湧々堂HOME 新譜速報 交響曲 管弦楽曲 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 歌劇 バロック 廉価盤 シリーズ
旧譜カタログ チャイ5 殿堂入り 交響曲 管弦楽 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 歌劇 バロック


交響曲・新譜速報1



※発売済のアイテムも含めて、約3ヶ月間掲載しています。
※新しい情報ほど上の段に記載しています。
※表示価格は全て税込みです。




Urania Records
LDV-14104(1CD)
フランス革命後のミラノの交響曲集
ボニファツィオ・アジオーリ(1769-1832):交響曲へ短調、
 交響曲ト長調「Azione teatrale campestre」
ジュゼッペ・ガッツァニーガ(1743-1818):交響曲ニ長調
アレッサンドロ・ロッラ(1757-1841):交響曲ニ長調 BI.533、交響曲ホ短調 BI.537
ジュゼッペ・ニコリーニ(1762-1842):交響曲変ロ長調
ステファノ・パヴェージ(1779-1850):交響曲変ロ長調
アタランタ・フーギエンスO、
ヴァンニ・モレット(指)

※全曲世界初録音
フランス占領時代のイタリア北西部、ロンバルディア州の交響曲を代表する作品を集めたアルバム。5人の作曲家は皆イタリアに生まれ、フランス革命前後の激動の時代の中で活動しました。18世紀末から19世紀初頭のミラノの劇場や教会、音楽祭などで奏でられた音楽をイメージさせる内容となっています。


ICA CLASSICS
ICAB-5174(20CD)
NX-L05
BBCレジェンズ グレート・レコーディングス 第4集

■CD1&2
マーラー:交響曲第7番ホ短調
モーツァルト:交響曲第41番ハ長調 「ジュピター」*

■CD3
チャイコフスキー:マンフレッド交響曲
レスピーギ:ローマの松 *

■CD4
シューベルト:ピアノ・ソナタ 第9番 ロ長調 Op.147D.575
ピアノ・ソナタ 第12番ヘ短調 D.625
ピアノ・ソナタ 第13番イ長調 Op.120D.664
楽興の時 Op.94D.780〜第1番ハ長調

■CD5
マーラー:交響曲第4番ト長調
ベルリオーズ:序曲「海賊」

■CD6
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調「皇帝」 Op.73
モーツァルト:ピアノ協奏曲 第26番ニ長調「戴冠式」 K.537*

■CD7
リリ・ブーランジェ:詩篇 第24番 「全地は主のもの」
 ピエ・イエズ
 詩篇 第130番「深き淵より」
フォーレ:レクイエム Op.48

■CD8
ブルックナー:交響曲第5番変ロ長調 WAB105

■CD9
マーラー:さすらう若人の歌
若き日の歌 より*
 ドン・ファンの幻想/もう会えない!/春の朝/ 思い出
 シュトラスブルクの砦に 10. 私は緑の野辺を楽しく歩いた
 夏に小鳥はかわり(夏の歌い手交替す)
 いたずらっ子をしつけるために/うぬぼれ
リュッケルト歌曲集 より
 私は仄かな香りを吸い込んだ/私の歌を覗き見しないで
 私はこの世に捨てられて/真夜中に

■CD10
グリーグ:ピアノ協奏曲 イ短調 Op.16
ドビュッシー:前奏曲集 第1巻

■CD11
シューベルト:交響曲第8番ロ短調 「未完成」
ビゼー:小組曲 Op.22
ラヴェル:ダフニスとクロエ 第2組曲
シベリウス:交響曲第7番ハ長調 Op.105*

■CD12
ブリテン:戦争レクイエム

■CD13
リスト:ピアノ協奏曲 第1番**
ピアノ協奏曲 第2番*
メフィスト・ワルツ 第1番S.514a
パガニーニの「鐘」による華麗な大幻想曲 S. 420#
超絶技巧練習曲集 S.139〜XI. 「夕べの調べ」(1838年版)#

■CD14
リムスキー=コルサコフ:歌劇「ムラダ」 〜貴族の行進
 交響組曲「シェエラザード」
スクリャービン:法悦の詩*

■CD15&16
ベートーヴェン:交響曲第8番ヘ長調 Op.93
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」

■CD17
モーツァルト:ホルン協奏曲 第3番変ホ長調 K.447
ブリテン:セレナーデ Op.31
シューマン:アダージョとアレグロ 変イ長調 Op.70#
モーツァルト:ディヴェルティメント 第14番 変ロ長調 K.270(アンソニー・バインズ編曲 木管五重奏版) より*
 I. Allegro molto/  IV. Presto
ミヨー:ルネ王の暖炉 〜VI. ヴァラブルでの狩り*
ピーター・ラシーン・フリッカー(1920-1990):木管五重奏曲 Op.5##

■CD18
ティペット(1905-1998):二重弦楽合奏の為の協奏曲
ベルク:ヴァイオリン協奏曲「ある天使の想い出に」
ヤナーチェク:シンフォニエッタ*

■CD19
エルガー:チェロ協奏曲 ホ短調 Op.85*
ブラームス:二重協奏曲 イ短調 Op.102**
ドビュッシー:チェロ・ソナタ ニ短調 CD144

■CD20
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第29番「ハンマークラヴィーア」
ピアノ・ソナタ 第31番変イ長調 Op.110*
■CD1&2
クラウス・テンシュテット(指)LPO
録音:1980年8月29日 アッシャー・ホール、エディンバラ
1985年9月13日 ロイヤル・アルバート・ホール*(STEREO ADD)
■CD3
コンスタンティン・シルヴェストリ(指)ボーンマスSO
録音:1963年2月22日 ウィンター・ガーデンズ、ボーンマス、1967年9月20日コルストン・ホール、ブリストル*
(STEREO ADD)
■CD4
スヴャトスラフ・リヒテル(P)
録音:1979年3月31日 ロイヤル・フェスティバル・ホール(STEREO ADD)
■CD5
ヘザー・ハーパー(S)、ジョン・バルビローリ(指)BBC響
録音:1967年1月3日 スメタナ・ホール、プラハ(STEREO ADD)
■CD6
クリフォード・カーゾン(P)、ピエール・ブーレーズ(指)BBC響
録音:1971年2月17日 ロイヤル・フェスティバル・ホール
1974年8月14日 ロイヤル・アルバート・ホール*(STEREO ADD)
■CD7
ジャネット・プライス(S)、バーナデット・グリーヴィ(C.A)、イアン・パートリッジ(T)、ジョン・キャロル・ケース(Br)、BBC交響cho、BBC響、ナディア・ブーランジェ(指)
録音:1968年10月30日 フェアフィールド・ホールズ、クロイドン(STEREO ADD)
■CD8
ヤッシャ・ホーレンシュタイン(指)BBC響
録音:1971年9月15日 ロイヤル・アルバート・ホール(STEREO ADD)
■CD9
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)、カール・エンゲル(P)録音:1970年2月16日 ロイヤル・フェスティバル・ホール(STEREO ADD)
■CD10
アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ(P)、ラファエル・ブリューベック・デ・ブルゴス(指)ニュー・フィルハーモニアO
録音:1965年6月17日(MONO ADD)*、1982年4月13日 (STEREO ADD)
■CD11
エイドリアン・ボールト(指)フィルハーモニアO、ロイヤルPO*
録音:1963年3月8日 ロイヤル・フェスティバル・ホール*、1964年7月30日 ロイヤル・アルバート・ホール・プロムナード・コンサート(STEREO ADD)
■CD12
ステファニア・ヴォイトヴィチ(S)、ピーター・ピアーズ(T)、ハンス・ヴィルブリンク(Br)、メロス・アンサンブル、ウォンズワース・スクール少年cho、ニュー・フィルハーモニアO&cho、
カルロ・マリア・ジュリーニ(指)
録音:1969年4月6日 ロイヤル・アルバート・ホール(STEREO ADD)
■CD13
ジョン・オグドン(P)、コンスタンティン・シルヴェストリ(指)ボーンマスSO**、コリン・デイヴィス(指)BBC響*
録音:1967年9月20日 コルストン・ホール、ブリストル**、1969年4月24日クイーン・エリザベス・ホール、1971年9月18日 ロイヤル・アルバート・ホール*(STEREO ADD)
1970年1月20日 BBCスタジオ#((MONO ADD))
■CD14
ジョン・ジョージアディス(Vnソロ)、エフゲニー・スヴェトラーノフ(指)LSO、ソヴィエト国立SO*
録音:1968年8月22日 ロイヤル・アルバート・ホール*、1978年2月21日 ロイヤル・フェスティバル・ホール(STEREO ADD)
■CD15&16
ヘザー・ハーパー(S)、ジャネット・ベイカー(Ms)、ロナルド・ダウド(T)、フランツ・クラス(Bs)、ニュー・フィルハーモニアcho、ジョージ・セル(指)ニュー・フィルハーモニアO
録音:1968年11月12日 ロイヤル・フェスティバル・ホール(MONO ADD)※ポール・ベイリーによる新リマスター
■CD17
デニス・ブレイン(Hrn)、ピーター・ピアーズ(T)、ベンジャミン・ブリテン(P)、マルコム・サージェント(指)BBC響、ジョン・ホリングスワース(指)、デニス・ブレイン木管五重奏団
録音:1953年7月30日 ロイヤル・アルバート・ホール、1956年6月19日 BBCスタジオ*、1956年6月21日 オールドバラ教区教会、オールドバラ音楽祭#、1957年8月24日 フリーメイソン・ホール、エディンバラ音楽祭##(MONO ADD)
■CD18
エディト・パイネマン(Vn)、ルドルフ・ケンペ(指)BBC響
録音:1975年10月12日 フェアフィールド・ホールズ、クライドン*、1976年2月18日 ロイヤル・フェスティバル・ホール(STEREO ADD)
■CD19
ポール・トルトゥリエ(Vc)、ヤン・パスカル・トルトゥリエ(Vn)、アーネスト・ラッシュ(P)、エイドリアン・ボールト(指)*、ジョン・プリッチャード(指)BBC響
録音:1959年2月10日BBCスタジオ、1972年11月14日*
1974年4月17日** ロイヤル・フェスティバル・ホール(STEREO ADD)
■CD20
ルドルフ・ゼルキン(P)
録音:1968年5月13日(MONO ADD)、1971年6月16日(STEREO ADD)* ロイヤル・フェスティバル・ホール
英国BBCに残された巨匠たちの演奏の記録を、可能な限り良質のマスター を用いてデジタル・リマスターを施した安定の音質でリリースし、世界中のヒスト リカル・ファンに高い支持を得ていた「BBCレジェンズ」。1998年から2010年 まで活動し、現在はほぼ入手不能となっているこのレーベルの遺産を引き継 いだICA CLASSICSより、その名演の数々を復刻するBOXセット第4弾が 発売となります。名演の誉れ高いホーレンシュタインのブルックナー第5番、カオ ス的な盛り上がりを聴かせるシルヴェストリの「ローマの松」などのほか、第1集 (ICAB-5113/廃盤)、第2集(ICAB-5141/廃盤)、第3集(ICAB- 5167)同様、20枚の内容すべてが超弩級の演奏内容であることが驚き。い ずれもこの機会を逸すると、次の入手はかなり難しいものばかりです。基本的 にBBCレジェンズからリリースされた時点でのリマスタリング音源を使用していま すが、その全てをポール・ベイリー(元EMIアビー・ロード・スタジオ、現 Re:Sound社)監修のもと改めてチェック。中でもCD15と16のセルが指揮し たベートーヴェンについては、ベイリーの手で新たにリマスターが施され、ティンパ ニの強烈な打撃などモノラルとは思えないほどの臨場感と迫力に溢れた音に 仕上がっており、演奏の素晴らしさを際立たせることに成功しています。録音 は全てライヴ。ブックレットは付属しませんが、録音とリマスタリングに関するデー タは各CDのスリーブに記載されています。

Altus
ALTL-016(2CD)
アイヴズ:答えのない質問
ヴォーン・ウィリアムズ:トマス・タリスの主題による幻想曲
マーラー:交響曲第2番『復活』*
中江早希(S)*、谷地畝昌子(A)*
東京ユヴェントス・フィルハーモニーcho*
坂入健司郎(指)
東京ユヴェントス・フィルハーモニー

ライヴ録音:2022年1月15日/ミューザ川崎シンフォニーホール
坂入健司郎が2008年に結成して以来、継続して演奏会を開き人気を博している東京ユヴェントス・フィルハーモニー。2022年1月15日に行われたこの公 演は、余儀なくされたコロナ禍の沈黙を打ち破る記念碑的な演奏会として企画されたもの。マーラーの『復活』は坂入がこのタイミングで是非とも取り上げたいと 思っていた作品で、カップリングも含め、コンサート全体が音楽を奏でることへの讃歌となっています。
『復活』のスコアには第1楽章終了後に5分以上のインターバルを置くようにとの指示があります。演奏会ではここで休憩をはさみ、第2楽章以降を後半のプロ グラムとして演奏しました(CDでも同じ個所で2枚に分かれています)。これにより、アイヴズとヴォーン・ウィリアムズの作品が『復活』第1楽章への布石として 機能し、この楽章の悲劇性をより迫真なものにしているように感じられます。これをバネとして後半が始まり、フィナーレの壮麗なクライマックスに至るまで上り続 けていくイメージがまさにプログラミングの妙。中江早希、谷地畝昌子の独唱も素晴らしく、オーケストラは指揮者と阿吽の呼吸で盛り上がり、力強い合唱も加わっ て大いなる讃歌が築かれていきます。 (Ki)

MDG
MDG-91222656(1SACD)
メンデルスゾーン・プロジェクトVOL.4
シンフォニア第8番ニ長調
シンフォニア第9番ハ長調
シンフォニア第10番ロ短調
ドグマ室内オーケストラ
ミハイル・グレヴィチ(指)

録音:2021年5月17-21日、マリエンミュンスター修道院コンツェルトハウス
メンデルスゾーンは、12歳から14歳にかけて弦楽の為のシンフォニアを12曲作曲しています。ドグマ室内オーケストラは、同時期に書かれた5つの協奏曲 を含めたメンデルスゾーンのシリーズをリリース。本作はその第4弾。 この全12曲の「シンフォニア」はメンデルスゾーンの家で毎週日曜日に開催されていた音楽会で演奏するために作曲されました。「シンフォニア」は番号が進むに つれ、作曲手法の洗練や楽器編成の変化など、メンデルスゾーンの作曲家としての成長が見て取れます。交響曲第1番(1824年作曲)の自筆のスコアにはシンフォ ニア第13番と記されていることから、これら一連のシンフォニアはメンデルスゾーンの交響曲の重要な入口と言えるでしょう。 第4弾には、楽器編成に管楽器が加わった第8番、『スイス』の副題を持つ第9番、そして単一楽章で書かれた第10番の3作品が収録されています。 (Ki)

BR KLASSIK
BR-900212(2CD)
NX-B09
ブルックナー:テ・デウム ハ長調
交響曲第8番(第2稿 ハース版)
バイエルンRSO
ベルナルト・ハイティンク(指)

録音:2010年11月10-12日 ミュンヘン、フィルハーモニー・イン・ガスタイク(ライヴ)…テ・デウム
1993年12月15-17日 ミュンヘン、ヘルクレス・ザール(ライヴ)…交響曲第8番
ベルナルト・ハイティンクがバイエルンRSOの定期演奏会にデビューした1958年から65年となる2023/24シーズンを記念して、バイエルン放送収 録の音源から2010年のブルックナー:テ・デウムと1993年の交響曲第8番が初CD化。緻密かつ壮大な第8番が特に聴きものです。 ハイティンクのブルックナー:テ・デウムの録音にはコンセルトヘボウ管(1966)とウィーン・フィル(1988)があり(共にPhilips/現Decca)、これが3種目。ブルッ クナーを得意とする指揮者でも必ずしもこの作品を録音するわけではないので、ハイティンクがこの曲に寄せる格別な思いがうかがわれます。ここでも、作品 の壮大さと神秘的な美しさを遺憾なく表現した演奏を展開しています。 しかし、その後に収められた交響曲第8番は、その上をいく聴きもの。ハイティンクの同曲録音には6種があります。コンセルトヘボウ管との1969年盤は速め のテンポを基本としつつも緩急強弱を細かく操作し、後年のハイティンクを知る人が驚くようなアッチェレランドをかけるなどドラマティックな面を強調した演奏で すが、同じオケを振った1981年盤では慌てず騒がずの正攻法による堂々とした演奏が展開され、解釈が完成の域に入ったことが感じられます。そのスタイル はその後の演奏にも一貫し、1995年のウィーン・フィル盤はレコード・アカデミー賞に輝きました。このバイエルン盤の演奏も基本的に変わりませんが、他の演 奏に比べるとわずかながらテンポを落とし、すべての楽想を噛みしめて緻密に抉り出そうとするかのような緻密さを大きなスケール感の中で実現した演奏に なっています。 バイエルン放送響は創設指揮者ヨッフム以来のブルックナー演奏の伝統を誇っていますが、この演奏が行われた1993年12月当時、本拠地ミュンヘンでは チェリビダッケとミュンヘン・フィルの特異なブルックナー演奏が大評判となって世界中からファンが詰めかけるような事態になっており、バイエルン放送響もその評 判は意識せざるをえなかったはず。そのような状況下、同響の首席指揮者がコリン・デイヴィスからロリン・マゼールに代わった直後のコンサートでブルックナーの 第8番の指揮を託されたのが、当時すでに35年の共演歴を持っていたハイティンクでした。チェリ&ミュンヘンへの対抗心があったのは指揮者ではなくオーケス トラの方と思われますが、ここではハイティンクの解釈を通して曲の立派さを隅々まで音にしようとする執念のようなものさえ感じられます。結果としてハイティン クの同曲録音の中で最長の演奏時間となりました。ハイティンクの録音では特に第4楽章でティンパニの強打が目立つことがありますが、ここでは他の録音に 比べれば控えめでオーケストラ全体に調和したバランスとなっているのも解釈に沿ったものと感じられます。ブルックナー・ファンにとってもハイティンク・ファンにとっ ても聴き逃せない演奏の登場と言えるでしょう。 両曲とも演奏後の拍手はカットされています。

CPO
CPO-555572(1CD)
NX-B10
ヒューゴ・カウン(1863-1932):交響的作品集
交響詩「ミネハハ」 Op.43-1
交響詩「ハイアワサ」 Op.43-2
交響曲第3番ホ短調 Op.96
ベルリンRSO
ジョナサン・シュトックハンマー(指)

録音:2022年5月31日-6月3日
ヒューゴ(フーゴ)・カウンは1863年、ベルリン生まれの作曲家。地元で音楽を学んだ後1886年にアメリカ大 陸に渡り、当時ドイツ系のコミュニティがあったミルウォーキーに居を構えました。この地で合唱指揮者、作曲 家として活動するとともに、音楽学校でも教鞭を執り、多くの後進を育てました。1900年初頭にはドイツに 帰国、ベルリンで教職に就きます。その後はベルリンに定住し1912年にはプロイセン芸術アカデミー会員に 任命されました。 このアルバムにはロングフェローが1855年に発表した叙事詩「ハイアワサの歌」から題材をとった2つの交響詩 が収録されています。「ミネハハ」はドヴォルザークの「新世界より」第3楽章のLargoのようにイングリッシュホル ンの旋律で始まりますが、すぐにワーグナー風の半音階的な旋律へと移っていきます。「ハイアワサ」は伝説的 な英雄をネイティヴ・アメリカンの旋律を用いて描いています。交響曲第3番は1913年に作品。1914年に 初演された後人気を博し、プフィッツナーやフルトヴェングラーもこの曲を演奏したとされています。

GENUIN
GEN-23848(1CD)
ベートーヴェン:「献堂式」序曲
チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調 Op.64
アンドレス・ロイカウフ(b.1972):南ヴェストファーレン=ファンファーレ(世界初録音)
南ヴェストファーレン・フィルハーモニー、
ナビル・シェハタ(指)

録音:2021年5月18日-20日、ベッツドルフ市立ホール(ドイツ)
1957年にジーガーラントOとして発足して以来、ドイツのヴェストファーレン州、ヒルヒェンバッハを拠点に活動するオーケストラ、南ヴェストファーレン・フィルハーモニー。かつて児玉宏も首席指揮者を務めたこのオーケストラは2020年3月に新たな本拠地となる「音楽の家」の建設を開始し、途中建設現場が大規模な水害に襲われるアクシデントがありながらも2023年に完成。それを記念して首席指揮者ナビル・シェハタとの新しいアルバムがリリースされます。ベートーヴェンが新築された劇場のこけら落としのために作曲したまさにこの機会にぴったりな「献堂式」序曲にチャイコフスキーの情熱的な交響曲第5番、そして1972年スイス生まれのドイツ人音楽家、アンドレス・ロイカウフによる快活な「南ヴェストファーレン=ファンファーレ」が初めて録音され、きわめて祝祭的なムードのアルバムに仕上がっています。
ナビル・シェハタは1980年、エジプト人の父とドイツ人の母の間にクウェートで生まれ、5歳でドイツへ移住。9歳からコントラバスを始めると2003年に難関ARDミュンヘン国際音楽コンクールで優勝し、翌2004年から2008年までベルリン・フィルの首席コントラバス奏者として活躍。様々な名門オーケストラやアンサンブルとともに日本を含む世界各地でツアーやマスタークラスを行ってきました。一方で指揮をクリスティアン・ティーレマン、ダニエル・バレンボイムらに学び、2007年にドイツで指揮者デビュー。日本のオーケストラの指揮台にも何度も登場しています。南ヴェストファーレン・フィルハーモニーには2019年、約200名もの候補の中から選ばれ首席指揮者に就任。新築された「音楽の家」と新しい道を歩み始めたオーケストラを牽引し、今後ますます飛躍してゆくことでしょう。

Onyx
ONYX-4232(1CD)

PONYX-4232(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価
ロベルト・シエッラ:交響曲第6番
シエッラ:交響曲第6番
弦楽オーケストラのためのシンフォニエッタアレグリア/ファンダンゴズ
オーケストラのための2つの小品
ドミンゴ・インドヤン(指)、
ロイヤル・リヴァプールPO

録音:2021年10月14日&16日(交響曲第6番、ライヴ)&2022年5月20日(アレグリア、2つのオーケストラのための小品、ファンダンゴズ)、リヴァプール・フィルハーモニー・ホール(イギリス)
2022年6月10日(弦楽オーケストラのためのシンフォニエッタ)、フライアリー(イギリス)
2006年から15年間、ロイヤル・リヴァプールPOの首席指揮者を務めたワシリー・ペトレンコに代わり、2021年9月から新たな首席奏者に就任したアルメニア系ベネズエラの若き注目指揮者、ドミンゴ・インドヤンの第2弾!
1953年プエルトリコ生まれの作曲家、ロベルト・シエッラによる交響曲第6番をメインとした作品集。ロベルト・シエッラは40年以上に渡り、グラミー賞にノミネートされ、これまでにラテン・グラミー賞を獲得しています。彼はミルウォーキーSO、フィラデルフィアO、プエルトリコSO、ニューメキシコSOのコンポーザー・イン・レジデンスを務めており、現代音楽の分野で目が離せないアーティストのひとりといってもよいでしょう。
このアルバムには彼の25年間に渡る創作活動の一部が収録されており、特徴的なオーケストレーション、プエルトリコ音楽を取り入れるなどロベルト・シエッラの魅力をたっぷりと収めたものになっています。活気にあふれ魅力的な旋律が美しいロベルト・シエッラの作品を、ベネズエラの音楽教育プログラム「エル・システマ」でヴァイオリンを学び頭角を現し、BBCプロムスでの指揮姿が話題となったドミンゴ・インドヤンの指揮でお楽しみください。

Urania Records
WS-121412(2CD)
ドヴォルザーク:交響曲集
(1)交響曲第7番ニ短調 Op.70
(2)交響曲第8番ト長調 Op.88
(3)交響曲第9番「新世界より」
(4)スケルツォ・カプリチオーソ Op.66
(5)伝説 Op.59より第4番、第6番、第7番
ジョン・バルビローリ(指)ハレO

(1)録音:1957年8月8日、マンチェスター
(2)録音:1957年6月、マンチェスター
(3)録音:1959年4月、マンチェスター
(4)録音:1958年9月、マンチェスター
(5)録音:1958年9月、マンチェスター
名演と名高いジョン・バルビローリとハレOのドヴォルザーク後期交響曲集をウラニア・レコーズから復刻。初期のステレオ録音で収録されたこの録音は、バルビローリらしい闊達な演奏で定評があります。特に第9番「新世界より」はバルビローリの情熱的な演奏が活かされており、現在でも名演の一つとして数えられています。また第8番では抒情的な美しい演奏を展開しており、理想的なドヴォルザークの演奏の一つと言えるでしょう。歴史的録音の復刻に定評のあるウラニア・レコーズの音質にぜひご期待ください。

Signum Classics
SIGCD-759(1CD)
疾風怒濤 Vol.3
モーツァルト:アダージョとフーガ ハ短調 K.546
シュヴァイツァー:歌劇「アルチェステ」より「Er ist gekommen… Zwischen Angst und zwischen Hoffen」
コジェルフ:交響曲 ト短調
パイジェッロ:歌劇「トリノのハンニバル」より「Misera, ch’ei peri!... Smarrita, tremante」
ハイドン:交響曲第44番 ホ短調「悲しみ」
モーツァルティスツ、
イアン・ペイジ(指)、
エミリー・ポゴレルツ(S)

録音:2023年1月、セント・ジョンズ・スミス・スクエア(イギリス、ロンドン)
クラシカル・オペラを指揮したモーツァルトの初期作品録音で名を馳せたモーツァルトのスペシャリスト、イアン・ペイジが2017年に新たに結成したアンサンブル「モーツァルティスツ」による、大型プロジェクト「疾風怒濤(シュトゥルム・ウント・ドラング)」の第3巻!
1760年代から1780年代に芸術界を席巻した疾風怒濤運動を探求する全7巻に及ぶシリーズで、第1巻(SIGCD-619)と第2巻(SIGCD-636)はどちらも英グラモフォン誌の「エディターズ・チョイス」に選ばれています。本作はシリーズ初のモーツァルト作品で幕を開け、ハイドンの疾風怒涛交響曲の名作である交響曲第44番「悲しみ」で締めくくられます。間にはシュヴァイツァー、パイジェッロらの激しいオペラ・アリアとコジェルフの傑作であるト短調交響曲が収録されています。

ALTO
ALC-1491(1CD)
バーナード・ハーマン:交響曲第1番
交響曲第1番*
Concerto Macabre(Pと管弦楽の為の)
堕落者のために/組曲「The Devil and Daniel Webster」
ジェームズ・セダレス(指)、
フェニックスSO*
、ニュージーランドSO

録音:1992年-1995年
アメリカの作曲家であり指揮者であったバーナード・ハーマンの「交響曲第1番」。ハーマンは映画音楽の作曲家として著名でヒッチコックの作品や、「市民ケーン」などの作曲家として知られています。ジュリアード音楽院電ナビ指揮者として活動したほか、純音楽の分野ではウォルトンなどの影響がみられます。ニュージーランドで指揮者として活躍するジェームズ・セダレスが、手兵の二つのオーケストラで奏でます。
ALTO
ALC-1494(1CD)
グレツキ:交響曲第3番「悲歌のシンフォニー」
古風な3つの小品/すべてあなたのもの
ヴウォジミエシュ・カミルスキ(指)
ベルリンRSO、
ステファニア・ヴォイトヴィチ(S)、他

録音:1982年&1996年
ポーランドを代表する作曲家、ヘンリク・グレツキの代表曲のひとつ「交響曲第3番「悲歌のシンフォニー」」。この作品は1977年4月に初演されましたが、その際ソロ・ソプラノを務めたのがステファニア・ヴォイトヴィチです。ポーランドを代表するソプラノ歌手の最高の歌声で、ポーランド音楽の近現代を代表する作品をお楽しみいただけます。

LSO Live
LSO-0887(1SACD)
ブルックナー:交響曲第7番ホ長調 WAB107 (Version1881?83; Cohrs A07)
〔ベンヤミン=グンナー・コールス校訂版(2015年)による世界初録音〕
サイモン・ラトル(指)LSO

録音:2022年9月18日&12月1日、バービカン・ホール
黄金コンビのラトル&LSOによる、2022年録音のブルックナー第7番の登場。コールス版による世界初録音です。弦楽器のしたたるような美しさ、そして 世界が認める管楽器セクションの雄大な響きとブレンド具合、躍動するリズム、すべてが最高の形で結実した演奏の登場です。
ブルックナーが交響曲第7番の第1楽章を作曲し始めたのは、1881年9月、夏を過ごしたザンクト・フローリアンでのことでした。1883年の9月5日にフィナー レのスコアが完成。初演は1884年12月30日、ライプツィヒでアルトゥール・ニキシュ指揮によって、そして1885年3月10日にミュンヘンでヘルマン・レー ヴィ指揮によって初演され、大成功を収めました。この作品は、ワーグナーの寛大な後援者であるバイエルン王ルートヴィヒ2世に捧げられています。 この作品には、1881年12月8日に起こった、ウィーンのリング劇場(ブルックナーの居宅の真向かい)での火災(386人もの人々が亡くなった)や、ブ ルックナーが臨席した「パルジファル」の世界初演(1882年7月30日)、ワーグナーの死(1883年2月13日)などが大きく影響しているとされていま す。第1楽章のコラール風の旋律はパルジファルの「救済」というテーマを、第2楽章は火災の犠牲者への追悼(ワーグナー追悼ともいわれます)、第3楽 章のスケルツォの弦楽器の動きは舐め上げる炎のよう、といわれることもあります。 この作品が誕生するまでには、ブルックナーとその弟子や同僚でもあったフランツ・シャルクとヨゼフ・シャルク、フェルディナント・レーヴェらの助言や彼らと の議論に基づき、数多くの変形や変更が行われました。そのうちのいくつかは自筆譜に見られ、また初版に初めて現れるものもあります。
このコールス版は、ブルッ クナー自身が演奏で何度も耳にした「初版」を中心資料として、ブルックナーの手稿譜などに基づいて構成されています。ラトルは、これまでにコールス版に基 づくブルックナーは第6番(LSO0842/KKC6175)、第4番(LSO 0875/KKC6557)と2作発表しておりいずれも世界中の注目を集めてきて います(第8番(LSO3042/ KKC9333)はハース版に基づく映像)。このたびの第7番でも、ラトルがどのようにブルックナーの姿に寄り添いながら音 楽を彫りあげているか、注目です。 (Ki)

オクタヴィア
OVCL-00823(1SACD)
税込定価
2023年9月27日発売
ショスタコーヴィチ:交響曲第4番 ハ短調 作品43 ジョナサン・ノット(指)東京SO

録音:2022年10月16日ミューザ川崎シンフォニーホール・ライヴ
ジョナサン・ノットと東京交響楽団、ファンを虜にして止まない 唯一無二の相思相愛から奏でられる圧倒的音楽。その名コンビに よるショスタコーヴィチ・シリーズ第3弾となる、待望の交響曲第 4番です。 ショスタコーヴィチの全交響曲の中でも、最大編成を要し難解な 楽曲を、両者は綿密に読み解き、冴え漲るタクトに応える圧巻の パフォーマンスはもちろんのこと、ライヴならではの気迫と臨場 感、鮮麗なオーケストラサウンドが響き渡ります。 最高峰の名演をお楽しみください。(オクタヴィア)

オクタヴィア
OVCL-00827(1SACD)
税込定価
2023年9月27日発売
チャイコフスキー:交響曲第5番 ホ短調 作品64 小林研一郎(指)
コバケンとその仲間たちオーケストラ

録音:2023年6月25日 東京・サントリーホール・ライヴ
「コバケンとその仲間たちオーケストラ」は、2005年のスペ シャルオリンピックスの公式文化事業の企画を機に設立され たオーケストラで、プロ・アマチュア・学生・障がいの有無 に関わらず、活動趣旨に賛同する奏者が集まり演奏していま す。 当盤は2023年6月に開催された演奏会のライヴ録音です。炎の コバケンのタクトに、深い信頼関係を築くオーケストラのサ ウンドが呼応する白熱の演奏がサントリーホールに響きわた ります。(オクタヴィア)

H.M.F
HMM-902703(1CD)
モーツァルト:交響曲第36番「リンツ」
交響曲第38番「プラハ」
アンサンブル・レゾナンツ、
リッカルド・ミナージ(指)

録音:2021年9月オトマールシェン・キリスト教会(ハンブルク)
苛烈なまでの表現力と推進力で聴き手を興奮の渦に巻き込んだリッカルド・ミナージ&アンサンブル・レゾナンツによる「モーツァルト:三大交響曲集」 (HMM-902629/ KKC-6161)から3年。その続編となる録音がついにリリースされます!今作では、後期三大交響曲の前に連なる交響曲第36番「リンツ」 と第38番「プラハ」を取り上げています。
交響曲第36番「リンツ」は、1783年10月から11月にかけてオーストリアの都市リンツに滞在していたモーツァルトが、予約演奏会のためにわずか4 日という短期間で書き上げたというエピソードで知られる作品。短期間で書き上げたとは思えない充実した内容で、の天才モーツァルトの速筆ぶりを示す交響曲 として取り上げられる機会も多い交響曲です。モーツァルトの交響曲ではじめて冒頭に緩やかな序奏が配置され、その後の輝かしく生き生きとした主題を盛り上 げています。
交響曲第38番「プラハ」は、1786年のプラハでの「フィガロの結婚」上演の大成功した翌年、招待を受け初めてプラハを訪れたモーツァルトが当地で 初演した交響曲です。メヌエット楽章を欠く、3楽章形式である理由は判明していませんが、当時大流行した「フィガロの結婚」の旋律を散りばめた構成は、プ ラハの聴衆たちを大いに喜ばせました。大成功を収めたコンサートの後、モーツァルトは「人生において最も幸せな日」と語ったと伝えられています。
リッカルド・ミナージは、自身が優れたバロック・ヴァイオリン奏者であり、ムジカ・アンティクァ・ローマやイル・ポモ・ドーロといったピリオド楽器アンサ ンブルでは自らヴァイオリンを取って指揮することが多かったのですが、2017年、ハンブルクを拠点とし自主的な活動を行う室内オーケストラ、アンサンブル・ レゾナンツのアーティスト・イン・レジデンスに就任して以降、このアンサンブルとの共演ではほぼ指揮に徹しているようです(現在では首席客演指揮者に就任 しています)。全世界から先鋭的なアーティストが集まると呼ばれる芸術の街ハンブルクにおいて、1994年に創設され、モダン楽器を用いながらさまざまな時 代の演奏スタイルを柔軟に取り入れ、古典から前衛的作品までを弾きこなし、最も独創的と評されるまでになったアンサンブル・レゾナンツは、リッカルド・ミナー ジの指揮の下、より先鋭性を増し、世界の音楽シーンで圧倒的な存在感を持つようになりました。学究性と感性が融合するミナージの独創的な解釈を見事に音 にする高度な技巧と表現力を有しています。
後期三大交響曲の演奏も、嵐のようなすさまじさが大きな話題となりましたが、続編となるこのアルバムでも、そのすさまじさは健在で、より凄みを増してい るような印象さえ受けます。アルバムの冒頭、「リンツ」の序奏と第1主題から、エネルギー全開の圧倒的な演奏が繰り広げられます。張り詰めた空気を持つ緩 徐楽章の濃密さも聴きものです。弦楽器の鋭い刻みや、金管楽器の強奏、ティンパニの強烈な打撃が、すさまじい音の渦と化しています。この有名な2つの交 響曲を初めて聴くかのようにハッとさせられる瞬間が連続して訪れる、かなり攻めた解釈ですが、ぎりぎりのところでバランスを保ち、曲の構造を保つミナージ の手腕は驚異的で、ミナージの解釈を見事に音にするアンサンブル・レゾナンツの高度な技術も脱帽ものです。リッカルド・ミナージとアンサンブル・レゾナン ツの圧巻の演奏がもたらす衝撃的なモーツァルト体験をお聴き逃しなく! (Ki)
H.M.F
HAF-8932276(1CD)
王妃のハープ〜マリー・アントワネットの宮廷の音楽
ジャン=バティスト・クルムフォルツ(1747-1790):ハープ協奏曲 第5番op.7変ロ長調(1778)
ハイドン:交響曲第85番「王妃」Hob.I:85(1785)
ヨハン・ダヴィド・ヘルマン(1760?-1846):ハープとオーケストラの為の協奏曲第1番 op.9ヘ長調(1785-1789)
グルック:「精霊の踊り」〜オルフェオとエウリディーチェより(編):メストレ)
グザヴィエ・ドゥ・メストレ(Hp)
ウィリアム・クリスティ(指)、
レザール・フロリサン

録音:2016年6月27,28日、ヴェルサイユ宮殿王立歌劇場(ライヴ)
クリスティ率いるレザール・フロリサンが、ハープのメストレをゲストに迎えた1枚が再登場します。タイトルに「王妃のハープ」とあるように、マリー・アントワネッ ト (1755-1793)と、彼女が愛した楽器、ハープの楽曲をおさめた内容です。2016年6月に行われた演奏会のライヴ録音。1曲目の作曲家クルムフォル ツは、ボヘミア出身の作曲家でありハープ奏者。楽器製作者とともに、ハープの改造や奏法に取り組み、それまでになかったハープの為の作品を残しています。 クルムフォルツが対位法を師事したのが、作曲家ハイドン。マリー・アントワネットが気に入っていたとされる交響曲第85番を収録しています。クリスティによ るシンフォニーの録音ということで、注目のプログラムといえましょう。荘重なアダージョを経て軽快なヴィヴァーチェとなる第1楽章から、楽器間のアンサンブ ルも十分にたのしめる演奏。終楽章の最後まで、快活さと典雅さを感じさせる演奏です。ドイツ人のヨハン・ダヴィド・ヘルマンは、アントワネットのピアノ教師 で、作曲家。自身はハープ奏者ではありませんでしたが、3つのピアノ・ソナタ、3つのピアノ協奏曲のほか、3つのハープ協奏曲をのこしています。このハー プ協奏曲はすべてルイ14世の妹(ハープ奏者)、つまりアントワネットの義妹にささげられています。今日ハープ奏者にも知られざる存在の作品ですが、モーツァ ルトのフルートとハープの為の協奏曲と同様、ハープ奏者ではない作曲家によるハープ作品、ということでも重要な作品です。演奏会でアンコールとして演奏 されたグルックの「精霊の踊り」は、メストレ自身の編曲によるハープ独奏版。メストレの歌心に胸を打たれるトラックです。 (Ki)

RCO Live
RCO-23001(9CD)
ブルックナー:交響曲全集
(1)交響曲第1番ハ短調 WAB101(187年リンツ稿、ハース校訂1935年出版)※
(2)交響曲第2番ハ短調,WAB102(1872/1877年稿、ハース校訂1938年出版)※
(3)交響曲第3番ニ短調 WAB103(1889年稿、ノーヴァク校訂1959年出版)
(4)交響曲第4番変ホ長調『ロマンティック』(1880年第2稿、ハース校訂1936年出版)※
(5)交響曲第5番変ロ長調WAB105(1878年稿、ノーヴァク校訂1951年出版)
(6)交響曲第6番イ長調 WAB106(1881年稿、ノーヴァク校訂1952年出版)
(7)交響曲第7番ホ長調 WAB107(1885年稿、ノーヴァク校訂1954年出版)※
(8)交響曲第8番ハ短調,WAB108(1890年稿、ノーヴァク校訂1955年出版)
(9)交響曲第9番ニ短調 WAB109(1894年原典版、ノーヴァク校訂1951年出版)※
ロイヤル・コンセルトヘボウO
録音場所:すべてアムステルダム・コンセルトヘボウ

(1)ベルナルド・ハイティンク(指)
録音:1972年2月10日(NOS)
(2)リッカルド・シャイー(指)
録音:1990年4月29日(NSO & RNW)
(3クルト・ザンデルリング(指)
録音:1996年11月8日(NOS)
(4)クラウス・テンシュテット(指)
録音:1982年10月28日(NOS)
(5)オイゲン・ヨッフム(指)
録音:1986年12月4日(NOS)
(6)マリス・ヤンソンス(指)
録音:2012年3月7-9日(AVRO)
(7)ベルナルド・ハイティンク(指)
録音:2006年4月2日(AVRO)
(8)ズービン・メータ(指)
録音:2005年12月2日(AVRO)
(9)リッカルド・シャイー(指)
録音:1996年6月6日(AVRO & RNW)
※初出
ロイヤル・コンセルトヘボウOは、2024年9月4日のブルックナー生誕200年に向け、9人の指揮者(イヴァン・フィッシャー、チョン・ミョンフン、クラ ウス・マケラ、クリスティアン・ティーレマン、アンドリュー・マンゼ、ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン、ウラディーミル・ユロフスキ、シモーネ・ヤング、リッカルド・シャ イー)によるブルックナー・チクルスを1年半かけて行い、その記念すべき日をお祝いします。
このボックス・セットは、ブルックナー全曲演奏会に先駆けて、ブルックナー生誕200年を祝うもの。長い歳月を経てブルックナー演奏の伝統を培ってきたオー ケストラの1970年代以降の輝かしい名演を集めた貴重なセットとなります。今回は、オランダ放送協会(NOS),総合ラジオ放送協会(AVRO),ラジオ・ネー デルランド(RNW)の音源から多数の初出音源を含んでおり、見逃せない内容となっています。初出音源は、交響曲第1番 /ベルナルド・ハイティンク(録音:1972年2月10日)、交響曲第2番/リッカルド・シャイー(録音:1990年4月29日)、交響曲第4番/クラウス・テンシュテット(録音:1982年10月28 日)、交響曲第5番、交響曲第7番/ベルナルド・ハイティンク(録音:2006年4月2日)、交響曲第9番/リッカルド・シャイー(録音:1996年6月6日)の5曲。 コンセルトヘボウ管は、ベイヌム、ヨッフム、ハイティンクといった指揮者のもと、また数多くの客演指揮者たちによって、一世紀にわたる豊かで壮大なブルックナー 演奏の伝統を確立してきました。当ボックスに収められた過去50年間の録音はその歴史と伝統を証明するものといえるでしょう。 (Ki)

ACCENT
ACC-24394(1CD)
アーベル(1723-1787):後期交響曲集
交響曲 ハ長調 WKO37*
交響曲 変ロ長調 WKO38*
協奏交響曲 ニ長調 WKO43(独奏:ヴァイオリン、オーボエ、チェロ)
交響曲 変ホ長調 WKO39*
交響曲 ニ長調 WKO41*
マルティン・ヨップ(Vn 、指 )
マイン・バロックオーケストラ

録音:2022年10月1-4日ドイツ、イトシュタイン、ユニオン教会
*世界初録音
アーベル生誕300年を記念して、世界初録音となる4曲の交響曲を紹介します。バロックから古典派へと移る時代を生きたアーベルは、 だんだんと過去の楽器となっていったヴィオラ・ダ・ガンバの最後の巨匠であり、またJ.C.バッハとともに市民向けの近代的な定期演奏会「バッハ・アーベル・コ ンサート」を開いた人物としても名を知られています。交響曲は46曲残されており、当盤には後期の作品を収録。どれも急緩急の3楽章で1曲15分程度の小粒 な作品ですが機知と愉悦に富んだ魅力的な音楽ばかりで、ハイドンと通じあう世界を持っています。独奏者が美しい歌の掛けあいを聴かせる協奏交響曲も耳に楽 しい名品。
マイン・バロックオーケストラはコンサートマスター兼指揮者のマルティン・ヨップのもと、25年以上に渡り17-18世紀の音楽を演奏し、国際的な評価を得て いるオーケストラ。今回の録音には、ハイデルベルクSOをはじめヨーロッパを中心に活躍するヴィオラ奏者、矢崎裕一氏も参加しています。 (Ki)

Chandos
CHAN-20165(1CD)

XCHAN-20165(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価
ミェチスワフ・ヴァインベルク(1919-1996):夜明け Op.60(世界初録音)
交響曲第12番Op.114「ショスタコーヴィチの思い出に」
ヨン・ストゥールゴールズ(指)、
BBCフィルハーモニック

録音:2022年9月15日&11月24日-25日(第12番)、メディア・シティUK(サルフォード)
ショスタコーヴィチの交響曲録音で快進撃を続けるヨン・ストゥールゴールズ&BBCフィルの新録音は、ショスタコーヴィチに捧げられたヴァインベルクの交響曲第12番!
近年再評価が著しいミェチスワフ・ヴァインベルク(1919-1996)の「交響曲第12番」は、ヴァインベルクと深い交流の合ったドミートリイ・ショスタコーヴィチに捧げられています。当初コンドラシンの指揮によって初演される予定だったこの作品ですが、コンドラシンにより大幅な省略と改訂されたことにヴァインベルクが怒り、中止となりました。最終的にマキシム・ショスタコーヴィチの指揮で1979年に初演されることとなりました。
1917年の10月革命の記念日以降5年ごとに大規模なイベントが開かれ、一流のアーティストが貢献することが通例となっていました。このアルバムに収められている「夜明け Op.60」は40周年の記念に作曲されたと考えられていますが、ヴァインベルク生前には演奏された記録は残っておらず、録音としてはこのアルバムが世界初録音となります。
ヨン・ストゥールゴールズ(ヨーン・ストルゴーズ)は、BBCフィルハーモニックと、オタワのナショナル・アーツ・センターOの首席客演指揮者を務めており、指揮者の他ヴァイオリニストとしても活躍しています。またラップランド室内Oの芸術監督としても長年の間、高い評価を得ています。2014年〜2015年に発売された「シベリウス:交響曲全集(CHAN-10809)」と「ニールセン:交響曲全集(CHAN-10859)」、2つの「生誕150周年記念盤」の世界的ヒットによって一躍脚光を浴び、その後ジョージ・アンタイルの管弦楽作品集でその秀でた実力を見せつけてくれました。直近ではショスタコーヴィチの優れた録音を続けて生み出し、第1弾(CHSA5278)はレコード芸術特選盤&優秀録音、第2弾はレコード芸術準特選盤&優秀録音に選ばれ、6月にリリースされた第3弾(CHSA5310)は「モーストリー・クラシック」、「音楽の友」等にも好レビューが掲載されました。
また近年では2023年1月に東京都SOとの来日公演を行い好評を博しています。


Epitagraph
EPITA-042(1CD)
(UHQCD)
限定発売
世界初!アセテート盤から復刻!
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」
グレ・ブロウエンスタイン(S)、イーラ・マラニウク (A)、ヴォルフガンク・ヴィントガッセン (T)、ルートヴィヒ・ウェーバー(Bs)
バイロイト祝祭O&cho
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)

録音:1954年8月9日、バイロイト祝祭劇場(ライヴ)
フルトヴェングラーの第九といえば、1951年のバイロイト音楽祭再開記念公演でのものがあまりにも有名ですが、3年後の54年の夏にも巨匠はバイロイトで ベートーヴェンの第9交響曲を指揮していました。「ルツェルンの第九」(54年8月22日ルツェルン音楽祭公演)の半月前、亡くなる3か月前のことです。 吉田秀和からも絶賛された至宝の第九ですが、オリジナルの放送テープ(演奏会のラジオ放送用録音)はすでに消失されているようで、音質劣悪の海外盤、プライ ヴェートCDが90年代に出回った後、2012年にORFEOが遺されていた「状態の良くない」テープを最新のデジタル修復技術で復刻してCDを発売、大きな評 判を集めたのはまだ記憶に新しいところです。 今回、エピタグラフが本録音のアセテート盤からの復刻音源を入手!!キング関口台スタジオで丁寧かつ入念なマスタリングを施してCD化。盤復刻にともなうスク ラッチ・ノイズこそありますが、高域を損なわないように過度なノイズ・リダクションはしていません。ORFEO盤より一枚ヴェールを剥がしたような生々しさがあ ります。従来に勝る鮮明(高域の伸び!)、良好音質のCDを“高音質CDの決定版”UHQCDにして発売。すべてのフルトヴェングラー・ファン必聴必携の名盤誕生!
■今回の音源=アセテート盤について
今回の音源はエピタグラフがアメリカの知人を経由して入手したアセテート盤からの復刻テープをデジタル・トランスファーしたもの。経年変化で磁気劣化が避けら れないアナログテープに比べ、記録保存用に当時最適であったアセテート盤が50年代後半にアメリカで作られ、この知人は個人的に保有していたとのこと。 51年のバイロイト、54年のルツェルンのときと違い、EMIの録音スタッフはこの日の収録には関与しておりません。録音状態は万全ではなく、アセテート盤の復刻 やアナログテープへのコピーに伴うスクラッチ・ノイズやテープヒス、さらにはオリジナル・テープ収録の際にテープデッキの不具合で生じたと思われるワウ・フラッ ター(微妙なテンポの揺れ)も数か所に散見されますが、スクラッチ・ノイズの軽減化と第1楽章のピッチ修正以外はあえて手を加えておりません。ORFEO盤の ライナーノーツによると使用した素材テープには「強烈な雑音やそれに被さっている変調雑音、目立つハム音、歪み、バリバリ音、短い音飛び」があったようですが、 そこまでの不良箇所は認められませんでした。なお、このCDにはORFEO盤には含まれていない終了後の拍手の音(一瞬)も収録しています。
フルトヴェングラー最後の咆哮ともいうべき54年バイロイトの第九 最晩年にもかかわらず、熱気と覇気を充分にみなぎらせ、最後まで緊張感を持って、圧倒的な迫力で壮絶なクライマックスに導いています。随所に見せるティンパ ニの強烈連打、終結部における急激なテンポ変動、火のように燃える激しさ、燃焼度は51年盤(リハーサルでなく本番での演奏)をも凌ぎ、枯淡の境地を見せて いる「ルツェルンの第九」にはないところです。 (Ki)

Pentatone
PTC-5187059(1CD)
モーツァルト:交響曲第35番「ハフナー」
.歌劇『後宮からの誘拐』K.384(作曲者自身によるハルモニームジーク版)より「序曲」
オーボエ協奏曲 ハ長調 K.271k/K.314*
交響曲第31番ニ長調 K.297/300a「パリ」
交響曲第31番より第2楽章「アンダンテ」の初稿版
クセニア・レフラー(Ob)*
ベルリン古楽アカデミー
ベルンハルト・フォルク(コンサートマスター)

録音:2022年9月27〜29日アルト=ブリッツ、クルトゥーアシュタール(ベルリン)
ベルリン古楽アカデミー(Akamus)が、PENTATONEレーベルでモーツァルトの交響曲録音をスタート!第1弾となるこのアルバムでは、20代のモーツァルト が作曲した交響曲第31番「パリ」と第35番「ハフナー」が選ばれています。
1778年、モーツァルトが22歳の時にパリで依頼され、完成させた交響曲第31番は、その地名を取って「パリ」の愛称で知られています。私的な場での初演 の後、パリの公開演奏会であるル・コンセール・スピリチュエルで演奏され、その後何度も演奏されている成功作でした。当時の最大規模のオーケストラの編成(弦 楽器群に加え、フルート、オーボエ、クラリネット、バスーン、ホルン、トランペットが各2、ティンパニ)で、モーツァルトがはじめてクラリネットを導入した交響曲となっ ています。ル・コンセール・スピリチュエルでの2回目の演奏会の際に、第2楽章が変更されたので、第2楽章には2種類の稿が残存しています。どちらの稿が最 初に作られたかには異論があるようですが、この2種類の稿はかなり印象の異なるため、この録音では、一般的に演奏される稿を第2楽章に配置し、異なる稿は「初 稿」としてアルバムの最後に収録しています。聴き比べができるうれしい内容です。
1782年に完成した交響曲第35番は、ザルツブルクの名家の息子で、モーツァルトの友人でもあったジークムント・ハフナー二世およびハフナー家のために作 曲されたセレナードを基としていることから、その姓を取って「ハフナー」と呼ばれています。2オクターヴの跳躍から始まる印象的な冒頭のテーマを持つ交響曲で、 「パリ」と同じく大規模な編成を取っています。
このアルバムには、20代のモーツァルトの作品を代表するこの2曲の交響曲に加え、やはり同時期に作曲されたオーボエ協奏曲と「後宮からの誘拐」の序曲が 収録されています。オーボエ協奏曲は、ザルツブルクの宮廷楽団に仕えていたイタリアのベルガモ出身のオーボエ奏者ジュゼッペ・フェレンディスのために1777 年の夏に作曲されたとされています。「後宮からの誘拐」は1782年に完成した3幕のドイツ語による歌劇で、1778年7月にウィーンのブルク劇場で初演されま した。当時のエキゾティックな「トルコ趣味」が特徴的な歌劇となっています。既存の作品をトルコ軍楽隊の影響を受けた管楽合奏(ハルモニームジーク)用に編曲 して演奏することが当時流行していましたが、ここではモーツァルト自身による管楽器合奏編曲版の「序曲」が収録されています。交響曲第35番「ハフナー」の終 楽章のテーマは「後宮からの誘拐」から取られており、それを示すようにアルバムでは「ハフナー」のすぐ後に「後宮からの誘拐」のハルモニームジーク版「序曲」 が配置されているのです。こうしたアルバム構成の妙もさすがベルリン古楽アカデミーのアルバムと言えるでしょう。
2022年に結成40周年を迎えたピリオド楽器オーケストラの老舗であるベルリン古楽アカデミー。現在までピリオド楽器演奏のトップランナーであり続け、先鋭 的な演奏で常に注目を集める録音をリリースしています。このモーツァルトでは、弦楽器6-5-4-3-2の編成で臨んでいます。ベルリン古楽アカデミーの演奏は豪 放にして繊細。圧倒的なトゥッティ、細やかに色彩が変化する緩徐楽章のハーモニーなど、相反する特徴が自然に共存するすばらしい演奏です。オーボエ協奏曲で は、同団の首席オーボエ奏者である、ピリオド・オーボエの第一人者クセニア・レフラーが担当し、美しい音色と圧巻のテクニックを聴かせてくれます。ハルモニーム ジーク版の「後宮からの誘拐」序曲における管楽器奏者たちの妙技ぶりも聴きものです。シリーズの続編に、期待が高まるベルリン古楽アカデミーのモーツァルト の交響曲シリーズ第1弾です。 (Ki)

Chateau de Versailles Spectacles
CVS-094(1CD)
ハイドン:交響曲「朝」「昼」「晩」
ハイドン:交響曲第6番ニ長調 「朝」Hob.I:6
 交響曲第7番ハ長調 「昼」Hob.I:7
グルック:精霊の踊り(歌劇「オルフェとユリディス」〔「オルフェオとエウリディーチェ」パリ版〕より)
ハイドン:交響曲第8番ト長調 「晩」Hob.I:8
ヴェルサイユ王室歌劇場O(古楽器使用)
ステファン・プレフニャク(指)

録音:2022年6月1-6日ヴェルサイユ宮殿「十字軍の大広間」
後に「交響曲の父」と綽名されることになるハイドンが若い頃、長く仕えることとなったエステルハージ侯爵家に来て間もなく宮廷催事のために 書いた3連作の交響曲「朝・昼・晩」。さまざまな楽器のソロを含む聴きどころ満載の物語性豊かなこの傑作は、同じオーストリアの音楽史を 舞台音楽の領域で大いに盛り上げたグルックの改革歌劇第1作「オルフェオとエウリディーチェ」とほぼ同時期に生まれました。フランス南西部 ビアリッツに拠点を置くバレエ・カンパニー「マランダン・バレエ・ビアリッツ」を率いるティエリー・マランダンは、後年フランス王室に迎えられフランス 王妃となった元オーストリア公女のマリー=アントワネットを描いた新作バレエのため、この3連作交響曲とグルックの歌劇からの抜粋を音楽と して選択。刺激に満ちたステージを彩った選曲をそのまま、ほかでもないアントワネット妃の本拠にもなったヴェルサイユ宮殿を舞台に古楽器 演奏で録音したアルバムの登場です。エステルハージ侯爵邸での交響曲演奏では使われなかったとも言われるチェンバロも、ここでは当時の 一般的な演奏習慣に倣って導入。その響きも絶妙な効果をあげる中、近年カウンターテナー歌手ヤクプ・ヨゼフ・オルリンスキとの共演でも注 目されているポーランドの気鋭古楽指揮者ステファン・プレフニャクが全編にわたりメリハリの利いたスリリングな演奏解釈を聴かせ、ハイドンとグ ルックの綴った作品の造形美を隅々まで堪能させてくれます。バレエとは別に音楽だけで鑑賞する甲斐のある充実録音です。

Orchid Classics
ORC-100257(1CD)
NX-B03
シューマン41/51
シューマン:交響曲第4番ニ短調
(1)初稿(1841)
(2)改訂版 Op.120(1851)
ブカレストSO
ジョン・アクセルロッド(指)

録音:2023年3月18-21日
シューマンの交響曲第4番は1841年の初稿と1851年の改訂版、2つのヴァージョンの存在が知られて います。クララと結婚した1841年に書かれたニ短調交響曲(初稿)は、シューマン自身は作品に自信を 持っていたものの、初演時に成功を収めることがなく、出版は見送られてしまいました。10年後の1851 年、シューマンはオーケストレーションなどの変更を行い、また楽章も切れ目なく続けて演奏されるように 改訂。1853年にシューマン自身の指揮で初演され、翌年出版。一方初稿は、シューマンの死後ブ ラームスが編集を行い、クララの反対意見を受けながらも楽譜を1891年に出版しました。現在ではもっ ぱら1851年の改訂版が演奏されますが、このアルバムでは2つのヴァージョンを演奏。シューマン自身の 言葉によると「野生的なフロレスタン(初稿)と穏やかなオイゼビウス(改訂版)」ほどに違うという各々の作 品を、2022年からブカレストSOの首席指揮者を務めるジョン・アクセルロッドが掘り下げます。

Altus
ALT-531(1CD)
ブルックナー:交響曲第7番 ホ長調 WAB.107(ノヴァーク版) ロー ター・ツァグロゼク(指)
読売日本SO

ライヴ録音:2019年2月22日/サントリーホール
ツァグロゼクと読響、2019年のライヴ録音。自らの信念、揺るぎない美学に基づく、磨きぬいたサウンドで奏でられるブルックナー7番です。美しくも壮大な交 響曲を緊張感を失わずに芯の通った音楽として巧みに築き上げる見事な手腕に脱帽。オーケストラと指揮者の一体感がすばらしく、後半楽章の充実ぶりにも目を 瞠る渾身の名演です。
ブックレットには、2023年7月に行われた電話インタビュー〈ローター・ツァグロゼクが語るブルックナー《交響曲第7番》〉(インタヴュー・翻訳・構成:来住 千保美)を掲載。「読響とブルックナー演奏をしたいと思った決め手は、読響の演奏スタイルを作る能力と響きの構築力の高さ」「《第7番》の仕事の質的内容、つ まり作曲技法、意味付けとそのバランスは交響曲というジャンルの中で、記念碑的なものだと思います」等々、貴重なコメントの端々から音楽に対する真摯なまな ざしが感じられます。 (Ki)
Altus
ALT-532(1CD)
モーツァルト:歌劇『フィガロの結婚』 序曲
ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 Op.68
坂入健司郎 (指)
読売日本SO

ライヴ録音:2022年4月29日読響創立60周年記念・甲府特別演奏会 YCC県民文化ホール(山梨県立県民文化ホール)
2022年に行われた「読響創立60周年記念 甲府特別演奏会」のライヴ録音です。指揮はこれが読響との初共演となった坂入健司郎。王道の管弦楽レパートリー をとりあげ正面からじっくりと組み立てていった演奏で、オーケストラと指揮者双方の長所が見事に混じりあっています。精緻なバランスを維持しながらも音楽が 大きくふくらんで発展していくブラームスは充実の聴き応え。
「じつに流れがいいブラームスだった。第1楽章の序奏は、淀みないテンポにより主部との連結もスムースだ(序奏の動機が発展して主題旋律を作り出すという 道筋の強調)。そして、歌謡的な旋律ではオーケストラに気持ちよく歌わせ、ハーモニーも立体的にふくらます。第2楽章でも、よく旋律を歌わせているのがわかる。 第3楽章は、慎重なバランス作りの結晶だ。スケルツォ部後半のリズムの踊らせ方もいい。終楽章も、沸騰することなく、冷静に組み立てていく。その先にあかあか と浮かび上がる巨大なコーダ。」(鈴木淳史/ライナーノートより)

Hanssler
HC-23050(2CD)
ヘルヴィ・レイヴィスカ(1902-1982):ピアノ協奏曲 ニ短調 Op.7(1935)
交響曲第1番変ロ長調 Op.23(1947)
オリヴァー・トリンドル(P)
シュターツカペレ・ワイマール 、
アリ・ラシライネン(指)

ン録音:2023年4月24〜27日/オーケストラ練習ホール、ワイマール(ドイツ)
ヘルヴィ・レイヴィスカは、20世紀フィンランドで交響曲をはじめとする大きな編成の管弦楽曲を手がけた作曲家のひとりです。1902年、ヘルシンキ生まれ。 エルッキ・メラルティンとアルトゥール・ヴィルナーにピアノと作曲を学びました。1933年から1968年までシベリウス・アカデミーでライブラリアンとして働き、 その合間に作曲を行いました。番号つきの3つの交響曲と番号のない「シンフォニア・ブレヴィス」、管弦楽のための「三重フーガ」、カンタータ、映画の音楽、管 弦楽組曲、歌曲、ヴァイオリン・ソナタ、ピアノ曲、室内楽曲を書いています。生前名声を得ることはなかったものの、近年、あらためて注目されるようになりました。
世界初録音の2曲。「ピアノ協奏曲 ニ短調」は、1931年から1935年にかけて作曲されました。「アレグロ・マ・ノン・トロッポ-アレグロ」「ヴィヴァーチェ」 「アンダンティーノ・マ・トランクィッロ-マエストーソ-アンダンティーノ・カンタービレ」の〈フーガ〉。1935年11月23日、エルンスト・リンコ(1889-1960) のソロ、トイヴォ・ハーパネン(1889-1950)指揮のヘルシンキ・フィルハーモニックにより初演されました。この初演に接したウーノ・クラミ、スルホ・ランタ、 セリム・パルムグレンといった作曲家たちは、彼女の構成力とオーケストレーションを賞賛した一方、ソロ・パートやクライマックスの処理に関して意見を述べました。 この曲は初演後、スコアが紛失したため、残っていたピアノ・リダクションとパート譜から復元して演奏と録音が行われました。独ヘンスラー・レーベルに多くのア ルバムを録音し、めったにしか演奏されない曲を献身的に紹介しているオリヴァー・トリンドル がソロを担当しています。
「交響曲第1番変ロ長調」は、1947年の作品です。「アレグロ・モデラート-テンポ・ディ・ヴァルス」「アンダンテ・ソステヌート」「ヴィヴァーチェ」の〈スケ ルツォ〉、「アレグロ・ノン・トロッポ」という古典的な4楽章で書かれています。ニルス=エーリク・フォウグステットがフィンランドRSOを指揮して1948 年3月18日に初演。この初演のためレイヴィスカは、85,000FIM(約4,000EUR)をローンで用意したと言われます。この作品は1951年までに3回演奏され、 2022年、70年の沈黙を経て蘇演されました。伝統主義者、ロマンティストという側面とマデトヤの影響のうかがえる交響曲です。
シュターツカペレ・ワイマールは、1491年に創設された最古のオーケストラのひとつ。アリ・ラシライネンは、シベリウス・アカデミーでヨルマ・パヌラに学び、フィ ンランドとスカンディナヴィア、ドイツやスイスのオーケストラを指揮してきました。

Arte dellarco Japan
ADJ-070(1CD)
オーケストラ・リベラ・クラシカ(OLC)第41回定期演奏会
ハイドン:交響曲第3番ト長調 Hob.I:3
 交響曲第102番変ロ長調 Hob.I:102
ベートーヴェン:交響曲第8番へ長調 Op.93
鈴木秀美(指)
オーケストラ・リベラ・クラシカ

ライヴ録音:2018年6月23日/三鷹市芸術文化センター 風のホール
オーケストラ・リベラ・クラシカ(OLC)第41回定期演奏会をライヴ収録した当盤は、ハイドンの交響曲第3番、第102番、そしてベートーヴェンの交響曲第8 番です!
大規模室内楽のようなハイドン初期作品の特徴があらわれた交響曲第3番、いぶし銀のような雰囲気と音色が魅力の第102番、そして哄笑とユーモア、狂気?! のベートーヴェンの交響曲第8番を鈴木秀美率いるOLCによるオリジナル楽器の色彩豊かな音色でお送りいたします! (Ki)

Onyx
ONYX-4243(1CD)
日本語解説付き限定盤
チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調 作品74 「悲愴」 ドミンゴ・インドヤン(指)、
イヤル・リヴァプールPO

録音(ライヴ):2021年11月18日&21日
2006年から15年間、ロイヤル・リヴァプールPOの首席指揮者を務めたワシリー・ペトレンコに代わり、2021年9月から新たな首席奏者に就任したアルメニア系ベネズエラの若き注目指揮者、ドミンゴ・インドヤン。
ONYX-からはこれまでに、フランスの管弦楽作品集、ラテン・グラミー賞獲得作曲家、ロベルト・シエッラによる交響曲第6番をリリースしてきたインドヤン。本アルバムは、東京エムプラスの創立30周年を記念した日本限定盤として、チャイコフスキーが最後に完成させた大作、交響曲第6番 「悲愴」 を収録。チャイコフスキーが切り開いた独自の境地が示されたこの作品は、19世紀後半の代表的交響曲のひとつとして高く評価されています。
今回収録された 「悲愴」 は、インドヤンがRLPOの首席指揮者に就任して間もない2021年11月に行われた演奏会のライヴ録音で、前半に地元出身の名ピアニスト、スティーヴン・ハフを独奏者に迎えたブラームスのピアノ協奏曲第1番、後半にこの 「悲愴」 という曲目で、11月18日と21日の2回行われました。日本向けの特別企画についてロイヤル・リヴァプールPO、ONYX-(オニックス)と協議を重ねた結果、両者の全面的な協力により、「悲愴」の日本限定でのリリースが実現しました。ベネズエラの音楽教育プログラム「エル・システマ」でヴァイオリンを学び頭角を現し、BBCプロムスでの指揮姿が話題となったドミンゴ・インドヤンが、ペトレンコ時代とは一味違った解釈でこの傑作の持つ魅力を引き出しています。
増田良介氏による書き下ろしの日本語解説付き、そして、カバー、バックインレイも日本語仕様に拘った完全限定生産盤です。

ODRADEK RECORDS
ODRCD-440(2CD)
マーラー:交響曲全集Vol.1
(1)スカラタッツィーニ(b.1971):魔力
(2)マーラー:交響曲第4番ト長調
(3)スカラタッツィーニ:調和
(4)マーラー:交響曲第5番嬰ハ短調
ジモン・ガウデンツ(指)
イェナ・フィルハーモニー
(2)リナ・ジョンソン(S)

録音:(1)(2)2022年4月27-30日、 (3)(4)2022 年5月17-20日
ここ10年ほどで特に注目を浴びている指揮者、ジモン・ガウデンツが、音楽総監 督を務めるイェナ・フィルハーモニーを指揮してマーラーの交響曲、それも第 4番と 第5番を一気に2枚でリリース。ジモン・ガウデンツは1974 年、スイスのバーゼルの 生まれ。2010年から 2013年までデンマークのオーデンセSOの首席客演指 揮者を務め、軽快で見通しの良い新鮮な音楽で評判を呼んだ。2018 年にイェナ・フ ィルハーモニーの音楽総監督に就任し、この歴史ある町のオーケストラの水準を大 いに高めています。ここでのマーラー2曲はどちらもガウデンツの力量が良く表れた名 演。音楽は常に明快で重くなることがなく、しかし分析的になったり冷たさを感じさせ たりすることもなく、あくまで風通し良く前に進む。力みなく響きが鳴るのでマーラー の大編成でももたれることなく、耳に心地よい。まだ 40代のガウデンツ、これを聞け ば今後が楽しみになること間違いない。 各交響曲の前に収録されているアンドレア・ロレンツォ・スカルタッツィーニ(1971 年 生まれ)は、2018年からイェナ・フィルハーモニーのコンポーザー・イン・レジデンス を務めています。リナ・ジョンソンは近年メキメキと頭角を現しているソプラノ。ノルウェー のアウステヴォル生まれで、両親はノルウェー人と米国人。

GRAND SLAM
GS-2300(1CD)
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」 イルムガルト・ゼーフリート(S)
ロゼッテ・アンダイ(A)
アントン・デルモータ(T)
パウル・シェフラー(Bs)
ウィーン・ジングアカデミーcho
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)VPO

録音:1953年5月31日/ムジークフェラインザール(ウィーン)
使用音源:Private archive(2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:モノラル(ラジオ放送用録音)
■制作者より  
1953年1月23日、フルトヴェングラーはウィーン・フィルとの第9公演の第3楽章の途中で意識を失い、倒れてしまいました。計3回の公演はキャンセル され、フルトヴェングラーは入院しました。同年5月末の第9はその振り替え公演であり、フルトヴェングラーは立派にリベンジを果たしたのです。  当シリーズでこの第9を発売するために何年もかけて準備をし、音も含めて資料性の高いものを目ざしました。まず、フルトヴェングラーが倒れたその時に会 場にいた人の貴重な証言、キャンセルされた公演のプログラム、5月31日のプログラムとチケット、サナトリウムに入院しているフルトヴェングラーを捉えた珍 しい写真等、現時点で揃えられるものはすべて投入しました。これらの資料を最も有効な形にするために、このCDを制作したと言っても過言ではありません! (平林 直哉)
GRAND SLAM
GS-2301(1CD)
(1)シューマン:交響曲第4番ニ短調 Op.120
(2)バッハ:管弦楽組曲第3番ニ長調 BWV1068
(3)ベートーヴェン:交響曲第8番ヘ長調 Op.98
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)BPO

録音:(1)1953年5月14日ベルリン=ダーレム、イエス・キリスト教会
(2)1948年10月24日、(3)1953年4月14日/ベルリン、ティタニア・パラスト

使用音源:Private archive (1)(2)(2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
(3)(2トラック、19センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:モノラル(録音セッション)(1)、(ラジオ放送用録音)(2)(3)
■制作者より  
不滅の名演、シューマンの交響曲第4番については、もはや説明不要でしょう。GS-2184(2018年)以来の最新リマスターで、新規のテープを使用し、最善 の方法で復刻しました。バッハは当シリーズ初登場です。ベートーヴェンのみ2トラック、19センチのテープを使用しており、GS-2198(2019年)以来のリマス ターですが、他の2曲同様、プロ用機器の威力がいかんなく発揮されています。とにかく、フルトヴェングラー&ベルリン・フィルの濃密さが1枚に凝縮されたディ スクです。(平林 直哉)

Goodies
78CDR-3914(1CDR)
ブラームス:交響曲第2番ニ長調作品73 ピエール・モントゥー(指)
サン・フランシスコSO

米 VICTOR11-9237/40
1945年3月19日サン・フランシスコ録音
ピエール・モントゥー(1875-1964)はフランス生まれの大指揮者。パリ音楽院で ヴァイオリンと指揮法を学び、1906年コロンヌOを指揮して指揮者デビュ ー。1911年からディアギレフのロシア・バレエ団の指揮者をつとめ、ストラヴィ ンスキーの「春の祭典」、「ペトルーシュカ」などの初演を指揮した。第一次 世界大戦(1914-1918)でモントゥーは兵役に服したが1916年に除隊、アメリカに 渡り、翌年からメトロポリタン歌劇場の指揮者に就任、1935年から1953年まで サンフランシスコSOの常任となり、同楽団の黄金時代を築いた。モントゥ ーはその後フリーになり1963年にLSOと共に来日した。

MClassics
MYCL-00045(1SACD)
税込定価
シベリウス:交響曲第3番ハ長調
カレリア組曲
交響詩「フィンランディア」
村川千秋(指)山形SO

録音:2022年4月16-17日 山形テルサホール、2023年1月15日 山形・やまぎん県民ホール 大ホール・ライヴ
山形SOの創立者で今年90歳を迎える巨匠、村川千秋と同楽団 の初CDが遂に登場です。当録音は、山形SOの創立50周年記 念となる第300回定期演奏会と、村川千秋の90歳を祝ったやまぎん県 民ホールでの公演の記念碑的なライヴ・レコーディングです。50年前村川 が種を蒔き山形県民によって愛され育った山形SO。収録曲は村 川千秋が最も大事にするレパートリーであるシベリウス。情熱の漲る村川 のタクトによって、山形の自然を想起させる壮大で豊かなシベリウスの音楽 が威風堂々奏でられます。温かみのある美しい弦楽器、色彩豊かなソロ イスティックな木管楽器、力強く輝かしい金管、打楽器セクション。日本の 地方オーケストラの雄へと成長した、現在の充実した山響のサウンドが堪 能出来ます。村川千秋が自身を捧げ、心血を注ぎこんできた山響とシベ リウス。次の未来へと繋ぐ決意漲る魂のハーモニーです。

Dynamic
DYNDVD-37950(3DVD)
NX-D05

DYNBRD-57950(2Bluray)
NX-D05
ベートーヴェン:交響曲全集

【DVD】
Disc1…交響曲第1番-第3番
Disc2…交響曲第4番-第6番
Disc3…交響曲第7番-第9番
【Blu-ray】
Disc1…交響曲第1番-第5番
Disc2…交響曲第6番-第9番
フィレンツェ五月音楽祭O
マンディ・フレドリッヒ(S)
マリー・クロード・シャピュイ(Ms)
AJ. グリュッカート(T)
タレク・ナズミ(Bs)
フィレンツェ五月音楽祭cho
ズービン・メータ(指)

収録:2021年9月-10月、2022年9月フィレンツェ五月音楽祭歌劇場(イタリア)
収録時間:382分
音声:ドイツ語(交響曲第9番のみ)
PCMステレオ2.0/DTS5.1(DVD)
PCMステレオ2.0/DTS-HD Master Audio5.1(Blu-ray)
字幕:なし
画角:16/9 NTSC All Region
DVD…片面ニ層ディスク×3
Blu-ray…片面ニ層ディスク×2 1080i High Definition
ズービン・メータは1936年生まれ。小澤征爾(1935年生まれ)と同じ世代になります。ウィーンで学び、1959年にはウィーン・フィルとベルリン・フィルを指揮 して好評を博し、以来国際的な活躍は60年を越えました。そのメータにしてベートーヴェンの交響曲全集の録音・録画が今まで無かったのには驚かされま す。 メータが初めてベートーヴェンの交響曲を録音したのは1974年録音の第7番。ロサンゼルス・フィルの音楽監督に就いてから実に12年目のことで、ベートー ヴェンの交響曲に対してはかなり慎重に臨んでいたことがうかがわれます。その後、1978年に第5番と第8番を、1980年に第3番をニューヨーク・フィルと録 音。セッション録音されたものはこれがすべて、という少なさです。 一方コンサートでは定期的に取り上げており、第3、5、6、8、9番にはライヴ録音盤があります。第5番には、ベルリン・フィルとイスラエル・フィルとの合同コン サートという極めて特別なイベントのライヴがあり、第9ではニューヨーク・フィルとの特別演奏会(1983年)、バイエルン放送響、ミュンヘン・フィル、バイエルン 国立管の合同オーケストラとの東日本大震災復興支援コンサート(2011年)、東京バレエ団創立50周年記念公演のモーリス・ベジャール振付によるバレ エ版(イスラエル・フィル、2014年)の3種があります。これらからメータがベートーヴェンの交響曲に特別な思いを持っていることが想像されます。 そのメータが人生初のベートーヴェン交響曲全集のパートナーに選んだのはフィレンツェ五月音楽祭O。1985年から32年の長きにわたり首席指揮 者を務め、その後もしばしば歌劇やコンサートで共演を重ねています。このコンビのベートーヴェン・ツィクルスは当初ベートーヴェンの生誕250年にあたる 2020年の秋から翌年初めに予定されていましたが、新型コロナ感染症の拡大で延期となり、2年後に完結したもの。彼らの熱意とこだわりがうかがわれま す。 ここでの演奏は、歴史的奏法を採り入れたスリムでシャープな演奏とも、ドイツ風の低重心なサウンドによる演奏とも異なり、また40〜50年前のメータのよう なダイナミックで豊麗なスタイルとも異なります。テンポは全体的にゆったりとして、一つ一つの音とフレーズをかみしめるようなメータの指揮をオーケストラが渾 身の演奏で支えています。それでいてサウンドは明るく軽く、何か吹っ切れたようなものを感じさせます。新しさの追求でもなく、古き良き時代への回顧でもな く、とても独特で個性的なベートーヴェン演奏と言えるでしょう。イタリアのオーケストラによるベートーヴェン交響曲全集はとても少なく、その点でも興味深い 企画となっています。
DynamicCDS-7950(5CD)
NX-D05
ベートーヴェン:交響曲全集(全9曲) フィレンツェ五月音楽祭O
マンディ・フレドリッヒ(S)
マリー・クロード・シャピュイ(Ms)
AJ. グリュッカート(T)
タレク・ナズミ(Bs)
フィレンツェ五月音楽祭cho
ズービン・メータ(指)

収録:2021年9月-10月、2022年9月フィレンツェ五月音楽祭歌劇場(イタリア)
ズービン・メータは1936年生まれ。小澤征爾(1935年生まれ)と同じ世代になります。ウィーンで学び、1959年にはウィーン・フィルとベルリン・フィルを指揮 して好評を博し、以来国際的な活躍は60年を越えました。そのメータにしてベートーヴェンの交響曲全集の録音・録画が今まで無かったのには驚かされま す。 メータが初めてベートーヴェンの交響曲を録音したのは1974年録音の第7番。ロサンゼルス・フィルの音楽監督に就いてから実に12年目のことで、ベートー ヴェンの交響曲に対してはかなり慎重に臨んでいたことがうかがわれます。その後、1978年に第5番と第8番を、1980年に第3番をニューヨーク・フィルと録 音。セッション録音されたものはこれがすべて、という少なさです。 一方コンサートでは定期的に取り上げており、第3、5、6、8、9番にはライヴ録音盤があります。第5番には、ベルリン・フィルとイスラエル・フィルとの合同コン サートという極めて特別なイベントのライヴがあり、第9ではニューヨーク・フィルとの特別演奏会(1983年)、バイエルン放送響、ミュンヘン・フィル、バイエルン 国立管の合同オーケストラとの東日本大震災復興支援コンサート(2011年)、東京バレエ団創立50周年記念公演のモーリス・ベジャール振付によるバレ エ版(イスラエル・フィル、2014年)の3種があります。これらからメータがベートーヴェンの交響曲に特別な思いを持っていることが想像されます。 そのメータが人生初のベートーヴェン交響曲全集のパートナーに選んだのはフィレンツェ五月音楽祭O。1985年から32年の長きにわたり首席指揮 者を務め、その後もしばしば歌劇やコンサートで共演を重ねています。このコンビのベートーヴェン・ツィクルスは当初ベートーヴェンの生誕250年にあたる 2020年の秋から翌年初めに予定されていましたが、新型コロナ感染症の拡大で延期となり、2年後に完結したもの。彼らの熱意とこだわりがうかがわれま す。 ここでの演奏は、歴史的奏法を採り入れたスリムでシャープな演奏とも、ドイツ風の低重心なサウンドによる演奏とも異なり、また40〜50年前のメータのよう なダイナミックで豊麗とも異なります。テンポは全体的にゆったりとして、一つ一つの音とフレーズをかみしめるようなメータの指揮をオーケストラが渾身の演奏で 支えています。それでいてサウンドは明るく軽く、何か吹っ切れたようなものを感じさせます。新しさの追求でもなく、古き良き時代への回顧でもなく、とても独 特で個性的なベートーヴェン演奏と言えるでしょう。イタリアのオーケストラによるベートーヴェン交響曲全集はとても少なく、その点でも興味深い企画となって います。

ANALEKTA
AN-28884(2CD)
NX-D09
クララ、ロベルト、ヨハネス 〜ロマンスと対位法
シューマン:交響曲第4番ニ短調 Op.120
クララ・シューマン:3つのロマンス 〜ヴァイオリンとピアノの為の Op.22*
 3つのロマンス 〜ピアノの為の Op.11
 ロマンス ロ短調
ブラームス:交響曲第4番ホ短調 Op.98
C.シューマン:ゼバスティアン・バッハの主題による3つのフーガ
 前奏曲とフーガ 嬰へ短調
 3つの前奏曲とフーガ Op.16
スチュワート・グッドイヤー(1978-):クララ・シューマンの主題による即興
ナショナル・アーツ・センターO
アレクサンダー・シェリー(指)
スチュワート・グッドイヤー(P)
アンジェラ・ヒューイット(P) *
川崎洋介(Vn) *

録音:2019-2023年
それぞれ4曲あるシューマンとブラームスの交響曲を第1番から1曲ずつとクララ・シューマンの作品を収録し、3人の親密な関係を紐解こうとい う企画の第4弾にして完結編。ディスク1枚目にはロベルトがクララの誕生日に贈った交響曲第4番と、クララによる「ロマンス」を収録。2枚目 にはブラームスがバッハを始めとしたバロック以前の作品研究の成果を巧みに盛り込み昇華した交響曲第4番と、バッハを手本に対位法を駆 使したクララのピアノ作品を収録しています。アレクサンダー・シェリーとナショナル・アーツ・センター管によるこれら2つの交響曲は、速めのテンポ 設定と力強さ、隅々までよく歌いメリハリの効いた表現がたいへん効果的な充実した演奏。クララの室内・器楽作品には前作同様スチュワー ト・グッドイヤーが参加してリリカルなピアノを聴かせてくれるほか、ラストにはクララをテーマにした美しい即興も披露しています。また作品22に は名手アンジェラ・ヒューイットが登場、ここでは川崎洋介のヴァイオリンによく寄り添い、情感あふれる表現で作品のロマン性をよく引き出して います。

ICA CLASSICS
ICAC-5172(1CD)
NX-B03
ベルリオーズ:劇的交響曲「ロメオとジュリエット」 H.76より
 争い - 騒動 - 領主の仲裁
  ロメオ一人 - 哀しみ - 遠くから聞こえる音楽と舞踏会 - キャピュレット家の饗宴
 愛の場面 - 夜 - キャピュレット家の庭
 スケルツォ 〜「女王マブ」
 キャピュレット家の墓のロメオ - 祈り - ジュリエットの目覚め -忘我の喜び、絶望 - 最後の苦しみと恋人たちの死
スクリャービン:法悦の詩*
BBC響&cho
LSO*
ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー(指)

録音:1976年1月24日 ロイヤル・フェスティバル・ホール*
1981年4月1日 ロイヤル・アルバート・ホール
いずれもライヴ、ステレオ
2018年に亡くなったロシアの巨匠ゲンナジー・ロジェストヴェンスキーは、自国の音楽の優れた解釈者であると同時に、ロシアを超えて広くレ パートリーを求め続けたことでも知られますが、今回BBCのアーカイヴから登場する2つの初出レパートリーは、国や時代の異なる作品に対応 する彼の高い音楽性と統率力を堪能出来る内容となっています。ロジェストヴェンスキーのベルリオーズといえば、1971年レニングラード・フィ ルとのロンドンでの爆演を始めとした数種類の「幻想交響曲」が有名ですが、ここにハイライトとは言え、大作「ロメオとジュリエット」が登場する ことはたいへん喜ばしいことと言えるでしょう。「幻想」からさらに磨きを掛けた絢爛豪華なオーケストレーションの妙を存分に発揮させ、BBC響 を自在に操った細部のコントロールと力の解放はロジェストヴェンスキーの面目躍如。その5年前のライヴとなるロンドン響とのスクリャービンも、 自国で生まれた革新的な作品への深い理解と表現意欲をひしひしと感じる熱量の高いものとなっています。ライヴの音場感をよく伝え、レン ジも広く見透しのクリアなポール・ベイリーによるリマスターも、この演奏の素晴らしさを十二分に伝えています。

DB Productions
DBCD-210(1CD)
NX-B07
メンデルスゾーン:交響曲第3番 イ短調 Op.56「スコットランド」
ヘレン・グライム(1981-):Elegiac Inflections
ピーター・マックスウェル・デイヴィス(1934-2016):ストラスクライド協奏曲第10番 Op.179
ヴェステロース・シンフォニエッタ
サイモン・クロフォード=フィリップス(指)

録音:2022年6月13-17日
スコットランドに因んだ3つの作品を紹介するアルバム。メンデルスゾーンの交響曲第3番は、タイトルに 「スコットランド」とあるように、彼が同地を旅行していた際に構想されたもの。ヘレン・グライムはスコットラ ンド生まれの現代作曲家。2016年からウィグモア・ホールのコンポーザー・イン・レジデンスを務めるなど 活躍しています。マクスウェル=デイヴィスの「ストラスクライド協奏曲」はスコットランド室内Oのた めに書かれた10曲からなる協奏曲の中の最後の曲。なかでも、各奏者たちの妙技が生かされた快活 な終楽章が聴きどころです。

VOX
VOXNX-3021CD(1CD)
NX-B03
チャイコフスキー:交響曲第3番「ポーランド」
幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」
ユタSO
モーリス・アブラヴァネル(指)

録音:1972-73年
1974年LP初リリース
ピアノ協奏曲第1番やバレエ音楽「白鳥の湖」と相前後して書かれた交響曲第3番は、長調で始まる5楽 章構成というチャイコフスキーの交響曲としては例外的な作品です。アブラヴァネルの明晰な指揮は、民族 舞曲の要素を的確に打ち出しつつ、各楽章をくっきりと性格づけており、オケの明るめのサウンドと相まって 楽しめる録音になっています。「フランチェスカ・ダ・リミニ」は、ややもすれば重苦しく晦渋になりがちな曲です が、アブラヴァネルとユタ響は曲のドラマ的な展開を明瞭に音にしてゆき、クライマックスでは壮絶なサウンドを 聴かせます。混濁の少ない広々とした音場の中に、金管・木管がクリアかつ自然に立ち現れる録音が大き な効果を挙げています。
VOX
VOXNX-3025CD(1CD)
NX-B03
チャイコフスキー:マンフレッド交響曲
スラヴ行進曲
ユタSO
モーリス・アブラヴァネル(指)

録音:1972-73年
1974年LP初リリース
チャイコフスキーの交響曲全集を作る時にこの曲を除外する指揮者は少なくありませんが、アブラヴァネルと ユタ響の録音はこの曲のファンにとって嬉しい贈り物と言えるでしょう。アブラヴァネルの解釈と指揮は楽曲の 構造と音楽の展開をわかりやすく伝える点で「啓蒙的」と呼びたくなるようなもの。ここでも緩急の巧みな推 移によってドラマの展開をわかりやすく伝えてくれます。同時にチャイコフスキーが用いた様々な管楽器のサウ ンドを誇張なくクリアに捉え、広い音場の中に再現する録音も見事で、これが50年前のものと知って感心 する人は多いでしょう。緩やかな歌と巧みなテンポアップとの対比は「スラヴ行進曲」で一層の効果を挙げて います。

Signum Classics
SIGCD-760(2CD)
マーラー:交響曲第2番「復活」 サントゥ=マティアス・ロウヴァリ(指)
フィルハーモニアO、
マーリ・エーリクスモーエン(S)、
ジェニファー・ジョンストン(Ms)、
フィルハーモニアcho

ライヴ録音:2022年6月8日、サウスバンク・センターズ・ロイヤル・フェスティヴァル・ホール
クレンペラー、マゼール、シノーポリ、そしてサロネンと引き継がれてきたフィルハーモニアOのマーラー演奏の歴史に新たな1ページが加わりました。しかしそれはマーラー自身の「伝統とは火を守ることであり、灰を崇拝することではない」という言葉を体現しているかのように、新鮮な演奏で2021年より首席指揮者として活躍しているサントゥ=マティアス・ロウヴァリとフィルハーモニアOの更なる飛躍を感じさせるものとなりました。
ロウヴァリは元々打楽器奏者としてキャリアをスタートさせシベリウス音楽院で研鑽を積みましたが、やがて指揮にも興味を持つようになりました。2013年に初めてフィルハーモニア管を指揮し、2018年には首席客演指揮者になっています。そして2021年の首席指揮者就任時オープニングコンサートではR.シュトラウスを披露し、その録音(OSIGCD--720,SIGCD--720)は、レコード芸術誌において「特選盤」に選ばれています。

DUX
DUX-1897(1CD)
ジェジュン・リュウ(b.1970):交響曲第2番(世界初録音) スンヘ・イム(S)、ミョンジュ・イ(S)、ジョンミ・キム(Ms)、オリヴァー・クック(T)、サミュエル・ユン(Bs-Br)
ラルフ・ゴトーニ(指)
韓国国立cho、スウォン市cho、ソウル国際音楽祭O

録音:2021年10月22日
COVID-19の混乱の中、発表された交響曲第2番は、5人のソリストと合唱団を含む、非常に大きな編成で作曲されました。歌詞にはシェイクスピアのソネットが採用され、混沌とする世界や、未来への希望が表現されています。2021年のソウル国際音楽祭の開幕前日に、世界初録音として収録されました。

Gutman Records
GUTMANCD-173(1CD)

JGUTMANCD-173(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価
マーラー:交響曲第4番ト長調(エルヴィン・シュタイン編曲室内アンサンブル版) カメラータRCO、
ルーカス・マシアス・ナバロ(指)、
ユディト・ファン・ヴァンロイ(S)

