湧々堂HOME 新譜速報: 交響曲 管弦楽曲 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 オペラ バロック 廉価盤 シリーズもの マニア向け  
殿堂入り:交響曲 管弦楽 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 オペラ バロック SALE!! レーベル・カタログ チャイ5



Chateau de Versailles Spectacles
(フランス)


活性化めざましいフランスの古楽シーンと密接な連携を続けてきたヴェルサイユ宮殿が、より広範で自在なコラボレーションへ向けて立ち上げたレーベル。すでにAlphaをはじめとするフランス最前線のレーベルでもたびたびロゴを見かけてきた組織ですが、ヴェルサイユ宮殿は旧王室礼拝堂や旧王室歌劇場などが近年コンサート活動にも積極的に提供されており、ヴェルサイユ・バロック音楽センターなど専門家たちの協力を得て抜群のクオリティを誇る上演プロジェクトが続々成功をみてきたところ。最前線の古楽シーンを賑わせる俊才や大御所たちの「いま」にいち早く、洗練された制作ポリシーの音盤で出会える機会が増えそうです。


※表示価格は全て税込み。品番結尾に特に表記のないものは、全て1CDです。
内容 演奏者
CVS-001
NX-B08

NYCX-10014
国内仕様
税込定価
シャルパンティエ:『花咲ける芸術』〜音楽による牧歌劇 H.487 マイリス・ド・ヴィルトレ ...音楽の寓意像・ロズリー(S)
ヴィルジニ・トマ ...死の寓意像・花の女神(S)
ジョナタン・スピシェール ...絵画の寓意像(T)
アナイス・ベルトラン ...建築の寓意像(Ms)
ダヴィト・ヴィチャク ...不協和の寓意像(Br)
セシル・アシル...平和の寓意像(S)
ヴィルジル・アンスリ ...兵士(Bs)
アンサンブル・マルグリット・ルイーズ(古楽器使用)
総指揮:ガエタン・ジャリ

解説訳・補筆、歌詞訳:白沢達生
すでにAlphaレーベルとの提携でも数多くのプロジェクトを成功させている、ヴェルサイユ宮殿の文化催事プロジェクトチーム「シャトー・ド・ヴェルサイユ・スペクタ クル」。彼らがこのたび、ついに独自のレーベルCVSを立ち上げました。伝説的エンジニアのニコラ・バルトロメーが立ち上げた録音スタジオ「リトル・トライベッカ」 の協力を得て、その新始動録音には17世紀フランスの不遇な大作曲家シャルパンティエによる『花咲ける芸術』(フランス古楽界にあっていちはやく歌劇方 面の土壌を用意した名団体、レザール・フロリサンの名の由来となった作品)を。若き才人集団マルグリット・ルイーズには大ヴェテランのリコーダー奏者セバス ティアン・マルクや、鬼才クラヴサン奏者ジャン・ロンドーを含む精鋭4人組「ネヴァーマインド」に名を連ねるヴィオールのロバン・ファロとトラヴェルソのアンナ・ベッ ソン...と頼もしい俊才がいたるところに!精妙にして優美なシャルパンティエの音世界はまさにフランスの「偉大なる世紀」ならでは――王室音楽総監督 リュリに疎まれ、王室での活躍から周到に遠ざけられていたシャルパンティエの才気が、のちの王宮ヴェルサイユにあらためて鳴り響く、比類なく贅沢なバロック・ アルバムの登場といえそうです。
CVS-002(2CD)
NX-D07
カンプラ:「優雅なヨーロッパ」 セバスティアン・デラン指揮
レ・ヌーヴォー・キャラクテール(古楽器使用)

カロリーヌ・ミューテル(ソプラノ/美の女神、スペインの女1、オリンピア、ロクサーヌ)
イザベル・ドリュエ(ソプラノ/不和の女神、酒屋の女1、後宮の女)
ヒザー・ニューハウス(ソプラノ/恩寵の化身、セフィーズ、スペインの女2、酒屋の女2)
アンデシュ・J.ダーリン(テノール/フィレーヌ、ドン・ペドロ、オクタヴィオ)
ニコラ・クルジャル(バス/シルヴァンドル、ドン・カルロス、ズリマン)
ジェレミー・デルヴェール(バリトン/トルコ近衛兵)
フランス王ルイ14世の肝煎りで17世紀に建造が始まり、王が住むようになってからも増築を重ね完成までに1世紀を費やした大宮殿、ヴェルサイユ――かつ てルイ王朝の人々に豪奢な心のうるおいを与えた劇場や王室礼拝堂は、近年この宮殿を活性化させる運営団体シャトー・ド・ヴェルサイユ・スペクタクルによっ て、古楽パフォーマンスの絶好の演奏会場となっています。その最先端の賑わいを伝える独自レーベル第2弾リリースは、名匠アンドレ・カンプラの「優雅なヨー ロッパ」――1697年、フランス独自の劇音楽形式である「オペラ=バレ(舞踏歌劇)」をはじめて世に現出せしめた象徴的作品でありながら、全曲盤の新録音 は長らく登場せず、フランス古楽ファンをやきもきさせてきたこの傑作を、Alphaレーベルでのルクレール「シラとグロキュス」新録音はじめ、同国人ならではの繊細 にしてダイナミックなフランス・バロック解釈を旨とするセバスティアン・デランの楽隊がいま、みずみずしい演奏で現代によみがえらせてくれます。重要作だけに、解 説にも需要のある好企画です。
CVS-004
(1CD+PAL DVD)

NYCX-10022
(1CD+PAL DVD)
日本語解説付国内盤
税込定価

ルソー (1712-1778):『村の占い師』 (1752)

■ボーナスDVD
公演の模様を全曲収録 (71'13)
カロリーヌ・ミュテル ...コレット (S)
シリル・デュボワ ...コラン (T)
フレデリク・カトン ...占い師 (Br)
レ・ヌヴォー・カラクテール (古楽器使用)
セバスティアン・デラン ...指揮&クラヴサン (Cemb)

録音:2017年7月1-2日、ヴェルサイユ旧王室歌劇場 (ライヴ収録)
※ DVDはPAL方式のため、対応機器及び設定されたPCでのみ再生可能です。日本国内の通常のプレイヤーでは再生できません。
国内仕様 解説日本語訳・補筆、あらすじ:白沢達生
ヴェルサイユ・バロック音楽センターやパリ、リヨンなどの音楽院との長年にわたる協力関係を背景に、近年ますます欧州最前線をゆくフランス 古楽シーンとの連携を強めているヴェルサイユ宮殿の催事企画チーム「シャトー・ド・ヴェルサイユ・スペクタクル」。独自レーベルからリリースされ るアルバムはこれまでのところ、いずれ劣らぬフランス音楽史上を彩ってきた重要作品でありながら、録音機会に恵まれてきたとはいいがたい 秘曲ばかり。今回の新譜はなんと、啓蒙主義哲学者として歴史に名を残したジャン=ジャック・ルソーの重要作『村の占い師』...18世 紀当時の演奏様式をふまえたピリオド楽器での新録音は貴重というほかありません。すでにラモーがフランス歌劇に新風を呼び込んで久しい 1752年にヴェルサイユで初演、翌年パリで公にされたこのオペラは、イタリア音楽にも通じる覚えやすいメロディにフランス語をあざやかに乗 せ、ルソー自身の「フランス語はオペラに向かない」という説との矛盾さえきたす出来栄えに……マンハイム楽派の交響曲やイタリア最前線の オペラに慣れてきたフランスの人々のあいだで、この作品は初演時の妨害にもかかわらず大成功、のちに少年モーツァルトの『バスティアンとバ スティエンヌ』の下敷きになるなど数々の追従作も生んだほどでした。それほどの重要作でありながら、録音はめったになされず、Alphaレーベ ルなどでも成功実績のあるセバスティアン・デラン率いるフランス古楽シーンの俊才たちが初演場所と同じヴェルサイユ宮殿で新録音を問うこ とには大きな意義があると言えるでしょう。デランは楽団編成も合唱も的確に削り込み、室内楽的な味わいのなかで作品のシンプルかつ繊 細な魅力をあざやかに引き出してゆく解釈を意識しているようです。音楽史と密接にかかわる作品だけに、国内盤仕様に付く成立経緯やあ らすじを記した解説の訳も嬉しいところ。
CVS-006

NYCX-10043
日本語解説付国内盤
税込定価

カヴァッリ:1660年の大ミサ
1.金管合奏*
2.トッカータ*
3.キリエ(MS)
4.グローリア(MS)
5.おお、善きイエスさま(SC)
6.クレド(MS)
7.カンツォーナ*
8.サンクトゥス(MS)
9.聖体奉挙の奏楽*(作曲者不詳)
10.アニュス・デイ(MS)
11.誉め讃えよ、歌えよ(SC)
12.金管合奏*
13.神を讃えよ、イェルサレムよ(VP)
「出典」
MS:『聖曲集 Musiche Sacre』(1656)より
SC:『聖なる冠Sacra Corona』(1656)より
VP:『詩篇曲集Vesperi』(1675)より
* は歌い手なしの器楽
独唱
ステファニー・レヴィダ(S)
パスカル・ベルタン(アルト=カウンターテナー)
マルシャル・ポリア(T)
ルノー・ブレス(Bs)
バンジャマン・シェニエ(指)
ガリレイ・コンソート(合唱&合奏/古楽器使用)
オディール・エドゥアール(コンサートミストレス)
フレディ・エシェルベルジェ(Org)

録音:2018年2月9〜11日
ヴェルサイユ宮殿旧王室礼拝堂

【国内盤】
解説・歌詞日本語訳:白沢達生
巨匠モンテヴェルディの高弟としてヴェネツィアで頭角をあらわし、すぐにイタリア・オペラ史を最先端でリードする大作曲家となった 名匠カヴァッリ。その豊かな実績は諸外国まで知れわたり、後年フランス王ルイ14世が隣国スペイン・ハプスブルク家との抗争に ひとたび終止符を打った1659年には、講和祝典のための音楽提供者として白羽の矢が立ちます。翌1660年1月にパリで 披露されたその祝典ミサ曲の演奏には、ヴェネツィアから随行した演奏陣のみならずパリ随一の歌手たちも集い、きわめてみごと な音楽と絶賛された記録が残っています。ここではリュリによるフランス叙情悲劇創出の前、この歴史的音楽イベント(詳細は 解説参照、国内仕様は日本語訳付)を振りかえるべく、フランスきっての声楽・器楽勢が集うガリレイ・コンソートが当時の様子 をしのぶプログラムを編作。管・弦入り混じっての壮麗なヴェネツィア様式の音楽を、ヴェルサイユ宮殿の旧王室礼拝堂に緻密 な解釈で響きわたらせます。往年の「三大カウンターテナー」盤でも名高いパスカル・ベルタンはじめ演奏陣の充実度も見事。フ ランス音楽はイタリアから何を受け取ったのか?ヴェネツィア楽派とのかかわりを解き明かしながら「リュリ前夜」のフランス王室にお ける教会音楽の真相に迫る、多声合唱と古楽器の交錯を十全に楽しめる注目盤です。
CVS-007

NYCX-10054
日本語解説付国内盤
税込定価

エスプリ=ジョゼフ・アントワーヌ・ブランシャール(1696〜1770):テ・デウム、
フランソワ・コラン・ド・ブラモン(1690~1760):テ・デウム
高橋美千子(ドゥシュ〔ソプラノ〕)
セバスティアン・モンティ、ロマン・シャンピオン(オートコントル〔高音部テノール〕)
シリル・コスタンゾ(バス=ターユ〔バリトン〕)
マルグリット・ルイーズ合唱団
ストラディヴァリア(古楽器使用)
ヴィルジニー・デシャルム(ヴァイオリン/コンサートミストレス)
クレマン・ジョフロワ(Org)
ジョスリーヌ・キュイエ(クラヴサン)
総指揮:ダニエル・キュイエ
録音:2018年6月30日、ヴェルサイユ旧王室礼拝堂
【国内盤】
解説・歌詞日本語訳、補筆:白沢達生
壮麗なオーケストラを伴う傑作が多い祝賀の讃歌『テ・デウム』。古くはシャルパンティエやリュリの傑作もあるところ、オーケストラ が発達してきた18世紀半ばの作品はさらなる豪奢な響きがたまりません。ヴェルサイユ宮殿の催事チームが本格的に携わり制 作を進めたこの最新新譜はまさにルイ15世時代の2傑作を収録。どちらの仕上がりに軍配をあげるかで王室が割れたほどの、 ラモー全盛期のオーケストラ語法を最大限に活かしたいずれ劣らぬ名品です。宗教否定のフランス大革命がなければ、19世 紀以後も延々演奏されていたに違いないクオリティを見出したのは、フランス中部の古都ナントに本拠を置き、40年以上にわた る活動期間を通じて本家ラ・フォル・ジュルネにも例年出演してきた古楽器集団ストラディヴァリア!少数精鋭の合唱とのバラン ス良い駆け引きが、スリリングに生の18世紀フランスの響きを伝えます。
CVS-008
「太陽王のミサ」
アンドレ・ダニカン・フィリドール(1652-1730):笛と太鼓のための行進曲
ジャン=アダム・ギラン(1680-1739):第三旋法による組曲より「プラン・ジュ」*
ミシェル・リシャール・ドラランド(1657-1726):「主よ、われ御身をたたえまつらん」詩篇第24番
フランソワ・クープラン(1668 - 1733):「修道院のためのミサ曲」より 「グラン・ジュによるディアローグ」*
 「来れ、神を拝まん」
 「修道院のためのミサ曲」より「ティエルス・アン・ターユ」*
 「われ御身の家に入らん、主よ」 フランス王ルイのためのミサへの導入
リュリ:「主は汝の声を聞き」詩篇第19番
ガエタン・ジャリ((指)*=大オルガン)
マルグリット・ルイーズ

録音:2018年7月、ヴェルサイユ宮殿礼拝堂
2007年にガエタン・ジャリを中心に結成され、フランソワ・クープランの親族にして優秀な歌手だったというマルグリット・ルイーズの名を冠したグ ループによる、太陽王ルイ14世のためのミサを再現したアルバム。壮麗な行進曲と共に王が入場するところに始まり、ドラランドとリュリのグラ ン・モテ、その間を繋ぐクープランのプティ・モテがオルガンのインターリュードを挟んで並べられています。20人を超える声楽陣、13名の弦楽、6 名の木管、4本のトランペット、そしてバス・トランペット(名手マドゥーフが担当)、セルパンにティンパニ、通奏低音という豪華な編成で、こういっ たミサがまさに執り行われたであろうヴェルサイユ宮殿の礼拝堂にて録音されています。
CVS-009

NYCX-10097
日本語解説付国内盤
税込定価

バッハ:『マニフィカト』変ホ長調(初演版)BWV 243a、
カンタータ『救世主に連なる者たちよ、刻みつけよ』BWV 63
ハナ・ブラジコヴァー(S)
マリー・ペルボスト(S)
エヴァ・ザイシク(A)
トーマス・ホッブズ(T)
ステファン・マクラウド(Bs)
エマニュエル・アラケリアン(Org)
アン=クリストフ・ディジュ(Cemb)
ラ・シャペル・アルモニーク(古楽器使用)
総指揮:ヴァランタン・トゥルネ

録音:2018年12月22日、ヴェルサイユ旧王室礼拝堂(ライヴ収録)
【国内盤】解説・歌詞日本語訳:白沢達生
20世紀末以来、ヨーロッパの古楽シーンを牽引しつづけているフランスからは世界的名手が続々登場しますが、その背景には耳の肥えた聴 き手の多さと、ヴェルサイユ・バロック音楽センターやパリ音楽院など、世界中の気鋭奏者たちが集まる充実した教育体制があります。ラファエ ル・ピションやジャン・ロンドーなど近年も続々俊才が世界に羽ばたいているところ、ヴェルサイユ宮殿のレーベルは今回、なんと1996年生まれ の指揮者ヴァランタン・トゥルネの初録音盤を世に問うことに。その音楽がレーベルや宮殿の名声に寄与すると確信しての堂々リリースとみてよ いでしょう。 というのも、トゥルネはすでにここ数年フランスの古楽界のいたるところで話題になりつつある注目株。5歳の頃に映画『めぐり逢う朝』で衝撃を 受けヴィオラ・ダ・ガンバに開眼、ベルギーでフィリップ・ピエルロに、次いでパリ音楽院でクリストフ・コワンに薫陶を受け、若く才能あるガンバ奏 者として脚光を浴びてきた後、20代前半の若さでラ・シャペル・アルモニークを結成、今やバッハの大作受難曲の演奏で喝采を浴びる気鋭 指揮者となっています。演目はフランスで最も人気あるバッハ作品のひとつ「マニフィカト」初期稿と、降誕節のためのカンタータ……ソリスト陣 にはバッハ・コレギウム・ジャパンの名歌手としても知られるマクラウドやブラジコヴァーら実力派のほか、Alphaレーベルでソロ名義アルバムもあ るエヴァ・ザイシクの名も。見過ごせないバッハ新録音です!
CVS-011
(Bluray+DVD)
NX-D09
ガーディナー/ベルリオーズ没後150年
序曲「海賊」(1854)
カンタータ「クレオパトラの死」(1829)
歌劇「トロイヤの人々」(1863)より、「王の狩りと嵐」
歌劇「トロイアの人々」より、ディドのモノローグとエール
「ああ、私は死んでしまうでしょう…さようなら、誇り高き国」
幻想交響曲
ルシール・リシャルド(Ms)
エリオット・ガーディナー(指)
オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティーク

収録:2018年10月21日
ヴェルサイユ宮殿王室歌劇場
収録時間:1時間47分
片面二層ディスク
映像:NTSC、All regions、16/9
音声:Stereo、Dolby Digital 5.1
(DVD、BD共に)
ガーディナーがオルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティークとの「幻想交響曲」映像を再収録。前作は1991年に、初演場所であるパリ旧音楽院に て収録されたものでしたが、今回は1848年10月29日にベルリオーズが指揮を行ったという、ヴェルサイユ宮殿王室歌劇場にて収録されています。メインの 「幻想交響曲」の前には序曲「海賊」のほか、フランスのメゾ、ルシール・リシャルドを迎えた「クレオパトラの死」と「トロイアの人々」から2曲を収録するという 盛沢山の内容。「幻想」での第2楽章のハープとコルネット、そして低音金管楽器の扱いなどは基本的に前作の路線を踏襲していますが、前プロを含めて 2か所ほどで驚きの演出も… 前掛かりの演奏そのものも素晴らしいですが、楽器の視覚的な面白さ、収録場所と映像の美しさも特筆もので、映像作品 としてたいへんクオリティの高い出来栄えとなっています。同内容のDVDとBlu-rayがセットの販売。
CVS-012(DVD)
NX-D09
リュリ:テ・デウム
ビーバー:53声部のザルツブルク大聖堂祝典ミサ曲
ヴァーツラフ・ルクス(指)
コレギウム1704(古楽器使用)
コレギウム・ヴォカーレ1704
ヴェスサイユ・バロック音楽センター少年少女cho

収録:2018年10月28日
サン・ジョバンニ・イン・ラテラノ大聖堂、ローマ
収録時間:89分
片面2層ディスク
NTSC All-Regions
ドルビーデジタル5.1/ステレオ
近年急速に注目を浴びているチェコの指揮者ヴァーツラフ・ルクスと、彼が率いるピリオド・アンサンブル「コレギウム1704」が、古代の建築様 式を随所に残す世界遺産ローマのサン・ジョバンニ・イン・ラテラノ大聖堂にて、リュリとビーバーの大規模宗教作品を演奏した映像が登場。 正面とは別に参列席左右に陣取ったトランペットとティンパニの効果もあいまって、聖堂全体を華麗な響きで包み込みます。トランペット隊を 正面に集約し児童合唱を伴ったリュリも聴き応えたっぷり。煌びやかさだけでない、長い歴史を感じさせる壮大な演奏空間にも注目です。 彼らは2016年にも、ビーバーの53声部ミサ初演の地とされるザルツブルク大聖堂で当作品を演奏、話題となったほか、度重なる公演を 行っており、これだけの規模の作品ながら、その解釈はすっかり手中に収めているといった貫禄で聴かせています。また数々のピリオド楽器を 視覚で楽しめることも、こういった映像作品の醍醐味の一つ。テオルボには、世界的リュート奏者・野入志津子の姿も見ることができます。
CVS-014(DVD)
NX-D09
『マリー・アントワネット』
ハイドン:交響曲第6番『朝』
交響曲第7番『昼』
交響曲第8番『晩』
交響曲第73番『狩り』
グルック:歌劇『オルフェオとエウリディーチェ』〜「精霊の踊り」

以上より抜粋
メラニー・レヴィ=ティボー(指)
バスクO

収録:2019年3月31日 ヴェルサイユ宮殿旧王立歌劇場
ブックレット:日本語、フランス語、英語、ドイツ語
片面二層ディスク
映像:NTSC 16:9 All Regions
音声:Dolby Digital 5.1 & Stereo
フランスの高級リゾート地ビアリッツを本拠地とするマランダン・バレエ・ビアリッツが、ヴェルサイユ宮殿の歌 劇場でマリー・アントワネットの生涯を表現したバレエを上演しました。使用される音楽はハイドンの交響 曲。衣装と振付は一見トラディショナルなものにコンテンポラリーの味付けを施した斬新なものとなっていま す。ネオクラシカルを代表する一人であるティアリー・マランダンによる独特の動きと映像の美しさを堪能で きます。レーベル製作による日本語解説付き。
CVS-015
(2CD+DVD)
NX-D11
リュリ:『ファエトン』 プロローグと5幕による叙情悲劇 (1683) エヴァ・ザイシク(Ms)…リビ
マティアス・ヴィダル(T)…ファエトン
エリザヴィエータ・スヴェシニコヴァ(S)…アストレ、第一の時
ヴィクトール・ビュメル(Ms)…テオーヌ
リザンドロ・アバディ(Bs)…サトゥルヌ、エパフェス、ジュピテール
レア・トロメンシュラーガー(S)…クレメーヌ
アレクサンドル・エゴロフ(Bs)…メロプス
ヴィクトル・シャポヴァーロフ(Br)…プロテー、属国の王
アルフィヤ・ハミドゥリーナ(S)…第二の時
シリル・オヴィティ(T)…トリトン、太陽、大地の女神
ムジカエテルナ(合唱と管弦楽/古楽器使用)
ル・ポエム・アルモニーク(古楽器使用)
ヴァンサン・デュメストル(指)

収録:2018年6月、ヴェルサイユ宮殿旧王立歌劇場
ブックレット:フランス語、英語、ドイツ語
【CD】 収録時間TTL 2時間29分
【DVD】 片面二層ディスク 2時間33分
字幕:英語、ドイツ語
映像:NTSC 16:9 All Regions
音声:Dolby Digital 5.1 & Stereo
リュリの全盛期の傑作『ファエトン』に、ヴァンサン・デュメストル率いるル・ポエム・アルモニークと、クルレンツィスの楽団ムジカエテルナの共演盤が 登場。作品の初演場所でもあるヴェルサイユ宮殿の歌劇場での上演、ソリストには古楽界で今最も注目されるメゾの一人ザイシクも参加す るなどとにかく豪華。しかもBelAirレーベルとの共同制作の映像付きで、デュメストルの信頼篤い古典演劇演出の俊才ラザールによる、トラ ディショナルとモダンの折衷ながら作品の世界観を崩さない舞台を美しい映像で楽しむことが出来ます。
CVS-016
トン・コープマン、ヴェルサイユ旧王室礼拝堂の大オルガンを弾く
1-7)クレランボー:第1旋法による組曲 〜『第1オルガン曲集』より
1) グラン・プラン・ジュ
2) フーガ
3) デュオ
4) トリオ
5) 低音部と高音部でトロンペット管またはコルネ管、対話形式
6) クロモルヌ管とコルネ管のレシ、対話形式
7) グラン・ジュによる対話
8)ダカン:スイスのノエル
9-11)L.クープラン:三つのオルガン作品
9) ファンタジア
10) デュオ
11) ファンタジア
12)ダカン:異国のノエル
13)F.クープラン:聖体奉挙:中音域で三度管 〜『修道院のミサ』より
14)ダカン:降誕節の到来〔ノエル〕
15)バッハ:われ汝の名を呼ぶ、主イエス・キリストよ BWV 639
16-22)クレランボー:第2旋法による組曲 〜『第2オルガン曲集』より
16) プラン・ジュ
17) デュオ
18) トリオ
19) 低音部でクロモルヌ管
20) フリュート管を使って
21) ナザル管のレシ
22) グラン・ジュによるカプリース
トン・コープマン(Org)
使用楽器:ヴェルサイユ旧王室礼拝堂の大オルガン
手鍵盤4段+足鍵盤/a’=415Hz
ロベール・クリコ1710年建造
(ジャン=ルー・ボワソー、ベルトラン・カティオー1994年復元)

録音:2019年5月19〜23日、ヴェルサイユ旧王室礼拝堂
ヴェルサイユ宮殿という歴史的建造物にある芸術的遺産は数知れず存在しますが、なかでも注目に値するのが旧体制時代にフランス王室 が宗教儀式に使っていた礼拝堂のオルガン。ロベール・クリコとその一族によって調えられてきたこの楽器は19世紀以降、カヴァイエ=コルや ゴンザレーといった近代の名建造家たちによってロマン派型に改築されてきましたが、1994〜95年に設置時のフランス古典型に復元されて います。ロマン派型のオルガンにも確かな歴史的存在意義があり、その状態で残されている楽器も多いフランスにあって、クリコが王室のため に手がけた楽器の響きを味わえるのはきわめて貴重なことです。 そんな近年の修復をへて、300年前の人々が聴いた音響を取り戻したヴェルサイユ王室礼拝堂の楽器を用いて、すでに巨匠の風格さえ漂 う名手トン・コープマンが、まさにバロック期当時のフランス音楽を厳選して演奏したアルバムが登場します。調律はパリ・ノートルダム大聖堂が 火災に見舞われる少し前、その歴史的オルガンも調整した関口格氏。1710年にこの楽器の落成記念演奏を手がけたフランソワ・クープラ ンの作品をはじめ、クレランボーの二つの組曲やルイ・クープランの稀少な小品など、豊かな経験を経た「今のコープマン」がみせる闊達にして 精妙な解釈で、みずみずしく甦るフランス音楽をお楽しみください。
CVS-017(DVD)
NX-D09
『ルイ14世の戴冠式』〜1654年6月7日、ランス・ノートルダム大聖堂に於ける戴冠式の音楽を、ヴェルサイユ宮殿旧王室礼拝堂にて再現

◆主な収録作品
アントワーヌ・ボエセ:Anna Mater matris
エティエンヌ・ムリニエ:Beata Dei genitrix / Cantate Domino / Agnus Dei /
Flores apparuerunt
オルランド・デ・ラッスス:O rex vivat !
アンリ・デュモン:In lectulo meo
カヴァッリ:Dixit Dominus / Sonate a douze、ほか
バスティアン・ドゥセ(指)
アンサンブル・コレスポンダンス(合唱、アンサンブル/古楽器使用)
ヴェルサイユ・バロック音楽センター少年合唱団

収録:2019年6月 ヴェルサイユ宮殿旧王室礼拝堂
収録時間:1時間48分 日本語字幕無し 片面二層ディスク
映像:NTSC 16:9 All Regions
音声:Dolby Digital 5.1 & Stereo
様々なレーベルで多彩な録音を行っているアンサンブル・コレスポンダンス。Harmonia Mundiレーベルでリリースしたルイ14世を讃える『夜の 王のバレ』が大きなヒットとなった彼らがついに、その戴冠式の音楽を映像で収録しました。しかもルイ14世ゆかりのヴェルサイユ宮殿旧王室 礼拝堂での収録です。演奏陣もセルパンのパトリック・ヴィバールを初め、ソリスト級のアーティストが多数参加。曲は「ルイ13世の結婚式のた めのパヴァーヌ」による王の入場で始まり、当時の式典での演奏慣例曲を伝承曲も多く含んで式が進行され、最後は戴冠した王のために聖 堂の扉が開き、モテ「喜びなさい、大いに喜びなさい」が歌われて終わります。フランス王朝全盛期にあって、いまだ「フランス宮廷音楽」が産声 をあげはじめたにすぎなかった時代ならではの選曲となっており、イタリア感覚まじりの音楽に、より古い時代の伝統を感じさせるラッスス作品な ども出てきます。歴史遺産の宮殿で収録された映像ならではの、絢爛豪華な音楽物語をお楽しみください。
CVS-018(DVD)

NYDX-50065(DVD)
日本語解説付国内盤
税込定価

モンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り レア・デザンドル、エヴァ・ザイシク(S)
リュシル・リシャルド(A)
オリヴィエ・コワフェ、エミリアーノ・ゴンサレス・トロ、ザッカリー・ワイルダー(T)
ニコラ・ブローイマンス、ルノー・ブレ、ジョフロワ・ビュフィエール(Bs)
ピグマリオン(古楽器使用)
ラファエル・ピション(指)

収録:2019年2月 ヴェルサイユ宮殿旧王立礼拝堂
字幕:仏・英・独
収録時間:117分
音声:Dolby digital 5.1&Stereo
NTSC All-Regions 片面二層
【国内盤】
解説・歌詞日本語訳:白沢達生
今や、幼少の頃はじめて手に取る楽器がヴィオラ・ダ・ガンバやリュートであることも珍しくない古楽先進国フランス。その最前線をひた走る若 き敏腕指揮者ラファエル・ピションが信頼できる音楽仲間を集めたピグマリオンは、今もっとも来日が望まれている古楽グループのひとつ――そ の技量はおもに18世紀作品で発揮されてきましたが、ここに登場するライヴ映像にふれてみれば、いかに彼らがバロックの真髄をものにし、モ ンテヴェルディ特有の音楽世界ともこのうえなく相性抜群だったかがわかることでしょう。 ヴェルサイユ旧王室礼拝堂のバロック内装を背景に彼らが繰り広げるモンテヴェルディ代表作のライヴは、教会での祈祷に供される作品本来 のあり方を意識させる映像冒頭の祈りから一転、序曲を成すトッカータとともに照明が変わり、礼拝を越えた音楽の力をいかんなく伝えてや みません。独唱者陣には今をときめくザイシクやトロも加わり、合唱に対して小ぶりに揃えられた器楽陣営の存在感も格別。目にする機会の 少ない古楽器の貴重な演奏図であることさえ忘れかかるほどの、惚れ惚れするような躍動感豊かな演奏……何度も聴きたくなる一作、今 こそ見ておきたい古楽映像です。
CVS-019(DVD)
NX-D09
『愛の気まぐれ』〜1600年前後、メディチ宮でのオペラの誕生

収録された作曲家:クラウディオ・モンテヴェルディ、ジュリオ・カッチーニ、クリストフォロ・マルヴェッツィ、ジローラモ・ファンティーニ、マルコ・ダ・ガリアーノ、ルカ・マレンツィオ、ヤーコポ・ペリ、アレッサンドロ・オロロジオ、ロレンツォ・アッレーグリ、ピエトロ・アントニオ・ジラーモ、ジョヴァンニ・バッティスタ・ブオーナメンテ、エミーリオ・デ・カヴァリエリ

構成:フランソワ=ルネ・マルタン
第1の幕間『愛の気まぐれ』
第2の幕間『アポロンの伝説』
第3の幕間『オルフェオの嘆き』
第4の幕間『恋人たちの踊り』
レア・デザンドル、エヴァ・ザイシク(S)
リュシル・リシャルド(A)
ダヴィ・コルニロ、エミリアーノ・ゴンサレス・トロ、ザッカリー・ワイルダー(T)
ニコラ・ブローイマンス(Bs)
合唱&管弦楽:ピグマリオン(古楽器使用)
コンサートマスター ジェローム・ヴァン・ワールベーケ(ヴァイオリン&リラ・ダ・ブラッチョ)
指揮:ラファエル・ピション

収録:2019年2月 ヴェルサイユ宮殿 鏡の間 (ライヴ)
字幕:仏・英・独
収録時間:107分
音声:Dolby digital 5.1&Stereo
NTSC All-Regions 片面二層
一般に音楽史をひもとくと、1600年前後にフィレンツェの芸術同人会カメラータがオペラを誕生させ…と語られますが、本作はそれよりもさらに 手前、1589年に行われたメディチ家の結婚式での音楽幕間劇『ラ・ペッレグリーナ』まで時間を遡り、オペラ前史が16世紀もかなり早い段階 から始まっていたという前提でプログラムを構成、モンテヴェルディはオペラ史がかなり展開したあと登場したことを示す選曲にしている点が注目 です。そうしたオペラ誕生の物語をライヴ映像で確認できる好企画です。 ルネサンス以降、フィレンツェのメディチ宮で行われる様々な出し物は、その豪華さでヨーロッパ中に有名なものでした。それらの幕間では音楽 と詩を組み合わせた質の高い劇が行われ、イタリア・オペラの土台が築かれたといえるでしょう。これを受け継ぎ、さらに深い表現と内在的な美 しさ、高い完成度で組み上げられたものが、1607年にモンテヴェルディが作曲した『オルフェオ』です。今回ピションは1600年頃の音楽から特 に華麗なものを選び、当時メディチ宮で行われた幕間劇を再現することを試みています。さらにはヴェルサイユ宮殿の鏡の間で収録されたこと で、さながら当時の栄華の只中にいるような感覚を味わうことの出来る、素晴らしい作品となっています。

CVS-020(DVD)
NX-D09

NYDX-50075(DVD)
日本語解説付国内盤
税込定価

ベルリオーズ:歌劇『ベンヴェヌート・チェッリーニ』〜ヴェルサイユ宮殿における演奏会形式ライヴ マイケル・スパイアーズ(T)…ベンヴェヌート・チェッリーニ
ソフィア・ブルゴス(S)…テレザ
マウリツィオ・ムラーロ(Br)…ジャコモ・バルドゥッチ
リオネル・ロット(Br)…フィエラモーザ
テレク・ナズミ(Bs)…教皇クレメンス7世
アデル・シャルヴェ(Ms)…アスカニオ
ヴァンサン・デルーム(T)…フランチェスコ
アシュリー・リッチェス(Bs)…ベルナルディーノ
ダンカン・ミードウズ…ペルセウス像
モンテヴェルディcho
オルケストル・レヴォリュショネル・エ・ロマンティーク(古楽器使用)
ジョン・エリオット・ガーディナー(音楽総指揮)

収録:2019年9月8日、ヴェルサイユ旧王室歌劇場
字幕:日本語、仏語(歌唱言語)、英語、独語
収録時間:2時間53分
片面二層ディスク、NTSC、All Regions
画像:16:9
音声:ステレオ
ベルリオーズ復権に長く精力を傾けてきたピリオド系指揮者ガーディナー。歳を重ねてなお深みと輝きを増す音楽性そのまま、ロンドン交響楽 団との共演でも実績をあげている彼がヴェルサイユ宮殿に再び登場、19世紀作品のピリオド解釈に圧倒的アドバンテージを持つ自らの古楽 器集団オルケストル・レヴォリュショネル・エ・ロマンティークとともに、作曲家が思い描いた「当時の響き」で宿命のオペラのライヴ収録に臨みま した。現代楽器でもなかなか全曲録音が出ない作品だけに、作曲者生前のモデルをふまえた古楽器での充実した演奏で映像化されるのは きわめて貴重です。 『幻想交響曲』の成功から数年後、自らを音楽に駆り立てた世界でもあるオペラの作曲に取り組んだベルリオーズが1838年に発表した『ベ ンヴェヌート・チェッリーニ』は、イタリアの伝説的彫刻家に光をあてた意欲作。しかし難局が多く初演は惨憺たるありさまで、その後リストによる ヴァイマール上演やロンドンでの上演などもありましたが、作曲家の生前には成功に至りませんでした。失敗の理由が演奏上の留意点の多さ にあったとすれば、ガーディナーをはじめ才人たちの意欲的な取り組みが実を結んだこの収録は、復権に大きく寄与しうる充溢度。あえての演 奏会形式で演出上の困難を回避しながら、ステージ上にピリオド楽器の楽団がそのまま配され、ベルリオーズが招かれ演奏した当時の内装 を復元した旧王室歌劇場のステージで演奏を繰り広げるという演出も見事です。歌手勢の迫真の歌にも息をのむ、映像作品であればこそ の好企画です。
CVS-021
ルベル、ボワモルティエ:2台のクラヴサンによる組曲
ルベル:音楽悲劇『ユリス』からの組曲
 舞踏さまざま/四大元素
ボワモルティエ:村のバレ 第1番
歌劇『ダフニスとクロエ』からの組曲
ルベル:田園の楽しみ
ロリス・バリュカン (クラヴサン)
クレマン・ジョフロワ (クラヴサン)
使用楽器:アントウェルペンのヨハンネス・リュッケルス1628年製(パリのニコラ・ブランシェにより1706年に拡張改修)/パリのフランソワ=エティエンヌ・ブランシェ1746年製

録音:2019年3月20-23日 ヴェルサイユ宮殿
フランス・バロック最盛期に活躍した二人の作曲家による作品を、2台のクラヴサン(Cemb)で演奏したアルバム。18世紀中盤にかけ、フラ ンス・クラヴサン音楽の語法が格段に華やかになってゆく時期の音楽の魅力が、歴史的楽器で最大限に伝えられます。使われている楽器は 2台ともヴェルサイユ宮殿に伝わるもので、ルイ15世の娘でクラヴサン演奏を愛したヴィクトワール王女の居室だった場所に置かれています。う ち1台は18世紀フランスで名高かったアントウェルペンのリュッケルス製。早い時期にヴェルサイユに持ち込まれ、やがてフランス・バロック型へ大 きな改修(ラヴァルマン)を受けています。もう1台の楽器にはパリの楽器製作者フランソワ=エティエンヌ・ブランシェによる1746年の署名があ り、ルイ15世の治世のパリにおける典型的な楽器。2台のクラヴサンがたいへん豪華に響き、『四大元素』の冒頭「カオス」の有名な不協和音 のインパクトも絶大です。
CVS-022

NYCX-10147
日本語解説付国内盤
税込定価

マルティーニ(1741〜1816):ルイ16世に捧ぐレクィエム(1811) エルヴェ・ニケ指揮
ル・コンセール・スピリチュエル(合唱&合奏/古楽器使用)
コンサートミストレス:シュシャーヌ・シラノシアン/弦楽編成:6/6/5/5/3
アドリアーナ・ゴンザレス(S)
ジュリアン・ベール(T)
アンドレアス・ヴォルフ(Bs)

