湧々堂HOME 新譜速報: 交響曲 管弦楽曲 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 オペラ バロック 廉価盤 シリーズもの マニア向け  
殿堂入り:交響曲 管弦楽 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 オペラ バロック SALE!! レーベル・カタログ チャイ5



Helicon
(イスラエル)

イスラエル・フィルの自主制作レーベル。



※「単価=¥0」と表示されるアイテムは廃盤です。

※品番結尾に特に表記のないものは、全て1CDです。
品番 内容 演奏者

HEL-029614(12CD)
イスラエル・フィル創立70周年記念ボックス


■[CD1]
(1)メンデルスゾーン:序曲「静かな海と楽しい航海」
(2)モーツァルト:交響曲第41番「ジュピター」
(3)シューベルト:交響曲第5番
(4)マスネ:バレエ「ル・シッド」より4曲+
(5)スメタナ:「売られた花嫁」序曲
■[CD2]
(1)ヴェルディ:「椿姫」第1幕への前奏曲
(2)ドヴォルザーク:交響曲第7番+
(3)バルトーク:管弦楽のための協奏曲+
■[CD3]
(1)ベートーヴェン:交響曲第4番
(2)メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」
(3)同:交響曲第4番「イタリア」
■[CD4]
(1)チャイコフスキー:バレエ「くるみ割り人形」組曲
(2)シューベルト:交響曲第9番「ザ・グレイト」+
{CD5]
(1)マーラー:交響曲第4番
(2)バーンスタイン:チチェスター詩篇
■[CD6]
(1)ウェーバー:「オベロン」序曲
(2)サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソ
(3)R=コルサコフ:スペイン奇想曲+
(4)ストラヴィンスキー:バレエ「火の鳥」組曲(1919年版)
(5)ヒンデミット:ウェーバーの主題による交響的変容
■[CD7]
(1)グリーグ:ピアノ協奏曲
(2)ブラームス:ピアノ協奏曲第1番
■[CD8] 74’30”
(1)モーツァルト:「フィガロの結婚」序曲*
(2)同:ピアノ協奏曲第27番#
(3)ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」
■[CD9]
(1)ベルリオーズ:交響曲「イタリアのハロルド」+
(2)ブロッホ:シェロモ+
(3)ベン=ハイム:ピアノと管弦楽のためのイスラエル奇想曲*
■[CD10]
(1)ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲集「四季」
(2)モーツァルト:協奏交響曲変ホ長調KV.364
■[CD11]
(1)チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲
(2)ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲*
■[CD12]
(1)ベートーヴェン:「フィデリオ」序曲
(2)シューマン:交響曲第3番「ライン」*
(3)同:交響曲第4番*
(4)スメタナ:交響詩「モルダウ」
(5)ハティクヴァ(イスラエル国歌)*
■[CD1] 78’54”
(1)クレツキ(指)1954年[EMI]
(2)クリップス(指)1957年[DECCA]
(3)ショルティ(指)1958年[DECCA]
(4)マルティノン(指)1958年[DECCA]
(5)ケルテス(指)1962年[DECCA]

■[CD2] 77’47”
(1)メータ(指)1978年[DECCA]
(2)メータ(指)1972年[DECCA]
(3)メータ(指)1976年[DECCA]

■[CD3]75’09”
(1)クーベリック(指)1975年[DG]
(2)バーンスタイン(指)1979年[DG]
(3)バーンスタイン(指)1978年[DG]

■[CD4] 74’43”
(1)メータ(指)1979年[DECCA]
(2)メータ(指)1977年[DECCA]

■[CD5]75’59”
(1)ヘンドリックス(S)、メータ(指)1979年[DECCA]
(2)バーンスタイン(指)1977年[DG]

■[CD6] 76’41”
(1)メータ(指)1978年[DECCA]
(2)ミンツ(Vn)、メータ(指)1988年[DG]
(3)メータ(指)1980年[DECCA]+
(4)バーンスタイン(指)1984年[DG]
(5)バーンスタイン(指)1989年[DG]

■[CD7] 77’53”
(1)カッチェン(P)、ケルテス(指)1962年[DECCA]
(2)ルービンシュタイン(P)、メータ(指)[DECCA]

■[CD8] 74’30”
(1)メータ(指)1986年
(2)バレンボイム(P&指)1972年
(3)ルプー(P)、メータ(指)1979年[DECCA]

■[CD9] 75’36”
(1)ベンヤミニ(Va)、メータ(指)1975年[DECCA]
(2)シュタルケル(Vn)、メータ(指)1968年[DECCA]
(3)ザルツマン(P)、ジュリーニ(指)1960年
■[CD10] 74’27”
(1)スターン、ズッカーマン、ミンツ、パールマン(Vn)、メータ(指)1982年[DG]
(2)パールマン(Vn)、ズッカーマン(Va)、メータ(指)1982年[DG]

■[CD11] 75’41”
(1)パールマン(Vn)、メータ(指)1990年[EMI]
(2)ズッカーマン(Vn)、メータ(指)1989年

■[CD12] 76’04”
(1)マゼール(指)1962年[DECCA]
(2)マズア(指)2003年
(3)マズア(指)2003年
(4)ケルテス(指)1962年[DECCA]
(5)フィルハーモニア・シンガーズ、メータ(指)2004年11月15日

*=イスラエル・フィル・アーカイヴ収蔵のライヴ音源
#=イスラエル放送アーカイヴのライヴ音源
+=インターナショナルCD初リリース
強力な弦楽セクションの魅力で今日世界有数のオケとして知られるイスラエル・フィル。この3月にメータとともに行なった来日公演でも、血を感じさせる濃く熱いマーラーを聴かせていました。その歴史は1948年イスラエル共和国建国を機に現在の名前に改称する以前、名ヴァイオリニスト、フーベルマンによりパレスチナ交響楽団としてスタートした1936年にまで遡ります。当セットは2006年に創立70周年を迎えた当オケを記念して制作されたもの。1954年録音クレツキのメンデルスゾーンにはじまり、2004年メータ指揮のイスラエル国歌で締め括られる、過去50年の記録。その内容は名実ともに世界的オケに引き上げたメータを中心に、バーンスタインら巨匠たちと、デッカ、ドイツ・グラモフォン、EMIに残した代表的な録音で構成されています。ご自慢の弦の威力が活かされたメータのドヴォ7など、このなかには世界発売としては初めてとなる音源も数多く含まれています。なかでもやはり注目は、ほとんどすべてが初出となるオケのアーカイヴからのライヴ演奏の数々。バレンボイム弾き振りのモーツァルト、ズッカーマン独奏のベートーヴェン、マズアのシューマンなど、ここに初めて聴く内容は興味の尽きないものばかり。さらに付属のブックレットには、95ページにわたり貴重なカラー写真と新聞記事などの資料が満載。旗揚げ公演を指揮したトスカニーニをはじめ、楽壇に登場した巨匠たちの写真を眺めるだけでも当セットを手にする喜びはひとしお。また、アルバム一枚一枚には可能な限り初出時のオリジナル・ジャケットのデザインをあしらって、このあたりもたいへん丁寧な作りとなっています。オーケストラ自主制作のコレクターズ・アイテムにまたひとつ見逃せない内容が加わりました。 (Ki)
HEL-029623
ブロッホ:アヴォダート・ハコデシ(神聖祭儀)*
バッハ:カンタータ「目覚めよとわれらに呼ばわる物見らの声」BWV140
トーマス・ハンプソン(Br)*、
ラファエル・フリーダー(語り手)*
タリア・オール(S)、
ダグラス・パーセル(T)、
クラウス・ハーガー(Br)、
イリヤ・コノヴァロフ(Vn)、
ドゥブ・カルメル(Ob)、
イスラエル・カストリアーノ(通奏低音Org)、
ザ・コレギエイト・コラール
ズービン・メータ(指)イスラエルPO

ヴ録音:2008年7月17-27日/エルサレム、ICC国際センター・ライヴ
ブロッホによる、ユダヤ教会堂の典礼音楽「アヴォダート・ハコデシ」。深い祈りの気分とオリエンタルな雰囲気、充実した管弦楽の響きの融合が魅力の作品。終楽章の合唱の壮大さはさすがメータ、抜群の統率力で聴かせます。ハンプソンのソロの美声にしびれます。 (Ki)





HEL-029625(12CD)
メータ&イスラエル・フィル・ライヴ1963−2006


■[CD1]
(1)モーツァルト:「フィガロの結婚」序曲
(2)モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジーク
(3)ロッシーニ:「絹のはしご」序曲
(4)ヴェルディ:「運命の力」序曲
(5)ベートーヴェン:序曲「レオノーレ」第3番
(6)シューベルト:交響曲第8番「未完成」

■[CD2] 78’38”
(1)モーツァルト:3台のピアノのための協奏曲ヘ長調K.24「ロドロン」
(2)リスト:ピアノ協奏曲第2番
(3)ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番

■[CD3] 74’11”
(1)ヴィヴァルディ:2つのヴァイオリンのための協奏曲イ短調RV522
(2)モーツァルト:協奏交響曲変ホ長調K.364
(3)ドヴォルザーク:ヴァイオリン協奏曲
■[CD4] 66’19”
(1)ブラームス:アルト・ラプソディOp.53
(3)ブラームス:運命の歌Op.54
(4)交響曲第2番ニ長調Op.73

■[CD5] 71’07”
(1)ブラームス:ヴァイオリン協奏曲
(2)同:ヴァイオリンとチェロの為の協奏曲

■[CD6] 78’22”
(3)R.シュトラウス:「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」
(4)ブルックナー:交響曲第9番

■[CD7] 71’29”
(5)エルガー:ヴァイオリン協奏曲
(6)プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第2番

■[CD8] 74’09”
(1)サン=サーンス:チェロ協奏曲第1番
(2)マーラー:リュッケルトの詩による5つの歌曲
(3)ベルク:「ヴォツェック」よりの3つの断章
(4)エリック(エーリヒ)・ツァイスル(1905−1959):ヘブライのレクィエム(詩篇第92番)〜バリトン、ソプラノ、アルト、混声合唱と管弦楽のための

■[CD9] 70’20”
(1)ホルスト:組曲「惑星」
(2)ブロッホ:シェロモ

■[CD10] 74’54”
(1)ドヴォルザーク:スラヴ舞曲集Op.72〜ロ長調/ホ短調ハ長調
(3)シェーンベルク:浄められた夜(弦楽合奏版)

■[CD11] 76’43”
ヴェルディ:レクィエム

■[CD12] 70’08”
(1)ノアム・シェリフ(b.1935):祝典前奏曲
(2)ヨセフ・タール(1910−2008):交響曲第2番
(3)ツヴィ・アヴニ(b.1927):プログラム・ミュージック
(4)ヨーゼフ・カミンスキ(1903−1972):交響的序曲
(5)アヴナー・ドルマン(b.1975):スパイス、香水、毒素!
ズービン・メータ(指)イスラエルPO


■[CD1]
(1)録音:1986年12月
(2)録音:2006年4月
(3)録音:1977年1月
(4)録音:1986年12月
(5)録音:1975年10月
(6)録音:1996年12月、収録場所:すべてテルアビブ、マン・オーディトリアム(ライヴ・ステレオ)
■[CD2] 78’38”
(1アリエ・ヴァルディ、イエフィム・ブロンフマン、ラドゥ・ルプー(P)
 録音:1987年1月
(2)イエフィム・ブロンフマン(P)
 録音:1996年12月
(3)アリシア・デ・ラローチャ(P)
 録音:1987年1月、収録場所:すべてテルアビブ、マン・オーディトリアム(ライヴ・ステレオ)
■[CD3] 74’11”
(1)イツァーク・パールマン、ピンカス・ズッカーマン(Vn)
 録音:1996年12月
(2)ハイイーム・タウブ(Vn)、ダニエル・ベンヤミニ(Va)
 録音:1968年7月
(3)イツァーク・パールマン(Vn)
 録音:1971年10月、収録場所:すべてテルアビブ、マン・オーディトリアム(ライヴ・ステレオ/ドヴォルザークのみモノラル)
■[CD4] 66’19”
(1)マルヤーナ・リポヴシェク(Ms)、プラハ(2)フィルハーモニーcho
 録音:2000年7月
(3)ロイヤル・スコティッシュ・ナショナルO&cho
 録音:1972年7月
(4)録音:1977年10月、収録場所:すべてテルアビブ、マン・オーディトリアム(ライヴ)
■[CD5] 71’07”
(1)ピンカス・ズッカーマン(Vn)
 録音:1971年8月、収録場所:オーストリア、ザルツブルク音楽祭(ライヴ)
(2)アイザック・スターン(Vn)、ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(Vc)
 録音:1986年12月、収録場所:テルアビブ、マン・オーディトリアム(ライヴ)
■[CD6] 78’22”
(3)録音:1996年7月
 収録場所:すべてテルアビブ、マン・オーディトリアム(ライヴ・ステレオ)
(4)録音:1963年5月、収録場所:すべてテルアビブ、マン・オーディトリアム(ライヴ・モノラル)
■[CD7] 71’29”
(5)イェフディ・メニューイン(Vn)
 録音:1982年10月
(6)アイザック・スターン(Vn)
 録音:1975年10月、収録場所:すべてテルアビブ、マン・オーディトリアム(ライヴ・ステレオ)
■[CD8] 74’09”
(1)リン・ハレル(Vc)
 録音:1986年12月
(2)マルヤーナ・リポヴシェク(Ms)
 録音:1995年10月
(3)ステッラ・リッチモンド(S)
 録音:1972年3月
(4)シャロン・ロストルフ=ザミール(S)、ブラハ・コル(Ms)、デイヴィッド・ビジック(Br)、ザ・フィルハーモニア・シンガーズ
 録音:2006年4月、収録場所:すべてテルアビブ、マン・オーディトリアム(ライヴ・ステレオ)
■[CD9] 70’20”
(1)テルアビブ・フィルハーモニーchoの女性メンバー
 録音:1986年7月
(2)ミッシャ・マイスキー(Vc)
 録音:1990年11月、収録場所:すべてテルアビブ、マン・オーディトリアム(ライヴ・ステレオ)
■[CD10] 74’54”
(1)録音:1996年7月
(2)録音:1997年7月
(3)録音:2006年4月
 収録場所:すべてテルアビブ、マン・オーディトリアム(ライヴ・ステレオ)
■[CD11] 76’43”
マーティナ・アーロヨ(S)、シャーリー・ヴァーレット(Ms)、リチャード・タッカー(T)、ボナルド・ジャイオッティ(Bs)、テルアビブ・フィルハーモニーcho、ヨゼフ・フリートラント(合唱指揮)
 録音:1968年7月、収録場所:ベツレヘム(ライヴ)
■[CD12] 70’08”
(1)録音:1996年12月
(2)録音:1983年9月
(3)録音:1983年6−7月
(4)録音:1982年10月
(5)PercaDu(マリンバ&パーカッション・デュオ)
 録音:2006年4月、収録場所:すべてテルアビブ、マン・オーディトリアム(ライヴ・ステレオ)

