ケ谷。今やドイツでも見掛けなくなったドイツ的修業で叩き上げた真の巨匠です。今までは珍曲秘曲の録音が多いきらいがありましたが、満を持して登場するのが最新ライヴ録音であるこの「ロマンティック」です。東京21世紀Oはメンバー表をみればビックリの名手揃いのオーケストラ。流行におもねらない、衒いのない率直で深々とした風情にあふれる大自然が鳴り出すようなブルックナー讃歌。
マスタリングはマエストロの友人であり理解者であるベルンハルト・ハンケ(https://www.musikproduktion-hanke.de/)が担当。見事のゲルマン・サウンドが屹立します。マエストロ浮ケ谷自らのメッセージ、そしてブルックナー愛に満ちた平林直哉先生の解説も読みごたえ満点です。

オクタヴィア
OVCL-00689(1SACD)
税込定価
2021年7月21日発売
ショスタコーヴィチ:交響曲 第2番 ロ長調 作品14 「十月革命に捧げる」
交響曲 第3番 変ホ長調 作品20 「メーデー」
井上道義(指揮)
大阪フィルハーモニー交響楽団

録音:2018年3月9,10日 大阪・フェスティバルホール ・ライヴ
各方面から絶賛を博している井上道義のショスタコーヴィチ。2018年3月に大阪・フェス ティバルホールにて行われた井上道義&大阪フィルのショスタコーヴィチ・シリーズ第4弾 となる交響曲第2番・第3番のライヴ・レコーディング盤の登場です。 共に混声合唱を含み、若きショスタコーヴィチが実験的ともいえる斬新なアイデアと前衛 的な手法を盛り込んだこれらの交響曲においても、オーケストラを知り尽くした井上道義 は魂みなぎる熱演を繰り広げています。(オクタヴィア)
オクタヴィア
OVCL-00760(2CD)
税込定価
2021年7月21日発売
チャイコフスキー:交響曲第3番「ポーランド」
交響曲第6番「悲愴」
小林研一郎(指)
日本フィルハーモニーSO

録音:2021年6月6日 東京芸術劇場・ライヴ
2021年3月に恩賜賞・日本芸術院賞を受賞した小林研一郎の新たな挑戦を祝福する、モニュメン タルなCDシリーズ。 炎のコバケンの呼び名で多くのファンから愛される、マエストロ小林研一郎の傘寿&作曲家チャイ コフスキーの生誕180年を記念した「交響曲全曲チクルス」第3回目のライヴです。円熟のタクトに 秘められた激しい情熱が、曲調と呼応しドラマティックなサウンドで広がります。会場を感動の渦 に包み込んだ、日本フィルの熱演にも、ご注目ください。(オクタヴィア)

Goodies
78CDR-3843(1CDR)
ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」
ピアノ三重奏曲第4番「街の歌」〜Adagio
ハンス・プフィツナー(指)ベルリン国立歌劇場O
M.ラウハイゼン(P)
J.スザント(Cl)
J.ディスクレツ(Vc)

独GRAMMOPHON 95378/83 1930年(1-11)、1929年(12)ベルリン録音 (強音で少しビリツキがあります)
ハンス・プフィツナー(1869-1949)はドイツの後期ロマン派を代表する作曲家の 一人。ドイツ人の両親のもとにロシアで生まれた。幼少時にドイツに移住し指 揮者として地位を固めた後、徐々に作曲活動を活発化させていった。レコード 録音は機械式録音の後期から電気式録音の初期の時代にベルリン国立歌劇場管 弦楽団を指揮したものが独GRAMMOPHONに残されているが、その後は作曲活動に 専念したためか、録音はほとんど無い。このシリーズではシューマン:交響曲 第2番(78CDR3837)とベートヴェン:交響曲第4番(78CDR-3840)が出ている。 ピアノ三重奏曲は1930年頃ドイツで活躍した器楽奏者によるもので、ピアニスト のラウハイゼン(1889-1984)は歌曲伴奏者として活躍、生涯に1000人以上のアー ティストと共演したと伝えられる。(グッディーズ)

フォンテック
FOCD-9851(1CD)
税込定価
2021年8月4日発売
ブルックナー:交響曲第9番二短調 <コールス校訂版> 尾高 忠明 (指)
大阪フィルハーモニーSO

録音:2021年2月12・13日 フェスティバルホール・ライヴ
2018年の音楽監督就任以来、数々の名演を響き渡らせる尾高=大阪フィル。 ブルックナーは就任公演での「第8番」以来積極的に演奏、2020年の「第3番」に続き、2021 年2月定期演奏会は「第9番」で飾りました。 尾高の父 尚忠氏はその晩年にこの作品を指揮し、終演後「ブルックナーさん良かったね。天 国へ行けて」と涙を浮かべて語ったと伝えられています。 10代よりこの作品に傾倒する尾高は、30代前半で初めて指揮して以来、演奏を重ねてきまし た。そして「嬉しくなるような音が出る」大阪フィルとの共演で、初のCDリリースを決意し ます。「この縁ある曲に、生涯を掛けて向き合う」尾高。確信に満ちたその演奏は、峻厳、神 秘的な響きで彩られ、聴く者を天国の門へと誘います。 (FONTEC)


Treasures
TRE-263(1CDR)
超厳選!赤盤名演集Vol.6
シューベルト:「ロザムンデ」〜序曲/間奏曲第3番/バレエ音楽第2番
マーラー:交響曲第1番「巨人」*
パウル・クレツキ(指)
ロイヤルPO、VPO*

録音:1958年10月27&29日、1961年11月13-15日*(全てステレオ)
※音源:東芝 ASC-5003、AA-7302*
◎収録時間:75:51
“ユダヤ的情念を湛えつつ決してべとつかないクレツキ特有の美意識!”
■音源について
集中的に「赤盤」をいろいろ聴き漁った結果、「東芝の赤盤は音が良い」という噂は間違いではないという結論に至りました。音にしっかり芯が宿り、音場は豊かに広がり、音を発した瞬間に音の粒子まで感じさせる手応は格別です。当時のセールスポイントであった帯電防止材や、赤い色素が音質向上に直接繋がったとは考えにくいので、英国EMIから技術者を招いて始動し、英仏メタルを用いてプレスしていた当時の川口工場(1955年発足)の優秀な技術が結果的に赤盤に集約されたのでしょう。事実、1971年に御殿場に大工場を新設して以降、音質は下降の一途を辿り、赤盤もなくなりました。
 ただ、初期の盤はビニールの素材が関係しているのか微妙なチリチリノイズの混入率が高く、CD-R復刻に際してはそれが回避された第二版以降にも耳を通すことが不可欠となります。なお、2枚のLP共に英国スタンパー使用盤です。

★この「巨人」は、ユダヤ人としての作品への共感の熱さを独自のバランス感覚で普遍化した名演として、ワルター&コロンビアSO盤と並んで忘れてはならない存在。クレツキは両親をホロコーストで殺害されるという悲惨な過去を持ちながら、指揮者として引き出す音楽にはその壮絶さはほとんど感じられませんが、作曲活動を停止してしまったことも考えると、その体験は受け止めきれる極限を超えたものだったために、むしろ達観に向かわざるを得なかったのかもしれません。
 クレツキは、同じユダヤ系のマラーの作品には並々ならぬ共感を示していることは言うまでもありませんが、ここでも感情爆発型の演奏とは一線を画す、再現芸術家の矜持を示すかのような調和を重んじたスタイルを貫徹しています。ただ、音楽のフォルムは一見楷書風でも、各ニュアンスの奥行きがとてつもなく深いのです。しかも、それを奏でているのは人間味溢れる全盛期のウィーン・フィルなのですから、音の有機性が尋常ではありません。
 第1楽章1:43からのホルンの深淵さとその直後の強烈なピチカートのコントラスト、8:03辺りからの音色のブレンドの妙味は、未だにこれを超える演奏に出会えません。ティンパニの革の風合いにも惚れ惚れ。その響きの魅力は、第2楽章後半のテーマの再現での、ハンブルク稿を踏襲したティンパニの追加(ワルター&コロンビア響と同じ)や、第3楽章冒頭で一層際立ちます。
 その第3楽章は、冒頭コントラバス・ソロがメロウな響きですすり泣き、その後のパロディ旋律を奏でるトランペットは優しさと哀愁を湛えるなど、これまた魅力満載。しかも中間部はウィーン・フィルだからこそ実現した芳しさの極み!
 終楽章は、主部直前のリタルダンドで縦の線がずれながらも帳尻が合ってしまうのが、いかにもかつてのVPOらしさ。それを録り直ししないのもも、「音楽の本質に関わる問題ではない」と言わんばかりでかえって天晴です。
1:40からの金管のスフォルツァンド、1:47からの強靭な突出、その直後のティンパニ強打は、メリハリ重視のクレツキの音作りの特徴が強烈に刻印されています。第2主題の甘美なフレージングはウィーン・フィルの真骨頂ですが、ポルタメントに恣意性が皆無な点にご注目を。決して淡白なのではなく、団員の体に染み付いている自然体のこの奏法は、ウィーン・フィルという名器とクレツキのヴァランス感覚の賜物と言えましょう。そして訪れるコーダ直前の謎の大胆カット! 終楽章冒頭の打楽器のズレもそうですが、こういう現象を即マイナスと捉える人がいます。ただ、「普通ではない」という事実だけで安易に非難する人がいることは百も承知の上であえてスコアの指示を曲げてでも敢行する意味があると確信したことは明らかですし、そこにはクレツキの作曲家としての読みと美意識が働いていることは想像に難くありません。批判を恐れず申し上げますが、マーラー不在の異常に軽薄な音楽に貶めたのならともかく、私はこのような改変そのものを以て演奏の価値を下げることは、演奏家に対して失礼だと思いますし、今後SNS等でそれを発信しやすくなると、世間に流れる音楽は「誰からも批判されない」演奏ばかりになってしまうという危惧さえ抱いています。ですからここでも、むしろそのカットの真意をあれこれ想像して楽しみたいと思うのです。逆に、カットした意味を解説書に明記するような野暮なことがあれば、失望していたかもしれません。その箇所をなぜそのように演奏するのか、それを想像し、感じ、意味を見出すことこそが、音楽を味わう最大の醍醐味ではないでしょうか?【湧々堂・2021年8月】


King International
KKC-4289(1CD)
(UHQCD)
ウィーン芸術週間の第九/フルトヴェングラー
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)
ウィーンPO、
イルムガルト・ゼーフリート(S)、
ロゼッテ・アンダイ(A)、
アントン・デルモータ(T)、
パウル・シェフラー(Br)、
ウィーン・ジングアカデミーcho

録音:1953年5月31日 ムジークフェラインザール、ウィーン(ライヴ)
ウィーン音楽祭週間開会演奏会収録
音源・表紙写真提供:日本フルトヴェングラー協会
日本フルトヴェングラー協会の原盤を使用して音質の大幅刷新が行われており、市販盤としてはおそらく過去最高の音質と言えます。(平林直哉)
「12〜13種類、全曲演奏音源がある」と言われているフルトヴェングラーの第九のなかでも、「『ルツェルンの第九』と並んで最も音の状態がよい」といわれ ている「1953年5月31日ウィーン芸術週間開会演奏会の第九」。原盤は1990年に日本フルトヴェングラー協会から会員向けに頒布された2枚組CD(WFJ- 10/11)。「とにかく音がいい、臨場感たっぷりと響く」とファンから大きな評判を呼んでいた協会盤を2014年にキング関口台スタジオでリマスタリングして市 販盤として発売(キングレコードKICC-11159/60)。今回、カップリング曲であったベートーヴェンの1番(1952年11月30日)をのぞき、「第九」のみ1 枚にしてUHQCD仕様でキングインターナショナルから再発売。 演奏前、楽章間のインターバルもそのまま収録。臨場感もたっぷりに生々しく響くウィーン・フィルの弦!第3楽章「アダージョ」はあのバイロイト盤をもしのぐ感動 を与えてくれます。
協会盤に掲載されたゴットフリート・クラウス(高橋順一訳)の解説より 「このCDには、私の知っているすべての録音の中でも最も直截的なものが刻印されています。なぜならこの録音の中に残されているのはフルトヴェングラーの解釈 の内発性の現われや彼の演奏のもっている比類ない緊張だけではないからだ。そこには、フルトヴェングラーと共に、あの「黄金のホール」の比類ない音響の中で 演奏したときのウィーン・フィルハーモニカ―の比較を絶した響きを留められているのだ。」

King International
KKC-4288(1CD)
(UHQCD)
ヒトラーの第九/フルトヴェングラー〜アドルフ・ヒトラー誕生記念日前夜祭コンサート〜
ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調 作品125「合唱」
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)
ベルリンPO、
ブルーノ・キッテルcho、
エルナ・ベルガー(S)、
ゲルトルーデ・ピッツィンガー(A)、
ヘルゲ・ロスヴェンゲ(T)
ルドルフ・ヴァッケ(Bs)

録音:1942年4月19日 旧フィルハーモニー、ベルリン(ライヴ)
アドルフ・ヒトラー総統誕生記念日前夜祭コンサート
音源提供:VENEZIA
1942年4月、戦況の悪化のなか、国民統合の象徴としてフルトヴェングラーに総統誕生祝賀演奏会を指揮させようと画策した宣伝大臣ゲッベルスの圧力の前 に、それまでほかに演奏スケジュールを入れ要請を断っていたフルトヴェングラーもついに屈服、ナチス党旗を前にして指揮する羽目に陥りました。この日の演奏は ドイツ全土にラジオ放送されたため、ラジオ中継音源が遺ることに。演奏の終楽章一部はナチスの宣伝用ニュース映画に撮られました。フルトヴェングラーとしては 不本意ながらの指揮であるはずなのに、戦時下、ナチス党幹部を背にしての極限状態のなかで行われた指揮は、「メロディアの第九(同年3月のライヴ)」をも凌 ぐ激しさ!ヒトラーに対する怒りの爆発ではないかとも思われ、まさに凄絶の極みです。すさまじいまでの集中力と緊迫感で応じるベルリン・フィルの合奏力は文 句なし。怒涛の進撃、熱狂の迫力、「第九」への崇高美がきわだつ空前絶後のライヴです。
音の良さで話題を集めたVENEZIAから音源提供をうけて、2014年にキング関口台スタジオでリマスタリングして初の国内盤を発売(キングレコードKICC- 1158)。いまは入手難になっておりましたが、このたびキングインターナショナルから“高音質CDの決定版”であるUHQCD仕様にして再発売!80年前とは思 えない驚愕の音で、“世紀のドキュメント”をご確認ください。
初出となった国内盤は『レコード芸術』誌で推薦を獲得しました! 『レコード芸術』(音楽之友社刊)2015年1月号「新譜月評」より 宇野功芳 推薦【1942年4月19日、ヒトラー生誕記念日前夜祭のライヴ。終楽章のラストのみ映像が出ているが、あとは初出。拙著『ベートーヴェン不滅の音楽を聴く』では 51年、52年、53年盤を同列1位に挙げたが、いま、この42年盤をそこに加えたい。同年3月の定期公演ライヴは問題にならない。 録音はノイズが多く、一種異様な音も入っています。ヒトラーの妖気か狂気か。演奏は「ものすごい」の一語に尽きる。56歳のフルトヴェングラーは若い。当然第 3楽章などは後年の神技におよばないが、他の部分は荒れ狂っています。第1楽章の冒頭主題はいちばん遅いかも知れない。テンポは絶えず流動、しかし音楽の呼 吸と一致しているため、不自然ではない。他の指揮者ならこわくて出来ないような大きなリタルダンドも現われます。それよりも何よりもベルリン・フィルの必死のひ びきとその鳴り具合が尋常ではない。指揮者もオーケストラもいつもとは気の入れ方がちがう。ときには狂 、、、 気の凄 、、 味を見せる。  円熟味不足の第3楽章はそれゆえにこそ感情があふれ切っています。そして終楽章! 爆発だ! 大爆発だ!!テンポは常に切迫する。オーケストラだけのフーガは果て しもない加速で突撃、コーラスの二重フーガからラストまでは大迫力の連続となりティンパニはたたきつけ、コントラバスはうなり、ついにプレスティッシモでは全 員が地ひびきを立てながら突進する。】

オクタヴィア
OVCL-00756(1SACD)
税込定価
2021年8月25日発売
ハイドン:交響曲第83番ト短調 Hob.T:83「めんどり」
交響曲第79番ヘ長調 Hob.T:79
歌劇「薬剤師」 Hob.Ta:10より序曲
交響曲第75番ニ長調 Hob.T:75
飯森範親(指)
日本センチュリーSO

録音:2021年2月19日 大阪・ザ・シンフォニーホール・ライヴ
日本センチュリーSOが首席指揮者の飯森範親と共にスタートした「ハイドンマラソ ン」は、フランツ・ヨーゼフ・ハイドンのすべての交響曲を演奏しようという一大プロジェク ト。当盤は第22回コンサートのライヴ収録です。 幾度の公演を重ね、信頼関係を築いてきた飯森と日本センチュリー響は、精緻な構築と、 細部までこだわりぬいた感性で、気品あふれるハイドンを奏でています。柔和で晴々とし た優美な演奏は、まさに彼らの真骨頂といえるでしょう。(オクタヴィア)

DUX
DUX-1716(3CD)
マリシェフスキ:交響曲&管弦楽作品集
交響曲第1番ト短調 Op.8/序曲「歓喜」Op.11/交響曲第2番イ長調 Op.12/交響曲第3番ハ短調 Op.14/交響曲第4番 Op.21「再生し復興した祖国に」/シューベルトを讃えるスケルツォと序曲/おとぎ話 Op.30/伝説 Op.31
ユゼフ・エルスネル・オポーレPO、
プシェミスワフ・ノイマン(指)

録音:2018年−2020年、ポーランド
ヴィトリド・オシポヴィチ・マリシェフスキーのロシア名でも知られるマリシェフスキは、サンクトペテルブルク音楽院にてリムスキー=コルサコフに師事した後、作曲家、音楽家として大活躍。
1913年にはオデッサ音楽院を創設して自らが初代院長に就任し、オイストラフやギレリス、ザークといった後の巨匠たちを育成するなどロシアの楽壇に与えた影響は計り知れないものがあります。
ロシア革命後は迫害から逃れるためポーランドへと向かい、ワルシャワ音楽協会の総裁に着任。1927年開催された第1回ショパン国際ピアノ・コンクールの審査員長を務め、ワルシャワ音楽院の教授としては、ルトスワフスキなどポーランドの次代の逸材たちを指導するなど、同国の音楽の発展に尽力しました。
1939年のナチス・ドイツとのソ連の侵攻による東西分割で祖国が消滅する直前にこの世を去ったマリシェフスキ。
その作品は師であるリムスキー=コルサコフや19世紀のロシア音楽の色濃い影響を感じさせるものが多く、管楽器セクションの効果的な活用、活躍振りは、まさに師の作風を彷彿とさせてくれます。
1979年ポズナン出身の実力派指揮者にして音楽監督プシェミスワフ・ノイマンが率いるポーランド南西部の都市、オポーレのオーケストラ、ユゼフ・エルスネル・オポーレPOの充実のパフォーマンスが、マリシェフスキの作曲家としての功績を再評価へと導いてくれることでしょう!
ポーランド音楽ファン、秘曲ファン、辺境オーケストラ愛好家、要注目のリリースです!!

GRAND SLAM
GS-2244(1CD)
チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調 Op.74「悲愴」

【ボーナス・トラック】
モーツァルト:交響曲第39番変ホ長調 K.543*
エフゲニー・ムラヴィンスキー(指)
レニングラードPO

録音:1960年11月7-9日ウィーン、ムジークフェラインザール(セッション)
1965年2月23日モスクワ音楽院大ホール(ライヴ)*
使用音源:Private archive(2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
■制作者より  
チャイコフスキーの後期3大交響曲シリーズ、第4番(GS-2242)、第5番(GS-2243)に続き、第6番「悲愴」で完結しました。前2曲と同様に新規に高品 質テープにプリントしたものを録音スタジオに持ち込み、マスタリングの全行程をプロ用の機器で行い、永久保存盤としました。また、モーツァルトの第39番は当シ リーズ初の復刻となります。(平林 直哉)

Capriccio
C-8080(1CD)
NX-B05
ブルックナー:交響曲第6番イ長調 WAB106(1881) リンツ・ブルックナーO
マルクス・ポシュナー(指)

録音:2021年1月19-22日リンツ・ミュージックシアター、リハーサル・ホール(オーストリア)
ブルックナーの生誕200年である2024年までに全交響曲の全稿を録音する#bruckner2024プロジェクト。このような企画自体は、ブルックナーに異稿の 問題があることを知る者であれば誰でも思いつくが、このシリーズが他と一線を画すのは「最新の研究を反映しようとする」点だ。指揮者の価値観やオーケスト ラの事情ではなく、音楽学的な研究成果を中心に全集を作り上げるのは実は難しい。しかし、このプロジェクトではブルックナー研究で知られるポール・ホーク ショー博士が相談役を務め、学術的なバックアップも万全。演奏には現在進行中の「新アントン・ブルックナー全集」で出版された/される予定の楽譜(コー ストヴェット校訂「第4番」や、ゴールト校訂「第5番」、ホークショー校訂「第8番」等)を可能な限り使用。ブルックナー生誕200年を祝うと同時に、ブルック ナー研究100年の積み重ねを知ることのできる#bruckner2024は、わたしたちの耳と好奇心を満たしてくれるものになっていくでしょう。 石原 勇太郎(音楽学/国際ブルックナー協会会員)

Linn
CKD-653(1CD)
NX-B09
ラフマニノフ:交響曲第2番ホ短調 Op. 27 ベルリン・ドイツSO
ロビン・ティチアーティ(指)

録音:2020年2月17-19日 グロッサー・ゼンテザール、ベルリン、ドイツ
ティチアーティとベルリン・ドイツSOによるラフマニノフの交響曲第2番。2019年秋の来日公演で演目となっており、生き生きとして沸き 立つようなフレーズ感と、小細工をせずに楽譜を丁寧に鳴らすことから生まれる美しい響きで大きな評判となりました。その公演からほどなく行 われたセッション録音がこちらのアルバム。基本的に同じアプローチで表現はすっきりとしていながらも、聴く者には冒頭の低弦から大きな期待 を持たせ、要所要所をきっちりと収め歌い上げていく様を聴き進むにつれて、大きな満足をもたらせてくれます。そしてそれは、小手先の煽りで 畳みかけるようなことをしない終楽章コーダまで、裏切られることがありません。音楽に対する誠実さがそのまま音になったような、素晴らしい演 奏となっています。カットなしのオリジナル版を使用。

ポマト・プロ
POMA-1001(1CD)
税込定価
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」 浮ヶ谷孝夫(指揮)
ブランデンブルグ国立Oフランクフルト

録音:2018 年2 月27-28 日カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ・ホール
本当に久しぶりです。これほど指揮者の人格が素直に、純粋に表れた演奏を 聴くことが出来たのは。月並みな言葉ながら、全く心が洗われる気持ちになった。 「英雄」は言うまでもなく超有名曲であり、演奏頻度は高く、CD も多い。近年、ベ ートーヴェンの交響曲の演奏においては、時代考証に準拠した演奏が大流行で ある。(中略)浮ヶ谷とてこうした背景は知識として持っているであろう。しかし、この 演奏を聴く限りにおいては、彼はそうした流行とは無縁のように思えます。つまり浮ヶ 谷は長くドイツに暮らし、「ドイツ的な響きとは何か」、「ベートーヴェンの交響曲を 理想的に響かせるにはどうしたら良いのか」といった根源的な問いを、長い時間を かけて模索した結果が今回の演奏だと言えます。言い換えれば、外国語を、その土 地に住む人と同程度に、自然に無理なく話せるように、曲にふさわしい響きが自 然と指揮棒から流れ出ているのです。(中略) ソニーが 26 年ぶりに開発したプロ用マイクを使用したという録音の素晴らしさに も言及せねばなるまい。教会でオーケストラを録音した場合、たいていは輪郭が 丸すぎて、甘口になりがちです。しかし、当ディスクではそのあたりのバランス が見事にまとめられており、典雅で上品な「英雄」がたっぷりと楽しめる。 (平林直哉・ライナーノートから抜粋)

Altus
ALT-490(1CD)
スメターチェクの芸術 第4集
ショスタコーヴィチ:交響曲第3番「メーデー」
プロコフィエフ:交響曲第7番「青春」*
ヴァーツラフ・スメターチェク(指)
プラハRSO、プラハ放送cho(チェコ語歌唱)
チェコPO*

録音:1974年9月、1970年6月*(ともにステレオ)
スメターチェク・シリーズ第4弾は20世紀ロシア交響曲集!アヴァンギャルドな曲想を物ともせず、壮絶なテンションで迫力のドラマを生み出すショスタコーヴィ チ3番は何たる凄味!手に汗握る疾走感に決然とした展開、チェコ語で高らかに歌い上げられる終結合唱にもおおいに痺れます。対するプロコフィエフ7番は美し い歌にあふれ、うきたつリズム感のなかで次々と旋律を紡いでは戯れていく展開に心躍ります。両曲ともスメターチェク抜群の解釈と巧みなオーケストラ・ドライヴ に魅せられる、知る人ぞ知る超名演!
20世紀作品を体系的に取り上げてきたスメターチェクが、1974年という作曲家の存命中に「メーデー」に目をつけたのは、体制側の抑圧により終息を迎えた ロシアン・アヴァンギャルドの音楽を積極的に再評価する意図があったのでしょう。フィナーレの歌詞をチェコ語にしたのも、チェコの聴衆に作曲家の狙いをよりよく 理解してもらうためと想像されます。求心力と迫力に満ちた演奏を聴かせており、合唱付き作品を得意としたスメターチェクの面目躍如たる名演と言えるでしょう。 (Ki)


Treasures
TRE-252(2CDR)
マーラー:交響曲第6番「悲劇的」 ジョン・バルビローリ(指)
ニュー・フィルハーモニアO

録音:1967年8月17-19日
※音源:独ELECTROLA 1C161-01.285
◎収録時間:83:34
“バルビローリの南欧的感覚によって作品が壮大な愛の讃歌に変貌!
■音源について
上質なドイツ盤を採用。2枚組の3面に全曲が収録されており、第4面は空白。元々が鮮烈な録音なので、どの盤も音質的な差は少ない気がしますが、このエレクトローラ盤が最も腰の据わったサウンドに感じられます。

★このとてつもない名演を可能にしたのは、バルビローリ独自のマーラーへの共感の仕方と音作りの特徴が最高次元に昇華された結果だということを決して忘れてはならないと思います。まず度肝を抜かれるのは、第1楽章の異様な超低速テンポ。「行進曲風」というイメージにきっぱりと背を向け、拍節を垂直に刻むことも避け続け、鮮明な録音からはバルビローリの唸り声も随所に聞かれるなど、前途への不安をとことん煽りますが、不思議とどん底の壮絶劇として響かない点がポイント。かつての英国指揮者のベートーヴェンが精神的な熾烈さよりも優雅さが際立つのと同様の現象とも言えますが、ここでは、イタリアとフランスの血を引くバルビローリならではの色彩感覚と歌のセンスが物を言っていると思われますが、それがなんとも不思議な聴後感をもたらすのです。そして「アルマのテーマ」(3:10〜)の全身での愛の放出ぶり!そのむせ返るほどの色艶の煌めきに肩を並べる演奏を他に知りません。展開部の6:10からの高潮部も、ただの激昂ではなく、マーラーの悲しみへの最大限の共鳴の表れとして響きます。再現部14:40からの夢遊病的なシーンで、色彩を曖昧にせず、テンポを落として音の粒を確実に拾い上げるのもバルビローリならでは。こういうことを心ではなく頭で考える昨今の指揮者がやれば、作為的に響くことは想像に難くありません。
 第3楽章は、バルビローリの全人格の投影と言っても過言ではありません。第2主題(2:02〜)の未来への期待と不安が入り混じったようなニュアンスの底流にはバルビローリのの優しい眼差しが寄り添い、ホルン登場以降はまさに天国的な美しさ!
 終楽章のスケールの大きさも尋常ではなく、音量パワーには同等の感情が常に伴っているのですから、生易しい感動では済まされません。特にハンマーの打ち込み(2回)前後の凄さ!敢えてハンマーを使用しなければならない必然的な流れを感じさせる演奏というのも、他に思い当たりません。後半の緊張の持続も申し分なし!それは汗まみれのスタミナ勝負ではなく、夢中にのめり込んでいるうちに結末を迎えていたという、まさに怒涛の進行。最後の締めくくりでは、ティンパニが次第に乾いた響きに変化する様をお聴き逃しなく!【2021年7月・湧々堂】

SWR music
SWR-19528CD
(5CD)
NX-C05
ブルックナー:交響曲集
【CD1】
交響曲第3番ニ短調 WAB 103(1873年初稿)
【CD2】
交響曲第4番変ホ長調 「ロマンティック」 WAB 104(1874年初稿)
【CD3】
交響曲第6番イ長調 WAB 106
【CD4】
交響曲第7番ホ長調 WAB 107
【CD5】
交響曲第9番ニ短調 WAB 109(1894年版)
ロジャー・ノリントン(指)
シュトゥットガルトRSO

録音:2007年5月22日…CD1
2007年4月26-27日…CD2
2007年7月11-13日…CD3
2008年9月26-27日…CD4
2010年7月15-16日…CD5
1998年から2011年の13年間にわたりシュトゥットガルトRSOの首席指揮者を務めたノジャー・ノリントン。このコンビの演奏はどれも、ノリン トンが長年積み重ねて来た作品成立当時の演奏法研究の成果を機能性の高いモダン・オーケストラにつぎ込んだもので、作品のイメージをリフレッ シュしたと高く評価されました。このブルックナーにおいても、ヴィブラートを極力排して透明度を重視したピュアトーンと快速テンポによって、従来のブルッ クナー・サウンドのイメージを一新しています。アレグロ楽章やスケルツォはキリリと引き締まり、緩徐楽章では透明感ある響きによって独特の美しさを感 じさせます。滔々たる大河のような緩やかな時間感覚やゴージャスなサウンドを追求した路線とは一線を画す当録音は、数あるブルックナーの交響曲 録音の中にあって、今でも独自の価値を持つものです。


Treasures
TRE-075r(1CDR)
ライトナー〜モーツァルト:交響曲集
モーツァルト:バレエ音楽「レ・プティ・リアン」序曲+
交響曲第31番「パリ」K.297*
交響曲第36番「リンツ」K.425#
交響曲第39番変ホ長調K.543
フェルディナント・ライトナー(指)
バイエルンRSO*,#、バンベルクSO

録音:1959年4月13日+、1959年4月12-13日*、1959年4月11-12日#、1962年11月(全てステレオ)
※音源:独ORBIS HI-FI-73-491+,*,#、独PARNASS 61414
◎収録時間:74:22
“策を弄せず、作品の底力を信じきるライトナー度量!”
■音源について
ライトナーのステレオでのセッション録音によるモーツァルトの交響曲全3曲を収録。「39番」はオイロディスク原盤、それ以外はDG原盤。
※以前は「パリ」「リンツ」は音源に独DGG SLPM-138046を用いていました、2021年6月以降は、より上質の音がする独ORBIS盤から復刻したリメイク盤(品番結尾にrを追加)に差し替えます。また同時に序曲も追加しました。

★ライトナーといえば、誰もが「渋い」というイメージを持たれると思います。確かに、その極めて堅実なアプーロチにブレはないものの、結果的に地味な印象しか残らないこともあるかもしれません。しかし、このモーツァルトはそれだけにとどまらず、自身の解釈を表に出すまいとする矜持が、音楽的な感動に直結していることをひしひしと感じます。作品自体の魅力が破格であるせいもあるでしょう。ただこの3曲では、作品の側から演奏者の真摯な姿勢に対して積極的に協力しているような印象さえ覚えるのです。
 「パリ」は、「ハフナー」以降の有名曲の影に隠れがちですが、その素晴らしさに改めて覚醒!モーツァルトの天才的な閃きが満載なだけに、その愉しさを強調しようとすると、作品の方からそっぽを向かれるに違いない…、ライトナーの指揮でそんな思いが頭をよぎります。第1楽章の第1音が鳴り出した途端、その結晶度の高さに只ならぬ名演であることを確信。展開部では、各パートが緻密に連携しながら豊かな楽想が泉のように湧き出ます。第2楽章もわざとらしい語り掛けなど無縁で、ここでも奏者の自発性というより、作品自体の発言力を優しく受け止めるゆとりが至福の空気を醸成。
 「リンツ」では、大編成によるモーツァルトの醍醐味を堪能。そこには古めかしさなど少しもなく、無我の境地を貫いたフレージングによって音楽が伸び伸びと飛翔します。特に、第2楽章は過去に知り得た演奏のベスト!0:18からの弦のフレーズにホルンがユニゾンでそっと寄り添う風情など格別です。終楽章では、大きな編成が過剰な重みと厚みに傾かず、軽やかに弾むリズム感を過不足なく表出。徹底して楷書風なのに、面白味に欠けることがないというのは、ライトナーがモーツァルトのエッセンスを真に熟知している証しでしょう。それにしても、今も昔も変わらぬバイエルン放送響の巧味にも唖然とするばかり。
 「第39番」のオケはバンベルク響ですが、バイエルンよりも更に古風な音色が、この祝典的な作品に独特の深みを与えている点にご注目を。【湧々堂】


Treasures
TRT-017(1CD)
オーマンディ/「画家マチス」&チャイ5(1959)
ヒンデミット:交響曲「画家マチス」
チャイコフスキー:交響曲第5番*
ユージン・オーマンディ(指)
フィラデルフィアO

録音:1962年1月17日、1959年1月25日*(共にステレオ)
※音源:独CBS 61347、COLUMBIA MS-6109*
◎収録時間:74:46
“何度も味わいたい「画家マチス」の温かみに満ちた響き!”
■音源について
2曲ともオーマンディ&フィラデルフィア管の来日公演で取り上げられた十八番中の十八番。「画家マチス」は4回のセッション録音の最後、「チャイ5」は、5回のセッション録音のうちの3回目のもの。

「画家マチス」は、近代的で洗練された響きを前面に立てた演奏が多い名曲ですが、この録音は、全体に温かでヒューマンなトーンで統一したかけがえのない逸品!ステレオ効果を意識した色彩と、様々な響きの軋轢を避けた穏健路線に浸る前の冴えたリズムも特筆もの。
 第1楽章序奏からハーモニーが熟成され尽くされて美しく煌めき、主部はメカニックな響きと無縁のリズムの弾力と愛の溢れるフレージングで魅了。豊麗なオーマンディ・サウンドがピタリとはまった有機的な響きは比類なく、それはまるで養分をたっぷり与えられた音の粒が嬉しく戯れているかのよう。コーダでの下から突き上げるような金管の量感と、わずかに丸みを帯びたカラフルな音像と噴出力の融合ぶりも見事です。第2楽章の静謐においても色彩の光を絶やさず、終始温かな情愛を漂わせます。深刻さを嫌うオーマンディらしい音作りが最大に活きた好例と言えましょう。ステレオ初期のオーマンディの録音の中には、曲に慣れすぎたせいかルーティンに流れることもありますが、この終楽章の呼吸の深さとテンポの自然な切り換えは、作品への心からの共感なくして成し得ないもの。主部はもちろん鋭利な響きとは無縁。蜜蝋のように艷やかな響きを醸し出すために、最適なテンポの設定と響きの研磨のさじ加減が不可欠であることを思い知らせれます。後半10:00以降の木管の細かい音型のポップな弾け方!それ以降は今更ながらフィラデルフィア管の巧さに惚れ惚れするばかり。最後のファンファーレも大見得を切らず、素直な健康美を貫徹。 とかく感覚的過ぎると軽視されがちなオーマンディですが、その感覚美の中にいかに多くの見識とセンスと経験が凝縮されているかを思い知るとともに、他の有名名盤でこれ程この作品の多面的な魅力を引き出してくれる演奏はなかなかないと思います。
 「チャイ5」は、今までの演奏経験の集大成と言える確信的なアプローチを散りばめながら、特に作品の流麗さと感覚的な甘美さの表出に力点が置かれています。モノラル期までのリズム主体のアグレッシブさはかなり後退していますが、展開分最後(9:18〜)のクレッシェンドでストコフスキーの影響がはっきり出ている点や、第2楽章172小節を始め何箇所もポルタメントを注入するなど表現意欲満々。特に第2楽章では、フィラデルフィアの弦の魅力をとことん堪能できますし、決して無視してよい録音ではありません。ただし、残響はかなり多めに取り入れられています。【20121年5月・湧々堂】 →「チャイ5」の詳細レヴュー



OTTO KLEMPERER FILM FOUNDATION
KKC-4258(24SACD)
クレンペラー&コンセルトヘボウ管・録音集


■Disc1
メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」 Op. 26
マーラー:.さすらう若人の歌
ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」(1886年版ノヴァーク)
■Disc2
ベートーヴェン:交響曲第8番ヘ長調Op.93
モーツァルト:交響曲第25番ト短調K183*
ヴァイオリン協奏曲第5番「トルコ風」*
■Disc3
ヤナーチェク:シンフォニエッタOp.60
バルトーク:ヴィオラ協奏曲
ヘンケマンス:.フルート協奏曲*
ファリャ:スペインの庭の夜**
■Disc 4
ベートーヴェン:演奏会用アリア「ああ、不実な人よ!」Op.65
交響曲第7番イ長調Op.92
■Disc5
1951年7月12日(初CDコンサート全収録)
モーツァルト:フリーメーソンのための葬送曲 ハ短調 K.477
マーラー:亡き子をしのぶ歌
■Disc6
マーラー:交響曲第2番「復活」
■Disc 7
ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」
シェーンベルク:浄夜(1917/1943)
ヒンデミット:組曲「気高い幻想」
■Disc9
メンデルスゾーン:劇付随音楽「真夏の夜の夢」
■Disc10
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
モーツァルト:セレナード第13番「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」*
■Disc11
モーツァルト:モテット「エクスルターテ・ユビラーテ」K165(158a)
マーラー:.交響曲第4番ト長調
■Disc 12
ベートーヴェン:「プロメテウスの創造物」〜.第1曲:序曲/第5曲:アダージョ/終曲:アレグレット
ピアノ協奏曲 第3番ハ短調Op.37
■Disc 13
ベートーヴェン:交響曲第2番ニ長調Op.36
「レオノーレ」第3番序曲Op.72b
■Disc14
ベートーヴェン:交響曲第4番
交響曲第5番「運命」
■Disc15
ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」
■Disc16
ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調Op.92
交響曲第8番ヘ長調Op.93*
■Disc17
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」
■Disc 18
モーツァルト:交響曲第29番イ長調K201
ピアノ協奏曲第22番変ホ長調K482
■Disc 19
モーツァルト:オーボエ協奏曲ハ長調K314
交響曲第41番「ジュピター」
■Disc 20
バッハ:管弦楽組曲第2番
 カンタータ第202番「消えよ、悲しみの影」BWV202(結婚カンタータ)
モーツァルト:演奏会用アリア「心配しなくともいいのです、愛する人よ」.K505
■Disc 21
ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲
R.シュトラウス:交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」
●ボーナス・トラック/初正規盤
モーツァルト:「ドン・ジョヴァンニ」序曲*
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調*
■Disc22
メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」
ストラヴィンスキー:三楽章の交響曲
シューベルト:交響曲第4番ハ短調D417
ワーグナー:「.ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕前奏曲
■Disc 23
ベートーヴェン:ミサ・ソレニムス
■Disc 24
グルック:シャコンヌ〜「オルフェオとエウリディーチェ」
クレンペラー:交響曲第1番(全2楽章)
ブルックナー:交響曲第6番イ長調WAB106(1890年ハース版)
オットー・クレンペラー(指)
コンセルトヘボウO

■Disc1
録音:1947年12月4日(初CDコンサート全収録)
ヘルマン・シャイ(Br)
■Disc2
録音:1949年5月1日&1951年1月18日*
ヤン・ブレッセル(Vn)
■Disc3
録音:1951年1月11日、1951年1月13日*、1951年3月29日**
ウィリアム・プリムローズ(Va)、フーベルト・バルワーザー(Fl)、ヴィレム・アンドリーセン(P)
■Disc 4
録音:1951年4月2日(1951年ベートーヴェン・チクルスより)
グレ・ブロウエンスティーン(S)
■Disc5
録音:1951年7月12日(初CDコンサート全収録)
キャスリーン・フェリアー(C.A)
■Disc6
ヨー・フィンセント(S)、キャスリーン・フェリアー(C.A)、トゥーンクンストcho
)
■Disc 7&8
録音:1955年7月7日(初CDコンサート全収録)
■Disc9
録音:1955年11月3日(正規盤初)
コリー・ヴァン・ベックム(S)、ヘレーン・ヴァークレイ(S)、トゥーンクンストchoメンバー
■Disc10
録音:1955年11月6日、1955年11月10日*(初CDコンサート全収録)
■Disc11
録音:1955年11月10日(Disc10の続き)
マリア・シュターダー(S)
■Disc 12
録音:1956年5月2日(ベートーヴェン・チクルス〜初CDコンサート全収録)
ヤン・ヴィッサー(Fl)、クラース・デ・ロック(Cl)、トム・デ・クラーク(Fg)、フィア・ローザ・ベルクハウト(Hp)
アニー・フィッシャー(P)
■Disc 13
録音:1956年5月2日(Disc 12の続き)
■Disc14
録音:1956年5月9日(ベートーヴェン・チクルス)
■Disc15
録音:1956年5月13日(ベートーヴェン・チクルス〜初CDコンサート全収録)
■Disc16
1956年5月13日(Disc15の続き)、1956年5月17日*
■Disc17
録音:1956年5月17日(Disc16の続き)(ベートーヴェン・チクルス)
グレ・ブロウエンスティーン(S)、アニー・ヘルメス(C.A)、エルンスト・ヘフリガー(T)、ハンス・ウィルブリンク(Br) 、トゥーンクンストcho
■Disc 18
録音:1956年7月12日(初CDコンサート全収録)
アニー・フィッシャー(P)
■Disc 19
録音:1956年7月12日(Disc18の続き)
ホーコン・ストーティン(Ob)
■Disc 20
録音:1957年2月7日(初CDコンサート全収録)
フーベルト・バルワーザー(Fl)
エリーザベト・シュヴァルツコップ(S)、ヤン・ダーメン(Vn)、ホーコン・ストーティン(Ob)
エリーザベト・シュヴァルツコップ(S)、マリア・クルチオ(P)
■Disc 21
録音:1957年2月7日(Disc 20の続き)
1954年6月26日*
ヨハンナ・マルツィ(Vn)*、ハーグ・レジデンティO*
■Disc22
録音:1957年2月21日(初CDコンサート全収録)
■Disc 23
録音:1957年5月19日(初正規盤)
エリーザベト・シュヴァルツコップ(S)、ナン・メリマン(Ms)、ヨーゼフ・シマンディ(T)、ハインツ・レーフス(Bs-Br)、アムステルダム・トーンクンストcho
■Disc 24
録音:1961年6月22日(初CDコンサート全収録)
音質条件を考慮に入れなければ、クレンペラーの最も高水準な演奏を聴くことができるのはコンセルトヘボウOとの録音だというのは、以前からよく語ら れることでした。 しかし、実際には、古いライヴ録音や放送録音ならではの物理的なスペックの問題もあって、マニア以外にはあまり顧みられることは無く、クレンペラーといえば、 最晩年にフィルハーモニアOを指揮したゆったり系の演奏が代表作として広く聴かれてきたというのが実情です。 確かに最晩年のスタジオ録音で聴ける拡大された情報の面白さは無類ですが、長きに渡って歌劇場やコンサートホールで指揮して生計を立てていたクレンペラー の音楽は、本来はもっと生気に富む力強いものでした。そしてその音楽を築き上げていたのが、入念で厳しいリハーサルであり、その点で、世界最高レベルの反応 力を持ったコンセルトヘボウOの優位は明らかであり、実際、1958年まではクレンペラーの客演回数はかなりの数に達していました。 しかし翌1959年にクレンペラーがフィルハーモニアOの終身指揮者に就任すると、大火傷で長期療養という問題も重なって客演回数は激減、そして 1964年にフィルハーモニアOが自主運営組織になると、以後、クレンペラーがコンセルトヘボウOを指揮することは無くなります。もっとも、ウィー ンやベルリン、ミュンヘン、ケルン、イスラエルなどには出かけていたので、今は無き音楽マネジメント組織、コロンビア・アーティスツの都合もあったのかもしれま せんが。 ともかく、クレンペラー絶頂期のコンセルトヘボウOとの演奏を、正規音源で、しかもSACDでまとめて聴けるというのはクレンペラー好きにとっては大事 件であることは間違いなさそうです。 (Ki)


Treasures
TRE-250(1CDR)
ホーレンシュタインの「新世界」
コルンゴルト:歌劇「ヴィオランタ」前奏曲と謝肉祭*
ワーグナー:「さまよえるオランダ人」序曲+
 「タンホイザー」〜ヴェーヌスベルクの音楽#
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」##
ヤッシャ・ホーレンシュタイン(指)
ロイヤルPO
ビーチャム・コラール・ソサエティ**

録音:1965年5月28日&6月2日*、1962年9月30日+,#、1962年1月26&30日##(全てステレオ)
※音源:Quintessence PMC-7047*,+、日Victor GMS-6#、Quintessence PMC-7047##
◎収録時間:73:27
“ビーチャムのオケが豹変!郷愁よりも苦悩が滲む異色の「新世界」!”
■音源について
★音を立体的に音を積み上げながらスケール感溢れる演奏を展開するホーレンシュタインの特徴を存分に味わえる一枚。プロデューサーのチャールズ・ゲルハルトによると、「ヴェーヌスベルクの音楽」ではタンブリンが4つ使われているとのこと。「新世界」はVOX録音(1952年)に次ぐ再録音。コルンゴルトは、これが世界初録音でした。

★この「新世界」の魅力は、何と言っても暗さ!「春の祭典」でも記したように、どこか屈折した眼差しで作品を見据え、音色も開放的な明るさとは正反対。しかも、ホーレンシュタインを象徴するその音色を、ビーチャム流のポップな感覚が染み付いているロイヤル・フィルから引き出しているのですからびっくりです。
  第1楽章序奏部のティンパニは、VOX録音での奇妙な改変を修正し、装飾音風に一気に強打。その熾烈さは、人生の予期せぬ悲劇を象徴するかのようで、アプローチの方向性も印象づけます。主部はリズムの腰が強靭で、フレージングはどこまでも厳しく、牧歌的なフルートの小結尾でも弛緩なし。展開部4:58からののチェロのアクセントも同様で、オケがこのアプローチに心から共鳴していることが窺えます。5:32からの金管のテーマに呼応する弦の絶妙な粘着ぶりも、絶好調のホーレンシュタイン節。身も心も藻掻いています!楽章最後の一撃も内燃力の凄いこと!
 第2楽章はノスタルジーに甘んじず、高潔な精神を絶やしません。微妙な強弱とテンポの揺らしはかなり即興的なニュアンスを湛えますが、その全てが十分に練り尽くした完熟の味わい。8:05からのエネルギーの増幅と鎮静を巧みに織り交ぜた呼吸芸は、ホーレンシュタインを二流呼ばわりする人にぜひ聴いていただきたいものです。
 第3楽章もビーチャム指揮下では聴けないニュアンスの連続。リズムの厳しさは相変わらずですが、オケはむしろその厳しさを新鮮に感じて積極的な表現に転化しているようにも思えます。
 終楽章もまずは暗く這うような滑り出し。その後は発作的な加速を経て、ホルンの強烈な後打ちリズム、4:26からの徹底したスフォルツァンドと露骨なまでに克明に響かせるなど、立体的な音像にこだわり抜きます。4:41からのフルートのテーマを支える弦の刻みもその一環ですが、そこには死へのカウントダウンのような不気味さが。それゆえ、曲の最後のフェルマータ後の余韻も、他に類のない不思議な感触が漂います。
 このように、表現の多様性と思い入れの熱さではマーラー以上のものを感させる「新世界」。もしかしたら、ナチスに追われたホーレンシュタイン自身の体験を投影させているのかもしれません。【2021年4月・湧々堂】

BSOrec
BSOREC-0001
マーラー:交響曲第7番「夜の歌」 キリル・ペトレンコ(指)
バイエルン国立O

録音:2018年5月28日&29日
ミュンヘン、バイエルン国立歌劇場(ライヴ)
17世紀のバイエルン選帝侯の宮廷歌劇場に起源を持ち、モーツァルトやワーグナーのオペラを初演してきたドイツ屈指の名門、バイエルン国立歌劇場が自主レーベルBayerische Staatsoper Recordings(BSOrec)をスタート。そのリリース第1弾に選ばれたのは、2013-20 年に音楽総監督を務めたキリル・ペトレンコ指揮による「マーラー: 交響曲第7番」のライヴ録音! 2018年5月28日と29日にミュンヘンで行われた演奏会は、灼熱の完全主義者ペトレンコの下で、超高精度・超高密度、そして緊密なコ ントロールが生み出す高い緊張感で聴衆や評論家を圧倒し、続くロンドン公演でも大喝采を浴びました。レーベルの船出にふさわしい1枚で す。
「このマーラー7番はあらゆる点で議論の余地なく最上級だ」・・『ジ・アーツ・デスク』


Treasures
TRT-237(1CDR)
カンテルリ〜シューマン&ブラームス
シューマン:交響曲第4番
ブラームス:交響曲第1番*
グィド・カンテルリ(指)
フィルハーモニアO

録音:1953年5月5月15&21日、1953年5月21-23日* (共にモノラル)
※音源:仏EMI 2905761、W.R.C SH-314*
◎収録時間:68:48
“厳つい鎧を剥ぎ取り、音楽の実像を清らかな感性で刷新!”
■音源について
「ブラ1」は、初期のALP-1152をはじめ、XLP-30023、ENC-116等をを比較試聴した結果、音抜けの良さはダントツでこのW.R.C盤でした。ただ、終楽章の13.:46辺りから微かにジリジリという異音が混入します。この現象は同スターンパーを用いた仏TORIANONシリーズでも確認できるので、明らかにスタンパー自体の問題と思われます。ALP-1152の音質はモヤモヤ感が拭えませんし、ENC-116(ENCOREシリーズ)やXLP-30023は異音がないものの音の鮮度は明らかに落ちますので、あえてW.R.C盤を採用した次第です。なお、ラベルにはSTEREOと印字されていますが、もちろん誤表記。
カップリングは、ほぼ同時に録音されたシューマン。レコードでは各楽章間のインターバルが長めに取られており、ここではそのままの形で収録しています。

★たとえブラームスであっても重厚さを目指すのではなく、カンテルリの本領とも言えるスタイリッシュで瑞々しいアプーロチを徹底し、しかもそれがブラームスの本質であるかのうように響かせる手腕は、やはり只者ではないと改めて痛感するばかりです。
 第1楽章から物々しさと決別するために徹底的に響きを洗い直した跡が伺え、その見通しの効いた音像には希望の光すら感じられます。余計な粘度を排除し、アンサンブルの縦の極限まで揃えることで実現した響きが爽快さ以上の説得力を持つのは、フィルハーモニア管の潜在能力の高さに因るとろこも大。展開分後半7:29以降では過剰な神秘性には目もくれず音を芯から内燃させ、再現部11:25からは完璧な声部バランスを保ちながら緊張を極限まで増幅させるなど、まさにカンテルリの芸の真髄。
 第2楽章冒頭は筆舌に尽くしがたい透徹美!その透明なテクスチュアが冷たさではなく純粋さに繋がっている点にご注目を。
 終楽章のホルンからフルートに引き継がれる主題も、隅々まで隈取り克明。弦の第1主題は押し付けがましい歌とは無縁で、楽想の持つ魅力を信じ切った素直なフレージングが心を打ちます。また、スタッカートをかなり鋭利に刻ませているのも特徴的で、特に8:19からの強烈な圧には思わず仰け反ります。最後のファンファーレはトスカニーニと同じティンパニ追加がありますが、「第3番」同様、大仰に傾くことがないのもセンスの賜物。このティンパニ改変はオーマンディ、ヨッフム、小澤、ミュンシュなど数々あれど、違和感の欠片もなく当然のように響くのはカンテルリだけかもしれません。
 シューマンも、物々しい威圧感とは無縁の自然な緊張感を貫徹。第1楽章6:01からの木管楽器による合いの手のタイミングの鮮やかさと有機性は比類なく、コーダに掛けて勢いに任せず着実に全声部を立体的に構築する様も30代前半の技とは信じ難く、しかもそれが無理に落ち着き払った嘘臭い印象を与えない点がまさに天才の証しと言えましょう。第2楽章は過度に陰鬱に向わず、音色はあくまでも清明。その清々しさは第3楽章中間主題の低弦(1:32、1:39など)にも垣間見られ、決して恣意的な操作を感じさせません。
 終楽章は特に感動的!まずリズムの良さが破格で、そこに各パートの強固な連動と熱いフレージングが加わって一分の隙もない推進力を見せます。名手揃いの団員も、カンテルリの崇高なビジョンに覚悟して臨んだのでしょう。アンサンブルの精度はここでも驚異的です。コーダにおいてテンポに溜めを差し入れない洗練されたセンスもカンテルリならでは。
 2曲とも、カンテルリの音楽作りの基本理念を知る上でも欠かせない録音だと思います。【2021年4月・湧々堂】

ベートーヴェン没後250年記念復刻

Treasures
TRE-241(1CDR)
ベートーヴェン:交響曲第1番ハ長調Op.21
シューベルト:交響曲第9番「グレート」*
アルトゥール・ローター(指)
BPO、ベルリンRSO*

録音:1951年12月6日ティタニア・パラスト、1950年代中期?(共にモノラル)
※音源:Club Mondial Du Disque CMD-A302、URANIA URLP-7152*
◎収録時間:71:04
“BPOの一時代を支えたローターの恐るべき洞察力!”
■音源について
ベートーヴェンは、TUXEDOから擬似ステレオでCD化されていたURANIA音源。使用盤はフランスのフラット盤でもちろんモノラル。フラット盤特有の雑味感がかえって演奏の濃密さを炙り出しています。ロータの同曲は1959年のステレオ再録音もあり、TRE-202で発売済み。一方のシューベルトは、このURLP-7152ではオケ名がBerlin Symphony Orchestraと表記されていますが、Symphony Orchestra Of Radio Berlinと書かれているレコードもあります。ここではM.グレイ氏の記載に従っておきます。

★アルトゥール・・ローターは、フルトヴェングラーヴェンより1歳年長。戦前〜戦後のBPOを下支えした功労者です。1954年12月9日のベルリン・フィルのフルトヴェングラー追悼演奏会の指揮者は、ローターでした(メイン・プロは「英雄」!!)。劇場畑らしく、フレーズの意味の捉え方、場面転換時の鮮やかな間合いは、フルヴェン以上と思える箇所さえあります。
 まずベートーヴェンの凄さ!フルトヴェングラーを思わせる凄まじい精神的高揚感が感動を呼び、後年のステレオ再録音(TRE-202)とは趣が全然違います。第1楽章は、この先のドラマの予感をふんだんに湛えた序奏から、主部は前身あるのみの一途な進行。第2主題は一旦テンポを落としますが、ここでインテンポで切り抜けるなど到底考えられないほど、自然なテンポ操作で、それがいつの間にか今までの速いテンポに戻っている点も熟練の業!唐突感が先行して古さが際立つメンゲルベルクのテンポ感とは訴えかけが違います。
第2楽章は、冒頭からピュアな美しさ!これほど伸びやかで慈愛に溢れたアンダンテ・カンタービレは稀有。フレーズの末端までニュアンスが充満。展開部の幻想性と音像の広大さは、これぞ懐の深い音作りの最高の実例!最後の2小節の音符をこんなに丁寧に置いた例も他に知りません。
 第3楽章は、トリオ直前にルフト・パウゼが入るのは典型的な旧スタイルなので、不感症の評論家などはその古さだけをあげつらうでしょうが、心ある音楽ファンならそうしなしないとかえって不自然であることを実感していただけるはず。中間部のクラリネットのメロウな響きも忘れられません。
 終楽章冒頭は、指揮芸術の粋の結晶!第1音でごく僅かにフルートが先走るその音色のなんと神々しいこと!その序奏部で、杓子定規に音符が置かれる瞬間は皆無なのです。
 この曲は先人の影響下にあることを強く意識させるか、ベートーヴェンらしさを印象づけるために様々なデフォルメを施越されることが多いですが、ローター、音楽の根源的な力でベートーヴェンらしい豪放さを具現化。その姿勢は絶対忘れてはならないのではないでしょうか?
 シューベルトもベートーヴェンと同様にスコアを単純に捉えて愛の不足する演奏とは一線を画します。テンポ設定は、もちろん「遅めのアンダンテ」から主部へ向けて徐々に加速する従来型。テンポ設定のセンスを問う試金石であるこの作品dすが、いちいちテンポ処理センスには舌を巻くばかり。第1楽章第2主題の入りでテンポを落とす例は珍しくないですが、第2主題を徹底的に歌うために、直前に心の準備をするように信じがたい減速を敢行。再現部の同じ場面はそのコントラストがさらに明確化します。展開部6:45からの低弦のゴリ押しは実にいなせ。そして泣く子も黙るコーダの畳み掛け!
 第2楽章は切なさを湛えつつも、音楽に毅然とした精神が宿っているので1:08のスフォルツァンドとも自然に連動している点にご注目を。最高潮に達した直後、9:08のピチカートの得も言われぬ幽玄さ、誰よりも孤高さを滲ませたフレージングとテンポ感にも感涙。
終楽章は10分台の熱い高速モード!0:19以降ヴァイオリンが細かい音型を刻む中で低弦が持続音を鳴らし続けますが、それをはっきり活かすことで音楽が痩せるのを防ぐというように、常に声部バランスを注視する指揮者の眼力が光ります!【2020年12月・湧々堂】

Treasures
TRE-242(1CDR)
ベートーヴェン:交響曲第2番
シューマン:「マンフレッド」序曲*
 交響曲第2番ハ長調Op.61#
カール・シューリヒト(指)
ベルリンRIAS響、
フランス国立放送O

録音:1953年11月19日ベルリン、1963年5月14日シャンゼリゼ劇場(ライヴ)、1955年9月(モントルー音楽祭ライヴ)#
※音源:MOVIMENT MUSICA 08-001、ERATO ERL-16009*,#
◎収録時間:78:58
“モーツァルト寄りの解釈でじっくり紡ぎ出すベートーヴェン!”
■音源について
ベートーヴェンは、ワルラー、フルトヴェングラー等のライヴ音源で構成された交響曲全集の一部。この「第2」は放送音源と思われます。シューマンは、フランス国立管弦楽団創立50周年記念盤。日本では1985年に初めて紹介され、宇野功芳氏も激賞していた名盤。なお、交響曲第2番第1楽章の4:15で、マスター・テープの傷みと思われる音揺れがありますが御了承ください。

ベートーヴェンの「第2番」は、ハイドン、モーツァルトの延長線上に誕生したことを改めて実感させるアプローチ。近年ではこの曲のスリリングな側面にこだわったエキセントリックな演奏が多いですが、シューリヒトのこのアプローチこそが、作品の身の丈にあった本寸法の解釈なのではと思えてきます。羽のような軽みを帯びた音作りはまさにシューリヒト節。。それがピタリとハマっているのです。
 第1楽章冒頭、いささかも間を置かず一息でフレージングするのは、文節を区切るようにゴリゴリと進行するドイツ主流派の手法と異なります。主部は颯爽としたテンポながら、内声部は驚くほど有機的な鳴り方。展開部ではそれがより顕著となります。第2楽章は、透明感の高いフレージングで、シューリヒトの気力は盤石。古今を通じ、これほど高純度の音楽はめったに聴けません。短調に転じる4:04以降、音色の微妙な変化に確実に対応する繊細さや、16分音符の刻み(7:45〜など)に明確な意思を宿らせるのもシューリヒトならでは。終楽章は、中庸テンポの進行ながら噛めば噛むほど味が出る独特の佇まい。展開部2:00以降の弦の連動ぶりには是非ともご注目を。シューリヒトが引き出すハーモニーはいつも軽みと柔らかさを湛えていますが、それはこういう有機的連動を実現するためだと思えます。響きを分厚く盛っていてはこうは行かないはずです。最後の激しい強弱変化への対応も至ってクール。
 この演奏は、いわゆる「通好み」な演奏の一言で片付けられそうですが、シューリヒトの芸の醍醐味を知る上では不可欠の名演だと確信する次第です。
 シューマンの「マンフレッド」は、誰も異論など挟みようのない超名演。ベートーヴェンでは冒頭を一息のフレージングで開始しましたがた一方、こちらは冒頭の3つの和音を一振りで一気にぶつけます。以降も、シューリヒトには珍しいほど白熱的な演奏を展開。しかも勢いに任せた感がなく、呼吸が恐ろしいほど深く、リズムの足取りも揺るぎなし。造形の大きさも特筆ものです。
 同「第2」も、不健康さとは無縁の雄大なスケールで、渾身の呼吸で描ききっており、フランスのオケの明るい色彩とも融合して、陰にこもった演奏にはない味わい。この曲のアプローチの重要な指標と言えましょう。【2020年12月・湧々堂】

Treasures
TRE-243(1CDR)
超厳選!赤盤名演集Vol.4〜フルトヴェングラーの「エロイカ」
ワーグナー:歌劇「ローエングリン」第1幕前奏曲*
リスト:交響詩「前奏曲」#
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
ウィルヘルム・フルトヴェングラー(指)
VPO

録音:1954年3月4日*、1954年3月3日#、1952年11月26,27日ウィーン・ムジークフェラインザール(全てモノラル)
※音源:日TOSHIBA HA-50609*,#、AB-7081
◎収録時間:77:10
“歴史的名演の真価を最大限まで堪能できる理想の復刻!”
■音源について
この「英雄」の赤盤はこれより前にHA5056でも出ていますが、ここでは音の見通しが格段に良い後発のAB-7081(「スタンパーは同じ)をあえて採用。単に溝の経年差ではなく、製盤技術の差が感じられます。また、ブライトクランクで気になった微妙な音の震えもここには皆無。芯の強いサウンドで鳴ってくれます。

★湧々堂では、フルトヴェングラーの録音は意図的に紹介を避けてきました。手を変え品を変え再発盤が氾濫し続ける状況は異常だと思うからです。しかし、この「英雄」だけは取り上げないわけには行きません。この説明不要の超名演を私も大方の評判どおり枯淡の境地に達したフルトヴェングラーの芸術の極みと捉え、殊にこの録音に関しては、ブライトクランク盤の方が、無駄を排した精神的な響きを味わうのに最適と思っていました。ところが、この赤盤(HA-5060)に接して、そのイメージがあまりにも短絡的だったと気付かされました。まず、響きの厚みと太さ、リズムの生命力!それはまさにフルトヴェングラーそのもので、枯れたいう形容が当たらないのです。そこにVPOならではの柔和さも加味されて、人間の業の全てを許すようなおおらかな空気となって広がり、独特のスケール感を醸成。こうなると、ブライトクランクの音はただの痩せた音としか思えなり、我ながら閉口します。
 そういった素晴らしさを引き出してくれる他のレコードの存在をご存知の熱心なファンの方もいらっしゃることでしょうが、少なくとも私が知り得た範囲では、音楽的な要素を最大限まで再現していると実感できたディスクは、この赤盤だけなのです。例えば、第1楽章2:30からのホルンの補強の意志の強さ!ちなみに、高域が伸びが良くなったとか、低音の力感が増した、といったオーディオ的(?)な意味での高音質だというのではありませんので、念の為…。
 リストに関しても、この復刻で初めて血の通った強靭な名演と実感。7:35からの魂の結晶度の高さはトップクラスですし、一つの楽想から次の楽想への以降が全く器用さがなっく、そういう手工芸的な作業がから人間臭いドラマが引き出されます。コーダの濃密な音のブレンド感もCDでは感じにくいのではないでしょうか?【2020年12月・湧々堂】

Treasures
TRE-244(1CDR)
ハイドン:交響曲第22番変ホ長調 「哲学者」 Hob.I:22
 交響曲第90番ハ長調 Hob.I:90
ベートーヴェン:交響曲第4番*
エルネスト・アンセルメ(指)
スイス・ロマンドO

録音:1965年10月、1958年11月*
※音源:LONDON CS-6481、豪DECCA SDDA-104*
◎収録時間:79:18
“作品への誠実な愛を成就すべくクールな姿勢を堅持”
■音源について
 アンセルメのハイドンは「パリ交響曲集」が初のステレオ録音として名高いですが、その後に録音された22番&90番は見落とされがち。ベートーヴェンの4番は全集の中でも比較的初期の1958年録音ですが、この年代でこれだけの鮮烈な音が鳴ること自体、はやり驚異的なことです。スケール感と見通しの良い音像を兼ね備えたオーストラリア盤を採用。ジャケットはフランス盤のもの。

 ハイドンの2曲は、1962年に録音された「パリ交響曲集」よりも音楽的な感興が優り、アンセルメの思い入れも一層色濃く反映されていると思います。ピリオド的解釈に拠らない演奏としても、今や貴重な存在です。第1楽章特徴的なホルンとコーラングレの対話が導き出す空気感は宇宙的な広がりと幻想を感じさせ、第2楽章では、リズムの沸き立ちのみならずエレガンスが常に寄り添います。第3-4楽章にかけては、この曲の独特の音色的とシンプルな構成との調和がアンセルメの音作りの志向と見事にマッチ。この曲をあえて選択したのも大いに頷けます。
 90番は、第1楽章の生き生きとしたリズムが耳を捉え、メンデルスゾーンやビゼーの交響曲のような鈍重さがないのが嬉しい限り。第2楽章は、短調の変奏部における決然としたハーモニーの打ち出しが印象的。第3楽章は、ベームは立派すぎて笑顔が少な過ぎると感じる方にうってつけ。特にトリオのオーボエ・ソロの後の弦の下降音型の楽しさ!終楽章は、逆にベーム以上に表情のコントラストを抑えて、作品の潜在力だけで勝負。その分、転調や例の偽休止のユーモアが実感できます。やはり、この楽章も面白さを分解して説明調になってしまっては野暮というものでしょう。
 ベートーヴェンの4番は、3番、5番、7番で見せた意外過ぎる闘志剥き出し型ではなく、いつものクールなアンセルメ・スタイルで、作品との一定の距離感を崩さず、精巧に音楽を構築、常に地に足のついた進行を続けます。
第1楽章主部に入ってすぐ、3:18〜、3:42〜などのティンパニ連打の明確な打ち出しは、まるで鋼鉄のような強靭さ。この響きは、終楽章ではさらに音像の性格を決定づける重要な役割を果たすことになります。第2楽章は、3:43からのクレッシェンドが実に効果的。この作品を聖地に構築した名演は数々あれど、自身の演奏スタイルを徹底的に刻印しつつ、作品の持ち味と同化させたという点で、この演奏は決して見逃せません。1,4楽章は提示部リピートあり。【2020年12月・湧々堂】

Treasures
TRE-245(1CDR)
超厳選!赤盤名演集Vol.5〜クリュイタンスの「運命」&「未完成」
ベートーヴェン:序曲「レオノーレ」第3番
シューベルト:交響曲第8番「未完成」*
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」#
アンドレ・クリュイタンス(指)BPO

録音:1958年3月10&13日、1960年11月* 、1958年3月10-11&13日# ベルリン・グリューネヴァルト教会 (全てステレオ)
※音源:日TOSHIBA AA-7025、AA-7040*,#
◎収録時間:73:42
“古き佳きBPOの響きを更に美しくブレンドした味わい深いベートーヴェン!!”
■音源について
クリュイタンスの「運命」の英国初期盤は「第9」と並んで高値で取引されています。しかし、最初期の英HMV*ASD267を何種類も聴きましたが、確かにスケール感はありますが、どんな綺麗な盤でもこの演奏の繊細なニュアンスが削ぐ雑味や濁り、カッティングに起因すると思われる音の掠れが否めません。そこで時代を下ってWRC盤や日本盤なども含め、特にティンパニの皮の感触までしっかり感じ取れることを念頭に厳選に厳選を重ねた結果は、最も納得できたのは、意外にも日本の、それも初期盤ではない赤盤のAA-7040でした。オリジナル通りの「レオノーレ3番」とのカップリング盤は、盤の材質によるのかチリチリ音が混入して問題外。その後は「未完成」とのカップリングばかりですが、1楽章の終盤や終楽章前のティンパニの硬質な響きが確実に聞き取れるのはAA-7040だけだったのです。もちろんこのティンパニの音はCDでは丸く柔らかく変質しており、それが音楽全体の印象にも影響を与えていることは言うまでもありません。

「運命」における古風な響きはいかにもフルトヴェングラー時代の響きを想起させますが、そこにクリュイタンスならではのスタイリッシュさ、流麗さが加わり、唯一無二の品格溢れる大名演となりました。クリュイタンスのベートーヴェン:交響曲全集の中で、一般には「田園」の評価が高いですが、湧々堂としては「第5」と「第9」をトップに挙げます。
 第1楽章は、フルトヴェングラー時代の癖を一旦端正な楷書体に戻した上で、内面から滲む精神的なニュアンスをしっかり活かした音作りに、唸らされます。展開部冒頭3:19の古風なホルンの強奏が醸し出す切迫感、6:57のティンパニの、これ以上考えられない含蓄ある打ち込み、コーダの造形を保持した中での熱い闘志など、聴き手を惹きつけて離しません。第2楽章冒頭の低弦は序奏的な前置きではなく、確実にニュアンスを刻印。緩徐楽章に相応しい優美さを湛えつつ音楽を脆弱にしないのは、クリュイタンス特有の詩的なニュアンスの賜物でしょう。教会の残響が伴うと音楽全体の重厚さは軽減される傾向があるにもかかわらず、特に3楽章において、運命の動機が荘重を保持いしているのは印象的。終楽章は、騒ぎ立てない大人の風格美!そして何度も申しますが、ティンパニの惚れ惚れする響き!肝心なのは、それが決して強打ではないという点。ベートーヴェン作品においていかに重要な楽器であるか思い知るばかり。後半のフルート、ピッコロが全体にこんなに美しくブレンドしている演奏も他に類例を見ません。
 そのブレンドの妙味は「レオノーレ第3番」も同じ。15分台のかなりの低速ですが、弛緩は一切なし。噛んで含めるようなニュアンスが全体に安定感と、作品へ共感する時間的なゆとりを与えて味わいもひとしお。序曲集の全ての曲が名演です、一時代前のBPOの響きを堪能する上でも、指揮者の最良の個性が生きた演奏としても、これは突出しています。
 「未完成」は、最初のコントラバスのゴリゴリ感が最高!どうか、弦のブルブルと震えていることをしっかり感じてください!2つの楽章とも遅いテンポが設定されており、大抵はメリハリを欠く演奏に陥りがちですが、クリュイタンスはフレージングに停滞感が皆無。
0:41の本当に微細なリタルダンド!この力の減衰と音色の影の落とし方は奇跡的!そういうほんの僅かなニュアンスの陰影が音楽全体に無限とも思える内容味を想起させるのです。第2主題直前でこんなに大きくテンポを落とす演奏はもはや聴けませんが、何度も申しますが、そこに「古臭さ」などあるでしょうか?その第2主題がまた絶品!純粋な憧れを優しく育むような信じ難いニュアンスです。第2楽章は、特に木管の素晴らしさにご注目を。2:38からのクラリネット、オーボエはその音色美自体最高の音楽で、そこに何の添加物も要しません。【2020年12月・湧々堂】

Treasures
TRE-246(1CDR)
ヨッフムのベートーヴェン&シベリウス
シベリウス:交響曲第7番
ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」*
オイゲン・ヨッフム(指)
ハンブルク国立歌劇場O、BPO*

録音:1943年(ライヴ?)、1951年3月19日RIASスタジオ*
※音源:Melodiya M10-46747-009、MOVIMENT MUSICA 08-001*
◎収録時間:63:41
“フルトヴェングラーへの尊敬と独自のこだわりを完全一体化した異色の「田園」!”
■音源について
ヨッフムとシベリウスは結びつきにくいですが、1955年に「夜の騎行と日の出」などをセッション録音しており、決して縁遠い作曲家ではなかったようです。「田園」は1954年のセッション録音(DG)が知られていますが、これはフルトヴェングラーも元気だった頃の録音。

★「田園」は、第1楽章の気が遠くなるほどの低速テンポが、ヨッフムが尊敬するフルトヴェングラーそっくり。ただ、フルトヴェングラーはその個性が全面に出ているのに対し、ヨッフムはもっと作品の持ち味に寄り添っているのが特徴的です。しかもここでの解釈の多くは最晩年の録音まで継承されているので、キャリアの早い段階から解釈を練り込みじっくり固めていったことが窺えます。第2楽章最後のカッコウの鳴き声はあえて音価を短くして、実際のカッコウの鳴き声のコピーを試みているのが興味深いところ。後年の再録音ではスコア通りに戻しています。第3楽章は中間部主題(1:53)にご注目を。殆どの演奏が「ファー・ドー・ファー・ドー」と2音しか響いてきませんが、実際の音符は「ファー・ソ・ファ・ドー・レミ・ファー・ソ・ファ・ドー・レミ」です。その差のあまりの違いにこの演奏で初めて気づく人も多いのでは。因みに、54年盤でもこの配慮がと取られています。第4楽章は後半のピッコロの活かし方の何といういう入念さ!ティンパニを全て強打させるような短絡的なことはしないことも含め、ヨッフム自身が語っている「美しく響くこと」を優先する美学の表れでしょう。終楽章もコンセプトが明確。感謝の気持を全面に出す推進力溢れる音楽を徹底させており、安堵感で包み込むゆったりとした演奏とは一線を画します。放送用録音と思われ、ノイズ感のない聞きやすい音質です。
 シベリウスは、果敢に作品の核心に肉薄する緊張溢れる演奏。録音は古いですうが、アプローチには微塵もカビ臭さなどなく、本物の共感に最後まで引き込まれます。【2020年12月・湧々堂】

Treasures
TRE-247(1CDR)
ベートーヴェン:交響曲第7番*
J・シュトラウス:「こうもり」序曲
 アンネン・ポルカ
ヨーゼフ・シュトラウス:ワルツ「うわごと」
J・シュトラウス:「ジプシー男爵」序曲
 ポルカ「狩り」
 ワルツ「ウィーンの森の物語」
ヘルベルト・フォン・カラヤン(指)
VPO

録音:1959年3月9 - 10日*、1959年4月7-8日(全てステレオ)
※音源:独RCA SMR-8010*、SMR-8012
◎収録時間:77:36
“作品の生命感とカラヤンの美学がバランスよく共存した名演!”
■音源について
カラヤンVPOのデッカ録音(CD9枚分)の最初の録音なので、「ドボ8」などと比べ、なんとなくモヤッとした音なのが残念でしたが、このドイツ盤では音が引き締まり、フレッシュな演奏を堪能できます。

★カラヤンが繰り返し録音を重ねたベートーヴェンの中で特に傑出した名演。内声部を抉り出すような精緻さよりも、自然で健康的な推進力を最優先。VPOの個性も伸び伸びと開放していますが、ルーティンに流れやすい箇所はしっかり引き締めているので造形は崩れず、音楽の流れに淀みがありません。第2楽章のカラヤン特有のレガートも、VPOの響きのおかげで人工的に傾かず心に染みます。
 後年、弦を中心とした音像や、あからさまな強弱のコントラストも抑制するカラヤンの志向はqここでもはっきり現れています。例えば終楽章0:33からや4:57からなどは、主役は管楽器へ移るのが普通ですが、ここでは明らかに弦が主役のまま。終楽章では後半の盛り上がりも迫真。この楽章はリズムが命であることは言うまでもないですが、リズムの正確さは目指していないからこそVPOの自発性に火が付き、この白熱的な高揚に繋がったと思われます。
 シュトラウスの作品でも、そのVPOの自発性はもちろん尊重し、カラヤンの抑制美、巧妙な演出力が一体となり、実に聴き映えのする演奏を実現。特に2つの序曲と「うわごと」は、少なくともVPOによる演奏としては最高峰と言えるでしょう。【2020年12月・湧々堂】

Treasures
TRE-248(1CDR)
メンデルスゾーン:序曲「静かな海と楽しい航海」*
 序曲「フィンガルの洞窟」*
ベートーヴェン:「エグモント」序曲**
 「アテネの廃墟」#〜序曲/トルコ行進曲
 交響曲第8番ヘ長調 Op. 93+
ヨーゼフ・カイルベルト(指)
BPO*,**、ハンブルク国立PO

録音:1962年2月9日*、1960年4月11日-5月1日**、1960年4月26日#、1958年2月6-10日+(全てステレオ)
※音源:独TELEFUNKEN SNA-25016*、NT-361#、SNA-25016-T-2**,+
◎収録時間:64:12
“これぞ「ベト8」演奏史上に輝く偉大なスタンダード解釈!”
■音源について
ベートーヴェンの「8番」は、「テレフンケン録音集」(22CD)などではモノラル・ヴァージョンが採用されていますが、ステレオ・マスターが失われたのでしょうか?すべての録音がステレオを無条件に選ぶべきだとは思いませんが、少なくともこの録音に関する限り、ステレオでなければ演奏の偉大さは伝わりません!

★カイルベルトによる一連のテレフンケン録音の中でも、ハンブルク国立POとの録音は全てが名演と言っても過言ではありませんが、特にこの「ベト8」はダントツのトップ!コンパクトにまとめた演奏が一般的な中、堂々と不屈のベートーヴェン像を投影し尽くすというカイルベルトの慧眼には、いくら感謝しても足りません。近年ではノリントン象徴されるような、この曲の面白さに焦点を当てた演奏も増えていますが、カイルベルトは仕掛け」などには目もくれず、クナのような極端な確信犯にも走ることもなく、ただスコアを誠実に鳴らしているに過ぎません。それでいながらこの風格美!そしてその風格自体が音楽的な感興を携えて胸に迫るのです。
 第1楽章は、軽快に3拍子を刻むのではなく、拍節感を音楽の底流でしっかり脈打たせて、根底から推進力を与えるという奥深い配慮!ごく中庸のテンポでの進行に圧倒的な風格を感じさせる要因は、その辺にあるのかもしれません。2:04や4:09ではティンパニがいかに音楽の肝として作用しているか思い知らされるはず。展開部では、各声部の連動力が尋常ではなく、他の演奏ではなかなか感じられない精神の高揚を明確に突きつけます。第2楽章も、センス満点のインテンポ進行。楽章結尾でもリタルダンドなどしません。
逆に、第3楽章冒頭でごくわずかにテンポが粘るのには、唸らされます。このわずかな粘り腰があるのとないのとを想像してみてください。中間部は録音の良さとも相まって、単なる素朴さを超えた広大な空間を現出。終楽章は、全曲の締めに相応しい安定感抜群のテンポに乗せて、作曲家への揺るぎない敬愛を誠実に注入し尽くした演奏で、これ以上何を求められましょう!
 メンデルスゾーンは描写力の凄さに感服。と言っても決して絵画的なそれではなく、あくまでも音の構築による陰影によってドラマを導くく手法。地味ながら着実な歌心と共に、劇場経験の豊富さも大いに発揮された名演です。【湧々堂】

Treasures
TRE-249(2CDR)
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱つき」*
フリードリヒ・ヴィット (1770-1836):イエナ交響曲.ハ長調
コリー・ベイステル(S)
エリザベス・プリッチャード(C.A)
デイヴィッド・ガレン(T)
レオナルド・ヴォロフスキ(Bs)
ワルター・ゲール(指)
ネーデルラントPO&cho

録音:1955年*、1952年(共にモノラル)
※音源:Musical Masterpiece Society MMS-2034*、 MMS-2034F
◎収録時間:67:11*+21:18
“伝統的な演奏スタイルを洗い流すことで顕在化した希望の光!”
■音源について
ゲールは「第9」を同じコンサートホール・レーベルにフランクフルト放送響とも録音していました。ネーデルラント盤はステレオ・バージョンも存在(モノラルがオリジナル)することから、こちらの方が新しい録音とも思われますが、M.グレイ氏のディスコグラフィではフランクフルト盤が1960年と記載されており、判然としません。
 ボーナス・ディスクには「イエナ交響曲」を収録。ベートーヴェンの習作と考えられていた作品ですが、1957年にベートーヴェンと同時期に活躍したヴィットの作だと判明しました。この録音は偽作と判明する以前に行われたので、もちろんヴィットの記載はどこにもなし。気合の入った演奏ぶりからも何の疑いもなくベートーヴェンの作品として録音に臨んだものと思われます。使用LPは共にMMS-2034ですが、こちらは結尾にFが付いているフラット盤です。

★この「第9」を高尚な芸術作品然とした音楽ではなく、より人間の本質に肉薄する音楽、ベートーヴェンの意思に叶う音楽として再現することを これほど本気で目指した例も珍しいのではないでしょうか?
第1楽章冒頭トレモロから曖昧さはなく、気合十分。往年の独墺系指揮者のような重厚さやテンポ・ルバートの多用から解き放った立体的な構築を土台として、全てのフレーズに共感の限りを尽くします。提示部最後の3:56からのリズムの高潔さと意志力はジョージ・セルよりも優り、7:43からは噴射力が凄まじく、弦のトレモロをはじめ、全パートが必死。過剰に音像を肥大化させずに、一途に突進するコーダは、毅然と生きる決意表明のよう。
 第2楽章も推進力に一切淀みなし。ホルンの被せ処理を行わないのも、慣習的な演奏スタイルを洗い直そうとする意志の表れで、レイボヴィッツ等にも共通する先鋭的な姿勢が窺えます。ここまでイン・テンポを基調として来た中、トリオ後の後半でわずかにテンポを落として、リズムの重心も落とすのは実に意味深長。
 第3楽章の敬虔な祈りを湛えた名演は数々ありますが、ゲールの祈りは単なる雰囲気ではなくまさに迫真。「田園」の終楽章の様に清々しテクスチュアに希望の実現を確信する力が融合。しかもここで遂に人間的な温もりを持つフレージングの注入させるという意外さも手伝って、他では味わえない感動を届けてくれます。
 終楽章は一気呵成の突進のように見えて、決して浮足立った響きにしないのは流石。4:20からの弦の高潔美もさることながら、5:06からのテーマ斉奏には渾身の歌が注入されており、この後の合唱と対等の存在感を示しています。しかも、フレーズ結尾の5:49をスタッカートで切り上げるという離れ業まで!10:11からのマーチのリズムの良さや、19:15から突如低速モードに転じて戦慄を呼ぶなど、とにかく表現に妥協がありません。
 独唱陣の歌唱が高水準なのも嬉しい限り。21:51からの四重唱では各人の一歩も引かぬ表現の応酬を見せ、それが強烈な説得力を持つのは、4人共自身の技術と音楽性に自負を持っている証し。そしてコーダは、たがを外す寸前まで歓喜を爆発させるのです! 【2020年12月・湧々堂】


Treasures
TRT-016(1CDR)
R・シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」
チャイコフスキー:交響曲第5番*
ロリン・マゼール(指)VPO

録音:1964年5月4-6日、1963年9月13-14&6-18,20日* (全てステレオ)
※音源:LONDON CS-6376、CS-6376*
◎収録時間:61:48
ウィーン・フィルの伝統美とマゼールの才気が融合したスパイシーな名演!”
■音源について
米LONDONはイギリス・プレス。初期盤SXLでなければならない決定的な理由が見当たらず、音楽のスケール感を余すことなく伝えていると思います。

★第1楽章冒頭の2本のクラリネットがフレーズ結尾(0:19〜)で一本のみを残しているように聞こえ、レガート風に仕上げるところから早速マゼール独自の美学が顔を出し、ロシア趣味とは異なる哀愁を漂わせます。第1主題では管楽器に対して色彩的な背景表出の任務を確実に与え、音像の弛緩を回避。こういう他の指揮者とは目の付け所が違うという点だけで「衒い」と受け取る人もいるようですが、慣習に囚われず音楽の魅力を徹底的に引き出そうとするマゼールの姿勢は、作品への真の共感の証しと言え、どうして白眼視などできましょう。パンチの効いたティンパニ強打も効果絶大。第2楽章はウィンナ・ホルンの魅力を堪能させた後、緊張が緩みやすい6:06あたりからは陰影の濃いフレージングに淀みはなく、緊張感も持続。7:07からの重心を落とした歩みは、ウィーン・フィルだから実現した風格美に結実。終楽章は、ややオンマイク気味の録音がプラスに採用。金管も弦もソリッドな立ち上がりが見事に捉えられており、マゼールの熾烈なアプローチが赤裸々に再現されて痛快です。注目すべきは、採用しているテンポ。高速で煽るスタイルを取らないのは、音と音との空白に詰め込みたい要素が豊富にあるという証拠で、実際に中庸のテンポ感の中でメリハリの効いたニュアンスを敷き詰めて最後まで聴き手を飽きさせないのです。溢れんばかりのイマジネーションを統合しながら全体をバランス良く構築できるだけでなく、聴き手に良い音楽を聴いたというじ実感を確実に与えてくれたマゼールという指揮者、決して頭脳明晰なだけではなかったのです。 
 なお、特に終楽章において、金管が唐突にオンマイク気味で聞こえる箇所がありますが、メータのリスト:「前奏曲」やワーグナーでも同様の現象が見られましたので、録音会場のソフィエンザールの特性か、録音の方式に起因するものと思われます。【2020年10月・湧々堂】

Musicaphon
M-56915(1CD)
マーラー:交響曲第2番ハ短調「復活」(ヘルマン・ベーンによる2台ピアノ版)(1895) クリスティアーネ・ベーン(P)、マティアス・ウェーバー(P)、ダニエラ・ベヒリー(S)、イリス・フェルミリオン(A)、
クラウス・バンツァー(指)、
ハルヴェステフーデ室内cho

録音(ライヴ):2008年11月、ライスハレ小ホール(ドイツ、ハンブルク)
マーラーの親しい友人であったベーンは、ブルックナーとラインベルガーに作曲を師事したドイツの音楽家。ベーンはマーラーの音楽を評価しており、その普及のため、特に金銭的な面でできる限りの支援を行いました。例えば、1895年12月13日にベルリンで行われた交響曲第2番の全曲初演のために、ベーンは費用の多くを負担したといいます。一方、マーラーもベーンの作曲、特に歌曲集に感銘を受けていました。
完成した交響曲第2番の原稿を預かることになったベーンは、マーラーに内緒で2台ピアノ用編曲を行ったため、旅行から帰ってきたマーラーはベーンの編曲に驚き、感激したそうです。マーラーはベーンの家で最初の3楽章を一緒に弾いています。その後この編曲版はヘルマン・ベーンの子孫であるクリスティアーネ・ベーンによって再発見され、2008年11月17日、ベーンの出身地ハンブルクでの初演が行われました。本アルバムはその際の演奏を録音(世界初録音)したものです。マーラーとベーンのエピソードに思いを馳せながら味わいたい1枚です。
Musicaphon
M-56974(1CD)
マーラー:交響曲第4番ト長調
(エルヴィン・シュタインによる室内楽版)(1921)
イザベル・ソコヤ (Ms)、
ダニエル・カフカ(指)、
アンサンブル・オルケストラル・コンタンポラン

録音:2014年12月5日−6日、シャトー・ド・ブテオン(フランス)
20世紀初頭のウィーンでシェーンベルクによって旗揚げされた音楽団体、私的演奏協会(Verein fur musikalische Privatauffuhrungen)では、マーラーやブルックナーのオーケストラ作品が室内楽編成に編曲され、音楽愛好家たちによって楽しまれていました。シェーンベルクの友人、門人であったエルヴィン・シュタインは、私的演奏協会の設立に携わり、同団体のためにさまざまな編曲版を用意したオーストリアの作曲家です。本アルバムに収録されている交響曲第4番の室内楽版編曲は1921年に行われ、楽器編成は木管楽器、弦楽五重奏、打楽器、ハルモニウム、ピアノとなっています。当時、マーラーの交響曲のように規模が大きく、特殊な楽器を必要とする作品は、費用の面からもなかなか演奏機会に恵まれず、より小さな編成への編曲はとても重要でした。現代においては、作品に対する新たな洞察を提供してくれる貴重な存在となっています。原曲の音楽的なメッセージを歪めることのない、シュタインの編曲の巧みさが伝わってくる演奏です。

MUSICAPHON
M-56936(1SACD)
ブラームスVol.1〜後期ロマン主義
ブラームス:交響曲第1番ハ短調 Op.68
R.シュトラウス:死と変容 Op.24
ロマン・ブログリ=ザッヒャー(指)、
リューベックPO

録音:2010年9月&2012年6月
スイス出身の名指揮者ロマン・ブログリ=ザッヒャー(1966-)と、彼が音楽監督を務めたドイツの歴史あるオーケストラ、リューベック・フィル(1897年創設)による見事なブラームス・ツィクルス!ブログリ=ザッヒャーは2001年からハンザ都市リューベックの音楽監督に就任し、2007年から2013年まで、リューベック歌劇場の音楽監督を7年間務めた実力派の指揮者です。(ブログリ=ザッヒャーの後は沼尻竜典が、2019/2020シーズンからはシュテファン・ヴラダーが就任)歌劇場の音楽監督時代に行った「ニーベルングの指環」上演&DVD製作のプロジェクトは各界より非常に高く評価され、2012年のドイツECHO賞を受賞しました。本ツィクルスでは、ロマン派らしさを打ち出した正統派の演奏で、堂々たるブラームスを描いています。音の質感をしっかりと捉えた優秀録音にもご注目ください。
ブログリ=ザッヒャー&リューベック・フィルによるブラームスの交響曲ツィクルスは「リューベック・フィルハーモニック・ライヴ」シリーズの一環でもあり、本アルバムはシリーズの第12巻にあたります。このツィクルスの特徴は、ブラームスの交響曲と、アルバムのテーマに沿った別の作曲家の作品を組み合わせ収録している点にあります。本アルバムのテーマは「後期ロマン主義」で、ブラームスの「交響曲第1番」に、R.シュトラウスの傑作「死と変容」をカップリングしています。「死と変容」もメインのブラームスに劣らぬ感情たっぷりの熱演となっており、見逃せません。
MUSICAPHON
M-56947(1SACD)
ブラームスVol.2〜哀愁を帯びたスイス
ブラームス:交響曲第2番ニ長調 Op.73
シェック:ヴァイオリン協奏曲変ロ長調「幻想曲風」Op.21(幻想曲風協奏曲)
ロマン・ブログリ=ザッヒャー(指)、
リューベックPO、カルロス・ジョンソン(Vn)

録音:2011年1月
スイス出身の名指揮者ロマン・ブログリ=ザッヒャー(1966-)と、彼が音楽監督を務めたドイツの歴史あるオーケストラ、リューベック・フィル(1897年創設)による見事なブラームス・ツィクルス!ブログリ=ザッヒャーは2001年からハンザ都市リューベックの音楽監督に就任し、2007年から2013年まで、リューベック歌劇場の音楽監督を7年間務めた実力派の指揮者です。(ブログリ=ザッヒャーの後は沼尻竜典が、2019/2020シーズンからはシュテファン・ヴラダーが就任)歌劇場の音楽監督時代に行った「ニーベルングの指環」上演&DVD製作のプロジェクトは各界より非常に高く評価され、2012年のドイツECHO賞を受賞しました。本ツィクルスでは、ロマン派らしさを打ち出した正統派の演奏で、堂々たるブラームスを描いています。音の質感をしっかりと捉えた優秀録音にもご注目ください。
ブログリ=ザッヒャー&リューベック・フィルによるブラームスの交響曲ツィクルスは「リューベック・フィルハーモニック・ライヴ」シリーズの一環でもあり、本アルバムはシリーズの第13巻にあたります。このツィクルスの特徴は、ブラームスの交響曲と、アルバムのテーマに沿った別の作曲家の作品を組み合わせ収録している点にあります。本アルバムのテーマは「哀愁を帯びたスイス」で、ブラームスの「交響曲第2番」に、20世紀に活躍したスイスの作曲家オトマール・シェックの「幻想曲風協奏曲」をカップリングしています。この作品は若き日のシェックが想いを寄せたハンガリーの女流ヴァイオリニスト、シュテフィ・ゲイエルに捧げられたもので、抒情と情熱を兼ね備えたスイス・ロマン派の知られざる傑作です。
MUSICAPHON
M-56950(1SACD)
ブラームスVol.3〜交響的な古典主義
ブラームス:交響曲第3番ヘ長調 Op.90
モーツァルト:協奏交響曲変ホ長調 KV.364
ロマン・ブログリ=ザッヒャー(指)、
リューベックPO、マユミ・ザイラー(Vn)、
ナオミ・ザイラー(Va)

録音:2012年6月
スイス出身の名指揮者ロマン・ブログリ=ザッヒャー(1966-)と、彼が音楽監督を務めたドイツの歴史あるオーケストラ、リューベック・フィル(1897年創設)による見事なブラームス・ツィクルス!ブログリ=ザッヒャーは2001年からハンザ都市リューベックの音楽監督に就任し、2007年から2013年まで、リューベック歌劇場の音楽監督を7年間務めた実力派の指揮者です。(ブログリ=ザッヒャーの後は沼尻竜典が、2019/2020シーズンからはシュテファン・ヴラダーが就任)歌劇場の音楽監督時代に行った「ニーベルングの指環」上演&DVD製作のプロジェクトは各界より非常に高く評価され、2012年のドイツECHO賞を受賞しました。本ツィクルスでは、ロマン派らしさを打ち出した正統派の演奏で、堂々たるブラームスを描いています。音の質感をしっかりと捉えた優秀録音にもご注目ください。
ブログリ=ザッヒャー&リューベック・フィルによるブラームスの交響曲ツィクルスは「リューベック・フィルハーモニック・ライヴ」シリーズの一環でもあり、本アルバムはシリーズの第14巻にあたります。このツィクルスの特徴は、ブラームスの交響曲と、アルバムのテーマに沿った別の作曲家の作品を組み合わせ収録している点にあります。本アルバムのテーマは「交響的な古典主義」で、ブラームスの「交響曲第3番」に、モーツァルトの「協奏交響曲」をカップリングしています。ヴァイオリンとヴィオラのソロは、4姉妹のSQ、ザイラー・クァルテットでも有名なマユミ・ザイラーとナオミ・ザイラーが担当。骨太のオーケストラをバックに繰り広げられる協奏が聴きものです。
MUSICAPHON
M-56954(1SACD)
ブラームスVol.4〜ヴィルトゥオーゾ・モダニティ
ブラームス:交響曲第4番ホ短調 Op.98
ツィンマーマン:トランペット協奏曲「誰も知らない私の悩み」
ロマン・ブログリ=ザッヒャー(指)、
リューベックPO、
ラインホルト・フリードリヒ(Tp)

録音:2012年6月
スイス出身の名指揮者ロマン・ブログリ=ザッヒャー(1966-)と、彼が音楽監督を務めたドイツの歴史あるオーケストラ、リューベック・フィル(1897年創設)による見事なブラームス・ツィクルス!ブログリ=ザッヒャーは2001年からハンザ都市リューベックの音楽監督に就任し、2007年から2013年まで、リューベック歌劇場の音楽監督を7年間務めた実力派の指揮者です。(ブログリ=ザッヒャーの後は沼尻竜典が、2019/2020シーズンからはシュテファン・ヴラダーが就任)歌劇場の音楽監督時代に行った「ニーベルングの指環」上演&DVD製作のプロジェクトは各界より非常に高く評価され、2012年のドイツECHO賞を受賞しました。本ツィクルスでは、ロマン派らしさを打ち出した正統派の演奏で、堂々たるブラームスを描いています。音の質感をしっかりと捉えた優秀録音にもご注目ください。
ブログリ=ザッヒャー&リューベック・フィルによるブラームスの交響曲ツィクルスは「リューベック・フィルハーモニック・ライヴ」シリーズの一環でもあり、本アルバムはシリーズの第15巻にあたります。このツィクルスの特徴は、ブラームスの交響曲と、アルバムのテーマに沿った別の作曲家の作品を組み合わせ収録している点にあります。本アルバムのテーマは「ヴィルトゥオーゾ・モダニティ」で、ブラームスの「交響曲第4番」に、ドイツの現代音楽作曲家、B.A.ツィンマーマンのジャズとコンチェルト様式を融合させた「トランペット協奏曲」をカップリングしています。そしてトランペットは世界的名手、ラインホルト・フリードリヒ。その圧倒的なテクニックにも要注目です!
MUSICAPHON
M-56942(2SACD)
オネゲル:交響曲全集
交響曲第1番/交響曲第2番*
交響曲第3番「典礼風」
交響曲第4番「バーゼルの喜び」
交響曲第5番「3つのレ」
ロマン・ブログリ=ザッヒャー(指)、
リューベックPO、グィド・セゲレス(Tp)*

録音:2008年-2010年
1960年頃にベーレンライター社のレコード部門として設立され、1994年にドイツの音楽学者ライナー・カーライス博士に引き継がれ、着実にリリース点数を増やしてきたドイツ、カッセルのレーベル「Musicaphon(ムジカフォン)」の取り扱いを開始します。
スイス出身の名指揮者ロマン・ブログリ=ザッヒャー(1966-)と、彼が音楽監督を務めたドイツの歴史あるオーケストラ、リューベック・フィル(1897年創設)による
オネゲルの交響曲全集!1892年にスイス人の両親のもとルアーヴルに生まれたオネゲルは、フランス語圏とドイツ語圏の文化を融合させた作曲家であり、その生涯を通じて、最も魅力のある音楽家のひとりでした。さまざまなスタイルに対する関心と才能、自作をドイツ・ロマン派の伝統と結びつけようとする意志と能力、そして新しいテーマと形式を探求する勇気が、オネゲルの作品を特徴づけています。オネゲルの若い頃からの最大の影響は、ワーグナー、レーガー、R・シュトラウスといった後期ロマン派のドイツ音楽でした。また彼がダリウス・ミヨーと共にアンドレ・ジェダルジュのレッスンを受け、大バッハの複雑な和声とポリフォニックの豊かさを学び、後に自作に取り入れていったことも忘れてはなりません。ドイツ音楽の流れを汲みながらも、いかにもモダンに作曲された彼の5つの交響曲を、ブログリ=ザッヒャーの真摯な演奏でじっくりとお楽しみください。
ブログリ=ザッヒャーは2001年からハンザ都市リューベックの音楽監督に就任し、2007年から2013年まで、リューベック歌劇場の音楽監督を7年間務めた実力派の指揮者です。(ブログリ=ザッヒャーの後は沼尻竜典が、2019/2020シーズンからはシュテファン・ヴラダーが就任)歌劇場の音楽監督時代に行った「ニーベルングの指環」上演&DVD製作のプロジェクトは各界より非常に高く評価され、2012年のドイツECHO賞を受賞しました。

FUGA LIBERA
FUG-764(1CD)
ヘンドリク・アンドリーセン(1892-1981):苦痛の鏡
ベルリオーズ:幻想交響曲
クリスティアンネ・ストーテイン (Ms)
ドミトリー・リス(指)
南オランダPO

録音:2017年10月27、28日/2019年4月5、6日
アイントホーフェン音楽堂、フライトホフ劇場(マーストホフ)
ライヴ・拍手入り
リンブルフSOとブラバントOが合併し2013年に誕生した、南オランダPO(南ネーデルラント・フィルハー モニーO)。2016-17年のシーズンより当団初の首席指揮者を務めるドミトリー・リスとの3枚目のアルバム。「幻想交響曲」に、20世 紀オランダの作曲家・オルガニスト、ヘンドリク・アンドリーセンが、フランスの詩人・劇作家アンリ・ゲオン(1875-1944)の「イエスの鏡」から「苦 痛の鏡」に曲を付けた歌曲集を収録。キリストの受難の物語のうち逮捕から死までを描いた「苦痛の鏡」は、声楽とオルガンのために書かれた 作品の伴奏を弦楽合奏に書き改めたもの。ゆったりとした弦に乗ってメゾ・ソプラノが切々と歌い上げ、苦痛そのものというよりはその癒しまでを 表現するかのようなたいへん美しい作品で、これまでベイヌムによる録音のほかはあまり知られていないのが、実にもったいない佳曲です。メゾ・ ソプラノのクリスティアンネ・ストーテインは、自身の出身である音楽王国オランダを中心に多くの名手たちと共演を続けており、ここでもその繊 細な表現力と安定した声量で作品を引き立てています。「幻想交響曲」もこけおどしは微塵も感じさせない演奏で、第2楽章で加えられたコ ルネットを始め各パートを極端に強調することなく、大オーケストラを隅々まで生かし、全体をパレット上で絵具を混ぜるがごとく溶け合わせな がら、作品の色彩感と狂気を実に巧みに描きあげています。

Velut Luna
CVLD-304(1CD)
マーラー:交響曲第1番「巨人」 パドヴァ・C・ポッリーニ音楽院SO
ジュリアーノ・メデオッシ(指)

録音:2018年3月25日、ライヴ。アウディトリウム・ポッリーニ、パドヴァ、イタリア


Treasures
TRE-221(1CDR)
A・ギブソン〜シベリウス&ドヴォルザーク
シベリウス:組曲「クリスティアン2世」
ドヴォルザーク:序曲「謝肉祭」*
交響曲第9番「新世界より」*
アレクサンダー・ギブソン(指)
スコティッシュ・ナショナルO、LPO*

録音:1966年頃、1967年1月27-28日*
※音源:英HMV HQS-1070、World Record Club ST-650*
◎収録時間:72:32
“「ケレン味のなさ」が凡庸と同義ではないことを実証する恰好の名演!”
■音源について
ドヴォルザークは、ワールド・レコード・クラブのオリジナル録音。ギブソンは、「謝肉祭」を1959年(Reader's Digest)にも録音していました。

★ギブソンの音楽表現の最大の魅力は「素直さ」だと思います。品良く振る舞おうと か、立派に響かせようなどといった計算を用いずとも、持ち前の感性とセンスで音楽が最 も光るツボを瞬時に察知する能力一本で勝負できた稀有な指揮者だったのではない でしょうか?このタイプの演奏家は、個性と主張に欠けることをオブラートに包んで「ケレン味のない」と形容されることがありますが、ギブソンの場合は一見模範的でありながら、単に凡庸なだけの演奏とは一線を画します。日本ではまともに紹 介されませんでしたが、ステレオ初期からの膨大な録音は、そのいずれにも澄み切 った響きと瑞々しい情感が息づいているので、聴後には全身の血液が浄化さ れたような清々しさを覚えることもしばしば。
 そんなギブソンが再現する「謝肉祭」は、単なる喧騒に陥らないのは言うまでも ありません。瑞々しさの点では小澤&サンフランシスコ盤が忘れられませんが、ギブソ ンは更にテクスチュアの透明さと風格美で優ります。タンバリンが明確に打ち込まれるのも痛快。第2主題も決して表面的ではなく、真に身を焦がすような節回し。 中間部は、静謐美の中にも意外なほど深い呼吸が脈打つ点にご注目を。5:56から のチューバの唸りのリアルさは比類なし。コーダは安易な加速に走らず、音楽を芯から着実に加熱させるので、音楽がしっかり体内に根付いたような満足感を得られることでしょう。
 「新世界」も声部の見通しが効いた清潔な音彩感覚が冴え渡る名演。第1楽章だけでもひしひしと伝わるのは、オケの各奏者の本気度!伸び伸びと各自の音楽を奏でているようでいて、気づくとギブソンの導く方向へ突き進んでいるかのよう。
 第2楽章後半(8:28〜)では、ハーモニーが澄み渡っているだけでなく、破格のバランス力も発揮。この高揚感の中で響きがズブズブになる例がいかに多いことか。
 終楽章では、どんな名指揮者でもちょっとした瞬間に響きが平板になったり、音楽の骨格が脆弱になったりするものですが、その危険性がここでは皆無。また、特に4:28あたりからは主題の回想が頻出するせいか緊張が緩みがちですが、その回想のたびに微妙に色彩を変えて淀みを回避しているのは流石という他ありません。もちろんそこには少しのあざとさもなく、これぞ指揮者の矜持と言うべきでしょう 。また、8:55からの盛り上がりでは、高揚の到達が曖昧なことが多い中、ここでは盤石の着地を果たしているのもお聴き逃しなく。 【湧々堂】