録音:2019年6月、ヴェルサイユ旧王室礼拝堂(フランス)
【国内盤】 日本語解説・歌詞訳付
ヴェルサイユ宮殿が推進するフランス音楽復興プロジェクトは、現代において滅多に名前が知られていない作曲家の復権にも大きな貢献を 果たしつづけています。予算をかけて録音に踏み切るということは、知らしめる意義がそこにあると関係者一同が認識してのこと。秘曲発掘に 実績ありのエルヴェ・ニケが新たに録音した今回のアルバムもまさにそうした実績に連なる1枚と言ってよいでしょう。この指揮者が手がけてき た知名度の低い作曲家たちのアルバムをひとつでもご存知の方なら、その意味は十二分にご理解いただけるに違いありません。 マルティーニという名の作曲家は18世紀に何人かいますが、ここに登場するのは不滅のヴォーカル・ナンバー「愛の喜びPlaisir d’amour」を 書いたことで知られるフランス随一の人気オペラ作曲家。マルティーニというのは筆名で本人はバイエルン生まれのドイツ人ですが、1765年に パリに出て以来飛ぶ鳥を落とす勢いで人気を得、王室にも愛されながら革命期にも迫害を避けつつ第一線で活躍、あまりの人気にメユー ルやカテルら同時代人たちに妬まれ歌劇界を追われたものの、教会音楽で根強い支持を得ました。『レクィエム』はナポレオン治世下で書か れながら、王政復古後ルイ16世の遺骸再埋葬時に演奏され注目を集めた傑作。バス独唱の活躍もさることながら、充実した金管の響き などピリオド楽器でこそ真価のわかる音楽内容には、まさにニケという解釈者が絶好というほかありません。
CVS-023
ヴェルサイユ旧王室礼拝堂の大オルガン Vol.2 〜 ジャン=フランソワ・ダンドリュー(1681-1738):オルガン作品集 Vol.1〜マニフィカト、ノエルとその他のオルガン小品集
1-5.マニフィカト 第1番ニ短調
6.中音域に三度管 イ長調
7.ミュゼット ト長調
8-13.マニフィカト 第2番ト短調
14.「クリスマスがやってくる」
15.「ヨゼフよ、よく聞け」
16.「さて、マリアがわれらに言うには」
17.カリヨン、あるいは鐘
18-24.マニフィカト 第8番ト長調
25.半音階的フーガ
26.フーガ 「めでたし、星の海」
27-32.マニフィカト 第3番
33.復活祭のためのオフェルトリウム「主の息子ら、娘らよ」
ジャン=バティスト・ロバン(Org)

録音:2019年6月8-11日 ヴェルサイユ旧王室礼拝堂
1710年に完成したヴェルサイユ王室礼拝堂の大オルガン。1721年、その公式オルガニストの一人に任命されたジャン=フランソワ・ダンド リューによる、主に宗教的題材に基づく作品集。二度の大改修を含む度重なる改造で、当初の姿から大きく変化したオルガンも1995年に は可能な限り建造当時の形へと復元され、ここではダンドリュー自身が想定したであろう響きでそのノエル(クリスマスの俗謡にもとづくオルガン 曲)やマニフィカトなどを楽しむことができます。チェンバロ独奏曲以外はめったに演奏されないダンドリューの、オルガニストとしての本領を知るこ とができる貴重な企画です。 ここでオルガンを奏でるロバンは1976年生まれのフランス人。NAXOSにもオルガニストとしてクープランの作品集(8.557741)を録音している ほか、作曲家として残したアルバム(8.570892)も高く評価された多才なアーティストです。ここでもダンドリューの意図と楽器の特性を深く理 解し、たいへん聴き応えのある演奏を聴かせてくれています。
CVS-024
ヴェルサイユ宮殿旧王立礼拝堂の大オルガンによる、フランス・バロックの花束
ルイ・マルシャン(1669-1732):グラン・ディアログ ハ長調 - オルガン作品集第3巻 より
ラモー:コントルダンスとロンドー - 歌劇「レ・ボレアド」 より
賑やかなコントルダンス - 歌劇「レ・ボレアド」 より
ダンドリュー(1682-1738):復活祭のためのオフェルトリウム「主の息子ら、娘らよ」 - オルガン作品集第1巻より
フランソワ・クープラン:第1キリエ - 修道院のためのミサ曲 より
ニコラ・ド・グリニー(1672-1703):第3のレシ - オルガン作品集第1巻 グローリア より
リュリ:歌劇「アティス」 序曲
ミシェル・コレット(1707-1795):アレグロ - 協奏曲 第2番Op. 26 イ長調 より
アダージョ - 協奏曲 第2番Op. 26 イ長調 より
ジーグ アレグロ - 協奏曲 第2番Op. 26 イ長調 より
ダングルベール(1629-1691):リュリの歌劇「アルミード」によるパッサカーユ
ラモー:ラ・リヴリ 優雅なロンドー - コンセールによるクラヴサン曲集 第1巻 より
未開人たち - 歌劇「優雅なインドの国々」 より
リュリ:眠りのエール「眠れ、みんな眠れ」 - 歌劇「アティス」 第3幕 より
シャルパンティエ:前奏曲 - テ・デウム H146 より
パーセル:わたしが地中に横たえられた時 - 歌劇「ダイドーとイニーアス」 より
ヘンデル:シンフォニア「シバの女王の入場」 - オラトリオ『ソロモン』 より
ガエタン・ジャリ (Org)

録音:2019年6月23-25日 ヴェルサイユ宮殿旧王立礼拝堂
1710年に完成したヴェルサイユ旧王室礼拝堂の大オルガン。二度の大改修を含む度重なる改造で、当初の姿から大きく変化したオルガン も1995年には可能な限り建造当時の形へと復元されました。ヴェルサイユ宮殿のレーベルで続くそのオルガンの素晴らしさを伝えるシリーズ に、自ら主宰するアンサンブル、マルグリット・ルイーズと共に素晴らしい声楽作品をこれまでリリースしてきたガエタン・ジャリが登場。オルガンのた めのオリジナルから管弦楽や声楽曲の編曲まで、フランス・バロックの名曲をたっぷりと聴かせています。ラストにはパーセルとヘンデルの作品も 収録し、伝えきらなかったオルガンの特性を引き出しました。礼拝堂全体を派手に鳴らすものから、繊細な綾を表現する作品まで、バロック音 楽の多様さとヴェルサイユの歴史あるオルガンの魅力が詰め込まれたアルバムです。
CVS-025
ヴェルサイユ旧王室礼拝堂の大オルガン Vol.3『ヴェルサイユのバロック・クリスマス』
ピエール・ダンドリュー(1664-1733):家畜にえさを与えよ
クロード・バルバストル(1724-1799):陽気な羊飼いはいずこへ行くのか
 :ヨゼフはよい妻をめとり
 さて、マリアがわれらに言うには
ジャン・フランソワ・ダンドリュー(1681-1738):果てしない願いを擁く者たちよ
ルイ・クロード・ダカン(1694-1772):救い主イエス・キリストよ
 幼い娘
クロード・バルバストル:クリスマスがやってくる
ミシェル・コレット(1707-1795):シャトルの市民たちはみな
ルイ・クロード・ダカン:アダムはあわれな男でした
ガエタン・ジャリ(Org、指)
ヴェルサイユ・バロック音楽センター少年少女cho

録音:2019年6月23-25日 ヴェルサイユ旧王室礼拝堂
1679年、ヴェルサイユ宮殿内の新しい王室礼拝堂に据えるため、ルイ14世の命により建造が計画された大オルガン。しかし礼拝堂そのもの の建築の遅れや中断、計画の変更に伴いオルガンの様式も変更を余儀なくされ、遅れに遅れて1710年に落成し、フランソワ・クープランの 演奏でお披露目がなされました。このオルガンはその後、二度の大改修を含む度々の改修と修復が行われ当初の姿からはだいぶ変わってし まっていましたが、1989年に一旦取り外されたのち、1994年から95年にかけて可能な限り1710年の状態に戻す修復が行われています。 このアルバムは、そんなヴェルサイユ宮殿のかつての王室礼拝堂にあるオルガンの魅力をフルに伝えようという企画の第3弾。今回は器楽のみ ならず声楽陣も含めた古楽合奏団マルグリット・ルイーズを主宰するガエタン・ジャリによるオルガン演奏と、高い歌唱技術に支えられた美しさ と素朴な明るさを併せ持つ子供たちの合唱との共演により、フランス・バロックのクリスマス合唱作品を雰囲気たっぷりに味わうことができます。
CVS-026(3CD)
NX-D07
ラモー:「レ・ボレアド」(1763) 全5幕の叙情悲劇 アルフィーズ…デボラ・カシェ (S)
セミル…カロリーヌ・ウェイナンツ (S)
アバリス…マティアス・ヴィダル (T)
カリシス…ベネディクト・クリスティアンソン (T)
アダマス…ブノワ・アルヌール (Br)
ボリレ…トマーシュ・シェルツ (Bs-Br)
ボレ…ニコラス・ブローイマンス (Bs)
アポロン…ルーカシュ・ゼマン (Br)
愛…ヘレナ・ホゾヴァ (S)
ポリムニ…パヴラ・ラドストヴァー (S)
第1のニンフ…アンナ・サヴィシャ (S)
第2のニンフ…テレザ・マリチュカヨヴァー (S)
ヴァーツラフ・ルクス(指)
コレギウム1704(管弦楽と合唱/古楽器使用)

録音:2020年1月23-25日 ヴェルサイユ宮殿旧王立歌劇場
1763年、七年戦争終結の祝賀のために作曲された「レ・ボレアド」は、その素材をギリシャ神話から取っており、北風の神ボレアスを信奉する ボレアドと呼ばれる人々の女王が、身分違いの恋を貫いた末にそれを勝ち得るという物語。どうしたわけか初演はキャンセルされ、その後すぐに 当時のオペラ座(サル・デュ・パレ・ロワイヤル)が火災に見舞われたうえ、翌1764年にはラモーが亡くなってしまい、上演の機会を得られないま ま国立図書館に200年ものあいだ眠ることとなりました。その初演は1964年、フランスの放送局ORTFにてラモーの没後200年記念事業と して放送。舞台での初演は1982年にジョン・エリオット・ガーディナーの手によって行われ、同年録音もなされています。2003年にはウィリア ム・クリスティ指揮による舞台の映像収録もありましたが、管弦楽のみの組曲版ではない全曲録音はそれ以来現れず、今回のヴァーツラフ・ル クスによる録音はその後の研究成果をふまえての貴重なものです。また、ヴェルサイユ宮殿内の歌劇場(その完成はこの歌劇の作曲より後と はいえ)での録音という点でも意味のあるものと言えるでしょう。古典派時代と言ってよい頃の作ということもあり、クラリネットやホルン、打楽器 などを動員したラモーならではの管弦楽センスが映える、当時としては最大編成のオーケストラを生き生きとした古楽器演奏で聴ける点も魅 力。独唱陣は、近年活躍目覚ましくル・ポエム・アルモニークによる「アレグリ:ミゼレーレ」(ALPHA438/NYCX-10093)でもソプラノのトップ を堂々務めたデボラ・カシェを始め、レオナルド・ガルシア・アラルコンやセバスティアン・ドゥセらの信頼篤いカロリーヌ・ウェイナンツなどの実力派を 揃えており、その瑞々しい歌唱がラモー最晩年の不遇の傑作に若々しい躍動感とキレを与え、作品の真価を問う素晴らしい演奏に仕上げて います。
CVS-027
リュリ:クロード・バベロン(不明-1715):王の親衛隊のための行進曲
抒情悲劇「プシュケ」 LWV 45
第5幕 最終場 - トランペット群と弦楽によるエコー形式の前奏曲
牧歌劇「ヴェルサイユの洞窟」 LWV 39(1667あるいは1668年ヴェルサイユ/台本: フィリップ・キノー)
抒情悲劇「プシュケ」 LWV 45 第5幕 最終場
- マルス神の信奉者による第1のエール
抒情悲劇「プシュケ」 LWV 45 第5幕 最終場 - 同、第2のエール
コメディ=バレ「ジョルジュ・ダンダン、あるいはやり込められた夫」 LWV 68(1668年6月18日ヴェルサイユ/台本:モリエール)
「ヴェルサイユの洞窟」
ダヴィッド・ヴィチャック(Br)…シルヴァンドル
アントナン・ロンドピエール(T)…コリドン
フランソワ=オリヴィエ・ジャン(T)…メナルク
ジュリエット・ペレ(S)…イリス
ダヴィド・ギラルディ(T)…ダフニス
ランセロ・ラモット(T)…リカス
セシル・アシール(S)…第1の女羊飼い/エコー
ヴィルジニー・トマ(S)…第2の女羊飼い
「ジョルジュ・ダンダン」
カロリーヌ・アルノー(S)…クリメーヌ
ヴィルジニー・トマ(S)…クロリス
フランソワ=オリヴィエ・ジャン(T)…-ティルシス/羊飼い
ダヴィッド・ヴィチャック(Br)…フィレーヌ
ヴィルジル・アンスリ(Bs-Br) -バッコス神の仲間
カロリーヌ・アルノー, ジュリエット・ペレ, ダヴィド・ギラルディ,
ギヨーム・グティエレス(T)…恋神に従う者たちの合唱
マルグリット・ルイーズ (合唱/管弦楽 古楽器使用)
ガエタン・ジャリ(指)

録音:2020年2月26-28日 ヴェルサイユ宮殿、十字軍の間
17世紀フランス宮廷で宮廷楽長として絶大な地位を誇ったリュリによる、モリエールとキノーという17世紀屈指の劇作家たちの演劇2作に添 えられた音楽を中心としたアルバム。いずれも演劇として物語が進行する合間にリュリの音楽が挟まれていくという趣向で、そのための音楽部 分のみを収録しています。演奏機会もそれほど多いとは言えない貴重な作品を、初演時の王室とゆかりの深いヴェルサイユ宮殿で制作され たフランス古楽器勢による新録音で聴けるのは貴重です。「ヴェルサイユの洞窟」は、宮殿内にある人工洞窟にまつわるお話で、台本はリュリ と組んで多くの傑作を生んだ詩人フィリップ・キノー、「ジョルジュ・ダンダン」は成り上がりものの主人公が、頭は切れるが浮気者の若妻にさんざ ん振り回されるという喜劇で、台本は人気作家のモリエール。彼は初演時に自ら主人公ダンダン氏役で舞台にあがり、劇中に挿入された牧 歌劇を歌う歌手たちと共演しました。「プシュケ」からの景気の良い音楽も取り混ぜて、ガエタン・ジャリ率いるマルグリット・ルイーズによる華麗 極まりない演奏でお楽しみいただけます。録音も、豪華絢爛な装飾で知られるヴェルサイユ宮殿内の「十字軍の間」で行われたものです。
CVS-028
(1CD+DVD)
NX-D07
アンドレ=エルネスト=モデスト・グレトリ(1741-1813): 「獅子心王リシャール(リチャード)」 全3幕のオペラ・コミーク (1784) ブロンデル…レミ・マチュー(テノール/DVD)、エンゲルラン・ド・イス(テノール/CD)
リシャール…レイナウト・ファン・メヘレン(T)
ローレット…メロディー・ルルジャン(S)
アントニオ、伯爵夫人…マリー・ペルボー(S)
ウイリアム…ジョフロワ・ビュフィエ(Bs)
ユルバン、フロレスタン、マチュラン…ジャン=ガブリエル・サン=マルタン(Br)
ギヨー、シャルル…フランソワ・パルダイレ(T)
マチュラン夫人…セシル・アシール(S)
執事…シャルル・バルビエ(C.T)
コレット…アガート・ブデ(S)
ベアトリクス…ヴィルジニー・ルフェーヴル(S)
ル・コンセール・スピリチュエル(合唱、管弦楽/古楽器使用)
王立歌劇場舞踏団
エルヴェ・ニケ(指)

収録:2019年10月 ヴェルサイユ宮殿王立歌劇場
【CD】 収録時間:73分
【DVD】
収録時間:87分 NTSC All regions 片面二層ディスク
字幕:仏語、英語、独語
音声:Stereo & Dolby Digital 5.1
18世紀後半のフランスで最も愛された作曲家で、マリー=アントワネットの寵を受けながらフランス革命後も絶大な人気を保った、ベルギー出 身のグレトリ。19世紀以降も衰えなかった人気は、ユーロ導入前の故郷ベルギーで高額フラン紙幣にその肖像が使われたり、フランコ・ベル ギー派の作曲家ヴュータンのヴァイオリン協奏曲第5番にその旋律が使われていたことにも示されています。そのヴュータン作品の典拠になった ほか、ベートーヴェンがピアノのための変奏曲に仕上げたブロンデルのロマンス「燃える情熱」、チャイコフスキーが歌劇「スペードの女王」で引用 したローレットのアリア「夜になるとあの人と話すのが怖い」、フランス革命のなか王政主義者の間で歌われたブロンデルのアリア「おおリシャー ル、おお我が王」などを含む音楽史上の重要作品が、彼の代表作のひとつ「獅子心王リシャール」。戦いと冒険に明け暮れたと伝わるイングラ ンド王リチャード1世、通称獅子心王リチャード(フランス読みでリシャール)の救出劇を描いたこの作品は、台詞をはさんで進行するオペラ・コ ミーク初期を代表する記念碑的作品にもかかわらず、録音・映像が意外なほど出てきませんでした。今回のアルバムは滅多に表れない古楽 器での録音としてもきわめて貴重で、18世紀フランス語オペラに名盤多数のニケのチームがこれを手がけている意義は計り知れません。しかも 今回はCDとDVDのセットで、映像の舞台演出は古典的演出に定評のあるピンコスキという豪華さです。ニケの演奏も力強さ漲る素晴らしい もの。豪華な歌手陣と詳細な時代考証に支えられた躍動感溢れる力演をお楽しみください。
CVS-029
(1CD+DVD)
『国王御就寝』 〜ルイ14世の寝室に響いた「入眠の宮廷音楽」〜
1. プレリュード〔ヴェルサイユの写本より〕(ド・ラランド)
2. 王の偉大なる楽曲〔『美しき合奏曲さまざま』(1695)より〕(ド・ラランド)
3. プレリュード〔ワルシャワ音楽協会図書館の『クラクフ写本』より〕(ルモワーヌ)
4. 薄暗く、人の気配なく〔『さまざまな作曲家による第1エール集』(1659)より〕(伝ランベール)
5. アティスの嘆き〔フランス国立図書館の写本より〕(リュリ/編曲者不詳)
6-12. 組曲 ト長調〔『アティス』『アルセスト』『愛の勝利』『ミューズたちの舞踏劇』抜粋
 フランス国立図書館の写本、および『リュリ氏の合奏組曲とトリオ』(1713)より
 一部フィリドールのトリオ[11]を含む〕(リュリ/フィリドール編)
13. 陽気なアルマンド「ラ・ミュティーヌ(反乱者)」〔『ヴォドリ・ド・セズネ写本』(1699)より〕(ド・ヴィゼー)
14. ああ! 誰が大人しく待っておれましょう〔『さまざまな作曲家による第11エール集』(1668)より〕(ル・カミュ)
ラ・コンヴェルサシオン(語らい)〔『ヴォドリ・ド・セズネ写本』(1699)より〕(ド・ヴィゼー)
マルクス=アントニウスとクレオパトラの対話〔『1、2、3、4声のための通奏低音付エール集』(1689)より〕(ランベール)
プレリュード〔『ヴォドリ・ド・セズネ写本』(1699)より〕(ド・ヴィゼー)
嘆き〔『トリオによる作品集』(1694/1707)より〕(ド・ラ・バル)
町人貴族』のアルルカンたちのシャコンヌ〔『ヴォドリ・ド・セズネ写本』(1699)より〕(リュリ/編曲者不詳)
ジグ、リゴードンとブランル(『トリオによる作品集』(1692)より)(マレ)
パッサカーユ〔『ヴォドリ・ド・セズネ写本』(1699)より〕(ド・ヴィゼー)
夜は好きに過ごさせて〔『2、3声のためのエール集』(1678)より〕(ル・カミュ)
子守唄、または揺り籠に寄り添う恋の神〔『クラヴサン曲集 第3巻』(1722)より〕(クープラン)

【DVD】
1. プレリュード (ド・ラランド)
2. 王の偉大なる楽曲 (ド・ラランド)
3. エール「夜は辛く長いので」(ド・ラランド) *
4. プレリュード (ド・ヴィゼー)
5. 薄暗く、人の気配なく (伝ランベール)
6. 四重奏ソナタ 作品1より(ドルネル) *
7. エール「ああ!辛苦のあまりの激しさに」(ランベール) *
8. トリオ・ソナタ第 4番ヘ短調 Op.3-4 (オトテール) *
9. エール「愛されているためには」 (ランベール) *
10. アティスの眠りのサンフォニー (リュリ)
11. 夜は好きに過ごさせて (ル・カミュ)
12. 子守唄、または揺り籠に寄り添う恋の神 (クープラン)
*=CD未収録作品
ダナエ・モニエ、ユジェニー・ルフェビュール**(S)
マルク・モイヨン*、エティエンヌ・バゾラ**(Br)
ジョゼフ・コッテ、川久保洋子、ビルジット・ゴリス**、バトリス・リノン**(Vn)
トマ・ルコント、ヴァレリー・バルサ(フラウト・トラヴェルソ)
ミリアム・リニョル、マティルド・ヴィアル(ドシュ&バス・ド・ヴィオル)
ジュリー・デサン(バス・ド・ヴィオル)
アントワーヌ・トゥーシュ(バス・ド・ヴィオロン)**
カロリーヌ・リービ(バロックハープ)**
セバスティアン・ドゥセ(クラヴサン)
ロマン・ファリク(テオルボ風リュート、バロックギター)*
ティボー・ルーセル(テオルボ、バロックギター、総指揮)
*CDのみ **DVDのみ

CD録音:2019年7月15-18日、ヴェルサイユ宮殿 (74分)
DVD収録:2020年6月22日、ヴェルサイユ宮殿(カラーNTSC、All regions、片面二層、59分)
ルイ14世は洗練された文化人たちを王室に集め、建築や美術、練兵や服飾のみならず音楽においても最高級の粋に囲まれました。しかも その宮廷生活を公に披露し、衆人見守るなか絢爛な音楽を奏でさせ食事をしたり、寝室に向かったりしています。そして最後はマレやド・ヴィ ゼーらごく数人の秀でた楽人たちだけを寝室に連れ、眠りに落ちるまで音楽を奏でさせたそうです。本盤はそこで王が聴いたであろう、昔日の 栄光と安らぎを演出する楽曲を入念に選曲。フランス語圏の古楽界で多忙な活躍を続けてきた実力派たち(トラヴェルソのヴァレリー・バルサ やヴァイオリンの川久保洋子など多くの一流アンサンブルで見かける奏者ばかりです)が本気で「昔日の安らぎ」を追求した演奏を、Alpha初 期の名盤群で知られる自然派録音技師ユーグ・デショーによるエンジニアリングで生々しく収録しました。結果それが王者の豊かさで快眠をも たらすか、むしろ脳を刺激されて聴き入ってしまうかはあなた次第……ヴェルサイユ・バロック音楽センターの碩学トマ・ラコントによる充実解説 (英独訳付)のほか、絢爛の極致ともいうべき史跡ヴェルサイユ宮殿でのライヴを収録したDVDが添えられているのも嬉しいところです。
CVS-030
(2CD+DVD+Bluray)
NX-D11
モーツァルト:歌劇「魔笛」
フランス語歌唱
台本…エマヌエル・シカネーダー
パミーナ…フローリー・ヴァリケット(S)
タミーノ…マティアス・ヴィダル(T)
パパゲーノ…マルク・スコフォニ(Br)
夜の女王…リザ・モスタン(S)
ザラストロ…トミスラフ・ラヴォワ(Bs)
パパゲーナ…ポリーヌ・フェラッチ(S)
モノスタトス…オリヴィエ・トロマンシュラーゲル(T)
夜の女王の侍女1…シュザンヌ・ジェローム(S)
夜の女王の侍女2…マリー・ゴートロ(Ms)
夜の女王の侍女3…メロディ・リュヴィオ(C.A)
神託の声…マチュー・ルクロアール(Br)
神官1…マチュー・シャピュイ(T)
神官2…ジャン=クリストフ・ラニエス(Br)
童子1…エマ・ド・ラ・サル(S)
童子2…タニーナ・ラウス(S)
童子3…ガランス・ラポルト・デュリエ(S)
幼少のタミーノ…デジレ・リュベク(Boy-S)
ル・コンセール・スピリチュエル (合唱、管弦楽/古楽器使用)
エルヴェ・ニケ(指)
演出…セシル・ルーサ、ジュリアン・リュベク

収録:2020年1月、ヴェルサイユ王室歌劇場
収録時間:142分11秒(CD)/2時間29分(DVD&Blu-ray)
【DVD&Blu-ray】
字幕:フランス語、英語、ドイツ語
NTSC Region All
映像:16:9
音声:STEREO & 5.1ch (詳細不明)
バロックの知られざる声楽曲の大作を数多く蘇演し、ヘンデル、ボワモルティエ、リュリ、デトゥーシュ、ヴィヴァルディ、カテル……と有名無名にか かわらず痛快なステージや録音に仕上げるフランス古楽界の異才エルヴェ・ニケ。近年はサン=サーンスやダヴィドなど19世紀フランス・ロマン 派の舞台作品でも鮮烈な演奏で多くの人々を魅了していますが、その圧倒的なパフォーマンスは舞台演出や映像との相性も抜群。今回の 「魔笛」は近年躍進めざましい演出家ルーサ&リュベクによる、バンド・デシネ(フランス大衆漫画)のアニメーションも組み込んだ独特なステー ジになっていますが、何より注目すべきはニケが自らの母語であるフランス語の台本でこの傑作をとりあげたこと。言語が変わるだけで一転、 モーツァルトの古典美にケルビーニの革命期オペラやグレトリーのオペレッタにも通じるフランス的色彩感とスリルが加わり、演奏陣の物語への傾 倒ぶりとあいまって痛快な演奏効果がもたらされます。夜の女王を演じるリザ・モスタンも堂々の歌唱。モノスタトス役のオリヴィエ・トロマンシュ ラーゲルが繰り出す古典発音のおかしみも独特の趣きを演出に添えています。傑作のありようを問い直す、古楽系指揮者の真骨頂発揮とも 言えるプロジェクト。映像とCDが揃ったセットでの発売です。
CVS-031(2CD)
NX-D07
ラモー:『優雅なインドの国々』 序幕付き全3幕の舞踏歌劇(1761年版) アンナ・カンタンス(S)…エベ(婚礼の女神)、ジマ
エマニュエル・ド・ネグリ(S)…エミリー(女奴隷)、ファニ
ジュリー・ロゼ(S)…アモール(恋の神)
マティアス・ヴィダル(T)…ヴァレール、ドン・カルロス、ダモン
アレクサンドル・デュアメル(Br)…ウアスカル
エドウィン・クロスレ=メルセ(Br)…ベローヌ(諍いの神)、ドン・アルヴァル
ギヨーム・アンドリュー(Br)…太守オスマン、アダリオ
ラ・シャペル・アルモニーク(古楽器使用)&cho
ヴァランタン・トゥルネ(指)

録音:2019年11月14-16日&2020年6月26-27日 ヴェルサイユ宮殿、フランス
最も若い世代からシーンを瞠目させるグループが続々登場するフランス古楽界ですが、大規模なプロジェクトを続々成功させ専門家たちの注 目を急速に集めつつある1996年生まれの俊才ヴァランタン・トゥルネが率いるラ・シャペル・アルモニークはまさにその最注目株といっても過言 ではないでしょう。各地の音楽祭から次々と招かれ、バッハの『マニフィカト』初稿版(CVS009/日本語解説・訳詞付NYCX-10097)で CDデビューしたのが2019年。そのときのパートナーでもあったヴェルサイユ宮殿主宰のレーベルから、まさに彼らの自家薬籠中のレパートリーと も言うべきフランス18世紀作品の、それも名曲中の名曲の注目新録音が登場します。齢50を過ぎて歌劇作曲家としてデビューしたばかりの ラモーに大きな名声をもたらし、18世紀の間も幾度となく再演された傑作『優雅なインドの国々』(「インド」とは18世紀フランスの人々にとって の「異国」あるいは「異教徒の世界」という意味で、南米やトルコ、アフリカ大陸などが舞台になりながら実際のインドは出てきません)……ラ モー晩年の1761年に再演された時の「インカとペルー」の幕から始まる異版が使われているのも特徴のひとつです。フランス語話者たちならで はの音楽の造形への親和性が活きる、その丁寧な解釈から立ち上る香気と豊かな活気はまさに今の彼らならではのもの。細部まで聴き深め 甲斐のある充実の演奏に仕上がっています。
CVS-032
『怒りの日』 ジャン=バティスト・リュリ: グラン・モテ集Vol.1
怒りの日 LWV 64
おお涙よ、信徒の涙よ LWV 26
深き淵より LWV 62
ステファーヌ・フュジェ指揮 レゼポペー(古楽器使用)【クレール・ルフィリアトル(ドゥシュ〔ソプラノ〕)
シリル・オヴィティ、セルジュ・グビウ(オートコントル〔高音テノール〕)
マルク・モイヨン(ターユ〔テノール〕)
ブノワ・アルヌー(バス=ターユ〔バリトン〕〕他】

録音:2020年7月10-12日 ヴェルサイユ宮殿 旧王室礼拝堂
グラン・モテとは17世紀のフランスで発祥した、合唱に比較的大規模な合奏が加わる教会声楽曲のこと。太陽王ルイ14世の宮廷楽団総 監督となったリュリが手がけたものは、洗練された手法で弦楽器や管楽器の響きを重ね、劇的起伏に満ちた素晴しい音世界がくり広げられま す。その栄華の現場でもあったヴェルサイユ宮殿の王室礼拝堂を拠点に、かの大作曲家が残したグラン・モテの数々を体系的に録音してゆく シリーズがスタート。本場フランスの古楽シーンでも定評あるステファーヌ・フュジェのもと、弦楽パートは大小のヴィオラやバス・ド・ヴィオロンなど、 フランス17世紀ならではの楽器を巧みに奏でる総勢22人の大編成。管楽器ではリコーダー奏者7人(うち4人はオーボエまたはバスーン持ち 替え)に低音楽器セルパンが加わり、重厚にして味わい深い響きをオルガン、クラヴサン(Cemb)と2挺のテオルボまで動員した通奏低音 勢が支える合奏。21人からなる合唱団には、ル・ポエム・アルモニークの初期メンバーとしても知られるルフィリアトル、グビウ、アルヌーといった 超実力派たちが参加しています。一聴して「本場」を感じる求心力の強い演奏は、並み居る競合盤を顔色なからしめるほどの存在感にあふ れたもの。「Vol.1」と銘打たれていることに早くも頼もしさを感じる充実の録音で、指揮者自ら書き下ろした解説文(英訳あり)も読みごたえ 十分です。
CVS-033

NYCX-1020
日本語解説付国内盤
税込定価

ペルゴレージ:スターバト・マーテル(悲しみの聖母)
ヴィヴァルディ:モテット「いとも正統なる怒りに燃え」 RV 626
 ヴァイオリン,オルガンとチェロのための協奏曲 ハ長調 RV 554a
 スターバト・マーテル(悲しみの聖母) RV 621
サミュエル・マリーニョ(男声ソプラノ)
フィリッポ・ミネッチア(アルト=カウンターテナー)
マリー・ファン・レイン(Org&指)
ヴェルサイユ旧王室歌劇場O(古楽器使用)
ヨセフ・ジャーク(Vn)
アリス・コカール(Vc)

録音:2020年6月19-20日、ヴェルサイユ宮殿旧王室礼拝堂
【国内盤】日本語解説・歌詞訳付き
バロック後期の傑作、26歳で早世したナポリの天才作曲家ペルゴレージによる「スターバト・マーテル」。その絶大な人気の一端を支えたのが パリで、18世紀中盤以降この作品は定期演奏会コンセール・スピリチュエルで最も頻繁に取り上げられた曲目の一つでした。当時の教会音 楽は男声で歌われることが圧倒的に多く、イタリア・オペラの舞台を賑わせた人気のカストラート(去勢男声高音歌手)たちに抵抗感を示す 人が多かったフランスでさえ、ルイ15世の礼拝堂歌手だった男声歌手たちがこの作品を歌って大成功を収めたほど。ベネズエラ出身で欧州 各地の歌劇場を沸かせており、先ごろORFEOからソロ・デビュー盤(C998201)もリリースしたサミュエル・マリーニョと、カウンターテナー界で着 実に知名度をあげつつあるフィリッポ・ミネッチアの二人が歌うこの傑作、ヴェルサイユに集う精鋭古楽陣が検証の末たどり着いた小編成による 演奏もみごとな仕上がり!併録作にヴィヴァルディの独唱のためのモテットと「スターバト・マーテル」、さらにオルガンが弦楽器のソロとわたりあう 珍しい協奏曲まで収録されているのも嬉しいところです。解説にも作品成立背景が端的に説明されており、18世紀の傑作が当時の人々に どう聴こえたのか、ヴェルサイユの歴史的会場の響きで追体験できる充実企画です。
CVS-034

NYCX-1021
日本語解説付国内盤
税込定価

F.クープラン&ド・ラランド
フランソワ・クープラン:聖水曜日のための第1ルソン
 聖水曜日のための第2ルソン
 聖水曜日のための第3ルソン
ミシェル=リシャール・ド・ラランド(1657-1726):第4の賛歌: 正しき者たちの幸福と見放された者たちの不幸について
フランソワ・クープラン:謝肉祭主日のためのモテ: 甦った救世主の勝利
ソフィー・ユンカー(S)、
フロリー・ヴァリケット(S)
ヴェルサイユ旧王室礼拝堂O(古楽器使用)【リュシル・ブーランジェ(バス・ド・ヴィオル)、リス・コカール(バス・ド・ヴィオロン)、ピエール・リンデルクネシュト(テオルボ)】
ステファーヌ・フュジェ(クラヴサン、オルガン・指揮)

録音:2020年6月13-17日 ヴェルサイユ旧王室礼拝堂
※ 国内盤には日本語解説・歌詞訳付き
クラヴサン(Cemb)音楽の大家として知られるクープラン。生前はオルガニストとしても活躍し、教会音楽でも傑作を少なからず残していま す。そのなかでも出色の名品として名高い『ルソン・ド・テネブル』は、復活祭前の節制期間である受難節の最後の週、未明に唱えられてい た旧約聖書『哀歌』の詩句にもとづく静謐な音楽。受難節の音楽はできるだけ楽器を減らして質素にとりおこなうのが常だった当時、通奏低 音だけを伴った独唱・二重唱で驚くほど豊かな音世界が紡がれるこの名品3編は過去にも録音が少なくないところ、フランス古楽界で活躍 する精鋭がヴェルサイユに集いじっくり録音した今回のアルバムは、その馥郁たる香気漂う響きで強い魅力を放っています。クープランと同時 代を生き、リュリの後を受けてルイ14世の王室礼拝堂をまとめたド・ラランドの貴重なプティ・モテが併録されているところも魅力。古楽の世界 でも欧州歌劇界でも着実に注目度を高めつつあるベルギー出身のソフィー・ユンカー、ALPHAレーベルにソロ録音も多いヴィオルのリュシル・ ブーランジェら注目のプレイヤーたちを、フランスの古楽器世界で確かな信頼を集めるステファーヌ・フュジェがあざやかにまとめています。また、 国内盤はかなり稀少な作品です。
CVS-035
F.クープラン:ヴィオール作品集
組曲 ホ短調
幸せな思いつき(テオルボ独奏版)
ラ・メザンジェール(二つのヴィオールとテオルボ版)
ティク=トク=ショクまたはオリーヴ圧搾機:ロンド(二つのヴィオール版)
ラ・シャゼ(ヴィオール、クラヴサンとテオルボ版)
森の精たち(ロベール・ド・ヴィゼー〔1655-1732〕編曲によるテオルボ独奏版)
ラ・メヌトゥー:ロンド(ヴィオール、クラヴサンとテオルボ版)
組曲 イ短調
ねんね、または揺り籠の天使:ロンド(ヴィオールとテオルボ版)
マティルド・ヴィアル、ルイーズ・ブド=マレ(バス・ド・ヴィオール)
ティボー・ルーセル(テオルボ、バロックギター)
セバスティアン・ドゥセ(クラヴサン)

録音:2019年6月24-27日 ヴェルサイユ宮殿「ヴィクトワール王女の大広間」
フランス古楽の世界において、パリやストラスブールと並ぶ古楽教育の拠点として知られる南仏リヨンの音楽院で、名手マリアンヌ・ミュレールに 師事したヴィオール(ヴィオラ・ダ・ガンバ)奏者マティルド・ヴィアルが、同門のルイーズ・ブド=マレ、多忙な古楽撥弦楽器奏者ティボー・ルーセ ル、そして音楽学者としてもバロック声楽の指揮者としても世界的な信望を集めているクラヴサン(Cemb)奏者、セバスティアン・ドゥセという 豪華な共演陣を得ておくる、フランソワ・クープランのヴィオール作品集。クラヴサン独奏曲の数々で知られるクープランは、フランス生粋の室内 楽伝統に連なるヴィオールと通奏低音のための組曲集も刊行しましたが、ここでは二つの組曲のほかにクラヴサン独奏曲を原曲とするメンバー による編曲も数多く収録。ルーセルの細やかな撥弦が光る独奏曲も交え、クープランの作品がいかに弓奏弦楽器でもなじみやすいものであっ たか、さまざまな角度から解き明かしてゆきます。有名な「オリーヴ圧縮機」で二つのヴィオールの弓使いから繰り出される規則的な音の重な り、「ねんね、または揺り籠の天使」での撥弦と弓奏の優しい寄り沿い合いなど、フランス古楽勢ならではの作品との親和性でこのうえなく優美 なバロック世界が展開してゆく見過し難いアルバムです。
CVS-036
(2CD+DVD+Bluray)
NX-D11
コリリアーノ:歌劇「ヴェルサイユの幽霊」 フローレスティン…エミリー・ミシュ(S)
スザンナ…カイラ・シエンビーダ(Ms)
パトリック・オノレ・ベジャールス…クリスチャン・サンダース(T)
マリー・アントワネット…テレサ・ペロッタ(S)
ボーマルシェ…ジョナサン・ブライアン(Br)
レオン…スペンサー・ブリテン(T)
アルマヴィーヴァ伯爵…ブライアン・ウォーリン(T)
ルイ16世…ピーター・モーガン(Bs-Br)
フィガロ…ベン・シェーファー(Br)
ロジーナ…ジョアンナ・ラティーニ(S)
グリマーグラス・フェスティバルcho、ダンサーズ
ヴェルサイユ王室歌劇場O
ジョセフ・コラネリ(指)

収録:2019年12月7、8日 ヴェルサイユ宮殿王室歌劇場
収録時間:145分75秒(CD) (CD1…75分43秒/CD2…70分2秒)
2時間29分(DVD、Blu-ray)

【DVD/Blu-ray】
字幕…英語(歌唱言語)、フランス語、ドイツ語
NTSC All-region 片面二層ディスク Stereo(2.0ch)
1991年、メトロポリタン歌劇場の委嘱により書かれた「ヴェルサイユの幽霊」。「セビリアの理髪師」「フィガロの結婚」に続く第三作として、ボー マルシェによって書かれた「罪ある母」を下地に、舞台をフランス革命後の荒廃したヴェルサイユ宮殿に置き換え、マリー・アントワネットやルイ16 世、そして当のボーマルシェらの幽霊のほか、オペラでもお馴染みのフィガロ、スザンナなどが入り乱れて繰り広げられるシュールな物語。ドタバタ ながらも原作が持つ重い内容も反映しています。アメリカの「グリマーグラス・フェスティバル」とヴェルサイユの共同制作となっているこのアルバム では、アメリカやカナダを中心とした歌手陣とヴェルサイユのミュージシャンが共演。まさに”作品の舞台”となっている舞台に掛けられるという、類 まれな状況を生み出しました。世に出ているディスクの内容からバロック・オペラの印象が強いヴェルサイユ王室歌劇場が、シンセサイザーを含 むモダン楽器の響きに震えているのも面白いところ。国を超えたアーティストたちの力演をお楽しみいただけます。
CVS-037(2CD)
NX-D07
リュリ:歌劇「カドミュスとエルミオーヌ」 カドミュス…トマ・ドリエ(Br)
エルミオーヌ…アデル・シャルヴェ(Ms)
メリス、慈愛の女神…エヴァ・ザイシク(Ms)
アルバス、牧神…リザンドロ・アバディ(Br)
乳母、田園の神…ニコラス・スコット(T)
巨人ドラコ、軍神マルス…ヴィルジル・アンスリ(Bs)
神官、ジュピテール…ギレン・ヴォルムス(バス=バリトン)
アグラント、聡明の女神パラス、結婚の女神、パレス…
マリーヌ・ラフダル=フラン(S)
第1のティルスの君子、太陽神…アンゲラン・ド・イス(T)
第1のアフリカ人、妬みの神…ブノワ=ジョゼフ・マイエル(T)
第2のアフリカ人、エシオン…カエリグ・ボシェ(T)
ジュノン、恋愛の神…ブレンダ・プパール(Ms)
第2のティルスの君子…オリヴィエ・フィシェ(Br)
ニンフ、美の女神ヴェニュス…アガート・ブーデ(S)
ル・ポエム・アルモニーク(古楽器使用)
アンサンブル・エデス(合唱/合唱指揮:マチュー・ロマノ)
指揮:ヴァンサン・デュメストル

