湧々堂HOME 新譜速報: 交響曲 管弦楽曲 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 オペラ バロック 廉価盤 シリーズもの マニア向け  
殿堂入り:交響曲 管弦楽 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 オペラ バロック SALE!! レーベル・カタログ チャイ5



APARTE
(フランス)


AMBROISIE レーベルのプロデューサーとして名高いニコラス・バルトロメーが新たに立ち上げたレーベルです。


※表示価格は全て税込み。品番結尾に特に表記のないものは全て1CDです。
品番 内容 演奏者
AP-001
オフェリー・ガイヤール
ドビュッシー:亜麻色の髪の乙女
ドヴォルザーク:月に寄せる歌(歌劇「ルサルカ」より)
グリーグ:ソルヴェーグの歌(「ペール・ギュント」より)
ベッリーニ:ああ私がどんなにあなたをお慕いしているか(歌劇「夢遊病の女」より)
ドニゼッティ:人知れぬ涙(歌劇「愛の妙薬」より)
プッチーニ:私のお父さん(歌劇「ジャンニ・スキッキ」より)
サティ:ジムノペディ第1番
サティ:グノシエンヌ第1番
フォーレ:パヴァーヌop.50、夢のあとに
ショパン:マズルカop.67-4、夜想曲Op.9-2
ラフマニノフ:ヴォカリーズ(op.34-14)
チャイコフスキー:感傷的なワルツ
オフェリー・ガイヤール(Vc/フランチェスコ・ゴフリラー(1737))
ティモシー・レドモンド(指)RPO
チェロ界のミューズ、ガイヤールがクラシックの名曲を優雅に繊細に奏でます。オペラのアリアでは朗々としたガイヤール節が冴えます。ショパンのマズルカは、溜息のような繊細さと低音での思いがけない力強さで、ピアノとはまた全く違う魅力に溢れています。しっとりとした陶器を思わせる名録音とあいまって、ガイヤールのチェロにノックアウトの1枚です。編曲を手がけたのは、クレイグ・レオン。レオンは、ジョシュア・ベルの「ロマンス・オブ・ザ・ヴァイオリン」プロジェクトを手がけ、このアルバムはクラシックの空前の大ヒットとして今なお記憶に新しいところ。ほかにもパヴァロッティのアルバムから、ポップスのアーティストのプロジェクトなど、幅広く活躍しています。 (Ki)
AP-002
グリーグ:ばらの季節に
 きみを愛す/夢/白鳥
 茶色のふたつの目
 ソルヴェイグの歌
 子山羊のダンス/水連に寄せて
ラングストレーム:牧羊神
シベリウス:もはや私は尋ねなかった
 3月の雪/でもあたしの鳥は帰ってこない
 ブラック・ローズ/トンボ
 デートから戻った娘
ドビュッシー:ビリティスの3つの歌
 顕現/美しき夕べ
カレン・ヴルチ(S)
スーザン・マノフ(P)

録音:2009年11月
幼い時をノルウェーの北部で過ごし、その後夏のバカンスの旅にオスロの南にある島でゆったりとした時の流れに身を任せるという生活をしているフランスのソプラノ、カレン・ヴルチによる魅力的なアルバム。ゲーテやフォン・ボーデンシュテットによるドイツ語の詩を北欧の言語に訳した詩に作曲された歌曲(「ばらの季節に」、「夢」)はドイツ語で歌われることが多いですが、ヴルチは北欧語で歌っているなど、言葉に対する慎重な選択の姿勢が印象的。グリーグ歌曲の高貴でメランコリックな性格、シベリウスの歌曲の情熱的な愛など、それぞれの作品の性格を繊細に歌い分けています。カップリングに選んだ終曲の「美しき夕べ」は、「熟考する自然と水と人間の生活の自然なサイクルを想起させる」とヴルチが語っていますが。ディスクの冒頭から最後まで、時に激しく時に穏やかに私たちを包み込む自然を感じさせる秀逸な1枚です。 (Ki)
AP-003
ショパン:作品集
チェロ・ソナタ ト短調 op.65
前奏曲 イ短調 op.28-2*
ノクターン ト長調 op.37-2
プレリュードホ短調 op.28-4*
ノクターン ト短調 op.37-1
序奏と華麗なるポロネーズ ハ短調 op.3
ノクターン ホ短調 op.72-1* 
ワルツ イ短調 KK IVb no.11*
オフェリー・ガイヤール(Vc/ Francesto Goffriller, 1737( 弓/ Etienne Pageot, 1840)
エドナ・スターン(P/ 1843 年プレイエル)

* 印=ガイヤールとスターンによるVc&Pf 編曲版

録音:2009 年9 月
気品溢れる音色とセンシティヴな演奏で私たちを魅了しつづけるチェリスト、オフェリー・ガイヤール、次なる新譜はショパン。ピアニストにバッハ の録音でも高い評価を得ているエドナ・スターンを迎え、極めて薫り高い演奏を展開しています。まず冒頭のソナタでは、プレイエルのピアノで奏でら れる独白のような短い前奏に、まるでショパンの友人でチェリストであったフランショームとショパン自身が目の前で演奏している部屋へと引き込まれ たような錯覚に陥ります。ショパン自身、サンドと別れの時期を迎えていた際にこのソナタを書いたこともあり、特別な思い入れがありました。死の床 についていた際にもフランショームにこのソナタを演奏してもらったといいます。ショパンのエッセンスが濃縮された作品を、ガイヤールとスターンが、 色彩と詩情豊かに奏でます。何度も聴いたことのある作品のはずですが、息を呑んで聴き入ってしまう世界が広がります。続いてピアノ曲のチェロ&ピ アノ編曲を含む小曲が並びます。作品37 の二つのノクターンはオリジナルの通りピアノ独奏で演奏されていますが、祈りのような旋律と舟歌のリズム の煙るような世界がプレイエルで奏でられると、これこそショパンの色彩の世界なのか、と耳が改めて拓かれる思いです。 (Ki)
AP-004
スラヴ魂
アルチュニアン:演奏会用スケルツォ
チャイコフスキー:メロディOp.42-1
 感傷的なワルツOp.51-6
グラズノフ:アルバムブラット
グリンカ:ひばり
ゲディケ:演奏会用練習曲Op.49
オスカル・ベーム:トランペット協奏曲ヘ短調Op.18
ラフマノニフ:エレジーOp.3-1
 道化役者Op.3-4
 ヴォカリーズOp.34-14
ヘーネ:スラヴ幻想曲
ブラント:演奏会用小品Op.11-1
リムスキー=コルサコフ:熊蜂の飛行
ロマン・ルルー(Tp;使用楽器YAMAHA)、
ジュリアン・ルパプ(P)

録音:2009年10月
ロシアの地で生まれたトランペットのオリジナル曲および有名曲の編曲集。グラズノフのオリジネル曲「アルバムブラット」は彼の作中最美のひとつで、美しいメロディと瑞々しい情感に酔わされます。またロシア・トランペット界の父オスカル・ベームの協奏曲や人気作曲家アルチュニアンなど重要作も目白押し。ロマン・ルルーは15歳でパリ国立音楽院に入学、卒業後にカールスルーエ音楽大学でラインホルト・フリードリヒに師事。リヨン国際室内楽コンクール3位。2009年にはフランス最大の音楽賞「ヴィクトワール・ド・ラ・ミュジーク」クラシック音楽部門で見事新人賞を受賞した期待の逸材。朗々とした響きが魅力です。 (Ki)
AP-005(3CD)
ヘンデル:歌劇「シピオーネ」 デレク・リー・レイギン(CTシピオーネ)
サンドリーヌ・ピオー(Sベレニーチェ)
オリヴィエ・ラルエット(Brエルナンド)
ヴァンダ・タベリ(Sアミーラ)
ギィ・フレッチェ(Tレリオ)
ドリス・ランプレヒト(Msルチェヨ)
クリストフ・ルセ(指)レ・タラン・リリク

録音:1993年7月25-31日
「シピオーネ」は1726年に初演されたオペラで、「ジューリオ・チェーザレ」、「タメルラーノ」、「ロデリンダ」という傑作群を生み出した直後の作品です。シピオーネとはローマ史に高名な大スキピオのことで、ローマとカルタゴが争うヒスパニアが舞台。拠点カルタゴ・ノワを攻略したシピオーネは、囚われたバレアス(スペインの同盟国)の王女ベレニーチェに恋をするが、彼女はスペインの王子ルチェヨと恋仲。そのルチェヨはベレニーチェを救うためローマ兵として潜り込んでいる。しかしベレニーチェに嫉妬したあまり、シピオーネに正体を明かして決闘を申し込むが、捕らえられてしまう。シピオーネはベレニーチェの父エルナンドに、和平としてベレニーチェと結婚したいと申し込むが、義理堅いエルナンドは、娘はルチェヨに与えると約束したとこれを拒絶。これに感心したシピオーネはベレニーチェとルチェヨの結婚を許し、ルチェヨはローマに忠誠を誓う。これだけヘンデルのオペラがブームになっているというのに、「シピオーネ」は不遇で上演の機会は極めて乏しく、原語での録音はいまだこのルセのものだけ。しかももう何年も廃盤のままでしたので、ようやくの復活です。この録音は、直前のボーヌ音楽祭での同じメンバーによる上演に基づいたもので、演奏の質も極めて高水準。ことにベレニーチェを歌うピオーは、その後バロックのソプラノとして大ブレイクしました。軽装紙箱ながら解説(仏英)、台本(伊仏英)を収録した120ページ超の冊子が付録しています。 (Ki)
AP-006(2CD)
L・クープラン:作品集
組曲ヘ長調、組曲ト短調、
組曲ハ長調
組曲ハ短調、組曲ニ短調、
組曲イ短調、パヴァーヌ(嬰ヘ短調)
クリストフ・ルセ(Cemb9/LouisDenis1658年(ラインハルト・フォン・ナーゲルによる修復(2004-05年))

録音:2009年7月
クープランというと一般的にはフランソワの方が人気があるかもしれませんが、それでもやはりフランソワのおじにあたるルイ・クープラン(c.1626-1661)は17世紀鍵盤音楽史上重要な作曲家です。35歳で早すぎる死をむかえたルイは、「harmonist」としてその名をとどろかせており、その厚い和声と、効果的な場面で効果的に響くよう書かれた不協和音、すぐれた構築性などは生きていた当時から学者たちをはじめ玄人筋に喜ばれていました。ルセは豊かな音色の楽器を用いてルイ・クープランの魅力をあますところなく引き出しています。 (Ki)
AP-007
デュティユー:同じ和音の上に(ヴァイオリンと管弦楽のためのノクターン)
夢の樹(ヴァイオリンと管弦楽のための協奏曲)
ラファエル・ダエーヌ(b.1943):ヴァイオリン協奏曲
大野和士(指)リヨン国立歌劇場O
ヨッシフ・イヴァノフ(Vn/1699年製ストラディヴァリウス’LadyTennant’)

録音:2009年7月
大野和士が指揮するデュティユーの登場。デュティユー独特の、空間に点描を描くような音世界、静寂と嵐のよう暴力的な部分の対比、すべてを見事に明晰にまとめあげている大野の棒は見事。エネルギーが爆発する部分でも、大野の熱い音楽性がオーケストラ全体を興奮の渦へと巻き込みます。イヴァノフは18歳でエリザベート王妃国際コンクールに優勝した実力派で、知性と技巧を絶妙なバランスで併せ持つ逸材です。デュティユーの世界を息もつかせぬ技巧と抒情で聴かせます。1943年生まれ、ブリュッセルで学んだ作曲家ダエーヌの作品もオケが底鳴りするような迫力に満ちた作品です。 (Ki)
AP-008
シューベルト:ピアノ作品集
即興曲D899op.90
ピアノ・ソナタ第13番イ長調D664
ピアノ・ソナタ第14番イ短調D784
ヴァネッサ・ワーグナー(P)

録音:2010年6月
個人的な思いに満ちた、シューベルトに宛てたヴァネッサ・ワーグナーの恋文のような1枚。即興曲での一音一音、一つ一つのフレーズを抱きしめているような演奏に心が打たれます。 (Ki)
AP-009(2CD+DVD)
[CD1]ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲
[CD2](Audio-CD)ベートーヴェン:交響曲第7番
(DVDVideo)ベートーヴェン:交響曲第1番〜アダージョ、アレグロ・モルト・エ・ヴィヴァーチェ、
交響曲第7番〜ポコ・ソステヌート・ヴィヴァーチェ、
ヴァイオリン協奏曲〜ロンド・アレグロ(すべて抜粋)
デイヴィッド・グリマル(Vn、指)
レ・ディソナンス

録音:2010年3月15日(ヴァイオリン協奏曲、交響曲第1番/ライヴ録音)、
2010年5月27日(交響曲第7番/ライブ録音)
ヴァイオリンの名手グリマルが、ヴァイオリンと指揮の両方の才能を思う存分発揮したセット。レ・ディソナンス(=不協和音)と名付けられたアンサンブル団体は、グリマルの呼びかけに応じて集まった若き音楽家たち。様々な古典の名曲に違った光の当て方をすることをモットーにしている団体だけあって、ここに収められたベートーヴェンの名曲も新たな光に満ちています。グリマルのヴァイオリンの音色の美しさと力強さに魅力されつつ、オケの音色も非常に充実した魅力的なベートーヴェンです。 (Ki)
AP-010
バッハ:幻想曲集
幻想曲イ短調BWV922
幻想曲とフーガ.イ短調BWV904
前奏曲とフーガ.ヘ長調BWV901
最愛の兄の旅立ちに寄せるカプリッチョBWV992
前奏曲、フーガとアレグロ変ホ長調BWV968
アダージョ〜ヴァイオリン・ソナタ.ハ長調BWV968より
前奏曲と小フーガ.ト長調BWV902
前奏曲とフーガ.イ短調BWV894
イタリア風アリアと変奏.イ短調BWV989
クリストフ・ルセ(Cemb)

録音:2009年7月
冒頭の幻想曲イ短調から、怒濤のようなパッセージに圧倒。「最愛の兄の旅立ちに寄せるカプリッチョ」での沁みる表情、イタリア風アリアと変奏で聴かせる厳格な佇まいなど、変幻自在、縦横無尽にバッハの世界を魅せます。ルセのバッハにはいつも何かハッとさせられるものがありますが、この1枚は、今年50歳をむかえるルセが、円熟の極みにあり、充実したエネルギーと多様な表情に満ちていることを強く感じさせます。 (Ki)
AP-011
ヴィヴァルディ:「四季」
ピアソラ:ブエノスアイレスの夏、秋、冬、春
デイヴィッド・グリマル(指、Vn)、
レ・ディソナンス

録音:2010年5月(ライヴ録音/ディジョン歌劇場)
グリマル率いるレ・ディソナンスは、2004年から、貧困などで困難な生活をする人々に音楽と文化を届けようという活動を行っています。この活動の一環として2010年5月に行われたコンサートのライヴ。ヴィヴァルディの四季と、ピアソラのブエノスアイレスの〜を季節ごとに交互に演奏しています。ヴィヴァルディの四季が素晴らしいことはいうまでもありません。ピアソラ作品でも、アドリブでヴィヴァルディを思わせる音型がちりばめられていますが、ピアソラ独特の熱い緊張感の中にヴィヴァルディの風味が絶妙にマッチ。偉大な芸術は時代を越えて融合することを実感します。 (Ki)
AP-012
ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第8番ハ短調op.110、
第9番変ホ長調op.117
弦楽四重奏のための2つの小品(エレジー、ポルカ)
バイロンSQ
〔ウェンディ・ギセル(Vn)、
フランソワ・ジェームス(Vn)、
ロビン・ルメル(Va)、
コラリー・デュヴァース(Vc)〕

録音:2010年10月
バイロン弦楽四重奏楽団は、ヨーロッパ各地から集まった若手音楽家によって結成されたカルテット。ここに収録されたショスタコーヴィチは、ドライでスタイリッシュなセンス抜群。エレジーでの繊細な歌、ポルカでのコミカルな表情など、様々な表情をみせており、カルテットとしての底力を感じさせる1枚となっています。 (Ki)
AP-013
フランス歌曲集
プーランク:ふたりは闇をつくる、4 月の月
フェルナン・アルファン:センチメンタルな対話、
 死んだ一日
マスネ:スペインの夜
ショーソン:時の女神、退屈な温室
ヴィクトル・ユーゴー:夜
フォーレ:夜想曲、夜の庭、月の光
アーン:Encor sur le pave sonne mon pas nocturne(ふたたび石畳に僕の夜の足音が響く)、
 夜想曲、夜に
クテ:ブドウ圧搾機に
ベルリオーズ:夏の夜
ボードレール:月の悲しみ
イサベル・ドゥルエ(Ms)、
ジョアンヌ・ラランボンドレイニ(P)、
クリスティアン・パジョー(語り)

録音:2010年10月
詩の朗読もところどころにはさみながら、夜について歌ったフランス歌曲作品を中心に収録されています。しっとりして、ミステリアスで、そしてロマンティックで神秘的で・・・幸せに満ちた恋人たちをつつむ夜、失恋した人の足音を呑み込む夜。夜の様々な表情をおたのしみください。イザベル・ドゥルエは、フランスで活躍するメゾ・ソプラノ。ヘンデルからR.シュトラウスまで幅広いレパートリーをもつ実力派です。ピアノのラランボンドレイニは1979年生まれの気鋭のピアニスト。パーカッションも演奏する彼女の抜群の運動能力が音楽に独特の推進力を与えています。 (Ki)
AP-015(2CD)
リュリ:「ベレロフォン」 シリル・オヴィティ(Tベレロフォン)
セリーヌ・シェーン(Sフィロノエ)
イングリッド・ペリューシュ(Sステノベ)
ジェニファー・ボルギ(Msアルジ/パラス)
ジャン・テジャン(Bsアミソダル)
エフゲニ・アレクシエフ(Brジョバト)他
クリストフ・ルセ(指)レ・タラン・リリク

録音:2010年12月,パリ(ライヴ録音)
ジャン=バティスト・リュリ(1632−1687)は、1670、1680年代におよそ14のオペラ(トラジェディ・リリク、抒情悲劇)を書いています。その中でも特に初演当時大成功を収めたものが、1679年に初演されたこの「ベレロフォン」でした。1月31日に初演されるや爆発的人気となり、実に9ヶ月もの間上演が続いたといいます。さらにリュリ自身や第三者の改編を受けながら何度もリバイバルされ、最後の上演は、フランス革命も遠くない1773年というから驚きます。ところが、1987年の「アティス」に端を発するリュリ再評価の潮流でも「ベレロフォン」は長いこと放置され、ようやく2010年になって演奏会形式上演で取り上げたのがクリストフ・ルセでした。ルセは、まず7月にボーヌで演奏、さらに12月にパリとヴェルサイユ、年が明けた2011年1月にウィーンと「ベレロフォン」を上演、いずれも大絶賛されました。このCDには、パリのシテ・ドゥ・ラ・ミュージックでの演奏が収録されています。ベレロフォンとは、ギリシャ神話に登場するベレロポン(ベレロポンテス)のこと。彼はペガサスを駆って怪物キマイラ(キメラ)を退治した人物として知られています。それよりも前、彼は誤って兄弟を殺してしまったことから故郷コリントスを去り、ティリンスのプロイテス王の元に身を寄せていました。ところがその王妃ステネボイアがベレロポンに言い寄ってきます。彼が彼女を拒絶すると、怒り狂ったステネボイアは、ベレロポンに誘惑されたと虚偽の告発をし、ベレロポンを彼女の父リュキア王イオバテスの王宮へと向かわせます。しかしベレロポンはここでキマイラ退治を成功、イオバテスの娘ピロノエと結婚します。なおベレロポンはポセイドンの息子であるとされています。「ベレロフォン」の大成功は、リュリの優れた音楽はもちろんですが、台本がたいへん優れていたことも大きな理由です。トマ・コルネイユはピエール・コルネイユの弟で、彼自身劇作家として大家でした。「ベレロフォン」は、嫉妬深い王女の横恋慕と挫折が軸になっており、この2年前に初演され熱狂を巻き起こした、ジャン・ラシーヌの「フェードル」を受け継いでいます。真の主役はステノベと言ってよいでしょう。記念すべき復活蘇演は素晴らしい出来栄えです。中でも鍵を握る嫉妬の王女ステノベを歌うイングリッド・ペリューシュの集中力ある歌は強烈、遂げられない愛に苦しむ女の悲しさを見事に描き切っています。ベレロフォンのシリル・オヴィティは、2000年にデビューしたばかりの若いフランスのテノール。ほのかな翳りのある声は常に不幸に晒されるベレロフォンにピタリ。フィロノエのセリーヌ・シェーンは、ラ・フォル・ジュルネに度々出演していたことで日本でもよく知られている美声ソプラノ。その他の歌手も実力派が揃えられています。もちろんルセの指揮は高貴にして力強く、圧倒的。発売されるや、各誌、新聞評で絶賛された名盤、フランス・バロック音楽ファンならお聞き逃しのないように!172 ページのブックレット+ 1CDサイズのジュエルケースが紙のスリーブケースに入った装丁です。 (Ki)
AP-017(2CD)
バッハ:無伴奏チェロ組曲(全6曲) オフェリー・ガイヤール(Vc/フランチェスコ・ゴフリラー(1737年))、第6番のみピッコロ・チェロを使用

録音:2010年5月
録音技師:ニコラ・バルトロメー
ガイヤール、11年ぶりのバッハ無伴奏組曲の再録音の登場。背伸びをせず、チェロを弾く喜びにあふれたバッハ。バッハが連ねた音楽史上もっとも美しい音型のひとつひとつを丁寧に丁寧に紡いでいます。慈愛に満ち、そして舞曲の生き生きとした躍動感にも満ちており、ページをめくるたびに思わず顔が輝いてしまいそうな美しい絵本のよう。目を閉じると、木造りの部屋でガイヤールと差し向かいにくつろいだチェアに深くゆったりと座り、彼女が自分のためにだけ弾いてくれているような気分になる、親密な空気に満ちた、実に贅沢なバッハです。【ガイヤール自身の言葉(ライナーノーツより抄訳)】再びこの組曲を録音したのは、11年前の時と同じく、インスピレーションが湧いたからです。この組曲を録音するということは、大きな賭けでありますが、今回の録音という偉大なる冒険に際して私は幸運にも力強いパートナーを得ました。それは楽器です。このような素晴らしいチェロを弾けるだけでもすでに十分に幸福なのですが、じっくりと楽器との関係を築きながらこれらの組曲と向き合うことで、ことができるだけで、まったく新しい展望が拓けたのです。「人が旅を作るのではなく、旅が人を形成する。人は自身を飾るために旅をするのではない。旅が人から無駄なものを一切洗い落とし、すすぎ、乾かしてくれるのである」という言葉がありますが、まさに自分が今回この組曲を再録音する中での道のりもこうした旅のようでした。き
AP-019
リスト:ピアノ作品集
ハンガリー狂詩曲第15番(ホロヴィッツ編)
愛の夢(ノクターン第3番)
ラ・ダンツァ(ロッシーニ:音楽の夜会より/リスト編)
愛の夢(ノクターン第2番)
即興ワルツ
おお、お前、夕星の歌(ワーグナー/リスト編)
イゾルデの愛の死(ワーグナー/リスト編)
コンソレイション第3番
巡礼の年第2年への補遺「ヴェネツィアとナポリ」〜ゴンドラの漕ぎ手、カンツォーネ、タランテッラ
トリスタン・プァッフ(P)

録音:2011年2月
プァッフは2007年のロン・ティボー国際音楽コンクールで6位入賞、ガラ・コンサートで来日経験もある注目株。ミシェル・ベロフやチッコリーニの薫陶を受けたとびきりのリストです。
AP-021
アンナ・デ・アミチスのためのアリア集
ヨンメッリ:「棄てられたアルミーダ」−哀れなアルミーダ
モーツァルト:「ルーチョ・シッラ」−ああいとしい人の恐ろしい危険を思うと,私は行く、急いで,不吉な死の思いの中で,暗い岸から
グルック:「オルフェオとエウリディーチェ−なんと過酷な瞬間
ボルギ:「クレリアの勝利」−災いに多大な力を
ミスリヴェチェク:「ロモロとエルシーリャ」−あなたは私を驚かせたいのですか,あなたが勝利すれば
J.C.バッハ:「ザナイダ」−棄てられたキジバト
カファーロ:「アンティゴノ」−もし稲光がし
ほか
テオドーラ・ゲオルギュー(S)
クリストフ・ルセ(指)レ・タラン・リリク
注目の新星が登場です。テオドーラ・ゲオルギューはルーマニア生まれのソプラノ。様々なコンクールを受賞した後、2003年にウィーン国立歌劇場にデビュー、2007年から2010年まで同歌劇場のメンバーとして多数の公演に出演し人気を高めました。レパートリーは比較的広く、中でもモーツァルトのソプラノとして評価されています。上り坂にある若い歌手ならではの魅力がたっぷりです。今回、初めてのアリア集がリリースになります。このアルバムは「アンナ・デ・アミチスのためのアリア集」と題されています。アンナ・デ・アミチス(1733頃−1816)は、18世紀後半にヨーロッパ各都市で広く活躍したプリマドンナ。1772年、ミラノでのモーツァルト「ルーチョ・シッラ」初演でジューニャを歌ったことで知られています。ここにはその「ルーチョ・シッラ」を始め、彼女の得意としたオペラのアリアが集められています。ジョヴァンニ・バッティスタ・ボルギ(1738−1796)やパスクワーレ・カファーロ(1715−1787)の作品は特に珍しいもの。バックは、なんとクリストフ・ルセが指揮するレ・タラン・リリク。こちらも要注目です。 (Ki)
AP-022
モーツァルト:弦楽四重奏曲第19番ハ長調「不協和音」K465
シューベルト:弦楽四重奏曲第13番イ短調「ロザムンデ」D804 op.29
チアロスキュロQ
(1Vn:アリーナ・イブラギモヴァ、2Vn:パブロ・エルナン・ベネディ、Va:エミリー・ヘルンルンド、Vc:クレア・ティリオン)

録音:2010年12月
2005年にイギリスのロイヤル・カレッジ・オブ・ミュージックの卒業生で結成された古楽演奏団体、チアロスキュロ・カルテット。1750年から1830年までの時代を中心とした曲をレパートリーとし、現在はヨーロッパを中心に幅広い活動を展開しています。若手演奏家らしい、活気あふれる卓越したアンサンブルがこの団体の魅力。1stVnを担当するイブラギモヴァはソリストとしても活動し、今注目される若手ヴァイオリニストの一人です。本年に来日を予定しており、今後ますますの活躍が期待されます!★リブレットに掲載されたインタビューの中で、彼らは今回の選曲について次のように述べています。「『不協和音』は欠かせない傑作であると同時に、私たちがコンサートで最初に演奏した曲でもあります。『ロザムンデ』も非常に重要な作品であり、モーツァルトの数々の弦楽作品とつながるものがあります。モーツァルトとシューベルトは多くの共通点で結ばれており、私たちは必然的に、この2つの作品を連続して録音することにしたのです」 (Ki)
AP-023(1CD+DVD)
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」
プロメテウスの創造物Op.43

■ボーナス映像DVD(PAL)
全曲の演奏風景
デイヴィッド・グリマル(Vn)、
レ・ディソナンス(アンサンブル)

録音:2010年12月9日/ディジョン歌劇場オーディトリウム(ライヴ)
革新的なスピリッツに溢れるベートーヴェンの交響曲第5番に、レ・ディソナンス率いるグリマルが挑戦。アンサンブルの中で他のパートとコミュニケーションを深めながら、究極の音楽を目指します。分散した社会を一つにまとめ、経済、環境など様々な問題に直面する市民を鼓舞し、その絆を深めていくことこそが、音楽の使命であると考えるレ・ディソナンス。彼らの音楽活動は、路上生活者や社会的に疎外された人々の社会復帰を支援する非営利団体「LesMargeniaux」に捧げられています。また、作曲家、ソリスト、オーケストラおよび室内管弦楽団の団員など、異なる分野で活躍する音楽家たちの相互交流、若手のホープの支援も行い、レパートリーはいわゆるメジャーであるところのバッハやベートーヴェンだけでなく、ブリース・ポーセットなどの現代作曲家による作品まで及んでいます。ナイーヴから出ているリヒャルト・シュトラウスの『メタモルフォーゼン23の独奏弦楽器のための習作』、シェーンベルクの『浄められた夜』に捧ぐCDは熱狂を持って迎えられ、多くの音楽評論家から絶大なる評価を受けました。また、ベートーヴェンの交響曲第7番とヴァイオリン協奏曲を収録したCDが2007年10月にリリースされた際には、テレラマ紙が最高の評価を与えたほか、2010年のル・モンド賞のベスト・レコーディングス部門に選ばれました。社会に働きかけていこうとする彼らの真摯な姿勢に打たれ、フランス政府もバックアップしています。デイヴィッド・グリマルはフランス第一線で活躍するヴァイオリニスト。パリ国立音楽院を卒業後、アイザック・スターンやシュロモ・ミンツに学び、パリ政治学院でも勉学に励みました。高潔な演奏姿勢、ピュアな音楽的感性を称えられ、世界有数のオーケストラと共演を重ねてきました。また、ダルバヴィー、ティエリー・エスケシュ、オスカー・ビアンキ、フィリップ・エルサン、アレクサンドル・ガスパロフなど、フランス国内外の著名な作曲家が彼のために作品を書いており、作品初演も数多く行っています。さらに、近年リリースされたバッハのヴァイオリン・ソナタ全曲集(AM181)は非常に高い評価を受け、ベストランキングに入り、注目されました。ソリストとしてのキャリアのみに甘んじることなく、様々な音楽家とのコラボレーションによる活動を発展させていくため、レ・ディソナンスを結成しました。パリ中心部でコンサートを行い、収益は全て路上生活者などの支援に充てています。 (Ki)
AP-024
フランセ:クラリネット協奏曲
プロコフィエフ:クラリネット協奏曲(原曲:フルートソナタ/ケント・ケナン編)
フランセ:主題と変奏
シャーリー・ブリル(Cl)、
アドリアン・モラール(指)
ルーマニア国立放送O
1982年イスラエル生まれの女流クラリネット奏者シャーリー・ブリル。リューベック音楽院でザビーネ・マイヤーに、ボストンのニューイングランド音楽院でリチャード・ストルツマンに師事し、2007年にはジュネーヴ国際コンクール最高位を受賞した実力派。ドイツ・クラリネットならではの魅力を存分に聴かせてくれる彼女は、若手最注目株と申せましょう。音色の美しさもさることながら、人間業とは思えぬテクニックに唖然とさせられます。
難曲として名高いフランセの協奏曲を、ここまで鮮やかに弾ききれるかという超人技。さらなる注目はプロコフィエフのクラリネット協奏曲。オリジナル作品ではなく、名作フルートソナタ(後にヴァイオリンソナタ第2番にも改作)を、アメリカの作曲家ケント・ケナン(1913-2003)がクラリネットとオーケストラ用に編曲したものですが、まるでオリジナルのように自然で惹きつけられます。原曲のフルートソナタ自体が難曲中の難曲ですが、移調楽器のクラリネットだとさらに難度が増すため、身の毛のよだつ技術が要求されますが、ブリルはたっぷり旋律を歌い、曲の牧歌的な雰囲気も保っています。加えて、ケナンのオーケストレーションがプロコフィエフそのもので色彩的。プロコフィエフ・ファンをしびれさせる響きに満ちています。21世紀のクラリネット界を背負ってたつ逸材シャーリー・ブリル、要注目です。 (Ki)
AP-025(2CD)
古典派トランペット協奏曲集
フンメル:トランペット協奏曲変ホ長調 
ネルダ(1706-1780):トランペット協奏曲変ホ長調(カデンツァ:R.ルルー)
ハイドン:トランペット協奏曲変ホ長調 (カデンツァ:R.ルルー)
グルック:歌劇「オルフェーオとエウリディーチェ」〜メロディ(精霊の踊り)
ハイドン:トランペット協奏曲(カデンツァ:K.ペンデレツキ版)
 同曲(カデンツァ:K.シュトックハウゼン版)
ロマン・ルルー(Tp)
エマニュエル・ルデュク=バローム(指)
バルチックCO

録音:2010年11月5、6、7日、サンクトペテルブルク
ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2012での再来日を前に、日本でも更なる注目を集めているトランペット界の新星ロマン・ルルーによるトランペ ト協奏曲尽くしのアルバム。古典派時代に残された数少ないトランペット協奏曲の中でも代表的なハイドン、フンメル、ネルダの作品が一挙に収録されて います。ルルーが奏でるトランペットの響きは相変わらず気品あふれる美しさ。安定感抜群の演奏から繰り出される超絶技巧の数々には圧倒されます!
特に注目されるのは、ハイドンの協奏曲のカデンツァ! 世界初録音となるペンデレツキによるカデンツァのほか、シュトックハウゼンが息子のために書い たカデンツァ、そしてルルー自身が作曲したカデンツァの3種類の演奏が収録されています。シュトックハウゼンのものは、自身による指揮、そして息子マ ルクス・シュトックハウゼンのソロによる演奏が録音で残っていますが、ルルーの演奏も見事。ペンデレツキのカデンツァは、ペンデレツキが1999年にサン ノゼ交響楽団を指揮した時、首席トランペット奏者のジェームズ・ドーリーのために書いたものですが、その後ノルウェーの名手アントンセンのリクエスト により2002年に改訂されました。トランペットが高音域で活躍する名カデンツァです。第3楽章のカデンツァでは、人をくったような表現に思わず吹き 出しそうになる部分も。ルルーの超絶技巧が冴え渡ります。第3楽章の演奏時間は、ルルー自身によるカデンツァのものは4分半なのに対し、シュトック ハウゼンとペンデレツキのは6分半前後。華麗なカデンツァでの見せ場が続きます。
ロマン・ルルーは今最も注目される若手トランペット奏者の一人。ソリストとして著名なオーケストラ、フェスティヴァルに出演しているほか、フランス を中心に指揮者としても活動しています。再来日となるラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2012年では、好評のスラブ魂(AP 004)に収録された作 品も演奏する予定。今後ますますの注目を集めること必至のアーティストです!バルチック室内管弦楽団は、サンクトペテルブルク・フィルハーモニー管弦 楽団の精鋭奏者たちによって構成されるアンサンブル。ヤンソンスのもとで研鑽を積んだルデュク=バロームが2000年から音楽監督を務めています。 (Ki)
AP-026
フォーレ:主題と変奏.嬰ハ短調(全曲)
舟歌第1番〜第13番
ジュリオ・ビダウ(P)

録音:2011年10月3-5日、サン・ボネ劇場(ブルジュ、フランス)
1985年イタリア生まれのピアニスト、ジュリオ・ビダウによる記念すべき最初のCD!ビダウは2010年にカサグランデ国際コンクールで第3位に輝いた他、数々のコンクールに入賞経験を持つ実力派です。20世紀半ば以降の作品を得意とし、フランスを中心にヨーロッパ各地で活動しています。NHKの「スーパーピアノレッスン」で生徒役として来日出演したこともあり、日本でも今後ますます注目されるアーティストの1人といえましょう。
本CDには、ビダウがかねてより得意のレパートリーとしてきたフォーレの「主題と変奏」と共に、1880年頃より晩年にかけて作曲された「舟歌」を全て収録しました。インタビューでは、「舟歌」の収録を通じて「フォーレの様式の変化、他の音楽家たちからの影響、次世代の音楽家への影響など、多くを発見することが出来た」と語ったビダウ。(このインタビューはリブレット内にも掲載されています【仏語、英語、伊語】)。本人が確かな手応えを感じるのも納得の1枚です! (Ki)
AP-027
パーセル:ハルモニア・サクラ
憐れみ深い天使よ私に言っておくれ
暗く侘しい絶望の地下牢で
かの方に向かって歌おうその知恵でこの耳を形作った方に
エア.ト短調
偉大な、そして正義の神よ
われ主の憐れみを永遠に歌わん
私の歌が常に
グラウンドニ短調
主よ、人とは何ですか
夜よ去れ(ヨブの呪い)
シャコンヌ.ト短調
夜が来た/病み疲れた目で
どうやって私は迷ったのか
組曲ト短調
私の開いた目は清められ
偉大な神よ、どれほど長く
グラウンド.ハ短調/眠れアダムよ
眠れぬ羊飼いであるあなたよ
大地が震え/今や太陽の光も薄れ
ローズマリー・ジョシュア(S)
クリストフ・ルセ(指)レ・タラン・リリク

録音:2010年11月28日-12月1日、パリ
17世紀後半の英国で短い生涯に優れた作品を多数書き残したヘンリー・パーセル(1659−1695)。その多くは筆写譜として今日伝えられていますが、いくつかはパーセルの生前に出版されました。その代表的なものが、英国の音楽出版業者、ヘンリー・プレイフォードによって出版された「ハルモニア・サクラ(聖なる調和)」。著名な作曲家の様々な種類の聖歌、讃歌を集めた曲集で、1688年に出版、好評を博したため1693年に続編も出版されました。このCDには、「ハルモニア・サクラ」から、パーセルが高声独唱用に作曲したものが選ばれています。ローズマリー・ジョシュアは、ウェールズのカーディフ出身のソプラノ。今日の英国を代表するバロック音楽のソプラノで、ことにヘンデルのヒロインとして絶大な人気を誇っています。清潔感のある美声と、品の良さを保ちつつ情熱の篭った表現にも優れた歌は、パーセルには打ってつけです。しかもバックはクリストフ・ルセ率いるレ・タラン・リリク!これは豪華。ところどころに挟まれているルセのチェンバロ独奏がまた絶品、チェンバロマニアも要注目です。 (Ki)
AP-029
Trombone All Styles
ダリオ・カステッロ(1590-1630):ソナタ第1番
フランシスコ・コレア・デ・アウラウショ・デ・アケベド(1584-1654):世界中みな
ジョヴァンニ・バッティスタ・フォンターナ(1571-1630):ソナタ第1番
ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ(ミリシェ編曲)
ヘンデル:協奏曲 へ長調
アルビノーニ:協奏曲op.11-9
ウェーバー:ロマンス
ヒダス・フリジェス(1928-2007):ムーヴメント
マシュー・ミリシェ(1979-):速く、そして怒って
ファブリス・ミリシェ(Tb、サックバット)
加藤麻衣子(Org、Cemb)
ナタナエル・グィン(P)

録音:2011年 9月/サン=ピエール教会
2007年、ミュンヘン国際音楽コンクールで初めてトロンボーン部門が開催された時、第1位を獲得した天才ミリシェがAPARTEレーベルに登場! 1985年音楽一家に生まれたミリシェは、トロンボーンをパリ・トロンボーン四重奏団のアラン・マンフラン、サックバットをレ・サックブーティエのダニエル・ ラサルに師事しました。他に幼い頃から始めたピアノにも才能を発揮、さらにチェロも本格的に学んでおり、フィリップ・ミュラーやトリオ・ヴァンダラーのチェ リスト、ラファエル・ピドゥーらにも師事しています。サックバットではサヴァールと共演、トロンボーン奏者としてシュトゥットガルト放送響などと共演を 果たしています。バロックから現代ものまで、どんなものもその甘さとのびやかさをあわせもった音色で吹きこなしてしまう実力派で、今後のさらなる活躍 が期待されます!このプログラムでも、ヘンデルやアルビノーニで聴かせるカッチリかつ華やかなパッセージ、ラヴェルで聴かせる抑えの効いた表現、さら に彼の兄の作品である最後の曲で魅せる超絶技巧は圧巻です。 (Ki)
AP-030(2CD)
テオドール・デュボワ(1837-1924):ドラマ・オラトリオ「失楽園」(オリヴィエ・シュミット編:ピアノと複五重奏編成による器楽と声のための)
[CD1]第1部「反乱」、第2部「地獄」
[CD2]第3部「楽園―誘惑」、第4部「審判」
シャンタル・サンタン(S、イヴ)、
マティアス・ヴィダール(T、アダム)、
アラン・ビュエ(Bs、サタン)
ジェニファー・ボルギ(Ms、大天使ガブリエル)、
シリル・デュボワ(T、ウリエル/息子)
エリアス・ベニート(Bt、悪魔モロク)、
ソリン・ドゥミトラスク(B-B、悪魔ベリアル)、オレリアン・リシャール(P)
ジェフリー・ジョルダン(指)
レ・ソリスト・デ・シエクル、
レ・クリ・ドゥ・パリ

録音:2011年9月5-7日、サン・テスプリ教会(パリ
テオドール・デュボワに注目盤の登場!オラトリオ「失楽園」を、ピアノと複五重奏(金管五重奏+弦楽五重奏)編成で再現した版による演奏。器楽パー トを担当するのは、ロト率いるオリジナル楽器名人集団オーケストラ、レ・シエクルのメンバーたち。歌唱陣も 2011年にモンプリエを始めとするフランス各地の音楽フェスティヴァルで演奏された際、ここ100年間で初めてのデュボワの世界的再現演奏として高い 注目を集めた話題の演奏の、待望のリリースです。
今となっては殆どの作品が演奏されなくなり、専ら音楽理論家、教育者として今に名を残しているデュボワですが、生前は宗教曲を始め多彩なジャンル に多くの作品を残した作曲家でもあります。この「失楽園」は彼が作曲した大作オラトリオの一つ。1878年にパリ市が企画したオラトリオのコンクール に出品(完成はこれより前)され、賞を取った作品です。エドゥアール・ブロー(マスネの「ウェルテル」の台本作者)のテクストに付曲されています。 大賞を受賞したものの、コンクール後は部分的に演奏されたことはありましたが、作品全体が演奏されることはありませんでした。歴史に埋もれた貴重な 作品の復活です。
もともとデュボワは、1861年にローマ大賞を受賞したこともある作曲家でしたが、劇場などで作品をとりあげられる機会にはなかなか恵まれませんで した。更に、この大賞を受賞したあとも、批評家たちは彼を完成された作曲家としてではなく、まだ駆け出し、あるいは、極めて優れた技術をもった学生(テ クニシャン)としてかみなされなかったのです。このオラトリオの楽譜は出版の準備まではされましたが、その後の歴史の混乱の中で、現在に残されてい るのは歌唱パートとピアノ・パートのリダクション版のみ。
今回の復元編曲を手掛けたオリヴィエ・シュミットは、19世紀のスタイルを重視しながら、作品を見事によみがえらせました。フランスの次世代を担う 若手演奏家たちによる瑞々しい演奏にも注目。悪魔(サタン)のドラマティックな場面や、アダムとイヴの二重唱が特に印象的に響きます。ドラマティック な曲調とソリストたちによる重唱の連続は、オラトリオというよりまるで一つのオペラを聴いているようです。イヴが禁断の木の実を食べてしまうシーンは 聴きもの。歴史の影に失われた「失楽園」が、今現代に蘇ります! (Ki)

AP-031
シューマン:チェロ協奏曲イ短調Op.129
リスト:エレジー第1番&第2番、
 忘れられたロマンス、
 ノンネンヴェルトの僧房、
 悲しみのゴンドラ
オフェリー・ガイヤール(Vc/Francesco Goffriller(1737)(CICより貸与))
ティベリウ・ソアレ(指)ルーマニア国立放送O
デルフィーヌ・バルダン(P)
たまらなくセンシティヴな音色と、聴き手の感情にピタリと寄り添う音楽性で、作品の魅力を自然なタッチであたたかく引き出すガイヤール。名曲シュー マンの登場です!バッハの無伴奏チェロ組曲でも、どこまでも自然で、まるで目の前で自分だけのために弾いてくれているかのような錯覚をおぼえる親密さ は、協奏曲や室内楽でも全く損なわれていません。むしろ、オーケストラやピアノと一緒にこちらを包み込むように問いかけてくるような不思議な慈愛に満 ちています。
シューマン協奏曲で、フォルテのところでも弓圧はどこまでも自然ながら、その音色の深みに思わず惹きこまれてしまう不思議な魅力に満ちたガイヤー ルの音楽はここでも遺憾なく発揮されています。第2楽章で聴かせるオーケストラとのあたたかな対話とメロディには、ただただ引き込まれてしまいます。 確かなテクニックが要求される第3楽章のフィナーレでも、聴き手の耳に吸い付いてくるような質感の音色で聴く華やかなパッセージは、彼女でしか奏で ることのできない色に満ちています。ガイヤールの奏でる陰影と叙情性に富んだシューマンを、オペラものも多く手がける指揮者ソアレ率いるルーマニア国 立放送管弦楽団が好サポートしています。旋律を奏でるオケのメンバー一人一人もガイヤールに寄り添うような雰囲気で、見事な一体感です。続くリスト の作品も、フォーレ作品などで好評価を博したデルフィーヌ・バルダンという好パートナーを得、ガイヤールの歌に満ちた魅惑の演奏が展開されています。 特にエレジーでの深い慟哭のような低音には涙すら覚えるほどの美しさ。ガイヤールの魅惑の音色に包み込まれる至福の1枚です。 (Ki)
AP-034
忘れられた歌声〜スペインの伝承音楽集
マルティン・コダス:カンティガ・デ・アミーゴ(全曲)
「聖母マリアのカンティガ集」抜粋
エストレマドゥーラの伝承歌
アビラの伝承歌、ほか(全22曲)
ヴォックス・スアヴィス
【アナ・アルナズ(歌、パーカッション)、
ドミニク・ヴェラール(歌、ウード)、
バティスト・ロマン(ヴィエール、バグパイプ)】