Treasures
TRT-015(1CDR)
サージェント/ショスタコーヴィチ&チャイコフスキー
ショスタコーヴィチ:交響曲第9番
チャイコフスキー:交響曲第5番*
マルコム・サージェント(指)LSO

録音:1959年10月27年、1959年5月20日&6月3日*(共にステレオ)
※音源:米EVEREST_SDBR-3054、日Victor_SRANK-5507*
◎収録時間:71:06
■音源について
サージェントが遺したショスタコーヴィチのセッション録音はこれが唯一。チャイコフスキーは、1955年に続く2回目の録音。ジョン・ハントのディスコグラフィでは1960年の録音と記されていますが、これは初出年と思われるので、ここではショスタコーヴィチ共々、マイケル・グレイ氏のディスコグラフィの表記に従っています。

この「チャイ5」の演奏は、粗悪プレスによる米LPの音で初めて知りました。世間にCDメディアが出現して間もなくCD化され、クリアに刷新された音による新たな発見を期待したのですが、結果は、サージェントは「汚い音を出す人」と印象付けただけ。しかも、シルヴェストリやバティスのように表現欲が旺盛過ぎて、感覚的な美感が後退したのとは違い、ただ「無意味に汚い」としか思えず、もしかしたら、その背後には表面化していない魅力が隠されているのではないか?と妄想するしかありませんでした。
 そして出会ったのが、この良質LPの復刻盤。聴いて驚いたのは、汚いと感じていた音色がむしろ研ぎ出しの木のような素朴さとして伝わり、そこにサージェントのどこかに気の置けない人間臭さとひたむきさが加味されていること。スケール感もあり、心からの歌もあり、色彩的にも独自のカラーで一貫。第2楽章ラストなど徹底して楷書風ですが、真のリリシズムに溢れていて、単に「無意味」と一蹴することはできないという思いに至りました。
 ただどうしても解せないのは、必然性皆無の大幅なカット!同じく展開部にカットを施した他の例(ケンペン、セル=ケルン放送響,等)と異なり、サージェントはやや短いカットに止めてはいますが、緊張感が緩いせいもあって、接続部分の連動が不自然なことは否めません。しかも大胆にも、471小節の全休止後、運命動機の再現を18小節に渡ってごっそりカットするメンゲルベルク版まで持ち込んでいますが、これもメンゲルベルクの強烈な確信力には遠く及びません。
 こうしたカットの問題もなく、作品の性格からも、サージェントの「緩さ」がむしろ味となっているのがショスタコーヴィチ。第1楽章のゆったりとしたテンポ感が素っ頓狂な雰囲気を醸し出し、第2,4楽章も暗い陰影や深刻さよりも滑らかなフレージングを重視し、他にはない後味を残します。
 サージェントは、プロムスの名物男として聴衆の絶大な人気を集めていたとは裏腹に、オケからは二流の烙印を押され、ビーチャムの後任のロイヤル・フィルのシェフ候補として彼の名が挙がったときも、そうなったら辞めると言った団員が続出したとか。サーの称号を授かりながらそのような扱いをされた彼の真の芸風は、もしかしたら英国以外のオケとの共演なら何か見えてくるかもしれません。オケから好かれている指揮者が必ずしも良い指揮者というわけではないのですから。【湧々堂】
 →「チャイ5」の詳細レヴュー


Treasures
TRE-219(1CDR)
A・ギブソン〜若き日のシベリウス録音
「カレリア」序曲/交響詩「吟遊詩人」
組曲「歴史的情景」〜「祭り」
カレリア組曲*
交響曲第5番変ホ長調Op.82*
アレクサンダー・ギブソン(指)
スコティッシュ・ナショナルO、LSO*

録音:1966年頃、1959年2月9-10日*(全てステレオ)
※音源:英HMV:HQS-1070、英RCA VICS-1016*
◎収録時間:66:00
“自然体の音作りに孕む瑞々しい感性と熱情!”
■音源について
交響曲のレコードは英デッカ・プレス。ジャケ・デザインは米盤より。

★ステレオ初期から大量の録音を行いながら、CD時代になってCHANDOSレーベルに登場するまでは日本ではきちんときちんと認識されないままだったギブソン。それだけに、知られざる名演を発掘する頻度は他の指揮者とは桁違いです。ここに紹介するシベリウスも例外ではありません。
 特に交響曲第5番は、紛れもなく同曲屈指の名演!ロンドン響の機能美も手伝って、音の隅々まで意思を張り巡らせたサウンドに一切淀みなし。牧歌風のスケルツォ主題に入る前の瑞々しさと緊張感の融合、堂に入った呼吸は、もはや巨匠芸。トランペットによるトリオ主題以降はLSOの精妙なアンサンブル自体が物を言い、自然発火的なコーダへの疾走へと見事に連動させています。
 決して作り込みすぎないギブソンの素朴な表現が生きているのが第2楽章。弦が変奏を繰り返す中、管楽器が確実に背景の色彩を操る様は要注目。
 終楽章はホルンのモチーフの技術力と色彩的な魅力が不可欠ですが、この演奏はまさに盤石。また、4:25以降の弦のスフォルツァンドを意味深く響かせるには音程の正確さが大前提ですが、その技術が決して前に出ることなく、音楽的ニュアンスのみが伝わるので味わいもひとしお。そして感動的なコーダ!この僅かな雑味を含んだ音の広がりに、シベリウスの醍醐味を感じる方も多いはずです。
 「吟遊詩人」も無視できない感動作!音の色彩感、ひんやりとしたテクスチュア、甘美な抒情の漂よいなど、これほど正鵠を得た解釈が他にあるでしょうか?ホールトーンと融合した冒頭ハープの艶やかさから心釘付け。他の空気感なありえないと思わせる説得力です。
短い走句のコラージュ風でありながら、全体に通底する深々とした呼吸感も絶妙で、後半の壮大な音像の築き方にはその特質が凝縮されています。ここで、盛り上げようとする意図が露呈していたら、さぞ興が削がれていたことでしょう。
 名盤ひしめくカレリア組曲も、当時のギブソンの瑞々しい感性が溢れた名演奏。あくまでも純朴路線ながら、フレージングは常に温かな共感と共にあるので、音楽が野暮に響くことがありません。第2曲はしっとりと歌わせるだけでそれなりの雰囲気は出ますが、かすかな心のざわめきを滲ませるこの感覚は、シベリウスの真の第一人者である証し。第3曲をいかつい行進曲にせず、程よく力の抜けた愉悦感を引き出すところにも、ギブソンのセンスが光ります。【湧々堂】


WEITBLICK
SSS-0241(1CD)
ブルックナー:交響曲第8番ハ短調 エフゲニ・スヴェトラーノフ(指)
エーテボリSO

録音:1992年9月17日エーテボリ・コンサートホール,ライヴ
"最晩年の一歩手前で成し遂げた理想のブルックナー"
スヴェトラーノフ 2 種目のブル8が登場。しかも音盤では初顔合わせと なるエーテボリ響客演ライヴ。ロシア響とのメロディア盤は 1981 年でした のでほぼ 10 年後の演奏です。エーテボリ響もヤルヴィ時代の充実期で 立派な演奏を聴かせます。エーテボリのコンサートホールは音響の良さ で知られますのでクリアなサウンドを聴かせます。ロシア響はかなり金管を 強調させた激演でしたが、こちらは弦楽器を生かしたオーソドックスな名 演。スヴェトラーノフのもう一つの魅力である神経の細やかさを聴きとれる ことでしょう。第3 楽章冒頭の弦楽器の刻みは驚くほどの繊細さ。1992 年 というとまだまだ元気いっぱいでエネルギッシュな巨匠。最晩年の巨象の 歩みのような遅いテンポによる解釈ではなく運動神経抜群な切り返しも見 せます。90 年代のスヴェトラーノフは東京でチャイコフスキー交響曲全曲 演奏会を開き同時にライヴ録音して一気に評価を高めた時期です。 はやしひろし氏による書下ろしライナーノート付(英訳あり)。
これはスヴェトラーノフの最晩年の境地に至る手前の録音である点がポイント。カロリーに満ち溢れた超重量級のサウンドを期待すると肩透かしを食らうこと必至。ブルックナー特有の敬虔さを邪魔することなく、スヴェトラーノフ自身の個性はブルックナーの背後に置くことで、あくまでもブルックナーの音楽の味わいを再認識させる演奏に仕上がっています。
 最も感動的なのは第3楽章!8:42以降の色彩の陰影の濃さはスヴェトラーノフの独壇場ですが、それでもブルックナーの音楽から逸脱しない絶妙なバランス感覚を発揮。15:57以降の大音量も決して放射型ではなく、作品の根幹から目を逸らさない思慮深さと集中力が見事な緊張を孕んだ音像を築きます。
終楽章の第3楽章3:52からのリズムの刻み方は、クナッパーツブッシュとは対象的な軽妙さながら、軽薄なノリとは無縁。しっかりとブルックナーに寄り添う共感が息づいているのです。
 全体的に、ティンパニの響きが突出しすぎないように絶妙な距離感で録音されている点も、名演として結実した大きな要因と言えましょう。【湧々堂】


Treasures

TRE-207(1CDR)
アンセルメ〜ベートーヴェン厳選名演集Vol.2
ベートーヴェン:序曲「レオノーレ」第2番
交響曲第3番「英雄」*
エルネスト・アンセルメ(指)
スイス・ロマンドO

録音:1960年1月4-17日、1960年4月5-11日*(全てステレオ)
※音源:米LONDON_CS-6184、英DECCA SDD-103*
◎収録時間:62:07
“理性よりも衝動!全身全霊でベートーヴェンの声を代弁!!
■音源について
ティンパニがどのように響くかによって、その録音の良し悪し、と言うより「魂に響く音」か否かを左右してしまうことが多々あります。特にティンパニ・パートが巧妙に書かれているベートーヴェンの作品においては尚更のこと。しかし、過去にCD化されたアンセルメのベートーヴェンのティンパニの音はどれも微温的で、マレットが皮に触れている様子が目に浮かぶ瞬間など皆無と言えます。ここではSXL盤ではなく、あえて劣化が少ない後発のSDD規格(ラージ・溝)を採用することによって、その生々しい奏者の息遣いが感じられます。終楽章最後のティンパニの最強連打は、大地が急激に隆起したような衝撃で、既存CDでは味わえません。米LONDONはもちろん英国プレス。

★既に申し上げたとおり、アンセルメの特徴である作品と一歩距離を置いた知的なアプローチは、ベートーヴェンに限っては封印。生身の人間の衝動を注入することが何より最優先されます。この「英雄」も「レオノーレ」第2番もそれを実証するのに十分な熱き名演です!これほど熱気溢れる演奏がセッション録音で実現したということ自体驚きです。
 「英雄」第1楽章冒頭の打ち込みからして、感覚的な美観は二の次の入魂ぶり。展開部5:24の怒りのティンパニやコーダの高揚感は、何度聴いても鳥肌が立ちます!
 第2楽章は、テンポ運びにもハーモニーにも曖昧さや混濁感がないのはアンセルメならではですが、その明晰さを大きな愛で包み込み、決して外へ発散されません。9:25のトランペットの強烈な張り出しは、まさに神の警告。
終楽章の推進力は、まるでライヴのよう。集中力が切れる素振りなど全く見せず、常に意思が凝縮した音が脈打ち続けます。コーダのティンパニは、全てを脱ぎ捨てた大放射!その威力と眩しさは、間違いなく史上トップクラスです!
 「作曲家の意思に忠実」を標榜する演奏は数々あれど、どれもこれも「ベートーヴェンはこう言っています」という「紹介」の域を出ず、ベートーヴェンと同化するところまで踏み込んだ演奏は意外と少ないという現実を考えると、ベートーヴェンの真の代弁者は自分だ!という強烈な使命感を持って主張し尽くすアンセルメのベートーヴェン解釈は、無視してよい理由などどこにもないはずです!【湧々堂】


Treasures
TRE-213(1CDR)
ラインスドルフ/モーツァルト:交響曲集
交響曲第36番「リンツ」
交響曲第41番「ジュピター」*
エーリヒ・ラインスドルフ(指)
ボストンSO

録音:1967年12月22日、1963年1月6日*(ステレオ)
※音源:英RCA CCV-5050、日VICTOR SHP-2307*
◎収録時間:73:33
“音楽における「豊かさ」とは何か?その答えがここに!”
■音源について
★ラインスドルフが若い頃から情熱を傾けてきたモーツァルトへのアプローチの最終結論。「リンツ」は1955年(ロイヤル・フィル)、「ジュピター」は1954年(ロチェスター・フィル)、1955年(ロイヤル・フィル)に録音していました。「ジュピター」は、メリハリの効いた音が刻まれている国内プレス盤を採用しています。

★モーツァルトの天才的な筆致の妙を味わうには、精度の高いオーケストラは不可欠とは言え、セル&クリーヴランド管ではちょっと厳しすぎる…、という方に真っ先にお薦めしたいのがこれ!ラインスドルフは、セル同様、情に欠けると思われがちですが、ここではそんなことは微塵も感じさせません。 オケは決して小編成ではないにもかかわらず、テクスチュアの透明度は極めて高く、ボストン響ならではの欧風サウンドも健在。そこから湧き立つ音の粒を丁寧に紡ぐラインスドルフの眼差しは愛に満ち、ベートーヴェンの交響曲録音での禁欲モードとは好対照。
 特に「リンツ」は空前絶後の素晴らしさ! 第1楽章序奏部、折り目正しい造型から引き出されるハーモニーの何と豊かなこと!主部冒頭の伴奏音型の濁りのなさは、モーツァルト一途な愛を象徴。第2楽章も冒頭から憧れと慈しみの結晶体!0:19からの弦とホルンのユニゾンの美しさは、他の演奏では味わえません。終楽章は声部の解析力の高さが際立ちますが、分析的な冷たさは皆無。それどころか、冒頭ファゴットとの融合では、モーツァルトとしては異例の色彩美さえ漂わせるのです!展開部の声部の連動ぶりも有機性抜群。コーダに進むにつれて表現への気迫は増幅するばかり。テンポ加速ではなく、ただただ緊張感の増幅によってヴィルテージを高める手法の何と鮮やかなこと!
 「ジュピター」もモーツァルトへの敬愛が尋常ではないことを窺わせる名演。中でも第2楽章の美しさは格別で、2:31からの神秘的なニュアンスには言葉を失い、7:14あたりからは神々しささえ立ち昇ります。第3楽章で遅めのテンポを採用した例としてはスウィトナー&ドレスデン盤が有名ですが、凛とした佇まいといい自然な呼吸感といい、このラインスドルフ盤の方が優ります。終楽章も、テンポ自体はワルター&コロンビア響に近いゆったりとしたものですが、繰り広げられるのはアポロ的な世界観。注目すべきはコーダの情報量!単純に第1主題を連鎖させるだけの演奏とは異なる全声部参加型ハーモニーの技をご堪能あれ。なお、最後の締めくくりを完全イン・テンポのまま突き抜けるのは、この頃のラインスドルフの録音に頻出する特徴の一つ。【湧々堂】


NATIONAL SYMPHONY ORCHESTRA
NSO-0001(1SACD)
コープランド:バレエ音楽『ビリー・ザ・キッド』
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」
ジャナンドレア・ノセダ(指)
ワシントン・ナショナルSO

録音:2019年6月、J.F.ケネディ・センター・フォー・ザ・パフィーミング・アーツ・コンサート・ホール(ライヴ)
歌劇の指揮者として、そしてシンフォニー指揮者として世界から高く評価されているジャナンドレア・ノセダ。ノセダが第7代音楽監督を務めるワシントン・ ナショナルSO(ワシントン)の自主レーベルが発足しました!第1弾は「新世界」。カップリングはアメリカのオーケストラにふさわしくコープランドです。 両者は2020年3月に来日を予定しており、初CDと同曲のドヴォルザーク「新世界より」も演奏予定。誕生して早々日本でも注目必至のタイトルの登場です!
ワシントン・ナショナルSOは1931年に創立された “アメリカの大統領府の都市にあるオーケストラ” として存在感を発信し続けています。公式 祝賀行事のほか、ケネディー・センターでの演奏会など、年間150を超える演奏会を行っている、アメリカを代表するオーケストラです。ノセダはワシントン・ ナショナルSOと2011年に初共演、その時にオーケストラの実力に感銘を受けたといいます。2016年のシーズンより音楽監督に就任。2019年 5月の就任後初めて行われたカーネーギー・ホールでの演奏会で、その相性の良さと、オーケストラの底力を引き出すノセダの音楽は大絶賛されました。 歴代指揮者はハンス・キンドラー (1931?1949)、ハワード・ミッチェル (1949?1969)、アンタル・ドラティ (1970?1977)、ムスティスラフ・ロストロ ポーヴィチ (1977?1994)、レナード・スラットキン (1996?2008)、イヴァン・フィッシャー (2008?2009(首席指揮者として))、クリストフ・エッシェ ンバッハ (2010?2016)、そしてジャナンドレア・ノセダが2016年より音楽監督を務めています。
コープランドの「ビリー・ザ・キッド」は大編成のオーケストラ、そして様々なパーカッションも活躍する作品。トランペット・ソロなど、随所に各奏者 の見せどころも盛り込まれた華やかな作品です。「新世界より」はドヴォルザークがアメリカに滞在していた頃に書かれた作品。アメリカのオーケストラの 新しい門出にふさわしい選曲といえるでしょう。演奏はノセダとオーケストラがまさに一心同体となったもの。華やかに眩しく響きわたるサウンドで、聴き 手にせまってきます。 (Ki)

Chateau de Versailles Spectacles
CVS-014(DVD)
NX-D09
『マリー・アントワネット』
ハイドン:交響曲第6番『朝』
交響曲第7番『昼』
交響曲第8番『晩』
交響曲第73番『狩り』
グルック:歌劇『オルフェオとエウリディーチェ』〜「精霊の踊り」

以上より抜粋
メラニー・レヴィ=ティボー(指)
バスクO

収録:2019年3月31日 ヴェルサイユ宮殿旧王立歌劇場
ブックレット:日本語、フランス語、英語、ドイツ語
片面二層ディスク
映像:NTSC 16:9 All Regions
音声:Dolby Digital 5.1 & Stereo
フランスの高級リゾート地ビアリッツを本拠地とするマランダン・バレエ・ビアリッツが、ヴェルサイユ宮殿の歌 劇場でマリー・アントワネットの生涯を表現したバレエを上演しました。使用される音楽はハイドンの交響 曲。衣装と振付は一見トラディショナルなものにコンテンポラリーの味付けを施した斬新なものとなっていま す。ネオクラシカルを代表する一人であるティアリー・マランダンによる独特の動きと映像の美しさを堪能で きます。レーベル製作による日本語解説付き。


Treasures
TRE-209(1CDR)
クリップス〜ベートーヴェン&ブラームス
ベートーヴェン:「フィデリオ」序曲
 「エグモント」序曲
 序曲「献堂式」
ブラームス:交響曲第1番*
ヨーゼフ・クリップス(指)
ウィーン音楽祭O

録音:1962年6月4-5日(ステレオ)
※音源:日Consert Hall SMS-2274、瑞西Consert Hall SMS-2268*
◎収録時間:73:33
“味わい充満!クリップスの意思とオケの意欲が完全調和!”
■音源について
「フィデリオ」と「献堂式」の両序曲は、クリップスのが唯一の録音。「ブラ1」は、1958年のVPOとの録音(TRE-012)に続く2度目の録音。ウィーン音楽祭管弦楽団の実体はウィーン交響楽団ですが、国内盤の解説には、「毎年6月にウィーンで開催されるフェスティヴァルのためのオーケストラ」という記載もあります。ブラームスは、最も高音質と思われるスイスTU盤を採用。その威力は終楽章コーダで実感していただけることでしょう。ベートーヴェンは、数種ある国内盤中でも最も音抜けが良いと思われるコロンビア・プレス盤を採用。

ブラームスは、ウィーン・フィルとの録音から4年も経たないうちに再録音されたものですが、その趣きはかなり違います。共に独特の魅力に溢れているので優劣など付けられませんが、ウィーン・フィルならではに響きにこだわらなければ、むしろ濃密な表現意志力を注がれている62年盤ををお薦めします。
 第1楽章は、荘重なリズムとテンポに乗せて全体が渾然一体と化した響きが見事。そのため、演奏時間もウィーン・フィルより2分程遅くなっています。主部ではティンパニとの融合が素晴らしく、弦の全身全霊を込めた鳴りっぷりも心を揺さぶります。主部以降は、一音一音を丹念に積み上げ、攻撃的でも微温的でもない、真の中庸美を貫徹。
 第2楽章では、とかくウィーン・フィルの二番煎じのように思われがちなウィーン響の固有の魅力を再認識。それはあたかも、クリップスが満足するであろう表現をオケが率先して発しているかのよう。特に夕映えを思わせるホルンの響きは聴きものです。
 終楽章は、まさに熟練技の連続!まず、冒頭の弦のピチカート(0:30〜)が比類なき量感!しかも、単なる誇張ではなく、決然とした意思の塊として迫ります。ホルンからフルートへの連動を中心とした主題登場前のシーンも、最高の黄金率と言える声部バランスでこれまた魅了。一切力みを見せない自然体を通しながら溢れんばかりのロマンを放射するスタイルは、後半に進むに従ってますます濃密さを増し、コーダに至っては、オケの自主的な表現意欲が極限に達したことをに如実に反映した感動的な響きに達します。 
 ベートーヴェンの序曲では、特に「献堂式」が必聴!演奏会での登場頻度が低い分、録音での名演が意外と多い佳曲ですが、これはその中でもトップクラスの風格美を誇ります。最後のティンパニ強打の何と自然なこと!【湧々堂】


Treasures
TRE-208(1CDR)
超厳選!赤盤名演集Vol.1
ブルックナー:交響曲第8番
カール・シューリヒト(指)VPO

録音:1963年12月(ステレオ)
※音源:TOSHIBA AA-7191-92
◎収録時間:70:48
“芸の極地を極めた人間の手になる壮大なる工芸品!!”
■音源について
集中的に「赤盤」をいろいろ聴き漁った結果、「東芝の赤盤は音が良い」という噂は間違いではないという結論に達しました。音にしっかり芯が宿り、音場は豊かに広がり、音を発した瞬間に音の粒子まで感じさせる手応は格別です。ただ、当時のセールスポイントであった帯電防止材や、赤い色素が音質向上に直接繋がったとは考えにくいので、英国EMIから技術者を招いて始動し、英仏メタルを用いてプレスしていた当時の川口工場(1955年発足)の優秀な技術が結果的に赤盤に集約されたと見るのが妥当だと思います。事実、1971年に御殿場に大工場を新設して以降、音質は下降の一途を辿り、赤盤もなくなりました。
 ただし、初期の盤はビニールの素材が関係しているのか微妙なチリチリノイズの混入率が高く、CD-R復刻に際してはそれが回避された第二版以降にも耳を通すことが不可欠となります。
 その赤盤復刻シリーズの第一弾は、「シューリヒトのブル8」以外には考えられません!しかも、ほぼ未通針と思われるピカピカの盤!したがって、ここでは一切ノイズリダクションを施しておりません。この演奏の感動の源とも言える音と音との微妙な揺らぎや軋み、それらがもたらす馥郁たる佇まい、スケール感は、デジタル信号だけでは捉えられないということを再認識されること必至です!

★言わずと知れた歴史的名演ですが、シューリヒトもウィーン・フィルも、録音状態も、全てが極上のコンディションで融合し、奇跡的な化学反応を起こしたとしか思えません!
 本来、ブルックナーはマーラーとは違って、人間的な表情や、急激なテンポ変動を施すと作品からそっぽを向かれるものですが、ここではそれら全てが作品を再生するのに可決な要素として作用しています。その要因は、シューリヒトの指揮の一振り一振りから発せられる独特のオーラ、としかもはや言いようがありません。ただブルックナーを指揮するには、どんなに熱い共感や精神性を携えていても、垂直方向に整然とリズムを刻むことを優先した瞬間に作品が死んでしまい、全方向的に影響を及ぼすような指揮センスが不可欠であることを、思い知らされることは確かで、亡き宇野功芳氏が「ブルックナーの演奏法は一つしかない」といった真意も、そのあたりにあると思われます。
 その究極の芸術力を象徴するシーンは枚挙にいとまがないですが、第3楽章7:40からの和声の厚み、深み、広がり…、と同時に想像力を掻き立たせる空間表出力や、16:37以降の最高潮点の威圧とは無縁の神がかり的包容力は、正に空前絶後。終楽章3:56からのティンパニは、この良質復刻によってマレットが皮に触れる瞬間の波動まで感じられるので、ぜひともご注目を。


Treasures
TRE-206(1CDR)
フレッチャ〜海&幻想交響曲
ドビュッシー:交響詩「海」
ベルリオーズ:幻想交響曲*
マッシモ・フレッチャ(指)
ローマPO、ロイヤルPO*

録音:1959年頃、1962年2月21-22日*(共にステレオ)
※音源:米Reader's Digest RD4-68-7、米CHRSKY_CR-1*
◎収録時間:69:34
“作品を歪めずに自己表現の限りを尽くすフレッチャの芸術家魂!”
■音源について
フレッチャ(1906-2004)のリーダーズ・ダイジェストへの録音は、フレッチャ単独の名義で発売されたものは少なく、いわゆる「名曲集」の類の一部として収録されている場合がほとんどですが、その演奏内容は妥協のない表現に満ち溢れたものばかり。この「海」も例外ではありません。ここでの音源は、「Sheherazade」と題する10枚組LPの一部。一方、大曲の場合でも良質なステレオ盤を発見することは至難。「幻想交響曲」は、180g復刻盤を採用しています。

★フレッチャの色彩放射力と作品の本質を抉り出す表現力は、ここでも全開!しかし、フレッチャが幻想交響曲を振れば、さぞや大暴れかと言うと、そう単純ではないところがフレッチャの芸の奥深さ!第1楽章序奏部は、ニュアンスの明暗を克明に描きながらデリカシーに富んだフレージングが可憐に流れますが、そこから主部4:39以降のテンポの俊敏さに繋げる手腕のなんと鮮やかなこと!11:12からの呼吸の振幅の妙味も、フレッチャが単なる爆演指揮者ではないを実証。終楽章は、怪奇趣味に傾かず、音楽の生命力に光を当てた表現。あえて正攻法に徹することで、ベルリオーズの管弦楽法の凄さと素の迫力を再認識させてくれます。
更に強く推したいのが「海」!色彩力のみならず、フレッチャ自身の生き様を投影したような魂の叫びが横溢。この作品が単なる描写音楽ではないことをこれほど強く印象付ける演奏も稀でしょう。第1楽章の東洋風の音階は、くすんだ色彩で表出されることが多いですが、2:04からの主題は、オケの特徴とも相まって目の覚めるような爽快な色彩を放出。後半は各声部が意味深い発言を緊密に繰り広げ、7:19以降の呼吸の深さと大きさは、史上屈指と言っても過言ではありません。第2楽章の冒頭、弱音での各パートの連動に、感覚美以上の濃密なニュアンスと緊張をもたらす手腕も天才的。オケと指揮者の一体感も盤石で、どんな小さな対旋律でも互いを尊重しながら確実に主張し合う終楽章は、一音も聴き逃がせません。4:03からの高音の弦が敷き詰めるヴェールとそこへ優しく滑り込む木管との恍惚の空気感、何度聴いても只事ではありません。この作品の魅力に多方面からアプローチした名演として決して忘れることはできません。【湧々堂】

Caprice
CAP-22069
(4CD+BOOK)
コレクターズ・クラシックス Vol.16〜ヴィルヘルム・ステーンハンマル(1871−1927)の遺産


■Disc1
交響曲第2番ト短調 Op.34−第1楽章「アレグロ・エネルジーコ」、第2楽章「アンダンテ」、第4楽章「終曲」

■Disc2 
(1)交響曲第2番ト短調 Op.34−第1楽章「アレグロ・エネルジーコ」
(2)交響的カンタータ「歌(Sangen)」 Op.44 − 間奏曲(Mellanspel)
(3)交響曲第1番ヘ長調

■Disc3
(1)セレナード(Serenad) ヘ長調 Op.31(管弦楽のための)
(2)交響曲第2番ト短調 Op.34

■Disc4 
(1)ピアノ協奏曲第2番ニ短調 Op.23
(2)劇音楽「ロドレッツィは歌う(Lodolezzi sjunger)」 組曲 Op.39 − エレジー(Elegy)
(3)交響曲第2番ト短調 Op.34
■Disc1
録音:1959年2月23日(リハーサル録音)
テープ録音:SR(スウェーデン放送) Ma 59/204:2
■Disc2 
(1)録音:1959年2月25日(総練習録音)
テープ録音:SR(スウェーデン放送) Ma 59/204:2
(2)録音:1943年3月4日(レコード録音)
ラジオ放送:RA 118(matriser Rtj 886/87)
(3)録音:1949年9月25日(公開収録)
ラジオ放送:SR LB+ 10.924(ラッカー盤からの復刻)
■Disc3
(1)録音:1938年1月14日(公開収録)
ラジオ放送:R 7(未発表)(matriser 142−153)
(2)録音:1941年3月13日(公開収録)
スチールテープ録音:ラッカー盤(L-B 4.790)に復刻(1943年11月5日)
スウェーデン・ラジオRSO(王立ストックホルム・フィルハーモニックO)
トゥール・マン(指)
エルンスト・トーンクヴィスト(Vn)(「セレナード」第2楽章)
録音場所:ストックホルム・コンサートホール 大ホール(ストックホルム)
■Disc4 
(1)録音:1945年12月10日、11日(レコード録音)
ラジオ放送:RE 701−04(Matris Rtj 1313−20 A)(78回転レコード)
(2)録音:1948年11月15日(レコード録音)
ラジオ放送:RE 709(matris Rtj 2904 A)(78回転レコード)
(3)録音:1947年12月17日(レコード録音)
ラジオ放送:RE 709−14(matris Rtj 2314−24 A)(78回転レコード)
ヨーテボリ放送O(ヨーテボリSO)
シクステン・エケルベリ(指)
ハンス・レイグラーフ(P)(協奏曲)
録音場所:ヨーテボリ・コンサートホール 大ホール(ヨーテボリ)
「ペッテション=ベリエル、自作自演」(第14集)(CAP21910)、「アッテルベリ、ラーション、リードホルム、自作を指揮」(第15集)(CAP21920)につづく「コレクターズ・クラシックス」の第16集。
指揮者、ピアニストとしても高名だった作曲家ヴィルヘルム・ステーンハンマル(1871−1927)の「遺産」を二人の指揮者、トゥール・マンとシクステン・エケルベリが「スウェーデン放送」のために指揮した録音がリリースされます。トゥール・マン(1894−1974)は、ストックホルム生まれ。チェリストから指揮者に転向、1925年から1939年までヨーテボリSOの首席指揮者。1965年にスウェーデンRSOが組織される前、ストックホルム・フィルハーモニックがスウェーデン・ラジオ放送のオーケストラとして演奏する際の首席指揮者を1959年まで務めました。得意とするレパートリーは、ステーンハンマルと、ステーンハンマルの親友だったシベリウス、ニューストレム、カール・ニルセン、ベールヴァルドたちの作品。王立スウェーデン音楽アカデミーの会員。スモーランド出身のシクステン・エケルベリ(1909−1991)は、指揮者、ピアニスト、作曲家として活動。ヨーテボリ放送O(実体は「ヨーテボリSO」)を指揮したラジオ放送で親しまれていました。このコレクションには、ステーンハンマルの代表作のひとつ、北欧のピアニストたちが大切にしているピアノ協奏曲第2番が収録されています。ソリストのハンス・レイグラーフ(ライグラフ)(1920−2011)は、ストックホルム生まれ。コンサート・ピアニストと教育者として国際的に知られ、1972年から1990年にかけてモーツァルテウム音楽院(現 ザルツブルク・モーツァルテウム大学)のピアノ科の教授を務めました。トゥール・マンが指揮した 「セレナード」 の第2楽章「カンツォネッタ」のヴァイオリン・ソロは、1928年から1958年までストックホルム・フィルハーモニックのコンサートマスターを務めたエルンスト・トーンクヴィスト(1893−1988)が弾いています。


OTTO KLEMPERER FILM FOUNDATION
KKC-9476(5Bluray)
ベートーヴェン:交響曲全集

■BD1
交響曲第1番ハ長調Op.21
交響曲第3番変ホ長調Op.55「英雄」

■BD2
交響曲第4番変ロ長調Op.60
交響曲第5番ハ短調Op.67「運命」

■BD3
交響曲第2番ニ長調Op.36
交響曲第6番ヘ長調Op.68「田園」

■BD4
交響曲第8番ヘ長調Op.93
交響曲第7番イ長調Op.92

■BD5
交響曲第9番「合唱つき」

[ボーナス・オーディオ]
オットー・クレンペラーについて/ガレス・モリスによる回想録(インタビューアー:ジョン・トランスキー)
オットー・クレンペラー(指)
ニュー・フィルハーモニアO

■BD1
収録:1970年5月26日
放映(BBC TV):1970年6月19日(第1番)、6月21日(第2番)
■BD2
収録:1970年6月2日
放映(BBC TV):1970年6月26日
■BD3
収録:1970年6月9日
放映(BBC TV):1970年6月19日(第2番)、6月28日(第6番)
■BD4
収録:1970年6月21日
放映(BBC TV):1970年7月3日
■BD5
テレサ・ツィリス=ガラ(S)
ジャネット・ベイカー(Ms)
ジョージ・シャーリー(T)
テオ・アダム(Br)
ニュー・フィルハーモニアcho
収録:1970年6月30日
放映(BBC TV):1970年7月5日

収録:1970年5、6月、ロンドン、ロイヤル・フェスティヴァル・ホール
音声:PCM MONO
リージョン:0
直輸入盤・日本語解説書付
以前クラシカ・ジャパンで放映され、神々しいばかりの『田園』などマニアのあいだで話題となっていたクレンペラー最後のベートーヴェン・サイクルがついにブルーレイソフトで登場。
新たにリマスターされて画質・音質共に大幅にアップ。演奏の様子をクリアな映像で見ることができるため、楽員たちの献身的というほかない真剣な様子がそれだけでも感動的。1970年のテレビ放映プログラムなので音声はモノラルですが、情報量も十分に多くたいへん聴きやすい音になっています。
このベートーヴェン・サイクルのライヴ映像は、1967年にデッカを退職してBBCテレビ音楽部門の責任者になっていたジョン・カルショーの尽力で制作されたものです。カルショーは米キャピトル時代の1953年にクレンペラーと契約しようとして、上層部に阻まれ断念した過去がありました。クレンペラーは1966年8月に腰部を骨折して大きな手術を受け、療養のため約6か月間という予定外の空き時間を過ごすことになります。その長い空き時間に、死や宗教の問題について思いを巡らせ、1967年1月には、47年間のカトリック信仰を終えてユダヤ教に改宗。背景には、イスラエル在住の妹マリアンネの危篤状態に、前年の姉レギーナの死、そしてなかなかうまくいかないイスラエルとの関わり方の問題などもありました。1967年2月に現場復帰したクレンペラーは、マーラー交響曲第9番のリハーサルの際、近くにあった指揮棒を手に取って気に入り、楽員の意見も聞き入れて三十数年ぶりに指揮棒を使用することに決定。1971年9月の最後のコンサートまでの4年7か月、基本的には棒を使って指揮しています。クレンペラーの最晩年様式は、死や宗教への強い思いで始まり、指揮の方法も、楽員が見やすい指揮棒スタイルに変更。それが超低速化した演奏を崩壊寸前で食い止め、独自の世界を築き上げることに繋がったものと考えられます。 (Ki)


Treasures
TRE-205(1CDR)
ラインスドルフ/シューマン:交響曲第4番.他
モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジーク*
ベートーヴェン:序曲「レオノーレ」第3番
シューマン:交響曲第4番(マーラー編)
エーリヒ・ラインスドルフ(指)
ボストンSO

録音:1963年1月6日*、1963年1月5-6日(全てステレオ)
※音源:日VICTOR SHP-2307*、英RCA SB-6582
◎収録時間:63:04
“ラインスドルフの驚異の耳が制御する作品のあるべき姿!”
■音源について
1963年1月5-6日に録音された3曲をカップリング。ちみに「アイネ・クライネ…」のLPの併録曲「ジュピター」は、1月14日の録音。ベートーヴェン&シューマンのLPは、はやり英盤が全ての点で高水準!モーツァルトは高音質な日本ビクター盤(溝ラベル)を採用しています。

「アイネ・クライネ…」は、家族的雰囲気とは無縁ながら、フレーズの節々から共感が滲み、多くの競合盤の中でも傑出した格調高き名演。第1楽章提示部リピートも、少しも煩わしくありません。
 第2楽章の各声部の有機的な絡みも聴きもの。音程の確かさも手伝って、その訴えかけの強さは比類なし。第3楽章5小節目の冒頭2音を装飾音風に処理しているのも印象的ですが、その中間部のシルキーな響きはミュンシュ時代にはあまり見出だせなかった魅力。終楽章のテンポの安定感が抜群の上、ハーモニーに一切の濁りを寄せ付けない厳しさが、独特の説得力を生んでいます。
 ラインスドルフが遺したベートーヴェンの交響曲全集は、作曲家への畏敬の念が強すぎたのか、音楽自体が萎縮しているものが多いですが、この「レオノーレ3番」では、その畏れが根源的パワーとして作用し、緊張感溢れる演奏に結実しています。ジョージ・セルを思わせる精妙なアンサンブルと管楽器を増強させた響きのブレンドが絶妙なコーダは、特に必聴!
 「マーラー版シューマン」の演奏は今や珍しくありませんが、少なくとも「第4番」はこのラインスドルフ盤を超えるものに出会えません。その魅力はなんと言っても表現自体の確信の強さ!特殊な版を用いると、とかく「普通とは異なる点」が説明調に響きがちですが、この演奏は他の版など存在しないかのように自然な声部バランスを貫徹させ、堂々とシューマン特有のロマンを刻印し尽くしています。
 第1楽章で随所に現れる木管の合いの手フレーズのなんと意味深いことか!第2楽章の陰影表出も素晴らしく、ヴァイオリン・ソロが登場する2:08からの淡いテクスチュアとロマンの香りは、シューマンへの真のシンパシーの証し。終楽章冒頭の輝かしさと確信溢れるニュアンスは、主部以降も一貫しているので、提示部リピートの意味は絶大。
 ここでも音程の正確さは驚異的!とかく「正確さ=機械的」と単純化されがちですが、第1楽章展開部冒頭のユニゾンに象徴されるように、正確でなければ浮上しないニュアンスもあるのです。【湧々堂】


SILKROAD MUSIC
SRM-045SACD
(2SACD)
マーラー:交響曲第3番ニ短調 ヤッシャ・ホーレンシュタイン(指)
LSO
ノルマ・プロクター(C.A)
アンブロジアン・シンガーズ、
ワンズワース・スクール少年cho
ウィリアム・ラング(フリューゲルホルン)、デニス・ウィック(Tb)

録音:1970年7月27-29日/クロイドン(ロンドン)
当ディスクはUNICORNレーベルの誉れ高き名盤ホーレンシュタイン(指)ロンドンSOのマーラーの交響曲第3番のライセンス盤で、香港の SILKROAD MUSICレーベルから発売したSACD Hybrid盤です。マーラーのスペシャリストとして知られるホーレンシュタインならではの温かみのある 演奏を聴くことができます。 (Ki)

Caprice
CAP-21920
(3CD+Book)
コレクターズ・クラシックス Vol.15〜作曲者の指揮で


■Disc 1
クット・アッテルベリ(1887−1974) 自作を指揮する
(1)交響曲第6番ハ長調 Op.31「ドル交響曲(Dollarsymfonin)」
(2)ホルン協奏曲 イ短調 Op.28 − 第2楽章 アダージョ
(3)バレエ「愚かなおとめたち(De favitska jungfrurna)」 Op.17(抜粋)
(4)交響曲第4番ト短調 Op.14 「シンフォニア・ピッコラ(Sinfonia Piccola)」 − 第1楽章 コン・フォルツァ
(5)ピアノ協奏曲 変ロ長調 Op.37 − 第1楽章 ペザンテ・アレグロ
(6)組曲第8番「古風な様式の田園組曲」 Op.34 より(第1曲 前奏曲、第2曲 アリア、第5曲 セレナータ、第6曲 ジグ)
(7)ヴェルムランド・ラプソディ(En Varmlandsrapsodi) Op.36
(8)バラードとパッサカリア(Ballad och passacaglia) Op.38
■Disc 2
ラーシュ=エーリク・ラーション(1908−1983) 自作を指揮する
(1)ラジオ番組『Dagens stunder(今日の時間)』(「田園組曲」 Op.19)
(2)冬物語(En vintersaga)Op.18(4つのヴィニェット)
(3)オスティナート Op.17(交響曲第2番終楽章)
(4)赤い十字架(Det roda korset) Op.30 [放送未使用作品]
■Disc 3
イングヴァル・リードホルム(1921−2017) 自作を指揮する(オレブルー、ノルショーピング最終コンサート)
(1)ラウディ(Laudi)(1947)(混声合唱のための)
(2)カント LXXXI(1956)(混声合唱のための)(エズラ・パウンド 詩)
(3)ムタンザ(Mutanza)(1959)
(4)孤独なナウシカー(Nausikaa ensam)(1963)
(5)ハインリヒ・イザークの『インスブルックよ、さようなら』(Heinrich Isaak: Innsbruck, ich muss dich lassen)
(6)旧世界からの挨拶(Greetings from an Old World)(1976)
■Disc 1
(1)BPO、クット・アッテルベリ(指)
録音:1928年10月18日 ベルリン音楽大学 大ホール(シャルロッテンブルク、ドイツ)
Polydor/DG 95193-95
(2)アクセル・マルム(Hrn)、ヒルディング・ルーセンベリ(オブリガート・ピアノ)、スウェーデン放送局第一放送O、クット・アッテルベリ(指)
録音:1928年6月 スウェーデン放送第2スタジオ(ストックホルム)
Columbia 13603 & 13602
(3)スウェーデン放送局第一放送O 
クット・アッテルベリ(指)
録音:1928年6月 スウェーデン放送第2スタジオ(ストックホルム)
Columbia 13603 & 13602
(4)スウェーデン放送局第一放送O 
クット・アッテルベリ(指)
録音:1934年5月4日 ストックホルム・コンサートホール 小ホール(ストックホルム)(ヨーロッパコンサート)
SR Programarkivet LB 456
(5)オーロフ・ヴィーベリ(P)、
スウェーデン放送局第一放送O、クット・アッテルベリ(指)
録音:1935年1月4日 ストックホルム・コンサートホール 小ホール(ストックホルム)(放送サービス10周年記念)
SR Programarkivet LB 715
(6)室内O(王立ストックホルム・フィルハーモニックO員18名)、クット・アッテルベリ(指)
録音:1937年10月21日 ストックホルム・コンサートホール アティックホール(ストックホルム)
HMV X 4946−47
(7)スウェーデンRSO、クット・アッテルベリ(指)
録音:1948年4月23日 王立音楽アカデミー 講堂(ストックホルム)
Cupol 4119
(8)スウェーデンRSO、クット・アッテルベリ(指)
録音:1950年8月21日、9月9日 王立音楽アカデミー 講堂(ストックホルム)
HMV DB 11034−35
■Disc 2
(1)スウェーデン放送娯楽音楽オーケストラ(王立ストックホルム・フィルハーモニックO員37名)、ラーシュ=エーリク・ラーション(指)、グンナル・ショーベリ(朗読)、グン・ヴォールグレーン(朗読)
録音:1938年10月11日 ストックホルム(2)コンサートホール 小ホール(ストックホルム)
SR Programarkivet L-B 2908
(2)スウェーデン放送娯楽音楽オーケストラ(王立ストックホルム・フィルハーモニックO員37名)、ラーシュ=エーリク・ラーション(指)
録音:1938年1月18日 ストックホルム・コンサートホール 小ホール(ストックホルム)
SR Programarkivet L−B+2.295
(3)王立ストックホルム・フィルハーモニックO、ラーシュ=エーリク・ラーション(指)
録音:1948年6月7日 ストックホルム・コンサートホール 大ホール(ストックホルム)
Cupol 6018
(4)ストックホルム放送O(王立ストックホルム・フィルハーモニックO員64名)、ラーシュ=エーリク・ラーション(指)
録音:1945年5月7日 ストックホルム・コンサートホール 小ホール(ストックホルム)
SR Programarkivet LB 9.508

■Disc 3
(1)スウェーデン放送cho、イングヴァル・リードホルム(指)
録音:1958年10月17日 王立音楽アカデミー 講堂(ストックホルム)
SR Programarkivet Ma 58/11997
(2)室内cho、イングヴァル・リードホルム(指)録音:1961年3月10日 (おそらく)第2スタジオ(クングスガータン、ストックホルム)
SR Programarkivet Ma 61/M/5180(SR RELP 5002)
(3)オレブルーSO、イングヴァル・リードホルム(指)録音:1959年4月26日 オレブルー・コンサートホール(オレブルー、スウェーデン)(オレブルー管弦楽協会50周年記念コンサート)
P2(1959年6月25日)放送 私的録音(エアチェック)
(4)マッタ・シェーレ(S)、音楽同好会室内cho、ノルショーピングSO、イングヴァル・リードホルム(指)
(5)イングヴァル・リードホルム(解説、ピアノ)
(6)旧世界からの挨拶(Greetings from an Old World)(1976)
マッツ・リードストレム(Vc)、ノルショーピングSO、イングヴァル・リードホルム(指)
録音:1983年6月9日 ノルショーピング講堂(ノルショーピング、スウェーデン)(ライヴ)
ノルショーピング管弦楽協会私的録音(24.5.2018)

※Disc 1 に収録トラックの編集ミスがございます。交響曲第6番の第2楽章が、第1楽章(Track 1)の後ではなく、組曲第8番の「第1曲 前奏曲」(ブックレットは Track 8、実際は Track 7)の後、「第2曲 アリア」(Track 9)の前の「Track 8」に収録されています。予めご了承ください。
ヨーテボリに生まれ、電気技師として特許局に勤めながら作曲家、指揮者として音楽活動をつづけ、スウェーデン著作権協会の設立に関わったクット・アッテルベリ Kurt Atterberg(1887−1974)。オーカルプで生まれ、ウィーンのアルバン・ベルクに学び、1937年からスウェーデン放送で指揮者、作曲者、プロデューサーとして働き、第二次世界大戦中に放送した抒情組曲(カンタータ)「姿を変えた神(変装した神)」でドイツ軍占領下にあったノルウェーとデンマークの市民を勇気づけたというラーシュ=エーリク・ラーション Lars-Erik Larsson(1908−1983)。ルーセンベリに学び、1920年代のヨーロッパ前衛音楽を身につけ、ブルムダールの『月曜グループ』のひとりとして戦後スウェーデンのモダニズムの発展に貢献したイングヴァル・リードホルム Ingvar Lidholm(1921−2017)。Caprice “Collector’s Classics” の第15集には、三人の作曲家が代表作を含む自作を指揮した録音が3枚のディスクに収録されています。アッテルベリが商用アルバムとしてベルリンで録音した「ドル交響曲」、ラーションの「田園組曲」の元になる音楽を使ったラジオ番組『Dagens stunder(今日の時間)』と、シェイクスピアの『冬物語』を放送した際の付随音楽、リードホルムがノルショーピングSOを最後に指揮したコンサートの「孤独なナウシカー」と「旧世界からの挨拶」。アッテルベリの「古風な様式の田園組曲」とラーションの「オスティナート」は『自作を指揮するスウェーデンの作曲家たち』(Phono Suecia PSCD79)にも収録された録音です。/


Treasures
TRE-203(1CDR)
ワルター〜ハイドン/モーツァルト/ドヴォルザーク
モーツァルト:フリーメーソンのための葬送音楽
ハイドン:交響曲第100番「軍隊」*
ドヴォルザーク:交響曲第8番#
ブルーノ・ワルター(指)
コロンビアSO

録音:1961年3月8日、1961年3月2&4日*、1961年2月8&12日#(全てステレオ)
※音源:日SONY 20AC-1805、日COLUMBIA OS-307*、OS-718-C#
◎収録時間:69:13
“老練の至芸に宿る、青年のような瑞々しい感性”
■音源について
モーツァルトは、マックルーア監修によるマスタリング盤。ハイドンとドヴォルザークは、国内初期コロンビア盤の中でも特に優れた青ラベル盤を使用。

ドヴォルザークは、ワルター晩年の録音の中でも屈指の名演!全体に漲る瑞々しい感性はとても老人のそれとは思えません。第1楽章は符点リズムの切れを大切にし、人柄が滲む歌心と融合して独特の味を生んでいます。第2楽章7:02以降も同様。こんな華と夢が散りばめられたフレージングが他で聴けるでしょうか?第3楽章では意外にも高速に徹していて、これがまた効果満点。フレーズは一切粘つかず、2:55からもポルタメントを用いず、洗練美の中に高純度の歌を横溢させます。終楽章は、打って変わって誰よりも低速。立体的な彫琢を尽くしつつ濃密な音楽を展開。もちろん老化に起因する遅さとは一線を画し、1:46からのリズムの弾ませ方など、相当のこだわりが感じられます。
 ワルターの場合、この種のこだわりが露骨に透けて見えることが多く、巧妙に誤魔化すことができないその人間味が、ワルターの音楽の魅力を支えていることを痛感させます。ホルンの慟哭トリルや、4:08からのフルート強靭化も説得力絶大。
 「軍隊」はウィーン・フィルと絶美の名盤の影に隠れがちですが、このステレオ盤も何度聴いても大名演!是非ウィーンの甘美なイメージに捕われず、熟練を極めた表現の妙をご堪能ください。少なくとも、現代的なフレージングと人生の年輪が渾然一体化したルバートの味わいは、ウィーン・フィル盤にはない魅力です。
 ワルターといえばモーツァルトですが、晩年の一連のモーツァルト録音(特に交響曲)は、低音が変に出すぎて不自然です。「リンツ」1楽章の主部冒頭で、低弦がバランスを欠いてボンボンボンボンとリズムを刻むのには、何度聴いても吹き出してしまうのは私だけでしょうか?録音に立ち会っていた若林駿介氏も「低音域の残響が重い」と語っています。その欠点がむしろプラスに働いたと思われるのが「フリーメーソン」。特にコーダをお聴きあれ!【湧々堂】


Treasures
TRE-201(1CDR)
アンセルメのベートーヴェンVol.1
ベートーヴェン:「フィデリオ」序曲
交響曲第2番*/交響曲第7番
エルネスト・アンセルメ(指)
スイス・ロマンドO

録音:1960年1月(ステレオ)
※音源:LONDON CS-6183*、DECCA SDD-102
◎収録時間:78:33
“知的制御よりも情念を優先させたアンセルメの例外的熱演!”
■音源について
「アンセルメ=知性派」というイメージが強いせいか、既出CDのぬるま湯のような音にも特に違和感を覚えない方が多いようですが、それが完全な誤解であることを証明するのにこれほど適した選曲はないでしょう。米LONDON盤は英国プレスなので、実質的に英SXL盤と同じ分厚い大スケールを誇る音。SDD規格は再発シリーズですが、ここではシリーズ初期のラージ盤を採用。初期SXLにありがちな音のざらつきがない分、ストレスなく生々しい迫力が伝わってきます。デッカ録音の音質は、1950年代末〜60年代初頭のものが最高レベルであった実感される方も多いのではないでしょうか。

★作品との距離との一定の距離感を崩さないのがアンセルメの基本姿勢ではありますが、唯一例外と言えるのがベートーヴェン。別のスイッチが入り、理性よりも情感を前面に押し出して心から熱い音楽を展開します。その中でもこの3曲はアンセルメが遺したベートーヴェン録音の頂点に位置する超名演だと思います!
 「フィデリオ」冒頭の飛び込み方からして、表現意欲が炸裂。響きにも精緻さよりも剥き出しの質感を求め、4:31からの魂が芯から熱したアッチェレランドも他ではまず見られない現象。コーダの追い込みに至っては暴力的なほど激烈で、アンセルメの「ベートーヴェンはかくかるべき」という強い信念を思い知らされます。
 自分の側から作品の中へグイグイと入り込む果敢な態度は交響曲でも同じ。「第2番」第1楽章は、やる気満々で推進力も抜群。コーダは体裁など二の次の大迫力を見せながらそのまま駆け抜けると思わせておいて、最後の3つの和音だけは大胆にテンポを落として締めくくるという制御力の妙味にしびれます。第2楽章は人間愛が横溢。その包容力の大きさと、11:19以降の噛みしめるような深い呼吸を思うと、感動の度合いはワルター以上かもしれません。第3楽章は重量級。特に中間部での恐るべき彫琢に唖然。終楽章は6:04からのクレッシェンド効果が絶妙。コーダ(6:38)で約一拍分ルフトパウゼが置かれるのは、アンセルメが音楽をとことん深く感じている証しと言えましょう。
 「第7番」ではその主体的な表現姿勢が更に深化。サン・サーンスやビゼーの交響曲でのクールさは放棄して、表現の果敢さとベートーヴェンの生き様をリンクさせようとする姿勢を完全に貫徹させています。第1楽章は、展開部でのトランペットのスフォルツァンドの痛烈さと、自然な緊張感の醸成ぶにぜひご注目を。第3楽章は、当時の録音の鮮烈さを象徴する、巨木の如きティンパニの響きの物凄いこと!トリオ直前での音の引き伸ばしは、作品への共鳴にとどまらず、音の緊張と緩和のバランスを心得た巨匠ならではの至芸を象徴。この楽章だけはリピートを敢行していますが、もちろん冗長さは皆無。そして、驚異の終楽章!アドレナリンの全てを使い果たす勢いで猛進し、表面的な美しさとも遂に完全断絶。ベートーヴェンのティンパニの使い方の巧みさを再認識させる点でもこれ以上の演奏は類がなく、8:00以降はその効果と共に正に堰を切ったようなド迫力で圧倒します。しかも、拍節ごとに付いているティンパニのアクセントの指示を遵守(8:41〜)し、その意味を生かしきっている点でも決して忘れてはならない録音です。「ベト7」の最高の理想像とも言えるこれほどの演奏を無視することなど、この復刻盤で聴けばありえないと確信する次第です。【湧々堂】


Treasures
TRE-202(1CDR)
A.ローター/ベートーヴェン:交響曲集
グルック:「アウリスのイフィゲニア」序曲#
ベートーヴェン:交響曲第1番*
 交響曲第8番*
フンパーディンク:「ヘンゼルとグレーテル」序曲**
 「王子王女」序曲##
アルトゥール・ローター(指)
ベルリンSO*
ベルリン国立歌劇場O

録音:1959年頃*、1956年10月10日#、1957年6月18日**、1957年6月24日##  (全てステレオ)
※音源:独Opera ST-1911*、独TELEFUNKEN SLT-43011
◎収録時間:75:29
“世紀の名演「ベト8」に見るローターの飽くなき職人気質!”
■音源について
ローターは「第1番」を1951年にも録音していましたが、「第8番」は唯一の録音と思われます。この2曲のステレオ盤は入手困難で、特に初出のOperaのミント級盤は発掘不可能だと思っていました。後発のオイロディスク盤(ジャケ写に使用)は当然ながら雑味は少ないですが、明らかに音の質感が減退しています。中でもティンパニの本皮の質感は、このOpera盤でないと聞こえてきません。

★ローターのベートーヴェンの交響曲のステレオ録音は4曲しか存在しませんが、この2曲に触れただけで、もし全集が完成していたらとてつもない名盤として君臨し続けだろうことは容易に想像できます。音色はいかにも一時代前の鄙びたドイツ本流のサウンドですが、音楽自体は少しも古臭くなく、ローターの長年の経験と勘が息づく味わい深さは格別です。
 「第1番」は、ベルリン・フィルと録音した1951年盤では、フルトヴェングラーのような凄まじい精神的高揚力を見せていましたが、ここでは別人のように穏和。しかし第1楽章で顕著なように、単に力を抜いて流しているのではなく、スコアの細部にまで表現し尽そうとする意志が漲り、表面的な和やかさとは裏腹に、絶妙な緊張感で一貫しています。第2楽章主題の語り掛けの優しさはワルター以上。単なるノスタルジーを超えた深い慈しみに涙を禁じ得ません。決然とした意志を貫きつつ古風な味わいを共存させる終楽章も見事。序奏の最後でルフト・パウゼを置くのも実に小粋。本来この曲には、高速テンポもメタリックな響きも持ち込む余地はないのかもしれません。
 一方の「第8番」は更に感動的!ステレオ初期録音としては、カイルベルト等と並んで激賞した逸品です。第1楽章、ここでもテンポの安定感が光りますが、そこに優しい人間味が息づいているのがたまらない魅力。6:24で少しの間も入れず一気に滑り込むフレージングの妙は、まさに経験のなせる技!第3楽章は、もはや再現不可能な古き佳きドイツの響きの宝庫!本皮ティンパニの風合い、トリオでのホルンの雄渾なハーモニーにただただ惚れ惚れ。終楽章冒頭(0:17〜)では、そのティンパニが控え目ながら硬質な響きで全体を引き締め、ホルンもさり気なくフレーズを下支えする様!この声部バランスのさじ加減は、ローターの指揮者としての凄さを証明するのに十分と言えましょう。【湧々堂】

FUGA LIBERA
FUG-754(1CD)
NX-B08
ワーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルデ」〜前奏曲と愛の死
チャイコフスキー:交響曲第4番ヘ短調 Op.36
ドミトリー・リス (指)
南ネーデルラントPO

録音:2017年3月31日 フライトホフ広場劇場、マーストリヒト
2017年4月1日 アイントホーフェン音楽堂
チャイコフスキー…2017年11月22日 シャッセ劇場、ブレダ、2017年11月23日 アイントホーフェン音楽堂
リンブルフSOとブラバントOが合併し2013年に誕生した、南ネーデルラントPO(南オランダPO)。 2016-17年のシーズンより当団初の首席指揮者を務めるドミトリー・リスとの、初めてのアルバムが登場しました。プログラムは、リスの故国ロシアを代表する作 曲家の一人チャイコフスキーの名作交響曲と、ヨーロッパのロマン派を代表するワーグナーの舞台作品からの1曲。一見、両作品の間に関連性は無さそうです が、チャイコフスキーは交響曲第4番作曲の10年ほど前、この「前奏曲と愛の死」をワーグナー自身の指揮で聴いた時の素晴らしさを周囲に伝えており、その管 弦楽法にも強い関心を抱いたといわれます。リスと南ネーデルラント・フィルによる演奏は、この2人の作曲家が管弦楽の歴史に残した改革の足跡に思いを馳 せつつ、聴く者に深い感動を呼び覚ますものとなっています。

EM Records
EMRCD-047(1CD)
コーウェン:交響曲第5番
パーシー・シャーウッド:ヴァイオリン,チェロと管弦楽のための協奏曲
フレデリック・ハイメン・コーウェン:交響曲第5番ヘ短調(全曲世界初録音)
ルパート・マーシャル=ラック(Vn)、
ジョゼフ・スプーナー(Vc)、
ジョン・アンドルース(指)、
BBCコンサート・オーケストラ

録音:2016年6月20日−22日、ワトフォード・コロッセウム
フレデリック・ハイメン・コーウェン(1852−1935)は、ハレOやロイヤル・スコティッシュOでは首席指揮者を務めたイギリスの指揮者、ピアニスト、作曲家。パーシー・シャーウッド(1866−1939)は、イギリス人の父親とドイツ人の母親の下ドイツで生まれ、戦前のドレスデンで活躍し、第1次世界大戦が始まる少し前からはロンドンで暮らした作曲家。カラフルでエネルギーとドラマに溢れたコーウェンの交響曲第5番。ブラームスの二重協奏曲に影響されながらも、独自の魅力を放つシャーウッドの協奏曲。どちらも世界初録音。レア交響曲、管弦楽ファン要注目!

Cybele
3D-801801(1SACD)
ヴッパータール交響楽団LIVE Vol.2
ワーグナー:『タンホイザー』〜序曲/ヴェーヌスベルクの音楽
ベルリオーズ:幻想交響曲 Op.14
ジュリア・ジョーンズ(指)
ヴッパータールSO
CYBELEレーベルが積極的に取り入れている、ヘッドホンで聴くことにより最高音質の効果を発揮するように作られた「バイノーラル録音」。その録音 に特化したシリーズよりヴッパータール交響楽団のライヴ・シリーズ第2弾が登場。ド派手な大管弦楽をたっぷり楽しめる『タンホイザー』と『幻想』と いう嬉しいカップリング!
『タンホイザー』序曲の金管の温かくふくよかな響きや、「ヴェーヌスベルクの音楽」のこまやかなオーケストラの動きを繊細にとらえた録音はさすがの 一言。高音質で聴きたい大編成音楽の筆頭、『幻想交響曲』も大満足の音場感。高度にして異常性のあるベルリオーズならではのオーケストレーションの 妙が手に取るように感じ取れます。ジュリア・ジョーンズはイギリス生まれの女性指揮者。丁寧で見通しの良いコントロールが好印象で、盛り上がりも十分。 ひたすら音そのものを聴き込みたい人には申し分ない演奏と言えます。 (Ki)


Treasures
TRE-197(1CDR)
クレツキ&南西ドイツ放送響/ベートーヴェン
交響曲第1番ハ長調Op.21
交響曲第3番変ホ長調「英雄」*
パウル・クレツキ(指)
南西ドイツRSO

録音:1962年(ステレオ)
※音源:瑞西Concert Hall SMSBE-2313(TU)、SMS-2275(TU)*
◎収録時間:75:46
“ユダヤ的感性を隠すことなくベートーヴェンに対峙した確信的解釈!”
■音源について
クレツキは、後年チェコ・フィルとベートーヴェンの交響曲全集を録音していますが、この2曲はそれとは別の意義を誇るコンサート・ホール録音。特に「英雄」は様々なプレス盤を聴き比べましたが、群を抜いて明快に鳴ったのはこのTU(スイス・チューリカフォン)盤でした。「第1番」もTU盤ですが、ここで使用したのは交響曲全集の中の1枚です。

★クレツキがチェコ・フィルと遺したベートーヴェンの交響曲全集は、当時の名門オケの純朴で贅肉のないサウンドを生かした快演揃いでしたが、ここではオケの音色に大きな特長が無い分、クレツキのこだわりがストレートに浮き上がり、改めてこの巨匠の芸の深さを思い知らされます。
 「英雄」は、ベートーヴェンの強靭な精神を確固たる造形美の中に内包させ、表面的な力業では味わえない佇まいがあらゆる楽想から湧き立ちます。第1楽章展開部7:01からの対旋律との連携の美しさや、再現部11:48からリタルダンドして現出する神秘的な空気は、一度触れたら病み付きになること必至! 第2楽章も、最後まで高潔な居住まいを崩しませんが、それだけにフーガ主題(7:28〜)以降で見せる激しい慟哭は、ユダヤ系のクレツキが戦時中に味わった苦悩をぶつけたかのようで、インパクト絶大!第3楽章ではトリオ直前にルフト・パウゼを挟み、旧スタイルの名残りを見せるのが印象的。終楽章コーダで安易に興奮を煽るのではなく、入念に音の意味を噛み締めながら芯の強い音像を築く点にも、クレツキの芸術家魂が結実しています。
 「第1番」は古典的フォルムを丁寧に紡ぎ出すことに重点を置き、決して派手に立ち回りません。しかし、第1楽章序奏冒頭のサラッとした音の切り方や、展開部5:37からレガートにして幻性味を醸し出すなど、明らかに伝統的なドイツ的解釈とは異なり、クレツキ独自の感性に打たれます。この第3楽章中間部直前でも、ルフトパウゼあり。また、両曲とも第1,4楽章の提示部リピートを敢行しています。【湧々堂】


Treasures
TRT-014(1CDR)
L.ルートヴィヒ/シューベルト&チャイコフスキー
シューベルト:交響曲第4番「悲劇的」
チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調Op.64*
レオポルド・ルートヴィヒ(指)
ウィーンSO、
ハンブルク国立PO*

録音:1960年4月18-21日ウィーン・コンツェルトハウス、1960年3月28-30日ハンブルク・クルトゥアラウム*(共にステレオ)
※音源:独Opera St-1995、St-1916*
◎収録時間:76:47
“S・イッセルシュテット以上にドイツの意地を露骨に誇示した熱き名演!
■製作メモ
2曲とも極めて入手困難な良質ステレオ盤を使用しています。

★レオポルド・ルートヴィヒは、既に復刻したハイドンやベートーヴェンでも明らかなように、古典的なソナタ形式を備えた作品に対しては、自己主張を抑えて作品のフォルムの再現に徹することが多いですが、このシューベルトでもその姿勢で臨んでおり、ウィーンのオケの純朴な風合いの中に堅実なフレージングを敷き詰め、人間味溢れるシューベルト像を築きます。この演奏を聴くと、ほとんどの演奏がシューベルトを通り越して響きを彫琢し過ぎるのでは?と思えてきます。この飾らない空気感があればこそ、第2楽章の憧れの風情がしみじみと心に染みるのです。終楽章も不純物入り込む余地が無いほど、最後の一音までイン・テンポを貫徹。
これがチャイコフスキーでは激変!徹底的にドイツ流儀で押し通し、女々しいニュアンスを一切排してスリリングな演奏を展開しています。古き佳きドイツの響きと精神力で高揚させる至芸に一度はまったら、抜け出すこととは困難でしょう。とにかく全パートが熱い!弦の中低域をを主体として響きを構築する従来のドイツ流儀に加え、ルートヴィヒは更に管楽器をかなり露骨に強調しているのも特徴的ですが、これもマイク設定の影響などではではないことはすぐに分かりいただけるはず。その管は弦の動きを妨害することなく絶妙にバランスをとり、なおかつ火の中に飛び込むような決死の緊張感が聴き手の腹にずっしりと響くのですからたまりません!場面が変化するたびにテンポを変えるなど野暮、と言わんばかりの直進路線を基本としていますが、そのテンポの背後に「黙って俺について来い」的な凄みと求心力があるので、「はいわかりました」と聴き手を捻じ伏せてしまう強さがあるのです。
まず第1楽章の展開部。表面的な美感は二の次で、これほど全員がしのぎを削って演奏している演奏を聴いてしまうと、他の演奏は生ぬるく感じてしまいます。第2楽章の67小節以降も音が芯から熱しており、美しい旋律を美しく奏でることだけが演奏者の使命でないことを痛感させます。142小節以降の盛り上げ方は、史上屈指の感動の瞬間!これだけでも十分に推薦に値します。終楽章は音量をケチらずに、ワーグナー的な音の奔流に身を委ねてください。金管の咆哮には血がしたたり、「運命動機」の斉奏など、いにしえのドイツ軍楽隊のあの響きを愛する方はたまらないでしょう。
ルートヴィヒは、R・シュトラウスでもマーラーでもこういう大胆さは見せていませんので、チャイコフスキーには何か特別な思い入れがあるのかもしれません。【湧々堂】→
チャイ5の詳細レヴューヘ


Treasures
TRE-194(1CDR)
クリップス/「未完成」&「悲愴」
シューベルト:交響曲第8番「未完成」
チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」*
ヨーゼフ・クリップス(指)
ウィーン祝祭O、
チューリッヒ・トーンハレO*

録音:1964年、1960年10月*
※音源:仏PRESTIGE_SR-9634、日Concert Hall CHJ-30014*
◎収録時間:65:51
“クリップスの微笑が作品の悲劇性に瑞々しい息吹を注入!”
■音源について
[悲愴」は、ドイツ盤もスイス盤も聴きましたが、予想に反し桁違いに素晴らしい音を発したのはこの日本盤でした。但し、よく見かけるSMS品番ではなくCHJ品番です。「ノイマンSX-68カッターヘッド」の効果かもしれません。

「未完成」は、オケ(ウィーン響が主体)の持ち味を活かしつつ、クリップスのしなやかな歌心を加味して独特の味わい。アゴーギクを最小限に抑えた淡々としたテンポ運びと自然な声部バランスから滲む慈愛の風情は、聴く者の心を優しく癒やします。その愛の力は特に2楽章で大きく開花。第2主題の温かくも切ないフレージングには静かな信念が脈打っているだけに心を打ち、8:31からの内面からのエネルギーの噴出も感動的で、少なくともこの楽章のトップクラスの名演であることは疑いようもありません。
「悲愴」がこれまた絶品!刺々しい音とは無縁の優美路線を基調とし、音圧ではなく熱いフレージング力で勝負するのは、ウィーン・フィルとの「第5番」と同じですが、このスタイルで微温的な雰囲気に傾かず、最後まで一本筋の通った人生ドラマを描ききるのは、クリップスならでの至芸と言えましょう。こちらのオケはチューリッヒ・トーンハレですが、まるでウィーンのオケのように響くのも不思議な現象。
第1楽章で驚くのは、弦の必死の弾きっぷり!録音の性質上、ヴァイオリンが接近して聞こえることを差し引いてもその噴出力は凄まじく、そこに渾身の金管が融合した時の説得力は、猛烈なパワーをダイレクトに放出する旧ソ連勢の演奏とは違う手応え。第2楽章はクリップスの優しさがそのまま投影された語りかけが心に染み、第3楽章も、テンポや音色にエキセントリック要素はどこにもなく、全ての音が優しくブレンドし、微笑みを絶やしません。終楽章では、その柔和なイメージを持ち越し、力みや溜めを伴わない素直な進行には清々しささえ感じますが、各声部をたっぷりと鳴らしきることで、絶望感を煽ることなく純音楽的なニュアンスを結実させ、独特の感動をもたらすのです。【湧々堂】

Treasures
TRE-196(1CDR)
カンテッリのステレオ名盤集Vol.2
ブラームス:交響曲第3番
フランク:交響曲ニ短調*
グィド・カンテッリ(指)
フィルハーモニアO
NBC響*

録音:1955年8月、1954年4月*
※音源:仏Trianon TRI-33200、英W.R.C SH376*
◎収録時間:70:08
“テンポの変動を抑えて作品の本質を引き出すカンテッリの天才性!”
■音源について
1970年代後半にようやくステレオ・ヴァージョンが発売された2つの録音をカップリング。ブラームスは、この1曲だけで両面を使用しているトリアノン盤を採用。

★素直で伸びやかな歌と清潔なハーモニーで一貫したカンテッリならではの2つの名演奏。
ブラームスでの清々しいフレージングは、極端な造形を見せるクナッパーツブッシュとは正反対。テンポの伸縮も最小限に抑えてながら、この作品の洗練美の表出を見事日貫徹しています。特に弱音部でのニュアンスの透徹ぶりは心に迫り、常に高い技術の音楽性を披露するフィルハーモニア管も、気を引き締め直して臨んでいるのが目に浮かぶよう。それを最も顕著に感じるのが第2楽章。至純なハーモニーそのものが高い音楽性を示し、後半7:08以降で静謐の間合いにたっぷりとニュアンスを敷き詰め、息を呑むような美しい響きを現出する様は奇跡的とさえ言えます。第3楽章は、デニス・ブレインのホルンはもちろんのこと、他の管楽器同士の融合美、弦の驚異的な音程の正確さが織り成す精妙なニュアンスにも心奪われます。終楽章も、淀みとは無縁のイン・テンポ進行が瑞々しいこと!さり気なくティンパニの追加を施していますが、これもクナのそれとは意味合いが全く異なります。何度聴いてもゾクッとするのが、コーダの最後のピチカートの微妙なずれ!偶然の産物かもしれませんが、録り直しをせずに採用しているのが粋!
フランクはNBC響が相手で、強音部のアタックはトスカニーニを彷彿とさせますが、柔軟な歌と瑞々しいロマン性はカンテッリならではで、第1楽章第2主題(6:31〜)の爽やかさはその好例。第2楽章は、オケの特質により音の隈取りが強いにもかかわらず、常に優しい香りを伴って聴手に語り掛けます。中間スケルツォ部におけるアンサンブル制御力と緻密なニュアンス表出の隙のなさ!これが30代半ばの青年の指揮というのは、どう考えても驚異です。
終楽章は、アゴーギクを極限まで抑えるカンテッリの特質が最大に生き、冗長に陥りがちなこの曲をキリッと引き締め、同時に惜しげもなく熱い歌を注入し尽くします。最後まで造形の軸がぶれることのないコーダは、カンテッリの音楽哲学の象徴するかのように決然と響き渡ります。【湧々堂】


Treasures
TRE-200(1CDR)
ワルター厳選名演集Vol.2
ハイドン:交響曲第88番「V字」
シューベルト:交響曲第9番「グレート」
ブルーノ・ワルター(指)
コロンビアSO

録音:1961年3月4&8日、1959年1月31日&2月2,4,6日*(共にステレオ)
※音源:日COLUMBIA OS-307、英CBS SRBG-72020*
◎収録時間:74:08
“晩年のワルターの芸術性が奇跡的な次元にまで昇華した2大名演!”
■音源について
ハイドンは、3楽章のティンパニの弱音連打の質感を見事に捉えきっている国内初期ステレオ盤、シューベルトは、品格溢れる音質を誇る英国盤を迷わず採用しています。

★ワルター晩年の録音の中でも五指に入る2つの超名演!ワルター独自の温かな感性とロマンティックな歌のセンスは、録音技術の限界や、オケの特質、ワルター自身の迷い等ににより、その全てが出し切れていないことも少なくないですが、この2曲は全てが最良の形で演奏に反映してどこにも無理がなく、全てのニュアンスが結晶化しています。
特にシューベルトの魅力は、無尽蔵!美しく齢いを重ねた人間だけが成し得る奇跡の芸術と言う他ありません。第1楽章序奏から憧れと失意が入り混じったニュアンスが横溢。スローテンポが単に鄙びた味わい以外の風情を醸し出す点でも忘れられません。主部以降もメトロノーム的進行とは一切無縁。3:26のホルンの強奏など、造形を盤石にする配慮にも事欠きません。第2楽章は歌心に任せるだけではなく、主題の厳格なスタッカート処理に象徴されるように、意外なほどリズムを引き締めている点がポイント。アゴーギクを最小限に抑えることで、フレーズの末端で微かな余韻を際立たせるという老練の技にもうっとりするばかり。10:20からの低弦ピチカートも、これほど歌いきった演奏が他にあるでしょうか?第3楽章は、1946年盤でも見られたティンパニの追加がさらに功を奏し、究極のレントラーを実現。5:16の僅かな下降音型の呼吸感も鳥肌ものが。
終楽章は思い切った管楽器の補強が散見されますが、それがワーグナー風の派手さに傾かないのは流石。テンポは遅めですが、そうでなければならないほどニュアンスが充満しているのはもちろんのこと、弦が細かい音型を必死の形相で弾くという類の曲ではないことを優しく諭すかのように、確実に音楽の内面のニュアンスが表出されるのです。
ハイドンも、この演奏を聴かずしてこの曲は語れず、「芸は人なり」という言葉をこれほど痛感させる演奏も少ないでしょう。そして、老巨匠とは思えぬ表現の瑞々しさ!第2楽章のピチカートは、まるで涙のきらめき。古典的フォルム内に溢れんばかりの悲哀が何層にも詰まっています。
ワルターと言えばモーツァルトですが、少なくとも晩年に遺したどのモーツァルトの交響曲よりも、この2曲の充実度はずば抜けているいことを実感していただけることでしょう。【湧々堂】

Treasures
TRE-188(1CDR)
パウムガルトナー/モーツァルト:交響曲集
交響曲第35番[ハフナー」
交響曲第38番「プラハ」*
交響曲第41番「ジュピター」
ベルンハルト・パウムガルトナー(指)
ザルツブルク・モーツァルテウム音楽院O

録音:1958年7月*(ステレオ)
※音源:独PARNASS61-415、61-413*
◎収録時間:79:47
“モーツァルトに対する渾身の愛を温かな造形美に凝縮!”
■音源について
ステレオ初出盤(10インチ)のザラッとした質感も捨てがたいのですが、フラット盤特有のノイズも含めて一般的ではありませんので、ここでは後発のPARNASS盤を使用。これらの演奏の凄さは十分に感じ取れます。

★ステレオ録音によるモーツァルトの交響曲録音としては、ワルター盤以上に完成度が高い名演と呼ぶことに何の躊躇もありません。パウムガルトナーと言えば、モーツァルテウム音楽院の学長を務めた学者のイメージが強いですが、導き出される音楽には愛でむせ返り、アカデミックな冷たさとは無縁。学者でもないのに歴史的な考証を中途半端に持ち込み、効率的な音の羅列に終止する指揮者が多い昨今、このモーツァルトに対する敬意の表し方、否、指揮者のあり方を示す最良の実例として、この演奏の重みを今こそしっかり認識すべきではないでしょうか。
「プラハ」第1楽章は、序奏部だけで4分半を要する超低速!しかも各音符の音価が額面通りではなく、手元から音が離れるを惜しむかのような強烈な「引き」を伴い、その味の深さは尋常ではありません。主部も遅めではありますが、モーツァルトへの愛の揺るぎなさを象徴するように音楽の軸がブレず、キリッとしたリズムを伴いながら豊かな流れを築きます。第2楽章の耽溺の一歩手前で情感と造形を巧妙に制御。終楽章は音楽が大きく、懐の深いこと!このようなモーツァルトの人間味を丹念に表出する演奏は、プレヴィンあたりを最後に絶滅してしまったとしか思えません。
「ハフナー」をパウムガルトナーの指揮で聴くと、この曲の祝典的な雰囲気の出し方が表面的、あるいはリズムの切れ味でやり過ごす例が多いことに気付かされます。ここでの演奏は、テンポを中庸からやや遅めを採用していることからも感覚的な痛快さなど全く眼中になく、心の奥底からの愉悦を丁寧に再現することに専心。1:17からのヴィオラの音型が分析臭を伴わずにくっきりリ浮上する様は、共感の純粋さを移すかのよう。
「ジュピター」は、この曲に風格美を求める方には欠かせぬ大名演。声部バランスが練りに練られており、どこをとってもブレンドの妙に感じ入ります。第1楽章はまさに立派な造形を美しきつめながら、第2主題で顕著なように瑞々しい推進力も兼備。第2楽章も、音楽を敷き詰める器の容量が大きいことにハッとさせられることしきり。ひそやかな雰囲気ばかりに気を取られて音楽自体を萎縮させている例のいかに多いことか!。従来のスタイルではメヌエットを遅くする傾向が多く見られましたが、パウムガルトナーはその風潮には組せず、トリオも含めてスッキリとした感触のイン・テンポを貫徹。そういうパウムガルトナーの洗練されたセンスも、古さを感じさせずに聴く者の心に深く訴えかける要因の一つと言えましょう。終楽章は声部の緊密な連動力が命ですが、それを計算ずくでやられると白けるばかり。その点、終始ゆったりと構え、その連動の妙を味わい尽くしてから先へ進むくらいの余裕を見せる進行は、まさに横綱相撲。どこにも力みはないのに、聴く側は手に汗握りっぱなしという、これぞ究極の指揮芸術!【湧々堂】



OUT OF THE FLAME

OUT-082(15CD)
マーラー:交響曲全集

(1)交響曲第1番「巨人」

(2)交響曲第2番 ハ短調「復活」

(3)交響曲第3番 ニ短調

(4)交響曲第4番ト長調

(5)交響曲第5番 嬰ハ短調

(6)交響曲第6番 イ短調「悲劇的」

(7)交響曲第7番 ホ短調*

(8)交響曲第10番 嬰ヘ短調(アダージョ)+
(9)交響曲第8番「千人の交響曲」

(10)交響曲第9番ニ長調
チェコ・ナショナルSO
リボル・ペシェク(指)
(1)録音:2008年1月、ルドルフィヌム、プラハ、チェコ
(2)エヴァ・ウルバノヴァー(S)
カテジナ・ヤロフツォヴァー(A)
ブルノ・チェコ・フィルハーモニーcho
録音:2010年1月、ルドルフィヌム、プラハ、チェコ
(3)ダグマル・ペツコヴァー(Ms)
ブルノ・チェコ・フィルハーモニーcho
キューン児童cho
録音:2012年1月、ライヴ、スメタナ・ホール、市民会館、プラハ、チェコ
(4)佐藤美枝子(S)
録音:2009年2月、ルドルフィヌム、プラハ、チェコ
(5)録音:2007年3月、ルドルフィヌム、プラハ、チェコ
[CD 8-9: OUT 068 (2CD)]
(6)録音:2014年1月、ライヴ、スメタナ・ホール、市民会館、プラハ、チェコ
(7)(8)録音:2015年1月+、2016年1月*、ライヴ、スメタナ・ホール、市民会館、プラハ、チェコ
(9)アンナ・キェリケッティ、ドリアーナ・ミラッツォ、カテジナ・クニェジーコヴァー(S)
イヴォナ・シュクヴァーロヴァー、カテジナ・ヤロフツォヴァー(A)
マルチェッロ・ナルディス(T)
ジャンフランコ・モトレゾル(Br)
オンドレイ・ムラース(Bs)
ブルノ・チェコ・フィルハーモニーcho
カンティレーナ児童cho
録音:2011年1月、ライヴ、スメタナ・ホール、市民会館、プラハ、チェコ
(10)
録音:2013年1月、ライヴ、スメタナ・ホール、市民会館、プラハ、チェコ
1993年にチェコのトランペット奏者ヤン・ハーズネルにより創設されたチェコ・ナショナルSOが8年をかけて録音してきたマーラーの交響曲全集が完結。


Treasures
TRE-189(1CDR)
ベームのベートーヴェン&ドヴォルザーク
ベートーヴェン:交響曲第4番
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界から」*
カール・ベーム(指)BPO

録音:1952年4月23日、1951年12月17日*
※音源:伊MOVIMENT MUSICA 08-001、01-024*
◎収録時間:79:40
“作品に対するヴィジョンの違いが際立つ2つの名演!”
■音源について
ベーム壮年期の放送用音源。「新世界」はベームにとって遠い存在と思われがちですが、DGのセッション録音以上に覇気に満ちたこのアプローチを聴くと、真に共感を寄せていた作品であることが窺えます。

ベートーヴェンは、かつての独墺系の指揮者の多くがそうであったように、遊びを厳しく戒め、一点一画を疎かにしない解釈が徹底。観客のいない一発録りなので、ここまで集中して作品の理想像を築けたのかもしれません。第1楽章冒頭から実に慎重で、早速禁欲的な空気が支配します。主部以降は精神の内燃に終止し、道を踏み外すまいとする意志の強さが音楽の造型を強固にし昇華させます。特に展開部の各声部の緊密な融合ぶりは聴きもの。第3楽章でのニュアンスの凝縮力の高さも必聴。楽想移行時にの僅かなリタルダンドも含め、ここでは表現への積極的な姿勢を露わにし、この楽章にこれほど高い求心力で響いた例は稀でしょう。終楽章は再び禁欲モードに戻りますが表現への熱い意志は保持。コーダのアゴーギクが極めて抑制的なのも、ベームのベートーヴェンへの敬意の表れ言えましょう。
ドヴォルザークは、もちろん民族的なテイストとは無縁で、あくまでもロマン派ソナタ形式作品として対峙していますが、ベートーヴェンとは好対照を成す表現の幅広さ、深さに心奪われます。
第1楽章序奏部から本物の共感がフレージングに浸透し尽くされており、第2主題をテンポを落として歌いながらも高潔さを維持するあたりは流石ベーム。逆に意外なのは、再現部の7:27と7:29で囁く感触を微妙に変えており、普段のベームにはあまり縁のない「甘美な余韻」を滲ませる点。提示部でも似たアプローチがあるので、まさにベームの例外的なこだわりと言えましょう。コーダではアッチェレランドがかかりますが、単に熱気に任せたものとは異なるのがベームならでは。第2楽章は自らは酔いしれず、作品と一定の距離を保ちながら情感を丁寧に表出しますが、最高潮を築いた後の10:20以降は、抑えがたい郷愁を心の奥から徹底的に縛りだして涙を誘います。特に10:52からの弦のアンサンブルは感動の極み!終楽章は、多くの点でニュアンスが1978年盤と酷似しているのに驚きますが、リズムの瑞々しさと、解釈の細やかさはこちらが上。例えば2:19から弦の内声トレモロに掛かるクレッシェンドは、78年盤には見られません。
ベームに対する「頑固」「無骨」といったイメージは、決してアプローチがワンパターンだという意味ではなく、思い描くヴィジョンに妥協を許さないという意味を含んで、初めて的を得た形容となるのではないでしょうか。【湧々堂】

パスティエル
DQC-1581(1CD)
税込定価
チャイコフスキー:交響曲第5番
ドヴォルザーク:スケルツォ・カプリチオーソ
スメタナ:交響詩「ワレンシュタインの陣営」
ラドミル・エリシュカ(指)
札幌SO

録音:2016年10月14〜15日 札幌コンサートホールKitara
2008年に実演で聴いたエリシュカと東京都響との「チャイ5」(CD化熱望中)は、私にこの作品の魅力を再認識させただけでなく、指揮者という存在の意味、筋金入りの職人気質がもたらす普遍的な芸術性を徹底的に思い知らされたという点で、決して忘れられない経験でした。いわゆる「爆演」ではなく、丁寧に造型を積み上げるタイプの演奏に対し、終演後にスタンディングオベーションが沸き起こったのも新鮮な驚きで、日本はに良いものを的確に感知できる聴衆がjこんなにいるのかと、誇らしく思ったのも昨日のことのように思い出します。【湧々堂】 →更なる詳細レヴュー

Cybele
D-801702(1SACD)
ヴッパータール交響楽団LIVE Vol.1
ドホナーニ:交響的瞬間 Op.36、
 ピアノ協奏曲第2番 ロ短調 Op.42
ブラームス:交響曲第3番 ヘ長調 Op.90
ソフィア・グルバダモーヴァ(P)
ドミトリー・ユロフスキ(指)
ヴッパータールSO

録音:2017年6月25・26日
CYBELEレーベルが積極的に取り入れている、ヘッドホンで聴くことにより最高音質の効果を発揮するように作られた「バイノーラル録音」。その録音 に特化したシリーズの第2弾です。同時にヴッパータール交響楽団のライヴ・シリーズ第1弾となっています。オルガンや室内楽の録音が多かったレーベ ルですが、ついに大オーケストラの録音がスタート。これは興味津々です!
エルンスト・フォン・ドホナーニ(1877-1960)はピアニスト、指揮者、教師としても活躍した作曲家で、指揮者クリストフ・フォン・ドホナーニの祖父。 20世紀になおロマン派の作風を貫いた人物で、ブラームスの音楽ともまったく不自然なく響き合います。2、3分の短い楽章が5つ並んだ『交響的瞬間』 は美しく情景的な佳曲。ハープを伴奏にオーボエが歌う第4楽章が印象的です。続くピアノ協奏曲は作曲家が腕の立つピアニストなだけあってとにかく雄 弁なソロが格好良い。ピアノがロ短調の分散和音で力強く駆け抜ける中、ホルンが朗々とテーマを歌い上げる第1楽章はこれぞロマン派協奏曲という出で 立ち。オーケストラの編成も大きく、高音質で楽しめるのが有難い、面白すぎる秘曲です。 ブラームスの3番も聴き応えあり。指揮のドミトリー・ユロフスキはいたって正攻法のアプローチで、音楽をたっぷり滋味豊かに響かせています。見事 な録音によってその音楽の美しさは余すところなく捉えられており、ティンパニを含む全楽器の音色の絶妙な混じり具合が感動的です。第2楽章の木管、 第3楽章の弦楽の響きもとても魅力的で素晴らしい。CYBELEレーベルのフル・オーケストラ録音、注目必至のシリーズです!


fine NF(N&F)
NF-928801(2CD)
税込定価
2017年11月20日発売
チャイコフスキー:三大交響曲
交響曲第4番ヘ短調Op.36
交響曲第5番ホ短調Op.64
交響曲第6番 ロ短調「悲愴」Op.74
ヴァレリー・ポリャンスキー(指)
ロシア国立SO《シンフォニック・カペレ》

録音:2015年7月18日 東京芸術劇場第ホール・ライヴ
稀有の響き!オーケストラにとって何よりも大切なのは、独自の響き、色合い、香りといったかけがいのない特色が備わっているかどうかにあります。際立った特色を持ったオーケストラというとまずウィーン・フィル、ゲルギエフ率いるマリンスキー劇場管弦楽団、さらにバイロイト祝祭劇場のオーケストラがまず思い浮かびます。いずれもオペラがベースであり、歌を聴く耳がオーケストラに自然に備わっているのが特色です。 そんな中、にわかに注目をされ出しているのが、ヴァレリー・ポリャンスキー率いるロシア国立交響楽団<シンフォニック・カペレ>です。同じ歌でもロシア正教のア・カペラの合唱に根ざしています。 本CDは、世界初と言えるチャイコフスキーの3大交響曲連続公演の東京でのライヴを収録しています。(N&F)
「奏者たちは、音色を調和させようと張り詰め、ハーモニー作りに耳をしっかりそばだてている。そのうえ弦楽器も管楽器もいつも息をたっぷり吸って吐いている。音を保ってよく鳴らす。そうでなければハーモニーの陶酔もポリフォニーの妙味も味わえるはずはないのだから。器楽的ではなく、とても声楽的なのである。しかも重心の低いロシアの合唱の響きなのである。よく保ってよく鳴らすコーラスのありようがモデルなので、器楽的に力任せに走るということがない。テンポがどんなに速いときも一声ずつ確実に響かせるように踏み締めることを忘れない。ポリャンスキー流の交響楽のひびきというものだ。」(ライナーノーツ:片山杜秀 より)


Treasures
TRE-187(1CDR)
アンセルメ〜オーディオ・ファイル名演集1
ビゼー:「カルメン」組曲[第1幕前奏曲/アラゴネーズ/間奏曲/アルカラの竜騎兵/密輸入者の行進/ハバネラ/衛兵の交代/ジプシーの踊り]
オネゲル:機関車パシフィック231*
サン・サーンス:交響曲第3番「オルガン」#
エルネスト・アンセルメ(指)スイス・ロマンドO
ピエール・スゴン(Org)#

録音:1958年4月1-23日&5月12-14日、1963年4月2-8日*、1962年5月3-5日&12-28日#(全てステレオ)
※音源:日KING SLC-1707、SLC-1702*,#
◎収録時間:67:33
“アンセルメ芸術の粋を結集した厳選3曲!”
■音源について
アンセルメのステレオと言えばSXL盤を取るのが普通ですが、あえて優秀な日本プレス盤にこだわります。理由はただ一つ。SXLと同等の情報量が得られ、軽視する理由など思い当たらないからです。ただし、60年代中頃までは、盤の材質のせいか微妙なチリチリノイズが混入している場合がほとんどなので、それが解消される1965年以降に発売され、かつ英メタルを使用した良質盤を入手するのに苦労しました。オネゲル後半のバスドラムの衝撃でもビリつかず、サン・サーンス最後での芯がぶれない強固なティンパニ打撃など、既出CDや復刻LPにはない本当の重量級サウンドを体感して下さい。もちろん復刻の動機は、演奏内容の魅力が大前提であることは言うまでもありません。

★あまりにもメジャーな名演ばかりですが、デッカが築いたステレオ・サウンドの最初のピークとも言うべきこれらの録音は、その演奏内容の高さも含めてどうしても無視するわけにはいきません。子供だった私がビゼーの「カルメン」冒頭の地割れしそうな衝撃音を浴びた時の驚きは、今でも忘れられませんが、いま最良の復刻サウンドを聴いた上でお伝えしたいのは、もちろんその音も凄さだけではありません。まず、アンセルメの芸術を最も端的に象徴する録音として、この3曲は絶対に外せないということ。これほどの録音環境を得ながら、それを武器にして面白く聞かせようという魂胆は微塵も無く、ひたすらクールに音の構築とテクスチュアの透徹に専心。アンセルメはデッカの録音の鮮烈さを十分認識していことはよく知られていますが、それを100%信頼していたからこそ、更に効果を狙った解釈など不要と判断したのかもしれません。
いずれにしても、人間くさいニュアンスを直接投影するのではなく、音の精緻な積み上げに対する揺るがぬ意思が音楽に緊張感を与え、リアルな実体を浮き彫りにするのが、アンセルメの真骨頂と言えましょう。
それを如実に示すのがオネゲル。アニメチックな描写とは違う機関車のリアルな実像と、冒頭部の蒸気の漂う様やひんやりした鉄の質感までも感じさせる演奏として、これ以上の録音に未だに出会えませんし、優秀録音が単に音がクリアに聞こえるという現象にとどまらず、音楽的なニュアンス作りに作用していることをこれほど実感させる録音も珍しいでしょう。
サン・サーンスも、もっと派手に振る舞うことは可能なことを知りながら、敢然とクール路線を貫徹。録音効果の上に単に乗っかって自己表現するのではなく、録音効果自体も解釈の一環のように組み込んでいる…とでも申しましょうか。第1楽章は、ひたすらイン・テンポ進行を続けるのみですが、響きの陰影が自然に浮揚することへの確信が強固だからこそ、無機質な音の羅列に傾きません。後半の静謐にも、あえて瞑想的な雰囲気を上塗りする必要など無いのです。第2楽章も、オーマンディのようにスペクタクルな面白さを分かりやすく再現する手法とは正反対。最後の大団円へと登りつめる際のアッチェレランドに至っても興奮を煽るのではなく、最後の一音まで高貴な音像を貫徹。とかく皮相に響きがちなこの作品を真に芸術作品として再現し尽くした演奏として、永遠に指針となるべき名演だと思います。【湧々堂】

Treasures
TRE-181(1CDR)
ベイヌム/メンデルスゾーン&ブラームス
メンデルスゾーン:交響曲第4番「イタリア」
ブラームス:交響曲第1番ハ短調Op.68*
エドゥアルト・ファン・ベイヌム(指)
アムステルダム・コンセルトヘボウO

録音:1955年6月2-4日、1951年9月17日*(共にモノラル)
※音源:PHILIPS 6542-131、英DECC ACL-71*
◎収録時間:68:18
“オケの技術力をそのまま音楽的ニュアンスに変換できるベイヌムの凄さ!”
■音源について
ブラームスは、LXTも国内初期盤も、どこか音が出きっていない感が否めず、CDでは高音がキンキン煩かったが、このACL盤でようやく納得の行く音に出会えました。 メンデルスゾーンも6枚組ボックスの再発盤ですが、片面収録にも関わらずヒズミ感のない素晴ら しい音なので、迷わず採用しました。

★ベイヌムにとってブラームスの「第1番」は、短い生涯に3回も録音していることからも、最大の十八番であったことは明らか。中でも強力にお薦めしたいのは、全体的に平板に響くステレオ再録音盤よりも、録音の点でも解釈の点でもニュアンスが凝縮しきっているこの'51年盤です。物々しい形相を見せず自然体の燃焼に終止する序奏部から、粘着質に沈み込む従来のこの作品のイメージを払拭。今聴いても新鮮な感覚は色褪せていないのですから、録音当時は更に衝撃的に感じられたことでしょう。主部に入ると、ティンパニのみならず他の声部もデフォルメせず、常にバランスの取れたハーモニーを堅持しながら響きと精神の凝縮に徹する姿勢や、3:28以降の弦を短く切る処理などは、音楽を決して停滞させないベイヌムのの美学の表れと言えましょう。展開部後半の灼熱の高揚感は、何度聴いても感動的。一切力まずに一瞬にして頂きに達する牽引力の凄さ!カンテッリ盤等とともに、この箇所の燃焼度は史上屈指の存在でしょう。第2楽章も当たり障りのない平穏な音楽ではなく、芯から興奮した音が束の間の笑みを浮かべているかのよう。この楽章の多彩な表情を引き出すため、ここまで深く作品を抉った例も少ないでしょう。終楽章も淀み皆無。竹を割ったような造形美を湛えながらそれは目的ではなく、あくまでも汚れなき精神の投影するために不可欠な響きであることがひしひしと伝わるので、感動の深さ、強さがが尋常ではありません。3:42からの金管ハーモニーのコシの強さは類例なし!テンポの伸縮は最少に抑えた推進力第一のアプローチが極限まで磨かれ、鉄壁なイン・テンポで締めくくるコーダまで、緊張の糸は途切れません。
「イタリア」は、その推進力が清々しい発言力で迫り、これまた絶品。第1楽章は、提示部リピートあり。展開部の声部の生地な絡みから生まれる緊張の渦が聴きもの。第2楽章は、アンサンブルの清潔さがそのまま音楽のニュアンスと化し、第3楽章は邪念なき表現意欲の結晶。この中間部はややテンポを落とす例が多いですが、ベイヌムはむしろ速めて洗練美を極め、しかもリズムの良さは空前絶後。圧巻は終楽章。トスカニーニやセルを上回るとさえ言える精緻なアンサンブルを貫徹しながら猛進に走らず、瑞々しい息吹をが際立つこの演奏は、同曲の理想と言えましょう。【湧々堂】

Treasures
TRE-183(1CDR)
オーマンディ/モーツァルト&ハイドン:交響曲集
モーツァルト:交響曲第40番ト短調
ハイドン:交響曲第99番*
 交響曲第100番「軍隊」#
ユージン・オーマンディ(指)
フィラデルフィアO

録音:1956年1月10日、1954年4月15日*、1953年12月23日#
※音源:米COLUMBIA ML-5098、ML-5316*,#
◎収録時間:71:20
“深刻な空気を持ち込まないオーマンディのピュアな作品掌握力!”
■音源について
3曲ともオーマンディの唯一のセッション録音。オーマンディの膨大な録音の中で最も軽視されているのがドイツ古典派の作品ですが、この復刻に触れて、どれも逸品揃いであることを実感していただきたいと思います。モノラル後期なので、音も鮮明です。

★「オーマンディのモーツァルトが素晴らしい!」などと言うと笑われるから、誰も言わないのでしょうか?私は笑われても構わないので申し上げます。この3曲にはオーマンディでなければならない独特の魅力が満ちており、無視する理由などどこにも見い出せません。
その魅力の中核を成すのが、「幸せを感じてこそ音楽」という信条を込めた音作り。独墺の交響曲に「精神的な重み」だけを追い求めている方にはそんなもの毒にも薬にもならないでしょうが、思えばそのこだわりは、他のレパートリーでも常に携えていたもので、まずそのブレない姿勢に改めて驚かされます。その顕著な例がモーツァルト。深刻な演奏、厳格な演奏は数々あれど、オーマンディの素直な悲しみの表現を聴くと、いくら短調とは言え、この曲にシリアスな要素を持ち込むのは場違いでは?とさえ思えるほど、立ち昇るニュアンスがいちいち心の襞に触れるのです。もちろん、作品へ眼差しは常に真摯。第1楽章主題の音量、音価に微調整を加えつつ、その対比によって独特の色香を発し、なおかつ心から歌っていることを誰が否定できましょう。第3楽章のテヌートとスタッカートの使い分けは、壮年期ならではのリズムの冴えとも相まって明確な主張を放ち、大編成の分厚い響きも引き締まっています。終楽章は魅力充満!弦の相の手トリルの和声(0:14〜)は、まさにオーマンディ・マジック!第2主題への滑り込みではあまりの間合いの素晴らしさに鳥肌が立ち、第2主題はアーティキュレーションのこだわりが命と化してっ感動倍加。しかも意外なことに、提示部も再現部もリピート!少なくともこの楽章は、史上最高ランクの演奏と言っても過言ではありません。
ハイドンは、全体の構成を見据えた上でのニュアンスの凝縮力が見事で、ハイドン特有のユーモラスをデフォルメすることなく血の通ったニュアンスに結実。「99番」第1楽章主部の颯爽とした疾走感は、後年には望み得ないもの。第2楽章の温かいノスタルジー、第3楽章のリズムの気品と弾力、終楽章では安定感のあるテンポで全体を総括するようにニュアンスを出し尽くします。
その特色は「軍隊」でも全く同じ。小細工など必要としない人間力一本で勝負した芸術家魂に打たれます。大編成にも関わらず煩く響かず、作品の名曲ぶりがストレートに伝わります。オーマンディは広いレパトリーを誇りますが、一気に録音した「全集」の類いが少ないことからも明らかなように、心から共感できない作品には手を出しませんでした(シベリウスの交響曲の3番、6番の録音が存在しないのもそのためです)が、この「軍隊」もあえて録音に踏み切っただけあって、細部までよくコンセプトが練られ、ルーティンな印象など与えません。爽快な第1楽章には、この曲を物々しい軍隊音楽ではなく、おもちゃ箱を無心で掻き回す子供のような愉しい作品として伝えたいいう意欲が横溢。そのヴィジョンがあるからこそ、第2楽章が感覚的な衝撃以上のほのぼのとした味わいをもたらしてくれるのです。フレーズの呼吸のコントラスの鮮やかさにも息を呑みます。第3楽章は中間部のリズムの跳ね上げ方にご注目。終楽章は、一部弦のアルコをピチカートに変更していますが、そこに衒いなどなく、音楽をよりチャーミングなものにしたいというピュアな衝動から出ているからこそ、心をくすぐるのではないでしょうか。【湧々堂】

Treasures
TRE-182(1CDR)
ベートーヴェン:12のドイツ舞曲 WoO.8*
ブルックナー:交響曲第3番[第3稿=1890年のシャルク改訂版]
ワルター・ゲール(指)
フランクフルトRSO*
オランダPO

録音:1950年代中期頃*、1953年11月、ヒルフェルスム
原盤:Concert Hall MMS-2159*、Concert Hall CHS-1195
◎収録時間:65:32
“クナだけではない!説得力絶大な改訂版による「ブル3」”
■音源について
ブルックナーの第3交響曲の世界初録音はフェケテ指揮によるレミントン盤(1950年)ですが、このゲール盤はそれに次ぐ最初期の録音。もちろん改訂版を使用していますが、「第5」や「第9」のような改竄ではないので、ほとんど違和感は感じられません。

★勇壮で自信に満ちたワーグナー像をストレートに投影したような演奏で、全ての音が明確な表現意思を持って打ち鳴らされます。第1楽章からアドレナリン全開で推進力満点。響きは終始引き締って緊張に満ちており、決して軽薄な祝典的なムードには陥っていません。第3楽章はニュアンスの濃密さに唖然。アンサンブルの凝集力も高く、声部感に一切隙間風を感じません。トリオでの鄙びたニュアンスも聴きもの。終楽章は、速めのテンポで武士的な勇ましさをストレートに表出。特に再現部以降は激情の渦!コーダ前の強弱対比は誰よりも強烈。コーダ開始を告げるトランペットの輝きも尋常ではありませんが、少しも煩くなく、否が応でも感動に拍車をかけます。
これら3つの楽章とは異なる幻想世界を現出し、心の深部に染みるのが第2楽章。後期の作品の諦観にも通じる精神的な深淵さとリリシズムが見事に同居しています。楽想転換時の全休止での間合いの素晴らしさは、ゲールのブルックナーへの真の共感を象徴しています。
このブルックナーは、決して予定調和的な進行に甘んじないゲールの面目躍如たる名盤として忘れることができません。 【湧々堂】