録音:2019年11月25-28日、ヴェルサイユ宮殿
フランス古楽界の最前線にあって、伸縮自在の編成で多彩な音楽世界を紡ぎ出してきたル・ポエム・アルモニーク。カリスマ・レーベルALPHA の看板グループとして21世紀初頭から注目を集めてきた彼らは、すでに歴史考証をふまえた演出家バンジャマン・ラザールとのコラボレーション による”照明は蝋燭のみ”の意欲的な映像でリュリの「カドミュスとエルミオーヌ」をDVDでリリースしています。それから15年以上の年月を経て CDに新たに刻まれたこの演奏では、主役ふたりにトマ・ドリエとアデル・シャルヴェ、さらにエヴァ・ザイシクやリザンドロ・アバディらフランス語圏の 古楽界で確実に存在感を強めつつある名歌手たちを集めての新たな境地に。1673年、王室音楽総監督としてルイ14世の宮廷における 舞台音楽上演の一切を掌握したリュリが、フランス語を使ってイタリアのオペラにも比しうる劇音楽形式を模索した「カドミュスとエルミオーヌ」 は、カルタゴ建国の歴史を軸としながら惹かれあう男女の恋が高雅な音楽展開に昇華され、フランス語の朗読がそのまま音楽となったかのよう な自然な音運びで演劇・音楽・舞踏の融合が達成された傑作。のちに抒情悲劇(トラジェディ・リリーク)と呼ばれることになる序幕付き全5幕 の「型」を確立した作品ともなりました。リュリ以前のフランス音楽でも高い評価を得たヴァンサン・デュメストルの作品解釈は、多くの演奏経験 を経て、前収録時よりもさらに深められています。
CVS-038(2CD)
アンドレ・カルディナル・デトゥーシュ(1672-1749):歌劇「セミラミス」(1718) セミラミス…エレオノール・パンクラズィ(S)
アメストリス…エマニュエル・ド・ネグリ(S)
アルサーヌ…マティアス・ヴィダル(オートコントル)
ゾロアストル…ティボー・ド・ダマス(Br)
神官/葬儀監督役の男…ダヴィド・ヴィチャク(Br)
バビロニアの女/女祭司…ジュディト・ファ(S)
バビロニアの男/精霊…クレマン・ドビューヴル(オートコントル)
レゾンブル(古楽器使用)
通奏低音:マルゴー・ブランシャール(バス・ド・ヴィオール〔ヴィオラ・ダ・ガンバ〕)
 クレール・ゴートロ(Vc)
 ジェレミー・パパセルジオー(バスーン)
 ヴァンサン・フリュッキガー、エティエンヌ・ガルティエ(テオルボ、バロックギター)
 ブリス・サイー(クラヴサン〔チェンバロ〕)
ル・コンセール・スピリチュエルcho(合唱指揮: エルヴェ・ニケ)
シルヴァン・サルトル(指)
総指揮:マルゴー・ブランシャール&シルヴァン・サルトル

録音:2020年3月4日、ヴェルサイユ王室歌劇場
かつてホグウッドがルベル『四大元素』を録音した際、同じテーマによるデトゥーシュの作品がカップリングされたことで、この作曲家の名をご存知 の方も少なくないはず。クープランとヴィヴァルディの間くらいの生まれ年で18世紀半ばまで生き、ラモーが台頭する前から「リュリ後」のフランス 音楽劇界をカンプラとともに大いに盛り上げたデトゥーシュの才覚には、21世紀に入りエルヴェ・ニケらが次々と送り出した録音で再評価の目 が集まりつつあります。彼はリュリの影響がまだ大きかった17世紀末にルイ14世に気に入られ、ラモーがパリを席巻する前のフランス語舞台音 楽に新たな活況をもたらした立役者の一人。1713年からパリの王室音楽アカデミー歌劇場監督、さらに大御所ド・ラランドの後任として 1726年から王室音楽総監督となった彼の「セミラミス」は1718年の作で、充実した管弦楽をバックに女声・男声ともに活躍する手法で大成 功を収めました。ロッシーニ「セミラーミデ」(1823)の原作となったヴォルテールの戯曲『セミラミス』(1746)より早い作例ですが、そのヴォルテー ルが『シャムのデトゥーシュ』という小説を1767年に書いている事実からも、歿後なお長く続いたデトゥーシュの名声の大きさが窺い知れます。 古代バビロニアの女王セミラミスの悲運をめぐる二転三転の物語には、嵐の場面もあれば心揺さぶる恋の場面もあり聴きどころ満載!本場 ヴェルサイユの王室歌劇場を舞台に、主人公アルサーヌを演じるマティアス・ヴィダルをはじめ歌手勢は実力派揃い。フランス古楽界の粋が集 う俊才集団レゾンブルの拡大編成に、合唱をニケ指揮のル・コンセール・スピリチュエルが受け持つ頼もしい布陣。多くのフランス・バロック・ファ ンを唸らせる演奏内容です。
CVS-039
『勝利のラモー』 〜ヴェルサイユ王室歌劇場で聴く男声エール傑作選〜
ジャン=フィリップ・ラモー
1. 「ポリムニの祭典」序曲
2. 「ダルダニュス」ここはどこだ、いかなる神がわたしをここへ
3. 「ダルダニュス」ダルダニュスのエール「急げ、栄光に向かえ」
4. 「ゾロアストル」ゾロアストルのエール「急ぎ来たれ、華やぐ青春よ」
5. 「ダルダニュス」タンブラン1&2〔器楽〕
6. 「ダルダニュス」たおやかなエール「気持ちを落ち着けて」
7. 「ダルダニュス」快活なガヴォット〔器楽〕
8. 「ダルダニュス」勝利のエール/夢の三重唱「急ぎ武具をとる時が来た」
9. 「遍歴騎士」アティスのエール「突き進め、恋の神よ」
10. 「優雅なインドの国々」アフリカの奴隷たちのエール〔器楽〕
11. 「優雅なインドの国々」ヴァレールのエール「者共、さっさと陸に上がれ」
12. 「プラテー」嵐の場面〔器楽〕
13. 「ゾロアストル」荘重なエール:地獄の霊たちの舞踏
14. 「ナイス」ネプチューンのエール「やめろ、陸地を荒らすな」
15. 「ナイス」コントルダンス〔器楽〕
16. 「栄光の神殿」バッコスのエール「ティルスの治世よ、とこしえに」
17. 「ポリムニの祭典」快活なエール〔器楽〕
18. 「ピグマリオン」ピグマリオンのエール「勝ち誇れ、恋の神よ」
19. 「ダルダニュス」シャコンヌ〔器楽〕
20. 「ピグマリオン」ピグマリオンのエール「君臨するがいい、恋の神よ」
21. 「カストールとポリュクス」競技者たちのエール〔器楽〕
22. 「カストールとポリュクス」ポリュクスのエール「聴け、高らかな喇叭の音を」
23. 「ボレアド」カリシスのエール「たっぷり味わおう、麗しき年月を」
24. 「ボレアド」ポリムニのアントレ〔器楽〕
25. 「プラテー」テスピスのエール「皮肉の神よ、恋の神よ、理性の神よ」
26. 「プラテー」テスピスの独唱と合唱「新たな舞台を仕立てよう」
27. 「プラテー」コントルダンスとロンド「歌おう、バッコスよ」
28. 「ポリムニの祭典」アンティオクスのエール「恋の相手は全てが愛しい」
29. 「ポリムニの祭典」優美なエール〔器楽〕
30. 「ポリムニの祭典」「幸せな民よ、わたしのところへ集え」
マティアス・ヴィダル(オートコントル)
アンサンブル・マルグリット・ルイーズ(声楽&古楽器アンサンブル)
ガエタン・ジャリ指揮

録音:2020年11月1-3日、ヴェルサイユ宮殿王室歌劇場
その音楽史上の存在意義や、いくつかの限られた傑作の素晴らしさは広く知られているものの、本領が発揮されているジャンルがオペラというこ ともあり日本では真価がなかなか伝わりにくいフランスの大作曲家ラモー。本盤のような独唱曲の抜粋はそうした認識を改めるのに絶好です が、なぜかラモーのアリア(エール)集はめったに出てきません。その渇きを癒してあまりあるリリースが、ヴェルサイユ宮殿主宰のChateau de Versaillesレーベルから登場します。フランス古楽の本拠ともいえる昔日の王室歌劇場を舞台に、ラモーのオーケストレーションとリズム感覚が きわだつ管弦楽トラックも数多く盛り込みながら贈るこのアルバムの主人公は、近代作品まで幅広い演目に出演しながら18世紀音楽をこと のほか得意とする多忙な名歌手、マティアス・ヴィダル。フランス古楽にはオートコントルと呼ばれる、テノールというには高すぎる音域までカ ヴァーするパートが存在するところ、ヴィダルはそうした高音でも悠々と歌いこなせてしまうことが本盤でも最大の強みとなっています。1730〜 40年代のラモーの躍進期の傑作を中心としたプログラムを通じ、ヘンデルやバッハ、ナポリ楽派の天才たちが大活躍していたのと同じ頃、フラ ンスではいかにユニークかつエキサイティングな音楽世界が発展していたのか、フランス古楽勢の精鋭たちによって実感させられます。ラモーを知 るならまずこの1枚!と自信を持って薦められるアルバムです。
CVS-040(2CD)
NX-D07

NYCX-10225
日本語解説付国内盤
税込定価

バッハ:バス・ド・ヴィオール(ヴィオラ・ダ・ガンバ)による『無伴奏チェロ組曲』(全6編)
組曲 第3番 ニ長調 (原調 ハ長調) BWV 1009
組曲 第2番 ホ短調 (原調 ニ短調) BWV 1008
組曲 第4番 ト長調 (原調 変ホ長調)BWV 1010
組曲 第6番 ハ長調 (原調 二長調)BWV 1012
組曲 第5番 ニ短調 (原調 ハ短調)BWV 1011
組曲 第1番 イ長調 (原調 ト長調)BWV 1007
ミリアム・リニョル(バス・ド・ヴィオール〔ヴィオラ・ダ・ガンバ〕)
ピッチ A=400 Hz

録音:2020年11月16-21日 シテ・デ・ラ・ヴォワ、ヴェズレー、フランス
※ 国内盤には日本語解説付き
バッハの『無伴奏チェロ組曲』は、イタリア由来の楽器であるチェロのための作品ながら、ヴェルサイユに宮廷を構えたフランス王室に由来するフ ランス流の舞踏組曲形式で構成されています。17世紀にリュートやヴィオール、クラヴサンなどの演奏家=作曲家たちが好んだ形式ですが、 この点について徹底してフランス古楽の側からアプローチを試みたユニークかつ高水準なアルバムが登場しました。ルイ14世やバッハの時代に も使われていたフランスの歴史的建造物を録音の舞台に、バス・ド・ヴィオール(ヴィオラ・ダ・ガンバ)を用いてこの作品全曲を録音したのは、フ ランス出身の名手ミリアム・リニョル。ヴィオール界の大御所フィリップ・ピエルロの主宰するリチェルカール・コンソートや、フランス古楽シーンの最 前線を行く気鋭団体ピグマリオン、アンサンブル・コレスポンダンスなどで中心メンバーとして活躍中であるほか、川久保洋子、ジュリアン・ヴォル フスらとの室内楽グループ「レ・タンブル」の一員としても数々のディスクで高評価を博してきた俊才です。これらの組曲が「なぜヴィオールで演 奏されるのか」については、ライプツィヒ・バッハ協会の名誉会員ジル・カンタグレルやリニョル本人による解説でも説明されていますが、何より演 奏解釈そのものが圧倒的な説得力に満ちていて、さながらバッハが当初からこの楽器とフランス音楽らしさを意識していたのではないかと思え てくる仕上がり。考え抜かれた曲順も効果絶大で、このあまりに有名な傑作を新たな角度から見つめ直す絶好の機会となるでしょう。20年 ほど前にリリースされた、イタリアの名手パオロ・パンドルフォによるガンバ版とも異なる視点からの「フランス流儀のバッハ無伴奏」。ALPHAレー ベルで創設初期から活躍してきた敏腕技師アリーヌ・ブロンディオの適切なエンジニアリングも光る逸品です。 ※各組曲は移調されていますが、ピッチが標準よりもほぼ全音低いため、第1、2、3、5組曲については、ほぼ原調で響きます。
CVS-041
ヴェネツィアに栄光あれ! 〜ジョヴァンニ・ガブリエリ、ヴェルサイユに響き渡る〜
メールロ(1533-1604):「わたしの魂は主をあがめ(マニフィカト)」
ガブリエリ(1557-1612):4声の第3カンツォン
ガブリエリ:7声の「わたしは言った、主よ憐れんでくださいと」
ガブリエリ:8声の「主の定めに従い道を全うする者は幸いである」
ジョセフォ・グアーミ(1542-1611):フランス風カンツォン「ラ・ルッケジーナ」
ガブリエリ:6声の「わたしに耳を傾けてください、主よ」
ガブリエリ:10声の「おお偉大なる玄義、褒むべき秘跡」
ガブリエリ:4声の第4カンツォン
ガブリエリ:8声の「全地よ神を歓呼して迎えよ」
ガブリエリ:10声の「神よ、わが神よ」
ガブリエリ:オルガン独奏のためのリチェルカール
ガブリエリ:10声の「主よ、わが祈りを聞き届けてください」
アドリアン・ヴィラールト(1490-1562):「わが心にのしかかる重い責務が」
ガブリエリ:10声の「善き羊飼いは甦った」
ガブリエリ:第2カンツォン
ガブリエリ:6声の「麗しきは乙女マリア」
ガブリエリ:4声のカンツォン「ラ・スピリタータ」
ガブリエリ:12声の「天使は羊飼いたちにこう告げた」
ラッスス:「皆の者、さあ日も暮れた」
ラ・ギルド・デ・メルスネール(声楽&古楽器アンサンブル)【ヴィオレーヌ・ル・シュナーデク、アナイス・ベルトラン(S)、マルニクス・ド・カット(C.T)、マルク・モイヨン、ルノー・ブレ(バス=バリトン)、マルク・ビュネル(Bs)】

アドリアン・マビル(木管コルネット&指揮)
ブノワ・タンテュリエ(木管コルネット)
フアン・ゴンサレス・マルティネス、アルノー・ブルトシェル、アベル・ロールバック(サックバット)
ジャン=リュク・オー(Org)

録音:2019年10月8-11日 ヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂
17世紀後半に入り、王室音楽総監督リュリが独特の音楽劇様式をもって確立したと言っても過言ではない「フランス古典音楽」=フランスの バロック音楽様式。しかし実のところ、この政治的立ち回りにも才能を発揮したフィレンツェ出身の巨匠が頭角を表す前まで、フランス王室は 別の流れをたどってイタリア最先端の音楽様式を積極的に吸収していたのです。教皇庁に連なる枢機卿マザリーノがローマの音楽を伝えたの もその一端でしたが、その17世紀ローマ楽派にも大きな影響をおよぼし、かつリュリ登場直前に俊才カヴァッリを介してフランス宮廷音楽の大 きな素地にもなったのが、16〜17世紀のヴェネツィアの作曲家たち。政治的な事情からヴェネツィア共和国がフランス王室に急接近していた 当時、かの水の都の分割合唱形式はフォルメーやブジニヤックなどリュリ前夜のフランス教会音楽にも大きな影響を及ぼしていました。そのルー ツに立ち返るべく、ヴェネツィアの巨匠ガブリエリの作品を中心としたプログラムを、ヴェルサイユ王室礼拝堂の響きで聴く画期的なアルバムがこ ちら。しかも演奏陣は近年躍進めざましい古楽鍵盤奏者オー、巧みなバロック歌唱で多忙な活躍を続けるル・シュナーデク、幅広い声域と細 やかな解釈で中世まで遡る広範な音楽を歌いこなすモイヨン……と、それぞれ異なる古楽フィールドで存在感を強めている異才ばかりが集う 精鋭集団。ほどよい残響のなか各パートの動きがよく味わえる録音で、先入観を排してフランス音楽の真相を見極めるにも意義深く、かつバ ロックの金管と声楽とが自然に隣り合うヴェネツィア楽派の本分をよく伝える絶好の仕上がりになっています。楽器や収録曲についての解説 (仏・英・独語)も興味深い内容。
CVS-042(2CD+DVD)
NX-D11
『四季』
【CD 1】
ヴィヴァルディ:『四季』
【CD 2】
ジョヴァンニ・アントニオ・グイード(1675頃-1729):『四季』〜「四季」によるスケルツォ・アルモニコ
【DVD】
CD1、CD2と同内容
アンドレス・ガベッタ(ソロVn、指)
ヴェルサイユ王室歌劇場O(古楽器使用)

収録:2020年12月18-23日ヴェルサイユ宮殿 (CD)
2020年12月21日ヴェルサイユ宮殿「鏡の間」 (DVD)
【DVD】 (93分28秒)
画像:16:9 NTSC All Regions
音声:2ch Stereo
ヴィヴァルディの『四季』は18世紀フランスでも大きな人気を博し、モーツァルト父子がパリを訪問した1763年頃まで「春」が現役レパートリーと して演奏されていたほど。チェリストのソル・ガベッタの兄でバロック・ヴァイオリンの名手アンドレス・ガベッタを中心に、フランス古楽界の俊才がヴェ ルサイユ宮殿に集って録音されたこのアルバムは、そうした18世紀フランスの人々の感覚そのままに、「四季の移ろい」という題材を音楽で辿る 好企画です。ユニークな解釈のヴィヴァルディに加え、彼と同世代でナポリでの修業の後フランスに来たヴァイオリン奏者・作曲家グイードの”も うひとつの”『四季』も収録。グイードの作品はヴィヴァルディの翌年ないし数年内に楽譜出版がなされていますが、これはルイ14世が推奨した フランス音楽絶対主義に反して王の存命時からイタリア音楽を支持し、数多くのイタリア人音楽家の活動を後援したオルレアン公フィリップの 宮廷で発表された合奏曲で、ヴィヴァルディ作品と同じく作者不詳の詩を音楽化したもの。ルベルやラモーを思わせる舞踏音楽劇のような構 成と、ヴィヴァルディにも通じるイタリア趣味で、変幻自在のダイナミックな音楽が繰り広げられる逸品。対するヴィヴァルディ『四季』もここでは 18世紀の習慣に従い、管楽器を加えた編成で色彩感豊かなサウンドに。「春」での牧歌的なリコーダー(実力派セバスティアン・マルクの演 奏)、「秋」での狩猟ホルンやのどかなオーボエの響きがたまりません。演奏陣にはハーディ・ガーディに俊才ステファーヌ・フュジェ、リュートの一人 にアンドレ・アンリクなど名手たちの名も。フィリップ・ジャルスキーのアンサンブル・アルタセルセで活躍するクラヴサンの中村葉子、ラ・ムジカ・コッ ラーナのメンバーでもあるヴァイオリンの依田幸司が加わるなど、欧州を拠点に活躍する日本出身の新世代古楽プレイヤーの存在も光ります。
CVS-043
『サント=コロンブとマラン・マレ』〜2つのヴィオールのための作品集
ジャン・ド・サント=コロンブ(1640頃-1700頃):コンセール 第60番「荘厳」
コンセール 第44番「哀しみのトンボー」
コンセール 第61番「多彩」
コンセール 第21番「村人」
マラン・マレ:2つのヴィオールのための組曲 ニ短調(1686)
エティエンヌ・ルモワーヌ(1680-1723に活躍):ト調のプレリュード (フランス国立図書館所蔵の写本1106より)/テオルボ独奏
マレ:2つのヴィオールと通奏低音のための組曲 ト長調(1686-1689)
ルイ・マルシャン(1669-1732):二調のプレリュード - クラヴサン曲集第1巻(1702パリ)より/クラヴサン独奏
マレ:フォリア - ヴィオール曲集第2巻(1701)より /2つのヴィオール、テオルボとバロック・ギター、クラヴサンによる
ミリアム・リニョル、マティルド・ヴィアル(バス・ド・ヴィオール)
ティボー・ルーセル(テオルボ、バロック・ギター)
ジュリアン・ヴォルフス(クラヴサン)

録音:2020年6月10-14日 ラ・サル・デザクト、コレージュ・ヴィクトル・ユーゴー、ブザンソン
いずれもフランス出身のミリアム・リニョルとマティルド・ヴィアル、ヴィオール(ヴィオラ・ダ・ガンバ)を操る同年代の名手2人による、サント=コロンブ とマラン・マレの師弟をテーマとしたアルバム。ヴェルサイユの自主レーベルから自身がメインとなるアルバムのリリースは、2人ともこれが2枚目と なります。ヴィオールならではの細やかな表情がぴったりと重なる息の合ったデュオが大きな魅力で、前半はフランス古来の伝統どおり通奏低 音なしで2つのヴィオールのみ、後半ではテオルボが加わってマレのト長調の組曲、さらにクラヴサン(Cemb)が加わり「フォリア」へと繋ぐ構成 となっています。この2人の作曲家の関係を描いた映画『めぐり逢う朝』でも印象的に使用された「フォリア」は、元々ヴィオール独奏と通奏低 音を想定した作品ですが、ここに収められた演奏ではヴィオール2人の立場が随所で入れ替わり、独奏が引っ張るよりもアンサンブルが一体と なった音楽づくりが、好感の持てる新しさです。
CVS-044
(1CD+DVD)
NX-D07
ニコロ・アントニオ・ツィンガレッリ(1752-1837):歌劇「ジュリエッタとロメオ」(1796) (抜粋)
1. 序曲
2. 第1幕 第1場「さあ、優しいお嬢さん」(合唱)
3. 第1幕 第1場「わたしは捨てられたのね、どうして」(ジュリエッタ)
4. 第1幕 第7場「お願いだよ、こっちを見て」(ロメオ)
5. 第1幕 第9場「あなたのいうことを大事にするわ」(ジュリエッタ)
6. 第1幕 第10場「亡霊たちと死神が支配する王国で」(エヴェラルド)
7. 第1幕 第11場「冥府の川の憤怒の鬼たちよ」(テオバルド/合唱)
8. 第1幕 第12場「まずは怒りを鎮めて、今はわかってくれ」(ロメオ)
9. 第1幕 第14・15場「ぼくは下劣でくだらない人間さ!」(ロメオ/テオバルド、ジルベルト、合唱)
10. 第2幕 第2場「ああ神よ!この苦しみが」(ロメオ/エヴェラルド)
11. 第2幕 第6場「どれほど嬉しいことか、心を誓った人の名を呼ぶだけで」(ロメオ)
12. 第2幕 第7場「急に身震いが」(ジュリエッタ)
13. 第3幕 第1場「ここがそうか(葬儀の場面)」(ロメオ/合唱)
14. 第3幕 第1場「ぼくの心の偶像よ」(ロメオ)
15. 第3幕 第1場「もはや生きていることが疎ましい(ロメオの死)」(ロメオ/ジュリエッタ)
16. 第3幕 第3場「悲しみにくれる哀れな娘よ」(合唱/エヴェラルド、ジュリエッタ)
フランコ・ファジョーリ(カウンターテナー/ロメオ)
アデル・シャルヴェ(メゾソプラノ/ジュリエッタ)
フィリップ・タルボ(テノール/テオバルド、エヴェラルド)

録音:2021年3月30日-4月3日ヴェルサイユ宮殿
DVD:NTSC 1時間30分
大革命からナポレオンの時代にかけ、フランスではロマン派の先駆けとも言える注目すべき音楽シーンの盛り上がりがありました。近年めざまし い再発見が進むこの時期から新たな発見がまた一つ、ナポレオン歿後200周年にあたる2021年を記念して登場するのは、かのコルシカ生 まれの風雲児が偏愛したイタリア人作曲家ツィンガレッリの歌劇《ジュリエッタとロメオ》。モーツァルトより4歳年上でオペラの本場ナポリ出身の この作曲家、イタリア半島でも高い人気を誇り、一時はヴァチカンのシスティーナ礼拝堂で活躍し、ナポレオンに気に入られ皇室でも活躍を みせました。1813年以降はナポリ音楽院の院長もつとめつつ、ナポレオン退陣後までパリのイタリア歌劇場でも高い人気を保ち続けます。 《ジュリエッタとロメオ》は1796年にミラノ・スカラ座で初演された後パリでもたびたび上演され、ナポレオンも大いに愛した傑作。シェイクスピア の『ロミオとジュリエット』と同じ物語に取材したイタリア語台本によるオペラで、ヴァッカイやベッリーニの作品の先駆ともいうべき見過ごせない作 品です。人気カストラートのクレシェンティーニと女性アルト歌手グラシーニの名演で絶賛を博した名品を、現代最高のカウンターテナーの一 人フランコ・ファジョーリと、味わい深い声で欧州シーンを賑わせるアデル・シャルヴェらが鮮やかに再現。ロッシーニ前夜のオペラ世界を席巻し たツィンガレッリの音使いの魅力を、ヴェルサイユに集う古楽器オーケストラと共に克明に伝えてくれます。重要な場面を中心とする抜粋ながら 物語の起伏は充分すぎるほど伝わる好企画。解説も充実しています。ヴェルサイユ王室歌劇場で行われた、演奏会形式による同内容の (ある意味では貴重な)無観客公演の模様を収めたDVD付。またボーナス映像として、ヴェルサイユ宮殿所蔵の名画「ナポレオン一世の戴 冠式」の前で、ファジョーリが本編には収められていない第1幕のアリアを歌うシーンも収録しています。
CVS-045
ジャン=フランソワ・ダンドリュー(1681-1738):オルガン独奏の為のオフェルトワールと室内楽作品
トリオ・ソナタ 作品1-1
オルガン独奏の為のオフェルトワール(聖体奉献曲)ニ短調*
トリオ・ソナタ 作品1-2
オルガン独奏の為のオフェルトワール ニ長調*
トリオ・ソナタ 作品1-3
オルガン独奏の為のオフェルトワール ト短調*
トランペット管のデュオ(オルガン独奏)*
ヴィヴァ-チェ -ヴァイオリン独奏と通奏低音の為のソナタ 作品2-6より
オルガン独奏の為のオフェルトワール イ長調*
トリオ・ソナタ 作品1-4
アレグロ ト長調 -ヴァイオリン独奏と通奏低音の為のソナタ 作品3より
オルガン独奏の為のオフェルトワール ト長調*
トリオ・ソナタ 作品1-5
オルガン独奏の為のオフェルトワール イ短調*
トリオ・ソナタ 作品1-6
*ジャン=バティスト・ロバン(Org)
アンサンブル・イル・カラヴァッジョ(古楽器使用)【フィオナ・エミリー・プパール(Vn1)、アンヌ・カミッロ(Vn2)、ロナルド・マルティン・アロンソ(バス・ド・ヴィオール〔ヴィオラ・ダ・ガンバ〕)、バンジャマン・ナルヴェ(テオルボ)】
カミーユ・ドラフォルジュ(オルガン、クラヴサン〔チェンバロ〕、指揮)

録音:2019年7月8-11日&12月17-19日 ヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂
近年Alphaレーベルからも室内楽作品集が制作されたフランス・バロックの作曲家ダンドリュー。テレマンと同い年のこの作曲家は、これまでク ラヴサンの為の独奏曲ばかりが着目されていましたが、近年は王室オルガニストとしての生前の活躍にも光が当たるようになり、さまざまな作 品に注目が集まりつつあります。5歳の頃にはもうルイ14世の前で巧みにクラヴサンを弾き、若い頃にオルガニスト採用試験でラモーを押しの ける実績をあげて教会専属奏者にもなり、1721年からはルイ15世のフランス王室礼拝堂で正規オルガニストとなったダンドリューの作品で は、フランスの伝統をよく受け継いだ面とイタリア音楽からの影響がほどよく交錯。ここではイタリア的な作風をよく示す一連の室内楽と、フラン スの伝統を受け継いだオルガン作品とを交互に収録し、フランス古楽界の頼れる名手たちによってその才覚をじっくり味わえる構成になってい ます。オルガン曲は1739年、つまりヘンデルのオルガン協奏曲集と同時期に出版されており、こちらは同国の古楽作品の解釈に通じた才人 ジャン=バティスト・ロバンがヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂の歴史的楽器をあざやかに駆使。美しい響きをよく捉えたエンジニアリングは、室 内楽曲での各楽器の動きの輪郭も明確に浮かび上がらせ、古楽を味わう喜びをひときわ盛り上げてくれます。
CVS-046(2CD)
NX-D07
マラン・マレ:『異国風の組曲』(全33曲) 〜ヴィオール曲集 第4巻(1717)より
【DISC 1】
1. タルタリア風行進曲
2. アルマンド/3. サラバンド
4. ラ・タルタリーヌ(タルタリア風)とドゥーブル(変奏)
5. ガヴォット/6. 田園の祝祭
7. ジグ「ラ・フルセル」/8. ロンドー「宝石」
9. つむじ風
10. 画一性 -続き1-続き2
11. ラメリケーヌ(新大陸風)
12. 主題はアルマンド、低音部はジグ
13. アルマンド「喘息わずらい」
14. ラ・トゥルヌーズ(移り気)
15. ミュゼット
16. 気まぐれ、あるいはソナート
【DISC 2】
1. 迷宮 /2. サルタレッロ
3. 落ち着きの無さ/4. アルマンド「奇妙」
5. 愛想笑い /6. アルマンド「異質」
7. アラベスク(アラビア風)
8. アルマンド「至高」/9. 夢見る人
10. 行進曲/11. ジグ
12. リュート風小品 /13. ジグ「腐食性」
14. たわむれ
ロバン・ファロ(バス・ド・ヴィオール〔ヴィオラ・ダ・ガンバ〕)
アンサンブル・プレ・ド・ヴォートレイユ(古楽器使用)【ロナルド・マルティン・アロンソ(バス・ド・ヴィオール/通奏低音)、シモン・ワデル(テオルボ)、ティボー・ルーセル(テオルボ、バロックギター)、ロリス・バリュカン、ロナン・カリル(クラヴサン〔チェンバロ〕、ポジティフオルガン)】

録音:2020年9月7-12日ヴィルファヴァール農園(フランス中南部リムーザン地方)
異能のチェンバロ奏者ジャン・ロンドーが一員であることで知られる古楽器アンサンブル「ネヴァーマインド」の一員であり、Ricercarレーベルで 進行中のマラン・マレ全曲録音シリーズでも通奏低音奏者として水際立った活躍を示しているフランスのヴィオール奏者ロバン・ファロ。フラン ス・バロックの演奏と研究の中心となりつつあるヴェルサイユ宮殿のレーベルが、この俊才を中心とした名手揃いのアンサンブルによるマレ・アル バムを制作したことは大いに注目に値します。17-18世紀のフランスで最も愛された弦楽器の一つヴィオールを手に、500もの作品をこの楽 器のために作曲した名手=作曲家マラン・マレの曲集から、作風が充実の極みに達した後期の第4曲集に含まれる『異国風の組曲』は、来 たるべきオリエンタリズムの先駆としても見過ごせないバロック後期の異色作。2人の鍵盤奏者がオルガンとクラヴサンを使い分け、撥弦楽器 奏者も複数起用した精彩に満ちた解釈でその全貌に触れられるのは貴重。フランス・バロックの多彩な振れ幅は、「迷宮」や「たわむれ」など 比較的知られた作品での妙技においても、また知名度は高くないながら、個々にいわくありげなタイトルが添えられた作品の輝きを浮かび上 がらせるにおいても、この解釈の深さと新鮮な録音でこそ満喫できると言えるでしょう。2020年代フランス古楽界の充実度を示す注目のアル バムです。
CVS-047
『頼もしき名手』〜ルイ13世と、17世紀前半のフランス・クラヴサン音楽
ニ調の組曲
1. 作者不詳/アンドレ・ダニカン・フィリドール(1652頃-1730)採譜&アルノー・ド・パスクアル編)):三つのアントレ -「ロビネットの舞踏劇」(1611)より*
2. アントワーヌ・ボエセー(1586-1643):この上なく優美な魅力に事欠かないお相手
3. シャルル・ボケ(1570頃-1615以前)クラント
4. 作者不詳/A.D.フィリドール採譜&ド・パスクアル編)): 第2アントレ-「シビロの舞踏劇」(1611)より
5. 作者不詳/A.D.フィリドール採譜&ド・パスクアル編)): ラ・ロンド、インドの人々-「ラ・ロンドの名で知られたる高級娼婦の舞踏劇」(1613)より*
6. 作者不詳(カッセルの写本より):ア・ムネ
7. 作者不詳/A.D.フィリドール採譜&ド・パスクアル編)): エール -「アルルカンの舞踏劇」(1613)より
8. 作者不詳/A.D.フィリドール採譜&ド・パスクアル編)): 大舞踏曲 -「ラ・ロンドの名で知られたる高級娼婦の舞踏劇」(1613)より*
9. クロード・ル・ジュヌ(1525/30頃-1600): この美しい目はどうなってしまったのか
10. ボエセー:パルテニスの幸福な滞在
11. エティエンヌ・ムリニエ(1599-1676):ヴィオール合奏の為のファンタジア
12. 作者不詳(カッセルの写本より):フランスの歌
13. ミヒャエル・プレトリウス(1571-1621): クラント
ハ調の組曲
14. ルイ・クープラン(1626頃-1661):プレリュード
15. ジャック・シャンピオン・ド・シャンボニエール(1601/02-1672):アルマンド「ムティエ(修道院教会)」(L.クープランによるドゥーブル付)
16. ルネ・メザンジョー(1568頃-1638):サラバンド
17. ムリニエ:ついに、私が心を寄せる美しさが
18. シャンボニエール:クラント
19. L.クープラン:シャコンヌ
20. フランス王ルイ13世(1601-1643)/ピエール・シャバンソー・ド・ラ・バル3世(1592-1656)編)):美しい太陽よ、このうららかな春の日に
21. シャンボニエール:パスカリア(パサカーユ)
ヘ調の組曲
22. ボケ:プレルディウム
23. L.クープラン:バスク地方のブランル
24. 作者不詳/A.D.フィリドール編)):ガヴォット -『ルイ13世の音楽会』より
25. シャンボニエール:ヴォルト
26. ギヨーム・デュマノワール(1615-1697): アルマンド
27. シャンボニエール:ブリュスク(唐突)
28. シャンボニエール:ロンド
29. シャンボニエール:パヴァーヌ
30. シャンボニエール:クラント
31. シャンボニエール:サラバンド
ト調の組曲
32. ムリニエ/A.D.フィリドール採譜&ド・パスクアル編)): ル・ブーフ(牛) -「ピエール・ド・プロヴァンスと美しきマグロンヌの舞踏劇」(1638)より*
33. 作者不詳/A.D.フィリドール採譜&ド・パスクアル編)): アルクールの君子/農夫 -「即興芸人たちの舞踏劇」(1636)より*
34. ボエセー/A.D.フィリドール採譜&ド・パスクアル編)): 廷臣たち -「王の舞踏劇、または古き宮廷」(1635)より
35. 作者不詳/A.D.フィリドール採譜&ド・パスクアル編)): エジプトの人々 -「諸国民の舞踏劇」(1638)より*
36. ムリニエ/A.D.フィリドール採譜&ド・パスクアル編)): 謎の医者たち -「ピエール・ド・プロヴァンスと美しきマグロンヌの舞踏劇」(1638)より
37. 作者不詳/A.D.フィリドール採譜&ド・パスクアル編)): 町人たち「即興芸人たちの舞踏劇」(1636)より*
38. 伝ルイ13世/A.D.フィリドール採譜&ド・パスクアル編)): 農夫たち-「メルレゾン(つぐみ狩り)の舞踏劇」(1635)より
39. 作者不詳/A.D.フィリドール採譜&ド・パスクアル編)): パンタロン -「諸国民の舞踏劇」(1638)より
40. 作者不詳/A.D.フィリドール採譜&ド・パスクアル編)): イタリア人たち -「諸国民の舞踏劇」(1638)より*
41. ボエセー/A.D.フィリドール採譜&ド・パスクアル編)): 祭りの道化師たち -「王の舞踏劇、または古き宮廷」より*
アルノー・ド・パスクアル(クラヴサン〔=チェンバロ〕)
*フランソワ・ゲリエ(第2クラヴサン)

使用楽器:バルバスト(フランス)のフィリップ・ユモー2005年製作のイタリア型チェンバロ
エミール・ジョバン製作のフランドル型チェンバロ

録音:2019年9月3-6日 モンジュルー城(フランス中部イル・ド・フランス地方)
太陽王ルイ14世がフランス王として君臨した17世紀後半、その文化政策でリュリやマレなど才能ある作曲家たちが活躍し、国際的に注目 されたフランス様式の音楽が花開いたことは広く知られていますが、その発展は「無」から生まれたわけではありません。フランスの宮廷文化は 先代のルイ13世の時代に新たな躍進を遂げていたのです。音楽面では、王室に弦楽合奏団「王の24のヴァイオリン」を創設させたのもルイ 13世ですし、それまでリュートとオルガンが圧倒的に重要だった独奏器楽の世界にクラヴサンが参入、前二者の音楽様式を模倣しながら発 展し始めたのもこの時期。その背景として、ルイ13世が自らクラヴサンを愛奏し、王室に楽器を置いていたことは見逃せません。近年フランス 古楽界で通奏低音奏者として広範な活躍をみせているアルノー・ド・パスクアルがここで紹介するのは、そうした音楽文化振興者でもあった 「頼れる名手」ルイ13世時代の作例を中心としたフランス・クラヴサン音楽の数々。声楽曲のアレンジのほか、リュート曲・オルガン曲の翻案 も巧みで、同時代のイタリア初期バロックや英国の末期ルネサンスとも趣きがやや異なる、フランス特有の洗練のありようをつぶさに確かめられ ます。ルイ13世も一部作曲に加わったという、その治世下で演奏された宮廷舞踏の為の合奏音楽は、後世の採譜をもとに演奏者ド・パ スクアル自身が当時流に編曲。16世紀生まれのルジュヌやボエセーの歌曲の編曲からシャンボニエールやルイ・クープランの独奏曲に至るま で、広く知られたクラヴサン楽派の「前史」を、フランス式の楽器が発展する前であるこの時代に重宝されていたイタリア型やフランドル型のチェ ンバロを使った精妙な演奏でお楽しみ下さい。
CVS-048

