湧々堂HOME 新譜速報: 交響曲 管弦楽曲 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 オペラ バロック 廉価盤 シリーズもの マニア向け  
殿堂入り:交響曲 管弦楽 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 オペラ バロック SALE!! レーベル・カタログ チャイ5



NEOS
(ドイツ)


元「col legno」のオーナー兼レーベル・マネージャーであったヴルフ・ヴァインマンによって2007年に設立されたドイツの現代音楽専門レーベル、「NEOS」(ネオス/ギリシャ語で『新しい』という意味)。
20世紀から21世紀の作曲家に焦点を当てたプログラムは、その多くが世界初録音となり、高い芸術性と編集のクオリティを実現するために、演奏家の選定に大きな価値を置き、著名なアンサンブルと文化機関とのみコラボレーションを行っています。


 ※単価が¥0と表示されるアイテムは廃盤です。

※表示価格は全て税込み。品番結尾に特に表記のないものは全て1CDです。
品番 内容 演奏者
NEOS-10701
ミナス・ボルボウダキス(1974-):ピアノ作品集
メタル・メカニクスI(2006)
ツィクロイデンI(2006)
メタル・メカニクスII(2006)
パリドロミア(2004)
メタル・メカニクスIII(2006)
6つのの思考(2002/3)
メタル・メカニクスIV(2006)
カタルシス(2002)
メタル・メカニクスV(2006)
1945・過去の残響(1995)
メタル・メカニクスI(2006)
ミナス・ボルボウダキス(P/テープ)

録音:2005年-2006年
※全曲世界初録音
NEOS-10702
ニコラウス・ブラス(1949-):管弦楽作品集Vol.1
エコーの構造(32声と管弦楽の為の)(2002)*
空間II(ピアノ、サクソフォン,打楽器と管弦楽の為の)(2001)#
ルッペルト・フーバー(指)SWRシュトゥットガルトRSO*
ヴォーカル・アンサンブル*
ベンヤミン・コブラー(P;#)
ザーシャ・アルムブルスター(Sax;#)
パスカル・ポンス(Perc;#)
ローラント・クルティヒ(指)ベルリンRSO#

録音:2003年*/2006年#
NEOS-10703(2CD)
ジョン・ケージ:ピアノの為の音楽 1-84
ピアノの為の音楽1(1952)
ピアノの為の音楽2(1953)
ピアノの為の音楽3(1953)
ピアノの為の音楽4-19(1953)
ピアノの為の音楽20(1953)
ピアノの為の音楽21-36(1955)
ピアノの為の音楽37-52(1955)
ピアノの為の音楽53-68(1956)
ピアノの為の音楽69-84(1956)
ザビーネ・リープナー(P)

録音:2003年
NEOS-10705
ムジカ・ヴィヴァ・ミュンヘンVol.15〜
ムジカ・ヴィヴァ 1989 / 2006 より

ペーテル・エートヴェシュ(1944-):カプ=コ(アコースティック・ピアノ、
キーボードと管弦楽の為の協奏曲)(2005)*
ベルント・アロイス・ツィンマーマン(1918-1970):ヴァイオリン協奏曲(1950)#
マルティン・スモルカ(1959-):ウォールデン、星の蒸留酒製造業者
(H.D.ソローの詩による混声合唱と
打楽器の為の5つの小品)(2000)+
ペーテル・エートヴェシュ(指)
バイエルンRSO(*/#)
ピエール・ロラン・エマール(P/Kb;*)
マルティン・ムメルター(Vn;#)
ヴォルフラム・ヴィンケル(Prec;+)
バイエルン放送cho+

録音:1989年、2006年
※*は世界初演時ライヴ
NEOS-10706
エールハルト・グロスコップ(1934-):弦楽四重奏曲集
[第1番(1983)/第2番(1990)/第3番(1997/8)]
アルディッティSQ

録音:2001年
NEOS-10707
クセナキス:鍵盤楽器の為の音楽〜
コンピュータ制御によるピアノ
およびチェンバロの為の作品集

ヘルマ〜ピアノの為の(1961)
ミスツ(霧)〜ピアノの為の(1981)
コアイ〜チェンバロの為の(1976)
エヴリアリ〜ピアノの為の(1973)
ナーマ〜チェンバロの為の(1984)
ダニエル・グロスマン(MIDIプログラミング)

制作:2005-2008年
NEOS-10708
ザルツブルク音楽祭2004
ジェルジ・クルターク(1926-):R.V.トルソワ女史のメッセージ
(ソプラノと室内アンサンブルの為の
21の歌)(1976/1980)*
イェルク・ヴィトマン(1973-): ...umdDstert...
(室内アンサンブルの為の)(1999/2000)
オーストリー
現代音楽アンサンブル
クラウディア・バラインスキー(S)*
リューディガー・ボーン(指)*

録音:2004年 ザルツブルク音楽祭ライヴ
NEOS-10709
シェーンベルク:月に憑かれたピエロOp.21
(マリア・バプティストによるジャズの間奏曲付き)
ベリオ:フォーク・ソング
ステラ・ドウフェクシス(Ms)
コンスタンティア・ゴウルツィ(指)
オーパス21ムジークプルス
マリア・バプティスト(P)
NEOS-10710(1SACD)
ムジカ・ヴィヴァ・ミュンヘンVol.16
マティアス・シュパーリンガー(1944-):7台のピアノの為の「早朝の色」
ジェイムズ・エイヴリー(指)
アンサンブル・サープラス
NEOS-10711(1SACD)
ラディスラフ・クビーク(1946-):作品集
ジバゴの歌*/短い協奏曲#
シンフォニエッタ第2番「ヤコブの壁」+
エイドリアン・トンプソン(T)*
ロナルド・ゾルマン(指)*
チェコPO*
ヨアンナ・ソブコフスカ(P;#)
ヴラディーミル・ヴァーレク(指)(#/+)
プラハRSO(#/+)

録音:2006年11月ライヴ*、2001年6月(#/+)
NEOS-10712(1SACD)
クラウス・オスパルト(1956-):チャッピーナ変奏曲
〜アンサンブルの為の(2001)*
ヴァイオリン協奏曲(2003/2004)#
ぺーター・ヒルシュ(指)
チューリヒ・コレギウム・ノヴム
ベッティナ・ボラー(Vn;#)

録音:2007年*、2006年#
NEOS-10713(1SACD)
ダン・デデュ(1976-):ピアノ作品集
「牧歌とゲリラ」〜四手の為の(1998)*
「バッタ」〜左手の為のそして・・・(2006)
ピアノ曲集「レヴァンティック」〜ノスタルジックな動物/トランシルヴァニアの風/ボゴミル派のロックン・ロール
ピアノ・ソナタ第4番(1996)
神秘的なバリケード=リローデッド(2006)
ダン・デデュ(P)
ヴァレンティナ・サンドゥ=デデュ(P;*)

録音:2007年
NEOS-10714
チャールズ・ウゾー(1961-):作品集
私は決して歌ったことのない秘密の歌を歌うだろう*
弦楽四重奏とテープの為の「シェイクスピアのソネット第61」#
ギター四重奏の為の「私の健康を取り戻させる惠みは…ただ見て」+
ヴォルフガング・マイヤー(Cl;*)
カルミナSQ(*/#)
クワジ・ファンタジア・ギター・アンサンブル+
NEOS-10715(1SACD)
ロベルト・HP.プラッツ(1951-):ピアノ作品集
ピアノ曲第1番「道」(1981)
ピアノ曲第2番(1984)*
ピアノ曲第3番(1988)
ピアノ曲第4番「〜の上」(1997/98)
ピアノ曲第5番「帆の下」(2007)
ロルフ・ハインド(P)
SWR実験スタジオ(テープ;*)

録音:2007年
NEOS-10716
細川俊夫:独奏楽器のための協奏曲集Vol.1
ヴァイオリン協奏曲「ランドスケープV」(1993)*、フルート協奏曲「ペル・ソナーレ」(1988)**
ピアノ協奏曲「海へ」(1999)〜サクソフォン協奏曲に基づく#
ロベルト・HP・プラッツ(指)
ベルリン・ドイツSO、
アルヴィン・アルディッティ(Vn)*
グンヒルト・オット(Fl)**、
SWRバーデン=バーデン・フライブルクSO**
ベルンハルト・ヴァムバッハ(P)#、
NDR放送フィルハーモニー#

録音:1997年、1999年**、2001年#
ザルツブルク音楽祭でゲルギエフにより初演された《循環する海》が話題になるなど、近年、ますます独自の境地に至っている細川のもっとも力の漲っていた1980年代から90年代の重要なオーケストラ作品をアルディッティ、HPプラッツら名手の演奏で聴けるとはなんという幸せ!師匠イサン・ユンゆずりの息の長い、これでもか!これでもか〜!と言わんばかりにひっぱりまくる独奏楽器の旋律とオーケストラの鮮烈な音の持続。フルート協奏曲《ペル・ソナーレ》では一曲のなかで奏者が仮面を付け替えるようにピッコロ、フルート、アルト・フルートを持ち替え、尺八にも似た激しい情念の炎を燃やします。オーケストラは雅楽の笙にも似た清冽な音の大河を奏で、あたかも大自然のなかで行われている神聖な儀式を見ているようです。彼が世界中で武満徹の最有力後継者と目されているのも頷けます。ライヴ・レコーディングではなく、じっくりと腰を据えて録音された本CDは音質もよく、迫力満点。オーディオ・ファンにも強くアピールする内容です。
NEOS-10717(2CD)
ヴォルフガング・リーム:ピアノ作品集
◆1970年代の作品
ピアノ曲[第1番/第2番/第4番/第5番「トンボー」/第6番「バガテル」]/レントラー
◆1980年代以降〜最新作まで
ピアノ曲第7番/ブラームスの愛のワルツ/調査の後/二ヶ国語/別のシート/2つの小さい振動/無言
マルクス・ベルハイム(P)

録音:2007-2008年
NEOS-10719
ステフォン・ウォルペ(1902-1972):歌曲集
アンナ・ブルーメに/アッバウの歌/抑圧された階級/労働と資本/意思第2番/女中アマリエの手紙/「暴動」か?/彼女の悲しみを知れ/小さな偉業ら/明後日の幻想曲/ホステスへの挨拶/我々は解雇された/ブレヒトによる3つの歌曲/世界の貴族たち/生活の疲れ/戦いの作品
グンナー・ブラント=
ジーグルトソン(T.Vo)
ヨハンナ・ボッセルス(P)

録音:2007年1月
NEOS-10720(1SACD)
ジョン・ケージ(1912-1992):セヴン(1988)
カルテッツI〜VIII〜24の楽器の為の(1976)
ダニエル・グロスマン(指)
ミュンヘン・ヤコプスプラッツO

録音:2007年4月、5月
NEOS-10721
ヴォルフガング・リーム:《音楽は天を穿つ》(1977/1979)*、
《書き込みについて》(1992/2003)
グラウ・シューマッハー・ピアノ・デュオ、
ペーター・ルンデル(指)ベルリン・ドイツSO*

録音:2003年*、2005年
2台ピアノと大管弦楽のための《音楽は天を穿つ》は圧倒的な音量と激しい音塊がぶつかり合うリーム中期の代表作。これとは対照的に《書き込みについて》では2台のピアノが点描的で、どこかちぐはぐな対話を繰り返します。グラウ・シューマッハー・ピアノ・デュオはアンドレアス・グラウとゲッツ・シュマッハーによるコンビで2台ピアノによる現代曲の紹介を積極的に行っています。
NEOS-10722
ムジカ・ヴィヴァ・ミュンヘンVol.17
ジャチント・シェルシ(1905-1988):管弦楽作品集

チュクルム(1963)〜大編成の弦楽オーケストラの為の*
4つの部分(1959)〜オーケストラの為の#
自然の再生(1967)〜11弦楽器の為の#
ヒムノス(1963)〜オルガンと2つのオーケストラ・グループの為の#
ハンス・ツェンダー(指)#
ペーター・ルンデル(指)*
バイエルンRSO
エリザベト・ツァヴァドケ(Org)

録音:2001年2月2日*、2006年3月3日#、ライヴ
NEOS-10723
クリスティアン・ウルフ(1934-):ピアノ作品集
Tilbury(軽二輪馬車)I〜III(1969)/
Keyboad Miscellany(鍵盤雑録)(1988-)/
ピアノ・ピース(2006)/スノードロップ(1970)
ザビーネ・リープナー(P)

録音:2007年1月-3月
NEOS-10724(1SACD)
ドナウエッシンゲン音楽祭2006Vol.1
オーレ=ヘンリク・メー(1966-):弦楽四重奏と独奏ヴァイオリンの為の「レンガー lenger 」*
サエド・ハダド(1972-):弦楽四重奏の為の「覆われた喜び」
リーム:ソプラノと弦楽四重奏の為の2つの練習曲「行為と昼」#
フリオ・エストラーダ(1943-):声と弦楽四重奏の為の「毎日」+
アルディッティSQ
オーレ=ヘンリク・メー(Vn;*)
クラロン・マクファデン(S;#)
フリオ・エストラーダ(声;+)

録音:2006年10月、世界初演ライヴ
NEOS-10725(1SACD)
ドナウエッシンゲン音楽祭2006Vol.2
ゲオルク・フリードリヒ・ハース(1953-):光と管弦楽の為の協奏曲「ヒュペリオン」*
イェルク・ヴィトマン(1973-):第2の迷宮#
ルペルト・フーバー
(練習(指);*)
ハンス・ツェンダー(指)#
バーデン=バーデン・フライブルク南西ドイツRSO

録音:2006年10月、世界初演ライヴ
NEOS-10726(1SACD)
ドナウエッシンゲン音楽祭2006Vol.3
マルティン・スモルカ(1959-):新旧の楽器の為の6楽章
「センプリーチェ(単純に)」
ヴォルフガング・ミッテラー(1958-):バロック管弦楽、合奏と電子音の為の「内部で分離されて」*
ルーカス・フィス(指)
フライブルク・バロックO
アンサンブル・ルシュルシュ
ヴォルフガング・ミッテラー
(ターンテーブル;*)
フライブルク音響芸術実験スタジオ*

録音:2006年10月、世界初演ライヴ
NEOS-10727(1SACD)
ドナウエッシンゲン音楽祭2006Vol.4
マウリシオ・カーゲル(1931-):合奏の為の笑劇「ディヴェルティメント?」
アルベルト・ポサダス(1967-):大合奏の為の「歪像」
ラインベルト・デ・レーウ(指)
シェーンベルク・アンサンブル・アムステルダム

録音:2006年10月、世界初演時ライヴ
NEOS-10801(2SACD)
ルイジ・ノーノ(1924-90):作品集

「冷たい怪物に気をつけろ」(1983)(M.カッチアーニのテキストによる2つのフルート,クラリネット、チューバ、ヴィオラ、チェロ、コントラバスとライヴ・エレクトロニクスの為の)

「死の間近な時 ポーランド日記第2番」(4人の女声、バス・フルート、チェロとライヴ・エレクトロニクスの為の)*
ノア・フレンケル、ズザーネ・オットー(A)
ロベルト・ファブリチアーニ(Fl)、エルネスト・モリナーリ(Cl)、クラウス・ブルガー(Tu)、スーザン・ナイト(Va) クリスティーネ・トイス(Vc)、ウルリヒ・シュナイダー(Cb)
ハイケ・ハイルマン*、ペトラ・ホフマン*、アレクサンドラ・ルブチャンスキー(S)*、ズサーネ・オットー(A)*、ロベルト・ファブリチアーニ(Fl)*、クリスティーネ・トイス(Vc)*、アンドレ・リシャール(指)SWR実験スタジオ(ライヴ・エレクトロニクス)*

録音:2007年1月、SWRハンス・ロスバウト・スタジオ、バーデンバーデン
NEOS-10803(1SACD)
エルンスト・ヘルムート・フランマー(1949-):管弦楽作品集
重なりあった干渉(1988-1990) *
沈黙させられた言葉!...拡大(1993-1994)#
W.F.セルゲ(Vc;*)
鈴木 優子(Perc;#)
ローター・ツァグロセク(指)*
オラフ・ヘンツォルト(指)#
SWRバーデン=バーデン・フライブルクSO(*/#)、
SWRエクスペリメンタル・スタジオ(Live Elec)*

録音:1990年*/1995年#。世界初録音
NEOS-10804(1SACD)
トーマス・フンメル(1962-):トラキラより〜失踪したオヴィッドの捜索
(2003-2006; ハイパー・リアリスティック・レコーディング〜話し手とアンサンブルの為の)
クリストフ・オギアマン
(ヴォイス・アーティスト)
ホルスト・シンフォニエッタ


録音:2005年-2006年
NEOS-10805(1SACD)
モダーン・エイジの忘れ形見
〜ヴィオラとチェロの為の二重奏曲集

オットー・ジーグル(1896-1978):デュオ・ソナタ(1945)
レベッカ・クラーク(1886-1979):ララバイとグロテスク(1916)
ヒンデミッ:デュエット(1934)
ギュンター・ラファエル(1903-1963):デュオ(1941)
ルトスワフスキ(1913-1994):ブコリキ(1952/1962)
ミヨー:ソナチネ(1959)
ジークムント・シュール(1916-1974):2つの古風な舞曲(1941-42)
ユリア・レベッカ・アドラー(Va)
トーマス・ルーゲ(Vc)

録音:2008年
NEOS-10806(1SACD)
ヘルムート・ラッヘンマン(b.1935):グラン・トルソ〜 弦楽四重奏の為の音楽(1971/76/88)
弦楽四重奏曲第3番《グリド》(2001)
弦楽四重奏曲第2番《精霊の踊り》(1989)
シュタードラーQ

録音:2007年7月,ベルリン
ラッヘンマンの弦楽四重奏曲集はKAIROSにアルディッティ四重奏団の同一カップリングがありますが、こちらは彼らより世代が若いカルテットによる清新ともいえるラッヘンマン。アルディッティの緊迫した音楽作り(作品自体が緊張を強いるので当然なのだが)と比べるとこちらは既にラッヘンマンを現代の古典とみなし、その演奏には余裕が感じられます。弦楽四重奏曲第2番《グリド》では作曲者自身の円熟も相俟って軋む音の彼方に豊かな抒情が拡がります。
NEOS-10809
クラウス・フーバー(1924b):「卑しめられ-束縛され-捨て去られ-軽蔑され・・・」 マティアス・バーメルト(指)、
ケネス・ジーン(副指揮)、
ブルクハルト・レンペ(副指揮)、
アルトゥーロ・タマヨ(副指揮)、
SWRバーデンバーデン・フライブルクSO、
スコラ・カントゥルム・シュトゥットガルト、
SWRシュトゥットガルト声楽アンサンブル、
アンネ・ヘーネン(MS)、
テオフィル・マイアー(T、語り)、
ポウル・ヨーダー(Bs)、テルツ少年choのソリスト

録音:1983年10月ドナウエッシンゲン音楽祭
1975年より一時の中断時期を経て書かれたフーバー絶頂期の大作。1983年のドナウエッシンゲン音楽祭における注目の世界初演ライヴで、ドイツ現代音楽集(RCA)に一部音源が紹介されたが全曲のCD化はこれが初めて。主任指揮者の他、協力する指揮者が3人、計4人の指揮者を必要とする複雑極まるスコアをマティアス・バーメルト、アルトゥーロ・タマヨらが奮闘。大管弦楽、独唱、合唱、テープが現代の孤独と疎外と混沌を音化します。突如として始まるデフォルメされた行進曲からマーラー、ベルクのはるかなエコーが聴き取れ、激烈なオーケストラの咆哮の隙間から時折り聴こえる合唱の透き通るようなハーモニーにこの作曲家の真摯な祈りの姿勢が感じられます。
NEOS-10811
ゲラルト・エッケルト(1960-):作品集
ネリー・ザックスによる習作(2004/2008)
内部から〜造粒(2003)/ネンVII(2007)
垂直空間〜秋の雲(2002)
空間の響きII(1991/2000)
フィールド3(2005)
時間の定義の雲のように(1996/97)
繊維第1部(2006)
アンサンブル・レフレクションK
[ソプラノ、フルート、ハープ、
アコーディオン、打楽器、
ヴァイオリン、ヴィオラ、
チェロ、コントラバス]

録音:2008年
NEOS-10813(1SACD)
アンデシュ・エリーアソン(1947-):作品集
砂漠のポイント(1981)/オスタコリ(1987)
弦楽の為の交響曲(2001)
アルコス室内O


録音:2008年
NEOS-10814(1SACD)
ホセ・マヌエル・ロペス=ロペス(1956-):作品集
月の香り(2003)*/シエスタの技法(2005)
ア・テンポ(1998)/レア(1989)
アンヌ・メルシエ(Vn;*)
エステバン・アルゴーラ
(アコーディオン;#)
ダヴィド・アペラニス(Vc;+)
アンサンブル・オルケストラル・コンテンポラン**
ファビアン・パニセロ(指)
プルーラル・アンサンブル

録音:2006年
NEOS-10815
ジョージ・クラム(b.1929):マクロコスモスI(1972)〜黄道十二宮による増幅されたピアノのための
マクロコスモスII(1973)〜黄道十二宮による増幅されたピアノのための
マルクス・シュタンゲ(P)

録音:2007年12月(I)、2008年2月(II)
クラムの代名詞ともいえる「マクロコスモス」全 4 集のうち、一人のピアニストで演奏される第 1、2 集を収録。ドビュッシー、メシアン、武満に通底する美を持ちながら通常奏法の他にプリペアド・ピアノ、内部奏法そしてピアニストは時に歌ったり叫んだり口笛を吹いたりと、独自の神秘的世界が展開する。既に多くのピアニストによって取り上げられている名作をドイツのベテラン、マルクス・シュタンゲが冴えたリアリゼーションで聴き手を惹きつける。スタンゲはアロイス・コンタルスキーに師事し 20 年に渡ってシュトゥットガルト・ピアノ・デュオのメンバーを勤め、現在は内藤祐紀子&マルクス・シュタンゲ・ピアノ・デュオ、アンサンブル・フォルミンクスのメンバーとして活動している。
NEOS-10816(1SACD)
スイス・チェンバー・ソロイスツ・エディションVol.2
ハッピー・バースデー、エリオット・カーター!
エリオット・カーター(1908-):室内楽新作集

モザイク〜室内アンサンブルの為の(2004)*
作り話〜ヴィオラ・ソロの為の(2007)
魅惑のプレリュード〜フルートとチェロの為の(1988)
時間と時間〜ソプラノとアンサンブルの為の(1998/99)
HBHH〜オーボエ・ソロの為の(2007)
2つの断章〜弦楽四重奏の為の(1994/1999)
オーボエ四重奏曲(2001)
スイス・チェンバー・ソロイスツ
[ハインツ・ホリガー
(Ob/イングリッシュHr)
ウルズラ・ホリガー(Hp)
フェリックス・レングリ(Fl)
フランソワ・ベンダ(Cl)
ユルグ・デーラー(Vn/Va)
シルヴィア・ノッパー(S)、他]

録音:2008年
NEOS-10817(1SACD)
ヴォルフガング・リーム(b.1952):《ヴィジリア》(徹夜祷) (2006)〜6人の声とアンサンブルの為の
コールヴェルク・ルール(混声6重唱)
ルペルト・フーバー(指)アンサンブル・モデルン

録音:2009年4月エッセン
ヴィジリアとは、献身的な見守りなどの目的のため夜を徹することを指すキリスト教の礼拝の儀式です。リームはこれまでのエネルギッシュな作風から一転して静かな祈りの音楽という意外な方向へ向かい始めた。金管の陰鬱な導入に続き、闇の中にたなびく清冽な合唱の祈りのハーモニーは天上からの声かと思えるほど美しい。何箇所かアンサンブルによる緊張した音楽が登場するが、全体に静かで沈痛な趣きの祈りの音楽が続きます。
NEOS-10819
中村功プレイズ・ソロ・パーカッション・ワークス
エリオット・カーター(1908-2012):4 台のティンパニのための8 つの小品より第1、5 曲(1949)
ニコラウス・A.フーバー(b.1939):同じものは同じではない(1978) 〜スネア・ドラムのための
マウリツィオ・カーゲル(1931-2008):「エクゾティカ」(1971/72)より「ソロ」〜声とタンバリンのための
ヨンギ・パク=パーン(b.1945):タ=リョンIV(1991)
ペーター・エトヴェシュ(b.1944):「三角形」(1993)より「雷」〜ソロ・バス・ティンパニのための
クセナキス(1922-2001):ルボン(1987-89) 〜ソロ・パーカッションのための
細川俊夫(b.1955):線VI(1993)〜ソロ・パーカッションのための
中村功(Perc)

録音:2007-08年
中村功は大阪出身で東京藝大よりドイツ・フライブルク国立音大に留学、ダルムシュタ ット夏期現代音楽講習会でも研鑽を積んだ。以来、多くの作曲家の支持を得て彼らの多 くの作品を初演している。作曲家はシュトックハウゼン、ケージ、カーゲル、ホリガー、細 川俊夫など枚挙に暇がない。このディスクでは、ヨンギ・パク=パーン、エトヴェシュ、細 川の作品は彼のために書かれたもの。無国籍風の怪しげな民謡?を歌いながらタンバリ ンを叩くカーゲルの「ソロ」は抱腹絶倒。他に細川の沈黙と測り合うかのような神秘的な代 表作「線 VI」も聴きどころ。日本を代表する打楽器奏者、中村功のおそらくは世界初のソ ロ・ディスク。
NEOS-10821
第43回ダルムシュタット現代音楽祭 2006

(1)ロビン・ホフマン(1970-):7羽の黒い雷鳥(雄鳥)の為の「魅惑」(2006)
(2)ディーター・マック(1954-):17人の奏者の為の「室内音楽 IV 」(2004)
(3)マルク・アンドレ(1964-):バス・クラリネット、チェロとピアノの為の三重奏曲「 …ALS… 」(2001)
(4) …a l’ame de descendre de sa monture
et aller sur ses pieds de soie…] 」(2004)
(5)クラウス・フーバー(1924-):チェロ独奏、バリトン独奏、アルト、アコーディオンと打楽器の為の室内協奏曲
(1)ハンナ・ペーターマン、アンドレア・ナジ、クリストフ・ケレマンス、ケリー・ラナン、
パトリック・クロスランド、ラウラ・カルミヒャエル、タルモ・ヨハネス(雷鳥[雄鳥]の声)

(2)アンゲリカ・ルツ(S)、ブラッド・ルブマン(指)アンサンブル・モデルン

(3[ラファエル・カルデンテイ・クレゴ(Cl)、ヴォルフガング・ツァマスティル(Vc)、ウエリ・ウィゲット(P)、国際アンサンブル・モデルン・アカデミー

(4)ロハン・デ・サラム(Vc)、マックス・エンゲル(バリトン[弦楽器]

(5)カタリナ・リクス(A)、テオドロ・アンゼリオッティ(アコーディオン)、中村 功(Perc)、ルーカス・ヴィス(指)
NEOS-10824(1SACD)
ドナウエッシンゲン音楽祭2007Vol.1
ハンス・ツェンダー(1936-):ロゴス=断片(2007)*
クラウス・フーバー(1924-):平和とは何か? 心の理由に向かって(2007)#
(テキスト:ジャック・デリダ、オクタビオ・パス、
シモーヌ・ヴェイユ、クラウス・フーバー)
シルヴァン・カンブルラン(指)*
SWRバーデン=バーデン・フライブルクSO*
ノーラ・ティーレ(アラブの打楽器;#)
ルペルト・フーバー(指)#
SWRヴォーカル・アンサンブル・シュトゥットガルト#

録音:2007年 ライヴ
NEOS-10825(1SACD)
ドナウエッシンゲン音楽祭2007Vol.2
ハンス・トマッラ(1975-):叫び (2007)
ジェイムズ・ゾーンダーズ(1972-): #211007 (2006/07)
アルヌルフ・ヘルマン(1968-):怪物の歌(2007) #
フランソワ・サーハン(1972-):インスタレーション、トークス・タイム・ナッシング 歌の名前(2007)*
ニーナ・ヤンセン(Cl;#)
ヨハネス・カリツケ(指)
アンサンブル・モデルン
F.ローデス(Perc/語り)
アンサンブル・ルシェルシュ*
エクスペリメンタル・スタジオSWR(ライヴ・エレクトロニクス)*

録音:2007年 ライヴ
NEOS-10826(1SACD)
ドナウエッシンゲン音楽祭2007Vol.3
マーク・アンドレ(1964-):...の上... III (2005/07)
ヘルムート・エーリング(1961-):ゴヤ I〜私は見た(2006)*
エンノ・ポッペ(1969-):楔状(2005/06)
シルヴァン・カンブルラン(指)
ルペルト・フーバー(指)*
SWRバーデン=バーデン・フライブルクSO

録音:2007年 ライヴ
NEOS-10828
ジョナサン・ハーヴェイ(b.1939):ピアノ・ソロ、フルートとピアノのための作品集
ナタラージャ(1983)
雷の前の走行(2004)
メシアンの墓(1994)〜ピアノとDATのための詩(2000)
ff(1995)
ケージ,ショパンへのオマージュ(そしてリゲティもまたいる)(1998)〜ピアノとDATのための
俳句(1997)
イェーツ読後の4つの印象(1969)
フロリアン・ヘルシャー(P)、
ピルミン・グレール(Fl)

録音:2007/2008年
今年還暦を迎えたイギリスの前衛作曲家ハーヴェイのピアノ・ソロ、フルートとピアノのための作品を集めました。《ナタラージャ》はフルートとピアノの高音が火花を散らすスリリングな小品。《メシアンの墓》はピアノとデジタル・オーディオ・テープによる作品で微分音が使われ、その音響は時にメシアンが愛したガムランを思わせます。
NEOS-10829
ヨーク・ヘラー(b.1944):作品集
(1)トピック(1967)〜ベルント・アロイス・ツィンマーマンに捧げる
(2)地平線(1971/1972) (4チャンネル電子音楽)〜ウルズラ&クノ・テオバルトに捧げる
(3)神話(1979/1980,1995)〜13楽器,打楽器と4チャンネル・テープのための/ハンス・ツェンダーに捧げる
(4)黒い半島(1982)〜大管弦楽とヴォーカル,4チャンネル電子音響のための/シュトックハウゼンに捧げる
(1)ミヒャエル・ギーレン(指)WDRケルンRSO
(2)ペーター・エトヴェシュ&フォルカー・ミュラー&WDRケルン放送電子音楽スタジオ
(3)ソルト・ナジ(指)ムジーク・ファブリーク、V.ミュラー&WDRケルン放送電子音楽スタジオ
(4)ディエゴ・マッソン(指)WDRケルンRSO、
 WDRケルン放送cho、
 V.ミュラー&WDRケルン放送電子音楽スタジオ

録音:1970-1997年
ヨーク・ヘラーは作曲をB.A.ツィンマーマンに師事しダルムシュタットでブーレーズの講義を受け、後にケルン放送電子音楽スタジオ、IRCAMで電子音楽の研鑽を積むなど、ヨーロッパ前衛音楽の歩みを忠実に歩んできたと言ってよいでしょう。ミヒャエル・ギーレンが熱演する初期の大作《トピック》は起承転結のわかりやすい流れのなかで音響エネルギーが縦横無尽に炸裂して聴き応え充分。《地平線》は電子音楽の代表作で、この後、アコースティック楽器と電子音楽によるライヴ・エレクトロニクスへと関心がシフトする。《黒い半島》はその総決算的傑作でオーケストラ、電子音響と遥かにこだまする女声合唱が神秘的な空間を作り出します。
NEOS-10831
アンデルス・エリアソン(1947-2013):鍵盤楽器(ピアノ、チェンバロ)作品全集
《ベルシオーネ》(1973)
《デザイン》(1984)
《デザイン2》(1987)
《デザイン3「回転木馬」》(2005)
《地面》(1983)
《デザイン》(1982)*
アンドレアス・スコウラス(P、Cemb*)

録音:2007/2009年 [55:05]
エリアソンは現代スウェーデンの作曲家。スウェーデン王立音楽院で学んだ後、数々の賞を受賞、フィンランドに招かれシベリウス音楽院でも教鞭を執った。クリスティアン・リンドベルイのために書かれたトロンボーン協奏曲や交響曲など大規模な管弦楽作品やオペラを作曲、カレヴィ・アホらと並ぶスカンジナヴィアを代表する作曲家の一人と認識されている。このアルバムは彼の鍵盤のための全ての作品を集めた。自由な無調、モードを基本とした内省的、思索的な作品から生命力あふれるトッカータ的な作品まで多彩。北欧のほの暗い空、冬の木々の凍裂の音を思わせるメランコリックなリリシズムが横溢。北欧音楽ファン必聴。
NEOS-10901
イリーナ・エメリアンツェワ(b.1973):ピアノ作品集
前奏曲(1991)
ロシア風フーガ(1991-1992/2009)
子供のための小品集(1991-1992)
循環するファンタジー(1996)
7つの小品(1998-1999)
ヴィーパースドルファー前奏曲(2003)
影・光(2003) /断章(2003)
オズボーン・レクイエム(2007)
イリーナ・エメリアンツェワ(P)

録音:2009年
ロスラヴェッツ作品集(NEOS-10902)に続くエメリアンツェワのアルバム。エメリアンツェワはロシア出身。サンクト・ペテルブルクの R.コルサコフ音楽院でセルゲイ・スロムニスキに師事、後にドイツでハンスペーター・キーブルツの指導を受けている。このCD では彼女の20代から 30 代にかけての作品が収められているが、作風はバルトーク、ドビュッシーがやや進化したような曲から無調音楽まで多種多様。自らピアノを弾き生気あふれる音楽を聴かせる。
NEOS-10902
ニコライ・A・ロスラヴェッツ(1881-1944):ピアノ作品集
3つのコンポジション(1914)/3つのエチュード(1914)
ソナタ第1番(1914)/前奏曲(1915)
2つのコンポジション(1915)
ソナタ第2番(1916)/2つの詩曲(1920)
5つの前奏曲(1919-1922)
ソナタ第5番(1923)
イリーナ・エメリアンツェーワ(P)

録音:2008年
ロスラヴェッツは初期はショパンの影響を受けたロマンティックな作風からやがてスクリャービンを思わせる濃厚な様式を経た後、独自の無調様式へと至る。ここ収められた作品は30歳代の作品で、既に無調様式になっています。きらきらとゆらめく色彩の移ろいにスクリャービン、印象派、シマノフスキらの影響が感じられます。エメリアンツェーワはH.キーブルツに作曲を師事し自らも作曲を行う現代音楽演奏のスペシャリスト。
NEOS-10904(2SACD)
ガリーナ・ウストヴォルスカヤ:ピアノ作品全集
12の前奏曲、ソナタ第1番、ソナタ第2番
ソナタ第3番、ソナタ第4番、ソナタ第5番、
ソナタ第6番
ザビーネ・リープナー(P)

録音:2008年
死後3年たつウストヴォルスカヤ(1919-2006)の音楽はこのところとみに関心が集まりつつある。このディスクは彼女のピアノ作品を全て集めてあり、彼女の作風の変遷、音楽思想を知る上でも貴重。彼女の師匠ショスタコーヴィチに「君が私の影響を受けているのでなく、私が君の影響を受けているのだ」と言わせるように独自の無調的様式を持っています。
NEOS-10906(1SACD)
アルトゥーロ・フエンテス(b.1975):作品集
モジュラー(2009)〜ヴァイオリンとバス・クラリネットのための
先行詞X(2006)〜テナー・サックス、ピアノと打楽器のための
光(2009)〜ヴァイオリンとライヴ・エレクトロニクスのための
パッサテンポ(2009)〜アンサンブルのための
プレクサス(2009)〜テナー・サックスとライヴ・エレクトロニクスのための
フォルマンテス(2008)〜フルート、バス・クラリネットとピアノのための
アンサンブル・アンテグラル

録音:2009年
フエンテスは地元メキシコ・シティで学んだ後、パリのIRCAMで電子音響を学んだ。その後ミラノでドナトーニに師事しポルトガルのムジカ・ヴィヴァ現代音楽祭の第8回エレクトロ・アコースティック作曲コンクールに優勝。以後多くの賞を受賞。作品はアコースティックな楽器のための作品でも電子音響の影響が感じられ、劇的要素を排除した禁欲的な音響の中に独自のユーモアが感じられます。
NEOS-10907(2SACD)
メシアン:ピアノ独奏曲全集T
「幼な子イエスに注がれる20の眼差し」(1944)
マルクス・ベルハイム(P)

録音:2008年8月
メシアンのピアノ曲全集第1弾!まずメシアンのピアノ曲といったら、この《20の眼差し》にとどめをさすでしょう。それほどの傑作でありトゥランガリラ交響曲と並ぶメシアンの代表作である。特殊な旋法、リズム理論など彼の思想、理論の全てが集約されており、この曲が書かれた1940年代にメシアンの思想、技法は既に完成、完結していたことがわかります。大作のため取り上げられることは多くなかったが、久々の新録音が登場。ベルハイムは2000年の国際メシアン・コンクール優勝後、現代音楽のスペシャリストとして活動しており、そのレパートリーはリーム、クルターク、ライヒと多岐に渡ります。ベルハイムはこれまで現代作品として弾かれてきたこの作品をドビュッシー、スクリャービンの流れのひとつと位置づけ、クラシックとして弾いています。目の覚めるような高音域の輝く光彩から大地が鳴り響くかに思われる低音まで表現のパレットが大きく、さながらピアノによる交響楽といえましょう。
NEOS-10909
イェルク・ヴィトマン(b.1973):ピアノ作品集
悪の華〜ボードレールによるピアノ・ソナタ(1996/1997)
フラグメント・イン・C(2001)
トッカータ(2002)
光の習作III(2002)
11のユモレスク(2007)
ヤン・フィリップ・シュルツェ(P)

録音:2009年12月バイエルン放送スタジオ2
ヴィトマンはミュンヘン出身でヘンツェ、H.ゲッベルス、W.リームらに師事し、今日では中堅世代の中心的存在と目されている作曲家。作品は現代音楽の専門家からエッシェンバッハ、ケント・ナガノらメジャーな音楽家まで広く支持されている。ここに収められたピアノ作品はウェーベルンを思わせる点描的なものから、内部奏法、奏者のアクション(パフォーマンス)まで含む、およそ考えられる現代音楽の諸技法が使われています。その一方、「11 のユモレスク」は森の情景や夢の中の歌など、文学的なタイトルがつけられた幻想的な 11 の小品からなっており、シューマンの性格的小品の一部を引用、デフォルメしたシューマンへのオマージュといえる作品です。
NEOS-10910
サクソフォン協奏曲集
グラズノフ:アルト・サクソフォンと弦楽のための協奏曲(1934)(カデンツァ:ジョン=エドワード・ケリー)*
ニコラ・ルファヌ(b.1947):アルト・サクソフォンと弦楽のための協奏曲(1989)
クシシトフ・マイヤー(b.1943):アルト・サクソフォンと弦楽のための協奏曲(1993)
ジョン=エドワード・ケリー(A.Sax, 指*)
ミヒャ・ハメル(指)
オランダ放送室内PO

録音:2000年ヒルヴェルスム
グラズノフのサックス協奏曲とその編成に合わせて委嘱された現代曲から構成された一枚。サックスのケリーは1958年米国サンフランシスコ出身で1982年にドイツに移住以来、南北アメリカ、ヨーロッパを始め世界的に演奏活動を行っています。またロンドンのキングス・カレッジ、ストックホルム音楽院、ヘルシンキのシベリウス・アカデミーなどでレクチャーを数多く行っており、日本にもファンを持ちます。グラズノフ以外の2作品は表現主義的な厳しい音楽でベルク、ウェーベルン、チェルハなどに近い雰囲気を持っています。
NEOS-10911
ダニエレ・ロンバルディ(b.1946):フルートのための作品集
庭師の迷宮(2003)〜ハイパー・バス・フルートのための
MIZ迷路(1994)〜フルート、ピッコロ、バス・フルートとライヴ・エレクトロニクスのための*
息(1984)〜フルートとピッコロのための
ロンデルス(1995)〜フルートのための
翼が大気をもたらす(1993)〜フルートのための
グラフォディア 1(1972)〜アルト・フルートのための
グラフォディア 2(1974)〜フルートのための
グラフォディア 3(1975)〜ピッコロのための
渦巻き(1973)〜フルート、バス・フルート、ピッコロのための
ロベルト・ファブリチアーニ(Fl,ピッコロ,アルトFl,バスFl,ハイパー・バスFl)
ダミアーノ・メアッチ(ライヴ・エレクトロニクス)*

録音:2008年6月アレッツォ、イタリア
ダニエレ・ロンバルディはイタリアの作曲家、ピアニストで演奏家としてはイタリア未来派やロシア・アヴァンギャルドの作品の紹介に努めた。作曲家としての代表作は数十台のピアノを使用して、そのモアレ効果を意図した交響曲第 2 番があり、発想の斬新さ、奇矯さはイタリア未来派譲りともいえます。ここに収められた作品はいずれも様々なフルートを駆使したもので、ハイパー・バス・フルートの超低音と独自の倍音を利用した図形楽譜の「庭師の迷宮」、またライヴ・エレクトロニクスを導入した「MIZ 迷路」はフルートを使ってほとんどコンピュータ電子音楽といってもよいほどの多彩な音響を実現、その色彩の変容だけ曲が構成されている。名人ファブリチアーニの多重録音が楽しめます。
NEOS-10912(1SACD)
ジョルジュ・アペルギス(b.1945):ピアノ作品集
猛烈なスピード(完全版,1997)
基本的な秘密(1998)/
印刷音楽(2001)
若いピアニストのための小品(2004)
「シマタ」〜プリペアード・ピアノのための(1969)
ニコラス・ホッジズ(P)

録音:2008年
ギリシャ生まれで現在はパリを拠点に活動するアペルギスの初期から近作のピアノ曲を収録。彼は前衛劇団の座付き作曲家として活動を始め、以来一貫して前衛的な姿勢を崩さない作曲家として知られています。《猛烈なスピード》では激しい音塊がフォルテで矢継ぎ早に叩きつけられる攻撃的な曲。《基本的な秘密》では一転、寡黙な持続、《印刷音楽》ではサティ風の協和音が不規則なリズムで飛び跳ねます。一見ランダムに思えるリズム構造も、実は綿密に計算されているという、恐るべきインテリジェンスをもった作曲家です。
NEOS-10913(2CD)
エルンスト・ヘルムート・フランマー(b.1949):スーパーヴェルソ(1985-92)〜12 部からなるオルガン連作
CD1)
I.創世記/II.トリオ/III.そして感嘆/ IV.シンフォニーI(ハルベルク・スタディI)/V.ハルベルク・スタディII/ VI.ハルベルク・スタディIII/VII.小オルガンのためのスーパーヴェルゾ/VIII.夜中に
CD2)
IX.色彩音楽/X.トッカータ/XI.ボツェット/XII.シンフォニーII(黙示録/終曲)
クリストフ・マリア・モースマン(Org)
録音:2000 年8 月、第14 大聖堂リーガー・オルガン
エルンスト・ヘルムート・フロンマーはドイツの作曲家。当初、数学、哲学、歴史、音楽学を学び、後に作曲をクラウス・フーバー、ファーニホウらに師事した。この作品はファーニホウ譲りの複雑なテクスチュアに加え意味深なタイトルから、いかにも理屈好きのドイツ人らしい音の哲学書といった趣きの大作。リゲティを思わせる嵐のようなクラスター、オルガンの様々な音色の試みに加え、意外にも背景にはJ.S.バッハのオーラが感じられ聴き応え充分。
NEOS-10915
カレヴィ・アホ(1949-):ピアノ作品集
ソナタ/ソロU
Halla(ヴァイオリンとピアノのための)[世界初録音]
ソナチネ/3 つの小さなピアノ小品*
子供のための2 つのやさしいピアノ小品
19の前奏曲より(第1,2,5,9〜11,14,16〜19 番)
アンドレアス・スコウラス(P)
アナ・カランダリシヴィリ(Vn)*

録音:2009 年4 月16,17 日
フィンランドを代表する現代音楽作曲家カレヴィ・アホのピアノ作品集。1965 年〜68 年という若き日に作曲した“19 の前奏曲”はまだ調性があり、聴きやすいメロディに溢れています。1993 年に作曲された“ソナチネ”までピアノ独奏曲 6 作品と、世界初録音となるヴァイオリンとピアノのための“Halla”を収録。
NEOS-10916(1SACD)
ベン=ハイム(1897-1984):「カバラット・シャバット」金曜の夕べの儀式〜カントルとソプラノ,合唱と8楽器のための
頭をあげよ〜ソプラノと8楽器のための
ト調のソナタ〜ヴァイオリン独奏のための
3つの無言歌〜ヴィオラとピアノのための
ダニエル・グロスマン(指)ミュンヘン・ヤコプスプラッツO&cho
C.ミードル(Br)、
V.コンドルッチ(S)、
ズヴィ・ツァイトリン(Vn)
ユリア・レベッカ・アドラー(Va)、
アクセル・グレンメルシュプラッハー(P)

録音:2009年、1972年
ドイツ・ミュンヘンに生まれ、後にイスラエルに移住、ユダヤを題材にした管弦楽曲、室内楽を多数作曲しました。後期ロマン派と中東的な音楽を折衷した極めてエキゾチックな作風ですが、ここで単純にエキゾチックという言葉でひとくくりには出来ないでしょう。いずれも宗教的題材に依っており、敬虔な音楽です。カバラット・シャバットはユダヤ教の儀式を音楽化したもので、平明で美しい旋律に溢れています。
NEOS-10918(1SACD)
ヒナステラ:「ポポル・ヴー」〜マヤの世界創造
「魔術的アメリカに寄せるカンタータ」〜ドラマティック・ソプラノ,打楽器オーケストラのための
ステファン・アスバリー(指)ケルンRSO
ライアンヌ・デュプワ(S)、
ブガロ=ウィリアムズ・ピアノ・デュオ、
アンサンブルS、ケルン音楽大学打楽器アンサンブル

録音:2007年
ヒナステラといえば「エスタンシア」で知られるラテンのローカルな作曲家という印象しかないとしたらとんでもない勘違いである。確かに彼は民族的な素材でわかり易い作品の作曲した時期もありましたが、実は12音技法や微分音を使う前衛でもあったのです。このディスクは実際とんでもない内容である。《ポポル・ヴー》は1975年から作曲されたものの完成には至りませんでした。完成していた7つの楽章を1989年にスラトキンが初演し、録音も行いました(RCA,廃盤)。このヒナステラ作曲家人生の総決算的作品はトーン・クラスター、音群的書法、各種特殊奏法が取り入れられマヤ民族の宇宙の創造と発展が描き尽くされます。その音楽はストラヴィンスキー、ヴァレーズ、伊福部昭、松村禎三を思わせ、その激しいエネルギーのほとばしりは岡本太郎の「芸術は爆発だ」そのもの。絶叫するブラス・セクション、炸裂するパーカッション!この美しくも狂気に満ちた世界はとても言葉では表せません。もちろんラテン情緒もたっぷりでクイーカの「♪ウ〜ホウ〜ホ」という悩ましげな呻きやポコパカ、ポコパカと楽しげな踊りのリズムも満載。《魔術的アメリカに寄せるカンタータ》もラテンのリズムが大活躍するヴァレーズを思わせる傑作。2012年はマヤ暦で世界が終わる年。それを踏まえた上で《マヤの世界創造》を聴くのもまた一興。
NEOS-10920
無伴奏ヴィオラ作品集
ジョルジュ・アペルギス(b.1945):180度の顔
サルバトーレ・シャリーノ(b.1947):夜の果て
B・A・ツィンマーマン(1918-1970):無伴奏ヴィオラ・ソナタ
サルバトーレ・シャリーノ(b.1947):3つの華やかな夜想曲
ジェラール・グリゼー(1946-1998):プロローグ
アナ・シュピーナ(Va)

録音:2007-2008年,ベルン
アナ・シュピーナは1971年スイス生まれでスイスの現代音楽アンサンブル、ヌーヴェル・アンサンブル・コンタンポランを始めとする複数のグループに所属しこれまで多くの現代作品の初演、紹介してきた。ツィンマーマンの劇的な緊張あふれるソナタ、静謐な美しさを持ったシャリーノの3つの華やかな夜想曲、ヴィオラひとつで色彩豊かな世界を繰り広げるスペクトル楽派のグリゼーのプロローグが聴きもの。
NEOS-10921
フリードリヒ・チェルハ(b.1926):クラリネットを伴った室内楽作品集
5つの小品(2000)〜クラリネット,チェロ,ピアノのための
8つのバガテル(2009)*
クラリネット五重奏曲(2004)#
(1)アルクス・アンサンブル・ウィーン
(2)アンドレアス・シャブラス(Cl)*、
 ヤンナ・ポリツォイデス(P)*
(3)アンドレアス・シャブラス(Cl)#、
フーゴー・ヴォルフQ(弦楽四重奏)#

録音:2011年5月

※全作品世界初録音
2000年以降に書かれたチェルハのクラリネットをメインとする作品を集成。クラリネットのアンドレアス・シャブラスはウィーン国立音楽大学、グラーツ国立音楽大学に学び、現在バイエルン国立管弦楽団の副ソリストを務め、クラシックのみならず20、21世紀の作品の演奏に力を入れています。彼はチェルハのクラリネット協奏曲の世界初演を行い、チェルハから多大な信頼を寄せられている。作品はいずれもベルクを始めとする新ウィーン楽派への深い共感と影響に基づくドラマティックで手堅い手法で書かれています。
NEOS-10926
(5SACD+1CD)
ムジカ・ヴィヴァ・フェスティヴァル2008
(1)シュトックハウゼン:ミクストゥール2003(2003)
(2)K.A.ハルトマン:交響曲《ルーヴル》(1937/38)
(3)アリベルト・ライマン:カントゥス(2006)、
(4)イェルク・ヴィトマン(1973-):アルモニカ(2006)
(5)マティアス・ピンチャー(1971-):エロディアーデ断章(1999)
(6)クセナキス:アンティクトン(1971)、
(7)ジェイムズ・ディロン(1950-):定期便(La Navette)(2001)
(8)ベアト・フラー(1954-):ピアノ協奏曲(2007)、
(9)シェルシ:ウアクスクトゥム
(10)ハヤ・チェルノヴィン(1957-):巡礼(2006/07)
(11)カイヤ・サーリアホ:風の夜想曲(2006)、
(12)リザ・リム(1966-):黄土色の糸(2007)、
(13)レベッカ・ソーンダーズ(1967-):青と灰色(2006)
(14)アドリアーナ・ヘルスキー(1953-):カウントダウン(2007)
(15)エジプトとペルシャの伝統音楽
(1)ルーカス・ヴィス(指)
(2)(9)エミリオ・ポマリコ(指)
(1)(2)(9)バイエルンRSO
(9)バイエルン放送cho
(1)SWR実験スタジオ(音響監督:アンドレ・リシャール)
(3)〜(5)(7)クリストフ・ポッペン(指)ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送PO
(3)イェルグ・ヴィドマン(Cl)
(5)マリソル・モンタルヴォ(S)
(6)(8)ブラッド・ラブマン(指)WDRケルンRSO
(8)ニコラス・ホッジス(P)
(10)ロデリッヒ・クライデ(指)アンサンブル・クラージュ、
ドレスデン聖十字架cho
(11)(12)ニムロット・グエズ(Va)
(11)(12)ヨシュ・マルティン(ライヴ・エレクトロニクス)
(12)シュテファン・シッリ(Ob)
(12)セバスチャン・クリンガー(Vc)
(12)(13)フィリップ・シュトゥベンラウフ(Cb)
(13)フランク・ライネッケ(Cb)
(14)ダニエル・グルーガー(C-T)、
リュディガー・ボーン(指)4人のピアノ奏者、
8人の打楽器奏者&4人のアルフォーン・トランペット奏者
(15)アンサンブル・シェイク・アーマド・アル・トゥニ、
トリオ・チェミラニ

録音:2008年1月・2月、ミュンヘン、ライヴ
1枚目はシュトックハウゼン晩年の大作「ミクストゥール2003」。電子音響と大オーケストラが渾然一体となって奏でる涅槃の音響は天のものか地のものか。2枚目と3枚目はハルトマンの交響曲第6番の原曲で劇的な交響曲《ルーヴル》、古代の神秘的な儀式を想起させるクセナキスの「アンティクトン」など現代音楽の古典にベテランの大作。4枚目・5枚目は現代女性作曲家の新作室内楽を集め6枚目に古代エジプト、ペルシャの伝統音楽を含めた多彩な内容。CD6以外は全てSACD。現代音楽は最優秀音質のCDで!
NEOS-10933(1SACD)
ブルーノ・マデルナ:管弦楽作品全集Vol.1
管弦楽のためのコンポジツィオーネ第1番
管弦楽のためのコンポジツィオーネ第2番
フランツ・カフカの「審判」のための習作〜語り手,ソプラノ,管弦楽のための
管弦楽のための即興第1番
管弦楽のための即興第2番
アルトゥーロ・タマヨ(指)フランクフルトRSO
ミハエル・クヴァスト(語り)、
クラウディア・バラインスキー(S)

録音:2005/2006年
戦後ヨーロッパの前衛音楽運動になくてはならない存在でありながら53才の若さで亡くなったイタリアの作曲家マデルナの音楽はまだ充分に知られているとはいえません。ノーノ、ベリオらイタリアの作曲家に強い影響を与え、ブーレーズとともに指揮者としても活躍した彼の音楽はセリー技法に基づきながらもドラマティックで色彩的、そして無調ながら大変叙情的な旋律を朗々と歌わせるなど、さすがオペラの国の作曲家と思わせます。管弦楽のための2つのコンポジツィオーネなどにはアルカイックな旋律があふれており、実に美しいもの。
NEOS-10934(1SACD)
ブルーノ・マデルナ:管弦楽作品全集Vol.2
3楽章のコンポジツィオーネ(1954)
フルート協奏曲(1954)
アリア(1964)〜ソプラノ,フルートと管弦楽のための
次元(ディメンシオーニ)V(1962-1963)〜フルートと管弦楽のための
ディオティマへの石碑(1966)〜管弦楽のための
アルトゥーロ・タマヨ(指)フランクフルトRSO
タデウス・ワットソン(Fl)
C.バラインスキー(S)、
セバスティアン・ヴィッティバー(Fl)
A.ラトカウスカス(Vn)、J.チャブルン(Cl)、
U.ビュシング(バスCl)、J.マクドナルド(Hrn)