Treasures
TRE-185(1CDR)
ミトロプーロス/ベートーヴェン&ブラームス
ベートーヴェン:交響曲第1番ハ長調Op.21*
ブラームス:大学祝典序曲
 交響曲第3番ヘ長調Op.90
ディミトリ・ミトロプーロス(指)NYO

録音:1951年10月15日*、1958年2月9日(共にモノラル・ライヴ)
※音源: MELODRAM 233*、 FONITCETRA DOC-23
◎収録時間:63:04
“ミトロプーロスの危険な表現とソナタ形式との美しき融和!”
■音源について
ミトロプーロスのセッション録音は少ないのですが、遺されたライヴ録音を聴くと、その強烈な個性は、きちんとお膳立てした録音で入りきる代物ではないことがわかり、かつて発売されたAs DIisc等のライヴCDを聴くと、その個性を注入するには古典作品では収まりきらず、どこか窮屈に感じることもありました。しかしここに聞く3作品は例外!音楽のフォルムをギリギリまで拡張し、その尋常ならざる情感のうねりと大きさを美しく共存させています。なお、交響曲第3番第2楽章に音が潰れているように聞こえる箇所がありますが、音源に起因するものです。また、終楽章の最後は余韻が消え入る前に拍手が起こって興冷めですので、ここではカット&フェードアウト処理をしています。

★ミトロプーロスが発する音楽は危険な香りと刺激を孕んでおり、のめり込み過ぎると聴き手の感覚が麻痺するのでは?と思うこともしばしば。その表現スタイルが古いか新しいかなど、論ずる意味がどこにありましょうか。
ベートーヴェンは、テンポは速め、表現の切り替えのレスポンスも俊敏なので一見「現代的」と言えましょうが、全ての音の根底に張り巡らされている意志の強さが尋常ではなく、ボタン一つで飛び出たような安易な音など皆無。その真実の音の発言力を前に、スタイル云々など関係あるでしょうか?第2楽章はフレージングのみならず、リズムの刻みが心に訴えるのは、そこに真の共感と高潔な精神が脈打っている証し。終楽章の主部への滑り込み方は、全ての指揮者が羨むであろう離れ業!以降は相当の高速で推進しますが、無機的な響きとは無縁。血肉が確実に詰まった音だけ連動するので、表情の求心力は超弩級!第2主題で微妙にテンポを落としますが、これぞミトロプーロスの魅力の中核をなすマジックと言えましょう。
この情感の揺れをテンポの微妙な変化に転化する天才的なセンスは、「大学祝典序曲」で大開花!カラヤンさえ録音を避けた作品ですが、この演奏を聴いたら考えが変わったかもしれません。とにかく大スケール!一気呵成に猛進するようでいて、繊細な感性を息づかせたニュアンスが随所に散りばめられ、この作品をこれほど多面的に捉えた演奏は極めて稀。しかもそこには神々しささえ漂い、これぞ凡人とは一線を画すオーラのなせる技でしょう。
ブラームスの3番に至っては、ブラームス自身の想定をも超えたであろう別次元の名演と呼ぶしかありません。ミトロプーロスにとってはブラームスもマーラーも、自身の閃きを信じて「表現し尽くす」という点ではスタンスは同じ。第1楽章1:44以降や、展開部直前では、例によってテンポ・ルバートの妙味全開。第2主題直前の音(1:15〜)をかなり長く引き伸ばして情感の余韻をギリギリまで保つアプローチには、ミトロプーロスの音楽性の根源がそうせずには居られ「純粋な感情」であることを思い知らされます。息の長いフレーズを決して平板に流さないのもミトロプーロスの魅力。4:15以降をこれほど幽玄にうねらせた演奏があったでしょうか?第3楽章は、神秘的な美しさで並ぶものなし!特にホルン・ソロ登場前の静謐のニュアンスは、心してお聴きください。終楽章は、もちろん発言力絶大。曖昧な表現などどこにもなく、オケが完全に指揮者の意のままに、しかも自発的に精魂込めた音楽の素晴らしさ!ライヴ特有の熱気によるものではなく、もっと根源的な魂の熱さを感じていただけるはずです。バーンスタイン以前のニューヨーク・フィルのアンサンブルの凝縮性もご注目を。 【湧々堂】

Treasures
TRT-013(1CDR)
クーベリック&VPO〜ステレオ名演集Vol.1
シューベルト
:交響曲第4番「悲劇的」
チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調*
ラファエル・クーベリック(指)VPO

録音:1960年1月14-20日、11月21-24日* ウィーン・ムジークフェライン大ホール(共にステレオ)
※音源:独ELECTROLA C053-00651、STE-91135*
■音源について
クーベリックはステレオ初期(独エレクトローラ)に、ウィーン・フィル、ロイヤル・フィルを使い分けて多くの録音を行なっています。このプロジェクトは、オケと良好な関係を保ちながら進めたからこそ、レコード1〜2枚で終わることなく進行し、「全てが名演」と言う輝かしい成果をもたらしたのだと思います。しかしその後は、不当に冷遇され続けているのはご承知の通り。CD化されても、いつも廉価盤扱い。しかも、養分を削ぎ落とした平板な音では、その真価を知ることなど到底出来ません。ジャケ・デザインは、英国盤。

★レコ芸2017年6月号・交響曲・再発盤ページにクーベリック盤のレヴューが載っていましたが、「あまりにも事務的な進行」とか「統率能力不足が甚だしい」など、あまりにも的外れなコメントに愕然としました。
昔から、単にきちんと演奏されているだけで推薦盤されることは珍しくなく、心ある読者ならそれを額面通りに受けることもないでしょう。しかし、その逆となると断じて看過できません!名演たる要素をふんだんに含む演奏に対し、それを感知できず、ネガティヴにしか捉えられない人のコメントなど、百害あって一利なし!
第一に、クーベリックはデッカにウィーン・フィルと1950年代に集中的に録音を行い、その全てがオケの特性を活かしつつ、独自の感性を確実に刻印した名演揃いであること。第二に、劣化したマスターの使用など、復刻の仕方によっては音の精彩が減じてしまう場合があること。このどちらかさえ認識していれば、たとえその再発盤の音が物足りなくても、本当はもっと説得力の有る音だったかも?と想像力が働くはずですから、こんな事実誤認はあり得ないのです。単に好き嫌いだけでで書いているとしたら、もはや評論ではありません。もしかして、それを自覚しているから「評論家」とは名乗っていなのでしょうか?他にも突っ込みどころ満載の文言が2ページにも渡って載っていますが、いちいち添削しても虚しくなるだけですので、以下にこれらの録音の本当の魅力をお伝えします。
シューベルトは、いわば「ウィーン・フィル側」の音楽ですが、クーベリックはオケに全てを委ねているようでいて、根底で優しく統制を効かせ、清潔なアンサンブルと造形美を獲得。その40歳代後半とは思えぬ懐の深い指揮芸術に感服するばかりです。第1楽章は、過度に深刻さを避けた清らかな歌が横溢。序奏から深いコクを湛えた響きと心を震わせたフレージングが常に訴えかけ、0:55の縦の線の揃い方は、オケがクーベリックの力量に心底心酔し、どこまでも付き従うことの決意表明のよう。主部以降の流れの清らかさは、クーベリックの音楽に対する姿勢がそのまま投影されており、僅かな弦のポルタメントも絶妙な隠し味として作用。第2楽章は、弦のみならず、木管の些細なフレーズまで哀愁が滲ませながら、感傷に溺れない冷静な制御も生き、芸術的に昇華したハイレベルなフレージングの連続。第3楽章はゆったりとしたテンポ感で一貫しながら音楽は弛緩せず、野暮ったさとも無縁なのは、初めからテンポを決めて掛かったのではなく、コーダの最後の一音まで、音の意味を噛み締めて進行し続けた結果ではないでしょうか。終楽章は、かつてもウィーン・フィルの魅力が大全開。物々しく厚い響きで塗り固めた演奏では、こういう木綿の風合いは生まれません。弦の細かいリズムの刻みの全てが、抑えがたい心のときめとして響く演奏など、他にありましょうか?もし全集録音が実現していたら、ケルテス盤以上の不朽の名盤と認識されたことでしょう。
チャイコフスキーの「5番」のウィーン・フィルによる録音はクリップス以降の全てが名演ですが、中でもクーベリック盤が最も地味な存在。そうなってしまった理由は、クーベリクの責任ではないことは賢明なファンならお判りのことでしょう。演奏内容は極めて濃密で、全てがウィーン流儀だったクリップス盤と比べ、ウィーン風の癖を少し抑え、スラブ的な情感を程よく付け加え、一層普遍的な魅力を増した名演となりました。決して音圧による威嚇に走らず、決して前のめりにならない落ち着きの中から、伸びやかなスケール感と風合いを湛えた音像が終始心を捉えて離しません。
第1楽章の展開部開始を告げるホルンは、ただの強奏ではなく強固な意思を湛え、再現部前の内燃エネルギーの高まり具合も、クーベリックとウィーン・フィルと結束の強さを如実に示すもの。第2楽章142小節以降の頂点へ登りつめるまでの熱い一体感も、両者が真に共鳴しあっていなければ到底不可能です。終楽章では、スラブ的な馬力よりも作品の造形への配慮を更に優先させますが、作品への共感度合いはもちろん不変。オケを強引に操作するのではなく、指揮者とオケが完全に納得の行く自然なアプローチに徹したたからこそ、全く惰性的に流れない感動的な演奏に結実したのでしょう。微に入り細に入り、注意深く聴かなければ気づかない、音楽を一層魅力的にする配慮も随所に散りばめ、聴きべ聴くほど唸らされるクーベリックの奥技を是非じっくりと御堪能下さい。【湧々堂】 ★「チャイ5」詳細レヴュー

Treasures
TRE-180(1CDR)
スワロフスキー/チャイコフスキー&サン・サーンス
チャイコフスキー:交響曲第3番「ポーランド」
サン・サーンス:交響曲第3番「オルガン付き」*
ハンス・スワロフスキー(指)
ウィーン国立歌劇場O
フランツ・エイブナー(Org)*
※ウィーン楽友協会ホールのオルガンを使用

録音:1956年6月26-29日(ステレオ)
※音源:URANIA USD-1026、SAGA XID-5283*
◎収録時間:76:14
“色彩の厚塗りを避け、スコアの筆致を信じた実直路線が結実!”
■音源について
2曲ともURANIA音源で、世界初のステレオ録音と思われます。チャイコフスキーの「1番」「2番」も含めてこの4日間に録音されているので、ほぼ一発録りなのでしょうが、1956年とは思えぬ良好なバランスのステレオサウンドには驚くばかり。ちなみに、サン・サーンスの「オルガン」が初演されたのは、この録音のちょうど70年前でした。

★ロマン派以降の交響曲の演奏に際しては、指揮者も録音スタッフも、とにかくまず「立派」に聞こえることを優先し過ぎてはいないか、聴き手も、それが当たり前に思ってはいないだろうか…。「聴き映え」のことなど全く眼中にないスワロフスキーの実直な指揮に触れると、そんな思いが頭をよぎります。
チャイコフスキーは、民族的な色彩を上塗りせず、ただスコアを丁寧に炙り出しているだけですが、まろやかな情感が滲み、決して無機質に陥ることがないのは、オケの音色自体がすでに音楽的であることを熟知し、それを有効活用しきった成果と言えましょう。意外なのはテンポ運びが極めて洗練されていること。第1楽章第2主題でもテンポを落とさず素直な歌に徹し、そこから純朴な活力を引き出しています。コーダの俊敏なレスポンスも見事。実にメルヘンチックな第2楽章、ピチカートの瑞々しさに惚れ惚れする第3,4楽章も、ウィーンのオケの特質なくしてはありえない味。終楽章では、ワーグナー的な響きで圧倒しようとする演奏では引き出せない、素朴な生命の躍動に心奪われます。手綱を程よく緩めたこの絶妙な開放感は、まさに指揮技術の極意でしょう。
サン・サーンスも演出皆無。もちろんオーディオ効果など念頭に置いていないので、金ピカ壮麗な響きとは違う、人肌の温もりと包容力で魅力する比類なき名演奏として結実しています。サン・サーンスのオーケストレーションの魅力を素のまま伝えるこに専心しているので、第1部の後半でも瞑想感の上塗りなど一切せず、これ以上ない素朴な空気が支配しますが、6:25以降のピチカートに乗せて主題が回帰するシーンでは、信じがたいほど香り高きフレージングを実現するのです!第2部は、アンサンブルを締め付けすぎないゆとりが、懐の深いニュアンス作りに直結。シルキーな弦の魅力を思う存分堪能した後に訪れる後半部は、ゆったりとしたテンポを貫徹。表面的な興奮にも背を向けたその足取りには強い確信が漲り、当然のようにイン・テンポで締めくくるコーダも、巨匠級の風格美を醸成。この曲に一切のハッタリ持ち込まず、味わい志向に徹した演奏をお望みなら、これを聴かない手はありません!【湧々堂】

Treasures
TRE-178(1CDR)
フェレンチクのベートーヴェンVol.2
序曲「献堂式」Op.124
交響曲第1番ハ長調Op.21
交響曲第8番ヘ長調Op.93
ヤーノシュ・フェレンチク(指)
チェコPO*、ハンガリー国立O

録音:1961年1月5日*、1964年7月14-23日(全てステレオ)
※音源:SUPRAPHON SUAST-50025*、HUNGAROTON HLX-90002
◎収録時間:65:28
“音楽を決して淀ませない、フェレンチク流の指揮の極意!!”
■製作メモ
フェレンチクはベートーヴェンの交響曲を複数回録音していますが、この2曲は後の全集とは別の最初の録音。ここで採用した重量盤は、演奏の温かみと奥深さを余すことなく伝えています。

★既にTRE-165でご紹介した「交響曲第2番&第4番」と並んで、50歳代のフェレンチクを象徴する名演。フェレンチクが終生持ち続けた衒いのない丹念な造形力はこの頃すでに確立しており、同時にオケを禁欲的な窮屈さに閉じ込めることなく、伸びやかに息づかせる手腕にも長けていたことを実感できます。
「第1番」は、これぞ真の中庸美。単に当たり障りのない解釈という意味での「中庸」とは違うのです。全楽章を通じて無利のないテンポを採用しながら、手作りの風合いを持つ響きが魅力的で、本当の意味でのアクセントとして響くティンパニの何気ない一打にも、見識の深さ感じさせます。第3楽章中間部の木目調のハーモニーは、この指揮者とオケのコンビネーションで味わう醍醐味。終楽章は力こぶを振り上げず、オケの自発的な推進力に任せながら、音楽の古典的な骨格を自然に表出させるという、指揮の極意を見る思いです。
「第8番」第1楽章は、意外にも爽快なテンポ。しかもそのテンポ選択に説明的な嫌らしさが纏わりつくことなく、何も気負わずに進行するので、その爽やかな空気は心にすんなりと浸透するのです。その自然な進行のうちに、気づくと展開部では見事な高揚感に到達していますが、そこにも邪念による煽りなど一切なし。第2楽章もテンポこそスタイリッシュですが、このオケの純朴な響きがそのままニュアンス化され、心に染みます。チェコ・フィルとはまた違うローカル色を持つこのオケの手作り感は、この楽章を弾くために存在するかのよう。これは3分台で演奏された同楽章の録音の中で、間違いなく屈指の名演です!
一切の効果を狙わない音楽作りはイメージ的には地味ですが、結果的に聴き手の琴線に確実に触れる効果を持つ演奏を実現しているのですから、そこにはとてつもない極意が注入されていると言わざるをえません。
なお、2曲とも提示部リピートを行なっています。
実は、私はこのコンビの演奏を聴くたびに、かつてその来日公演のFM生放送にゲスト解説者として招かれていた日本のクラシック音楽評論の重鎮の一言が脳裏をよぎります。なんと「随分と埃っぽい音ですね〜」とポロッと発言したのです!まだ高校生だった私は、こんな貧困な感性しか持ち合わせずにその道の権威として君臨していることに愕然としたのでした。さすがに今の時代、ベルリン・フィルやウィーン・フィル以外の非主流派オケは全て二流、と見下す人などいないと思いますが…。とにかくこのディスク、ブランドの重みより音楽の本質に触れたいと願う全ての方々にお届けしたいのです!【湧々堂】

Treasures
TRT-012(1CDR)
岩城宏之&N響〜ミュンヘンでの「チャイ5」
リスト:ハンガリー狂詩曲第5番
 ハンガリー狂詩曲第4番
チャイコフスキー:交響曲第5番*
岩城宏之(指)
ウィーン国立歌劇場O、NHK響*

録音:1963年4月-5月バイヤリッシャー・ホール、1960年9月26日ミュンヘン・コングレス・ザールでのライヴ*(全てモノラル)
※音源:日Concert Hall M-2381、日Victor JV-2001*
◎収録時間:70:15
“大和魂炸裂!全てを攻めの姿勢でやり尽くしたN響!”
■製作メモ
岩城&N響によるチャイコフスキー:交響曲第5番は、モスクワ公演がキングインターナショナルからCD化されましたが、残念ながらマスターの劣化による音の潰れ等が気になりました。こちらはミュンヘン公演のライヴ。当時、公演の模様はバイエルン放送が中継放送をしたそうなので、そのテープをビクターが 買い取ったのかもしれません。もちろん音の安定感は抜群で、しかも使用盤は新品同様!これ程の極 上盤は、もう入手不可能と思われます。 ハンガリー狂詩曲は、ステレオ・バージョンもありますが、ここはあえて音質を統一するためモノラル・バージョンを採用しました。この力感みなぎる音の方を好まれる方も多いと思 います。

★1960年のN響の世界一周演奏旅行は、シュヒターの猛特訓を受けたN響が、その成果のみならず、戦後の復興を成し遂げた日本の文化水準を世界に知らしめたという点でも極めて重要な意味を持っています。まさに国を背負った演奏者側の意気込みも並大抵のものでなかったことは、外山雄三がアンコール用にあの「ラプソディ」を作曲し、岩城は演目に各国に因んだ作品を盛り込むことを提案したことなどからも窺えます。
最初の訪問国のインドから次のソ連に移動したときには、団員の多くが急激な気温差で体調を壊しそうですが、モスクワでの「チャイ5」は、そんな不調を吹き飛ばす勢いで、ロシア情緒とは違う独自のロマンと激情を敢然と表現していました。ただ、やや気負い過ぎの面も無きにしも非ず…。
一方、ツアー中盤の西ドイツにおけるこの演奏は、「有り余るやる気」が良い意味でこなれ、足場を固めながら進行するゆとりが感じられ、全体の統一感も格段に向上しています。とは言え、お行儀の良さはどこにもなく、昨今では誰もやらなくなったテンポの激変、ポルタメント、バランスを破るティンパニ強打など、テンションの高さはやはり尋常ではなく、それらが決して借り物ではない自分たちの流儀として確信的に発せられるので、説得力が半端ではないのです。
第1楽章冒頭クラリネットは、モスクワ公演では異様な遅さが際立ってましたが、ここでは確実に美観が備わり、表情の結晶度が上がっています。第2主題は、綺麗事を許さぬ骨太な推進。副次旋律への移行直前のテンポの落とし方は、この作品を完全に手中に収めている証し。コーダでの骨身を削った猛進も感動的。第2楽章は、何と言っても千葉馨のホルン・ソロが超絶品!これだけ即興性をもってフレージングを行い、同時に音を感じきっている演奏など、古今を通じて殆どありません!これを世界に突きつけただけでも、このツアーの意義は計り知れません。微に入り細に入り、工夫と共感を凝らした岩城のテンポ・ルバートにも脱帽。後年の演奏でこんな絶妙さを感じたことはありません。9:14以降の激情の煽り方は体裁など二の次で、フォルテ4つの頂点までの呼吸の持久力と大きさも、N響による最高の成功例と言えましょう。第3楽章も西洋風のエレガンスに向かわず、どこか農耕民族らしい逞しさを感じます。終楽章も音楽の感じ方が実に直感的で、その表出もストレート。持って回った小賢しさが一切ないので、その迫力たるや壮絶を極めます。終盤10:12からのトランペットの主題斉奏時に、ティンパニが一貫して強打を刻み続けますが、これほどバシッと決まった例は他に思い当たりません。間違いなくN響の、いや日本人によるチャイコフスキー演奏の最高峰に位置する名演です。
「ハンガリー狂詩曲」でも、若き日の岩城の意欲的な表現の魅力を徹底的に思い知ります。コンサートホール・レーベルが、レコード売上実績など全くない日本の無名な若手指揮者を抜擢したのです!その実力だけを確信して。スタッフの誰かが、1960年のN響の演奏を聴いていたのかもしれません。採算しか考えない今のレコード会社にはできない芸当です。【湧々堂】

Treasures
TRE-171(1CDR)
バルビローリ〜「ブラ4」・旧録音
ベートーヴェン:「レオノーレ」序曲第3番
ウェーバー:「オベロン」序曲
ブラームス:交響曲第4番ホ短調*
ジョン・バルビローリ(指)ハレO

録音:1959年4月、1960年9月*
※音源:英PYE GSGC-2038、GSGC-1*(全てステレオ)
◎収録時間:64:25
“渋味に逃げず果敢に愛をぶつけたバルビローリの代表盤!”
■音源について
通常は、既存CDの音に満足出来なくて復刻を決意することが多いですが、これは全く逆!Pye音源のブラームスは、PRTレーベルによる初CD化盤の音が実に鮮烈で、復刻のディスク選定にあたっては、その音に近づくことを念頭に置きました。そして出した結論は、“黒金ラベル”盤。バルビローリの魂が聞こえます!

★バルビローリのブラームスといえば、ウィーン・フィルとの全集があまりにも有名ですが、あえてこのハレ盤ををご紹介する理由は、もうお判りかと思います。ウィーン盤を全否定する気はありませんが、素晴らしすぎるハレ盤を差し置いてまでウィーン盤を持ち上げる評論家の方々には同調できません。メジャー・レーベルでもない、メジャー・オーケストラでもない、全集でもない、だからハレ盤なんて聴こうともしない、というのが原因だと思いますが、それでプロと言えましょうか?そのアーチストに同曲異盤が存在する中で一つを取り出して評価するなら、全種類を聴き比べた上で最良盤と位置づけるのが当然なのですが…。
最も顕著な違いは、オケの響きの差。言うまでもなく、ウィーンフィルの方がどう聴いても上質です。しかしそれ以外の要素は全てハレ管が優っていると言わざるを得ません。演奏に掛ける意気込みは、強固なピチカートにも、雷鳴のようなティンパニにも確実に反映されており、どこか遠慮がちな(良く言えば滋味溢れる)ウィーン・フィルとは大違いです。第1楽章コーダでは、全体が早くも決死の覚悟を表明。最後のティンパニのロールは、バンッ!と一撃して締めくくりますが、これはセルと同じ手法。しかし、意味合いがまるで違って聞こえます。第2楽章は特に感動的!3:30からの弦のテヌート処理はウィーン盤でも行なっていますが、流れの豊かさは比べものになりません。8:08からのテーマはアーベントロートとは対象的に実に素朴な人間味に溢れており思わず感涙!第3楽章はテンポの良さが印象的で、決して浮かれず、地に足の着いた進行が次の終楽章への覚悟のよう。その終楽章は興奮の渦!オケは作品への共感と、バルビローリの意思を120%実現しようとする意思が融合して、とてつもないパワーを発揮。しかも内燃に徹しているので、本物の音楽を聴いているという実感を、手に汗握りながら最後まで味わうことが出来ます。特に5:51以降の大噴射以降は、異常なまでの凝縮力!古式ゆかしい様式との調和を保ったまま、どこまで音楽に生命感を注入できるか、それに挑んだ最大級の名演として心の底からおすすめする次第です。【湧々堂】

Treasures
TRE-168(1CDR)
ボンガルツのドヴォルザーク
バッハ:ブランデンブルク協奏曲第5番*
ドヴォルザーク:交響曲第7番
ハインツ・ボンガルツ(指)
ゲルハルト・ボッセ(Vn)*、
フリーデマン・エルベン(Vc)*
ハインツ・ヘルチュ(Fl)*、
ハンス・ピシュナー(Cem)*
ライプチヒ・ゲヴァントハウスO*
ドレスデンPO

録音:1960年代初頭*、1962年12月17-20日(共にステレオ)、
※音源:羅ELECTRECORD STM-ECE-0672*、独ELECTROLA STE-91328
◎収録時間:62:42
“豪華絢爛な響きでは気づかないドヴォルザークの真価!”
■音源について
ドヴォルザークはエテルナ音源ですが、ここでは良質なエレクトローラ盤を採用。ただし、ピッチに異常が見られたので、修正を施しました。

★ドヴォルザークの「第7番」は、ドイツ様式への傾倒を示した作品とされますが、演奏スタイルも、ドイツの職人気質で押し通すとどう響くか、その最高の具体例がこのボンガルツ盤です。
ドレスデン・フィルは、ケーゲルとの共演で知られるまではシュターツカペレの影に隠れて目立ちませんでしたが、1870年の創立以来、東ドイツの音楽文化に大きく寄与。ブラームスやドヴォルザーク等も指揮しています。戦時中は一時解散の憂き目に会いますが、戦後再結成。それ以来1960年代までオケを支え続けたのがボンガルツです。
第一音が鳴った途端にハッとするのが、いかにも旧東独的な燻しきった響き。しかも演奏には、効果を狙う素振りもなく、各ブロックを丁寧に積み上げるという実直な姿勢に終始。しかし、その遊びの一切ない渋さが、ドヴォルザークの純朴さを映すかのようで、確かな味わいとしてじわじわ迫るのです。
第1楽章の第2主題には、単に丁寧に譜面を追っているだけではない、句読点をはっきり意識したフレージングに共感に満ちた呼吸が息づき、展開部は革張りのティンパニの響きが中核をなす堅牢な構築が見事。コーダが静かにたそがれる様にもご注目を。第2楽章は白眉!。以外にもさらりとした進行で開始しますが、主部旋律(1:24〜)の緻密な美しさに触れれば、この演奏の質な高さを実感できるはず。第3楽章のコーダ直前に現れるワーグナー風のフレーズは、このオケで聴くことで魅力倍増。終楽章は小節ごとに噛んで含めるようなニュアンスの醸し出し方!音楽を先に進めて欲しくないと思わせるほどの余韻を生むという、素晴らしい至芸です。4:14からの自然なテンポの落とし方とニュアンスの育み方も流石。 
とにかく「渋味尽し」ですが、渋いことが良いのではなく、全ての渋さに音楽的な意味が備わっているのが凄いことなのです。音像を肥大化させた金ピカの演奏とは対極的なこの演奏で、ドヴォルザークの音楽の奥深さを再認識していただけることでしょう。【湧々堂】

Treasures
TRE-165(1CDR)
フェレンチクのベートーヴェン
「シュテファン王」序曲
交響曲第2番ニ長調Op.36*
交響曲第4番変ロ長調Op.60
ヤーノシュ・フェレンチク(指)チェコPO

録音:1961年1月2-5日*、1961年10月14-17日(全てステレオ)
※音源:SUPRAPHON SUAST-50025*、瑞西Zipperling CSLP-6014
◎収録時間:75:20
“いにしえのチェコ・フィルだけが放つ芳しさと温もり!”
■音源について
ウィーン・フィルやドレスデン・シュターツカペレ等と同様、チェコ・フィルも、グローバル化の波に押されてその独自の音色美は失われてしまいました。ノイマン時代まではその独自色を感じられますが、それ以前のステレオ初期には、さらに素朴な手作り工芸品のような風合いがあり、響きそれ自体が音楽的ニュアンスを濃密に湛えていました。その当時のオケの素の魅力は、「チェコの指揮者によるチェコ作品」以外で聴くことにより、一層浮き彫りにされるように思われます。その音源として、フルネやボドが指揮者したフランス音楽と共に欠かせないのが、フェレンチクによるベートーヴェン!フェレンチクとチェコ・フィルのスプラフォン録音は、この他に「献堂式」序曲があるのみ。2つの交響曲は廉価CDで発売されたこともありますが、なかなかカタログに定着しません。

★フェレンチクといえば「穏健、地味」という印象を持たれる方多いと思いますが、まずは、「シュテファン王」序曲でそのイメージを払拭していただきましょう。作品のフォルム内でニュアンスを内面から育み、安定した造形美を確立する手腕は、誰も侮れないはずです。
交響曲第2番は、第1楽章序奏部からアーティキュレーションに並々ならぬこだわりを見せ、その姿勢が全体に凛とした気品を付与し続けます。主部以降の脂肪分を抑えたすっきりした音像は、まさに当時のチェコ・フィルならではのものですが、それに頼るだけでなく、確固たる意志による制御が効いているので、音楽の軸がぶれないのです。第2楽章は音色美の宝庫!木管がさりげないスパイスとして作用した温かい風合いは必聴。特に1:25からの木管と弦の対話は、お聴き逃しなく。第3楽章は、何一つ変わったことはしていませんが、他のアプローチを想定させないほどの求心力が横溢。終楽章は、オケを自然に乗せ、高揚させ、聴き手を引き込む手腕が流石。背後に隠れながら手綱は絶対に緩めない、まさに職人芸の極み!
「第4番」も楷書風の進行を崩しませんが、小さく凝り固まることなく、音のニュアンスが余すことなく表出されます。ここでも、木管の豊かな風情に特に心奪われ、特に後半2楽章でフルートが加わった一瞬のフレーズに、ほのぼのとした光が差し込む様は実に魅力的。そして、終楽章0:58からの木管の相の手で、音をスパッと切る効果の絶妙さ!普段めったに冗談を言わない人が、急にダジャレを口にしたような、不思議な面白さがふわっと沸き起こるのです!
なお、交響曲第2番第1楽章は、提示部リピートなし。第4番は、第1,第4楽章のリピートを慣行しています。 【湧々堂】

Treasures
TRE-161(2CDR)
クナッパーツブッシュ〜ブラームス・プログラム
悲劇的序曲
ハイドンの主題による変奏曲
交響曲第3番
ハンス・クナッパーツブッシュ(指)
シュトゥットガルトRSO

録音:1963年11月15日(モノラル・ライヴ)
※音源:Private HKV-TY4/5
◎収録時間:81:48
“いびつな造型の先にある昇華を極めた芸術性!”
■音源について
1963年11月15日の全演奏曲目を収録した2枚組LPの全てを復刻。交響曲と変奏曲はHanssler(SWR)からCD化されていますが、ステレオ的な広がりを加え、ノイズを過剰に消した人工的な音に違和感を感じた方も多いはず。このLP盤の音は、もちろん無修正で自然体。クナ最晩年の芸術を心ゆくまで堪能していただけると思います。

交響曲第3番はクナの十八番だけに、数種存在する録音の全てが魅力的ですが、中でも異彩を放つのがこのシュトゥットガルト盤!この優秀な放送オケ特有の機能美と指揮者の意図の咀嚼力により、「巨大でいびつ」なクナの巨大造型が、極端な誇張としてではなく、芸術的に昇華した形で聴き手に迫ります。
第1楽章の第2主題直前の長いスパンでのリタルダンド、再現部直前の雑念を配した清明なニュアンス、第2楽章4:15からの幽玄美、第3楽章のチェロの対旋律の官能的な呼応、超低速をもて余すことなく音楽を感じきったホルン・ソロ、唐突さ以上に儚さが心に染みるルフト・パウゼ(6:30)などは、全体を貫く超低速テンポとともに、「枯淡」の一言では済まない最晩年ならではの精神的な高みを象徴するニュアンス。終楽章の再現部(7:31〜)のティンパニ追加は他にも類例はありますが、強烈な意思の注入力はクナがダントツ。これも、ウィーン・フィル盤(1955年)の方が感覚的なインパクトは上かもしれませんが、奏者の側、あるいはクナ自身の魂胆が露骨に出過ぎている感もなきにしも非ず。その点、シュトゥットガルト盤はやっていることは同じなのに、完全に雑念を超越し、強固に結実しきったニュアンスとして響くのです。
崇高な精神を湛えたこのニュアンスは、他の2曲でも全く同様で、これら抜きの名演選びなどあり得ません!
「ハイドン変奏曲」は、第4変奏ではテンポこそ標準的なものですが、音符の隅々まで物憂げなニュアンスが充溢し、一方、第6変奏は通常の倍のテンポですが、少しも異様に響かず、このオケには珍しく鄙びた音を発する冒頭ホルンの味も含め、これを聴いてしまうと、他の演奏を想定できなくなるほどの説得力。故宇野功芳氏も「クナッパーツブッシュのベスト演奏の1つに数えられるだろう」と述べています。
そして「悲劇的序曲」の感動的なこと!第1主題は拍節感を失う寸前の低速の極みですが、その分、各音の情報量が尋常ではありません。第2主題(3:50〜)に差し掛かると、このテンポ設定がツボを得たものであることも痛感。「クナ=超低速」とイメージされがちですが、そんな単純ではないことは展開部で明らかに。7:23からの進行は、標準的テンポよりむしろ速め。この対位法的楽句が次第に高揚する過程での決然とした意志力、それが沈静化して第2主題が再現されるまでの彼岸のニュアンスは特に聴きものです。【湧々堂】

Treasures
TRE-160(1CDR)
レオポルド・ルートヴィヒ/ハイドン:「ホルン信号」他
モーツァルト:「コシ・ファン・トゥッテ」序曲*
 「ドン・ジョヴァンニ」序曲*
ハイドン:交響曲第31番「ホルン信号」#
 交響曲第73番「狩猟」
レオポルド・ルートヴィヒ(指)
ハンブルク国立歌劇場O*、
バイエルンRSO
クルト・リヒター(Hrnソロ)#

録音:1960年代中期*、1966年4月6&8日ビュルガー・ブロイ・ホール(ミュンヘン)全てステレオ
※音源:独EUROPA E-177*、独ELECTRORA SME-91601
◎収録時間:63:05
“指揮者の存在感を極限まで消して作品の様式美を徹底表出!”
■音源について
ハイドンは、ルートヴィヒが1960年代中頃にエレクトローラに遺した重要な録音の一つ。使用したのはドイツ盤・金レーベルの第2版です。

★ローター、ホルライザー、ワルベルクような職人気質の指揮者には、特に古典作品においては何よりも作品の様式感の表出を最優先し、自身の解釈を前面に立てないという共通点があります。このルートヴィヒも例外ではなく、ベートーヴェンの第7交響曲(TRE-023)でさえケレン味皆無のスタンスを貫徹していましたが、ここでの2曲のハイドンは、自分の存在自体までも消し去り、背後で勘所だけを締めるまさに職人芸の究極形!楽譜の余白を埋めるようにスリリングなスパイスを注入するアーノンクールのようなスタイルとは好対照なので、どこをどう味わえばよいか戸惑う方も多いかもしれませんが、聴き進むうちに、作品の内なる声を引き出すことに意識を傾注することの大切さと、古典の様式そのものに典雅な味わいが宿っていることをしみじみと思い知らされ、ハイドンが思い描き、当時の聴衆が期待したものに合致する音楽再現を目指すなら、当時の楽器や奏法を模倣するより、まずこの「自分を消す」スタンスこそ不可欠と思えてきます。
自己主張よりも作品自体の主張に耳を傾ける姿勢は、「ホルン信号」第2,4楽章のホルン、ヴァイオリン、チェロなどが協奏曲風に活躍するシーンでも同じ。各奏者は決してソロとして前に出ず、音楽の一部分としての立場を弁えながら、いつも通りに奏でるだけ。バイエルンのオケの技量の高さは言うまでもありませんが、そのことに気づかないほど空気のように流れる音楽…、これ以上に音楽から邪念を排除し、純化させることは不可能ではないでしょうか?
決して指揮者の個性的なアプローチを楽しむための演奏ではありません。古典音楽に対する指揮者の矜持と抑制の美学が、作品を活かすことだけに使われている最高の実例として、是非とも一聴をお勧めします。わずかな共感だけで作品に臨み、何の余韻も残さない演奏とはどこがどう違うか、感じていただければ幸いです。【湧々堂】

Treasures
TRE-159(1CDR)
フレッチャ〜リーダーズ・ダイジェスト名演集1
ロッシーニ:「セミラーミデ」序曲*
チャイコフスキー:「エフゲニ・オネーギン」〜ワルツ#
 弦楽セレナード〜ワルツ#
 「眠りの森の美女」〜ワルツ**
 スラブ行進曲Op.31##
 交響曲第4番ヘ短調Op.36
マッシモ・フレッチャ(指)
ローマPO、ウィーン国立歌劇場O#

録音:1960年8月4日*、1961年6月23-25日#、1960年8月2日**、1960年8月5日##
1961年12月11,15,21-22日(全てステレオ)
※音源:日Victor SFM-3*.**.##、
米Radars Digest RD4-178-2/4(エフゲニ・オネーギン )、RD4-178-2/5(セレナード)、RD4-178-2/10(交響曲)
◎収録時間:76:19
“イタリアの血と汗と歌で染め尽くした驚異のダイナミズム!”
■音源について
マッシモ・フレッチャは、1960年代にリーダーズ・ダイジェストへポピュラー名曲を精力的に録音していますが、CD化されたのは「幻想交響曲」などごく一部。ここで使用したのは、日本のステレオ初出ボックスと米盤のチャイコフスキー名曲ボックス。マニアからは見向きもされないレコードですが、共にウィルキンソンによる鮮烈録音の威力をしっかりと伝えています。

★マッシモ・フレッチャ(1906-2004)は、イタリアの指揮者。1960年代にポピュラー名曲を精力的に録音していますが、彼の名前を目にするのは、ミケランジェリの伴奏指揮者としてくらいでしょう。ここには、フレッチャのことをいっぺんで好きになること請け合いの知られざる名演、「セミラーミデ」「スラブ行進曲」「チャイ4」を収録。
「セミラーミデ」序曲は、ロッシーニの序曲の中でも最も大規模な作品ですが、その特性を徹底的に押し広げ、かつ「ロッシーニ・クレッシェンド」の醍醐味を猛烈な意気込みで聴き手に突きつける大名演!気心の知れたオケとの連帯感も尋常ではなく、多少テンポが前のめりになっても性急さを感じさせず、確実に興奮の坩堝ヘ導く手腕を知ったら最後、フレッチャの名前は脳裏から離れないことでしょう。
「スラブ行進曲」は、チェスキーのCDではパールマンが弾くチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲の余白に収録されており、オケ名はロンドン・フィルと書かれていました。ところが、このレコードではローマ・フィルと記載されており、これはどちらかが誤植で、音もCDよりレコードの方が何倍も豪快だと思っていましたが、どちらも早合点!なんと、フレッチャは同曲を同レーベルにオケを変えて2回録音していたのです!つまり誤植ではなく、オケが違うのですから、音の印象が違うのも当然。ただそれほどこの2種の演奏は、注意深く聴かなければ気づかないほど瓜二つなのです。そして更に入念に聴き比べた結果、オケが変わっても同じニュアンスを付している箇所と、そうではない箇所を発見するにつけ、その差異からフレッチャの信念、オケの個性の生かし方、ドライブ能力、音作りの特徴等をまざまざと実感するに至ったのでした。2種の演奏の明らかな共通点としては、この曲の野趣に焦点を当てながら入念に歌を注入していること、後半の2小節間のティンパニ・ソロに極度にドライな強打を要求し、推進力を露骨に表出している点などが挙げられます。特に、ティンパニ・ソロの箇所は、大抵は落ち着き払って「ボン,ボン,ボン,ボン」と叩くのが常ですが、スコアには“ピュモッソ(躍動して)”の指示があるのです。それをそのままストレートに解釈するあたり、嬉しいじゃありませんか!相違点は、3:12からの金管の吹かせ方。短い音価をより短く詰めるのは、ワルター・ゲールの「チャイ5」(これもローマ・フィル!実体が同じかは不明)でも見られた現象。ロンドン・フィル盤では楽譜通りなので、イタリア・オケならではのセンスと言えましょう。
交響曲第4番は、その確信的なダイナミズムをそのまま持ち込み、情感のうねりを丸出しにしているので、その凄さはご想像いただけるでしょう。これこそが正真正銘の「爆演」です!
第1楽章第1主題の、先のドラマを予見させるヴェルディ風の歌い込み方から、コーダ(7:07〜)の奈落のどん底に落ちて茫然自失のルフト・パウゼまで、聴き手をの心を掴んで離しません。第2楽章は、本気の嗚咽の連続。それは単に思いつきの感情ではなく、微妙な強弱と色彩の陰影を敏感に察知しながら形成されたニュアンスばかりなので、最後のファゴットが消え入る瞬間までまで、表面的に響くことなど皆無。そして、凄すぎる終楽章!冒頭バス・ドラムの最後の一撃がここまで腹に響くことなど滅多になく、優秀録音の成果だけではなく、フレッチャの妥協のない意思を込めた砲弾のよう。1:35からの民謡主題は結尾をテヌート気味に奏でますが、この人間くさい歌がまた泣かせます。コーダは、これまで積み上げた艱難辛苦を根こそぎひっくり返す大洪水!まさか、この演奏に物足りなさを感じる方はいないと思いますが、逆に、やり過ぎだと一笑に付されないことを願うばかりです。【湧々堂】

Treasures
TRT-011(1CDR)
セルのチャイコフスキー&R=コルサコフ
リムスキー=コルサコフ:スペイン奇想曲
チャイコフスキー:イタリア奇想曲*
 交響曲第5番ホ短調Op.64#
ジョージ・セル(指)
クリーヴランドO

録音:1958年2月28日&3月14日、1958年2月28日*、1959年10月23-24日#(全てステレオ)
※音源:米EPIC BC-1002、BC-1064#
◎収録時間:76:07
“セルの美学貫徹により初めて思い知る作品の偉大さ!”
■製作メモ
エピックの金盤のどこかザラッとした感触も捨てがたいですが、ここではセルが志向したと思われるヨーロピアン・サウンドと、既出CDや後期LPで消え去った生き生きとしたニュアンスを最も感じられる青盤を採用。エピック録音のチャイコフスキーの「5番」やドヴォルザークの「8番」は、室内楽な響きに傾きすぎるという印象をお持ちの方も多いと思いますが、私見ではこれは元々の録音の特性であり、その後のコピー・マスターによる再発盤の平板なサウンドが、さらにそのイメージを助長してしまったと思っております。

★土俗趣味には目もくれず、あくまでも音楽のあるべき姿だけを希求するセルの信条をここでも徹底的に貫徹しています。まず特筆したいのが、2つの「奇想曲」の空前絶後の素晴らしさ!セルの厳格さを持ち込むと、これらの作品の伸びやかさが失われて窮屈にしてしまうのでは?という懸念は一切無用。むしろ、そのこだわりが、アンサンブルの引き締めだけでなく、細部のニュアンス形成に注入されてるので、最大公約数的なニュアンス作りでやり過ごした演奏とは雲泥の差の説得力で聴き手に迫るのです。
「スペイン奇想曲」の"ヴァイエーション"(1:12〜)のマイロン・ブルームのホルン・ソロは、清潔で温かみのある歌が心に染み、"ジプシーの歌"(6:58〜)は、フルートからクラリネットとソロが受け継がれるシーンのエキゾチシズム、シンバル一打までの絶妙な間合い、誰もが徹底しきれないホルンのスフォルツァンド効果の貫徹ぶりなど、無敵のニュアンスの連続。
「イタリア奇想曲」も単に陽気な音楽ではないことは言うまでもなく、全体の構成に対する眼力と響きの求心力が尋常ではないので、交響曲を一曲聴くような手応えに恐れ入るばかり。弦のテーマは、その結尾でディミニュエンドとリタルダンドを優しく注ぐ配慮に真の共感が滲み、第3部のティンパニ強打にも惚れ惚れ。最後の追い込みでも、厳格なアーティキュレーションを崩さず、トロンボーンの頭の音を明確に鳴らすのも、他では類を見ません。この2曲がこれほどの名曲であることに、初めて気づく方も多いのではないでしょうか。
「チャイ5」は、セルがクリーヴランド管と録音た唯一のチャイコフスキーの交響曲であり、「純音楽的表現」の魅力という点で、忘れる訳にはいきません。全体に漲る高潔さ、一貫した集中力、精緻を極めたアンサンブル、各ソロパートの巧さは、ムラヴィンスキーと堂々と比肩。特にテンポ、アーティキュレーションの緻密な設定に関しては厳格にこだわりを徹底させ、それが頑固な意地の誇示としてではなく、洗練されたしなやかさを携えて純化しきった音楽として迫るところが、まさにセルの真骨頂!その洗練の奥に熱い共感を込め抜いているからこそ、アンサンブルの美しさが音楽的な感銘に直結するということを思い知らされます。終楽章502小節でのシンバル追加処理は、この演奏だけの特徴。【湧々堂】 →「チャイ5」詳細コメント

Treasures
TRE-158(1CD)
ウォーレンステイン〜ベートーヴェン&メンデルスゾーン他
ベートーヴェン:交響曲第8番
メンデルスゾーン:交響曲第5番「宗教改革」
シャブリエ:ハバネラ*
 狂詩曲「スペイン」*/楽しい行進曲*
アルフレッド・ウォーレンステイン(指)
ロスアンジェルスPO

録音:1953年3月、1953年2月*(全てモノラル)
※音源:米DECCA DL-9726、英Brunswick AXTL-1063*
◎収録時間:64:24
“剛毅な進行にも作曲家の息吹を絶やさない「宗教改革」の理想像!”
■音源について
全て、米デッカ音源。ブラームス他(TRE-020)、シューベルト他(TRE-036)でも触れたように、これらもロス・フィルの一時代を築いたウォーレンステインの高次元の音楽作りを知るために欠かせない名演揃いです。なお、小さい作品は通常は冒頭に収録しますが、シャブリエは2つの交響曲とは毛色が違うので、アンコール風に最後に収録しています。

★ブラームスの「第2番」等で、既にウォーレンステインの実力を実感された方は、このディスクでも大いにご納得いただけるはず。ここでもウォーレンステインのドライブ能力によってロス・フィルの機能美とセンスを引き出して集中力の高い名演を展開しています。
ベートーヴェンは、この作品の愛くるしさスケール感の両面を表出し、高い推進力を誇りながら決して勢いに任せず、常に音楽の内容に肉薄する意思と一体化したニュアンスで貫かれています。第3楽章0:48からの何気ない弦の刻みが、これほど愛おしく響くのも珍しく、終楽章は、これぞアレグロ・ヴィヴァーチェ!かなりの高速テンポながら、強靭な造型は貫徹。腰のあるリズムの躍動とともに、まさにシンフォニックな響きの醍醐味を堪能させてくれます。
メンデルスゾーンでは、その凝縮性の高い音楽作りが更に開花し、モノラル時代の同曲屈指の名演!淀みない推進力を基調としたアプローチはミュンシュに近いと言えますが、それを熱すぎると感じる方には特にオススメです。第1楽章の序奏から実に晴れやか。しかも単に健康的なのではなく、その中から丁寧にハーモニーの色合いを抽出し、それを感じていることが実感できます。主部以降は、芯の熱い音楽が進行。特に展開部は、メータ以前のこのオケの意欲的な発言力を徹底的に思い知ると共に、ウォーレンステインの地に足の着いたダイナミズムの凄さに圧倒されます。
第2楽章もただの楽園的な音楽ではなく、自然な凝縮力を効かせつつ、各声部を緊密にブレンド。可憐なピチカートも、決してデフォルメとして響くことがないのは、いかにもメンデルスゾーンらしい楽想への配慮が行き届いている証しではないでしょうか。終楽章は高潔なスケール感が見事!コーダでは型通りの締めくくりに飽き足らず、ワーグナー風の大伽藍に塗り変えてしまう演奏も少なくないですが、ウォーレンステインは一切見栄など切らず、単刀直入。聴後は、良質のメンデルスゾーンを味わったと実感していただけることでしょう。【湧々堂】

Treasures
TRE-154(1CDR)
ラインスドルフ&ボストン響〜厳選名演集Vol.1
マーラー:交響曲第5番
エーリヒ・ラインスドルフ(指)
ボストンSO
ロジャー・ヴォワザン(Tpソロ)
ジェームズ・スタグリアーノ(Hrnソロ)

録音:1963年11月17,23,26日(ステレオ)
※音源:英RCA SER-5518
◎収録時間:64:31
“外面的効果を排し、芸術的な昇華力で勝負した記念碑的名演!!”
■音源について
この「5番」はLP3面分(4面にはベルクの「ヴォツェック・抜粋」を収録)を使っているので、余裕の鳴りっぷり!しかも、この英盤ならではの欧風サウンドで味わう感動は、既発のCDでは到底太刀打ちできません。ちなみに、バーンスタインがニューヨーク・フィルと同曲を録音したのは、同じ1963年の1月のことでした。

★まだマーラーの録音自体が少なく、その解釈もワルターに代表されるようなマーラーの人間性と感情の起伏を押し出した演奏が主流だった頃、それを一旦リセットし、作品を等身大の芸術作品として確信を持って表現した演奏として、決して忘れてはならない名演であり、ラインスドルフが遺したマーラーの最高峰と確信しています。
第1楽章最初の弦の主題は、高潔さと温かさを兼ね備え、さりげないアゴーギクを携えたフレージングに早速惹きつけられます。「突然、より速く、情熱的に荒々しく」でも高潔さを失わず、上滑りせずにしなやかな歌を展開。ヨーロッパ調の美しい響きを保ったまま音楽を内燃させます。7:05からは、憔悴しきった響きに偏らず、決然とした意思を持って響きをブレンドさせる妙味にご注目を。8:51のティンパニソロの巧さにも唖然。その直後の弦の柔和な滑り込みは、ラインスドルフがこの頃完全にミュンシュとは違う指向の音をオケに植え付けていたことを裏付る、象徴的なシーンと言えましょう。
更に、オケの機能美も高次元に引き上げていたことを実感させるのが第2楽章。木管の内声パートは常に明確な主張を持って発言しつつ、全体は温かで自然なブレンドで一貫。7:31以降のアンサンブルの熾烈な緊張増幅と、破綻皆無のレスポンス、それらをベースにして情感が余すことなく高揚する様は、オケの技術が向上した現在でも滅多に出会えるものではありません。
第4楽章
は、かつてボストン響の響きが最もヨーロッパ的と形容されていたことの意味をとことん実感。その甘美な楽想ゆえに、「第5番」そのものを高く評価しない向きもありますが、それはひとえに演奏次第。音楽の構成への配慮と、過不足のないロマンの香気を同居させたこの演奏で聴く味わいは、他に類を見ません。
時に冗長で外面的と評される終楽章も同様。私自身、この楽章を味わい尽くしたと言い切れる演奏は、このラインスドルフ盤以外には殆ど出会ったことがありません。
ラインスドルフという指揮者自体に、「禁欲的」「無機質」という印象をお持ちの方も多いことでしょう。これまた、以前の私がそうでした。それがこの英プレス盤に触れて一気に払拭されたのです!
ぜひ、ボストン響全盛期のサウンドの醍醐味と共に、ラインスドルフの真価を実感していただければ幸いです。【湧々堂】

Les Dissonances
LD-009(1CD)
ブック仕様(96p)
ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲第1番
交響曲第5番ニ短調 op.47
レ・ディソナンス
ダヴィド・グリマル(Vn)
グザヴィエ・フィリップス(Vc/マッテオ・ゴフリラー1710年製)

録音:2014年12月2日(協奏曲)、2016年1月23日(交響曲)/ライヴ録音(ディジョン歌劇場)
ダヴィド・グリマルにより結成された「レ・ディソナンス」によるショスタコーヴィチ。指揮者なし(コンサートマスターであるグリマルがアンサンブルを 率いる)による緊迫感に漲った演奏、注目です。チェロ協奏曲には、1971年フランス生まれのグザヴィエ・フィリップスをソリストに迎えています。ブックレッ トにはグザヴィエ・フィリップスがロストロポーヴィチと共演した思い出などを書いた文章も収められています(日本語訳なし)。 ダヴィド・グリマルはフランスの第一線で活躍するヴァイオリン奏者。パリ国立高等音楽院にて、レジス・パスキエに師事、さらにシュロモ・ミンツやア イザック・スターン、さらにフィリップ・ヒルシュホーンらからも薫陶をうけました。ソロ・ヴァイオリン奏者として様々なオーケストラと共演するほか、様々 な作曲家から作品を献呈されています(ダルバヴィー、エスケシュ、ジジェル、イヴァン・フェデーレ他)。長年にわたり名ピアニスト、プルーデルマッハー とコンビを組み室内楽の活動も展開。指揮者なしで演奏するオーケストラ「レ・ディソナンス」を結成。ソロ、室内楽、さらにオーケストラ活動を展開し ています。 (Ki)


WEITBLICK
SSS-0197(1CD)
ブラームス:交響曲第1番
ハンガリー舞曲4曲(第1、第3番、第4番、第5番)
ジョルジュ・プレートル(指)
シュトゥットガルトRSO

録音:2000年12月8日リーダーハレ、1997年10月29日〜31日リーダーハレ*
この第1 交響曲の登場で、プレートルのブラームス全集が揃うことになります。第2 番、第 3 番(ベルリン・ドイツ響、SSS0129)、第4 番+ピアノ四重奏曲(管弦楽版)(聖チェチリア管、 TBRCD0028)。期待通りの雄渾なブラームスです。もちろん、プレートルならではの仕掛満 載の面白演奏。名誉指揮者として密接な関係を持っていたシュトウットガルト放送響の機能 性を存分に生かし、グイグイと牽引。そして只ならぬ感動を聴き手にもたらすプレートルの手 腕には脱帽、そして圧倒されます。ハンガリー舞曲はかつてFOLRANE にもスタジオ録音が ありましたが、こちらはライヴ。プレートルはアンコール・ピースとしてこれらの曲を好み、熱演 を知る人も多いことでしょう。

WEITBLICK
SSS-0198(1CD)
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」
マーラー:交響詩「葬礼」
ジョルジュ・プレートル(指)
シュトゥットガルトRSO

録音:1996年10月14日〜28日リーダーハレ、1998年6月28日リーダーハレ*
プレーヤー再生前に一言!ドヴォルザークの「新世界」の後にマーラーがカップリングされていますが、最初にマーラーから聴かれることを強くお勧めします。
ニ作品品とも、各音楽に込めた作曲家の思いをこれ以上に追求し引き出すことは不可能と思われる超絶的な名演なのですが、まずはマーラー
「復活」第1楽章の原型となった「葬礼」は、過去の録音は、珍曲の紹介程度の意味しか成さなかったものが多い中、これは一個の作品として完全に結実していることを実証した初めての例と言っても過言ではありません。暗さにばかり焦点を当てず、明暗をくっきりと描き、作品の潜在力を出し尽くしたこの演奏。特に灼熱のコーダの凄さは、当分これを超える演奏は出現しないでしょう。
そのニュアンスの徹底注入ぶりは、ドヴォルザークも同じ。「新世界」の名演は数々あれど、録音の優秀さも含め、これ以上のものはかつて聞いたことはなく、こんな感動があり得るとは夢にも思いませんででした。
第1楽章冒頭の弦の質感から、清潔なテクスチュアへの志向がはっきり伺えますが、続くホルンは硬質の響きで聴き手を覚醒させ、次の木管はとことんメロウに歌う…というように、各楽想への配慮と共感は、古今を通じて比類なし!主部以降も響きの硬軟の使い分けは尋常ではなく、そのそれぞれが他のニュアンスなど考えられないほどの説得力で迫ります。テンポ・ルバートも誰にも真似出来ない個性的なものですが、少しも押し付けがましくなく、どの部分を取っても瑞々しさが横溢。
第2楽章では逆にテンポを動かさず、心の底からの呼吸の妙味で聴かるという、これまたこの巨匠ならではの奥義。
終楽章の感動に至っては筆舌に尽くせません!まず冒頭の1分間、相当の高速進行にも拘らず暴走に傾かない点にご注目!これほど全ての音が高度に結晶化し、根底から主張している演奏が他にあったでしょうか?この必死さ、夢中さは、現代においてまさに奇蹟と呼ぶしかありません。第1楽章同様、各楽想のニュアンスの炙り出しはここでも徹底敢行。単なるやりたい放題の爆演とは違う心の襞への訴え掛けが、月並みの名演とは桁違いなのをお感じいただけると思います。そして、聴後に訪れるのは、全身の血液を全てリフレッシュしたような爽快感!そんな後に、マーラーで落ち込む必要がどこにあるでしょうか!【湧々堂】

DACAPO
MAR-8.226175(1CD)
NX-B06
ラスムッセン:交響曲第2番「地球、新たに」(2015)…ソプラノとバリトン独唱、男声合唱、大管弦楽のための ボー・スコウフス(Br)
シンディア・シーデン(S)
アカデミスカ・サングフェレニンゲン
ムントラ・ムジカンテル
ヘルシンキPO
ヨーン・ストルゴーズ(指)

録音:2015年9月12-14日ヘルシンキミュージックセンター、コンサート・ホール
※世界初録音
フェロー諸島で生まれ、ある時期はノルウェーに住み、現在はコペンハーゲンとフェロー諸島を行き来しているという作曲家 ラスムッセン(1961-)。生まれ育った島には音楽的な訓練を受ける施設はなく、祖母から譜面の読み方を学んだと言います。 一時期はジャズの影響を受け、電子音楽にも興味を持った彼は、1995年に最初の交響曲「OceanicDays」に着手します。 この作品は北欧評議会の音楽賞を受賞、他の財団からも補助金を受けるなど高い評価を受けると同時に、ラスムッセンの将来 も期待されることとなりました。その後は順調に作曲活動に勤しみ、数多くの作品を執筆。この交響曲第2番はノルウェー の神話に基づいた大規模な作品で、全ての世界を司る架空の樹、ユグドラシルにまつわる物語が描かれた神秘的で力強い音楽 に満たされています。ラスムッセンの良き理解者ストルゴーズによる世界初演時の録音です。


Treasures
TRE-148(1CDR)
L・ルートヴィヒ〜「未完成」&「新世界」
モーツァルト:歌劇「イドメネオ」序曲*
シューベルト:交響曲第8番「未完成」
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界から」#
レオポルド・ルートヴィヒ(指)
ハンブルク国立歌劇場O*、LSO

録音:1960年代中期*、1959年11月17日、11月16日#(全てステレオ)
※音源:独EUROPA E-177*、日COLUMBIA MS-1102EV
◎収録時間:68:11
“斜に構えず、誇張せず、音楽の魂をひたむきに追求!”
■音源について
2つの交響曲はエヴェレスト音源ですが、全帯域に渡りバランスが良く、プレスにもムラがない日本プレス使用しました。

★シューベルトもドヴォルザークも、ロンドン響の機能美と潜在的な表現意欲を出し尽くした素晴らしい演奏。埋もれたままではあまりにも惜しい逸品です。
「未完成」の第1楽章は、衒うことなくごく標準的なテンポで進行しながら、内省美と内なる炎を兼ね備えたニュアンスを常に携え、特に展開部の充実ぶりが忘れられません。第2楽章は、 シューベルトに共感しきれない指揮者ほど間が持たず、音楽に過剰なコントラストを施しがち ですが、ルートヴィヒにはそんな誤魔化しは無用。6:41からの木管の旋律と弦のリズムが一体 となって進行するシーンは、木管を透徹した響きで際立たせる演奏もありますが、ルートヴィ ヒは決して音楽の構造を解析するような真似はしません。しかもロンドン響には珍しく、人肌 のぬくもりを持つ音色で一貫しているので、より心に染みます。 その素朴な音色を活かして、人間味満点の演奏に結実させているのが「新世界」。ケルテス、 ロヴィツキ、C.デイヴィスと、ロンドン響による「新世界」は全て逸品揃いですが、研磨剤を 用いない「作りたての味」と純粋な情熱という点で、他とは大きく一線を画しています。中でも特筆したいのは、第3楽章の結晶度の高さ! テンポも相当速いですが、どこにも無理がなく、その自然発火的な勢いが完全に作品と一体化 しているのです。終楽章もライヴ録音のような白熱ぶり。コーダの9:22から、トランペットの みならずホルンも同じテンションで全身で吹きまくる様は、何度聴いても鳥肌が立ちます。 ルートヴィヒは、決して地味な指揮者ではありません!【湧々堂】

Treasures
TRE-147(1CDR)
G・L・ヨッフム〜シューマン&ブラームス
シューマン:交響曲第1番「春」Op.38
ブラームス:交響曲第2番ニ長調Op.73*
ゲオルク・ルートヴィヒ・ヨッフム(指)
ベルリンRSO、スウェーデンRSO*

録音:1951年6月10日、1957年7月5日*(共にモノラル)
※音源: RVC RCL-3310、BIS LP-331/333*
◎収録時間:64:52
“高名な兄以上の統率力と高潔な精神力を感じさせる凄演!”
■音源について
オイゲン・ヨッフムの弟、G.L.ヨッフムの録音は極めて少なく、ウラニアのブルックナーの交響曲が知られる程度。その演奏でも、G.L.ヨッフムの指揮の特徴ははっきり聞き取れますが、なにせヒトラー肝煎りのオケによる演奏ですので、先入観なしに味わうのは難しかもしれません。その点ここに収録した2曲は、心置きなく感動していただけると思います。シューマンは、日本で発売されたG.L.ヨッフムのLPは、伴奏もの以外ではこのシューマンが唯一と思われます。

★私のG.L.ヨッフム初体験は、ブルックナーではなくこのシューマン。聴いた途端に大いに感動したと同時に、かつてナチ党員だったという理由だけで葬り去っては大損失だと確信しました。その音楽作りは、兄オイゲンが南欧的でロマン主義的とするなら、G.Lヨッフムはもっと現代的で、造型のメリハリ重視型。響きの凝縮力とオケの統率力は、兄よりも上かもしれません。トスカニーニほどザッハリヒではなく、フレージングにしなやかさと美しさを湛える資質はブルックナーでも存分に発揮していましたが、ここではその高次元の芸術を更に良い音で堪能できるのです!
シューマンは、まさに春爛漫!第1楽章主部は一途な推進力に溢れながら、細部にまで配慮が行き届き、第2主題の木管を支える弦の刻み(2:26〜)など、ジョージ・セルのような緻密さを見せます。展開部で金管楽器の補強措置が当然のように響くのは、G.Lヨッフムの並外れたバランス感覚の証左。第2楽章は更に求心力絶大。この楽章だけでも並の名演ではないことを実感いただけることでしょう。長い音を引き伸ばす際に独特のクレッシェンド効果を与える(第1楽章7:42〜など)のは、他の録音でも聴かれる特徴ですので、G.Lヨッフムの趣味かもしれませんが、これはスタイルとしてはむしろ旧タイプ。そうした単純にカテゴライズできない独自のスタイルを堪能するのも一興です。
このシューマンだけでも手応え十分ですが、ブラームスがまた凄い!第1楽章第1主題の弦のシルキーさ、第2主題の心震わせた歌に心奪われない人がいるでしょうか?フレーズの冒頭に明確な意思を持ってアクセントを配して音像を明瞭化させるなど、音楽を曖昧模糊とさせない徹底した配慮にも要注目。第2楽章は、テンポのメリハリ感が強烈。それに伴い感情の起伏が生々しく表出されます。終楽章は8分台の高速モードですが、高潔な精神が最後まで漲らせながら手に汗握る高揚を築き、聴後は最良のブラームスを味わい尽くしたという満足感で満たされること請け合い!
ちなみに、2曲ともライヴ録音ながら拍手も会場ノイズもないので、放送用録音と思われます。【湧々堂】

Treasures
TRE-152(1CDR)
ワルベルク〜モーツァルト&シューベルト
モーツァルト:交響曲第40番ト短調K.550*
シューベルト:交響曲第3番ニ長調D.200
 交響曲第5番変ロ長調D.485
ハインツ・ワルベルク(指)
バンベルクSO

録音:1961年3月*、1962年12月(全てステレオ)
※音源:日COLUMBIA MS-4*、独Opera St-1985
◎収録時間:77:26
“ただの純朴指揮者ではない!ワルベルク流の音楽の息づかせ方!”
■音源について
全て独Operaへの録音ですが、モーツァルトは優秀な日本盤を使用。当時のバンベルク響の木目調の風合いをしっかり伝えています。Opera盤のジャケットは例によってシンプルな統一デザインなので、ここではOrbis盤のジャケを使用。

★決して作品を弄り回さず、音楽を窮屈なものにしないワルベルクの魅力が満載!強烈な個性を売り物にしないアーチストは、どんなに心を尽くした演奏を繰り広げても「歴史的名演」という賞賛を得られないのが世の常ですが、ここに聴くシューベルトは、Opera盤で聴くことで、まさにその名に値する逸品だと確信しました。通常なら「誠実な良い演奏」くらいの評価でしょうが、とんでもない!聴けば聴くほど、ベームやビーチャム等の有名盤と拮抗するか、それ以上の魅力に気付かされます。
まず、そのベースを担っているのがバンベルク響の温かな響き。それがワルベルクの飾らない人柄と一体化するのですから、いかに音の全てが琴線に触れるか想像いただけると思います。しかも曲が、シューベルトの音楽性が最も自然体に表れている「3番」「5番」というところもポイント。この三者のブレンド効果は筆舌に尽せず、これほど条件の揃った演奏は例を見ません。
「第3番」は、1楽章主部や第3楽章のテンポ、響きの厚み加減、リズムの弾力と、これぞシューベルト!と膝を打つこと必至。特に第3楽章は史上最高の名演!、恣意性皆無の絶妙なリタルダンドを経て滑り出す中間部を聴いて、他の演奏を聴きたくなる人などいるでしょうか?いったいどうやったら肩の力を入れることなく、これほど自然に音楽の感興を導き出せるのでしょう。単にオケに引きたいように弾かせるだけでは、これほどの味わいは生まれないはずです。
「第5番」ではその秘訣がちらっと垣間見えます。第1楽章コーダ4:46から、弦が実体感を伴って駆け上がる走句もそうですが、さらにハッとするのが第2楽章冒頭。通常は第1音からレガートで弾かれますが、ここでは第1音で一旦弓を弦から離しています。これは、アウフタクトの意味をしっかり捉えている証しで、これぞ叩き上げ指揮者のこだわり!それでもそこに厳格性を感じさず、あくまでも音楽があるべき姿で息づいていることを感じていただけるでしょう。
「渋い」とか「素朴」といった形容で済まされる演奏家に対しては、その本質を探る余地がまだまだあることを改めて思い知らされました。【湧々堂】

Treasures
TRE-150(1CDR)
シェルヘンの二大過激名演集
ハイドン:交響曲第100番「軍隊」
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」*
ヘルマン・シェルヘン(指)
ウィーン国立歌劇場O

録音:1958年7月、1958年9月18日*(共にステレオ)
※音源:Westminster WST-14044、WST-14045*
◎収録時間:66:58
“伝統美を完全放棄!過激さの裏に迸る絶対に譲れない信条!!”
■音源について
いろいろ聴き比べましたが、結局この本家ステレオ初出盤を凌駕するものには出会えませんでした。この音の生々しい生命感、鋭利な切れ味、ハイドンの第2楽章後半のド迫力など、驚きの連続です。なお、「英雄」は、第2楽章だけティンパニが左から聞こえます。ヴァイオリンの位置は変わってないようなので、全体を左右逆転するわけにはいかず、そのまま収録しましたが、5:22頃に一瞬だけ右側へ移る箇所があり、ここだけは左右反転の処理を行いました(CDでは確かそのままだったと思います)。この定位の不安定さは、ウェストミンスターのステレオ初期録音によく見られる現象ですので、ご了承下さい。

★一口に「過激」とか「爆演」と言っても、その内容や意味合いは様々。私が知る限り、そのことを最も痛切に考えさせられのがこの2つの録音で、シェルヘンという指揮者の独自の芸術性を知るうえでも不可欠だと思います。
正直、「軍隊」終楽章の気が触れたとしか思えない高速テンポに初めて接した時は、思わず吹き出しましたが、次第に笑い事では済まない強烈な確信力に引き込まれてしまったことを昨日のことのように思い出します。第2楽章は、ゆったりとした優美さを貫くと思いきや、そのテンポを後半の金管・打楽器の壮麗さに転嫁させるという設計の巧みさ!ステレオ効果を意識した楽器配置にもドッキリ!
「英雄」は、前回1954年録音のオーソドックスな解釈を放棄し、この録音では異常な高速モードに激変!アンサンブルの正確さ、音の綺麗さなど二の次。でも、決して音楽をオモチャにしているわけでも、上から目線で作品を蹂躙しているのでもなく、シェルヘンは「真剣」であり、「夢中」なのです。DVD化されてたシェルヘンのリハーサル風景では、あまりにも長いシェルヘンの演説に呆れている団員の姿が映っていましたが、彼にとって音楽が全てであり、団員に好かれることなど眼中にないのでしょう。この「英雄」も、自分たちの音楽に誇りを持つ団員たちがシェルヘンの解釈に心酔してと言うよりも、「そこまで言う死ぬ気でやってやる!」的なスタンスで、ウィーンの伝統を一旦放棄してその棒に必死で食らいついている様子が目に浮かびます。
指揮者が通常とは異なる解釈を示した場合、それが聴き手に深く長く訴え掛けるかどうか、瞬間的なショックで終わってしまうか、その命運を分けるものは何か?結局、正しさを追い求めるより、何を表現するかが肝心だと、この2曲を聴くといつも痛感するのです。【湧々堂】

DACAPO
MAR-2.110417(6DVD)
NX-J01
MAR-2.110423(3Bluray)
NX-J01
ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス
■〈DVD1〉
ベートーヴェン:交響曲全集
1.交響曲第1番ハ長調Op.21
2.交響曲第2番ニ長調Op.36
〈DVD2〉
1.交響曲第3番「英雄」Op.55
2.交響曲第4番変ロ長調Op.60
〈DVD3〉
1.交響曲第5番ハ短調Op.67
2.交響曲第6番ヘ長調「田園」
〈DVD4〉
1.交響曲第7番イ長調Op.92
2.交響曲第8番ヘ長調Op.93
〈DVD5〉
1.交響曲第9番ニ短調「合唱」
2.ロドリーゴ:アランフェス協奏曲
〈DVD6〉
1.ベルリオーズ:幻想交響曲
2.R・シュトラウス:アルプス交響曲
〈Blu-ray1〉
ベートーヴェン:交響曲全集
1.交響曲第1番ハ長調Op.21
2.交響曲第2番ニ長調Op.36
3.交響曲第3番「英雄」Op.55
4.交響曲第4番変ロ長調Op.60
〈Blu-ray2〉
1.交響曲第5番ハ短調Op.67
2.交響曲第6番ヘ長調「田園」
3.交響曲第7番イ長調Op.92
4.交響曲第8番ヘ長調Op.93
〈Blu-ray3〉
1.交響曲第9番ニ短調「合唱」
2.ロドリーゴ:アランフェス協奏曲
3.ベルリオーズ:幻想交響曲
4.R・シュトラウス:アルプス交響曲
ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス(指)
デンマーク国立SO

アルビナ・シャギムラトーヴァ(S)
シャルロッテ・ヘレカント(Ms)
スコット・マッカリスター(T)
ヨハン・ロイター(Bs)
デンマーク国立コンサートcho
ペペ・ロメロ(G)

収録2012-2014年
収録時間:553分
音声:ステレオ
2.0/DD5.1/DTS5.1
字幕:なし
画面:16:9
REGION All(Code:0)
〈DVD〉片面二層ディスク×6
〈BD〉二層50GB×31080i High Definition
スペイン出身の大指揮者、ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス。 日本にも度々来日し、読売日本SOの常任指揮者を務めるなど、その 活動は高く評価され、日本国内でも多くの人気を獲得していました。2012 年からデンマーク国立SOの首席指揮者に就任しましたが、2014年6 月4日に体調不良のため引退を表明。その直後、6月11日にこの世を去っ てしまったという知らせは、日本のみならず全世界のファンに大きな衝撃 と悲しみをもたらしたことは忘れられません。 このベートーヴェンは、ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴスと、 最後の安住の地となったデンマーク国立SOの親密かつ緊迫の演奏を 収録した映像です。 ブルゴスらしい燃焼度が高い第3番や第5番、第7番、良く歌う美しいフ レーズが特徴的な第1番、第2番、第4番、豊かな表現力で聴かせる第6 番、従来の枠には収まりきらないエネルギーを孕んだ第8番、シャルロッ テ・ヘレカントら、名歌手たちをソリストに迎えた壮麗な第9番。どれも ドイツとスペインの良さを併せ持つスケールの大きな演奏です。 また、ボーナスとして含まれている、ペペ・ロメロをソリストに迎えた「ア ランフェス協奏曲」、ラテン系のテンションで押しまくる「幻想交響曲」、 壮大な場面が目の前に広がる「アルプス交響曲」の3曲も、彼の魅力が存 分に発揮された、多彩な表現力と、熱い音楽への愛が感じられる名演です。 20世紀を代表する指揮者の“最期の肖像”となった記念碑的BOXです。


Treasures
TRE-139(1CDR)
オットー・アッカーマン〜名演集Vol.1
モーツァルト:交響曲第7番ニ長調K.45
 交響曲第8番ニ長調K.48
 交響曲第12番ト長調K.110
ハイドン:交響曲第100番「軍隊」*
ボロディン:交響曲第2番ロ短調#
オットー・アッカーマン(指)
オランダPO、ケルンRSO*,#

録音:1952年12月10-11日、1955年10月2-3日*、1954年6月8-11日#
※音源:独DISCOPHILIA OAA-101、DIS.OAA-100*,#
◎収録時間:79:02
“アッカーマン知られざる真価の本質を知る交響曲集!”
■音源について
アッカーマンのオペラ以外の録音は、ほとんどがコンサート・ホール・レーベルに集中しており、50代で亡くなったこともあり、その高い芸術性は広く認識されていません。ここに収録したモーツァルトは、コンサート・ホール・レーベルがアッカーマンのために交響曲全集として企画したものですが、アッカーマンの死去により、一部の曲はゲール、スウォボダの録音が充てられました。もちろんオリジナルはモノラルですが、このDISCOPHILIA盤は疑似ステレオ化(?)されていてやや不自然なため、ここではモノラルに変換しています。ハイドンとボロディンは、放送用音源。

★オットー・アッカーマン(1906−1960)は、ルーマニア生まれ。ドイツで本格的に音楽を学んだ後、主にヨーロッパ各地の歌劇場で活躍。少ない録音の中でも、EMIのオペレッタ録音がひときわ有名なので、交響曲にいおいても劇場的な雰囲気を湛えた音作りをすると思いがちですが、そう単純ではないところにアッカーマンの音楽性の底知れなさを感じます。
モーツァルトでは素直な進行とともに、古典的な様式をきちんと踏まえた安定感が際立ち、モーツァルトの天才的な筆致に自然な息吹を与えていますが、加えてそこには、常に独特の品格が備わっており、今ではその品格こそがアッカーマンの指揮の最大の魅力だと確信しています。「品格」と言ってもお上品で冷たいものではなく、温かい眼差しでスコアに向かい、音のダイナミズムや色彩、テンポなどは、音楽が最も美しく浮き上がるものを選択。結果的にシルキーな風合いを感じさせる…とでも申しましょうか。続くハイドンでは、そんな独特な空気がより顕著に立ち昇ります。
この「軍隊」、誰が何と言おうと史上屈指の名演です!第1楽章から、何の変哲もない進行の中で、全ての音が高純度を保っていることにまず驚愕!主部以降も各声部の絡みに不純物は皆無で、アッカーマンの魔法の杖で、音が泉のように湧き立つよう。「こう響かせたい」という私利私欲の欠片もない音楽が、これほど心を打つという実例です。スコアに書かれた「仕掛け」を拡大解釈したくなる第2楽章でも、その高純度ぶりは不変。それでいて、多くの聴き手が期待するスケール感もしっかり確保。第3楽章の中間部の微笑みも、アッカーマンの人柄を映すかのよう。終楽章はテンポのセンスが抜群な上に、畳み掛けるような切迫感とは違う澄み切った幸福感が横溢。0:33からの弦の音量を途中から落としてフルートへ引き渡す配慮や、後半シンバルが加わって以降の声部バランスの絶妙な入れ替え技などは、オケの量感を損ねずに美しく鳴らす極意を心得た人だけに可能な技!これほど魅力的な演奏に結実したのは、ハイドンの様式美とアッカーマンの清潔な音作りが合致しただけの偶然の産物ではないことは、次のボロディンが証明します。
こういう土臭い作品は、さすがに品格だけでは不十分と思われるでしょうが、そういう結果に陥るのは、その品格が急ごしらえの表面的な場合でしょう。その点アッカーマンの品格は筋金入りで、体に染み付いているものなので、それが音楽的ニュアンスに直結して感動を誘うのです。第1楽章冒頭のテーマから、土俗性を強調する素振りさえ見せず、そうあるべきバランスを維持しながら音像を明確化。そこから音楽の根源的に力を自然に引き出しています。第2主題もメランリックなニュアンスを故意に表面化せずとも、「ここは楽譜以上の表現は不要」という強い確信、というより瞬時の閃きが、説得力を与えているように思えてなりません。コーダのテンポの落とし方と一音ごとの刻印の仕方は、まさに高潔。白眉は、第3楽章!ケルンのオケの機能美と各ソロ奏者の素直な心の震えが、アッカーマンの絶妙な棒から自然に引き出されており、、トゥッティでも決して汚い音を発せず、幽玄の音像が繰り広げられるのです。
このアッカーマンの比類なき音作りのセンスは、無駄のない音の使い方という点では、指揮法を師事したジョージ・セルの影響が大きいかと思いますが、「厳格な指示を出して出して築いた音楽」という印象を与えない優美さは、努力して身につけたとは考えられず、神様からの贈り物としか思えません。【湧々堂】

Treasures
TRE-140(1CDR)
オットー・アッカーマン〜名演集Vol.2
モーツァルト
:交響曲第9番ハ長調 K. 73
 交響曲第13番ヘ長調 K. 112
ケルビーニ:歌劇「アナクレオン、またはつかの間の恋」序曲*
チャイコフスキー:交響曲第4番ヘ短調*
オットーアッカーマン(指)
オランダPO、
ベルン市立歌劇場O*

録音:1952年12月10-11日、1958年11月18日(ライヴ)*
※音源:独DISCOPHILIA OAA-101、瑞西RELIEF RL-851*
◎収録時間:75:05
“チャイコフスキーの孤独とダイナミズムを高潔な音彩で徹底抽出!”
■音源について
モーツァルトは、コンサート・ホール原盤でオリジナルはモノラルですが、このDISCOPHILIA盤は疑似ステレオ化(?)されていて不自然なため、ここではモノラルに変換。ケルビーニとチャイコフスキーはライヴ音源。レコードには「Stereo」と表示されていますが、拍手がモノラルに聞こえることと録音年代から、演奏のみ疑似ステレオ化したものと思われます。こちらは実に自然な仕上がりなので、そのままの音を採用しました。なお、チャイコフスキーの第1楽章前半で、原テープの劣化と思われる音揺れがありますが、ご了承下さい。

★アッカーマンがナチス・ドイツを逃れてスイスへ活動拠点を移し、1935年に得た大きなポストが、ベルン歌劇場の指揮者でした。そのオケとの縁の深さと、ライヴということもあってか、チャイコフスキーでは、かなり主情的な表現を注入している点がまず注目されますが、それよりもこの演奏は、チャイコフスキーへのアプローチの点でも、指揮芸術のあり方という点でも、重要な意味を持つ名演だと思います。
第1楽章の冒頭のファンファーレは、誰よりも寂しく孤独な風情を湛えていることに、まずドッキリ。その空気を引きずって第1主題も視線を落としたまま進行。皮脂分を削ぎ落としたスッキリとした音像を貫きながら、音楽は根底からうねり続けるので、独特の寂寥感が胸に迫ります。クラリネットの第2主題に入ると少しは希望の光が差し込むのが常ですが、音楽に浮揚感を与えるのはまだ先。8:29からようやく格調高いダイナミズムを打ち立てますが、ここでも音色を汚さず、全声部が完璧なバランスを保ち、その高潔さを確保したまま、11:28からは内燃パワーを大噴出させるのです。そしてコーダのテンポ設定の巧妙さ!例のルフト・パウゼがこれほど胸を突き刺すのも珍しいでしょう。
なお、この楽章は一部のパートが音の入りを間違えてアンサンブルが崩壊寸前の箇所がありますが、なんとか乗り切っています。
第2楽章は再び孤独の世界。リズムを垂直に一定に刻む箇所はほとんどなく、終止憂いの限りを尽くします。それなのに、情緒過多の印象を与えず、音楽全体が澄み切っているのです。
終楽章は実に壮大。それが華美なお祭り騒ぎにならないのは言うまでもありません。場面が変わるたびに違うテンポと表情を湛えるので、先の進行への期待と不安が入り混じり、それはあたかもチャイコフスキーの人生の生き写しのように響きます。最後は誰もが納得の大団円ですが、パワーを野放図に放射させまいとする強力な意志が働いているので、そこにもまた、アッカーマンの指揮者としての熱い信念を感じずにはいられません。【湧々堂】

Treasures
TRE-136(1CDR)
クーベリック&VPOのドヴォルザーク
交響曲第7番ニ短調Op.70
交響曲第9番ホ短調「新世界から」*
ラファエル・クーベリック(指)VPO

録音:1956年10月1-2日、3-4日* (共にモノラル)
※音源:英DECCA LXT-5290、LHT-5291*
◎収録時間:77:05
“「ウィーン・フィルのドヴォルザーク」の頂点をなす感動録音!”
■音源について
この2曲は4日間で集中的に録音されており、レコード番号も連続しています。既にTRE-102等でも記したように、ここでもあえてモノラル盤を採用しています。通常聴かれているステレオ・バージョンでは、小さい箱に押し込んだような不自然な音を頭の中で「現実的な音」に補正する必要があるばかりか、音楽を小じんまりとさせてしまい、この演奏本来の風格も深みも損なわれること夥しいからです。これは、デッカによるウィーン・フィルの1950年代のステレオ録音のほぼ全てに共通しています。世評以上の味わいをぜひご体感ください。

★クーベリックによるこの2曲の録音は他にも数種存在しますが、このウィーン・フィル盤の素晴らしさは、他とは別次元!この録音時40代のクーベリックには、既にこれらの作品のアプローチに揺るぎない確信を持っていたことが窺えると共に、当時のウィーン・フィルの独特のクセをさり気なく抑制しながら、プラスの魅力だけを引き出す手腕にも感服するばかりです。
「第7番」は、一般的にはボヘミア的な民族色よりもドイツ風の構成を重んじた作品とされますが、この演奏には隅々まで郷愁を惜しげもなく注入されており、冒頭の主題からして切なさの極み。第2主題が大きく羽ばたく4:36からの音の張り艶はにも言葉を失います。第2楽章は、冒頭から過剰になる寸前まで思いの丈を込めたフレージングを見せたかと思うと、1:30からの主部旋律では、心の震えをストレートに反映したフレージングに涙を禁じえません。終楽章は、冒頭での音価をたっぷり確保した深い呼吸、先を急がず噛みしめるようなフレージングに、立派なソナタ形式を締めくくると言うより、ドヴォルザークならではのノスタルジーを最優先させるクーベリックの意思が明確に刻まれています。第2主題に入る前の経過句(1:26〜)で大きくリタルダンドする例は珍しくないですが、これほど必然を感じさせることはなく、その後の進行でも、何となく鳴っている箇所など皆無。そして、大げさな見栄など切らないコーダの潔さ!
「新世界」も、只ならぬ名演奏。ウィーン・フィルの「新世界」といえば、ケルテス盤があまりにも有名ですが、音の新旧以外にクーベリック盤ををそれより下位に置く理由がどこにあるでしょうか?少なくともウィーン・フィルの音の出し方の本気度が違い、特に第2楽章の素晴らしさといったら、全ての条件が揃った奇跡の瞬間と言うしかありません!4:30から中間部に入るまでの消え入り方!信じられません!【湧々堂】

DACAPO
MAR-8.226098B06
(2CD)
パウル・フォン・クレナウ:交響曲第9番(1945) コルネリア・プタセク(S)
スサネ・レースマーク(A)
ミヒャエル・ヴァイニウス(T)
シュテフェン・ブルーン(Bs)
デンマーク国立コンサートcho
デンマーク国立SO
ミハエル・シェンヴァント(指)

録音:2014年3月20-21日コペンハーゲンデンマーク放送,Koncerthuset
コペンハーゲンに拠点を置くドイツ人の家系に生まれたクレナウ(1883-1946)は、最初はコペンハーゲン音楽院でヴァイオ リンと作曲を学ぶも、20歳になる前にベルリンにわたり、マックス・ブルッフの門下に入ります。その後はルートヴィヒ・ トゥイレ、マックス・シリングスに教えを受け、ドイツ音楽の伝統を身につけました。指揮者として各地を回り、1919年に はフランクフルト・バッハ協会を設立し、第2次大戦時にはナチスにも重用され、ドイツで華々しく活躍しますが、1940年 にはコペンハーゲンに戻り作曲に専念します。そんな彼の作品は、ワーグナー、ブルックナー、リヒャルト・シュトラウスの 影響が強く感じられ、この晩年の主要な作品である交響曲第9番も、当時の主流である十二音音楽の手法はほとんど使われ ることのない極めて長大で調性的な音楽です。この大規模な編成を持つ交響曲は、彼の死後長らく行方不明になっていて、 2001年まで発見されることはありませんでした。そしてさらに13年の年月を経て(その間にコペンハーゲンの王立図書館 で編集作業が施された)2014年、ようやくシェンヴァントとデンマーク国立SOによって世界初演されたのです。この アルバムにはその記念碑的録音が収録されています。
DACAPO
MAR-8.226110B06
(1CD)
クリストファー・ラウス:作品集
オーケストラのための「odnazhizn ‐ある一生」(2008)
交響曲第3番(プロコフィエフによる)(2011)
交響曲第4番(2013)
オーケストラのための「プロスペロの部屋」(2012)
アラン・ギルバート(指)NYO

録音:2010年2月20日、2013年6月20日、2014年6月5日
年4月17日 ニューヨーク、リンカーン・センター,デイヴィッド・ゲフィン・ホール/エヴリー・フィッシャー・ホール
このアルバムにはクリストファー・ラウス(1949-)が作曲した4つの世界初演作品が収録されています。ラウスはアメリカ出 身でニューヨーク・フィルハーモニーの「マリー=ジョゼ・クラヴィス記念コンポーザー・イン・レジデンス」を2012年か ら2015年まで務めており(前任者はマグヌス・リンドベルイ)このアルバムの「プロスペロの部屋」「交響曲第4番」「odna zhizn」はオーケストラとの共同作業となります。「現代における作曲家の中で最も重要な働きをするクリス・ラウスは、偉 大な作曲家だけが成し得る方法で、音と音楽の流れを形づくります」とアラン・ギルバートも絶賛するラウスの刺激的な音楽、 ぜひお楽しみください。


Treasures
TRE-133(1CDR)
ワルター・ゲール〜ベートーヴェン他
バッハ:ブランデンブルグ協奏曲第3番
ベートーヴェン:交響曲第1番*
 交響曲第8番ヘ長調Op.93**
スメタナ:「売られた花嫁」序曲#
ワルター・ゲール(指)
ヴィンタートゥールSO
フランクフルト歌劇場O*
フランクフルトRSO**,#

録音:1950年代中頃(全てステレオ)
※音源:日Concert Hall SM-6101、仏PRESTIGE DE LA MUSIQUE SA-9653*、日Concert Hall SM-197**、SM-6111#
◎収録時間:66:26
“古典な均整美に活気を与えた、ゲール最高のベートーヴェン!”
■音源について
4曲とも、ステレオ・ヴァージョンの入手は極めて困難。ゲールのベートーヴェンの交響曲は2番、3番、7番以外の6曲(9番は2種)の録音を遺しています。6番以外はステレオが存在するようですが、ライセンス盤を除き日本盤とフランス盤でしか確認できず、バッハのステレオ盤は、上記の日本盤以外は全く見かけません。ゲールのコンサート・ホールのステレオ・ヴァージョンは、後年のシューリヒト等の録音よりも良好なバランスで録音されているものが多いですが、これら4曲も最良の部類に属します。

★ゲールが振る古典派作品は、チャイコフスキーの録音に見られるような過激なアプローチを持ち込まず、様式を重んじた堅実な表現で一貫しています。ここに収録した、バッハ、ベートーヴェンも同様。
バッハは、中低音をベースとした厚みのある響きに穏やかな雰囲気を漂わせた一時代前のスタイルですが、第1楽章の中間部など、優しさの中に一本芯の通った精神がひしひしと胸に迫ります。低弦がゴリゴリと響くのも誇張には感じず、手応え満点。
ベートーヴェンも、けれん味皆無。「第1番」はゲールのベートーヴェンの中でも最高の名演かもしれません。第1楽章序奏部から、均整のとれた古典様式を愛情を込めた育んでいることが分かり、その土台を崩さずに主部以降に音楽的なニュアンスをさらに開花させます。そして、展開部から再現部にかけての、意思に満ちたリズムの弾力の素晴らしさ!第2,3楽章も媚びた語り掛けなど用いずに、自然と共感溢れるニュアンスが導かれ、終楽章はオケの技量と意欲も手伝って、過剰演出に走らない「ベト1らしいベト1」を聴く醍醐味を再認識させてくれます。
ちなみにこの「第1番」は、以前にLEFというレーベルからCD化されたことがありますが、決して粗悪な音質ではないにもかかわらず、何度聴いてもインパクトが希薄でした。久々に聞き直して最も差が顕著だったのは、第1楽章序奏(今回の復刻盤の0:14以降)の弦のピチカートの響き!LEF盤をお持ちの方はご確認いただければと思います。
「第8番」も、一部のゲール・マニア(?)のみならず、広くお聴きいただきたい素晴らしさ!第1楽章、終楽章の、リズムに強固な意志を滾らせた一途な推進力、第2楽章のさり気なく微笑む風情と瑞々しい音色など、聴き手の心を掴んで離しません。【湧々堂】

Treasures
TRE-125(1CDR)
マックルーア版/ワルター厳選名演集Vol.2
モーツァルト:歌劇「魔笛」序曲*
 歌劇「劇場支配人」*
 歌劇「フィガロの結婚」序曲*
マーラー:交響曲第1番「巨人」
ブルーノ・ワルター(指)
コロンビアSO

録音:1961年3月*、1961年1月&2月
※音源:日SONY 20AC-1805*、20AC-1830
◎収録時間:68:59
“ワルターの全人生を注いだ「巨人」の不滅の価値!”
■音源について
TRE-108に記したように、いわゆるマックルーア盤の全てが大成功だとは思えないのですが、ここに収録した曲は、大納得です。特に「巨人」は長時間収録なので厳しいと思いましたが、ヒズミも極小で、アナログ的な温かみも保持していることにびっくり。一方、CDのマックルーア盤は全体にメタリックな音が気になり、第3楽章冒頭のティンパニの弱音は、スイッチをオン・オフしているかのようなデジタル音に変貌していましたが、ここでは奏者が余韻を感じながら優しく打ち込んでいる様子が目に浮かぶようです。

モーツァルトの序曲は、特に「劇場支配人」が大名演!ワルター晩年の録音の中には年齢を感じさせない高速テンポを採用しているものがありますが、どこかに無理を感じることも。その点この曲での向こう見ずな推進力は、他のテンポなど想定できないほどの説得力と真の生命感が横溢。低弦のクローズアップも、音楽的ニュアンスの表出に有効に作用。第2主題の楽器間の連動もなんと楽しいことでしょう!
「巨人」の素晴らしさは、もう言うまでもないでしょう。バーンスタインがこの録音を聴いて恐れをなし、全集録音を一時中断したほどの歴史的名演奏であり、全てが指揮者の体内から零れ出たニュアンスだけで語り尽くされた、奇蹟のドキュメントとも言えましょう。
第1楽章の提示部はノスタルジーに溢れ、リズムが機械的に縦割りで刻まれることなど皆無。展開部8:08以降の弦のトレモロは、これ以上に清らかな演奏を他に知りません。第2楽章は、昨今の筋肉質な演奏スタイルとは対極の、レントラーの風合いを生かした憧れの風情がたまりません。それでも、中間部は以外にもイン・テンポを貫いており、造型を弛緩させない配慮も忘れません。最後のテーマ再現時にティンパニを追加するのは、クレツキ盤などと同じ。終楽章は、まさにワルター芸術の集大成。冒頭部、絶妙ななテンポルバートとルフトパウゼを交えた、単なる絶叫の先の境地を反映した響きは、何度聴いても鳥肌が立ちます。第2主題に至っては超白眉!これほど音の末端まで感じきり、全人生を投影した歌が他で聴けましょうか?そして、力技ではなく、愛が全てに勝つことを証明した感動のコーダ!
カッコいい戦隊ヒーローのような「巨人」は他にいくらでもあります。この演奏にしかない手作りの味と、こんな有名名盤をあえて復刻しなければならない意図を少しでもお感じいただければ幸いです。【湧々堂】

Treasures
TRT-010(1CDR)
サヴァリッシュ〜チャイコフスキー
チャイコフスキー:バレエ音楽「白鳥の湖」から
 第2幕;情景/第1幕:ワルツ
 第2幕;小さい白鳥たちの踊り
 第2幕;オデットと王子のパ・ダクシオン
 第4幕;情景
交響曲第5番ホ短調Op.64*
ウォルフガング・サヴァリッシュ(指)
フィルハーモニアO、
アムステルダム・コンセルトヘボウO*

録音:1957年9月-1958年2月28日、1962年1月*(全てステレオ)
※音源:仏EMI CVD-955、蘭PHILIPS 835116AY*
◎収録時間:62:53
全盛期のコンセルトヘボウ管の魅力が、意欲満点のサヴァリッシュの棒で大全開!”
■製作メモ
交響曲は、音にパンチ力のある米初出盤も捨てがたいのですが、力感のみならず、当時のコンセルトヘボウ管ならではの音色の魅力までしっかり感じ取れるオランダ盤を採用しました。日本の初CD化盤では、ニュアンスの焦点が定まらない凡演にしか聞こえなかったのに対し、これはサヴァリッシュの意思がビリビリ伝わり、とても同じ演奏とは思えません。当然、以前のレヴューとは評価は激変しました。

サヴァリッシュのフィリップス録音は名盤揃いですが、この「チャイ5」も例外ではなく、コンセルトヘボウ管のステレオ初期の録音の中でも傑出した名演奏です。オケにはメンゲルベルク、ケンペン時代を知る奏者が残っていたと見え、その残像が随所に垣間見えますが、その余韻とサヴァリッシュの堅実な音作りとが強力に結合して、絶妙な味わいを醸し出しています。スコアに小細工を施さないサヴァリッシュの真摯さは後年と全く変わりませんが、“遊びが無さ過ぎる”という批判はここでは当てはまりません。ロシア的な情緒に拘泥せず、あくまでも絶対音楽として対峙しながら、スコアから感じたニュアンスに確信を持ち、どこまでも音楽が瑞々しく羽ばたくのは、オケがこの作品を十八番としていることを踏まえ、手綱を締めすぎない配慮が効いているのかもしれません。
そのサヴァリッシュの絶妙なコントロールが最大に生きているのが終楽章。土俗性を洗い流し、スコアのテンポ設定を鵜呑みにすることなくすっきりとしとた造型を確立する中で、各奏者の感性が自発的に沸き立ち、結果的に、一発勝負的な熱い演奏に結実しているのです。奏者の感性、技巧の素晴らしさを挙げたらきりがありませんが、必聴はトランペット!そして、後半の全休止後の音楽の突き抜け方!コーダをイン・テンポのままバシッと決める瞬間まで、瑞々しくも芸術的香りを湛えた進行に心奪われます。
思えば、コンセルトヘボウ管が遺した「チャイ5」の録音は、メンゲルベルクからハイティンクまで全てが例外なく歴史的名演で、一つのオケが違う指揮者によってその都度名演を実現している例は、他にはウィーン・フィルくらいでしょう。【湧々堂】

KLANGLOGO
KL-1514(1CD)
ブラームス:交響曲第3番ヘ長調Op.90
交響曲第4番ホ短調Op.98
フランクフルト・ブランデンブルク州立O
ハワード・グリフィス(指)

録音:2015年6月22-25日フランクフルト,「カール・フォリップ・エマヌエル・バッハ」コンサート・ホール
イギリス、ヘイスティングスに生まれ、ロンドンの王立音楽院で学び、1981年からスイスに住む指揮者ハワード・グリフィス。彼は2007/8年からブランデンブルク州立Oの音楽総監督を務めていて、2013年には第3回目の契約更新(任期は2018年まで)をするなど、その活躍が更に期待されています。彼の演奏は堅実でありながらも、常に柔軟であることで知られています。また多くのポップス・アーティストのコラボレーションや、クロスオーヴァー・プロジェクトを開催したり、若手の演奏家を支援したりとその活動は多岐に渡ります。もちろん、このブラームス(1833-1897)のような正統派の作品は文句なしの素晴らしさで、スコアを徹底的に研究し練り上げた上で導き出される「これまでにない斬新なテンポ設定」は、既に発売された第1番、第2番の演奏とともに、優れた解釈として評価されるべきものです。

DACAPO
MAR-2.110416G(DVD)
ブロムシュテット/シューベルト&ブルックナー
シューベルト:交響曲第7番「未完成」
ブルックナー:交響曲第7番(1954年ノーヴァク版)

《ボーナス映像》
ヘルベルト・ブロムシュテットとジョン・フェローの対話(79'54")
デンマーク国立SO
ヘルベルト・ブロムシュテット(指)

収録:2007年10月14日ロスキルデ大聖堂
収録時間:187分/音声:ステレオ
2.0/DD5.1/DTS5.1
字幕:英語/画面:16:9カラー
REGION All(Code:0)
<DVD>片面2層ディスク
数々の名演で知られる名指揮者ヘルベルト・ブロムシュテットは多くのオーケストラの首席指揮者を歴任していますが、その中でも彼がとりわけ愛しているのが、この1925年に創設されたデンマーク放送SOです。彼は1956年にこのオーケストラと最初のコンサートを行い(当時のブロムシュテットはノールショッピングSOの首席を務めていた)、やがて1962年にオスロ・フィルハーモニーOの首席に就任、その5年後、デンマーク国立SO(デンマーク放送SO)初の首席指揮者となります。以降は伝統を重んじながらも新しいレパートリーを拡大し、マーラーやブルックナーをはじめ、北欧の現代作品を積極的に演奏。このオーケストラの能力を飛躍的に高めました。また録音ではデンマーク初となるニルセンの作品集や、グリーグの「ペール・ギュント」やメンデルスゾーンの交響曲に取り組み、素晴らしいアルバムをリリースしています。ブロムシュテットが首席指揮者を務めていたのは1977年までですが、それ以降も両者は良い関係を続け、1990年代の半ばからはコペンハーゲンで毎年コンサートを行っています。2016年にはデンマーク音楽界の最大の栄誉である「レオニー・ソニング音楽賞」を受賞したブロムシュテット、この2007年の映像でも万全のシューベルトとブルックナーを聴かせます。
DACAPO
MAR-6.220645(1SACD)
ペア・ノアゴー:交響曲第6番&第2番
交響曲第6番「一日の終わり」(1999)
交響曲第2番(1970/1971改編)
オスロPO
ジョン・ストゥールゴールズ(指)

録音:2015年5月25-28日オスロコンセルトフス、2015年6月1-5日オスロオペラハウスオーケストラ・リハーサル・ルーム
デンマークの現代作曲家ペア・ノアゴー(1932-)の交響曲集。こちらは第6番と第2番を収録。デンマーク音楽アカデミーでホルンボーに師事し、当初はシベリウスやニールセンの影響を受けていたものの、1960年代には独自の作曲手法「無限性セリー」を開発。この手法が用いられた代表的な作品が1970年に作曲された第2番の交響曲です。これは20分を越える単一楽章で書かれたもので、いくつかの音の進行が同時に発展しながらポリフォニーを生んでいくという技法。音がひたすらうねり、拡大縮小を繰り返しながら進んでいく面白い音楽です。交響曲第6番では、また違う技法が用いられているということで、こちらも独創的な作品です。
DACAPO
MAR-6.220646(1SACD)
ペア・ノアゴー:交響曲第4番&第5番
交響曲第5番(1987-90/1991改編)
交響曲第4番(1981)
オスロPO
ジョン・ストゥールゴールズ(指)

録音:2015年5月25-28日オスロコンセルトフス、2015年6月1-5日オスロオペラハウスオーケストラ・リハーサル・ルーム
ペア・ノアゴー(1932-)の交響曲集、こちらは第4番と第5番を収録したアルバム。この時代のノアゴーは、統合失調症をわずらっていたというアウト・サイダー・アート(美術界とは無縁な人間が書く美術作品)の巨人アドルフ・ヴェルフリの作品に強く影響を受けており、通常とは違う綴りを持った"奇妙な副題"の付いた楽章で構成された第4番の交響曲もヴェルフリ作品からインスパイアされたもの。曲の途中で妙に明るい民謡風のメロディが挿入されるのが却って不気味です。1990年にエサ=ペッカ・サロネンによって初演された第5番は作曲者が「龍と散歩するような音楽」と語ったように第4番よりも一層歪んだ世界が表出されています。火山から吹き上がる噴煙のような凶暴な音が随所に用いられていますが、伝統的な交響曲の形式に従っているところも面白いものです。


Treasures
TRE-103(1CDR)
ビーチャム〜モーツァルト:交響曲集
交響曲第38番「プラハ」K.504*
交響曲第39番変ホ長調K.543**
交響曲第40番ト短調K.550#
トーマス・ビーチャム(指)
ロイヤルPO

録音:1950年4月*、1955年12月**、1954年4月#
※音源:蘭CBS CBS-6020*、英PHILIPS ABL-3094**,#
◎収録時間:74:51
“大きな包容力で魅了する、ビーチャム流の愉しいモーツァルト!”
■音源について
ビーチャムの米コロンビア録音は、HMV系の録音に比べてCD発売の頻度が低く、なかなか注目されません。ビーチャム没後50周年記念ボックスに収録されているモーツァルトも、1930-40年代のSP期の録音でした。中でもこのモーツァルトは、ビーチャムの完熟の芸術を味わう意味でも、モーツァルトに対する独特のアプローチを貫徹している点でも、特に聴き逃せない重要な遺産です。ジャケ写は米コロンビア盤。

★ビーチャムのモーツァルトは、一言で言えばハイドン風。偉大な天才の作品として向き合うというより、自分の作品のように慈しみ、熱烈な共感を込めてその魅力を知らしめたいという表現意欲を堂々と突きつける潔さに溢れています。
「プラハ」は、序奏の最初の弦の音をすぐに弱めて管楽器だけ残して絶妙な余韻の残し、強弱の入れ替えや、スフォルツァンドの挿入をさり気なく盛り込み、モノラルにも関わらず色彩的な空間を表出。第2主題に入る直前、いよいよ禁断の園に分け入るようなワクワク感を孕んだルバートを見せた後は、甘美なレガートで応酬。展開部に入ると、この演奏が、シューリヒト等と並ぶ歴史的名演であることをさらに痛感するばかり。全声部が一斉に発言しながら緊密な連携を見せ、濃厚なニュアンスが怒涛のように押し寄せます。コーダの終止は、ビーチャムがモーツァルトのアレグロ楽章でよく用いる、“ビーチャム流イン・テンポ”。単に「テンポを変えない」という意味以上の、人間の業の全てを肯定するようなビーチャム一流の達観を反映するかのようです。これが2楽章の最後では、名残を惜しむようなルバートに取って代わるのですから、音楽的な楽しさは尽きません。
「音楽は楽しいもの」という前提に立ち、どんなに悲しい音楽でも、絶望や苦悩を前面に立てないのもビーチャムの美学。それを「第40番」で徹底的に思い知ることになります。第1楽章の張り詰めたイン・テンポ進行の中に、「なんとかなるさ!」という励ましの情が常に宿り、再現部で主題が長調で現れると、「ほらね?」という声が聞こえそうなニュアンスがパッと開花!こんな「40番」、他では決して聴けません。ネガティブな要素を徹底排除したこのアプローチh,決して「楽天的」という一言では片付けられません。
ビーチャムのモーツァルトは、人間愛の塊!演奏様式の正当性を優先させたアプローチからは感じ取れない、その惜しげもない愛と包容力を是非ご実感ください。【湧々堂】