■固いきずなで結ばれたメータ&イスラエル・フィル■
記憶にあたらしい2010年秋をはじめ、度重なる来日公演でもおなじみの巨匠メータ率いるイスラエル・フィル。1961年に急病のオーマンディの代役で指揮台に立って以来、1969年にミュージック・アドバイザーに就任、1977年より音楽監督、1981年より終身音楽監督を務めて今日に至るメータとイスラエル・フィルとの強固なきずなには、半世紀にもおよぶその歴史のなかで、5大陸にまたがるツアーを通じて、すでに2000回を超えるコンサートを敢行していることからも想像以上のものがあります。
■良質な正規マスターからの復刻■
メータがイスラエル・フィルと初共演を果たして間もない時期の1963年から、終身音楽監督就任25周年記念を迎えた2006年に至る演奏はごく一部をのぞき、ほとんどすべてステレオで収録されており、収録時期も比較的あたらしいものが多く、古いものもマスターの保存状態が良かったのか、遜色の無いすぐれた音質で残されていたのは朗報といえるでしょう。
■メータ得意のプログラム「春の祭典」「惑星」■
ズービン・メータといえば、1962年に異例の若さでロサンジェルス・フィルの音楽監督に抜擢され、同時期に専属契約を結んだDeccaを通じて優秀録音の数々を次々と発表して、一躍スターダムを駆け上がりましたが、ここでは「春の祭典」「惑星」といった、メータがダイナミックな指揮ぶりで鮮烈なインパクトを与えたプログラムが収められているのも注目されます。また、「浄められた夜」では、弦楽合奏版による演奏ということで、イスラエル・フィルの弦楽セクションの威力をあらためて実感させる仕上がりとなっています。
■豪華ソリストとの共演が楽しめる協奏作品■
本セットのおおきな特色といえるのが全12枚のうち、およそ5枚分近くを協奏作品が占めていること。ヴァイオリンではスターンにパールマン、ズッカーマン、ピアノにルプー、ブロンフマン、さらにチェロはハレル、マイスキーという具合に、ソリストの顔触れもたいへん豪華なもので、メータとは公私ともに親密な間柄にある仲間たちの名前が並んでいます。そのことを反映してか、本来的に協奏曲の持つ対立・対決の構図が生み出す緊迫した丁丁発止のやりとりのなかにも、どこかお互いに対話を楽しんでいるようなムードが印象的。
■イスラエルゆかりの作品■
なお、セットの最後を飾る12枚目に、イスラエルゆかりの作曲家たちを網羅しているのも興味深いところです。ユダヤ人を理由にナチに退廃音楽家の烙印を押され、亡命先のアメリカに渡ったのちにハリウッドで映画音楽を手がけて名を上げたツァイスルの代表作(CD8)のほか、バーンスタインによるマン・オーディトリアム落成公演の際に選ばれたシェリフの出世作、さらにはエキゾチックな雰囲気を漂わせた“パーカッション協奏曲”風のドルマンの作品など、じつに多彩。イスラエル・フィルならではの比類なき共感に満ちた音楽作りもあって価値ある内容となっています。
■貴重な写真をふんだんに掲載したブックレット■
76ページの付属ブックレットには、メータの若かりし日から、現在に至る写真のほか、当時の新聞記事、パールマンやズッカーマン、女優ソフィア・ローレンとの貴重なショットも収められ、目で見る楽しみも作りとなっています。コレクションする手ごたえ一入のセットといえるでしょう。 (Ki)

※おことわり
当アルバムのCD収納スリーヴケースの表記上、以下の3点について誤記がありますが、レーベルに確認しましたところ、表記の訂正予定はないとのことです。あらかじめご了承願います。
■[CD2]トラック4〜6の表記脱落、および以降のトラック表記ナンバリング・ミス
     誤)総トラック数13→正)総トラック数10
■[CD3]モーツァルト:協奏交響曲
     誤)変ヘ長調→正)変ホ長調
■[CD7]プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第2番
    誤)ニ短調→正)ト短調
■[CD10]ドヴォルザーク:スラヴ
舞曲集Op.72
    誤)ニ短調→正)ホ短調

HEL-029627(3CD)
モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」 ニコラ・ウリヴィエーリ(Bs-Brドン・ジョヴァンニ)
マウリツィオ・ムラーロ(Bsレポレッロ)
アンナ・サムイル(Sドンナ・アンナ)
マリア・ルイージャ・ボルシ(Sドンナ・エルヴィーラ)
ディミトリ・コルチャク(Tドン・オッターヴィオ) チェン・ライス(Sゼルリーナ)
シモン・オルフィラ(Bsマゼット)
マルコ・スポッティ(Bs騎士長)
ズービン・メータ(指)イスラエルPO
ニュー・イスラエル・ヴォーカル・アンサンブル

録音:2009年1月27、31、2月5日、テルアヴィヴ(ライヴ録音)
イスラエル・フィルの終身音楽監督であるズビン・メータが、テルアヴィヴで行った演奏会形式上演のライヴ録音です。何が注目かというと、今大活躍している中堅、新進の歌手を集めているのです。タイトルロールのニコラ・ウリヴィエーリは北イタリア、アルコの生まれのバス=バリトン。ロッシーニを得意としています。明るく朗々と響く美声は、2010年のトリノ・レージョ劇場来日公演での「ボエーム」でも評判になっていました。レポレッロのマウリツィオ・ムラーロは、この中では一番のベテラン。スイス国境に近いイタリア、コモの生まれ。1990年代後半からバッソブッフォとして大活躍しており、2004年のウィーン国立歌劇場来日公演でも、トーマス・ハンプソン、エディタ・グルベローヴァらを相手にレポレッロを歌っています。ドン・オッターヴィオのディミトリ・コルチャクは、1979年、モスクワ生まれ。まだ30代始めという若さながら、既に国際的に名声を築いており、ことにロッシーニとモーツァルトで人気を博しています。ゼルリーナのチェン・ライスは、地元イスラエル生まれ。伸びの良い美声と美貌の持ち主で、近年急速に人気が急上昇しています。ドンナ・エルヴィーラのマリア・ルイージャ・ボルシは、まだデビューして十年ほどにもかかわらず、非常に人気の高いイタリアのソプラノ。2010年代のプリマドンナ間違いなしの逸材です。マゼットのシモン・オルフィラは、1976年、スペインのマノルカ島生まれ。堂々としたバスの声の持ち主で、あのグルベローヴァが初めてノルマを歌った2003年の東京での演奏会形式公演でオロヴェーゾを歌っていました。騎士長のマルコ・スポッティはパルマ出身。若いながらも非常に重厚なバスで、ヴェルディのバス役で活躍しています。ドンナ・アンナのアンナ・サムイルは、ロシアのペルミ生まれ。彼女も2000年以降に活動を始めた若い歌手で、現在はベルリン国立歌劇場を中心にドイツで活躍しています。最近では稀にオペラ録音の機会があっても、知名度の高いベテラン歌手が優先されるので、こうした中堅から若手の優れた歌手を聞く機会は限られています。その意味でもこのCDは便利です。もちろんメータの指揮が彼らを全面的にバックアップ。メータが指揮する「ドン・ジョヴァンニ」の録音はこれが初めてでしょう。イスラエル・フィルの瑞々しい弦の音を生かした、気持ちの良い仕上がりになっています。 (Ki)

HEL-029628
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」
「プロメテウスの創造物」序曲
交響曲第6番ヘ長調「田園」op.68
ズービン・メータ(指)イスラエルPO

ライヴ録音:2009年7月8,10,15,16日/テルアビブ、マン・オーディトリウム
抜群の弦楽セクションの魅力で世界有数のオケとして知られるイスラエル・フィル。このライヴ演奏でも、底なりがするような力強い「運命」、そして朗々と歌われる有名な旋律が魅力の「田園」など、メータとオケの実力を存分に味わうことができる充実の1枚です。 (Ki)
HEL-029629
ブラームス:ドイツ・レクイエム チェン・レイス(S)、
ハンノ・ミュラー=ブラッフマン(Br)
ガリー・ベルティーニ・イスラエルcho
ズービン・メータ(指)イスラエルPO

録音:2009年10月10,17日/テルアビブ、マン・オーディトリウム・ライヴ
メータのさすがの統率力が光るドイツ・レクイエム。第2曲「人はみな草のごとく」の合唱は圧倒的です。美貌のソプラノ、チェン・レイスの高みへと私たちを連れて行ってくれるような歌唱は感動的。バリトンのミュラー=ブラッフマンは、シャイーなどとも共演を重ねた実力派で聴かせます。 (Ki)
HEL-029630
ブラームス:交響曲第1番/第3番 ズービン・メータ(指)イスラエルPO

録音:2009年10月13、14、16日テルアビブ、マン・オーディトリアム(ライヴ)
メータがイスラエル・フィルを指揮したブラームスの第1交響曲と第3交響曲は、「ドイツ・レクィエム」(HEL029629)や、ブッフビンダーをソリストに迎えた「ピアノ協奏曲第1番&第2番」(HEL029636)と、ほぼ同時期の2009年10月にテルアビブでおこなわれた演奏をライヴ収録したものです。ズービン・メータは当時30代後半だった1976年に、ウィーン・フィルとブラームスの第1交響曲をセッション録音したのを皮切りに、1979年から1982年にかけて、当時音楽監督を務めていたニューヨーク・フィルと交響曲全曲をセッション録音、さらに1992年10月にイスラエル・フィルとも一挙に交響曲全曲をセッション録音しています。また、イスラエル・フィルとは、1977年に第2交響曲をライヴ録音、さらに同楽団が創設60周年を迎えた1996年にも、ガラ・コンサートにおける第2交響曲のライヴ・レコーディングをおこなっていました。このように、メータにとって第1、第3交響曲とも、イスラエル・フィルとは17年ぶり2度目のレコーディングということになります。メータは過去2度に亘り交響曲全集を完成させた実績からもブラームスをたいへん得意にしているようで、また上記の通り、ここでの演奏はちょうどブラームスを集中的に取り上げていた時期と重なり、レクィエムや協奏曲でも手兵より申し分のない内容を引き出していたことを踏まえると、同様の充実ぶりを聴かせてくれるものとおもわれます。 (Ki)
=トラック・タイム=
ブラームス:交響曲第1番 T.13’32”+U.08’17”+V.04’22”+W.16’20”=TT.42’31”
ブラームス:交響曲第3番 T.06’30”+U.08’10”+V.06’02”+W.08’38”=TT.29’20”
HEL-029631
モーツァルト:交響曲第38番「プラハ」
シューベルト:交響曲第9番「グレイト」*
ズービン・メータ(指)イスラエルPO

録音:2010年1月、2006年11月*
「プラハ」の序曲を思わせる出だし、「グレイト」の有名な冒頭、一切の小細工なしに主題をひとつひとつ丁寧に提示させるところなど、メータのオケの誠実かつ真摯な仕事ぶりが実に光る演奏です。「グレイト」の終楽章も、絶妙のテンポとリズムで楽しませてくれます。鯉
HEL-029632
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」
R・シュトラウス:ツァラトゥストラはかく語りき
ズービン・メータ(指)イスラエルPO

録音:2007年3月
「新世界」の冒頭もかっ飛ばすのではなく、弦の細かな刻み、様々な楽器間での旋律の受け渡し、すべてが実に丁寧。終楽章の弦楽器のリズムの食いつきも絶妙で、メータとオケの間の意思疎通が完璧なものであることをうかがわせます。有名な旋律では、ところどころに隠し味的にちりばめられた微妙なポルタメントが印象的に響きます。R.シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」は、まさに期待通りの壮大な演奏。華麗にオーケストラが鳴り響きます。メータの一挙手一投足にオケが実に敏感に反応しているのがうかがわれる力演です。室内楽風の場面では、弦楽器のメンバーの巧さが際立ちます。 (Ki)
HEL-029633
ハイドン:交響曲第88番ト長調
チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」
クルト・マズア(指)イスラエルPO

録音:2008年6月(ライヴ)
ハイドンでは、朗々と鳴り響き、気高さも兼ね備えた演奏にハッとさせられます。終楽章での滑舌のよい語り口は小気味よい仕上がり。「悲愴」は歌心に溢れています。各メロディー、各フレーズの中での絶妙なデュナーミクと独特の「溜め」は見事。マズアの思い入れをオーケストラがよく汲み取った秀演となっています。 (Ki)

HEL-029634(2CD)
マーラー:交響曲第2番ハ短調「復活」 バルバラ・キルダフ(S)
クリスタ・ルートヴィヒ(Ms)
テルアビブ・フィルハーモニーcho
リナト・ナショナル・コーラス
イヒュドゥcho
ジェイムズ・レヴァイン(指)イスラエルPO

録音:1989年2月27日テルアビブ、マン・オーディトリアム(ライヴ)
■レヴァインのマーラー録音
1943年生まれ、現在、METを拠点に世界有数の指揮者として活躍するジェイムズ・レヴァインは、1974年から80年にかけてRCAにマーラーの8つの交響曲のセッション録音を行っています。これら一連のアルバムは、当時のマーラー受容をけん引するおおきな役割を担い、「マーラー指揮者」レヴァインのキャリアを不動ものとしたばかりでなく、今日においてなお、ファンのあいだで強く支持されています。
■念願のリリース、レヴァインの「復活」
若き日にレヴァインがシカゴ響、フィラデルフィア管、ロンドン響と3つの名門オケを振り分けて録音したマーラーのアルバムは、たくみな音楽運びと精緻をきわめたアンサンブルとで作品の魅力をダイレクトに示してすぐれた内容でしたが、どういうわけか第2番と第8番の2曲は録音されなかったので、このたびのライヴによる第2番の登場はまさに快哉をもって迎えられるのではないでしょうか。
■イスラエル・フィルによるマーラーの「復活」
イスラエル・フィルは、名ヴァイオリニスト、フーベルマンにより、ヨーロッパ各地でユダヤ系であることを理由に解雇された楽員などを募り1936年に創設されたオーケストラ。設立当初より弦楽セクションは世界のトップクラスと肩を並べると云われてきましたが、同時にまた、このオーケストラがマーラーに寄せる共感は特別なものがありました。ちなみに、イスラエル・フィルは、マーラーの「復活」を1967年にバーンスタインの指揮で第5楽章のみをヘブライ語歌唱でライヴ録音、1988年10月にズービン・メータ指揮でライヴ録音、1994年にも同じくメータ指揮でセッション録音しています。メータのライヴ録音から4カ月、レヴァインがイスラエル・フィルを指揮した「復活」もまた、声楽の扱いにも非凡なセンスを示すマエストロのもと、ライヴの熱気と緊張感を孕みつつ、情熱的で集中力の高い演奏内容が期待されるところです。
■名メッツォ、ルートヴィヒが歌う「原光」
ここで第4楽章「原光」を歌うメッツォは、クリスタ・ルートヴィヒ。ルートヴィヒの歌う「復活」といえば、1975年のメータ指揮ウィーン・フィルとのセッション録音における深く気高い歌唱がマーラー・ファンには記憶されていますが、当夜の模様を伝えるイスラエルの日刊紙「ハアレツ(Ha'aretz)」によるレビューによれば、「1928年生まれのルートヴィヒはこの録音時点で65歳を迎えていたけれども、その存在感は比類がなかった」と伝えられていたことを付記しておきます。
HEL-029636(2CD)
ブラームス:ピアノ協奏曲第1番
 ピアノ協奏曲第2番*