NYCX-10251
日本語解説付国内盤
税込定価

ド・ラランド(1657-1726):『王の晩餐のためのサンフォニー集』
王の偉大なる楽曲 〜ルイ14世の頻繁に所望せる曲
組曲 ト短調
プレリュード 〜トランペット合奏曲集より
組曲 ニ長調
組曲 ホ短調

※管弦楽復元:リュカス・ペレス、ェラール・ジェー、トマ・ラコント
ル・ポエム・アルモニーク(古楽器使用)
フィオナ=エミリー・プパール(首席ヴァイオリン)
ヴァンサン・デュメストル(指)

録音:2020年11月21-24日 ヴェルサイユ王室歌劇場、フランス
※国内盤には日本語解説付
日本語解説…白沢達生
バッハやヘンデルが活躍する前から、ヨーロッパ音楽の一大潮流として影響力を誇ったフランス。そのオーケストラ芸術の原点ともいうべきド・ラ ランドの貴重な曲集が、作品成立の場にあたるヴェルサイユ宮殿での、フランス最前線で活躍する名手たちによる録音で登場! 宮殿の主だったルイ14世は、外交で訪れた賓客たちを洗練された芸術作品や調度品で圧倒、王室独自の音楽をいたるところで奏でさせ てはフランス文化の威光を印象づけましたが、自らの晩餐まで音楽とともに公開したことも有名。その音楽はリュリ亡き後の宮廷音楽総監督 として活躍した若き天才ド・ラランドが手掛け、王の歿後にまとめられた楽譜によって現代に残っています(「サンフォニー=シンフォニー」は18 世紀以降「交響曲」の意味で使われることになる単語ですが、この時点では単に「合奏曲」という意味)。これらはルイ14世の宮廷音楽でも ユニークな存在で、録音も決して多いとは言えない中、このアルバムは久しぶりにフランス古楽界から出た本格録音として注目必至。なにし ろ指揮はド・ラランドの大規模声楽曲やリュリのオペラの指揮で実績を築いたヴァンサン・デュメストル!ル・ポエム・アルモニーク名義では珍し い管弦楽のみの編成は比較的大規模で、バロック・バソンの才人でニケ指揮『水上の音楽』などでも活躍したジェレミー・パパセルジオーを筆 頭に重要奏者続々。フランス式の3種のヴィオラも用いた楽隊はテオルボ奏者二人を含め弦24+管6+打楽器・鍵盤各1という構成。現 存譜の補筆にも専門家たちがあたり、ライナー解説も充実しています。王の食欲を刺激し芸術愛好家たちを陶然とさせた名作の数々を本 場直送の響きで味わえる注目の一枚。
CVS-049
ヘンデル:オルガン協奏曲とモテット
オルガン協奏曲 ヘ長調 Op. 4-4 HWV 292
サルヴェ・レジーナ」 HWV 241
オルガン協奏曲 ニ短調 Op. 7-4 HWV 309
「たとえ暴虐の中に地は荒れ狂おうとも」 HWV 240
オルガン協奏曲 ト短調 Op. 4-1 HWV 289
キアラ・スケラート(S)
ガエタン・ジャリ(独奏オルガン、指)
アンサンブル・マルグリット・ルイーズ(古楽器使用)

録音:2020年6月11-14日ヴェルサイユ宮殿、王室礼拝堂、フランス
オルガンの名手であり、アンサンブル・マルグリット・ルイーズを率いてのフランス・バロック声楽作品演奏の数々で高く評価されるガエタン・ジャリ が、ヴェルサイユ宮殿の礼拝堂でヘンデルのオルガン協奏曲を演奏したアルバム。しかし礼拝堂が誇る1710年建造の有名な大オルガンで はなく、新たに据えられたカンタン・ブリューメンレーダー製造の大ぶりなポジティフ・オルガンを敢えて用いているのが特徴で、劇場での大規模 な声楽作品の幕間にヘンデル自身がソロを担当して演奏されたという、これらの作品本来の親密な表情を上手く伝えています。協奏曲の 間には、オラトリオの代わりに小規模な独唱モテットを収録。ソロを担当するキアラ・スケラートはスイス出身でパリ国立高等音楽院に学んだ ソプラノで、バロックから現代まで幅広いレパートリーを持ち、近年ヨーロッパを中心に注目されています。ボルドー国立歌劇場の「ペレアスとメ リザンド」(ALPHA752/NYCX-10240)のメリザンド役でも大きな注目を浴びました。ここでも高い技術に裏打ちされた奥深い表現を聴く ことが出来ます。これらの作品が英国で生まれたことに由来すると思われるジャケットも、遊び心が効いたもの。
CVS-051
ピエール・ロベール:フランス王室礼拝堂の為のグラン・モテと「雅歌」
ピエール・ロベール(1622頃-1699):聖体奉挙の為のモテ「わたしの恋人がやってきて」(1686)
アンリ・デュモン(1610-1684):聖体奉挙の為のモテ「王が休んでいる間」(1677)
ロベール:聖体奉挙の為のモテ「わたしは野の花」(1686)
 聖体奉挙の為のモテ「わたしの肌の色に怯えないでください」(1686)
オリヴィエ・シュネーベリ(指)
レ・パージュ・エ・レ・シャントル(ヴェルサイユ・バロック音楽センターcho)
コンチェルト・ソアーヴェ(古楽器使用)【マリーヌ・ラフダル=フラン(S)、クレマン・ドビューヴル(オートコントル)、アントナン・ロンドピエール(T)、ダヴィト・ヴィチャク(Br)、ジャン=マルク・エメース(Org)】

録音:2020年1月31日-2月1日ヴェルサイユ宮殿、王室礼拝堂、フランス
フランス17世紀の教会音楽を牽引した重要人物でありながら、めったに体系的録音が現れない大家ピエール・ロベールの作品集が、満を 持してヴェルサイユ・バロック音楽センターの俊才たちによって制作されました。しかも録音場所はヴェルサイユ宮殿。本場直送の充実アルバ ムです。 イタリア様式と並ぶバロック期の二大潮流の一つフランス様式は、ルイ14世の王室に連なる音楽家達によって培われました。とりわけ舞踏劇 の作曲にすぐれ、抒情悲劇と呼ばれるフランス語歌劇の正統な形式を大成に導いた王室音楽総監督リュリの存在は重要ですが、この時 代の音楽活動は彼が担った舞台音楽など、社交催事や王の私生活を彩る俗世向けのものばかりではなく、教会音楽もまた非常に重要で した。この分野でもリュリの作品は多いとはいえ、王室礼拝堂は基本的に彼の管轄外。その音楽様式の土台を形作ったのが、1660-80年 代に礼拝堂の共同副楽長(「楽長」は高位聖職者の名誉職だったため、副楽長たちが実質上の音楽監督)だったデュモンと、リュリより10 歳ほど年上の本盤の主人公ピエール・ロベールだったのです。イタリア風のコンチェルタンテ様式を下地に、合唱と独唱の鮮やかな対置を合奏 が彩るグラン・モテの数々から、ここでは礼拝のハイライトの一つでもある聖体奉挙の折に唱えられていた曲を選曲。旧約聖書『雅歌』から歌 詞が選ばれているそれらの大作が、フランス語圏育ちのアンサンブルによる堅固にしてふくよかな解釈で瑞々しく蘇ります。

CVS-050(1CD+DVD)
NX-D07
『21世紀の三大カウンターテナー、ヴェルサイユに集う』 〜カストラートの為の作品集
ポルポラ(1686-1768):三重唱「わが軽蔑を恐れるがいい」〔SM/FM/VS〕〜歌劇「ジェルマニアのジェルマニコ」(1732)第2幕第12場
グラウン(1704-1759): アリア「恐ろしい嵐の只中で」〔SM〕〜歌劇「チェーザレとクレオパトラ」(1742)第1幕第8場
ハッセ(1699-1783):アリア「賢い者の手は」〔FM〕〜歌劇「寛大なスパルタの女」(1743)第1幕第2場
.レオナルド・ヴィンチ(1690-1730):アリア「わたしは容赦なく荒れる海をゆく」〔SM〕〜歌劇「アルタセルセ」(1730)第1幕第15場
ヘンデル: シバの女王の入場〜オラトリオ「ソロモン」(1749)第3幕第1場
ヘンデル:アリア「棘に触れないよう」〔VS〕〜オラトリオ「時と真実の勝利」(1708)
ヘンデル:二重唱「わたしの愛があなたの喜びであったなら」〔SM/FM〕〜歌劇「エジプトの女王ベレニーチェ」(1730)第1幕第11場
ヘンデル:アリア「野蛮なる憤怒の鬼たちよ」〔VS〕〜歌劇「セルセ」(1737)第3幕第14場
アッティリオ・アリオスティ(1666-1729): 序曲〜歌劇「ヴェスパシアーノ」(1724)
ポルポラ:アリア「気高き大神よ、あなたの恵みと徳をもって」〔FM〕〜歌劇「ポリフェーモ」(1732)第3幕第5場
ポルポラ:三重唱「不滅の喜びが」〔SM/FM/VS〕〜歌劇「ポリフェーモ」(1732)第3幕フィナーレ
パーセル:二重唱「喇叭を轟かせよ」〔FM/VS〕〜聖女セシリアに捧ぐオード「来たれ、芸術の子ら」(1694)
モンテヴェルディ: 三重唱「ただあなたを見つめて」〔SM/FM/VS〕〜歌劇「ポッペアの戴冠」(1642)第3幕第8場
サムエル・マリーニョ〔SM〕、
フィリッポ・ミネッチア〔FM〕、
ヴァレル・サバドゥス〔VS〕(C.T)
ヴェルサイユ王室歌劇場O(古楽器使用)
ステファン・プレフニャク(Vn、指揮)

録音:2021年1月27-31日、ヴェルサイユ宮殿、フランス
映像収録:2021年1月31日、ヴェルサイユ宮殿「鏡の間」、フランス
収録時間:CD…72分15秒、DVD…1時間15分
DVD 片面二層ディスク
映像:NTSC、All-Regions
音声:Dolby Digital2.0
字幕:仏・英
バロック音楽の華やぎは、古楽器演奏など当時の様式をふまえた解釈に盛り込まれる細やかな装飾音の味わいもさることながら、やはり 「場」の空気あればこそ!と再認識させてくれる映像つきCDが、当時の重要な世界遺産であるヴェルサイユ宮殿「鏡の間」から届けられまし た。ルネサンスの多声芸術から一転、歌手一人の声の魅力を独唱で存分に味わえるようにした様式の誕生は、以後400年以上続くことに なる歌劇という芸術形態の軸を形作るものとなりましたが、本盤ではそうしたバロック期のイタリア・歌劇からの抜粋を中心に、歌声の魅力を 最大限に輝かせることをよく知っている上り調子の歌手3人が、その味わいを余すところなく堪能させてくれます。いずれ劣らぬ新世代カウン ターテナー歌手たちによる21世紀版の「三大カウンターテナーの饗宴」!今世紀にはカウンターテナー芸術はさらなる進化を遂げ、イタリア出 身のフィリッポ・ミネッチアガ味わい深いアルトの音域で魅力的な歌を響かせたかと思えば、サバドゥスとマリーニョは男声でありながらソプラノ音 域に達するカストラートさながらの名歌唱をごく自然に披露。付属のDVDでは「鏡の間」ならではの絢爛な内装をバックに、バロック歌唱の豪 奢さがひときわ引き立って感じられること必至です。厳選されたバロック後期の名作からなるプログラムは、ヘンデルだけがバロック・歌劇の巨 匠ではなかったことにも随所で気付かされる逸品揃い。発見多き耳と目の快楽を存分にお楽しみ下さい。
CVS-052
ラモー:グラン・モテ マルグリット・ルイーズ合奏団(古楽器使用)&cho
ガエタン・ジャリ(指)

録音:2020年11月13-16日、2021年3月28-30日 ヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂
20世紀後半におけるフランス古楽再発見の流れは、ラモーの作品に対する認識を大きく変えました。今やラモーはクラヴサン(Cemb)のた めの音楽だけでなく、齢50を越えてから続々発表した歌劇やバレ、ディヴェルティスマンなど一連の舞台音楽においてどれほど注目すべき存 在だったか、世界的に知られるようになっています。しかしそうした領域の影で、フランス・バロックのもう一つの重要な側面である宗教曲におけ るラモーの活躍には、今なお光が当たる機会が多いとは言えません。しかし教会のオルガン奏者でもあった彼は、パリ以外の土地を転々とし ていた30代までの時期に充実したグラン・モテをいくつか書いており、それらにも後年の開花を予感させる豊かな才能が窺えるのです。ヴェル サイユ宮殿が企画するレーベルからの待望の新録音には、現在知られている4作全てのモテが収録され、このルイ14世の居城で数々の名 演を繰り広げてきた気鋭グループ、マルグリット・ルイーズが声楽・器楽とも大活躍。ヴァイオリンのほかフランス・バロック流儀の大小ヴィオラ群 にチェロやコントラバスなどイタリア由来の弦楽器も交え、イタリアとも近い南仏を活躍の舞台とした若き日のラモーが思い描いた響きの真相を 明らかにしてゆきます。バスーン奏者4人に鍵盤奏者2人が加わる通奏低音勢が支える響きは実に豊饒、起伏に富んだ音楽作りは同時期 のバッハやヘンデル、ヴィヴァルディとは確実に違っており、ユニークな音楽世界の虜にさせてくれます。
CVS-053
リュリ:「町人貴族」 〜モリエールの音楽舞踏喜劇の為の音楽 LWV 43 音楽教師の弟子…ポール=アントワーヌ・ブノ=ジヤン(オートコントル)
女性音楽家…エヴァ・ザイシク(S)
音楽家1、ポワトゥーの男1…シリル・オヴィティ(T)
音楽家2、料理人3…ティボー・ド・ダマス(Bs)
料理人1…ニコラス・スコット(オートコントル)
料理人2、ガスコーニュの男1、ポワトゥーの男2、噂好きな町人の老女…ザカリー・ワイルダー(T)
トルコ太守、陽気なスペインの男1、上流階級の紳士…ヴィルジル・アンスリ(Bs)
陽気なスペインの男2、ガスコーニュの男2…セルジュ・グビウ(T)
上流階級の婦人、イタリアの女性音楽家…クレール・ルフィリアトル(S)
噂好きな町人の老人…マルク・モイヨン(T)
イタリアの音楽家、スイスの男…ジョフロワ・ビュフィエール(Bs)
陰気なスペインの男…ダヴィド・トリクー(オートコントル)
ル・ポエム・アルモニーク(古楽器使用)
ヴァンサン・デュメストル(指)

録音:2021年3月23-27日 ヴェルサイユ宮殿王室歌劇場
ルイ14世時代の前史にあたる17世紀初頭のフランス音楽を広く世に知らしめたことで注目された後、満を持してフランス・バロック舞台音楽 の世界に臨み快進撃を続けてきたヴァンサン・デュメストル。21世紀のフランス古楽界を魅了し続けてきたこの最前線の俊才は、2004年に DVDリリースしたリュリ&モリエールの音楽舞踏喜劇「町人貴族」で世界を驚かせ、バロック解釈の重要人物として一躍注目を集めるところと なりました。その後録音を続けてきたリュリの抒情悲劇群とは違い、この作品はモリエールの戯曲の重要な部分を音楽が彩る、つまり演劇部 分が多くを占めているため、音楽だけの抜粋では物語の全容を辿れないのですが、しかし映像作品だけではデュメストルの絶妙解釈は一部 の人にしか伝わりません。そこで今回、ヴェルサイユ宮殿を舞台に満を持して「音楽のみ」のCD録音が登場!しかもルフィリアトル、グビウ、モ イヨンといった初期ル・ポエム・アルモニークの顔役たちが個性豊かな役柄を演じ歌うほか、リュリが要所で独唱を充てた役柄にはエヴァ・ザイシ クやシリル・オヴィディといったスターたちを起用。フランス古楽界のさまざまな側面の良さがきわだつ絶妙アルバムに仕上げました。前作『王の 晩餐の為のサンフォニー集』(CVS048/NYCX-10251)で好演を聴かせた俊才古楽器プレイヤーたち多数参加のオーケストラも絶好 調。有名なトルコの儀式や精彩あふれる「諸国民の舞踏劇」など、聴きどころ満載のアルバムとなっています。
CVS-054(3CD)
NX-D11
ラモー:レ・パラダン(遍歴騎士たち) アルジー…サンドリーヌ・ピオー(S)
ネリーヌ…アンヌ=カトリーヌ・ジレ(S)
騎士アティス…マティアス・ヴィダル(オートコントル)
オルカン…フロリアン・センペ(Br)
アンセルム…ナウエル・ディ・ピエロ(Bs)
妖精マント…フィリップ・タルボ(オートコントル)
ラ・シャペル・アルモニーク(古楽器&声楽アンサンブル)
ヴァランタン・トゥルネ(指)

録音:2020年12月17-20日 ヴェルサイユ宮殿 戦闘の回廊
2010年代後半飛躍的に注目を集め、フランス古楽シーンの最前線で快進撃を続ける1996年生まれの指揮者ヴァランタン・トゥルネ。ピエ ルロ、コワン、サヴァールら巨匠たちのもとでガンバを学んだのち指揮に転向、ピエール・カオとフィリップ・ヘレヴェッヘの薫陶を受けながら、パリ音 楽院在学中の2017年に結成したラ・シャペル・アルモニークとの演奏は絶賛をもって迎えられ、2019年にはヴェルサイユ宮殿のレーベル Chateau de Versaillesからバッハ『マニフィカト』初演版でCDデビューしました。その後の『ヨハネ受難曲』への取り組み含め、競合多き バッハ作品の解釈で世界を唸らせた末、彼が今回向き合ったのは同国人ラモー。後期の重要作「レ・パラダン」全曲をヴェルサイユ宮殿で名 歌手たちと録音、躍動感と深い抒情に彩られた音世界を披露します。1760年の初演こそ失敗に終わりましたが、このラモー晩年の意欲作 はホルンやミュゼット(鞴式バグパイプ)が独特の効果を上げるオーケストレーションもユニークで、妖精や騎士たちが活躍する中世風の恋物 語を彩る音楽は起伏に富み、作品全体に興趣が尽きません。それぞれソロ・アルバムでも活躍をみせているピオーとヴィダル、あるいは絶好 調のジレといった21世紀屈指の名歌手たちが鮮やかに歌い上げる独唱パートもさることながら、ラモーが繰り出す複雑な和声を巧みに捉え 劇的展開を描き出す合唱や管弦楽の一体感がこの上ない素晴しさで、聴き進めるほどに引き込まれる名演に仕上がっています。ピグマリオ ンの後に続く気鋭集団ラ・シャペル・アルモニークの頼もしさを十全に伝える新録音で、古典派黎明期のパリの人々を戸惑わせた異色作の 真価を存分にお楽しみください。
CVS-055

NYCX-10280
日本語解説付国内盤
税込定価

17-18世紀フランス歌劇における舞踏音楽
リュリ:「町人貴族」(1670) より
1. 序曲/2. 舞踏教師たち:グラヴマン
3. 舞踏教師たちのカナリー
4. 第1アントレ:トルコ人の儀式のための行進曲
5. 歓喜(イタリア風シャコンヌ)
ルベル:舞踏さまざま(1715)
6. プレリュード/7. クラント
8. ムニュエ/9. ブーレ
10. シャコンヌ/11. サラバンド
12. ジグ/13. リゴードン
14. パスピエ/15. ガヴォット
16. ソナート(ソナタ)/17. ルール
18. ミュゼット/ 19. ソナート
ラモー:「ピグマリオン」より
20. 序曲/21. さまざまな個性のエール
22. 優美なガヴォット
23. ムニュエ(メヌエット)
24. 明朗なガヴォット
25. 快活なシャコンヌ
26. きわめて荘重なルール
27. 快活なパスピエ
28. 快活なリゴードン
29. サラバンド/30. タンブラン
31. 明朗なエール
グルック:「オルフェとユリディス」(1774) より (「オルフェオとエウリディーチェ」〔1762〕パリ版)
32. 序曲/33. 無言劇
34. マエストーゾ
35. 憤怒の鬼たちのエール
36. 精霊の踊り/37. 快活なエール
モーツァルト:「イドメネオ」のための舞踏劇音楽 K. 367
ヴェルサイユ王室歌劇場O
ラインハルト・ゲーベル(指)

録音:2021年2月2-6日 ヴェルサイユ王室歌劇場

※国内盤解説日本語訳…白沢達生
バレエ音楽の重要な源泉の一つであるだけでなく、オーケストラ音楽の発展にも大きく寄与したのがフランス17-18世紀の舞台音楽。太陽 王ルイ14世(1638-1715)の宮廷で王室音楽総監督リュリが作り上げた様式をもとに、フランスの劇場では18世紀を通じて舞踏の場面 に大きな比重が置かれたオペラが人気を博しました。それらはイタリアの歌唱芸術と双璧をなす模範として諸外国にも影響を及ぼし、オーケ ストラを使った多様な音楽実験の場としても機能、古典派音楽の進展を脇から支える役割も果たします。そんなフランス舞踏音楽の勃興 を時系列で振り返るアルバムが、ルイ14世の居城ヴェルサイユに本拠を置くレーベルで制作されました。しかも指揮はリュリと太陽王を主人 公にした映画『王は踊る』(2000/2001)で音楽を受け持ったラインハルト・ゲーベル!自身の団体ムジカ・アンティクヮ・ケルンの解散後も指 揮者として(古楽器・現代楽器を問わず)豊かな経験を積んできたゲーベルならではの音作りは、彼自身によるライナーノート解説(国内仕 様では日本語訳付)とともに重要なレファレンス的存在になりそうです。リュリの後を受けフランス楽壇を賑わせたカンプラやラモー、ルベルに聴 く典雅さも、フランス歌劇の刺激で生まれたグルックやモーツァルトによる優美と迫力も、ヴェルサイユに集う古楽器奏者たちとゲーベルによって 共に活き活きと現代に甦ります。
CVS-056
『ヴェルサイユ=ウェストミンスター』 〜オルガンとクラヴサンによる英仏音楽の17世紀〜
パーセル:「妖精の女王」(1692)より
1. 入場の踊り
2. 夜に従う者たちの踊り
3. グラウンド(Z. D221)*
ギヨーム=ニコラ・ニヴェール(1632-1714): 第5旋法による組曲〜『あらゆる教会旋法による100曲を収めた第1オルガン曲集』(1665)より
4. プレリュード
5. 低音部でディミニューションを
6. 低音部でヴォワ・ユメーヌによるフーガを
7. デュオ
8. クロモルヌ管によるレシ
9. コルネ管〔による楽曲〕
10. グラン・ジュ〔による楽曲〕
11. プラン・ジュ〔による楽曲〕
リュリ/ジャン=アンリ・ダングルベール(1629-1691)編)): 序曲 〜歌劇「カドミュスとエルミオーヌ」LWV 49より*
13-16. パーセル:「妖精の女王」より
13. グリーンマンの踊り
14. ジグ
15. 妖精たちの踊り
16. ヴォランタリー(Z. 720)
ルイ・クープラン:ファンタジア-低音部でレシ
L.クープラン:デュオ
リュリ/ダングルベール編)):心地良い夢が 〜歌劇「アティス」LWV 53第3幕第4場より*
リュリ/ダングルベール編)):パサカーユ 〜歌劇「アルミード」LWV 71第5幕第2場より*
パーセル:ダブル・オルガンの為のヴォランタリー ニ長調 Z. 719
ニコラ・ルベーグ(1631-1721):第1旋法による組曲〜『第1オルガン曲集』(1676)より
22. プレリュード
23. デュオ
24. 中音域でクロモルン管を使って〔の楽曲〕
25. 低音部でトロンペット管を
26. 三つの鍵盤によるトリオ
27. 中音域でティエルスを
28. ディアローグ
パーセル:ハープシコード組曲 第4番イ短調 Z. 663
29. プレリュード*
30. アルマンド*
31. クラント*
32. サラバンド*
L.クープラン:クロモルヌ管によるフーガ
ジョン・ブロウ(1649-1708):コーネット・ヴォランタリー イ短調
パーセル:恋する者は何と幸せなことか 〜「アーサー王」Z. 628(1691)第4幕より
コンスタンス・タヤール(オルガン&クラヴサン〔=チェンバロ〕)
*=クラヴサンを使用
【使用楽器】
ヴェルサイユ王室礼拝堂の大オルガン:ジュリアン・トリビュオ1711年建造、ルイ=アレクサンドル・クリコによる1736年の改修とフランソワ=アンリ・クリコによる1762年の改修を踏まえた状態に復元 (復元建造: ジャン=ルー・ボワソー&ベルトラン・カッティオ、1995年)
クラヴサン:フランソワ=エティエンヌ・ブランシェ1世&ヨハン・コンラート・ピクシウス1746年製オリジナル(修復: アラン・アンセルム)

録音:2020年12月21-23日 ヴェルサイユ王室礼拝堂、フランス
ルイ14世が生涯をかけて建造に情熱を傾け、ルイ15世の時代に現在の姿へと調えられていったヴェルサイユ宮殿。そこには1995年に18世紀当時の状態ま で復元された王室礼拝堂の歴史的オルガンと、ルイ15世時代に愛奏されていた2台のクラヴサンがありますが、ここではそのクラヴサンのうち18世紀半ばに作 られた方の楽器と、王室礼拝堂のオルガンとを同じ奏者が使い分け、英仏の作曲家たちが残したバロック期の鍵盤音楽の真相に迫ります。演奏は現在フラ ンス語圏スイスの古楽拠点ジュネーヴで教鞭を取るコンスタンス・タヤール。選曲の軸にあるのは、17世紀英国の早世の天才ヘンリー・パーセル。宮廷の主た る英国王が王政復古前にフランスに亡命していたため、当時の英国王室ではルイ14世が好んだ様式に強く影響を受けた音楽が愛されていましたが、タヤー ルはブルボン王室の巨匠たちの音楽の只中にパーセルやその師匠ブロウの作品を配することにより、彼らの英国音楽がいかにフランス音楽と連続性のあるもの だったかを鮮やかに浮き彫りにしてゆきます。オルガンだけでなく、適宜クラヴサンの為の楽曲を交え、礼拝堂向けの音楽と俗世の劇場向けの音楽とを行き 来する選曲になっているのも興味深いところ。それぞれに別扱いされやすい各種の音楽に一貫性を感じることができるのは、オルガンとクラヴサンをどちらも鮮や かに弾きこなせる名手タヤールの存在に負うところが大きいと言わなくてはなりません。精緻な解釈と周到なプログラムで、「国」と「文化」の感覚が今とはかなり 違っていたバロック期の感覚を生々しく体感できる1枚です。
CVS-058
『後宮の寵姫』 〜18世紀ヨーロッパの東洋趣味とフランス音楽
グレトリー(1741-1813):序曲 〜歌劇「カイロの隊商」(1783)より
 ゼミールのアリエット「ウグイスは雛鳥を連れて」 〜歌劇「ゼミールとアゾール」(1771)より
 奴隷女のエール「わたしだって囚われの身よ」〜歌劇「カイロの隊商」より
 全員の踊り 〜歌劇「カイロの隊商」より

モーツァルト:歌劇「後宮からの逃走」K. 384(1782)(1799年出版のフランス語版による歌唱)より
 コンスタンツェのアリア「愛しい人から遠く離れて(ああ、わたしは恋をして本当に幸せでした)」
 ベルモンテとコンスタンツェの二重唱「辛くともきみを忘れず(わたしのために死なねばならぬとは)」
グルック:歌劇「思いがけない出会い、またはメッカの巡礼」(1763)より
 序曲
グレトリー:エジプトの踊り 〜歌劇「カイロの隊商」より
 ゼミールのアリエット「大好きな薔薇、愛しい花」 〜歌劇「ゼミールとアゾール」より
フィリドール(1726-1795):歌劇「美しき奴隷女」(1788)より
 ゼイラのアリエット「ああ神様! まさか、この残忍な人間たちがわたしの痛みに同情するなど」
グレトリー:歌劇「ゼミールとアゾール」より
 パスピエ
グルック:歌劇「思いがけない出会い、またはメッカの巡礼」より
 アミーヌのアリエット「わたしは寄って立つところを失い」
 レジアのアリエット「ああ!素敵ね、つらい別離のあと再会できるのは」
モンシニー(1729-1817):歌劇「ゴルコンドの王妃アリーヌ」(1766)より
 アンダンテ、ジグとコントルダンス
グレトリー:歌劇「カイロの隊商」より
 フランスの奴隷女のエール「わたしたちは奴隷になるよう生まれつき」
グルック:歌劇「思いがけない出会い、またはメッカの巡礼」より
 アリとレジアの二重唱「せめて、恋する人と同じ鎖に繋がれたい」
ポール=セザール・ジベール(1717-1787):歌劇「ソリマン2世、または三人の寵姫」(1761)より
 ロクスラーヌのアリエット「軍神マルスがあなたを無敵にしたのだから」
フロリー・ヴァリケット(S)
ニコラ・スコット(T)
ヴェルサイユ王室歌劇場O(古楽器使用)
ガエタン・ジャリ(指)

録音:2020年12月20-23日、ヴェルサイユ宮殿「十字軍の間」
古くからイスラム圏の文化に異国情緒と憧れを見出してきたヨーロッパ人たちですが、ヴェルサイユ宮殿を舞台に録音されたこの最新盤が光 を当てているのは古典派時代のフランス語オペラ。イスラム太守の後宮に囚われた(多くはキリスト教徒の)女性にかかわる場面を厳選、一 貫性あるプログラムで聴き手をロココの歌劇界へと誘います。パリ中を魅了しヴェルサイユの王室の人々にも愛されたグレトリーの東洋趣味作 品「カイロの隊商」や『美女と野獣』の原作を元にした「ゼミールとアゾール」をはじめ、革命後も第一次大戦前まで人気演目だったジベール の「ソリマン2世」、生前の名声に比して驚くほど録音が少ないモンシニーの作など秘曲も収録。さらにドイツ語圏のフランス音楽愛好から生ま れたグルックの隠れ名作「メッカの巡礼」からも多くのナンバーが選ばれている上、後宮といえば……なモーツァルトの傑作も同時代のフランス 語訳台本による演奏で味わえるのは貴重(歌詞が直訳でなく微妙に違っており、意外なくらい新鮮)。演奏陣はヴェルサイユに集うフランスの 精鋭たち。同時発売のカンプラ「新世紀の運命」(CVS061)にも出演する躍進中の名歌手フロリー・ヴァリケットの美声がとびきりの存在感 ですが、器楽陣もスタイリッシュかつ一体感に満ちた演奏で、序曲や舞曲などの器楽トラックも聴きごたえ十分。来日公演でも話題を振りま いた新世代の旗手マクシム・パスカルのアンサンブル「ル・バルコン」でも活躍するクララ・イザンベールが古楽器ハープで奏でる最終トラックで は、この弦楽器を愛奏していたマリー=アントワネットの時代ならではの雰囲気も味わえることでしょう。
CVS-059

NYCX-10278
日本語解説付国内盤
税込定価

リュリ:ミゼレーレ、なにゆえ諸国の民は群れをなし、全地よ歓喜して神を迎えよ
リュリ:グラン・モテ
わたしを憐れんでください、主よ(ミゼレーレ)
なにゆえ諸国の民は群れをなし
全地よ歓喜して神を迎えよ(ユビラーテ・デオ)
レゼポペー(古楽器&声楽アンサンブル)
ステファーヌ・フュジェ(指)

録音:2021年3月6-8日 ヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂、フランス
※国内盤 歌詞日本語訳、解説日本語訳…白沢達生
「偉大なる世紀」と呼ばれるルイ14世治世下の17世紀フランスで、王の絶大な信頼のもとフランス宮廷音楽の理想形を作り上げた立役者 ジャン=バティスト・リュリ。しかしながら、近年復権めざましい彼のオペラ群に対し、器楽と声楽が比類なく美しい交錯をみせるグラン・モテ(宗 教曲)の数々は、後続世代の作曲家たちにも刺激を与えた重要な存在でありながら、意外なまでに録音が出てきません。その復権に意欲 的な俊才ステファーヌ・フュジェは今回のアルバムで、最初期・中期・後期から3曲を厳選。フランス生粋の古楽器楽団による本格新録音は いずれも実に貴重です。復元型の大型ヴィオラやバス・ド・ヴィオロンが活躍する総勢24名の弦楽合奏や古雅な低音管楽器セルパン、2台 ずつのテオルボと鍵盤の参加など、フランス17世紀流儀を妥協なく追求した彼らが作り上げる響きは『ミゼレーレ』の冒頭から本格的かつ圧 倒的なもの。風格漂う歌唱も隅々まで美しく、折々ソロを交えながらの声楽陣には、アラルコン指揮の「セメレ」(RIC437)でもキューピッド役 で登場しているグワンドリーヌ・ブロンデールや、実力派ブノワ・アルヌー、中世から現代まで歌いこなす異才マルク・モイヨンなど、新旧世代の 才人も多数参加。さらに、2021年12月の寺神戸亮指揮によるラモー『アナクレオン』(北とぴあ)に出演した湯川亜也子、フランスとベル ギーで多忙な活躍をみせる坂本久美など日本人歌手の参与も。ルイ14世の晩年に完成したヴェルサイユの礼拝堂に響きわたる充実解釈 を、自然な場の佇まいとともに収めた名技師フレデリク・ブリアンのエンジニアリングも見事です。
CVS-061
カンプラ:舞踏音楽劇(悲劇風幕間劇にもなる音楽による物語)「新世紀の運命」全曲 軍神マルス、時の神サテュルヌ…マルク・モイヨン(Br)
現世の叡智の化身…マティアス・ヴィダル(T)
平和の化身、運命の女神パルク…フロリー・ヴァリケット(S)
知恵と戦略の女神パラス、戦いの女神ベロンヌ、栄光の化身…クレール・ルフィリアトル(S)
火の神ヴュルカン、群衆の中の戦士…トーマス・ファン・エッセン(Br)
ラ・テンペスタ(古楽器使用)
エレーヌ・ウゼル(コンサートマスター&楽譜校校訂)
パトリック・ビスミュート(指)
ヴェルサイユ・バロック音楽センター合唱団

録音:2021年1月15-17日 ヴェルサイユ宮殿王室歌劇場
太陽王ルイ14世の治世末期、リュリ亡き後のフランス・オペラを大きく躍進させた作曲家アンドレ・カンプラ。バロック歌劇史に大きな転機をも たらした出世作「優雅なヨーロッパ」(1697)はじめ、フランス語カンタータ(カンタート)やプティ・モテなど人気作は古楽再発見の流れを受けて 続々復権、録音盤も多い作曲家ですが、ここへ来て幻の大作の世界初録音が登場! 筆写譜が数年前まで未校訂のまま埋もれていた ため長く忘れ去られていた1700年5月初演の重要作「新世紀の運命」全曲録音です。ハプスブルク系王家の断絶が間近に迫る隣国スペ インの王位継承をめぐり、戦争勃発も視野に入ってきたフランスで17世紀最後の年に初演された本作は、来たるべき世紀の平和を願う時 の神サテュルヌの期待に反して欧州が戦乱へと突入してゆくところを舞台にした寓意的音楽劇。詩句を鮮やかに音楽の調べに乗せながら、 フランス・バロック特有の舞曲ナンバーでも緩急自在な音作りを楽しませるカンプラ随一の傑作が、フランス古楽界の実力派たちによる確かな 解釈で甦ったのは大いに歓迎すべきことと言えるでしょう。バッハ無伴奏ヴァイオリン曲集の伝説的録音でも知られるフランスの異才パトリック・ ビスミュート率いるラ・テンペスタは20人程度まで編成を拡大させ柔軟かつ機微豊かな演奏を披露、中世音楽歌手としても知られるマルク・ モイヨンやル・ポエム・アルモニーク創設期の中心人物クレール・ルフィリアトル、仏歌劇界を牽引するマティアス・ヴィダルなど、歌手陣の充実も この名演の実現に繋がっています。
CVS-060
シャルル・デュパール(1667/70-1740):
『ヴァイオリンと縦笛に加え、バス・ド・ヴィオールおよびアーチリュートを添えた低音部のための合奏(コンセール)用に仕立てられた6つのクラヴサン組曲』(1701年アムステルダム刊)より
組曲 第4番ホ短調
組曲 第1番イ長調
組曲 第2番ニ長調
組曲 第6番ヘ短調
マリー・ヴァン・レイン(クラヴサン〔チェンバロ〕・指揮)
タミ・トロマン(バロック・ヴァイオリン)
ミリアム・リニョル(バス・ド・ヴィオール〔ヴィオラ・ダ・ガンバ〕)
エロイーズ・ガイヤール(リコーダー、バロック・オーボエ)
ピエール・リンデルクネヒト(テオルボ)

録音:2020年9月13-14日 ドメーヌ・ド・ヴィラルソー(フランス北部イル・ド・フランス地方)
バロック期にはイタリア様式と並ぶ影響力を誇ったフランス様式。18世紀に入るとその流行はさまざまな形で加速しますが、その大きな原動 力として、各地に影響力の強い人物が多かった鍵盤音楽の世界でフランス様式が広まったことは見過ごせません。フランソワ・クープランと同 世代のシャルル・デュパールは、その普及に大きく貢献した一人。彼は英国に渡りロンドンの人々にフランス最新様式を伝えただけでなく、 1701年には国際都市アムステルダムでクラヴサン組曲集を楽譜出版。サンドウィッチ伯爵夫人(料理名の元になった第4代サンドウィッチ伯 爵の祖母)に献呈されたこの曲集は、ロンドンから遠く離れたドイツ語圏中部で一生を終えた大バッハも筆写しており、その大きな影響は『イ ギリス組曲集』にはっきり表れています。プレリュードの代わりにオペラの序曲の様式を転用した楽章を冒頭に配したこれらの組曲は、すぐに ヴァイオリンやリコーダーを使ったコンセール(合奏)用にアレンジされて同じ版元から刊行されており、このアルバムでは合奏版を中心に、一部 の楽章をクラヴサン独奏で演奏。リコーダー(オーボエ持替)には実力派集団プルチネッラの主宰者エロイーズ・ガイヤール、ヴィオールにはこの 楽器でバッハ『無伴奏チェロ組曲』を全曲録音して話題を呼んだのが記憶に新しいミリアム・リニョルなど、フランス最前線で活躍する名手揃 いのメンバーが織りなす合奏は、楽章ごとの性質に合わせて細かく編成を変更。パリ国立高等音楽院とソルボンヌで研鑚を積みレザール・フ ロリサンの通奏低音奏者としても広く活躍、最近ではヴェルサイユ王室歌劇場Oの立ち上げにも大きく関わったフランスの名手マ リー・ヴァン・レインの香り高い独奏とともに、多様な古楽器の響きの交錯を味わえる内容となっています。
CVS-062