ARTESMON
AS-744-2
(2CD+1DVD PAL)
アンドルー・ダウンズ(1950-):
交響曲第1番(オルガン,金管,打楽器と弦楽の為の)Op.27(1982)*
交響曲第2番(室内管弦楽の為の)Op.30(1984)
 演奏会用序曲「コッツウォルズにて」(管弦楽の為の)Op.36(1986)
交響曲第3番「地の精」(拡大された管弦楽の為の)Op.45(1992)
交響曲第4番(吹奏楽の為の)Op.59(1996)
演奏会用序曲「新時代に向かって」(管弦楽の為の)Op.60(1996)
■Bonus DVD
音楽、喜び、望み(レコーディングのドキュメンタリー)[18分8秒]
アレシュ・バールタ(Org)*
オンドジェイ・ヴラベツ(指)
チェコPO

録音:2015年3-5月、ドヴォルザーク・ホール、ルドルフィヌム、プラハ、チェコ
アンドルー・ダウンズはイギリスのバーミンガムに生まれた作曲家。ケンブリッジ・セント・ジョンズ・カレッジの奨学生として作曲を学び修士号を取得後、王立音楽カレッジでハーバート・ハウエルズ(1892-1983)に師事。旧譜「ホルンとワーグナー・テューバの為の音楽」(AS 729-2)が好評を博しました。
当商品のDVDはPAL方式のため、再生にはPAL対応プレーヤーが必要です。また弊社はパソコンでの再生も保証いたしません。


ORFEO DOR
C901162-B(2CD)
バックハウス&クナッパーツブッシュ
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番
交響曲第7番イ長調Op.92
序曲「コリオラン」
交響曲第3番「英雄」*
ヴィルヘルム・バックハウス(P)
ハンス・クナッパーツブッシュ(指)VPO

録音:1954年1月17日、1962年2月17日* ウィーン・ムジークフェライン・モノラル・ライブ
“血の涙で埋め尽くす「7番」第2楽章は、クナ節の究極形!”
1954年1月17日のウィーン・ムジークフェラインで開催されたコンサートの全てと、クナ最晩年の「英雄」を収録。協奏曲以外の全てが、例によって拍手が終わらないうちに演奏が開始されます。
クナのベートーヴェンの最高峰は、音質も含めてブレーメン・フィルとの「第2番」だと思っていました。この「第7番」を聴くまでは。まさに、気力と円熟の絶頂を極めたクナの芸風が高次元で燃焼し尽くされており、ワーグナー風の毒気をふんだんに湛えた音圧に終始打ちのめされるばかりです。第1楽章展開部では、音に込めたニュアンスは破裂寸前まで膨張させながら、その熱を決して外に放射しないので、内燃度は上昇する一方。過去に、再現部9:40からの楽想変化を見事に乗り切った例は殆どありませんが、ここでのクナに柔軟なニュアンス表出は奇跡的な素晴らしさ!コーダの安定感も他に類例を見ません。再送しているテンポはもちろん最低速ですが、どこを切り取っても鈍重に傾かず、大地に根を張ったリズムの躍動が確保されているのもこの曲には相応しく、その特質が終楽章での単なる熱狂とは違う壮絶なドラマに結びついています。それにしても、凄すぎるのは第2楽章!まず、命の灯が消えるような冒頭の和音のニュアンスに鳥肌!その悲しみは次第に増幅し、苦悩し、悶絶を続け、中間では極限まで充血しきった音の塊が怒涛のごとく押し寄せるのです。この楽章しか録音が遺されていなかったとしても、ベートーヴェンの演奏史に永遠に刻まれたと思いますが、そのテンションが全4楽章にわたって敢行されているのですから、生半可な感動では済まないことはご想像いただけることでしょう。【湧々堂】


Treasures
TRE-127(1CDR)
アンセルメ〜1960年代の厳選名演集1〜プロコフィエフ他
グリンカ:幻想曲「カマリンスカヤ」
ボロディン:中央アジアの草原にて
プロコフィエフ:古典交響曲
 交響曲第5番*
エルネスト・アンセルメ(指)
スイス・ロマンドO

録音:1961年2月、1964年4月*(全てステレオ)
※音源:米LONDON CS-6223、CS-6406*
◎収録時間:70:11
“クールなのに作品を突き放さない、アンセルメの絶妙な対峙力!”
■音源について
アンセルメの録音はいつでも聴けると高を括っていましたが、まとめてCDボックス化されたのを機に集中的に聴いたら愕然。予想以上の音の薄さに、板起こし復刻の緊急性を痛感しました。一方で、認識を新たにしたことも。その一つが、デッカの音作りの変遷。デッカのステレオ録音は1960年代に入ると解像度と臨場感を増し、特にその初頭から中頃までの録音では、打楽器の隈取りと衝撃音が生々しく再現されており、それが恣意性を感じさせず、音楽と渾然一体化している点で、この時期の録音が一つのピークだと実感しました。ここでは、その特質と演奏内容の魅力を兼ねさ備えたものを厳選しました。やはり、英プレスのSXL、CSを超える音には出会えませんでした。

★アンセルメはの音楽作りは、一般的に「知的でクール」と捉えられていますが、これは、数学者でもあることと結びついた単なるイメージではなく、一部の例外を除いてほとんどの作品において、この泥臭さとは無縁の精緻なスタイルは貫かれています。
最初の2曲でも、血の気を感じさせない透明な色彩がいかにもクール。しかしそこには、確固たる共感が十全に張り巡らされているのが分かります。「カマリンスカヤ」の主部でのリズムは、熱気が迸るというより、作品の質感を損ねぬように組み立てた構造物のようですが、作品を真に理解し、共鳴しているからこそ、澄ましているようでいて無機質に陥らないのでしょう。
プロコフィエフの「古典」ではハイドン風の愉悦性を、「第5番」では攻撃性をイメージしがちですが、アンセルメのアプローチは、やはり2曲とも構造性重視。その結果、「古典」は、先人のスタイルの踏襲などではない一大交響曲としての存在感を放ち、「第5番」は、一切のバーバリズムを排した響きから、独特のアイロニーが引き出されています。特に、ニュアンスに後付け感の全くない第3楽章は、作品に内在する悲哀がかえって露骨に立ち昇り、心を抉ります。終楽章の、録音の鮮烈さとも相俟ったダイナミズムも、比類なし。熱狂型の演奏では気づかないプロコフィエフの筆致の巧妙さが炙り出されます。
「カマリンスカヤ」の3:08、「古典交響曲」第1楽章0:15のトゥッティ、「第5番」終楽章コーダ等での打楽器の響きが、単に鮮明なだけではなく、打ち込み後に風圧までさせるのは、この時期のデッカ録音の大きな特徴。既出のCDでは感じにくいこの魅力にも、ぜひご注目を。【湧々堂】

Les Dissonances
LD-008(3CD)
20世紀の作曲家作品集
(1)ショスタコーヴィチ(バルシャイ編):室内交響曲 ハ短調 Op.110a
(2)バルトーク:ディヴェルティメント Sz.113
(3)シェーンベルク:室内交響曲第1番 ホ長調 Op.9
(4)シェーンベルク:室内交響曲第2番 Op.38
(5)バーンスタイン:セレナード
(6)シュニトケ:コンチェルト・グロッソ第1番
(7)シュニトケ:モーツァルト・ア・ラ・ハイドン*

■ボーナス:(商品に表記されているURLから記載のパスワードを入力してご覧いただくオンライン映像) 
ブラームス:交響曲全集(ライヴ録音)
ダヴィド・グリマル(Vn&コンサートマスター)、レ・ディソナンス、
ハンス・ペーター・ホフマン(Vn)*

ライヴ録音:(1)(6)2011年1月7日、(4)2014年10月21日/シテ・ド・ラ・ミュジーク
(2)2011年4月6日、(3)2013年2月13日、(5)2010年10月28日、(7)2014年12月2日/ディジョン歌劇場
※60 ページのブックレット付
フランスを代表するヴァイオリニスト、ダヴィド・グリマル率いるレ・ディソナンスとの白熱ライヴをおさめたライヴ・シリーズ。3枚組の当セットにはショ スタコーヴィチ、バルトーク、シェーンベルク、シュニトケ、そしてバーンスタインといった 20 世紀に活躍した作曲家の作品がおさめられました。バロック から現代まで幅広いレパートリーを誇るレ・ディソナンスですが、今回も表現力の豊かさに驚かされます。
ルドルフ・バルシャイ編曲によるショスタコーヴィチの室内交響曲(原曲は弦楽四重奏曲第8番)。弦の厚みが何倍にも増したことにより、恐怖さえ覚 えるおどろおどろしいヴァイオリン・パートですが一糸乱れる当演奏にはただただ脱帽です。バーンスタイン作曲のセレナードは、1986年のタングルウッ ド音楽祭にて、五嶋みどりが弾くヴァイオリンのE線が2度も切れてしまったあの “タングルウッドの奇跡” で弾かれた名曲。バーンスタインらしいユーモ アにあふれた躍動感に満ちたこの作品をグリマルはキリリとした解釈で演奏しております。シュニトケ作曲のモーツァルト・ア・ラ・ハイドン(ハイドン風 のモーツァルト)はハイドンの交響曲第45番「告別」と同様に奏者がだんだん退場していくというユニークな作品。一種のパフォーマンス作品ではあり ますが、抜群の表現力をもったレ・ディソナンスの演奏により立体的な音楽をCDで楽しむことができます。これまでに発売されているベートーヴェン、モーツァルト、シューベルト作品集(LD 007)、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲全曲(LD 006)、ブラー ムスのヴァイオリン協奏曲(LD 004 / LD 005)とあわせてお楽しみください。 ダヴィド・グリマル(ヴァイオリン) フランスの第一線で活躍するヴァイオリン奏者。パリ国立高等音楽院にて、レジス・パスキエに師事、さらにシュロモ・ミンツやアイザック・スターン、さらにフィ リップ・ヒルシュホーンらからも薫陶をうけました。ソロ・ヴァイオリン奏者として様々なオーケストラと共演するほか、様々な作曲家から作品を献呈され ています(ダルバヴィー、エスケシュ、ジジェル、イヴァン・フェデーレ他)。長年にわたり名ピアニスト、プルーデルマッハーとコンビを組み室内楽の活 動も展開。指揮者なしで演奏するオーケストラ「レ・ディソナンス」を結成。ソロ、室内楽、さらにオーケストラ活動を展開しています。 (Ki)

スロヴァキア音楽財団
SF-0087-2(1CD)
イリヤ・ゼリェンカ(1932-2007):交響曲第1番*
 交響曲第2番+
チェコスロヴァキアRSO
オリヴェル・ドホナーニ(指)*
ラディスラフ・スロヴァーク(指)+

録音:1986年*、1961年+、スロヴァキア放送スタジオ、ブラチスラヴァ、スロヴァキア
イリヤ・ゼリェンカは20世紀後半のスロヴァキアを代表する作曲家の一人。書き上げた交響曲は5つ。映画音楽も数多く手がけました。
スロヴァキア音楽財団
SF-0090-2(1CD)
ヴラディミール・ボケス(1946-):交響曲第2番 Op.24*
交響曲第3番 Op.36+
スロヴァキアPO*
ビストリーク・レジュハ(指)*
スロヴァキア国立コシツェPO+
リハルト・ジンメル[リヒャルト・ジンマー](指)+

録音:1980年、ライヴ、スロヴァキア・フィルハーモニー・ホール、ブラチスラヴァ、スロヴァキア*、1989年、ライヴ、スロヴァキア放送、スロヴァキア+
ヴラディミール・ボケスはブラチスラヴァ音楽院でユライ・ポスピーシル(1931-2007)に、ブラチスラヴァ音楽アカデミーでアレクサンデル・モイゼス(1906-1984)、デジデル・カルドシュ(1914-1991)に師事したスロヴァキアの作曲家。1993年以来2016年現在ブラチスラヴァ音楽アカデミー作曲家教授。2002年から2014年までスロヴァキア音楽財団総裁を務めました。


Treasures
TRT-009(2CDR)
カンテッリ〜チャイコフスキー:交響曲集
交響曲第5番ホ短調Op.64*
交響曲第6番ロ短調「悲愴」
グィド・カンテッリ(指)
ミラノ・スカラ座O*、
フィルハーモニアO

録音:1950年9月23-25日*、1952年10月
※音源:W.R.C SHB-52
◎収録時間:44:53+42:53
“ストイックなのに柔軟!作品の魅力を再認識させるカンテッリの天才性!”
■製作メモ
「第5番」は、英HMVの第1回LP発売の筆頭を飾るレコード(ALP-1001)がとかく珍重されますが、それよりも素直に演奏のニュアンスを感じ取れた、EMI傘下のWRC盤をここでは採用。世界初CD化となった日本盤は第1楽章のピッチが高く、音はこもり気味。「板起し」と思われる処理の不手際も散見されて問題外。それ以降の再発CDと比べても、発信力は雲泥の差。「悲愴」も曇りのない音像を体感していただけると思います。

★ミラノ・スカラ座管は、1950年にサバータ、カプアーナ、カンテッリと共に戦後初めて英国を訪れ、カンテッリは、“モツ・レク”、“ベト7”、“チャイ5”を指揮。ここに収録した「第5番」は、その時に急遽組まれたセッションで、単にイタリア的という言葉では済まない、カンテッリの天性の音楽性が十分に盛り込まれた名演です。第1、第4楽章で顕著なように、本能の赴くままにテンポや表情を施すのではなく、基本的にインテンポを守り、その中で克明に各フレーズのニュアンスを熱い共感を込めながら描き切っているのが特徴です。第2楽章では歌の意味、漫然と流れがちな長いフレーズの中でのアクセントの重要性を痛感させられ、音楽にメリハリを与え、独特の瑞々しい音像を確立するのに効を奏しています。全楽章を通じて最も心の染みるのが第3楽章。軽く流されがちなこの楽章を最初の一音から心の底から奏で、メカニックな響きがどこにもありません。各奏者も十分に音を聴き感じながら音化しているのが手に取るように分かります。この楽章だけでも、カンテッリの天才は疑いの余地はありません!
「悲愴」は、「第5番」の後に聴くと、オケの巧さをつくづく実感。そして実に大人の解釈!しかも、無理に枠に嵌めようとした感がなく、音楽は常に瑞々しく息づいているのですから、説得力は絶大です。第1楽章第2主題でも全く小細工を加えないことでも明らかなように、感覚的な痛快さに傾く素振りさえ見せない真摯さを貫きつつ、伸びやかなフレージングも確保する絶妙さ!そして、再現部13:43以降の決然とした直進力!これが32歳の青年の技でしょうか?第3楽章も表面的な爆演とは無縁。ノリに任せない9分台という演奏時間だからこそ気付かされる音楽的ニュアンスも頻出。ただの行進曲ではありません。終楽章も悲壮感を過剰に煽ることなく、作品のフォルムの美しさを維持したうえでの渾身の歌が横溢。中間部主題の冒頭も、ためらいもなくインテンポで滑り出しますが、内面で結晶化した悲哀が心を打ち続けるのです。【湧々堂】


Onyx

ONYX-4150(2CD)
チャイコフスキー:交響曲第1番「冬の日の幻想」
交響曲第2番「小ロシア」
交響曲第5番ホ短調 Op.64
ワシリー・ペトレンコ(指)
ロイヤル・リヴァプールPO
奇を衒うことなく手垢にまみれたプローチを刷新したペトレンコの快挙!”
★新録音の「チャイ5」としては、ソヒエフ以来の感動作!ソヒエフも、このペトレンコも、かつてのソ連流儀のド迫力路線に拘泥しない独自のセンスで説得力のある演奏を繰り広げているのは頼もしい限りです。かつての泥臭い演奏を懐かしむ声も多いかと思いますが、単にグローバル化の波に乗って器用に立ち回り、何の主張も盛り込めない指揮者とは違い、これほどの有名曲において、過去に類例のない新鮮なアプローチを敢行し、かつてない感動を呼び起こす芸を堪能できるというのはなんと幸せなことでしょう。
ペトレンコが引き出す音楽の素晴らしさの源にあるのは、過去の名指揮者の名演の素晴らしさを十分に認識したうえで、それらを否定するのではなく、自分の中で全てを消化し、直感的に溢れ出た表現を正直に展開すれが必ず聴き手の心に響くという確信力。とにかく、チマチマしたところが一切ないのです。しかも、後付け的に新たなニュアンスを盛り込んで差別化しようという魂胆などなく、楽想の感じ方が純粋なので、音楽全体が生まれたてのように新鮮に迫ってくるのです。
「スコアを全面的に信頼する」とう綺麗事とも無縁。終楽章の後半では、ムラヴィンスキーと同じ音量操作を採用し、独自の強弱効果も追加するなど、感覚的な面白さへの期待も十分に満たすというサービス精神も発揮。
作品への共感もまさに筋金入りで、特に第2楽章で多く聴かれるピアニッシモが痩せることがなく、本当のピアニッシモのニュアンスとして伝わるというのは、意外と実例は少ないのです。
第1楽章主部前半で、ティンパニが誇張を感じさせずに、全体と見事に溶け合う録音も特筆ものですし、終楽章最後のプレストをかなりの高速で飛ばしながら上滑りすることなく真の推進力を湛えるという例も稀なこと。
カップリングの「第1番」「第2番」では、作品の性格を活かし、より土俗性に比重をおいたアプローチを行なっており、これまた名演を展開していますが、この「5番」では、明らかに軸足を変えている点にも、ペトレンコの見識のとセンスを感じさせます。
特にベートーヴェンなどで、「手垢にまみれた解釈を見直す」という大義名分を立てて、奏法や楽器を変えるのが大流行ですが、「ありきたりではない演奏」を目指すなら、そういうことではなく、このペトレンコのように自身の独自の感性を誇り、それを臆することなく示してほしいものです。【湧々堂】


BERLINER PHIL.
KKC-9151
(5CD+3Bluray)
税込定価
ベートーヴェン:交響曲全集(ベーレンライター版/ジョナサン・デル・マー校訂版)

■CD1
交響曲第1番ハ長調Op.21[24’42]
交響曲第3番変ホ長調Op.55『英雄』[49’09]

■CD2
交響曲第2番ニ長調Op.36
交響曲第5番ハ短調Op.67『運命』[

■CD3
交響曲第4番変ロ長調Op.60
交響曲第7番イ長調Op.92
■CD4
交響曲第6番ヘ長調Op.68『田園』
交響曲第8番ヘ長調Op.93

■CD5
交響曲第9番ニ短調Op.125『合唱』

■BD1(ブルーレイディスク・オーディオ)
上記全曲の音声トラックを収録

■BD2(ブルーレイディスク・ビデオ)
交響曲第1番、第3番『英雄』、第2番、第5番『運命』、第4番、第7番

■BD3(ブルーレイディスク・ビデオ)
交響曲第8番、第6番『田園』、第9番『合唱』

■ボーナス(日本語字幕付)
ドキュメンタリー『ベートーヴェンと生きる』
(2015年秋、ベルリンにおけるベートーヴェン・ツィクルスの舞台裏)(45分)
インタビュー『ラトル、ベートーヴェンの交響曲を語る』(49分)

■ダウンロード・コード
このブルーレイ・ディスクには、上記全曲のハイレゾ音源(24bit/192kHz)をダウンロードするためのURLとそのパスワードが封入されています。

■デジタル・コンサートホール
ベルリン・フィルの映像配信サービス「デジタル・コンサートホール」を7日間無料視聴できるチケット・コードが封入されています。
全て、サー・サイモン・ラトル(指)BPO

■CD1
録音:2015年10月6&12日ベルリン、フィルハーモニー(ライヴ)
■CD2
録音:2015年10月7&13日ベルリン、フィルハーモニー(ライヴ)
■CD3
録音:2015年10月3、9&15日ベルリン、フィルハーモニー(ライヴ)
■CD4
録音:2015年10月8&14日ベルリン、フィルハーモニー(ライヴ)
■CD5
アンネッテ・ダッシュ(S)
エーファ・フォーゲル(A)
クリスティアン・エルスナー(T)
ディミトリー・イヴァシュシェンコ(Bs)
ベルリン放送Cho
録音:2015年10月10&16日ベルリン、フィルハーモニー(ライヴ)
24bit/192kHz録音

■BD1
2.0PCM Stereo24bit/96kHz
5.1DTS-HDMA24bit/96kHz
収録時間:344分
■BD2
■BD3
画面:FullHD1080/60i16:9
音声:2.0PCM Stereo、5.1DTS-HDMasterAudio
リージョン:All
収録時間:397分

★初回特典★
5枚1組のベルリン・フィル特製ポストカードが封入されています。

日本語帯・解説付
015年10月に本拠地ベルリンのフィルハーモニーで行われたベートーヴェン・ ツィクルスが5CD+3BDボックスで発売となります。ラトルは2008年にベルリン・フィルとベートーヴェン交響曲全9曲を演奏しているので、同コンビ では今回が2回目。ベルリン・フィルは、2015年10月にベルリンで2回、11月にパリ、ウィーン、ニューヨークでベートーヴェン・ツィクルスを行い、 2016年5月には東京にやってきます。指揮者として勝負の曲を任期後半の今もってきたことに、ラトルの並々ならぬ意欲と決意が感じられます。
ラトルはウィーン・フィルとベートーヴェン全曲録音(2002年)を行っており、20世紀後半に発表されたベーレンライター社によるジョナサン・デル・マー 校訂版を用い、そこにラトルらしい解釈を加えた新しいベートーヴェン像として当時話題になりました。本演奏でも同様の版を使っていますが、ラトルの鋭 く攻め入るスタイルそして一音一音を大切にする緻密な指揮ぶり、それにベルリン・フィルの重量級の表現が反映され、ベルリン・フィルの持つ音楽的パワー を実感する推進力に満ちた演奏を繰り広げています。解説書には、校訂者ジョナサン・デル・マーがベーレンライターについて語った文章も挿入されており、 ラトルとの興味深い会話なども書かれており、ベートーヴェンの音楽、ラトルの演奏をより理解することができます。
本セットには、CD5枚と、ブルーレイ3枚が収められています。ブルーレイは高音質の音声トラックのみを収録したオーディオ盤、コンサートの模様を 収録した映像盤に分かれており、さらにベルリンでのツィクルスを追ったドキュメンタリー、ラトルがベートーヴェンについて語ったイントロダクションも収 められています。首席指揮者・芸術監督就任以来ラトルがベルリン・フィルと培ってきた「音楽」を存分に堪能できる内容となっています。 (Ki)


Treasures
TRE-113(1CDR)
ベーム〜R・シュトラウス&ブラームス
R・シュトラウス:交響詩「死と変容」*
ブラームス:交響曲第1番ハ短調Op.68
カール・ベーム(指)ベルリンRSO

録音:1950年3月25日*、1950年4月13日ライヴ
※音源:日RVC RCL-3316*、伊Foyer FO-1033
◎収録時間:69:09
“ベームの芸術のピークを示す2つの名演!”
■音源について
2曲とも80年代に日本ではLPで発売されました。但しブラームスは、音の鮮明度が明らかに高いイタリア盤をあえて採用しました。

★共にベームのお得意の作品で、後年に何種類もの録音が存在しますが、50代半ばにして既に厳格な造形力と熱い芯を湛えた演奏スタイルは既に完成していたことが判ります。1950年代にウィーン・フィルと遺したデッカ録音でも感じられることですが、ストイックに音楽を突き詰めつる姿勢と、確信的な表現意欲がギュッと凝縮されていた1950年代前半(ステレオ期以前)は、ベームの一つの頂点だったと思えてなりません。
「死と変容」は、冒頭から安易なムードなど皆無。木管の制御が恐ろしいほど強固で、その緊張から、束の間のフルートの明るい旋律に移行する瞬間の美しさは格別。ティンパニの一撃が現れるまでのこのラルゴ部分だけでも、只ならぬ名演であることを実感いただけるはずです。青春を回想するシーンは少しも媚びずに、迫真の呼吸によって瑞々しい情感を表出。16:30のヴィオラの2音が、これほど意味深く響いた例も稀。浄化し尽くしたコーダの高潔な響きに至っては、涙を禁じえません。どこからどう聴いても大名演です!
ブラームスでは、さらにストイックな音楽作りを貫徹。これほど外面的効果を排した演奏も珍しいでしょう。白眉は第2楽章!繊細に歌った演奏は多く存在しますが、それに相応しい細やかなニュアンスと起伏を兼ね備えた演奏は以外に少ない気がしますが、ここでは第1音が滑り出した瞬間から目の詰んだニュアンスの注入ぶりに惹き込まれ、しかもチマチマした表情に陥らず音楽の大きさを確保しているのです。ベームの厳しさ、恐さが、オケを萎縮させるギリギリのところでプラスに結実したときの凄さを思い知らされます。【湧々堂】

Les Dissonances
LD-007(5CD)
ダヴィド・グリマル / ベートーヴェン、モーツァルト、シューベルト
■CD1
ベートーヴェン:交響曲第2番
ベートーヴェン:交響曲第8番
■CD2
ベートーヴェン:交響曲第4番
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲
■CD3
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」Op.67
ベートーヴェン:交響曲第7番
■CD4
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」Op.55
シューベルト:交響曲第第8番「未完成」
■CD5
モーツァルト:オーボエ協奏曲ハ長調K.314*
モーツァルト:セレナード第10番 変ロ長調「大組曲」K.361

■ボーナス:(商品に表記されているURLから記載のパスワードを入力してご覧いただくオンライン映像)
ブラームス:交響曲全集(ライヴ録音)
ダヴィド・グリマル(Vn&コンサートマスター)
レ・ディソナンス

■CD1
録音:2011年10月18日、2013年10月26日、ディジョン歌劇場(ライヴ)
■CD2
録音:2013年10月26日、2010年5月12日、ディジョン歌劇場(ライヴ)
■CD3
(1)録音:2010年12月9日、2010年5月27日、ディジョン歌劇場(ライヴ)
■CD4
録音:2012年12月20日、ディジョン歌劇場(ライヴ)、2013年12月19日、ミュージック・シティ、フィルハーモニー・ド・パリ(ライヴ)
■CD5
アレクサンドル・ガテ(Ob)
録音:2014年2月19日、2015年4月2日、ディジョン歌劇場(ライヴ)

■ボーナス:(商品に表記されているURLから記載のパスワードを入力してご覧いただくオンライン映像)
ダヴィド・グリマルにより結成された「レ・ディソナンス」によるベートーヴェン、モーツァルト、シューベルト演奏集。 ダヴィド・グリマルはフランスの第一線で活躍するヴァイオリン奏者。パリ国立高等音楽院にて、レジス・パスキエに師事、さらにシュロモ・ミンツやア イザック・スターン、さらにフィリップ・ヒルシュホーンらからも薫陶をうけました。ソロ・ヴァイオリン奏者として様々なオーケストラと共演するほか、様々 な作曲家から作品を献呈されています(ダルバヴィー、エスケシュ、ジジェル、イヴァン・フェデーレ他)。長年にわたり名ピアニスト、プルーデルマッハー とコンビを組み室内楽の活動も展開。指揮者なしで演奏するオーケストラ「レ・ディソナンス」を結成。ソロ、室内楽、さらにオーケストラ活動を展開し ている。使用楽器は「ex Roederer」(ストラディヴァリウス、1710年)と「ドン・キショット(ジャック・フスティエ製)」の2つ。 (Ki)


Treasures
TRE-102(1CDR)
クーベリック/ドヴォルザーク&ブラームス
ドヴォルザーク:弦楽セレナードOp.22
ブラームス:交響曲第2番ニ長調Op.73*
ラファエル・クーベリック(指)
イスラエルPO、VPO*

録音:1957年3月25日-4月14日、1957年4月4-8日*(共にモノラル)
※音源:米LONDON LL-1720、LL-1699*
◎収録時間:65:14
“ハッタリ無用!クーベリックの底知れぬ才能に再開眼!”
■音源について
1950年代ステレオ初期デッカによるウィーン・フィルの録音の多くは、変な癖のある音で録られているのが難点ですが、ウィーン・フィル以外の録音にも、この現象は稀に見られます、ここに収録したドヴォルザークもそのひとつ。したがって、ここでは2曲ともあえてモノラル盤を採用。想像を遥かに超える豊かなニュアンスに驚嘆!特に、“イスラエルの弦”の魅力は、ステレオ盤では決して味わえません。と言うか別物です!ジャケットは、ブラームスのドイツ初版。

★1957年当時、クーベリックはまだ43歳。にもかかわらず、これだけ練り尽くされたニュアンスを一貫して表出していることに、改めて驚きを禁じえません。若さゆえの青臭さや表現の浅さが皆無。しかも、自分を偽って大人びた演奏をしているのではなく、作品への心からの共感とヴィジョンが強固で、オケの特質を生かしながら共感し合った結果の楽音が紡ぎだされるので、これほど心を打つのでしょう。
まず、ドヴォルザークの「弦セレ」。冒頭の1分でイチコロ。最初に歌い出すのは第2ヴァイオリンですが、この極上の絹ごし感の他にいったい何が必要でしょう。それを受ける第1ヴァイオリンには微かにポルタメントがかかりますが、その気品と香りにも忘れられません。第2楽章では、注意深く聴くとかなり明確にアクセントを置いたメリハリの効いたフレージングを行っていますが、恣意性を残さずに豊かな流れを築いている点など、まさにクーベリックの才能の象徴と言えましょう。この豊かさと自然さを兼ね備えたフレージング力があればこそ、第3楽章の中間部でピチカートを強調するといった演出など不要なのです。
ウィーン・フィルがクーベリックやケンペと組んだ録音は、聴きようによっては双方間に見えない壁のようなものを感じる時がありますが、少なくともこのブラームスにはそんな微妙な空気は無く、それどころか、ウィーン・フィルが自分たちの音楽に真心で献身するクーベリックに感激し、心からの献身で返すという相乗効果が、感動的な演奏となって結実しています。第1楽章冒頭の3つの音を意味深く響かせることにこだわる指揮者もいますが、クーベリックは最初からホルンの第1主題に照準を合わせており、その後の第1ヴァイオリンの経過句、チェロの第2主題へと次第に音楽を広げ、結果的に実にしなやかな推進力を得ることに成功しています。過剰に沈思しない第2主題の響かせ方にもご注目を。楽章後半11:41からのホルンの長い斉奏以降の弦の歌い方も聴きもので、私欲の入り込む余地のない純度の高い呼吸感は、何度聴いてもため息が漏れます。そして結尾の何という間合いの良さ!第2楽章を陰鬱と感じて敬遠される人も多いようですが、そういう人にこそ聴いていただきたいのがこの演奏。呼吸も音色も常に瑞々しさを湛えたアプローチにハッとされる方も多いことでしょう。6:10など、随所で弦にポルタメントが掛かりますが、取って付けた感を全く与えないのは、まさにオケがスイッチ全開で奏でている証拠。終楽章も、どこまで行っても素直な進行をに徹しながらもこの訴求力!素直なだけで何も迫ってこない演奏に堕すかどうかの決め手は何なのか?その答えは、この演奏が教えてくれます。【湧々堂】

CUGATE CLASSICS
CGC-010(1CD)
ラフマニノフ:交響曲第2番ホ短調Op.27
幻想曲「巌」Op.7
アレクサンドル・ドミトリエフ(指)
サンクトペテルブルグSO

録音:1993年/サンクトペテルブル・フィルハーモニー・ホール
かつてソニーから発売されていたものと同一音源。24bit、96kHzリマスタリングで細かいニュアンスまで再現されました。ドミトリエフはムラヴィンス キーの研鑽を受けましたが、冷徹な落着きと厳しい音楽性に師の影を感じます。ここに収められたラフマニノフの2篇は甘くなく、ムラヴィンスキーが指 揮していればかくやという片鱗を味あわせてくれます。 (Ki)


Treasures
TRE-111(1CDR)
ボンガルツ〜バッハ&ブルックナー
バッハ:ブランデンブルク協奏曲第3番*
ブルックナー:交響曲第6番イ長調
ハインツ・ボンガルツ(指)
ライプチヒ・ゲヴァントハウスO
ハンス・ピシュナー(Cem)*

録音:1960年代初頭、1964年12月(共にステレオ)、
※音源:羅ELECTRECORD STM-ECE-0672*、蘭PHILIPS 835388LY
◎収録時間:72:50
“「ブル6」の命、リズムの意味を体現し尽くした歴史的名演!!”
■音源について
ブルックナーは、Berlin Classicsから出ているCDでも壮大な演奏だということは判りますが、過剰なマスタリングによるキンキンした音がオケの燻し銀の音色を無残にも掻き消していました。このPHILIPS盤では、その本来の音色と血の通ったスケール感の魅力を心の底から実感していただけることと思います。

ブルックナーの音楽は、リズムの縦の線を揃えて明瞭に鳴らしただけではそのエッセンスは伝わりません。そこには常にブルックナー特有の拍節感が必要で、同時に和声の微妙な変化への敏感さも求められます。ブルックナーの交響曲の中でもリズムが重要な核となっている「第6番」をこの名演奏で聴くと、そのことを改めて再認識させられます。 第1楽章冒頭の付点リズムの、克明でありながら神秘性を宿した刻みからして 真の共感が凝縮されています。そこへ、野武士的な金管の咆哮が加わると、思わず「コレだ!」と叫びたくなるほど、まさにブルックナー以外の何物でもない質朴な響きに引き込まれます。コーダでも響きが華美に走らず、渾身の呼吸で飛翔。何度聴き返しても鳥肌が立ちます。 第2楽章第2主題(2:30〜)の、表面的な甘美さとは無縁の深遠さも聴きものですが、第3主題(5:41〜)の意味深さに至っては、今やどの指揮者に、どのオケに期待できましょうか? 終楽章は、凄まじい金管の咆哮が何度も登場しますが、金ピカの高層ビルを思わせるスマートさとは一線を画し、直感的に腹の底から湧き上がらせたスケール感に圧倒されるばかり。特に第3主題が高揚する頂点(5:30〜)の突き抜け方といったら言葉も出ません。7:48から弦のピチカートが醸し出す張り詰めたニュアンスも必聴。 これは、ボンガルツにとっても、ゲヴァントハウス管にとっても、そして「ブル6」の演奏史上でも傑出した名演と言えるでしょう。
バッハは、もちろん旧スタイルの大柄な演奏。拍節をしっかりと打ち込むスタイルはブルックナーと共通。自分たちの音楽という誇りがゆったりとしたテンポの中にも脈々と流れ、独特の緊張感を生んでおり、単に古風な演奏という以上の魅力を放っています。 【湧々堂】

Treasures
TRE-108(1CDR)
マックルーア版/ワルター厳選名演集Vol.1
ベートーヴェン:交響曲第1番Op.21
交響曲第3番「英雄」変ホ長調Op.55*
ブルーノ・ワルター(指)
コロンビアSO

録音:1959年1月5,6,8,.9日、1958年1月20,23,25日*(共にステレオ)
※音源:SONY 20AC1807、20AC1808*
◎収録時間:73:51
“ワルターの正直な感性と楽曲の魅力が完全調和!”
■音源について
言うまでもなく、レコードに刻まれている音はたとえ初期盤であっても、録音会場で鳴っていたのと全く同じ音ではありません。ワルターの録音に立ち会った若林駿介氏も「最初のものは多少高音域にクセが見られ、音がやや硬めであった。その後CD時代に入ってマックルーアの手によってトラックダウンされ(中略)、当時の録音の音に非常に近いサウンドへと改善された」とCDのライナーに記しています。ですから、当時のプロデューサー、マックルーア立会いの下で制作されたマスタリング盤CD(35DC)やレコード(20AC)が珍重されるのは理解でき、実際に聴いても、そのほとんどが一皮剥けたサウンドで蘇っています。
ただ、いくら現場のプロデューサーでも、20年前の記憶を辿って全く同じ音を再現することなど不可能なのですから、その権威性を盲信するのは禁物でしょう。また、理想の音の実現に向けて試行錯誤の連続だったステレオ初期にあって、ワルター晩年の一連の録音も、注意深く聴くと、トランペットが変に突出したり、コントラバスが明瞭化される(モーツァルトの一部等)など、元々意図的にバランスを修正して収録された形跡が見られること。一部に、音の鮮度が落ちているものがあること。演奏自体に出来不出来があること。これらを考え合わせると、結局は、「感動のエッセンスを過不足なく再現しているもの」を選ぶしかないと思うのです。ここではその観点から、マックルーア効果が功を奏していると思われる心底オススメの名演をご紹介します。

★宇野功芳氏の『ワルターの名盤駄盤』には、「これはワルターの本心から出た表現だろうか?」という記述がよく登場しますが、確かにワルターほど、作品の理想的な再現と自己の感性との間で葛藤し続けた指揮者も珍しいでしょう。そこをどう折り合いを付けるかが、名演か否かを分ける一つの鍵かもしれません。 それを踏まえた上で、ワルターのステレオによるベートーヴェン全集の中で迷わず名演と確信するのは、現時点では「1番」「3番」「6番」「8番」。 この中で、最も無理なく自己の素直な表現を作品に投影し尽くしているは「1番」だと思います。作品の持ち味と古典的な様式感、ワルターの慈愛が、均等に同居していることによる安定感は群を抜いています。まず際立つのは、気力の充実。リズムにもフレージングにも迷いがありません。付点リズムの短い音価を極端に短くして活気を持たせるクセについても宇野氏は指摘していますが、この第2楽章の付点リズムは実に自然体。第3楽章0:05のティンパニが丸裸で打ち鳴らされるのは録音効果によるものと思われますが、他では味わえない微笑ましさが滲みます。
一方で「英雄」は、ワルターのあまりの純粋な人間性に、作品の方が重装備を外してワルターに擦り寄ったような不思議な化学反応が起こっており、聴くたびに感動を新たにします。第1楽章開始すぐ(0:30〜)のような柔なかなレガートが随所に登場しますが、もちろんカラヤンのそれとは別次元。1:37の一瞬の溜めも、音楽を寸断することのない意味深さ。第2楽章は、意外なほどイン・テンポを守っていますが、情に溺れまいと無理をしている印象を与えずに、そこはかとない悲しみが滲む点にご注目を。第3楽章中間部のホルンの柔和なニュアンスは、宇野氏は「さすがにやり過ぎ」と評していますが、フレーズの最後には力感を加味して続く楽想に確実に連動させている点で、決して唐突なニュアンスではないと思うのです。威圧ではなく温かい包容力で満たすスタイルは終楽章でも不変。2:07からの響きの充実ぶりは、とかく響きが薄いとされるコロンビア響としても奇跡的と言えましょう。【湧々堂】

Treasures
TRT-008(1CDR)
オーマンディ没後30年記念〜チャイコフスキー&シェーンベルク
シェーンベルク:浄められた夜*
チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調
ユージン・オーマンディ(指)
フィラデルフィアO

録音:1950年3月19日アカデミー・オブ・ミュージック(フィラデルフィア)*、1950年11月19日タウン・ホール(フィラデルフィア)
※音源:米COLUMBIA ML-4316*、ML-4400
◎収録時間:77:00
Cover Art Design By Alex Steinweiss
“年々熟成を重ねたオーマンディ・サウンドの原点がここに!”
■音源について
オーマンディの「チャイ5」は、5回のセッション録音のうちの2回目の録音。「浄められた夜」は、1934年に続く2回目の録音。

★オーマンディは、シェーンベルクをこれ以外には「変奏曲」しか録音していないことからも、無調音楽へは共鳴してなかったことは明らかですが、この「浄夜」もあくまでもブラームス、ワーグナーの延長線上の音楽として捉えています。色彩的にはストコフスキーの影響を残しつつも、官能よりも人間的な温かみが優っているのが特徴。しかも、音の求心力が極めて高く、50年代初頭のオーマンディならではの直截な表現意欲が聴き手の心を奪います。トラック1の最後からトラック2に掛けての渾身の波しぶきなど、後年の録音では不可能だったことでしょう。
十八番の「チャイ5」も、古い録音ほど魅力的。前回の41年盤は、オケに染み付いたストコフスキー・イズムを味方につけた解釈だったのに対し、今録音ではオーマンディ自身の解釈として練り上げられており、5種の録音の中で最も発信力の高い名演奏として結実しています。
まずは、リズムのエッジを鋭利に立てないこと、旋律線を明瞭化するために強弱の対比を明確にすること、エキセントリックなテンポの激変を避けること、これらのオーマンディこだわりが、この時期に完全に備わっていることがポイント。これが年を経るに従って安定感重視型に傾き、RCAの録音方法の影響もあると思いますが、リズムも緩めに変質していったのは否めません。その点、ここでのリズムの冴えと響きの凝縮力の高さは実に魅力的です。
ロシア的な民族色や作曲家の真意よりも、オーマンディ自身の美学に基づいて音楽を魅力的に輝かせることこそ使命だということが、溢れかえるニュアンスの端々から感じられ、特に2楽章と終楽章では、奏者にストレスを与えることなく弾かせながら音楽の輪郭を浮き彫りにするアイデアが満載。そのどれもがあざとい演出性など微塵も感じさせないところに、オーマンディの職人芸の奥深さを思い知るとともに、オーマンディの絶頂期は50代だったのでは思えてなりません。録音状態も、音質も古臭さを感じさせません。 【湧々堂】 →更なるレヴューはこちら

Treasures
TRE-099(1CDR)
レオポルド・ルートヴィヒのマーラー
マーラー:交響曲第9番
レオポルド・ルートヴィヒ(指)LSO

録音:1959年11月17-20日 ロンドン・ウォルサムストー・アセンブリー・ホール(ステレオ)
※音源:英W.R.C SCM-16〜17
◎収録時間:75:36
“露骨な感情表現から開放した「マラ9」の世界初のステレオ録音!”
■音源について
エヴェレス原盤ですが、あえてヨーロッパ的な落ち着きを感じさせるワールド・レコード・クラブ盤(エベレスト盤の翌年に発売)を使用。ジャケ写に写っているのは、マーラー・メダル。

★この録音は、交響曲第9番の世界初のステレオ録音であるだけでなく、それまでの豊穣なロマンを濃厚に湛えたマーラー像から一旦離れ、ストレートな純音楽的アプローチで訴えかける力を持つことを証明した点でも、見逃すわけには行きません。
近年の、細部を微視的に突き詰めた演奏に慣れた耳で聴くと淡白に感じられるかもしれませんが、主情を排し、作品の全体像を素直に大らかに再現する姿勢と素朴な呼吸感からは、人生の終焉を映すイメージからも開放された極めて純度の高い音楽を感じることができます。第1楽章展開部の自然な陰影と巧みな声部バランスの確保は、ルートヴィヒの職人芸の極み。14:007頃からの空気感は、まさに虚飾とは無縁の至純の美!、コーダで独奏ヴァイオリンと木管が醸し出す透明感も単に痩せた弱音とは異なり、これ以上何を加える必要があるでしょうか。
第2楽章も、諧謔性を強調などせず、あくまでも音楽自体の律動を重視。3つの舞曲のテンポ切り替えがいちいち括弧で括ったような説明調にならず、自然に滑りこませる技にもご注目を。
そして極めつけの終楽章!これほど気負わず、作り込まず、音楽を豊かに紡ぎ尽くした演奏は稀でしょう。バーンスタインのような分かりやすい感情表出とは対照的ですが、5:34のヴァイオリン・ソロ以降の各パートの呼応の妙、自然発生的な深遠なニュアンス表出には、この演奏を単に淡白と言わせないだけの強固な共感と含蓄がぎっしり詰まっています。
「過激なマーラー像を見直し、謙虚にスコアを読み直す」と多くの指揮者が口にしますが、結局出てくる音楽には何のヴィジョンも感じられないか、立派に響いているだけの演奏も少ないくないようです。バーンスタインとの差別化を図るために「謙虚さ」をアピールするなら、せめてこのルートヴィヒの演奏を聴いてからにしてほしいものです。【湧々堂】

ORQUESTA Y CORO NACIONALES DE ESPANA
843655-2740033
(1CD)
コープマンの「宗教改革」&「未完成」
メンデルスゾーン:交響曲第5番「宗教改革」
シューベルト:交響曲第8番「未完成」
スペイン国立O
トン・コープマン(指)

録音:2014年6月、国立音楽堂、マドリード、スペイン
モダーン楽器オーケストラへの客演の機会が増えているコープマンですが、スペイン国立Oを指揮してメンデルスゾーン&シューベルトとは何とも意外。当盤はスタジオ録音ですが、彼らは同時期にメンデルスゾーンの交響曲第2番「賛歌」を上演しており、この作曲家へのコープマンの熱の入れようを窺うことができます。紙製ソフトパック仕様。


BERLINER PHIL.
KKC-9137
(4CD+2Bluray)
税込定価
シベリウス:交響曲全集
■CD1
1-4. 交響曲第1番(37’39)
5-8.交響曲第2番(43’12)
CD2
1-3.交響曲第3番(28’17)
4-7.交響曲第4番(36’50)
■CD3
1-3.交響曲第5番(30’32)
■CD4
1-4.交響曲第6番(29’13)
5-8.交響曲第7番(21’48)
■Disc1
ブルーレイ・ディスク・オーディオ 
交響曲第1−7番(24bit/96kHz)
2.0 PCM Stereo 24bit/96kHz
5.0 DTS-HD MA 24bit/96kHz
227 分
ボーナス・ビデオ〜サー・サイモン・ラトル、シベリウスを語る(ドイツ語字幕のみ)/58 分
■Disc2
ブルーレイ・ディスク・ビデオ 
交響曲第1−7番(HD Video)
画面:Full HD 1080/60i 16:9
音声:2.0 PCM Stereo、5.0 DTS-HD MA
リージョン:All/297 分
ボーナス・ビデオ〜ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のデジタル・コンサート・ホールについて
サー・サイモン・ラトル(指)BPO

録音:CD & BDA:
2014年12月18-20日(5番)
2015年1月28日〜2月6日(1〜4番)
2015年2月7〜9日(5〜7番)
VIDEO:
2015年2月6日(1、2番)
2015年2月7日(3、4番)
2015年2月8日(5〜7番)
録音場所:フィルハーモニー、ベルリン
[24bit/192kHz録音]

■特典
スタジオ・マスター・クオリティーの音源(24bit/192kHz)をダウンロードできる、クーポンコードを封入
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のデジタル・コンサート・ホールの7日間無料視聴コードを封入
※日本語帯・解説付
「ベルリン・フィル・レコーディングス」からサー・サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団によるシベリウス交響曲全集が発売さ れます。CD4枚とブルーレイ・ディスク2枚がセットになった豪華パッケージ。CD4枚に交響曲全曲を収録、2枚のブルーレイ・ディスクには、1枚目 に96kHz/24bitのステレオ音声とサラウンド音声で交響曲全曲とボーナス映像を収録、2枚目はHDビデオで交響曲全曲が収録されています。また、 192kHz/24bitハイレゾ音源をダウンロードできるコード、さらに、デジタル・コンサート・ホールの7日間チケットも封入されています。
ラトルは1981〜1987年にかけてバーミンガム市交響楽団とシベリウスの全集をレコーディングしており、今回が2度目の全集録音となります。ラト ルは子供の頃からイギリス人としてシベリウスに愛着があり、リバプール・フィルで指揮者としてデビューした際も、シベリウスの交響曲第5番を振ってお り、ラトルにとってシベリウスは特に思い入れのある作曲家のひとりであることがわかります。今回のベルリン・フィルとのシベリウス・チクルスは、2002 年の首席指揮者就任からの希望であり、2015年シベリウス・イヤーを飾るにもっとも相応しい交響曲全集といえるでしょう。 (Ki)
■ ボーナス・ビデオ〜ラトル、シベリウスを語るから
マーラーの音楽では、人間と自然、とりわけ彼自身がテーマとなっています。しかしシベリウスでは、「人がそこにいる」とは感じられません。もし人間が いるとすれば、自分自身の「不安の藪」に入り込み、捕らわれた人がいる、という意味においてでしょう。つまり、そこに足を踏み入れる者は、もう二度 と帰って来られないかもしれないのです。私はシベリウスの音楽の本質は、最終的にはそこにあるような気がします。


Treasures
TRT-006(1CDR)
スタインバーグのチャイコフスキー
チャイコフスキー:弦楽セレナード
交響曲第5番ホ短調Op.64*
ウィリアム・スタインバーグ(指)
ピッツバーグSO

録音:1953年11月30日&1954年4月14日シリア・モスク・ピッツバーグ、1953年頃*
※音源:米Capitol P8290、英mfp MFP-2008*
◎収録時間:75:08
潔癖でありながら綺麗事ではないフレージングの意味深さ!”
■製作メモ
スタインバーグが、ピッツバーグ響の音楽監督に就任(1952年)した直後の録音。交響曲の録音日は判然としませんが、1954年のシュワンのカタログには掲載されているので、ここでは1953年頃としておきます。交響曲の音源には、初出のキャピトル盤が高域がきついため、mfp盤を使用。なお、交響曲の第3楽章に、消去しきれないノイズがありますこと、ご了承下さい。ジャケ写は、初出のキャピトル盤。

★スタインバーグの録音は、何を聴いても「誠実だけど胸に迫らない」という印象しか得られなかったのが、この2つのチャイコフスキーには、時を忘れて聴き入ってしまいました。音楽を歪曲しない誠実さの背後には、鉄壁なまでのアーティキュレーションへのこだわりが垣間見え、それが音楽の清潔な流れと呼吸の源となって確実に音楽を突き動かしていることに気付かされたのです。
弦楽セレナード」は、冒頭の弦のブレンドの美しさと清潔さに釘付け!その決して表面的ではない心の襞を震わせた美観は、スタインバーグの他の録音にも宿っていたのなら、猛省して全て聴き直さなければなりません。主部以降の躍動感と無理なく伸びやかに推進するフレージングも瑞々しいことこの上なし。第2楽章はさらに感動的。テーマの結尾のキュートな微笑み掛けに続き、0:31では心の衝撃を映したようなルフト・パウゼの鮮やかさ!弦の音程が正確で質感が統一されていないと、これほど意味を持って響かなかったことでしょう。第3楽章は、響きのみならず、そこに込める感情にも汚れ許さぬスタインバーグの信念が結晶化。主部冒頭のピチカートの一粒一粒に、切なくも希望を感じた光が滲んでいるのには、涙を禁じえません。声部間の絡みも単なる音の行き来ではなく、身を焦がすような愛の交感と化しているのです。
清潔なフレージング対する確固たる信念は、ドイツ生まれのスタインバーグの血のなせる技とも言えますが、交響曲においてもその資質が十分に生き、情に溺れない清新な作品像を打ち立てています。最大の特徴は、テンポの緩急、強弱の変動に極端なコントラストを与えていないこと。ニュアンスを強調する箇所が皆無に近いので、感覚的には堅物な印象しか与えないかもしれませんが、決して楽譜絶対主義ではなく、聴けば聴くほど各フレーズを最も自然に息づかせる絶妙な柔軟性が終始一貫していることに敬服するばかりです。特に第2楽章は、スタインバーグの美学が満載。108小節の弦のピチカートなど、こんな含蓄のある響きを聴いいたことはありません。その直後の弦のテーマにはポルタメントが掛かりますが、こんな古さも汚れもないポルタメントがあり得ることに驚きを禁じえません。思えば1950年代前半は、19世紀的なロマン主義的な演奏スタイルから離脱する過渡期でしたが、オーマンディなどと同様に、現代的アプローチとの折衷スタイルが現れた瞬間としても興味深いものがあります。終楽章後半、全休止後のテーマの斉奏は、これほど弦のボウイングの使い分けを徹底した例を他に知りません。しかもそれを無理強いした痕跡など皆無で、当然のように自然にこなしているのは、この時期オケが既にスタインバーグの音楽性に全幅の信頼を置いていた証でしょう。だからこそ結果的に力技ではない、独特の清々しさを誇る推進力に結実しているのです。
スタインバーグは1952年から20年以上も音楽監督を務め、もちろん歴代最長。そもそも真面目なだけではこれだけの年数を務め上げることなど不可能だということに、もっと早く気づくべきだったと猛省するばかりです。【湧々堂】

Treasures
TRE-079(1CDR)
ル・コント〜ラロ&ベルリオーズ
ラロ
:歌劇「イスの王様」序曲
ベルリオーズ:「ベンヴェート・チェルリーニ」序曲#
 「ファウストの劫罰」〜ラコッツィ行進曲/妖精の踊り
 幻想交響曲Op.14*
ピエール=ミッシェル・ル・コント(指)
パリ・オペラ座O(パリ国立歌歌劇場O)
フランクフルトRSO#

録音:1950年代中頃(ステレオ)
※音源:仏Convert Hall SMS-2911、仏Prestige de la Musique SR-9648*
◎収録時間:77:10
“ラロの管弦楽法の凄さを体当たりで表現した奇跡的名演!”
■製作メモ
「幻想交響曲」のステレオ・ヴァージョンは、このフランス盤(60年代末)と、日本盤、米盤(ライセンス盤)でしか聴けない模様。日本盤と比較しましたが、コンサート・ホール特有の音ながら、明瞭度で優っているのは仏盤でした。ジャケは、Musical Masterpiece Society盤。

収録曲の中で最も強調したい名演は、1曲目の「イスの王様」。とにかく、異常なまでのハイテンションぶりですが、ただ燃焼ではなく、この作品のドラマティックな側面、輝かしい色彩をこれほど体を張って表現し尽くした演奏は、他にあり得ないでしょう。主題再現直前の金管の咆哮は、その熱さと眩さにクラクラするほど。その後、チェロのソロを取り巻く深淵な空気感を経て、終結へ向けて緊張感は増幅し続け、コーダでは一糸乱れぬアンサンブルを貫徹しながらアドレナリンの全てを大噴射!これはスタジオ録音としては奇跡的な現象ではないでしょうか?おまけに、音質のバランスも頗る良好!
この奇跡的熱演と比べると、「幻想交響曲」はかなり穏健な演奏に聞こえてしまうかもしれませんが、
聴き手の度肝を抜くような仕掛けなど用いず、ベルリオーズの管弦楽法の筆致を丁寧に抽出した演奏は、決して凡百なものではありません。テンポも全編を通じて中庸と言えますが、第1楽章展開部以降の物々しさを排した推進力が瑞々しいかぎり。決してドロドロ劇に陥らず、ベルリオーズのピュアな心情を映すようなアプローチは、最後の2楽章で一層顕著となり、特に終楽章は悪魔の高笑いと言うより、その先の希望を確信した健康的な進行が新鮮に響きます。【湧々堂】


BERLINER PHIL.
KKC-5461(2SACD)
日本先行販売
税込定価
シューマン:交響曲全集

■デジタル・コンサートホール
ベルリン・フィルの映像配信サービス「デジタル・コンサートホール」を48時間無料視聴できるチケット・コードが封入されています。
サー・サイモン・ラトル(指)BPO

録音:2013年2月14-16日(第3番)、2月20-22日(第2番)、10月31日-11 月2日(第1&第4番)ベルリン・フィルハーモニー
SACDマステリング:オプティマル・メディア
デジパック仕様
2014年にスタートしたベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の自主レーベル「ベルリン・フィル・レコーディングス」。ネット映像配信サービス「デジタル・ コンサートホール」で新時代のコンサート体験を提供してきたベルリン・フィルは、レコード制作でも画期的な試みを行い、ハードカバー型の美麗で豪華 な装丁に高音質のブルーレイ・オーディオ、ハイレゾ音源ダウンロード・チケットを封入するなど、クオリティにこだわる音楽ファンに向けたレコード販売 の新たな方法を提示し大きな話題となりました。
今回リリースされるのは、「ベルリン・フィル・レコーディングス」の第1弾を飾った、ラトルのシューマン交響曲全集のSACD ハイブリッド盤。第1 弾リリース後にアナログレコードも発売しているので、このSACD ハイブリッド盤の発売で、CD、Blu-ray(映像)、Blu-ray Audio、ハイレゾ・ダウンロー ド、LPと現在主に市場流通している、ほとんどのメディアでの試聴が可能となりました。演奏の真価をダイレクトにリスナーに伝えることに妥協を許さない、 万事徹底したベルリン・フィルの自信に溢れるリリース。  (Ki)

SWEDISH SOCIETY
SCD-1161(1CD)
シベリウス:交響曲第1番ホ短調 Op.39
交響曲第7番ハ長調 Op.105
ウプサラ室内O
パウル・マギ(指)

録音:2010年3月11日、2011年5月12日、ライヴ、ウプサラ・コンサート&コングレス・コンサートホール、ウプサラ、スウェーデン
シベリウスの生誕150年を記念して発売されるパウル・マギ(Paul Magi)&ウプサラ室内Oのシベリウス交響曲シリーズ第2弾。


Treasures
TRT-007(1CDR)
ジョージ・ハースト
ジョージ・ハースト
ジョージ・ハースト〜シューベルト&チャイコフスキー
シューベルト:交響曲第8番「未完成」*
チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調
ジョージ・ハースト(指)
デンマーク王立O*、
ハンブルク・プロ・ムジカ

録音:1959年頃(ステレオ)
※音源:英SAGA XID-5029*、STXID-5381 & STXID-5046
◎収録時間:66:25
“ラトルに指揮者になるきっかけを与えた、ジョージ・ハーストの剛毅な芸風!”
■製作メモ
この復刻には紆余曲折が。当初、ハインリヒ・ヘラー(Heinrich Heller)指揮による「チャイ5」を復刻するつもりでしたが、この指揮者の経歴が皆目不明。それもそのはず、様々な特徴から、日本の廉価盤によく登場するハンス・ユルゲン・ワルターの録音と全く同じ演奏であることが判明。しかも、H.J.ワルターの録音はステレオなのに、ヘラーは不自然なモノラル。これは、契約の関係でH.J.ワルターの名を別名に変更したというよくあるパターンではなく、無断で音源を流用したことを隠すために指揮者名変更のみならず、わざわざモノラル化したものと思われます。ところが、更に驚いたことに、ここに紹介するジョージ・ハーストの録音も、H.J.ワルターの演奏と全く同じだったのです!ハースト名義のレコードはモノラル盤も含めて何種類も発売されており、ジャケットにも指揮者の経歴がきちんと掲載されていることから、この録音の指揮者はハーストと見て間違いないと思います。
実は、H.J.ワルターのレコードを最初に聴いたとき、過剰で人工的な残響が気になっていました。ハーストのチャイ5は、結局、品番違いで4種ほど聴きましたが、そんな残響はどこにもありません。したがってこの残響付加も、流用の隠蔽としとしか思えません。
それにしても、なぜハーストの録音がカモにされるのか?それに、ヘラー名義のレコードも問題ですが、明らかに実存するH.J.ワルターという人は、どんな了見で仕事をしていたのでしょうか。自分が関わっていないレコードに自分の名前が載っていて、何とも思わなかったのでしょうか?
ここで使用したのは英SAGA盤ですが、プレスが荒いものが多いのが悩みの種です。何種類も購入したものの、必ずどこかに不安定な音が出現します。そのため、最も良質な2種のステレオ盤を使い分けることとしましたが、それでも修正しきれない箇所もあります。ご了承下さい。

★サイモン・ラトルが指揮者になる決意をした最初のきっかけは、少年時代に聴いたジョージ・ハースト指揮によるマーラーの「復活」だったそうです。その演奏がどれほど衝撃的だったか、このシューベルトとチャイコフスキーを聴けば容易に想像出来ます。ハースト(1926-2012)は、イギリス・エジンバラ出身ですが、父はルーマニア人、母はロシア人。第二次大戦が始まるとカナダへ移り、トロント王立音楽院で研鑽を積み、帰国後1958年から10年間、BBCノーザン管(現BBCフィル)の主席指揮者を務めました。その芸風は、血筋からも分かるように英国風の穏健さとかけ離れた直截なダイナミズムを誇り、後年のシャンドス、ナクソスへの録音もありますが、この2曲はその個性が最も強く刻まれた名演として忘れるわけにはいきません。
まずは、「未完成」に仰天!女性的にしっとり奏でられる演奏に喝を入れるという意味では、C・クライバーをはるかに凌ぐうえに、呼吸は大きく深く、第1楽章展開部では、ただでさえ速めのテンポを更に急かせて、暴風雨状態!再現部直前の7:29からのクラリネットのフレージングの陰影にもご注目を。第2楽章も求心力が極めて高く、決して静謐に安住しません。潔癖な声部バランスを保ちながら心の奥底から歌いぬき、決然たる推進力で聴き手を心を鷲掴みにするのです。もう月並みの「未完成」では飽き足らないという方は、特に必聴です!
チャイコフスキーでも、その男性的ダイナミズムに溢れるスタイルは盤石。表面的にフレーズを撫でているだけのシーンなど全くありません。第1楽章でも明らかなように、楽想を内面から抉りすことと、ダイナミックな音像と推進力を導き出すこと、これら全てを共存させた演奏は、説得力絶大です。第2楽章冒頭の低弦の歌わせ方も、指揮者の本気度とセンスが象徴されています。それなりに美しく奏でるだけでも一定の雰囲気は醸し出されますが、ここに聴くような、オケが自発的にフレージを膨らませているような風情は、まさに指揮者の手腕の賜物と言えましょう。終楽章はテンポこそ標準的ですが、音楽の感じ方が半端ではないので、何もしていないようでいて、各ニュアンスが重みと密度を持って迫ります。【湧々堂】 →更なる詳細レヴューはこちら

DACAPO
MAR-6.200003(4SACD)
ニールセン:交響曲&協奏曲集
《CD1…6.220623》
1-4.交響曲第3番ニ短調「ひろがりの交響曲」Op.27(1910-1911)
5-8.交響曲第2番ロ短調「四つの気質」Op.16(1901-1902)
《CD2…6.220624》
1-4.交響曲第4番「滅ぼし得ざるもの(不滅)」
Op.29(1914-1916)
5-8.交響曲第1番ト短調Op.7(1889-1894)
《CD3…
6.220625》1-6.交響曲第5番Op.50(1920-1922)
7-10.交響曲第6番「素朴な交響曲」(1924-1925)
《CD4…6.220556》
1-3.ヴァイオリン協奏曲Op.33(1911-1912)
4-5.フルート協奏曲(1926)
6-8.クラリネット協奏曲(1928)
アラン・ギルバート(指)NYO
エリン・モーリー(S)…CD1.1-4/ヨシュア・ホプキンス(Br)…CD1.1-4/ロベール・ランジュヴァン(Fl)…CD4/アンソニー・マックギル(Cl)…CD4/ニコライ・ズナイダー(Vn)…CD4

録音:《CD1》2011年6月14-16日…1-4、2011年1月27-29日…5-8
《CD2》2014年3月12-15日
《CD3》2014年10月1-3日
《CD4》2012年10月10-13日…1-5,2015年1月7-10.13日…6-8ニューヨーク,リンカーン・センター,エブリー・フィッシャー・ホール
アラン・ギルバートとニューヨーク・フィルハーモニックによるニールセン(1865-1931)の決定的BOXです。好評の「交響曲全集」と協奏曲を、SACDハイブリッド盤そのままで一つのBOXに収録しました。これまで躊躇していた方もぜひお手元に。


オクタヴィア
OVCL-00576(1SACD)
2015年8月21日発売
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」 宇野功芳(指)大阪SO
神戸市混声Cho
丸山晃子(S)、八木寿子(A)
馬場清孝(T)、藤村匡人(T)

録音:2015年7月4日 いずみホール・ライヴ
“宇野氏が悩み続けた「第9」の理想像が遂に結実!”
宇野氏が「オーケストラ演奏による遺言」として臨んだという「第9」。だからといって、宇野氏に限っては「枯淡」という概念など存在しないのは言うまでもありません。ただこの演奏には、かつての宇野氏の指揮であまり感じられなかった、響きと精神の調和を図ろうとする意思を感じるのは、気のせいでしょうか?宇野氏の代名詞のように言われるティンパニの強打ももちろん健在ですが、明らかに「極端さ」は後退し、全体との調和を考慮したうえでの強調として響きます。もちろん通常の演奏と比べれば何倍も劇的な演奏ではありますが、そこだけに焦点を当てるのではない、全体像の見直しと飽くなき探求心の結晶として、今までにない説得力があるのです。
第1楽章冒頭のトレモロは、いつも通り誰よりも克明ですが、剥き出しの鋭角的な刺激とは違うものを孕んでおり、強弱のコントラストやテンポの変動にも、新機軸が登場。第2楽章は、前のめりな程の速いテンポを基調としながら、管のフレーズに独自の光を当てているのが印象的。トリオからテーマ再現に移る際のテンポの落とし方は、過去最低速。その代わり、今まではその後しばらくその不安を感じたまま弱音を維持していましたが、今回から通常どおり強音に変更。第3楽章は、古希を過ぎた宇野氏の心境を映すかのような澄み切った音楽。弦の響かせ方は、今の宇野氏の美学の象徴と言えましょう。終楽章冒頭、第1楽章の否定部分もかつてない速さで疾走するばかりか、3楽章の否定箇所は、なんと管楽器を弦に変更!氏はライナーの中で「批判は覚悟」と語っていますが、その真意の程は痛いほど伝わります。弦楽器による喚起のテーマが現れて以降の響きの充実度は、間違いなく過去最高。「学生オケではないのだから当然」なのではなく、明確に宇野氏の情熱が結実し、オケから自発的に湧き出た真に有機的な響きです!歌手の最初の四重唱では、アルトに焦点を当てているのにもどっきり。録音のせいでしょうか?
ライナーには、この演奏への宇野氏のこだわりが詳細に記されていますが、中でも注目は、各楽章の「終結のさせ方」でしょう。特に2楽章と終楽章は、氏が長年悩み続けてきた末の最終結論としての確信がひしひしと伝わります。そして終楽章のコーダ!宇野氏の演奏からこれほど「芸術的」に昇華しきった響きを聴いたことがありません。いわゆる「宇野嫌い」の方も、これほど高次元な燃焼を突きつけられたら、何一つ文句は言えないはずです!【湧々堂】

Treasures
TRE-073(1CDR)
スワロフスキーのベートーヴェン
ベートーヴェン:「レオノーレ」序曲第3番*
交響曲第8番ヘ長調Op.93
交響曲第2番ニ長調Op.36
ハンス・スワロフスキー(指)
ウィーン国立歌劇場O

録音:1950年代中期(全てモノラル)
※音源:W.R.C TW-108、ORBIS 21224*
◎収録時間:72:52
“スワロフスキーの指揮者としてのセンスを痛感する二大名演!”
■製作メモ
「第5」「第6」(TRE-069に収録)と同時期に収録されたと思われる、スワロフスキー&ウィーン国立歌劇場管のコンビのベートーヴェン。全9曲の録音は存在しないようです。

★スワロフスキーのベートーヴェンの交響曲の中で、「田園」と並んで素晴らしいのがこの「第2番」と「第8番」。スワロフスキーの指揮者としてのセンスを知る上でも絶対欠かせない逸品と言えましょう。
「第8番」は、けれん味のない実直な推進力が、作品の小粋な雰囲気を余すところなく再現。第1楽章の最後は、わずかにテンポを落として締めくくりますが、その余韻の美しいこと!これを念を押すように弾かれると、唐突なエンディングの効果が半減しかねませんが、そんな心配は無用です。
第2楽章は、ウィーンのオケのテイストを十分に生かした自然な微笑みが溢れますが、終楽章では、そのテイストが更に生き、ガチガチに作品の構築性を前面に立てた演奏では得られない、アンサンブルの微妙な軋みから生じるニュアンスが、ことごとく聴き手の心に迫ります。3:42から弦がヒュンヒュンと上ずるように唸る瞬間など、奏者の心のときめきが抑えきれずに噴出したかのよう。この演奏の入魂ぶりを象徴しています。
この曲の“クレイジーさ”を強調するのではなく、従来のほのぼの路線の演奏を求めようとすると、安全運転に徹した演奏にしか出会えないとお嘆きの方に是非オススメ!
更に感動的なのが「第2番」。ベートーヴェンが「英雄」以前に独自のスタイルを完全に確立していたことを実証るかのようなアグレッシブな表現が見事に結実しています。特に第1楽章の内面から吹き出るパッションに触れれば、同曲の屈指の名演であることを実感していただけるはず。展開部など、単に燃えているだけでなく、ニュアンスが極限まで結晶化しているのです。
それだけに、続く第2楽章のシルキーなフレージングが、これまた心に染みます。これこそまさに綺麗事ではない美しさ。3:26からの弦の下降音型の弾ませ方も、お聴き逃しなく!少しも媚びずに自然な微笑が零れる演奏を他に知りません。スワロフスキー、恐るべし!【湧々堂】

Treasures
TRE-072(1CDR)
ジョージ・セル/エピック録音名盤集1
モーツァルト:ディヴェルティメント第2番K.131
シューベルト:交響曲第9番ハ長調「グレート」*
ジョージ・セル(指)
クリーヴランドO

録音:1963年4月20日、1957年11月1日* 共にステレオ
※音源:米EPIC BC-1273(Blue)、BC-1009(Gold STEREORAMA)*
◎収録時間:72:45
“CDでは伝わらないセルのパッションとスケール感!”
■製作メモ
EPICは米COLUMBIAの子会社CBSのレコード部門としてスタート。後にCBSは親会社のCOLUMBIAを買収し、米COLUMBIAとEPICは一つに統合されました。その間にEPICのマスターテープはコピーが繰り返されたことで音は生気を失い、ヒスノイズに覆われた音に変貌。その音でセル&クリーヴランド管(EPIC専属)の演奏は多くの音楽ファンに認識され、セルは「機械的で冷たい」というレッテルを貼られる要因ともなりました。
やがてCDが出現し、「ノイズの無さ」の恩恵を最も受けたのもセルの録音でした。多くの人がそのクリアな音を歓迎し、「遂にセルの全貌が明らかになった!」とまで言われたものです。すっかり音から血肉が抜き取られしまったことにも気づかず…。結局、セルのエピック録音は、エピック盤LPで聴くのが一番!その最大の実例が、シューベルトの「グレート」だと思います。CDを聴いて「セルらしい室内楽的な演奏」という印象しか得られなかった方は、その音の厚みとスケール感にきっと驚嘆されることでしょう。

★ホルンが大活躍する2曲を収録。セルはホルンの音色に執着し、全体のバランスの中核に据えていたことは数々の録音でも確認できますが、時にはそれが露骨なデフォルメと受け取れかねない場合もあります。しかし、この2曲は違います。その愛着は音楽する純粋な喜びと完全に調和し、曲の魅力を倍増させることだけに効力を発揮しています。
モーツァルトの「ディヴェルティメント」は、まさにその並々ならぬ共感の勝利!厳格な統制力が音楽を萎縮させることなく、音楽から自然な愉悦が湧き立ち、「セルのモーツァルト」の最大の名演と確信する逸品です。
シューベルトの「グレート」を初めてエピック盤で聴いた時の衝撃は、今でも忘れられません。CDでも透徹された音楽作りは伝わりますが、実際は、こんなにもスケールの大きな演奏だったのです!まず序奏のホルンの深々とした呼吸とその浸透力にびっくり。シューベルトに不可欠の歌が高次元に昇華された佇まいに、同曲最高峰の名演であることを早くも確信させます。1:38の入魂のティンパニを含め、この序奏部にこれほど多彩なドラマ性を注入した演奏も稀でしょう。第2楽章は、もちろん情に溺れはしませんが、セルならではの「高潔な歌心」を象徴するのが12:22以降!ガクッとテンポを落として再び悲しみに閉じこもるニュアンスは、何度聴いても涙を誘います。終楽章は、マシンガンのような高速テンポ!テンポが速ければ速いほど爽快に感じる音楽ではありますが、決して運動会の音楽ではありません。そこに強固な必然を感じさせ、せかせかせず、歌も貫徹している、そんな演奏が他にどれだけあるでしょう?オケの優秀さは言うまでもありませんが、それがメカニックに傾くことなく、セルによってシゴカれた痕跡も感じさせず、真に一丸となった推進力を発揮した奇跡の名演です。最晩年のEMI録音の方が一般的には高く評価されていますが、私にはその意味がどうも理解できません。【湧々堂】

BERLINER PHIL.
KKC-5445(8CD+Bluray)
国内仕様
税込定価


アーノンクール&BPO〜シューベルト・エディション(交響曲全曲、ミサ曲、オペラ)

交響曲第1番ニ長調
交響曲第3番ニ長調
交響曲第7番ロ短調 D759『未完成』
交響曲第2番変ロ長調 D125
交響曲第4番ハ短調 D417『悲劇的』
交響曲第5番変ロ長調 D485
交響曲第6番ハ長調 D589
交響曲第8番ハ長調 D944『グレート』
ミサ曲第5番 変イ長調#
ミサ曲第6番 変ホ長調*
歌劇「アルフォンソとエストレッラ」

■Blu-ray
アーノンクールのインタビュー映像
ルバ・オルゴナソヴァ(S)#
ビルギット・レンメルト(A)#
クルト・ストライト(シュトライト)(T)#
クリスティアン・ゲルハーヘル(Bs)#
ドロテア・レッシュマン(S)*
ベルナルダ・フィンク(A)*
ヨナス・カウフマン(T)*
クリスティアン・エルスナー(T)*
クリスティアン・ゲルハーヘル(Bs)*
ドロテア・レッシュマン(ソプラノ/エストレッラ)
クルト・ストライト(シュトライト)(テノール/アルフォンソ)
クリスティアン・ゲルハーヘル(バス/フロイラ)
ヨッヘン・シュメッケンベッヒャー(バリトン/マウレガート)
ハンノ・ミュラー=ブラッハマン(バリトン/アドルフォ)
ベルリン放送Cho
ニコラウス・アーノンクール(指)BPO

録音:2003年10月23-25日[交響曲第3&4番]
2004年4月22-24日[交響曲第1番、ミサ曲第6番]
2004年12月2-5日[交響曲第6&7番]
2005年4月14-16日[交響曲第2番、ミサ曲第5番]
2005年10月8-9日[アルフォンソとエストレッラ]
2006年3月22-24日[交響曲第5&8番]
録音場所:ベルリン、テルデックス・スタジオ(セッション)
■Blu-ray
(2.0 PCMステレオ 24bit/48kHz & 5.0DTS-HD MA 24bit/48kHz)
38分/収録:2014年12月19日、ザンクト・ゲオルゲン、オーストリア
画面:Full HD 1080/60i 16:9
リージョン:All
■ダウンロード・コード
・上記のCD8枚分のハイレゾ音源をダウンロードできる無料チケットコードが封入
(24bir/48kHz)
■デジタル・コンサートホール〜7日間無料視聴バウチャー

※日本語字幕付
世界から注目を集めているレーベル「ベルリン・フィル・レコーディングス」の新譜が発売されます。ニコラウス・アーノンクール指揮によるシューベルト演 奏集です。このセットには、交響曲全曲に加えて、後期ミサ曲、オペラ「アルフォンソとエストレッラ」全曲が収録されています。さらにCD8枚にブルーレイ・ ディスクが付属しており、それにはCDに収録されている全曲の、スタジオ・マスター・クオリティーの音声トラック(24bit/48kHz)と40分弱のアーノンクー ルのインタビュー(日本語字幕付)が収録されています。そして恒例のハイレゾ音源のダウンロード・コードとデジタル・コンサートホール 7日間無料視聴 バウチャーが付属しています。 この録音は2003年から2006年にかけて、ベルリンのテルデックス・スタジオでセッション録音したもの。すべてセッション録音のため、高水準の演奏と 録音が実現しています。 「モーツァルトやベートーヴェンと比較することには意味はなく、シューベルト独自の音楽世界を表現するべきだ」と言うアーノンクール。特に初期の交響曲に 関しては、作品を歴史上の一過程と捉えるものではなく、完成された個々の作品として細部まで磨き上げられた音楽を聴かせています。アーノンクールにとっ てシューベルトの交響曲全曲録音はコンセルトヘボウ以来2度目。その他にも、ウィーン交響楽団やベルリン・フィルとも単曲で収録しているアーノンクールは、 シューベルトの作品に対して「シューベルトは常に心の友であり、音楽の化身でした」と語っており、自身にとっても特別な演奏であることがうかがえます。
渾身の交響曲全曲の他に、収録されているのが、最初の4つのミサ曲から新たな音楽世界へと踏み込んだ後期ミサ曲。特に甘美な旋律を持った美しい第6 番は人気の高い傑作です。そしてあまり演奏される機会のないシューベルトのオペラから「アルフォンソとエストレッラ」。中世、スペイン北西部のレオン王国 を舞台にした愛と正義のドラマです。友人であるフランツ・フォン・ショーバーが台本を書き、大きな期待を持ってシューベルトも作曲に挑んだ作品でしたが、 シューベルトの生前には上演される機会はなく、リスト指揮ワイマール宮廷劇場で初演されたのが1854年、シューベルト死後26年が経過していました。ブッ クレットには初演時の貴重なチラシのコピーも収められています。アーノンクールは「このオペラは独特の性格を持っています。シューベルトの他の作品同様斬 新です。オペラの定石に全く従っていません。」と評しており、2時間半の演奏時間ですが、シューベルトの美しい歌が途切れることなく物語を進行させていき、 引き込まれていきます。また国内仕様盤には、充実の歌詞対訳が付いております。 (Ki)


Treasures
TRE-067(1CDR)
デルヴォー/チャイコフスキー:「悲愴」他
グリンカ:歌劇「皇帝に捧げた命 」序曲
チャイコフスキー:「エフゲニ・オネーギン」〜ワルツ
 スラブ行進曲
ボロディン:交響詩「中央アジアの草原にて」
チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」*
ピエール・デルヴォー(指)
アムステルダム・フィルハーモニック協会O
コロンヌO*

録音:1959年、1961年12月17日ライヴ*(全てステレオ)
※音源:米Audio Fodelity FCS-50025、DUCRETET-THOMSON SCC-504*
◎収録時間:77:40
“陰鬱さをリセットして壮絶な音のドラマとして描いた驚異の「悲愴!”
■製作メモ
小品は、Concert Hall音源。グリンカはGuildレーベルからCD化されましたが、モノラルのうえに、ノイズ消去過剰でした。ステレオ・バージョンのレコードは、フランス、日本などごく一部の国でしか発売されず、ましてや良質盤は入手困難。Audio Fidelityはプレスに粗さが目立つことが多いですが、このレコードは上々。Concert Hallならではの音ながら、かなり良好なバランスを保っています。一方「悲愴」は、数万円で取引される超貴重盤!ライヴ録音ですが拍手はなく、会場ノイズは殆ど聞かれません。この時期の録音としてはかなり高音質で、3楽章の大太鼓の衝撃まで確実に捉えているのは驚異的。

★とにかく「悲愴」があまりにも感動的!粋なダンディズムを誇るデルヴォーの芸風からして、ネチネチとした悲壮感とは無縁とは想像できても、ここまで既成のイメージと絶縁し、独自のペーソスを敷き詰めた「悲愴」が成立するとは思いも寄りませんでした。
まず最初に驚くのが、第1楽章の第1主題。こんな軽妙に弾む演奏が他にあるでしょうか?それが決して場違いではないことは、その後の展開を聴けば納得できるはず。展開部は、デルヴォーのドラマチックな音楽センスが全開。威圧的なねじ伏せではなく、どこか大らかな風情を湛えつつ、11:08から強弱の膨らみを与え、13:00からの弦のフレーズの切り方に渾身の思いを込めるなど、独特なニュアンスの自然な融合ぶりを目の当たりにすると、感動も倍増。難関の弱音のコーダも美しさの極み。第2楽章で、これほど濃密な表情が凝縮されているのも稀。第一、5拍子のリズムが少しの異質感をも伴わず自然に華やぐのも驚きですし、中間部でしんみりとテンポを落とすことなく敢然と進行する心意気にも打たれます。第3楽章は遅めのテンポを取りながらも間然とすることなく、壮麗な色彩が横溢。後半マーチの導入部のティンパニは、衝撃的な連打!そして圧巻が終楽章!聴きながら思わず絶叫しそうになるほど心にグサグサ刺さります。中間部主題に入る前のファゴットは、フランスのオケ特有の隈取の明確な音色が最大に効果を発揮。中間部移行のフレージングの熱さ、深さは筆舌に尽くし難く、4:13からの急転直下を経て、コーダに至るまでは、もはや指揮芸術の極北と言うしかない凄さ!ピエール・デルヴォー、やはり不世出の大指揮者でした。【湧々堂】

Treasures
TRE-068(1CDR)
若き日のマゼール/シューベルト&ブラームス
シューベルト:交響曲第2番
ブラームス:交響曲第3番*
ロリン・マゼール(指)BPO

録音:1962年3月、1959年1月* イエス・キリスト教会(共にステレオ)
※音源:独DGG SLPM-138790、独OPERA st-76845*
◎収録時間:61:46
“決して演出ではない、純粋な表現意欲の爆発!”
■製作メモ
ブラームスもDGG音源ですが、希少なOPERA盤を採用。本家DGG盤とは音のテイストが異なりますが、若きマゼールのアグレッシブな音作りを余すことなく再現していると思います。

★マゼールという指揮者は、「演出過剰」とか「頭が良すぎる」といったイメージが強過ぎ、巨匠としての円熟も広く認識されないまま亡くなってしまった感がどうしても拭えません。確かに、いわゆるスタンダードな演奏とはかけ離れていることが多く、頭脳が明晰だったことも事実でしょう。しかし、引出される音楽には止むに止まれぬ表現力が充満し、「嘘」がないということは、もっと認知されるべきではなかったでしょうか?特に、デビュー当時のマゼールは、知性よりも明らかに「やる気」が際立っており、この時代のこのスタイルが、生涯マゼールの芸の中核を成していたと思えてなりません。しかも、どんな曲でもやりたい放題ではないという、音楽センスの高さ!この2曲においても、それがはっきり表れています。
シューベルトの「第2番」は、先人のスタイルからまだ抜け出せていない習作とされますが、マゼールはその古典的なフォルムを最大の魅力と捉え、その上で声部間の対話にシューベルトらしい妙味を見出しており、もちろん鼻につく演出もありません。肝心なのは、それが自分を抑制するのではなく、そのスタイルこそが作品を輝かせる唯一の道だという強固な確信として迫ること。だからこそ、これだけ求心力の高い演奏が実現したのでしょう。
これがブラームスになると、打って変わって「一般的ではない」演奏を展開。この作品の穏健なだけではない多様性を続々と白日の下に晒します。第1楽章冒頭の、管楽器を突出させた搾り出すような情念にまずドッキリ。第2楽章6:52以降のフレージングは、深遠な憧れが究極の浸透力を持って流れ、涙を禁じえません。圧巻は終楽章。マゼール以前に、しかも天下のベルリン・フィル相手に、こんな推進力に富み、ドラマティックな演奏をした指揮者がいたでしょうか?
カラヤンのようなスタイリッシュで誇張のないアプローチが主流だっただけに、マゼールのような芸風が異端視されたのは当然だったかもしれませんが、21世紀以降は、王道名曲においてマゼールよりももっと独自色を打ち出した演奏が続々出現しているのは周知の事実です。今こそ予断を持たず、マゼールの向こう見ずな表現力を再認識していただければ幸いです。【湧々堂】

Treasures
TRE-069(2CDR)
スワロフスキー/「運命」&「田園」
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」
交響曲第6番ヘ長調Op.68「田園」
ハンス・スワロフスキー(指)
ウィーン国立歌劇場O

録音:1950年代中頃(Disc1=擬似ステレオ、Disc2=モノラル)
※音源:仏VEGA B400
◎収録時間:75:50
“作為を用いず作品の真価を着実に引き出すスワロフスキーの至芸!”
■製作メモ
このコンビによるベートーヴェンはオリジナルは当然モノラルで、ワールド・レコード・クラブ等からも発売されています。この2曲もその一部ですが、ここではあえてVEGAの擬似ステレオ盤を用いました。わずかに残響を加えた程度の非常に自然なサウンドで、擬似ステレオにありがちな違和感を殆ど感じません。
※モノラル変換ヴァージョンをボーナス・ディスク(ディスク2)としてお付けすることといたしました。お好みでお選び下さい。

★スワロフスキーの芸風の多様性については以前にも触れましたが、この2曲のアプローチも対照的といえます。
「運命」は、遅めのテンポで一貫した重厚路線。中低域をガッチリと固め、作品の構築性を前面に出した古色蒼然としたニュアンスが、強い説得力をで迫ります。第1楽章最後の締めくくり方など、変に深刻ぶらず実直そのものですが、見事に調和した響きに宿る熱い魂がズシンと腹に響き、第2楽章では清潔で淀みのないフレージングに、芸の深さを痛感するばかり。終楽章も慌てず騒がず、安定感抜群。何も意図していないようでいで、対旋律の絡みなど、細部への采配に一切抜かりなし。小手先のダイナミズムに囚わない、聴き手の心に着実に根付くベートーヴェン。こういう演奏を「スタイルが古い」として一蹴するのは、あまりにももったいないことです。
更に素晴らしいのが「田園」!まさに時代を問わず説得力を持ち続ける名演です。第1楽章は、一筆書きのようなサラッとした筆致が清々しいうえに、ウィーンのオケの甘美さも手伝って、どのフレーズにも春風のような優しい息吹を感じさせます。憧れのニュアンスが温かな幻想味を持って迫る第2楽章は白眉!最後のカッコウのフレーズも、これ以上あり得ない素朴さですが、それが涙を誘うのです。終楽章も、昨今よく耳にする骨と皮だけのような響きで決して得られない、味わいの連続。透明な響きを目指すあまり、6/8拍子のリズムの感じ方がいかにも足りない演奏がいかに多いか、そのリズムを表出できるセンスこそが「嵐の後の感謝」を表すのに不可欠であるか、この演奏で痛感する方も多いことでしょう。そしてコーダでの、弱音器付きホルンの巧さ!「田園」ファン必聴!!【湧々堂】




BERLINER PHIL.
KKC-8626
(12CD+Book)
限定盤
税込定価


ベルリン・フィル/IM TAKT DER ZEIT(時代のタクト)

(1)ワーグナー:「パルジファル」からの組曲
リスト:ハンガリー狂詩曲第1番*
ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」 *

(2)ブルックナー:交響曲第7番

(3)モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク
ウェーバー:「プレツィオーザ」序曲
シューベルト:交響曲第8番「未完成」
リスト:「タランテラ」
R.シュトラウス:「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯」
スッペ:「軽騎兵」序曲

(4)ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」
ラヴェル:「ダフニスとクロエ」第2組曲*
ベートーヴェン:交響曲第1番#

(5)ドビュッシー:「遊戯」
メンデルスゾーン:交響曲第4番「イタリア」*
ミヨー:フランス組曲#

(6)ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」

(7)チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」

(8)マーラー:交響曲第6番「悲劇的」

(9)ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番
  交響曲第7番イ長調

(10)モーツァルト:行進曲 ニ長調 K.249
 セレナード第7番「ハフナー」

(11)ハイドン:交響曲第82番「熊」
ショスタコーヴィチ:交響曲第15番*

(12)バッハ:管弦楽組曲第1番
ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲ニ短調 BWV.1060
管弦楽組曲第3番ニ長調
オーケストラは全てBPO
(1) アルフレート・ヘルツ(指)
 録音:1913年9月12,13,15,16日、ベルリン(モノラル)
アルトゥール・ニキシュ(指)*
 録音:1920年、ベルリン(モノラル)*
(2)ヤッシャ・ホーレンシュタイン(指)
 録音:1928年ベルリン(モノラル)
(3)エーリヒ・クライバー(指)
 録音:1930-35年ベルリン (モノラル)
(4)ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)
 録音:1943年6月30日ベルリン (モノラル/ライヴ)、1944年3月20-22日、ベルリン(モノラル/ライヴ)*、1954年9月19日、ベルリン(モノラル/ライヴ)#
(5)セルジウ・チェリビダッケ(指)
 録音:1948年3月20日ベルリン・フィルハーモニー(モノラル)、1950年1月20日ベルリン・フィルハーモニー(モノラル)*、1951年3月31日ベルリン・フィルハーモニー(モノラル)#
(6)ヘルベルト・フォン・カラヤン(指)
グンドゥラ・ヤノヴィッツ(S)、ジークリンデ・ヴァーグナー(C.A)、ルイジ・アルヴァ(T)、オットー・ヴィーナー(Br)、聖ヘドヴィヒ教会Cho、RIAS室内Cho
 録音:1963年10月15日ベルリン、フィルハーモニー(ステレオ/ライヴ)
(7)ダヴィッド・オイストラフ(指)
 録音:1972年3月16日ベルリン・フィルハーモニー(ステレオ/ライヴ)
(8)サイモン・ラトル(指)
 録音:1987年11月14,15日ベルリン・フィルハーモニー(ステレオ/ライヴ)
(9)ダニエル・バレンボイム(指、P)
 録音:1989年11月12日ベルリン・フィルハーモニー(デジタル/ライヴ)
(10)クラウディオ・アバド(指)
ライナー・クスマウル(Vn)
 録音:1996年12月13-15日ベルリン・フィルハーモニー(デジタル/ライヴ)
(11)クルト・ザンデルリング(指)
 録音:1997年1月9日ベルリン、フィルハーモニー(デジタル/ライヴ)、1999年3月16日ベルリン、フィルハーモニー(デジタル/ライヴ)*
(12)ニコラウス・アーノンクール(指)
トーマス・ツェートマイヤー(Vn)
アルブレヒト・マイヤー(Ob)
 録音:2002年10月5日ベルリン・フィルハーモニー(デジタル/ライヴ)

★豪華写真集(全80ページ)
★日本限定特典:ベルリン・フィル・オリジナル刻印付きアーティスト生写真〜フルトヴェングラー、カラヤン、アバド、ラトルのいずれかの指揮者の写真が付属します。(種類は選べません)
★商品サイズ:H410mm×W285mm×D16mm
2014年より正式にスタートしたベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の自主レーベル「ベルリン・フィル・レコーディングス」。現在は次期音楽監督の選 出でも大いに話題となっています。IM TAKT DER ZEIT(時代のタクト)と名付けられたこの商品は、数年前に単売されていたディスク12枚と、歴史ある ベルリン・フィルの伝統が詰まった資料および写真が掲載された豪華本がセットとなったもの。CDの内容は、既発ながらも現在は入手しにくい貴重な盤です。 1913年録音のヘルツの「パルジファル」(抜粋)。ベルリン・フィル2代目の常任指揮者のニキシュの1920年の録音。1954年のフルトヴェングラーとベル リン・フィル最後の演奏会のベートーヴェン。1972年収録のオイストラフ指揮によるチャイコフスキーの「悲愴」。ラトルとベルリン・フィル初顔合わせとなっ た1987年のマーラー第6番。1996年収録のアバド指揮のモーツァルト「ハフナー・セレナーデ」。2002年収録アーノンクール指揮のバッハなど、ベルリン・ フィルの歴史を彩った13人の指揮者たちの貴重な演奏は必聴です。
豪華写真集は、最初に1882年の10月17日のベルリン・フィル初舞台時のプログラムが掲載され、創立以来133年間オーケストラの最高峰に君臨する ベルリン・フィルの栄光を堪能することができます。本にはシリアルナンバーが添付され、創立年である1882冊を発行しています。 また日本限定特典として、ベルリン・フィルを代表する偉大なる指揮者.フルトヴェングラー、カラヤン、アバド、ラトルの写真がプロクオリティの生写真で 付属します。さらに写真にはベルリン・フィル公認の刻印スタンプがついた限定仕様となっています。 (Ki)

シューリヒト
Treasures
TRE-059(1CDR)
シューリヒト〜モーツァルトの「ハフナー」
モーツァルト:交響曲第35番「ハフナー」
セレナード第7番ニ長調 K.250「ハフナー」*
カール・シューリヒト(指)
VPO、シュトゥットガルトRSO*

録音:1956年6月3-6日、1962年12月* (全てモノラル)
※音源:KING RECORD LC-4、MOVIMENT MUSICA 01-067*
◎※収録時間:72:19
“神の領域!これこそがシューリヒトの究極の二大名演!”
■製作メモ
やっと様々な条件が整って実現した、夢のカップリング!1950年代ステレオ初期DECCAのウィーン・フィルの録音は、小さい箱の中に押し込んだような奇妙な音なのが玉に瑕ですが、良質なモノラル盤で再生すれば、その違和感を回避でき、頭の中で「現実的な音」を想像する余計な作業をすることなくこの普及の名演の凄さを更に実感していただけるはずです。当時の日本のKINGプレス盤の素晴らしさにもご注目を。「セレナード」はなかなか正規CD化されませんが、これがまたどんなに言葉を尽くしても足りないほどの至高の名演!

★ウィーン・フィルとの「ハフナー交響曲」はあまりにも有名な名演ですが、このモノラル盤を聴いて、祝典的な雰囲気とは一線を画す慈愛と深遠さが入り混じったニュアンスがいかに凄いことであるか、痛感しました。第1楽章冒頭の憂いを含んだ滑り出しもそうですが、第2楽章0:37からの付点音符のリズムの育み方など、シューリヒト以外には実現不可能と思われ、ただもう言葉を失うばかり。極めて高純度でありながら人間的な温もりを常に携えた究極のモーツァルトと言えましょう。
私がまだモーツァルトの何がどのように天才なのか理解できなかった頃、一枚のレコードから流れたモーツァルトの音楽に思わず釘付けになりました。その時の演奏こそが、シューリヒトの「ハフナー・セレナード」。そんな個人的な思い入れを差し引いても、この作品の別格の名演であり、数あるシューリヒトの名演に垣間見られる神業的なニュアンスは、全てこの演奏に集約されていると言っても過言ではありません。最初の序奏部での清潔な佇まいから一転、微妙に先走り気味に開始する主部の求心力!これはもう「オケの自発性」という範疇を超えた不思議な化学反応としか思えず、その後の推進性にも操作性を感じさせない自然さが、音楽の豊かさを続々と現出させるのです。他の楽章も魅力的過ぎて全てを書ききれませんが、あえて特筆したいのが第5楽章。ゆったりとしたテンポにも淀みはなく、微かに悲哀を湛えているのがなんとも心に染みますが、このニュアンスは続く短調の中間部への布石であることに気付かされます。そしてその中間部の悲哀は、もはや説明不可能!これ以上に胸を優しく突き刺す演奏など考えらず、この演奏を知ってからもう何年の経った今でも涙が出ます。次の第6楽章もそうですが、ここにはモーツァルトの全てがあると言い切れます。
この長丁場の作品において、どこにもその自然な緊張感が停滞する瞬間がないというのも奇跡的なこと。放送用音源で、音質も極めて良好。なお、ヴァイオリン・ソロは、バルヒェットが弾いているという説も。
最後にあえて断言します。この2つの録音は、シューリヒトが遺した最大の名演です!【湧々堂】


Treasures
TRT-005(1CDR)
グリューナー=ヘッゲ/グリーグ&チャイコフスキー
グリーグ:「ペール・ギュント」第1組曲Op.46
 「ペール・ギュント」第2組曲Op.55
チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調Op.64*
オッド・グリューナー=ヘッゲ(指)
オスロPO

録音:1959年、1958年6月*(全てステレオ)
※音源:RCA CCV-5019(UK)、Camden SND-5002(UK)
◎※収録時間:78:28
“静かな闘志と確信がセンチメンタルなチャイコフスキーを払拭!”
■製作メモ
幼き日にグリーグに音楽的な才能を認められた、グリューナー=ヘッゲの名演。チャイコフスキーは、ReDiscoveryといレーベルからCDRが発売されていましたが、過剰なノイズ除去のため、無残な音に変質していました。ジャケ写は、米Camden盤を採用。

★グリューナー=ヘッゲ(1899-1973)はノルウェーの名指揮者。ワインガルトナーに師事し、1928年に指揮者としてデビュー。生涯を通じてノルウェーに本拠を置いていたので世界的な認知度は低いですが、幸いにもRCA(Camden)の録音で、静かな確信が宿るその音楽性を知ることができます。
グリーグは、指揮者もオケも正真正銘の本場物。しかし演奏にはその意地を誇示するような大げさな表情は一切なく、ひたむきに丁寧に音楽を紡ぎだしているところに、かえって強い自信が窺われます。特に、「オーゼの死」や「ソルヴェーグの歌」のような静かな曲での慈しみは比類なし。同曲の最も信頼の置ける歴史的名演と言えましょう。
一方のチャイコフスキーは、打って変わってかなり大胆。終楽章で短縮版を採用している点も大きな特徴ですが、まず第一に印象的なのが、オケの響き。北欧のオケにはドイツ系の指揮者の客演が多かったせいか、ここでのオスロ・フィルの響きも、いかにも北欧的な透明さよりも、かつての北ドイ放送響のような渋みを感じさせます。それがプラスに作用し、第1楽章序奏は、腰の座った低弦の響きを基調とした鬱蒼としたニュアンスが心を捉えます。主部以降は、繊細さを装うことのない男性的な推進力が見事!スコアに書かれた極端なまでのテンポ指示もセンス良く中和し、その勢いを決然と貫徹。第2楽章のホルン・ソロは、ピカピカの一流品ではないものの、音楽の感じ方はまさに一級。弦が歌う主題(3:58)も、綺麗事の弱々しい音など皆無。第3楽章も、優美さよりも野武士的な雰囲気が濃厚です。終楽章は、主部を低速で開始して次第に加速する点や、展開部でメンゲルベルクと同様のカットを行うあたりに古いスタイルの片鱗が見られますが、押し付けがましくないので、その勢いに自然に惹き込まれてしまいます。ケンペンのような男らしいチャイコフスキーをお好みの方は、必聴です!【湧々堂】


Treasures
TRE-053(1CDR)
ヨッフム/ハイドン&シューベルト
ハイドン:交響曲第98番変ロ長調 Hob.I:98
シューベルト:交響曲第9番「グレート」*
オイゲン・ヨッフム(指)
BPO、バイエルンRSO*

録音:1962年5月、1958年2月*(共にステレオ)
※音源:独DG SLPM-138823、英HELIODOR 89511*
◎※収録時間:77:33
“2人の作曲家の人間的な佇まいを生かした名解釈!”
■製作メモ
ヨッフムにとって、ハイドンの「98番」は3回も録音したほどの十八番作品。これはその最初の録音。使用したチューリップ盤の音の良さは言うまでもありませんが、驚いたのは、シューベルトで使用したHELIODOR盤の素晴らしい音!OriginalsシリーズのCDでは名演であることは分かりつつも、何か決定打に欠ける気がしていましたが、この盤を聴いて、その魅力に心底感服しました。とかくHELIODORというだけで軽視されがちですが、1960年代、厚みと硬度を維持していた頃の音の豊かさをご実感下さい。使用したジャケ写デザインは、SLPM盤。

★ヨッフムは、作品によってはロマンティックな情緒を前面に出した、フルトヴェングラーに似たスタイルをとる場合もありますが、ハイドンにおいては、ここでの第1楽章序奏の短調のニュアンスが過度に物々しく響くことを避け、主部で自然体の推進力を見せているように、無駄を排した洗練されたアプローチを旨としていたようです。第2楽章での、チェンバロと絶妙にブレンドされた典雅な響きも魅力。
それに対し、シューベルトは一時代前のスタイルに近く、シューベルトの純朴さと情緒を大切にしたアプローチ。第1楽章の序奏を「軽快なアンダンテ」で奏するのが昨今の流行りですが、こういうゆったりとしたテンポでないと、幸せを噛みしめられないことを実感。このテンポが主流だった頃には、それが野暮ったい印象しか残さない演奏もありましたが、ヨッフムの飾らない一途な共感の下では、音楽が真に息づくのです。
第2楽章、副部主題から主部主題に戻る直前(5:53〜)の弱音は、なんという温かさでしょう!終楽章は、かつてのドイツ風の響きと無骨な造形をベースとしながら、ガチガチに設計し過ぎず、テンポもスピード感だけを際立たせない、そのさじ加減が絶妙。ティンパニ追加や、かなり露骨に管楽器で旋律を補強する処理も、あざとさ皆無。そうせずには居られない気持ちが痛いほど伝わり、その嘘のない共感が音楽を根底から躍動さる原動力となっているかのよう。「学術的考察を反映」させただけの演奏では、こういう説得力は生まれないでしょう。【湧々堂】


Treasures
TRE-051(1CDR)
カンテルリのステレオ名盤集Vol.1
モーツァルト:音楽の冗談K.522
 交響曲第29番イ長調 K.201
ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調*
グィド・カンテルリ(指)
フィルハーモニアO

録音:1955年8月18日 、1956年6月2日*、1956年5月29-31日 (全てステレオ)
※音源:TRIANON 2C027-03748(FR)、2C027-01214(FR)*
◎※収録時間:75:41
“作品の力を信じるカンテルリの才能と勇気!”
■製作メモ
モーツァルトは、これがステレオ初出盤。ベートーヴェンも音の質感を統一させるため、同じ仏盤を採用しましたが、初出のASD同様1曲だけで両面たっぷり使用しているので、CDのくぐもったような音とは違う伸びやかなサウンドが体感できます。

★カンテルリの数少ないステレオは、その希少性のみならず、音楽的価値が極めて高いことは言うまでもありませんが、特にこのモーツァルトとベートーヴェンは、カンテルリの比類なき才能を示す最大の遺産だと思います。
交響曲第29番は、この曲の多くの録音の中でも傑出した素晴らしさ!解釈の痕跡を感じさせず、作品自体に語らせることに成功した例がいくつあるでしょうか?「音楽の冗談」も、小細工をしないという点ではミュンヒンガーなどの路線に近いとも言えますが、あまりにも厳格なその演奏とは異なり、カンテルリの棒にかかると、自発的に音楽がほくそ笑んでいるのが判ります。そこへ、デニス・ブレインをはじめとする名手達のアンサンブルの妙味が加味されるのですから、たまりません!
ベートーヴェンも、常に音楽の進行は素直で自然体。ヴァイオリンの両翼配置による対話効果も含め、説明調に陥らず、ベートーヴェンはかくあらねばという無理強いもないので、モーツァルトと同様に、作品の素の素晴らしさを痛切に感じさせるのです。終楽章は、まさにカンテルリの音楽への姿勢を如実に刻印。熱狂を誇示せず、かと言って自分を偽って表現を抑制するのでもなく、音楽の息遣いを確実に届けてくれるのです。「作品の力を信じる」のも才能であること、多くの演奏家が口にする「作曲家の意思を尊重」という常套句を真に実践した姿を思い知らせれます。【湧々堂】


Treasures
TRT-004(1CDR)
ハイドン:交響曲第100番「軍隊」
チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調Op.64*
フェレンツ・フリッチャイ(指)
ベルリンRIAS響、ベルリンRSO*

録音:1954年5月4日、1957年1月24日ライヴ*
※音源:伊LONGANESI PERIODICI GCL-70、GCL-38*
◎※収録時間:66:19
“安定感も燃焼度も申し分なし!フィリッチャイの比類なきロマンチシズム!”
■製作メモ
ハイドンは放送音源。チャイコフスキーはAuditeのCDでも演奏のテンションの高さは伝わりますが、唯一気になるのが、ホットな演奏にもかかわらず、音自体に熱量があまり感じられないこと。マスタリングに際し、高域を少し持ち上げて明瞭に聞こえるように調整したせいかもしれません。この復刻では、そのような齟齬は感じず、迫真の表現が更にダイレクトに突き刺さります!