=アンコール=
J・シュトラウス(アルフレート・グリュンヘルト編):「こうもり」序曲(ピアノ独奏版)
シューベルト:即興曲第4番変イ長調D899-4
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」〜第3楽章
ルドルフ・ブッフビンダー(P)
ミーシャ・ハラン(Vc独奏)*
ズービン・メータ(指)イスラエルPO

録音:2009年10月テルアビブ、マン・オーディトリアム(ライヴ・デジタル)
■メータ得意のブラームス
当時30代後半だった1976年に、ズービン・メータはウィーン・フィルとブラームスの第1交響曲をセッション録音したのを皮切りに、1979年から1982年にかけて、当時音楽監督を務めていたニューヨーク・フィルと交響曲全曲をセッション録音、さらに1992年10月にイスラエル・フィルとも一挙に交響曲全曲をセッション録音しています。また、イスラエル・フィルが創設60周年を迎えた1996年には、ガラ・コンサートにおける第2交響曲のライヴ・レコーディングもおこなっています。このように2度の交響曲全集を完成させた実績が示すように、メータはブラームスをたいへん得意にしているようで、ヴァイオリン協奏曲のほか、ピアノ協奏曲についても複数のレコーディングをおこなっています。
■メータ指揮によるブラームスのピアノ協奏曲
メータはピアノ協奏曲第1番を、1976年にルービンシュタインの独奏でイスラエル・フィルとセッション録音、1979年にバレンボイム独奏、ニューヨーク・フィ初期作品ながら、当時の一般的な協奏曲の概念からみて、すでに重厚長大でシンフォニックな作りをみせる第1番、もっとも脂の乗っていた時期に書かれ、構成の点でも交響曲のように4楽章形式をとる第2番と、いずれも「ピアノ独奏つきの交響曲」という指摘でも有名なブラームスのピアノ協奏曲。
メータはピアノ協奏曲第1番を、1976年にルービンシュタインの独奏でイスラエル・フィルとセッション録音、1979年にバレンボイムの独奏でニューヨーク・フィルとセッション録音しています。いっぽう、ピアノ協奏曲第2番も、1967年にアシュケナージの独奏でロンドン響とセッション録音、1979年にバレンボイムの独奏でニューヨーク・フィルとセッション録音という具合に、第1番、第2番それぞれ2度ずつレコーディングしているので、このたびはメータにとって30年ぶり3度目の録音ということになります。
■名手ブッフビンダーによるブラームスの協奏曲再録音
1946年チェコのリトムニェジツェに生まれたルドルフ・ブッフビンダーは、ウィーンに学んだオーストリアのピアニスト。ベートーヴェンのピアノ・ソナタならびにピアノ協奏曲全曲、モーツァルトのピアノ協奏曲全曲、ハイドンのピアノ・ソナタ全曲などをレパートリーの中心に据え、高い評価を得ています。おもにこうしたドイツ系の演目でキャリアを築き上げてきたブッフビンダーですが、ブラームスのピアノ協奏曲を、いずれもアーノンクール指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管とライヴ録音しており、録音年について第2番が1998年、第1番が1999年だったので、ブッフビンダーにとってほぼ10年の時をおいての再録音ということになります。
■ブッフビンダーとメータ、円熟を迎えた大家と巨匠の顔合わせ
2010年秋におこなわれた来日公演の記憶もあたらしいメータ率いるイスラエル・フィル。1961年に急病のオーマンディの代役で指揮台に立って以来、1969年にミュージック・アドバイザーに就任、1977年より音楽監督、1981年より終身音楽監督を務めて今日に至るメータとイスラエル・フィルとの強固なきずなには、半世紀にもおよぶその歴史のなかで、5大陸にまたがるツアーを通じて、すでに2000回を超えるコンサートを敢行していることからも想像以上のものがあります。このアルバムの収録時点で還暦を迎えていたブッフビンダーのピアノもまた、ますます円熟味を増しているものと思われるほか、ここでは、大家ブッフビンダーと巨匠メータ、作品への愛情と理解を深めてきたもの同士ならではの対話が期待されるところで、たいへん楽しみな内容といえるでしょう。 (Ki)
HEL-029637
(1CD+DVD)
ドヴ・セルツァー:イツハク・ラビンの哀歌 シャロン・ロストロフ(S)
ハダル・ハレヴィ(Ms)
ヴィンチェンツィオ・ラ・スコーラ(T)、
ハヤ・サミール(民謡歌手)
新イスラエル歌劇cho
ズービン・メータ(指)イスラエルPO

録音:1998年4月27日(世界初演)
イスラエルの重要な政治家、イツハク・ラビンの哀歌。イスラエル国家独立50周年記念行事のオープニング・コンサートで演奏されたライヴです(映像つき/NTSC方式)。この作品は、この後マズアやマゼールらによっても取り上げられました。作曲家ドヴ・セルツァーによる言葉/「イツハク・ラビンの運命と悲劇的な死を扱ったこのレクイエムのテキストと音楽は、平和、そして人々の相互理解への讃歌となり、暴力と戦争への力強い抗議である。フル・オーケストラと声楽(混声合唱、児童合唱、ソリスト)のために書かれた大規模な作品であり。ここでの「哀歌」は、ヘブライの祈りからとられたテキストも含まれているが、世俗的作品であって、宗教的礼拝ではない。他にも、聖書や中世のヘブライ語の詩、さらには今を生きるイスラエルの詩人たちによるテキストも含まれている。12歳の少女が平和について書いたテキストも含まれている。すべての歌詞はヘブライ語で歌われている。」 (Ki)

HEL-029638
モーツァルト:交響曲第35番「ハフナー」
ドヴォルザーク:交響曲第8番
ヘルベルト・ブロムシュテット(指)
イスラエルPO

録音:2005年11月3-5日テルアビブ、マン・オーディトリアム(ライヴ)
名匠ブロムシュテットが2005年にイスラエル・フィルを指揮してドヴォルザークの第8交響曲をライヴ収録したアルバムは、この指揮者に関心のある方ならすぐにピンとくる注目のプログラム。ブロムシュテットといえば、首席指揮者(1975‐1985)を務めたシュターツカペレ・ドレスデンと、1974年にドヴォルザークの第8番をセッション録音しており、伝統に培われた名門オケの深くゆたかな響きを最大限に活かした音楽作りにはたいへん印象深いものがありました。モーツァルトについても、1982年に第38番「プラハ」と第39番を、1981年に第40番と第41番をいずれもセッションで録音していましたが、あいにく第35番「ハフナー」は録音されなかったので、このたびのリリースには期待がかかります。なお、このときのドヴォルザークについては、心ある音楽ファンの間で“ブロムシュテットの最高傑作”との呼び声もあるほどの出来ばえをみせていたのは有名な話です。ドヴォルザークの第1楽章冒頭、チェロの歌い出しに始まり、ボヘミアの田園風景を思わせるアダージョ、センチメンタルな第3楽章、そしてまたフィナーレでのチェロのユニゾン、さらに、どこまでもエレガントな美に彩られたモーツァルト。2曲に共通して、極上の弦楽セクションを看板にするイスラエル・フィルがもっとも真価を発揮する場面の連続であるというところ。ブロムシュテットが揃えた内容は、まさにイスラエル・フィルの美質を極限まで引き出す絶妙なプログラム構成といえるでしょう。 (Ki)
=トラック・タイム=
モーツァルトT.05’21”+U.09’22”+V.03’54”+W.03’47”=TT.22’24”
ドヴォルザークT.09’10”+U.10’31”+V.05’50”+W.09’46”=TT.35’17”
HEL-029639(2CD)
チャイコフスキー:弦楽四重奏曲集
弦楽四重奏曲第1番ニ長調op.11
弦楽四重奏曲第2番ヘ長調op.22
弦楽四重奏曲第3番変ホ短調op.30
弦楽六重奏曲ニ短調op.70「フィレンツェの思い出」*
イスラエル・フィルハーモニー・リヒターQ
【イリヤ・コノヴァーロフ、シュムエル・グラセル(Vn)
ドミートリー・ラトゥシュ(Va)
フェリクス・ネミロフスキー(Vc)】
ヴラディスラフ・ラトゥシュ(Va)*
キリル・ミハノフスキー(Vc)*

録音:2010年9月12-15日テルアビブ、マン・オーディトリアム(ライヴ・ステレオ)
イスラエル・フィルハーモニー・リヒター四重奏団は、その名の通りすべてイスラエル・フィルのメンバーで構成され、楽団がイタリア・ツアー中の2006年5月にスポレート音楽祭でデビューを果たしたアンサンブル。結成にあたり、惜しみない寄付と向こう10年間の活動のサポートを申し出た、イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団基金理事で後援会員のリヒター・ファミリーに謝意を表して、その名を冠しています。結成の目的として、オーケストラの芸術活動になくてはならない部分であった、弦楽四重奏団の偉大なる伝統を継承することがありましたが、オーケストラの募金活動やコンサート・ツアーと関連して、数多くのコンサートをイスラエル国内にとどまらず海外でも精力的におこなっています。
イリヤ・コノヴァーロフは1977年ロシアのノヴォシビルスク生まれ。7歳で名教師ザハール・ブロンに師事し、学生時代に全ロシア・ヴァイオリン・コンクール、ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリン・コンクールで入賞を果たしたコノヴァーロフは、1997年よりイスラエル・フィルのコンサート・マスターを務めています。リトアニアのヴィリニュスに生まれたシュムエル・グラセルは、1980年にイスラエルに移住し、1987年より楽団メンバーとなったイスラエル・フィルの第2ヴァイオリン奏者。1990年にロシアからイスラエルに移住したドミートリー・ラトゥシュは、2004年よりイスラエル・フィル副首席ヴィオラ奏者を務めています。チェロのフェリクス・ネミロフスキーは1963年ウズベキスタンの首都タシュケントの生まれで、1992年よりイスラエル・フィルのメンバー。
イスラエル・フィルハーモニー・リヒター四重奏団は、すべて旧ソ連圏の生まれという点が共通し、さらにメンバーの2人がロシア出身ということで、幼い頃よりチャイコフスキーの作品に寄せる共感の強さにはかなりのものがあるとおもわれるので、高水準の演奏内容が期待できそうです。 (Ki)

The IPO Heritage Series
HEL-029640
シューマン:交響曲第2番
 交響曲第3番「ライン」
ポール・パレー(指)イスラエルPO

録音:1976年11月18日テルアビブ・マン・オーディトリアム(ライヴ)、1971年11月29日テルアビブ・マン・オーディトリアム(ライヴ・モノラル)
ルーアン近郊のトレポルに生まれたポール・パレー(1886−1979)は、音楽監督(1952−1963)の立場で後半生を捧げたデトロイト響での仕事ぶりが示すように、「オーケストラ・ビルダー」として名高いフランスの名匠。あまり知られていませんが、パレーはデトロイト時代以前にイスラエル・フィルの音楽監督(1949−1951)を務めています。パレー自身はユダヤ系ではなかったものの、1940年に、首席指揮者のポストにあったコンセール・コロンヌで、ユダヤ人演奏家が退団を余儀なくさせられると、パレーも共に楽団を去り、また、夫人がアルザス地方のユダヤの家系の生まれであったこともあって、すぐにイスラエル在住の人びととコンタクトを取り、親交を持つようになったことで、イスラエル・フィルの指揮者としての道が開かれることになります。楽団のレベル向上に強い意欲をみせていたパレーですが、偉大なるバーンスタインの後任ということで運営委員会の選定は難航し、さらにパレーも音楽監督を引き受けるにあたり、不十分だった木管セクションへの新メンバーの加入(フルートにはほかでもないジャン・ピエール・ランパルをパリから連れてきて充てようとしていた)、優秀ながら絶対数の不足していた弦楽セクションのテコ入れをはかるなど、あまりに要求がきびしかったため、就任後も運営委員会とのあいだで壮絶なやりとりがあったことがライナーノート[英語]に記されています。そういうわけで、必ずしもパレーと楽団との関係は良好なものだったわけではなく、ついにアメリカ合衆国&カナダへの演奏旅行を最後に急速に冷え切ってしまうのですが、この演奏旅行後の1951年5月から6月にかけて、パレーは客演指揮者としてイスラエル・フィルに復帰して、以後も晩年までずっとイスラエル・フィルへの客演を重ねています。このアルバムに収録されたシューマンの交響曲第2番と第3番は、まさしくパレーが晩年にイスラエル・フィルを客演指揮したときのもの。パレーのシューマンといえば、イスラエル・フィルの音楽監督を辞任したのち、交響曲全集をデトロイト響と完成させており、1955年に第2番を、1956年に第3番をセッションで録音していました。そこでは、伝統的なスタイルを踏まえながらも、快速テンポと歯切れのよいリズムがとてつもなくエネルギッシュで、程よく流れる緩徐楽章で聴かれる抒情も魅力的と、いまもってシューマンのベストチョイスに挙げる方も少なくないほど、すぐれた内容を聴くことができます。メータによる黄金時代を迎えて、国際的に活躍の場を拡げていた時期の古巣イスラエル・フィルを相手に、かつての「鬼音楽監督」パレーが得意とするシューマンをどのように聴かせてくれるのか、上記セッション録音の出来ばえを知る方ならば、おおいに興味の尽きないアルバムといえるでしょう。

The IPO Heritage Series
HEL-029641
ベートーヴェン:交響曲第4番
エルガー:エニグマ変奏曲
ラヴェル:バレエ「ダフニスとクロエ」第2組曲
ピエール・モントゥー(指)イスラエルPO

録音:1964年3月7日テルアビブ、マン・オーディトリアム(ライヴ・モノラル)
ピエール・モントゥー(1875−1964)が、世を去る3か月ほど前の1964年3月にイスラエル・フィルに客演した際の模様をライヴ収録したアルバムは、幅広いレパートリーを誇った巨匠にあって、とりわけ得意のレパートリーがならぶ注目の内容です。モントゥーが指揮したベートーヴェンの交響曲といえば、ウィーン・フィルやロンドン響とのセッション録音が知られ、単独のオーケストラとの間でこそ全曲録音は実現しませんでしたが、その演奏は気品と気力あふれる充実ぶりでいまなお強い支持を集めています。第4交響曲については、ほかに1952年のサンフランシスコ響、1959年のロンドン響、1960年のハンブルク北ドイツ放送響との録音があるので、このたびのイスラエル・フィルとのライヴはモントゥー4種目の演奏となり、現状、もっとも多く録音が残されているナンバーとなります。ここでモントゥーはヴァイオリン両翼型配置を採用しており、立体的な音響から繰り出される眩いばかりの音楽はたとえようがありません。「エニグマ変奏曲」は、モントゥーが1958年にロンドン響とセッションで残した録音も名盤の誉れ高い内容として知られますが、ここでも性格的な変奏をたくみに描き分ける巨匠の音楽運びにあらためて納得させられるいっぽうで、やはりなんといっても聴きどころは、イスラエル・フィルの強力な弦楽セクションが濃厚な味わいを聴かせる「ニムロッド」でしょう。そして、締め括りの「ダフニスとクロエ」はもはや説明不要。そのむかし、ディアギレフのロシア・バレエ団とのコラボで初演を手がけた、巨匠きわめつきのプログラムです。1959年のロンドン響とのセッション録音や、1955年のコンセルトヘボウ管とのライヴ録音などでもわかるように、モントゥーが指揮するとガラッと色彩がゆたかになるのですから、なんとも不思議。すべてイスラエル・フィルの正規アーカイヴより、あらたにデジタル・リマスタリングを施した音源は、モノラルながら聴きやすいものとなっています。 (Ki)