NYCX-10302
日本語解説付国内盤
税込定価

『新しい管弦楽の響き』 〜ラモーの舞台音楽における管弦楽の世界〜
ラモー:「カストールとポリュクス」(1737/1754年) 序曲
「ゾロアストル」(1749年版)より
ロンド形式によるたおやかなエール
「遍歴騎士」(1760年)より
 kトルバドゥールたちの大いに陽気なアントレ
独唱「これで私も復讐が果たせる」(オルカン)
憤怒の鬼たちのエール
「優雅なインドの国々」(1735年)より
 アフリカの奴隷たちのエール
 西風の精の第1エール
 西風の精の第2エール
 北風の精と薔薇の精のエール
独唱「太陽よ、そなたの素晴しき隠れ家はどれも壊され」(ウアスカル)/インカの人々のエール/ロンド形式によるルール/ペルーの人々のガヴォット
「アカントとセフィーズ、または共感」(1751年)より
 序曲
 狩猟に興じる人々のアントレ
 第1・第2・第3リゴードン
「オシリスの誕生」(1754年)より
 ミュゼットのエール
「ダルダニュス」(1739年版)より
 独唱「どこを見ても酷い場所だ/恐るべき魔物が」(アンテノール)
「ピグマリオン」(1748年)より
 彫像のサラバンド
「カストールとポリュクス」(1754年版)より
 スパルタ人たちのタンブラン
「カストールとポリュクス」(1737年版)より
 独唱「自然と恋愛がわたしの心をつかむ」(ポリュクス)
「カストールとポリュクス」(1754年版)より
 大いに陽気なエール
 シャコンヌ
ルーヴル宮音楽隊(古楽器使用)
コンサートマスター:ティボー・ノアイー(Vn)
マルク・ミンコフスキ(指)
フロリアン・センペイ(Br)

録音:2021年1月18-22日 ヴェルサイユ宮殿王室歌劇場
※ 国内仕様盤解説日本語訳、歌詞日本語訳…白沢達生
今や古楽器演奏の枠を越えて多角的な活躍をみせているマルク・ミンコフスキの縦横無尽の経験が最上の形で、その原点ともいうべきフラン ス18世紀音楽に活かされたアルバム。ミンコフスキとルーヴル宮音楽隊は、ラモーの管弦楽曲ばかりを集めたアルバム(『サンフォニー・イマジ ネール 空想の管弦楽曲』ARCHIVレーベル)を2003年に録音して高い評価を得ましたが、今回はその再来ともいうべき新企画。2021年 1月に予定されていたモーツァルトのダ・ポンテ・オペラ三部作の上演がコロナ禍により中止された折、その時間と会場を利用して行われた当 録音は、まさに指揮者ミンコフスキの確かな経験と、豊かな音楽性を誇るルーヴル宮音楽隊との信頼関係あればこそと言えるクオリティの高 さを聴かせます。ラモーの舞台音楽初期の傑作「優雅なインドの国々」に始まり、古典派時代に踏み込む晩期の異色作「遍歴騎士」まで、 彼がいかに時代に先駆けた管弦楽法の使い手であったかを示すナンバーを厳選。古楽器の達人たちが圧倒的な一体感で響かせる色彩溢 れるサウンドには、ピッコロやクラリネットなど当時まだ珍しかった管楽器も登場し、ナチュラルホルンやバスーンの音色の重なりも充実した響き を味わわせてくれます。オーボエのエマニュエル・ラポルト、クラヴサンのヨアン・ムーランなどソロで活躍する名手も参加。4曲の独唱トラックで は、Alphaレーベルのロッシーニ作品集(ALPHA791/NYCX-10301)でもミンコフスキと共演している新時代の俊才センペイが加わり、絶 好の演技力と歌唱力でアクセントを添えています。美しい写真多数のライナーノートの充実度(国内仕様盤は指揮者自身の解題訳など日 本語解説付)もChateau de Versailles Spectaclesレーベルならではのものがあります。
CVS-063
モンドンヴィル:グラン・モテ集
イスラエルはエジプトから出て In exitu Israel (1753)
主は美しく着飾りて統べぬ Dominus regnavit (1734)
天は神の栄光を語り Coeli enarrant gloriam Dei (1749)
マイリス・ド・ヴィルトレ、ヴィルジニ・トマ(ドゥシュ〔ソプラノ〕)
マティアス・ヴィダル(オートコントル)
フランソワ・ジョロン、ニコラス・スコット(ターユ〔テノール〕)
ダヴィド・ヴィチャク(バス=ターユ〔バリトン〕)
マルグリット・ルイーズO・合唱団(古楽器&声楽アンサンブル)
ガエタン・ジャリ(指)

録音:2020年11月13-16日&2021年3月28-30日ヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂
音楽界の中心にオペラがありながら、オーケストラを伴う教会音楽にも人々が喝采を送り続けた18世紀のパリ。ルイ14世の時代以降、王 室礼拝堂に出入りする作曲家たちが書いた大合奏を伴う合唱曲(グラン・モテ)の数々は、劇場が閉鎖されるキリスト教の節制期間にオペ ラ座の音楽家たちによってパリ市内でも演奏され、これを主たる演目として掲げた定期演奏会コンセール・スピリチュエルはフランス革命勃発 の頃まで高い人気を誇りました。当初はリュリやド・ラランドなど、ルイ14世お気に入りの往年の作曲家たちのモテが再演されていたこの演奏 会で、新作グラン・モテを次々披露し大いに賞賛を浴びたのが、C.P.E.バッハやグルックなどと同世代で、2022年が歿後250周年にあたる 南仏人モンドンヴィル。歌劇作曲家としても活躍しながら、異色の作風で賛否両論を醸した大家ラモーと並び称されたほど注目を集めまし た。ここではヴェルサイユ宮殿を舞台に大規模なバロック・プロジェクトを多数成功させてきたガエタン・ジャリ率いるアンサンブルが、モンドンヴィ ルの生前にも使われていた王室礼拝堂の豊かな残響を巧みに味方につけながら、彼のグラン・モテの傑作3篇をその真価に見合った充実解 釈で聴かせてくれます。1734年に作曲された後ルイ15世の治世が続く間に何度も再演され、ポンパドゥール夫人が「私が耳にしうる最も美 しい音楽」と絶賛した傑作の一つ『主は美しく着飾りて統べぬ』から、迫力ある短調の響きが印象的な1753年の『イスラエルはエジプトから 出て』まで、時代の開きを意識した選曲も絶妙。実力派を揃えた独唱勢や合唱の頼もしさもさることながら、コントラバス2人、ファゴット4人 を伴う低音の膨らみとアクセントも心地良く、モンドンヴィルならではの、華麗な旋律美とロマン派さえ予感させるメリハリの効いた音作りを十 全に味わえます。
CVS-065
ヴィヴァルディ:弦楽と通奏低音のための12の協奏曲(「パリ協奏曲集」)
協奏曲 第5番ハ長調 RV 114
協奏曲 第4番ヘ長調 RV 136
協奏曲 第11番ト長調 RV 150
協奏曲 第1番ト短調 RV 157
協奏曲 第12番イ長調 RV 159
協奏曲 第10番二長調 RV 121
協奏曲 第6番ト短調 RV 154
協奏曲 第7番イ長調 RV 160
協奏曲 第3番ハ短調 RV 119
協奏曲 第9番変ロ長調 RV 164
協奏曲 第8番ニ短調 RV 127
協奏曲 第2番ホ短調 RV 133
ステファン・プレフニャク(Vn&指揮)
ヴェルサイユ王室歌劇場O(古楽器使用)

録音:2020年12月2-6日、ヴェルサイユ宮殿「十字軍の広間」
水の都ヴェネツィアを拠点に、イタリア後期バロックの栄華を支えたヴァイオリンの名手アントニオ・ヴィヴァルディ。その業績はイタリア半島に留ま らず、遠くアルプス以南の諸外国にまで及びましたが、本拠ヴェネツィアは貿易経路の変化やオスマン帝国の脅威など困難続きで不安要素 が絶えず、加えて音楽の本場ならではの流行の変化の速さは大作曲家にとっても悩みの種でした。ヴィヴァルディは齢50を過ぎた頃から楽 譜出版より一点物の自筆譜をクローズドで高額販売する路線に変更、外国の顧客向けに「合奏(リピエーノ)のための協奏曲」を12曲まと めて浄書しており、これらは今日パリのフランス国立図書館に収蔵されていることから「パリ協奏曲集」と呼ばれています。バルトークの「弦楽 のためのディヴェルティメント」の遠い源流とも言うべきこれらの作品は、ソロがないにもかかわらずヴィヴァルディならではの周到・精巧な音運び で極めて精彩に富み、聴けば聴くほどその魅力の虜になる名曲揃い!後に神聖ローマ皇帝にもなったロレーヌ公が買い上げたと言われるこ の曲集を、ヴェルサイユに集う俊才古楽器奏者たちによる起伏鮮やかな最新録音で聴けるのは大きな喜びと言えましょう。弦楽編成は 3/3/2/2/1とコンパクトながら、通奏低音にはハープやバロックギター、リュートなどの撥弦楽器も加わり、たった4パートで長調・短調とも変 幻自在の音を紡ぎ出してゆくヴィヴァルディ随一のセンスに改めて唸らざるを得ません。最新研究を踏まえたライナーノート(仏・英・独語)も 充実しています。
CV-066

NYCX-10312
日本語解説付国内盤
税込定価

『ルイ14世の婚礼』
●聖堂の門にて
リュリ:王のトランペット合奏のための合図音
●代表団の入場
ルイ・クープラン(1626頃-1661):前奏曲
リュリ:フランス王家の入場
 スペイン人たち
 バスク人たち
●平和の祝典
ジャン・ヴェロ(1600頃-1662):子らよ、ほめまつれ
リュリ:全地よ歓喜して神を迎えよ(ユビラーテ・デオ)
●婚儀
ギヨーム=ガブリエル・ニヴェル(1632頃-1714):全教会旋法の100の小品を含むオルガン曲集 より
 第三旋法によるプラン・ジュ
 第三旋法によるクロモルヌのレシ
サロモーネ・ロッシ(1570-1630):荘厳なシンフォニア
フランチェスコ・カヴァッリ(1602-1676):マニフィカト
●諸国民の歓喜と踊り
カヴァッリ:私を死なせて 〜Xerse 歌劇「セルセ」 より
アンドレ・デ・ロジェ(生没年不明、1634-1672の間に活躍):このように長い戦の後
ニコラ・メトリュ(1605頃-1663頃):おおフランスよ
フアン・イダルゴ(1614-1685):2人の女の子がやってきた〜歌劇「嫉妬は証拠がなくとも人を殺す」 より
アナ・キンタンシュ(S)、ヴィクトワール・ビュネル(Ms)、
ダヴィド・トリク(オートコントル)、セルジュ・グビウ(テナー)、
ヴィルジル・アンスリ(Br)
ル・ポエム・アルモニーク(古楽器使用)
ラ・タンペート(合唱)、シモン=ピエール・ベスティオン(合唱指揮)
ヴァンサン・デュメストル(指)

録音:2021年11月11-14日
ヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂
※国内仕様盤日本語解説…関根敏子、歌詞訳…原口昇平
1660年6月9日にサン=ジャン=ド=リュズで行われたフランス王ルイ14世とスペイン王女マリー・テレーズとの結婚式から音楽部分を、ヴァンサン・デュメスト ル率いるル・ポエム・アルモニークが、篤い信頼を置くソリストたちを揃え、ヴェルサイユの礼拝堂で再現したアルバム。古楽を中心に様々なステージや録音で 活躍する歌手たちが芸達者ぶりを発揮するほか、大オルガンを使用する独奏曲はジュスタン・テイラーが奏でています。
CVS-067
バッハ:モテット集
バッハ:モテット「主に向かって新しき歌をうたえ」BWV 225
 モテット「来たれ、イエスよ、来たれ」BWV 229
 コラール前奏曲「イエス、わが喜び」BWV 610(オルガン独奏)
 モテット「イエス、わが喜び」BWV 227
 モテット「恐れることなかれ、われ汝とともにあり」BWV 228
ヨハン・クリストフ・バッハ(1642-1703):モテット「愛しき主なる神よ、我らを奮い起こし給え」
バッハ:モテット「聖霊はわれらの弱きを助けたもう」BWV 226
 モテット「おおイエス・キリスト、わが命の光」BWV 118
ゼバスティアン・クニュプファー(1633-1676):モテット「神よ、我をば見出し給いて」
バッハ:モテット「主をたたえよ、すべての異教徒よ」BWV 230
独唱:
エレーヌ・ヴァルター、アンナ=レナ・エルベルト(S)
ウィリアム・シェルトン(A)
ベンヤミン・グラウビッツ(T)
クリスティアン・イムラー(Bs)
ラ・シャペル・アルモニーク(声楽&古楽器アンサンブル)

ダヴィド・プランティエ(Vn/コンサートマスター)
フランソワ・ゲリエ(Org)
ヴァランタン・トゥルネ(指)

録音:2021年7月2-5日 ヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂
2019年にバッハの『マニフィカト』初演版の録音(CVS009/NYCX-10097)で鮮烈なCDデビューを飾った、フランスの新世代指揮者ヴァ ランタン・トゥルネ率いるラ・シャペル・アルモニーク。Chateau de Versailles Spectaclesレーベルではその後ラモーの「優雅なインドの 国々」(CVS031)や「レ・パラダン(遍歴騎士たち)」(CVS054)といったオペラのみずみずしい録音も聴かせてくれた彼らですが、今回のモテッ ト録音もバッハ作品への深い愛が見事な結実を見せた注目すべき内容となっています。二重合唱で各パート2〜3人となる小規模編成の 声楽陣に、ヴァイオリン2・ヴィオラ2・チェロとコントラバス各1にオーボエ2・ターユ(中音域オーボエ)1・ファゴット1とオルガンからなる器楽が参 加。ヴァイオリンのダヴィド・プランティエやオーボエのブノワ・ローラン、オルガンのフランソワ・ゲリエらヴェテラン勢が加わった充実の器楽陣が、合 唱の単なる補助以上の効果をもたらし、色彩感溢れる多声部の絡み合いでア・カペラとは違う豊かな作品像を描き上げます。大バッハに大 きな影響をもたらした親族ヨハン・クリストフ・バッハのモテットではバロック期の一部の習慣に従い、器楽にカンマートーン(A=390Hz)、合唱 にコーアトーン(A=465Hz)とピッチを別々に設定、約短三度の音程差を音符の読みかえ(器楽陣が in E♭ 読み)することで補正し、当 時の音響感覚に迫るという興味深い試みも。また大バッハ自身が筆写した17世紀の作曲家クニュプファーも収録し、ドイツの伝統とバッハの 繋がりを浮き彫りにするプログラム構成も秀逸です。
CVS-068(3CD)
NX-E02
ルクレール:歌劇「シラとグロキュス」〜序幕付全5幕の抒情悲劇 グロキュス…マティアス・ヴィダル(T)
シラ…キアラ・スケラート(S)
シルセ…フロリー・ヴァリケット(S)
民衆の首長、リカス、エカト、森の精の男性…ヴィクトール・シカール(Br)
ヴェニュス、ドリーヌ、プロペティード、森の精の女性、少女2…セシル・アシル(S)
恋の神、テミール、シチリアの女性、プロペティード、羊飼いの女性、少女1…リリー・エモニノ(S)
イル・ジャルディーノ・ダモーレ(声楽&古楽器アンサンブル)
 コンサートマスター…ルドミラ・ピェストラク(Vn)
ステファン・プレフニャク(指)

録音:2021年4月12-17日、ワルシャワ
ローマの巨匠コレッリの系譜をひく名手ソミスに師事、フランスでいち早く独自のヴァイオリン芸術を確立した稀代の名手=作曲家ルクレール。 一時はオランダで過ごし、同世代のイタリア出身の名手ロカテッリと親交を結んで技芸に磨きをかけた後帰国、演奏家としても作曲家として も高い名声を得ながら、最期は謎の刺殺事件の犠牲者として世を去りました。ヴァイオリンのための作品は古楽器奏者たちも数多く録音し てきましたが、彼がオランダから戻って間もなくルイ15世の皇太子の結婚祝賀として書いた唯一のオペラ「シラとグロキュス」は意外に音源に恵 まれない作品。セバスティアン・デラン指揮の録音がALPHAで最近出るまではジョン・エリオット・ガーディナーによる1986年の録音があるだけ だったこの作品に、ヴィダル、スケラート、ヴァリケットらフランス歌劇界の最前線をゆく名歌手たちによる瑞々しい新録音が登場したのは実に 歓迎すべきことと言えるでしょう。海の精シラに思いを寄せる海の神グロキュスに恋をした魔女シルセが、ひとたび魔法で虜にしたグロキュスに 去られ恐ろしい復讐を果たす全5幕の堂々たる抒情悲劇。ヨーロッパで最も古楽が盛んな国になりつつあるポーランドの実力派楽団の好サ ポートを得て、名歌手たちは今書かれたばかりのような生々しい演奏解釈で作品の味わいを細部に至るまでじっくり味わわせてくれます。指 揮のステファン・プレフニャクはバロック・ヴァイオリン奏者としても数々の名盤を世に送り出してきた名手。イタリア音楽への抜群の適性の傍ら、 フランス音楽でも妥協ない解釈を聴かせる俊英であることを改めて実感させてやみません。
CVS-069(3CD)
NX-D11
モンテヴェルディ:歌劇「ウリッセの帰還」 ウリッセ…ヴァレリオ・コンタルド(T)
ペネローペ…リュシル・リシャルド(Ms)
運命の女神フォルトゥーナ、エリクレア、メラント、地上の合唱の一員…アンブロワジーヌ・ブレ(Ms)
大神ジョーヴェ、テレマーコ…フアン・サンチョ(T)
時の擬人像、海の神ネットゥーノ、アンティノー、海の民ファイアケスの合唱の一員、海の精の合唱の一員…アレックス・ローゼン(Bs)
知恵の女神ミネルヴァ、天界の合唱の一員…マリールー・ジャクアール(S)
愛の神アモーレ、婚礼の女神ジュノーネ、天界の合唱の一員…マリー・ペルボスト(S)
人間の弱さの擬人像、ピザンドロ、海の精の民ファイアケスの合唱の一員、海の合唱の一員…フィリッポ・ミネッチア(C.T)
エウメーテ、海の民ファイアケスの合唱の一員、海の精の合唱の一員…シリル・オヴィティ(T)
イーロ…イェルク・シュナイダー(T)
エウリマコ、海の精の合唱の一員…ピエール=アントワーヌ・ショーミアン(T)
アンフィノーモ、天界の合唱の一員…ファビアン・イオン(C.T)
レゼポペー(古楽器使用)
ステファーヌ・フュジェ(チェンバロ・指揮)

録音:2021年12月2-7日 ヴェルサイユ宮殿「十字軍の間」
Chateau de Versailles Spectaclesレーベルでフランス・バロックの巨匠リュリの教会音楽の体系的録音を進め、その最新巻『ミゼレー レ』(CVS059/NYCX-10278)が『レコード芸術』誌で特選に輝いたのも記憶に新しいフランス古楽界の実力派指揮者=鍵盤奏者ステ ファーヌ・フュジェ。自身が結成したレゼポペーとの共演は歌詞の言語的魅力を最大限に活かした演奏を旨とし、バロック・オペラの指揮にも 高い適性を示してきましたが、今回は満を持してモンテヴェルディ後期の傑作に取り組みました。弓奏弦楽器奏者7人に管楽器・撥弦楽 器・鍵盤などが加わる総勢14人の器楽隊に、合唱まで含め全員がソリストからなる歌手陣には、近年レオナルド・ガルシア・アラルコン指揮 による同じ作曲家の「オルフェオ」(ALPHA720/NYCX-10243)で注目を集めたヴァレリオ・コンタルドを筆頭に、上り調子のリュシル・リシャ ルド、実力派シリル・オヴィティ、カウンターテナーのフィリッポ・ミネッチアなど広範な活躍をみせる名歌手が続々。台本の劇展開をよく捉えた精 緻な解釈はまさにレゼポペーならではで、確かな楽器選択による細やかな通奏低音に支えられた歌はまさに「歌いながら語る」バロック初期 の魂を伝えてやみません。神々の思惑に翻弄されながら異国をさまよい妻ペネローペの待つ故郷へ向かうウリッセ(ユリシーズ=オデュッセウ ス)の物語が、イタリア・バロック特有の造形のまま現代に甦る新たな名演の誕生です。
CVS-070(3CD)
NX-D11
フランチェスコ・サクラーティ(1605-1650):「狂気を装った女」全3幕の音楽劇 デイダミア…マリアナ・フローレス(S)
アキッレ…ポール=アントワーヌ・ベノス=ジアン(C.T)
ウリッセ…カルロ・ヴィストーリ(C.T)
ディオメデ…ヴァレリオ・コンタルド(T)
リコメデ…アレハンドロ・メーラプフェル(Br)
エウヌーコ…カツペル・シェロンジェク(C.T)
乳母…マルセル・ベークマン(T)
船長…サルヴォ・ヴィターレ(Bs)
暁の女神アウローラ、婚礼と豊饒の女神ジュノーネ…ジュリー・ロゼ(S)
海の妖精テティーデ、勝利の女神…フィオナ・マクガウン(Ms)
火の神ヴルカーノ、大神ジョーヴェ…アレクサンドル・ミミノシヴィリ(バス=バリトン)
栄誉の女神、叡智の女神ミネルヴァ…ノルマ・ナウン(S)
少女1…オーレリー・マルジョ(S)
少女2…アンナ・ピロリ(S)
少女3…サラ・ハウス(S)
カペラ・メディテラネア(古楽器使用)
レオナルド・ガルシア・アラルコン(チェンバロ/指揮)

録音:2021年6月9-13日 ヴェルサイユ宮殿王室歌劇場
アルゼンチンからヨーロッパに渡り、フランス語圏を中心に卓越したバロック・オペラ指揮者として活躍、とりわけイタリアやスペインなど地中海諸 国の音楽に抜群の適性を示している俊才レオナルド・ガルシア・アラルコン。これまでにもモンテヴェルディやカヴァッリなど比較的よく知られた巨 匠たちのオペラだけでなく、ザンポーニ、ファルヴェッティ、ドラーギなど今や知る人が少なくなってしまった作曲家たちの劇音楽作品も積極的に とりあげてきました。ヴェルサイユ宮殿の王室歌劇場を舞台に彼が新たに録音したのは、フランスで初めて上演されたオペラであるサクラーティ の「狂気を装った女」。ルイ13世の崩御後間もなく、イタリアから来た新宰相マザランの肝煎りで1645年12月に上演されたこのイタリア語オ ペラは、トロイア戦争の戦士アキレスにまつわるエピソードを扱ったもの。フランス王室での上演に際しては幼少の王ルイ14世を喜ばせるべく 本物の動物たちが活躍する場面も盛り込まれ、大いに歓迎されました。同世代のカヴァッリ同様ヴェネツィアを本拠に人気を博していたサク ラーティの精彩鮮やかな音楽を、アラルコンは多彩な通奏低音楽器群を含む15人編成のオーケストラ、マリアナ・フローレスら実力派歌手た ちの緩急自在の名歌唱とともに瑞々しく現代に甦らせます。器楽陣にレザール・フロリサンやルーヴル宮音楽隊を支えてきた打楽器奏者マ リー=アンジュ・プティ、百戦錬磨の撥弦奏者キート・ガート、ガンバの達人フアン・マヌエル・キンターナら実力派が加わっていることも、この名 演の勝因と言ってよいでしょう。
CVS-071
『ローマの勝利』 〜1686年、フランス王ルイ14世を讃えるローマの祝典の仮想的再現
コレッリ:トランペットによるシンフォニア 〜オラトリオ「聖女ベアトリーチェ・デステ」(ジョヴァンニ・ロレンツォ・ルリエル〔1662-1700〕との共作、1689)序曲より
トランペットを交えた大シンフォニア 〜合奏協奏曲 Op.6-7およびOp.6-1による
いとも甘美なるソナタ:アダージョ 〜トリオ・ソナタ Op.2-7より(合奏協奏曲形式による演奏)
弦楽合奏による悲しきシンフォニア 〜オラトリオ「聖女ベアトリーチェ・デステ」序曲および合奏協奏曲 Op.6-8「聖なる夜に」による
エコーを伴うソナタ 〜トリオ・ソナタ Op.1-9(合奏協奏曲形式による演奏)
メラーニ(1639-1703):夕暮れ時のための合奏付カンタータ「あの好戦的な響きは」〜コレッリのトリオ・ソナタOp.2-1からの抜粋を交えて*
コレッリ:あらゆる楽器を交えての勇壮なシンフォニア 〜合奏協奏曲Op.6-4およびOp.6-7による
エマニュエル・ド・ネグリ(S)*
アンサンブル・エクジ&アンサンブル・エミオリア(古楽器使用)
エマニュエル・レシュ=カゼルタ(Vn・指揮)

独奏群(コンチェルティーノ):
 エマニュエル・レシュ=カゼルタ、パトリツィオ・ジェルモーネ(Vn)
 クレール・ラムケ(Vc)
 ピエール・リンデルクネシュト(テオルボ)
 ディエゴ・フェルナンデス=ロドリゲス(Cemb)

録音:2021年6月15-19日 ヴェルサイユ宮殿「十字軍の間」
長きにわたる治世の間、ヨーロッパ全土に轟く覇権を確かなものとし続けたフランス王ルイ14世。カトリック総本山ローマは枢機卿マザランのか つての職場である上、中世のフランス王、ルイ聖王にちなんだサン・ルイージ・デイ・フランチェージ教会のような場所もあり、ルイ14世とは決し て無縁の場所ではありませんでした。実際そこでは1686年にルイ14世に捧げられた音楽会も開かれており、フランスの古楽器奏者たちが ヴェルサイユに集って収録されたこのアルバムは、そのローマでの音楽祝典の再現を目指したもの。ローマを拠点に全欧州に名を轟かせ、フラ ンスの作曲家たちにも大きな影響を与えたコレッリの作品を中心に、サン・ルイージ・デイ・フランチェージ教会に仕えた作曲家メラーニのセレ ナータも交えて編まれたプログラムを、当時の記録や証言に基づき大編成で演奏しているのが大きな特色です。コレッリの室内編成向けトリ オ・ソナタは当時から大きな編成でも演奏されており、彼が100人規模の大編成を指揮していた記録もあるほど。ここではバロック・アンサンブ ルとしてはかなり規模の大きい弦楽編成に充実した通奏低音陣、曲によってはトランペット群とティンパニも加え、かの「永遠の都」に響いた 祝典の絢爛さを鮮やかに再現しており、その豪奢なサウンドがたまりません。金管陣には当時通りの指孔なしナチュラル・トランペットを吹きこ なすマドゥーフ兄弟らも参加。オーケストラ演奏の原点ともいうべき17世紀の音像に迫った注目すべきアルバムです。
CVS-072
ヘンデル:シャンドス・アンセム 第1・4・6番 ほか
シャンドス・アンセム第1番「主に向かって喜ばしき声をあげよ」HWV 247
ヴォランタリー第3番イ短調*
シャンドス・アンセム第4番「主に向かって新しい歌を歌え」HWV 249b
シャコンヌ ト短調 HWV 486*
シャンドス・アンセム第6番「鹿が清水を求めて喘ぐように」HWV 251b
マルグリット・ルイーズ(合唱&古楽器アンサンブル)
ガエタン・ジャリ(オルガン…*ソロ、指揮)
ソリスト:フロリー・ヴァリケット(S)、ニコラス・スコット(T)、ヴィルジル・アンスリ(Bs)

録音:2021年5月22-25日 ヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂
イタリアからドイツに戻った若きヘンデルは、ハノーファー宮廷での仕事を経て渡英、1710年代を通じて王都ロンドンの人々の心を着実に掴んでゆきました。そ の過程で、1717年からしばらく彼に作曲の場を与えたのが裕福な貴族のシャンドス公。当時ロンドン郊外に設営中だった公の邸宅キャノンズには、音楽演 奏に向いた大広間や礼拝堂も徐々に調えられ、ヘンデルはそうした場で公が聴き楽しめる音楽を続々と作曲します。こうして仕上がった作品群の中でも、10 曲あまりが残されている中規模声楽曲の数々は『シャンドス・アンセム』と総称され、イタリア風の声楽様式で英語の詩句があざやかに歌い上げられるその音 楽内容は作曲者の歿後、19世紀に楽譜刊行され世界的に知られるようになりました。ヴィオラを省いた弦楽編成、アルトを省いた合唱が独特の平明な構 成の面白さに繋がるこれらのアンセムに潜む、室内楽と大規模合唱の間をゆく独特の味わいを、ここではヴェルサイユ宮殿に集うフランス最前線の古楽アンサ ンブルがじっくり解釈。そもそもヘンデルの音楽はイタリア様式を下地にしていながら、序曲や舞曲などの形式、オーボエ群を活かした楽器編成などフランスから の影響も見られ、ガエタン・ジャリ率いるマルグリット・ルイーズの演奏解釈はそうした一面を玄妙な響きで浮き彫りにしてゆく味わい深さもあります。伸びやかな バロックオーボエのソロやテオルボを組み込んだ通奏低音の多彩さもさることながら、各パート5〜6人からなる3声の合唱が織り上げてゆく一体感に満ちた歌 唱も見事なもの。ヴォランタリーやシャコンヌでは指揮者ジャリのオルガン独奏で、18世紀オリジナルの形に復元されたヴェルサイユ王室礼拝堂の銘器の美音 も味わえます。逞しさよりも優雅さが際立つヘンデルの一面にはっとさせられる新録音です。
CVS-073
『ルイ14世のためのグラン・モテ』 〜シャルル=ユベール・ジェルヴェ: 王室礼拝堂のためのグラン・モテ集
シャルル=ユベール・ジェルヴェ(1671-1744):詩篇第137篇によるモテ「バビロンの流れのほとりで」
詩篇第100篇によるモテ「全地よ歓喜して神を迎えよ」(ユビラーテ・デオ)
詩篇第51篇によるモテ「わたしを憐れんでください、主よ」(ミゼレーレ)
マリー・ペルボスト、デボラ・カシェ(ドゥシュ〔ソプラノ〕)
ニコラ・スコット(オートコントル〔高音テノール〕)
パコ・ガルシア(ターユ〔テノール〕)
ブノワ・アルヌー(バス=ターユ〔バリトン〕)
レゾンブル(古楽器使用)
コンセール・スピリチュエルcho
シルヴァン・サルトル(指)

録音:2021年9月11-13日 ヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂
フランスならではの音楽様式が確立された太陽王ルイ14世の治世を経て、イタリア音楽のからの影響を色濃く反映した音楽が流行しはじめ た18世紀のパリ。太陽王亡き後ルイ15世の幼少期に摂政を務めたオルレアン公に音楽教師として仕えたジェルヴェは、1716年に発表した オペラ「イペルムネストル」が大きな成功を収め、後にはルイ15世の王室礼拝堂でベルニエやカンプラといった先輩作曲家たちと肩を並べるに 至りました。イタリア様式をフランス人好みに合わせてアレンジした混合様式の担い手の一人で、その才覚はヴェルサイユの儀礼を彩った大規 模な合唱・合奏向けのグラン・モテにも見事な結実を見せています。これまで録音もあまり出て来なかった作曲家ですが、ここでは濃やかなア ンサンブルを聴かせるレゾンブルの器楽合奏を得て、フランス古楽界の最前線をゆく歌手たちが緩急自在の音作りを聴かせ、作品の魅力を 最大限に引き出してゆきます。晴れやかな「ユビラーテ・デオ」や悲哀の表現が美しい「ミゼレーレ」、曲中さまざまな箇所で各楽器の味わいが 活きる小編成解釈が際立つ「バビロンの流れのほとりで」と、作曲家自身とゆかりの深い礼拝堂に響きわたる充実の3曲。このレーベルの常 通り、最新研究を踏まえたブックレットの解説(仏・英・独語)も充実しています。
CVS-074

NYCX-10335(1CD
日本語解説付国内盤
税込定価

マラン・マレ:『音階、およびその他の器楽曲集』(1723年パリ刊/全曲)
音階 〜小さなオペラの形式で
マレ流儀のソナタ
パリのサント・ジュヌヴィエーヴ・デュ・モン教会の鐘
レ・タンブル(古楽器使用)【川久保洋子(Vn)、ミリアム・リニョル(バス・ド・ヴィオール〔ヴィオラ・ダ・ガンバ)、ジュリアン・ヴォルフス(クラヴサン〔チェンバロ)】

録音:2020年6月6-9日 ラ・サル・デザクト、コレージュ・ヴィクトル・ユーゴー、ブザンソン
※ 国内仕様盤解説日本語訳…白沢達生
フランス・バロックの巨匠たちの中でも指折りの存在、ヴィオールの名手にして王室のオペラ指揮者でもあったマラン・マレ。"天使のごとく弾く"と 讃えられたその妙技は、若い頃から晩年まで折々に発表された5つのヴィオール曲集に確かな痕跡を認めることができます。その一方で彼 は、1725年に最後のヴィオール曲集を発表して現場を退く2年前、「音階」「マレ流儀のソナタ」「パリのサント・ジュヌヴィエーヴ・デュ・モン教 会の鐘」という三つの充実作からなる室内楽曲集も発表しています。徹底してフランス流かつヴィオールという楽器にこだわった5つのヴィオー ル曲集に比して、これら3曲はヴィオールと通奏低音のほかヴァイオリンが加わるトリオのために書かれ、音楽自画像的な企図が窺える「マレ 流儀のソナタ」など、"もう一つのマレの顔"を集大成したとも取れる内容。ドレミファソラシドの音階を辿った音型をベースに、各音にもとづく楽 想が縦横無尽に展開される長大な「音階」はじめ3曲とも充実した難曲ですが、フランスを拠点に活動を続け近年Floraレーベルから名盤 を連発してきたレ・タンブルの3名手にかかると実に精彩に富み、随所ではっとさせられる音の妙に興味が尽きず、先へ先へと聴き進めずにお れません。マレを主人公とした映画『めぐり逢う朝』でも使われていた「鐘」の起伏に富んだ展開も比類なく、演奏陣による各曲詳述(国内仕 様盤は日本語訳付)も含め、この異形の曲集の新たな決定盤になりそうな1枚です。
CVS-075
ボワモルティエ:「公爵夫人家のドン・キホーテ」(1743)〜3幕の舞踏音楽喜劇(全曲) ドン・キホーテ…マティアス・ヴィダル(T)
サンチョ・パンサ…ジャン=ガブリエル・サン=マルタン(Br)
公爵夫人=アルティジドール…シャンタル・サントン=ジェフェリ(S)
モンテジノ、メルラン、通訳…ニコラ・ブローイマンス(Bs)
農婦、恋する女性、使用人の女…カミーユ・プール(S)
恋する男性…シャルル・バルビエ(C.T)
ル・コンセール・スピリチュエル(声楽&古楽器アンサンブル)
エルヴェ・ニケ(指)

録音:2020年12月22-23日、ヴェルサイユ宮殿王室歌劇場
フランス・バロック復興の勢いを数十年にわたり第一線の演奏シーンで支え、今やバロックのみならずロマン派以降のフランス音楽でも名演を 連発している鬼才指揮者エルヴェ・ニケ。作曲家の現在の知名度にこだわることなく、演奏機会の少ない作品の発掘にも意欲的に取り組 んでいますが、18世紀に誰よりも早くフリーランス作曲家として自活を達成した人気作曲家ボワモルティエには「同世代のラモーより先をゆく 先進的作曲家」と絶賛を惜しみません。彼が早くから入れ込み実演でも頻繁にとりあげてきた「公爵夫人家のドン・キホーテ」は、NAXOSに 録音している(8.553647)ほかALPHAで映像もリリースしていますが(ALPHA711)、今回はヴェルサイユでCDを再録音しました。従者サ ンチョ・パンサとともに所領に迷い込んだドン・キホーテをからかうべく公爵夫人が素人芝居を開催、恋するアルティシドールやニッポンの女帝に 扮して二人を翻弄する荒唐無稽な物語を、ロココ期のフランス音楽ならではの典雅な魅力たっぷりに聴かせてくれます。コロナ禍によるスケ ジュール変更の間隙をぬって実現したという贅沢布陣の録音で、主人公のドン・キホーテと公爵夫人はそれぞれヴィダルとサントン=ジェフェリ という現代フランス最前線を行く名歌手が鮮やかに演じ切り、合唱と合奏が織りなす連携の面白さもル・コンセール・スピリチュエルの俊才陣 によってひときわ魅力的に響きます。旧盤CDから四半世紀をへて、ニケ自身も解釈の深まりを自負する名演で、起伏に富んだ物語の面白 さをじっくり堪能できます。
CVS-076(2CD)
NX-D09
カヴァッリ:歌劇「エジスト」 ル・ポエム・アルモニーク(古楽器使用)
エジスト…マルク・モイヨン(T)
クローリ…ソフィー・ユンカー(S)
リディオ…ザッカリー・ワイルダー(T)
クリメーヌ…アンブロワジーヌ・ブレ(Ms)
夜の精、太陽神アポロ…ダヴィド・トリクー(T)
イッパルコ…ロマン・ボクレール(Br)
暁の女神アウローラ、恋の神アモーレ、時の精オーラ…ユジェニー・ルフェーヴル(S)
デーマ…ニコラス・スコット(T)
美の精ベレッツァ、フェードラ…マリールー・ジャカール(Ms)
エーロ、美の女神ヴェネレ…カロリーヌ・マング(Ms)
チネア、セメレ…ヴィクトワール・ビュネル(Ms)
ディドーネ、快楽の精ヴォルピア…フロリアーヌ・アスレール(Ms)
コンサートマスター…フィオーナ=エミリー・プパール(Vn)
オーケストラ編成…ヴァイオリン6、ヴィオラ・ダ・ガンバ、チェロ、コントラバス、リローネ/キタリーノ持替、アーチリュート、テオルボ/バロックギター/コラシオーネ持替、トリプルハープ、チェンバロ/オルガン/スピネット、リコーダー、リコーダー/ドゥルツィアン持替、木管コルネット
ヴァンサン・デュメストル(指)

録音:2021年3月17-22日、ヴェルサイユ宮殿王室歌劇場
20世紀末の結成以来、知られざる17世紀音楽の復権に大きな貢献を果たし続けてきたフランスの古楽アンサンブル、ル・ポエム・アルモ ニーク。彼らは太陽王ルイ14世の時代に古典的形式が整うより前の、17世紀初頭の知られざるフランス音楽の魅力を強く印象づけてきた 一方、その同時代に最初の大躍進を見せつつあったイタリア初期〜中期バロックの音楽にも驚くべき適性をみせ、ユニークな名演で世界中 を魅了し続けてきました。ここに全曲CD録音されたカヴァッリ「エジスト」は、彼らが主宰者デュメストルとともに10年来さまざまな歌手陣を招 いて披露してきた、いわば自家薬籠中のレパートリー!17世紀前半のヴェネツィアに君臨した巨匠モンテヴェルディの歿年にあたる1643 年、その門下で躍進を続け新たなイタリア・オペラの寵児となりつつあったカヴァッリが、その後も緊密な協力関係を続けることになるファウス ティーニの台本を得て披露した作品で、20世紀に現代楽器オーケストラで蘇演されていますが全曲録音は今回がおそらく初。恋心を錯綜 させる二人の男女を軸とした物語は、圧倒的な演技力を声に宿らせる異才モイヨン演じる主人公エジストの乱心をめぐって驚くべき展開を みせ、弦楽を中心に小規模ながら充実した編成のオーケストラが深い心理描写で歌手たちに応えるさまは圧巻。ドゥルツィアン(ファゴットの 前身)とリコーダーのジェレミー・パパセルジオー、3種の鍵盤を使いこなすエリザベート・ガイガーら経験豊かな名手の立ち回りも鮮やかです (弦には畑野達哉も参加)。ユンカー、ワイルダー、マングら欧州が注目する気鋭歌手たちの活躍も見事で、カヴァッリという作曲家の真価を 深く掘り下げた名演に仕上がっています。
CVS-077
ソフィー・ガーユとフランス第一帝政期のハープ伴奏歌曲
1. ルイ=エマニュエル・ジャダン(1768-1853):コラス、コラス、どうか誠実に慕って
2. ソフィー・ガーユ(1775-1819):わかっている、若い頃には(第1・2連)
3. フランソワ=ジョゼフ・ナーデルマン(1781-1835):西風がやさしく吹き寄せてくれようと*
4. ガーユ:それは彼女とは違う
5. ジャン=ポール・エジード・マルティーニ(1741-1816)/ナーデルマン編)):愛の喜び*
6. モーツァルト:クロエに K. 524
7. ガーユ:期待
8. F-J. ナーデルマン:ソフィー・ガーユの「おお漁師よ」の調べによるハープのための幻想曲*
9. ガーユ:悪魔の円舞
10. ガーユ:ミラノの司祭の歌、別名「間に合わせの食卓」
11. L-E. ジャダン:ウェルテルの死
12. ジャン=ルイ・アダン(1758-1848):ウェルテルの墓を訪れたシャルロット(第1・2連)
13. ガーユ:もはや死ぬほかない
14. フランソワ=アドリアン・ボワエルデュー:思い出*
15. J-L. アダン:後悔
16. モーツァルト:ラウラに寄せる夕べの思い K. 523
17. ガーユ:夕暮れのひととき
18. モーツァルト:鳥たちよ、年ごとに K. 307
19. ニコラ=シャルル・ボクサ(1789-1856):モーツァルトの「わたしの心は溜息をつく」によるハープのための変奏曲*
20. ガーユ:わたしの心の機微がわかる人は
21. J-P-E. マルティーニ:涙を流す人
22. ガーユ:愛しきフロンタン