録音:2005/2006年
Vol.1が初期から中期にかけての作品ならこちらは中期以降(1960年代)の作品。前アルバムでは旋律的傾向がまだ濃厚だったが、こちらになるとウェーベルンとトータル・セリエリズムの影響が顕著になり、音運びが、ピッ!バリッ!というように点描的になっていますが、色彩感はさらに鋭敏になりぐいぐいと聴かせます。3つの楽章のコンポジションではギターが登場し、イタリア的セレナードのパロディが演奏されほほえましい。現代音楽のスペシャリスト、タマヨ以下渾身の名演!
NEOS-10935(1SACD)
ブルーノ・マデルナ管弦楽作品全集Vol.3
マデルナ(1920-1973):(1)「放射」(1971)〜女声、フルート、オーボエ、大管弦楽とテープのための
(2)ビオグラマ(1972)〜大管弦楽のための
(3)グランデ・アウロディア(1970)〜フルート、オーボエと管弦楽のための
アルトゥーロ・タマヨ(指)
フランクフルトRSO
(1)キャロル・シドニー・ルイス(Sop)、
(1)(3)タデウス・ワトソン(Fl)、
(1)(3)ミハエル・ジーク(Ob)、
録音:2007年
「放射」は古代ペルシャ、インドの古典文学をテキストにした声とフルート、オーボエ、予め録音されたテープと管弦楽のための大作で、マデルナ芸術の頂点といってもよい作品。死のの前年に作曲された「ビオグラマ」はおそらくはテープ音楽に影響されたであろう、クリスタルのようなきらびやかで変幻自在の音色の変化に、また二重協奏曲「グランデ・アウロディア」では独奏楽器の超絶技巧とオーケストラの目も覚めるような色彩にうっとりとさせられてしまいます。毎度のことながらアルトゥーロ・タマヨ率いるフランクフルトRSOの演奏は完璧。超優秀録音。
NEOS-10936(1SACD)
ブルーノ・マデルナ(1920-1973):管弦楽曲全集Vol.4
クァドリヴィウム(1969)〜4人の打楽器奏者と4群の管弦楽のための
アウラ(1972)〜管弦楽のための#
アマンダ(1966)〜室内管弦楽団のための*
宗教的な庭(1972)〜小管弦楽のための#
アルトゥーロ・タマヨ(指)
hr響(フランクフルト放送響)
コンラート・グラーフ,アンドレアス・ヘッ
プ,ブルクハルト・ロッゲンブルック,アンド
レアス・ベートガー(以上Perc)
アレヤンドロ・ルトカウスカス(Vn)*
録音:2007年1月、2007年8月#、2006年12月*
53歳の若さで急逝したイタリアの作曲家マデルナの偉業を管弦楽作品でたどるこのシリーズも第4弾。そのきらきらと輝く星々のように鮮やかな色彩感と意表をつく展開、圧倒的なダイナミズムは現代音楽ファンならずとも思わず耳を傾けてしまうサウンドそのものの魅力にあふれており、オーディオ・マニアをも唸らせてしまう大迫力です。「4人の打楽器奏者と4群のオーケストラのためのクァドリヴィウム」は4人の打楽器ソロの対話が徐々にオーケストラにまで波及し最後は両者とも音の渦に巻き込まれてしまう神話的神々しささえ感じさせるマデルナ畢生の大作。シュトックハウゼンの「3群のオーケストラのためのグルッペン」よりも更に巨大な編成と構成により、その美しさに言葉を失います。そして「アウラ」の切れ味の鋭いナイフを思わせるクールで冷たいエロス(?)、また「宗教的な庭」のクリスタルのように輝いては超新星のように爆発しまた再生成する音群など、鮮烈で時に凄惨なまでの美しさを持った音楽、それがブルーノ・マデルナの真骨頂でしょう。ぜひこの機会にお求め下さい。SACDにより音質も超優秀。複雑なスコアが細部まで手に取るようにわかります。
NEOS-10940(1SACD)
マティアス・アルター(b.1964):無伴奏作品集1993-2007
ソロ2007《対話》(2007)
ソロ2002(2002)/声(1995)
ソロ1993(1993/2009)
カデンツァ(2005)
3つのピアノの小品(1999)
カンタンド(歌)(2006)
ムジカ(2000)/ソロ2001(2001)
ソロ2006《カンタンド-レチタンド(暗誦)》(2006)
V.ブラゴイェヴィッチ(アコーディオン)
パトリシア・コパチンスカヤ(Vn)
O.ダーベレイ(Hrn)
セリーネ・エレーロ(リコーダー)
トビアス・モスター(Vc)、
クリスティーネ・スティッゼ(Pf)
シルヴィア・ノッパー(S)
ボリス・プレヴィシッチ(fl)

録音:2009年3月チューリヒ
アルターはバーゼル室内Oに所属するオーボエ奏者であり、作曲とオーボエをハインツ・ホリガーに師事しました。これらの作品はオーケストラの仲間を想定して書かれた。難易度の高いヴィルトゥオーゾ性、特殊奏法によって作られる特異な音響が巧みに構成されていまする。リコーダー・ソロの為のソロ1993における呪術的でデモーニッシュな魅力は現代の魔笛というに相応しい。また人気のヴァイオリニスト、コパチンスカヤが参加している点も注目。
NEOS-10945
シルベストレ・レブエルタス(1899-1940):アンサンブル作品集
カミナンド(1937)〜器楽アンサンブル版
ラジオ向きの八重奏曲(1933)
プラーノス(1934)〜大アンサンブルのための
真面目な小品第1番&第2番(1940) 〜管楽アンサンブルのための
トッカータ(1933)〜ピッコロ,3つのクラリネット,ホルン,トランペット,ティンパニとヴァイオリンのための
3つのソネット(1938)〜語りと管楽アンサンブル,ピアノと打楽器のための
「あなたが考える理由がわかりません」(1937)〜バリトンとアンサンブルのための
フェデリコ・ガルシア・ロルカへの讃歌(1936)〜大アンサンブルのための
センセマヤ(1937)〜室内アンサンブルのための
ローランド・クルティヒ(指)
アンサンブルKNM ベルリン
ガブリエル・ウルティア(Br/語り)

録音:2008年
キシコの作曲家兼ヴァイオリニスト、レブエルタスの没後 75 年を記念したアルバム。ガルシア・ロルカへの讃歌、センセマヤなど彼の主要作品も収録され、初めてレブエルタスを聴く人にもお薦め。メキシコ先住民の音楽や当時の世俗音楽、街の喧騒をも複調、多調、ポリリズムを駆使して取り込みラテンの血が爆発する色彩豊かで生命力に満ちたすばらしい音楽。死後70 年余りを経て西洋前衛派が衰退した今、あらためてレブエルタスが注目されています。アンサンブルKNM ベルリンの演奏はレブエルタスの作品の先見性、実験性に光をあて、さながらブーレーズが演奏するストラヴィンスキーを思わせる切れ味の鋭いアンサンブルを聴かせます。

NEOS-11001(4CD)
アロイス・ハーバ(1893-1973):弦楽四重奏曲全集
弦楽四重奏曲第1番Op.4(1919)
弦楽四重奏曲第6番《四分音による組曲》Op.70(1950)
弦楽四重奏曲第9番Op.79(1952)
弦楽四重奏曲第15番Op.95(1964)
弦楽四重奏曲第16番《五分音による》Op.98(1967)
シュプレヒシュティンメと弦楽四重奏のための日記帳Op.101(1970)*
弦楽四重奏曲第7番Op.73(1950/51)
弦楽四重奏曲第8番Op.76(1951)
弦楽四重奏曲第2番《四分音による》Op.7(1920)
弦楽四重奏曲第13番Op.92(1961)
弦楽四重奏曲第3番Op.12(1922)
弦楽四重奏曲第14番《四分音による》Op.94(1963)
弦楽四重奏のための6つのコンポジション《六分音による》Op.37(ヨハ
ネス・コチュニーによる弦楽四重奏版)
弦楽四重奏曲第10番《六分音による》Op.80(1952)
弦楽四重奏曲第11番《六分音による》Op.87(1958)
弦楽四重奏曲第12番《四分音による》Op.90(1959/60)
弦楽四重奏曲第4番《四分音による》Op.14(1922)
弦楽四重奏曲第5番《六分音による》Op.15(1923)
ハーバQ【シャ・カツォウリス(Vn),ホヴァネス・モカツィアン(Vn),ペーター・ゼリエンカ(Va),アーノルド・イルグ(Vc)】
シグネ・フォン・オステン(語り)*

録音:2003年7月、9月11月、2006年2月、hrゼンデザール、フランクフルト
ヴィシネグラツキーと並び微分音音楽のパイオニアとして知られるハーバの弦楽四重奏曲全集の新録音。これまで全集はシュターミッツ四重奏団盤(Bayer)が出ていた。チェコ出身のハーバはプラハ音楽院で学んだ後、ウィーンでシュレーカーに師事、当初はヤナーチェクやドビュッシーもしくは後期ロマン派の影響を受けた作品を書いていたが 1920 年の弦楽四重奏曲第 2 番で初めて微分音(四分音)を導入。以後、微分音システムの研究、楽器の製作、教育を進めるとともに多くの微分音による作品を作曲した。彼の微分音音楽は民族音楽への関心から発展したものだが第15、16 番、語りを伴うOp.101 ではバルトーク、表現主義との親和性が見られる。演奏のハーバ四重奏団は1946 年に結成された団体だが、この録音は1984 年に再結成された新メンバーによるものである。ハーバ特有の微分音程はもちろん、切れのよいリズム感がポップで心地よく、ハーバおよび微分音楽演奏の新しいスタンダードと言えましょう。
NEOS-11006(1SACD)
シュルホフ:弦楽四重奏曲第1番(1924)
シベリウス:弦楽四重奏曲ニ短調「親しき声」Op.56(1909)
ヤナーチェク:弦楽四重奏曲第1番「クロイツェル・ソナタ」(1923)
ヘンシェルQ
【クリストフ・ヘンシェル(Vn)、
マルクス・ヘンシェル(Vn)、
モニカ・ヘンシェル(Va)、
マティアス・バイヤー=カルツホイ(Vc)】

録音:2008年12月
1994年に結成されたヘンシェル四重奏団は、様々なコンクールで入賞は果たした後国際的な舞台で活動しています。メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲全集(ARTE NOVA)のCDはベスト・セラーとなった。当NEOSレーベルではブルッフから現代音楽まで個性的なラインナップが発売になっています。 本CDは19世紀後半にこの世に生を受けた作曲家の20世紀初頭に書かれた三人三様の弦楽四重奏曲を取り上げています。シベリウス、ヤナーチェクは既によく知られた傑作だが、シュルホフ作品は激動する20世紀前半の音楽の諸傾向をすべて吸収・消化したアイデアと霊感あふれる傑作で20世紀後半に現れたワールド・ミュージックとミニマル・ミュージックの影響を感じさせるいくつかの作品を思い出させる興味深い作品。いずれも精緻極まる演奏で一気に聴かせます。
NEOS-11008(2CD)
ミェチスワフ・ワインベルク(1919-1996):無伴奏ヴィオラ・ソナタ全集
 クラリネット・ソナタ(1945)〜ヴィオラ版
フョードル・ドルジーニン(1932-2007):無伴奏ヴィオラ・ソナタ(1959)
ワインベルク:無伴奏ヴィオラのためのソナタ第1番〜第4番
ユリア・レベッカ・アドラー(Va)、
ヤッシャ・ネムソフ(P)

録音:2008-09年
2009年が生誕90年のせいか、このところワインベルク復権の兆しあり。先ごろもNorthern Flowersから管弦楽作品のリリースがあったばかりだが、ここに来て、ヴィオラ作品がまとまって出ました。既にネット上ではワインベルクが大いに語られマニアの間ではそのCDが傾聴されているようです。彼はポーランド生まれのユダヤ人でソ連で活躍したがユダヤ人ゆえ、かの国でも苦労を余儀なくされました。親交が深かったショスタコーヴィチの影響に加え、ヘブライ的な音階も多用するため中東的な色合いも多数。無伴奏ヴィオラのためのソナタは悲しくも美しい旋律に溢れています。ショスタコーヴィチのヴィオラ・ソナタの初演者ドルジーニンの作品も注目。ユリア・レベッカ・アドラーはユーリ・バシュメットに師事、ヨーロッパの主要なコンクールで優勝し今後の活躍が期待されている新星。
NEOS-11011
ラディスラフ・クービック(b.1946):(1)シンフォニエッタ第1番(1998)〜19楽器のための
(2)ピアノ協奏曲第3番「ボフスラフ・マルティヌーの追憶に」(2010)
(3)シンフォニエッタ第3番「ゴング」(2008)〜メゾ・ソプラノ又はアルト、混声合唱、管弦楽とエレクトロニクスのための
(1)ヤクブ・フルシャ(指)アンサンブル21
(2)リード・ゲインズフォード(P)、
 アレクサンデル・ヒメネス(指)
 ブルノ・フィルハーモニック
(3)ヤドヴィガ・ラッペ(MS)、キューン混声cho、
 ヤン・クチェラ(指)プラハRSO

録音:2005-2010年

※全作世界初録音
本CDが当レーベル2枚目となるクービック作品集。ピアノ協奏曲第3番「ボフスラフ・マルティヌーの追憶へ」はマルティヌー没後50周年のコンサートのために作曲され、マルティヌーの様々な管弦楽曲(ピアノ協奏曲弟4、同第5番、交響曲第6番など)が引用されます。シンフォニエッタ第3番「ゴング」はリルケの同名の詩「ゴング」と「オルフェウスに捧げるソネット」をテキストにした歌つきの作品。クビークは戦後世代ながらいわゆる前衛とは異なり、ショスタコーヴィチ、ストラヴィンスキーを思わせるダイナミズムとエンターテイメント性を備えておりどれも楽しめます。
NEOS-11013
ジェルジ・リゲティ:協奏曲集
(1)チェロ協奏曲(1966)
(2)グラン・マカーブルの秘密(1991)〜トランペット独奏と室内オーケストラのための(エルガー・ハワース編)
(3)ピアノ協奏曲(1985-1988)
(1)ニコラス・アルトシュテット(Vc)、
(2)マルコ・ブラーウ(Tp)、
(3)アルベルト・ロサード(P)
 ファビアン・パニセッロ(指)
 プルーラル・アンサンブル

録音:(1)2011年、(2)2009年、(3)2005年
リゲティの代表的な2 つの協奏曲ほかを新進気鋭の若手演奏家の演奏で聴く最新録音。 チェロ協奏曲はリゲティの名を一躍有名にした「アトモスフェール」と音群作法の総決算ともいうべき傑作「ロンターノ」の間に書かれた音響とメロディの波が去来する 20 世紀を代表するチェロ協奏曲。「グラン・マカーブルの秘密」はリゲティ唯一のオペラ「グラン・マカーブル」第2 幕3 場で秘密警察長官ゲポポ(コロラトゥーラ・ソプラノ)が暗号で迫りくる脅威を告げる、声楽パートとは思えないアクロバティックなアリアを3つ繋げたものでトランペットで演奏してもよいことになっている部分の抜粋。ピアノ協奏曲は60 年代の音群作法から抜け出して複雑なポリリズムを駆使したリゲティ後期の代表作。独奏者はいずれも 30〜40 代の若手・中堅で迸るエネルギーがリゲティ芸術に新たな生命を吹き込みます。
NEOS-11017
マンフレート・トロヤーン(b.1949):弦楽四重奏曲第3番(1983)
《アンティゴネ》断章〜6つの小品(1988)
不眠症の歌III〜《愛の手紙》より第6番(2007)
弦楽四重奏曲第4番(2009)
ヘンシェルQ
【クリストフ・ヘンシェル(Vn)、マルクス・ヘンシェル(Vn)、モニカ・ヘンシェル(Va)、マティアス・バイヤー=カルツホイ(Vc)】

録音:2009年(世界初録音)
人気のヘンシェル四重奏団が硬派な現代音楽に挑む。ドイツの作曲家トロヤーンはヨーロッパの主要な作曲コンクールに優勝し、これまでに5曲の交響曲、オペラ、多数の室内楽を発表しています。作風は表現主義的な激しい表出力を持つものですが、ヨーロッパ前衛音楽の諸傾向を柔軟に取り込みつつ、時にリリカルな響きや.情的な旋律すら浮かび上がる、新ロマン主義的な傾向も併せ持ちます。
NEOS-11018
ダブル・ベースのための音楽
ジャチント・シェルシ(1905-1988):夜(1972)
イサン・ユン(1917-1995):アキのためにT(1981)
イサン・ユン:アキのためにU(1981)
クセナキス(1922-2001):テラプス(1976)
マンフレート・シュターンケ(b1951):ストリート・ミュージックV(1995)
ヘンツェ(b.1926):1207年8月9日S.ビアジオ(1977)
ベント・ロレンツェン(b.1935):深く(1993)
フランク・ライネッケ(Cb)

録音:2004-06年
フランク・ライネッケは1960年ハンブルク出身。バイエルン放送響の奏者を勤める傍ら、室内楽、ソロなど精力的に活動している。とりわけ現代作品の紹介、初演に意欲を燃やし、多くの作曲家が彼のために作品を書いています。メリスマティックな旋律(?)にどこかコダーイ?を感じさせるシェルシ作品、ユーモラスなユン作品、そして圧巻はエネルギッシュな音が渦巻くクセナキス作品で、その傍若無人のパワー(とライネッケの超絶技巧)に圧倒されます。
NEOS-11020(1SACD)
ゲオルク・カッツァー(b.1935):弦楽四重奏曲第1番(1965)
弦楽四重奏曲第3番(1987)
弦楽四重奏曲第4番《壊れやすい時間》(2004)
ソナーQ
【ズザンネ・ツァップ(Vn)、キルステン・ハームス(Vn)、ニコラウス・シュリエルフ(Va)、コジマ・ゲルハルト(Vc)】

録音:2009年
カッツァーは現ポーランドとチェコの間にあるシレジアに生まれ、戦後は東ベルリン、チェコで音楽を学びました。電q音楽、マルチ・メディアにも関心を寄せ、その成果は多くのオペラ、交響楽に反映されています。このCDは若い頃から最近までの作品が収録され、瘴曹ォの第1番では表現主義的、第3番では音色へのこだわりが重汲ウれ、第4番では特殊奏法を交えたさらに自由な音響実験が行われています。
NEOS-11023(1SACD)
マルティーノ・トラヴェルサ(b.1960):作品集
(1)エコーの残り(2004)〜7楽器のための/
(2)白い広場、白い背景の上に(2000)〜バス・クラリネットのための
(3)四重奏曲第2番(2007)〜弦楽四重奏のための
(4)無伴奏ヴィオラのための四重奏曲(2007)〜ヴィオラとテープ
(5)マンハッタン橋午前4時30分(2008)
(6)白く、しかし過ぎずに(1995-96)〜バス・フルートとテープのための
(7)呼吸の後に(2003)〜フルートのための
(1)(5)マルコ・アンギス(指)アンサンブル・アルゴリツモ
(2)R.ゴッタルディ(Cl)
(3)アルディティQ
(4)ガース・ノックス(Va)
(6)(7)マリオ・カローリ((6)バスFl、(7)Fl)

録音:2008年
マルティーノ・トラヴェルサはイタリアの作曲家で作曲、ジャズ、電子音楽を学んだ後、ザルツブルク・モーツァルテウム音楽院で研鑽を積んだ。1987年から89年までルイジ・ノーノに師事し影響を受けた。限られた素材をもとに静寂な音を作り出す作法は典型的なポスト・セリエリズムといえましょう。
NEOS-11025
イスラエルのピアノ音楽
ヨセフ・タル(1910-2008):ムソルグスキーの主題による変奏曲「死者の言葉による死者との対話」(1945)
 エッセイII(1988)
ツヴィ・アヴニ(b.1927):ピアノ・ソナタ第 2番「墓碑銘」(1979)
 5つのピアノ小品「わが日記より」(2001)
ギル・ショハット(b.1973):絵画に基づく 3 つの即興(1989)
 サロメの接吻(1993)
ハイトラン・ホルトマン(P)

録音:2009年10月
ヨセフ・タルは現ポーランド領プニェヴィに生まれ、後にベルリンへ移りヒンデミットらに作曲を師事した。多作で、残された作品の中には電子音楽も含まれます。《死者の言葉による死者との対話》はムソルグスキーの「展覧会の絵」の中の「カタコンベ」の次に来るプロムナードのタイトルで、それを主題とした自由な変奏曲。ツヴィ・アヴニはドイツ・ザールブリュッケン出身で作曲をベン・ハイムに師事、エドガー・ヴァレーズの推薦でアメリカのコロンビア・プリンストン電子音楽研究センターで研鑽を積みまし。モード、自由な無調から民族的な素材までを自在に扱った独自の宇宙を感じさせる音楽。指揮者としても活動するギル・ショハットは新印象主義とでも呼ぶべき、官能的な色彩を備えており、《サロメの接吻》ではドビュッシーや後期ロマン派からの影響が顕著です。
NEOS-11026
ベルント・アロイス・ツィンマーマン(1918-70):ピアノ作品全集
エクステンポラーレ〜5 つの小品(1939-46)
3 つの初期のピアノ曲(1940)
カプリチオ〜民謡の主題による即興(1946)
手引書I(1946)/手引書II(1952)
手引き書付録
構成〜8 つの小品(1956)
アンドレアス・スコウラス(P)

録音:2009年6月
歌劇「兵士たち」で知られる B.A.ツィンマーマンの全ピアノ作品を収録。ツィンマーマンはレイボヴィッツに12 音技法を学びながらも少し後の世代であるシュトックハウゼンをはじめとする前衛楽派とは明らかに一線を画し、どの派閥にも属さない独自の世界を確立したことで知られる。セリーと過去の音楽様式との折衷、あるいはその引用は今でこそ普通であるが、前衛の嵐が吹き荒れた 1950-60 年代は前衛楽派から嘲笑の的となり、作曲家は苦悩の末、悲劇的なピストル自殺を遂げた。しかし彼の死後、前衛音楽が停滞し始めた70 年代より急速に彼の音楽の評価は高まり、今日では彼の音楽の先進性、複雑で他に類をみない豊かな世界が広い世代から注目されている。ピアノ曲は拡大された調性、自由な無調により霊感のほとばしるまま豊かな幻想が拡がる。繊細さとドラマ性を兼ね備えた音楽は時に印象派やショスタコーヴィチさえ想起させる。
NEOS-11028
細川俊夫:独奏楽器のための協奏曲集Vol.2
チェロ協奏曲〜武満徹の追憶に(1997)
旅VII(2005)〜トランペット,弦,打楽器のための
メタモルフォシス(2000)〜クラリネットと弦・打楽器のための
ロベルト・HP・プラッツ(指)
ルクセンブルクPO
ロハン・デ・サラム(Vc)、
ジェローエン・ベルヴェルツ(Tp)、
オリヴィエ・ダルテヴェル(Cl)

録音:2010年1月
細川の「独奏楽器のための協奏曲集Vol.1」(NEOS10716)に続く最新盤。作品は前回より引き続き、ほぼ作曲年代順に選曲、配列されており、作曲者の思索、心境、作風の変遷を辿ることが出来ます。前回は1980年代の終わりから1990年代後半までのほぼ10年間、そして今回は1990年代後半から2000年代半ばまでの作品を収録。いずれも息の長い旋律とそこから派生し拡がってゆくモノクロームな世界は日本の書を思わせ、細川の面目躍如。もとアルディッティ四重奏団のチェリスト、ロハン・デ・サラムの独奏による入魂のチェロ協奏曲はこのシリーズの中でも圧巻。
NEOS-11031(1SACD)
ニッコロ・カスティリオーニ(1932-1996):アルティソナンツァ(1990-92)
オラトリオ「イソップ物語」(1979)
エミリオ・ポマリコ(指)
WDRケルンRSO、
WDRケルン放送cho

録音:2007-2008年
ニッコロ・カスティリオーニはミラノ出身で戦後前衛音楽の影響を受けた後、独自の色彩的で幻想的な世界を作り上げた。「アルティソナンツァ」は冒頭の高音の持続によるキラキラした色彩は例えようもなく美しく、鳥の鳴き声のようなモティーフ(メシアンを思わせる)もメルヘンチックで楽しい。オラトリオ「イソップ物語」はまさにメルヘンそのもの。しかし安易な新ロマン蜍`的方向には流れず現代音楽の様々な書法を取りながら神秘的で不可思議な世界を展開しています。
NEOS-11032(1SACD)
W.リーム(b.1952):シュリフト・ウム・シュリフト〜2台ピアノと2人の打楽器奏者のための(1993/2007)
バルトーク:2台のピアノと打楽器のためのソナタ(1937)
グラウ・シューマッハー・ピアノ・デュオ、
F.シンドルベック&ヤン・シュリヒテ(Perc)

録音:2008/2009年
2台ピアノと打楽器という編成での古典的傑作、バルトークのソナタに呼応する形で作曲されたリームの《シュリフト・ウム・シュリフト(フォントにフォント)》はバルトークとは全く対照的な作風。フォントにフォントというタイトル通り、楽器間で点描的な音がやりとりされる静謐な作品。
NEOS-11033(1SACD)
ジェルジ・クルターク(b.1926):弦楽四重奏のための作品全集
「アリオーソ」ヴァルター・レヴィン85才へのオマージュ〜アルバン・ベルクの様ョによる-木製の弱音器で(2009)
6つの楽興の時Op.44(2005)*
ヤコブ・オブレヒトへのオマージュ(2004/2005)
オフィチウム・ブレーヴ〜A.セルヴァンスキの追憶に(1988/89)
「彼方からV」(1999)
M.アンドラーシュへのオマージュ〜12のミクロリュード(1977/78)
「彼方からIII」(1991)
弦楽四重奏曲Op.1(1959)
「アリオーソ」ヴァルター・レヴィン85才へのオマージュ〜アルバン・ベルクの様ョによる-金属製の弱音器で(2009)
アテナl重奏団
【S.フィエルゼン(Vn)、M.ビーデルビック(Vn)、M.ゲッティング(Va;*以外)、H.クライン(Va;*のみ)、K.ボーゲンスベルガー(Vc)】

録音:2008-2010年
30代の初期作品から最近の作品まで弦楽四重奏でクルタークの創作の軌跡をたどるアルバム。バルトーク、ウェーベルンの影響を受けつつ独自の緊張感溢れる世界を築いたクルタークの作風の変遷を俶・できる。ラサールl重奏団のヴァルター・レヴィンに捧げられた最新作の《アリオーソ》は2つのヴァージョンを収録。
NEOS-11035
コンスタンティア・グルズィ(b.1962):作品集
(1)イラティキ・ポリシ(修道士の詩)(2007/2009)
(2)火炎Op.44(2009)
(3)南風〜物語TOp.43(2009)
(4)サッフォーの歌〜クルタークへのオマージュOp.12(1995/2009)
(5)南風〜物語UOp.43(2009)
(6)化合物Op.32(2007/2009)
(7)カスタリアOp.35(2008/2009)
コンスタンティア・グルズィ((1)(7)指揮、(4)(6)Pf)
(1)(7)アポロン・ミュサゲートQ
(1)(2)(4)(6)ヴァシリス・アグロコスタス(ビザンチン詩篇朗唱)、
(1)-(3)(5)-(7)ミカリス・コレバス(タルフー、サズ、ネイ)
(1)(2)C.エルゼッサー(P)

録音:2009年

※全曲世界初録音
コンスタンティア・グルズィは1962年ギリシャ生まれの作曲家。作曲のみならず指揮、教育、コンサート・プロデュースなど多方面に渡って活動している。また2009年にベルリン・ドイツ・オペラのために楽譜が断片しか残されていないハイドンの歌劇《フィレモンとバチウス》の補作・校訂も行っている。彼女の音楽はギリシャ正教の伝統的な朗唱や民族音楽と現代音楽の語法を対立させるのではなく、むしろそれら双方を生かすように作られており、新しいタイプのワールド・ミュージックのように聴こえる。ビザンチン聖歌の神秘的でメリスマティックな朗唱に斬新な響きがつけ加えられ、濃厚な香りと麻薬のような魅力を放つ。(3)(5)はペルシャの葦笛「ネイ」の独奏曲。他にもヴァイオリン系の民族楽器「タルフー」や、ギター系の民族楽器「サズ」が使用されています。
NEOS-11036
マーンコップ・エディション1
クラウス=シュテッフェン・マーンコップ(b.1962):作品集
ザ・トリステロ・システム(2002)〜アンサンブルのための
クーリエ(急便)の悲劇(2001)〜無伴奏チェロのための
W.A.S.T.E(2001/02)〜Obとライヴ・エレクトロニクスのための
D.E.A.T.H(2001/02)〜8トラック・テープのための
ジェームズ・エーヴリー(指)
アンサンブル・サープラス
フランクリン・コックス(Vc)、
ペーター・ヴィール(Ob)、
SWRエクスペリメンタル・スタジオ

録音:2003-2010年
マーンコップ(b.1962)はドイツの中堅作曲家で作曲をブライアン・ファーニホー、クラウス・フーバーに師事。そうした経歴からも想像できるように、彼の音楽はノイズ、様々な特殊奏法が目まぐるしく去来する複雑怪奇な世界が展開します。「クーリエ(急便)の悲劇〜無伴奏チェロのための」は名の通り(?)超絶技巧が凄まじいスピードで奏される、演奏者泣かせの作品。
NEOS-11041
シューマン変容とピアノ・ソナタ〜ヘルマン・ケラー(b.1945):作品集
(1)胚葉〜「シューマン変容」〜ピアノのための(2001)
(2)「シューマン変容」〜ヴァイオリンとピアノのための(1996)
(3)ピアノ・ソナタ第2番(2001)
(4)ピアノ・ソナタ第3番(2008)
(1)(2)(4)ヘルマン・ケラー(P)、
(2)A.メッサーシュミット(Vn)、
(3)トマス・ベーヒリ(P)

録音:2005-09年
ヘルマン・ケラーは1945年ドイツ生まれの作曲家、即興演奏家で、ジャズ・ベーシストとして活動したこともある。ハインツ・ホリガー、ヴィンコ・グロボカール、インゴ・メッツマッヒャーらとともに現代音楽アンサンブルを度々組んでいる。この作品集はタイトル通り、今年生誕200年を迎えたロベルト・シューマンの作品を素材にした一種のパラフレーズ。ピアノの内部奏法、クラスターありと殆ど原型を留めないほど素材はデフォルメされるが時折、もとの素材がよみがえりそのアンバランス感に独自のシュール・レアリスティックな詩学が聴き取れる。ピアノ・ソナタ第3番は2台の片方を四分音下に調律を変え、2台のピアノを独りで弾く作品で、めまいのするような幻想的な雰囲気を作り出します。
NEOS-11043
ジョン・ケージ:ONE〜ピアノのための(1987)
ONE2(1の2乗)〜1-4台のピアノのための(1989)
ONE.(1の5乗)〜ピアノのための(1990)
ザビーネ・リープナー(P)

録音:2009年
ASLSPとほぼ同時期に作曲されたケージ晩年の作品。ナンバー・ピースと呼ばれるシリーズの最初の作品。ONEはソロを意味する。ピアノの単音、和音、内部奏法が間をおいてぽつりぽつりと連なってゆく静謐で美しいピアノ作品。
NEOS-11044
ペーター・ルジツカ(b.1948):ピアノ作品集
5つの情景(2009)
パレルゴン〜ヘルダーリンの6つのスケッチ(2006/2007)
前奏曲集(全6曲)
「時間の内部摘出」〜3つの夜想曲(1969)
補償〜ピアノのための回想(1966/2009)
ゾフィ=マユコ・フェッター(P)

録音:2009年12月
ルジツカは現代ドイツ作曲界の重鎮的存在。ヘンツェ、ハンス・オッテに作曲を師事した彼は堅実でアカデミックな様式を保ちつつ色彩的な音楽を作りあげる。激しい音の塊やすばやいパッセージなど正統的な前衛音楽様式といえる。ピアノを弾くフェッターは日本でも度々リサイタルを開き、絶賛されているドイツの若手ピアニスト。大阪万博にシュトックハウゼンのアンサンブルで来日した父と当時通訳にあたった日本人を母に持ち、マユコ自身も後にシュトックハウゼンの演奏に関わっている。レパートリーは現代曲にとどまらず、ショパン、モーツァルトなども得意としザルツブルク音楽祭にも出演していま,す。
NEOS-11046
ミヒャエル・クヴェル(Michael Quell,b.1960):作品集
(1)エクスターレ(Fl,Ob,vn,Va,Vc)
(2)時と色彩I(Fl,Gtr)
(3)弦楽三重奏曲「覆われた秘密の世界の音」
(4)異方性-[4][集計]-結論(Pf)
(5)アクロノン(アコーディオン,Gtr)
(6)アナモルフォシスII[ポリフォモルフィア]ヴァージョン・A(様々な空間星座のアンサンブルのための)
アリステア・ザルドゥア(指)
アンサンブル・アヴァンチュール(Fl, Ob, Cl, Perc, Pf, Vn, Va, Vc, G, アコーディオン)

録音:2009年
クエルは1960年生まれのドイツの作曲家。作曲をハンス=ウルリッヒ・エンゲルマンに学びました。フランクフルト芸術賞、ベルリン国際作曲賞などヨーロッパの多くの作曲賞を受賞している。作風はラッヘンマンの影響が色濃く、特殊奏法を駆使した緊張度の高い音楽で錯乱したようなカオスと静けさのコントラストが印象的。
NEOS-11047
メキシコの現代音楽
(1)ガブリエラ・オルティス(b.1964):トリフォリウム(2005)(ピアノ三重奏)
(2)アルトゥーロ・フエンテス(b.1975):ロワイン(2009)
〜ヴィオラと予め録音されたCDのための
(3)アレハンドロ・カスタニョス(b.1978):交差点(2009)
〜ヴァイオリン、アルト・サックス、打楽器とエレクトロニクスのための(2009)
(4)ジョルジーナ・デルベス・ロケ(b.1968):これ以上悲惨な(2009)
〜ヴァイオリン、チェロ、テナー・サックスと打楽器のための
(5)フアン・ホセ・バルセナス(b.1982):ウン・レンコル・ヴィヴォ(2008)
〜エレクトリックVn、Vc、テナーSax、打楽器とエレクトロニクスのための
(6)アレイダ・モレノ(b.1982):夜の音楽(2009)〜エレクトリック・ヴァイオリン、アルト・サックス、ピアノ、打楽器、予め録音されたCDとライヴ・エレクトロニクスのための
アンサンブル・アンテグラル、
ヘンリー・ヴェガ(ライヴ・エレクトロニクス)

録音:2009年
メキシコの若い世代の作曲家の作品を収録。作曲家の殆どが地元で学んだ後、ヨーロッパに留学しヨーロッパの前衛技法を学んでいる。オルティスはストラヴィンスキーをポップな語法に組み替えた上で新しい音響を取り込んでゆく秀作。そのほかの作品は楽器の新しい奏法が作る特殊な音響に電子音響が絡み、アコースティックとも電子とも分かちがたい新たなアンサンブル作品を生み出している。1970年代以降の出身の作曲家にこの傾向が強い。その中でもバルセナスの《ウン・レンコル・ヴィヴォ》はエリオット・シャープらのアヴァン・ポップのような都市の落書きを思わせるノイズ・ミュージックで際立った面白さがあります。
NEOS-11051(1SACD)
ドナウエッシンゲン音楽祭2009ライヴVol.1
シャリーノ(b.1947):叫びの夜の書(2009)*
ベアト・フラー(b.1954):アポン(2009)
〜管弦楽と話し声のための#
ジミー・ロペス(b.1978):夢魔V(2009)+
ベアト・フラー(指)SWRバーデン=バーデン・フライブルクSO*#
マリオ・カローリ(Fl)*、
カール・ロスマン(Cl)+、
D.ロスリュスト(Perc)+、
SWRエクスペリメンタルスタジオ

録音:2009年10月ライヴ
2009年ドナウエッシンゲン音楽祭ライヴ。今回の呼び物は30分に及ぶシャリーノの新作《叫びの夜の書》。ほぼ全編をppで通し、フルートのむら息、特殊奏法がオーケストラを奇妙なやり取りを繰り広げ、さながら日本の書を思わせる空間を作る。フラーの《アポン》はオーストリアの劇作家H.クラウスの作品をテキストとするもので、ブーレーズを思わせる鮮やかな音響が魅力。ジミー・ロペスの《夢魔》はポウル・ウィリアムスの詩に基づくアイデア満載の佳作。
NEOS-11052(1SACD)
ドナウエッシンゲン音楽祭2009ライヴVol.2
フランク・ベドロシアン(b.1971):スウィング(2009)*
ラファエル・チェンド(b.1975):闇への導(黙示録の3つのテキストによる)(2009)#
クリストファー・トレビュー・ムーア(b.1976):奇妙な誘惑者(2009)+
ジョルジュ=エリー・オクトール(指)イクトゥス・アンサンブル*#
IRCAM(電子音響)#、
アレクサンドル・フォルティエ(サウンド・ディレクター)#
ソロイスツ・サウンドファブリーク+、
SWRエクスペリメンタルスタジオ

録音:2009年10月ライヴ
70年代生まれの若手作曲家の作品集。いずれも器楽アンサンブルとライヴ・エレクトロニクスのために書かれている。ベドロシアンはパリ出身でグリゼイ、ストロッパ、マヌリ、ミュライユ、ラッヘンマンに師事しスペクトル技法とラッヘンマンの特殊音響を融合した作風。チェンドはマヌリ、ファーニホウに師事しIRCAMで研鑽を積んだ。器楽の特殊奏法に電子音響が絡む目も眩む色彩の変化が聴きもの。ムーアはスタンフォード大学でファーニホウに師事。複雑極まる音響の渦。
NEOS-11053(1SACD)
ドナウエッシンゲン音楽祭2009ライヴVol.3
マノス・ツァンガリス(b.1956):《バチェバ、歴史を食らえ!》〜俳優、歌手、合唱、管弦楽とライヴ・エレクトロニクスのためのラジオ演劇(2008/2009)
シルヴァイン・カンブルラン(指&俳優)、
デニス・コンテ(指)、
SWRバーデンバーデン・フライブルクSO、
SWRヴォーカル・アンサンブル、
シモン・シュトックハウゼン(電子音響監督)、
アルブレヒト・レウ(サウンド・スーパービジョン)他
ヨハンナ・ヴィンケル(S)、
エルヴィラ・ビル(A)、
ジュリアン・ポッジャー(T)、
アンドレアス・ヴォルフ(Br)、
クリストフ・グルント(Org)、
ケイト・ストリング(俳優)ほか

録音:2009年10月ドナウエッシンゲン音楽祭ライヴ
ツァンガリスはデュッセルドルフ出身の中堅作曲家で作曲をカーゲルに師事、ヨーロッパの名だたる作曲賞を数多く受賞している。本作は旧約聖書に題材を取ったシアター・ピースで、俳優の語り、ポルタメントを多く含む歌唱、打楽器を含むノイジーな音響、電子音、サウンド・モンタージュ、オルガンのクラスターなど、現代音楽のおよそ考えられる技法が全て注ぎ込まれています。
NEOS-11060(6CD)
ダルムシュタット・ドキュメントBOX.1「作曲家=指揮者(自作自演集)」

【CD1】
(1)アール・ブラウン(1926-2002):可能な様式I(1961)★
(2)ルネ・レイボヴィッツ(1913-1972):12楽器のための室内交響曲(1946-1948) ★☆
(3)ヴォルフガング・フォルトナー(1907-1987):生命の中心(1951)★
(4)エルンスト・クシェネク(1900-1991):戦時のカンタータ(1944)★
(5)ブルーノ・マデルナ(1920-1973):ピアノ協奏曲(1959)★☆

【CD2】
(1)カールハインツ・シュトックハウゼン(1928-2007):クロイツシュピールIII(1951)
(2)ハンス・オッテ(1926-2007):比率-概念(1960)★☆
(3)アンリ・プッスール(1929-2009):7人の奏者のためのレポン(1960)★☆
(4)ブルーノ・マデルナ(1920-1973):オーボエ協奏曲第1番(1962/1963)
(5)マウリチオ・カーゲル(1931-2008):濁音(1960)

【CD3】
(1)ブルーノ・マデルナ(1920-1973):局面IV(1964)☆
(2)ピエール・ブーレーズ(b.1925):ドゥブル(1957-1958) (ドイツ初演)
(3)ヘルベルト・ブリュン(1918-2000):ソノリフェロウス・ループス(1965)★
(5)ブルーノ・マデルナ(1920-1973):オーボエ協奏曲第2番(1967)
【CD4】
(1)マウリチオ・カーゲル(1931-2008):「1898」(1972-1973)
(2)エルンスタルブレヒト・シュテーブラー(b.1934):コンティヌオ(1974)★☆

【CD5】
(1)マンフレート・トロヤーン(b.1949):室内協奏曲(1973)★
(2)カルメン・マリア・カルネッチ(b.1957):マド・ソングズ(1988)★
(3)ロベルト・HP・プラッツ(b.1951):雷、夢の恐怖から・・・(1987)★
(4)マイケル・フィニシー(b.1946):ピアノ協奏曲第3番(1978)★

【CD6】
(1)ベアト・フラー(b.1954):失われた瞬間を待つ(1990)
(2)マウリチオ・カーゲル(1931-2008):オーケストリオン通り(1995/1996)★
(3)ヨハネス・カリツケ(b.1959):クラキシフィケイションII(1999)☆
(4)ゲルハルト・ミュラー=ホルンバッハ(b.1951):内部トラック(2002)☆
全曲、作曲者(指)

【CD1】
(1)ムジーク・ファブリク/録音:1996年
(2)ダルムシュタット劇場CO/録音:1948年
(3)I.シュタイングルーバー(S)、クルト・レーデル(fl)、ルドルフ・コーリッシュ(Vn)、F.ヴィルトガンス(バスcl)、R.クラマンド(Hr)、ローゼ・シュタイン(Hrp)/録音:1953年
(4)カルラ・ヘニウス(S)、フランクフルトRSO&女声cho/録音:1956年
(5)デヴィッド・テュードア(P)、フランクフルトRSO/録音:1959年
【CD2】
(1)A.シュヴァインフルター(Ob)、ヴォルフガング・マルクス(バスcl)、D.テュードア(P)、Cカスケル&H.ヘッドラー&M.ヴェーナー(Perc)/録音:1959年
(2)J.エリカー(S)、S.ガッツェローニ(fl)、アルフォンス・コンタルスキー(P)、C.カスケル(Perc)/録音:1960年
(3)S.ガッツェローニ(fl)、F.ピエール(Hrp)、アロイス&アルフォンス・コンタルスキー(P,ハーモニウム&チェレスタ)、C.カスケル(Perc)、K.アスマン(Vn)、W.タウベ(Vc)/録音:1960年
(4)ローター・ファーバー(Ob)、国際ダルムシュタット室内アンサンブル/録音:1963年
(5)K-H.ベートナー(スパニッシュ&エレキG)、D.メーテルマン(Hrp)、G.ノートドルフ(Cb)、M.カーゲル&ロックシュトロー(メンブラフォン楽器)/録音:1964年
【CD3】
(1)S.ガッツェローニ(Fl)、国際ダルムシュタット室内アンサンブル/録音:1964年
(2)ハーグ・レジデンティO/録音:1965年
(3)E.ブルム(Fl)、P.ポリン(Trp)、J.カゾーラン(Cb)、ヘッドラー&ロスマン(Perc)/録音:1965年
(4)ブダペスト・ハンガリー室内アンサンブル/録音:1968年
(5)ローター・ファーバー(ob)、ハーグ・レジデンティO/録音1968年
【CD4】
(1)H.ダインツァー(Cl)、A.バウアー(Trp)、K.シュヴェルツィク(Hr)、A.ロシン(Trb)、R.トッツィ(Tuba)、B.シルヴェストレ(Hrp)、アロイス・コンタルスキー(P)、C.カスケル(Perc)、サシュコ・ガヴリロフ(Vn)、S.パルム(Vc)、G.ノートドルフ(Cb)/録音:1974年
(2)H.ダインツァー(Cl)、K.トゥーネマン(Fg)、K.シュヴェルツィク(Hr)、A.ロシン(Trb)、フーベルト・マイアー(Va)、G.シューマッハー(Vc)/録音:1974年
【CD5】
(1)C.レッドマン(Fl)、M.ディーステル(アルトfl)、R.ディリー(cl)、H.ハーゼ(バスcl)、S=ニッテル(Vn)、F.ガウヴェルキー(Vc)、Y.アッペンハイマー(Cemb)、D.アーデン(P)/録音:1976年
(2)ブリギッタ・ショーク(A)、M.ハラー(G管fl)、A.マルコム(イングリッシュHr)、W.イフリム(バスcl)、C.ディールシュタイン(ヴィヴラフォン、マリンバ)/録音:1988年
(3)アンサンブル・ケルン/録音:1990年
(4)ジェイムズ・クラッパートン(P)、イクシオン・アンサンブル/録音:1990年
【CD6】
(1)クラングフォルム・ウィーン/録音:1994年
(2)ムジーク・ファブリク/録音:1996年
(3)ベルリンSO/録音:2000年
(4)ムターレ・アンサンブル/録音:2002年
(ダルムシュタット夏季現代音楽講習会ライヴ)

★=世界初リリース音源
☆=世界初演時の録音
これは現代音楽愛好家には垂涎の貴重な音源集です。ダルムシュタット夏季現代音楽講習会は、第二次世界大戦直後の1947年にメシアンやレイボヴィッツらを講師にして始められた現代音楽の老舗ともいうべきセミナー&音楽祭です。戦後の前衛音楽シーンはここから始まったといっても過言ではありません。ブーレーズ、シュトックハウゼン、ノーノら前衛三羽烏はここから巣立ってゆきました。またその後、それぞれの時代を作った作曲家のほとんどがこの門をくぐっています。そんな音楽祭の未発表音源を含む貴重なライヴ録音を一挙にリリース。しかも全て作曲者自身による指揮で、作曲家の意図を後世に正確に伝える結果となりました。ブルーノ・マデルナのピアノ協奏曲をデヴィッド・テュードアが弾くなど、歴史的セッションも忘れがたいもの。録音はモノラルからデジタルまでまちまちですが、音質は大変良好です。音の向こうから新しい時代のみずみずしくも尖った空気が伝わってきます。
NEOS-11070
ファビアン・パニセーリョ(b.1963):トランペット協奏曲(2010) *
室内協奏曲(2005)
ヴァイオリン協奏曲(2002) #
ファビアン・パニセーリョ(指)
プルーラル・アンサンブル
マルコ・ブラーウ(Tp)*
フランチェスコ・ドラジオ(Vn)#

録音:2010 年1 月、2008 年9 月ワルシャワの秋音楽祭ライヴ 60:24
パニセーリョはアルゼンチンの中堅作曲家で現在はスペインで活動している。本人の言葉によればエリオット・カーター、ドナトーニ、ファーニホウ、ルイス・デ・パブロ、エトヴェシュらに強く影響を受けたとされる。しかしヨーロッパの正統的前衛の薫陶を受けながらも彼の作品からは南米の民族音楽のリズムと強烈な太陽を思わせるオーケストラの鮮やかな色彩、ふと去来する旋律とハーモニーに南米独特の哀愁が感じられる。その音楽には前衛の形をとりながらも抽象化されたアストル・ピアソラ、レブエルタス、ヴィラ・ロボス、ヒナステラの姿が見えてくる。
NEOS-11072(1SACD)
細川俊夫:弦楽四重奏作品集
(1)沈黙の花(1998)
(2)ランドスケープI(1992)
(3)ランドスケープV(1993)
(4)原像(1980)
(5)開花(2006/07)原典版
ディオティマQ【ナーマン・スルチン(Vn)、ユン=ペン・ツァオ(Vn)、フランク・シュヴァリエ(Va)、ピエール・モルレ(Vc)】
(3)宮田まゆみ(笙)

録音:(1)(2)(4)(5)2009年3月ミュンヘン、(3)2009年3月ザルツブルク・ビエンナーレ(ライヴ)
弦楽四重奏とそれを中心とした編成のための曲が多い細川俊夫の作品の中から、世界初演作品ではないものの、最近の録音を一枚に集成した話題盤。《開花》では原典版の楽譜を使用。いずれも複数の長い音の帯が重なりあい、時に激しくぶつかり合い、また時には尺八のむら息のように叫び、再び穏やかな凪へと戻ってゆく音楽。武満徹の「地平線のドーリア」の進化形ともいえ、モノクロームなトーンが幾重ものグラデーションを形成し、水墨画のような空間の広がりを作り出します。
NEOS-11101
ペーター・ルジツカ(b.1948):管弦楽曲集Vol.2
「凶星について」(2011)
「トランス」(2009)〜室内アンサンブルのための
管弦楽のための記憶「マーラー/画像」(2010)
ペーター・ルジツカ(指)
ベルリン・ドイツSO

録音:2012年3月
NEOS-への管弦楽作品は2年ぶりの第2集です。最近(2009〜11 年)の管弦楽曲を収録。 ルジツカはヘンツェとハンス・オッテに作曲を師事したせいか、彼の管弦楽作品は後期ロマン派から表現主義までドイツの堅固な様式に基づいた演奏効果の高いダイナミズム持ってためリッカルド・シャイー、アシュケナージ、ティーレマン、エッッシェンバッハなど世界の名高い指揮者が好んで取り上げている。いずれも典型的な現代音楽の書法を採りながらオーケストラの圧倒的な迫力を楽しめます。「マーラー/画像」ではマーラーの交響曲第1 番と第9 番の一部が素材として使われています。
NEOS-11105
トビアス・PM・シュナイト(b.1963):最新作品集
(1)「5つの肖像」〜無伴奏ヴァイオリン独奏のためのカプリチオ(2011)
(2)ピアノ三重奏曲第1番「・・・抽象的な海に向かって・・・」(2003/08)
(3)7つのバガテル(2011)
(4)無伴奏チェロ・ソナタ(2011/12)
(5)ピアノ三重奏曲第2番「3つの告別とLのための間奏曲」(2007)
(2)(5)テクラー三重奏団
【(1)エスター・ホッペ(Vn),(4)マクシミリアン・ホルヌング(Vc),(3)ベンヤミン・エンゲリ(P)】

録音:2009-11年バイエルン放送
トビアス・PM・シュナイトはドイツの中堅作曲家で第1 回ウィーン国際作曲コンペティション第1 位を始めとして多くの賞を受賞。本人によればシューベルト、マーラーそしてジャズから多くの影響を受けているといい、実際、彼の作品は現代音楽特有の無調様式に調性感のある抒情的な旋律を持った19 世紀ロマン派の様式が折衷されている。ピアノ三重奏曲第1 番では無調の激しい音楽とヴァスクス、ペルトを思わせる瞑想的な音楽が交互に現れ拮抗します。ピアノのための7 つのバガテルではジャズを思わせるリズムに乗せられてバルトーク風、ウェーベルン風の音が展開します。
NEOS-11110
ロベルト・ジェラール(1896-1970):レオ(1969)〜器楽アンサンブルのための
ジェミニ(1966)〜ヴァイオリンとピアノのためのデュオ・コンチェルタンテ
リブラ(1968)〜フルート,クラリネット,打楽器,ギター,ピアノとヴァイオリンのための
8人のための協奏曲(1962)
ペーター・ヒルシュ(指)
コレギウム・ノヴム・チューリヒ
ラヘル・クンツ(Vn)、
クリストフ・ケラー(P)

録音:2011年2月
ロベルト・ジェラール(ジェラード、ヘラルドとも)はカタロニア出身で当初エンリケ・グラナドスに師事、カタロニア民謡に興味を示し、そうした様式の作品を書いていましたが、やがて 12 音技法に興味を持ち、スペイン人で初めてシェーンベルクの弟子となりました。スペイン内戦で彼は迫害を逃れパリに移住、後にイギリスに居を定め、作曲とカタロニア文化の研究に没頭しました。ここに収められた作品は一部、旋法的な書法が見られるもののほとんどが12 音技法による点描的な厳しい作風で時折り現れるギターやカスタネットの響きに抽象的に純化されたスペイン音楽のイディオムを聴き取ることができます。ルイス・デ・パブロと並ぶスペイン現代音楽の父の初めてのまとまった形での作品集。
NEOS-11112
ニコラウス・ブラス(b.1949):室内管弦楽団のための作品集
《やがて》(2008)〜2つのクラリネットと弦楽のための協奏曲*
《現代的な成長》(2006)〜18の独奏弦楽器のための
アレクサンダー・リープライヒ(指)
ミュンヘンCO
ツェリンスキー=スメイヤーズ・クラリネット・デュオ*

録音:2010年
ニコラウス・ブラスの弦楽を中心とした近作を収録。ブラスは医学を学んだ後、作曲に転向、ハノーバーでラッヘンマンに学んだ。《やがて》では 2 つのクラリネットが弦楽合奏のモノクロームな響きの中に浮かび上がったり埋没したり、弦楽と共にハーモニーを奏でたりと終始、冬のヨーロッパの灰色の午後のようなメランコリックな時間が続く。《現代的な成長》では弦楽の長い音の持続が雅楽の笙を思わせ、どこか日本的な情感を漂わせるが、中ほどでベルクを彷彿とさせる表現主義的な激しいエネルギーの爆発がある。東洋的な諦観とわびさびを感じさせる美しい現代の音の水墨画。
NEOS-11113
アンサンブル・ヴォルテックスのゲスト作曲家達
アルトゥーロ・コラレス(b.1973):ポップな旋律「フォーク・ユー!」による《カノン・フラクタル》(2009)〜リコーダー、Vn、エレクトロニクスのための
ジョン・メノード(b.1976):アセファル(無頭人) (2009)〜コンピュータ作品
フェルナンド・ガルネロ(b.1976):《ルミナール》(2005)〜Ob、G、Perc、Vn、Cb
フランシスコ・ユーゲ(b.1976):ザ・コーナーズ・オヴ・ディス・セクション(2010)〜コンピュータ作品
デニス・シュラー(b.1970):Teh(2008)〜声、Ob、G、Perc、Vn、Cbのための
ニコライ・ミハイロフ(b.1975):フラッシュ・バック(2006)〜テープ作品
ダニエル・ゼア(b.1976):エレガント・スパンキング(優雅な尻叩き) (2010)〜Vn、Vc、Cb、バスClとエレクトロニクスのための
アンサンブル・ヴォルテックス

録音:2005年・2010年
現在30代の国籍も様々な作曲家たちの最新作を収録。アルトゥーロ・コラレスの作品は民族音楽の要素、ポップス、キッチュな趣味が融合したなんとも不思議で愉快な世界。ジョン・メノードの《カノン・フラクタル》は破茶滅茶ミュージック・コンクレート。ニコライ・ミハイロフのピーポポという音響が何故か懐かしいテープ音楽「フラッシュ・バック」。ニューヨークのノイズ系実験音楽を思わせるダニエル・ゼアの「エレガント・スパンキング(優雅な尻叩き)」など時代の空気を切り取ったような鮮烈な作品ぞろい。
NEOS-11118
ルドルフ・ケルターボーン(b.1931):FDへのオマージュ(2010)〜5楽器と女声のための想像上の情景
室内交響曲第3番(2007)〜2台ピアノと3つ楽器群のための*
イッヒ・ヘーレ・ミッヒ(2006)〜ソプラノ、オーボエ(コール・アングレ)、チェロとピアノのための#
ヴィオラ協奏曲(2009)##
ピエール=アラン・モノ(指)NECヌーヴェル・アンサンブル・コンタンポラン、
ジャニーヌ・ヒルツェル(S)、
アドリエンネ・ソーシュ&イーヴォ・ハーグ(P)*
ジェシカ・ロナ(Va)#、
トマス・レースナー(指)ビールSO

録音:2011年2月、2008年9月初演ライヴ*、2011年2月、2010年5月初演ライヴ##
ケルターボーンはバーゼル出身の作曲家でヴォルフガング・フォルトナー、ボリス・ブラッヒャーらに師事。ポスト・ウェーベルンの点描的な厳しい様式の流れを汲みつつブーレーズを思わせる輝かしい音響が特徴。室内交響曲第3番におけるピアノ、ハープ、ギター、金属系打楽器の奏でる輝かしい音響の中から生まれてくるヴァイオリン群の息の長い旋律の神秘的な美しさ、ただひたすらヴィオラとオーケストラが禅問答のような孤独な対話を続ける大作ヴィオラ協奏曲が聴きもの。
NEOS-11119(1SACD)
ルイジ・ノーノ:作品集
「リゾナンツェ・エランティ(さすらう響き)」/マッシモ・カッチアリに(1986/1987)※世界初録音〜コントラルト、フルート、チューバ、打楽器とライヴ・エレクトロニクスのための
ドナウのための後-前-奏曲(1987)〜チューバとライヴ・エレクトロニクスのための*
アンサンブル・エクスペリメンタル
【ズザンネ・オット(S)、R.ファブリチアーニ(Fl)*、クラウス・ブルガー(Tub)】
デトレフ・ホイジンガー(指)ストラスブール打楽器アンサンブル
SWRエクスペリメンタル・スタジオ (ライヴ・エレクイトロニクス)