The IPO Heritage Series
HEL-029642
マーラー:交響曲第6番「悲劇的」 アンタル・ドラティ(指)イスラエルPO

録音:1963年10月27日テルアビブ、マン・オーディトリアム(ライヴ・モノラル)
作曲家歿後100年を迎える2011年に、またあらたに注目すべきマーラーのディスクが登場します。アンタル・ドラティがイスラエル・フィルを指揮してマーラーの第6交響曲を演奏したアルバムは、1963年に本拠テルアビブ、マン・オーディトリアムでの模様をライヴ収録したものです。ハンガリーに生まれたアメリカの名指揮者アンタル・ドラティ(1906−1988)は、戦後のダラス交響楽団の再編(1945−49)を成し遂げたのに続いて、ミネアポリス交響楽団の音楽監督(1949−1960)を務め、さらにデトロイト交響楽団音楽監督に就任(1977−1981)と、「オーケストラ・トレーナー」としての手腕を高く評価された人物。1936年に始まるほとんど600近くに及ぶディスコグラフィには、ハイドンの交響曲全集や8つのオペラなどの傑作も含まれていますが、これまでのところマーラーについては、首席指揮者(1966−1974)に次いで、1981年より終身桂冠指揮者を務めたロイヤル・ストックホルム・フィルとの第5交響曲のライヴ録音(1973)と、ベルリン放送響を指揮してライヴ収録した第9交響曲(1984)のわずかに2曲が知られるのみとなっています。若き日にドラティは、フェレンツ・リスト音楽院でレオー・ヴェイネルに作曲を師事して本格的に音楽家の道を歩み始めています。同門には屈指のマーラー指揮者として名を馳せるショルティ(1912−1997)がおり、ドラティはまたマーラーを得意にしたバースタイン同様にすぐれた作曲家でもありましたが、ライナーノート[英語]では、マーラーとその音楽に対する、ドラティの深い造詣の一端を伺い知ることができます。ドラティのマーラーへの適性は上述の第9番から実証済みで、ここでの第6交響曲の出来ばえにも期待が持てますが、それがイスラエル・フィルとの顔合わせとくれば期待の大きさはなおさら膨らみます。そもそもイスラエル・フィルによるマーラー演奏といえば、さきごろのレヴァインとの「復活」(HEL029634)もそうでしたが、過去にクレツキ、バーンスタイン、メータらゆかりの指揮者とも求心力の強い、たいへんすぐれた演奏を聴かせていたことからも知られるように、このオーケストラがマーラーに寄せる共感には特別なものがあります。独自のマーラー演奏の伝統を培ってきたイスラエル・フィルですが、現状、第6番については正規のリリースがないため、その意味でもこのたびのリリースは意義深いものといえますし、圧倒的な弦楽セクションのおおきな見せ場ともいえるアンダンテでは、美しくも濃厚な表現を存分に味わうことができるものとおもわれます。なお、ここでドラティは第2楽章をスケルツォ、第3楽章をアンダンテとする演奏順を採用しています。
=トラック・タイム= T.17’54”+U.12’21”+V.13’27”+W.27’25”=TT.71’13”   (Ki)
HEL-029644
ブラームス:ピアノ協奏曲第2番
サン=サーンス:ピアノ協奏曲第2番*

[アンコール]
スカルラッティ:ソナタハ短調K11#
シューマン:アラベスクハ長調Op.18#
ショパン:練習曲ハ短調Op.10-12「革命」#
イエフィム・ブロンフマン(P)
ズービン・メータ(指)イスラエルPO

録音:2009年7月1日テルアビブ、マン・オーディトリアム(ライヴ)
1991年2月テルアビブ、マン・オーディトリアム(ライヴ)*
2009年7月1日テルアビブ、マン・オーディトリアム(ライヴ)#
圧倒的なテクニックと並外れた詩情とを併せ持ち、現在、世界的に活躍するイエフィム・ブロンフマンは、高い人気を誇るアメリカのヴィルトゥオーゾ・ピアニスト。1958年に旧ソ連のタシュケントに生まれたブロンフマンは、1973年イスラエルに移住して、テルアビブ大学サムエル・ルービン音楽アカデミーの名教授アリエ・ヴァルディに師事、さらに1976年のアメリカ移住後はジュリアード音楽院に学び、ルドルフ・フィルクシュニー、レオン・フライシャー、ルドルフ・ゼルキンに師事しています。名手たちの薫陶を授かり、天賦の才にさらなる磨きをかけたブロンフマンの凄腕が、あますところなく捉えたこの協奏曲アルバムでは、まず何といっても、ブラームスの第2協奏曲が一番の聴きものといえるでしょう。ブロンフマンがすでに実演ではさまざまな指揮者とひんぱんに取り上げているプログラムだけあって、内容への期待度も十分です。カップリングのサン=サーンスもまた、ブロンフマンが得意とする演目として有名ですが、アンコールとして収録されたスカルラッティのソナタ共々、1992年に収録されたザンデルリング&ベルリン・フィルとのライヴ映像作品(20.57638)のなかで、完全に作品を自らのものとしていた姿は記憶にあたらしいところです。メータとはイスラエル時代にモントリオール響との協奏曲の共演で、ブロンフマンが国際舞台へのデビューを果たして以来の間柄だけあって、息の合ったところをみせてくれるものとおもわれます。 (Ki)
HEL-029645(2CD)
ブリテン:戦争レクィエム イーディス・ウィーンズ(S) 
ナイジェル・ロブソン(T) 
ホーカン・ハーゲゴール(Br)
プラハ・フィルハーモニーcho
パヴェル・キューン(合唱指揮)
アンコル児童cho
ダフナ・ベン=ヨハナン(合唱指揮)
メンディ・ロダン(室内アンサンブル指揮) 
クルト・マズア(指)イスラエルPO

録音:1996年4月8日テルアビブ、マン・オーディトリアム(ライヴ・ステレオ)
heliconよりリリースされるブリテンの「戦争レクィエム」は、1961年の作曲から35周年を迎えた1996年にイスラエル・フィルがおこなったライヴの模様をおさめたもので、指揮は、過去のリリースを通じてこの作品にひときわ情熱を傾けてきたことで知られる巨匠マズアです。コヴェントリーにある聖ミカエル教会の大聖堂の献堂式のために委嘱された「戦争レクィエム」は、同教会が第2次大戦下のドイツ軍の爆撃から再建された経緯を踏まえて、かねて自らの最大の関心事であった反戦と平和への祈願というテーマを込めるべく、ブリテンが持てる力のすべてを注ぎ込んだ集大成的傑作。形式的には、ラテン語による通常のミサ典礼文に加えて、第一次世界大戦で夭折した戦争詩人、ウィルフレッド・オーエンによる英文の詩が挿入される形が採られています。さらに、3管編成のオーケストラと室内アンサンブル、ソプラノ独唱、テノール独唱、バリトン独唱、混声合唱、少年合唱、ピアノにオルガンまで動員するという点もまたモニュメンタルな内容にふさわしい特徴となっています。1927年生まれの巨匠指揮者クルト・マズアは、「戦争レクィエム」には格別の思い入れがあるようで、なじみの深いオケと実演で取り上げて、1992年2月に音楽監督を務めるニューヨーク・フィルを指揮してライヴ録音、2005年5月に首席指揮者を務めるロンドン・フィルを指揮してライヴ録音を発表していました。ちなみにマズアといえば、1989年10月9日、東西ドイツの統一に向けた激動の最中にライプツィヒで起きた「月曜デモ」に際して、武力行使を回避するよう当局に対話を呼び掛けて、平和的解決に導いたことで、人権活動家としても知られています。1992年以来、マズアが終身名誉客演指揮者を務めるイスラエル・フィルを指揮した「戦争レクィエム」は、精鋭プラハ・フィルハーモニー合唱団を招くなど公演にかけるマズアの強い意気込みがうかがえ、ここでも力のこもった演奏を聴くことができるものとおもわれます。 (Ki)
HEL-029646
ブラームス:交響曲第4番ホ短調Op.98
サン=サーンス:交響曲第3番「オルガン付き」*
アレクサンドル・ゴリン(Org)
ズービン・メータ(指)イスラエルPO

録音:2006年11月テルアビブ、マン・オーディトリアム(ライヴ・ステレオ)
2007年10月テルアビブ、マン・オーディトリアム(ライヴ・ステレオ)*
【メータが情熱を傾けてきたブラームス】
メータは当時30代後半だった1976年にウィーン・フィルとブラームスの第1交響曲をセッション録音したのを皮切りに、1979年から1982年にかけて、当時音楽監督を務めていたニューヨーク・フィルと交響曲全曲をセッション録音、さらに1992年10月にイスラエル・フィルとも一挙に交響曲全曲をセッション録音しています。また、イスラエル・フィルとは、1977年に第2交響曲をライヴ録音、さらに同楽団が創設60周年を迎えた1996年にも、ガラ・コンサートにおける第2交響曲のライヴ・レコーディングをおこなっていました。heliconレーベルでは、2009年10月のコンサートでイスラエル・フィルを指揮して集中的に取り上げた第1交響曲、第3交響曲、ブッフビンダー独奏によるピアノ協奏曲集、ドイツ・レクィエムがすでにリリースされていることからも、メータがブラームスをレパートリーの柱として長年に亘り力を注いできたことが窺い知れます。ここでの第4交響曲もまた、キャリアのこうした流れの中に位置づけられるもので、看板の弦楽セクションの威力も存分に、パッサカリアなど表情豊かにたっぷりと聴かせてくれるものと期待されます。
【メータ、3種目の「オルガン付き」】
メータはサン=サーンスの「オルガン付き」を、これより37年前の1970年に音楽監督時代のロサンジェルス・フィルを指揮してセッション録音したのち、1995年にベルリン・フィルともセッション録音しているので、このイスラエル・フィルとのアルバムは通算3種目にあたり、やはり得意の内容といえそうです。
メータは若いころから「惑星」に「シェエラザード」など、ダイナミックで鳴りごたえのするプログラムはお手のもので、悉く抜群のセンスを発揮しては胸のすくような快演で人気を博してきました。「オルガン付き」などもまさにその代表例ですが、とりわけ重低音のオルガンと亘り合う第2楽章第2部以降の盛り上がりにかけて、十分な手ごたえを与えてくれるのはまず間違いないものとおもわれます。しかも、過去の録音を通じて隅々まで知り尽くした作品ということもあり、穏やかな部分への目配りもみごとで、たとえば第1楽章第2部ポコ・アダージョ。オルガンの和声上、弦楽器のユニゾンによってしっとりと歌われる旋律主題が馥郁と拡がりゆくひとときは、このたびのイスラエル・フィルの起用が最高の効果を生む場面といえるでしょう。
今でこそパイプ・オルガン備え付けのホールは一般的になりましたが、サン=サーンスの第3交響曲といえば、かつては収録会場の制約という事情だけでなく、むしろ鳴り物入りで由緒ある教会や大聖堂でオルガン・パートを別収録するケースもありと、もっぱらセッション・レコーディングに特化した感のあるレパートリーであったことも思い起こされ、ここでライヴ収録という試みも注目されるところです。オルガニストについて。アレクサンデル・ゴリンは1955年旧ソビエト生まれ。ゴリンはアゼルバイジャン音楽アカデミーでピアノとオルガンを専攻したのち、1990年まではクラスノヤルスクを中心にロシア国内で活動を展開していましたが、1991年以降イスラエルのテルアビブのルービン音楽アカデミーで教鞭を取るかたわら、イスラエル・フィルとのコンサートでも共演を重ねています。 (Ki)

HEL-029647
マーラー:交響曲第7番「夜の歌」 ズービン・メータ(指)イスラエルPO

録音:2007年2月テルアビブ、マン・オーディトリアム(ライヴ・ステレオ)
2011年のマーラー歿後100周年に合わせて、メータがイスラエル・フィルを指揮したマーラーの第7交響曲が登場。2007年2月にテルアビブのマン・オーディトリアムで行われたライヴ演奏を収録したものです。メータによるマーラーの交響曲録音といえば、1975年収録の「復活」で有名なウィーン・フィルのほか、ロサンジェルス・フィルやニューヨーク・フィルを指揮したものなどがあるなかで、現時点で終身音楽監督のポストにあるイスラエル・フィルとの顔合わせによるものがやはり点数も多く、すでに半世紀以上という固い結びつきをあらためて感じさせます。
第1番:1974年セッション/1986年セッション(「花の章」付き)
第2番:1988年ライヴ/1994年セッション
第3番:1992年セッション
第4番:1979年セッション
第6番:1995年セッション
第10番アダージョ:1992年セッション
2009年にウィーンで音楽出版社ウニフェルザール・エディツィオーンがおこなったインタビューによると、ちなみにメータがマーラーの交響曲を初めて聞いたのは、10代のときにボンベイでブルーノ・ワルターが指揮した第4番だったそうですが、第7番はメータにとって、バーンスタイン指揮ウィーン・フィルのリハーサルで間近に接した思い出の作品とのこと。そのインタビューで同時にまた、当時はまだ第7交響曲を知らなかったというメータは「経験がすべてであり、そういうわけで第9番とともに自分にはあまりに早すぎるとの判断から取り上げることを考えなかった」とも述べています。第7交響曲はメータも云うところの「たいへん錯綜とした内容」が特徴的で、マーラー作品に時折見られるシンメトリックな5楽章形式のなかに、スケルツォを挟んで「夜の歌」という通り名の由来となる2つの「夜曲」を置くという構造や、さらに、両端楽章の対照的な性格付け、テナーホルンの音色が異化効果を生む第1楽章と、ある種の躁状態をおもわせるフィナーレとの落差もまた、謎めいた作風を際立たせるものとなっています。第7番同様に、第9交響曲についてもメータはようやく近年になって取り上げる傾向にあるようで、1997年の来日公演で取り上げていたことも思い起こされます。マーラーの演奏にあたり、メータはバーンスタインより「ストリート・ミュージックのように演奏するんだよ」とのアドバイスを受けたそうですが、その記憶も脳裏をよぎったのでしょうか。1936年4月生まれの巨匠メータはこの第7交響曲を指揮した時点で70歳を迎えていましたが、もっとも信頼できるオケを得て、確信に満ちた演奏内容を聴かせてくれるものと期待されるところです。(インタビュー内容引用出典cUniversalEdition) 
=トラック・タイム=
T.22:10+U.14:25+V.9:27+W.11:59+X.18:12=TT.76:13
HEL-029648(2CD)
ベルリオーズ:劇的物語「ファウストの劫罰」Op.24
ラヴェル:バレエ「ダフニスとクロエ」(ハイライト)*
ガリー・ベルティーニ(指)
イスラエルPO

ダーフィト・キュープラー(T;ファウスト)
フランツ・グルントヘーバー(Br;メフィストフェレス)
ベアトリス・ユリア=モンゾン(Ms;マルグリート)
デニス・セドフ(Bs;ブランデル)
クルージュ・トランシルヴァニア国立フィルハーモニーcho
リナトcho(イスラエル室内合唱団)*