録音:2011年5月10-13日、サン=フロラン教会(ティル=シャテル、フランス)
スペイン伝統音楽の再発見と保存に尽力する演奏団体、ヴォックス・スアヴィスによるスペインの中世歌曲集。エストレマドゥーラ、アビラといったスペ インの地方や、ポルトガルに伝わる伝統的な世俗歌曲&器楽曲の数々が収録されています。注目は、13世紀のスペインに活躍したと言われる吟遊詩人、 マルティン・コダスの「カンティガ・デ・アミーゴ」が全曲収録されていること!19世紀に発見されたカンティガ集で、少女が海岸に立ち、遠地にいる恋 人を想うという切なくも美しい歌曲集です。恋人を想う少女の独唱あり、互いを想う男女の二重唱あり…中東の響き色濃いノスタルジックな旋律に心打た れます。また、本アルバムでは歌曲と並んで器楽曲も収録。アルフォンソ10世が編纂した「聖母マリアのカンティガ集」からの抜粋や、ポルトガル・スペ インに伝わる伝統曲の数々が収録されています。ウードやヴィエール、バグパイプといった古楽器の響きと、アルナズとヴェラールの艶やかな歌声のハーモ ニーも聴き所。時代の影に埋もれてしまったスペイン中世の響きに想いを馳せる1枚です。 (Ki)
AP-036(2CD)
F.クープラン:クラヴサン曲集
[CD1]
《クラヴサン曲集 第2巻》第7組曲
メヌトゥ嬢/子供の時代-ミューザの誕生、幼年期、思春期、逸楽/バスク風/シャーゼ/気ばらし
《クラヴサン曲集 第2巻》第8組曲
ラファエル(女流画家)アルマンド 〜オーゾニエーヌ(女流詩人)/クーラント 第1,2番/サラバンド(風変わり)/ガヴォット
/ロンドー/ジグ/パッサカリア/モラン嬢
[CD2]
《クラヴサン曲集 第4巻》第25組曲
空想にふける女/神秘的な女/モンフランベール夫人/勝利したミューズ/さまよう亡霊たち
《クラヴサン曲集 第4巻》第26組曲
病み上がりの女/ガヴォット/ソフィ/とげのある女/パントマイム
《クラヴサン曲集 第4巻》第27組曲
アルマンド~上品な女/けしの実/中国風/頓智
ブランディーヌ・ヴェルレ(Cemb/1751年製アンリ・エムシュ(フレデリク・アース・コレクション)

録音:2011年11月12-16日/サン・レミ・ドゥ・フラン・ヴァレ教会(ベルギー)
ジャケットのヴェルレの肖像:H.クレイグ・ハンナによる
フランスが生んだ根強い人気の名クラヴサン奏者ブランディーヌ・ヴェルレ、待望の新録音の登場です!ヴェルレのF.クープランといえば、1976-80 年にかけて全曲録音されたアストレの名盤(近年XRCD化(JMXR.24510)もされ話題となりました)が有名ですが、今回、アンリ・エムシュの銘器を 奏でての新録音となりました。
1942年生まれのヴェルレ。間もなく70歳となる現在も、ますます磨かれた知性と信念に満ちた演奏を展開しています。彼女ならではの絶妙なテンポ 設定も、節度ある美しい装飾、絶妙なアーティキュレーションや間の取り方など、すべてが最上級に活きるためのものであることにすぐ気づかされます。フ ランス・バロック演奏のひとつの真の姿がここにある、といっても過言ではないでしょう。ヴェルレのライフワークともいえるF.クープランとその作品に対 する、最上級の敬意と真摯な愛情に満ちた演奏です。
録音は、アンブロワズィ・レーベルなどでも長年エンジニアを務めている名人ニコラス・バルトロメーが担当。楽器がフルに鳴り響いている様子、ヴェ ルレのニュアンスを楽器がもらさずキャッチしている様子がわかる優秀録音です。ブックレットにはヴェルレ女史がF.クープランに宛てて書いたメッセージ が収められており、こちらも興味津々です。
ヴェルレは1942 年、パリに生まれました。マルセル・ド・ラクール(パリ国立高等音楽院にチェンバロ科を設立した人物)にチェンバロを師事、 1963 年にミュンヘン国際コンクールのチェンバロ部門で満場一致の第1 位と特別賞を受賞しました。その後ユゲット・ドレフュスのもとでさらに研鑽を 積むほか、ルッジェーロ・ジェルリン(1899 − 1983、ランドフスカの弟子) やラルフ・カークパトリック(1911-1984、N. ブーランジェにピアノを、ラ ンドフスカにチェンバロを師事。D. スカルラッティ作品のK 番号の頭文字でおなじみ) らの薫陶も受けていました。70 年代からフィリップスに、90 年 代からはアストレでレコーディングを行いました。実に約30年以上ぶりとなるフランソワ・クープランの新録音となる当盤、注目です! (Ki)
AP-039
シューマン:蝶々Op.2
 子供の情景 Op.15
ショパン:マズルカ.ホ短調 Op.41-2
 ノクターン 変ホ長調 Op.55-2
カーチャ・ブロンスカ(P)

録音:2012年1月( パリ)
カーチャ・ブロンスカは、ポーランドに生まれ、現在パリで活躍する女性ピアニストです。大規模なホールでのコンサートよりも親密な雰囲気のホール を好むこともあり、知る人ぞ知る的な存在ではありますが、その演奏を一度聴けば、きらびやかではないけれどもいぶし銀のような輝きを放ち、色彩感覚 に優れた美しい音色、そして豊かな詩情に誰もが虜になってしまいます。メニューインも、彼女の演奏を聴いて「私は打ちのめされた!彼女はショパン作品を、 緻密で見事なルバートをもって、魅惑の時の旅へといざなうような絶妙なテンポで演奏する」と絶賛しています。1987年に、フランス財団のグランプリ に輝きました。マルグリット・ロンに師事したクリスティナ・ヤストルゼフスカに師事、その後もイヴォンヌ・ルフェーブルや、ペルルミュテールにも師事し ました。
今回カティアが取り上げたのは、奇しくも同じ年に生まれ、同じ時代を生たシューマンとショパンのピアノ作品集。非常にゆったりとした「トロイメライ」 で聴かせる自然なフレーズの緩急づけは感動的。また、ショパンのマズルカでは彼女のポーランドの血が実に自然にショパンの物悲しい世界を描きます。 ノクターンで聴かせる詩情はちょっと他では得られないもの。絶妙なテンポ設定と、詩情豊かな音色によるショパンとシューマンを、心行くまでたっぷりと 堪能できる1枚です。 (Ki)

AP-041
ハプスブルク宮のコンサート〜室内楽曲集
ビーバー:ヴァイオリン・ソナタ第5番 
J.H.シュメルツァー:独奏ヴァイオリンのためのソナタ・テルティア
ビーバー:ロザリオのソナタ第10番「磔刑」
フローベルガー:皇帝フェルディナント3世陛下の悲しい詩に寄せる哀悼歌
ビーバー:ヴァイオリオン・ソナタ第3番
J.J.ヴァルター:組曲第8番ホ長調
N.マッテイス:ギターのための3つの小品
アンサンブル・ストラヴァガンツァ

録音:2011年4月、2012年4月、オート・ド・サン・ミッシェル教会
ヨーロッパの若手実力派たちが立ち上げた新進気鋭の古楽団体「アンサンブル・ストラヴァガンツァ」が、APARTEレーベルよりデビューアルバムをリリー ス!「ハプスブルク宮のコンサート」というアルバムのタイトル通り、ヨーロッパの音楽発展に高い貢献を果たすほど精華な音楽活動が行われていた17世 紀ハプスブルク宮廷で愛された室内楽曲に焦点をあてたプログラムとなっています。一世を風靡するイタリア人音楽家に負けじと活躍した、現オーストリア・ ドイツ圏出身の音楽家たちの作品を中心に収録されているのも本アルバムの特徴。深く内省的な響きが美しいビーバーの「ロザリオのソナタ」や、初期ト ンボー作品の傑作であるフローベルガーの哀悼歌、「バロック期のパガニーニ」とも称されるJ.J.ヴァルターの組曲をはじめ、宮廷音楽の典雅な響きを十 分に含む珠玉の作品が収録されています。ドミティーユ・ジロンの軽妙洒脱なヴァイオリン・ソロも聴き所です!
アンサンブル・ストラヴァガンツァは、ヨーロッパを中心に活躍する若手演奏家たちによって結成された古楽アンサンブル。G.レオンハルトやJ.サヴァー ルといった巨匠たちから助言を受け、近年メキメキと実力を付けている若手団体です。2011年にはイタリアのボンポルティ国際古楽コンクール(アンサン ブル部門)、アムステルダム国際古楽アンサンブルコンクールで相次いで入賞を果たしたほか、フランスの文芸科学アカデミーからも銅メダルを授与される など、世界各国で早くも高い評価を受けているアンサンブル・ストラヴァガンツァ。今後の活躍にも期待必至です! (Ki)
AP-042(2CD)
アントワーヌ・ドヴェルニュ(1713-97):「瀕死のヘラクレス」 アンドリュー・フォスター=ウィリアムズ(Bs、ヘラクレス)、
ヴェロニカ・ジャンス(S、デイアネイラ)、
エミリアーノ・ゴンザレス=トロ(T、ヒルス)、
エドイン・クロスリー=マーサー(Br、ピロクテテス)、
ジャエル・アッツァレッティ(ディルケ/テッサリアの娘/捕虜)、
ジェニファー・ボルギ(Ms、ユノ)、
アラン・ビュエ(嫉妬/ジュピター)、
ロマン・シャンピオン(ジュピターの大司祭/テッサリアの男)、
クリストフ・ルセ(指)レ・タラン・リリク
ヴェルサイユ・バロック音楽センターCho

録音:2011年11月19日、ヴェルサイユ宮殿オペラ劇場ライブ(フランス)
ヴェルサイユ宮殿オペラ劇場で2011年11月に公演され、見事な復活蘇演によってフランス・バロック・オペラの本場を大いに沸かせたルセ&レ・タラン・ リリクによるドヴェルニュの音楽悲劇『瀕死のヘラクレス』のライブ録音が、ついにリリースされる運びとなりました! 2010年に行ったリュリの音楽悲劇『ベ レロフォン』の復活演奏(AP 015)の話題も覚めやらぬルセ&レ・タラン・リリクですが、今回も歌手陣・演奏陣共に万全の布陣で挑んでいます。
アントワーヌ・ドヴェルニュ(1713-97)は、フランスはムーラン生まれの音楽家。宮廷音楽家として活躍していた彼にオペラ座の指揮者の話が舞い込 んできたのは1757年のこと。当時のオペラ座はリュリに次ぐ新世代の活動促進に積極的で、数多の音楽家の中からドヴェルニュに白羽の矢が立ったので した。今回収録された『瀕死のヘラクレス』は、彼がオペラ座公演のために手掛けたトラジェディ・リリック(抒情悲劇)のひとつ。若手作家ジャン=フ ランソワ・マルモンテルが台本を担当し、記念すべき初演はシーズンの最初を飾る1761年4月3日に華々しく行われました。リュリが作り上げたトラジェ ディ・リリックを踏襲し、このオペラの随所にも数多くのバレエシーンが挿入されています。
『瀕死のヘラクレス』はギリシャ神話、ヘラクレスの最期を題材とした舞台。ヘラクレスは妻デイアネイラ(デジャニール)を差し置いて、捕虜の若き王 女イオレに夢中になってしまいました。しかし、息子ヒルスもまたイオレに恋していることを知ったヘラクレスは、友人ピロクテテスの忠告もあって、彼女 を諦め、息子へ譲ることを決意します。しかし、夫が若い王女を囲おうとしたことを知ったデイアネイラは嫉妬の怒りに狂い、付ければ媚薬になると聞か されていたネッソスの血に浸した服を夫に送り、彼の愛を取り戻そうとします。しかし、ネッソスの言は大嘘で、その血は触った人を焼き殺すほどの猛毒 なのでした。そのことを知ったデイアネイラは己の失態を悔やみ、自ら命を絶ちます。死ぬ間際、ヘラクレスはデイアネイラを赦し、息子や友人に別れを 告げ、天界へと上っていくところで幕は閉じます。
初演の評価は真っ二つになったと伝えられる本作ですが、ルセ&レ・タラン・リリクによる演奏は文句なしの素晴らしさ!デイアネイラを歌うのは、サル・ プレイエルやヴェルサイユ宮オペラ劇場に引っ張りだこの名手、ヴェロニカ・ジャンス。嫉妬に狂う第4幕はジャンスの独壇場といっても過言でありません。 気高くも狂気に満ちた迫真の歌声にぐっと惹き込まれます。ヘラクレスには古楽界屈指のバス、フォスター=ウィリアムズが登場。英雄の貫禄にふさわしい 太く重厚な歌声で、テノールのゴンザレス=トロと絶妙の掛け合いを魅せてくれます。瑞々しい歌声が魅力のゴンザレス=トロは、2012年11月に寺神戸 亮指揮の『病は気から』での来日公演も間近。今後も注目必至の若手実力派です。ルセ&レ・タラン・リリクの器楽演奏は今回も気品高く、洗練されて なお圧倒的な迫力。プログラムの希少性もさることながら、その内容も絶賛された注目の名演です。 (Ki)
AP-043(2CD)
ジャック・デュフリ(1715-1789):クラヴサン曲集
第1巻【アルマンド ハ短調、クーラント、ロンド ハ長調、ラ・ミレッティーナ、ロンド ニ短調、カザマジョール、アルマンド ニ短調、クーラント ニ短調、ヴァンロ、ロンド、トリボレ】
第2巻【ダマンジー、フェリクス、ドゥ・ヴァートル、デリクール、ランツァ、鳩】
第3巻【フォルクレ、シャコンヌ、メデ、三美神、ドゥ・ギヨン、ドゥ・シャムレイ】
第4巻【ポチュイン(ロンド)、ヴィクトワール、デュ・ビュック、ドゥ・デュルモン】
クリストフ・ルセ(クラヴサン)

録音:2011年10月18日ラ・ギャラリー・ドレ、フランス
現代最高の鍵盤楽器奏者の一人であるクリストフ・ルセ。今回は18世紀フランスを生きた音楽家ジャック・デュフリの鍵盤楽曲集。デュフリはフラン スのルーアンに生まれ、フランソワ・ダジャンクールに師事し、オルガニストとして活動するも、その後パリに移り住みクラヴサン奏者兼教師として高い名 声を博しました。 デュフリの作品は、デュフリが最も傾倒した作曲家ラモーの音楽を規範としたとされています。ギリシャ神話の3人の女神たちが互いの美を競い合う話が 元の「三美神」は、儚い響きが幻想的な世界を作り出しています。また華やかな雰囲気を感じる「シャコンヌ」、名人芸が光る「フォルクレ」など、時代 の流れを敏感に嗅ぎ取とり作品に反映させたロココ文化象徴ともいえるデュフリの作品を鮮やかに演奏し、ルセの真骨頂である18世紀フランスを見事に 再現しています。 (Ki)
AP-044
シューマン:ミサ・サクラOp.147、
4つの二重合唱曲Op.141
レ・クリ・ドゥ・パリ(合唱&管弦楽)
ジョフロワ・ジュルダン(指)
マリアンヌ・クレバッサ(Ms)
バティスト・ロペス(第1Vn)

録音:2011月9月27、28日、10月2、3日ロワイヨモン修道院
フランスの名門Choレ・クリ・ドゥ・パリによるシューマンの合唱曲。秘曲「ミサ・サクラ」は、合唱、独唱、管弦楽、オルガンの比較的大規模な作品。シュー マンらしい抒情性に満ちた美しい曲を、心静まる穏やかな合唱の響きとマリアンヌ・クレバッサのソロが豊かな表現力で聴かせます。また無伴奏混声合唱 のための「4つの二重合唱曲」はシューマンならではの色彩的な和声感覚が非常に美しい作品。
AP-045
バッハ:ピッコロ・チェロ伴奏によるアリア集
カンタータ「かくのごとく神は世を愛したまえり」BWV68
シュープラー・コラール集BWV645 no.1
カンタータ「イエスよ、今ぞたたえられん」 BWV 41
カンタータ「わが心は血の海に漂う」BWV199
カンタータ「われは善き羊飼いなり」BWV85
カンタータ「われらと共に留まりたまえ」BWV6
カンタータ「われ希望をもちて歩み求めん」BWV49
カンタータ「彼は羊らの名を呼びたもう」BWV175
シュープラー・コラール集BWV645 no.6
カンタータ「わが心よ、汝備えをなせ」BWV115
カンタータ「彼らは汝らを追放せん」 BWV 183
カンタータ「見よ、われらイェルサレムにのぼる」BWV159
「われ汝に呼ばわる、主イエス・キリストよ」BWV639
カンタータ「いざ、待ち望みたる時を告げよ」BWV53(ゲオルク・ メルヒオール・ホフマン)
サンドリーヌ・ピオー(S)
クリストフ・デュモー(A)
エミリアーノ・ゴンザレス=トロ(T)
オフェリー・ガイヤール(ピッコロ・チェロ&指) プルチネッラ

録音:2012年7月1-4日サン・ジェルマン・デ・プレ、パリ
バッハのカンタータは多様性に満ちた作品で、特に楽器の使い方は巧みであり、音楽の懐の深さを味わうことができます。ピッコロ・チェロは18世紀 初頭に一時的に登場した楽器で、通常のチェロより小さく、1本高音域の弦を張った5弦チェロ。速い動きや、軽やかさ、繊細さなどを出すことができま す。バッハは自身のカンタータの中で9曲に表現力などを考慮した上で、ピッコロ・チェロの使用についてはっきりと言及しています。 ここではフランス・チェロ界の華オフェリー・ガイヤール率いるアンサンブル、プルチネッラとサンドリーヌ・ピオーをはじめとする豪華歌手陣による演奏 で聴くことができます。ガイヤールはピッコロ・チェロを弾きこなし、優雅に繊細に奏でています。またピオーの透明感がある伸びやかな歌声、クリストフ・ デュモーの硬質な切れの良い声、声色を自在に操るエミリアーノ・ゴンザレス=トロの骨太な歌唱など聴きどころ満載の1枚です。 (Ki)

AP-048
悪い奴ら〜ヘンデル:悪役アリア集
「タメルラーノ」−尊大な心に平安を与えたい,
「アリオダンテ」−あなたに望んでいる
「テゼオ」−殺戮を望み死を望み,落ち着いておくれ、ああ、美しい眼よ
「ガリアのアマディージ」−酷い苦しみを,心に激情を感じ
「アリオダンテ」−義務、正義、愛が,策略が良い結果をもたらせば
「ジューリオ・チェーザレ」−この心の麗しき女神たちよ,お前の誇り高さを屈服させよう
「オットーネ」−天まで波を高め,魅惑的な美しい唇
シャヴィエ・サバータ(CT)
リッカルド・ミナージ(指)
イル・ポモ・ドーロ
ンデルのアリア集は多数あり、その中にはカウンターテノールが歌ったものもたくさんあります。しかし今回のCDはちょっとヒネリが。歌われている のはすべてヘンデルのオペラの敵役、仇役、悪役のアリア。悪役というのは感情が激しくないと務まりませんので、ヘンデルの悪役アリアは魅力的なもの ばかりです。 歌うは、シャヴィエ・サバータ、1976年、スペイン、カタルーニャ州バルセロナ生まれのカウンターテノール。ここ数年の活躍は目覚しく、スペイン国内 はもちろん、ことにフランスや独墺のバロック声楽作品上演には頻繁に出演しています。2011、2012年には、ウィリアム・クリスティの指揮で上演され たカヴァッリの「ディドーネ」のイアルバを歌っています。ジャケット写真はかなり強面に撮られていますけれど、実際にはガタイ良さに反してどこか繊細 な印象の青年。そして実にまろやかな美声の持ち主で、カウンターテノールならではの魅力を堪能できます。 リッカルド・ミナージは、1978年、ローマ生まれのヴァイオリニスト。数々の古楽オーケストラのヴァイオリニストを務めた名手で、また指揮活動も積極 的に行っています。イル・ポモ・ドーロは2012年創立の本当に新しい古楽オーケストラ。ポモ・ドーロとは金のリンゴという意味で、オペラ史上に名高いチェ スティの同名オペラに由来しています。彼らがミナージのヴァイオリンと指揮で録音したヴィヴァルディの協奏曲集(naive OP30533)は極めて高い評価 を得ました。 歌にもオーケストラにも、そして企画にも注目の1枚です。
※Xavier Sabataの名前の読みについてご本人に問い合わせましたところ、カタルーニャ語では(イタリア語式にデフォルメした綴りで書くと)Sciavieee Sabaaaaataのように発音される、とのご回答をいただきました。たしかにカタルーニャ語では語頭のXはシゃの発音で、またSabataは、イタリア語で はSaにアクセントが入るのに対し、カタルーニャ語ではbaに入るのが普通です。これを踏まえて『シャヴィエ・サバータ』とカナ表記いたします。ちな みにフランスでの仕事が多いため、フランス人からはクサヴィエと呼ばれることも多いとのことです。 (Ki)

AP-050
マーラー:『若き日の歌』〜春の朝/思い出/ハンスとグレーテ/ドン・フアンのセレナード/ドン・フアンの幻想
ドビュッシー:夢想/祈願/リラ/セレナード
 スペインの歌/ばら/華やかな宴
マーラー:私は緑の森を楽しく歩いた
 夏に小鳥はかわり/別離と忌避
ドビュッシー:星月夜/弓/月の光
 ピエロ/後悔/アリエルのロマンス
 出現
マーラー:『子供の魔法の角笛』〜この世の生活
ジュリー・フュシュ(S)、
アルフォンス・スマン(P)

録音:2012年8月27-30日、サン・ピエール教会(パリ)
フランス期待の新星ソプラノ、ジュリー・フュシュによるマーラー&ドビュッシー歌曲集。 二人の大家がまだうら若き学生であった頃、1880-1892年頃に作曲した歌曲の数々が収録されています。『若き日の歌』を中心に、ドビュッシーもまだ パリ音楽院の学生だった1880年代に作曲されたものを中心に収録。「月の光」や「ばら」といった代表作に加え、近年自筆譜が発見されたばかりという「ス ペインの歌」も収録しています。 初期作品集ではありますが、聴き応えは十分。2009年に本格的なデビューを果たしたばかりのフュシュですが、若さあふれる瑞々しい声色と共に、全 体的に重心を据えた安定感のある歌唱で聴かせてくれます。高音の煌びやかさはもちろんのこと、中低音のふくよかな伸びも魅力的。歌曲に合わせて鮮や かに声色を変える表現力も聴きどころです。伴奏を担当するアルフォンス・スマンはパリのコンセルヴァトワール卒の若手実力派。すでに数々の音楽祭に引っ 張りだこで、2012年のラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンで松山冴花と共演し、注目を集めました。フュシュとはすでに多く共演しており、2013年も リサイタルを共にする予定。息の合ったアンサンブルで、フュシュの歌声を支えています。 (Ki)
AP-051
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第11番 ヘ短調 op.95「セリオーソ」
モーツァルト:アダージョとフーガ.ハ短調 KV 546*
 弦楽四重奏曲第16番変ホ長調 KV 428*
チアロスキュロQ
[アリーナ・イブラギモヴァ(Vn)、
パブロ・エルナン・ベネディ(Vn)、
エミリー・ヘルンルンド(Va)
クレア・ティリオン(Vc)]

録音:2012年5月7-9日、10月4-6日* ポール・ロワイヤル・デ・シャン
今をときめくイブラギモヴァが第1ヴァイオリンを務める、2005年結成のチアロスキュロ・カルテット待望の第2弾の登場。チアロスキュロ・カルテッ トは、2009年からポール・ロワイヤル・デ・シャンのレジデント・アーティストとして、モーツァルトの弦楽四重奏全曲演奏プロジェクトを手掛け、また、 ウィグモアホールなどにも登場するなど、充実の活動を見せています。2011年にリリースしたデビューCD(AP 022/モーツァルトの「不協和音」とシュー ベルトの「ロザムンデ」のカップリング)も話題となりましたが、今回は、ベートーヴェンの大曲「セリオーソ」と、デビューCDと同様モーツァルトを収録。 「セリオーソ」は圧倒の集中で、冒頭から気魄十分。一切の飾りを排した語り口のアンサンブルで、これが却って作品自体の世界をこれ以上ないかたちで 提示してくれているよう。ピリオド・アプローチにもさらに磨きがかかっており、ノン・ヴィブラートのゾクっとするような美しい音色が、作品自体のもつ 凄味を十二分に引き出します。終楽章も壮絶の極みです。モーツァルトは和音の着地が非常に柔らかでエレガントな雰囲気。変幻自在のカルテットの魅力 を堪能できる1枚です。 (Ki)
AP-052
オン・ザ・ロード
バルトーク:ルーマニア民族舞曲
チャイコフスキー:アンダンテ・カンタービレ
ハチャトゥリャン:剣の舞
ルグラン:5時から7時のクレオ〜サン・トワ
プーランク:ワルツの調べ〜愛の小道
アルバン:ベッリーニのノルマに基づくファンタジー
チャップリン:スマイル(モダン・タイムス)
ピアソラ:オブリビオン、コントラスト、リベルタンゴ
アーレン:オーバー・ザ・レインボウ
ロータ:道
ロマン・ルルー(Tp、コルネット、ビューグル、ピッコロ・トランペット)
アンサンブル・コンヴェルジェンス( 弦 楽 五 重奏)

録音:2012年12月3-6日/パリ
エリック・オービエのもとで学んだ実力派、ラ・フォル・ジュルネ音楽祭でも何度か来日のある若手新星トランペット奏者、ロマン・ルルーの最新盤はクラシッ クや映画の名曲集。弦楽五重奏アンサンブルを率いて、バルトークの力強さ、アンダンテ・カンタービレでの甘い音色、「オーバー・ザ・レインボウ」での切々 とした歌心、そして「道」のなんとも渋みの効いた音色は絶品です。 (Ki)
AP-053
ブラームス:室内楽作品集
チェロ・ソナタ第2番 ヘ長調 op.99
チェロ・ソナタ第1番 ホ短調 op.38
クラリネット三重奏曲 イ短調 op.114
オフェリー・ガイヤール(Vc/フランチェスコ・ゴフリラー、1737年)
ルイ・シュヴィッツゲーベル=ワン(P)
ファビオ・ディ・カソラ(Cl)


録音:2012年8月17-20日
バロックとロマン派を自在に往来している女性チェリスト、ガイヤール。最近国内盤化されたバッハの無伴奏チェロ組曲(AP.017/KKC.5275)も非常に高い評価を受けています。そんな彼女の待望の新譜は、ブラームスの室内楽作品集。ピアニストにえた俊英、シュヴィッツゲーベル=ワンの、ガイヤールの繊細にうつろう表情にぴたりと合わせたピアノは見事。そしてクラリネット三重奏曲ではベテランのファビオ・ディ・カソラを迎え、ほとばしる情熱と気高い音色、そして魅惑のアンサンブルを展開しています。ブラームスのチェロ・ソナタ第2番は、円熟期の1886-88年に作曲されました。ほとばしるような冒頭から一気に引き込まれます。繊細にして、熱さも秘めたガイヤールの音色は絶品。第3楽章でのピアノのざわめく波と、それにのってガイヤールが奏でる激しい旋律の絡みあいは圧巻です。第1番、第1楽章冒頭のほの暗い旋律も、ガイヤールの高貴な音色による演奏は非常にセンシティヴ。ピアノもガイヤールの表情にぴったりと寄り添っています。終楽章はバッハのフーガの技法をモチーフにしていて、対位法も凝りに凝ったつくりとなっていますが、バロックも得意とするガイヤールの面目躍如的楽章といえるでしょう。トリオでは、クラリネットのファビオ・ディ・カソラのやわらかく非常に安定した音色も聴きどころ。第2楽章の入りの天上から降り注ぐような美しい旋律は絶品です。
ルイ・シュヴィッツゲーベル=ワン(ピアノ)
1987年、中国系スイス人の家庭に生まれる。リーズ国際音楽コンクール第2位受賞、同時に最年少のファイナリストとしてその名を聴衆に印象付けた。プレスラー、ツァハリアス、ゲルネルらの薫陶を受け、ジュリアード音楽院にて、E.アックス、ロバート・マクドナルドらの指導を受けた。世界の名だたるオーケストラ、そしてデュトワ、ルイージ、ヤノフスキら指揮者とも共演多数。
ファビオ・ディ・カソラ(クラリネット)
1990年、23歳という若さでジュネーヴ国際音楽コンクールでクラリネット奏者として初めて第1位を獲得(それまではクラリネット部門は第1位該当なしが続いていた)。翌年ヴィンタートゥール市立管弦楽団の首席に就任。アバド、ロストロポーヴィチ、クレーメル、ホリガー等が主催する音楽祭オーケストラの首席も務めている。1998年にはスイス音楽賞を受賞。ソニーからリリース多数。 (Ki)
AP-054
アール・ヌーヴォーの歌曲集
R.シュトラウス:おとめの花op.22(全4曲)
6つの歌op.67〜第1部オフィーリアの歌(全3曲)
ツェムリンスキー:トスカーナ地方の民謡によるワルツの歌 op.6(全 6 曲)
ラヴェル:5つのギリシア民謡(全5曲)、
 愛に死せる女王のためのバラード、夢
 花のマント、トリパトス
レスピーギ:森の神々(全5曲)
テオドーラ・ゲオルギュー(S)
ヨナタン・アネル(P)

録音:2012年12月/スイス
ルーマニア生まれのソプラノ、テオドーラ・ゲオルギューAPARTEレーベルの第2弾は、アール・ヌーヴォーの歌曲集。アール・ヌーヴォー(あるいはユー ゲントシュティール)は世紀末頃のヨーロッパ全土に広まっていた現象で、ゲオルギューはヨーロッパ各国のアール・ヌーヴォーを彷彿とさせるような歌曲 を集めたかったと語ります。その中でも核となるのは、ゲオルギューが敬愛してやまないR.シュトラウスの作品。R.シュトラウスの「おとめの花」は、ユー ゲントシュティール(ドイツにおけるアール・ヌーヴォー)のスタイルを予感させる詩人、F.ダーンの詩によるものです。ほかの作品も、ゲオルギューの美 しい言葉の粒立ちを堪能できる出来栄え。世界的室内楽ピアニスト、ヨナタン・アネルの美しいピアノも光ります。さらに、ミュシャの絵画を思わせるジャ ケットのアートワークも印象的な1枚です。 (Ki)

AP-056
シューベルト:ピアノ連弾(1台4手のための)作品集
幻想曲 ヘ短調 D940
アレグロ.イ短調 「人生の嵐」 D 947
ソナタ.ハ長調 「グラン・デュオ」D812
イスマエル・マルゲン、ギョーム・ベロン(P)

録音:2012年7月
シューベルトは1台4手のピアノ作品を32曲書きました(オリジナルのもの)が、そのどれもが美しく、リートのような親密さに満ちたもの。ここに 収められているのはその中でも特に優れた3曲です。ヘ短調は傑作と名高いもの。1828年に作曲され、その何年か前にシューベルトが恋に落ちたカロリー ヌ・エステルハージ嬢に献呈されています。1828年5月にシューベルティアーデで初演されました。シューベルトが優れた作品を書いた時期に書かれた ハ長調D812は、失われた交響曲のスケッチなのではとする説もあります。「人生の嵐」(出版社ディアベッリによるタイトル)は、冒頭の和音がピアノの 音域ギリギリまで使った幕開けで、アレグロの部分は嵐のよう、続く部分はコラール風で、嵐とはまったく別世界のようになっています。1992年生まれ のイスマエル・マルゲンは、ジャック・ルヴィエやロジェ・ムラロらに師事した若手で、2012年12月のロン=ティボー国際音楽コクールで第3位および 聴衆賞を受賞しています。ギョーム・ベロンも1992年生まれ、アンゲリッシュ、フランク・ブラレイ、レオン・フライシャー、ペヌティエらに支持してい ます。2008年のブザンソンでの若き音楽家コンクールでピアノ部門賞を受賞。ジャン=フレデリック・ヌーブルジェのトリオを初演するなど、室内楽の分 野でも活躍が期待されている新人です。 (Ki)
AP-059
「Memento mori」〜メメント・モリ
モンテヴェルディ:「僕に恋の戯れをお望みなら」(倫理的・宗教的な森より)
ルイージ・ロッシ:彼の絶望は
作曲者不詳:マッダレーナの嘆き(モンテヴェルディの「アリアンナの嘆き」に基づく)
ルイージ・ロッシ:おお、哀れな瀕死の男のおろかさ
レ・クリ・ドゥ・パリ、
ジェフロワ・ジュルダン(指)

録音:2012年7-8月
「Memento mori」とはラテン語で「死を記憶せよ」、すなわち、自分はいつか死ぬ運命にあることを忘れるな、といった意味。ここに収録された音楽 は、確証はありませんが、17世紀初頭、カトリックの祈祷室で祈りをささげる人々の厳粛な気持ちを高めるために演奏されたと考えられる室内カンタータ。 祈祷室では、様々な集会などが、ラテン語ではなく、イタリア語の各地の方言で執り行われていました。聖職者たちは、当時流行し始めていたオペラなど の世俗的なジャンルの要素をもつ音楽で、しかもラテン語ではなくイタリア語の歌詞をもつものが、参加者たちにメッセージを伝えるのに有効な手段だと 感じはじめていました。ここでは、イタリア初期バロックの大家、ルイージ・ロッシ(1957-1653)による作品などを収録。舞曲風のリズムをもつ器楽 作品や、劇的なレチタティーヴォ風の楽章など、歌詞は必ずしも聖書的なものばかりでなく、恋愛のことなども描かれているものもありますが、さながらバッ ハのカンタータのイタリア版、といった感もある、心震わす作品が並びます。 (Ki)

AP-061(2CD)
リュリ:歌劇「ファエトン」 エミリアーノ・ゴンザレス・トロ(T ファエトン)
イングリッド・ペリューシュ(S クリメーヌ)
イザベル・ドリュエ(Ms テオーヌ,アストレ)
ガエル・アルケス(Ms リビ)
アンドルー・フォスター=ウィリアムズ(Br エパフュス)
フレデリック・カトン(Bs メロプス,秋,ジュピテル)
ベノワ・アルヌ(Br プロテ,サテュルヌ)
シリル・オヴィティ(T トリトン,太陽,大地の女神)
ヴァジニー・トーマス(S 時,エジプト人の羊飼いの娘)
クリストフ・ルセ(指)
レ・タラン・リリク,
ナミュール室内cho

録音:2012年10月25日、パリ
「ファエトン」はリュリが台本作家キノーとのコンビで発表した10作目のオペラで、 1683年1月6日、ヴェルサイユ宮殿の特設劇場で初演、さらに4月27日にパリでも上演され、大成功を収めました。ファエトンとはオウィディウスの「変 身物語」に登場するパエトンのこと。太陽神の息子であるファエトンは、嫉妬から出自を疑われたことに腹を立て、父である太陽神から無理やり太陽を引 く二輪馬車を借り受ける。ファエトンは馬車で天を翔るも、制御できず暴走してしまい、ついにジュピテルの雷によって打ち落とされる、といった話。ファ エトンには、1650年代に大蔵卿として権勢をほしいままにしたもののあまりの傲慢さゆえルイ14世に疎まれ1661年に失脚、1680年に獄死したニコラ・ フーケが重ねられていると言われています。音楽的には極めて素晴らしい傑作にもかかわらず、ここ20年でも上演は極めて少なく、全曲録音もこれが2 つめ。 ルセは2012年7月28日にボーヌ、10月25日にパリのサル・プレイエル、10月26日にローザンヌで「ファエトン」を演奏会形式で上演しており、 このCDにはパリでの上演のライヴ録音が収録されています。ルセの高貴にして力強い音楽はリュリには打ってつけで、非の打ち所のない出来栄えです。 タイトルロールのエミリアーノ・ゴンザレス・トロは、ジュネーヴ生まれのチリ系スイス人テノール。ここ数年、目覚しく活躍している若い歌手で、甘い美 声の持ち主。ファエトンに棄てられるテオーヌはイザベル・ドリュエ、彼女もここ数年活躍の目立つ若いメッゾソプラノ。APARTEからは「夜の庭」と題 された近代フランス歌曲集(AP013)が発売されて好評を博しました。一方、ファエトンが権力目当てで結婚を狙うエジプト王女リビはガエル・アルケス もまだ近年台頭目覚しいメッゾソプラノ。2009年にパリ高等音楽院の声楽コンクールで金賞を受賞。naiveの発売したヴィヴァルディの「怒れるオルラン ド」1714年版(OP30540)ではブラダマンテを歌っています。リビの恋人、エパフュスは、英国のバス=バリトン、アンドルー・フォスター=ウィリアムズ。 既に欧米でかなりの活躍をしています。ルセが指揮したリュリ「ベレロフォン」(AP015)で主役を歌った二人、イングリッド・ペリューシュとシリル・オヴィ ティがここでは準主役に回っています。エジプト王ペロプスにはベテランのフレデリック・カトンと、隙の無い配役です。 一日だけのライヴ録音にもかかわらず、ルセならでは完成度の高さには舌を巻きます。バロックオペラ好きならば逃せないセットです! (Ki)
AP-062
ラヴェル:ラ・メール・ロワ
高雅にして感傷的なワルツ
夜のガスパール
亡き王女のためのパヴァーヌ
ヴァネッサ・ワーグナー(P/Yamaha CFX n° 6.272.700)

録音:2013 年10月1,2,3日
1973年フランスの古都レンヌに生まれた美貌のピアニスト、ヴァネッサ・ワーグナー。彼女の新譜はラヴェル。鋭い感性とセンス、そして確かなタッ チが持ち味の彼女にぴったりの選曲といえるでしょう。夜のガスパールのオンディーヌの繊細な表現、高雅にして感傷的なワルツでの各曲のキャラクター の描き分けも、シニカルなものから夢のようなものまで、実に鮮やか。2014年ラ・フォル・ジュルネ音楽祭でも来日が予定されております。 (Ki)
AP-065
シューベルト:ピアノ作品集
ピアノ・ソナタ第18番 ト長調 D894
さすらい人幻想曲 D760
軍隊行進曲第1番変ニ長調(タウジヒ編)
トリスタン・プァッフ(P)

録音:2012年11月
ァッフは2007年のロン・ティボー国際音楽コンクールで6 位入賞、ガラ・コンサートで来日経験もある注目株。ミシェル・ベロフやチッコリーニの 薫陶を受けています。清潔感のある音色が魅力のシューベルト作品集に仕上がっています。 (Ki)

AP-067
ラヴェル:夜のガスパール
リスト:オーベルマンの谷
ハインツ・ホリガー(b.1939):Elis、またはピアノのための3つの夜の小品
シューベルト(リスト編):セレナーデ /水の上で歌う/君はわが憩い/魔王
ルイ・シュヴィッツゲーベル=ワン(P)

録音:2013年4月
ガイヤールのブラームス作品集(AP 053)でもパンチの効いたピアノを聴かせていたルイ・シュヴィッツゲーベル=ワンのソロピアノCDが登場。「ポエム」 と題したこのアルバム、詩にインスパイアされたピアノ作品を収録しています。「夜のガスパール」はルイ・ベルトランの詩にインスパイアされたラヴェルが 書いた作品で、冒頭の「オンディーヌ」のミステリアスなハーモニーの響かせ方からセンス抜群。「オーベルマンの谷」は厳密には小説に基づいていますが、 移ろう気分を繊細に表現しています。ホリガーの作品は、象徴主義のトラークルの詩に着想を得て、1961年、ブーレーズの下で作曲を学んでいた頃にこ の作品を書かれたもの。Elisとは、詩にあらわれるミステリアスな少年。このホリガーの作品もミステリアスな雰囲気です。そしてシューベルトの名リート の数々をリストが編曲したもので締めくくっています。 (Ki)
AP-068
ヴァイオリン・ソロ
ヴィルスマイヤー:パルティータ第5番ト短調
テレマン:幻想曲ニ長調 TWV40:23
ヴェストホーフ:組曲第5番ニ長調
テレマン:幻想曲イ短調 TWV40:25
バルツァー:前奏曲ハ短調
 アルマンド.ト短調
テレマン:幻想曲ト長調 TWV40:15
バッハ:パルティータ第2番ニ短調BWV1004
テレマン:幻想曲ニ長調 TWV40:17
ビーバー:「ローゼンクランツ・ソナタ」〜パッサカリア
ティボー・ノアリ(Vn)

録音:2013年6月サン・レミ教会(ベルギー)
2006年以来ミンコフスキのレ・ミュジシャン・デュ・ルーヴル・グルノーブルのコンサートマスターを務めるティボー・ノアリ。ロンドンの王立音楽ア カデミーでリディア・モルドコヴィチに師事、その後リモージュ・バロック・アンサンブルやコンチェルト・ケルンの奏者として研鑽を積みました。彼のソロ・ デビュー盤は、バルツァー(1631頃生まれ)からJ.S.バッハ(1685年生まれ)までの無伴奏ヴァイオリン曲を集めた意欲作。ミンコフスキゆずりの斬新 な解釈で一気に聴かせてしまいます。愛器1719年製ジェンナロ・ヴィナッチャの美しい音も魅力。マンゼやオノフリの後世代で最も期待できるバロック・ ヴァイオリンの若手と申せましょう。バッハの有名な「シャコンヌ」が聴きものです。 (Ki)

AP-069
シューマン:おとぎの絵本 op.113
シューベルト:アルペジオーネ・ソナタ.D821
ブラームス:ソナタ第2番 変ホ長調 op.120-2
リズ・ベルトー(Va)
アダム・ラル ーム(P)

録音:2013 年7月、サン=ピエール教会
フランスの若手二人による珠玉のヴィオラとピアノのデュオ。ヴィオラのリズ・ベルトーは1982年生まれ、ル・サージュのシューマンやフォーレ全曲録 音プロジェクトにも参加するほか、世界の名だたるオーケストラとも共演を重ねている若手注目株ヴィオラ奏者です。ピエール=アンリ・クスエレープやジェ ラール・コセらに師事したフランスの流れをくむ深みと熱を備えた音色が魅力。2005年にはジュネーヴ国際コンクールでヒンデミット賞を受賞しています。 ピアノのアダム・ラルームは1987年生まれ、ベロフらに師事し、2009年クララ・ハスキル国際ピアノコンクールで優勝し、ラ・フォル・ジュルネ音楽祭 でもおなじみの存在。MIRAREからのリリースも評判の若手実力ピアニスト。ソロの活動のほか、室内楽にも注力しています。 シューマンから一気に二人の世界に引き込まれる語り口のうまさ。シューベルトのアルオペジオーネ・ソナタでは、二人のかけあいの妙が非常にたのしめ ます。ブラームスのソナタはもともとはクラリネットのためのソナタですが、作曲者自身によるヴィオラ編曲版もよく演奏されるものです。ベルトーの熱を 帯びたヴィオラの音色にうっとり、ラルームが魅せるいぶし銀のような抑えの効いた音色のピアノの好サポートが光ります。 (Ki)
AP-070(2CD)
バッハ:平均律クラヴィーア曲集第2巻 BWV 870-893 クリストフ・ルセ(Cemb/リュッカース、1628年製(ヴェルサイユ宮殿蔵))

録音:2013年6月/ドーファン宮(ヴェルサイユ宮殿)
埋もれたバロック・オペラの発掘演奏活動(指揮)も活発な、クリストフ・ルセ。指揮からも彼の霊感や才気は感じられますが、しかし彼のセンスがよ り直截的に味わえるのはやはり鍵盤演奏といえるのではないでしょうか。待望の鍵盤ソロ最新録音は、バッハの平均律第2巻。第1巻は録音しておりま せんので、これが初の「平均律」登場となります(アンブロワジーレーベルに録音しているW.F.バッハのための音楽帳は、平均律第1巻のいくつかのプ レ リ ュ ー ド の 原 型 が 収 め ら れ て い ま す )。
第2巻について、ルセ自身によるライナーノートの中で(仏・英語のみ)、長い作品も多く、和声の複雑な進行、時に無調かと思わせるような劇的な遠 隔調への転調、構造の複雑さは第1巻よりも更に深まっている、と述べています。バッハのあらゆる鍵盤音楽を演奏してきた中で、第2巻は間違いなくバッ ハの鍵盤音楽の頂点である、とすら語ります。第22番の変ロ短調のフーガで、半音階で動く和声の絶妙な響かせ方、難曲第23番などでのほとばしる 才気は圧巻です。楽器は、ヴェルサイユ宮殿所蔵のリュッカースオリジナルを使用。楽器の音色、コンディションも抜群です。ルセが満を持して臨んだ平 均律、注目です!
第2巻のバッハの自筆譜は英国博物館に保存されていますが、ルセは、いくつかの疑問点を含むとしながらも、バッハのオリジナル稿よりも、テクスト や装飾、さらには曲の長さなど、いくつもの「改善点」がある、として、バッハの弟子(義理の息子)であるアルトニコルの写本に基づいて演奏しています。 (Ki)
AP-073
G.B.レアリ:カプリッチョ・プリモ
コレッリ:トリオ・ソナタ
 ハ長調op.3-8/イ長調op.4-3
 ホ短調op.2-4/ト長調op.4-10
 ニ長調op.3-2/ト短調op.4-2
 ニ短調op.3-5 
レアリ:フ ォ リ ア o p .
アンサンブル・ストラヴァガンツァ

