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ポール・パレー(指) |
デトロイト交響楽団 |
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W.M.E
WME-M-1462(1CDR)
Forgotten Records
fr-974(1CDR)
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録音:1962年2月1日(デトロイト、ヘンリー&エドセル・フォード楽堂(モノラル・ライヴ) |
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演奏時間: |
第1楽章 |
12:20 |
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第2楽章 |
11:43 |
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第3楽章 |
4:45 |
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第4楽章 |
11:38 |
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・W.M.E盤のカップリング=ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」/ジーナ・バッカウアー(P)(同日のライヴ)
・Forgotten Records盤のカップリング=チャイコフスキー:交響曲第4番(1962年11月15日ライヴ) |
“「チャイ5」の演奏スタイルの大規範となる、パレーの指揮芸術の極北!” |
ポール・パレーによるロシア音楽のセッション録音は、SP時代の「はげ山の一夜」とマーキュリーのラフマニノフ:交響曲第2番くらいしかありませんが、ロシア音楽自体に興味が無なかったのではなく、マーキュリー時代にドラティとレパートリーの住み分けをしていただけだと思われます。とにかくこの「チャイ5」は、随所で聴かれるパレーの鼻歌に象徴されるように、尋常ならざる共感に満ち溢れた大名演です!
第1楽章は全体にいかにもパレーらしい、速めのイン・テンポを基調としたアプローチですが、無機的な響きはどこにもなく、ライヴ特有の熱気も加味されて、極めて高い求心力でオケも聴き手も牽引し続けます。その緊張感は展開部で頂点に達し、再現部の第2主題の歌心も渾身。第2楽章になると一転して落ち着いた佇まいを保ち、アゴーギクの振幅も大きくなります。3:42からの主題の歌い方など、安直な共感では得られない感動的なもの。第3楽章はまた一転して、超高速。3拍子の軽妙な揺れと中間部の楽器の連動の面白さは、遅いテンポでは得られません。終楽章は、またもや落ち着いたテンポで一貫。つまり、奇数楽章でアグレッシブな感情を表出し、偶数楽章で安定させるコントラストの妙味が、見事に結実しているのです。終楽章504小節のプレストの速さも印象的ですが、546小節からさらにテンポを上げて畳み掛けるエンディングの鮮やかさも、強引さを感じさせない指揮芸術の極地!音質もまずまず。
なお、同じ演奏がForgotten Recordsからもリリースされていますが、ノイズ処理が強すぎ、ヴォリュームを思い切り上げないと力感が得られません。ただ、W.M.E盤では、第1楽章序奏部で人の声が混信されています。【湧々堂】 |
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第1楽章のツボ |
ツボ1 |
いかにもパレーらしく、緩急を伴わず、速目のテンポで直截に進行。克明なクラリネットと分厚い弦が絶妙にブレンド。 |
ツボ2 |
テンポはやや速め。鉄壁のイン・テンポだが、冷たくならず、表現の意志が漲り、その求心力に惹き付けられる。 |
ツボ3 |
後付けの表情は一切排し、スコアをありのまま再現。 |
ツボ4 |
73小節冒頭のアクセントを皮切りに、一気呵成に直進。 |
ツボ5 |
ほとんどイン・テンポで求心力を維持しているが、わずかに甘美な表情を加え、呼吸の膨らませ方も柔らか。これこそが、パレーの音楽が無機的に傾かない奥義! |
ツボ6 |
ダイナミズムは一定で、サラット切り抜ける。 |
ツボ7 |
恐ろしく強靭。続く弦のアルコは、ほとんど一息! |
ツボ8 |
明確にテンポを落とすが、前の部分から一切もたつかず、生の喜びを謳歌するよう。常に前だけを見据えて進行する意志がここても貫徹されている。その後はますますテンポアップし、迫力倍増! |
ツボ9 |
冒頭の16分音符は、ほとんど聞こえない。その後のアッチェレランドによる自然な高揚感を経て、最後の終結までの緊張の持続力は、古今を通じでトップクラス。 |
第2楽章のツボ |
ツボ10 |
冒頭の弦の歌い方は、やや意外。同じ符点2分音符でもそれぞれの違う表情を与え、第1楽章の直進とは明らかに異なる世界を現出。ホルンも、アメリカのオケにありがちな無機的なものではなく、心からの歌が感じられる。 |
ツボ11 |
大仰に構えず、あくまでも今まで築いたフレージングの一環として大きな呼吸を見せる。 |
ツボ12 |
クラリネットは良いが、ファゴットのニュアンスが曖昧。 |
ツボ13 |
ピチカートが鳴り出すまでにたっぷりと間を取り、ゆったりとしたテンポによる落ち着いた雰囲気を醸し出す。縦割りにバサバサとリズムを打ち付けるのではなく、一音一音に愛が充満!この後の主題の再現では、パレーの鼻歌がユニゾンで聴かれるほど、入魂の極み。 |
ツボ14 |
これは何度聴いても鳥肌!この副次主題再現の直前での7」テンポの加速は空前絶後で、その加速無くしては、フォルティシシモの圧倒的な爆発はあり得なかったと確信。しかもこの興奮の中、この頂点から、スコアの指示通りにきちんとアンダンテ・モッソのテンポへ切り替えるとは、誰も実現していないウルトラC! |
ツボ15 |
前の部分までの興奮とのコントラストも利いて、高潔の極み。 |
第3楽章のツボ |
ツボ16 |
わずかにテンポを落とす程度。 |
ツボ17 |
猛烈な速さ!こういう高次元の求心力を突きつけられると、この楽章で遅いテンポはあり得ないと思えてくる。 |
ツボ18 |
なにせ高速ゆえ、音の輪郭はほとんど曖昧。 |
第4楽章のツボ |
ツボ19 |
ごく標準的なテンポながら威厳に満ち、弦の質感が高いので、神々しささえ漂う。 |
ツボ20 |
ホルンは、主旋律とほぼバランス。をキープ。 |
ツボ21 |
ティンパニは、主部の入りを勘違いし、2小節前からクレッシェンドを開始。ここも標準的なテンポで、勢い任せではない剛直な響きを着実にきづいている。 |
ツボ22 |
アクセントは完全に無視。 |
ツボ23 |
音の隈取りは不明瞭だが、力感は十分に伝わる。 |
ツボ24 |
ほんの僅かにテンポを速める程度で、ほぼイン・テンポを踏襲。 |
ツボ25 |
露骨な協調はせず、良好なバランスで一撃。 |
ツボ26 |
ほとんどイン・テンポのまま。 |
ツボ27 |
ここに至っても大きくテンポは変えず、緊張感のみを極限に高めている。そして、トランペットが絶品!ただのファンファーレではなく、「最後の警告」としての主張を明確に感じさせる演奏は、ほとんど皆無に近い。 |
ツボ28 |
ティンパニの最後にアクセントは無し。複付点の後の8分音符の音価は長め。 |
ツボ29 |
このモデラートもごく標準的なテンポだが、求心力の高さは相変わらず。 |
ツボ30 |
弦は弓を返す程度だが、トランペットは明確に音を切る。 |
ツボ31 |
改変なし。 |
ツボ32 |
高速にもかかわらず、ホルンは豪壮な鳴りっぷり。 |
ツボ33 |
546小節からさらにテンポを上げ、そのままイン・テンポで突進。 |