録音:2010年12月
《リゾナンツェ・エランティ(さすらう響き)》はハーマン・メルヴィルら数人の詩人の詩をテキストとし、他にいくつかの中世ルネサンスの歌曲が原型を留めぬほど変形してコラージュされて構成されている。コントラルトのモノローグとも言うべき独唱に打楽器、チューバ、電子音響が挑発的に楔を入れる形で進行するノーノ晩年の傑作。《ドナウのための後-前-奏曲》は現代曲の世界ではチューバの名曲として比較的知られており、本年6月にも日本初演されたばかり。予め録音され変調されたチューバの音と生のチューバが夢と現実の境も曖昧な幻想的な対話を繰り広げます。
NEOS-11120
ダーフィト・フィリップ・ヘフティ(b.1975):管弦楽&室内楽作品集
(1)チェロ協奏曲「鳴り響くものに対して」(2010)
(2)「上り坂」〜フェリックス・フィリップ・インゴルトの詩によるソプラノ、フルート、ヴァイオリン、チェロとピアノ
のための3つの集約(2010)
(3)弦楽四重奏曲第2番「グッギスベルク変奏曲」(2008)
(4)月の詩(ポエム・リュネール)(2008)
(5)音の弓(2009)
(1)トーマス・グロッセンバッハー(Vc)、デヴィッド・ジンマン(指)チューリヒ・トーンハレO
(2)アンサンブル・アマルテア
(3)アマールQ
(4)ミシェル・ルイリー(Va)、ベッティナ・ズッター(P)
(5)ミハエル・ザンデルリンク(指)ルツェルンSO

録音: 2010 年11 月、2011年3月ライヴ

※全作品世界初録音
スイス生まれの作曲家ヘフティはヴォルフガング・リーム、クリストバル・ハルフテル、ルドルフ・ケルターボーンらに師事しグスタフ・マーラー作曲コンペティション、パブロ・カザルス賞、ジョルジュ・エネスコ賞などに入賞している。リームらの影響を受けた緊張度の高いドラマティックな音楽が特徴でチェロの引き裂くような叫び声にオーケストラは時に咆哮しまた時に微細な変化を見せるチェロ協奏曲《鳴り響くものに対して》は圧巻。
NEOS-11122
ルイジ・ノーノ:作品集
(1)「ピエールに。青い沈黙、不穏」(1985)
(2)「苦悩に満ちながらも晴朗な波」(1976)
(3)「ジェルジ・クルタークへのオマージュ」
(1983/86)
(4)「ルイジ・ダラピッコラとともに」(1979)
(1)(3)ロベルト・ファブリチアーニ(Fl)、
 エルネスト・モリナーリ(Cl)、
(2)マルクス・ヒンターホイザー(P)
(3)ズザンネ・オット(A)、
 クラウス・バーガー(Tb)、デトレフ・ホイジンガー(指)、
(4)ストラスブール・パーカッション・アンサンブル
(1)-(4)エクスペリメンタル・スタジオSWR(ライヴ・エレクトロニクス)

録音:2010年12月
「冷たい怪物に気をつけろ」他(NEOS10801/02)、「さすらう響き」他(NEOS11119)に続くノーノ作品シリーズ第3弾。いずれも中期以降のアコースティック楽器とライヴ・エレクトロニクスを組み合わせた夢と現実の狭間をゆくようなシュールレアリスティックな夢幻空間。「苦悩に満ちながらも晴朗な波」以外は終始瞑想的ともいうべき静謐な空間が果てしなく拡がってゆきます。悲観と諦観の間を彷徨するかのような後期ノーノの傑作の森。前作同様、クラリネットのエルネスト・モリナーリ、フルートのロベルト・ファブリチアーニらノーノと縁の深かった名手たちによる渾身の演奏。
NEOS-11123
チャールズ・ウォリネン(b.1938):ヴァイオリン、鍵盤楽器のための室内楽
ハート・シャドウ(2005)〜ピアノのための
長く短く(1969)〜ヴァイオリン・ソロのための
ハープシコード・ディヴィジョンズ(1966)*
ヴァイオリン変奏曲(1972)
6つの小品(1977)〜ヴァイオリンとピアノのための
アンナ・スコウラス(Vn)、
アンドレアス・スコウラス(P)

録音:2010 年3-4 月、世界初録音
ニューヨークを拠点に活動するアメリカの作曲家ウォリネンが30〜40 歳代に作曲した鍵盤作品とヴァイオリン作品を中心に収録。ウォリネンは一時期アメリカ東海岸で主流をなした無調音楽の技法のひとつであるピッチ・クラス・セット理論を主導したコロンビア楽派の中心的な作曲家。ぎりぎりまで削ぎ落された厳しい音のなかにひんやりとしたリリシズムが漂う。
NEOS-11125(1SACD)
ヴァインベルグ(1919-96)エディションVol.1
ヴァインベルグ:交響曲第6番Op.79(1962-63)
シンフォニエッタ ニ短調Op.41(1948)*
ウラディーミル・フェドセーエフ(指)
ウィーンSO、ウィーン少年cho
ジェラール・コルステン(指)フォアアールベルクSO*

録音:2010年8月レゲンツ音楽祭ライヴ
交響曲第6番(交響曲は全部で19曲作曲!)はソビエトのユダヤ系告lレフ・クヴィトコの詩をテキストにした少年合唱つきの大作。ショスタコーヴィチの後期交響曲に通ずる深い悲しみと諦観の闇のなかから浮かび上がる清らかな少年合唱の響きは天gの声(ウィーン少年合唱団が名演!)と見紛うばかり。フェドセーエフはモスクワ放送響とも同じ2010年に録音しておりましたが、それは何故かカット版でした。今回の録音は演奏條ヤ44分、待望の全曲版になります。シンフォニエッタはストラヴィンスキーかプロコフィエフ、ショスタコーヴィチのバレエ「黄金時代」「ボルト」あたりを思わせる外向的な作品です。こちらはエヴァ・メイの夫君としても知られるジェラール・コルステンがブレゲンツのオーケストラを振っての演奏です。両曲ともオーケストラのダイナミズム満載でオーディオ・マニアにも気に入って頂けます。
NEOS-11126(1SACD)
ヴァインベルグ・エディションVol.2
ヴァインベルグ:交響曲第17番「記憶」Op.137 (1982-84)
ウラディーミル・フェドセーエフ(指)
ウィーンSO

録音:2010年7月レゲンツ音楽祭ライヴ
ヴァインベルグは生涯に19曲の交響曲を作曲していますが(シンフォニエッタ、コ内交響曲、番号なしの交響曲を入れると27曲!)、この第17番は第18、19番と組んで三部作を構成し、いずれも1980年代に集中的に作曲されました。《記憶》と名づけられたこの曲は第二次世界大戦とソビエト亡命後のユダヤ人迫害、スターリン圧政下の苦難の思い出が反映されていると作曲者は述べています。第1楽章の闇の中で祈りを捧げるかのような悲痛な旋律、第2楽章の戦争を連想させる不吉な行進曲調の音楽、第3楽章のバロック様ョを模しながらもどこまでも不安な曲調、そして終楽章の諦めと最後の闘争。どこまでも暗く救いのない音楽。曲を献呈されたフェドセーエフ(1984年の初演ライヴも出ていました)と、かつてシェフを務めたウィーン響の入魂のライヴ。
NEOS-11127(1SACD)
ヴァインベルグ・エディションVol.3
ヴァインベルグ:レクイエムOp.96
【1.パンと鉄(ディミトリ・ケドリン)/2.そしてそれから・・・(フェデリコ・ガルシア・ロルカ)/3.柔らかい雨が降るだろう(サラ・ティースダール)/4.広島、5本の詩句(深川宗俊)/5.人々は歩いた(フェデリコ・ガルシア・ロルカ)/6.種をまく(ミハイル・デュディン)】
エレナ・ケレシディ(S)
ウラディーミル・フェドセーエフ(指)
ウィーンSO、
ウィーン少年cho
プラハ・フィルハーモニックcho

録音:2010年8月レゲンツ音楽祭ライヴ
このレクイエムは作曲者がベンジャミン・ブリテンの戦争レクイエムの影響を受けて作曲されました。作曲の背景にはブリテンの友人でもあるショスタコーヴィチの薦めもあったようです。ロシアの詩人ケドリン、スペインの詩人ガルシア・ロルカの他、日本の詩人・深川宗俊の詩も取り上げられています。因みに深川宗俊は広島で被爆、戦後は峠三吉らと反戦詩人として活動した。楽譜は作曲後紛失、初演は作曲者の死後13年経った2009年11激潟買@プールにてトマス・ザンデルリングの指揮で行われました。ショスタコーヴィチ、シュニトケ・ファンは必聴!
NEOS-11128
ヴァインベルグ・エディションVol.4
ヴァインベルグ:チェロ・ソナタ第2番Op.63(1959)
ピアノ五重奏曲Op.18(1944)*
クリストフ・ストラドナー(Vc)、
ルカ・モンティ(Pf)
ドリス・アダム(P)*、
ウィーンEOS四重奏団*

録音:2010年8月、2010年7月*、
ブレゲンツ音楽祭ライヴ
チェロ・ソナタ第2番はショスタコーヴィチのチェロ協奏曲第1番に感銘を受けて作曲された暗い.情の溢れる佳曲。チェロのストラドナーはウィーン響の首席。ピアノ五重奏曲は第二次大戦中に書かれたヴァインベルグの「戦時の音楽」でブラームスから後期ロマン派、プロコフィエフ、ショスタコーヴィチの影響を感じさせる大作。ヴァスクスら現代のロマン主義の作曲家と不思議に似通った雰囲気を持ちます。
NEOS-11129
ヴァインベルグ・エディションVol.5
ヴァインベルグ:3本の椰子の木Op.120(1977)*
弦楽三重奏曲Op.48(1950)
トランペット協奏曲第1番変ロ長調Op.94(1967)#
タリア・オル(S)*、
ウィーンEOS四重奏団*
松井香奈(Vn)、ヨハネス・フリーダー(Va)
クリストフ・ストラドナー(Vc)
ユルゲン・エレンゾーン(Tp)#、
ジェラール・コルステン(指)フォアアールベルクSO

録音:2010年8月*、2010年7月
3本の椰子の木はミハイル・ユーリヴィッチ・レールモントフの同名の詩による作品、弦楽三重奏曲は民族音楽と新古典主義の影響を受けた佳曲、そしてトランペット協奏曲はソビエトの名トランペット奏者ティモフェイ・ドクシツェルのために作曲されました。リムスキー=コルサコフの金鶏やビゼーのカルメン、メンデルスゾーンの結婚行進曲などが引用される痛快な傑作。
NEOS-11130
オズヴァルド・コルッチーノ(b.1963)作品集
アッティモ(2007)〜弦楽四重奏のための
アイオン(2002)〜弦楽四重奏のための
固定した反復(2002)〜ピアノ四重奏のための*
切断(2008)完全版〜ヴァイオリンとチェロのための
フェニーチェ劇場SQ
【ロベルト・バラルディ(Vn)、
ジャナルド・タトーネ(Vn)、ダニエル・フォルメンテッリ(Va)、エマヌエーレ・シルヴェストリ(Vc)】
アキーレ・ガッロ(P)*

録音:2010年10月

※全作品世界初録音
コルッチーノはイタリアの中堅作曲家で作品はRAI交響楽団、アンサンブル・ルシェルシェによって盛んに紹介されています。このCDには弦楽四重奏を中心とした作品が収められているが、作風はウェーベルンか、はたまたフェルドマンを思わせる切り詰められた音の中での静謐の美学を追求します。《固定された反復》では長く引き伸ばされた弦楽の響きの中で爪弾かれるピアノの音塊、また逆にピアノの余韻から浮かび上がる弦の断片的なモティーフに独自のリリシズムを感じさせます。
NEOS-11201
アーロン・キャシディ(b.1976):作品集
記憶の支え(2004)〜不確定の弦楽器独奏のための
貼り付けられた基盤における計数のための3つのスタディ
 《What then renders these forces visible is  a strange smile》(2008)〜トランペット独奏のための
 《Because they mark the zone where the force is in the process of striking》(2008)〜トロンボーン独奏のための
 《Being itself a catastrophe, the diagram must not create a catastrophe》(2009)〜オーボエ/ミュゼット/コール・アングレ/バス・クラリネットのための
《私、紫、小競り合いの血、美しい唇の微笑み》(2006)〜声とライヴ・エレクトロニクスのための
メタリック・ダスト(1999)〜電気増幅されたバス・クラリネットのための
仮死状態(2000)〜ソプラノ・サックスのための
彼らの聴き手と同じくらい嘆かわしいだけの歌(2006)〜トロンボーン独奏のための
エリシオン・アンサンブル

録音:2008年/2010年
キャシディはISCM World Music Daysでも作品が演奏されたアメリカの若手作曲家。編成は異なってもほとんどその音楽は変わらず、特殊奏法、つねにせわしなく動く断片的なパッセージの連続。わかりやすく言うとカセット・テープを再生しながら早回しをした時に生じる音のような「ピュルピュル・チュルッ・ピーブヒ・ヒヒヒ・パラピョラッ・フビヴォホピ〜」といった音楽がひたすら続く。それでいて即興の余地は全くなく、ブックレットに一部掲載されている楽譜を見る限りではリズムに関しては厳格に記譜されているのは驚き。最後に収録された《彼らの聴き手と同じくらい嘆かわしいだけの歌》はそれまでとは一転、たった1音が微妙にピッチを変えながら最弱音で続くという誠に変わった作品。
NEOS-11203
ヨハネス・カリツケ(b.1959):歌劇「強迫」(2008-09)
台本:クリストフ・クリムケ〜ヴィトルト・ゴンブローヴィッチの小説に基づ
ヘンドリッキェ・ヴァン・ケルクホヴェ(S)、
ノア・フレンケル(MS)、
リー・メルローズ(Br)、
ベンジャミン・ヒューレット(T)、
ヨッヘン・コヴァルスキ(男声Alt)、
マンフレート・ヘム(Bs)
ルペルト・ベルクマン(Br)、他、
ヨハネス・カリツケ(指)
クラングフォルム・ウィーン

録音:2010年2月19日アン・デア・ウィーン劇場(世界初演ライヴ)
※世界初録音
ヨハネス・カリツケの4作目となるオペラでポーランドの作家ヴィトルト・ゴンブローヴィッチの同名の小説を原作とした心理的群集劇。無調・前衛手法で書かれながら緊密な構成と早い展開、緩急のあるダイナミズムで一気に聴かせます。
NEOS-11205(2CD)
トマス・ブローメンカンプ(b.1955):管弦楽、室内楽、ピアノ作品集
(1)大管弦楽のための5つの小品(2007)
(2)7つのデザート・リズミクス(2006)
(3)トッカータ,トンボーとトルソ(2009)
(4)舟歌(バルカローレ)(1988)
(5)夜想曲(1998)
(6)ピアノ・トリオと管弦楽のための音楽(2003)
(7)無伴奏チェロ組曲(2010)
(8)アニマート,アダージョとアジタート(2010)
(1)ジョン・フィオーレ(指)デュッセルド
ルフSO
(2)デュッセルドルフ響木管五重奏団
(3)リヴィニウス・ピアノ四重奏団
(4)(5)シュテファン・イルマー(P)
(6)トリオ・オーパス8(Vn, Vc, Pf)、
フランク・ベールマン(指)北西ドイツPO
(7)ニコラウス・トリープ(Vc)
(8)ランベルトゥス・ピアノ五重奏団

録音:2004-2011年
ブローメンカンプはヨーロッパの数々の国際作曲コンクールに入賞しており、その才能はジェルジ・リゲティからも評価された。2001年にはドストエフスキーの同名小説に基づく「白痴」を発表しドイツ国内では大きな話題となりました。作風は極めて多様で、この作曲家が様々な時代の様式と技術に精通していることがわかります。大管弦楽のための5つの小品では新ウィーン楽派が、7つのデザート・リズミクスではマルティヌーのエコーが聴こえ、「トッカータ、トンボーとトルソ」ではバルトークや他の東欧の作曲家の影響を感じ取ることが出来ます。
NEOS-11207
マーンコップ・エディション2〜クラウス=シュテッフェン・マーンコップ(b.1962):ピアノ作品集
根茎(Rhizom,1988/1989)
5つの小さなラクナリテート(5 kleine Lakunaritaten,1994/95)
室内細密画(1995)/室内小品(1995)
新しい天使の夢(1999)
ベートーヴェンの注釈(2004)
プロスペロー断章(2005)
エルミス・テオドラキス(P)

録音:2010年8月フライブルク
マーンコップはドイツの中堅作曲家でブライアン・ファーニホー、クラウス・フーバーらに師事し、ガウデアムス賞、シュトゥットガルト作曲賞などの受賞歴がある。作風は師匠ファーニホーの影響が色濃く(ブックレットに引用されている楽譜を見るとファーニホーの作品の譜面の風景がよく似ている)、複雑な楽譜には夥しい音と激しい強弱のコントラストによる音の身振りが詰め込まれています。そんな一方、「プロスペロー断片」ではウェーベルンの発展系ともいうべき点描的な音楽を聴かせます。近年はアンサンブル・モデルンのためにも作曲しザルツブルク音楽祭にも招かれている注目の作曲家。
NEOS-11208
現代のギター四重奏曲集
ゲオルク・フリードリヒ・ハース(b.1953):四重奏曲(2007)
ベアト・フラー(b.1954):未来の書の断章(2007)*
マヌエル・ヒダルゴ(b.1956):ダンス・バトル(2000)
ヘルムート・オーリング(b.1961):ミヒ・シュティーレ〜ギター四重奏と予め演奏が録音されたCDのための(2000)
マルクス・ヘッハトル(b.1967):網掛けのある線(2006)#
アレフ・ギター四重奏団
【アンドレス・エルナンデス・アルバ,
ホセ・ハビエル・ナバロ・ルカス,
ヴォルフガング・ゼーリンガー,
ティルマン・ラインベック】
ペトラ・ホフマン(S)*、
エルネスト・モリナーリ(Cl)#

録音:2011年11月
アレフ・ギター四重奏団は珍しい現代音楽専門のギター四重奏団として「ワルシャワの秋」(ポーランド)、パン・ムジーク(韓国)、アルス・ノヴァ(スイス)など数多くの現代音楽祭に招かれている。このCDでは中堅からベテラン世代に作曲家に委嘱した作品を収録。アヴァン・ポップ風のオーリング「ミヒ・シュティーレ」、特殊奏法多用がコンピュータ音楽を思わせるフラー「未来の書の断章」が聴きもの。
NEOS-11209
H.E.エルヴィン・ヴァルター(1920-95):室内楽曲集
(1)クラリネットとピアノのための9つの小品(1963)
(2)ローテーション[概説]ヴァージョンA (1969)
(3)ケイトのアリア(1972)〜チェロ独奏版
(4)未定の音〜チェロとピアノのための版(1968)
(5)ケイトのアリア[オーディオ・グラム] (1972)〜ピアノ独奏版
(6)ローテーション[概説]ヴァージョンB(1969)
(1)(2)(6)イブ・ハウスマン(Cl)、
(2)(3)(4)(6)ペーター・ブルンス(Vc)
(1)(2)(4)(5)(6)フランク・グートシュミット(P)

録音:2011年12月バイエルン放送
H.E.エルヴィン・ヴァルターはドイツの作曲家でオスカー・コールに音楽学を、ハンス・シンドラーに作曲を師事した。サルトル、コクトー、ブレヒトらの劇に多くの音楽を作曲、またジャズの演奏も行いました。図形楽譜を用いた不確定性の作品を多く作曲し、ここでは楽譜そのものが美しい美術作品となっている(ジャケット、ブックレットに一部掲載)。ピアノは内部奏法も併用し、音のアクション・ペインティングともいえるフリー・ジャズとも通底している音楽。
NEOS-11210
H.E.エルヴィン・ヴァルター(1920-95):声楽作品集
(1)スペイン語のテキストによる4つの歌曲〜バリトンとピアノのための(1989)
(2)テノールとピアノのための3つの歌曲(1956)
(3)ソプラノとピアノのための6つの歌曲(1979)
(4)テノールとピアノのための2つの歌曲(1953)
(5)ソプラノとピアノのための4つの楽しい歌(1960)
(6)語り手とピアノのための12のスピーチ・ソング(1987)
イヴォンヌ・フリードリー(S)、
ヨアヒム・フォークト(T)、
ヴォルフラム・テスマー(Br)、
フランク・グートシュミット(P)

録音:2012年2月バイエルン放送
「室内楽作品集」(NEOS11209)が図形楽譜による不確定性の作品が中心なのに対して、こちらはきっちりと記譜されたどちらかといえば保守的傾向の濃い、声楽作品集。様式はシェーンベルク、ベルクの表現主義の歌曲に近い。「スペイン語のテキストによる 4 つの歌曲」ではテキストにガルシア・ロルカ、ラファエル・アルベルティの詩を使っています。また「テノールとピアノのための 2 つの歌曲」ではフランスとイギリスの古い作者不詳の詩をテキストにしています。
NEOS-11211(2CD)
マーンコップ・エディション3〜「新しい天使チクルス」〜クラウス=シュテッフェン・マーンコップ(b.1962):作品集
(1)新しい天使(1999-2000)*
(2)室内交響曲第2 番(1997-1999)*
(3)ソリテュード・セレナーデ(1997)
(4)新しい天使の地(1997-1999)*#
(5)新しい天使の幻(1997-1998)*
(6)新しい天使の夢(1999)*#
(7)新しい天使 2(ソプラノ独唱版)(1999-2000)*
(1)モニカ・マイヤー=シュミッド(S)、
(1)(2)(3)ジェームズ・エイヴリー(指)
アンサンブル・サープラス
(3)エルネスト・ロンブー(ピッコロOb)、
(4)キャリン・レヴァイン(Fl)、
(5)フランクリン・コックス(Vc)
(6)ゾフィ=マユコ・フェッター(P)
(7)アルムート・ヘルヴィヒ(S)

録音:2001-11年、
※*=世界初録音、#=ライヴ
マーンコップはドイツ・マンハイムの出身でファーニホー、クラウス・フーバーらに師事した。このチクルスはヴァルター・ベンヤミンの「新しい天使」に基づくシアター・ピース。曲名はラテン語だったり、ドイツ語だったり、フランス語だったりするが、日本語だとみな「新しい天使」になる。ソプラノの歌、語り、呻き、口笛など、およそ人間の口で出せるあらゆる音を駆使した(1)はシアトリカルな要素を持った秀作。(2)室内交響曲第2 番では交響曲の名も有名無実化し、前述の(1)では声で行われたことが各楽器で行われ、錯綜した時間が流れる。CD1 がアンサンブルであったのに対し CD2 では独奏作品が並ぶ。ファーニホーの弟子らしく、様々な奏法が短い間に目まぐるしく展開します。
NEOS-11213
ジョン・ケージ、コミュニケーション〜ダルムシュタット・オーラル・アーカイヴBox2
1958年ダルムシュタット夏期現代音楽講習会におけるジョン・ケージ(1912-92)によるレクチャー第3部《プロセスとしての作品》#
(1)コミュニケーション 1〜6
(2)クリスティアン・ウォルフ(b.1934):プレパレーションつきのピアノのための(1957)
(3)ボー・ニルソン(b.1937):クヴァンティテーテン(量)(1958)*
(2種類の演奏)
(4)ジョン・ケージ:ヴァリエーションズ I(2台のピアノとラジオ・セットのための)(1958)+
ジョン・ケージ(レクチャー(1)とピアノ&パフォーマンス(4))
デヴィッド・テュードア(P(2)(3)、P&パフォーマンス(4))

録音:(1)-(3)1958年9月9日
(4)1958年9月3日、
*世界初演、#世界初録音、
+=ヨーロッパ初演
(題名はBOX2となっていますが、1枚のCDです)
ダルムシュタット夏期現代音楽講習会は第二次大戦後の現代音楽運動の推進に中心的な役割を担った作曲セミナーとしてブーレーズ、ノーノ、シュトックハウゼンを始めとして多くの作曲家を輩出した。戦後は主に総音列主義とその影響下にある作曲家が主導権を取っていましたが、このディスクにはその現代音楽の牙城へついにケージが盟友デヴィッド・テュードアと共に乗り込んで講義と演奏を行った模様が収められています。ケージによる、この講義とコンサートがヨーロッパの作曲界に及ぼした影響は凄まじく、あの現代音楽の怒れる職人ブーレーズにさえ多大な影響を与えました。さてディスクの内容は《プロセスとしての作品》というテーマのレクチャーが「コミュニケーション」と呼ばれる6つの章に分けられて語られる、その合間にデヴィッド・テュードアによる演奏が入り、最後にケージとテュードアによる「ヴァリエーションズ I」が演奏されます。ケージはこの当時 46 歳、その若々しい声に驚かされる。またピアノと様々なラジオ放送、ノイズによる「ヴァリエーションズ I」はこの時、ヨーロッパ初演であったが、その独自のポエジーとユーモアに聴衆からの笑い声がさかんに沸き起こります。録音は極めて良好で臨場感のある鮮明な音から当時の熱い空気が伝わって来ます。
NEOS-11214-16
(3SACD)
ドナウエッシンゲン音楽祭2011
(1)リーム(b.1952):セラフィン交響曲
(1993/2011)
(2)ラーシュ・ペッテル・ハーゲン(b.1975):「ツァイトブロームへ」(2011)
(3)サエド・ハダッド(b.1972):コントラ・ゲヴァルト(逆効果の暴力)(2010)
(4)レベッカ・ソーンダース(b.1967):スタシス(2011)
(5)ヴォルフガング・ミッテラー(b.1958):リトル・スマイ
ル(2011)
(6)ハンス・トマーラ(b.1975):「不在の輝ける形」(2011)
(7)イリス・テル・シプホルスト(b.1956):統計の研究/シリーズA(2009/2011)
(8)アンドレアス・ドーメン(b.1962):「コンパス/定規/フェルシャー」(2011)
(1)(2)(3)(8)SWRバーデンバーデン・フライブルクSO
(1)(4)(5)(6)アンサンブル・ムジーク・ファブリーク
(1)エミリオ・ポマリコ(指)
(2)(3)(8)フランソワ=クサヴィエ・ロト(指)
(2)イェルムン・ラーセン(ハルダンゲル・フィドル)、ラーシュ・ペッター・ハーゲン&ヴィーラント・ホーバン(語り)、
(3)ニーナ・ヤンセン(Cl)
(5)(6)エンノ・ポッペ(指)
(6)サラ・マリーナ・サン(S)、SWRエクスペリメンタル・スタジオ(電子音響)
(7)ノイエ・ヴォーカルゾリステン・シュトゥットガルト

録音:2011年10月ドナウエッシンゲン音楽祭2011ライヴ
ドナウエッシンゲン音楽祭ライヴ・シリーズ最新盤。ヴォルフガング・リームを筆頭にベテランから中堅世代のゾーンダース、そしてトマーラ、ハーゲンら若手世代など幅広い世代のバラエティに富んだ作品が揃っています。中でも1999年に書かれ2011年に改訂されたリームの《セラフィム》は圧巻。またトマーラのマルチ・メディア作品《不在の輝ける形》も注目。今のヨーロッパ前衛音楽シーンの最前線を知るのに最適のセット。SACDで音響も迫力満点。
NEOS-11217
フリードリヒ・チェルハ(b.1926):(1)弦楽四重奏曲第3番(1991/1992)
(2)弦楽四重奏曲第4 番(2001)
(3)《ヘルダーリン断章》による8つの楽章(1995)〜弦楽六重奏のための
シュタドラーQ
【フランク・シュタドラー(Vn)、
イジョー・バユス(Vn) 、
プレドラグ・カタニッチ(Va)、
ペーター・ジーグル(Vc)】
(3)ウルリケ・イェーガー(Va)、
(3)セバスティエン・ルドマニー(Vc)

録音:2012 年3-5 月 ライヴ
チェルハの弦楽四重奏曲はこれまでに4 番までが作曲されています。第3 番は6 つの小品から構成されているのに対し、第4 番は単一楽章による約20 分からなる大作。また《ヘルダーリン断章》による8 つの楽章はヘルダーリンの言葉を楽章のタイトルに掲げた15 の小品から構成されています。いずれも新ウィーン楽派、特にベルクの影響が色濃い。調性的な響きも聴かれる手堅い書法で書かれている。第3 番と《ヘルダーリン断章》による8 つの楽章は2012 年アスペクト・フェスティヴァル、第4 番はザルツブルク・ビエンナーレのそれぞれライヴ録音。
NEOS-11219
ムジカ・ヴィヴァ・ミュンヘン19〜
アドリアナ・ヘルツキー(b.1953)作品集

(1)「殺された者の絵画」(1993)〜72 人のヴォーカリストのための
(2)「反対側に」(2002)〜クラリネット、ハーモニカ、アコーディオンと管弦楽のための
(3)「悪魔」(2006)〜合唱と管弦楽のための
(4)フォルミカリウム(2010)〜36 人の無伴奏混声合唱のための
(5)「狼を追いかけて」(1989/90)〜6 人の打楽器奏者のための
(1)グスタフ・ショクヴィスト(指)バイエルン放送Cho
(2)ハワード・レヴィ(ハーモニカ)、ミヒャエル・リースラー(Cl)、ジャン=ルイ・マティニエ(アコーディオン)、ルーカス・ヴィス(指)バイエルン放送SO
(3)マルティン・ブラビンズ(指)バイエルン放送SO、Cho
(4)フローリアン・ヘルガート(指)バイエルン放送Cho
(5)エドガー・ガッジース(指)パーカッサンブル・ベルリン

録音:2002〜2010 年ライヴ
ヘルツキーはルーマニア出身でドイツ在住の女性作曲家でミルコ・ケレメン、ヘルムート・ラッヘンマンらに師事、現代オペラとしては破格のヒットとなった「ブレーメンの自由」をはじめ、多くのオペラ、管弦楽作品を発表している。このアルバムは1990 年代から2000 年代に書かれた作品が中心で主に合唱が重要な役割を果たしている。ただ歌うだけでなく、叫び声、子音の特殊な用法、集団のざわめきなどが効果的に扱われ、非常に新しい音の世界が展開します。
NEOS-11220
クラウス・フーバー(b.1924):(1)室内協奏曲「〜彼の馬から抜け出た魂と進み
続ける絹のような足〜」(2002/2004)
(...a l'ame de descendre de sa monture et aller sur ses pieds de soie.../マフムード・ダーウィッシュの詩による断章)
メタノイア(1995)〜オルガン独奏のための*
ワルター・グリンマー(Vc)、
マックス・エンゲル(Br)、
カタリーナ・リクス(A)、
フーゴー・ノート(アコーディオン)、
マイケル・パットマン(Perc)
ハンス=ペーター・シュルツ(Org)*

録音:2009年2月、1997年4月*
日本の若手作曲家にも多くの門弟を持つクラウス・フーバーのオーケストラの代表作《〜彼の馬から抜け出た魂と進み続ける絹のような足〜》は既に別の録音が当レーベルからも出されていますが(NEOS 10821)前衛作品でこれだけ再演率の高い作曲家は珍しい。様々な音の線が結びつき絡み合い、また分岐する様子は日本の「書」に見られるワビサビにも通じる世界。オルガン独奏のための《メタノイア》も同様で音響の帯が広い音域に筋雲のようにたなびき、現れては消える。細川俊夫が敬愛する作曲家の作品だけのことはある、と納得の内容。


NEOS-11230(7CD)
ダルムシュタット・オーラル・ドキュメントBox3〜アンサンブル作品
録音:1952-2010年
■CD1
(1)ハンス・イェリネク(1901-1969):弦楽四重奏曲第2番(1949)
(2)ヘルベルト・ブリュン(1918-2000):弦楽四重奏曲第3番(1960)
(3)フランコ・エヴァンジェリスティ(1926-1980):アレアトリオ(1959)
(4)ヤニス・クセナキス(1922-2001):ST/4-1,080262(1956-1962)
(5)ジョン・ケージ(1912-1992):13の小品(1983)
■CD2
(6)リチャード・バレット(b.1959):《私は開け、閉める》(1983-1988)
(7)エルハルト・グラスコップ(b.1934):歌(1977)
(8)ヨハネス・フリッシュ(1941-2010):弦楽五重奏曲(1984)
(9)ピエルルイジ・ビローネ(b.1960):城壁IIIb(2010)
■CD3
(10)石井真木(1936-2003):前奏曲と変奏曲(1959-1960)
(11)アルギリス・コウナディス(1924-2011):サッフォーによる3つの夜想曲(1960)
(12)アンリ・プッスール(1929-2009):マドリガルIII(1962)
(13)ハンス=クラウス・ユングハインリッヒ(b.1938):ツァイトシュピール(1962)
(14)ジャン=クロード・エロア(b.1938):等価(1963)
(15)ギュンター・ベッカー(1924-2007):ダイアグリフェン(1962)
(16)ハンス・ウルリッヒ・レーマン(1937-2013):19楽器のためのコンポジション(1964-65)
■CD4
(17)チャールズ・アイヴス(1874-1954):詩篇24番(1894)
(18)ウォルター・マルケッティ(1931-2015):スペースII(1958)
(19)ベン・ジョンストン(b.1926):ノッキング・ピース(1963)
(20)ロバート・エリクソン(1917-1997):スケイプスII(1966)
(21)フレデリク・ジェフスキ(b.1938):レクイエム第1部(1963-67)
(22)ホラティウ・ラドゥレスク(1943-2008):サーティーン・ドリーム・アゴー(1977)
■CD5
(23)トマス・ラウク(b.1943):《地球はドラムであることを憶えておけ》(1986)
(24)フリアン・カリージョ(1875-1965):バルブチェオス(1958)
(25)フリオ・エストラーダ(b.1943):エオローリン(1981-84,rev1988)
(26)タデウシュ・ヴィエレツキ(b.1954):半音のささやき/雑音のハーフトーン(2004)
■CD6
(27)ロルフ・リーム(b.1937):《ホーキング》(1998)
(28)?ミヒャエル・ロイデンバッハ(b.1956):ウント・アバ(2004)
(29)ヴィーラント・ホーバン(b.1978):ツァライント(2006)
(30)ゲノエル・フォン・リリエンシュテルン(b.1979):アドレノクロム(2006)
(31)マルク・バーデン(b.1980):内臓(2010)
■CD7
(32)マルタ・ゲンティルッチ(b.1973):ラディクス・イプシウス(2008)
(33)エドゥアルド・モギランスキー(b.1977):記憶補助(2008)
(34)リザ・リム(b.1966):堕天使の都(2007)
(35)ステファン・プリンス(b.1979):異物#1(2008)
(36)ロビン・ホフマン(b.1970):《代わりに》(2009)
(37)エンノ・ポッペ(b.1969):記憶T(2009/2010)
■CD1
(1)ヴェーグSQ
(2)(3)ラサールSQ
(4)ペレニンQ
(5)クロノスQ


■CD2
(6)-(9)アルディッティQ


■CD3
(10)-(16)国際クラニッヒシュタイナー室内アンサンブル
(10)(11)(13)(15)(16)ブルーノ・マデルナ(指)
(11)唐木あけみ(S)
(14)ピエール・ブーレーズ(指)


■CD4
(17)グレッグ・スミス(指)
 グレッグ・スミス・シンガース
(18)ブルーノ・マデルナ(指)
 アンサンブル・インコントリ・ムジカーリ
(19)(20)イリノイ大学コンテンポラリー・チェンバー・プレーヤーズ
(21)ベルナルト・コンタルスキ(指)、
 フレデリク・ジェフスキ(P)
 スコラカントルム・シュトゥットガルト
(22)ロベルト・HP・プラッツ(指)
 アンサンブル・ケルン


■CD5
(23)ベルナルト・ウルフ(指)
 フライブルク打楽器アンサンブル
(24)ウルフ・クラウスニッツァー(指)ツム13トン・ニュルンベルクO
(25)フリオ・エストラーダ&中村功(指)ダルムシュタット1998夏期講習会生徒(神田佳子、池上英樹ほか)
(26)ティトゥス・エンゲル(指)
 アンサンブル・カレッジ


■CD6
(27)アンサンブル・ルシェルシェ
(28)カイロスQ
(29)(30)ルーカス・ヴィス(指)
 ダルムシュタット2006夏期講習会生徒
(29)ヴィーラント・ホーバン(Perc)
(31)ファゾム弦楽三重奏団


■CD7
(32)(33)アンサンブル・アスコルタ
(34)クリスティアン・ディースタイン(指)
 ダルムシュタット2008夏期講習会生徒
(35)ダーン・ヤンセン(指)
 ナダール・アンサンブル
(36)スザンヌ・ブルーメンタール(指)
 IEMAアンサンブル
(37)エミリオ・ポマリコ(指)
 クラングフォルム・ウィーン



録音:1952-2010年
ダルムシュタット夏期現代音楽講習会は 1947 年より毎年(近年は隔年)開催されている現代音楽の最前衛を学ぶ場であ り、かつてブーレーズ、シュトックハウゼン、ノーノらもこの場を通って世界に飛び立っていった。長い歴史をもつだけに取り上 げられるテーマ作曲家や作曲様式は時代によって異なるがいずれもヨーロッパを中心に一時代を画した講師たちが教壇に 立ち、その顔ぶれを見るだけでも戦後の西洋音楽史を俯瞰するようである。講習会のおおよそのカリキュラムは作曲家およ び作曲科学生のための授業と個人レッスン、演奏家および学生のためのレッスンで構成され、講習会の合間と最後に一般 聴衆を入れたコンサートが複数行われる。その際、優秀と認められた若手作曲家、若手演奏家のための発表の場が提供さ れそれらが事実上、彼らのデビューコンサートとなることもある。このダルムシュタット・ドキュメント・シリーズはそうしたコンサー トの貴重な記録であり、これらはそのまま現代音楽の歴史と現在を知る最高の手引き書となるであろう。Box3 となる当セットで はアンサンブル作品を集成。ケージ、クセナキス、石井真木(ドイツ留学の頃の作品であり、後年の汎アジア主義ではなく総 音列主義で書かれている所に若さを感じる)ら大御所から近年の若手、中堅世代まで幅広い作曲家が取り上げられている。 演奏陣はアルディッティQ、クロノスQ(このグループがダルムシュタットに参加すること自体が驚き)、ラサール、ヴェーグS.Q、 ブルーノ・マデルナ、ピエール・ブーレーズなどのスターから当時将来を期待された若手(既に現在はベテランになっている 演奏家が多い)まで多様。ライヴ録音のため、作品に対する驚きによる、どよめきや笑い声など聴衆の反応もリアルに収録さ れていて面白い。
NEOS-11301
アンデシュ・エリアソン(b.1947):作品集
(1)「ほんの一目・・・束の間の幻影」(2003)
(2)アルト・サキソフォンとピアノのための「詩曲」(1988)
(3)交響曲第3番「協奏交響曲」(1989)〜アルト・サキソフォンと管弦楽のための
ジョン=エドワード・ケリー((1)指、(2)(3)アルトSax)
(1)アルコスO
(2)ボブ・フェルステーフ(P)
(3)レイフ・セーゲルスタム(指)フィンランドRSO

録音:(1)2012年6月ライヴ、(2)1991年4月(COL LEGNOで出ていたもの)、(3)1992年10月(世界初録音)
「弦楽交響曲、他」(NEOS10813)に続くアンデシュ・エリアソン作品集第2弾。エリアソンはスウェーデン出身で当初トランペットを学び、やがてジャズの世界で活動するようになるが、やがてクラシック、現代音楽に興味を持つようになり、イングヴァール・リドホルム、ジェルジ・リゲティに作曲を師事した。見事な管弦楽法により、後期ロマン派からバルトーク、音群作法ほか現代音楽の諸技法を折衷したエネルギッシュでドラマティックな作風は多くの演奏家に好まれ、ブロムシュテット、セーゲルスタムらによって盛んに演奏されています。
NEOS-11302
マティアス・ピンチャー(b.1971)独奏とアンサンブル作品集
(1)「トワイライト・ソング」(1997)〜ソプラノと7楽器のための
(2)「晴れた日に」(2004)〜ピアノ独奏のための
(3)「モニュメントV」(1998)〜8人の女声コーラスと3つのチェロとアンサンブルのための
(4)「アルモニカの神格化を伴う7つのバガテル」(1993/2001)〜バス・クラリネットのための
(5)「ヤヌスの顔」(2001)〜ヴィオラとチェロのための
(6)「ヴェールに覆われた論文のためのスタディII」(2006)〜ヴァイオリン,ヴィオラとチェロのための
マティアス・ピンチャー(指)
アンサンブル・コントルシャン
(4)エルネスト・モリナーリ(バスCl)
(1)シルヴィア・ノッパー(S)
(3)バーゼル・マドリガリステン(女声cho)

録音:2006年、73:40
ドイツの中堅作曲家ピンチャーが世紀の変わり目頃に作曲したソロおよびアンサンブル作品を収録。ギーゼルヘル・クレーベとトロヤーンに師事しラッヘンマン、ファーニホーにも影響を受けたピンチャーはいわばドイツ前衛音楽を正統的に受け継ぐホープとして近年演奏される機会が多い。「トワイライト・ソング」はカミングスの詩に基づくソプラノとアンサンブルのための幻想的な佳曲。
NEOS-11306
狂気のオルランドのスケッチ
〜D.M ヴィソツキ、ベアトリス・ザボドニク、バリー・ガイ、ブライス・ポーセット、レオナルド・ガルシア・アラルコンによる連作:Schizzo I-XXVI
D.M ヴィソツキ(A.sax)、
ベアトリーチェ・ザヴォドニク(Ob,E.horn)、
バリー・ガイ(Cb)、ブリス・ポーセ(Cemb)、
レオナルド・ガルシア・アラルコン(Org)
録音:2012年4 月-8 月
D.M.ヴィソツキはニューヨーク在住でジャズのエリック・ドルフィの影響を受け、一時期ガンサー・シュラーとも共演した経歴を持つ。ザヴォドニクは H.ホリガーにオーボエを師事、クラングフォルム・ウィーンなどと共演し現代音楽の世界で活躍。バリー・ガイはロンドン・ジャズ・コンポーザーズ・オーケストラの芸術監督でジャズ、現代音楽の領域で活動。ブリス・ポーセは現代音楽の作曲家・鍵盤奏者、レオナルド・ガルシア・アラルコンも作曲家・鍵盤奏者で自らのアンサンブルを率いている。ジャズ、現代音楽のそれぞれのスペシャリストが集まり行ったフリー・ジャズ風のセッションで構成された一枚。
NEOS-11308
ヴォールハウザー・エディション1
ルネ・ヴォールハウザー(b.1954):「マラクラ・サイクル」(2008-11) 〜ソプラノ,バリトン,室内アンサンブルと作曲者による音響詩のための
【「ミラ・シナク」(2006)/「スラング」(2007)/「ソクラク」(2008)/「イグール - ブレイ - ルウップ」(2009)/「チャリプティン」(2010)
「マラクラ・コードO」(2011)
「マラクラ・コード 2」(2011)】
アンサンブル・ポリソーノ

録音:2006-12年バーゼル
ルネ・ヴォールハウザーはスイス・ブリエンツ出身でロック、ジャズ・ミュージシャンとしての経験を積んだ後、カーゲル、ホリガー、クラウス・フーバー、ファーニホーに作曲を師事、ヨーロッパの数々の作曲賞を受賞し、1980 年代の終わりから1990 年代の初めまでダルムシュタット夏期現代音楽講習会の講師も勤めた筋金入りのヨーロピアン・アヴァンギャルド。7 作品からなる声と器楽のためのシリーズ「マラクラ・サイクル」は作曲者によって書かれた音響詩をテキストとして声と器楽が対等の立場で徹底した既成の音響と文法の解体を行い、結果的に全く意味不明の言葉もどきの音響がガチャガチャと宙を舞います。
NEOS-11309
ルネ・ヴォールハウザー(b.1954):(1)ピアノ四重奏曲(1979/83-84/rev.1987)〜フルート,クラリネット,チェロとピアノのための
デュオメトリー(1985-86)〜フルートとバス・クラリネットのための
アイデアの飛翔(1995)〜チェロとピアノのための
定量電流(1996/97)〜フルート,チェロとピアノのための版
空間における時間の分解(2000-01/11)〜クラリネット(バスを含む)、チェロとピアノのための版
結論と過程のための習作(2007)〜フルートとピアノのための
《リ・ゲ・ティン》(Ly-Gue-Tin) (2008)〜声とピアノ、作曲者による音響詩のための
ルネ・ヴォールハウザー(指、P、Br)
アンサンブル・ポリソノ(S、Fl、Cl、Vc)

録音:2007-2012年
ルネ・ヴォールハウザーはスイス出身でロック、ジャズの経験を持ち、インプロヴァイザーとしても活動しています。バーゼルアカデミーで学んだ後、セロツキ、カーゲル、ホリガーらに師事。ダルムシュタット音楽祭その他の主要なフェスティバルで作品は盛んに取り上げられている。点描的な音形と炸裂するクラスターの音塊など 70〜80 年代の前衛音楽シーンのイディオムが詰め込まれている。《リ・ゲ・ティン》では自作の音響詩を自ら歌う極めてユニークな作品。
NEOS-11310
「ザ・ラインズ」〜デニス・シュラー
(b.1970):独奏・二重奏作品シリーズ
(1)《永続する感覚と退出》(2011)〜2人のソプラノ
(2)《春》(2012)〜バス・フルート
(3)《青い月》(2013)〜ヴィオラ
(4)《折り目の中で》(2011)〜フルート,打楽器
(5)《メロディ》(2010)〜オーボエ
(6)《止められた7秒》(2010)〜打楽器
(7)《タン・カ》(2012)〜フルート,ピッコロ
(8)《ロイサイダ》(2012)〜チェンバロ
(1)クリスティーナ・プレスッティ&ジスレーヌ・ヴェルクリ(S)、
(2)(4)パオロ・ヴィナローリ((1)バスFl(4)Fl)、
(3)アナ・シュピーナ(Va)
(4)(6)アレクサンドル・バベル(Perc)
(5)ベアトリーチェ・ザヴォドニク(Ob)、
(7)タニヤ・ミュラー(バスFl)&エリアーネ・
ヴィリナー(ピッコロ)
(8)タマル・アルペリン(Cemb)

録音:2013年4-5月
デニス・シュラーはイタリア、ジェノヴァ出身でドラムと打楽器を学んだ後、ミヒャエル・ジャレル、エマヌエル・ヌネスらに師事、フライブルクの国際宗教音楽作曲コンクールに優勝後、ヨーロッパの数々のコンクール、音楽祭で作品が評価されていま。このアルバムにはソロ、デュオばかりが選ばれ、楽器とアンサンブルの様々な可能性が探求されている。特に2 人のソプラノが織り成す幻想的な《永続する感覚と退出》、こどもがふと思いついて楽器と戯れているような無邪気な《折り目の中で》のピュアな抒情性など、作曲者の繊細なアイデアと透明なロマンティシズムが美しい。
NEOS-11311
ベンクト・ハンブレウス(1928-2000):ピアノ協奏曲(1991-92)
クロード・レンナース(b.1956):ピアノ協奏曲「ファエトン」(1999)*
オルトヴィン・シュテュルマー(P)
イスラエル・イーノン(指)SWRバーデン=バーデン・フライブルクSO
ジルベール・アミ(指)ザールブリュッケンRSO*

録音:1997年2月25日、2003年2月10
日* (ライヴ)
ハンブレウスはスウェーデン出身で後にカナダに移住し活動した作曲家。当初オルガン、音楽学を学んだ後、即興演奏を行うようになり、次第に作曲に活動の重心を移した。このピアノ協奏曲は終始ピアノとオーケストラが激しくぶつかりあうエネルギッシュな作品でユダヤ風の音階と民族的なリズムが聴き手に原初的な生命力を呼び覚ます。レンナースはルクセンブルク出身でコンピュータ、電子音楽に造詣が深く、この「ファエトン」でもオーケストラの様々な音響、音色にその影響が感じられる。内部奏法を含むピアノの動きにオーケストラが反応し、繊細な音のテクスチュアを作り出す。
NEOS-11316
フォーク・ソングズ〜アンサンブル・エクスペリメンタル・エディションVol.5
(1)ルチアーノ・ベリオ(1925-2003):フォーク・ソングズ(1964)〜メゾ・ソプラノと7 楽器のための/ギターつきヴァージョン初録音
(2)フランギス=ヌルラ・ホーヤ(b.1972):絶望のキャラヴァン(2011)
(3)ヴィト・ズラーイ(b.1979):ツグブレニ(2010/11)
(4)マルタ・ゲンティルッチ(b.1973):衆目(2010/11)
(5)マリアーナ・ウングレアヌ(b.1974):ネ・ヴェリ・ヴェトリ(2012)
(6)マルコ・ニコディエヴィチ(b.1980):プリトゥリ・サ・プラニナータ(2013)
(7)ヤミリア・ヤジルベコヴァ(b.1971):S.O.G(2012)
デトレフ・ホイジンガー(指)アンサンブル・エクスペリメンタル
(2)-(7)エクスペリメンタル・スタジオ SWR(ライヴ・エレクトロニクス)

録音:2013 年
アンサンブル・エクスペリメンタルは2009 年に結成された比較的新しいグループで、アルト独唱、フルート、クラリネット、ギター、打楽器、ヴィオラ、チェロの7 人から構成される。この編成にNEOSの他のアルバムでも既におなじみのライヴ・エレクトロニクスのエキスパート集団、エクスペリメンタル・スタジオ SWR を加え、多様な音響空間が繰り広げられる(ベリオの名作「フォーク・ソングズ」には電子音響は含まれない)。登場する作曲家の年齢も様々、国籍もイタリア、カザフスタン、セルビア、スウェーデン、モルドヴァ、スロヴェニアと多様で、これ一枚でISCM World Music Days 音楽祭の様相を呈している。最近の若手・中堅世代の動向を知るのに最適の一枚。
NEOS-11317
武満徹&細川俊夫:ギター独奏作品集
武満徹:すべては薄明の中で(1987)
 エキノクス(1993)/フォリオス(1974)
 ギターのための小品(1991)
 森の中で(1995)
細川俊夫:セレナード(2003)
マルコ・デル・グレコ(G)

録音:2012-13年
ギタリストのマルコ・デル・グレコは若い年代における傑出したギタリストのひとりで多くのコンクールで目覚ましい成績を収め、2010 年には第53 回東京国際ギター・コンクールで優勝、世界中の主要なコンサートホールで演奏を行っている。武満の「すべては薄明の中で」は武満が好んだジャズやポップス(ビートルズなど)のエコーが聴かれる繊細な小品集。細川作品は現在の所、唯一のギター独奏曲だが、ギター協奏曲なども作曲しており、この楽器への愛着が感じられる。なお細川は演奏者のグレコを「…(マルコ・デル・グレコは)私の《セレナーデ》を、深い解釈と繊細なテクニックをもって演奏してくれました。彼の“歌う”ギターの美しさに、私は本当に感動しました。マルコは私の恩師である武満徹の音楽を愛しており、その偉大なギター作品を、神秘的に、自分の内なる音として演奏します。聴衆はきっと、何ひとつ難解に感じることなく、彼の武満作品の演奏を好きになるでしょう。マルコのような若く才能ある音楽家によって、武満の繊細で美しい音楽が新しい世代に知られ、愛されるものになることを、とても嬉しく思います。」と賞賛している。

NEOS-11401
フィギューラ・アンサンブル・エディションI
「災害へのプレリュード」

ペーター・ブルーン(b.1968):災害へのプレリュード(2008/09)〜メゾ・ソプラノと大アンサンブルのため
アンデルス・ブロズゴー(b.1955):10 の絞首台の歌(2006)
シュタイングリムール・ローロフ(b.1971):Still Not/Not yet(じゃない/まだ)
フィギューラ・アンサンブル
【エレーネ・ギイェリス(Ms)、アンナ・クレット(バスCl)、フランス・ハンセン(Perc)、イェスパー・エゲルンド(Cb)、フローデ・アンデルセン(アコーディオン)】

シアトル・チェンバー・プレーヤーズ
【ポール・タウブ(Fl)、ミハイル・シュミット(Vn)、デイヴィッド・サビー(Vc)、ローラ・デルーカ(Cl)】

録音:2010年-2011年
フィギューラ・アンサンブルは1993 年に結成されたデンマークの現代音楽演奏団体でこれまでに200 曲以上の現代作品を初演しているだけでなく、実験的な演奏会や次の世代の作曲家育成のためのワークショップなども行っている。シアトル・チェンバー・プレーヤーズは姉妹アンサンブルで相互扶助の関係にある。ブルーンとブロズガーはデンマーク、ローロフはアイスランド/ドイツの作曲家で新ロマン主義的もしくは若干、ニュー・トナリティの傾向が感じられる。このアンサンブルの録音は今後当レーベルでシリーズ化の予定。
NEOS-11402
メラ・マイアーハンス(b.1961)作品集
(1)「エニグマ」(1999)〜声、打楽器とプリペアード・ピアノのための
(2)「トリトン」(1989/90)〜ピアノ独奏のための
(3)「A-a」(2000)〜声と打楽器のための
(4)「オルフェウス」(1999)〜声のソロのための
(5)「開放弦U」〜ヴァイオリン独奏のための(1995/96)電子音響付随版(1999)
(1)(3)(4)レスリー・レオン(Vo)、
(1)(2)ローラ・ガラチ(P)、
(1)(3)フリッツ・ハウザー(Perc)、
(5)レンカ・スプコヴァ(Vn)
(5)トメック・コルチンスキ(エレクトロニクス)

録音:2014 年5 月
マイアーハンスは 1961 年スイス出身で現在はベルリンとブランデンブルクに居住して活動している。バーゼル音楽院で 2000 年まで電子音楽の招聘作曲家として研究、作曲、講義を行い、ハノーバー歌劇場、ルツェルン音楽祭など、多くの音楽祭、歌劇場オーケストラから委嘱を受けている。作風は電子音楽の影響を受けて打楽器、プリペアード・ピアノなどから思いがけず精妙な響きを引出し、それを綿密に紡いでゆく、といった静謐で繊細なもの。「エニグマ」はプリペアード・ピアノのせいもあろうが、初期のケージを思わせる美しい歌曲。
NEOS-11403
望月京:エテリック・ブループリント三部作
雅楽(作者不詳,10世紀以前):盤渉調調子(ばんしきちょうの調子)*
双調調子(そうじょうの調子)
望月京(b.1969):エテリック・ブループリント三部作 4D(2003)
ワイズ・ウォーター(2002)
エテリック・ブループリント(天空の青写真,2005-06) #
杉山洋一(指)
mdiアンサンブル、
宮田まゆみ(笙)*、
クリストフ・マゼッラ(エレクトロニクス) #

