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殿堂入り:交響曲 管弦楽 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 オペラ バロック SALE!! レーベル・カタログ チャイ5



チャイコフスキー:交響曲第5番〜全レビュー
TCHAIKOVSKY:Symphony No.5 in e minor Op.64
ジョージ・セル(指揮)
George Szell



掲載しているCDジャケットとそのCD番号は、現行流通盤と異なる場合があります。あらかじめご了承下さい。


チャイコフスキー:交響曲第5番
ジョージ・セル(指)
クリーヴランド管弦楽団
第2楽章ホルン・ソロ:マイロン・ブルーム
Treasures
TRT-011(1CDR)
録音:1959年10月23日クリーヴランド・セヴェランス・ホール【ステレオ】
音源:米EPIC BC-1064
演奏時間: 第1楽章 14:39 / 第2楽章 13:05 / 第3楽章 6:01 / 第4楽章 :11:53
カップリング/チャイコフスキー:イタリア奇想曲、R=コルサコフ:スペイン奇想曲
“ローカル色を一切排除し、セル独自の美学を貫徹!”
「純音楽的表現」という点で、忘れることが出来ない演奏。このチャイ5は、このコンビのステレオ録音の中でも比較的残響が多く取り入られているので、ティンパニをはじめ、スパイスとして確実に鳴らしていると思われるパートが埋没している箇所が多々あること、終楽章の展開部で、クラリネットが音を派手に外している(ほとんど一発録音だと思われる)のを、あのセルが見過ごしたというのがなんとも不可解なこと等のマイナス要因があるものの、全体に漲る高潔さ、一貫した集中力、精緻を極めたアンサンブル、各ソロパートの巧さに関しては、ムラヴィンスキーと堂々と肩を並べます。特にテンポ、アーティキュレーションの緻密な設定に関しては、下記のとおり厳格にこだわりを徹底させ、それが強引な印象を与えずに、洗練されたしなやかさを携えて迫るところが、まさにセルの真骨頂!その洗練の奥に熱い共感を込め抜いているからこそ、アンサンブルの美しさがそのまま音楽的な感銘につながるということを思い知らされる演奏として、いつまでも異彩を放ち続けることでしょう。なお、終楽章502小節でのシンバル追加もこの演奏だけの魅力ですが、変に突出しすぎないように配慮したのかもしれませんが、この処理自体はやや中途半端な印象は否めません。
第1楽章のツボ
ツボ1 色彩感はないが、一本のクラリネットで吹いているかのような抜群の安定感!徹底してインテンポ。序奏部後半の低弦のスフォルツァンドが効いている
ツボ2 遅めのテンポで、実に意味深い進行。セルらしい高潔なリリシズムを早くも感じる。
ツボ3 楽譜どおりだが丁寧。
ツボ4 ケルン盤同様、柔らかいスタッカートが絶妙の味!
ツボ5 完全なインテンポの中で、117小節の符点4分音符と次の4分音符の間にかすかに一呼吸置くという、繊細なアーティキュレーションの極み!。
ツボ6 今さらながら、このオケのアンサンブルの精度に唖然。全く濁りがない!
ツボ7 このピチカートもパーフェクト!クラリネットは拍を強調しながら刻む。
ツボ8 この直前でほんのかすかにルフト・パウゼ風になるのが、ホールトーンとも相俟って美しいことこの上なし!しかも高潔なカンタービレ!
ツボ9 この直前からテンポを速める。ティンパニが遠いので、重量感には欠ける。
第2楽章のツボ
ツボ10 一音ごとに段階的に強弱を施すのはケルン盤と同じ。独特のコクを湛えたブルームのホルンは、コンチェルトを聴くような手応え。クラリネットの音量が弱すぎる感じ。
ツボ11 冒頭で見事な山場を築くが、その後はストレートに沈静していく。
ツボ12 このクラリネットの巧さもトップクラス!気品も感じる。
ツボ13 神々しく意志が漲るピチカート。
ツボ14 ケルン盤ほどうねりを感じさせないストレートな表現だが、フォルテ4つの箇所までの駆け上りの「緊張感が素晴らしい。
ツボ15 不純物ゼロ!
第3楽章のツボ
ツボ16 出だしで若干テンポを落とし、フルート、クラリネットが加わる直前でもテンポを落とすが、それぞれ注意しないと気付かない程度。
ツボ17 究極のアンサンブルが全開!
ツボ18 完璧な上に美しい!間違いなくトップクラス!
第4楽章のツボ
ツボ19 速めのテンポで確信を持って進む。さりげないアクセントとともに音をきっぱりと切り上げて、独特の推進力を醸し出す。
ツボ20 ホルンを強調させることの多いセルにしては控えめ。
ツボ21 弦が入るまで長めにトレモロを引っ張る。58小節と66小節で一撃を加えるが、あくまでも弦が主体。
ツボ22 完全無視で、むしろディミニュエンドする。ケルン盤と完全に同じというのが恐ろしい!
ツボ23 コントラバスは線が細いがよく張り出ている。
ツボ24 ここから主部冒頭のテンポを取る。
ツボ25 ここもティンパニが遠いが、深みのある音に感じられる。
ツボ26 再現部冒頭のテンポのまま一直線なのがセルらしいが、この後、オーボエが出てくる直前(6:50)からアッチェレランドを掛け、そのままひた走る!
ツボ27 大きくテンポを落としておいて、436小節からややテンポを上げる。
ツボ28 462小節からガクッとテンポを落とことで、結果的に8分音符が本来の音価通りの長さで奏でられる。全休止前にティンパニの一撃を置くのはセルの常套手段。
ツボ29 雄渾な響きが印象的。潔癖なアーティキュレーション!
ツボ30 弦はサッと切り上げているのに対し、トランペットはそれほどでもない。
ツボ31 旧来型の改変をするだけでなく、そのことを誇示するように、改変部分のテンポを落として強調する。更に、502小節の頭でシンバルが鳴る!
ツボ32 ブルーム軍団の真骨頂!ハイレスポンスを誇る雄叫び!
ツボ33 ここまでインテンポを貫くが、最後の4小節のみテンポを落として、決然と終わる。