★フリッチャイ特有の妥協なき共感の注入ぶりは終始凄まじいばかりで、命がいくつあっても足りないと思えるほど燃焼の限りを尽くした凄演です。テンポ設定等の基本構成はベルリン・フィルとのスタジオ録音から大きく変化はしておらず、映像にも残っているようにここでも緻密にリハーサル行なったことを十分に伺わせますが、フリッチャイの演奏は、演奏しているまさにその瞬間におけるオケとの精神的な一体感、高揚感の共有の微妙な差が、本番の演奏の密度もダイレクトに反映されやすい、危険を孕んだスタイルであったとも言えるでしょう。第1楽章はストックホルム盤が終始音楽が激高しているのに対し、こちらでは各シーンの表情のメリハリがより強調され、特に提示部と再現部の暗い翳リの表情と、展開部のイン・テンポで一貫した決然とした推進力のコントラストは見事。第2楽章は命を擦り減らすカンタービレの応酬。第3楽章でも決して気を抜かず、最後の最後まで綿密な設計と情感の融合を実現。終楽章は明らかにストックホルム盤を上回る素晴らしさで、阿吽の呼吸でオケが反応しなければ実現不可能。まさに体で感じきり、アンサンブルの点でも高次元に昇華された演奏が繰り広げられます。最後のプレスト以降のテンポの速さは凄まじく、しかも音楽としての重みを損なうことなく熱い塊として決死の勢いで迫り来る様は圧巻。フリッチャイのチャイコフスキーとしては、ORFEO盤の「悲愴」と共にお勧めしたい録音です。【湧々堂】 さらなる詳細コメントはこちら。

DACAPO
MAR-6.220625(1SACD)
ニールセン:交響曲第5番Op.50
交響曲第6番「素朴な交響曲」
アラン・ギルバート(指)NYO

録音:2014年10月1-3日ニューヨーク,リンカーン・センター,エイヴリー・フィッシャー・ホール
アラン・ギルバートとニューヨーク・フィルによるニルセン(1865-1931)の交響曲シリーズのクライマックスは、第5番と第6番の2曲です。通常の交響曲の形式からは逸脱した感のある「第5番」は、戦争の影を色濃く捉えた重苦しい雰囲気を持ち(しかし、本人は影響を意識していなかったと語っています)、とりわけ、曲の途中に現れるスネアドラムの響きはかなり印象的であり、ニルセンが唯一標題を与えなかったこの作品の意味を考えてみたいものです。かたや第6番は「SinfoniaSemplice」と副題が与えられており、形式も古典的な4楽章を持つ「新古典主義」的な作品です。この曲でも打楽器の活躍が目覚しく、ニルセンの作曲技法の頂点をなすものとして評価されています。このような色彩的な作品でのギルバートの指揮は、まさに水を得た魚。


Treasures
TRT-003(1CDR)
チャイコフスキー:フランチェスカ・ダ・リミニ
交響曲第5番ホ短調Op.64*
コンスタンティン・イワーノフ(指)
ソビエト国立SO

録音:1955年、1956年*(共にモノラル)
※音源:Melodiya C-1024221-009、独TELEFUNKEN LT-6624*
◎※収録時間:69:23
ローカル色に安住せず、入念にニュアンスを注入したイワーノフの知られざる力量!”
■製作メモ
第5交響曲は、既にVISTA VERAレーベルからCD化されていますが、全休止が完全無音状態になるなどノイズ・リダクションが強過ぎ、弱音の音量を意図的に上げたような編集も気になり、これを聴いた際のレヴューでは結果的に「どこか焦点が定まらない演奏」という判断をせざるを得ませんでした。ところが、改めてレコードで聴き直したら、思いも寄らなかったニュアンスが続出!特に、古い音源を使ったCDは全面的には信用出来ないよいうことをまたしても思い知った次第です。

「フランチェスカ・ダ・リミニ」は、イワーノフならではの豪快な音楽作りの典型。細部へのこだわりを感じさせない推進力とダイナミズムを信条としながらも、よく聴くと各楽想の扱い方に明確な主張が隠されており、単に勢いに任せた演奏ではないことが分かります。序奏部から入魂の限りを尽くし、主部以降は血で血を洗うような壮絶なドラマを展開。そして、中間部冒頭クラリネット・ソロの完全孤独の空気との対比!ソ連勢のこの曲の演奏としては、ムラヴィンスキー、ロジェストヴェンスキーの各レニングラード・フィル盤と共に無視できない名演です。
それが交響曲では、豪放なイワーノフのイメージとは、ちょっと様相が異なります。まず特徴的なのが、まるでドイツ系の指揮者のように構成を見据えた正攻法であること。その上で、第1楽章序奏に象徴されるように、行き場のない孤独感を表出し、ダイナミズム放射を抑え、「内向的なチャイコフスキー」に比重をおいたアプローチを行っているのです。極端なコントラストも持ち込まず、ド迫力で圧倒する瞬間も少ないですが、ただ渋いだけの演奏だと思ったら大間違い!第1楽章だけでも、イワーノフが慣習的なロシアン・スタイルから一旦離れて、スコアを丁寧に読み込んでいることが窺えます。第2主題の直前(4:31〜)では、管楽器を抑えて弦の響きをキリッと立たせたり、第2主題冒頭のスフォルツァンドは、これほど求心力を持った例は稀。副次主題が現れる直前(5:44〜)の木管の音型は、わずかにディミニュエンドして弦との橋渡しが実に流麗。大詰め495小節から一瞬ピアニッシモにしてからのクレッシェンドする見事さ等々、パワーで押し切ることを第一に考えていては成し得ない技ばかりでう、全てに細やかな共感が息づいています。そのよう繊細な配慮を持ちながらも、音楽自体は十分に大きく輝かしく聳えているところが、また魅力です。第2楽章のホルン・ソロも、屈指の名演奏で、まさに風格美で魅了。
これは、ロシア的な臭みが苦手という方にも、その臭みこそ命と信じる方にも、両方に訴え掛ける力を持つ名演奏と言えましょう。オケがもしもバイエルン放送響あたりだったら、更に普遍的な価値を誇る存在になったことでしょう。【湧々堂】

Treasures
TRE-043(1CDR)
クレンペラー〜シューベルト:交響曲集
交響曲第8番「未完成」
交響曲第9番「グレート」*
オットー・クレンペラー(指)
フィルハーモニアO

録音:1963年2月4日-6日、1960年11月16-19日* キングスウェイ・ホール、ロンドン(共にステレオ)
※音源:EMI 29-04604、29-04261*
◎※収録時間:77:25
“自ら歌うことは拒絶し、聴き手の中のシューベルトを覚醒!”
■製作メモ
ここでメジャーな名盤をあえて登場させたのは、DMMマスタリング盤の音があまりに素晴らしいからです。DMM(ダイレクト・メタル・マスタリング)はテルデックが開発したシステム。初期盤マニアにはそっぽを向かれる盤ですが、マスターテープの音を歪めることなく、ストレートに原盤に反映させることに成功しており、英COLUMBIAのBLUE SILVERよりもずっと自然で伸びやかに感じます。音の輪郭もぼやけずに引き締まっており、マスターの本来の音はこうだったに違いないと確信させます。

★クレンペラー晩年のフィルハーモニア管との録音の中で、シューベルトはベートーヴェンやブラームスほど高く評価はされていないような気がしますが、私見では、「第5番」を含めた3曲のシューベルト録音は、シューベルト解釈の一つの規範として絶対に見逃せないものだと思います。
まず強調したいのは、「未完成」の異彩の放ち方!この時期のクレンペラーは既に晩年のあの低速モードに突入していましたが、この第1楽章はテンポが速いことに驚かされ、そこには、安易に歌に酔いしれることを自他共に許さないという意志が露骨なまでに投影されています。第2主題の前でも一切テンポを落とさない頑固さ!第2主題でもごくわずかしかテンポを落とさず、終結では穏やかに鎮静するどころか、一瞬テンポを畳み掛けるという気骨に接すると、甘美に流れがちなこの曲の演奏スタイルへの強烈なアンチテーゼを感じずにはいられません。第2楽章がこれまた一音も聴き逃せません!単なる静謐美ではない、数々の苦難を乗り切った男にしか成し得ない精神的な強さが敷き詰められており、だからこそ、コーダでこの上なく高潔に浄化された音像が実現しているのです!
「グレート」も安易に歌に酔いしれないことでは共通していますが、厳しさの向かう方向が異なります。こちらは、いかにもクレンペラーの晩年らしい風格美が溢れ、素朴さも確保しながら、シューベルトならではの「歌」の味をじっくり表出。特に心打つのが第2楽章。よく指摘される「木管の強調」がここでは絶妙なバランスでブレンドされ、中間部の哀愁にも感涙。第3楽章中間部の弦のピチカートの意味深さは比類なく、チェロのパートを1オクターブ高く演奏させる独自解釈も印象的ですが、肝心なことは、そういう独自性によってシューベルトの存在を背後に追いやっていないこと!【湧々堂】

Treasures
TRE-042(1CDR)
ホーレンシュタイン〜ベートーヴェン:「英雄」他
ベートーヴェン:「エグモント」序曲
「プロメテウスの創造物」序曲
交響曲第3番変ホ長調「英雄」*
ヤッシャ・ホーレンシュタイン(指)
ウィーン・プロ・ムジカO

録音:1953年
※音源:仏VOV PL-8020、独Opera 1015*
◎※収録時間:68:06
“異常暴発!苦悶を発散できないホーレンシュタインだからこそ成し得た凄演!”
■製作メモ
ホーレンシュタインのVOX録音は、モノラル・ステレオを問わず出来不出来のムラが大きいと感じるのは、録音方式の不安定さに原因があるのかもしれません。このベートーヴェンは、そんな中でも演奏内容、音質の安定感共にトップクラス。「英雄」は、史上最も優美なバウアー=トイスル盤を既に復刻しましたが、このホーレンシュタインのモノラル盤(ステレオ再録音は別人のように平凡な演奏)は、その対極に位置する凄演。かつて正規にCD化されたものはノイズ皆無ながら、音の切れ味ばかりが印象に残り、メラメラと噴き出す情念は綺麗に削ぎ落とされていました。米.英.仏ではVOX-8070で発売されましたが、ここではそれと同等の音質で、歪が少ないOpera盤を採用しました。ジャケは仏盤。

こんな異様なテンションで貫かれた「英雄」は、他にありません!第1楽章冒頭の和音の威力は古今を通じて比類なく、ミュンシュやバーンスタインのようなストレートに情熱をぶつけたものではい、怒りを封じ込めすぎて異常暴発したような怖さ、不健康さ!ホーレンシュタイン特有の「屈折した暗さ」がブチ切れた瞬間と言えましょう。音楽自体の構えも尋常ならざる巨大さですが、その底辺には健全で強靭な精神とは異なるやるせなさが常に付きまとい、単にティンパニ強打だけの効果ではないことは明らかです。こんな非情なまでの音がウィーンのオケから出てくるのも驚きですが、第2主題のふとした瞬間などにウィーンらしい柔らかいニュアンスが顔を覗かせるのも興味深いところです。その異様なテンションは、第1楽章再現部に至って更に激化し、超強固な造形美で聴き手を打ちのめします。第2楽章では、怒りと不安がマックスに!4:38からの木管の身を裂くような絶叫といい、8:17からのトリオ主題が地獄絵図のように増大する様といい、なぜこれだけの演奏が一般に評価されないのか、全く理解に苦しみます。
この演奏をきっかけに、ホーレンシュタインの魅力に目覚める人が増えることを願って止みません。【湧々堂】

Treasures
TRE-036(1CDR)
ウォーレンステイン〜シューベルト他
ベルリオーズ:「ファウストの劫罰」〜ラコッツィ行進曲/鬼火のメヌエット/妖精の踊り
スメタナ:交響詩「モルダウ」
シューベルト:交響曲第5番*
 交響曲第4番ハ短調*
アルフレッド・ウォーレンステイン(指)
ロスアンジェルスPO

録音:1953年頃、1950年代中頃*(全てモノラル)
※音源:英Brunswick AXTL-1063、AXTL-1059*
◎※収録時間:78:47
“シューベルトを堂々たるシンフォニストに引き上げた画期的名演!”
■製作メモ
ベルリオーズの曲順は、レコード収録のまま。特にシューベルトの良質盤は入手困難ですが、奇跡的にノイズカットを最少に止めるだけで良好な結果が得られる盤に出会えました。

★シューベルトの交響曲は、豪快すぎたり、構成をガチガチに固めすぎると音楽が死んでしまうと思い続けてきましたが、そうとも言い切れないということをこの演奏は教えてくれました。響きは厚く、テンポにも表情にも確信が漲るウォーレンステインのアプローチは、それだけなら単に大味なものになっていたことでしょう。肝心なのは、そこに常に歌が寄り添っていること。それも尋常ではない渾身の歌!そこにフレージングの美しさも相まって引き出される楽想の華やぎ方は、他に類を見ません。
「第5番」第1楽章、第1主題直後のバスの張り出し方にまずギョッとしますが、それが大げさに陥らず、「さあ行くぞ!」という推進力を生み、1:26からの弦のテヌート処理は、胸焦がすシューベルトの心理を映すかのよう。第2楽章も希望に満ち溢れ、フレーズ全体が大きな弧を描く演奏を聴いたことがありません。終楽章は相当速いテンポですが、重心が安定しきっているので、空虚に流ることなど皆無。穏やかでほのぼのとしたイメージのこの作品に、ズバッと風穴を開けた画期的名演です。
よりシンフォニックな「第4番」は、そんなウォーレンステインの音作りに更にピタリと嵌ることは容易に予想できましたが、ここまで凄いとは!まず第1楽章が猛烈な速さ!確かに楽譜の指示は「アレグロ・ヴィヴァーチェ」。しかしそれを身を持って体現した演奏が他にあったでしょうか?しかも「一気呵成」と「歌」が同居し得るとは思いも寄らぬことです。第2楽章は、なぜか涙を誘います。悲しい要素など殆どないのに、聴き手の心を心底から勇気づけるような空気感は、何物にも代えがたい魅力。相変わらず世間には「癒やし」や「慰め」を謳ったCDが横行していますが、この10分間に優るものなどあるのでしょうか?【湧々堂】

Treasures
TRE-038(1CDR)
フランツ・アンドレのベートーヴェン
ベートーヴェン:交響曲第4番
交響曲第7番*
フランツ・アンドレ(指)
ベルギー国立RSO

録音:1953年10月2日、1952年10月3日*
※音源:日KING RECORD MPT-45、英Telefunken GMA-7
◎※収録時間:64:11
“小品集だけではわからない、フランツ・アンドレの度量の広い芸術力!”
■製作メモ
Telefunkenでは、カイルベルトがドイツ系の作品を担当していた一方で、アンドレは主にロシア、フランス系の作品を担当。日本では、小品ばかりを録音した人だと思われがちですが、それは、小品集しか日本で発売されなかったからではありません。現にこうして、演奏も音質も見事な10インチ盤(当時1000円)が発売されているのですから、不当に軽視されただけなのです。英Telefunken盤も、やっと発見できた良質な逸品です。ジャケ写には、Telefuken Radiola LSK-7023を使用。

★フランツ・アンドレ(1893- 1975)は、ベルギーが生んだ真の名指揮者。よく知られる小品の類いでも、そのハイセンスな芸術性は確認できますが、このベートーヴェンでは、自然な造形力と音楽を大きな愛で包み込む度量の広さを実感。特に「第4番」の素晴らしさは、比類なし!かつては「3番と5番挟まれた柔和な作品」とされましたが、アンドレにはそんなことは眼中に無なく、作品を大きく捉えることで、愛の衝動をストレートに音化し尽くします。まず、第1楽章の序奏の響きから衝撃的!神妙になりすぎて音楽を萎縮することなどありえない、なんどハリのある音!この物怖じしない懐の深さ、大きさが全編に貫ぬかれる様は、ビーチャムを彷彿とさせます。第2楽章も同様で、弱音で繊細さを装う素振りさえ見せません。第3楽章のトリオ直前できちんとフルト・パウゼを挟み、場面転換をキリッと際立たせる配慮も、アンドレの芸術力の表れ。そして圧巻の終楽章!後にムラヴィンスキーやC・クライバーなど、高速の名演は数々あれど、その速さそのものから多彩なニュアンスが沸き立つ演奏は、聴いたことがありません。それを可能にしているのは、オケの尋常ではない技量の高さ。特に弦楽器群の素晴らしさには唖然とさせられ、この16分音符の細かい音型を刃こぼれすることなく弾き通しているのは驚異的。また、そうでなければ表情が浮かび上がらないことを痛感。
一方の「第7番」も生命力溢れる演奏ではありますが、さらに作品の造形表出に重点を置く解釈で、そこには、リズムの熱狂を強調しすぎると音楽に内在する楽しさが死んでしまうという確信が宿っているかのよう。音楽を生かすのに最適なアプローチを直感的に見極める能力は、それこそ小品を指揮する際には欠かせないセンスですが、それがここでも十二分に発揮され、独特の説得力を生んでいるのです。【湧々堂】

MN Records
MNRCD-136(1CD)
マイケル・ナイマン:交響曲第11番「ヒルズボロ・メモリアル」 キャスリン・ラッジ(Ms)
リヴァプール・フィルハーモニック・ユースCho
ヨセフ・ヴァンサン(指)
ロイヤル・リヴァプールPO

録音:2014 年
マイケル・ナイマンの新譜は新作交響曲第11番「ヒルズボロ・メモリアル」。ヒルズボロとはいわゆる1989年の「ヒルズボロの悲劇」、座席(立見席) の収容能力を上回る群衆がサッカーの試合に押し寄せ、96名の死者が出たイギリスのスポーツ史上最悪の事故のことをさします。
もともと、交響曲第11番は、1985年3月に委嘱を受けて着手されたもの。演奏予定会場を下見したナイマンは、その長い残響時間に驚き、音楽 のスタイルをゆっくりとした進行にしました。作曲中の1985年5月29日、ベルギーのヘイゼル・スタジアムでおこなわれたサッカーのチャンピオンズ カップでのサポーター同士の衝突で、イギリス側のサポーター41名が亡くなるという事故が起きました。この11番は、ヘイゼル・スタジアムでの事故 へのメモリアルということで一度だけ追悼演奏されました。その後1989年に起きたヒルズボロの悲劇を受け、ナイマンは、交響曲第11番に手を加え、 1996年に同曲を演奏。そして、2014年、ヒルズボロの悲劇からちょうど25年たった年に、「交響曲第11番「ヒルズボロ・メモリアル」」としてリヴァ プールで初演されたものがここに収録された作品。歌劇「ゴヤを見つめて」からの転用などを組み込みつつ、96という数字を意識した作品に仕上げられ ています。 (Ki)

Ai Qualia
NKB-105(1SACD)
SACD 4.0 Surround
※SACD Hybridのみのアルバム

NKB-405
(1SACD+DVD-ROM)
「運命」と「こうもり」序曲
●DISC 1 (SACD/CD Hybrid Disc, CD STEREO / SACD STEREO / SACD 4.0 Surround)
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」
J・シュトラウス:「こうもり」序曲
 ワルツ「芸術家の生涯」

●DISC 2 (DVD-ROM Disc)
《FLAC data (24bit/192kHz STEREO》
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」
J・シュトラウス:「こうもり」序曲
 ワルツ「芸術家の生涯」
《DSF data (1bit/5.6MHz STEREO) [ワンポイントマイクによる収録》
J・シュトラウス:喜歌劇「こうもり」序曲
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」〜第4楽章
北村憲昭(指)スロバキアPO

録音:2013年2月16-17日/スロバキア・フィルハーモニーホール(ブラチスラヴァ)
北村憲昭指揮によるオーケストラ作品の録音事業を進めているNKB/HR レーベルでは、スロバキア・フィルとのコンビによるベートーヴェンの交響曲録 音を着々と進行しており、今回は第5 番ハ短調「運命」をリリースいたします!これまでのリリースではいずれもDSD(1bit)技術により録音された精細な 音源をSACD ハイブリッド・ディスクとデータ・ディスクで提供、PC オーディオファンならば興味を惹かれずにはいられない魅力的な内容となっています。 このメディアの組み合わせによる世界初のアルバムとなったHR レーベル第一弾(NKB 401)は音楽ファン、オーディオファンの大きな話題となりました。 当ディスクも円熟の演奏と、音楽の表情際立つ音響で聴く人を魅了します。 (Ki)
■北村憲昭(指揮者)
1949 年12 月12 日神戸に生まれる。父はアマチュアコーラスの指揮者、父方の伯父は1988 年に亡くなるまでニューヨークで指揮を、母方の伯父も やはり大阪音楽大学の指揮科の名誉教授という一家の中で育った。12 才よりフルートを習いはじめ、京都市立芸術大学に入学、吉田雅夫、伊藤公一各 師に師事。大学卒業後指揮を日本の指揮者の第一人者故山田一雄氏に師事し指揮法を学ぶ。その後師のアシスタントを務めながら日本では数少ないオペ ラの経験を朝比奈隆氏のもとで積み、関西歌劇団指揮者として数多くのオペラのレパートリーを身に付けた。1981 年ストラヴィンスキーの「エディプス王」 を指揮し、デビューを果たし、その指揮と演出で絶賛を博す。1991 年桂三枝氏の演出によるモーツァルトの「魔笛」の公演で「斬新な演出にも劣らぬ 伝統的かつ格調高い指揮であった。」と高く評された。1994 年チェコのオロモウツで開かれた国立モラビアフィルハーモニーオーケストラ主催のインター ナショナルマスタークラス フォーコンダクターズに於いて、シューマンの「交響曲第4 番ニ短調」の演奏に、最高の解釈であったとの特別表彰を受け、そ の栄誉として当オーケストラとシューマン交響曲第1 番と第4 番の録音を行う。2010 年スロバキア・フィルハーモニーとベートーヴェン交響曲第6 番「田 園」他を録音。同年11 月にベートーヴェンの交響曲第7 番他を録音しいずれも好評を博している。

BELVEDERE
BELVED-10152(2CD)
カラヤン&ハスキル/モーツァルト作品集
交響曲第39番 変ホ長調 K543
ピアノ協奏曲 ニ短調 KV 466
ディヴェルティメント第15番 変ロ長調「ロードロン・セレナードII」 KV 287[抜粋]
ヘルベルト・フォン・カラヤン(指)
フィルハーモニアO
クララ・ハスキル(P)

録音:1956年1月28日/モーツァルト週間音楽祭(モノラル・ライヴ)/ザルツブルク・モーツァルテウム音楽院大ホール
1956年1月27日、モーツァルト生誕200年を記念して幕をあけた第1回モーツァルト週間の音楽祭。そのオープニング翌日に行われた注目の演 奏会の記録。音楽の一大イベント、モーツァルト週間は、1955年5月15日に、戦争などによる分割占領の時代をへて、再び独立した国家としてなっ たオーストリアの存在感を世界にアピールするためにも非常に力の入ったイベントとなりました。その中でも注目されたのが、ここに収録されている、モー ツァルトの誕生日の翌1月28日に行われたコンサートの一夜。カラヤン、ハスキル、そしてフィルハーモニア管を招いての演奏会でした。ザルツブル ク出身の指揮者カラヤンについて、地元メディアは、「待ち焦がれたひととき」「ザルツブルクに生まれたカラヤンが、何年もの不在の後にこの祖国の地 に帰ってきた。その間、彼の指揮者としての名声は非常に大きなものとなり、その存在感は世界に知れ渡った」と報じました。この日がフィルハーモニ ア管はザルツブルク初登場でしたが、すでにフィルハーモニア管との共演を何度も重ねていたカラヤンは、交響曲第39番の冒頭から、オーケストラ の精確さと華麗さといった真価を引き出し聴衆を魅了しました。ディヴェルティメントでは、カラヤンは、第2、および第3楽章をカットしていますが、 これは、同じ日の日中に、同曲がボスコフスキーウィーン八重奏団などによって演奏されていたという理由からだといいます。この後もカラヤンはこの 作品を様々な楽章構成で演奏しています。
モーツァルトのピアノ協奏曲は、ルーマニアの女性ピアニストにして、モーツァルト演奏には特に定評のあるクララ・ハスキル(1895-1960)とカラ ヤンの数少ない貴重な共演の記録としても注目されるもの。第1楽章での高潔な音色、第2楽章でのハスキルの弱音の表情、第3楽章の一切の無駄 のない決然としたハスキルの表情はいつ聴いても見事。カラヤンとフィルハーモニア管の演奏が素晴らしいのも言うまでもありません。 ※パッケージに「Stereo」の表記がありますが、モノラル音源です。 (Ki)

≪BELVEDERE≫〜新規レーベル
Bel Airのプロデューサー、フランソワ・デュプラ氏が2006年に設立したレーベルです。劇場作品の映像作品をリリー スしており、ドイツ語圏で人気があります。このたび、BELVEDEREレーベルから、国際モーツァルテウム財団との協同シリーズが始動します。 1956年、まさにモーツァルト生誕200年記念となる1月27日(モーツァルトは1月27日生まれ)、第1回が開催されたモーツァルト週間。ザル ツブルクの風物詩ともいえるこの音楽祭は、現在ミンコフスキが音楽監督を務めており、さらなる展開が注目されているところです。この音楽 祭の第1回から収録を行ってきたORF放送局所蔵のテープを使い、Ton Eichinger Wienがデジタル・リマスタリングを施し、初期から今日に 至るまでの「モーツァルト週間」音楽祭のライヴをお届けします。伝説となっている過去の演奏会から、近年に行われた、モーツァルトが使っ ていたヴァイオリンを使用しての演奏会など、音楽的にも歴史的にも興味深いさまざまな演奏会のCDおよび映像が予定されています。
BELVEDERE
BELVED-10147(1CD)
モーツァルト:交響曲第40番 ト短調 KV.550
交響曲第39番 変ホ長調 KV.543
シャーンドル・ヴェーグ(指)VPO

録音:1992年1月30日/モーツァルト週間音楽祭(ステレオ・ライヴ)/ザルツブルク・祝祭劇場
ヴェーグ四重奏団を設立するなどヴァイオリン奏者として名高いシャーンドル・ヴェーグ(1912-1997)ですが、60年代終わり頃から、指揮活動を 始めました。カメラータ・アカデミカ・ザルツブルクとのハイドンやモーツァルトの演奏が多く残っています。ヴェーグがウィーン・フィルを初めて指揮し たのは1991年と晩年になってからのことでした。この録音は、1992年1月30日にモーツァルト週間で行われた演奏会のライヴです。とりわけ弦楽 器の歌わせ方など素晴らしく、記念碑的名演としてたたえられました。 (Ki)
≪BELVEDERE≫〜新規レーベル
Bel Airのプロデューサー、フランソワ・デュプラ氏が2006年に設立したレーベルです。劇場作品の映像作品をリリー スしており、ドイツ語圏で人気があります。このたび、BELVEDEREレーベルから、国際モーツァルテウム財団との協同シリーズが始動します。 1956年、まさにモーツァルト生誕200年記念となる1月27日(モーツァルトは1月27日生まれ)、第1回が開催されたモーツァルト週間。ザル ツブルクの風物詩ともいえるこの音楽祭は、現在ミンコフスキが音楽監督を務めており、さらなる展開が注目されているところです。この音楽 祭の第1回から収録を行ってきたORF放送局所蔵のテープを使い、Ton Eichinger Wienがデジタル・リマスタリングを施し、初期から今日に 至るまでの「モーツァルト週間」音楽祭のライヴをお届けします。伝説となっている過去の演奏会から、近年に行われた、モーツァルトが使っ ていたヴァイオリンを使用しての演奏会など、音楽的にも歴史的にも興味深いさまざまな演奏会のCDおよび映像が予定されています。


Treasures
TRE-031(1CDR)
ニコライ・マルコ〜ボロディン&チャイコフスキー
チャイコフスキー:大序曲「1812年」
ボロディン:交響曲第3番(未完)*
 交響曲第2番ロ短調#
ニコライ・マルコ(指)
フィルハーモニアO

録音:1953年2月6日、1955年9月24日*、1955年9月23日#(全てモノラル)
※音源:HMV XLP-30010、M.F.P MFP-2034*#
◎※収録時間:61:12
“土俗性を煽らず一途な共感で描き切ったボロディンの素晴らしさ!”
■製作メモ
「1812年」はOPUS蔵からもCD化されましたが、なぜか音がマイルドでした。ボロディンは、マルコ&フィルハーモニア管コンビの最後期の録音。国を離れたマルコの郷愁が心を打つ逸品です。

★爆発的な感情表現を嫌うマルコの芸風は、お国物のロシア音楽でも一切変わりません。「1812年」のような作品は、どんな指揮者でも少なからずスペクタクルな興奮を煽るものですが、マルコは最後まで端正な音楽作りに終始。そこへ丁寧に詩的なニュアンスを注入することで、大音量に頼らない風格美を醸し出します。もちろん最後での大砲実音などなし。第4主題(10:57〜)の清らかな歌心は特に聴きもの。
あらゆるデフォルメを遠ざけるマルコの芸風は、土俗性の強調とも無縁であることを痛感させるのがボロディン。作品自体が十分に土臭さいのだから、それ以上の上塗りは一切不要とばかりに、熱狂を目的とせずに一途な共感だけで歌い上げた交響曲第2番は、フィルハーモニア管の見事な協調とも相まって、マルコのこだわりが最も美しく結実した最高の名演と言えましょう。第1楽章第2主題でわずかにテンポを落としますが、その恣意的ではない郷愁の炙り出しは、何度聴いても感動的。更に涙を禁じ得ないのが第3楽章!広大な自然の静寂と郷愁をこれほど見事に音像化した演奏を他に知りませんし、マルコが例外的に生の感情を吐露した瞬間としても、忘れることができません。そして、その感動に拍車をかけるのが、デニス・ブレインが奏でるホルン!他の録音と同様にソリストのような目立ち方はしていませんが、その慎ましさが、この空気感と見事にマッチ。ブレインがソロを吹く録音としても、これは傑出しています。【湧々堂】

Treasures
TRE-027(1CDR)
ホーレンシュタイン〜プロコフィエフ作品集
交響曲第1番ニ長調「古典」
交響組曲「キージェ中尉」*
交響曲第5番変ロ長調Op.100
ヤッシャ・ホーレンシュタイン(指)
コロンヌO、パリPO*


録音:1954年、1955年*(全てモノラル)
※音源:VOX PL-9170、PL-9180*
◎※収録時間:71:24
“ホーレンシュタインの「陰」な性質がプロコフィエフと完全合体!”
■製作メモ
2つの交響曲は、英プレス(ブラック/ゴールド)、「キージェ中尉」は、米プレス(ブラック・ラベル)を使用。共にモノラル後期の録音で、彫琢豊かな音がします。ジャケ写は、PL-9170。

★私はかねがね、ホーレンシュタインが導き出す音楽の最大の魅力は、「暗さ」だと思っています。それも、性根の底からの暗さ!音色は漆黒をも拒否したような鉛のようで、音楽の組み立て方にもどこか陰鬱感が漂い、J・シュトラウスのワルツなどを聴くと、ホーレンシュタインは人生のどこかで喜怒哀楽の「喜」を完全に捨て去ってしまったのでは?とさえ思ってしまいますが、逆に、マーラーやR・シュトラウスの「死と変容」などには見事にはまり、独特の重みと説得力を持つ名演に結実したと言えましょう。
ここに収録したプロコフィエフも、ホーレンシュタインのそんな資質が満遍なくプラスに作用しています。最大のドッキリ・シーンは、第5交響曲の第2楽章!通常は低速から次第に加速する箇所で、いきなりゼンマイが外れたように疾走。この人間味を完全に放棄したメカニカルな進行は、まさにプロコフィエフのモダニズムを象徴するかのよう。
また、全曲フランスのオケを振っている点もポイント。軽く明るい筆致のフランス風の音色が、完全にホーレンシュタインが志向するサウンドに変貌しているのには、驚きを禁じえません。
古典交響曲も、テンポは決して遅くなく、リズムも立っていますが、通底する暗さが独特の峻厳さを醸し出すのです。プロコフィエフ・ファンは、特に必聴!【湧々堂】

Intergroove
IGC-008-2(1CD)
プーシキンの音楽
チャイコフスキー:歌劇「エフゲニー・オネーギン」〜ポロネーズ/ワルツ
ミャスコフスキー:交響曲第10番ヘ短調 「青銅の騎士」
スヴィリードフ:吹雪
アレクサンドル・ティトフ(指)
サンクトペテルブルク・カメラータ
ロシア近代文学で最も偉大な詩人・作家アレクサンドル・プーシキンにまつわる音楽を集めたアルバム。プーシキンの小説「エフゲニー・オネーギン」に基づくチャイコフスキーのオペラ、プーシキンの抒情詩「青銅の騎士」の挿絵から着想を得たミャスコフスキーの交響曲、プーシキンの小説「吹雪」を元にした映画のためにスヴィリードフが作曲した音楽。プーシキンがいかにロシアの人々、芸術家に影響を与えてきたかがよくわかるプログラム。


Treasures
TRE-023r(1CDR)
ベートーヴェン:「エグモント」序曲
ハイドン:交響曲第94番「驚愕」*
ベートーヴェン:交響曲第7番#
レオポルド・ルートヴィヒ(指)
バンベルクSO、LSO*

録音:1950年代後半(全てステレオ)
※音源:独PARNASS 61-424、米VOX STPL-512510*、独OPERA ST-1987#
◎※収録時間:69:09
“自然体を通しながら、作品の核心を外さない名人芸!”
製作メモ
ハイドンのVOX盤は比較的容易に入手できますが、ベートーヴェンの2曲のステレオ盤は,極めて入手困難。特に、人間味溢れる音の温もりと芯を見事に捉えたOPERA盤は、これ以上に上質なものはもう入手不可能と思われます。

ドイツの名指揮者として認識されることの多いルートヴィヒは、実は生まれはチェコのオストラヴァ。その音楽作りも、ガチガチのもドイツ流儀と思われがちですが、ロマン派以降の作品では結構過激なアプローチも見せ、決して一言では片付けられない幅広い芸風を持った指揮者でした。しかし、ここに収録した古典は作品においては、まさに作為性の全くない堅実路線を貫徹し、「ドイツ音楽はかくあるべし」といった教条的な押し付け感のない、音楽の自然な流動性を生かした音楽を生み出しています。
そんな中で、テンポや音価の保ち方などには、職人的なこだわりがキラっと光るのです。例えば、「驚愕」の第3楽章。こんな遅いテンポは昨今ではすっかり廃れてしまいましたが、その確信に満ちたリズムからハイドンならではの微笑みがじわじわ滲み出ます。
ベートーヴェンの「第7番」では、中低域の安定したいかにもドイツ的な声部バランスが、充実の響きを導きます。ルートヴィヒは、そのオケの持ち味と作品の力を信じ、必要以上にリズムの躍動を強調したり激情を煽ることもせず、道を外さないように温かい眼差しで見守っているだけのようでいて、第1楽章冒頭のスパッと切れるスフォルツァンド、第2楽章の心の奥底からの呼吸深さ、主題結尾をきっちり末端まで引き伸ばす(8:35、8:43)など、ニュアンス形成の肝をしっかり踏まえた解釈に、この指揮者の見識の深さを痛感。終楽章は、演奏時間が約6:50とかなり速目ですが、高速で飛ばす痛快さ以外の含蓄がいかに多いか、是非体感して下さい。【湧々堂】

Treasures
TRT-001(1CDR)
ハイドン:交響曲第99番
チャイコフスキー:交響曲第5番*
ヨーゼフ・クリップス(指)VPO

録音:1957年9月9-14日、1958年9月15-16*(共にステレオ)
※音源:DECCA SXL-2098 , SXL-2109*
“宇野功芳氏激賞の意味を真に伝える、極上フラット盤の威力!”
■製作メモ
このクリップスの「チャイ5」こそ、まさに自主復刻スタートのきっかけとなった録音。ギレリスのベートーヴェン(DG)で初めてCDの音を体験した時、ノイズがないということがこんなに心地良いものかと衝撃を受けた一方、この「チャイ5」のCD(確か初CDは米盤)を初めて聴いて、あまりにも貧相な音に失望したことは今でも忘れられません。以降、何度もCD化が繰り返されましたが、どれを聴いてもその失望を払拭できません。宇野功芳氏が激賞する意味も、既存のCDでは体現できないはずです。それだけ思い入れが強いだけに、レコードも10種類以上は聴き比べましたが、最終的に極上と判断したのが、このSXL-2098(スタンパー=ZAL2D,ZAL2E)。但し、英国盤ではなく稀少なスペイン・プレス。約210グラムの重量フラット盤です、金管のバリバリ張り出す力感、ティンパニの微かな衝撃と余韻など、これ以上に肌で感じることができる盤はまずないと思われます。

ハイドンの「99番」は、楽想の変化の妙とウィーン・フィルの持ち味が融合することで、同時期に録音した「驚愕」以上にワクワクさせられる名演。
クリップスのチャイコフスキー録音は、他に「悲愴」があるだけ。当時のウィーン・フィルにとっても、「チャイ5」は十分体に染み付いている作品ではなかったはず。だからというわけではないでしょうが、クリップスは音楽のイメージの大枠だけを示し、あとはウィーン・フィルの流儀で伸び伸び演奏させることに徹しており、結果的に「ロシア的な哀愁とダイナミズム」とは全く別世界の独自の音楽を確立することができましたという、特異な名演と言えましょう。
特定の声部をデフォルメしたり、ニュアンスのコントラストを強調する素振りも皆無。オケの響きのバランスは弦が主体で、金管はあくまでもスパイス。随所で顔を出すポルタメントも、完全に素のウィーン・フィルそのもの。それらが音楽的な味わいに全面的に作用することを前提として成り立った名演であり、だからこそ、激しい激情の放出も甘美な演出もなく、第2楽章締めくくりのテンポが誰よりもそっけないく通りすぎても、無機質どころか独自の魅力として胸に迫るのでしょう。
テンポも、ウィーン・フィルにとっての自然体が生かせるものが常に選択されていますが、、終楽章の展開部の途中から加速するのは非常の珍しい現象なので、妙に興奮を掻き立てられます。また、これだけウィーン流儀に徹しながら、第3楽章ではウィンナ・ワルツの片鱗を見せず、独自のメルヘン世界を築いていいる点にも、控えめながら決してこだわりは捨てないクリップスの意思が感じられます。
ウィーン・フィルは、この後マゼール、シャイーとも「チャイ5」の名演を遺すことになりますが、ここまでウィーン・フィルの魅力を全面に立てた演奏は他に無く、次第にこのオケがウィーン・フィルらしさを失っていったという事実を差し引いても、これだけ魅力的な演奏に結実したというのは、奇跡に近いのではないでしょうか?例えば、このコンビは同時期にJ・シュトラウス作品集を録音していますが、これは何度聴いても「ウィーン・フィルらしい演奏」という以上の感興が湧き上がってこないことを考えると、なおさらそう思えてなりません。【湧々堂】 →
さらなる詳細コメントはこちら。

DACAPO
MAR-6.220624(1SACD)
ニールセン:交響曲第4番「不滅」
交響曲第1番Op.7
アラン・ギルバート(指)NYO

録音:2014年3月12-15日ニューヨーク,リンカーン・センター,エイヴリー・フィッシ
ャー・ホール
1894年3月に初演されたニルセン(1865-1931)の交響曲第1番は、若さのパワーと情熱に満ち溢れた輝かしい作品です。当時師と仰いだヨハン・スヴェンセンの影響も感じられ、荒削りながらも先進的な雰囲気を宿したこの曲は、当時の新聞でも高く評価されました。交響曲第4番はニルセンの代表作の一つで、4つの部分に分かれてはいるものの、実は1つの楽章で書かれています。第一次世界大戦の真っただ中に書かれたこの音楽は、シリアスとロマンティックの間を揺れ動きながら、最後は輝かしく終わるというものです。アラン・ギルバートの演奏は、ニルセンの音楽からもやもや感を丁寧に取り除き、スマートな響きとダイレクトな感情を伝えるという極めてスマートなもの。もちろん素晴らしい音質も曲の理解を深めてくれること間違いありません。


WEITBLICK
SSS-0164(1CD)
ベルリオーズ:幻想交響曲
デュカス:魔法使いの弟子*
セルジュ・チェリビダッケ(指)
スウェーデンRSO

録音:1969 年11 月23 日ストックホルム・コンサートホール、1968年9月7日ヴェステラス・コンサート・ホール* (共にステレオ・ライヴ)
“安易な怪奇趣味とは一線を画すチェリビダッケ美学を完全敢行!”
「幻想交響曲」第1楽章の導入の超微弱音からチェリビダッケ・モード全開!雑味の入り込む余地のない弦のソノリティ、ホルンの囁きの霊妙さは比類なく、主部に入る前のこの数分間だけで、聴き手を完全に虜にします。
第2楽章開始の弦のトレモロは、これまたやっと聞こえる程度の超微弱音ですが、その後に表情に広がりを見せるところをお聴き逃しなく。音量も色彩も徹底的に抑制した音像は、改めてこの音楽が「幻想の中の舞踏会」であることを思い起こさせます。
驚異的なのが第3楽章!遠近感を捉えた音像構成が、これほど完璧に実行されている演奏が他にあるでしょうか。そして、木管楽器の応答の背後を彩る弦のニュアンスは、なんという幅広さ、奥深さでしょう!
第4楽章も音の放射力で圧倒する安易さを完全に拒否し、精緻な色彩構築を最優先。異様に遅いテンポも、死に向かう不安を投影した感情的表現の結果ではなく、全ての意識は美しい響きの実現に向けられていることは、響きのどこにも血の臭いや汗を一切感じさせないことからも明らかです。終楽章は、チェリビダッケの超精密芸術の集大成!これだけ膨大な要求をつきつけるのですから、チェリビダッケのこの曲の録音が多くないのも頷けます。そしてコーダでは、これまでの抑制を取り払って突き刺すような放射力を伴って突進!締めくくりの打楽器の巧妙な操作にも鳥肌!
なお、チェリビダッケの録音を聴く際に最大の支障となるのが、特有の微弱音がヒス・ノイズに埋もれてしまうこと。その点この録音は1960年代としては異例なほど非常にクリアで、チェリビダッケの美学をほぼ完璧に実践し尽くしているという点でも、この以上の「チェリの幻想」は存在しないのではないでしょうか?
「魔法使いの弟子」も、生半可な名演ではありません。3:56のハープの一瞬の駆け上がりにまで命を吹き込み、4:42からの弦のハーモニーがこれほど流麗な響いた例も他にないでしょう。幻想交響曲のような、極端な音量操作はここでは持ちこまず、一見すとれーた表現にも聞こえますが、全ての楽器が、他には考えられないバランス間隔を保持しながら迫り来る様は、尋常ならざる説得力を誇ります。ディズニー・アニメ的な楽しさだけではなく、この音楽の色彩的な面白さを徹底的に掘り下げた演奏として、歴史に刻むべき大名演です。【湧々堂】


Treasures
TRE-022(1CDR)
アンチェル&ウィーン響〜チャイコフスキー
チャイコフスキー:スラブ行進曲*
大序曲「1812年」#
交響曲第4番ヘ短調Op.36
弦楽セレナード〜ワルツ*
カレル・アンチェル(指)ウィーンSO

録音:1958年3月29日-4月2日*、1958年11月-12月(*以外) 全てステレオ
※音源:Fomtana 875.011 (SCFL-103)、SFON-7519#、875.002*
◎※収録時間:67:52
“潔癖さの極み!土臭さを排したアンチェル芸術の結晶!”
■製作メモ
これとTRE-006、TRE-010で、アンチェル&ウィーン響のチャイコフスキー録音の全てが出揃いましたが、これらの中で、その存在すら忘れられそうなのが、チャイコフスキーの第4交響曲。アンチェルにとって唯一のチャイコフスキーの交響曲録音です。使用したのは、初期オランダ盤。終楽章冒頭に若干ヒズミがありますが、再度入手した盤も同じ状況でした。何卒ご了承下さい。

スラブ的な土臭さを排し、見通しの良い清潔なハーモニー表出を再優先させた、アンチェルならではのチャイコフスキー。その潔癖な音作りの追求ぶりは、ジョージ・セルをも凌ぐとさえ思えるほど。例えば、「スラブ行進曲」の最後は、テンポの切り替えが曖昧なまま進行してしまう場合がほとんどですが、アンチェルは8:22からガクッとテンポを落とし、イン・テンポのまま終結部に進めるような厳格な配慮を見せます。しかも、そこには無理強いしたような不自然さや冷たさが付きまとわないのですから、流石と言う他ありません。
不純物を省き、作品のエッセンス抽出を妥協なく敢行する姿勢は、交響曲において最大に開花。第1楽章の金管のテーマのアーティキュレーションからして制御が行き届き、室内楽的な明瞭さをもって作品のありのままの姿を現出させます。第2楽章も媚びるような表情は一切なし。作品への真の共感が確信に満ちたニュアンスに直結しているので、音楽の魅力を再認識させてくれます。終楽章は、まさにアンチェの芸術の結晶!2:26できっちりルフト・パウゼを挿入して音楽が漫然と流れるのを避け、3:17からの運弓にも制御を効かせるなど、タイトでスタイリッシュな音像を引き出すための配慮が満載。コーダに至っても音圧で圧倒せず、音の緊張感を高めることだけに集中。わかりやすい爆演を聴いた時の爽快感とはまた違う、他に真似のできない職人芸に触れたような確かな手応えを感じていただけることでしょう。
ちなみに、終楽章開始直後(2:13〜)、テーマを吹くチューバが妙に不安定な音を発するのでドキッとしますが、潔癖なアンチェルがそれを見逃しているのは謎としか言いようがありません。【湧々堂】


WEITBLICK
SSS-0162(1CD)
スヴェトラーノフのモーツァルト
交響曲第40番ト短調K.550
交響曲第41番ハ長調「ジュピター」*
エフゲニ・スヴェトラーノフ(指)
スウェーデンRSO

録音:1988年9月10日、1993年9月18日(共にライヴ・デジタル) ベルワルド・ホール*
※英語、日本語、ドイツ語によるライナーノート付
“数々のロシア音楽の名演を築いたスヴェトラーノフの音楽性の源がここに!”
モーツァルトの交響曲で、全てのニュアンスを漏らさず聴き取らねばという衝動に駆られたのは、何年ぶりでしょう?もちろん編成を切り詰めることのないかつての大編成スタイルですが、決して大味にならず、持ち前のロマンの息吹を吹き込みつつ、心の奥底から奏でたモーツァルトというのは、ワルター以来と思えるほど。
「40番」冒頭から、なんと音がときめいていることでしょう!全音域をむらなく響かせつつも厚塗りに傾くことなく、遅めのテンポを貫いてじっくりと楽想を紡ぎます。第1楽章は、裏の声部まで孤独な感情が繊細に滲み出ており、その音色は聴き手を慰めるような温かさ。第2主題の陰影の豊かさにも感動を禁じえず、この音楽の感じ方こそ、スヴェトラーノフの音楽性の核であり、だからこそ、チャイコフスキーやラフマニノフの大音量でも音圧だけではない浸透力が生まれるのでしょう。提示部リピートが、これほど必然性を持つ演奏も稀。第2楽章はデフォルメのない純粋な響きで魅了。常に音価を長目に保っているので、昨今のパリっとした晴朗さとは正反対ですが、そこから生まれる内省的な味わいが各格別。第3楽章は、3拍目を長く引き伸ばすことで腰の座ったリズムを生み、フレージングは愛のかたまり。終楽章でも提示部、再現部のリピートを慣行。再現部の1回めの演奏の最後は薄い響きにしてから繰り返す配慮にも、スヴェトラーノフの繊細な感性が表れています。展開部4:29以降の声部の絡みの「優しい緊張感」は必聴!作品の構成を緻密に制御しつつ、静かなドラマが確実に迫るのです。
「ジュピター」は、愉悦感溢れるリズムをきっちり表出し、音楽にしなやかな推進力を与えていますが、これまたトキメキの連続!スヴェトラーノフは、ここでも古典音楽としてのモーツァルトの佇まいを弁え、決して大伽藍風の響きなど片鱗すら見せません。それでいて、全ての声部が意味を持って鳴り、極めて含蓄に富んだ音楽が形成されるのです。ハ長調であるにもかかわらず、楽天的でも祝典的でもない、どこか憂いを含む独特のニュアンスは、他では味わえません。提示部リピート慣行。第2楽章はテンポを停滞せさない意志の強さが際立ちます。1:29からの音楽の抉りの強さは、まさにスヴェトラーノフ節。それがモーツァルトの枠からはみ出ることなく美しく収まった響きの充実ぶりと言ったら、とても言葉が出ません。第3楽章は意外にも速目のテンポですが、3拍子としての安定感は比類なし。そして、究極の名演、終楽章!声部の有機的な連携が、意図的な解析を全く感じさせずに大河のごとく流れる様は、フーガを形成するこの楽章に大々的に効力を発揮。コーダでは複雑な声部の綾が一切の取りこぼしなく再現され、風格と品格を携えてまさに宇宙的な広がりを現出させるのです!
近年、ロシア音楽以外の録音で、スヴェトラーノフの音楽性の本質を再認識させられる機会が増えていますが、性格の全く異なるモーツァルトの二大傑作をこれほど感動的に再現する手腕は、ムラヴィンスキーが極めてレパートリーが限られていたことを思うと、本当に驚異的でなことです。【湧々堂】


Treasures
TRT-002(1CDR)
チャイコフスキー:弦楽セレナード*
交響曲第5番ホ短調Op.64
ワルター・ゲール(指)
ローマPO*、フランクフルト室内O

録音:1955頃(ステレオ)
※音源:英CONCERT HALL SMSC-2188*、仏 PRESTIGE DE LA MUSIQUE SR-9629、日CONCERT HALL SM-6108
◎※収録時間:76:04
“オケのイタリア気質と相まった濃厚な節回しで翻弄する「チャイ5」!”
■製作メモ
コンサート・ホール(C.H)のステレオ録音は、バイノーラル方式を採用したものが多いため、それが不自然な音でないことを確認しなければ、安易にステレオ盤を採用するわけには行きません。この2曲のステレオはかなり上出来で、演奏の特徴をより効果的に伝えていると判断して採用しました。しかし、「チャイ5」の最良盤選びには苦労しました。ステレオでの発売は、米・仏と日本のセット物だけだと思われますが、音質的に最良なのは日本盤。ところが、2楽章後半でピッチの揺れがあったため全面採用を断念。そのため、、日本盤と音質的に大差のない仏盤(1969年頃発売)を選択するしかないのですが、たまたま誤って同じレコードを2枚購入してしまったことから思わぬ発見がありました。両者を聴き比べると、一方だけ特に2楽章のひずみが多く、音も曇り気味。それぞれのマトリックスを見ると、マスター自体が異なることが判明したのです。ここでは、ノイズの少なさも含め、その2枚から楽章単位で「いいとこ取り」をすることとしました。ジャケ写には、最もアーティスティックな独盤を採用。

この「チャイ5」は、世紀の大奇演!ワルター・ゲールという指揮者は、作品の持ち味を生かすことに主眼を置きつつも、オーケストラの個性との相乗効果を取り込むことも重要視していたと見え、どんなニュアンスを引き出すのか、聴くまで全く予想がつかないことが多いのです。このチャイ5は、まさにその典型。
いきなり驚かされるのが、作品の核であるクラリネット主題冒頭の付点四分音符を思いっきり引き伸ばし、複付点音符のように奏でていること。この現象は、終楽章最後のトランペットまでほぼ一貫していることから、単なる思いつきでも奏者のクセでもなく、ゲールの指示であることは明らか。スコアを神聖化し過ぎずに、オケに染み付いている歌心を極端なまでに刻印せずにはいられないゲールの芸術家魂に、まず拍手を送りたいのです。
最大の聴き所は、何と言っても終楽章。小さいことに拘らない大らかさが、曲の終盤へ向かうに連れて王者の風格へを変貌を遂げる様は惚れ惚れするばかりで、スコア表記の意味を考えすぎた演奏ではこうは行きません。特に、モデラート以降の風格は、コンサートホールのバイノーラル録音としては異例のバランスの良さとも相俟って、圧倒的な感銘をもたらします。「大らかさ=大雑把」ではないことを痛感するばかりです。
なお、ゲールの「チャイ5」は、Forgotten Recordsによるモノラル盤復刻も存在しますが、「製作メモ」に記したように、この演奏の面白さをより強く感じさせるのは、明らかにこのステレオ盤です。
一方の「弦セレ」は、これに比べるとはるかに誠実な演奏ですが、決して凡庸な演奏ではなく、フレージングの端々から心からの共感が感じられ、ニュアンスのコントラストに配慮した素晴らしい演奏を聴かせてくれます。【湧々堂】

Treasures
TRE-013(1CDR)
パウル・クレツキ〜ベートーヴェン:「運命」「田園」
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」
交響曲第6番「田園」*
パウル・クレツキ(指)
バーデン=バーデン南西ドイツRSO
フランス国立放送局O*

録音:1961年頃(全てステレオ)
※音源:英Concert Hall SMS-2341、SMS-2239*
◎※収録時間:72:19
“フランス・オケの起用が大正解!「田園」の魅惑のニュアンス!!”
■製作メモ
この2曲のステレオ盤の発売は、年代はまちまちながら米・英・独・仏・日本の各国で見られ、中でも優秀だったのが独・英・日本盤。ここでは定位感のふらつきが最も少なく、プレス状態も良い'60年代の英国盤を採用。コンサート・ホール・レーベル(C.H)につきまとうモヤモヤとした音のイメージは消え、音楽的な情報量の多さを実感していただけると思います。使用ジャケットは日本盤。

★クレツキは、この後1964〜1968年にかけてにチェコ・フィルとベートーヴェンの交響曲全集録音を行っており、それらはチェコ・フィル特有のタイトで端正な響きを生かした佳演ながら徹底して楷書風で、クレツキならではの解釈の妙味を味わう点で物足りなさを感じる方も多いことでしょう。C.Hには「1番」「3番」「5番」「6番」を録音しており、そのどれもがクレツキの独特のこだわりと共感が色濃く反映されており、改めてこの指揮者の芸の細やかさに感服するものばかりです。
まず、「田園」のなんと素晴らしいこと!4つの交響曲の中であえてこの曲だけフランス国立放送管を起用しているのも大正解。明るく透明度の高いオケの響きを十分に活かしながら丹念に楽想のニュアンスを紡ぎ出します。特に魅惑的な管楽器の響きを埋没させず、しかもデフォルメすることもなく活用して、音楽に華やぎを与えるセンスに惚れ惚れするばかりです。第1楽章展開部2:48から背後の木管が完全に弦と一体化してクレッシェンドする箇所などは鳥肌モノ。1960年代まで全盛を誇ったフランス特有のホルン(フレンチ・コル)の響きもお聴き逃しなく。第3楽章、終楽章においてその魅力にイチコロ!終楽章3:52からの弦のピチカートの瑞々しい弾け方も、絶叫したいほどの素晴らしさ!インパクトの点で、あのクレンペラー盤と双璧と言えましょう。チェコ盤でも同様のアプローチを行ってはいますが、訴え掛けの差は歴然。
「運命」におけるクレツキも、チェコ・フィルのとことは別人のよう。盤石な中低域をの上に構築する響きには満遍なく熱い精神が注入されており、しかも単に荒くれた表情を引き出すだけでなく、一定の均整美を保持している点が流石です。【湧々堂】

Treasures
TRE-014(1CDR)
シューベルト:「ロザムンデ」〜序曲/バレエ曲第1番/間奏曲第3番/バレエ曲第2番
交響曲第9番ハ長調「グレート」*
ハンス・スワロフスキー(指)
ウィーン祝祭O(ウィーン国立歌劇場O)

録音:1950年代中頃、1955年1月*(全てモノラル)
※音源:WORLD RECORD CLUB T-25、TT-17*
◎※収録時間:75:36
“スワロフスキーの穏健なイメージを払拭する、テンポに込めた強い信念!”
■製作メモ
WORLD RECORD CLUBは、EMI傘下の通販会社(1965年にEMIに買収された)ですので、当然EMI音源が最も多く目につきますが、米WestminsterやEverestのライセンス音源も発売しており、それらには「○○ Recoring」という表記あります。しかし、ここで使用したディスクにはその表記がどこにもないことから、全てこのレーベルのオリジナル音源なのかもしれません。全て明快なサウンド。

★スワロフスキーは、アバドやメータを育てた名教師としてしられますが、指揮者としての芸術性についてのきちんと論評に出会ったことがありません。録音は決して少なくないものの、殆どがマイナーレーベルへの録音なので、注目されないのも無理からぬことですが、少なくともこのシューベルトを聴けば、「穏健で無難にまとめるだけ」という評価は的を得ていないことに気づきます。
「グレート」第1楽章序奏部は素朴な田舎風とは異なり、やや速めのイン・テンポ進行自体に明確な意志が貫かれており、そのまま主部へ移行するという洗練されたアプローチに、思わず身が引き締まります。コーダでも慣習的なテンポの落とし方には敢然と背を向け、颯爽と締めくくる手法は、まさに現代を先取りしたかのよう。第2楽章も、ウィーン的な温かみのある音色は生かしつつも響きの凝縮力は常に高く、情に流された停滞感など皆無。洗練されたアプローチが瑞々しい情感表出に大きく作用しているのが第3楽章。中間部でもテンポを緩める素振りさえ見せず、それでいて純な歌心が満遍なく浸透しているのです。ウィーンのオケが陥りがちなリズムの甘さながない点にも、スワロフスキーの制御力の高さを窺わせます。終楽章は、自然体の推進力が魅力。快速テンポの演奏はいくらでもありますが、この「自然体」を感じさせる演奏は決して多くないでしょう。しかも、その中でも声部のバランス配慮が行き届いており、単に主旋律主導でやり過ごした演奏とは格が違います。
この演奏の非凡さに気づくと、スワロフスキーの他の録音も色々聴いてみたくなること必至。しかし、これが曲によって、あるいはオケによって、全く違ったスタイルを覗かせるので、スワロフスキーという人、本当に一筋縄では行きません。【湧々堂】

Treasures
TRE-020(1CDR)
モーツァルト:交響曲第35番「ハフナー」
スメタナ:「売られた花嫁」*〜序曲/ポルカ/フリアント/道化師の踊り
ブラームス:交響曲第2番#
アルフレッド・ウォーレンステイン(指)
ロスアンジェルスPO

録音:1955年頃、1953年頃*(全てモノラル)
※音源:米MUSIC APPRIECIATION RECORDS MAR-5613、英Brunswick AXTL-1063*、英WORLD EECORD CLUB T-6#
◎※収録時間:71:39
“作品の生命力を徹底抽出するウォーレンステインの巧みな棒!”
■製作メモ
MUSIC APPRIECIATION RECORDSは、指揮者のトーマス・シャーマンによる曲のアナリーゼ解説レコードと全曲演奏のレコードをセットにして販売していたアメリカの教育用レーベル。ブラームスもM.A.Rから発売されていますが、W.R.Cがオリジナルと思われます。スメタナは、元々米DECCA音源。ジャケットには、M.A.Rを用いました。

★ここに収録したのは、全てウォーレンステインがロスアンジェルス・フィルの音楽監督時代の蜜月ぶりを示す名演ばかり。ウォーレンステインは、ピアニストのルービンシュタイン等から厚い信頼を寄せられながらも、伴奏以外の指揮では「幻想交響曲」が名演として一部で話題になった程度で、殆ど忘れられたまま今日に至っています。特徴は、一言で表せば健康的。虚飾を排して作品の生命力を一途に引き出すことが指揮者の最大の使命と確信していたことが、ここに収録された全ての曲から窺えます。
モーツァルトは、作品の祝典的な持ち味をストレートに伝えるとともに、古典的な様式美を決して置き去りにしません。第2楽章など単に綺麗に流しただけの演奏も多い中で、清楚でありながら心からウキウキした情感も兼ね備えた絶妙なニュアンス!本物のモーツァルトを聴いているいう確かな実感を得ることができます。終楽章、そして、続くスメタナは、トスカニーニの影響(ウォーレンステインは1930年代にニューヨーク・フィルのチェロ奏者だった)が強く反映されており、向こう見ずな推進力が瑞々しくはじけます。“道化師の踊り”は、まさに息もつかせぬ緊迫感!
そして、繰り返し聴きたくなるブラームス!ここでも何一つ変わったことはしておらず、伸び伸びと音楽の謳歌に徹しているので、忘れかけていたこの曲の素晴らしさを再認識させてくれます。些細な事ですが、第1楽章再現部、10:43からの弦のフレーズの繋げ方を聴けば、ウォーレンステインがいかに明確なアーティキュレションを心がけていたかが窺い知れます。11:40からのホルンを中心とした温かな風情も聴きもの。第2楽章も過度な深刻さを避けることで丹念な歌心が豊かに浮上し、心に染みます。終楽章は全ての楽器が心の底から鳴りきり、スタジオ録音とは思えぬ熱く凝縮した音楽が全開。ここでは見せかけの「煽り」など無用です。
また特筆スべきは、ロスアンジェルス・フィルの巧さ!メータが音楽監督になるまではまるで「鳴かず飛ばず」だったように言われがちですが、単にメージャ・ーレーベルから紹介されなかっただけで、これらの演奏を聴けば、当時から高い技術と表現意欲に溢れた素晴らしいアンサンブル能力を誇っていたことが分かります。【湧々堂】

Treasures
TRE-012(1CDR)
J・クリップス〜ハイドン&ブラームス
ハイドン:交響曲第94番「驚愕」*
ブラームス:交響曲第1番ハ短調
ヨーゼフ・クリップス(指)VPO

録音:1957年9月9-14日*、1956年10月7-8日(共にステレオ)
※音源:DECCA SXL-2098*、LONDON STS-15144
◎※収録時間:65:18
“鎧で武装した演奏では味わえない音楽のエッセンス!”
■製作メモ
ブラームスは、米LONDONの"Treasury Series"盤ですが、プレス自体はもちろん英DECCA。コシがあって実に良い音がします。1950年代のウィーンフィルのDECCAのステレオ録音は、段ボール箱の中で鳴っているようなクセのある音が玉に瑕ですが、クリップスの録音は、「チャイ5」も含めて、わずかにそのクセが軽減されている気がします。

ハイドンは、クリップス&VPOの信頼関係を象徴する、全く力みのないたおやかな風情が魅力。拍節を丹念に刻むながらも音楽は自然に息づき、ハイドン特有のユーモアが素のままで表出されます。
更に素晴らしいのがブラームス!もちろん、ウィーン・フィルの自発的な表現力を最大に尊重してはいますが、決して「おまかせ」ではなく、クリップスならではの強固な意志も張り巡らることで、優美さ一辺倒ではない凝縮力の高い名演を実現しています。声部のバランスを分解し構築力で圧倒する演奏とは一線を画し、阿吽の呼吸と気力で押し切った潔さはかけがえのないものです。第1楽章再現部に差し掛かる前のイン・テンポで畳み掛ける気迫の凄さなど相当なものですが、威圧感を与えずに燃え盛る精神の高揚をぶつけるあたりは、まさにこの名演の象徴と言えましょう。第2楽章は、昨今では透明な響きを目指す演奏が多いですが、この中低域をたっぷり効かせた深淵なニュアンスは格別。中間部のオーボエ、クラリネット・ソロの味わいたるや、古今を通じて比類なしと言いたい程です。終楽章は、指揮者としての統率力とオケの潜在能力が完全一体化した究極芸!全ての楽器が各楽想において、その美感と力感を最大限に伝える鳴らし方を心得ているということの凄さ…とでも言いましょうか、とにかくすべてのニュアンスの結晶度が尋常ではありません。第1主題など素っ気なく通り過ぎるだけですが、逆に今までの流れからして、これみよがしに歌い上げることなど考えられません。
なお、ブラームスは、後にコンサートホール・レーベルに再録音していますが、同じくコンサート・ホールへ再録音した「J・シュトラウス作品集」共々、全く別のニュアンスを醸し出しているのも、興味深いところです。【湧々堂】


BMC
BMCCD-188(1CD)
マーラー:交響曲第1番「巨人」(花の章つき) ゾルタン・コチシュ(指)
ハンガリー国立PO

録音:2004年2月29日/3月30日(フランツ・リスト音楽院コンサート・ホール(ライヴ)
“病的ニュアンスを一掃!青春讃歌「巨人」の瑞々しさ!”
バルトークなどの録音でもコチシュ指揮者としての力量は既に実証済みですが、この「巨人」も、誰の亜流でもない自己表現に徹しており、最後まで聴き手を惹き付けて止みません。最大の特徴は、感情表現にも響きにも、一切濁りがないこと。病的に音楽を沈殿させることなく、常に健康的にまっすぐ感情をぶつける痛快さがたまりません。しかたって、全楽章が通常よりもかなりテンポは高速。もちろんテンポを最初から決めてかかったのではない、イメージした表現に不可欠なテンポとして迫るので、音楽の真の勢いが宿るのです。一方で、声部の見通しを徹底的に効かせ、精緻なバランスも崩さないのですから、その統制力の凄さに舌を巻くばかり。室内楽的とも言える透明なテクスチュアは、「花の章」で見事に開花。悲嘆のニュアンスを強調するあまり、リズム感をあえて緩めることが多い第3楽章では、正確なリズムを取り戻すことにより、過剰などん底に嵌ることをサラッと回避。そして圧巻の終楽章!録音の鮮明さもあって、まず冒頭打楽器の強固な打撃力に度肝を抜かれます。甘美ながら陶酔しないキリッとしたフレージングと、その妥協なき縦割りダイナミズムが交錯したまさに縦横無尽のニュアンスは他に類を見ません。緊張の糸が緩むことなく到達するクライマックスでは、オケのアンサンブルの精妙さを思い知るとともに、やみくもに大音量を放射するだけではないコチシュの音像凝縮力に鳥肌を禁じえません。終演後はもちろんお決まりの手拍子拍手。これ以上に瑞々しい「巨人」はちょっと考えられません。【湧々堂】


Linn
CKD-450(2SACD)
シューマン:交響曲全集
交響曲第1番変ロ長調Op.38「春」
交響曲第2番ハ長調Op.61
交響曲第3番変ホ長調Op.97「ライン」
交響曲第4番ニ短調Op.120(1851年版)
ロビン・ティチアーティ(指)
スコットランド室内O

録音:2013年11月25日、26日、30日&12月1日−3日パース・コンサート・ホール(イギリス)
2014年5月からはグラインドボーン音楽祭の音楽監督にも就任して、ノリにノッているティチアーティの胸のすくような快演!マッケラスによって磨かれた精緻なアンサンブルを生かし、弦のヴィブラートを抑えたピリオド寄りのアプローチながら、ティチアーティ自身の感性をストレートに注入したニュアンスに嘘が一切ないので、曲の素晴らしさが素直に伝わります。
全4曲がむらなく名演ですが、特に「第1番」は、そんなティチアーティの音が作りが全面的にプラスに作用し、瑞々しさこの上なし。近年では、シューマンの交響曲に独自のアクセントやアーティキュレーションを盛り込む指揮者が多いようですが、ティチアーティのそれにはあざとさ皆無。第3楽章で、弦がわずかにポルタメントが掛かたり、何でもない下降音型がテヌートで奏でられたりと、アイデア満載ですが、それら全てがチャーミングなニュアンスとなって結実。余韻の美しさを十分に堪能させる終結を経て、続く終楽章がまた絶品!じっくり腰をセたテンポ感がまず意外ですが、そうしなければならないほど、フレーズごとのニュアンスの描き分けが入念で、それら全てが幸せに手を取って連動しているのですから気が抜けません。再現部直前の経過句も、こんな心を込めた演奏は聴いたことがありません。この曲で、シューマンの陽性の部分を脳天気ではなくじっくりと奏で尽くしたティチアーティの手に掛かると、「第2番」も今までの演奏は陰鬱なものが多すぎたのでは?と思えてきます。一見健康的ながら、第1楽章展開部以降の揺るぎない造形力と、ニュアンスを克明に引き出す手腕が実に見事で、生き生きとした作品に蘇っています。ティチアーティの感性の素晴らしさは、第3楽章でいよいよ決定的となります。弱音が痩せて聞こえる箇所などないことでも明らかなように、響きの透明度を確保しつつ、ピュアな嘆きが連綿と引き出されるのです。
「第3番」も、ジュリーニ以来とさえ言いたいほどの名演!響きに一切の綻びがないことはもちろんのこと、第1楽章の3拍子のリズムを豊かにうねらせ、同コーダで風格を感じさせる演奏は久々です。
「第4番」は、通常の改訂版による演奏ですが、「第2番」同様、必要以上に重く陰鬱になることは避けていますが、音楽的内容は重量級。
「ノン・ヴィブラートのぎすぎすした響きが苦手」という方も多いことでしょう。しかしそんな方にも、その響きの必然性と潤いを感じ、ティチアーティの音楽の感じ方が並外れていることを痛感死体てだけることと思います。【湧々堂】


Treasures
TRE-003(1CDR)
ベートーヴェン:序曲「コリオラン」
序曲「レオノーレ」第3番
交響曲第3番「英雄」*
フランツ・バウアー=トイスル(指)
ケルンRSO

録音:1950年代末(ステレオ)
※音源:独PARNASS 75767、61421*
◎収録時間:73:12
“ワインガルトナーへのオマージュとして響く、史上最優美の「英雄」!”
■制作メモ
1928年オーストラリア出身。クレメンス・クラウス門下で、ウィンナ・オペレッタの伝統継承者として知られるバウアー=トイスルが、ベートーヴェンを録音していたとは驚きです。これ以外に交響曲録音は存在しないと思われます。オイロディスク原盤で、交響曲の方は当初は60年代初頭のLPからの復刻を予定していましたが、後発の名曲ボックスに収められているものは、カッティング、盤質共に更に優れていたので、それを採用しました。

★PHILIPS録音のワルトトイフェル:ワルツ集などで、スタイリッシュさと典雅さを兼ね備えた名演を聴かせてくれたバウアー=トイスルが「英雄」を指揮するとどうなるか…。その予想通りの演奏が展開されます。古今を通じ、これほど肩の力を抜いて優美な演奏に徹した例も珍しいでしょう。とにかく攻撃性は皆無。無理の無いテンポで、音のエッジは立てずにどこまでもまろやか。一般的なイメージとはあまりにもかけ離れているので、最初は拍子抜けする程ですが、聴き進めば進むほど、そのアプローチが音楽的ニュアンスとして確実に結実し、独特のコクと味わいに繋がっていることに気付きます。
過剰に悲痛さを演出しない第2楽章の、なんという清らかさ!終楽章では、木管をスパイスとして音像を構築していることがよく分かり、その温かな響きが心を捉えて離しません。特に中盤のきめ細やかなニュアンスの表出は聴きもの。楽章冒頭の弦のピチカートの一部をアルコに変えているのは、ワインガルトナーと同じ。芸風の点からもバイアー=トイスルがワインガルトナーに私淑していたことは想像に難くありません。
2つの序曲も全く同じスタイルですが、「レオノーレ」の舞台裏トランペットがびっくりするほど輝かしいのは意外。【湧々堂】

Treasures
TRE-005(1CDR)
ベートーヴェン:「プロメテウスの創造物」序曲*
交響曲第9番「合唱付き」
アルトゥール・ローター(指)
ベルリンSO*、ハンブルクPO
ハンブルク・ジングアカデミー
エディット・ラング(S)、
マリア・フォン・ロスヴァイ(A)
ワルター・ギーズラー(T)
フランツ・クラス(Bs)

録音:1960年頃(ステレオ)
※音源:独PARNASS 61-423,424
◎収録時間:70:38
“音圧ではなく風格で聴かせる高らかなドイツ精神!!”
■製作メモ
元々は独Opera 原盤ですが、カッティングが安定し瑞々しい音がする、1970年代に発売されたドイツ盤を使用。「第9」は、LP3面が使われています。

★名カペルマイスター、アルトゥール・ローター(1885-1972)の職人気質と気高いドイツ精神を徹底注入した、感動的な「第9」です。ローターは、活動の場がほとんどが歌劇場であったため、管弦楽曲の録音は非常に少なく、ましてやステレオなると、テレフンケンの小品集や独OPERAのベートーヴェン数曲など数える程度。その中でもこの「第9」は、合唱の巧妙な扱いも含め、音楽をガッチリと構築するのみならず、劇場的な空間表出力が独特の熱気を生んでいる点が特に注目に値します。ティンパニ・パートをかなり改変しているのも特徴的で、第2楽章の最後にも打ち込まれますが、その音色のブレンド感が、燻し銀の味を湛えたままに迫るのがたまらない魅力!
独唱陣は、発声自体は実に大らかですが、「こう歌うしかない!」という確信力に恐れ入るばかり。自分たちの音楽だという誇りが宿ったパワーは合唱にも共通しており、この作品から、派手さではなく精神の叫びを感じたいと願うファンにとっては、聴き逃せない演奏です。【湧々堂】

Treasures
TRE-007(1CDR)
リスト:交響詩「前奏曲」
ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」
フランツ・コンヴィチュニー(指)
ウィーンSO

録音:1961年(ステレオ)
※音源:独PARNASS 61438、70003*
◎収録時間:76:46
“「素朴」の一言で片付けられない、美しい響きの融合!”
■製作メモ
元々はOPERA(Eurodiscの前身)音源ですが、マスターの劣化をさほど感じさせず、音に瑞々しさがあるPARNASS盤を採用。但しジャケット・デザインはただの風景写真ですので、ここではETERNA盤を用いています。

★コンヴィチュニーのブルックナーは、「素朴」とか「渋い」といった通り一遍の評価で済まされがちですが、このウィーン響との4番は、コンヴィチュニーのステレオの中でも傑出した名演であるばかりか、ブルックナー演奏の理想郷とも言える佇まいを表出しています。コンヴィチュニーが振ったオケはどれも機能性を売りにしたオケではないので、まず感覚的な渋さが印象づけられるのは当然ですが、ここで特にご注目いただきたいのは、オケの持ち味だけで勝負しているような自然体を貫きながら、内面から沸き立つ力感と、美しいハーモニーのブレンド感を湛えている点。第1楽章再現部や第2楽章冒頭の木管のユニゾンはその典型で、純朴の美徳をこれほど確実に伝える演奏も稀でしょう。5:31からのホルンと弦が織り成すたおやかな風情は必聴!
終楽章は、拍節から滲み出る微妙な「雑味」が、音楽的な味わいに大きく作用していることをますます痛感。曲の後半へ向け、響きの凝縮度も、ニュアンスの煌めきも、ますます高まります。7:59からの得も言われぬ幽玄さ、16:06からのトリルの末端まで音化し尽くした意志力…。どれもがビートをスパッと刻む指揮法では成し得ないニュアンスばかりで、いかにこの演奏がかけがえのないものであるか、実感いただけると思います。
リストの「前奏曲」も、音楽を作り込み過ぎない潔さで、聴き手を唸らせます!【湧々堂】

TRE-009
ビゼー:「アルルの女」組曲より
 前奏曲/メヌエット/カリヨン/田園曲/間奏曲/ファランドール
メンデルスゾーン:「真夏の夜の夢」#〜序曲/夜想曲/スケルツォ
 交響曲第4番イ長調「イタリア」Op.90*
ハインツ・ワルベルク(指)
フィルハーモニアO

録音:1960年11月29&30日-12月2日、1960年11月28日*、1960年11月29日# (全てステレオ)
※音源:伊EMI SQIMX7003、英EMI SXLP20037#,*
◎収録時間:79:29
“また聴きたくなる魅力!ワルベルクの愚直さが生んだ至純のニュアンス!”
■製作メモ
1950年代中期にステレオ録音が出現して以来、各レコード会社は、その理想的なサウンドを目指して苦心を重ねてきましたが、EMIは、1960年頃にその後のEMIの特徴とも言える、自然な臨場感を持つサウンドを確立したと思われます。この初出のSXLP20037では、その音の素晴らしさと、音楽的な情報量の豊かさを肌で感じることができます。

★この「イタリア」の録音は、有名なクレンペラーの録音(1960年2月)から1年も経たずに行われています。そのせいか、テンポ設定や楽器間のバランスなど、クレンペラーとよく似た点が垣間見られるのがまず興味深いところですが、決してクレンペラー流をなぞったのではなく、当時の批評に見られた「無難な出来栄え」という程度の生半可な演奏でもありません!後年、ワルベルクがN響との共演で聴かせてくれた、一切の衒いとは無縁の愚直なまでの自然体路線は、30代の当時に既に独自のスタイルとして確立していたのです。
第1楽章再現部直前でトランペットを強奏させながらも、純朴な雰囲気を維持。第3楽章では丁寧な3拍子の刻みが、美しいカンタービレに独特のコクを与えています。終楽章も怒り肩の猛進型ではなく、じっくりと音を紡ぎ出そうとするワルベルクの誠実さにオケ全員が共鳴し、心温まるニュアンスとして結実しています。
ドキッとするような強烈な個性はないのに、繰り返し聴きたくなるこの手作り感!これこそがこの演奏の最大の魅力でしょう。また、それをしっかり感じられる点が、日本のセラフィム盤LPや、かつてCD化されたものとの大きな違いです。当時のフィルハーモニア管の「素の巧さ」を知る上でも、欠かせない録音です。是非、音の端々まで浸透しているニュアンスの豊かさを感じて下さい!【湧々堂】

Sono Luminus
DSL-92177
(CD+Blu-rayAudio)
モハメド・フェイルーズ:作品集
タハリール
交響曲第3番「詩と祈り」
デヴィッド・クラカウアー(Cl)
サーシャ・クック(Ms)
デイヴィッド・クラヴィッツ(Br)
カリフォルニア大学Cho
カリフォルニア大学フィルハーモニー
ニール・スタルバーグ(指)

<BD> 7.1 24-bit/96kHz-MA,5.1 24-bit/192kHz-MA,2.0 24-bit/192kHz LPCM
現代アメリカの作曲家の中で、最も注目されている若手作曲家モハメド・フェイルーズ(1985-)。名前からわかる通り、彼のルーツは中東にあり、常に作品の中で「イスラエルとパレスチナの対立」を主題の一つに置き、「紛争から発する怒り、悲しみ」を音楽で表現することで、広く世界に問題提起を行っている人としても知られています。彼の作品は、既に何枚かリリースされていますが、今回のアルバムは彼の作風を端的に表すものであり、例えば最初の「タハリール」はアラビア語の解放の意味で、この名前がつけられたカイロの広場では、現在でも様々な抗議行動が行われることで知られています。フェイルーズはこの作品で、世界的なクラリネット奏者クラカウアーをフィーチャーし、異国的な味付けと、どこかコミカルな雰囲気を持たせることで、様々な事象を伝えようと試みています。大規模な「交響曲第3番」では、ドクター・アトミックでの素晴らしい演技が評価されたメゾ・ソプラノ、サーシャ・クックと現代音楽も得意とするバリトン歌手クラヴィッツを招き、彼らと合唱とオーケストラで壮大な物語を作り上げていくプロセスが興奮を呼ぶものです。Blu-rayAUDIOには合唱、オーケストラ、ソリスト、この大規模な響きが全て余すことなく捉えられているところも聴きものです。


fine NF(N&F)
NF-25802(1CD)
税込定価
チャイコフスキー:交響曲第5番 西脇義訓(指)
デア・リング東京オーケストラ

録音:2013年4月16-18日所沢市文化センター・ミューズ・アークホール

前作のブルックナーの交響曲第3番で、前代未聞の配置でデビューしたデア・リング東京オーケストラの第2弾。
(1)弦はクァルテット6組分で編成。
(2)指揮者を中心とした半円形ではなく、全員客席に向いて演奏。
(3)並行して録音したブルックナーの交響曲第3番では、バイロイト祝祭劇場のオケピットの楽器配列を参考に、第1ヴァイオリンを右翼に配置したが、本録音では、奏者は席を移動することなく、第1と第2ヴァイオリンの役割を逆(第1ヴァイオリンは左翼)
と今回も工夫をこらして録音しています。


BERLINER PHILHARMONIKER RECORDINGS
KKC-9083
(Bluray+2CD)
Download Code、
Digital Concert Hall Voucher付
初回特典付

税込定価
シューマン:交響曲全集
■CD1
交響曲第1番《春》
5-8交響曲第4番
■CD2
交響曲第2番
5-9交響曲第3番7《ライン》

■ダウンロード・コード
交響曲第1-4番のオリジナル・ハイレゾ音源(192kHz/24bit)
をダウンロードするためのURLとそのパスワードが封入されています。

■Blu-ray
交響曲第1-4番
このBlu-rayディスクには96kHz/24bitの音声トラックとコンサート映像の両方のコンテンツが収録されています。

■ボーナス・ビデオ
*サー・サイモン・ラトル、シューマンを語る
*録音製作の舞台裏
*ベルリン・フィルの「デジタル・コンサートホール」について

■デジタル・コンサートホール
ベルリン・フィルの映像配信サービス「デジタル・コンサートホール」を7日間無料視聴できるチケット・コードが封入されています。
サイモン・ラトル(指)BPO

録音:2013年2月14-16日(第3番)、2月20-22日(第2番)、10月31日-11月2日(第1&第4番)

■Blu-ray
○ブルーレイ・ディスク・オーディオ
96kHz/24bit
2.0 PCM Stereo
5.0 DTS-HD MA /125mm
○ブルーレイ・ディスク・ビデオ
画面:Full HD 1080/60i 16:9
音声:2.0 PCM Stereo 
5.0 DTS-HD Master Audio
リージョン:All/140mm

■ボーナス・ビデオ
言語:英語・ドイツ語/35mm

※日本語解説付き

★初回特典
初回購入者特典として、商品に貼付されているステッカーを貼って、応募いただくと「ベルリン・フィルの豪華年間プログラム」が抽選で30名様に当たります。(応募期間:2014年7月末日消印まで有効)
2014年、ベルリンPOが、自主レーベル「ベルリン・フィル・レコーディングス」をスタートいたします。  ベルリン・フィルでは、ネット映像配信サービス「デジタル・コンサートホール」で新時代のコンサート体験を提供してきましたが、「ベルリン・フィル・レコー ディングス」では、本格的なレコード制作を、新しい視座で行っていくことになりました。
それは商品仕様にも反映され、初回タイトルのサー・サイモン・ラトル指揮による「シューマン:交響曲全集」には、96kHz/24bit高品位音声トラック が収録されたブルーレイ・ディスク・オーディオ、ハイビジョン映像を収録したブルーレイ・ディスク・ビデオの両方のコンテンツが含まれたブルーレイ・ディ スクが1枚とCD2枚組が含まれています。さらに、全曲の192kHz/24bitハイレゾ音源をダウンロードできるコードを封入。また、デジタル・コンサートホー ルの7日間チケットも添付され、ベルリン・フィルの演奏を、多面的に体験いただける内容となっています。また、CD及びブルーレイ・オーディオ、ダウンロー ドの音源は、コンサート映像の音とは異なり、音のみで入念にマスタリングした音質となっています。パッケージは、ハードカバー型の美麗で豪華な装丁と なっています。デザインは、KPM(プロイセン王立陶器製作所)のオリジナル創作陶器花瓶によっています。シューマンの交響曲にインスパイアされた花瓶 をモチーフし、当エディションのために、KPMにより特別にデザインされたものです。花瓶の形状と柄は、シューマンが生きていた19世紀前半のオリジナ ルにより、形状は、ユーリウス・ヴィルヘルム・マンテル(1820-1896)の「中国風花瓶」を土台にしています。8月には、このシューマンの交響曲全集 をLPにてリリース予定。オーディオ・ファンの方々には、さらに追及した音質でお楽しみいただけます。
この演奏は、2013年2月、11月にベルリン・フィルハーモニーでライヴ録音されました。また今回の全集では、交響曲第4番は通常の改訂版ではな く、1841年の初稿により演奏されています。ラトルはこの版を特に評価し、「軽快さ、可憐さ、美しさに満ちている」と呼んでいます。彼はレーベルのスター トにあたり、「シューマンの交響曲は、ベストセラーではないかもしれません。しかし我々にとっては、非常に重要なレパートリーです。それゆえこれらの作 品でレーベルをスタートすることは、とても素晴らしいアイディアだと思います。我々は、これらの作品に独自の考えを持っているのです」と述べています。  「ベルリン・フィル・レコーディングス」では、今後、年に数タイトルをリリースしてゆく予定です。 (Ki)

Cameo Classics
CC-9033CD(1CDR)
【初紹介旧譜】
ヤーダースゾーン:交響曲第1番ハ長調 Op.24*
パブスト:ピアノ協奏曲変ホ長調 Op.82**
ヤーダースゾーン:ピアノ協奏曲第1番ハ短調 Op.89***
パナギオティス・トロコプーロス(P)**、
マリウス・ストラヴィンスキー(指)ベラルーシ国立SO*/**、
ワレンティナ・セフェリノワ(P)***、
デニス・ヴラセンコ(指)カレリア国立SO***

録音:2007年−2008年
※全曲世界初録音
19世紀のドイツに縁のあるユダヤ系作曲家たちの音楽を取り上げるシリーズの第4集。メンデルスゾーンの流れを汲み、美しい旋律を遺したヤーダースゾーンの「交響曲第1番」&「ピアノ協奏曲第1番」と、ロシアで活躍したパブストの「ピアノ協奏曲」。パブストの「ピアノ協奏曲」は所在不明となっていた楽譜がパリで奇跡的に発見され、1885年の初演以来となる蘇演となったコンサートでの演奏。
※Cameo Classicsは、レーベルオフィシャルのCD-R盤となります。

Cameo Classics
CC-9007CD(1CDR)
【再案内】
ストコフスキーの「チャイ5」/プロムス・ライヴ
チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調Op.64
同曲のリハーサル風景(約34分)
レオポルド・ストコフスキー(指)
国際ユース祝祭O

録音年:1973年8月19日 ロイヤル・アルバート・ホール“プロムス” (ステレオ・ライヴ)
のレーベルの最大の目玉アイテム。現時点(2014年)で、ストコフスキーの最も新しい「チャイ5」録音です。マンネリを避け、常に新たな響きを追い求めたストコフスキーの心意気をぜひ感じてください!更なる詳細コメントはこちら。【湧々堂】
※Cameo ClassicsはレーベルオフィシャルのCD-R盤となります。
Cameo Classics
CC-9008CD(1CDR)
【未案内旧譜】
バッハ(ストコフスキー編):トッカータとフーガ.ニ短調
ベートーヴェン:交響曲第7番
ムソルグスキー:「ホヴァンシチナ」〜第4幕第2場への間奏曲
ストラヴィンスキー:「ペトルーシュカ」組曲
レオポルド・ストコフスキー(指)
ブカレストRSO

録音:1969年ライヴ
擬似ステレオ的な音ですが、違和感は感じません。ベートーヴェンやブラームスでは、正攻法だったストコフスキーですが、ここでは後のDECCA録音以上に正攻法に徹し、トスカニーニ風のダイナミズムを炸裂させます。「ペトルーシュカ」の華麗さは、もちろん期待通り。【湧々堂】
※Cameo ClassicsはレーベルオフィシャルのCD-R盤となります。


オクタヴィア
OVCL-00545(1SACD)
2014年6月25日発売予定
小林研一郎&読響/ブラームス交響曲全集シリーズ Vol.1
ブラームス:交響曲第1番
ハンガリー舞曲集から
 第1番、第2番、第4番(ユオン編)、
 第5番(シュメリンク編)、
 第6番(シュメリンク編)、第10番
小林研一郎(指)読売日本SO

録音:2014年4月22、23日 東京芸術劇場
チャイコフスキーの第5交響曲に対峙するエネルギー放射型のコバケンとは正反対。特に交響曲では、いかにもブラらしい重厚さを徹底して追求し、それを着実に具現化しているのが特徴的。第1楽章の序奏部は間合いをたっぷり取って勇壮そのもの。ティンパニもかなりクローズアップされて感覚的な彫琢も見事。主部に入っても遅いテンポで一貫し、弛緩のない入念なニュアンス表出を続けます。終楽章でも、すべての音は内面へと向かい、歓喜を謳歌すするスタイルとは一線を画します。特に聴きものは第2楽章。冒頭から温かい情感が浸透し、特に弱音のニュアンスには本物の慈愛が満ち溢れています。
しかし、それ以上に説得力絶大なのが、コバケン節全開のハンガー舞曲で、オケの反応も交響曲以上に機敏で主体的。これは、全曲録音を切望せずにはいられません。第1番でのテンポの溜めや音の引き伸ばしの思い切りの良さ、土臭い作品とコバケンとの相性の良さを痛感させます。泣きじゃくりが半端ではない第4番、やり過ぎという批判など恐れぬ第5番、シュメリンクの土俗的なアレンジの妙(特に中間部)を過去に例がないほど生かし切った第6番…。手に汗握る迫真の名演揃いです。【湧々堂】

BOMBA
BOMB-033-665(1CD)
イサーク・シュヴァルツ(1923-2009):交響曲ヘ短調*
映画音楽「カラマーゾフの兄弟」からの組曲+
3つの正教会聖歌#
レニングラードPO*
アルヴィド・ヤンソンス(指)*
ソヴィエト国立映画SO+
エミン・ハチャトゥリアン(指)+
聖ダニロフ修道院男声cho#

録音:1958年*/1968年(+/#) 発売:2010年
イサーク・シュヴァルツはウクライナに生まれ、ショスタコーヴィチの支援を得てレニングラード音楽院で学んだ作曲家。100本を超える映画音楽や管弦楽曲、合唱曲等を書きました。


CRQ Editions
CRQCD-080(1CDR)
ブルックナー:序曲ト短調
交響曲第9番(レーヴェ版)
チャールズ・アドラー(指)
ウィーンSO

録音:1952年
※音源:米SPA
“敬虔さをかなぐり放棄!人間ドラマとして描き切った超激演!!”
チャールズ・アドラー(1889-1959)は、英国生まれで後に米国に移住。マーラーの弟子の一人で、1910年の交響曲第8番の初演では合唱指揮者をしたことでも知られます。このブルックナーは、アドラーがディレクターも務めたSPAレーベルへの一連の録音の一つで、「改悪」とされるレーヴェ版の特徴を知る上で欠かせないもの。これは、「マーラー指揮者」であることが明白なアドラーが、レーヴェ版を使用したのは極めて自然なことであると痛感させられます。とにかく徹頭徹尾、いわゆるブルックナーらしい厳かさは皆無で、どこを取ってもマーラーにしか聴こえません。ド派手なドラマ性は、敬虔なブルックナー・ファンには冒涜としか思えないでしょうし、第2楽章はこんなに楽しくていいのか?と一瞬思いますが、聴けば聴くほど全ての表現が血肉と化した真実だということに気づき、譜面を追っただけの閃きのない演奏と比べ、どちらに価値があるかは明白となります。一聴の価値大ありです!【湧々堂】


GRAND SLAM
GS-2110(1CD)
シューベルト:交響曲第9番「ザ・グレート」
「ロザムンデ」序曲 D.644*
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)
VPO

録音:1953年8月30日ザルツブルク、フェストシュピールハウス(ライヴ)
1951年1月3、17日ウィーン・ムジークフェラインザール(セッション)*
使用音源:RVC(Japan) RCL 3336、EMI(U.K.) XLP 30097*
■制作者より  
このディスクのメインはフルトヴェングラーが1953年8月20日、ザルツブルク音楽祭でウィーン・フィルを振ったシューベルトの交響曲第9番「ザ・ グレート」です。これについては宇野功芳著『フルトヴェングラーの全名演名盤』(講談社+α文庫、現在絶版)の中に「オーケストラのひびきの密度の 濃さ、カロリーの高さは異常なくらいで、現今ではこんなに夢中になって弾くオーケストラ演奏を聴くことは稀」とあるように、フルトヴェングラーの戦後 のライヴの中でも突出した演奏です。これは1984年12月、今は消滅した日本の会社RVCよりRCL-3336(LP)として世界で初めて発売され、その後、 同一音源はEMI、オルフェオ、ターラなどからCD発売されましたが、いまだに初出のLPであるRCL-3336が群を抜いた鮮明な音質と言われています。 従いまして、かねてからこのLPを素材として復刻せよとの声が多く寄せられていたため、このたびそれを試みました。結果、予想以上に出来のいいもの に仕上がったと自負しています。なお、スタジオ録音の「ロザムンデ」序曲はイギリスの初出LP XLP-30097を素材としました。  解説書には「ディスク」、1957年4月号に掲載された「ウィーンから新帰朝の指揮者、金子登さんは語る」の中からフルトヴェングラーに関する記述 を抜粋して掲載しました。この「ザ・グレート」と同じ年の1953年の滞在記で、非常に興味深い内容です。(平林 直哉)

フルトヴェングラーの「グレート」は、1951年のDG録音が特に名演として知られますが、あらゆる点でこの53年盤が優位に立っているかもしれません。
第1楽章冒頭のホルンは今にもウィンナ・ホルンの朴訥さが懐かしさを醸し、主部は晩年とは思えないフレッシュな推進力を見せます。第2主題はガクッとテンポが落ちますが、その安定感が抜群。展開部の弦のピチカートもなんと瑞々しいこと!第2楽章中間部の憧れの風情と甘美な情感が混在した絶妙なニュアンスも聴きもの。終楽章冒頭は51年盤ほど緩急の差を付けず、ここにも推進力重視の姿勢が反映されています。例によって曲が進むに連れてヴォルテージはどんどん高まりますが、ここでは狂気に満ちたそれではなく、神々しささえ漂っている点がポイント。その雰囲気を生み出している最大の要因は、ウィーン・フィルの驚異的なアンサンブル。当時のウィーン・フィルがここまで一糸乱れず強固な凝縮力を持ってなり切った例は稀でしょう。
全てのパートを克明に捉え、力感を見事に届けてくれる録音の良さも特筆もの。 【湧々堂】

OBS PROMETEO
OBS-008(1CD)
イル・マニアティコの肖像
ガエターノ・ブルネッティ(1744-1798):交響曲&アリア集
私にはもう自分がどこにいるのかわからない [Non so piu dov'io sia](ソプラノと管弦楽の為のシーン)L.339*
交響曲第23番ヘ長調 L.312(1783)
聖水曜日の為の第1の哀歌(ソプラノと管弦楽の為の)L.342*
私の宝を盗もうと [Involarmi il mio tesoro] (ソプラノと管弦楽の為のアリア)L.338*
チェロ独奏を伴う交響曲第33番ハ短調
「イル・マニアティコ」L.322(1780)+
ラケル・アンドゥエサ(S)*
セビリャ・バロックO
クリストフ・コワン(VC+、指)
エンリコ・オノフリの指揮が2作(OBS 006, 007)続いた当レーベルにクリストフ・コワンが復帰。スペインの歌姫ラケル・アンドゥエサとの共演です。
ガエターノ・ブルネッティはイタリアのファーノに生まれ、1762年頃にスペインのマドリードに移住、国王カルロス4世の宮廷Oの指揮者を務めた古典派の作曲家・ヴァイオリン奏者。高名な音楽家であったにもかかわらず存命中・没後とも出版された作品は少なく、現在でもじゅうぶんな再評価が成されているとは言えません。その意味でもこのCDの登場は歓迎すべきことでしょう。
アルバム・タイトルの「イル・マニアティコ」とはおそらく、いわゆる「○○狂」のような、何かに対して熱狂的になっている人のことであると考えられます。


GRAND SLAM
GS-2109(1CD)
クレンペラー/本邦初登場1955年ライヴ
モーツァルト:交響曲第29番 イ長調 K.201
ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調 Op.92
オットー・クレンペラー(指)
北ドイツRSO

録音:1955年9月28日、ハンブルク、ムジークハレ
使用音源:Private archive
■制作者より
クレンペラーというと主にEMIのステレオ録音を通じて知る、あの遅いテンポと透明な響きが一般的な印象でしょう。このディスクの演奏は巨大なスケー ルと貫かれるイン・テンポは晩年と同じですが、激しい情熱をむき出しにしたようなスタイルは、晩年からは想像がつかないほどです。別人と言っても いいでしょう。CD化に際してはノイズ・カットを必要最小限にとどめ、原音の響きを尊重しました。同一の演奏はかつてアメリカ・ミュージック&アーツ (CD-1088、3枚組/2001年)でも出ていましたが、印象は大きく異なります。なお、曲の終わりがやや強引にフェイド・アウトされていますが(こ れはCD-1088も同じ)、オリジナルがこのような状態なのでご了承下さい。また、解説にはクレンペラーのインタビュー「指揮することについて」を掲載 しています。(平林 直哉)

2曲ともフィルハーモニア管との素晴らしい録音が存在するので、一般的にはそれで十分と言いたいところですが、このライヴを聴いてしまうとそう簡単に割り切れません。
まず、モーツァルトのあまりの素晴らしさ!間違いなく同曲屈指の名演です。フィルハーモニア管とは1954年と1966年の2度録音しています。演奏の印象は当然54年盤に近いのですが、ここではライヴならではの気合も手伝って、全ての表情がよりアグレッシブ。特に第1楽章第2主題のヴィオラのフレーズで顕著なように、各パートの連携の緊密さ、厳しいクレンペラーの要求を超えてオケの主体的な表現として響くので感動もひとしお。オケの響き自体も芯が強く、カロリー価が高いのでリズムの躍動も瑞々しさ一杯。瑞々しいといえば第2楽章。晩年の悠然とした佇まいにはない、人間味溢れる歌に酔いしれます。
3,4楽章はまさに生命力全開。特に第3楽章は、全部で5種類ほど確認されているクレンペラーの「29番」の中で最もテンポが速く、リズムの弾け方が鳥肌モノ。
ベートーヴェンもスタジオ録音と基本構成は似ており、よく指摘される管楽器の突出傾向も、ここで既に明確に現れています。とにかく集中力を切らさず、表現はどこまでも熱く、更に攻撃性も隠そうとしない頑強な意思に恐れ入るしかありません。特に終楽章最後でのトランペットのクレッシェンドの壮絶さは、荘厳なクレンペラーのイメージを吹き飛ばす爆発力!
プライベート音源を使用しているようですが、全てのパートがストレスを感じることなく聞き取れる音質なのも嬉しい限り。あの晩年の超然とした境地に差し掛かる前の感動的なドキュメントして、絶大な価値を誇る一枚です。【湧々堂】


Forgotten Records
fr-925(1CDR)
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」 ハンス・ロスバウト(指)
南西ドイツRSO

録音:1959年6月25日(モノラル放送音源)
ロスバウトの芸風は、マーラーの交響曲5番でも明らかなように、作品の構成を徹底的に掘り下げつつも、決して情感を排した無慈悲なものでありません。現代音楽のスペシャリストというイメージや録音の少なさ等が災いし、ジョージ・セルと同様の誤解を受け続けている指揮者と言えましょう。この「英雄」第1楽章展開部で際立つ、彫琢の凄さ!テンポ自体は中庸ですが、内在する表現意欲は凄まじいばかり。スタイリッシュなフォルムの中に溢れる情感を凝縮した第2楽章、オケの機能美が素晴らしい第3楽章に続く終楽章は、妥協なき造形力の圧倒的勝利!全ての声部が品格を持って制御されつくされており、表現にも変な「はみ出し」は皆無。それでいて息の詰まるような禁欲的な雰囲気に陥ることがないのです。注目は8:40からのハーモニーの絶妙バランス!ホルンをあえて抑制し、弦のリズムを明確化することで、深遠で神々しい風格美を築き上げています。
音質はモノラルながら、放送音源ゆえノイズ感がなく、非常に良好。【湧々堂】


WEITBLICK
SSS-0150(1CD)
ベルリオーズ:幻想交響曲
ベートーヴェン:序曲「コリオラン」
アルヴィド・ヤンソンス(指)
ドレスデンPO

録音:1980年2月28日ドレスデン・クルトゥア・パラスト、ステレオ・ライヴ
“主人公の深層心理に徹底的に寄り添った画期的アプローチ!”
当時のソ連の指揮者の中でも、品格と繊細さを兼ね備えた芸風が際立つアルヴィド・ヤンソンス。その特色を遺憾なく発揮したのがこの幻想交響曲。レニングラード・フィルともセッション録音行なっているほどの十八番作品です。
第1楽章の滑り出しは超低速と超弱音で、主人公の脆い神経と淡い恋心を反映したようなニュアンスで、早速聴き手の心を鷲掴み。これが何とも心を打ちます。主題の歌い回しも入念を極め、強弱対比にも古今を通じてこれほど神経を砕いた演奏も稀でしょう。第2楽章も単なる楽しいワルツではなく、拍節を克明に刻むことを避けて、夢遊病的な空気感を表出。第3楽章はこれまた絶妙な孤独感が全体を覆います。
第4楽章以降は打って変わって音の隈取リを強調して鮮明な音像を打ち立てますが、馬力で押し通すのではなく、テンポを盤石に固めながら丹念に楽想の連鎖させる力量たるや、改めて父ヤンソンスの芸術性の高さを思い知らされます。そして、その高い芸術性が高次元で燃焼を遂げる終楽章!いきなり魑魅魍魎の世界を演出する大方の演奏とは異なり、冒頭から鐘が登場するまでの前半部分は不安な空気感を徹底的にひ敷き詰め、唐突とも思える明快な鐘の音でふと我に返るという、巧みな設力にまず唖然。コーダに至ってようやく音圧を極限まで高めますが、その響きのなんと神々しいこと!音を外に放射することを許さず、含蓄を宿したまま締めくくる姿勢に、ヤンソンスのこの作品への強いこだわりを感じさせます。期待していた豪放な締めくくりとはかけ離れていたせいか、終了後の拍手もどこか呆気にとられた様子。
今までのイメージとは一味も二味も異なるヤンソンスだけが可能な幻想世界、とくとご堪能あれ!【湧々堂】


GEGA NEW
GD-380(1CD)
ショスタコーヴィチ:交響曲第4番ハ短調Op.43 エミール・タバコフ(指)
ブルガリア国立RSO

録音年月日不詳 STEREO
ブルガリアの名匠エミール・タバコフ(1947年生まれ)がショスタコーヴィチ:交響曲シリーズ第1弾として世に問うのは、なんと最大規模の難曲「第4番」!それだけでもタバコフの並々ならぬ自信が伺えます。タバコフといえば、廉価盤としてはもったいないくらいの濃密な内容を誇るマーラーの交響曲全集が忘れられませんが、このショスタコーヴィチは、最初の数秒を聴いただけでそれを超える全集になることを予感させます。
まず驚くのが、ブルガリア国立放送響の合奏精度の高さと、第1楽章のファゴットやハープのソロでも明らかなように、個々の奏者の表現センスの高さ。ヴィルトゥオジティを目指さず、全員が主体的な表現を行いつつ見事な一体感を形成。そこへ、音楽の内実を余すところなく引き出すタバコフの意思と職人的な造形力が加わり、極端な誇張を行わずとも絶大な説得力を持つ音楽として聴き手に迫ります。
終楽章コーダのティンパニ連打に始まる大炸裂も、統制を利かせることでニュアンスが結実し、最後に消え入る余韻もなんと美しいことか!つくづくのこの曲がとんでもなく偉大であることを痛感させます。録音も極めて優秀。【湧々堂】