録音:2012-13年
※日本語解説つき
望月京は1969年東京生まれの作曲家。東京藝術大学同大学院やパリ国立高等音楽院で学び、IRCAM(フランス国立音響音楽研究所)でも研鑽を積んでいます。北村昭、尾高惇忠、間宮芳生、ポール・メファノ、エマニュエル・ヌネス、トリスタン・ミュライユらに師事。管弦楽や室内楽のほかオペラなど幅広い作品を手掛けており、日本音楽コンクール作曲部門第1位、芥川作曲賞、尾高賞など数々の権威ある賞を受賞しています。ギリシャ神話から雅楽、分子生物学や物理学にいたるまで音楽以外の様々な領域からインスピレーションを得てあらゆる要素を取り込んだ作品は国内外で注目を浴び、ザルツブルグ音楽祭、ウィーン・モデルン、サイトウ・キネン・フェスティバル松本をはじめ数多くの舞台で作品が演奏されています。
エテリック・ブループリント三部作は、人をとりまく自然や宇宙のエネルギーについて音楽を通して考えてみたいという思いで書かれた9人の奏者のための作品群。ルドルフ・シュタイナーの「光が暗黒を覆うと、そこに青が現れる」や、サム・フランシスの「色彩は生まれる 光と闇の 相互貫通から」といったフレーズや、ゲーテやシュタイナーの色彩論からも着想を得ているといいます。前半には笙の第一人者、宮田まゆみによる、望月京が愛したという雅楽2作品を収録。ブックレットには望月京本人による日本語解説も掲載されています。
NEOS-11406
ペーター・ルジツカ(b.1948)管弦楽曲集Vol.3
(1)ルジツカ:「スパイラル」〜ホルン四重奏と管弦楽ための
協奏曲(2013/14)
(2)ルジツカ:ルシェルシュ(もっとも内側で)(1999)
(3)リスト:「リヒャルト・ワーグナーによる」(1883)
(4)ルジツカ:R.W.,管弦楽のための塗装(2012)
(5)ルジツカ:R.W.,ピアノのためのトレーシング(2014)
(1)(2)(4)ペーター・ルジツカ(指)MDR響
(1)ライプツィヒ・ホルン四重奏団
(2)MDR放送Cho
(3)(5)ゾフィー・マユコ・フェッター(P)

録音:2009/2014年
ルジツカの管弦楽(を中心とした)作品集第 3 弾。冒頭からオーケストラのダイナミズムを全開にし現代音楽としては異例なほどドラマティックな展開を臆面もなく行う事実上のホルン四重奏協奏曲(!)《スパイラル》から聴き手の耳はスピーカーに釘付け。パウル・ツェランに詩に基づくオペラティックな《ルシェルシュ》、そしてリストのワーグナーに基づくピアノ曲を挟んで、そのリストのワーグナー・パラフレーズを更にメタモルフォーズしてゆくユニークな管弦楽曲とピアノ曲と続く。
NEOS-11409
アルトゥーロ・フエンテス(b.1975):作品集
暗い室内楽(2013)*
スキファー(2010,rev.2013)*
スペース・ファクトリーIII(チルドレン・サイクルより) (2011)
スペース・ファクトリーIV(2012)
スペース・ファクトリーV(2012)
スペース・ファクトリーVI(2012)
シメオン・ピロンコフ(指)PHACE *
アンサンブル・ルシェルシュ

録音:2012-13年
フエンテスはメキシコ出身の若手作曲家で1997年に渡欧、ミラノでフランコ・ドナトーニほかに師事した。彼は室内楽のほか、コンピュータ音楽、ダンスとのコラボレーション、シアター・ピースなど様々なメディアのための音楽を手掛けている。ここに収められた作品はいずれも特殊奏法を駆使した、アコースティック楽器で再現されたコンピュータ音楽(曲によっては電子音響とのコラボもあり)といってもよい、超絶技巧を要する作品。
NEOS-11410
ドナトーニ:管弦楽作品集
フランコ・ドナトーニ(1927-2000):イン・カウダ(行きはよいよい帰りは怖い)II(1993-94)
イン・カウダ(行きはよいよい帰りは怖い)III(1996)
エサ(イン・カウダV)(2000)
プロム(1999)
ブルーノのための二重性(1974-75)
杉山洋一(指)東京PO

録音:2012年8月22日サントリー・ホール大ホール(2012年サマー・フェスティバル・全曲日本初演)
2012年に生誕85年を迎えたイタリア現代音楽の巨匠フランコ・ドナトーニの管弦楽作品を彼の愛弟子、杉山洋一の指揮のもと東京フィルハーモニー交響楽団の熱演で聴く。ドナトーニは初期の新古典主義を経てポスト・ウェーベルン主義な作風に転向、やがてケージの影響を受けた図形楽譜による不確定性の音楽を試み、更には他の作曲家の作品を引用するなど、現代音楽の変遷の歴史をそのまま体現するような創作を行ってきた。なお、ここに収められた「プロム」と「エサ」はドナトーニの遺作となった作品で未完成のまま残されたが、弟子の杉山洋一によって補作完成された。前衛音楽でありながら管弦楽の鮮やかな色彩とダイナミズムで聴き手を惹きつける手腕はさすがにイタリアの作曲家である。ノーノ、マデルナ、ベリオと続くイタリア現代音楽の層の厚さを改めて感じさせる珠玉の一枚。
NEOS-11411
(42SACD)
ドナウエッシンゲン音楽祭2013」全作世界初演
(1)エンノ・ポッペ(b.1969):記憶(2008-13)
SACD2)
(2)ベルンハルト・ラング(b.1957):モナドロジーXIII「生意気なメイド」(2013)〜2つの管弦楽(一つは四分音)のための
(3)ジョルジュ・アペルギス(b.1945):シチュエーション(2013)〜23人の独奏メのための
(4)アルベルト・ポサダス(b.1967):O重協奏曲「ケルゲレン」(2013)〜増幅された木管トリオと管弦楽のための
(5)ヴァルター・ツィンマーマン(b.1949):スアブ・マリ・マグノ/クリナメンI-VI(1996-98/2010-13)〜6群のオーケストラのための
(6)フィリップ・マヌリ(b.1952):元の位置で(2013)〜管弦楽とアンサンブルのための
(1)エンノ・ポッペ(指)クラング・フォルム・ウィーン
(2)ヴォルフガング・リシュケ&クリストファー・シュプレンガー(指)SWRバーデン・バーデン・フライブルクSO
(3)エミリオ・ポマリコ(指)クラング・フォルム・ウィーン
(4)フランソワ・クサヴィエ・ロト(指)SWR バーデン・バーデシェルシュ木管三重奏団
(5)パスカル・ロッフェ(指)SWRバーデン・バーデン・フライブルクSO
(6)フランソワ・クサヴィエ・ロト(指)アンサンブル・モデルン&SWRバーデン・バーデン・フライブルクSO

録音:2013年10・8、19、20日
2013年のドナウエッシンゲン音楽祭は2013 年10 撃ノ開催され4 日間のうちに計10 のコンサートが行われた。内容は室内楽、合唱、サウンドアート、ジャズ・セッション(!)、管弦楽など近年はますます多様なジャンルが取り上げられるようになってきている。このセットでは管弦楽の全コンサートを収録。礪・中堅世代からベテランまで幅広い作風を楽しめる。中でも大ベテランのヴァルター・ツィンマーマンが長きに渡り作曲・改作が続けられこの録音が世界初演となった「スアブ・マリ・マグノ/クリナメンI-VI」の禁欲的だが、豊穣な響きの持続は巨匠の貫禄充分で特筆に価します。
NEOS-11415
ジャン=ピエール・ルゲ(b.1939)作品集
(1)「エトワール」(1981)〜ハープシコードと 5 楽器のための
(2)弦楽三重奏曲(1978-1979)
(3)アズール(1990-1991)〜ピアノのための
(1)イレーネ・アッサヤグ(Cemb)、
 ユキ・マヌエラ・ヤンケ(Vn)、
 マリオ・ブラウマー(Vc)、
 ヤニーネ・ノイゲバウアー(Cl、バスCl)、
 ヴィルマンタス・カリウナス(Ob、イングリ
ッシュHr)
 ブリッタ・ヤーコプス(Fl、ピッコロ)、
 ヨアヒム・フォンテーン(指)

(2)ジャンジ・カオ(Vn)、
 ベンジャミン・リビニウス(Va)、
 マリオ・ブローメル(Vc)
(3)ドミニク・メレ(P)

録音:2012 年1 月68’25
ジャン=ピエール・ルゲは作曲家、オルガニスト、インプロヴァイザーとしての多彩な顔を持ち、ヨーロッパで既に多くの作品を発表している。「エトワール」はチェンバロと室内アンサンブルのための小さな協奏曲でチェンバロの細かな動きが次第にアンサンブルに広がり様々に変容してゆく佳品。ピアノ曲「アズール」はメシアン譲りの色彩的なハーモニーと量感のあるピアノの音塊が魅力。
NEOS-11416
「マニア」〜ルネ・ヴォールハウザー(b.1954):ピアノ作品集
ヴォーチス・イマーゴ〜ピアノ独奏版(1993-95)
ピアノのための3つの小品(1986-87)
マニア〜ピアノ独奏版(2001-02)
ネスト〜ピアノ独奏版(1977)
ナシュラ〜16分音アップライト・ピアノのためのオリジナル版(2013)
ナシュラ〜3分音ピアノのための版(2013)
ナシュラ〜通常の半音階ピアノのための版(2013)
モリッツ・エルンスト(P)

録音:2013-14年
ルネ・ヴォールハウザーは作曲の他、ピアノ、指揮者、バリトン歌手までこなすマルチ・タレント。当初はジャズ、ロックの分野で活動していたが後にハインツ・ホリガー、マウリツィオ・カーゲル、クラウス・フーバー、ブライアン・ファーニホーらに師事しヨーロッパの正統的な前衛技法を駆使した作品を発表するに至った。注目作は3 つのヴァージョンが存在するナシュラ(Naschra)。16 分音によるヴァージョンではヴィシネグラツキを思わせる極彩色の微分音音楽、やがて 3 分音、半音階(通常のピアノ)と調律法を変えることにより色彩とニュアンスの変化を楽しめる。
NEOS-11417
マーンコップ・エディション5〜クラウス=シュテッフェン・マーンコップ(b.1962)作品集
ヒューマナイズド・ヴォイド(人間化無効) (2003-2007)
「ヴォイド=コル・イシャ・アシリト」(2010-2012)*
「ヴォイド=マル・ダルシーヴ」(2002/2003)〜8 トラックのテープのための#
ローランド・クルティヒ(指)バイエルンRSO
ルパート・フーバー(指)SWRシュトゥットガトRSO
エクスペリメンタル・スタジオSWR

録音:2008 年4 月、2012 年12月*、2015年#
好評ノマーンコップ・エディション第5集。マーンコップはフライブルク音楽大学でクラウス・フーバー、ヌネス、ファーニホーらに師事し80〜90年代のヨーロッパの主流のひとつである「新しい複雑性」の影響を受けた。ここに収められた最近作は静謐な音の穏やかな持続の中に突然入る衝撃的な音の楔とそこから生じる音の波紋、音色、音響運動の変化、日本的とも形容できる静と動のコントラストといったマーンコップの特徴がさらに深められている。
NEOS-11420
ムジカ・ヴィヴァ・ミュンヘンVol.20
カーター(1908-2012):シンフォニア「我は過ぎゆく希望の対価なり」
アイヴズ:「ロバート・ブラウニング」序曲*
エミリオ・ポマリコ(指)
ステファン・アズバリー(指)*
バイエルンRSO

録音:2012年1月14日、2012年2月17日 いずれもムジカ・ヴィヴァ音楽祭ライヴ
2012 年に行われたムジカ・ヴィヴァ音楽祭ライヴより二人の突出したアメリカ人作曲家の作品を収録。103 歳で亡くなるまで文字通りの生涯現役を貫いたカーターが85 歳で書いたシンフォニアは約50 分からなる大作で、その密度の高さとパワーにひたすら圧倒される。その前衛性がいまだ色褪せないアイヴズのロバート・ブラウニング序曲も必聴。バイエルン放送響も熱演。
NEOS-11421
ムジカ・ヴィヴァ・ミュンヘンVol.21
ヴォルフガング・ミッテラー(b.1958):クラッシュ1-5(2012) *
〜管弦楽,オルガンとエレクトロニクスのための
イザベル・ムンドリー(b.1963):ノン・プレイス(2008/2012) 〜ピアノと管弦楽のための
ヴォルフガング・ミッテラー(Org)、
ペーター・ルンデル(指)*
ニコラス・ホッジス(P)、
エミリオ・ポマリコ(指)
バイエルンRSO

録音:2013年1月25日、2013年2月22日 いずれもムジカ・ヴィヴァ音楽祭ライヴ
※全作世界初演
ミッテラーの「クラッシュ」(潰す、崩す)はその名の通り、複雑なリズムや激しい打撃音がめまぐるしく発しては消え、一つのフレーズが生まれかけたと思いきや即座にそれを叩き潰す、といったアグレシヴな音楽。クラシカルなフレーズやハリウッド映画的なフレーズも断片的に現れどこかユーモラス。ジャーマン・プログレをオーケストラで聴いているような感覚に陥る。ムンドリーの「ノン・プレイス」ではいきなり楽員の話し声と笑い声で始まり、度胆を抜かされる。その後はピアノと管弦楽との神経質な音のやり取りが進む。ニコラス・ホッジスの繊細なピアノが聴きどころ。
NEOS-11422(1SACD)
ムジカ・ヴィヴァ・ミュンヘンVol.22
リゲティ(1923-2006):《ロンターノ》(1967)
トリスタン・ミュライユ(b.1947):《世界の
幻滅》(2011/12)〜ピアノと管弦楽のための交響的協奏曲*
ジョージ・ベンジャミン(b.1960):《パリンプセスツ(羊皮紙写本)》(1998-2002)
ジョージ・ベンジャミン(指)
バイエルンRSO
ピエール=ロラン・エマール(P)

録音:2012年5月2-4日ムジカ・ヴィヴァ(ライヴ)
*=世界初演
スペクトル楽派を代表する作曲家トリスタン・ミュライユの注目の新作ピアノ協奏曲をメイ ンにミュライユが影響を受けた作曲家(リゲティ)と影響を与えた作曲家(ベンジャミン)の作 品を前後に配置した興味深いプログラム。《世界の幻滅》の作曲においてミュライユはリス トのピアノ協奏曲第2 番とロ短調ソナタから多大な啓発を受けたと述べており、ドラマティッ クでめくるめく様々な響きの変化を堪能できる。ロラン・エマールの超絶技巧ぶりも聴きど ころのひとつ。リゲティの《ロンターノ》は出世作「アトモスフェール」の音群作法を更に進め 洗練させた曲で終盤わずかにブルックナーが引用されるイマジナリーな傑作。作曲者が 自作自演するベンジャミン作品は似通った2 つの楽章から構成された佳品。2012 年5 月 のムジカ・ヴィヴァ音楽祭におけるライヴ録音。
NEOS-11423(1SACD)
ムジカ・ヴィヴァ・ミュンヘンVol.23
ヘルムート・ラッヘンマン(b.1935): ピアノと管弦楽のための音楽「アウスクラング(終止音) 」(1984/85)
ピエール=ロラン・エマール(P)
ジョナサン・ノット(指)バイエルンRSO

録音:2013年4月26日、ムジカ・ヴィヴァ(ライヴ)
ラッヘンマンの代表作で度々演奏される「アウスクラング」の最新ライヴ録音。アウスクラングは「フィナーレ」を意味し、これまで邦訳では「終結音」「終止音」といくつかあり、弊社の以前の案内で「終焉」と訳していたものと同一作品。管弦楽とピアノといっても協奏曲ではなく、関係は対等のようであり、オケとピアノの、ぽつぽつといった禁欲的な音のやりとりが続くと思いきや、突然クラスターの楔が打ち込まれるといった、おなじみのラッヘンマン節。東洋の書や山水画を思わせるモノクロームの響きが作曲家の澄み切った境地を表している。エマールとジョナサン・ノット率いるバイエルン放送響の精度の高い際立ったリアリゼーションが聴きもの。
NEOS-11424(1SACD)
ムジカ・ヴィヴァ・ミュンヘンVol.24
ヘルムート・ラッヘンマン(b.1935): 「…2 つの感情…」レオナルドによる音楽(1991/92)
「書」(2002/03、2004 年版) *
ヘルムート・ラッヘンマン(語り手)
ペーター・エトヴェシュ(指)バイエルンRSO
スザンナ・マルッキ(指)バイエルンRSO*

録音:2014年2月8日、2011年7月8日ムジカ・ヴィヴァ* (ライヴ)
《…2 つの感情…》は代表作《マッチ売りの少女》の次に書かれた語り手を伴う作品。テキストはアルンデル写本に残されたレオナルド・ダ・ヴィンチの言葉のドイツ語訳が使われ作曲者本人が朗読している。曲はドイツ語の様々な発音、呼吸がオーケストラに波及して音響素材として展開される極めて独創的なアイデアで書かれている。《書》はサントリーホールの国際作曲委嘱シリーズで初演された。幸い再演に恵まれ既に複数のディスクがリリースされているが、ここでは初演後一部改訂された2004 年版で聴く。
NEOS-11425
ムジカ・ヴィヴァ・ミュンヘンVol.25
ホルヘ・ロペス(b.1955):川の交響曲( ホルン協奏曲) Op.20(2005-07)
交響曲第3 番Op.24(2012/13)
ペーター・エトヴェシュ(指)
カルステン・ダフィン(Hrn)、
フランソワ・バスティアン(Hrn)、
エリック・テルヴィリガー(ワーグナーtuba)、
ウルスラ・ケプサー(ワーグナーtuba)、
トマス・ルー(ワーグナーtuba)、
クィリン・ラスト(ワーグナーtuba)、
ノルベルト・ダウザッカー(ワーグナーtuba)、
ラルフ・スプリングマン(ワーグナーtuba)、
ブラッド・ルブマン(指)*
バイエルンRSO

録音:2012年6月16日、2013年12月13日 いずれもムジカ・ヴィヴァ音楽祭ライヴ
※全作世界初演
ホルヘ・ロペスはキューバ出身で後にアメリカに移住、カリフォルニアでモートン・スポトニクに作曲を師事した。1990 年にヨーロッパに居を移し、現在はウィーンを拠点に活動を続けている。川の交響曲(ホルン協奏曲)では2 つのホルンにワーグナー・チューバのアンサンブルまで動員する特異な編成でホルンの超絶技巧が聴きもの。指揮のペーター・エトヴェシュのサポートも絶妙で緊張度の高い空間が作り上げられている。

NEOS-11501(2CD)
ブライアン・ファーニホウ(b.1943):ピアノ作品全集
レンマ=イコン=エピグラム(1981)
渦巻き(Quirl)(2011-13)*
オーパス・コントラ・ナトゥラム(2000)
〜話すピアニストのための影芝居
インヴェンション(1965)*
エピグラムス(1966)*
3つの小品(1966-67)*
2台ピアノのためのソナタ(1966)*#
ニコラス・ホッジス(P)
ロルフ・ハインド(P)#

録音:2011-14年
*=世界初録音
「新しい複雑性」の作曲家として名高いファーニホウの初期作品から近作を含めたピアノ作品集。ファーニホウは12 音技法および総音列主義を出発点としそれを徹底的に推し進めた複雑で演奏困難な作品で知られる。CD2 では20 代前半の作品が世界初録音として収録。ウェーベルンを思わせる寡黙で美しい作品。ファーニホウの創作を俯瞰する上で最適のディスク。
NEOS-11503
ニコラウス・ブラス(b.1949):弦楽四重奏曲第4番(2008)
(1.記憶のカタログ/2.十字の象徴/3.すなわち/ 4.愛の対話/5.とりわけ)
アンサンブル・コリオリス
【ムリエル・カントレッジ(Vn)、ミハエラ・ブッフホルツ(Vn)、クラウス=ペーター・ヴェラーニ(Va)、ハンノ・シモンズ(Vc)】

録音:2009 年9 月 57:38
ブラスはドイツの作曲家で当初、医学を学んだ後、個人的にラッヘンマンに作曲を師事した。1986 年にダルムシュタットでモートン・フェルドマンと出会い影響を受けている。収録の弦楽四重奏曲は表現主義的な激しさとフェルドマンを思わせる瞑想的で静謐さが混在するブラス円熟の秀作で太く荒々しい筆遣いから繊細で幽玄なタッチまで、モノトーンの弦楽四重奏が水墨画や日本の書を想起させる。
NEOS-11504
マルティン・ヘルヒェンレーダー(b.1961):オルガン作品集
(1)時空間II-ファンタジー(2001/2008)
(2)時空間I:アド・フォンテス-前奏曲(1996)
(3)時空間I:アド・フォンテス-抑揚(1996)
(4)時空間I:アド・フォンテス-オルゲル・プンクト(1996)
(5)時空間II-ヒムヌス(2001/2008)
(6)時空間II-トリオ(2001/2008)
(7)時空間II-リチェルカーレ(2001/2008)
(8)パウル・クレー・ブラットIII-夜の光線(1991)
(9)トッカータとラメント(2008)
(10)パウル・クレー・ブラットV-海の輝き(2011)
(6)(7)(9)ハンス・ダヴィドソン(Org)、
(2)(3)(4)(8)マルティン・ヘルヒェンレーダー(Org)、
(1)(5)(10)クリスティアン・シュミット(Org)

録音:2014 年
マルティン・ヘルヒェンルーダーはドイツの作曲家、オルガニスト、音楽学者でドイツ国内はもとよりアメリカ、中国、カナダでも教鞭を執っている。作曲家兼プレーヤーとしてマーカス・シュトックハウゼン、アルディッティQ とも度々共演している。彼のオルガン作品はオルガンの様々な機能を駆使しつつも、根底にバッハなどの音楽があり、新古典主義的もしくは新ロマン派的に聴こえ、現代音楽の語法を使いながら大変華麗でロマンティックな響きに溢れています。
NEOS-11505
ヴォルフガング・フォン・シュヴァイニッツ(b.1953):プレイン・サウンド・カウンターポイント(2010-11)〜7 つの 23 リミット・ハーモニー・イントネーションの習作
キャスリーン・ラム(b.1982):ミラー(2006) *
フランク・ライネッケ(Cb)

録音:2012年、2013年*
※全作世界初録音
ダブル・ベース独奏のための 2 人の作曲家の作品を収録。どちらも独自の調律および倍音の構造に着目した音響音楽。シュヴァイニッツはハンブルクでリゲティに師事後、アメリカ・スタンフォード大学でコンピュータ音楽について研究、1990 年代にはダルムシュタットに招かれて教鞭を執っている。終始ダブル・ベースのハーモニクスや倍音による虹のように繊細に変化する静謐な音が持続する。キャスリーン・ラムは純正律の大家ジェームズ・テニーに師事。シュヴァイニッツとは異なったやり方でダブル・ベースから倍音の豊かな響きを引き出す。
NEOS-11506
ケルターボーン、モーザー、ロート:室内アンサンブル作品集
ルドルフ・ケルターボーン(b.1931):4人の奏者のための4つの小品(2005)〜ピアノ四重奏
ローランド・モーザー(b.1943):HALL=反対票〜ヴィオラ,チェロとピアノのためファンタジー(2010)
ミハエル・ロート(b.1976):モンドリアン・チクルス(2001-10)
 疲れ(2003)
 フェリンナルング(2001)#
 変位[ブギウギ](2004/2010)*
モンドリアン・アンサンブル
【ダニエラ・ミュラー(Vn)、
ペトラ・アッカーマン(Va)、
カロリーナ・オーマン(Vc)、
マルティン・ヤッギ(Vc)*、
タルミコ・コルツァイア(P)】

録音:2009 年9 月 57:38
#以外=世界初録音
モンドリアン・アンサンブルは 2000 年に結成され、ルツェルン音楽祭を始めとする多くのフェスティヴァルやホールに出演している。ディスクにはいずれもこのアンサンブルのための書かれた作品が収められている。弦楽器とピアノの細やかな運動の集積が不思議な音響を生み出すケルターボーン作品、ピアノパートに内部奏法を含むアグレシヴなモーザー作品が聴きどころ。
NEOS-11507
マルクス・アントニウス・ヴェッセルマン(b.1965):九重奏曲-512bpm(1998)
七重奏曲(2001)
六重奏曲(2006)
八重奏曲(1995)
フランク・オッル(指)
アンサンブル・モデルン

録音:2008/2009年
ヴェッセルマンはドイツの作曲家。11 歳で自作の打楽器で最初の作曲を試みた。エッセンのフォルクヴァング音楽大学で学び、後に電子音楽の研究を行い、ケルンの西ドイツ放送の若手作曲家の国際フォーラムでは 2 チャンネル用のテープリミックス(1991)賞を受賞している。ここに収められた作品はサクソフォン、エレクトリック・ギター、エレクトリック・ベース、ドラム・セット、電子キーボードが多用されると共に反復的な書法が取られジャズ、ロック、ミニマル・ミュージックの影響が強く感じられる。しかしアメリカの作曲家たちと違ってどこかシニカルなスタイルはさすがにドイツの作曲家。
NEOS-11510
レーガー:ベックリンによる 4 つの音詩Op.128〜第1曲「ヴァイオリンを弾く隠者」/第2曲「波間の戯
れ」
ブロッホ:シェロモ〜ヘブライ狂詩曲
プリューガー(b.1941):「絵画」(2014)〜チェロと大管弦楽のための(世界初録音)
レーガー:ベックリンによる4 つの音詩〜第3曲「死の島」/第4曲「バッカナール」
ファクンド・アグディン(指)
ムジーク・デ・ルミエールO
エステレ・レヴァーツ(Vc)

録音:2015年2月
レーガーの「ベックリンによる4 つの音詩」をアルバムの始めと終わりに、中にチェロ独奏を伴う協奏的作品を配置した面白い企画アルバム。プリューガーの「絵画」はパウル・クレー、セガンティーニほかの絵画にインスパイアされて作曲された5 楽章からなる大変ロマンティックな大作で良質の映画音楽を思わせるダイナミックな展開が魅力的。なおチェリストのエステレ・レヴァーツはスイス出身の女流。パリ国立高等音楽院で学んだ後、ケルン音楽院でマリア・クリーゲルに師事した。既に数々のコンペティションに上位入賞しソリストとして活動を始めている期待の若手。
NEOS-11512(1SACD)
ニコラウス・ブラス(1949-):弦楽三重奏曲集
(1)Morgenlob(ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロのための)
(2)弦楽三重奏曲第2 番「グランツ」
(3)弦楽三重奏曲第3 番「素描」
トリオ・コリオリス

録音:2009年 8 ・3 日-6 日、2015 年6 ・6日-17 日
ブラスはドイツの作曲家で、当初は医学を学んだ後、個人的にラッヘンマンに作曲を師磨B1986 年にダルムシュタットでモートン・フェルドマンと出会い影響を受けています。この弦楽三重奏曲集も、ブラスの幽玄なタッチは日本の水墨画のようなモノトーンの幻想的な風景が広がります。
NEOS-11513(2CD)
クリスティアン・オッフェンバウアー(b.1961): 弦楽四重奏作品集1997-2011
弦楽四重奏断章1997
破壊(時/部屋)1999〜クラウス・ペーター・ケールのために
第2弦楽四重奏断章2008〜トマス・ハインリヒのために
第3弦楽四重奏断章2009〜ユング・シュテルツィのために
断章IV/第4 弦楽四重奏断章2010
第5 弦楽四重奏断章2011
第6 弦楽四重奏断章2011
アルディッテQ【アーヴィン・アッルディッティ(Vn),アショット・サルキシャン(Vn),ラルフ・エーラーズ(Va),ルーカス・フェルズ(Vc)】

録音:2013 年6 月
オッフェンバウアーはオーストリア出身の作曲家、音楽理論家。作曲をフリードリヒ・チェルハに師事した。この CD には現在までに作曲された彼の弦楽四重奏の全てが集められており、いずれも終始弱音で演奏されるユニークな音楽。ブックレットに掲載されている譜例を見ると非常に細かく指示が書き込まれており、微細な音の変化と構造に耳を傾けさせる音楽としてウェーベルンの系譜に属する作曲家と思われる。アルディッティの精妙なレアリゼーションが聴きもの。
NEOS-11518
ヨーク・ヘラー(b.1944):弦楽四重奏作品集(and more)
3つの断章(1966)〜弦楽四重奏のための
2つの形状(2007/08)〜弦楽四重奏とピアノのための*
弦楽四重奏曲第2 番(1997)
弦楽四重奏曲第1 番《アンティフォン》(1976,rev1984)〜弦楽四重奏と電気的に変化させられた弦楽四重奏のための
ミンゲQ
マルクス・ベルハイム(P)*

録音:2011年2月、11月
ギーレンやエトヴェシュなどによる作品集(NEOS10829)、ビシュコフによる「天球」「永遠の日」(NOES11039)に続くNEOS-レールのヨーク・ヘラー作品集第3弾。 このアルバムはヨーク・ヘラーの弦楽四重奏を中心とした作品を集成。ヘラーはベルント・アロイス・ツィンマーマン、ヘルベルト・アイメルトに作曲を師事、ダルムシュタットではブーレーズの楽曲分析の講義を受け、パリの IRCAM では電子音響の研究にも携わっている。初期作品から音色への関心が強く見られるが12 音技法の影響から次第に音響の電子的な変容のプロセスに作曲の関心が移り、《アンティフォン》では弦楽四重奏と電子的に変容された弦楽の音響が不可分に絡む独自のスタイルを完成している。
NEOS-11520(1SACD)
ヴォルフガング・リーム(b.1952):(1)《球のまわりの球》〜アンサンブルのための(1992/2003)
(2)《ヴィル・マール》〜A管クラリネットのための小品(2000)
(3)《セラフィン-球》〜アンサンブルのための(1993-96/2006)
(1)(3)ルパート・フーバー(指)
オーストリア現代音楽アンサンブル
(2)アンドレアス・シャブラス(Cl)

録音:(1)(3)2007年、(2)2016年
ドイツ作曲界の重鎮リームの2000年前後に書かれた作品集。《球のまわりの球》は激しい点描的な音の打撃音の中から次第に音価の長い音の層が棚引かれ持続してゆくが、それによって特にドラマが形成されるわけではなく、ひたすら緊張した空間が続く、ウェーベルン、フェルドマンの今日的影響の在り方、といった作品。《ヴィル・マール》はクラリネット・ソロによる4つの小品で特殊奏法こそないもののクラリネットのあらゆる可能性が追及された超絶技巧作品。《セラフィン-球》は《球のまわりの球》と対をなす曲で、素材面で同じものが扱われている他、激しい点描的な様式も共通しているが、こちらの方がより激しくドラマティクな展開が行われている。

NEOS-11601
ニコラウス・ブラス(b.1949):ピアノ作品集
空の手のための作品〜11のベネディクティオン(2011)
《走行中の歌》ピアノ音楽第2 番(1983)
《無効》(1999)
《ウンディーネは行く》(2014)
《愛の対話V》(2010/2011)
ヤン・フィリップ・シュルツェ(P)

録音:2015年9月
ブラスはベルリン自由大学で医学を学ぶ傍らミュンヘン音楽大学で作曲を、また私的にラ ッヘンマンにも師事した。1978 年より数年間ダルムシュタット夏季現代音楽講習会で学び、 その際、モートン・フェルドマンに会い、影響を受けている。このディスクは作曲者 30 代の若 書きから最近の作品までをピアノ曲で辿る内容。「空の手の歌」はピアニストが時折り、唸った り叫んだりしながらも終始静かな緊張感が続く、師匠ラッヘンマン譲りの奇抜さとフェルドマン の静謐が合体したような組曲。「無効」ではドビュッシーかスクリャービンと思わせる華麗な響 きがフェルドマン風にどこへ向かうともなく霧のように漂い続ける佳品。このアルバムで最も新 しい「ウンディーネは行く」では激しいクラスターの嵐と静かな無調の旋律が交互に対話を続 ける秀作。
NEOS-11605
ヴォールハウザー・エディション4
ルネ・ヴォールハウザー(b.1954): 《カザマロヴァ・サイクル》(2009-14)〜ソプラノとバリトンのための
《イグアナ》(2009)〜バリトン・ソロのための
《スラウェディック・サイクル》(2005-06)〜ソプラノ、バリトン、ピアノのための
デュエット〜バリトン・ソロ版(2008)
デュオ・シモルカ=ヴォールハウザー:
【クリスティーヌ・シモルカ(S)
レネ・ヴォラウザー(Br)】

録音:2005-2014年
ヴォールハウザーは指揮者、ピアニストであるばかりかバリトン歌手でもあり、このディスクでも渋 い歌声を聴かせている。当初ロック、ジャズ・ミュージシャンとして活動を始め、後にセロツキ、カー ゲル、ホリガーらに学んだ。《カサマロヴァ》ではホーミーの唱法が取り入れられ全体は異教的、神 秘的な雰囲気にあふれている。《スラウェディック》では子音や呼吸音まで素材として扱われ、さな がら口による電子音楽という様相を呈している。
NEOS-11608
ラジスラフ・クビーク(1946-)〜閃光
(1)ソナタ=ポートレイト(ピアノのための)
(2)夜明け(メゾ・ソプラノ、ヴァイオリン、ピアノのための)
(3)デュオ・コンチェルタンテ(ヴァイオリンとピアノのための)
(4)閃光(2 本のトランペット、4 台のピアノ、トランペット・アンサンブル、パーカッションのための協奏曲)
(1)(2)(3)ヤン・フェイティン(P)
(2)フィリス・パンチェッラ(MS)
(2)(3)カレン・ベントレー・ポリック(Vn)
(4)バーバラ・バトラー(Tp ソロ)、
クリストファー・ムーア(rp ソロ)、
リード・ゲインスフォード(P)、
ジョエル・ヘイスティングス(P)、
デヴィッド・カルホウス(P)、
ハイジ・ルイーズ・ウィリアムス(P)、
ハヴィアン・ブラブハム(rp)、
ジュディ・ガウン(Tp)、
セス・ジョンソン(Tp)、
ジョン・キルゴア(Tp)、
ジョン・マクゴヴァーン(Perc)、
ミッチェル・グリッブローエク(Perc)、
ピーター・ソロカ(Perc)、
ベン・トムリンソン(Perc)、
アレクサンダー・ヒメネス(指)

録音:2015 年9 月14 日-20 日 49’59
プラハ生まれのチェコの作曲家ラジスラフ・クビーク。作曲と音楽理論をプラハ芸術アカデミーで学ぶ。1993 年プラハ国際フランツ・カフカ作曲コンクールで第1 位を獲得。クビークの音楽スタイルは、ペンデレツキやルトスワフスキのような戦後同時代を生きた東ヨーロッパの作曲家たちと関連しています。 「閃光」はオーケストラではなく、トランペット・アンサンブルとパーカッションをバックに、2 本のトランペットと4 台のピアノが共演する珍しい編成の協奏曲。
NEOS-11609
マルクス・アントニウス・ヴェッセルマン(b.1965):アンサンブル作品集II
《デゼット》〜カオス・コンチェルト(2007)
《ウン・デゼット》〜開かれた断片(2000/2004)
《デュオ・デゼット》〜2 つの位相(2002/2004)
《ザ・フライト・ウィル・ゴー・オン》〜あなたの最愛の仲間へ(2013)
フランク・オッル(指)
アンサンブル・モデルン
ウエリ・ウィゲット(P)
ラファウ・ザンブリジツキ=ペイン(Vn)
ミハエル・M.カスパー(Vc)

録音:2008-15年
ヴェッセルマンはケルンを中心に活動する作曲家。ジャズ、ロックから多大な影響を受けてお り、ドイツの現代音楽界にあっては異色の存在である。いずれも先鋭的なジャズ、アヴァンギャル ド・ロックという印象の作品でタネジやフランク・ザッパを彷彿とさせるパンクな一枚。アンサンブル・ モデルンはかつてザッパ作品で「イエロー・シャーク」というアルバムを作っており、彼らがこの手の 音楽を喜々として演奏しているのがよくわかる。現代音楽のみならずジャズ・ファンにも自信を持っ てお薦め。
NEOS-11610
「Ins Offene〜モダン・エイジのピアノ作品集」
ドビュッシー:前奏曲第2 巻より第1 番「霧」
メシアン:4 つのリズムの練習曲より「音価と強度のモード」
シュトックハウゼン:クラヴィーアシュトゥックX
パスカル・デュサパン:7 つの練習曲より「第6番」
ジャチント・シェルシ:4 つの挿絵
武満徹(1930-1996):リタニ
グバイドゥーリナ:シャコンヌ
アルヴォ・ペルト:アリーナのために
ハンス=ミカエル・ラムラー(1946-):5 つの小品
アンドレアス・スコウラス(P)

録音:2016 年7 月22 日-24日
モダニズムの音楽が、歴史的に育まれた「概念と感情の世界」から根本的に解放されて以来、作曲家は過去のスタンダードや形式、経験から無限に離脱しようと努力してきました。このアルバムではドビュッシーから、世界初録音となるラムラーの「5 つの小品」まで、作曲家が自らの個性的な表現を表出させたピアノ曲をセレクトしています。従来の構造と新しい音色とのバランスを維持し続けることで、モダニズムの限界に挑戦したのはクロード・ドビュッシーでした。同時に、彼はジャズのリズムや非ヨーロッパ文化の刺激を吸収し、「不協和音の解放」を進め、ピアノ作品の抽象化への道を歩みながら、中世の様式を試していました。1976 年にアルヴォ・ペルト自身が確立した作曲技法である「ティンティナブリ(鐘鳴り)」様式で作られた「アリーナのために」や、グバイドゥーリナの「シャコンヌ」、メシアンの「音価と強度のモード」など収録。
NEOS-11614(2CD)
「ソニック・ミグレーション」〜ローリー・アルトマン(1944-)の音楽
(1)ラフマニノフの5 つの変奏曲
(2)スルー・ザ・クラックス
(3)忘れはしない[ソナタ]
(4)花糸
(5)ブラームス・テイクス
(6)セルフレス・ギフト
(7)ピアノ・ソナタ第7 番「タンザニア」
(8)ホームレスの女性の哀歌
(9)ソニック・ドリフト
(10)白川の歌
(11)ピアノのための10 の小品
(1)(2)(7)クリッパー・エリクソン(P)
(2)(5)(10)マティアス・ミューラー((2)(5)Cl、(10)センサー・アウグメンテッド(バスCl)
(3)(8)パトリス・ミカエルズ(S)
(3)カヴァティーナ・デュオ
(4)ランディー・バウアー&クアン=ハオ・フアン(ピアノ・デュオ)
(5)(8)マンハッタンSQ
(6)アンドリュー・ラスバン(Sax)
(8)ジョン・ブルース・イェー(Cl)
(8)(11)クアン=ハオ・フアン(P)

録音:2016 年(全て世界初録音)
ニューヨーク出身の現代音楽作曲家、ローリー・アルトマン。マネス音楽大学でジェイ・サイドマン、レスター・トリンブルに師事。作曲のほかに、ジャズ・ピアニストとしても活躍しています。この2 枚組は四半世紀に渡り作曲してきた中から選りすぐられた作品を収録。“ラフマニノフの5 つの変奏曲”は、ラフマニノフのピアノ・ソナタの第2 楽章を基に作曲されたもの。美しく印象的な旋律が優しく変化していきます。“花糸”は 2 台ピアノでラテン風味のジャジーな作風。“ブラームス・テイクス”はブラームスのヴァイオリン・ソナタ第 1 番ト長調『雨の歌』作品 78にインスピレーションを受け作曲。クラリネットと弦楽四重奏という編成であのメロディが見え隠れしています。
NEOS-11616
マーンコップ・エディション6
クラウス・シュテファン・マーンコップ(1962-):ダニエル・リベスキンドへのオマージュ
ダニエル・リベスキンドへのオマージュVol.1(2002)
ダニエル・リベスキンドへのオマージュVol.2(2010/11)
ダニエル・リベスキンドへのオマージュVol.3(2010-12)
アンサンブル・サープラス
(Fl, Ob, Cl, Vn, Va, Vc)

録音:2016 年2 月1 日-3 日
1962 年ドイツ、マンハイムに生まれたマーンコップ。音楽学と社会学と哲学の分野で研究を続けていたが、それと平行してフライブルク音楽大学でブライアン・ファーニホウ、エマヌエル・ヌネス、クラウス・フーバーに師事。カミロ・トンニ国際作曲コンクール、ガウデアムス大賞、ICOMS 国際作曲コンクールソロ部門第一位、シュトゥットガルト国際作曲賞など、多くの国際コンクールで入賞を果たしている注目の作曲家。この作品ではポーランド系アメリカ人の名建築家ダニエル・リベスキンドへのオマージュとして作曲されたもの。マーンコップが多大な影響、感銘を受けたというベルリンのユダヤ博物館や、フェリックス・ヌスバウム美術館などが有名で、最近ではニューヨークのグラウンド・ゼロの跡地コンペで優勝したことで一躍有名になりました。
NEOS-11618(1SACD)
エルンスト・ヘルムート・フランマー(1949-):弦楽l重奏曲第4 番&第5 番
(1)火の鳥の旅(弦楽l重奏曲第4 番)
(2)別れ(弦楽l重奏曲第5 番)
ジェード・カルテット

録音:2016 年5 ・3 日-25 日
エルンスト・ヘルムート・フランマーはドイツの作曲家。当初、数学、哲学、歴史、音楽学を学び、後に作曲をクラウス・フーバー、ファーニホウらに師魔オました。「別れ」というタイトルを持つ弦楽l重奏曲第5 番は、7 つのセクションで構成され、静かに、そして激しく、様々な感情の「別れ」を表現しています。ジェード・カルテットは2001 年にドイツで結成された弦楽l重奏団。メロス弦楽l重奏団のチェロ奏メピーター・ブックなどに師磨B2005 年大阪国際室内楽コンクール第3 位、2004 年ドイツ・ミュージック・アカデミー・コンテストで優勝するなど、長きに渡って活躍しています。
NEOS-11626(1SACD)
ムジカ・ヴィヴァ・ミュンヘンVol.26
サルヴァトーレ・シャリーノ(1947-): (1)アポクラーテの心象(ピアノと管弦楽、「ファウスト(ゲーテ)」と「論理哲学論考(ウィトゲンシュタイン)」のテキストによる合唱)
(2)黒湖でのヴェイルに包まれた昼光
【世界初録音】
バイエルンRSO
(1)タマラ・ステファノヴィッチ(P)
スザンナ・マルッキ(指)
コールヴェルク・ルール(合唱)
(2)カロリン・ヴィトマン(Vn)
ジョナサン・ノット(指)

録音:2015年3・6、28日 ニューヨー
ク、65’45
2013 年と 2014 年に行われたムジカ・ヴィヴァ音楽祭のライヴより、イタリアの現代音楽作曲家サルヴァトーレ・シャリーノの作品を収録。2013 年に演奏されたヴァイオリンとオーケストラのための「黒湖でのヴェイルに包まれた昼光(Giorno velato presso il lago nero)」は世界初録音で、w揮は 2000 年からバンベルク交響楽団の首席指揮者、2014 年から東京都交響楽団の首席指揮者に就任するなど日本でも馴染みの深いジョナサン・ノット、そしてヴァイオリンはシャリーノと親交のあるカロリン・ヴィトマン、バックはバイエルン放送交響楽団が務めるなど、万全の態勢で行われた演奏です。繊細で崇・な音楽と絶妙の間、研ぎ澄まされたヴァイオリンとオーケストラの音色が斬新です。
NEOS-11627(1SACD)
ムジカ・ヴィヴァ・ミュンヘンVol.27
ヴィンコ・グロボカール(1934-):亡命者V[移民エドヴァルドの生活](管弦楽、合唱、ソプラノ、ナレーター、ダブルベース・クラリネット、即興詩人のための)
ペーテル・エトヴェシュ(指)
バイエルンRSO
バイエルン放送cho
ピーア・コムシ(S)
ブルーノ・ガンツ(ナレーター)
ミハエル・リースラー(ダブルベース・クラリネット)
ヴィンコ・グロボカール(即興詩人)

録音:2015年2・0日(ライヴ録音)
【世界初録音】
2015 年のムジカ・ヴィヴァ音楽祭のライヴより、スロベニア系フランス人のアバンギャ ルド作曲家、トロンボーン奏者、指揮者であるヴィンコ・グロボカールの世界初録音曲 「亡命者V」を収録。スケールの大きな作品で、オーケストラの多彩な表現力と“声”との 一体感が際立っています。即興演奏家としても知られるグロボカールが、今作で即興詩 人として出演し、さらにドイツの名優ブルーノ・ガンツ(映画「ヒトラー ?最期の 12 日間 ?」、「ベルリン・天使の詩」など)がナレーターとして参加。ハンガリーの作曲家で、指揮 者としても活躍しているペーテル・エトヴェシュがバイエルン放送響を振るなど強力な布 陣にも注目です。 グロボカールはルネ・レイボヴィッツ、のちにルチアーノ・ベリオから作曲を、アンドレ・ラ フォスからトロンボーンを学ぶ。グロボカールはトロンボーン奏者としてベリオの『セクエ ンツァV』を初演しています。
NEOS-11630(7CD)
ダルムシュタット・オーラル・ドキュメントVol.4 「現代音楽の名ピアニストたち」
■CD1)1950 年代以前の作品
(1)シェーンベルク::6 つのピアノ曲
(2)シェーンベルク::5 つのピアノ曲
(3)バルトーク:ピアノ・ソナタ
(4)ウェーベルン:変奏曲Op.27
(5)ステファン・ウォルペ(1902-19):パッサカリア
(6)ロジャー・セッションズ(1896-1985):4 つの小品
(7)ハンス・エーリヒ・アポステル(1901-1972):「クビニアーナ」ピアノのための10 の小品
(8)ピエール・ブーレーズ(1925-2016):ピアノ・ソナタ第1 番
■CD2)1950〜1960 年代の作品
(1)B.アロイス・ツィンマーマン(1918-1970):エンキーリディオン2
(2)フランコ・エヴァンゲリスティ(1926-1980):「音の投影、構造」
(3)リュック・フェラーリ(1929-2005):顔I
(4)カールハインツ・シュトックハウゼン(1928-2007):ピアノ曲XI
(5)ピエール・ブーレーズ:ピアノ・ソナタ第3 番(初稿)
(6)アルド・クレメンティ(1925-2011):コンポジション第1 番
(7)ニコロ・カスティリオーニ(1932-1996):「動きの始まり」
(8)ジェルジ・クルターク(b.1926):8 つのピアノ小品
(9)エルネスタルブレヒト・シュテーブラー(b.1934):「不安定な行動」
(10)ヘルムート・ラッヘンマン(b.1935):エコー・アンダンテ
■CD3)1970 年代の作品
(1)ヤニス・クセナキス(1922-2001):エヴリアリ
(2)アンドレ・ブクレシュリエフ(1925-1997):ピラネーゼによる 6 つのエチュード
(3)ヴォルフガング・リーム(b.1952):ピアノ曲第5 番
(4)サルヴァトーレ・シャリーノ(b.1947):ピアノ・ソナタ第1 番
(5)ラインハルト・フェーベル(b.1952):ピアノ小品
(6)ラインハルト・フェーベル:ピアノ小品1978
(7)マウリツィオ・カーゲル(1931):アン・タステン
■CD4)1980 年代の作品
(1)シルヴァーノ・ブソッティ(b.1931):フェドラの死
(2)ブライアン・ファーニホウ(b.1943):レンマ=イコン=エピグラム
(3)シュトックハウゼン:ルシファーの夢あるいはピアノ曲XIII
(4)ヴィルヘルム・キルマイアー(b.1927):ピアノ小品第7 番「幻想パラフレーズ」
(5)エルネスト・ヘルムート・フランマー(b.1949):ピアノ小品第3 番「パッサカリア・ブレヴィス」
■CD5)1990 年代の作品
(1)ダニエル・ロスマン(b.1958):「指が少し出血し始めるまで打楽器のように酔っ払いのようなピアノを演奏せよ」
(2)エンノ・ポッペ(b.1969):主題と840 の変奏
(3)マーク・アンドレ(b.1964):アン・フィニIII
(4)田中吉史(b.1968):エコ・ロンタニッシマII
(5)クラウス・ラング(b.1971):「眠っている農夫、人生の木、暗闇の鉢」
(6)オリガ・ライェワ(b.1971):「天使がいる素描」
■CD6)2000〜2010 年代/ 話すピアニスト、プレイヤー・ピアノの作品
(1)ディーター・マック(b.1954):ピアノ曲第5 番「チェディ」
(2)サルヴァトーレ・シャリーノ:2 つの残酷な夜
(3)ジェームズ・ソーンダーズ(b.1972):#070702
(4)望月京(b.1969):メビウスの輪
(5)マーク・バーデン(b.1980):他人の肌
(6)ジョルジュ・アペルギス(b.1945):カンバセーション X(プリペアド・ピアノと語り)
(7)ヴィキンタス・バルタカス(b.1972):パサカ
(8)クラレンス・バーロウ(b.1945):銀色の蘭、パンドラ
(9)ヴィト・ジュライ(b.1979):マトリックス(プレイヤー・ピアノとエレクトロニクス)
(10)シュテッフェン・クレッバー(b.1976):サインせよ(自動ピアノとラウドスピーカー)
■CD7)拡張されたピアノ
(1)ローランド・カイン(1932-2011):量子
(2)ジャン=エティエンヌ・マリー(1917-1989):3 つの小品
(3)ハンス・ウルリヒ・エンゲルマン(1921-2011):カデンツァ
(4)クラレンス・バーロウ:…まで…
(5)クリスティーナ・クビッシュ(b.1948):ディヴェルティメント(1台のピアノに5 人のピアニストとテープ)
(6)フォルカー・ハイン(b.1938):タップ(プリペアド・ピアノとライヴ・エレクトロニクス)
(7)パスカル・クリトン(b.1954):タイムス(四分音ピアノとテープ)
(8)シモン・ステーン=アンデルセン(b.1976):再レンダリング(ピアノと2 人のアシスタント)
■CD1)
(1)エドゥアルト・シュトイアマン
録音:1957年7月17日
(2)(4)(7)ペーター・シュタドレン
録音:1948年7月31日
(3)アンドール・フォルデス
録音:1952年7月18日
(5)デヴィッド・テュードア
録音:1956年7月12日
(6)ハワード・ルボウ
録音:1960年7月14日
(8)エリカ・ハーゼ
録音:1959年9月3日
■CD2)
(1)イヴォンヌ・ロリオ
録音:1952年7月19日
(2)デヴィッド・テュードア
録音:1958年9月10日
(3)エルゼ・シュトック=フグ
録音:1957年7月20日
(4)デヴィッド・テュードア
録音:1958年9月8日
(5)ピエール・ブーレーズ
録音:1959年8月30日
(6)アロイス・コンタルスキー
録音:1958年9月5日
(7)ニコロ・カスティリオーニ
録音:1958年9月10日
(8)アンドール・ロションツィ
録音:1960年7月10日
(9)ペーター・ロッゲンカンプ
録音:1963年
(10)ヘルムート・ラッヘンマン
録音:1962年7月18日
■CD3)
(1)アロイス・コンタルスキー
録音:1974年7月30日
(2)クロード・エルフェ
録音:1996年7月19日
(3)ヘルベルト・ヘンク
録音:1976年7月21日
(4)ペーター・シュマルフス
録音:1980年7月23日
(5)エドワード・ランバート
録音:1976年7月26日
(6)ベルンハルト・ヴァムバッハ
録音:1978年8月13日
(7)アロイス・コンタルスキー
録音:1978年8月5日
■CD4)
(1)イヴァール・ミハショフ
録音:1990年7月19日
(2)セシル・ライトル
録音:1988年8月5日
(3)ベルンハルト・ヴァムバッハ
録音:1984年7月20日
(4)ジークフリート・モーザー
録音:1988年8月9日
(5)オルトヴィン・シュテュルマー
録音:1990年7月27日
■CD5)
(1)ベルンハルト・ヴァムバッハ
録音:1996年8月2日
(2)アンナ・デリーコ
録音:2010年7月28日
(3)エルミス・テオドラキス
録音:2010年7月28日
(4)マッシミリアーノ・ダメリーニ
録音:1998年7月24日
(5)ベルンハルト・ヴァムバッハ
録音:2008年7月16日
(6)チェン・ピシェン(陳必先)
録音:2002年7月8日
■CD6)
(1)ハン・カヤ
録音:2006年8月8日
(2)(3)ニコラス・ホッジス
録音:2002年7月7日
(4)ニコラス・ホッジス
録音:2008年7月13日
(5)中村麗
録音:2010年7月26日
(6)レト・シュタウプ
録音:2010年7月25日
(7)ベンヤミン・コブラー
録音:1996年8月10日
(8)1990年7月27日
(9)(10)2014年8月14日
■CD7)
(1)アロイス・コンタルスキー
録音:1958年9月10日
(2)マルティーヌ・ジョスト
録音:1988年8月10日
(3)エルゼ・シュトック=フグ
録音:1962年7月10日
(4)クリスティ・ベッカー
録音:1986年7月26日
(5)デヴィッド・アーデン、マレク・ミエテルスキ、ダヴィデ・モスコーニ、カルロス・ペレグリーノ、ワーナー・フュッサー
録音:1974年8月3日
(6)オスカー・ピッツォ
録音:1992年7月22日
(7)マルティーヌ・ジョスト
録音:1990年7月23日
(8)エレン・ウゲルヴィク
録音:2010年7月24日

いずれもダルムシュタット夏期現代音楽講習会コンサートにおけるライヴ録音(DDD)
戦後のヨーロッパ現代音楽界をリードしてきたダルムシュタット夏期現代音楽講習会で行われたコンサートから選りすぐりの 録音をまとめたシリーズ第 4 弾。ここではピアノ作品が集められ、作品もさることながらイヴォンヌ・ロリオ、アロイス・コンタルス キー、デヴィッド・テュードアら往年の名・現代音楽ピアニストの他、最近注目の若手日本人ピアニスト中村麗の演奏が聴ける のが特色。ピアノはそのコストパフォーマンスの良さからこの楽器のために多くの作品が書かれ、このディスクを聴くだけで戦 後から今日までのヨーロッパ前衛音楽の歴史を俯瞰できます。なかでもブーレーズが自らピアノを弾いた自作の第 3 ソナタはこ のセットの圧巻。ブーレーズの指揮はいくらでも聴けるが、彼の弾くピアノが聴けるのはおそらくこのセットが現時点で唯一。 他にダルムシュタットでは珍しい、四分音ピアノやピアノとライヴ・エレクトロニクス、ピアニストが演奏以外のフォーマンスをす るなど、ピアノの可能性を探った実験的意欲作も収録。

NEOS-11703
ラディスラフ・クービック(1946-2017):声楽作品集
《24 の俳句》(日本の俳人、歌人、作家の詩による) (2016)〜メゾ・ソプラノとピアノのための
《マグダレーヌ》(詩:B.パステルナーク) (2012)〜メゾ・ソプラノとピアノのための
《ゴング》(詩:R.M.リルケ) (2016) 〜メゾ・ソプラノ,アルト・フルート,ピアノとエレクトロニクスのための
《詩人になるということ》(チェコとスロヴァキアの詩人による)(2016) 〜メゾ・ソプラノとヴィオラのための
《春の川》(詩:F.カフカ) (1996)〜メゾ・ソプラノと打楽器アンサンブルのための
フィリス・パンセーラ(MS)
フイ=ティン・ヤン(P)
ハナ・ブロゾヴァ(アルトFl)
イトカ・ホスプロヴァ(Va)
フロリダ州立大学打楽器アンサンブル