*=ハープ独奏
マイリス・ド・ヴィルトレ(S)
クララ・イザンベール(Hp)
使用楽器:パリのジョルジュ・ブレシェール1800〜20年頃製作によるオリジナル楽器(A=430Hz)

録音:2021年10月5-8日ブロス教会(フランス中東部ブルゴーニュ地方)
近年フランスでバロック作品を中心に歌劇シーンを賑わせているマイリス・ド・ヴィルトレが、古楽器ハープの弾き手クララ・イザンベールと提案 するプログラムのテーマは第一帝政期、つまりナポレオンの時代。18世紀末にマリー=アントワネットが女性を中心とした文化談義の場を華 やがせ、その中心でハープという楽器の立場を大きく向上させた後、ナポレオンがフランス皇帝となった時代にもハープは「太古から存在する 楽器」として古代帝国への憧憬をつのらせる文化人たちを魅了。楽器製作者の息子ナーデルマンや名手ボクサら数多くの俊才たちの妙技 が人々を虜にするとともに、繊細な恋歌のための伴奏楽器としてもハープは大きな人気を獲得しました。ヴィルトレとイザンベールは革命期か ら10代で作品を発表しはじめた早熟の女性作曲家ソフィー・ガーユの作品を中心に、この曲種にすぐれた手腕を発揮したジャダン兄や「愛 の喜び」で知られるマルティーニ、ハープ奏者たちや歿後間もなく国際的名声を博したモーツァルトなど、19世紀初頭のフランスで動乱に戸 惑う多くの人々の心を慰めた調べの数々を入念に選び、じっくり味わわせてくれます。使用されているハープも当時のもの。ケルビーニの救出 オペラやベートーヴェンの交響曲の影で歴史に埋もれていったままにしておくには惜しすぎる、繊細そのものの音楽世界をじっくりご堪能くださ い。
CVS-078

NYCX-10357
日本語解説付国内盤
税込定価

二つのレクイエム
サリエリ:レクイエム ハ短調(1804)
モーツァルト:レクイエム ニ短調(1791・未完/補筆: F.X.ジュスマイヤー[1766-1803])
ヴァレンティーナ・ナフォルニータ(S)
アンブロワジーヌ・ブレ(A)
ロビン・トリッチュラー(T)
アンドレアス・ヴォルフ(Bs)
ル・コンセール・スピリチュエル(古楽器&声楽アンサンブル)
コンサートマスター:テオティム・ラングロワ・ド・スヴァルト
フランソワ・サンティヴ(大オルガン)
エルヴェ・ニケ(指)

録音:2021年11月19-23日ヴェルサイユ王室礼拝堂、フランス
※国内仕様盤解説、歌詞日本語訳…白沢達生/序文…かげはら史帆
ピーター・シェーファーの戯曲(1979)に基づくミロス・フォアマンの映画『アマデウス』(1984)で、通念を覆すモーツァルト像の引き立て役として 大きな存在感を放ったイタリア人作曲家サリエリ。作中ではモーツァルトの才能への抗いがたい憧憬と強い嫉妬から、立場を隠して『レクイエ ム』作曲を依頼、毒を盛って徐々にモーツァルトを死に追いやる悪役として描かれましたが、これはサリエリの晩年、イタリア人作曲家たちの人 気への反発からウィーンの一部の者たちが流した、根拠なき悪評の遠い結実にほかなりません。生前のサリエリは後進思いの人徳ある教育 家で、一時勝手な反感を抱いていたモーツァルトも晩年には和解、互いに才能を認め合う間柄になっていました。結果的には数世紀後のサ リエリ復権の鍵を握る作品にもなったこのモーツァルト未完の『レクイエム』を、歌劇界引退直後のサリエリが自身のために作曲した『レクイエ ム』とのカップリングで、鬼才ニケの指揮で聴けるアルバムが登場!モーツァルトでは一般的なジュスマイヤー補筆版を用いながら、緩急豊かに 圧倒的なドラマを描き出す手腕はまさにニケの面目躍如ですが、古楽器での録音はこれが初となるサリエリでも、作曲者自身の旧作からの 引用などオペラの劇的語法が豊かに活かされた、曲本来の真価を余すところなく引き出してゆきます。18世紀のモデルと同じ指孔なしナチュ ラル・トランペットを吹きこなすジャン=フランソワ・マドゥーフをはじめ器楽陣も名手揃い!後世の風評を洗い落とし「礼拝音楽本来の存在 感のままに」(ニケ談)生々しい素顔の作品像に迫った名演に仕上がっています。
CVS-079
『ペルシャの祭典』 〜2台のクラヴサンによるラモー歌劇名場面集
ラモー:抒情悲劇「ゾロアストル」(1749年初演版)による組曲
歌劇「ボレアド」(1764年作曲・生前上演なし)による組曲
英雄舞踏劇「優雅なインドの国々」(1735年初演)による組曲
英雄舞踏劇「ザイス」(1748年初演)による組曲
ロリス・バリュカン(クラヴサン)
使用楽器:パリのグージョン1749年以前製モデルに基づくエミール・ジョバン製作の再現楽器

クレマン・ジョフロワ(クラヴサン)
使用楽器:パリのアントワーヌ・ヴァテール(アントン・ファーター)1732年以前製モデルに基づくエミール・ジョバン製作の再現楽器

録音:2021年12月6-9日 サン・ピエール教会、パリ
2020年に『「ユリス」の登場人物たち』と題したアルバム(CVS021)をリリース、18世紀パリきっての人気作曲家ボワモルティエの作品やルベ ル「四大元素」など、ロココ期を飾った名作群を2台のクラヴサン(Cemb)で鮮やかに披露してみせたバリュカン&ジョフロワのクラヴサン・ユ ニットが、今度はラモーの傑作群に光をあてた新しいデュオ・アルバムをリリース。使われているクラヴサンはどちらも名工エミール・ジョバンが、ラ モーの時代のフランスで作られたモデルをもとに克明に再現製作した逸品で、吉田 研氏による細やかなエンジニアリングが収めたその美音の 響きがまず耳を捉えます。ラモーのダイナミックなオーケストラ語法の持ち味がクラヴサンを通じて伝わる精彩鮮やかなその演奏は、この楽器が タッチ如何で強弱のつかない機構であることなど忘れさせるほど変化に富んだスリリングな魅力がたっぷり。「ペルシャの祭典」とタイトルにある 通り、古代まで遡り東洋を舞台としたオペラを中心に、原作別に四つの組曲にまとめたプログラム構成も的確で、管弦楽や声楽家たちの魅 力でともすると逆に見えなくなってしまう、ラモーの音楽作りの骨太な魅力が浮き彫りになります。18世紀直送の気配を感じさせる、何度でも 再訪したくなる1枚。
CVS-080(2CD)
NX-D09

NYCX-10401(2CD)
日本語解説付国内盤
税込定価

モンテヴェルディ:歌劇「オルフェオ」 オルフェオ…マルク・モイヨン(Br)
エウリディーチェ/ムジカ(音楽)…ルチアーナ・マンチーニ(メゾ=ソプラノ)
女の使者…サラ・ミンガルド(メゾ=ソプラノ)
プロセルピナ/スペランツァ(希望)…マリアンネ・ベアーテ・キーラント(シェラン) (メゾ=ソプラノ)
カロンテ/プルトーネ…サルヴォ・ヴィターレ(Bs)
アポロ…フリオ・ザナージ(Br)
ニンフ…リズ・ヴィリセル(S)
羊飼いI/精霊II…ビクトル・ソルド(T)
羊飼いII/精霊IV…ガブリエル・ディアス(C.T)
羊飼いIII/精霊I/木霊…アレッサンドロ・ジャングランデ(カウンターテナー/テノール)
羊飼いIV/精霊III…ヤニス・フランソワ(バス=バリトン)
ラ・カペラ・レイアル・デ・カタルーニャ、ル・コンセール・デ・ナシオン(古楽器使用)
コンサートマスター:マンフレード・クレメール(Vn)
ジョルディ・サヴァール(指)

録音:2021年6月30日-7月4日 ヴェルサイユ宮殿王室歌劇場
※国内仕様盤日本語解説…小宮正安
歌詞日本語訳…萩原里香
2021年、パリ・オペラ・コミック座とヴェルサイユ王室歌劇場などの共同制作で実現した、ジョルディ・サヴァール指揮による「オルフェオ」再録 音。先にリリースされたオペラ・コミック座収録の映像作品に続き、ヴェルサイユでセッション録音されたCDが登場します。地中海諸国の17世 紀音楽はいうまでもなくサヴァールにとって自家薬籠中のもので、「オルフェオ」も2002年に満を持しての録音(映像とCD)がありましたが、今 回の新録音では主人公オルフェオに超実力派古楽歌手マルク・モイヨンを起用! その圧倒的な「声の演技」は、さながら動物たちや草木を も感動させたという伝説の竪琴詩人オルフェウスそのもの。ほかの歌手勢も旧盤で主役を演じたフリオ・ザナージや同役で再登場のサラ・ミン ガルドの他、マリアンネ=ベアーテ・キーラントやルチアーナ・マンチーニなど注目の歌手、さらに羊飼いや精霊たちに至るまで存在感ある才人 揃い。また、長年の共演で信頼関係を重ねてきた大御所プレイヤーも数多く参加しており、バロック・ハープのアンドリュー・ローレンス=キング などベテラン続々の通奏低音陣や打楽器のペドロ・エステバンに加え、リコーダーにはピエール・アモン、木管コルネットにはジャン=ピエール・カ ニアックといったソリスト級の俊才たちも随所で妙技を披露。ヴェルサイユ宮殿という古楽音楽劇にうってつけの「場」を得てじっくり収録された 解釈は、音楽劇というもののあり方から問い直す説得力に貫かれ、バロック・ファンならずとも深く聴き込み甲斐のある、新たなる決定的盤と いうべき内容に仕上がっています。
CVS-082
クープラン:修道院のためのミサ
キリエ(憐れみの讃歌)
グローリア(栄光の讃歌)
オフェルトリウム(奉献唱)
サンクトゥス(感謝の讃歌)
アニュス・デイ(平和の讃歌)
主よ、我らが王を救い給え (ギヨーム=ガブリエル・ニヴェール〔1632-1714〕作曲〔1687〕)
イテ・ミサ・エスト(閉祭)

※聖歌部分出典:アンリ・デュ・モン(1610-1684)作曲「第6旋法によるミサ曲」 〜『聖職従事者たちのための、全ての固有文を含む単旋律聖歌による五つのミサ:通称“王のミサ集”』(1669)
オリヴィエ・ラトリー(Org)
使用楽器:ロベール・クリコ&ジュリアン・トリビュオ1711年建造
(復元:ジャン=ルー・ボワソー&ベルトラン・カティオ〔1995〕)

クレマンス・カリ、マルト・ダヴォスト、ジャンヌ・ルフォール(S)
シリル・エスコフィエ(T)
マルク・モイヨン、ジャン=マルク・ヴィエ(Br)
ジャン=イヴ・エモズ(指)

録音:2022年1月5-9日、4月4-6日 ヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂
数々の一流オーケストラとの共演でも知られ、2019年火災に遭ったパリ・ノートルダム大聖堂のオルガンの正規奏者として、被災前最後の 録音も制作している名手オリヴィエ・ラトリー。古楽から現代作品まで、常に演奏曲目の本質を見据え、音響環境をよく見定めて楽器の魅 力を最大限に引き出す解釈を聞かせてきた彼が、フランス・バロック最大の鍵盤音楽の大家F.クープランによるオルガン曲の大作と向き合い ました。しかも録音場所は、この大家が仕えたルイ14世の治世下で長年にわたる計画の末に完成されたヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂。現 存するクープラン唯一のオルガン曲集に収録されている『修道院のためのミサ』は、ミサの祈祷文の朗誦と交互にオルガン演奏を挟んでゆく当 時の礼拝習慣にあわせて書かれた長大な作品。詩節ごとに細かく分かれた楽章の数々には使う音色が曲題として明記され、明瞭な音の 動きの中でフランス音楽ならではの色彩感豊かな響きが味わえる内容。ラトリーはフランス古楽シーン有数の歌手たちによる比類なく玄妙な 歌唱を得て、同じく王室礼拝堂に仕えた17世紀の大家デュモンやニヴェールの歌を交え、当時の礼拝の文脈に乗せてこの傑作を「いま」に 甦らせます。ヴェルサイユ王室礼拝堂のオルガンは設置当初の形に復元されており、クープラン自身の演奏でも味わえたであろう音響を追体 験できるのも貴重。ALPHAレーベル初期の名盤群で知られる録音技師ユーグ・デショーが、礼拝堂の残響や佇まいを自然に伝える美しい エンジニアリングで、オルガンと歌声の交錯を鮮やかに伝えてくれます。
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田園幻想 〜ジャック=クリストフ・ノード: 協奏曲集 Op.17(全6曲) 他
ジャック=クリストフ・ノード(1690-1762):6つの協奏曲』 Op.17(1742)
協奏曲 ト長調 Op.17-6 (ミュゼット〔ふいご式バグパイプ〕、2つのヴァイオリンと通奏低音による)
協奏曲 ハ長調 Op.17-2 (リコーダー、2つのヴァイオリンと通奏低音による)
協奏曲 ト長調 Op.17-5(フラウト・トラヴェルソ、2つのヴァイオリンと通奏低音による)
三重奏による田園風ディヴェルティスマン(ミュゼット、フラウト・トラヴェルソとヴァイオリンによる)〔1749〕
協奏曲 ハ長調 Op.17-4(ヴィエラルー〔ハーディガーディ〕、2つのヴァイオリンと通奏低音による)
協奏曲 ハ長調 Op.17-1(バロック・ピッコロ、2つのヴァイオリンと通奏低音による)
協奏曲 ハ長調 Op.17-3(ミュゼット、2つのヴァイオリンと通奏低音による)
レザンバサドゥール&ラ・グランド・エキュリー(古楽器使用)
アレクシス・コセンコ(リコーダー、フラウト・トラヴェルソ、バロック・ピッコロ)
ジャン=ピエール・ヴァン・エース(ミュゼット)
トビー・ミラー(ヴィエラルー)
ステファノ・ロッシ、ダイアナ・リー(Vn)
ハジェル・ハナナ(Vc)
ダヴィド・ドゥソ(Fg)
エマニュエル・アラケリアン(クラヴサン〔チェンバロ〕)

録音:2022年1月3-7日ヴィルファヴァール農園(フランス中南部リムーザン地方)
18世紀前半、コレッリやヴィヴァルディをはじめとするイタリアのソナタや協奏曲に強く感化されたパリの人々向けに、当時のフランスの嗜好を 大きく取り入れながら数々の作品を発表したノード(ノドー)の傑作協奏曲集を、楽譜の表紙の指定に合わせてさまざまな楽器で全曲演 奏。ノードはバッハやラモーより少し年下、タルティーニやボワモルティエと同世代のフランス人作曲家で、生前とくに王室などの公的機関でポ ストを得ていなかった一方、印刷譜が少なからず現存するところから音楽教師としての仕事を通じて高い人気を誇っていたことが窺えます。 作品17の協奏曲集は楽譜の売れ行き向上への配慮から、表題ページには色々な楽器の名が独奏パート用に提案されていますが、そこで フルートやリコーダーより先に大書されているのがヴィエラルー(ハーディガーディ)とミュゼット(ふいご式バグパイプ)。1740年代のフランスではこ れらが長閑な田園地帯を連想させる楽器としてロココ好みの都市民に愛され、とくにノードはヴィエラルーの名手ダンギーやミュゼット演奏の見 事さで知られたコラン・シャルパンティエとの親交を通じ、これらの楽器の機構をよく踏まえた作品を多く出版していたのでした。バロックから近 代に至る多様なフルート作品を時代に応じた楽器で巧みに演奏、近年ますます話題を呼んでいるアレクシス・コセンコを中心に集まった今 回の演奏陣も、ヴィエラルーの天才的名手トビー・ミラーや18世紀バグパイプ研究でも注目されるジャン=ピエール・ヴァン・エースらをはじめ 頼もしい顔ぶれ。18世紀流の室内楽編成で緊密かつ優美なアンサンブルをくりひろげ、ロココ情緒に満ちた作品の魅力を存分に楽しませて くれます。
CVS-085(2CD)
NX-D09
デマレ:歌劇「シルセ」 シルセ…ヴェロニク・ジャンス(S)
ユリス…マティアス・ヴィダル(T)
エオリー…カロリーヌ・ミュテル(S)
ポリート、ファンタス…ロマン・ボクレール(Br)
エルフェノール…ニコラ・クルジャル(Bs)
愛の神アムール(アモーレ)…セシル・グランジェ(S)
ニンフ…マリー・ピコー(S)
商業神メルキュール(メルクリウス)…ピエール・デレ(T)
幸運な恋人、ギリシャ人、夢の精…マチュー・モンターニュ(オートコントル〔高音テノール〕)
水の神、神官の長、悪夢の神フェベトル(ポベトル)…アルノー・リシャール(バス=バリトン)
レ・ヌーヴォー・キャラクテール(声楽&古楽器オーケストラ)
コンサートマスター…クリストフ・ロベール(Vn)
セバスティアン・デラン(指)

録音:2022年1月10-12日、ヴェルサイユ宮殿王室歌劇場
太陽王ルイ14世に愛された王室音楽総監督リュリが1687年に不慮の事故で世を去った後、ラモーが1733年に「イッポリトとアリシ」で衝 撃のデビューを果たすまでの約半世紀、フランス・オペラの世界は決して不毛だったわけではありません。むしろその逆で、マラン・マレやカンプラ などが注目すべき傑作を折々に書く一方、他にも注目すべき作曲家が名を馳せていました。中でもデマレは、礼拝音楽で台頭した同世代 のド・ラランドと並ぶ実力で早くから注目され、1699年に恋人の父から糾弾されフランスを追われなければ、1歳違いのカンプラと並ぶ名声を 博したかもしれません。実際、国を追われた後もスペイン王室やロレーヌ公の宮廷で重用されていますが、オペラの全曲録音がなされるように なったのはようやく21世紀に入ってからのこと。まだフランスにいた1694年の「シルセ」はリュリ風の抒情悲劇の作法を完璧に使いこなした傑 作で、部分録音で垣間見えていた作品像の全貌に触れられる全曲録音は待望というほかありません。フランス宮廷流の大小ヴィオラ3パー トを含む5部編成の弦楽に撥弦・擦弦・鍵盤からなる通奏低音勢が多彩な音色を使い分け、各一対のトラヴェルソとバスーン(リコーダー持 替)、オーボエに打楽器も加わる総勢33人の器楽勢の傍ら、合唱も22人と充実した編成がフランス宮廷の豪奢な音楽生活を彷彿とさせ ます。ジャンス、ヴィダルといった有名歌手たちが深い情感表現に満ちたデマレの旋律を鮮やかに歌い上げ、俊才続々の器楽陣営を率いる 才人デランの指揮も実に精妙。今後デマレのさらなる再発見に期待が募る注目リリースです。
CVS-086(2CD)
NX-D09
リュリ:「プシュケ」 〜序幕付全5幕の抒情悲劇(全曲) プシュケ/苦悩する女…アンブロワジーヌ・ブレ(S)
美の女神ヴェニュス/ミューズ…ベネディクト・トーラン(S)
恋の神/アグロール/ニンフ…デボラ・カシェ(S)
花の女神フロール/シディプ/ニンフ/ミューズ…ユジェーヌ・ルフェーヴル(S)
ヴェルテュムヌ/青年に扮した恋の神/メルキュール…シリル・オヴィディ(オートコントル〔高音テノール〕)
火の神ヴュルカン/苦悩する男/憤怒の鬼…ロバート・ゲチェル(T)
パレモン/海の精シレーヌ/西風の精ゼフィール/憤怒の鬼/酒の神バッコス…ファビアン・イオン(T)
アポロン/西風の精ゼフィール/サティール…ザッカリー・ワイルダー(T)
大神ジュピテール/苦悩する男/サティール…フィリップ・エステーフ(Br)
リカス/王/モミュス/川の神/憤怒の鬼…アナス・セガン(Br)
軍神マルス…マチュー・エム(Br)
合唱のみ…ドミニク・ボヌタン、ブノワ・プロシェロ(オートコントル)
レ・タラン・リリク(古楽器使用)
クリストフ・ルセ(クラヴサン〔=チェンバロ〕、指揮)

録音:2022年1月29-31日 ヴェルサイユ宮殿王室歌劇場
18世紀以前の知られざる音楽劇蘇演に大きな貢献をみせてきたフランスの古楽歌劇カンパニー、レ・タラン・リリク。特にフランス語台本のオ ペラは、指揮者ルセほか多くのメンバーにとって日常言語の延長上にあるといってもよい言葉と音楽性の相性の良さが抜群のパフォーマンスに 繋がります。17世紀、ルイ14世の治世下にあって演劇と音楽の融合を追求し続けた王室音楽総監督リュリの劇音楽は、そんな彼らの本 領がここぞとばかりに発揮される領域。Aparteから2019年に「イシス」を、また2022年秋には「アシスとガラテー」をリリースしたのも記憶に新 しいところ、今度は抒情悲劇第6作「プシュケ(プシシェ)」が堂々登場!音楽入り演劇のあり方を巡って決裂する直前の劇作家モリエールと の共作による同題のトラジェディ=バレから7年後、悲劇作家ピエール・コルネイユの弟トマ・コルネイユと長命で知られるフォントネルの台本を もとに披露された牧歌的神話劇を、本場ヴェルサイユの王室歌劇場を舞台に鮮やかに現代に甦らせます。同作の全曲録音はcpoにも先 行盤(777367)がありますが、フランスの演奏陣によるものはこれが初。シリル・オヴィディやデボラ・カシェらフランス古楽界で押しも押されもせ ぬ活躍をみせる名歌手らの存在感もさることながら、自身プシュケをテーマにした歌曲アルバムも発表しているアンブロワジーヌ・ブレが喜怒哀 楽の機微を鮮やかに歌い上げる題名役も見事なもの。リコーダーのセバスティアン・マルクや低音弦のエマニュエル・ジャック、無孔ナチュラルト ランペットを吹きこなすジャン=フランソワ・マドゥーフら器楽勢の充実ぶりにも目を見張らされます。同レーベルの常どおり解説も充実(原文フ ランス語、英独訳付)。
CVS-087
リュリ:グラン・モテ集Vol.3
リュリ:ガリアよ、歓呼の声を上げて喜べ LWV37
アンリ・デュ・モン(1610-1684):聖母マリアの讃歌「わたしの魂は主を崇め」(マニフィカト)
リュリ:ザカリアの讃歌「祝福あれ、イスラエルの主なる神よ」LWV 64-2
 主よ、王を救い給え LWV77-4
 神はユダヤの地で知られ LWV77-17
レゼポペー(声楽&古楽器アンサンブル)
ステファーヌ・フュジェ(指)

録音:2022年3月18-21日ヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂
精鋭メンバーによる2022年来日が好評を博したレゼポペーが、本場ヴェルサイユ宮殿の礼拝堂で進めるリュリのグラン・モテ録音第3弾。 18世紀以前の作品研究を反映させた古楽解釈が盛んなフランスにあって、21世紀を担う逸材として高い評価を得ているステファーヌ・フュ ジェは今回、ルイ14世の筆頭後継者たる男子誕生を祝う「ガリアよ、歓呼の声を上げて喜べ」でプログラムを始め、リュリの急逝2年前に書 かれた「神はユダヤの地で知られ」まで、この作曲家がフランス王室で最も確たる権勢を見せていた時期の作を幅広く選んでいます。また同シ リーズ初の試みとして、リュリの傍ら彼より前から王室に迎えられ、ルイ14世時代ならではの教会音楽の確立に先んじて寄与していた大家 デュ・モンの充実作「マニフィカト」も収録、両者の作風の違いを軸にリュリ流儀の教会音楽の特徴が自ずと浮かび上がるようにしています。 25〜37名編成の合唱にはグヴェンドリーヌ・ブロンデール、クレール・ルフィリアトル、シリル・オヴィティ、マルク・モイヨンら個性派ソリストも多く、 坂本久美、湯川亜也子ら日本の気鋭歌手の名も。加えてオルガンとチェンバロをそれぞれ2台、曲によっては30人を超える弦楽奏者を含 む大編成の古楽器オーケストラ(オルガンにマリー・ファン・レイン、低弦にエマニュエル・ジャック、リコーダーとバスーンでメラニー・フラオー……と 多面的活躍で知られる名手たちも参加)が奏でる響きは、当時これらの作品の演奏に求められていた壮麗さはもちろん、両作曲家の細部 まで考え抜いた音使いの繊細さにも柔軟に対応。きわめて幅広い表現力で17世紀フランスの王室礼拝堂音楽の至芸を追求、各作品の 魅力を十全に引き出してゆきます。ヴェルサイユ・バロック音楽センターの音楽学者トマ・ラコントによる解説も充実(仏・英語)。舞台音楽ば かりではないリュリ芸術の真価を実感できる1枚です。
CVS-088
フランス・バロックのカンタートの世界
クレランボー(1676-1749):カンタート「オルフェ」((1710年パリ刊/同年の手稿譜〔フランス国立図書館所蔵〕による演奏)
シャルル・ピロワ(1670頃-1724):カンタート「ユリディスの冥府への再送還」(1717年パリ刊)
ダンドリュー(1682-1738):オルフェのリラ((『クラヴサン曲集 第2巻』〔1728年パリ刊〕より)
ラモー:カンタート「オルフェ」(1721年の手稿譜〔フランス国立図書館所蔵〕による演奏)
マラン・マレ:人間の声((『ヴィオール曲集 第2巻』〔1701年パリ刊〕より))
ウジェーヌ・ルフェーヴル(ドゥシュ〔ソプラノ〕)
ザッカリー・ワイルダー(ターユ〔テノール〕)
エティエンヌ・バゾラ(バス・ターユ〔バリトン〕)
ジョゼフ・コッテ、ルイ・クレアック(Vn)
トマ・ルコント(フラウト・トラヴェルソ)
ヴァレリー・バルサ=ジャフレ(フラウト・トラヴェルソ、バロック・ピッコロ)
アントワーヌ・トゥーシュ(Vc)
マティルド・ヴィアル(バス・ド・ヴィオール〔ヴィオラ・ダ・ガンバ〕)
ロナン・カリル(クラヴサン〔チェンバロ〕)
ティボー・ルーセル(テオルボ、リュート)

録音:2022年3月14-17日プティ・トリアノン宮殿礼拝堂、ヴェルサイユ、フランス
「フランスにはフランスならではの音楽を」と、自国の音楽を何より優先させた太陽王ルイ14世が世を去ったのが1715年。その少し前から、イ タリア人作曲家たちの室内カンタータを手本にフランス独自の発展をみせていたフランス語歌詞によるカンタートの数々は、時としてヴァイオリン やフルートを加えた編成で充実した音楽描写が聴かれ、個々に小さなオペラのような魅力が詰まっています。カンプラやクレランボーの傑作群 は録音も多くなされてきましたが、ヴェルサイユ宮殿の催事部門Chateau de Versailles Spectaclesが主宰するレーベルで制作されたこ のアルバムでは、フランス最前線でソロ及びアンサンブルで活躍する実力派ばかりが居並ぶ充実編成が目を引きます。テーマは古代神話の 詩人音楽家オルフェウスの物語。クレランボーの傑作に始まり、その人気をふまえた続編として出版されたピロワの珍しい作品、作曲者の知 名度に反して意外に録音が多くないラモーの『オルフェ』といった充実選曲を、バロックのオペラや宗教曲で広範に活躍する3人の歌手が細や かな解釈で歌い上げる一方、アンサンブル経験豊かなソリスト続々の器楽勢も随所で耳を惹く立ちまわりをみせ、聴きどころに事欠きませ ん。最後を飾るのは、ネヴァーマインドのルイ・クレアック、ピグマリオンやアンサンブル・コレスポンダンスのジョゼフ・コッテという、フランス第一線の 古楽団体で活躍する俊才ヴァイオリニスト2人。「歌なし」で締めくくられる最終トラックがもたらす余韻も実に味わい深いものがあります。
CVS-089
暖炉のそばで愛し合おう 〜シャルパンティエ:世俗歌曲集
暖炉のそばで愛し合おう
小さな真紅の美しい目、真一文字のあざやかな口
ものみな生まれ変わり、花開く
どうかルイよ、その用心深さで
隣人の女姓クロディーヌは
わたしのスカーフをくしゃくしゃにしないでくださいね(通称「ル・バヴォレ」)
わたしのすべての苦悩のもとになる女性
ボルドーの美酒を飲み干したなら
どうか返してください、わたしの喜びを
戻ってこい、傲岸なる溜息よ
ファンション、かわいい小さなファンション
『ル・シッド』の三つの短詩
ああ、何もあなたを止められないのでしょうか?
あなたの高潔に適うような猛者は
無駄だよ、熱心な恋敵たち
この林を潤す小川よ
緑の梢よ、さあ萌え立て
木々にとまった鳥たちよ
寂しい荒野よ、陰鬱な隠れ家よ
嘆くのは早いぞ、酒神バッコスの子らよ
泉のほとりで
あの緑なす木蔭に行こう
何も恐れずこの森に
真の快楽にはたどりつけぬ、恋の神の刺激なしには
もう愛してはいない
夢を見させて
グレゴワール、どんだけ寝てんだ
ああ、なんて残念なこと
恋は不可欠、必要悪なんだよ
クレール・ルフィリアトル、グワンドリーヌ・ブロンデール(ドゥシュ〔=ソプラノ〕)
シリル・オヴィティ(オートコントル〔=高音テノール〕)
マルク・モイヨン(ターユ〔=テノール〕)
ジョフロワ・ビュフィエール(Bs)
レゼポペー(通奏低音/古楽器使用)
 アリス・コカール(バス・ド・ヴィオロン)
 マティアス・フェレ(バス・ド・ヴィオール〔=ヴィオラ・ダ・ガンバ〕)
 ピエール・ランデルクネシュト(テオルボ、バロックギター)
 レオ・ブリュネ(テオルボ)
 ステファーヌ・フュジェ(クラヴサン〔=チェンバロ〕、指揮)

録音:2022年3月24-28日 ヴェルサイユ宮殿「十字軍の間」、フランス
20世紀以来めざましい復権をみせてきたフランス・バロック音楽の世界でも、とりわけ大きな名誉回復を経験した作曲家の一人シャルパン ティエ。生前は王室音楽総監督リュリが「壁」となり、長いあいだ王室での音楽活動には食い込めずにいたものの、パリ市内では数多くの重 要な機関から依頼を受け、半世紀ほどの生涯の間に驚くほど多くの作品を残しました。ルイ14世の治世下と違ってリュリの妨害もない現代 ではフランス17世紀屈指の作曲家として注目されていますが、それでも評価は宗教曲や劇音楽に集中しており、作例も多い恋歌や戯れ歌 の数々はなかなか体系的に取り上げられる機会がありません。その渇を癒して余りある今回の録音には、ALPHAでのル・ポエム・アルモニー ク初期の名盤群で鮮烈な印象をシーンに与えてきたクレール・ルフィリアトル、驚くほど広い音域を自在に操り中世からバロックまで縦横無尽 に歌いこなすマルク・モイヨン、そして今を時めくフランス古楽界の最重要テノール歌手のひとりシリル・オヴィティら錚々たる歌い手が揃い、 2022年の来日も好評だったステファーヌ・フュジェを軸とした通奏低音陣が緩急あざやかに伴奏。シャルパンティエと同じ母語を日常的に話 し、17世紀フランス音楽に深く親しんできた名手たちでなくては到達できない自然な歌い口で、この作曲家が綴った美の諸相を細やかに解 き明かしてゆきます。数々の恋愛歌は世紀初頭のエール・ド・クール(宮廷歌曲)にも通じる奥深さ、対する「酒の歌」は演劇的な魅力に満 ちた曲の持ち味をよく生かした仕上がり。聴き深めるほどにフランス古楽への愛が深まること間違いなしの名演というほかありません。
CVS-090
フランス・バロック声楽作品に描かれる女性たち
ジャン=バティスト・モラン(1677-1745):序曲(カンタート「結婚の神と恋の神」序曲より序奏部分)
ルイ・アントワーヌ・ドルネル(1680-1765):独唱と合奏の為のカンタート「クロリンダの墓標」
ニコラ・ラコ・ド・グランヴァル(1676-1753):あなたの容赦ない掟の数々により(『真面目な歌、酒の歌』〔1709〕より)
リュリ:アルミードの嘆き(『姿を偽った恋人たちの舞踏劇』〔1664〕より)
エリザベート・ジャケ・ド・ラ・ゲル(1665-1729):抒情悲劇「セファルとプロクリス」より
 アテネの人々のエール
 プロクリスのエール「人里を離れて」
 暁の女神のエール「夜啼鶯たちは、夜明けとともに」
 ブーレ
作者不詳:齢15の少女がひとり(南仏ベアルン地方の伝承歌)
モンテクレール(1667-1737):独唱と合奏の為のカンタート「ルクレツィアの死」
作者不詳:縛られず満たされた私たちの魂は(『女王の舞踏劇』〔1609〕より)
ヴィクトワール・ビュネル(Ms)
アンナ・レイノルト(Ms)
ギレム・ヴォルムス(バス=バリトン)
アンサンブル・イル・カラヴァッジョ(古楽器使用)
 ロクサナ・ラステガル、ピエール=エリック・ニミロヴィチ(Vn)
 ロナルド・マルティン・アロンソ(バス・ド・ヴィオール〔ヴィオラ・ダ・ガンバ〕)
 バンジャマン・ナルヴェ(テオルボ、バロックギター)
カミーユ・ドラフォルジュ(クラヴサン〔チェンバロ〕、指揮)

録音:2021年12月17-19日 ヴェルサイユ宮殿「マレンゴの間」
フランスの古楽シーン最前線をゆく若き俊才たちが、解像度の高いフランス・バロック解釈を聴かせてくれる声楽作品集。フランス語の詩や台 本の持ち味を最大限生かしながら、そこにイタリア由来の音楽様式を接ぎ木して生まれたルイ14世時代のフランス宮廷音楽様式。そうした ルーツをふまえつつ、イタリア語の作品も交えてその魅力を探るプログラムが興味深く起伏に富んでおり、長めのカンタート(フランス式カンター タ)でも短い歌曲でも、演奏は深い味わいに満ちています。歌い手は、ル・ポエム・アルモニークやレ・クリ・ド・パリなど一流アンサンブルに加わり 着実に実績を上げてきたヴィクトワール・ビュネル、レザ―ル・フロリサンやピグマリオン、カペラ・メディテラネアなどの注目公演で存在感を発揮 してきたアンナ・レイノルト、古楽に縛られない歌劇界での活躍も目立つギレム・ヴォルムスの3人。さまざまなアンサンブルで活躍する古楽器 奏者たちが集うアンサンブル・イル・カラヴァッジョも古楽器それぞれの音色をよく生かして声を支え、団体名の由来となった画家の作風にも通 じるコントラスト鮮やかな解釈で耳を惹きつけてやみません。選曲のテーマは「女主人公たち」。運命に翻弄されながら自らの人生を選び取っ てゆく伝説上の女性たちから酒飲み男の恋慕の歌まで、描き出される女性像の多彩さも魅力の一つ。作曲家たちそれぞれの個性がよく際 立つ選曲にもなっており、フランス古楽を聴き深めてゆく上でも参考になる学びの多い1枚と言ってよいでしょう。
CVS-091(DVD)
NX-D09
ヴェルサイユ・ガラ2022
1. ヴェルディ:歌劇「運命の力」 〜序曲
2. ジョルダーノ(1867-1948):歌劇「アンドレア・シェニエ」 〜ジェラールのアリア「祖国の敵」(第3幕) *
3. チレア:歌劇「アドリアーナ・ルクヴルール」 〜アドリアーナのアリア「私は創造の神の卑しい僕」(第1幕) +
4. ジョルダーノ:歌劇「フェドーラ」 〜間奏曲
5. ヴェルディ:歌劇「椿姫」 〜ヴィオレッタとジェルモンの二重唱「ヴァレリー嬢ですか?」(第2幕) *+
6. ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」 Op. 9
7. トマ:歌劇「アムレ(ハムレット)」 〜ハムレットのアリア「酒よ憂さを晴らせ」(第2幕) *
8. マスネ:歌劇「ル・シッド」 〜シメーヌのアリア「泣け、泣け、わが瞳よ」(第3幕) +
9. マスネ:歌劇「タイス」 〜瞑想曲
10. ヴェルディ:歌劇「イル・トロヴァトーレ」 〜レオノーラと伯爵の二重唱「聞いたかな?…この涙を」(第4幕) *+
11. トローバ(1891-1982): サルスエラ「マラビーリャ」 〜ロマンス「恋人よ、我が命よ」(第3幕) *
12. プッチーニ:歌劇「ラ・ボエーム」 〜ムゼッタのワルツ「私が街を歩けば」(第2幕) +
13. レハール:オペレッタ「メリー・ウィドウ」 〜ハンナとダニロのワルツ「唇は黙っていても」(第3幕) *+
プラシド・ドミンゴ(Br) *
ジェニファー・ラウリー(S) +
ヴェルサイユ王室歌劇場O
ローラン・カンペローネ(指)