録音:1996年3月2日テルアビブ、マン・オーディトリアム(ライヴ)
1974年1月1日テルアビブ、マン・オーディトリアム(ライヴ)*
2005年に世を去ったイスラエルの巨匠指揮者ガリー・ベルティーニは、なによりマーラーのエキスパートとしてのイメージが強烈に刻印されていますが、このアルバムに収録されているふたりの作曲家、ベルリオーズとラヴェルの作品を好んで実演で取り上げていました。ベルリオーズのケースでは、幻想交響曲(1993年)や序曲「ローマの謝肉祭」、「ベンヴェヌート・チェッリーニ」序曲(1994年)といった、死後に日の目を見たケルン放送響とのライヴ録音などからもうかがえますし、ベルティーニはまた、東京都交響楽団の音楽監督(1998−2005)として2003年11月、劇的交響曲「ロメオとジュリエット」の公演を大成功に導き、大編成作品にみせるたしかな手捌きも実証済みなので、イスラエル・フィル創立70周年にあたる2006年の「ファウストの劫罰」でも充実した内容を期待できるのではないかとおもわれます。なお、併禄の「ダフニスとクロエ」について。ベルティーニは1989年に「ダフニスとクロエ」組曲第2番(1989年)をケルン放送響とライヴ録音していますが、ここではラヴェルによる組曲版ではなく、全曲版の第1部冒頭から第3部手前あたりまでを収めています。ちなみに、ベルティーニ同様にやはりマーラー指揮者として評価の高いエリアフ・インバルも、ラヴェルの管弦楽作品全集やベルリオーズの作品集成で知られるように、ベルティーニとはレパートリーが重なるというのも興味深いところで、両社は録音点数こそ対照的ながら、すぐれた内容で熱心なファンを獲得している点でも通じるものがありました。 (Ki)
HEL-029649(2CD)
イスラエル・フィル創立75周年記念
[CD1]
(1)ヴェルディ:「運命の力」序曲
(2)モーツァルト:「フィガロの結婚」序曲
(3)ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」〜第1楽章
(4)シューベルト:交響曲第9番「ザ・グレイト」〜第2楽章
(5)ブラームス:交響曲第3番〜第3楽章
(&ドヴォルザーク:スラヴ舞曲ホ短調Op.72-2
(7)チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」〜第2楽章
(8)ドヴォルザーク:交響曲第8番〜第3楽章
(9)ベルリオーズ:ハンガリー行進曲
(10)マーラー:交響曲第2番「復活」〜第2楽章
(11)ハイドン:交響曲第88番「V字」〜フィナーレ
[CD2]
=ズービン・メータ(指)篇=
(1)バッハ:カンタータ第140番「目覚めよ、とわれらに呼ばわる物見らの声」BWV140〜コラール
(2)ヴィヴァルディ:2つのヴァイオリンのための協奏曲イ短調RV522〜第2楽章
(3)モーツァルト:協奏交響曲変ホ長調K.364〜第3楽章
(4)モーツァルト:ピアノ協奏曲第27番〜第3楽章
(5)ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲〜第2楽章
(6)ブラームス:ピアノ協奏曲第2番〜第4楽章/ルドルフ・ブッフビンダー(P)[2009年]
(7)ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番〜第1楽章
(8)サン=サーンス:ピアノ協奏曲第2番ト短調〜第2楽章
(9)プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第2番〜第3楽章
(10)ブラームス:ドイツ・レクィエム〜第2曲
(11)モーツァルト:「ドン・ジョヴァンニ」〜シャンペンの歌
[CD1]
(1)ービン・メータ(指)[1986年]
(2)ズービン・メータ(指)[1986年]
(3)ービン・メータ(指)[2009年]
(4)ズービン・メータ(指)[2006年]
(5)ズービン・メータ(指)[2009年]
(&ズービン・メータ(指)[1996年]
(7)クルト・マズア(指)[2008年]
(8)ヘルベルト・ブロムシュテット(指)[2006年]
(9)ガリー・ベルティーニ(指)[1996年]
(10)ジェイムズ・レヴァイン(指)[1989年]
(11)クルト・マズア(指)[2008年]

[CD2] 
(1)[2008年]
(2)イツァーク・パールマン、ピンカス・ズッカーマン(Vn)[1996年]
(3)ハイイーム・タウブ(Vn)、ダニエル・ベンヤミニ(Va)[1968年]
(4)ダニエル・バレンボイム(P)[1972年]
(5)ベピンカス・ズッカーマン(Vn)[1989年]
(6)ドルフ・ブッフビンダー(P)[2009年]
(7)アリシア・デ・ラローチャ(P)[1987年]
(8)イエフィム・ブロンフマン(P)[1991年]
(9)アイザック・スターン(Vn)[1975年]
(10)ガリー・ベルティーニ・イスラエル合唱団[2009年]
(11)ニコラ・ウリヴィエーリ[2009年]

以上すべて、イスラエルPO

※[ ]内は収録年、収録場所はすべてテルアビブ、マン・オーディトリアムにおけるライヴ
「イスラエル・フィルのレーベル」ヘリコン・クラシックスが、2011年に同オケが創立75周年を迎えたことを記念してリリースする企画アルバム。2011年12月現在のカタログから、比較的収録時期の新しめのライヴ演奏の聴きどころをCD2枚に凝縮しています。おおよそ1枚目が交響曲、2枚目が協奏曲という構成で、全22トラックを彩る顔触れは、終身音楽監督メータほか、ブロムシュテット、ベルティーニ、レヴァインといった指揮者陣、ブロンフマン、ブッフビンダー、バレンボイムらソリストとも、さすがに世界有数のオケにふさわしく豪華なものとなっています。 (Ki)
The IPO Heritage Series
HEL-029650
チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」
幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」
ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(指)
イスラエルPO

録音:1975年1月14日テルアビブ、マン・オーディトリアム(ライヴ・モノラル)
よく知られるように、ソビエト時代のロストロポーヴィチは、物理学者サハロフや作家ソルジェニーツィンを擁護したことにより、当局からみずからも反体制派分子とみなされ、演奏活動を大幅に制限されてしまい、ついに1974年、向こう2年間のビザを取得して出国し、そのままソビエト連邦より亡命することになります。西側に出て本格的に指揮活動をスタートさせたロストロポーヴィチは、リムスキー=コルサコフやプロコフィエフ、ショスタコーヴィチなどのロシアものでおおいにその本領を発揮し、レコーディングも次々と行ってゆきますが、なかでも当時、その旺盛な表現意欲と実力を世に広く知らしめた代表的録音が、チャイコフスキーの交響曲全集でした。じっさい、チャイコフスキーの「悲愴」は、ロストロポーヴィチにとってもよほど思い入れの強い作品なのでしょう。ロストロポーヴィチ指揮による「悲愴」では、ロンドン・フィルとの全集シリーズ中、1976年10月のロンドンのキングズウェイ・ホールにおけるセッション録音のほかにも、ゴルバチョフの招きでワシントン・ナショナル交響楽団を率いて16年ぶりに母国へ凱旋公演した際、1990年2月のモスクワ音楽院大ホールにおける演奏を収めたライヴ録音も知られています。また、「フランチェスカ・ダ・リミニ」については、同じくロンドン・フィルとの全集録音の流れで、1977年5月ロンドンのアビー・ロード・スタジオでセッション録音していました。20世紀後半を代表するチェロの大家としてのロストロポーヴィチは、野太い音色を武器に、スケールの大きな表現を持ち味としていましたが、そのスタイルはそのまま指揮のケースにも当てはまるといえるでしょう。このたび登場する音源は、1975年1月におこなわれたコンサートの模様をライヴ収録したもので、ここでは得意のチャイコフスキーを取り上げて、思いのたけのすべてをぶつけたような情熱的な演奏内容を聴かせてくれるものとおもわれます。イスラエル・フィル・アーカイヴスよりのデジタル・リマスタリング。 (Ki)
The IPO Heritage Series
HEL-029651
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱つき」 エルシー・モリソン(S)
ローリス・エルムズ(A)
ヴァルデマール・クメント(T)
デイヴィッド・ケリー(Bs)
テルアビブ・フィルハーモニーcho
ラファエル・クーベリック(指)
イスラエルPO

録音:1958年4月25日テルアビブ、マン・オーディトリアム(ライヴ・モノラル)
チェコ出身の指揮者ラファエル・クーベリックは、スメタナやドヴォルザークといった母国の音楽と同様に、モーツァルトからブルックナー、マーラーに至る独墺系の作品にもすぐれた演奏を聴かせ、遺された録音の多くがすぐれた内容として知られています。ベートーヴェンについても、クーベリックは手兵バイエルン放送響のほか、ウィーン・フィル、ベルリン・フィルなど、9つの世界屈指のオーケストラを振り分けた交響曲全集をはじめとして、知と情のバランスの取れた印象深い録音をいくつも残しました。こうしたなかで、クーベリックはベートーヴェンの「第九」を、1959年にロイヤル・フィルとモノラル・セッション録音、1974年にクレンペラー追悼演奏会でニュー・フィルハーモニアとステレオ・ライヴ録音、1975年に上述の交響曲全集企画としてバイエルン放送響とステレオ・セッション録音、1982年にバイエルン放送響とステレオ・ライヴ録音をおこなっています。また、ほかに1970年12月にはバイエルン放送響とのジルヴェスター・コンサートにおけるライヴ映像も収録していました。イスラエル・フィルとの顔合わせによる「第九」は1958年4月のライヴなので、現状でクーベリックがもっとも若い時期の記録ということになります。ちなみにイスラエル・フィルとはこの後1975年にも第4交響曲をセッション録音していますが、このときクーベリック43歳。17年後の1975年のバイエルン放送響盤との単純比較では、全曲で4分ほど短くなっており、ここでは壮年期のパワー漲る表現にも期待したいところです。
=トラック・タイム=
[イスラエル・フィル/1958年] T.15’34+U.11’14+V.14’56+W.(5’59+17’12)=65’23
[バイエルン・放送響/1975年] T.16’28+U.12’12+V.16’23+W.24’17=69’20
 (Ki)

The IPO Heritage Series
HEL-029652
ハイドン:ミサ曲第9番ニ短調「不安な時代のミサ(ネルソン・ミサ)」Hob.XXII-11
マーラー:亡き子を偲ぶ歌*
ルチア・ポップ(S)
イルゼ・グラマツキ(A)
ミーシャ・ライツィン(T)
岡村喬生(Bs)
テルアビブ・フィルハーモニーcho
モーリーン・フォレスター(A)*
イシュトヴァン・ケルテス(指)
イスラエルPO

録音:1973年4月、1971年4月* テルアビブ、マン・オーディトリアム(ライヴ・モノラル)
1973年4月16日、ケルテスはイスラエル・フィルに客演した際に、テルアビブの海岸を遊泳中の事故で世を去りますが、ハイドンの「ネルソン・ミサ」はまさにその直前1973年4月のライヴ。ソリストも粒ぞろいで当時34歳のポップをはじめ、何とバスには日本が誇る岡村喬生の名前が。岡村にとってケルテスは、ケルンで出会って以来の恩人であり、かけがえのない友人であったと云われ、その敬愛ぶりは2001年よりイシュトヴァン・ケルテス協会会長を務めるほど。その意味でもこれはきわめて重要なドキュメントといえるでしょう。カップリングは、伝説のコントラルト、モーリーン・フォレスターをソリストに迎えたマーラーの「亡き子を偲ぶ歌」。フォレスターは、“マーラーの直弟子”ワルター仕込みのマーラー歌いとして知られ、ここでも圧倒的な存在感を示しているものとおもわれます。すべてイスラエル・フィルの正規アーカイヴより、あらたにデジタル・リマスタリングを施した音源は、モノラルながら聴きやすいものとなっています。 (Ki)
HEL-029653
ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調op.55「英雄」
ラヴェル:高雅にして感傷的なワルツ
ジュゼッペ・シノーポリ(指)
イスラエルPO

録音:1993年10月28日テルアビブ、マン・オーディトリアム(ライヴ・ステレオ)
●シノーポリによるベートーヴェンの「エロイカ」
マーラーをはじめ、プッチーニやR.シュトラウスなど、シノーポリは後期ロマン派から近現代にかけての管弦楽曲ならびにオペラを得意としたことで知られ、 事実、そのあたりのディスコグラフィも充実していますが、どういうわけか古典派のレパートリーを正規のレコーディングで取り上げた例はごくわずかしか なく、ベートーヴェンも例外ではありません。 シノーポリによるベートーヴェンの交響曲といえば、1996年3月にゼンパーオーパーでシュターツカペレ・ドレスデンを指揮して「第9番」をライヴ録 音したアルバムと、シノーポリ最後の日本公演となった2000年1月に東京・NHKホールで、やはりシュターツカペレ・ドレスデンを指揮した「第9番」 のライヴ映像作品があったくらいなので、イスラエル・フィルとの「エロイカ」は、広く歓迎されるところといえるでしょう。 交響曲史上、規模・内容ともに画期的な作品として位置づけられる「エロイカ」に対して、シノーポリによるマーラーやプッチーニの演奏に顕著な、明晰 でありながら、極端なテンポ・ルバートが生み出す劇的なアプローチが、たとえば名高い葬送行進曲における慟哭表現や、手の込んだ変奏曲形式で書か れたフィナーレの扱いなどにどのように反映されているのかにも注目したいところです。
キャリア充実期のシノーポリによる注目ライヴ
このたび登場する「エロイカ」の収録は1993年10月におこなわれています。シノーポリにとって、1984年以来のフィルハーモニア管首席指揮者のキャ リアも仕上げの段階に差し掛かり、重要プロジェクトであったマーラーの交響曲シリーズも、この年の12月に第9番を録音、翌1994年1月、2月に 控える第3番でようやく完成という、大詰めの時期を迎えていました。 いっぽうで、前年の1992年に首席指揮者に就任したシュターツカペレ・ドレスデンとは、シューマンの交響曲全曲録音を完成するなど、まさしく新天地 での活動に燃えていた時期でもありました。
●高雅にして感傷的なワルツ
シューベルトのワルツをモチーフに着手された「高雅にして感傷的なワルツ」は、結果として和声法の限界点にまで接近したラヴェルの進歩的傑作。 シノーポリはこの作品を1989年12月にニューヨーク・フィルとセッション録音していたので、これが2種目の録音ということになりますが、全曲の演奏 時間について、ニューヨーク・フィルとの18分48秒に対して、イスラエル・フィルとの演奏では17分17秒と、およそ1分半、10パーセントほど速く なっています。 テンポ・表情の指定から8つの部分からなり、移ろうように刻刻と姿を変えゆく内容は、濃密なカンタービレを持ち味とし、主情的な踏み込みも辞さない シノーポリの個性がよく映える演目といえそうです。 (Ki)
HEL-029654
シェーンベルク:ワルシャワの生き残りOp.46
ブルックナー:交響曲第7番ホ長調*
フリートへルム・エーベルレ(語り)
イスラエル・オペラ合唱団男声cho
クルト・マズア(指)イスラエルPO