録音:2016年
クービックはチェコ出身で後にアメリカに帰化した作曲家。このディスクは彼の主要な声楽 入りの室内楽を収録した。「24 の俳句」は松尾芭蕉、小林一茶、夏目漱石、与謝蕪村、正岡 子規ら日本の俳人、作家の俳句(英訳)に曲を付けたおよそ 30 分近くかかる大作。作曲者は 俳句の構造を生かした精妙なミクロコスモスを作っている。日本の俳句が後期ロマン派か表 現主義の歌曲のように変身するのは驚き。「ゴング」は小説「ドクトル・ジバゴ」で知られるパス テルナークの詩による歌曲で電子音を加えて元の詩の世界から大きく飛躍する。カフカの詩 による「春の川」はシュプレッヒシュティンメ(語り歌い)と打楽器の多用な音色を駆使しカフカ 独自の幻想的な世界を描き出している.。
NEOS-11704
ニコラウス・ブラス(b.1949):クラリネットと弦楽のための作品集
《挨拶》(1997)〜クラリネット独奏のための
《シュプール》(2010)〜2 つのクラリネットと弦楽三重奏のための
《愛の対話VI》(2009/2011)〜2 つのクラリネットのための
《災害》(2015)〜ヴィオラと2 つのクラリネットのための
弦楽四重奏曲(2013)第5 番《辞書から》(2 つのクラリネットのオブリガートつき)
《別れの挨拶》(1997)〜クラリネット独奏のための
ベアテ・ツェリンスキ(Cl)
デヴィッド・スメイヤーズ(Cl)
ミンゲSQ

録音:2016年10月
いまやドイツの現代音楽界で中心的な役割を担うブラスのクラリネットと弦楽のための作品 を集成。「挨拶」は意外にも調的に書かれた小品で小鳥がさえずるような音型が可愛らしく詩 的な作品。「シュプール」では2 つのクラリネットが微分音および重音奏法で薄い音の帯を作 りそれが弦楽三重奏と光と影のように重なりあう。弦楽四重奏曲第 5 番は事実上のクラリネッ ト五重奏曲。クラリネットの旋律が弦楽の描く灰色の響きの空間を縦横にそして物憂げに飛 び交う。
NEOS-11705
ルーベン・セロッシ(1959-):室内楽作品集
(1)Jazz…a propos de Matisse(ヴァイオリン、チェロ、ピアノのための)
(2)‘…through the keyboard’(ピアノ独奏)
(3)Ce discret charme…Hommage a Luis Bunuel(ヴィオラ、クラリネット、ピアノのための)
(4)Oppositive is Positive(フルート、バス・クラリネット、ギター、ヴァイオリン、チェロのための)
(5)The Yearnings of the Duck, In Memoriam Dudu Geva (フルート、クラリネット、ファゴット、ヴァイオリン、チェロ、ピアノのための)
マイター・アンサンブル:
【(1)(2)(4)(5)モシェ・アハラノフ(Vn、Va)
(1)(4)ヨニ・ゴトリボヴィチ(Vc)
(1)(3)(5)アミット・ドルベルグ(P)
(3)(4)ギラード・ハーレル(Cl、バスCl)
(4)ハガール・シャチャル(Fl)
(5)ロイ・アモツ(Fl)
(5)ジョナサン・ハダス(Cl)
(5)ナダフ・コーエン(Fg)
(5)アナット・エンゲルマイヤー(Vc)】
(2)ダニエル・セロッシ(P)
(4)ルーベン・セロッシ(G)
(4)ガイ・フェダー(指)
(5)ダニエル・コーエン(指)

録音:(1)(2)(3)2015 年、(4)2014 年、(5)2009 年、60’28(すべて世界初録音)
1959 年ウルグアイ生まれの作曲家兼ギタリストのルーベン・セロッシ。1974 年からイスラエルのテルアビブに住んでいます。テルアビブ大学の音楽アカデミーにてレオン・シドロフスキーに師事。現在はブヒマン-メータ音楽院の作曲家主任を務めています。世界初録音となるこのアルバムは、演奏しているマイター・アンサンブルの委嘱により作曲されたものです。
NEOS-11707
アンドレアス・プフリューガー(b.1941):ヴァイオリンとピアノのための作品集
2 つのヴァイオリンとピアノのための 5 つの小品(2012/13)*
「もうひとつの風」(1989)
インコントリ(出会い)(1998)
ヴァイオリン・ソナタ「1993」(1992/1993)
「…石…」(1992/1993)〜無伴奏ヴァイオリンのための
カタリーナ・シャムベック(Vn)
ガブリエレ・ルケリーニ(P)
ユン・ナヨン(Vn) *

録音:2017年10月
アンドレアス・プフリューガーはスイスの作曲家。ルドルフ・シュタイナー学校を経て数学と自 然科学を学んだ後、イゴール・マルケヴィッチに指揮、ルイス・デ・パブロに作曲を学んだ。さら にダルムシュタット夏季現代音楽講習会に度々出席しシュトックハウゼンほか当時の西側前 衛音楽のイディオムを吸収している。しかしヴァイオリンとピアノのための作品を集成したこの アルバムでは前人未踏の超前衛を目指すと言うより、ベルク、バルトークなど 20 世紀のクラシ ック音楽の伝統に立ちつつ、さらに新しい表現を探求するといった姿勢をとっている。
NEOS-11708
ベアト・ツェリンスキー&デヴィッド・スマイヤーズ・クラリネット・デュオ
アントゥリ・インゴルフソン(b.1962):オルゴラス・スピークス(2009)〜2つのクラリネットとアンサンブルのための
アドリアーナ・ヘルスキー(b.1953):飛行機操縦(2006)〜2つのクラリネットと管弦楽のための*
ニコラウス・ブラス(b.1949):大地の時(2008)〜2つのクラリネットと弦楽のための#
ベアト・ツェリンスキー(Cl)
デヴィッド・スマイヤーズ(Cl)
グオニ・フランツォン(指)カプート・アンサンブル
アルトゥーロ・タマヨ(指)バーデン・バーデン=フライブルクSWR響*
アレクサンダー・リープライヒ(指)ミュンヘンCO#

録音:2009年、2006年ドナウエッシンゲン音楽祭ライヴ*、2010年#
デュオ・グループ「クラリネット・デュオ/ベアト・ツェリンスキー&ダヴィッド・スマイヤー」の為に書かれた中堅からベテラン世代の作曲家による作品。インゴルフソンはアイスランド出身でジェラール・グリゼイに私的に師事した。《オルゴラス・スピーカース》は2つのクラリネットを舞台の役者に見立てたユーモラスな作品でクラシカルな語法、素材が現代音楽の要素と折衷されたユニークな作品。ヘルツキはルーマニア出身で現在ドイツを代表する作曲家。日本とも関りが深い。《飛行機操縦》は2人のクラリネット奏者がパイロットを象徴し飛行機に見立てられた管弦楽を操縦、リードするというアイデアで書かれている。ブラスの《大地の時》は2つのクラリネットが静かな対話を繰り返す中、その周りを弦楽の響きが霧のようにまとわりつくメランコリックな佳曲。弦楽は琵琶を思わせる奏法を行い、日本的、東洋的な雰囲気を持つ。
NEOS-11709
マルクス・アントニウス・ヴェッセルマン(b.1965):独奏作品集I
ソロ1 (1986)〜フルートのための
ソロ2 (1987,version2004+2007)〜打楽器のための
ソロ3 (1992)〜エレクトリック・ギターのための
ソロ4 (1993,version2003)〜ヴィオラのための
ソロ8 (2001-04)〜バリトン・サックスのための
ソロ10 (2006)〜ファゴットのための
(Bonus Track)
イン・ザ・ミックス(1991)*
ヘレン・ブレッドソー(Fl)
ディルク・ロトブルスト(Perc)
マッツ・ベルイストローム(エレキG)
ガース・ノックス(Va)
シモーネ・オットー(B.Sax)
ヨハネス・シュヴァルツ(Fg)
マルクス・アントニウス・ヴェッセルマン(Tape)*

録音:1991-2009年
ヴェッセルマンはケルンを拠点に活動している作曲家で同じくケルンに本拠を置くアンサ ンブル・モデルンとは多くのコラボレーションを行っている。彼の音楽はロック、ジャズの影響 を受け、現代音楽とそれらを抽象的なレヴェルで融合させた独自のミニマリズムだが、アメリ カのそれとは全く異なる非常にオリジナリティあふれるもの。フルートのためのソロ1 では息の 長い旋律が次第に短くなり急速なパターンとなって繰り返される。エレクトリック・ギターのため のソロ3 ではミニマルとR&B がドイツ風の辛口なテイストでミックスされ、バリトン・サックスのソ ロ 8 ではフリー・ジャズとの親近性が認められる。ボーナス・トラックの「イン・ザ・ミックス」は 様々な具体的な音声のリミックスで一種のミュージック・コンクレートともいえるが、そのキッチ ュでポップなセンスは CM 音楽や先鋭的なポップスで知られる日本のヤン冨田や中川俊郎 を思わせる。
NEOS-11712
フィリップ・マインツ(b.1977):管弦楽作品集Vol.1
(1)「吊るされている庭」(2016/17)〜大管弦楽のための
(2)「トリプティコ・ヴァーティカル」(2012/14) 〜ソプラノと大管弦楽のための(詩:ロベルト・フアロス
クリストフ・エッシェンバッハ(指)
(1)ベルリン・ドイツSO
(2)ミュンヘンPO
マリソル・モンタルヴォ(S)

録音:(1)2017年5月28日ベルリン、(2)2014年6月25日ミュンヘン
※全作世界初演
フィリップ・マインツはドイツの中堅世代の作曲家でロベルト・HP・プラッツに師事、その後リエージュ大学で電子音楽の権威アンリ・プッスールに学ぶ。またパリのIRCAM でも研究と制作を行っています。電子音楽の研鑽を経たマインツの音楽は様々な音色と複雑に織りなすテクスチュアの推移で成り立っており、「吊るされている庭」は古代アッシリアの神話に題材を採った幻想的な作品。幾重にも重ねられた弦楽の薄い皮膜のようなテクスチュアは武満の70 年代の作風を思わせて魅力的。「トリプティコ・ヴァーティカル」はアルゼンチンの詩人ロベルト・フアロスに詩に基づくこれも幻想的な声楽作品。
NEOS-11715
アルベルト・ポサダス(b.1967):《アナモルフォシス》(2006)〜アンサンブルのための
《解けないものの条約》(2013)〜バリトン・サックス、ダブル・バス・クラリネット、アコーディオン、チェロとコントラバスのための
《3 つの想像上の絵》(2014)〜アンサンブルのための
《夜の光》(2010)〜アンサンブルのための
ナチョ・デ・パス(指)
クラングフォルム・ウィーン

録音:2015年12月
ポサダスはスペインの作曲家で自然科学と数学、音楽との関係を探り、彼自身がマイクロ・ インストゥルメンテーションと呼ぶ独自の概念を提唱し、それによって作品を作り続けている。 一聴した印象では時に武満、リゲティ、クセナキスを思わせるが、その荒々しくも詩的な音楽 はルイス・デ・パブロ以後のスペインの新しい世代の作曲家のものと確信させる。「アナモル フォシス」はまさに武満の70 年代の諸作やリゲティの「ロンターノ」を彷彿とさせるが一転、「解 けないものの条約」はアンサンブルが電子音楽のような響きの帯を延々と奏し続ける。「3 つ の想像上の絵」はレオナルド・ダ・ヴィンチ、モンドリアンらの絵画に触発されたというが、抽象 画をそのまま音符にして音響化したかのような、その個性的な触発のされ方は聴き手の想像 力をはるか上回る独自の世界を確立している。
NEOS-11716(2SACD)
ドナウエッシンゲン音楽祭2016
(1)レベッカ・ソーンダーズ(b.1967):《スキン》(2015/16)〜ソプラノと13 楽器のための
(2)ベルンハルト・ガンダー(b.1969):《13 の傷跡持つ冷たい遺体》(2016)
〜21 楽器のための
(3)マーティン・スモルカ(b.1959):《誤植の叫び》(2016)〜アンサンブルのための2 つの楽章
(4)ジェームズ・ディロン(b.1950):《門》(2016)〜弦楽四重奏と管弦楽のための
(5)フランク・ベドロシアン(b.1971):《ツィスト(ねじれ)》(2016)〜管弦楽とエレクトロニクスのための
(6)マーティン・ヤギー(b.1978):《カラル》(2016)
(7)ゲオルク・フリードリヒ・ハース(b.1953):トロンボーン協奏曲(2015/16)
(1)ジュリエット・フレイザー(S)
(1)(2)ティトゥス・エンゲル(指)クラングフォルム・ウィーン
(2)スティームボート・スイス
(3)アンサンブル・ルシェルシェ
(4)アルディッティ四重奏団
(4)(6)ピエール=アンドレ・ヴァラド(指)SWR響
(5)(7)アレホ・ペレス(指)SWR響
(5)IRCAM/ロビン・メイヤー(コンピュータ・ミュージック・デザイナー)
(7)マイク・スヴォボダ(Tb)

録音:2016年10月14-16日ドナウエッシンゲン音楽祭ライヴ
※全作品世界初演
ドナウエッシンゲン音楽祭はISCM World New Music Days と並ぶ著名な現代音楽祭で2016 年は10 月13 日から16 日 までの 4 日間開催され、オーケストラ、室内楽、マルチ・メディア作品、レクチャーなど多彩なプログラミングで聴衆を楽しま せました。このアルバムはその中からオーケストラおよび大規模アンサンブルのための作品を収録したものです。ソーンダ ーズの「スキン」はジェームス・ジョイスの代表作「ユリシーズ」をテキストとした声楽作品。詩に使われた言葉のイントネーショ ン、声の質が徐々にオーケストラに波及、反映されてゆくアイデアで書かれ、どこか日本の能楽を思わせる繊細な作品。ガ ンダーの「13 の傷跡を持つ・・・」はパンク・ロックと現代音楽の幸せな(不幸な?)出会いともいうべき作品で、エレキ・ベース やドラムの強烈なビートと不協和音、ノイズが交錯する果てにベートーヴェンの運命が鳴り響きます。日本でも知る人ぞ知る 有名なディロンの「門」は日本の神社の鳥居、特に京都のそれに霊感を得て作曲、非常に洗練された抽象度の高い美しい 作品。幾重にも重なるオーケストラの響きの門の先に(おそらくは)本殿を象徴する弦楽四重奏が鎮座する発想と思われ、デ ィロンの近年の作品の中でも代表作と呼ぶに相応しい傑作。ハースのトロンボーン協奏曲は、はっきりしたハ短調の主和音 で始まる極めてロマンティックな協奏曲。オーロラのように移ろいゆく美しいオーケストラの響きの中でトロンボーンがメランコ リックなメロディを悠然と奏します。このように 2016 年のドナウエッシンゲン音楽祭は特に傑作、注目作がそろっています。 現代音楽ファン必携のセット!
NEOS-11710
現代のギター四重奏曲集Vol.2
ニコラウス・フーバー(1939-):オルフェウスの逃走(2001)
アルベルト・ホルティグエラ(1969-):言葉は罰(2015)
イレーネ・ガリンド・ケロ(1985-):Ziffer h Hut(2011)
マティアス・シュパーリンガー(1944-):削除された補足(2012)(4 本[or 3 本or2 本)]のギターのための)
アレフ・ギター四重奏団:
【アンドレス・エルナンデス・アルバ
ティルマン・ラインベック
ヴォルフガング・ゼーリンガー
クリスティアン・ヴェルニッケ】

録音:2016 年 2 月 8〜11 日、(すべて世界初録音)
アレフ・ギター四重奏団は 1994 年に結成された珍しい現代音楽専門のギター四重奏団として「ワルシャワの秋」(ポーランド)、パン・ムジーク(韓国)、アルス・ノヴァ(スイス)など数多くの現代音楽祭に招かれています。20 世紀と21 世紀の新たな音楽的技法や演奏技法を生み出し、現代音楽作曲家に委嘱することで、ギター四重奏曲のレパートリーを拡大し続けている注目のギター四重奏団です。今作もすべて世界初録音。叩いたり、つま弾いたり、特殊奏法たっぷりの見事なアンサンブルを披露しています。まるで琴のような音色にも聴こえるシュパーリンガーの“:削除された補足Entfernte Erganzung”、繊細に切れ目なく音が鳴り響くホルティグエラの“言葉は罰”など聴きもの。
NEOS-11718
タツィアナ・ゼリアンコ(b.1980):ピアノ作品集
8 つの前奏曲(2009)
《フリーダ・カーロ、”フレーム”裂け目で揺れる》(2013)
《幻影》(2016)
アレクサンドラ・マトヴィエフスカヤ(P)

録音:2017年4月
ゼリアンコはベラルーシ出身の若手。地元ベラルーシで学んだ後、ルクセンブルクに移住 し現在はここを拠点に活動している。若い世代らしく、ヨーロッパを席捲した前衛の多くの各 流派の影響から離れ、自由に自分のヴィジョン、ファンタジーに従う姿勢が好ましい。様式と してはドビュッシー、シマノフスキ、スクリャービン、ソラブジらを思わせるモード、自由な無調 を折衷したもので、画家フリーダ・カーロに捧げるオマージュや多くのピアノ小品を作曲して いる。モダン・ジャズにも通じる響きを持っており、広く聴衆にアピールする内容。
NEOS-11719
「音の画像」〜ルネ・ヴォールハウザー(b.1954)作品集
《ユウェ・ラスベク・ノダク》(2012) 〜Sop,Br,Fl,Cl,Perc,Pf,Vn,Vc
《音の画像》(1993-1995)〜Vn 独奏版
《ドストレイフ》(2016)〜Sop,Br,Perc
弦楽三重奏曲(2007)
《音の画像》(1993-1995)〜Fl,Cl,Perc,Pf,Vn,Vc
アンサンブル・ポリソーノ(Ens)

録音: 2013-2016 年
ヴォールハウザーはスイス出身の作曲家でバリトン歌手、ピアニスト、指揮者としても活動 し、このアルバムでも自らの渋い歌声を聴かせている。当初ジャズ・ミュージシャンとして活動 した後、現代音楽に転向、セロツキ、カーゲル、ホリガー、ファーニホー、フーバーらそれぞ れ傾向は異なるがヨーロッパで主導的な役割を果たした作曲家に師事。このアルバムではソ ロから声楽を含む室内楽を収録しており、様式としてはファーニホーらの「新しい複雑性」の 影響が感じられる。しかし音色や倍音の特性を生かしたり、声楽の新しい可能性を探したり する姿勢は彼独自のもの。ブックレットに一部掲載されたそのスコアの複雑さ、音符で真っ黒 に埋め尽くされたジャングルのごとき譜面の風景に彼の音楽が端的に示されている。
NEOS-11728
ムジカ・ヴィヴァ・ミュンヘンVol.28
ジョルジュ・アペルギス(b.1945):(1)アコーディオン協奏曲(2014/2015)※世界初演
(2)大管弦楽のための6つのエチュード(2012-2014)
(1)(2)エミリオ・ポマリコ(指)
バイエルンRSO
(2)テオドーロ・アンゼロッティ(アコーディオン)

録音:(1)2016年2月26日、(2)2015年3月20日((1)(2)ともムジカ・ヴィヴァ・ライヴ)
ギリシャ出身の作曲家アペルギスの大作2曲を収録。近作アコーディオン協奏曲はアコーディオンから繰り出されるクラスターや様々な音色、音型にオーケストラが反応し、響きの事象が拡散してゆくプロセスで構成された作品。ソリストのテオドーロ・アンゼロッティのフリー・ジャズ的とも思える情熱的なパフォーマンスに負うところが大きく、計算されたオ−ケストラの効果とクライマックスが聴き手を圧倒する。大管弦楽のための6つのエチュードはオーケストラの音色、テクスチュア、あるいは概念を拡大するための一種のデッサンで2分弱から10分までの6つの小品から構成されている。
NEOS-11729(1SACD)
ムジカ・ヴィヴァ・ミュンヘンVol.29
ハリソン・バートウィスル(b.1934):作品集
「反応、甘い障害」(2014)〜ピアノと管弦楽のための*
「ガウェインの旅」(1991)
ステファン・アスバリー(指)
バイエルンRSO
ピエール=ローラン・エマール(P)*

録音:2014 年12 月24 日*、2012月 2 月ともにヘルクレスザール、ミュンヘン(ムジカ・ヴィヴァ・コンサート、ライヴ)
*=世界初演
イギリスの重鎮サー・ハリソン・バートウィスルの世界初演を含むオーケストラ作品集。 ピアノ協奏曲「反応、甘い障害」は作曲者80 歳の新作でおよそ30 分からなる大作。創 作力に全く衰えを感じさせず、エネルギッシュな管弦楽とピアノが丁々発止とぶつかり 合う様は音楽上の格闘技を見せられているよう。エマールの鋭く切り込む、鮮烈なピア ノが印象的。「ガウェインの旅」はオペラからの管弦楽曲で、こちらもバートウィスルの鮮 やかな管弦楽法が光るドラマティックな傑作。
NEOS-11730(1SACD)
ムジカ・ヴィヴァ・ミュンヘンVol.30
モーリッツ・エッゲルト(b.1965):「ミューザック」-デヴィッド・ボウイの追憶に(2016) 〜声と管弦楽のための
「ナンバー9/マッセ(群衆)」(2008) 〜大管弦楽のための*
バイエルンRSO
モーリッツ・エッゲルト(Voice)
デヴィッド・ロバートソン(指)
ペーター・ルンデル(指)*

録音:2016年6月、2010年2月 (ともにムジカ・ヴィヴァ・コンサート・ライヴ録音)
COL LEGNO レーベルで始まったバイエルン放送による新作紹介シリーズ「ムジカ・ヴ ィヴァ・ミュンヘン」のシリーズも第30 巻が発売になります(と言いながら29 巻は未発売)。 モーリッツ・エッゲルトは作曲家、ピアニスト、パフォーマーとしてマルチな活動をして いるドイツの音楽家。ドイツとは因縁浅からぬデヴィッド・ボウイの追憶に捧げられた「ミ ューザック」はロックのビートとハーモニーがオーケストラのクラスター、不協和音とぶ つかり合う中、作曲者自らがボウイの詩の断片を語り、叫ぶというユニークな作品。「ナ ンバー9」は大オーケストラのクラスターと執拗なリズムの反復がジャーマン・プログレを 思わせる。アカデミックな前衛とは異なるドイツ現代音楽のいまを知る一枚。
NEOS-11732(1SACD)
「ムジカ・ヴィヴァ・ミュンヘンVol.32」
ヴォルフガング・リーム(b.1952):「レクイエム・シュトローフェン」(2015/2016) ※
マリス・ヤンソンス(指)
バイエルンRSO&cho
モイツァ・エルトマン (S) 、アンナ・プロハスカ (S) 、 ハンノ・ミュラー=ブラフマン(Br)

録音:2017年3月31日ムジカ・ヴィヴァ・コンサート(ライヴ)
世界初演ライヴ
既に 70 年以上の歴史を持つドイツの国際的な現代音楽祭ムジカ・ヴィヴァ より委嘱、初演されたヴォルフガング・リーム畢生の大作レクイエムのライヴ CD。正式なタイトルは「レクイエム-シュトローフェン」といい、シュトローフェンの stroph には「詩」「ひとつの連なり」という意味があり、また語尾に en をつけた strophen には「災害」という意味があり、おそらくリームは二重三重の意味をタイ トルと内容に込めたと思われます。全体は 4 部から構成されテキストには伝統 的な典礼で歌われる祈祷文「キリエ」「ラクリモサ」「サンクトゥス」「アニュス・デ イ」「詩篇」のほか、曲のエピローグに 20 世紀ドイツの作家、詩人ハンス・ザー ル(1902-1993)の詩「strophen(災害)」が使われています。ザールはユダヤ系文 学者として両次世界大戦と東西冷戦の時代を生き抜き反ファシストの立場から 執筆活動を行ってきました。こうしたことからこのリームのレクイエムは戦争の世 紀であった 20 世紀全体を悼むような性格を持っています。1980 年代より新ロ マン主義の若き旗手として華々しく登場したリームも今年 67 歳。かつての尖っ た荒々しさは影を潜め、その表現は悠々とした大河のようなたずまいを見せて います。21 世紀前半を代表するレクイエム、巨匠マリス・ヤンソンスの共感溢れ る渾身の棒さばきも大いに聴きものです。

NEOS-11801
エルハルト・グロスコップ(b.1934):作品集
(1)「プレアデス」7 つの似た小品(2002) 〜ピアノと管弦楽のための
(2)クラング・ヴェルク11(音の工房) (2011) 〜管弦楽のための
(1)ウルズラ・オッペンス(P)
ヴィキンタス・バルタカス(指)
ベルリンRSO
(2)ヨハネス・カリツケ(指)
ベルリン・ドイツSO

録音:(1)2003年3月16日(ライヴ)、 (2)2017年1月18日(ライヴ)
※全曲世界初演ライヴ
グロスコップは医学、数学、哲学を学んだ後、エルンスト・ペッピングとボリス・ブラッヒャーに作曲を学んだ。電子音楽の研究と制作にも従事しており、彼の音楽に深く影響を与えた。日本にも縁があり、1970年の大阪万博ではオーケストラ作品を発表しています。天体でありギリシャ神話の登場人物の名でもある「プレアデス」は7つの小品からなる宇宙的な拡がりをもった美しい作品。全編、静けさの中に時々きらめく眩くピアノや金属的打楽器による光のような音響イヴェントが印象的。「クラング・ヴェルク11」もプレアデス同様、一貫して静けさが支配し、ピカっときらめく鮮やかな光彩とそれがまぶたに焼き付いた残像のようにたなびく弦楽の薄い皮膜との対比が美しい佳品。
NEOS-11802(1SACD)
フィリップ・マヌリ(b.1952):「時間、取り扱い説明」(2014)〜2 台のピアノとライヴ・エレクトロニクスのための グラウシュマッハー・ピアノ・デュオ
SWRエクスペリメンタル・スタジオ(ライヴ・エレクトロニクス)

録音:2016年2月、58:16
2019年、好評のうちに終了した東京オペラシティの同時代音楽企画コンポージアムのテーマ作 曲家として来日したフィリップ・マヌリの代表的室内楽の世界初録音。「時間、取り扱い説明(Le temps, mode d’emploi)」は調律の異なる2 台のピアノとライヴ・エレクトロニクスによる音響変調が ガムランにも通じる極彩色の空間作り出す。マヌリはセリー音楽の影響からキャリアを始めたが、 やがて電子音楽に興味を持ち、ライヴ・エレクトロニクスとアコースティック楽器とのコラボレーショ ン作品で世界的に評価されるに至った作曲家。めくるめく音の洪水に酔いしれよう。
NEOS-11804
「シュヴェルプンクト(重心)」 〜金管五重奏のための現代音楽
(1)ヴァソス・ニコラウ(b.1971):「隠されたゲーム・チェンジャー」(2016)
(2)ベリオ:「呼び声/セントルイス・ファンファーレ」(1985)
(3)ベネディクト・メイソン(b.1954):金管五重奏曲(1989)
(4)パスカル・デュサパン(b.1955):「スタンザ/真鍮製の五重奏のためのダイアド」(1991)
(5)ヤルコ・ハルティカイネン(b.1981):「素数」(2013)
(6)グバイドゥーリナ:五重奏曲(1974)
アンサンブル・シュヴェルプンクト(金管五重奏)【マシュー・ブラウン(Tp)、マシュー・サドラー(Tp) 、セシレ・マリー・シュワゲルズ(Hrn)、ミカエル・ルドルフソン(Tb) 、ジャン・マティアス・ヤコブソン(Tub)】

録音:2017年11月
※(1)(3)(4)(5)(6)世界初録音:
アンサンブル・シュヴェルプンクトは 2009 年にドイツで結成された金管五重奏団。レパートリ ーは前衛音楽が主だがバロック、ルネサンスも得意としています。ハルディカイネンの「素数」はこ のアンサンブルの委嘱作品で呼吸の音や楽器を叩く奏法まで動員する意欲作。5 つの金管楽 器という限られた音の中でそれぞれの作曲家の個性が際立つ。世界初録音多数。
NEOS-11805(3SACD)
ホラチウ・ラドゥレスク(1942-2008):ピアノ作品全集
CD1)
(1)ドメニコ・スカルラッティへのオマージュ(1967)
(2)ピアノ・ソナタ第6番「光源への回帰」(2007)
(3)ピアノ・ソナタ第5番「汝の塵を落ち着かせよ、これが元
のアイデンティティだ」(2003)
(4)ピアノ・ソナタ第1番「揺りかごから深淵へ」(1968)
CD2)
(5)ピアノ・ソナタ第2番「存在と非存在はお互いを創造す
る」(1991)
(6)ピアノ・ソナタ第3番「あなたは永遠に耐え忍ぶだろう」
(1992/1999)
(7)ピアノ・ソナタ第4番「神よりも古く、井戸のように」(1993)
CD3)
(8)ピアノと大管弦楽のための協奏曲「探求」(1996)
オルトウィン・ステューマー(P)
(8)ローター・ツァグロセク(指)
フランクフルトRSO

録音:2009-2010年(CD1) 、2002年(CD2) 、1996年(CD3)
※ラドゥレスクはルーマニアのブカレスト音楽院で学んだ後、ダルムシュタット夏期現代音楽講習会に参加、シュトックハウゼ ンの音楽に触れて大きく作風を変化させ、以後、西ヨーロッパの前衛音楽側の立場から作品を発表してきた。特に倍音に 関心が深く、スペクトル楽派に通じる、ひとつの音を深く聴き込むような作曲法を採っています。中期以降は前衛様式のなか に調性的要素、ルーマニアの民謡までも寛容に取り込む姿勢をみせており、これが広く聴衆の人気を得る結果となった。こ のセットでは初期から晩年に至るピアノ曲が収められており、彼の思索と様式の変遷を辿れる内容。CD3 に収録されたピア ノ協奏曲はおよそ 50 分からなる大作で彼の倍音を聴き込む作曲法にルーマニア民謡(バルトークが採譜し作曲した「ルー マニアのクリスマス・キャロル」からの旋律)が融合したラドゥレスクの集大成的傑作。生前より作曲者と深い親交のあったオル トウィン・ステューマーの演奏も聴きどころ。作曲者の意図をよく理解した決定盤。
NEOS-11808
ペーター・ルジツカ (b.1948):《クラウズ(雲)2》(2013)〜弦楽四重奏と管弦楽のための
弦楽四重奏曲第7番「変更可能な瞬間」
(2018) *
ミンゲQ
(1)ペーター・ルジツカ(指揮)
ベルリン・ドイツ交響楽団

録音:2017年10月20-21日イエス・キリスト教会,ベルリン
2017年12月14-16日DLF室内楽ザール、ケルン*
※全作世界初録音
作曲のみならず指揮者としても活躍、過去にはザルツブルク音楽祭の音楽監督 (2001-2006)を務めたりしたドイツの重鎮ペーター・ルジツカの弦楽四重奏のために書か れた最新作を収めた。ルジツカはハンブルグでヘンツェとハンス・オッテに作曲を師事、 作品はゲルト・アルブレヒト、アシュケナージ、リッカルド・シャイーらクラシックを主なレパ ートリーとする音楽家によって好んで取り上げられている。作風はポスト・セリー以後の音 色、音群をいかに操作して新奇な音響を作り出すかという方向に関心が向けられており、 このディスクでも楽器の機能を最大限に生かしたドラマティックな音楽が展開する。《クラ ウズ(雲)2》は弦楽四重奏から発せられた一条の音の光が次第に管弦楽へと拡散し、多 彩な音像の形態、音色の変化がまさに音響の雲とも言うべき美しいカオスを作り出す。部 分的にワーグナー、ブルックナーを思わせる響きも登場する美しい作品。
NEOS-11809
「20〜21世紀の歌曲」
ユルグ・ヴィッテンバッハ(b.1935):一茶&クルト・マルティの詩による8 つのデュエッティーニ
カトリン・フラウヒガー(b.1967):ピアノ独奏のためのプロローグと 2つの歌
カタリーナ・ウェーバー(b.1958):「国境」から7 つの歌
ルグ・ヴィッテンバッハ:日本の神・慈悲深き観世音菩薩への 3つの短い祈り
ハンス・アイスラー(1898-1962):ハリウッド・ソング・ブックより選集
ベルク:7 つの初期の歌
カトリン・フラウヒガー (S)
カタリーナ・ヴェーバー(P)

録音:2017 年8 月
カトリン・フラウヒガーは歌手、作曲家で作曲をミヒャエル・ジャレル、チヤ・チェルノヴィン、ハインツ・ホリガー、クラウス・フーバーらに学んだ。ピアノのカタリーナ・ウェーバーも作曲家でヨルグ・ヴィッテンバッハに師事、ジェルジ・クルターク、ポーリン・オリヴェロスの影響を受けた音楽で評価されています。このディスクは彼女たちの自作を中心にヴィッテンバッハ、アイスラー、ベルクと20 世紀ドイツ歌曲の歴史を辿る内容。ヴィッテンバッハの「観世音菩薩への祈り」のやや怪しい東洋趣味、アイスラーの退廃的なハリウッド・ソング・ブック、後期ロマン派の芳しい香り漂うベルクの初期歌曲が聴きもの。
NEOS-11810(2CD)
バック・トゥ・ザ・フューチャー〜デヴィッド・スマイヤーとアンサンブル20/21・10周年
CD1)
ニクラス・シドゥル(b.1983):「クノル/昔と同じくここでも DM で支払うことができる」(2009)
パク・ミョンフン(b.1980):「ジャム」(2011)
リサ・シュトライヒ(b.1985):「グラタ」(2011)
ゲオルク・カッツァー(b.1935):「…従って私は…」(2012)
フリアン・キンテロ・シルバ(b.1983):「彼のステップは磁化された垂直の風景をインストールする」(2013)
松澤貫史(b.1973):「人生の万華鏡の旋律」(2014)
アトゥリ・インゴルフソン(b.1962):「妊娠」(2014)
ダニエル・クエト(b.1986):キプ(2015)
ヨンギ・パク=パーン(b.1945):「詩人の創造的な踊り II」〜デヴィッド・スマイヤーによる版(2015)
サミール・オデー・タミミ(b.1970):「マルドゥック」(2014)
ダミアン・ショル(b.1988):「風の強い柔らかな誕生」(2016)
デヴィッド・スマイヤーズ(指)
アンサンブル20/21

録音:2010-2016年
NEOS-11810(2CD) BC:4260063118104 「バック・トゥ・ザ・フューチャー」 〜デヴィッド・スマイヤーとアンサンブル20/21・10 周年 CD1) ニクラス・シドゥル(b.1983):「クノル/昔と同じくここでも DM で支払うことができ る」(2009) パク・ミョンフン(b.1980):「ジャム」(2011) リサ・シュトライヒ(b.1985):「グラタ」(2011) ゲオルク・カッツァー(b.1935):「…従って私は…」(2012) フリアン・キンテロ・シルバ(b.1983):「彼のステップは磁化された垂直の風景を インストールする」(2013) CD2) 松澤貫史(b.1973):「人生の万華鏡の旋律」(2014) アトゥリ・インゴルフソン(b.1962):「妊娠」(2014) ダニエル・クエト(b.1986):キプ(2015) ヨンギ・パク=パーン(b.1945):「詩人の創造的な踊り II」〜デヴィッド・スマイヤ ーによる版(2015) サミール・オデー・タミミ(b.1970):「マルドゥック」(2014) ダミアン・ショル(b.1988):「風の強い柔らかな誕生」(2016) デヴィッド・スマイヤーズ(指)アンサンブル20/21 録音:2010-2016年 CD1[56:39] CD2[58:54]
NEOS-11812
シュテファン・シュルツキ(b.1971)室内楽作品集

(1)ピアノ協奏曲(2018)
(2)「政治的な歌2011」(2011)
(3)「反射II-断章/アウト・カップリング--別の場所」(2009)
(4)「魔王」(2012)
(5)「ベルトルト・ブレヒトへの3 つの墓碑銘」(2014)
(6)「時間と部屋」(2001)
(1)-(5)ステファン・シュルツキ((1)(3)(5)エレクトロニクス、(2)(4)(5)Pf、(3)ハモンドOrg)
(1)ヴィンセント・ニーブ(P)、ヨハネス・X・シャフトナー(指)
JU[MB]LE(バイエルン新音楽青年アンサンブル)
(2)サロメ・カマー(MS)、アレクサンドル・フォン・ハグケ(テナーSax)
クラウス=ディーター・イェケル(Trb)、ヨハネス・エーリンガー(E.Gtr)
ヴァルター・ビットナー(Perc)、カイ・ヴァングラー(アコーディオン)、森園康香(Vn)、ウリ・フィールダー(Cb)
(3)エフゲニ・オルキン(ソプラノSax)、(4)ペーター・シェーネ(Br)
(5)ベアトリーチェス・オットマン (S)
(6)アーロン・ダン(Fl)、アンドレイ・マキー(Va)、シモネッタ・ジネリ(Hrp)

録音:2002/2010/2018年
シュテファン・シュルツキはアドリアーナ・ヘルツキー女史に師事、その後いくつかの作曲賞を受賞。また映画音楽でも活 躍しその方面で高く評価されています。みずからキーボード奏者としても活動するシュルツキは音楽による社会参加、政治運 動(いわゆるアンガージュマン)にも深く関わり、社会的メッセージを込めた作品を数多く発表しています。そのため西ヨーロッパ を席捲している多くの前衛楽派とは一線を画し、ポピュラー音楽やフリー・ジャズの要素を多く取り込んだ作風です。「政治 的な歌 2011」ではアイスラーやワイルにヒップホップの要素を加えたような作風が面白い。また心酔するブレヒトに捧げた「墓 碑銘」ではエレクトロニクスを取り入れ、もしブレヒトが現代に生きていたらやっていたかもしれないパフォーマンスを聴かせ る。先鋭的なポップスやノイズ系が好きな人にお薦め。注目に値する作曲家。
NEOS-11813
クラウス=シュテッフェン・マーンコップ(b.1962):オーボエ作品集
(1)ゴルゴネイオン(1990)〜オーボエ独奏のための
(2)霧のイルミネーションI(1992/93) 〜オーボエとピアノのための
(3)孤独-夜想曲(1992/93) 〜ピッコロ・オーボエのための
(4)霧のイルミネーションII(1992/93) 〜オーボエとピアノのための
(5)W.A.S.T.E2(2002)〜オーボエとテープのための
(6)霧のイルミネーションIII(1992) 〜オーボエとピアノのための
(7)オーボエへのオマージュ(2013)〜オーボエとアンサンブルのための
(1)(2)(4)-(7)ペーター・ヴィール(Ob)
(3)エルネスト・ロンボウト(ピッコロ Ob)
(2)(4)(6)スヴェン・トマス・キーブラー(P)
(7)ユージン・ウゲッティ(指)
 エリシオン(アンサンブル)

録音:1994/2014-2016年
(1)(5)(7)世界初録音
(2)(3)(4)(6)(7)ライヴ録音
NEOS におけるマーンコップ作品集シリーズ第 7 弾。マーンコップはブライアン・ファーニホ ウ、クラウス・フーバーらに学び、いわゆる「新しい複雑性」と呼ばれるアカデミックな前衛技法 を体現する作曲家のひとり。ここではオーボエのためのソロ、デュオ、アンサンブルあるいはテ ープを伴った作品が集められている。いずれも特殊奏法を活用しオーボエの機能の限界に 挑むかのようなアグレシヴな作品。ペーター・ヴィールはホリガー以来の現代音楽を得意とす る世界的なオーボエ奏者。彼の超絶技巧と特殊奏法によって作られるオーボエの様々な音 色の変化に注目。
NEOS-11814
アタチ・セゼル(b.1979):作品集
(1)「反転する鏡」(2011) 〜ケメンチェと管弦楽のための
(2)「同時性の相対性」(2013) 〜2 つの弦楽三重奏のための
(3)「無限大」(2012/13) 〜ファゴット、トロンボーンと大管弦楽のための
(4)「トーンド・メリスマ・シルヴァー・プリント」(2015) 〜弦楽オーケストラのための
(5)「時の輪」(2016) 〜大アンサンブルとエレクトリック・ギターのための
(6)「A=サークル」(2012) 〜ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロとアコーディオンのための
(1)セルカン・ハリリ(ケメンチェ)
チェム・マンスール(指)トルコ・ドイツ・ヤング・ユーロ・クラシック・フェスティヴァル・オーケストラ
(2)バイエルン放送響のソリスト達&トリオ・コリオリス
(3)ペーター・ヴィール(指)
スタジオ・ムジーク・ファブリーク
(4)アレクサンドル・リープライヒ(指)ミュンヘン室内O
(5)ヨハネス・エーリンガー(E.Gtr)
ペーター・ヒルシュ(指)MGNMフェスティヴァル・アンサンブル
(6)シュテファニー・シューマッハー(アコーディオン)、トリコ・コリオリス

録音:2011-2016年(ライヴ)
トルコ出身の気鋭の作曲家セザー本邦初紹介!トルコ民族音楽と西欧前衛との対話。 セゼルはトルコでピアノと音楽学を学んだ後、ベルリンで作曲をディーター・シュネーベル、マ ティアス・ピンチャーに師事した。彼はトルコの伝統音楽の要素とヨーロッパの現代音楽をいか に融合させるかということに関心があり、「反転する鏡」ではトルコの伝統的な擦弦楽器ケメンチ ェと管弦楽が対話する。弦楽のための「トーンド・メリスマ・シルヴァー・ポイント」は 70 年代の武 満を思わせる繊細な弦楽合奏の書法が大変美しい。エレクトリック・ギター、アコーディオンがミ ステリアスな旋律を奏でる「時の輪」も魅力溢れる音楽。
NEOS-11815
マルティン・ヘルヒェンレーダー(b.1961):チェロとピアノのための作品集
死に関する小品〜チェロとピアノのための
ピアノのための4つのエチュード「木々と石」
冬の夜の音楽 - メランコリア1514〜チェロのための
ピアノのためのエチュード第2 番「メテオ(流星)」
チェロのためのミニアチュアズ
ピアノのためのエチュード第3 番
パウル・クレー・ブラットIV「石塊」〜ピアノのための
コンタクテ〜チェロとピアノのための
フリードリヒ・ガウヴェルキー(Vc)
ゼフェリン・フォン・エッカルトシュタイン(P)

録音:2017年9月
マルティン・ヘルヒェンレーダーはオルガニスト、音楽学者でもありドイツ、アメリカ、中国、カナダでも教鞭を執っています。オルガン奏者としてはマーカス・シュトックハウゼン、アルディッティQ とも度々共演しています。既に当NEOS-よりオルガン作品のCD が出て好評を得ています。これはチェロ独奏、ピアノ独奏、チェロとピアノのために書かれた作品集。メテオ(流星)はそのものずばり、激しいクラスター音響で隕石の落下と思しき情景が描かれ、「冬の夜の音楽-メランコリア」はチェロの呻くようなメリスマティックで憂鬱な旋律が日本の東北民謡を想起させる。「コンタクテ」ではチェロとピアノが様々な形で接触(コンタクテ)する小品集。
NEOS-11816
クラリネットとアコーディオンのための作品集
(1)ウロシュ・ロイコ(b.1954):「声」(2001)
(2)ルカ・ユーハルト(b.1982):「解放」(2015)
(3)イリス・テル・シプホルスト(b.1962):ミニアチュアズ(2008)
(4)ウロシュ・ロイコ:「感覚のサイン」(2007)
(5)ウロシュ・ロイコ:「クアジ・ネオ・リベラメンテ(ほとんど新自由主義的に)」(2016)
ウロシュ・ロイコ(Cl)
ルカ・ユーハルト(アコーディオン)

録音:2015/17年
クラリネットのロイコとアコーディオンのユーハルトの自作自演をメインとした二重奏曲集。ロイ コはクラウス・フーバーとリゲティに作曲を師事、作品はウィーン・モデルンなどで多く取り上げら れています。ユーハルトはグロボカール、フーバー、マーンコップらと度々共演、現代音楽のスペ シャリストとして作曲家から絶大な信頼を得ています。ロイコ、ユーハルトともに楽器の機能を知り 尽くした二人だけにどれも超絶技巧が繰り広げられる作品。
NEOS-11817
マーリン・ボング(b.1974):作品集
(1)《溶融光の構造》(2011) 〜アルトfl, バスcl, Perc/Radio, pf/Radio, G, Vn, Vc
(2)《アーチング》(2013) 〜電気増幅されたチェロ、電気増幅された種々の道具(木の板、雁木やすり、のこぎり、ファイル、マーカー)
(3)《パルノーデ》(2013)〜電気増幅された楽器(バスfl, バスcl, Vc,)、3つのオブジェ(金属製の彫刻、花瓶、ブランコ)のアンサンブル
(4)《パーフリング》(2012)〜電気増幅されたヴァイオリンとエレクトロニクス
(5)《ジャスモネイト》(2017) 〜電気増幅された楽器(ピッコロ, バスcl, Perc/メモ帳, インサイドピアノ/タイプライター, テーブルトップG, Vn, Vc, 2つの砂時計)のアンサンブル
(1)(3)(5)キュリアス・チェンバー・プレイヤーズ(Ens)
(2)Umeデュオ(Vc&Perc)、
(4)カリン・ヘルクヴィスト(Vn)

録音:2017年夏エレメント・スタジオ,エーテボリ
※全作世界初録音
マーリン・ボングはスウェーデン出身の女流作曲家。作曲をブライアン・ファーニホー、チヤ・チェルノヴィンらに師事。ここ に収められた作品は全て生活雑貨や様々な道具、楽器の特殊奏法をさらに電気的に増幅加工して作られた、いわば生で 演奏するミュージック・コンクレート。全編いわゆるふつうの曲はなく、どれもノコギリをぎこぎこ挽いて音を出したりチェロの弦 を無理やりキューキューと鳴らしたり、チェーン・ソーのようなブルブルといったエンジンの音を出したり、ひそひそと男女の 会話が聴こえたりと、内容はさながら工場跡の廃墟で街のゴロツキたちが辺りに落ちているものを拾ってアンサンブルしてい るといった様相。しかし終わりなきノイズの渦の果てに不思議と古代儀式を思わせるシャーマンの神聖な密教的空間が拡が る。全作、不確定性という名のもと、テキトーな即興をやっているのかと思いきや、添付のブックレットに一部掲載された楽譜 を見る限りでは意外にもかなりきっちりと記譜されているのはさすが。作曲者はドナウエッシンゲン音楽祭を始めとする多く の音楽祭に招かれているという。ブックレットにはいかにもこういう曲を書きそうな、気負いまくった女流作曲家の自意識過剰 の素敵な写真も掲載。ケージ、カウエル、アンタイルのひ孫世代の継承者登場。一聴の価値あり。
NEOS-11818
ヴォルフガング・ヤコビ(1894-1972):作品集
(1)ハープシコード協奏曲(1927/47)
(2)イタリア歌曲集(1954)
(3)弦楽四重奏曲(1948)*
(4)セレナードとアレグロ(1958)〜アコーディオンとアコーディオン・オーケストラのための小協奏曲
(1)アンドレアス・スコウラス(Cemb)
シャンドール・カロリイ(指)
サヴォワ地方O
(2)デュオ・マリオン・グランゲ (S)
アンブロワーズ・ド・ランクール(P)
(3)アルディッティ四重奏団
(4)ディミトリ・ブクリエ(アコーディオン)
ピエール=アンドレ・クルンメナッハー(指)ジュネーヴ・アコーディオン連盟

録音:2018 年8-9 月
*=世界初録音
ヴォルフガング・ヤコビはドイツのバルト海に浮かぶリューゲン島の出身。第一次大戦後、ベルリンでフリードリヒ・エルンス ト・コッホに作曲を学び、盛んに作品を発表したが、家系にユダヤ人がいたためナチス政権後、その作品は退廃音楽として演 奏が禁止された。第二次大戦後はダルムシュタット現代音楽講習会の理事を務めるなど戦後現代音楽の発展に貢献した。彼 の音楽は新古典主義と無調様式の折衷です。ハープシコード協奏曲はバロック様式の20 世紀風に翻案した佳作でストラヴ ィンスキーやミヨー、プーランクらの音楽との親和性がある。イタリア歌曲集は抒情的な作品そして今回世界初録音となる弦楽 四重奏曲は新古典主義にベルク風の表現主義が折衷され独特な世界が描かれます。アルディッティ四重奏団の熱演が聴きも の。「セレナードとアレグロ」はそれまでの作風にポップな要素が加わった軽妙洒脱な作品でややニーノ・ロータの映画音楽を 思わせる魅力的な音楽。
NEOS-11819(2CD)
「フルート・ニュース」〜現代のフルート二重奏曲

(1)-(7)「20 世紀のフルート二重奏」
(1)ヒンデミット:標準的なソナチネOp.31-3(1924)
(2)ジョン・ケージ:3 つの小品(1935)
(3)ゴッフレド・ペトラッシ(1904-2003):天使の対話(1948)
(4)武満徹:マスク(1959)
(5)ブルーノ・マデルナ(1920-1973):ディアロディア(1972)
(6)尹伊桑(1917-1995):インヴェンション(1983)
(7)ジャン・フランセ:2 種のインコのシンポジウム(1989)

(8)-(16)「ヴァインツィアールとヴェヒターに捧げられた作品」
(8)ドロシー・エベルハルト(b.1952):EOS(2015)
(9)エンヨット・シュナイダー(b.1950):“RA”-リチュエル(2017)〜10 人のフルート奏者のための
(10)ジャン=リュック・ダルブレー(b.1946):ウェイヴズ(2010)
(11)ベルント・レッドマン(b.1965):秘密の庭園(2017/18)
(12)エルヴィン・コッホ=ラファエル(b.1949):コンポジションNo.71(2012)〜フルート(ピッコロ持ち替え)、バス・フルート、ピアノのための
(13)ニコラウス・ブラス(b.1949):愛の対話(2014)
(14)ヨハネス・X・シャフトナー(b.1985):夜を走る II〜7 つのフルートのための(2010/11)
(15)フォルカー・ニッケル(b.1970):ソナチネ(2016)
(16)マックス・ベックシェーファー(b.1952):ハイドンのいる三重奏曲II(2009)〜2 つのフルートとチェロのための
エリザベト・ヴァインツィアール(Piccolo/Fl/
アルトFl)
エドムント・ヴェヒター(Fl/アルトFl/バスFl/コントラバスFl)
(9)(14)ミュンヘン・フルート・アンサンブル
(12)エヴァ・シーファーシュタイン(P)
(16)フィリップ・フォン・モルゲン(Vc)

録音:(1)-(7)1998年、(2)-(16)2018年2月
現代のフルート二重奏およびフルート・アンサンブル、フルート二重奏を中心にした室外 楽曲を収録。ディスク1 は主に20 世紀に書かれたスタイルも様々な作曲家の作品、ディスク 2 はこのセットの演奏者であるエリザベト・ヴァインツィアール&エドムント・ヴェヒターに捧げら れた最近の作品を中心にまとまられています。ヒンデミットの可憐で軽やかな「標準的なソナチ ネ」に始まり、ケージの若書きで初期のリリシズムあふれる傑作「3 つの小品」、武満 20 代の 傑作「マスク」、マデルナ、尹伊桑、フランセと 20 世紀を代表するフルート作品が続く。ディス ク 2 では 21 世紀の新しい息吹を感じさせるシュナイダーの「”RA”リチュエル」、タッピングな どの特殊奏法を交えたダルビレーの「ウェイヴズ」、ベックシーファーの楽しい 21 世紀版ハイ ドンの主題による変奏曲「ハイドンのいる三重奏曲II」がそれぞれ聴きもの。現代音楽ファン、 フルート学習者必携。
NEOS-11821(2CD)
チャールズ・ウゾー(b.1961)作品集
(1)「Nri/mimicri」(2015/16) 〜オンドマルトノと打楽器四重奏、テープのための
(2)「脾臓/mimicr」(2014/15) 〜ピアノとテープのための
(3)「母国語炎上/mimicri」(2018)〜テープのための
(4)「アヴェ・マリアII」(2015)〜混声合唱のための
(5)「ヴァレック」(2015)〜女声とピアノのための
(6)「甘い偏桃体」(2014) 〜ヴァイオリン、ピアノとテープのための
(7)「もっと好きな人・・・」(2006) 〜打楽器四重奏とテープのための
(8)「天安門に降る白い紙の花」(1989) 〜5つのチェロのための
(9)「アヴェ・マリアV」(2016)〜混声合唱のための
カロリーヌ・エーレ(オンド・マルトノ)
パーカッション・アート・アンサンブル・ベルン
ウテ・ガライス(P)
ルパート・フーバー(指)SWRヴォーカル・アンサンブル
イザベル・プフェファーコーン(S)、
アンサンブル・ラ・ノッテ
チャールズ・ウゾー((指)テープ制作) ほか

録音:1996/2009/2015-2018年
NEOS では二枚目となるウゾーの作品集。ウゾーはナイジェリア出身のアフリカ系作曲家。ナイジェリアでオーボエと作曲 を学んだ後、ロンドンの王立音楽院に留学、ハンス・ヴェルナー・ヘンツェらに学んだ。彼はアフリカ人としてのアイデンティ ティを現代音楽の語法と融合しようと試みており、しかもそれは安易なエキゾチシズム、ワールド・ミュージックとは無縁の極 めてオリジナリティに溢れたものです。「Nri/mimicri」はジャングルか平原に住む動物や鳥と思しき声のテープが変調され 打楽器とオンド・マルトノがそれに呼応する詩的でミステリアスな作品。テープ作品「母国語炎上」でもナイジェリア語が変調 解体されやがて抽象的な音の洪水となります。混声合唱のための2 つの「アヴェ・マリア」は大河か大樹を思わせる骨太のポリフ ォニーがアフリカ本来の自然崇拝とキリスト教の習合を音楽の上で実現する。
NEOS-11824
「ヴォールハウザー・エディション6」
ルネ・ヴォールハウザー(b.1954):「愛は詐欺-愛は共生ではない」(2014/2015) 〜室内オペラもしくは室内オラトリオ (サルトルとボーヴォワールへのオマージュ)
アンサンブル・ポリソノ【クリスティーネ・シモルカ (S) 、ルネ・ヴォールハウザー(Br, Pf) 、マルクス・シュトルツ(Vc) 、イゴール・コムバラトフ(Cl)、アニヤ・クリフト・ブレザフチェク(Fl, 2015) 、マティアス・エプナー(Fl、2016)】

録音:2015-2016年
※世界初録音
NEOS-が進めるヴォールハウザー・エディション第6 弾。テキストはサルトルとボーヴォワール の著作の断片から作曲者自身が再構成したものが使われています。オペラは基本的に男女(バリ トン、ソプラノ)の対話とそれに付随する楽器ソロ、室内アンサンブルによって進み、あたかもサ ルトルとボーヴォワールの個人的な会話を聴いているような気分になります。音楽は徹底した前衛 書法による極めて緊密な構成となっています。ヴォルハウザーはスイス出身で実験的ロック、ジャ ズを経験した後、現代音楽の作曲を志し、クラウス・フーバー、ブライアン・ファーニホウらに師 事した。
NEOS-11825
(1)ジェイムズ・ウッド(b.1953):「二人の男が出会い、お互いが遠い星から来た者だと思っている」(1995) 〜打楽器奏者と24 楽器のための協奏曲
(2)ジョン・ケージ(1912-1992):「龍安寺」(1983-85) 〜テープを伴ってもよい声、フルート、オーボエ、トロンボーン、コントラバスそしてオブリガート・パーカッションあるいは20 の楽器の組み合わせまたはソロのための
(3)ブライアン・ファーニホウ(b.1943):「イカロスの失墜」(1988) 〜クラリネット独奏と室内アンサンブルのための
レンナルト・ドームス(指)
ベルン芸術大学アンサンブル「VERTIGO」
(1)ブライアン・アーチナル(Perc)
(2)リヴィア・シェーンベヒラー(Fl)
(3)シュユエ・ジャオ(Cl)
(3)ヌーヴェル・アンサンブル・コンタンポラン