録音:2012年 4月、フランス
古楽界に燦然と現れた新進気鋭の若手実力派団体、「アンサンブル・ストラヴァガンツァ」がAPARTEレーベルより2ndアルバムをリリースいたします! 17世紀のハプスブルク宮廷で愛された室内楽曲を収録したデビューアルバム(AP041)も好評の当団が、次なるアルバムの舞台に選んだのは後期イタリア・ バロック!この時代を語るに欠かせない大家、アルカンジェロ・コレッリ(1653-1713)を中心に焦点を当てたプログラムとなっております。当時名うてのヴァ イオリニストとしても知られていたコレッリは、トリオ・ソナタやグロッソ・コンチェルトなどのジャンルで、数多くの重要な室内楽曲を残しました。本アル バムでは、彼が残したトリオ・ソナタ集から珠玉の作品が収録されており、イタリア後期バロックの華麗かつ典雅な響きを堪能することが出来ます!
本アルバムのもう一つの聴き所は、アルバムの最初と最後にジョバンニ・バッティスタ・レアリ(1681-1751)の作品が収録されていること!レアリは 18世紀初頭にヴェネツィアを中心に活躍し、その後歴史の陰に埋もれてしまった不遇の作曲家。コレッリの作風に影響され、多くのソナタ作品を残しまし た。アルバム最後に収録された「フォリア」は、特にコレッリへのオマージュを強く感じさせる作品。フォリアの音型が次々と変奏されていく中に、ヴ ィ ル ト ゥ オジテあふれる華やかな旋律が随所に施された美しい楽曲です。全体的に清廉な響きを持ったアンサンブル・ストラヴァガンツァのハーモニーは、イタリア・ バロックの軽妙洒脱な作風にぴったり!古楽器が織りなす柔らかくも典雅なアンサンブルに聴き入る1枚です。 (Ki)
AP-076
Paris 1884-1959
フランク:プレリュード,コラールとフーガ
ラヴェ:亡き王女のためのパヴァーヌ
ドビュッシー:喜びの島
デュティユー:ピアノのためのソナタ
プーランク:インプロヴィゼーション第15番「エディット・ピアフを讃えて」
フロリアン・ビロ(P)

録音:2013 年10月7-9日
19世紀終りのパリはドイツ音楽至上主義に対する反動ともいえるような、フランス音楽の新しい興隆をむかえていました。当時のパリを中心に活躍した、 さらにプーランクを除いては音楽院にゆかりのある作曲家たちの作品をまとめた1枚。フランクはオルガンの教授でしたし、ドビュッシーやラヴェル、デュティ ユーは音楽院で学び、のちに教授をつとめました。フランクとデュティユーの作品の間には約60年もの開きがありますが、洗練された和声や空気感は同じ。 ベロフらに師事したフロリアン・ビロが、抜群の和声感覚と絶妙の語り口で、パリの空気をたっぷりと薫らせた演奏を展開しています。 (Ki)
AP-078
モーツァルト:ピアノ連弾(1台4手のための)作品集
アンダンテと5つの変奏曲 ト長調 K.501(1786)
4手のためのピアノ・ソナタ ハ長調 K. 521(1787)
4手のためのピアノ・ソナタ ヘ長調 K. 497(1786)
イスマエル・マルゲン、ギョーム・ベロン(P)
イスマエル・マルゲン&ギョーム・ベロンによるピアノ連弾作品集。シューベルト(AP 056)に続く第2弾はモーツァルトの作品に挑みました。モーツァ ルトは1786年に「フィガロの結婚」の初演で成功を収めたばかりでなく、ピアノ協奏曲第23番 イ長調 K.488、第24番 ハ短調 K.491、第25番 ハ 長調 K.503などの作品において、これまで以上に豊かで多様な協奏様式と音響を示しました。K.497のソナタはパッセージの音形、大胆な強弱の変化、 長調と短調の対照など、構成上の工夫などにこうした協奏曲と共通点があるばかりでなく、室内楽風の緻密な書法も見られる作品です。K.521のソナタ は完成後、すぐに親友のゴットフリート・フォン・ジャカンに送りナールトルプ家のナネットとバベットに献呈された作品で、まるで協奏曲を思わせるパッセー ジやアルペッジョが随所に現れる華やかな作品です。
1992年生まれのイスマエル・マルゲンは、ジャック・ルヴィエやロジェ・ムラロらに師事した若手で、2012年12月のロン=ティボー国際音楽コクー ルで第3位および聴衆賞を受賞しています。一方、ギョーム・ベロンも1992年生まれ、アンゲリッシュ、フランク・ブラレイ、レオン・フライシャー、 ペヌティエらに師事しています。2008年のブザンソンでの若き音楽家コンクールでピアノ部門賞を受賞。ジャン=フレデリック・ヌーブルジェのトリオを初 演するなど、室内楽の分野でも活躍が期待されている若手期待のピアニストです。 (Ki)

AP-080
C.P.E.バッハ:作品集
(1)チェロ協奏曲イ短調 Wq.170(H.432)
(2)シンフォニア第5番ロ短調 Wq.182(H.661)
(3)チェロ協奏曲イ長調 Wq.172(H.439)
(4)トリオ・ソナタ「多血質と憂鬱質(Sanguineus& Melancholicus)」(2つのヴァイオリンと通奏低音のための)ハ短調 Wq.161 (H.579)
オフェリー・ガイヤール(Vc [使用楽器:フランチェスコ・ゴフリラー(1737)]、指揮、通奏低音)
フランチェスコ・コルティ(フォルテピアノ)
[使用楽器:(1)‐(3)Johann Andreas Stein(1785)
(4)Franz Baumbach(Vienne,1790)]
(4) ティボ ー ・ノ アリ(Vn)
プルチネッラ・オーケストラ

録音:2013年9月17-19日、12月19日/パリ、ボン・セクール教会
潤いを湛えたセンシティヴな音色と、親しい告白のような風合いが人気の女性チェロ奏者、オフェリー・ガイヤール。待望の新譜は生誕300周年アニ ヴァーサリーの作曲家、C.P.E.バッハです。イ短調の協奏曲では、C.P.E.バッハ特有の起伏に富んだ旋律と疾風怒濤の強弱の変化が爆発しており、それ でいてセンシティヴな音色と独白のような、思わずはっとさせられる表情はそのまま。オーケストラとの熱を帯びた、しかし非常に緊密な対話も聴きもの の出来栄えです。第1楽章のカデンツァの迫力と熱さはロマン派の名協奏曲をもしのぐかもしれません!他に収録されているシンフォニアの快活なリズムと 通奏低音の刻みは愉悦の極み。チェロ協奏曲の明るい雰囲気も楽しく、最後のトリオ・ソナタはミンコフスキのオーケストラでコンサート・マスターを務 めるティボー・ノアリがヴァイオリンを担当。ガイヤールの通低とともにセンスの光る演奏です。聴き手の耳と心の襞にピタッと吸いつくような音色の録音 も見事です。 (Ki)
AP-086
フェリシアン・ダヴィッド歌曲集
雲/幸福の花/夢想/サルタレッロ
さらばシャランス/戻って来て!
眠れ、マリー/ベドウィン/台湾
わが道を進め
彼を愛してしまったかしら/大洋
漁夫の歌/漁夫が船へ/忘れた!
チブク/老人と薔薇/友情
タシス・クリストヤンニス(Br)、
ザナシス・アポストロプーロス(P)

録音:2013年7月ミトロプーロス・ザール(アテネ)
フェリシアン・ダヴィッド(1810-1876)は音楽に東方的要素を持ち込み、国民主義さらには今日のワールドミュージックの礎を作った作曲家。ダヴィッ ドのオーケストラ曲や室内楽曲は近年録音が出ていますが、ついに歌曲も登場。ここでも中東的な音楽要素や詩に強い関心を示し、独特な世界を創り上げ ています。ギリシャ出身のバリトン、クリストヤンニスが絶妙な歌い回しで異国への憧れを表現しています。 (Ki)
AP-087(2CD)
チャイコフスキー:ピアノ・ソナタ.ト長調「大ソナタ」Op.37
組曲「 四季」Op.37b
アレクサンドル・パレイ(P)

録音:2012年1月/サンボネ劇場
チャイコフスキーのピアノ独奏曲のなかで最も知られているのは組曲「四季」と言えるでしょうが、その作品番号である37は、本来「大ソナタ.ト長調」 に付けられたもの。ここではそのOp.37の2作品をまとめました。どちらも大作ゆえ2枚組ですが、交響曲第4番や歌劇「エフゲニー・オネーギン」 と同時期の充実した技法を堪能できます。アレクサンドル・パレイは1956年モルダヴィア生まれのピアニスト。モスクワ音楽院でベラ・ダヴィドヴィチと ゴルノスタエヴァに師事し、現在はアメリカを本拠に旺盛に活動、ことに多数のCD録音をしています。19世紀のヴィルトゥオーソを思わせる個性的演奏 が特徴です。 (Ki)

AP-092
モーツァルト:弦楽四重奏曲第15番 ニ短調 KV 421
メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲第2番 イ短調 op.13
キアーロスクーロSQ
〔アリーナ・イブラギモヴァ(1Vn)、パブロ・エルナン・ベネディ(2Vn)、エミリー・ヘルンルンド(Va)、クレア・ティリオン(Vc)〕

録音:2014年3、10月/ポール=ロワイヤル・デ・シャン
イブラギモヴァ率いるキアーロスクーロ弦楽四重奏団の第3弾。第1弾、第2弾につづき、今回もモーツァルトを含んだかたちのプログラムです。レコー ディングの場所でもあるポール=ロワイヤル・デ・シャンでは、モーツァルトの弦楽四重奏のシリーズを展開しています。ここに収録されているハイドン・セッ トの中で唯一の短調である15番は、素朴でエレガントな表情が印象的。一転メンデルスゾーンが18歳のときに書いた弦楽四重奏第2番では、切迫し た緊張感に満ちています。二人の天才の作品を、2005年の結成から10年を迎え、4人の音楽づくりもますます息がそろってきたキアーロスクーロの自 然で素直な感性で味わうことのできる1枚です。 (Ki)
AP-093
I Dilettanti〜愛好家たち
ジャコモ・マッカーリ(1700-1744):Non mi si dica piu(もう二度と私に言わないでくれ)
エマヌエーレ・ダストルガ(1680-1757?):In queste amene selve(このいとしい木々の中で)
ヴィンチェンツォ・ベネデッティ(1683-?):La Gelosia(ジェラシー)
ジョヴァンニ・マリア・ルッジェーリ(1665-1725):Deh m’adita o bella Dea(神よ、私に見せてください)、Vinto son della mia fede(私は自分の誓いの捕われの身)
ディオジェニオ・ビガーリア(1676-1745):Piu ch’io cerco del mio bene(愛する人のことを調べれば調べるほど)
ベネデット・マルチェッロ(1686-1739):Lucrezia(ルクレツィア)
シャヴィエ・サバータ(C.T)
マルケロス・クリシコス(Cemb、指)
ラティニタス・ノストラ

録音:2013年8月12-15日
ヘンデルの悪役アリア集(AP 048)でも評価の高かったバルセロナ生まれのカウンターテノール、シャヴィエ・サバータ。最新盤は、「愛好家たち」と 題されたアルバム。タイトルにある通り、愛好家(優れたアマチュア)作曲家たちによる作品を、サバータ自身が注意深く選曲したプログラムです。
ジャコモ・マッカーリ(1700-1744)はヴェネツィアのサン=マルコ大聖堂のテノール歌手でもあった人物。「Non mi si dica piu」は、レチタティーヴォ を伴うダ・カーポ・アリアを 2 つもつカンタータで、表情豊かな作品です。
エマヌエーレ・ダストルガ(男爵)は破天荒な人生を送った人物とされています。幅広いジャンルの作品を残していますが、特に室内カンタータで人気 を博していました。天性のメロディ・メーカーともいえる美しい旋律が魅力の作品です。
ヴィンチェンツォ・ベネデッティ(1683-?)についてはあまり多く知られていません。アルトの歌手として活躍したという記録もありますが、カウンター テナーだったのか、それともカスラートだったのかも定かでありません。カンタータ「ジェラシー」は急速なパッセージを伴うあたたかな作品となっています。
ルッジェーリをディレッタントとして分類してしまうのはいささか疑問、というくらいにこのディスクの作曲家の中では知られた存在。ただし、ここに収録 された作品は、サバータが英国図書館で写譜を見つけたもの。超絶技巧と高音域で展開されるメロディが印象的な優れた作品です。
ディオジェニオ・ビガーリアは、教会の院長も務めたディレッタント作曲家。ここに収録された作品も宗教作品です。
サバータは、ゆたかな表現力、変幻自在な音域を駆使して、知られざる作品の魅力を存分に知らせてくれます。クリシコスのチェンバロの妙技も聴きも のです。 (Ki)

AP-094(3CD)
リュリ:歌劇「アマディス」 シリル・オヴィティ(T アマディス)
ユディト・ファン・ワンロアイ(S オリアーヌ)
イングリッド・ペリューシュ(S アルカボンヌ)
エドウィン・クロスリー=メルセル(Br アルカラウス)
ベノワ・アルヌ(Bs-Br フロレスタン)
ベネディクト・トラン(S ユルガンド)
ハスナー・ベンナニ(S コリサンド)
ピエリック・ボワソー(Br アルキフ,アルダン・カニル,牢番,羊飼い)
レイナウト・ファン・メヘレン(T 捕えられた者,羊飼い,勇者)
カロリーヌ・ウェイナンツ(S ユルガンドの侍女,捕えられた者,捕虜,羊飼い)
ヴィルジニー・トマス(S 羊飼い,ユルガンドの侍女)
クリストフ・ルセ(指揮&チェンバロ)
レ・タラン・リリク,ナミュール室内Cho

録音:2013年7月4、5、6日、ヴェルサイユ宮殿、王立オペラ劇場
リュリを振らせたら敵なしのクリストフ・ルセ、新録音はリュリ晩期の傑作「アマディス」です!「アマディス」は、リュリが亡くなる3年前の作品(完 成したオペラでは後ろから三つめ)。1864年1月に初演され大成功を収めました。台本は長年の相方、フィリップ・キノー。題材はルイ14世自身が決 めたと伝えられています。愛、魔法、嫉妬、急展開の逆転、試練、そして大団円と様々な要素に満ちた劇的変化に富んだ物語である一方、騎士道精神が 色濃く反映された話には深みがあり、リュリとキノーのコンビの到達点を感じさせます。ちなみにこの台本はたいへんに人気が高く、ヘンデル(1715年、 ロンドン)やJ.C.バッハ(1779年、パリ)をはじめ多くの翻案ものが作られています。晩年のリュリの音楽は、派手さや荘重さが控えられた代わりに深々 としたじっくりした味わいが強く、それが物語と絡み合って他に類を見ない独自の高みに達しています。 ルセは「アマディス」を、2013年7月5日にヴェルサイユ王宮劇場で、13日にボーヌ音楽祭で演奏会形式で上演しています。ヴェルサイユ公演の本番 とその前後に収録が行われました。ルセの指揮するリュリですからもちろん高水準、たとえば第3幕の捕らえられた者たちの合唱の静かに広がる感動は絶 品。改めてリュリの卓越した筆に目を見開かせてくれる演奏です。 ルセは、高い評価を得た「ベレロフォン」で主役を歌った二人、フランスのテノール、シリル・オヴィティとフランスのソプラノ、イングリッド・ペリューシュ をここでも起用、二人は「ファエトン」でも歌っており、ルセから絶大な信頼が寄せられていることが分かります。オリアーヌのユディト・ファン・ワンロア イはオランダのソプラノ。オランダやベルギーで、バロックからモーツァルトあたりを中心に活躍しています。魔法使いアルカラウスのエドウィン・クロスリー =メルセルはフランスのまだ若いバリトンですが、広いレパートリーで既にヨーロッパ各地で活躍しています。フロレスタンのベノワ・アルヌは「ファエトン」 (AP-061)でも起用されていました。 晩期のリュリの魅力はまた格別なもの、それをたっぷり堪能できる新録音です。 (Ki)
AP-095
ストラヴィンスキー(ドゥシュキン編):ディヴェルティメント
ストラヴィンスキー:イタリア組曲
シマノフスキ:神話Op.30
 パガニーニの3つのカプリスOp.40
ソレンヌ・パイダシ(Vn)、
フレデリック・ヴァイセ=クニッテル(P)

録音:2014年7月18-20日/サン・ピエール教会(パリ)
ソレンヌ・パイダシはフランスの若手ヴァイオリニスト。2010年のロン=ティボー国際コンクールで成田達輝を抑え優勝した実力者。ニース、ジュネー ヴの音楽院で学んだ後、アメリカのカーティス音楽学校でジョゼフ・シルヴァースタインに師事しました。冴えた演奏のみならず、CDブックレット解説 に知的な名文を書き下ろす才女でもあります。
これまで数枚をリリースしていますが、アパルテ・レーベル第1弾はストラヴィンスキーとシマノフスキ作品集。作曲家はスラヴ系ながら、ストラヴィ ンスキーの「イタリア組曲」はペルゴレージの音楽に基づくバレエ「プルチネッラ」の編曲、シマノフスキの「パガニーニの3つのカプリス」もイタリア のパガニーニの名作に基づき、「神話」はギリシャ神話を題材としているため南欧的雰囲気が漂います。
ストラヴィンスキーの「ディヴェルティメント」はチャイコフスキーの音楽に基づくバレエ「妖精の口づけ」をドゥシュキンが編曲したもので、チャイコ フスキーの旋律美をたっぷり楽しめます。シマノフスキの「パガニーニの3つのカプリス」はパガニーニの「無伴奏ヴァイオリンのためのカプリス」第 20、21、24番に基づきますが、シマノフスキの付けたピアノ・パートは非常に凝ったもののうえ、音楽にも手を加えているため印象がかなり異なり興 味津々です。
パイダシは透明で鋭い音色がシマノフスキにぴったり。ピアノのヴァイセ=クニッテルはポーランド系フランス人で、Integraleレーベルからシマノフス キのピアノ曲集をリリースしていました。ここでも「神話」のピアノ・パートが絶品。ギリシャ神話の倒錯した愛を妄想するシマノフスキの心情をあます ところなく描いています。 (Ki)
AP-096
メイド・イン・フランス
サン=サーンス:クラリネット・ソナタOp.167
ショーソン:アンダンテとアレグロ
ドビュッシー:狂詩曲第1番
プーランク:クラリネット・ソナタOp.184
フランセ:主題と変奏曲
マスネ:タイスの瞑想曲
ピエール・ジェニソン(Cl)、
ダヴィド・ビスミュート(P)

録音:2013 年 7 月 15-17 日/ヴァンセンヌ公会堂
20世紀のフランス作曲家によるクラリネット作品集。マスネ以外はオリジナルで、フランスならではの洒脱でエレガントな魅力にあふれていますが、サ ン=サーンスやプーランクは最晩年の枯淡の境地を示しています。ショーソンとフランセ作品も貴重。
ピエール・ジェニソンは1966年生まれ。マルセイユ音楽院で学び、2014年に東京で行われたジャック・ランスロ国際クラリネットコンクール優勝の逸材。 ブルターニュ管弦楽団の首席奏者も務めています。ピアノのダヴィド・ビスミュートは1975年コートダジュール生まれ。ニース音楽院でカトリーヌ・コラー ルに学び、さらにパリ音楽院でガブリエル・タッキーノとブリジット・エンゲラーに師事。マリア・ジョアン・ピレシュに認められ、現在ポルトガルに住み、 彼女の助手を務めています。 (Ki)
AP-097(2CD)
失われたポリフォニー〜フランスのフォブルドン、16 〜 19 世紀
[CD1]16世紀〜17世紀のポリフォニー音楽
1. Ave consurgens aurora (versus)
2. Lumen ad revelationem (antienne) & Nunc dimittis (cantique de Simeon)
3. Credo in unum Deum
4. Mater regis angelorum (versus)
5. Nunc dimittis / Ayn apolis / Magnum nomen Domini (cantique de Simeon)
6. Litaniae B. Mariae Virginis (Litanies)
7. Miserere (詩篇50)
8. Creator omnium (versus)
9. クローダン・ド・セルミジ(1490-1562) Magnificat(第6旋法)
10. Laudate pueri (詩篇112)
11. ジャン・ド・ブルノンヴィル(1585-1632):Ave regina c?lorum (antienne)
12. In exitu Israel (詩篇113)
13. Laudate Dominum du 3e ton (詩篇116)
14. シャルパンティエ(1643-1704):深き淵より(詩篇129)
[CD2]18〜19世紀のポリフォニー
1. Pange lingua (賛歌)
2. Dixit Dominus (詩篇109)
3. Ave maris stella (賛歌)
4. Alleluia, O filii et filia
5. Ave maris stella (賛歌)
6. Kyrie de la Messe des morts
7. Dies ira (セクエンツィア)
8. Omne quod dat mihi (antienne) & Magnificat(第7旋法)
9. フランソワ=ルイ・ペルヌ(1772-1832):Kyrie de la messe des solennels mineurs
10. アヴェ・ヴェルム・コルプス(セクエンツィア)
11. Ut queant laxis (賛歌)
12. Inviolata (セクエンツィア)
13. アロイス・クンク(1832-1895) Adoremus in aternum (antienne)
アンサンブル・ジル・バンショワ
ドミニク・ヴェラール(指)
トゥールーズ聖歌隊

録音:2012年4月
中世から19世紀にかけて、ヨーロッパでは多彩な多声音楽が存在していました。それらは何声から成るか、即興かどうか、さらには記譜法など実に様々 なタイプの音楽が存在していました。そんな中、ヨーロッパの教会の歴史の中でもっとも長く存在していたのがフォブルドン。フォブルドンとは、3声部か ら成る曲を作曲する際、上声部(原則として聖歌の旋律にもとづく)と下声部(テノール)だけが記譜され、中間声部は上声部の完全4度下を演奏する もので、1960年代の第2バチカン公会議で決定された、ミサの中でラテン語を使用しないという決定が為されるまで、このフォブルドンで音楽は演奏さ れていました。このフォブルドンを研究しているドミニク・ヴェラール率いるアンサンブル・ジル・バンショワが、何千もの楽譜の中から選りすぐった作品 をおさめたのがこの2枚組。ヨーロッパ中の教会で長きにわたって歌い継がれてきた多声の聖歌が鮮やかによみがえりました。 (Ki)
AP-098
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番 ハ長調 op.15
ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 op.19
ルイ・シュヴィッツゲーベル=ワン(P)
ティエリー・フィッシャー(指)LPO

録音:2014年6月30、7月1日
ガイヤールと共演したブラームスの室内楽作品集(AP 053)、2013年に録音したソロCD (AP067)でも超絶技巧を効かせた中国の俊英、ルイ・シュ ヴィッツゲーベル=ワンの新譜。名匠フィッシャーの非 常にくっきりとした音楽作りのオーケストラに乗って、シュヴィッツゲーベルのピアノも非常にくっきりと明度の高い音色。気持ちのよい勢いと、どっしり とした構成感が心地よい音楽が展開されています。 (Ki)

AP-100
ルクス・エテルナ〜バッハの幻影
バッハ(ケンプ編):シチリアーノ〜フルート・ソナタ第2番BWV1031より
同(ジロティ編):アリア〜管弦楽組曲第3番BWV1068より
同(ブゾーニ編):シャコンヌBWV1004
 コラール前奏曲〜来たれ,創り主にして聖霊なる神よBWV667
 目覚めよと呼ぶ声ありBWV645
 いざ来たれ、異教徒の救い主よBWV659
 今ぞ喜べ、愛するキリスト者よBWV734
 主イエス・キリスト、われ汝を呼ぶBWV639
 主なる神よ、いざ天の扉を開きたまえBWV617
 アダムの罪によりすべては失われぬBWV637
 アダムの罪によりすべては失われぬBWV705
 汝のうちに喜びありBWV615
 われらが救い主イエス・キリストBWV665
ティエリー・エスケシュ:3つのバロック・エチュード
 二重の遊び
ベアトリス・ベリュ(P)【ベーゼンドルファー・コンサートグランド】

録音:2014年7月24-26日/フラジェ(ベルギー)
優のように美しい容姿のスイスのピアニスト、ベアトリス・ベリュ。これまでフーガ・リベラ・レーベル等から数枚のアルバムをリリースしていましたが、 アパルテ・レーベルに初登場。1985年ローザンヌ生まれ。ガリーナ・イヴァンツォヴァ、ブリジット・エンゲラー、ジョン・オコーナーに師事し、クレー メルやパールマンに認められてアンサンブルに参加するなど活躍しています。
当アルバムはバッハ作品をピアノ用に編曲したものを中心に構成。特に嬉しいのはブゾーニが編曲したコラール前奏曲が10曲すべて収められていること。 ブゾーニの真摯な編曲は聴感以上にひどく難しいものですが、ベリュは余裕の技巧に快適なテンポで聴き惚れさせられます。ことにタルコフスキーが「惑 星ソラリス」で使用した曲「主イエス・キリスト、われ汝を呼ぶBWV639」に基づく編曲は涙なしには聴けない深さに満ちています。またジロティ編曲の 「G線上のアリア」の歌いまわし、ブゾーニ編曲の「シャコンヌ」の技巧と集中力いずれも驚き。ベーゼンドルファー・コンサートグランドが、「銀のタッチ」 と称される彼女の響きをあますところなく発揮、ブゾーニやケンプがピアノでバッハを聴かせた意味を納得させてくれます。 フィル・アップは、以前ル・ゲと来日公演を行ったオルガニスト兼作曲家ティエリー・エスケシュのピアノ曲。バッハが現代に再現されます。 (Ki)

AP-101
シューベルト:即興曲D.899 (Op.90)
即興曲D.935 (Op.142)
リタニー D.343(リスト編)
フランソワ・シャプラン(P)

録音:2014年7月23 - 26日/サン・ピエール教会(パリ)
フランソワ・シャプランはパリ音楽院でヤンコフ、ロバン、ペヌティエに師事。ショパンやドビュッシーのディスクをリリースし、来日公演も行っているの で日本にもファンの多い個性派です。彼の演奏はまず何よりピアノの音色の美しさ、特殊さが特徴。透明で幻のようにキラキラした不可思議な世界に魅了 されます。このタッチで弾かれるシューベルトの即興曲はまさに理想の響き。清潔な歌い回しも独特で、要注目の個性派と申せましょう。 (Ki)

AP-102
世紀末
フランク:ヴァイオリン・ソナタ.イ長調
ショーソン:ヴァイオリン,、ピアノと弦楽四重奏のための協奏曲
 「愛と海の歌」〜間奏曲
レイチェル・コリー・ダルバ(Vn)、
クリスチャン・シャモレル (P)、
シカゴ・スペクトラム Q

録音:2014年5月30日- 6月1日/ルール・ブルー(ラ・ショー=ド=フォン)
2012年に初来日公演を行い話題となったスイスの女流ヴァイオリニスト、レイチェル・コリー・ダルバ。かつてワーナーからイザイの無伴奏ヴァイオリン・ ソナタ集をはじめ3枚のアルバムをリリースしていましたが、今回アパルテ・レーベルに初登場。「世紀末」と銘打ち、フランクとその弟子ショーソンの名 作に挑戦していますが、どちらも彼女が敬愛してやまないイザイのために書かれたもの。さらにフランクのソナタはプルーストの「失われし時を求めて」に 登場する架空の「ヴァントゥイユのソナタ」として解釈しているのも興味津々。ダルバ本人書き下ろしの解説も読みごたえ満点です。
赤く染めた長髪と真っ赤なルージュ、シースルー衣裳に皮ジャンを羽織った姿はロック歌手のようなカッコ良さ。独特のフレージングで両作品を解釈し、 ショーソンの痛切なまでの表現が感動的です。ダルバの好パートナー、ピアノのクリスチャン・シャモレルも輝かしい技巧を披露しています。 (Ki)
AP-103
ジョルジュ・ドルリュー:トランペット小協奏曲
カロル・ベッファ:トランペットと弦楽のための協奏曲
ジョリヴェ:トランペット,ピアノ,弦楽のためのコンチェルティーノ
ジャン=バティスト・ロバン:魂の歌
マルタン・マタロン:トラム]U
ロマン・ルルー(Tp)
ロベルト・フォレス・ベレス(指)
オーヴェルニュO

録音:2014年5月2 -6日オーヴェルニュ管弦楽団施設(クレルモン=フェラン)
人気のトランペット奏者ロマン・ルルーの最新盤。今回は協奏曲集ですが、思わず目を疑いたくなる名前が並んでいます。まずジョルジュ・ドルリュー (1925-1992)。言わずと知れたトリュフォーの映画音楽作曲家。「突然炎のごとく」「恋のエチュード」「隣の女」のほか、アラン・レネの「二十四時間の情事」 やベルトリッチの「暗殺の森U」などの音楽も担当しています。ドルリューはパリ音楽院でビュセールとミヨーに学び、トランペット小協奏曲は初期にあた る1951年の作。かなり技巧的な作品で、どこかショスタコーヴィチ風。ドルリューの知られざる一面を披露してくれます。 ポーランド系フランス人のカロル・ベッファ(1973-)は、昨年諏訪内晶子がパーヴォ・ヤルヴィと委嘱協奏曲を演奏したことで記憶される若手。彼も映 画音楽で知られます。
オルガニストとして知られるジャン=バティスト・ロバン(1976-)の「魂の歌」はルルーのために書かれた作品。オルガン的な響きが興味津々。 いずれの作品もルルーは抜群の巧さ。若々しい音楽性ともに輝くような美しさです。 (Ki)

AP-104(2CD)
Alvorada
[CD1]
ファリャ:七つのスペイン民謡より
1. 「ホタ」 2.「子守歌」
3. グラナドス:ゴイェスカスより「間奏曲」
4. ファン・カルロス・コビアン(1896-1953)&エンリケ・ドミンゴ・カディマーコ(1900-1999):Nieblas del riachuelo
5. カルロス・カシャーサ(1902-1999)&カルトーラ(1908-1980):Alvorada
6. モイセス・シモンズ(1889-1945):El Manisero
7. イソリーナ・カリージョ(1907-1996):Dos Gardenias
8. ホセ・ダメス(1907-1994)&オラシオ・バステッラ(1914-1957):ナーダ
9. エグベルト・ジスモンチ(b.1947)&ジェラルド・カルネイロ(b.1952):水とワイン
ピアソラ:10. 鮫 11. オブリビオン 12-14.グラン・タンゴ
15. ホアン・カルロス・コビアン&エンリケ・ドミンゴ・カディマーコ:ノスタルジアス
[CD2]
1. フリアン・プラサ(1928-2003):パジャドーラ
2. フェリクス・リペスケル(1913-1970):ロマンティカ
3. アルフレード・ゴッビ(1912-1965):A Orlando Goni
4. トッキーニョ(b.1946)&ヴィニシウス・ヂ・モライス(1913-1980):イタポアンの午後
5. トム・ジョビン(1927-1994):波
6. エイトル・ヴィラ=ロボス(1887-1959):黒鳥の歌
7. エイトル・ヴィラ=ロボス&ルース・ヴァラダレス・コレア(b.1938):ブラジル風バッハ第5番 「カンティレーナ」
8. El canto dels ocells
9. ガスパール・カサド(1897-1966):無伴奏チェロ組曲
チェロ/オフェリー・ガイヤール(1737年フランチェスコ・ゴフリラー製)
声/サビーヌ・ドゥヴィエイル[CD2-7]、タッキーニョ[CD1-5, CD2-4]、サンドラ・ルモリーノ[CD1-15]
ヴァイオリン/シリル・ギャラ[CD1-4, CD2-3]
バンドネオン/ホアンホ・モサリーニ[CD1-4,9,10,11,12,13,14/ CD2-1,2,3]
コントラバス/ロマン・ルキュイエ[CD1-5,6,7,10,11,12,13,14/ CD2-1,2,4,5]
ギター/ルイス・デ・アキーノ[CD1-5, CD2-5]、ルディ・フローレス[CD1-15/ CD2-1,2]、エマニュエル・ロスフェルダー[CD1-1,2,3]
ハープ/サンドリーヌ・シャトロン[CD2-6]
トランペット/ニコラ・ゲネス[CD1-6,7]
トロンボーン/ファビアン・シプリエン[CD1-5]
打楽器/ダヴィド・チュペテ[CD1-1,2,3]、フロラン・ジョデレ[CD1-6,7]、ルーベンス・セルソ・ロペス[CD1-5, CD2-5]、
クリスティアン・パオリ[CD1-5,6,7/ CD2-5]
ピアノ/ゲラルド・ディ・ジュスト[CD1-5,6,7/ CD2-5]、ガブリエル・シヴァク[CD1-9]、フェルナンド・マグナ[CD1-8,10,11/ CD2-7]
チェロ/シマオ・アルコフォラード・バレイラ、アナ・カタリーナ・ブラガ、アンヌ=シャルロッテ・デュパ、
クレメンス・イッサーテル、エステル・ルフェーブル、ヒューゴ・パイヴァ、ロール・ツァウグ[CD2-7]

録音:2014年9月
オフェリー・ガイヤールの最新盤は、ファリャやグラナドスによる、民謡色濃厚な作品から、ヴィラ=ロボスやピアソラなど、南米の作品までを網羅し た2枚組。どんな作品でも、ガイヤールの音色のエレガントさ、スタイリッシュさ、そしてあたたかさはぶれることなく存在していて、非常に楽しい内容に 仕上がっています。カサド作品も、ともするとドライになりやすいものですが、ガイヤールは切れ味とやわらかさ、見事なバランス感覚で聴かせます。ボサ ノヴァの神様、トッキーニョも参加しているという超豪華なゲスト演奏家の顔ぶれにも注目です。
オフェリー・ガイヤールは、先にリリースされたC.P.E.バッハの協奏曲集(AP.080)が2014年のディアパソン・ドール・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど、 ますます充実をみせているチェリスト。1998年ライプツィヒ国際バッハ・コンクール第3位、また、自ら創設したアンサンブル・アマリリスを率いて国際 コンクールで優勝しており、モダンからバロックまで、幅広く活躍しています。フルニエ、トルトゥリエら、フランス・チェロ楽派の正当な継承者ともいえ る存在です。目を閉じてCDを聴いているとまるで自分一人のために弾いてくれているような気分になる親密な空気感は、他ではなかなか味わえない彼女 ならではの魅力といえるのではないでしょうか。そんなガイヤールの魅力は、この様々な編成による演奏のディスクでも遺憾なく発揮されています。 (Ki)
AP-105
ジョルジュ・オンスロー(1784-1853):弦楽四重奏曲集
弦楽四重奏曲 ハ短調 op.8-1
弦楽四重奏曲 変ロ長調 op.10-3
弦楽四重奏曲 イ長調 op.8-3
ルッジェーリSQ〔ジローヌ・ゴーベール=ジャック(Vn)、シャルロット・グラタール(Vn)、デルフィーヌ・グランベール(Vla)、エマニュエル・ジャック(Vc)〕

録音:2015年1月
「レ・タラン・リリク」や「アマリリス」といった名門の中核で活躍する名手たちが2007年に結成した室内楽アンサンブル、「ルッジェーリ四重奏団」 によるジョルジュ・オンスローの弦楽四重奏曲集第2弾。既にリリースされているオンスロー:弦楽四重奏曲集(AGO 006)のいわば続編にあたります。 オンスローは1784年、クレルモン=フェランで生まれ、同地で亡くなりました。音楽院で学ぶこともなく、作曲した3つのオペラもあたたかい評価を 得られず、いわばメインストリームからは外れた存在だった彼は、「才能あるアマチュア」などと称され、長い間忘れ去られた存在でした。現在急速に評 価が高まっています。オンスローの弦楽四重奏曲12曲は1814年に完成され、どれも流麗さとエレガンスに満ちています。ルッジェーリ弦楽四重奏団の メンバーによる巧みなアーテキュレーションや強弱の表情づけにより、オンスローの世界が生き生きと輝いています。 (Ki)
AP-106
カリーヌ・デエ
マスネ:悲歌
フォーレ:夢のあとに
グノー:夕べ
サン=サーンス:白鳥
 夕暮れのヴァイオリン
ショーソン:終わりなき歌
フォーレ:ロマンス(チェロのための)
グノー:去りし人
マスネ:タイスの瞑想曲
ゴダール:子守歌
フォーレ:子守歌(ヴァイオリン)
サン=サーンス:アレグロ・アッパッショナート
フォーレ:アンダンテ(ヴァイオリン)
ベルリオーズ:囚われの女 op.12
カリーヌ・デエ(Ms)
アンサンブル・コントラスト〔アルノー・トロット(Vn)、アントワーヌ・ピエルロ(Vc)、ヨハン・ファルジョ(P)〕

録音:2014年3月、12月
フランスの歌曲集を、ヴァイオリンやチェロを加えたかたちにアレンジして演奏したオシャレな1 枚。フランスの魅惑のメゾ・ソプラノ、カリーヌ・デエ。 オペラ・シーンでもフランス内外の劇場でひっぱりだこの彼女ですが、デセイやプティボンのディスクでも共演しているなど、その活躍の場は実に幅広いも のとなっています。デエのしっとりと美しい声を堪能できます。 (Ki)
AP-107
ピアノ・アンコールズ
ガーシュウィン:私の彼氏
ブラームス:ハンガリー舞曲第1番
シベリウス:悲しきワルツ
ワーグナー:侯爵夫人のアルバムに
ファリャ:火祭りの踊り
カバレフスキー:ロシア民謡による舞曲風変奏曲
(やさしい変奏曲op.51より第2番)
C.P.E.バッハ:ソナタ.H.245(カンタービレ)
アルベニス:タンゴ
グリーグ:春に寄す(抒情小品集第3集より第6曲)
グノー:マリオネットの葬送行進曲
ドビュッシー:月の光
スクリャービン:練習曲 op.2-1
プッチーニ:アルバムの一葉
シューベルト:楽興の時 op.94-3
チャイコフスキー:感傷的なワルツ
ショパン:ノクターン op.9-2
プロコフィエフ:騎士たちのおどり
バッハ:プレリュード BWV 999
モーツァルト:バターつきパン
シューマン:詩人は語る(子供の情景終曲)
サティ:ジムノペディ第1番
トリスタン・プァッフ(P)

録音:2015年1月
演奏会で、本編プログラムを堪能した後、アンコールを聴くのはまた一段と楽しいもの。フランスのピアニスト、トリスタン・プァッフが 、自 ら が よくア ン コ ー ルとして演奏する愛奏曲を集めた 1 枚をリリース。リラックスして楽しみたい 1 枚です。 (Ki)
AP-108
カロル・ベッファ:作品集 Into the dark
ヴィオラと弦楽オーケストラのための協奏曲
ハープと弦楽オーケストラのための協奏曲
≪ダーク≫〜ピアノと弦楽オーケストラのための
≪薄暗い夜≫〜声と弦楽オーケストラのための
≪迷路≫〜弦楽オーケストラ(そしてハープ)のための
≪虹≫〜ピアノと弦楽オーケストラのための
アンサンブル・コントラスト〔アルノー・トロット(Vn)、アントワーヌ・ピエルロ(Vc)、ヨハン・ファジョ(指)〕
カロル・ベッファ(P)
カリーヌ・デエ(Ms)
アルノー・トレット(Vn、Va)
エマニュエル・セイソン(Hp)

録音:2013年2月
フランスの作曲家カロル・ベッファ(1973年生まれ)の作品集。非常に繊細な響きが魅力で、静かな映画音楽のような風合いもあわせもつ作品です。 フランスの魅惑のメゾ、デエやアンサンブル・コントラスト、さらにnaiveからのリリースも注目されている若手ハープ奏者エマニュエル・セイソンらという 豪華布陣による演奏です。ベッファは幼い頃は子役俳優として活躍、15ほどの映画への出演履歴を持ちます。そのかたわら音楽をはじめ、ケンブリッジ では哲学を学ぶなど、幅広い人物。ピアニスト、即興家、そして作曲家として活躍しています。トゥールーズ=キャピトル国立管弦楽団では2006-09年 コンポーザー・イン・レジデンスを務め、その間に書いたヴァイオリン協奏曲をルノー・カプソンが、そしてピアノ協奏曲をベレゾフスキーが初演していま す。2014年開催の国際音楽祭NIPPONでは諏訪内晶子がその作品を初演するなど、注目度も高まっている作曲家です。 (Ki)
AP-109(3CD)
ラモー:歌劇「ツァイス」(1748)(英雄的パストラーレ) レ・タラン・リリク
指揮&クラヴサン:クリストフ・ルセ
ツァイス:ジュリアン・プレガルディエン
ツェリディー:サンドリーヌ・ピオー
オロマゼス:エムリー・ルフェーヴル
サンドール:ブノワ・アルヌー
空気の精、愛の巫女:アメル・ブライム=ジェルール
アムール:ハスナ・ベンナニ
空気の精:ザカリー・ワイルダー
ナミュル室内Cho

録音:2014年7月、11月
鍵盤のソロに指揮に、ますます充実の活動をみせるクリストフ・ルセ。待望の新譜はラモーが非常に充実していた頃に書かれたオペラ「ツァイス」、指 揮とチェンバロを担当しての登場です。「ツァイス」を書いた頃、ラモーは5年の間に10以上のオペラを生み出しており、非常に充実していました。初演 は1748年2月29日(パリ)、羊飼いの話であることもあり「パストラーレ」という記述がありますが、実際にはバレエつきのオペラ。台本を手がけた のはルイ・ド・カユザック(1706-1759)、『ゾロアストル』や『レ・ボレアド』の台本を手がけた人物で、ラモーは信頼を寄せていました。聴衆の反応 は物語自体については厳しいものでしたが、喜びに満ちた音楽、そして充実のバレエなどは大絶賛され、このオペラは1761年に再演され、ラモーの死 後の上演回数は100回をくだらないものでした。 このオペラで特筆すべきはその序曲。カオスの中から四大元素(火・空気(風)・水・土)が作り出されるようすが見事に音楽化されています。ほか、表 情豊かなアリア部分、典雅なバレエ部分など、もりだくさんの音楽で非常に楽しめる内容です。管弦楽が織りなす愉悦の響きが素晴らしいのはもちろん、 嵐の場面での様々な効果音も楽しく、ルセのチェンバロの効果も全体を通して抜群に光っています。歌唱陣も、若手ながら活躍めざましいジュリアン・プ レガルディエン、そして吉田秀和氏も絶賛し、日本でもファンの多いピオーなど、豪華な顔ぶれ。ラモー充実期のオペラにうれしい新録音が誕生しました。 =あらすじ= ツァイスは妖精(不死身)でありながら、羊飼いの娘ツェリディーに恋をし、自ら羊飼いに扮して彼女の愛を勝ち取る。結ばれた二人がキューピッドを讃 える祭りをしていると、キューピッド自身が現れ、二人の愛が真実のものかどうかを試すという。サンドールが現れ、ツェリディーに、自分の王国を分け与 えよう、あるいはもっと美しくしよう、などとあの手この手で誘惑するが、ツェリディーはなびかない。最後にツァイスが自らの正体をツェリディーに明か すとツェリディーは身を引こうとする。ツァイスは自分の永遠の命をなげうって、ツェリディーと一緒になろうとする。その真実の愛にうたれた神は、ツァイ スとツェリディーの二人に永遠の命を与え、二人はツァイスの宮殿で再び結ばれる。愛を讃える大団円でオペラは幕となる。 (Ki)

AP-110(2CD)
エドゥアール・ラロ:歌曲集
神の影/砂漠への別れ
6つの通俗的な歌/ル・ノーヴィス
6つの歌
アルフレッド・オ・ミュッセの詩による3 つの歌
オバド/3つの歌/5つの歌
ブルゴーニュの歌/マリン
コマドリ
タシス・タシス・クリストヤニス(Br)
ジェフ・タシス・クリストヤニス(P)
ヨハネス・グロッソ(Ob)

録音:2015年1月12-14日・3月27-29日
19世紀フランスのスペイン系の作曲家、ラロ。異国情緒に富む音使いが華やかな「スペイン交響曲」の作曲者として知られるラロの歌曲が収められた CDです。彼が生涯にわたって書いた歌曲の世界に、ラロの詩情がうかがえます。その多くはアルト歌手であった彼の妻の声域に合わせて書かれていますが、 この CD ではバリトンで歌われています。 市民革命や普仏戦争など激動の時代の中で、社会の矛盾をあぶりだすような詩につけられた曲(「老放浪者」「貧しい女」)や、それらと打って変わった穏 やかなで愛らしいもの(「もし私が小鳥だったら」) そしてオーボエと歌とピアノのトリオで奏でられる、のどかで物寂しい「ブルゴーニュの歌」など、その表情の幅は様々。フランス歌曲の中ではドビュッシー やフォーレの影に隠れがちなラロの歌曲の世界が、表情に富んだクリストヤニスのバリトンと、華があるコーエンのピアノで繰り広げられます。 (Ki)

AP-111
ドビュッシー:ピアノ作品集
子供の領分、映像 第2集、
前奏曲集 第2集
ミシェル・ダルベルト(P)

使用楽器:ファツィオリ、グランド・ピアノF278
録音:2015年5月30日イタリア、マントヴァ、テアトロ・ビビエーナ
※日本語解説・帯付
フランスの名ピアニスト、ミシェル・ダルベルトがAPARTEレーベルに登場。磨きぬかれた音色で多彩な世界を描き出し、世界中の聴衆を魅了してい ます。日本では、NHK「スーパー・ピアノレッスン」で講師を務め多くの愛好家に知られており、昨年2014年には来日30周年の節目を迎え日本の聴 衆にも絶大な人気を誇っております。また世界屈指のシューベルト弾きであり、シューベルトのピアノ作品全曲録音も高く評価されています。近年は、あ えて避けてきたフランス音楽のレパートリーにも挑戦し新境地をひらいています。ダルベルトは、アルフレッド・コルトーのもとで学んだヴラド・ペルルミュ テールに師事し、洒脱な感性に加え、深い知性をフランスものでも発揮しています。 本アルバムは、1997年RCAに録音した「ドビュッシー:前奏曲集第1巻、映像第1集」に続く、ドビュッシーのピアノ作品集。徹底的に吟味された音色、 しかし音色だけにとらわれる事なく、一曲ごとの個性を見事に描き分け、音色の変化はもちろんのこと、テンポ、絶妙な間合いとフレージング、曲の構成、 すべてが完璧にコントロールされています。そして録音に使われたのは、イタリアの銘器ファツィオリ。最近はコンサートでも演奏し、ダルベルト本人も大 変気に入っている楽器です。ファツィオリは音色が多彩で、深みと透明感のある音で多くのピアニストを魅了しています。ダルベルトが隅々まで吟味した音 色を、最良のかたちで収録することができています。 (Ki)