録音:2017年5月18日-20日、MCO(ヒルフェルスム、オランダ)
2007年から2015年までロイヤル・コンセルトヘボウO(RCO)の首席オーボエ奏者を務めたほか、クラウディオ・アバドから厚く信頼されルツェルン祝祭Oやアバドが設立したモーツァルトO(ボローニャ)の首席奏者にも招かれるなど、名実ともにトップ・オーボイストに登り詰めたスペイン出身のルーカス・マシアス・ナバロ。現在は活躍の場を指揮者というポジションに移し新たな経験と実績を積み上げているナバロが、RCO退団後の2017年に“古巣”RCOのメンバーで構成されるカメラータRCOを指揮した、室内アンサンブル版によるマーラーの交響曲第4番。この室内アンサンブル版は、主宰する私的演奏協会でこの作品を演奏したいと望んでいたシェーンベルクの依頼で、弟子であり友人でもあったエルヴィン・シュタインによって編曲されたもの。金管楽器を一切使用せず、各パート1名ずつの弦楽器と木管楽器にピアノとアコーディオンを加えた12名編成となっており、室内楽的な響きがこの作品の持つ天国的な美しさと好相性を生み出しています。ソプラノ独唱には幅広いコンサート・レパートリーを持ち、RCOとの共演経験も持つオランダ出身のソプラノ、ユディト・ファン・ヴァンロイを起用。こちらも見事な歌唱を聴かせてくれています。
Gutman Records
GUTMANCD-150(2CD)

JGUTMANCD-150(2CD)
日本語解説付国内盤
税込定価
マーラー:交響曲第9番ニ長調(クラウス・ジモン編曲室内アンサンブル版) カメラータRCO、
グスターボ・ヒメノ(指)

録音:2014年6月27日-29日、MCO(ヒルフェルスム、オランダ)
2001年からロイヤル・コンセルトヘボウO(RCO)の打楽器奏者として同団を支え、2012年からはマリス・ヤンソンスの副指揮を務めるなどまさにRCOを知り尽くしている打楽器奏者&指揮者、グスターボ・ヒメノが、RCOのメンバーで構成される室内アンサンブル、カメラータRCOを指揮した室内アンサンブル版によるマーラーの交響曲第9番。編曲はBastille Musiqueレーベルにも自身の編曲・指揮でマーラーの交響曲第5番(RBM003/BM003)を録音しているドイツ生まれのピアニスト兼指揮者、クラウス・ジモンによるもので、各パート1名ずつの弦楽器と木管楽器、金管楽器にピアノとアコーディオンが加わった16名編成での演奏。編成の小ささによって各声部がクリアになり大編成のオーケストラとは一味違った新鮮な響きを獲得できていることに加え、マーラーの演奏に豊富な経験を持つメンバーの個々の技量の高さも浮き彫りとなり、まったく物足りなさを感じさせない充実の演奏はマーラー・ファンはもちろん、マーラーの大編成サウンドを得意としない人にもぜひとも聴いてほしい一枚です。この度Gutman Recordsの取り扱い開始を記念して、解説日本語訳に加え鈴木淳史氏の書き下ろし解説を封入した国内仕様盤も同時リリースいたします!
Gutman Records
GUTMANCD-211(1CD)

JGUTMANCD-211(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価
ブルックナー:交響曲第7番ホ長調(アンサンブル版) カメラータRCO、
オリヴィエ・パテイ(指)

録音:2019年10月6日、聖バーフ大聖堂(ハーレム、オランダ)
ロイヤル・コンセルトヘボウO(RCO)の首席クラリネット奏者、オリヴィエ・パテイがRCOのメンバーで構成される室内アンサンブル、カメラータRCOを指揮し、小編成によるブルックナーの交響曲第7番をレコーディング。有名な第2楽章をはじめこの作品が持つ旋律美をフル・オーケストラとは違ったサウンドで堪能することができる聴き逃がせない録音です。弦五部とクラリネット、ホルン、ティンパニにピアノとアコーディオンを加えた計10名での演奏で、一般的に採用されるハンス・アイスラー、エルヴィン・シュタイン、カール・ランクルらの共同編曲による室内アンサンブル版とは異なる編成となっている点にも注目です。国際的な名声を得るきっかけとなったブルックナー屈指の人気作を、RCOの精鋭たちが奏でる小編成ならではの明瞭さを備えた新鮮な演奏でお楽しみください。
1981年フランス生まれのクラリネット奏者、オリヴィエ・パテイはARDミュンヘン国際音楽コンクールで聴衆賞、カール・ニールセン国際コンクールで第1位を獲得しソリストとしてのキャリアをスタート。また20歳でパリのギャルド・レピュブリケーヌに入団し、その後もロッテルダム・フィル、マーラー室内管などの名門オーケストラで地位を築き、2013年からRCOの首席奏者を務めています。このレコーディングでは指揮の役割を務め、それぞれが非常に高い技量を持つ同僚たちをうまくまとめ上げ、さらに個々の魅力も最大限に引き出しています。


Treasures
TRE-293(1CDR)
超厳選!赤盤名演集Vol.11〜クレンペラーの「大地の歌」
マーラー:大地の歌
フリッツ・ヴンダーリッヒ(T)
クリスタ・ルートヴィッヒ(Ms)
オットー・クレンペラー(指)
フィルハーモニアO、ニュー・フィルハーモニアO

録音:1964年2月&1966年7月(ステレオ)
※音源:東芝 AA-8100
◎収録時間:63:53
“永遠に光り続ける普遍的芸術の象徴!”
■音源について
「東芝の赤盤」のしっかり芯が宿った音、音場の豊かな広がり、音を発した瞬間に音の粒子まで感じさせる手応は格別!英国EMIから技術者を招いて始動し、英仏メタルを用いてプレスしていた当時の川口工場(1955年発足)の優秀な技術の結晶と言えますが、初期の赤盤はビニールの素材が関係しているのか微妙なチリチリノイズの混入率が高いので、CD-R復刻に際してはそれが回避された第二版以降にも耳を通して最良のものを採用しています。
なお、1971年に新設した御殿場の大工場に移設以降の音質は下降の一途を辿り、赤盤もなくなりました。

★言わずと知れた同曲の不朽の名演奏。晩年のクレンペラーのイメージを覆すアグレッシブな表現と、声楽陣揺るぎなき共感とフォルムが一体化してたこの説得力を超越するものは未だに登場せず、今後も考えられません。
第1楽章でまず耳に飛び込むのは、冒頭における懐の深さとスケール感を兼ね備えたクレンペラーの指揮。老境特有のリズムの弛緩がないので、音量の大きさではなくあくまでも空間の広がりが見事に再現されます。続くヴンダーリッヒは、持ち前の清々しい美声より幾分くすみを帯びた重心の低い音色を発し、その色合いがクレンペラーの敷き詰める色彩と絶妙にマッチして、この楽章に不可欠な厭世観を余すことなく表出。3:45以降のオケのみで奏される箇所は、奏者の顔もクレンペラーの顔も浮かばない程ひたすら音楽のみが淀みなく流れ、そこから導かれる諦観力に言葉も出ません。後半6:16以降、ヴンダーリッヒが放つ内なる叫びの凄さは、何度聴いても鳥肌もの。第2楽章は水墨画を思わせるオケの色彩は世の儚さを知る人間だけが為せる技。ルートヴィッヒの歌唱は、後年のバーンスタイン、カラヤンとの共演盤も高水準ながら、オケのニュアンスとの相乗効果はこの録音には敵いません。第3楽章は何と言ってもテンポが味!3分半を超えるゆったり感の中からしか五音音階ならではのニュアンスは醸し出されないと痛感するばかり。それに歩調を合わせるヴンダーリッヒも、楷書の筆致で丁寧に表情を紡ぎます。終楽章のルートヴィッヒは、バーンスタイン盤では陰のニュアンスに比重が置かれていたのに対し、ここではより自然で大きな構えの中からニュアンスが浮上。「「おお見よ、銀の小船のように月が青い空に…」の一節など音楽の構えが大きく、呼吸にも伸びやかさと深みが感じられます。
 人間誰しも人生を悲観的に捉える瞬間はあるものですが、情報が氾濫し、容易に模範解答が見つかる現代においては、一人で悩み苦しむしかない闇の怖さと、やっと見出した一筋の光の有り難さ、美しさを身をもって知る人間とはその「悲観」の意味合いは異なり、それを演奏に投影させる方法も多様化して当然です。しかしこのクレンペラー盤には、時代に関係なく全ての人間が抱える「生きることの難しさ」という命題が内包されており、それを普遍的な芸術美にまで昇華させた空前絶後の名演として永遠に存在意義を失わない演奏だと確信しています。【2023年8月・湧々堂】

ALIA VOX
AVSA-9955(1SACD)
メンデルスゾーン:交響曲第4番「イタリア」
1-4最終稿(1834年)
5-8初稿(1833年)
ジョルディ・サヴァール(指)
ル・コンセール・デ・ナシオン〈リナ・トゥール・ボネ(コンサートミストレス)〉

録音:2022年10月26-28日、カタルーニャ自治州カルドーナ城参事会教会
ジョルディ・サヴァールがメンデルスゾーンを録音しました!サヴァールのディスコグラフィで初登場の作曲家です。これまで、古代や中世・バロックの音楽を 国や地域を問わず奏でてきたサヴァール。近年はハイドン、ベートーヴェン、シューベルトに続いて、19世紀の音楽へとその足を伸ばし、歴史の中で生まれた 素晴らしい作品を新鮮かつごく自然な形で響かせ、当時の人々が受けた衝撃と感動を現代の私たちに追体験させてくれています。 今回の曲は天才メンデルスゾーンが旅から受けた感動がこれ以上ない躍動感で表出している「イタリア」、しかも2種の稿を収録。コンサートミストレスは人気急上昇のボネ、ということで、ど こをとっても大注目の新譜です!
オーケストラは、リナ・トゥール・ボネがコンサート・ミストレスを務めるほか、2022年メンデルスゾーン・アカデミーに参加した若手奏者からの選抜メンバー も参加しているなど、メンデルスゾーンへの並々ならぬ思い入れのあるメンバーたちによって構成されています。
交響曲第4番は1833年、メンデルスゾーン自身の指揮で初演され、絶大に高い評価を受けましたがメンデルスゾーン自身は満足することはなく、この作品 の改訂を求め、二度と指揮することはありませんでした。メンデルスゾーンは、第2楽章のテーマをシンプルにし、続く楽章のトリオをよりドラマティックにし、フィ ナーレにピチカートを入れ、フィナーレを長くしました(264小節から305小節に)。第1楽章の改訂版は現存していませんが、手紙から何かしらの加工を試 みたと考えられています。1834年のこの改訂稿は2001年になって初めて出版されました(これには19世紀におけるメンデルスゾーン(=ユダヤ)をめぐ る事情などもあったと考えざるをえません)。1847年(メンデルスゾーンの死後)に上演された時に会場にいたベルリオーズは「メンデルスゾーンの交響曲は、 金メダルのように一瞬にして鋳造された傑作です。」と述べています。サヴァールはメンデルスゾーンの手紙などを検証、検討を重ねた結果、両方のヴァージョ ンを録音することに決めました。「お聴きになられると、どちらの版も、色彩、リズム、器楽書法、すべてにおいて見まごう事なき天才の刻印があらわれている ことに驚くでしょう」と述べています。サヴァールがおしげもなく軽やかに提示し解放する、天才メンデルスゾーンの創造の軌跡と天才の刻印、天才が旅から受 けた豊かな刺激の実りを強く感じる演奏です。 (Ki)

GRAND SLAM
GS-2297(1CD)
ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」 ブルーノ・ワルター(指)コロンビアSO

録音:1958年1月13、15、17日/カリフォルニア、アメリカン・リージョン・ホール
使用音源:Private archive (2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:ステレオ(録音セッション)
■制作者より  
2014年8月に発売したGS-2115以来、9年ぶりのリマスターで再登場です。今回復刻に使用したのはGS-2115と同じくアメリカから入手した2トラック、 38センチ、オープンリール・テープの「Safety copy」ですが、当GS-2297では音採りから最終調整まですべてプロ用の機器でマスタリングを行い、めざま しい効果を獲得しました。今度こそ、本当の〈最終形〉です。  解説書は内容を刷新し、このLPの国内初出に関連した情報を限りなく収集しました。国内盤に関する 情報こそ、日本のレーベルの仕事であると認識しています。(平林 直哉)

C Major
80-9504(5Bluray)
ブルックナー:交響曲全集
■BD1
交響曲ヘ短調WAB99(第00番「習作」)
交響曲ニ短調WAB100(第0番)
交響曲第5番変ロ長調WAB105
■BD2
交響曲第1番ハ短調 WAB101(ウィーン稿)
交響曲第7番ホ長調 WAB107(ノーヴァク版)
■BD3
交響曲第2番ハ短調,WAB102(第2稿/1877年)
交響曲第8番ハ短調,WAB108(ハース版/1939年)
■BD4
交響曲第3番ニ短調 WAB103(1877年第2稿・ノーヴァク版)
交響曲第6番イ長調 WAB106
■BD5
交響曲第4番変ホ長調『ロマンティック』(1880年第2稿 ハース校訂 1936年出版)
交響曲第9番ニ短調 WAB109(原典版 新全集IX、1951年出版 ノーヴァク校訂)
●ボーナス映像「ディスカヴァリング・ブルックナー」(日本語字幕付)
各交響曲について(ティーレマンと音楽学者ヨハネス=レオポルド・マイヤー氏による対話)
クリスティアン・ティーレマン(指) VPO
■BD1
収録:2021年3月ウィーン楽友協会(無観客ライヴ)
■BD2
収録:2021年2月、ウィーン楽友協会(無観客ライヴ)(第1番)、8月、ザルツブルク音楽祭(ライヴ)(第7番)
・マルツァー(第7番)
■BD3
収録:2019年4月(第2番)、10月(第8番)、ウィーン楽友協会(ライヴ)
■BD4
収録:2020年11月(第3番)、2022年4月(第6番)、ウィーン楽友協会(ライヴ)
■BD5
収録:2020年8月、ザルツブルク祝祭大劇場、ライヴ(第4番)、2022年7月、ザルツブルク祝祭大劇場、ライヴ(第9番)

画面:16:9、1080i
音声:PCMステレオ、DTS-HD MA5.0
■BD50
[ボーナス映像 ]
言語:ドイツ語、字幕:英韓,日本語
総収録時間:1018分
2024年のブルックナー生誕200年に向けたティーレマン&ウィーン・フィルによるプロジェクト「ブルックナー11/Bruckner11」が遂に全集で登場!5枚組のブルーレイ・ディスクでの発売です。
BD1は、第5交響曲そして「習作交響曲」と呼ばれている「ヘ短調WAB99」と「ニ短調WAB100」をウィーン・フィル史上初めて演奏・収録した話題作。そしてウィーン稿を使用した第1番と2021年8月のザルツブルク音楽祭で演奏された第7番を収録したBD2。BD3には、2019年にウィーン楽友協会で収録された第2番と第8番。交響曲中もっとも改訂稿の多い第3番と唯一改訂されていない第6番という組み合わせでリリースされたBD4。最後となる5枚目は、ともにザルツブルク音楽祭で演奏された第4番「ロマンティック」と未完の第9番という内容です。
さらに本セットには各交響曲についてティーレマンと音楽学者ヨハネス=レオポルド・マイヤー氏が語ったインタビューと、リハーサル風景を収録したボーナス映像が付属しています。9つの交響曲に関して、クリスティアン・ティーレマンは、最初の4つの交響曲ではそれぞれの第2稿を用い、『第8番』ではハース版を選択。そうした版に関する考えや、実際の演奏についてなど、個々の交響曲についてふたりが討論しています。その会話からは、ブルックナーの音楽に対する指揮者の知識の深さと、作品群への並々ならぬ洞察力が伝わってきます。
ベルリン・ドイツオペラ(1997年〜2004年)、ミュンヘン・フィル(2004年〜2011年)、シュターツカペレ・ドレスデン(2012年〜2024年)、ザルツブルグ復活祭音楽祭の芸術監督(2013年〜2022年)、そしてバイロイト音楽祭での活躍など、今やドイツを代表する指揮者として着実にキャリアを積んでいるクリスティアン・ティーレマン(1959〜)。ウィーン・フィルとは、2008年〜2010年にかけて収録された「ベートーヴェン交響曲全集」や2019年ニューイヤーコンサートなど何度も共演しています。またティーレマンはすでに手兵シュターツカペレ・ドレスデンとブルックナーの番号付き交響曲9曲を残しており(757504/KKC9656)、今回のウィーン・フィルとの演奏も日頃からブルックナーへの熱い思いを語っていたティーレマンらしいプロジェクトと言えるでしょう。そして最後にティーレマンは、この一連のウィーン・フィルとのブルックナーの演奏・収録についてこのように述べています。「ベートーヴェンの交響曲のチクルスや、ワーグナー「リング」の演奏ように、過去に遡って自身の学んできたことを思い出し、新しい視座を与えてくれるものでした。そして聴衆はブルックナーと共に、彼の長年にわたる創作の発展を体感することができるでしょう。それをウィーン・フィルと取り組めて本当に幸運でした。」それもそのはず、ウィーン・フィルが一人の指揮者で11の交響曲を収録したのは今回が初めてということ。ブルックナーの音楽的遺産をウィーン・フィル&ティーレマンの演奏で、現代から未来への音楽愛好家たちに捧げた究極のセットです。 (Ki)

オクタヴィア
OVCL-00824(1SACD)
税込定価
2023年8月23日発売
ハイドン:交響曲第69番ハ長調 Hob.I:69「ラウドン将軍」
交響曲第71番変ロ長調 Hob.I:71
交響曲第53番ニ長調 Hob. I:53「帝国」
飯森範親(指)
日本センチュリーSO

録音:2021年9月30日(第69番、第71番)、2022年5月26日(第53番)
大阪、ザ・シンフォニーホール・ライヴ
日本センチュリーSOが首席指揮者の飯森範親と共にスタートした「ハイドンマラソ ン」は、フランツ・ハイドンのすべての交響曲を演奏しようという一大プロジェ クト。当盤は第25回、27回コンサートのライヴ収録です。 幾度の公演を重ね、信頼関係を築いてきた飯森と日本センチュリー響は、精緻な構築と、細 部までこだわりぬいた感性で、気品あふれるハイドンを奏でています。柔和で晴々とした優 美な演奏は、まさに彼らの真骨頂といえるでしょう。(オクタヴィア)

ALPHA
ALPHA-694(1CD)

NYCX-10417(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価

ハイドン交響曲全曲録音シリーズ Vol.14〜帝国の響き
交響曲第53番ニ長調 Hob. I:53「帝国」
交響曲第54番ト長調 Hob. I:54
交響曲第33番ハ長調 Hob. I:33
序曲 ニ長調 Hob. Ia:7(人形音楽劇『ゲノフェーファ 第4部』〔本編は音楽消失〕の為の序曲、交響曲第53番の異版終楽章に転用)
バーゼル室内O(古楽器使用)
ジョヴァンニ・アントニーニ(指)

録音:2021年3月-10月ドン・ボスコ、バーゼル、スイス
作曲家生誕300周年となる2032年までに「交響曲の父」ハイドンが残した107曲もの交響曲を全て録音してゆくHAYDN 2032シリーズ では、指揮を務めるジョヴァンニ・アントニーニ自身のグループであるイル・ジャルディーノ・アルモニコと共に、古楽器を使いこなし瑞々しい演奏 を聴かせるバーゼル室内Oも既に多くの名演を聴かせてくれています。第14弾の演目に選ばれたのは、作曲家の生前から高い人 気を誇り、19世紀半ばに「帝国 L’Imperiale」の綽名が添えられた交響曲第53番をはじめ、トランペットとティンパニが添えられ勇壮な響 きが堪能できる中期の充実作3編。当初は契約により、エステルハージ侯爵家のために書いた作品の宮廷外での発表を禁じられていた宮 廷楽長ハイドンでしたが、この頃には主君の計らいもあってパリやロンドン、アムステルダムなど大都市を中心に多くの作品が各地でさかんに演 奏されるようになり、急速に国際的な知名度を築きつつあった時期でした。短期間のうちに何度か手直しされ序奏や金管パートの拡張が あった第54番、初期作品では異例とも言える大編成をとる第33番に加え、第53番フィナーレの異稿としても使われた人形音楽劇のため の序曲も収録。舞台音楽でも経験を積みつつあったハイドンの真相に迫ります。今回もアントニーニ自身のコメントや最新研究を踏まえた作 品解説などライナーノートも充実(英、仏、独語/国内仕様盤は日本語訳付)。

Capriccio
C-8089(1CD)
NX-B07

NYCX-10414(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価

ブルックナー:交響曲第2番ハ短調(第2稿/ホークショー版) リンツ・ブルックナーO
マルクス・ポシュナー(指)

録音:2022年2月1日リンツ・ミュージックシアター、リハーサル・ホール(オーストリア)
#bruckner2024の監修者で当CDに使われた楽譜(NBG III/1:2/2出版準備中)の校訂者ポール・ホークショーは、当CDに寄せた原盤解説の中で 第2番の歴史をこのように整理しています。1871年作曲着手、翌72年9月完成。同年中の演奏を目指してオットー・デッソフ指揮ウィーン・フィルがリハーサルに取り組むも、演奏は却下。1873年 10月26日、ブルックナー自身の指揮するウィーン・フィルにより初演。1876年2月20日、同じ顔触れで再演。1877年、大幅に改訂(=第2稿)。以後 1877年の第2稿と称する楽譜は、1892年ウィーンのAlbert J. Gutmann社よりブルックナーの弟子シリル・ヒュナイス(ツィリル・ヒューナイス)校訂により刊 行されたのを初めに、1934年ハース版、1965年ノーヴァク版、2007年キャラガン版と刊行されてきました。 この中でハース版とノーヴァク版は第2稿(1877年稿)をうたいながらも第1稿(1872年稿)が混在していることが指摘されており、キャラガン版は1872年稿 の要素を除いたものとされています。バレンボイム&ベルリン・シュターツカペレ、ティーレマン&ウィーン・フィルが採用しており、国際的に認知されているといえ るでしょう。そのキャラガン版は1892年に出版された稿の一部を注釈付きで取り入れているため、それを除いて1877年稿の姿に最も迫ったのが今回のホー クショー版ということです。1892年稿については、校訂者ヒュナイスの作業がブルックナー自身の承認を得たものか否かという、ブルックナーにありがちな「作曲 家本人の意思を踏まえた改訂か、弟子たちが勝手に行った改竄か」問題をはらんでおり、キャラガンはブルックナーの意思が(ある程度以上)反映されたもの と考え、ホークショーは否定的なようです。ホークショーの作業の具体像については『NBG III/1:2/2』の刊行が待たれますが、一足先に録音が聴けること に興味を惹かれるファンは少なくないことでしょう。 ポシュナーの演奏は引き締まったテンポとメリハリの利いた造形でベートーヴェン的といいたくなるようなアプローチですが、第2楽章の穏やかな表情を湛えたサ ウンドと広々としたテンポは、ブルックナーの緩徐楽章を聴く楽しみに浸らせてくれます。
(参考データ)演奏時間比較 ポシュナー/ホークショー版(16:15/13:57/6:18/15:12=51:47)/バレンボイム/キャラガン版(17:23/13:03/7:51/16:02=54:19)
※国内仕様盤には専門誌等で好評を得ている石原勇太郎氏(国内ブルックナー協会会員)による日本語解説が付属します。

GRAND SLAM
GS-2298(1CD)
モーツァルト:交響曲第39番変ホ長調 K.543
チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」*
ヴイルヘルム・フルトヴェングラー(指)BPO

録音:1942年または1943年ベルリン、1951年4月19日または22日カイロ *
使用音源:Private archive(2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:モノラル(ラジオ放送用録音)
■制作者より
ともに2トラック、38センチ、オープンリール・テープからの復刻となりますが、モーツァルトの交響曲第39番は当シリーズ初登場となります。これはいまだに 録音日が特定されていませんが、戦後のテープ録音のようなしっかりした音質で鳴り渡るので、驚いてしまいました。モーツァルトらしからぬ重厚な解釈ですが、こ れこそがフルトヴェングラーの魅力です。一方、「悲愴」はGS-2187(2018年、廃盤)以来のリマスターですが、全工程をプロ用の機器で行い、全体の情報量は 大幅にアップ、感激もひとしおです。(平林 直哉)
GRAND SLAM
GS-2296(1CD)
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
リハーサル風景(交響曲第7番の第2楽章より)*
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)
BPO
ルツェルン祝祭O*

録音:1952年12月7日ベルリン、ティタニア・パラスト、
1951年8月15日ルツェルン、クンストハウス *
使用音源:Private archive(2トラック、19センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:モノラル(ラジオ放送用録音)
■制作者より
当GS-2296は2015年に発売したGS-2130(廃盤)の最新リマスター盤です。使用したのは前回同様ベルリンで入手した2トラック、19センチのオープンリー ル・テープですが、全工程をプロ用機器を使用してリマスターした結果、情報量がかなり増しただけではなく、歪み感も大幅に減少しています。従って、特にメイン の「英雄」は初めて聴いたような新鮮さがあります。また、リハーサルは前回同様、唯一の対訳付き(英訳も含む)です。わずかではありますが、冒頭部分は他のディ スクには含まれておらず、当ディスクが最長の収録になります。また、解説書も増ページし、旧盤との差別化をはかっています。(平林 直哉)

GENUIN
GEN-23818(1CD)

XGEN-23818(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価
マーラー:交響曲第2番「復活」(室内楽版)(ブルーノ・ワルターの4手ピアノ版を基にした、2台ピアノ、ソプラノ&アルト独唱、トランペットと合唱のための編曲版 グレゴール・マイヤー(P)、ヴァルター・ツォラー(P)、アンニカ・シュタインバッハ(S)、ヘンリエッテ・ゲッデ(A)、エマヌエル・ミュッツェ(Tp)、ゲヴァントハウスcho、フランク=シュテッフェン・エルスター(指)

録音:2021年12月21日、2022年2月3日-4日&5月9日-10日、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス(ドイツ)
ライプツィヒのゲヴァントハウス合唱団が新型コロナ禍に創り上げた、新たな小編成版『復活』を日本語解説付きの国内仕様盤として新規リリース!
マーラーの交響曲第2番『復活』が完成された当時、ハンブルクで合唱指揮者としてマーラーの補佐をしていた後の巨匠ブルーノ・ワルターが、1900年頃にマーラーの監視下で編曲した(マーラーの手による注釈や訂正もある)4手ピアノ連弾版。フランク=シュテファン・エルスターが指揮するゲヴァントハウス合唱団とゲヴァントハウスでピアニストとして活動するグレゴール・マイヤーとヴァルター・ツォラーの2人がこのワルター編の4手ピアノ版を拡張し、2台ピアノ+独唱と合唱(とトランペットやフリューゲル・ホルン)版として整えた新たな室内楽版の復活交響曲。作品の先鋭的な性質、冒険的な和声と形式がくっきりと浮かび上がる珍しい小編成バージョンを、ゲヴァントハウスの有力合唱団の歌声でお贈りします。

DUX
DUX-1844(1CD)
ウカシェフスキ:交響曲第1番&第2番
パヴェウ・ウカシェフスキ
(1968-):交響曲第1番「摂理の交響曲」〜ソプラノ、メゾソプラノ、バリトン、混声合唱と管弦楽のための
交響曲第2番「Festinemus amare homines」〜ソプラノ、2台のピアノ、合唱と交響楽のための*
マルチン・ナウェンチ=ニェショウォフスキ(指)、ピオトル・ボルコフスキ(指)*、ポドラシェ歌劇場PO、ポドラシェ歌劇場フィルハーモニーcho、アンナ・ミコワイチク=ニェヴィエジャウ(S)、ラヴェル・ピアノ・デュオほか

録音:2007年(第2番)、2009年12月(第1番)
ポーランドの合唱界の顔と言うべき人気作曲家であるパヴェウ・ウカシェフスキ(1968ー)の合唱付き交響曲集第1弾。栄誉あるフレデリク賞も受賞しているウカシェフスキの作品はイギリスをはじめ海外でも高い関心を集めており、著名な合唱団が次々と取り上げています。これまでに8つの交響曲を書き上げているウカシェフスキですが、第5番「コンチェルタンテ」を除く7曲はすべて合唱付きで、その作風はグレツキの遺伝子を受け継いでいます。

Danacord
DACOC-D-926(2CDR)
トマス・イェンセンの遺産 第16集
(1) シベリウス:交響曲第5番
(2)シベリウス:交響曲第6番
(3)シベリウス:抒情的なワルツ Op.96a、悲しきワルツ
(4)スメタナ:モルダウ
(5)ラウリツ・ラウリトセン(1882-1946):小組曲(弦楽オーケストラのための)
エアリング・ブレーネ(1896-1980):コンチェルト・センツァ・ソレンニタ(厳粛さのない協奏曲) Op.20(フルートと管弦楽のための)*
(6)ポウル・シアベク(1888-1949):ヴァイキングの歌 Op.22(テノールと管弦楽のための)**、
 歌劇「華麗なる宴」 Op.25より「序曲」、
 大学入学式のカンタータ Op.16、
 大学入学式の大学祝典音楽 Op.17
(7)ニールセン:交響曲第2番「四つの気質」
トマス・イェンセン(指)、
デンマークRSO、
ヨハン・ベンソン(Fl)*、
ニルス・ムラー(T)**

(1)録音:1957年5月14日(放送録音)
(2)録音:1962年11月25日(放送)
(3)録音:1947年6月25日(スタジオ録音
(4)録音:1947年6月25日(スタジオ録音)]
(5)録音:1962年2月13日(ライヴ放送)
(6)録音:1963年6月8日(ライヴ放送)
(7)録音:1944年3月17日(スタジオ録音)
デンマークの名指揮者、トマス・イェンセン(1898-1963)のシリーズ第16集はシベリウスの交響曲第5番と第6番を収録。交響曲第2番と第7番(第1集:DACOC-D-911)、第3番(第6集:DACOC-D-916)、第1番と第4番(第13集:DACOC-D-923)が、このシリーズですでにリリースされており、今回で全曲の復刻が完成です。
[Disc2]にはイェンセンがキャリアを通じて演奏してきた3人のデンマークの作曲家たち、ラウリツ・ラウリトセン、エアリング・ブレーネ 、ポウル・シアベクの作品が収録されました。「カール・ニルセンの影」から現れたこの3人は、明確な個性をもちながら、典型的なデンマークの語法の作品を発表したことで知られます。すべて初めてのリリースとなります。
ニールセンの「四つの気質」は、1944年に HMV がコペンハーゲンのコンサートホールで行ったセッションで録音され、テスト・プレスが行われただけで、レコードとしてリリースされなかった音源です。
※当タイトルは、高品質メディア(SONY DADC/Diamond Silver Discs)を使用した、レーベル・オフィシャルのCD-R盤となります。
Danacord
DACOC-D-927(2CDR)
トマス・イェンセンの遺産 第17集

(1)ベートーヴェン:交響曲第4番
(2)交響曲第6番ヘ長調 Op.68「田園」
(3)ハイドン:交響曲第104番「ロンドン」*
(4ベートーヴェン:序曲「レオノーレ」第3番**
(5ブラームス:ヴァイオリン協奏曲***
トマス・イェンセン(指)、
デンマークRSO、
オーフス市立O*、
ティヴォリ・コンサートホールSO**、
アイザック・スターン(Vn)***

(1)録音:1962年5月2日(ライヴ放送)
(2)録音:1962年8月8日(ライヴ放送)
(3)録音:1955年12月20日(ライヴ放送)
(4)録音:1942年秋(スタジオ録音)
(5)録音:1961年11月30日(ライヴ放送)
トマス・イェンセンの遺産シリーズの第17集には、ベートーヴェン、ハイドン、ブラームスの作品が、ライヴ放送コンサートの録音で収められています。ハイドンの「ロンドン交響曲」は、1955年12月20日、オーフス・コンサートホールの柿落としコンサートでのライヴ録音。アイザック・スターンがソロを弾いたブラームスの協奏曲は、ユージン・オーマンディ指揮フィラデルフィアOとの共演でスタジオ録音した翌年、1961年にデンマークRSOに客演した際の演奏です。
※当タイトルは、高品質メディア(SONY DADC/Diamond Silver Discs)を使用した、レーベル・オフィシャルのCD-R盤となります。

Onyx
ONYX-4237(1CD)
ミェチスワフ・ヴァインベルク(1919-1996):チェロ・コンチェルティーノ Op.43
ヴァイオリン・コンチェルティーノ Op.42
モルドバの主題によるラプソディ Op.47-3
交響曲第7番Op.81
ウェン=シン・ヤン(Vc)、
タッシロ・プロプスト(Vn)、
ミュンヘン・ユダヤ室内O、
ダニエル・グロスマン(指)
近年注目が高まっているポーランドの作曲家、ミェチスワフ・ヴァインベルク(1919-1996)の協奏的作品を集めた1枚!
ポーランドのワルシャワでユダヤ人の家庭に生まれたヴァインベルクは、1939年にナチスのポーランド侵攻から逃れるために旧ソ連に亡命。そこで出会ったショスタコーヴィチと親交を深めるものの、反ユダヤ政策によって苦難の生涯を送ったことで知られています。「チェロ・コンチェルティーノ」は2016年に発見されたばかりの作品で、後にチェロ協奏曲として改作されました。1948年に作曲されたこの作品には、同年に起きたKGBによる義父の殺害という痛ましい出来事が反映されています。ハープシコードと弦楽合奏というユニークな編成のために書かれた「交響曲第7番」は、ロシアの指揮者ルドルフ・バルシャイに献呈されています。2人の名手、ウェン=シン・ヤンとタッシロ・プロプストの素晴らしい技巧にも注目です。


REFERENCE
FR-752SACD(1SACD)
チャイコフスキー:交響曲第5番
シュルホフ(1894?1942):弦楽四重奏のための5つの小品(ホーネック編)
ピッツバーグSO
マンフレート・ホーネック(指)

録音:2022年6月17-19、ハインツホール、ピッツバーグ(ライヴ)
長年高音質レーベルとして高い評価を得ているREFERENCE RECORDINGS。そしてREFERENCE RECORDINGSはもちろん、PENTATONE,BIS, など録音に定評のある数々のレーベルの録音を40年以上に渡って担当しているsound mirror社がタッグを組んだ大好評「ピッツバーグ・ライヴ!」シリーズ。 シリーズ第14弾は、チャイコフスキーの交響曲第5番とチェコの作曲家でホロコーストの犠牲となったエルヴィン・シュルホフの作品。
2008年からピッツバーグSOの首席指揮者を務めているマンフレート・ホーネック。チャイコフスキーの交響曲第5番は、就任前の2006年に同団と 初共演の際に演奏した思い出深い作品。名盤ひしめく名曲ですが、ホーネックは初共演から何度もスコアを見直し研究を重ね今回の演奏に挑んだと言います。感 情のこもった深い表現から荒々しい金管まで、はっきりしたコントラストを出し、音楽の高揚感とオーケストラと指揮者の一体感が素晴らしい演奏となっています。 カップリングのシュルホフの弦楽四重奏のための5つの小品は、ホーネックとトマーシュ・イルによるオーケストラ編曲版。シュルホフはジャズの影響を受けた作 品も多く、1924年にに作曲された本作は彼の作品で最も演奏される機会の多い作品です。シュルホフはナチス台頭により強制収容所で48年の生涯を閉じま した。 (Ki)

ALPHA
ALPHA-987(1CD)
ブルックナー:交響曲第8番ハ短調 WAB108 ノーヴァク版 第2稿(1890) チューリヒ・トーンハレO
パーヴォ・ヤルヴィ(指)

録音:2022年9月 トーンハレ、チューリヒ
収録時間:81分
パーヴォ・ヤルヴィとチューリヒ・トーンハレOによるブルックナー後期3大交響曲の第2弾として、フランクフルト放送響との全集録音から 10年ぶりの再録音となる第8番が登場。約15年ぶりの再録音となった前回の第7番では全ての楽章においてテンポが速くなっているのが特 徴でしたが、第8番では逆に全楽章で遅くなっており、特に第4楽章では2分30秒を超える差が生じています。しかしながら演奏は、むしろよ り引き締まった印象を与えるもので、たいへん力強く聴きごたえのある出来栄え。またホールの特性もあってか各パートのフレーズが際立ち、 見通しのよい録音であることも良い結果をもたらしているといえるでしょう。 今回もヴァイオリンを両翼、左奥にコントラバスという弦の配置を採用していますが、金管楽器については、前回第7番で右に独立して配置 したワーグナー・チューバはホルンと持ち替えとなるために左へ集約、その代わりバス・チューバ(シンカポールSOの夏目友樹がエキストラ 参加)をティンパニ隣の最上段ほぼ中央に配してワーグナー・チューバとのアンサンブルに親和性を持たせ、その右にトロンボーン、さらに右にト ランペットという、やや特殊な配置となりました。中央に低音金管楽器が置かれることで得られる安定感に加え、第1楽章クライマックスではト ランペットとホルンによるリズム動機が左右から鳴り響くという効果も得られています。

BR KLASSIK
BR-900213(1CD)
NX-B07
ブルックナー:交響曲第4番(第2稿1878/80) バイエルンRSO
ベルナルト・ハイティンク(指)

録音:2012年1月19日&20日
ミュンヘン、フィルハーモニー・イン・ガスタイク(ライヴ)
ベルナルト・ハイティンクがバイエルンRSOの定期演奏会にデビューしたのは1958年。それから65年となる2023/24シーズンに先立ちバイ エルン放送収録の音源から2012年のブルックナー:交響曲第4番を初CD化します。 ハイティンクのブルックナーの第4番はこれで5種目。1965年の初録音は緩急のコントラストを大きめにとった演奏でドラマティックな解釈に感じられます が、1985年盤以降は盤石と言える安定感を示し、解釈が成熟の域に入っていたことが感じられます。その中で当盤はフィナーレに重きを置き、そこに 向かって音の伽藍を築いてゆくような演奏と言えるでしょう。演奏会場ガスタイクのややドライな音響がここでは幸いし、クライマックスの強奏でも解像度 を保っています。 バイエルン放送響には創設指揮者ヨッフムの時代から続くブルックナー演奏の伝統があり、2005年からは当時の首席指揮者ヤンソンスがブルックナー の交響曲に継続して取り組んでいました。一方、ガスタイクはミュンヘン・フィルの本拠地でもあり、聴衆はチェリビダッケやティーレマンのブルックナー解釈 にもなじんでいました。そのような状況で、曲を熟知し、自然体で作品の威容を描き出すハイティンクの指揮の下、バイエルン放送響も持てる力を傾 注した演奏になりました。これはハイティンクにとってのみならず、オーケストラにとっても記念すべき1枚と言えるでしょう。

VOX
VOXNX-3020CD(1CD)
NX-B03
チャイコフスキー:交響曲第1番
交響曲第2番ハ短調「小ロシア」
ユタSO
モーリス・アブラヴァネル(指)

録音:1972-73年
1974年LP初リリース
明晰・明快な解釈によるアブラヴァネルのチャイコフスキー。親しみやすいメロディが多い第1番と第2番で は、伸びやかに、あるいは弾むように、主旋律を歌わせます。陰影やメランコリックな表現にも事欠かないの ですが、濃厚な情念や暗鬱さに耽溺しないのがアブラヴァネルの見識でしょう。バランス感覚にすぐれた演 奏を、立体的な音場感と解像度のあるアナログ期の名録音で楽しめます。 *ブックレットには初出時のジャケット写真と原盤解説が掲載されています。
VOX
VOXNX-3024CD(1CD)
NX-B03
チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調「悲愴」
5. 幻想序曲「ハムレット」
ユタSO
モーリス・アブラヴァネル(指)

録音:1972-73年
1974年LP初リリース
アブラヴァネルの「悲愴」は明快な造形と巧みな緩急が生み出すドラマティックな表現が印象的。第3楽章 の最後ではテンポアップして華麗に終わるのでライヴならば拍手が湧くところでしょう。終楽章は慰めや優し さが支配的な中にも劇的な起伏のある演奏。弦の多彩な音色変化(特に柔らかさ)と木管の艶、金管の 抜けの良さなどに音質改善が感じられます。ハムレットも語り上手な演奏。 *ブックレットには初出時のジャケット写真と原盤解説が掲載されています。

Pentatone
PTC-5187043(1CD)
マーラー:交響曲第1番ニ長調「巨人」 セミヨン・ビシュコフ(指)
チェコPO

録音:2021年10月12〜15日ルドルフィヌム、ドヴォルザーク・ホール(プラハ)
2018年10月よりチェコPOの首席指揮者・音楽監督としての任期をスタートさせたセミヨン・ビシュコフが全身全霊で臨んでいる マーラーの交響曲全曲録音。当アルバムは第1番「巨人」を収録しております。
当団にとってマーラーの全曲録音は1976年から1982年にかけてのヴァーツラフ・ノイマンとの録音以来。オーストリアで活躍したマーラーですが生まれは 当時のオーストリア帝国に属するボヘミア王国のイーグラウ近郊のカリシュト村(現チェコのイフラヴァ)。この全曲録音は当団にとって重要なプロジェクトとなっ ております。
マーラーは「交響曲は一つの世界のようなものであるべきで、すべてを包摂するものでなければならない」という有名な言葉を残していますが、第1番「巨人」 は動物(カッコウ)の鳴き声、狩猟の角笛、農村の踊り、フレール・ジャックの民謡の引用など、まさにマーラーが目指した「交響曲」の世界を創り上げています。
「マーラーの交響曲は人生の“ポリフォニー”を表現するものであり、これらの作品を録音することは、生涯をかけて抱いてきた夢、そして喜びです」と語るビシュ コフ。温かく優しい音色を全面に引き出し、マーラーが描いたボヘミアの香り高き演奏を聴かせてくれます。 (Ki)


PROMINENT CLASSICS
2506-5616(3CD)
ブラームス:交響曲全集
■Disc1
交響曲第1番ハ短調Op.68
ハンガリー舞曲集(第1番、第3番、第4番、第5番)
■Disc2
交響曲第3番へ長調Op.90
交響曲第2番ニ長調Op.73
■Disc3
ピアノ四重奏曲第1番(シェーンベルク編)
交響曲第4番ホ短調Op.98
ジョルジュ・プレートル(指)

■Disc1
シュトゥットガルトRSO
録音:2000年12月8日(第1番)、(2)1997 年10月29日〜31日(ハンガリー舞曲)

■Disc2
ベルリン・ドイツSO
録音:2008年10月27日(第3番),2011年2 月6日(第2番)、 全て,フィルハーモニー・ベルリン
■Disc3
ローマ聖チェチリア音楽院O
録音:2009年3月17日(P四重奏)、2010 年5月31日(第4番)
全てデジタル、ライヴ録音
ライヴによるプレートルのブラームス交響曲全集が待望のセット化です(第 1番:SSS0197、第2、3番:SSS0129、第4番:TBRCD0028)。外箱に分売 3枚 を収めた形になります。 演奏は定評ある期待通りの雄渾なブラームスです。もちろん、プレートルなら ではの仕掛満載の名演奏です。カップリングのシェーンベルクがオーケストレ ーションしたピアノ四重奏曲第1番も聞きものです。

GRAND SLAM
GS-2295(1CD)
ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲
交響曲第4番ホ短調 Op.98
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指揮BPO

録音:1943年12月12〜15日ベルリン、旧フィルハーモニー
使用音源:Private archive (2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:モノラル(ラジオ放送用録音)
■制作者より  
かつてフルトヴェングラーの放送録音を担当していたフリードリヒ・シュナップは、フルトヴェングラーの演奏で最も素晴らしいのはブラームスだと語っていまし た。この2曲は複数の録音の中でも最も劇的で振幅の大きな演奏として有名ですが、当シリーズでは2014年にメロディアのLPからの復刻盤(GS-2107、廃盤) を発売しています。そこで、今回は初めて2トラック、38センチのオープンリール・テープからの復刻盤登場です。LP復刻も独特の味わいがありますが、やはり総 合的な情報量ではテープ復刻が優っていると思われます。マスタリングはこれまで同様に全工程をプロ用の機器で行い、万全を期しています。  なお、解説書には戦時中にヨーロッパ特派員として活躍していた齋藤正躬(さいとう・まさみ 1911-1967)が、この演奏と同じ1943年にストックホルム でフルトヴェングラーを聴いた際の手記を掲載しています。(平林 直哉)。


東武レコーディングズ

TBRCD-0140(2CD)
税込定価
ブラームス:交響曲全集
(第1番〜第4番)
ガリー・ベルティーニ(指)東京都SO

録音:2003年6月17日東京芸術劇場,ライヴ(第2番、第4番)
2003年6月22日サントリー・ホール,ライヴ(第1番、第3番)
死の直前まであんなに元気だったのに、あまりにも呆気なく世を去った巨匠ベ ルティーニ。これだけの大指揮者が日本を頻繁に訪れていた当時は、水か空気 のように当たり前に感じていましたが、今になって思うと奇跡の連続のような見事 な演奏を毎回繰り広げていたことに気付かされます。初登場となるブラームスの 交響曲全集を聞いてみましょう。この演奏は2003年6月の都響出演時に一気に 演奏されたもので、ベルティーニの演奏プランの統一性がはっきりと読み取れま す。程の良い快速とでも呼びたいもたれないテンポ感。重苦しさを排除しながら も軽薄に陥らない至芸。オペラティックに歌わせたかと思えば、締める所は古典 的に徹底して締める。隅々まで計算された演奏です。ベルティーニは“トスカニ ーニの再来”という賛辞を受けたと言いますが全くその通りです。巨匠の手足と でも賞賛したい都響の献身的な姿も特筆ものです。音質もデジタルで良好。 解説はベルティーニの多くのコンサート、オペラをヨーロッパ、日本で聞いてきた 許光俊氏。


Spectrum Sound
CDSMBA-143(1CD)
マルティノン&プレートル〜ライヴ・イン・フランス 1968&1961
シューマン:交響曲第4番ニ短調 Op.120
ベルリオーズ:幻想交響曲*
ジャン・マルティノン(指)、
ジョルジュ・プレートル(指)*
フランス国立放送O

ライヴ録音:1968年9月10日メゾン・デ・ザール・エ・ロワジール・ド・ラ・ヴィル・ド・ソショー(フランス)
1961年12月5シャンゼリゼ劇場
【共にステレオ・ライヴ】
積極的なリリースが続いているスペクトラム・サウンド。当アルバムはフランス国立視聴覚研究所(INA)保有音源からの復刻で、1968年9月10日、ジャン・ マルティノン(指)フランス国立放送O演奏のシューマンの交響曲第4番と、1961年12月5日、ジョルジュ・プレートル(指)フランス国立放送O 演奏のベルリオーズの幻想交響曲、いずれもステレオによる正規初出音源です!
マルティノンといえば、その人柄をあらわしているかのような気品に満ちた音楽が魅力。演奏時58歳の折り目正しいシューマンは冷静でありながら非常に熱い 音楽を展開しています。
後半は演奏時36歳のプレートルによるエネルギッシュな「幻想交響曲」。決して突っ走ることなく、じわじわと盛り上げる演奏で、若きプレートルの貴重な記録 といえます。
ライヴ録音のため演奏後に拍手が入ります。
※このレーベルは、初発売後早期に廃盤となる可能性が高いです。お早めにご注文下をおすすめします。


Audite
AU-21464(3CD)

KKC-6731(3CD)
日本語解説書付国内盤
税込定価
ヘルベルト・フォン・カラヤン/ルツェルン音楽祭初期録音集成(1952〜1957)
■CD1
(1)ベートーヴェン:交響曲第8番
(2)モーツァルト:ピアノ協奏曲第24番ハ短調 K.491
(3)バッハ:2台の鍵盤のための協奏曲第2番 ハ長調 BWV1061
■CD2
(4)ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」
(5)ブラームス:交響曲第4番
■CD3
(6)ブラームス:ヴァイオリン協奏曲
(7)オネゲル:交響曲第3番「典礼風」

デジタルのボーナス・トラック
バッハ:ミサ曲 ロ短調 BWV232(全曲)
全て、ヘルベルト・フォン・カラヤン(指)

(2)ロベール・カサドシュ(P)
(3)ゲザ・アンダ(P)、クララ・ハスキル(P)
(6)ナタン・ミルシテイン(Vn)
(1)(2)(3)(6)(7)ルツェルン祝祭O
(4)(5)フィルハーモニアO

ライヴ録音:(1)(2)1952年8月16日、(3)(7)1955年8月10日、(4)(5)1956年9月6日、(6)1957年8月17日
クンストハウス、ルツェルン(モノラル)

デジタルのボーナス・トラック
ウィーンSO、ウィーン楽友協会cho
エリーザベト・シュヴァルツコップ(S)、エルザ・カヴェルティ(A)、エルンスト・ヘフリガー(T)、ハンス・ブラウン(Bs)
録音:1951年9月1日
※商品インレイに印字されたQRコードから聴くことができます
定評あるauditeレーベルの1stマスター・リリースのルツェルン・フェスティヴァル・シリーズ第19弾は、ヘルベルト・フォン・カラヤンのルツェルン音 楽祭における初期のライヴ録音集成!現存するオリジナルマスターからの復刻で、バッハの2台の鍵盤のための協奏曲第2番(同シリーズ第17弾 KKC-6462/ AU-95650で発売中)を除く全作品が未発表の正規初出音源という驚きの内容です!カラヤンが自身のキャリアを再構築していた時期の貴重な記録 で、ルツェルン祝祭O(1952年、1955年、1957年)とフィルハーモニアO(1956年)との共演です。
ヘルベルト・フォン・カラヤンはルツェルン音楽祭を代表するアーティストのひとりで、1948年から1988年までの40年間、スイス祝祭O(ルツェ ルン祝祭O)、フィルハーモニアO、ウィーンSO、BPOと計9回登場し、同音楽祭にその名を刻みました。
1946年、VPOとの第二次世界大戦後初の演奏会を前に戦時中ナチスの党員であったことを理由に公開演奏停止処分と受け ていたカラヤン。ルツェルン国際音楽祭(現在のルツェルン音楽祭)は、オーストリア国外で初めてカラヤンを起用した招聘元であり、カラヤンの国際的な指揮 者として復帰を後押しした重要な舞台でした。同音楽祭に対し、カラヤンはのちに「私は常に恩義を感じている」と告白しています。
現存する音源にはバッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームス、オネゲルと多岐にわたります。エキサイティングでリズミカルにして引き締まった解釈は、 カラヤンが各作品の譜面に忠実ながら、実に表現力の豊かな指揮者であることを示しています。また協奏曲を振るのも得意とし、アンダ&ハスキルのバッハ、ミ ルシテインのブラームス、カサドシュのモーツァルトと、繊細でありながら極めて存在感のある伴奏者としても秀でております。
演奏の素晴らしさに加えて今年(2023年)にレーベル50周年を迎えるaudite(2000年にFermateレーベルと合併)の見事な復刻にも注目。同レー ベル社主のルトガー・ベッケンホーフ氏が丁寧にリマスタリングしております。またブックレットには今回初めて掲載された音楽祭の写真も多数掲載。資料的価値 はもちろんのこと、歴史的に見ても非常に重要な演奏会が正規初出音源でリリースされることは大歓迎と申せましょう。
デジタルのボーナス・トラックとして、1951年9月1日、同音楽祭の最後に演奏したバッハのミサ曲 ロ短調 BWV232全曲を聴くことができます。
国内仕様版(KKC-6731/3)には音楽歴史学者でルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘン教授のヴォルフガング・ラザート著「 “明快なる構成” 〜ヘ ルベルト・フォン・カラヤンのルツェルンでの初期のライヴ録音」の寺西肇による翻訳の充実の日本語解説書付です。 (Ki))

H.M.F
HMSA-0069(1SACD)
シングルレイヤー
日本語解説付国内盤
限定盤
税込定価

ベートーヴェン:交響曲第5番 ハ短調 op.67「運命」
ゴセック:17声の交響曲 ヘ長調 RH64
フランソワ=グザヴィエ・ロト(指)
レ・シエクル(管弦楽/ピリオド楽器使用)

録音:2017年3月フィルハーモニー・ド・パリ(ベートーヴェン)、2020年2月ブローニュ=ビヤンクール、ラ・セーヌ(ゴセック)
「運命」は、基本的にロトらしい推進力に満ちた早目のテンポによります。歯切れの良いリズム、聴いたことのないような弦のフレージング、明るく輝かしい音色 など、まさにロトとレ・シエクルにしかできない演奏を繰り広げ充実感の極み。  カップリングは「ガヴォット」で有名なゴセックの17声の交響曲。ゴセックはシンフォニストとして非常な人気を誇り、また当時フランスの管楽 器奏者の水準が高く、それが作品に反映されているため、ベートーヴェンは多くのことを学び作品に応用したとされます。このたびのSACD化により、高音の伸び がより豊かになっており、実際に演奏会場のベスト・ポジションで聴いているような印象になっています。 (Ki)
H.M.F
HMSA-0070(1SACD)
シングルレイヤー
日本語解説付国内盤
限定盤
税込定価

ベートーヴェン:交響曲第3番 変ホ長調 作品55「英雄」
メユール(1763-1817):序曲〜歌劇「アマゾネス、あるいはテーベの創生」より
フランソワ=グザヴィエ・ロト(指)
レ・シエクル(管弦楽/ピリオド楽器使用)

録音:2020年3月トゥルコアン市立劇場(グルノーブル)(ベートーヴェン)、
2020年2月セーヌ・ミュジカル、ブローニュ・ビリヤンクール(メユール)
ベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」でロトは、抜群のリズム感の良さと引き締まった造形、みなぎる緊張感で、作品の革新的な面を高らかに響かせます。 カップリングには、メユールの歌劇「アマゾネス」序曲を収録。メユールはベートーヴェンより7歳年長で、ナポレオン時代のフランスを代表するオペラ作曲家。考 えられている以上にベートーヴェンと共通点が多く、オーケストラの職人でした。シューマンも、ベートーヴェンとメユールの作品の類似性を指摘しています。この たびのSACD化により、18-19世紀の天才による作品がより豊かなサウンドで響きます。 (Ki)

オクタヴィア
OVCL-00820(3SACD)
税込定価
2023年7月19日発売
初回限定特別装丁BOXケース&紙ジャケット仕様
ブラームス:交響曲全集
交響曲第1番ハ短調 作品68
交響曲第2番ニ長調 作品73
交響曲第3番ヘ長調 作品90
交響曲第4番ホ短調 作品98
久石譲(指)
フューチャー・オーケストラ・クラシックス

録音:第1番:2023年5月10-11日 長野市芸術館 メインホール(セッション)
第2番:2021年7月8日 東京オペラシティ コンサートホール、10日長野市芸術館 メインホール(ライヴ)
第3番:2022年2月9日 東京オペラシティ コンサートホール(ライヴ)
第4番:2022年7月14日 東京オペラシティ コンサートホール、16日長野市芸術館 メインホール(ライヴ)
クラシック音楽へのかつてないアプローチが大きな話題を集める、久石譲とFOCによる挑戦。 このブラームス全集は、2020年から取り組んだブラームス・ツィクルスより第2番・第3番・ 第4番と、新たにセッション録音をした第1番が収録されています。3年半という時間をかけた 入魂のアルバムです。 久石譲のもと若手トッププレーヤーが集結したFOCは、瞬発力と表現力が爆発。作曲家なら ではの視点で分析された演奏は、常識を打破するような新しいブラームス像をうち立ててい ます。(オクタヴィア)

Capriccio
C-5509(1CD)
NX-B07
ジグムント・ノスコフスキ(1846−1909)交響曲第2番ハ短調「エレジー風」(1875-79)
交響曲第1番イ長調(1874-75)
ラインラント=プファルツ州立PO
アントニ・ヴィト(指)

録音:2022年10月17-21日
ノスコフスキはワルシャワ音楽院でヴァイオリンと作曲を学んだ後、プロイセン芸術アカデミーに留学して名教師として名高いフリードリヒ・キールとリヒャルト・ヴュ ルストに学びました。その3曲の交響曲は「ポーランド人作曲家による初の本格的な交響曲」と評価されています。このディスクではアントニ・ヴィトが第1番と 第2番を指揮し、母国の交響楽に記念すべきページを開いた作品に渾身の演奏を聴かせます。 交響曲第1番は演奏時間約45分の大作。シューマンに通じるスタイルと響きや第4楽章のフーガなどにベルリンでの学習の成果を感じさせます。第2番は 演奏時間約35分ですが、内容としては一段と緻密さを増し、当時プロイセンとロシアに分割支配されていた母国ポーランドへの思いを反映したドラマティック な作品となっています。作曲家自身が指揮した初演時のプログラムで「がんじがらめの祖国」と書かれていた第1楽章では、序奏に続いて悲劇的な音楽が 展開します。第2楽章のスケルツォは「希望と蜂起」。スラヴ風の舞曲にはさまれたファンファーレが印象的。第3楽章は「倒れた英雄たちへのエレジー」、悲愴 で荘重な緩徐楽章です。「苦難を越えて天界へ」と題された第4楽章は、前進と頓挫を思わせる場面が交互する中から勇壮で民族的な旋律が表れ、最 後は輝かしく結ばれます。当時の独立運動のシンボル的な歌で後にポーランド国歌となる「ドンブロフスキのマズルカ」を思わせるモチーフも見えかくれします。 ノスコフスキは第2番を仕上げた翌年ワルシャワに帰国し、後進の育成に力を注ぎました。在世中にはポーランドの独立回復を見届けることが叶わなかったノ スコフスキですが、彼の門下からはシマノフスキやフィテルベルクをはじめ数多くの音楽家が輩出し、ポーランドに交響楽の伝統を築きました。

VOX
VOXNX-3023CD(1CD)
NX-B03
チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調 Op. 64
祝典序曲「1812年」 Op.49(1880)
ユタSO
モーリス・アブラヴァネル(指)

録音:1972-73年
1974年LP初リリース
総収録時間:61分
アブラヴァネル&ユタ響のチャイコフスキー:交響曲全集は、明晰な解釈と明快な造形そして晴れやかな サウンドが特徴。この2曲では強弱緩急のメリハリを大きくつけて、ドラマティックかつ爽快な仕上がりになって ます。その中で第2楽章のホルン・ソロはたっぷりとしたテンポで朗々と歌い上げていて印象的。今回のリマス ターにより弦の強奏でのザラツキが軽減され、木管にはみずみずしさが、金管にはヌケの良さが加わりまし た。 ブックレットには初出時のジャケット写真が掲載されています。

SOMM
ARIADNE-5022(2CD)
NX-C09
マーラー演奏のパイオニアたち
【CD1】
1-2. マーラー:嘆きの歌
3. マーラー:アダージョ- 交響曲第10番より
4. レオポルド・ストコフスキーへのインタビュー(約23分)
【CD2】
1-4. マーラー:交響曲第4番ト長調
5. アルフレッド・フリーゼへのインタビュー(約18分)
ジョーン・サザーランド(S)…CD1:1-2
ノーマ・プロクター(C.A)…CD1:1-2
ピーター・ピアーズ(T)…CD1:1-2
ゴールドスミス・コーラル・ユニオン…CD1:1-2
テレサ・シュティッヒ=ランダル(S)…CD2:4
LSO…CD1:1-2、CD2:1-4
ワルター・ゲール(指)…CD1:1-2、CD2:1-4
BBC響…CD1:3
ヘルマン・シェルヘン(指)…CD1:3

録音:1956年5月13日(ライヴ) ロイヤル・フェスティヴァル・ホール(UK)…CD1:1-2
1948年11月21日 BBCスタジオ(UK)…CD1:3
1960年2月9日 BBC Maida Vale Studios(UK)…CD2:1-4(全てMONO)

インタビュー
1970年4月8日…レオポルド・ストコフスキー(指揮者)
1962年8月16日…アルフレッド・フリーゼ(ティンパニ奏者)
冒頭の「嘆きの歌」は英国初演のライヴ録音。超絶的なコロラトゥーラで一世を風靡したジョーン・サザーランドや、イギリスを代表する名歌手の一人ピー ター・ピアーズのマーラー録音はきわめて稀少です。指揮のワルター・ゲールはシェーンベルク門下のドイツ系ユダヤ人で、ナチスを逃れてイギリスに渡り活動し ました。明晰な楽曲分析に基づく的確な指揮で評判があったようですが、彼のマーラーの録音もまた稀少。CD2にはゲール指揮による交響曲第4番が収め られています(マーラー生誕100年記念祭のライヴ)。第10番のアダージョはヘルマン・シェルヘンの指揮。レーベルによれば、いずれもリリースされるのは初との ことです。定評あるポール・ベイリーによるマスタリング。 これらに加えて、ストコフスキーとフリーゼのインタビューを収録しているのもポイント。ストコフスキーは1910年にマーラー指揮で行われた第8番「千人の交響 曲」初演時のリハーサルに立ち会っており、ニューヨーク・フィルのティンパニ奏者だったフリーゼは1909年にマーラーの指揮で演奏した経験があります。二人の 回想(共に英語)はマーラー自身の指揮に関する貴重な証言です。尚フリーゼのインタビューは文字起こしされてブックレットに掲載されています。

Spectrum Sound
CDSMBA-141(1CD)
モーツァルト:「フィガロの結婚」序曲
シューベルト:交響曲第9番「ザ・グレート」
カール・ミュンヒンガー(指)
フランス国立放送O

ライヴ録音:1966年5月18日シャンゼリゼ劇場(ステレオ)【初出音源】
積極的なリリースが続いているスペクトラム・サウンド。当アルバムはフランス国立視聴覚研究所(INA)の貴重音源からの復刻で、1966年5月18日、シャン ゼリゼ劇場におけるカール・ミュンヒンガー(指)フランス国立放送Oのモーツァルトの「フィガロの結婚」序曲とシューベルトの交響曲第9番「ザ・グレート」 の実況録音。嬉しいステレオによる正規初出音源です。
アーベントロートやクレメンス・クラウスといった名指揮者のもとで研鑽を積み、フルトヴェングラーからも薫陶を受けたミュンヒンガー。戦後、生地シュトゥットガ ルトにて室内Oを結成し、60年代には同団を世界的なオーケストラに育て、バロック音楽のブームを牽引しました。ここに聴くモーツァルトとシューベルトで は密度の高い演奏を繰り広げており、ミュンヒンガー50代、充実の演奏を堪能できます。 (Ki)
※このレーベルは、初発売後早期に廃盤となる可能性が高いです。お早めにご注文下をおすすめします
Spectrum Sound
CDSMBA-142(1CD)
(1)ブラームス:交響曲第1番ハ短調 Op.68
(2)ベートーヴェン:交響曲第5番ハ短調 Op.67「運命」
(1)サー・ゲオルク・ショルティ(指)
(2)オイゲン・ヨッフム(指)
フランス国立放送O

ライヴ録音:(1)1956年12月6日シャンゼリゼ劇場、(2)1960年9月20日モントルー(モノラル)【初出音源】
積極的なリリースが続いているスペクトラム・サウンド。当アルバムはフランス国立視聴覚研究所(INA)の貴重音源からの復刻で、ゲオルク・ショルティ指揮の ブラームスの交響曲第1番(1956年12月6日、シャンゼリゼ劇場)、とオイゲン・ヨッフム指揮のベートーヴェンの交響曲第5番「運命」(1960年9月20日、 モントルー)、いずれも正規初出音源の登場です。 ★ショルティは演奏当時44歳。音楽づくりに妥協のないショルティが筋肉質でダイナミックなブラームスを展開。一方、ヨッフムは演奏当時57歳。真にドイツ音楽 の正統を受け継ぐ指揮者として地位を築いた時期の充実の「運命」。ともにモノラル音源ながら両巨匠の貴重な記録が日の目を見ます。 (Ki)
※このレーベルは、初発売後早期に廃盤となる可能性が高いです。お早めにご注文下をおすすめします



Treasures
TRE-282(1CDR)
スワロフスキー/シューマン&スメタナ
スメタナ:歌劇「売られた花嫁」序曲
 交響詩「モルダウ」
シューマン:交響曲第1番「春」*
 交響曲第3番「ライン」#
ハンス・スワロフスキー(指)
ウィーン祝祭O、
ウィーン国立歌劇場O*、ウィーンSO#、

録音:1958年頃、1959年*、1955年1月19&21日#(全てモノラル)
※音源:W.R.C TT-17、仏ODEON XOC-819*,#
◎収録時間:75:27
“模範解答的な佳演の域を超えるスワロフスキーの熱き表現!”
■音源について
シューマンの「春」の一部で音が震える箇所がありますが、マスターに起因するものと思われます。

★特にシューマンの2曲は、同じくウィーンのオケを振ったベートーヴェンの交響曲と並ぶスワロフスキーの魅力を知る上で欠かせない録音。「春」は、何と言っても冒頭のファンファーレが通常版より三度低いマーラー版を採用しているのが特徴ですが、演奏そのものが実に意欲的で、文字通り春のワクワク感一杯の快演!序奏部から細部まで表情に抉りが効いており、主部はキビキビしたテンポで居ても立っても居られない愉しさを炸裂させますが、内声の抉りは変わらず貫徹。コーダ9:01からのイン・テンポ進行は、脂肪過多の造がこの作品に不釣り合いだと言わんばかりに確信に満ちています。第2楽章も耽溺せずに推進性を維持しつつロマンの息吹をふんだんに放出。第3楽章はオケの響きに惚れ惚れ。その古き佳き音色と洗練されたスワロフスキーの音楽作りとのブレンド感が絶妙。終楽章は2:57からのホルン合奏とフルートのトリルの美しさを経て、春の日差しが優しく微笑むかのような再現部冒頭の表情が忘れられません。
 「ライン」(こちらは通常バージョンと思われます)は、第1〜2楽章が相当な高速イン・テンポ進行ですが、スワロフスキーが速めのテンポを取る際の常として、ここでも強引さのない自発性が音楽に伸びやかな生命感を与えています。第4楽章も荘厳さを誇張せず、ルバートを抑えて淡々と進行しますが、少しも無機質感はなく、この作品の「陽」の部分に比重を置いたアプローチの中でのこのスタイルは、むしろ見事に調和が取れています。終楽章もイン・テンポが基調で、後半4:02でも少しもテンポを落とさないは珍しいですが、良質なモノラル録音が立体感のある音像を刻んでいるおかげで、まさに淀みを知らない川の流れを具現化しています。なお、楽章開始直後の9小節目のトランペットが割愛されていますが、そういう版があるのでしょうか?少なくとも、トスカニーニ、ワルター、セル、ジュリーニ、レイボヴィッツでは同じ現象は確認できませんでした。
 2曲のスメタナも共感度満点!特に、「モルダウ」のテーマにおけるハープとヴァイオリンの織りなす色彩とホルン合奏の深淵さは古今を通じて傑出しており、中間の舞曲のリズムを丁寧に育みながらの温かなスウィング感、夜の場面のきめ細やかなフレージングと艶やかさはもはや恍惚境と言ってよく、本場チェコ勢の演奏でもここまで愛を注ぎ尽くした例は稀でしょう。
【2023年6月・湧々堂】

LSO Live
LSO-0878(1SACD)
ショスタコーヴィチ:交響曲第15番イ長調 op.141
交響曲第6番ロ短調 op.54
ジャナンドレア・ノセダ(指)LSO

録音:2019年10月31日(第6番)、2022年2月6,13日(第15番)
熱量が高く、巧みな語 り口と、どんな旋律も美しく歌わせるノセダの指揮に、LSOのメンバーが全開で応えており、圧巻の演奏の登場となっております。
交響曲第5番の成功(1937年秋)を受けて、前作に匹敵するような作品を作ることを期待され注目された「第6番」。1939年4月に書き始められ、 1939年11月5日、10月革命22周年を記念した演奏会でムラヴィンスキー指揮のレニングラード・フィルによって初演されました。聴衆の反応は非常に 熱狂的で直ちに終楽章が再演されました。熱量の高い冒頭にはじまり、交響曲という壮大なジャンルをショスタコーヴィチがわがものにしていることを感じさせ ます。ノセダはひとつひとつの旋律を美しく歌わせながら際立たせており、LSOの奏者たちが全開で指揮にこたえています。また、楽章全体が対位法で表現さ れており、この後ショスタコーヴィチは数々の弦楽四重奏曲の傑作、そして「前奏曲とフーガ」を生み出してゆくことになります。
最後の交響曲である第15番は、ショスタコーヴィチの体調が悪化してた1970年から71年にかけて書かれたもので、冒頭から不穏な空気が漂う上、ロッシー ニの「ウィリアム・テル」序曲やワーグナーのワルキューレの「死の宣告」など他作品からの引用、そして作品冒頭で現れたEs-As-C-H-Aの音列が最後にチェ レスタで何かを象徴するかのように奏でられるなど、様々に秘められたメッセージを感じる作品です。荒々しい高揚感から静かで天上のように美しい室内楽的な 部分まで振幅が大きいながらも最後はフッと終わってしまうような作品を、ノセダはそれぞれの素材を効果的に響かせながら導きます。 30年ほどの間を隔てて書かれたまったく性格の異なる交響曲2作を、ノセダがどう解き明かすか、注目です。 (Ki)

LAWO Classics
LWC-1258(1CD)
モーツァルト:交響曲第39番&第40番交響曲第39番 変ホ長調 K.543
交響曲第40番ト短調 K.550
ノルウェー放送O、
ペトル・ポペルカ(指)

録音:2022年1月24日-28日&8月22日、NRKラジオ・コンサート・ホール(オスロ、ノルウェー)
2022年8月、マティアス・ピンチャーの代役として東京SOの指揮台に登場し日本デビューを果たすと、驚異的な名演を繰り広げて話題を席巻し、日本の聴衆の心を鷲掴みにした指揮者ペトル・ポペルカ。1986年プラハ出身のポペルカはシュターツカペレ・ドレスデンの副首席コントラバス奏者を務めた経歴を持ち、本格的な指揮活動を開始したのは2016年からとまだ7年ほどしか経っていないにもかかわらず、既にチェコ・フィル、NDRエルプフィル、hr響といった一流オーケストラを指揮。さらに2022/23シーズンにはゲヴァントハウス管、シュターツカペレ・ベルリン、バンベルク響、SWR響、WDR響、ベルリン放送響、スウェーデン放送響、ルクセンブルク響、アトランタ響などにデビューまたはデビュー予定という、次代の音楽界を牽引するであろう存在としてクラウス・マケラらと共に今世界中から熱い視線が送られている気鋭の指揮者です。
2020年8月に首席指揮者に就任して以来良好な関係を維持しているノルウェー放送Oとはマリアンネ・ベアーテ・シェラン(マリアンネ・ベアーテ・キーラント)の「シベリウス:オーケストラ伴奏付き歌曲集(PLWC-1239)」で伴奏としての録音はあったものの純粋な彼らのディスクとしては初。モーツァルト晩年の大傑作、交響曲第39番&第40番を選曲したこのアルバムが新時代の到来を予感させる大注目のコンビ“ポペルカ&ノルウェー放送管”の大きな一歩となることでしょう。

ACO
ACOJP-1(1CD)
日本語解説付き
バッハ、ベートーヴェン、ブラームス
バッハ:2つのヴァイオリンのための協奏曲 二短調 BWV1043*
ベートーヴェン
:弦楽四重奏曲 変ロ長調 作品130より 第5楽章 カヴァティーナ(弦楽オーケストラ編曲:リチャード・トネッティ)、
 大フーガ 変ロ長調 作品133(弦楽オーケストラ編曲:リチャード・トネッティ)
ブラームス:交響曲第3番 ヘ長調 作品90
リチャード・トネッティ(Vn1)*、
ヘレナ・ラスボーン(Vn2)*
リチャード・トネッティ(芸術監督、ヴァイオリン)、
オーストラリア室内O

録音:2005年10月21日-24日、ABCユージン・グーセンス・ホール(バッハ)/2016年5月14日-20日、シドニー・シティ・リサイタル・ホール(ベートーヴェン/ライヴ)/2015年8月23日-24日、メルボルン・ハマー・ホール(ブラームス/ライヴ)
オーストラリアの人間国宝(National Living Treasure)であり同国を代表するヴァイオリニスト、指揮者、作編曲家、リチャード・トネッティが芸術監督を務めるオーストラリア室内O(ACO)の自主制作盤! 2023年の来日公演を記念して、日本語の解説も収録した記念盤が制作されました。トネッティ&ACOの輝かしい録音資産の中から、2005年に録音されたバッハの2台ヴァイオリン協奏曲(ソロはトネッティと首席ヴァイオリニストのヘレナ・ラスボーン)、2016年に録音されたベートーヴェンの弦楽四重奏曲(トネッティ自身の編曲による弦楽オーケストラ版!)、2015年に録音されたブラームスの交響曲第3番を厳選収録。世界に鮮烈な新風を送り続け、日本とも「深いつながり」を持つリチャード・トネッティ&オーストラリア室内管の来日記念盤にご注目ください!
オーストラリア室内Oは1975年創立。1990年に当時弱冠25歳のリチャード・トネッティを芸術監督に迎え、クラシック界のニューウェーブとして国内外で多彩な活動を展開。チェロ以外のメンバーの立奏や、ガット弦の使用など特徴的なスタイルで、バロック音楽から現代音楽まで幅広く取り上げています。リチャード・トネッティはオーストラリアで初めてススキ・メソードを取り入れ、サトゥ・ユリコ・ヴァンスカや後藤和子などの日本に縁のあるメンバーもスズキ・メソードで研鑚を積んでいます。詳しくはACO公式WEBサイトの日本語ページもご覧ください。 https://www.aco.com.au/jp

Diapason
DIAP-159(2CD)
マーラー:作品集
(1)交響曲第3番ニ短調
(2)「若き日の歌」より第1曲、第3曲、第6曲、第7曲
「少年の魔法の角笛」より第1曲、第4曲、第5曲、第6曲、第7曲、第9曲、第10曲
「リュッケルト歌曲集」より第2曲、第3曲、第4曲、第5曲
(1)レナード・バーンスタイン(指)NYO
マーサ・リプトン(Ms)
スコラ・カントルム女声cho
トランスフィギュレーション教会少年cho
録音:1961年

(2)クリスタ・ルートヴィヒ(Ms)
ジェラルド・ムーア(P)
録音:1957年&1959年
フランスの世界的クラシック音楽専門雑誌である「ディアパゾン(Diapason)」が音楽史に輝く名曲の歴史的名演を選出し、新たなマスタリングを施して復刻するシリーズ『レ・ザンディスパンサーブル・ド・ディアパゾン 〜ディアパゾンが選んだ決定盤』。
シリーズの第159巻として登場するのは、レナード・バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィルハーモニックによるマーラーの「交響曲第3番」です。この録音は、バーンスタインのマーラー・ツィクルス第1回目にあたるもので、40代前半のバーンスタインによる若々しい情熱に溢れた演奏となっています。カップリングは、長年ウィーン国立歌劇場で活躍し、コンサートではバーンスタインとマーラーの「交響曲第3番」で度々共演し、リサイタルでもマーラーの歌曲を取り上げていた名歌手クリスタ・ルートヴィヒと、様々な歌手や器楽奏者との共演でも知られるジェラルド・ムーアのピアノによるマーラーの歌曲集が収録され、充実の内容となっています。
Diapason
DIAP-CF028((10CD)
マーラー:交響曲全集

(1)交響曲第1番「巨人」

録音:1961年
(2)交響曲第2番「復活」

(3)交響曲第3番

(4)交響曲第4番

(5)交響曲第5番

(6)交響曲第6番「悲劇的」

(7)交響曲第7番

(8)交響曲第8番「千人の交響曲」

(9)交響曲第9番

(10)交響曲第10番(断章)
(1)パウル・クレツキ(指)VPO
録音:1961年
(2)ブルーノ・ワルター(指)NYO、エミリア・クンダリ(S)、モーリン・フォレスター(A)、ウェストミンスターcho
録音:1958年
(3)レナード・バーンスタイン(指)、ニューヨーク・フィルハーモニック、マーサ・リプトン(Ms)、スコラ・カントルム女声合唱団、トランスフィギュレーション教会少年合唱団
録音:1961年
(4)フリッツ・ライナー(指)CSO、リーザ・デラ・カーザ(S)
録音:1958年
(5)ルドルフ・シュワルツ(指)LSO
録音:1958年
(6)ディミトリ・ミトロプーロス(指NYO
録音:1955年
(7)キリル・コンドラシン(指)モスクワPO
録音:1975年
(8)
ヤッシャ・ホーレンシュタイン(指)LSO、他
録音:1958年
(9)ブルーノ・ワルター(指)コロンビアSO
録音:1961年
(10)ジョージ・セル(指)クリーヴランドO
録音:1958年
芸術の国フランスの世界的クラシック音楽専門誌、「ディアパゾン(Diapason)」の自主製作レーベルの看板であるボックス・セット・シリーズの第28弾として、マーラーの交響曲全集が登場します!
マーラー指揮者と言えば必ず名前が挙がるレナード・バーンスタインやブルーノ・ワルターを始めとして、作曲家としても活躍したパウル・クレツキによる「巨人」、R.シュトラウスには作曲を、そしてジョージ・セルには指揮を師事したルドルフ・シュワルツの「第5番」など、往年の指揮者たちのマーラー解釈をご堪能いただけるBOXセットとなっています。

MDG
MDG-90122926
(1SACD)
ヨーゼフ&ミヒャエル ハイドン「奇跡の兄弟」
ミヒャエル・ハイドン:交響曲第39番ハ長調
 序曲「償われた罪人」
ハイドン:人形歌劇「フィレモンとバウチス」(神々の会議)への前奏曲
 交響曲第96番「奇跡」ニ長調
ハイドン・フィルハーモニー
エンリコ・オノフリ(指)

録音:2023年4月11-16日、ケルンテン州立音楽院、アルバン・ベルク・ザール、オシアッハ、オーストリア
1987年東西冷戦下、指揮者アダム・フィッシャーのもと、ウィーン・フィルとハンガリー国立フィルのメンバーによって設立されたハイドン・フィルハーモニー。 「オーストリア、ハンガリー両国の選りすぐりの音楽家を集め、ハイドンの作品をともに演奏することで音楽的に国境を克服しよう」というフィッシャーの考えのも と、一流の演奏家たちが集合しました。現在はアダム・フィッシャーに次いでニコラ・アルトシュテットが芸術監督を務め、2022年からはアルトシュテットに加え、 イタリア・バロック界の鬼才エンリコ・オノフリがアーティスティック・パートナーとなり、さらに注目を集めています。
そして今回、アダム・フィッシャーが録音を続けてきたハイドン・フィルハーモニーとの「ハイドン録音シリーズ」は、エンリコ・オノフリを指揮に迎え新スタート。 ハイドン兄弟(ヨーゼフと弟ミヒャエル)の交響曲とそれぞれの序曲を収録した内容。フランツ・ハイドンの実弟であるミヒャエル・ハ イドン。その生涯のほとんどをザルツブルクの宮廷音楽家として過ごし、モーツァルトとも親しい存在でした。ここに収録された第39番の交響曲 もモーツァルトの『ジュピター』に影響を与えたとも言われています。 一方、ハイドンの交響曲第96番「奇跡」は、ロンドン交響曲(ザロモン・セット)の一曲。ロンドンの興行師兼音楽家ザロモンの招きにより、ハイドンはイ ギリスを訪問して大成功を収めます。当時イギリスでは市民階級が台頭、音楽も一部の貴族階級の独占的な芸術ではなくなり、広く市民社会層にも迎えられるよう になっていました。それまでエステルハージ宮廷音楽家であったハイドンは、ロンドンで近代的な市民社会のもとに大成功を納めた作曲家といえるでしょう。
ひとりは世界に、ひとりは愛する地に留まって成功を収めた対照的な兄弟の奇跡的な共演盤の登場です。

GRAND SLAM
GS-2294(1CD)
ブルックナー:交響曲第5番(改訂版) ハンス・クナッパーツブッシュ(指)VPO

録音:1956年6月3〜6日ゾフィエンザール(ウィーン)
使用音源:Private archive (2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:ステレオ(録音セッション)
■制作者より  
クナッパーツブッシュ(指)ウィーン・フィルによるブルックナーの交響曲第5番は、ステレオ初期の名盤として今なお珍重されています。当シリーズでも2トラッ ク、38センチのオープンリール・テープより復刻したGS-2112(2014年5月)を発売していますが、今回はマスタリングの全行程をプロ用の機器を使用し、め ざましい音質改善を獲得しました。使用したテープには「DECCA CS6114/5(ZAL3218/20)、レコード用」と、番号とマトリクスが添えられていることから、 アメリカ・ロンドン盤のLPプレス用マスターかと思われます。そのせいでしょうか、その広がりの豊かさ、そして暖かく新鮮で瑞々しい音色は、とても1956年の ステレオ録音とは思えません。きっと、多くの人が改訂版であることを忘れ、この法悦に満ちた音世界にどっぷりと浸かれると思います。(平林 直哉)

CLAVES
50-3076(1CD)
ベートーヴェン:献堂式 Op.124
(2)モーツァルト:交響曲第39番変ホ長調 K.543
タッローディ:啓蒙の断片【世界初録音】
(4)モーツァルト:フリーメイソンのための葬送音楽 K.477
ロベルト・ゴンザレス=モンハス(指)
ヴィンタートゥール・ムジークコレギウム

録音:2022年9月/ヴィンタートゥール・シュタットハウス(スイス)
1629年結成のスイス最古のオーケストラ、ヴィンタートゥール・ムジークコレギウム。定期的に来日公演も行っている日本でもおなじみの団体です。
2021/22シーズンより同団の音楽監督に就任したゴンザレス=モンハスはこれまでヴィンタートゥール・ムジークコレギウム、サンタ・チェチーリア国立アカデ ミーO、ヴェルビエ祝祭Oのコンサートマスターを兼任していますが、近年は指揮者としても頭角を現しています。
このアルバムではモーツァルトの交響曲第39番を中軸にベートーヴェンの献堂式、アンドレア・タッローディ(1981-)の「啓蒙からの断片」、モーツァルトの「フ リーメイソンのための葬送音楽」を収録しております。タッローディは天才トロンボーン奏者クリスチャン・リンドベルイの愛娘で数多くの賞を受賞している現代ス ウェーデンを代表する作曲家の一人。「啓蒙からの断片」はヴィンタートゥール音楽祭およびゴンサレス=モンハスからの委嘱作で、モーツァルトの交響曲第39番 からインスピレーションを受けて作曲。随所にモーツァルトの作品からの引用や断片が登場します。 (Ki)

H.M.F
HMSA-0067(1SACD)
シングルレイヤー
日本独自企画・限定盤
税込)定価
マーラー:「巨人」〜交響曲形式による音詩(交響曲第1番の1893年ハンブルク稿、2部から成る)
第1部 「青春の日々より」花、果実、そして茨の絵
1第1楽章:春、そして終わることなく(序奏とアレグロ・コモド)
2第2楽章:花の章(アンダンテ)
3第3楽章:順風満帆(スケルツォ)
第2部  「人間喜劇」
4第4楽章:難破!(カロ風の葬送行進曲)
5第5楽章:地獄から(アレグロ・フリオーソ)
フランソワ=グザヴィエ・ロト(指)
レ・シエクル(管弦楽)

録音:2018年2月、3月、10月
ロトとレ・シエクルによるマーラーの「巨人」がSACDシングルレイヤーで登場します!ハルモニア・ムンディ・フランス・レーベルからハイレゾ音源の提供を受け て、SACDリマスタリングを施した、日本独自企画のリリース。限定生産となります。
マーラーは1889年11月20日に初のオーケストラ作品である交響詩をブダペストで初演しました。その後1893年にハンブルグの宮廷指揮者に任命された際、 その作品を改訂し、「“ 巨人」交響曲形式による音詩”と名付けました。徹底的にオーケストレーションを直し、あまりにベートーヴェン的だった序奏部を独創的 な高周波のような弦のトレモロにし、木管を倍増、コールアングレやバスクラリネットなども加え、可能な限り自然の音をイメージさせるスコアにしました。第2楽 章に「ブルーミネ」(花の章)を含むこの第2版は、同年10月27日にハンブルクで初演されました。今回のロトとレ・シエクルの演奏はこの第2版によります。ロト の演奏は、「花の章」の甘美な音楽が、続く荒廃の世界を強調する働きを持つことを際立たせています。SACD化により、初演当時の風合い豊かなサウンドが、な んともまろやかに響きます。 (Ki)
H.M.F
HMSA-0068(1SACD)
シングルレイヤー
日本独自企画・限定盤
税込)定価
サン=サーンス:交響曲第3番「オルガン付き」
ピアノ協奏曲第4番ハ短調 作品44
フランソワ= グザヴィエ・ロト(指)
レ・シエクル(管弦楽)
ダニエル・ロト(Org/サン=シュルピス教会、1862年カヴァイエ=コル製)
ジャン=フランソワ・エッセール(P/1874年製のエラール)

録音:2010年
ロトとレ・シエクルによるサン=サーンスの「オルガン付き」がSACDシングルレイヤーで登場します!ハルモニア・ムンディ・フランス・レーベルからハイレゾ音源 の提供を受けて、SACDリマスタリングを施した、日本独自企画のリリース。限定生産となります。
サン=サーンスの交響曲第3番は名作の誉れ高いものですが、物々しく演奏されるのが常でした。しかし作曲者サン=サーンス本来の資質は軽妙洒脱、威圧感 や重苦しさとは無縁のはず。フランソワ=グザヴィエ・ロトが古楽器オーケストラ「レ・シエクル」を指揮した本盤は、物々しさや重苦しさは姿を消し、これぞサン= サーンスが思い描いた響き、とまさに目から鱗が落ちる思いがします。オルガンを受け持つのはフランソワ=グザヴィエの実父で有名なオルガニスト、ダニエル・ロ ト。パリのサン=シュルピス教会の名器が素晴らしい響きを聴かせてくれます。このたびのSACD化により、よりなめらかに自然にオルガンとオーケストラの響き が融合しているさまをお楽しみいただけます。カップリングはこれもシリアスな曲調で名高いピアノ協奏曲第4番。ジャン=フランソワ・エッセールが1874年製の エラールのフォルテピアノでいとも見事に披露。まるで古典派協奏曲のようなたたずまいとなっています。 (Ki)

Goodies
78CDR-3908(1CDR)
ベートーヴェン:交響曲第2番ニ長調作品36 パウル・ファン・ケンペン(指)
ドレスデンPO

独 GRAMMOPHON67608/12S
1941年ドレスデン録音
指揮者のパウル・ファン・ケンペン(1893-1955)はオランダ生まれ。アムステル ダム音楽院で、ユリウス・レントヘン、ベルナルト・ズヴェールス に作曲と指揮法を、ルイ・ツィマーマン(1873-1954)にヴァイオリンを学び、ア ムステルダム・コンセルトヘボウOの第2ヴァイオリン奏者としてキャリ アをスタートした。1932年にドイツ国籍を取得し、1933年に指揮者デビュー。 1934年にドレスデンPOの音楽監督に就任。1942年か ら1944年までアーヘン市立歌劇場の音楽監督をつとめた。第二次大戦後、活動 の場をオランダに移したが、戦時中のナチス政権とのかかわりを問題視され物 議を醸した。1955年アムステルダムで死去。ファン・ケンペンはSPレコード にベートーヴェンの交響曲第5番(ドレスデン・フィル)と交響曲第8番(ベルリン ・フィル)を独 POLYDORに録音していた。(グッディーズ)


Treasures
TRE-306(1CDR)
ブルックナー:交響曲第8番ハ短調 WAB 108 (1890年稿・ノヴァーク版) ヤッシャ・ホーレンシュタイン(指)
ウィーン・プロ・ムジカO(ウィーンSO)

録音:1955年(モノラル)
※音源:英VOX PL-9682
◎収録時間:76:29
“マーラーにもブルックナーにも適応できるホーレンシュタイン独自の音作り!”
■音源について
英国の黒銀ラベル盤(RIAA)2枚組を採用。

★いかにもホーレンシュタインらしい、人間臭さに背を向けた超然とした佇まいは、まさにこの作品との相性は抜群!
 第1楽章第1主題の全く勿体ぶらない粛々としたした進行も決して淡白なのではなく、どこか突き抜けた別次元の空気感を醸し出します。第2主題も媚びる素振りは皆無。ウィーンのオケ特有の緩さに求心力を注入したフレージングが印象的で、第3主題直前(2:48〜)の木管の孤独感は、これまたホーレンシュタインならでは。再現部における第3主題の直截な放射力は、朝比奈のような無骨さとは好対照で、まさに宇宙的な空間を想起させます。
 重量的にも音色的にも鉛を思わせる音作りは、第2楽章の3拍子の重心が常に下方向へ向かって独特のスケール感を生み出すのに大きく貢献。特の後半部分は圧倒的。
 第3楽章は、辺りを払うような超然とした空気と孤高感が最高次元に結実。否、古今の同楽章の演奏の頂点に君臨するものと言っても過言ではありません。ルバートは最小限ながら呼吸は深く大きく、先を見通したフレージングの持久力も手伝って、感覚的な美しさを超えた崇高さを生み出します。第1主題B(1:50〜)は各音に内容が極限まで充満させながら決して流れは淀まず、第1主題A(4:26〜)の深みも尋常ではなく、6:01からのワーグナー・チューバの響きも格別。核心に食い込む7:27からの木管のアクセントに痺れた後は、晩年のチェリビダッケの演奏など物足りないと思う方も多いのでは。激烈な16:49以降や、シンバルを伴う最高潮の19:30以降の空前絶後のスケール感に何も感じない人などいるでしょうか?20:24以降の弦の本気度もこれ以上のものを知りません。
 終楽章は、6:44で一旦リテヌートするのが印象的な以外は各楽想に激しい緩急のコントラストを与えていませんが、音の求心力と音楽の核心のみを抉り出そうとする集中力はここでも不変。音像の安定感もこれ以上望めないほど盤石。コーダの2分半は、華麗な大団円に終止する指揮者では実現できるはずのない真の魂の音楽が結実!ここにあえてトラック[5]を追加した意図をお汲み取りいただければ幸いです。 【2023年6月・湧々堂】