チャイコフスキー:交響曲第5番

ジョージ・セル(指)
ケルン放送交響楽団
第2楽章ホルン・ソロ:
EMI
CZS-5759622(2CD)
録音:1966年6月24日、クラウス・フォン・ビスマルク・ザール【ステレオ・放送ライヴ】
演奏時間: 第1楽章 15:48 / 第2楽章 13:26 / 第3楽章 6:00 / 第4楽章 10:52
カップリング/ディーリアス:「イルメリン」前奏曲(クリーヴランドO.'56*)、ロッシーニ:「アルジェのイタリア女」序曲(クリーヴランドO.'67)、ワーグナー:「マイスタージンガー」第1幕前奏曲(NYO.'54*)、ヨゼフ・シュトラウス:ワルツ「うわごと」( クリーヴランドO.'62)、オーベール:「フラ・ディアヴォロ」序曲(クリーヴランドO.'57)、ドヴォルザーク:交響曲第8番(クリーヴランドO.'70)、ドビュッシー:交響詩「海」(ケルンRSO.'62*) 
*=モノラル録音。チャイコフスキー、ドビュッシー、ディーリアス、ワーグナーが初CD化。
“ローカル色を一切排除し、セル独自の美学を貫徹!”
この「チャイ5」の骨太な推進力と骨格の逞しさの前では、名盤の誉れ高いスタジオ録音も霞むほど!1〜3楽章までは綿々とした憂いと激情を見事に交錯させ、終楽章で遂に高潔な精神を一気に炸裂。3分47秒の奇跡的なフォルテの一撃、コーダの息を呑むテンポ設定など、セル以外に実現不可能な至芸の連続です。なお終楽章では、ケンペンのように展開部の210小節から再現部の315小節までをバッサリ割愛する短縮版を採用(従って演奏時間10分弱)しているのが興味深く、逆にエピック(SONY)盤で聴かれたコーダのシンバル追加は、ここでは行っていません。ケルン放送響の各セクションの技術とセンスの高さも魅力です。カップリング曲も、セルのお気に入りだったディーリアスの鼓膜に吸い付くような感触がセルのイメージからしてあまりにも意外ですが、これが泣かせてくれます!
ワーグナーは、後年のステレオ録音よりもアーティキュレーションが厳格な上に音のカロリー価が高く、男性的な力感が満点!しかし、何度聴いても鳥肌が立つのは極美のヨゼフ・シュトラウス!カラヤン等の巨匠が良く取り上げる名曲ですが、この全てのニュアンスがツボにはまりき切ったイマジネーション豊かな名演を最後に置くとは、なんともニクイ演出! ドビュッシー、ワーグナー、ディーリアスはモノラルですが、丁寧なマスタリングでセルの芸風を心行くまで堪能できます。
第1楽章のツボ
ツボ1 セルらしく、情に溺れずに正確な拍節を貫き、太い音色で吹き通す。主題結尾をリタルダンドするが、ここにでも厳格さを絶やさない。。
ツボ2 意外なほど優しく弦を刻んで、憂いを湛える。テンポも先へ進むのを拒むかのよう。
ツボ3 楽譜どおり。
ツボ4 ほんのわずかにスタッカートを施し、優しい風情を漂わす。
ツボ5 テンポこそインテンポだが、高潔なフレージングが心に迫る。
ツボ6 呼吸を感じさせ、フォルティッシモに達してからは、声高にならず、情念を搾り出すように歌う。
ツボ7 ピチカートの一つ一つに意味を込め抜くと共に、ここから拍の刻みに重量感が増す。
ツボ8 豊かな呼吸、そしてなんと高潔なカンタービレ!表面的な表情付けの入り込む余地なし。高潔なカンタービレ!