King International
KKC-4014(1SACD)
シングルレイヤー
日本語オビ&解説付

ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調 WAB. 104《ロマンティック》(1878-80年原典版) ギュンター・ヴァント(指)ミュンヘンPO

録音:2001年9月13、14&15日/ミュンヘン、ガスタイクにおけるライヴ
リマスタリング:2013年/ドルマーゲン、THS Studio
リマスタリング・エンジニア:ホルガー・ジードラー
King International
KKC-4015(1SACD)
シングルレイヤー
日本語オビ&解説付

ブルックナー:交響曲第5番変ロ長調 WAB. 105(1875-78年原典版) ギュンター・ヴァント(指)ミュンヘンPO

録音:1995年11月29日 & 12月1日/ミュンヘン、ガスタイクにおけるライヴ
リマスタリング:2013年/ドルマーゲン、THS Studio
リマスタリング・エンジニア:ホルガー・ジードラー
King International
KKC-4016(1SACD)
シングルレイヤー
日本語オビ&解説付

ブルックナー:交響曲第6番イ長調 WAB. 106(原典版) ギュンター・ヴァント(指)ミュンヘンPO

録音:1999年6月24日/ミュンヘン、ガスタイクにおけるライヴ
リマスタリング:2013年/ドルマーゲン、THS Studio
リマスタリング・エンジニア:ホルガー・ジードラー
King International
KKC-4017(1SACD)
シングルレイヤー
日本語オビ&解説付

ブルックナー:交響曲第8番ハ短調 WAB. 108(1884-90年,ハース版) ギュンター・ヴァント(指)ミュンヘンPO

録音:2000年9月15日/ミュンヘン、ガスタイクにおけるライヴ
リマスタリング:2013年/ドルマーゲン、THS Studio
リマスタリング・エンジニア:ホルガー・ジードラー

King International
KKC-4018(1SACD)
シングルレイヤー
日本語オビ&解説付

ブルックナー:交響曲第9番ニ短調 WAB. 109(原典版)
ハイドン:交響曲第76番変ホ長調 Hob. I:76
ギュンター・ヴァント(指)ミュンヘンPO

録音:1998年4月21日(ブルックナー)、1999年6月24日(ハイドン)/ミュンヘン、ガスタイクにおけるライヴ
リマスタリング:2013年/ドルマーゲン、THS Studio
リマスタリング・エンジニア:ホルガー・ジードラー
2014年10月に創立10周年を迎える独Profilが、レーベルの看板シリーズとして力を注いできた「ギュンター・ヴァント・エディション」より、ミュ ンヘン・フィルとのブルックナーの交響曲5タイトルを、新マスタリング・SACDシングレイヤー仕様で、装いもあらたにリリース。 すべてホルガー・ジードラーによる2013年の最新リマスタリング。ブルックナーの交響曲第9番には、1999年6月にブルックナーの第6交響曲と 同日に演奏されたハイドンの交響曲第76番をカップリング。世界初SACD化。このたびは記念リリースにふさわしく、海外にてプレスしたディスクを直輸入、国内で日本語オビと解説を製作し、美麗紙製デジパック・パッケージに収 めた愛蔵版仕様となっております。初回各500セット完全限定生産品となります。
※これらのディスクはSACD対応プレーヤー専用ディスクです。通常のCDプレーヤーでは再生することができません。


オクタヴィア
OVCL-00516(2SACD)
2014年2月26日発売
マーラー:交響曲第6番「悲劇的」 エリアフ・インバル(指)東京都SO

録音:2013年11月2日横浜・みなとみらいホール、11月3日東京劇術劇場・ライヴ
インバルのマーラーとなれば聴く前から名演であることは予想されますが、聴後の今では、容易に入手できるディスクとしてはこれを超えるももは当分出てこないという確信に変わりました。インバルのマーラー体験の集大成が凝縮され、不要なものは削ぎ落とし、不可欠なニュアンスは徹底的に具現化するスタンスが比類なき説得力を持って聴き手に迫ります。録音の優秀さも言うまでもありません。
第1楽章は悲劇性や攻撃性を前面に立てず、瑞々しい情感を引き出すことに重点を置いており、アルマのテーマが誰よりも憧れに満ち心から歌い抜いていることからもそれは明らか。提示部の最後で思い切りテンポを落としますが、わざとらしさなど皆無。展開部のカウベル登場以降はインバルの唸り声に象徴されるように、身を焦がす切なさが溢れ感動的。チェレスタが入る18:03からの忘我的な楽想後半でガラッとニュアンスを変え、続くフレーズへと美しく連動させる技にもシビレます。第2楽章はリズムを重く刻みながら推進性は確保。第3楽章は、純潔な歌が横溢。当然のようにインバルの唸り声(歌声)も頻出。後半12:18以降は、マーラーが書いた最も幸福で開放的な音楽であることを痛感させるほど、色彩感もフレージングも最適最良なものが厳選されています。終楽章はインバルの造形力を大発揮!全てが筋金入りで神々しささえ覚えます。オケの技術もきちんと弾ききっているという次元を超え、マーラーは自分たちの音楽という確信に満ち溢れ、そつのない演奏をする欧米のオケにぜひ聴いてもらいたいものです。
ところで、普段はネガティブな要素があるならそもそもコメントなどしないというのを旨としていますが、先に触れたインバルの唸り声だけは触れておくべきでしょう。それを想定した上でお聴きいただくほうが良いと考えるからです。とにかくグールドもびっくりの唸りっぷりで、大音量のトゥッティならまだしも、静かな曲調の第3楽章でそれを延々とやられると、ドキッとすることもたびたび。ホルンのフレーズとユニゾンで歌われると興が削がれます。「ライヴの雰囲気を伝える」と言えば聞こえはいいですが、聴衆は指揮者の真横で聴いているわけではないのです。編集で何とかならないものでしょうか?だからと言って、この演奏の偉大さは揺るぎようもないことは、改めて申し上げたいと思います。【湧々堂】


Cardellino Record
CAR-0001(2CD)
マーラー:交響曲第2番「復活」 ガリーナ・コヴァリョーヴァ(S)、
エフゲニヤ・ゴロホフスカヤ(A)
ユーリ・テミルカーノフ(指)
キーロフ(マリインスキー)劇場O&cho

録音:1980 年 5月(セッション録音)/キーロフ(マリインスキー)劇場(旧レニングラード)
テミルカーノフといえば、サンクトペテルブルグ・フィルの音楽監督として君臨していますが、1977年から88年まで、キーロフ(現マリインスキー) 劇場の芸術監督、首席指揮者を務めていました。1980年、まだバリバリのソ連時代に何とマーラーの、それも宗教的な色彩を持つ交響曲第2番「復活」 を録音していました。
旧ソ連でマーラーに力を入れていた指揮者といえばコンドラシンを思い出しますが、残念なことに彼は交響曲第2番の録音を残していません。それを補っ て余りある演奏・録音がこのテミルカーノフ盤と申せましょう。旧ソ連時代のオーケストラならではの迫力と大きさ、緊張感に改めて感心させられます。さ らに合唱の凄さはロシアならではで、弱音でも底知れぬ深みと表現力を見せてくれます。独唱陣もソ連時代にキーロフのプリマだった実力派で、ロシア・ オペラの一場面さえ彷彿させます。テミルカーノフの統率力も見事の一言に尽きるもので、これほど筋肉質に引き締まった「復活」も珍しいと申せましょう。
マーラーの交響曲第2番は1920-30年代のソ連で頻繁に演奏されましたが、その後イデオロギー的・政治的理由によりレパートリーから消え、 1962年にロジェストヴェンスキーにより蘇演されました。それを人気作にしたのがテミルカーノフで、1973年以来たびたび演奏し、絶賛されました。 もともとマーラーの音楽にはスラヴ的な要素が多く、テミルカーノフの演奏で聴くと、ある時はチャイコフスキー、ある時はショスタコーヴィチの音楽を思 い起させ興味津々です。
かつてメロディアからLP発売されたこともありますが、今回ペテルブルグ・レコーディング・スタジオでオリジナルのアナログ・マスターから24bitリ マスタリングを施され、鮮明な音が蘇りました。 (Ki)


Chandos
CHSA-5132(1SACD)
メンデルスゾーン・イン・バーミンガムVol.1
序曲「フィンガルの洞窟」
交響曲第5番「宗教改革」
交響曲第4番「イタリア」
エドワード・ガードナー(指)
バーミンガム市SO

録音:2013年10月20日−21日、タウン・ホール(バーミンガム、イギリス)
世界各地のオペラハウスやコンサートホールで大活躍中のエドワード・ガードナーの「メンデルスゾーン・イン・バーミンガム」プロジェクト第1弾。微視的な表現とは無縁で、どこまでも伸び伸びと表現を表出する姿勢がなんとも清々しい!「フィンガル」はダイナミックな音楽を目指しつつ、第2主題では独特のテンポの揺らしを見せ情感を込め抜き、それでいてウェットにならないセンスが光ります。クラリネットの第2主題が回帰する際の繊細な歌い口も印象的。「第5番」は、第1楽章塑像で声部の見通しの良さに、決して録音のせいではない緻密な制御力を感じさせ、もったいぶらない健康的な進行には嘘がないので、大いに好感が持てます。主部に入ると、その健康的な推進力を大発揮。とかく沈鬱に傾きがちな第3楽章を聴けば、そんなガードナーのストレートな表現が確実に結実していることを実感できるでしょう。終楽章のアレグロへの突入は、それこそ元気一杯。
ガードナーの素直なダイナミズムと曲想がぴったりマッチしたのが「イタリア」。特に第1楽章展開部の密度の濃いニュアンスは聴きもの。終楽章は最近ではオケの性能を前提とした高速演奏が流行りのようですが、ここでもかなりの猛スピードで疾走。しかし音楽が上滑りすることなく、安定感抜群。今後ガードナーどのように進化するのか、目が離せません。【湧々堂】


韓国Nimbus
CSM-1034(19CD)
ハノーヴァー・バンド〜Numbus録音集
■CD1
ベートーヴェン:序曲「コリオラン」
音楽「アテネの廃墟」序曲
音楽「シュテファン王」序曲 6:51
4序曲「レオノーレ」第2番
歌劇「フィデリオ」序曲 6:37
音楽「エグモント」序曲* 8:08
「プロメテウスの創造物」序曲*
随音楽「献堂式」序曲
■CD2
ベートーヴェン:交響曲第1番
交響曲第2番 ニ長調 op.36 3
■CD3
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
交響曲第4番 変ロ長調
■CD4
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」
交響曲第6番「田園」
■CD5
ベートーヴェン:交響曲第7番
交響曲第8番ヘ長調
■CD6
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」
■CD7
モーツァルト:交響曲第40番
バセット・クラリネット協奏曲イ長調 K. 622
アイネ・クライネ・ナハトムジーク K. 525
■CD8
モーツァルト:交響曲第41番「ジュピター」
ピアノ協奏曲第20番ニ短調
セレナータ・ノットゥルナ.ニ長調 K.239
■CD9
シューベルト:交響曲第1番ニ長調 D. 82
交響曲第2番 変ロ長調 D. 125
■CD10
シューベルト:交響曲第8番「未完成」
交響曲第5番変ロ長調 D. 485
交響曲第3番ニ長調 D. 200
■CD11
シューベルト:交響曲第4番「悲劇的」
交響曲第6番ハ長調 D. 589
■CD12
シューベルト:交響曲第9番「グレート」
■CD13
メンデルスゾーン:交響曲第3番「スコットランド」
序曲「フィンガルの洞窟」
序曲「静かな海と楽しい航海」
■CD14
メンデルスゾーン:交響曲第4番「イタリア」
ピアノ協奏曲第1番ト短調 Op. 25
ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 Op. 64
■CD15
ハイドン:ホルン協奏曲第1番ニ長調
ホルン協奏曲ニ長調ハイドン
交響曲第31番ニ長調「ホルン信号」
■CD16
ハイドン:交響曲第94番「驚愕」
 交響曲第95番 ハ短調
L・モーツァルト:おもちゃの交響曲ト長調
■CD17
ハイドン:交響曲第104番「ロンドン」
交響曲第100番 「軍隊」
■CD18
ウェーバー:序曲「オイリアンテ」
序曲「オベロン」/序曲「魔弾の射手」
序曲「幽霊の支配者」
舞踏への勧誘 ( ベルリオーズ編)
序曲「アブ・ハッサン」
序曲「ペーター・シュモルとその隣人たち」
■CD19
ウェーバー:交響曲第1番ハ長調
ホルン小協奏曲 ホ短調
交響曲第2番 ハ長調
特記以外、全てロイ・グッドマン(指)
ハノーヴァー・バンド


■CD1
モニカ・ハジェット(指)*


■CD2
モニカ・ハジェット(指)


■CD4
モニカ・ハジェット(指)*


■CD6
エイドェン・ハーヒー(S)
ジーン・ベイリー(A)
アンドルー・マーゲイトロイド(T)
マイケル・ジョーン(Bs)
オスロ大聖堂聖歌隊


■CD7
コリン・ローソン(バセットCl)
ハノーヴァー・バンド


■CD8
クリストファー・カイト(フォルテ・ピアノ)


■CD14
クリストファー・カイト(フォルテ・ピアノ)
ベンジャミン・ハドソン(Vn)

■CD15

アンソニー・ホールステッド(Hrn)
美麗紙ボックス仕様、ブックレット(英語表記)、内袋入りの各ディスクは、それぞれオリジナル・デザインが印刷された紙ジャケットに収納されてます。







King International
KKC-8014(30CD)
ORFEO DOR ステレオ名演集

■CD:1(ORFEOR.100841)
ベートーヴェン:交響曲第4番

■CD:2(ORFEOR.263921)
モーツァルト:ピアノ協奏曲第9番 「ジュノーム」
ブラームス:交響曲第1番

■CD:3(ORFEOR.522991)
ベートーヴェン:交響曲第4番
マーラー:さすらう若人の歌
シューマン:交響曲第4番

■CD:4(ORFEOR.608032)
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」

■CD:5(ORFEOR.608032)
チャイコフスキー:交響曲第4番

■CD:6(ORFEOR.607031)
モーツァルト:交響曲第29番
マーラー:亡き子を偲ぶ歌
R.シュトラウス:交響詩「死と変容」

■CD:7(ORFEOR.264921)
シューベルト:交響曲第2番
R.シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」

■CD:8(ORFEOR.587022)
モーツァルト:交響曲第41番「ジュピター」

■CD:9(ORFEOR.587022)
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」

■CD:10(ORFEOR.596031)
ドヴォルザーク:弦楽セレナード
交響曲第9番「新世界より」

■CD:11(ORFEOR.499991)
ベルリオーズ:幻想交響曲
序曲「海賊」

■CD:12(ORFEOR.207891)
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」

■CD:13(ORFEOR.206891)
ハイドン:交響曲第99番
モーツァルト:交響曲第25番
交響曲第38番「プラハ」

■CD:14(ORFEOR.498991)
モーツァルト:交響曲第40番
交響曲第41番「ジュピター」

■CD:15(ORFEOR.550011)
ヘンデル:合奏協奏曲ト短調 Op.6-6
ブルックナー:交響曲第9番

■CD:16(ORFEOR.724071)
ブルックナー:交響曲第8番(1890年 第2稿/ハース版)

■CD:17(ORFEOR.553011)
モーツァルト:交響曲第40番
ブラームス:交響曲第2番

■CD:18(ORFEOR.268921)
ベートーヴェン:序曲「コリオラン」
交響曲第8番、交響曲第7番

■CD:19(ORFEOR.654052)
モーツァルト:交響曲第40番

■CD:20(ORFEOR.654052)
マーラー:交響曲「大地の歌」

■CD:21(ORFEOR.867121)
ロッシーニ:「セミラーミデ」序曲
シューマン:ピアノ協奏曲
モーツァルト:協奏交響曲変ホ長調 KV364

■CD:22(ORFEOR.449961)
ベートーヴェン:交響曲第8番
チャイコフスキー:交響曲第5番

■CD:23(ORFEOR.208891)
ブルックナー:交響曲第7番

■CD:24(ORFEOR.484981)
ベートーヴェン:「エグモント」序曲
ピアノ協奏曲第3番、
交響曲第5番「運命」

■CD:25(ORFEOR.265921)
ブラームス:交響曲第2番
ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲第6番

■CD:26(ORFEOR.589021)
バルトーク:ヴァイオリン協奏曲
モーツァルト:行進曲ヘ長調 KV 248,
ディヴェルティメント.ヘ長調 KV247

■CD:27(ORFEOR.486981)
モーツァルト:交響曲第38番 「プラハ」
交響曲第41番「ジュピター」

■CD:28 (ORFEOR.554011)
マーラー:交響曲第6番「悲劇的」

■CD:29 (ORFEOR.235901)
ハイドン:交響曲第103番「太鼓連打」
シューベルト:交響曲第7番「未完成」
アイネム:ブルックナー・ディアローグ Op.39

■CD:30 (ORFEOR.302921)
モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジーク
チャイコフスキー:交響曲第5番
■CD:1(ORFEOR.100841)
カルロス・クライバー(指)バイエルン国立O
録音:1982年5月3日ミュンヘン、国立劇場
■CD:2(ORFEOR.263921)
フリードリヒ・グルダ(P)、カール・ベーム(指)バイエルンRSO
録音:1969年9月30日(モーツァルト)、1969年10月2日(ブラームス)
ミュンヘン、ヘルクレスザール
■CD:3(ORFEOR.522991)
クリスタ・ルートヴィヒ(Ms)、カール・ベーム(指)VPO
録音:1969年8月17日ザルツブルク祝祭大劇場、ザルツブルク音楽祭
■CD:4&5(ORFEOR.608032)
エミール・ギレリス(P)、カール・ベーム(指)チェコPO
録音:1971年8月8日ザルツブルク音楽祭
■CD:6(ORFEOR.607031)
クリスタ・ルートヴィヒ(Ms)、カール・ベーム(指)シュターツカペレ・ドレスデン
録音:1972年8月15日ザルツブルク祝祭大劇場(ステレオ/ライヴ)
■CD:7(ORFEOR.264921)
カール・ベーム(指)バイエルンRSO
録音:1973年9月29日ミュンヘン、ヘルクレスザール
■CD:8&9(ORFEOR.587022)
ラファエル・クーベリック(指)VPO
録音:1971年8月13日ザルツブルク祝祭大劇場
■CD:10(ORFEOR.596031)
ラファエル・クーベリック(指)バイエルンRSO
録音:1977年5月25日(Op.22)、1980年6月19,20日(Op.95)
ミュンヘン、ヘルクレスザール
■CD:11(ORFEOR.499991)
ラファエル・クーベリック(指)バイエルンRSO
録音:1962年11月23日(モノラル/ライヴ)、1981年9月25日ミュンヘン、ヘルクレスザール
■CD:12(ORFEOR.207891)
ヘレン・ドーナト(S)、ブリギッテ・ファスベンダー(A)、ホルスト・ラウベンタール(T)、ハンス・ゾーティン(Bs)、バイエルン放送cho、ラファエル・クーベリック(指)バイエルンRSO
録音:1982年5月14日ミュンヘン、ヘルクレスザール
■CD:13(ORFEOR.206891)
ラファエル・クーベリック(指)バイエルンRSO
録音:1982年5月4日(ハイドン)、1985年5月9日(KV504) ミュンヘン、ヘルクレスザール、1981年6月22日(KV183)ヴェルツブルク、カイザーザール
■CD:14(ORFEOR.498991)
ラファエル・クーベリック(指)バイエルンRSO
録音:1985年5月10日ミュンヘン、ヘルクレスザール
■CD:15(ORFEOR.550011)
ファエル・クーベリック(指)バイエルンRSO
録音:1985年6月6日ミュンヘン、ヘルクレスザール
■CD:16(ORFEOR.724071)
ヨゼフ・カイルベルト(指)ケルンRSO
録音:1966年11月4日ケルン、フンクハウス
■CD:17(ORFEOR.553011)
ヨゼフ・カイルベルト(指)バイエルンRSO
録音:1966年12月8日ミュンヘン、ヘルクレスザール
■CD:18(ORFEOR.268921)
ヨゼフ・カイルベルト(指)バイエルンRSO
録音:1967年11月30日(コリオラン)
1967年5月5日ミュンヘン、ヘルクレスザール
■CD:19&20(ORFEOR.654052)
ブリギッテ・ファスベンダー(A)、フランシスコ・アライサ(T)、カルロ・マリア・ジュリーニ(指)VPO
録音:1987年8月2日、ザルツブルク祝祭大劇場
■CD:21(ORFEOR.867121)
スヴャトスラフ・リヒテル(P)、ゲルハルト・ヘッツェル(Vn)、ルドルフ・シュトレング(Va)、リッカルド・ムーティ(指)VPO
録音:1972年8月17日(ロッシーニ&シューマン)、1974年7月27日(モーツァルト)ザルツブルク音楽祭
■CD:22(ORFEOR.449961)
ルドルフ・ケンペ(指)バイエルンRSO
録音:1975年3月20日ミュンヘン、ヘルクレスザール
■CD:23(ORFEOR.208891)
コリン・デイヴィス(指)バイエルンRSO
録音:1987年5月1日ミュンヘン、フィルハーモニー、ガスタイク
■CD:24(ORFEOR.484981)
エミール・ギレリス(P)、ジョージ・セル(指)VPO
録音:1969年8月24日ザルツブルク音楽祭
■CD:25(ORFEOR.265921)
ジョン・バルビローリ(指)バイエルンRSO
録音:1970年4月10日ミュンヘン、ヘルクレスザール
■CD:26(ORFEOR.589021)
ゲルハルト・ヘッツェル(Vn)、ロリン・マゼール(指)VPO(バルトーク)、ウィーン室内合奏団(モーツァルト)
録音:1984年、1983年ザルツブルク音楽祭
■CD:27(ORFEOR.486981)
シャーンドル・ヴェーグ(指)ザルツブルク・カメラータ・アカデミカ
録音:1989/96年ザルツブルク音楽祭
■CD:28 (ORFEOR.554011)
エーリッヒ・ラインスドルフ(指)バイエルンRSO
録音:1983年6月10日ミュンヘン、ヘルクレスザール
■CD:29 (ORFEOR.235901)
ロヴロ・フォン・マタチッチ(指)ウィーンSO
録音:1984年1月7日(ハイドン&シューベルト)、1983年3月13日(フォン・アイネム)
■CD:30 (ORFEOR.302921)
ダヴィッド・オイストラフ(指)VPO
録音:1972年8月23日ザルツブルク音楽祭

※特に表記のないものは全てステレオ・ライヴ
1979年に設立されたドイツ、ミュンヘンを拠点にしている「オルフェオ」レーベルは、2種類のレーベル・ラインを持っています。指揮者のアンドリス・ ネルソンスやチェリストのダニエル=ミュラー・ショットなどの実力ある現代の演奏者をいち早く起用した新録音シリーズは、紺色のジャケットでリリース。 そして今回ボックス・セットとして発売する、赤色のジャケットORFEO D’ ORシリーズは、ザルツブルク音楽祭、バイエルン放送などと協力した歴史的 名演のライヴ録音をリリースしています。ORFEO D’ ORとは「黄金のオルフェオ」という意味で、まさに演奏史に燦然と輝く名演を次々と発売し、世界 中の音楽ファンに紹介しています。 本セットは、ORFEO D’ORシリーズからステレオ録音の名演をセレクトし収録しています。レーベルの顔ともなっているアルバム、クライバーのベートーヴェ ンの交響曲第4番。カール・ベーム全盛期のウィーン・フィルとの1969年ザルツブルク音楽祭ライヴでのシューマン、ベートーヴェン、マーラーの録音。 そしてクーベリックとバイエルン放響、カイルベルト、セル、オイストラフ、ムーティ、マゼール、ジュリーニ、バルビローリ、コリン・ディヴィス、ケンペ、 ラインスドルフ、マタチッチ、ヴェーグと20世紀を代表する巨匠指揮者のライヴでの熱演を聴くことができます。 数量限定のボックス・セットとなりますので、ご注文はお早めにお願い致します。
【山崎浩太郎氏 ライナーノーツより】
ORFEO D’ORシリーズ初期の大ヒットは、セットに含まれている、カルロス・クライバーの交響曲第4番である。(中略)カリスマ的な人気が高まりつつあっ たカルロスの、その真価を伝えてくれる貴重な記録として、圧倒的な人気を誇ったディスクだった。 その興奮の価値はいま聴いても、まったく色褪せて いない。話題盤、名盤がメジャー・レーベルに集中しがちだった当時、オルフェオの存在とマイナー・レーベルの可能性を知らしめた、大きな意義を持っ た1枚である


ELECT
ERT-1025(1CD)
シューベルト:交響曲第8番「未完成」
交響曲第9番「ザ・グレート」
ジョルジュ・ジョルジェスク(指)
ジョルジュ・エネスコPO

録音:1963 年スタジオ(ステレオ)、1963 年ライヴ(モノラル。拍手有り)
“高潔でありながら温かいジョルジェスクの芸風が最高に生きたシューベルト”
まず「未完成」が驚愕の名演!第1楽章はやや速めのテンポと、厚塗りを避けたすっきりとしたハーモニーをベースにした響きが弛緩なく流れ、シューリヒトを思わせる寂寥感とクールなフレージングが心を捉えます。展開部の冒頭が物々しくならず、それでいて緊張感が自然と増幅するあたりは特に必聴。
第2楽章は一点の曇もないハーモニーのセンスが更に生き、冒頭1分で、浄化され尽くした精神の深い宿りに息を呑みます。第2主題は弦のユニゾンがかくも美しく調和し、その調和に華を添えるよう管楽器が絡み、2:49からのクラリネット・ソロは、フレーズが切れる最後の一瞬まで心が通っており、4:00以降のシンフォニックに凝縮された響きは高潔の極み!特にトロンボーンとティンパニがこれ程雄弁に、かつ絶妙にブレンドした響きは滅多に聴けません。「未完成」録音史に残る超名演といっても過言ではありません。
「グレート」は、「未完成」とは打って変わって人懐っこい表情を湛えた歌に徹した、これまた魅力的アプローチ。
第1楽章は序奏部から主部への移行でわずかにテンポをあげる程度で、ゆったりとしたテンポを受け継いだまま進行するのがまずユニーク。その柔和な雰囲気を絶やさず、濃密な音楽が滔々と流れ、メカニックな巧さを誇る演奏からは聴けないこの作品の大切なエッセンスが炙り出され、単に野暮ったい演奏とは一線を画します。
第2楽章はやや速めのアンダンテで開始し、中間部では「未完成」第2楽章で聴かれたような高潔な空気を一気に敷き詰めます。4:02からの第1ヴァイオリンのフレーズが、自然でありながら愛らしく語りかける演奏は、他に思い当たりません。
第3楽章は、3拍子のリズムを確かめるようなゆったりとしたテンポ感自体が魅惑的。そのテンポを守ったまま中間部に流れることに、これほど幸福を覚える演奏にかつて出会ったことがありません!
終楽章のテンポは速すぎず遅すぎず、ジョルジェスクが望むニュアンスが確実に浮かび上がるテンポ感が万遍なく浸透。オーボエが吹く第2主題は軽いドッキリ。普通は8小節以上を大きなフレージングで歌わせますが、ここでは4小節ではっきりとブレスを入れています。スコアを見えると確かに4小節ごとにスラーが区切られており、そのとおり演奏することで、まるで子供が童謡を口ずさむような可愛らしい表情が浮かぶではありませんか!
サヴァリッシュ&ドレスデン盤と並ぶ名演として、強力にお薦めします!
録音は、「未完成」が非常に良好なステレオ、「グレート」はモノラルですが、共にバランスが非常に良好。モノラル、ステレオを問わず、バランスを欠く録音で聴いた演奏だけで判断するとその評価を誤りかねませんが、このシューベルトを聴けば、ジョルジェスクとエネスコ・フィルがいかに高次元の妙技を展開しているか実感していただけることでしょう。【湧々堂】
ELECT
ERT-1024(1CD)
ブラームス:交響曲第3番ヘ長調Op.90
ハイドンの主題による変奏曲*
ジョルジュ・ジョルジェスク(指)
ジョルジュ・エネスコPO

録音:1964年5月23 日ライヴ(ステレオ)、1964年2月23日スタジオ(ステレオ)*
交響曲は、第1楽章第2主題移行前のリタルダンドと長いルフト・パウゼ、再現部の入りで大きく見得を切るなど、一時代前のロマンティックな解釈が随所に顔を覗かせまが、一定の品格を失わないところが特徴的。変奏曲はゆったりとしたテンポに乗せて純朴にしみじみ歌わせた佳演奏。
代理店のインフォメーションでは、交響曲はステレオ時していますがほとんど広がりは感じられません。変奏曲は、バランスのとれたステレオ。【湧々堂】
ELECT
ERT-1026(1CD)
フランク:交響曲ニ短調
R.シュトラウス:ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら
ジョルジュ・ジョルジェスク(指)
ジョルジュ・エネスコPO

録音:1964 年6 月15 日ライヴ(ステレオ)、1962 年5 月20 日スタジオ(ステレオ)
フランクはジョルジェスクの死の僅か2 か月半前のライヴ。同時期にリリースされたブラームスの交響曲第3番とはまるで異なる洗練されたアプローチ。第2楽章は心ゆくまで音楽を歌わせつつ少しもウェットにならず美しい流れを築きます。終楽章はイン・テンポを基本としながら推進力溢れる演奏を展開。
R・シュトラウスは更なる名演奏。ジョルジェスクの語り口の巧さを痛感させます。各楽想の性格的描写のなんと適確なこと!そのそれぞれがかなり強いコントラストを成して迫りますが大げさにならず芸の年輪を感じさせます。コーダ14:12からのほんの一瞬の愛くるしいテンポ感などまさにその典型。
録音は、代理店のインフォメーションではステレオとなっていますが、フランクは疑似ステレオ風、R・シュトラウスはモノラルに聞こえます。どちらもジョルジェスクの芸風を知る上で支障ないと思います。【湧々堂】


OTAKEN
TKC-352(1CD)
シューベルト:交響曲第 9 番「グレート」
ウェーバー:「魔弾の射手」序曲*
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)
BPO

録音:1953年9月15日、1952年12月8日*
※原盤:F670.027〜8M(疑似ステレオ)
「ザ・グレート」のレコードは、未通針と思われる蔵出し独協会盤です。 レコードに起因するプチノイズはごくわずかで、音も、きわめてしっかり入っております。しかし、このたび驚いたのは、復刻しようと当レコードの封を開け、レーベルをチェックする と、そこに小さく STの2文字が。もしかしてと思い、ステレオ・カートリッジで再生すると、予想した 通り、ステレオで再生されるではありませんか!もちろんオリジナルがステレオであるとは考えにくく、 疑似ステレオには違いありませんが、しかしそれにしてもしっかり分離し、細部がほぐれて聞こえるのには驚かされます。当盤は独エレクトローラ社のプレスで、おそらくエンジニアが独協会の指示か その了承のもとに、ブライトクランクの技術を使ったものと推測されます。 さて、当演奏の既出CD は、リマスターが強烈で、小生には音も冷たく演奏も死んだように聞こえておりましたが、当盤で聴くと、音、演奏の総合点で同曲中、51 年のグラモフォン盤をわずかに凌駕するか、少なくともベストを競うものになったのではないかと思われ、長く座右に置いていただけるものと、存じ上げる次第です。(オタケン・レコード太田憲志)
フルトヴェングラーの「グレート」といえば1951年のDGが超名演として有名ですが、ほぼノイズ皆無のこのブライトクランク版で聞くと、フルトヴェングラー最晩年特有の徹底して音楽の深部に迫る意志力と、悟りきった境地を反映した柔らかな光がリアルに感じられ、感動もひとしおです。第1楽章でのトロンボーンのフレーズが長く引き伸ばされる箇所など、空間的な広がりの中から立ち昇るので、神々しさが更に引き立ちます。ステレオ初期によく見られたように、音が広がるのに伴って、音が拡散して楽音の量感が乏しくなってしまったという結果に陥っていないのがありがたい限りです。第2楽章3:45以降の深遠な静寂感は、51年盤を凌駕するかもしれません。終楽章はアグレッシブな迫力では51年盤が上かもしれませんが、ニュアンスの強烈なコントラストの中にも聴き手の心にそっと手を差し伸べるような優しさが垣間見られ、独特に魅力を放っていることを再認識させられました。
「魔弾の射手」も1954年(EMI)不動の名名演が存在しますが、このディスクで聞くとニュアンスの陰影の意味深さはこちらが優ると思えてきました。【湧々堂】

日本伝統文化振興財団
XRCG-30048
(7XRCD)
完全限定盤
NHK交響楽団によるベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」1980年代編

Disc 1 〜R.ワイケルト

Disc 2〜Z. コシュラー

Disc 3 〜スウィトナー

Disc 4 〜スウィトナー

Disc 5〜B.クロブチャール

Disc 6〜F.ライトナー

Disc 7〜 若杉弘
Disc 1
ラルフ・ワイケルト(指)、曽我榮子(S)、伊原直子(A)、小林一男(T)、宮原昭吾(Br)/録音:1980/12/22NHKホール

Disc 2
ズデニェク・コシュラー(指)、曽我榮子(S)、伊原直子(A)、小林一男(T)、木村俊光(Br)/録音:1981/12/21NHKホール

Disc 3
オットマール・スウィトナー(指)、曽我榮子(S)、伊原直子(A)、小林一男(T)、木村俊光(Br)/録音:1982/12/22NHKホール

Disc 4
オットマール・スウィトナー(指)、片岡啓子(S)、伊原直子(A)、小林一男(T)、池田直樹(Br)/録音:1986/12/22NHKホール

Disc 5
ベリスラフ・クロブチャール(指)、佐藤しのぶ(S)、伊原直子(A)、小林一男(T)、木村俊光(Br)/録音:1987/12/21NHKホール

Disc 6
フェルディナント・ライトナー(指)、佐藤しのぶ(S)、伊原直子(A)、小林一男(T)、木村俊光(Br)/1988/12/22NHKホール

Disc 7 1989
若杉弘 (指)、佐藤しのぶ(S)、伊原直子(A)、小林一男(T)、多田羅迪夫(Br)/録音:1989/12/22NHKホール

全て、国立音大cho
0年代編に続く80年代編がついに発売されます。80年代は楽譜の面でも原典版の波が到来、ティンパニーにドレスデン・シュターツカペレの伝 説的名人ゾンダーマンが登場するなどN響の演奏史としても盛りだくさんの10年間でした。今振り返ると日本経済の一つの絶頂期でもあり、実に熱 気のある時代でありました。またNHKのアナログ録音最後期でもあって予想以上音の良さも大変魅力的です。なお83、84、85年の録音はオリジナ ルアナログマスターテープが残念ながら存在せず発売が見送られました。 (Ki)

DACAPO
MAR-8.201201(12CD)
モーツァルト:交響曲全集
<CD1>1-3.交響曲第1番変ホ長調K16/4-6.交響曲第4番ニ長調K19/7-9.交響曲ヘ長調K19a/10-12.交響曲第5番変ロ長調K22/13-16.交響曲ヘ長調K76(42a)/
<CD2>1-4.交響曲第6番ヘ長調K43/5-8.交響曲第7番ニ長調K45/9-11.交響曲ト長調K45a/12-15.交響曲変ロ長調K45b/16-19.交響曲第8番ニ長調K48/
<CD3>1-4.交響曲第9番ハ長調K73(75a)/5-7.交響曲ニ長調K81(73l)/9-11.交響曲ニ長調K97(73m)/12-15.交響曲ニ長調K95(73n)/16-18.交響曲第11番ニ長調K84(73q)/19-21.交響曲第10番ト長調K74/
<CD4>1-4.交響曲第12番ト長調K110(75b)/5-8.交響曲ハ長調K96(111b)/9-12.交響曲第13番ヘ長調K112/13-16.交響曲第14番イ長調K114/
<CD5>1-4.交響曲第15番ト長調K124/5-7.交響曲第16番ハ長調K128/8-10.交響曲第17番ト長調K129/11-14.交響曲第18番ヘ長調K130/<CD6>1-4.交響曲第19番変ホ長調K132/5-8.交響曲第20番ニ長調K133/9-12.交響曲第21番イ長調K134/13-15.交響曲第26番変ホ長調K184(161a)/
<CD7>1-3.交響曲第27番ト長調K199(161b)/4-6.交響曲第22番ハ長調K162/7-9.交響曲第23番ニ長調K181(162b)/10-12.交響曲第24番変ロ長調K182(173da)/13-16.交響曲第25番ト短調K183(173db)/<CD8>1-4.交響曲第29番イ長調K201(186a)/5-8.交響曲第30番ニ長調K202(186b)/9-12.交響曲第28番ハ長調K200(189K)/
<CD9>1-3.交響曲第31番ニ長調「パリ」K297(300a)/4-7.交響曲第33番変ロ長調K319/8-11.交響曲第34番ハ長調K338/11.交響曲第31番ニ長調「パリ」K297(300a)第2楽章:第1稿/
<CD10>1-4.交響曲第35番ニ長調「ハフナー」K385/5-7.交響曲第38番ニ長調「プラハ」K504/
<CD11>1-4.交響曲第36番ハ長調「リンツ」K425/5-8.交響曲第39番変ホ長調K543/
<CD12>1-4.交響曲第40番ト短調K550/5-8.交響曲第41番ハ長調「ジュピター」K551
アダム・フィッシャー(指)
デンマーク国立室内O

録音:2006年6月-2013年2月
7年の年月をかけて、ついに完成となったアダム・フィッシャーとデンマーク国立室内管弦楽団の「モーツァルト:交響曲全集」。その間にオーケストラの名前は変わりましたが、フィッシャーの解釈は一貫しています。常にきびきびとした的確なテンポと、モダン楽器による艶やかな響き。そして時に幻想的とも思える音のパフォーマンス。全てが調和した見事なモーツァルトです。もちろん初期の作品の面白さも存分に感じさせます。なお、単品での発売時はSACDハイブリッド盤を採用していましたが、全集では通常CDとなり、価格もお手頃です!


SCRIBENDUM
SC-505(7CD)
コンヴィチュニーの芸術〜ザ・モノラル・レコーディングス
■CD 1
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
■CD 2
ブルックナー:交響曲第2番(1877年、ハース版)
■CD 3
ブルックナー:交響曲第4番ホ長調WAB104(1881年原典版 ハース版)
■CD 4
ショスタコーヴィッチ:交響曲第10番
■CD 5
ショスタコーヴィッチ:交響曲第11番「1905年」
■CD 6
ベートーヴェン:交響曲第4番
交響曲第5番「運命」*
■CD 7
ベートーヴェン:交響曲第番9番「合唱付き」
全て、フランツ・コンヴィチュニー(指)
■CD 1
シュターツカペレ・ドレスデン/録音:1955年
■CD 2
ベルリンRSO/録音:1951年
■CD 3
チェコPO/録音:1952年
■CD 4
ライプツィヒ・ゲヴァントハウスO/録音:1954年)
■CD 5
シュターツカペレ・ドレスデン/録音:1959年
■CD 6
ライプツィヒRSO/録音:1950年、1951年*
■CD 7
ライプツィヒRSO&Cho
ハンネ=ローレ・クーゼ(S)、エヴァ・フライシャー(C.A)、ロルフ・アブレック(T)、ハンス・クラーマー(Bs)/録音:1950年

AAM Rscords
AAM-1(1CD)
ヘンデルからハイドンまで
ヘンデル:オラトリオ「サウル」〜シンフォニア(1738)
フランツ・クサヴァー・リヒター(1709-1789):グランド・シンフォニー 第7 番 ハ長調(1740 頃)
アントン・シュターミッツ(1717-1757):シンフォニア第4番 ニ長調(1750 頃)
モーツァルト:交響曲第1番変ホ長調 K16
ハイドン:交響曲第49番「受難」
リチャード・エガー(指&ハープシコード)
アカデミー・オブ・エンシェント・ミュージック (エンシェントCO)
コンサートマスター:・パヴロ・ベズノシウク(Vn)

録音:2011年9月21-23 日 UK ロンドン セイント・ジュード・オン・ザ・ヒル
ホグウッドが設立し、その後マンゼ、エガーと音楽監督がかわっても、新古楽演奏をリードする「アカデミー・オブ・エンシェント・ミュージック」の自主レーベル第1 弾です。このアルバムのコンセプトは、古典派交響曲が誕生するまでの「シンフォニー」の重要な作品を収録。この時代の音楽は絶えず実験と発展をし続け、新しい音楽を聴衆は求め作曲家らは新音楽を作曲していきました。ヘンデルの「サウル」は、オペラとオラトリオが重なる頃に作曲されたもので、実にドラマティックなシンフォニア。リヒターが、マンハイムの宮廷に仕える以前のシンフォニーは、バロックから古典派へ移ろうという瞬間の端正にまとめられた美しい作品。明快なロココ風の作風をつぎ込んだマンハイム楽派を代表するシュターミッツ。そして新時代を迎えるにあたってモーツァルトが8 才の時に書いた交響曲。ハイドンのシュトゥルム・ウント・ドラング期を代表する交響曲。エガーは、この時代の典型的なエステルハーツィ宮のオーケストラ編成(3-3-2-1-1)によって、美しさや柔らかさだけでなく透明なテクスチュアを見いだし、音楽的勢いと感興を導いていきます。


WEITBLICK
SSS-0147(1CD)
ショスタコーヴィチ:交響曲第8 番ハ短調 Op.65 アルヴィド・ヤンソンス(指)
ベルリンRSO(旧東独)

録音:1981年11月11日ベルリン放送局大ホール1(ステレオ)
※英語、日本語、ドイツ語によるライナーノート付
全体的に悲劇性だけを強調するのではなく、慈愛と希望の光をニュアンスに盛り込むことを主眼としているのが特徴的。第1楽章は、オケの精妙なアンサンブル力もあって第3主題以降の凶暴な音楽の内にも、凍てつくような恐怖のみならず、ハーモニーに人間的な温かみを宿しています。行進曲風のクライマックスでも明らかなように、体全体で音を放射しつつも、耳をつんざくような感覚的な刺激に頼らないので、地味に思われかねませんが、内実の熱さに是非耳を傾けてください。第2〜3楽章も鋭利な迫力とは対照的ですが、その分内面からニュアンスが間断なく滲み出てるので、思わず聴き入ってしまいます。そして終楽章コーダの響きの均衡を保った絶品の余韻!録音も極めて良質。【湧々堂】


Goodies
33CDR-3461(1CDR)
ブラームス:交響曲第1番ハ短調Op.68
交響曲第2番ニ長調Op.73*
ブルーノ・ワルター(指)NYO

米 COLUMBIA SL200(U.S.)(Set)
(1953年12月30日、12月28日* ニューヨーク30丁目コロンビア・スタジオ録音)
“50年代の最高峰に君臨するブラームス録音!”
晩年のステレオ録音の枯れた味わいも素晴らしいですが、オケの力量と量感も含めてこちらのLP初期録音の魅力はより一層魅力的。何よりも気力が充実仕切っており、表情に確固とした力感が漲っているのが最大の特徴で、肝心なのはその魅力は芯を欠くメーカーの正規CDでは感じにくいという点。この2曲では特に「第2番」が、終楽章のアッチェレランドに象徴されるように熱い名演として知られていますが、ここでまず力説したいのが「第1番」の絶対的な素晴らしさ!
1950年代の「ブラ1」を語る際に絶対に外せない録音です。第1楽章展開部以降の内面から吹き出す高次元のニュアンス、コーダの神々しさ、第2楽章の分厚いハーモニーには、この頃のワルターが決して「優しさ」一辺倒ではない多様な情感が充満。終楽章はホルンのテーマが出てくる前の微妙な陰影感は他では聴けず、第1主題登場までの高潔で逞しい音像も比類なし。その第1主題は全くの純朴スタイルながら馥郁たるニュアンスが溢れ、瑞々しい精神が脈打つのを感じずにはいられません。7:26からのホルンは盛大に増強しているように聞こえますが、その効果は絶大で、しかもそれが、畳み掛けるような推進力に一層拍車をかけ、かつ威嚇的な演奏に陥っていないという絶妙さ!
もちろん「第2番」も絶世の名演!第1楽章の草書風のフレージングは慈愛に満ち溢れ、リズムは芯から沸き立ち、いつ聴いても新鮮。終楽章は「火の玉のよう」と形容されがちですが、トスカニーニやミュンシュと比べれば分かるように、ここで聴かれるのはただの白熱ではなく、おおらかな精神の究極の昇華!オケの全員が心から敬愛するワルターもオーラに包まれながら演奏できる喜びが頂点に達したことで発火したコーダの猛烈な加速の見事さも、未だに色褪せません!【湧々堂】

DACAPO
MAR-6.220546
(1SACD)
モーツァルト:交響曲集第11集(1783&1788)
交響曲第36番ハ長調K425「リンツ」
交響曲第39番変ホ長調K543
アダム・フィッシャー(指)
デンマーク国立室内O

録音:2012年8-12月,2013年2月コペンハーゲン
フィッシャーはどれも早めのテンポで、見通しのよい軽やかなモーツァルトを表出しています。ブックレットには、解説者クラウス・ヨハンセンによって、2曲の解説ではなく「モーツァルトとクラリネットの関係」が興味深く綴られています(英・独・デンマーク)
DACAPO
MAR-6.220639
(1SACD)
モーツァルト:交響曲集第12集(1788)
交響曲第40番ト短調K550
交響曲第41番ハ長調「ジュピター」K551
アダム・フィッシャー(指)
デンマーク国立室内O

録音:2013年2月コペンハーゲン
アダム・フィッシャーとデンマーク国立室内Oによるモーツアルトの交響曲集もこれで完結です。1842年にモーツァルトの未亡人コンスタンツェが亡くなった時、遺品の中から発見されたノートに、1811年のコペンハーゲン王立歌劇場で「ドン・ジョヴァンニ」の演奏を観た時の感想が書かれていました。そこには「これ以上の演奏はありません」と記されており、当時からコペンハーゲンのオーケストラとモーツァルトとの相性の良さは折り紙つきでした。そんな長い関係性を更に良好にした、このフィッシャーの交響曲全集は、録音の素晴らしさとともに、一つのモーツァルト演奏の指針として長く愛されていくことでしょう。


King International
KKC-9059
(4Bluray)
日本限定生産
サイモン・ラトル来日記念ブルーレイBOX

■Disc1(2056794)
2007年ジルヴェスター・コンサート
ボロディン:「イーゴリ公」〜「だったん人の踊り」
 交響曲第2番ロ短調
ムソルグスキー:「ホヴァンシチナ」前奏曲「モスクワ河の夜明け
ムソルグスキー(ラヴェル編):組曲「展覧会の絵」
ショスタコーヴィチ:バレエ音楽「黄金時代」〜舞曲(アンコール)
■Disc2(2057754)
2009年ヴァルトビューネ
チャイコフスキー:バレエ音楽「くるみ割り人形」〜序曲/クリスマス・ツリー/行進曲
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」
リンケ:ベルリンの風(アンコール)
■Disc3
2007年ヨーロッパ・コンサート
ワーグナー:「パルジファル」前奏曲
ブラームス:ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲
 交響曲第4番
■Disc4
2008年ヨーロッパ・コンサート
ストラヴィンスキー:3楽章の交響曲
ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番
ベートーヴェン:交響曲第7番
全て、サイモン・ラトル(指)BPO

■Disc1(2056794)
収録:2007年12月31日ベルリン、フィルハーモニー(ライヴ)
■Disc2(2057754)
イエフィム・ブロンフマン(P)
収録:2009年6月21日ベルリン、オリンピックスタジアム(ライヴ)
■Disc3
リサ・バティシアヴィリ(Vn)
トルルス・モルク(Vc)
収録:2007年5月1日ベルリン、カーベルヴェルク・オーバーシュプレー(ライヴ)
*Blu-ray未発、BOX初発売
■Disc4
ヴァディム・レーピン(Vn)
収録:2008年5月1日モスクワ音楽院大ホール(ライヴ)
*Blu-ray未発、BOX初発売

Disc1:91mm 画面:カラー、16:9、1080i Full HD 音声:PCM2.0、PCM5.1
Disc2:104mm 画面:カラー、16:9、1080i Full HD 音声:PCM2.0、PCM5.1
Disc3:103mm 画面:カラー、16:9、1080i Full HD 音声:PCM2.0、DD5.1、DTS5.1
Disc4:92mm 画面:カラー、16:9、1080i Full HD 音声:PCM2.0、DD5.1、DTS5.1
Region All
2013年11月にベルリン・フィル&サイモン・ラトル、2年ぶり5度目の来日を記念して、ドイツの映像レーベルEURO ARTSから日本限定特別ブルー レイBOXが発売されます。 来日コンサートの演目であるストラヴィンスキーの「春の祭典」を含む、初ブルーレイ化の2タイトルを収録したお買い得4枚組ブルーレイBOXとなります。 ディスク1は、大晦日の風物ベルリン・フィルのジルヴェスター・コンサート2007。テーマはロシア音楽で、彼らのレパートリーとしては珍しいボロディ ンの交響曲が含まれているのも注目。ディスク2は、2万人の観衆が沸くベルリンの夏、ヴァルトビューネ音楽祭。2009年はロシア作品をまとめており、 名手ブロンフマンのラフマノノフのピアノ協奏曲第3番は必見です。ディスク3には、ベルリンの歴史的工場で行われたベルリン・フィル創立125周年ラ イヴとなったヨーロッパ・コンサート2007。ヴァイオリンのバティアシヴィリの好演も際立った感動的な演奏となっています。そしてディスク4は、ベルリン・ フィルの表現力を最大限に発揮した圧巻のベートーヴェンを聴かせたヨーロッパ・コンサート2008。レーピンをソリストに迎えたブルッフも聴きものです。 (Ki)


Hanssler
98-014(1CD)
ファイ/ハイドン交響曲集Vol.21
序曲「突然の出会い」ニ長調 Hob.XXVIII:6
交響曲第99番変ホ長調Hob.I:99
交響曲第100番「軍隊」ト長調Hob.I:100
トーマス・ファイ(指)
ハイデルベルクSO

録音:2013年3月5-8日、パラティン、ヴィースロッホ
“クリップスと並ぶ「99番」の名盤誕生!”
いつも刺激的なアプローチで魅了するトーマス・ファイにとって、「軍隊」はまさにうってつけの楽曲。聴き手の想定を覆すアクセントやテンポ変動でドッキリさせる感覚面に注目が集まりがちですが、その根底には常にドラマがあることを再認識させます。単に刺激を追求するだけならもっと過激な衣装を纏うことも可能でしょうが、この曲に宿る愉悦感を丁寧に引出している点にご注目を。
「99番」は更に素晴らしく、旧スタイルのクリップス&VPO盤と並ぶ名演奏!各楽想の意味が大いなる共感を持って聴く側に迫ります。第1楽章の序奏部はオペラの幕開きを思わせる描写力にビックリ。主部は快活なテンポに上滑り感は一切なし。第2主題は真の共感なくして表出しようのない楽しさで一杯。展開部冒頭でガクッとテンポを落として濃い陰影を与えるアイデアもあざとさ皆無。第2楽章はファイの見落とされがちなほのぼのとした歌心を堪能。古楽奏法を採用するととかく響きがドライになりがちですが、第3楽章は響きのみならず音楽全体が瑞々しく、メヌエットらしい純朴なスウィング感が見事に炙りだされています。中間部はわずかにテンポを落としますが、このノスタルジックな風情がまた絶品!【湧々堂】


Audite
AU-97677(1CD)
シューマン:交響曲第1番「春」(初稿)
序曲,スケルツォとフィナーレ*
交響曲4番ニ短調 Op.120(1841年原典版)*
ハインツ・ホリガー(指)
ケルンWDR響

録音:2012年1月23-27日、2012年3月19-23日*、ケルン・フィルハーモニー、ドイツ
「奏でる」ことを忘れない、名手ホリガーの音楽家魂!
「第1番」は初稿に基づく演奏で、冒頭のトランペットが通常より3度下で演奏されるのが最大の特徴。演奏は全体的に内声部の解析が非常に明確ですが、決して血の気の少ない貧弱な演奏ではなく、強固な造形力とリズムの躍動、心からの歌心をベースとした内容満点の演奏に仕上がっています。弦のヴィブラートは抑制していますが、第1楽章コーダに見られるように響きには温かみと潤いがあるので、聴き手の心を素通りすることがありません。終楽章は意外にもゆったりとしたテンポで素朴路線を歩みつつ、内実は主張満載。
「第4番」の原典版による演奏も昨今では珍しくありませんが、通常の改訂版との響きの違いを印象付けるだけの演奏も少なくありません。ホリガーの素晴らしい点は、ごく自然体で当然のように聴手の心に訴える音楽を「奏でる」ことに終始していること。当初シューマンが意図した響きの面白さは十分に伝えつつも、決してそれを演奏効果として利用していないのです。したがって採用するテンポもごくオーソドックスで先鋭さを煽ったりしないので、シューマンの体温を感じることができる演奏として結実しているのです。
是非、気持ちを一度リセットし、通常版との「比較」ではなく、音楽的な味わいに心を傾注してお聞きいただきたいと思います。【湧々堂】


ICA CLASSICS
ICAC-5105B(1CD)
バルビローリ/ハイドン&ベルリオーズ
ハイドン:交響曲第83番ト短調 「めんどり」Hob.1:83
ベルリオーズ:幻想交響曲*
ジョン・バルビローリ(指)
南西ドイツRSO

録音:1969年2月24日、 1969年2月22-24日* バーデン・バーデン 南西ドイツ放送 ハンス・ロスバウト・スタジオ (共にステレオ)
“最晩年のバルビローリ、究極の円熟芸!!”
これは、バルビローリの円熟芸を堪能するのに欠かせない1枚!
バルビローリにとって相性の良いと思われるハイドンは意外にも録音は少ないですが、この83番は若き日にスタジを録音を遺しているお気に入りの作品。その愛着の深さが前編に塗り込められ、格別の味わいを残します。全体にいかにも英国的な典雅さが漂いますが、第1楽章提示部1:38からの低弦ピチカートとオーボエ(音程も抜群!)の融合の美しさや、展開部の彫琢の豊かさは作品の核心に迫ろうとする鬼気迫るものを感じさせるなど、月並みの演奏とはまるで世界が違います。第2楽章は、唸り声混じりのまさにバルビ節!終楽章は穏やかな笑みを浮かべながらアンサンブルは極上で気品満点。3:52からのリタルダンドのなんという儚さ!!
「幻想」もバルビローリの十八番ですが、ハレ管をはるかに凌ぐ聴き応え。とにかく徹底して情緒最優先。大音量圧倒型の爆演をお望みの方は、他を当って下さい。第1楽章序奏は、気が遠くなるほど夢見心地。主部冒頭の発作的なクレッシェンドもにもドキリ!第2楽章は7分を超える超スローテンポで、この上なく情緒纏綿。その甘美さを打ち砕くような突発的なルフト・パウゼにはくれぐれもご注意を。第3楽章も空きさせる瞬間などなく、最後のティンパニ・ソロの巧さにも唖然。4楽章以降もスローテンポが基調で、絞りだすような情念を根底から引き出し尽くします。終楽章の鐘は、ピアノを重ねていると思われ、異様な不気味さを演出。
粗(S)のte忘れてならないのは、名匠ロスバウトの薫陶を受けたオケの技量の高さ。一切破綻を見せず、個性的なバルビローリのアプローチに付き従っています。音質も非常にクリアなステレオ。

ICA CLASSICS
ICAC-5109B(1CD)
ハンス・ロスバウト
ドビュッシー:夜想曲/遊戯*
シベリウス:交響曲第6番#
ハンス・ロスバウト(指)
ケルンRSO、ケルン放送Cho

録音:1955年3月7日、1954年4月26日*、1952年4月21日# ケルン放送 第1 ホール
“透徹を極めた造形力と表現意欲の完璧なバランス!
ロスバウトならではのひんやりしたサウンドがドビュッシーにピッタリ!それどころか「夜想曲」演奏史上に残る大名演と断言せずにはいられません。「雲」は単なる描写音楽ではなく、響きの精緻な積み重ねからニュアンスを紡ぐことに徹していますが、サウンドはクールでも音楽が無機質にならない点が流石ロスバウト。中間部のハープを伴ったフルートの五音音階が、これほど無駄をそぎ落としてその表情を最大限に引き出す演奏は類例なし!「祭り」は高速でリズムのエッジを尖らせた刺激的な演奏。ここでも声部ラランスは鉄壁。中盤以降の行進も、最初の弱音器付きトランペットの息を呑む巧さに始まり、緊張の連続です。「シレーヌ」もムードに流れることなどありえない厳しさ。女声合唱はかなり人数を抑えていると思われますが、その音程の良さが際立ち、それとオケの均衡が神々しいまでの音像を醸し出すので。
ロスバウトのシベリウスといえば、DG録音の「カレリア組曲」などの名演の実績がありますが、ここでも芯まで凍りそうな音色と和声制御力が十二分に発揮されながら、表現意欲を強固に押し出した感動的な演奏を繰り広げています。第1楽章のフルートの第2主題の何という見通しの良さ!延々と弦の分散和音が続く中での陰影の変化も聴きもの。第2楽章は、冒頭の一瞬のティンパニから寂寥感にハッとすること必至。終楽章はやや速めのテンポで感覚的にはザッハリヒですが、音の全てに血が通い、作品を立体構造的に音楽を発展させる手腕に感服しきり。ティンパニの荒くれた音色と衝撃が全体に溶け合う素晴らしさにも唖然とするばかり。6:36からの弦のうねりは、とかく知性のみが強調されるロスバウトの熱き血潮を最も象徴するシーン。そしてコーダの消え入り方!「透徹」とは、まさにこのことです。
ここに数録された3曲の名演は、それぞれの演奏スタイルの指針となるべき存在と言えましょう。
モノラルながら、これらの魅力を十分に伝えきる良好な音質なのもありがたい限りです。【湧々堂】

DACAPO
MAR-6.220536
(1SACD)
モーツァルト:交響曲集第1集
交響曲 第1番 変ホ長調 K16
交響曲 第4番 ニ長調 K19
交響曲 ヘ長調 K19a
交響曲 第6番 変ロ長調 K22
交響曲 ヘ長調 K42a
アダム・フィッシャー(指)
デンマーク国立室内O

録音:2012年2月,8月 コペンハーゲン DR コンチェルトフセット 第2 スタジオ
8歳から11歳のモーツァルトの作品集。普通の人間なら「夏休みの宿題」であろう年代の作品ですが、5歳で最初の曲を作り、6歳でマリア・テレジア御前旅行を行い、パリとロンドンに演奏旅行に出かけていたというモーツァルト。まだまだ作曲活動は本格的に始められてはいないうえ、当時の他の作曲家たちの影響も強いことは確かですが、やはり一筋縄ではいかない「何か」がひしひしと感じられる作品群です。8歳の時の第1番と、11歳の第6番ではやはり完成度に大きく違いが見られ、日に日に様々なものを吸収し、大きくなっていくモーツァルトの姿をつぶさに観察する思いがすることでしょう。
DACAPO
MAR-6.220545
(1SACD)
モーツァルト:交響曲集第10 集(1782&1786)
交響曲 第35番「ハフナー」
交響曲 第38「プラハ」
アダム・フィッシャー(指)
デンマーク国立室内O

録音:2012年2月,4月,8月 コペンハーゲン DR コンチェルトフセット 第2スタジオ
1782年と言えばモーツァルトがコンスタンツェと結婚した年で、フリーの音楽家として独り立ちし、ウィーンでの確固たる地位を築き始めた時代にあたります。この第35番「ハフナー」はザルツブルクの大富豪の名前であり、同じ「ハフナー」の名を持つセレナーデ K.250(248b)とともに彼らに献上されたと言われています。明るく躍動的な第1 楽章、優美なアンダンテとメヌエット、闊達な終楽章で構成された名曲です。1786年の「プラハ」は、その年にプラハで上演された「フィガロの結婚」の大成功を受け、再び招待されたプラハで初演された曲。珍しくメヌエットを欠く3 楽章形式で書かれていて、随所に「フィガロ」からとられたメロディが散りばめられています。


Altus
ALT-271(1CD)
マーラー:交響曲第5番 ミヒャエル・ギーレン(指)
ザールブリュッケンRSO
(現ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送PO)

録音:1971年2月11,12日、ザールブリュッケン・コングレスハレ(ステレオ・ライヴ)
41歳のギーレンが感傷に流されない演奏を固く肝に銘じていた頃のマーラー。ギーレンの自薦録音とのことです。感覚的にはドライに感じられますが、厚化粧の音像に塗り替えることを徹底的に避けているだけで、フレージングの端々には強烈なこだわりと共感が迸り、決して無気質な演奏に陥っていない点が、不思議な余韻に繋がっています。ギーレンが全曲中最も心血を注いだと思われるのが第4楽章。オケの響きが、後年のスクロヴァチェフスキとの演奏を知っている耳には素朴で人間臭さを感じますが、その持ち味と潜在的なアンサンブル能力の高さ、それにギーレンの妥協のない和声ブレンドの妙味が渾然一体となって心に染み入ります。【湧々堂】


Guild Historical
GHCD-2402(1CD)
ストコフスキー〜ブラームス&ワーグナー1960
ブラームス:交響曲第1番ハ短調 Op.68
ワーグナー(ストコフスキー編):「トリスタンとイゾルデ」〜第2幕と第3幕の愛の音楽
レオポルド・ストコフスキー(指)
フィラデルフィアO

※録音(ライヴ):1960年2月23日(ステレオ)、アカデミー・オヴ・ミュージック(フィラデルフィア)
※リマスタリング:ピーター・レイノルズ&レイノルズ・リマスタリング
※マスター・ソース:エンノ・リエケーナ・コレクション
まず、かつてのボスストコフスキーのまさに手足となって演奏しまくるフィラデルフィア管の巧さに脱帽!ストコフスキーの指揮は予備運動の少なさのせいか、ほとんどのライヴ録音でアンサンブル上の乱れが散見されますが、特有の発作的なテンポ変動も物ともせず完璧なアンサンブルを貫徹しているのは驚異。
ブラームスは、若者のような熱気を常に発散しつつ、響きはオルガンにような荘厳さ!呼吸の深さとうねりの大きさは尋常ではなく、特に両端楽章は切れば血が噴射しそうなパワーが炸裂!老いを知らないストコフスキーの面目躍如たる名演奏です。そしてワーグナーは期待以上の官能の洪水!
録音状態はまずまずですが、ブラームスの冒頭で左チャンネルが少し詰まったように聞こえます。【湧々堂】


LEBHAFT
LBCDR-1005(1CDR)
モーツァルト:交響曲第36番「リンツ」
交響曲第38番「プラハ」
カレル・アンチェル(指)
シュターツカペレ・ドレスデン

録音:1959年6月(モノラル)
※原盤:独Eterna 820099
“渋いだけじゃない!アンチェル&シュターツカペレ・ドレスデンの唯一のモーツァルト”
カレル・アンチェルとシュターツカペレ・ドレスデンの唯一の録音で、かつてBERLIN Classicsで出ていたもの。1959年の録音ですがステレオは存在しません。アンチェルの無駄のない室内楽的な音楽作りは、相手がチェコ・フィル以外でも全く変わりなく、ここでもその特質を生かして、時代を問わず普遍的価値を持ち続けるであろう演奏を繰り広げます。
「リンツ」第2楽章は不純物の一切なくい、シューリヒトに似た浄化しきった美しさに酔いしれます。作品としても多彩なニュアンスを誇る「プラハ」は更なる名演で、フレーズの端々に音価の保ち方やアクセントに、それ以外はあり得ないと言う「静かな主張」に裏打ちされた深い見識を感じさせます。第1楽章展開部で声部が絡み合う様に、少しの軋轢も感じさせないこと稀で、これこそアンサンブル制御力の為せる技!しかも出てくる音楽には人間的な温もりと愛が溢れているのです。第2楽章は一点の曇もないイン・テンポを貫徹しますが、精神の潔癖さを映すもので、音楽が無気質になることはありません。
シュターツカペレ・ドレスデンというといつも判で押したように「渋い音色」と形容されますが、特に終楽章においては固めのティンパニの響きと管楽器の純朴な響きが融け合ってその魅力は満開。しかし古色蒼然とした黴臭さは皆無で、スタイリッシュな美しさと相俟った推進力が更に魅力を倍加させます。コーダの決然とした締めくくり方を聴くにつけ、アンチェルにはもっと多くのモーツァルトを遺して欲しかったと悔やまれてなりません。
使用LPの状態と復刻も良好。【湧々堂】


WEITBLICK
SSS-0145(2CD)
マーラー:交響曲第9番 ニ長調 エフゲニ・スヴェトラーノフ(指)
スウェーデンRSO

録音:2000年1月21日ベルワルド・ホール,ライヴ(デジタル)
※英語、日本語、ドイツ語によるライナーノート付
“スヴェトラーノフが最晩年に遂に到達した「愛と悟り」の境地!”
※スヴェトラーノフが忍び寄る死の影を感じながら紡ぎだした絶美の演奏。第 1 楽章の深遠な解釈、第4 楽章の澄み切った境地は、正に生と死の表裏一体を教えてくれるかのようです。対照的に中間楽章はエネルギッシュそのもので、リズム感の良さを物語ります。スヴェトラーノフのマラ 9 と言えば、ロシア国立響とのスタジオ録音は恵まれた音質といえなかっただけに、妙技を誇るスウェーデン放送響、名録音を誇るスウェーデン放送による当ライヴは、ファン垂涎のものでしょう。
演奏タイミング:[29:19][18:08][12:37][24:45]
好むと好まざるとにかかわらず、この作品を聴くにはそれなりの心の準備が必要だと思いますが、第1楽章の弦のテーマが鳴り出した途端に、完全にスヴェトラーノフが引き出す温かな音の感触の虜になること必至!柔和な雰囲気を湛えた演奏なら他にもありますが、これほど微笑み掛け、包み込むような慈愛を込め抜いて冒頭主題を奏でた例がかつてあったでしょうか?スヴェトラーノフはこの作品が後の後輩に多大な影響を与えたことを切り離し、完全に爛熟したロマン派交響曲として描ききり、広大なスケール感の中で独特の色彩を充満させるのです。24:16からのフルートとホルンの対話の神秘性は誰よりリアルで、ハープが鳴り響く26:01からは、それまでの混沌を全て洗い浄化するような安らぎをもたらします。
第2楽章は人間味満点。遅めのテンポでゆったり弾む晩年のスヴェトラノーフ節ですが、これほど多彩なニュアンスを内包する楽章だったとは!最初の舞曲の1:52から更にブレーキを踏む操作をあえて表面化させるお茶目さ見せ、しかもその後に音像の色彩がガラリと変わっている点に是非ご注目を!
第3楽章は意外にも前のめりなほどの推進力に満ちながら、音はあくまでも重量級で情報量満点。終楽章は冒頭の弦のテーマのハーモニーの美しさは古今を通じてダントツ!単なる綺麗な響きではなく、全人類の煩悩を優しく鎮めるような、この時点でスヴェトラーノフが到達した悟りの境地が完全に楽音に投影されていると言っても過言ではありません。頭で考えたのではない真の慈愛のニュアンスは最後まで途絶えることなく、これを涙なしで聴き通せる人などいるのでしょうか?音質も極上。【湧々堂】


コウベレックス
KRS-461(1CD)
ゲルハルト・ボッセ/メンデルスゾーン&ベートーヴェン
メンデルスゾーン:交響曲第3番「スコットランド」
ベートーヴェン:交響曲第4番*
ゲルハルト・ボッセ(指)
神戸市室内合奏団

録音:2011年6月11日(初CD化)、2007年10月13日(初出)*、神戸文化ホール中ホール,ライヴ
「このアルバムに収められた2つの交響曲で、一点一画をも揺るがせにすることのない堅固な構成の中に、生命感が生き生きと躍動するのを耳にしていると、まさにボッセさんの血の中に脈々と流れる伝統の重みをひしひしと感じると同時に、それを常に新たなものへと蘇らせるボッセさんの音楽家魂の熱さに引き込まれる。その薫陶を受けた神戸市室内合奏団も、ライヴ録音であるにもかかわらず、小編成ならではの精妙なアンサンブルに裏打ちされた内容の豊かな音楽を展開しており、聴き応え十分。(CD ライナー・ノートより/中村孝義)
メンデルスゾーンの序奏部、ヴィブラートを抑制してかなり透明度の響きと、スッキリとしたテンポで開始するのがまず意外ですが、心に響かない冷たい演奏とは異なり、少ない編成を見事に生かしたアプローチであることを実感できます。その後も(衒いのない表現で誠実に音楽を展開。第1楽章は提示部リピートあり。
ベートーヴェンは、C・クライバーほどではないものの、きびきびとしたテンポを基調とした瑞々しい情感を羽ばたかせます。各奏者の音楽センスも抜群です。【湧々堂】


GRAND SLAM
GS-2095
マーラー:交響曲第1番「巨人」 エイドリアン・ボールト(指)LPO

録音:1958年8月10日-13日、ロンドン、ウォルサムストウ・アッセンブリー・ホール(ステレオ)

使用音源:Everest (U.S.A.) STBR 3005 ( オープンリールテープ、2トラック、19センチ)
“名人芸!作り込み過ぎない解釈の背後に宿る強烈な共感”
■制作者より
ボールトがステレオ初期にエヴェレストに録音したマーラーの交響曲第1番「巨人」は、彼が生前に正規録音した唯一のマーラーです。これはLP時代 には国内で一度も発売されず、1995年になって初めてCDで登場(キングレコード KICC-7303)しましたが、その端正な演奏内容とステレオ初期とは 思えない音質の素晴らしさとで話題となりました。しかし、近年は市場から消え、一部のマニアが探し回っている状況でしたが、このたびGSシリーズで 復活させることになりました。復刻の素材はセミプロ仕様の2トラックのオープンリールテープで、しかも今回の復刻盤は初めて詳細な録音データを記したものとなります。 (平林直哉)

元々ボールトは、自身の個性を強烈に刻印するタイプの指揮者ではありませんが、晩年の円熟に差し掛かる前のこの時期の録音には、堅実すぎて味わいを見出しにくいものもありました。しかしこの「巨人」は別格!マーラーの交響曲の演奏スタイルが確立されていないこの時期にあって、自身の端正な造形力とマーラー独自の孤独な精神世界を融合させ、比類の無い味わいをもたらす名演となっています。後年、様々な指揮者がマーラーのエキセントリックな側面を盛り込むことに工夫を凝らしていますが、ボールトの解釈はモーツァルトやベートーヴェンノン額に退治する姿勢と全く変わらずピュアそなもの。
第1楽章序奏からして気負いが一切無く、アゴーギクは最小限。それなのに、どこか芳しく柔らかな空気を醸し出します。主部以降も大仰さは一切無く、イン・テンポを基調として、時代を問わずに普遍的な価値を持つと確信させる慈愛に満ちたニュアンスが続きます。後半の盛り上がりでやっと感覚的効果を狙ったテンポの溜めがチラリと見えますが、それが実に粋!提示部繰り返しあり。
第2楽章は、5分台で駆け抜ける史上最速クラスのテンポにビックリ!時にウィンナ・ワルツを思わせるほどの軽みですが、造型はあくまでも端正で、軽薄さとは無縁。後半5:24からはクレツキ&VPO盤同様のティンパニ追加有り。
第3楽章も速めのテンポで、絶望のどん底というより、どこか諧謔的。オーボエの主題旋律の隈取を極限まで抑えて柔和な歌を奏でるシーンは必聴。ボールトの色彩に対する配慮の深さが窺えます。終楽章はまさに名人芸の連続。緩急の落差をほとんど付けないスタイルが、何度も訪れれる山場を経ても緊張感を維持することに大きく貢献。一見淡白に見える流れの中にあって、5:54からの打楽器などは猛烈な強打ではないにもかかわらず、こちらに伝わる衝撃度が絶大な点もお聴き逃しなく。
それと、この年代としては驚異的にクリアな録音も特筆もの。既出のEVC-9022がやや高域寄りだったのに対し、今回の復刻はよりアナログ的な体温を感じさせるもので、テープ特有のヒスノイズもほとんど気になりません。【湧々堂】

DACAPO
MAR-6.220537(1CD)
モーツァルト:交響曲集第2集
交響曲第6番ヘ長調K43
交響曲第7番ニ長調K45
交響曲ト長調K45A
交響曲変ロ長調K45B
交響曲第8番ニ長調K48
アダム・フィッシャー(指)
デンマーク国立室内SO

録音:2012年2月コペンハーゲンDRコンサートホール第2スタジオ
天才モーツァルトの11歳から12歳にかけての交響曲集。まだ少年とは言え、すでに数多くの曲を書き、一流の作曲家として認められていたモーツァルト。ここでも瑞々しい感性に溢れた一連の作品を聴くことができます。1767年の年末に完成された第6番、1768年の1月に書かれた第7番。この同時期に書かれたのが番号なしの変ロ長調K45Bとなります。年末に第8番が書かれますが、この間にはオペラ「バスティエンとバスティエンヌ」が書かれており、日を追って成熟を究めるモーツァルトの姿を目の当りにすることができるでしょう。K45Aは、もう少し早い時期(1766年?)に書かれたものとされ、「ランバッハ」の通称でも知られます。フィッシャーはどの曲も念入りに扱い、単純さの中から現れる見事な息吹を目の前に見せてくれます。
DACAPO
MAR-8.226147(1CD)
クヌドーゲ・リーサゲル:交響曲集第2集
T-DOXC(poememecanique…機械的な詩) Op.13(1926)
交響曲第2番Op.14(1927)
管弦楽のための協奏曲Op.24(1931)
演奏会用序曲「春」Op.31(1934)
シンフォニア(交響曲第3番)Op.30(1935)
ボー・ホルテン(指)オーフスSO

録音:2011年6月20-25日オーフス・コンサートホール,シンフォニック・ホール
※世界初録音
第1集(8.224082/SACD6.220584)に続くリーサゲル(1897-1974)の作品集第2集。このアルバムに収録されているのは、全て世界初録音であり、独創的な作品ばかりです。2つの交響曲と、3つの管弦楽のための作品はどれも1920年代から30年代に書かれたもので、陶酔的な響きと前衛的な響きを併せ持つユニークな音楽です。


LEBHAFT
LBCDR-1004(1CDR)
メンデルスゾーン:交響曲第3番「スコットランド」
序曲「静かな海と楽しい航海」
パウル・クレツキ(指)イスラエルPO

録音:1954年5月
原盤:仏Columbia FCX381
(ジャケット写真は英国盤)
「シューマン:交響曲全集」と共に忘れられない、パウル・クレツキとイスラエル・フィルの録音の最高峰。「スコットランド」も素晴らしいのですが、序曲の素晴らしさには本当にびっくりさせられます。イスラエル・フィルの美感が十二分に反映されているばかりでなく、クレツキの指揮の集中力、気合の入り方が尋常ではなく、音楽を格調高く、瑞々しい高揚感のうちに盛り立てています。この作品をこれほど濃密なものに仕立てた演奏は他に聴いたことがありません!録音も優秀。【湧々堂】

BELLA MUSICA〜カール・ビュンテの交響曲シリーズ
カール・アウグスト・ビュンテ(CD ではすべてCarl A. Bunte の表記)は1925年、ベルリン生まれ。ベルリンで学び、四半世紀近くベルリンを拠点として活動してきた名匠。演奏会オーケストラの激戦地ベルリンで長く信頼を勝ち取ってきただけに、ドイツの伝統をしっかりと聞かせてくれます。今回、多くの初出音源を含む若き日の演奏がCD化された(2枚は既に流通済み)。実力に反して録音の極めて少ないビュンテだけに、貴重なものばかりで。ビュンテは、1949年から1967年までベルリン交響楽団(Berliner Symphonisches Orchester) の首席指揮者。このオーケストラがドイツ交響楽団と合併してベルリン交響楽団(Symphonischen Orchesters Berlin)になったことで、1967年から1973 年までこの新生ベルリン交響楽団の首席指揮者。その後は各地のオーケストラに客演しつつ、教職に力を入れ、ベルリン芸術大学教授、東京芸術大学名誉教授の称号を持っています。
BELLA MUSICA
BM31.2396(1CD)
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」 カール・アウグスト・ビュンテ(指)
関西PO,大阪アカデミーCho、
T.KOBAYASHI?(S)、岩本敏子(A)
山本裕之(T)、横田浩和(Bs)

録音:1989年12月28日、シンフォニーホール,大阪(ライヴ)
ビュンテが日本の年末の恒例行事であるベートーヴェンの第9交響曲を指揮したライヴ録音。予備 知識なしに聞いたらドイツのオーケストラとしか思えないほど、関西フィルハーモニー管弦楽団から厚みのあるドイツ伝統の響きを引き出しています。なおCDのソリスト表記が不十分なため、ソプラノの正確 な名前が不明(T.Kobayashiとある)。
BELLA MUSICA
BM31.2414(1CD)
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
大フーガ変ロ長調 Op.133*
カール・アウグスト・ビュンテ(指)
ベルリンSO

録音:1959年5月2日、1961年5月21日*、ベルリン(モノラル)、74'18
英雄交響曲は、まだ30代半ばの指揮者の演奏とは思えないほど腰を据えたじっくりとした演奏。ことに19分かけた第2楽章が見事。 大フーガは音質に多少の難があります。ご了承くださいませ。

BELLA MUSICA
BM31.2424(1CD)
チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調 Op.64
ブラームス:セレナード第2番イ長調 Op.16*
カール・アウグスト・ビュンテ(指)
ベルリンSO

録音:1960年4月2日ライヴ(ステレオ)、1960年4月16日ライヴ、ベルリン(擬似ステレオ?)*
“頑強な造形力を駆使した、野武士的チャイコフスキー!”
カール・アウグスト・ビュンテは1925年、ベルリン生まれ。チェリビダッケなどに師事し、ベルリン交響楽団を中心に指揮活動をしてきた指揮者。東京芸大指揮科教授も務め、日本のオケを振ったこともあります。あまりに才能が乏しく、本国を追われるようにして日本に東京芸大の職にありついたという噂もありますが、肝心の音楽は、このチャイ5を聴く限り、そんな噂は信じるわけに行かない極めて感動的なもの!まさに「こうでなければ!」と言いたくなるニュアンス、決して思いつきでは不可能な意味深く味わいのある表情の連続なのです。全体的に、一昔前のドイツのの巨匠風の頑強な精神と構築力を湛え、職人的な堅実な音楽作りが圧倒的な説得力を生んでいます。フレージングは決して先を急がず、じっくりと熟成させながら行い、第1楽章展開部や終楽章に象徴されるように造型の大きさも本物。第3楽章の0:06から下降ポルタメントなど、近年はもちろんのこと、一昔前でも例のない路面ティ聞くな表現が散見されるのも特徴的です。しかし、古臭さを感じさせず、何よりオケの奏者の音楽センスと一体化した一途な共感が最後まで揺らぐことがないのは嬉しい限りです。
ただ、これを言い出したらキリがないですが、この演奏、本当にビュンテの演奏でしょうか?実は1960年のライヴとしては録音が良すぎるのです。日本の代理店のインフォメーションではなぜかモノラル記されています(CDに記載はなし)が、ヘッドフォンで何度聴いてもクリアで定位も明確なステレオ録音で、Orfeoなどの西ドイツ系放送音源でも1960年でここまで明瞭なステレオライヴというのは殆ど無かったことを考えると首を傾げざるを得ません。感覚的には1970年台のステレオ・ライヴという印象です。
とにかくこの演奏は掛け値なしの名演であることは間違いありませんので、ぜひご賞味いただきたいものです。【湧々堂】
更なる詳細コメントはこちら
BELLA MUSICA
BM31.2425(1CD)
ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」
R.シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」
カール・アウグスト・ビュンテ(指)
ベルリンSO

録音:1959年6月6日ライヴ、1954年2月24日(ライヴ)*、ベルリン(モノラル)
「田園」は、最近はめっきり聞かなくなったドイツの田舎を強く感じさせる演奏。それが今となってはかえってとても面白く感じられる。「ドン・ファン」は、ビュンテがまだ20代の時、ベルリン交響楽団創立5周年記念演奏会のライヴ録音。手堅くも颯爽としたシュトラウスです。

BELLA MUSICA
BM31.2440(1CD)
チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調Op.74「悲愴」
チャイコフスキー:弦楽セレナード ハ長調 Op.48
カール・アウグスト・ビュンテ(指)
ベルリンSO

録音:1962年1月14日、1958年10月
19日、ベルリン音楽大学のコンサートホール(ステレオ・ライヴ)
“逞しい精神と巨大造形力を土台とした感動的なチャイコフスキー!”
この「悲愴」も同じチャイコフスキーの第5番同様、驚愕の名演奏!もはやビュンテに関するネガティブな噂など何の意味も持ちません。
とにかく音楽の造型の大きいこと!第1楽章の提示部は実に堅実な進行で、やや渋めのオケの音色を生かして、確実に心に届くニュアンスとして結実しています。声部の見通しも良好。仰天するのは展開部以降。ケンペンの彷彿とさせる古風で重量級の音像がこれでもかと押し寄せます。しかも衒いは一切なし。10:47で金管がグリッサンド風に雄叫びを上げるのにも壮絶すぎます!13:13からガクッと一段テンポを落とすのはマルケヴィチなどの例がありますが、ここまで自然に、かつ強烈なインパクトを与える演奏は異例と言えましょう。
第2楽章は一見何の変哲もありませんが、心の奥底からの歌が横溢。何もなく過ぎ去るか、間が持たずにどこかをデフォルメするといった演奏が多い中で、このセンスはますます本物を確信させます。第3楽章は腹の底からの威容を噴き上げ、これはスケール大!4/4拍子の行進曲突入直前の金管のクレッシェンドは誰よりも衝撃的。一転して終楽章は聴手の精神に直接訴えかける切実な音楽。特に第2主題のやわらかなテクスチュアを敷きつけた慈愛のフレージングは何度聴いても涙を禁じえません。
「セレナード」もしっかりとリズムの重心を落とし、厚みのある響きでロマンの香りを濃厚に漂わせ、聴き応え満点!ただ、あまりにも感動的な「悲愴」の余韻に浸っていると、それを掻き消すように弦セレが開始されるので、こちらを最初に聴かれることをお薦めします
なお、この録音も代理店の案内ではモノラルとなっていましたが、明らかに明瞭なステレオです。この年代のライヴとしては音が良すぎるので、録音年月日のデータが間違っているのかもしれません。【湧々堂】

DACAPO
MAR-8.226109(1CD)
セアン・ニルス・アイクベア:交響曲第2番「天の前に、地の前に」(2010)
交響曲第1番「私たちは火の中に身を投じた」(2005)
クリストフ・ポッペン(指)
デンマーク国立SO
ドイツ系デンマークの作曲家、ニルス・アイクベア(1973-)の交響曲集です。「作曲家としての公式の資格は持っていない」と語る彼ですが、その滾々と湧き出るアイデアは留まることを知らず、自らの探究心のみで管弦楽曲の作曲技法をマスターしたと言います。第1番の交響曲のアイトルはゴスペルからの引用であり、これは怠惰な生活を送る人類への警鐘とも言える作品です。第2番は、彼がイタリアに留学したときにインスピレーションを受け書かれたもので、タイトルは老子の「老子道徳経」からとられたものです。バッハから現代音楽まで、その知的な解釈で人気の高いクリストフ・ポッペンによる納得の演奏です。

STUDIO FONTANA
FNCC-005(1CD)
【未案内旧譜】
ドヴォルザーク:交響曲第8番ト短調 Op.88*
組曲イ長調「アメリカ」Op.98b+
マリオ・クレメンス(指)プラハPO*
ヴィラディミール・ヴァーレク(指)プラハRSO+

録音:2007年12月17日CNSOスタジオ第1「ギャラリー」・プラハ・チェコ*、1995年2月3-5日ドヴォルザーク・ホール+


GRAND SLAM
GS-2093(1CD)
シューベルト:交響曲第9番「グレート」
交響曲第1番ニ長調、D. 82*
ルネ・レイボヴィッツ(指)
ロイヤルPO、パリRSO*

使用音源:Reader's Digest(France) 1579.8,
Oceanic(U.S.A.) OCS 33*
録音:1962年1月16-17日ロンドン・ウォルサムストウ・アッセンブリー・ホール(ステレオ)、1952年頃(初出:1953年)モノラル*
“時代を先取りし過ぎ!? 楽天的かつ超先鋭的な「グレート」”
■制作者より
レイボヴィッツが指揮したベートーヴェンの交響曲全集はメトロノームに準拠した快速演奏として知られていますが、今回のシューベルトも全く同様の解釈です。むろんテンポだけではなく、フル編成でありながら、内声部がくっきりと浮かび上がってくる様子は最近流行の古楽器様式を先取りしたもの(調性はモダン)と言えます。 第9番「ザ・グレート」はアメリカMenuet(160016-2)で一度CD化されましたが、その際録音データ不詳となっており、今回初めて詳細なデー タとともに復刻されました(録音は英デッカのスタッフによるものです)。第1番はアメリカ(?)FatBoy(FATCD-157)でCD化されたようですが、 Menuetと同様現在では流通しておらず、このGS盤が入手出来る唯一のものと言えます。(、平林 直哉)

この「グレート」は極めてユニーク。まず「余音」とか「哀愁」を期待すると肩透かしを喰らいます。全体的にテンポは速め。となると無機的な演奏かといえばそうではなく、むしろ「明るく楽しい音楽にしましょう」という雰囲気に溢れています。しかし決して脳天気な演奏にも陥っておらず、速いテンポの中を掻き分けて注意深く聴くと、随所に声部バランスやアクセントなどのこだわりが隠れているという、一筋縄ではいかない演奏なのです。 第1楽章序奏のホルンからしてあまりの色付けの無さにギクッとしますが、その剥き出しの音は全楽章に共通し、ライナーノートに記されているインタヴューの中でレイボヴィッツが「シューベルトの音楽が大好き」と語っていることも考え合わせると、この「作り込まない」アプローチこそがレイボヴィッツのシューベルトへの愛情表現なのかもしれません。第1楽章コーダを高速インテンポのまま逃げ切るのは昨今では珍しくないですが、ベームのように堂々と締めくくるのが主流の当時としては、かなり異端と言えましょう。 第2、第3楽章も、音楽の美しさに感動しすぎて演奏できなくなるのを避けるかのように徹頭徹尾イン・テンポ。それでも無機質な音楽にならないという不思議な現象は、特に第3楽章中間部をお聴きになればお分かりいただけることでしょう。 終楽章は楽しさ満開!ビーチャムに乗せられて自発性が全開となるあのモードがここでも繰り広がられます。10:42という演奏時間が示す通りこれまた超快速ですが、ギリギリまで追い詰めた厳しさがなく、むしろ団員がそのスリルを全身で楽しんでいるかのよう。終結部は演奏不能寸前で弦はヒュンヒュン唸りまくり!極めて細かい音型の連続を澄ました顔で弾ききるカッコ良さとは違う面白さです。レイボヴィッツの指揮するドイツ音楽を聴くには、あの有名なベートーヴェンの交響曲全集もそうですが、かつてのドイツ系指揮者達による名演を聴くのとは異なるセンサーを引っ張り出せるかどうかが鍵!【湧々堂】


ELECT
ERT-1013(10CD)
ブルックナー:交響曲全集
(1)交響曲第1番(リンツ稿)
(2)交響曲第2番ハ短調
(3)交響曲第3番ニ短調
(4)交響曲第4番変ホ長調
(5)交響曲第5番変ロ長調
(6)交響曲第6番イ長調
(7)交響曲第7番ホ長調
(8)交響曲第8番ハ短調
(9)交響曲第9番ニ短調
クリスチャン・マンデアル(指)
クルジュ=ナポカPO(現トランシルヴェニア国立PO)
録音:
(1)1986年7月、(2)1984年10月、
(3)1984年10月、(4)1989年7月、
(5)1988年6月、(6)1988年7月、
(7)1986年6月、(8)1987年6月、
(9)1988年7月
全曲アナログ・スタジオ録音(ステレオ)
※CD日本プレス。英語、日本語によるライナーノート付
“ブルックナーの純朴さ敬虔さを本当に解する指揮者がまだ存在したのです!”
マンデアルは既にArteNovaレーベルに感動的なブラームスの交響曲全集を録音しているので、このブルックナーにも大いに期待してはいたものの、まさかヨッフム、ヴァント、朝比奈等、名だたるブルックナー指揮者とは全く別の次元で独自のアプローチを貫徹する指揮者だとは思いも寄りませんでした。当初は全9曲の中から特に感動的なものだけをコメントするつもりでしたが、この全9曲が例外なく心を揺さぶる奇跡的な全集を前にしてそんな中途半端なことは許されません。
第一に特徴的なのが音の質感。朝比奈の死後、金ピカのサウンドに耳が慣れてしまった事にギョッとするほど。そのサウンドはどこまでも素朴でありながら決して野暮ではなく、声部バランスは明晰を極め、遅めのテンポを基調にしながら各ニュアンスがじっくり練り上げるのは、師のチェリビダッケの影響とも思えますが、符点リズムを曖昧にせず、フレージングを克明に描くので鈍重なイメージを与えないのです。
馴染みの薄いクルジェ=ナポカ・フィルのクオリティの高さも驚異的。ブルックナーの音とはいかなるものか、マンデアルは相当仕込んだとは思いますが、この全体を通じてのニュアンスの深さはそれだけで補えるとは到底思えず、まるでブルックナーを演奏するためだけに組織されたとさえ思える間合いの良さ!体中にブルックナーが染み付いていなければ出せないニュアンスを発しているのです。
最初にこの全集が只事ではないことを確信するのが「第2番」。各音の意味合いを吟味しながらじっくり進行するという基本姿勢は全9曲で一貫していますが、ここでは第2楽章が特に感動的!3楽章もテンポ感がこれ以外のものを想定できなくなる説得力を持っています。
「第3番」は録音の点でバランスが最も良好。第1楽章〜10:41からフレージングの中できめ細やかな表情。その直後のトゥッティにおける、過度な重装備に陥らないブルックナーにふさわしい雄大さ。コーダ直前のティンパニ、19:17に象徴されるように裸のままのサウンドが全体の響きの中核を成しています。3楽章のテンポの遅さ!リズムの腰の強靭さが物を言い、中間部の愉悦感はこれだと膝を打つこと必至!終楽章は再現部が空前絶後!7:58から頻出する強弱対比がこんな意味深い演奏は過去に聴いたことがありません。
「第4番」。第1楽章冒頭、ホルンの複符点リズムを決して蔑ろにしません。この符点へのこだわりは相当なもので、全曲を通じて曖昧な箇所が全くないのも驚きです。終楽章が息の長いルバートも聴きもの。
「第5番」。80分超える長時間時間。音楽は終始緊張を保ち、この作品独特の堅牢な造型を意思的に表出。第1楽章、10:15からの経過句で音像が霧の中から次第に姿を現すニュアンスの美しさ!第2楽章第2主題も同様。こんな神秘的で深遠な響きがどうしたら生まれるのでしょう?こんなシンプルな楽想は、真の共感無くしては単にムーディに流れるだけでしょう。
「第6番」。意味深長な冒頭の弦の刻みから雄渾な響きへ広げます。ピアニッシモの繊細な響きは、チェリビダッケを彷彿とさせます。第2主題の弦が高潔な響きを絶やさない点にまず唖然。第2楽章は、オーボエを核とした深遠なニュアンスの注目。第2楽主題直前の茫洋とした空気の中にも神秘のニュアンスが漂い息を呑み、その第2主題はヴァイオリンとチェロのハーモニのなんという高潔さ!外面性を徹底的に排した第3楽章を経て、終楽章は以外にもスピーチに開始しますが、響きのニュアンスを欠くことはありません。これはチェリビダッケ的と言うより絶頂期のシューリヒト風。どんな大音量でも混濁しない第3主題直前の4:19からのヴァイオリンのトレモロは、まるで泉から突然女神が現れるような美しさ!6:51〜7:27の孤独感も前代未聞。12:49からの追い込みでの響きの凝縮力の高さ、構築の盤石さも忘れられません。
「第7番」。第1楽章冒頭のトレモロからイチコロ!ピアニッシモを活かそうとするあまり弱々しいだけの演奏とは異なり、隈取を明確に描いた筆致が心を直撃。ハーモニーの高潔さは相変わらずですが、その根底には確かな意志が常に宿り、この作品を立体感的に再現することを意識した演奏。ここでもチェリよりもシューリヒトを彷彿とさせるフレージングの微妙なニュアンス表出に心を奪われ続けますが、呼吸の大きさ、深さに関しては有名なシューリヒト&ハーグPO番を凌ぐといえる説得力を誇ります。それどころか、5:31からの弦の主要動機の味わいとリズムの意味深さは過去最高とさえ言いたい!これが決して大げさな形容ではなく、偶然の産物でもないことは第2楽章でいよいよ明らかとなります。この楽章、とにかく全てがツボ!もはやその素晴らしさは説明不能で、涙なしに聴き通すのが不可能です。終楽章では強弱の変化に伴ってニュアンスも変わるという当たり前のことを愚直に行うことが、特にブルックナーに於いてはいかに大切であるかを痛感。つまり音量を増減させているだけにしか聞こえない演奏がいかに多いかということを思い知ることになるのです。そしてコーダ!11:54からのホルン。これ以上の響きが考えられるでしょうか!!
「第8番」は、チェリビダッケ晩年の大伽藍のような壮大さではなく、室内楽的な緻密な声部の積み重ねを大切にした演奏。第1楽章第2主題のフレージングの弛緩の一切ない呼吸と、テヌートではあってもべとつかない響きの質感によって、普段聴き慣れた演奏以上に音楽の高潔さが際立つ結果となっています。展開部導入での繊細で深いニュアンスと声部間の見通しの良さも特筆もの。。第3楽章がこれまた絶品!冒頭の開始はまるで深い溜息のよう。しかし響きに濁りがなく、祈りの精神が着実に宿っているの、その美しさたるや例えようもありません。今まで影を潜めていた低弦の渾身のうねりを経て、ハープが加わる頃には完全にノックアウトですが、この演奏の凄さはこれにとどまりません。この楽章の素晴らしさは誰もが認めるところで、今までにも多くの感動的な演奏が誕生していますが、マンデアルの行きに達していた演奏がどれだけあったでしょうか?とにかく、惰性で鳴っている箇所など1秒もありません!終楽章は一見地味で、もちろんティンパニの派手な強打などありません。その代わり徹底的に目の詰んだハーモニーから醸し出されるニュアンスは全てが至純の極みで、この大曲がこのようの自発的に湧き上がるという現象も驚異的と言うしかありません。再現部の主題斉奏後にシンバルが加わるのは意外な選択。
「第9番」。第1楽章冒頭、ホルン、ティンパニ、トランペット、全てがこれ以上の響きはあり得ません!その直後の果てしなく深い呼吸、毅然とリズムが立つ弦…何もかもが信じられません。しかも第2主題の深淵さといったら、シューリヒトもレークナーも小粒に感じるほどの求心力!第2楽章は宇宙の怒りを再現。しかし、リズムのエッジを尖らせて恐怖を露骨に表面化させることなく地殻変動のように音楽を根底から揺さぶるのです。トリオがまた驚愕!これほど入念なアゴーギクを施し、そのコントラスに意味を持たせた演奏を他に知りません。そして第3楽章は宇宙の神秘。鬱蒼とした森の闇を突き抜けた別次元の音楽であることを再認識させてくれます。なんといっても凄いのは、25:13以降の最高潮点。弦のアルペジョ音型がこれほど胸を突き刺す演奏が他にあったでしょうか?
 それにしても、40歳代前後でこんな含蓄に富んだブルックナーが実現できるとは!この全集に心の奥底から感動を覚える一方で、還暦を過ぎてもR・シュトラウスのようなサウンドに置き換えて満足している指揮者が現存するのは本当に腹立い限りです。
なお音質はメジャーレーベルのような安定感はありませんが、音楽の興を削ぐものではなく、むしろこのスッピンの録音がブルックナーの音楽を生かしているさえ思えてしまうのですから、この全集が尋常ではないということはお察しいただけると思います。【湧々堂】


WEITBLICK
SSS-0143(1CD)
シューマン:交響曲第4番
ベートーヴェン:交響曲第2番*
クルト・ザンデルリング(指)
スウェーデンRSO

録音:1990年5月4日デジタル
1997年11月28日デジタル*
いずれも、ベルワルドホールに於けるライヴ

※英語、日本語、ドイツ語によるライナーノート付
2曲とも超名演!シューマンは、ザンデルリンクが自身の引退コンサートでも取上げた十八番の作品ですが、その熟しきった表現と透明感のあるオケの響きの魅力が融合し、得も言われる感銘をもたらします。
特に第1楽章展開部は、室内楽的な精緻を極めた響きから精神の塊のような音楽が溢れ感動の極地。第2楽章の孤独と幽玄、第3楽章の老朽化の影など微塵も見せないリズムの切れ味も80歳を目前にした老巨匠とは思えぬ充実ぶり。終楽章がこんなピュアな響きで青年のような活力が漲る演奏も稀。第2主題はわずかにテンポを落として憂いを浮かべますが、その間も活力は減退させず、主部のリピートが生き切っています。そして展開部冒頭での刃物のような弦の切れ味!コーダのテンポの切り替えの機敏さと声部間の響きの突き抜け方も感動に拍車をかけます。
ベートーヴェンは、ザンデルリンク85歳の時の録音ですが、これまた表現意欲に全く陰りなし。第1楽章冒頭からティンパニが意外な強打で開始し、木管フレーズを短くスタッカートで吹かせるなどユニークなこだわりが見られますが、皮相な表現はどこにもなく、この序奏部だけでも聴き所満載。第2楽章の全てを浄化しきったような響きと優しい語りかけも格別。ただ何となく柔和なだけでなく、フレージングやアクセントに自然な形で、しかも妥協なくその指示を徹底させているので、生き生きと音楽が脈打つのです。終楽章はエキセントリックに突っ走る演奏が増えている中で、ゆとりのあるテンポの中で調和のとれたハーモニーが心を捉え続けます。特定の声部を強調しているわけではないのに、全声部が確実に主張をしており、内面から抉り出す音楽のなんと心を打つことか!コーダの強固な凝縮力も聴きもの。
ザンデルリンクにはこの2曲の録音は他にも存在しますが、録音の良さも含め、現時点でこのディスクがトップと言えましょう。
ただ、シューマンの終楽章のトラックが序奏を飛ばして主部に割り当てられていることは、不可解ですが…。【湧々堂】


Rotterdam Philharmonic
KKC-4005(4CD)
900セット完全限定番
ゲルギエフ&ロッテルダム・フィル20年の軌跡

(1)チャイコフスキー:交響曲第4番
(2)シベリウス:交響曲第1番ホ短調 op.39
(3)プロコフィエフ:「ロメオとジュリエット」より(全17曲)
(4)ストラヴィンスキー:春の祭典
(5)ショスタコーヴィチ:交響曲第11番
(6)ベルリオーズ:「ファウストの劫罰」〜「鬼火のメヌエット」「妖精の踊り」「ハンガリー行進曲」
(7)シュニトケ:ヴィオラ協奏曲
(8)デュティユー:ヴァイオリン協奏曲「夢の木」
(9)ティシチェンコ:バレエ「ヤロスラヴナ」より(全6曲)
(1)録音:1988年11月2日ロッテルダム、デ・ドーレン[NPS]
(2)録音:2003年12月13日、アムステルダム・コンセルトヘボウ[NPS AVRO TROS]
(3)録音:2004年6月6日ロッテルダム、デ・ドーレン[NPS]
(4)録音:1996年5月31日ロッテルダム、デ・ドーレン[NPS]
(5)録音:1990年11月17日、アムステルダム・コンセルトヘボウ[VARA]
(6)録音:1997年9月25日、ロッテルダム、デ・ドーレン[NPS]
(7)ユーリ・バシュメト(Va)
 録音:1993年3月13日アムステルダム・コンセルトヘボウ[VARA]
(8)レオニダス・カヴァコス(Vn)
 録音:2007年9月14日ロッテルダム、デ・ドーレン[KRO]
(9)録音:2007年9月15日ロッテルダム、デ・ドーレン[KRO]
ゲルギエフのロッテルダム・フィル、デビュー20周年を記念して、過去のライヴ音源から9作品を厳選した4枚組アルバム。ゲルギエフは1987年に同オー ケストラ・デビュー、95年からは首席指揮者を務め、水準向上に多大な貢献を果たしました。
ここに収められた最初期の記録は、ソ連邦が崩壊する前1988年11月のチャイコフスキーの交響曲第4番。当時ゲルギエフは34歳で、まだ国際的 な評価を受けていませんでしたが、これが驚きの名演。ロシアの指揮者ならではの旋律のうねりと底知れぬメランコリーの表出、ムラヴィンスキーに通じ る力強さと緊張感と古典的とさえ言える感情のバランスを示すなど、タダモノでない才能を実感させてくれます。
次に古いショスタコーヴィチの交響曲第11番は1990年11月のライヴ。彼は2009年にマリインスキー劇場管と同曲をリリースしていますが、それ まではゲルギエフの一般入手のできる録音のなかった作品だけに貴重。これがライヴで燃えるゲルギエフの真骨頂を示すだけでなく、若いエネルギー爆発 の凄演。1時間を息もつかせず音楽に引きずり込みます。
注目はシベリウスの交響曲第1番。ゲルギエフのCDレパートリーになく、さらにヴァイオリン協奏曲以外あまりシベリウス作品をとりあげないので興味 津々。シベリウス作品のなかでもロシア音楽の影響の濃さを指摘される作品ゆえ、ゲルギエフの美点全開。咆哮する金管、荒々しいアレグロ、戦車のよう な重量感すべて新鮮。まるでリムスキー=コルサコフかラフマニノフを想わせます。シュニトケもゲルギエフの同時代作曲家ながら、あまりとりあげません が、ヴィオラ協奏曲だけはバシュメトとしばしば共演、最高の演奏を聴かせてくれます。ここでも極上の旧ソ連音楽家の実力を披露、死の匂いすら漂うひ とときを味あわせてくれます。 ★ロシア音楽ファンにとって嬉しいのがティシチェンコのバレエ音楽「ヤロスラヴナ」。ティシチェンコはショスタコーヴィチ門下で、2010年に歿した作曲 家。「ヤロスラヴナ」は1974年の作品ながらこれがオランダ初演で、作曲者も臨席。典型的なソ連的作風ですが、オーケストラの分厚い響き、テンショ ンの高さなどまさに才気煥発で興奮させられます。ゲルギエフならではの爆演を楽しめます。
音質も良好、ゲルギエフの真摯な音楽性を存分に味わえるセットです。
※こちらのセットはオーケストラ自主制作完全限定盤のため、日本国内には900セット完全限定入荷となります。買い逃しにご注意下さい。


Forgotten Records
FR-762(1CDR)
チャイコフスキー:交響曲第5番
弦楽セレナード#
ワルター・ゲール(指)ローマPO*、
フランクフルト室内O#

録音:1950年代中頃(共にモノラル)
音源:Musical Masterpiece Society & GUILDE INTERNATIONALE DU DISQUE
MMS 2155, MMS 2188#, MMS 6013, MMS 6108, MMS 3048#
湧々堂激賞盤!湧々堂の「チャイ5」へのこだわりの原点となったゲールの珍演です!ステレオ・バージョン(LPは入手超困難!!)も存在することから、実際は'50年代後半の録音と思われます。因みにゲールは1960年12月死去しています。
さて、その演奏はというと、これが出だしの主題のテーマのリズムからして方言丸出し。この符点音符を詰めたような節回しは終楽章に至るまで一貫しており、イタリアのオケとの相乗効果によるものか、ゲールの確信的な解釈なのか、断定できないものの、他では絶対に味わえない趣きと重厚感は必聴!ケンペンのような重戦車モードを好まれる方は特に!
一方の「弦セレ」は、第1楽章の冒頭から草書風の吸い込まれるようなフレージングの流麗さ!しかもニュアンスが極めて緻密に練り込まれており、この曲を聴き慣れた方でも釘付けになること必至。ゲールの芸の指向性を知る上でも欠かせない録音です。【湧々堂】