King International
KKC-4335(1SACD)
限定発売
「世界の調和」は真正ステレオ!
フルトヴェングラーのヒンデミット
交響曲「世界の調和」
管弦楽のための協奏曲 作品38*
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)
VPO、BPO*

録音:1953年8月30日 フェストシュピールハウス、ザルツブルク(ライヴ)
1950年6月20日 ティタニア・パラスト、ベルリン(ライヴ)*
解説:小石忠男
「STEREO IS CCIR!」 CCIR(ヨーロッパのイコライザー・カーヴ)はSTEREOだ! イタリア・チェトラ社のFE(フルトヴェングラー・エディション)シリーズの制作元ミラノ・ディスコス社から取り寄せたマスターテープのケースには「世界の調和」 についてこう明記されていた!もう1曲「管弦楽のための協奏曲」の方には「ATTENTION :MONO IS CCIR !!」との注が。この違いは?!
非ナチ化裁判でフルトヴェングラーを擁護するなど、深い友情で結ばれてきたドイツの作曲家ヒンデミット。代表作2曲「世界の調和」と「管 弦楽のための協奏曲」に遺した巨匠の貴重なライヴ。 「ヒンデミット作品は、贅肉のない引き締まった面を強調する指揮者が多い中、フルトヴェングラーは、深いところに根ざした拡張的アプローチを通じて、より肉厚 で高貴な音楽を造り出しています。現代的かつ機動的で清潔に演奏されるのが「世界の調和」の常道だが、フルトヴェングラーにかかると、厳密に定めた歩調と、重 みをつけた響きによって、けっして有名とはいえないこの作品も貫禄を帯びてくる。てらいもなければ、ナンセンスの入る余地もないヒンデミットの書法には、解釈 上の大きな誤差が生じるはずもないが、フルトヴェングラーの演奏はただ効果的というだけではない。時に熱を帯びる積極的な関与が見られ、つねに愛情が向け られています。「世界の調和」の二種類の録音のうち、優れているのはザルツブルクで演奏された二番目の方です。音質面でも、フルトヴェングラーの録音中、特 筆すべきすばらしさの一枚と言えるでしょう。」(『フルトヴェングラー グレート・レコーディングズ』ジョン・アードイン著 藤井留美訳 音楽之友社発行) 「ウィーン・フィルを指揮した「世界の調和」だが、これはディテールのすみずみまで克明に処理しながら、彫りの探さと壮大な高潮を兼ねそなえた秀演です。い わばフルトヴェングラーならではの表現だが、第1楽章では共感と情熱の激しさが端的に示されており、旋律の息ながく歌う粘着力もみごとに作品の内面と結び 付いています。ヒンデミット特有の和音の変転を、えぐり出すように表現しているのも、この作曲者の書法を知りつくした結果です。第2楽章の歌の表情のもつ豊 富なニュアンス、第3楽章の鮮明な楽想の表出もすばらしく個性的で、同時に作品の本質を鋭い感性で表わしています。この曲のように精緻な対位法を駆使した作品 で、水平的な歌を弱めることがないのも、さすがというほかはない。 「オーケストラのための協奏曲」では、ベルリン・フィルの独奏と合奏の鮮烈な名技が、圧倒的と感じられます。この二つの曲で、ウィーン・フィルとベルリン・フィ ルがそれぞれの作品と密着しているのは、おどろくべきことだが、これはフルトヴェングラー自身が意識して選んだことかも知れない。この協奏曲では、コンチェル ティーノのきめこまかく、また機能的な書法が、ベルリン・フィルの名技にうってつけです。あるいは合奏のデリケートな表情と結ばれた運動性の美しさ、爽快と いえるほどのリズム感の確かさも、実にあざやかというほかはない。これは録音の古さを超えて、きき手に迫る演奏というべきでしょう。その意味で、フルトヴェング ラーは、いまも生きているのです。」(小石忠男、ライナー・ノーツより)
「世界の調和」は1982年チェトラ盤LP(FE-22)が”ステレオ”表示で出た時に、翌年発売されたワーグナーの「指環」とともに大騒ぎされました。キングレコー ドでは84年に国内初出LP(K17C-9425)として発売されましたが、疑似ステレオではないかとの疑念からモノラル盤にしております。88年にチェトラでCD 化されましたが(CDE-1049)、こちらも同様にモノミックスした音に。これをキングでは輸入盤日本語解説つきで発売(KICC-7152)、日本に来たマスターテー プからのCD化は見送られてきました。 このたびSACD化にあたって、39年ぶりにミラノ・ディスコスが制作したアナログ・テープ(38cm/秒、2トラック)の音質をチェックしてみたところ、余りに音 が良すぎることにびっくり!純正モノラルや疑似ステレオとは明かに違う2チャンネル録音の<空間を感じさせる雰囲気>があります。これは2020年に「オリジナ ル・ステレオ録音!!」として発売した「魔弾の射手」全曲(KKC-4246/7)のときに調べた以下の記事を思い起こさせます。 仏フルトヴェングラー協会会報1983年9月号 P.Jaquard氏(以下の記事翻訳、桧山浩介氏訳、レコ芸85年2月号『名演奏家ディスコグラフィ』より) 「1953,54年のザルツブルク音楽祭ではフルトヴェングラー自身の提案によって、ステージ左右にセットされた3本ずつのマイクを通じて2チャンネルで収録され ていた。マスターテープのスピードは76cm/秒(2トラック)で、録音エンジニアは巨匠の娘婿にあたるアルフレッド・クンツです。」 「世界の調和」は1953年ザルツブルク音楽祭での録音です。まさにこの記事に該当する画期的録音ではないかと思わせる今回、マスターテープを一切加工せず に、世界初SACD化を行ないました。「世界の調和」は他社(EMI,ORFEO等)からもすでにCD化されていますが、もっともオリジナル音源に近い音でSACD化したフルトヴェングラーの貴重な名演・録音をご堪能ください。 (Ki)

GRAND SLAM
GS-229(1CD)
ハイドン:交響曲第88番ト長調Hob. I:88*
シューベルト:交響曲第9番「ザ・グレイト」
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)BPO

録音:1951年12月4&5日*、1951年11月27&28日、12月2&4日/イエス・キリスト教会、ベルリン・ダーレム(ドイツ)
使用音源:Private archive (2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
■制作者より  
この2曲はフルトヴェングラーとベルリン・フィルが戦後に初めて行ったセッション録音であり、今でも伝説的に語りつがれています。同内容のCDはLP復刻の GS-2017(2006年)、2トラック、38センチのオープンリール・テープを使用したGS-2152(2016年)として発売しました。今回は3度目の正直ではあり ませんが、GS-2152同様に2トラック、38センチのオープンリール・テープ(シューベルトのみ新規のテープ)を使用、全行程をプロ用の機器でマスタリングを 施しました。結果は、驚くほど瑞々しく繊細な音質を獲得出来ましたので、これならばリマスターの意義を感じてもらえるだろうと判断しました。(平林 直哉)
GRAND SLAM
GS-2292(1CD)
ベルリオーズ:幻想交響曲 Op.14a シャルル・ミュンシュ(指)パリO

録音:1967年10月23〜26日サル・ワグラム(パリ)
使用音源:Private archive (2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:ステレオ(録音セッション)
■制作者より  
この演奏は2トラック、38センチのオープンリール・テープを使用し、2018年にGS-2178として発売しました。リマスター盤は当分の間出すつもりはなかっ たのですが、「既存のCDの中には第3楽章の途中で妙な空白があるのが、GS-2178はそうなっていないので、再プレスをして欲しい」との声が寄せられました。 そこで、同じ出し直すのであれば音を刷新すべきだと判断し、新たに2トラ38のテープを取り寄せ、プロ用の機器でリマスタリングを行いました。結果は予想を遙 かに上まわるもので、再発売の価値は十分にあると思います。  なお、ミュンシュ&パリOのもうひとつの名演、ブラームスの交響曲第1番ですが、これは日本がTPPに加入したため、当シリーズで再発売が出来るのは 2039年以降となります。ご了承下さい。(平林 直哉)

Audite
AU-97761(1CD)
リスト:ファウスト交響曲
メフィスト・ワルツ第3番S.216(管弦楽編)(編曲:アルフレート・ライゼナウアー〜キリル・カラビツ)【世界初録音】
アイラム・エルナンデス(T)
ワイマール国民劇場cho、
イェンス・ペーターアイト(合唱指揮)
テューリンゲン少年cho、
フランツィスカ・クバ(合唱指揮)
キリル・カラビツ(指)
シュターツカペレ・ワイマール

録音:2022年6月12&13日/ワイマール・ホール
キリル・カラビツ率いるシュターツカペレ・ワイマールが同団の本拠ワイマールにまつわる作品を演奏する好評のシリーズ。当アルバムはリストの第3弾で「ファ ウスト交響曲」とメフィスト・ワルツ第3番の管弦楽編を収録しております。
1848年、リストがワイマールの宮廷楽団の常任楽長に就任しました。ゲーテとシラーの記念碑が建立されたのと同じ日に初演された「ファウスト交響曲」はゲー テの「ファウスト」に登場する3人の性格描写を各楽章で行い、幻想的、叙事的、心理的な世界を音化した傑作です。当初、管弦楽だけで演奏するために作曲され ましたが、のちに「神秘の合唱」を追加。カラビツ率いるシュターツカペレ・ワイマールが3人の登場人物の心理を見事に表現しております。カップリングはメフィ スト・ワルツ第3番の管弦楽版を収録。ライゼナウアー編をカラビツが編曲しており、この編曲では世界初録音となります。


Spectrum Sound
CDSMBA-138(1CD)
ベルリオーズ:幻想交響曲 Op.14
ドビュッシー:管弦楽のための3つの交響的素描『海』
シャルル・ミュンシュ(指)
フランス国立放送O

ライヴ録音:1966年1月10日バーデン=バーデン劇場、ドイツ(モノラル)【初出音源】
音源:フランス国立視聴覚研究所音源提供
丁寧な復刻で評価を高めているスペクトラム・サウンド。当アルバムはフランス国立視聴覚研究所(INA)の貴重音源からの復刻で、シャルル・ミュンシュ(指) フランス国立放送O演奏のベルリオーズの幻想交響曲とドビュッシーの「海」を収録。正規初出音源です。
ミュンシュの十八番プログラムの『幻想交響曲』と『海』。同曲を収めたライヴ録音はこれまでもリリースされていますが、中でも伝説の超名演、1967年11月 14日のパリOのお披露目演奏会を収めたアルバムは驚異的な演奏で大ベストセラーとなっております。
初出となった当録音はその前年の1966年1月10日、バーデン=バーデンにおけるフランス国立放送Oとの演奏。晩年まで熱量の高い演奏で聴衆を魅 了したミュンシュですが、当演奏も大炸裂しております。一期一会のひらめきに満ちた名演をお楽しみください! (Ki)

Spectrum Sound
CDSMBA-139(1CD)
ブラームス:交響曲第3番ヘ長調 Op.90
チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調 Op.64*
ポール・パレー(指)
フランス国立放送O

ライヴ録音:1964年5月12日、1970年11月25日* シャンゼリゼ劇場(ステレオ)【初出音源】
1962年盤同様、感傷に流されず、イン・テンポを基調とした演奏。有名なマーキュリー録音だけでは知ることができないパレーの底力を思い知る一枚です。パレーはこのとき既に80歳を超えていましたが、随所でパレー自身の鼻歌が聞かれるほどその表現意欲は衰えを知らず、知的に造形を制御しつつも、純粋に音楽に夢中になる心が、音楽に瑞々しさと感動をもたらしてくれるのです。
 スコアの指示を鵜呑みにしないのは言うまでもありませんが、特筆したいのは、あえてテンポ指示を遵守している箇所では、それに相応しいニュアンスが必ず浮揚させている点。例えば第2楽章、99小節(6:32〜)のテンポ・プレチェデンテの指示を踏襲してテンポを落としていますが、そこにはそうしなければならない浮き上がらないであろう荘重なスケール感が確実に存在しているのです。108小節のピチカート以降(7:01〜)は、ニュアンスがますます豊穣に。142小節の副次主題の再現は熱さの極みで、149小節(9:38〜)から瞬時にギアチェンジしてテンポ・アップする技が、これほど効果的なもの珍しく、その後のルバートと大きな呼吸の膨らませ方もまさに巨匠芸!
 どこか響きが空虚で、確実にニュアンスを炙り出した例が少ない終楽章冒頭にもご注目!特に大きな音を出しているわけでもないのに、フレージングが強力び刻印されていることに驚きを禁じえません。高速テンポの馬力に頼らずとも、風格と品格ある響きは醸し出せるという証しです。また16小節からの弦のピチカートが惰性皆無で、ここまで魂を注ぎ込んだ演奏も他にないでしょう。さらに、その後の管楽器のブレンド感も極上!後半全休止後、モデラートの音の質感も、楽章冒頭と同じく、ここまで響きが練られた例は稀。音圧が変に軽く、地に足がついていない演奏が多いのですが、474〜503小節の充実ぶりは空前絶後と言えます。
 オケの響きはもちろんフランス流儀の軽く明るいものですが、内容は重量級です。【湧々堂】 →さらなる詳細レヴューはこちら

Goodies
78CDR-3906(1CDR)
ダンディ:「フランス山人の歌による交響曲」 マルグリット・ロン(P)
ポール・パレー(指)コロンヌO

仏COLUMBIA LFX 332/4
1934年5月24-25日パリ録音
作曲者ダンディが毎年夏を過ごしたセヴェンヌ地方山地の民謡を主題にして作 曲。マルグリット・ロン(1874-1966)はフランスのニーム生まれ。17歳でパリ音 楽院の一等賞を得た後、マルモンテル(1816-1898)教授のもとでさらに研鑽を つみ、1893年にサル・プレイエルでデビューし、1906年32歳でパリ音楽院教授 に就任した。指揮者のポール・パレー(1886-1979)はノルマンディのル・トレポ ール出身。パリ音楽院在学中の1911年、カンタータ「ヤニッツァ」でローマ大 賞を受賞。第1次世界大戦(1914-1918)にフランス陸軍に従軍したがドイツ軍の 捕虜となり、ダルムシュタット収容所生活の間に音楽家たちと交友を築いた。 大戦後は指揮者として活躍した。このシリーズで、この曲と同じセッションで 録音されたベートーヴェンの田園交響曲(78CDR-3259)が出ている。(グッディーズ)
Goodies
78CDR-3907(1CDR)
ブラームス:交響曲第1番ハ短調 作品68 レオポルド・ストコフスキー(指)
ハリウッド・ボウルSO

米 VICTOR 18-0020/24
1945年8月1日ロサンジェルス録音
このオーケストラは1922年にロサンジェルス地域で活動するミュージシャンが 集まって野外劇場(ハリウッド・ボウル)演奏会を開いたのが始まり。1945年に 指揮者のレオポルド・ストコフスキーのもとでハリウッド・ボウル交響楽団が 設立された。これはその最初の録音。だがこのオーケストラは7シーズンで解散 した。その後ハリウッド・ボウルでの夏のコンサートはロサンゼルス・フィル によって続けられている。レオポルド・ストコフスキー(1882-1971)はロンドン 生まれ。1912年にフィラデルフィア管弦楽団の指揮者に就任し1940年までその 地位にあった。ストコフスキーはレコードの発展に大きく貢献した。1925年に 電気録音による初のオーケストラ録音、1932年にはベル研究所の世界初のステ レオ録音の実験に参加し成功させた。この録音は日・米戦争終結の2週間前に行 われた。レコードはSP盤ながら従来の落とせば割れるシェラック盤ではなく、 LPと同じビニール製。(グッディーズ)

Acte Prealable
AP-0505(1CD)

PAP-0505(1CD)
国内盤仕様
税込定価
ラウル・コチャルスキ(1885-1948):交響曲集 Vol.1
1-7. 愛より Op.99(ライナー・マリア・リルケによる7つの詩)
8-21. 交響的伝説 Op.53(管弦楽のための勇敢王ボレスラウスと聖司教スタニスラウスの交響的伝説)
22-31. 幻想交響曲 Op.73(エヴォカシオン)
ヴォイチェフ・ロデク((指)8-31)、
フィルハルモニア・ルベルスカ(8-31)、
カタジナ・ドンダルスカ(ソプラノ、1-7)、
フィルハルモニア・ドルノシロンスカ(1-7)、
シモン・マコフスキ((指)1-7)

録音:2022年11月30日-12月1日、フィルハルモニア・ドルノシロンスカ(1-7)、2021年11月8日-10日、フィルハルモニア・ルベルスカ(8-31)
※国内盤:解説日本語訳&日本語曲目表記オビ付き
これまでにも「Acte Prealableレーベル」より室内楽作品集をリリースしてきたポーランドの作曲家、ラウル・コチャルスキ(1885-1948)による交響曲集の第1弾がついにリリースです。コチャルスキは幼い時からそのピアノの腕前をアントン・ルビンシテインに絶賛されたアーティストでもあり、特にそのショパンの演奏は、高く評価されました。作曲家としては200曲以上もの歌曲を中心にピアノ曲、バレエ、オペラ、交響曲、ヴァイオリン協奏曲、チェロ協奏曲、ヴァイオリン・ソナタ、チェロ・ソナタ、ピアノ・トリオ、さらにはピアノ協奏曲に至るまであらゆるジャンルの作品を残しています。現在では残念ながら演奏機会に恵まれない作品も多いですが、ロマン派らしい美しいメロディに溢れた作品を残していることがこのアルバムからも窺えます。

Forgotten Records
fr-1882(1CDR)
オネゲル:交響曲第2番「弦楽の為の」*
マルティヌー:交響曲第3番H.299 #
ブジェティスラフ・バカラ(指)ブルノPO

録音:1956年1月、1956年#
※音源: Muza L 0166*、L 0150 #
Forgotten Records
fr-1881(1CDR)
リスト:ダンテ交響曲 アルフレッド・ウォーレンステイン(指)
ロサンゼルスPO

録音:1953年2月
※音源: 米Decca DL 9670
Forgotten Records
fr-1883(1CDR)
ステンハンマル:交響曲第2番ト短調 Op.34*
感傷的なロマンス第1番 #
フランチェスコ・アスティ(Vn)#
トール・マン(指)
ストックホルムPO*、イェーテボリSO#

録音:1930年3月13日#
1959年8月15日-16日、ストックホルム・コンサートホール(ステレオ)*
※音源: Swedish Society Discofil SLT 33198*、 HMV Z 206
Forgotten Records
fr-1884(1CDR)
ウォーレンステイン/ラフマニノフ&チャイコフスキー
ラフマニノフ:交響曲第2番*
チャイコフスキー:ワルツ集#
 眠れる森の美女 〜ワルツ
 白鳥の湖 〜ワルツ
 くるみ割り人形 〜花のワルツ
 エフゲニー・オネーギン 〜ワルツ
 弦楽セレナード 〜ワルツ
 交響曲第5番 〜第3楽章
アルフレッド・ウォーレンステイン(指)
ロサンゼルスPO

録音:1952年頃# 、1960年1月23日-24日(ステレオ)*
※音源:Capitol SP 8386*、Brunswick AXL 2012 #
Forgotten Records
fr-1885(1CDR)
スヴェンセン:交響曲第2番変ロ長調 Op.15*
ハチャトゥリアン:交響曲第1番#
アレクサンドル・ガウク(指)モスクワRSO

録音:1956年*、1959年#
※音源:Melodiya D 3048/9* D 4920/1 #
Forgotten Records
fr-2111(1CDR)
パレー、グリュミオー、ジャンドロン
モーツァルト:「フィガロの結婚」序曲
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」
ブラームス:二重協奏曲 イ短調
R・シュトラウス:交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」
アルテュール・グリュミオー(Vn)
モーリス・ジャンドロン(Vc)
ポール・パレー(指)
モンテ・カルロ国立歌劇場O

録音:1959年8月19日(モナコ、モナコ公レーニエ3世&公妃グレース・ケリー夫妻臨席)・モノラル・ライヴ

GRAND SLAM
GS-2291(1CD)
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番ト長調 Op.58
交響曲第7番イ長調 Op.92
コンラート・ハンゼン(P)
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)BPO

録音:1943年10月31日〜11月3日/旧フィルハーモニー、ベルリン
使用音源:Private archive (2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:モノラル(ラジオ放送用録音)
■制作者より
フルトヴェングラーとベルリン・フィルによる大戦中のライヴ、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番(独奏:コンラート・ハンゼン)と同交響曲第7番については、 もはや説明不要かと思われます。今回の2曲は当シリーズ初めての2トラック、38センチのオープンリール・テープからの復刻となります。  最近では会場のノイズを除去するだけではなく、演奏に伴うノイズ(靴音、譜面をめくる音、息継ぎなど)さえも軽減するのが当たり前になっています。これも、 ひとつの考え方かもしれませんが、GSシリーズでは鑑賞を著しく阻害する電気的なノイズ以外は除去せず、その日に起こったことはすべて音楽として捉え、テープ に刻まれた情報を尊重したマスタリングを行っています。  なお、交響曲第7番の第4楽章冒頭の2小節は、オリジナル録音に欠落がありますが、復刻に使用したテープは補修がなされています。この2小節は非フルトヴェ ングラーのようにも思えますが、それほど不自然には聴こえないので、そのままにしてあります(多くのディスクではこの欠落を展開部のコピーで補っていますが、 楽譜の音とは異なるので、この処理も完全に正解とは言いがたいでしょう)。また、収録日には諸説ありますが、ここでは最も一般的なものを採用しています。(平林直哉)

OEHMS
OC1718(2CD)
NX-C05
マーラー:交響曲第3番ニ短調 ベッティナ・ランチ(A)
エッセン・フィルハーモニー合唱団女声団員
アールト児童cho
ベルリン・ドイツ・オペラ児童cho
エッセンPO
トマーシュ・ネトピル(指)

録音:2023年1月
1975年、チェコに生まれ、ストックホルム王立音楽院でヨルマ・パヌラに指揮法を学んだトマーシュ・ネトピル。“チェコの次代を担う若手”として聴衆の期待を 一身に集めている注目の指揮者です。2002年に開催された“第1回ゲオルク・ショルティ指揮者コンクール”で優勝、プラハ国立劇場の音楽監督を経て 2013/2014年からはエッセンPOとアールト歌劇場の音楽監督を務めています。 チェコと深い関係にあるマーラーの音楽に強く共感しているネトピル。今回は巨大なオーケストラと女声・児童合唱、アルト独唱を要する第3番の録音。冒頭 の8本のホルンの斉奏に導かれた長大な第1楽章をはじめ、マーラーが愛する「子供の不思議な角笛」からの引用が聴かれる第3楽章と第5楽章、ニーチェの 「ツァラトゥストラはかく語りき」を用いたアルト独唱が美しい第4楽章など、様々な素材を巧みに用いた聴かせどころの多い作品を、ネトピルは鮮やかに聴かせ ます。

TOCCATA
TOCC-0657(1CD)
NX-B03
フリードリヒ・ブルク(1937-):管弦楽作品集 第4集
交響曲第15番「Reflections リフレクションズ」(2015)
交響曲第16番「The River Dnieper ドニプロ川」(2016)
リトアニア国立SO
イマンツ・レスニス(指)

録音:2015年9月、2016年6月
全て世界初録音
1937年、ウクライナのハルキウ(ハリコフ)生まれの作曲家ブルク。現在はフィンランドに住み、タンゴの作曲家として 知られていますが、彼の作品の中で重要な位置を占めるのが20曲を越える交響曲です。3つの楽章からなる第 15番は、フィンランドの軍人で大統領マンネルヘイム、エストニアの革命家で初代大統領パッツ、スウェーデンとロ シアという強国にはさまれたフィンランドのウーシマー地方の歴史から想を得ています。バスドラムやティンパニなど打 楽器を多用するニールセン風の音楽に、シベリウスを思わせる繊細なワルツをまじえています。第16番はロシアから ベラルーシ、ウクライナを経て黒海にそそぐ大河「ドニプロ(ドニエプル)川」沿岸地域の歴史から着想した作品。 「チョルノービリ(チェルノブイリ)の物語」と題された第2楽章は1986年の原発事故の破局や恐怖を描き、「嵐と啓 蒙」と題された終楽章も予定調和的な解決からは程遠く、この地域の多難な歴史があらためて思い起こされま す。

Goodies
78CDR-3903(1CDR)
モーツァルト:交響曲第40番ト短調 K.550 アルトゥーロ・トスカニーニ指揮
NBC響

1938年3月7日&1939年2月27日ニューヨーク、NBC放送8Hスタジオ録音
英HMV DB 3790/2(米VICTOR 15733/5と同一録音)
アルトゥーロ・トスカニーニ(1887-1967)はイタリアのパルマ生まれ。最初チェ ロを学んだ。1888年南米への演奏旅行中に指揮者の代役をつとめ、それを機に 指揮者に転向した。1898-1908年ミラノ・スカラ座音楽監督、1908-1915年ニュ ーヨーク・メロポリタン歌劇場音楽監督、1926-1936年ニューヨーク・フィル音 楽監督を歴任した。1930-1931年バイロイト音楽祭に出演、1934-1937年ザルツ ブルク音楽祭に出演した。1937年ムッソリーニの独裁政権に反対してアメリカ に亡命、一旦引退を表明したが、NBC交響楽団が創立されて復帰し、途中一年間 の空白(1943年)があったが、1954年まで常任指揮者をつとめた。この交響曲40 番はモーツァルトの原譜にないクラリネットが加えらている。(グッディーズ)

オクタヴィア
OVCL-00813(1SACD)
税込定価
2023年5月24日発売
ハイドン:交響曲集Vol.20
交響曲第56番ハ長調Hob.T:56
交響曲第40番ヘ長調Hob.T:40
交響曲第74番変ホ長調Hob.T:74
飯森範親(指)
日本センチュリーSO

録音:2020年10月23日(第40番)、2021年7月30日(第56番)、9月30日(第74番)大阪、ザ・シンフォニーホール・ライヴ
日本センチュリーSOが首席指揮者の飯森範親 と共にスタートした「ハイドンマラソン」は、フラ ンツ・ハイドンのすべての交響曲を演奏 しようという一大プロジェクト。当盤は第21回、 24回、25回コンサートのライヴ収録です。 幾度の公演を重ね、信頼関係を築いてきた飯森と日 本センチュリー響は、精緻な構築と、細部までこだ わりぬいた感性で、気品あふれるハイドンを奏でて います。柔和で晴々とした優美な演奏は、まさに彼 らの真骨頂といえるでしょう。(オクタヴィア)


Biddulph
BIDD-85027(1CD)
NX-B04
初出音源〜ビーチャム唯一のラフマニノフ!!
ラフマニノフ:交響曲第3番イ短調 Op.44*
合唱交響曲「鐘」Op.35[英語による歌唱。第3楽章は1936年改訂版]
サー・トーマス・ビーチャム(指)LPO*
イソベル・ベイリー(S)
パリー・ジョーンズ(T)
ロイ・ヘンダーソン(Br)
フィルハーモニックcho
サー・ヘンリーウッド(指)BBC響*

録音:1937年11月18日 ロンドン、クイーンズ・ホール(ライヴ)*
1937年2月10日 ロンドン、クイーンズ・ホール(ライヴ)
Biddulphからラフマニノフの交響曲第3番英国初演時のライヴ録音他が登場。両曲にとって音に残された最古の演奏記録で、ビーチャムとウッドのラフマニ ノフ録音が世に出るのは初です。 交響曲第3番はイギリス及びヨーロッパ初演時のライヴ。1936年に作曲された第3番は同年11月6日にストコフスキー指揮のフィラデルフィアOに よって初演されましたが、欧州での初演は翌37年11月18日まで待たねばなりませんでした。その大任を務めたのがビーチャム率いるロンドン・フィル。速めの テンポと強い推進力を土台に時に激しい情熱を感じさせる演奏を繰り広げます。ビーチャムはこの演奏の翌月、マンチェスターでハレ管を指揮して第3番を演 奏しましたが、なぜかその後は指揮することがなく、ラフマニノフ作品の録音も残されていません。この音源は第3番の演奏記録として最初のもので、またビー チャム唯一のラフマニノフ録音ということになります。 BBCプロムスの創設者で指揮者のヘンリー・ウッドはラフマニノフと親交があり、1921年にはリヴァプールでラフマニノ フの合唱交響曲『鐘』をイギリス初演しています。その際にウッドは特に第3楽章の演奏が非常に難しかったとラフマ ニノフに伝えましたが、これはウッドが英語の詞で上演したことと関係があるとみられます。15年後の1936年10 月、ウッドはラフマニノフをシェフィールド音楽祭に招き、前半にはラフマニノフ自身のソロでピアノ協奏曲第2番を演 奏、後半に『鐘』を演奏しました。その時のスコアはラフマニノフがウッドの意見をいれて第3楽章の声楽パートを全 面的に書き直したもので、ここに収録された1937年の演奏でも使われています。
ウッドはラフマニノフの作品を熱 心にとりあげましたが録音は残されておらず、この音源がウッド唯一のラフマニノフ録音となります。また『鐘』の録音 としても最初のもので、いくつもの観点から貴重な記録と言えるでしょう。
※これらの音源はBBCの放送をロシア音楽の熱心なファンだったHarold Vincent Marrotが個人的にディスク録 音したもので、Marrotからディスクを相続したマイク・セルが大英図書館サウンド・アーカイヴに遺贈、同館クラシッ ク音楽部門学芸員のジョナサン・サマーズの協力の元で復刻されました。尚、交響曲第3番第2楽章9:52から 10:04にかけて、放送受信時に入ったとみられるノイズによるお聞き苦しい箇所があります。

BR KLASSIK
BR-900209(1CD)
NX-B07
マーラー::交響曲第7番「夜の歌」 バイエルンRSO
ベルナルト・ハイティンク(指)

録音:2011年2月14-18日ミュンヘン、フィルハーモニー・イン・ガスタイク(ライヴ)
総収録時間:82分
ハイティンクがバイエルンRSOの定期公演を初めて指揮したのは1958年。以来60年余りの長きにわたる共演を続けました。バイエルン放送のアーカイヴからこの度発掘されたのは2011年2月のライヴ録音で、マーラーの交響曲第7番「夜の歌」。マーラーを得意としたハイティンクだけに、この曲にはコンセルトヘボウOとの録音が3つ(1969、82、85年)とベルリン・フィルとの録音と録画が一つずつ(いずれも1992年)ありますが、21世紀の演奏が世に出るのはこれが初めてです。この演奏の当時82歳目前だったハイティンクですが、その約20年前のベルリン・フィル盤と比べても演奏時間はほとんど同じ。極端なデフォルメもなく、高齢になっても弛緩することのなかった彼らしいバランスの取れた演奏が聞かれます。バイエルン放送SOも細心かつ渾身の演奏で指揮にこたえています。

CZECH RADIOSERVIS
CR-1179(2CD)
プラハの春音楽祭ゴールド・エディション Vol.4

■CD1
(1)マーラー:交響曲第1番「巨人」
(2)ブリテン:フランク・ブリッジの主題による変奏曲Op.10

■CD2
(1)ドヴォルザーク:交響曲第7番ニ短調
(2)R.シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」
■CD1(78‘43)
(1)ジョン・バルビローリ(指)チェコPO
録音:1960年5月24日、プラハ、スメタナ・ホール(モノラル・ライヴ)
(2)チャールズ・マッケラス(指)イギリス室内O
録音:1966年5月16日、プラハ、ドヴォルザーク・ホールモノラル・(ライヴ)
■CD2(74‘36)
(1)カルロ・マリア・ジュリーニ(指)ウィーンSO
録音:1975年5月28日、プラハ、スメタナ・ホール(ステレオ・ライヴ)
(2)ベルナルト・ハイティンク(指)ロイヤル・コンセルトヘボウO
録音:1980年5月18日、プラハ、スメタナ・ホール(ステレオ・ライヴ)
チェコ放送の自主レーベル「ラジオサーヴィス」のシリーズ『プラハの春音楽祭ゴールド・エディション』の第4弾は、バルビローリ、マッケラス、ジュリーニ、ハイティ ンクらの貴重な演奏が収録されています。
1960年ジョン・バルビローリ(1899〜1970)とチェコ・フィルによるマーラー交響曲第1番「巨人」。バルビローリは1958年から2度目の同音楽祭登場。 6月24日に行われたコンサートはテレビで生放送され、そのカリスマ性に多くの聴衆は惹きこまれました。バルビローリのチェコでの評価は、1962年録音のフラン クの交響曲(SUPRAPHON)でいっきに高まりましたが、この音楽祭での演奏はその録音に先駆けた形となります。ここには収録されていませんが、同日に自作の 『エリザベス朝組曲』、そしてドゥシークの2台のピアノと管弦楽のための協奏曲を演奏しています。バルビローリは当時すでに世界的名声を得ており、イギリスのマ ンチェスターに本拠を置くハレOの常任指揮者に就任(1943〜1970)、その他にもベルリン・フィル、ウィーン・フィルといった主要オーケストラを指揮し 数多くの録音を残しています。またこのプラハの春音楽祭での反響や前述のフランクの録音への評価もあり、SUPRAPHONでのレコーディングの話もあったよう ですが(マーラーの交響曲など)、バルビローリの死去によりその計画の実現は不可能となってしまいました。
20世紀の弦楽アンサンブル作品の金字塔のひとつブリテン(1913〜1976)の『フランク・ブリッジの主題による変奏曲』。ブリテンの出世作ともなった本作は、 師ブリッジの「弦楽四重奏のための3つの牧歌」(1906)からの旋律を用いた鮮やかな変奏曲。プラハでは、この1966年の音楽祭での演奏が初演だったといい ます。演奏はイギリス室内O。ジェフリー・テイトが初代首席指揮者に就任、その後レイモンド・レッパードやコリン・デイヴィス、ダニエル・バレンボイムらの 著名な客演指揮者と共演し高い評価を獲得。最初のパトロンにはブリテンも名を連ねており、ゆかりが深く、現在は新国王チャールズ3世がパトロンを務めています。 イギリス室内管は、1966年に2つの演奏会を行いました。ひとつは当時芸術監督の任にあったバレンボイムとの演奏会、もうひとつがここに収録されている客演 指揮者のチャールズ・マッケラス(1925〜2010)です。マッケラスは、この音楽祭以降ヤナーチェクをはじめ、チェコ音楽の紹介に終生尽力し、チェコ・フィルの 常任客演指揮者として数多くの録音を残しています。
カルロ・マリア・ジュリーニ(1914〜2005)のプラハでの人気は高く、1977年には音楽祭の閉幕コンサートを任され「第9」をチェコ・フィルと演奏するな ど定期的に訪れていました。ここに収録されているドヴォルザークの交響曲第7番は、2度演奏しており、一つは1968年ニュー・フィルハーモニア管と、そしても う一つがこの1975年ウィーンSOとの演奏です。この第7番はロンドン・フィルハーモニック協会から依頼を受け作曲。同時期に敬愛するブラームスの交響 曲第3番の初演に立ち会ったことも影響し、これまでの民族色豊かな作風から脱却した内容。とはいえチェコの民謡や独特なリズムを模した第3 楽章など民族的なカラーも盛り込まれており、ジュリーニは得意とするブラームス的な部分と、民族色濃厚な部分を共に音楽的に導き完璧な演奏を聴かせています。
そして最後は音楽祭2度目の登場となったベルナルト・ハイティンク(1929〜2021)指揮ロイヤル・コンセルトヘボウOによるR.シュトラウス「ツァラトゥ ストラはかく語りき」。同コンビでは、PHILIPSレーベルから1973年録音で同曲がリリースされ、名盤の誉高い演奏。また当時のプラハ放送の録音技師の高い技 術により、ハイティンク&コンセルトヘボウ管の至芸を存分に堪能することができます。 (Ki)


Spectrum Sound
CDSMBA-134(1CD)
(1)ブラームス:交響曲第2番ニ長調 Op.73
(2)ドビュッシー:「海」
シャルル・ミュンシュ(指)、
フランス国立放送O

ライヴ録音(1)1965年11月16日/シャンゼリゼ劇場(ステレオ)、(2)1966年9月13日/ブザンソン市民劇場(ステレオ)【初出音源】
丁寧な復刻で評価を高めているスペクトラム・サウンド。当アルバムはフランス国立視聴覚研究所(INA)の貴重音源からの復刻で、シャルル・ミュンシュ(指) フランス国立放送O演奏のブラームスの交響曲第2番とドビュッシーの「海」を収録。いずれもステレオ音源です!ブラームスはAUVIDIS VALOISレーベ ルからリリースされたことはありますが現在は入手困難。一方ドビュッシーは正規初出音源となります。晩年まで熱量の高い演奏をしたミュンシュ。どっしりとした ブラームスと色彩感豊かドビュッシー。一期一会のひらめきに満ちた名演がここによみがえります。 (Ki)
※このレーベルは、初発売後早期に廃盤となる可能性が高いです。お早めにご注文下をおすすめします。


Altus
ALT-527(1CD)
準・メルクル/台湾フィルハーモニック 2022年ライヴ
メンデルスゾーン:序曲『フィンガルの洞窟』
メンデルスゾーン:交響曲第4番『イタリア』
ドビュッシー:夜想曲*
ラヴェル:ラ・ヴァルス
ラヴェル:ラ・ヴァルス
準・メルクル(指)
台湾フィルハーモニック(國家交響樂團)
台北室内cho*

ライヴ録音:2022年11月4・10日(メンデルスゾーン)、11日(ドビュッシー、ラヴェル)/國家表演藝術中心 コンサートホール(台北)
2023年5月に来日公演のある準・メルクル&台湾フィルハーモニック、ALTUSから来日記念盤が登場!近年めきめきと実力をつけ世評を高めているオーケス トラによる、気合の入った2022年最新ライヴ音源です。
「台湾フィルハーモニックはまだ若く、その歴史はわずか37年しかありません。しかし、すでに高度な洗練と芸術性を備え、その音からも、メンバーの情熱が伝 わってくることと思います。古典派初期から現代音楽まで、幅広い時代のスタイルと作品にすでに親しんでいます。台湾フィルハーモニックは、アジアを代表するオー ケストラのひとつになるという大きな希望を抱きながら、聴衆のために演奏する喜びを常にかみしめて活動しています。」(準・メルクル)
想像を超える大演奏。技術は驚くほど高く、隙の無いアンサンブルに度肝を抜かれます。さらに音楽の語り口も抜群、息の長いフレーズをのびやかに歌いつつも 引き締まったリズム感でぐいぐいと曲をひっぱっていきます。『イタリア』終楽章での高速にして実体感を失わない木管の歯切れよさ、オケ全体に波及するまぎれ もない推進力、クライマックスの迫真の追い込みなどを聴けば、音楽のよろこびを最高度に体現したすばらしい演奏であることが如実にわかるでしょう。弦楽の美 しさも特筆もので、繊細で品のあるヴァイオリンと重心が低く懐の深いバスが織り成す稀有なバランス感覚は絶品。準・メルクルのきちっと繊細でかつ色彩感のあ る音作りともたいへん相性のよいオーケストラです。
収録曲それぞれ、さまざまな側面から音楽を楽しませてくれます。メンデルスゾーンはオケの高い機動力と響きの明るさ、ドビュッシーは音の伸びのよさやヴォ カリーズとのきめ細かい溶け合いが実に魅力的。最後のラヴェル『ラ・ヴァルス』は堂々たる快演で、管弦楽の粋を尽くした響きが存分に発せられ空間を満たして いきます。
ハイスペックなDXD録音にも注目。台湾での録音からマスタリング、CD化まで手掛けたALTUS斎藤啓介氏によれば、その鮮明な効果はCDで聴いても十分 に感じられるとのこと。ご期待ください。 (Ki)

C Major
80-7508(2DVD)

80-7604(Bluray)
ブルックナー:交響曲第4&9番

交響曲第4番変ホ長調『ロマンティック』(1880年第2稿 ハース校訂 1936年出版)
交響曲第9番ニ短調 WAB109(原典版 新全集IX、1951年出版 ノーヴァク校訂)

■ボーナス映像「ディスカヴァリング・ブルックナー」
各交響曲について(ティーレマンと音楽学者ヨハネス=レオポルド・マイヤー氏による対話)
クリスティアン・ティーレマン(指)VPO

収録:2020年8月、ザルツブルク祝祭大劇場、ライヴ(第4番)
2022年7月、ザルツブルク祝祭大劇場、ライヴ(第9番)
◆DVD
画面:16:9、1080i
音声:PCMステレオ、DTS5.0
DVD9
[ボーナス映像 ]
言語:ドイツ語
字幕:英韓,日本語
Total time:197分
交響曲:142分、ボーナス:55分
◆Bluray
画面:16:9、1080i
音声:PCMステレオ、
DTS-HD MA5.0
BD50
[ボーナス映像]
言語:ドイツ語
字幕:英韓,日本語
Total time:197分
交響曲:142分、ボーナス:55分
2024年のブルックナー生誕200年に向けたティーレマン&ウィーン・フィルによるプロジェクト「ブルックナー11/Bruckner 11」。C majorの映像によるブ ルックナー交響曲全集は、第5交響曲、そして「習作交響曲」と呼ばれている「ヘ短調 WAB99」と「ニ短調 WAB100」をウィーン・フィル史上初めて演奏・収録し た第1弾。ウィーン稿を使用した第1番と2021年8月のザルツブルク音楽祭で演奏された第7番を収録した第2弾。第3弾は、2019年にウィーン楽友協会で収録 された第2番と第8番。そして交響曲中もっとも改訂稿の多い第3番と唯一改訂されていない第6番という組み合わせでリリースされた第4弾。 今回発売されるシリーズ最後となる第5弾は、ともにザルツブルク音楽祭で演奏された第4番と第9番を収録したディスクです。
「ロマンティック」という副題や、長大すぎない演奏時間であることから、ブルックナーの9曲の交響曲の中で最も人気の高い交響曲第4番。ティーレマンは、ブ ルックナーの最終イメージに最も近いと評価されているハース版第2稿で演奏。遅めのテンポで一音一音丁寧に紡ぎだされるブルックナーの世界を描き出してい ます。 そしてブルックナー最後の交響曲で、フィナーレの第4楽章を作曲途中で作曲家自身が亡くなったため、未完に終わった交響曲第9番。ブルックナーのもとに残さ れた第4楽章の自筆譜には、さまざまな段階のスケッチが存在しており、それを素材として、フラグメントとして演奏するか、あるいは補筆完成して演奏するという ような指揮者もいますが、ティーレマンは、このように述べています。「このままで良いと思います。足りない部分はあるのでしょうか?確かに補筆完成の取り組み は良いですが、第3楽章まで素晴らしい演奏が行われ、完全な静寂の中に消えていくのも悪くはありません。いえ、とても良いことでしょう。若い頃に聴いたカラ ヤン指揮ベルリン・フィルの演奏の感動的な沈黙を忘れることが出来ません。」そして一連のウィーン・フィルとのブルックナーの演奏・収録については、「ベートー ヴェンの交響曲のチクルスや、ワーグナー「リング」の演奏ように、過去に遡って自身の学んできたことを思い出し、新しい視座を与えてくれるものでした。そして聴 衆はブルックナーと共に、彼の長年にわたる創作の発展を体感することができるでしょう。それをウィーン・フィルと取り組めて本当に幸運でした。」 (Ki)

APARTE
AP-315(1CD)
メンデルスゾーン:ピリオド楽器による交響曲第4&5番
交響曲第4番イ長調「イタリア」
交響曲第5番ニ短調「宗教改革」
アレクシス・コセンコ(指)
レ・ザンバサドゥール〜ラ・グランド・エキュリ

録音:2022年5月7-9日イル・ド・フランス国立Oホール(アルフォールヴィル)
バロック・フルート奏者としても活躍するアレクシス・コセンコが2010年に創設した古楽集団レ・ザンバサドゥール〜ラ・グランド・エキュリ。彼らが時代楽器 と当時の解釈によるメンデルスゾーンの全管弦楽作品シリーズを開始しました。めったに用いられない版にも焦点を当てており、大物な割に版の違いやピリオド解 釈などといったことまで注目されることがまだあまり多くない感のあるメンデルスゾーンだけに期待できます。
シリーズ第1弾は交響曲第4番「イタリア」と第5番「宗教改革」。完璧主義者だったメンデルスゾーンは常に自分の作品に不満を持ち、手を入れていました。彼 は1934年に大改訂を始めたものの、完全に終わる前に世を去ってしまいました。コセンコによれば、
・終楽章の素材を40小節拡張
・主題(特に第2楽章)を作り直し
・第3楽章メヌエットの輪郭と展開部を大幅に変更 さらにイタリアから離れスコットランドの雰囲気が感じられるようになっているとのこと。1830年代にドイツで用いられていた楽器により、聴いたことのない「イタ リア」交響曲の世界が蘇りました! (Ki)

IDIS
IDIS-6750(1CD)
カラヤン・スペクタキュラーVol.11
ベートーヴェン:交響曲第5番『運命』
交響曲第8番ヘ長調 Op.93*
ヘルベルト・フォン・カラヤン(指) BPO

ライヴ録音:1957年11月3日東京(ステレオ)、
1961年4月8日ロンドン(モノラル)*
カラヤンの貴重なライヴ音源。東京公演はステレオで残されているもの。IDISレーベル2023年リマスター。

CPO
CPO-777973(1CD)
NX-B10
ハチャトゥリアン:交響曲第3番「交響詩曲」
ガイーヌより組曲第3番
シューマン・フィルハーモニー
フランク・ベールマン(指)

録音:2015年12月8-10日(ライヴ)
ハチャトゥリアンの交響曲第3番は、1947年の「ロシア革命30周年記念」のために交響詩として作曲され、その 年の12月にムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルによって初演されました。15本のトランペットとオルガンを含 む大編成のオーケストラのために書かれ、荒れ狂うような音の洪水の中、五音音階による民族的な旋律が時折 聞こえてくるなど、ハチャトゥリアンらしさ満点。最後は圧倒的な大音響で結ばれます。 その特異な編成によって一般的な演奏には向かないという批判を受けましたが、スターリンが没した後、「交響曲 第3番」として復活しました。録音が少ない曲だけに、最新録音の登場は歓迎されるでしょう。併録のガイーヌから の抜粋も聴きものです。

DACAPO
MAR-8.207002(7CD)
NX-G05
ルーズ・ランゴー(1893-1952):交響曲全集
【CD1】
交響曲第1番「岩山の田園詩」 BVN32
【CD2】
交響曲第2番「春の目覚め」 BVN53(オリジナル版)
. 交響曲第3番「青春のさざめき」 BVN96
【CD3】
交響曲第4番「落葉」 BVN124
交響曲第5番BVN191(第1版)
交響曲第5番「草原の自然」 BVN216(第2版)
【CD4】
交響曲第6番「引き裂かれた天国」
交響曲第7番BVN188(1926年版)
交響曲第8番「アメリエンボーの思い出」 BVN 193
【CD5】
交響曲第9番「ダウマー妃の町から」 BVN282
交響曲第10番「向こうに見える雷の住みか」 BVN298
交響曲第11番「イクシーオン」 BVN303
【CD6】
交響曲第12番「ヘルシングボリ」 BVN318
交響曲第13番「驚異の確信」 BVN319
交響曲第14番「朝」 BVN336
【CD7】
Drapa(On the Death of Edvard Grieg), BVN 20(1913最終版)
Sfinx(Sphinx), BVN37(1913改訂版)
Hvidbjerg-Drapa, BVN343…世界初録音
Danmarks Radio(Radio Denmark), BVN351…世界初録音
Res absurda!?, BVN354…世界初録音
交響曲第15番「海の嵐」 BVN375
交響曲第16番「太陽の氾濫」 BVN417
デンマーク国立SO&cho
トーマス・ダウスゴー(指)

録音:1998年8月-2008年6月
デンマーク音楽史上屈指の天才にして問題児、ルーズ・ランゴーの交響曲全集。作曲家の母国のレーベルと演 奏家たちが10年余りをかけて取り組んだ一大プロジェクトです。収録内容の点でも演奏と録音のクオリティの点で も、このレパートリーの基準となるにふさわしいものと言えるでしょう。
※初出時の6.200001(SACDハイブリッド・ディスク)から、通常CDに仕様変更しての再発売となります。


PROMINENT CLASSICS
2506-5612(2CD)
UHQCD
ブルックナー:交響曲第8番ハ短調 エフゲニ・スヴェトラーノフ(指)
ハーグ・レジデンティO(ハーグPO)

録音:2000年3月25日アントン・フィリップザール,デジタル・ライヴ
スヴェトラーノフにとって2002年10月に予定されていたNHK SO との共演がその死によって幻になってしまったのがブルックナー8番です。 極限まで遅いテンポを採用するようになったスヴェトラーノフ最晩年の心境 がブルックナーにどう反映されるのか?その回答がハーグ・レジデンティ管 弦楽団との当ライヴです。ハーグ・レジデンティ管とスヴェトラーノフの演奏 はいくつか商品化されていますがいずれも残念なことにオーケストラの実力 が弱点となっておりますが、ここでは奇跡が起きております。艶やかな弦楽 器といい重量感溢れる金管の咆哮。オーケストラと巨匠が死力を尽くした感 のある凄絶なライヴ。スヴェトラーノフ研究の権威はやしひろし氏によるマス タリングと解説も嬉しいところです。

フォンテック
FOCD-9880(1CD)
税込定価
2023年5月10日発売
マーラー 交響曲第2番「復活」 小泉和裕(指揮)九州SO
安井陽子(S)、福原寿美枝(A)、
九響cho、RKB女声cho、九州大学男声合唱団コールアカデミー、九大混声cho 、久留米大学附設高等学校合唱部 、多目的混声cho"Chor Solfa!"、ちくしの混声cho、アクロス福岡公募メンバー

録音:2022 年10 月7・8 日 アクロス福岡シンフォニーホール(1LP)ライヴ)
2019 年<千人> 、20 年<第3 番>とリリースのたびに絶賛を集める小泉和裕/九州交響楽 団によるマーラー。宿望の第三弾。 コロナ禍によって公演延期を余儀なくされ、2022 年10 月に実現した「復活」。 2013 年の音楽監督就任以来、新たな最盛期を迎えた小泉=九響。 万感の想いを込めた“死と再生をめぐる物語” ??マーラー演奏はここに極まります。 (フォンテック)

Urania Records
WS-121410(2CD)
マーラー:交響曲第5番嬰ハ短調
交響曲第6番 イ短調「悲劇的」
エーリヒ・ラインスドルフ(指)ボストンSO

レコーディング・プロデュース:1963年(第5番)、1966年(第6番)、ボストン(ステレオ、ADD)
オーストリア出身の指揮者エーリヒ・ラインスドルフによるマーラーの「交響曲第5番」と「第6番」がウラニア・レコーズから復刻。録音された1960年代は、マーラーの生誕100年ということもあり、ゲオルク・ショルティやレナード・バーンスタインがデッカとCBSに、そしてラインスドルフはRCAに次々とマーラーの作品を録音するという時代でした。ラインスドルフは1963年からボストンSOの音楽監督を務めており、ここに収められているのはそのボストン響との録音となります。ラインスドルフによって遺されたこの「第5番」と「第6番」は年月を経ても色褪せることのない美しい演奏となっています。


BR KLASSIK
BR-900207(1CD)
NX-B07
チャイコフスキー:交響曲第5番
リスト:交響詩「マゼッパ」
バイエルンRSO
ズービン・メータ(指)

録音:2013年2月25日-3月1日(ライヴ)
ミュンヘン、フィルハーモニー・イン・ガスタイク(ドイツ)
バイエルンRSOとズービン・メータによる、なんと初めての録音。チャイコフスキーの第5番はロス・フィルとの1977年録音(Decca)以来36年ぶりの 再録音です。 メータはバイエルンRSOを度重ね指揮しており、2018年秋には急病でキャンセルしたヤンソンスに代わって日本ツアーを指揮。『音楽の友』誌で 同年のベスト・コンサートに選ばれました。2020年1月にヤンソンス追悼コンサートの指揮を任されたのもメータ。これほどの厚い信頼関係がありながら、これ までLPもCDも無かった(バイエルン放送響調べ)というのは意外です。このアルバムは2013年2月から3月にかけて行われた演奏会の際に収録されたもの。 チャイコフスキーの第5番は、第3楽章を除きロス・フィル盤よりも若干遅めのテンポをとり、この曲の魅力である歌うような旋律をしっかりと聴かせます。「マゼッ パ」はメータの得意曲で機能性抜群のオーケストラを駆使したゴージャスなサウンドと高揚感をたっぷりと味わえます。

Capriccio
C-8085(1CD)
NX-B07

NYCX-10397(1CD)
国内盤仕様
税込定価
ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」(第3稿/コーストヴェット版) ウィーンRSO
マルクス・ポシュナー(指)

録音:2021年11月26-28日ウィーン放送文化会館(オーストリア)
CAPRICCIOレーベルと国際ブルックナー協会の主導で、ブルックナーの生誕200年にあたる2024年までにブルックナーの全交響曲のすべての稿(バージョン) を録音しようという企画、 「#bruckner2024」の第8弾。 先に発売されて好評の第1稿と第2稿に続き、当CDで交響曲第4番の3つの稿が最新のコーストヴェット版で揃いました。第4番の第3稿はブルックナーが弟 子のレーヴェやシャルク兄弟らの意見をきいて改訂したことから「改ざん版」などと呼ばれた時期もありましたが、コーストヴェットはそのような見方を排し、第3稿 を実際の演奏経験を経た上でブルックナー自身による実用的な改訂版と位置付けています。ポシュナーは速めのテンポを基調にしつつ、緩急の差をはっきりと 付けるなど曲想の変化を明瞭に打ち出してゆき、コーストヴェットの考えを音として立証しています。 ポシュナーの指揮で揃った第1稿及び第2稿との聞き比べに加え、フルシャ/バンベルク響やヴァンスカ/ミネソタ管など第3稿を採用した他の演奏といった聞き 比べの楽しみも広がりそうです。
※国内仕様盤には専門誌等で好評を得ている石原勇太郎氏(国内ブルックナー協会会員)による日本語解説が付属します。

J.S.Bach-Stiftung
C-143CD(1CD)
NX-E03
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」 バッハ財団O(古楽器使用)
ルドルフ・ルッツ(指)

録音:2022年8月17日 Tonhalle St. Gallen(スイス)ライヴ
2006年にルドルフ・ルッツによって創設されたバッハ財団O&choは、毎月1回のコンサートで、バッハ のカンタータ全曲演奏を行っており、これらの録音は入念な解釈と優れた演奏で高く評価されています。 ルッツはベートーヴェンの演奏でも優れた手腕を発揮することで知られ、2013年のスイス・ツアーで演奏された第9 番のアルバム(B904CD)は大好評をもって迎えられました。今回のアルバムは2022年8月に行われた演奏会の ライヴ録音で、曲目は「英雄」と呼ばれる第3番。ルッツは標準的なテンポをとりながらも引き締まった演奏を聴か せます。ブックレットでは、ドイツの音楽学者アンセルム・ハーティンガーが作品を多面的に分析するとともに、彼とル ドルフ・ルッツの対談も掲載されており(英語とドイツ語)、ルッツがベートーヴェンに寄せる強い思いも知ることができ ます。

Goodies
78CDR-3903(1CD)
モーツァルト:交響曲第40番ト短調 K.550 アルトゥーロ・トスカニーニ(指)
NBC響

1938年3月7日&1939年2月27日ニューヨーク、NBC放送8Hスタジオ録音
英HMV DB3790/2(米VICTOR15733/5と同一録音)
アルトゥーロ・トスカニーニ(1887-1967)はイタリアのパルマ生まれ。最初チェ ロを学んだ。1888年南米への演奏旅行中に指揮者の代役をつとめ、それを機に 指揮者に転向した。1898-1908年ミラノ・スカラ座音楽監督、1908-1915年ニュ ーヨーク・メロポリタン歌劇場音楽監督、1926-1936年ニューヨーク・フィル音 楽監督を歴任した。1930-1931年バイロイト音楽祭に出演、1934-1937年ザルツ ブルク音楽祭に出演した。1937年ムッソリーニの独裁政権に反対してアメリカ に亡命、一旦引退を表明したが、NBCSOが創立されて復帰し、途中一年間 の空白(1943年)があったが、1954年まで常任指揮者をつとめた。この交響曲40 番はモーツァルトの原譜にないクラリネットが加えらています。 復刻には「音のエジソン」 http://www.otono-edison.com/ SPレコード専用 MC型カートリッジの上級モデル〔ゼロSP 78rpm〕(3mil 針)とコルグの[DS-DAC -10R]DSD録音機を使用した。(グッディーズ)

Forgotten Records
fr-1864(1CDR)
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」*
ダンディ:交響詩「ヴァレンシュタイン」#
ディミトリ・ミトロプーロス(指)NYO

録音:1949年12月11日*、1950年4月14日#、カーネギー・ホール・ライヴ
Forgotten Records
fr-1871(1CDR)
クリップスのベートーヴェン
交響曲第1番ハ長調 Op.21*
交響曲第8番ヘ長調 Op.93#
ヨーゼフ・クリップス(指)
アムステルダム・ コンセルトヘボウO

録音:1952年5月24日*、1952年9月5日#、コンセルトヘボウ(共にライヴ)
Forgotten Records
fr-1875(1CDR)
オーマンディ/シベリウス:交響曲集
交響曲第2番ニ長調 Op.43*
交響曲第4番イ短調 Op.63#
ユージン・オーマンディ(指)
フィラデルフィアO

録音:1947年10月31日*、1954年11月28日#
※音源: Columbia ML-4131*、ML-5045#
Forgotten Records
fr-18761CDR)
オーマンディ/シベリウス:交響曲集2
交響曲第2番ニ長調 Op.43*
交響曲第4番イ短調 Op.63#
ユージン・オーマンディ(指)
フィラデルフィアO

録音:1951年12月16日#、1954年12月19日*
※音源: Columbia ML-4672#、ML-5045*
Forgotten Records
fr-1878(1CDR)
アノーソフ/シベリウス&カバレフスキー
シベリウス:交響曲第1番*
カバレフスキー:交響曲第2番Op.19#
ニコライ・アノーソフ(指)
ソヴィエト国立RSO

録音:1956年#、1957年*
※音源: Melodiya D 02952/3*、D-03816#

オクタヴィア
OVCL-00811(1SACD)
税込定価
エルガー:交響曲第2番変ホ長調作品63 大友直人(指)
東京SO

録音:2023年1月29日ミューザ川崎シンフォニーホール・ライヴ
日本を代表する指揮者、大友直人と東京SOによる エルガー:交響曲第2番がEXTONレーベルから登場です。 「威風堂々」、「愛の挨拶」で広く知られるイギリスの 大作曲家エルガーの音楽を誰よりも積極的に取り上げて きた大友。知られざる隠れた名作であるこの交響曲第2 番も、東京SOとは1997年を皮切りに度々披露され、 今日ついにCD化が実現する運びとなりました。大友の冴 え漲るタクトに呼応するオーケストラ・サウンドを、 DSD11.2MHzの臨場感溢れる高音質ライヴ・レコーディ ング、ブックレットにはエルガー研究の権威でもある等 松春夫によるエッセイを掲載し価値ある名盤となりまし た。ここに生まれた壮大なエルガーの世界をお楽しみく ださい。(オクタヴィア)

GRAND SLAM
GS-2264(2CD)
ブルックナー:交響曲集
(1)交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」(改訂版)
(2)交響曲第8番ハ短調(改訂版)
ブ ルーノ・ワルター(指)
(1)NBC響、(2)NYO

録音:(1)1940年2月10日NBC、8Hスタジオ(ニューヨーク)
(2)1941年1月26日カーネギー・ホール(ニューヨーク)
使用音源:Private archive
録音方式:モノラル(ラジオ放送用録音)
■制作者より  
ブルーノ・ワルター・ライヴ1(GS-2258/59)、同2(GS-2260/61)、同3(GS-2262/63)に続く第4弾、最終編です。今回はブルックナーの交響曲 第4番「ロマンティック」と第8番ですが、演奏された当時はまだ原典版が未出版のため、2曲ともに改訂版での演奏となります。第4番はワルター唯一のライヴ であり、第8番の方はこの録音しかワルターの演奏は存在しません。  音質はアセテート盤を原盤としているためにお聴き苦しい箇所が含まれますが、ワルターのディスコグラフィ上でも貴重な録音であり、ブルックナーの演奏史を 語る上でも貴重な資料と言えます。何でも値上がりしているこのご時世ですが、今回の2枚組も“1枚価格”でのご提供となります。(平林 直哉)

ACCENTUS Music
ACC-60568BD(4Bluray)

ACC-70568DVD(4DVD)
アンドリス・ネルソンス〜2つのオーケストラを振った映像集

■(1)BD&DVD1(2014年ルツェルン音楽祭)
ブラームス:セレナード第2番イ長調Op.16、
アルト・ラプソディOp.53、
交響曲第2番ニ長調Op.73

■(2)BD&DVD2(2015年ルツェルン音楽祭)
マーラー:「子供の不思議な角笛」より【ラインの伝説 / 美しくトランペットが鳴り響く所 / この世の生活 / 原光 /魚に説教するパドバの聖アントニオ / 起床合図 / 少年鼓笛兵】、
交響曲第5番

■(3)BD&DVD3(2018年第21代カペルマイスター就任記念公演)
シュテッフェン・シュライエルマッハー(1960-):オーケストラのためのレリーフ (世界初演、ライプツィヒ・ゲヴァントハウスOとボストンSOによる委嘱作品)
ベルク:ヴァイオリン協奏曲
メンデルスゾーン:交響曲第3番「スコットランド」

■(4)BD&DVD4(2017年ライプツィヒ・ライヴ)
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」、
 序曲「オセロ」、
 「ルサルカ」より“月に寄せる歌”、“ポロネーズ”、“ああ、無駄よ、無駄”
わが母の教え給いし歌
スメタナ:「ダリボル」より“いいわ、彼に与えましょう”
アンドリス・ネルソンス(指)

■(1)ルツェルン祝祭O
サラ・ミンガルド(A)
バイエルン放送cho
収録:2014年8月15、16日KKLルツェルン・コンサート・ホール(ライヴ)

■(2)ルツェルン祝祭O
マティアス・ゲルネ(Br)
収録:2015年8月19&20日ルツェルン、文化会議センター(ライヴ)

■(3)バイバ・スクリデ(Vn)
ライプツィヒ・ゲヴァントハウスO
収録:2018年2月22、23日ライプツィヒ、ゲヴァントハウス(ライヴ)
■(4)ライプツィヒ・ゲヴァントハウスO
クリスティーネ・オポライス(S)
収録:2017年5月ライプツィヒ、ゲヴァントハウス(ライヴ)

■Bluray
画面:Full HD,16:9
音声:DTS HD MA5.0,PCM、ステレオ
リージョン:All
BD25
字幕:独英仏韓,日本語
425'01
■DVD
画 面:NTSC ,16:9
音声:DTS、HD,PCMステレオ
リージョン:All
DVD9
字幕:独英仏韓,日本語
425'01
現代を代表する指揮者アンドリス・ネルソンスが、世界屈指の 2つのオーケストラを振ったコンサート映像を集めたボックス・セットがリリースされます。
2003年にクラウディオ・アバドとミヒャエル・ヘフリガーによって設立されたルツェルン祝祭O。2014年1月のアバドの逝去を受け、2016年にリッ カルド・シャイーが音楽監督に就任するまでの2年間代役として指揮台に立ったのはアンドリス・ネルソンスでした。ネルソンスは、2014年のオープニング・コンサー トで当初アバドが振る予定だったオール・ブラームスの演目をそのまま引き継いで演奏。翌 2015年にはマティアス・ゲルネをソリストに迎えたマーラー「子供の 不思議な角笛」と交響曲第5番を演奏。音楽の深淵を見るゲルネの“角笛”とアバドの名演に匹敵するネルソンスのマラ5は必聴です。
そしてライプツィヒ・ゲヴァントハウスOの第21代カペルマイスターに就任したアンドリス・ネルソンスが、2018年2月に行った就任記念コンサート の映像と、2017年5月に“客演”したときのコンサート映像も収録。2017年9月より就任が決まっていたライプツィヒ・ゲヴァントハウス管のポストは、正 式就任が2018年2月に延長され、2月と3月には就任記念コンサートとオーケストラ創立 275周年記念コンサートが続けて行われ華やかなスタートとなり ました。また、ネルソンスと同郷のヴァイオリニスト、バイバ・スクリデをソリストに迎えた20世紀を代表する名作ベルクのヴァイオリン協奏曲。同じくラトヴィ ア出身の世界的ソプラノ歌手クリスティーネ・オポライスによるドヴォルザークの「ルサルカ」からのアリア集など多才なソリストたちとの共演も注目の映像です。 (Ki)

H.M.F
HMM-902694
(1SACD)
シューベルト:交響曲第5番変ロ長調 D485
交響曲 ロ短調 「未完成」
パブロ・エラス=カサド(指)
フライブルク・バロック・オーケストラ

録音:2021年11月
パブロ・エラス=カサドとフライブルク・バロック・オーケストラによるシューベルトの交響曲集、第2弾の登場。第1弾(HMC 902154)では第3(1815年) &4番(1816年)という組み合わせでしたが、今回は第5番(1816年)および未完成(1822年)という組み合わせ。 19歳の時に書かれた交響曲第5番は、シューベルトの心の闇を感じさせない、朗らかでリズミカルな作品。エラス=カサド持前のリズムの良さにFBOが機敏 に反応しており、細やかかつ躍動感に満ちた演奏は見事です。未完成でも、シューベルトが楽譜に記した細かな音符ひとつひとつにいたるまで、丹念に表情づ けがなされています。特に第2楽章冒頭の管のアンサンブルの美しさは絶品。第5番にはない、絶望や不安に駆られたような瞬間も、実に劇的な効果をもっ て奏されます。明るい5番、絶望や不安が垣間見られる未完成という2作品のコントラストがきわめて鮮やかな1枚。エラス=カサドの歌心とリズムに満ちた 指揮と、FBOの機動力が素晴らしい化学反応を起こした名演です。 (Ki)

Pentatone
PTC-5187065(1SACD)
シューベルト:交響曲第8番「未完成」
交響曲第9番「ザ・グレイト」
ドレスデンPO
マレク・ヤノフスキ(指)
コンサートマスター:ハイケ・ヤニッケ(未完成)、ラルフ=カルステン・ブレムゼル(ザ・グレイト)

録音:2020年11月ドレスデン、クルトゥーアパラスト(文化宮殿)
ヤノフスキによるストイックな音楽づくりと絶妙な音量バランスは当録音でも傑出しており、神々しいまでに崇高な響きを見事に引き出しております。今回の シューベルトの解釈は伝統を重んじながらも活力と激しさを兼ね備えており、非常に大きな音楽を展開。名盤ひしめく当楽曲ですが、巨匠ヤノフスキが導き出し たひとつのこたえともいえる名演を聴かせてくれます。
演奏の素晴らしさはもちろんのこと、PENTATONEレーベルが誇る技術陣が結集した高音質録音であることも注目です。 (Ki)

ACCENTUS Music
ACC-70570DVD
(4DVD)
リッカルド・シャイー&ルツェルン祝祭O〜第一期


■DVD1
マーラー:交響曲第8番変ホ長調「千人の交響曲」

■DVD2
メンデルスゾーン:「夏の夜の夢」〜演奏会用序曲Op.21
劇付随音楽Op.61より抜粋
チャイコフスキー:マンフレッド交響曲Op.58

■DVD3
ラヴェル:優雅で感傷的なワルツ
ラ・ヴァルス
「ダフニスとクロエ」組曲 第1番
「ダフニスとクロエ」組曲 第2番
ボレロ

■DVD4
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第3番二短調 Op.30*
エチュード「音の絵」 第2番イ短調 Op.39-2(アンコール)*
ヴォカリーズ(管弦楽版)
交響曲第3番イ短調
リッカルド・シャイー(指)
ルツェルン祝祭O

■DVD1
リカルダ・メルベート(ソプラノ1/罪深き女)、ユリアーネ・バンセ(ソプラノ2/贖罪の女)、アンナ・ルチア・リヒター(ソプラノ3/栄光の聖母)、サラ・ミンガルド(メゾ・ソプラノ/サマリアの女)、藤村実穂子(アルト/エジプトのマリア)、アンドレアス・シャーガー(テノール/マリア崇拝の博士)、ペーター・マッティ(バリトン/法悦の神父)、サミュエル・ユン(バス/瞑想の神父)、バイエルン放送cho、ラトヴィア放送cho、オルフェオン・ドノスティアラ、テルツ少年cho
収録:2016年8月12日&13日 KKLコンサートホール、ルツェルン音楽祭2016(ライヴ)
■DVD2
収録:2017年8月、KKL コンサートホール、ルツェルン(ライヴ)
■DVD3
収録:2018年8月、ルツェルン文化会議センター・コンサートホール、ライヴ
■DVD4
デニス・マツーエフ(P)*
収録:2019年8月、ルツェルン音楽祭(ライヴ)

画面:NTSC,16:9
音声:PCM STEREO,
DD5.1,DTS5.1
リージョン:ALL
DVD9
字幕:独英仏韓,日本語
390'13
2016年よりルツェルン祝祭管の音楽監督に就任したリッカルド・シャイー。音楽監督就任コンサートのライヴ映像をはじめ、両者の活動の第一期となる2016 年〜2019年の間に行われたルツェルン音楽祭でのライヴ映像をまとめたDVDボックスがリリース。
ルツェルン祝祭管は1938年に大指揮者トスカニーニのもとへ、名だたる演奏家たちが集まり結成されたスイス祝祭Oを前身とし、2003年故・クラウ ディオ・アバドとルツェルン音楽祭の芸術総監督ミヒャエル・ヘフリガーによりルツェルン音楽祭のレジデント・オーケストラとして創設されました。そして2014 年のアバド逝去後は、アンドリス・ネルソンスやベルナルト・ハイティンクが登場していましたが、2016年からシャイーが正式にルツェルン祝祭管の音楽監督に就 任。2017年10月には、ルツェルン祝祭管として11年ぶり、シャイー就任後初の来日公演を行い、大成功をおさめました。
就任記念コンサートで演奏されたマーラー交響曲第8番。これはアバドが進めていたマーラー・チクルスのなかで、唯一演奏できなかった楽曲。このシャイーの 就任コンサートをもってチクルスが完成しました。2017年来日公演直前のコンサートでは、メンデルスゾーンの「夏の夜の夢」、チャイコフスキーのマンフレッド交 響曲といった劇文学を題材とした作品を取り上げ、オール・ラヴェル・プログラムを行った2018年、そしてデニス・マツーエフをソリストに迎えたオール・ラフマ ニノフ・プログラムの2019年と、両者の華やかなスタートを彩ったライヴ映像が収録されています。

CPO
CPO-555462(1CD)
NX-B10
ヴィルヘルム・ベルガー(1861-1911):小協奏曲/交響曲
小協奏曲 イ短調 Op.43a - ピアノとオーケストラの
交響曲 変ロ長調 Op.71
オリヴァー・トリンドル(P)
ロイトリンゲン・ヴュルテンベルクPO
クレメンス・シュルト(指)

録音:2021年3月11-12日、2020年11月2-5日
1861年、ボストンで楽譜店を営んでいたブレーメン出身の父のもとに生まれたヴィルヘルム・ベルガー。翌年 家族でドイツに帰国し、優れた音楽の才能を発揮、14歳で初の公開演奏会を開くとともに、多数の歌曲や ピアノ曲を作曲しました。その後、ベルリン高等音楽院で専門教育を受け、1888年から1903年まではクリ ントヴォルト=シャルヴェンカ音楽院の教員を務める傍ら、ベルリン音楽協会の指揮者を務めるなど、ベルリン 作曲家サークルの中心的存在として活躍しました。 彼の作風はヨハネス・ブラームスに近いものですが、時折挟まれる不協和音や、精緻な対位法の使用など は、彼の次世代であるマックス・レーガーの作曲様式を先取りするものでもあります。49歳という短命にもかか わらず、100作以上の作品を遺し、それらの何曲かは彼の死後も長らく演奏されていましたが、近年では演 奏機会はほとんどありません。これまでに出版された形跡のない小協奏曲 Op.43は、ピアノの妙技を際立 たせるのではなく、ブラームスのピアノ協奏曲のようにピアノをオーケストラの楽器の一つとして扱うことで、作品 全体がポリフォニックで重厚な響きで覆われています。このアルバムでは名手オリヴァー・トリンドルがピアノを担 当、見事な演奏を聴かせます。その10年後に書かれた交響曲はベルガーの代表作です。

Chandos
CHSA-5311(1SACD)

RCHSA-5311(1SACD)
国内盤仕様
税込定価
ニールセン:ヴァイオリン協奏曲 Op.33*
交響曲第4番「不滅」
エドワード・ガードナー(指)、
ベルゲンPO、
ジェームズ・エーネス(Vn)*

録音:2022年6月14日-17日、グリーグホール(ベルゲン、ノルウェー)
国内盤:解説日本語訳&日本語曲目表記オビ付き
ノルウェーの名門オーケストラ、ベルゲンPOの首席指揮者を2015年から務め、2021年からはLPOの首席指揮者を務めるエドワード・ガードナーによるニールセン!2楽章形式で緩徐楽章から始まる壮大な「ヴァイオリン協奏曲」では、ソリストにグラミー賞、グラモフォン賞、ジュノー賞などの栄誉ある音楽賞を多数受賞してきたカナダの天才ヴァイオリニスト、ジェームズ・エーネスを迎えるという豪華な布陣。
「交響曲第4番」は第一次世界大戦を背景に作曲され、ニールセン自身が「不滅」という副題を付けた作品。ニールセンの作品の中でも今日最も演奏されている作品のひとつです。ティンパニが2組編成になっているなど、ニールセンのアイデアの詰まった作品となっています。


BR KLASSIK
BR-900196(2CD)
NX-B09
モーツァルト:交響曲集
交響曲第39番変ホ長調 K.543
交響曲第40番ト短調 K.550*
交響曲第41番「ジュピター」 K.551#
バイエルンRSO
ヘルベルト・ブロムシュテット(指)

録音(ライヴ):2019年12月17-21日 ミュンヘン、フィルハモニー・イン・ガスタイク
2013年1月31日-2月1日 ミュンヘン、ヘルクレスザール*
2017年12月18-22日 ミュンヘン、ヘルクレスザール#
初CD化の第39番を加えて、後期三大交響曲が完成。 2022年7月11日に95歳の誕生日を迎えたヘルベルト・ブロムシュテット。高齢にもかかわらず精力的に演奏活動を行っています。日本にもしばしば来日 し、2022年10月には足腰の怪我を克服して桂冠名誉指揮者を務めるNHKSOを(指)マーラーとシューベルトの交響曲を演奏し聴衆を沸かせま した。この2枚組は、すでに発売されている交響曲第40番・第41番(900164)に、今回初CD化となる交響曲第39番を加えたもの。 ブロムシュテットは 「第40番の交響曲には人間の内面に存在する全ての暗い側面が表現されている」と語るほど、第40番に魅せられているといい、この演奏でも端正な表現 の中に、情熱的なモーツァルト像を構築しています。第41番では最終楽章の壮大なフーガが圧巻。そして柔和な雰囲気と華やぎに彩られた第39番は、齢 を重ねても若さを失わないブロムシュテットらしい演奏。熟成された正攻法のモーツァルトです。

FUGA LIBERA
FUG-816(1CD)
ラフマニノフ:交響曲第2番ホ短調 Op.27 ウラルPO
ドミトリー・リス(指)

録音:2021年7月 スヴェルドロフスク・フィルハーモニック大ホール、エカテリンブルク、ロシア
ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンで度々来日してきたドミトリー・リス指揮ウラル・フィルによる、ラフマニノフ の交響曲第2番が登場。ラフマニノフの全作品中で最も人気のあるものの一つであり、美しいメロディに 溢れたこの交響曲を雄大なスケールで歌い上げていると共に、各楽章のクライマックス、終楽章のコーダ などはライヴならではの巻き上げでぐいぐい引き込まれます。ロシア伝統の解釈に則った、たいへん立派な 仕上がりです。


Myrios Classics
MYR-032(1CD)

KKC-6696(1CD)
国内盤仕様
税込定価
ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」(1874年第1稿) フランソワ=グザヴィエ・ロト(指)
ケルン・ギュルツェニヒO

録音:2021年9月19-21日ケルン・フィルハーモニー(ライヴ)
※国内盤=日本語帯・解説付
2022年2月に第7番をリリースして大好評を博したロトとギュルツェニヒOのブルックナー交響曲シリーズ、待望の第2弾の登場です。曲は人気 の第4番ですが、通常版ではない1874年第1稿を選んでいるのが注目です。
ロトとギュルツェニヒOは2022年7月の日本公演で同曲を披露し、壮絶な演奏で聴衆の度肝を抜いたことは記憶に新しいですが、当アルバムはケル ンでのライヴ。やはりロトならではのリズム感の良さと豪快にオーケストラを鳴らしきる芸風がDXD録音で迫ります。
交響曲第4番「ロマンティック」の1874年第1稿は1878/80年稿と多くの点で異なり、とりわけ第3楽章は全く別の音楽となっています。ブルックナー 自身この版を未整理とみなし、演奏不可能、楽器の重ねすぎで不明瞭と大改訂を決めたといわれます。自由さと過激さを高く買う向きもありますが、これまで の演奏は雑然とした印象を与えるものが多かったのも事実でした。
ロトとギュルツェニヒOとの演奏はそうした欠点が全く気にならず、むしろ粗削りな原石的魅力を放ちます。2024年のブルックナー生誕200年に向け、 交響曲全集プロジェクトを進めるなかでも注目の一枚と申しましょう。 (Ki)

GRAND SLAM
GS-2283(1CD)
(1)フランク:交響曲 ニ短調
(2)ブラームス:第2番ニ長調 Op.73
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)VPO

録音:1945年1月28日ムジークフェラインザール(ウィーン)
使用音源:(1)Private archive (2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
(2)Private archive(2トラック、19センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:モノラル(放送用ライヴ録音)
■制作者より  
フルトヴェングラーがスイスに亡命する直前の公演であるフランクの交響曲とブラームスの第2番は、その凄まじい演奏内容により、今や伝と化しています。当シ リーズでは2015年に2トラック、19センチのオープンリール・テープを使用してGS-2132(廃盤)を発売しましたが、約8年ぶりに音質を刷新、再度カタログ に計上しました。  まず、フランクは新たに入手した2トラック、38センチのオープンリール・テープを使用し、より安定した音質を獲得しました。ブラームスはGS-2132に使用し たものと同じ2トラック、19センチのテープを使用しましたが、マスタリングの全行程をすべてプロ用の機器を使用し、音質の改善をはかりました。  なお、日付けについては諸説ありますが、ここではベルリンで入手したテープ(GS-2132に使用)の記録に従い、2曲ともに「1月28日」としています。 (平林 直哉)
GRAND SLAM
GS-2288(1CD)
ブラームス:交響曲第2番ニ長調 Op.73 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)BPO

録音:1952年5月7日ドイツ博物館コングレスザール(ミュンヘン)
使用音源:Private archive (2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:モノラル(放送用ライヴ録音)
■制作者より
1952年5月、フルトヴェングラーとベルリン・フィルがミュンヘンで演奏したブラームスの交響曲第2番は、凄まじい演奏内容と音質の明晰さで知られています。 当シリーズではGS-2189(2018年)として発売しましたが、今回は同じく2トラック、38センチのオープンリール・テープを復刻の素材とし、リマスターの全行 程をプロ用の機器で行い、最善を目ざしました。 また、このブラームスはHMV/EMIによって発売が予告されて以来、何度も先送りされた経緯がありますが、解説書ではそういった歴史的背景や、当日のプログ ラムなど、関連する情報を多数掲載しています。(平林直哉)

Hanssler
HC-22078(1CD)
モーツァルト:交響曲集
(1)交響曲第34番ハ長調 K.338
(2)交響曲第35番ニ長調 K.385「ハフナー」
(3)交響曲第36番ハ長調 K.425「リンツ」
マティアス・マナージ(指)
ジリナ・スロヴァキア・シンフォニエッタ

録音:2022年11月17-19日/フィルハーモニー・ジリナ(スロヴァキア)
現在最も注目されている指揮者の一人マティアス・マナージが、ジリナ・スロヴァキア・シンフォニエッタとモーツァルトの交響曲第34番、第35番「ハフナー」、 第36番「リンツ」を録音しました。
交響曲とオペラの両面で高く評価され、歴史に基づいた演奏など、洞察力に富んだ解釈には定評があるマナージは、オルガニスト、聖歌隊の指揮者を親にもち、 シュトゥットガルトでトーマス・ウンガーに、ウィーンでカール・エスターライヒャーにそれぞれ指揮を学び、ハインツ・ホリガー、マンフレート・ホーネック、ミゲル・ ゴメス=マルティネスのアシスタントをつとめました。これまでにキール・オペラハウス、ワルシャワ・ポーランド国立歌劇場、ライプツィヒ歌劇場、オルデンブルク州 立劇場、カッセル州立歌劇場、ブレーメン劇場などでオペラ指揮者として活躍しております。
モーツァルトの交響曲でも説得力のある深みのある演奏を展開。オペラ作曲家モーツァルトの表現も熟知したマナージらしいエレガントで卓越した音楽性で魅了 します。 (Ki)

ATMA
ACD2-2454(1CD)
シベリウス:交響曲第3番ハ長調 Op.52
交響曲第4番イ短調 Op.63
ヤニック・ネゼ = セガン(指)
モントリオール・メトロポリタンO

録音:2021年6月(第3番)、2022年2月(第4番)
2000年からモントリオール・メトロポリタンOの芸術監督・首席指揮者を務めているヤニック・ネゼ=セガンによる、同郷オケとのシベリウスの交響曲録音シリーズ第2弾。第1番を収録した第1弾(ACD2-2452)に続き、今回は第3番・第4番の2曲を収録。第3番はシベリウスが小型交響曲へと舵を切ったターニングポイント的作品。シンプルな旋律と薄い和声、最低限の楽器の重ね方で作るひびきの面白さが追求され、ある意味大胆で実験的な音楽が展開されます。ネゼ=セガンは楽曲の要素を的確にとらえ、丁寧に整えながらも、共感たっぷりに、ときに熱っぽく演奏。しなやかな呼吸で歌い上げています。弦はふんわりとした弱音からガリガリと圧をかけた強音まで表情豊か。
第4番はさらに洗練された書法もさることながら、陰鬱な暗さが影を落とす交響曲で、開放的な第3番とは対称的。終楽章では短調と長調が同居したようないびつなバランスの響きがあらわれます。そこでもネゼ=セガンはのびのびと自然に音楽をとらえ、かつスコアを信頼しそのまま鳴らしきることで、シベリウスの狙った鈍く光るようなサウンドを鮮やかに描き出しています。オーケストラとの一体感も素晴らしく、指揮者の意図がはっきり伝わる良好な関係であることが分かります。 (Ki)

BIS
BISSA-2534(1SACD)
ブルックナー:交響曲第4番『ロマンティック』(1878/80年稿ノヴァーク版) トーマス・ダウスゴー(指)
ベルゲンPO

録音:2020年1月20-22日グリーグ・ホール、ベルゲン(ノルウェー)
数多くの録音で評価を集めるトーマス・ダウスゴーがベルゲンPOと進めているブルックナーの交響曲全曲録 音。当アルバムは交響曲第4番『ロマンティック』を収録しております。
ブルックナーの9曲の交響曲の中で最も人気の高い『ロマンティック』。第1稿が完成したのは1874年ですが、それから改訂が何度も行われ、1881年 ハンス・リヒター指揮のVPOによって初演され成功を収め作品です。ダウスゴーは第2稿、1878/80年稿ノヴァーク版を使用。 当演奏でもダウスゴーらしい見通しの良いクリアな響きを大切にし、緊密な構成力でこの名曲を演奏しております! (Ki)


Altus
ALT-523(1CD)
ベルリオーズ:幻想交響曲 大野和士(指)東京都SO

録音:2019年4月20日/東京芸術劇場コンサートホール(第876回定期演奏会Cシリーズ)
東京都SOと音楽監督・大野和士によるALTUSライヴシリーズ、マーラー「巨人」(ALT-522)に続く第2弾。ベルリオーズ没後150年にあたる2019年 に演奏された「幻想交響曲」を収録しています。
壮麗な近代オーケストレーションの開祖的作品にして、狂気をはらんだ幻想性をもつ特異な交響曲。ベルリオーズの天才的なアイデアが満載のスコアを、大野は明瞭 な響きではっきりと音楽化し、そのうえで熱のこもった歌として聴かせます。各奏者の美しくこまやかな動きからトゥッティの壮絶な強打まで、すべてが有機的につな がり、大きな流れの上で凄味あふれるクライマックスを構築。オーケストラを聴く醍醐味そのもののような、聴き応えある名演奏です。
「フィナーレも、そこに描かれているはずの一種グロテスクな地獄絵図そのものよりも、それを描きだしてしまう若い男の情念のほうに聴きての注意を向かせる。言 い換えるなら、書き綴られた音符そのものではなく、それを透かして、それを書いた男の夢と欲望に歪んだ顔つきを見せてくれます。」(許 光俊氏の解説より)

Profil
PH-23012(8CD)
ギュンター・ヴァント〜Profilブルックナー大集成


■Disc1
交響曲第3番ニ短調(ノヴァーク第3稿)
■Disc2
交響曲第4番変ホ長調(1878/80年原典版)
■Disc3
交響曲第5番変ロ長調(原典版)
■Disc4
交響曲第6番イ長調(原典版)
■Disc5 
交響曲第7番ホ長調(ハース原典版)
■Disc6
交響曲第8番ハ短調(ハース版)
■Disc8 
交響曲第9番ニ短調(原典版)
ギュンター・ヴァント(指)

■Disc1 53’59”
北ドイツRSO
録音:1985年12月23日ハンブルク、ムジークハレ
■Disc2 72’47”
ミュンヘンPO
録音:2000年9月15日ミュンヘン、ガスタイク
■Disc3 75’41”
ミュンヘンPO
録音:1995年11月29日、12月1日ミュンヘン、ガスタイク
■Disc4 57’37”
ミュンヘンPO
録音:1999年6月24日ミュンヘン、ガスタイク
■Disc5 63’31”
北ドイツRSO
録音:1999年8月18-21日ハンブルク、ムジークハレ
■Disc6、7 33’39” 55’49”
北ドイツRSO
録音:2000年4月30日-5月3日ハンブルク、ムジークハレ
■Disc8 64’11”
ミュンヘンPO
録音:1998年6月24日ミュンヘン、ガスタイク
2024年のブルックナー・イヤーに向け、真打の強力Boxが発売となります。ブルックナー・ファンにとりギュター・ヴァントは特別の存在と申せましょう。なか でも北ドイツRSOとミュンヘン・フィルを振ったライヴは宇野功芳氏の絶賛もありベストセラーとなっていましたが、今日入手困難でもあり、発売を希望す る声を多く寄せられていました。
今回、7篇の交響曲をまとめ超お手頃価格にBox化。通常CDですが音質も良く、ヴァントの至芸をたっぷりと堪能できます。お買い逃がしなく! (Ki)

DUX
DUX-1901(1CD)
ポーリッシュ・ロマンティック・シンフォニーズ
フランチシェク・ミレツキ(1791-1862):交響曲 ハ短調(1855)
ユゼフ・ヴィエニャフスキ(1837-1912):交響曲 ニ長調 Op.49(1890)
パヴェウ・プシトツキ(指)、
アルトゥール・ルービンシュタインPO
このアルバムでは19世紀にポーランドで作曲された知られざる交響曲を二曲収録しています。フランチシェク・ミレツキ(1791-1862)はピアニスト兼作曲家として活躍し、交響曲はこの一曲のみ残しています。ポズナンのアダム・ミツキェヴィチ大学図書館に写本が保存されており、1972年にポーランド音楽出版社から出版されました。ミレツキは歌劇場でも活躍した人物でそのこともあってかこの交響曲はオペラのスタイルも持っています。しかし、決して感情的な部分だけの作品ではなく、器楽に対する豊富な知識と、その作曲技法によって交響曲として成功しており、ポーランド音楽の「古典派」から「ロマン派」への転換期にふさわしい作品となっています。
ポーランドの著名なヴァイオリニスト、ヘンリク・ヴィエニャフスキの弟であるユゼフ・ヴィエニャフスキ(1837-1912)の交響曲は、彼の最後の作品のひとつです。主にピアノ曲や室内楽曲を残したユゼフ・ヴィエニャフスキとしては、珍しい管弦楽作品となります。またこの作品は演奏された記録が見つかっておらず、このアルバムに収録された音源は非常に貴重なものと言えます。
DUX
DUX-1898(1CD)
クシシュトフ・メイエル(b.1943): ピアノ協奏曲 Op.46
交響曲第6番「ポーランド交響曲」*
アントニ・ヴィト(指)、カトヴィツェ・ポーランドRSO、
クラクフ・ポーランド放送O*
パヴェル・ギリロフ (P)