録音:2017年6/11月
ベルン芸術大学アンサンブルVERTIGO による戦後前衛音楽の傑作選。打楽器奏者でもあ るジェームズ・ウッドは微分音を多用した作風で知られます。「二人の男が・・」は打楽器奏者の言 葉を伴うソロ・パフォーマンスにアンサンブルが絡む緊張感あふれる作品。ケージの代表作「龍 安寺」はご存じ京都の龍安寺の石庭の砂と石の配置が音に翻案された不確定性の作品。楽器 編成、時間も不確定性であるため様々なバージョンが存在するが、室内アンサンブル版はおそ らくこれが初めて。新しい複雑性の旗手ファーノホウの代表作「イカロスの失墜」の超絶的なクラ リネット・ソロと精緻を極めたアンサンブルの音の密林も聴きどころ。
NEOS-11823
ニコラウス・A・フーバー(b.1939):打楽器のための作品集
(1)「バロン・デ・メデュス」〜3 人の打楽器奏者のための
(2)「指の気まぐれ」〜2 人の打楽器奏者のための
(3)「ポトス(欲望)」〜打楽器ソロのための
(4)「ヒメロス」〜ハープ、打楽器、ラウドスピーカーとCD プレイバックのための
(5)「エロスの断片」〜1人の打楽器奏者のための
ヨハネス・フィッシャー(Perc)
(1)(2)ドメニコ・メルキオーレ(Perc)
(1)ディルク・ロートブルスト(Perc)
(4)アンドレアス・ミルトナー(Hrp)
(2)イヤードラム・パーカッション・デュオ:【ヨハネス・フィッシャー、ドメニコ・メルキオーレ】

録音:2018年
現代ドイツを代表する作曲家ニコラウス・A・フーバーの打楽器を中心とした作品集。 フーバーはシュトックハウゼン、ルイジ・ノーノに学び、以後ダルムシュタットで教鞭を執る など、ヨーロッパ現代音楽界で指導的立場にある。この作品集では打楽器の多彩な音 色や安易な大音響などに一切頼ることのなく、切り詰められた素材による静寂の音楽を 聴くことができます。沈黙と音との独特の間の感覚はけっして偶然性やアドリブによるもの ではなく、全て厳格に記譜された極めて緻密で複雑な構造で書かれていることに驚かさ れます。媚薬を意味する「ヒメロス」はハープ、打楽器とラウドスピーカー、CD の音響による 幻想的な音楽。最新作「エロスの断片」では金属系の打楽器の長い余韻が瞑想的な時 空間を作り出す。
NEOS-11826(2SACD)
ドナウエッシンゲン音楽祭2017
(1)エマヌエル・ヌネス(1941-2012):「過去のカレンダー(Un calendrier revolu)」
(1968/69)〜14楽器のための
(2)アイヴィン・ビューエネ(b.1973):「闇の中のレッスン」(2017)〜アンサンブルのための
(3)アンドレアス・ドーメン(b.1962):「二重の動き」(2016/17)〜エレクトリック・ギター、ハープ、ピアノと大管弦楽のための
(4)マルトン・イレス(b.1975):「それは宇宙」(2014/17)〜管弦楽のための
(5)ハヤ・チェルノヴィン(b.1957):「ガーディアン」(2017)〜チェロと管弦楽のた
めの
(1)エミリオ・ポマリコ(指)
リミックス・アンサンブル・カーサ・ダ・ムジカ
(2)アンサンブル・ムジークファブリーク
(リハーサル指揮:エンノ・ポッペ)
(3)-(5)SWRSO
(3)イラン・ヴォルコフ(指)
ヤロン・ドイチュ(エレキG)
アンドレアス・ミルトナー(Hrp)
ニコラス・ホッジス(P)
(4)(5)パブロ・ルス・ブロセタ(指)
(5)セヴリーヌ・バロン(Vc)

録音:2017年10月20日、22日 (ドナウエッシンゲン音楽祭ライヴ)
2017 年に行われたドナウエッシンゲン音楽祭から毎年注目の大規模アンサンブル、オーケストラのためのコンサートのラ イヴ録音です。例年通り、巨匠の作品と中堅、若手世代の作品がバランスよくプログラミングされ現代音楽のいまを俯瞰でき る内容となっています。なかでも注目は2012 年に亡くなったポルトガルのエマヌエル・ヌネスが20 代に書いた「過去のカレ ンダー」。セリエルな手法から徐々に音色の変化、空間性に作曲家の関心が移る過渡期に書かれた作品です。他にエレク トリック・ギター、ハープ、ピアノが丁々発止と火花を散らすドーメンの三重協奏曲、日本とも関りの深いイスラエルの作曲家 チェルノヴィンのチェロ協奏曲などよく書き込まれた密度の高い作品ぞろいです。
NEOS-11829
「コレギウム・ノヴム・チューリヒの25 年」
(1)ヴィンコ・グロボカール(b.1934):「亡命」第2 番(2012) 〜ソプラノまたはテノールと13 楽器の奏者ための
(2)マーティン・ジャッジ(b.1978):「ウクスル」(2018) 〜2つのアンサンブルのための
(3)サーシャ・ジャンコ・ドラジチェヴィッチ(b.1969):「発疹」(2016-18) 〜大アンサンブルとライヴ・エレクトロニクスのための
(4)マルコ・ニコディイェヴィッチ(b.1980):「ジェズアルド・ダブ/削除された部屋」(2012) 〜ピアノとアンサンブルのための協奏曲
コレギウム・ノヴム・チューリヒ
(1)(2)(4)ヨナタン・シュトックハンマー(指)
(3)ピーター・ランデル(指)
(1)エヴァ・ニーフェゲルト(MS)
(4)シュテファン・ヴィルト(P)

録音:2013-2018年
室内アンサンブル、コレギウム・ノヴム・チューリヒは 1993 年に設立されたスイスの現代音楽 演奏団体。2018 年の創立25 周年を記念してこれまでの演奏記録から若手、中堅、ベテランの 作曲家をセレクトした一枚。グロボカールの「亡命」は彼の近年の代表作。ニコディジェヴィクの ピアノ協奏曲はフェルドマンとモンポウを折衷したかのような不思議なリリシズムを持つ静謐な 佳品。
NEOS-11901
「子供の情景」〜杉山洋一(b.1969)作品集
(1)「鵠〜白鳥の歌」(2015)〜17 絃筝のための
(2)「杜甫二首」(2014)〜女声と器楽のための
(3)五重奏曲「アフリカからの最後のインタビュー」(2013)
(4)R.シューマンの「子供の情景」(2017)〜ヴィオラ四重奏のための
(1)沢井一恵(十七絃筝)
(2)ウォンジュン・キム(Voice)、リチャード・ストルツマン(Cl)
アー・リン・ノイ(Va)、ステファン・ゴスリング(P)
(3)東京現音計画【有馬純寿(エレクトロニクス)、大石将紀(Sax)、神田佳子(Perc)、黒田亜樹(P)、橋本晋哉(Tub)】
(4)今井ヴィオラQ【今井信子、ファイト・ヘルテンシュタイン、ウェンティン・カン、ニアン・リウ】

録音:(1)2017年7月、(2)2015年2月、(3)2013年9月、(4)2017年9月
杉山洋一は作曲を三善晃に師事した後、イタリアに留学しさらにフランコ・ドナトーニらに学んだ。指揮者としても活動し、 アンサンブル・モデルン、ウィーン・モデルン、ベルリン・フィルとも共演しています。このディスクは彼の最近の独奏曲、室内楽 曲を集めたもので、彼の作品のまとまったディスク自体が少ないため大変貴重。「R.シューマンの子供の情景」は有名な同 名のピアノ曲をヴィオラ四重奏のために編曲(?)だが、もはや編曲の粋を脱したリミックス、リコンポーズ作品。シューマンが ウェーベルン風にデフォルメ・再構成されており大変興味深い。ストルツマン、今井信子、沢井一恵、アンサンブル東京現音 計画ほか豪華アーティスト参加の一枚。
NEOS-11902
ハンス・オイゲン・フリシュクネヒト(b.1939):特殊オルガンのための作品集
(1)中全音律オルガンのための4 つの小品
(2)24 音律オルガンのための6 つの小品
(3)「Nov-Org」〜オルガン・プロジェクトORGAN-INNOV-UM のプロトタイプ2のための
3 つの絵
(4)「Nov-Org」〜オルガン・プロジェクトORGAN-INNOV-UM のプロトタイプ3のための
6 つの絵
(5)「Nov-Org」〜ビール・パリッシュ教会のオルガンのための4 つの絵
ハンス・オイゲン・フリシュクネヒト(Org)

録音:2004-2009年
フリシュクネヒトはスイス出身の作曲家、オルガニスト。ベルリンでボリス・ブラッハー、ヨゼフ・ ルーファー、エルンスト・ペッピングに学んだ後、パリでメシアンに師事した。彼は音律に関心 があり、このディスクには平均律以外の様々な調律によるオルガン作品が収録されています。特 殊な調律・微分音音楽はヴィシネグラツキ、ハーバ、ハーリー・パーチ、テリー・ライリー(日本で は冷水ひとみ、藤枝守など)と多くの先例があるが、制作、調律に手間がかかる本物のパイプ・ オルガンによる作品集は極めて珍しい。分厚い音が持続するオルガンによる微分音は壮絶な 迫力があり聴きごたえ充分。通常の感覚は奪われ、聴き手は荒れ狂う海に漂う小舟に乗った 気分。船酔い必至(笑)!
NEOS-11903
ルドルフ・ケルターボーン(b.1931)作品集
(1)「アンサンブル・ブック I」(1990)〜エリカ・ブルクハルトの詩によるバリトンと器楽ためのサイクル
(2)「5 つのトリオつきの音楽」(2016-2017)
(3)「夜に歌う」(1979)〜インゲボルグ・バハマンとエリカ・ブルクハルトの詩によるソプラノと室内管弦楽のための音楽
ピエール=アラン・モノ(指)
ヴィンタトゥーア・ムジーク・コレギウム
(1)ロベルト・コラー(Br)
(3)サラー・ヴェゲナー (S)

録音:2013/2018年
NEOS-で度々作品集が制作されているケルターボーンはバーゼル出身のスイスの作曲 家。ヴォルフガング・フォルトナーに学び、ドイツ、スイスを拠点に活動を行っています。表現主 義的な激しくドラマティックなスタイルを基本としており、この作品集では二人のドイツの詩人 の詩をテキストにモノ・オペラ風の緊密な空間を作り上げています。
NEOS-11904
ミヒャエル・クヴェル(b.1960)室内楽作品集Vol.2
(1)「ダーク・マター」(2011)〜Ob, Cl(バスCl), Fg
(2)「ファンタジア」〜分子を競争させる(2016)〜ソプラノとスピーキング・ピアニストのための
(3)「マイスター・エックハルトとスフラワルディー:ガブリエルのスウィングアームのサウンド」(2017)
〜4 つの四分音ギターとピアノのための
(4)「ダスト・アブリゲーション」(2017)〜Fl, CB, Pf
(5)「ぼやけている雲」(2012)〜Vn, Gtr, Pf
(6)「ストリングII - グラヴィトン」(2015/16)
〜9 楽器のアンサンブルのための
アンサンブル・アヴァンチュール
(1)クリスティーネ・シモルカ(Ob)
(3)ヘルマン・バイヤー(指)
ユルゲン・ルック(G)
ラフェル・オファウス(G)
モリツ・ベック(G)
マルティン・ドレスラー(G)
エドゥアルド・ハウザウアー(ピアノ・アシスタント)

録音:2018年
アンサンブル・アヴァンチュールによるミヒャエル・クヴェル(Michael Quell)作品集第2集(第 1 集は NEOS11046)。クヴェルは当初クラシック・ギターと音楽学を学んだ後、ハンス・ウルリッヒ・エ ンゲルマンとロルフ・リームに作曲を師事、ダルムシュタット、ガウデアムス音楽祭で作品が取り上 げられています。4 つの4 分音ギターのための「マイスター・・・」やピアノや歌手と語るピアニストのた めの一種の音響詩とも解釈できる「ファンタジア」など、発想に奇知のある作品が多い。
NEOS-11905
クリスティアン・オッフェンバウアー(b.1961):2 つのフランクフルト・プレリュード
(1)「2 つのクレーンと雲」(1997/1998) 〜5 群のオーケストラ・グループのための
(2)「2 つのクレーンと雲/ドゥーブル」(1998) 〜84 楽器のための
アルトゥーロ・タマヨ(指)
フランクフルトRSO

録音:1999年11月
オッフェンバウアーはオーストリアの出身でウィーンでチェルハに師事、その後指揮者、オ ルガニストとして活動しながら作曲を発表してきた。2 つのフランクフルト・プレリュードはややリ ゲティに似た音群作法がみられるものの、静謐な中に突然爆発する音塊など、1970 年代のヨ ーロッパによくみられた様式で書かれた大作。
NEOS-11906
「走る詩人を捕まえるために」〜ハープシコードのための新しい作品集
(1)マルガレータ・フェレク=ペトリッチ(b.1982):「イスタラトゥ」(2016)
(2)ラファエル・ナシフ(b.1984):「空のフォーム」(2017)
(3)クリスティアン・ディエンドルファー(b.1957):「PSI」(2005)
(4)クリスティアン・ディエンドルファー:「PSI ソング」(2010)
(5)シルヴィー・ラクロワ(b.1959):「クーラント」(2013)
(6)ペーター・ヤコーバー(b.1977):「浸透」(2017)〜ハープシコードとテープのための
(7)タマラ・フリーベル(b.1975):「自分の生まれ変わりと踊る」(2017)〜ハープシコードと
ピンポン球のための
(8)マヌエラ・ケーラー(b.1980):「グラナット」(2017)
(9)ハンネス・デューフェック(b.1984):「逮捕の映像」(2014/2017)
マヤ・ミヤトヴィッチ(Cemb)

録音:2017-2018年
マヤ・ミヤトヴィッチはウィーンを拠点に活動するハープシコード奏者でフルーティストとして も活動しています。現代音楽に精通し新作の委嘱初演を数多く行っています。収録されているのは 若手から中堅世代の作曲家の作品。それぞれの視点からハープシコードの可能性を探る佳 作ぞろいだが、中でも弾くと内部に付けてあるピンポン・ボールが跳ねて音を出すフリーベル の「自分の生まれ変わりと踊る」、ヤコーバー作曲ハープシコードとテープのための「浸透」の パンクロックと見紛うアナーキーな作品が聴きもの。
NEOS-11907
「クワイエット・ストーン」〜ローリー・アルトマン(b.1944)の音楽
(1)「冬の小路」(2016)〜チェロとピアノのための
(2)「吟遊詩人の音楽」(2016)〜クラリネット、13 弦ギター、チェロとメゾ・ソプラノのための
(3)3つのミニアチュアズ(2001)〜ピアノのための
(4)「スタンダード・ツィスト」(2016)〜ソプラノ、チェロとピアノのための
(5)「眼の光」(1979/2016)〜13 弦ギターのための
(6)-(9)「日本組曲」(2016)〜13 弦ギターとピアノのための(皇居/タカシ駅/クワイエット・ストーン/キョサンの小道)
(10)プレリュード第17 番(1985)〜ピアノのための
(11)「J’s Way」(2015)〜13 弦ギターとチェロ、ピアノのための
(12)「ペルソナ」(1978)〜13 弦ギターとピアノのための
(13)「50MM」(2016)〜クラリネット、13 弦ギター、チェロとピアノのための
ローリー・アルトマン(P)
アンドレアス・キューンリヒ(Vc)
アンデルス・ミオリン(13弦G)
(13)マティアス・ミューラー(Cl)
(2)ネドヤルコ・ペトコフ(Cl)
(2)イザベル・プフェファーコーン(M.S)

録音:2016/17年
ローリー・アルトマンはニューヨーク出身。ジャズ・ピアニストとして活動する傍ら多くの作品を発表。モード・ジャズを基本と しながら時に無調のスタイルを折衷した作品は安易なクロスオーバーとは一線を画しています。全体にキース・ジャレット、ビ ル・エヴァンスが持つ都会的な洗練さにアルヴォ・ペルトの静けさ、清らかさを加えたリリシズムが魅力的。なんと伊福部昭翁 の作品と同じタイトルの「日本組曲」は「皇居(!)/タカシ駅(いったいどこの駅だ?筆者)/クワイエット・ストーン/キョサンの小 道(いったいどこの小道だ?筆者)」の 4 つの小品からなります。最近の日本観光の音楽によるスナップ写真集といったらそれま でだが、パット・メセニーあたりを思わせる粋なテイストが聴かせる。ECM が好きな人にお薦め。
NEOS-11908
「イオノビア」〜ピーター・アイヴァン・エドワーズ(b.1973):作品集
(1)「イオノビア」(2017)〜Ob,Perc,Pf
(2)「フリーパーセリマーノ」(2013)〜Fl,Vc,Perc,Pf
(3)「チェリンダーノのためのブラストリ」(2015)〜管弦楽のための
(4)「アセント:2 つの展望」(2011)〜Fl,Pf
(5)「Ssoonro」(2017)〜Fg,Electronics
(6)「Re」(2010)〜Fl,Vc,Pf
(1)トリオ・サープラス
(2)アンサンブル・インターフェース
(3)ジェーソン・ライ(指)ヨン・シウ・トー音楽院O
(4)マッテオ・チェザリ(Fl)、ピーテル・ヤンセン(P)
(5)クリストフ・ヴィヘルト(Fg)
(6)アンサンブル・ウー・シャン

録音:2013-2017年
ピーター・イヴァン・エドワーズはニューヨーク出身。チェルノヴィン、ニコラウス・フーバーら に師事。現在シンガポールのヤン・シー・トー音楽院で教鞭を執る傍ら作品を発表しています。シ ンガポール在住ということも若干影響あるのか、どこか東洋的な音の佇まいが感じられます。国籍 不明の祭りの音楽を思わせる「イオノビア」。点描的で激しい音の楔が打ち込まれる「チェリン ダーノのためのブラストリ(ブラストリとはイタリア語ぽい無意味な単語)」のタイトルには使用楽 器が織り込まれている(Bra)ss, (stri)ngs, (per)cussion, (Cel)este, w(ind)s, and pi(ano)。一種のミ ュージック・コンクレートとも言うべきファゴットとエレクトロニクスのための「Ssoonro」が聴きも の。
NEOS-11909
エルンスト・ヘルムート・フランマー(b.1949):管弦楽曲作品集Vol.2
(1)「バベルの塔」(1983/84)〜大管弦楽のための組曲
(2)「666600 3261 D 4901150 M 9804050」もしくは「焦点は人々にある」(1998/99)〜大管弦楽のための
(3)「時の印/時の塊」(1985-87)〜ピアノと大管弦楽のための
(1)ウルリヒ・バッコーフェン(指)バーゼルRSO
(2)ハンヌ・コイヴラ(指)フライブルクPO
(3)オルトヴィン・シュテュルマー(P)
ローター・ツァグロセク(指)BBC響

録音:(1)1987年(2)2002年(3)1988年
(全作世界初録音)
フランマーの管弦楽曲集第2弾(第1集はNEOS10803)。フランマーは当初、数学を学び、やがてルイジ・ノーノ、ヘンツェ、クラウス・フーバー、ブライアン。ファーニホウらに師事した。このディスクには1980年代に集中的に作曲された大管弦楽のための作品が収録されており、彼の音楽を俯瞰することができます。
NEOS-11910
アゴスティーノ・ディ・シピオ(b.1962):弦楽とライヴ・エレクトロニクスのための作品集
(1)「存在違反」(2017-2018)
(2)「2 つのサウンド・ピース」(2012)
(3)「敏感な違いを伴う周期的相互作用」(1997-1998)
(4)「プレックス」(1991)
(5)「デュー・ディ・ウノ」(2002-2003)
(6)「見て、見て」(2004-2005)
(1)ロレンツォ・デリンニ(Vn)
ダヴィデ・ガリアルディ(ライヴ・エレクトロニクス)
(2)エドゥア・ザドリ(Vn)
アナ・タパロヴィチ(Vc)
フェデリコ・プラチディ(ライヴ・エレクトロニクス)
(3)プロメテオQ
(3)(5)(6)アゴスティーノ・ディ・シピオ(ライヴ・エレクトロニクス、(6)ギター)
(4)ステファノ・スコダニビオ(Cb)
(5)アントニオ・ポリターノ(ソプラノ・リコーダー)
ヘソン・チェ(Vn)
(6)エヴァ・ライター(Gamb)

録音:2018年6、12月
ディ・シピオはイタリア、ナポリ出身。DAAD 給付金を得てドイツに留学、作曲、音響学を学 んだ。このアルバムは弦楽とライヴ・エレクトロニクスのための作品集と銘打たれていてヴァイ オリンやチェロ、ベース、ギターと弦楽器は様々に変わるものの、その作曲、展開作法はどれ もほぼ一緒。いずれもコオロギが鳴くようなコロコロ、キコキコといった微かな弦楽の音に薄い 霧が立ち込めるような電子音が絡むといったもので統一されています。全部で 6 作品、全25 ト ラックと作品の区別はあるものの、全て一つの作品として、ひたすら霧の中、遠くで鳴く鳥の ような音、秋の夜長に虫の声をあるいは水琴窟の音を聴くような音響が70 分近く続く。アンビ エント、メディテーション・ミュージックとして最適。
NEOS-11911
ニコラウス・ブラス(b.1949):合唱と管弦楽のための作品集Vol.2
(1)「似たような音響」(1999/2000)〜管弦楽のための音楽
(2)「希望の誤り」(rev.version,2013)〜4つのグループからなる32声部の声のための
(1)ロベルト・HP・プラッツ(指)SWRシュトゥットガルトRSO
(2)フローリアン・ヘルガス(指)SWRヴォーカル・アンサンブル・シュトガルト

録音:(1)2001年、(2)2014年
ブラスは当初、医学を志したが、作曲に転向、ミュンヘンでラッヘンマンに作曲を師事した。およそ30分近くかかる大作「似たような音響」はそのタイトル通り、全体に一定した音響で構成されていて、繊細に書き込まれた微細な響きの綾を聴き手は辿ることになります。常に静かな音響と時たま爆発するエネルギーが聴き手を幽玄の世界へと誘う。「希望の誤り」も基本的に前作と同じコンセプトで精緻に書き込まれた32声部からなる声楽のパートが時に絹の織物のように、また時に音の雲のように変化する。
NEOS-11912
ホルヘ・E・ロペス(b.1955):作品集
(1)「戦闘行為/夢の行為」(1995/1998)〜アンサンブルのための
(2)室内交響曲第2番「究極の春(A vegs? Tavasz)」
ジョナサン・ストックハンマー(指)
コレギウム・ノヴム・チューリヒ
(2)レスリー・レオン (S)

録音:2018/2019年
ロペスはキューバ出身で1960年代にアメリカに移住、カリフォルニアでモートン・スポトニクらに作曲を師事した。1990年以降、ヨーロッパを拠点に活動しヨーロッパの前衛音楽シーンの影響に多くの作品を発表しています。このディスクには大規模アンmンサンブルのための作品が収められ、爆発する混沌としたラテンのエネルギーが聴き手を魅了する。
NEOS-11913
マルクス・シンプ(b.1964):「沈黙への憧れ」(2018)〜33 のピアノのための小品集 マルクス・シンプ(P)

録音:2018年6、12月
※世界初録音
マルクス・シンプ(Markus Schimpp)はキャバレーのピアノ弾き、歌手という異色の経歴を持つ ドイツの作曲家。アカデミックな作曲技法を学びつつ、キャバレーやショウ・ビジネスの世界で腕 を磨き、2000 年より本格的な作曲活動に入った。この作品集は33 曲全て1〜3 分ほどの小品で 構成されています。いずれも現代音楽というよりヒーリング・ミュージックといった趣の作品。サティ、 モンポウ、ブライアン・イーノ、ハロルド・バッドあるいはドビュッシー、ラヴェルを思わせる繊細な 響きと沈黙と測り合うような静けさが特徴。ヒーリング、アンビエント、メディテーション系の音楽が 好きな人にお薦め。
NEOS-11914(2SACD)
ドナウエッシンゲン音楽祭2018
(1)イヴァン・フェデーレ(B.1953):「エア・オン・エア」(2018)〜増幅したバセット・ホルンと管弦楽のための
(2)マーリン・ボング(b.1974):「軽率な反乱の破片」(2018)〜管弦楽のための
(3)マルコ・ストロッパ(b.1959):「私と遊びに来て」(2016-18)〜エレクトロニクスと管弦楽のための
(4)アガタ・ズベル(b.1978):室内ピアノ協奏曲(2018)
(5)ミレラ・イヴィチェヴィッチ(b.1980):「ケース・ホワイト」(2018)〜アンサンブルのための
(6)フランチェスコ・フィリデイ(b.1973):バラータ第7番(2018)〜アンサンブルのための
(7)ヘルマン・マイヤー(1906-2002):大管弦楽と4手ピアノのための作品HMV62(1965)
(1)-(3)パスカル・ロフェ(指)SWRSO
(1)ミケーレ・マレッリ(バセットhr)
(2)パスカル・ロフェ(指)SWRSO
(3)ルカ・バグノーリ(サウンド・エンジニア)、カルロ・ローレンツィ(コンピュータ音楽デザイン)
(4)イングリット・バイエ・ナイフス(P)
クリスティアン・エッゲン(指)チカダ・アンサンブル
(5)(6)イラン・ヴォルコフ(指)
クラングフォルム・ウィーン
(7)ラース・ヨーンソン&クラウス・シュテッフェス=ホレンダー(P)
ペーター・ルンデル(指)SWR響

録音:2018年10月ドナウエッシンゲン音楽祭ライヴ
018年のドナウエッシンゲン音楽祭のオーケストラ・コンサートの模様を収録。例年通り、大御所、中堅、近年活躍の若手作曲家をバランスよく選び、大管弦楽から室内アンサンブルまで多様な作品が並び、ヨーロッパ前衛音楽シーンを俯瞰する好内容となっています。なかでも中堅というより、もはや大御所というべきストロッパのエレクトロニクスと管弦楽のための「私と遊びに来て」のユーモアと機知、若手世代のズベルのデフォルメされたジャズ(?)かロック(?)が面白い室内ピアノ協奏曲、これも若手のイヴィチェヴィクの「ケース・ホワイト」のスピード感溢れる音色の推移が聴きもの。今回の音楽祭では若手女性作曲家の活躍が目立ち、創作に性別は関係ないものの、喜ばしいことです。
NEOS-11916
「多くの色を持つ獣」〜ローランド・チャドウィック(b.1957):クラシック・ギターのための新しい音楽
「piの学習」(2016)
「ブリテンの主題による変奏曲」(2013)
パルティータ第2番(1997)
「多くの色を持つ獣」(1986.rev.2019)
パルティータ第1番(1981.rev.2018)
4つの略語(1984-86)
エグバース変奏曲(1997)
デトレフ・ボーク(G)

録音:2018/2019年
チャドウィックは13歳の誕生日にギターを貰ってすぐに作曲を始めた。ギタリストとして多くの場所で演奏する一方、ギターのための新作を数多く作曲しています。作風は調性に基づいた堅実なものだが、技巧的にはかなりの難度を持っています。アルバム・タイトルにもなっている「多くの色を持つ獣」はギターのボディを叩く奏法も入る情熱的な秀作。アルバム全体にいわゆるヨーロッパの前衛音楽臭はなく、クラシック・ギター・ファンは一聴の価値あり。
NEOS-11919(2SACD)
ダニエル・ペーテル・ビロ(b.1969):「ミッシュパティム/法制」(2003-2016)〜6部からなる作品 サイクル ノア・フレンケル(A)
エルミス・テオドラキス(P)
アンサンブル・サープラス、
SWRエクスペリメンタル・スタジオ
ダニエル・ペーテル・ビロ&ドミニク・パーンケ&サム・ヴォルク(エレクトロニクス)

録音:2015-16年
ビロはハンガリー出身。バルトーク音楽院で学んだ後、ドイツでハンス・ツェンダー、イザベル・ムンドリーらに師事した。彼はバルトークと同じようにハンガリーの民族音楽を研究しさらにユダヤ、イスラムの宗教的なチャントを学び、これらを総合的に融合しようと試みています。この作品は旧約聖書のいくつかの章(出エジプト記、エレミア書など)をテキストとした大作で声楽(C.A)、語りと室内アンサンブル、エレクトロニクスが使われています。終始、切り詰められた音による静かな緊張感が続く。
NEOS-11928
マーンコップ・エディション8〜クラウス=シュテッフェン・マーンコップ(b.1962):作品集
(1)「私の裸の心」(1997)〜8 人の声のための
(2)「ヴォイスド・ヴォイド(有声化された無効)」(2008)〜24 人の声のための
(3)「無効-イタリア語の犯罪」(2009)〜6 人の声のための墓碑
(4)「エセ・アピエ・ヴァンデニス」(2015)〜男声のための
(1)エクスヴォコ(ExVoCo,声楽 ens)
(2)ルパート・フーバー(指)
SWRヴォーカル・アンサンブル・シュトゥットガルト
(3)ノイエ・ヴォーカル・ゾリステン
(4)ジェフリー・ガヴェット(Br)

録音:1999-2018年
※世界初録音:
NEOS-で進行中のマーンコップ作品集エディション第 8 弾。このディスクには合唱、声楽のた めの作品が収められています。マーンコップはブライアン・ファーニホウ、クラウス・フーバーらヨー ロッパを代表する前衛作曲家に師事、その後ヨーロッパの名立たる作コンクールや音楽祭で作 品が取り上げられています。特殊な時間構造また声楽の特殊な唱法を駆使し現代ヨーロッパの声 楽曲の極北を聴くことが出来ます。ブックレットに一部掲載された複雑で緻密な楽譜(この譜面を本 当に歌えるのか?だとしたらスゴイ!というのが素朴な感想!笑)も興味深い。現代の声楽曲フ ァンは必聴。
NEOS-11933(1SACD)
「ムジカ・ヴィヴァ・ミュンヘンVol.33〜ペーター・ルジツカ(b.1948):作品集
(1)「ループ」(2017)〜トランペット、ピッコロ・トランペットと管弦楽のための
(2)「...島、ボーダーレス...」(1994/95) 〜ヴァイオリンと室内合唱と管弦楽のための
(3)「5 つの断片」(1984-87)〜管弦楽のための
(4)「逃亡」(2014)〜管弦楽のための6 つのパッセージ
ペーター・ルジツカ(指)
バイエルンRSO
(1)セルゲイ・ナカリャコフ(Trp)
(1)ジュリアーノ・ゾンマーハルダー(ピッコロTrp)
(2)カロリン・ヴィトマン(Vn)
(3)ヴォーカル・コンソート・ベルリン

録音:2018年10月5日ヘルクレスザール、ミュンヘン(ムジカ・ヴィヴァ・コンサート、ライヴ)
2018 年ムジカ・ヴィヴァ音楽祭で行われた注目のライヴ録音。御年71 歳になるドイ ツの重鎮ペーター・ルジツカ自ら棒を振った 2 つの協奏的作品と管弦楽の大作 2 曲 という意欲的なプログラム。なかでも、かつてトランペット界の貴公子として登場しいま や巨匠の域に達したセルゲイ・ナカリャコフがソリストを務めたルジツカの最新作トラン ペット協奏曲「ループ」は必聴。トランペットの超絶技巧と管弦楽との息詰まる攻防、さ らにピッコロ・トランペットとトランペットとの競演など聴きどころ満載。現代音楽のみなら ず吹奏楽、トランペット・ファンにもお薦めの一枚。

NEOS-12004
ゲオルク・カッツァー(1935-2019)後期作品集
(1)「B への追記」(2017)〜チェロとピアノの為の3 つの小品
(2)「歌う時だけ花が咲く」(2018/19)〜ソプラノ、チェロとピアノの為の
(3)「談話」(2018)〜管弦楽の為の
(4)「パーカッスム」(2016)〜打楽器四重奏の為の
(5)「リスニングの学校 5」(2018)〜フルート、アルト・サクソフォン、トランペット、打楽器、アコーディオン、ピアノとヴァイオリンの為の
(1)イェルク・ウルリッヒ・クラー(Vc)、ベルンハルト・パルツ(P)
(2)エリザベス・トリオ
(3)ウラディーミル・ユロフスキ(指)ベルリンRSO
(4)ブレーメン打楽器アンサンブル
(5)ゲオルク・カッツァー・アンサンブル

録音:(1)2018年1月チューリヒ、(2)2019年7月、(3)2018年12月30日ベルリン・コンツェルト・ハウス大ホール、(4)2017年10月28日、(5)2020年9月5日ブリッツ
ゲオルク・カッツァーはポーランド・シレジア出身。作曲を旧東ベルリン時代にルス・ ゼックリンに師事。またハンス・アイスラーの指導も受けています。「Bへの追記」のBとは ベートーヴェンのことで、ベートーヴェンのピアノ・ソナタからの素材で作曲されている が、素材のすべては解体され非常に抽象的な形に変容させられています。大編成のオ ーケストラの為の「談話」はカッツァーの最後の作品で黙示録的な暗い雰囲気に溢 れている大作。「リスニングの学校5」は厳しい点描的な様式で書かれた作品で、やや シニカルな身振りで奏されるアコーディオン、行進曲を思わせる打楽器、奏者のつぶ やく謎めいた言葉にアンガージュマン(政治参加)の作曲家ハンス・アイスラーの影響 を聴き取ることが出来ます。
NEOS-12006
ゲオルク・フリードリヒ・ハース(b.1952): 作品集
(1)弦楽四重奏曲第7番(2011)〜ライヴ・エレクトロニクスつき
(2)「影絵芝居」(2004)〜ピアノとライヴ・エレクトロニクスのための
(3)弦楽四重奏曲第4番(2003)〜ライヴ・エレクトロニクスつき
(1)(3)アルディッティ四重奏団
(2)ゾフィー=マユコ・フェッター(P)
(1)-(3)SWRエクスペリメンタル・スタジオ(ライヴ・エレクトロニクス)

録音:(1)2016 年10 月15-16 日、(2)2019 年7 月30 日、(3)2017 年7 月10 日 SWR フライブルク
ドイツにおけるスペクトル楽派の作曲家ハースは微分音音楽の継承者でもあり、 この分野の先駆者ヴィシネグラツキ、アロイス・ハーバについての論文も発表してい る。弦楽四重奏曲第 7 番と第 4 番はいずれも弦楽の長く引き伸ばされた音の倍音 と色彩の変化にエレクトロニクスの音響が絡む。霧と光が移ろうようなグラデーション が美しく、時に協和音が鳴り響く。ピアノとライヴ・エレクトロニクスのための「影絵芝 居」は特殊に調律されたピアノが国籍不明の疑似民族風の音楽を奏でる。
NEOS-12008
トビアス・エドゥアルド・シック(b.1985):室内楽作品集
(1)クラングツァイヒヌング(音の描画)(2009)〜コントラバス独奏のための
(2)BAM[自己破壊なしに] (2013)〜アンサンブルのための
(3)影の音楽(2017)〜ヴァイオリン、アコーディオンとピアノのための
(4)ウンター・フェルシュルス(鍵付きで)(2015)〜クラリネット、チェロとピアノのための
(5)キルト(2017)〜アコーディオンとエレクトリック・ギターのための
(1)トビアス・エドゥアルド・シック(Cb)
(2)レナルト・ドームス(指)
エル・ペッロ・アンダルス(Ens)
(3)ディエゴ・ラモス(Vn)、オリヴィア・シュタイメル(アコーディオン)、サイキミチコ(P)
(4)トリオ・ソステヌート
(5)デュオ・シュタイメル=ミュクシュ

録音:2013-2019年
エドゥアルド・シックはドイツ出身。マーク・アンドレ、エルンスト・ヘルムート・フランメルに師事した 後、電子音楽とコントラバスを学んでいます。みずから演奏しているコントラバスのための「音の描画」 は終始静けさのなか、音の質感と音色の推移の変化で構成されています。「影の音楽」ではヴァイオ リン、アコーディオンとピアノが互いに影になったり、表になったりと付かず離れずの微妙な関係性 を作る。アコーディオンとエレクトリック・ギターのための「キルト」ではアコーディオンの持続音にエ レクトリック・ギターが鮮烈に斬り込む。いずれも電子音楽を学んだ作曲者らしいスタティックな音響 が魅力。
NEOS-12009(2CD)
モーリッツ・エッゲルト(b.1965):「空間の深奥、フットボール・オラトリオ」(1952-2008) 〜大オーケストラ、4 人のソリスト、混声合唱と3 人の語り手のための モーリッツ・エッゲルト(指)
ドイツ国立学術財団O&cho
アニア・ヴェグリ(S)、
ルート=マリア・ニコライ(MS)、
サイモン・ボード(T)、
ハンス・クリストフ・ベーゲマン(Br)、
ほか3人の語り手

録音:2019 年ライヴ
硬派現代音楽の牙城 NEOS-レーベルには極めて珍しいエンターテイメント・テイ ストたっぷりのミュージカル・オラトリオ。ドイツでもプロサッカーは大人気で強豪チー ムがたくさんあるが、この作品はサッカーの試合を音楽化したもの。スポーツをテー マにした管弦楽曲ではオネゲルの「ラグビー」が有名だが、こちらは2 つのチームの 息詰まるゲーム、観衆の歓声、応援の手拍子、審判の吹くホイッスル、アナウンサー の実況放送、選手の独白、人間模様をオルフのカルミナ・ブラーナばりの親しみ易 くゴリゴリした野性的な音楽で表現。しかも前半戦、後半戦と二部構成の全曲 2 時 間近くかかる超大作。作曲者でこの作品を指揮しているエッゲルトはあらゆるジャン ルの音楽を折衷しサッカーの熱い人間ドラマを表現しています。
NEOS-12011
クラウス・シュテッフェン=マーンコップ(b.1962):フルートのための作品集
(1)回想(2016)〜バス・フルートのための
(2)反対の偶然(1986)〜アルト・フルートのための
(3)新しい天使の恐れ(1997-99)〜フルートのための
(4)無限は(2014)〜フルートとソプラノのための
(5)スッコラリティ(1989)〜フルートのための
(6)クルタークが歌う(2013)〜ピッコロのための
シャンナ・プラナイティス(Fl)
(4)フラウケ・アウルベルト(S)

録音:2016-2019年
NEOS-で度々作品集が出ているマーンコップのフルート独奏を基本とした作品集。マーンコップ はブライアン・ファーニホウ、クラウス・フーバーらに師事、彼らの影響を受けた複雑なテクスチュア の作品を多数発表してきた。バス・フルート、アルト・フルート、フルート、ピッコロを使い分けたフル ート作品集はおよそフルートの可能性を極限までつき詰めた作品ぞろい。「無限は」ではフルートと ソプラノが時に拮抗し時に融和して言葉と音の不思議な対位法を形成する。フルートのシャンナ・ プラナティスの超絶技巧が聴きもの。
NEOS-12012
エルハルト・グロスコップ(b.1934):エレクトロ・アコースティック作品集
(1)「ディアレクティクス」ヴァージョン 5/8 (1969)【大阪万博 1970 委嘱作品】〜マグネティック・テープと3 人の器楽奏者のための
(2)「変化の過程」(1971)〜4 トラックのマグネティック・テープのための
(3)「ナイト・トラック」(1972)〜4 トラックのマグネティック・テープのための
(4)「ディアレクティクス」ヴァージョン 1/8 (1969)〜マグネティック・テープと 3 人の器楽奏者のための
(1)(4)エベルハルト・ブルム(Fl)
(1)(4)ハンス・ダインツェル(Cl)
(1)(4)ヴィンコ・グロボカール(Trb)
(1)クロード・レロング(Va)
(1)(4)エルハルト・グロスコップ(サウンド・コントロール)

録音:(1)1969年/2020年(リミックス)
(2)1971年/2020年(リダクション)
(3)1972年/2020年(リダクション)
(4)1969 年/1970 年( リダクション) (live)
ベルリンを拠点に活動するドイツのエルハルト・グロスコップが1970 年前後に作曲、制 作したテープ音楽あるいはテープと器楽のための作品を最新の技術によりリミックス、リ ダクションし音質を飛躍的に向上させてリリース。1970 年代前衛音楽が最も熱かった時 代の息吹きがよみがえます。「ディアレクティクス」は大阪万博 EXPO’70 でドイツ館におい て初演された。折りしもドイツ館ではシュトックハウゼンも自作を上演した。ここに収められ た作品はいずれも最新のテクノロジーを駆使した実験色の濃いもので現代音楽の可能 性と領域を広げようとする作曲者の楽観的な野心で満ち溢れています。プログレシヴ・ロッ クにも通じるものがあり、多くの音楽ファン必聴!作曲家でトロンボーン奏者のグロボカ ールが参加していることも見逃せない。
NEOS-12015
エルンスト・ヘルムート・フランマー(b.1949):「バベルの塔」(1981/82)〜3 群のオーケストラ、3 つの合唱団、2 人の独唱者と語り手、ライヴ・エレクトロニクスのための8 部からなるオラトリオ(世界初録音) クラウス・ベルンバッハー(指)
ローランド・バーダー(指)
ギュンター・コラー(指)、
テオフィル・マイヤー(語り)
キャスリーン・ゲイヤー(S)、
ギュンター・ビンゲ(Br)
北西ドイツPO
北ドイツ放送cho、ユーゲン・コーア

録音:1983年1月
NEOS レーベルで度々作品がリリースされるフランマーが 1980 年代に発表した大 作の初 CD 化。旧約聖書のバベルの塔を題材にしており、歌詞にはフリードリヒ・シラ ー、ショーペンハウアー、ニーチェ、リヒャルト・ワーグナー、ニコロ・マキャベリ、クルト・ トゥホルツキの文章が使われています。フランマーは当初、数学を学んだ後、クラウス・ フーバー、ブライアン・ファーニホウらに作曲を師事以来、多くの作品を発表してき た。この「バベルの塔」は 3 群のオーケストラ、合唱と独唱者と語り手が複雑に織りな すオラトリオ。途中、錯綜としたテクスチュアの中に突如としてサイレンやロック・バンド の響きが乱入するなど、音響的にも様式的にも興味深い作品。
NEOS-12016
ルネ・ヴォールハウザー(b.1954):ReBruAla
(1)-(3)声のための三部作(2016)
(4)フルート、クラリネットとチェロのための三重奏曲第1 番(2016)
(5)「トラマドール・クリアンノ」(2017)〜ピアノのための
(6)「マラプロ」(2017/18)〜ヴァイオリンとピアノのための
(7)「クアマクッチ」(2016-17)〜フルート、コントラバスとピアノのための
(8)「縁」(2017)〜バリトンとピアノのための
(9)「ReBruAla」(2017)〜ソプラノ、バリトン、打楽器化されたピアノとフィクスド・メディアあるいはライヴ・アンサンブル、ノイズ・トラックとフィールド録音のための
(1)-(4)アンサンブル・ポリソノのメンバー
(5)(6)(8)ルネ・ヴォールハウザー(Pf、(8)Br)
(6)エリア・ザイフェルト(Vn)
(7)ジ・アート・アンサンブル・ベルリン
(9)デュオ・シモルカ=ヴォールハウザー

録音:2017/18年
NEOS-では7 枚目となるウォーハウザーの作品集。声楽作品、室内楽作品など多様な作品が収 録されています。ウォーハウザーは作曲家には珍しく歌手(Br)でもあり、このディスクで自作自演 を行っています。彼は当初実験性の強いジャズ、ロックをしていたが後にセロツキ、カーゲル、ホリガ ーらに師事し現代音楽へ転向した。しかし当初の実験的なロック、ジャズの影響は後の作品にも及 んでいて「ReBruAla」では声楽とノイズ(工事で使われる重機のけたたましい音も使われる)が交錯 するエキセントリックな作品。
NEOS-12017
グンナル・ガイセ(b.1962):作品集
(1)ピアノ協奏曲(2019)〜複数の独奏楽器のための 2 楽章からなるデジタ
ル・プレ・ストラクチャード・インプロヴィゼーション
(2)リズム・チェンジス(2020)〜ラップトップ・ギターのためのソナタ
グンナル・ガイセ(ラップトップ・ギター&コンピューター)

録音:2019/2020年
「ピアノ協奏曲」といっても普通のピアノ独奏とオーケストラのための協奏曲ではなく、ラフマ ニノフのピアノ協奏曲第 3 番のピアノ・パートが引用またはコンピューターで変調、デフォルメさ れ、後はジョン・ゾーン張りの激しいノイズがひたすら果てしなく続く。「リズム・チェンジス」はコン ピューターに接続されたエレクトリック・ギターがパリパリ、ギシギシ、ビョンビョンとこれまたノイズ の嵐を繰り広げる。アメリカのハードロックを遥かに上回る実験的プログレシヴ・ロックの極北。グ ンナル・ガイセはドイツの実験音楽、即興音楽の旗手でオーネット・コールマンら先進的ジャズ に強い影響を受けた他、物理学の複雑性の理論にも影響を受けていることが混沌としたノイズ に拍車をかけています。即興音楽が彼の活動の中心だが、ハンス・ツェンダーは彼の音楽を高く 評価しています。フリー・ジャズ、ノイズ系ロックの好きな人は必聴。
NEOS-12018(2CD)
クリスティアン・オッフェンバウアー(b.1961):破壊-部屋/現在
■CD1
「破壊-部屋/現在2000」〜弦楽四重奏とピアノのためのコンサート版*
■CD2
「破壊-部屋/現在1999」〜ピアノ独奏版
ヨハネス・マリアン(P)
ディオティマQ*

録音:2019-2020年
徹頭徹尾、静寂の中でゆっくりと進行する沈黙の美学とも言うべき音楽。弦楽四重 奏とピアノによる版は弦楽器のフラジオレットの高い音が霞のように静かにたなびく 中、時折りピアノのアルペジオが最弱音でつまびかれます。これが延々50 分も続く。ピ アノ・ソロ版はピアノ・パートのみの演奏。最弱音で奏されるアルペジオがペダルで伸 ばされ静寂に溶け入って行くプロセスに聴き手は空間と同化するかのように錯覚す る。モートン・フェルドマンに次ぐ静寂と沈黙の美学を体現する瞑想的な作品です。 傾聴するもよし、BGM、家具の音楽として聴くもよし、メディテーションにも最高。
NEOS-12020
川上法子(b.1955):室内楽作品集
(1)「気流」(2015)〜ソプラノ、フルート、ギターと打楽器のための
(2)「陰影」(2007)〜サクソフォン、アコーディオンとチェロのための
(3)「ああ野生のバラが花開く・・・」(2004) 〜フルート、クラリネット、ヴァイオリン、チェロ、ピアノと打楽器のための
(4)「画架のそばで」(2004) 〜2 つのサクソフォンと4 チャンネル・テープのための
(5)「カオスが紡ぐ夢の中で」(2012/13) 〜アコーディオンと十七絃箏のための
(6)「常に・・・と決して・・・の間で」(2010) 〜アコーディオン、ピアノ、打楽器、ヴァイオリンとチェロのための
(1)ユリア・シュペート (S)
アンサンブル・ラルト・プール・ラルト
(2)トリオ・エッコ
(3)(6)エリック・オニャ(指)
テュールムヒェン・アンサンブル
(4)サクソフォン・デュオ・ディアロディア
(5)エヴァ・ツェールナー(アコーディオン)、
菊池直子(箏)

録音:2005-2015 年
まとまった形での作品集としては、川上法子初の CD リリース。川上法子は愛媛県出身。国立音大で廣瀬量平に師事、卒 業後はフライブルク大学でクラウス・フーバー、エッセン芸術大学でニコラウス・A・フーバーに、その後ジェームズ・ディロンに も教えを乞うています。経歴も世代も細川俊夫に似ており、実際、細川がプロディースした秋吉台 20 世紀国際作曲セミナーに 講師として参加したこともある。彼女はドイツ国内で特に評価が高く、作風はヨーロッパの前衛的な語法、様式を基本としつ つ、それらに沈黙や静寂といった日本的時間、空間を融合する点では前述の細川と似ているが彼女は細川が手掛けることの なかったテープ音楽、ライヴ・エレクトロニクスを積極的に作品に取り入れています。アコーディオンと十七絃箏のための「カオス が紡ぐ夢の中で」はタイトル通り出口のない夢を見ているような幻想的な作品。現代邦楽の傑作といえよう。画期的リリース。
NEOS-12021
ヒンデミット:ピアノ作品集
(1)組曲「1922 年」Op.26(1922)
(2)ピアノ・ソナタ第1 番イ調(1936)
(3)ピアノ・ソナタ第2 番ト調(1936)
(4)ピアノ・ソナタ第3 番変ロ調(1936)
アンドレアス・スコウラス(P)

録音:2019年10月19-21日
多作家であったヒンデミットは生涯に 600 曲以上作曲したと言われるがピアノ曲は意 外に少なく(彼本来の楽器はヴィオラであるためだろう)14〜5 曲ほどです。ここではそ の中心的な作品である 3 つのソナタと珍しい組曲「1922 年」を収録。ロマン派から脱却 するために主張した新即物主義と彼の拡大された調性という語法が独自のリリシズムを 生み出す。組曲「1922 年」は1922 年のある情景がリアルタイムで音楽として写し取られ た佳品。仕事で訪れたボストンの街の情景、街頭から聴こえる行進曲やラグタイムなど 当時の音のランドスケープがヒンデミットの耳を通して聴こえてくる。
NEOS-12022
ジャイメ・レイス(b.1983):作品集
(1)「逆流する血/血の逆流」(2015-19)
(2)「リゾチーム・シンセシス」(2003)
(3)「フルクサス、ヴォルテックス=推力」(2018-19)
(1)アンサンブル・フラクタル(Cl、Vc、Pf、Vn、Fl、Va)
(2)アナ・テレス(P)
(3)アレフ・ギターQ

録音:(1)(3)2019年10月7-13日、(2)2014年7月22日
ジャイメ・レイスはポルトガルの若手作曲家。ポルトガル出身の作曲家は日本ではエマヌエ ル・ヌネスの他、ルイス・ティノコが僅かに知られている程度なので、この若手作曲家の作品集 のリリースは貴重。レイスは前述のヌネスに師事した後、シュトックハウゼンのもとで研鑽を積 み、現在はリスボンを中心に作曲と教職に従事しています。「逆流する血/血の逆流」はピアノ独 奏から最大で6 重奏までの様々な編成による9 つの曲から構成されます。いずれも強い打撃音、 強弱の激しいコントラスト、点描的な書法などアグレシヴな身振りに満ちた作品。ギター四重奏 のための「フルクサス、ヴォルテックス、推力」は静寂と強いディナーミクの対比から構成される 美しい作品。
NEOS-12025
エルンスト・ヘルムート・フランマー(b.1949):管弦楽曲作品集Vol.3
(1)「ゲッセマネ〜消えて忘れられる前に」(1985/86)〜大管弦楽のための
(2)「地球は忘却に対して涙を流す」(1990)〜大オーケストラのための7 つの小品
(3)「GEN」(1998) 〜ソプラノ、バリトンと大管弦楽のための
(4)「カプリチオ」(1992) 〜チェロと大管弦楽のための
(1)ローター・ツァグロセク(指)ザールブリュッケンRSO
(2)オラフ・ヘンツォルト(指)バイエルンRSO
(3)ガブリエーレ・ロスマット(S)
ヴォルフガング・シェーネ(Br)
ローター・ツァグロセク(指)シュトゥットガルト・ヴュルテンベルク州立O
(4)ティルマン・ヴィック(Vc)
オラフ・ヘンツォルト(指)ライプツィヒ放送PO

録音:(1)1987年4月30日、(2)1995年5月
12日、(3)1998年5月25日(ライヴ)、(4)
1991年12月6日(ライヴ) [72:38]
NEOS-レーベルが力を入れている作曲家の一人ヘルムート・フランマーの管弦楽 作品集の第3 弾(第1集はNEOS10803、第2集はNEOS11909)。フランマーは当初、 数学と物理を学んだ後、クラウス・フーバー、ブライアン・ファーニホウに作曲を師事し た。ここに収められた作品はいずれも大オーケストラのために書かれたドラマティック な曲ばかり。キリストが磔の刑に処せられる前夜の祈りに題材をとった「ゲッセマネ」は オーケストラの叫ぶような大音響と劇的なうねりに満ちた表現主義的な大作。ソプラ ノ、バリトン独唱が入る「GEN」はハイドンのオラトリオ「天地創造」の冒頭にインスパイ アされたとのことでタイトルの GEN-にはgenesis(創世記)、general、genuine(純正)など 複数の意味が含まれます。オーケストラのカオスとアダムとイヴを思わせる男女のヴォカ リーズが織りなす前衛の手法で描かれた旧約聖書の世界。収録曲いずれも渾身の 作で聴きごたえ充分。
NEOS-12026
朴泳姫(ヨンギ・パク=パーン)(b.1945):室内楽作品集
(1)「MAN-NAM I」(1977) 〜クラリネット、ヴァイオリン、ヴィオラとチェロのための
(2)「ma-am[私の心]」(1990)〜女声独唱のための
(3)「U-MUL/噴水」(1992)〜7 楽器のための
(4)「私の心I」(2020)〜ソプラノとヴィオラのための
(5)「高い海の地平線」(2016)〜弦楽四重奏のための
アンゲラ・ポストヴァイラー (S)
アンサンブルKNMベルリン(Fl、Cl、Perc、Vn I、Vn II、Va、Vc、CB)

録音:2020年、52:36
朴泳姫は韓国出身の作曲家。早い段階で渡独しフライブルクで後に夫となるクラウス・フー バーに師事。彼女の作品は特にドイツで高く評価されており、日本にも講師として数度来日し たことがある。韓国の先達、尹伊桑の次の世代の作曲家として韓国の民族、伝統音楽の要素を 現代音楽の技法と融合し普遍化しようとする姿勢が見られます。「ma-am[私のハート]」は旋法で 書かれたメリスマティックなメロディが美しい独唱曲。7 楽器のための「U-MUL/噴水」は韓国の 伝統的な祭祀を思わせる典雅で厳粛な作品。ソプラノとヴィオラのための「私のハート」もソプラ ノの旋法的で息の長い優雅な旋律がヴィオラとエロティックな対位法を形成する。弦楽四重奏 のための「高い海の地平線」では弦楽の笙を思わせる長い音符が緊張度の高い音楽を作る。
NEOS-12028
ダヴィット・フィリップ・ヘフティ(b.1975):「雪の女王」(2018) 〜ソプラノ、2 人の語り手と管弦楽のための音楽劇
台本:アンドレアス・シェーファー(アンデルセンの童話に基づく)
モイツァ・エルトマン(S)
デイヴィッド・フィリップ・ヘフティ(指)
チューリヒ・トーンハレO
デリア・マイアー(語り手)、
マックス・シモニシェク(語り手)