録音:2006年12月31日テルアビブ、マン・オーディトリアム(ライヴ・ステレオ)
1995年3月テルアビブ、マン・オーディトリアム(ライヴ・ステレオ)*
【マズア指揮によるブルックナーの交響曲】1970年から1996年までの長期に亘り、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のカペルマイスターを務め、今日に繋がる名声の足掛かりを築き上げたマズアは、1974年から1978年にかけて同オケとともにブルックナーの交響曲全集録音を完成させています(第7番は1974年収録)。さらにマズアは、メータの後任にあたるニューヨーク・フィルの音楽監督時代(1991-2002)に、1991年に第7番を、1993年に第4番を、いずれもライヴ録音していました。
【マズアお気に入りの第7交響曲】
当ライヴを含め現状で5種を数える第7番は、ブルックナーの交響曲のなかでもマズアが得意とする演目のようで、上記のほかにも1967年ロンドンにおけるシュターツカペレ・ベルリンとのライヴ録音、2003年のシュレスヴィヒ=ホルシュタイン祝祭管とのライヴ録音が知られているほか、現在でも客演を重ねているフランス国立管の音楽監督在任中(2002-2008)の2005年、2007年という具合に、実演でよく取り上げてもいました。【イスラエル・フィルによるレアなブルックナー録音】対照的に、イスラエル・フィルによるブルックナー録音といえば、1963年にライヴ収録された第9番(HEL029625)のほか、1987年にフランクフルトでライヴ収録された第8番の映像作品、1989年にセッション録音された第0番と第8番くらいでごく数点しかなく、これらはすべてメータ指揮によるものでした。ブルックナーのおおきな魅力のひとつに、息の長い緩徐楽章の美しさが挙げられますが、そのままこれは優秀な弦楽セクションを誇るイスラエル・フィルにとっておおいに真価を発揮する場面ともいえそうで、数多くブルックナーを手掛けてきたマズアとの顔合わせはたいへん興味の尽きないものといえるでしょう。
【イスラエル勢による迫真の「ワルシャワの生き残り」】
カップリングの「ワルシャワの生き残り」は、ベートーヴェンの第9交響曲とともに、イスラエル・フィル創立70周年を迎えた2006年のジルヴェスター・ガラで演奏されたもの。第2次大戦中のホロコーストという、ナチがおこなった未曾有の残虐行為を扱った内容に対して、ここでイスラエルの演奏陣がみせる息詰まる音楽は想像以上で、終盤、男声合唱が「聞け、イスラエル」という歌うくだりに至っては鬼気迫るものがあります。語りを担当するフリートへルム・エーベルレは1935年生まれのドイツの名優。エーベルレは、マズアが1988年にグリーグの「ペールギュント」のセッション録音をおこなった際にも語りとして参加していました。 (Ki)
HEL-029655
エルガー:ヴァイオリン協奏曲ロ短調Op.61
バッハ:ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調BWV.1041*
ピンカス・ズッカーマン(Vn)
ズービン・メータ(指)イスラエルPO

録音:2006年4月8日、1986年12月29日* 共にテルアビブ、マン・オーディトリアム(ライヴ・ステレオ)
【ズッカーマン3種目となるエルガーのヴァイオリン協奏曲】
エルガー53歳、もっとも創作の盛んであった時期に書かれたヴァイオリン協奏曲は、長年独学で習得してきたヴァイオリンの技巧を駆使しながら、劇的でむせかえるような濃厚な味わいと一連の作品に通じる高貴な佇まいとを湛えた大曲で、初演者クライスラーに献呈されています。ズッカーマンもこの曲に惚れ込んだひとりで、1976年にバレンボイム指揮ロンドン・フィルとセッション録音、1992年にレナード・スラットキン指揮セントルイス響とセッション録音していますが、前回より14年ぶりとなる2006年のライヴは、イスラエル・フィルが創立70周年を迎えたシーズンに果たした生地テルアビブでの公演ということで、母国の聴衆を前に熱のこもった内容が期待されるところです。
【ガラミアン仕込みの美音したたるJ.S.バッハの協奏曲】
カップリングのバッハのヴァイオリン協奏曲第1番は、エルガーより20年前、イスラエル・フィル創立50周年にあたる1986年の演奏。1948年生まれのズッカーマンは、1969年のレコード・デビュー以来、40年以上におよぶキャリアのなかで、J.S.バッハのヴァイオリン協奏曲をすべて録音していて、第1番については、1990年のイギリス室内管との顔合わせを含め、過去に2度弾き振りでレコーディングしていました。アイザック・スターンに見出され、ジュリアード音楽院で名教師ガラミアンに師事したズッカーマンといえば、ガラミアン門下屈指の美音で幅広い人気を博してきましたが、ここでも世にも美しいバッハを堪能できるものとおもわれます。 (Ki)

HEL-029656(2CD)
マーラー:交響曲第9番 レナード・バーンスタイン(指)
イスラエルPO

録音:1985年8月25日テルアビブ、マン・オーディトリアム(ライヴ)
【日本公演でのイスラエル・フィルとのマーラー第9番】
ただ、これらのレコーディングとは別に、比較するもののない空前絶後の大演奏として語り草となっているのが、1985年9月の来日公演でバーンスタインが指揮したマーラーの第9番。終身桂冠指揮者としてイスラエル・フィルを率いた全9公演のうち、マーラーの第9番を演奏したのは4公演、なかでも初日3日の大阪・フェスティバルホールと、8日の東京・NHKホールがことのほか凄絶な内容であったとは衆目の一致するところのようで、8日の東京公演を目の当たりにした音楽評論家の許光俊氏も、当時を振り返り次のように述べています。「実際、あれ以後、この曲でそれ以上の演奏は聴いていません。期待もしていないほどです。あまりに強烈すぎて、あれ以上のは、バーンスタイン自身が蘇らない限りあり得ないと思われます。」
【日本公演直前のライヴ】
このたび登場する音源は、歴史的とまで騒がれたその日本公演の直前、1985年8月25日にテルアビブにある本拠マン・オーディトリアムでおこなった同一プログラムのコンサートの模様を収めたものです。バーンスタインにとって本公演に臨むにあたり、上記のように、同じ年の5月29日から6月3日にかけてアムステルダムでロイヤル・コンセルトヘボウ管とマーラーの第9交響曲のライヴ収録を終えていることもプラスに働いているようにおもわれますし、晩年の様式に顕著な途方もないスケールと感情移入全開の歌い込みが特徴のRCO盤とは演奏時間もほぼ同じであることからも、ここでもほとんど同傾向の演奏内容がおこなわれているとみて間違いないでしょう。率直なところ、時期もほとんど同じに、バーンスタインがイスラエル・フィルとマーラーの第9番を取り上げていたことも驚きですが、音源がこのような形で残されていたことに感謝の念を禁じ得ません。日本公演の内容が未だCD化の目処すら立っていない現状では、このたびのリリースの価値はファンにははかりしれないものといえそうで、長年の渇きを癒すに足る内容の可能性に期待したいところです。 (Ki)

=トラック・タイム=
1985年IPO/29:27+16:43+12:07+30:15=88:32
1985年RCO/29:52+17:26+11:47+29:34=88:39
1979年BPO/27:31+15:49+11:59+26:03=81:22
1971年VPO/27:24+16:06+11:28+25:48=80:46
1965年NYP/28:26+15:52+12:30+23:03=79:51

HEL-029657(2CD)
ハイドン:オラトリオ「天地創造」 バーバラ・ヘンドリックス(S 天使ガブリエル、イヴ)
クリス・メリット(T 天使ウリエル)
ジョゼ・ヴァン・ダム(Br 天使ラファエル、アダム)
パリ管弦楽団Cho
ズービン・メータ(指)イスラエルPO

録音:1986年12月25日テルアビブ、マン・オーディトリアム(ライヴ・デジタル)
イスラエル・フィルにとって1986年は、節目となる重要な年でした。半世紀前の1936年に名ヴァイオリニスト、フーベルマンの呼びかけに応じて集まっ た数多くのユダヤ人音楽家たちは、トスカニーニの指揮により同じく1936年12月26日にテルアビブで楽団の創立記念演奏会を開いています。 このたび登場するハイドンの「天地創造」は、イスラエル・フィル創立50周年を迎えた1986年12月25日のクリスマスに、1936年生まれで楽団と 同様に50歳を迎えたメータが、イスラエル・フィルを指揮しておこなったコンサートの模様をライヴ収録したものです。 ハイドンの最高傑作ともいわれるオラトリオ「天地創造」は、ユダヤ教の重要な聖典とされる旧約聖書の「創世記」と「詩篇」、ミルトンの「失楽園」を テキストの題材として、神による創造の第1日から第4日まで、生き物が出現する第5日と第6日、そしてアダムとイヴの登場と、創世の七日間を時系 列に沿って3部構成で描いています。 このように直截的にユダヤ教、キリスト教に共通する世界観で彩られた内容と、絵画的ともいうべき巧みな手法でわかりやすく活写される動物たちの魅力や、 大合唱が動員されて聞き栄えすることなどから、欧米ではとりわけ人気も高く特別な作品として迎えられ、年末から年始にかけて取り上げられる機会も多く、 クリスマス・シーズンの風物詩ともなっています。 こうした内容だけに、演奏会の時期も併せて、プログラムに「天地創造」が選ばれたのはイスラエル・フィル創立50周年の特別な年を締め括るにふさわ しいとの判断がはたらいてのことなのでしょう。 ソリストには、ヘンドリックス、メリット、ヴァン=ダムと、世界的なスター歌手が揃えられ、合唱には、1976年に創設され10周年のアニヴァーサリー を迎えたパリ管弦楽団合唱団を迎えて、とびきりのイベントに華を添えています。 ワーグナーやヴェルディのオペラでのたしかな手腕で知られるメータは、大規模な声楽作品についても、たとえば2009年にイスラエル・フィルとライヴ収 録した「ドイツ・レクィエム」などからもわかるように、ここでもドラマティックな音楽運びでおおいに盛り上がりをみせているものとおもわれます。 ちなみに、メータによるハイドンといえば、実演ではウィーン・フィルと交響曲第103番や第104番、第12番なども取り上げ、交響曲第22番をライ ヴ収録していたほか、音楽監督に就任した1998年にバイエルン州立歌劇場管とは「戦時のミサ」の映像作品も残していました。 (Ki)
HEL-029658(2CD)
シェーンベルク:グレの歌
浄められた夜Op.4(弦楽合奏版)*
ダニエル・キルヒ(T ヴァルデマール王)
ジェニファー・ウィルソン(S トーヴェ)
ダニエラ・デンシュラグ(A 山鳩)
 アレクサンドル・ツィンバリュク(Bs 農夫)
ニクラス・ビョルリンク・リーゲルト(T クラウス)
イタイ・ティラン( 語り)
プラハ・フィルハーモニーCho
ガリー・ベルティーニ・イスラエルCho
ズービン・メータ(指)イスラエルPO

録音:2011年7月31日、2006年 4月* テルアビブ、マン・オーディトリアム(ライヴ・デジタル) (ライヴ)
巨匠ズービン・メータが手兵イスラエル・フィルを指揮して、シェーンベルク初期のふたつの代表作、「グレの歌」と「淨められた夜」をライヴ録音した 注目のアルバムがHelicon Classicsに登場します。 =メータ20年ぶりの「グレの歌」ライヴ再録音= 「グレの歌」は、メータがイスラエル・フィル終身音楽監督に就任して30年目を迎えた2011年7月のライヴ録音。メータは1991年5月に、13年間 に亘り音楽監督を務めたニューヨーク・フィルとの最終公演で同曲を取り上げた際の模様を収めたアルバムを発表していたので、20年ぶりの再録音とい うことになります。 ちなみに、メータは、この翌年2012年6月にもウィーンのムジークフェラインでウィーン・フィルを指揮して「グレの歌」を演奏していますが、破格に巨 大な編成を擁する作品の性格から実演での上演が稀である現実を踏まえると、むしろ近年のメータの本作への入れ込みぶりが窺い知れます。なお、この 上演では、重要な役どころである山鳩のデンシュラグ、農夫役のツィンバリュクがこのアルバムと同一のキャスティングとなっていました。 「グレの歌」は声楽陣だけでも、5人の独唱者、3群の男声四部合唱、混声八部合唱を加えた300人近い人員を要することから、ここでは地元の合唱団 のほか、世界有数の実力派団体として知られるプラハ・フィルハーモニー合唱団をゲストに迎えていて、やはりメータの気合の入り具合が伝わってきます。 =イスラエル・フィル弦楽セクションの真価が発揮された「淨められた夜」= メータの「淨められた夜」については、1967年にロサンジェルス・フィルを指揮したDECCAのセッション録音と、2003年にバイエルン州立歌劇場管 弦楽団を指揮したFARAOのライヴ録音がリリース済みでしたので、イスラエル・フィルとのライヴ録音は、前作より3年ぶり、通算3種目の内容という ことになります。 ブラームスの第4交響曲(2006年)、マーラーの「夜の歌」(2007年)など、ここ最近のメータによる充実の指揮ぶりはHELICONのリリースを通じて 確かめられますが、ここではイスラエル・フィル看板の弦楽セクションが奏でる「淨められた夜」というポイントだけで、もはや説明不要でしょう。むせか えるような官能美を期待したいところです。 (Ki)
HEL-029659(2CD)
ベン=ハイム:オラトリオ「ヨラム」 カタリナ・ペルシケ(S)
カルステン・ズュース(T)
ベルント・ヴァレンティン(Br)
ミクローシュ・シェベシュチェーン(Bs)
ミュンヘン・モテットCho
ハイコ・ジーメンス(指)イスラエルPO

録音:2012年4月3日テルアビブ大学、スモラルツ・オーディトリアム(ライヴ・ステレオ)
「イスラエル音楽の父」のひとりと称されるパウル・ベン=ハイムは、イスラエルに移住してその名を名乗る以前の1897年、パウル・フランケンブルガー としてミュンヘンで誕生しました。生地でフリードリヒ・クローゼに作曲を師事、1920年から24年にかけてブルーノ・ワルターとハンス・クナッパーツブッ シュのアシスタント・コンダクターを務めたのち、1924年から31年までアウグスブルク歌劇場のカペルマイスターを務めていましたが、31年、ユダヤ 人の同僚皆と共に解雇されてしまいます。 その年に故郷ミュンヘンの家族のもとに戻ると、ベン=ハイムは若いころから作曲を夢見ていた作品、「ヨラム」の仕事に取り掛かります。けれども、完成 したときには、すでにナチが権力を掌握しており、このオラトリオは作曲後、自筆譜のまま遺され、45年間一度も演奏される機会の無かった、いわば「幻 の作品」となっていたものです。(1979年にテルアビブでヘブライ語訳版により一部が演奏されています)
1933年2月にナチの政権奪取後、ミュンヘンからベン=ハイムが逃れる直前に完成したオラトリオ「ヨラム」ですが、東プロイセン生まれのユダヤ系 詩人ルードルフ・ボルヒャルト(1877−1945)の叙事詩「ヨーラムの書」(1907)に基づく内容は、聖書のヨブ記を題材としたもので、J. S. バッハ の受難曲からメンデルスゾーンの「エリヤ」に至る、ドイツ・ロマン派のオラトリオの偉大な伝統に連なることを念頭に書き上げられた記念碑的作品です。
ハイコ・ジーメンスは、1954年にシュレスヴィヒ・ホルシュタインに生まれたドイツの教会音楽家であり、2008年11月8日にミュンヘンで、オリジ ナルの独語テキストによる「ヨラム」世界初演を成功に導いた指揮者です。このアルバムは、ジーメンスがイスラエル・フィルを指揮して、2012年4月 3日にエルサレムで行った、オリジナルの独語版「ヨラム」の記念すべきイスラエル初演時の模様をライヴ収録したもので、この大作の世界初録音となり ます。 ジーメンス以下、魂の響きそのもののイスラエル・フィルの気合いの入ったアンサンブルに加えて、世界初演時と同じくミュンヘン・モテット合唱団を迎え た万全の布陣によって、およそ2時間に亘り、熱のこもった演奏内容が繰り広げられています。 (Ki)
HEL-029660
ベートーヴェン:「エグモント」〜序曲/第1曲:クレールヒェンの歌「太鼓をうならせよ」/第2曲:間奏曲第1番/第3曲:間奏曲第2番/ 第4曲:クレールヒェンの歌「喜びにあふれ、また悲しみに沈む」/第5曲:間奏曲第3番/第6曲:間奏曲第4番/第7曲:クレールヒェンの死/第9曲:戦いのシンフォニー
交響曲第7番イ長調op.92
シャロン・ロストルフ=ザミール(S)
クルト・マズア(指)イスラエルPO