録音:1984年1月12日&19日-20日、1992年4月30日
第二次世界大戦下に生まれたポーランドの作曲家クシシュトフ・メイエル。1982年に作曲された交響曲第6番「ポーランド交響曲」はポーランド民主化運動と切っても切り離せない関係にあります。この曲は形式的な意味でのプログラム性はないですが、作曲者はそこにポーランド音楽のモチーフを引用し、自由の喪失という問題を象徴的に言及しています。また一方で1979年から1989年という長い年月をかけて作曲された「ピアノ協奏曲」はジャズを含む様々な音楽の要素を盛り込んでおりピアノの妙技が印象的な作品です。この二曲を聴き比べることでよりクシシュトフ・メイエルの音楽を深められる興味深いアルバムに仕上がっています。

Urania Records
WS-121409(2CD)
マーラー:交響曲第1番&第2番
マーラー:交響曲第1番 「巨人」
交響曲第2番ハ短調「復活」*
ヘルマン・シェルヘン(指)、
LPO、VPO&cho*、
ミミ・ケルツェ(S)*、
ルクレティア・ウェスト(A)*

録音:1954年、9月(第1番)、1958年10日-12日、ウィーン(第2番)
ヘルマン・シェルヘンは、ミトロプーロスやワルター、そしてクレンペラーなどと共に、マーラーの作品を継続的に指揮していた音楽家の一人でした。シェルヘンのレパートリーはとても幅広く、バッハから同時期の作曲家であるクセナキスまで指揮を行い、その作品を世界に広めていきました。ここで収録されているマーラーもその一端であり、元々十年以上前にウラニア・レコーズから復刻された音源で、その美しさから当時の批評家から高い評価を受けました。マーラーを語る際に必ず名を出されるシェルヘン。そのシェルヘンの実演がウラニア・レコーズから再び、待望の復刻です。


Treasures
TRE-276(1CDR)
S・ゴールドベルク指揮によるモーツァルト
アイネ・クライネ・ナハトムジーク*
交響曲第5番K.22
交響曲第21番K.134
交響曲第29番K.201
シモン・ゴールドベルク(指)
オランダ室内O

録音:1960年12月6-10*、1961年7月6-8日(全てステレオ)
※音源:日VICTOR SFON-10516*、FONTANA SFL-14073
◎収録時間:65:02
“高潔かつ清新!S.ゴールドベルクの美学がここに凝縮!”
■音源について
ビクターが発売していたフィリップス音源盤は、同時期のキングレコードと同様、極めて優秀。特にオケ作品において、等身大のスケール感を再現しているように感じます。

「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」1曲だけでも、ゴールドベルクが真のモーツァルティアンであることは明らか。ゴールドベルクばらではの味わいを十分に湛えながら、迫りくるのは只々モーツァルトの音楽のみ。関係の深かったカザルスの露骨なまでに濃厚な演奏とは好対照と言えます。
 第1楽章、0:30からのヴァイオリンのヴィブラートの一瞬の幻想!ノン・ヴィブラートでこのニュアンスを無きものにすることがいかに残酷であることか思い知ります。快速イン・テンポを通しながらも少しもメカニックに走らず、全ての音符には慈愛が横溢。しかもその愛の注入には強引さがないので、品格ある音楽のフォルムが保たれているのです。
 第2楽章も清潔なヴィブラートが琴線に触れますが、その至福な空気を一変させる3音(5:15〜)の毅然とした切込みは、ゴールドベルクの美学の象徴と言えましょう。
 第3楽章中間部の透明なテクスチュアも聴きものですが、終楽章は、オケの人数設定の絶妙さがものを言い、軽妙さを保ちつつ響きの厚みと内声の無理のない連動を確保しているのが流石。
 そのゴールドベルクのモーツァルト観が更に飛翔するのが交響曲第29番で、クレンペラーやカンテルリと並ぶ同曲トップクラスの名演です。
第1楽章はかなりの高速進行。このテンポでは、特に連続する18分音符が「ただ弾いているだけ」に陥りがちですが、ここでは「アイネ・クライネ…」同様、機械的な運動性以上の凛としたニュアンスが確実に沸き立っているのです。
第2楽章も、単なる感覚的な美を超えた至芸。各パートのブレンドと自然な呼吸が常に一体化しており、だからこそアンサンブルの精緻さも有機的な佇まいの醸成に繋がっているのでしょう。そして、終楽章ぼあまりにも素晴らしいピュアな生命力の飛翔!0:50からの装飾音がかくも瑞々しく弾んだ例が他にあるでしょうか?バーンスタイン&VPO盤の同じ箇所を比べると、まるで別の曲のようです。その音型の微笑みの表情が、曲の最後にはピークに達する様にもご注目下さい。【2023年3月・湧々堂】

Treasures
TRE-282(1CDR)
スワロフスキー/シューマン:交響曲集他
スメタナ:歌劇「売られた花嫁」序曲
 交響詩「モルダウ」
シューマン(マーラー編):交響曲第1番「春」*
シューマン:交響曲第3番「ライン」#
ハンス・スワロフスキー(指)
オーストリアPO、
ウィーン国立歌劇場O*、ウィーンSO#、

録音:1958年頃、1959年*、1955年1月19&21日#(全てモノラル)
※音源:W.R.C TT-17、仏ODEON XOC-819*,#
◎収録時間:75:27
“模範解答的な佳演に留まらないスワロフスキーの熱き表現意欲!”
■音源について
シューマンの一部で一瞬音が震える箇所がありますが、マスターに起因するものと思われます。

★コメント準備中【湧々堂】

Treasures
TRE-286(1CDR)
超厳選!赤盤名演集Vol.10〜シルヴェストリの「幻想」
ファリャ:「はかなき人生」〜間奏曲&スペイン舞曲第1番
 「恋は魔術師」〜火祭りの踊り
ベルリオーズ:幻想交響曲*
コンスタンティン・シルヴェストリ(指)
パリ音楽院O

録音:1961年1月31日&2月1日、1961年2月6-8&11日*(全てステレオ)
※音源:東芝 WS-23 、WS-10*
◎収録時間:64:26
“伝統に阿らないシルヴェストリに必死に食らいつくパリ音楽院管!”
■音源について
状態の良い「東芝の赤盤」の音の素晴らしさを堪能するシリーズ。英国EMIから技術者を招いて始動し、英仏メタルを用いてプレスしていた当時の川口工場(1955年発足)の高い技術の一端を知ることができます。
但し、初期盤はビニールの素材が関係しているのか微妙なチリチリノイズの混入率が高く、復刻に際してはそれが回避された第二版以降にも耳を通すことが不可欠となります。
 ここでは、日本の「ワールドレコードクラブ特選」と称するボックスに収められている赤盤レコードを採用。「幻想」終楽章のラストは残響が尻切れのように聞こえますが、正規CDでも同様でしたのでマスターに起因する現象と思われ、修正は行いませんでした。
 なお、1971年に御殿場に大工場を新設して以降はレコードの音質は下降の一途を辿り、赤盤も消滅しました。

★この「幻想」は、奇想天外な解釈の面白さというより、シルヴェストリの作品に対する純粋な共感力とオケの発信力を前面に立てたアプローチが特徴的で、シルヴェストリの芸風を単に奇を衒ったものと捉える向きも納得せざるをえないでしょう。とは言え、並々ならぬイマジネーションが隅々に敷き詰められていることに変わりなく、1楽章2:30以降の木管の意味深い浮遊や、3:11からの強弱の入念な対比、5:30からの固定観念のメロディのもがき、12:25からのピチカートの生々しさなど、凡百の演奏とは明らかに次元が異なります。コーダの木管による低音の響きはパリ音楽院ならではの魅力!
第2楽章は冒頭の弦のみならず、ハープの末端の音まで克明に描写し、3:07で唐突なアクセントを施すなど、優美さ流れすぎて不安と苦悩を無視した演奏にはないこだわりが心を捉えます。4:27〜4:35までのテンポ操作は指揮者のセンスが問われる箇所ですが、ここでの誤魔化しのないニュアンスにもご注目を。
3楽章は全体を通じて最大の聴きもの!イングリッシュホルンはもちろんのこと、6:27以降のチェロの明るい音色など、パリ音楽院特有の響きで初めてハッと気づかされる表情が満載。雷鳴が遠ざかる際の呼吸の脱力感も実にリアルで、その後の孤独な情景が絶妙な遠近感を伴って迫る演奏など他に滅多にないでしょう。フランス人以外の指揮者がパリ音楽院を振った「幻想」は、先にアルヘンタ盤がありますが、ニュアンスの突き詰め方の差は、この楽章を聴けば歴然でしょう。
 明るい音色と言えば、第4楽章冒頭のホルンも他では聴けない風合い。その後、終楽章に掛けては生々しい原色で塗り固めながら血湧き肉躍る進行を見せ、洗練のヴェールを完全に払拭。ミュンシュやクリュイタンスの「幻想」がどんなに熱狂的でもフランス的なエレガンスを捨て去ることがないのに対し、シルヴェストリは全く唯我独尊。音色以外の全てのニュアンスを自身のイメージに塗り替え、それに対してパリ音楽院管は対抗するのではなく、むしろ想定外のニュアンスが溢れ出るのを楽しんでいるかのように熱演を展開。
名手揃いのオケに対して、その伝統的流儀をも超えて表現意欲を奮い立たせてしまうシルヴェストリの指揮者としての力量は、もっと広く認識されるべきではないでしょうか?【2023年4月・湧々堂】

Treasures
TRE-293(1CDR)
超厳選!赤盤名演集Vol.11〜クレンペラーの「大地の歌」
マーラー:大地の歌
フリッツ・ヴンダーリッヒ(T)
クリスタ・ルートヴィッヒ(Ms)
オットー・クレンペラー(指)
フィルハーモニアO、ニュー・フィルハーモニアO

録音:1964年2月&1966年7月
※音源:東芝 AA-8100
◎収録時間:63:53
“永遠に光り続ける「大地の歌」の極北!”
★コメント準備中【湧々堂】

Treasures
TRE-294(1CDR)
超厳選!赤盤名演集Vol.12〜クーベリック/田園&ハンガリー舞曲
ブラームス:ハンガリー舞曲集
 第1&第3番(以上,ブラームス編)
 第5&第6番(以上,シュメリング編)
 第17〜第21番(以上,ドヴォルザーク編)
ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」*
ラファエル・クーベリック(指)
ロイヤルPO

録音:1958年11月20日、1959年1月21-23日*(全てステレオ)
※音源:東芝 ASC-5018、WS-19*
◎収録時間:62:41
“40代半ばにしてクーベリックに備わっていた作品の本質を突く手腕!”
■音源について
状態の良い「東芝の赤盤」の音の素晴らしさを堪能するシリーズ。英国EMIから技術者を招いて始動し、英仏メタルを用いてプレスしていた当時の川口工場(1955年発足)の高い技術の一端を知ることができます。
但し、初期盤はビニールの素材が関係しているのか微妙なチリチリノイズの混入率が高く、復刻に際してはそれが回避された第二版以降にも耳を通すことが不可欠となります。
 「田園」も「ハンガリー舞曲」同様ASC規格の赤盤が存在しますが、微妙なノイズ混入があるため、後発の「ワールドレコードクラブ特選」と称するボックスに収められている赤盤を採用しました。
 なお、1971年に御殿場に大工場を新設して以降はレコードの音質は下降の一途を辿り、赤盤も消滅しました。

「ハンガリー舞曲集」は、単に民族色の抽出以上に、指揮者の潜在的な音楽センスが浮き彫りになる試金石のような作品。チェコ出身のクーベリックは、当然ながら東欧的な土の匂いは体に染み付いているはずですが、それを露骨に表面化はせず、その「血」を原動力としながらも、むしろ洗練された普遍的なフォルムを追求し続けます。強弱や緩急を自在に組み合わせた方言丸出しの解釈には目もくれず、素直なスコアの再現に徹しながら、通り一遍の平凡な演奏に陥らない、あのチェリビダッケも認めたクーベリックの音楽センスの本質が詰まった名演と言えましょう。元々はピアノ連弾曲だったことを踏まえてか、過度にシンフォニックな響きに傾くことも避けているのも特徴的。
 「1番」第2主題の繰り返し時にわずかにテンポを落とすユニークさや、「3番」冒頭のオーボエの晴朗さは、土俗性より純音楽的な味わいとなって迫りますし、「5番」は慣習的なテンポの緩急から開放したイン・テンポ寄りの推進力が痛快。「第6番」も同様ですが、アクの強いシュメリング版を用いながらここまですっきりとした洗練美を引き出した演奏を他に知りません。「17番」「20番」は、ビーチャムが築いたロイヤル・フィルの明るい音色が功を奏し、暗い楽想に艶をもたらしています。
 「田園」は、70年代の全集があるのでこのロイヤル・フィル盤は影が薄いですが、実はとんでもない名演!個性のひけらかしとは無縁であると同時に、オケの自発性の引き出し方が尋常ではありません。第1楽章はいわゆる中庸のテンポですが、決して無為無策の結果ではなく、作品が最も息づくテンポとして結実。オケのパステル調の色彩も作品にほんのりと華を添えます。提示部リピートあり。そして、第2楽章の充実ぶり!シルキーなテクスチュアの統一感、呼吸の深さ、温かさに心奪われます。8:24〜8:44の各パートの有機的な連動ぶりや、最後のカッコウの囁きのリズムセンスは、これ以上望めないほどの素晴らしさ!第4楽章がまた独特。大音量で誤魔化した単純さとは一線を画し、真のドラマを湛えた雄渾さは比類なし!終楽章はかなりの高速なのにまず驚きますが、そこから放たれる華やぎと清流のようなフレージングを聴けば、そのテンポの意味にすぐに気づくはず。3:40以降のピチカートも水しぶきを想起させ、同じくピチカートを強調したクレンペラー盤にはない心のときめきがあります。感謝の気持をしみじみ噛みしめるのは最後の1分間!ここでようやくテンポを緩めるのです。これらの魅力的なテイストは、パリ管との再録音では完全に消滅しているのです。【2023年4月・湧々堂】

Treasures
TRE-295(1CDR)
ライナーのモーツァルトVol.1
アイネ・クライネ・ナハトムジーク*
ディヴェルティメント第17番K.334#
交響曲第40番K550
フリッツ・ライナー(指)CSO

録音:1954年12月4日*、1955年4月23&26日#、1955年4月24日(全てモノラル)
※音源:米RCA LM-1966*,#、米RCA LM-2114 *
◎収録時間:77:33
“モーツァルトだからこそ浮上する強面ライナーの内面に宿る歌心!”
★コメント準備中【湧々堂】

Treasures
TRE-296(1CDR)
ライナーのモーツァルトVol.2
音楽の冗談K.522*
ディヴェルティメント11番K.251#
交響曲第41番「ジュピター」
フリッツ・ライナー(指)
NBC響団員*,#、CSO

録音:1954年9月16日*、1954年9月21日#、1954年4月26日(全てモノラル)
※音源:独RCA LM-1952-B、米RCA LM-2114 *
◎収録時間:75:36
“モーツァルトだからこそ浮上する強面ライナーの内面に宿る歌心!”
★コメント準備中【湧々堂】

Treasures
TRE-299(2CDR)
コンヴィチュニー/ベートーヴェン&ブルックナー
ベートーヴェン:交響曲第7番
ブルックナー:交響曲第5番*
フランツ・コンヴィチュニー(指)
ライプチヒ・ゲヴァントハウスO

録音:1959年6月11-19日、1961年6月26-28&30日*(全てステレオ)
※音源:日VICTOR SFON-5506、日COLUMBIA OP-7084*
◎収録時間:63:21+59:40
“攻めの表現にも誇張に傾かない恐るべきバランス感覚!”
■音源について
ブルックナーだけで80分を少し超えるため、ベートーヴェンを併録して2枚組としました。これまでも国内盤で素晴らしい音を発するレコードがあれば、輸入盤初期盤に頼らず躊躇なく国内盤を使用していますが、ここでも2曲とも日本盤を選択。特にフィリップス音源のビクター・プレス盤は、音の芯と太さが顕著に感じられ(逆にピアノ録音は大味になることもある)、ゲヴァントハウス管の質感との相性も抜群です。ブルックナーにおいても。既出CDのデジタル臭に邪魔されない素朴な響きが聴き取れることは言うまでもありません。

★まず、ベートーヴェン冒頭の打ち込み音の鉄壁なバランス!ティンパニの存在が過剰だったり脆弱過ぎたりと、今一つの演奏が多い中で、この文字通り渾然一体となった響きにはどなたも膝を打つこと必至!コンヴィチュニーといえば、「いぶし銀」という紋切り型の形容ばかりが目に付きますが、それを成し遂げているのもこのバランス感覚があればこそのことだと思います。そのこだわりが音楽に脈打つ精神と一体化したときの味わいと感動は計り知れません。序奏の間、章節の頭にトランペットのアクセントがありますが、これもただの誇張ではなく心の鼓動として響くのです。6:12からのフルートの隠し味の重要性を思い知らせる演奏も稀有。展開部は内声処理能力の高さに唖然。それを突出させるのではなく、あくまでも内声の範疇で意味を持たせて響かせるというのは、近年耳にできなくなった奥義と言えましょう。11:27からの持続音は末端まで精神が充満!11:46の楽想の唐突な変化にはどんな名盤でも違和感を覚えますが、これは違和感どころか想定外のフワッとした質感があまりにも美しく、かつ移行の仕方が絶妙の極み!この箇所でこれ以上の演奏は知りません!提示部リピートあり。第2楽章は弱音に頼らない潔い進行。1:36以降の第1と第2のヴァイオリンが同等に主張させつつ、そこに恣意性を感じさせないのも流石。2:20からの内燃パワーも凄まじく、これこそ本物の渾身!第3楽章はコーダの畳み掛けに唖然。こんなこと、安易に真似しても響きを軽薄にするだけでしょう。終楽章は、微妙に前のめりになるテンポ感を一貫させることで切迫感を伴った推進性を確保し、体ごと持っていかれる勢いまで昇華!近年「ただ速いだけ」の演奏が増えているのはご承知の通り。しかも、それでもそれなりに感動する曲だから困ったものですが、「技」を感じさせるコンヴィチュニーから受ける感銘の深さは明らかに別格です。
コンヴィチュニーのベートーヴェンの全集は、一部緊張感が弱い曲もありますが、第7番は間違いなく超特選です!
 一方、ブルックナーは、コンヴィチュニーが真のブルックナー指揮者だったことを裏付けるのに十分な感動作!ここでも、大掴みなアプローチをしているようでいて実は細部まで突き詰めるコンヴィチュニーの指揮者としての力量も思い知らせれます。
第1楽章第1主題は、音量とともに求心力も同時に増幅される凄さにご注目。ピチカートの第2主題は、微妙に縦の線をずらすことにより、オケの木目調の風合いが一層活き、強弱変化が確実に表情変化に結びついています。第3主題は、純朴な楽想に対してこれ以上何のニュアンス注入も不要で、オケと指揮者の性格そのものだけで魅了するという事実に勝るものなし!7:10からリテヌートして一旦文節を区切る丁寧さは、流れを阻害するどころか、音像の自然な構築に大きく貢献。8:42から次第に姿を表す弦のトレモロの幻想性とホルンとのブレンド感は空前絶後の魅力!展開部10:40からのフルートの神秘的フレーズと弦の存在感の対比が織りなす空気には言葉を失いますが、その後も他のニュアンスが考えられないほどの音楽が展開されのですから、もはや神がかりとしか言いようがありません。第2楽章は曲頭のピチカートの説得力が尋常ではありませんが、驚きは2:57からの第2主題!そのとてつもない深淵さは人工美と対極的でありながら、一定の距離感も保たれているので、独特の超然としたニュアンスが現出されるのです。第3楽章は、野武士的な居住まいが、理知的な構築重視の演奏からは得られない勇壮さと温もりを醸し出します。
 終楽章は、まずクラリネットの第1主題(0:42)をあえて茫洋とした雰囲気に抑えているのが印象的。竹を割ったようなスパッとした響きを避けているのは、恐ろしく粘る低弦の伏線だと気づきますが、そのリズム感の後退は決して生命力の減退ではなく、続く第2主題(第1群)の可憐なニュアンスと見事なコントラストを成すことになるのです。しかも、その可憐さに幾分憂いが滲んでいるあたり、なんという感性でしょう!6:48からの第2主題(第3群)はメカニックなフォルティッシモとは無縁の雄渾さが欲しいところですが、既存のオケでは望めない以上、このコンヴィチュニーのアナログ復刻に頼るしかなく、また他を望む必要性もないでしょう。コーダでは全体が猛烈な強奏をぶちまけますが、そうでもしなければ表しきれない内容の飽和ぶりに感動を禁じえません。鼓膜を刺激するだけの煩い大音量とはわけが違うのです!
 湧々堂が推奨する「ブル5」
の名盤第1位が揺るぐことなど想像できません。【2023年5月・湧々堂】

Treasures
TRE-303(1CDR)
C.デイヴィスのハイドン&モーツァルト
ハイドン:交響曲第84番変ホ長調 Hob.I:84*
モーツァルト:交響曲第28番 ハ長調 K. 200
 交響曲第38番 ニ長調 「プラハ」K.504
コリン・デイヴィス(指)
イギリスCO

録音:1960年9月30日&10月2日*、1962年12月7-8日(全てステレオ)
※音源:LOISEAU LYRE SOL-60030*、SOL-266
◎収録時間:74:23
“最後のモーツァルト指揮者、コリン・デイヴィスの真骨頂!”
■音源について
C.デイヴィスのハイドンは意外と少なく、この「84番」はデイヴィス初のハイドンで、後の70年代のコンセルトヘボウOとの録音まで途絶えます。一方、モーツァルトの録音はデビュー当初から積極的で、「プラハ」は3種の録音が存在。これはその最初の録音です。

★ワルター、ベームの次の世代のモーツァルト指揮者として真っ先に挙げたいのがコリン・デイヴィス!録音の上ではレパートリーが限定的で、マーラーやブルックナーの録音も少ないせいか、巨匠としての決定的な評価を得られないまま亡くなってしまった感が拭えず、、また、ピリオド奏法をベースにした紋切り型の演奏が主流となった昨今だからこそ、C.デイヴィスのモーツァルトの素晴らしさを再認識してほしいと強く願う次第です。
 そのアプローチに衒いや誇張が一切ないのは言うまでもありませんが、極めてオーソドックスなフォルムを丁寧に構築しながら、伸びやかさと品格を与え、更に程よい軽みも付与するという絶妙なニュアンス!これを30代前半の時点で既に実現していたことに驚きを禁じえません。
 「プラハ」は、最後のドレスデン盤の立派な演奏も捨てがたいですが、ここに聴くECOの奏者のセンスも相俟っての瑞々しさはかけがえのない魅力。表面上は何も変化していないようでいて、モーツァルトへの愛がそのまま演奏の集中力に直結したような魅力を考えると、どうしてもこのECO盤を強く推したくなります。第1楽章展開部の特に6:32以降で、各声部が締め付けすぎずに一定の凝縮性を保ったテクスチュアもその表れ。第2楽章1:08からの神の警告のような管楽器のユニゾンも同様。その呼吸の大きさと芯の湛え方、その後の鎮静への向かい方も見事で、ECOの透明度の高いアンサンブルの魅力も最大限に発揮されています。7:41からも聴き逃し厳禁!呼吸の繊細さとフワッとした感触、間合いの絶妙さは息を呑むほどです。終楽章はやや遅めのテンポがポイント。疾走すれば耳に届かない可憐なニュアンスがこのテンポだとしっかり浮き上がります。
 「第28番」も、純度の高いECOの響きを活かした汚れのない音像を実現。特に第2楽章でそれが顕著ですが、第3楽章はやや管楽器を優位に立てることによって醸し出されるハーモニーによって予想外の愉しさが零れます。終楽章は高速ながら猛進ではなく、細い弦の動きをはじめてするあらゆる内声が有機的な下支えをしている点にご注目を。
 肝心なのはこれらのニュアンスが、「モーツァルトはこうあらねば」という頭の中の理想だけで発せられたのではなく、デイヴィスの本心から溢れ出たもので、どこをとっても自然体であるということ。これを真のモーツァルティアンと呼ばず何と呼べばよいのでしょう! 【2023年5月・湧々堂】

Treasures
TRE-304(1CDR)
ラインスドルフ&ボストン響・厳選名演集Vol.5〜ブラームス
交響曲第2番ニ長調 Op. 73
交響曲第4番 ホ短調 Op. 98*
エーリッヒ・ラインスドルフ(指)
ボストンSO

録音:1964年12月14&16日、1966年4月26−27日*(全てステレオ)
※音源:Victor SHP-2383、RCA LSC-3010*
◎収録時間:78:30
“作品によって豹変するラインスドルフの底知れぬ魅力!”
■音源について
「第2番」は日本盤、「第4番」はフランス盤を採用。「第2番」は、ラインスドルフ唯一のセッション録音です。

★ラインスドルフは、レコーディングに際してはテンポの変動を抑えて、楽譜の忠実な再現を心掛けていたそうですが、「第2番」ではそのこだわりを貫徹しながら、有機的なフレージングも疎かにしない見事な演奏を披露しています。
第1楽章冒頭の弦の温かさは、かつてのボストン響ならではの魅力。第2主題はで、惰性的なレガートを避け、音を丁寧に切るあたりにも頑固なこだわりが垣間見れます。展開部7:11以降は、インテンポを守り抜きながら精神的な高揚をもたらし、緊張感に満ちた音像を確立。楽器間の連動も極めて密接で、安易な田園風を目指していないことは明らかです。インテンポの美学は、終楽章でつに全開に!開始しばらくはその厳格さに圧倒されますが、再現部以降、ライブのような熱気も孕み感動的なクライマックスを迎えます。最後後の最後で僅かなリテヌートも許さずに締めくくる例は前代未聞!そこまでテンポの揺れを嫌わなくても…と言いたくなりますが、感情に流されまいとする意地の張り方がかえって人間的で微笑ましく思うのは私だけでしょうか?
ところが、「4番」となると、その厳格なテンポの統制よりも、この曲をロマン派作品の爛熟の象徴として捉え、その香気にふんだんに放射することを最優先し、第2番とはまるで別人のよう。
第1楽章の第2主題に差し掛かる頃には内燃パワーが早くもマックスに達し、心の震えそのものの音化にどこまでも邁進。6:09からの管と弦のすすり泣きの応酬は心にビリビリ響き、10:50からは弦のトレモロまで必死に燃え盛り、その熱は圧巻の締めくくりまで増幅の一途を辿るのです。第2楽章は、フランス盤故か冒頭が朗々と明るく響くのに一瞬驚かされますが、すぐにクラリネットをはじめてする管の強弱ニュアンスの細やかさに惹きつけられます。第2主題(3:57〜)も実に深遠。弱音に頼らないので格別の味わいを残しますが、それが8:24では恐ろしく分厚い響きに発展。浄化された美ではないそのエネルギーの襲来に息を呑むこと必至!第2楽章は、まさに体当たり的熱演。前任者のミュンシュの同曲録音が落ち着き払ったものだったので、むしろこちらの方がミュンシュ的と言えましょう。熱気に打たれ通しで到達した終楽章冒頭では、ボストンSOの響きのブレンド素晴らしさを痛感。相変わらず演奏はどこを取っても火傷しそうなほど熱く、憑かれたような集中力も只事ではなく、最後の一音まで精神的高揚の限界に挑み続けるのです。
 ラインスドルフのクールなイメージを覆すのにこれ以上の録音はないと思われますし、もちろん「ブラ4」史上トップクラスの名演であることは疑いようもありません、 【2023年4月・湧々堂】

Treasures
TRE-305(1CDR)
カラヤン&VPO/デッカ録音名演集Vol.2
ブラームス:交響曲第3番
ドヴォルザーク:交響曲第8番*
ヘルベルト・フォン・カラヤン(指)VPO

録音:1961年(ステレオ)
※音源:日KING SLC-1742、SLC-1751*
◎収録時間:69:53
“カラヤンの芸術が「人工的」でも「嘘」でもないということの証明!”
■音源について
2曲とも、国内の優秀なKING盤を採用。英メタルを使用したプレスだけでも何種類も発売されていますが、その生々しいサウンドの魅力と特有のチリノイズのなさを考慮するとここで使用した2つの盤が最良という結論に至りました。なお、SLC-1742は同じ品番でもラベルの「溝あり」と「溝なし」が存在しますが、ここでは「溝あり」盤を使用。「溝なし」は盤自体も薄く、音の差は歴然としています。

★2曲とも後の再録音がありますが、VPOの伝統美とカラヤンのスタイリッシュな指揮が絶妙に同居するこのデッカ録音の魅力には及びませんし、カラヤンの全ての交響曲録音の中でも傑出した名演と言っても過言ではないでしょう。
 ブラームスは、剛直な構築に傾かず、流線的なフレージングを中心に据えたカラヤン特有のアプローチではありますが、感覚美優先の後年の録音では埋もれてしまった素直な心の震えがここには存在します。第1楽章2:14以降や、展開部4:04以降の些細なフレーズにも細やかな慈しみを感じ、展開部後半の山場での本気の呼吸の飛翔にも感動を禁じえません。
 第2楽章の哀愁に満ちた楽想にも暗く耽溺せず、温かな慈悲の心と前向きな光さえ感じるニュアンスには言葉を失います。その最たる例が、6:10以降!これぞ、カラヤンとVPO両者が同じ理想を目指して本気で臨んだ究極の芸術美です。
 その両者の完全合致ぶりは第3楽章も同様。終楽章は素直な推進力一辺倒に見えて、ここでもVPOの持ち味を取り込んで血の通ったニュアンスに結実させるカラヤンのセンスに脱帽です。5:26ではクナッパーツブッシュ等と同じティンパニの追加があり(後の2種のBPOでは追加なし)。
 ドヴォルザークも、何度聴いても唸らせる名演!ブラームスとは打って変わって、バリバリ鳴るVPOの響きの魅力が全開。綺麗事のないカラヤンの指揮は良い意味での粗削りのアンサンブルにも表れており、その本気度に心打たれるのです。
特に展開部後半の渾身の響きは、当時のVPOの響きの魅力とも相まってワーグナー的な色彩を帯び、その生命力の放射ぶりに息を呑みます。
第2楽章冒頭の陰影も、まさに誤魔化しのない迫真のニュアンス!3:57からのウィーン訛り全開のキュートな微笑みも、カラヤンにしては意外かもしれません。
 第3楽章は、3:02からの露骨ながら統制の取れたポルタメント(85年盤はサラッとしている)が必聴。
 終楽章は、抜群の推進力を見せながらも決してスポーティに流れず味わい満点なのは、これまたVPOとのコンビネーションの賜物。聴き所の一つであるホルンのトリルの咆哮もこうでなければ!そしてコーダは、全ての鎧の脱ぎ捨てた白熱の追い込み!聴き手をその熱狂に牽引するようなカラヤンは、他のセッション録音ではまず出会えません。
 巷間、カラヤンの音楽は人工的とか嘘臭い等となど言われますが、それは必ずしもカラヤンの本質を突いておらず、そう捉えられるのは録音技術の進歩がもたらした「錯覚」では?と、この2曲を聴たびに強く思うのです。【2023年3月・湧々堂】
■音源について
英国の黒銀ラベル盤(RIAA)2枚組を採用。

★コメント準備中【湧々堂】

Treasures
TRE-307(1CDR)
ヨッフム&手兵バイエルン放送響とのモーツァルト
交響曲第33番変ロ長調 K. 319
交響曲第36番K.425「リンツ」*
交響曲第39番変ホ長調 K.543#
オイゲン・ヨッフム(指)
バイエルンRSO

録音:1954年11月29-30日*、1955年10月2日#、1954年6月1-2日(全てモノラル)
※音源:英HELIODOR 478-435*,#、DGG 29-307
◎収録時間:78:52
“おおらかなヨッフムと陽のモーツァルトとの幸福な出会い!”
■音源について
それぞれイギリス、ドイツの再発盤ですが、初期盤よりも明らかに素直で自然な音が出ます。

★ヨッフムの音楽作りの特徴の最たるものは「おおらかさ」でしょう。決して理詰めではなく、素直に美しいと感じるものを最良のものと確信して表出する姿勢は生涯変わりませんでしたが、壮年期の録音では、人生の重みをそのまま反映した晩年の演奏とは違い、健康的な音作りがストレートに感じられるものが多く、中でもモーツァルトは、その屈託のない楽想との絶妙な相性を示しています。 
 第33番は後半2つの楽章におけるリズムから立ち上る可憐な表情が印象的。「リンツ」は、第1楽章序奏部では深遠さや神秘さをつい求めがちですが、ここでは遅めのテンンポを採用しながらも伸びやかさを失わず、ありのままのモーツァルトを再現。主部以降も特定の声部を突出させることなく、極めてオーソドックな路線に徹していますが、再現部直前の7:28からの微細なルフト・パウゼのように、よく聴けば人間臭い隠し味が散見され、それが単に通り一遍の演奏で終わらせない魅力となっています。楽想の潜在的なニュアンスを拡大解釈しないのも特徴的。第2楽章など、もっと夢見心地の表情付けも可能でしょうがそれをせず、上記の微細なルフト・パウゼを差し挟む以外は楽譜の丁寧な再現に徹し、モーツァルトに解釈など不要とばかりの自然体を通す潔さ!
 しかし、何と言っても一番の聴き物は第39番でしょう。ヨッフムの南欧的で伸びやかな音楽作りが最も功を奏していると共に、解釈の痕跡を残さない職人芸にここまで徹した演奏も珍しいでしょう。もはや「リンツ」で顔をのぞかせていたヒューマンな表情付けさえ殆どなく、ヨッフムの顔も脳裏をよぎりません。あるのはひたすらモーツァルトのみ!第2楽章の悲痛な第2主題も過剰に泥沼化しないので、コーダの平和裏な佇まいに美しい弧を描きながら帰結。終楽章も、作品の推進性にただただ身を任せるのみです。
 一口に「おおらか」と言ってもビーチャムのような無邪気さとは異なり、これはまさに、素材の素晴らしさだけで勝負した一級の料理を味わうのと同じ醍醐味と言えましょう。【2023年5月・湧々堂】


Treasures
TRE-308(1CDR)
オーマンディ〜「古典」名演集Vol.1
ハイドン:交響曲第101番「時計」
モーツァルト:交響曲第30番*
 交響曲第31番「パリ」#
ユージン・オーマンディ(指)
フィラデルフィアO

録音:1962年1月28日、1962年4月8日*、1961年1月29日#(全てステレオ)
※音源:米COLUMBIA MS-6812、MS-6122*,#
◎収録時間:62:17
“オーマンディと古典的様式美との高い親和性を実証!”
■音源について
使用した2枚のLPは、共に2 eyesラベル盤。「パリ」の終楽章冒頭のみモノラルに聞こえますが、音源に起因するものですのでご了承下さい。

★オーマンディのハイドンやモーツァルトを称賛する声はあまり耳にしませんが、楽想の魅力を引き立てる端正な造形力と無理のないテンポ感を目の当たりにすると、録音の少なさは只々痛恨と言わざるを得ません。
 「時計」第1楽章序奏の晴朗さ、透明度、温もり、幻想性…これらの要素は手を取り合って同居する風情からして惹きつけられます。主部はそれを引き継ぎつつ、衒いとは無縁の素直な進行の心地よいこと!第2楽章は後半5:51以降が特に聴き物で、音量を少しも弱めずに明快な音像を保ち、6:45ので一瞬低弦を唸らせて軽いスパイスを加味する等のオーマンディらしいが、ハイドンらしさを際立たせているのです。第3楽章の淀みを知らないテンポ感も最高。終楽章は、ハイドン特有の機知を漏らさず捉えた自然な飛翔ぶりに心躍ること必至!
 モーツァルトに関しても、オーマンディが米コロンビアに遺したステレオ録音はこの2曲のみ。ワルターの存在がある以上、ワルターのレパートリーと被らないこの2曲だけを任された形だと思いますが、演奏自体は穴埋どころではなくすこぶる名演!
 「30番」は、作品の祝典的な雰囲気とオーマンディ&フィラデルフィアのコンビ特有の華やかな音色美が完全に合致。感覚的美を十分に湛えつつ、少しも軽薄さに傾かないところが流石ですが、その特質をさらに発揮した大名演が「パリ」
 一定の品格と華やかさが常に同居させながら、オーマンディには珍しほどの音楽する楽しさを全開にしたアグレッシブなアプローチに、心躍るばかりです。
第1楽章提示部の内声の充実と凝縮力の高さは、60年代以降のオーマンディがほとんど見せない快活なテンポ感と一体となって生きる喜びを発散し尽くします。展開部は、ドラマティックな流れを俊敏な呼吸で駆け抜ける様が痛快この上なし!再現部5:12の弱音ティンパニが見せる奇跡のニュもお聴き逃しなく。
 第2楽章冒頭の分厚い響きはいかにもオーマンディ・サウンドですが、常にリズムが立っているので全くもたれません。終楽章に至っては、もう理屈抜きで楽しい!一発勝負的なノリの良さと、それだけに終始せずに作品のフォルムをしっかり堅持する職人技が相俟って、中途半端な原点回帰的演奏には望めない、今を生きる人々に訴えかける芸術を築き上げているます。オーマンディのステレオ録音の名演として迷わず挙げたい超逸品です! 【2023年3月・湧々堂】

TRT-022(1CDR)
シュヒター/チャイコフスキー&シベリウス
チャイコフスキー:イタリア奇想曲*
シベリウス:交響詩「フィンランディア」**
 悲しきワルツ#
チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調##
ヴィルヘルム・シュヒター(指)
北西ドイツPO

録音:1954年11月25日*、1957年8月29日**、1955年2月22日#、1956年10月22-25日##(全てモノラル)
※音源:伊EMIL QUM-6361、HMV XLP-20009##
◎収録時間:72:31
“シュヒターの厳しい制御が活きた品格漂う名演奏!”
■音源について
全てElectrola - Imperial音源。

★1959〜1962年に常任指揮者としてN響を徹底的に鍛え上げたシュヒターは、人間的にはかなり陰湿だったという証言もありますが、遺されている放送録音を聴く限り、オケとの間に壁など感じず、むしろ品格とスケールを兼ね備えた演奏が多いのは興味深いことです。そして、手兵の北西ドイツ・フィルとの録音でも同様の矜恃を強く滲ませたものが多いのです。
 「イタリア奇想曲」は、まず冒頭テーマのアーティキュレーションの高いセンスに唸らされます。第2部〜第4部にかけてノリに任せず目の詰んだアンサンブルを育む姿勢はまさにシュヒターそのものですが、そこには温かな風情も漂います。最後の第5部に入ってもすぐには加速せず、12:40付近からアクセル全開となるのにはビックリ!
 「フィンランディア」では勇壮さの中に熱い共感を込めた演奏を展開しますが、より感動的な「悲しきワルツ」。冒頭部の機械的なまでのイン・テンポ感が感情を希薄に追い込むほどの苦悩の裏返しのように響き、オケの渋い色彩も手伝って1:44からの明るい楽想でもその絶妙な暗さは持続。2:30のルフト・パウゼも意味深!後半は、テンポを追い込みつつ決然とアゴーギクを敢行。高次元の芸術的昇華を見せるのです。これほどの名演が埋もれたままでよいはずがありません!
 「チャイ5」も間違いなくシュヒターの代表的名演。N響とも演奏した十八番曲だけに、精緻なアンサンブルと入念なニュアンス注入が常にセットで実現されているのを聴くと、身を粉にして作品に奉仕するシュヒターの真摯さが尋常ではないことを痛感するばかり。それがロシア的かどうかなど問題ではなく、とにかく、どの表現も切実に胸に迫るのです。
第1楽章冒頭クラリネットは素朴さを保持したまま声部間のバランスも同時に確保し、オケの特性を十分に知り尽くした上でそれを有効活用し尽くそうとするシュヒターの意思が早速感じ取れます。第1主題のテンポもまさに理想的で、このテンポ以外では全ての楽想が真に息づくことはないと思わせるだけの確信が宿っているのです。4:17からはドイツ流の金管の張り出し方が物を言い、特に、4:30からのトロンボーンがフレーズ末端まで鳴らし切ることの大切さに気付かされます。少しも媚びない第2主題や副次主題は、シュヒターの音楽作りの根底にある品格の現れ。音楽の品位を保とうとすると音楽自体が小さくまとまりがちですが、シュヒターの指揮にはその心配はご無用。
鬱蒼とした森の囁きを思わせる第2楽章のホルンの響きも素敵で、特に最後の一吹きのアクセントはお聴き逃しなく!4:01のルフト・パウゼがこれほど意味を持って響く例も稀。「悲しきワルツ」でも確認できたように、これだけでもシュヒターが厳しいビルダー以上の才能の持ち主だったことの証左と言えましょう。第3楽章の遅いテンポ設定はケンペ&BPO盤でも見られるドイツ流儀の象徴ですが、オケの音色的特徴も含めて楽想との相性は抜群。そのドイツ流儀は、終楽章で更に全開に。テンポこそカラヤンに近いですが、虚飾を排した進行と実直な音の積み上げに安易な感傷の入り込む隙はなく、全く様相は異なります。
 シュヒターは、録音で聴く限りドイツ音楽よりも北欧・スラブ系作品との相性の方が良かったよう思われますが、その真価をこの4曲からもはっきり感じていただけることでしょう。【2023年3月・湧々堂】


SWR music
SWR-19123CD(6CD)
NX-E10
カール・ベーム SWR録音集1951-1979年

■CD1
(1)モーツァルト:交響曲第40番 ト短調 K.550
(2)ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番 ト長調 Op.58
■CD2
(1)ベートーヴェン:交響曲第2番ニ長調 Op. 36
(2)ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調 Op. 92
■CD3
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」
■CD4
(1)ブラームス:交響曲第1番ハ短調 Op.68
(2)シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調 Op.54
■CD5
(1)ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調 Op.95
(2)ヒンデミット:ウェーバーの主題による交響的変容
■CD6
ブルックナー:交響曲第7番ホ長調
全てカール・ベーム(指)
シュトゥットガルト放 RSO

■CD1
ブランカ・ムスリン(P)
録音:(1)1974年9月18日ライヴ(STEREO)※SWR19432CD/93.014と同一音源
(2)1951年4月15日ライヴ(MONO)※93.014と同一音源
■CD2
録音:1979年2月14日 ライヴ (STEREO)
■CD3
ルート=マルグレート・ピュッツ(S)、シビッラ・プラーテ(A)、ヴァルター・ガイスラー(T)、カール=クリスティアン・コーン(Bs)、シュトゥットガルト放送cho、シュトゥットガルトフィルハーモニーcho
録音:1959年11月12日 シラー生誕200周年記念演奏会のライヴ (MONO)
■CD4
ブランカ・ムスリン(P)
録音:(1)1951年4月15日 (スタジオ) (MONO)
(2)1954年12月10日 (ライヴ)(MONO)
■CD5
録音:(1)1954年12月10日ライヴ (MONO)
(2)1951年4月15日 ライヴ (MONO)
■CD6
録音:1974年9月18日ライヴi (STEREO)
※※第1楽章の冒頭にオリジナル・テープに由来する2小節の欠落があります。
没後30年余りを経た今も日本でファンの多いカール・ベーム。ベルリン・フィルやウィーン・フィル、ロンドン響との演奏 が多数発売されていますが、シュトゥットガルトのSWRにも少なからぬ量の演奏が遺されており、この度オリジナル・ テープからまとめて復刻されます。嬉しいことにレパートリーはモーツァルトやベートーヴェン、ブラームス、ブルックナー、 ドヴォルザーク...とベームが得意としたものが多数。CD1はSWRレーベルで出ていた93.014と同一音源(新規リ マスターではないとのこと)ですが、他はオリジナル・テープからの初CD化となります。録音は1951年からベーム晩年 の1979年まで広範囲にわたっていますが、演奏はいずれもベームらしく力強いサウンドと堅固な造形による弛緩の 無いもの。シュトゥットガルト近郊で生まれた詩人シラーの生誕200周年を祝う「第九」のような特別な演奏会の 記録は特に貴重です。 尚、ブルックナーの第7番は放送局のマスターで冒頭2小節が欠落しているとのこと。いきなり第1主題から始まりま すが、演奏自体はベームらしい立派なものとなっています。

オクタヴィア
OVCL-00741(1SACD)
2023年3月22日発売
モーツァルト:交響曲第41番「ジュピター」
交響曲第39番変ホ長調 K.543
沼尻竜典(指)
トウキョウ・ミタカ・フィルハーモニア

録音:2019年3月9日(第41番)、2020年8月1日(第39番) 東京・三鷹市芸術文化センター・ライヴ
「トウキョウ・ミタカ・フィルハーモニア」は、1995年から三鷹市芸術文化センターを本拠地として 活動し、メンバーは国内外のオーケストラやソリストとして活躍する日本人若手演奏家が多く 参加する、高い技術と生き生きとした多彩なアンサンブルが魅力のオーケストラです。 ドイツのリューベック歌劇場や、びわ湖ホール、神奈川フィルで高い評価を受ける沼尻が描く、 隅々まで行き届いた美しい音楽と自然な歌心をライヴ録音で収録しました。 正統派モーツァルト後期交響曲をどうぞお楽しみください。(オクタヴィア)
オクタヴィア
OVCL-00806(1SACD)
2023年3月22日発売
ハイドン交響曲集Vol.19
交響曲第46番ロ長調 Hob.T:46
交響曲第34番ニ短調 Hob.T:34
交響曲第8番ト長調 Hob.T:8「晩」
飯森範親(指)
日本センチュリーSO

録音:2020年1月17日(第8番) 大阪、いずみホール、
2020年10月23日(第34番)2021年7月30日(第46番)
大阪、ザ・シンフォニーホール
日本センチュリーSOが首席指揮者の飯森範親と共にスタートした「ハイドンマラソン」 は、フランツ・ハイドンのすべての交響曲を演奏しようという一大プロジェクト。当盤は第 18回、21回、24回コンサートのライヴ収録です。 幾度の公演を重ね、信頼関係を築いてきた飯森と日本センチュリー響は、精緻な構築と、細 部までこだわりぬいた感性で、気品あふれるハイドンを奏でています。柔和で晴々とした優美な 演奏は、まさに彼らの真骨頂といえるでしょう。(オクタヴィア)

TOCCATA
TOCC-0643(1CD)
NX-B03
リヒャルト・フルーリー:管弦楽作品集 第3集
交響曲第1番ニ短調(1922-23)
交響曲第4番ハ長調「Liechtensteinische リヒテンシュタイン風」(1950-51)
BBC響
ポール・マン(指)

録音:2022年1月11-12日
スイスの作曲家リヒャルト・フルーリー。音楽一家に生まれ、地元の音楽院でフェリックス・ワインガルトナーに(指) ウィーンではヨーゼフ・マルクスに作曲を学びました。やがてゾロトゥルン市のオーケストラを30年間指揮するととも に、作曲家としても活動。後期ロマン派の作風を踏襲する雄大な作品を数多く遺しています。 このアルバムには1920年代の交響曲第1番と50年代の交響曲第4番を収録しています。抒情的で壮大な第1 番はブルックナーを彷彿させ、またハリウッド映画の音楽のようなゴージャスな響きを味わえる第4番は、彼が幼少 期に訪れたリヒテンシュタインでの思い出からインスパイアされたという作品です。ポール・マンが指揮するBBC交響 楽団が作品の持ち味を存分に生かした演奏を聴かせます。

SOMM
ARIADNE-5020(1CD)
NX-B04
ヴォーン・ウィリアムズ・ライヴ 第4集
(1)トマス・タリスの主題による幻想曲
(2)2台ピアノのための協奏曲 ハ長調(J. クーパー&R. ヴォーン・ウィリアムズ編)
(3)交響曲第8番ニ短調
アーサー・ホイットモア(P)
ジャック・ロウ(P)
ディミトリ・ミトロプーロス(指)NYO
(3)ジョン・バルビローリ(指)ハレO

録音(全てライヴ/MONO):
(1)1943年8月29日 Carnegie Hall、ニューヨーク(USA)
(2)1952年2月17日 Carnegie Hall、ニューヨーク(USA)
(3)1964年5月15日 Free Trade Hall、 マンチェスター(UK)
2022年、ヴォーン・ウィリアムズ生誕150年を記念したアルバムの第4集。第3集ではヴォーン・ウィリアムズの自作自演をご紹介しましたが、この第4集は ヴォーン・ウィリアムズ作品の熱心な支持者であったミトロプーロスが1942年にニューヨーク・フィルの弦楽セクションを指揮した「トマス・タリスの主題による幻 想曲」と、1952年に演奏した「2台ピアノのための協奏曲」を収録。熱気あふれる雰囲気が聴きどころです。後半には、1964年バルビローリがハレ管を指 揮した交響曲第8番を収録。この曲は1956年にバルビローリとハレ管によって初演されており、作品の見せ場を知り尽くしたバルビローリならではの充実した 演奏が楽しめます。 今回の復刻も、これまでに数々の名盤の復刻にあたった英国を代表するリマスター・エンジニア、ラーニ・スパールが手掛けており、丁寧なリマスターによるノイ ズの少ないリアルな音が蘇りました。なお、ブックレットにはヴォーン・ウィリアムズの評伝を執筆した英国の研究家サイモン・ヘファーによる解説(英語のみ) が掲載されています。

GENUIN
GEN-23818(1CD)
マーラー:交響曲第2番「復活」(ブルーノ・ワルター編4手ピアノ版,声楽とトランペット入り) グレゴール・マイヤー(P)、
ヴァルター・ツォラー(P)、
アンニカ・シュタインバッハ(S)、
ヘンリエッテ・ゲッデ(A)
エマヌエル・ミュッツェ(Tp)
ゲヴァントハウスcho

録音:2021年12月21日,2022年2月3-4日,5月9-10日 ドイツ ライプツィヒ
ウィルス禍の下で生まれたミニマム復活交響曲の CD。マーラーの復活交響曲を その弟子である若き日のブルーノ・ワルターが 4手ピアノ用に編曲したことは知られ ているでしょう。これは既に録音もあるのだが、今回はそこにオリジナルの楽譜から独 唱と合唱(ただし少人数)を持ってきて演奏してしまったのだ。4 手ピアノ編曲では声 部がよく聞き取れるので透明感が著しく増し、マーラーの音楽の近代性が露わにな る。一方大編成のオーケストラ相手では全力で声を張り上げなくてはならない独唱 合唱は、力みなく美しい声を響かせることができます。するとよく知っているはずの復 活交響曲が、なんと新鮮に聞こえることか!このミニマム復活交響曲は、オリジナル の復活交響曲をよく知っていれば知っているほど発見の多い演奏でしょう。マーラー・ マニアやワルター・ファンにはぜひ聞いてほしい。なおトランペットはあくまで補助的 に用いられています。 グレゴール・マイヤーとヴァルター・ツォラーはどちらもゲヴァントハウス合唱団のピア ニスト。マイヤーは合唱の練習にも当たっています。このミニマムな復活交響曲は、新型 ウィルスの猛威の下で彼らが大編成の合唱作品を上演できないことから思いついたと いう。つまりこれは、不遇な時代に負けるわけにはいかない芸術家魂の結実なのだ。 アンニカ・シュタインバッハとヘンリエッテ・ゲッデはどちらもドイツの優秀な若手歌手。  (Ki)

BIS
BISSA-2476(1SACD)
マーラー:交響曲第9番 オスモ・ヴァンスカ(指)
ミネソタO

録音:2022年3月21-25日/オーケストラ・ホール(ミネアポリス)
好評を博しているオスモ・ヴァンスカ率いるミネソタOによるマーラー・シリーズ。当アルバムは交響曲第9番を収録!当演奏 でもヴァンスカならではの緻密な構成と、細部にまで注意が払われた圧巻の仕上がり。繊細かつ丁寧な音楽づくりが魅力です。また録音にも注目。オーケストラ 全体の響きを自然にとらえ、演奏の一体感を堪能することのできる録音です。
ベルクが「マーラーが書いた中で最も輝かし作品」と激賞した交響曲第9番。形式、主題、調性あらゆる面で広大で感情的な第1楽章、喜びと 遊び心に満ちた第2楽章、辛辣な皮肉と怒りを表した第3楽章、そして神秘的なアダージョで締めくくる第4楽章で構成されたマーラー最大の傑作です。
BISレーベルで数多くの録音を残してきたヴァンスカが最上級の演奏に達したマーラーの交響曲シリーズ。これまでに第1番「巨人」(KKC 6034/ BIS SA2346)、第2番「復活」(KKC 5995/ BIS SA2296)、第4番(KKC6131/ BIS SA2356)、第5番(KKC5831/ BIS SA2226)、第6番(KKC 5994/ BIS SA2266)、第7番(KKC6184/ BIS SA2386)、第10番(KKC6321/ BIS SA2396)がリリース されております。
2003年にミネソタOの音楽監督に就任したヴァンスカは、ベートーヴェンの交響曲全集などで評価を高めました。しかし、当団では経営悪化に伴う労 使対立が激しさを増し、2012年10月に経営側はロックアウトを決行。その後の2012/13年のシーズンは全てキャンセルとなり、当団の存続そのものも危 ぶまれる状況となりました。ヴァンスカは、労使の合意が成立した2014年1月に首席指揮者に復帰し、以後、団結力の増したミネソタ管の演奏は一層密度の 濃いものとなっております。 (Ki)

Chandos
CHSA-5265(1SACD)
シューベルト:交響曲集 Vol.3
交響曲第1番ニ長調 D.82
交響曲第4番ハ短調 D.417「悲劇的」
歌劇「フィエラブラス」序曲 Op.76D.796
エドワード・ガードナー(指)、
バーミンガム市SO

録音:2022年7月15日-16日、タウン・ホール、バーミンガム(イギリス)
2015年からノルウェーの名門ベルゲン・フィルの首席指揮者を務め、2021年からはユロフスキの後任としてロンドン・フィルの首席指揮者を務めているエドワード・ガードナー。イギリスの次代を担うマエストロとして、今後の活躍も期待されるガードナーによるシューベルト交響曲全集の第3弾!かつて首席客演指揮者を担ったバーミンガム市SOと共に若書きのシューベルトの作品を洗練された演奏で聴かせてくれています。
作曲当時16歳であった「第1番」は、すでに若いシューベルトが交響曲の形式と技法を理解していたということを明らかにします。その作品からはハイドン、モーツァルト、初期のベートーヴェンからの影響を受けていたことを感じさせるでしょう。その3年後に書かれた「第4番」はより野心的な作品で、曲全体の主題を統一させようというシューベルトの工夫が見て取れます。このアルバムではシューベルトの後期の交響曲へと向かっていく過程を窺い知ることが出来ます。
Chandos
CHSA-5309(1SACD)
ラフマニノフ:「幻想的小品集」〜前奏曲 Op.3-2(レオポルド・ストコフスキ編)
交響曲第2番ホ短調 Op.27
ジョン・ウィルソン(指)、
シンフォニア・オヴ・ロンドン
BBCミュージック・マガジン賞をはじめとしたこれまでの数々の受賞に続き、2022年度には「ラヴェル:管弦楽作品集」(RCHSA--5280/CHSA--5280)がレコード・アカデミー賞の管弦楽曲部門、そして英グラモフォン賞の空間オーディオ部門を受賞するなど名実共に世界のトップクラスへと登り詰めつつあるジョン・ウィルソン&シンフォニア・オヴ・ロンドン。2022年10月リリースの「ラフマニノフ:交響曲第3番」(RCHSA--5297/CHSA--5297)に続いて、2023年に生誕150周年を迎えたラフマニノフの代表作、交響曲第2番が待望のリリース!
ラフマニノフが「ピアノ協奏曲第2番」の成功によって「交響曲第1番」の初演の失敗から立ち直り、公私共に軌道に乗りつつあった時期に書かれた交響曲第2番は、甘美な旋律やドラマチックな展開で「ピアノ協奏曲第2番」などと並ぶラフマニノフの最高傑作の一つとして広く親しまれています。人気作品なだけに過去にもアンドレ・プレヴィンをはじめ数々の名指揮者が録音を遺してきましたが、ジョン・ウィルソン&SOLはその演奏内容の充実度も去ることながら、これまでのChandosからの一連のリリースで常に高く評価されてきた音質面でも際立つものがあるといえるでしょう。カップリングには「鐘」の愛称で親しまれる「前奏曲」の、ストコフスキによる管弦楽編曲版を収録。

Sterling
CDS-11282(1CDR)
オーレ・イェッレモー(1873-1938):交響曲第2番
ヴァイオリン協奏曲(1933)
ノルウェー・カプリース(Vnと管弦楽の為の)(1935)
交響曲第2番 ロ短調(1922-26)
マクリスSO、
ヨルン・フォスハイム(指)、
クリストフェル・トゥン・アンデシェン(Vn)

録音:2022年4月22日-23日&25日、ザドゥジュビナ・イリエ・コラルカ(ベオグラード、セルビア)
オーレ・イェッレモーは、ノルウェー中部、ドヴレ村の小作農の家に生まれました。父からフィドル演奏を教わり、その後、音楽隊でコルネットを演奏。1891年、20歳の時に首都クリスチャニア(現オスロ)に赴き、陸軍音楽学校に入学しました。当時を代表する音楽家と知り合い、国立劇場のヨハン・ハルヴォシェンの下でヴァイオリンとヴィオラを弾きました。1919年から1932年まで音楽院でヴァイオリンと和声学と作曲法を教えました。1932年の「交響曲第3番 イ長調」が代表作のひとつに挙げられています。
「ヴァイオリン協奏曲」は、1934年5月、ヨハン・シモンセンのソロ、イェッレモー指揮フィルハーモニック協会の共演で初演された作品です。「アレグロ」「アンダンテ」「アレグロ・コン・ブリオ」の3楽章で構成されています。「ノルウェー・カプリース」は、「ヴァイオリンと管弦楽の為のロンド」の名で発表され、伝統の踊り「ハリング」のリズムと後期ロマンティシズムの語法で書かれています。ソリストのクリストフェル・トゥン・アンデシェンは、バラット=ドゥーエ音楽学校とノルウェー国立音楽大学、マンハッタン音楽学校で学んだ若いヴァイオリニストです。
「交響曲第2番ロ短調」は4楽章の作品です。「牛飼いの娘のロック(牛寄せの声)」の即興が特徴的な第1楽章。「靄と日の光」の第2楽章。厳粛な気分のトリオをもつ「スケルツォ」の第3楽章。「丘を下り家路につく」第4楽章。1926年1月に初演され、聴衆に好評だったにもかかわらず、その後、ずっと放置されていました。ヨルン・フォスハイムとマクリスSOによるこの録音が96年ぶりの再演です。
※当タイトルは、高品質メディア(SONY DADC/Diamond Silver Discs)を使用した、レーベル・オフィシャルのCD-R盤となります。

Da Vinci Classics
C-00667(1CD)
リスト:ダンテ交響曲 S.648(2台ピアノ版)
悲愴協奏曲ホ短調 S.258-1(2台ピアノ版)
ダンテ交響曲 S.648(2台ピアノ版)
デュオ・ソッリーニ・バルバターノ〔マルコ・ソッリーニ(P)、サルヴァトーレ・バルバターノ(P)〕、
ボロメーオ大学cho、
マルコ・ベリーニ(指)

録音:2022年4月、ボロメオ大学(パヴィア、イタリア)
リストはベートーヴェンの「第九交響曲」のように、音楽と詩の相互作用の中にこそ、この行き詰まりを打開する道があることを発見し、ここに収録されている2つの曲が、リストが独自のソナタ形式を追求したことを雄弁に物語っています。
壮大かつ劇的な「ダンテ交響曲」はもちろんのこと「悲愴協奏曲」では1870年代にハンス・フォン・ビューローが編曲、カデンツァを書いて出版した楽譜ではなく、本来のリスト自身のカデンツァを復元しビューローのカデンツァを省略した大変珍しい版を用いているところが要注目です。
2004年に結成されたデュオ・ソッリーニ・バルバターノはイタリアを代表するピアノ・デュオの1つ。
コンサート、レコーディングにおいても目覚ましい活躍を展開しており、ザグレブで行われたクロアチアとイタリアの外交関係樹立20周年を記念した特別なコンサートに招聘されるなど親善大使的な役割も担う名匠2人です。

Pentatone
PTC-5186992(1CD)
マーラー:交響曲第2番「復活」 クリスティアーネ・カルク(S)、エリーザベト・クールマン(A)
プラハ・フィルハーモニックcho
セミヨン・ビシュコフ(指)
チェコPO

録音:2018年11月&12月/ルドルフィヌム、ドヴォルザーク・ホール(プラハ)
続々とリリースしているセミヨン・ビシュコフ率いるチェコPOによるマーラーの交響曲全曲録音。当アルバムは2018年11月& 12月に収録した第2番「復活」で、クリスティアーネ・カルク、エリーザベト・クールマンという充実の歌手を迎えた注目の録音です。
当団にとって全曲録音は1976年から1982年にかけて録音したヴァーツラフ・ノイマン以来となります。オーストリアで活躍したマーラーですが生まれは当 時のオーストリア帝国に属するボヘミア王国のイーグラウ近郊のカリシュト村(現チェコのイフラヴァ)。この全曲録音は当団にとって重要なプロジェクトとなって おります。
「マーラーの交響曲は人生の“ポリフォニー”を表現するものであり、これらの作品を録音することは、生涯をかけて抱いてきた夢、そして喜びです」と語るビシュ コフ。2018年10月より当団の首席指揮者・音楽監督としての任期をスタートさせたビシュコフが全身全霊で臨むマーラーはこのオーケストラがもつ温かく優 しい音色を全面に出した好演で、ビシュコフが生涯かけての夢をここに実現しております。ことにアダージェットは言葉を失うほどの美しさ。細部へのこだわりと 洗練された演奏はビシュコフ率いるチェコ・フィルでなければ表現できない輝かしいマーラーの世界が広がります。 (Ki)

ATMA
ACD2-2866(1CD)
アイスストーム・シンフォニー
マクシム・グーレ(1980-):アイスストーム・シンフォニー[I. 混乱 / II. あたたかさ / III. 暗黒 / IV. 光]
なんて日だ [I. 陽気な朝 / II. 果てしない労働 / III.2人の夕べ / IV. 安らかな夜]
大げさな話
ジャック・ラコンブ(指)
モントリオール・クラシカル・オーケストラ

録音:2022年8月14・15日/ケベック
ラシカルなものからゲーム音楽に至るまで幅広い創作活動を行うケベックの作曲家、マクシム・グーレの作品集。『アイスストーム・シンフォニー』は1998年 1月4日に起きた大規模停電が題材になっています。長く続いた雨氷によって1か月ものあいだ電力供給が滞ったケベック州史上最大の自然災害をとりあげ、人 間の太刀打ちできない環境の脅威とその後にあらわれる希望の光を、壮大に描いています。ゲーム音楽のような分かりやすいサウンドでありながら、人間の力、不 可能なことと可能なことについて考えさせられる交響曲です。

VOX
VOXNX-3002CD(1CDR)
NX-B03
ベートーヴェン:交響曲第4番 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)BPO

録音:1943年(ライヴ)
収録時間:36分
1951年にVOXレーベルからPL7210の番号でリリースされたフルトヴェングラー(指)ベルリン・フィルの ベートーヴェン:交響曲第4番の復刻です。この音源は初出LPでは1945年の録音と記載されていま したが、その後の研究により1943年6月、ベルリンでのライヴ録音ということが判明しました。 復刻素材 はレーベル所蔵のLPを使用し、アメリカ、ナッシュヴィルのスタジオで2022年に新規リマスター しました。収録時間36分余り。ブックレットに初出時のLPジャケットをカラーで掲載しています。 ※ディスクはCDRになります。

ANALEKTA
AN-28882(2CD)
NX-D09
クララ、ロベルト、ヨハネス〜情感と構成力
【DISC1】
シューマン:交響曲第3番「ライン」
クララ・シューマン:海辺にて*
 ある明るい朝に Op.23-2*
 ローレライ*
 4つの束の間の小品 Op.15(第4曲は ピアノ・ソナタの第3楽章として収録)
 ピアノ・ソナタ ト短調
【DISC2】
ブラームス:交響曲第3番
クララ・シューマン:ピアノ三重奏曲 ト短調 Op.17
ナショナル・アーツ・センターO
アレクサンダー・シェリー(指)
スチュワート・グッドイヤー(P)
川崎洋介(Vn)
レイチェル・マーサー(Vc)
ガブリエラ・モンテーロ(P)
アドリアンヌ・ピエチョンカ(S)
リズ・アップチャーチ(P)*

録音:2020年-2022年
収録時間:137分
それぞれ4曲あるシューマンとブラームスの交響曲を第1番から1曲ずつとクララ・シューマンの作品を収録し、3人の親密な関係を紐解こうとい う企画の第3弾。まずは企画の柱でもあるシェリーとナショナル・アーツ・センター管による、2つの交響曲の充実ぶりが大きな聴きもの。今回は 名手スチュワート・グッドイヤーも参入し、精悍さと繊細な美しさを併せ持つそのタッチが、ガブリエラ・モンテーロの深い情熱を秘めた表現との 好対照を聴かせます。またナショナル・アーツ・センター管のコンサート・マスターである川崎洋介が室内楽にも参加し、端正ながらも奥行きの ある表現を聴かせています。

Profil
PH-22069(1CD)
ヴィルヘルム・ペーターゼン:交響曲第3番嬰ハ短調 コンスタンチン・トリンクス(指)
フランクフルトRSO

録音:2021年8月30日-9月3日 ヘッセン放送ゼンデザール
ヴィルヘルム・ペーターゼン(1890-1957)はヒンデミットと同世代のドイツの作曲家。大作指向でしたが、今日名前や作品を聞く機会は多いといえません。前 衛とは無縁な伝統的なスタイル、とりわけ精緻な対位法的書法は、ブルックナーの弟子だった作曲の師フリードリヒ・クローゼ譲りで、独墺系交響曲のファンの琴線 に触れること間違いなしの新しいレパートリーの出現と申せましょう。
聖職者だった父の任地ギリシャのアテネで生まれ、翌年ドイツへ帰国。ミュンヘンで作曲をクローゼ、指揮をモットルに師事しました。交響曲は全部で5篇あり、第 3番嬰ハ短調は1934年初演。3楽章60分の大作で、印象的な主題と歌に満ちた主題が互いに競いクライマックスへ至る第1楽章、親しみやすい第2楽章、非常 に陽気な第3楽章と、さまざまな主題が絶え間なく変化、発展します。
指揮はハンス・ロットの交響曲やプロコフィエフの歌劇「炎の天使」で熱い演奏を聴かせてくれたコンスタンチン・トリンクス。これも堂々とした解釈で、未知の 作品から深い感動をひきだしています。 (Ki)

GRAND SLAM
GS-2287(1CD)
(1)ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」*
(2)スメタナ:交響詩「モルダウ」
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)VPO

録音:1952年11月24&25日*、1951年1月24日ムジークフェラインザール(ウィーン)
使用音源:Private archive (2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:モノラル(録音セッション)
■制作者より  
新音源を使用した最新リマスターによるフルトヴェングラー&VPOのベートーウェンはこれまでに第3番「英雄」(GS-2280)、第4番+第7番(GS-2282)、 第1番+第5番「運命」(GS-2284)、第9番「合唱」(GS-2205)と発売してきましたが、今回の「田園」+「モルダウ」が最終巻となります。残念ながら第2 番と第8番がこのシリーズにはありませんが、主要な7曲が最上の音質で味わえるようになりました。フルトヴェングラーのベートーヴェンと言えば、最近、1991 年12月に発売された交響曲全集(東芝EMI TOCE7530〜4)が4万円〜8万円程度で取り引きされているようです。しかし、最新のGS盤さえあれば、音質 はむろんのこと、解説書の充実度も考慮すれば、もはやそのような法外な中古盤を買う必要は全くなくなったと言えます。(平林 直哉) (Ki)

SOREL CLASSICS
SCCD-003(1CD)
2023年2月10日までのご注文分は
税込¥2050!!
ジュディス・ラング・ザイモント(b.1945):交響曲第4番「澄んだ、冷たい(水)」(2013)
ピアノ三重奏曲第 1番「ロシアの夏」(1989)*
ニルス・ムース(指)ヤナーチェクPO
ピーター・ウィノグラード(Vn)*
ピーター・ウィリック(Vc)*
ジョアン・ポーク(P)*

録音:2015年3月 チェコ オストラヴァ、1995 年10月 米国 ニューヨーク州 パーチェイ*
米国の作曲家、ジュディス・ラング・ザイモントの作品集。ザイモントは1945 年、米国テネシー州のメンフィスの生まれ。ジュリアード音楽院で学び、若くして作曲家として認められた。ロ マン主義の流れを汲みつつ新しい感覚と技法も盛り込んだ作風は非常に説得力のあるも の。交響曲第4番は2013年の作。「川」「氷」「にわか雨」「小湖」「海」のタイトルがついた5 つ の楽章の 40分以上かかる大作で、ザイモントの集大成的作品。ピアノ三重奏曲第 1番「ロ シアの夏」は1989年の作。ノスタルジックな美しい作品です。

オクタヴィア
OVCL-00808(1SACD)
税込定価
2023年2月22日発売
マーラー:交響曲第5番嬰ハ短調 ジョナサン・ノット(指)東京SO

録音:2022年7月16日 東京・サントリーホール、7月17日 りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール・ライヴ
2023年シーズンで10年の節目を迎える指揮者ジョナサン・ノットと東京SOによる音楽の 旅路、これまで度々取り組んできた名コンビによるマーラー・シリーズに新たな1枚「交響曲第5番」 が登場です。 益々の深化を目指しお互いを熟知しているからこそ成せる壮麗なマーラーの世界、迫真の名演を どうぞお楽しみください。(オクタヴィア)
オクタヴィア
OVCL-00803(1SACD)
税込定価
2023年2月22日発売
シューベルト:交響曲第8(9)番「ザ・グレイト」 ヤン・ヴィレム・デ・フリーント(指)
京都市SO

録音:2022年5月20-21日 京都コンサートホール ・ライヴ
ヤン・ヴィレム・デ・フリーントは、オランダ出身の指揮者・ヴァイオリニストで、現在バルセロナ交響 楽団、リール国立O、シュトゥットガルトPOの首席客演指揮者 を務めるほか、世界中のオーケストラに客演しています。EXTONでは彼が創設したコンバッティ メント・コンソート・アムステルダムのCDが好評を博しました。 2022年5月に京都市SOと共演したライヴ録音のCD化。デ・フリーントと京響の相性の 良さが表れる演奏に、会場は喝采と興奮に包まれました。 ヤン・ヴィレム・デ・フリーントは2024年4月から首席客演指揮者に就任予定で、これからの彼 らの演奏に注目です。(オクタヴィア)

Chandos
CHSA-5334(1SACD)
ショスタコーヴィチ:交響曲第12番&第15番
ショスタコーヴィチ:交響曲第12番ニ短調 Op.112「1917年」
交響曲第15番イ長調 Op.141
ヨン・ストゥールゴールズ(指)、
BBCフィルハーモニック

録音:2022年8月5日-6日(第15番)&9月15日-16日、メディア・シティUK(サルフォード)
2008年から2015年までヘルシンキ・フィルの首席指揮者を担い、その他にもラップランド室内Oの芸術監督を務め、現在はBBCフィルハーモニックとカナダ・ナショナル・アーツ・センターOの首席客演指揮者を務めているフィンランドを代表するマエストロ、ヨン・ストゥールゴールズ(ヨーン・ストルゴーズ)。2014年〜2015年に発売された「シベリウス:交響曲全集(CHAN- 10809)」と「ニールセン:交響曲全集(CHAN- 10859)」、2つの「生誕150周年記念盤」の世界的ヒットによって一躍脚光を浴び、その後ジョージ・アンタイルの管弦楽作品集(CHAN- 10941、CHAN--10982、CHAN--20080)でその秀でた実力を見せつけてくれました。また直近では2023年1月に東京都SOとの来日公演を行い好評を博しています。
2020年に発売され、レコード芸術特選盤&優秀録音、英グラモフォン誌「Critics' Choice」と高く評価されたショスタコーヴィチの「交響曲第11番」(RCHSA- 5278/CHSA--5278)に続き、十月革命を描いた「第12番」と最後の交響曲となった「第15番」のリリースです。随所で見せる緻密なテンポ設定によってきっちりとコントロールされた前作、今作でも期待が高まります。


Treasures
TRE-292(1CDR)
ストコフスキーのビゼー
「カルメン」組曲【前奏曲/衛兵の交代/アルカラの竜騎兵/ジプシーの踊り/間奏曲/密輸入者たちの行進/アラゴネーズ】*
「アルルの女」組曲第1番【前奏曲/メヌエット/アダージェット/カリヨン】#
「アルルの女」組曲第2番【田園曲/間奏曲/メヌエット/ファランドール】
交響曲第1番ハ長調+
レオポルド・ストコフスキー(指)
フィラデルフィアO*、ヒズ交響楽団#,+

録音:1927年4月30日,5月2&10日*、1952年2月29日#、1952年3月20日+
※音源:日RCA RVC1523*、英RCA VIC1008#,+
◎収録時間:79:58
“50年代のストコフスキーの本能的な美への執着と妥協なき表現!”
■音源について
「カルメン」はSPからのLP復刻。ストコフスキー&フィラデルフィア管の録音を集めた10枚組(1977年発売)の中の1枚を採用。他の曲は英国盤(Large,溝)を採用しています。

「カルメン」は、往年のフィラデルフィア管の各奏者のセンスを存分に堪能。“衛兵の交代”3:48からののトランペットのリズムの感じ方は、全ての音楽家の鏡と称したいほど。“アルカラの竜騎兵”冒頭のファゴットも、コーダのフルート・ソロも然り。
“間奏曲”の弦楽器登場以降のシルクのような感触にうっとりしない人などいるでしょうか?古い録音のハンデを超えて迫る艶やかさは、後輩のオーマンディに引き継がれることになるのです。
 「ヒズ響」を振った他の曲は、これらの曲の最高峰の名演であることは間違いなし!濃密な色艶はもちろんのこと、本能的な美への執着とその表現の妥協のなさは、全てを浄化してしまった1976〜1977年のステレオ盤から見出すのは困難です。
 「アルルの女」第1組曲の“メヌエット”のリズムの弾力と切実さ、中間部のむせ返るほどの香気、“アダージェット”の弱音の官能美、第2組曲“ファランドール”(後半を一部短縮)の生の満喫度全開の推進力と喜び、そして最後の一音の天空に届けと言わんばかりの引き伸ばしなど、他の演奏では望めないものばかりです。
 そして、より強くお薦めしたいのが交響曲!ストコフスキーと言えば先ず派手なスコアの改変が想起されますが、アレンジは人を驚かせるのが目的ではなく、自身が感じる作品の魅力を最高に引き上げる一手段に過ぎなかったことをこの演奏によって痛感させられます。1977年のストコフスキーの最後の録音を聴くと、最後の仕事としてスコアへの忠誠を目指したのかもしれませんが、肉体的老化による表現意欲の減退からか、全てが無作為のまま流れがちでしたが、この録音はもちろん意欲満々。アレンジ云々以前に、とにかく音楽に対して積極的に愛を注入しているので、表現に訴求力があるのです。
 第1楽章は疾走型ではない上にモノラル録音なのに、このハリツヤはどうでしょう!本物の色彩感覚が備わっていれば、モノラルでもその威力がはっきりと音化されるのです。一音ごとにニュアンスをしっかり刻印しつつ、リズムは決してぶら下がらずにキリッと爽快。1:44からのピチカートがこれほど微笑んでいる演奏も他に知りません。4:19では低弦の下降音型の追加がセンス満点ですが、1977年盤ではオリジナルに戻っていました。4:21からのヒュンヒュン鳴りまくる弦や4:43からの強弱の細かい指示も、生煮え感ゼロ!
 第2楽章のオーボエ・ソロは、この作品のイメージからするとやや太めの筆致にも思えますが、ルバートの指示が極めて綿密な上にここまで切実に訴えかけられると、それもむしろ納得。ちなみに、この箇所も1977年盤では常識的なフレージングに徹していました。
 3楽章のトリオは、木管の浮き出しを克明にすることによって牧歌的な空気がリアルに立ち込めます。
 終楽章は、第1楽章と同様1977年盤よりもテンポはゆったりしていますが、音の芯の強靭さは明らかにこちらが上で、第2主題の色合いの絶妙な変化も旋律の魅力もこのテンポでなければ浮かび上がリにくいことは、高速で走る他の録音を聴いても明らかです。その辺の直感的なさじ加減も最晩年にはできなくなってしまったのか?と思うと悲しくなりますが…。
 それにしても、「人生最後の録音」というだけで手放しで持ち上げる風潮は何とかならないものでしょうか?このビゼーはその最たる例で、1977年盤の方が優っているのはステレオ録音(但し残響過多)であることと、オーボエの巧さくらいではないでしょうか?
 いずれにしても、精神力も体力も最高に充実していたと思われる50年代のストコフスキーの究極芸を味わうのに、このビゼーを無視することなどあり得ません!録音もモノラルながら素晴らしく、1977年盤と比べてどちらが「音楽的」な響きを発しているか、言うまでもありません。【湧々堂・2023年1月】


ACCENTUS Music
ACC-80575CD(10CD)
ブロムシュテット/ブルックナー:交響曲全集
■CD1
交響曲第1番ハ短調 WAB 101[1865/66年リンツ稿,1955年ノヴァーク版]
■CD2
交響曲第2番ハ短調 WAB 102[1872年稿,キャラガン校訂版]
■CD3
交響曲第3番ニ短調 WAB 103[1873年第1稿,1977年ノヴァーク版]
■CD4
交響曲第4番変ホ長調『ロマンティック』 WAB 104[1878/80年,1953年ハース版]
■CD5
交響曲第5番変ロ長調 WAB 105[1875/77年,ノヴァーク版]
■CD6
交響曲第6番イ長調 WAB 106[1879/81年,ハース版]
■CD7
交響曲第7番ホ長調 WAB 107[1881/83年,ハース版]
■CD8&■CD9
交響曲第8番ハ短調 WAB 108[1890年,ハース版]
■CD10
交響曲第9番ニ短調 WAB 109(1887/96年,コールス校訂版2000年)
ヘルベルト・ブロムシュテット(指)
ライプツィヒ・ゲヴァントハウスO


■CD1
録音:2011年6月
■CD2
録音:2012年3月
■CD3
録音:2010年9月
■CD4
録音:2010年10月
■CD5
録音:2010年5月
■CD6
録音:2008年9月
■CD7
録音:2006年11月
■CD8&CD9
録音:2005年7月
■CD10
録音:2011年11月
ブロムシュテット&ゲヴァントハウス管によるブルックナーの交響曲全集がACCENTUS MUSICより新装丁となって発売します。2005年〜2012年にかけ て録音された両者のブルックナー交響曲全集は、以前Querstandレーベルより発売されていましたが、ライセンス切れのためしばらく市場に流通しておりませ んでしたが、この度2024年のブルックナー・イヤー目前にACCENTUS MUSICより待望の再発売がなされました。
ブロムシュテットのブルックナー録音といえば、かつてシュターツカペレ・ドレスデンを指揮して第4番(1981/DENON)と第7番(1980/DENON)を録音。 その後サンフランシスコ響と録音した第6番(1990/DECCA)、第 4番(1993/DECCA)、そしてゲヴァントハウス管と録音した第9番(1995/DECCA)は、 現在でも根強い人気がある名盤です。さらには、バイエルン放響との第9番(2009)、ベルリン・フィルとの第3番(2017)があり、それらは近年のブロムシュ テットの好調ぶりを伝える見事なもので、ブロムシュテットのブルックナー観が色濃く投影された緻密な演奏を聴かせています。
そしてゲヴァントハウス管とともに7年を経て完成させた本セット。1998年、クルト・マズアの後任として音楽監督に就任したブロムシュテット。2005年の 任期満了までその厳しいトレーニングで機能性と音色にさらに磨きをかけ、引き締まった力強いサウンドに鍛えなおしたブロムシュテット。7年間に渡って、ライ プツィヒ・ゲヴァントハウスOのシェフとして、絶大な信頼を獲得し、現在も名誉指揮者として定期的に指揮台に立っています。
ブルックナー自身が「小生意気な娘」と呼んでいたとも言われている第1番。同曲の録音は本盤が唯一のブロムシュテット。初期の作品でありながらも、その 響きはブルックナー独自の語法が見え隠れし、後年の大成を予見させる作品と言えます。第2番にも初期作品ながら、すでにブルックナーの個性は横溢しています。 ブロムシュテットの指揮は細部まで表情豊かであり聴きものです。ワーグナーに献呈されたことから「ワーグナー交響曲」の愛称をもつ第3番。しかし1874 年 にウィーン・フィルから初演を拒否されたことから最初の校訂作業が行われ第3稿まで存在します。ブロムシュテットは、20世紀中頃から見直されるようになっ た1873年初稿版を取り上げています。ブルックナーの交響曲の中でもっとも演奏される第4番。冒頭のホルンをはじめ、美しい旋律に溢れています。ブロム シュテットも同曲は2度録音している手中にある作品です。そして第5番は、ブルックナーの生涯の中で困難な時期を象徴する楽曲です。作曲家としての実力 を示す精緻な対位法とブルックナー自身の深い信仰心をあらわす神聖なコラールという構成で、ブロムシュテットのより構築的な魅力が示された演奏です。第6 番は、第2、3楽章のみが先に公開演奏されました。しかし部分初演の成功があったのにもかかわらず、全曲初演されたのはブルックナーの死後でした。一方、 1884年12月にライプツィヒで初演されたこの第7番。初演は大成功をおさめ、この成功がブルックナーにさらなる作曲家として名声をもたらすこととなります。 美しい旋律と色彩豊かなオーケストレーションにより、現代でも演奏機会の多い作品です。オケから自然な響きを引き出し、この上ない美しさを感じる演奏です。 第8番は、ブルックナーが完成させた最後の交響曲であり、最高傑作と評価の高い交響曲。曲の長さ、多彩な展開、圧倒的なクライマックスとあらゆる意味で これまでの作品を上回っています。ブルックナーの強烈な個性が作品に溢れんばかりのエネルギーを与え、またブロムシュテットの底知れない溌剌としたエネル ギーを感じる演奏です。そして最後未完の大作、第9番。終楽章が未完のまま1896 年に作曲者は亡くなっています。本盤ではブロムシュテットは、ベンヤミン =グンナー・コールス校訂による原典版を用いています。 (Ki)


Altus
ALTSA-055R(1SACD)
シングルレイヤー
最新リマスター
限定生産
ケーゲル/ドレスデン・フィル 来日公演1989〈2023年新リマスター版〉
ベートーヴェン:「エグモント」序曲
交響曲第6番へ長調 「田園」
交響曲第5番「運命」
指揮者によるアンコール曲紹介
バッハ:管弦楽組曲第3番〜エア
ヘルベルト・ケーゲル(指)
ドレスデンPO

録音:1989年10月18日サントリーホール(NHKによる実況録音)
収録時間:99分
「ケーゲルの演奏では歓喜が力いっぱい描かれようとしているさなか、破綻や矛盾が起きる。その破綻や矛盾ゆえ、歓喜や勝利は形骸化せずにすみ、痛ましさと 引きかえに強いリアリティを獲得する」(許 光俊)
暗く、厳しく、そして恐ろしく深い歌が、空間を満たしては消えていく空前の大演奏。孤高の指揮者ケーゲルが自らの命を絶つ1年前、最後の来日公演となった 89年の演奏会を、印象的なアンコールまでまるごと収録。
2011年に一度SACDで発売された音源ですが、あらためて現在の最新技術を駆使して2023年に新規リマスター。音の広がりと空気感が向上し、倍音が美 しく空に消えていくさままで繊細に表現。ケーゲルが響かせたかった音楽により近づき、思いを馳せることができるようになった、と言えるできばえです。99分収 録、非圧縮シングルレイヤーSACD。 (Ki)

 これは、通常の名演の概念とは全く次元が異なります。一人の人間の苦悩が完全に音に転化し尽くされ、不気味な生々しい空気が醸し出されるといった「事件」が、まさに目の前で繰り広げられることのショックが全身を襲う、“演奏行為を超えた演奏”です。それだけに、「運命」を聴こうとするときに気軽に棚から取り出す気になれないCDでもあります。
 当時FMでこの演奏を聴いた私は、「運命」の第1音から只ならぬ空気を発していることに仰天しました。そのどこか血の気の失せた「無」に近い音、強さを装いながらも本当は立っていられない様な不安定さが、強烈に切り込んでくる演奏とは逆の意味でショッキングだったのです。もちろんケーゲルがこの後ピストル自殺することなど、想像もできませんでしたが、この時の彼の精神状態が平常でなかったことは、今聴いてもはっきりと感じ取れてしまいます。第3楽章の不気味かつ意味不明のルフトパウゼ、
 終楽章冒頭の“ドーミーソー”の異常な引き延ばしなど、造形的にも破綻寸前。全体を通じて、いかにもドイツ的な重厚な響きに溢れていますが、崖っぷちのぎりぎりのところで必至に振り絞った音楽と一体となっての壮絶なニュアンスは、音楽的な感動以上のものをもたらすのです。これがデジタル録音で蘇っては、リアル過ぎてぎて、ちょっと辛いものがあります。ただ、クラシック・ファンならこの演奏を一度は体感しておくべきだと思います。人生には、怖くても直視しなければならないことがあるのです。

 「田園」
の序奏冒頭から衝撃的!結尾の一音をテンポを落としながら異常に引き伸ばし、さらに不気味なパウゼを挟んでからやっと主題が滑り出すのには、慈しみを超えてこの世のはかなさを映すかのようなニュアンス。その後も独特のアーティキュレーションを駆使してテヌート気味に切々と歌われるので、「楽しい気分」というより得も言われぬ幻想を秘めた音像が広がります。第2楽章に入るとそこはもう天上世界!これ以上魂を込めようがない入念なフレーズがゆったりと流れ、テクチュアはどこまで行っても至純の極み。後半のカッコウの囀りも天使の囁きのように意味ありげに語り、深い呼吸を湛えたまま優しく失速するコーダの美しさもこの世のものとは思えません。第3〜4楽章は随所に現われる粘着質のフレージングが心を抉り、どこか猟奇的な雰囲気が鮮烈。、テンポの切り返しのが鮮烈!
 終楽章に至っては、感動という一言では収まりません!第1〜2楽章同様、ここでも音像自体は透明な美しさに溢れていますが、後ろ髪を引かれるような寂寥感と、もう後はないような切迫感が渾身の弦の響きにも強烈に絞り出す金管の響きにも立ち込めているのです。コーダ8:13以降の失速のうちに呼吸が鎮まっていく様は、涙なしに聴ける人がいるでしょうか!
 「エグモント」がまた凄い!最初の和音が音量を抑えて緊迫感を孕み、再度繰り返される際には金管を激烈に突出させて内面のもがき苦しみを惜しげもなく表出。ケーゲル特有のテヌートもこの曲では一層顕著で、それによって精神的な浮き沈みが生々しく立ち昇ることになります。終結部も音を外に向かって放射することを意地でも避け、中低音重視の純ドイツ的な音像の厚味を湛えながら、内面からの燃焼と意志の強さで圧倒します。この意味深い求心力も、他に類例を見ません。【湧々堂】

IDIS
IDIS-6749(1CD)
カラヤン・スペクタキュラーVol.10
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付き」
テレサ・シュティッヒ=ランダル(S) 、ヒルデ・レッセル=マイダン(A)、ヴァルデマール・クメント(T)、ゴットロープ・フリック(Bs)
ヘルベルト・フォン・カラヤン(指)
ローマRAISO&cho

ライヴ録音:1954年12月4日/ローマ
カラヤンの54年イタリア・ライヴ音源。カラヤンはこの年の春に初来日を果たし、翌年にはベルリン・フィルの首席指揮者に就任します。54年11月30日にフ ルトヴェングラーが没して間もない12月4日のライヴというのも何かを感じたくなるポイントです。 (Ki)

FUGA LIBERA
FUG-809(1CD)
ショスタコーヴィチ:交響曲第10番 ウラルPO
ドミトリー・リス(指)

録音:2021年11月22日(ライヴ) スヴェルドロフスク・フィルハーモニック大ホール、エカテリンブルク、ロシア
ドミトリー・リスが特に深い思い入れを持つというショスタコーヴィチの交響曲第10番。2019年に南オラン ダ・フィルとの同曲をリリースしていますが(録音は前年)、この大曲をわずか3年で再録音ということになり ました。スターリン独裁政治の抑圧からの解放が描かれているとされるこの作品を、今回はもう一つの手 兵、ロシアのウラル・フィルとのライヴで収録しています。作曲家が自由に作曲することが困難であった時 代を生きたショスタコーヴィチに心を寄せるリスにとって、この作品は特別な意味を持つもの。ロシアの音 楽家たちにとってこの曲が意味しているものは自明であり、個人の意見を正直に述べることが危険だった 時代に、独自の崇高な手法でそれを行った作曲者に深い敬意を持って演奏しているということです。第 2楽章の激しさ、フィナーレでの凄まじい追い込みなど、彼らの思いが入った素晴らしい演奏です。


Altus
ALTSA-1002(3SACD)
シングルレイヤー
チェリビダッケ&LSO/7つの演奏会1978〜1982
(1)ヴェルディ:「運命の力」序曲
ヒンデミット:交響曲「画家マティス」
プロコフィエフ:組曲「ロメオとジュリエット」
(2)ブラームス:交響曲第3番
ブラームス:交響曲第1番
ブラームス:ハンガリー舞曲第1番
(3)シューマン:交響曲第2番
ラヴェル:スペイン狂詩曲
ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
ワーグナー:「タンホイザー」序曲
(4)モーツァルト:交響曲第38番「プラハ」
シベリウス:「エン・サガ」
プロコフィエフ:交響曲第5番
(5)ティペット:「真夏の結婚」〜祭典の踊り
(6)ドビュッシー:管弦楽のための「映像」〜イベリア
ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」
(7)コダーイ:ガランタ舞曲
ラヴェル:組曲「マ・メール・ロア」
ブラームス:交響曲第1番
(8)デュカス:魔法使いの弟子
ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調*
フォーレ:レクイエム**
アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ(P)*
マリー・マクローリン(S)s**
グウィン・ハウエル(Bs)**
リチャード・ヒコックス(合唱指揮)** 
ロンドン交響cho**
セルジュ・チェリビダッケ(指)LSO

(1)録音:1978年4月11日
(2)録音:1979年5月31日
(3録音:1979年9月18日
(4)録音:1979年9月21日
(5)録音:1980年4月10日
(6)録音:1980年4月10日
(7)録音:1980年4月13日
(8)録音:1982年4月8日
全てライヴ録音:ロンドン/ロイヤル・フェスティヴァル・ホール
Prominent ClassicsレーベルからCDとして発売されベストセラーを記録しているチェリビダッケとロンドン響のライヴ録音集を正規にライセンス、ALTUS リマスターでSACDシングルレイヤー化。すべてチェリビダッケのご子息セルジュ・イオアン・チェリビダーキ氏の認可を受けた公式音源としての発売です。
1978年から82年にかけて行われたチェリビダッケとロンドン響の一連のコンサート。このころ両者の関係はたいへん良好で、80年には来日公演もありました。 時期的にはミュンヘン・フィル首席に就任する前後であり、チェリビダッケの超越的な演奏スタイルはすでに確立されています。どれも素晴らしい演奏ぞろいで、特 にミケランジェリとのラヴェル、フォーレの「レクイエム」はとてつもない名演。伝説的な7つのコンサートを3枚のSACDに長時間収録、存分にチェリビダッケの 妙技をご堪能いただけます。 (Ki)

Onyx
ONYX-4232(1CD)

PONYX-4232(1CD)
国内盤国内盤仕様
解説日本語訳&日本語曲目表記オビ付き
税込定価
ロベルト・シエッラ:交響曲第6番
弦楽オーケストラのためのシンフォニエッタ
アレグリア/ファンダンゴズ
オーケストラのための2つの小品
ドミンゴ・インドヤン(指)、
ロイヤル・リヴァプールPO
2006年から15年間、ロイヤル・リヴァプールPOの首席指揮者を務めたワシリー・ペトレンコに代わり、2021年9月から新たな首席奏者に就任したアルメニア系ベネズエラの若き注目指揮者、ドミンゴ・インドヤンの第2弾!
1953年プエルトリコ生まれの作曲家、ロベルト・シエッラによる交響曲第6番をメインとした作品集。ロベルト・シエッラは40年以上に渡り、グラミー賞にノミネートされ、これまでにラテン・グラミー賞を獲得しています。彼はミルウォーキーSO、フィラデルフィアO、プエルトリコSO、ニューメキシコSOのコンポーザー・イン・レジデンスを務めており、現代音楽の分野で目が離せないアーティストのひとりといってもよいでしょう。
このアルバムには彼の25年間に渡る創作活動の一部が収録されており、特徴的なオーケストレーション、プエルトリコ音楽を取り入れるなどロベルト・シエッラの魅力をたっぷりと収めたものになっています。活気にあふれ魅力的な旋律が美しいロベルト・シエッラの作品を、ベネズエラの音楽教育プログラム「エル・システマ」でヴァイオリンを学び頭角を現し、BBCプロムスでの指揮姿が話題となったドミンゴ・インドヤンの指揮でお楽しみください。


Pentatone
PTC-5187067(1CD)
マーラー:交響曲第5番嬰ハ短調 ラファエル・パヤーレ(指)、
モントリオールSO

録音:2022年8月17&18日メゾン・サンフォニク・ド・モンレアル(ケベック)
今最も注目されている指揮者の一人、南米ベネズエラ出身のラファエル・パヤーレ。2022/2023シーズンより音楽監督をつとめている名門モントリオー ルSOとの録音第1弾「マーラーの交響曲第5番」がPENTATONEレーベルよりリリースされます!パヤーレの同団デビューは2018年。その後、 2021/2022シーズンより実質的な活動はスタートさせており、その演奏は既に大きな話題を呼んでいます。
パヤーレは「エル・システマ」でフレンチ・ホルンを学んだのち、シモン・ボリバルSOのメンバーとして活躍。その後、指揮者を目指しクラウディオ・アバド、 グスターボ・ドゥダメルのアシスタントをつとめ研鑽を積んできました。2012年、コペンハーゲンで開催されたマルコ国際指揮者コンクールで優勝したことによ り、世界にその名が知られるようになり、これまでVPO、LSO、バーミンガム市SOなど、世界の名だたるオー ケストラとの共演歴を誇ります。
後期ロマン派を得意とするパヤーレにとってマーラーは最も大事な作曲家であり、情感豊かな表現は実に見事なもの。彼の才能を知る上でも当録音は必聴と いえましょう! ★録音はテルデックス・スタジオの名エンジニア、マルティン・ザウアーが担当。録音の素晴らしさにも大注目です。 (Ki)


Treasures
TRE-270(1CDR)
アンチェル〜ヤナーチェク&ドヴォルザーク
ヤナーチェク:タラス・ブーリバ
ドヴォルザーク:交響曲第6番*
カレル・アンチェル(指)チェコPO

録音:1963年4月16-20日、1966年1月22-24日*(共にステレオ)
※音源:日COLUMBIA WS-3033、OS-2339*
◎収録時間:64:45
“アンチェルが潔癖な響きに込めた強烈な共感と民族魂!”
■音源について
両曲とも、SUPRAPHON原盤。復刻に使用したのは極めて良質な日本COLUMBIA盤。ジャケットはチェコ盤を採用しています。

ヤナーチェクは、「シンフォニエッタ」がなぜか冴えなかったのに対し、「タラス・ブーリバ」は彼の特色である引き締まった造形力と揺るぎない内燃パワーが完全に調和した名演!第1曲の冒頭のテーマは淡白なフレージングながら色彩的なニュアンスが濃密に刻印されているので、独特のロマンの香気が横溢。戦闘シーンやコーダの追い込みも、響きの凝縮力が尋常ではありません。第2曲は、色彩的な魅力が更に浮き彫りに。楽想変化の対応も無慈悲なまでに機敏かつ生々しく、プロコフィエフの「ロメオとジュリエット」同様、人間ドラマをベースにした音楽の素材の特色を浮き彫りにするアンチェルのセンスは、傑出しています。終曲最後の開放感とテクチュアの安定感も盤石。この作品を緊張感を維持しつつ、これほど精妙に描ききった演奏も珍しいでしょう。
 これと好対照のアプローチを見せるのがドヴォルザーク。響きにもテンポにも無駄がないのは言うまでもないですが、作品をを立体的に浮き上がらせることより、牧歌的な側面の育みを優先しているので、知らずに聞いたらアンチェルの指揮だと気づかない人も多いのではないでしょうか。アンチェルは、作品を自分の美学に引き寄せる引き寄せるタイプではなく、一定の合理性は堅持しつつも自らを作品の側にピタッと嵌め込むセンスにおいても史上屈指の存在だと、この録音で確信した次第です。
 例えば、第1楽章冒頭の不純物皆無のテクスチュア。通常アンチェルはそれを更にシェイプアップさせて室内楽的な精緻な響きを生み出すことが多いのですが、ここでは、その引き締め操作を感じさせません。しかも、その絶妙な緩ませ方を全楽章で貫徹。決して短絡的に楽章単独の雰囲気に合わせているのではなく、スコア全体を俯瞰し集約させて一貫した流れを生み出しているのです。コーダで一瞬音楽が静まりますが、そこでのノスタルジーはワーグナー風の堅牢さを目指していては生まれないはずです。
 第2楽章は、何と言ってもチェコ・フィルの潜在的な素朴な響きが命。アンチェルの仕事はそれを清潔に維持するのみですが、4:54からの舞曲風のフレーズや、その直後の突然の断末魔のような響きが濁りがちなシーンでも素朴さと美しさを共存させているのは流石です。
 アンチェル特有の透徹美を最もストレートに感じるのが第3楽章。特に中間部の5:26以降のアンサンブルの制御がそのまま音楽の気品に結びついている様は、息を呑むばかり。
 終楽章では遂に揺るぎない造形力を発揮しますが、響きの純度の高さはもちろん不変。楷書スタイルで一点一画を丁寧に描くことに徹し、ボヘミア的色彩を添加する必要もなし。それで聴き手を惹きつけてやまないのは、誰よりもその作品を愛し、魅力的に再生できるという強い自負が演奏の根幹に流れているからでしょう。9:17のルフト・パウゼには民族の誇りを感じずにはいられず、何度聴いても胸が熱くなります!【湧々堂・2023年1月】


Spectrum Sound
CDSMBA-132(1CD)
(1)フランク:交響曲 ニ短調
(2)ストラヴィンスキー:バレエ組曲「火の鳥」(1919年版)
アンドレ・クリュイタンス(指)フランス国立放送O

ライヴ録音:1959年6月19日パリ、シャンゼリゼ劇場(ステレオ)
音源:フランス国立視聴覚研究所音源提供
(24bit/192KHz digital restoration and remastering from the original master tapes)
丁寧な復刻で評価を高めているスペクトラム・サウンド。好評のフランス国立視聴覚研究所(INA)保有音源からの正規初出復刻、当アルバムには1959年6 月19日、シャンゼリゼ劇場におけるクリュイタンス(指)フランス国立放送Oのライヴ初出音源を収録しております!
同公演前半のプログラム、ルジェ・ド・リール(ベルリオーズ編)のラ・マルセイエーズ、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番(ギレリス)、バッハ(シロティ 編)の前奏曲 ロ短調 BWV855a(ギレリス)は、altusレーベル(ALT-507)からリリースされていますが、この度Spectrum Soundから後半のプログラム、 フランクの交響曲 ニ短調とストラヴィンスキーの組曲「火の鳥」が完全正規初出でのリリースとなります。
クリュイタンスらしいエレガントな表情は当演奏でもひと際輝いており、50代半ばの最も充実した時期の当ライヴも十分にご堪能いただけます。ステレオ音源で の正規初出であることも大歓迎と申せましょう。 (Ki)

Spectrum Sound
CDSMBA-133(1CD)
(1)ブラームス:交響曲第2番ニ長調 Op.73
(2)ブラームス:交響曲第4番ホ短調 Op.98
(1)ジョルジュ・プレートル(指)
(2)アンドレ・クリュイタンス(指)
フランス国立放送O

(1)ライヴ録音:1968年2月28日シャンゼリゼ劇場(ステレオ)
(2)ライヴ録音:1959年2月19日ジュネーヴ(モノラル)
音源:フランス国立視聴覚研究所音源提供
保有音源からの正規初出復刻、当アルバムには1968年2 月28日、シャンゼリゼ劇場におけるプレートル(指)フランス国立放送Oのブラームスの交響曲第2番(ステレオ)と1959年2月19日、ジュネーヴにお けるクリュイタンス(指)フランス国立放送Oのブラームスの交響曲第4番(モノラル)の初出音源を収録。情熱あふれる40代半ばのプレートル、力強くも 気品に満ちた50代半ばのクリュイタンス、二人の至芸を存分にお楽しみください!