AP-112
サン=サーンス:ピアノ協奏曲集
ピアノ協奏曲第2番ト短調Op.22
ピアノ協奏曲第5番「エジプト風」Op.103*
ルイ・シュヴィッツゲーベル=ワン(P)
BBC響
ファビアン・ガベル(指)
マーティン・ブラビンズ(指)*

録音:2014年2月18日(ライヴ)、2015年4月7日*
ジュネーヴ国際音楽コンクール第2位(1位なし)、ヤング・コンサート・アーティスト国際オーディション第1位の若手気鋭のピアニスト、ルイ・シュ ヴィッツゲーベルによるサン=サーンスのピアノ協奏曲集。2番ト短調はライブ録音です。オルガニストでもあったサン=サーンスの、オルガン音楽への思 いも垣間見ることができるこれらピアノ協奏曲を、時に軽く輝くような、そして時にどっしりと骨太なルイ・シュヴィッツゲーベルの音色でたっぷり堪能で きる一枚です。 (Ki)
AP-113
ハープ協奏曲集
ロドリーゴ:アランフェス協奏曲(ハープ版)
カステルヌオーヴォ=テデスコ:小協奏曲
ドビュッシー:神聖な舞曲と世俗的な舞曲
トゥリーナ:主題と変奏
吉野直子(Hp)
ロベルト・フォレス・ヴェセス(指)
オーヴェルニュCO

録音:2015年6月/クレルモン=フェラン(フランス)
日本語解説・帯付仕様
世界的ハープ奏者、吉野直子の待望の新譜が登場します。ハープの名協奏曲を集めた注目プログラムです。 ソロでの素晴らしさはもちろん、クレーメル、パユ・・・様々な世界的アーティストと共演しても、一寸の隙もないアンサンブルで絶大な信頼を得ている吉野が、 ヴェセス指揮オーヴェルニュ室内オーケストラには「赤い糸で結ばれたような出会いは、今まで経験したことのない本当に特別なもの」を感じたというほど、 オーケストラとの素晴らしいアンサンブルにも注目です。アランフェス協奏曲の有名な第2楽章などは曲の世界に深く引きずり込まれるようです。もともと ギター曲ではありますが、ハープのために書かれたのではと思うほど。他の作品でも管弦楽の繊細なアンサンブルと吉野のハープの絶妙なバランスと絡み 合いは見事。吉野直子の世界がますます深まっていることに感じ入るとともに、スペイン出身の俊英指揮者ヴェセスの今後にも大いに期待できる新譜の登 場となりました。 (Ki)

AP-114
「インスピレーションズ」
ジョゼフ・コズマ:枯葉
ディニク:ホラ・スタッカート
ピアソラ:フーガと神秘
モリコーネ:シネマ・パラディーゾ
フォーレ:夢のあとで
ビゼー(Doutrelant編):カルメン幻想曲
アーン:素敵な時
ダカン:かっこう
ジョビン:三月の雨
 想いあふれて
ヴィンセント・ペイラニ:ランダム・オブセッション
バッハ:G線上のアリア
サラサーテ:サパテアード
クルト・ヴァイル:ユーカリ
ルイス・ボンファ:カーニバルの朝
ロマン・ルルー(Tp)
アンサンブル・コンヴェルジェンス(弦楽五重奏)

録音:2015年4月29日〜5月2日/フランス、リール、ヌーヴォーシエクル・ホール
洒落たアレンジの弦楽伴奏を背景に、あらゆるスタイルの楽曲を華麗に吹きこなします。まばゆく煌めく超絶技巧、しっとりと柔らかなロングトーン。「ホ ラ・スタッカート」のスピード感に痺れ、「シネマ・パラディーゾ」や「G線上のアリア」の美しさに涙。色とりどりの魅力を放つアルバムです。
ロマン・ルルーは1983年生まれのトランペット奏者。15歳でパリ国立音楽院に入学、卒業後カールスルーエ音楽大学でラインホルト・フリードリヒ に師事しました。リヨン国際室内楽コンクール3位。2009年にはフランス最大の音楽賞「ヴィクトワール・ド・ラ・ミュジーク」クラシック音楽部門新 人賞を受賞しています。 (Ki)
AP-115
ベルノルド&セイソン〜モーツァルト
モーツァルト:フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 K299【カデンツァ:マリウス・フロトホイス】
フルート協奏曲 ト長調 K313【カデンツァ:マクサンス・ラルー(第1楽章)、フィリップ・ベルノルド(第2楽章)、ジャン=ピエール・ランパル(第3楽章)】
アンダンテ ハ長調 K315(285e)【カデンツァ:フィリップ・ベルノルド】
フィリップ・ベルノルド(Fl&指)
エマニュエル・セイソン(Hp)
パリ室内O(オルケストル・ド・シャンブル・ド・パリ)

録音:2015年7月7,10日
フランスのフルートの名手、フィリップ・ベルノルドによるモーツァルトの協奏曲集の登場。フルートとハープの協奏曲では、同じくフランスの若手ハー プ奏者で、現在はメトロポリタン歌劇場で首席ハープ奏者を務めるエマニュエル・セイソンが参加しています。 ベルノルドはもともとはリヨン国立歌劇場のフルート奏者としてキャリアをスタートさせました。モーツァルトのフルート協奏曲はオペラ・アリアを思わせ るような部分もあり、ベルノルドのヴィルトゥオジティと音楽性が遺憾なく発揮されています。ハープのセイソンのヴィルトゥオジティが、名曲に花を添えて います。カデンツァもベルノルド自身によるものも収録されており、こちらも注目です。 ベルノルドは来日も多く、日本でもマスタークラスなどでもおなじみのフルートの名手ですが、指揮に関しても、シャルル・ミュンシュ(および兄のフリッ ツ・ミュンシュ(ミュンヒ))に師事したルネ・マターに師事しています。1994年に「Les Virtuoses de l’ Opera de Lyon(リヨン・オペラのヴィルトゥ オーゾたち)」を結成、その指揮者としても活動を開始し、指揮者としてもヨーロッパの様々なオーケストラ、さらにアンサンブル金沢などと共演、近年指 揮者としての活動にも力が入っています。 (Ki)
AP-116
エリック・サティ:ピアノ曲集
3つのジムノぺディ、
冷たい小品(3つの逃げ出させる歌、3つのゆがんだ踊り)、
12の短いコラール、
最後からの2番目の思想、夜想曲、
7つのグノシエンヌ、官僚的なソナティナ
ブルーノ・フォンテーヌ(P)
使用楽器:Piano CFX YAMAHA No.6315200

録音:2015年6月17-18日/studio 4’33(イヴリー=シュル=セーヌ、フランス)
クラシック、ジャズ、そしてアレンジなどマルチな才能を発揮しているピアニスト、ブルーノ・フォンテーヌによるエリック・サティのピアノ作品集。サティは、 生誕150年/没後90年とアニバーサリー・イヤーが続き、展覧会や録音が次々とリリースされています。自由な発想で独自の音楽観を模索していたサティ。 型にとらわれない、ボーダレスな活動をしているブルーノ・フォンテーヌとは相通ずるものがあります。洗練された感覚を持つブルーノ・フォンテーヌのピ アノが、サティの不可解でユーモアに満ちた世界を見事に表現しています。 (Ki)
AP-117
ファリネッリ〜aportrait/ライヴ・イン・ベルゲン
ブロスキ(1698-1756):私は揺れる船のように(歌劇「アルタセルセ」より)
 忠実な影よ、私も(歌劇「イダスペ」より)
ジャコメッリ(ca.1692-1740):‘すでに終わりをむかえようとしている’、‘不安にさまよう旅人は’(歌劇「シリアのアドリアーノ」より)
ポルポラ(1686-1768):‘おまえの唇は雄弁に語り’、‘幾千もの怒りへのえじき’(歌劇「認められたセミラーミデ」より)
 高貴なジュピターよ(歌劇「ポリフェーモ」より)
ハッセ(1699-1783):歌劇「クレオフィーデ」序曲
レオ(1694-1744):‘なんと非力な’、‘森のいたみ’(歌劇「ウティカのカトーネ」より)
ヘンデル:‘イルカニアの洞穴に’(歌劇「アルチーナ」より)、‘私を泣かせてください’(歌劇「リナルド」より
アン・ハレンベリ(Ms)
レ・タラン・リリク
クリストフ・ルセ(指)

録音:2011年5月26日、ベルゲン国際フェスティヴァル(ライヴ)
歴史上あまりにも有名なカストラート歌手、ファリネッリ(本名:カルロ・ブロスキ)。1994年にはファリネッリを描いた映画「カストラート」も公開され、 大きな話題となったことは、今なお記憶にある方も多いでしょう。あらためて、ファリネッリの超絶歌唱をしのぶべく、ハレンベリがファリネッリのレパート リーを歌ったライヴ録音の登場。ハレンベリはスウェーデン出身のメゾ・ソプラノで、膨大なレパートリーを持ちますが、とりわけバロック・オペラでの活 躍にはめざましいものがある、実力派です。指揮は、映画「カストラート」で音楽を担当したルセという、完璧な布陣。なお、ここに収録されているヘン デルのアリア2曲は、ファリネッリのレパートリーではありませんでしたが、演奏会を盛り上げるために演奏されたということです。 (Ki)
AP-118
C.P.E.バッハ:シンフォニア第3番ハ長調Wq.182/3(H.659)
チェロ協奏曲第2番変ロ長調Wq.171(H.436)
シンフォニア.ホ短調Wq.178(H.653)
ソナタ ニ長調Wq.137(H.559)
ピッコロ・チェロとチェンバロのためのソナタWq.137(H.559)
チェンバロ協奏曲 ニ短調Wq.17(H.420)
オフェリー・ガイヤール(Vc/フランチェスコ・ゴフリラー1737年製、ピッコロVc、指)
フランチェスコ・コルティ(フォルテピアノ/F.ブランシェ1733年製、フランツ・バウムバッハ1780年製)
プルチネッラ・オーケストラ

録音:2015年9月7-10日パリ
気品としなやかさを兼ね備えたフランスの女性チェロ奏者、オフェリー・ガイヤール。2014年に発売されたアルバムに続くC.P.E.バッハのアルバム第 2弾。第1弾は、2014年のディアパソン・ドール・オブ・ザ・イヤーを受賞し、次作に期待が集まっています。 オフェリー・ガイヤールは、1998年ライプツィヒ国際バッハ・コンクール第3位、また自ら創設したアンサンブル・アマリリスを率いて国際コンクール で優勝しており、モダンからバロックまで、幅広く活躍しています。フルニエ、トルトゥリエら、フランス・チェロ楽派の正当な継承者ともいえる存在。
バロックから古典への重要な橋渡し役であったC.P.Eバッハ。チェロ協奏曲第2番では、激しくも美しいガイヤールのチェロ、プルチネッラ・オーケス トラの柔軟なサポート、双方が一体となった多感様式にふさわしいまさに疾風怒濤の演奏を聴かせます。弦楽による6曲のシンフォニアは「ハンブルク交 響曲」と呼ばれ、どの曲も3つの部分に分かれた単一楽章でハイドン、モーツァルトやベートーヴェンの古典派の作曲家へ続く交響曲の前身のような作 品群です。ここに収録された3番のシンフォニアも生き生きとした躍動感あふれる作品で、新しい時代を切り開く勢いが感じられます。プルチネッラ・オー ケストラの溌剌とした演奏も魅力的。チェンバロ協奏曲を弾くのは、バッハ国際コンクール優勝、ブルージュ国際コンクール最高位などの実力をもつイタリ ア出身のフランチェスコ・コルティ。 (Ki)
AP-119
バンドネオンとギターの世界
ベーゲホルツ:エル・プジュジュイ
 デルタと海/プエルトバラス
フアンホ・モサッリーニ:タンゴ・インサイド
 エル・ティグレ
ロドリゲス(モサッリーニ編):ラ・クンパルシータ
バルチ:流れ/ラメント/力の戯れ
ブレーマー:3つの発見
フアン・ホセ・モサッリーニ:大地のミロンガ
ビセンテ・ベーゲホルツ(G)
フアンホ・モサッリーニ(バンドネオン)

録音:2015年9月/聖ピエール教会(パリ)
ルゼンチンのバンドネオン奏者で作曲家のフアンホ・モサッリーニと、チリ出身のギタリスト、ビセンテ・ベーゲホルツによる両国の香りをブレンドし たアルバム。有名な「ラ・クンパルシータ」以外は創作で、南米の風物を描いています。「大地のミロンガ」の作曲者はフアンホ・モサッリーニの実父。 (Ki)
AP-120(2CD)
バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻 クリストフ・ルセ(Cemb:ルッカース1624年)

録音:2015年4月20-22日ヴェルサイユ宮殿、王太子の居室
名手ひしめく歴史的鍵盤楽器奏者の中で、その実力と注目度の高さにおいて、筆頭格に挙げられるのが、クリストフ・ルセです。グスタフ・レオンハル トやボブ・ファン・アスペレンら “ 第一世代” の名チェンバリストの薫陶を受け、1983 年にブリュージュ国際コンクールで優勝。1991 年にはアンサン ブル「レ・タラン・リリク」を結成し、埋もれたバロック・オペラの発掘演奏活動にも力を注いでいます。しかし、そんなルセの真骨頂といえば、やはりチェ ンバロ演奏と言えるでしょう。 ★2013年に録音された平均律第2巻に続き、ついに第1巻が発売されます。平均律クラヴィーア曲集の第1 巻はバッハがケーテン宮廷の楽長を務めて いた後期にまとめられました。24 の前奏曲のうち、11 曲の初期稿は長男ヴィルヘルム・フリーデマンのために書いたクラヴィーア小曲集に、また完成の 年には、妻アンナ・マグダレーナのための音楽帖への曲の書き入れも始まっており、この曲集は、バッハ家の教育のための作品を発展させた存在でした。
ルセは、「第2巻は「フーガの技法」のように複雑な和声進行や構造の複雑さを要した高い芸術性を掲げた作品で、第1巻は教育用としての側面が強 いですが、決してトレーニングだけのためではなく、そこに芸術性も兼ね備えた画期的な作品である」としています。さらに「多くのバッハ作品の中でもこ れほど親しまれ、演奏され、深く研究されたものはない」と。その上でルセは今回の録音にあたって、これまでの学術的研究を一旦横に置き、あえて新し い解釈を入れようとはせず、高い集中力で研ぎ澄まされた音を繰り出していき、どの曲も奥行きのある音楽に仕上げ、聴く者に新たな発見を提示します。 楽器は第2巻同様にヴェルサイユ宮殿所蔵のルッカース・オリジナルを使用しています。 (Ki)
AP-121
カリーヌ・デュシェーが歌うロッシーニ
エーレナのアリア「胸の思いは満ち溢れ」(オペラ『湖上の美人』)
デズデーモナのアリア「柳の根元に腰を下ろして」(オペラ『オテッロ』)
デズデーモナのアリア「ああ神様、眠りのうちに」(オペラ『オテッロ』)
嵐の場面(オペラ『チェネレントラ』)
チェネレントラのアリア「苦しみと涙のうちに生まれ」(オペラ『チェネレントラ』)
歌曲「ニッツァ」
セミラーミデのアリア「麗しく美しい光が」(オペラ『セミラーミデ』)
歌曲「見捨てられた魂」
歌曲「ジョヴァンナ・ダルコ」(サルバトール・シアリーノ編曲)
ロジーナによる「嵐」の場面(オペラ『セヴィリアの理髪師』)
ロジーナのアリア「今しがた一つの声が」(オペラ『セヴィリアの理髪師』)
ロジーナのアリア「愛に燃える心に」(オペラ『セヴィリアの理髪師』)
歌曲「スペインのカンツォネッタ」
カリーヌ・デュシェー(Ms)
ラファエル・マーリン(指)
レ・フォース・マジュール・オーケストラ

録音:2015年6月22日-26日、ヴィルファヴァール農場ホール
2015年に録音した、ロッシーニ作品集。歌手は、ロッシーニ作品を歌唱レパートリーとし活躍している、メゾ・ソプラノ、カリーヌ・デュシェー。オー ケストラは、ラファエル・マーリンが創設し、2014年に初のコンサートを開催した、レ・フォース・マジュール・オーケストラ。アルバムは、ロッシーニ の有名オペラ『セヴィリアの理髪師』や『オテッロ』からのアリアと、その他オーケストラのみの場面演奏(嵐の場面)を収録。さらに16分からなるカンター タ『ジョヴァンナ・ダルコ(ジャンヌ・ダルク)』を収録しています。ロッシーニの幅広い作品を知ることができ、新しいオーケストラの演奏も聴くことができる、 素晴らしい一枚です。19世紀イタリア・オペラの重鎮である、ロッシーニの作品を、是非隅々までご堪能ください。 (Ki)
AP-122(3CD)
KKC-5619(3CD)
日本語帯・解説付
税込定価
アントワーヌ・フォルクレ:ヴィオールと通奏低音のための曲集
第4組曲(マレッラ/クレマン/サラバンド「ドーボンヌ」/ブルノンヴィル/サンシ/パッシーの鐘、ラトゥール)
第2組曲(ビロン/マンドリン/デュブリュイル/ルクレール/シャコンヌ「ビュイソン」)
第3組曲(フェラン、ルジャント、トロンシャン、アングラーヴ、デュヴォセル、エノー、シャコンヌ「モランジ、またはプリセ」)
第1組曲(ラボルド/フォルクレ/コタン/ベルモン/ボルテュゲーズ/クープラン)
第5組曲(ラモー/ギニョン/サラバンド「レオン」/ボワソン/モンティニ/シルヴァ/ジュピテル)
酒井淳(ガンバ) 
クリストフ・ルセ(Cemb)
マリオン・マルティノ(ガンバ)

録音:2015年7月、9月、パリ
フランス在住のガンバ奏者、酒井淳とクリストフ・ルセ、マリオン・マルティノによるアントワーヌ・フォルクレのヴィオールと通奏低音のための曲集。 太陽王ルイ14世に認められヴェルサイユの宮廷音楽家となったアントワーヌ・フォルクレ。フォルクレは、17 世紀後半から18 世紀のフランス音楽界 でヴィオラ・ダ・ガンバの名手として高い評価を受け、当時関心が高かったイタリア様式を取り入れた華麗な名人芸で斬新な作品を発表しました。音楽性 とは別に彼の激しい振幅の大きな性格や妻や息子(ジャン=バティスト)への暴力といった事実がフューチャーされ、同時代人であるマラン・マレの優雅 さと対照的に語られることも多く、アンリ・ル・ブランの「ガンバを擁護する」(1740)にある「マレは天使の如く、(父)フォルクレは悪魔の如く奏く」 という名高い言葉もフォルクレの印象を大きく左右しています。酒井淳は、そのようなフォルクレ像にとらわれることない、自身が感じた音楽の感触を頼り に、安定した技巧やクリストフ・ルセの絶妙のサポートはもちろんのこと真摯に作品に向き合った演奏を聴かせてくれます。
日本仕様盤の解説書には、酒井自身が書き下ろした「フォルクレ讃」が収められています。 (Ki)
■酒井 淳
名古屋生まれのガンバ奏者・チェロ奏者・指揮者。レ・タラン・リリクやル・コンセール・ダストレなどの古楽アンサンブルの通奏低音奏者として、数々 の演奏会とCD録音を手掛ける。室内楽に力を注いでおり、シット・ファスト(ガンバ・コンソート)やカンビニ弦楽四重奏団の創立者として活躍している。 またソロでは、フランス・ヴィオール音楽のスペシャリストとして高く評価される。近年フランスのディジョンやリールのオペラ座、オペラ・コミック座にて、 シャルパンティエやモーツァルトなどの指揮し、成功を収めている。
AP-123
バンジャマン・ゴダール(1849〜1895):歌曲集
1. あなたは覚えていますか?op.19 No.6
2. 石のベンチop.19 No.7
3. 何もいらないop.11 No.1
4. 微笑み与える神op.10 No.9
5.ジャコットop.10 No.5
6 〜11.6つのラ・フォンテーヌの寓話詩op.17
12. 旅への誘いop.114
13. 羊飼いの別れop.29 No.5
14. 彼女op.7 No.10
15. 羊飼いの歌op.11 No.5
16〜21.昔の新しい歌op.24
22. 春 op.113
23. ギター op.10 No.11
24. 歌 op.7 No.4
25. 音楽家 op.10 No.6
26. メッセージ op.147 No.1
タシス・クリストヤニス(Br)
ジェフ・コーエン(P)

録音:2015年11月8日-11日
19世紀パリの作曲家、バンジャマン・ゴダール。大変多作家で、オペラ、管弦楽やバレエ音楽、協奏曲、室内楽などあらゆるジャンルにわたり数 多くの作品を残しましたが、今ではその多くが忘れられてしまっています。そんな彼の知る人ぞ知る歌曲を、「エドゥアール・ラロ歌曲全集」に引き続き APARTEからは2枚目のCDとなるクリストヤニス&コーエンのコンビが送ります。 当時の歌曲の多作家、グノーやマスネと並び、160曲を超える歌曲を残したゴダールは、歌曲というジャンルの地位が定まっていなかった19世紀フラ ンスにおいて、歌曲の発展とレパートリーの充実のためになくてはならない作曲家でした。ピアノパートの芸術性の高さや形式の工夫により、それまでシャ ンソンやロマンスなど雑多なジャンルの寄せ集めであったフランス歌曲を室内楽と同じ重要度にまで高めたことは彼の大きな功績です。
このCDでは、彼の数々な歌曲に並び、全く性格が異なる2つの歌曲集「6つのラ・フォンテーヌの寓話詩op.17」と「昔の新しい歌op.24」がおさ められています。「6つのラ・フォンテーヌの寓話詩op.17」はイソップ寓話を元に書かれた詩集から「アリとキリギリス」などよく知られた物語がテキス トとされた6つの歌曲。形式にとらわれずにドラマチックに詩の世界が描かれ、1曲1曲が小さな音楽劇のようです。「昔の新しい歌op.24」は15〜 17世紀の詩が用いられたもの。音楽そのものは当時「古いスタイル」として知られていた様式で、実際には18世紀的な性格が強いと言われています。 懐古趣味的な形式美や旋法的な音の使い方がアンティークな薫りを伝える作品集です。 ★印象派以前のフランスの、歌心溢れる愛らしさ、明快な調性の中に匂やかに忍び込む繊細な和声感など、19世紀半ばのフランス音楽の魅力が凝縮さ れたゴダールの歌曲集。クリストヤニスとコーエンの温もりを感じさせる演奏がぴったりと音楽にマッチしています。やさしい日だまりを思わせるような知 られざる名曲の数々に、そっと耳を傾けてみてはいかがでしょうか。 (Ki)
AP-124(2CD)
バンジャマン・ゴダール(1849-1895):ヴァイオリン・ソナタ集
ヴァイオリン・ソナタ3番ト短調 Op.9
ヴァイオリン・ソナタ1番ハ短調 Op.1
ヴァイオリン・ソナタ4番変イ長調 Op.12
ヴァイオリン・ソナタ2番イ短調 Op.2
ニコラ・ドートリクール(Vn)
ダナ・ショカリー(P)

録音:2015年9月2日-4日
19世紀フランスの作曲家、バンジャマン・ゴダールのヴァイオリン・ソナタ集。 9世紀半ば、フランスの音楽界はオペラとドイツの作曲家たちによる室内楽によって占められ、フランスの作曲家による室内楽は取り上げられる機会も曲 のものも少ない状態でした。そのような中で、17歳という若さでゴダールが書いたヴァイオリン・ソナタ1番は、その後のフォーレ、サンサーンス、フラ クに先立つ先駆的な存在となります。ここに収録された1番?4番のヴァイオリン・ソナタはどれも、ゴダールが17歳?23歳の若年期に作曲したもの。 典的な様式やベートーベン、ブラームスを思わせる楽想は、一般に「フランス音楽」という言葉から連想するものとはかけ離れたものですが、その後の ランスの室内楽の発展過程に欠かせない、フランス室内楽の基盤作りに貢献した作品であることは間違いありません。 楽史の転換点であるドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」が現れる約30年前に書かれたこれら4曲のソナタは、ドイツ音楽優勢だった当時のフ ンスで新しい変化を起こそうとした若い作曲家の熱意と意欲に溢れています。音楽史上ではなかなか光の当たらないこの時代のフランスで、次の時代に がる音楽が確かに模索されていたこと。そんなことを思いながらこれらのソナタに耳を傾けると、後のラヴェルやドビュッシーなどいわゆる「メジャーな」 ランス音楽も今までと違った聴こえ方をしてきます。それはまるでマイナーな時代の大河ドラマで日本史がより立体的に見えてくるよう。あなたのフラン 音楽観をきっと変えるゴダールのヴァイオリン・ソナタ、一聴の価値ありです。 (Ki)
AP-125
ウェーベルン:弦楽四重奏のための緩徐楽章 (1905)
ベートーヴェン: 弦楽四重奏曲第11番「セリオーソ」Op.95
ユン・イサン:弦楽四重奏曲第1番 (1955)
朝鮮民謡(アン・ソンミン編):アリラン
ノブース・クァルテット
【キム・ジェヨン、キム・ヨンウク(Vn)、イ・スンウォン(Va)、ムン・ウンフィ(Vc)】
2007年に、韓国芸術総合学校の学生たちで創設されたノブース・クァルテット。クリストフ・ポッペン(イザベル・ファウストの師)に師事し、2012 年にミュンヘン国際室内楽コンクール、2014年国際モーツァルト・コンクールで優勝し、現在ヨーロッパを中心に活躍しています。日本にも「サントリー ホール チェンバーミュージックガーデン2016 響感のアジア」シリーズで、6月13日に当アルバムにも収録されているユン・イサンの弦楽四重奏曲を 披露予定。K-popのグループを思わすイケメン揃いで、日本でも人気が出そうです。
ユン・イサンの弦楽四重奏曲は彼最初期の作品で、破棄されたと伝えられてきました。現存していたとは驚愕。自己の作風を確立する以前のものですが、 東アジア的な素材をラヴェルやバルトーク風に処理した興味深い作品。ノブース・クァルテットの若々しい感性が光ります。 (Ki)
AP-126
J.S.バッハ:ピアノ曲集
フランス風序曲ロ短調BWV831、
6つのパルティータ〜第1番変ロ長調BWV825、
イギリス組曲第4番ヘ長調BWV809
ファブリツィオ・チオヴェッタ(P/Steinway & Sons D)

録音:2015年3月25-27日ドッビアーコ、サラ・マーラー、文化センター
1976年ジュネーヴ生まれのファブリツィオ・チオヴェッタ。チオヴェッタはパウル・バドゥラ=スコダ、ジョン・ペリー、ドミニク・ヴェーバーなど、 世界の名だたる名教師・ピアニストに師事し、ソロはもちろんのこと室内楽、声楽の伴奏、そして即興演奏など様々な演奏形態の作品を積極的に学んで きました。師のバドゥラ=スコダは「繊細にして熱い感情が伝わる演奏」と絶賛しています。
透明度が高く、潤いあるピアノの音色、チオヴェッタの繊細なタッチが、バッハをピアノで弾くことの利点を感じさせます。バッハの音楽を構造的に捉えて、 豊かなピアノの音色を活かし、バッハの音楽を立体的に構築しています。 (Ki)
AP-128
「VENEZIA 1700」
トレッリ:ヴァイオリン・ソナタ.ホ短調 Gie T 60※世界初録音
ボンポルティ:ヴァイオリンと通奏低音のためのインヴェンション op.10-6(1712)
カルダーラ:2つのヴァイオリンと通奏低音のためのシャコンヌ 変ロ長調(1699)
ダッラバーコ:ヴァイオリン・ソナタ.ト短調 op.4-12(1716)
ヴィヴァルディ:ソナタ.変ロ長調 RV759
カルダーラ:2つのヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ.ハ短調 op.2-7(1699)
アルビノーニ:ソナタ.ト短調
ヴィヴァルディ:ソナタ.ニ短調「ラ・フォリア」op.1-12(1705)
レ・ザクサン(LesAccents)
【ティボー・ノアリ(Vn)、クレール・ソットヴィア(Vn)、エリサ・ジョグラー(Vc)、マチュー・デュプイ(Cemb)、ロマン・ファリク(テオルボ、バロック・ギター)】

録音:2015年9,10月
ミンコフスキ率いるレ・ミュジシャン・デュ・ルーヴル-グルノーブルのソロ・ヴァイオリン奏者のティボー・ノアリ率いるアンサンブルによる、17〜 18世紀のヴァイオリン音楽集。ヴェネツィアに生まれ、ヴェネツィアで活躍したタルティーニは、200ほどのヴァイオリン・ソナタを作曲しました。その後、 ヴィヴァルディは80ほどのソナタを作曲し、さらに、後のピゼンデル、ルクレールらにも影響を与えています。ヴェネツィアから派生したヴァイオリンの音 楽をたどる1枚。いずれも通奏低音を伴う作品ですが、バッハの無伴奏ヴァイオリン作品にも劣らぬ深遠なる世界をたたえた名曲がならびます。 (Ki)
AP-129(3CD)
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全曲
第4番 イ短調 op.23、第5番「春」ヘ長調 op.24、第2番 イ長調 op.12-2、第3番 変ホ長調 op.12-3、第1番 ニ長調 op.12-1、第6番 イ長調 op.30-1、第7番 ハ短調 op.30-2
第8番 ト長調 op.30-3、第9番「クロイツェル」op.47、第10番 ト長調 op.96
ピエール・フシュヌレ(Vn)
ロマン・デシャルム(P)

録音:2015年3月5-9日(ライヴ)、ル・トリデン
ピエール・フシュヌレは1985年生まれ、ニースの音楽院出身、オリヴィエ・シャルリエに師事した若手。共演のピアノ、デシャルムは、パリ国立地方 音楽院では、教授として後進の指導にあたる一方、ソリスト、そして室内楽奏者としてもエベーヌ弦楽四重奏団などと共演するなど、活躍しています。デシャ ルムの素晴らしいピアノに乗って、フシュヌレのヴァイオリンがのびやかに歌い上げる、非常にさわやかなベートーヴェンの全集の登場です。 (Ki)

AP-130
F.クープラン:カンタータ「バッカスに慰められるアリアーヌ」(世界初録音)
リュリ讃
パルナッソス山、またはコレッリ讃
レ・タラン・リリク
クリストフ・ルセ(指&Cemb)
ステファヌ・ドゥグー(Br/カンタータ)
クリストフ・コワン(ヴィオール/カンタータ)
ローラ・モニカ・プスティルニウ(リュート/カンタータ)

録音:2015年12月、2016年7月
クリストフ・ルセとレ・タラン・リリクによるF.クープランの珠玉の名曲リュリ讃、コレッリ讃の登場。しかも、F.クープランの新発見カンタータの世界 初録音も収録されているという大注目新譜です。 「バッカスに慰められるアリアーヌ」は、ルセがF.クープランの論文を準備しているときに発見したカンタータ。F.クープランの作品リスト(1716年出版) に載っているものの楽譜が残されていない作品として研究者の間では知られた存在でした(この楽譜は出版されず、当時楽譜が必要な人はオンデマンドで 写しを入手していた)。この楽譜がクープランの作品であると結論づけた理由として、ルセは、@ルイ・アレクサンドル(トゥールーズ公/ルイ14世とモ ンテスパン侯爵夫人の間に生まれた子供)の所蔵品の中にあったこと(F.クープランは、彼の音楽教師であった)A通奏低音の数字でクープランは9の 代わりに2を用いることや、他の一連の作品で見受けられる様々な和声の特徴が共通していること、の2点を挙げています。他にもクラヴサン曲集の楽 曲との主題の類似などが見られることから、この作品はF.クープランのものであると確信を持ったといいます。ルセは、「長く眠っていた楽曲が名曲である という夢を抱きがちだが、この作品が出版されなかったのは、クープラン自身、この曲を出版してもそこまでもうからない(出版には経費がかかる)と判 断したから(抄訳)」とライナーノートで述べていますが、貴重な録音の登場は歓迎すべきといえるでしょう。 F.クープランの『コレッリ讃』と『リュリ讃』は、両作品とも各楽章に表題が付けられており、『コレッリ讃』では音楽の神が住まうパルナッソス山にコレッ リが導かれる様子が描かれ、『リュリ讃』では、コレッリに続いてパルナッソス山へ登ったリュリが、そこで出会ったコレッリと共に演奏を行う、という物語 になっています。フランスでは、「トンボー」というジャンルで、先人の肖像画的な音楽を作るという伝統がありましたが、このクープランの『リュリ讃』『コレッ リ讃』は、それぞれの作曲家のスタイルに厳密に従っているわけではなく、また、その規模などから、音楽史上でも特殊な作品として輝きを放っています。 レ・タラン・リリクの精鋭たちによるアンサンブルを、ルセのどこか色気のあるチェンバロがしっとりとまとめあげています。 (Ki)
AP-131
アンリ=ジョゼフ・リジェル(1741-1799):交響曲第4番 ハ短調 op.12
ジュゼッペ・サルティ(1729-1802):lo d’amore, oh Dio! Mi moro〜「見捨てられたディドーネ」よりセレーナのアリア*
J.C.バッハ:Semplicetto, ancor non sai〜「エンディミオーネ」よりディアーナのアリア
ハイドン:交響曲第85番「王妃」変ロ長調 Hob I:85
ジュリアン・ショヴァン(指)
ル・コンセール・ド・ラ・ローグ
サンドリーヌ・ピオー(S)

録音:2016年3月
*世界初録音
ハイドンのパリ交響曲(第82-87番)を録音するプロジェクトの第1弾。当時の演奏会習慣に則り、交響曲をメインに据え、様々な編成の楽曲でプ ログラムが構成されています。1曲目のリジェルの交響曲は管楽器の活躍も印象的な、ドラマティックな作品。2曲収録のソプラノ・アリアでは、サンドリー ヌ・ピオーが客演しています。ハイドンの「王妃」では快活なテンポで、きざむ弦のリズムが小気味よい演奏です。 ル・コンセール・ド・ラ・ローグは2015年、ヴァイオリン奏者のジュリアン・ショヴァンによって設立されました。この名称は、1783年に設立され、 ハイドンの「パリ交響曲」もこの団体のために書かれたコンセール・ド・ラ・ローグ・オランピックにちなんでいます。この団体は、マリー=アントワネッ ト下のチュイルリー宮でレジデント・オーケストラを務めた、フランス、そしておそらくヨーロッパ随一の楽団でした。メンバーはほぼ全員フリーメイソンによっ て構成され、名称のLogeもフリーメイソンのLodgesに因んでいます。ショヴァンはOlympicという文言を団体名に使うことをオリンピック委員会から 禁止されたため、2016年から名称をル・コンセール・ド・ラ・ローグとして活動を続けています。 (Ki)
AP-132
サン=サーンス:歌曲集
ペルシアの歌
ロンサールの5つの詩
古い歌/赤い灰op.146
タシス・クリストヤンニス(Br)
ジェフ・コーエン(P)

録音:2016年3月
サン=サーンスは、5歳半から死の年の5月(1921年12月没)に至るまで、150曲以上の歌曲を作曲しました。そのうち歌曲集として作曲された のが4作で、すべてがここに収録されています。メロディの美しさ、ピアノの洒脱さなど、フランス歌曲の粋がここにあるといっても過言ではないでしょう。 ギリシャ出身のバリトン、クリストヤンニスが明晰なフランス語で各曲を知的に歌い上げています。 (Ki)
AP-133
シューベルト:ピアノ作品集
ピアノ・ソナタ第19番 ハ短調 D958
ピアノ・ソナタ第16番 イ短調 D845
ルイ=シュヴィッツゲーベル・ワン(P)

録音:2016年1月
シューベルトのソナタ2作品を録音。清潔感あふれるフレージング、強靭かつ繊細なピアニズムが炸裂したシューベルトとなっています。1987年生ま れのルイ=シュヴィッツゲーベル・ワンは、16/17シーズンにはオスロ・フィル、ロイヤル・リヴァプール・フィルなどと初共演したほか、バーミンガム市 響にも再登場、さらにコンセルトヘボウ(ホール)でもデビューするなど、その活躍ぶりはとどまるところを知りません。 (Ki)
AP-134
フランチェスコ・ジェミニアーニ(1687-1762):・ヴァイオリン奏法論 op.9(12 曲)〔即興/No. 1 アダージョ/No. 2 アレグロ /No. 3 アレグロ ・アッサイ /No. 4 アレグロ ・アッサイ/No. 5 アレグロ ・アッサイ/No. 6 アレグロ ・アッサイ /No. 7 アンダンテ /No. 8 アレグロ)/No. 9 アンダンテ・モデラート)/No. 10 アレグロ・モデラート/No. 11 アレグロ ・アッサイ/No. 12 アレグロ ・アッサイ〕
ソナタ第8番 op.4 ニ短調
ソナタ第6番 op.4 ニ長調
ゴットフリート・フォン・デア・ゴルツ(Vn)
アン ネ カトリン・ベ ラ ー(Vc)
トル ステン・ヨハン(Cemb)
トーマス・C・ボイセン(テオルボ)

録音:2015年9月21-24日
フライブルク・バロック・オーケストラのコンサートマスターとしておなじみの名手ゴットフリート・フォン・デア・ゴルツと同オーケストラのメンバーによる、 ジェミニアーニの登場。 ジェミニアーニは、自身ヴィルトゥオーゾのヴァイオリン奏者でした。「ヴァイオリン奏法論」には、自身で作った28のエクササイズと12の作品を掲載が されており、これらの作品は、装飾や、メサ・ディヴォーチェ(一定の音を長く引き伸ばしながら徐々にクレッシェンドし、つづいてデクレッシェンドして 終わること)など、ジェミニアーニの奏法が反映されています。どの曲も舞曲のスタイルやオペラのアリアを思わせるものなど多様性に富んでおり、楽しめ ます。 全12曲から成るop.4のソナタからこのディスクで演奏されているソナタ第8番はイタリアの様式、第6番はフランスの様式で書かれた対照的な2曲。 ゴルツとメンバーたちのセンスが光ります。 (Ki)
AP-135(2CD)
リュリ:「アルミード」(音楽悲劇)(1686年)
〔台本:フィリップ・キノー(1635-1688)〕
クリストフ・ルセ(音楽監督、指、Cemb)
アルミード:マリー=アデリーヌ・アンリ(S)
ルノー:アントニオ・フィゲロア(T)
栄光、フェニス、メリッス、ナイアーデ:ユディト・ファン・ワンロイ(S)
智、シドニー、リュサンド、羊飼い:マリー=クロード・シャピュイ(Ms)
アロンテ、憎悪:マルク・ムイヨン(T)
イドラオ:ダグラス・ウィリアムズ(Bs-Br)
騎士ダノワ:シリル・オヴィティ(T)
アルテミドール:エミリアーノ・ゴンザレス・トロ(T)
ウバルド:エティエンヌ・バゾラ(Br)
レ・タラン・リリク
ナミュール室内cho

録音:2015年12月10日、ピエール・ブーレーズ大ホール(フィルハーモニー・ド・パリ)、ライヴ
リストフ・ルセ率いるレ・タラン・リリクのフランス・バロック・オペラ最新盤は、リュリの最高傑作「アルミード」。美しい魔女アルミードと、強敵ルノー の間に繰り広げられる謀略と恋愛の物語。美しい女性アルミードは、敵であるルノーを殺すことがどうしてもできず、ルノーを魔法にかけて快楽の時間を 過ごします。やってきた昔の仲間たちによって魔法を解かれたルノーは我に帰り、アルミードのもとを去る、といった物語。リュリが音符に書き込んだ登場 人物や場面の描写を、ルセ率いるレ・タラン・リリクが見事な鮮やかさで引き出しています。歌唱陣もライヴながら最後まで集中しきっており、アルミード の最後のアリアなど圧巻。ルセが放つ、「アルミード」決定盤の登場といえるでしょう。k (Ki)
AP-136
カルロ・フランチェスコ・チェザリーニ(1665-1741):作品集〜ローマ・カサナテンセ図書館所蔵の室内カンタータ集
Filli, no’l niego, io dissi (La Gelosia), per Soprano, 2 violini e basso continuo
Gia gl’augelli canori (L’Arianna), per Soprano e basso continuo
Fetonte, e non ti basta, per Soprano e basso continuo
Penso di non mirarvi, per Soprano e basso continuo
V’e una bella tutta ingegno, per Soprano e basso continuo
Oh dell’Adria reina, per Soprano, 2 violini e basso continuo
ステファニ ー・ヴァル ネラン(S)
ジョルジョ・タバッコ(Cemb、指)
ラストレ

録音:2016年5月
バロック後期ローマの最重要作曲家の一人、チェザリーニの作品集。1700-1717年頃に作曲されたカンタータで、レチタティーヴォとアリアが交互に 演奏される18世紀初期のカンタータのスタイルで書かれています。どれも劇的な要素に満ちており、聴きごたえ十分。アカデミア・モンティス・レガリス の室内楽グループ、ラストレの颯爽とした伴奏も魅力です。 (Ki)

AP-137
リスト:ピアノ作品集
ダンテを読んで〜ソナタ風幻想曲 S.161/7
バラード第1番 変ニ長調 S.170
バラード第2番 ロ短調 S.171
オーベルマンの谷 S.160/6
コンソレーション S.172(全6曲)
ベアトリス・ベリュ(P)

録音:2016年4月12,13日、パリ
女優のように美しい容姿のスイスのピアニスト、ベアトリス・ベリュのアパルテ・レーベル第2弾。ベリュは、1985年ローザンヌ生まれ。ガリーナ・イヴァ ンツォヴァ、ブリジット・エンゲラー、ジョン・オコーナーに師事し、クレーメルやパールマンに認められてアンサンブルに参加するなど活躍しています。 リスト作品を集めた本CDでは、大曲「ダンテを読んで」を始めとする超絶技巧作品も収録されておりますが、彼女の詩情豊かな表情に満ちた世界を 堪能することができます。 (Ki)
AP-138
マダムのために〜アデライードのための愉しみ
ジャン=ジョセフ・ド・サン・ジェルマンの置き時計の鐘の音
シモン・シモン(c.1735-c.1802):コンセール第1番(クラヴサンとヴァイオリンのための)
アントワーヌ・ドーヴェルニュ(1713-1797):ソナタ第12番 イ短調(ヴァイオリンと通奏低音のための)
シモン・シモン:ソナタ第4番 イ短調よりマエストーソ
マルカントワーヌ・ル・ヌプヴの音楽に基づく置時計のエア
ラモー:カストールとポリュックスの序曲およびバレのクラヴサン編曲半(ブノーによる)
クロード・バルバストル(1724-1799):ソナタ第1番 ト長調よりアリア・グラティオーソ
ジャン=フィリップ・ギニョン(1702-1774):ラモーの未開人に基づく変奏曲(2つのヴァイオリンのための)
ジャン=バティスト・カルドンヌ:ソナタ第7番 ヘ長調(クラヴサンとヴァイオリンのための)
オリヴィエ・ボーモン(Cemb)
ジュリアン・ショヴァン(Vn)

録音:2015年7月、ヴェルサイユ宮殿内
タイトルのアデライードは、マダム・アデライード(1732-1800)、ルイ15世とマリー・レクザンスカの間に生まれた8人の娘のなかの1人のこと。 ルイ15世の娘たちはヴェルサイユで音楽のレッスンに明け暮れ、その才能もなかなかだったといいます。様々な作曲家がレッスンをし、いくつかの作品を 彼女たちに献呈しています。CDのタイトルも、アデライードに献呈された作品が含まれていることに因んでいます。F.クープランの弟子としても名高いシ モン・シモン(c.1735-c.1802)の作品など、貴重な録音がならびます。フランスの名手ボーモンと、ピリオド楽器のオーケストラ「ル・コンセール・ド・ ラ・ローグ」の音楽監督も務める気鋭のショヴァンが、宮廷のサロンを彷彿とさせる典雅な演奏を展開しています。 (Ki)
AP-139
チャイコフスキー:弦楽セレナードOp.48
シベリウス:弦楽四重奏曲ニ短調「親愛なる声」Op.56(弦楽オーケストラ版)
ロベルト・フォレス・ベレス(指)
オーヴェルニュCO

録音:2016年5月3-6日/オーヴェルニュ管弦楽団施設(クレルモン=フェラン)
チャイコフスキーの弦楽セレナードは2015 年12月の来日公演でも披露され、その華やかな演奏が評判となりました。スペイン人ながらヘルシンキのシベリウス・アカデミーでセーゲルスタムに指 揮を学んだベレスにとり、シベリウスの弦楽四重奏曲は十八番の作品。弦楽オーケストラでの演奏により、つややかで深い響きがまさに北欧調。聴き惚れ させられます。