録音:2012年3月31日テルアビブ大学、スモラルツ・オーディトリアム(ライヴ・ステレオ)
ドイツを代表する巨匠指揮者クルト・マズアが、85歳を迎える2012年に終身名誉客演指揮者を務めるイスラエル・フィルを指揮して、ベートーヴェ ンの交響曲第7番と劇音楽「エグモント」を演奏したコンサートの模様をライヴ収録したアルバムが登場します。 【マズアのベートーヴェン】 マズアによるベートーヴェンの交響曲といえば、まず思い起こされるのが1970年から96年までカペルマイスターを務めたライプツィヒ・ゲヴァントハウ ス管弦楽団と完成させたふたつの全集録音でしょう。 マズアがカペルマイスターに就任して間もない時期の1972年から73年にかけてドレスデンのルカ教会で行った1回目のセッション録音と、さらに同ポ ストの仕上げ段階を迎えた1987年から93年にかけてライプツィヒの新ゲヴァントハウスで行った2回目のセッション録音とは、いずれもゲヴァントハウ ス時代の重要な業績として高い評価を獲得していました。 このほかにもマズアは、音楽監督在任中(1991−2002)のニューヨーク・フィルを指揮して、1992年に第5番のセッション録音や、1999年のジル ヴェスター・コンサートにおける第9番のライヴ録音を行っていましたし、2002年11月には音楽監督に就任後のフランス国立管を指揮して第2番と第 6番を演奏したシャンゼリゼ劇場でのライヴ録音を発表していたことからも、マズアにとってベートーヴェンが重要なレパートリーであることがよくわかります。 【マズア指揮のベートーヴェンの第7番と「エグモント」】 マズア指揮によるベートーヴェンの第7番は、上記のゲヴァントハウス管とのふたつの全集中の録音が、1972年11月と1990年11月に行われていた ので、第1回目の録音からじつに29年ぶり、前作からも11年ぶり、このたびのイスラエル・フィルとの演奏はマズアにとって3種目の内容ということに なります。  いっぽう、マズアは「エグモント」について、1973年にゲヴァントハウス管を指揮して序曲をセッション録音していたほか、1992年にニューヨーク・フィ ルを指揮して序曲を含む全曲をセッション録音していました。ここでは第8曲メロドラマを除いた、全9曲での演奏となっています。  なお、会場のスモラルツ・オーディトリアムは、テルアビブ大学内にあるホール(座席数1,200)。1957年の開設より半世紀を経て改修工事中の本拠マン・ オーディトリアム(座席数2,760)との音響条件の違いも興味深いところです。 (Ki)
HEL-029661
ロッシーニ:スターバト・マーテル セレーナ・ファルノッキア(S)、
リナ・シャハム(Ms)、
コスミン・イフリム(T)、
シモン・オルフィラ(Bs)、
ガリー・ベルティーニ・イスラエルCho
アッシャー・フィッシュ(指)イスラエルPO

録音:2012 年 6月/テルアビブ、スモラルツ・オーディトリアム(ライヴ )
バレンボイムの愛弟子にして、Melbaレーベルにワーグナーの「ラインの黄金」全曲を録音するなど注目著しいイスラエルの若手、アッシャー・フィッシュ。 彼の最新盤登場です。曲はロッシーニの「スターバト・マーテル」。宗教曲ながらロッシーニならではの劇場的感覚と美しいメロディに満ちたオペラ・ファ ン大喜びの世界、エネルギッシュで爆演系のフィッシュ向きと申せましょう。日本でもお馴染みのソプラノ、ファルノッキアの張りのある声、イフリムやオル フィラなどオペラ歌手総出で声楽の素晴らしさを満喫させてくれます。 (Ki)
HEL-029662
リムスキー=コルサコフ:シェエラザード
ロドリーゴ:アランフェス協奏曲*
アンヘル・ロメロ(G)*
イアン・マクアダムス(指)イスラエルPO

録音:2012 年 5月11-13日/テルアビブ、スモラルツ・オーディトリアム(ライヴ )
1982年生まれのアメリカの指揮者ライアン・マクアダムスがイスラエル・フィルを振った記念すべきアルバム。本当はラファエル・フリューベック・デ・ ブルゴスが振る予定となっていましたが、ドタキャンしたため、マクアダムスに白羽の矢が立ちました。彼はこの代役を見事にこなし、今後のイスラエル・フィ ルとの仕事に大きく期待できます。曲はリムスキー=コルサコフの「シェヘラザード」。イスラエル・フィルのような高性能オーケストラにピッタリの演目で、 弦のたっぷりした響きがこのうえなく魅力的。この曲独特の中近東的色彩も濃厚に表れ、最高に理想的な演奏となっています。ロドリーゴの人気曲「アラ ンフェスの協奏曲」は名人アンヘル・ロメロの独奏。円熟の度が深まり、魔術的な演奏を披露しています。 (Ki)
HEL-029663
ハイドン:交響曲第60番ハ長調 「うっかり者」
交響曲104番 ニ長調「ロンドン」
ピアノ協奏曲 ニ長調 Hob.XVIII-11
マヤ・タミル(P)
ヨエル・レヴィ(指)イスラエルPO

録音:2012年4月30日(イェルサレム・シアター/フライデイ・モーニング・インテルメッツォ・シリーズ・コンサート(ライヴ))
1950年ルーマニア生まれの名匠ヨエル・レヴィによるハイドン。イスラエル・フィルの首席客演指揮者、イル・ド・フランス国立管の首席指揮者など を務めています。アトランタ響とのCD(TERARC)でもおなじみですが、このたび、2012年のイスラエル・フィルとのライヴ録音が登場するはこびとな りました。 注目なのが、ピアノ協奏曲でソリストを務めたピアニスト、マヤ・タミル。彼女はこの録音当時12歳というイスラエルの天才少女ピアニストで、ハイドン の名曲を、絶妙なテンポ感、細やかなデュナーミクの変化をつけながらも、子供らしい気持のよいまっすぐな演奏で弾ききっています。レヴィとオーケスト ラの献身的なサポートも印象的。ハイドンの交響曲第60番は劇付随音楽で、原作となった劇の主人公の、うっかりした性格を反映して、笑いをさそう要 素が職人ハイドンによって盛り込まれていますが、ヨエル・レヴィはきびきびとした指揮ぶりでこれらの要素を効果的に響かせています。「ロンドン」でも、 イスラエル・フィルのみずみずしい音色の弦楽器パートが光ります。き(Vn)
HEL-029664(2CD)
ヘンデル:オラトリオ「メサイア」 ヘザー・ハーパー(S)
アルフレダ・ホジソン(Ms)
ロバート・ティアー(T)
ベンジャミン・ラクソン(Bs)
シンギング・シティ・コア・オブ・フィラデルフィア
ズービン・メータ(指)イスラエルPO

録音:1974年12月31日テルアビブ、マン・オーディトリアム(ライヴ・ステレオ)
オラトリオ「メサイア」は、巨大な合唱を扱った宗教的な荘厳さもさることながら、聖書からまとめられたテキストを通じて、キリストの生誕と死、 そして復活をときに親しみやすく、ときにドラマティックに迫真を込めて描いているところに、ヘンデルの天才的なセンスが冴え亘り、そうしたわかり やすくセレモニアルな内容から、ユダヤおよびキリスト教圏のクリスマス・シーズンには欠かせない人気のプログラムともなっています。 メータがイスラエル・フィルを指揮して、ヘンデルの「メサイア」を演奏したアルバムは、1974年のジルヴェスター公演の模様を収めたもの。楽団の 演奏史上いまも語り草といわれるこのライヴは、ソリストにハーパー、ホジソン、ティアー、ラクソンとイギリスを代表する世界的な顔ぶれたちを揃え ていることに加えて、合唱も、フィラデルフィア市長とアメリカ合衆国国務省の肝いりで、1948年に結成されたシンギング・シティ・コア・オブ・フィ ラデルフィアの総勢100人を迎えるという、その陣容からもたいへん力の入ったものだったことがうかがえます。 また、メータ指揮の「メサイア」は正規リリースとしてはおそらく初登場となるレパートリーと思われるので、これはたいへん貴重な内容といえるでしょう。 ※ブックレットおよびインレイは誤表記でモノラルとなっていますが、実際はステレオ録音です。 (Ki)
HEL-029665
シェーンベルク:交響詩「ペレアスとメリザンド」op. 5
管弦楽のための変奏曲op. 31
ズービン・メータ(指)イスラエルPO

録音:1988年テルアビブ・マン・オーディトリアム(ライヴ・ステレオ)
1975年テルアビブ・マン・オーディトリアム(ライヴ・ステレオ)
メータとイスラエル・フィルにとって、両看板のマーラー演奏にも通じるシェーンベルクの代表的なオーケストラ曲2篇を演奏した興味深いアルバム。交響詩「ペレアスとメリザンド」が1988年、「管弦楽のための変奏曲」が1975年にいずれもテルアビブのマン・オーディトリアムで行われたコンサートのライヴ音源からのCD化で、録音状態良好なステレオ収録というのもおおきな魅力となっています。キャリアの初期よりメータが、実演とレコーディングの双方を通じて、シェーンベルク作品を好んで取り上げてきたのはよく知られています。ここでの2曲について、メータは「管弦楽のための変奏曲」を、1968年にロサンジェルス・フィルを指揮してデッカにセッション録音しており、「ペレアスとメリザンド」を1989年6月に同じイスラエル・フィルを指揮してソニーにセッションでレコーディングしていました。そのルーツゆえにイスラエル・フィルもまた、シェーンベルクを主要レパートリーのひとつに位置付けていて、やはりメータが指揮した「グレの歌」(2011年)と「淨夜」(2006年)のライヴ演奏(HEL029658)では、作品に寄せる互いの共感の深さもあって、熱気を孕んだ内容を聴かせていたことも思い起こされます。※ブックレットおよびインレイは誤表記でモノラルとなっていますが、実際はステレオ録音です。

HEL-029666
プロコフィエフ:バレエ「ロメオとジュリエット」〜モンタギュー家とキャピュレット家/ロメオとジュリエット/百合の花を手にした娘たちの踊り/ジュリエットの墓の前のロメオ/タイボルトの死
レスピーギ:交響詩「ローマの松」
 ボッティチェッリの3枚の絵
ズービン・メータ(指)
イスラエルPO

録音:1979 年 6月23日/テルアビブ、マン・オーディトリアム(ステレオ・ライヴ)
メータがイスラエル・フィルとの一夜のコンサートで取り上げた、プロコフィエフの「ロメジュリ」、レスピーギの「ローマの松」「ボッティチェッリの3枚の絵」といったプログラムは、いかにもメータが得意とするところですが、意外にもこれまでカタログになかったレパートリーであり、その意味でもたいへん価値ある内容といえるもの。収録がおこなわれた1979年といえばメータ43歳。思い切りのよい音楽づくりで迫力満点のサウンドを聴かせるアルバムを次々と発表して、おおいに名を馳せていた頃。メータが乗りに乗っていたその時期に、抜群の相性のイスラエル・フィルを指揮して、色彩的で鳴りっぷりの良い名曲を取り上げた、三拍子揃ったステレオ・ライヴは、幸いアーカイヴの保存状態が良く音質も上々で、期待を裏切らない仕上がりとなっております。※ブックレットおよびインレイは誤表記でモノラルとなっていますが、実際はステレオ録音です。 (Ki)
HEL-029667(4CD)
メータ&イスラエルPO/フーベルマン週間音楽祭30周年
(1)バッハ:2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調BWV 1043
(2)バッハ:ブランデンブルク協奏曲第6番変ロ長調BWV 1051
(3)ヴィヴァルディ:2つのヴァイオリンのための協奏曲イ短調op. 3-5, RV 522
(4)ヴィヴァルディ:3つのヴァイオリンのための協奏曲ヘ長調RV 551
(5)ヴィヴァルディ:4つのヴァイオリンのための協奏曲ロ短調RV 580
(6)ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ニ長調op. 61
(7)チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲ニ長調op. 35
(8)メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調op. 64
(9)エルガー:ヴァイオリン協奏曲ロ短調op. 61
(10)シベリウス:ヴァイオリン協奏曲ニ短調op. 47
(11)バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第2番Sz 112
全て、ズービン・メータ(指)
イスラエルPO

(1)アイザック・スターン(第1Vn)、
 シュロモ・ミンツ(第2Vn)
(2)ピンカス・ズッカーマン(Vn)、
ダニエル・ベンヤミニ(Va)
(3)ヘンリク・シェリング、
 ハイイーム・タウブ(Vn)
(4)アイザック・スターン、
ロイ・シロアッフ、シーラ・ラヴィン(Vn)
(5)アイザック・スターン、
 シュロモ・ミンツ、イダ・ヘンデル、
 イヴリー・ギトリス(Vn)
(6)イツァーク・パールマン(Vn)
(7)ヘンリク・シェリング(Vn)
(8)シュロモ・ミンツ(Vn)
(9)ピンカス・ズッカーマン(Vn)
(10)イダ・ヘンデル(Vn)
(11)イヴリー・ギトリス(Vn)

録音:1982年12月13-19日(ライヴ)
ディジパック、紙スリーヴ・ケース付
ヴァイオリン・ファンが泣いて喜ぶフーベルマン週間音楽祭のライヴ音源が登場!この音楽祭はブロニスワフ・フーベルマンの生誕100周年という機会に ズービン・メータが企画したもので、アイザック・スターン、イダ・ヘンデル、イヴリー・ギトリス、ヘンリク・シェリング、イツァーク・パールマンなどの ヴァイオリン界の巨匠が一堂に会した1982年12月に行われたものです。この音楽祭の最大の魅力は豪華すぎるとも言える競演陣でシェリングをはじめ とするフーベルマンに師事していたヴァイオリニストから、その後継者と言えるパールマン、ズッカーマン、ミンツなどの当時の若手・中堅のヴァイオリニ ストも参加していることです。 音楽祭ならではの盛り上がったライヴですが、演奏はいずれも抜群!バッハのドッペル(スターン&ミンツ)やヴィヴァルディの4つのヴァイオリンのため の協奏曲(スターン、ミンツ、ヘンデル、ギトリス)では個性のぶつかり合いとも言える熱演でこのメンバーでしか表現することのできない衝撃の演奏を聴 くことができます。 一方、シェリング&ハイイーム・タウブ(1969年から1988年までイスラエル・フィルのコンサートマスターをつとめたヴァイオリニスト)のヴィヴァルディ は硬派なアンサンブルを聴かせてくれます。また、各ヴァイオリニストがソロをつとめた演目ではソリストの得意中の得意のレパートリーを披露しており、パー ルマン(ベートーヴェン)、シェリング(チャイコフスキー)、ズッカーマン(エルガー)、ヘンデル(シベリウス)、ギトリス(バルトーク第2番)と名演揃 いなのも嬉しい限りです。これだけのメンバーの演奏を1週間の間に聴くことができたのは後にも先にもないほど充実した演奏会であったことは言うまで もありません。音楽週間最終日(1982年12月19日)はフーベルマン生誕100周年に当たり、この偉大なヴァイオリストの功績を称えた歴史的な演 奏会となりました。