Hanssler
HC-22077(1CD)
ハイドン:交響曲全集 Vol.27
交響曲第3番ト長調 Hob.I:3
交響曲第33番ハ長調 Hob.I:33
交響曲第108番「B」 変ロ長調 Hob.I:108
交響曲第14番イ長調 Hob.I:14
ハイデルベルクSO
ヨハネス・クルンプ(指)

録音:2021年3月パラティン、ヴィースロッホ(ドイツ)
颯爽としたピリオド・アプローチがたまらないハイデルベルクSOによるハイドンの交響曲全曲録音第27集の登場!同シリーズ第25巻以降、ハイドンの 作曲家としての成長がわかるよう年代順に構成しています。2020/2021年シーズンより音楽監督をつとめるヨハネス・クルンプ率いる当団の演奏は常に新鮮! ハイドンへの敬愛を感じさせる繊細な弱音から時に荒々しいと思えるアプローチまで、当団ならではのエネルギッシュな演奏はユーモアに溢れており、非常に説得 力のある解釈を示したクルンプの手腕も確かなものです。
ハイデルベルクSOによるハイドンの交響曲全曲録音シリーズは、レコード芸術誌の特集「新時代の名曲名盤500」で、第88番、第92番「オックスフォー ド」、第94番「驚愕」、第102番、第104番「ロンドン」が第1位に選ばれるなど、表現力の豊かさ、演奏水準の高さで注目されております。全集に向 けて、今後のリリースも要注目です! (Ki)

C Major
80-7308(2DVD)

80-7404(Bluray)
ブルックナー:交響曲第3&6番
交響曲第3番ニ短調 WAB103(1877年第2稿・ノーヴァク版)
交響曲第6番イ長調 WAB106

■ボーナス映像「ディスカヴァリング・ブルックナー」
各交響曲について(ティーレマンと音楽学者ヨハネス=レオポルド・マイヤー氏による対話)
クリスティアン・ティーレマン(指)VPO

収録:2020年11月(第3番)、2022年4月(第6番)、ウィーン楽友協会(ライヴ)
◆DVD
画面:16:9、NTSC
音声:PCMステレオ、DTS5.0
DVD9
[ボーナス映像 ]
言語:ドイツ語、字幕:英韓,日本語
Total time:181分(交響曲:123分、ボーナス:58 分)
◆Bluray
画面:16:9、1080i
音声:PCMステレオ、
DTS-HD MA5.0
BD50
[ボーナス映像 ]
言語:ドイツ語、字幕:英韓,日本語
Total time:181分(交響曲:123分、ボーナス:58 分)
2024年のブルックナー生誕200年に向けたティーレマン&ウィーン・フィルによるプロジェクト「ブルックナー11/Bruckner 11」。C majorの映像によるブ ルックナー交響曲全集は、第5交響曲、そして「習作交響曲」と呼ばれている「ヘ短調 WAB99」と「ニ短調 WAB100」をウィーン・フィル史上初めて演奏・収録し た第1弾。ウィーン稿を使用した第1番と2021年8月のザルツブルク音楽祭で演奏された第7番を収録した第2弾。そして第3弾には、2019年にウィーン楽友協会 で収録された第2番と第8番がリリースされ、さらにボーナス映像として、ティーレマンと音楽学者のヨハネス=レオポルド・マイヤー氏による対話「ディスカヴァリ ング・ブルックナー」が各交響曲について収録されており、ブルックナーの交響曲への理解が一層深まり、映像全集完成に向け、ますます期待が高まっています。そ して今回発売されるのは、交響曲第3番と第6番のカップリング。
まずリヒャルト・ワーグナーに献呈されたことから「ワーグナー」とも呼ばれている交響曲第3番。この作品は彼の交響曲の中で最も数多く改訂されたものとし て有名であり、ブルックナー自身、彼の協力者、後代の楽譜編纂者によって何度も改訂されています。1872年に第1稿が完成したものの初演は1877年まで持ち 越されました。長い年月を要したのは、すでに第2番の初演をめぐって揉めていたウィーン・フィルが、第3番の初演にも躊躇し、この作品を演奏不可能と判断した からです。そして1877年12月16日、ブルックナー自身が指揮をした初演は大失敗に終わり、この時の経験は彼の人生における最大の挫折の一つとなり、修正や 改訂は13年後まで続けられ、大幅に縮約され再演された最終稿は成功を収めました。 ティーレマンは本演奏で第2稿(1877年/ノヴァーク版)を使用しています。ティーレマンは版の選択について以下のように述べています。「演奏される機会の多い 第3稿(1889年)は非常に簡略化されています。価値ある多くの要素が省略されて、非常に短くされてしまっているので第2稿を使用することに決めました。(中 略)第1稿は、私自身は気に入っていますが、ワーグナーに大きな影響を受けつつ彼に捧げることで、ブルックナーは少しばかり自分を見失っていたのかもしれませ ん。しかし第2稿の終わりでは再び自分自身のスタイルを見出したことがよく分かり、最も完成度が高い版といえるでしょう。」また、ブルックナー作品の楽譜の完 全全集では独立して出版されている「1876年版アダージョ」は、今後ウィーン・フィルと録音する予定もあるとのこと。
そして第3番と反して殆ど改訂されていない交響曲第6番。当時第4番の成功で背中を押されていたブルックナーでしたが、ウィーンの聴衆の反応は冷ややかな ものがあり、彼の存命中には全曲演奏されることはなく(ウィーン・フィルが第2・3楽章を部分初演)、ブルックナーの死から2年後、マーラー指揮によ り、短縮版が演奏されただけでありました。とはいえこの第6番は、ブルックナーの全作品中、最も霊感と魅力に満ちた瞬間を持つ大胆で輝かしい作品。しかし多 くの指揮者が取り上げる第4,7,8,9番と比べると、第1,2,3,6番というのは、まだまだ知り尽くされていない作品でもあります。ティーレマンも若い頃には実 演に接する機会もなく、最初に第6番の演奏を聴いたのは、ムーティ指揮ベルリン・フィルだといいます。現在「ブルックナー指揮者」ともいわれるティーレマンで も、第6番の交響曲の演奏頻度多くはなく、今回改めてウィーン・フィルと作品を掘り下げることは、自身の発見の旅でもあったと語っています。 (Ki)

Hyperion
CDA-68405(1CD)
ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲第7番&第9番
南極交響曲(交響曲第7番)*
交響曲第9番ホ短調
マーティン・ブラビンズ(指)、
BBC響、BBC交響cho*、
エリザベス・ワッツ(S)*

録音:2022年3月13日-14日、ワトフォード・コロシアム(ワトフォード、イギリス)
2003年から2016年まで名古屋フィルの常任指揮者を務め、その後も度々来日公演を成功させ、2016年からはイングリッシュ・ナショナル・オペラの音楽監督という大役を任されているイギリスの名指揮者マーティン・ブラビンズ。1920年版の「ロンドン交響曲(CDA68190)」で話題を呼んだブラビンズとBBCSOのヴォーン・ウィリアムズ・サイクル第6弾は、交響曲第7番(南極交響曲)と交響曲第9番で全集録音の最終巻を締めくくります。作曲者の高齢期に書かれたこの2つの交響曲は、当初は誤解や過小評価をされながらも、どちらも創造的な活力、傑出したオーケストラの色彩、成熟した交響的思考に満ち溢れ、現在ではイギリス音楽、20世紀の交響曲を代表する作品の1つとしての評価が確立してきました。
マーティン・ブラビンズ&BBC響のヴォーン・ウィリアムズ・サイクルは、その堅実な演奏と優れた解釈、そして稀少作品のカップリングなど秀逸な企画によって、第1巻〜第3巻まで連続で英グラモフォン誌の「エディターズ・チョイス」に選出され、第4巻は同誌「クリティクス・チョイス」にも選ばれグラモフォン賞2021にノミネートしています。レコード芸術の「海外盤REVIEW」でも度々「今月の特選盤」に選ばれるなど、世界で絶賛されてきた注目シリーズの完結編にご注目ください。


Capriccio
C-8087(1CD)
NX-B07

NYCX-10373(1CD)
国内盤仕様
税込定価
ブルックナー:交響曲第8番ハ短調 WAB108(第1稿/ホークショー版) リンツ・ブルックナーO
マルクス・ポシュナー(指)

録音:2022年7月4-6日リンツ・ミュージックシアター、リハーサル・ホール(オーストリア)
ブルックナーが交響曲第8番の作曲に着手したのは1884年夏。同年12月に第7番の初演が大成功を収め、自信を深めた彼は1887年8月に第8番(第 1稿)を完成。第7番のミュンヘン初演を成功させたヘルマン・レヴィに初演を託しますが、レヴィはスコアを吟味した結果これを辞退。ショックを受けたブルック ナーは全面的な改訂に取り掛かり、1890年に第2稿を完成させます。これは1892年に初演されて好評を得ましたが、その陰で第1稿は埋もれてしまいま した。ブルックナー生誕130年の1954年5月2日にはオイゲン・ヨッフムの指揮で第1稿の第1楽章が初演されましたが、全曲初演は1973年9月2日(ハン ス・フーベルト・シェーンツェラー指揮)を待たねばならず、その後も第1稿が「市民権を得た」と言える状況にはなりませんでした。 第1稿と第2稿の違いは大きく、第1楽章の最後を第1稿はフォルテ3つのコーダで力強く締めくくりますが、第2稿はが息絶えるようにして終わります。スケル ツォのトリオは同じモチーフによるものの音楽は全面改訂され、第2稿のアダージョとフィナーレでは第1稿にあったいくつものパッセージが削除されています。ポ シュナー指揮による演奏時間は第1稿が82:06、第2稿が76:12となっています。 多くの人が「まとまりが良いと感じる」のは第2稿でしょうけれども、第1稿はブルックナーが最初に出した結論で、彼が描こうとしたヴィジョンが豊富に盛り込まれ ています。第1稿が国際的に注目されたのはインバル指揮フランクフルト放送響の初録音(1982年)で、その後いくつかの録音が発表されてきましたが、それ らは1972年に出版されたノーヴァク版によるものでした。ホークショーによれば、当録音に使われた彼の校訂版は、テキストの細部やアーティキュレーションに おいてノーヴァク版との間に少なからぬ相違があるとのことです。
※国内仕様盤には石原勇太郎氏(音楽学/国際ブルックナー協会会員)による日本語の解説が付属します。

IBS CLASSICAL
IBS-142022(1CD)
マーラー:交響曲第4番ト長調(カルロス・ドミンゲス=ニエトによる室内楽版) ラケル・ロヘンディオ(S)
カメラータ・ガラ(室内オーケストラ)【ゴンサロ・ボーテ(Vn1)、パトリシア・カバニージャス(Vn2)、カルメン・ペレス(Va)、ノーラ・プラット(Vc)、シャビエル・ボイシャデル(Cb)、サレタ・スアレス(Fl)、パウ・ロドリゲス(Ob)、マヌエル・ホダル(Cl)、マリアナ・モスケラ(Fg)、フランシスコ・ガルシア・ロメロ(Hrn)、マイテ・ガルシア(Hp)、カロリナ・アルカラス(パーカッション)、アレハンドロ・ムニョス(指)】

録音:2021年9月7-9日
世界初録音
マーラーの作品群の中でも、比較的編成が小さく室内楽的な響きを持つ交響曲第4番。この作品を室内オーケストラ用に編曲した版は、シェーンベ ルクと同世代の作曲家エルヴィン・シュタインの1921年のものが良く知られていますが、この演奏は1972年生まれのスペインの指揮者カルロス・ドミン ゲス=ニエトがアレンジした版を用いています。シュタイン版では切り詰めた弦と管楽器、パーカッションを使用し、不足する音を補うためにピアノ、ハルモ ニウムを使用しますが、こちらはピアノとハルモニウムを用いず、シュタイン版では用いられないファゴット、ホルン、ハープを使うことで軽やかで天国的な響 きを描き出しています。 演奏は2006年に創設されたスペインのカメラータ・ガラ。詩人で作家のアントニオ・ガラの名を冠した室内オーケストラで、指揮者アレハンドロ・ムニョス のもとスペイン全土で100回以上のコンサートを行い数多くの賞を受賞しています。ヨーロッパの歌劇場で活躍するラケル・ロヘンディオが第4番の終楽 章と3つの歌曲で美しい声を披露しています。


ICA CLASSICS
ICAC-5170(1CD)
NX-B03
ベートーヴェン:『プロメテウスの創造物』序曲
R・シュトラウス:交響詩「死と変容」
ドヴォルザーク: 交響曲第8番
ミュンヘンPO
ロドルフ・ケンペ(指)

録音: 1972年9月9日 ロイヤル・アルバート・ホール BBCプロムスに於けるライヴ(ステレオ)
1972年9月9日プロムスに於けるケンペとミュンヘン・フィルのライヴ音源が登場。演目もベートーヴェン、リヒャルト・シュトラウス、ドヴォルザー クとケンペが得意とする作曲家が並ぶのが嬉しいところ。当日のプログラムでは、リヒャルト・シュトラウスとドヴォルザークの間にクルト・グントナー をソリストとするメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲が演奏されており、翌10日には過去にBBCレジェンズから発売され高い評価を得た マーラーの「復活」が演奏されています。ケンペとミュンヘン・フィルにとって1972年といえば、独エレクトローラにベートーヴェンの交響曲全集録 音が進行している充実した時期であり、9月6日には前日に発生したミュンヘン事件の追悼式で「英雄」第2楽章を演奏、そのすぐ後のライ ヴということになります。当日は、この年のプロムスに於ける彼らの3回のコンサートの初日であったためか、1曲目『プロメテウスの創造物』序曲 冒頭では、巨大なキャパシティを持つロイヤル・アルバート・ホールの音場にオーケストラがやや戸惑うかのような様子も聴かれますが、それもす ぐに修正され、「死と浄化」でのきめ細やかでメリハリの効いた表情はまさに彼らの面目躍如たるもの。そしてドヴォルザークではライヴのケンペ ならではの白熱した演奏を聴かせており、終演後の歓声と割れんばかりの拍手が聴衆の熱狂を伝えています。BBCに残されていたオリジナ ル・テープを、ヒストリカル音源の復刻で高い評価を得ているポール・ベイリーがデジタル・リマスター。ヴァイオリン両翼配置が映える良質なステ レオ録音で、メディアとして発売されるのは今回が初めてとなる貴重なものです。

ICA CLASSICS
ICAC-5171(1CD)
NX-B03
ショスタコーヴィチ:交響曲第10番
バラキレフ(カゼッラ編):イスラメイ*
クルト・ザンデルリンク(指)ニュー・フィルハーモニアO
キリル・コンドラシン(指)ロイヤルPO*

録音: 1973年5月15日、1978年1月24日* ロイヤル・フェスティヴァル・ホール・ライヴ(ステレオ)
ザンデルリンク指揮によるショスタコーヴィチの交響曲第10番といえば、1977年ベルリン交響楽団とのセッション録音と、1978年フランス国 立管弦楽団とのライヴ録音などが知られますが、それらより前となる1973年のライヴ録音が登場します。当時首席客演指揮者の座にあっ たニュー・フィルハーモニア管との録音は、1980年代に入ってからのベートーヴェンなどがよく知られますが、今回のライヴはその経歴初期のも のとはいえ両者のコミュニケーションは万全。重心の低い音楽運びはザンデルリンクならではですが、第1楽章や第4楽章クライマックスでの凄 まじい巻き上げや、第2楽章の緊張感などは素晴らしいもので、終演後の拍手も熱狂的。カップリングはコンドラシン指揮による「イスラメイ」と いうもので、ここに収録されたカゼッラ編曲版はソヴィエト時代から彼のレパートリーであったようですが、録音のリリースは初めてのようです。色 彩感豊かで非常に細やかなオーケストレーションを整然とまとめつつ、疾走するようなクライマックスへと導くコントールはさすがの一言。良質な ステレオ録音で、BBCに残されたオリジナル・テープから、ヒストリカル音源の復刻で高い評価を得ているポール・ベイリーがデジタル・リマス ター。これらの演奏の魅力を最大限引き出す素晴らしい音に仕上げています。

GRAND SLAM
GS-2284(1CD)
ベートーヴェン:交響曲第1番ハ長調 Op.21
交響曲第5番ハ短調 Op.67「運命」*
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)VPO

録音:1952年11月24、27日、
1954年2月28日、3月1日*/ムジークフェラインザール(ウィーン)
使用音源:Private archive (2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:モノラル(録音セッション)
■制作者より  
新音源を使用したフルトヴェングラー&VPOのセッション録音によるベートーヴェン・シリーズは、これまで第3番「英雄」(GS-2280)、第4番+第7番 (GS-2282/2023年1月発売予定)と続けました。その続編はもう少し間隔を置いて発売する予定でしたが、「一刻も早く聴きたい」との声が多かったので、 急きょ繰り上げてのリリースとなります。これまで通り新規のテープを使用、マスタリングの全行程をプロ用の機器で行い、これ以上はあり得ないレベルを目ざしま した。  なお、ベートーヴェン・シリーズの最後は第6番「田園」+スメタナの「モルダウ」の組み合わせとなります。(平林 直哉)

Goodies
78CDR-3890(1CDR)
プロコフィエフ:交響曲第1番「古典交響曲」 セルジュ・チェリビダッケ(指)BPO

仏 VSM SL141/42(英HMV C3729/30と同一録音)
1948年2月4,5,6日ベルリン録音
指揮者35歳の初録音レコード。セルジュ・チェリビダッケ(1912-1996)はルーマ ニア生まれ。ベルリンに学び、その地で第2次世界大戦の終戦を迎えた。当時ベ ルリン・フィルの常任指揮者だったヴィルヘルム・フルトヴェングラー(1886- 1954)が大戦中のナチスとの関係をとがめられ謹慎生活をおくっていた。後継の 指揮者にレオ・ボルヒャルトが選ばれたが、ボルヒャルトが急死したため、後 任者さがしコンクールが開かれ応募したチェリビダッケが審査員全員一致で優 勝し、ボルヒャルトの死の8日後にベルリン・フィルの野外コンサートで指揮者 デビューした。1947年のフルトヴェングラー復帰後もチェリビダッケはベルリ ン・フィルに留まっていたが、1954年フルトヴェングラーの死後カラヤンがベ ルリン・フィルの首席指揮者になってから、イタリア、スウェーデンのオーケ ストラに客演した。この録音はチェリビダッケが35歳の初録音。約4分のSP レコード一面に 1日を費やすこの指揮者の姿がデータから窺えます。 チェリビダッケはこのシリーズでロンドン・フィルを指揮したモーツァルト: 交響曲第25番K.183(78CDR-3254)が出ています。(グッディーズ)


Treasures
TRE-269(1CDR)
F.ブッシュのベートーヴェン「第9」
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付」
フリッツ・ブッシュ(指)
デンマーク放送SO&cho
シェシュティン・リンドベリ=トルリンド(S)
エリセ・イェーナ(Ms)
エリク・ショーベリ(T)
ホルガー・ビルディン(Bs)

録音:1950年9月7日 ライヴ
※音源:MELODIA M10-46963-003
◎収録時間:62:08
“理性と直感で一時代先を見通すフリッツ・ブッシュのベートーヴェン!”
■音源について
フリッツ・ブッシュ指揮によるベートーヴェンの「第9」の全曲録音は、死の前年のこの1950年盤が唯一。DGGやReliefからもレコード化されましたが、どれもLP1枚での発売でした。ここで採用しているメロディア盤は、余裕の2枚3面カッティング!なお、瑞西Guild HistoricalからCD化もされていますが、過剰なノイズ処理のせいでパサついた響きと化していました。

★フリッツ・ブッシュにとってデンマーク放送響は、ナチス・ドイツを離れてから亡くなる年まで首席指揮者を務めた最重要拠点。その名コンビによる集大成ともいうべき感動的な演奏がここの展開されます。
 まず、第1楽章冒頭の弱音序奏部の緊張が、大袈裟な見栄の前触れではなく、有り余る主張を必死に抑えながらすっきりとした造形美も兼ね備えている点にご注目を。その序奏と主部の爆発とが見事にコントラストを成す様に、並外れたバランス感覚と普遍的な美への志向が垣間見られます。どこまでもイン・テンポを基調に厳しいフォルムを堅持しますが、オケの自発性に根ざした推進力が絶えないので、強引さや窮屈さとは無縁。
 第2楽章のティンパニは、こうでなければという粉砕力!慣習的な管楽器の補強も恣意感ゼロ。トリオ主題がこれほど強靭なイン・テンポ進行を遂げる例も稀で、明るく楽しい音楽に傾く素振りなど見せないこの厳しさは、戦争等の局限の苦難の末に獲得した不屈の意思がなければ実現不可能でしょう。
 第3楽章も、ルバートはほとんど用いず、情緒的な陰影を超えた音楽。敬虔な静謐とは異なる美中の美がここにあります!雑味を排したテクチュアは、音楽の本質のみを厳選し尽くした成果。6:00辺りからはこれ以上ないほど淡白に進行しますが、それだけにその後に登場するピチカートは瑞々しく響き、希望の光を宿すのです。
 終楽章は声楽陣が充実。特に合唱の完成度は極めて高く、「歓喜の合唱」でオケと合唱の縦の線が合っているだけでなく、ここまでリズムと呼吸が一体化している例は稀でしょう。その直前にティンパニのロールが加わりますが、クナ的な猛獣モードに傾かないのがブッシュらしいところ。その合唱を核として、アンサンブルは最後まで弛緩せず、時代を先取りしたようなスタイリッシュなフォルムを纏いながら着実にエネルギーを貯え、コーダではそれを余すことなく放出するのです!【湧々堂・2022年12月】

オクタヴィア
OVCL-00801(1SACD)
税込定価
2023年1月25日発売
エルガー:交響曲第2番変ホ長調 作品63 尾高忠明(指)
大阪フィルハーモニーSO

録音:2022年4月8-9日、大阪・フェスティバルホール・ライヴ
尾高&大阪フィルのコンビによるエルガー第2弾。第1番ほどの壮麗さがないため初演からさほど脚光を浴 びなかったこの交響曲も、エルガーが「自身をさらけ出した」という想念の深さで、今では名作として確固た る地歩を築いています。 尾高はオケの部厚い響きを基調に、「Nobilmente」(上品に、気高く)に、大きなエモーショナルを加 え、一大叙事詩のようなスケールで謳い上げています。すでに、英国エルガー協会から「エルガーメダル」を 授与されている尾高の、この作曲家への傾倒ぶりが全編に脈動し、熱きテンションのままに一気に聴き通 すアルバムとなりました。(オクタヴィア)
オクタヴィア
OVCL-00804(1SACD)
税込定価
2023年1月25日発売
ハイドン交響曲集Vol.18
交響曲第3番ト長調 Hob.I:3
交響曲第15番二長調 Hob.I:15
交響曲第5番イ長調 Hob.I:5
飯森範親(指)
日本センチュリーSO

録音:2021年4月22日 大阪、ザ・シンフォニーホールにてライヴ
日本センチュリーSOが首席指揮者の飯森範親と共にスタートした「ハイドンマラソン」 は、フランツ・ハイドンのすべての交響曲を演奏しようという一大プロジェクト。当盤は第 23回コンサートのライヴ収録です。 幾度の公演を重ね、信頼関係を築いてきた飯森と日本センチュリー響は、精緻な構築と、細 部までこだわりぬいた感性で、気品あふれるハイドンを奏でています。柔和で晴々とした優美な 演奏は、まさに彼らの真骨頂といえるでしょう。(オクタヴィア)

APARTE
AP-307(1CD)
モーツァルト〜始まりと終わり
交響曲第1番変ホ長調K.16
ピアノ協奏曲第23番イ長調K.488
交響曲第41番ハ長調K.551「ジュピター」
マキシム・エメリャニチェフ(P,指)
イル・ポモ・ドーロ

録音:2022年6月28-30日 ノートルダム・デュ・リバン(パリ)
メリャニチェフがモーツァルトの大プロジェクトに着手しました。手兵イル・ポモ・ドーロを指揮して交響曲全集に挑戦します。さらに魅力なのは、毎回フィルアッ プに協奏曲が入ること。ピアノの場合はもちろんエメリャニチェフが独奏を務めます。
エメリャニチェフはクルレンツィス指揮ムジカエテルナの「ダ・ポンテ三部作」録音の才気煥発な通奏低音で注目されましたが、現在ではイル・ポモ・ドーロ を指揮してバロック・オペラのアルバムをリリースし高い評価を得ています。もともとモスクワ音楽院でロジェストヴェンスキーの厳しい訓練を受けたサラブレッド なうえ、音の指向性や奏者の数による変化なども綿密に計算するなど考えに考え抜いた録音となっています。
モーツァルトは彼らのレパートリー・イメージからは新しい方の作曲家ですが、もともとエメリャニチェフ最愛の作曲家であり、シリーズで深く探求することでと もに音楽的な成長も目指しているとのこと。第1弾は第1番と第41番のカップリング。単に最初と最後の番号というだけでなく、第1番第2楽章の主題(ジュ ピター音型)が「ジュピター」終楽章の壮大なフーガで用いられていることも再認識させてくれます。
今回のフィルアップはピアノ協奏曲第23番。フィルアップどころか一番聴いてみたいと思う向きも多いはず。1823年グラーフのフォルテピアノのレプリカを 用い、「ダ・ポンテ三部作」以上に自在で魅力的な演奏を繰り広げています。

Nimbus Alliance
NI-6432(1CDR)
エイドリアン・ウィリアムズ(b.1956):交響曲第1番(2020)、
室内協奏曲 「ネッド・ケリーのポートレイト」(1998)
イギリスSO、
ケネス・ウッズ(指)

録音:2021年4月8日&12月1日-2日
この「交響曲第1番」は、イギリスSOの「21世紀交響曲プロジェクト」のためにケネス・ウッズがエイドリアン・ウィリアムズに委嘱したもので2019年末には完成されていましたが、2021年に録音されるまでに様々な改訂がなされています。この作品はケネス・ウッズにとって「希望を与えてくれたもの」となったということです。同時収録の室内協奏曲は、オーストラリアに実在した無法者ネッド・ケリーを題材にしたものです。演奏が非常に難解な作品ではありますが、その分聴き応え十分な音楽になっています。
※当タイトルは、高品質メディア(SONY DADC/Diamond Silver Discs)を使用した、レーベル・オフィシャルのCD-R盤となります。

Forgotten Records
fr-1856B(2CDR)
モーツァルト:交響曲集
第28番ハ長調 K.200 /第29番イ長調 K.201 # /第30番二長調 K.202 /第31番 「パリ」/第32番ト長調 K.318 /第33番変ロ長調 K.319 + /第34番ハ長調 K.338 # /第35番「ハフナー」*
オットー・アッカーマン(指)
ワルター・ゲール(指)+
ヘンリー・スウォボダ(指)#,*
オランダPO、ウィーン国立歌劇場O#

録音:1954年、1955年#,+
※音源: Musical Masterpiece Society MMS 3027/29 他
Forgotten Records
fr-1862(1CDR)
シューリヒト&アラウ〜ベートーヴェン
ピアノ協奏曲第3番ハ短調 Op.37*
交響曲第5番「運命」ハ短調 Op.67 #
クラウディオ・アラウ(P)
カール・シューリヒト(指)
フランス国立放送O

録音:1959年3月24日、シャンゼリゼ劇場*
1956年9月23日、モントルー音楽祭#、共にライヴ

Altus
ALTXR-1001(2XRCD)
新規リマスター
初XRCD化
完全限定生産
チェリビダッケ、幻のリスボン・ライヴ「XRCD」
ブルックナー:交響曲第8番ハ短調
セルジュ・チェリビダッケ(指)
ミュンヘンPO

ライヴ録音:1994年4月23日コリセウ・リスボン(ステレオ)
ポルトガル国営放送(RTP)によるデジタル録音
通常CDプレーヤーで再生可能な高音質規格として1996年にビクター社が開発、高音質ブームの先駆けとして一世を風靡した「XRCD」。専用カッティングマ シンの老朽化に伴い製造の継続が困難となり、2022年内をもってXRCD規格そのものの生産終了が発表されています。XRCDにこだわって数多くのタイトル を発売してきたGLOBAL CULTURE AGENCYレーベルの協力のもと、ビクターにてXRCD用のマスタリングを施し製品化。これがXRCD最終プレスになりま す。CDともSACDとも違った個性を持つXRCDの魅力をお楽しみください。
正規盤・初出CDが大ベストセラーを記録しているチェリビダッケ伝説のリスボン・ライヴ。「チェリビダッケの最高傑作にしてブルックナー演奏の頂点」とまで 賞賛される伝説の名演です。極限をも超えた超スローテンポで繰り広げられるチェリビダッケの魔術、その崇高なまでの神々しさ!ポルトガル大使館の協力で発見 され、ご子息セルジュ・イオアン・チェリビダキ氏とミュンヘン・フィルの承認を得て世に出た、貴重極まる歴史的音源です。 (Ki)
Altus
ALTXR-1003(XRCD)
新規リマスター
初XRCD化
チェリビダッケのシューマン&ブラームス 東京ライヴ「XRCD」
シューマン:交響曲第4番ニ短調 Op.120
ブラームス:交響曲第4番ホ短調 Op.98*
セルジュ・チェリビダッケ(指)
ミュンヘンPO

ライヴ録音:1986年10月14日昭和女子大学 人見記念講堂
1986年10月15日東京文化会館*
通常CDプレーヤーで再生可能な高音質規格として1996年にビクター社が開発、高音質ブームの先駆けとして一世を風靡した「XRCD」。専用カッティングマ シンの老朽化に伴い製造の継続が困難となり、2022年内をもってXRCD規格そのものの生産終了が発表されています。XRCDにこだわって数多くのタイトル を発売してきたGLOBAL CULTURE AGENCYレーベルの協力のもと、ビクターにてXRCD用のマスタリングを施し製品化。これがXRCD最終プレスになりま す。CDともSACDとも違った個性を持つXRCDの魅力をお楽しみください。
世に大きな衝撃を与えたチェリビダッケ89年の来日公演から、特に人気の高い2演目、シューマンとブラームスそれぞれの交響曲第4番を最新マスタリングで XRCD化。これまでCD、SACD、LPと発売され好評を受けてきた音源が、新たな魅力を持つディスクとして生まれ変わりました。チェリビダッケの至芸に唸らさ れる最強のカップリングです。 (Ki)

ALPHA
ALPHA-932(1CD)
ブルックナー:交響曲第7番 チューリヒ・トーンハレO
パーヴォ・ヤルヴィ(指)

録音:2022年1月 チューリヒ・トーンハレ
※ 国内仕様盤日本語解説…舩木篤也
フランクフルトRSOと11年の歳月をかけて完成させたブルックナー交響曲全集の発売が記憶に新しいパーヴォ・ヤルヴィが、その第 7番を再び取り上げました。先の全集の中でも第7番はパーヴォ初のブルックナー録音として2006年11月の収録であったため、再録音のタ イミングとして近すぎるとは言えないでしょう。旧盤と収録時間を比較すると全ての楽章で速くなっており、特に第2楽章では1分30秒近い差 が出ていますが、演奏はくっきりとした音楽の輪郭を感じさせながら、むしろロマンティックな印象を与えるもので、フレーズ感のメリハリの効い た、個性的な解釈も随所に聴くことが出来ます。また今回は版の明記がされておりませんが、第2楽章での打楽器の使用を始め旧盤同様 ノーヴァク版を基調としながらも、第4楽章冒頭の頻繁なリタルダンドなどは前回以上にイン・テンポで進められている印象です。対位法的な 面白さをしっかり味わえるヴァイオリンの両翼配置に加え、ワーグナー・チューバをホルンとは反対となる右側、トロンボーンとバス・チューバの前 に持ってくることでアンサンブルの親和性を向上させるとともに、響きに奥行きを与えることにも成功。再録音の期待に応える素晴らしいアルバ ムです。パーヴォ・ヤルヴィとチューリヒ・トーンハレ管は、ブルックナー生誕200年となる2024年までに、さらに第8番、第9番の録音を予定し ているということです。
ALPHA
ALPHA-692(1CD)
ハイドン交響曲全曲録音シリーズ Vol.13
1-4. 交響曲第31番ニ長調 Hob. I:31「ホルン信号」
5-8. 交響曲第59番イ長調 Hob. I:59「火事」
9-12. 交響曲第48番ハ長調 Hob. I:48「マリア・テレジア」
イル・ジャルディーノ・アルモニコ(古楽器使用)
 コンサートマスター:ステファノ・バルネスキ(Vn)
ジョヴァンニ・アントニーニ(指)

録音:2021年4月10-16日、マーラー・ホール(エウレジ
オ文化センター)、ドッビアーコ(イタリア北東部ボルツァーノ県)
ハイドン生誕300周年にあたる2032年までに、この「交響曲の父」が残した107曲の交響曲全てを録音してゆくジョヴァンニ・アントニーニの 注目企画が、第1巻(ALPHA670)がリリースされた2014年から8年を経てますます充実をみせています。エステルハージ侯爵家での30年 近くに及ぶ現役活動中、ウィーンから遠く離れた侯爵領で世評を気にせず試行錯誤を繰り返しながら書かれたハイドンの一連の交響曲は、 ティンパニやトランペット、クラリネットを使わない小規模な二管編成でも驚くほど多彩な音楽作法で聴きどころが尽きませんが、今回はその 中でも特に味わい深い中期前半の3曲を厳選。各パートのソロが多く聴きどころに事欠かない長大な第31番「ホルン信号」、独立した管楽 器パートが一対のオーボエとホルンだけの小規模編成で変幻自在の展開が続く第59番「火事」、打楽器が入らないオリジナル版の演奏で も勇壮なスケールを存分に感じさせる第48番「マリア・テレジア」、といずれもアントニーニ自身の楽団であるイル・ジャルディーノ・アルモニコな らではの、全奏者の個性が生かされながら豊かな一体感あふれる解釈が映える作品ばかり。特に「ホルン信号」では、圧倒的かつ痛快な吹 奏でデュナーミク豊かなサウンド作りをみせる4人のナチュラルホルン奏者たちの活躍もさることながら、コントラバスやヴィオラにまでソロが出てく る終楽章での大規模室内楽風アンサンブルが絶妙で、個々の楽器の妙味をじっくり味わえます。最新研究を反映した解説(国内仕様盤 は日本語訳付き)でも、各曲の表題にまつわる謎やアントニーニの解釈上の見解など情報満載。どこまでも見逃せない内容です。

BERLINER PHILHARMONIKER
KKC-9784
(2CD+1Bluray)
初回封入特典付
税込定価
ショスタコーヴィチ:交響曲集

■CD1:交響曲第8番Op.65
■CD2:交響曲第9番Op.70、
 交響曲第10番Op.93

■Blu-ray Disc
□Video
上記全曲のコンサート映像(すべてHD映像)
インタビュー映像(キリル・ペトレンコ)

□Audio:
上記全曲のロスレス・スタジオ・マスター音源の音声トラック
2.0PCM Stereo 24-bit / 96kHz
7.1.4Dolby Atmos 24-bit / 48kHz

□ダウンロード・コード
この商品には、上記全曲のハイレゾ音源(24-bit / 96kHz)をダウンロードするためのURLとそのパスワードが封入されています。
□デジタル・コンサートホールベルリン・フィルの映像配信サービス「デジタル・コンサートホール」を7日間無料視聴できるチケット・コードが封入されています。
キリル・ペトレンコ(指)BPO

□Video
画面:Full HD 1080/60i,16:9
音声:2.0PCM,7.1.4Dolby Atmos
リージョン:ABC(worldwide)
総収録時間(コンサート):152分
字幕:英、独、日本語

録音:2020年11月13日(第8番)、2020年10月31日(第9番)、2021年10月29日(第10番)
すべてベルリン・フィルハーモニー
BPOと首席指揮者キリル・ペトレンコによるショスタコーヴィチの交響曲第8,9,10番のボックス・セットが発売されます。2019年8月に行われたキリル・ペトレンコの首席指揮者就任公演をもって、ベルリン・フィルの新時代が始まりました。1972年生まれのペトレンコは、2006年にベルリン・フィルにデビュー。以来、目の覚めるような圧倒的演奏を聴かせ、2015年夏にサー・サイモン・ラトルの後任に選ばれました。両者のディスクとしては、ベートーヴェンやチャイコフスキーのコンサート・レパートリーの礎石となる交響曲や、フランツ・シュミットやルーディ・シュテファンといった現代において正当な評価を受けていない20世紀の作曲家の作品など、ペトレンコにとって重要なレパートリーが収録された「ファースト・エディション」(KKC-9600/6)に続く2作目のボックス・セットとなります。
本セットは、新型コロナウイルスのパンデミック中に行われた録音です。2020年11月2日から30日までフィルハーモニーは、新型コロナウイルスの感染拡大に伴うドイツ連邦政府と州政府の制限措置により閉鎖されることになりました。交響曲第9番は、閉鎖直前の10月31日に、そして11月13日に演奏された交響曲第8番は無観客公演となりました。閉鎖直前の公演となった2020年10月31日の公演では、この後計画されているホール閉鎖を「沈黙」で表現するために、ジョン・ケージの「4分33秒」が急遽演奏され、象徴的な公演となりました。
交響曲第8番は、第2次世界大戦の最中に書かれ、悲しみと絶望、そして美しさと希望が刻印されています。ベルリン・フィルとペトレンコは、観客のいないコンサートホールに向けて、この演奏がこの時期に人々の架け橋となることを願ってプログラムしました。ペトレンコはこの時の演奏について、「ベルリン・フィルと私は、ショスタコーヴィチの交響曲を聴衆のいない会場で、それでもあらゆる聴き手に届くように演奏しました。それは特異な体験でした。」と語っています。
そして第8番とは対極にある交響曲第9番。1945年11月3日ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルにより初演。第2次世界大戦末期、ショスタコーヴィチは戦争の勝利を讃える作品を書くことを期待されていましたが、彼はこれらの主張を退け、この交響曲ではヒロイックな栄光を明確に拒否し、軽妙で人を小馬鹿にしたような異なる作品を完成させ強い非難を受けることとなりました。
最後に、スターリンの死後、初めて書かれた交響曲第10番。スターリン時代を想起させるような抑圧的でしばしばグロテスクな音楽が続きますが、最後は希望に満ちた楽章で締めくくられます。ペトレンコは、この作品についてこう言います。「ショスタコーヴィチは、スターリンの軛から解放され、自身の創造力を再び見出したのです。長くつづいた闇に、再び光が射した瞬間でした。」
今回のリリースに際して、キリル・ペトレンコはこう語っています。「極めて限られた条件下でのみ合奏することができたパンデミック期に、私はショスタコーヴィチの音楽をかつてないほど身近に感じたのです。さらに、本盤が世に出る今、ショスタコーヴィチの音楽は、単に過去の声であるだけでなく、生々しい今日性を帯びてしまいました。ショスタコーヴィチの音楽は、とりわけ今日のような時期に、自由と民主主義の理想を信じるために必要な自信と力を私たちに与えます。彼は、私たちを勇気づけてくれるロールモデルなのです。」
本作の表紙を飾るのはドイツの写真家トーマス・デマンドの作品。無数のロッカーが壁一面に並ぶ光景は、抑圧され閉ざされた環境を象徴しており、このショスタコーヴィチの交響曲を表現しているようにも見えます。さらに、オリジナルの解説書に収録された一見美しい花々の写真にも想像力を働かせることができ、アートワークとしても充実した内容となっています。 (Ki)


Altus
ALT-522(1CD)
マーラー:交響曲第1番「巨人」 大野和士(指)東京都SO

ライヴ録音:2021年4月20日/東京文化会館(第924回定期演奏会Aシリーズ)
ALTUSが都響のライヴ・シリーズを開始いたします。第1弾は2015年より音楽監督を務める大野和士との「巨人」、2021年ライヴです。ALTUSが会場録 音から行い、丁寧なマスタリングを施しCD化。若杉弘、ベルティーニ、インバルらと共に日本のマーラー演奏史に大きな足跡を残してきた都響の「今」を鮮やかに とらえた、要注目のリリースです。
渦巻くエネルギーの咆哮に任せるのではなく、たいへん丁寧なアプローチで静と動がしなやかに交替していきます。しかし音楽の持つ威力、味わいは薄まってい ません。鮮度の高い明晰な響きを保ちつつも、ぐっと抑えるところや引き延ばすところに独特のねばりが見られ、深みのある陰影が描かれています。異なる角度か ら作品が照らされて、予想外の方向に伸びた影が聴き手にはからずも覆いかぶさってくるような感覚。
「第3楽章の演奏が、もっとも色が濃い。淡々と運んでいるときでも、音色が影を帯びる」「マグリットの絵か何かのような、明快明晰に見えるのに幻想的という 趣である」「「巨人」の中には、晩年の作品でいっそうはっきりしてくる要素が、まだひっそりと芽生えたばかりの状態で隠れています。それに大野は光を当ててみせ るのである」(許光俊氏の解説より) (Ki)

Altus
ALTSA-1001(1SACD)
シングルレイヤー
国内プレス
新規リマスター
初SACD化
500セット限定
日本語帯・解説付
チェリビダッケ、幻のリスボン・ライヴ「SACD」
ブルックナー
:交響曲第8番ハ短調
セルジュ・チェリビダッケ(指)
ミュンヘンPO

ライヴ録音:1994年4月23日/コリセウ・リスボン(ステレオ) ポルトガル国営放送
(RTP)によるデジタル録音
規盤・初出CDおよびLPが世に送り出され、大ベストセラーを記録しているチェリビダッケ伝説のリスボン・ライヴ。「チェリビダッケの最高傑作にしてブルッ クナー演奏の頂点」とまで賞賛される伝説の名演が、ALTUSの手によってSACD化されました。完全限定生産、500セットのみの販売です!
既発のCDやLPではなくオリジナル音源に立ち戻り、改めて徹底的にマスタリング。SACDのポテンシャルを最大限生かせるように音を一新しました。生まれ変 わったおどろきの高音質をぜひ体感ください。全曲が1枚のディスクに収められていることもSACDの利点で、100分を超える大演奏が贅沢にも一続きにお聴 き頂けます。
極限をも超えた超スローテンポで繰り広げられるチェリビダッケの魔術、その崇高なまでの神々しさを、おどろきの高音質でじっくりと堪能いただけます。ポルト ガル大使館の協力で発見され、ご子息セルジュ・イオアン・チェリビダキ氏とミュンヘン・フィルの承認を得て世に出た、貴重極まる歴史的音源です。 (Ki)


Spectrum Sound
CDSMBA-119(1CD)
ポール・パレー・ライヴ録音集イン・パリ1966&1973
(1)シューマン:交響曲第3番「ライン」
(2)シューマン:交響曲第4番ニ短調 Op.120
(3)シャブリエ:狂詩曲「スペイン」
(4)ラヴェル:ラ・ヴァルス
ポール・パレー(指)
(1)(3)フランス国立放送PO、
(2)(4)フランス国立放送O

ライヴ録音:(1)(3)1973年10月2日オペラ=コミック座(ステレオ)、
(2)(4)1966年6月28日シャンゼリゼ劇場(ステレオ)
“パレーが生涯持ち続けた瑞々しい表現へのこだわり”
丁寧な復刻で評価を高めているスペクトラム・サウンド。当アルバムはフランス国立視聴覚研究所(INA)保有音源からの正規初出復刻で、巨匠パレーは晩年まで熱量の高い演奏をしたことで知られています。このシューマンではどっしりとかまえ、折り目正しく背筋を伸ばして聴きたくなるような偉大 な演奏を展開。またシャブリエの「スペイン」では豪快で煌びやかに、ラヴェルの「ラ・ヴァルス」ではラヴェルならではのキラキラとした世界を存分に表現。終始 香り高き演奏を展開しており、演奏直後、聴衆からの「ブラボー!」もうなずける熱演です。ステレオによる収録ということも嬉しい限りです! (Ki)
※このレーベルの商品は早期に廃盤となるケースが多いので、お早めのご注文をおすすめいたします。

全てデトロイト響とのセッション録音がありますが、ここに収録されている演奏はライヴ特有のノイズや傷を超越して迫り来る感動があり、決して蔑ろにできません。特に1966年の録音の2曲は、パレーの鼻歌と唸り声に象徴されるように表現意欲満点で、マーキュリー時代の直截なダイナミズムも健在なので、感動もひとしおです。
 交響曲第4番は、このオケならではの透明なテクスチュアをそのまま活かしながら内部に孕んだ熱気は相当なもの。第2楽章は特に鼻歌が盛大に聞こえますが殊の外音程が良いので耳障りではありません。
第3楽章中間部の一筆書きのようなフレージングは、マーキュリー録音からよく聞かれた特徴。終楽章は、セッション録音と同様に超高速ですが、縦割りの立体感がこれでもかと際立っていたのに対し、こちらの方が明らかにニュアンスが多彩で色彩も豊か。
 「ラ・ヴァルス」も、テンポの切り替えしを微細にわたって行き渡らせ、ニュアンスはまさに千変万化。その名人芸とライヴならではの即興性が一体化して、最後まで聴き飽きることなどまずありません。シンバルの響きがこんなに強烈なのも珍しいですが、単にマイクに近いからと片付けられないほど、この演奏のスタンスを象徴しているかのうような打ち鳴らし方!
 1973年の録音はさすが向こう見ずな推進性は後退していますが、「ライン」ではその代わりに時折見せるたそがれの表情が切々と迫り、これまた涙を誘います。テンポはゆったり目でもリズムは老化していないので、音楽の瑞々しさはそのまま。第3楽章は、淡々とする中にもノスタルジーが横溢。そこへ呼吸の深さと慈愛の心がブレンドされて独自のパステル調の音彩が生まれる様をとくとご堪能下さい。【湧々堂・2023年1月】

Spectrum Sound
CDSMBA-131(1CD)
ブルックナー:交響曲第7番ホ長調 WAB107 マリユス・コンスタン(指)、
フランス国立放送PO

ライヴ録音:1971年3月16日メゾン・ド・ラジオ・フランス内オリヴィエ・メシアン・ホール、スタジオ104(ステレオ)
丁寧な復刻で評価を高めているスペクトラム・サウンド。好評のフランス国立視聴覚研究所(INA)保有音源からの正規初出復刻、最新盤はマリユス・コンスタ ン(指)フランス国立放送POによるブルックナーの交響曲第7番。1971年3月16日、オリヴィエ・メシアン・ホール、スタジオ104にお けるライヴ収録です!
1925年、ルーマニアの首都ブカレヒトに生まれたコンスタン。その後フランスに移住。パリ音楽院でメシアン、ブーランジェ、オネゲルら20世紀を代表する作曲 家に師事し、1963年には現代音楽アンサンブル「アルスノヴァ」を設立したことでも知られる音楽家です。作曲家、編曲家としてのキャリアだけでなく指揮者とし ても活躍しましたが、録音は非常に貴重。ことに交響曲を振った録音は非常に珍しく、この度日の目を見た音源は指揮者コンスタンを知れる貴重な記録です。
終始澄み切った解釈で清らかな音楽を展開するコンスタンのブルックナーは息をのむ美しさ。その高い音楽性を示したブルックナーの演奏は指揮者としての力量 の高さをあらわしております。
※このレーベルの商品は早期に廃盤となるケースが多いので、お早めのご注文をおすすめいたします。

TCO
TCO-0005(1SACD)
ジョージ・ウォーカー:アンティフォニー
シンフォニア第4番「Strands」
ライラック*
シンフォニア第5番「Visions」
フランツ・ウェルザー=メスト(指)
クリーヴランドO
ラトニア・ムーア(S)*

録音:2020年10月、2021年10月、2022年3月
フランツ・ウェルザー=メストが率いるクリーヴランド管のレーベル最新作は、2022年が生誕100年となるアメリカを代表する作曲家、ジョージ・ウォーカー (1922-2018)の作品集!ピューリッツァー賞を受賞した声楽とオーケストラのための作品「ライラック」、そして弦楽合奏のための「アンティフォニー」およびシ ンフォニア第4番&5番を収録しています。 「ジョージ・ウォーカーの音楽はとても濃密で、それが10分ほどの作品だとしても、30分の長さのほかの音楽と同じくらい精神的に疲弊します。トリッキーであり、 難しく、要求が多く、挑戦的で、激しさと本物の声があります。私はそれを非常に楽しんでいます。」(ウェルザー=メストの言葉) ジョージ・ウォーカーは、1996年に音楽家として初めてピューリッツァー賞(音楽部門)を受賞した、アメリカを代表する作曲家。1922年、ジャマイカからの移 民で医師であった父と、アメリカの政府の印刷局で働いてウォーカーの才能を早くから認めた母のもとに生まれました。オバーリンでピアノを学んだのち、カーティ ス音楽院でピアノと作曲を学び、1945年、同音楽院初の黒人の卒業生となりました。クリーヴランド管との縁は、1947年4月にまでさかのぼります。当時就任 2年目に入ったばかりの音楽監督、ジョージ・セルに「親愛なるマエストロ・セル、はじめてお便り申し上げます。この弦楽合奏のためのアダージョをご覧いただき たく存じます。この曲を気に入っていただき、演奏していただけることを願っています。・・・」という手紙とともに、作品を送ったのです。セルはこの時この作品 を演奏はしませんでしたが、のちにこれは「弦楽のためのリリック」という名で傑作のひとつに数えられることとなりました。ウォーカーは、生涯を通じて、自分の 音楽を世界の偉大なオーケストラや有名なホールで演奏してもらうために闘い続けました。ウォーカーは2018年、彼の作品に再び注目が集まるのを見届けるこ となく、96歳でこの世を去りました。 本盤の中でも特に注目なのが、声楽とオーケストラのための作品「ライラック」。ウォルト・ホイットマンによるエイブラハム・リンカーンへの追悼詩「When Lilacs Last in the Dooryard Bloom'd」の4節に合わせたこの作品で、ウォーカーは、この作品でピューリッツァー賞を受賞しました(ボストン響による委嘱作、世界 初演は小澤征爾の指揮によって1996年に行われました)。無調作品ですが、歌の旋律は常にハーモニーに彩られて、ライラック、鳥、星というこのテキストの3つ の重要な要素が効果的に音で描かれてゆきます。 (Ki)

BRIDGE
BCD-9572(1CD)
アメリカのロマンティシズムの古典
ブリストー(1825-98):交響曲第4番
「理想郷」
フライ(1813-64):ナイアガラ交響曲
レオン・ボツタイン(指)
ザ・オーケストラ・ナウ

録音:2022年 1月 米国 ニューヨーク州 アナンデール=オン=ハドソン
ロマン派の珍しい作品を復活させることに尽力している指揮者、レオン・ボツタイ ンのBRIDGE への5枚目のCD は、19世紀半ばの米国の作曲家の珍しい交響曲 2曲。ジョージ・フレデリック・ブリストー(1825-1898)はニューヨークに生まれ育った 作曲家。交響曲第 4番「理想郷」は、米国への移民を扱った作品。ウィリアム・ヘン リー・フライ(1813-1864)は、フィラデルフィア生まれの作曲家、音楽評論家。ナイア ガラ交響曲は12分半の作品ながら大変意欲的な作風で、むしろ当時最先端だった 交響詩の分野の米国での最初の作品かもしれない。こうした作品ではレオン・ボツタ インの本領発揮で、レア作品好きには大いに満足できる内容でしょう。 ※Botstein は日本ではボットスタイン,ボトスタイン,ボツスタインなどと表記される が、本人はボツタインに近く発音しています。

ALPHA
ALPHA-898(1CD)
フランク:交響曲 ニ短調
交響詩「贖罪」 (管弦楽の断章) 第1版
交響詩「呪われた狩人」
フランクフルトRSO
アラン・アルティノグル(指)

録音:2022年1月、2022年6月 HRゼンデザール、ヘッセン放送、フランクフルト
コンサートのみならずオペラでも世界的に高い評価を得ているアラン・アルティノグル(アルティノグリュ)が、2020/21のシーズンからシェフを務め る(パンデミックのため実質2021/22シーズンから)フランクフルトRSOとの初録音に選んだのは、2022年が生誕200年であるフラ ンクの作品集。有名な交響曲と、演奏機会の多くない2曲を組み合わせたプログラムとなっています。特に「贖罪」は、オラトリオ『贖罪』の間 奏曲として1872年に作曲されたものの、翌年別の曲に差し替えられお蔵入りとなったもので、2021年に世界初録音(FUG791)が行われ た貴重な作品。今回の録音にあたっては「呪われた狩人」と共に、最新の出版譜が使用されています。故国フランスの近代音楽史に大きな 影響を与えたフランクの作品を、アルティノグルは深い共感を持って歌い上げます。

MClassics
MYCL-00040(1SACD)
税込定価
シューマン:交響曲第2番
ブラームス:大学祝典序曲
山下一史(指)
愛知室内オーケストラ

録音:2022年4月16日 名古屋、三井住友海上しらかわホール(ライヴ)
2022年4月、創立20周年を迎えた愛知室内オーケストラの音楽監 督に山下一史が就任しました。当盤は就任披露演奏会となった第 31回定期演奏会のライヴ・レコーディングです。愛知室内オーケストラ は国内外で研鑽を積んだ東海地区で活躍する演奏家で構成され、 近年では国内外の一流アーティスト、指揮者が客演しています。また、 あまり演奏機会のない楽曲を紹介するなど積極的な演奏活動が大き な注目を浴び、人気が高まっています。そのオーケストラが山下一史を 迎え新たな時代へと舵を切ります。就任披露に選んだ楽曲は、山下 が得意とする王道のドイツロマン派の代表作、シューマンの交響曲第2 番です。山下はオーケストラから瑞々しくも、深いコクのあるサウンドを 導き出します。このオーケストラ特有の溌溂とした自発的な音楽に、山 下の躍動感のあるダイナミックなサウンド。高らかに鳴り響く希望の音楽 をお聴き下さい。


Spectrum Sound
CDSMBA-118(1CD)
ベートーヴェン:交響曲第4番変ロ長調 OP.60
ドビュッシー:6つの古代のエピグラフ
ドビュッシー:「海」
エルネスト・アンセルメ(指)
フランス国立放送PO

ライヴ録音:1967年1月11日メゾン・ド・ラジオ・フランス内オリヴィエ・メシアン・ホール、スタジオ104(ステレオ)
音源:フランス国立視聴覚研究所音源提供
丁寧な復刻で評価を高めているスペクトラム・サウンド。当アルバムはフランス国立視聴覚研究所(INA)の貴重音源からの復刻、最新盤はアンセルメです!
「作曲家の精神にしたがうべき」と主張したアンセルメの音楽は時代、作品ごとに表情を変え、その強いこだわりが演奏にあらわれています。当演奏では得意と するベートーヴェンとドビュッシーで構成。ベートーヴェンでは構築のはっきりとさせながらも雄弁な語り口が実に印象的。後半のドビュッシーでは、作品が生まれ た時代を知るアンセルメならでは。詩的な雰囲気も見事に引き出しております。
亡くなる2年前、80代半ばとは思えぬほどの熱い音楽は、巨匠アンセルメだからこそといえましょう。ステレオで収録されていたことも非常に喜ばしく、臨場感 あふれる演奏を体感できます。 (Ki)
※このレーベルの商品は早期に廃盤となるケースが多いので、お早めのご注文をおすすめいたします。

Spectrum Sound
CDSMBA-117(1CD)
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付き」 マリア・ポーザ(S)、アルレット・シュデル(C.A)、ゲオルク・イェルデン(T)、ジャック・マルス(Bs)
フランス国立放送O&cho
ポール・パレー(指)

ライヴ録音:1966年11月8日シャンゼリゼ劇場(ステレオ)
音源:フランス国立視聴覚研究所音源提供
丁寧な復刻で評価を高めているスペクトラム・サウンド。当アルバムはフランス国立視聴覚研究所(INA)の貴重音源からの復刻で、20世紀を代表するフランス の指揮者ポール・パレーがフランス国立放送Oを振った、1966年11月8日、シャンゼリゼ劇場における「第九」のライヴ録音です!
当時80歳になろうという巨匠パレー。その熱量は当演奏でも実に凄まじいもの。パレーらしい雄々しく輪郭のはっきりとした快演は聴き手を興奮の渦に包みま す。当音源はステレオで収録されており、ソリストの生々しい歌声と臨場感のあるライヴ演奏を楽しめます。 ※日本語解説は付きません。 (Ki)
※このレーベルの商品は早期に廃盤となるケースが多いので、お早めのご注文をおすすめいたします。

BIS
BISSA-2669(3SACD)
シューマン:交響曲&序曲集
(1)交響曲第1番「春」
(2)ツヴィッカウ交響曲
(3)序曲.スケルツォとフィナーレ
(4)歌劇「ゲノヴェーヴァ」序曲
(5)序曲「メッシーナの花嫁
(6)交響曲第2番ハ長調 Op.61
(7)交響曲第4番ニ短調(原典版)
(8)「ゲーテのファウストからの情景」序曲
(9)序曲「ジュリアス・シーザー」
(10)交響曲第3番「ライン」
(11)交響曲第4番ニ短調(現行版)
(12)「マンフレッド」序曲
(13)序曲「ヘルマンとドロテア」
トーマス・ダウスゴー(指)、
スウェーデン室内O

録音:(3)(6)2005年3月、(7)(8)(9)2006年3月、(2)(12)2006年10月、(4)(5)2006年12月、(10)(11)2007年5月、(1)(11)(13)2007年8月/エレブルー・コンサートホール(スウェーデン)
ダウスゴーとスウェーデン室内Oによるシューマンの交響曲&序曲集がセットになって登場します!現代的感覚満点の鮮烈オーケス トレーションで独自のカラーを打ち出したシューマンの録音。交響曲第4番は原典版と現行版を収録。また、あまり聴く機会の少ない序曲も含まれていているのも 当セットのポイントです。小編成で透明なサウンドを持つスウェーデン室内Oの響きが「灰色の管弦楽法」と評されるシューマンのイメージを一新させていま す。
同コンビの録音は名盤揃い!ブラームスの交響曲全集(KKC-6443/6 / BIS SA-2556)、メンデルスゾーンの交響曲第1番&第3番『スコットランド』 (KKC-6432/ BIS SA-2469)、ブランデンブルク協奏曲と6人の作曲家による新作委嘱を交えた「ザ・ブランデンブルク・プロジェクト」(KKC-6359/61/ BIS SA-2199)はいずれもレコード芸術誌「特選盤」。またシューベルトの交響曲全集(BIS SA-2514)も高く評価されており、なかでも交響曲第5番 変ロ 長調 D.485(BIS SA-1786)と交響曲第8番 ロ短調 「未完成」 D.759(BIS SA-1656)の両曲は、レコード芸術誌の特集「新時代の名曲名盤500」で同 曲のベスト・ワン・ディスクに選ばれており、数多の名盤が揃う同曲の筆頭として注目されております。 (Ki)


King International
KKC-4310(1SACD)
シングルレイヤー
税込定価
モーツァルト:交響曲選集
(1)交響曲第32番ト長調KV318
(2)交響曲第33番変ロ長調KV319
(3)交響曲第34番ハ長調KV338
(4)交響曲第39番変ホ長調KV543
(5)交響曲第40番ト短調KV550
(6)交響曲第41番ハ長調KV551「ジュピター」
オトマール・スイトナー(指)
シュターツカペレ・ドレスデン

(1)録音:1974年1月4-7日、10月28日
(2)録音:1974年1月4-7日、10月28日
(3)録音:1974年1月4-7日、10月28日
(4)録音:1974年11月21、22日&1975年3月17、18日
(5)録音:1974年11月21、22日&1975年3月17、18日
(6)録音:1973年3月5、6日
全盛期のエテルナのアナログ・レコードの音を限りなく再現すべく、マスターテープから新規デジタル・マスタリングした、キングインターナショナルの新シリー ズ「ドイツ・シャルプラッテンETERNAの芸術」。企画監修には、ヴィンテージレコードショップ「エテルナトレーディング」の店主で、日本にETERNAのレコー ドを流布させた“仕掛け人”でもある高荷洋一氏を招き、最大限アナログ・レコードに忠実な音質を目指すべく、徳間より受け継ぎ、キングレコードに保管され ているマスターテープからSACD用に通常3倍の時間をかけマスタリングを行いました。第1弾として、アナログ時代から最も美しいモーツァルト演奏として高 く評価されている、スウィトナー指揮シュターツカペレ・ドレスデンのモーツァルト:交響曲選集(第32〜34番、第39〜41番)をリリース。 またブックレットには、高荷氏によるエテルナの歴史と録音についての詳細な解説、音楽評論家でありレコードの歴史にも精通している重鎮板倉重雄氏による日 本でのエテルナの受容史をまとめた「徳間ジャパンとドイツ・シャルプラッテン」、ドイツ文学者の粂田 文による東ドイツの痕跡をめぐる考察「東ドイツの2つの 録音」、さらに座談など充実の内容が収められており、往時、壁の向こうで鳴り響いていた真に真面目な音の記録を感じ取ることができます。
第2弾リリースは、ズスケ・カルテットの「ベートーヴェン:弦楽四重奏全集」を予定(2023年1月予定)しています。 (Ki)

オクタヴィア
OVCL-00796(1SACD)
税込定価
2022年12月21日発売
ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」(1878/80年稿 ノーヴァク版) ジョナサン・ノット(指)
東京SO

録音:k2021年10月16日 東京・サントリーホール・ライヴ
ジョナサン・ノットと東京SO、すっかりお馴染みのベストコンビが着実に積み重ねてきたブルック ナー。中でもひときわ人気の高い交響曲第4番「ロマンティック」が満を持してリリースとなります。2021年 10月サントリーホールで行われた演奏会のライヴレコ―ディング盤で、EXTONレーベルでは第8番、第5 番、第9番に次ぐ第4弾です。細部まで神経を張り巡らせ、そこから生まれる極上のハーモニーを丁寧に積 み上げ、大伽藍となるエネルギー。重厚なサウンドとライヴならではの臨場感が聴くものを圧倒し、興奮へ と導きます。相思相愛のノット&東響にしか成しえない名演です。(オクタヴィア)

CD ACCORD
ACD-299(1CD)
NX-C09
ペンデレツキ:ピアノ協奏曲「復活」(2007年版)
交響曲第2番「クリスマス」
バリー・ダグラス(P)
ワルシャワPO
アンドレイ・ボレイコ(指)

録音:2022年3月11日&12日(1-3)、2021年11月27日(4-6)
ワルシャワ・フィルハーモニー・ホール
ポーランドを代表するレーベルから故クシシュトフ・ペンデレツキに捧げるアルバム。 ピアノ協奏曲「復活」は ペンデレツキ自身が"ネオロマンティックな精神から生まれた"と語っており、2001年に起きたアメリカ同時多発テロ事件への思いも込 められています。2001年から翌年にかけて初稿が書かれ、2007年に改訂が施されました。バルトークやプロコフィエフを思わせるサウンドと、最終楽章に現 れる美しい聖歌の旋律が強い印象を残します。 「クリスマス」と題された交響曲第2番は1980年にズービン・メータとニューヨーク・フィルの委嘱で書かれた作品で、クリスマスの聖歌が曲のあちこちに引用さ れていますが、曲全体としてはショスタコーヴィチに近い激しさを持っています。 アンドレイ・ボレイコはサンクトペテルブルク生まれですが父方はポーランド系で、2019/20のシーズンよりワルシャワPOの音楽監督を 務めています。 ペア・ノアゴーとヨーン・ストルゴーズ

CPO
CPO-777898(1CD)
NX-B10
ルイ・グラス(1864-1936):交響曲全集 第3集
交響曲第4番ホ短調 Op. 43
ライン州立PO
ダニエル・ライスキン(指)

録音:2014年6月24日-7月1日
ダニエル・ライスキンとライン州立POによるルイ・グラスの交響曲集。第3弾は演奏時間に 約1時間を要する大規模な交響曲第4番の登場です。ルイ・グラスはニールセンと同じ時代に活躍したデンマーク の作曲家ですが、彼の創作の源泉は留学先のブリュッセルで影響を受けたフランクとブルックナーでした。この作品 は1905年に構想され、完成したのが1908年のこと。3管編成に6本のホルンを擁する、彼の交響曲の中でも最 も強力な管楽器セクションを有しており、また以前の3つの交響曲よりも厳格な構成によって書かれており、それま での彼の特質でもあった牧歌的な雰囲気はありません。1911年にコペンハーゲンで初演され、すぐに注目を集め 同地で何度も演奏された他、サンクトペテルブルク、オスロ、ストックホルムでも相次いで演奏、そして1930年には ワルシャワ、作曲家の死後の1936年には更に3回演奏された記録があります。その後は残念なことに公開演奏 が行われることはありませんでしたが、彼はこの作品で同時代デンマークにおける最も重要な交響曲作曲家として の地位を固めることとなりました。
CPO
CPO-555556(1CD)
NX-B10
グラジナ・バツェヴィチ:交響的作品全集 第1集
交響曲第3番(1952)
交響曲第4番(1953)
ケルンWDRSO
ウカシュ・ボロヴィチ(指)

録音:2021年11月20-26日
cpoレーベルの新シリーズ、グラジナ・バチェヴィチの交響的作品全集。第1集では1950年代に書かれた2つの交 響曲を収録。どちらも彼女が交通事故でけがを負う前の作品であり、パリ留学で培ったフランスの微妙な音色の 使い分けがなされた見事に活きています。第3番は大編成のオーケストラのために書かれているものの、新古典派 の伝統に基づく軽快な表現も見いだせるユニークな作品です。第4番も同様で、編成にはイングリッシュホルン、E ♭およびバスクラリネット、コントラファゴット、ハープなどが加わっており、多彩な響きが随所に用いられています。 また、作品には彼女の特質でもあるポーランドの民俗音楽の素材を採り入れており、伝統とインスピレーションの 見事な融合が味わえます。演奏はポーランド人指揮者ウカシュ・ボロヴィチが指揮するケルンWDRSO。こ の新しいプロジェクトを担うにふさわしい顔ぶれです。

SOMM
ARIADNE-5019(2CD)
NX-C09
ヴォーン・ウィリアムズ・ライヴ 第3集
【CD1】
1-9. 交響曲第2番「ロンドン交響曲」
10-17. 交響曲第5番

【CD2】
1-4. 交響曲第5
5-10. カンタータ「ドナ・ノビス・パーチェム」
LSO…CD1:1-9
LPO…CD1: 10-17、CD2:1-4
レニー・フリン(S)…CD2:5-10
ロイ・ヘンダーソン(Br)…CD2:5-10
BBC響&cho……CD2:5-10
レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ(指)

録音:全てライヴ
1946年7月31日…CD1:1-9
1943年7月31日…CD1:10-17
1952年9月3日…CD2:1-4
以上、BBCプロムス Royal Albert Hall,London(UK)
1936年11月 BBC Studios, England(UK)…CD2: 5-10
2022年、ヴォーン・ウィリアムズ生誕150年を記念したアルバムの第3集。今作はヴォーン・ウィリアムズ自身がタクトを執った4つの作品をクリアな音で復刻し ています。アルバムの1枚目には、1946年プロムスで演奏された「交響曲第2番」のLSOによる演奏と、1943年にロンドン・フィルハーモニー管 弦楽団が世界初演した際の「交響曲第5番」を収録。またCD2には同じくロンドン・フィルが1952年に演奏した「交響曲第5番」と、1936年に録音された BBCSO&合唱団との「ドナ・ノビス・パーチェム」が収録されています。 今回の復刻も、これまでのシリーズと同じく、英国を代表するリマスター・エンジニア、ラーニ・スパールが手掛けています。なお、ブックレットにはヴォーン・ウィリア ムズの評伝を執筆した英国の研究家サイモン・ヘファーによる解説(英語のみ)が掲載されており、ヴォーン・ウィリアムズと2番目の妻アーシュラ・ウッドの関 係など、これまであまり知られることのなかった興味深いテーマに光が当てられています。 ペア・ノアゴーとヨーン・ストルゴーズ

philharmonia・rec
PHR-0113(1CD)
ドヴォルザーク:交響曲第8番ト長調Op.88
交響曲第7番ニ短調Op.70
フィルハーモニア・チューリッヒ
ジャナンドレア・ノセダ(指)

録音:2021年10月(第8番)、2022年3月(第7番)、チューリッヒ歌劇場(ライヴ)
ファビオ・ルイージの後任として2021/22シーズンよりチューリッヒ歌劇場の音楽監督を務めているジャナンドレア・ノセダ。先日、契約期間を2027/28 シーズン終了までと延長を発表。就任から充実の関係を築いている両者初のディスクがリリースされます。
ノセダがチューリヒとの最初の演奏会で選んだプログラムは、ドヴォルザークの交響曲第8番。この作品は、夏の間に避暑として過ごしていたボヘミアの小さ な村ヴィソカで作曲されました。ドヴォルザークは、このヴィソカの自然豊かで美しい情景に触発され、交響曲第8番をはじめ「ルサルカ」や「アルミーダ」 などの数々の名作を生み出しています。またアメリカで国際的成功を収めた後も、ここヴィソカの別荘で晩年を過ごしたといいます。交響曲第8番は、ヴィソカ での幸福感に満ちた生活を表すかのように、明るくボヘミアの抒情に溢れた作品となっています。ノセダは、均整の取れた調和的な響きを保ちつつ、メリハリの 利いた表現で楽曲を華やかに締めくくっています。
そしてカップリングには、別日に演奏された同じくドヴォルザークの交響曲第7番。ドヴォルザークの後期三大交響曲の中で最初の作品となりますが、第8番 が「陽」とすれば第7番は「陰」。ブラームスの交響曲第3番を意識して作曲したと言われ、シンフォニックな重厚感とボヘミアの民族的な雰囲気を感じられる 作品です。ノセダとチューリヒの演奏は、厚みのある響きの中にも、美しく透明感のある音色で自然な流れを作っています。またノセダの楽曲を深く読み込んだ 多彩な表現の数々は、新鮮な驚きがあり何度も聴きたくなる演奏です。

GRAND SLAM
GS-2282(1CD)
ベートーヴェン:交響曲第4番変ロ長調 Op.60
交響曲第7番イ長調 Op.92
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)VPO

録音:1952年12月1&2日、1950年1月18&19日*/ムジークフェラインザール(ウィーン)
使用音源:Private archive (2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
■制作者より 
フルトヴェングラー&VPOのセッション録音によるベートーヴェンの交響曲第4番+第7番ですが、2トラック、38センチのオープンリール・テープによる復刻盤はGS-2166(2017年)として一度発売しています。しかしながら、前回の第3番「英雄」(GS-2280)と同じく、高品質のテープにプリントしたものを再度取り寄せ、マスタリングの全行程をプロ用の機器で行いました。これ以上はあり得ないレベルに達したと自負しています。 フルトヴェングラーと言えば、最近55枚組のボックス・セットが話題になりました。あのリマスターは演奏中に発生したノイズを取り除き、聴きばえをよくするために高域を極端に強調したものです。これも考え方のひとつですが、果たしてこれがオリジナルの良さを伝えているのか疑問に思えます。 なお、解説書はGS-2166よりも増ページして、資料を充実させました。(平林 直哉)


OTTO KLEMPERER FILM FOUNDATION
KKC-4317(16SACD)
クレンペラー&ウィーン響/ VOXレコーディング&ライヴ録音集1951〜1963


■Disc1
ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」
メンデルスゾーン:交響曲第4番「イタリア」
■Disc 2
ベートーヴェン:ミサ・ソレムニス
■Disc 3
ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」
■Disc 4
マーラー:交響曲第2番「復活」
■Disc 5
マーラー:交響曲第2番「復活」
■Disc 6
マーラー:大地の歌
■Disc 7
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」
シューベルト:交響曲第4番「悲劇的」*
■Disc 8
メンデルスゾーン:交響曲第3番「スコットランド」
ショパン:ピアノ協奏曲第2番*
■Disc 9
シューマン:ピアノ協奏曲イ短調 Op.54
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番
■Disc 10、11
モーツァルト:交響曲第41番「ジュピター」
マーラー:交響曲第4番ト長調
■Disc 12、13
バッハ:管弦楽組曲第3番
ブラームス:交響曲第3番
ベートーヴェン:交響曲第7番
■Disc 14
録音:1958年2月26日(ライヴ)
ブルックナー:交響曲第7番
■Disc 15、16
ベートーヴェン:序曲「コリオラン」
交響曲第2番ニ長調 Op.36
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
オットー・クレンペラー(指)ウィーンSO

■Disc1
録音:1951年3月8〜12&15日(VOX)
■Disc 2
イローナ・シュタイングルーバー(S)、エルゼ・シュールホフ(C.A)、エーリヒ・マイクート(T)、オットー・ヴィーナー(Bs)、ウィーン・アカデミーcho
録音:1951年3月8〜12&15日(VOX)
■Disc 3
録音:1951年3月8-12&15日(VOX)
■Disc 4
イローナ・シュタイングルーバー(S)、ヒルデ・レッセル=マイダン(Ms)、ウィーン・アカデミーcho、ウィーン楽友協会cho
録音:1951年5月14-16日(VOX)
■Disc 5
イローナ・シュタイングルーバー(S)、ヒルデ・レッセル=マイダン(Ms)、ウィーン・アカデミーcho ウィーン楽友協会cho
録音:1951年5月18日(ライヴ)
■Disc 6
エルザ・カヴェルティ(A)、アントン・デルモタ(T)
録音:1951年5月20-23日(VOX)
■Disc 7
録音:1951年5月20-23日(VOX)
プロ・ムジカO*
録音:1950年11月19-20日、パリ*
■Disc 8
ヘルベルト・ハフナー(指,第1楽章のみクレンペラーの指揮)
録音:1951年5月20-23日(VOX)
ギオマール・ノヴァエス(P)*
録音:1951年6月9-11日(VOX)*
■Disc 9
ギオマール・ノヴァエス(P)
録音:1951年6月9-11日(VOX)
■Disc 10、11
テレサ・シュティッヒ=ランダル(S)、録音:1955年6月21日(ライヴ)
※全コンサートCD初収録
■Disc 12、13
録音:1956年3月8日(ライヴ)
※全コンサートCD初収録
■Disc 14
録音:1958年2月26日(ライヴ)
■Disc 15、16
1963年6月16日(ライヴ)
※全コンサートCD初収録
アメリカに亡命したユダヤ系ハンガリー人であるジョージ・デ・メンデルスゾーン=バルトルディ(大作曲家メンデルスゾーンの子孫だと称していた)によって、 1945年に創設されたアメリカのレーベル、ヴォックス・レコード(VOX)。クレンペラーをはじめ、ホーレンシュタイン、ホルショフスキ、ブレンデル、ギトリス、といっ た一流の演奏家の録音を多く残しています。 今回リリースされるセットは、クレンペラーとウィーンSOによる1951年のVOXレコーディングと1963年までのライヴ録音を、SACD用にリマスタリングし た16枚組SACD Hybridのボックスです。リマスタリング&修復エンジニアのボリス=アレクサンダー・ボールズ氏は、「これらの芸術的な価値がきわめて高い歴史 的なスタジオ録音とコンサート録音を復刻するにあたって、私たちの主要な意図は、音楽の情報をできるだけ欠陥のない無傷な状態に保ち、劣化する要因を取り除 いて最大限に自然な音を提供することにあった。」と語っており、現在の基準に沿った実りあるリスニング体験が得られるよう、細心の注意が払われています。
最初にクレンペラーがVOXに録音したのは、1946年パリでプロ・ムジカOとのバッハの「ブランデンブルク協奏曲」、その後に1950年にはモーツァル ト交響曲第25&36番を録音。そしてメンデルスゾーンが新たにクレンペラーに提案したのがウィーンSOとの録音シリーズです。1951年のVOXへの録音 は、クレンペラーの指揮者としてのキャリアのなかでもきわめて重要な年だったと捉えられています。クレンペラーは、戦後ヨーロッパに戻って行った演奏活動におけ る第1期(1946〜51年)で、戦前の名声を再確立することができました。この時期は、アムステルダム・コンセルトヘボウOとの高水準な演奏の数々(伝説 的アムステルダム・コンサート1947-1961/KKC4258)と並ぶ魅力的な記録となっています。特にここに収録されているベートーヴェンの「ミサ・ソレムニス」 は、レコード化されたクレンペラーのその他の演奏と比べても類をみない演奏となっています。特に晩年クレンペラーは、楽曲の構造をより深く展開し、次第にテンポ を遅くするようになります。1946〜51年頃のクレンペラーは戦前のスタイルを引き継いでおり、時として速めのテンポをとるなど、推進力のある演奏を展開してお り、そういう意味でも1951年はクレンペラーの演奏の分水界でありました。特に7月に行われたオランダ音楽祭でのマーラーの「復活」はその頂点を極めている といっても良いでしょう。
1951年のVOXレコーディングは3回に分かれて行われました。そして周知の通り3回目の録音の後、クレンペラーはVOXと決別することになります。クレンペ ラーは6月9〜11日にかけて、メンデルスゾーンの「スコットランド」(すべて録り終えることはできなかった)、とピアニストのギオマール・ノヴァエスとのピアノ協 奏曲の録音を行い、6月14日からウィーンSOとともにギリシア・ツアーに出ています。その後クレンペラーの予定ではウィーンには戻らず、ロンドンへ行き、 南北アメリカ・ツアーを終えたのち、1952年はじめにウィーンに戻り、残りを録音するつもりでいました。しかし、1951年9月には、クレンペラーが録音したレコー ドが発売されており、まだ録音してないはずの「スコットランド」はクレンペラー指揮として全曲リリースされていたのです。(未録音の楽章は、ヘルベルト・ハフナー によって録音されていた)それを知ったクレンペラーはVOXと関係を断つことにします。 しかし、その間にクレンペラーにはさらなる災難が降りかかっていました。南米でのコンサートが成功を収め、ニューヨーク経由でモントリオールに戻ったクレンペラー は、階段を踏み外し転倒、大腿骨骨折という大怪我を負います。予定されていた北米ツアーは中止、さらには長期にわたり国外に滞在したこと共産圏ハンガリーでの 滞在歴などが重なりパスポートが没収され、1954年1月までヨーロッパに渡ることが出来なくなりました。うつ状態の2年間を過ごすことになったクレンペラーで すが、好機も到来します。レコード・プロデューサー、ウォルター・レッグの仲介によりEMIとの新しい契約が締結、後のレコード史に刻まれた名演の数々を生み出 すことになります。
また同時収録されているウィーンSOとのライヴ録音も注目。ウィーンSOとクレンペラーのはじめての共演は1920年12月18日のベートーヴェン音 楽祭でのコンサートでした。そして1958年10月1日未明の寝煙草による火災で負った大火傷など度々の災難を経て、1963年6月16日アン・デア・ウィーン 劇場でウィーンSOとのコンサートが行われました。偶然かそうでないかは定かではありませんが、クレンペラーが初めてウィーンSOと共演したコンサート と同じく、両者最後の共演となったコンサートもまたオール・ベートーヴェン・プログラムとなりました。1920年の演目は、交響曲第2番、レオノーレ序曲、交響曲第 5番でしたが、1963年はコリオラン序曲、交響曲第2番、第3番という順で演奏されました。この演奏会を聴きに来ていたオーストリアの作家フランツ・タッシエが このように書き残しています。「ウィーンSOは素晴らしかった。偉大な夜に、偉大な指揮者としか演奏しないかのように振る舞うやり方を、彼らが知っていた」 (Ki)