収録:2022年4月2日 ヴェルサイユ宮殿王室歌劇場
収録時間:87分
字幕:仏語・英語・ドイツ語
NTSC / All Regions
Dolby Digital Stereo
オペラ界のレジェンド、プラシド・ドミンゴが、2022年にヴェルサイユ宮殿で行ったライヴの模様がDVDで登場。近年ヨーロッパでの活躍が目 立つアメリカのソプラノ、ジャニファー・ラウリーと共に、王道のイタリア・オペラからヴェルサイユにちなんだフランス・オペラまでをたっぷりと聴かせてく れます。ドミンゴのお国ものであるサルスエラももちろん収録。ラストはメリー・ウィドウのワルツで美しい余韻と共に幕となります。歴史的な王室 歌劇場の美しさも楽しめる、素晴らしい映像です。
CVS-092
『暗闇と深淵』 〜独唱と通奏低音によるルソン・ド・テネブル、18世紀フランス語圏から
エクトール=ジョゼフ・フィオッコ(1703-1741):第1の哀歌
ジャン=バティスト・フォルクレ(1699-1782)またはアントワーヌ・フォルクレ(1672-1744):三つのヴィオールのための組曲
ピエール=ルイ・ポリオ(1724-1796):『エレミア哀歌』による聖土曜日のための第1ルソン
ジョゼフ・ボダン・ド・ボワモルティエ:通奏低音を伴わない三つのフルートのためのソナタ(バスーン、ヴィオラ・ダ・ガンバ、チェロと通奏低音による演奏)
ジョゼフ・ミシェル(1688-1736):エルサレム、エルサレムよ 『高音部、チェロおよびバスーンと通奏低音による-聖週間第2日のための第3ルソン』より
ミシェル=リシャール・ド・ラランド(1657-1726):聖金曜日のための第3ルソン
ウジェーヌ・ルフェーヴル(S)
アンサンブル・ルヴィアタン(古楽器使用)【カミーユ・デュポン(Vc、バス・ド・ヴィオール〔ヴィオラ・ダ・ガンバ〕)、ジュリー・デサン(バス・ド・ヴィオール、ヴィオローネ)、クレマン・ジョフロワ(クラヴサン〔チェンバロ〕)、ロリス・バリュカン(Org)】
リュシル・テシエ(バスーン、指揮)

録音:2022年5月2-4日 ヴェルサイユ宮殿プチ・トリアノン礼拝堂、ヴェルサイユ、フランス
キリスト教社会で春の日曜日に祝われる復活祭に先立ち、救世主イエスが現世で十字架にかけられ苦しみぬいて絶命したことを思い返し ながら、人類の罪深さを考え直す「聖週間」。バロック期のフランス語圏では、この時期の夜明け前に行われていた祈りの時間帯をずらし、日 中に小編成の峻厳・清廉な音楽を通じて行うルソン・ド・テネブル(暗闇の朝課)の儀式があり、そのために書かれた楽曲が多く現存していま す。その特質上、華美な響きを避けてオルガン一つ、ないしそこに低音楽器を添える程度で独唱者が歌う小編成の音楽に仕上げられます が、ここではフランス古楽シーン最前線で活躍する若き名手たちが、バスーン、ヴィオール(ガンバ)、ヴィオローネ、チェロという4種の低音楽器 を用い、クラヴサンやオルガンとともに、趣深いくすんだ響きで18世紀初頭の祈りの場を再現。近年発見された手稿譜によるフォルクレ父子ど ちらかの組曲や人気作曲家ボワモルティエの名品編曲など器楽トラックも充実していますが、躍進めざましい独唱者ウジェーヌ・ルフェーヴル の温もり豊かな独唱がこれらの古楽器の響きと実によくなじむ一連のルソンは、演奏機会の少なさが不思議なほど魅力的に聴こえ興趣が尽 きません。ブリュッセルのイタリア系作曲家フィオッコやブルゴーニュ地方ディジョンのジョゼフ・ミシェルなど、フランス王室に縛られない選曲で視野 を広げてくれるプログラムも好感度大。ヴェルサイユ宮殿の小礼拝堂の穏やかな音響をよく捉えた自然派録音でお楽しみください。
CVS-094
ハイドン:交響曲「朝」「昼」「晩」
ハイドン:交響曲第6番ニ長調 「朝」Hob.I:6
 交響曲第7番ハ長調 「昼」Hob.I:7
グルック:精霊の踊り(歌劇「オルフェとユリディス」〔「オルフェオとエウリディーチェ」パリ版〕より)
ハイドン:交響曲第8番ト長調 「晩」Hob.I:8
ヴェルサイユ王室歌劇場O(古楽器使用)
ステファン・プレフニャク(指)

録音:2022年6月1-6日ヴェルサイユ宮殿「十字軍の大広間」
後に「交響曲の父」と綽名されることになるハイドンが若い頃、長く仕えることとなったエステルハージ侯爵家に来て間もなく宮廷催事のために 書いた3連作の交響曲「朝・昼・晩」。さまざまな楽器のソロを含む聴きどころ満載の物語性豊かなこの傑作は、同じオーストリアの音楽史を 舞台音楽の領域で大いに盛り上げたグルックの改革歌劇第1作「オルフェオとエウリディーチェ」とほぼ同時期に生まれました。フランス南西部 ビアリッツに拠点を置くバレエ・カンパニー「マランダン・バレエ・ビアリッツ」を率いるティエリー・マランダンは、後年フランス王室に迎えられフランス 王妃となった元オーストリア公女のマリー=アントワネットを描いた新作バレエのため、この3連作交響曲とグルックの歌劇からの抜粋を音楽と して選択。刺激に満ちたステージを彩った選曲をそのまま、ほかでもないアントワネット妃の本拠にもなったヴェルサイユ宮殿を舞台に古楽器 演奏で録音したアルバムの登場です。エステルハージ侯爵邸での交響曲演奏では使われなかったとも言われるチェンバロも、ここでは当時の 一般的な演奏習慣に倣って導入。その響きも絶妙な効果をあげる中、近年カウンターテナー歌手ヤクプ・ヨゼフ・オルリンスキとの共演でも注 目されているポーランドの気鋭古楽指揮者ステファン・プレフニャクが全編にわたりメリハリの利いたスリリングな演奏解釈を聴かせ、ハイドンとグ ルックの綴った作品の造形美を隅々まで堪能させてくれます。バレエとは別に音楽だけで鑑賞する甲斐のある充実録音です。
CVS-095(2CD)
NX-D09
グルック:歌劇「エコーとナルシス」 エコー…アドリアナ・ゴンザレス(S)
ナルシス…シリル・デュボワ(T)
恋の神アムール…ミリアム・ルブラン(S)
シニル…サヒ・ラティア(T)
エグレ…セシル・アシル(S)
アグラエ…アデル・カルリエ(S)
タナイス…ローラ・ジャレル(S)
シルフィ…リュシー・エデル(Ms)
ル・コンセール・スピリチュエル
エルヴェ・ニケ(指)

録音:2022年10月20-23日 ヴェルサイユ宮殿王室歌劇場
バロック期以来のイタリア・歌劇作法への違和感から、作品全編がオーケストラと共に一貫性ある物語を紡ぎ出す独特な歌劇を確立、後 年のワーグナー楽劇の先駆ともいうべき「改革歌劇」の語法を大成させたグルック。ウィーンの神聖ローマ皇室で絶対的信頼を得た後、マ リー=アントワネットの導きで訪れたパリでも注目され、フランス・歌劇の世界でも新しい模範となりました。しかし最後の完成作「エコーとナル シス」はパリでもウィーンでも驚くほど上演回数が伸びず、失敗作との印象からか後世にも顧みられる機会が少なく録音物さえ滅多にありませ ん。18世紀のフランス語歌劇復権に精力的なエルヴェ・ニケは今回、ルネ・ヤーコプス指揮の1987年録音以来40年近く全曲録音がな かったこの幻の重要作と正面から向き合ってみて、上に引用した通り作品本来の充実度に驚きを禁じ得なかったとのこと。神々の呪いにより ナルシスは水面に映った自分の姿に恋焦がれ、エコーは他者の言葉をオウム返しに語る以外に話せなくされたがゆえにナルシスへの思いを伝 えられない…物語を味わい深く描き取ったグルックの音楽はクラリネットを含む管楽器群を生かした色彩感にあふれ、ニケのタクトで起伏豊 かな解釈を聴かせるル・コンセール・スピリチュエルの演奏はまさしく抒情的の一言。最前線歌手二人がつとめる表題役の頼もしさに加え、ニ ンフらを演じる女声歌手たちも精彩に富んだ音楽の機微をよく伝えてくれます。グルックの晩年を見直す好機となりそうな待望のリリースと言 えるでしょう。
CVS-098
シャルパンティエ:わたしの魂は主を崇め(マニフィカト) H79
ジャック・ダニカン・フィリドール(通称「若きフィリドール」1657-1708):トランペット隊のファンファーレ
 トランペット隊だけで奏でる行進曲
 フォンテーヌブロー
 ティンパニ演奏
シャルパンティエ:わたしたちは神であるあなたを讃えます(テ・デウム) H.146
ラ・シャペル・アルモニーク(声楽&古楽器アンサンブル)
ヴァランタン・トゥルネ(指)

ソリスト:グヴェンドリーヌ・ブロンデール(ドゥシュ〔=ソプラノ〕1)
 セシル・アシル(ドゥシュ2)
 ダヴィド・トリクー(オートコントル〔=高音テノール〕)
 マティアス・ヴィダル(ターユ〔=テノール〕)
 ジョフロワ・ビュフィエール(バス=ターユ〔=バリトン〕)

録音:2022年11月19-22日、ヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂
古楽器演奏に長年の実績がある国フランスで、2020年代に最も注目されている若手指揮者の一人ヴァランタン・トゥルネの最新録音は、 有名曲「テ・デウム」を含むシャルパンティエの大規模声楽作品集。太陽王ルイ14世が治める17世紀フランスにあって、活動初期には王室 音楽総監督リュリの妨害で王室関係の仕事を得られなかったにもかかわらず、パリ市内のさまざまな機関から作曲依頼を受け、膨大な量の 傑作を残したのがシャルパンティエでした。20世紀にその真価が再評価されてゆく過程で最も注目されたのが、さまざまな規模の合奏を伴う 教会向けの声楽曲の数々。特に、トランペットによる前奏がウィーン・フィルの「ニューイヤー・コンサート」を始めとしたヨーロッパの放送番組で 多用される「テ・デウム」はシャルパンティエの代表作の一つですが、トゥルネは持ち前のフランス音楽への適性をここでも存分に生かし、豊か な合唱の響きはもちろん、室内楽的なアンサンブルが映える局面も細やかに仕上げてゆき、この作曲家ならではの伸縮自在の音作りの妙 味をじっくり堪能させてくれます。17人の合唱と5人のソリストが織りなす音響美を支えるオーケストラは、弦楽14名に数々の管楽器群が加 わる手堅い構成。サヴァールやモルテンセンなど歴戦の古楽人たちとの共演で知られるバロック・ヴァイオリン奏者マンフレード・クレーメルや、民 俗音楽越境系の活躍でも知られるリュート奏者キート・ガートなど超ベテラン奏者たちも加わって、多層的な古楽器演奏の魅力も存分に 味わえる演奏内容となっています。長年のシャルパンティエ研究で知られるカトリーヌ・セサックの詳細な解説(仏・英・独語)も読みごたえたっ ぷり。
CVS-099
フランソワ・クープラン:王宮のコンセール
コンセール 第1番/コンセール 第2番
コンセール 第3番/コンセール 第4番
レ・フォリー・フランセーズ(古楽器使用)
【ジョスラン・ドービネ(フラウト・トラヴェルソ)、ニエルス・コラン=コッパル(リコーダー、バスーン)、ジャン=マルク・フィリップ(Ob)、エマニュエル・バルサ(Vc、バス・ド・ヴィオル〔=ヴィオラ・ダ・ガンバ〕)、ベアトリス・マルタン(クラヴサン〔=チェンバロ〕)】
パトリック・コーエン=アケニヌ(Vn・指揮)

録音:2021年7月27-29日プロヴァン楽器博物館、プロヴァン(パリ郊外イル・ド・フランス地方)
ウィリアム・クリスティのレザ―ル・フロリサンやジェラール・レーヌのイル・セミナリオ・ムジカーレなど、フランスにおける古楽復興の躍進を担った重 要団体で長くコンサートマスターを務めたパトリック・コーエン=アケニヌが、2000年に自ら結成したレ・フォリー・フランセーズ。Pierre Verany、ALPHA-、Cypres、NoMadMusicなど常にシーン最前線のレーベルで名盤を刻んできたこのアンサンブルが、満を持して自国の 音楽史に名高い傑作室内楽曲を録音しました。クープランの『王宮のコンセール』はルイ14世の治世末期に書かれたイタリア風の編成によ るフランス様式の曲集で、かつてはイタリア風の音楽を演奏することさえ憚られたフランス王室にあって、異国の様式を適切に取り込み「趣味 の融合」を図ったこの作曲家ならではの細やかな趣向が凝らされた充実曲集。ヴィヴァルディ『四季』と同時期の1724年に出版され、20世 紀以降は多くの名盤にも恵まれてきましたが、18世紀当時のフランス宮廷音楽の演奏再現を徹底追及してきたコーエン=アケニヌらの様 式感豊かな演奏はやはり格別。アンサンブル創設期から長く共演してきた重要メンバーに新世代の気鋭バスーン奏者ニエルス・コラン=コッ パルが加わる顔ぶれが、それぞれの楽器から引き出しうる音色の多彩さを最大限に生かした精妙な解釈を織り上げてゆきます。作曲者と同 じフランス語話者たちだからこそ探り当てうる機微の妙、じっくりお楽しみください。

CVS-100
不滅の栄光よ! 〜フランス革命と共和国軍の歌
メユール(1763-1817):序曲 〜歌劇「青年アンリの狩」 (1797)
門出の歌 (1794)
ベルリオーズ:王の狩と嵐 〜歌劇「トロイアの人々」 (1890)
グノー:兵士たちの合唱「不滅の栄光よ」 〜歌劇「ファウスト」 (1859)
ベルリオーズ:兵士たちと学生たちの合唱 〜劇的物語「ファウストの劫罰」 (1846)
ビゼー:序曲 〜歌劇「カルメン」 (1875)
町の子供たちの合唱「兵隊さんたちといっしょに」 〜歌劇「カルメン」
行進曲と合唱「やって来た!クアドリーリャだ!」 〜歌劇「カルメン」
グノー:スペイン風舞曲 〜歌劇「ザモラの貢ぎ物」 (1881)
ビゼー:フィナーレ(ファランドール) 〜歌劇「アルルの女」 (1872)
ロベール・プランケット(1848-1903):サンブル・エ・ミューズ連隊行進曲 (1870)
リール(ベルリオーズ編):ラ・マルセイエーズ (1830)
セバスチャン・ゲーズ(T)
マリー=ロール・ガルニエ(S)
ギャルド・レピュブリケーヌSO
フランス軍cho
ヴェルサイユ王室歌劇場cho
ラモー少年少女cho
エルヴェ・ニケ(指)

録音:2022年7月6-8日 サル・リーバーマン、オペラ・バスティーユ
メユールの「門出の歌」、ベルリオーズが編曲した「ラ・マルセイエーズ」、ブランケットの「サンブル・エ・ミューズ連隊行進曲」といった愛国歌か ら、フランス・オペラに登場する共和国軍を讃える音楽などを集めたアルバム。演奏は、日本では吹奏楽団として有名なギャルド・レピュブリ ケーヌ(共和国親衛隊)軍楽隊で、古くから弦のメンバーを加えたOとしての活動も行っておりましたが、今回はSO (Orchestre symphonique)というクレジットでの登場となっています。さらに合唱にはフランス軍合唱団も参加。指揮台にはルネサンス〜 バロック音楽のスペシャリストであり、近年はフランス近代音楽、特にオペラなどの声楽作品の解釈者としての活動で高い評価を得ているエル ヴェ・ニケが立ち、今回初共演となるギャルドから引き締まった熱いサウンドを引き出しています。現フランス軍に連なる言わば本場の団体を 中心とした演奏陣によるパフォーマンスは圧倒的な力強さ。2024年のパリ・オリンピックに向けて大いに盛り上げてくれる一枚といえそうです。
CVS-101(2CD)

NYCX-10411(2CD)
日本語解説付国内盤
税込定価
18世紀フランス王室の祝典 〜1773年、アルトワ伯の結婚に寄せて〜
【DISC1】
1-8. 第1の組曲
 1. フランクール(1698-1787)&フランソワ・ルベル(1701-1775):
   序曲(「トロフィ」より)〜エール(リュリの「アルミード」に加筆した楽曲)
 2. フランクール&ルベル:荘重なエール〜快活に (「平和の舞踏劇」第2部「イフィスとヤント」に加筆した楽曲)
 3. ピエール=モンタン・ベルトン(1727-1780): 快速なエール
   (カンプラの「ヴォルスクの王妃カミーユ」に加筆した楽曲)
 4. ブラサック伯ルネ・ド・ガラール・ド・ベアルン(1698-1771): エール
   (「恋の神の帝国」第3部「炎の精たち」より)
 5. アントワーヌ・ドーヴェルニュ(1713-1797): 陽気なエール(「エネーとラヴィニ」より)
 6. ジョゼフ=ニコラ=パンクラス・ロワイエ(1703-1755): 優美で穏やかなエール(「ザイード」より)
 7. ロワイエ:ロンド形式による狩猟の調べ(「ザイード」より)
 8. フランクール&ルベル:シャコンヌ(「平和の舞踏劇」第2部「イフィスとヤント」より)
9-20. 第2の組曲
 9. フランクール&ルベル:序曲(「スカンデルベルク」より)
 10. ラモー: 壮麗なエール
   (「結婚の神と恋の神の祭典」第2部「カノープ」より)
 11. フランクール&ルベル:優美なエール(「ピラムとティスベ」に加筆した楽曲)
 12. フランクール:快速なエール(『フランクール氏の様々な合奏用エール集』より)
 13. フランクール:ガヴォットI&II(リュリの「アルミード」に加筆した楽曲)
 14. ドーヴェルニュ:きわめて快速なエール(「エネーとラヴィニ」より)
 15. フランクール&ルベル:仮面のエール
   (「幸福の舞踏劇」からの転用により「スカンデルベルク」に挿入した楽曲)
 16. ベルナール・ド・ビュリ(1720-1785): 快速なシャコンヌによるエール
   (リュリの「アルミード」に加筆した楽曲)
 17. ジャン=ジョゼフ・カサネア・ド・モンドンヴィル: ガヴォットI&II(「イスベ」より)
 18. フランクール:快速なエール(『フランクール氏の様々な合奏用エール集』より)
 19. ラモー:ガヴォットI&II(「ダルダニュス」第2版より)
 20. フランクール:コントルダンス(『フランクール氏の様々な合奏用エール集』より)
【DISC2】
1-9. 第3の組曲
 1. ラモー:行進曲(「結婚の神と恋の神の祭典」より)
 2. ド・ビュリ:遅いエール〔「イマとゼリス」より〕
 3. ド・ビュリ:軽やかなロンド〔「イマとゼリス」より〕
 4. ラモー:優美なロンド(「恋の驚き」第2部より)
 5. ラモー:快速なエール(「イポリートとアリシ」に追加した楽曲)
 6. ジョゼフ・イアサント・フェラン(1709-1791): 優美なロンド(「ゼリ」より)
 7. ジャン=クロード・トリアル(1732-1771): 快速なコントルダンス(「花の女神の祭典」より)
 8. フランクール&ルベル:シャコンヌ(「ノワジの公子殿」より)
 9. ベルトン:シャコンヌ(デマレとカンプラ「[トーリドの]イフィジェニー」に加筆した楽曲)
10-23. 第4の組曲「トランペット、ティンパニとホルン群を交えて」
 10. ラモー:序曲(「ザイス」より)
 11. ラモー:優美なムニュエ〔メヌエット〕(「栄光の神殿」より)
 12. ラモー:ロンド(「ダルダニュス」第2版より)
 13. フランクール&ルベル:穏やかなエール (ファヴァールの「サランシの薔薇冠の乙女」に加筆した楽曲)
 14. フランクール:ロンド形式によるエール(リュリの「アルミード」に加筆した楽曲)
 15. ルイ・グラニエ(1725-1800):優美なエール
 16. ドーヴェルニュ:狩人たちのアントレ(「エネーとラヴィニ」より)
 17. フランクール&ルベル:ロンドI&II(「ピラムとティスベ」に加筆した音楽)
 18. フランクール:陽気なロンド(「ノワジの公子殿」より)
 19. モンドンヴィル:ミュゼット(「ティトンとオロール〔曙の女神〕」より)
 20. モンドンヴィル:ミュゼット(「パルナスス山の謝肉祭」より)
 21. ルベル:ムニュエI〜フランクール:ムニュエII (いずれもカンプラの「優雅なヨーロッパ」に加筆した楽曲)
 22. ロワイエ:シャコンヌ(「ピリュス」より)
 23. ラモー:タンブランI&II(「ダルダニュス」第2版より)
レザンバサドゥール=ラ・グランド・エキュリ(古楽器使用)
アレクシス ・コセンコ(指)
ヴェルサイユ宮殿王室歌劇場

※国内仕様盤解説日本語訳…白沢達生
フランス随一のフラウト・トラヴェルソ奏者として注目を集め、録音ではポーランドの気鋭古楽器楽団アルテ・デイ・スオナトーリや自身が創設 したレザンバサドゥ―ルの指揮者としてALPHAやChateau de Versailles Spectacles、Aparteなどの気鋭レーベルで活躍をみせてきた アレクシス・コセンコ。レザンバサドゥールは近年、古楽器による管楽合奏団ラ・グランド・エキュリ(創設者は近年亡くなった古楽器シーンの大 先達ジャン=クロード・マルゴワール)を吸収してさらに勢いを増し、メンデルスゾーンの交響曲録音(Aparte)でも注目されているなか登場す るこのアルバムでは、18世紀後半のユニークな王室音楽祭典の再現に挑みます。テーマは1773年のアルトワ伯(翌年ルイ16世となる王太 子ルイ=オーギュストの弟、革命と王政復古の後1825年にシャルル10世として戴冠)の結婚祝宴。そこでは王室音楽総監督を務めた大 御所フランクールが音楽をとりしきり、彼の長年の共作者F.ルベル(「四大元素」の作曲家J-F.ルベルの子)やドーヴェルニュ、モンドンヴィルと いった同時代作曲家たちの往年の傑作群から曲が厳選され、古典派時代にありながらルイ14世時代以来の流儀にならったバロック風の食 卓音楽が続きました。最新監修の楽譜に基づくこの録音は、過去いくつか出ていた同祭典音楽の再現録音より曲数がはるかに多いうえ、 1773年当時の王室楽団とほぼ同じ70人規模の大編成(弦楽器12/11/9/12/4、フルート2、オーボエ5、クラリネット2、ファゴット6、ホ ルン4、トランペット1、ティンパニ1)で、まさにその頃オープンしたヴェルサイユ宮殿王室歌劇場の音響の中、革命前夜のフランス王室音楽の 壮麗さを追求。シーン最前線をゆく名手たちの妙技もさることながら、これほどの編成で一体感あるスリリングな演奏を実現したコセンコの巧 みな指揮にも驚かされます。なお国内仕様盤では原盤解説の翻訳に加え、登場する各作曲家の紹介も添えられます。
CVS-102
(2CD+DVD+BD)
NX-E02
シャルパンティエ:「ダヴィドとジョナタス(ダヴィデとヨナタン)」〜序幕付全5幕の抒情悲劇(全曲) ダヴィド…レイナウト・ファン・メヘレン(T)
ジョナタス…カロリーヌ・アルノー(S)
サウル…ダヴィド・ヴィチャク(Br)
太陽神の神官…フランソワ=オリヴィエ・ジャン(T)
ジョアベル…アントナン・ロンドピエール(T)
サミュエル(サムエル)の亡霊…ジョフロワ・ビュフィエール(Bs)
アシス…ヴィルジル・アンスリ(Bs-Br)
羊飼いの女…ジュリエット・ペレ(S)、ブランディーヌ・サンサル(Ms)
奴隷の女…マルト・ダヴォスト、ローラ・オルム(S)
奴隷の男…ロマン・シャンピオン(T)、フランソワ・ジョロン(Br)
民衆…ロマン・シャンピオン(T)
戦士…ローラン・ドルイユ(Br)
マルグリット・ルイーズ(合唱&古楽器アンサンブル)
ガエタン・ジャリ(指)

収録:2022年11月12-16日 ヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂
<CD>
収録時間:119分
<DVD、Blu-ray>
収録時間:132分
Dolby-digital2.0/NTSC/ALL REGIONS
字幕:仏語、英語、独語
演出:マーシャル・ピンコスキ
フランス17世紀を代表する作曲家の一人シャルパンティエの傑作オペラ「ダヴィドとジョナタス」、待望の新録音が本場ヴェルサイユから登 場! シャルパンティエは若い頃に画業を学ぼうと訪れたローマで、巨匠カリッシミの作品に衝撃を受け音楽へ転向、帰国後は太陽王ルイ 14世の王室音楽総監督リュリの君臨により活動を大幅に制限されながらも、パリのさまざまな機関から仕事を受けて躍進しました。旧約聖 書の物語に取材した「ダヴィドとジョナタス」は妨害者リュリの急逝直後1688年に披露された抒情悲劇(フランス語台本による本格的な悲 劇オペラ)で、この作曲家の第一級の手腕が生きた傑作でありながら全曲録音は滅多になされず、新録音がフランス古楽界の精鋭たちに よってなされたのは大いに歓迎すべきことと言ってよいでしょう。俊才集団マルグリット・ルイーズの器楽勢には異才集団ネヴァーマインドのバ ス・ド・ヴィオール(ヴィオラ・ダ・ガンバ)奏者ロバン・ファロ、豊かなキャリアを誇るリコーダーのセバスティアン・マルクなど名手たちも参加。近年ま すます活躍の場を広げているレイナウト・ファン・メヘレン、カロリーヌ・アルノー、ダヴィド・ヴィチャクらを筆頭に、端役のシーンに至るまで本場フ ランスならではの堂に入った演奏でこの傑作が味わえるのは頼もしい限り。映像では17世紀当時の?燭の明かりを尊重したマーシャル・ピン コスキの演出が、ヴェルサイユ王室礼拝堂での上演を鮮やかに盛り上げ、演奏の魅力をいっそう際立たせています。
CVS-104

NYCX-10429
日本語解説付国内盤
税込定価
ジャン・ジル(1668-1705):モテ「主よ、わが神、あなたが頼りなのです」
死者の為のミサ曲(レクイエム)
ユジェニー・ルフェーヴル(S)
クレマン・ドビューヴル(オートコントル〔高音テノール〕)
セバスティアン・モンティ(T)
ダヴィド・ヴィチャク(Br)
レ・パージュ・エ・レ・シャントル(ヴェルサイユ・バロック音楽センター合唱団、少年合唱団)
レ・フォリー・フランセーズ(古楽器使用)
コンサートマスター:パトリック・コーエン=アケニヌ(Vn)
ファビアン・アルマンゴー(指)

録音:2022年12月8-9日 ヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂
※ 国内仕様盤には、白沢達生氏による原盤解説の日本語訳が付属。
南フランスのプロヴァンス地方出身の天才作曲家ジャン・ジル。大クープランと同じ1668年に生まれ、生涯を通じて専らフランスの南側で活 躍しパリにもヴェルサイユにも来ないまま早世しましたが、ルイ14世の治世下で作曲したレクイエムが王室でもとりあげられ注目を浴び、18世 紀を通じて王室の葬儀で頻繁に再演されるという栄に浴しました。有名な定期演奏会コンセール・スピリチュエルも発足20年前に亡くなった この昔日の巨匠の作品を何度も演奏、パリの人々にも喝采を博し続けました。20世紀の古楽復権の流れでもシャルパンティエやデュ・モンと 並んで注目されてきた彼のレクイエムに、ブルボン家歴代の王たちの祈りの場となってきたヴェルサイユ宮殿の王室礼拝堂での最新録音が登 場。手稿譜の形でのみ残る珍しいグラン・モテ(合奏付き合唱曲)と共に演奏を聴かせるのは、フランス17〜18世紀音楽の知られざる魅力 を実演と録音を通じて根強く紹介し続けてきた実力派ファビアン・アルマンゴー率いるヴェルサイユ・バロック音楽センター(CMBV)の合唱団。 器楽陣にはCMBVでの研究成果を比類ない演奏に昇華してきた精鋭集団レ・フォリー・フランセーズが加わり、残された楽譜の持ち味を最 大限に引き出す精妙な解釈に仕上げられています。モテ「主よ、わが神、あなたが頼りなのです」では時として舞踏劇や歌劇を思わせる音 使いもあり、メリハリの利いた古楽器演奏と相俟ってジルの作風の広がりを印象づけてやみません。CMBVの音楽学者ジュリアン・デュブリュク による解説(仏・英・独語/国内仕様盤には日本語訳付)も充実、フランス・バロックの奥深さと欧州古楽界の層の厚さに改めて驚かされる 新録音です。
CVS-105(2CD)
NX-D09
モーツァルト:歌劇「バスティアンとバスティエンヌ」 K.50
ペルゴレージ:歌劇「奥様女中」 〜2幕の音楽喜劇
※以上、フランス語訳による演奏
バスティエンヌ/ゼルビーヌ…アデル・カルリエ(S)
コラス/パンドルフ…マルク・スコッフォーニ(Br)
バスティアン…ダヴィド・トリクー(T)
ヴェルサイユ王室歌劇場O(古楽器使用)
 コンサートマスター:フィオナ・プパール(Vn)
 セシル・シャルトラン(Cemb)
ガエタン・ジャリ(指)

録音:2022年12月18-21日 ヴェルサイユ宮殿「マレンゴの間」
イタリア・歌劇がフランスに根付くきっかけを作ったペルゴレージの傑作喜歌劇「奥様女中」と、当時のフランス語歌劇を手本にして少年モー ツァルトが書いたドイツ語音楽劇「バスティアンとバスティエンヌ」を、それぞれ異なる歴史的文脈の中で生まれたフランス語訳ヴァージョンで録 音した2枚組アルバム。1752年にパリの歌劇座(王室音楽アカデミー歌劇場)がとりあげたイタリア語歌劇「奥様女中」は、フランス独自の 音楽発展を目指すラモーらの猛反発と百科全書派の大絶賛を巻き起こし、その両派の激しい対立は「ブフォン論争」の名で音楽史にも刻 まれました。そんな中、ペルゴレージの音楽の魅力を先入観なしに知ってもらおうと、弁護士ボーランは台本を訳し1754年に「奥様女中」フ ランス語版を作成。レチタティーヴォはオーケストラ付き部分以外省かれ、台詞の対話に替えられました。他方、劇作家&歌手のファヴァール 夫妻は「奥様女中」の向こうを張るフランス語による牧歌劇パロディ「バスティアンとバスティエンヌの恋」をその前年に披露。後年オーストリア でフランス劇団に接する機会もあった少年モーツァルトはこれを下敷きにしたドイツ語台本に曲をつけ、1768年に1幕物のジングシュピールを 完成(K.50)。こちらは19世紀末にフランスの文芸批評家ウィリと作家アルトマンがフランス語版を作成しています。ヴェルサイユ宮殿に集う 古楽器楽団は今回、俊才歌手3人と共にこれら2作のフランス語版を録音。フランス・バロック作品の演奏に秀でたガエタン・ジャリは台本の 持ち味をよく生かした音作りで、両作曲家の母語では見えてこなかった典雅な音楽的魅力に迫り、18世紀音楽の奥深さを改めて実感させ てくれます。
CVS-106
ムファット(1653-1704):24声のミサ曲「労働のさなかに休息を」(ミサ・イン・ラボレ・レクイエス)より
ジョヴァンニ・ヴァレンティーニ(1582頃-1649):カンツォン(オルガン独奏)
ヨハン・シュタットルマイアー(1575頃-1648):13声のソナタ(器楽合奏)
. ムファット:24声のミサ曲「労働のさなかに休息を」より
ビーバー:モテット「主は言われた(ディクシット・ドミヌス)」
ムファット:24声のミサ曲「労働のさなかに休息を」より
 サンクトゥス
 ベネディクトゥス
 アニュス・デイ
ラ・バンケ・セレスト(声楽&古楽器アンサンブル)
ダミアン・ギヨン(指)
ラ・ギルド・デ・メルスネール(声楽&古楽器アンサンブル)
アドリアン・マビル(指)
ジャン=リュク・オー(Org)

録音:2022年9月26-29日 ヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂
17世紀末の南ドイツ・パッサウ大聖堂で楽長となり、短い生涯で多くの器楽合奏曲やオルガン曲を残した17世紀後半の天才作曲家ム ファットの、唯一現存する教会音楽作品を俊才続々のアンサンブルが演奏。ゲオルク・ムファットは現在のフランス南東部、イタリアのピエモン テ地方にまたがるサヴォワ地方でスコットランドの血をひく家に生まれ、若い頃はリュリの下でフランス式の弦楽器奏法を習得、後年はローマで オルガニストとしても研鑽を積みました。一時ザルツブルク大聖堂にも奉職したものの後年はパッサウ大聖堂に迎えられ、イタリアとフランスの 先進様式をいちはやくドイツ語圏に伝えました。多様なバックグラウンドを持ちながらも当人は自分をドイツ人と認識していたとのこと。ミサ曲 「労働のさなかに休息を」は同名曲の旋律を全章の多声展開の軸に使う古いパロディ・ミサの手法をとりながら、声楽・器楽からなる24もの パートを四つの楽隊に分け、響きを対置させてゆく複合唱形式の大作。金管・打楽器と弦楽・合唱が艶やかな音の交錯を続けながら、バ ロック中後期ならではの耳になじみやすい語り口で展開してゆく名品です。木管コルネットにアドリアン・マビルとボルク=フリトヨフ・スミス、サッ クバット=トロンボーンにアレクシス・ラーエンス、トランペットにピエール=イヴ・マドゥーフ、ドゥルツィアンにジェレミー・パパセルジオーと多くの名 手が居並ぶ頼もしいアンサンブルを、日本でもファンの多いカウンターテナー歌手ダミアン・ギヨンらが確かな一体感でまとめあげ、ヴェルサイユ 宮殿の歴史ある礼拝堂に響き渡る至福の音のひと時を届けてくれます。ザルツブルクでの同胞で『53声のミサ曲』でも知られるビーバーのモ テットの併禄も嬉しいところ。
CVS-107(2CD)
NX-D09
ヘンデル:オラトリオ『メサイア』HWV56 マリー・リス(S)
マルゲリータ・マリア・サーラ(C.A)
パブロ・ベムシュ(T)
アレックス・ローゼン(Bs)
カタルーニャ音楽堂室内cho
ヴェルサイユ王室歌劇場O(古楽器使用)
コンサートマスター&独奏:レオノール・デ・レーラ(Vn)
フランコ・ファジョーリ(指)

録音:2022年12月10、11、17、18日ヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂
現代を代表するカウンターテナーの一人で、2018年の来日時にも多くの人を虜にしたフランコ・ファジョーリが、自ら当たり役を多く演じてきた 作曲家であるヘンデルの代表作に指揮者として臨んだ注目の新録音。ヴェルサイユ宮殿に集う気鋭奏者たちからなる室内オーケストラ(弦 楽編成は5/5/3/3/1、管楽器は各パート1人ずつの配置)、バルセロナの歴史ある劇場を拠点とし古楽復興に大きな功績を果たしてきた 合唱協会を母体とする室内合唱団と一体感あるアンサンブルを織り上げ、頼れる独唱陣と共に起伏に富んだドラマを鮮やかに織り上げてゆ きます。テンポ変化を活かしながらも古楽器演奏に多い鋭角的な表現をいたずらに誇示せず、ニュアンスと濃やかな色彩感を追求した解釈 が作品全体を通じてきわめて効果的で、歌詞の味わいが際立つ歌いまわしと共に、ヘンデルの音作りの粋がおのずから浮かび上がる仕上が り。Zig-Zag Territoiresで長く活躍した俊才エンジニアのフランク・ジャフレスの仕事ぶりも頼もしく、ヴェルサイユ宮殿の礼拝堂空間に響き わたる、新時代の瑞々しさに満ちた傑作の味わいを見事に収めています。
CVS-108
ルイ15世のクラヴサン 〜18世紀中盤のフランス鍵盤芸術〜
ガブリエル・デュビュイソン(1716頃-1754):プレリュード
ラモー:La Dauphine 王太子妃
ベルナール・ド・ビュリ(1720-1785):Sarabande, La *** ou Les Sentimens
 サラバンド「***氏、または心情の機微」
ド・ビュリ:ムニュエ(メヌエット)1「西風の精」〜ムニュエ2「花の精」
クロード・バルバストル(1725-1799):ルベル氏のガヴォット
シャルル・ノブレ(1715-1769):Allemande アルマンド
ジャック・デュフリ(1715-1789):La Pothouin ラ・ポトウアン
デュフリ:ラ・ド・ヴォカンソン
デュフリ:Rondeau [de la Premiere suite] ロンド
ジャン=バティスト・フォルクレ(1699-1782):ラ・アングラーヴ
ジョゼフ=ニコラ=パンクラス・ロワイエ(1703-1755):愛らしさ
デュフリ:ラ・デュ・ビュク
ロワイエ:スキタイ人の行進
コレット(1707-1795):星々
デュフリ:La Damanzy ラ・ダマンジ
ラモー:Musette en rondeau ロンド形式のミュゼット
ラモー:Tambourin タンブラン
ド・ビュリ:Chaconne シャコンヌ
ラモー:Les Tendres Plaintes 優しい嘆き
ラモー:Les Cyclopes 一つ目巨人たち
バルバストル:ラモー「ピグマリオン」のコントルダンス
クレマン・ジョフロワ(クラヴサン〔チェンバロ〕)
使用楽器:パリのジャン=クロード・グージョン1749年製作モデル(パリ楽器博物館所蔵)に基づくジャン=フランソワ・ショドゥルジュ製作の再現楽器

録音:2022年10月16-19日ヴェルサイユ宮殿プチ・トリアノン、フランス
先代の太陽王ルイ14世ほどではないにせよ、実に60年近くもフランス王の座を守ったルイ15世。その治世(1715-1774)には17世紀以 来のフランス様式も根強く人々を魅了し続けた一方で、太陽王のもとでは考えられなかったほど諸外国の音楽文化がフランスに流入、ひとき わ華やかなロココの響きが王室やパリの人々を魅了しました。王は音楽にあまり関心を示さなかったものの、レグザンスカ王妃やポンパドゥール 夫人、王女たちをはじめ周囲には一流作曲家と親しく交流し感性を豊かに育んだ音楽愛好の女性たちが多く、人々が室内で奏でたクラヴ サンのための独奏曲も次々と世に送り出されました。伝統的なフランス様式とイタリアやドイツなど諸外国の様式の間で、折々の流行を先導 していったクラヴサン作曲家たちの名品群は、ウィーン古典派風の音楽が定着してゆく前の、驚くほど豊かで独特な音楽世界を垣間見せてく れます。近年フランス古楽界で多忙な活躍をみせ、とりわけ声楽作品の通奏低音奏者としても経験豊かなクレマン・ジョフロワは、大御所ラ モーの出世作2集から名匠デュフリによる1768年の曲集まで幅広い年代を視野に入れ、ルイ15世時代の音楽文化の広がりをクラヴサン 一つで辿れるプログラムを厳選。この時代の銘器をモデルとする素晴らしい再現楽器をヴェルサイユ宮殿の音響空間で奏で、絶妙なタッチが 快い機微細やかな演奏で各作品の魅力をじっくり伝えます。ラモー「一つ目巨人たち」やロワイエ「スキタイ人の行進」といった有名作のほか、 2019年に新発見され未だ謎も多いデュビュイソン作曲による1732年出版の曲集や、競合録音が殆どないベルナール・デュ・ビュリの1737 年の曲集など稀少な作品が多く収録されている点も見逃せません。
CVS-110
王冠の調べ 〜パーセルとヘンデルの『戴冠式アンセム』
祝典行列
パーセル:英国王ジェイムズ2世の戴冠式のためのアンセム「わが心は麗しき言葉に満ち」 Z30
ファンファーレ1
パーセル:アンセム「わたしは嬉しかったのです」 Z.19
万歳!
ヘンデル:ジョージ2世の戴冠式のためのアンセム「汝の手よ強くあれ」 HWV259
ファンファーレ2
ヘンデル:ジョージ2世の戴冠式のためのアンセム「司祭ザドク」 HWV258
ファンファーレ3
ヘンデル:ジョージ2世の戴冠式のためのアンセム「主よ、王は汝の力を喜ばん」 HWV260
ファンファーレ4
ヘンデル:ジョージ2世の戴冠式のためのアンセム「わが心は麗しき言葉に満ち」 HWV261
ファンファーレ5
ヘンデル:主を讃えよ 〜オラトリオ『ソロモン』 HWV67第3幕
神よ、チャールズ王を讃えたまえ(ゴッド・セイヴ・ザ・キング)
ヴェルサイユ王室歌劇場O&cho(声楽&古楽器アンサンブル)
ガエタン・ジャリ(指)