ツボ9 この直前からテンポを速め、後はそのままインテンポ。しかし、決して機械的に進行せず、リズムそのものに充分な憂いを保ったまま重厚なコーダを築く。
第2楽章のツボ
ツボ10 全体をレガートで覆い尽くすのではなく、一音ごとに段階的に強弱を施し、微妙な感情の揺れを表出。ホルンは、技術的にこれより精度の高い演奏もあるが、音楽を感じきった歌いまわしが魅力的。クラリネットとの絡みも絶妙。オーボエがべらぼうに巧いが、明るすぎか。
ツボ11 大きく山場を築くが、小節ごと(56〜58小節)に微妙に強弱とテンポのニュアンスを施す(偶然か?)のが印象的。
ツボ12 テンポは直前から緩めて、自然にトーンを落とす。クラリネットは最高に巧い!ファゴットへ移る直前のディミニュエンドは、これ以上望めない!
ツボ13 凄い重量感を湛えたピチカート。続く117小節目からのクラリネットを太い音色で浮き立たせるのが特徴的。
ツボ14 セルのアゴーギクのセンスが大全開で、凄い緊張感とほとばしる共感を惜しげもなく飛翔させる。この素晴らしさは、チャイ5録音史上最高と言いたい!
ツボ15 束の間の安らぎのように、かすかな晴れやかさを感じる音色とフレージング。
第3楽章のツボ
ツボ16 出だしで若干テンポを落とし、フルート、クラリネットが加わる直前でもテンポを落とす。弦の動きもそれに合わせているから、明らかにセルの指示によるもの。
ツボ17 全パート満遍なく発言力を発揮。特に低弦の意味深さに注目。
ツボ18 相当セルにしごかれたのかもしれない。
第4楽章のツボ
ツボ19 ムラヴィンばりの強靭な切り込み!主部への導入というよりすでに本編のような荘厳さ。
ツボ20 控えめながら、しっかり浮き出している。後半に行くに従って突出が強くなる。
ツボ21 弦が入るまでかなり長くトレモロを引っ張る。58小節と66小節、共に一撃を加える。
ツボ22 完全無視。むしろディミニュエンドする。
ツボ23 210小節から再現部の315小節まで演奏カット。
ツボ24 -
ツボ25 -
ツボ26 -
ツボ27 大きくテンポを落としておいて、436小節からややテンポアップ
ツボ28 凄い技が登場!462小節からガクッとテンポを落としておいて、ティンパニのトレモロで極限まで高揚させた後は、自然と複付点2分音符が長めに伸びることになり、結果的に8分音符が本来の音価どおりの正確な長さで奏でられる。しかも、その8分音符をスタッカート気味に短く切って、厳格さを誇示する念の入れよう!クリーヴランド盤でもこのテンポ変動は見られるが、ここまで入念ではなかった。
ツボ29 輝かしい進軍ぶり。ホルンが一貫して強靭に背後を支えている。
ツボ30 直前の弦のフレージングと完全に同じ音価で統一!セルなら当然だが…。
ツボ31 改変型で、それを強調するようにテンポも落とすのはクリーヴランド盤と同じだが、シンバル追加は行っていない。
ツボ32 トランペットとのバランスが良好。
ツボ33 重厚かつダイナミックな締めくくりを完全なインテンポで築き、尋常ならざる手応え!


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