Altus
ALT-521(6CD)
限定生産
準・メルクル&N響/ライヴシリーズ・コレクション
【ALT006/7】(2CD)
(1)ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
(2)R.シュトラウス:死と変容
(3)ドビュッシー:交響詩『海』
(4)モーツァルト:『ドン・ジョヴァンニ』序曲
(5)ブラームス(シェーンベルク編):ピアノ四重奏曲第1番 ト短調
【ALT017】
(1)バルトーク:ルーマニア民俗舞曲
(2)ドヴォルザーク:交響曲第9番ホ短調『新世界より』
【ALT057】
(1)メンデルスゾーン:交響曲第3番イ短調『スコットランド』
(2)メンデルスゾーン:交響曲第4番イ長調『イタリア』
【ALT081/2】(2CD)
マーラー:交響曲第2番『復活』
準・メルクル(指)NHK響

【ALT006/7】(2CD)
ライヴ録音:(1)〜(3)1997年6月23日サントリーホール、
(4)(5)1998年4月29日NHKホール
【ALT017】
ライヴ録音:(1)2001年1月17日サントリーホール、
(2)2001年1月27日NHKホール
【ALT057】
ライヴ録音:(1)2001年1月17日サントリーホール、
(2)2001年9月14日NHKホール
【ALT081/2】(2CD)
ミカエラ・カウネ(S)、
リオバ・ブラウン(Ms)、
二期会cho
ライヴ録音:2003年10月23日NHKホール
2022年のNHK音楽祭で来日し素晴らしい演奏を聴かせた準・メルクル。ALTUSより発売された準・メルクルとNHKSOのライヴを網羅したセットが 限定生産で登場します。輝かしいN響デビューとなった97年のドビュッシー&シュトラウスから、CD化の要望が多かったメンデルスゾーン、2003年度のN響ベ ストコンサート2位に入った『復活』など、4タイトル6枚分を全て収録!どれも素晴らしい演奏と音質を誇るALTUS屈指の名シリーズ。単売のパッケージをケー スごとそのまま紙スリーブに入れた仕様で、これはお買い得! (Ki)

Profil
PH-20038(2CD)
ブルックナー:交響曲第4番『ロマンティック』(1878/80年稿)
交響曲第5番変ロ長調
ルドルフ・ケンペ(指)
ミュンヘンPO

録音:1975、1976年ミュンヘン
過去の名録音のリマスター復刻にも力を入れているProfilより、最晩年ケンペの超名盤が登場!少しずつ現れてくる主題を絶妙にコントロールし雄大に鳴らしき り、複雑な箇所でも推進力を失うことなく旋律を歌わせ、かつ全体を見晴らしよく描き音楽を構築していく、古今東西のブルックナー演奏のなかでも最高峰と謳わ れる4番と5番です。ケンペの揺るぎない演奏解釈とミュンヘン・フィルの美しく渋みのある音色が織り成す大名演!
これまでもいくつかレーベルを変えてリリースされてきた音源ですが、新しい音で聴けるのが興味深いところ。Volker Rittinghaus氏による新規リマス タリング。 (Ki)
Profil
PH-20037(3CD)
ブラームス:交響曲全集
交響曲第1番ハ短調 Op.68
交響曲第2番ニ長調 Op.73
交響曲第3番へ長調 Op.90
交響曲第4番ホ短調 Op.98
ハイドンの主題による変奏曲
ルドルフ・ケンペ(指)
ミュンヘンPO

録音:1974、1975年ミュンヘン
過去の名録音のリマスター復刻にも力を入れているProfilより、最晩年ケンペの超名盤が登場!正攻法でありながら杓子定規的な硬さが微塵もなく、自然な揺 らぎをもつ生きた音楽として奏でられるブラームス。ケンペのこまやかなコントロールが曲の隅々まで行き届いた、絶妙としか言いようのない音楽の流れに胸を打 たれます。交響曲全4曲にハイドン変奏曲、どれも類まれな名演!
これまでもいくつかレーベルを変えてリリースされてきた音源ですが、新しい音で聴けるのが興味深いところ。Volker Rittinghaus氏による新規リマス タリング。 (Ki)


OTTO KLEMPERER FILM FOUNDATION
KKC-4315(2SACD)
1947年ザルツブルク音楽祭ライヴ / クレンペラー&ウィーン・フィル
ラジオ・アナウンス
パーセル(1659〜1695):組曲「妖精の女王」(ハロルド・バーンズ編)
ロイ・ハリス(1898〜1979):交響曲第3番(1939)
マーラー:交響曲第4番ト長調
ラジオ・アナウンス
オットー・クレンペラー(指)VPO
ヒルデ・ギューデン(S)

録音:1947年8月24日、ザルツブルク音楽祭、ライヴ
当ディスクは、1973年 7月 6日に世を去ったクレンペラーの、没後 50年の記念として企画。1947年 8月24日、ザルツブルクの祝祭劇場でウィーン・フィ ルを指揮したコンサートを収録したもので、これがクレンペラー唯一のザルツブルク音楽祭への出演。音源はオーストリア放送協会(ORF)の資料館で最近発見 され、スウェーデン放送のトランスクリプション・ディスク(放送用音源)を使用しリリースされます。これまでに、パーセルの組曲「妖精の女王」は発売されて いましたが、その他の音源は初出となり、コンサート・プログラムすべてを聴くことができる、貴重な盤となります。
2020年に創立100周年を迎えたザルツブルク音楽祭ですが、その歴史は戦争の影が色濃く残ります。1938年オーストリアはナチス・ドイツに併合され、 反ナチやユダヤ系の音楽家たちは一掃されてしまいます。逆に戦後は、戦中に活躍した芸術家が活動停止処分を受け、戦争の爪痕も残る中、1945年8月12 日に音楽祭は開催。そして1947年からはフルトヴェングラー、ベーム、クレンペラーが活動を再開、当演奏会の記録は戦前の活況を取り戻してきたそんな中開 催されたものでした。特に演目には、クレンペラーが自らを導いてくれる人として生涯尊敬し、ナチ政権下で、禁じられていたユダヤ系の大作曲家マーラーの交 響曲第 4番をメイン・プログラムとし、パーセルの組曲「妖精の女王」、アメリカ人作曲家のロイ・ハリスの交響曲第 3番を演奏し、戦後を強く意識した内容となっ ています。
1947年のクレンペラーは、アメリカへの亡命以降、2度目の欧州ツアーのために渡欧。8月にはこのザルツブルク音楽祭に出演しオーケストラ・コンサート と「フィガロの結婚」を(指)その後ウィーン国立歌劇場で「ドン・ジョヴァンニ」を(指)そしてブダペスト国立歌劇場音楽監督に就任し、12月にはコンセル トヘボウOに客演と多忙を極めていました。しかしその中でも、このザルツブルク音楽祭はこの年のハイライトであり、またその裏側にもドラマがありま した。当時まだ知名度の低かったオーストリア人作曲家、ゴットフリート・フォン・アイネム(1918〜1996)の新作オペラ「ダントンの死」がクレンペラーの手 でザルツブルク音楽祭にて世界初演されるはずでした。しかしクレンペラーは一度は引き受けたものの、興味を失ってしまい指揮をキャンセルします。この件が 原因で以後クレンペラーはザルツブルク音楽祭への出演機会がなくなってしまいます。一方、代役とし
一つの演奏会から歴史の裏側が見て取れる、非常に興味深い内容となっています。 (Ki)

オクタヴィア
OVCL-00798(1SACD)
税込定価
2022年11月23日発売
ハイドン交響曲集Vol.17
交響曲第33番ハ長調 Hob.T:33
交響曲第48番ハ長調 Hob.T:48「マリア・テレージア」
交響曲第36番変ホ長調 Hob.T:36
飯森範親(指)
日本センチュリーSO

録音:2019年11月22日 大阪、いずみホール・ライヴ
日本センチュリーSOが首席指揮者の飯森範親と共にスタートした「ハイドンマラソン」は、 フランツ・ハイドンのすべての交響曲を演奏しようという一大プロジェクト。当盤は第20 回コンサートのライヴ収録です。 幾度の公演を重ね、信頼関係を築いてきた飯森と日本センチュリー響は、精緻な構築と、細 部までこだわりぬいた感性で、気品あふれるハイドンを奏でています。柔和で晴々とした優美な 演奏は、まさに彼らの真骨頂といえるでしょう。(オクタヴィアs)

LSO Live
LSO-0570(4SACD)
ブラームス:交響曲全曲他
交響曲第1番ハ短調 op.68
悲劇的序曲 op.81
ヴァイオリンとチェロのための協奏曲 イ短調 op.102(二重協奏曲)
交響曲第2番ニ長調 op.73
セレナード第2番イ長調 op.16
交響曲第3番ヘ長調 op.90
交響曲第4番ホ短調 op.98
ベルナルト・ハイティンク(指) LSO
ゴルダン・ニコリッチ(Vn)、
ティム・ヒュー(Vc)

録音:2003-2004年/バービカン・センター
ハイティンク&LSOのブラームスの交響曲シリーズが、2022年最新リマスタリングでSACDハイブリッドで登場!かつて第3番(LSO 0544)および第4番(LSO 0547)収録の盤のみ、SACDハイブリッドでリリースされていましたが、全曲そろっての最新リマスタリングでの登場となります。ハイティンクとLSOとの 素晴らしい信頼関係を、よりリアルに感じ取れる貴重なリリースです! (Ki)

TUDOR
TUD-1741(2SACD)
NX-C07
ブラームス:交響曲第1番ハ短調 Op. 68
ブラームス:ハンガリー舞曲集
 第1番/第3番/第10番
ドヴォルザーク:交響曲第6番 ニ長調 Op. 60
ブラームス:ハンガリー舞曲集
 第17番/第18番/第19番
 第20番/第21番
バンベルクSO
ヤクブ・フルシャ(指)

録音:2020年9月21-24日、2021年1月25日、2021年1月22-25日、2020年9月24日、2020年10月1日
CD層…Stereo
SACD…Stereo、マルチチャンネル5.1
チェコのブルノに生まれた指揮者ヤクブ・フルシャが、2016年から首席指揮者を務める名門バンベルクSOを指揮して録音を進めてきたドヴォルザーク &ブラームス・シリーズ、2作同時発売で一挙完結! バンベルクSOは、チェコのプラハにあったドイツ系住民によるオーケストラを前身としています。第2次大戦末期にチェコを逃れて古都バンベルクに移り 住んだ音楽家たちが終戦の翌年1946年にバンベルク響を旗揚げ。以後、重心の低いドイツ的なバランスと中欧的な音色を持つサウンドは、カイルベルト、 ヨッフム、ホルスト・シュタインといったドイツ系マエストロの音楽作りと相まって人気がありました。近年はジョナサン・ノットの下で機能性を一段と向上させ、そ のバトンを引き継いだフルシャと共に高い評価を得ています。 フルシャの発案でブラームスの4つの交響曲とドヴォルザークの最後の4つの交響曲を組みあわせるシリーズは、2017年にホ短調の2曲を組み合わせてス タートし、番号を遡ってリリースされ、コロナ禍を乗り越えて遂に完結します。フルシャは第1弾の原盤ライナーで、この二人の作曲家が自分自身とオーケスト ラにとって欠くことのできない存在であること、ブラ-ムスとドヴォルザークとの間には通じ合うものもあれば、似て非なるものもあり、二人の作品を対照させるこ とでそれが浮き彫りになると語っていました。 バンベルク響のブラームス:交響曲全集はホルスト・シュタイン(1997年)以来となります。フルシャは楽団のあたたかな響きを活かしつつ、中庸のテンポを採っ て旋律をのびやかに歌わせ、楽団の伝統を尊重した音楽作りを展開。 ヴァイオリンを両翼配置にし、第1番と第2番では第1楽章のリピートを採り入れてス ケールの大きな音楽に仕上げています。今作では8曲のハンガリー舞曲も収録。こちらも聴きどころです。 また、チェコゆかりのバンベルク響とはいえ、ドヴォルザークの交響曲の録音は一部を除くと決して多くない点でも注目です。今回のリリースでは、ブラームスの 第2番から影響を受けたとされる同じ調性の第6番をブラームスの第1番と合わせるという意外性も魅力。牧歌的な旋律をたっぷりと歌わせます。
TUDOR
TUD-1742(2SACD)
NX-C07
ブラームス:交響曲第2番ニ長調 Op. 73
ドヴォルザーク::交響曲第7番ニ短調 Op. 70
バンベルクSO
ヤクブ・フルシャ(指)

録音:2019年5月6-8日、2020年9月28日-10月1日
CD層…Stereo
SACD…Stereo、マルチチャンネル5.1
チェコのブルノに生まれた指揮者ヤクブ・フルシャが、2016年から首席指揮者を務める名門バンベルクSOを指揮して録音を進めてきたドヴォルザーク &ブラームス・シリーズ、2作同時発売で一挙完結! バンベルクSOは、チェコのプラハにあったドイツ系住民によるオーケストラを前身としています。第2次大戦末期にチェコを逃れて古都バンベルクに移り 住んだ音楽家たちが終戦の翌年1946年にバンベルク響を旗揚げ。以後、重心の低いドイツ的なバランスと中欧的な音色を持つサウンドは、カイルベルト、 ヨッフム、ホルスト・シュタインといったドイツ系マエストロの音楽作りと相まって人気がありました。近年はジョナサン・ノットの下で機能性を一段と向上させ、そ のバトンを引き継いだフルシャと共に高い評価を得ています。 フルシャの発案でブラームスの4つの交響曲とドヴォルザークの最後の4つの交響曲を組みあわせるシリーズは、2017年にホ短調の2曲を組み合わせてス タートし、番号を遡ってリリースされ、コロナ禍を乗り越えて遂に完結します。フルシャは第1弾の原盤ライナーで、この二人の作曲家が自分自身とオーケスト ラにとって欠くことのできない存在であること、ブラ-ムスとドヴォルザークとの間には通じ合うものもあれば、似て非なるものもあり、二人の作品を対照させるこ とでそれが浮き彫りになると語っていました。 バンベルク響のブラームス:交響曲全集はホルスト・シュタイン(1997年)以来となります。フルシャは楽団のあたたかな響きを活かしつつ、中庸のテンポを採っ て旋律をのびやかに歌わせ、楽団の伝統を尊重した音楽作りを展開。ヴァイオリンを両翼配置にし、第1番と第2番では第1楽章のリピートを採り入れてス ケールの大きな音楽に仕上げています。 また、チェコゆかりのバンベルク響とはいえ、ドヴォルザークの交響曲の録音は一部を除くと決して多くない点でも注目です。ボヘミア民族色の強い第7番では 全編にわたりフルシャならではの音楽が展開されています。

Epitagraph
EPITA-029(1CD)
(UHQCD)
ブルックナー:交響曲第9番ニ短調 (原典版) ブルーノ・ワルター(指)VPO

録音:1953年8月20日(ザルツブルク音楽祭) 祝祭劇場、ザルツブルク(ライヴ)
1953年という年はワルターにとって、充実・多忙の1年となりました。米コロンビアレコードにニューヨーク・フィル(NYP)とモーツァルト「35番ハフナー」 「39番」「40番」、ブラームス「1〜3番」などを録音する一方で、ウィーン・フィル(VPO)とともに8月にザルツブルク音楽祭、9月にはエジンバラ音楽祭に 出演しています。ちなみに9月8日エジンバラでのブラームス「ドイツ・レクイエム」=Epitagraphレーベルの EPITA.019はこのときのライヴです。
53年8月19・20日、ザルツブルク音楽祭で行われた2日間の2日目の録音。プログラムのほかの曲目は、初日が「オイリアンテ」序曲、モーツァルト「プラハ」、 2日目はベートーヴェン「2番」でした。 ワルターは総じて速めのテンポで歩を進め、ときおり見せる優美な表情が安らぎを与えてくれます。圧巻はフィナーレ。引き締まった表情で劇的に歩みを進める強 い意志と劇的構成力は圧倒的な感動を生み出してやみません。ウィーン・フィルは強靭かつしなやかに美音を響かせ、この名曲の深遠・崇高・広大な世界に没入 させてくれます。曲の最初から終わりまで途切れはなく、終了後は拍手がはいっていますので臨場感も豊かというべきでしょう。 ワルターによるブルックナーの交響曲の録音は4番、7番、8番、9番が残されていますが、もっとも数多く取り上げたのが最後の第9番。1959年11月にコロン ビアSOを指揮してセッション録音をのこしているほか、ライヴだけでも5種類【(1)1946年3月17日カーネギーホール(CaH)におけるNYP盤、(2)48年 2月28日フィラデルフィアO盤、(3)本盤、(4)53年12月27日CaHにおけるNYP盤、(5)1957年2月10日CaHにおけるNYP盤】ありますが、最も 感動的な演奏をUHQCDにしてご紹介します。
放送音源より復刻されたテープからのCD化で、国内盤初登場になります。 音質は復刻につきまとうノイズこそ少し残っているものの、従来の海外盤を凌ぐ生々 しさ!高域の伸び、低域の重厚さ等、良好で鮮明な音。PP からffに変化するそのダイナミックレンジの広さも(この時代のものとしては)驚異的というしかありま せん。キング関口台スタジオで丁寧かつ最新技術によるリマスタリング、しかも“高音質CDの決定版”UHQCDにして発売!

Edition HST
HST-919(6CD)
PP ケース入り
税込定価
ヴァンハル(1739-1813)&伝ヴァンハル;15 の交響曲集 (HST-919)
■CD1(第15巻;HST-095)
ハ長調Bryan C8/ニ長調Bryan D6/
(伝)変ホ長調Bryan Es14=Grave Es15(ディッタース作?)
■CD2(第18巻;HST-106)
ハ長調Bryan C27
(伝)ハ長調Bryan C24=Kimball C14, (ホフマン作?)
(伝)ハ長調C25(シュテルケル作?)
■CD3(第21巻;HST-108)
ハ長調「デ・シリー」 Bryan C4
ハ長調「混乱稿」C7a
(伝)変ホ長調Bryan Es9(トウシュムラン作?)
■CD4(第22巻;HST-112)
(伝)ニ長調Bryan D11(シュテルケル作?)
(伝)イ長調Bryan A6(ディッタース作?)
■CD5(第23巻;HST-114)
ハ長調Bryan C28
(伝)変ロ長調Bryan B8(ケルツル作?)
■CD6(第24巻;HST-117)
ハ長調Bryan C18
(伝)変ホ長調Bryan Es11(ポコルニー作?)
ハイドン・シンフォ二エッタ トウキョウ
リーダー;松井利世子、
福本 牧(Vn)、
小原 圭(Vc)、他

録音:2010-19年、東京・三鷹、風のホール、近江楽堂(新宿)などにてライヴ収録
1790年代、作曲家を訪問した伝記作家ドウラヴェッツへ「交響曲100曲、弦楽四重 奏曲100曲、作曲した」と語ったが今日では70数曲のみの真作交響曲が伝承され、真 偽不明な伝ヴァンハル作が50曲近くにのぼる。

Glossa
GCD-921131(2CD)
ボッケリーニ:6つの交響曲 Op.35
交響曲 ヘ長調 Op.35-4/交響曲 変ロ長調 Op.35-6/交響曲 変ホ長調 Op.35-2/交響曲 イ長調 Op.35-3/交響曲 ニ長調 Op.35-1/交響曲 変ホ長調 Op.35-5
マルク・デストリュベ(コンサートマスター)、
18世紀オーケストラ

録音:2021年5月&2022年5月、カイゼル運河教会(アムステルダム、オランダ)
1782年に初演されたボッケリーニの「6つの交響曲」Op.35を、18世紀オーケストラのヴィオラ奏者、エミリオ・モレーノがその情熱と知識をもって改めて編集し収録しました。富と名声、仕事を求めてヨーロッパ中を旅していたボッケリーニは、1769年スペインの宮廷に招かれドン・ルイス皇子の演奏家兼作曲家として雇われました。その後ドン・ルイス皇子が権力争いに敗れ、失脚した後にもボッケリーニへの支援は止まず、特にまだスペインでは発展途上であった交響曲の分野で熱心に援助がなされました。宮廷の楽団は弦楽五重奏団でしたが、皇子が追放されてから7年後に作られたこの「6つの交響曲」Op.35は、各パートごとに最大4人の弦楽器奏者で演奏されることを想定して書かれていました。
マルク・デストリュベは、18世紀オーケストラの共同コンサートマスターを務める他、アニマ・エテルナ、CBC放送O、オレゴン・バッハ祝祭Oなどのコンサートマスターとして世界中のツアーや音楽祭で演奏してきた名手です。今回の録音でも長年共に歩んできた18世紀オーケストラのメンバーを見事にまとめています。

TOCCATA
TOCC-0676(1CD)
NX-B03
トーマス・ド・ハルトマン(1885-1956):管弦楽作品集 第2集
交響詩第1番Op. 50(1934)
幻想的協奏曲 - コントラバスと管弦楽のために Op. 65(1942-44)
レオン・ボッシュ(Cb)
リヴィウ国立フィルハーモニーSO
テオドレ・クチャル(指)

録音:2021年9月15、20、21、23日
※全て世界初録音
ウクライナ出身のトーマス・ド・ハルトマン。作曲をアレンスキーやタネーエフ、リムスキー=コルサコフに師事、1907年に発表したバレエ『赤い花』で人 気を博しました。ロシアの著述家・神秘思想家ゲオルギイ・グルジエフや画家ワシリー・カンディンスキーとの共同作品を書いたことでも知られています。 このアルバムに収録された2作品はどちらも世界初録。大規模な編成を要する「交響詩第1番」、刺激的な不協和音を効かせた第1楽章にはじま り、回顧風な雰囲気を持つ緩徐楽章を経て、快活な民謡風のフィナーレで締めくくられるコントラバスとオーケストラのための「幻想協奏曲」。同郷ウ クライナ出身の指揮者クチャルの巧みな演奏で。 ペア・ノアゴーとヨーン・ストルゴーズ

ICA CLASSICS
ICAB-5167(20CD)
NX-L05
BBCレジェンズ・グレート・レコーディングス 第3集
■Disc 1
シューベルト:交響曲 第2番変ロ長調 D 125
ブラームス:交響曲第2番 ニ長調 Op. 73
■Disc 2
エルガー:序奏とアレグロ Op. 43
交響曲第1番変イ長調 Op. 55
■Disc 3
R・シュトラウス:4つの最後の歌#
マーラー:さすらう若者の歌
マーラー:リュッケルトの5つの歌 より私は快い香りを吸い込んだ/ 私はこの世に捨てられて/真夜中に
R. シュトラウス:あなたは私の心の王冠 Op. 21-2*
R. シュトラウス:憩え、わが心 Op. 27-1*
R. シュトラウス:献呈 Op. 10-1*
ブラームス:子守歌 Op. 49-4*
ブラームス:セレナード Op. 106-1*
■Disc 4
(1)ケルビーニ:歌劇「アナクレオン」序曲
(2)ベートーヴェン: 交響曲第3番変ホ長調 Op. 55「英雄」
(3)R. シュトラウス:ドン・ファン Op. 20
(4)ベルリオーズ:『ファウストの劫罰』 Op. 24より ラコッツィ行進曲
■Disc 5
バッハ:半音階的幻想曲とフーガ ニ短調 BWV 903
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第22番ヘ長調 Op. 54
シューベルト:ピアノ・ソナタ 第11番ヘ短調 D 625
シューベルト:3つのピアノ曲(即興曲) D 946
シューベルト:4つの即興曲 D 899より 第3番/. 第4番
■Disc 6
(1)シベリウス:交響曲第2番ニ長調 Op. 43
(2)チャイコフスキー:『眠れる森の美女』 組曲
(3)ベートーヴェン:エグモント序曲
■Disc 7
リスト:ファウスト交響曲 S 108
■Disc 8
モーツァルト:レクイエム K. 626 ニ短調
ブリテンとの対話(聞き手…ドナルド・ミッチェル)*
■Disc 9
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第9番ホ長調 Op. 14-1
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第10番ト長調 Op. 14-2
シューベルト:さすらい人幻想曲
シューマン:アベッグ変奏曲 Op. 1*
シューマン:ウィーンの謝肉祭の道化 Op. 26*
ショパン:練習曲 嬰ハ短調 Op. 10-4*
■Disc 10
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」
■Disc 11…BBCL4160
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番*
ムソルグスキー:展覧会の絵
シューラ・チェルカスキー(1909-1995):悲愴的前奏曲
リムスキー=コルサコフ(ラフマニノフ編):熊蜂の飛行
■Disc 12
ハイドン:交響曲第100番「軍隊」
ハイドン:交響曲第101番「時計」
ヒンデミット:ウェバーの主題による交響的変容*
■Disc 13
バッハ:カプリッチョ ホ長調 BWV 993「ヨハン・クリストフ・バッハを讃えて」
レーガー:バッハの主題による変奏曲とフーガ Op. 81
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第24番嬰へ長調 Op. 78「テレーゼ」
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第21番ハ長調 Op. 53「ワルトシュタイン」
■Disc 14
ショスタコーヴィチ:交響曲第8番 ハ短調 Op. 65
■Disc 15
ウェーバー:歌劇「オベロン」 序曲
シューベルト:交響曲第9番「グレイト」
ブラームス:悲劇的序曲*
■Disc 16
ハイドン:チェロ協奏曲 第1番ハ長調 Hob. VIIb:I*
サン=サーンス:チェロ協奏曲 第1番#
エルガー:チェロ協奏曲 ホ短調 Op. 85
■Disc 17
チャイコフスキー:バレエ『くるみ割り人形』 Op. 71第2幕
ショスタコーヴィチ:バレエ『ボルト』組曲〜 序曲/ 官僚の踊り/ 間奏曲/ 御者の踊り
ストラヴィンスキー:バレエの情景*
■Disc 18…BBCL4210
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲 第3番(カデンツァ…サム・フランコ)
ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲集 「四季」 Op. 8-1-4
ヴィヴァルディ:2つのヴァイオリンのための協奏曲 イ短調 Op. 3-8RV 522より第3楽章
■Disc 1
ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲 第4番ヘ短調
シベリウス:交響曲第4番イ短調 Op. 63*
■Disc 20
スカルラッティ:ソナタ集〜 ニ短調 K. 141/ヘ長調 K. 518/ニ短調 K. 32/ヘ短調 K. 466/イ長調 K. 533/ ロ短調 K. 27/ ト長調 K. 125
ドビュッシー:ピアノのために
ドビュッシー:『映像』 第1集 より 水の反映
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第27番ホ短調 Op. 90*
スクリャービン:ピアノ・ソナタ 第4番嬰へ長調 Op. 30*
プロコフィエフ:『つかの間の幻影』*〜 第1番、第3番、第5番、第10番、第11番、第17番
プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ 第3番イ短調 Op. 28*
■Disc 1…BBCL4104
カール・ベーム(指)LSO
録音:1977年6月28日 ロイヤル・フェスティヴァル・ホール (ステレオ)
■Disc 2…BBCL4106
ジョン・バルビローリ(指)ハレO
録音:1970年7月24日 聖ニコラス教会(キングス・リン音楽祭) (ステレオ)
■Disc 3…BBCL4107
セーナ・ユリナッチ(S)、クリスタ・ルートヴィヒ(Ms)、マルコム・サージェント(指)BBC響#
アンドレ・クリュイタンス(指)フィルハーモニアO
ジェフリー・パーソンズ(P)
録音:1957年12月2日 ロイヤル・フェスティヴァル・ホール、1961年9月11日 ロイヤル・アルバート・ホール、1978年7月15日 ウィグモア・ホール  *=(ステレオ)
■Disc 4…BBCL4112
ロイヤルPO(1)(2)、BBCノーザンSO(3)、LSO(4)
ピエール・モントゥー(指)
録音:1960年1月25日 BBCスタジオ81、 1960年11月12日 BBCスタジオ(2)、1960年12月21日 ミルトン・ホール(3)、1961年12月15日 キングズウェイ・ホール(4)  (モノラル)
録音:1969年6月5日 クイーン・エリザベス・ホール(ステレオ)
■Disc 5…BBCL4045
ウィルヘルム・ケンプ(P)
録音:1969年6月5日 クイーン・エリザベス・ホール(ステレオ)
■Disc 6…BBCL4115
BBC響*、ニュー・フィルハーモニアO、レオポルド・ストコフスキー(指)
録音:1964年9月15日 ロイヤル・アルバート・ホール(1)
1965年9月10日 キングズウェイ・ホール(2)
1973年7月7日 BBCスタジオ(3)
 *=ステレオ
■Disc 7…BBCL4118
ジョン・ミッチンソン(T) BBCノーザン・シンガーズ男声cho、BBCノーザンSO、ヤッシャ・ホーレンシュタイン(指)
録音:1972年4月23日 サルフォード大学 (ステレオ)
■Disc 8…BBCL4119
ヘザー・ハーパー(S)、アルフレーダ・ホジソン(C.A)、ーター・ピアーズ(T)、ジョン・シャーリー=カーク(Bs)、オlールドバラ祝祭cho、イギリス室内O、ブリテン(指)
録音:1971年7月20日 スネイプ・モルティングス・コンサート・ホール
録音:1969年2月 レッド・ハウス、オールドバラ*  (モノラル)
■Disc 9…BBCL4126
スヴャトスラフ・リヒテル(P)
録音:1963年1月27日*、同年2月2日 ロイヤル・フェスティヴァル・ホール (モノラル)
■Disc 10…BBCL4131
マリアンネ・ヘッガンデル(S)、アルフレーダ・ホジソン(C.A)、ロバート・ティアー(T)、グウィン・ハウエル(Bs)、LPO&cho、クラウス・テンシュテット(指)
録音:1985年9月13日 ロイヤル・フェスティヴァル・ホール (ステレオ)
■Disc 11…BBCL4160
シューラ・チェルカスキー(P)、ゲオルグ・ショルティ(指)LSO*
録音:1968年1月30日 ロイヤル・フェスティヴァル・ホール*
 1982年2月20日 ウィグモア・ホール  (ステレオ)
■Disc 12…BBCL4176
オイゲン・ヨッフム(指)LPO、LSO*
録音:1973年1月30日、1977年6月23日* ロイヤル・フェスティヴァル・ホール (ステレオ)
■Disc 13…BBCL4177
ルドルフ・ゼルキン(P)
録音:1973年6月4日 ロイヤル・フェスティヴァル・ホール (ステレオ)
■Disc 14…BBCL4189
エフゲニー・スヴェトラーノフ(指)LSO
録音:1979年10月30日 ロイヤル・フェスティヴァル・ホール (ステレオ)
■Disc 15…BBCL4195
クラウス・テンシュテット(指)LPO
録音:1983年4月7日*、1984年10月7日 ロイヤル・フェスティヴァル・ホール (ステレオ)
■Disc 16…BBCL4198
ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(Vc、指)*
LSO
ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー(指)
録音:1965年7月1日*、5日、7日#  ロイヤル・フェスティバル・ホール(モノラル)
■Disc 17…BBCL4204
BBC響 ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー(指)
録音:1981年4月29日*、1987年8月18日 ロイヤル・アルバート・ホール(ステレオ)
■Disc 18…BBCL4210
ヘンリク・シェリング(Vn、指)、ホセ・ルイス・ガルシア(Vn)
イギリス室内O
録音:1972年2月26日 クイーン・エリザベス・ホール (ステレオ)
■Disc 19…BBCL4237
マルコム・サージェント(指)BBC響
録音:1963年8月16日4、1965年9月2日*  ロイヤル・アルバート・ホール (ステレオ)
■Disc 20…BBCL4261
エミール・ギレリス(P)
録音:1957年4月22日 メモリアル・ホール、ファリンドン・ストリート (モノラル)
 1984年10月15日 セント・ジョンズ教会、スミス・スクエア (ステレオ)
英国BBCに残された巨匠たちの演奏の記録を、可能な限り良質の マスターを用いた安定の音質でリリースし、世界中のヒストリカル・ファン に高い支持を得ていた「BBCレジェンズ」。1998年から2010年まで 活動し、現在はほぼ入手不能となっているこのレーベルの遺産を引き 継いだICAレーベルより、その名演の数々を復刻するBOXセット第3 弾が発売となります。第1集(ICAB-5113/廃盤)第2集(ICAB- 5141/国内在庫終了次第廃盤)同様、20枚組の内容すべてが超 弩級の演奏内容であることが驚き。いずれもこの機会を逸すると、次 の入手機会はかなり難しいものばかり。どうぞこの機会をお見逃しな く。録音は全てライヴ(インタビュー除く)。

BR KLASSIK
BR-9007191(12CD)
NX-K03
マーラー:交響曲全集(第1番〜第9番)


■CD1
交響曲第1番ニ長調

■CD2
交響曲第2番ハ短調「復活」

■CD3-4
交響曲第3番ニ短調

■CD5
交響曲第4番ト長調

■CD6
交響曲第5番嬰ハ短調

■CD7
交響曲第6番イ短調「悲劇的」

■CD9
交響曲第8番変ホ長調「千人の交響曲」

■CD10
交響曲第9番ニ長調

■CD11
(1)交響曲第3番リハーサル風景
(2)交響曲第4番のコンサートについてマリス・ヤンソンスとアンチェ・デルフナーの対談(ドイツ語)

■CD12
(1)交響曲第5番リハーサル風景
(2)交響曲第7番のコンサートについてマリス・ヤンソンスとハナー・ヴァイスの対談(ドイツ語)
(3)ベルンハルト・ノイホフによる交響曲第7番のコンサート・ガイド(ドイツ語)
マリス・ヤンソンス(指)
バイエルンRSO

■CD1
録音:2007年3月1-2日 ミュンヘン、ヘルクレスザール(ライヴ)
■CD2
アニヤ・ハルテロス(S)
ベルナルダ・フィンク (A)
バイエルン放送cho
録音:2011年5月13-15日ミュンヘン、フィルハーモニー・イン・ガスタイク(ライヴ)
■CD3-4
ナタリー・シュトゥッツマン(A)
テルツ少年cho
バイエルン放送女声cho
録音:2010年12月8-10日ミュンヘン、フィルハーモニー・イン・ガスタイク(ライヴ)
■CD5
ミア・パーション(S)
録音:2010年12月15-17日ミュンヘン、ヘルクレスザール(ライヴ)
■CD6
録音:2016年3月10-11日 ミュンヘン、フィルハーモニー・イン・ガスタイク(ライヴ)
■CD7
録音:2011年5月4-6日 ミュンヘン、フィルハーモニー・イン・ガスタイク(ライヴ)
■CD9
トワイラ・ロビンソン(ソプラノ1)、クリスティーヌ・ブリューワー(ソプラノ2)、アンナ・プロハスカ(S)、ヤニーナ・ベヒレ(アルト1)、藤村実穂子(アルト2)、ヨハン・ボータ(T)、ミヒャエル・フォッレ(Br)、アイン・アンガー(Bs)、ラトヴィア国立cho、テルツ少年cho、バイエルン放送cho、
録音:2011年10月12-14日ミュンヘン、フィルハーモニー・イン・ガスタイク(ライヴ)
■CD10
録音:2016年10月20日、21日  ミュンヘン、フィルハーモニー・イン・ガスタイク(ライヴ)
■CD11
(1)録音:2010年12月8-10日 ミュンヘン、フィルハーモニー・イン・ガスタイク(ライヴ)
※リハーサルはドイツ語。CD冒頭にバイエルン放送の解説者を務めたフリードリヒ・シュロッフェルによるイントロダクション(ドイツ語)が収録されています。
(2)録音:2010年12月17日
■CD12
(1)録音:2006年3月9-10日 ミュンヘン、フィルハーモニー・イン・ガスタイク(ライヴ)
※リハーサルはドイツ語。CD冒頭にバイエルン放送の解説者を務めたフリードリヒ・シュロッフェルによるイントロダクション(ドイツ語)が収録されています。
(2)録音:2018年4月19、20日
(3)ベルンハルト・ノイホフによる交響曲第7番のコンサート・ガイド(ドイツ語)
(語り)カルステン・ファビアン、マリス・ヤンソンス、ベルンハルト・ノイホフ
2007年3月9日 バイエルン放送ラジオ
バイエルンRSOの第5代首席指揮者として2003年から2019年まで数々の名演奏を繰り広げ、2019年12月1日に世を去ったたマリス・ ヤンソンス。バイエルンRSO及び合唱団の団員とは家族のような、人間味あふれる関係であり、それが演奏にも反映していたと伝えられてい ます。 このBOXセットは、交響曲第1番から第9番を収録したもの。マリス・ヤンソンス・エディション(900200)に収録されたものと同じ音源で、第3番、第4 番、第6番、第8番は単独ではリリースされていなかったものです。生涯マーラーの音楽に魅了されていたというヤンソンスと、1967年から71年にかけ てラファエル・クーベリックとともにマーラーの交響曲全集を録音したバイエルンRSOの共演から生まれた完成度の高い演奏です。加えて望み うる最高のソリストを揃えた声楽陣の充実ぶりにも注目。また第8番ではヤンソンスの故郷ラトヴィアの合唱団を招いていることから、この演奏に特別な 思いを寄せていたことがうかがわれます。 BOXには今回が初出となるリハーサル風景やインタビューも収録されており(ドイツ語)、ヤンソンスのマーラーの音楽に寄せる思いやそれを現実の音に してゆく様子が伝わります。

C Major
80-7108(2DVD)

80-7204(Bluray)
ブルックナー:交響曲第2&8番
交響曲第2番ハ短調,WAB102(第2稿/1877年)
交響曲第8番ハ短調,WAB108(ハース版/1939年)

◆ボーナス映像「ディスカヴァリング・ブルックナー」
各交響曲について(ティーレマンと音楽学者ヨハネス=レオポルド・マイヤー氏による対話)
クリスティアン・ティーレマン(指)
VPO

収録:2019年2月、ウィーン楽友協会(ライヴ)

◆DVD
画面:16:9、NTSC
音声:PCMステレオ、DTS5.1
DVD9
[ボーナス映像 ]
言語:ドイツ語
字幕:英韓,日本語
Total time:205分
交響曲:150分、ボーナス:55分
◆Bluray
画面:16:9、1080i
音声:PCMステレオ、
DTS-HD MA5.1
BD50
[ボーナス映像 ]
言語:ドイツ語
字幕:英韓,日本語
Total time:205分
交響曲:150分、ボーナス:55分
2024年のブルックナー生誕200年に向けたティーレマン&ウィーン・フィルによるプロジェクト「ブルックナー11/Bruckner 11」。C majorの映像によるブ ルックナー交響曲全集は、第5交響曲、そして「習作交響曲」と呼ばれている「ヘ短調 WAB99」と「ニ短調 WAB100」をウィーン・フィル史上初めて演奏・収録し た第1弾、そして第2弾はウィーン稿を使用した第1番と2021年8月のザルツブルク音楽祭をライヴ収録した第7番という組み合わせでした。今回は、2019年2月 にウィーン楽友協会で収録された第2番と第8番の映像がリリースされます。
1866年に完成し1868年に初演された「交響曲第1番」ハ短調(第1稿)の次に、ブルックナーは、「ニ短調」の交響曲を1869年に作曲。当初この作品を「第2 番」とするつもりでしたが、最終的にはこの作品には番号が付けられることなく、この作品は現在「交響曲第0番」WAB.100 と呼ばれています。その後ブルック ナーは、「交響曲第2番」に取り掛かり、1972年9月に完成、翌1973年作曲者自身の指揮によりウィーン・フィルで初演されました。しかしその後も大幅に手を加 え1876年2月に再演されました(これが第2稿)。 ティーレマンは、ボーナス映像のインタビューで第2番や初期の交響曲を演奏することに対してこのように述べています。「ブルックナーの初期の交響曲はもっと注 目されてよい作品群です。ただ、これらの作品は指揮者にとっても大きな挑戦となるので、敬遠されていることも原因の一つです。なぜなら、これら初期の交響曲 は、詳細な勉強を重ねた上で演奏しないと、単に退屈でつまらない演奏になってしまうからです。しかも初期の交響曲たちは、最初から救いの手を差し伸べてはく れません。こちらが全身全霊をかけて作品に取り組んで、はじめて作品がこちらへと近づいてきてくれるのです」
一方、「交響曲第8番」については、交響曲として頂点を極めており、さらにはハース版については完璧だと、ティーレマンは語っています。ティーレマンはブルッ クナーの交響曲の中でもとりわけこの第8番を多く取り上げており、2007年にウィーン・フィルとはハース版を、2008年にベルリン・フィルとはノヴァーク版を、 2009年シュターツカペレ・ドレスデンとはハース版を選択しています。ティーレマンはここでハース版を選択した理由について、そして他の歴史的指揮者たちの使 用版についてもインタビューで述べています。
映像全集完成に向け、ますます期待の高まる内容となっています。 (Ki)

Danacord
DACOCD-924(2CDR)
トマス・イェンセンの遺産 第14集
■Disc 1
(1)オーレ・シュミット:交響曲第1番Op.14a(1956)
(2)ヴァウン・ホルムボー(1909-1996):モノリス Op.76M207(交響的変容第2番)
(3)ゴナ・ベアウ(1909-1989):聖歌(1946)(弦楽オーケストラのための)
(4)ニルス・ヴィゴ・ベンソン(1919-2000):交響的変奏 Op.92(1953)
(5)ニールセン:フルート協奏曲 FS119(1926)*
■Disc 2
(1)ヘンツェ:夜の小品とアリア(1957)(ソプラノと管弦楽のための)**
 夜の小品 I
 アリア I「ばらの雷雨に変わるところ)
 夜の小品 II
 アリア II「眠そうな鳥」
 夜の小品 III
(2)オネゲル:交響曲第5番「3つのレ」(1950)
(3)ニールセン:歌劇「サウルとダヴィデ」 FS25(1898-1901)より 第2幕への前奏曲†
 劇付随音楽「母」 FS94(Op.41)(1920)より 前奏曲 第7場†
 歌劇「仮面舞踏会」 FS39(1904-06)より 若い雄鶏たちの踊り†
(4)プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第2番***
トマス・イェンセン(指)、
デンマークRSO、ティヴォリ・コンサートホールO†、
ホルガー・ギルバト=イェスパセン(Fl)*、
カーラ・ヘニウス(S)**、
ヴァンディ・トヴォレク(Vn)***

■Disc 1
(1)録音:1957年5月27日(初演)(ライヴ放送)
(2)録音:1961年5月26日(ライヴ放送)
(3)録音:1962年1月20日(放送)
(4)録音:1958年8月7日(ライヴ放送)
(5)録音:1954年4月(スタジオ録音)
■Disc 2
(1)録音:1962年9月27日(ライヴ放送)
(2)録音:1962年9月27日(ライヴ放送)
(3)録音:1942年7月2日(スタジオ録音)
録音:1942年9月8日(スタジオ録音)
(4)録音:1949年9月15日(ライヴ放送)(一部省略、欠落)
トマス・イェンセン(1898-1963)の「遺産」シリーズ第14集は、「デンマーク放送」の未発表音源を中心とした20世紀音楽のプログラム!イェンセンが密接に関わりを持っていたカール・ニールセンやニルス・ヴィゴ・ベンソンといった作曲家の他、オーレ・シュミットとデンマーク音楽の本流から離れたところで作曲活動を行ったゴナ・ベアウの作品、彼はさらにヘンツェ、オネゲル、プロコフィエフの「傑作」を周到に造形することにより、カトリックの嗜好と共感に根ざしたヨーロッパ・モダニズムとの多様なつながりも示してみせました。
オネゲルの交響曲第5番は、シリーズ第2集(DACOCD912)に収録された1962年10月24日「国連の日コンサート」の「予行演習」となった9月27日のライヴ放送の録音。ポーランド=ウクライナ系のヴァイオリニスト、ヴァンディ・トヴォレク(1913-1990)がソロを弾いたプロコフィエフの協奏曲は、78回転のSP原盤から復刻された録音です。3つの楽章の盤と盤の繋ぎ目にあたる部分に欠落があり、また、トヴォレク自身が第2楽章と第3楽章のソロ・パートの一部を省略して演奏しています。
指揮者としても有名なオーレ・シュミットが作曲した交響曲第1番は初演の録音で、初出音源。カール・ニールセンの「フルート協奏曲」は、初演者で作品を献呈されたホルガー・ギルバト=イェスパセン(1890-1975)が共演してDeccaレーベルに録音した1954年4月のスタジオ録音が復刻されました。
※当タイトルは、高品質メディア(SONY DADC/Diamond Silver Discs)を使用した、レーベル・オフィシャルのCD-R盤となります。
Danacord
DACOCD-940(2CDR)
ヨン・フランセン〜初期録音選集
モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」序曲
ブラームス:交響曲第4番
グリーグ:ピアノ協奏曲**
シューベルト:交響曲第5番
ヨハン・ペーター・エミリウス・ハートマン(1805-1900):序曲「ヘーコン・ヤール」 Op.40*
ゲーゼ:演奏会序曲「オシアンの余韻」 Op.1*
フィン・フフディング(1899-1997):交響的幻想曲第1番「進化」 Op.32*
スヴェン・エーリク・タープ(1908-1994):喜劇『わがマリオネット劇場』 序曲 Op.53、ジェリコの戦い Op.51
クヌーズオーウ・リスエーヤ(1897-1974):トルグートの踊り
ヨン・フランセン(指)、
王立デンマークO、
デンマーク国立放送O*、
アイリーン・ジョイス(P)**

録音:1951年〜1958年
ヨン・フランセンは、コペンハーゲンの王立劇場の首席指揮者を30年間にわたって務め、しなやかなテンポの切り替え、おおらかなフレージング、豊かな管弦楽の響きを活かした演奏に定評があったデンマークの名指揮者です。ニルス・W・ゲーゼの「春の幻想曲」や、カール・ニールセンの「愛の賛歌」、歌劇「仮面舞踏会」などの録音で知られます。Danacordレーベルからリリースされる今回のアルバムには彼が1950年代にColumbia、Odeon、Philipsレーベルに録音した作品が新たなリマスタリングを施され収録されています。ブラームスの「交響曲第4番」やシューベルトの「交響曲第5番」、ゲーゼの「オシアンの余韻」と、J.P.E.ハートマンの「ヘーコン・ヤール」をはじめとするデンマークの作品は、インスピレーションに満ちた彼の音楽の特色がもっとも表れたと言われる録音です。
※当タイトルは、高品質メディア(SONY DADC/Diamond Silver Discs)を使用した、レーベル・オフィシャルのCD-R盤となります。

DACAPO
MAR-6.220644(1SACD)
NX-B08

NYCX-10355(1SACD)
国内盤仕様
税込定価
ルーズ・ランゴー(1893-1952):交響曲第1番「岩山の田園詩
岸壁の牧歌」BVN 32(1908-1911)
ベント・ヴィルホルト・ニルセンの比較校訂版による世界初録音
サカリ・オラモ(指)BPO

録音:2022年6月16-18日 ライヴ
1893年に生まれたルーズ・ランゴーはデンマークの音楽史上屈指の天才。11歳の時にオルガンを演奏してデビュー・コンサートを行い、これを聴いたグリーグ は感心しただけでなく空恐ろしささえ感じたと言われます。交響曲第1番に取り組んだのは14歳の時。17歳の時に完成させました。曲は5つの楽章からな り、それぞれに「打ち寄せる波と垣間見える太陽」「山に咲く花たち」「過去からの声」「登山」「勇気」というタイトルが付けられ、交響詩風の構成となっていま す。しかし、演奏時間の長さとオーケストラ編成の巨大さが災いし、デンマークの管弦楽作品の演奏を使命とするデンマーク・コンサート協会は演奏を拒否。 その後ランゴーは家族で時々訪れていたベルリンにアプローチし、アルトゥール・ニキシュに楽譜を託したところ、これが突破口となって初演が決まりました。マッ クス・フィードラーの指揮する総勢102名のベルリン・フィルによる1913年4月10日の初演は大成功で、19歳のランゴーは6回もステージに呼び出されたの でした。 初演後、ランゴーは演奏に使った総譜をベルリンの音楽研究所に寄贈しました。総譜は第2次大戦末期にソ連軍がモスクワへと持ち去ってしまいますが、 1959年に当時の東ベルリンに戻って来ます。ここに収録されたのは、初演から109年を経たベルリン・フィルによる再演のライヴ録音です。低音を厚めに鳴ら し、息の長い高揚やスケールの大きな音楽作りをするオラモの指揮にベルリン・フィルが応えた迫真の演奏で、後期ロマン派の濃厚かつ壮大な世界が広がり ます。SACDハイブリッドでの高音質リリースも嬉しいポイントです。
※国内仕様盤には原盤解説の日本語訳が付属します。

OEHMS
OC-1717(1CD)
NX-B03
マーラー:交響曲第2番ハ短調「復活」 ジュリア・モンタナーリ(S)
ベッティナ・ランチ(A)
プラハ・フィルハーモニーcho
エッセンPO
トマーシュ・ネトピル(指)

録音:2022年5月26-27日
2002年にフランクフルトで開催された「第1回サー・ゲオルグ・ショルティ指揮者コンクール」で優勝したトマーシュ・ ネトピル。チェコの次代を担う指揮者として、現在も期待を一身に集めます。エッセンPO とのマーラーの交響曲シリーズ第3弾は、独唱と合唱を伴う大規模な作品である第2番「復活」です。チェコと深 い関係にあるマーラーの音楽に深く共感するネトピルの演奏は、極めてオーソドックスな解釈によるもの。テンポや ダイナミクスを極端に設定することはせず、音楽の流れを極力大切にすることに主眼を置いており、第2楽章での 特徴的なヴァイオリンのポルタメントを活かすなど旋律を豊かに歌わせることも忘れてはいません。 第1楽章の冒頭から迫力に満ちており、最終合唱のクライマックスではソリスト、合唱とともに、復活の喜びが高ら かに奏されます。※こちらのCDの収録時間は83分を超える長時間になっているため、一部のプレイヤーでは正 常に再生できない可能性がございます。予めご了承ください。 ペア・ノアゴーとヨーン・ストルゴーズ

CPO
CPO-777943(1CD)
NX-B10
パウル・ヴラニツキー(1756-1808):交響曲集
交響曲 ト長調 Op. 50
交響曲 ニ長調 Op. 37
交響曲 イ長調 Op. 51
ハノーファー北ドイツ放送PO
ロルフ・グプタ(指)

録音:2014年6月16-20日、2016年2月23-25日
モラヴィア出身の作曲家パウル(パヴェル)・ヴラニツキーの交響曲集。20歳の時に活躍の機会を求めウィーンに移 住しハイドンやモーツァルトと交流を深め作曲家として活動。彼の作曲様式はベートーヴェンの初期の交響曲にも 影響を与えるなど、1770年代後半のウィーンにおける最も重要な交響曲作曲家の一人としてみなされました。 最近の研究によると、彼は少なくとも47曲の交響曲を作曲したとされており、このアルバムに収録されたOp.50と Op.51は1804年末、オッフェンバッハにある出版社アンドレから出版された最後のシリーズに属するものです (Op.37は1799年に同出版社から出版)。この3曲はどれも第1楽章の冒頭にはゆったりとした序奏が置かれる など、楽章構成、主題の形成などハイドンをモデルしたものと考えられますが、主題の用い方における統一感など にはヴラニツキーの独自性が感じられます。 ロルフ・グプタはノルウェー出身の指揮者。現代作曲家としても活躍する彼は、バロックから現代作品まで幅広い レパートリーを持っています。

GRAND SLAM
GS-2281(1CD)
マーラー:「大地の歌」 キャスリーン・フェリアー(C.A)
ユリウス・パツァーク(T)
ブルーノ・ワルター(指)VPO

録音:1952年5月15&16日ムジークフェラインザール(ウィーン)
使用音源:Private archive (2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:モノラル(録音セッション)
■制作者より  
ワルターとウィーン・フィルによるマーラーの「大地の歌」は、レコード史上の金字塔とも言うべきもので、今さら特に説明を加えるまでもないと思います。当シ リーズではデッカの初期LP LXT2721/2を使用して復刻したGS-2019(2007年)がありましたが、テープ復刻を主流にして以来、ずっとこの演奏の2トラッ ク、38センチのオープンリール・テープを探していました。ところが2022年の夏、ようやく念願叶ってテープを発見、入手しました。音質は、感無量と言ったとこ ろです。SACDも含めた競合盤は多数あり、何を今さらと思う人も多いかもしれません。確かに音質に関しては千差万別の受け取り方があるので一概には言えま せんが、実際にこのCDを耳にした人の8割以上は、リリースの意義を理解していただけるものと思います。  なお、当CDには歌詞対訳は添付されておりません。ご了承下さい。(平林 直哉)
GRAND SLAM
GS-2280(1CD)
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)VPO

録音:1952年11月26&27日ムジークフェラインザール(ウィーン)
使用音源:Private archive (2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:モノラル(録音セッション)
■制作者より  
もはや説明不要の名盤、VPOとのベートーヴェン「英雄」。2トラック、38センチ、オープンリール・テープによる復刻盤を一度GS-2158(2017年)で発売 しましたが、その際は標準的なテープにコピーされたものを簡易に再生してマスタリングしたものでした。それでも大好評でまたたく間に完売してしまいました。し かし、今回はその時に使用したテープを使い回さず、高品質のテープにプリントしたものを新たに取り寄せ、それを録音スタジオに持ち込み、全行程をプロ用の機 器でマスタリングを行いました。結果は全く驚くべきもので、時間とお金をかけた甲斐がありました。同様の方法で残るベートーヴェンの交響曲第1番、第4番、第 5番、第6番「田園」、第7番も準備中です。ご期待下さい。また、解説書もそれぞれ大幅に改訂しております。(平林 直哉)


PROMINENT CLASSICS
2506-5610(1CD)
朝比奈+シュトゥットガルト放送響
イベール:『寄港地』
大栗裕:交響管弦楽のための組曲『雲水讃』
プロコフィエフ:交響曲第2番
朝比奈隆(指)
シュトゥットガルトRSO

録音:1966年2月19日シュトウットガルト・フンクハウス、スタジオ(ステレオ)
朝比奈隆の 20世紀音楽が聴ける!それもシュトゥットガルト放送響とのスタジオ 録音、しかもステレオ収録です。ご子息の指揮者朝比奈千足氏もこの演奏のことは 覚えておられ、留学先のブレーメンからシュトゥットガルトを訪ねてスタジオ収録に同 席したそうです。当時のシュトゥットガルト放送響は首席指揮者がミューラー・クライで したがシューリヒトも存命で頻繁に客演し睨みを聞かせておりました。全盛期のオー ケストラの輝かしく力強いサウンド、技術的な完璧さに脱帽です。肝心の演奏です が、『寄港地』はドビュッシーの『海』と双璧をなすかのような光彩陸離の華麗な音楽 絵巻。色彩的な表現も見事です。『雲水讃』は大栗作品の中でも今なお人気のある 名曲です。1962年に朝比奈が大阪フィルと初演。仏教色の強い作品をドイツの名 門オケが奏でるという興味もつきません。大栗裕の研究家、音楽学者の白石知雄氏 によるアナライゼーションを解説に収録。そして極めつけはプロコフィエフの交響曲 第2番です。これは録音に恵まれないこの曲の屈指の名演奏です。余裕のあるテン ポ設定で拍節感も素晴らしく緊張の中にも身を任せられる包容力を持った魅力的な 演奏。ソナタ形式の第1楽章から、一転して気の抜けない千変万化の饗宴を描きつ くします。なお、朝比奈は翌1967年の10月にNHK SOに初客演し、この曲 を日本で演奏しております。そしてこれが恐らく日本初演と目されております。朝比 奈がベートーヴェン、ブラームス、ブルックナーの大家として超然とする以前の「現 代音楽の紹介者」を兼ねていた時代の貴重な記録。木之下晃氏による貴重な50 代 の朝比奈の写真であしらいました。 ※英語、日本語によるライナーノート付。

GENUIN
GEN-22783(1CD)
モーツァルト:交響曲集第2集
交響曲第1番 変ホ長調K.16
交響曲第28番 ハ長調K.200
交響曲第41番「ジュピター」
ヨハネス・クルンプ(指)
エッセン・フォルクヴァング室内O

録音:2019年9月20-23日(K.16,K.551),2021年6月24-27日(K.200)
ヨハネス・クルンプ率いるエッセンのフォルクヴァング室内OによるGENUINの モーツァルト4枚目、モーツァルトの交響曲集としては2枚目のCD。(既発は ホルン協 奏曲全集 GEN18618,交響曲第13、16、29、40番 GEN-19636,ディヴェルティメント K.136-138 GEN22762)。 これまでのCDはいずれも好評だったこのコンビのモーツァルト、今回も素晴らしい。ヨ ハネス・クルンプは1980年、シュトゥットガルト生まれの指揮者。2013年に1958年創立の エッセン・フォルクヴァング室内Oの首席指揮者、音楽監督に就任、この地方オ ーケストラを注目の楽団へと引き上げた。また2020年からはハイデルベルクSO の芸術監督に就任している。クルンプはピリオド演奏から影響を受けつつ、室内オーケ ストラならではの透明でキビキビしたモーツァルトを生み出しており、大変魅力的であ る。このCDでは最初と最後の交響曲を収録しており、9歳の作品も32歳の作品もどちら も様式に適った、そして充実した音楽に仕立てている。

Goodies
78CDR-3881(1CDR)
モーツァルト:交響曲第25番ハ短調 K.183 オットー・クレンペラー(指)
パリ・プロ・ムジカO

仏 POLYDOR A6345/6
1950年2月パリ、プレイエル音楽堂録音
オットー・クレンペラー(1885-1973)はドイツ生まれ、1910年からドイツ各地の オペラハウスでキャリアを積んだ。1927年から31年にはベルリンのクロール・オ ペラの指揮者をつとめた。ユダヤ人だった彼は1937年ナチスの迫害を逃れてアメ リカに移住、市民権を得てロサンジェルス・フィルハーモニーの音楽監督になっ た。だがカリフォルニアの土地にはなじめずその地位を離れた。第2次世界大戦 が終わるとヨーロッパ楽壇に復帰した。この録音はヨーロッパ復帰直後にパリで 行われた。プロムジカOの実体はラムルーO。この録音はSPレコ ード末期のもので日本ではほとんど知られていなかったもの。このシリーズで同 時期に録音された交響曲「リンツ」(78CDR-3433)が出ている。 復刻には「音のエジソン」 http://www.otono-edison.com/ SPレコード専用 MC型カートリッジの上級モデル「ゼロSP 78rpm」(3mil 針)とコルグのNu 1DSD録音機を使用した。(グッディーズ)


Treasures
TRE-288(1CDR)
若き日のマゼール/モーツァルト
交響曲第38番 ニ長調 「プラハ」 K. 504
交響曲第39番 変ホ長調 K. 543
ロリン・マゼール(指)
ベルリンRSO

録音:1966年9月23日-9月1日(ステレオ)
※音源:英PHILIPS 6856019
◎収録時間:62:10
“モーツァルトで浮き彫りになるマゼールの「ケレン味のない」音作り!”
■音源について
マゼールによるモーツァルトの交響曲のセッション録音は、1960年代のに数曲(1,28,25,29,38,39,40,41番)遺したのみ。

★マゼールの芸風について語るとき、「ケレン味満点」という表現がよく使われます。そのイメージを決定づけたのは、来日時のベートーヴェンの交響曲ではないでしょうか?ティンパニを追加しまくり、埋もれた対旋律を強調したりと、楽譜至上主義の人からは擬い物扱いさえされました。「作曲家が楽譜に書き込めることには限界がある」との考えのもと、スコアをあえて再構成することを終生貫徹したマゼールですが、私はその根底にあるのは強烈かつ純粋なな音楽への愛情であり、その愛を演奏に確実に内包させる手腕はは古今を通じて屈指のものだと思っています。
 そう思う最大の理由は、マゼールの引き出す音楽から「こうやって鳴らせば面白いでしょ?」という説明めいたものを感じたことがないからです。それはおよそ「ケレン味」とは正反対で、美しいと思うもの浮かび上がらせるにはこうするしかない!という当然の欲求から出た表現なので、感覚的な異質感を超えて聴く者を感動へと導くのです。その「こういうアプローチもありますよ!」的な音楽作りをする指揮者はむしろ最近増えている気がしており、残念でなりません。本気でそうしたいという切実さがなければ理屈しか伝わらず、聴き手は「そうですか。だから何?」と言うしかない。研究発表であって表現にはなり得ず、感動とも無縁です、そういう演奏こそ「ケレン味満点」と呼ぶべきではないでしょうか?
 マゼールの真の音楽愛を裏付けるもう一つの事実は、彼が遺した数少ないモーツァルトの素晴らしさ。見せかけの効果を狙って何とかなる代物ではないのです。「プラハ」」は、最晩年にN響を振って創意と瑞々しさを兼ね備えたたむせ返るほど濃密な名演を聴かせてくれましたが、それより半世紀も前のこの録音も然り。しかも驚くべき完成度!
 第1楽章序奏部に、愛のない音などどこにも見当たりません。1:40からの低弦とファゴットの連携ラインを克明に浮上させるのはいかにもマゼールですが、そこに無頓着な演奏と比べると、全体のニュアンスの豊かさと意味深さは雲泥の差。主部4:42からのヴィブラート全開の第2ヴァイオリンも愛に溢れかえり、4:55のヴィオラの突出もこれなしの演奏が考えられなくなるほどの説得力。その間の木管群による色彩表出にも余念なし。展開部はさらに声部の連動が密となり、その凝縮力には唖然とするばかりです。
第2楽章は、ニュアンスの微妙な移ろいへの反応が機敏かつ的確で、特に4:08からの色彩の陰りをこれほど感じ取って順応した演奏も稀でしょう。
第3楽章ではテンポのセンスの良さに感服。ごく標準的なテンポですが、そのテンポ自体が音楽的と呼びたいほど、全ての楽想が確実にニュアンスを発揮し尽くしており、その直感的なセンスはモーツァルト演奏において不可欠な条件でしょう。
 宇野功芳氏の指揮した演奏について何度も申し上げた通り、いわゆる常識的な演奏ではない演奏に対し単純に変な演奏だと決めつけることほど虚しいことはありません。そうシなければいられない真意を感じ取れず、未知の感動を期待せず、自分の好みしか信用できない…、そんな人間ではないと自覚されている全ての方なら、マゼールのモーツァルトの比類なき魅力を認識ていただけることでしょう。 。【2022年9月・湧々堂】

Signum Classics
SIGC-D687JP(6CD)
ベートーヴェン:交響曲全集&バリー
■CD1
ベートーヴェン:交響曲第1番
 交響曲第2番ニ長調 Op.36
ジェラルド・バリー(b.1952):「ベートーヴェン」
■CD2
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
バリー:ピアノ協奏曲
■CD3
ベートーヴェン:交響曲第4番
 交響曲第5番「運命」
バリー:ヴィオラ協奏曲
■CD4
ベートーヴェン
:交響曲第6番「田園」
バリー:アイルランド侵略
■CD5
ベートーヴェン:交響曲第7番
交響曲第8番ヘ長調 Op.93
■CD6
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付き」
バリー:永劫回帰
トーマス・アデス(指)、
ブリテン・シンフォニア、
ニコラス・ホッジス(P)、
マーク・ストーン(Br)、
ローレンス・パワー(Va)、
ジョシュア・ブルーム(Bs)、
ジェニファー・フランス(S)、
クリスティアーネ・ストーティン(Ms)、
エド・ライオン(T)、
マシュー・ローズBs)、
ロイヤル・ホロウェイcho

録音:2017年〜2019年、シアター・ロイヤル(ブライトン)&バービカン・センター(ロンドン)
ブリテンの再来とも称されるイギリスの人気作曲家、指揮者、ピアニスト、トーマス・アデス(1971-)。日本では武満徹作曲賞2020の審査員にも選ばれ、多くの作品が名だたるアーティストたちによって演奏・録音されるなど、近年は特に作曲家として華々しい活躍を魅せています。
ベートーヴェンの交響曲全9曲に、アイルランド国立SOのコンポーザー・イン・レジデンスなどを務め、ベートーヴェンから大きな影響を受けたというアイルランドの作曲家ジェラルド・バリー(b.1952)の作品を組み合わせて収録してきた、「ベートーヴェン&バリー」プロジェクト。2枚ずつリリースされていた全3巻がセットになった6枚組に、小室敬幸氏書き下ろしの日本語解説を封入したBOXセットが登場!
ジェラルド・バリーの「ベートーヴェン」はベートーヴェンの謎多き手紙「不滅の恋人」のテキストを歌うミニ・オペラ的作品。「永劫回帰(The Eternal Recurrence)」は、ベートーヴェンの「第九」とペアになる作品としてニーチェの「ツァラトゥストラはかく語りき」からの抜粋をテキストに用いて作曲されたソプラノと管弦楽のための作品。その他、ニコラス・ホッジスやローレンス・パワーがソリストを務める協奏曲など興味深いバリーの作品にも注目。トーマス・アデスの刺激的でユニークな解釈のベートーヴェンと合わせて、ベートーヴェン・ファン必聴必携の交響曲全集となることでしょう。

Chandos
CHSA-5315(1SACD)
ストラヴィンスキー:交響曲集
グリーティング・プレリュード(1955)
交響曲 ハ調(1938-40)
ディヴェルティメント(1934,1949改訂)
サーカス・ポルカ(1942)
3楽章の交響曲(1942-45)
アンドルー・デイヴィス(指)
BBCフィルハーモニック

録音:2019年4月26日&2022年3月21日-22日、メディアシティUK(マンチェスター、イギリス)
イギリス音楽を得意とし、BBCSO、メルボルンSOなどの音楽監督を務めてきたイギリスを代表する指揮者、アンドルー・デイヴィスによるストラヴィンスキー!
ストラヴィンスキーの「春の祭典」や「ペトルーシュカ」を初演したピエール・モントゥーの80歳の誕生日を祝った「グリーティング・プレリュード」から始まり、大半がパリで書かれ、作曲当時妻と娘を失うというストラヴィンスキーにとっては非常につらい時期に作曲された「交響曲 ハ調」(シカゴSO創立50周年記念委嘱作品)が収録されています。また、ニューヨーク・フィルハーモニックから委嘱され、第2次世界大戦を伝える映像を観たことに影響されたという「3楽章の交響曲」など激動の時代に作曲された作品を多く集めた今作。これまでに多数のオーケストラや音楽祭などで主要なポストを務めてきた巨匠アンドルー・デイヴィスが卓越したタクトでストラヴィンスキーの名曲を奏でます。
Chandos
CHSA-5297(1SACD)
ラフマニノフ:交響詩「死の島」 Op.29
ヴォカリーズ Op.34-14(作曲者自身による管弦楽版)
交響曲第3番イ短調 Op.44
ジョン・ウィルソン(指)、
シンフォニア・オヴ・ロンドン

録音:2021年9月9日-11日、セント・オーガスティン教会(キルバーン、ロンドン)
3年連続となるBBCミュージック・マガジン賞受賞(「デュティユー:バレエ音楽 「狼」」〔RCHSA5263/CHSA5263〕、「レスピーギ:ローマ三部作」〔RCHSA5261/CHSA5261〕、「コルンゴルト:交響曲嬰ヘ調」〔RCHSA5220/CHSA5220〕)や、2021年のBBCプロムスでの初コンサートの世界的な評価で著しい躍進を続けるジョン・ウィルソンと、彼が再結成した“シンフォニア・オヴ・ロンドン”、次なるリリースは「ラフマニノフ」!
スイスの画家アルノルト・ベックリンの油彩画を題材にした「死の島」、愁いを帯びた名旋律が様々なアレンジで広く親しまれている「ヴォカリーズ」と組み合わせこのアルバムのメインに据えたのは、ラフマニノフ晩年の傑作として名高い「交響曲第3番」。1917年に起こったロシア革命によりアメリカへ亡命したラフマニノフは、多忙な演奏活動、指揮活動のため思うように作曲に専念できず、亡命後から世を去るまでの25年間で書いた管弦楽作品はわずか4曲にとどまります。そんな中スイスのルツェルン湖畔に構えた別荘で大部分が書き上げられ1936年に完成した交響曲第3番は、有名な交響曲第2番やピアノ協奏曲第2番で見られたようなロシアらしい甘美でロマンチシズム溢れる曲風からはやや離れ、より複雑で洗練された管弦楽法が際立つ作曲家人生の集大成ともいえる作品です。ジョン・ウィルソン&SOLは煌びやかな管楽器、しなやかな弦のサウンドを存分に活かし、彼らならではの豊かな色彩感でこの傑作の魅力を余すところなく引き出しています。

Da Vinci Classics
C-00618(1CD)
マーラー:交響曲第4番(エルヴィン・シュタイン編曲による室内楽版) アンサンブル・ジュリオ・ルスコーニ、
ダリオ・ガレニャーニ(指)、
マルコ・ピソーニ(芸術監督)

録音(ライヴ):2022年1月5日、ラ・カーサ・デッラ・ムジカ(チェザーノ・ボスコーネ、イタリア)
エルヴィン・シュタインが1921年に編曲を施したマーラーの「交響曲第4番」の室内楽版をイタリア勢がレコーディングしました!
ソプラノ、フルート、オーボエ、クラリネット、2本のヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、ピアノ、ハーモニウム、そして打楽器という編成のシュタイン版マラ4。ここではハーモニウムの代わりとしてアコーディオンが用いられています。
アンサンブル・ジュリオ・ルスコーニはマルコ・ピソーニの呼びかけにより2013年に結成されたイタリアの室内オーケストラ。バッハから近現代作品まで、幅広いレパートリーを誇っています。
指揮者のダリオ・ガレニャーニはマウリシオ・カーゲルのアシスタントを務め、シェーンベルクの「月に憑かれたピエロ」のイラン初演を担当した経歴の持ち主。
特に近現代音楽のフィールドでの活躍は目覚ましく、今回もその巧みなタクト捌きで小編成マーラーを見事にまとめています。

Channel Classics
CCS-44722(1CD)
ハイドン:交響曲「朝」「昼」「晩」
交響曲第6番ニ長調「朝」Hob. I:6
交響曲第7番ハ長調「昼」Hob. I:7
交響曲第8番ト長調「晩」Hob. I:8
フロリレジウム(古楽器使用)
コンサートマスター:アガタ・ダラスカイテ(Vn)
アシュリー・ソロモン(指揮・フルート)

録音:2021年11月セント・ジョーンズ教会、アッパー・ノーウッド、ロンドン
小編成の室内楽編成を軸に、時には合唱を交えた大規模編成の作品も演目に選びながら、17〜18世紀の楽団規模に合わせ弦楽合 奏の員数を絞った緊密なアンサンブルで、バロックや古典派の音楽本来の姿を問い続けてきた英国の古楽器アンサンブル、フロリレジウム。 ハイドン作品ではウィスペルウェイとのチェロ協奏曲の録音(CCS7395)がある他、後期のロンドン交響曲を当時の室内楽編曲版で演奏も しています(第104番はチェロ協奏曲のアルバムに併録、他に第93・94・101番も室内楽版で録音〔CCSSA19603〕)が、今回は当初か ら小編成のオーケストラでの演奏を念頭に置いて作曲された初期の3連作「朝・昼・晩」が選ばれました。エステルハージ侯爵家に雇われて 間もない若きハイドンが主君の余興のために書いたこれら3曲は、侯爵家に雇われていたヴァイオリンのトマジーニやチェロのクラフトなど名手た ちの腕前が際立つよう、随所に各楽器のソロが盛り込まれている点が魅力の一つ。作曲当時の侯爵家でこれらの交響曲を披露した宮廷 楽団の規模通り(チェンバロ抜き・弦は3/3/2/2/1)で、室内楽とオーケストラの区別も明確ではなかった18世紀半ばの音作り本来の面白 さに迫り、フロリレジウムの持ち味が最大限に活かされた出色の好演に仕上がっています。あらゆる細部に深い音楽知が潜む後年の大作群 への第一歩が早くも詰まった初期の傑作を、作曲家の真意に迫った解釈で味わえる絶好の1枚と言えましょう。


LSO Live
LSO-0858(1SACD)
KKC-6600(1SACD)
国内盤仕様
税込定価
ノセダ/ャイコフスキー:Sym#5
チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調Op.64
リムスキー=コルサコフ:「見えざる町キーテジと聖女フェヴローニャの物語」組曲
ジャナンドレア・ノセダ(指)LSO

録音:2019年11月3日、28日* ロンドン、バービカン・ホール(ライヴ)
交響曲第4番の熱演で注目されたノセダ&LSOのチャイコフスキー第2弾。待望の第5番が登場となります。チャイコフスキーの5番といえば、ノセダの親 分ゲルギエフをはじめ名盤・名演揃いですが、新たな一枚が加わります。
ノセダの演奏は推進力に満ち、「熱い」の一言に尽きます。第1楽章とフィナーレの主部はどちらもテンポが速くスヴェトラーノフを思わせますが、ノセダは さすがイタリア人、カンタービレなメロディの歌わせ方が絶品。この名作を新たな気持ちで聴くことができます。
カップリングはリムスキー=コルサコフのオペラ「見えざる町キーテジと聖女フェヴローニャの物語」中の4つのオーケストラ・ナンバー「前奏曲」「婚礼の行列」 「ケルゼネツの戦い」「フェヴローニャの死と見えざる町への巡礼」を組曲としたもの。「ロシアのパルジファル」とも称される作で、オーケストレーションの素 晴らしさはほとんど神業。ロシア民謡を多用した美しい音世界に浸れます。LSOは驚愕の巧さでノセダの音楽づくりを実現しています。 (Ki)

EUROARTS
20-54388D(DVD)
アバド&ポリーニ/ルツェルン音楽祭2004
マーラー:交響曲第5番嬰ハ短調
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第4番
マウリツィオ・ポリーニ(P)
ルツェルン祝祭O、
クラウディオ・アバド(指)

収録:2004年8月18,19日 ルツェルン,コンサート・ホール(ライヴ)
画面:16:9、NTSC
音声:PCMステレオ、107分
これまでボックス・セットにしか収録されていなかった、2004年にアバドとポリーニがルツェルン音楽祭で共演した際の映像がDVDで単独リリースされます。
アバドは、2002年にベルリン・フィルの首席指揮者を退任した後、自身が設立したマーラー室内OやモーツァルトOといった若手オーケストラへ の心血を注いでいました。中でも音楽監督を務めていたルツェルン祝祭Oはアバドにとって特別な存在でした。音楽祭のために毎年優秀な若手音楽家やベ ルリン・フィルやウィーン・フィルの旧知の名奏者がアバドに下に集結し、毎年洗練された演奏を展開していました。
ここに収録されている演奏も、そうしたアバドを中心とした熱い連帯感を感じることのできる音楽で、マーラーの交響曲第5番では、終楽章が終わると同時に 拍手とブラボーの嵐が沸き起こりました。ポリーニをソリストに迎えたベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番では、ポリーニの水晶のように磨き上げられた演奏と、 躍動するオーケストラ、ソリストを引き立たせるアバドの指揮振り、すべてが一体となった見事な演奏でルツェルン音楽祭の歴史に残る名演のひとつと言えるで しょう。 (Ki)

Challenge Classics
CC-72803(1SACD)
シューベルト:交響曲全集第4集
交響曲第5番変ロ長調 D.485
交響曲第6番ハ長調 D.589
ヤン・ヴィレム・デ・フリエンド(指)
ハーグ・レジデンティO

録音:2022年1月18-21日/ハーグ、コンサートホール・アマーレ
2015年からハーグ・レジデンティOの首席指揮者を務めているヤン・ヴィレム・デ・フリエンドによるシューベルト全集録音シリーズ第4弾。完結編と して、第5番と第6番を収録。SACDハイブリッドで音質優秀。
第5番はクラリネット、トランペット、ティンパニが省かれた編成による、軽やかな作品。フリエンドはしなやかな響きながらも過度に走ったりせず、モダン・オケ らしいふっくらとした音楽を聴かせます。第6番は当時大人気だったロッシーニの様式を採り入れたと作品と言われ、終楽章はいくつかの情景が連鎖していくオペ ラのワンシーンのような音楽。ここでもフリエンドは柔らかくも充実した響きで、旋律を優美に奏でています。 (Ki)

Arte dellarco Japan
ADJ-068(2CD)
オーケストラ・リベラ・クラシカ/第44回定期演奏会
ハイドン:交響曲第4番ニ長調 Hob.I:4
ハイドン:交響曲第104番ニ長調 Hob.I:104「ロンドン」
モーツァルト:フルート協奏曲第1番ト長調 K.313
J.C.バッハ:フルート協奏曲 ニ長調 W.C79
バルトルド・クイケン(Fl)(3)
鈴木秀美(指)、
オーケストラ・リベラ・クラシカ

ライヴ録音:2019年11月9日上野学園 石橋メモリアルホール
オーケストラ・リベラ・クラシカ(OLC)第44回定期演奏会をライヴ収録した当盤は、ハイドンの交響曲第4番、第104番「ロンドン」、そして巨匠バルトルド・ クイケンを独奏に迎えたモーツァルトのフルート協奏曲第1番とヨハン・クリスチャン・バッハのフルート協奏曲という充実のプログラムです!
ハイドンの交響曲第4番は颯爽とした勢いと、彼の頭の回転を示すかのように不思議なフレージングが特徴的な初期作。一方、ハイドンの代表作「ロンドン」はハ イドンが63歳の時の産物。最初期・最後期、ともにニ長調の交響曲を組み合わせるのも鈴木秀美率いるOLCならではといえます。
そしてバルトルド・クイケンとの2つの協奏曲も大注目!鈴木秀美をはじめOLCのメンバーの中にもクイケン兄弟から様々な形で多くを学んできました。バルト ルド・クイケンを独奏に迎えての演奏は実に感慨深く、生き生きとした彼らの音楽は愛情と温かさに満ちています。当演奏会ではモーツァルトの第1番と知られざ る名曲J.C.バッハという2篇の協奏曲が演奏されました。OLCのアルバムから新たな必聴盤の登場です! (Ki)


RCO Live
RCO-19007(15CD)
ニコラウス・アーノンクール& ロイヤル・コンセルトへボウO/
ライヴ放送録音集1981-2012




■CD1&CD2
バッハ:ヨハネ受難曲BWV245(1724/1749)
■CD2(続き)
メンデルスゾーン:詩篇第42「枯れた谷に鹿が水を求めるように」Op. 4
■CD3&CD4
ハイドン:オラトリオ「天地創造」 Hob.XXI-2
■CD4(続き)
モーツァルト:演奏会用アリア「どうしてあなたを忘れられよう」 K. 505
■CD5
モーツァルト:交響曲第39番変ホ長調 K. 543
交響曲第40番ト短調 K. 550
■CD6
モーツァルト:交響曲第41番ハ長調 K.551「ジュピター」
ピアノ協奏曲第13番ハ長調K.415/387b
■CD7&CD8
ベートーヴェン:ミサ・ソレムニス
■CD8(続き)
ベートーヴェン:交響曲第1番ハ長調Op.21
ああ不実なる人よ Op. 6
■CD9
シューベルト:交響曲第8(9)番ハ長調「ザ・グレイト」
■CD10
(1)シューベルト:交響曲第7(8)番ロ短調「未完成」
(2)ブラームス:交響曲第1番ハ短調Op.68
■CD11
シューマン:マンフレッド序曲O
交響曲第1番変ロ長調 Op.38「春」
交響曲第3番変 ホ長調 Op.97「ライン」
■CD12
(1)ブラームス:悲劇的序曲
 交響曲第3番へ長調 Op.90
(2)ドヴォルザーク:聖書の歌 Op.99
■CD13[66:32]
ドヴォルザーク:交響曲第7番
リハーサル断片
■CD14
(1)ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」
(2)J・シュトラウス:美しく青きドナウ
 「こうもり」より 三重唱「ひとりになるのね」、「故郷の調べは」*
■CD15
メンデルスゾーン:「夏の夜の夢」 Op. 21&61
ニコラウス・アーノンクール(指)
ロイヤル・コンセルトへボウO
■CD1&CD2
クルト・エクヴィルツ(テノール:福音史家)、ロベルト・ホル(バス:イエス)、ヨランタ・ラデック(S)、マルヤーナ・リポフシェク(A)、アントニー・ロルフ・ジョンソン(T)、アントン・シャリンガー(Bs)
録音:1984年4月15日
■CD2(続き)
録音:2009年4月26日(メンデルスゾーン)
■CD3&CD4
録音:2000年10月22日
■CD4(続き)
シャルロット・マルジョーノ(S)、マリア・ボン(P)
録音:1992年1月9日
■CD5[64:08]
録音:1991年1月27日
■CD6
マルコム・フレイジャー(P)
録音:1981年9月18日
■CD7&CD8
マルリス・ペーターゼン(S)、エリーザベト・クールマン(A)、ヴェルナー・ギューラ(T)、ジェラルド・フィンリー(Br)、オランダ放送cho
録音:2012年4月25日
■CD8(続き)
シャルロット・マルジョーノ(S)
録音:1998年3月19日
■CD9
録音:1992年11月11日
■CD10
(1)録音:1997年11月7日
(2)録音:1996年3月24日
■CD11
録音:2004年11月28日
■CD12
(1)録音:1996年1月20日
(2)クリスティアン・ゲルハーヘル(Br)
録音:2004年11月28日
■CD13
(1)録音:1998年3月20日
(2)録音:1998年3月16-17日
■CD14[80:40]
(1))録音:1997年4月3日
(2)マグダ・ナドール(S)、アーリーン・オジェー(S)*、トーマス・ハンプソン(Br)
録音:1984年6月7日
■CD15
ユリア・クライター(S)、エリーザベト・フォン・マグヌス(アルト、ゲルト・ベックマン(ナレーター)
オランダ室内cho
録音:2009年4月26日
2015年12月に演奏活動の引退を表明、翌2016年3月5日86歳で死去した指揮者のニコラウス・アーノンクール。1975年3月21日に指揮したJ.S.バッ ハの『ヨハネ受難曲』の伝説的なデビュー公演以来、コンセルトへボウOとは密接な関係を保ってきました。2000年からは名誉客演指揮者のポストに就き、 2013年10月25日と27日の2日間に亘り、アムステルダムでおこなったコンセルトヘボウ管との最後のコンサート「ブルックナーの第5交響曲」(映像で発売済 /RCO14106,RCO14103)まで、コンセルトヘボウ管との公演は延べ276に上り、そのどれもが観客にとっても忘れがたい特別なコンサートとなっています。 当ボックスセットには、1981年の「モーツァルト:交響曲第41番"ジュピター"」から、2012年の「ベートーヴェン:ミサ・ソレムニス」までの未発表放送音源が CD15枚分収録されています。 今でこそ古楽器やピリオド奏法が広く知られていますが、それは古楽界の先駆者であるアーノンクールの活躍が大きく影響しています。また、バロックや古典派の 音楽をモダン楽器でどう演奏するかという貴重な知識をオーケストラにもたらしただけではなく、彼の音楽哲学はロマン派の音楽においても同様の説得力を持ち、 現在まで受け継がれています。アーノンクールが残した数々の名演奏とともに、アーノンクールとコンセルトへボウ管の演奏史を振り返ることのできる内容です。

ALPHA
ALPHA-645(1CD)
シベリウス:交響曲第3番ハ長調 Op. 52
交響曲第5番変ホ長調 Op. 82
ポヒョラの娘 Op. 49
イェーテボリSO
サントゥ=マティアス・ロウヴァリ(指)

録音:2018年5月、2019年6月、2022年6月 イェーテボリ・コンサート・ホール、スウェーデン
世界各国で高い評価を得た第1番、第2番に続く、ロウヴァリとイェーテボリ響によるシベリウス交響曲全集の第3弾が登場。これまで第2番 はレコード芸術誌2021年11月号「新時代の名曲名盤500」で同曲の第1位に、第1番は第2位に選出されています。今回はシベリウス 転換期の重要作第3番と高い人気の第5番、そして第3番の前年に書かれた交響詩「ポヒョラの娘」を収録。これまでのアルバム同様、今 回もテンポやダイナミクスの設定に個性的な解釈が聴かれますが、新鮮であると共に大きな説得力を持つことに驚かされます。 交響曲第3番はヘルシンキ郊外の豊かな自然に触発されたと言われる美しい作品ですが、その純朴な主題や展開は扱いがやや難しいとこ ろ。ロウヴァリは第1楽章冒頭の低弦から躍動的に歌わせ、その後も大きなメリハリを付けながら熱く迷いのない音楽を展開。それは、シベリ ウスの中後期交響曲の始まりとされるこの作品にの中にも息づく、初期作品に顕著であったロシア音楽の影響と、フィンランドの民族性を併 せて強く認識させるものとなっています。また第5番はシベリウス自らの50歳を祝う演奏会のために作曲された祝典的な内容で、近年特に人 気のある作品。ロウヴァリはここでもオーケストラをたっぷりと鳴らしてクライマックスを形作り、作曲家が、頭上を16羽の白鳥が旋回する様の 美しさに触発されたと語った自然描写を雄大に描ききっています。何曲も書かれるうち、長さも楽器編成もどんどん小さく濃密になっていった シベリウスの交響曲に対して、比較的大規模な編成で書かれ続けた交響詩ですが、ここに収録された「ポヒョラの娘」も三管編成。フィンラン ドの民族抒情詩『カレワラ』に登場する英雄ワイナミョイネンと、彼が出会ったポヒョラの娘の物語を、ロウヴァリは活き活きと描いています。
ALPHA
ALPHA-872(1CD)
憧れ〜ライヴ・イン・ロッテルダム
ベルク:初期の7つの歌 (レインベルト・デ・レーウ編)
 4つの歌曲 Op. 2(ヘンク・デ・フリーヘル編)
マーラー:交響曲第4番ト長調 (エルヴィン・シュタイン編)
バーバラ・ハンニガン(S)
ラウル・ステファニ(Br)
カメラータRCO
ロルフ・フェルベーク(指)

録音:2021年4月30日 デ・ドゥーレン、ロッテルダム、オランダ (無観客ライヴ)
主にオランダで指揮者、編曲者として活躍しているロルフ・フェルベークと、ロイヤル・コンセルトヘボウOの団員で組織される室内アン サンブル、カメラータRCOによるベルクとマーラー。ベルクの『初期の7つの歌』では、ピアニストとして活躍したレインベルト・デ・レーウがオリジナ ルのピアノ譜から編曲した版(作曲者自身による管弦楽版も参考にしていると思われます)、『4つの歌曲』はオランダ放送フィルの打楽器奏 者であり、デ=メイ「指輪物語」の管弦楽編曲などでも知られるヘンク・デ・フリーヘルによる版を使用。マーラーの交響曲第4番は、シェーンベ ルクの弟子であったエルヴィン・シュタインが「私的演奏協会」のために編曲したもの。ソリストを務めるのは後期ロマン派、新ウィーン楽派から 同時代音楽までのスペシャリストであるバーバラ・ハンニガンと、オランダの若きバリトン、ラウル・ステファニ。2020年からの世界的パンデミックの 中で、様々な管弦楽作品を小編成のカメラータRCOのために編曲してきたというフェルベークとアンサンブルの意思疎通は非常に親密なもの で、ハンニガンらも奥行きのある表情でこの秀演をさらに表現豊かなものにしています。このアルバムはロッテルダムのデ・ドゥーレンにて収録さ れたストリーミング用無観客公演の様子を収めたもの。今の時代ならではのライヴ・パフォーマンスと言えるでしょう。