HEL-029672(3CD)
チャイコフスキー:歌劇「スペードの女王」 リーザ:カリーナ・A・フローレス(S)、
ゲルマン:オレグ・クルコ(T)
エレツキー侯爵:アルバート・シャギドゥリン(Br)
伯爵夫人:ニーナ・ロマノヴァ(Ms)
トムスキー伯爵:セルゲイ・レイフェルクス(Br)
ポリーナ:エカテリーナ・セメンチュク(A)
チェカリンスキー:ヴィアチェスラフ・ヴォイナロフスキ(T)
スリン:マキシム・ミハイロフ(Bs)
家庭教師:オリガ・シャラエヴァ(Ms)
ガリー・ベルティーニ・イスラエルcho
アンコールcho
ヴラディーミル・ユロフスキ(指)
イスラエルPO

録音:2012年11月11,14,16日/スモラルツ・オーディトリウム(テル・アヴィヴ)
ユロフスキ、イスラエル・フィルとの初共演となった公演「スペードの女王」のライヴ録音の登場です。歌唱陣もロシア勢を中心とした布陣。ギャンブ ルのおそろしさを描き、主人公は二人とも自殺してしまうというストーリーながらも、各所に盛り込まれた美しく洗練された音楽が魅力の本オペラ。ユロ フスキの楽団と歌唱陣をまとめあげる力量が遺憾なく発揮された名演奏となっています。第1幕のリーザの部屋の場面であらわれる様々な美しい旋律、第 2幕の舞踏会のシーンとそれに続く伯爵夫人のアリアの胸を打つアリオーソ、フィナーレの場面まで、チャイコフスキーの美しい旋律と響き、そして熱に魅 了されます。 (Ki)

HEL-029673
ボロディン:歌劇「イーゴリ公」序曲
ベルリオーズ:幻想交響曲op.14a 
ジャナンドレア・ノセダ(指)
イスラエルPO

録音:2014年1月4、5、10、11日/テルアビブ、チャールズ・ブロンフマン・オーディトリアム(ライヴ)
ジャナンドレア・ノセダが、2011年より首席客演指揮者を務めるイスラエル・フィルを指揮して、ベルリオーズの幻想交響曲をレコーディング。大規模 な音響改修が施されてあらたに生まれ変わった本拠マン・オーディトリアム改め、ブロンフマン・オーディトリアムで、2014年1月におこなわれたコンサー トをライヴ収録したものです。  1964年ミラノ生まれのノセダは、1997年にカダケス管弦楽団指揮コンクール入賞を皮切りに、同年マリインスキー劇場から外国人初の首席客演指 揮者として迎えられ、2007年にはトリノ王立劇場の音楽監督に就任するなど、現在に至るその活躍にはめざましいものがあります。 2011年いっぱいで、9シーズン務めたBBCフィルの首席指揮者を勇退(現在は桂冠指揮者)したノセダはあらたに率いるイスラエル・フィルとも良好な 関係を築いているようで、当コンビは2014年春に初の合衆国ツアーを敢行することになっています。 ここでの演奏内容もまさしくその好調ぶりを示すもの。ノセダのスケールゆたかで劇性に富んだ音楽運びとともに、オーケストラの地力のほどもよくうかが えて、たとえば、幻想交響曲の前半3楽章で聴かれる弦の美しさには、さすがは楽団設立以来の伝統を思わせるものがあります。  なお、ノセダはこのたびのアルバムをヘリコン・クラシックス第1弾として、今後も、継続的にイスラエル・フィルとアルバム製作をしてゆくとのことですので、 おおいに期待されるところです。 (Ki)
HEL-029674
ブルックナー:交響曲第8番ハ短調WAB. 108(1890年稿/ノーヴァク版) ズビン・メータ(指)イスラエルPO

録音:2013年12月15、16、17日/
テルアビブ、チャールズ・ブロンフマン・オーディトリアム(ライヴ)
HEL-029675
ブルックナー:交響曲第7番ホ長調WAB. 107(ノーヴァク版) ズビン・メータ(指)イスラエルPO

録音:2012年7月8、9日/テルアビブ大学、スモラルツ・オーディトリアム(ライヴ)
巨匠メータが長年の手兵イスラエル・フィルを指揮して、ブルックナーのふたつの交響曲をレコーディング。第7番が2012年7月、第8番が2013 年12月に、いずれもテルアビブでおこなわれたコンサートをライヴ収録したものです。  メータにとって、第8番がイスラエル・フィルとは、1987年のフランクフルトでライヴ収録された映像作品、1989年2月のセッション録音に続いて 24年ぶり3種目、ほかにも1974年のロス・フィルとのセッション録音や2005年にコンセルトヘボウ管を指揮したライヴ盤を含めると、6種目の内容 となります。いっぽう、第7番は正規2種目、イスラエル・フィルとは初のレコーディング。  メータによるブルックナーの交響曲録音といえば、これまでのところ、第0番、第4番、第7番、第8番、第9番の5曲が知られていて、なかでも 若き日のメータが1965年5月に名門ウィーン・フィルを指揮してデッカにおこなった第9番は、ゾフィエンザールを満たすゆたかな響きを捉えた名録音 としても有名ですが、メータはちょうどその2年前の1963年5月に、イスラエル・フィルを指揮して第9番を演奏してもいました(HEL029625)。  資料によると、その後もメータは、第7番以降の3曲については、実演で取り上げる頻度も高く、それだけに思い入れの強いナンバーであることを伺 わせますが、ここでのふたつの演奏は、最新の録音で音質がすぐれていることに加えて、巨匠が半世紀以上に亘り信頼関係を築き上げてきた楽団とともに、 じっくり深めてきたブルックナー演奏を味わえるものとして期待されます。  なお、第8番の収録会場であるチャールズ・ブロンフマン・オーディトリアムとは、改称後のマン・オーディトリアムのことで、2013年の大規模な音 響改修の際に、多大な寄付で貢献した人物の名を冠しています。イスラエル・フィルの本拠がどのようなサウンドに様変わりしたかを確かめるのも興味深 いところといえそうです。  最後に、使用楽譜の版について。第8番はメータが指揮した過去5種の録音と同じく、ノーヴァク版に拠る演奏で、アルバムにはハース版と表記され ている第7番も、じっさいに音源にあたり確認したところ、過去のメータの実演同様に、ここでもノーヴァク版に拠る演奏となっています。 (Ki)
HEL-029678
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
序曲「エグモント」*
ズービン・メータ(指)
イスラエルPO

録音:2013年、1981年*
イスラエル・フィルの終身音楽監督を務めるメータによるエロイカの登場。切れ味鋭く、かつ豪快なならしっぷりで、名曲をあらためて新鮮に聴かせます。 (Ki)

HEL-029679(13CD)

イスラエル・フィル創立80周年記念ボックス

■CD1
(1)ノアム・シェリフ:「祝典前奏曲」
(2)モーツァルト:フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 KV 299
(3)モーツァルト:クラリネット協奏曲
■CD2
(1)ベートーヴェン:「献堂式」序曲
(2)モーツァルト:交響曲第38番「プラハ」
(3)チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲
■CD3
(1)シューマン:交響曲第2番
(2)シューマン:交響曲第3番「ライン」
■CD4
(1)ブラームス:ピアノ協奏曲第1番
(2)ストラヴィンスキー:「火の鳥」

■CD5
(1)ベートーヴェン:交響曲第4番
(2)エルガー:エニグマ変奏曲
(3)ラヴェル:組曲「ダフニスとクロエ」
■CD6
(1)パウル・ベン=ハイム:ヴァイオリン協奏曲
(2)パウル・ベン=ハイム:永遠のテーマ(The Eternal Theme)
(3)マーラー:交響曲第2番「復活」(CD7に続く)
■CD7
(1)マーラー:交響曲第2番「復活」(CD6からの続き)
(2)ラヴェル:マ・メール・ロワ
■CD8
(1)ショスタコーヴィチ:交響曲第6番
(2)チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」
■CD9
(1)シューベルト:交響曲第5番
(2)ドヴォルザーク:交響曲第8番
(3)コープランド:リンカーンの肖像
■CD10
(1)チャイコフスキー:交響曲第5番
(2)シェーンベルク:ピアノ協奏曲
(3)シェーンベルク:ワルシャワの生き残り
■CD11
(1)メナヘム・アヴィドム:瞑想シンフォニエッタ
(2)ブルックナー:交響曲第7番
■CD12
(1)A.U.ボスコヴィッチ:オーボエ協奏曲
(2)モルデカイ・セテル:midnight vigil(徹夜の祈祷)

■ボーナスCD
(1)モーツァルト:ピアノ協奏曲第27番
(2)ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番
全て、イスラエルPO
■CD1
(1)レナード・バーンスタイン(指)/1957年録音(MONO)
(2)ポール・パレー(指)、ウリ・ショアム(Fl)、ユディト・リベール(Hrp)/1977年録音(STEREO)
(3)セルジュ・チェリビダッケ(指)、ヨナ・エトリンガー(Cl)/1958年録音(MONO)
■CD2
(1)レナード・バーンスタイン(指)/1957年録音(MONO)
(2)ズービン・メータ(指)/1972年録音(MONO)
(3)クラウディオ・アバド(指)、アイザック・スターン(Vn)/1972年録音(MONO)
■CD3
(1)ポール・パレー(指)/1976年録音(STEREO)
(2)ポール・パレー(指)/1971年録音(MONO)
■CD4
(1)ヨーゼフ・クリップス(指)、ミンドゥル・カッツ(P)/1964年録音(MONO)
(2)イーゴリ・ストラヴィンスキー(指)/1963年録音(MONO)
■CD5
ピエール・モントゥー(指)/1964年録音(MONO)
■CD6
(1)レナード・バーンスタイン(指)、イツァーク・パールマン(Vn)/1968年録音(MONO)
(2)パウル・クレツキ(指)/1966年録音(MONO)
(3)パウル・クレツキ(指)/1966年録音(MONO)
■CD7
(1)パウル・クレツキ(指)/1966年録音(MONO)
(2ロリン・マゼール(指)/1972年録音(MONO)
■CD8
(1)キリル・コンドラシン(指)/1980年録音(STEREO)
(2)ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(指)/1975年録音(STEREO)
■CD9
(1)ズービン・メータ(指)/1989年録音(STEREO)
(2)ズービン・メータ(指)/1979年録音(STEREO)
(3)アンドレ・コステラネツ(指)/1976年録音(STEREO)
■CD10
(1)ズービン・メータ(指)/1989年録音(STEREO)
(2)アンタル・ドラティ(指)、フランク・ペレグ(P)/1962年録音(MONO)
(3)クルト・マズア(指)/2006年録音(STEREO)
■CD11
(1)ラファエル・クーベリック(指)/1958年録音(MONO)
(2)クルト・マズア(指)/1955年録音(MONO)
■CD12
(1)ジョン・バルビローリ(指)、レディー・エヴェルギン・ロスウェル=バルビローリ(Ob)/1962年録音(MONO)
(2)ガリー・ベルティーニ(指)/2000年録音(STEREO)
■ボーナスCD
(1)ダニエル・バレンボイム(指&P)/1972年録音4月(MONO)
(2)ダニエル・バレンボイム(指&P)/1995年録音11月(STEREO)
1936年、イスラエル・フィルの前身であるパレスチナ管弦楽団が誕生しました。ヴァイオリン奏者フーベルマンの呼びかけで集まった75名のユダヤ の音楽家たちがメンバーでした。お披露目コンサートは1936年12月26日、指揮はトスカニーニ。その後1940-43年、フーベルマンをソリストにした ツアーを皮切りに、多くの演奏旅行を重ね、名称をイスラエル・フィルハーモニー管弦楽団に改めます。豪華指揮者たちとの共演を重ね、多彩なソリスト たちとの録音の機会にも恵まれてきました。現在では、ズービン・メータが終身音楽監督(1981年〜)に就任しています。
魅力の音源満載の当ボックス。指揮者には、バーンスタイン、チェリビダッケ、クリップス、R.クーベリックら超豪華な顔ぶれ。コンドラシンの緊迫のショ スタコーヴィチは1980年ステレオ。アバドとスターンのヴァイオリン協奏曲も、1972年録音でモノラルながら、スターンの華やかなテクニックと、楽団 とのアンサンブルを満喫できます。ストラヴィンスキーの自作自演やシェーンベルクのピアノ協奏曲などは録音のクオリティは時代を反映させたものではあ りますが、それでもなお貴重な録音の登場といえるでしょう。また歴史的にも貴重な音源が多数。
[CD1]の冒頭トラックを飾るのは、イスラエル・フィルの本拠地、マン・オーディトリウムが建設された1957年の?落し公演に際して作曲されたノアム・シェリフの「祝典前奏曲」。バーンスタインの指揮という豪華布陣です。[CD10]に収録されている、シェーンベルクが1947年アメリカで書いたホロ コーストの残忍さを訴える「ワルシャワの生き残り」は、ドイツ国防軍の兵士だったマズアの指揮によるという、なんとも皮肉な顔合わせ。歴史的和解の 演奏といえるでしょう。[CD12] に収録されているモルデカイ・セテルの「midnight vigil(徹夜の祈祷)」は資料に欠落があり、指揮者ベルティーニ以外 の演奏者の名前が残されていませんが、アルトのミラ・ザカイの声が収録されていることは間違いないと考えられます。 ※モノラル収録の音源は、すべてスタジオで丁寧にマスタリングが施され、自然な音でおたのしみいただけるようになっています。 (Ki)

【ソリスト情報】
■ウリ・ショハム/楽団フルート奏者(1951〜/1970-97年までの27年間首席奏者)
■ユディト・リベール/楽団首席ハープ奏者(1963-2003年)
■ミンドゥル・カッツ(1925-1978、ピアノ)/ルーマニア出身。エネスコに見出されたことで知られる。リパッティ(1917-1950)と同じ師に師事。チェリビダッケ、クリップス、マゼール、ドラティといった指揮者と共演を重ね、世界でツアーを行う。1959年イスラエルに移住。教師としても優れ、イスラエルでのピアノ教育に大きな功績を残している。1974年、第1回ルービンシテイン国際ピアノコンクールで審査員を務めた。シェリングの唯一のフランクのヴァイオリン・ソナタ録音でピアニストを務めている。52歳の時、イスタンブールでの演奏会でベートーヴェンの「テンペスト」を演奏中に倒れて亡くなった。
■ヨナ・エトリンガー(1924-1981)/クラリネット奏者。1947-1964、楽団の首席奏者。室内楽の分野でも活躍した。
■フランク・ペレグ/1958年当時の楽団のクラリネット奏者


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