AP-140
英国音楽散歩
ヨーク・ボウエン(1884-1961):アラベスク(1932)
ハウエルズ(1892-1983):ハープのための前奏曲(1915)
バントック(1868-1946):Hamabdil(チェロとハープ)(1917)
シリル・スコット(1879-1970):ハープのためのケルティック・ファンタジー(1926)
ユージン・グーセンス(1893-1962):バラード第1番&第2番 op.38(1924)
デイヴィッド・ワトキンズ:スカボロー・フェア(声とハープ版)
グレース・ウィリアムズ(1906-1977):Heraith(望郷)(1951)
レノックス・バークリー(1903-1989):テノールとハープのための5つのヘリックの詩op.89(1974)、ハープのためのノクターンop.67-2(1967)
エドムント・ルブラ(1901-1986):チェロとハープのための会話
ブリテン:ハープ組曲 op.83、カンティクル第5番「聖ナルキッソスの死」
サンドリーヌ・シャトロン(ハープ/ライオン&ヒリー)
オフェリー・ガイヤール(Vc)
マイケル・ベネット(T)

録音:2016年5月
20世紀半ば、イギリスで音楽教育を受けたイギリスの作曲家たちによる作品を集めたもの。グレース・ウィリアムズのHeraithはウェールズの風景を 思い起こさせます。ブリテンのハープ組曲は5楽章から成りますが、終曲の聖歌はウェールズのバラードが基になっています。
AP-141(2CD)
C.P.E.バッハ(1714-1788):作品集
[CD1]
チェロ協奏曲イ短調 Wq.170(H.432)
シンフォニア第5番ロ短調 Wq.182(H.661)
チェロ協奏曲イ長調Wq.172(H.439)
トリオ・ソナタ「多血質と憂鬱質(Sanguineus& Melancholicus)」(2つのヴァイオリンと通奏低音のための)ハ短調Wq.161 (H.579)*

[CD2]
シンフォニア第3番ハ長調Wq.182/3(H.659)
チェロ協奏曲第2番変ロ長調Wq.171(H.436)
シンフォニア.ホ短調Wq.178(H.653)
ソナタ.長調Wq.137(H.559)
ピッコロ・チェロとチェンバロのためのソナタWq.137(H.559)
チェンバロ協奏曲ニ短調Wq.17(H.420)
[CD1](AP.080)
オフェリー・ガイヤール(Vc/フランチェスコ・ゴフリラー1737年製、指)
フランチェスコ・コルティ(フォルテピアノ)[使用楽器:Johann Andreas Stein(1785)/Franz Baumbach(Vienne,1790)] 
ティボー・ノアリ(Vn)*
プルチネッラ・オーケストラ
録音:2013年9月17-19日、12月19日/パリ、ボン・セクール教会

[CD2](AP.140)
オフェリー・ガイヤール(Vc/フランチェスコ・ゴフリラー1737年製、ピッコロ・Vc、指)
フランチェスコ・コルティ(フォルテピアノ/F.ブランシェ1733年製、フランツ・バウムバッハ1780年製)
プルチネッラ・オーケストラ
録音:2015年9月7-10日パリ
気品としなやかさを兼ね備えたフランスの女性チェロ奏者、オフェリー・ガイヤール。1998年ライプツィヒ国際バッハ・コンクール第3位、また自ら 創設したアンサンブル・アマリリスを率いて国際コンクールで優勝しており、モダンからバロックまで、幅広く活躍しています。フルニエ、トルトゥリエら、 フランス・チェロ楽派の正当な継承者ともいえる存在。彼女のC.P.E.バッハの録音が2枚組お買い得価格で登場。[CD1]は2014年のディアパソン・ドー ル・オブ・ザ・イヤーを受賞しました。バロックから古典への重要な橋渡し役であったC.P.Eバッハ。新しい時代を切り開く勢いが感じられる作品を、ガ イヤール率いる力強くも気品あふれる演奏でたのしめるセットです。 (Ki)

AP-142
APLP-142(2LP)
150g重量盤
Exiles〜亡命者たち
ブロッホ:ヘブライ狂詩曲『シェロモ』
コルンゴルト:チェロ協奏曲 ハ長調 op.37
 死の都op.12よりピエロのひとり歌
プロコフィエフ:ヘブライの主題による序曲 op.34*
ブロッホ:ユダヤ人の生活から(全3曲)*
 ウェディング・ダンス(伝統曲)*
ハヴァ・アルバースタイン(b.1947/ポーランドに生まれイスラエルに移住した女性シンガーソングライター):幼いイザークに歌うサラの子守歌*
Freilechs, Sim Shalom, Azoy Tantzmen in Odessa(伝承曲)
オフェリー・ガイヤ ー ル(Vc)
ジェームズ・ジャッド(指)モンテカルロPO
ジルバ・オクテットのメンバ ー *

録音:2015年7月、2016年6月
気品としなやかさを兼ね備えたフランスの女性チェロ奏者、オフェリー・ガイヤール。彼女の最新盤は、「亡命者たち」と題した1枚。前作「アルヴォラー ダ」(AP.104)でスペイン色豊かな世界へと私たちをいざなったガイヤール。本作では、アメリカに亡命した作曲家ブロッホ、コルゴルト、プロコフィエフ らの足跡をたどる旅路へと我々を誘います。祈り(「ユダヤ人の生活から」)、ヘブライの物語(シェロモ)、そして子守歌やウェディング・ダンス、宗教的 な瞑想・・・。ユダヤの移民の文化や日常生活、様々な側面を反映した音楽を通して、アメリカの地から祖国に思いを馳せた作曲家たちの思いを代弁す るかのような1枚です。ガイヤールの親しみのある表情と、深く響く音色が心に沁みます。彼女の音色を堪能できるよう、アナログも発売されるとあって、 注目盤です! (Ki)
AP-143
カタルシス(浄化)
オルランディーニ(1676-1760):レチタティーヴォ 「策略がゆるしたもの」、アリア「高慢な植物が」〜『アデライーデ』より
フランチェスコ・バルトロメオ・コンティ(1681-1732):レチタティーヴォ「お前のために、わが妻グリゼルダよ」、アリア「いとしい妻よ、私の魂は疲れている」〜『グリゼルダ』より
ピエトロ・トッリ(1650-1737):アリア「お前の涙によって」〜『グリゼルダ』より
ヴィヴァルディ:アリア「血が血管を冷たく走り」〜『ファルナーチェ』より
ジュゼッペ・マリア・オルランディーニ(1676-1760):レチタティーヴォ「私の愛する人はなんと甘く語ることか」、アリア「すでに私には見える」〜『アデライーデ』より
ヘンデル:序曲、伴奏つきレチタティーヴォ「おそろしいファントムよ!」、アリオーソ「私の目をとじ」 〜『テッサリアの王アドメート』より
ハッセ(1699-1783):伴奏つきレチタティーヴォ「神よ、あなたのためだけに生きよう」、アリア「私は悔やむ、わが神よ」〜『聖アゴスティーノの改宗』より
アッティリオ・アリオスティ(1666-1729):伴奏つきレチタティーヴォ「あきらめよ」、アリア「神よ」〜『カイオ・マルツィオ・コリオラーノ』より
アントニオ・カルダーラ(1670-1736):アリア「あなたの甘い涙をかわかせ」〜『テミストクレ』より
ドメニコ・サッロ(1679-1744):伴奏つきレチタティーヴォ「むごい運命よ!」、アリア「名誉が心で話すとき」〜『イル・ヴァルデマーロ』より
シャヴィエ・サバータ(C.T)
ジョルジュ・ペトルー(指)
アルモニア・アテネア

録音:2015年9月22-26日、アテネ
シャヴィエ・サバータ、アパルテ・レーベル第3弾。1976年生まれのサバータは、ビオンディ、ヤーコプス、サヴァールといった古楽界の重鎮たちと の共演も重ねており、まさにあぶらの乗ってきているカウンターテナーです。1600年頃のオペラの草創期、知識人たちは、聴衆の魂が、オペラのもつ力 強いドラマによって揺り動かされ浄化されることをめざし、オペラというジャンルの確立を試みました。サバータは当アルバムを「カタルシス(浄化)」と題 し、激情に満ちたアリアでプログラムを構成。心を揺り動かされる強さに満ちた1枚です。アルモニア・アテニアはピリオドとモダンの両方を演奏するオー ケストラ。ギリシャの指揮者ペトルーが音楽監督を務めています。 (Ki)
AP-144
クリスマスを祝う音楽
もろびとこぞりて
J.F.ジェイド:Adeste Fidelis(神の御子は)
グルーバー:きよしこの夜
corde natus ex parentis
サセックスのキャロル(クリスマスの歌)
ホルスト:In the Bleak Midwinter(凍てつく真冬に)
Angelus ad virginem 天使がおとめのもとに
Il est ne le divin enfant 神の御子が生まれた
プレトリウス:エサイの根より
バッハ:主よ、人の望みの喜びよ
プレトリウス:甘き喜びのうちに
Gaudette
J.S.バッハ:目覚めよと、われらに呼ばわる物見らの声
アドルフ・アダム:オー・ホーリー・ナイト
ムートン:Nesciens mater virgo virum
エマニュエルよ、きたれ
James R. Murray: Away In a Manger
メンデルスゾーン:あめには栄え
クレイグ・レオン(指)
オーヴェルニュCO
プロデューサーとして名高いクレイグ・レオンがオーヴェルニュ室内管を指揮して、古今東西のクリスマスの音楽を集めた1枚。
AP-146
私に一票を!
1. ≪ Le Toast du President ≫ Vincent Hyspa (1865-1938)
2. ≪ Droite, Gauche, Centre ≫ Gustave Nadaud (1820-1893)
3. ≪ La Chambre et le Senat ≫ Leon Xanrof (1867-1953)
4. ≪ Les Complots ≫ Vincent Hyspa (1865-1938)
5. ≪ Un Bal chez le Ministre ≫ Jules Jouy (1855-1897)
6. ≪ Plus d’patrons ≫ Aristide Bruant (1851-1925)
7. ≪ Quand on n’a pas le sou ≫ Nicolas Boileau (1636-1711)
8. ≪ Un Vrai Republicain ≫ Frederic Boissiere (?-1889)
9. ≪ L’Affiche electorale ≫ sur un air de Andre-Ernest-Modeste Gretry (1741-1813)
10. ≪ L’impot sur les celibataires ≫ Charles Pourny (1839-1905)
11. ≪ Le Galant Siffleur ≫ Adrien-Francis Rodel (?-1926)
12. ≪ Le Metingue des femmes ≫ sur un air de Maurice Mac-Nab (1856-1889)
13. ≪ La Priere de Jeanne d’Arc ≫ Joseph-Andre Vignix
14. ≪ A Jeanne d’Arc ≫ sur un air d’Aime Maillart (1817-1871)
15. ≪ Notre Coq ≫ Pierre-Jean de Beranger (1780-1857)
16. ≪ Le Prisonnier de l’Elysee ≫ Vincent Hyspa (1865-1938)
17. ≪ La Marseillaise des locataires par le Rouget du cinquieme ≫ sur un air de Claude Joseph Rouget de Lisle (1760-1836)
ラ・クリック・デ・リュネジアン
アルノー・マルゾラティ(Br)
ララ・ノイマン(S)
イングリード・ペリューシュ(S)

録音:2016年5,6月
フランスのシャンソンを探求しているフランスのバリトン、アルノー・マルゾラティ。今回はフランスの1780-1920年の音楽遺産を再発見する団体、パ ラツェット・ブリュー・ザーネの委嘱を受けて、政治を扱った内容のテキストを中心に選曲しています。 (Ki)
AP-148
フェルナンド・ド・ラ・トンベル(1854-1928):歌曲集
1. Hier au soir/詩:V.ユゴー
2. Les Larmes/詩:オーギュスト・ドルシャン
3. Il me l’a dit/詩:不詳
4. Ischia/詩:アルフォンス・ド・ラマルティーヌ
5. Croyez-moi ! /詩:ピエール・バルビエ
6. La Croix de bois/詩:ポール・ハレル
7. Les Papillons/詩:テオフィル・ゴーティエ
8. Passez nuages roses/詩:ジョルジュ・ブテロー
9. Cavalier mongol/詩:マルセル・ド・リウス
10. Souvenir/詩:不詳
11. Promenade nocturne/詩:テオフィル・ゴーティエ
12. Elle est loin/詩:ピエール・バルビエ
13. Sans toi…/詩: エリ・ブラシェ&ポール・ド・モンヴェルドゥン
14. Sonnet/詩:エティエンヌ・ド・ラ・ボエティ
15. Veux-tu les chansons de la plaine ? /詩:不詳
16. Ha’ les b?ufs/詩:アンリ・ダルセー
17. Chant-priere pour les morts de France/詩:レオン・シャドゥルヌ
18. La Vieille chanson/詩:ギィ・ル・コート、ヴィコント・ド・ケルヴェグエン
19. Si le roy m’avait donne/詩:不詳
20. La Pernette/詩:オラス・ド・カリアス
21. Couplets de Cherubin/詩:ピエール=オーギュスタン・カロン・ド・ボーマルシェ
22. Ballade/詩:アンドレ・テュイエ
23. Pourquoi/詩:ゴルジュ・ブテロー
タシス・クリストヤンニス(Br)
ジェフ・コーエン(P)

録音:2017年1月
全曲世界初録音
フランスのサロンで活躍した作曲家、フェルナンド・ド・ラ・トンベルの歌曲集。全曲世界初録音。トンベルは親戚や優れたアマチュア歌手たちのため に歌曲を多く書きました。女性が主人公の愛の詩に多く付曲しており、フランスのロマン派の雰囲気たっぷりの作風をたのしむことができます。ギリシャ 出身のバリトン、クリストヤンニスが甘やかに歌っています。現在では演奏会のプログラムに組み込まれることも多くなってきたトンベルの歌曲の、貴重な 録音の登場といえるでしょう。
AP-149
モーツァルト/ウェーバー
モーツァルト:クラリネット五重奏曲 イ長調 KV 581
ウェーバー:クラリネット五重奏曲 変ロ長調 op.34
ピエール・ジェニソン(Cl/ビュッフェ・クランポン)
カルテット212

録音:2016年11月(ニューヨーク)
クラリネットのピエール・ジェニソンは1986年生まれ。2014年に東京で行われたジャック・ランスロ国際クラリネットコンクールで優勝しています。 マルセイユ音楽院、国立パリ高等音楽院などで学んでいます。2007年にブルターニュ管弦楽団の首席奏者に任命、2010年からはネゼ=セガンの招きを 受けてロッテルダム・フィルともソリストとして演奏しています。室内楽、ソリストとしても多忙をきわめる売れっ子奏者です。デビューCD「メイド・イン・ フランス」(AP.096)に続く第2弾は、モーツァルトとウェーバーの名曲クラリネット五重奏曲を収録。共演するのはメトロポリタン歌劇場管弦楽団のメン バーたちによって結成されたカルテット212。モーツァルトもウェーバーも偉大なオペラ作曲家であり、まさにこのカルテットの演奏もそうした素地があっ てこその歌心に満ちたもの。ジェニソンの美しい音色が名歌手のアリアのように響き、オペラを聴いているような気分になる1枚です。 (Ki)

AP-150
ダルベルト〜フォーレ:ピアノ作品集
バラード 嬰ヘ長調 Op.19
即興曲第3番 変ロ長調 Op.34
主題と変奏 嬰ハ短調 Op.73 /
夜想曲〔第6番 変ニ長調 Op.63 /第7番 嬰ハ短調 Op.74 /第9番 ロ短調 Op.97 /第11番 嬰ヘ短調 Op.104 No.1 /第13番 ロ短調 Op.119 〕
ミシェル・ダルベルト(P;ベヒシュタイン)

録音:2017年1月7日、パリ国立高等演劇学校、ライヴ
AP-151
シューベルト:白鳥の歌
レルシュタープの詩による〔「愛の便り」「戦士の予感」「春のあこがれ」「セレナード」
「わが宿」「遠い国で」「別れ」〕
3つのピアノ曲 D 946より第2番 変ホ長調
ハイネの詩による〔「アトラス」「彼女の絵姿」「漁夫の娘」「都会」「海辺で」「影法師」〕
ザイドルの詩による「鳩の使い」
シュテファン・ゲンツ(Br)
ミシェル・ダルベルト(P;Bosendorfer)

録音:2017年2月18-21日/テイエ・ファン・ゲースト・スタジオ(ドイツ)
このたびの「白鳥の歌」に至るまでに、ゲンツとダルベルトは既に20年以上にわたってシューベルトだけでなく、ヴォルフやシューマン、ブラームスら の歌曲で共演を重ねてきました。ゲンツの細かな表情にダルベルトも繊細にピアノを重ね合わせ、前に出るところと引くところの間合いも絶妙。ゲンツの 美しいドイツ語も印象的です。また、ダルベルトのピアノ独奏も実に雄弁で、様々な情景が浮かぶ名演となっています。 (Ki)
AP-152
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第11番 op.95 ヘ短調「セリオーソ」(マーラー編曲弦楽合奏版)
弦楽四重奏曲第14番 嬰ハ短調 op.131
ロベルト・フォレス=ヴェセス(指)
オーヴェルニュO

録音:2016年9月21-24日
ォレス=ヴェセス率いるオーヴェルニュ管の弦楽メンバーによるベートーヴェン。「セリオーソ」はマーラー編曲によるもので、コントラバスも加えられ、 音楽の力強さが増しています。ヴェセス率いるオーヴェルニュ管のメンバーが、心地よい緊張感の演奏を展開しています。 (Ki)
AP-153
シューマン:嘆きop.85-6(小さな子供と大きな子供のための12の連弾作品集より)
 3つのロマンス op.94
 幻想小曲集 op.73
 夕べの歌 op.85-12(小さな子供と大きな子供のための12の連弾作品集より)
 おとぎ話 op.132*
 夜に op.74-4*
クララ・シューマン:3つのロマンスop.22
パトリック・メッシーナ(Cl/ビュッフェ・クランポン
ファブリツィオ・チオヴェッタ(P)
ピエール・ルネール((Va)*

録音:2016年6月
2003年からフランス国立管弦楽団の首席クラリネット奏者を務めるパトリック・メッシーナ。メニューインから「The Magic Clarinet」と称された 存在です。ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団やシカゴ響などからも首席客演指揮者として招かれている世界が認める実力者です。そんなメッシーナが Aparteレーベルから登場。収録されているローベルトの作品は、おとぎ話op.132(1853年)を除いてすべて1849年に作曲されたもの。シューマンが創作意欲に満ちていた 時期の作品で、いくつかはメッシーナ自身の編曲によるものです。そしてクララ・シューマンの作品(1853年作曲)のロマンスも収録。ローベルトの息 遣いを濃厚に感じるロマン的な美しい作品です。ローベルトとクララ、二人の作品を通して、詩的な宇宙を旅することができる1枚。ヴィオラのピエール・ ルネールも参加して、リリシズムの世界に彩りを添えています。 (Ki)
AP-154
チャイコフスキー:弦楽四重奏曲第1番 ニ長調 op.11、
弦楽六重奏曲 ニ短調 op.70「フィレンツェの想い出」
ノブースQ
【キム・ジェヨン、キム・ヨンウク(Vn)、イ・スンウォン(Va)、ムン・ウンフィ(Vc)】
オフェリー・ガイヤール(Vc)
リズ・ベルトー(Va)

録音:2015年6月
2016年に来日した俊英ノブース・クァルテット、第2弾の登場。今回とりあげたのはチャイコフスキー。第2楽章の「アンダンテ・カンタービレ」で も広く愛される弦楽四重奏曲第1番では、四人の間に漂う濃密な空気感がたまりません。弦楽六重奏曲「フィレンツェの想い出」ではリズ・ベルトーとオフェ リー・ガイヤールの女性2名が参加、高貴さが増したアンサンブルで、無限に広がる音の世界をお楽しみいただけます。
ノブース・クァルテットは、2007年に韓国芸術総合学校の学生たちで創設されました。クリストフ・ポッペン(イザベル・ファウストの師)に師事し、 2012年にミュンヘン国際室内楽コンクール、2014年国際モーツァルト・コンクールで優勝し、現在ヨーロッパを中心に活躍しています。日本にも「サ ントリーホール チェンバーミュージックガーデン2016 響感のアジア」シリーズでユン・イサンの弦楽四重奏曲を披露して話題となりました。K-pop のグループを思わせるイケメン揃いの注目クァルテットです。 (Ki)
AP-155
ラモー:ピグマリオン〔1幕のバレエつきオペラ(アクト・ド・バレ)/1748年〕
ポリムニーの祭典〔オーケストラ組曲/1745年〕
クリストフ・ルセ(指)
レ・タラン・リリク
シリル・デュボワ(ピグマリオン/テノール)
マリ=クロード・シャピュイ(セフィーズ/メゾ・ソプラノ)
セリーヌ・シーン(彫像/ソプラノ)
ウジェニー・ワルニエ(愛/ソプラノ)
アルノルト・シェーンベルク合唱団〔ジョルディ・カザルス(合唱指揮)、エルヴィン・オルトナー(芸術監督)〕

録音:2017年1月20,27日/アン・デア・ウィーン劇場
クリストフ・ルセとレ・タラン・リリクによる、ラモーの代表作「ピグマリオン」。芸術家ピグマリオンが、自らが彫った彫像に恋をし、恋人セフィーズは これに激怒し、ピグマリオンのもとを去るが、「愛」が現れ、彫像に命をあたえ、彫像は様々な舞曲を踊り、最後は大団円で幕となる、というバレエつき オペラです。ピグマリオンの描写や、色とりどりの舞曲など、ラモーの魅力満載の代表作です。ピグマリオン役、モーツァルトの舞台を中心にヨーロッパで 活躍のシリル・デュボワ(テノール)の芝居っけたっぷりの巧みな歌唱が光ります。カップリングはオーケストラ組曲「ポリムニーの祭典」。夢幻的ともい える美しい和声に彩られた序曲の冒頭は今なお斬新に響きます。レ・タラン・リリクの面々の器楽の巧さ、そしてそれを引き締めるルセの通奏低音(チェ ンバロ)の音色もなんとも鮮烈で、手に汗にぎるようなオーケストラ組曲となっています。 (Ki)
AP-156
SOAVE E VIRTUOSO(愛らしさとヴィルトゥオーゾ)
タルティーニ:フラント・トラヴェルソのための協奏曲 ト長調 Gimo 294、ニ長調 Gimo291、ト長調 Gimo293
サンマルティーニ:ソプラノ・リコーダーのための協奏曲 ヘ長調
ヴィヴァルディ:リコーダーのための協奏曲 ハ短調 RV 441、ソプラノ・リコーダーのための協奏曲 ト長調 RV 443
アレクシス・コセンコ(リコーダー)
レザンバサデュール

録音:2017年1月
バロック時代のリコーダー作品集。レ・ザンバッサデュールのリーダーでフルート奏者でもあるアレクシス・コッセンコが、タルティーニやヴィヴァルディ による、アクロバティックともいえる超絶技巧のリコーダーパートを披露。 レザンバサデュールは2010年フルートおよびリコーダーの名手アレクシス・コセンコによって設立された器楽アンサンブル。ドレスデンの音楽を取り上 げたシリーズなども発表しており、演奏・プログラミングの両面で意欲的に活動を展開しています。 (Ki)
AP-157
ハイドン:交響曲第83番「めんどり」
モーツァルト:ピアノ協奏曲第17番 ト長調 K453
マリー=アレクサンドル・ゲナン(1744-1835):交響曲ニ短調 op.4-3
ジュリアン・ショヴァン(指)
ル・コンセール・ド・ラ・ローグ
ジャスティン・テイラー(フォルテピアノ)

録音:2016年10月、ルーヴル・オーディトリウム(ハイドン)/2017年2月、ジャン=バティスト・リュリ音楽院(プトー)(ゲナン、モーツァルト)
フランスの気鋭ヴァイオリン奏者、ジュリアン・ショヴァンの指揮による、ハイドンのパリ交響曲(第82-87番)を録音するプロジェクトの第2弾。当 時の演奏会習慣に則り、交響曲をメインに据え、様々な編成の楽曲でプログラムが構成されています。
ハイドンの交響曲「めんどり」の品の良さは格別。モーツァルトでも、ひとつひとつのパッセージがきわめて細やかで活き活きと響いています。ソリスト を務めるジャスティン・テイラーは、23歳の若さでブルージュ古楽国際コンクール(2015年)で優勝した逸材。オリヴィエ・ボーモンやブランディーヌ・ ランヌに学び、さらにピアノをロジェ・ムラロにも学んだといいますから、古楽演奏も、モダンピアノのテクニックも併せ持った注目の存在です。ここでも 前奏から素晴らしい演奏で参加しております。
マリー=アレクサンドル・ゲナンは、古典派からロマン派へと移行する時期のパリを代表する存在でした。1783年に設立された、コンセール・ド・ラ・ ローグ・オランピック(ハイドンの「パリ交響曲」もこの団体のために書かれた)でも、第二ヴァイオリン奏者をつとめていました。1778年、モーツァル トのバレエが王立音楽アカデミーで、モーツァルトの名を伏せて上演された頃、ハイドンの交響曲の演奏機会が増えていましたが、ゲナンは名声をほしい ままにしていましたし、他にカンビーニ、ゴセックといったフランスの作曲家たちの交響曲も頻繁に演奏されていました。オーストリア=ドイツ圏の交響曲 と同じくらいに、フランスの交響曲も熱狂的に受け入れられており、とりわけゲナンはそのフランス陣の中でもトップクラスの作曲家だったといえるでしょう。
ル・コンセール・ド・ラ・ローグは2015年、ヴァイオリン奏者のジュリアン・ショヴァンによって設立されました。この名称は、1783年に設立さ れた当時最高のオーケストラ、コンセール・ド・ラ・ローグ・オランピックから名前をとっています。ハイドンの「パリ交響曲」もこの団体のために書か れ、マリー=アントワネット下のチュイルリー宮でレジデント・オーケストラを務めていました。メンバーはほぼ全員フリーメイソンによって構成され、名 称のLogeもフリーメイソンのLodgesに因んでいます。ショヴァンはOlympicという文言を団体名に使うことをオリンピック委員会から禁止されたため、 2016年から名称をル・コンセール・ド・ラ・ローグとして活動を続けています。 (Ki)
AP-158
ヴォカリーズ
サン=サーンス:「私の心はあなたの声にひらかれ」(サムソンとデリラより)
ヘンデル:「嵐で難破した船が」(ジューリオ・チェーザレより)
フランク:パニス・アンジェリクス
パーセルへの導入的即興
パーセル:「ディドの嘆き」(ディドとエネアスより)
グリエールへの導入的即興
グリエール:コロラトゥーラ・ソプラノのための協奏曲 op.82より第1楽章アンダンテ
プッチーニ:「誰も寝てはならぬ」(トゥーランドットより)
ラフマニノフ:ヴォカリーズ(op.34-14)
サティへの導入的即興
サティ:ジュトゥヴ
レナード・バーンスタイン:どこかに(ウェストサイド物語より)
ラウラへの導入的即興
チャーリー・パーカー:ラウラ
エディット・ピアフ:群衆
マイケル・ジャクソン:スリラー(電子:ロイ・ポンティウー)
ロマン・ルルー(Tp)
ティエリー・エスケシュ(Org/アリスティド・カヴァイユ=コル製作(1878)、ヴィクトル・ゴンザレス修復、1977年リヨン・オーディトリウムに移築)
編曲:マ ヌエ ル・ドゥトルラン 、ティエリー・エ スケシュ

録音:2017年2月
1983年生まれの天才トランペッター、ロマン・ルルー最新盤。エリック・オービエに師事しており、古きよきフランスを思わせる歌心あふれる音色が 魅力です。この盤では、室内楽などで共演を重ねるティエリー・エスケシュをオルガンに迎え、有名アリアを中心に収録しました。エスケシュが編曲を手 がけているのも注目。いくつかのアリアの前段として、アリアの要素を盛り込んだエスケシュのオルガン即興が聴けるのもうれしいかぎり。グリエールが書 いたヴォカリーズ、コロラトゥーラ・ソプラノのための協奏曲も、雄大なスケールで圧巻。最後の「スリラー」はトランペット、オルガンと電子音であの世 界が見事に再現されています。オルガンとトランペットの相性の良さに驚くとともに、ルルーの歌心、エスケシュの広い宇宙に感じ入る1枚です。 (Ki)
AP-159
アンサンブル・コントラスト
ピアソラ:リベルタンゴ
ベラスケス:ベサメ・ムーチョ
ヴァイル:ユーカリ
カルロス・ガルデル:Mi Buenos Aires querido
コンパイ・セグンド:Chan Chan
ピアソラ:オブリビオン
 コントラステス
 ミロンガ・アン・レ
セルジュ・レズヴァニ:La Peau Leon
カロル・ベッファ:マヨール広場
コール・ポーター:My Heart belongs to Daddy
アンヘル・ビジョルド:El choclo
ジョアン・ファルジョ(指)
リエージュPO
アンサンブル・コントラスト

録音:2016年12月12-16日/ベルギー、リエージュ・フィルハーモニー・ホール(ライヴ録音)
ヴァイオリン、ピアノ、声、クラリネット、サックス、ダブルベース、ドラムスからなるジャンルを超えたグループ「アンサンブル・コントラスト」がリエー ジュ・フィルと共演、オーケストラの壮大なサウンドで楽しむクロスオーバーの世界!ライヴ録音で曲ごとの拍手も収録、会場の熱気まで感じられます。ピ アソラのタンゴが楽しめる人なら文句なくハマるでしょう。 (Ki)

AP-160
モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番 イ長調 K488
ピアノ協奏曲第24番 ハ短調 K491(カデンツァ:フランソワ・シャプラン)
フランソワ・シャプラン(P)
ヴィクトル=ユーゴーO
ジャン=フランソワ・ヴェルディエ(指)

録音:2017年2月18,19日
フランソワ・シャプランはパリ音楽院でヤンコフ、ロバン、ペヌティエに師事。ショパンやドビュッシーのディスクをリリースし、来日公演も行っているの で日本にもファンの多い個性派です。2015年にリリースされたスクリャービンのマズルカ全集(EVCD-006)では、弱音主体で、幻のようにキラキラし た不可思議な世界で高く評価されました。今回の新譜は、モーツァルトの協奏曲2篇。今回もシャプランならではのピアノの美音に思わず引き込まれます。 ハ短調のカデンツァはシャプラン自身によるもの。端正なタッチと即興性に富んだ演奏が光ります。 (Ki)

AP-161
モーツァルト:幻想曲ハ短調K.457
ピアノ・ソナタ第14番ハ短調K.457
ピアノ・ソナタ第16 (15)番ハ長調K.545
ピアノ・ソナタ第18 (17)番ニ長調K.576
マクシム・エメリャニチェフ(フォルテピアノ)【ポール・マクナルティによるアントン・ヴァルター1792 年頃のモデル】

録音:2017年3月8-10日/リトル・トリベカ(パリ)
ロシアからまたまたとてつもない才能が現れました。1988年生まれのマクシム・エメリャニチェフ。実はこれまでもクルレンツィスのムジカエテルナのモー ツァルトのダ・ポンテ・オペラ三部作(特に「フィガロの結婚」)録音で、通奏低音奏者として驚くべき才気煥発ぶりを発揮、注目されていました。彼は ムジカエテルナの通奏低音のみならず、指揮者としてもロジェストヴェンスキーの愛弟子で、ムジカエテルナやイタリアのオルケストル・イル・ポモドーロ やシンフォニア・ヴァルソヴィアなどを振り、今年9月には東京SOとブラームスの交響曲第1番やベートーヴェンの「皇帝」(スティーヴン・ハフ独 奏)で日本デビューが予定されています。
このアルバムはエメリャニチェフのピアノ・ソロ・デビュー盤。得意のモーツァルトで、ポール・マクナルティによるアントン・ヴァルター1792年頃の モデルのフォルテピアノを用いています。モーツァルトのピアノ・ソナタの中でも特に充実した3曲と、第14番と関連のあるハ短調の幻想曲を披露してい ますが、一聴して尋常ならざる音楽性に釘付けとなります。演奏は楷書風で落ち着いていますが、クルレンツィスのピアノ版というか、ムラヴィンスキーの 指揮を思わす緊張感と説得力、リヒテルを思わす深い音楽性、繰返しの際の装飾音はシュタイアーばりの計算された即興性に天才を感じさせます。 容姿も青い瞳が印象的なBL風で、今後凄い人気になること間違いなしの逸材と申せましょう。 (Ki)

AP-162(2CD)
フランスの若手奏者によるフォーレ
ピアノ三重奏曲 ニ短調 op.120
アンダンテ 変ロ長調 op.75(ヴァイオリンとピアノ)
夜想曲第12番 ホ短調 op.107
蝶々 イ長調 op.77(チェロとピアノ)
・ァイオリン・ソナタ 第1番 イ長調 op.13
夜想曲 第11番 嬰ヘ短調 op.104-1
チェロ・ソナタ第2番 ト短調 op.117
歌曲集「幻想の水平線」op.118
ロマンス イ長調 op.69(チェロとピアノ)
子守歌 ニ長調 op.16(ヴァイオリンとピアノ)
ヴァイオリン・ソナタ第1番 ニ短調 op.109
ロマンス 変ロ長調 op.28(ヴァイオリンとピアノ)
夜想曲 第13番 ロ短調 op.119
ヴァイオリン・ソナタ第2番 ホ短調 op.108
シモン・ザウイ(P)
ピエール・フシュヌレ(Vn)
ラファエル・メルラン(Vc)
ダヴィド・ルフォー(T)
フランスの若手奏者たちによる、フォーレの晩年の作品を中心に編まれた室内楽作品集。「幻想の水平線」はフォーレの最後の歌曲集で、第一次世界 大戦で戦死した若者ミルモンの遺作詩集によるもので、全4曲を通して潮騒など海のイメージが見事に表現されています。ヴァイオリン・ソナタでのみず みずしい表現、夜想曲の密度の濃い世界など、フォーレの魅力を存分に味わえる2枚組です。 (Ki)
AP-163
クロード=ベニーニュ・バルバトル(1724-1799):作品集
クラヴサン作品集第1巻(1759)
ソナタ形式の、ヴァイオリン伴奏つきクラヴサンのための作品、第1ソナタ
クリストフ・ルセ(チェンバロ/ジャン=クロード・グジョン/ジャック・ヨアヒム・シュヴァーネン、パリ、1749年より前に製作されたチェンバロ)
ジローヌ・ゴーベール=ジャック(Vn)

録音:2017年9月25-27日、シテ・ド・ラ・ミュジーク、パリ
フランス、およびヨーロッパの古楽界を、鍵盤演奏および指揮の両方で牽引する鬼才、クリストフ・ルセが、18世紀後半にフランスで活躍したバルバ トル作品を録音。ガイヤールのアンサンブル「プルチネッラ」などでも活躍するヴァイオリン奏者、ジローヌ・ゴーベール=ジャックとの共演も含まれます。
バルバトルは1724年にディジョンに生まれ、父にオルガンを最初に習い、父亡きあと、ジャン・フィリップ・ラモーの兄弟にオルガンやチェンバロを学 びながら教会のオルガニストを務めました。1750年にパリに定住し、コンセール・スピリチュエルのオルガン奏者として活躍、さらにサン=ロック教会、 そしてノートル=ダム教会(ダカンらと分担しながら)のオルガン奏者も務めました。当時バルバトルは大成功を収めており、チャールズ・バーニーはサン・ ロック教会でのバルバトルの演奏後に自宅に招かれたところ、自宅にはいつも30人弱の紳士淑女がつめかけており、ペダルつきオルガン、そしてリュッカー スのチェンバロもあったといいますから、バルバトルが音楽家としても、そして経済的にも成功していたことがうかがわれます。
ルセは、フランスのチェンバロ音楽は時期によって3つに分けられると述べています。第1期はルイ・クープラン、ダングルベール。第2期は、フランソワ・ クープランやラモー。そして第3期が1730年以降、デュフリやロワイエ、そしてバルバトルらに代表されるとしています。第1期はルイ14世の影響で、 宮廷舞曲に倣った典雅な作品が多く、第2期は少しイタリアの様式の影響も受けつつ親密な作品が多く、そして第3期はヘンデルやD.スカルラッティら の作品がパリでも出版されていたこともあり、テクニックの効果重視の作品が多くみられ、同時にフランソワ・ブーシェの絵画のような牧歌的世界の作品 も多い、としています。 バルバトルのクラヴサン作品集第1巻は1759年にパリで出版されました。手の交差も要求されるテクニック、さらには古典派を思わせるアルベルティ・ バスの伴奏形もみられます。チェンバロでオーケストラを再現するような多様な音色も求められる作品が並びます(第2集は出版されませんでした)。クラ ヴサン独奏曲とカップリングに収録されたヴァイオリンとの作品は、3楽章構成で、第2楽章ではヴァイオリンがソリスト的活躍もみせる秀作です。全篇 を通して、フランス風序曲のように壮麗でオーケストラをも思わせる豪奢な響きと、独奏曲ならではの繊細な表情や集中を要する作品で、ルセの真骨頂と もいえる内容となっています。 (Ki)
AP-164(2CD)
リュリ:歌劇「アルセスト」(またはアルシードの勝利)(1674年)
〔フィリップ・キノー(1635-1688)台本による音楽悲劇〕
アルセスト/栄光:ユディト・ファン・ヴァンロイ(S)
アルシード/エドウィン・クロスリー=メルセル(Bs-Br)
アドメート、第 2 のトリトン:エミリアーノ・ゴンザレス・トロ(T)
セフィーズ、チュイルリーのニンフ、プロセルピーネ:アンブロワジーヌ・ブレ(Ms)
リコメード、シャロン:ダグラス・ウィリアムズ(Bs-Br)
クレアント、ストラートン、プルトン、エオレ:エティエンヌ・バゾラ(Br)
マルヌのニンフ、テティス、ディアーヌ、セーヌのニンフ、ニンフ:ベネディクト・タウラン(S)
影、アレクトン、アポロン:ルシア・マルティン・カルトン(S)
第1のトリトン、プルトーの使者:エンゲランド・デ・ヒス(T)
クリストフ・ルセ(指、Cemb)
レ・タラン・リリク
ナミュール室内cho

録音:2017年7月13,15,16日、サル・ガヴォー(パリ)
フランス・バロック界の大御所クリストフ・ルセ率いるレ・タラン・リリク。ラモー:「ツァイス」(2014年7月録音、AP 109)、リュリ:「アルミード」(2015 年12月録音、AP 135)、ラモー:ピグマリオン(2017年1月録音、AP 155)につづくバロック・オペラ最新盤はリュリのアルセスト。リュリと作家キノー による音楽悲劇「カドミュスとエルミオーヌ」に続く第二作目の音楽悲劇です。1674年1月19日にパリの王立音楽アカデミーで初演され、国王と宮廷の人々 は高く評価されましたが、当時権力を持ち始めていたリュリに嫉妬して、音楽家たちはこの作品の評判を落とそうとしました。にも関わらず1674年7月 にも祝賀行事の一環としてこの作品が上演され、その後もフランス各都市で上演されるなど、成功をおさめました。コーラスの用いられ方が非常に効果的 で、物語を見事に進行していきます。様々なシーンを描写するオーケストラ音楽も、どれも簡潔にして充実しています。 【あらすじ】 舞台はチュイルリー宮と庭園。アドメート王とアルセストの婚礼。アルセストに恋をしているアルシード以外は皆結婚を祝っている。そこへ隣国のリコメー ド王が登場し、戦いがおこり、アドメート王は瀕死の傷を負い、王のために自らの命をささげ出すものが現れれば、王の死は避けられるという。誰も死の うとしないのを見てアルセストは、自らを生贄に捧げる。アルシードが、アルセストと自分が結ばれてもよいのであれば、アルセストを取り戻すと約束し、 黄泉の国へと向かう。黄泉の国でアルシードはプルトーを説得し、アルセストを取り戻し、現世に帰る。命を取り戻したアルセストはしかし、アドメート王 を慕い続けるのを見て、アルシードは身を引き、アドメート王とアルセストはあらためて結婚をし、ミューズたちは結婚とアルシードの勝利をたたえて、幕 となる。
AP-165
ベレニーチェ、何をしているの?
ハイドン:ベレニーチェのシェーナHob.XXIVa:10‘ベレニーチェ、何をしているの?’(レチタティーヴォ)〜いとしい人よ、行かないで(アリア)*
J.C.バッハ:ウティカのカトーネより「混乱し、見失い」(アリア)**
マリアナ・マルティネス:ベレニーチェのシェーナより‘ベレニーチェ、何をしているの?’(レチタティーヴォ)〜いとしい人よ、
行かないで(アリア)***
アントニオ・マッツォーニ:アンティゴノより‘ベレニーチェ、何をしているの?’(レチタティーヴォ)〜いとしい人よ、行かないで(アリア)**
モーツァルト:ベレニーチェにK70/61c‘ベレニーチェに’‘陽がのぼる’***
ヨーハン・アドルフ・ハッセ:アンティゴノよりシンフォニア/ベレニーチェのシェーナ‘ベレニーチェ、何をしているの?’(レチタティーヴォ)〜いとしい人よ、行かないで(アリア)*
レア・デザンドレ(Ms)*
ナ タリー・ペ レ ス(S)**
シャンタル・サントン=ジェフリー(S)***
ダヴィド・シュテルン(指)
オペラ・フオーコ

録音:2017年2月
エジプトの女王、ベレニーチェ。威厳と美しさを兼ね備えたベレニーチェの物語には、様々な作曲家が音楽をつけました。それらを集めた興味深い1枚。 ベレニーチェは威厳と美しいエジプトの女王で、国益のためにローマの男アンティゴノと結婚するように仕向けられます。最初はローマの男からの愛を 拒み、愛する別の男性デメトリオを思いますが、最後は他人の幸せのために身を引き、アンティゴノと結婚する、といった物語で、その中に裏切りや策略 が盛り込まれています。★オペラ・フオーコは、ピリオド楽器によるオーケストラで、オペラを演奏するために指揮者のダヴィド・シュテルンによって設立されました。レア・デザン ドレはクリスティの声楽アカデミーに選ばれ、来日公演にも参加していたメゾ・ソプラノ。他の2名のソプラノもダヴィド・シュテルン率いるオペラ・フオー コとの共演も多く、ベレニーチェの人物像のゆるぎない表現、オーケストラとのアンサンブル、すべてが見事に調和しています。 (Ki)
AP-166

KKC-5863
日本語帯・解説付
税込定価
酒井淳が奏でるF.クープラン、フォルクレ
F. クープラン:通奏低音をともなうヴィオール曲集(1728)より「組曲 第1番 ホ短調」
 ヴィオールのための聖歌(趣味の和、または新コンセール、1724年より)
フォルクレ:3つのヴィオールのための作品 (MS 135)〔アルマンド、クーラント、サラバンド〕
 ラ・ジルエット(Vm7 6296)
F. クープラン:通奏低音をともなうヴィオール曲集 (1728)より「組曲 第2番 イ長調」
酒井淳(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
クリストフ・ルセ(Cemb)
マリオン・マルティノー(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
イザベル・サン=イヴ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)

録音:2017年7月4-6日、ギャルリー・ドレ(バンク・ド・フランス(パリ))
注目のガンバ奏者・チェロ奏者・指揮者の酒井淳。2017年1月、「第15回〈齋藤秀雄メモリアル基金賞〉チェロ部門」を受賞し、あらためてその 実力を世に知らしめました。アパルテよりリリースしたフォルクレ作品集(AP 122/ KKC 5619)は、レコード芸術特選ほか、各紙で高く評価されましたが、 このたび、F.クープランを組み込んだプログラムの新譜が発売のはこびとなりました。 F.クープランの1730年の作品カタログには「通奏低音を伴うヴィオールのための作品集」という記載がありましたが、この曲集は出版されることはあり ませんでした。20世紀初頭、’ M.F.C.’ とだけ記名があるヴィオール曲集の楽譜を音楽学者が見つけ、その装飾音の書き方やスタイル、タイトルの付け 方から、これがカタログにも載っていた曲集で、1728年の作品であると特定しました。曲集に「F.C.」とイニシャルしか記さなかったこと、独特の演奏 の難しさがあることから、クープランはこの楽器に親しんではいなかったのでは、という考えもあります。しかし彼の父はヴィオール奏者であり、自身も楽 器を所有していたこと、また、1728年のこの曲集(同年マラン・マレが亡くなっており、「葬儀」と題した楽曲も含まれることから、この曲集はマレに捧 げられたとする説もありますが、だとすれば「トンボー」としたであろうということで、マレに捧げられたものではないとされています)の素晴らしさから、 それは妥当ではないと考えられます。間に挟まれたフォルクレの作品は、散逸していた自筆譜資料からの作品(アントワーヌ、ジャン=バティストのどちら が書いたかは不明)。18世紀初期、イタリア趣味の要素が強い作品となっています。 ディスクを通して、酒井が主旋律(あるいはプルミエ)を奏でています。まず何と言っても酒井が奏でるヴィオラ・ダ・ガンバの雄弁にして美しく、しっと りとした質感の音色が素晴らしい。霊感に満ちた即興的な装飾は、時に妖しさも感じさせます。録音が行われた場所は、F.クープランが住んでいた場所 の近くということで、古の作曲家の息遣いが感じられるなか、録音が行われました。スケールの大きな音楽と、密度の濃い音色、そして酒井の音楽にピタ リと沿ったルセら共演陣による通奏低音、すべてにくぎ付けの1枚です。 (Ki)
AP-167(2CD)
シャヴィエ・サバータ
■CD1 (原盤:AP 048)
悪い奴ら―ヘンデル:悪役アリア集
「タメルラーノ」−尊大な心に平安を与えたい,
「アリオダンテ」−あなたに望んでいる,
「テゼオ」−殺戮を望み死を望み,
落ち着いておくれ、ああ、美しい眼よ,
「ガリアのアマディージ」−酷い苦しみを,心に激情を感じ,
「アリオダンテ」−義務、正義、愛が,策略が良い結果をもたらせば,
「ジューリオ・チェーザレ」−この心の麗しき女神たちよ,お前の誇り高さを屈服させよう,
「オットーネ」−天まで波を高め,魅惑的な美しい唇