TOCCATA
TOCC-0512(1CD)
NX-B03
チャールズ・ローランド・ベリー(1957-):管弦楽作品集 第1集
序曲「オリンピック・マウンテン」(2003)
交響曲第4番(2017)*
交響曲第5番(2021)#
モラヴィアPO
リヴィウ国立PO*
ポーランド・ヴィエニャフスキPO#
ジョエル・エリック・スーベン(指)
テオドレ・クチャル(指)*,#

録音:2003年6月8日、2020年11月17-20日 Philharmonic Hall, Lviv(ウクライナ)*、2022年5月15-18日 Philharmonic Hall, Lublin(ポーランド)#
全て世界初録音
1957年、マサチューセッツ州ボストンに生まれた作曲家チャールズ・ローランド・ベリー。 カリフォルニア大学でピーター・ラシーン・フリッカーに作曲を学んだ後、ポール・クレストンに師事しました。フリーメイ ソンに惹かれ、マスターメイソンの地位を持つというベリー(彼によればモーツァルトやシベリウスも同様という)は、フ リーメイソン由来の哲学や神秘的な思想と、現実的な考えを合わせ持ち、クラシック音楽の新作は「聴いて楽し く、弾いて楽しい音楽でなければ」を持論としています。ここに収められた3作品は、アメリカ人ならば「ビッグ・カント リー(大いなる田舎、故郷)」という言葉を連想させる、素朴でありながらも雄大な映画音楽風のサウンドを持っ ています。序曲「オリンピック・マウンテン」はワシントン州のオリンピック国立公園のイメージ。「交響曲第4番」は5 という数を神秘的に解釈した標題音楽風の作品。2021年の作品である「交響曲第5番」は、不安げな音楽 で始まり、管楽器や打楽器の活躍する中間部を経て、最後は賢者に擬せられたホルンの導きで皆が協和する 世界に至るという筋書きを持っています。2つの交響曲を指揮するのはテオドレ・クチャルです。

フォンテック
FOCD-9873(1CD)
2022年10月5日発売
ブルックナー:交響曲第5番変ロ長調 <ノーヴァク版> 尾高忠明(指)
大阪フィルハーモニーSO

録音:2022年2月 14日 第 54回東京定期演奏会 サントリーホール・ライブ
尾高忠明は、2018年に大阪フィル第 3代音楽監督に就任。爾来各シーズンを通じ、ブルック ナーの交響曲を必ず演奏してまいりました。その第 4弾が、2022年 2月の第 555回定期、 そして直後に開催された第 54回東京定期で演奏された「第 5交響曲」です。 円熟とともに自在さを深める尾高の指揮は、朝比奈時代より継承するオーケストラの力感溢れる 響きを更なる高みへと導きました。 尾高=大阪フィルによる「ブルックナー 新しい伝統」― 神秘のピッツィカートから天空を仰ぐ ばかりの大伽藍を建立する時間です。 (フォンテック)

NIFC
NIFCCD-143(1CD)
リピンスキ:交響曲集
スタニスワフ・モニューシュコ:演奏会用序曲「おとぎ話」
カロル・リピンスキ:交響曲 ハ長調 Op.2-2、
 交響曲 変ロ長調 Op.2-3
{oh!} オルキェストラ・ヒストリチナ、
ディルク・フェルミューレン(指)

録音:2019年9月&2021年8月(ポーランド)
小泉元首相のお気に入りの作曲家としても知られる「ポーランドのパガニーニ」ことカロル・リピンスキ(1790-1861)の知られざる交響曲に、NIFCが積極的に録音を進めている19世紀ポーランド楽壇の重要人物、スタニスワフ・モニューシュコのもっとも優れたオーケストラ作品とされる「おとぎ話 Bajka」をカップリング!
リピンスキは当時の最も偉大なヴァイオリン・ヴィルトゥオーゾのひとりであり、19世紀前半のポーランドのピアノ音楽を代表するのがショパンなら、ヴァイオリン音楽を代表するのはリピンスキだと言うことができるでしょう。1818年に彼と2度共演したパガニーニは、「1番のヴァイオリニストが誰かは分からないが、2番目はリピンスキである」と述べ、リピンスキにアマティのヴァイオリンを遺贈しています。またシューマンもリピンスキの演奏を称え、彼に「謝肉祭」を献呈しました。ここに収められた2つの交響曲はどちらも1810年以前に書かれたもので、旋律の豊かさ、創意工夫が若きリピンスキの疑う余地のない才能を証明しています。一方、モニューシュコの演奏会用序曲「おとぎ話」は、1848年頃に作曲・初演されたもので、作曲者自身の一番のお気に入り作品でした。作品はソナタや交響詩の要素を含んでおり、旋律の独創性、主題の巧みな扱い、色彩的なオーケストレーションなど、モニューシュコの魅力が詰まっています。これらの作品を色鮮やかに聴かせるのは、ヤクブ・ゴウォンベク(ポーランド古典派の作曲家、c.1739-1789)の交響曲集(NIFCCD-115)でも素晴らしい演奏を披露した、ポーランドの古楽器オーケストラ「{oh!} オルキェストラ・ヒストリチナ」(ヒストリカル・オーケストラ 「oh!」)です。

Chandos
CHAN-20161(1CD)
ルース・ギップス:管弦楽作品集 Vol.2
序曲「シャンティクリア 」 Op.28
オーボエ協奏曲 ニ短調 Op.20
交響詩「青白い馬に乗った死」 Op.25
交響曲第3番Op.57(全曲世界初録音)
ユリアナ・コッホ(Ob)、
ラモン・ガンバ(指)、
BBCフィルハーモニック

録音:2019年12月19日&2022年1月6日、メディアシティUK(イギリス、マンチェスター)
ヴォーン・ウィリアムズやゴードン・ジェイコブに師事したイギリスの女性作曲家、ルース・ギップス(1921-1999)の管弦楽作品集第2弾!「交響曲第2番」や「交響曲第4番」を収めた第1弾(CHAN20078)に続き、指揮はラモン・ガンバ、今作は第2次世界大戦中に書かれた3作品と、これまでにほとんど聴かれることの無かった「交響曲第3番」を収録しています。変化に富んだ「オーボエ協奏曲」(ソロはLSOの首席奏者、ユリアナ・コッホ!)、未完のオペラのための序曲「シャンティクリア」、ウィリアム・ブレイクの絵画に基づく交響詩「青白い馬に乗った死」、グロッケンシュピールやチェレスタ、タムタムなど多数の打楽器を必要とする大編成のオーケストラのために書かれ、終楽章ではフーガも繰り広げられる「交響曲第3番」、どの作品も彼女の管弦楽に対する優れた手腕を示しています。
イギリスの海辺のリゾート地、ベクスヒル=オン=シーに生まれたルース・ギップスは、16歳で王立音楽院に入学し、作曲家・ピアニストとして急速に成長。ゴードン・ジェイコブやレイフ・ヴォーン・ウィリアムズに師事したほか、レオン・グーセンスにオーボエを学び、バーミンガム市立Oのオーボエ奏者としても活躍しました。彼女の英国音楽界への貢献は多岐にわたっており、近年録音も増えてきています。

KLANGLOGO
KL-1513(1CD)
ブラームス:交響曲第1番&第2番
ブラームス:交響曲第1番ハ短調 Op.68
交響曲第2番ニ長調 Op.73
ハワード・グリフィス(指)、
フランクフルト・ブランデンブルク州立O

録音:2014年9月29日-10月2日、コンサートホール・“ C.P.E.バッハ”・フランクフルト(オーダー、ドイツ)
ハワード・グリフィスは1950年イギリス生まれの指揮者。ロンドンの王立音楽大学を卒業後世界各地の一流オーケストラの指揮台に立っており、これまでに様々なレーベルからリリースされてきたディスクは100枚を数えます。グリフィスが2007/08シーズンから2018年まで音楽総監督を務めたフランクフルト・ブランデンブルク州立O(ヘッセン州のフランクフルト・アム・マインではなくポーランド国境近くのブランデンブルク州のフランクフルト・アン・デア・オーダーが拠点)は、浮ヶ谷孝夫の指揮による日本公演での成功をはじめ、わが国においても着実にファンを獲得しているオーケストラ。
ドイツのオーケストラにとっては避けては通れないこの偉大な作品を録音するにあたってグリフィスは、マイニンゲン宮廷Oの楽長も務めた19世紀の指揮者、フリッツ・シュタインバッハ(1855-1916)が遺した資料を可能な限り収集し徹底的に研究。ブラームス演奏の最高の解釈者としてブラームス本人にも認められていたシュタインバッハが遺した痕跡に従ってテンポ設定やフレージングなど細部まで突き詰め、ブラームス存命当時の演奏スタイルの再現を試みています。オーケストラもグリフィスの要求に高水準の演奏で応えており、無数の演奏が生み出されてきた名曲に新たな彼らなりの答えを見出しています。
KLANGLOGO
KL-1514(1CD)
ブラームス:交響曲第3番&第4番
ブラームス:交響曲第3番ヘ長調 Op.90
交響曲第4番ホ短調 Op.98
ハワード・グリフィス(指)、
フランクフルト・ブランデンブルク州立O

録音:2015年6月22日-25日、コンサートホール・“ C.P.E.バッハ”・フランクフルト(オーダー、ドイツ)
ハワード・グリフィスは1950年イギリス生まれの指揮者。ロンドンの王立音楽大学を卒業後世界各地の一流オーケストラの指揮台に立っており、これまでに様々なレーベルからリリースされてきたディスクは100枚を数えます。グリフィスが2007/08シーズンから2018年まで音楽総監督を務めたフランクフルト・ブランデンブルク州立O(ヘッセン州のフランクフルト・アム・マインではなくポーランド国境近くのブランデンブルク州のフランクフルト・アン・デア・オーダーが拠点)は、浮ヶ谷孝夫の指揮による日本公演での成功をはじめ、わが国においても着実にファンを獲得しているオーケストラ。
交響曲第1番、第2番の翌年に録音セッションが行われたブラームス・サイクルの後半となる交響曲第3番、第4番でもグリフィスは、第1番、第2番と同様にマイニンゲン宮廷Oの楽長も務めた19世紀の指揮者、フリッツ・シュタインバッハ(1855-1916)が遺した資料を可能な限り収集し徹底的に研究。ブラームス演奏の最高の解釈者としてブラームス本人にも認められていたシュタインバッハが遺したコメントのひとつひとつまで拾い上げ、細かいテンポ設定、絶妙な強弱のバランス、アクセントの微妙な変化を効果的に表現。オーケストラの好演にも助けられブラームスが描いていた演奏スタイルの再現を見事に形にしています。細部までこだわり抜かれた演奏は数多くの名盤がひしめくこの名曲においても一聴の価値のあるアルバムに仕上がっています。

GRAND SLAM
GS-2277(1CD)
フランク:交響曲 ニ短調 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)VPO

録音:1953年12月14日、15日ウィーン、ムジークフェラインザール
使用音源:Private archive (2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
モノラル(録音セッション)
■制作者より  
1953年にセッション録音されたフランクはGS-2169(2017年/廃盤)以来の再登場となります。今回もまた2トラック、38センチのオープンリール・テー プを録音スタジオに持ち込み、マスタリングの全行程をプロ用の機器で行いました。その出来栄えはマスタリング・エンジニアも驚くほど、圧倒的な素晴らしさです。 柔らかく繊細な表情から、仰ぎ見るような巨大なスケール感までくまなく捉えられ、音色は万華鏡のように多彩です。おそらくは、フルトヴェングラーの生の音に最 も近いものと思われます。  では、このフランクに何を組み合わせるべきか? いくつか候補をあげ、悩みに悩みました。しかし、このフランクに匹敵する音質のものは他にありません。従っ て、この突出した演奏の印象をより大切にするには、フランクのみの収録が最善と判断しました。  また、解説書にはこのフランクに関連する情報を限りなく収拾し、掲載しました(全12ページ)。(平林 直哉)

SWR music
SWR-19120CD(1CD)
NX-B06
ニールセン:交響曲第2番ロ短調「四つの気質」 Op. 16FS 29
交響曲第4番「不滅」 Op. 29*
シュトゥットガルトRSO
ロジャー・ノリントン(指)

録音:2003年12月18-19日、2001年1月17-19日*
※初CD化
ロマン主義からモダニズムへの移行期にあった20世紀初頭の作曲家の中でも、特に既成概念から逸脱した独創性で知られ、当時としては挑発的な存在 として受け止められていたニールセン。6曲ある交響曲はどれも独自性の高いものですが、ここに収録された2曲の交響曲はどちらも彼の特徴が良く表れて います。 第2番は中世の時代、人間の人格を構成すると考えられていた"4つの気質"を音楽で描いたもので、各々異なる性格が絶妙に表現されています。第4番 は彼の代表作の一つであり、ニールセン自身による「滅ぼし得ざるもの(不滅)」というタイトルが付されています。 ノリントンは1998年から2011年の13年間にわたりシュトゥットガルトRSOの首席指揮者を務め、作曲当時に聴衆が感じたサウンド・イメージに 迫るために、時代考証に基づいてオーケストラのサイズ・配置・奏法を調整し、弦楽器のノンヴィブラート演奏を基調とする「シュトゥットガルト・サウンド」と呼 ばれる独自のスタイルを編み出しました。古典派やロマン派の作品でめざましい効果を発したこのスタイル、ここでは荒々しい自然の力を感じさせるような箇 所でも響きが濁らず、ニールセンのオーケストレーションを明快かつ劇的に聞かせます。

SWR music
SWR-19432CD(10CD)
NX-G09
偉大な指揮者たち - SWR録音集


【CD1】
(1)モーツァルト:交響曲第40番
(2)ベートーヴェン:交響曲第1番

【CD2】
(1) ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」
(2)シューベルト:交響曲第5番

【CD3】
ブラームス:交響曲第3番
ハイドンの主題による変奏曲

【CD4】
シューマン:交響曲第1番「春」
交響曲第4番ニ短調 Op. 120*
序曲「ジュリアス・シーザー」#

【CD5】
ブルックナー:交響曲第7番

【CD6】
マーラー:交響曲第6番「悲劇的」

【CD7】
(1)チャイコフスキー:交響曲第5番 ホ短調 Op. 64
(2)ボロディン:交響曲第2番

【CD8】
エルガー:序曲「南国にて」
序奏とアレグロ*/エニグマ変奏曲#

【CD9】
ストラヴィンスキー:バレエ音楽『プルチネッラ』
 バレエ音楽『ミューズを率いるアポロ』*
 ロシア風スケルツォ#
【CD10】
R・シュトラウス:歌劇「ばらの騎士」演奏会組曲(1945年版)
交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」*
交響詩「ドン・ファン」#
【CD1】
(1)カール・ベーム(指)シュトゥットガルトRSO
録音:1974年9月18日、
(2)ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)シュトゥットガルトRSO
1954年3月30日(モノラル)
【CD2】
カール・シューリヒト(指)シュトゥットガルトRSO
録音:(1)1957年2月14日 、(2)1960年4月11日 (全てモノラル)
【CD3】
ハンス・クナッパーツブッシュ(指)シュトゥットガルトRSO
録音:1963年11月15日 (全てモノラル)
【CD4】
ハンス・ロスバウト(指)バーデン・バーデン&フライブルク南西ドイツRSO
録音:1960年9月8日、1961年12月19日*、1961年12月18日#(全てモノラル)
【CD5】
クルト・ザンデルリンク(指)バーデン・バーデン&フライブルク南西ドイツRSO
録音:1999年12月15-17日
【CD6】
キリル・コンドラシン(指)バーデン・バーデン&フライブルク南西ドイツRSO
録音:1981年1月13-15日
【CD7】
(1)レオポルド・ストコフスキー(指)シュトゥットガルトRSO
録音:1955年5月20日 モノラル
(2)カルロス・クライバー(指)シュトゥットガルトRSO
録音:1972年12月12日ステレオ
【CD8】
ロジャー・ノリントン((指)シュトゥットガルトRSO
録音:2010年9月30日-10月1日、2007年12月13-14日#、2010年10月4-5日 *
【CD9】
ミヒャエル・ギーレン(指)、エッダ・モーザー(S)、ヴェルナー・ヘルヴェヒ(T)、バリー・マクダニエル(Bs)、シュトゥットガルトRSO、バーデン・バーデン&フライブルク南西ドイツRSO#
録音:1973年2月12日(ライヴ)、1973年7月24日 *、1998年4月17日#
【CD10】
ジョルジュ・プレートル(指)、ディートヘルム・ヨナス(Ob)、シュトゥットガルトRSO
録音:1990年2月15-17日*
1997年10月31日#
この10枚組BOXには南西ドイツ放送が所有する、12人の伝説的な指揮者の1955年から2010年までの録 音がまとめられています。 南西ドイツRSO(ドイツ語: SWR Sinfonieorchester)は、ドイツのバーデン=ヴュルテンベルク 州にある南西ドイツ放送所属のオーケストラ。その歴史の中で何度も名称を変更しながら、2016年に合併し、 現在ではSWR南西ドイツRSOとして活動しています。オーケストラは長年にわたり、多くの伝説的な 指揮者と共演、彼らは首席指揮者として指揮を執ったり、時には客演指揮者として招かれたりして数々の名演 を生み出してきました。 この10枚組のCDでは、20世紀を代表する指揮者たち12人の演奏を、オリジナルマスターテープからの良質な 復刻でお楽しみいただけます。

Goodies
78CDR-3881(1CDR)
モーツァルト:交響曲第25番ハ短調 K.183 オットー・クレンペラー(指)
パリ・プロ・ムジカO

仏 POLYDOR A6345/6
1950年2月パリ、プレイエル音楽堂録音
オットー・クレンペラー(1885-1973)はドイツ生まれ、1910年からドイツ各地の オペラハウスでキャリアを積んだ。1927年から31年にはベルリンのクロール・オ ペラの指揮者をつとめた。ユダヤ人だった彼は1937年ナチスの迫害を逃れてアメ リカに移住、市民権を得てロサンジェルス・フィルハーモニーの音楽監督になっ た。だがカリフォルニアの土地にはなじめずその地位を離れた。第2次世界大戦 が終わるとヨーロッパ楽壇に復帰した。この録音はヨーロッパ復帰直後にパリで 行われた。プロムジカOの実体はラムルーO。この録音はSPレコ ード末期のもので日本ではほとんど知られていなかったもの。このシリーズで同 時期に録音された交響曲「リンツ」(78CDR-3433)が出ています。(グッディーズ)

Treasures
TRT-019(1CDR)
イッセルシュテット/シューベルト&チャイコフスキー
シューベルト:交響曲第5番変ロ長調
チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調Op.64*
ハンス・シュミット・イッセルシュテット(指)
北ドイツRSO

録音:1955年4月17-20日、1952年9-10月*(共にモノラル)
※音源:Capitol P-18021、DECCA ACL-3*
◎収録時間:72:34
“ロシア的色彩とは無縁!無骨なカンタービレで真剣勝負!”
■音源について
シューベルトは濃緑/金ラベル。これが最初期盤と思われます。チャイコフスキーは英国ではLXT-2758が初出で、ACL-3はその再発盤。このシリーズは音がざらついている盤に遭遇することもありますが、これは極めて良好。

シューベルトは、イッセルシュテットの人柄をそのまま映したたような誠実な歌に満ちた演奏。中でも第2楽章は自然体でありながら呼吸はとてつもなく深く、ホルンの巧さと共に芳しさを湛えるコーダは絶品。第3楽章中間部の慈しみの表情も、取って付けたものではなく真心そのものです。
 チャイコフスキーも堅実そのものの演奏ですが、決して型に嵌って安住しているのではなく、作品への並々ならぬ共感を端正な造形の中に凝縮しています。特にチャイコフスキーにおいてこの種のタイプの演奏はとかく面白味に欠けると一蹴されがちなうえに、モノラル録音なので聴き手の側からニュアンスを感じ取ろうとする姿勢が必要ですが、聴けば聴くほど地味さだけを理由に退けられない魅力が詰まっています。
 第1楽章でまず唸るのは主部のテンポ設定。「付点四分音符=104」のスコア表記はかなり速めで、採用例もほとんどどありません。ここではもちろんそれよりも遅いテンポを採用。中庸と言えばそれまでですが、音符の一つ一つの意味がくっきり浮かび上がるようにテンポを慈しんでいるように感じられるのです。特に付点リズムが持つニュアンスは、このテンポより遅くても早くても表出されないでしょう。因みにこのテンポはムラヴィンスキーの1960年盤とほぼ同じですが、そのアポロ的な威容とは対極的な純朴さが心に染みるのです。第2主題にも色気を注入するなど眼中になく、ひたすら自分たちの流儀を通す一途さと確信性は、スタンダードな「ロシア的アプローチ」が確立していなかった時代だからこそ生まれたものと言えましょう。
第2楽章もホルン・ソロをはじめとして流麗なカンタービレで化粧を施すことなく、ドイツ風の入念なフレージングを貫徹。クラリネット・ソロ(6:02〜)以降では類例のない独自の陰影を見せ、その後はますます呼吸の深度を深めます。10:27辺りからの熱いフレージングも現代ではあり得ない無骨さ丸出しですが、その体を張った打ち込みをどうして笑えましょう。3楽章のワルツも当然レントラー風。終楽章は当時としては珍しくない短縮ヴァージョン(ロジンスキー等と同じく210小節〜315小節までカット)を採用。しかも206小節からの4小節は弦を抑え、フルートを追加しています。
172小節からの運命動機の斉奏は、伝統的なドイツ流儀が最も顕著に出た箇所。テンポを落とし、リズムの重心を下げ、ロシア的な攻撃性とは異なる粘りのある進行。ステレオ時代以降にもドイツのオケでこれとよく似たバランスの響きを耳にしますが、これがムラヴィンスキー・スタイルが世界に知れ渡る以前から培われてきたドイツ人による「ロシア的」なイメージだったことを窺わせます。
 チャイコフスキーの交響曲第5番は、北ドイツ放送響の第1回演奏会(1945年)の演目でもあり、オケも指揮者も特別な思いで録音に臨んだことは想像に難くありません。【2022年9月・湧々堂】「チャイ5」の詳細レヴュー

CPO
CPO-555511(1CD)
NX-B10
エミーリエ・マイヤー(1812-1883):交響曲第3番ハ長調
交響曲第7番ヘ短調
ハノーファー北ドイツ放送PO
ヤン・ヴィレム・デ・フリエンド(指)

録音:2022年3月7-11日
エミーリエ・マイヤーは、北ドイツ、メクレンブルクの生まれ。20代の末に作曲家を目指し、バラードで有名なカー ル・レーヴェに学び、オペラを含む広い分野の作曲を精力的に行ったという点で、当時としては数少ない成功した 女性作曲家の一人と言えるでしょう。とはいえ、同時代の女性作曲家たちと同じように、どれほど素晴らしい作品 を発表してもその才能が正当に評価されることはなく、21世紀になってようやく、作品の演奏機会が増え、注目が 高まっています。 「女性版ベートーヴェン」とも呼ばれる彼女の作品は、どれも古典主義に則った形式の中にロマンティックな旋律が 盛り込まれており、恵まれた才能が窺えるものばかりです。このアルバムには2曲の交響曲を収録。最終楽章に ピッコロ、トライアングル、シンバル、バスドラムが使用されていることから「軍隊交響曲」と呼ばれる第3番、1856
CPO
CPO-555416(1CD)
NX-B10
ゲオルク・ヴィルヘルム・ラウヒェネッカー(1844-1906):交序曲の形式による交響的作品
交響曲第1番 ヘ長調
東洋風幻想曲
ゼバスティアン・ボーレン(Vn)
ザラストロ四重奏団
ヴィンタートゥーア・ムジークコレギウム
ハワード・グリフィス(指)

録音:2020年10月26-29日、2020年9月21日
ミュンヘンで生まれたゲオルク・ヴィルヘルム・ラウヒェネッカー。現在ではその名前はほとんど忘れられてしまいました が、活躍当時はヨーロッパで高い知名度を誇っていました。作曲をフランツ・ラハナーに学び、16歳で渡仏。1864 年にはカルパントラの劇場Oの首席指揮者に就任するなど活躍を始めましたが、1870年に勃発した普 仏戦争によりスイスに亡命。1875年にはそれまで教会音楽を演奏していたムジークコレギウムを、ヴィンタートゥー ア市初のプロ・オーケストラとして再編・指揮したほか、作曲家、市のオルガニストとして、また楽器商、教育者とし ても重要な足跡を残しました。このアルバムに収録された3作品のうち、「東洋風幻想曲」以外は彼が設立した ヴィンタートゥーア市立O(現ヴィンタートゥーア・ムジークコレギウム)のために書かれたものです。ラウヒェネッ カーは熱心なワグネリアンであったと伝えられていますが、古典的な佇まいを持つ交響曲第1番には標題音楽的 な要素は見当たらず、むしろ絶対音楽への強い志向が感じられます。21歳の作品である「東洋風幻想曲」は、 熟達したヴァイオリニストであったラウヒェネッカー自身の技巧を示すための協奏的な作品です。


King International
KKC-4303(5CD)
アーベントロート不滅の遺産(最新リマスター)


■CD 1
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」
■CD 2
ブラームス:交響曲第1番ハ短調 Op.68
 交響曲第3番ヘ短調 Op.90*
■CD3
チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」
■CD 4
モーツァルト:交響曲第41番「ジュピター」
 ディヴェルティメント 第7番ニ長調 KV205
 セレナード 第8番「ノットゥルノ」*
■CD 5
ハイドン:交響曲第88番ト長調「V字」
 交響曲第97番ハ長調*
ヘンデル:管弦楽のための二重協奏曲 第3番 ヘ長調*
ヘルマン・アーベントロート(指)

■CD 1
ライプツィヒRSO
エディット・ラウクス(S)/ディアナ・オイストラティ(A)/ルートヴィヒ・ズートハウス(T)/カール・パウル(Bs)/ライプツィヒ放送cho/ライプツィヒ音楽大学cho
録音:1951年6月29日*
■CD 2
ライプツィヒRSO
録音:1949年10月20日 / 1952年3月17日*
■CD3
ライプツィヒRSO
録音:1952年1月28日
■CD 4
ライプツィヒRSO
ベルリンRSO*
録音:1956年3月26日/ 1956年4月12日*
■CD 5
ライプツィヒRSO
ベルリンRSO*
録音:1956年/ 1955年9月15日*

原盤:ドイツ・シャルプラッテン
国内製造品
日本語帯・解説付(解説:宇野功芳)
ヘルマン・アーベントロートはフルトヴェングラーやクナッパーツブッシュと同世代のドイツの巨匠指揮者。旧東ドイツのライプツィヒを拠点に活躍していたため、 西側にとっては”幻”の指揮者でしたが、ドイツ・シャルプラッテンと契約した徳間音工が”幻”の音源を発掘、1974年にLPシリーズで発売、「悲愴」「第九」「ブ ラ3」「ハイドンV字」等、宇野功芳の推薦紹介とあいまって、レコード業界に大反響をまきおこしました。2008年にはキングレコードが宇野功芳に監修を依頼、L Pで20枚分ある音源の中から推薦演奏のみ厳選し、CD5点を発売。ベストセラーを記録しています(「アーベントロートの芸術」KICC-701〜5)。 廃盤になって久しいアーベントロート不滅の遺産CD5枚がセットとなってキングインターナショナルから登場!2トラック、38p/秒速のアナログ・マスターテープ より、キング関口台スタジオでデジタル・リマスタリングをおこない、音にいっそう磨きをかけて発売します。巨匠の内奥にまで迫ったアナログ本来の音再現にご注 目ください。ブックレットは宇野功芳の“熱烈”解説(22,000字)を転載します。
「アーベントロートはワルターより7つ、シューリヒトより3つ年下であり、クレンペラーより2つ、フルトヴェングラーより3つ年上です。ゲヴァントハウス管弦 楽団ではワルターの後任、コンヴィチュニーの前任であった。まさに大指揮者の時代の輝かしい一人です。第2次大戦後、東ドイツを拠点としたため、レコード発 売が遅れてしまったわけだが、現在残された20点の演奏は、そのほとんどが名演であり、わけてもヘンデル、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームス、 チャイコフスキーなど、実にすばらしい。録音も含めて僕がとくに推賞したいのはハイドンの「第88番」とチャイコフスキーの「悲愴」であり、つづいてヘンデルの「二 重協奏曲」、ハイドンの「第97番」、モーツァルトの「ジュピター」、同じく「ディヴェルティメントK205」、ベートーヴェンの「第9」における前半の2つの楽章、ブラー ムスの「第3」も絶品だ。また録音がやや古いのを我慢すれば、ブラームスの「第1」やチャイコフスキーの「第4」も絶対に聴き逃せない。このシリーズはいずれも 1949年から56年にかけて行われた放送用の録音で、一回限りの演奏であるため、流れに血が通っているのも大きな特長です。」(1989年記) 宇野功芳(ブックレット解説より) (Ki)


Treasures
TRT-018(1CDR)
マタチッチのロシア音楽1
ボロディン:「イーゴリ公」より
 序曲/ダッタン人の行進/だったん人の踊り
チャイコフスキー:交響曲第5番*
ロヴロ・フォン・マタチッチ(指)
フィルハーモニアO、チェコPO*

録音:1958年9月、1960年3月12-15日*(全てステレオ)
※音源:仏TRIANON TRI-33114 、独musicaphon BM30SL-1614*
◎収録時間:71:21
““マタチッチの強力なオーラでチェコ・フィル・サウンドが豹変!”
音源について
チャイコフスキーはスプラフォン音源ですが、あえて音に腰の座った安定感があるドイツの重量盤を採用しました。スプラフォン盤のCDでは気づかなかった手応えがここにはあります。

★マタチッチとフィルハーモニア管の「ロシア管弦楽曲集」は、ステレオ初期のありとあらゆる管弦楽曲録音の中でも演奏・音質両面において頂点をなす名演の一つだとと、私は長年確信し続けています。ウィーン・フィルやベルリン・フィルとは違う「無色透明」を旨とするフィルハーモニア管の音色を野性味と重量感のあるサウンドに激変させていることに、まずマタチッチの偉大さを思い知りますが、その演奏内容は奇跡の連続!例えば「だったん人の踊り」。主席のシドニー・サトクリフと思われる有名なオーボエ・ソロ(3:16)は、技術も表現もこれ以上の演奏は不可能と思われるほどで感動的で、そこへそっと身を寄せる弦のシルキーさも空前絶後!これを味わえる喜びと相まって聴くたびに涙がこぼれます。他の魅力まで書けばきりがありませんので、無理やりチャイコフスキーへ移ります。
 そのチャイコフスキーは、N響との共演盤でも十分満足ですが、こちらはこちらで聴き所満載です。相手は伝統的な音色美を誇るチェコ・フィル。さすがのマタチッチもその純朴なサウンドの上にスラブ的な豪放さを植え付けるのに苦労したと見え、技術的にも表現的にも純朴すぎるその「癖」を制御せずにやり過ごしている箇所も散見されます。ただ、それを強引に理想に近づけようとすればオケの美観を失いかねず、説得力のある演奏からも程遠くなってしまうという読みと、スタジオ録音の制約もあって、オケに最重要ポイントのみの徹底に終始したのかも知れません。いずれにせよ、ギリギリまで突き詰めるのではないマタチッチの懐の深さが、音楽のスケール感の確保に繋がっていると思われます。
第1楽章冒頭クラリネットから、クラリネットの2本使用が音色の幅を広げていることを誇示するかのように太い音色で吹かせているのがいかにもマタチッチで、第2主題や副次主題が少しも女々しく傾かず、精神的な強靭さを湛えているのも同様。コーダでトランペットが合いの手を入れる512小節(12:26)の8分音符と16分音符が音価どおりに吹かれることは稀ですが、ここではチェコ・フィルの素朴さがスコアの素の姿を示しており興味深い現象です。
 第2楽章のホルン・ソロは史上屈指の名演で、濃厚なヴィブラートを駆使してオペラ・アリアのように歌いあげる様はあっぱれ!このように思い切り歌わせる姿勢は楽章全体に一貫しており、細かいルバートのタイミングや強弱の加減程度の指示に抑えて、あとは呼吸で勝負するような気宇壮大な空気が横溢。ちまちましたことを言えなくなるほどの説得力は、そこから生まれている気がします。
 第3楽章は小気味良い楽想がチェコ・フィルにピッタリ。終結部の木管の絶妙な浮き出しは、先述のピンポイント的な指示の一つと思われ、その徹底ぶりが尋常ではありません。
 終楽章もマタチッチならではの勇壮な音楽。172小節以降、運命動機を斉奏する金管に木管軍が呼応する際にピッコロを核としたバランスを徹底して光彩陸離たる輝きを注入するいかにもマタチッチらしい趣味で、鄙びたチェコ・フィル・サウンドは跡形もありません。曲の終盤に向けて、チェコ・フィルが伝統の殻を破リ続けてマタチッチ寄りのサウンドにどんどん近づく様はそれだけでもワクワクします。【2022年8月・湧々堂】
「チャイ5」の詳細レヴュー


SOMM
ARIADNE-5017(2CD)
NX-C09
クーセヴィツキー/ロンドン・フィル、ライヴ録音集
【CD1】
チャイコフスキー:交響曲第5番 ホ短調 Op. 64
ドキュメンタリー「セルゲイ・クーセヴィツキーの思い出」
 イントロダクションとボストンSO Part. I
【CD2】
ドキュメンタリー「セルゲイ・クーセヴィツキーの思い出」(続き)
 1. ボストンSO Part. II
 2. LPO
シベリウス:交響曲第2番ニ長調 Op. 43*

●ドキュメンタリー「セルゲイ・クーセヴィツキーの思い出」使用曲

【CD1:5】
ベルリオーズ:ラコッツィ行進曲b…1、2、4
チャイコフスキー:交響曲第5番第1楽章(抜粋) a…1
R・シュトラウス:ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら(抜粋) b…3
チャイコフスキー:ロメオとジュリエット(抜粋) b…1
リスト:ファウスト交響曲のリハーサルよりb
【CD2:1】
シベリウス:タピオラよりb…1
ドビュッシー:海より第3楽章(抜粋) b…1
ベートーヴェン:交響曲第3番第4楽章(抜粋) b…3
シベリウス:交響曲第2番第2楽章(抜粋) b…3
コープランド:エル・サロン・メヒコ(抜粋) b…1、3
チャイコフスキー:交響曲第4番第4楽章(抜粋) b…2
チャイコフスキー:交響曲第4番第4楽章(抜粋) b…3
チャイコフスキー:交響曲第5番第2楽章(抜粋) a
【CD2:2】
シベリウス:交響曲第2番第1楽章(抜粋) a…4
ムソルグスキー:歌劇「ホヴァーンシチナ」前奏曲(抜粋) a
チャイコフスキー:交響曲第5番第2楽章(抜粋) a
チャイコフスキー:交響曲第5番第3楽章(抜粋) a…4
チャイコフスキー:交響曲第5番第3楽章(抜粋) a
チャイコフスキー:交響曲第5番第4楽章(抜粋) a…4
セルゲイ・クーセヴィツキー(指)
LPO

録音:すべてライヴ(モノラル)
1950年6月1日 Royal Albert Hall、London
1950年6月8日 Royal Albert Hall、London*

●ドキュメンタリー「セルゲイ・クーセヴィツキーの思い出」演奏者内訳(全て初CD化)

LPO…a
ボストンSO…b

語り手
ジョン・トランスキー(プロデューサー&インタビュアー)
ハリー・エリス・ディクソン(ボストンSO 元ヴァイオリニスト)…1
エヴァレット・"ヴィック"・ファース(ボストンSO 元ティンパニスト)…2
ハリー・シャピロ(ボストンSO 元準首席ホルン奏者)…3
パトリック・ストレヴェンス(LPO 元準首席ホルン奏者)…4
21世紀の名指揮者セルゲイ・クーセヴィツキーとLPOによる1950年6月の演奏会ライヴ録音、初CD化。 クーセヴィツキーはロシアで生まれ、地元でコントラバス奏者として活躍した後に渡米。1924年にボストンSOの常任指揮者に就任してからはほぼ四 半期にわたり、オーケストラを高い水準に引き上げるとともに、アメリカの聴衆にフランスやスラヴ系の音楽を紹介しました。このロンドン・フィルとの演奏は、彼 が1949年に健康問題でボストンSOの音楽監督を辞任した翌年のもの。75歳の高齢とはいえ、この演奏会の直前にはパリでベートーヴェンの第9 を演奏するなど、まだまだ充実した活動を行っていたクーセヴィツキーの迫力ある演奏が記録されています。アルバムの余白には、ドキュメンタリー制作者ジョ ン・トランスキーがクーセヴィツキーの下で演奏していたボストンSOとロンドン・フィルの元楽団員たちに対して1992年から2017年にかけて行ったイン タビューを含むドキュメンタリー音声が収録されており(英語)、彼がどれほどオーケストラのメンバーに愛されていたか、またオーケストラに影響を与えたかを知る ことができます。ここで使われている音源も含め、全ての音楽はエンジニア、ラーニ・スパールによってリマスターが施されており、モノラルでありながらもクリアで 深みのある音を楽しむことができます。また、ブックレットには歴史的録音の権威であるロブ・コーワンがこの貴重な録音と演奏への賛辞を寄せています(英語)。
SOMM
ARIADNE-5016(1CD)
NX-B04
ヴォーン・ウィリアムズ・ライヴ 第1集
劇音楽「すずめばち」 アリストファネス組曲 - 序曲*
交響曲第6番ホ短調**
交響曲第9番ホ短調#
マルコム・サージェント(指)
BBC響*,**、ロイヤルPO#

録音:すべてライヴ(モノラル)
1957年9月12日 Royal Albert Hall、London*
1964年8月4日 Royal Albert Hall、London**
1958年4月2日 Royal Festival Hall、London#
マルコム・サージェント(1895-1967)は1950年から1957年までBBCSOの常任指揮者を務め、華麗な指揮スタイルと緩急自在なテンポ設定で 英国作品を中心に幅広いレパートリーを演奏、人気を博しました。ヴォーン・ウィリアムズ作品も得意としており、ここでは1957年に演奏された「すずめばち」 序曲、1958年の「交響曲第9番」、1964年の「交響曲第6番」、この3曲のライヴ録音を収録。サージェントは2つのオーケストラの個性を際立たせつつ、 品の良さを併せ持った見事な音楽を聴かせます。なかでも「交響曲第9番」の演奏は、晩年の作曲者自身の立ち合いの下に行われた世界初演という、 歴史的な録音です。ヴォーン・ウィリアムズの厚い信頼を得ていたサージェントならではの快演が繰り広げられています。 今回の復刻は、これまでにも数々の名盤の復刻にあたった、英国を代表するリマスター・エンジニア、ラーニ・スパールが手掛けており、丁寧なリマスターにより ノイズの少ないリアルな音が蘇りました。 なお、ブックレットにはヴォーン・ウィリアムズの評伝を執筆した英国の研究家サイモン・ヘファーによる解説(英語のみ)が掲載されています。

Pentatone
PTC-5187021(1CD)
マーラー:交響曲第5番嬰ハ短調 ヤン・ヴォボジル(ホルン独奏)、
スタニスラフ・マサリク(トランペット独奏)
セミヨン・ビシュコフ(指)チェコPO

録音:2021年12月8-11日/ルドルフィヌム、ドヴォルザーク・ホール(プラハ)
当団にとって全曲録音は1976年から1982年にかけて録音したヴァーツラフ・ノイマン以来となります。オーストリアで活躍したマーラーです が生まれは当時のオーストリア帝国に属するボヘミア王国のイーグラウ近郊のカリシュト村(現チェコのイフラヴァ)。この全曲録音は当団にとっても最も重要かつ 力をいれたプロジェクトとなっております。
「マーラーの交響曲は人生の“ポリフォニー”を表現するものであり、これらの作品を録音することは、生涯をかけて抱いてきた夢、そして喜びです」と語るビシュ コフ。2018年10月より当団の首席指揮者・音楽監督としての任期をスタートさせたビシュコフが全身全霊で臨むマーラーはこのオーケストラがもつ温かく優 しい音色を全面に出した好演で、ビシュコフが生涯かけての夢をここに実現しております。ことにアダージェットは言葉を失うほどの美しさ。細部へのこだわりと 洗練された演奏はビシュコフ率いるチェコ・フィルでなければ表現できない輝かしいマーラーの世界が広がります。
ェン・ライスをソリストに迎えた第4番(KKC-6504 / PTC-5186972)も好評発売中です! (Ki)


Spectrum Sound
CDSMBA-108(2CD)
「オハン・ドゥリアンへのオマージュ」〜1971・1980・1981年ライヴ音源集
(1)ワーグナー:「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕前奏曲
(2)ハイドン:交響曲第102番
(3)ストラヴィンスキー:バレエ組曲「火の鳥」(1919年版)
(4)モーツァルト:「ドン・ジョヴァンニ」序曲
(5)ブルックナー:交響曲第9番ニ短調
オハン・ドゥリアン(指)
(1)フランス国立O、(2)-(5)フランス放送ニューPO

録音:(1)1971年1月13日、
(4)(5)1981年5月8日シャンゼリゼ劇場(パリ)、
(2)(3)1980年5月22日メゾン・ドゥ・ラ・ラジオ・パリ104スタジオ(パリ)
録音方式:ステレオ(ライヴ)
フランス国立視聴覚研究所(ina)提供の正規音源を使用したSpectrum Soundレーベルのベルアーム・シリーズから今年(2022年)に生誕100年を迎え た指揮者オハン・ドゥリアン(1922-2011)へのオマージュとして、1971年、1980年、1981年のライヴのからワーグナーの「ニュルンベルクのマイスタージ ンガー」第1幕への前奏曲、ハイドンの交響曲第102番、ストラヴィンスキーのバレエ組曲「火の鳥」(1919年版)、モーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」序曲、 そしてブルックナーの交響曲第9番を収録したアルバムが登場します!
ドゥリアンは1922年イェルサレム生まれ。同地の音楽学校で学んだのち、パリにてロジェ・デゾルミエール(1898-1963)とジャン・マルティノン(1910-1976)に指揮を師事しています。
正規録音が少ないために日本ではその名は親しまれていませんが、ドゥリアンの音楽は一聴価値ありの唯一無二の実に見事なもの。悠然としたワーグナー、たっ ぷりと歌うハイドン、驚くほど遅いテンポから不思議な響きを生み出すストラヴィンスキー、スケールの大きなモーツァルト、そして立派かつ柔らかな響きがこの上 なく美しいブルックナーと、“ドゥリアン節”炸裂の演奏を展開しております。この度のリリースは未亡人アリス・ドゥリアン全面協力のもと実現。記念すべき年に復 刻された熱量高いドゥリアンの演奏をご堪能ください。平林直哉氏の日本語解説書付。スクリャービンの「法悦の詩」とブラームスの交響曲第3番を収録したアル バム(CDSMBA-076)も好評発売中です!


Treasures
TRE-279(1CDR)
ノイマンのブルックナー
グリンカ:幻想曲「カマリンスカヤ」#
リスト:交響詩「前奏曲」
ブルックナー:交響曲第1番*
ヴァーツラフ・ノイマン(指)
ライプチヒ・ゲヴァントハウスO

録音:1967年10月17日#、1965年12月13-14日ライプツィヒ救世主教会*、1968年2月22-23日 (全てステレオ)
※音源:独DECCA _SXL-20087*、ETERNA 8-25-847
◎収録時間:74:34
“ノイマンの端正な造形力にオケの魅力が完全バックアップ!”
■音源について
全てETERNA音源。ノイマンは、1964年からライプチヒ・ゲヴァントハウス管の音楽監督に就任。プラハの春へのソヴィエの介入を東ドイツが賛同したことに抗議して1968年に辞任。その後のチェコ・フィルでの活躍はご存じのとおりです。

★ノイマンのチェコ・フィル時代の録音の多くは高い評価を得ていますが、端正で丁寧な音作りである反面、どこか根源的な力が希薄だと感じる方も多いのではないでしょうか。腰高のサウンド自体はチェコ・フィルの持ち味であり、マタチッチのような巨匠でも、チャイコフスキーの録音において重厚な音を引き出すのに苦労していることが窺われますし、スプラフォンの録音やホールの特性も関係しているかもしれません。
 では、そのそもノイマンが目指す音色とはどんなものなのか?その答えはゲヴァントハウス時代の録音にあると思います。過度な重圧感を避け、楷書風のフォルムを守る姿勢はこの頃から変わっていないことがまず分かります。しかも、この頃の録音は、マーラーの「5番」など名演揃い!そう考えると、ノイマン&チェコ・フィルの録音の薄味感は、清潔さを重んじるノイマンの音作りがチェコ・フィルの個性によって過度に際立ってしまった結果とも言えそうです。
 一方で、その前のたった4年間だけのゲヴァントハウス時代の録音は、指揮者ノイマンの魅力の本質を知る意味で聴き逃がせないものばかり、中でもこのブルックナーは、マーラーの「5番」等とと並ぶ名演で、ノイマンの威圧感を嫌う音作りがゲヴァントハウス管のいぶし銀の響きに清潔感を与え、野武士的な演奏では気づかない木工細工のような佇まいをもたらしている点で、他に類を見ない魅力を誇ります。
 第1楽章冒頭の弦の刻みは確実に音色ニュアンスが滲み、単調なリズムしか感じさせない演奏との差にハッとさせられます。随所に顔を出す管楽器も意味深く呟き、トゥッティでは伝統美を有していた頃のこのオケの魅力が炸裂。峻厳にして端正な造形力で惹きつけます。必要以上にルバートを効かせない第2主題の歌い口も、後年まで一貫していたノイマンの特色が現れていますが、オケの音色と相まって、その伸縮性の少ないフレージングが素朴さを更に押し広げます。展開部の混沌とした楽想も、再現部への以降の進行も少しも物々しくなく、ノイマンの音楽性と作品との親和性が独特の説得力を醸成。コーダでは、フェルマータ後の弦(13:12)が灼熱のフォルティッシモを掻き鳴らし、後年のノイマンからはあまり想像できない凝縮度の高い響きを発するのです。
 第2楽章も見通しの良いテクスチュアを基調とし、折り目正しくフレージング。ヴィオラのアルペジオ以降の副主題にみる純朴さなどは、ノイマンの誠実さの賜物。3楽章の荒くれたた楽想も徹底して楷書で制御し尽くしますが、内面に静かな闘志を湛えます。中間部でドヴォルザーク的なノスタルジーを感じるのは、気のせいでしょうか?
 「火のように」という指示のある終楽章でも端正な造形美を崩さないのを目の当たりにすると、ノイマンにとってこのスタイルが単なる個人的嗜好ではなく、譲れない矜持であることをまざまざと思い知らされます。その信念の達成に向けた意志力が音楽に精神的な強さを与え、野暮ったいドイツ流儀一辺倒の演奏とは違う均整の取れた安定感をもたらすのです。第2主題に入る前や、展開分後半のヴァイオリンとチェロの執拗な応酬等で、かなり熾烈な響きを発しますが、クナッパーツブッシュ的な毒気はなく、構築美一筋で貫く頑固さそのものが音楽に独特の生命力を注入しているかのよう。そして極限まで魂が昇華したコーダの凄さ!大げさな大伽藍に貶めないノイマンの品格があればこそのこの感動!ゲルハルト・ボッセやペーター・ダムが在籍していた頃のゲヴァントハウス管の魅力とともに、とくとご堪能ください。
 教会での録音なので残響は長めですが、響きが混濁することなくブルックナーに相応しい雰囲気を醸し出しているのも嬉しい限りです。【湧々堂・2022年8月】


ICA CLASSICS
ICAC-5169(2CD)
NX-C07
ショスタコーヴィチ:交響曲第4番ハ短調 Op. 43
交響曲第11番ト短調 Op. 103「1905年」*
BBC響、BBCフィル*
ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー(指)

録音:1978年9月9日 ロイヤル・アルバート・ホール、ロンドン(ステレオ/アナログ録音)
1997年10月4 ブリッジウォーター・ホール、マンチェスター2(ステレオ/デジタル録音)*
ライヴ録音:拍手入り
全て初CD化
ショスタコーヴィチ本人とも親交の深かったゲンナジー・ロジェストヴェンスキー(1931-2018)によるライヴがBBCのアーカイヴから発掘されまし た。交響曲第4番は、1962年にエディンバラでロジェストヴェンスキーとフィルハーモニアOによって西側初演が行われた因縁の作品。 今回発売の1978年に行われたBBCSOとのライヴは、力づくといった印象はないながらも、要所要所での巻き上げは非常に効果的 で凄まじいもの。第1楽章後半の難所での堰を切ったような煽りなども聴きどころで、一糸乱れぬオーケストラの巧さもさることながら、ロジェス トヴェンスキーの統率力の妙も味わうことが出来ます。クリアなステレオ録音。1905年にサンクトペテルブルクで起こった、労働者のデモ隊に 軍隊が発砲した「血の日曜日事件」を題材にしたと言われる交響曲第11番は、1997年BBCフィルとの共演を収録。冒頭からライヴならで はの緊張感とその高まりがひしひしと伝わり、途中大きな山をいくつも築きながら到達する惨事の描写の荒々しさ、悲痛さの中にも揺るがぬ 強い意志を感じさせる追悼の音楽、圧倒的な力強さのフィナーレ、鐘の音も絶妙なバランスで鳴るなど、作品の物語性や意図を十二分に 伝えながらも、スコアがしっかり読み取れるような明確さも併せ持つ手腕はさすが。最後の音が鳴り止まないうちに嵐のような拍手が巻き起こ ります。見透し良く分離も十分なデジタル録音。いずれもレーベルのデータでは「初CD化」となっており、第4番に関しては以前DVD(音声は モノラル)が発売されておりましたが、第11番についてはパッケージとして発売されるのは初めてとみられ、世界中のショスタコーヴィチ・ファンに とって大きなプレゼントとなる一枚と言えるでしょう。

BR KLASSIK
BR-900205(1CD)
NX-B07
マーラー:交響曲第9番 バイエルンRSO
サイモン・ラトル(指)

録音:2021年11月24-27日
イザールフィルハーモニー・イン・ガスタイクHP8(ライヴ)
2021年11月、バイエルンRSOは、次期首席指揮者サー・サイモン・ラトルの指揮でマーラーの交響曲第9番を演奏し、大きな反響を呼 んだ。これはその演奏会のライヴ録音だ。ラトルはこの曲について、「演奏者の性格を可視化して、深い絶望のようにも愛や憧れのようにも響きうる、 他に類のない作品」と語る。だが、一切のデフォルメを排し、細部まで透徹した響きに貫かれたこの演奏は、むしろ、聴く人に応じて、絶望にも愛にも 憧れにも感じられるのではないだろうか。いわば、多義性が多義性のままに提示された名演奏だ。――増田良介
2021年11月26日、バイエルンRSOは、61年にも及ぶ共演歴を持ち、そのひと月あまり前に逝去したベルナルト・ハイティンク追悼の特別 コンサートを行いました(翌日にも公演)。曲目はハイティンクの指揮で演奏したことのあるマーラー交響曲第9番。指揮は2023/24シーズンから首席 指揮者に就任するサイモン・ラトル。クーベリック、マゼール、ヤンソンスといった歴代首席指揮者が培ってきたマーラー演奏の伝統と、世界最高峰と評 価される演奏能力を持つオーケストラが、現代屈指のマーラー指揮者の下で繰り広げた演奏は圧倒的な出来栄えとなりました。ウィーン・フィル及び ベルリン・フィルと同曲のCDを出しているラトルも、このコンサートの出来に感激してCD化を強く要望。ここにCDリリースとなりました。

PROSPERO CLASSICAL
PROSP-0048(1CD)
プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第2番ト短調 Op.63
ミャスコフスキー:交響曲第25番変ニ長調 Op.69
プロコフィエフ:『ロメオとジュリエット』 Op.64より 仮面
ダーヴィト・ネベル(Vn)
ダニエル・ユペール(指)
ベルギッシュSO

録音:2021年8月/ケルン
ダニエル・ユペールは有望なドイツの指揮者で、ベルギッシュSOの20119/2020シーズンの音楽監督を務めました。世評も高く、同オケの水準がかなり 高まったと認識されています。その成果があらわれた録音の登場です。
ダーヴィト・ネベルはチューリヒ生まれのヴァイオリニスト。クリスチャン・ヤルヴィとの共演でSONYから協奏曲アルバムが発売されています。
「仮面」はこの演奏のために特別にアレンジされたヴァイオリンとオーケストラのための版を使用。 (Ki)

Altus
ALTSA-379(1SACD)
シングルレイヤー
限定生産盤
ブルックナー:交響曲第3番ニ短調
交響曲第9番ニ短調
ロヴロ・フォン・マタチッチ(指)
フランス国立O

録音:1965年1月26日、1963年1月29日*/シャンゼリゼ劇場(ステレオ・ライヴ)
INA(フランス国立視聴覚研究所)に残されたマタチッチの名演ブルックナー・フランスライヴ2曲をまとめて初SACD化!もともと上質ステレオ録音でしたが、 改めて入念なリマスターが施されており、SACDの効果も相まってマタチッチの力強く偉大な演奏がより迫真的に楽しめるようになっています。フランス国立管の 音色とマタチッチの個性がまじりあって紡ぎ出される無二の世界をお楽しみください。
「マタチッチというと、酒豪で不器用な人間だったことが知られているので、とにかく力業で、グイグイ押す指揮者という印象が強い。確かに、それは決して間違っ てはいないけれども、併行して、細部に対するこだわりも非常に強かったのである」「マタチッチのブルックナー第9番となれば、これをまっ先に聴けば良いでしょう。 圧巻はアダージョではあるまいか。これほど厳しく凜々しく、祈りに満ちた演奏は希有であろう」…平林直哉氏の解説より
Altus
ALT-520(1CD)
シューリヒト&スイス・ロマンド管
ブラームス:交響曲第4番ホ短調 Op.98
バッハ:管弦楽組曲第2番ロ短調 BWV1067
カール・シューリヒト(指)
スイス・ロマンドO

録音:1952年5月3日、1955年8月4日* 共にスイス・ロマンド放送によるモノラル録音
シューリヒトがスイス・ロマンド管と共演した、貴重な放送音源を収録。50年代の録音ながら丁寧なマスタリングで音を整え、すっきりと知的にして必要なもの をしっかりと汲み取った辛口の名演がおおいに堪能できます。ブラームスの4番は幾つか残されている録音のなかで最も古いもので、このころのシューリヒトの音 作りを知る興味深い演奏。またこちらも秀演といえるバッハの管弦楽組曲では、オーケストラの首席フルート奏者アンドレ・ぺパンの鮮やかな妙技が味わえます。
■「(ブラームス4番は)年代が最も早いせいか、シューリヒトらしい枯淡の味わいと、きりりとひきしまった精悍さが融合され、非常に鮮やかな印象を残す」「(バッ ハは)最近の流行とは正反対の、大きな編成による演奏であるが、この1955年のライヴは大柄ではあってもはつらつとしており、好ましい」…平林直哉氏の解説 より (Ki)

GRAND SLAM
GS-2276(1CD)
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)、BPO
ティルラ・ブリーム(S)、エリーザベト・ヘンゲン(A)、ペーター・アンダース(T)、ルドルフ・ヴァツケ(Bs-Br)、ブルーノ・キッテルcho

録音:1942年3月22〜24日/ベルリン、旧フィルハーモニー
使用音源:Private archive(2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:モノラル(ラジオ放送用録音)
■制作者より  
言わずと知れたメロディア/ユニコーン系列音源によるベートーヴェンの第9です。同一演奏はGS-2146(2016年3月/廃盤)でも復刻しましたが、今回は 新たに2トラック、38センチのオープンリール・テープを取り寄せ、それを録音スタジオに持ち込んで全行程をプロ用機器でマスタリングしました。近年では演奏ノ イズ、会場ノイズを除去する傾向が強いですが、当CDではそのような操作は行わず、原音の響きを尊重しています。  また、解説書には作曲家の橋本國彦が留学中にフルトヴェングラーとベルリン・フィル、ブルーノ・キッテル合唱団による第9を聴いた時の文章を掲載していま す。橋本が聴いたライヴは別の年の公演ですが、黄金のコンビによる第9を旧フィルハーモニーで体験した数少ない日本人の証言として、まことに貴重です。  なお、同じく解説書には合唱指揮者ブルーノ・キッテルと4人の独唱者の写真を掲載していますが、過去にこのような形で写真を掲載しているディスク類は非常 に少ないと思われます。(平林 直哉)

オクタヴィア
OVCL-00791(1SACD)
税込定価
2022年8月24日発売
ハイドン:交響曲集Vol.16
交響曲第51番変ロ長調 Hob.I:51
交響曲第28番 イ長調 Hob.I:28
交響曲第91番変ホ長調 Hob.I:91
飯森範親(指)
日本センチュリーSO

録音:2019年11月22日 大阪、いずみホール・ライヴ
日本センチュリーSOが首席指揮者の飯森範親と共にスタートした「ハイドンマラソン」は、フランツ・ヨーゼフ・ ハイドンのすべての交響曲を演奏しようという一大プロジェクト。当盤は第17回コンサートのライヴ収録です。 幾度の公演を重ね、信頼関係を築いてきた飯森と日本センチュリー響は、精緻な構築と、細部までこだわりぬいた 感性で、気品あふれるハイドンを奏でています。柔和で晴々とした優美な演奏は、まさに彼らの真骨頂といえるで しょう。(オクタヴィア)
オクタヴィア
OVCL-00789(1SACD)
税込定価
2022年8月24日発売
R.シュトラウス:アルプス交響曲
歌劇「ばらの騎士」〜第1ワルツ集
ウラディーミル・アシュケナージ(指)
チェコPO

録音:1999年3月21、22、27日
プラハ、ルドルフィヌム、ドヴォルザーク・ホール
巨匠アシュケナージのチェコ・フィル音楽監督在任時代の名盤復活! アシュケナージは、この曲のスペクタクルなオーケストレーションを、華美や誇張には見向きもせず、精緻か つ雄大な音楽をくり広げています。この時代にスペシャリスト達が揃っていたチェコ・フィルの、特に金管セク ションのあざやかな名技には耳を奪われるでしょう。 キャニオンクラシックス原盤、20世紀の掉尾を飾った名録音です。(オクタヴィア)
オクタヴィア
OVCL-00792(1SACD)
税込定価
2022年8月24日発売
R.シュトラウス:家庭交響曲
交響詩「ドン・ファン」
ウラディーミル・アシュケナージ(指)
チェコPO

録音:k1997年4月19日、20日
プラハ「芸術家の家」ドヴォルザーク・ホール
ロイヤル・フィルやベルリン・ドイツSOの指揮者を歴任してきたアシュケナージが、1997年初頭、 チェコ・フィルとのコンサートで圧倒的成功を収めたのが、この「家庭交響曲」。 その熱量そのままに、一気に収録したのが本アルバムで、音楽監督就任後の初録音でもあります。 ここに聴く豊潤なロマンの躍動こそアシュケナージの真骨頂であり、また絶頂期にあったチェコ・フィルの全 セクションが壮麗な輝きを見せる、楽曲終半も大いなる聞きものです。’オクタヴィア)

Goodies
78CDR-3878(1CDR)
チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調作品74「悲愴」 ブルーノ・ワルター指揮
ベルリン国立歌劇場O

独 POLYDOR 69771/5
1925年3月ベルリン録音
ブルーノ・ワルター(1876-1962)はドイツ出身の大指揮者。ベルリンのシュテル ン音楽院を卒業後ピアニストとしてデビュー、後に指揮者に転向した。1894年 ハンブルク歌劇場の指揮者だった時、音楽監督のマーラー(1860- 1911)と出会い親交を深めた。その後ウィーン国立歌劇場、ライプツィヒ・ゲ ヴァントハウスOの楽長、音楽監督を歴任、またウィーン・フィルやベ ルリン・フィルも指揮した。1938年オーストリアがナチス・ドイツに併合され ると迫害を逃れてフランス、イギリスを経てアメリカに移住した。この録音は ラッパ吹き込み末期のもので、ワルターはこの曲をその後再録音をしなかった ので貴重な一枚。 復刻には「音のエジソン」http://www.otono-edison.com/ SPレコード専用 MC型カートリッジ、スピリッツ(4mil針)とコルグのNu 1DSD録音機を使用した。(グッディーズ)

ALPHA
ALPHA-875(1CD)

NYCX-10342(1CD)
国内盤仕様
税込定価
モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲
ピアノ協奏曲 第23番イ長調 K. 488
交響曲第40番ト短調 K. 550「十二音技法」
アンドレアス・シュタイアー(フォルテピアノ)
使用楽器:ウィーンのアントン・ヴァルター1790年頃製作モデルに基づくクリストフ・ケルン製作の再現楽器
ル・コンセール・ド・ラ・ロージュ(古楽器使用)
ジュリアン・ショーヴァン(Vn、指揮)

録音:2021年9月アルスナル、メス(フランス北東部ロレーヌ地方)
※ 国内盤仕様解説日本語訳…白沢達生
Aparteレーベルでのハイドン「パリ交響曲」シリーズで注目すべき実績を上げた後、ALPHAでモーツァルトの重要な管弦楽作品を体系的に 録音してゆくSimply Mozartシリーズを開始したフランス最前線の古楽器オーケストラ、ル・コンセール・ド・ラ・ロージュ。「ジュピター」などを 収録し世界中で高い評価を博した第1弾(ALPHA776/NYCX-10256)に続き、第2作は同じ後期交響曲群中唯一の短調作品である ト短調の第40番と、パリに自筆譜が残っている2作(「ドン・ジョヴァンニ」序曲、ピアノ協奏曲第23番)という重要作揃いのプログラムです。協 奏曲のソリストに迎えられたフォルテピアノの大御所アンドレアス・シュタイアーは、意外にもモーツァルト協奏曲の録音が決して多くはなく、20 世紀終わりにTeldecからリリースされたコンチェルト・ケルンとの4曲(第9、17、18、19番)以来の満を持しての新録音!随所に聴こえる通 奏低音としての即興含め、当時の演奏習慣を踏まえた装飾が盛り込まれた解釈の流麗さはますます冴えわたるばかり。シュタイアーとともに 自筆譜を検討し演奏に反映させたというル・コンセール・ド・ラ・ロージュの各セクションも古楽器ならではの機微に満ちた解釈で、ヴァイオリン を弾きながら指揮するショーヴァンのもと意欲溢れる一体感で各作品の深みと迫力をあざやかに伝えてやみません。なおここではクラリネットの 入った版を使用。終楽章の半音階的楽想をふまえ第40番にあえて添えられた「十二音技法」という副題(彼らのコンサートの聴衆から募集 し、団員によって選ばれたものとのこと)にも現れている通り、作品本来の姿を徹底して見つめ直した先に垣間見えるモーツァルトの先進性に 改めて驚かされます。自筆譜がパリに辿り着いた経緯やシュタイアーへのインタビューなど、解説も貴重な情報満載です(仏・英・独語/国 内仕様盤は日本語訳付)。

TOCCATA
TOCC-0636(1CD)
NX-B03
エミール・タバコフ(1947-):交響曲全集 第7集
15の弦楽器のための協奏曲(1979)
交響曲第9番(2015)…世界初録音
ソフィア・ソロイスツ・チェンバー・アンサンブル
ソフィアPO
エミール・タバコフ(指)

録音:1980年2月3日、2018年3月18日(ライヴ)
秘曲づくしのTOCCATAの人気シリーズの一つが、ブルガリアの作曲家、指揮者エミール・タバコフの交響曲集全 集です。この第7集には2015年の「第9番」と、1979年の「15の弦楽器のための協奏曲」が収録されていま す。 交響曲第9番は、オーケストラの表現能力の極限を探る純音楽作品として書かれており、表題性はないものの 彼の作品によくあるように、荒々しいオーケストラは混迷する社会を、ソロ楽器の旋律は人間の尊厳をたたえる 声のように聴こえます。冒頭楽章には壮大なアダージョが置かれ、躍動感あふれる第2楽章のスケルツォが続きま す。そして穏やかなラルゴを経て、ゆったりとした楽想で始まる最終楽章は、激しく荒々しいアレグロ・モデラートに 変化。古典的な形式を継承した見事な作品に仕上がっています。「15の弦楽器のための協奏曲」は習作であ るものの、各楽器の超絶技巧が際立つエネルギッシュな作品です。

Channel Classics
CCSSA-42822(1SACD)
NX-C03
ブルックナー:交響曲第9番 ブダペスト祝祭O
イヴァン・フィッシャー(指)

録音:2021年3月 コングレス・センター、ブダペスト、ハンガリー
CD層…Stereo SACD層…Stereo、5.0マルチチャンネル
2012年に録音された交響曲第7番以来の、イヴァン・フィッシャーとブダペスト祝祭Oによるブルックナーに第9番が登場。ブルック ナーがこの作品の第3楽章を書き上げた時に70歳だったことから、「自分が70歳の誕生日を迎えるまでこの作品は録音しない」と決めていた というフィッシャー。2021年1月に70歳を迎え、満を持してこの大作に臨みました。彼は過去に試みられた様々な補筆完成の動きに敬意を 表しながらも、「第3楽章終結の、終わりなく続くかと思われるホルンの音はあたかも作曲者の最後の息のようだし、もうこれ以上語ることは無 いと感じさせる」として、3つの楽章で作品は完結していると解釈。ブルックナー自身がこの作品の総譜に書き込んだ「わが愛する神に」という 献辞に引っかけ、この録音を「わが愛するブルックナーに捧げる」と、深い思い入れを語っています。演奏の方は、緩急織り交ぜたメリハリのあ るテンポ設定に加え、管と弦との対比を鮮明にどのパートも大きな表現を伴ってよく歌わせており、結果ヴァイオリンの両翼配置も効果的なも のとなって、ダイナミックでありながら雄大な美しさを湛えた、たいへん聴き応えのある仕上がりとなっております。これらを最大限楽しむことの出 来るSACDハイブリッドでの発売も嬉しいところ。彼らの大作録音を心待ちしていたファンの期待に大いに応えるアルバムといえるでしょう。
Channel Classics
CCSBOX-7322(4CD)
NX-F01
ブラームス:交響曲全集、管弦楽作品集
【DISC 1】
ハンガリー舞曲 第14番ニ短調 (イヴァン・フィッシャー編)
ハイドンの主題による変奏曲 Op. 56a
交響曲第1番ハ短調 Op. 68
【DISC 2】
交響曲第2番ニ長調 Op. 73
悲劇的序曲/大学祝典序曲
【DISC 3】
交響曲第3番ヘ長調 Op. 90
セレナーデ 第2番
【DISC 4】
交響曲第4番ホ短調 Op. 98
ハンガリー舞曲 第11番ニ短調
シィク地方の民族音楽(Vn、ヴィオラ、コントラバスによる) 〜ハンガリー舞曲 第3番に使われたオリジナル・メロディ
ハンガリー舞曲 第3番ヘ長調
ハンガリー舞曲 第7番イ長調
ブダペスト祝祭O
イヴァン・フィッシャー(指)

録音:2009年1月…DISC 1
 2012年2月…DISC 2、
 2013年4月…DISC 4
 2020年8月30日-9月1日…DISC 3
 ブダペスト芸術宮殿

※DISC 3、トラック1の00'21''付近に小さなノイズが発生しますが、レーベルより電気的なノイズではなく収録時のものという回答を得ております。ご了承くださいませ。
10年以上の歳月をかけて録音され、リリースされるたびにその個性的かつ説得力のある解釈が話題となった、イヴァン・フィッシャーのブラーム ス交響曲全集が待望のBOX化です。全体にメリハリのあるテンポ感ながら奇をてらった印象は全く無く、隅々まで歌い込まれたダイナミックで 躍動感のある表現が大きな魅力。併せて収められた管弦楽作品の名作も嬉しいところですが、ハンガリー舞曲からフィッシャーによるオリジナ ルの編曲や、原曲の民族音楽の雰囲気を楽しめるトラックも収録するなど、彼らならではのこだわりが満載の内容となっています。単品では SACDハイブリッドでのリリースでしたがBOX化にあたり通常CDへと変更、大幅にお求め安くなったことは歓迎できる点といえるでしょう。


Pentatone
PTC-5186978(3CD)
ブロムシュテット/ブラームス:交響曲全集
■CD1
(1)交響曲第1番ハ短調 Op.68
(2)悲劇的序曲 ニ短調 Op.81
■CD2
(3)交響曲第2番ニ長調 Op.68
(4)大学祝典序曲 Op.80
■CD3
(5)交響曲第3番ヘ長調 Op.90
(6)交響曲第4番ホ短調 Op.98
ヘルベルト・ブロムシュテット(指)
ライプツィヒ・ゲヴァントハウスO

録音:(1)2019年9月、(2)(3)(4)2019年10月、(5)(6)2021年4月
ゲヴァントハウス(ライプツィヒ)
(1)-(4)ライヴ、(5)(6)セッション
1927年生まれのヘルベルト・ブロムシュテット。現役最高齢の巨匠がライプツィヒ・ゲヴァントハウスOと録音したブラームスの交響曲全曲がついにセッ トとなって登場いたします!
録音はゲヴァントハウスにて、2019年9月、10月のライヴと2021年4月のセッションです。当初、全てライヴ収録の予定でしたが、長引くコロナ禍の 影響で交響曲第3、4番のみセッションとなりました。
ブロムシュテットは1998年から2005年の7年間に渡ってライプツィヒ・ゲヴァントハウスOのシェフを務め、その後当団の名誉指揮者として指揮台 に立っており、現在も非常に良好な信頼関係を築いています。
ブロムシュテットの境地といえるブラームスは、楽譜を丁寧に読み込みその音楽に魂を宿らせたような生命力に満ちた演奏を展開しており、各作品の成り立ち、 分析そして研究を重ね、導き出したひとつのこたえがこの演奏に結実。指揮者として60年以上のキャリアの巨匠が94歳で成し遂げた前代未聞の大偉業。祈り とともに魂のこもった演奏は感動せずにはいられません。 (Ki)

ALIA VOX
AVSA-9950
(2SACD)
シューベルト:交響曲集〜Transfiguration(変容)
[Disc1] 交響曲 ロ短調「未完成」
[Disc2] 交響曲第9番ハ長調「ザ・グレイト」
ジョルディ・サヴァール(指)
ル・コンセール・デ・ナシオン

録音:2021年9月26-29日、カタルーニャ
サヴァールが、初のシューベルト・アルバムをリリースします!ベートーヴェン(AVSA 9937(第1-5番)および9946(第6-第9))で世界中に、まさに新し く生まれたばかりのようなフレッシュなベートーヴェンの交響曲を届けてくれたサヴァール。このシューベルトも、名演名盤ひしめく作品ですが、サヴァールならでは の楽譜や作曲家へのまなざしに裏打ちされた、ほかにはないシューベルトとなっています。音楽史を生きてきたともいえるサヴァールとル・コンセール・デ・ナシ オンの面々の耳と経験と感性が、まさにシューベルトの楽譜の生々しい筆跡やインクのにおい、あるいはシューベルトの体温までもが感じられるような、「生まれた て」の演奏が展開されています。当時の空気のにおいや当時のオーケストラの熱気が伝わってくるような、実に鮮烈かつ不思議なシューベルトとなっています。
サヴァールは、タイトルを「Transfiguration(変容)」としたことについて、シューベルトが書いた短い詩のようなテキスト「私が愛について歌うと、それは苦しみ になってしまう。私が苦しみについて歌うと、それは愛となる」に触れ、シューベルトの音楽の内的・精神的世界の底知れない広さと、シューベルトの筆が生み出し た奇跡のような音楽に驚かされない瞬間はない、と語っています。そうしたサヴァールの思いや発見、気づき、ひらめきと、そうしたものを実際に音にのせて響か せることの巧みさに、聴き手もまた驚かされ、感動するのです。 (Ki)

Skani
SKANI-141(1CD)
ヤーニス・イヴァノフス(1906-1983):交響曲第17番ハ長調(1976)
交響曲第18番ホ短調(1977)
ラトビア国立SO、
グンティス・クズマ(指)

録音:2022年
名門ラトビア国立SOとグンティス・クズマによる大きなプロジェクト、ヤーニス・イヴァノフスの交響曲シリーズ最新作。イヴァノフスは21曲もの交響曲を遺しラトビア音楽史上もっとも才能に恵まれたシンフォニストとみなされているものの、最近までその作品に接する機会に恵まれていませんでした。今回収録された2つの作品もこれまで放送用コピーか70年代、80年代の古いLPレコードでしか入手できなかったもので、このCDリリースによってその不朽の音楽がようやく日の目を見ることになります。グンティス・クズマは2014/15シーズンよりラトビア国立SOの指揮者を務め、2022/23シーズンからはリエパーヤSOの首席指揮者への就任が決まっている期待の俊英です。

Prima Facie
PFCD-181182(2CD)
デイヴィッド・ゴライトリー(1948-2018):レターズ・オヴ・リグレット
ムード/ピアノ・ソナタ第1番
交響曲第1番(ミドルスブラ交響曲)
海景/ウェアデールの肖像
ローソン・トリオ、
ギャヴィン・サザーランド(指)、
プラハ市PO、他

録音:1996年〜2021年
イギリス・ダラム生まれの作曲家、デイヴィッド・ゴライトリー。1990年代後半〜2000年にかけて録音された代表的な作品の数々に、2018年に彼が逝去したことを受けてローソン・トリオが新たに録音した素晴らしいピアノ・トリオ「レターズ・オヴ・リグレット」を加えて、デイヴィッドの人生と音楽を讃えるアルバムが完成しました。

Hyperion
CDA-68396(1CD)
ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲第6番、
イギリス民謡集(煤けたズボン*、The Carter*、Ward the Pirate*)、
交響曲第8番、イングランド・マイ・イングランド#
マーティン・ブラビンズ(指)、
BBC響、BBC交響cho*#、
ロデリック・ウィリアムズ(Br)#

録音:2019年11月5日*#&2021年9月21日-22日、ワトフォード・コロシアム(ワトフォード、イギリス)
2003年から2016年まで名古屋フィルの常任指揮者を務め、その後も度々来日公演を成功させ、2016年からはイングリッシュ・ナショナル・オペラの音楽監督という大役を任されているイギリスの名指揮者マーティン・ブラビンズ。1920年版の「ロンドン交響曲(CDA68190)」で話題を呼んだブラビンズのヴォーン・ウィリアムズ・サイクル第5弾は、作曲者本人はその影響を否定しましたが、第2次大戦を反映したかのような作品で「戦争交響曲」ともいわれる問題作、「交響曲第6番」と、指揮者であるジョン・バルビローリに捧げられ古典的な要素を含んだ「交響曲第8番」を収録。
その他にもBBC交響合唱団が参加した「イギリス民謡集」や、2016年ロイヤル・フィルハーモニック協会賞を受賞、リーズ・リーダー音楽祭2016の芸術監督も務め、日本ではバッハ・コレギウム・ジャパンとの定期的な共演でも知られるイギリスの名バリトン、ロデリック・ウィリアムズを迎えた「イングランド・マイ・イングランド」といった珍しい声楽曲も収録されており、充実の内容となっています。
第1巻〜第3巻まで連続で英グラモフォン誌の「エディターズ・チョイス」に選ばれ、第4巻は同誌「クリティクス・チョイス」にも選ばれグラモフォン賞2021にノミネート、レコード芸術「海外盤REVIEW」でも絶賛されてきた絶好調のRVWサイクル。今作も目が離せません。

Danacord
DACOCD-923(2CDR)
トマス・イェンセンの遺産 第13集

■CD 1
ニールセン
(1)交響曲第5番Op.50
(2)パンとシランクス Op.49
(3)交響曲第6番「素朴な交響曲」
(4)若き芸術家の棺の傍らで

■CD 2
シベリウス
(1)交響詩「フィンランディア」*
(2)交響曲第1番ホ短調 Op.39
(3)交響曲第4番イ短調 Op.63
トマス・イェンセン(指)、
デンマークRSO、
ティヴォリ・コンサートホールO*

■CD 1
(1)録音:1954年4月7日(スタジオ録音)
(2)録音:1956年2月1日(ライヴ放送)
(3録音:1952年6月17日-19日(スタジオ録音)
(4)録音:1958年1月12日(ライヴ放送)
■CD 2
(1)録音:1947年7月2日(スタジオ録音)]*
(2)録音:1963年9月9日(ライヴ録音)]
(3)録音:1961年11月30日(ライヴ放送)]

※復刻/デジタルマスタリング:クラウス・ビューリト
デンマークの指揮者トマス・イェンセン(1898-1963)の「遺産」シリーズから、ニールセン&シベリウスの交響曲集が登場。今回も初CD化となるライヴ録音や放送音源、スタジオ録音などから復刻されています。ニールセンから直接音楽理論を学び彼の作品を早くから世に紹介したことで知られるイェンセンは、ニールセン本人が指揮した交響曲第5番の初演にチェリストとして参加していました。また、シベリウスが指揮した交響曲でもチェロを弾いており、シベリウスの音楽への情熱と見識にも自信をもっていたと言われています。CD1にはニールセンの交響曲第5番と第6番に加え、交響詩「パンとシランクス」、そして30歳の若さでこの世を去った画家、オーロフ・ハートマンの葬儀のために書かれた弦楽オーケストラのためのメランコリックな小品「若き芸術家の棺の傍らで」の1950年代の録音を収録。CD2にはシベリウスの「フィンランディア」、交響曲第1番と第4番の初出音源を収録。「フィンランディア」のみティヴォリ・コンサートホールOの演奏、他はデンマークRSOによる演奏です。
※当タイトルは、高品質メディア(SONY DADC/Diamond Silver Discs)を使用した、レーベル・オフィシャルのCD-R盤となります。

ONDINE
ODE-1401(1CD)
NX-B07
ターリヴァルディス・ケニンシュ(1919-2008): 交響曲第2番/第3番/第7番
交響曲第2番「Sinfonia concertante 協奏交響曲」(1967)- フルート、オーボエ、クラリネットと管弦楽のために
交響曲第3番(1970)
交響曲第7番(1980) - パッサカリアの形式による交響曲*
トマーソ・プラトーラ(Fl)
エギルス・ウパトニエクス(Ob)
マールティンシュ・ツィルツェニス(Cl)
ザンダ・シュヴェーデ(Ms)
ラトヴィア国立SO
アンドリス・ポーガ(指)

録音:2021年12月13-16日、2021年8月30日-9月2日*
1919年にラトヴィアで生まれた作曲家ターリヴァルディス・ケニンシュ。パリでメシアンとトニー・オーヴァンに師事。 作曲家としていくつかの賞を受賞した後、1951年にカナダに移住、教育者としてこの国の音楽発展に力を尽く しました。このアルバムは彼の交響曲シリーズの最終巻となるもので、ケニンシュの番号のついた8曲の交響曲の うち、3曲を収録しています。"トリプル・コンチェルト"とも言える交響曲第2番は、第2楽章にミクマク族(北アメリ カ大陸東部に住む先住民族)の子守歌に基づく旋律が用いられた雄大な作品。またその数年後に完成された 第3番は、ケニンシュの交響曲作家としての歩みを一歩進めたものとして評価されています。交響曲第7番は彼 の父親のテキストに基づくアリアで終わるという作品で、当時のソ連軍による母国ラトビアの占領に対する作曲者 の心の傷も反映されているようです。

Capriccio
C-8086(1CD)
NX-B05

NYCX-10332(1CD)
国内盤仕様
税込定価
ブルックナー:交響曲第3番ニ短調 WAB 103(1873年初稿/ノーヴァク版) ウィーンRSO
マルクス・ポシュナー(指)

録音:2022年1月23-24日Wien、Radio Kulturhaus(オーストリア)
2022年1月25日Konzerthaus(オーストリア)
※国内仕様盤には石原勇太郎氏(音楽学/国際ブルックナー協会会員)による日本語解説が付属
CAPRICCIOレーベルと国際ブルックナー協会の主導で、ブルックナーの生誕200年にあたる2024年までにブルックナーの全交響曲のすべての稿 (バージョン)を録音しようという企画、 「#bruckner2024」の第5弾。今回リリースされるのは、ブルックナーの交響曲の中で異稿が最も多い「交響 曲第3番」の初稿(1873年作曲)です。楽譜はノーヴァク版を使用。 第3番の各稿の中では初稿が最も長く、また「ワーグナー」のニックネームの由来であるワーグナーの楽劇から引用したモチーフが最も多く使われてお り、独自の魅力となっています。しかし、今では信じられない話ですが、初演のためのリハーサルに臨んだウィーン・フィルから「演奏不能」と宣告されてし まい、初演は行われませんでした。その後の改訂稿に比べると「整理が付いていない」「作曲法が練れてない」とされることもある初稿ですが、ブルック ナーの革新的な着想がよりオリジナルな形に留められていることから評価する声も強く、演奏・録音の機会は着実に増えています。 マルクス・ポシュナーとウィーンRSOによる演奏は、特に速い楽章では速めのテンポを採り、若々しい気概を感じさせます。一方緩徐楽章で はしっかりとテンポを緩め、しっとりとした情感や先に進むのを戸惑うような風情を醸します。第3番第1稿再評価の転機をもたらしたインバル/フランク フルト盤の演奏時間(23:59/18:53/06:09/16:17)と比べると、特に前半2楽章において顕著な違いがあり、イメージがかなり異なる演奏となっ ていることが想像できるでしょう。

C Major
76-2304(5Bluray)
レナード・バーンスタイン・ボックスVol.2

■BD1
シベリウス
(1)交響曲第1番ホ短調op.39
(2)交響曲第2番ニ長調op.43
(3)交響曲第5番変ホ長調op.82
(4)交響曲第7番ハ長調op.105

■BD2
ベートーヴェン
(1)弦楽四重奏曲第16番ヘ長調op.135(弦(2)ハイドン:ミサ曲第7番ハ長調Hob.XXII:9『戦時のミサ』

■BD3
ハイドン
(1)交響曲第94番ト長調Hob.T-94「驚愕」
(2)交響曲第92番ト長調Hob.T-92「オックスフォード」
(3)交響曲第88番ト長調作品56Hob.T-88「V字」
(4)協奏交響曲 変ロ長調Hob.T-105

■BD4
(1)ベルリオーズ:幻想交響曲
(2)ルーセル:交響曲第3番ト短調作品42
サン=サーンス:交響詩「オンファールの糸車」
トマ:「レーモン」序曲

■BD5
Bernsteinat100バーンスタイン生誕100周年記念~タングルウッド音楽祭
バーンスタイン
(1).『キャンディード』序曲
(2)プラトン「饗宴」によるセレナーデより第1楽章
(3).交響曲第3番「カディッシュ」より第2楽章第2部「カディッシュ2」
(4)「ミサ」よりチェロと管弦楽のための三つの瞑想曲 第3曲
(5)『ウェスト・サイド・ストーリー』よりプロローグ/ジェット・ソング/マリア/〜あんな男に〜私は愛している〜/トゥナイト(クインテット)
(6)マーラー:「子供の魔法の角笛」より“歩哨の夜の歌”
(8)ジョン・ウィリアムズ:ハイウッドの幽霊(世界初演)
(9)マーラー:交響曲第2番「復活」より終楽章

(アンコール)
(10)バーンスタイン:『ウェスト・サイド・ストーリー』より“どこかに”


■ボーナス
タングルウッドのバーンスタイン+ビデオ・メッセージ
■BD1
シベリウス
(1)収録:1990年ウィーン、ムジークフェラインザール
(2)収録:1986年ウィーン、ムジークフェラインザール
(3)収録:1987年ウィーン、コンツェルトハウス
(4)収録:1988年ウィーン、ムジークフェラインザール
レナード・バーンスタイン(指)VPO
映像監督:ハンフリー・バートン
音声:PCM2.0,DTS5.1
画面:4:3
リージョン:All
収録時間:166:00
■BD2
(1)レナード・バーンスタイン(指)VPO
収録:1989年ウィーン、ムジークフェラインザール
(2)ジュディス・ブレゲン(S)、ブリギッテ・ファスベンダー(A)、クラエス・アーカン・アーンシェ(T)、ハンス・ゾーティン(Bs)、バイエルンRSO&cho、レナード・バーンスタイン(指)
収録:1984年ドイツ、オットーボイレン大聖堂バジリカ教会
音声:PCM2.0,DTS5.1
画面:4:3
リージョン:All
字幕(ミサ曲):英独仏西韓中
収録時間:93:00
■BD3
(1収録:1985年10月ムジークフェラインザール(ウィーン)
(2)収録:1983年ムジークフェラインザール(ウィーン)
(3)収録:1983年11月ムジークフェラインザール(ウィーン)
(4)ライナー・キュッヒル(Vn)、フランツ・バルトロメイ(Vc)、ヴァルター・レーマイヤー(Ob)、ミハエル・ヴェルバ(Fg)
収録:1984年10月ムジークフェラインザール(ウィーン)
レナード・バーンスタイン(指)VPO
映像監督:ハンフリー・バートン
画面:4:3(デジタルリマスター) 
音声:PCMステレオ
収録時間:111:00

■BD4
(1)収録:1976年11月、パリ、シャンゼリゼ劇場
映像監督:ハンフリー・バートン、イヴ=アンドレ・ユベール
(2)収録:1981年11月、パリ、シャンゼリゼ劇場
映像監督:ディルク・サンダース
レナード・バーンスタイン(指)フランス国立O
画面:4:3new digital remastered in HD
音声:PCMステレオ 
リージョン:All
収録時間:108:00
■BD5
(1)アンドリス・ネルソンス(指)ボストンSO
(2)五嶋みどり(Vn)、クリストフ・エッシェンバッハ(指)ボストンSO
(3).ナディーヌ・シエラ(S)、キース・ロックハート(指)ボストンSO
タングルウッド祝祭女声cho
(4)キアン・ソルタニ(Vc)、クリストフ・エッシェンバッハ(指)ボストンSO
(5)イザベル・レナード、ジェシカ・ボスク、トニー・ヤスベック。マイケル・ティルソン・トーマス(指)ボストンSO
(6)トーマス・ハンプソン(Br)。アンドリス・ネルソンス(指)ボストンSO
(7)マイケル・ティルソン・トーマス(指)ボストンSO
(8)ヨーヨー・マ(Vc)、ジェシカ・ジョウ(Hp)。ジョン・ウィリアムズ(指)ボストンSO
(9)ナディーヌ・シエラ(S)、スーザン・グラハム(Ms)、アンドリス・ネルソンス(指)ボストンSO。タングルウッド祝祭cho
(10)オードラ・マクドナルド アンドリス・ネルソンス(指) 全員参加

■ボーナス
タングルウッドのバーンスタイン+ビデオ・メッセージ
収録:2018年8月25日、タングルウッド音楽祭(ライヴ)
画面:16:9,HD,1080i
音声:PCMステレオ、DTS-HDMA5.1
字幕(ボーナス):英独韓,日本語
リージョン:All
収録時間:コンサート:127:00 
ボーナス:14:00
20世紀の偉大な指揮者の一人レナード・バーンスタイン。生誕100年を祝った2018年に発売された「レナード・バーンスタイン生誕100周年記念DVDボッ クス」(74-30080)に続くボックス・セット第2弾。今回はコンサート映像を中心とした内容でブルーレイ・ボックスでの発売です。 BD1には、バーンスタインは晩年の芸風を反映したウィーン・フィルとのシベリウスが収録されています。通常は北欧の響きを感じさせるシベリウスですが、バー ンスタインは熱気を含んだ高いヴォルテージの演奏、さらにウィーン・フィルの濃厚な響きと豊かな表現力で、北欧のオケが奏でるシベリウスとは異なる魅力を聴 かせてくれます。またハンフリー・バートンのカメラワークも秀逸。 BD2は、バーンスタインが亡くなる一年前、ウィーン・フィルによって開かれたカラヤンの追悼公演で演奏された、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第16番(弦楽 合奏版)。第3楽章レントの音楽がマーラーの交響曲第3番終楽章に影響を与えたことでも知られる作品で、10分を超えるアダージョは特に感動的な仕上がり。カッ プリングには、1984年にドイツの世界遺産オットーボイレン大聖堂バジリカ教会で収録されたハイドンのミサ曲第7番「戦時のミサ」。荘厳な雰囲気の中でのバー ンスタインの祈りが観る者の胸を打ちます。 BD3には、ウィーン・フィルと蜜月関係にあった1980年代前半に残したハイドンの交響曲3作品とウィーン・フィルのメンバーをソリストに据えた協奏交響曲が 収録されています。溌剌とした躍動感に満ちた演奏で、ウィーン・フィルの美しく豊かな音色を駆使し、生命力あふれるハイドン像を描いています。またバーンスタ インの情熱的な指揮ぶりは、映像で楽しむ醍醐味といえるでしょう。 BD4は、バーンスタインがフランス国立Oと共に、1976年にシャンゼリゼ劇場で行ったベルリオーズの「幻想交響曲」と、1981年に披露したルーセル、 サン=サーンス、トマというフランス・プログラム。バーンスタインは「幻想交響曲」を2度ニューヨーク・フィルと(63年/68年)そしてフランス国立管とはこの ライヴと同時期にセッション録音を行っています。 ニューヨーク・フィルとの若い才気溢れる演奏とは異なり、風貌もバーンスタインとしては珍しく髭を蓄えた姿で 登場、さらにハンフリー・バートンの抜群のカメラワーク、楽曲を熟知したフランス国立管とバーンスタインの個性が相乗効果を生んだ色彩豊かな演奏となっていま す。 続くは、ルーセルがボストンSOの創立50周年を記念して委嘱された交響曲第3番。「幻想」と同じくニューヨーク・フィルとの録音もある同曲(1961 年)。 躍動感溢れるリズムと極彩色の音楽、バーンスタインの鮮やかな指揮ぶりは、映像でこそ楽しめると言えるでしょう。 BD5では、バーンスタインを語る上で欠かせない音楽祭のひとつ、タングルウッド音楽祭の2018年8月のライヴ映像。2018年のタングルウッドは、もちろんバー ンスタイン一色。様々なプログラムを通してバーンスタインの音楽、活動を取り上げています。この8月25日のコンサートは五嶋みどり、ヨーヨー・マ、ティルソン・ トーマス、エッシェンバッハ、ネルソンスとゆかりのアーティストが勢ぞろいしたガラ・コンサート。第 1部は作曲家バーンスタイン。 第 2部はバーンスタインが好ん だ作曲家の作品が取り上げられています。 ボーナス映像には、バーンスタインとタングルウッドの歴史、そしてヨーヨー・マ、ティルソン・トーマス、ネルソンスらが 語るバーンスタインの思い出が収録されています。 (Ki)