録音:2018年初演ライヴ
アンデルセン童話に基づくコンサート形式のオペラともいうべきシアター・ピース。 「雪の女王」はディスニーの「アナと雪の女王」の原作としても知られる(話は大きく 改変されているが)。アンデルセン童話に基づく現代音楽といえばラッヘンマンの 「マッチ売りの少女」が有名だが、この作品もアンデルセンの原作を大胆に解釈、大 幅に改変したミステリアスな作品。「雪の女王」のタイトル通り、冷たく、透明できらき らとしたオーケストレーションが美しく、無調音楽ではあるが流麗な旋律にも溢れて おり楽しめる。デイヴィッド・フィリップ・ヘフティはヴォルフガング・リーム、クリストバ ル・ハルフテルに師事。本作はチューリヒ・トーンハレ協会創立 150 年の記念コンサ ートとして委嘱され好評を博した。
NEOS-12029
「湖からの歌」〜ジム・フランクリン(b.1959):尺八とライヴ・エレクトリニクスのための作品集
(1)「舞い降りる霧」〜尺八とライヴ・エレクトロニクスのための
(2)「波紋」〜尺八とテルミン、ライヴ・エレクトロニクスのための
(3)「流体のおうとつ」〜尺八とライヴ・エレクトロニクスのための
(4)「映し出された深度」〜尺八とシンセサイザーのための
(5)「表面の痕跡」〜尺八、ライヴ・エレクトロニクスと HakeContinuuMini のための
(6)「らせん状の乱気流」〜尺八、ライヴ・エレクトロニクスとテルミンのための
(7)「立ち昇る霧」〜尺八、ライヴ・エレクトロニクスとシンセサイザーのための
ジム・フランクリン (尺八、テルミン、シンセサイザー、ハーケン・コンティニュー・ミニ、ライヴ・エレクトロニクス)

録音:2020年5-6月インゲルハイム
※全曲世界初録音
※日本語解説つき
ジム・フランクリンは当初オーストラリア、ドイツ、オランダで作曲と音楽学を学んだ後、1986 年 に尺八と出会い、古谷輝夫、横山勝也の各氏に師事、その後横山氏より師匠免状を授与され る。そして尺八とライヴ・エレクトロニクスを組み合わせた作曲を始める。現在はドイツを中心に 活動。自ら尺八のみならずテルミンまで操り、さらにシンセサイザー、ライヴ・エレクトロニクスを 融合した独自の幽玄な世界を展開している。なお「表面の痕跡」で使用されるハーケン・コンテ ィニュー・ミニ(Haken ContinuuMini)は小型のアナログ電子楽器の一種で疑似民族楽器風の 音が出る。ここでは尺八と組み合わせて演奏されている。

NEOS-12101
ダヴィッド・フィリップ・ヘフティ(b.1975):作品集
(1)透明な糸に(2018)〜メゾ・ソプラノと弦楽四重奏のための/クルト・エーブリの詩による
(2)弦楽四重奏曲第5 番「真夜中」(2018)
(3)星のダンス(2014)〜バセット・クラリネットと弦楽四重奏のための
アマリリスQ
(1)マリア・リカルダ・ヴェッセリング(Ms)
(3)ベルンハルト・レートリスベルガー(バセットCl)

録音:2019/2020年 [65:57]
フィリップ・ヘフティはスイス出身。ヴォルフガング・リーム、クリストバル・ハルフテルらに師事、 作曲と並行して指揮者としても活動しています。このディスクには弦楽四重奏を中心に声楽、クラ リネットを加えた近作が収録されています。一聴した印象では非常に切り詰められた素材の拡大 と発展によって緊張感のある時間が作られます。また基本的に静謐な時間の中で時折り点描的 で激しい音の楔が打ち込まれるあたりの音の身振りにウェーベルンの影響が感じられます。
NEOS-12102
ヴィト・ジュライ(b.1979)作品集

(1)「コンバーター」(2018)〜室内混声合唱と管弦楽の為の
(2)「i-フォーメーション」(2016)〜2 群の管弦楽と二人の指揮者の為の
(3)「アラヴォ」(2017)〜ソプラノ、ピアノ、器楽グループの為の
(1)ブラット・ラブマン(指)SWR響、SWRヴォーカル・アンサンブル
(2)フランソワ=グサヴィエ・ロト(指)ケルン・ギュルツェニヒSO、
ユッカ=ペッカ・サラステ(指)WDR響、ティエリー・メヒラー(Org)
(3)リナット・モリアー (S) 、ジャン=フレデリック・ヌーブルジェ(P)
スタンリー・ドッズ(指)ベルリン・フィル・カラヤン・アカデミー

録音:(1)2019年2月10日シュトゥットガルト、(2)2016年2月14日ケルン、(3)2017年11月5日ベルリン
いきなりミュートした低い太鼓の響きにのせて始まる男の叫び声。古代日本の儀式 の音楽かと思いきや次の瞬間にはインドネシアのケチャを思わせる群衆の叫び声と 打楽器の連打。そして男女の煽情的なうめき声がオーケストラの特殊奏法の音響と 融合し聴き手の原初的なエネルギーを呼び覚ます「コンバーター」。特殊奏法の響き の渦がとぐろを巻きながら脱皮してゆく大蛇のように変容してゆく「i-Formation」、ホー ル内の複数個所に分散配置されたオーケストラと打楽器、ソプラノ歌手の為の「ア ラヴォ」はまさに古代異教の儀式といえるような妖しい魅力にあふれた代表作。ヴィト・ ジュライはスロヴェニアの若手作曲家でヨーロッパを中心に作品が支持されています。リ ゲティ、クセナキスばりの音響運動にジョージ・クラムの神秘主義、ストラヴィンスキー の原始主義をミックスしたような作風。ダイナミック・レンジが広いのでオーディオ・ファ ンにもぜひお薦め。
NEOS-12103
ミヒャエル・クヴェル(b.1960)室内楽作品集Vol.3
(1)目に見えないエネルギーIII - フィシス(2019)〜Fl, Cl, Vn, Vc, アコーディオンの為の
(2)目に見えないエネルギーII(2018)〜コントラバスCl, アコーディオンの為の
(3)相互依存(1998)〜ギター, 打楽器の為の
(4)ストリングI( 2013)〜オーボエ独奏の為の
(5)目に見えないエネルギーI(2013)〜Fl, Cl/バスCl, Vc, Perc の為の
(6)ストリングIII - ブレーンズ(2019)〜Vn, アコーディオン, Pf の為の
デア/ゲルベ/クラング(アンサンブル)
(4)ベンヤミン・フィッシャー(Ob)

録音:2021年1月25-26日、3月8-9日ミュンヘン、バイエルン放送局第2スタジオ
ドイツの作曲家クヴェルのNEOS-レーベルにおける作品集第3 弾。彼は作曲をハンス=ウル リヒ・エンゲルマン、ロルフ・リームに師事し、フランクフルト芸術賞、ベルリン国際作曲賞などヨ ーロッパの多くの作曲賞を受賞、様々な音楽祭、アンサンブルより多くの作曲委嘱を受けてい る。作風は浮き立つような忙しなく細かい音符の集積と長く棚引く静かな音のコントラストが特徴 的。特殊奏法を含む楽器の音色、テクスチュアの変化で構成されており、「新しい複雑性」やラ ッヘンマンなどの影響が感じられます。「目に見えないエネルギーIII」ではアコーディオンを含む アンサンブルが喧騒から沈黙まで多彩な音響を繰り広げるが、喧騒の中の静寂とでもいおうか 「閑さや岩にしみ入る蝉の声」といった感じのどこか日本的な情緒を感じさせる佳曲。
NEOS-12104(1SACD)
ピエール・ブーレーズ:作品集
(1)アンテーム1(1991)〜ヴァイオリン独奏のための
(2)二重の影の対話(1985) 〜クラリネットとライヴ・エレクトロニクスのための
(3)アンテーム2(1995) 〜ヴァイオリン独奏とライヴ・エレクトロニクスのための
(1)(3)カロリン・ヴィトマン(Vn)
(2)イェルク・ヴィトマン(Cl)
(2)(3)SWRエクスペリメンタル・スタジオ、ミヒャエル・アッカー(音響操作)

録音:(1)2019年8月6-7日、(2)2016年9月20-22日、(3)2017年5月29-30日、SWRエクスペリメンタル・スタジオ、フライブルク
ブーレーズ後期の器楽曲およびライヴ・エレクトロニクスを伴う作品集。「二重の影の 対話」では優れた作曲家でありクラリネット奏者でもあるイェルク・ヴィトマンが演奏。因み にイェルク・ヴィトマンは2018 年にサントリー国際作曲委嘱シリーズのテーマ作曲家とし て来日したのは記憶に新しい。アンテーム1 と2 を弾くヴァイオリンのカロリン・ヴィトマン はイェルクの実妹。二人とも生前のブーレーズと親交が深く、どの作品も晩年の作曲者 の監修を受けた上での演奏、録音です。
NEOS-12107
「ルルの夢」〜デトレフ・ホイジンガー(b.1956):作品集
(1)4 つのクロス・ロード(2017)〜アンサンブルとライヴ・エレクトロニクスの為の
(2)ルルの夢(2018)〜エレクトリック・ギターとエレクトロニクスの為の
(3)ザブリスキー・ポイント2周年記念(2005)〜エレクトリック・ギターと大管弦楽の為の
(1)カロリーナ・エイク(テレミン)、デトレフ・ホイジンガー(指)
アンサンブル・エクスペリメンタル【ユルゲン・ルック(エレキGtr)、中村れい(Pf, センセサイザー) 、エスター・サラディン(Vc)、オラフ・ツショッペ(Perc)】
(1)(2)SWRエクスペリメンタル・スタジオ(電子音響)
(2)ユルゲン・ルック(エレキGtr)、
(3)デトレフ・ホイジンガー(エレキGtr)
(3)シャーン・エドワーズ(指)フランクフルトRSO

録音:(1)2019年5月30-31日フライブルク、(2)2020年6月15-17日フライブルク、(3)2007年11月18日フランクフルト
デトレフ・ホイジンガーはフランクフルト出身。作曲の他、リュート、ギターを弾きこな す。作曲をハンス・ヴェルナー・ヘンツェ、クラウス・フーバーに師事した。彼はヨーロッ パあるいは日本にも数多くいる西ヨーロッパの「新しい複雑性」を始めとする前衛楽派 の亜流とは明らかに一線を画したオリジナリティを持っています。20世紀初期に開発され たテレミンとシンセサイザー、エレキ・ギターのアンサンブルの為の「4つのクロス・ロー ド」はそのサイケデリックで妖しく官能的な響きに魅了されます。「ルルの夢」はアルバン・ ベルクの歌劇「ルル」の素材に基づく佳品。エレキ・ギターと管弦楽の為の「ザブリ スキー・ポイント2周年記念」ではエレキ・ギターの挑発的な響きとオーケストラが火花を 散らす作曲者渾身の力作
NEOS-12108(2CD)
「マザー・タン」〜チャールズ・ウゾー(b.1961)作品集
(1)マザー・タン(母国語)(2019)〜メゾ・ソプラノ、テープとアンサンブルの為の
(2)天安門広場に降り注ぐ白い紙の花(1989)
〜5 つのチェロの為の
(3)8’46”/ジョージ・ロイドの追憶に(2020)〜何らかの楽器を伴う何人かのアンサンブルの為の
(4)Go(1999/2019)〜想像上のバレエの為の六重奏曲
(5)Zimzum(1998)〜2 つのギターの為の
(6)Sephardic lilt.mimicri(2017-18)〜ギター、アコーディオンとテープの為の
(7)サマルカンドの王女(2001)〜打楽器独奏の為の
(1)(3)(4)ルペルト・フーバー(指)ア
ンサンブル・マザー・タン
(1)(2)チャールズ・ウゾー((1)Tape、(2)
指揮)
(1)イザベル・プフェッファーコーン(MS)
(2)アンサンブル・ラ・ノッテ(Vc・アンサンブル)
(5)アンサンブル・クアジ・ファンタジア
(6)ルクス・ノヴァ・デュオ、
ドメニコ・チェラサーニ(Tape)
(7)エルンスト・ブルンナー(Perc)

録音:(2)1996年9月4日、(5)1998年6月6-7 日、(1)(4)(3)2020 年9 月6 日、(7)2001年2月18日、(6)2020年3月3-5日 ]
チャールズ・ウゾーはナイジェリア出身の作曲家。母国の内戦のため親とともに幼少期にスイ スへ移住した後、ベルン、チューリヒ、ロンドンで作曲を学んだ。作品は歌劇、ダンスの為の 音楽、管弦楽、室内楽と多岐に及んでいます。このディスクに収められた作品は編成も作風も非 常にバラエティ豊かであり、アフリカの民族的な要素は直接感じられないものの、それらはヨー ロッパ前衛音楽の語法の中で抽象化され昇華されています。むしろ作曲者の経て来た過酷な前 半生を反映してか、民主主義や平和への思いが作品に強く反映されています。母国ナイジェリア の思いをつづった「マザー・タン(母国語)」ではナイジェリアの自然が描かれるとともに重苦しい ノイズが民衆への暴力を感じさせ、天安門事件の直後に書かれた「天安門広場に降り注ぐ広い 紙の花」には力に圧制への強い抗議の意志が感じられます。一方、実験的な作品も見られ、 「8’46”」ではケージの 4’33”さながらに 8 分 46 秒間、ほとんど無音(吐息のような音が僅かに 聴かれる)しかないという野心的な試みがなされています。ヨーロッパ前衛音楽界に一石を投じる ユニークな才能のまとまった作品集。
NEOS-12111
ヴァルターと次の世代の作曲家たち
(1)H.E.エルヴィン・ヴァルター(1920-95):4 人の管楽器奏者と弦楽のための協奏曲(1960)
(2)カトリン・クローゼ(b.1990):「色の雲」(2019/20)〜大アンサンブルのための
(3)クリストフ・ヨハネス・ヴァイス(b.1986):室内交響曲「不確実性のなかへ」(2019/20)
アルマンド・メリーノ(指)
デア/ゲルベ/クラング(アンサンブル)
(1)トビアス・カイザー(Fl)
クレール・シリャーコプス(Ob)
エンリコ・トファーノ(Fg)
マシュー・サドラー(Trp)

録音:2021年5月16、17日バイエルン州
アンベルク
※全作品世界初録音
ドイツ、バイエルン州ヴュルツブルクに所縁のある新旧世代の作曲家による作品集。特に師 弟関係にあるとか同じ楽派というわけではなくスタイルは様々。H.E.ヴァルターの「4 人の金管 楽器奏者のための協奏曲」はこの世代のドイツの作曲家の作品には珍しく、ダルムシュタット楽 派の影響は一切受けておらず、ストラヴィンスキーの新古典主義の作品やヒンデミットの影響が 感じられる秀作。クローゼの「色の雲」は女性作曲家らしい繊細なテクスチュアと調性的な要 素、息の長い、たおやかな旋律がドビュッシーを思わせる美しい作品。ヴァイスの室内交響曲 は無調と調性が折衷され時折り、軍楽隊の行進曲が引用されるあたりがクルト・ワイル、エルン スト・クシェネクを思わせる面白い作品。
NEOS-12115
クワイエチュード・フラジール
ウリ・ヨハネス・キークブッシュ:太ったベルタとブラック・コーヒー(P、パーカッションのためのコンプロヴィゼーション)
真夜中(フルート、ヴィオラ、ピアノとパーカッションのための)(2017)
ウィーンからのメッセージ(フルート、ヴィオラ、ピアノとパーカッションのための)(2021)
銀食器(ヴィオラ、パーカッションのためのコンプロヴィゼーション)
クワイエチュード・フラジール(はかない静けさ)(フルート、ヴィオラ、ピアノとパーカッションのための)(2018)/息を止めないで(フルートとピアノのための)(2019)
カルーセル(回転木馬)(フルート、ヴィオラ、ピアノとパーカッションのための)(2021)
リーフェンツァイト(Riefenzeit)(Pとパーカッションのための)(2015/2021)
フルス(ひょうたん笛)の踊り(フルス、パーカッションのためのコンプロヴィゼーション)
シュラクル(Schlakl)(Pとパーカッションのための)(2020)
トリド四重奏曲(フルート、ショーム、ヴィオラ、ピアノ、パーカッションのためのコンプロヴィゼーション)
アブゲザング(Abgesang)(フルート、ヴィオラ、ピアノとパーカッションのための)(2017)
ベイビー・ゾマー・キークテット〔ギュンター・ベイビー・ゾマー(パーカッション、コンプロヴィゼーション)、ウリ・ヨハネス・キークブッシュ(作曲、ピアノ/ブリュートナー・グランド・ピアノ)、カタリナ・ゾマー(フルート、フルス、ショーム、コンプロヴィゼーション)、ラウラ・シュトローブル(ヴィオラ、コンプロヴィゼーション)〕

録音:2021年11月15日-17日、ライプツィヒ
ピアニスト、作曲家、教師として充実したキャリアを積んできたウリ・ヨハネス・キークブッシュと、現代ヨーロッパ・ジャズを代表するドラマー&パーカッショニストの一人、ギュンダー・ベイビー・ゾマー。20年間近く一緒に演奏し、純粋な即興演奏からキークブッシュの作曲が注目されるようになっていった彼らが、舞台芸術、視覚芸術、文学アーティストなど様々な芸術プロジェクトで活動するフルート奏者カタリナ・ゾマーと、音楽家、研究家として様々な編成で新しい音楽への情熱を追求し続けているヴィオリスト兼作曲家ラウラ・シュトローブルと組んだクァルテットが、『ベイビー・ゾマー・キークテット』。
ニュー・アルバム『クワイエチュード・フラジール』では、キークブッシュが作曲した作品をベースに、それぞれのメンバーによるコンプロヴィゼーション(Comprovisation/作曲〔Composition〕と即興〔Improvisation〕を組み合わせた用語)による作品が挟まれ、先進的なフリー・ジャズと最新のクラシック音楽が相関しながら両者の間を彷徨う、新しい創造空間を切り拓いています。
NEOS-12117
チェンビ・アン(b.1967,安承弼/アン・スンピル):作品集
(1)「音の集合体」(2019) 〜ピアノとエレクトロニクスのための
(2)「星座」(2003)〜ヴァイオリンとピアノのための
(3)「Hyun.Oh(海底の魚の夢、光への欲求)(1998/2016 改訂) 〜ピアノ、打楽器とエレクトロニクスのための
(4)「ルサック/泡からの水の変容」(1997) 〜管弦楽と30 人の音楽家のための
(1)(2)(3)プロドロモス・シメオニディス(P)
(2)メリーゼ・メリンガー(Vn)
(3)アダム・ヴァイスマン(Perc)
(4)レナート・リヴォルタ(指)
ヌーベル・アンサンブル・インストゥルメンタル・デュ・コンセルヴァトワール

録音:(1)2021年3月1日、(2)2021年2月27日-3月1日、(3)2017年4月13日、(4)1998年
チェンビ・アンはベルリンを拠点に活動する中国出身の作曲家。上海音楽院で学んだ後、パリ 国立高等音楽院でスペクトル楽派の作曲家ジェラール・グリゼイに師事、1998 年に電子音楽で 一等賞を取った。韓国で活躍していたこともあり韓国語読み(Seungpil An)でも通じています。 彼の作風は電子音楽とスペクトル音楽を学んだだけあって、アコースティック楽器と電子音響の 融合、生楽器の奏法における電子音楽的応用、打楽器への偏愛など、音色の変容に主な関心 が注がれています。「音の集合体」では特殊奏法のピアノと予め録音された(人の声を含む)具体 音、コンピュータの電子音がパッチワークのようにコラージュされます。「ルサック」は管弦楽の咆哮 と静寂が繰り返される中で響きの色彩のグラデーションが次第に変容してゆくプロセスが美しい。
NEOS-12122
ゲオルク・カッツァー(1935-2019)&フリードリヒ・ゴルトマン(1941-2009):作品集
(1)カッツァー:弦楽音楽1(1971) 〜14 の弦楽器独奏のための
(2)カッツァー:「3 つの言葉」(2004)〜弦楽オーケストラのための
(3)ゴルトマン:「・・・ほとんど凍った落ち着きのない・・・2」(1992)
〜9 人の奏者のための
(4)アンサンブル・コンチェルト第2番(1985)〜16 人の奏者のための
クレメンス・シュルト(指)
ミュンヘン室内O

録音:2021年3月23-26日ミュンヘン
カッツァーはポーランド領シレジア出身。戦後は東ベルリンに移住しハンス・アイスラーに学ん だ。また自ら電子音楽スタジオを設立し研究と制作に従事した。「弦楽音楽1」はその成果がアコ ースティック楽器で表現されたもので、ペンデレッキの「広島の犠牲者への哀歌」を思わせる特 殊奏法による音響の変容で作られています。晩年の「3 つの言葉」は逆にシェーンベルクやベルク に回帰したかのような表現主義的でロマンティックな作品。ゴルトマンは東ドイツ出身だがダルム シュタットでシュトックハウゼンの講義に接して刺激を受け、これまで 4 つの交響曲、多くの協奏 曲、歌劇を発表しています。「ほとんど凍った落ち着きのない・・・」は終始厳しい点描的な書法で書 かれている一方、「アンサンブル・コンチェルト」は長い音の持続が他の楽器に静かに受け継が れ次第に音のテクスチュアが厚みと激しさを増す。点描的な激しい音楽となったかと思えば、な ぜかフィリップ・グラス風のミニマル・ミュージックになり協和音が響くというユニークな音楽。
NEOS-12123
モーリッツ・エッゲルト:歌曲集
パラダイス・ベルリン(2003)
Krausseriana(1998)
Buchner-Portrat(1996/1997)
詩人の死(2004)/Neue Dichter Lieben - Appendix(2000)
ausklang(2001)
ペーター・シェーネ(Br)、
モーリッツ・エッゲルト(P)

録音:2021年3月22日-24日
ドイツの現代作曲家モーリッツ・エッゲルト(b.1965)にとって声楽曲は非常に重要な位置を占めており、特にバリトンとの作品は多く作曲されています。このアルバムに収録された作品は全て世界初録音であり、世界的なバリトン歌手ペーター・シェーネをソリストに迎えて、ピアニストとしても活躍する作曲者自身の伴奏によって収録されています。
NEOS-12124
ダビド・モリナー(b.1991):作品集
(1)「ファンタジーとピアノ」(2012/rev2020)
(2)ソロ I「純粋な F の永続的なエコー」(2016)〜ヴィブラフォン独奏のための
(3)「コーディネートとは!調整されていないのか・・・(二羽の小鳥)」(2015)〜フルートとソプラノ・サックスのためのデュオ
(4)ソロ II「官能的な D の変動するエコー」(2017)〜マリンバ独奏のための
(5)三重奏曲「地球の音」(2015)〜ファゴット、チェロと打楽器のための
(6)ソロIII「t]k]の浸透点」(2018)〜ボディ・パーカッションのための
(7)弦楽四重奏曲第 3 番「心に残る楽章(Eindringlicher Satz)」(2020)
(8)ソロ IV「・・・欲望のオルガスム的流出・・・」(2020)〜スネア・ドラムのための
(9)構造I「青のエロス」(2016)〜アンサンブルのための
ダビド・モリナー(Perc)
フェビアン・パニセーリョ(指)
プルーラル・アンサンブル

録音:2020年11月28-29日
ダビド・モリナーはスペインの作曲家、打楽器奏者。作曲をパスカル・デュサパン、イェルク・ ヴィトマンに師事した。演奏しながら奏者が奇声を発したり、何らかの演劇的アクションをしたり、 体の一部を叩くボディ・パーカッション、シュヴィッタース(1887-1948)の音響詩のような手法はケ ージ、カーゲルや日本の中川俊郎あたりを思わせ、それ自体はもはや今となっては古臭い様 式だが、そうしたダダ、ネオ・ダダ的な方法を今日的な感覚でよみがえらせようとしている作曲 家として近年ヨーロッパで注目されています。「欲望のオルガスム的流出」では奏者はスネア・ドラ ムを叩きながらひたすら意味不明な奇声を発し続ける。人を喰ったようなタイトルといい、赤塚 不二夫的ユーモアとセンス・オブ・ナンセンスを持った作曲家。カーゲルが好きな人なら気に入 るかも。
NEOS-12126
ジャンルカ・ヴェルリンジェーリ(b.1976)作品集
(1)「エレゴスIV」(2005/17)〜バセット・ホルンの為の
(2)「シューベルト断章」(2006-7)〜ピアノ三重奏の為の
(3)「シフト」(2008)〜アコーディオンの為の
(4)「アルキミエ〜アヴェ・マリス・ステラによるリチェルカー
レ」(2009)〜ヴィブラフォンとピアノの為の
(5)「イロニクオニリコ」(2010)〜拡張されたトロンボーンの為の
(6)「マッド・コンポーザーの為の 4 つの歌」(2015)〜弦楽四重奏の為の
(7)「記憶の迷宮」(2004-05)〜ピアノの為の
(8)「ヴィンテージ」(2019)〜バロック・オルガンの為のパッサカリア
(9)「ゲディーニ断章」(2015)〜ピアノ三重奏の為の
(1)ミケーレ・マレッリ(バセットhr)
(2)(9)トリオ・ドビュッシー
(3)ゲナディー・ロタリ(アコーディオン)
(4)シモーネ・ベネヴェンティ(ヴィブラフォン)
(4)エマヌエーレ・トルカーティ(P)
(5)ミケーレ・ロムート(テナーtrb)
(6)リスカム四重奏団
(7)ジャンルカ・カシオーリ(P)
(8)バリント・カロシ(Org)

録音:2012-2019年
ジャンルカ・ヴェルリンジェーリはイタリアの作曲家。作品はヨーロッパ、アメリカを中心に取り 上げられています。彼の作風は一様にはとらえがたい。特殊奏法を駆使した音響作法的なものが あると思えば、ジャズの影響を感じさせるもの、バロック風のもの、それらを多様式主義的に折 衷したものなど、非常に多岐に渡る。そうした音楽様式の博覧強記ぶりが彼の個性かもしれな い。そのせいかハンガリー、中国に定期的に招かれ教授としても活躍しています。
NEOS-12127
「ヴォールハウザー・エディション8」〜ルネ・ヴォールハウザー(b.1954)作品集
「投げられた曲芸師」(2018)〜ソプラノ、バリトン、フルート、クラリネット、ヴァイオリンとチ
ェロの為の
フルート、クラリネット、ヴァイオリンとチェロの為の四重奏曲第1 番(2018)
「正直に言うと」(2017)〜ソプラノ、バリトン、フルート、クラリネットとチェロの為の
フルート、クラリネットとチェロの為の三重奏曲第2 番(2017)
「チェリッシモ・グラデュアーレ」(2017)〜チェロ独奏の為の
「ミコシュ・・・超深遠なフィールドで失われた・・」(2013)〜ピアノの為の
「拍手の歌」(2018)〜ソプラノ、バリトンとピアノの為の
アンサンブル・ポリソノ(Ens)、
ルネ・ヴォールハウザー(Br,Pf)

録音:2018-2020年
NEOS-では8 枚目となるヴォールハウザーの作品集。声楽作品、室内楽作品など多様な作品 が収録。ヴォールハウザーはスイス出身。作曲家には珍しく歌手(Br)でもあり、このディスク でも自作自演を行っています。彼は当初実験性の強いジャズ、ロックをしていたが後にセロツキ、カ ーゲル、ホリガーらに師事し現代音楽へ転向した。「投げられた曲芸師」は声と室内楽の為の 作品でパート間のホケトゥス的な面白さ、オノマトペなど、どこかユーモラスで文字通り、声の曲芸 ともいえる曲。なおこのアルバムの声楽作品ではヴォールハウザー自身が作詩もしています。

NEOS-12001
ビクトル・イバラ(b.1978)作品集
「アリス・・・」(2011)〜バス・クラリネット、打楽器とアンサンブルのための
「灰色と緑色に関する研究」(2011)〜アンサンブルのための
「フランシスコ・トレドへのオマージュ」(2014)〜サクソフォンとアンサンブルのための
「私の背後のパリの風」(2016) 〜アンサンブルのための
「水の化学」(2015)〜アンサンブルのための
「脆弱な次元」(2015)〜アンサンブルのための
ナチョ・デ・パス(指)
ヴェルティクセ・ソノーラ

録音:2019年6月
イバラはメキシコ出身。母国で学んだ後、ミヒャエル・ジャレルらに師事。ヨーロッパで 数々の賞を受賞した。非常に錯綜したテクスチュアを構成する作風に「新しい複雑性」の 影響を感じさせるが、フリー・ジャズ、ラテン音楽のエコーも錯綜した音響の中から聴こえ てくる。メキシコの新世代の作曲家の登場。
NEOS-12002
スクレープス(擦り傷)とサウンド・スケープス(音風景)〜チェロと打楽器のための作品集
アンドレ・シーニ(b.1945):「ジーナとフィオ」(2014)
ジェニー・ヘットネ(b.1977):「ベルと潮流」(2016)
リカルド・エイジリク(b.1985):「レ/風/レ/書く」-早送りヴァージョン(2014)
エサイアス・ヤルネガルド(b.1983):「石―灰、灰」(2011)
レイレイ・ティアン(b.1971):「ネバー・エンディング・ジャーニー」(2016)
イーヴォ・ニルソン(b.1966):「場所について1」(2017)
フランギス・ヌルラ=ホーヤ(b.1972):「Se…」(2018)
ウメ・デュオ【カロリーナ・エーマン(Vc) 、エリカ・エーマン(Perc)】

録音:2019年8月
スウェーデンのウメオ出身のチェロと打楽器による姉妹のユニット、ウメ・デュオは2008 年に結成され、以来ヨーロッパを中心に活動を行っています。チェロと打楽器の二重奏と いうありそうでなかった編成のための新作を意欲的に委嘱し、近年注目されています。この ディスクでは比較的若い世代を中心にフランス、スウェーデン、中国と国籍の異なる作曲 家の個性的な作品が聴ける。西ヨーロッパの前衛アカデミズムの枠にとらわれないユニ ークな作品が多く、一聴に値する。
NEOS-1220304(2CD)
クラウス・フーバー:声楽作品集
(1)Oratio Mechtildis(アルト声部を伴うチェンバー・オーケストラのための室内交響曲)(1957)
(2)Umkehr - im Licht sein …(合唱、メゾ・ソプラノ、語りてとスモール・オーケストラのためのディプティク)(第2版、1997)
(3)Das kleine Lied(アルト声部とヴィオラのためのトゥー・タイムズ・セヴン・デュエッツ)(1955)
(4)Ein Hauch von Unzeit(ヴォイスとアコーディオンのためのヴァージョン)(1972/76/87)
(5)Nous!? - La raison du coeur …(アルト声部のための)(2008)
カタリーナ・リクス(A)
(6)Intarsioso(フォルテピアノ、弦楽四重奏とアルト声部のための)(2009)
(1)カタリーナ・リクス(A)、ドイツ放送フィルハーモニー、ブラッド・ラブマン(指)
録音:2015年5月17日(ライヴ録音)
(2)カタリーナ・リクス(Ms)、クリストフ・ヴェルクハウゼン(語り手)、ハンガリー放送cho、フランクフルトRSO、ルーカス・フィス(指)
録音:1997年10月12日(世界初演のライヴ録音)
(3)カタリーナ・リクス(A)、マリアーナ・ダウティ(Va)
録音:2021年5月19-20日
(4)カタリーナ・リクス(Ms)、フーゴー・ノート(アコーディオン)
録音:1997年6月7日
(5)カタリーナ・リクス(A)
録音:2008年5月17日(世界初演のライヴ録音)
(6)カタリーナ・リクス(A)、ジャン=ジャック・ドゥンキ(フォルテピアノ)、アルディッティQ
録音:2009年8月29日(世界初演のライヴ録音)
クラウス・フーバー(1924-2017)の声楽作品の世界初録音音源を集めた2枚組。本作は、フーバーとその娘であるカタリーナ・リクスとの特別な芸術的パートナーシップの記録でもあります。彼女が父親から強い影響を受けたのと同じように、彼女の声はここに収録された作品の多くにインスピレーションを与えています。フーバーの音楽を歌うには、非常に正確な耳とリズムの確保、そして解釈における寛容さが必要だと彼女は述べています。
本作の中で最も重要な作品「Umkehr - im Licht sein ...」は、1997年に作曲され、1990年代後半の創作活動におけるマイルストーンとなりました。「Oratio Mechtildis」は古典的な形式や楽器編成に対するフーバーの自由なアプローチが特徴的な作品。2枚目は声楽を含む室内楽編成の作品が収録されており、フーバー最後の作品であるフォルテピアノ、弦楽四重奏とアルトのための「Intarsioso」で締めくくられます。
NEOS-12005
ヴェルナー・ハイダー(b.1930)作品集
(1)「尖った山」(1997)〜ピアノのための
(2)「6 つの機能」(2017) 〜弦楽三重奏のための
(3)クラリネット五重奏曲(2015)〜クラリネットと弦楽四重奏のための
(4)「建築」(2004)
(1)ヴェルナー・ハイダー(P)
(2)トリオ・プラス
(3)アドリアン・クラーマー(Cl)
ミュンヘン・アカデミー四重奏団
(4)ペーター・エトヴェシュ(指)
バイエルンRSO

録音:(1)2012 年2 月5 日フュルト、(2)2018年12月10日ニュルンベルグ、(3)2018年3月5日ノイマルクト・オーバープファルツ、(4)2006年1月26日ミュンヘン・ヘラクレスザール
2020年、90 歳を迎えるドイツの作曲家ハイダーの近作を含む作品集。ハイダーはミュンヘ ン音楽大学で学び、バイエルン放送局に勤務に傍ら多くの作品を発表した。セリエリズ ムからクラスター、自由な無調まで幅広い技法を駆使した作風で知られます。ペーター・エ トヴェシュが指揮した大オーケストラのための「アーキテクチュア」のダイナミックな音響の 推移は聴きもの。
NEOS-12206
「モザイク」〜イランの音波の視点
セイエド・シナ・サデグポア(b.1977):ソプラノと混合アンサンブルのための室内楽作品集

(1)「アヴァズI」(2015) 〜Sop, Hrp, Hr, ワイン・ボトルのための
(2)「リラ」(2013)〜Sop, バスCl のための
(3)「ドゥルファラク」(2012) 〜プリペアド・ピアノのための
(4)「ファーシュ」(2017)〜2Hr, Trp, Trb, タール, ウード, トンバク, Vc, 2Sop のための
(5)-(14)「ゼンダニエ・ヴァゼーハ」(2012) 〜Sop, Trb, Vc, Pf, Perc のための
(15)「チャハルガー」(2008) 〜チェロとプリペアド・ピアノのための
(16)「アヴァズII」(2016) 〜Hrp, Hr, Cl, 話し声, ワイン・ボトルのための
(17)「デラクテ・シブ」(2019) 〜Hrp, Vc, サイド・ドラム, クロタル, Sop のための
ガラレー・バジリザデー (S)
サイエー・ソデイフィ (S)
アザデー・アミリ(タール)
ダナ・バラク(Cl)
ザビーネ・ブッフマン(Vc)、
カルロ・アイゼンマン(Trb)
ヘンリケ・ゲニーザー(Trp)
ミヒャエル・ホフマン(Hrn)
エヴェレット・ホプフナー(P)
サスキア・クリーマン(Perc)
チン=ティン・ルー(Hrn)
マリヤム・モラ(トンバク)
マルティン・シュマルツ(P)
レア・ヴィルツ(Hrp)
レイラ・ザヒレディニ(ウード)

録音:2012年12月14日フランクフルト、2020年3月7日フランクフルト、2020年8月31日テヘラン
セイエド・シナ・サデグポアはイラン出身の作曲家で現在、フランクフルトとテヘランで活動しています。当初、母国のテヘラン 音楽院でクラリネットを学び、地元のRSOで奏者として活動していたが、作曲に転向、フランクフルト大学でセヴェ ン・ヴァン・デ・キップに作曲を学んだ。彼の作風はイランの伝統音楽の要素とヨーロッパ前衛音楽を融合しようとするもので全 体に調性的、旋法的な響きと、ゆったりした静かな旋律が支配するリリカルなもの。イランの伝統楽器ウード(リュート属の撥弦 楽器)、トンバク(皮製膜質打楽器)にプリペアド・ピアノ、さらにはワインの瓶そして西洋の楽器、声楽が加わり、ワールド・ミュー ジック系の実験音楽といった趣きの音楽が展開する。
NEOS-1220910(2CD)
ニコラウス・A・フーバー:作品集
(1)Angel Dust(トロンボーンとアコーディオンのための)(2007/08)
(2)Blanco y Verde(フルートとクラリネットのための)(2018)
(3)Ohne Holderlin(コントラバスとピアノのための)(1992)
(4)En face d’en face(ラージ・オーケストラとテープのための)(1994)
(5)ALGOL(AIONのためのポストリュ―ド)(エア・ドローイングとジューズ・ハープを伴うピアノのための)(2019)
(6)Rose Selavy(アンサンブルとテープのための)(2000)
(7)AION(4チャンネル・テープと匂いのための)(1968)
(1)マイク・スヴォボダ(Tb)、シュテファン・フッソング(アコーディオン)
録音:2009年12月15日(世界初演のライヴ録音)
(2)エーリク・ドレッシャー(Fl)、マティアス・バットション(Cl)
録音:2019年9月6日(ライヴ)
(3)文屋充徳(Cb)、キャサリン・ヴィッカーズ(P)
録音:2001年6月21日
(4)フランクフルトRSO、フリードリヒ・ゴルトマン(指)
録音:1998年2月20日
(5)キャサリン・ヴィッカーズ(P)
録音:2021年7月8-9日
(6)ムジークファブリーク、ジャック・メルシエ(指)
録音:2001年3月3日(世界初演のライヴ録音)
(7)WDR電子音楽スタジオ
録音:1972年3月27日
シュトックハウゼンやノーノに師事したドイツの作曲家ニコラウス・A・フーバー(1939-)が50年以上にわたって作曲した作品の数々を世界初録音で収めた、充実の2枚組!各作品は1968年から2019年の間に書かれたもので、純粋な電子音楽である「AION」から、ピアノ、二重奏、アンサンブルのための音楽、そして大オーケストラとテープのための「En face d'enface」まで、多岐にわたっています。「作曲するときはいつも聴き手のことを考える」「私自身が最初の、そして繰り返し聴くリスナーである」と語るフーバー。ブックレットの作品紹介からは、彼の視覚芸術、文学、自然科学、哲学、つまり人間と社会に対する幅広い関心が伺え、彼の音楽からは、これらの外的な影響をいかに豊かな想像力で作曲のプロセスに転換しているかが伺えます。
NEOS-12211
マーリン・ボン:管弦楽作品集

(1)avgar, pagar(シンフォニー・オーケストラのための)(2014)*
(2)ripost(シンフォニー・オーケストラを伴うアンプリファイド・コントラバスとアンプリファイド・オブジェクトのための)(2015)*
(3)splinters of ebullient rebellion(シンフォニー・オーケストラのための)(2017/2018)
(4)irimi(シンフォニエッタのための)(2012)*
(1)ケルンWDRSO、イラン・ヴォルコフ(指)
録音:2016年1月29日(ライヴ)
(2)ウリ・フッセネッガー(Cb)、ヨニー・アクセルソン(パーカッション)、南西ドイツRSO、ペーター・ルンデル(指)
録音:2015年11月14日(ライヴ)
(3)南西ドイツRSO、パスカル・ロフェ(指)
録音:2018年10月25日(ライヴ)
(4)クラングフォルム・ウィーン、エンノ・ポッペ(指)
録音:2013年2月9日(ライヴ)

*=世界初録音
ドナウエッシンゲン音楽祭での受賞歴があるスウェーデンの作曲家、マーリン・ボン(1974-)の管弦楽作品集。彼女はクラシックの楽器の音に関する一般的な概念にとらわれることなく、常にその境界線を押し広げるように作曲を行っています。政治や集団と個人の関係をオーケストラで描いた「splinters of ebullient rebellion」は、ドナウエッシンゲン音楽祭のオーケストラ賞(2018)と、スウェーデンの音楽賞、クライスト・ジョンソン賞(2020)を受賞しました。大規模なアンサンブルのための「irimi」は、演奏者のさまざまな体の動きと、楽器の素材に着目したユニークな作品。都市の生活や音も彼女の重要なインスピレーション源であり、ヘルムート・ラッヘンマンの誕生祝いのための書かれた「ripost」では、オーケストラが表現する騒々しい大都市のトンネルを2人のソリスト(コントラバスと打楽器)に探索させ、「avgar, pagar」では彼女の故郷であるヨーテボリのサウンドの表現を試みています。
NEOS-12212
ウィリアム・ブランク:室内楽作品集
ウィリアム・ブランク(b.1957):Flow(オーボエ、トランペット、ハープ、ヴァイオリンとチェロのための)(2008)
OPHRYS(フルートとスモール・アンサンブルのための)(2019)
Refrain II(アンプリファイド・ハープ、ピアノと2人のパーカッショニストのための(2015)
(a)round(アルト・サクソフォンと7つの楽器のための)
コレギウム・ノヴム・チューリヒ、pre-art ソロイスツ、ボリス・プレヴィシッチ(ソロ・フルート)、
ザシャ・アルムブルスター(ソロ・サクソフォン)

録音:2021年&2022年、スイス
スイスの作曲家ウィリアム・ブランクによって2008年〜2019年にかけて書かれた室内楽作品集。親密さ、プライバシー、独奏楽器間の活発な相互作用。打楽器奏者としてキャリアをスタートさせ、オーケストラ活動に加え、様々なオリジナル編成で演奏し、ローザンヌ音楽大学で数十年にわたり教えてきたウィリアム・ブレイクの音楽活動の中で中心的な位置を占める室内楽を見つめ直すアルバムです。
NEOS-12215
ヘルヒェンレーダー:フルートと弦楽器のための作品集
マルティン・ヘルヒェンレーダー(b.1961):Rubaiyat(フルートとピアノのための)(2020)
Terzattacke(フルートのための)(2009)/Waves(フルートとオルガンのための)(2022)
The Tempest〜ウィリアム・シェイクスピアによるイマジナリー・シアター(フルートとギターのための)(1992)
Greek Blessing(ギターのための)(2013)/Sekundenschlaf(アルト・フルートのための)(2013)
Orion(Vcとオルガンのための)
弦楽四重奏曲第1番 「詩と変奏」(2001/2006)
フリードリヒ・ガウヴェルキ(Vc)、
マルティン・ヘルヒェンレーダー(オルガン&ピアノ)、
カリン・レヴァイン(Fl)、
ユルゲン・ルック(G)、
クス・クァルテット

録音:2021年&2022年、ドイツ
フリードリヒ・ガウヴェルキ(Vc)、マルティン・ヘルヒェンレーダー(オルガン&ピアノ)、カリン・レヴァイン(Fl)、ユルゲン・ルック(G)、クス・クァルテット
NEOS-12216
ペーター・ルジツカ:管弦楽作品集 Vol.4
1-2. アンティフォネ ― ストローフェ(25のソロ弦楽器とパーカッションのための)(1970)
3-10.日は沈む(バリトンとオーケストラのためのフリードリヒ・ニーチェの断片による8つの歌(1997-2007)
11-15. 5つの断片(ラージ・オーケストラのための)(1984-1987)
16-19. 接近と沈黙(Pと42の弦楽のためのシューマンの4つの断片)(1981)
20. サティヤーグラハ。接近と距離(オーケストラのための)(1984)
ペーター・ルジツカ(指)、
NDRエルプPO(1-10)、
ベルリン・ドイツSO(11-20)、
ディートリヒ・ヘンシェル(バリトン/3-10)、
デイヴィッド・レヴィン(P/16-19)

録音:1986年10月22日、1987年4月13日-15日、1988年5月22日、ベルリン・イエス・キリスト教会(11-20)
2007年8月24日-25日、NDRスタジオ10(3-10)、
2008年10月24日、NDRスタジオ10(1-2)
ハンブルク州立歌劇場、ハンブルクPO、ザルツブルク音楽祭のディレクターを務め、ハンブルク音楽演劇大学の教授でもあるドイツの重鎮作曲家&指揮者、ペーター・ルジツカ(b.1948)のオーケストラ作品集第4作目。
シリーズ第4巻は、ルジツカの若き日の作品(1970年、22歳の時に書かれた「アンティフォネ ― ストローフェ」)の世界初録音から始まり、作曲家、指揮者、芸術監督として現在国際的な音楽シーンでもっとも重要かつ影響力のある人物の一人であるルジツカの初期の創作段階を知ることができます。
トラック11〜20までの3作品は、ベルリンRSO(現 ベルリン・ドイツSO)のために作曲されたもので、作曲者の指揮のもと、ベルリンRSOによって録音されていた1980年代の音源が収録されています。歌曲集「日は沈む」は、フリードリヒ・ニーチェの断片に基づくもので、プログラムの中で唯一特別な位置を占める声楽作品です。この作品は1997年にピアノ曲集として構想され、2007年に声楽とオーケストラ用に拡張して完成しました。いずれも、ルジツカの鋭い感性と幅広い芸術・文化への造詣が伺える佳作が並びます。
NEOS-12217
MCMGと現代作曲家による作品集
MCMG & ユリア・ヴァーレン(b.1968):くしゃみ(アンサンブルとヴォイスのための)(2020)
ミヒャエル・エマヌエル・バウアー(b.1974):HUNGER:FADEN(ライヴエレクトロニクスとピアノを伴うヴォイス、フルートのための)(2021)
ヤセル・ムニョス(b.1996)、MCMG & ユリア・ヴァーレン:ANHELO DE MALECON*(アンサンブルとサウンドスケープのための)(20021)
MCMG:フォロワーからインフルエンサーへ(アンサンブルとライヴ・エレクトロニクスのための)(2022)
MCMG & ユリア・ヴァーレン:LOLOOP FOR JOHN DONNE(アンサンブル、ループ、ライヴ・エレクトロニクスとヴォイスのための)(2020)、
 ESPERO**(アンサンブル、ヴォイスとサウンドスケープのための)(2021)
MCMG:CORONAVERSE #2(アンサンブルとサウンドスケープのための)(2022)
MCMG、ユリア・ヴァーレン(ヴォイス)、
ヤセル・ムニョス(Fl)*、
ペペ・ガビロンド(スピーカー)**

録音:2022年4月21日-22日
アンサンブルMCMG〔ミュンヘン現代音楽グループ(Munich Contemporary Music Group)〕は2017年に設立されフルート、クラリネット、サックス、コントラバス、ピアノを中心とした編成(エレキベースや電子楽器も含む)で構成され、幅広いジャンルのアーティストと共演し数々の世界初演を行っています。またジョージアの有名な音楽祭「トビリシ現代音楽の夕べ」ではその実験的なプログラムで好評を博しています。
このアルバムにはコロナ禍の作品が多数含まれており、その中の一曲である「ANHELO DE MALECON」ではフルート奏者のユリア・ヴァーレンがヴァーチャル・ゲストといった形で参加し、2021年にハバナの路上で録音された音源が使われており市中の騒めきもそのまま収録されておりパンデミック後の様子をリアルに捉えています。
NEOS-12227
ヴォールハウザー・エディション Vol.9
ルネ・ヴォールハウザー(b.1954):Aus der Tiefe der Zeit(ソプラノ、バリトン、フルート、クラリネット、ヴァイオリンとチェロのためのアンサンブル・ヴァージョン)(2019)
Duo fur Klarinette und Klavier(第2ヴァージョン)(2014/2018)
Miramsobale(ソプラノとヴァイオリンのための)(2019)
ヴァイオリンとピアノのための二重奏曲第2番(2019)
ピアノ三重奏曲第1番 「Im Tempo der Wahrnehmung」(Vn、チェロとピアノのための)(2019)
フルートとチェロのための二重奏曲第1番(2019)/Krahenhauber(ソプラノ、バリトンとパーカッションのための)(2019)
Mochlan(ソプラノとバリトンのための(2020)
アンサンブル・ポリソノ、エリア・ザイフェルト(Vn)、
ルネ・ヴォールハウザー(P)、
デュオ・シモルカ=ヴォールハウザー

録音:2019年&2020年、スイス
Neosから9枚目となるヴォールハウザーの作品集で、今回も様々な編成のアンサンブル作品(2018〜2020年頃の作品)を選んで収録。
1954年スイス出身のルネ・ヴォールハウザーは幅広いスタイルを持つ多才な音楽家でこれまでに1500以上の作品(室内楽、オーケストラ、舞台作品)を含む膨大な作品を生み出してきました。ロック、ジャズ・ミュージシャン、即興演奏家、歌曲伴奏者、アンサンブル・ポリソノの創設者兼芸術監督としての長い経験が、現代音楽の作曲家としての本業に結びついています。
指揮者、作曲家の他にバリトン歌手、ピアニストとしても現役で、今回の録音でもピアノ&バリトンで自身も参加しており、テキストもヴォールハウザーの詩を用いています。

NEOS-20801
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番(ピアノ4手版)
シューベルト:ソナタ ハ長調D812《グラン・デュオ》
グラウ・シューマッハー・ピアノ・デュオ(P)、

録音:2005年
シューベルトは清廉潔白な出来栄え。で、ショスタコーヴィチの交響曲第5番をピアノ四手で弾いて面白いのか?と思いきや、実はこれ、作曲者本人によるヴァージョン。ショスタコーヴィチは自作の交響曲を必ずピアノ4手に編曲し初演前に友人と弾いたと言われており、これもそうした際に作成された版と思われます。
NEOS-20802(1SACD)
「コスモス」
クラム:セレスチャル・メカニクス(マクロコスモスW)より(2曲)
クルターク:ヤテコクより(3曲)
シュトックハウゼン:黄道十二宮より(2曲)
バルトーク:ミクロコスモスより(3曲)
エトヴェシュ:コスモス(2台のピアノ版)
バルトーク:ミクロコスモスより(4曲)
シュトックハウゼン:黄道十二宮より(2曲)
クルターク:ヤテコクより(3曲)
クラム:セレスチャル・メカニクス(マクロコスモスW)より
グラウ・シューマッハー・ピアノ・デュオ(P)

録音:2007年
選曲と配列がユニーク。エトヴェシュのコスモスを中心にシンメトリックに作品集が並べられていますが、演奏されている曲は同じ作品集のなかから別の曲が演奏されており、ヴァラエティに富んでいます。グラウシューマッハー・デュオはクラシックから現代音楽まで幅広くこなす当レーベルお馴染みのデュオ・グループ。
NEOS-20803(1SACD)
悲愴〜ユン=ベートーヴェン=ユン
尹伊桑(ユン・イサン):小陽陰(1968/1996)
 5つの小品(1958)
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」
尹伊桑:間奏曲A
韓 伽.(ハン・カヤ)(P)

録音:2008年3月1〜5日
日本生まれで現在はドイツで活躍、カールスルーエ音楽大学の教授でもあるハン・カヤの2008年の新録音。作曲家から絶大な信頼を得ていたハン・カヤのユン作品の決定的演奏。陰気な現代的サウンドのユン作品の間にベートーヴェンの「悲愴ソナタ」を持ってきた大胆なプログラムで、録音の少ないハン・カヤの充実した演奏です。
NEOS-20805(1SACD)
ドビュッシー&ストラヴィンスキー:4手ピアノ作品集
ドビュッシー:白と黒で
ストラヴィンスキー:2台のピアノのためのソナタ
ドビュッシー:6つの古代の墓碑銘
ストラヴィンスキー
:春の祭典(4手ピアノ版)
グラウ・シューマッハー・ピアノ・デュオ(P)

録音:2006年11月
同時代を生きた二人の盟友の4手のためのピアノ作品を集めた。春の祭典は最近のファジル・サイ編曲版がよく知られているが、こちらは作曲者自身による版。現代音楽を得意とするシューマッハーとグラウの精妙な演奏で聴かせます。
NEOS-20807(2CD)
フンメル:ディアベリのワルツによる33の変奏曲、
ベートーヴェン:ディアベリのワルツによる33の変奏曲
カルメン・ピアッツィーニ(P)

録音:2007年
ドイツの現代作曲家フンメルがベートーヴェンの有名なディアベリ変奏曲と同じ主題で作曲し、本家本元(?) ベートーヴェンのディアベリとカップリングした好企画アルバム。ディアベリ変奏曲は1819年に作曲家で出版業者だったアントニオ・ディアベリが当時有名だった作曲家たちに自分の主題で変奏曲を書かせたのがことの起こりで、ベートーヴェンもその作曲家の一人だったのだが、当初はあまり乗り気ではなかったそうです。とはいえ、どこか思うところがあったのでしょう、突如作曲を始め、結果的に50分からなるベートーヴェン晩年の大作となりました。一方フンメルは幼少時よりエリー・ナイ、クナッパーツブッシュなどから、その才能を高く評価され、交響楽、オペラなど多くの作品を手がけている。NEOS-レーベルのイメージからディアベリの主題を、さぞ前衛的で破天荒に料理するのかと思いきや、実際、そういう部分もあるにはあるのですが、ジャズっぽいスウィンギーな部分があったり、クラシカルな部分もありと、各変奏ごとに様々なスタイルを試みており、そういう所がどこかフリードリッヒ・グルダの作品を思わせます。ピアッツィーニはブエノスアイレス出身で古典から歌曲伴奏、現代曲までこなすマルチ・ピアニスト。その経験がフンメル版ディアベリでも大いに生かされています。
NEOS-20901
コンチェルティT
モーツァルト:2台のピアノのための協奏曲変ホ長調(第10番)KV.365(第1楽章と第3楽章のカデンツァ:バルトーク版による)*
リスト:2台のピアノのための「悲愴協奏曲」S.258
バルトーク:2台のピアノ,打楽器と管弦楽のための協奏曲#
グラウ・シューマッハー・ピアノ・デュオ(P)、
フランツ・シンドルベック&ヤン・シュリヒテ(Perc)#、
ルーベン・ガザリアン(指)ベルリン・ドイツSO*#

録音:2009年
ハンガリー、リスト、バルトークをキーワードとしたアルバム。バルトークによるモーツァルトの2台のピアノと管弦楽のための協奏曲のカデンツァはモーツァルトらしさを尊重しながらもダイナミックで華麗なピアニズムが印象的。バルトークの協奏曲は圧巻。
NEOS-20902(1SACD)
リスト:十字架の道行〜合唱&独唱と4手ピアノのための、
ヨンギー・パク=パーン(朴泳姫,b.1945):《ヴィデ・ドミネ、ヴィデ・アフリクティオネム・ノストラム》(2007)〜無伴奏混声合唱のための(世界初録音)*
ルペルト・フーバー(指)WDRケルン放送cho、
グラウ・シューマッハー・ピアノ・デュオ(P)、
H.マルティーニ(Br)、F.ゲリーセン(B)、ほか、B.ボルボヌス(S)*、M.フランケ(T)*、ほか

録音:2008年
リストのあまり演奏されることのない宗教曲と韓国の女性作曲家でクラウス・フーバー夫人でもあるパク=パーンの異色のカップリング。NEOS-ではお馴染みのアーティストたちによる演奏。
NEOS-20903
トランスクリプションズ
バッハ:《主よ人の望みの喜びよ》(マイラ・ヘス編)
ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲(作曲者編)
サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソ(ドビュッシー編)
モーツァルト:《魔笛》序曲(ブゾーニ編)
ワーグナー:《トリスタンとイゾルデ》前奏曲(レーガー編)
ラフマニノフ:ヴォカリーズ(ヴィクトル・バビン編)
チャイコフスキー:ワルツ〜白鳥の湖より(ヴィクトル・バビン編)
ラヴェル:ボレロ(作曲者編)
グラウ・シューマッハー・ピアノ・デュオ