■CD2 (原盤:AP 143)
カタルシス(浄化)
オルランディーニ(1676-1760):レチタティーヴォ 「策略がゆるしたもの」、アリア「高慢な植物が」〜『アデライーデ』より
フランチェスコ・バルトロメオ・コンティ(1681-1732):レチタティーヴォ「お前のために、わが妻グリゼルダよ」、
アリア「いとしい妻よ、私の魂は疲れている」〜『グリゼルダ』より,
ピエトロ・トッリ(1650-1737):アリア「お前の涙によって」〜『グリゼルダ』より,
ヴィヴァルディ:アリア「血が血管を冷たく走り」〜『ファルナーチェ』より,
ジュゼッペ・マリア・オルランディーニ(1676-1760):レチタティーヴォ「私の愛する人はなんと甘く語ることか」、アリア「すでに私には見える」〜『アデライーデ』より,
ヘンデル:序曲、伴奏つきレチタティーヴォ「おそろしいファントムよ!」、アリオーソ「私の目をとじ」〜『テッサリアの王アドメート』より,
ハッセ(1699-1783):伴奏つきレチタティーヴォ「神よ、あなたのためだけに生きよう」、アリア「私は悔やむ、わが神よ」〜『聖アゴスティーノの改宗』より,
アッティリオ・アリオスティ(1666-1729):伴奏つきレチタティーヴォ「あきらめよ」、アリア「神よ」〜『カイオ・マルツィオ・コリオラーノ』より,
アントニオ・カルダーラ(1670-1736):アリア「あなたの甘い涙をかわかせ」〜『テミストクレ』より,
ドメニコ・サッロ(1679-1744):伴奏つきレチタティーヴォ「むごい運命よ!」、アリア「名誉が心で話すとき」〜『イル・ヴァルデマーロ』より
シャヴィエ・サバータ(CT) 
リッカルド・ミナージ(指)
イル・ポモ・ドーロ
録音:2012年8月25日-9月3日


シャヴィエ・サバータ(C.T)
ジョルジュ・ペトルー(指)、
アルモニア・アテネア

録音:2015年9月22-26日、アテネ
1976年、スペイン、カタルーニャ州バルセロナ生まれのカウンターテノール、シャヴィエ・サバータの2枚組。2011、2012年には、ウィリアム・クリスティ の指揮で上演されたカヴァッリの「ディドーネ」のイアルバを歌っています。ビオンディ、ヤーコプス、サヴァールといった古楽の重鎮たちとの共演も重ね ており、バロック声楽作品の上演にはもはや欠かせない存在となりつつある歌い手です。 劇的な表情とテクニックが要求される、オペラの悪役のアリアを集めた1枚と、「カタルシス(浄化)」と題し、激情に満ちたアリアでプログラムを構成、 心を揺り動かされる強さに満ちた1枚のセット化。 (Ki)
AP-168(2CD)
カリーヌ・デエ
■CD1 [原盤:AP106]
マスネ:悲歌/フォーレ:夢のあとに
グノー:夕べ/サン=サーンス:白鳥
サン=サーンス:夕暮れのヴァイオリン
ショーソン:終わりなき歌
フォーレ:ロマンス(チェロのための)
グノー:去りし人
マスネ:タイスの瞑想曲
ゴダール:子守歌
フォーレ:子守歌(ヴァイオリン)
サン=サーンス:アレグロ・アッパッショナート
フォーレ:アンダンテ(ヴァイオリン)
ベルリオーズ:囚われの女op.12

■CD2 [原盤:AP121]
ロッシーニ:エーレナのアリア「胸の思いは満ち溢れ」(オペラ『湖上の美人』)
デズデーモナのアリア「柳の根元に
腰を下ろして」(オペラ『オテッロ』)
デズデーモナのアリア「ああ神様、眠りのうちに」(オペラ『オテッロ』)の場面(オペラ『チェネレントラ』)
チェネレントラのアリア「苦しみと涙のうちに生まれ」(オペラ『チェネレントラ』)
歌曲「ニッツァ」
セミラーミデのアリア「麗しく美しい光が」(オペラ『セミラーミデ』)
歌曲「見捨てられた魂」
歌曲「ジョヴァンナ・ダルコ」(サルバトール・シアリーノ編曲)
ロジーナによる「嵐」の場面(オペラ『セヴィリアの理髪師』)
ロジーナのアリア「今しがた一つの声が」(オペラ『セヴィリアの理髪師』)
ロジーナのアリア「愛に燃える心に」(オペラ『セヴィリアの理髪師』)
歌曲「スペインのカンツォネッタ」
カリーヌ・デエ(Ms)
アンサンブル・コントラスト〔アルノー・トロット(Vn)、アントワーヌ・ピエルロ(Vc)、ヨハン・ファルジョ(P)〕
録音:2014年3月、12月

カリーヌ・デエ(Ms)
ラファエル・マーリン(指)、
レ・フォース・マジュール・オーケストラ
録音:2015年6月22日-26日、ヴィルファヴァール農場ホール
ランスの魅惑のメゾ・ソプラノ、カリーヌ・デエの旧譜 2 枚のボックス化。フランスの歌曲集を、ヴァイオリンやチェロを加えたかたちにアレンジして 演奏したオシャレな1枚と、ロッシーニの有名オペラからのアリア、そして16分からなるカンタータ『ジョヴァンナ・ダルコ(ジャンヌ・ダルク)』の2 枚組です。 デエは、オペラ・シーンでもフランス内外の劇場でひっぱりだこの彼女ですが、デセイやプティボンのディスクでも共演しているなど、その活躍の場は実に 幅広いものとなっています。デエのしっとりと美しい声を堪能できます。
AP-169(4CD)
バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻
平均律クラヴィーア曲集第2巻
クリストフ・ルセ(Cemb)

録音:2015年4月20-22日ヴェルサイユ宮殿、王太子の居室
使用楽器:リュッカース、1628年製(ヴェルサイユ宮殿蔵)

録音:2013年6月ドーファン宮(ヴェルサイユ宮殿)
使用楽器:リュッカース、1628年製(ヴェルサイユ宮殿蔵)
名手ひしめく歴史的鍵盤楽器奏者の中で、その実力と注目度の高さにおいて、筆頭格に挙げられるのが、クリストフ・ルセです。グスタフ・レオンハル トやボブ・ファン・アスペレンら" 第一世代"の名チェンバリストの薫陶を受け、1983 年にブリュージュ国際コンクールで優勝。1991 年にはアンサンブ ル「レ・タラン・リリク」を結成し、埋もれたバロック・オペラの発掘演奏活動にも力を注いでいます。しかし、そんなルセの真骨頂といえば、やはりチェ ンバロ演奏と言えるでしょう。そんなルセの、平均律録音が、全曲まとめてボックス化。
ルセは、「第2巻は「フーガの技法」のように複雑な和声進行や構造の複雑さを要した高い芸術性を掲げた作品で、第1巻は教育用としての側面が強 いですが、決してトレーニングだけのためではなく、そこに芸術性も兼ね備えた画期的な作品である」としています。さらに「多くのバッハ作品の中でもこ れほど親しまれ、演奏され、深く研究されたものはない」と。その上でルセは今回の録音にあたって、これまでの学術的研究を一旦横に置き、あえて新し い解釈を入れようとはせず、高い集中力で研ぎ澄まされた音を繰り出していき、どの曲も奥行きのある音楽に仕上げ、聴く者に新たな発見を提示します。 (Ki)

AP-170
F.クープラン:クラヴサン曲集第3巻より
・第13組曲
〔1.ゆりの花ひらく 2.葦 3.胸飾りのリボン 4.フランス人気質、またはドミノ(仮面舞踏会の頭巾)純潔-はじらい-情熱-希望-誠実-忍耐-恋やつれ-媚-年老いた伊達男と時代後れの守銭奴-気のよいかっこう-無言の嫉妬-狂乱〕
・第18組曲
〔1.ヴェルヌイユの女 2.ヴェルヌイユの娘 3.修道女モニク 4.騒がしさ 5.感動 6.ティク-トク-ショク 7.片足の不自由な元気者〕
・クラヴサン曲集第1巻より第3組曲 ハ短調より第11曲「お気に入り」
ブランディーヌ・ヴェルレ(Cemb/ルッカース1636年モデル、1985年アンソニー・サイディ&フレデリク・バルによる複製)

録音:2017年5月
フランスが生んだ根強い人気の名クラヴサン奏者ブランディーヌ・ヴェルレ、F.クープランの登場。ヴェルレのF. クープランといえば、1976-80年にか けて全曲録音されたアストレの名盤(近年XRCD 化(JMXR.24510・廃盤) もされ話題となりました)が有名ですが、今回、ルッカース・モデルの銘器 コピーを奏でての新録音となりました。1942年生まれという彼女、75歳での録音となった当盤は、全体として自然で力みのない音楽運び。「騒がしさ」や「ティ ク・トク・ショク」でも、浮足立つことのないテンポで聴かせます。F.クープランの音楽に込められた様々な表情をもらさず織り込んでいるようで、まさに 巨匠の風格といえます。ヴェルレはライナーノートに「作曲家」と題した文章を寄せており(フランス語のみ)、こちらも興味深いものがあります。 (Ki)

AP-171
プロコフィエフ:ヴァイオリン・ソナタ第1番 ヘ短調 op.80
ヴァイオリン・ソナタ第2番 ニ長調 op.94a
アレクサンドラ・コヌノヴァ(Vn、1735年サント=セラフィン製(ヴェネツィア))
ミヒャエル・リフィッツ(P)

録音:2017年3月15-18日、ブレーメン(ドイツ)
モルドバ出身の注目ヴァイオリン奏者、アレクサンドラ・コヌノヴァの登場。コヌノヴァは1988年生まれ、2012年、ヨーゼフ・ヨアヒム・ヴァイオリ ンコンクールで優勝、2015年のチャイコフスキー・コンクールで第3位となり、ヴィヴィッドな音色とドラマティックなヴィルトゥオジティで一躍世界の 注目を集めた彼女が、プロコフィエフのヴァイオリン・ソナタでCDデビューです。6歳でヴァイオリンを始める。ローザンヌ音楽院でルノー・カプソンに 師事。ギトリス、I. オイストラフらの薫陶を受けています。これまでにクルレンツィス、ゲルギエフ、ラベック姉妹、C.テツラフ、メルニコフらと共演してい ます。2017年6月にシモノフ指揮、モスクワPOと来日し、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を演奏、熱き音色で聴衆を 魅了しました。2018年のラ・フォル・ジュルネ・TOKYOでも来日が予定されており、注目されること間違いなし!の逸材です。 プロコフィエフのソナタはいずれも難曲として知られていますが、コヌノヴァの集中と厚き音色、そしてヴィルトゥオーゾ性が遺憾なく発揮されたプログラム。 第1番の第2楽章の激しさは圧巻。第2番第1楽章冒頭の旋律の繊細な音色にくぎ付けです。繊細な表情から激しい重音まで、コヌノヴァの表現の幅 広さに驚かされる充実の内容となっています。ピアノのミハイル・リフィッツはウズベキスタン出身で既にデッカなどからリリース多数の名手。ヴィルデ・フ ラングとのデュオでも知られますが、ここでも見事な演奏です。 (Ki)
AP-172
V FOR VALSE
リスト:メフィスト・ワルツ第1番、ウィーンの夜会(シューベルトの「ワルツ・カプリス」)S.427 R.252
シューマン:ウィーンの謝肉祭の道化 op.26
チャイコフスキー:感傷的なワルツ(6つの小品 op.51より第6番)
スクリャービン:ワルツ op.38
ローゼンタール:ウィーンの謝肉祭〜J.シュトラウスの主題によるフモレスケ
ラヴェル:ラ・ヴァルス(作曲者自身によるピアノ独奏版)
ヴァシリス・ヴァルヴァレソス(P)

録音:2017年 7月
1983年、ギリシャ生まれのピアニスト、ヴァルヴァレソスによる、ワルツ集。リストによるデモーニッシュなワルツ、シューマンの憂鬱さも漂うワルツ、チャ イコフスキーの悲しきエレガンスなど、ワルツというジャンルの多彩さを魅せてくれます。そしてローゼンタール!リストの弟子にして、ブラームスやJ.シュ トラウスと友人でもあったローゼンタールによる超絶技巧を尽くしたJ.シュトラウスの主題による自由闊達かつ華やかな作品は注目です。ヴァルヴァレソス はジュリアード音楽院などで学び、2014年ジョルジュ・エネスコ国際コンクールで第3位に入賞しています。イキのよいリズム感とスケール感が持ち味です。 (Ki)
AP-173
ブラームス:ピアノ曲集
6つの小品 op.118
4つの小品 op.119
2つのラプソディ op.79
3つの間奏曲 op.117
フランソワ・シャプラン(P)
フランスの名手フランソワ・シャプランによるブラームス。ドビュッシー演奏にも定評のあるシャプランですが、ここでブラームスの晩年の作品を中心にしたア ルバムの登場。穏やかな哀愁に満ちた旋律が心に残る作品を、シャプランが稀有な詩性をもって演奏しています。 (Ki)
AP-174
R.シュトラウス:チェロのための作品全集
チェロ・ソナタ op.6 ヘ長調*
ロマンス.ヘ長調 op.13
ドン・キホーテ(騎士的な性格の一つの主題による幻想的変奏曲)op.35
「あした」〜4つの歌 op.27(作曲者によるチェロ、ピアノ*とソプラノ**のための編曲版)より
オフェリー・ガイヤール(Vc)
アレクサンドラ・コヌノヴァ(Vn)
ドヴ・シェインドリン(Va)
ジュリアン・マスモンデ(指)
チェコ国立SO
ヴァシリス・ヴァルヴァレソス(P)*
ベアトリス・ウリア・モンゾン(Ms)**

録音:2017年7月12-15日チェコ国立SOスタジオ(プラハ)、2018年1月22-23&31日パリ
フランスの人気チェロ奏者、オフェリー・ガイヤール。センシティヴで親しみやすい表情の演奏で、ファンを魅了し続けています。彼女の新譜は、R.シュ トラウスによるチェロのための作品全集。古楽アンサンブルで通奏低音奏者として、さらにソロ・室内楽でも活躍しているガイヤールが奏でる、オーケス トラとアンサンブルの魔術師R.シュトラウス作品集、期待大です!
ガイヤールは、実はR.シュトラウス(の作品)とは、長年恋におちることができなかったといいます。歴史(ナチとの関係)に関するものも原因だった といいます。自らの腕の中にR.シュトラウスの音楽を感じながら、常に何かひっかかるものがあったそうで、彼の作品に取り組むようになったのは20歳 を過ぎてからだったといいます。「ばらの騎士」や「アラベラ」などによって、シュトラウスの音楽の催眠術的な力、魅惑的で抒情的な世界の魅力を知るよ うになっていきます。
「ドン・キホーテ」でチェロは、誇り高き遍歴騎士ドン・キホーテを、そしてヴァイオリンはドゥルシネラ姫を、そしてヴィオラはドン・キホーテの従者サンチョ・ パンサをあらわしています。姫君を演じるのは、第15回チャイコフスキー国際コンクールヴァイオリン部門で第3位に輝き、その演奏と美貌で話題となっ たアレクサンドラ・コヌノヴァ。サンチョ・パンサは、オルフェウス室内管のメンバーで、METでも活躍しているヴィオラのドヴ・シェインドリンによって演 じられます。ドン・キホーテの人物像は、英雄の生涯の主人公よりも野心家に描かれており、最後の彼の死の描き方は、セルバンテスを超えている、とガ イヤールは述べています。R.シュトラウスの管弦楽書法の巧みさと、独奏楽器の描き分けの見事さ、語り口の巧さがつまった名曲を、ガイヤールと他のメ ンバーが展開する親密な対話とともにお楽しみいただけます。
チェロ・ソナタはR.シュトラウスが 19 歳の時に書かれたもので、いきいきとした表情、そしてチェロとピアノがまるでオーケストラのような豊かな色彩 でアンサンブルを繰り広げます。ロマンスは牧歌的な雰囲気ですが、湧き上がってくる旋律を一気に書き上げたといいます。「あした」のチェロとピアノ、 声楽版はいわば本作の初版。後にオーケストラ編曲され、ソロはヴァイオリンによって奏されます。ここでは、チェロが奏でるメロディの繊細さと、ドイツ 語の詩の韻律の美しさが見事に融け合っています。 (Ki)
AP-175(2CD)
テレマン:9つの祝福された黙想による受難オラトリオ TWV 5:2 ゴットフリート・フォン・デア・ゴルツ(指、Vn)
フライブルク・バロック・オーケストラ
アンナ・ルチア・リヒター(ソプラノ/信心、信念、シオン〔教会〕)
コリン・バルツァー(テノール/信心)
ピーター ・ハ ー ヴェイ( バ リトン/イエ ス )
ミヒャエル・フェイファー(テノール/ペトロ)
ヘンク・ネーヴェン(バリトン/大司祭)

録音:2017年12月1日、ハンブルク、ライスハレ(ライヴ/テレマン・フェスティヴァル)
テレマンの珍しい受難曲、「9つの祝福された黙想によるオラトリオ」の登場。キリストの最後の日々から復活するまでの物語が主軸となっていますが、 明確なストーリーはありません。そのため、福音史家は存在せず、主な登場人物は、キリスト(6つのレチタティーヴォと6つのアリア)と、「信心」(8 つのアリアと8つのレチタティーヴォ)、そしてキリストを激しく糾弾するアリアを一つ歌う大司祭など。この作品に関してはまだまだ知られていないことも 多いですが、1719年に着手され、1722年3月19日、聖金曜日に先立つ月曜日に初演されたという記録が残されています。その後も何度も再演され ており、おそらくは18世紀でもっとも多く演奏された受難曲だったのではないかとされています。声楽とオーケストラによる明確なアンサンブルが、テレ マンが、絶妙な器楽書法によって歌唱陣が歌うテキストを際だたせるように作ったこの作品の魅力を存分に引き出しています。クラリネットの先祖の音色は 木管セクションの音色の幅をふくらませ、作曲家のイマジネーションの豊かさを私たちに示しています。テレマン、そして物語の人間性が見事にクローズアッ プされた、貴重な演奏となっています。 (Ki)
AP-176(2CD)
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ(全曲)
ソナタ第1番ト短調 BWV 1001
パルティータ第1番ロ短調 BWV 1002
ソナタ第2番イ短調 BWV 1003
パルティータ第2番ニ短調 BWV 1004
ソナタ第3番ハ長調 BWV 1005
パルティータ第3番ホ長調 BWV 1006
ゴットフリート・フォン・デア・ゴルツ(ヴァイオリン/パオロ・アントニオ・テストーレ製、ミラノ、1720年頃)

録音:2017年8月28日-9月1日、2018年2月26日-3月1日、アンサンブル・ハウス(フライブルク)
フライブルク・バロック・オーケストラでコンサートマスターを務めるゴルツによる、バッハの無伴奏全曲の登場!何よりピリオド楽器奏法を知り尽くし、 さらにバッハをはじめとするバロック・レパートリーを骨の髄までしみこませたゴルツだからこそ到達できた地点といえるでしょう。シャコンヌでは、細部の モチーフを活き活きと響かせており、バッハが旋律に埋め込んだ様々な要素が浮かび上がってきます。様々なことにあらためて気付かされるようです。奏者 に高度なテクニックを要求する作品であることを忘れさせるくらいに完璧な演奏といえます。ゴルツがひたすらに真摯につむぐバッハの音楽を、アパルテの みずみずしい美しさをたたえた優秀録音で体験できる、ぜいたくな2枚です。
AP-177(2CD)
グノー:弦楽四重奏曲全曲
弦楽四重奏曲 ト短調 CG.565
弦楽四重奏曲 ヘ長調 CG.563
弦楽四重奏曲 イ短調 CG.564
「小四重奏曲」ハ長調 CG.561
弦楽四重奏曲 イ長調 CG.562
カンビーニ=パリSQ[ジュリアン・ショヴァン (Vn)、カリーヌ・クロケノワ(Vn)、ピエール=エリック・ニミロヴィチ (Va)、酒井淳 (Vc)]

録音:2017年2&10月
グノーの弦楽四重奏曲全曲の登場。世界初録音となる、ピリオド楽器による全集です。演奏するのは、酒井淳も参加のカンビーニ=パリSQ。 18世紀フランスのジャダンや19世紀フランスのフェリシアン・ダヴィッドなどの作品、また、モーツァルトを手がけてきています。
「フランス近代歌曲の父」とも呼ばれるシャルル・グノーはなんといってもオペラ(声楽)で名を残していますが、少なくとも5曲の弦楽四重奏曲を完 成させたと考えられています。といっても、その楽譜資料の残され方は残念な状況で、多くの弦楽四重奏のスケッチ譜がオークションで出回ったり、また 生前に友人にプレゼントしたりと、楽譜資料は散逸していました。1993年、2作の完成した弦楽四重奏の楽譜がオークションにかけられました。その 譜面は、第2番(イ長調)、第3番(ヘ長調)と記されていましたが、作曲者の生前および死後に出版された楽譜には2種類の「第3番」があるなど、 まだまだ混乱がみられる状況です。フランス・ロマン派音楽センター(パラツェット・ブル・ザーネ’ Palazzetto Bru Zane’)のサポートも得て、このグノー の弦楽四重奏曲5作品が、ピリオド楽器で世界初録音されました。どの作品も美しい旋律に満ちており、どこかオペラの序曲や場面を思わせるような豊 かな情景感。メンバーたちの奏でる楽器の音色もたいへん豊かで雄弁な語り口。優秀録音。大注目の2枚組です! (Ki)
AP-178
オラトリオからのアリア集
カルダーラ、ボノンチーニ、ガスパリーニ、ポルポラ、A.スカルラッティらの作品
ティボ ー ・ノアリ( Vn&指 )
ブランディーヌ・スタスキエヴィチ(Ms)
アンサンブル/レ・ザクサン(Les Accents)

録音:2017年10月
ヴァイオリン奏者ティボー・ノアリ率いるレ・ザクサン(2014年結成)は、バロック時代、とりわけ17-18世紀イタリアの作品に注力した活動を展開 しています。今回彼らがとりあげたのは、未出版のオラトリオからのよりすぐり楽曲。カルダーラやアレッサンドロ・スカルラッティ、ポルポラらによる超 絶技巧のアリアを、古楽シーンで活躍しているブランディーヌ・スタスキエヴィチが軽やかに変幻自在に歌い上げています。レ・ザクサンの精緻な器楽アン サンブルも聴きものです。 (Ki)

AP-179
バラード・イン・レッド
ルニエ:幻想的バラード
カプレ:幻想的な物語
レオーネ:赤の五重奏
ヒンデミット:ハープ・ソナタ
サルツェード:バラード
ドビュッシー:神聖な舞曲と世俗的な舞曲
エマニュエル・セイソン(ハープ)、
ヴォーチェSQ

録音:2017年6月27? 30日/リトル・トリベカ(パリ)
エマニュエル・セイソンのAparteレーベル第2弾はソロ+ヴォーチェ弦楽四重奏団との共演3篇を収めています。全体のコンセプトは文学で、とりわ けエドガー・アラン・ポーの「赤死病の仮面」に基づくカプレの「幻想的な物語」と、その続きとして2002年にグスターヴォ・レオーネが作曲した「赤 の五重奏」をメインに据えています。ポーの「赤死病の仮面」は街中を赤死病という恐ろしい疫病が猛威をふるうなか、国王プロスペローは城内に籠り 日夜臣下と饗宴に耽っていたところ、突然現れた死装束の魔物に殺されるという話。前半をカプレ、後半をレオーネが描いていますが、オリジナル・ブッ クレットでセイソン自身が魔物に扮する凝りよう。赤いステンドグラスの黒い部屋まで演出しています。
ルニエの「幻想的バラード」もポーの「告げ口心臓」からインスパイアされた作品で、またドビュッシーの「神聖な舞曲と世俗的な舞曲」は直接ポーと は関連性はありませんが、ドビュッシーはポーの文学に関心が深く、「鐘楼の悪魔」と「アッシャー家の崩壊」のオペラ化を試みています。またヒンデミッ トのハープ・ソナタの第3楽章はドイツの詩人ヘルティの一節が掲げられています。20世紀前半に活躍したヴィルトゥオーソ、サルツェードの難曲「バラー ド」も物語性を秘めていて聴き応え満点。セイソンの語り口の巧さが光ります。サルツェードはフランスに生まれ、メトロポリタン歌劇場の首席ハープ奏 者を務めた所がセイソンと同じため、セイソンは「サルツェードの再来」と称されています。 (Ki)

AP-180
リスト:死の舞踏 S.126
ピアノ協奏曲第1番 変ホ長調 S.124
ピアノ協奏曲第2番 イ長調 S.125
ベアトリス・ベリュ(P)
チェコ・ナショナルSO
ジュリアン・マスモンデ(指)

録音:2017年12月12-15日、プラハ
フランスの人気ピアニスト、ベアトリス・ベリュによるリスト3作品。いずれも、最初のスケッチから最終的な出版までに20年以上が経過した作品です。 注目なのが、ピアノ協奏曲で、出版後の楽譜に、リストの弟子ビューローが書き込んだリストの指示と思われる修正を適用して演奏していること。第1番 の初版は1834年に書かれたものの、第2番に着手する1839年まで寝かされており、1840年までには両方とも一度完成させていましたが、人前で弾 くことはなく、第1番はベルリオーズの指揮、リスト自身のピアノで1855年に初演。第2番は1857年、リストの指揮、そしてリストの弟子のブロンサ ルトのピアノで初演されています。いずれも出版されましたが、リストの弟子ビューローの所有していたスコアには、リストの指示によるものと思われる修 正がいくつか見られ、ここでベリュはこの手書きの修正を適用してこれらの作品を演奏しています。そうしたことは抜きにしても、ベリュの超絶技巧とスケー ルの大きな演奏、そしてそれを支えるオーケストラとのアンサンブルが聴きごたえ十分であることは言うまでもありません。 (Ki)
AP-181
グノー:歌曲集
私の美しい恋人は死んだ/祈り/セレナーデ/出発/いとしい子よ、おやすみ/ほか(全24曲)
タシス・クリストヤニス(Br)
ジェフ・コーエン(P)

録音:2017年12月
ダヴィッドの歌曲集(AP 086)やラロの歌曲集(AP 111)、ゴダールの歌曲集(AP122)などもリリースしている、19世紀の作曲家の歌曲に力を 注いでいるクリストヤニス。今回は生誕200周年記念作曲家、グノーの歌曲集に挑戦しました。 グノーは150曲ほどの歌曲を出版しており、その3分の1は英語の詩によるもの、他にイタリア語、スペイン語、ドイツ語のものもあります。フランス語 のものでは、ユゴー、ミュッセ、ゴーティエ、ラ・フォンテーヌ、ロンサールらによる詩のものがあります。映画に出てきそうな物憂げな雰囲気が美しい「祈 り」(仏語)やいとしい子よ、おやすみ(英語)の洒脱なピアノに乗って歌われるやさしいメロディなど、グノーの魅力に満ちた1枚です。 (Ki)
AP-182
Canto da Sereia〜人魚(セイレン)の歌
1. Quem viver, vera
2. Canto da sereia
3. Samba da Bencao; Samba pra Vinicius
4. Eu sei que vou tea mar
5. Alvorada
6. Bachianianinha no.1
7. Tarde em itapoa
8. Fariseus
9. Acuarela
10. Carinhoso
11. Escravo da Alegria
12. Tristeza
13. ヴィラ=ロボス:ブラジル風バッハ第5番(チェロとギターのデュオ版)
Toquinho (vo, g), トキーニョ(声、ギター)
Ophelie Gaillard (cello) / オフェリー・ガイヤール(チェロ、パーカッション(一部))
Gabriel Sivak (p, arr) / ガブリエル・シヴァク(ピアノ、編)
Fabien Cyprien (tb, per) / ファビアン・シプリアン(トロンボーン、パーカッション)
Romain Lecuyer (b, g) / ロマン・ルクイエール(コントラバス/ギター(ヴィラ=ロボス))
Florent Jodelet (per) / フロラン・ジョデレ(パーカッション)
Rubens Lopes (ds) / リューベン・ロペス (ドラム)
[Guest] Rodrigo Samico (7 strings guitar)/ ロドリーゴ・サミコ(7弦ギター), Jonathan Edo (per). ヨナタン・エド(パーカッション),
Luiz Augusto Cavni (ds)/ ルイス・アウグスト・カヴニ(ドラム)
言わずと知れたブラジルの名ギタリスト=トッキーニョ、最新作はクラシックの人気女性チェリスト、ガイヤールを大々的にフィーチャーしたライブ盤!トッ キーニョの巧みなギター捌きと柔らかい歌声、そこに合わせて奏でられるチェロの響きが非常に新鮮です。これほどまでにバランス良く歌と演奏が共存し ているライブとは末恐ろしいですが、近年のトッキーニョの余裕ぶりがひしひしと伝わってくるようです。
本作でトッキーニョと共に鮮烈な印象を残すチェリスト、オフェリー・ガイヤールは、親密な音色と感性豊かな音楽性で高い評価のあるフランス人演奏 家。ブラジルでのリサイタルのため、とあるホールでリハーサルしていた折、偶然トッキーニョがガイヤールの前に現れたといいます。その印象について「彼 の話す声の響きは魅力的な楽器が奏でる音楽のようだった」とコメントしている彼女ですが、この作品の華はその冴えたチェロの響きによるものも大きい でしょう。
盟友ヴィニシウス・ヂ・モライスとの楽曲を大々的に取り上げつつ、ジョビンやバーデン・パウエルとの楽曲も演奏、さらに極め付きはトッキーニョのジェ ントルな歌声を敢えて封印しギターに徹した演奏である (13)。普段はバッハの” 無伴奏チェロ組曲” をレパートリーとするオフィリー・ガイヤールですが、 彼女を引き立てるべくヴィラ・ロボスの” ブラジル風バッハ第5番” を選曲するこの辺りに垣間見えるセンスの良さも、本作の余韻をより深くしていくのに 一役買っています。
次いで取り上げたいのが、もう一曲のインストである(6)。この作者であるパウリーニョ・ノゲイラはかつてトッキーニョが師事したことでも著名なブラ ジリアン・ギターの隠れた名手。ギターとチェロのデュオによるこの演奏に漂う深い哀愁には、トッキーニョとオフェリー・ガイヤールの相性の良さが刻ま れているだけでなく、ブラジルとバッハを繋ぐささやかな、しかし強固でもある道筋が確かに見えてくるでしょう。 (Ki)
AP-185(2CD)
サリエリ:歌劇「オラース兄弟」 クリストフ・ルセ(指、Cemb)
レ・タラン・リリク
ユディト・ファン・ワンロイ(カミーユ)
ジュリアン・ドラン(若いオラース)
ジャン=セバスティアン・ブ(老いたオラース)ほか

録音:2016年10月15日、ヴェルサイユ宮殿内王立歌劇場(ライヴ)
※世界初録音
★2016年にルセがヴェルサイユで行った、サリエリの3幕のオペラ「オラース兄弟」のライヴ録音。このサリエリの大作を上演するにあたり、ルセは豪華歌唱 陣を集結させました。古代ローマのホラティウス兄弟と、当時ローマと対立関係にあったクリアティウス兄弟の決闘の物語に、サリエリがロマン派を思わせるドラ マティックな音楽をつけています。戦いや大群衆のシーン、ヒロインであるカミッラの涙のシーン、クリアティウスのジレンマなど、手に汗握る物語展開の作品を、 ルセが見事に蘇らせています。貴重な初録音にして決定的名演といえるでしょう。 (Ki)
AP-186
ハイドン:交響曲第82番「熊」ハ長調 Hob.I:82
ジャン=バティスト・ダヴォー(1742-1822):2台の独奏ヴァイオリンのための愛国的アリアを伴う協奏交響曲
ドゥヴィエンヌ(1759-1803):協奏交響曲第4番 ヘ長調〜フルート、オーボエ、バスーン、ホルンのための
シュシャヌ・シラノシアン(Vn)
タミ・クラウス(Fl)
エンマ・ウラック(Ob)
ハヴィエ・ザフラ(バソン)
ニコラ・シェドメイユ (Hrn)

録音:2017年10月、ルーヴル・オーディトリウム
フランスの気鋭ヴァイオリン奏者、ジュリアン・ショヴァンの指揮による、ハイドンのパリ交響曲(第82-87番)を録音するプロジェクトの第3弾(第 1弾 AP 131/第2弾 AP 157)。当時の演奏会習慣に則り、交響曲をメインに据え、様々な編成の楽曲でプログラムが構成されています。
冒頭から実に痛快な「熊」でたちまち演奏に引き込まれます。その後も心地よいテンポ感で滑舌のよい音楽発語が見事。18世紀フランスの、ウィッ トに富み、ヴィルトゥオーゾ要素満載の音楽を心ゆくまで堪能できる1枚です。
ダヴォーは当時のフランスで聴衆から最も人気のあった作曲家の一人で、ゴセックと同じくらいに有名でした。この協奏交響曲に含まれるアリアは、 ダヴォー自身のオペラ「テオドーラ」からとられています。
パリでは管楽器は特別な人気がありました。ドゥヴィエンヌのこの作品は、変奏曲の形式をとりながら、テーマを奏でる各楽器奏者に高い難度の技 巧を要求しつつも、当時の記述に「花畑の中で幸せに語り合う恋人たち」と称されたような幸福に満ちた作品となっています。
ル・コンセール・ド・ラ・ローグは2015年、ヴァイオリン奏者のジュリアン・ショヴァンによって設立されました。この名称は、1783年に設立され た当時最高のオーケストラ、コンセール・ド・ラ・ローグ・オランピックから名前をとっています。ハイドンの「パリ交響曲」もこの団体のために書かれ、 マリー=アントワネット下のチュイルリー宮でレジデント・オーケストラを務めていました。メンバーはほぼ全員フリーメイソンによって構成され、名称 のLogeもフリーメイソンのLodgesに因んでいます。ショヴァンはOlympicという文言を団体名に使うことをオリンピック委員会から禁止されたため、 2016年から名称をル・コンセール・ド・ラ・ローグとして活動を続けています。 (Ki)
AP-187
ヤーン・ラーツ(b.1932):カレイドスコーピック・エチュード(万華鏡的練習曲)op.97(世界初録音)
アルヴォ・ペルト(b.1935):モーツァルト-アダージョ(1992/ 2017年クラリネット用に編)
グレツキ(1933-2010):「ひばりの音楽」〜レチタティーヴォとアリオーゾop.53
パトリック・メッシーナ(Cl/ビュッフェ・クランポン‘ヴィンテージ’)
アンリ・ドマルケット(Vc1725年製ストラディヴァリウス‘le Vaslin’)
ファブリツィオ・キオヴェッタ(P/スタインウェイ)

録音:2017 年 12 月、イタリア
フランス国立Oの首席クラリネット奏者、メッシーナによる万華鏡のようなアルバムの登場。クラリネット、チェロ、ピアノという編成の3作品です。 ヤーン・ラーツの「カレイドスコーピック・エチュード」は世界初録音。ジャズ風な部分やライヒの初期のフェーズ・パターン的な部分、と思うと少しメロ ディックな部分ありと、様々な要素が次々と現れる作品です。ペルトの作品は、モーツァルトのピアノ・ソナタK.280のアダージョにインスパイアされて書 かれたもの。もとはピアノ三重奏曲の作品ですが、2017年、クラリネットとチェロ、ピアノ用に新たに編曲されました。モーツァルトのアダージョ楽章の 内的世界がこれでもかと拡大された、張り詰めた美しさ。この編成では世界初録音となります。グレツキの「ひばりの音楽」は終楽章でベートーヴェンの ピアノ協奏曲第4番冒頭の和音の動きを連想させる動きが様々に繰り返され、印象的です。
パトリック・メッシーナ(Cl)/フランス、ニース生まれ。ニューヨークのイースト&ウェスト国際アーティスト・コンテス、ヒューストン・イマ・ ホッグ・ナショナル・アーティスト・コンクールなど数々のコンクールで最優秀賞に輝き、1996年からはレヴァイン率いるメトロポリタン歌劇場O に定期的に出演。2003年からはフランス国立Oの首席クラリネット奏者を務めています。 (Ki)
AP-188
ベルク:叙情組曲
シューベルト:弦楽四重奏曲第14番ニ短調D810「死と乙女」
ノーブス・クァルテット【キム・ジョエン、キム・ヨンウク(Vn)、キム・キュユン(Va)、ムン・ウンフィ(Vc)】

録音:2017年9月/リトル・トリベカ(パリ)
2007年韓国芸術総合学校の学生たちにより結成されたノーブス・クァルテット。クリストフ・ポッペンに師事し、2014年に国際モーツァルト・コンクールで 優勝しました。韓流スターと見まごう4名から成りますが、演奏はいたって辛口で真摯。死の匂いのする2篇を驚くべき緊張感と集中力で聴かせてくれます。 (Ki)

AP-189
コンツェントゥス・ムジクス・ウィーン/新音楽監督での新録音
ブラームス、ウェーベルンによるオーケストラ編曲版の歌曲
「涙の雨」(「美しき水車小屋の娘」第10曲/ウェーベルン編)/「道しるべ」(「冬の旅」第20曲/ウェーベルン編)/「メムノン」 D541(ブラームス編)/「ひめごと」 D719(ブラームス編)/「肖像」(「白鳥の歌」第9曲/ブラームス編)/「タルタルスの群れ」D583(ブラームス編)/「君は憩い」D776(ウェーベルン編)
交響曲第7番(未)完成 D759
第1楽章/第2楽章/第3楽章(スケルツォ):アレグロ〜シューベルトのスケルツォ(スケッチ)に基づく(2015年、ニコラ・サマーレ&ベンヤミン=グンナール・コールス補完)/第4楽章(フィナーレ):アレグロ・モデラート〜「キプロスの女王ロザムンデ」間奏曲
コンツェントゥス・ムジクス・ウィーン
フローリアン・ベッシュ(Bs-Br)
トーマス・フェオドロフ(コンサート・マスター)
ステファン・ゴットフリート(指)

録音:2018年4月27&28日、ウィーン楽友協会(大ホール)(ライヴ)
アーノンクールが1953年に妻と設立したコンツェントゥス・ムジクス・ウィーン。2016年にアーノンクールが亡くなったあと初めて、彼らがCDをリリー スします。現在、アーノンクールと歌劇でも共演し信頼厚かったステファン・ゴットフリートが音楽監督(首席指揮者)を務め、モザイクSQで もおなじみのエーリヒ・ヘーバルト(コンサート・マスター)、アンドレア・ビショフ(第2コンサートマスター)と共に楽団を牽引しています。彼らが取り 上げたのはシューベルト。世界的バリトンのフローリアン・ベッシュをソリストに迎え、シューベルトの歌曲をブラームスとウェーベルンがオーケストラ伴 奏版に編曲したものと、シューベルトの未完成交響曲を、4楽章構成で演奏したもの(第3楽章は、シューベルトが残したスケッチを、作曲家のニコラ・ サマーレと音楽学者のベンヤミン=グンナール・コールスが補完したもの、そして第4楽章はロザムンデの間奏曲、という構成)、というなんとも注目の プログラムです。ベッシュの歌唱は余裕たっぷりで精確無比なディクションと詩の世界を雄大なスケールで描いており、オーケストラ伴奏でその世界もより 一層引き立つような素晴らしいもの。未完成では、アーノンクールによって培われた精緻なアンサンブルが炸裂。第1楽章での管楽器のクリアな発音など、 ちょっと驚かされるほど。第3楽章と第4楽章も実に自然に流れており、ひとつのあり方として理想的名演が誕生したといえるでしょう。ウィーン楽友協 会の会場いっぱいに響き渡るサウンドが心地よくとらえられており、まるでホールにいるような迫力ある演奏が楽しめます。コンツェントゥス・ムジクス・ウィー ンの新たな時代の始まりを告げる、実に鮮やかなシューベルトの登場です! (Ki)

AP-190
コレッリ:シンフォニア ニ短調 WoO1
(1689年にローマで演奏されたジョヴァンニ・ロレンツォ・ルリエルのオラトリオ「Santa Beatrice d’Este」の序曲(シンフォニア))
合奏協奏曲 ニ長調op.6-1、ヘ長調 op.6-2、ハ短調 op.6-3、ニ長調 op.6-4、変ロ長調op.6-5、ニ長調 op.6-7
フライブルク・バロック・オーケストラ
ゴットフリート・フォン・デア・ゴルツ(Vn&指)
ペトラ・ミュレヤンス(Vn)
グ イド・ラ リッシ ュ(Vc)

録音:2017年11月、ドイツ
フライブルク・バロック・オーケストラが、コレッリの合奏協奏曲op.6を録音しました!意外にもこれが初録音となります。さらに、ここでは編成も演 奏も非常に自由で華やか、トランペット、オーボエ、バスーン、トロンボーンがヴァイオリンを増強しているほか、時にはコンチェルティーノになりかわって メインで演奏、さらに自由な即興部分まで付け加えられているという、FBOのうまさと能力が炸裂した仰天演奏!通奏低音楽器もチェンバロ、オルガンに くわえ、リュート、ハープも参加しているという編成で、迫力あるサウンドの合奏協奏曲をおたのしみいただけます!なお、op.6は全12曲から成りますが、 ここでは、いわゆる「教会ソナタ」の形式をとる、緩楽章から始まるものを中心に収録されています。
コレッリは、器楽作品のみで名声を博した最初の作曲家といえるでしょう。声楽(宗教)作品全盛期の17世紀後半において、これは非常に珍しい現 象でした。コレッリは生涯にわたり、ほぼその全ての作品が「パーフェクト」ともいえるほど、どの作品に対しても勤勉な姿勢を保ち、生涯にわたってその 名声が消えることはありませんでした。
合奏協奏曲op.6-6の第3楽章ラルゴは、1689年にローマで演奏されたジョヴァンニ・ロレンツォ・ルリエルのオラトリオ「Santa Beatrice d’ Este」のための序曲(シンフォニア)として書かれたものが元になっています。このディスクではその序曲をフルヴァージョンで演奏しているという、凝っ た内容となっています。 (Ki)

AP-191
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲
マクシム・エメリャニチェフ(指)
ニジニ・ノヴゴロド・ソロイスツ室内O

録音:2017年9月/ニジニ・ノヴゴロド
20018年初来日し、東京SOとブラームスの交響曲第1番やベートーヴェンの「皇帝」(スティーヴン・ハフ独奏)で日本デビューを果したマクシム・エメリャ ニチェフ。クルレンツィスのムジカエテルナの通奏低音奏者として、モーツァルトのダ・ポンテ・オペラ三部作録音で驚くべき才気を発揮して注目されました。 しかし彼はモスクワ音楽院指揮科でロジェストヴェンスキーに師事、さらにクルレンツィスのもとで研鑽を重ねるなど、現在最高の訓練を受けたサラブレッ ド。イタリアのイル・ポモドーロを指揮し、イタリア・バロックの声楽作品などのディスクもリリースしていますが、今回は古典派、ロマン派のドイツ作品 に挑戦しました。
ニジニ・ノヴゴロドSOは、ロジェストヴェンスキーがモスクワで演奏を禁じられたシュニトケ作品を初演したり、ロストロポーヴィチが指揮者デ ビューしたことで知られる優秀団体。今回エメリャニチェフは、フル編成ではなく室内Oまで刈り込んで録音に臨みました。
彼はオーケストラの音響効果に非常な興味を持ち、客席でどう聴こえるか細心の注意を払って楽器を配置し、その微妙な向きまでこだわるオーディオ・ マニアの一面もあります。単に音響のみならず、初演当時のオーケストラの編成まで丹念に調べ、当録音でも弦楽器をそれに則した数にしたとのこと。
まず驚かされるのはテンポの速さ。それが全く自然で推進力と生命力となっています。また小編成ながら音量も造形も大きく、まさに「21世紀のムラヴィ ンスキー」登場かと興奮させられます。クルレンツィスに勝るとも劣らぬ才能の発見と申せましょう。
AP-192
恋人アレッサンドロ〜カウンター・テナーのためのアリア集
(1)ボノンチーニ:「アブドロミーノ」〜前奏曲
(2)同:「アレッサンドロのインドからの帰還を祝うエウレオ」〜あなたの目の美しさに
(3)ヘンデル:「インド王ポーロ」〜かくも素敵なふたつの目の力なら
(4)同:「アレッサンドロ」〜むなしき愛
(5)ペシェッティ:「インドのアレッサンドロ」〜大きな努力に目を向け
(6)ステッファーニ:「レオナートの熱意」〜シンフォニア
(7)ドラーギ:「不屈の勝利」〜私が隠すのは/報酬と罰は
(8)マンチーニ:「サイダのアレッサンドロ大王」〜聖霊は復讐に燃え
(9)ボノンチーニ:「アレッサンドロのインドからの帰還を祝うエウレオ」〜明るい夜明けが
(10)ヴィンチ:「インドのアレッサンドロ」〜大きな努力に目を向け
(11)マンチーニ:「サイダのアレッサンドロ大王」〜シンフォニア
(12)レーオ:「ペルシャのアレッサンドロ」〜私のいとしい偶像よ
(13)ポルポラ:「ポーロ」〜武器を手に
シャビエ・サバータ(C.T)、
ダニ・エスパーサ(指)
ヴェスプレス・ダルナディ