GRAND SLAM
GS-2275(1CD)
(1)ブラームス:交響曲第3番ヘ長調 Op.90
(2)ベートーヴェン:「レオノーレ」序曲第2番 ハ長調 Op.72
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)BPO

録音:(1)1954年4月27日ベルリン、ティタニア・パラスト
(2)1954年4月4、5日ベルリン高等音楽院
使用音源:Private archive(2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:モノラル(ラジオ放送用録音(1)、録音セッション(2))
■制作者より  
ブラームスはGS-2184(2018年発売【廃盤】)以来、2度目の登場です。今回も旧音源を使い回さず、テープを録音スタジオに持ち込んで全行程をプロ用の 機器でリマスタリングし、音質を刷新しました。間違いなく過去最高の音質だと自負しています。音は乾いた感じですが、全体のバランスや明瞭度は同じ会場での 1949年のライヴを大きく上回っており、ファンにはたまりません。「レオノーレ」序曲第2番は本シリーズ初登場です。ブラームスと同様、フルトヴェングラーとベ ルリン・フィルの最晩年の熟した響きが堪能できます。 ※おことわり:「レオノーレ」序曲第2番では特に長い間の部分でゴーストが目立ちます。これは古いテープにしばしば起こる劣化現象のひとつですが、マスタリング の際にあまり強引に除去しようとすると音質に悪影響を与えますので、当ディスクではそうした修正は必要最低限にとどめています。ご了承下さい。(平林 直哉)

Naive
V-7262[NA]
メンデルスゾーン(1809-147):作品集
弦楽のためのシンフォニア第2番ニ長調(1821)
ヴァイオリンと弦楽のための協奏曲 ニ短調(1822)
ソプラノと弦楽のためのサルヴェ・レジーナ 変ロ長調(1824)*
弦楽四重奏のためのフーガ 変ホ長調(1827)
弦楽のためのシンフォニア第5番変ロ長調(1821)
ピアノと弦楽のためのラルゴ ニ短調(1820)
3声のフーガ ト短調(1820)
3声のフーガ ニ短調(1820)
ファビオ・ビオンディ(Vn、指揮)
エウローパ・ガランテ
パオラ・ポンチェット(フォルテピアノ)
モニカ・ピッチニーニ(S)*

録音:2020年7月11-13日、サラ・ギスレリ(アッカデミア・モンティス・レガリス)、モンドヴィ(イタリア)
ビオンディ率いるエウローパ・ガランテがメンデルスゾーンを録音しました!メンデルスゾーンが11歳から18歳の間に書き上げた作品がプログラムされています。 ビオンディは、「メンデルスゾーンの”若書き”の作品と成熟した時期の作品を見分けるのは難しい、なぜならメンデルスゾーンは最初からすべてを持っていたから」 と語っていますが、たしかにどれも、名曲として知られる作品と同様の天才のきらめきに満ちた美しい作品ばかり。バッハの伝統と、ロマン派のみずみずしい萌芽 とが感じられます。「ヴァイオリン協奏曲」は、独奏楽器と弦楽群が対等な扱われ方で、バロック期の協奏曲のようでありながら、ソロ楽器の随所に美しく歌うメ ロディもちりばめられた魅力的な作品。ビオンディのヴァイオリン・ソロの美しさが炸裂し、また、技巧的な部分も華やかさに満ちています。「サルヴェ・レジーナ」 は独唱と弦楽のための作品ですが、弦楽のアンサンブルが、伴奏に徹するというより歌いまくっていて、少年メンデルスゾーンが書き上げた宗教作品の美しさをこ れ以上なく引き出しています。バロックのレパートリーを知り尽くしたビオンディとエウローパ・ガランテによるメンデルスゾーンは、メンデルスゾーンが過去の巨匠 に大きな敬意を持ち、バッハ復興に大きな役割を果たしたことを考えるとさらに格別な意味と重みがあります。 (Ki)

Edition HST
HST-121(1CD)
税込定価
J.B.ヴァンハル(1739-1813);交響曲集第27巻 (HST-121)
交響曲変ホ長調「スヴィーテン男爵」 Bryan Es13(ca.1780)
交響曲ハ長調Bryan C5(1769-71?)
交響曲へ長調Bryan F5(1767-68?)
(以下Bonus-)
チェロ・ソナタ(バスを伴うチェロ独奏曲)イ長調 Weinmann
VIId:A1(ca.1775) (*)
ハイドン・シンフォ二エッタ トウキョウ
リーダー;松井利世子、福本 牧(Vn)、他
(*)小原 圭(Vc独奏)、古庄正典(Cb)

録音:2022年4月26日、江東公会堂小ホール(東京)にて、ライヴ収録
※Es13, A1は世界初録音!
- Es13はハイドン作やヴァンハル作などとして伝承されてきたが、メヌエット楽 章以外は現在ではスヴィーテン男爵作と考えられています。(本 CD ではメヌエット 楽章はBryan Es4で既出であるため省略。) - C5は真作とされ、今回デジタル収録は世界初録音となります。 - チェロ・ソナタは希少であるが、当時ヴァンハルは3曲以上のチェロ協奏曲を 作曲し、さらに伝説のモーツアルトらとのカルテット・パーティではチェロを担当し ていたことからも、チェロ曲作曲の名士であったと推測されます。

DACAPO
MAR-8.204002(4CD)
NX-F10
ペア・ノアゴー(1932-):8つの交響曲

【CD1】
交響曲第3番(1972-1975)
交響曲第7番(2004-2006)…世界初録音
【CD2】
交響曲第1番「厳格」(1953-55/1956改訂)
交響曲第8番(2010-2011)…世界初録音
【CD3】
交響曲第6番「一日の終わりに」(1999)
交響曲第2番(1970/1971改訂)
【CD4】
交響曲第5番(1987-1990/1991改訂)
交響曲第4番(1981)
ウッラ・ミュンシュ(A)
デンマーク国立放送合唱団
デンマーク国立声楽アンサンブル
デンマーク国立RSO
トマス・ダウスゴー(指)
VPO
サカリ・オラモ(指)
オスロPO
ヨーン・ストルゴーズ(指)

録音:2007年12月20-22日 Danish Radio Concert Hall, Copenhagen(デンマーク)
2008年6月2-5日 Danish Radio Concert Hall, Copenhagen(デンマーク)
2013年5月16-17日 Konzerthaus Wien, Vienna(オーストリア)
2013年5月25-26日 Konzerthaus Wien, Vienna(オーストリア)
2015年5月25-28日 Oslo Konserthus(ノルウェー)
2015年6月1-5日 Orchestra Rehearsal Room, Oslo Opera House(ノルウェー)
2022年7月13日に90歳の誕生日を迎えたデンマークを代表する現代作曲家ペア・ノアゴー。 この4枚組BOXには、60年にわたる彼の作曲生活から生まれた8曲の交響曲がまとめられています。 「私の交響曲は、それだけでひとつの大陸のような気がする」とノアゴー自身が語るように、さまざまな要素が内包 されており、また書かれた年代によって全く違う様相を帯びています。 1953年に書かれた、シベリウスを思わせる北欧の自然の描写が美しい交響曲第1番から、独自の作曲手法 「無限セリー」を用いた第3番、スイスのアーティスト、アドルフ・ヴェルフリに影響されたという交響曲第4番を経 て、2010-11年に書かれた簡潔な書法による古典的な形式を持つ第8番まで、それぞれの作品は作曲家の 成熟成を示すとともに、ノアゴーの「私の交響曲にはそれぞれの個性があり、同じことの繰り返しはない」との言葉 通り、どの曲も独自の世界を持っています。この8曲でノアゴーの音楽語法を存分に楽しめます。 演奏家の顔ぶれも充実しており、サカリ・オラモとウィーン・フィルによる第1番と第8番は2015年のグラモフォン・ア ウォード(最優秀現代音楽録音)に選ばれました。

CPO
CPO-555319(1CD)
NX-B10
カール・レーヴェ:交響曲 ニ短調/交響曲 ホ短調 他
交響曲 ニ短調(1835)
交響曲 ホ短調(1834)
序曲「テミスト」
イェナ・フィルハーモニー
ジモン・ガウデンツ(指)

録音:2019年9月17-20日
歌曲の作曲家として名高いカール・レーヴェが書いた2曲の交響曲が登場。ホ短調交響曲については、レー ヴェ自身が「1834年12月15日に作曲を完了した」と書いたメモが残っており、ニ短調交響曲に関しては、 1835年に作曲されたと推測されています。楽器編成は2曲ともよく似ており、特に4本のホルンが活躍する のが特徴といえるでしょう。ニ短調交響曲では第2楽章がスケルツォ、第3楽章が緩徐楽章(アンダンテ)と いう、当時の一般的な並びとは逆の配置になっています。終楽章は嬰ヘ長調で始まり、ニ長調、ニ短調へと 移行する斬新な展開を見せます。どちらの交響曲も演奏時間は30分ほど。古典的な構成に歌うようなメロ ディ、ロマン派の短調作品らしい悲劇性や哀感を湛え、急速楽章はオペラの序曲のようにドラマティックであり ながら対位法的な展開もあり、ドイツ・ロマン派の交響曲に関心がある人ならばきっと楽しめる作品です。 「テミスト」は同名オラトリオのための序曲。古典的な佇まいを持つ小さな作品です。ジモン・ガウデンツが指揮 するイェナ・フィルハーモニーの演奏で。


PROMINENT CLASSICS
2506-5600(10CD)
チェリビダッケ+ロンドン交響楽団・伝説のコンサート集
■CD1
ヴェルディ:「運命の力」序曲
ヒンデミット:交響曲「画家マティス」
プロコフィエフ:「ロメオとジュリエット」組曲[モンタギュー家とキャピュレット家/少女ジュリエット/仮面/別れの前のロメオとジュリエット/アンティル列島の娘たちの踊り/墓の前のロメオ/タイボルトの死]
■CD2
ブラームス
:交響曲第3番
■CD3
ブラームス
:交響曲第1番
ブラームス:ハンガリー舞曲第1番
■CD4
シューマン
:交響曲第2番
ラヴェル:スペイン狂詩曲
ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
■CD5
ワーグナー
:「タンホイザー」序曲
モーツァルト
:交響曲第38番「プラハ」*
シベリウス:交響詩「エン・サガ」*
■CD6
プロコフィエフ:交響曲第5番
ティペット:歌劇「真夏の結婚」〜祭典の踊り*
■CD7
ドビュッシー:「映像」〜イベリア
ムソルグスキー(ラヴェル編):組曲「展覧会の絵」
■CD8コダーイ:「ガランタ舞曲」
ラヴェル:組曲「マ・メール・ロア」
■CD9
ブラームス
:交響曲第1番
デュカス:交響詩「魔法使いの弟子」*
■CD10
ラヴェル
:ピアノ協奏曲
フォーレ:レクイエム
セルジュ・チェリビダッケ(指)LSO
(以下CD10)
アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ(P)
マリー・マクローリン(S)
グウィン・ハウエル(Bs)
リチャード・ヒコックス(指)ロンドン交響cho

■CD1
録音:1978年4月11日

■CD2CD3
録音:1979年5月31日

■CD4
録音:1979年9月18日

■CD5
録音:1979年9月18日
録音:1979年9月21日*

■CD6
録音:1979年9月21日
録音:1980年4月10日*
■CD7
録音:1980年4月10日

■CD8
録音:1980年4月13日

■CD9
録音:1980年4月13日
録音:1982年4月8日*

■CD10
録音:1982年4月8日
全てロンドン、ロイヤル・フェスティヴァル・ホールにおけるライヴ録音

※英語、日本語によるライナーノート付
チェリビダッケという人はいつの時代も完成していた人なのではないか?という気持ちも新たな伝説の名演集が復活。70 年代後半はロンドン交響楽団と蜜月状態にあったのがチェリビダッケ。絵の具の豊富なパレットから色鮮やかな音楽を聞か せてくれます。このコンビは1980 年4 月に過密スケジュールの日本公演も行いました。このセットにも来日公演曲目が網羅 されております。ロンドン交響楽団はプレヴィン時代からアバド時代の移行期間ともいえる充実した季節です。リーダー(コン サートマスター)のマイケル・デイヴィスをはじめとして、トロンボーンのデニス・ウィック(展覧会における妙技等)、トランペット のモーリス・マーフィー(目立つ箇所だらけ!)等の名人揃い。ミュンヘンフィル着任前のアグレッシヴなチェリビダッケに見 事に呼応します。来日公演でも披露されながらなぜかリリースがないティペットの“祭典の踊り”(唯一の録音)も収録。ミケラ ンジェリにとってもベストの出来、最高音質である絶美のラヴェル。神秘的なフォーレ。ご子息セルジュ氏の公認を得た正規 リリースです。 ※この度東武レコーディングの海外音源の発掘を担当してきたProminent Classics がレーベルとして独立。CD 日本プレス。 美麗夫婦箱10 枚組。木之下晃氏による来日時の写真をあしらいました。

H.M.F
HMM-902448(2CD)
ケルビーニ:『ロドイスカ』序曲
ベートーヴェン:交響曲第4番 変ロ長調 op.60
メユール:交響曲第1番ト短調(1808)
ベートーヴェン:交響曲第8番
ベルリン古楽アカデミー【コンサートマスター:ベルンハルト・フォルク】

録音:2021年4,5月、テルデックス・スタジオ(ベリリン)
ハルモニアムンディがリリースしているベートーヴェン・イヤー・シリーズ交響曲編の完結編となる、ベルリン古楽アカデミーによる第4番&第8番の登場!こ れまでの交響曲のリリースでは、同時代の作品がカップリングとして収録されておりましたが、それは今回も同様。今回は、ケルビーニ、そ してメユール(1763-1817)の作品が選ばれています。ベルリン古楽アカデミーのうまさと、録音の素晴らしさを存分にたのしむことのできる内容です。
ベートーヴェンでは、交響曲第4番終楽章のファゴットの刻みなど、超絶技巧のきわみですが、わずかな乱れもない見事なもの。ティンパニの豊かな響きも耳 にのこります(ティンパニ奏者は若くして首席奏者に就任した、1990年セビリア出身のフランシスコ・マヌエル・アンガス・ロドリゲス。安倍圭子氏の招きで 桐朋学園で学んだこともあり、ベルリン国立歌劇場で活躍したのち、バイロイト音楽祭でも演奏していました)。第8番第1楽章の快速テンポが生み出す、まる で舞曲のような軽やかさにもまた驚き。そうした第1楽章を経ての第2楽章のメトロノーム風の刻みも非常に効果的に響きます。
ケルビーニのオペラ『ロドイスカ』は1791年にパリで初演されました。大成功を収めた作品で、当時200回以上上演されたといいます。愛しあう男女が 父親によって引き裂かれるも、様々な苦難と試練や誤解を経てめでたく結ばれるという内容ですが、序曲はオペラの内容を予見させるというよりも、シンフォニー を思わせるスタイルとなっています。ケルビーニの友人でもあったメユールの作品は、シューマンらによって「ベートーヴェンの交響曲第5番への返答」と評さ れることもある作品です(終楽章のリズムが運命と似ていることなどが理由)が、彼がこの交響曲に取り組んでいたときに、第5番(1808年作曲)をどこ まで知っていたかは今となってははっきりしません。それよりもむしろ、フランス革命期にこのような素晴らしい交響曲が存在し、その後のフランスのオーケスト ラ作曲にも大きな足跡を残したこと、そしてベルリン古楽アカデミーによる決定的な名新録音が誕生したことを祝いたい内容です。 (Ki)

Epitagraph
EPITA-026
(3UHQCD)
マーラー:交響曲第1番「巨人」
交響曲第2番「復活」#
交響曲「大地の歌」*
ブルーノ・ワルター(指)NYO
マリア・シュターダー(S)#
モーリン・フォレスター(A)#
ウェストミンスター合唱団#
キャスリーン・フェリアー(A)*
セット・スヴァンホルム(T)*

録音:1950年2月12日(巨人)、1957年2月17日(復活)、1948年1月18日(大地の歌)
カー ネギ ー・ホ ー ル 、ニューヨー ク(ライヴ )
Produced by Epitagraph(原盤:エピタグラフ)
エピタグラフ・レーベルによるブルーノ・ワルター没後60年企画。モーツァルト(「第25・29・35・38・39番」EPITA.020/1、「第40・35・39番」 EPITA.025)、ブラームス(交響曲全集EPITA.022/4)とリリースを続けてきて今度は極めつけのマーラー!マーラー直伝の解釈で、数多く名演名盤を遺してい るワルターが絶頂期に手兵ニューヨーク・フィルとカーネギー・ホールでのライヴで遺した交響曲第1番「巨人」・第2番「復活」・「大地の歌」の3曲を3枚のディス クに収録。「巨人」はキングレコードからLP(K22C-181、セブンシーズ・レーベル)が発売されたことがあったものの、今回は国内初CD,「復活」と「大地の歌」 は国内初出音盤になります。 ★「巨人」・・・1950年2月12日のライヴ。ワルターがお気に入りの曲を、戦後初めてニューヨーク・フィルとの定期で振ったもので、第1楽章の終結やフィナーレ など生々しい迫力で最高の盛り上がり!メロディーのロマンティックな歌わせ方も豊かで、第2楽章のチェロや第3楽章の木管などオーケストラ奏者の名人芸も光っ ています。 「復活」・・・1957年2月17日、CBSへのセッション録音前日のライヴ(このスタジオ録音の最終セッションは1年後に持ち越された)。激しい気魄とエネルギー に満ちた熱演ライヴで、スケールの大きさも巨大。音質も従来の海外盤CDに勝るとも劣らぬ生々しさが感じられます。当時カナダの若手だったモーリン・フォレス ターが抜擢され、ワルターの自宅でレッスンを受けるなどしてこの演奏会がきっかけでマーラー歌手としての名声を築くことになった のは有名です。 「大地の歌」・・・1948年1月18日、不世出の名アルト、キャスリーン・フェリアーとのカーネギーでの共演ライヴ。前年(1947年) にエディンバラ音楽祭ではじめて共演したワルターが48年カーネギーでの公演に招いたもので、52年のウィーン・フィルと組んでの 有名なDECCA録音につながります。バーンスタインはボストンに向かう途中に車のラジオでこの日曜コンサートの放送を聴き、後日 (22日)ワルターに「私の大きな音楽体験の一つでした。あなたはとても、とても、偉大な巨匠です」と手紙を送っています(『ブルー ノ・ワルター 音楽に楽園を見た人』エリック・ライディング&レベッカ・ペチュフスキー共著、高橋宜也訳、音楽之友社2015年刊)。 音質は従来の海外盤より鮮明で、原盤復刻にともなうスクラッチ・ノイズがありますが、高域も落ちることなく臨場感たっぷりに響い てきます。深く豊かなフェリアーの歌声は一段と鮮明に胸に迫ってきて、感無量です。 以上、いずれもラジオ中継された放送原盤から復刻されたCDで、曲の最初から終りまで楽章間に音の途切れはなく、終了後は拍手 が入っていて臨場感は抜群!高域の伸びや低域の重厚さ等、音質は比較的良好で、“高音質CDの決定版”であるUHQCDにして発売 します。マーラー解釈の伝道師ワルターの絶頂期ライヴであるこの3枚組こそファン待望・必携のセットといえるでしょう。 (Ki)

MDG
MDG-91222566
(1SACD)
メンデルスゾーン・プロジェクトVOL.3
シンフォニア第7番ニ短調
ヴァイオリンとピアノのための二重協奏曲ニ短調
ドグマ室内オーケストラ
ミハイル・グレヴィチ(指)
ア ニ カ・トロイトラ ー(P)

録音:2021年8月8-11日マリエンミュンスター修道院コンツェルトハウス
メンデルスゾーンは、12歳から14歳にかけて弦楽のためのシンフォニアを12曲作曲しています。ドグマ室内オーケストラは、同時期に書かれた5つの協奏曲 を含めたメンデルスゾーンのシリーズをリリース。第1弾(MDG-91221936),第2弾(MDG-91222116)に続く本作は、シンフォニア第7番と「ヴァイオリ ンとピアノのための二重協奏曲」が収録されています。メンデルスゾーンが14歳の時の作品「ヴァイオリンとピアノのための二重協奏曲」。メンデルスゾーンらし い華麗で甘美な旋律は若き日のメンデルスゾーンの溢れる才能を感じることのできる作品です。
MDG
MDG-63222442
(3CD)
ヨゼフ・ボフスラフ・フェルステル(1859-1951):交響曲全集
交響曲第2番Op.29
交響曲第1番Op9
交響曲第3番Op.36*
交響曲第4番Op.54*
組曲ト短調『イン・デン・ベルゲン』Op.7#
交響曲第5番Op.141#
オスナブリュックSO
ヘルマン・ボイマー(指)

録音:2007年3、5月、録音:2008年2月4-5,20,22日*、録音:2009年2月23〜24日、5月4〜5日#
マーラーと同世代に属し、マーラーの支持者でもあったチェコの作曲家、ヨゼフ・ボフスラフ・フェルステルの貴重な交響曲全集。フェルステルは、プラハ音楽院 に学び、作曲と批評・教育、そして絵画に生きた多彩な音楽家でした。長くハンブルクやウィーンで暮らし、第一次世界大戦が終わり、祖国がチェコスロヴァキア共 和国として独立するとプラハに戻り、以後の人生をチェコで過ごします。プラハ音楽院で教授を務めた彼は1939年には院長となり、1946年には人民芸術家に 叙せられます。フェルステルはその生涯に170以上の作品を書いています。1888年に書かれた第1番は彼の母の死を追悼して書かれたもの、緊張感と哀悼にみ ちた美しい作品です。1890年に書かれた第2番は、彼の友人でもあったマーラーが高く評価したといわれる作品で、葬送行進曲とスケルツォが見事な対比を描 いた力作。ハンブルク時代の初期に書かれた第3番。彼の初期作品である組曲『イン・デン・ベルゲン』。独特の美しさを持った最後の交響曲第5番など、作品に はフェルステルの家族の思い出が反映されているものが多く、また「薔薇の騎士」「トスカ」「トリスタンとイゾルデ」「ルサルカ」からの引用も見て取れたりと、注 目情報もいくつかあり、加えて、近代チェコの作曲家にも関わらず、その作風には民俗的なものは希薄で、後期ロマン主義的とも神秘主義的とも言われる重厚な雰 囲気が魅力十分なものとなっているのがポイントです。 (Ki)

RUBICON
RCD-1073(1CD)
シベリウス:交響曲第5番他
交響曲第5番変ホ長調 Op.82
交響曲第6番ニ短調 Op.104
交響曲第7番ハ長調 Op.105
オウェイン・アーウェル・ヒューズ(指)
ロイヤルPO
イギリスのRubicon(ルビコン)よりスタートした、ウェールズの指揮者オウェイン・アーウェル・ヒューズとロイヤルPOによるシベリウスの交響曲サイクル第3弾となる最終巻。交響曲第1番と第3番を収録した第1巻(PRCD-1055/RCD-1055)は、レコード芸術海外盤REVIEWで「今月の特選盤」に選ばれた他、英グラモフォン誌では2020年11月号の「エディターズ・チョイス」、更に年間通して批評家に選出される「クリティクス・チョイス2020」にも選ばれるなど好調な滑り出しを見せました。第2巻(PRCD-1072/RCD-1072)では、そのスケールの大きな演奏で、シベリウス・ファンを驚嘆させたオウェイン・アーウェル・ヒューズ。最終巻では人気曲である第5番と、第一次世界大戦で中断を余儀なくされながらも完成させた第6番、第8番が焼失したことから事実上の最後の交響曲となった第7番を収録。たっぷりとした芳醇な響きと細部まで拘りぬかれた音作りによるシベリウスの交響曲サイクルがここに堂々完成です。
1942年にウェールズのカーディフに生まれたオウェイン・アーウェル・ヒューズ(オワイン・アルウェル・ヒューズ)は、作曲家・指揮者として成功したアーウェル・ヒューズ(1909-1988)の息子として育ち、ボールト、ハイティンク、ケンペらに指揮を学び、40年以上にわたって情熱的な音楽制作を続けてきました。日本での知名度はまだ途上ながらも、欧米では堅実に評価を積み重ね、2009年にはCBE(大英帝国勲章第3位)を受勲している実力者です。

CORO
COR-16192(1CD)
ハイドン:交響曲集 Vol.8
交響曲第103番「太鼓連打」
ミサ曲 変ロ長調 Hob.XXII:12「テレジア・ミサ」
メアリー・ベヴァン(S)、
キャスリン・ウィン=ロジャーズ(Ms)、
ジェレミー・バッド(T)、
サムナー・トンプソン(Br)、
ハリー・クリストファーズ(指)、
ヘンデル&ハイドン・ソサエティ

録音:2022年1月28日&30日、シンフォニー・ホール(ボストン)
アメリカ最古のピリオド・オーケストラ、「ヘンデル&ハイドン・ソサエティ(HHS)」と、2008年にHHSの第13代音楽監督に就任したハリー・クリストファーズのコンビによるハイドンの交響曲ライヴのシリーズ第8弾!
1791から1795年のロンドン訪問期に作曲された12の「ロンドン交響曲集」のうちの最後から2番目の曲であり、第1楽章の冒頭と最後にあるティンパニの長い連打が印象的なことから「太鼓連打」の愛称で呼ばれる「交響曲第103番」。そして1799年に作曲されハイドンの後期六大ミサ曲の中の1曲、「テレジア・ミサ」。編成は大きくないもののハイドンの美しい旋律が溢れた傑作のひとつです。歌手陣は前作「ネルソン・ミサ」(COR16181)でも好評を博したのと同じ布陣で、2019年にMBEを受勲した今をときめくソプラノ、メアリー・ベヴァンを中心にキャスリン・ウィン=ロジャーズ、ジェレミー・バッド、サムナー・トンプソンといった名歌手が勢揃い。古楽器演奏で高い評価を得ているハリー・クリストファーズとHHSの名コンビが充実の演奏を披露しています。

Quartz
QTZ-2146(1CD)
ブラームス:悲劇的序曲 Op.81
ハイドンの主題による変奏曲
交響曲第2番ニ長調 Op.73
リマ・スシャンスカヤ(指)、
ロンドン・ナショナルSO

録音:2021年5月1日-2日
“オイストラフの最後の弟子”としてその精神を受け継ぐ演奏で世界中の聴衆を魅了し、ワシントン・ポスト紙にも「今日生きている最も偉大なヴァイオリニストの一人」と絶賛された名ヴァイオリニスト、リマ・スシャンスカヤ。近年はヴァイオリニストとしての活動と並行して指揮者としても類稀なる才能を発揮しており、既にヨーロッパの主要なコンサートホールやアジアなどで指揮台に立ち、その評価をますます高めています。彼女はベートーヴェンの「第九」やラフマニノフの交響曲第2番、モーツァルトのレクイエムにオルフのカルミナ・ブラーナなど管弦楽における重要な大作を主なレパートリーに据えており、このアルバムでもこれまでいくつかの録音で共演しているロンドン・ナショナルSOを率いてブラームスの3つの名曲に挑んでいます。

Halle
CDHLD-7558(2CDR)
ヴォーン・ウィリアムズ:南極交響曲(交響曲第7番)
ノーフォーク狂詩曲第1番
交響曲第9番ホ短調
揚げひばり
マーク・エルダー(指)ハレO、
ソフィー・ベヴァン(第7番)、
ハレ合唱団のソプラノ&アルト歌手たち(第7番)、
マシュー・ハミルトン(合唱指揮)(第7番)、
リン・フレッチャー(Vn)(揚げひばり)

録音:2019年1月24日(第7番)、ブリッジウォーター・ホール(マンチェスター)/2021年11月15日-17日(第9番)、ハレ・セント・ピーターズ教会(マンチェスター)/2005年11月5日ー6日、BBCスタジオ7(マンチェスター)
長き歴史を誇るイギリス、マンチェスターの雄、ハレOと音楽監督マーク・エルダー。交響曲第7番(南極交響曲)と交響曲第8番の初演を担うなど(初演の指揮はどちらもジョン・バルビローリ)、作曲者とも縁の深いハレOの自主レーベルが贈る、レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ(RVW)の生誕150周年記念盤第2弾。
交響曲第1番〜第6番&第8番まではマーク・エルダー体制の2010年〜2017年に録音・リリースが行われており、2019年&2021年にレコーディングされた交響曲第7番(南極交響曲)と第9番のリリースによって、エルダー&ハレ管による全9曲の交響曲全集が完成しました。
更に、近代英国音楽の名曲アルバム「イギリスの風景」(CDHLL7512)に収録されていた「ノーフォーク狂詩曲第1番」とリン・フレッチャー(1997年から2019年までハレOのコンサートマスターを務めた名手)がソロを弾く「揚げひばり」をカップリングし、彼らのヴォーン・ウィリアムズ録音の集大成を完璧なものとしています。
これまでグラモフォン賞ノミネート(第1番、第3番)、グラモフォン「エディターズ・チョイス」(第1番、第3番、第5番、第8番)、BBCミュージック・マガジン「ディスク・オヴ・ザ・マンス」(第3番)&「オーケストラル・チョイス」(第4番、第6番)に選ばれるなど、安定して高い評価を築いてきたエルダー&ハレ管による交響曲全集を締めくくるアルバムにご注目ください。
※当タイトルは、高品質メディア(SONY DADC/Diamond Silver Discs)を使用した、レーベル・オフィシャルのCD-R盤となります。
※5枚組の交響曲全集BOX(CDHLD7557JP/プレス盤)も別途リリース予定です。

APARTE
AP-293(1CD)
1773年モーツァルトとグレトリ
50-50

モーツァルト:交響曲第25番ト短調K.183
グレトリ:組曲「セファールとプロクリス」
モーツァルト:歌劇「エジプト王タモス」〜組曲
マルティン・ヴァルベルグ(指)
オルケルテル・ノルド

録音:2021年11月/セルブ教会(ノルウェー)
ノルウェーのチェロ奏者でもある指揮者マルティン・ヴァルベルグが2009年に創設した古楽器アンサンブル、トロンハイム・バロック。17-8世紀作品を主要レ パートリーとし高い評価を受けていますが、2018年にオルケルテル・ノルドと改名してさらなる可能性を模索。
今回は1773年に焦点を当て、この年に作られたモーツァルトとグレトリの作品を並べています。モーツァルトは当時17歳。「小ト短調」として知られる交響曲 第25番と、後年の傑作「魔笛」のルーツといわれる「エジプト王タモス」。どちらも才気煥発でモーツァルトの天才性を再認識させてくれます。
一方グレトリは31歳、軽みとシリアスさを兼ね備えたオペラ・コミックを確立させ順風満帆な創作活動を行っていました。
同じ年に作られた両者の純オーケストラ作品は、どちらも強さと輝かしさという共通点がありますが、フランスの舞台音楽が交響曲へ新たに進化していく様をた どることができます。 (Ki)

BIS
BISSA-2362
(1SACD)
シンガポール響のスクリャービン
法悦の詩Op.54
ピアノ・ソナタ第5番Op.53*
プロメテウスOp.60
エフゲニー・スドビン(P)
ラン・シュイ(指)
シンガポールSO
シンガポール響cho、
シンガポールSO青年cho

録音:2017年7/8月エスプラネード・コンサート・ホール(シンガポール)、
2006年8月ヴェステロース・コンサート・ホール*
スドビン久々の新譜、それもファン狂喜のスクリャービン・アルバム。録音は2017年に行われていたもので、ラン・シュイ指揮シンガポールSOと問題作「プ ロメテウス」を披露。さらに「法悦の詩」も興味津々。
オルガンを含む大編成のオーケストラ(「プロメテウス」はさらに混声合唱とピアノ独奏も含む)というカオスの世界ですが、BISの超優秀録音で各楽器の主張 と綾がはっきり見えて新鮮。どんなに複雑な部分でも透明で音の美しさを満喫できます。
「法悦の詩」と同時期の作で共通点の多い「ピアノ・ソナタ第5番」もスドビンの演奏でカップリング。ただしこちらは2006年の録音で、BISSA-1568に収 録されているものと同ソース。プロメテウスともどもスドビンの色彩とニュアンスにあふれる弱音の妖しい魅力に酔わされます。 (Ki)

ONDINE
ODE-1391(1CD)
NX-B07
ルードヴィグ・ヌールマン(1831-1885):交響曲第3番/序曲集
演奏会用序曲 変ホ長調 Op. 21(1856)
葬送行進曲「アウグスト・セーデルマンの思い出に」 Op. 46(1876)
シェイクスピアの「アントニーとクレオパトラ」への序曲 Op. 57(1881)
交響曲第3番ニ短調 Op. 58(1881)
オウルSO
ヨハネス・グスタフソン(指)

録音:2021年5月27-31日
スウェーデンの作曲家・指揮者ルードヴィグ・ヌールマン。 10代から20代始めにライプツィヒ音楽院に留学、イグナーツ・モシェレスらに師事するとともに、シューマンから大きな影響を受けました。その 後、ストックホルムに戻り、ストックホルム王立音楽院にて教鞭を執りながら、指揮者としても活躍しています。作曲家としては4曲の交響曲をはじめ、 管弦楽曲からカンタータ、歌曲まで幅広いジャンルの作品を書き上げ、「スウェーデンのブラームス」の異名をとりました。このアルバムに収録された交響 曲第3番は、後世の作曲家ヴィルヘルム・ステンハンマルに「美しさに満ちた作品。私にとってはブラームスのどの交響曲よりも大切だ」と言わしめたほど の出来栄えを誇っています。他には3曲の序曲を収録。1856年に作曲された「演奏会用序曲 変ホ長調」は、ゆったりとした序奏にソナタ形式のアレ グロが続く、伝統的な形式の作品です。「葬送行進曲」はスウェーデン王立歌劇場で彼の同僚として働いていたアウグスト・セーデルマンを偲んで書か れた曲。43歳の若さで亡くなった友人への心からの悲しみの表明です。 ヨハネス・グスタフソン指揮オウルSOによる演奏で。


Audite
AU-95745(2CD)
ルツェルン・フェスティヴァル・シリーズ第18弾
ハイドン:交響曲第99番
シェーンベルク:ピアノ協奏曲 Op.42
チャイコフスキー:交響曲第4番
ジョン・オグドン(P)
ラファエル・クーベリック(指)
ニュー・フィルハーモニアO

ライヴ録音:1968年9月8日クンストハウス(ルツェルン)(モノラル)
正規初出音源! クーベリックの同音楽祭初登場は1948年8月28日でした。この演奏会の数週間前、チェコの共産化に反対したクーベリックは同年エディンバラ音楽祭へ参 加するために渡英、そのままイギリスに亡命しています。ルツェルン・フェスティヴァルにはその後1990年まで計25回出演し、同音楽祭には欠かすこの出来 ない、また自身にとっても最も重要な音楽祭となりました。これまでバルトークのオペラ『青ひげ公の城』(1962年8月15日)(AU-95626)がCD化 されています(クーベリックは1972年にスイス国籍を取得。1996年、ルツェルンにて死去しています)。
1968年に起こったチェコスロバキアの変革運動「プラハの春」の弾圧から数日後の9月8日、クーベリックはルツェルン・フェスティヴァルに登場。ニュー・フィ ルハーモニア管弦楽団との共演でハイドンの交響曲第99番、ジョン・オグドンをソリストに迎えたシェーンベルクのピアノ協奏曲、そしてチャイコフスキーの交響 曲第 4 番を演奏しております。
ハイドンの交響曲第99番はクーベリックお得意の作品。終始快活さに満ちた演奏で幕開けを飾りました。
ジョン・オグドンが正規録音には残していないシェーンベルクのピアノ協奏曲。オグドンは厳格な十二音技法によって書かれているこの曲を正確に理解し、聴 衆の心を掴むことに成功しており、クーベリックとの入念なリハーサルをうかがい知ることができます。
ブゾーニ国際コンクール(1960年)、ブダペスト国際ピアノ・コンクール(1961年)、チャイコフスキー国際コンクール(1962年)そのすべてで優勝し ているオグドンが一躍世界的なピアニストとして活動を展開していた60年代。剛腕ピアニストでロマン派を得意としていましたが、実際は繊細で内面的な性格 の音楽表現を好んでいたとのことで当時の現代作品も積極的に演奏していました。オグドン唯一の出演となった同音楽祭、しかもシェーンベルクの録音は貴重か つ価値のあるリリースといえます。
そして、チャイコフスキーの交響曲第4番!クーベリックが14歳の時、フルトヴェングラーの指揮する同曲を聴き、指揮者を志したというほどの思い入れのあ る作品で、シカゴ交響楽団(1951年録音)、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1960年録音)、バイエルン放送交響楽団(1969年)など多くの名 演でも知られます。
「クーベリックはチャイコフスキーの交響曲をまるで精神の勝利、運命の力に対する自由の宣言のように唱えた」と同音楽祭閉幕演奏会ののち評論家がコメン トしていたほどの力演。ルツェルンに居を構えたチェコの移民クーベリックは、ルービンシュタイン、メニューイン、ストラヴィンスキーらの賛同を得て、芸術の断 絶を訴えただけでなく、「1968年8月21日以降のチェコスロバキア移民のための基金」への支援をルツェルンの市民に求めました。
チャイコフスキーの交響曲第4番の変化に富むテンポ、多彩な音色、そしてドラマティックな音楽づくりと、クレンペラーが育て上げた名門オケと驚くほどの熱 量で盛り上げており、その演奏は人々を魅了し大反響を呼びました。
演演奏の素晴らしさに加えてauditeレーベルの見事な復刻にも注目。同レーベル社主のルトガー・ベッケンホーフ氏が丁寧にリマスタリングしております。またブックレットには今回初めて掲載された音楽祭の写真も掲載。資料的価値はもちろんのこと、歴史的に見ても非常に重要な演奏会が正規初出音源でリリースされることは大歓迎と申せましょう。 (Ki)

GRAND SLAM
GS-2272(1CD)
フルトヴェングラー/ハイドン&チャイコフスキー
(1)チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調 Op.64
(2)ハイドン:交響曲第88番ト長調Hob. I:88『V字』
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)
トリノ・イタリアRSO

録音:(1)1952年6月6日Sala del Conservatorio(トリノ)
(2)1952年3月3日Auditorium A, via Montebello(トリノ)
使用音源:Private archive (2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:モノラル(ラジオ放送用録音)
■制作者より  
フルトヴェングラーの指揮したチャイコフスキーの交響曲第5番は、時に「フルトヴェングラーの最悪の演奏」とも言われますが、本当にそうでしょうか? 確か に音質は乾いた固い音ですが、当盤のより明瞭な音で聴けば、フルトヴェングラーのやりたいことがよくわかるはずです。いずれにせよ、フルトヴェングラーが振っ た唯一の第5番の記録としては非常に貴重であることは間違いありません。なお、第4楽章のカットはフルトヴェングラー独自のもので、音の欠落ではありません。 また、第4楽章の471小節で思わずわき起こった拍手はカットせずに含まれています。 ハイドンは編成が小さいためか、まず音が非常に豊かに捉えられていることに驚かされます(たとえば、第1楽章の冒頭では、フルトヴェングラーが音楽に合わ せて息をもらしている様子がはっきりと聴きとれます)。演奏内容もライヴらしくもの凄く熱く燃え上がっており、フルトヴェングラーとトリノ・イタリア響による最 高の演奏かもしれません。  (おことわり)アセテート盤を原盤としているため、SP盤に似たノイズが混入します。特にチャイコフスキーには修復出来ないレベル変動がわずかに含まれますこ とをご了承下さい。(平林 直哉)
GRAND SLAM
GS-2273(1CD)
マーラー:交響曲第9番ニ長調 ジョン・バルビローリ(指)BPO

録音:1964年1月10、11、14、18日ベルリン・ダーレム、イエス・キリスト教会
使用音源:Private archive (2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:ステレオ(録音セッション)
■制作者より  
バルビローリ&ベルリン・フィルの定番、マーラーの交響曲第9番はGS-2182(2018年4月【廃盤】)に発売、またたく間に完売してしまいました。その後、 再プレス案も浮上しましたが、望みうる最上の結果を得るために、全行程をプロ用の機器を使用してマスターを作り直しました。結果は予想以上で、やった甲斐が ありました。  解説書も前回掲載したバルビローリのインタビューに加え、マニアックな情報も加え、コレクターズ・アイテムとしての価値を高めました。(平林直哉)

Hanssler
HC-22023(1CD)
ペーター・ルジツカ(1948-):自作自演集
(1)「ヘルダーリン交響曲」〜バリトン、室内合唱とオーケストラのための
(2)「ムネーモシュネー〜記憶と忘却」〜ソプラノ、18の弦と打楽器のための
(1)トーマス・E・バウアー(Br)、北ドイツ放送合唱団、ジェームズ・ウッド(合唱指揮)、ドイツ放送PO、ペーター・ルジツカ(指)
(2)サラ・マリア・サン(S)、ドイツ放送PO、ペーター・ルジツカ(指)

録音:(1)2012年6月17日コングレスザール、ザールブリュッケン(ライヴ)
(2)2021年5月7&8日ザールラント放送大ホール、ザールブリュッケン
指揮者で作曲家のペーター・ルジツカの自作自演集。歌劇「HOLDERLIN(ヘルダーリン)」は2008年11月にベルリンで初演されました。その前身である音 楽劇「CELAN(セラン)」と同様、この作品はルジツカの代表作です。「ヘルダーリン交響曲」はこの歌劇のいわば凝縮した内容。この作品はマーラーやツェムリン スキーの声楽付きの交響曲を思わせます。 (Ki)

TOCCATA
TOCC-0645(1CD)
NX-B03
フリードリヒ・ブルク(1937-):管弦楽作品集 第3集
交響曲第22番「In the Ocean 海で」(2019)
交響曲第23番「In the Ingrian Mode イングリアの様式で」(2021)
リトアニア国立SO
マーリス・クプチス(指)

録音:2021年5月17-22日、2021年11月22-26日
世界初録音
1937年にウクライナのハルキウ(ハリコフ)で生まれ、1974年からはフィンランドに住むブルク。この交響曲第 3集では、2019年と2021年に作曲された直近の交響曲を紹介しています。すでに80歳を超えている作 曲家の作品としては、驚くばかりの生命力を有しており、いずれも社会問題に目を向けた渾身の仕上がりと なっています。交響曲第21番は、世界の海の汚染への懸念が作曲の原動力となっており、環境問題への 取組を促す作品。第23番はフィンランドとロシアの国境にひっそりと住む"イングリア人"へのオマージュ。イン グリアの民謡を素材にした作品です。どちらの作品も精緻な対位法とオーケストラの豊かな響きが用いられ ており、どこかしら荒々しさも感じられる多彩な表情を持っています。ブルク作品を得意とするクプチスと、 1989年に設立されたリトアニア国立SOによる演奏です。

SWR music
SWR-19119CD(1CD)
NX-B06
マルティヌー:交響曲第5番
交響曲第6番「交響的幻想曲」*
シュトゥットガルトRSO
ロジャー・ノリントン(指)

録音:2008年2月16-18日、2003年9月25-26日*
マルティヌーの6曲の交響曲は、彼がアメリカに滞在していた1942年から1953年にかけて作曲されました。第5番は、ニューヨーク・タイムズ紙のインタ ビューでマルティヌー自身が「よく出来た、有機的で秩序のある作品」と語った自信作。第6番は1955年のボストン響創立75周年の為の委嘱作 で、初演を担った指揮者シャルル・ミュンシュを念頭に書き上げたとされています。マルティヌーはこの曲をそれまでの交響曲とは根本的に異なるものと 考えて「交響的幻想曲」の副題を付けました。ドヴォルザークのレクイエムの旋律をはじめとする様々な楽想が入り混じり、秩序と構成を重んじた第5 番とは対照的に自由で幻想的な作品になっています。 ノリントンは1998年から2011年の13年間にわたりシュトゥットガルトRSOの首席指揮者を務め、作曲当時に聴衆が感じたサウンド・イメー ジに迫るために、時代考証に基づいてオーケストラのサイズ・配置・奏法を調整し、弦楽器のノンヴィブラート演奏を基調とする「シュトゥットガルト・サウ ンド」と呼ばれる独自のスタイルを編み出しました。透明感と立体感を保ち、曲の構造を明らかにする演奏スタイルは、エルガーなどの20世紀作品で も効果を発揮しましたが、さらに時代が下ったマルティヌーをどう響かせるのか、大いに注目されます。
SWR music
SWR-19118CD(1CD)
NX-B02
ハイドン:交響曲第102番変ロ長調 Hob. I:102
チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」
シュトゥットガルトRSO
セルジュ・チェリビダッケ(指)

録音:1959年9月17日(ライヴ)
20世紀後半の指揮者の中で、チェリビダッケは間違いなく最も偉大かつ強烈な個性を持つ人物の一人でした。とことんまで作品の解釈を練り上げ、納得の ゆく音が出せるまでリハーサルに時間をかけた演奏は、極めて完成度の高いものでありながら、同時にライヴ特有の燃焼度も備えていました。現象学から影 響を受けた独自の理により、録音では自身の音楽は伝えられないと主張し続けたチェリビダッケですが、放送録音には同意しており、そのおかげで彼の演奏 に触れて強い感銘を受けた音楽ファンや音楽家が世界に多くいます。このCDもそうした放送用録音の一つで、放送スタジオでのライヴ収録です。 演奏曲目として選ばれた2曲はチェリビダッケがとりわけ好んでいた曲で、繊細さと透明感を持つハイドン、緩急強弱の振幅を大きくとったドラマティックなチャイ コフスキーと、コントラストのあるプログラムになっています。晩年のミュンヘン・フィルとの演奏のような極端に遅いテンポをとることはありませんが、引き締まった 造形の中でも、ハイドンの第1楽章での壮大な序奏や、チャイコフスキーの第2楽章の中間部での不気味なティンパニが刻むリズムにはチェリビダッケらしさが うかがわれます。またフォルティシモでの爆発するような迫力も壮年期のチェリらしいもの。SWRが保有するマスターテープから最新のリマスターが行われてお り、モノラルながらたいへん聴きやすい音となっています。 その後チェリビダッケは、1971年6月にシュトゥットガルトRSO創立25周年コンサートにお けるブルックナー:交響曲第7番の指揮が好評を博したのをきっかけに、翌1972年から1977年まで実質的な首席指揮者として同楽団をドイツ有数の水 準に引き上げました。

Goodies
78CDR-3875(1CD)
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)BPO

日POLYDOR 60024/28(独 POLYDOR 69855/9と同一録音)
1926年10月16日)、10月30日、1927年1月30日ベルリン録音
(古いコードのため雑音があります)
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(1886-1954)はベルリン生まれの大指揮者。 1922年アルトゥール・ニキシュ(1855-1922)の後任としてベルリン・フィルの常 任指揮者に就任した。この「運命」はフルトヴェングラーの初のレコード録音 で、1925年に始まったマイクロフォンを使用した電気録音だが、ドイツ・ポリ ドール社は米ブランズウィック社が考案したライト・レイ方式の電気録音を採用 した。若き日の大指揮者の姿が浮き彫りにされているような素朴で力強い音であ る。全曲を3回のセッションに分けての録音。フルトヴェングラーは10年後の 1937年にこの曲を同じベルリン・フィルと再録音しています。本シリーズ78CDR- 3521で出ています。比較試聴は興味深い。(グッディーズ)

Pentatone
PTC-5186894(1CD)
シューベルト:交響曲第9番「グレート」
交響曲第8番「未完成」(「私の夢」第1部&第2部付き)*
ルネ・ヤーコプス(指)
ビー・ロック・オーケストラ
トビアス・モレッティ(朗読)*

録音:2020年12月デ・ジンゲル(アントワープ)
ルネ・ヤーコプス率いるビー・ロック・オーケストラのシューベルトの交響曲録音全集が遂に完結!当アルバムは第8番「未完成」と第9番「ザ・グレート」を収 録しております!
「未完成」ではシューベルトの自伝的な作文「私の夢」の朗読付き。この作文は1822年7月3日に書かれた2部構成のもの。前半は母の死や父との関係が語 られ、後半は幻想的でロマンティックな世界へと進み、やがて父との和解がもたらされます。一方「未完成」の自筆スコアには同年10月30日という日付が記さ れています。ほぼ同時期に書かれたこれらを組み合わせることにより当時のシューベルトの精神性をあらわせるという考えのもと収録しました。朗読はトビアス・モ レッティです!
ベルギー第3の都市ヘント(ゲント)に2005年創設されたオリジナル楽器のビー・ロック・オーケストラ(B’Rock Orchestra)。実力派により構成された当 団は音楽的に互いを刺激し合い、ルネ・ヤーコプス、アイヴァー・ボルトン、アレクサンドル・メルニコフなどの演奏家との共演で名声を高めてきました。当団には 日本人演奏家も多く所属しており、2019年9月には待望の初来日を果たしました。変幻自在の音色で奏でることができる当団がヤーコプスのタクトにより自由に 歌い、そしてカラフルで刺激的な演奏を聴かせてくれます。
演奏の素晴らしさはもちろんのこと、エルド・グルートなどPENTATONE レーベルが誇る技術陣による録音です。なお、当ディスクはCD仕様となります。 (Ki)」

KLARTHE
KLA-057(1CD)
ウェーバー:作品集
(1)交響曲第1番ハ長調 Op.19
(2)ホルン小協奏曲 ホ短調 Op.45
(3)アダージョとロンド J.115
(4)クラリネット協奏曲第2番変ホ長調 Op.74
(2)ダヴィド・ゲリエ(Hrn)
(3)トマ・ブロシュ(グラス・ハーモニカ)
(4)ニコラ・バルディルー(Cl)
ヴィクトル・ユーゴー・フランシュ・コンテO
ジャン=フランソワ・ヴェルディエ(指

録音:2015年12月CRR(フランス)
ロマン派初期に活躍したウェーバーの交響曲第1番、ホルン小協奏曲、アダージョとロンド、クラリネット協奏曲第2番を収録したアルバム。ウェーバーは抒情に 満ちた、まるで詩人のような想像力豊かな作品を書きました。当アルバムでは鬼才クラリネット奏者ニコラ・バルディルー、ホルン奏者ダヴィド・ゲリエらの名手が 演奏。演奏機会こそ少ないこれらの作品の再発見ともいえる魅力満載なアルバムです。 (Ki)

C Major
80-6908(2DVD)

80-7004(Bluray)
ブルックナー:交響曲第1番ハ短調 WAB101(ウィーン稿)
交響曲第7番ホ長調 WAB107(ノーヴァク版)

■ボーナス映像「ディスカヴァリング・ブルックナー」
各交響曲について(ティーレマンと音楽学者ヨハネス=レオポルド・マイヤー氏による対話)
クリスティアン・ティーレマン(指)
VPO

収録:第1番:2021年2月、ウィーン楽友協会(無観客ライヴ)
第7番:2021年8月、ザルツブルク音楽祭(ライヴ)

◆DVD
画面:16:9、NTSC
音声:PCMステレオ、DTS5.1、DVD9
[ボーナス映像 ]
言語:ドイツ語、字幕:英韓,日本語
Total time:181分
交響曲:127分、ボーナス:54分
◆Bluray
画面:16:9、1080i
音声:PCMステレオ、DTS-HD MA5.1
BD50
[ボーナス映像 ]
言語:ドイツ語、字幕:英韓,日本語
Total time:181分
交響曲:127分、ボーナス:54分
2024年のブルックナー生誕200年に向けたティーレマン&ウィーン・フィルによるプロジェクト「ブルックナー11/Bruckner 11」。すでにソニー・クラシカル からも第8,3,4,2,5番のCDが発売中ですが、C majorレーベルからは映像による全集がスタート。第5交響曲、そして「習作交響曲」と呼ばれている「ヘ短調 WAB99」と「ニ短調 WAB100」をウィーン・フィル史上初めて演奏・収録した第1弾(806804(BD)/806708(DVD))に続き、今回ご案内する第2弾はウィー ン稿を使用した第1番と2021年8月のザルツブルク音楽祭をライヴ収録した第7番という組み合わせです。
ブルックナーの交響曲第1番は、大きく分けてリンツ稿とウィーン稿があります。ウィーン稿は作曲から25年後(第8番第2稿より後)に作曲者自身によって改訂さ れており、ウィーン稿の響きは初期の作品というより、後期ロマン派を感じさせるものとなっています。ブルックナー自身にとっても「生意気なお転婆」と評してい たように愛着がこもった作品です。シュターツカペレ・ドレスデンとの演奏では(744704(BD)/744608(DVD))、改訂前の稿である「リンツ稿」を選択していた だけに、ウィーン・フィルとの演奏にも期待が高まります。 そして第7番。当代きってのブルックナー指揮者と言われるだけあって、ティーレマンの指揮はさすがで、音楽に対して真摯であり、細部まで神経を張りめぐらせ た丁寧な演奏で、完成度の高い演奏となっています。この第7番は、ザルツブルク音楽祭でのライヴ映像で、コンサートではエレーナ・ガランチャをソリストに迎え マーラーのリュッケルト歌曲集がともに演奏されています。(未収録)
ティーレマンは、このウィーン・フィルとのシリーズについて改めてこう語っています。「ウィーン・フィルのブルックナーの全曲録音に選ばれたのは幸運だった。ま るで宝くじに当たったみたいだ。それにブルックナーは特別だ。」 (Ki)

GRAND SLAM
GS-2271(1CD)
(1)ブラームス:交響曲第1番ハ短調 Op.68
(2)ベートーヴェン:「レオノーレ」序曲第3番
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)
トリノ・イタリアRSO

録音:(1)1952年3月7日トリノ、Sala del Conservatorio
(2)1952年3月3日トリノ、Auditorium A, via Montebello
使用音源:Private archive (2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:モノラル(ラジオ放送録音)
■制作者より  
フルトヴェングラーがトリノ・イタリアRSOを振ったブラームスの交響曲第1番、1952年3月7日のライヴはカナダ・ロココのLP(2017/1972年) が初出でした。しかし、このLPは極端に出力レベルが低く、宇野功芳著「フルトヴェングラーの全名演名盤」(講談社+α文庫/絶版)の中でも「採るべき何もない」 とされていました。その後、CDではいくらかましな音で聴けるようになりましたが、今回入手したテープは間違いなく過去最高の情報量です! これを聴くと、同 じ1952年にライヴ録音されたベルリン・フィル、ウィーン・フィルを上回るとまでは言いませんが、かなり肉迫するものだということが実感されるのでしょう。 「レオノーレ」序曲第3番はGS-2048(2010年4月【廃盤】)に世界初出としてCD化したものです。過去には「1952年3月3日、トリノ」と表示された CDは複数発売されていますが、それらの中身はすべて「1950年7月、アムステルダム・コンセルトヘボウ」です。最近制作されたイタリア国営放送(RAI)の自 主制作盤には本物の「1952年3月3日」の演奏が含まれているらしいですが、一般市販CDとしてこのライヴが聴けるのは現在のところGS品番が唯一です。(平林 直哉)

Halle
CDHLD-7557JP(5CD)
日本向け限定生産
ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲全集

CD1:海の交響曲(交響曲第1番)
CD2:ロンドン交響曲(交響曲第2番)、
 交響曲第8番
CD3:田園交響曲(交響曲第3番)、
 交響曲第4番
CD4:交響曲第5番ニ長調、
 交響曲第9番ホ短調
CD5:交響曲第6番ホ短調、
 南極交響曲(交響曲第7番)
マーク・エルダー(指)、ハレO、キャスリン・ブロデリック(S)(第1番)、ロデリック・ウィリアムズ(Br)(第1番)、ハレcho(第1番)、ハレ・ユース合唱団(第1番)、スコラ・カントルム(第1番)、アド・ソレム(第1番)、ジェイムズ・バートン(客演合唱指揮)(第1番)、サラ・フォックス(第3番)、ソフィー・ベヴァン(第7番)、ハレchoのソプラノ&アルト歌手たち(第7番)、マシュー・ハミルトン(合唱指揮)(第7番)

録音:2014年3月29日(第1番)、2010年10月14日(第2番)、2013年9月9日-10日(第3番)、2016年4月7日(第4番)、2011年11月9日(第5番)、2016年11月10日(第6番)、2019年1月24日(第7番)、2012年2月3日(第8番)、2021年11月15日-17日(第9番)、ブリッジウォーター・ホール(マンチェスター/第1番、第2番、第4番、第5番、第6番、第7番)、ハレ・セント・ピーターズ教会(マンチェスター/第3番、第9番)、BBCスタジオ(サルフォード/第8番)

☆日本向け500セット完全限定のSONY DADCプレス盤
☆書き下ろし日本語解説(等松春夫)付き
長き歴史を誇るイギリス、マンチェスターの雄、ハレOと音楽監督マーク・エルダー。交響曲第7番(南極交響曲)と交響曲第8番の初演を担うなど(初演の指揮はどちらもジョン・バルビローリ)、作曲者とも縁の深いハレOの自主レーベルから、レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ(RVW)の生誕150周年を記念した交響曲全集がリリース!
マーク・エルダー体制の2010年〜2017年に録音・リリースが行われていた交響曲第1番〜第6番&第8番の音源と、未発売だった交響曲第7番&第9番を組み合わせて5枚組の全集ボックスが完成。これまでグラモフォン賞ノミネート(第1番、第3番)、グラモフォン「エディターズ・チョイス」(第1番、第3番、第5番、第8番)、BBCミュージック・マガジン「ディスク・オヴ・ザ・マンス」(第3番)&「オーケストラル・チョイス」(第4番、第6番)に選ばれるなど、安定して高い評価を築いてきたエルダー&ハレ管による充実の交響曲全集にご期待ください!
ブックレット(英語)にはハレのアーカイヴから収集した写真やハレ管とヴォーン・ウィリアムズの歴史的な関係を示す資料等、貴重な資料も掲載しています。「いつものようにエルダーによるハレの演奏は、技術的にも表現的にも傑出している」(BBCミュージック・マガジン)

※「CDHLD7557JP」はSONY DADCプレスによる、日本向けの限定生産盤となります。海外で発売される「CDHLD7557」品番の商品はCD-R盤です。予めご了承ください。


ELECT
ERT-1044(5CD)
UHQCD
ベートーヴェン:交響曲全集

(1)交響曲第1番/(2)交響曲第3番「英雄」
(3)交響曲第2番/(4)交響曲第6番「田園」
(5)交響曲第4番/(6)交響曲第5番「運命」
(7)「エグモント」序曲/(8)交響曲第8番
(9)交響曲第7番/(10)レオノーレ序曲第3番
(11)交響曲第9番「合唱」(ルーマニア語歌唱)
(12)「コリオラン」序曲
ジョルジュ・ジョルジェスク(指)
ブカレスト・ジョルジュ・エネスコPO
エミリャ・ペトレスク(S),マルタ・ケスラー(Ms)、イオン・ピソ(T)、マリウス・リンツラー(Bs)、 ジョルジュ・エネスコ・フィルcho、ルーマニア放送cho

録音:(1)1961年5月、(2)1961年3月
(3)1961年4月20日、(4)1961年10月
(5)1962年1月、(6)1961年8月
(7)1962年1月11日、(8)1961年5月
(9)1962年1月、(10)1962年1月
(11)1961年7月、(12)1961年8月
全てルーマニア文化宮殿ホール(ステレオ)
※CD日本プレス。美麗夫婦箱5枚組。英語、日本語によるライナーノート付
ジョルジュ・ジョルジェスク(1887-1964)は、ルーマニアを代表する大指揮者でジョルジュ・エネスコ・フィルの音楽監督を 1920年から1944年までと1954から1964年まで務めました。1918 年から1920年にはゲヴァントハウス管の副指揮者としてアルトゥ ール・ニキシュに直接師事しました。ニキシュに影響を受けた巨匠であり同年代のボールトとも共通するのがヴァイオリンを両翼 に配置した古典的演奏スタイルです。1961年から 1962年のスタジオ録音。当時ルーマニアはソ連の庇護のもとにありました が、本国ソ連でも全てがステレオ録音に移行していなかったこの時期に、高水準のステレオ録音でベートーヴェン全集が遺され ていたことは驚嘆と喜びを隠せません。この全集についてはDANTE/LYS のCD がありましたが市販LP からの板起こしで、2012 年にマスターテープから初の正規 CD 化(ERT1001 廃盤)がなされ、大変な反響を呼びました。長らく品切れでしたので、この度 マスターに立ち返り新たにマスタリングしなおし、UHQCD で洗い上げた音質で復活します。ジョルジェスクの演奏は、「田園」な どクライバー並の超快速で歌心に満ちたもの。リズム感も明快。どこをとってもきびきびしていて聴かせます。エネスコフィルも如 何にも鄙びた味わいで、木管の懐かしい響きも心を打ちます。「合唱」はルーマニア語による歌唱となります。研究好きの方には メンゲルベルクなどを思わせる楽譜の改訂なども興味深いところと言えましょう。


King International
KKC-90006(2Bluray)
朝比奈隆/ブルックナー交響曲選集
■Disc1
(1)交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」(ハース版)
(2)交響曲第5番変ロ長調(ハース版)
(3)交響曲第7番ホ長調(ハース版)
■Disc2
(4)交響曲第8番ハ短調(ハース版)
(5)交響曲第3番ニ短調(ハース版)
(6)リハーサル(交響曲第3番)
(7)実相寺昭雄監督インタビュー(2002年春収録)
(8)鼎談(朝比奈隆×実相寺昭雄×松原千代繁)(1999年6月21日収録)
朝比奈隆(指揮)
新日本フィルハーモニー交響楽団
映像演出:実相寺昭雄

収録:1992年5月13日東京文化会館(ライヴ)【第4番】、
9月2日サントリーホール(ライヴ)【第5番】
9月8日サントリーホール(ライヴ)【第7番】、
1993年2月16日サントリーホール(ライヴ)【第7番】
1996年12月12日東京文化会館(ライヴ)【第3番】
12月9日新日本フィルハーモニー交響楽団練習場【第3番のリハーサル】
実相寺昭雄監督が撮影した朝比奈隆指揮新日本フィルによるブルックナーの交響曲選集は2010年に(株)写影からDVDで発売され話題となりましたが、入 手困難な状態が続いておりました。再発売を希望される声にお応えし、アップコンバートしてブルーレイにて発売となります。
いずれも朝比奈の得意としたブルックナーでその恰幅の良さ、音楽の大きさや深さは真似のできない至芸と申せましょう。
アップコンバートにより画質もクリアになり、偉大な芸術をたっぷりと堪能できます。 (Ki)
King International
KKC-90008(2Bluray)
朝比奈隆/ブラームス・チクルス
■Disc1
(1)交響曲第1番ハ短調Op.68
(2)ピアノ協奏曲第1番ニ短調Op.15
(3)ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op.77
(4)交響曲第2番ニ長調Op.73
■Disc2
(5)交響曲第3番ヘ長調Op.90
(6)ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲イ短調Op.102
(7)ピアノ協奏曲第2番変ロ長調Op.83
(8)特典映像:俳優・寺田農 実相寺昭雄監督と朝比奈隆先生の思い出
(9)交響曲第4番ホ短調Op.98
朝比奈隆(指揮)
新日本フィルハーモニー交響楽団
伊藤恵(ピアノ)(2)、
藤川真弓(ヴァイオリン)(3)、
豊嶋泰嗣(ヴァイオリン)(6)、
上村昇(チェロ)(6)、
園田高弘(ピアノ)(7)
映像演出:実相寺昭雄

収録:1990年2月5日(1)(6)、
5月1日(2)(5)、
4月3日(3)(4)、
6月1日(7)(9)
オーチャードホール(ライヴ)
1990年に朝比奈隆と新日本フィルが行ったブラームス・チクルスを実相寺昭雄監督が映像化した貴重な記録。2010年に(株)写影からDVDで発売されま したが、アップコンバートしてブルーレイにて発売となります。
交響曲第1番と第4番は「交響的肖像」(KKC90001/2)に収録されているものと同じですが、交響曲全曲に加え、協奏曲4篇それも超豪華なソリストとの 共演も含まれるためこのアルバムの価値は計り知れません。朝比奈隆のブラームスの世界に浸りきることができる贅沢な時価を過ごせます。 (Ki)

IDIS
IDIS-6746(1CD)
カラヤン・スペクタキュラー Vol.8
ベートーヴェン:交響曲第1番
交響曲第6番「田園」*
NYO、RAIトリノSO*
ヘルベルト・フォン・カラヤン(指)

ライヴ録音:1958年11月22日、1954年2月12日*
EMIでのフィルハーモニアとの全集録音と同時期の、カラヤンのベートーヴェン・ライヴ。カラヤンがどのオーケストラからでも常に最高のサウンドを引き出して いたことが分かる貴重な音源です。IDIS最新リマスターでの発売。 (Ki)「


Treasures
TRT-020(1CDR)
超厳選!赤盤名演集Vol.7〜シルヴェストリによるスラブ作品集
ボロディン:「イーゴリ公」〜だったん人の踊り*
ブラームス:ハンガリー舞曲第5番/第6番(シュメリンク編)
ドヴォルザーク:スラブ舞曲第1番Op.46-1/第2番Op.46-2
チャイコフスキー:交響曲第5番#
コンスタンティン・シルヴェストリ(指)
パリ音楽院O、フィルハーモニアO#

録音:1961年1月30日-2月1日*、1961年2月2日、1957年2月21-22日#(全てステレオ)
※音源:TOSHIBA WS-23 、WS-20#
◎収録時間:75:31
“実行すべきことをしたに過ぎないシルヴェストリの純粋な狂気!”
■音源について
「ワールド・レコード・クラブ特選」と題されたLP8枚組ボックスから、英COLUMBIAと同一のYAXスタンパーによる赤盤を採用。

★シルヴェストリが遺したチャイコフスキーの三大交響曲の中でも最もその個性を発揮し尽くしたのがこの「5番」。その奇想天外なアイデアだけを捉えて「異常」とか「爆演」とか呼ばれます、ウィーン・フィルのような伝統的な音色を持たずに機能美とセンスを旨とする当時のフィルハーモニア管に、土埃と汗の匂いを注入していることが重要で、シルヴェストリが真の指揮者であることを実証しています。大胆なテンポや強弱の変化が、もしも綺麗に整理されたアンサンブルから飛び出たらどうなるでしょう?テンポもフレージングも音色も全てが不可分であることを理解した上で、音楽を生き生きと再現するという指揮者の使命を純粋に果たしているにすぎないシルヴェストリのアプローチ。そこには個人的な趣味も投影されているとは思いますが、作品への愛が本物であるからこそ、常識離れであっても作品の本質からは逸脱しないのです。
 そのことは、第1楽章冒頭クラリネットと弦のフレージングから明らか。「何となく暗い」雰囲気だけで進行することが多い中、この訥々とした語り口と艶の失せた音色を名手揃いのオケに徹底敢行させ、しかも主体的な表現に結実させています。主部の暗さも遅めのテンポと一体となって醸し出され、1小節ごとにニュアンスを確かめつつトボトボと歩を進めます。第2主題の128小節からの4小節間で顕著なように、レガートを回避して甘美路線に傾くこと戒める意思の強さや、洗練された声部バランスで見通しよく鳴り響く感覚的な心地よさとの決別ぶりは一貫して揺るぎません。
 第2楽章ホルン・ソロはデニス・ブレイン。日頃からソリスティックな吹き方をしないブレインにしてもここでの吹き方はかなり陰影が抑制的なのは、シルヴェストリの指示なのかもしれません。逆に中間のクラリネット・ソロ(バーナード・ウォルトンと思われる)は、涙なしには聴けない切なさ!続くファゴットからポルタメントを含む弦への連なりは、全楽章を通じての白眉!これを聴いてシルヴェストリをまがい物呼ばわりなどできましょうか?ラストシーンでは、独自のアティキュレーションを施しつつ、後ろ髪引かれる風情を醸成。その思い悩んだ気持ちのまま、すぐにワルツで踊るなどあり得ないということでしょうか?続く第3楽章冒頭の音価を引き伸ばすのみならず、4拍子に聞こえるほどリズムの輪郭をぼかす大胆さ!3拍子が拍節が明確化してからも、夢の中をを彷徨うようにテンポは微妙に揺れ続けます。
 終楽章の主部は速めのテンポで突進しますが、アンサンブルは正確無比にも拘らずスマートさは皆無。土埃を立てながら馬車が駆け出すようなこの表現も、シルヴェストリ特有の音色センスの賜物。驚くのは再現部冒頭(6:30〜)の突然のテンポアップ!スコア上ではここでアニマート(生き生きと)の指示がありるので、その意味を汲んで果敢にニュアンス化したわけですが、シルヴェストリにとっては果敢でも何でもなくやるべきことをやったまでのこと。それにしてもこのレスポンスの良さ!オケがフィルハーモニア管で本当に良かったと痛感するばかりです。後半全休止前の猛進も凄まじいですが、504小節のプレスト以降は速さは、未だこれを超えるものはなく、このテンポを言い渡されたフィルハーモニア管の面々の心理、演奏不可能なテンポをあえて要求したシルヴェストリの真意をあれこれ想像するのも一興。
 シルヴェストリの音楽を聴くたびに思うのは、アプローチが十分に常識離れしているにもかかわらず、「常識こそが非常識だ!」などという強い主張を表面化させない凄さ!音楽の魅力を出し切ることにしか興味がないかのようなこの純粋さはマタチッチを彷彿とさせますが、何かに夢中になるということは理屈を飛び超えて人を惹きつけるものだということを聴くたびに再認識させられるのです。
 戦争も体験せず、悩まず苦しまずスマホですぐに答えを導き出せる世の中。しかも、自分自身にどこか自信がなく、人の目ばかりを気にする風潮は世界中のあらゆる分野で見られる現象ですから、昨今のクラシック音楽の演奏が生温いものばかりになってしまったのも必然と言えましょう。そんな中から、シルヴェストリにような「「純粋な狂気」を持つアーチストが生まれるなど考えられませんが、復刻ではあってもこうして、「真の音楽表現」に触れる機会は決して無くならないはずです。それを心から味わいたいと願う聴衆が存在する限り…。【2022年6月・湧々堂】

CPO
CPO-555354(1CD)
NX-B10
アルヴェーン(1872-1960):交響的作品集 第3集
交響曲第2番ニ長調 Op. 11
スウェーデン狂詩曲第3番「ダーラナ狂詩曲」 Op. 47
ベルリン・ドイツSO
ウカシュ・ボロヴィチ(指)

録音:2019年5月21-24日
スウェーデンを代表する作曲家の一人アルヴェーン。1960年まで生きて二つの世界大戦を目撃したにもか かわらず、生涯を通じて後期ロマン派の重厚な作風を捨てることなく、美しい旋律と豊かな響きを駆使した 作品を書き上げました。この交響的作品集第3集には、1897年から1898年にかけて書かれた交響曲第 2番を中心に収録。 交響曲第2番は、優しさと明るさに満ちたロマンティックな第1楽章、葬送行進曲風の哀愁に満ちた楽想を 持つ第2楽章、エネルギッシュな主部と伸びやかなトリオが好対照を成す第3楽章、そして重苦しい雰囲気 の前奏曲に導かれパワフルでバロック風な趣きを持つフーガで全曲を堂々と完結する第4楽章と、それぞれの 楽章が豊かな個性を持っており、作曲家自身が「芸術の決定的な突破口」と呼んだほどの成功を収めた作 品です。同時収録は、スウェーデンの民謡のモチーフが印象的な「スウェーデン狂詩曲第3番」。アントニ・ヴィ トに師事したポーランドの指揮者ボロヴィチが指揮するベルリン・ドイツSOの演奏です。


LSO Live
LSO-0875(2SACD)

KKC-6557(2SACD)
国内盤仕様
(日本語解説付)
税込定価
2021年グンナー=コールス版「ブル4」の世界初録音!
■CD1
ブルックナー:交響曲第4番(1878-81年/Cohrs A04B)
第1楽章:Bewegt, nicht zu schnell(動いて、しかし速すぎずに)(作業段階B, 1881)
第2楽章:Andante quasi Allegretto(作業段階B, 1881)
第3楽章:Scherzo. Bewegt - Trio. Nicht zu schnell, Keinesfells schleppend-Scherzo da capo (スケルツォ。動いて/トリオ。速すぎず、遅くなりすぎず/スケルツォ・ダ・カーポ)(作業段階B, 1881)
第4楽章:Finale. Bewegt, nicht zu schnell(フィナーレ。動いて、しかし速すぎずに)(作業段階C, 1881年, カットあり版)

■CD2
ブルックナー:交響曲第4番
(1) Discarded Scherzo. Sehr schnell ? Trio. Im gleichen Tempo ? Scherzo da capo (1874/revised 1876;Cohrs A04B-1)(取り外されたスケルツォ-非常に速く/トリオ-同様のテンポで/スケルツォ・ダ・カーポ)(1874年/1876年改訂/Cohrs A04B-1)
(2) Discarded Finale (‘Volksfest’). Allegro moderato 取り外されたフィナーレ(民衆の踊り)(1878; Cohrs A04B-2)
(3) Andante quasi Allegretto (Work Phase A, 1878; extended initial version/1878年、作業段階A、第2楽章の当初の長いヴァージョン)
(4) Finale. Bewegt; doch nicht zu schnell (Work Phase B, 1881; unabridged)(作業段階B, 1881年, カットなし版)
サイモン・ラトル(指)LSO

録音:2021年10月、ジャーウッド・ホール、セント・ルークス、ロンドン
2022年秋に来日するラトル&LSOが、ブルックナー交響曲第4番を録音しました。2021年に出版されたグンナー=コールス校訂版(アントン・ブルックナー 原典版全集/Anton Bruckner Urtext Gesamtausgabe/ABUGA・・・アーノンクールをパトロンとしてスタート、2015年より出版を開始。現在のパトロ ンはラトル)に基づく世界初録音という注目すべき内容です。2021年10月の録音(無観客収録)ですが、これに先立ち9月に演奏会で取り上げ絶賛されました。 オーケストラが非常によく鳴っていて、ラトルが信念をもって掲げる明確なヴィジョンに、オケが一丸となって応えているのがよく感じられる演奏となっています。 グンナー=コールスの版は、様々な作業段階によって異なる楽曲の姿を、コールスが一つの版としてまとめているのではなく、その異なる姿を、ossiaや、カットが ある場合小節から小節へ飛ぶポイントを記すなどしてひとつの譜面上に提示しているのが特徴。最終的な取捨選択の判断は指揮者(演奏者)にゆだねられていま す。Disc1には全曲が通しで収録。第1-3楽章は1881年2月のリヒターによる初演時時点に成立していた作業段階B、そしてフィナーレはブルックナーが提案 したカットあり版=作業段階C(今回、演奏可能な版として初めて出版されたそう)を採用しています。そしてDisc2には、様々な段階での楽章が収録されていま す。ブルックナーの作曲工房をおとずれ、作曲過程を追体験できるような、大変興味深い2枚組となっています。 (Ki)
(以下、グンナー=コールスのコメント抄訳) =ブルックナーは、1878年から1881年にかけて交響曲第4番(1874年にいったん完成)を改訂、新しいスケルツォの作曲を含め、まったく新しい自筆譜を書 き下ろしました。また、ブルックナーは1880年にフィナーレをあらたに作曲しています。さらに、1880-81年の間に行われた演奏(ブルックナー自身の指揮の ものも)のため、もしくはその演奏のあとに、大規模な修正が行われています。その修正は、ブルックナー自身やコピストたちによって、自筆スコア、およびそのコ ピー、パート譜に書き入れられました。このように、様々な“work phases(作業段階)”が存在しています(前半3楽章には2つ、フィナーレには3つ)。これらの 改訂が、ウィーンのコピスト、ジョヴァンニ・ノルによって、ブルックナーの指示のもとに1881年の終わりに用意された、新しいスコアを形作っています。したがっ て、ロマンティックの「第2稿」についてあれこれ議論するのはもしかしたら適切ではないのかもしれません。 私が作成した交響曲第4番の新版(ABUGAアントン・ブルックナー原典版全集 Anton Bruckner Urtext Gesamtausgabe作品目録では「Cohrs A04B」と表記)は、1878年から1881年の間の、交響曲の各楽章の異なる作業段階を、少なくとも資料から特定できる範囲内ですべて明確に示し、演奏可能 にすることを目標としています。ノルによる清書は、ブルックナー自身によって修正され、この清書をもって、ブルックナー自身、音楽出版2社に出版を依頼してい ました(1885年および1886年)。このブルックナーの修正を受けたノルの清書も、新版の主要な資料となっています。 この版の世界初録音となる当盤では、1881年末に完成した交響曲「ロマンティック」の第2段階(作業段階B)を演奏、さらに、フィナーレでは、ブルックナー 自身が提案したカットを初めて尊重しています。Disc 2には、(1)初期のスケルツォ(1874年に作曲、1876年に改訂。のちに取り外されたもの。1878年に有 名な「狩」のスケルツォに置き換えられた)、(2)1878年のフィナーレ「民衆の踊り」(これは取り外され、1880年に新しいフィナーレに置き換えられた)、そして (3)1878年の第2楽章のより広範囲にわたる最初の作業段階、そして最後に、(4)カットされる前のフィナーレ(1881年)が収録されています。=


GRAND SLAM
GS-2270(1CD)
オスカー・フリート
(1)ベルリオーズ:幻想交響曲
(2)チャイコフスキー:「くるみ割り人形」組曲
オスカー・フリート(指)
(1)ソビエト国立SO
(2)ロイヤルPO

録音:(1)1937年モスクワ、(2)1929年2月5、6日
使用音源:(1)Private archive(2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
(2)コロンビア L2318/20(SP盤/78回転)
録音方式:モノラル
■制作者より  
オスカー・フリート(1871-1941)はベルリンに生まれ、主にドイツで活躍するも旧ソ連に亡命、その地で謎の死を遂げた指揮者です。マーラーと親しく交わり、 マーラーの交響曲第2番「復活」を史上初めて録音したことでも有名です。 フリートはラッパ吹き込みの時代に「復活」のみならず、R.シュトラウスのアルプス交響曲、ブルックナーの交響曲第7番などの大曲を録音していますが、その録 音遺産の中でもひときわ異彩を放っているのがベルリオーズの幻想交響曲とチャイコフスキーの「くるみ割り人形」組曲です。 1937年のモスクワで光学式フィルムに収録されたと言われる幻想交響曲は、第1楽章の冒頭に象徴されるように、亡霊がさまようような恐ろしさに満ちてい ます。不意にテンポは揺れ、響きは暗く沈み込んでいきます。ことに印象的なのは、足を引きずるような第4楽章、そして第5楽章の異様な鐘の音です。 この演奏は2007年6月、CDRのシリーズ“Serenade”で一度復刻し、CDRながらスマッシュ・ヒット作となりました(SEDR-5000)。その時はLP復刻(オ イロディスクのLP)でしたが、今回は2トラック、38センチのオープンリール・テープを使用、望みうる最善の音を獲得しました。 チャイコフスキーはSP復刻です。こちらはまったりと遅い曲と、狂気のような快速曲とが対比されています。たとえば〈行進曲〉はトランペットのタンギングがつ いていけるギリギリの速さ。そして、〈トレパック〉はそれこそ“トレパニック”のような超快速で、おまけに加速して終わる、とんでも演奏です。〈花のワルツ〉も冒 頭の粘りのあるハープがその先を予告、曲が進むにつれてヴォルテージが上がり、異様な雰囲気となります。ちなみに、フリートは「くるみ割り人形」組曲を1927 年にベルリン国立歌劇場O(ドイツ・ポリドール)と録音していますが、こちらはごく標準的な演奏です。 解説書は、ここぞとばかりに文字情報、写真等を盛り込みました(表紙込みの12ページ)。この史上屈指の怪奇演奏とともに、たっぷりと楽しめます。(平林 直哉)
GRAND SLAM
GS-2268(1CD)
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」 エリーザベト・シュワルツコップ(S)、エルザ・カヴェルティ(A)、エルンスト・ヘフリガー(T)、オットー・エーデルマン(Bs)
ルツェルン祝祭cho
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)
フィルハーモニアO

録音:1954年8月22日/ルツェルン、クンストハウス
使用音源:Privatearchive(2トラック、38センチ、オープンリール・テープ)
録音方式:モノラル(ラジオ放送用録音)
■制作者より  
あまりにも有名な“ルツェルンの第9”、当シリーズでも一度CD化(GS-2157/2016年11月発売【廃盤】)しましたが、ほどなく完売してしまいました。再 プレスも検討しましたが、今回も思い残すことがないように全行程をプロ用の機器を使用してリマスタリングを施しました。結果、従来盤よりも前後、左右、上下の 空間的な広がりが増しただけでなく、神々しいまでの透明感も獲得出来ました。この音で聴くと、フルトヴェングラーの第9のベスト・ワンは、このルツェルン盤で はないかと思うほどです。むろん、再生装置や再生環境によって結果は異なるかもしれませんが、旧盤との差は明確に出ていることだけは確かです。また、音だけ ではなく、解説書も大幅改訂をしました。(平林 直哉) (Ki)

C Major
80-6708(2DVD)

80-6804(Bluray)
ブルックナー:交響曲集
交響曲ヘ短調WAB99(第00番「習作」)
交響曲ニ短調WAB100(第0番)
交響曲第5番変ロ長調WAB105

■ボーナス映像「ディスカヴァリング・ブルックナー」
各交響曲について(ティーレマンと音楽学者ヨハネス=レオポルド・マイヤー氏による対話)
クリスティアン・ティーレマン(指) VPO

収録:2021年3月ウィーン楽友協会(無観客ライヴ)
◆DVD
画面:16:9、NTSC
音声:PCMステレオ、DTS5.1
DVD9
ボーナス映像
言語:ドイツ語、字幕:英、韓、日本語
Total time:254分
◆Bluray
画面:16:9、1080i
音声:PCMステレオ、
DTS-HD MA5.1
BD50
ボーナス映像
言語:ドイツ語、字幕:英、韓、日本語
Total time:254分
2024年のブルックナー生誕200年に向けたティーレマン&ウィーン・フィルによるプロジェクト「ブルックナー11/Bruckner 11」。すでにソニー・クラシカルか らも第8,3,4,2番のCDがリリースされていますが、この度C majorレーベルから映像による全集がスタートします。第1弾としてリリースされるのは、第5交響 曲、そして「習作交響曲」と呼ばれている「ヘ短調 WAB99」と「ニ短調 WAB100」をウィーン・フィル史上初めて演奏・収録しています。今回ティーレマンは番号 付き交響曲9曲に加えて「習作交響曲」を演奏することについて以下のように述べています。「ブルックナーは9曲の交響曲を書いたのではなく、11曲の交響曲を 書いたということです。人々はこの2曲をそれほど良い曲だとは思っていないかもしれないが、2曲ともに完成度は非常に高く、”これぞブルックナー”と感じること のできる部分が多くあります。またこの素晴らしいウィーン・フィルとブルックナーの11曲の交響曲をともに演奏する最初の指揮者という栄誉を思いかげず手にす ることができたのは、驚きであり大きな喜びです。」
またこのセットには各交響曲についてティーレマンと音楽学者ヨハネス=レオポルド・マイヤー氏とが語ったインタビューと、リハーサル風景を収録したボーナス 映像が付属しています。その映像には、ティーレマン自身が特別だという交響曲第5番を最初に聴いた際の記憶も鮮明に語っています。「特別だと思う理由は、最 初に聴いた時に感動したから。それは私が16歳の時、ベルリン・フィル、カラヤン指揮の演奏だった。私は茫然自失しフィルハーモニーの駐車場に向かった。これ までこんなに素晴らしい音楽は聴いたことがなかった。」
ベルリン・ドイツオペラ(1997年〜2004年)、ミュンヘン・フィル(2004年〜2011年)、シュターツカペレ・ドレスデン(2012年〜2024年)、ザルツブルグ 復活祭音楽祭の芸術監督(2013年〜2022年)、そしてバイロイト音楽祭での活躍など、今やドイツを代表する指揮者として着実にキャリアを積んでいるクリ スティアン・ティーレマン(1959〜)。ウィーン・フィルとは、2008年〜2010年にかけて収録された「ベートーヴェン交響曲全集」や2019年ニューイヤーコン サートなど何度も共演しています。またティーレマンはすでに手兵シュターツカペレ・ドレスデンとブルックナーの番号付き交響曲9曲を残しており(757504/ KKC9656)、今回のウィーン・フィルとの録音も日頃からブルックナーへの熱い思いを語っていたティーレマンらしいプロジェクトと言えるでしょう。 (Ki)

H.M.F
HMM-905357(1CD)
マーラー:交響曲第4番ト長調 フランソワ=グザヴィエ・ロト(指)
レ・シエクル
サビーヌ・ドゥヴィエル(S)

録音:2021年11月/セーヌ・ミュジカルRIFFX第1スタジオ(ブローニュ・ビリヤンクール)
ロトとレ・シエクルがマーラーの交響曲第4番のピリオド楽器演奏に挑みました。第1番「巨人」は同じ組合せで、第5番と3番はケルン・ギュルツェニヒ Oと録音し絶賛されましたが、シエクル向きと思われる4番も期待が高まります。
マーラーの交響曲第4番はまさに20世紀の夜明け1901年11月25日に初演されました。大規模な第2、3番の後、伝統的な4楽章構成に復帰した かのような古典的なたたずまいで、マーラー作品中では明るく親しみやすいとされています。
レ・シエクルは「巨人」の時と同様に作品が作られた頃のピリオド楽器を用いています。ピリオド奏法基本で、死神が弾くのをイメージした第2楽章のヴァイ オリン・ソロもノン・ヴィブラートで繰り広げられるのが新鮮。また随所で響くハープの低音の効果にも驚かされます。
終楽章でソプラノ独唱を担うのはサビーヌ・ドゥヴィエル。ラファエル・ピジョンの夫人で、ロト&シエクルともメサジェの「お菊さん」のアリアなどを録音し たアルバムをリリースしていて息もピッタリ。明るい声質のノン・ヴィブラートで清らかに天上の生活を歌いながら、どこか残酷で怖い感覚が背後から迫り、一気 に最晩年の「大地の歌」へつながる世界に気づかせてくれるかのようです。
ロトはやや速めのテンポで生気に満ち、何よりオーケストラの透明な音色が魅力。マーラーの4番観が完全に覆される衝撃的な演奏で、一見明暗の対照的 な第5番との相似性を示してくれます。2021年11月のセッション録音で、強奏部でも豊かに響く音質も極上。超注目盤の登場です! (Ki)

Altus
ALTSA-508(1SACD)
シングルレイヤー
INA 秘蔵音源・バーンスタイン&フランス国立管ライヴ
ベルリオーズ:「ローマの謝肉祭」序曲 作品9
シューマン:交響曲第2番ハ長調 作品61
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番ニ短調 作品47
レナード・バーンスタイン(指)
フランス国立放送O

ライヴ録音:1966年11月30日パリ、シャンゼリゼ劇場(ステレオ)
INA(フランス国立視聴覚研究所)所有音源をライセンスしCD化して話題となったディスクのSACD化。限定数生産です。
シューマン2番にショスタコ5番というバーンスタインの一番熱いところを凝集した名プログラムで完全初出、しかもステレオ録音というインパクト大のリリース。 オーケストラにとってはミュンシュ最後の来日公演からわずか1ヶ月後の演奏会。バーンスタインはニューヨーク・フィル音楽監督時代にして同年にウィーン国立歌 劇場デビューを果たしており、ヨーロッパでの存在感がまさに大きくなっていた頃。この時この組み合わせが生んだ演奏はフランス流の音色を保ちつつもたいへん に白熱していて気合十分、強靭なドライヴ感で手に汗握る音楽が展開されます。聴衆の大喝采も頷ける大名演!
〈随所に彼が指揮台を踏み鳴らす音が収録されていて、ライブ録音のスリル満点。曲全体は圧倒的なスピード感をもって邁進していく〉〈オーケストラはバーンス タインに容赦なく統御されているらしく、メロディーラインを歌いながらオーケストラをドライブす