Forgotten Records
FR-770(1CDR)
オネゲル:交響曲第2番
マルティヌー:ピエロ・デッラ・フランチェスカのフレスコ画 H.352*
ラファエル・クーベリック(指)
フランス国立RSO
フランス放送PO*

録音:1956年2月23日ライヴ(初出)
1960年9月9日ブザンソン音楽祭ライヴ(初出)*
Forgotten Records
FR-704(1CDR)
チャイコフスキー:交響曲第5番*
幻想序曲「ロメオとジュリエット」#
ヴィルヘルム・シュヒター(指)
北西ドイツPO

録音:1956年*、1958年# (共にモノラル)
音源:Electrola, JLX 506*, JLP 173# IMPERIAL, J 60594#
HMV, XLP 20009*
湧々堂激賞盤!N響のアンサンブルを飛躍的に向上させた功労者として名高いシュヒターのスタイルは、N響との録音を聴く限りでは、いかにも厳格に細部を詰め、イン・テンポを基調とした引き締まった響きを目指す人という印象がありますが、この「第5番」では、いかにもドイツ的なくすんだ暗さを湛えた音色を生かし、チャイコフスキーの内面をそっと覗きこむような繊細さをもってニュアンスを形成している点が意外。テンポもリズムの打ち込みも決して直截ではなく、屈折の果てにたどり着いた結果をじっくり炙りダスカのようなな風情が独特の味わいを生み出しています。とにかく第1楽章だけでもそのニュアンスの多様さと奥深さに打ちのめされてしまいます。第2楽章のホルン・ソロは、それこそドイツの鬱蒼とした森を連想させるもので、その響き自体が実に音楽的!第3楽章はたっぷり6分半以上を要し、ケンペ&BPO盤以上に内省的な美しさ!終楽章はテンポこそ中庸ですが、品格と威厳に満ちた雰囲気には常に緊張感が同居。後半の全休止直前で急にアッチェレランドが掛かるのがたる奇妙!?  【湧々堂】
Forgotten Records
FR-521(2CDR)
チャイコフスキー:交響曲第5番*
交響曲第6番「悲愴」#
アルトゥール・ロジンスキ(指)
ロイヤルPO

録音:1954年10月2日*、3日#
音源:Westminster, XWN 18355*, XWN 18048#
HELIODOR, 478608#
Forgotten Records
FR-463(1CDR)
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」*
チャイコフスキー:幻想序曲「ロメオとジュリエット」#
アルチェオ・ガリエラ(指)
フィルハーモニアO

録音:1953年10月7日*
1955年3月15日#
音源:Columbia, SX 1025*, FCX 24*, CX 1065#
一切の小細工を廃して伸び伸びと歌い上げ、ガリエラに流れるイタリア人の血を感じさせる一枚。「新世界」は常に瑞々しいい感性が息づき、フレージングはどこまで行っても素直そのもの。ドキッとさせる演出はなくても決して飽きさせずに作品の良さを伝える趣味の良い演奏です。「ロメジュリ」はより人間臭い力感を表面化させますが、感傷に浸らず、常に希望の光を携えています。【湧々堂】
Forgotten Records
FR-339(1CDR)
チャイコフスキー:交響曲第4番*
幻想序曲「ロメオとジュリエット」#
交響的バラード「ヴォイェヴォーダ」 #
サマーリンの栄誉のための悲歌 ト長調#
ワルター・ゲール(指)オランダPO

録音:1950年代初頭
音源:Musical Masterpiece Society & GUILDE INTERNATIONALE DU DISQUE
MMS 16*, MMS 66#, MMS 6013*, MMS 6108*, MMS 3048#
「チャイ5」のあまりにも個性的な演奏と比べると、この「第4番」はスッキリとした印象を与えますが、それでもも随所に他では聴けないユニークな解釈が散りばめられています。第1楽章コーダの加速と溜めの絶妙な間合い、16:30からアクセントを加えた独特のフレージングなどその好例。第2楽章は十分にメランコリックな表情を湛えながらもシンフォニックで頑丈な造型維持も欠かさないところが職人的なこだわりと言えましょう。木管との立体的な響きの構築も聴きもの。終楽章3:14からは、スヴェトラーノフ等と同様、弦を木管とユニゾンで弾かせるスタイルを採用。コーダの鳴りっぷりも相当ですが決して煩くならず、ムソルグスキーの「展覧会の絵」の編曲でも知られるゲールのセンスを窺い知ることができます。
「ロメ・ジュリ」は、大推薦!19分を切る速めのテンポによる男性的な活力に満ちた演奏ですが、これがまた普通ではありません。ニュアンスの多彩さという点でこれに優る演奏があるでしょうか?まずは甘美な第2主題の描き方にご注目!アゴーギクを控えた禁欲的な進行のように見えて、そこからじんわりと官能の空気が立ち昇るのです。14:42からの微妙なテンポの揺らぎ感から溢れ出す激情の渦にも息を呑みますが、コーダ直前のティンパニ連打効果は、その前のルフト・パウゼも含めて前代未聞!
「サマーリンの〜」は曲の素晴らしさを再認識。もっと演奏されてしかるべき逸品です。【湧々堂】


Solo Musica
WS-003D(2CD)
マーラー:交響曲第6番「悲劇的」 ファビオ・ルイージ(指) ウィーンSO

録音:2011年 ウィーン,ムジークフェライン
ウィーン響とルイージによるマーラー:交響曲集第2弾。熱い共感をたぎらせながらもそれを必要以上誇張せず、現代的なスッキリとしたフォルムでまとめあげた良演。しかし、常識の範囲内に安住しているわけではなく、第1楽章第2主題の直前での大きくリタルダンドは誰よりも大胆。第2楽章にはアンダンテが置かれていますが、この慈愛に満ちたニュアンスは、全体の白眉。ホルンが主題を吹くあたりからは、フレージングの美しさが更に際立ち、至福の空間を表出。第3楽章スケルツォはかなり速めで、憑かれたような推進力。終楽章は大袈裟な身振りは慎重に避けてはいますが、1回目のハンマー(全部で2回)打撃後の渾身の情念噴出などインパクト大。【湧々堂】


読響アーカイブ
YASCD-1003(1CD)
マーラー:交響曲第9番ニ長調 ハインツ・レークナー(指)読売日本SO

録音:1988年3月8日東京文化会館ライヴ
(サウンド・マスタリング:WEITBLICK)
2012年に創立50周年を迎えた読響の秘蔵音源。このオケと縁の深かったレークナーのマーラー:「第9」は正規録音がないといだけでも貴重ですが、演奏内容も高密度。既発売の録音でも明らかなように、ここでもレークナーは神経過敏なマーラー像を避け、響きの室内楽的透明感、伸びやかなフレージングを重視しています。第1楽章から一切勿体ぶらずサクサク進行しますが、内燃エネルギーは凄まじく、無機質になることがないのはシューリそ底から歌い抜き、コーダでの最弱音でのポルタメントなど息をのむ美しさ。終演後の拍手は、綺麗に取り除かれています。【湧々堂】


BR KLASSIK
BR-900712E(3CD)
シューベルト:交響曲全集(全8曲) ロリン・マゼール(指)バイエルンRSO

録音:2001年3月ミュンヘンプリンツレーゲンテンシアター
“マゼールのこだわりと円熟!これぞシューベルト交響曲の進化系!!”
これはバイエルン放送交響楽団の首席指揮者(1993-2002年)として活躍したロリン・マゼールの仕事の集大成!
マゼールというと独特なデフォルメや器用さが鼻につくという意見もありますが、この全集を聴くと、マゼールの芸風は、常に作品の持ち味を徹底的に掘り下げるという一途な使命感から湧き上がったものであることに気付かされます。その知的なアプローチは、深い共感と近年の円熟味と相まって比類なき感動をもたらしてくれるのです。
まず、めったに演奏されない「第1番」「第2番」のなんという立体感!すべての楽想の意味がこんなに浮き彫りにされて面白く聴けるとは予想外。特に、埋もれがちな対旋律を自然に際立たせて作品に可憐な味を加味するセンスは鮮やかという他ありません。
「第3番」はキビキビとしたテンポで爽快な進行。しかし響きのシンフォニック厚みは確保され、しかもこの曲特有のチャーミングな雰囲気も十分に伝えます。
「第4番」はこの全集中の屈指の名演!やはり全体にテンポは速めですが、彫琢の豊かさと声部の抉り出しが尋常ではありません。第1楽章コーダは意表をつくように落ち着き払った佇まいを醸し出しつつ、7:30では恐ろしく絶妙なタイミングでのティンパニの打ち込みも含めて格調高い音像を打ち出します。第2楽章では、マゼールの歌のセンスに御注目。決して上から目線で歌わせているのではなく、作品自体から旋律が気持ちよく流れだすように誘導する手腕に脱帽です。終楽章はかなり速いテンポで駆け抜けますが、ここでも決して対旋律が置き去りになることはないので、引き出される音楽の内容量に圧倒されるばかりです。気がつくと後半では焦燥感と漢気が入り混じった独特のニュアンスをギリギリまで炙り尽くしており、イン・テンポのまま最後を締めくくるのも粋!
「4番」と双璧の名演が「第6番」。「グレート」よりもこちらのハ長調を愛するファンの方も多いと思いますが、そんな人でもこれほど面白い作品だったかと思い知ることでしょう。第2楽章など遊園地に居るような楽しさ!引き締まったアンサンブルから引き出されるメルヘンチックなニュアンスに酔いしれるばかり。あっという間に夢のような5分間が過ぎ去ります。終楽章は猛烈な速さ!アレグロ・モデラートの指示は完全に無視していますが、もうこれ以上考えられなくなるほど説得力絶大!今までの演奏は何だったのでしょうか?
「未完成」も極めてシンフォニックなアプローチに徹して気宇壮大。感傷にふけることなく確信を持ってこの作品のリリシズムを浮き彫りにします。第1楽章提示部後半のティンパニ追加も実に自然。展開部の展開部での呼吸の深さも忘れられません。
そして極めつけが「グレート」!第1楽章序奏部から金管のウラのパートまで徹底表出させ、いかにもマゼールらしいこだわりを見せまますが、物々しい場違いな音像にすり替える事は決してありません。主部突入のギアチェンジの滑らかさがまた驚異的。終楽章ではティンパニ追加や、フルートの突出によって作品の構築が最大限に明瞭化されますが分析的な冷たさは皆無。全曲を締めくくる最後のティンパニ一撃は鳥肌モノ!
シューベルトの音楽独自の持ち味から逸脱することなく、各曲の個性を極限まで引き出したこの全集は、まさに全集としてリリースする価値があると心底思える逸品です。【湧々堂】


ICA CLASSICS
ICAC-5090B(1CD)
クラウス・テンシュテット/ブラームス他
ブラームス:交響曲第1番ハ短調Op.68
マルティヌー:交響曲第4番H305*
クラウス・テンシュテット(指)
シュトゥットガルトRSO

録音:1976年9月24日ゲッピンゲン州立劇場、1973年4月26日SDRシュトゥットガルト放送* (共にステレオ)
以前「Concept」レーベルから突如発売されたテンシュテット&シュトゥットガルト放送SOのブラームスとマルティヌー。このレーベル自体謎であり、以降のリリース予定がアナウンスされていたにも拘らず、その後一切消息不明となっており、なおかつ「日本のみ」で発売されていたという不思議な音源です。今回はICACLASICCSが正式なライセンス契約を結び、発売に至ったもので、CD本体には「初リリース」と記されています。ブラームスでの溢れるパトス、美しい弦とふくよかな木管楽器の響きはとりわけ高く評価されていおり、またマルティヌーはレパートリーの珍しさでも注目を集めたものです。

ICA CLASSICS
ICAC-5091B(1CD)
ハンス・ロスバウトのマーラー
マーラー:交響曲第5番嬰ハ短調
ハンス・ロスパウト(指)ケルンRSO

録音:1951年10月22日(モノラル)
※初CD化
“比類なき構築と燃焼!冷たいだけではないロスバウトの決死のマーラー”
ハンス・ロスバウトは、クールでストイックな現代音楽のスペシャリストと認知される場合が多いですが、この異様なまでに内燃の炎をたぎらせた「第5」を聴くとそんなイメージは吹き飛ぶばかりか、ワルターともバーンスタインとも違うマーラーの心情への独自の肉薄ぶりに驚きを禁じえず、マーラー演奏の一つの規範として位置づけるべき存在であることを確信させられます。
第1楽章の導入は遅いテンポで悶絶の限りを尽くして絶望の真っ只中。しかもハーモニーのバランスと各音の輪郭が極めて克明なので、主情に任せただけの演奏とは違うひんやりした恐ろしさが漂い続けます。ところが第1トリオに入ると、「突然より速く情熱的に荒々しく」の指示通りにアクセル全開で狂気の世界へ一気に転落。このコントラストがこんなリアルに表出された例も稀でしょう。7:18からのザラッとした色彩感覚は放心のまま彷徨うマーラーを象徴するかのよう。そして最後を締めくくる一音!強くもなく弱くもなく、こんな含蓄のある響きはめったに聴けません。第2楽章も強固な立体感を打ち立てながら音楽は常に熱く、微温的なフレーズなど一切存在しません。第3楽章もホルンに続いて最初に鳴らされる打楽器の響きで明らかなように、楽しい舞曲的な雰囲気などなく、妥協のないリズムの打ち込みと共に、無理やり人生を肯定するような独特の意志の力によって推進力に満ちた演奏を貫徹。アンサンブルのレスポンスの高さも特筆もの。
多くのロスバウトのイメージを払拭する最たる例が第4楽章。夢の余音から抜け出せないままふわっと滑りだす第一音!単に心を込めて奏でているだけではないロマンのエッセンスを集約したような独特の感覚はこの楽章全体を貫き、遂には強弱、緩急、硬軟全てを柔軟に駆使して禁断の領域へ踏み込んだような生々しいドラマへと発展させるのです。これほど全てをやり尽くした演奏があったでしょうか?
実は個人的に、この作品のどんな感動的な演奏を聴いた後でも決まって「終楽章だけもうちょっと何とかならないのか?」という贅沢な願望が頭を過るのですが、そんなことを考えも及ばず聴き入ってしまったのはマッケラス以来の体験でした。どんな演奏でもそれなりに盛り上がる楽章ですが、単に享楽的な作風に乗っかるだけではなく、作品の構築を限界まで炙り出して起承転結をつける指揮者の力量が問われる恐い音楽なのかもしれません。
録音も年代のわりには極めて明瞭。拍手なし。【湧々堂】

ICA CLASSICS
ICAC-5093B(1CD)
ボールト/ブラームス&メンデルスゾーン
ブラームス:交響曲第4番ホ短調Op.98
メンデルスゾーン:交響曲第4番「イタリア」*
エイドリアン・ボールト(指)
BBC響、ロイヤルPO*

録音:1975年8月8日、1972年7月29日 ロイヤル・アルバート・ホール(共にステレオ)
※初CD化
ブラームスの素晴らしさはスタジオ録音でも明らかですが、ここでは特にメンデルスゾーンのご注目を。昨今ではもっと刺激的な演奏も多いだけに、このたおやかな雰囲気の中で衒いを排して作品の骨格を堅実に打ち立てる演奏はかえって新鮮に響きます。中でも第3楽章の媚びないカンタービレ、終楽章の決して外にパワーを放射しないカチッとしたリズムの清潔感!【湧々堂】

ICA CLASSICS
ICAC-5094D(2CD)
ヘンヒェン/マーラー:「巨人」他
マーラー:交響曲第1番「巨人」
交響曲第8番「千人の交響曲」*
リタ・クリス(ソプラノT)…罪深き女
アンジェラ・マリア・ブラシ(ソプラノU)…告白する女
オフェリア・サラ(S)…栄光の聖母
キャスリーン・キーン(メゾ・ソプラノT)…エジプトのマリア
ラインヒルド・グンケル(メゾ・ソプラノU)…サマリアの女
グレン・ウィンスラーデ(T)…マリア崇拝の博士
ジョン・ブレヒラー(Br)…法悦の教父
クルト・リドル(Bs)…瞑想する教父
ナショナル・コア・オブ・ザ・ウクライナ「ドゥムカ」
ウクライナ放送Cho
ドレスデン・フィルハーモニー少年Cho
ハルトムート・ヘンヒェン(指)オランダPO

録音:1999年11月20日、2002年9月10日* アムステルダム・コンセルトヘボウ(共にステレオ)
1943年ドレスデン生まれのハルトムート・ヘンヒェン。彼は日本にも度々来日し、マーラーやメンデルスゾーンなど、ドイツ、オーストリアのレパートリーを丁寧に聞かせてくれることで定評のある人です。ベルリン州立歌劇場で指揮者としてデビュー、その時はムソルグスキーの「ボリス・ゴドゥノフ」を演奏し大好評をおさめました。ドレスデン国立歌劇場やアムルテルダム、ベルリン・フィルとの客演を重ね、2002年からはドレスデン音楽祭の音楽監督を務めました。とりわけ大編成の作品を統率する力に優れ、ここで聴けるマーラーの第8番も、曲の持つ途方もないスケールと祝祭的な雰囲気をきっちり把握し、全く隙のない造形で、マーラーの真意を描き出しています。第1番についても、ムダのない動きと丁寧な響き作りが素晴らしく、マーラーの音楽と聞く楽しみを改めて思い起こさせてくれるような好演となっています。

ICA CLASSICS
ICAC-5096D(2CD)
バルビローリ/シューベルト他
シューベルト:交響曲第4番ハ短調D417
ブリテン:テノール,ホルンと弦楽のための「セレナーデ」Op.31
シベリウス:交響曲第2番ニ長調Op.43
ジェラルド・イングリッシュ(T)
ヘルマン・バウマン(Hrn)
ジョン・バルビローリ(指)ケルンRSO

録音:1969年2月7日ケルン放送第1ホール(ステレオ)
※全て初出
“音盤初登場ブリテンと完全燃焼シベリウスの感動的名演!”
まずブリテンの「セレナード」の素晴らしいこと!バルビローリのブリテンの商業録音はなぜか極端に少なく、この曲も音盤初登場。その指揮は背後で伴奏に徹しているようでいて、色彩トーンの全てを決定づけており、その空気と見事にブレンドする音楽を二人のソロが繰り広げます。プレヴィン&ロンドン響の「カルミナ・ブラーナ」の録音でもソロを務めていたテノールのジェラルド・イングリッシュは、健康的で伸びやかな発声を生かして誠実に詩へ思いを込める素直さが心を捉え、特に「パストラール」や「賛歌」でその特徴が最大に発揮されています。一方ドロっとした情念をストレートに放射する「挽歌」でも、一定の緊張感保ちながら迫真の名唱を聴かせます。ホルンのバウマンはいつでもどこでも「巧い」という形容ばかりが目につきますが、この演奏こそ巧い!と叫ぶしかありません。特に「エレジー」における壮絶なまでの深淵さ!終曲のコーダの夢のような空間表出には唖然とするばかり。
シベリウスが名演奏であることは誰もが想像がつくと思いますが、人間的な温かさを湛え、骨太な筆致で描き尽くすアプローチは、ハレ管との録音と比べてオケの力量も含めて何倍も物を言いい、バルビローリが遺したシベリウスの最高峰と断言できましょう。第1楽章の大きな造型の盤石で深み満点。第2楽章冒頭の低弦ピチカートや6:29からのトランペット・ソロの優しくもやるせない呟きも泣かせます。
第3楽章トリオの朴訥な牧歌はバルビローリ節100%。終楽章は感動の極地!アーティキュレーションを徹底的にオケに叩き込んだことが功を奏し、時に不器用な印象を与えかねないバルビローリ独自のフレージングが確信を持って迫り続けます。コーダ最後の2分間は命を削る完全燃焼!【湧々堂】

ALLEGRO ART SOCIETY
AR-001(1CD)
カレン・ハチャトゥリアン(1920-2011):交響曲第1番(1952-1954/第2版;1963)*
交響曲第2番(1968)+
ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー(指)モスクワRSO*
アレクサンドル・ラザレフ(指)ソヴィエト国立SO+

録音:1963年11月*、1980年2月+、モスクワ音楽院大ホール


Rotterdam Philharmonic
KKC-4003(1CD)
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
R・シュトラウス:死と変容 op.24
ヤニック・ネゼ=セガン(指)
ロッテルダムPO

録音:2007年11月8-11日/ロッテルダム、デ・ドーレン演奏・会議センター(ライヴ)
2008年8月、ゲルギエフに代わってロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者となったヤニック・ネゼ=セガンが、首席就任が内定した 時点の2007年11月に素晴らしい音響で知られる本拠デ・ドーレン演奏・会議センターにてライヴ収録したベートーヴェンの「英雄」とR.シュトラウスの「死 と変容」。初演時点のベートーヴェンの年齢は35歳、R.シュトラウスの年齢は25歳とともに巨匠の若かりし頃の傑作で、録音当時32歳のネゼ=セガ ンにとってある意味「等身大」の音楽と言えましょう。この演奏は21世紀の「マエストロ・コース」を順調に歩むネゼ=セガンの聴き手の記憶に長く刻 まれる演奏となることまちがいない名演です! (Ki)


GRAND SLAM
GS-2091(1CD)
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」 エーリッヒ・クライバー(指)VPO

録音:1955年4月11-14日、ウィーン、ムジークフェラインザール
使用音源: Decca/Ace of Clubs (U.K.) ACL-35
“第2楽章必聴!普遍的価値を誇る、エーリッヒ・クライバーの「英雄」”
■制作者より
エーリッヒ・クライバーは英デッカのモノラル時代に2度、ベートーヴェンの「英雄」を録音しました。ひとつは1950年5月、アムステルダム・コン セルトヘボウと、そしてもうひとつは1955年4月、ウィーン・フィルとのものです。双方ともモノラル録音だったため、ウィーン・フィルとの「英雄」は クライバーの死後の1959年、英デッカの再発売シリーズであるエース・オブ・クラブAce of Clubsで初めて世に出ました。こうした経緯があるためか、 演奏内容は全くの互角であるのにもかかわらず、ウィーン・フィルとの「英雄」はカタログから消えている時間が長くなっています。  復刻に使用したLPは非常に状態が良く、LP特有のノイズがほとんど感じられず、しかも既存のディスクよりもずっと肉厚で艶のある音で再生されます。 従って、演奏内容の評価が大きく変わる可能性があります。(平林 直哉

エーリッヒ・クライバーの芸術は、時代を問わず普遍的な価値を持つ逸品であることを改めて痛感。イン・テンポを基調とし、第1楽章のリーピート実行、再現部のテーマをトランペットで補強しないなど、最近のスタイルと表面的には何ら変わりませんが、やはり音に込める思いの深さにいちいち唸らされます。第1楽章はまさにに爽快な進行。その中にセンス満点のアクセントをさり気なく配し、のどかなウィーン・フィルのアンサンブルを引き締め、気高く飛翔し続けます。白眉は第2楽章。冒頭の弱音は単なる小さな音ではなく、深い悲しみを音の芯に宿しています。1:36からの下行音型はまさに極美!ウィーン・フィルの美感ともあいまって、古今を通じて動画苦笑の最も心を打つ演奏と言えましょう。いつもながらのノイズはほとんど気にならないで良質アナログ盤からの復刻も嬉しい限りです。 【湧々堂】


RFP
(ロイヤル・フランダース・フィル自主レーベル)
RFP-004(1CD)
マーラー:交響曲第1番ニ長調「巨人」 エド・デ・ワールト(指)ロイヤル・フランダースPO

録音:2012年6月25-27日ベルギー、アントワープ、デ・シンゲル(セッション)
現代屈指の巨匠エド・デ・ワールトが、2011/12年のシーズンより首席指揮者を務めるロイヤル・フランダース・フィルを指揮して、マーラーの交 響曲第 1 番をレコーディングした注目のアルバムが登場します。 【デ・ワールトが得意とするマーラーのシンフォニー】 コンサートとオペラ双方での実績と共に、J.S.バッハ、ハイドン、モーツァルトからワーグナー、シュトラウスにラフマニノフ、さらにはアダムズやライヒの 初演を数多く手掛けて、20世紀に至る幅広いレパートリーを誇るデ・ワールトが、マーラーに力を注いできたことはよく知られています。 デ・ワールトは、オランダ放送フィルの首席指揮者時代(1989−2004)の1992年から1995年にかけて、アムステルダムのコンセルトヘボウで同オ ケを指揮して、「大地の歌」と第10番を除く9曲からなるマーラーの交響曲全曲録音を完成していたのをはじめ、音楽監督(1977−1985)を務めた サンフランシスコ交響楽団を指揮して、1997年に第4番をライヴ録音、やはり音楽監督(1986−1995)を務めたミネソタ管弦楽団とも、1981年に 第4番を、1989年に第1番を相次いでセッション録音していたので、ディスコグラフィを通じてデ・ワールトのマーラーに対する強いこだわりがうかが えます。
【大成功を収めた来日公演直後のレコーディング】
デ・ワールトがあらたな手兵ロイヤル・フランダース・フィルを率いて取り組んだ第1交響曲のアルバムは、2012年6月25日から27日の3日間に亘り、 ベルギー・アントワープの本拠デ・シンゲルでセッション収録されたもので、まさに当コンビが同一演目を取り上げて大成功を収めた来日公演から間もな い時期にあたります。 6月20日のすみだトリフォニー・ホールでの実演は、両端楽章で絶大な効果を発揮したダブル・ティンパニに鳴りっぷりの良い8本のホルンセクション 、 コントラバス・ソロに導かれる第3楽章など、印象的な場面に事欠かないものでしたが、なによりデ・ワールトの熱い意気込みと堅実な音楽運びのもと、 女性メンバーを数多く擁した若い団員たちのみずみずしい感性がまばゆいばかりの内容でした。 終演後にマエストロ自身も「第1番のレコーディングはきっと素晴らしいものになるにちがいないよ」と満足げな笑顔で語っていたように、このアルバムで もまた来日公演そのままの充実の成果が期待できるものとおもわれます。  なお、デ・ワールト指揮によるマーラーの第1番は、上記のオランダ放送フィルとの全集中のライヴ録音が1993年10月に行われていたので、ミネソ タ管との第1回目の録音からおよそ23年、前作からおよそ18年8か月ぶり、このたびのロイヤル・フランダース・フィルとの演奏はデ・ワールトにとっ て3種目の内容ということになります。 (Ki)

DUTTON
CDLX-7298(1CD)
ブルーメンフェルト:交響曲ハ短調「愛する故人の記憶に」Op.39(1905-1906頃)
ゲオルギー・カトゥアール(1861-1926):交響曲ハ短調 Op.7(1889-1891/管弦楽配置;1895-1898)*
マーティン・イェーツ(指)
ロイヤル・スコティッシュ・ナショナルO

録音:2012年8月22-23日、ロイヤル・コンサートホール、グラスゴー、イギリス

*世界初録音と表示されています。
DUTTON
CDLX-7299(1CD)
リチャード・アーネル(1917-2009):番号のない交響曲集
序曲「1940年」Op.6
シンフォニア(1938/マーティン・イェーツ校訂;2012)+
ダゲナム交響曲(映画「Opus 65」からの組曲;1952)*
風景と図 Op.78(1956)*
キャサリン・エドワーズ(P)*
アラン・ダービーシャー(客演首席Ob+)
マーティン・イェーツ(指)
ロイヤル・スコティッシュ・ナショナルO

録音:2012年8月20-21日、ロイヤル・コンサートホール、グラスゴー、イギリス

世界初録音と表示されています。


Serenade
SEDR-5037(1CDR)
ベートーヴェン:「レオノーレ」序曲第3番
交響曲第5番「運命」*
ヨゼフ・ローゼンストック(指)マンハイム国立SO
フェリックス・プロハスカ(指)ウィーン国立歌劇場O(フォルクスオーパー)*

録音:1955年、1958年5月*(共にステレオ)
音源: Livingston (U.S.A.) 2020 C (2 Track Reel to Reel Tape, 71/2 IPS)、
Vanguard (U.S.A.) VRD 1 (2 Track Reel to Reel Tape, 71/2 IPS)*
「運命」は湧々堂「殿堂入り!!
 この2曲はともに2トラック、19センチのオープンリール・テープから復刻したものである。録音年代はかなり古いものではあるが、2トラックゆえか音質は年代を考慮すれば上々ではないだろうか。それよりも、演奏が非常に良い。まずローゼンストックだが、序奏部からスケールが大きく、主部に入るとその男性的な迫力は聴きごたえがある。オーケストラのアンサンブルは特別に優れているわけではないが、この音の勢いと瑞々しさは出色であろう。  一方のプロハスカはオーソドックスな軽量型演奏だが、オーケストラの何ともひなびた音色と、明るくしゃれた雰囲気が独特である。こんなに純な響きのベートーヴェンも珍しいと思う。なお、オーケストラだが、テープのジャケットには国立歌劇場とありながらカッコ書きでフォルクスオーパーと記してあるので、実体はフォルスクオーパーなのだろう。いずれにせよ、ローゼンストックもプロハスカも、古き良き香りの色濃く漂うものとして貴重である。
 ローゼンストック(1895-1985)はNHK交響楽団の発展に大きく寄与した指揮者として有名。生まれはポーランド。ウィーン音楽アカデミーで学び、のちにフリッツ・ブッシュのアシスタントとなる。1920年からはダルムシュタット・オペラの指揮者となり、その後メトロポリタン・オペラなどでも活躍、1930年からはマンハイムの音楽監督に就任するが、間もなくナチスの妨害を受ける。そんな折り、NHK交響楽団の依頼を受け、1936年から同響を頻繁に振り、のちに常任指揮者、さらには名誉常任指揮者に昇格する。戦後はニューヨーク、ケルン等で活動を続けた。  プロハスカ(1912-1991)は作曲家、指揮者のカール・プロハスカの息子として生まれる。父から音楽の手ほどきを受け、のちにグラーツ・オペラ、ストラスブール・オペラ、プラハ・ドイツ・オペラ等の指揮者を歴任し、1945年からはウィーン国立歌劇場の指揮者となる。戦後も主にオペラで活躍し、後進の指導にも力を注いだ。多くの録音を行っているが、レパートリーの大半はバッハ、ヘンデル、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンなどのバロック、古典派のものだった。その彼の遺産の中ではシューベルトの「ガシュタイン交響曲」(「グランド・デュオ」作品120の管弦楽版)が珍品として知られる。(平林 直哉)


Serenade
SEDR-5035(1CDR)
カラヤンのドヴォルザーク&スメタナ
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」
スメタナ:交響詩「モルダウ」*
ヘルベルト・フォン・カラヤン(指)BPO

録音:(1)1957年11月28-29日、1958年1月5-6日、 1958年5月18-20日
(2)1958年5月18-20日* 全てグリューネヴァルト教会

音源:Angel (U.S.A.) ZS-35615 (4 Track Reel to Reel Tape, 7.5 IPS)
このディスクは4トラック、19センチのオープンリール・テープより復刻したものである。もともとこの録音は初期のステレオのためか、それほど広がりはないし、多少テープ・ヒスも耳に付くが、既存のディスクよりは余裕のある音がしていると思う。カラヤンは同じベルリン・フィルと1940年にこのディスクの2曲を収録(ドイツ・ポリドール、CD復刻あり)しており、ともに2度目の録音となる。この演奏はカラヤンがベルリン・フィルの常任指揮者に就任(1955年4月)して約2年半から3年近く経過した頃のものである。カラヤンはその就任直後に首席奏者を大幅に入れ替え、新時代に備えようとしたが、カラヤン自身が「自分の音を引き出せるようになるのに10年かかった」と語っていたように、この頃のベルリン・フィルにはまだまだフルトヴェングラーの影響が色濃く残っていた。たとえば、第1楽章の序奏部のしっとりと温か音色はフルトヴェングラー的である。また、音が次第にふくれ上がるところになると、火柱が立つように燃え上がるのも、これまた前任者そのものである。スメタナの「モルダウ」の途中、夜の風景が描写される箇所の繊細な響きも、まさにフルトヴェングラーであろう。カラヤンは1960年代になるとあの華麗、豊満な響きを獲得し、世界のクラシック界の中心的人物になるのだが、このディスクはその過渡期の記録として、あるいはベルリン・フィルの響きがどのように変わっていったかも知る素材のひとつとして珍重されるべきだろう。なお、この2曲ともにオリジナルのプロデューサーはウォルター・レッグである。(平林 直哉)
*おことわり:古いテープから復刻していますので、わずかな音揺れやノイズが混入しています。

2曲ともカラヤンの最初のステレオ録音。このディスクの魅力は、何と言ってもフルトヴェングラー時代の名残を思わせる深々とした響きと、カラヤンが早くも獲得していた独自の流麗な音楽作りのブレンド感。当時のBPOの響きを特徴付けているティンパニ、金管、弦の質感が、録音会場であるグリューネヴァルト教会(クリュイタンスのベートーヴェンやケンペの「チャイ5」もここで録音された)に見事に溶け合った美しさがまず格別です。
「新世界」第1楽章冒頭のティンパニは、まさに鄙びた味わいで続く弦の奥深さも当時のBPOの魅力全開ですが、4:18以降の小結尾主題の研磨され尽くした美しさはカラヤンならでは。第2楽章の弱音の美しさに細心の注意を払い、スタイリッシュな印象を与えるのも、カラヤンのカラーを早くもオケに浸透させている手腕に改めて驚かされます。終楽章は内声の抉り出しなどせずに主旋律主体の進行ながら、音楽が平板化しないのも流石。
「モルダウ」においても、早くもカラヤンレガートの片鱗が窺え、最初のテーマは一筆書きのように流麗に流れます。2:48からの狩りのシーンでのホルンのアルペジョ音型は純ドイツのワーグナー・サウンド!これら新旧の魅力が連綿と折り重なりながら進行する演奏の魅力は最後まで尽きることはありません。【湧々堂】

Serenade
SEDR-5036(1CDR)
ハイドン:交響曲第94番「驚愕」
交響曲第99番変ホ長調
ヨゼフ・クリップス(指)VPO

録音:1957年9月9-14日ウィーン・ムジークフェライン
音源:London (U.S.A.) LCL-80018 (4 Track Reel to Reel Tape, 7.5 IPS)
 ヨゼフ・クリップス(1902、ウィーン-1974、ジュネーヴ)はウィーン音楽アカデミーで学び、最初はウィーン・フォルクスオーパーのヴァイオリン奏者として活躍した。その後、ワインガルトナーの推薦で指揮を始めるようになるが、第二次大戦中は祖父母がユダヤ人だったという理由で、ナチスから食品工場の労働を強制された。戦後の混乱期にはいち早く楽壇に復帰、復興の一翼をになった。その頃のクリップスをウィーン・フィルの第2ヴァイオリン奏者オットー・シュトラッサーは「復興に対するクリップスの情熱と献身は高く評価されるものだった」と語っている。その後、フルトヴェングラー、カラヤン、クラウス、ベームらの指揮者が復帰するとクリップスの影は若干薄くなったが、それでもウィーンでは根強い人気があった。 ロンドン交響楽団(1950年〜)、サンフランシスコ交響楽団(1963年〜)のそれぞれ音楽監督に就任した際も、オーケストラがウィーン風の典雅な響きを身につけたことは高く評価された。クリップスは生前「あたかもモーツァルトが手がけたように指揮をしている」と語っていたが、古典派はもちろんのこと、後期ロマン派のような作品でさえも軽く、優雅に振ろうとしていた。従って、作品によってはあまりにも保守的にすぎる印象を与えたことも事実であった。 しかし、このディスクに収録されたハイドンはクリップスの芸風にぴったりである。しかも、ウィーン・フィルのまろやかな音色が見事に捉えられており、クリップスの代表的名演と言えるだろう。復刻に使用したのは4トラック、19センチのオープンリール・テープである。古いテープゆえに多少音が濁り気味の場合もあるが、全体的にはLPとはひと味違った余裕のある響きで楽しめる。なお、英デッカの初出LPもこの2曲の組み合わせで発売されていた(LXT-5418=モノーラル、1958年6月発売/SXL-2089=ステレオ、1959年11月発売)
*おことわり:古いテープから復刻していますので、わずかな音揺れやノイズが混入しています。


東武レコーディングズ
TBRCD-0019(1CD)
シューマン:交響曲第4番
ブラームス:交響曲第1番
ペーター・マーク(指)東京都SO

録音:1995年10月17日第416回定期演奏会サントリーホール
1995年10月23日第417 回定期演奏会東京文化会館* (共にデジタル・ライヴ)
サウンド・マスタリング:WEITBLICK
“マークが最後の来日で見せた真のロマンチストの美学!”
共にマークらしい歌心に溢れ、先にリリースされたシューマンの「1番」からの期待を裏切らない名演奏です。いかにもドイツ風の重厚でどっしりした構えを全面に押し出すのではなく、あくまでも心のこもったフレージングで主体。ドキッとするようなデフォルメはほとんどありませんが、もちろん教科書的な無機質さとは無縁で、聴後は良い音楽を聴き尽くしたという充実感に満たされます。
シューマンは、第1楽章序奏のトゥッティのハーモニーの美しさにドッキリ!呼吸の振幅が豊かで心の震えが完全に音化し切っています。一瞬のルフト・パウゼも実に効果的。シューマンの全4曲の交響曲の中でもこの第4番は過去の演奏でも声部バランスを整えるために様々な工夫が成されてきましたが、ここではその点の恣意的な操作を一切感じさせず、自然に響きを凝縮して瑞々しいロマンティシズムに溢れた作品として再現しているのです。7:05からの響きの充実ぶりは息を飲むほど素晴らしく、心地よい緊張が音楽に一層の深みを与えます。第2楽章も孤独に埋没するのではなく、やや明るめの音色トーンを貫きながらシューマン特有の繊細なニュアンスを表出。0:33からのオーボエと弦のピチカートとのリズムのズレを軽視せず、そこに最大限の余情を漂わせている点にもご注目を。終楽章はやや遅めのテンポながら一切弛緩はなく、全ての声部が根底から炙り出されるのを目の当たりにすると、マークこそがシューマンのスペシャリストだと確信させられます。2:02からのトロンボーンのクレッシェンドの強調は最も個性的な瞬間ですが、これも取って付けたような感覚的演出を感じさせず、心の律動そのもの。そしてコーダにおける爽快感!この大らかでありながら音楽を軽薄化しないセンスこそ、マークの最大の魅力ではないでしょうか。
音楽を過剰に深刻化させず、その音楽が最も美しく響くポイントを直感的に捉える能力は、ブラームスでも最大限に発揮されています。もちろんハ短調という調整が持つ重厚な安定感は確保されていますが、気が滅入るような沈鬱さとは一線を画します。まず第1楽章冒頭の響きのなんという完璧さ!そして精彩力!決して計算ではなく、音楽の美感が最大に生きるバランスを瞬時に捉えるまさに「直感力」の勝利です。白眉は第2楽章!かくも繊細に感情を込め抜いた演奏は久々に耳にしました。終楽章も感動的。全声部の抉りが隅々まで効き、しかも透明度の高い音像とスケール感を兼ね備えているというのは驚驚異的。ここまで音楽が結晶化しているのは、完全に気心の知れた都響の自発的な表現意欲があればこそで、他のオケではここまでの説得力が生まれたかどうか…。予定調和ではなく、真にスリリングな演奏とはどういうものかまざまざと突きつけられるのです。最後の金管コラールでは思い切ってテンポを落としますが、同様のアプローチを見せた過去の演奏と比べてもこの自然な進行は他に類を見ないほど。そしてコーダでは、マークには珍しいほどの灼熱のパワーを炸裂させるながら響きの混濁は一切なし!惜しくもこれらのコンサートがマークの最後の訪日となってしまいましたが、この独自の美学を貫徹したコーダは、日本との別れを告げるものと思うと感慨もひとしおです。【湧々堂】













フォンテック
FOCD-6030(5CD)
2012年11月20日発売
チャイコフスキー:交響曲全集(全6曲) 飯守泰次郎(指)
東京シティPO

録音:2011年7月7日(第3&4番)、2012年1月18日(第1&6番)、2012年3月16日(第2番)以上東京オペラシティ・ライヴ、
2011年11月26日ティアラこうとう・ライヴ(第5番)
“世界中の指揮者が模範とすべき、飯守泰次郎の有言実行力!”
飯守が常任指揮者としての最後のシーズンにおこなった「チャイコフスキー交響曲全曲シリーズ」のライヴ録音。『どんなに抑制しても噴出してくる人間の生きざまそのもの、悲劇を吹き飛ばすかのような熱狂的な喜びの爆発、といった極端な両面を持つチャイコフスキーの音楽は、ロシア文学と同じ源から生まれたのです。(中略)チャイコフスキー個人の生涯の出来事以上に、最も大切にされるべきは、ロシア人としての彼の心だと私は思います。』と飯守は語っていますが、他の指揮者も似たような同様の意見を述べる人は多いと思います。しかし、完全にその言葉通りに音にその熱い思いを反映し、その結果、低俗的とも思われがちなチャイコフスキーを真に芸術的な高みにまで押し上げたと本当に実感できたことはかつてほとんどありません。ましてや飯守はワーグナーなどの独墺系の作品が得意のレパートリーというイメージが強いだけに、もう何十年も弾き込んでいるような完熟の表現を繰り広げるとは嬉しい誤算です。各曲に対するヴィジョンは常に明確。計算ではなく自然に熱い表現意欲を作品構築の中に凝縮させているので、モヤモヤとした曖昧なニュアンスなどどこにも見当たりません。各曲においてチャイコフスキーは込めた思いに寄り添い尽くしたという点において、あのコバケンさえも大きく引き離したとさえ言いたいまさに金字塔です!
■飯守泰次郎、チャイコフスキー・チクルスを語る…http://www.youtube.com/watch?v=Dei3XEs0Pas&feature=feedu

「第1番」…伝統的なソナタ形式を温存している作品の持ち味を生かしながら、ロシア的な内向きの歌心をスケールの大きな構築感の中に宿らせた画期的名演!リズムは常に活き活きと躍動しながらも決して前のめりにサクサク進行することはなく、足場を固めつつじっくりと情感を滲ませる手法が、この作品の魅力を倍加させています。弦楽器主体のバランスも安定感抜群。第2楽章の陶酔的な美しさに触れると、飯守の指揮がいかに本気なものであるか実感できるはず。終楽章では堰を切ったようにパッションを炸裂させますが、一定のも品格とスケール感は堅持しながら、輝かしい勝利を謳歌!それは、ロシアのオケが彼らの意地を誇示するかの威圧感のようなものとは別物なのです。
「第2番」…この「第2番」からロシア的な野趣が更に加味されることを踏まえ、飯守のアプローチも一層アグレッシブなものに変化。第1楽章冒頭の一撃はまさに烈火!その直後の管楽器のテーマのメランコリーの陰影の深さも鬼気迫るほど。アレグロ以降はリズムがソリッドに沸き立ち、それを低弦が腹の底から抉り上げる、フレージングはこれ以上不可能なほど濃厚。こんなに作品にのめり込んでは最後まで持ち応えられるのか心配になるほどですが、持久力が落ちるどころか、終楽章では過去に例のないほど真っ正直な情熱をぶつけ尽くします。土俗的な色彩にも目を見張るばかり。過去の名盤も含めてこのトーンをここまでリアルに出した演奏がいくつあるでしょう?2:47では大きくテンポを落とすのが珍しいですが、これを契機に再びコーダヘ向かってまっしぐら。第1番終楽章同様の骨太な迫力に打ちのめされる必至です。
「第3番」…全6曲の中である意味最も衝撃的な演奏。演奏頻度の点でも作品の雰囲気からも地味なイメージが拭い切れない作品ですが、飯守はこれまでの作曲家と心中する勢いの没入ぶりに加え、そのイメージを払拭するかのような意気込みも加味して、前代未聞と言っても過言ではない「第2交響曲を深化させた作品」としてのアプローチを果敢に実践。まさにロシアの大地を揺るがすような迫力満点の音楽に仕立て直しているのです。かつてムーティの録音が登場した際も同様の感想を持ちましたが、飯守盤は各フレージングに対するニュアンスの使い分けの多様さの点で遥かにそれを凌ぎます。第1楽章冒頭モデラート部分の、各声部が完全に役割を果たした結果による出口が見えない焦燥感!やや唐突に現れる第2主題がこんなにスッと心に入り込む演奏も稀。第4楽章も「スケルツォ」という軽いものではなくすべての音が決死。終楽章はポーランド舞曲ならではの土俗的空気が横溢。しかも構築力が極めて頑丈なので音楽の聳え方が尋常ではなく、5:46以降はオケの自発的アンサンブルと響きの充実度も極限に達します。第1副主題がイン・テンポのまま現れる威容に腰を抜かす暇もなく圧巻のコーダへ突入。この演奏が同曲の歴代トップの名演であることを確信して止みません。
「第4番」…競合盤の多い「第4番」以降は分が悪いのでは?という懸念は一切無用。前2作同様、ロシア的な土臭さ、作曲家がそう書かざるを得なかった心情に完全に密着した演奏に全くブレはありません。まずは第1主題の息の長い陰影維持。一小節たりとて惰性で奏でている箇所などありません。ティンパニが加わる2:20からは発作的に激情を加え、チャイコフスキーの苦悩を代弁するかのよう。綺麗事とは無縁の飯森のチャイコフスキー解釈を象徴するシーンです。17:10からの追い込みでは響きのニュアンスも緊張感も何故か低下してしまう演奏が多い中で、強固な造型を維持したまま重厚な響きに不安を拭い切れない心情を加味した進行の説得力には手に汗握るばかり。このシーンと第2楽章のきめ細やかなニュアンスの表出を聴くにつけ、つくづく、東京シティ・フィルの技量とセンスの高さも思い知らされます。終楽章がこれまた驚愕!冒頭の一撃は瞬発力を兼ね備えたスパークぶり!しかもシンバルのタイミングが絶妙!テンポもかなり高速ですが胸を焦がしきった歌を絶やさず、ロシア民謡主題をグールドばりに唸る飯守の声は、ヘッドホンで聞く際はご注意を。3:58からは弦のフレージングの切れ目ごとにクレッシェンドが施されますが、これだけでもいか音楽に没入し体全体で呼吸しているかがわかります。そして最後は興奮のるつぼ!
「第5番」こちらのページを御覧ください
「第6番」…「第1番」での内省的な佇まい立ち返ったような第1楽章提示部の美しさが印象的。同展開部や第3楽でも外面的な効果を他の作品ほどは全面に立ててず、飯守が明らかにこの「悲愴」を別次元の作品として捉えていることが窺えます。第1楽章展開部後半の気の遠くなるような大きな呼吸の説得力はもちろん絶大。第2楽章は冒頭から暫くの間、チェロのユニゾンを耳で追えば明らかなように、単にアンサンブルを統制しただけではない愛が詰まっていることを実感できるはず。終楽章は特に第2主題の温かみと静謐さを兼ね備えた響きにご注目を。ドラが入る直前では悶絶の限りを尽くしますが、感情を外に放射せず、その一途に内燃に向かう意志の力に強く打たれます。【湧々堂】

DACAPO
MAR-6.220544(1SACD)
モーツァルト:交響曲集第9集
交響曲第31番ニ長調K297「パリ」
交響曲第33番変ロ長調K31
交響曲第34番ハ長調K338
交響曲第31番ニ長調K297「パリ」-第2楽章の異稿版(第1版)
アダム・フィッシャー(指)
デンマーク国立室内O

録音:2010年10月4-5日,2011年2月21-23日コペンハーゲンデンマーク放送コンチェルト
今作は実質7番目にあたるアルバムで、1778年から1780年に作曲された3つの作品が収録されています。第31番は「パリ」の愛称で呼ばれる作品で3楽章形式です。第2楽章は通常聴かれる版のほかに、この曲をモーツァルトに作曲依頼したジャン・ル・グロの注文で書き直した「異稿版」があり、このアルバムには異稿版の最初のヴァージョンが収録されているところも注目です。本来、あまり自作に手を入れることのないモーツァルトですが、このような作品も面白いものです。いつものように推進力のある演奏が耳にも鮮やかです。


King International
KKC-10003(1SACD)
シングルレイヤー
シューベルト:交響曲第8番「未完成」
交響曲第9番「グレイト」
ウィルヘルム・フルトヴェングラー(指)BPO

録音:1953年9月15日ティタニア・パラスト(Live)
日本語解説付き
美麗デジケース仕様
今回のSACDシングルレイヤーだが、CD、LPからさらに進化した音質と言って良い。まず、第1楽章冒頭のチェロ、コントラバスの音、奏者全員が 楽器を替えたようなふくよかな音色である。続くヴァイオリンの分散和音も同様に個々の粒立ちが明快で質感も向上している。さらに、展開部の長いクレッ シェンドでコントラバスが刻んでいる音が(4分10秒〜)、CD、LPだと単に強く鳴っている感じだが、SACDでは刻みの数がはっきりと聴き取れるくら いに明瞭である。第2楽章の第2部での後半、111小節から130小節付近(3分50秒〜)、ここでフルトヴェングラーはpひとつの指定にもかかわらず、 ほとんど最強音で鳴らしているが、SACDだと弦の各パートの動きが手に取るようにわかる。 (平林直哉氏 解説より)
※SACD 対応プレーヤー専用ディスクです。通常のCD プレーヤーでは再生することができません。
King International
KKC-10004(1SACD)
シングルレイヤー
ブルックナー:交響曲第8番ハ短調 ウィルヘルム・フルトヴェングラー(指)BPO

録音:1949年3月15日ティタニア・パラスト(Live)
日本語解説付き
美麗デジケース仕様
このSACDシングルレイヤーの音だが、これまた極上の仕上がりである。たとえば、フルトヴェングラーが好きだったティンパニの音だが、CDやLP だと楽器そのものだけではなく、床も振動しているような雰囲気だったが(これはこれで味があるが)、このSACDでは個々の音がきりりと明快になっており、 品の良ささえ感じさせる。低弦が強く出る場面でも、チェロとコントラバスがきちんと分かれて聴き取れるようでもあるし、音が大きくなるところでも木管 楽器や金管楽器の動きがはっきりと浮かび上がる。モノーラルにもかかわらず、オーケストラの配置が目に浮かんでくるようなところが、本当に凄いと思う。 (平林直哉氏 解説より)
※SACD 対応プレーヤー専用ディスクです。通常のCD プレーヤーでは再生することができません。

ALTUS創立12周年特別企画
今回のHQCDはNHKのオリジナル・アナログテープからDSD化された、好評のアルトゥスSACDシリーズ厳選5タイトルの音をCD用にそのままコンバートしたマスターを使用しています。CD特有の音の力強さが魅力です。それをHQ仕様ながらお買い得価格にて限定生産致しました。2枚ものなどかなりお買い得です。
HQCD(Hi Quality CD)…液晶パネル用のポリカーボネートをディスク基盤材料に使用し、特殊合金を反射膜に採用した高級素材を使用した音楽用CD。全てのCDプレーヤーでお楽しみいただけます。
Altus
ALTHQ-001(1HQCD)
ベートーヴェン:交響曲第4番変ロ長調
リャードフ:「バーバ・ヤーガ」
グラズノフ:バレエ音楽「ライモンダ」〜第3幕間奏曲
エフゲニー・ムラヴィンスキー(指)
レニングラードPO

録音:1973年5月26日東京文化会館大ホール(NHKによる実況録音)
Altus
ALTHQ-002(1HQCD)
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番「革命」 エフゲニー・ムラヴィンスキー(指)
レニングラードPO

録音:1973年5月26日東京文化会館、ライヴ
Altus
ALTHQ-003(1HQCD)
ベルリオーズ:幻想交響曲
ムソルグスキー:「展覧会の絵」〜古い城
ビゼー:「アルルの女」〜ファランドール
アンドレ・クリュイタンス(指)パリ音楽院O

録音1964年5月10日、東京文化会館、ライヴ
Altus
ALTHQ-015(2HQCD)
モーツァルト:交響曲第33番
ブルックナー:交響曲第7番
オイゲン・ヨッフム(指)
ロイヤル・コンセルトヘボウ感

録音:1986年9月17日人見記念講堂、ライヴ

Altus
ALTHQ-055(2HQCD)
ベートーヴェン:序曲「エグモント」
 交響曲第6番「田園」
 交響曲第5番「運命」
バッハ:G線上のアリア
ヘルベルト・ケーゲル(指)ドレスデンPO

録音:1989年10月18日サントリーホール、ライヴ
「田園」の序奏冒頭から衝撃的!結尾の一音をテンポを落としながら異常に引き伸ばし、さらに不気味なパウゼを挟んでからやっと主題が滑り出すのには、慈しみを超えてこの世のはかなさを映すかのようなニュアンス。その後も独特のアーティキュレーションを駆使してテヌート気味に切々と歌われるので、「楽しい気分」というより得も言われぬ幻想を秘めた音像が広がります。第2楽章に入るとそこはもう天上世界!これ以上魂を込めようがない入念なフレーズがゆったりと流れ、テクチュアはどこまで行っても至純の極み。後半のカッコウの囀りも天使の囁きのように意味ありげに語り、深い呼吸を湛えたまま優しく失速するコーダの美しさもこの世のものとは思えません。第3〜4楽章は随所に現われる粘着質のフレージングが心を抉り、どこか猟奇的な雰囲気が鮮烈。、テンポの切り返しのが鮮烈!終楽章に至っては、感動という一言では収まりません!第1〜2楽章同様、ここでも音像自体は透明な美しさに溢れていますが、後ろ髪を引かれるような寂寥感と、もう後はないような切迫感が渾身の弦の響きにも強烈に絞り出す金管の響きにも立ち込めているのです。コーダ8:13以降の失速のうちに呼吸が鎮まっていく様は、涙なしに聴ける人がいるでしょうか!
「エグモント」がまた凄い!最初の和音が音量を抑えて緊迫感を孕み、再度繰り返される際には金管を激烈に突出させて内面のもがき苦しみを惜しげもなく表出。ケーゲル特有のテヌートもこの曲では一層顕著で、それによって精神的な浮き沈みが生々しく立ち昇ることになります。終結部も音を外に向かって放射することを意地でも避け、中低音重視の純ドイツ的な音像の厚味を湛えながら、内面からの燃焼と意志の強さで圧倒します。この意味深い求心力も、他に類例を見ません。
「運命」は、一人の人間の苦悩が完全に音に転化し尽くされ、不気味な生々しい空気が醸し出されるといった「事件」が、まさに目の前で繰り広げられることのショックが全身を襲う、“演奏行為を超えた演奏”です。それだけに、「運命」を聴こうとするときに気軽に棚から取り出す気になれないCDでもあります。当時FMでこの演奏を聴いた私は、第1楽章の第1音から只ならぬ空気を発していることに仰天しました。そのどこか血の気の失せた「無」に近い音、強さを装いながらも本当は立っていられない様な不安定さが、強烈に切り込んでくる演奏とは逆の意味でショッキングだったのです。もちろんケーゲルがこの後ピストル自殺することなど、想像もできませんでしたが、この時の彼の精神状態が平常でなかったことは、今聴いてもはっきりと感じ取れてしまいます。第3楽章の不気味かつ意味不明のルフトパウゼ、終楽章冒頭の“ドーミーソー”の異常な引き延ばしなど、造形的にも破綻寸前。全体を通じて、いかにもドイツ的な重厚な響きに溢れていますが、崖っぷちのぎりぎりのところで必至に振り絞った音楽と一体となっての壮絶なニュアンスは、音楽的な感動以上のものをもたらすのです。これがデジタル録音で蘇っては、リアル過ぎてぎて、ちょっと辛いものがあります。ただ、クラシック・ファンならこの演奏を一度は体感しておくべきだと思います。人生には、怖くても直視しなければならないことがあるのです!【湧々堂】


ICA CLASSICS
ICAC-5087B(1CD)
アタウルフォ・アルヘンタ
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
スメタナ:歌劇「売られた花嫁」序曲*

■ボーナス・トラック#
チャピ:ムジカ・クラシカ-前奏曲
 「グラナダの裁判所」〜セレナータ(ファンタジア・モリスカ)
 「擲弾兵の太鼓」前奏曲
ヒメネス:「ルイ・アロンソの踊り」間奏曲
 「ルイ・アロンソの結婚」間奏曲
アタウルフォ・アルヘンタ(指)
スペイン国立O、スイス・ロマンドO*

録音1957年5月24日マドリッド,パラシコ・デ・ラ・ムジカ
1957年8月29日ジェノヴァ,ヴィクトリア・ホール*
1955-1957年マドリッド,グラン・オルケスタ・シンフォニア# (全てMONO)
“シューリヒト譲りのスタイリッシュさと血の熱気との見事な融合!”
民族的な作品の録音が多いアルヘンタが、ベートーヴェンの「英雄」でこれほど確信に満ちた演奏を繰り広げるとは予想外でした。
「英雄」第1楽章は快速なテンポで颯爽と進行。音楽の構えが大きく、大編成の響きを混濁させずにキリッと引き締めて放出するパワーと持久力が見事です。第2楽章は全声部を総動員した有機的な響きが魅力で、恩師でもあるシューリヒトお思わせる洗練されたフレージングも手伝って求心力を確保。特に6:56からはまさに迫真!その緊張感の高まり、憑かれたような一途な熱情注入に胸が熱くなります。そして最大の名演が終楽章!作品への没入が極限に達し、スペイン国立管もそのローカルなイメージをひっくり返す自信と情熱に満ちたアンサンブルを徹底貫徹!どの部分を取っても表現し尽くそうとする意志が脈打っており、手に汗握りっぱなしです。7:56からはまさに勝利の雄叫びで、その輝かしさが大味に傾かずに心からの叫びと化しているので説得力は絶大。
スメタナでは、血沸き肉踊るリズムが炸裂。チャピの「ムジカ・クラシカ」はベートーヴェンの「田園」やメンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」序曲の一節が登場する佳作。【湧々堂】


WEITBLICK
SSS-0136(2CD)
ブラームス:交響曲全集 エフゲーニ・スヴェトラーノフ(指)
スウェーデンRSO

録音:第1番(1984年9月7日)、第2番(1982年1月15日)、第3番(1980年9月6日)、第4番(1985年10月20日)
以上、全てベルワルドホールに於けるステレオ・ライヴ
※英語、日本語、ドイツ語によるライナーノート付
ソ連邦解体前、晩年ほどグローバルな存在ではなかったスヴェトラーノフが才気溢れる熱演を展開してます。1981年のソビエト国立響とのライヴとは録音年代が近いだけに基本コンセプトは共通していますが、こちらは何と言ってもオケの響きにクセがなく清潔なので、スヴェトラーノフ本来の無垢な音楽性がストーレートに伝わるという点で見逃せません。
「第1番」。第1楽章冒頭の硬質なティンパニ連打と弦のブレンドの絶妙さにまず息を飲みます。中低域寄りのでっぷりとしたブラームスではなく、アゴーギクを最小限に抑えた推進力を重視した演奏で、最晩年に差し掛かる前のアグレッシブな表現意欲を強く感じさせます。展開部の最後8:23以降の内燃の凄さは聴きもの。第2楽章はフレージングのアクセントが独特、と言うよりもこれほど綿密に一音ごとにニュアンスを配分した例は稀でしょう。そこから後ろ髪ひかれるような余情が引き出される様にスヴェトラーノフの比類なき芸術性を痛感するばかりです。終楽章の第1主題開始後のテンポの腰の座った安定感と響きの隈取りの克明さは、あの晩年の威容に繋がるものを感じさせます。そしてコーダの猛烈な放射パワーに鳥肌!
「第2番」は全4曲中、ずば抜けて素晴らしい名演!特にこの第1楽章を聴くと、ソビエト国立響では感じにくかった、スヴェトラーノフの響きと呼吸に対する繊細な感性が手に取るようにわかり、感動もひとしお。第2主題の儚い風情に拍車をかけるようにチェロが呟くような弓使いを見せるなど、その象徴と言えましょう。終楽章は演奏時間8:10とかなり高速の部類に入りますが、いわゆる爆走とは違う求心力の高さが聴く者を虜にします。各パートの主張もかなり強いですが、それを凝固させる意志が尋常では無いのです。これもこの頃の年代のスヴェトラーノフならではでしょう。そしてコーダでの仰天アレンジ!81年盤と同様に、金管の持続音をスコアの指示より1小節長く引き伸ばして、完全無欠の勝利を強烈にアピール!
「第3番」は、全体を通じて爽やかな余韻を残すイン・テンポ進行を基調としているのがやや意外。第2楽章も過剰な粘りを見せず、スウェーデン放送響の透明なテクスチュアを生かした純な詩情が瑞々しく息づきます。終楽章でのアンサンブルの凝縮度、燃焼度の高さは、やはりスヴェトラーノフならでは。
「第4番」も第2番と並ぶ大名演!弦のピチカートに象徴される内声への徹底したこだわりは作曲家としてスヴェトラーノフの見識を伺わせ、一見独特なアゴーギクや一瞬のアクセントも、各フレーズの魅力をことごとく倍増させているのには舌を巻くばかりです。第1楽章5:04で鉄槌を下すような強烈なアクセントが施されますが、この一撃は、「第4番」を単なる古風な音の積み重ねではない人間ドラマとして描ききるという強固な意志が凝縮されているかのようです。第2楽章は「これぞブラームス」と呟きたくなる逸品!特にシューリヒトにも近いフレージングの浸透力は、喩えようもない高潔さ!当時のロシア指揮者の多くがドイツ作品を振ると作品との距離感を感じることが多かったことを考えると、明らかにチャイコフスキーとは異なるブラームス独自の色彩とフレージングの魅力を感知するセンスは驚異といえるのではないでしょうか。コーダ9:43からフルートが一音づつ上行する場面がかくも余情に満ちていたことは稀です第3楽章もドンチャン騒ぎとは無縁の格調の高さ。終楽章はシャコンヌ主題の意図的な炙り出しをあえて避けて淡々と進行させながらも、各パートが真に音楽的なニュアンスを発している点にこれまた頭が下がります。コーダでの緊張の高まりに向けての自然な流れといい、ムラヴィンスキーと双璧と言いたい「第4番」です。【湧々堂】


DACAPO
MAR-6.220623
(1SACD)
ニールセン:交響曲&協奏曲全集第1集
交響曲第3番Op.27「おおらかな交響曲」
交響曲第2番Op.16「4つの気質」*
エリン・モーリー(S)
ジョシュア・ホプキンス(Br)
ニューヨーク・フィルハーモニック
アラン・ギルバート(指)NYO

録音:2012年6月14-16日、2011年1月27-29日,2月1日* ニューヨーク,リンカーン・センター,エーブリー・フィッシャー・ホール・ライヴ
2009/2010年のシーズンからニューヨーク・フィルハーモニックの音楽監督に就任した指揮者アラン・ギルバート。すでにマーラーなどの名演で注目を浴びている彼による新しいプロジェクトは、2015年に生誕150年を迎えるデンマークの不屈の作曲家ニールセン(1865-1931)の交響曲&協奏曲全集です。ニューヨーク・フィルにおいては、1960年代にバーンスタインが一部の曲を演奏したこともあり、とても親和性の高い作曲家です。アラン・ギルバートのタクトを得て、極めて燃焼度の高い、ユニークな交響曲全集が期待できるでしょう。
■NYPニールセン・プロジェクトについて
デンマークの国民的作曲家ニールセンをフィーチャーするニューヨーク・フィルとアラン・ギルバートによる交響曲&協奏曲全集プロジェクトです。ニューヨーク・リンカーン・センター内にあるニューヨーク・フィルの本拠地エーブリー・フィッシャーホールでの公演をライブで収録しています。ニューヨーク・フィルはレナード・バーンスタインの指揮の下、ニールセンの交響曲や協奏曲を1960年代に録音した歴史があり、アメリカ国内でニールセン作品を積極的に取り上げた楽団のひとつでした。デンマークの前国家元首、国王フレゼリク9世は、自らデンマーク王立Oの指揮をするなど非常に音楽好きで知られ、当時のバーンスタインの録音プロジェクトの支援をしていたほか、フレゼリク9世の長女にあたる現国家元首マルグレーテ2世も、このニールセン・プロジェクトの記者会見に列席するなど、デンマーク王室の全面バックアップを受けた録音プロジェクトとなっています。私はニールセンの時代が来ることを確認しています。
「私はニールセンの時代が来ることを確信しています。この素晴らしい音楽を聴衆の皆さんと共有することを楽しみにしています。」…アラン・ギルバート

QUERSTAND
VKJK-1214(1SACD)
ブルックナー:交響曲第2番ハ短調
(1872年稿、キャラガン校訂版)
ヘルベルト・ブロムシュテット(指)
ライプツィヒ・ゲヴァントハウスO

録音:2012年3月8-11日ライプツィヒ・ゲヴァントハウスにおけるライヴ
※日本語オビ・解説付き

QUERSTAND
VKJK-1215(1SACD)
ブルックナー:交響曲第9番ニ短調
(コールス校訂版,2000年)
ヘルベルト・ブロムシュテット(指)
ライプツィヒ・ゲヴァントハウスO

録音:2011年11月24-26日ライプツィヒ・ゲヴァントハウスにおけるライヴ
“峻厳な第2楽章に象徴される、ブロムシュテットの「ブル9」解釈の集大成!”
前回のDECCA録音も大変な名演でしたが、ここではさらに深化を遂げたブロムシュテットの円熟芸を堪能できます。
第1楽章冒頭の呼吸の深さ、同第2主題の静謐な美しさ、至純さ、流れの淀みの無さは、まさにブロムシュテットの真骨頂。
驚くべきは第2楽章の意志の強靭さ!レークナーと双璧の戦慄を覚える凄みに圧倒されます。前回の録音もそうでしたが、ここでもリズムの縦の線を徹底して垂直に打ち込み、宇宙の怒りを象徴するかのような響きを醸し出しています。ブロムシュテットの穏健なイメージを払拭するのに十分な力感。中間部でも一切テンポを緩めず、特に7:50以降の厳しさ、求心力の高さには唖然するばかりです。
終楽章冒頭のハーモニーの美しさも比類なし。しかも前回録音よりも明らかに深遠さを増しています。コーダ21:45からのテンポ運びのセンスにもご注目を。これより少しでも遅ければノスタルジックに傾きかねないぎりぎりの線で、芯のある音楽を貫徹させています。
なお、この録音はアーノンクールと同じくコールス校訂版を使用していますが、一般的なノヴァーク版との差異はほとんどありません。  【湧々堂】

Columna Musica
1CM-0285(1CD)
ライヴ・エモーションズ 2
ジョン・アダムズ:ザ・チェアマン・ダンス(管弦楽の為のフォックストロット)
チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」
ジュゼプ・ビセント(指)
ワールド・オーケストラ

録音:2010-2011年、ライヴ


ELECT
ERT-1001-2(5CD)
国内盤仕様
ベートーヴェン:交響曲全集
交響曲第1番(録音:1961年5月)
 [10:37][7:06][3:21][5:46]
交響曲第7番(録音:1962年1月)
 [11:55][9:13][8:15][6:35]
レオノーレ序曲第3番(録音:1962年1月)
 [12:47]
交響曲第2番(録音:1961年4月20日)
 [11:51][13:05][3:26][6:09]
交響曲第6番「田園」(録音:1961年10月)
 [8:42][14:25][5:15][3:25][9:46]
交響曲第8番(録音:1961年5月)
 [9:16][3:58][5:05][7:54]
交響曲第3番「英雄」(録音:1961年3月)
 [14:44][17:34][6:11][12:27]
交響曲第4番(録音:1962年1月)
 [10:15][11:29][6:05][6:49]
交響曲第5番「運命」(録音:1961年8月
 [8:04][10:34][5:55][8:39]
序曲「コリオラン」(録音:1961年8月)
 [8:23]
交響曲第9番「合唱」(録音:1961年7月)
 [14:57][11:11][15:06][25:47]
「エグモント」序曲(録音:1962年1月11日)
 [8:20]
ジョルジュ・ジョルジェスク(指)
ブカレスト・ジョルジュ・エネスコPO
エミリャ・ペトレスク(S)
マルタ・ケスラー(Ms)、
イオン・ピソ(T)、
マリウス・リンツラー(Bs)、
ジョルジュ・エネスコ・フィルCho
ルーマニア放送Cho

録音:1961-62年ルーマニア文化宮殿ホール(スタジオ・ステレオ録音)
エンジニア:Ben Bernfeld

※日本プレス
マルチケース5枚組
英語、日本語によるライナーノート付
ジョルジュ・ジョルジェスク(1887-1964)は、ルーマニアを代表する大指揮者でジョルジュ・エネスコ・フィルの音楽監督を 1920 年から1944 年までと1954 から1964 年まで務めました。1918年から1920年にはゲヴァントハウス管の副指揮者としてアルトゥ ール・ニキシュに直接師事しました。ニキシュに影響を受けた巨匠であり同年代のボールトとも共通するのがヴァイオリンを両翼 に配置した古典的演奏スタイルです。ルーマニアはソ連の庇護のもとにありましたが、本国ソ連でも全てがステレオ録音に移行 していなかったこの時期に、高水準のステレオ録音でベートーヴェン全集が遺されていたことは驚嘆と喜びを隠せません。この 全集についてはDANTE/LYSのCD がありましたが市販LP からの板起こしで今回初のマスター・テープからのCD 化となります。ジョルジェスクの演奏は、「田園」などクライバー並の超快速で歌心に満ちたもの。リズム感も明快。どこをとってもきびきびし ていて聴かせます。エネスコ・フィルも如何にも鄙びた味わいで、木管の懐かしい響きも心を打ちます。
※エレクト・レコードは膨大なバックカタログを誇りますが中々その復刻が進まなかったため、2012年秋より日本の輸入代理店との共同制作で、重 要アイテムを復刻していきます。ブカレストは高温多湿ですが幸いにもマスター・テープの保管状態は極上、録音データも現 存しました。現役のストゥーダーのデッキで慎重に再生され、マスタリングを施しました。 次回以降には、マンデアルのブルックナー:交響曲全集、カルロ・ゼッキのモーツァルト、シェリングの全ルーマニア・ライヴ、シルヴェストリのショスタコーヴィチ:交響曲第10 番が予定されております。

オケの技量は一定の水準を保っていながら、演奏自体はローカル色丸出し!「運命」の終楽章での独特のアーティキュレーションを見せたり、「第9」第2楽章の最後にティンパニを2回叩かせるなどの改変がユニークで、世界のスタンダード自体に興味が無いという雰囲気がプンプン漂います。もちろん「第9」はルーマニア語歌唱。【湧々堂】

King International
KKC-10001(1SACD)
シングルレーヤー
ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」
交響曲第5番「運命」
ウィルヘルム・フルトヴェングラー(指)BPO

録音:1947年5月25日ベルリン・ティタニア・パラストLIVE
第5番は特に第4楽章がSACDの恩恵を一番受けているように思う。この怒濤のようなテンポの変化は凄まじいとしか言いようがないが、そんな荒れ 狂った中でも、たとえばフルトヴェングラーの好んだティンパニにはかなり細かいニュアンスを要求していたと想像された。金管楽器も、音を切る前にはグッ とクレッシェンドする箇所もあるし、低弦もただ野放図に強く弾かせているわけではない。SACD化によってこれだけ細かい音の変化が聴き取れたのはた いへんに幸いなことだった。(平林直哉氏の解説より)
King International
KKC-10002(1SACD)
シングルレーヤー
ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」
交響曲第5番「運命」
ウィルヘルム・フルトヴェングラー(指)BPO

録音:1954年5月23日ベルリン・ティタニア・パラストLIVE
このたびこのディスクと1947年の第6番「田園」+第5番(KKC-10001)の2点のSACDを聴き、予想以上の音の変化に驚嘆した。確かにLP は素晴らしかった。でも、LPはプチパチは不可避であるし、内周になると音がわずかに貧弱になる。LPの良さも十分にかみしめながらも、SACDシン グルレイヤーもとてつもなくクリアに聴き取れることに興奮を禁じえない。(平林直哉氏の解説より)

ANALEKTA
AN2-9893(1CD)
ブルックナー:交響曲第7番 ジャン=フィリップ・トランブレ(指)
フランコフォニー・カナディエンヌO

録音:2006 年 8月
カナダの俊英指揮者、トランブレによるブルックナーの7番。ハース版に基づいていますが、アダージョのクライマックス(練習番号W)ではブルック ナーが自筆譜に糊づけした紙片に書きいれたシンバルを用いています。ハース版ではこのシンバルは信頼性が薄いとして削除しましたが、8 番のアダージョ のやはりクライマックスでシンバルが打ち鳴らされるとする研究者達の指摘なども考慮して、このようなかたちとなりました。エネルギーに満ちた演奏が展 開されています。 (Ki)

ANALEKTA
AN2-9916(1CD)
ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」(1889年の版&ブルーノ・ワルター、トスカニーニの演奏録音に基づくトランブレ版) ジャン=フィリップ・トランブレ(指
)フランコフォニー・カナディエンヌO

録音:2008年8月
《版について》
「このレコーディングで用いた版は、注意深く考察・調査した結果ですが、一番の目的は、ブルーノ・ワルター、そしてトスカニーニが演 奏した版を発見(再発見)するということでした。ここで基準となったのは、どれが「絶対的な」ものかを探る、ということではありません。この若いオー ケストラに、様々な可能性、様々な選択を探るという新たな学びを体験してほしいという思いからでした。1889年版を規範に、ワルター、そしてトスカニー ニの録音を注意深く聴いて版を設定しました。発見の精神に満ちた演奏になったと思います。」(トランブレのコメント/ライナーノートより抄訳)


LPO
LPO-0064(2CD)
チャイコフスキー:交響曲第4番ヘ短調Op.36
交響曲第5番ホ短調Op.64
ウラディーミル・ユロフスキ(指)LPO

録音:2011年3月19日&5月4日ロンドン,ロイヤル・フェスティヴァル・ホール,サウスバンク・センター
2曲とも現代的なチャイコフスキーを象徴する名演奏。
特に「第5番」において、土臭さを排した洗練性を全面に打ち出しているのが印象的です。ユロフスキーはロシア出身といっても18歳でドイツへ移住し、指揮活動もイギリス中心だっただけに、民族的な土壌性表出よりもグローバルなアプローチに徹しても何の不思議もないのですが、ここまで純音楽的表現に徹するとは予想外でした。とにかく、チャイコフスキーの青春時代の作品のように瑞々しく響くのが画期的であり、しかもその表現に「青臭さ」が付きまとわない点が、ユロフスキーの恐るべき才能の為せる技と言えましょう。微視的にスコアを掘り下げることより、素直で直感的なアプローチを確信を持って行なっており、テンポを激しく揺らしたり見得を切らなくても、十分に説得力の音楽を再生可能だということを実証しているのです。
まず、さっそうとしたテンポの運び自体がまず洗練されていますが、第1楽章や終楽章の各冒頭部に見られるように、弦のユニゾンにおけるヴィブラート抑制も印象的。昨今流行の古楽的アプローチの片鱗とも言えますが、肝心なのはそれがユロフスキー自身の内面から出たイメージと直結した表現として迫る点です。結果として、ヌメリのあるロシア的土壌性が削ぎ落とされ、息を深く吸い込まず、リズムの重心を高めに維持する効果とも相まって、確実にユロフスキー固有のフレッシュな「チャイ5像」が具現化されている点が素晴らしいのです。かつてのロシアの巨匠たちのような凄みだけを期待すると物足りないかもしれませんが、どうかこの「表現として結実した瑞々しさ」を感じ取っていただければと思います。
なお、第1楽章展開部266小節では、ティンパニが3度低い音を鳴らしているように聞こえますが、ロストロポーヴィチ盤で顕著だった「LPOオリジナル版」とも言える改変の名残りでしょうか?(更なる詳細レヴューはこちら)。
一方の「第4番」になるとちょっと様相が変わります。特に第1楽章は時代掛った表現こそないももの、冒頭から情感を濃厚に反映したフレージングを敢行し、第5番と同じ指揮者とは思えぬ踏み込んだニュアンスに彩られています。この印象は収録環境の違いに起因するものかと思いきや、「第5番」とは演奏会場は同じ、収録日も2ヶ月しか違わないので、ユロフスキーが明らかに作品固有の持ち味を生かすことに心を砕いているかが窺い知れます。第2主題の各パート間の連動の緊密さも「第5番」以上。コーダでは直情的イン・テンポで畳み掛けながら18:13からグッとテンポを落としてメリハリを強調。しかしそこに泥臭さはなくレスポンスは極めて洗練されているので、やっぱり「第5番」と同じユロフスキーかと納得。第2楽章も悲嘆に暮れるのではなく健康的な歌に徹し、しかも音楽自体をお気軽なものにはしていません。終楽章は約8分半とかなり高速。物々しい重圧感や血生臭いニュアンスのないスッキリとしたニュアンスを貫きますが、産毛を剃ってしまったような物足りなさは皆無で手応え十分!【湧々堂】

DACAPO
MAR-6.220621
(1SACD)
ホルンボー(1909-1996):室内交響曲集
室内交響曲第1番Op.53(1951)
室内交響曲第2番「悲歌」Op.100(1968)
室内交響曲第3番「フリーゼ」Op.103a(1969-70)
ジョン・ストルゴーズ(指)ラップランド室内O

録音:2011年3月31日-4月1日ロヴァニエミ教会
※全て世界初録音
デンマークの近現代音楽史を代表する作曲家ホルンボーの3つの室内交響曲を高音質録音で聴く1枚です。1950年代から、独自の表現を追求し始めたホルンボーにとって、この3つの作品は、極めて実験的であり、また興味深い変容を遂げるための器となりました。3つの印象的な音符で始まる第1番は、その音を極限まで拡大し、小さな編成のOから多彩な響きを引き出すことに成功しています。「悲歌」と題された第2番と、その翌年に書かれた第3番は、当時の急進的な音楽からは少し距離を置いたものであり、新古典的なものと、シベリウス的なものが混在する、ちょっと懐かしい味わいのある音楽です。


ICA CLASSICS
ICAC-5078B(1CD)
エフゲニー・スヴェトラーノフ
ラフマニノフ:交響曲第2番ホ短調Op.44
バーンスタイン:「キャンディード」序曲*
エフゲニー・スヴェトラーノフ(指)
フィルハーモニアO、LSO*

録音:1993年3月15日ロイヤル・フェスティヴァル・ホール、1978年8月28日エディンバラ音楽祭アッシャー・ホール*
(共にステレオ)
“スヴェトラーノフの円熟味と万全な運動能力が成し得た史上最強の「ラフ2」!”
まずは、スヴェトラーノフの最も意外なレパートリーである「キャンディード」序曲に腰を抜かして下さい!色彩はR=コルサコフ張りの極彩色。テンポは極端に遅いわけではありませんが、リズムの重心が徹底して低いので、その荘厳な威容に彩られた音像は、全く別の作品のように迫ります。管、打楽器のバランスも独特。ロンドン響も常識破りの音作りに緊張し切っているのが手に取るようにわかりますが、コーダ直前のルフト・パウゼではその緊張がマックスに!アメリカンな軽さはどこにもないスヴェトラーノフだけに許された特異な名演です。
一方、誰もがその名演ぶりを予想できるラフマニノフは、その予想をはるかに超える素晴らしさ!音質も含めて既出盤を大きく凌ぐ決定盤と言えましょう。N響との共演でもにこの作品の魅力を倍加せせるほどの恐るべきダイナミズムを発揮してくれましたが、ここではそのスケール感が広がる範囲が人間の許容量ギリギリとさえ言えるほど広大で、第1楽章展開部後半やコーダの追い込みに象徴されるように、音の塊の威力は破壊的なまでに強烈!第2楽章は軽快に飛ばすだけの演奏とは一線を画す脂質感に溢れ、第2主題の惜しげもない香気にもむせ返るばかり。ティンパニの克明な打ち込みとのバランスも絶妙なので、リズムの堅牢さが凡百の演奏とは別次元。
既出盤を大きく引き離す名演であることをますます確信させるのが第3楽章。ロシア的な香気の大放射もさることながら、まず全身を溶かすのが弱音クラリネットの力量とセンス!音の線が徹底して明瞭ながら詩情は繊細の極みという離れ業を見せるのですから、これが泣かずにいられましょうか?スヴェトラーノフの呼吸の長さと繊細さ、色彩の揺れ等々も、極限まで深化し尽くされています。5:23からの弦楽器の強弱対比がそのまま色彩の濃淡につながる例など他に思い当たりません。6:39からのフレーズはどこま昇天するのか予想もつかず、ティンパニが加わる頂点までの持久力にはどんな指揮者も降伏するしかないでしょう。
終楽章は感動も絶頂に!スケール感はもちろんのこと、リズムのキレが抜群によく、油っこさと音の量感を湛えたまま9:40から弦が交錯するシーンの熾烈さは、スヴェトラーノフがまだ運動機能的にも万全だったこととも相俟って異様なまでの求心力となって結実。そしてコーダは史上最高のカッコよさ!【湧々堂】

ICA CLASSICS
ICAC-5081B(1CD)
グィド・カンテッリ
シューマン:交響曲第4番ニ短調Op.120
ドビュッシー:「聖セバスチャンの殉教」組曲
ドビュッシー:海
グィド・カンテッリ(指)
フィルハーモニアO

録音:1954年9月9日エディンバラアッシャー・ホール(MONO)
“過剰なロマンを排したカンテッリの直截なダイナミズムの勝利!”
カンテルリの死の2年前のライヴ録音。どれもが彼の十八番の作品ばかりですが、予定調和に傾くことなく新鮮な共感を抱きながら推進力の高い音楽を築く手腕に接すると、改めてその早逝が惜しまれてなりません。
シューマンは、演奏時間23分。全リピートを省略してしているせいもありますが、過剰なロマン性に浸らず、燃え立つような直進性が横溢し、最後まで弛緩を感じさせずに一気に聴かせます。第1楽章は尻上がりに弾丸モードへと突入。第2楽章中間部のヴァイオリンソロは合奏に変更。終楽章コーダで通常は一旦テンポを落とす箇所でもギア・チェンジせずまっしぐらに進む潔さにも感動!単に若さに任せたというのとは異なる清々しさをふんだんに感じていただけることでしょう。D・ブレイン軍団のホルンの巧さにもご注目を。
「海」がこれまた驚愕の名演!シューマンとは明らかに異なるし色彩パレットを活用し、アゴーギク、呼吸のしなやかさに細やかな感性が息づいており、その一方で潔いまでの直截なダイナミズムも大発揮!特に第1楽章の呼吸の深さは海の躍動を想像させずにはおかず、3:42でのティンパニの野太い打ち込みはまさに意志の塊!終楽章に至っては、フィリハーモニアの鉄壁アンサンブルも手伝って壮絶な迫力で聴手を圧倒します。 【湧々堂】


ANALEKTA
AN2-9998(1CD)
ベルリオーズ:幻想交響曲 ジャン=フィリップ・トランブレ(指)
フランコフォニーO

録音:2011年 8月
カナダ注目の指揮者トランブレによる幻想交響曲の登場。2001年に自身が設立した、いわば手兵のフランコフォニー管弦楽団を率いての演奏です。フ ランコフォニー管弦楽団は、若手メンバーを中心に結成された団体。音楽監督でもあるトランブレのもと、各楽器が奏でるモティーフをクリアに響かせつつ、 フレッシュで勢いのある演奏が魅力。断頭台への行進のエネルギーの炸裂ぶりは圧巻です。
トランブレは、1978年、カナダ出身の指揮者。ズッカーマンらがプロデュースした、世界から注目株の音楽家8人を選び世界でコンサート活動を行う、 というコンダクターズ・プロジェクトの第1回メンバーの一人に選ばれました。2002年にはミトロプーロス国際指揮者コンクールで音楽家賞を受賞。ヴィ オラも演奏するという多才な面も持ち合わせた注目株です。 (Ki)


東武レコーディングズ
TBRCD-0017(1CD)
ペーター・マークの「新世界」!!
ドヴォルザーク
:交響曲第9番「新世界より」
ワーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルデ」前奏曲と愛の死*
ペーター・マーク(指)東京都SO

録音:1986年3月31日東京文化会館,第232回定期演奏会デジタル・ライヴ
1995年10月17日サントリーホール,第416回定期演奏会デジタル・ライヴ*

※サウンド・マスタリング:WEITBLICK
“「新世界」終楽章で咆哮するホルンのトリルの怪!ワーグナーも必聴!!”
「新世界」は、濃厚な民族色よりも、メンデルスゾーンのようなたおやかな抒情性を際立たせ、目の詰んだ声部の綾と清潔な構築感を重視した、いかにもマークらしいアプローチ。全体にテンポは中庸で、穏やかに流れるようでいて、随所にマークのこだわりが張り巡らされています。
第1楽章提示部第2主題のテンポの落とし方は純朴そのものですが、再現部のでの同じフレーズでは一段と濃厚に憂いの表情を加えているのが特徴的。第2楽章は噛み締めるほどに味わいが増します。たっぷりと間を取って丁寧に歌い上げる中間部は特に聴きもの。テンポにも音色にも、マークの音楽センスが最も明確に打ち出されているのが第3楽章。推進力を全面に立てず、やや遅めのテンポ感の中で舞曲としてのリズムの弾力性を徹底的に感じ取っており、更に細やかなアゴーギクを注入することによって可憐な表情が優しく浮かび上がります。
終楽章は、冒頭の弦のクレッシェンドが独特。ここでもテンポは中庸ですが、音楽の中身はここに至って遂に燃え盛ります。まず、クラリネットが吹く第2主題直前のチェロのフレーズ(1:48〜)にご注目を。ほんの一瞬ですが、一気に気品の空気をふわっと醸しだしてクラリネットへ受け渡すのです。そしてその直後、ここまでうっとり聴き入っていた聴き手をあざ笑うかのような驚愕の自体が起こります!なんと3:02のホルンのフレーズに激烈なトリルを追加!元々マークは原点尊重主義ではないとは言え、常識的な感性では収まらない人だということを改めて思い知らされます。
しかし、それ以上に聴きものがワーグナー!超のつく名演です。常にハーモニーから放たれる色彩の陰影を意識しながら、気の遠くなるような浸透力を持つフレージングを徹底敢行。「前奏曲」は、呼吸の深さが尋常ではなく、人為性を全く感じさせないテンポの揺れはまるで魔法のように迫ります。6:35あたりから次第にハーモニーに厚みを増す中で、対旋律に異常なまでに神経を行き渡らせながら見せる妖しい光彩!その直後の極限まで気高い精神を宿した弦のフレーズにも唖然しますが、絶妙なバランスでティンパニを加わり大きく音楽を膨張させる場面(8:37〜)も絶品!驚きを禁じえません。「愛の死」開始すぐ、0:54からの夢から覚めたような視界の開け方とその清らかさ、1:12からの弦の対旋律の飛び交いで見せる意味深い表情など、マークの感性がこの作品といかにフィットしていたかが窺えます。3:51からのクレシェンドは信じ難い結晶度を湛えて愛の力を放出しますが、その繰り返し時の高潔を極めた魂の燃焼は感動の極み!そして5:46からの弦のスフォルツァンドの恍惚と、最後のハープ・ソロの異様なほど輝き…もう何から何まで奇跡的としか言いようがありません。【湧々堂】


WEITBLICK
SSS-0132-2(1CD)
スヴェトラーノフのサン・サーンス
(1)サン=サーンス:交響曲第3番「オルガン付」*
(2)ルーセンベリ:「街のオルフェウス」組曲
エフゲニ・スヴェトラーノフ(指)
スウェーデンRSO
ヴァンサン・ワルニエ(Org)*
録音:1998年9月3日グスタフ・ヴァーサ教会ライヴ*
1983年1月14日ベルワルドホール・ライヴ
※英語、日本語、ドイツ語によるライナーノート付。
スヴェトラーノフの「オルガン」といえば、レスピーギのローマ三部作とと並ぶ必聴作品!1982年のソビエト国立響との録音でも、この曲のイメージを根底からひっくり返す壮麗な演奏で魅了しましたが、この演奏では更にニュアンスの深みと繊細さも加味され、オケの響きに癖がない分、より一層スヴェトラーノフの音楽性の奥深さが際立った恐るべき名演となっています。全楽章を通じて低速で重心の低い造型で一貫していますが、それによって浮揚する新鮮な表情の多さに最後まで釘付けとなること必至です!
第1楽章第1部は、音楽の構築は大きく維持しながら、あくまでも内省味を湛えたニュアンスが終始心を捉え続けますが、じりじりと内燃のパワーを表面化させ、遂に後半のテーマ再現(8:42〜)ではティンパニの最強打を皮切りに圧倒的なスケールの音像にまで達します。82年盤では終楽章コーダの盛り上がりだけが話題となった感がありましたが、第1楽章第2部の絶世の美しさは、スヴェトラーノフがただ馬力優先の指揮者ではないことをはっきり認識させただけでなく、その歌のセンス、音楽的ビジョンの揺らぎの無さがビリビリと胸に迫る感動的な瞬間でした。この録音ではその至純を極めた響きの温かさ、呼吸のスパンの長さ、豊かさは更に深化を遂げ、このまま時が止まって欲しいと願わずにいられません。
第2楽章第2部、ピアノ・ソロが加わるシーン(0:40〜)は、まさに低速モードが最大の効果を発揮した瞬間で、宝石箱をゆっくりを開くようなキラキラした色彩、ワクワク感が他のどの演奏に望めましょうか。その後の音楽はもう言語を絶するド迫力絵巻の連続!そしていよいよ訪れるコーダの超大団円!!ティンパニの革も破裂覚悟の大強打を経て、最後の和音引き伸ばしは延々15秒!!ホールの残響が豊かなのでその効果も絶大です。
カプリングのルーセンベリの「街のオルフェウス」も聴きもの。土俗的は迫力に満ちた第1曲やR=コルサコフを思わせる第5曲などは、スヴェトラーノフの色彩感覚と粘着質なリズムの魅力が大全開。【湧々堂】

FOK
FOK-0005-2(1CD)
シルヴィエ・ボドロヴァー(1954-):交響曲第1番「鐘と」(2011)
R・シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」
イジー・コウト(指)プラハSO
チェコの女性作曲家の最新作である*は多彩な打楽器群が活躍する交響曲。

日本伝統文化振興財団
SACG-30002
(SACD
シングルレイヤー)

ブラームス:交響曲第1番ハ短調
ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調
ロヴロ・フォン・マタチッチ(指)NHK響

録音:1984年3月23日N響第927回定期公演ライヴ(NHKホール )
リマスタリング・エンジニア:杉本一家(VCM)
音源提供:NHK/NHKサービスセンター
この気迫は常人とは思えない。老マタチッチ(10ヶ月後に死去)に応えようとする必死さがこのような音を出せるのだ。これが当時のオケ魂なのである。 オケ全体が鳴り切ってめちゃくちゃ凄まじい」―宇野功芳―
なお、解説書には当時のN響のメンバーである北村源三氏、浜道晃氏、堀江悟氏、田渕彰氏でのマタチッチを語る座談会がおさめられており、ウラ話も含め大変興味深いものがあります。


Altus
ALT-234(2CD)
シューリヒト〜奇跡の「エロイカ」
シューマン:「マンフレッド」序曲
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調*
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
カール・シューリヒト(指)
フランス国立放送O
アルテュール・グリュミオー(Vn)*

録音:1963年5月14日シャンゼリゼ劇場での全演目(ステレオ)
※オリジナル・マスターからの新マスタリング
“もはや神の領域!強烈なオーラに溢れた奇蹟の「エロイカ」!!”
ある演奏家の最高の名演を一つだけ挙げよと言われれば、大抵の場合は選定可能ですが、シューリヒトに限ってはどうしても2つの超名演から更に絞ることができません。一つは1962年録音のモーツァルトの「ハフナー・セレナード」。もう一つがここに収録されている「英雄」です。これらの演奏は、一人の芸術家がその感性を極限まで熟成させるとはいかなることかを実感させるとともに、人の手を介して鳴り響いているという現実を忘れさせ、あらゆるニュアンスが聴き手の予想の及ばぬ神の啓示のようなオーラに満ちており、何度聴いてもひれ伏したくなるのです。
「英雄」冒頭の2つの和音の打ち込みは、他のシューリヒトの演奏と同じように荒くれた強靭さとは異なり、感覚的には淡白ながら気力の漲りがハーモニーの結晶に直結し、理想へ向かおうとするベートーヴェンの純粋な精神力そのものとして響きます。続く弦の主題は、強弱の配分が実に入念ですが、川の清流のように淀みがなく、その自然な求心力の高さは、まさにシューリヒト芸術の真骨頂。
61年のVPO盤、64年のBPOと比べると明らかなように、フランス国立管の特色である音の重心の軽さと音色の明るさが完全にシューリヒトの志向と合致しているので、全てのニュアンスが精彩に富み、単に「枯淡の境地」から出たのではない迫真の息づかいとキリッとした佇まいを感じさせるのもこの演奏の魅力の一つですが、その特徴が恐るべき効果を伴って迫るのが展開部7:15以降!ほとんどの演奏が弦の刻みが主体となって木管が軽く添えられる程度のバランスで進行しますが、ここでの木管の響きはまるで星の瞬きを連想させ、宇宙的な神秘性はブルックナーの第9交響曲の世界を思い起こさせるほどで、しかも芯を持った弦との融合も絶妙の極み!これはVPO盤でもBPO盤でも決して体現できませんし、他の指揮者ではその片鱗さえ窺えません。再現部は全声部の凝縮力が頂点に達し感動の極みです。
第2楽章は、シューリヒトならではの「深遠なイン・テンポ」の魅力全開。音色もリズムも鉛色の世界に埋没しないのは言うまでもないですが、ここでも各声部のニュアンスの深さは只事ではありません。3:15から奏でるオーボエのテーマに続いてフルートが突如として衝撃的なフォルテを発するのは神の怒りのよう。3:35からの弦の清明なフレージングでその怒りを収めたとおもいきや、3:48からの管楽器の斉奏が強烈な色彩を降り注ぐのですから呆然とするばかり。9:05の低弦の切り込み以降も明確な意志を宿した音の連鎖はとどまる所をしらず、老境の影など微塵も見られません。そして生き物のような表情を濃密に湛えたコーダ!これに感動しないで「英雄」に何を聴こうというのでしょう!
第3楽章も自然体を貫きながら、弦の刻みには精妙に強弱を配し、同時に流れの美しさも確保という究極技。トリオでは予想に反してホルンはヴィブラートを抑制。他のシーンでは普段のヴィブラートをそのまま生かしているので、ここでシューリヒトがあえて指示したものと思われますが、その慎ましいトーンが中庸のテンポ感と調和して、独特の品格を生む結果となっています。
終楽章に至って、アンサンブルの凝縮度は頂点に達します。まずドキッとするのが、弦からオーボエへ引き渡す1:52〜1:53レスポンスの絶妙さ!各パートがこれほど一本のラインで連動するのは他に例がなく、3:11〜3:13の弦のリズム湧き立ちも、単にオケがシューリヒトの指示に従うという次元を超えて、全員が完全にそのオーラに痺れ身を粉にしている証し。そして遂に訪れる、史上最も感動的なコーダ!!!この部分だけでも他のシューリヒトの「英雄」の中でも段違いの名演であることを実感していただけるでしょう。これだけの超名演が良質なステレオで味わえるのですから、ありがたい限りです。
なお、この「英雄」は、第2楽章から第3楽章はアタッカのように続けて演奏(収録)されています。楽章間は1〜2秒ほどしかないので、初出のディスク・モンテーニュ盤では、3楽章からトラックを再生すると冒頭の音がわずかに欠けていました。その点今回の復刻はきちんとトラックが設定されているので、そんな不満は解消されています。ただ、2〜3楽章をアタッカで演奏するという音楽的根拠は不明(他の演奏では普通に間を取っている)で、もしかすると楽章間の耳障りなノイズ(例えば大きなくしゃみ等)を放送局側が意図的に削除し、それがオリジナルマスターとして保存したのかもしれません。代理店の話でも、マスターの段階でアタッカ風になっているとのこと。日本語解説にもその辺のことには触れられていないので、ぜひ専門的な検証を待ちたいところです。
正直なところこれほどの名演の後には、他の音楽を聴く余力など残っているはずもないのですが、「マンフレッド」序曲これまた他の録音を大きく引き離す演奏で、軽くあしらえません。冒頭の和音を無造作に打ち付けるのはいつものシューリヒト・スタイルですが、その気迫は凄まじく、弦は峻厳さ極み。むしろ一般的にはこちらのモードこそベートーヴェン的と言えましょう。主部以降の息もつかせぬ推進力にも手に汗握り、特に内声部の意味深さと全体を取り巻く透明度の高い管楽器が生み出すハーモニーの絶妙なニュアンスは比類なし。4:30あたりからは、シューリヒトの天才的な間合いのセンスと、しなやかな呼吸の振幅が生み出す生命力にも心奪われ、6:00からのチェロのフレーズは、あらゆる人智を超えた次元で飛翔します。新たなニュアンスが生まれようとするワクワク感が連続して襲い掛かる緊張感をすべて受け止めるのは至難の技です。
そんなシューリヒトの棒と共演するのが甘美な音色で知られるグリュミオー。ここではシューリヒトの音楽性とのコントラストによって、グリュミオーの美音が普段以上に人間臭く響きます。特に終楽章ではグリュミオーがよほど興に乗ったのか、ややテンポが前のめりになるほどの推進力見せ、ライヴならではの盛り上がりを堪能することができます。【湧々堂】

Ambroisie
AM-207(1CD)
ロマン派のパリ
ルベル(1807-1880):交響曲第4番 ト長調 op.33(世界初録音)
ベルリオーズ:夢とカプリッチョop.8
リスト:ピアノ協奏曲第1番*
ベルトラン・シャマユ(P/1837年製エラール(Edwin Beunkコレクション))*
ジュリアン・ショヴァン(Vn)
ジェレミー・ロレル(指)
ル・セルクル・ドゥラルモニー(管弦楽)

録音:2011年10月16日(メッツ・アルセナル劇場でのライヴ録音)
21世紀のリストの再来ともいえる若きピアニスト、ベルトラン・シャマユが、オリジナル楽器による新進気鋭のオーケストラ「ル・セルクル・ドゥラルモニー」 との共演で、リスト・イヤーに、リストのピアノ協奏曲第1番をライヴ収録!更に、当時のパリの音楽界で活躍したアンリ・ルベルの交響曲第4番(世界 初録音)、ベルリオーズのいわば唯一のヴァイオリン協奏曲となる「夢とカプリッチョ」という、19世紀当時のパリの薫りと空気に満ちたプログラムも魅 力です。
アンリ・ルベルは1851年からパリ音楽院で教鞭をとり(和声)、アカデミーの会員や、ローマ賞の審査員も務めた重鎮。全部で4曲の交響曲を遺し ています。この第4番は、1857年、ベートーヴェンなどの音楽をパリの聴衆に紹介した協会主催演奏会で初演され、絶賛されました。後にサン=サー ンスはこの作品を四手連弾のために編曲しています。この第4番は、他の3曲の交響曲に比べて演奏機会が少なく、ルベルの生前に、初演も含めて3度 演奏されたきりでした。この録音は、約150年の時を経てのコンサートのもようを収めたもの。歴史的にも貴重な演奏の登場です。
ベルリオーズの「夢とカプリッチョ」は、もともとは1841 年にピアノとヴァイオリンのために書かれたものですが、同年、オーケストラとヴァイオリン のために書きなおされました。ベンヴェヌート・チェッリーニのアリアの旋律に基づいています。ヨアヒムら優れたヴァイオリニストによって演奏されたほか、 ヴィエニャフスキが最後にロシアで行ったコンサートでも取り上げるなど、当時から重要なレパートリーとして重宝されたことが窺われます。
リストの協奏曲でピアノを弾くベルトラン・シャマユは1981年トゥールーズ生まれ、2011年の来日ではオール・リスト・プログラムを披露、その技巧 と音楽、人柄で聴衆を魅了しました。ディスコグラフィはロマン派のものが中心となっており(メンデルスゾーン:ピアノ作品集(V 5131)/フランク:作 品集(V 5208)/リスト:巡礼の年報(全曲)(V 5260 (3CD))、今回のリストの協奏曲はまさに待望の登場。リストも愛したエラールのピアノで、完璧 な技巧で色彩様々な音色を聴かせてくれます。リストもおそらくこのように演奏して人々を魅了したのでは、と思いを馳せたくなる出来栄えです。 (Ki)

OBS PROMETEO
OBS-005(1CD)
ハイドン:チェロのオブリガートを伴う交響曲集
交響曲第13番ニ長調 Hob.I:13
交響曲第31番ニ長調 Hob.I:31
交響曲第36番変ホ長調 Hob.I:36
クリストフ・コワン(Vc,指)
セビリャ・バロックO

録音:2010年10月25-27日、ビリャ文化センター・ホール、サン・ホセ・デ・ラ・リンコナダ、セビリャ県、スペイン
ピリオド楽器の名手たちを次々とゲスト指揮者として招いている当レーベルにクリストフ・コワンが登場。得意なハイドンを軽快かつ緻密にまとめあげています。


Audite
AU-95620(1CD)
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」 矢野 滋(S)
マルガ・ヘフゲン(A)
フリッツ・ヴンダーリヒ(T)
テオ・アダム(Bs)
ディーン・ディクソン(指)
ヘッセンRSO(フランクフルト放送響の旧称)
ヘッセン放送Cho,
南ドイツ放送Cho