録音:2008年12月
これまでも「春の祭典」、「ショスタコーヴィチの交響曲第5番」の編曲ものやクラム、シュットックハウゼンなど異色の作品を録音してきたグラウシューマッハー・ピアノ・デュオは今回、とことんリラックスできるアルバムを作りました。オーケストラをピアノでやって何が面白いの?という方、これを聴いたら意見が変わります。編曲は作曲者自身やそれぞれ由緒正しいヴァージョンを採用、なによりこのデュオの透き通った音色が聴き手の心を鎮め、まるで波ひとつない湖面のような心境へと導いてくれます。おやすみ前にはバッハ、ドビュッシー、お目覚めにはサン=サーンス、モーツァルトなどがお薦め。最高級のBGMとしてお楽しみ頂けます。
NEOS-20904
(1SACD+DVD)
「ヴィルトゥオーゾ」
マティアス・ミュラー(b.1966):クラリネット協奏曲
ロッシーニ:アンダンテと変奏曲(1829)
ストラヴィンスキー:クラリネットのための3つの小品
マティアス・ミュラー:6つの演奏会用エチュード
パガニーニ:無窮動

◆ボーナスDVD:NTSC・PAL
マティアス・ミュラー:6つの演奏会用エチュード、
シュトックハウゼン:小さなハーレキン
マティアス・ミュラー(Cl)、
デヴィッド・フィリップ・ヘフティ(指)アンサンブル・ゼロ

録音:2009年
マティアス・ミュラーはバーゼル音楽院で学び、作曲家としても活動しています。自作自演のクラリネット協奏曲は新ロマン主義風の親しみやすい曲でドビュッシーのラプソディに似たところもあります。ロッシーニでは朗々とした旋律の歌いまわし、ストラヴィンスキー、パガニーニでの冴えた技巧も特筆もの。ボーナスDVDはご丁寧にPALとNTSCの両仕様がついています。
NEOS-20905
「コンチェルト」
ボリス・チャイコフスキー:クラリネット協奏曲
ドビュッシー:ラプソディ第1番
ドビュッシー:小品〜マティアス・ミュラーによるクラリネットと管弦楽の編曲版
ウェーバー:クラリネット協奏曲第2番
マティアス・ミュラー(Cl)、
ミシャ・ドメフ(指)モスクワ・チャイコフスキーSO
(モスクワ放送SO)

録音:1998年10月モスクワ
ボリス・チャイコフスキーのクラリネット協奏曲が聴きもの。大作ではないもののショスタコーヴィチの影響を感じさせつつ豊かな旋律と華やかな効果にあふれています。クラリネット版牧神の午後ともいうべきドビュッシーの第1ラプソディの恍惚としたロング・トーン、ウェーバーの溌剌としたカンタービレなど聴きどころ満載。

NEOS-21102
ドメニコ・スカルラッティと現代のハープシコード音楽
D.スカルラッティ:ソナタ ヘ長調K.205
 ソナタ ヘ長調K.296
イ・サン・ユン(1917-1995):Shao yang Yin
D.スカルラッティ:ソナタ イ長調K.114
R・シュトラウス:「カプリチオ」からの組曲
D.スカルラッティ:ソナタ ニ短調K.516
 ソナタ ニ短調K.517
ユッカ・ティエンスー(b.1948):ハープシコードのための練習曲
D.スカルラッティ:ソナタ ハ短調K.115
ミナス・ボルボウダキス(b.1974):ピカソへの14 のオマージュ
アンドレアス・スコウラス(Cemb)

録音:2009年1月、62:13
ドメニコ・スカルラッティの雅やかなソナタを間に挟みつつ 20〜21 世紀のハープシコード 作品を収録し、ハープシコードの表現の幅広さと今後の可能性に思いを巡らす一枚。アンド レアス・スコウラスはギリシャ出身のピアニスト、ハープシコード奏者。ギドン・クレーメルのロッ ケンハウス音楽祭を始め、多くの音楽祭に参加、ピアノのソリストとしてアンサンブル・アンテ ルコンタンポラン、イギリス室内管などと多数共演している。レパートリーはこのディスクにも収 録されている通り、バロックから現代まで幅広く、近年ではJ.S.バッハの平均律クラヴィーア曲 集、フーガの技法、モーツァルト、ハイドンのピアノ・ソナタの演奏と録音が注目されている。
NEOS-21301
コントラバスのためのバロック音楽と現代音楽作品
(1)ヴィヴァルディ:チェロ・ソナタ第5番ホ短調(コントラバス編曲版)
(2)フィリップ・グラス:ファサード(4本のコントラバスとチェンバロとピアノのための編曲版)
(3)J.S.バッハ:ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ第2番ニ長調(コントラバスのための編曲版)
(4)アルヴォ・ペルト:鏡の中の鏡(コントラバス編曲版)
(5)ミシェル・コレット(1707-95):4本のバス・ヴィオールと通奏低音のための協奏曲ニ長調「不死鳥」
(6)ジュリアン=フランソワ・ツビンデン(b.1917):J.S.バッハへのオマージュ
(7)ヘンデル(1685-1759):2つのヴァイオリンと通奏低音のためのトリオ・ソナタ ト短調(2本のコントラバスと通奏低音のための編曲版)
クリスティーネ・フック(Cb)、
(1)(2)(5)(7)トーマス・マルティン(Cb)
(2)(5)(7)トーマス・ヤウフ(Cb)
(2)(5)シュテファン・バウアー(Cb)
(1)(2)(3)(5)(7)フローリアン・ビルサック(Cemb)
(2)(4)バーバラ・ヌスバウム(P)

録音:2012年2月
ダブル・ベースによるバロックと現代音楽をカップリングしたユニークなアルバム。 グラスの「ファサード」はグラスの初期のアルバム「グラス・ワーク」に収録されている彼の代表作。ペルトの「鏡の中の鏡」も原作を損なうことなく、美しく編曲、演奏されている。クリスティーネ・フオークはドイツ・マインツ出身の演奏家で現代音楽のみならず、ジャズの分野でも活動しています。これまでにルツェルン音楽祭、ザルツブルク音楽祭など世界的な音楽祭に多数出演しています。
NEOS-21302
コンチェルティU
リスト:2台のピアノと管弦楽のための「悲愴」協奏曲(1865)(シュテファン・ホイツケによる編曲
と新しいカデンツァ版,2008)
バッハ:2台のピアノのための協奏曲ハ長調BWV1061*
ストラヴィンスキー:2台のピアノ協奏曲(1935)
グラウシューマッハー・ピアノ・デュオ
【アンドレアス・グラウ&ゲッツ・シュー
マッハー(P)】
マーティン・ブラビンズ(指)ベルリン・ドイツSO*

録音:2011年11-12月
グラウシューマッハー・デュオの久々の協奏曲集第2弾。(第1集はバルトーくのカデンツァを使用したモーツァルト、2台ピアノ版のリスト:悲愴協奏曲、バルトーク;NEOS-20901) リストの「悲愴」協奏曲は元々2 台ピアノのための作品(それも元は独奏曲であったものからの編曲)を21 世紀になって管弦楽の伴奏を付加して新たに蘇らせた珍曲。リストでは考えられない管弦楽法もさることながらリストの様式を踏まえつつクラスターを含む現代的な新た書き加えられたカデンツァも聴き所。ストラヴィンスキーの協奏曲は新古典主義時代の作品で今日聴くとポスト・ミニマルを思わせる大変ポップでお洒落な佳品。これまで作曲者の自作自演かラベック姉妹くらいしかなかった録音に今回、決定盤が現れました。
NEOS-21303(2CD)
ドビュッシー:前奏曲集(全2巻) ギレアド・ミショリ(P)

録音:2012年7月
ギレアド・ミショリは1960 年エルサレム出身で日本へも度々訪れソロや室内楽のコンサートを開き、ファンも多い。作曲家でもあり当 NEOS-レーベルから室内楽作品集も発売になっている(NEOS11022)。ミショリはヤナーチェクのピアノ付き室内楽の全曲を世界で初めて録音したことでも知られる。印象派、近現代作品は彼の最も得意とするレパートリーで、この前奏曲全集でもペダルを控えつつ、透明感のある解像度の高い現代的なドビュッシーに仕上げている。
NEOS-21306
ローリー・アルトマン、コルンゴルト、シェーンベルクの音楽
ローリー・アルトマン(b.1944):「俺と一緒に踊りに来いよ」七重奏版(2006/2013)
「デュークのための3」(2011)〜弦楽四重奏のための
「戦時に」(2009)〜弦楽四重奏のための
「ガストロノミー」(2012)〜弦楽四重奏,ナレーター,ピアノ,クラリネットとヴィブラフォンのための
「シェーンベルクのOp.19 によるファンタジー」(2012)〜弦楽四重奏のための
シェーンベルク:ピアノのための6 つの小品Op.19(1911)
コルンゴルト:ピアノ五重奏曲(1920-23)
プラットフォーム K+Kウィーン

録音:2013年
ローリー・アルトマンはニューヨーク出身の作曲家でジャズ・ピアニストとしても活躍している。彼の作品はいずれもジャズのテイストとクラシック、現代音楽が程よく結びついた都会的でお洒落な内容。弦楽四重奏のための「デュークのための 3」はデューク・エリントンの名曲に基づいた自由なパラフレーズでクロノス Q が喜んで演奏しそうな佳曲。その一方で「ガストロノミー」「シェーンベルクによるファンタジー」では12 音技法の厳しい表現を見せる。シェーンベルクのOp.19 の終曲はマーラーの死後一ヶ月後に書かれマーラーの第9 交響曲の響きが鐘の音のように反響する繊細な小品。最後のコルンゴルトは後期ロマン派の抒情を時代の潮流に抗うように謳いあげた大作。

NEOS-21501
「ファンタジア」〜連弾のための作品集
パーセル(クルターク編):1 つの音の上のファンタジア(1 台4 手連弾)
モーツァルト(ブゾーニ編):自動オルガンのための幻想曲K.608(2 台ピアノ)
シューベルト:幻想曲 ヘ短調 D940(1 台4 手連弾)
スクリャービン:2 台ピアノのための幻想曲(2 台ピアノ)
ラフマニノフ:幻想曲Op.5(組曲第1番)(2台ピアノ)
グラウシューマッハー・ピアノ・デュオ

録音:2014年12月8〜11日
グラウシューマッハー・ピアノ・デュオはアンドレアス・グラウとゲッツ・シュマッハーによるコンビで、ピアノ連弾(1 台 4 手、2 台ピアノ)による現代曲の紹介を積極的に行っており、10 枚以上のアルバムをリリースしています。世界有数のピアノ・デュオによる最新作は「幻想曲」をテーマに作品をセレクト。 ラフマニノフの“幻想曲 Op.5”は 4 曲から成り、詩からインスピレーションを得て作曲されたもの。4 曲それぞれに引用された詩の個性が浮き彫りにされ、ラフマニノフらしい抒情が溢れ出た名曲です。シューベルトの“幻想曲 ヘ短調 D940”は、シューベルトが亡くなった1828 年に作曲された切ない美しさを湛えた最晩年の名作。
NEOS-21601
アイネイアースへ
クレメンティ(1752-1832):「捨てられたディ
ドーネ」Op.50 No.3
ギリアード・ミショリ(1960-):アイネイアースへ
タルティーニ:ヴァイオリン・ソナタ「捨てられたディド」(ミショリ編曲ピアノ版)
ギレアド・ミショリ(P)

録音:2016年3月20日-22日
トロイア陥落後の英雄アイネイアースの放浪と、カルタゴの女王ディドーネとの悲恋。アイネイアースとの別れを悲しみ火に身を投じてしまうディドーネ。この悲劇の物語を題材に描かれたクレメンティとタルティーニの作品に、自作曲を収録したアルバム。悲しみの情感が豊かな創造力を掻き立ててくれます。タルティーニの「捨てられたディド」のオリジナルはヴァイオリンとピアノ版をミショリがピアノ独奏版に編曲。ギリアード・ミショリはフライブルク音楽大学の教授も務めています。
NEOS-21602(17CD)
ハインリヒ・シフを讃えて

■CD1
(1)バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番BWV1007*
(2)バッハ:無伴奏チェロ組曲第4番BWV1010
(3)バッハ:無伴奏チェロ組曲第5番BWV1011
(4)フランチェスコ・ジェミニアーニ(1680-1762):チェロと通奏低音のためのソナタOp.5-Nr.6
(5)ヴィヴァルディ:チェロ協奏曲RV424

■CD2
ベートーヴェン:作品集
(1)魔笛の主題による12の変奏曲Op.66
(2)ウェールズとアイルランドの歌WoO155〜
Nr25、26、WoO152-Nr1、3、4、
(3)チェロ・ソナタ第3番Op.69*
(4)チェロ・ソナタ第5番Op.102-2
ハインリヒ・シフ

■CD3
ベートーヴェン:作品集
(1)交響曲第5番Op.67*
(2)ヴァイオリン協奏曲Op.61*

■CD4
モーツァルト:作品集
(1)交響曲第36番《リンツ》KV425*
(2)交響曲第40番KV550
(3)ヴァイオリンと管弦楽のためのロンドハ長調KV373

■CD5
シューマン:作品集
(1)チェロ協奏曲Op129
(2)チェロとピアノのためのアダージョとアレグロ
(3)チェロとピアノのための幻想小曲集Op.73
(4)交響曲第2番*

■CD6
ブラームス:室内楽曲集
(1)チェロ・ソナタ第1番Op.38*
(2)チェロ・ソナタ第2番Op.99
(3)クラリネット三重奏曲イ短調Op.114

■CD7
ブラームス:作品集
(1)ピアノ三重奏曲Op.8
(2)ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲

■CD8
ドヴォルザーク:作品集
(1)チェロ協奏曲Op.104
(2)森の静けさ
(3)ロンド
(4)ポロネーズ
(5)序曲《謝肉祭》Op.92*
■CD9)
(1)ブルックナー:交響曲第4番《ロマンティック》*
(2)ブルッフ:コル・ニドライOp.47*

■CD10
マーラー:作品集
(1)交響曲第1番《巨人》*
(2)交響詩《葬礼》*

■CD11)
(1)アンリ・ヴュータン(1820-1881):チェロ協奏曲第2番
(2)ニコロ・パガニーニ(シフ編):カンタービレOp.17
(3)ニコロ・パガニーニ(ジャンドロン編):ロッシーニの《モーゼ》の主題による変奏曲
(4)チャイコフスキー:感傷的なワルツOp.51-6
(5)チャイコフスキー:交響曲第6番《悲愴》*

■CD12)
(1)プロコフィエフ:バレエ組曲《ロミオとジュリエット》(7曲抜粋)*
(2)プロコフィエフ(ピアティゴルスキー編):子供のための音楽より「行進曲」Op.65
(3)グリエール(1875-1956):12の小品より「ワルツ」Op.48-2
(4)ヘルムート・シフ(1918-1982):ヴァイオリンとチェロのための2つのデュオOp.63*
(5)ショスタコーヴィチ(1906-1975):チェロ・ソナタOp.40*

■CD13
ショスタコーヴィチ:作品集
(1)チェロ協奏曲第1番Op.107*
(2)チェロ協奏曲第2番Op.126

■CD14
シュニトケ:作品集
(1)合奏協奏曲第1番
(2)チェロ・ソナタ第1番*
(3)弦楽三重奏曲

■CD15
ルトスワフスキ:作品集
(1)チェロ協奏曲
(2)チェロ協奏曲*
(3)葬送の音楽〜バルトークの追憶に*
(4)チェロとピアノのための変容〜荘重に

■CD16
(1)ルディ・シュテファン(1887-1915):管弦楽のための音楽1912*
(2)B.A.ツィンマーマン(1918-1970):チェロ協奏曲《3つの形》
(3)フリードリヒ・グルダ(1930-2000):チェロと吹奏楽のための協奏曲

■CD17
(1)ウェーバー:《オベロン》序曲*
(2)シューベルト:交響曲第7番《未完成》*
(3)R.シュトラウス:チェロと管弦楽のためのロマンス
(4)ヴィンツェンツ・ラハナー(1811-1893):6つのドイツ舞曲よ
りカンタービレ*
(5)ドビュッシー:チェロ・ソナタ*
(6)ラフマニノフ:ヴォカリーズ
(7)サン=サーンス:白鳥
(8)ヴィエニャスフキ(シフ編):スケルツォ・タランテラ
■CD1
ハインリヒ・シフ(Vc)
(4)トン・コープマン(Cemb)/
ヤープ・テル・.リンデン(Vcコンティヌオ)
(5)アイオナ・ブラウン(指)アカデミー室内O
録音:(1)1983年(プライヴェート録音)*
(2)(3)1984年セオン(EMI)
(4)1991年アムステルダム(Philips)
(5)1983年ロンドン(Philips)
■CD2
ハインリヒ・シフ(Vc)
(1)フリードリヒ・グルダ(P)
(2)D.フィッシャー=ディースカウ(Br)
ユーディ・メニューイン(Vn)
ヘルムート・ヘル(P)
(3)クリスティアン・ツァハリアス(P)
(4)ティル・フェルナー(P)
録音:(1)1981年ウィーン(Amadeo)
(2)1984年ベルリン(EMI)
(3)1982年ザルツブルグ音楽祭ライヴ
(ORF)*、(4)2000年(Philips)
■CD3
ハインリヒ・シフ(指)
(1)ケルンWDR響
(2)トマス・ツェートマイアー(Vn)、
ウィーン室内O
録音:(1)1998年WDR(ケルン・ライヴ)*
(2)2000年ライヴ(SchubertiadeFeldkirch)*
■CD4
ハインリヒ・シフ(指)
(1)カメラータ・ザルツブルク
(2)(3)ノーザン・シンフォニア
録音:(1)2002年ウィーン・コンツェルトハウス、ライヴ(ORF)*
(2)1990年キーサイド、ニューキャッスル(Virgin)
(3)1991年キーサイド、ニューキャッスル(Virgin)
■CD5
ハインリヒ・シフ((1)(2)(3)Vc、(4)指)
(1)ベルナルド・ハイティンク(指)BPO
(2)(3)ゲルハルト・オピッツ(P)
(4)オスロ・フィルハーモニーO
録音:(1)1988年ベルリン(Philips)、
(2)(3)1991年ノイマルクト(Philips)、
(4)1996年オスロ・ライヴ*(OsloPhilharmonicOrchestra)
■CD6
ハインリヒ・シフ(Vc)
(1)クリスティアン・ツァハリアス(P)
(2)ゲルハルト・オピッツ(P)
(3)ザビーネ・マイヤー(Cl)、ルドルフ・ブッフビンダー(P)
録音:(1)1982年フライブルク・ライヴ(プライヴェート録音)*
(2)1996年ノイマルクト(Philips)、(3)1983年フランクフルト(EMI)
■CD7
ハインリヒ・シフ(Vc)
(1)ウルフ・ヘルシャー(Vn)、クリスティアン・ツァハリアス(P)
(2)フランク・ペーター・ツィンマーマン(Vn)、ヴォルフガング・サヴァ
リッシュ(指)ロンドン・フィル
録音:(1)1982年セオン(EMI)、(2)1996年ロンドン(EMI)
■CD8
ハインリヒ・シフ((1)-(4)Vc、(5)指)
(1)アンドレ・プレヴィン(指)VPO
(2)(3)アンドレ・プレヴィン(P)
(4)エリザベス・レオンスカヤ(P)
(5)シュターツカペレ・ドレスデン
録音:(1)(2)(3)1992年ウィーン(Philips)(4)1984年ラ・ショー・ド・フォン(Philips)、(5)1995年ドレスデン・ライヴ(MDR)*
■CD9
ハインリヒ・シフ(指)
(1)ケルンWDR響
(2)ブルーノ・ヴァインマイスター(Vc)、ドイツ・ラインラント=プファルツ州立PO
録音:(1)2004年ケルン・ライヴ(WDR)*
(2)2002年ルードヴィヒシャフェン・ライヴ(SWR)*
■CD10
ハインリヒ・シフ(指)
(1)バーデン=バーデン・フライブルクSWR響
(2)NDRハンブルクSO
録音:(1)2007年フライブルク・ライヴ(SWR)*
(2)2008年ハンブルク・ライヴ(NDR)*
■CD11
ハイリンリヒ・シフ((1)-(4)Vc、(5)指)
(1)ネヴィル・マリナー(指)SWRシュトットガルトRSO
(2)(3)(4)サミュエル・サンダース(P)
(5)バーデン=バーデン・フライブルクSWR響
録音:(1)1986年シュトゥットガルト(SDR&EMI)
(2)(3)(4)1987年ウィーン(Philips)
(5)2004年フライブルク・ライヴ(SWR)*
■CD12
ハインリヒ・シフ((1)指、(2)-(5)Vc)
(1)バーデン=バーデン・フライブルクSWR響
(2)(3)サミュエル・サンダース(P)
(4)アンドレアス・ライナー(Vn)
(5)ツィモン・バルト(P)
録音:(1)2003年ジュネーヴ・ライヴ(SWR)*
(2)(3)1987年ウィーン(Philips)
(4)1981年リンツ(プライヴェート録音)*
(5)1991年ザルツブルク音楽祭ライヴ(ORF)*
■CD13
ハインリヒ・シフ(Vc)
(1)クリストフ・フォン・ドホナーニ(指)VPO
(2)マキシム・ショスタコーヴィチ(指)バイエルンRSO
録音:(1)1988年ウィーン・ライヴ(VPO)*
(2)1984年ミュンヘン(Philips)
■CD14
ハインリヒ・シフ((1)指、(2)(3)Vc)
(1)ギドン・クレーメル(Vn)、タチアナ・グリンデンコ(Vn)、ユーリ・スミルノフ(Cemb、プリペアードPf)、ヨーロッパ室内O
(2)オレグ・マイセンベルク(P)
(3)ギドン・クレーメル(Vn)、タベア・ツィンマーマン(Va)
録音:(1)1988年ベルリン(DeutscheGrammophon)
(2)1984年ウィーン・ライヴ(ORF)*
(3)1987年ライヴ(ロッケンハウス音楽祭)
■CD15
ハインリヒ・シフ((1)Vc、(2)指)
(1)ヴィトルト・ルトスワフスキ(指)バイエルンRSO
(2)クリスティアン・ポルテッラ(Vc)、バーデン=バーデン・フライブルクSWR響
(3)マーラー室内O
(4)アチ・ベルトンチェリ(Pf)
録音:(1)1986年ミュンヘン・ライヴ(Philips&BR)
(2)2004年フライブルク・ライヴ(SWR)*
(3)2004年フェラーラ・ライヴ(FeraraMusica)*
(4)1983年エッケンハーゲン(EMI)
■CD16
ハインリヒ・シフ((1)指、(2)(3)Vc)
(1)(2)バーデン=バーデン・フライブルクSWR響楽(2)ミヒャエル・ギーレン(指)
(3)フリードリヒ・グルダ(指)ウィーン管楽アンサンブル
録音:(1)2009年フライブルク・ライヴ(SWR)*
(2)1989年バーデン=バーデン(Philips)
(3)1981年ウィーン(Amadeo)
■CD17
ハインリヒ・シフ((1)(2)指、(3)‐(8)Vc)
(1)SWRシュトットガルトRSO
(2)NDRハノーファー放送PO
(3)クルト・マズア(指)ライプツィヒ・ゲヴァントハウスO
(4)(5)クリスティアン・ツァハリアス(P)
(6)エリザベス・レオンスカヤ(P)
(7)(8)サミュエル・サンダース(P)
録音:(1)1999年ケルン・ライヴ(Deutschlandradio)*
(2)2011年ハノーファー・ライヴ(NDR)*
(3)1989年ライプツィヒ(Philips)
(4)1982年フライブルク・ライヴ(プライヴェート録音)*
(5)1982年ザルツブルク音楽祭ライヴ(ORF)*
(6)1984年ラ・ショー・ド・フォン(Philips)
(7)(8)1987年ウィーン(Philips)

*印:初CD化
2016年12月26日に没したチェリスト、指揮者のハインリヒ・シフ(1951-2016)の主要なレパートリーをPhilips、EMI、DG等メジャー・レーベルや放送局の協力を得て集成。今回が初CD化となる多数の未発表音源を加えて大音楽家シフの偉業を辿ります。ハインリヒ・シフは1951年オーストリア出身。アンドレ・ナヴァラらの指導を受け、1972年にグラーツで開催されたISCM国際現代音楽祭でロストロポーヴィチが急病のため代役として演奏したルトスワフスキのチェロ協奏曲で一躍世界的な注目を集めるようになりました。その後はチェロの第一人者として華やかな活動を続けましたが、病のため2012年より指揮に専念、指揮者としても一時代を築きました。メジャー・レーベルからの音源の復刻ももちろんですが、今回のセットでうれしいのは初CD化される音源が多いこと。特におすすめはショスタコーヴィチのチェロ協奏曲第1番。1988年のウィーン・フィルとのライヴでソリストはもちろんシフ、指揮はドホナーニで権利はウィーン・フィルが所有していましたが、今回が初CD化。また広く世界に知られるきっかけとなったシフの十八番、ルトスワフスキのチェロ協奏曲は作曲者指揮のPhilips音源に加え、シフが指揮者に回って演奏した2004年のライヴ(初CD化)も収録、両者の聴き比べも楽しみなところ。そして指揮者としては2007年バーデン=バーデン・フライブルクSWR響とのマーラー:交響曲第1番ライヴに2004年ケルンWDR響とのブルックナー:交響曲第4番など、いずれも白熱のライヴで今回初CD化なのが不思議なくらいです。また既出のAmadeo音源ではありますが、ソルストとしては鬼才フリードリヒ・グルダの怪作「チェロと吹奏楽のための協奏曲」が収められているのも見逃せません。巨匠ハインリヒ・シフの足跡を辿る最高のセットです。
NEOS-21703
「ConcertiV」
プーランク:2 台のピアノの
ための協奏曲 ニ短調 FP.61
リン・マクフィー(1900-1964):タブー・タブーアン(2台ピアノとオーケストラのためのトッカータ)
ジョン・アダムズ(1947-):グランド・ピアノラ・ミュージック(2台ピアノと3人の女声、アンサンブルとパーカッション) *
グラウシューマッハー・ピアノ・デュオ
ブラッド・ラブマン(指)
ベルリン・ドイツSO
トリオ・メディヴァル*

録音:2014 年10 月13 日-17 日
植民地博覧会で、プーランクが聴いたバリ島の音楽に影響を受け、ガムラン音楽の雰囲気が感じられる第1 楽章、モーツァルトの作風を意識したという第2 楽章など、次から次へと変わっていく音楽スタイルから生み出されるメロディに多彩なリズムに引き込まれる“2 台ピアノのための協奏曲”。ロマンティックだけではない先鋭的な味わいも詰まった名曲です。 コリン・マクフィーはカナダの作曲家で、バリ島に滞在して、ガムラン音楽を研究、ガムラン音楽を西洋に紹介し、大きな影響を与えました。管弦楽でバリの儀礼音楽を再現した「タブー・タブーアン」は彼の代表作です。マクフィー自身による2 台ピアノとオーケストラ版を収録。 「ポスト・ミニマリズム」の作曲家として有名なジョン・アダムズ。「ピアノラ」とは1900 年頃に誕生した自動演奏装置のこと。ジョン・アダムズはこの装置をイメージして作曲しましたが、実際の演奏では難しいので、2 台ピアノで演奏されます。神秘的で、繰り返される音型、さらにはマーチやゴスペルなど様々な作風がごった煮的に現れる興味深い作品。
「春の祭典」(NEOS20805)、「ショスタコーヴィチの交響曲第5 番」(NEOS20801)の編曲ものやクラム、シュットックハウゼンなど異色の作品を録音してきたグラウシューマッハー・ピアノ・デュオの卓越した演奏が光る。

NEOS-21704
ピッコロ・コンチェルト・グロッソ
モーツァルト:クラリネット協奏曲イ長調K.622(1791)
マティアス・ミュラー(b.1966):八重奏曲(2014)
 ピッコロ・コンチェルト・グロッソ(2016/17)*
マティアス・ミュラー(バセットCl)
マイケル・コリンズ(バセットCl)*
チューリヒCO
アンサンブル・リミックスド

録音:2017年
“バセット・クラリネット版モーツァルトのクラリネット協奏曲の新決定盤!!”
マティアス・ミュラーは、スイスのクラリネット奏者&作曲家。チューリッヒ音楽院の教授も務めています。バセット・クラリネットを使用したモーツァルトの協奏曲は今や珍しくないですが、ここまでその特性を活かし、人間味溢れるニュアンスを放った演奏は聴いたことがありません。拡張された低音部のみならず全音域を楽々と、しかも入念に奏でるこの演奏を聴くと、この曲はバセット・クラリネットに限ると断言したくなります。とにかく放たれる表情が多彩なこと!音の色彩、硬軟、湿度に至るまで、やれることをすべてやり尽くす旺盛な意欲は、人間が喋っているような妙味を生み出します。即興的な走句の配合センスも抜群。第2楽章で、清々しい精神が息づき、優しい感触ガス的。しんみりと歌いすぎないところにセンスを感じます。この曲は、ちょっとやそっとの名演では満足しないという貴方へ!
モーツァルトの交響曲第40番、ドン・ジョヴァンニにインスパイアされて作曲されたピッコロ・コンチェルト・グロッソも聴きもの。【湧々堂】
NEOS-21802
アルス・ノヴァvs ニュー・ミュージック
(1)ド・マショー(c.1300-1377):レイス、バラード、ヴィレ、ロンドー集(全20 曲) (ピタゴラス純正律に調律されたヴァイオリンとコントラバスによるバージョン)
(2)ヴォルフガング・フォン・シュヴァイニッツ(b.1953):習作第1 番Op.61a(2015) (ドリアン・モードによる)
(3)フィリップ・ド・ヴィトリ(1291-1361):「偽小説」よりモテット集(9 曲) (ピタゴラス純正律に調律されたヴァイオリンとコントラバスによるバージョン)
ヘルゲ・スラーット(Vn)
フランク・ライネッケ(Cb)

録音:2016年6月/2017年8月
アルス・ノヴァとは14世紀にフランスで栄えた音楽様式で直訳すると「新しい芸術」。その代表的な作曲家がマショーとヴィト リで、彼らの声楽作品を当時のピタゴラス音律で調律された現代のヴァイオリンとコントラバスで演奏し、逆に21世紀のドイツ の作曲家シュヴァイニッツが同じ編成のために新作を作曲。600年を隔てた2つの音楽がヴァイオリンとコントラバスを介してこ のディスク上で邂逅する。13世紀のマショーとヴィトリはモダンで清らかな祈りの音楽としてよみがえり、21世紀のシュヴァイニ ッツはアルヴォ・ペルト顔負けの敬虔な瞑想音楽を聴かせる。古楽、現代音楽、メディテーション系、ECMレーベルのディスク が好きなリスナーにぜひお薦め。

NEOS-22001
「憧れの姿」〜ミーントーン調律(中全音律)アコーディオンによる作品集
(1)フレスコバルディ:マドンナのトッカータ
(2)フレスコバルディ:上昇のトッカータ
(3)フレスコバルディ:3 番目の歌
(4)ニコラウス・ブラス(b.1948):ハーモニーI(2014)
(7)フローベルガー(1616-1667):幻想曲II FbWV202
(6)フローベルガー:幻想曲V FbWV205
(7)フローベルガー:カンツォンII FbWV302
(8)ニコラウス・ブラス:ハーモニーII(2018)
(9)ニコラウス・ブラス:ハーモニーIII(2014)
(10)ニコラウス・ブラス:ハーモニーIV(2014)
(11)ツィポーリ(1688-1726):カンツォーナ ニ短調
(12)ツィポーリ:カンツォーナ ハ長調
(13)ツィポーリ:カンツォーナ へ長調
(14)ツィポーリ:カンツォーナ ホ短調
(15)ツィポーリ:カンツォーナ ト短調
(16)ニコラウス・ブラス:「憧れの姿」(2019)
(17)フレスコバルディ:ベレロフォンテの第5 カンツォン(1645)
(18)フレスコバルディ:クエリーナの第9 カンツォン(1645)
(19)フレスコバルディ:堅苦しいカプリチオ(1624)
ハンス・マイアー(ミーントーン・アコーディオン)

録音:2019年9月
ミーントーン(中全調律)とは 15〜19 世紀に主に鍵盤楽器で使われた調律法で 3 度音程の純正さを保つために完全 5 度 の音程の幅をわずかに狭めています。中世からバロック音楽の演奏ではよくこの調律法が採用されることが多く、現代の平均律 と較べると独特の典雅でひなびた印象を与えます。フレスコバルディ、フローベルガー、ツィポーリらの鍵盤作品(もとはチェンバ ロのために書かれたと思われる)をアコーディオンで弾くこと自体がチャレンジングでどこかで聴いたようで実は初めて聴くよう な不思議な感覚にとらわれます。そして現代の作曲家ブラスはこの楽器をオルガンのように扱い、クラスターを多用した抽象画 のようなテクスチュアを描き出しています。バロックと現代音楽がアコーディオンという同じ土俵の上で相対した鮮烈なディスク。
NEOS-22002
「Rimixed」
ブラームス:2 台ピアノのためのソナタ ヘ短調Op.34b
ワーグナー:トリスタンとイゾルデより前奏曲と「愛の死」(マックス・レーガー編)
ドビュッシー:3 つの夜想曲(ラヴェル編)
グラウ・シューマッハー・ピアノ・デュオ
【アンドレアス・グラウ&ゲッツ・シューマッハー(P)】

録音:2020年
ワーグナーと彼に抗いつつも少なからず影響を受けたブラームスとドビュッシー の作品を 2 台ピアノで聴く一枚。「トリスタンとイゾルデ」の「前奏曲と愛の死」を中心 に据え様式と和声の影響をピアノではっきりと聴くことが出来ます。ブラームスの2台の ピアノのためのソナタはピアノ五重奏曲としても演奏される作品。ドビュッシーの3 つ の夜想曲のラヴェル編曲版の音源は少なく、この録音は貴重。
NEOS-22003
PLUS!〜クラリネット二重奏とアコーディオンの為の作品集
(1)バッハ:二声のインヴェンション ハ長調
(1)(3)(7)(9)(第3 声部作成:レーガー&カール・シュトラウベ)
(2)ユッカ・ティエンスウ(b.1998):Plus IV(1992)
(3)バッハ:二声のインヴェンション 変ホ長調
(4)ニコラウス・ブラス(b.1949):歌と旋律(2019)
(5)バッハ:二声のインヴェンション ニ短調
(第3 声部作成:ヘルムート・ラッヘンマン)
(6)ヨンギ・パク=パーン(b.1945):タ・リョンV(1995)
(7)バッハ:二声のインヴェンション イ短調
(8)ゲオルク・カッツァー(1935-2019):「促し、躊躇し、消える」(2007/19)
(9)バッハ:二声のインヴェンション ヘ長調
ダス・クラリネッテン・デュオ【ベアト・ツェリンスキー(Cl)、デヴィット・スマイヤーズ(Cl)】
クリスティアン・パラギー(アコーディオン)

録音:2020年1月23-26日
バッハの鍵盤楽器の為の二声のインヴェンションの中の作品を間に挟みつ つ現代曲を並べたユニークな企画。バッハのインヴェンションは2本のクラリネットとア コーディオンのために斬新な編曲が為されています。ユッカ・ティエスウはフィンランドの 作曲家でハープシコード奏者としても活躍。ここではややミニマル的でユーモラスな 作品を書いています。ヨンギ・パク=パーンは韓国出身でドイツを拠点に活動しており、 ここではシェル・チャイム、ウッド・ブロックを追加して用い古代の儀式のような峻厳な 作品を書いています。

NEOS-30801(1SACD)
スイス・チェンバー・ソロイスツ・エディションVol.1
バッハ:ゴルトベルク変奏曲
(弦楽三重奏版; 1977年ベーレンライター・新バッハ全集に基づくシトコヴェツキー編)
スイス・チェンバー・ソロイスツ
[ハンナ・ヴァインマイスター(Vn)、ユルグ・デーラー(Va)、トーマス・グロセンバッハー(Vc)]

録音:2007年
NEOS-30802
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」 ダニエル・グロスマン(指)アンサンブル28

録音:2003年(ピリオド楽器使用)
※1804年初演時と同じ28人編成による演奏
NEOS-30803
ブラームス:ドイツ・レクイエム(2台のピアノとティンパニによる伴奏版、ハインリヒ・ポース編〔1979〕) ルペルト・フーバー(指)WDRケルン放送cho、
ジモーネ・ノルト(S)、
カイ・シュティーファーマン(Br)、
イアン・ペース&マーク・ヌープ(P)、
ペーター・シュトラッケ(Timp)

録音:2007年
ドイツ・レクイエムのピアノ版は作曲家自身の編曲が存在しますが、それは4手連弾版であり、しかも声楽パートはありません(ピアノが声楽パートを弾いているインストゥメンタル・ヴァージョン)。このCDはブラームスに造詣の深い作曲家ポースがピアノ伴奏版で声楽が入れるよう、再構成した版による録音。同じ4手でも連弾ではなく2台ピアノであることと、低音を補充するためにティンパニが加えられているので音の厚みも十分。
NEOS-30804(1SACD)
ブラームス:愛の歌Op.52(混声合唱版)
ワルツOp.39〜4手のための
新・愛の歌Op.65(混声合唱版)
ルペルト・フーバー(指)
WDRケルン放送cho、
グラウ・シューマッハー・ピアノ・デュオ(P)

録音:2007年
2台のピアノとティンパニ伴奏による「ドイツ・レクイエム」に続くR.フーバー&WDRケルン放送合唱団のブラームス合唱曲第2弾。《愛の歌》、《新・愛の歌》はもともとSop、Alt、Ten、Basの4人の独唱者と4手のピアノのための作品であるが、このCDではそれぞれのパートを増やし、混声合唱版として演奏しています。もっとも混声合唱版による演奏は珍しいことではなく、RIAS室内合唱団やリリングなどのCDが既に出ている。1839年パリ製の歴史的なフォルテピアノを使用、その古びた音色とフーバー指揮WDRケルン合唱団の時代考証に基づいた歌唱が初演当時の雰囲気を伝えます。
NEOS-30805
シューマン:ピアノ・ソナタ第3番(英国図書館所蔵自筆譜によるオリジナル版)、
 幻想小曲集Op.12
フロリアン・ヘンシェル(P)

録音:2001年
NEOS-30806(3CD)
クリスマスの朝の祈り〜クリスマス聖日前夜のためのグレゴリオ聖歌集(近年発見された聖歌集) ルペルト・フーバー(指)WDRケルン放送cho

録音:2007年12月
クリスマスに因んだグレゴリオ聖歌集。しかしNEOSからのグレゴリオ聖歌、普通であるわけがありません。現代音楽のスペシャリスト達によるグレゴリオ聖歌、これほど現代的な歌い方をしたグレゴリオ聖歌も珍しいでしょう。でも何より驚きなのが女声、男声共演による混声合唱版であることです。アンティフォナでは女性と男性が呼び交わしまでしています。近年新発見された楽譜による学術的にも貴重な録音の登場です。
NEOS-30901(1SACD)
メンデルスゾーン:弦楽五重奏曲第1番イ長調Op.18#
ブルッフ:弦楽五重奏曲変ホ長調(1918)*
メンデルスゾーン:弦楽五重奏曲第2番変ロ長調Op.87#
ヘンシェルQ
沢和樹(Va)*
ローランド・グラッスル(Va)#

録音:2008/09年
※ブルッフは世界初録音
近年発見され、2008年にヘンシェル四重奏団により初演されたブルッフ最晩年の作品「弦楽五重奏曲」を収録。ヘンシェル四重奏団は1994年に結成され、1996年には大阪国際弦楽四重奏コンペティションで優勝後、世界各地で活動している。ARTE NOVAから発売になっているメンデルスゾーン:弦楽四重奏曲全集はベスト・セラーとなっている。日本を代表するヴァイオリニスト沢和樹が楽器をヴィオラに持ち替えて参加。

NEOS-32001
アコーディオンで聴くフランク:ハーモニウム作品集
7 つの小品ハ長調、ハ短調(1890)
7 つの小品変イ長調、嬰ハ短調(1890)
7 つの小品ニ長調、ニ短調
クリスマス・イヴのために(1890)
7 つの小品変イ長調、嬰ト短調(1890)
7 つの小品ホ短調、ホ長調(1890)
ドリス・ベルチンガー(アコーディオン)

録音:2019年12月27-29日スイス・ヴァレー州シュタルデン
まずハーモニウムとはいわゆる足踏み式の小型のリード・オルガンのことでパイプ・オルガン が非常に高価な上、大型で場所も取るため、その代用楽器として 19 世紀に開発された。オル ガンと同じようにストップを備えたハーモニウムも作られ、19 世紀〜20 世紀前半までに活躍した 何人かの作曲家はこの楽器の為のオリジナル作品を作曲しています。しかし次第に新たに作ら れる楽器は減ってゆき現在残されているハーモニウムは決して多くない。優れたオルガニストで もあったフランクはこの楽器のためにかなりの数の作品を残しており、まとまった量の作品を聴 ける本盤は貴重。しかもここではアコーディオンで演奏しており、そのひなびた音色はハーモニ ウム以上に独特の素朴な味わいがある。因みにフランクが書いた対位法的書法や分厚いコラ ールを制約の多いアコーディオンで弾くことは至難の業であり、奏者ドリス・ベルチンガーの妙 技も大いに聴きどころ。スイスの音楽家でチューリヒ音楽大学、トロシンゲン(ドイツ)音楽大学で 学んだ。現代音楽の演奏にも力を入れており、多くの作曲家から作品を献呈されています。
NEOS-32101
バッハ:ゴールドベルク変奏曲BWV988 アルベルト=ヤン・ローロフス(Cemb)
使用楽器:ヤン・カルスビーク制作1992年製

録音:2020年8月10-11日フランス・ノルマンディ・バレーヌ教会
チェンバロのルーロフスはオランダ出身。オルガンとチェンバロをグスタフ・レオンハ ルト、トン・コープマンほかに師事、17〜18 世紀の鍵盤音楽を専門としています。チェンバ ロの音色の選択が豊か。活き活きとしたリズム、旋律の朗々とした歌い方など、バロック 音楽の伝統を踏まえつつもバッハの鍵盤音楽に内在する即興性要素を生かした自由 な演奏が魅力の一枚。
NEOS-32102
シューマン:クライスレリアーナOp.16
リスト:パガニーニによる大練習曲
ブラームス:16 のワルツOp.39〜4 手連弾の為の*
オルガ・チェローヴァ(P)
フィリップ・アントルモン(P)*

録音:2021 年4 月7 日フランス
オルガ・チェローヴァはウクライナ出身の若手ピアニスト。かつてギレリスやオイスト ラフを輩出したストルヤルスキ音楽院で学んだ後、ハノーヴァー大学とザルツブルク・ モーツァルテウム音楽院でさらに研鑽を積んだ。確かなテクニックと若々しい音楽性 で将来が期待されています。ブラームスの連弾の為の16のワルツで彼女のお相手を するのは歴史上の数々のマエストロとも共演してきた名匠フィリップ・アントルモン。御 年87歳とはとても思えないしっかりとしたテクニックとチェローヴァにも負けない若々し い感性を持ち続けていることに驚嘆。若手チェローヴァに優しくレッスンをしているか のような暖かい音楽作りがチャーミングなブラームスのワルツです。
NEOS-32201
ラフ、ユオン、アレンスキー:2台のピアノのための作品集
ラフ:2台のピアノのための幻想曲 Op.207a(世界初録音)
パウル・ユオン(1872-1940):2台のピアノのための音詩「ヨートゥンハイメン」 Op.71(世界初録音)
アレンスキー
:2台のピアノのための組曲第1番 Op.15
イーゴリ・アンドレエフ&トーマス・ゲルバー(P)

録音:2022年7月、コンセルヴァトワール(スイス、ベルン)
2022年に生誕200年を迎えたヨアヒム・ラフと、生誕150年を迎えたパウル・ユオン、2人のスイスの作曲家のアニヴァーサリーを、それぞれの世界初録音作品で祝う1枚!ラフは19世紀後半の音楽界に大きな影響力を持ち、ドイツ語圏で最も頻繁に演奏されていた作曲家のひとり。(例えば交響曲第3番「森にて」は、当時の音楽雑誌2誌に掲載されている分だけでも演奏回数100回以上とのこと。)彼の創作活動の終わりの方に位置する「2台のピアノのための幻想曲」(1877)は、シンフォニックな構造を持つ20分程度の作品です。ラフ同様、様々なジャンルに数多くの作品を残したパウル・ユオンは、ロシア音楽、印象派、近代主義のイディオムの間で独自の音楽言語を生み出しました。北欧神話由来の「ヨートゥンハイメン Jotunheimen」という副題がついた「2台ピアノのための音詩」(1924)は、北欧の神秘的な山岳地帯を思い起こさせる作品です。アルバムはユオンの師であったアレンスキーによる2台ピアノのための名作「組曲第1番」(1888)で締めくくられます。

NEOS-50802(DVD)
クリストバル・ハルフテル(b.1930):《ラザロ》〜1幕のオペラ(2004-2007) ゲオルグ・フリッチュ(指)キールPO、
イェルク・ザブロフスキ(Br)、
フリードマン・クンダー(Bs)、
ユリア・ヘニング(S)、
クラウディア・イテン(S)、
ヨハネス・アン(T)、
シュテッフェン・ドーバーアウアー(T)、
マティアス・クライン(Bs)、
ジョーイル・チョイ(Br)

録音:2008年 ※世界初録音
2008年キール歌劇場で初演されたフアン・カルロス・マルセトの台本による聖書にもとづくオペラ。NTSC方式でも発売になり、通常の国内のDVDプレイヤーでも鑑賞可能になりました。

NEOS-51001(DVD)
ヘルムート・ラッヘンマン(b.1946):弦楽四重奏曲集
弦楽四重奏曲第1番「グラン・トルソ」(1971/76/88)
弦楽四重奏曲第2 番「精霊の踊り」(1989)
弦楽四重奏曲第3 番「グリード」(2001)
シュタドラーQ【フランク・シュタドラー(Vn)、イジョー・バユス(Vn)、プレドラグ・カタニッチ(Va)、ペーター・ジーグル(Vc)】

収録:2008年5月23-25日ベルリン
16:9、76min、DVD5/NTSC、リージョン・フリー
現代音楽の作曲家にとって西洋音楽の完成されたフォーマットのひとつである弦楽四重奏 曲を書くということはそれがどんな形、様式であれ、書くこと自体が歴史への挑戦であり、批評 となる。ラッヘンマンは25 才で《グラン・トルソ》を書いて以来、創作上の節目ごとにこの編成に 果敢に取り組んできた。いずれも作曲者の代表作。どの作品もいわゆる普通のクラシックの奏 法は皆無で、ひたすらキリキリ、ゴシゴシ、ビン!バチッ!といった特殊奏法によるノイズの 嵐。しかし、この魂の油が切れてギシギシときしんでいるような響きをしばらく聴いている内、そ の響きの彼方に紛れもない、戦後ヨーロッパ知識人の思想と苦悩の片鱗がうっすらと浮かび 上がってくる。どうやって音を出しているのか、楽譜を見なければ(わざわざ高価な楽譜を取り 寄せるのは大変だ)わからない情報もこの映像を見れば一目瞭然。現代音楽ファン、作曲家 志望の学生、好事家必見のDVD。 ※なお、シュタドラー四重奏団によるこれらの作品は別演奏が SACD でも発売になっていま す(NEOS10806)。
NEOS-51005(Bluray)
ヴァインベルク(1919-96):歌劇「乗客」Op.97(1967-68) ミシェル・ブリート(MS,リーザ)
ロベルト・サッカ(T,ヴァルター)
エレナ・ケレシディ(S,マルタ)
アルトゥール・ルチンスキ(Br,タデウシュ)
ヴェトラーナ・ドネヴァ(S,カーチャ)
エルジュビエタ・ウロブレスカ(MS,ブラスタ)ほか
テオドール・クレンツィス(指)ウィーンSO、
プラハ・フィルハーモニーcho
演出:デイヴィッド・パウントニー

録音:2010年7月ブレゲンツ音楽祭(ユニテル、ORF、ブレゲンツ音楽祭、クラシカの共同制作)
リージョン・フリー,16:9,DTS-HD Master Audio 5.0/Stereo 2.0,190m,字幕:独英仏波露
ポーランド出身のソ連の作曲家、ミエチスワフ(モイセイ)・ヴァインベルク(1919-96)は、ユダヤ人であるがゆえに第二次世界大戦の勃発によってポーランドを離れ、しかも亡命したソ連でもユダヤ人嫌いのスターリンから迫害を受け処刑直前まで至ったという、過酷な生涯を送った人物。そのヴァインベルクが心血を注いだオペラがこの「乗客」である。1960年代初頭、ドイツの外交官ヴァルターとその妻リーザは、ブラジルに向かう客船に乗っていた。リーザはその時、見覚えのある、しかし死んだとばかり思っていた乗客を見かける。実は第二次世界大戦中、リーザはアウシュヴィッツでナチス親衛隊として収容者の監視人をしており、彼女が船内で目撃した「乗客」は、リーザが親しく接したポーランド女性マルタにそっくりだった。ここから物語は現在と過去を行き交う。この力作は1968年に作曲されたものの上演されず、ようやく2006年になってスタニスラフスキー&ネミロヴィチ=ダンチェンコ記念国立モスクワ音楽劇場で簡易舞台上演で初演が行われた。2010年のブレゲンツ音楽祭は、本格的な舞台上演として初のもので、英国の著名な演出家、D.パウントニーが舞台を作り上げ、ミシェル・ブリート、ロベルト・サッカといった優れた歌手、ギリシャ出身の若い指揮者で、ロシアのノヴォシビルスク国立歌劇場の音楽監督を務めるクレンツィスによって、ヴァインベルクの名作がついに真の姿を現した。HDD収録をBlue-Rayの鮮明画像で見ることができます。
NEOS-51601(DVD)
ダニエーレ・ロンバルディ(b.1946):《divina.com》〜36 パートからなるミックス・メディア・イベント アントニオ・バリスタ(指)
アンサンブル・ノヴェチェント・エ・オルトレ
ダニエーレ・ロンバルディ(芸術監督)
ダミアーノ・メアッチ(Live electronics)、アート・メディア・スタジオ(Video)、
デイヴィッド・モス(Voice)

収録:2004年7月5日フィレンツェ(世界初演のライヴ)
16:9、DVD5/NTSC、リージョン・フリー
ロンバルディは作曲家、ピアニストであるばかりでなく、映像作家としても国際的に活動しており マルチ・メディア作品のアーティストとしてヨーロッパでは認知されている。《divina.com》は画家ミケ ランジェロの墓碑銘、ダンテの詩などをテキストとし、間にギョーム・ド・マショーの作品を挿入した 幻想的なイベント作品。コンピュータによる楽器、声のリアル・タイムでの変調、シュールレアリステ ィックなヴィデオを駆使して悪夢を見ているような不可思議な空間を創出。
NEOS-51701(DVD)
ジョルジオ・ネッティ(1963-):ヴィオラ・ソロ作品集
ciclo del ritorno
Tlassu(プリペアド&増幅したヴィオラ・ソロ)
Uun nastro(歪められた&広がった拍手)
Ve poi(ヴィオラ)
インタビュー
マーカス・ヴァイス&ジョルジオ・ネッティ(20:33)
アンナ・スピーナ(Va)
ブノワ・ピッカンド(サウンド・ディ
レクター)

音声フォーマット:PCM2.0 ステレオ
映像フォーマット:16:9
収録時間:95 分
ディスクタイプ:片面一層(PAL &
NTSC)
リージョンコード:0
1963 年イタリア、ミラノ生まれの作曲家ジョルジオ・ネッティ。作曲をサンドロ・ゴルリに師事、ブライアン・ファーニホウ、ジェラール・グリゼー、ヴォルフガング・リーム、イアニス・クセナキスなどの影響を受ける。この映像はネッティのヴィオラのための作品。実験的な試みと、前衛的なスタイルで演奏しています。NTSC 方式とPAL 方式のDVD がそれぞれ収納。

NEOS-90902
メリー・クリスマス〜クリスマスの伝統的な音楽と新しい音楽
バッハ:「まぶねのかたえに我は立ちて」〜クリスマス・カンタータ
ウォーロック:ベツレヘムの夜明け
パッヘルベル:カノン
楽しいクリスマス(ドイツのクリスマス・キャロル)
バッハ:G線上のアリア、永遠の父なる神よ
清しこの夜(クリスマス・キャロル)
A.コレルリ:クリスマス協奏曲
アール・J.ライスドルフ(b.1958):幼子イエスのキャロル(2007/09)
ローランド・ファッジ(b.1947):化身(2009)
アンディ・エヴァンス(b.1962):そしてマリアは言われた(2009)
デレク・スミス(b.1930):カロリンガ(2009)
ヘンシェルQ
テルツ児童合唱団ソロイスツ、
M.ショイリヒ=ヘンシェル(Cemb)、
フランク・ライネッケ(Cb)

録音:2009/2010年
硬派レーベルNEOSには珍しいクリスマス・アルバム。だからと言って斜に構えた内容ではなく普通に楽しくクリスマス・アルバム(?)している。バッハ、パッヘッルベル、コレルリは厳格な古楽スタイルの中に即興的な遊びの精神も宿って楽しい。現代の作曲家のクリスマス音楽も現代曲的な硬い作品ではなく親しみ易いもの。

TBLS-0005
「子供の情景」〜杉山洋一(b.1969)作品集
(1)「鵠〜白鳥の歌」(2015)〜17 絃筝のための
(2)「杜甫二首」(2014)〜女声と器楽のための
(3)五重奏曲「アフリカからの最後のインタビュー」(2013)
(4)R.シューマンの「子供の情景」(2017)〜ヴィオラ四重奏のための
(1)沢井一恵(十七絃筝)
(2)ウォンジュン・キム(Voice)、リチャード・ストルツマン(Cl) 、アー・リン・ノイ(Va)、ステファン・ゴスリング(P)
(3)東京現音計画【有馬純寿(エレクトロニクス)、大石将紀(Sax)、神田佳子(Perc)、 黒田亜樹(P)、橋本晋哉(Tuba)】
(4)今井ヴィオラQ【今井信子、ファイト・ヘルテンシュタイン、ウェンティン・カン、ニアン・リウ】

録音:(1)2017年7月、(2)2015年2月、(3)2013年9月、(4)2017年9月
杉山洋一は作曲を三善晃に師事した後、イタリアに留学しさらにフランコ・ドナトーニらに学んだ。指揮者としても活動し、 アンサンブル・モデルン、ウィーン・モデルン、ベルリン・フィルとも共演しています。このディスクは彼の最近の独奏曲、室内楽 曲を集めたもので、彼の作品のまとまったディスク自体が少ないため大変貴重。「R.シューマンの子供の情景」は有名な同 名のピアノ曲をヴィオラ四重奏のために編曲(?)だが、もはや編曲の粋を脱したリミックス、リコンポーズ作品。シューマンが ウェーベルン風にデフォルメ・再構成されており大変興味深い。ストルツマン、今井信子、沢井一恵、アンサンブル東京現音 計画ほか豪華アーティスト参加の一枚。


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