録音:2022年12月28-31日 ヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂
英国王チャールズ3世の戴冠式が行われる2023年にふさわしい新録音が、海を挟んだフランスのヴェルサイユ宮殿に集う古楽演奏家たち から届けられました。1727年のジョージ2世戴冠式のために作曲され、歴代の英国王の戴冠式でも歌われてきたヘンデルの傑作『戴冠式 アンセム』全4曲に加え、同じ1727年の戴冠式でも一部が再演されたジェイムズ2世戴冠式(1685)のためのパーセルの作品2曲を収録。 それら演奏作品の合間には18世紀以前の祝典でも一般的に使われていたナチュラル・トランペットを使ったファンファーレが挿入され、ヴェル サイユ王室礼拝堂の音響とあいまって聖職者臨席のもと行われる戴冠式の雰囲気がそのまま伝わってくるかのような生々しさ! その迫真の 存在感をきわだたせているのは欧州古楽器演奏シーンの最先端をゆくガエタン・ジャリ指揮の実力派集団。フランス17〜18世紀の声楽曲 の演奏に秀でた彼らは、まさにルイ14世時代のフランス宮廷音楽から英国王室の音楽が大きな影響を受けていた頃の作品であるパーセル の2曲を鮮やかな臨場感で聴かせ、その雰囲気の延長線上で精妙かつダイナミックにヘンデルの壮麗な作品群を堪能させてくれます。アルバ ム前半はファンファーレを挟みながら編成の小さな曲から大きな曲へと進む曲順になっていて、パーセルとヘンデルの音楽的連続性にも気づ かされる仕組み。作品が生まれた文脈を考え抜いている実力派集団だからこその臨場感をじっくりお楽しみください。
CVS-111
ルイ15世時代のフランス舞台音楽における恋の歌
1. ラモー :天体のエール「照り映えろ、新たに生まれ出でた星々よ」 (「カストールとポリュクス」〔1737〕第5幕第7場より)
2. ジャン=バティスト・ニエル(1690頃-1771):恋の神のエール「わが両目を襲う眠りに」 (「ローマ人たち」〔1736〕第1幕第6場より)
3. フランソワ・ルベル(1701-1775)&フランソワ・フランクール(1698-1787):ガヴォット(「イスメーヌ」〔1747〕より)
4. エジディオ・ロムアルド・ドゥーニ(1708-1775):ロジーヌのエール「おお、この村で敬われてきたお父様」 (「収穫に勤しむ人々」〔1763〕第3幕第7場より)
5. ラモー:狂気の女神のエール「恋の神よ、さあ矢をつがえて」 (「プラテー」第3幕第4場より)
6. ルベル&フランクール:イスメーヌのエール「おお、わたしたちに声を聴かせた者よ」 (「イスメーヌ」〔1747〕第3場より)
7. ラモー:プレリュード(「イポリートとアリシ」〔1733〕第3幕より)
8. ラモー:フェードルのエール「恋の神の残虐なる母よ」 (「イポリートとアリシ」〔1733〕第3幕第1場より)
9. ラモー:テライルのエール「悲痛なる衣装、青ざめた炎に」 (「カストールとポリュクス」〔1737〕序幕第1場より)
10. ジャン=ジョゼフ・ムーレ(1682-1738):イフィスのエール「さあ恋をしましょう、ためらっていてはだめ」 (「タリーの祭典」〔1714〕第2幕第5場より)
11. ラモー:シャコンヌ(「プラテー」〔1745〕より)
12. モンドンヴィル:プシュケと悪鬼たちの対話「駄目だ、この苦しみが終わると思うなよ」 (「パフォスの祭典」〔1758〕第3幕第6場より)
13. モンドンヴィル:プシュケのエール「わたしの美しさは失われ」 (「パフォスの祭典」〔1758〕第3幕第6場より)
14. ルベル&フランクール:恋の神のエール「心ここにあらずで」 (「スカンデルベルク」〔1735〕序幕第3場より)
15. ラモー:諸芸術の精たちと喜びの精たちの歌「美の女神ヴェニュス、あなたこそ」 (「カストールとポリュクス」〔1737〕序幕第1場より)
16. ラモー:狂気の女神のエール「いそしみましょう、いとも華やかな音楽に」(「プラテー」第2幕第5場より)
マリー・ペルボスト(S)
ヴェルサイユ王室歌劇場O&cho
ガエタン・ジャリ(指)

録音:2023年1月7-9日 ヴェルサイユ宮殿「マレンゴの間」
フランスの音楽著作権協会ADAMIから2016年の新星歌劇歌手賞に選ばれて以来、ヨーロッパのシーンで演技力豊かな声が急速に話 題となり、歌劇界に留まらずバロック・歌劇蘇演や知られざるフランス近代歌曲の発掘で早くも注目すべき実績を次々と挙げているマリー・ ペルボスト。ヴェルサイユ宮殿を舞台に刻まれた新たなソロ・アルバムはルイ15世時代のフランスに光を当て、多様な劇音楽から有名・無名 にかかわらず魅力的なナンバーを厳選。ルイ15世の長く比較的安定した治世の中で育まれた、多角的な様相をみせる恋物語の数々の魅 力に迫ります。軸となる巨匠ラモーの3傑作(「イポリートとアリシ」〔1733〕、「カストールとポリュクス」〔1737〕、「プラテー」〔1745〕)からして 音楽面でも物語面でもそれぞれに異なり、同時期の王室を魅了したルベル&フランクールのタッグや世紀半ばのパリの寵児ドゥーニなど、他 の作曲家たちの作品にもバロック後期からロココの柔和さを経て古典派前夜まで、18世紀フランス音楽の多彩さと一貫性を矛盾なく実感さ せてくれる奥深い魅力がたっぷり。ソプラノ歌手でありながら低い音域でも豊かな情感描写を聴かせるペルボストならではの、演技性あればこ そのエールが集められているのも流石です。ヴェルサイユの王室歌劇場ほか数々のステージで名演を披露してきたガエタン・ジャリの経験値が 十全に活かされたオーケストラの音作りも頼もしく、どこから聴いても引き込まれずにおれないアルバムに仕上がっています。
CVS-119(2CD)
NX-E05
エリザベート・ジャケ・ド・ラ・ゲル:歌劇「セファルとプロクリス」 セファル、海の神ネレ…レイナウト・ファン・メヘレン(T)
暁の女神…エマ・ニコロフスカ(Ms)
プロクリス…デボラ・カシェ(S)
花の女神フロール、ドリーヌ…ロール・ビノン(Ms)
イフィス、女司祭、ニンフ1…グヴェンドリーヌ・ブロンデール(S)
嫉妬の女神、海の神、トラキアの男…マルク・モイヨン(T)
北風の神ボレー、牧神パン…リザンドロ・アバディ(Bs-Br)
アルカス…サミュエル・ナモット(Br)
ニンフ2、アテナイの女1、快楽の神の側女…フアン・ウェイリャン(S)
アテナイの女2、牧人の女…ポリーヌ・ド・ラノワ(Ms)
羊飼い、ヘルト=ヤン・フェルビュケン(T)
王、絶望の神…ローラン・ブルドー(Br)
ア・ノクテ・テンポリス(古楽器使用)
レイナウト・ファン・メヘレン(指)
ナミュール室内cho

録音:2023年1月17、18、21、22、23日グラン・マネージュ(ナミュール音楽堂)、ナミュール(ベルギー南部ワロン地方)
大クープランと同世代で、早くからフランス王室に愛された女性作曲家ジャケ・ド・ラ・ゲルが1695年、満を持してパリのオペラ座で披露した 本格歌劇「セファルとプロクリス」。これまで部分的にしか録音が出ていなかった幻の名作ですが、ついに待望の全曲録音が登場します。自 身もバロックオペラ復興に大きく寄与する歌手として活躍するレイナウト・ファン・メヘレンが主役セファルを演じながら、自ら主宰するア・ノクテ・ テンポリスを指揮。不幸な思い違いから二人とも命を落としてしまう若き男女の悲恋は『ロミオとジュリエット』にも通じる筋書きで、神話の登 場人物たちによる序幕まで含め物語は詩的かつスリリングな展開の連続。前評判が大きすぎたためか初演は成功せず数日で舞台から下げ られてしまったそうですが、満を持して行われたこの録音はその不運が信じられなくなるほど、起伏豊かな作品本来の面白さを十全に引き出 してやみません。カシェ、ビノン、ブロンデールら頼もしい女声陣にモイヨン、アバディら男声も実力派揃い。台本への精緻な読み込みを感じさ せる歌唱を支えるオーケストラにもトラヴェルソのアンナ・ベッソン、オーボエのブノワ・ローラン、トランペットのジャン=フランソワ・マドゥーフらソリス トが続々名を連ねているだけあり、歌の流れを盛り上げる味わい深い演奏を随所で楽しませてくれます。
CVS-117

NYCX-10457
日本語解説付国内盤
税込定価

ジャック・ダニカン・フィリドール(1657-1708)通称「若きフィリドール」:若きフィリドールによるティンパニの行進曲
アンドレ・ダニカン・フィリドール(1652-1730):王の行進曲(トランペットとティンパニ)
リュリ:テ・デウム LWV55
 グラン・モテ「苦難の最中、主があなたの声に耳を傾けますように」(詩編第19篇)LWV77-15
レゼポペー(声楽&古楽器アンサンブル)
ヴェルサイユ・バロック音楽センターcho、同少年cho
ステファーヌ・フュジェ(指)

録音:2023年3月6-10日、ヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂

※国内仕様盤 解説・歌詞日本語訳…白沢達生
21世紀のフランス古楽界で実力ある音楽家たちと信頼関係を深めながら、声楽指揮者として着実に存在感を高めてきたステファーヌ・フュ ジェ。Chateau de Versailles Spectaclesレーベルでは太陽王ルイ14世の王室音楽総監督リュリが残したグラン・モテ(大規模な器楽 合奏と合唱で演奏される教会音楽)の体系的録音を進めてきましたが、第4作となる今回のアルバムでは王室祝賀行事など晴れがましい 場面で愛奏される、リュリの傑作『テ・デウム』(リュリはこの作品の演奏中拍子をとる杖で自らの足を傷つけ、これが元となり2か月後に亡くな りました)を中心とする選曲が見逃せません。華やかな金管の吹奏で始まる冒頭部(少し後にシャルパンティエも同種の傑作でこの手法を踏 襲しています)が印象的なこの作品の演奏に際し、フュジェはその頃の習慣を踏まえてルイ14世の入場を暗示するティンパニとトランペットを 使った当時の祝典音楽でアルバムを開始。レザ―ル・フロリサンやレ・タラン・リリクなど古楽シーン最前線の楽団を支えてきた名手マリー=ア ンジュ・プティの鮮烈な撥捌き、野趣と気高さを兼ね備えたマドゥーフ兄弟らのナチュラル・トランペットの吹奏が導くリュリ作品の解釈は緩急自 在、後続の詩篇第19篇と共に細部まで深い味わいをよく引き出してやみません。総勢50に上る合唱はヴェルサイユ・バロック音楽センター の合唱団に加え、フュジェの楽団レゼポペーのソリストたちが小合唱を構成。こちらもクレール・ルフィリアトルやシリル・オヴィティなど実力派が 揃い、24人の弦楽器奏者に多くの管楽器奏者と鍵盤・撥弦各2名が加わる器楽勢と共に、いかなる局面でも精緻な音作りで自発性豊 かな演奏を聴かせてくれます。
CVS-118
(DVD+Bluray)
NX-D09
モンテヴェルディ:歌劇「ポッペーアの戴冠」 ポッペーア…エルサ・ブノワ(S)
ネローネ…ジェイク・アルディッティ(C.T)
オッターヴィア、ヴィルトゥ(美徳)…アンブロワジーヌ・ブレ(Ms)
オットーネ…イェスティン・デイヴィス(C.T)
セネカ…アレックス・ローゼン(Bs)
アルナルタ、乳母、近親者1…スチュワート・ジャクソン(T)
フォルトゥーナ(幸運)、ドゥルジッラ…マヤ・ケラニ
アモーレ(愛)、ヴァレット…ジュリー・ロゼ(S)
ルカーノ、兵士1、近親者2…ローレンス・キルスビー(T)
リベルト、兵士2…リカルド・ロメオ(T)
リットーレ、近親者3…ヤニ・フランソワ(Bs-Br)
カペラ・メディテラネア(古楽器使用)
レオナルド・ガルシア・アラルコン(指)
テッド・ハフマン(演出)

収録:2023年1月28、29日 ヴェルサイユ宮殿王室歌劇場
収録時間:224分
DVD/Blu-ray(同内容)共通
片面二層ディスク、Dolby Digital2.0、NTSC、All Regions
字幕…日本語、仏語、英語、独語
※解説(日本語、仏語、英語、独語)、  歌詞(オリジナル伊語、日本語・仏語・英語・独語訳)入り
200ページを超えるフルカラー・ブックレット付属
日本語字幕、解説・歌詞翻訳…岡田Victoria朋子
2022年のエクサン・プロヴァンス音楽祭で上演され高い評価を得た、テッド・ハフマン演出、レオナルド・ガルシア・アラルコン指揮による「ポッペーアの戴冠」。そのプロダクション をヴェルサイユ宮殿王室歌劇場で収録した映像作品が登場しました。皇帝ネローネ(ネロ)を誘惑し強大な権力を我が物にする妖婦ポッペーアに、近年古楽ばかりでなく古 典派からマーラーまで幅広いレパートリーで躍進するエルサ・ブノワ、ネローネ役にはバロック・歌劇を中心に幅広い活動をしながら現代音楽にも定評のあるジェイク・アルディッ ティ、ネローネの皇后として夫の横暴に抗うべく策略を巡らすオッターヴィアに、安定した技術と卓越した演技力で古楽界に信頼の篤いアンブロワジーヌ・ブレという万全の布 陣。現在残る楽譜に楽器指定のないアンサンブルは、アマンディーヌ・ソラノとステファニー・ド・ファイー2人のヴァイオリンとコルネット2(うち一人は世界的名手ドロン・シャーウィ ン)、リコーダー2にコントラバスという編成に加え、通奏低音はマルゴー・ブランシャールほかヴィオラ・ダ・ガンバ2、キート・ガートほか3人の撥弦楽器にチェンバロとオルガンが加 わる強力なものとなっており、アラルコンの指揮のもと、カペラ・メディテラネアらしい熱い演奏で物語を盛り立てています。演出のハフマンは、バロックから現代までの幅広い歌劇 で現代社会と交錯させるなど、先鋭的でありながら説得力のある演出で定評のあるアメリカの演出家。ロシアによるウクライナ侵攻などの社会問題を鏡のように映し出し、観 るものの道徳的価値観に直接疑問を投げかける見事な舞台となっています。
CVS-121(2CD)
NX-E05
デュヴァル嬢:歌劇「精霊たち、または恋の諸相」 リュシル、ザイール、イスメニド、フロリス…マリー・ペルボスト(S)
恋の神アムール、ザミード、風の精(女)…フロリー・ヴァリケット(S)
ニンフたちの代表者、ピルカリード…アンナ・レノルド(Ms)
レアンドル…エティエンヌ・ド・ベナゼ(T)
インド人、風の精(男)…パコ・ガルシア(T)
ゾロアストル、ニュマピール…ギレム・ヴォルムス(Bs-Br)
ゼルバン、アドルフ…マチュー・ヴァレンジク(Br)
アフリカ人、ニンフ…セシル・アシル(S)
アンサンブル・イル・カラヴァッジョ(古楽器使用)
カミーユ・ドラフォルジュ(指揮・クラヴサン〔=チェンバロ〕)
ヴェルサイユ王室歌劇場cho

録音:2023年3月8日 ヴェルサイユ宮殿「十字軍の間」
「イポリートとアリシ」(1733)と「優雅なインドの国々」(1735/36)でラモーが新たな時代の寵児となりつつあったパリのオペラ座で、1736年 に初演された女性作曲家デュヴァル嬢の「精霊たち、または恋の諸相」全曲録音。才能豊かな女性が多かった17〜18世紀のフランスに あってもオペラの作曲は圧倒的に男性優位で、パリの王立音楽アカデミー歌劇場(オペラ座)で女性作曲家の作品が扱われたのは1694年 のジャケ・ド・ラ・ゲル「セファルとプロクリス」(本盤と同じレーベルからの世界初全曲録音〔CVS119〕参照)が初、それ以降デュヴァル嬢の作 品まで40年以上も全く例がなく、1784年にボーメニル嬢の新作がこれに続いたきりフランス革命までは女性作曲家のオペラは一切披露さ れませんでした。作曲者デュヴァル嬢は高位聖職者とオペラ座の舞踏家の間に生まれた婚外子で、1730年にオペラ座の合唱団員になった ものの翌年とある不祥事に巻き込まれ離職。数年パリから離れた後、実父の後援で「精霊たち」の初演が実現、当人も鍵盤奏者として参 画しました。やや保守的ながらイタリア流の歌謡性にも事欠かない作風は当時こそ人気につながらなかったものの、21世紀フランスのすぐれ た古楽演奏家たちによるみずみずしい解釈は、様々な精霊が多様な恋物語を繰り広げる作品の味わいを十全に引き出し魅力が尽きませ ん。ペルボスト、ヴァリケット、レノルドら上り調子の歌手たちが聴かせる歌唱が紡ぎ出すバロック音楽劇を、古楽器それぞれの音色美とスリリ ングなアンサンブルが魅力的なアンサンブル・イル・カラヴァッジョの充実オーケストラが支え、多数の舞曲トラックも起伏豊かに楽しませてくれま す。
CVS-122(2CD)
NX-E05
モンドンヴィル:英雄舞踏劇「パルナス山の謝肉祭」(序幕と全3幕) フロリーヌ、タリー…グヴェンドリーヌ・ブロンデール(S)
リコリス…エレーヌ・ギユメット(S)
クラリス、ユーテルプ、テルプシコールの侍女、老女…ハスナア・ベナニ(S)
羊飼い、アポロン…マティアス・ヴィダル(T)
モミュス…ダヴィド・ヴィチャク(Br)
ドラント、ユーテルプの従者、テルプシコールの従者…アドリアン・フルネゾン(Bs)
ナミュール室内cho
レザンバサドゥール=ラ・グランド・エキュリー(古楽器使用)
ヨアン・ムーラン(クラヴサン〔チェンバロ〕)
アレクシス・コセンコ(指)

録音:2023年3月 ナミュール(ベルギー南部ワロニー地方)
既に数多くのグラン・モテ(管弦楽付き教会声楽曲)や舞台音楽が録音されてきたモンドンヴィルは、巨匠ラモーと共にフランス王ルイ15世の 公妾ポンパドゥール夫人の愛顧を受けた18世紀中盤の人気作曲家。「パルナス山の謝肉祭」はラモーと共に彼の名声も絶頂に達しつつ あった1749年に初演されて大成功を収め、その後も1759年と1767年、そして作曲家歿後の1774年にもリヴァイヴァルされた金字塔的 傑作。ニケやヴァシュヘーギら古楽シーンの俊才たちも折に触れ名場面をとりあげ録音もしていますが、全曲通しての録音はこれが初となりま す。26人の弦楽器奏者に対しフルート、オーボエ、バスーンをそれぞれ4人ずつ起用、一対のホルンとティンパニ、パイプ&テイバーが加わる 充実編成。これを率いメロディアスで精彩に富んだ作品美を十全に引き出すのは、近年バロックから初期ロマン派まで広範なレパートリーの 古楽器演奏で話題を呼んでいる指揮者アレクシス・コセンコ!ブロンデール、ギユメット、ヴィダルら今を時めく欧州歌劇界の名歌手たちと共 に、羊飼いたちが暮らす理想郷で少女リコリスへ思いを寄せる太陽神アポロンを巡る物語を起伏豊かに現代に蘇らせます。「英雄舞踏劇」 と銘打たれている通り、躍動感に富んだ舞曲ナンバーが多い点も魅力の一つ。モンドンヴィル随一の自然でメロディアスな音運びを通じ、古 典派前夜の流麗な音楽を抜群の古楽器オーケストラと名歌唱で堪能できる録音です。
CVS-123(3CD)
NX-E10
ヘンデル:歌劇「インドの王ポーロ」 ポーロ…クリストファー・ローリー(C.T)
クレオフィーデ…ルシア・マルティン・カルトン(S)
アレッサンドロ…マルコ・アンジョローニ(T)
エリセーナ…ジュゼッピーナ・ブリデッリ(Ms)
ガンダルテ…ポール=アントワーヌ・ベノス=ディアン(C.T)
ティマジェーネ…アレッサンドロ・ラヴァジオ(Bs)
イル・グロヴィリオ(古楽器使用)
ノラ・ダルガザンティ(チェンバロ、オルガン)
マルコ・アンジョローニ(指)

録音:2023年3月20-26日 ヴェルサイユ宮殿「十字軍の間」
1731年2月、数々の商売敵たちと共にロンドン歌劇界を賑わせていたヘンデルの「ポーロ」は王立歌劇場で初演されて成功を収め、その後 も再演の機会がロンドン内外でたびたびありました。台本は当時の歌劇台本詩人の最高峰メタスタージオが、ナポリの名匠レオナルド・ヴィン チのため2年前に用意した「インドのアレッサンドロ」を転用して作られたもの。インドを征服したアレッサンドロ(アレクサンドロス大王)に結婚を 迫られる王妃クレオフィーデが、平服の戦士に扮し処刑を免れた夫王ポーロと共に生きる術を探り、万策尽きたところでアレッサンドロの寛大 さに救われる…という全3幕を、名歌手マルコ・アンジョローニが自らアレッサンドロを演じつつ指揮。伝統あるゲッティンゲン・ヘンデル音楽祭 でも活躍が目立つクリストファー・ローリー、躍進めざましいスペイン出身のルシア・マルティン=カルトンやジュゼッピーナ・ブリデッリらの女声勢 など頼もしい歌手陣と共に、自ら2018年に結成したイル・グロヴィリオの俊才勢と作品美をよく捉えた解釈で楽しませてくれます。「ポーロ」全 曲録音はビオンディ指揮による2000年の録音と、2006年のゲッティンゲン・ヘンデル音楽祭でのコンラート・ユングヘーネル指揮による録音 以来。2020年代にふさわしい充実の新録音を、ヴェルサイユ宮殿の「十字軍の間」という歴史的空間の響きで味わえる待望のリリースで す。
CVS-126(3CD)
NX-E02
リュリ:歌劇「アティス」(全曲 アティス…レイナウト・ファン・メヘレン(T)
フロール…マリー・リス(S)
シベール…アンブロワジーヌ・ブレ(Ms)
セレニュス…フィリップ・エステーフ(Br)
イダス…ロマン・ボクレール(Bs)
ドリス、イリス、三重唱…グヴェンドリーヌ・ブロンデール(S)
サンガル川の神、フォベトル、時の神…オリヴィエ・チェザリニ(Br)
眠りの神、西風の精、三重唱…キーラン・ホワイト(T)
モルフェ…ニック・プリッチャード(T)
ファンターズ…アントナン・ロンドピエール(T)
メリス、メルポメーヌ、三重唱…アポリーヌ・ライ=ヴェストファル(S)
無残な夢の精…ヴラド・クロスマン(Bs)
レ・タラン・リリク(古楽器使用)
ナミュール室内cho
クリストフ・ルセ(クラヴサン〔チェンバロ〕、指揮)

録音:2023年7月12-14日 ヴェルサイユ宮殿王室歌劇場
イタリアからもたらされたオペラという新しい舞台芸術に触発され、フランス語の台本を朗唱しながら舞踏や独唱歌を交えつつ一大悲劇を描 きあげてゆく抒情悲劇という形式を確立、フランス歌劇史の扉を開いたジャン=バティスト・リュリ。太陽王ルイ14世の王室音楽総監督とし て、彼はこの形式で王室のための新作を続々と披露しましたが、その中でもとくに太陽王の気に入り「王のオペラ」として後代まで再演された のが、1676年に初演された「アティス」でした。女神シベールの恋慕を逃れ川の妖精サンガリードとの仲を深めたアティスが、女神の怒りで樹 木に変えられてしまう悲恋の物語。20世紀のバロック・オペラ復権の流れの中、ウィリアム・クリスティ指揮レザ―ル・フロリサンが決定的成功 を収めた演目でもありますが、それ以降の音楽学研究の進展を経た21世紀の新録音として、近年リュリ作品の演奏で絶大な成果をあげて いるクリストフ・ルセ&レ・タラン・リリクの解釈がヴェルサイユ宮殿のレーベルChateau de Versaillesから登場。近年ますます活躍の場を広 げているレイナウト・ファン・メヘレンを表題役に、濃やかな歌唱で緻密な心情描写を聴かせる名歌手たちの至芸がルセ随一のコントロール で、一貫性と一体感に満ちた演奏へ昇華されてゆく希代の名演に仕上がりました。自身もアンサンブル指揮者であるコルネール・ブロンデット とルセが2台の鍵盤楽器に向かい、バス・ド・ヴィオロンのエマニュエル・ジャック、ヴィオールのミリアム・リニョルなど充実の通奏低音陣はじめオー ケストラにも経験豊かな名手が続々。バロック・オペラ録音史に新たなページを飾るリリースと言ってよいでしょう。
CVS-128(2CD)
NX-E05
アンドレ・カルディナル・デトゥーシュ:音楽悲劇「テレマークとカリプソ」 カリプソ…イザベル・ドリュエ(Ms)
テレマーク…アントナン・ロンドピエール(T)
アンティオープまたはユカリス…エマニュエル・ド・ネグリ(S)
アドラスト…ダヴィド・ヴィチャク(Br)
恋の神、クレオーヌ、海神ネプテュルヌの巫女、水の精、船乗り女…ハスナア・ベナニ(S)
アポロン、イダス…アドリアン・フルネゾン(Bs)
軍神ミネルヴ、恋の神の巫女長…マリーヌ・ラフダル=フラン(S)
アルカス、諸芸神たちの代表、喜びの寓意…ダヴィド・トリクー(オートコントル)
海神ネプテュルヌの祭司長…コラン・イゾワール(T)
ヴェルサイユ・バロック音楽センターcho
レゾンブル(古楽器使用)
コンサートマスター:バンジャマン・シェニエ(Vn)
ブリス・サイー(クラヴサン〔=チェンバロ〕)
シルヴァン・サルトル、マルゴー・ブランシャール(指)

録音:2023年10月2-4日 ジャン=バティスト・リュリ音楽院オーディトリアム、
 ピュトー(パリ郊外)
ヴィヴァルディやヘンデルが注目を集め始めた頃、1714年11月にパリの王室音楽アカデミー劇場(オペラ座)で初演された「テレマークとカリプ ソ」は、翌年9月に亡くなることになる老王ルイ14世が最晩期に賞賛した人気作曲家デトゥーシュの充実作。前年にオペラ座の総監査役を 任された彼は、王が愛した往年の大家リュリを彷彿とさせる活躍を劇音楽の世界で見せていました。古代ギリシャの英雄叙事詩『オデュッセ イアー』に取材した、オデュッセウスの息子テレマーク(テレマコス)が父を探しにゆく途中で海難の末たどりついた島での顛末を描いた序幕付き 全5幕の構成も、まさしくリュリの伝統を受け継ぐ正統派。全編を通じて合唱を効果的に用いつつ、いたるところに舞曲をふんだんに盛り込み ながら、フランス語の韻律をイタリア流の歌心に沿わせるデトゥーシュの確かな作曲手腕が活きています。小ぶりのアンサンブルで驚くほど雄弁 な音楽を織り上げてゆくのは、フランスのバロック・オペラ界で目覚ましい活躍を続ける才人集団レゾンブル!表題役のドリュエとロンドピエール を筆頭に、さまざまな役柄をこなすハスナア・ベナニや女主人公を演じるエマニュエル・ド・ネグリら独唱者には存在感ある歌手が揃い、名手 揃いの器楽合奏(弦楽合奏にはレ・タンブルの名手・川久保洋子も参加)と緊密なアンサンブルを通じて正統派のフランス・バロック劇音楽 世界を描き出します。再評価目覚ましいデトゥーシュの真髄に触れられる、本場ヴェルサイユ発の頼もしい全曲録音です。
CVS-138
ヴィヴァルディ:『四季』、 オーボエ協奏曲
協奏曲集『四季』〜『和声と創意への試み』Op.8より
ヴァイオリン協奏曲 ホ長調「春」Op.8-1/RV 269
ヴァイオリン協奏曲 ト短調「夏」Op.8-2/RV 315
ヴァイオリン協奏曲 ヘ長調「秋」Op.8-3/RV 293
ヴァイオリン協奏曲 ヘ短調「冬」Op.8-1/RV 297
オーボエ協奏曲 ハ長調 RV450
ヴェルサイユ王室歌劇場O(古楽器使用)
ステファン・プレヴニャク(Vn、指)
ミハエラ・フラバーンコヴァー(Ob)

録音:2023年7月14-16日 ヴェルサイユ宮殿王室歌劇場
ずば抜けたヴァイオリン演奏能力と作曲センスを誇り、聖職者でありながら礼拝よりも音楽活動で国際的に注目を集め「赤毛の司祭」の綽 名とともに音楽史の1ページを飾ったヴェネツィアの作曲家ヴィヴァルディ。生前からその人気はパリにも及んでおり、20世紀に彼の名が再び 有名になるきっかけとなった傑作曲集『四季』は特に大きな関心を集めたばかりか、「春」に至っては作曲者の歿後何十年も公に演奏され 続けたほどでした。そうしたヴィヴァルディ受容を語る上で見過ごせないフランスの古楽シーン最前線を代表する拠点のひとつヴェルサイユ宮殿 から古楽器オーケストラによる『四季』最新録音が登場。近年オペラ上演でも活況をみせている王室歌劇場を舞台に、知られざる18世紀 以前のオペラの指揮でも実績をあげつつヴィヴァルディの「パリ協奏曲集」(CVS065)やハイドンの「朝・昼・晩」(CVS094)など器楽録音で も注目を集めているステファン・プレヴニャクを中心に、フランス、ポーランド、チェコなど欧州各地から俊才が集うヴェルサイユ王室歌劇場管弦 楽団が、傑作の内から湧き上がる興奮を絶妙の一体感の中で鮮やかにドライヴしてゆく精緻な解釈がたまりません。劇音楽の指揮経験が 如実にあらわれるプレヴニャクの芸達者ぶりと妙技にも目を見張るばかり。ヨーロッパ最前線の古楽器演奏の面白さを隅々まで堪能できる 『四季』に加え、浮き立つ愉悦と躍動感に貫かれたオーボエ協奏曲ではチェコの俊才ミハエラ・フラバーンコヴァーがバロック楽器の美音とニュア ンスの豊かさを存分に楽しませてくれます。
CVS-143(2CD)
NX-E05
チマローザ:歌劇「オリンピーアデ」 クリステーネ…ジョシュ・ロヴェル(T)
アリステア…ロシオ・ぺレス(S)
リチーダ…マティルデ・オルトシャイト(Ms)
メガクレ…マイテ・ボーモン(Ms)
アルジェーネ…マリー・リ(S)
アミンタ…アレックス・バンフィールド(T)
レ・タラン・リリク(古楽器使用)
クリストフ・ルセ(フォルテピアノ、指揮)

録音:2023年12月18-22日 サル・コロンヌ、パリ
古典派時代のナポリ楽派を代表する大御所チマローザはサリエリより1歳年上で、同じ1740年代生まれのパイジェッロやハイドン世代のピッ チンニらと共に活躍しました。19世紀以降も根強く愛された彼のオペラは20世紀以来イタリアのライヴ収録を中心に数多く全曲録音され、 今世紀に入っても山田高誌氏による史料研究など日本含め世界で研究も進んでいますが、古楽器による全曲録音はきわめて貴重。バ ロックから古典派にかけての重要なイタリア・オペラ作曲家たちの復権に尽力するクリストフ・ルセ率いるレ・タラン・リリクは今回、チマローザの キャリア躍進期に巨匠メタスタージオの有名台本を用いて作曲されたオペラ・セリア「オリンピーアデ」を全曲収録、その類稀なるメロディセンス と絶妙なドラマ展開の魅力を18世紀当時の魅力そのままに伝えます。古代のオリンピア祭をめぐる男たちの友情と一人の女性をめぐる恋の 物語を扱った同作の台本は、他にもヴィヴァルディやミスリヴェチェクなど多くの作曲家による作例がありますが、1784年に北イタリアのヴィチェ ンツァで初演されたチマローザの作品はロンドンやミラノ、ヴェネツィア、リスボン、トリノなど当時の欧州屈指の歌劇の本場で続々とりあげられ、 遠くロシア皇室に及ぶ彼の名声拡大に寄与した名作。ルセの元に集まった実力派たちによる古楽器オーケストラの響きで聴けば、ハイドンや モーツァルトら同時代の名匠たちに全くひけを取らない作曲者の個性を強く実感できることでしょう。チマローザ再評価に資する注目のリリース です。

CVS-700
「ヴェルサイユ宮殿の大噴水」〜王宮の祝祭音楽
1.リュリ:『フェアトン』 序曲
2.フィリドール:笛と太鼓のための行進曲
3.ド・ラランド:われ御身をたたえまつらん
4.リュリ:『主は汝の声を聞き』より 「信頼する主よ、統べたまえ」
5.同 「父と子に光栄あれ」
6.カヴァッリ:『1660年のミサ』より ファンファーレとタンブール
7.同 キリエ
8.シャルパンティエ:『花咲ける芸術』より ヴィオールのエール
9-10.同 「なんというひどい騒音」〜 憤怒の鬼たちのアントレ
14.リュリ:『フェアトン』より シャコンヌ
15.同 「歌い続けよう、途切れることなく」
16.同 ルール風エール
17.ビーバー:『ザルツブルク・ミサ』より キリエ
18.リュリ:『テ・デウム』より 「われ御身に依り頼みたり」
19-23.カンプラ:『優雅なヨーロッパ』 第4部「トルコ」より
24.ヘンデル:『ジョージII世戴冠式アンセム』より トランペット・ファンファーレと太鼓の行進
25.同 「司祭ザドク」
26.ルソー:『村の占い師』より 「もう決して、コラン」
27.同 アルマンド
28.同 「木陰で踊りましょう」
29.ブランシャール:『テ・デウム』より 「わたしたちは、神であるあなたを讃えます」
30.ブラモン:『テ・デウム』より 「聖なるかな、万軍の主なる神であらせられるかた」
31.同 「あなたにこそ、主よ、わたしの願いをかけます」
ヴァンサン・デュメストル &
ル・ポエム・アルモニーク…1、14-16
ガエタン・ジャリ&マルグリット・ルイーズ…2-5、8-13
バンジャマン・シェニエ &ガリレイ・コンソート…6、7
ヴァーツラフ・ルクス &コレギウム1704…17、18
セバスティアン・デラン &レ・ヌーヴォー・キャラクテール…19-23、26-28
ロバート・キング &キングス・コンソート…24、25
ダニエル・キュイエ &マルグリット・ルイーズ、ストラディヴァリア…29-31
ヴェルサイユ宮殿の文化催事プロジェクト・チームが手がけるChateau de Versailles Spectacles(シャトー・ド・ヴェルサイユ・スペクタクル) による、大噴水ショーをイメージしたアルバム。ヴェルサイユ宮殿の大噴水を贅沢に使用したショーは、かつての宮廷人たちが親しんだイベント を現代に受け継いでいるもので、今でも多くの観光客を楽しませています。このイベントで使用される曲を中心に、レーベルが持つ音源からフ ランス・バロックの祝祭音楽などを集めた壮麗なアルバムがこちら。中には、現時点で未リリースの「太陽王のためのミサ」(2019年6月リリース 予定)や、PAL DVDのため日本未発売の「リュリ:フェアトン」、「リュリ:テ・デウム/ビーバー:ザルツブルク・ミサ」、「ヘンデル:ジョージII 世戴冠式」の音源が収められているのもの嬉しいところです。 【ヴェルサイユ宮殿大噴水ショーのイメージ・アルバム】

CVS-0131(DVD)
NX-D09
ヘンデル:オラトリオ『メサイア』 サンドリーヌ・ピオー(S)
アンテア・ピシャニク(Ms)
クレシミル・シュピツェル(T)
ボジダル・スミリャニチ(バス=バリトン)
ル・コンセール・スピリチュエル(古楽器使用/首席ヴァイオリン:アリス・ピエロ)
エルヴェ・ニケ(指)
ニケでヘンデルといえば、ロンドンのヴィクトリア&アルバート・ホールで収録された『水上の音楽』の映像もよく知られているところ。オペラの録音 ではどれ一つとってもドラマティックな躍動感を徹頭徹尾感じさせる充実演奏を聴かせてきたニケだけに、ほかでもない『メサイア』をこれほど意 気込みを感じさせる映像で刻んでくれたのは嬉しい限り。『メサイア』の抽象的な台本を貫く物語性に着目、これを「救世主イエスの人生を 伝える物語にもとづく、オペラのような音楽」と表現するニケは、かつてホグウッドが録音し話題を呼んだ1754年捨子養育院版を採用、起伏 に富んだ筋書の躍動感を浮き彫りにしてゆきます。「ハレルヤ」の部分では18世紀当時流そのままの指孔なしナチュラルトランペットを吹く名 手マドゥーフが活躍、首席奏者はAlphaレーベルでのビーバー『ロザリオのソナタ集』の名録音で知られるアリス・ピエロ、オーボエにはアンサン ブル・アマリリスのガイヤール……と器楽陣営の充実度にも目を見張ります。目と耳を興奮させてやまない「21世紀のニケ」ならではの映像、 じっくり見届けたいリリースです。 リュリ、シャルパンティエ、ジルといった17世紀フランス宮廷の合唱曲を数多く手がけ、バロック・オペラの上演でも注目すべき成果をあげてきた 一方、近年ではフランスやベルギーの実力派オーケストラの指揮台に立ち、ベルリオーズやサン=サーンスなど19世紀フランスのレパートリーで も録音・実演とも実績を重ねている古楽系指揮者エルヴェ・ニケ。フランス最前線を走り続けるこの異能の指揮者が、満を持してヴェルサイ ユ宮殿の旧王室礼拝堂でヘンデルの傑作を収録。ソリスト級の古楽器奏者が数多く集うル・コンセール・スピリチュエルの演奏シーンととも に、スリリングな人間物語としての『メサイア』を世に問います。


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