録音:1962年4月13日、フランクフルト・アム・マイン ヘッセン放送ゼンデザール(ライヴ・モノラル)
“今生きていて欲しかった指揮者の筆頭!ディーン・ディクソンの比類なき芸術性”
ジャケット写真でもお分かりのとおり、「ヴンダーリヒ・シリーズ」の一環としてリリースですが、これはどう考えても指揮者ディーン・ディクソンの凄さを徹底的に印象付けるCDです。
ディクソンの名前は、「黒人として初めて国際的な活躍をした指揮者」としては知られていても、その顔を思い浮かべることが出来る人がいるでしょうか?ましてや、その芸風をきちんと認識している人がどれだけいるでしょう。彼は、ジュリアード音楽院で音楽的な基礎を身につけ、当初は米国のメジャー・オーケストラとも共演を重ねなていましたが、人種差別の憂き目に会い、欧州へ活動の拠点を移します。しかし、60歳という若さで亡くなり、録音自体が数えるほどしか存在しないこともあり、その真価が未だに認識されていないのが現実です。しかし、プラハ響を振ったメンデルスゾーンの「スコットランド」(スプラフォン)は、心を打つ名演(この演奏の良さを指摘した日本人は、竹内喜久雄氏くらいでしょう)だと思い続けていた私としては、その印象が覆ることがないよう念じ、いざ試聴を開始。結果は、超絶品!ディクソンの並外れた芸術性を更に確信した次第です。
その音楽作りのスタイルはいたってオーソドックスですが、響きは常に洗練され、テンポも安定感抜群。全ての要素のバランスが良く、センスも満点。音の重量感も重すぎず軽すぎず、「中庸の美」をこれほど感動的に具現化した人は古今を通じて稀でしょう。
第1楽章では、聴き手は精神的な重みを期待しがちですが、ディクソンはただただ堅実な音の構築力のみで勝負。表面的にはスタイリッシュでありながら内面は熱い意欲が渦巻いており、展開部では、ティンパニの激打を伴った神々しいまでの高揚感を見せます。最後を締めくくるリテヌートは、実に決然とした佇まい!第2楽章も慌てず騒がず格調の高さが印象的。第1楽章以上に何も手を加えず、金管の補強さえ行わないごく普通の演奏ですが、音楽の土台の頑丈さが尋常ではなく、それだけで独特の牽引力を生んでいると言っても過言ではありません。
そして言葉に出来ないほど感動的なのが第3楽章!この楽章を聴きながら、この後に訪れる終楽章の盛り上がりのことなど全く脳裏に浮かばないほど全身魅了されるという経験は、個人的には初めてです。シューリヒトを思わせる純粋さ、否もしかすると音楽の純度の高さでは史上最高位と言えるかもしれません!「そんなばかな!」と思われる方は、3:36から音楽のトーンがガラリと変わりって彼岸の高みへ更に近づいたような表情を醸している点や、7:12からの弦のピチカートが慎ましさの中にも馥郁たるニュアンスが生まれていることを、今一度ご確認いただければと思います。ただこの演奏の素晴らしさの本質は、そんな枝葉末節なことではなく、ただただ「音楽自体が美しい」ということを申し上げたいのです。
終楽章は、まずテオ・アダムが声量、音程共に万全で輝かしいことこの上なし。四重唱が始まると各独唱者が張り合うように主張し、音楽が一層活気づき、オケも連動して熱気に拍車をかけます。ヴンダーリヒもアダム同様に威容満点で、後半部もオケに埋もれずにパワーを放射!ソプラノは、何と日本人の矢野滋。1927年生まれで、ロッテ・レーマンエルナ・ベルガーなどに師事。ピアニストの松浦豊明夫人でもあります。オケと合唱の融合も見事。ことさら祝典的な雰囲気を強調しようとする魂胆は最後まで見せず、それでもコーダまで聴き手の意識を逸らさないという奥義、いったいどうやって培ったのでしょう。最後の2小節のリテヌートも芸の品格を象徴。
堅実な音楽作りの中にも確固とした芯を湛えるディーン・ディクソンの芸風は、ケンペやS=イッセルシュテットなどのスタイルに近いというか、アメリカ出身とは信じ難いほどヨーロッパ的な雰囲気を湛えています。レヴァインにしろスラットキンにしろ、音楽に対して極めて誠実で、決して単に陽気なアメリカンではありませんが、シリアスな楽曲でもどこかにアメリカ的な楽天性を感じさせることがあります。それがディクソンには皆無なのです。彼の前ではアメリカの話をしないように皆が気を使ったそうですが、それくらいディクソンはアメリカ出身だという意識を捨て去って、強い信念を持って第二の音楽家人生を歩む決意をしたのかもしれません。60歳という若さで亡くなったのは本人も無念だったことでしょう。しかし、このベートーヴェンをきっかけにして、その芸の素晴らしさに気づいく人が少しでも増えれば、天国喜んでくれることでしょう。
モノラルながら音質も良好。【湧々堂】


AQUARIUS
AQVR-336-2(1CD)
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」(ロシア語歌唱) ナタリア・シュピレル(S)
ザーラ・ドルハーノヴァ(Ms)
ニカンドル・ハナーエフ(T)
アレクサンドル・バトゥーリン(Bs)
ロシア国立Cho
国立合唱学校少年Cho
ヘルマン・アーベントロート(指)
ソヴィエト国立SO

録音:1951年2月1日、放送ライヴ、モスクワ音楽院大ホール
ベートーヴェンの顔ははほとんど浮かばず、スターリン讃歌のような異常な熱気がムンムン!やはり何と言っても終楽章が聴きもの。独唱者は全て声の張り出し方が尋常ではなく、そこにが加わると更にヴォルテージは高まるばかりで、全ての音が真っ赤っ赤!アーベントロートも腹をくくって、いつも以上に激情をあらわに畳みかけます。コーダももちろん激烈です。【湧々堂】

WARNER
TELDEC-2564663139
(3CD)
チャイコフスキー:交響曲集、他
チャイコフスキー:交響曲第4番、
 幻想序曲「ロメオとジュリエット」
 交響曲第5番、序曲「1812年」
 交響曲第6番「悲愴」
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」
ダニエル・バレンボイム(指)CSO


Signum Classics
SIGCD-256(1CD)
ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」(ハース版) クリストフ・フォン・ドホナーニ(指)
フィルハーモニアO

録音:2008年10月30日、ロイヤル・フェスティヴァル・ホール・ライヴ
“自ら主張せず、どこまでもブルックナー自身に語らせた理想の名演!
このレーベルの今までのドホナーニ&フィールハーモニアOの録音は全てが名演でしたが、このブルックナーもクリーヴランドOとの旧録音から20年を経て、今やすっかり巨匠の風格を備えたドホナーニの円熟芸を堪能できる一枚。小細工を施さず実直にスコアに対峙する姿勢は変わりませんが、造型の安定感と、声部を混濁なく自然に融合させながら豊かな風合いを編み出す手腕は着実に進化を遂げているのがわかります。一見穏健な進行を見せているようで、第1楽章展開部などは抉りの利いたニュアンスも見せ、9:07の抜群にうまいホルンのフレーズからは、陰影豊かな表情が心を打ちます。バランス感覚の素晴らしさという点では第3楽章が聴きもの。十分に推進力を湛えたテンポ感といい、オケの機能美(特に木管の細かい音型の自然な生かし方!)といい、パーフェクトとしか言いようがなく、中間部はフレージングの間合いの良さが比類なく、それによって単なる素朴な風情を超えた異次元に聴き手を誘うのです。しかも造型のなんと堅牢なこと!
終楽章はまず、冒頭木管群のオクターブ進行に漂うニュアンスにご注目を!技術的な巧味もさることながら、自然で穏やかな表情を見せながらも強烈な主張を内面にタップリと温存したような独特の含蓄を持つ響き!これこそが80歳を目前にしたドホナーニの到達した境地ではないでしょうか。1:13〜1:16の呼吸の溜めの絶妙さ、その後の決然としたティンパニ強打が最大に生きた音像の圧倒的な聳え立ちは、筆舌に尽くしがたい素晴らしさ!5:21からは全体が一丸となった豪壮な鳴りっぷりですが、感覚的で皮相な響きはどこにもなく、もちろん場違いなマッチョな響きとも無縁。真にブルックナーを理解し、響きの有り方を十分に吟味し尽くした指揮者だけが引き出し得る響きであることを痛感するばかりです。
ブロムシュテットのブルックナーを心から素晴らしいとお感じの方なら、きっと共感いただける感動作です!【湧々堂】


Altus
ALT-231(1CD)
ゲルハルト・ボッセ追悼
シューベルト:「ロザムンデ」序曲
モーツァルト:交響曲第39番変ホ長調K.543
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」*
ゲルハルト・ボッセ(指)新日本フィル

録音:2010年4月2,3日*/2011年5月13,14日
すみだトリフォニーホール( ライヴ )
シューベルトとモーツァルトは、ボッセと新日本フィルの最後の共演。「運命」はその前年の録音です。モーツァルトもベートーヴェンも伝統に根ざした安定感のある演奏で、先に発売された「ブランデンブルク協奏曲」同様、スタイルの新旧を論じることが無意味に思えるほど正直な語り口が心を打ちます。
モーツァルト
では第1楽章冒頭を硬いティンパニで打ち込み、第2楽章で顕著なようにヴィブラートを抑えるなどピリオド的なアプローチも見せますが、「昔はこうでした」という研究発表に終わらず、モーツァルトの音楽が最も生きる手段としてそれを選択し、あくまでも表現意欲ありきの演奏になっているのが流石。だからこそ心を打つのです。第3楽章もリズムのエッジが利き、瑞々しい推進力に老いの影など皆無。終楽章は全リピートを敢行していますが、温かな微笑みを絶やさぬ表情とともに冗長に感じさせることなく最後の一音まで音楽を堪能させてくれます。
ベートーヴェンも堅牢な造型美を築きながらも深刻ぶらず、常に晴朗な精神が息づき独特の味わい。
しかし、ここであえて強調したいのは「ロザムンデ」序曲の素晴らしさ!その清々しい音楽センスと過剰な緊張を強いることのない自然な構築力がシューベルトの音楽としっかりと手を結び、至福のニュアンスを醸し出しているのです。序奏部冒頭でティンパニのさりげない一撃が造型を引き締め、低弦のリズムの刻みがオーボエの旋律をキリッと引き締める…というようにかなり細かくニュアンスを刻印していますが、全体の流れが実に自然で、そこはかとない哀愁味も滲ませるという絶妙さ。主部以降はテンポ自体が音楽性満点。この作品の純朴な楽想の活かし方を体で知り尽くしている、まさに老練の技でしょう。この曲は、かつてのワルベルク&N響による香り高い演奏が脳裏に焼き付いていますが、その香りを久々に思い出しました。【湧々堂】


写影
SHHP-C006(DVD)
ブラームス:交響曲第1番ハ短調Op.68
ピアノ協奏曲第1番ニ短調Op.15*
ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op.77#
伊藤恵(P)、藤川真弓(Vn)
朝比奈 隆(指)新日本フィル

収録:1990年2月5日オーチャードホール(ライヴ)、1990年5月1日オーチャードホール(ライヴ)*、1990年4月3日オーチャードホール(ライヴ)
リニアPCMステレオ
152’
カラーNTSC 4 : 3
Region All
写影
SHHP-C007(DVD)
ブラームス:交響曲第2番ニ長調Op.73
交響曲第3番ヘ長調Op.90*
ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲イ短調Op.102#
豊嶋泰嗣(Vn)、上村昇(Vc)
朝比奈 隆(指)新日本フィル

収録:1990年4月3日オーチャードホール(ライヴ)
1990年5月1日オーチャードホール(ライヴ)*、1990年2月5日オーチャードホール(ライヴ)#
リニアPCMステレオ
132’’
カラーNTSC 4 : 3
Region All


SUPRAPHON
SU-4081(2CD)
カレル・シェイナの芸術

(1)モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」序曲
(2)交響曲第38番「プラハ」
(3)歌劇「皇帝ティートの慈悲」序曲
(4)ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」
(5)シューベルト:交響曲第8「未完成」
(6)マーラー:交響曲第4番ト長調
全てカレル・シェイナ(指)チェコPO

(1)録音:1962年11月19日プラハ、ルドルフィヌム(ステレオ)
(2)録音:1953年8月7日、9月11日プラハ、ルドルフィヌム(・モノラル)
(3)録音:1956年4月5日プラハ、ルドルフィヌム(モノラル)
(4)録音:1953年3月6−7日&9日プラハ、ルドルフィヌム(モノラル)
(5)録音:1950年5月3日プラハ、ドモヴィナ・スタジオ(モノラル)
(6)マリア・タウベロヴァー(S)
録音:1950年4月6、7、29日&5月2日プラハ、ドモヴィナ・スタジオ(モノラル)

※2012年最新リマスタリング(エンジニア:ヤン・ルジチャーシュ)
2012年に歿後30年を迎えるカレル・シェイナ(1896−1982)は、プラハ音楽院でコントラバスを学び、チェコ・フィルの首席コントラバス奏者を経て、ターリヒの強い勧めで指揮者に転向。ターリヒ時代の 1922年に臨時指揮者として初めてチェコ・フィルの指揮台に立つと、1937年に副指揮者に就任、1941年のクーベリックの音楽監督就任後も引き続き副指揮者を務め、1949年には一時、ノイマンと共に音楽監督、そして1950年よりアンチェルのもとで再び副指揮者を務めたという経歴の持ち主で、いわば「悲運の副官」として激動期のチェコ・フィルを支えました。 (Ki)
ドヴォルザークの交響曲6番(1951年録音)などでは、作品のローカル色を気品漂うフォルムで覆って味わい深い演奏を聴かせてくれたシェイナですが、ここではいわゆるお国もの以外から選曲されているので、シェイナの堅実な職人気質を認識することができ、またかつてのチェコ・フィルの音色の魅力をすべての曲から実感できます。
「フィガロ」は、完全にイン・テンポによる洗練されたスタイルで一貫。「プラハ」もインテンポ路線を曲げず、個性的な表現は一切ありませんが、無機質になることなく、あくまでも作品に語らせようとする強固な信念が伺えます。そのカチッとした構成力と当時のチェコ・フィルの音色の深み、アンサンブルのセンスが生きているのが「皇帝ティートの慈悲」。
「未完成」は、第1楽章の独特の憂いを湛えた音色と、前へ進むのをためらうような伏し目がちのフレージングが印象的。
マーラーは、昨今の精妙に再構築された演奏を聴き慣れた耳には朴訥そのものに響きますが、指揮者の個性を全面に出さないことがオケの潜在能力を十分に発揮させることとなり、9:56以降では、当時のチェコ・フィルでしか成し得ない色彩の妙味を堪能することができます。最大の聴きものは終楽章のタウベロヴァーの歌唱。1911年生まれの彼女の正式デヴューは、まさにこのマーラーの4番で、共演はワルター指揮チェコ・フィルでしたので、表現が練りこまれていることも頷けますが、なんと言ってもリリカルで清楚なニュアンスがこの作品にうってつけ。かなりポルタメントを多用しているにもかかわらず古さを感じさせないのは、音程は極めて正確で、フレーズの途中でブレスを挟むといった無神経な箇所など皆無なので、音楽自体が実に清潔。作品のフォルムの中で切々と詩情を香らせるという点では、あのバーンスタイン盤のレリ・グリストをも超えているかもしれません。【湧々堂】


日本伝統文化振興財団
SACG-30001(1SACD)
シングルレイヤー
ブルックナー:交響曲第8番(ノヴァク版) ロヴロ・フォン・マタチッチ(指)NH響

録音:1984年3月7日
NHKホール(N響 第925回定期公演ライヴ
XRCDのあまりの出来の良さにSACD化を望む声が多くあがっておりましたが、今回満を持しての発売で、より美しさが増し、オリジナルの音をつき つめるとここまで美しい音質であったのかと驚き、また広レンジの迫力、臨場感に圧倒されます。JVCスタジオ渾身の出来栄えです。 (Ki)
※このディスクはSuper Audio CD(シングルレイヤー)です。対応プレーヤーでSuper Audio CD再生モードにしてお楽しみください。


MELODIYA
MELCD-1001879(2CD)
【値下げ再案内!!】
シューマン:交響曲集(ジョージ・セル校訂版)
第1番変ロ長調「春」Op.38
第2番ハ長調Op.61
第3番変ホ長調「ライン」Op.97
第4番ニ短調Op.120
ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー(指)
エストニアSO

録音:1978年
ブルックナーの交響曲、ムソルグスキーの「展覧会の絵」など、通常とは異なる版で演奏するのが大好きなロジェストヴェンスキーですが、ここでもジョージ・セルの改訂版を使用し、そのセルの録音よりも濃厚なロマンチシズムの香りはニ溢れた演奏を展開しています。全曲中、最も強くロジェストヴェンスキーの意思が投影されて効果を挙げているのが「第1番」。第1楽章序奏部は金管主体のバランスで輝かしく鳴り渡りながら、テンポは重厚モードを貫徹。アクセントもかなり鋭利。主部のテンポは標準的なものですがリズムが冴えて内容味満点。展開部の4:53からのテーマの斉奏は、この編曲版を用いた意図が明確に示された象徴的なシーン。第2楽章は粘着力の強いフレージングがいかにもロシア的ですが、1:27の低弦の抉り出し方をはじめ、意味深いニュアンスが繰り広げられ、スタイル云々以前に極めて説得力のあるフレージングを気づき挙げている点に是非ご注目を。ヴォリュームを一杯に上げて堪能していただきたいのが終楽章!重戦車のような物々しい進行が嫌味にならず圧倒的な手応えを聴き手に与えてくれます。編曲版の醍醐味を細部にわたって十分斟酌した鳴りっぷりも痛快の極み。
「第2番」も聴きもの。地味なイメージのこの作品を一皮向けた瑞々しいものに再生し尽くしており、感覚的な楽しさ以上の味わい満ち溢れています。特に緊密なアンサンブルに裏打ちされた第1楽章の出来栄えはには思わず唖然。第2楽章のコーダは弾丸のようなド迫力!第3楽章の嘆きフレージングにも一切嘘がありません。
「ライン」は特に第4楽章にご注目を。ロジェストヴェンスキーのハーモニーを色彩的に形成する能力の高さが如何なく発揮されているばかりか、陰影豊かな表情がシューマンの音楽から逸脱せず、内面から情念を湧き上がらせたアプローチが胸に迫ります。終楽章の一枚岩のような強固な構築のお見事。
作品の性質上、いわゆるドイツ精神的の重みを信条とした演奏と最も大きな感覚的な差異を感じさせるのは「第4番」ですが、1番〜3番のアプローチでロジェストヴェンスキーの意図に共感した上で聴けば、フルトヴェングラーの演奏を絶対視される方にも許容していただけるのではないでしょうか?録音の質は全曲ムラがなく優秀。  
【湧々堂】


Linn
CKD-400(1SACD)
ベルリオーズ:幻想交響曲Op.14
歌劇「ベアトリスとベネディクト」序曲
ロビン・ティチアーティ(指)
スコットランド室内O

録音:2011年11月 エジンバラ・アッシャー・ホール
ロビン・ティチアーティは1983年ロンドン生まれ。コリン・デイヴィス、サイモン・ラトルらに指揮を師事。2006年に最年少でザルツブルク音楽祭デビューを果たし、2009/10年のシーズンにスコットランド室内管の首席指揮者に就任しました。名匠マッケラスの薫陶を得たこのオケでこの大曲を録音するということは、その機能性や響きの透明度を生かしたアプローチに活かしたいという意欲の表れでしょう。ノン・ヴィブラートによる古楽的アプローチを示しながらも、決して学究肌の共感に乏しい演奏ではありません。第4楽章のコーダで、小太鼓連打を比較的弱音で開始し、クレッシェンドしたまま締めくくるなどユニークな解釈もみられますが、アプローチそのものはいたって真摯で純真。録音の解像度が驚異的に高いのも特筆もの。また、あえて小編成のオケを用いることで、声部の見通しが一層良くなり、対旋律を浮上させてかつてない鮮烈な音像を引き出すのに成功しており、スケール感も不足なし。【湧々堂】

DACAPO
MAR-8.226545(1CD)
ニールス・マルティンセン:作品集
交響曲第2番「スナップショット交響曲」
3つのトロンボーンのための協奏曲「こうもりの影に」
白雪姫の鏡
Kongen af Himmelby Demo
ホーカン・ビョルクマン(Tb)
シュテファン・シュルツ(Tb)
ヨルゲン・ファン・ライエン(Tb)
クリスティアン・リンドベルイ(指)
オーフスSO
コミックとSFで育った世代を代表するニールス・マルティエンセン(1963-)の作品集。彼の作品の中ではバットマンが活躍し、白雪姫が鏡と語りあうのです。彼の交響曲第2番は、実際に行ったことのない地域へ空想で旅行するというもの。実際にその地へ行かずとも、映画やテレビ、インターネットで知ることのできる現代だからこそ書き得た作品です。メキシコとアラビア、中国にに行ったことのない作曲家が、ディズニー映画やクリント・イーストウッドの映画の力を借りて「行ったつもり」で書いた作品は、現実の世界よりも更にデフォルメされて、これらの国が描かれています。名トロンボーン奏者リンドベルイの華麗なタクトにも注目です。

Gala
GSMN-001(1CD)
マーラー:交響曲第7番「夜の歌」 エドゥアルド・ヴァン・ベイヌム(指)
アムステルダム・コンセルトヘボウO

録音:1958年6月4日
※初出

HOWE RECORDS
HWR-1005(2CD)
ハワード・ショア:ロード・オブ・ザ・リング・シンフォニー
[CD1]
〜旅の仲間〜
(1)第1楽章(予言-ホビット庄の社会秩序-過去の影-マッシュルームへの近道-古森-闇夜の短剣)
(2)第2楽章(数々の出会い-指輪は南へ-暗闇の旅-カザド=ドゥムの橋-ロスロリアン-ガンダルフへの哀悼-ロリアンへの別れ-大河-一行の離散)
[CD2]
〜二つの塔〜
(3)第3楽章(石の基盤-スメアゴルならし-ローハンの騎士たち-黒門不通-夕星姫-白の乗り手-木の鬚-禁断の池)
(4)第4楽章(角笛城-進めエオルの家の子ら-アイゼンガルドへの道-ゴラムの歌)
〜王の帰還〜
(5)第5楽章(望みと想い-白の木-ゴンドールの執政-キリス・ウンゴル-アンドゥリル)
(6)第6楽章(全ての終わり-王の帰還-灰色港-イントゥ・ザ・ウェスト)
ルードヴィッヒ・ヴィッキ(指)
ケイトリン・ラスク(S)、
21st センチュリー・オーケストラ、
21st センチュリー・コーラス

録音:2011年2月12日、13日、ルツェルンKKLコンサートホールライブ録音(スイス)
「HOWE RECORDS」は、「ロード・オブ・ザ・リング」の映画音楽の作曲家、ハワード・ショアのレーベル。
2001年より順次公開され、日本でも話題となった映画「ロード・オブ・ザ・リング」三部作。アカデミー賞、グラミー賞、ゴールデングローブ賞など映画音楽界の賞を総なめした一連の音楽を作曲者のハワード・ショア自ら編曲し、「ロード・オブ・ザ・リング・シンフォニー」として6楽章構成の交響曲にまとめあげました。三部作それぞれの音楽を満遍なく網羅しており、2時間で三部作の流れを一望できる仕上がりとなっています。原曲の雰囲気をそのままにメドレー化しているので、ファンの方はもちろん、作品全体の雰囲気を知りたい方にもおすすめのアルバムです。緊張感のあるシリアスなサウンドに定評のあるショアですが、「ロード・オブ・ザ・リング」の音楽では合唱とオーケストレーションをフルに使った迫力満点のサウンドから、民族楽器を使ったのどかな曲調まで多様なサウンドを楽しむことが出来ます。
世界各国で様々な団体による演奏ツアーが行われている「ロード・オブ・ザ・リング・シンフォニー」。日本においても2004年に東京国際フォーラムで来日公演が行われ、好評を博しました。今回収録されているのは、2011年2月にルツェルンで行われた演奏会のライブ録音。1999年にヴィッキによって映画音楽演奏を目的に設立された21stセンチュリー・オーケストラの演奏は、映画で演奏を務めたロンドン交響楽団の演奏に引けを取らぬもの。ライブでは映画の映像をバックに演奏が行われましたが、音楽だけでも映画の壮大さと迫力を十分に実感できます!J・シュトラウス: (Ki)

Phaedra
DDD-92067(1CD)
イン・フランダース・フィールズVol.67
イェフ・ファン・ホーフ:序曲「追憶」
序曲「ペルセウス」(世界初録音)
交響曲第2番変イ長調
イヴォ・ヴェンコフ(指)ヤナーチェクPO

録音:2010年8月
後期ロマン派、またはポスト・モダン派に位置付けられているベルギー、フランドルの作曲家イェフ・ファン・ホーフ(1886−1959)。「交響曲第2番」を含むホーフの管弦楽作品は、巧みに用いられた金管楽器の輝かしいサウンド、弦楽セクションが奏でる流麗かつ色濃いフランドルの抒情が持ち味。


Helicon
HEL-029656(2CD)
マーラー:交響曲第9番 レナード・バーンスタイン(指)
イスラエルPO

録音:1985年8月25日テルアビブ、マン・オーディトリアム(ライヴ)
【日本公演でのイスラエル・フィルとのマーラー第9番】
ただ、これらのレコーディングとは別に、比較するもののない空前絶後の大演奏として語り草となっているのが、1985年9月の来日公演でバーンスタインが指揮したマーラーの第9番。終身桂冠指揮者としてイスラエル・フィルを率いた全9公演のうち、マーラーの第9番を演奏したのは4公演、なかでも初日3日の大阪・フェスティバルホールと、8日の東京・NHKホールがことのほか凄絶な内容であったとは衆目の一致するところのようで、8日の東京公演を目の当たりにした音楽評論家の許光俊氏も、当時を振り返り次のように述べています。「実際、あれ以後、この曲でそれ以上の演奏は聴いていません。期待もしていないほどです。あまりに強烈すぎて、あれ以上のは、バーンスタイン自身が蘇らない限りあり得ないと思われます。」
【日本公演直前のライヴ】
このたび登場する音源は、歴史的とまで騒がれたその日本公演の直前、1985年8月25日にテルアビブにある本拠マン・オーディトリアムでおこなった同一プログラムのコンサートの模様を収めたものです。バーンスタインにとって本公演に臨むにあたり、上記のように、同じ年の5月29日から6月3日にかけてアムステルダムでロイヤル・コンセルトヘボウ管とマーラーの第9交響曲のライヴ収録を終えていることもプラスに働いているようにおもわれますし、晩年の様式に顕著な途方もないスケールと感情移入全開の歌い込みが特徴のRCO盤とは演奏時間もほぼ同じであることからも、ここでもほとんど同傾向の演奏内容がおこなわれているとみて間違いないでしょう。率直なところ、時期もほとんど同じに、バーンスタインがイスラエル・フィルとマーラーの第9番を取り上げていたことも驚きですが、音源がこのような形で残されていたことに感謝の念を禁じ得ません。日本公演の内容が未だCD化の目処すら立っていない現状では、このたびのリリースの価値はファンにははかりしれないものといえそうで、長年の渇きを癒すに足る内容の可能性に期待したいところです。 (Ki)

=トラック・タイム=
1985年IPO/29:27+16:43+12:07+30:15=88:32
1985年RCO/29:52+17:26+11:47+29:34=88:39
1979年BPO/27:31+15:49+11:59+26:03=81:22
1971年VPO/27:24+16:06+11:28+25:48=80:46
1965年NYP/28:26+15:52+12:30+23:03=79:51

NUMERICA
NUM-1216(1CD)
アントニオ・ヴィクトリノ・ダルメイダ(1940-):善良な男の為の交響曲 Op.146
フルート協奏曲 Op.161*
短い序曲 Op.145
ピアノ・ソナタ第5番 Op.44(フェデリコ・フェリーニに献呈)+
パウロ・バロス(Fl)*
アントニオ・ロザド(P)+
パウロ・マルティンス(指)
サンタ・マリア・ダ・フェイラ青年SO

録音:データ記載なし


TAHRA
TAH-732(2CD)
フリッチャイの芸術
(1)モーツァルト:フルートとハープのための協奏曲K.299
(2)チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲
(3)ブラームス:交響曲第1番
(4)ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲
フェレンツ・フリッチャイ(指)

(1)ハンス・シュミッツ(Fl)、
イルムガルト・ヘルミス(Hp)、RIAS響
(2)ユーディ・メニューイン(Vn)、ルツェルン祝祭O
(3)北ドイツRSO、(4)RIAS響

録音:(1)1952年9月17日
(2)1961年8月16日ルツェルン芸術ハウス
(3)1958年2月2-3日ハンブルク・ムジークハレ
(4)1953年4月7日
早世の天才指揮者フリッチャイはかなりの録音が残されてはいるものの、驚きの初出音源の出現です。当アルバム中もっとも古いモーツァルトのフルートとハープのための協奏曲ではきびきびした音楽作りが魅力ですが、1958年のブラームスの「交響曲第1番」ではフルトヴェングラーを彷彿させる魂をふりしぼるような情念と巨大な音楽作りに驚かされ、あたかもフルトヴェングラーの高音質盤が出現したのかと錯覚してしまうほど感動的です。もともとフリッチャイはDGに同曲を録音しておらず、またスイス・ロマンドとのカスカヴェル盤も入手困難なことを鑑みれば、この北ドイツ放響との音源がいかに貴重か納得できると申せましょう。さらに魅力なのは最晩年のチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。メニューインの独奏も素晴らしく、熱い血のたぎる音楽となっていて興奮させられます。また、やはり正規録音のない「ハイドンの主題による変奏曲」も覇気と大きさで圧倒的。まさにフリッチャイの芸術を満喫できるアルバム。本当に凄いです。 (Ki)
モーツァルトは、1952年3月19日のティタニアパラストでの演奏(Archipelなどで既出)と同一という可能性もあり。スケールの大きな演奏で、一見いかにも古き良き時代を思わせますが、フリッチャイが敷き詰める愛情で塗り固めた音楽作りによって、すぐに全てを受け入れざるを得なくなります。ハンス・シュミッツは1950年までベルリン・フィルの主席を務めた人で、派手さはないものの目の詰んだアンサンブルへの志向が全体に美しい調和をもたらしています。
メニューインとのチャイコフスキーは、今までは1949年盤が唯一で、カットの多いアウアー版を用いていましたが、ここでは通常のフルヴァージョン。メニューインの技術的な輝きは49年盤が優りますが、フリッチャイとのコンビネーションの良さは相変わらず抜群。終楽章はかなり激しく音楽にのめり込み、コーダはまさに圧巻。
最大の聴きものは、やはり「ブラ1」。命を磨り減らす壮絶なアゴーギクの連続です!1956年のスイス・ロマンド管との録音もフリッチャイの濃密な音楽作りへの期待を満たしてくれましたが、その2年後の当録音は、オケの側からの積極的な共鳴も手伝って更にインパクト大!音質も鮮明。S=イッセルシュテットが育んだオケの燻銀の響きに灼熱の芯を注入し、聳え立つような堅牢な造型力と集中力で圧倒します。第1楽章序奏1:35からのクレッシェンドは、開始の弱音から既に内面で沸点に達しているかのうような異様な熱気を孕み、頂点に達すると容赦ないティンパニの最強打!ブラームスは陰鬱とイメージされることへの怒りをぶちまけたかのよう。嗚咽を絞り出すような展開部7:28の弦に象徴されるように、とにかく平穏に音楽が流れる瞬間がないのです。展開部の最後では壮大なリテヌートが掛かりますが、そうしなければ土台を支えきれないほど興奮は頂点に。そして第2楽章冒頭のなんという透徹美!これこそフリッチャイ芸術の極みで、着地点を予測させないほどのアゴーギクの幻想性も含め、拍節を刻むことに囚われた指揮者には思いもよらぬ技の連続。終楽章も冒頭はティンパニの強烈打で開始しますが、ただの強打として突出するのではなく、全体との一体感を伴って打ち鳴らされるので意味深さは絶大。ホルン主題がここまでじっくり腰を据えてフレージングされることも稀で、その音色の深さは言うまでもありません。第1主題以降はテンポこそ標準的ですが、常に全ての音が、内部ではパンパンに激情が飽和しているのを必死に封じ込めているような緊張を抱えながら迫り来るのです。最後の金管コラールでトスカニーニ張りのティンパニのトレモロ大追加があるのは56年盤と同じですが、テンポの落とし方、クレッシェンド効果の凄まじさは、古今を通じこれを超えるものが存在するとは思えません!しかも北ドイツ放送響とはこれが初共演だというのですから、フリッチャイの牽引力の凄さには舌を巻くばかりです。フリッチャイの遺産の中でも最高峰と断言できます。【湧々堂】


Altus
ALT-224(1CD)
ウィーン・フィル・ライヴ・エディション〜クナッパーツブッシュ
R.シュトラウス
:交響詩」死と変容」
シューマン:交響曲第4番
ハンス・クナッパーツブッシュ(指)VPO

録音:1962年12月16日、ムジークフェラインザール(モノラル・ライヴ)
このシューマンもファンにとっては忘れ得ぬものである。第1楽章の深い響きは余人の追随を許さないし、第2楽章のしみじみとした味わいはクナとウィーン・フィルの永遠における固い絆を思わせる。第3楽章は巨大そのもので、第4楽章の仰ぎ見るような大きなスケールもクナ以外の何物でもない。」平林直哉〜ライナーノーツより また当ディスクの解説はウィーンでクナッパーツブッシュを聴いた元N響首席トランペット奏者北村源三氏のクナ体験の特別インタビュー付きです。 (Ki)

Altus
ALT-225(2CD)
ウィーン・フィル・ライヴ・エディション〜クナッパーツブッシュ
ブルックナー
:交響曲第8番ハ短調
ハンス・クナッパーツブッシュ(指)VPO

録音:1961年10月29日、ムジークフェラインザール(モノラル・ライヴ)
“音楽的な条件の全てを持たす、クナの「ブル8」の最高峰!”
クナッパーツブッシュの「ブル8」といえば、1963年のウェストミンスターのステレオ録音があまりにも有名ですが、2年前のこの録音では、オケ自体の馥郁たる持ち味とクナ晩年の巨大造形力が一体となって一層深い味わいをもたらしてくれます。第1楽章冒頭の主題が強音で繰り返される際の長い間合いと、あまりにも生々しい音像は、情報量の多さにのけぞるほどですが、感情の過剰な放射に傾くことなく、そのエネルギーの圧縮力に打たれます。第2主題の構えの大きさも驚異的で、この悠然たるテンポと極めて克明な音の隈取をそのまま真似しても、指揮者にそれを支える感性がなく、オケの響きに豊穣さなければ、恐ろしく退屈な演奏になることは容易に想像できます。
第2楽章のリズムの重量感もまさにブルックナーを聴く醍醐味の極地。ピチカートの対旋律に象徴されるように内声の抉り出しも容赦なし。決して安らぎを与えることなく、強固な緊張を維持して新天地へ乗り出すような異様を示す中間部も絶品。ハープの響き(6:44)にもご注目を。この楽器が加わった途端に艶やかでしっとりとた空気を醸し出すのが普通ですが、ここではそれまで築いてきた艶消しの風合いを完全に引き継いだ音色で一貫しており、いかにクナのブルックナーに対するヴィジョンが明確であったかを窺わせます。
第3楽章は白眉!出だしの弦のフレーズから滲み出る幽玄のニュアンスは、ウィーン・フィルの弦のヴィブラートがあればこそ実現した「揺らぎ」の妙!ノリントンは「ヴィブラートは純粋な響きを損なう」と言いますが、少なくともここでクナが目指す音楽の範疇ではそれは当てはまらず、例えば2:17からの弦がゆるやかに下降するフレーズの至純さを前にして、不純物を感じることなどあり得るでしょうか?
終楽章は、冒頭のティンパニがカッコよく立ち回る痛快さとは無縁。各声部が各々の役割を弁えて音楽への奉仕に専念することがいかに重要であることか、また通常はティンパニの痛快さに大事な音楽的な要素を聞き逃していたかことか、つくづく思い知らされます。第2主題の呼吸は深く長いなどという次元ではなく、超人的な高み。第3主題はウェストミンスター盤よりも陰影が濃厚。11:42でのルフト・パウゼの意味も絶大。そして再現部冒頭では、この演奏がいかに桁違いの名演奏であるかを確信するに至ります。これに並ぶ内容量を湛えた渾身の響きが他にあるでしょうか?そして遂に訪れるコーダ!ウィーン・フィルが死ぬ気で最強音を発したらどういうことになるか、とくと体感して下さい。
良い意味での手作り感を保ちながら、クナ独自の解釈が唐突感を与えることなく最後まで確信を持って響き、
オケの演奏意欲も途絶えることがないという、音楽的な味わいを得るための条件が揃った、クナの「ブル8」の最高峰と言えましょう。ORFのアーカイヴからの復刻で、音質もモノラルながら鮮明。ピッチも正常。【湧々堂】


Globe
GLO-5246(1CD)
ベートーヴェン:「エグモント」序曲
交響曲第4番変ロ長調Op.60
交響曲第7番イ長調Op.92
ヨハネス・レールタウアー(指)
ニュー・フィルハーモニー・ユトレヒト

録音:2010年9月ライヴ
ヨハネス・レールタウアーは、アニマ・エテルナやオランダ・バッハ協会のコンサートマスターとして活躍たオランダのピリオド系ヴァイオリニスト。ピリオドへの転向前は、ヨゼフ・スークに師事し、C・クライバーから大きな影響を受けているそうですがが、ここで聴かれる音楽はまさにクライバー張りの現代的ダイナミズムとピリオド・アプローチが完全にミックスされたスタイル。しかも2つの交響曲はクライバーのあまりにも有名な録音が存在するだけに、どうしても比較したくなるのが人情。
まずは「4番」。テンポ設定がいきなりクライバーそっくり。各楽章間のバランスだけでなく、第1楽章第2主題でわずかにテンポを落とす配慮など、クライバーからの影響は尋常ではありません。リピートも省略。ではただのモノマネかと言えばさにあらず!ニュアンスに一切の嘘がなく、自身の表現として最後まで発言し切っている点、古楽奏法の響きの混濁のなさと録音の優秀さもあって、各声部の描き分けがクライバー以上に克明である点など、レールタウアーの指揮には確固とした表現意欲が漲っており、極めて高い説得力をを誇っているのです。
「第7番」も同様。ただし、第2楽章のコーダの弦はピチカートではなく、通常のアルコ。終楽章の熱さも相当なもの。ニュー・フィルハーモニー・ユトレヒトは、18世紀オーケストラなどで活躍する名プレーヤーたちが集まったオーケストラですが、その持てる力を惜しげもなく発散させます。
なおライヴ録音と書かれていますが、ノイズもなく、拍手もl収録されていません。【湧々堂】


WEITBLICK
SSS-0126-2(1CD)
シューベルト:交響曲第8番「未完成」
 交響曲第9番「ザ・グレート」*
エフゲニ・スヴェトラーノフ(指)
スウェーデンRSO

録音:1986年9月8日ベルワルドホール・ライヴ(ステレオ)
1990年9月18日ベルワルドホール・ライヴ(ステレオ)*

※英語、日本語、ドイツ語によるライナーノート付。
“過去のどんな名演も引き出し得なかった、シューベルトの未知の魅力!”
N響とのベートーヴェンやマーラーでも実証されているように、スヴェトラーノフはロシア的な流儀を無理強いはせず、作曲家でもある独自の審美眼を持って各作品の持ち味を最大に引き出すことを第一に考え、安定感抜群の数々の名演を聴かせてくれました。ただシューベルトとなると、スヴェトラーノフの音楽性から最も遠いのでは?と思われる向きもあるでしょう。ところがこれが素晴らしいのです!
まずは「未完成」。内省的な旋律の魅力と立体的な構築を際立たせる箇所の配分が実に絶妙で、超名曲であるあることを十分認識していたつもりが、これほどの多彩なニュアンスを秘めた作品だと気付かされて驚きを禁じえません。第1楽章はまさに抑制の美学。ロシア的な重厚さやリズムの粘着性を完全に封印し、繊細で香り高いなフレージングに徹してますが、決して芯に欠けるぬるま湯的な演奏ではありません。展開部の8:35の弦の刻みから木管へかけての連動では強固な緊張が漲り、作品構成に立体感をもたらしている点も流石。第2楽章はさらに心に迫る演奏。1:10からの木管の旋律の克明さ、1:33〜1:44にかけてのフルートに宿る精神的な逞しさ印象的ですが、圧巻は3:10から訪れます!ここへ来て遂に内燃のエネルギーと堅牢な造形力を一体化させた精神的な高揚を見せ、一瞬スパイス的に効かせるティンパニの効果も加わって壮絶なドラマを繰り広げるのです。なお、終演後の拍手はなし。
一方の「グレート」は音盤初出レパートリー。ミュンシュのような元気一杯猛烈な演奏でも説得力を持つ名演になる曲ですから、それこそロシア的な馬力全開モードでも様になるかもしれませんが、そんな安易な手法を取りません。サン・サーンスの「オルガン」では、「絢爛豪華」という作品の最大の魅力を徹底的に押し広げたのと同様に、ここでもあくまでもシューベルトらしい純朴な歌心を丁寧に引き出すことに主眼を置き、仰ぎ見るようなスケール感でそれを押しつぶすような暴挙に走らないところに、スヴェトラーノフの見識の高さを感じずにはいられません。
第1楽章序奏はゆったりとしたテンポで開始されます、ホルンに続いて弦が登場すると、実に繊細で陰りに満ちたニュアンスが現れ、早速このテンポ以外はありえないという説得力のあるフレージングに心打たれます。音の重心は常に低く保ち、フレーズの末尾まで克明に音化するのはいかにもスヴェトラーノフらしいですが、その揺るぎないテンポ自体の訴求力の高さと相俟って、味わいは格別。主部直前で加速することや、第2主題でテンポを落とすという伝統的な手法をそのまま踏襲していますが、そこには必ず明確なニュアンスの変化が伴い、決して漫然と流れることはありません。特に第2主題でテンポを落とすことで、再び異次元に誘うような演奏はあまり聞いたことがありません。このゆったりテンポを提示部の最後で回復させる解釈も新鮮。コーダのテンポ設定もセンスの塊!
第2楽章も遅めのテンポで幾分ヌメリを帯びながら冒頭の弦が開始されますが、続くオーボエ・ソロの切なさに感涙!そして1:31からのホルンの強奏の意味深さ!それが構えの大きな音楽作りに大きく貢献していますが、少しもシューベルトから逸脱していません。3:44からの長調に転じてからのニュアンスはまさに天国的な美しさ!慈愛に満ちた演奏というのは過去にもいくつもありますが、大きな包容力で優しく抱かれる感覚は比類なし。コーダの締めくくり方は、もう筆舌に尽くし難い感動!14:48のオーボエから、ぜひ全神経を集中して味わい尽くして下さい!
第3楽章は軽妙なリズムが人懐っこく、1:30では弦の音を短く切り上げてなんとも粋!この処理は再現部後半でも登場し、場面転換のメリハリ表出に大いに貢献。中間部に入った途端、外に飛び出して遊ぶ子供のような無邪気さがフワッと広がる…、そんな演奏が過去にあったでしょうか?
終楽章はいわゆる「爆走」一辺倒ではない、瑞々しい推進力が横溢。展開部直前でチェロがスフォルツァンドで明確に句点を打ち込むのには一瞬ギョッとしますが、これまた粋な計らい。再現部ではティンパニの音程の変更あり。コーダ最後の締めくくりの方も聴きもの。スヴェトラーノフ・ファンならきっとニンマリすることでしょう。
なお、終演後には、鳴り止まぬ拍手の中、突然オーケストラがファンファーレを奏でます(13:14〜)が、演奏が素晴らしかった時に現地ではこうして指揮者を讃える習慣があるそうです。
晩年のスヴェトラーノフはロシア以外にも活躍の場を広げましたが、その芸術性においても、ロシアのローカル色を超えた真の偉大さを獲得してことを改めて痛感させられる貴重な録音です。日本語解説には「彼らしい覇気が漲る」「最高な鳴りっぷり」というコメントがありますが、それどころではありません! 【湧々堂】

WEITBLICK
SSS-0131-2(1CD)
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」
 スラヴ舞曲第3番Op.46-3
エフゲニ・スヴェトラーノフ(指)
スウェーデンRSO

録音:1983年1月14日ベルワルドホール・ライヴ(ステレオ)
※英語、日本語、ドイツ語によるライナーノート付。
スヴェトラーノフが晩年の重戦車モードに入る前の気力溢れる快演!
「新世界」は、ロシア国立響との録音も個性的な名演として知られていますが、そのアグレッシブさはそのままに、ここでは録音はより鮮明で、スヴェトラーノフのダイナミズムが更に説得力を増して迫ります。全楽章を通じてテンポは速め。第1楽章冒頭のティンパニ・ソロなどでは、リズムにあの独特の粘着力を見せますが、基本的にイン・テンポで音楽を先へ向かって牽引する力が漲ります。硬いバチを用いたティンパニ強打も物を言い、サウンドの引き締め力も抜群。序第2主題ではたっぷりとテンポを落とし、得も言われぬ郷愁が滲みます。第2楽章は淡々と進行しながらも金管を伴う強奏で見せる響きの厚みと重量感はまさにスヴェトラーノフ節。終楽章は10:11という快速で進行しますが、驚愕はなんといってもそのコーダ!ティンパニのトレモロのまま、勝利の雄叫びのように締めくくる痛快さがたまりません!
それ以上の名演と言いたいのがスラヴ舞曲!最初にゆったりとした風情と速いテンポの場面のコントラストがこれ程明瞭で、しかも互いに美しく調和している演奏があったでしょうか?柔らかいトランペットで始まるテーマ(1:36)の溜息混じりの情感、音像の奥行き感も想定外の素晴らしさで、涙を禁じえません! 【湧々堂】


GLOR CLASSICS
GC-12471(1CD)
ベートーヴェン:交響曲第1番ハ長調op.21
交響曲第7番イ長調op.92*
シルヴァン・カンブルラン(指)
バーデン=バーデン&フライブルクSWR響

録音:2011年5月21,24日、2000年3月8日* フライブルク・コンツェルトハウス
第1番、冒頭の和音の絶妙なバランス感覚鳴、第3楽章のコントラストの鮮やかさなど、さすがカンブルランとしかいいようのない明晰な演奏です。第7番でもカンブルランの棒は冴えます。第1楽章の序奏部分も一分の迷いなく進みます。第2楽章アレグレットの旋律の歌い方、そしてその旋律を彩る和声の陰影の付け方は見事です。第3楽章の絶妙なテンポ、そして終楽章での小気味よい刻みっぷりと盛り上がりは、聴き手を裏切りません。小節線をまたぐ時や、次のフレーズに行く時に時折見せる絶妙な「ため」となめらかなレガート、鮮やかなデュナーミク。新鮮味たっぷり、カンブルランによる実に見事で新しいベートーヴェン像です。 (Ki)


CD ACCORD
ACD-164(1CD)
チャイコフスキー:交響曲第5番Op.64 イェジー・セムコフ(指)
ポーランド青年SO(シンフォニア・ユヴェントゥス)

録音:2009年

ALLEGRO
RPM-29220(1CD)
チャイコフスキー:交響曲第5番Op.64
交響的バラード「地方長官」Op.78
フランク・シップウェイ(指)ロイヤルPO

録音:2007年頃

MARQUIS
MAR-81421(1CD)
チャイコフスキー:交響曲第5番Op.64 ウラディミール・ランデ(指)
サンクトペテルブルクSO

録音:2010年6月
オーボエ奏者としても活躍している指揮者のウラディーミル・ランデは現在サンクト・ペテルブルク響の首席客演指揮者を務めるほかボルティモア響、タルサ響、ワシントン・ナショナル・ギャラリー管弦楽団とも共演、2009-2010年にはサンクト・ペテルブルク響を率いてアメリカ・ツアーを行っている一部マニアから注目されている実力派。これまでどこかキワモノ扱いをされてきたピアノ協奏曲第3番を堂々と骨太に弾ききり、この曲がチャイコフスキーの代表作(となるはずであった)との思いを新たにするマキシム・モギレフスキー(有名なエフゲニー・モギレフスキーの息子、ピアノのアレクサンドル・モギレフスキーは兄弟)のピアノは聴きもの。
※湧々堂の「チャイ5」レヴューはこちら


GRAND SLAM
GS-2073(1CD)
シューマン:交響曲第4番
(1)第1楽章第1部(L2209/WAX3845-2*)
(2)第1楽章第2部(L2209/WAX3846-1*)
(3)第1楽章第3部(L2210/WAX3847-1*)
(4)第2楽章(L2210/WAX3848-1)
(5)第3楽章第1部(L2211/WAX3849-1*)
(6)第3楽章第2部(L2211/WAX3850-1*)
(7)第4楽章第1部(L2212/WAX3851-1*)
(8)第4楽章第2部(L2212/WAX3852-1)
未発売テイク(1)(2)(3)(5)(6)(7)(*)
チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」*
(9)第1楽章
(10)第2楽章
(11)第3楽章
(12)第4楽章
ブルーノ・ワルター(指)
(1)-(8)パリ・モーツァルト祝祭O、
(9)-(12)ベルリン国立歌劇場O*

録音:(1)-(8)1928年6月19日、(9)-(12)1924/1925年(初発売:1925年3月)
使用音源:(1)-(8)Columbia(U.K.)L2209/2012
(9)-(11)Polydor(Germany)69771/69775(B20493-502/1918as/1634as/1919as/16411/2as/1920as/1921as/1750as/1751as/1642as/1643as)
■制作者より
今年は名指揮者ブルーノ・ワルター(1876〜1962)の没後50年ですので、当シリーズではワルターの希少のSP復刻を行いました。まず、シューマンの交響曲第4番は英コロンビア盤の4枚組L 2209/2011のSPで発売されましたが、下記のように8面中6面が未発売テイクで、これらはもちろん世界初復刻です。なお、テイク番号(WAX)参照しやすくするために、このシューマンのみ面ごとにトラック番号を入れました。後半に収録されているチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」はワルターの一番最初の交響曲全曲録音であり、現在のところこの曲の唯一の録音です(さらに言えば、CDで聴くことの出来る「悲愴」では最古の全曲録音でもあります)。ラッパ吹き込みゆえに音は決して良いとは言えませんが、若き日のワルターの情熱の嵐が吹いているような、たいへんに個性的な演奏です。(以上、平林 直哉)


King International
KKC-033(1CD)
宇野功芳/傘寿記念ライヴ
ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調Op.92
シューベルト:交響曲第8番「未完成」
宇野功芳(指)
宇野功芳傘寿記念日本大学OB管

録音:2011年9月19日上野学園石橋メモリアルホール(ライヴ)
『第7交響曲は情熱のかたまりであるが、僕は第1楽章展開部に苦悩の痕跡を感じ取り、演奏ではそれにこだわっている。もうひとつの問題点は第3楽章スケルツォのABABAという5部形式で、これは明らかに冗長である。さすがのベートーヴェンも聴衆を退屈させまいと、2度目のAを少し変え、弱音部を長く続けているが、僕には弱気になっているとしか思えない。そんなベートーヴェンは見たくないので、本日はABAの3部形式で演奏することにした。おそらくこの試みは史上最初にして最後になるだろう。(宇野功芳。ライナーノーツより)』
宇野功芳氏の傘寿(80歳)を記念した演奏会のライヴ。の当日は演奏に先立ち、宇野氏への花束贈呈と簡単なインタヴューが行われましたが、年齢の割に若く見える宇野氏のイメージは全く変わらず、指揮台の上がってからもその動きの全くの衰えを見せず、最後まで意欲満点の音楽を聴かせてくれました。試聴して驚いたのは、当日の会場の印象よりも音が生々しく、血肉をはっきりと感じさせる点。それによって、今までも度々触れてきた宇野氏独自のベートーヴェンが単なる熱演を狙ったものではなく、「心を抉ること」に心血を注いでいるかが改めて実感できるとともに、「マンネリの爆演」と呼ばせないだけのスコアへの飽くなき探求ぶりにも頭が下がるばかりです。オーケストラはこの演奏のためだけに集結したメンバーで構成され、同じ日大系でも今までとは顔ぶれがかなり異なり、音程の確かさも過去の演奏を明らかに上回っている点も需要なポイントです。
前半に演奏されたのは「未完成」(このCDではベートーヴェンが先に収録されています)。ワルターの名演をベースにしたような歌と、巧妙にバランスさせた声部の彩が魅力で、アゴーギクを多用せずに繊細なシューベルトの佇まいが溢れます。
第1楽章序奏は、弱々しい弱音を嫌う宇野氏ならではの明確に意思を打ち出したフレージングで開始。主部の弦のさざなみは、アマチュアとしては上等の音程で、神秘的なニュアンスを醸し出します。おそらく、このオケの水準を確保した上で満を持して望んだ「未完成」だったのでしょう。精度を注目は展開部。各声部の配分に細心の注意を払いながら立体的な音像を展開し、ベートーヴェンでは大きなテンポ変動を駆使して楽章全体の構成に山場を築くのとは対照的に、歌の流れを連綿と汲み出しています。展開部最後のピチカート(10:18〜)前代未聞の強靭さ!第2楽章も3:56からの精神的な高揚が感動的で、根底にはクナのような凄みが息づきます。特に4:34からの低弦とヴァイオリンの応酬の神々しい威容は是非ともお聴き逃しなく!
メインのベートーヴェンは、宇野氏自身が最後の「ベト7」と公言しているように、長年こだわり続けた宇野氏の最後の結論であることが痛切に感じさせる素晴らしさ!。脳天を打ち砕くようなティンパニの強打、第1楽章展開部の壮大な山場の築き方、終楽章の猛烈なスピード感などは相変わらずですが、上記のような第3楽章への配慮だけでなく、今まで一貫してテンポを激変さていた箇所をインテンポのまま進行たり、変化させてもその差異を抑えるなど、ここへ来て軌道修正した部分もあり、いびつな造型を築くことの唐突感よりも、全体の整合性への配慮も志向している点が興味深いところです。だからと言って綺麗事に傾くことなどあり得ず、結果的に今までのどの7番よりも求心力の高い熱演を実現させているのです。何と言っても終楽章の最後のアッチェレランドの物凄さ!今までもそのスタイルで熱狂を煽ってはいましたが、ここまで確実にキマった演奏はなかったように思えます。「ベト7」ファン、「未完成」ファン、共に必聴の演奏です! 【湧々堂】

UNIVERSAL ITALY
457-1952(1CD)
シューベルト:交響曲第3番
交響曲第8番ロ短調「未完成」
カルロス・クライバー(指) VPO

録音:1978年、ADD
原盤:Deutsche Grammophon
イタリアのカトリック系宗教活動団体「Comunione e Liberazione」とユニヴァーサル(イタリア・ローカル)の共同制作シリーズ。


Avie
SFS-0040(22LP)
マーラー:交響曲全集&管弦楽伴奏付き歌曲集
交響曲第1番ニ長調《巨人》
第2番ハ短調《復活》/第3番ニ短調
亡き子をしのぶ歌/第4番ト長調
第5番嬰ハ短調/第6番イ短調《悲劇的》
第7番ホ短調《夜の歌》
第8番変ホ長調《千人の交響曲》
第10番嬰ヘ短調〜 アダージョ
交響曲第9番ニ長調/大地の歌
カンタータ《嘆きの歌》
管弦楽伴奏付き歌曲集(さすらう若人の歌
リュッケルト歌曲集
《子供の魔法の角笛》〜塔の中の囚人の歌、少年の鼓手、トランペットが美しく鳴り響くところ、死んだ少年鼓手、原光
リュッケルトによる5つの詩(ボーナス・レコーディング)
マイケル・ティルソン・トーマス(指)
サンフランシスコSO

☆ 180g重量盤LP22枚組
☆ LP マスタリング:Kevin Gray at Acous Tech Mastering
☆ 録音:2001年−2009年、デイヴィス・シンフォニー・ホール
☆ Originally recorded to DSD, remastered at 96k/24bit
全世界で500セットの完全限定生産!SFS Media(サンフランシスコ交響楽団)でも完売となっており、日本の代理店確保分が完売となり次第、取扱い終了となります。再生産の予定はありません。、配送用段ボール(縦36cm×横36cm×高さ28cm)の中に、ハードケースとLPが分けて収納されています(約12kg)。

IPPNW
IPPNW-74(1CD)
武満徹:弦楽のためのレクイエム
チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」
アンドレイ・ボレイコ(指)
シュターツカペレ・ベルリン

録音:2011年4月26日、フィルハーモニー、ベルリン(ライヴ)
IPPNW
IPPNW-1DVD
(2DVD)
■DVD1
ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第8番(弦楽合奏版)
朗読
テレーゼ・アッフォルテル&クリスチャン・ブリュックナー(朗読)

■DVD2
武満徹:弦楽のためのレクイエム
チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」
アンドレイ・ボレイコ(指揮)、シュターツカペレ・ベルリ
DVD1
ボグダン・プリッシュ(指)ベルリン・フィル弦楽アンサンブル
アレクサンダー・イヴィッチ(コンサートマスター)
クレド室内cho、
テレーゼ・アッフォルテル&クリスチャン・ブリュックナー(朗読)*

DVD2
アンドレイ・ボレイコ(指)
シュターツカペレ・ベルリン

録音:2011年4月26日、フィルハーモニー、ベルリン(ライヴ)
IPPNW(核戦争防止国際医師会議)からの新録音は1945年に広島と長崎に投下された原爆、1986年のチェルノブィリの原発事故、さらに2011年3月11日の東日本大震災による福島第一原発事故の犠牲者に捧げられた演奏会のライヴです。インパクトの強いドイツ語による朗読と、スターリン政権下で抑圧されながらも、その恐怖を耐え抜いたショスタコーヴィチの音楽とが、核の引き起こす悲劇を描き出しています。同原発事故が、いかに世界に影響を与えたか、またその放射能汚染を被ったドレスデンを含めるヨーロッパの地域でどのようなことが起きたのかを、ブックレットの解説を読みながら歴史的プロセスに沿って見ていくことができます。ショスタコーヴィチからチャイコフスキーという展開は、悲惨な運命に直面しながら、それはきっと克服されるという希望を与えてくれるかのようです。世界に名高いベルリン・フィルそして、シュターツカペレ・ベルリン(ベルリン国立歌劇場附属オーケストラ)による演奏で、極めて完成度の高い内容となっており、ショスタコーヴィチの暗惨とした気分、嵐のような暴力性、チャイコフスキーのドラマチックな叙情性と重厚な響きが、見事に表現されています。特にシュターツカペレ・ベルリンの弦の美しさと金管の温かいハーモニーは聴きどころです。 (Ki)

ALLEGLO MUSIC
RPM-29220(1CD)
チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調
交響的バラード「ヴォエヴォーダ」
フランク・シップウェイ(指)ロイヤルPO

録音:2007年頃(デジタル)







韓国EMI
EKC31D-1040(31CD)
Great Recordings of the Century BOX
■CD1
Wolfgang Amadeus Mozart - Symphony No.41 etc. / Beecham, Royal Philharmonic Orchestra
■CD2 Ludwig van Beethoven - Symphonies Nos.5 & 7 / Klemperer
■CD3 Ludwig Van Beethoven - Symphony No.9 'Choral' / Furtwangler
■CD4 Johannes Brahms - Symphony No.4 / Carlo Maria Giulini
■CD5 Georges Bizet - Symphony In C / L'Arlesienne Suites : Sir Thomas Beecham
■CD6 Gustav Mahler - Symphony No.2 'Resurrection' / Klemperer
■CD7 Gustav Mahler - Symphony No.5 / Barbirolli
■CD8 Richard Wagner - Orchestral Music / Karajan
■CD9 Nikolai Rimsky-Korsakov - Scheherazade / Sir Thomas Beecham
■CD10 Ludwig Van Beethoven / Felix Mendelssohn - Violin Concertos : Menuhin / Furtwangler
■CD11 Johannes Brahms / Jean Sibelius - Violin Concerto : Ginette Neveu
■CD12 Johannes Brahms / Max Bruch - Double Concerto / Violin Concerto No.1 / Oistrakh / Fournier
■CD13 Sibelius, Tchaikovsky Violin Concertos & Glazunov : Violin Sonatas / Jascha Heifetz / Barbirolli
■CD14 Ludwig van Beethoven - Piano Concerto 4 & 5 / Emil Gilels
■CD15 Frederic Chopin - Piano Concertos / Samson Francois
■CD16 Antonin Dvorak - Piano Concerto etc. : Richter / Kleiber
■CD17 Edward Grieg / Robert Schumann - Piano Concerto / Richter
■CD18 Rachmaninov / Saint-Saens / Schostakowitsch - Piano Concertos No.3 Etc / Emil Gilels
■CD19 George Gershwin - Rhapsody In Blue, etc. / Andre Previn
■CD20 Joseph Haydn / Luigi Boccherini - Cello Concerto : Du Pre / Barenboim / Barbirolli
■CD21 Antonin Dvorak / Camille Saint-Saens - Cello Concerto / Rostropovich
■CD22 Ludwig Van Beethoven / Franz Schubert - Piano Trio : Cortot / Thibaud / Casals
■CD23 Schubert : String Quartets No.14 'Death and the Maiden' & No.15 / Busch String Quartet
■CD24 Nicolo Paganini - 24 Capricen / Rabin
■CD25 Frintz Kreisler - Original Compositions & Arrangements / Fritz Kreisler
■CD26 Tartini : Sonata in g "Il Trillo del Diavolo" / David Oistrakh
■CD27 Johann Sebastian Bach / Robert Schumann / Ferruccio Busoni / Johannes Brahms : Michelangeli
■CD28 Ludwig Van Beethoven - Piano Sonatas No.21, 23, 30, 31 / Walter Gieseking
■CD29 Chopin: Etudes Op.10 & Op.25 / Claudio Arrau
■CD30, 31 Johann Sebastian Bach - Cello Suites / Paul Tortelier
完全限定生産、クラムシェル・ボックス仕様、各CDは紙ジャケに収納されます。152ページ・ブックレット(韓、英語表記)。

Metronome
(Magdalen)

METCD-8004(1CD)
マーラー:交響曲第4番ト長調
子供の魔法の角笛より*
マーガレット・リッチー(S)、
エドゥアルト・ファン・ベイヌム(指)アムステルダム・コンセルトヘボウO、
ロルナ・シドニー(Ms)*、
アルフレート・ペル(Br)*、
フェリックス・プロハスカ(指)ウィーン国立歌劇場O*

録音:1952年4月−5月/1950年*
※原盤:Decca LXT 2718/Vanguard VRS 412/3*
ベイヌム&コンセルトヘボウ管の名演が新しいリマスターで復刻。












MEMBRAN
MEM-223425(52CD)
マスターピース・オブ・クラシカル・ミュージック
■CD:1
BACH
Italian Concerto for Keyboard (Harpsichord) in F major, BWV 971
Rudolf Serkin, piano

Concerto for Two Violins and Orchestra in D minor, BWV 1043
Yehudi Menuhin, Gioconda de Vito, violin
Philharmonia Orchestra London / Anthony Bernard

Brandenburg Concerto No. 2 in F major, BWV 1047
Maurice Andre, trumpet Gyorgy Terebesi, violin
Kraft Thorwald Dilloo, flute Horst Schneider, oboe
Sudwestdeutsches Kammerorchester / Friedrich Tillegant

Brandenburg Concerto No. 5 in D major, BWV 1050
Manoug Parikan, violin Raymond Clark, cello
Gareth Morris, flute Philharmonia Orchestra London / Edwin Fischer

■CD:2
BARTOK
Concerto for Strings, Percussion and Celesta
Irwin Fischer, celesta
Allan Graham, Lionel Sayers, Thomas Glenecke,
Edward Metzenger, percussion and timpani
Chicago Symphony Orchestra / Rafael Kubelik

Concerto for Orchestra (1943), SZ 116
Chicago Symphony Orchestra / Fritz Reiner

■CD:3
BEETHOVEN
Violin Concerto in D major, op. 61
Gerhard Taschner, violin Berliner Philharmoniker / Georg Solti

■CD:4
BEETHOVEN
Piano Concerto No. 1 in C major, op. 15 (Live)
Friedrich Gulda, piano Wiener Symphoniker / Friedrich Gulda

Sonata No. 26 in E-flat major, op. 81a, “Les Adieux”
Friedrich Gulda, piano

■CD:5
BERLIOZ
Harold in Italy- Symphony with Viola obbligato, op.16
William Primrose, viola
Boston Symphony Orchestra / Sergei Koussevitzky

Roman Carnival, op. 9
London Philharmonic Orchestra / Victor de Sabata

■CD:6
LEONARD BERNSTEIN (1918 ? 1990)
Facsimile, A Choreographic Essay
Sidney Foster, piano
RCA Victor Symphony Orchestra / Leonard Bernstein

The Age of Anxiety
Symphony No. 2 for Piano and Orchestra
(after H. W. Auden)
Lukas Voss, piano
New York Philharmonic Orchestra / Leonard Bernstein

■CD:7
BRAHMS
Violin Concerto in D major, op. 77 (Live)
(Cadenza: Joseph Joachim)
Ginette Neveu, violin
Sinfonieorchester des Norddeutschen Rundfunks / Hans Schmidt-Isserstedt

Tragic Overture, op. 81
Wiener Philharmoniker / Hans Knappertsbusch

■CD:8
JOHANNES BRAHMS
Piano Concerto No. 2 in B-flat major, op. 83
Arthur Rubinstein, piano Boston Symphony Orchestra / Charles Munch

■CD:9
BRUCH
Violin Concerto in G minor, op. 26
Ida Haendel, violin Philharmonia Orchestra London / Rafael Kubelik

Scottish Fantasy in E-flat major, op. 46 for Violin, Harp and Orchestra
Jascha Heifetz, violin
RCA Victor Symphony Orchestra / William Steinberg

■CD:10
FREDERIC CHOPIN (1810 ? 1849)
Piano Concerto No. 1 in E minor, op. 11 (Live)
Arthur Rubinstein, piano
New York Philharmonic Orchestra / Bruno Walter

Polonaise No. 7 in A-flat major, op. 61 (”Polonaise Fantasy”)
Arthur Rubinstein, piano

■CD:11
DVORAK
Cello Concerto No. 2 in B minor, op. 104
Mstislav Rostropovich, cello
Czech Philharmonic Orchestra / Vaclav Talich

Slavonic Dances, op. 46
Czech Philharmonic Orchestra / Vaclav Talich

■CD:12
GEORGE GERSHWIN (1898 ? 1937)
Piano Concerto in F major
Rhapsody in Blue Jerome Hanson, piano
New York Civic Youth Orchestra / Allan Morton

■CD:13
GRIEG
Piano Concerto in A minor, op. 16
Arthur Rubinstein, piano RCA Victor Symphony Orchestra / Antal Dorati

From “Peer Gynt”, Suites No. 1, op. 46, and No. 2, op. 55
Statsradiofoniens symfoniorkester / Anders Norquist

■CD:14
HANDEL
Organ Concerto No. 8 in A major
Organ Concerto No. 16 in D minor, op. 7 No. 4
Geraint Jones, organ Philharmonia Orchestra London / Wilhelm Schuchter

The Great Elopment
Ballet Suite, arranged by Thomas Beecham
The Pump Room
The Linleys
Hunting Dance
London Philharmonic Orchestra / Thomas Beecham
■CD:15
LISZT
Piano Concerto No. 1 in E-flat major
Geza Anda, piano Philharmonia Orchestra London / Otto Ackermann

JOHANNES BRAHMS
Hungarian Dance No. 1 in G minor
Hungarian Dance No. 2 in D minor
Hungarian Dance No. 3 in F major
Hungarian Dance No. 5 in G minor
Hungarian Dance No. 6 in D major
Hungarian Dance No. 7 in A major
Hungarian Dance No. 10 in F major
Sinfonieorchester des Norddeutschen Rundfunks / Hans Schmidt-Isserstedt

LISZT
Les Preludes
Symphonic Poem No. 3
Wiener Philharmoniker / Wilhelm Furtwangler

■CD:16
MENDELSSOHN
Violin Concerto in D minor, op. 40 (1822)
Yehudi Menuhin, violin RCA Victor String Orchestra

Violin Concerto in E minor, op. 64 (1844)
Yehudi Menuhin, violin Berliner Philharmoniker / Wilhelm Furtwangler

■CD:17
LEOPOLD MOZART (1719 ? 1787)
Sinfonia di caccia in G major for Four Horns, Strings, Timpani and Basso continuo
Hermann Baumann, Christoph Kohler,
Mahir Cakar, Jean-Pierre Lepetit, horn
Concerto Amsterdam / Jaap Schroder

Sinfonia di Camera in D major for Horn, Violin, Two Violas and Basso continuo
Hermann Baumann, horn Jaap Schroder, violin
Concerto Amsterdam / Jaap Schroder

MOZART
Serenade for Thirteen Wind Instruments No. 10 in B-flat major, KV 361
Wiener Philharmoniker Soloists / Wilhelm Furtwangler

■CD:18
MOZART
Piano Concerto No. 20 in D minor, KV 466
Piano Concerto No. 23 in A major, KV 488
Arturo Benedetti Michelangeli, piano
Orchestra Sinfonica di Roma della RAI / Carlo Maria Giulini

■CD:19
MOZART
Clarinet Concerto in A major, KV 622
Benny Goodman, clarinet
Boston Symphony Orchestra / Charles Munch
(recorded at the Berkshire Festival)

Flute Concerto in G major, KV 313
(Cadenzas: Karlheinz Stockhausen)
Kathinka Pasveer, flute
Radio-Symphonie-Orchester Berlin / Karlheinz Stockhausen

■CD:20
MOZART
Horn Concerto No. 1 in D major, KV 412
Dennis Brain, horn Philharmonia Orchestra London / Herbert von Karajan

Horn Concerto No. 2 in E-flat major, KV 417
Dennis Brain, horn Philharmonia Orchestra London / Walter Susskind

Horn Concerto No. 3 in E-flat major, KV 447
Horn Concerto No. 4 in E-flat major, KV 495
Dennis Brain, horn Philharmonia Orchestra London / Herbert von Karajan

■CD:21
MOZART
Violin Concerto No. 4 in D major, KV 218
Yehudi Menuhin, violin Philharmonia Orchestra London / John Pritchard

Violin Concerto No. 5 in A major, KV 219
David Oistrakh, violin
Radio Symphony Orchestra of the Soviet Union / Kyrill Kondraschin

Adagio for Violin and Orchestra in E major, KV 261
Rondo in C major, KV 373
Nathan Milstein, violin
RCA Victor Symphony Orchestra / Vladimir Golschmann

■CD:22
NICCOLO PAGANINI (1782 ? 1840)
Violin Concerto No. 1 in D major, op. 6
Zino Francescatti, violin Philadelphia Orchestra / Eugene Ormandy

Violin Concerto No. 2 in B minor, op. 7
Yehudi Menuhin, violin Philharmonia Orchestra London / Anatole Fistoulari

■CD:23
RACHMANINOV
Piano Concerto No. 2 in C minor, op. 18
Svjatoslav Richter, piano
Leningrad Philharmonic Orchestra / Kurt Sanderling

Prelude in G major, op. 32, No. 5
Prelude in G minor, op. 23, No. 5
Geza Anda, piano

■CD:24
RACHMANINOV
Piano Concerto No. 3 in D minor, op. 30
Wladimir Horowitz, piano
RCA Victor Symphony Orchestra / Fritz Reiner

Vokalise, op. 34, No. 14
(Rachmaninov Version for Solo Orchestra)
Philadelphia Orchestra / Sergei Rachmaninov

■CD:25
RAVEL
Piano Concerto in G major
Leonard Bernstein, piano
Philharmonia Orchestra London / Leonard Bernstein

MUSSORGSKY (1839-1881)
Pictures At An Exhibition
(orchestral version by Maurice Ravel)
NBC Symphony Orchestra / Arturo Toscanini

■CD:26
RAVEL
Piano Concerto for the Left Hand
Robert Casadesus, piano
Philadelphia Orchestra / Eugene Ormandy

La valse, Bolero
Pittsburgh Symphony Orchestra / William Steinberg

■CD:27
ROBERT SCHUMANN
Piano Concerto in A minor, op. 54 (Live)
Dinu Lipatti, piano Orchestre de la Suisse Romande / Ernest Ansermet

Introduction and Allegro appassionato for Piano and Orchestra, op. 92
Malcolm Frager, piano
Philharmonisches Staatsorchester Hamburg / Marc Andreae

■CD:28
SCHUMANN
Cello Concerto in A minor, op. 129
Pierre Fournier, cello Philharmonia Orchestra London / Malcolm Sargent

Kreisleriana, Fantasies for the Pianoforte, op. 16
Wladimir Sofronitzki, piano

■CD:29
SHOSTAKOVICH
Concerto No. 1 for Piano, Trumpet and String Orchestra in C major, op. 35 (1933)
Dimitri Shostakovich, piano Iwan Wolownik, trumpet
Symphony Orchestra of the Moscow State Philharmonic / Samuil Samossud

Piano Concerto No. 2 in E major, op. 192 (1957)
(dedicated to Maxim Shostakovich)
Dimitri Shostakovich, piano
Soviet Union Great Radio Symphony Orchestra / Alexander Gauk

Concertino for Two Pianos, op. 94 (1953)
Maxim and Dimitri Shostakovich, piano

■CD:30
SIBELIUS
Violin Concerto in D minor, op. 47
Isaac Stern, violin Royal Philharmonic Orchestra / Thomas Beecham

Finlandia, op. 26 No. 7
Valse triste, op. 44
The Swan of Tuonela, op. 22 No. 3
Bolero (Festivo)
Berliner Philharmoniker / Hans Rosbaud

CD31
RICHARD STRAUS
Horn Concerto No. 1 in E-flat major
Horn Concerto No. 2 in E-flat major
Dennis Brain, horn
Philharmonia Orchestra London / Wolfgang Sawallisch

Waltzes from “Knight of the Rose”
Orchestre de la Radiodiffusion Nationale Belge, Bruxelles / Franz Andre

■CD:32
STRAVINSKY
Concerto for Orchestra in D major
Halle Orchestra / John Barbirolli

Jeu de cartes (Card Game)
Ballet in Three Deals
Berliner Philharmoniker / Igor Stravinsky

Duo concertante for Violin and Piano
Joseph Szigeti, violin Igor Stravinsky, piano

■CD:33
SZYMANOWSKI
Symphony concertante for Piano and Orchestra, op. 60
Arthur Rubinstein, piano
Los Angeles Philharmonic / Alfred Wallenstein

DEBUSSY
Images 1, Images 2
Cloches a travers les feuilles
Et la lune descent sur temple quit fu
Poissons d’or
Walter Gieseking, piano
■CD:34
TCHAIKOVSKY
Piano Concerto No. 1 in B-flat minor, op. 23
Wladimir Horowitz, piano
NBC Symphony Orchestra / Arturo Toscanini

Overture solennelle “1812”, op. 49
Minneapolis Symphony Orchestra
University of Minnesota Brass Band
Bells and Bronze Cannon / Antal Dorati

■CD:35
TCHAIKOVSKY
Violin Concerto in D major, op. 35
Yehudi Menuhin, violin RIAS Symphony Orchestra / Ferenc Fricsay

Slavonic March, op. 31
Royal Philharmonic Orchestra / Yehudi Menuhin

Serenade for String Orchestra in C major, op. 48
Boston Symphony Orchestra / Charles Munch

■CD:36
VIVALDI (arr.: Siegfried Behrend)
Symphony for Mandolin and Plucked Strings in C major
Takashi Ochi, mandolin Das Deutsche Zupforchester / Siegfried Behrend

Concerto grosso for Two Mandolins, Two Guitars and Plucked Strings
Silvia and Takashi Ochi, mandolin
Elfi Germesin and Tadashi Sasaki, guitar
Das Deutsche Zupforchester / Siegfried Behrend

Concerto for Solo Mandolin and Plucked Strings in C major
Takashi Ochi, mandolin
Das Deutsche Zupforchester / Siegfried Behrend

Concerto for Two Mandolins and Plucked Strings in G major
Silvia and Takashi Ochi, mandolin
Das Deutsche Zupforchester / Siegfried Behrend

Lute Concerto for Plucked Strings
Das Deutsche Zupforchester / Siegfried Behrend

Concerto for Guitar and Plucked Strings
Martin Kruger, guitar
Das Deutsche Zupforchester / Siegfried Behrend

Concerto for Viola d’amore, Lute and Plucked Strings in D minor
Tadashi Sasaki, lute

Reimer Peters, viola d’amore
Das Deutsche Zupforchester / Siegfried Behrend
■CD:37
HANDEL
Concerto for Oboe and String Orchestra in G minor, op. 3 No. 10
Frantisek Hantak, oboe Czech Philharmonic Orchestra / Vaclav Talich

Concerto for Oboe and String Orchestra in B-flat major, op. 3 No. 8
Severino Passetti, oboe Camerata sinfonica di Milano

GABRIELLI (1659 ? 1690)
(arr.: Siegfried Behrend)
Concerto for Oboe and Plucked Strings in D major
Pierre W. Feit, oboe Das Deutsche Zupforchester / Siegfried Behrend

DALL’ ABACO (1675 ? 1742) (arr.: Siegfried Behrend)
Concerto for Oboe and Plucked Strings in C major
Pierre W. Feit, oboe Das Deutsche Zupforchester / Siegfried Behrend

VIVALDI (arr.: Siegfried Behrend)
Concerto for Oboe and Plucked Strings in C major
Pierre W. Feit, oboe Das Deutsche Zupforchester / Siegfried Behrend

Concerto for Two Oboes and Plucked Strings in C major
Pierre W. Feit and Diethelm Jonas, oboe
Das Deutsche Zupforchester / Siegfried Behrend

BENEDETTO MARCELLO (1686 ? 1739)
Concerto for Oboe and String Orchestra in D minor
Severino Passetti, oboe Camerata sinfonica di Milano

■CD:38
KORNGOLD
Violin Concerto in D major, op. 35
Jascha Heifetz, violin Los Angeles Philharmonic / Alfred Wallenstein

MIKLOS ROZSA
Concerto, op. 24
Jascha Heifetz, violin Dallas Symphony Orchestra / Walter Hendl

■CD:39
BOCCHERINI
Cello Concerto No. 9 in B-flat major
(arr.: Friedrich Grutzmacher)

VIVALDI
Cello Concerto in E minor
(arr.: Vincent d’Indy, after the Sonata in E minor, RV 40)

JOSEPH HAYDN (1732 ? 1809)
Cello Concerto No. 2 in D major
Pierre Fournier, cello Stuttgarter Kammerorchester / Karl Munchinger

■CD:40
ELGAR
Cello Concerto in E minor, op. 85
Pablo Casals, cello BBC Symphony Orchestra / Adrian Boult

SAINT-SAENS
Cello Concerto No. 1 in A minor, op. 33
Pierre Fournier, cello Philharmonia Orchestra London / Walter Susskind

■CD:41
EDOUARD LALO (1823 ? 1891)
Symphony espagnole for Violin and Orchestra, op. 21
David Oistrakh, violin Philharmonia Orchestra London / Jean Martinon

FAURE
Elegy, op. 24 (1880)
Berceuse, op. 16 (1878)
Pierre Fournier, cello Ernest Lush, piano

SAINT-SAENS
The Swan from”Carnival of the Animals” (1886)
Pierre Fournier, cello Gerald Moore, piano

■CD:42
SAINT- SAENS
Piano Concerto No. 2 in G minor, op. 22 (Live)
Arthur Rubinstein, piano
Minneapolis Symphony Orchestra / Dimitri Mitropoulos

FALLA
Noches en los jardines de Espana
(Nights in the Gardens of Spain)
Arthur Rubinstein, piano
San Francisco Symphony Orchestra / Enrique Jorda

■CD:43
HAYDN (1732 ? 1806)
Trumpet Concerto in E-flat major

L.MOZART
Concerto for Solo Trumpet, Two Horns, Strings and Harpsichord in D major

HUMMEL
Trumpet Concerto in E-flat major
Carol Dawn Reinhart, trumpet
Munchner Philharmoniker / Marc Andreae

TELEMANN
Trumpet Concerto in D major

JOHANN FRIEDRICH FASCH (1688 ? 1758)
Trumpet Concerto in D major

ALBINONI (1671 ? 1750)
Sonata in C for Trumpet, Strings and Basso continuo

PURCELL
Sonata in D major for Trumpet, Strings and Basso continuo

HANDEL
Suite in D major from “Water Music” for Trumpet, Strings and Basso continuo 
Carole Dawn Reinhart, trumpet
Deutsche Bachsolisten / Helmut Winschermann

CLARKE (arr.: Wolfgang Ebert)
Carole Dawn Reinhart, trumpet
Symphony Orchestra Graunke / Heinz Fricke

■CD:44
DANZI
Bassoon Concerto in F major
Karl Otto Hartmann, bassoon Concerto Amsterdam / Jaap Schroder

Sinfonia Concertante in B-flat major for Clarinet, Bassoon and Orchestra
Dieter Klocker, clarinet Karl Otto Hartmann, bassoon
Concerto Amsterdam / Jaap Schroder

FRANZ XAVER RICHTER
Concerto in D major for Trumpet, Strings and Basso continuo
Joao Costa, trumpet Soloists Ensemble Lisbon

■CD:45
VIVALDI
Concerto for Two Trumpets in C major
Fred Hausdoerfer, Harry Sevenstern, trumpet
Netherlands Philharmonic Orchestra / Otto Ackermann

POKORNY (1729 ? 1794)
Flute Concerto in D major
Frans Vester, flute Concerto Amsterdam / Jaap Schroder

MOZART
Serenade for Wind Instruments in B-flat major “Gran Partita”, KV 361/370a (Live)
Czech Philharmonic Orchestra Wind Society / Vaclav Talich

■CD:46
FRIEDRICH II. VON PREUSSEN (1712 ? 1786)
Concerto No. 3 in C major for Flute, Strings and Basso continuo
Werner Tast, flute Kammerorchester Berlin / Peter Gulke

C.P.E.BACH
Concerto in G major for Flute, Strings and Basso continuo
Werner Tast, flute
Kammerorchester der Staatskapelle Weimar / Wolf-Dieter Hauschild

QUANTZ (1697 ? 1773)
Concerto in D major “pour Potsdam” for Flute, Strings and Basso continuo
Eberhard Grunenthal, flute Kammerorchester Berlin / Heinz Schunk

■CD:47
OFFMEISTER
Clarinet Concerto in B-flat major

THEODOR BARON VON SCHACHT (1748 ? 1823)
Clarinet Concerto in B-flat major

JOHANN GEORG HEINRICH BACKOFEN (1768 ? 1830)
Sinfonia Concertante for Two Clarinets and Orchestra in A major, op. 10*
Dieter Klocker, Waldemar Wandel*, clarinet
Concerto Amsterdam / Jaap Schroder

■CD:48
BERG
Violin Concerto (Live) (“To the Memory of an Angel”)
Joseph Szigeti, violin NBC Symphony Orchestra / Dimitri Mitropoulos

SCHONBERG
Piano Concerto, op. 42
Glenn Gould, piano
CBC Radio Symphony Orchestra / Jean-Marie Beaudet

WEBERN
Variations for Piano, op. 27
Glenn Gould, piano

■CD:49
DELIUS
Piano Concerto (1914 / 16)
Benno Moiseiwitsch, piano
BBC Symphony Orchestra / Malcolm Sargent

ELGAR
Introduction & Allegro, op. 47
Boston Symphony Orchestra / Charles Munch

BRITTEN
Four Interludes, op. 33a from ”Peter Grimes”
Concertgebouw-Orchester Amsterdam / Eduard van Beinum

■CD:50
KREISLE
Violin Concerto in C major
(“In the style of Vivaldi”)
Fritz Kreisler, violin RCA Victor String Orchestra / Donald Voorhees

Rondino on a Theme by Beethoven
Nathan Milstein, violin

BEETHOVEN
Variations in E-flat major on “Bei Mannern, welche Liebe fuhlen” from “Die Zauberflote” (W. A. Mozart)

Variations in F major on “Ein Madchen oder Weibchen” from “Die Zauberflote” (W. A. Mozart)
Pablo Casals, cello Rudolf Serkin, piano

MOZART
Serenade No. 13 in G major, KV 525 “A Little Night Music”
Wiener Philharmoniker / Herbert von Karajan

■CD:51
BIZET
WAXMAN
“Carmen” ? Fantasy
Jascha Heifetz, violin
RCA Victor Symphony Orchestra / Donald Voorhees

DUKAS
The Sorcerer’s Apprentice
L’Orchestre des Concerts Lamoureux, Paris / Ferenc Fricsay

BERLIOZ
Overture to ”Benvenuto Cellini”
Overture to “Le Corsaire”*
Orchestre de la Societe des Concerts du Conservatoire Paris / Charles Munch

Hungarian March from “The Damnation of Faust”
Berliner Philharmoniker / Ferenc Fricsay

■CD:52
GLASUNOW
Violin Concerto in A minor, op. 82
Nathan Milstein, violin
RCA Victor Symphony Orchestra / William Steinberg

BORODIN(arr.: Alexander Glasunow)
Steppes of Central Asia
RIAS Symphony Orchestra / Ferenc Fricsay

Polovetzian Dances from “Prince Igor”
Choeurs et Orchestre National de la Radiodiffusion Francaise / Igor Markevitch

MUSSORGSKY
Night on the Bare Mountain
Orchestre National de la Radiodiffusion Francaise / Igor Markevitch

GLIERE
Sailors‘Dance from “The Red Poppy”, op. 70
Hollywood Bowl Orchestra / Carmen Dragon

KHATCHATURIAN
Sabre Dance from “Gayaneh”
Hollywood Bowl Orchestra / Carmen DragonHerbert von Karajan,
大型美麗ボックス仕様。

FHK
FHK-001-2(1CD)
ブルックナー:交響曲第9番(ノヴァーク版) アンドレアス・セバスティアン・ヴァイザー(指)
フラデツ・クラーロヴェーPO

録音:2008年4月24日、フラデツ・クラーロヴェー・フィルハーモニー・ホール、ライヴ
「FHK」はチェコのフラデツ・クラーロヴェー・フィルハーモニーの自主制作レーベル。
FHK
FHK-002-2(1CD)
マーラー:交響曲第6番「悲劇的」 アンドレアス・セバスティアン・ヴァイザー(指)
フラデツ・クラーロヴェーPO

録音:2008年4月24日、フラデツ・クラーロヴェー・フィルハーモニー・ホール、ライヴ

DACAPO
MAR-8.206002
(CD+SACD+DVD)
ニールセン:作品集第1集…管弦楽作品集
[CD]
交響曲 第3番 ニ短調「広がり」 Op.27
交響曲 第2番 ロ短調「四つの気質」
交響曲 第4番「滅ばざるもの」
交響曲 第5番 Op.50
交響曲 第1番 ト短調 Op.7
交響曲 第6番「素朴な交響曲」

[SACD]
歌劇「仮面舞踏会」序曲
歌劇「仮面舞踏会」〜コッケレルの踊り
劇音楽「領主オールフは馬を駆り」前奏曲

[DVD]
メロドラマ「スネフリズ」組曲 FS.17
歌劇「サウルとダヴィデ」第2幕前奏曲
狂詩曲風序曲「フェロー諸島への幻想の旅行」FS.123
劇音楽「ヴィレモエス」第3幕前奏曲
パンとシリンクス〜「田園の情景」
劇音楽「アモルと詩人」「序曲」
序曲「ヘリオス」Op.17

■DVD
交響曲 第1番
交響曲 第2番「四つの気質」
交響曲 第3番「広がり」
交響曲 第4番「滅ばざるもの」
交響曲 第5番
交響曲 第6番「素朴な交響曲」
ミハエル・シェンヴァント(指)
トマス・ダウスゴー(指)
デンマーク国立SO
インガー・ダム=イエンセン(S)
ポウル・エルミング(T)
ニール・トムセン(Cl)
トム・ニブエ(スネア・ドラム)

録音:1999年5月〜2006年9月
DVD…2000年11月2.4日ライブ
デンマークが誇る大作曲家、カール・ニールセン(1865-1931)の集大成となる作品集第1集。DACAPOレーベルの威信をかけての登場です。管弦楽作品集は、名指揮者シェンヴァントの演奏を中心に。初期は後期ロマン派の影響を受け、少しずつ調性から脱却、印象主義、多調、半音階進行などの20世紀手法を取り入れながら、独自の路線を模索したニールセンの変遷と進化がよくわかるのではないでしょうか?名演の誉れの高い交響曲全集については、CDとDVDの録音の違いをじっくり楽しむことが可能です。マニアならずとも手元に置いておきたい愛蔵盤です。


DACAPO
DACAPO-912(1CD)
シューベルト:交響曲第8番「未完成」
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」
マティアス・ゲオルク・ケンドリンガー(指)
K&KフィルハーモニーO

録音:2009年5月27日、リューベック
注目の指揮者の新録音が登場。マティアス・ゲオルク・ケンドリンガーは1964年、オーストリアのチロル地方の生まれ。かのエルル・チロル音楽祭の立ち上げの中心人物の一人でもあります。2002年に自身のオーケストラ、K&KフィルハーモニーOを設立、その演奏が評判となって、知る人ぞ知る存在になりました。ケンドリンガーの音楽には確固とした個性があり、早めのテンポでキビキビした音楽作り。しかし現代的な演奏ともちょっと違い、随所で伝統的音楽作りとの繋がりも感じられるもの。昨今の指揮者がまずやらなくなった「運命」&「未完成」の組み合わせを採用、しかもちゃんとドイツ語でSchicksalssinfonie(運命交響曲)と念押ししているこのCDは、企画、演奏とも、ケンドリンガーが往年のオーストリアの巨匠(決してドイツの指揮者の重厚な演奏ではなく)の音楽作りを意識しているように思われます。 (Ki)
※DACAPO
はデンマークの同名レーベルとは別のレーベルです。
DACAPO
DACAPO-917(1CD)
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
「エグモント」序曲
マティアス・ゲオルク・ケンドリンガー(指)
K&KフィルハーモニーO

録音:2009年5月28日、リューベック
「運命」&「未完成」の翌日に一気に録音された「英雄」、こちらはより一層ケンドリンガー色が強く出た演奏です。第1楽章は提示部反復なしとはいえ11分24秒の快速っぷり。しかし第2楽章は15分42秒をかけてじっくりと歌い上げています。タイトに引き締まったスケルツォの快さ、オーケストラがケンドリンガーの意を万全に組んでいることが伝わってくる終楽章など、面白く聞ける演奏です。「エグモント」序曲も、深刻ぶらないのに緊張感が漲っていてスリリングな演奏です。 (Ki)
※DACAPO
はデンマークの同名レーベルとは別のレーベルです。


MEMBRAN
DOC-233373(10CD)
オットー・クレンペラー名演集

(1)ブラームス:交響曲第1番
(2)ブラームス:交響曲第3番
(3)ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」、第7番、第8番
(4)ベートーヴェン:交響曲全集、
 劇音楽「エグモント」(抜粋)
(5)ブラームス:ピアノ協奏曲第2番
(6)ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番
全て、オットー・クレンペラー(指)

(1)ケルンRSO 録音:1955年
(2)フィルハーモニアO 録音:1959年
(3)ケルンRSO、ウィーンSO 録音:1954、1957、1958年(詳細不明)
(4)ビルギット・ニルソン、
 マリア・シュターダー、グレース・ホフマン、
 ヴァルデマール・クメント、ハンス・ホッター
 ケルンRSO、同cho
 フィルハーモニアO、
 ロイヤル・ストックホルムPO、ケルンRSO
 録音:1954,1955,1957,1958,1960年(詳細不明)
(5)ゲザ・アンダ(P)、ケルンRSO 録音:1954
(6)レオン・フライシャー(P)、ケルンRSO 録音:1956年

DACAPO
MAR-6.220538(1SACD)
モーツァルト:交響曲集第3集
交響曲第9番ハ長調 K73(K75A)
交響曲ニ長調 K81(K73L)
交響曲ニ長調 K97(K73M)
交響曲ニ長調 K95(K73N)
交響曲第11番ニ長調 K84(K73Q)
交響曲第10番ト長調 K74
アダム・フィッシャー(指)
デンマーク国立室内O

録音:2010年コペンハーゲン DRコンサートハウス第2スタジオ
アダム・フィッシャーによるモーツァルト交響曲全集の第6作となります。ここでは1769年から1770年に作曲された3つの番号付きと、3つの番号なしの合計6つの交響曲を収録。13歳から14歳のモーツァルトはザルツブルクの宮廷楽団でコンサート・マスターに任命されたり(無給!)イタリアへ旅行したりと、活発な活動を行っていた時期に書かれたこれらの曲は、イタリア序曲の様式を持ち、活発で明るい楽想が特徴です。偽作と思われる作品については、本当のところはどうなのだろう?と考える楽しみも残されています。


写影
SHHP-C005(3DVD)
完全限定盤
税込定価
朝比奈隆/ブラームス交響曲全集&協奏曲全集
(1)交響曲第1番ハ短調Op.68
(2)ピアノ協奏曲第1番**
(3)ヴァイオリン協奏曲##
(4)交響曲第2番ニ長調Op.73
(5)交響曲第3番ヘ長調Op.90
(6)ヴァイオリンとチェロの為の二重協奏曲#
(7)ピアノ協奏曲第2番*
■特典映像
インタビュー「実相寺昭雄監督と朝比奈隆先生の思い出」
(8)交響曲第4番ホ短調Op.98
朝比奈隆(指)
新日本フィルハーモニーSO
伊藤恵(P)**、藤川真弓(Vn)##
豊嶋泰嗣(Vn)#、上村昇(Vc)#
園田高弘(P)*

収録:(1)1990年2月5日オーチャードホール(ライヴ)
(2)1990年5月1日オーチャードホール(ライヴ)
(3)1990年4月3日オーチャードホール(ライヴ)
(4)1990年4月3日オーチャードホール(ライヴ)
(5)1990年5月1日オーチャードホール(ライヴ)
(6)1990年2月5日オーチャードホール(ライヴ)
(7)1990年6月1日オーチャードホール(ライヴ)
(8)1990年6月1日オーチャードホール(ライヴ)
日本が世界に誇る巨匠指揮者、朝比奈隆(1908−2001)が歿後10周年を迎える2011年に、注目の映像作品が登場します。朝比奈が1990年に新日本フィルを指揮したブラームスの交響曲全集は、このアニヴァーサリーに向けて2010年に先行リリースされた「ブルックナー:交響曲選集」に引き続いて、「映像の巨匠」実相寺昭雄が映像演出を手掛けたもので、ヴァイオリン協奏曲、ピアノ協奏曲2曲や二重協奏曲のほか、特典映像もあらたに追加されたたいへん豪華な内容となっています。なお、収録内容の一部曲目については、交響曲第1番と第4番の2曲が過去にソフト化されたことがありますが(『交響的肖像』[廃盤])、こうして完全な形で交響曲全曲が揃うのはきわめて意義深いものがあるといえます。すべての音源制作は朝比奈、新日本フィル両者とゆかりの深いフォンテックが担当。同一音源によるCDはフォンテックより、ほとんどすべてがリリースされていますが、ピアノ協奏曲第2番とヴァイオリン協奏曲については映像のみならず、いずれの音源自体が初出というのも注目すべきポイントとなっています。さらに、特典映像も見どころ満載で、朝比奈、実相寺両巨匠と親交のあった名優、寺田農(東海大文学部特任教授)が語るご両人の思い出話が出色。監督については、いわゆる「TBS実相寺事件」をユーモアを交えて明かしており、映像ファンもたいへん興味深い内容。また、朝比奈については、ブラヴォーとブーイングが相半ばした有名公演「フィデリオ」のエピソードと、その貴重なハイライト映像も収められております。朝比奈隆と実相寺昭雄、巨匠同士の顔合わせが生んだブラームス・チクルス。ぜひとも、末長くお手元に置いていただきたい、手ごたえたっぷりの内容といえるでしょう。 (Ki)
「ブラームスの芸術というのは多分にセンチメンタルなのではないでしょうか。写真では髭をはやして恐そうに写っていますが、人格は非常に抒情的で感傷的な人だったのではないでしょうか。私はセンチメンタルだということはちっとも悪いことではないと思います。年甲斐がないようですが、そういう感情はかえって若い人にはわからないんではないでしょうか。そろそろ人生の灯が消えそうになってきますとね、そういう情緒が非常に大切で、心の中の宝のようになってくるんです。」−朝比奈隆−
「男の涙とはこのことをいうのである」−宇野巧芳−

MEMBRAN
DOC-233361(10)
フェレンツ・フリッチャイ名演集
■CD1:
(1)バルトーク:ピアノ協奏曲第2番
(2)バルトーク:ピアノ協奏曲第3番

■CD2:
バルトーク:ピアノのためのラプソディOp.1
 弦楽器打楽器とチェレスタのための音楽

■CD3:
(1)モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番
(2)モーツァルト:「後宮からの逃走」序曲、
「魔笛」序曲/「僧侶の行進」、
「フィガロの結婚」序曲

■CD4:
モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」(抜粋)

■CD5:
(1)ベートーヴェン:交響曲第1番
(2)ベートーヴェン:交響曲第8番

■CD6:
ベートーヴェン:交響曲第7番、
 「レオノーレ」序曲第3番

■CD7:
(1)チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲
(2)ストラヴィンスキー:ヴァイオリン協奏曲

■CD8:
(1)マーラー:リュッケルトの詩による5つの歌曲
(2)バルトーク:カンタータ・プロファーナ「9匹の魔法にかけられた鹿」

■CD9:
(1)リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」
(2)フランク:交響的変奏曲

■CD10:
(1)J・シュトラウス:美しく青きドナウ、
 ウィーン気質、「こうもり」序曲、
 「ジプシー男爵」序曲
(2)ファリャ:スペインの庭の夜
全て、フェレンツ・フリッチャイ(指)

■CD1:
(1)ゲザ・アンダ(P)、RIAS響<1953年>
(2)ルイス・ケントナー(P)、RIAS響<1950年>
■CD2:
アンドール・フォルデス(P)、RIAS響<1951年、1952年>
■CD3:
(1)クララ・ハスキル(P)、RIAS響<1954年>
(2)RIAS響<1954年>
■CD4:
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(ドン・ジョヴァンニ)
セーナ・ユリナッチ(ドンナ・アンナ)
マリア・シュターダー(ドンナ・エルヴィラ)
カール・クリスティアン・コーン(レポレッロ)
エルンスト・ヘフリガー(ドン・オッターヴィオ)
イルムガルト・ゼーフリート(ツェルリーナ)
イヴァン・サルディ(マゼット)
ヴァルター・クレッペル(騎士長)
RIAS室内cho、ベルリンRSO<1958年 ステレオ>
■CD5:
(1)BPO<1953年>
(2)RIAS響<1954年>
■CD6:
RIAS響<1953年、1952年>
■CD7:
(1)イェフディ・メニューイン(Vn)、
 RIAS響<1949年>
(2)アルテュール・グリュミオー(Vn)、
 ケルンRSO<1951年>
■CD8:
(1)モーリン・フォレスター(A)
 ベルリンRSO<1958年 ステレオ>
(2)ヘルムート・クレプス(T)
 ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)
 RIAS室内cho、
 ベルリン聖ヘドヴィヒ大聖堂cho
 RIAS響<1951年>
■CD9:
(1)ベルリンRSO、ルドルフ・ショルツ(Vn)<1956年>
(2)マルグリット・ヴェーバー(P)
 ベルリンRSO<1957年>
■CD10:
(1)RIAS響<1949年、1951年、1952年>
(2)マルグリット・ヴェーバー(P)、
 ベルリンRSO<1957年>
「シェエラザード」は畳みかける凄みよりも、遅めのテンポで情感を大切にした演奏。特に第2楽章は絶品。ルドルフ・ショルツのヴァイオリン・ソロの巧さと深みも忘れられません。一方ベートーヴェンの第1交響曲は快速で切れ味抜群で、高い凝縮度を誇る名演。第1楽章展開部では更にアクセルを踏み込みます。第8番は剛直で強靭な精神力が息づきます。【湧々堂】
MEMBRAN
DOC-233362(10)
ジョージ・セル名演集
■CD1-2:
ドヴォルザーク:交響曲第8番*、
 交響曲第9番「新世界より」
ブラームス:交響曲第3番*
■CD3:
(1)シューマン:交響曲第1番「春」、
(2)ウェーバー:ピアノ小協奏曲
■CD4
 シューマン:交響曲第2番、
 「マンフレッド」序曲*
■CD5
モーツァルト:交響曲第33番*
ピアノ協奏曲第24番*

■CD6
モーツァルト:ピアノ協奏曲第26番「戴冠式」
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」

■CD7
ハイドン:交響曲第88番「V字」、第97番*
■CD8:
ハイドン:第104番「ロンドン」
モーツァルト:ディヴェルティメント第2番*
■CD9:
(1)シューベルト:「ロザムンデ」〜序曲/バレエ音楽第2番/間奏曲第3番/間奏曲第1番
(2)J・シュトラウス:美しく青きドナウ*
■CD10:
(1)メンデルスゾーン:真夏の夜の夢〜序曲/スケルツォ/夜想曲/結婚行進曲
(2)スメタナ(セル編):弦楽四重奏曲第1番「わが生涯より」(管弦楽版)*
■CD1-2:
アムステルダム・コンセルトヘボウO<1951年>*、
クリーヴランドO<1958年ステレオ>
■CD3
(1)クリーヴランドO<1958年ステレオ>
(2)ロベール・カサドシュ(P)、クリーヴランドO<1952年>
■CD4
クリーヴランドO<1958年*、1957年ステレオ・ライヴ(ルガーノ)>

■CD5
クリーヴランドO<1955年>*
ロベール・カサドシュ(P)、コロンビアSO<19547年>

■CD6
ロベール・カサドシュ(P)、コロンビアSO
クリフォード・カーゾン(P)*、LPO**
<1954年、1949年* >

■CD7
クリーヴランドO<1954年、1957年* >
■CD8:
クリーヴランドO<1954年、1955年*>
■CD9:
(1)アムステルダム・コンセルトヘボウO<1957年>
(2)VPO<1937年>
■CD10:
(1)アムステルダム・コンセルトヘボウO<1957年>
(2)クリーヴランドO<1949年*>
「ドボ8」は、いつも最晩年のEMI盤ばかりが名盤として挙げられますが、このコンセルトヘボウ盤も、個々の奏者が現在では信じ難いほどの高い音楽センスを誇るオケの力量と共に忘れがたい逸品。第1楽章冒頭のバルワーザーと思しきフルート・ソロの深み!第3楽章の心の震えをギュッと凝縮した感動的佇まい、終楽章の高潔な迫力も、2種のステレオ盤以上のもの。!ウェーバーの小協奏曲も絶品。第3部のオケによる行進曲風の導入をぶち破るように分け入って来るカサドシュの激烈な強靭タッチは、あまりにも威厳に満ちているので思わずのけぞります。その後の急速パッセージの連続の粒立ちの良さと、恐れを知らない突進力は、この曲が持つ豪快な魅力を120%引き出したといっても過言ではないでしょう。コーダでの全体が一体となってのリズムの熱さは圧巻!【湧々堂】

ARCO DIVA
UP-0134-2(1CD)
マーラー:交響曲第1番ニ長調
アルマ・マーラー:中声と管弦楽の為の7つの歌*
バルボラ・ポラーシコヴァー(Ms)*
ズデニェク・マーツァル(指)プラハSO

録音:データ未詳

MEMBRAN
NCA-60234(1CD)
リスト:ダンテ交響曲、
システィーナ礼拝堂への祈り
マーティン・ハーゼルベック(指)
ウィーン・アカデミーO
シネ・ノミネchoウーマン・シンガーズ

録音:2010年10月24-26日

IPPNW
IPPNW-72(1CD)
ハイドン:交響曲第67番ヘ長調
アンタル・ドラティ:交響曲第2番「平和の訴え」
アンドレイ・ボレイコ(指)ベルンSO

録音:2010年5月20日ベルン クルトゥア-カジノ大ホール
スイスのベルン交響楽団はパウル・クレツキ、ペーター・マーク、シャルル・デュトワ等が常任を務め、1877年創立という由緒あるオーケストラ。2010年当時常任だったボレイコがハイドンとドラティの交響曲という意欲的なプログラムを取り上げたときの録音。BIS-408でも「平和の訴え」はドラティの指揮で聴けます。「平和の訴え」は「痴愚神礼賛」(1511年)で有名な人文学者エラスムスの1517年の著作。ベートーヴェンの「荘厳ミサ」(BIS406にドラティの名演があります!)の”AgnusDei”の「内と外の平和を求める祈り」と「平和の訴え」に触発されたIPPNW(核戦争防止国際医学者会議)がCD化するにふさわしい音楽と申せましょう。き


このページのトップへ


このサイト内の湧々堂オリジナル・コメントは、営利・非営利の目的の有無に関わらず、
これを複写・複製・転載・改変・引用等、一切の二次使用を固く禁じます
万一、これと類似するものを他でお見かけになりましたら、メール
でお知らせ頂ければ幸いです。




Copyright (C) 2004 WAKUWAKUDO All Rights Reserved.