録音:2018年1月リトル・トリベカ(バルセロナ)
バルセロナ出身のカウンターテナー、シャビエ・サバータはスキンヘッドに髭のコワモテですが、声と歌唱は清純で乙女チック、心に沁みわたるような美しさで す。今回はバロック・オペラのアリア集ですが、凝った選曲が光ります。タイトルは「恋人アレッサンドロ」で、いずれもアレキサンダー大王を主人公にしたもので、 彼の英雄的な史実と、男色家だったとされる乙女心をサバータが絶妙に表現。
さらに嬉しいのは、スペインの古楽器団体ダニ・エスパーサ指揮ヴェスプレス・ダルナディが伴奏を務めていること。情景描写も巧みで、独特な雰囲気を醸し 出しています。 (Ki)
AP-193(2CD)
「クープランとわたし」
クラヴサン曲集第1集第2組曲より「幸福な思い」
諸国の人々〜神聖ローマ帝国よりGravement, Vivement
Verset du motet de l’annee derniereよりQui dat nivem
クラヴサン曲集第2集第6組曲より「神秘のバリケート」
ヴィオール曲集〜第2組曲La Pompe funebre
王宮のコンセール〜第3コンセール(プレリュード*、アルマンド*、シャコンヌ・レジェール*)
クラヴサン曲集第2集第9組曲(2つのクラヴサンのためのアルマンド)
La Steinkerque*
聖水曜日の第 3 のルソン・ド・テネブル
クラヴサン曲集第2集第8組曲よりパッサカイユ
趣味の融合〜第9コンセール
クラヴサン曲集第4集 第23組曲よりアルルカン
クラヴサン曲集第3集 第28組曲よりティク・トク・ショク
王の命令により作曲されたモテットの7つのVersetsよりOperuit montes umbra ejus、Extendit palmitos suos
諸国の人々より「神聖ローマ帝国」
バッカスに 慰 めら れ たアリアーヌよりレ チ タティーヴォ、エア
クラヴサン曲集第1集 第1組曲より森の精
クラヴサン曲集第3集 第27組曲より風で回る小さな風車
ヴィオール曲集より第1組曲(シャコンヌあるいはパッサカイユ)
リュリ讃〜パルナッス山の平和
クラヴサン曲集第2集 第11組曲
ラ・スルタン〜Gravement*
Air serieux (1701) 「 Doux lien de mon coeur 」*
クラヴサン曲集第1巻より第3組曲〜陰気な女
趣 味 の 融 合、あ るい は 新しいコンセールより序 曲 、グランド・リトルネロ
クラヴサン曲集第4集〜28組曲より とげとげしい女(L’Epineuse)
クリストフ・ルセ(指)
レ・タラン・リリク
サンドリーヌ・ピオー(S)、
クリストフ・コワン(Vc)ほか

音源:アパルテ、ナイーブ、ハルモニアムンディ、ワーナー、デッカ(*は初登場音源)
古楽界の重鎮にして鬼才、クリストフ・ルセの、クープランでまとめたベスト盤。クープランとわたし、と題し、アパルテ音源のほか、ハルモニアムンディ録音 の音源なども網羅しています。45年以上にわたってフランソワ・クープランの作品を演奏、指揮しているルセ。今日もなお日々クープランの新たな魅力に気づか される、といいます。ルセ自身が選りすぐった、自身のクープラン演奏で特に気に入っているものをまとめた1枚です。 (Ki)
AP-194(2CD)
ボッケリーニ:チェロ協奏曲、他
チェロ協奏曲第6番ニ長調 G.479
交響曲第6番 ニ短調「悪魔の家」G.506
チェロ協奏曲第9番 変ロ長調 G.482
弦楽五重奏曲「マドリードの通りの夜の音楽」(マドリードの夜警隊の音楽)op.30-6
スターバト・マーテル G.532
チェロ・ソナタ 第2番ハ短調 G.2
交響曲序曲 ニ長調 G.521
オフェリー・ガイヤール(Vc&指)
サンドリーヌ・ピオー(S)
フランチェスコ・コルティ(Cemb)
プルチネッラ

録音:2018年4&9月、パリ
人気女性チェロ奏者オフェリー・ガイヤールとプルチネッラが、ボッケリーニを録音しました!ガイヤールが率いるアンサンブル、プルチネッラのみずみずしい 管弦楽が奏でる前奏がなんとも清々しく思わず耳をうばわれた後に始まるガイヤールのソロの、親しみやすくあたたかい音色は絶品です。ここでは、協奏曲、ソ ナタ、交響曲のほか、超人気ソプラノ、サンドリーヌ・ピオーをゲストに迎え、ボッケリーニの最高傑作のひとつ、弦楽五重奏とソプラノ独唱のためのスターバト・ マーテルも演奏しているのもまた注目。ピオーの歌声は澄みきっていながら円熟味も感じさせ、彼女の歌に寄り添うような弦楽五重奏のアンサンブルも絶品です。
ボッケリーニは歴史上最初のヴィルトゥオーゾ・チェロ奏者。イタリアに生まれ、プロイセンやスペインの宮廷につかえたほか、ヨーロッパ中で活躍しました。ボッ ケリーニがいたからこそ、ヴァイオリンばかりに注目が集まっていたところにチェロのための作品も生み出されるようになったといっても過言ではありません。絵画においてゴヤが色彩でマドリードのにぎやかさを表現したのと同様、ボッケリーニはアンダルシアの 舞曲のリズムとメロディで人々の息吹までをも表現しました。ガイヤールのセンシティブで親しみやすい音色がボッケリーニにぴったり。喜びにあふれた舞曲風の 楽章での生き生きとした表情は、他では得られません。ボッケリーニの魅力のすべてを伝えてくれます。 (Ki)
AP-195
ドヴォルザーク:弦楽セレナード ホ長調 op.22
ヤナーチェク:弦楽オーケストラの為の組曲 (1877)
マルティヌー:弦楽六重奏曲 (1932年/1951年弦楽オーケストラ編曲版)
ロベルト・フォレス・ヴェセス(指)
オーヴェルニュ室内O

録音:2018年2月22-24日、3月28日、クレルモン=フェラン、シャペル・デ・コルデリエ
バレンシア生まれ、セーゲルスタムに師事した指揮者、ヴェセス率いるフランスのオーヴェルニュ管による、ボヘミア色豊かな1枚。指揮者のヴェセ スは2017年5月にN響デビュー、チャイコフスキーの交響曲第5番で絶賛を博し、すぐさま再招聘が決定、2019年1月に都民芸術フェスティバル 参加公演でN響と再び共演(ドヴォルザークの交響曲第7番ほか)予定、さらに2月には山形SOとチャイコフスキーの交響曲第4番などで来日・ 共演予定です。 (Ki)
AP-196
F.クープラン:王宮のコンセール(1722)
第1組曲 ト長調、第2組曲 ニ長調、第3組曲 イ長調、第4組曲 ホ短調
クリストフ・ルセ(指)
レ・タラン・リリク
ステファニー=マリー・ドゥガン(Vn)
ジョルジュ・バルテル(Fl)
パトリック・ボージロー(Ob)
酒井淳(ヴィオラ・ダ・ガンバ)

録音:2015年12月
ルセのクープラン、王宮のコンセールの登場。王宮のコンセールは、クラヴサン曲集第3巻の第2部として1722年に出版された4つの組曲から成る 作品集。この組曲には楽器の指定はありませんが、様々な種類の楽器を組み合わせたアンサンブルの編成で、1714-15年にヴェルサイユ宮殿で日曜に行 われていた演奏会でも、クープラン自身がチェンバロを弾いて、他にヴァイオリン、オーボエ、フルートのメンバーたちと演奏されていました。ルセとレ・ タラン・リリクのメンバーが、フランス一流のエレガンスとヴィルトゥオジティでこれらの作品を演奏しています。酒井淳も参加しており、充実のアンサン ブルを楽しむことができます。 (Ki)
AP-197(2CD)
F.クープラン:諸国の人々 レ・タラン・リリク
[ヴァイオリン]ジローヌ・ゴーベール=ジャック、ガブリエル・グロスバール
[フルート]ジョスリン・ドービグニー、ステファニー・トロッフェ
[オーボエ]ジョセ・ドメネク、トマ・メラネル
[ファゴット]エイアル・ストレット
[ヴィオラ・ダ・ガンバ]酒井淳
[テオルボ]ローラ・モニカ・プスティルニク
[(指)チェンバロ]クリストフ・ルセ

録音:2017年9月7-13日、ギャルリー・ドレ・ド・ラ・バンク・ド・フランス
F.クープランは鍵盤のイメージも強いですが、室内楽作品でもその真価を発揮した作品を数多く残しています。「諸国の人々」は、1726年に出版された、器 楽による室内楽作品集。諸国とは、フランス、スペイン、神聖ローマ帝国、そしてサヴォイ公国の4つの国々を指します。4つの組曲から成り、組曲内の各曲は 同じ調性で書かれています。クープランはフランス様式の舞曲や、イタリア様式を思わせるトリオ・ソナタなど様々なスタイルの曲をちりばめており、彼の創意の 多様性が遺憾なく発揮された名作です。ルセ率いるレ・タラン・リリクのアンサンブル(酒井淳も参加)も魅力の、F.クープランの才に魅せられる演奏です。 (Ki)
AP-198
メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲第1番ニ短調Op.49
ピアノ三重奏曲第2番ハ短調Op.66
トリオ・メトラル【ジョゼフ・メトラル(Vn)、ジュスティーヌ・メトラル(Vc)、ヴィクトル・メトラル(P)】

録音:2018年4-5月/リトル・トリベカ(パリ)
トリオ・メトラルは、フランスの若い三兄弟によるピアノ三重奏団。長兄のジョゼフはパリ音楽院でオリヴィエ・シャルリエに師事。妹の同院でジュスティーヌはチェ ロをラファエル・ピドゥー、ラファエル・メルランに、弟のヴィクトルも同院でピアノをケフェレック、ダルベルトに学び、さらにチッコリーニ、プレスラー、ペヌティ エの教えも受けたサラブレッドたち。正確な技巧に加え、フレッシュな感性による清潔な演奏を聴かせてくれます。 (Ki)
AP-199
モーツァルト:ピアノ・ソナタ集
ソナタ イ短調 K310
ソナタ 変ホ長調 K282
ソナタ ヘ長調 K332
ロンド イ短調 K511
ファブリツィオ・キオヴェッタ(P)

録音:2017年12月19-21日、マーラー・ホール(イタリア、ドッビアーコ)
モーツァルトの比較的若い頃の作品から、イ短調のロンドのような悲劇さと高度なテクニックが求められる難曲まで、モーツァルトの多面性をあらた めて実感するプログラム。バドゥラ=スコダも「繊細にして熱い感情が伝わる演奏」と激賞するキオヴェッタによる、モーツァルトの核心に迫る名演奏です。
ファブリツィオ・キオヴェッタはスイスのピアニストで、パウル・バドゥラ=スコダ、ジョン・ペリー、ドミニク・ヴェーバーなど、世界の名だたる名教師・ ピアニストに師事し、ソロはもちろんのこと室内楽、声楽の伴奏、そして即興演奏など様々な演奏形態の作品を積極的に学んできました。師のバドゥ ラ=スコダは「繊細にして熱い感情が伝わる演奏」と激賞しています。 (Ki)

AP-200
リスト:歌曲集
1. 高貴な愛 S 307
2. 青春の幸福 S 323
3. 愛の夢 S 298
4. 朝起きるとぼくはたずねる(第2稿) S 290-2
5. 風がざわめく(第2稿) S 294-2
6. ローレライ(第2稿) S 273-2
7. 喜びに満ち、悲しみに満ち(第2稿) S 280-2
8. ぼくの歌には毒がある S 289
9. お前は S 277
10. 愛とは?(第1稿)S 288-1
11. ノンネンヴェルトの僧房(第4稿) S 274-4
12. 日の光を知った S 310
13. 私を休ませて S 314
14. 揺れよ、青い眼(第1稿) S 305-1
15. 漁師の子供(第1稿) S 92-1
16. もし美しい芝生があるなら(第1稿) S 284-1
17. わが子よ、私が王だったなら(第2稿) S 284-1
18. おお、私が眠りにつくときは(第2稿) S 282-2
19. どうやって、彼らはたずねた(第2稿)S 276-2
20. 金色の髪の天使(第2稿)S 269-2
21-23. ペトラルカの3つのソネット(第1稿) S 270-1
〔1. 平和は見いだせず 2. その日までいつくしみくださる 3.私は地上に天使のような姿を見た〕
シリル・デュボ ワ(T)
トリスタン・ラエ(P)

録音:2018年10月
フランスのテノール、シリル・デュボワによるリスト歌曲集の登場。デュボワは2015年ヴィクトワール・ミュジーク受賞。パリ国立高等音楽院で学び、 オペラ・歌曲の両方で活躍しているフランスのテノール。ルセ指揮のサリエリ:歌劇「タラール」でもタイトル・ロールで素晴らしい歌唱を聴かせておりました。 彼はリートをヘルムート・ドイチュの下でも学んでおり、ドイツ語のものでも素晴らしい演奏を聴かせてくれます。 (Ki)
AP-201
(1)フォーレ:レクイエムOp.48(1893年版)
(2)プーランク:カンタータ「人間の顔」
(3)ドビュッシー:シャルル・ドレルアンの3つの歌(第1, 3曲は第1稿)
マチュー・ロマーノ(指)
アンサンブル・エデス、
レ・シエクル(1)
ルイ=ノエル・ベスティオン・ド・カンブーラ(Org)(1)
ロクサーヌ・シャラール(S)(1)
マチュー・デュブロカ(Br)(1)

録音:2018年5月リトル・トリベカ(ブローニュ=ビヤンクール)(2)(3)、8月レセ修道院(1)
レ・シエクルがフォーレの名作「レクイエム」を録音しました。とは言っても指揮者はロトではなくマチュー・ロマーノ。ロトの「ダフニスとクロエ」盤で手兵 の合唱団アンサンブル・エデスの合唱(指)絶妙な効果をあげていましたが、今回はそのアンサンブル・エデスを主役にしたアルバム。伴奏の必要な「レクイエ ム」のみレ・シエクルが加勢するという超豪華なものとなっています。
加えて注目なのが、ハルモニア・ムンディからも興味深い最新アルバムをリリースするルイ=ノエル・ベスティオン・ド・カンブーラが「レクイエム」のオルガン・ パートを務めていること。驚きの存在感を示しています。
ドビュッシーの「シャルル・ドレルアンの3つの歌」はパリ国立図書館所蔵の第1稿による演奏。現行版と非常に違うのに驚かされます。エリュアールの詩に よるプーランクの二重合唱による「人間の顔」は、同時期のヴァイオリン・ソナタのように第2次世界大戦中の抵抗運動へのプーランクの思いがこもった作品。 抑えた感情が非常な感動を生みます。
ロマーノとアンサンブル・エデスはまさに合唱のレ・シエクルで、クリスタルのように透明な響きで声の素晴らしさを満喫させてくれます。フォーレの「レクイエム」 はレ・シエクルがもちろん当時の楽器を用い、温かくも清冽な音世界を作りあげています。 (Ki)
AP-202
フレスコバルディ:トッカータとパルティータ集 第1巻
トッカータ第1番
パッサカリアによる100のパルティータ
トッカータ第9番
ロマネスクのアリアによる14のパルティータ
トッカータ第8番
モニカのアリアによる11のパルティータ
トッカータ第10番
第3のバレエ、クーラントとパッサカリア
トッカータ第3番
フォリアのアリアによるパルティータ
トッカータ第6番
4つのクーラント
トッカータ第7番
バレエとシャコンヌ
クリストフ・ルセ(Cemb/16世紀製、制作者不明(1736年リナルド・デ・ベルトニスにより一部改造))

録音:2018年11月10日
レスコバルディは即興性と建築性を天才的に組み合わせた作曲家といえるでしょう。フレスコバルディはイタリアのマドリガーレに根差した豊かな歌と、 豊かな創意、そしてヴィルトゥオーゾ性に満ちた作品を残しています。ルセは16世紀後半に作られたチェンバロで演奏しており、フレスコバルディの斬新な 響きを見事に蘇らせています。旋法的なハーモニーはどこか古風に感じられるかもしれませんが、即興性を感じさせる自由なリズムは今なお聞き手を魅了し ます。カラヴァッジョの絵画のような繊細な光と影にも通じるような表情が見事に再現された1枚です。 (Ki)
AP-204
ショパン:ピアノ協奏曲集(弦楽五重奏伴奏版)
ピアノ協奏曲第2番ヘ短調 op.21
ピアノ協奏曲第1番ホ短調 op.11
デイヴィッド・ライヴリー(P/1836年製エラール)
カンビーニ=パリSQ〔ジュリアン・ショヴァン(Vn)、カリーヌ・クロケノワ(Vn)、ピエール=エリック・ニミロヴィチ(Va)、酒井淳(Vc)〕
トマ・ド・ピエルフ(Cb)

録音:2016年10月25-28日
ショパンのピアノ協奏曲の室内楽(弦楽五重奏)伴奏版。19世紀は大衆文化が開花した時代で、音楽もしかり、家庭やサロンで演奏できるような連 弾や室内楽がさかんに生み出されました。規模の大きな協奏曲も、管弦楽伴奏を室内楽が代わりに受け持って自宅やサロンで演奏、ということもよく行わ れていました。ショパンの協奏曲についても、ショパン自身が自宅等で室内楽版で演奏したという記録が残されていますが、ショパン自身の手になる編曲 版の楽譜は残されていません(ショパンが実際に室内楽版の楽譜を作成したかどうかも不明)。この録音では、オーケストラの弦楽パートを基本的にほぼ そのままアンサンブルが担当して、弦楽器以外で演奏される重要な部分は基本的にピアノが演奏するというかたちをとっています。特にトゥッティの部分で はピアノと弦楽五重奏が極めて密度の濃いアンサンブルを展開するかたちとなり、前奏から繰り広げられる世界に一気に引き込まれます。ピアノは1836 年製のエラール、そして弦楽アンサンブルもすべて19世紀の楽器を用いており、まさにショパンのサロンでもこのような音色が響いていたのだろうかと想 像しながら聴くと、喜びもひとしおの1枚です。 (Ki)
AP-205
レオポルト・モーツァルト:ミサ・ソレムニス バイエルン室内フィルハーモニー
アレッサンドロ・デ・マルキ(指)
Das Vokalprojekt
アリアンナ・ヴェンディッテッリ(S)
ゾフィー・レンネルト(A)
パトリック・グラール(T)
ルートヴィヒ・ミッテルハンマー(Bs)

録音:2018年4月
オポルト・モーツァルトは「モーツァルトの父」ということで、その教育熱心さなどは多く語られています。しかし、レオポルトの作品は子・ヴォルフガング の影に隠されてしまっていると言わざるをえません。ここに録音された素晴らしい「ミサ・ソレムニス」も、長きにわたって息子ヴォルフガングの作品とされてお りました。しかし、近年ではこの作品はレオポルトによるものと確かめられています。30年以上前にこの作品は録音がありましたが現在は廃盤、アニバーサリー・ イヤーに非常に貴重な新録音の登場です!
指揮のアレッサンドロ・デ・マルキ(1962年生まれ)はイタリア出身、とりわけバロック期のオラトリオやオペラの優れた演奏で知られています。2010年より、ヤー コプスの後任としてインスブルック古楽音楽祭を率いている、古楽界のゆるぎない実力者です。管弦楽はレオポルトの生地でもあるアウグスブルクの素晴らしい バイエルン室内フィルハーモニーです。ドイツのDas Vokalprojekt(ダス・フォカールプロイェクト)による声楽アンサンブルもやわらかで美しいです。 (Ki)
AP-206
BACH & CO〜バッハと仲間たち
ヨハン・ダヴィド・ハイニヒェン(1683-1729):ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲 ハ短調 S240〜ヴィヴァーチェ
テレマン:ヴァイオリンとトラヴェルソ(Fl)のための協奏曲 ホ短調 TWV 52:e3
バッハ:ヴァイオリン協奏曲 ト短調 BWV 1056R
グラウン(1703-1771):ヴァイオリンとリコーダーのための協奏曲 ハ長調 Cv:XIII:96
フェルステル(1693-1745):ヴァイオリン協奏曲 ト短調*
ヨハン・フリードリヒ・ファッシュ(1688-1758):ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲 ニ短調 WV L:d4
バッハ:ヴァイオリン協奏曲 イ短調 BWV 1041
テレマン:2つのヴァイオリンのための協奏曲 ハ長調
ティボー・ノアリ(指&Vn)
クレール・ソットヴィア(Vn)、
ジャン・ブレニャック(トラヴェルソ)、
エマニュエル・ラポルト(Ob)、
セバスティアン・マルク(リコーダー)
レ・ザクサン

録音:2017年11月1-3日、ボン・セクール教会
*世界初録音
ヴァイオリン奏者のティボー・ノアリ率いるアンサンブル、レ・ザクサンの新譜はバッハに啓発された作曲家たちによる作品をめぐる旅。西洋音楽の父ともよべ るバッハの作品とあわせて、同時代のテレマン、ファッシュやフェルステルや、グラウン、ハイニヒェンらの作品を収録しており、バッハ当時の音楽シーンを俯瞰で きるようです。ノアリの歌うようなヴァイオリンと、二重協奏曲でみせるリコーダーやフルートの名手たちとの掛け合いも非常にたのしめます。 (Ki)
AP-207
ベルク(テオ・ファーベイ編):叙情組曲
ウェーベルン:緩徐楽章M78 (1905)
シュレーカー:間奏曲とスケルツォOp.8
ロベルト・フォレス・ヴェセス(指)
オーヴェルニュ室内O

録音:2017年11月9-11日、2018年3月28-31日/コルドリエ礼拝堂(クレルモン=フェラン)
スペイン生まれ、フィンランドで修業した指揮者ロベルト・フォレス・ヴェセスとオーヴェルニュ室内O待望の新譜登場です。今回は新ウィーン楽派の 3篇。ベルクの「叙情組曲」は、同じベルクのピアノ・ソナタのオーケストラ編曲で知られるテオ・ファーベイによるもので、濃厚きわまりない音世界が広がりま す。またシュレーカーの出世作となった2篇のうち間奏曲は驚くべき美しさを示す秘曲。映画やドラマで使われれば人気がでること間違いなしの隠れた名作 です。 (Ki)
AP-208(3CD)
サリエリ(1750-1825):歌劇「タラール」 クリストフ・ルセ(指)
レ・タラン・リリク
合唱:ヴェルサイユ・バロック音楽センターの歌手メンバーたち(合唱指揮:オリヴィエ・シュネーベリ)
タラール(およびその影)/シリル・デュボワ(テノール)
アスタジ(およびその影)/カリーヌ・デエ(ソプラノ)
アタール(およびその魂)/ジャン=セバスティアン・ブ(Br)
自然、スピネット/ユディト・ファン・ワンロイ(ソプラノ)
カルピーギ/エンゲラン・ド・イス(T)
アルテネ(およびその影)、炎の精/タシス・クリストヤンニス(Br)
アルタモルト(およびその影)、農民/フィリップ=ニコラ・マルタン(Br)
エラミール/マリーヌ・ラフダル=フラン(S)
賢い羊飼い、スピネットの影/ダナエ・モニエ(S)

録音:2018年11月26日プトー、ジャン=バティスト・リュリ音楽院
2018年11月27,28日パリ、シテ・ド・ラ・ミュジーク=フィルハーモニー
※世界初録音
リエリのオペラ「タラール」世界初録音の登場。サリエリ(1750-1825)生前の大成功作品にして、ボーマルシェ(1732-1799)がリブレット(台本)を手 がけた唯一のオペラを、鬼才ルセ&レ・タラン・リリクと豪華歌唱陣による演奏で。この録音に先駆け、ルセはヴェルサイユ宮殿内王立歌劇場で2018年11月 22日に演奏会形式でこの作品を演奏、大きな話題となりました。とにかく素晴らしい音楽が怒涛のように押し寄せる2時間45分の大作。何をとっても話題必至の録音です!
サリエリといえば、映画『アマデウス』により、「モーツァルトの同時代の人」というイメージしかないといっても過言ではありませんが、彼が生きていた当時 サリエリは、ヨーロッパ楽壇の頂点に立つ人物でした。オペラを43曲のこしており、この「タラール」は中で最も成功した作品のひとつです。
初演は1787年。パリの王立音楽アカデミーで初演されました。サリエリが最初にパリで受け入れられたのは1784年、「ダナオスの娘たち」の成功によりま した。その後、パリは「オラース兄弟」そしてこの「タラール」をサリエリに委嘱。「タラール」の台本を手がけたのは、ボーマルシェ。ボーマルシェは「セビリアの 理髪師」や「フィガロの結婚」等、オペラの原作となった戯曲を書いていますが、ボーマルシェが直接台本まで手がけたオペラは、この「タラール」のみ。彼は大 変すぐれたセルフ・プロモーターでもあったため、このオペラが発表される前から巧みに話題作りをし、初演の前から人々は「タラール」をしばしば話題にして いました。上演は大成功をおさめ、1826年までの間に131回も上演されています。
「タラール」の舞台はペルシャ湾の王国オルムス。独裁的な王アタールと、兵士タラール、そしてその妻アスタジの物語。妻アスタジは王アタールのハーレム にとらえられるも、最終的には助けられ、独裁的な王アタールは世を去り、新しく王となるタラールと幸せに暮らす、という物語。ハーレムや独裁的な王が登場 するという点でモーツァルトの『後宮からの誘拐』(1782)とも共通点が見られます。
音楽は、冒頭のプロローグの嵐の烈しい描写から「Nature(自然)」が登場するくだりまで迫力満点で一気に引き込まれます。本編の序曲はシンバルもかき 鳴らされるなどオリエント趣味も含みつつ、急速なパッセージの連続で大変華やか。レチタティーヴォは‘レチタティーヴォ・アッコンパニャート’(オーケストラ 伴奏つきのレチタティーヴォ)で、時にアリア風なパッセージも含むものとなっています。アリアもどれも非常に表情豊か、そして随所に歌手の腕の見せどころ も盛り込まれた充実曲ばかり。プロローグから本編5幕まで、聴きどころ満載の傑作です。ルセの指揮も大変見事。サリエリとボーマルシェが織りなすドラマを、 名手ぞろいのレ・タラン・リリクを率いて息つく間もなくたたみかけるように響かせます。世界でひっぱりだこのシリル・デュボワやカリーヌ・デエらをはじめ豪 華歌唱陣も万全の歌を披露しています。
サリエリの真価を世界中に問う、名作の名演の登場です。 (Ki)
AP-209
太陽王のオペラ
1. リュリ:「オルフェ」(1690)より「 Ah ! que j’eprouve bien que l’amoureuse flamme… 」 (ユリディス)
2. マラン・マレ:「アルシオーヌ」(1706)より序曲
3-5. マラン・マレ:「アリアーヌとバッカス」(1696)より「 Croirai-je, juste ciel ! ce que je viens d’entendre ? 」 (アリアーヌ)
、眠りの交響曲、フルートのためのエア
6. カンプラ:イドメネ(1712/1731年版):シャコンヌ
7. リュリ:アシとガラテ(1686)より「 Enfin, j’ai dissipe la crainte… 」 (ガラテ)
8-9. アンリ・デマレ:キルケー(1694) より「 Sombres marais du Styx, Cocyte, Phlegeton… 」 ( キルケー)、「 Calmez
votre violence… 」 (キルケー)
10. リュリ:ブシュケ(1671)より「 Deh, piangete al pianto mio… 」 (Une Femme affligee)
11.
シュトゥック:Air ajoute a Thetis et Pelee (1708)「 Non sempre guerriero… 」
12. カンプラ:「優雅なヨーロッパ」(1697)より「 Mes yeux, ne pourrez-vous jamais… 」 (Zaide)
13-15. カンプラ:「テレフ」(1713)よりサラバンド、「 Soleil, dans ta vaste carriere… 」 (La Pythonisse)、「 Charmant Pere
de l’harmonie… 」 (La Pythonisse)
16. マレ:アリアーヌとバッカス(1696)よりロンドー
17. カンプラ:「テレフ」より「 Quelle epaisse vapeur tout a coup m’environne ? 」 (La Pythonisse)
18. マレ:「アルシオーヌ」(1706)よりMarche pour les Matelots
19. カンプラ:「イドメネ」(1712)より「 Espoir des malheureux, plaisir de la vengeance… 」 (Ilione)
20. マレ:「アルシオーヌ」(1706)より船員たちの第2のエア
21. モンテクレール:「夏の祭典」(1716)より「 Mais, tout parle d’amour dans ce riant bocage ! 」
22. カンプラ:「イドメネ」(1712/1731年版)より「 Coulez, ruisseaux ; dans votre cours… 」 (Venus)
23. リュリ:「町人貴族」(1670)より「トルコ人の儀式のための行進曲」
24. シュトゥック:「ポリドール」(1720)より「 C’en est donc fait : le roi n’a plus de fils… 」 (Ilione)
キャスリーン・ワトソン(S)
レ・ザンバッサデュール
アレクシス・コッセンコ(指)

録音:2018年9月
イギリス出身の名ソプラノ、キャスリーン・ワトソンのソロ・アルバムの登場。ワトソンはケンブリッジのトリニティ・カレッジでアングロ=サクソン史と 文学を研究するとともに、同カレッジ合唱団でコーラスを学びました。2008年に卒業し、クリスティが主宰するアカデミー「声の庭」に合格、以降活躍 の場を広げています。2019年10月のクリスティの来日時、「メサイア」で素晴らしいソロ(ソプラノT)を務めていたことも記憶に新しい存在です。 ここでは「太陽王のオペラ」と題し、オペラ・アリアと器楽曲をプログラム。カンプラ、マレ、さらにはルイ・ド・リュリの忘れられたオペラ「オルフェ」 からの楽章も入っています。恋に落ちた女性から抒情的悲劇の主人公まで、ワトソンが気品と知性とを兼ね備えた完璧な歌唱力で演じ歌いあげます。彼女 の歌声のまっすぐな美しさ、そしてアンサンブルのメンバーの奏でる音色が、フランス・バロックの粋を提示してくれます。 (Ki)
AP-210
ハイドン:交響曲第87番イ長調
アントニオ・ザッキーニ(1730-1786):「C’est votre bonte que j’implore(私がほしいのはあなたの優しさです)」
グルック:「Fortune ennemie(なんと惨めな生活なのだろう)」『オルフェオとエウリディーチェ』より
ジャン=バティスト・ルモワーヌ:「Il va venir(彼は来るだろう)」『フェードル』より
ヨハン・クリストフ・フォーゲル:「Age d’or, o bel age(おお黄金の時よ)」『デモフォン』より
アンドレ=エルンスト=モデスト・グレトリ:「O sort! Par tes noires fureurs(おお運命よ!)」『サムニウム人の結婚』より
ルイ=シャルル・ラグエ:交響曲 ニ短調 op.10-1
ゾフィー・カルトホイザー(ソプラノ)
ジュリアン・ショヴァン(指) 
ル・コンセール・ド・ラ・ローグ

録音:2018年10月、2019年3月
ジュリアン・ショヴァンの率いるル・コンセール・ド・ラ・ローグによるハイドンのパリ交響曲とその同時代の作品をレコーディングしていくプロジェクト。 今回は交響曲第87番。さらに、その表情豊かな声で世界を魅了しているソプラノ、ゾフィー・カルトホイザーをゲストに迎えてのアリア集、というプログ ラムです。 ル・コンセール・ド・ラ・ローグのモデルとなったのは、1783年に設立され、ハイドンの「パリ交響曲」を献呈されたコンセール・ド・ラ・ローグ・オランピッ ク。ここに収録されたハイドンの交響曲以外もすべてこの団体に捧げられたものです。ハイドンの交響曲以外はほぼすべて歴史に埋もれてしまっていました が、カルトホイザーの表情豊かな歌唱と、ショヴァン率いる管弦楽の見事さで、かつての光を取り戻したようです。 (Ki)
AP-211
アントン・ライヒャ:9つの楽器のためのグランド・サンフォニー・ド・サロン(室内大交響曲)第1番 ニ長調(世界初録音)*
ベートーヴェン:七重奏曲 変ホ長調 op.20
ジュリアン・ショヴァン(Vn)
ル・コンセール・ド・ラ・ローグのメンバー[アンエ・カミロ(Vn)*、ピエール=エリック・ニミロヴィチ(Va)、ジェローム・ユイル(Vc)、ミシェル・ゼオリ(Cb)、アントワーヌ・トルンチュク(Ob)*、トニ・サラール・ヴェルドゥ(Cl)、ハヴィエル・ザフラ(バソン)、ニコラ・シュドマイユ(ナチュラルHrn)]

録音:2019年2月
2017年、ジュリアン・ショヴァンらは、BNFの音楽部門に寄贈されたアーカイヴを調査していた際、失われたと考えられていたライヒャの「9つの楽 器のためのグランド・サンフォニー・ド・サロン(室内大交響曲)」(このCDに世界初録音している)、そして他にも10の楽器のための同タイプの作品 を発見しました。いずれの作品も、明らかにライヒャによるものと断定できる自筆譜のほか、演奏の際に用いられたパート譜(こちらは筆写譜)がそろっ て残されていました。ここに収録された9つの楽器のための作品をレコーディングするにあたり、演奏者たちは、19世紀初頭の楽器を用い、さらに実に パリジャン的な雰囲気の、優れた音響を備えたサロンで録音することができました。このことにより、実にパリ的な空気に満ちた響きの演奏をたのしむこ とができます。
AP-213(2CD)
ハイドン:弦楽四重奏曲集
弦楽四重奏曲 ニ長調 op.50-6「蛙」
弦楽四重奏曲 ニ短調 op.76-2「五度」
弦楽四重奏曲 ハ長調 op.54-2
弦楽四重奏曲 ト長調 op.33-5「ごきげんいかが」
弦楽四重奏曲 ヘ短調 op.20-5
弦楽四重奏曲 ヘ長調 op.77-2
ハンソンQ[アントン・ハンソン、ジュール・ドゥサップ(Vn)、ガブリエル・ラフェ(Va)、シモン・デュシャブル(Vc)]

録音:2018年11月、2019年3月
2013年結成のハンソン四重奏団による初CD、ハイドンの登場です。思わずはっとさせられるような美しくもみずみずしい音色、そして作品の神髄ま でを極めた者にしか為し得ない深みのある対話が魅力です。
ハンソン四重奏団は2013年に、ハット・ベイエルレ(ヨーロッパ室内音楽アカデミー)、エベーヌ四重奏団、そしてジャン・シュレムらのアドヴァイス によって結成されました。ハイドンの弦楽四重奏曲を柱にしながら、細川俊夫、ヴォルフガング・リーム、マティアス・ピンチャーらといった現代の作曲家 作品までをも演奏するマルチな才能を持つアンサンブルです。2016年ジュネーヴ国際音楽コンクール第2位、同年ヨーゼフ・ハイドン室内音楽コンクー ル第2位(ハイドン・プライズ、聴衆賞、20世紀作品のベスト演奏賞も同時受賞)するなど世界がその実力を認めています。
タイトルのALL SHALL NOT DIEは、すべてが死ぬというわけでもない、といった意味の、ハイドンも引用したことのあるラテン語です(Non omnis moriar)。まさにこれらのハイドンの作品が、今なお生き生きとした対話となって響きわたっています。ハンソン四重奏団、注目です! (Ki)
AP-214(2CD)
グレトリ(1741-1813):青ひげラウル[世界初録音] シャンタル・サントン=ジェフリー (ソプラノ/イゾール)
フランソワ・ルジエ(テノール/ヴェルジ)
マチュー・レクロアール(バリトン/ラウル)
マヌエル・ニュネス=カメリーノ (テノール/オスマン)
ウジェニー・ルフェブル (ソプラノ/ジャンヌ、羊飼いの女)
エンゲルラン・ド・イス(テノール/カラビの子爵)
ジェローム・ブティリエ(バリトン/カラバの侯爵)
マリーヌ・ラフダル=フラン(ソプラノ/ジャック)
スタジオ・ヴォーカルズ、
オルケステル・ノルド
マルティン・ヴァルベルク(指)

録音:2018年11月16,17日
ノルウェーのバロック音楽祭と、ヴェルサイユ・バロック音楽センターの共同企画による世界初録音です。グレトリの「青ひげラウル」は1789年3月、フランス 革命の直前に初演され、その後混乱の中忘れ去られてしまったオペラ・コミックで、オッフェンバックにも影響を与えた作品とされています。作曲者のグレトリは ベルギーに生まれフランスで活躍した作曲家で、全部で50ほどのオペラ作品を残していますが、パリに移ってからはコミック・オペラの作曲家として名を馳せ ました。この「青ひげラウル」はシャルル・ペローの童話「青ひげ」の物語にもとづいていますが、台本を手がけたミシェル=ジャン・スデーヌが当時人気のあった 他の物語(ロマンス)とストーリーを合体させることによって、純粋なコメディへと仕立てられています。コミカルなシーンを織り交ぜながら、青ひげラウルとい う残酷な貴族を政治的視点から描いています。 (Ki)
AP-215
モーツァルト:初期交響曲集
交響曲第1番変ホ長調 K.16
コントルダンス第2番変ホ長調 K.609
交響曲第4番ニ長調 K.19
コントルダンス第3番ニ長調 K.609
交響曲 ヘ長調 K.Anh.223/ 19a
コントルダンス第1番ハ長調 K.609
交響曲第5番変ロ長調 K.22
コントルダンス第4番ハ長調 K.609
交響曲 ト長調 Anh.221/ 45a
コントルダンス第5番ト長調 K.609
フライブルク・バロック・オーケストラ
ゴットフリート・フォン・デア・ゴルツ(コンサート・マスター )

録音:2019年2月
モーツァルト若書きの交響曲を、古楽オーケストラの雄、フライブルク・バロック・オーケストラの演奏で。交響曲第1番は1764年、モーツァルトが 8歳の頃の作品。習作的だとも言われてはおりますが、やはりまさに「神童」モーツァルトをあらためて実感させられる作品です。他の作品も子供の頃のモー ツァルトがどんな風だったか、そして、その先に書くこととなる傑作の数々の萌芽がみられるものばかり。フライブルク・バロック・オーケストラが、実に 活き活きと、そしてエレガントに奏でます。交響曲の間に挿入されているコントルダンスは、1791年に作曲されたとされている、モーツァルトの最後の舞曲。 管楽器はフルートが入るのみの編成ですが、第1番は『フィガロの結婚』の有名なアリア「もう飛ぶまいぞ」の旋律を主題とした楽しい舞曲となっていま す。ほかにもにぎやかに太鼓の音がとどろく軍楽調の第3番など、交響曲からオペラまでモーツァルト作品を知り尽くしたFBOの面々だからこそ可能な、 愉悦の極みの名演となっております。 (Ki)
AP-216(2CD)
リュリ:歌劇『イシス』(全曲) タリー、イシス、妖精イオ:エヴ=モー・ユボー(Ms)
名声、メルポメーヌ、ミセーヌ、ジュノン:ベネディクト・トラン(S)
カリオプ、イリス、シランクス、エベ:アンブロワジーヌ・ブレ(Ms)
アポロン、ピラント、フュリ:シリル・オヴィティ(T)
ジュピター、パン:エドウィン・クロスリー=メルセル(バス=バリトン)
ネプチューン、アルゴス:フィリップ・エステフ(Br)
メルキュール:ファビアン・イオン(T)
イエラ:エムリー・ルフェーヴル(Br)
二人の妖精:ジュリー・カルベート&ジュリー・フェルコテレン
クリストフ・ルセ(指)
レ・タラン・リリク
ナミュール室内cho

録音:2019年7月11,13&14日、サル・ガヴォー
サリエリの歌劇「タラール」(世界初録音)で2019年度アカデミー賞オペラ部門を受賞したルセ率いるレ・タラン・リリク。次なるオペラ新譜は、リュリの『イ シス』です。全曲録音は、2005年のレーヌのものから約15年ぶりとなります。この『イシス』は、ローマ神話や古代エジプトの要素をとりいれた、愛 と嫉妬の物語。ジュピターが妖精イオを宮廷に迎えたことによって起きる恋愛騒動を描いています。当時の宮廷でも太陽王のお気に入りだったモンテスパ ン夫人が同様のシチュエーションにあるとして、夫人は台本作家キノーを追放するという事態にまで発展しました。最終的にイオは女神イシスとなりますが、 その物語を音楽化したリュリのオーケストラの手腕は見事。氷の世界での凍えるようなコーラス(パーセルにも影響を与えた)、フルートが妖精シランクス を模倣するシーンも絶品です。冒頭のフランス風序曲の絶妙なテンポ感と気品からオペラの世界に引き込まれます。素晴らしい器楽奏者による切れのよい 管弦楽、そして見事な合唱団と歌唱陣によって、イシスという作品がもつ優雅な雰囲気と魅力のすべてが引き出された名演の登場です! (Ki)
AP-217
テレマン:フランクフルト・ソナタ集
第1番ト短調、第2番ニ長調、第3番ロ短調、第4番 ト長調、第5番イ短調、第6番イ長調
ゴットフリート・フォン・デア・ゴルツ(Vn)
アンネカトリン・ベレル(Vc)
トルステン・ヨハン(Cemb/ポジティブ・オルガン)
トーマス・C.ボイセン(テオルボ)

録音:2018年5月15-18日、フライブルク
フライブルク・バロック・オーケストラのコンサート・マスター兼指揮者として世界で高く評価されているゴルツが、テレマンが若いころに書いたヴァイ オリン・ソナタ集を録音。あまり録音機会のないこれらの作品の、注目の1枚の登場です!
テレマンは1715年にクラヴサンを伴うヴァイオリンのための6つのソナタ集をフランクフルトで出版しました。1708-1712年、テレマンはアイゼナハ の宮廷の楽長兼第1ヴァイオリン奏者を務めながら、セレナーデ、カンタータ、室内・管弦楽作品、宗教音楽を作曲し、自身もバリトン歌手として様々な 自曲の演奏に参加もしていました。1711年に妻が亡くなり、テレマンはフランクフルトの地に移ったと考えられます。これらのソナタはヨハン・エルンス ト4世に捧げられています。すべて4楽章から成り、教会ソナタ(緩―急―緩―急)のスタイルをとっています。当時の出版譜にはヴァイオリンとクラヴ サンのための、と記されていますが、ここでは楽曲によって通奏低音パートの編成をチェンバロ、チェロ、オルガン、テオルボからふさわしい組み合わせを 考慮して演奏されています。テレマンが若き日に書いた旋律が、ゴルツの確信に満ちた表現と、豊かにして輝かしいサウンドで見事に薫りたちます。
AP-219
バッハとヘンデル、架空の出会い
バッハ:ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ第4番 ハ短調 BWV1017
ヘンデル:ヴァイオリン・ソナタ ニ長調 HWV371
バッハ:ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ第5番 ヘ短調 BWV1018
ヘンデル:ヴァイオリン・ソナタ ニ短調 HWV359a
バッハ:ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ第6番 ト長調 BWV1019
リナ・トゥール・ボネ(Vn)
ダニ・エスパーサ(Cemb)

録音:2019年4月29日〜5月1日/スペイン
同じ1685年生まれで対照的な人生を歩んだバッハとヘンデル。バロック時代の最重要作曲家に数えられるふたりは生涯会うことはありませんでした。 このアルバムはバッハとヘンデルのヴァイオリン・ソナタを交互に演奏し、その作風の違いを聴きながら、ふたりの歴史的な音楽家の邂逅を夢想するもの です。
注目のヴァイオリニストとして人気の高まっているスペインの女流奏者リナ・トゥール・ボネ。思い切りがよく、明るく溌剌とした演奏が彼女の特徴と言 えます。自らのアンサンブル「ムジカ・アルケミカ」のメンバーでもある鍵盤奏者、ダニ・エスパーサとの息の合ったやりとりも鮮やか。バッハでは複雑な 対位法の綾をキラキラと粒立ち良く響かせ、ヘンデルでは大らかな旋律と懐の深い和声を自然に屈託なく響かせます。ひとりの演奏家が自分の個性を刻み 付けつつ交互に演奏することにより、かえって作曲家ごとの違い、互いに到達したそれぞれの高みが鋭い対比となって現れてきます。 (Ki)

AP-220(2CD)
ショパン:ノクターン集
夜想曲 ホ短調 op.72(遺作)
夜想曲 嬰ハ短調(遺作)
夜想曲第1番変ロ短調 op.9-1
夜想曲第2番変ホ長調 op.9-2
夜想曲第3番ロ長調 op.9-3
夜想曲第4番ヘ長調 op.15-1
夜想曲第5番嬰ヘ長調 op.15-2
夜想曲第6番ト短調 op.15-3
夜想曲第7番嬰ハ短調 op.27-1
夜想曲第8番変ニ長調 op.27-2
夜想曲第9番ロ長調 op.32-1
夜想曲第10番変イ長調 op.32-2
夜想曲 ハ短調(遺作)
夜想曲第11番ト短調 op.37-1
夜想曲第12番ト長調 op.37-2
夜想曲第13番ハ短調 op.48-1
夜想曲第14番嬰ヘ短調 op.48-2
夜想曲第15番ヘ短調 op.55-1
夜想曲第16番変ホ長調 op.55-2
夜想曲第17番ロ長調 op.62-1
夜想曲第18番ホ長調 op.62-2
ブルーノ・リグット(P)

録音:2019年2月25-28日、サル・コロンヌ(パリ)
巨匠ブルーノ・リグット、久々の新録音の登場。リグットはイタリア人の父とフランス人の母の間にパリで生まれ、サンソン・フランソワの唯一の弟子だっ たことでも知られています。1965年にロン=ティボー国際コンクールに入賞、1966年にはチャイコフスキー国際コンクールでも入賞し、以降国際的に 活躍しています。教育者としても高名で、弟子にはリーズ・ドゥ・ラ・サールら、国際的に活躍しているピアニストを輩出しています。 今回リグットが録音したのは、ショパンのノクターン。1970年代にも何曲か録音しておりますが、このたび全集としてあらためて録音、作曲年代順に収め ています。師フランソワからも「素晴らしい音色と即興的なセンス、そしてロマンチックな詩の心をたくさんもっている」と絶賛されたリグットらしく、非常 にロマンチックな演奏。そして左手の低音がなんともふくよかに響くのが印象に残ります。 (Ki)
AP-221
アッソルータ〜イタリア・オペラ・アリア集
チレア:「アドリアーナ・ルクヴルール」〜私は芸術の神のしもべ
プッチーニ:「トスカ」〜歌に生き、恋に生き
マスカーニ:「カヴァレリア・ルスティカーナ」〜ママも知るとおり
ジョルダーノ:「アンドレア・シェニエ」〜亡くなった母を
プッチーニ:「マノン・レスコー」〜ひとり寂しく
ポンキエッリ:「ジョコンダ」〜私は死のう
プッチーニ:「修道女アンジェリカ」〜母もなく
ベッリーニ:「ノルマ」〜聖らかな女神よ
ヴェルディ:「マクベス」〜勝利の日
 「マクベス」〜消えてしまえ、呪わしいこの染みよ
同:「運命の力」〜神よ平和を与えたまえ
ベ アトリス・ウリア= モン ゾン(S)
ファブリツィオ・マリア・カルミナーティ(指)
トリエステ・ヴェルディ歌劇場O

録音:2019年6月20-29日/トリエステ・ヴェルディ劇場、10月7-10日/サン=ピエール・ルーテル教会(パリ)
ベアトリス・ウリア=モンゾンは1963年生まれのフランスの歌手。父がスペインの有名な画家で、その血ゆえか彼女の演じるカルメンは絶品との評判になって きました。これまでフランス・オペラのヒロインを演じ続けてきた彼女がイタリア・オペラの名アリアに挑戦。
「琥珀色の声」と賞される、彼女の低めの暗い声質がドラマティックなイタリア・オペラにぴったり。彼女が10人のヒロインのさまざまな顔を演じ、悲劇の、狂気 の女性像の情念の美学を堪能させてくれます。 (Ki)
AP-222
ブラームス:幻想曲集Op.116
3つの間奏曲Op.117
6つの小品Op.118
ホルテンス・カルティエ=ブレッソン(P)

録音:2019年4月/リトル・トリベカ(パリ)
ホルテンス・カルティエ=ブレッソンはフランスを本拠に活躍する女流で、いとこは高名な写真家アンリ・カルティエ=ブレッソン。彼女は長年パリ音楽 院で教鞭をとるかたわら精力的に演奏活動も行なっています。最新盤はブラームス最晩年の小品集3点。深い寂寥感に翳りながらも、どこかフランス的 な洒脱さも感じるベテランならではの説得力に満ちています。 (Ki)
AP-223
ベルナール・ド・ビュリ、ラモー、ロワイエ、カルドンヌ、ルクレール、モンドンヴィル、ドーヴェルニュ、ボワモルティエ他の作品集 シャンタル・サントン・ジェフリー(S)
パーセルcho
オルフェオ・オーケストラ
ジェルジ・バシェギ(指)

録音:2017年11月
ランス・バロック音楽のスペシャリストであるシャンタル・サントン・ジェフリーが歌うフランス・バロックの魅力がつまったプログラム。独唱者にも 大人数が必要となる合唱にもヴィルトゥオジティが要求されますが、ここで展開されている演奏はあまりにも見事。当時の演奏者たちのレヴェルの高さは いかほどだったのだろうと時空を越えて思いを馳せてしまう1枚です。 (Ki)
AP-224
男声によるブーランジェ姉妹の気高き世界
ナディア・ブーランジェ:祈り/愛の詩/ヴェルサイユ/聴け、とても甘き歌を/ナイフ/うつろな時/冬の夕暮れ/ エレジー/海
リリー・ブーランジェ:4つの歌【限りなき悲しみに/期待/反映/回帰】
ナディア・ブーランジェ&ラウル・プーニョ:明るい時(全8曲)
シリル・デュボワ(T)、
トリスタン・ラース(P)

録音:2018年3月/パラッツェット・ブルー・ザーネ
教育者として名高いナディア・ブーランジェは妹リリーの天才性を前に作曲を諦めたと言われています。そのナディアの歌曲を17曲も収めた好企画。 ただし、8曲から成る歌曲集「明るい時」は名ピアニストのラウル・プーニョと共作です。カップリングにリリーの「4つの歌」も収めていますが、ナディ アの作も決してひけをとらぬ仕上がりと魅力にあふれています。フランスのテノール、シリル・デュボワはパリ音楽院でナタリー・デセイらに学び、もっぱ らオペラ界で活躍しています。ブーランジェ姉妹の歌曲を10年来温めてきたそうで、説得力あふれる世界を作りあげています。
AP-226(2CD)
ヴィヴァルディ:協奏曲集
[CD1]
・チェロ協奏曲 ト短調 RV 416
・歌劇「救われたアンドロメダ」より”Souvente il sole” RV Anh. 117/ルシール・リシャルドー(Ms)
・2つのチェロのための協奏曲 ト短調 RV 531/第2チェロ:酒井淳
・チェロとファゴットのための協奏曲 ホ短調 RV 409/ファゴット:ハヴィエル・ザフラ
・ピッコロ・チェロのための協奏曲 ト長調 RV 414
・弦楽と通奏低音のためのシンフォニア ハ長調 RV 112
[CD2]
・2つのヴァイオリンと2つのチェロのための協奏曲/パブロ・ヴァレッティ&マウロ・ロペス・フェッレイラ(Vn)、酒井淳(チェ
・チェロ協奏曲 変ロ長調“テレーザのために”よりラルゲット/再構築:オリヴィエ・フレ
・ピッコロ・チェロのための協奏曲 ロ短調 RV 424
・歌劇『ティート・マンリオ』より“緑のオリーヴの枝で”/デルフィーヌ・ガル(C.A)
・チェロ協奏曲 ニ短調 RV 405
・チェロ協奏曲 イ短調 RV 419(アレグロ)
オフェリー・ガイヤール(Vc、指揮)
プルチネッラ・オーケストラ

録音:2019年8月27-9月3日、パリ
親密な音色と感性豊かな音楽が人気のチェリスト、ガイヤール。最新盤は、ヴィヴァルディの協奏曲集。ガイヤールはここでチェロ独奏とアンサンブル による協奏曲のほか、2〜4人のソリストとアンサンブルによる協奏曲をプログラム。ソリストの共演陣も、チェロの酒井淳(齋藤秀雄メモリアル賞、レコー ド・アカデミー賞等受賞)、フライブルク・バロック・オーケストラのファゴット奏者ハヴィエル・ザフラらという豪華な顔ぶれです。
1737年頃ピエタ慈善院にいたテレーザ(1721年生まれ)という若きチェロ奏者のためにヴィヴァルディは3作のチェロ協奏曲を作曲しました。残 念ながらそれらは現在ヴィオラ・パートのみが伝わっているという状況ですが、ここでガイヤールは “テレーザのために” と題された変ロ長調の協奏曲 の緩徐楽章を再構築しています。さらに、ヴァイオリン協奏曲 ハ長調 RV 179/581のカデンツァも挿入しています。歌劇『救われたアンドロメダ』RV Anh.117が雲の中からさっと射す光のよう。ヴィヴァルディ作品の色彩感と陰影に富んだ世界を堪能できる2枚組です! (Ki)
AP-227
異教の夜
(1)ゴーベール:異教の夜
(2)イベール::2つの東洋の歌碑
(3)カプレ:おいで、見えない笛よ
(4)モーリス・エマニュエル:3つのアナクレオン風オドレット
(5)カプレ:私の心を聞いて
(6)ラヴェル:魔法の笛〜「シェエラザード」より
(7)ケクラン:2本のフルートのためのソナタOp.75
(8)ルーセル:ロンサールの2つの詩Op.26
(9)同:笛吹きたちOp.27
(10)ドラージュ:ルーセル讃歌
(11)ドビュッシー:パンの笛(朗読付)
(12)ケクラン:睡蓮〜秋の詩Op.13より
(13)ジョルジュ・ユー:異教の夜
アレクシス・コセンコ(Fl)、
アンナ・ラインホルト(Ms)(1)-(6)(10)-(13)、
エマニュエル・オリヴィエ(P)、
サビーヌ・ドゥヴィエル(S)(8) 、
マガリ・モニエ(Fl)(7)

録音:2019年4月8-10日、5月20日/サンピエール教会(パリ)
古楽指揮者としても名高いアレクシス・コセンコがモダン・フルートで録音した最新盤。近代フランスの作曲家がフルートを効果的に用いた作品を集めた 興味深いもので、その使用法は多種多様。
歌曲にフルートの助奏を加えることは古今東西の作曲家が試みていますが、自身が名フルート奏者だったゴーベールから、やはりフルート曲で知られる ジョルジュ・ユーの同じ詩によるものまで多数収録。いずれもギリシャ風な東洋色が新鮮。そのほかフルート2本によるケクランのソナタでは注目の若手マガ リ・モニエと共演しているほか、ドビュッシーの「パンの笛」ではメゾソプラノのアンナ・ラインホルトが朗読しているのも注目。コセンコのイニシアチヴと多彩 な表現力に驚かされます。 (Ki)
AP-228
楽園にて
ヴァンゲリス:楽園の征服者(映画「1492 コロンブス」より)
アレグリ;ミゼレーレ
ビクトリア:アヴェ・マリア
ブルックナー:われがためキリストは死のもとに
モーツァルト:アヴェ・ヴェルム・コルプスK.618
アルビノーニ(ジャゾット):至福の教え(アダージョ)
フォーレ:楽園にて(「レクイエム」より)
ジョン・ラター:主があなたを祝福し、守られるように
エルガー:永遠の安息(「エニグマ変奏曲」よりニムロッド)
ハワード・ショワ:イン・ドリーム(映画「ロード・オブ・ザ・リング」より)
カッチーニ(ヴァヴィーロフ):アヴェ・マリア
ロッティ:十字架にかけられ給いて
ラインベルガー:夜の歌
モートン・ローリゼン:そう言うだろう
エリック・ウィテカー:金色の光
スタンフォード:青い鳥
マイケル・ダナ:ツィムツーム(映画「ライフ・オブ・パイ」より)
ジョナサン・ダヴ:7つの星を作る者を求めよ
スコット・プライス(指)
ヴォーン枢機卿記念学校スコラ・カントルム
イェスティン・エヴァンス(Org)

2019年7月3-5日/聖ヨハネ福音教会(ロンドン)
ロンドンのヴォーン枢機卿記念学校は、ウェストミンスター大聖堂のヴォーン枢機卿を記念して1914年に設立されたカトリック系学校。学校所属のスコラ・カントルムは1980年創立の少年合唱団で、11-18歳の在学生で構成されています。宗教曲のみならず、「ハリー・ポッター」のサントラにも参加するなど人気の団体となっています。当然ながら男声のみで、ソプラノ・パートはボーイ・ソプラノが担当しています。
このアルバムは彼らの魅力を最大限に発揮した内容で、フォーレの「レクイエム」終曲のタイトルでもある「楽園にて」をテーマにしています。もちろんこの曲も収録されていますが、ボーイ・ソプラノの無垢な響きは天使そのもの。心洗われるひとときを体験できます。
そのほかアルグリの「ミゼレーレ」、ヴィクトリアの「アヴェ・マリア」、モーツァルトの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」をはじめ、エルガーの「エニグマ変奏曲」の「ニムロッド」を合唱曲にした「永遠の安息」など聴きたくなるのものばかり。贋作ながら超人気作であるアルビノーニの「アダージョ」とカッチーニの「アヴェ・マリア」も大歓迎。
さらにヴァンゲリスの「1492」やハワード・ショワ「ロード・オブ・ザ・リング」もとりあげ、これらがアレグリやモーツァルトの合唱曲に優るとも劣らぬ魅力作であることを示してくれます。おごそかなオルガンの響きとともに心癒される一枚です。 (Ki)
AP-230
花を題材とした歌曲集
ジャン・ヴィエネル:花の歌(全50曲)
ミヨー:花のカタログOp.60(全7曲)
サティ:花の歌
オネゲル:静物
リリー・ブーランジェ:2本のおだまきの花
ルネ・ド・ビクセイユ:バラの魂
メロディ・ルルジアン(S)、
アントワーヌ・パロック(P)

録音:2019年3月/ロール(スイス)
ありそうでなかった好企画と申せましょう。メインはクラシックとジャズ両面で活躍したフランスの作曲家ジャン・ヴィ エネルの50曲から成る「花の歌」全曲。各曲のタイトルを見ただけでも聴きたくなるだけでなく、アルバム全体がベル・エポック期のフランスならではのオ シャレな魅力にあふれています。
メロディ・ルルジアンはアルメニア人の父とスペイン人の母の間に生まれたフランスのソプラノ。美しい声質でオペラの世界でひっぱりだこのですが、シャ ンソン風歌曲も驚きの巧さ。フランスならではのメロディにたっぷり浸れます。 名伴奏で知られるアントワーヌ・パロックのピアノも絶妙。花の代りにプレゼントとしても最適のディスクです。
AP-231
ソングス
(1)フォスター:金髪のジェニー
(2)バーンスタイン:クラリネット・ソナタ
(3)アイヴス:母が教えたまいし歌集
(4)コープランドノクターン
(5)プレヴィン:ソング
(6)同:クラリネット・ソナタ
(7)バーバー:カンツォーネ
(8)ガーシュウィン:3つの前奏曲
(9)アイヴス:ラルゴ*
パトリック・メッシーナ(Cl)
ファブリツィオ・キオヴェッタ(P)
マリコ・イナバ=メッシーナ(Vn)*

録音:2019年8月/エクサンプロヴァンス
パトリック・メッシーナは、パリ音楽院を経てニューヨークのマネス音楽大学でリカルド・モラレスに師事したフランスのクラリネット奏者。メトロポリタン 歌劇場の奏者から現在はフランス国立Oの首席クラリネット奏者を務めています。日本でも公開レッスンやマスタークラスでおなじみの存在。
このアルバムはアメリカの作曲家の作品を集めています。オリジナルのクラリネット曲のほか編曲も選ばれていますが、共通するテーマは「歌」。フォスター の名歌「金髪のジェニー」をノスタルジックに歌いあげ、さらにガーシュウィン、バーンスタイン、プレヴィンのジャズとユダヤの歌いまわしなど盛りだくさん。 ガーシュウィンはピアノ曲からの編曲ですが、むしろクラリネットにぴったり。第2曲のブルースが絶品です。
特筆すべきはファブリツィオ・キオヴェッタがピアノ・パートを担っていること。バーンスタインとプレヴィンの本格的ソナタではがっちりとソロを支えています。 (Ki)
AP-232
A.スカルラッティ:聖テオドシアの殉教 レ・ザクサン、ティボー・ノアリ(指)
エマニュエル・ド・ネグリ(テオドシア/ソプラノ)、レナート・ドルチーニ(ウルバーノ/バリトン)、
エミリアーノ・ゴンザレス・トロ(アルセニオ/テノール)、アンテア・ピカニク(デチオ/コントラルト)

録音:2019年9月9‐12日
14世紀ローマ帝国の愛と死のドラマを生き生きと描いたオラトリオの傑作、「聖テオドシアの殉教」。神にその人生を捧げようとし、ローマの有力者の息 子アルセニオの愛をこばむテオドシア。最後は死を選ぶ、という物語です。聖テオドシアは西暦308年、18歳で亡くなっています。この物語をリブレットに 仕立てた人物はわかっていませんが、この物語に音楽をつけたのはA.スカルラッティのみでした。この作品をA.スカルラッティに委嘱した人物や初演日など もはっきりとはわかっていませんが、1683年に初演されたと考えられています。ドラマ自体のもつ劇的な内容と強いメッセージ、そして冒頭の器楽による導 入のソナタとシンフォニア、美しい歌のメロディの連続の傑作ぶりに驚かされる内容です。器楽は2014年にティボー・ノアリによって創設された17,18世 紀の声楽・器楽作品をレパートリーとするアンサンブル、レ・ザクサン。歌唱陣はクリスティにも認められたエマニュエル・ド・ネグリ、レ・タラン・リリク など一流の古楽アンサンブルと共演多数のエミリアーノ・ゴンザレス・トロ、バルトリの薫陶を受け、またクリスティの「声の庭」出身でもあるレナート・ド ルチーニ、そしてスピノージら指揮者との共演でならすアンテア・ピカニクと、第一線で活躍する歌手がそろいました。ナポリ楽派の始祖アレッサンドロ・ス カルラッティの偉大さをあらためて感じる作品です。 (Ki)
AP-233
ラ・フランチェシーナ〜ヘンデルのナイチンゲール
(1)オラトリオ「ヨセフとその兄弟」HWV 59〜預言の言葉が私の胸を狂喜させる
(2)聖チェチーリアの祝日のためのオードHWV76 〜いかなる苦難も音楽を高めることも鎮めることもできない
(3)歌劇「デイダミア」HWV42〜第2幕 その心は私を裏切る
(4)オラトリオ「ベルシャザル」HWV61〜シンフォニア
(5)セメレHWV58〜第3幕 自分自身にうっとりするの
(6)同〜序曲
(7)ヘラクレスHWV60 〜第1幕 わが父よ!
(8)機会オラトリオHWV62〜シンフォニア
(9)歌劇「ファラモンド」HWV39 〜第1幕 あなたの信仰が
(10)オラトリオ「サウル」HWV53〜第3幕 仲睦まじく暮らし
(11)歌劇「デイダミア」HWV42〜第1幕 ナイチンゲールは高い枝に
(12)歌劇「セルセ」HWV40〜第1幕 たとえ不実の影に依っても
ソ フィ・ユ ンカ ー( ソ プ ラノ )
フランク=エマニュエル・コント(指)
ル・コンセール・ド・ロテル=デュー

録音:2019年6月/リヨン
1985年生まれのベルギーのソプラノ、ソフィ・ユンカー待望のアリア集。それもヘンデル作品中でも魅力的なものばかり集めた一枚。ユンカーはバッハ・ コレギウム・ジャパンの世俗カンタータ録音でも抜群の演技力を示していますが、ヘンデルのオペラやオラトリオのヒロインでも芸達者ぶりを発揮しています。
バックを務めるのは1992年にリヨンの同名の病院が創立した古楽器団体ル・コンセール・ド・ロテル=デュー。フランス人指揮者フランク=エマニュエル・ コントの監督下で頭角を現してきています。ユンカーの歌唱ともどもヘンデルならではの美しいメロディの魅力にたっぷりひたれます。 (Ki)
AP-234
アンカンタシオン(呪文)
(1)ブルッフ:コル・ニドライOp.47
(2)ヴィターリ:シャコンヌ
(3)サン=サーンス:交響詩「死の舞踏」Op.40
(4)チャイコフスキー:ゆううつなセレナードOp.26
(5)ブロッホ:ニーグン
(6)ショーソン:詩曲Op.25
(7)梅林茂:「夢二」のテーマ
ヴィルジル・ブテリ=タフト(Vn)
ヤク・ファン・ステーン(指)ロイヤルPO

録音:2019年7月/ロンドン
ヴィルジル・ブテリ=タフトはフランスの若手ヴァイオリニスト。トゥールとパリの音楽院に学んだ後、ブダペスト、ロンドン、テルアヴィヴで研鑽を積 みました。こだわりのレパートリーで注目されています。最新盤はオーケストラ伴奏によりますが、いずれの曲もヴァイオリンが甘美なメロディを歌うので はなく、意味深でやや暗い曲調をミステリアスに奏で聴き手を独特な世界へ誘い入れます。
香港のウォン・カーウァイ監督の「花様年華」(2000)からの「夢二」のテーマが聴きもの。かつてロックバンドEXのリーダーとして活躍、その後数々 の映画音楽で知られる梅林茂の作で、ギドン・クレーメルも録音して話題になりました。 (Ki)
AP-235(2CD)
モーツァルト:『救われたベトゥーリア』KV 118 クリストフ・ルセ(指)、
レ・タラン・リリク、アクサントゥス
サンドリーヌ・ピオー(ソプラノ/アミタル)
アマンダ・フォーサイス(ソプラノ/カーブリ、カルミ)
テレサ・イエルヴォリーノ(メゾ・ソプラノ/ジュディッタ)
パブロ・ベムシュ(テノール/オズィーア)
ナウエル・ディ・ピエロ(バス/アヒオール)
録音:2019年6月22-29日、7月1日/ブローニュ=ビリャンクール、ラ・セーヌ・ミュジカール
1771年、モーツァルトが15歳の時に書いた宗教劇『救われたベトゥーリア』です。モーツァ ルトによる完成された唯一のオラトリオ。台本は1734年に完成サレタメタスタージョによるもので、モーツァルト以前にも、ヨメッリらが作曲、さらにモーツァ ルト以降にはサリエリも1821年に同台本に作曲しています。モーツァルトはこの作品をアラゴナ公ヒメネスの依頼で作曲しましたが、この作品が上演された という記録は残っていません。オラトリオといっても、歌劇・セーリアを思わせるような作風で、冒頭の序曲だけとっても、15歳にしてこれだけの作品を作っ たモーツァルトの神童ぶりにあらためて驚かされるばかりです。ルセとレ・タラン・リリクの見事な管弦楽による、天才モーツァルトの唯一のオラトリオの決 定録音の登場です! (Ki)
AP-236(2CD)
アルマン=ルイ・クープラン:クラヴサン曲集(1751)
組曲ト長調【(1)勝利/(2)アルマンド/(3)クロワシーのクーラント/(4)おしゃべり/(5)グレゴワール/(6)勇ましい人/(7)メヌエット/(8)道化またはアダム/(9)ブランシェ/(10)ド・ボワジルー/(11)フォウケ/(12)セミラントまたはジョリー】
組曲変ロ長調【(1)テュルパン/(2)ガヴォット/(3)メヌエット/(4)ブレイユ/(5)ケロン/(6)悲しむ人/(7)楽しみ/(8)柔らかな感傷/(9)優雅なロンドー/(10)イタリア人/(11)イギリス人/(12)ドイツ人/(13)フランス人】
クリストフ・ルセ(Cemb)(ジャン=クロード・グジョン/ヨアヒム・シュヴァネン作1749/1784。音楽博物館所蔵)

録音:2017年9月25-27日/アンフィテアトル(シテ・ド・ラ・ミュジーク・フィルハーモニー)
近年指揮活動でも高い評価を受けるルセですが、やはりチェンバロ演奏を聴きたいという声も多いなか、待望の最新リリースが登場となります。それもアル マン=ルイ・クープランの2枚組作品集というルセのCD初レパートリー。
アルマン=ルイ・クープラン(1727-1789)はクープラン一族の出で、大クープランことフランソワの従弟の子にあたります。時代的にはC.P.E.バッハなどと 同世代で、チェンバロの伝統がピアノにとってかわられる最後の大物作曲家のひとりでした。彼は宗教作品やオペラを書かず、チェンバロ曲とオルガン曲に専念 しましたが、フランソワ・クープランを崇拝して様式を継承したため時代錯誤と批判もされました。しかし楽器の改良で音域も広がり、大クープランからの進化 は明瞭に感じられます。
当ディスクには1751年の代表作「クラヴサン曲」全25曲が収められています。アルマンド、ガヴォット、メヌエットなどの古典舞曲のほか、イタリア人、イギリ ス人、ドイツ人、フランス人を描いた「四つの国民」など興味深い作品が続きます。ルセの演奏で聴くと、いずれもたいへんな名作に思えます。
ルセはパリの音楽博物館が所蔵するジャン=クロード・グジョン/ヨアヒム・シュヴァネン作(1749/1784)の国宝的名器を用いて録音に臨みました。繊細 かつギャラントな響き、ルセならではの指さばきと洗練された表現で、極上のひとときを味わせてくれます。 (Ki)
AP-237
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ全集
F.A.Eのソナタ〜スケルツォ
ヴァイオリン・ソナタ第1番ト長調Op.78「雨の歌」
ヴァイオリン・ソナタ第2番イ長調Op.100
ヴァイオリン・ソナタ第3番ニ短調Op.108
アイレン・プリッチン(Vn)1725年ジャック・ボキー製
マクシム・エメリャニチェフ(P)1875年製ニューヨーク・スタインウエイ

録音:2020年2月24-28日/サン=ピエール・ルーテル教会(パリ)
1987年に旧レニングラードで生まれ、2011年ヴィエニャフスキ国際コンクールで優秀賞、同年のチャイコフスキー国際コンクールでも入賞したアイレン・プリッ チン。彼がマクシム・エメリャニチェフとブラームスのヴァイオリン・ソナタ全曲に挑戦。
エメリャニチェフはムジカ・エテルナの通奏低音の妙技と存在感で注目され、プリッチンも来日公演時にコンサートマスターを務めるなど、ともにクルレンツィス の薫陶を受ける期待の若手だけに興味津々。エメリャニチェフの指揮はロジェストヴェンスキーが師ですが、クルレンツィスとゲルギエフの影響を強く受け、2018 年に東京SOを振ったブラームスの交響曲第1番は絶賛されました。ブラームス好きを公言する彼がここではピアニストとして登場。それもフォルテピアノで はなく、ソナタ作曲と同時期1875年製のニューヨーク・スタインウエイで雄弁極まりない伴奏を披露しています。 若々しさと音楽の大きさをあわせもつ名盤の登場、ご期待ください。 (Ki)
AP-238
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ集
ピアノ・ソナタ第30番ホ長調Op.109
ピアノ・ソナタ第31番変イ長調Op.110
ピアノ・ソナタ第32番ハ短調Op.111
ファブリツィオ・キオヴェッタ(P)

録音:2020年1月/ドッビアーコ(イタリア)
1976年生まれのスイスのピアニスト、ファブリツィオ・キオヴェッタ。バドゥラ=スコダの愛弟子である彼がベートーヴェン後期三大ソナタに挑戦。淡々 とした中に熱い情熱があふれ出る彼の特質が最大限に発揮できる楽曲だけに、驚くべき深さを示しています。 (Ki)
AP-242
ヴィヴァルディ:四季 アレクサンドラ・コヌノヴァ(Vn)
フランソワ・ソシャール、ドミートリー・セレブレンニコフ、アンナ・ヴァシリエヴァ、マルク・ダニエル・ヴァン・ビーメン、フィリップ・ジョンソン、カーチャ・トラーベ(Vn)、ブリーゼ・テウ・エングストレム、イザベル・マルコワ(Va)、アナスタシア・コベキナ、エリック・ゾルニョッティ(Vc)、アイヴィ・ウォン(Cb)、パオロ・コルシ(Cemb)

録音:2020年8月11-15日/ドメーヌ・ド・ブジー(スイス)
2018年のフォルジュルネ音楽祭にも来日して注目されたアレクサンドラ・コヌノヴァ。1988年モルドヴァ出身で、2012年ヨアヒム国際コンクール優勝、 2015年第15回チャイコフスキー国際コンクール3位の経歴を持つ注目株。今回ヴィヴァルディの名曲「四季」に挑戦しましたが、何と「秋」「冬」「春」「夏」 の順に演奏。
コヌノヴァにとりヴィヴァルディの「四季」は幼時から特別な曲だったとのことで、新型コロナウィルス蔓延期に何か前向きなことができないかと思案の末、 ロックダウン中のスイスでもベランダで隣人たちのために演奏したとのこと。困難な時代でも創造的であり続けるため、生きている証としてこれを録音するに 至りました。 2020年の夏、困難ななかチェロのコベキナを含む仲間たちと録音を決行。久しぶりに音楽をできる若者たちの喜びと生命力がメッセージとして伝わってきます。 (Ki)
AP-243
訛り
ボロディン(ヴァンサン・ポーレ編):だったん人の踊り
ドビュッシー(ベンノ・ザックス編):牧神の午後への前奏曲
コープランドアパラチアの春(原典版)
ヴィラ=ロボス(グスタボ・デ・サ編):ショーロス第5番
ソフィー・ラカーズ:無言の物語*
シモーネ・メネゼス(指)
アンサンブルK
ノン・ガリー(Vn)、
カツペル・ノヴァーク(Vc)、
マーラ・ドブレスコ(P)*

録音:2020年7月6-9日/トゥールコワン音楽院講堂
1977年ブラジル出身の女性指揮者シモーネ・メネゼス率いるアンサンブルKのデビュー・アルバム。アコーディオンも含む13人から成る若きアンサンブルで、 フレッシュな感覚が魅力。さまざまな出自からなる彼らが5つの民族の作品から、その言語と同じく音楽にもある「訛り」を追求しています。 ロシア東方のアジア系民族の音楽であるボロディンの「だったん人の踊り」と南米ブラジルのヴィラ=ロボスに不思議な親近性があったり、コープランドの「アパ ラチアの春」が13楽器のための原典版を使用するなど多くの発見に満ちています。1963年生まれのフランスの女性作曲家ソフィー・ラカーズ作品はアンサンブルのメンバーによるピアノ三重奏。オーストラリアのアボリジニの音楽に基づき、原 始的な活力がロックを思わせる作風となっています。 (Ki)
AP-244(2CD)
サリエリ:歌劇「アルミーダ」(全3幕) アルミーダ:レネケ・ルイテル(S)、リナルド:フローリー・ヴァリケット(S)、イスメネ:テレサ・レルヴォリーノ(Ms)、ウバルド:アシュリー・リッチズ(Br)
クリストフ・ルセ(指)
レ・タラン・リリク、ナミュール室内cho

録音:2020年7月/フィラルモニ・ド・パリ
サリエリのオペラのリバイバルに情熱を注ぐクリストフ・ルセとレ・タラン・リリクが、また新たな宝を世に出してくれました。20歳のサリエリが手掛け、 1771年に発表した最初の本格的オペラ「アルミーダ」。これが認められ名を成していったとされます。序曲やアリアの録音はありましたが、全曲版は世界初とな ります。
トルクアート・タッソの叙事詩「解放されたエルサレム」に基づきますが、同じ題材で1761年にトラエッタ、1777年にグルック、1817年にロッシーニが名 作を残しています。サリエリ版はマルコ・コルテリーニの台本で、キリスト教とイスラム教の東西対立をテーマに、アルミーダ、リナルド、イスメネ、ウバルドの4 名が激しいドラマを繰り広げます。サリエリの音楽はイタリアとフランスの様式の完璧な融合が見られるとされ、はつらつとした世界を楽しめます。
主役アルミーダはアメリンクの秘蔵っ子レネケ・ルイテル。正確さに加え華やかな歌唱で近年ひっぱりだこのソプラノです。恋人リナルドはオリジナルだとカス トラートが指定されていますが、ここではカナダのソプラノ、フローリー・ヴァリケットが宝塚のような魅力で好演。
ルセのサリエリは「タラール」が、2019年度レコード・アカデミー賞オペラ部門賞を受賞していますが、さらに解釈に深みと自信がみなぎっています。モーツァ ルトの敵役として才能が劣ると思われがちなサリエリですが、魅力的なメロディときびきびした語り口でその凄さを再認識させられます。 (Ki)
AP-245(2CD)
ハイドン:交響曲第84番変ホ長調HobT:84*
スターバト・マーテル〜第1部
スターバト・マーテル〜第2部
交響曲第86番ニ長調HobT:86
ジュリアン・ショヴァン(ヴァイオリンと指揮)
コンセール・ド・ラ・ローグ
フローリー・ヴェリケット(S)、アデル・シャルヴェ(A)、レイナウト・ファン・メヘレン(T)、アンドレアス・ヴォルフ(Bs)、
マチュー・ロマーノ(合唱指揮)
アンサンブル・エデス

録音2019年11月メッツ、アルセナル劇場*、10,11月ルーブル美術館オーディトリウム
ュリアン・ショヴァンが手兵の古楽器集団コンセール・ド・ラ・ローグとハイドンの「パリ交響曲」を録音するシリーズの完結盤。当時の演奏慣習に従い、様々 な編成の楽曲でプログラムを構成するのが注目で、今回のメインはスターバト・マーテル。ハイドンとしては遅く厳粛すぎる雰囲気に満ちていますが、深く感動的世 界を味わえます。
一変、2つの交響曲では溌剌とした推進力にあふれ、明るく爽やかな世界にひたれます。
AP-246
タンゴ
(1)グラシエラ・プエヨ:ストラス・メディアノーチェ
(2)アウグスティン・バルディ:何という夜
(3)同:盲目の雄鶏
(4)カルロス・ガルデス:帰郷
(5)フアン・ダリエンソ:7月9日
(6)オラシオ・サルガン&ウバルド・デ・リオ:ワルツ
とお前
(7)ピアソラ:オブリビオン
(8)同:リベルタンゴ
(9)エドゥアルド・アロラス:適切な
(10)クリストフ・ジュリアン:ヴァレンティノ組曲(全4曲)
パスカ ル・コン テ(アコーディオン )
ポール・メイエ(指)
ワロニー室内O

録音:2020年1月8-10日/アルソニック(モンス、ベルギー)
1963年生まれのフランスのコンテンポラリー・アコーディオン奏者パスカル・コンテ。様々なジャンル、様々な楽器とのコラボを意欲的に続けてきた彼が、今 回オーケストラ伴奏でタンゴに挑戦。大半がタンゴの巨匠の作で、王道的な世界を堪能できます。新作では1972年生まれのフランスの作曲家クリストフ・ジュリ アンがサイレント映画のスター、ルドルフ・ヴァレンティノを題材にした組曲も注目。オーケストラの指揮を名クラリネット奏者ポール・メイエが務めているのも興味 津々です。 (Ki)
AP-247
ハイドン:交響曲第99番変ホ長調HobT:99
シューベルト:交響曲第5番変ロ長調D.485
シュテファン・ゴットフリート(指)
ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス
アーノンクール夫妻が1953年に設立したウィーン・コンツェントゥス・ムジクス。アーノンクール没後はシュテファン・ゴットフリートが首席指揮者を務め、 2018年にシューベルトの「未完成」交響曲4楽章版のCD(AP189)で注目されました。
「未完成」に次ぐCD第2弾では、シューベルトの交響曲第5番とハイドンの交響曲第99番のユニークなカップリングに挑戦。ハイドンの交響曲第99番は興行 師ザロモンの依頼による「ザロモン・セット」の1つで1793年の作。クラリネット、トランペット、打楽器などを用いている点が新しく、モーツァルトの音色への近 似が感じられます。実際モーツァルト没後の作品で、彼への追悼を指摘する研究者もいます。
シューベルトの交響曲第5番は1816年、19歳の作。シューベルトならではの旋律美にあふれていますが、書法的には古典派の影響も色濃く残っています。ハイ ドンの99番とは進歩性と遊び心、作曲技法の近似性と感情など共通点の多さを示唆してくれます。
ゴットフリートとウィーン・コンツェントゥス・ムジクスはアーノンクール仕込みの精緻なアンサンブルと生命力に満ちた推進力で極上のウィーン・サウンドを満喫 させてくれます。 (Ki)
AP-248
Cellopera
モーツァルト:「ドン・ジョヴァンニ」より 窓辺においで(マンドリン:ジュリアン・マルテイノー)
 「魔笛」より 愛の喜びは消え
 「ドン・ジョヴァンニ」より 彼女の心の安らぎこそ
ベッリーニ:「カプレーティとモンテッキ」より ああ、幾たびか
ロッシーニ:ウィリアム・テル幻想曲
ドニゼッティ:「愛の妙薬」より 人知れぬ涙
ヴェルディ:「リゴレット」より いつかあなたに会ったときから(四重唱)
 「仮面舞踏会」より 死にましょう、でもその前に
 「ドン・カルロ」より 彼女は私を愛したことがない
プッチーニ:「トスカ」より 星は光りぬ
 「蝶々夫人」より ある晴れた日に
チャイコフスキー:「エフゲニー・オネーギン」より 青春は遠く過ぎ去り
ワーグナー:「タンホイザー」より 夕星の歌
オッフェンバック:「ホフマン物語」より ダイヤモンドの歌
 「ホフマン物語」より 舟歌による幻想曲
 「ラ・ペリコール」より ほろ酔いのアリエッタ
チャイコフスキー:「スペードの女王」より ポリーナのロマンス
オフェリー・ガイヤール( チェロ )
トマシュ・ヴァブニツ(指)
モーフィング 室内O

録音:2020年6月22−25日、ウィーン
気品としなやかさを兼ね備えたフランスの女性チェロ奏者、オフェリー・ガイヤール。王道レパートリーからアイデアと演出の妙が効いた遊び心ある作品までし なやかな感性で弾きこなす人気チェリストのガイヤールの最新盤は、「Cellopera/チェロペラ」と題した、オペラの名アリアをチェロで奏でるという内容。 ガイヤールはこのアルバムの制作のきっかけをこのように話しています。「20年以上前、エクサン・プロヴァンス音楽祭で、ダニエル・ハーディング指揮の「ドン・ ジョヴァンニ」の上演でチェンバロ奏者のエマニュエル・アイムと共に通奏低音として参加した時のことです。歌手の一人がリハーサルを欠席した際に、マーラー・ チェンバー・オーケストラのソロ・チェリストが、オッターヴィオ(T)が歌うアリア「彼女の安らぎこそ」を弾いたのです。それは私にとって恵の瞬間であり、 新しい音楽の窓が開いたのです。もちろん幼い時からオペラには触れてきましたし、往年の名歌手たちの歌唱も私の心に残っています。そして私の、チェロでオ ペラを奏でたいという欲求とオペラの傑作たちに対峙するときにパウル・クレーの「芸術の本質は、見えるものをそのまま再現するのではなく、目に見えないも のを見えるようにするものです。」という言葉を思い出し、この追求と探求の旅に出ることを決心しました。皆様にきっと楽しんでいただけることでしょう。」 チェロは人間の声に近い楽器と言われていますが、ガイヤールの潤いを湛えた繊細な音色や時に力強く、時に親密に語りかける音楽は、より作品の魅力が増し、 オペラ、チェロの両者の新たな扉を開く1枚となっています。
AP-249
アウグスティン・プフレーガー:キリストの生涯と受難 マルティン・ヴァルベルグ(指)
オルケルテル・ノルド、ヴォックス・ニドロシエンシス【ナタリー・ペレス、グンヒルド・アルスヴィク(S)、サミュエル・ボーデン、ヴィクトル・サルド・ヴィツエンテ(T)、ホーヴァンル・ステンスヴォルト(Bs)】

録音:2018年9月27-29日/セルブ教会(ノルウェー)
ノルウェーのチェロ奏者でもある指揮者マルティン・ヴァルベルグが2009年に創設した古楽器アンサンブル、トロンハイム・バロック。17-8世紀作品を主要レ パートリーとし高い評価を受けていますが、2018年にオルケルテル・ノルドと改名してさらなる可能性を模索しています。
今回はアウグスティン・プフレーガー(1635頃-1686)の宗教曲に挑戦。大バッハが生まれる前年に歿したドイツの作曲家で、その先駆的な宗教曲を残してい ます。ここでは彼の宗教コンチェルト6篇を並べ、キリストの生涯と受難を描く大作に仕立てています。声楽アンサンブルのヴォックス・ニドロシエンシスは5構成 名で、ノンヴィヴラートの透明な歌唱を聴かせます。 (Ki)

AP-250
白熱光〜後期ロマン派ヴァイオリン曲集
レスピーギ:ヴァイオリン・ソナタ ロ短調
ドホナーニ:ヴァイオリン・ソナタ嬰ハ短調Op.21
シマノフスキ:ロマンス ニ長調Op.23
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第3番ニ短調Op.108
ステファニー・モラリー(Vn)、
ロマン・ダヴィド(P)

録音:2020年9月/サル・コロンヌ(パリ)
ステファニー・モラリーは1980年生まれのフランスの女性ヴァイオリニスト。11歳の時、パリで行われたモーツァルト神童コンクールで優勝、パリ音楽院とリト アニアのヴィリニュス音楽学校で学んだ後、ボストンでミシェル・オークレールに師事、その後助手となりました。演奏活動のかたわら、ソルボンヌで音楽学を専攻し、 論文「フランスのヴァイオリン・ソナタ」で博士号を習得、その後も興味深い研究を続けています。
このアルバムはブラームスのヴァイオリン・ソナタ第3番をメインに後期ロマン派的色彩の濃い3篇を集めました。アルバム・タイトルの「白熱光」は、燦然と輝く ブラームスのソナタに熱せられて自ら発火したかのような作品を意味しているとのこと。ブラームスのソナタの直系といえるドホナーニ、濃密な情感が独特なシマノ フスキ、イタリアらしからぬ暗さと重さのレスピーギまで、どの曲もピアノ・パートが念入りに書かれていてモラリー長年の相方ロマン・ダヴィドの名人芸も光りま す。ダヴィドはプリュデルマッハーとアンリ・バルダ門下で、モラリーとアンサンブル・シントニアを結成して意欲的な活動を繰り広げています。彼ら十八番のブラー ムスをはじめ、説得力にあふれる演奏を聴かせてくれます。 (Ki)
AP-251
主は偉大なり
(1)パリー:われは喜べり
(2)エドガー・ベイントン:そしてわれは新しき天国を見たり
(3)スタンフォード:3つのモテット
(4)エルガー:主は偉大なり
(5)ジェイムズ・マクミラン:御身の光明を
(6)ジョン・アイアラン:これ以上大きな愛はない
(7)ウォルトン:汝の心を封印するように
(8)パーセル:主よ、私を苦しめる者はどれほど多いのでしょう
(9)ハウエルズ:鹿が谷川を慕いあえぐように
(10)ブリテン:キリストによりて喜べ(祝祭カンタータ)Op.30
(11)ホルスト:今こそ主よ
スコット・プライス(指)
ヴォーン枢機卿記念学校スコラ・カントルム
イェスティン・エヴァンス(Org)

録音:2019年7月3-5日/聖ヨハネ福音教会(ロンドン
ロンドンのヴォーン枢機卿記念学校は、ウェストミンスター大聖堂のヴォーン枢機卿を記念して1914年に設立されたカトリック系学校。学校所属のスコラ・カン トルムは1980年創立の少年合唱団で、11-18歳の在学生で構成されています。宗教曲のみならず、「ハリー・ポッター」のサントラにも参加するなど人気の団 体となっています。当然ながら男声のみで、ソプラノ・パートはボーイ・ソプラノが担当しています。
彼らのaparteレーベル第2弾はイギリスの大作曲家たちによる聖歌集。パーセルから同団の後援者マクミランまで心にしみいる感動的な聖歌を聴かせてくれま す。エルガー、ホルスト、ブリテンなどイギリスを代表する作曲家を網羅しているのも嬉しい限り。
英国王室の戴冠式で必ず歌われるパリーの「われは喜べり」、エルガーならではの壮麗な響き、「惑星」の作曲者であることを強く思い出させるホルストの充実 作まで、イギリスの栄光の歴史を象徴するような合唱の世界を満喫できます。 教会内で聴いているような高品質録音も注目です。 (Ki)
AP-252(2CD)
「ウンディーネ」
カール・ヨアヒム・アンデルセン(1847-1909):海のそばで op.9、エチュード(18の小練習曲 op.41より第14番)、インテルメッツォ(フルートとピアノのための4つの小品 op.51-2)、練習曲(スウェーデン民謡歌曲〜24の練習曲 op.21-4)、バラードと妖精の踊り op.5
グリーグ:抒情小品集より〜鐘の音(第5集 op.54-6)、子守歌(第2集 op.38-1)、孤独なさすらい人(第3集 op.43-2)、風の精(第7集 op.62-1)、小人の行進(第5集 op.54-3)、妖精の踊り(第1集 op.12-4)、スケルツォ(第5集 op.54-5)/ソルヴェーグの歌 op.52-4
ライネッケ:フルートとピアノのためのバラード op.288、「ウンディーネ」〜フルートとピアノのためのソナタ ホ短調 op.167
アレクシス・コセンコ(フルート/ マイヤー (ハノーファー 1880)、Kruspe 「 Reform-Flote 」 (Leipzig 1900)、マイヤー (ハノーファー 1855))
ヴァシリス・ヴァルヴァレソス(P/スタインウェイ(ニューヨーク 1855)、ベヒシュタイン(ベルリン 1912))

録音:2020年9月
ライネッケの「ウンディーネ」を中心に、民話や伝説にインスピレーションを得て書かれた19世紀後半の作品を集めた1枚。フルート、ピアノとも19世紀のもの を使用しており、グリーグの抒情小品集など、より魅力ある味わいがあります。
アレクシス・コセンコは1977年フランス生まれ、モダンおよびピリオドのフルートの両方で活躍するほか、指揮者としては2000年よりマルゴワールの後を継 いで王室大厩舎・王宮付楽団(La Grande Ecurie et la Chambre du Roy)の音楽監督への就任が発表されました。ピアノのヴァルヴァレソスは1998年 に14歳でYCA国際オーディションで第1位を獲得。アメリカで鮮烈なデビューを飾ったのち、室内楽、協奏曲、ソリストとして活躍するほか、ジュリアード音楽院 で博士号も取得、テレビ音楽などの作曲も手がけるマルチな才能で活動を展開しています。 (Ki)
AP-254
ラモー:六重奏によるコンセール
コンセール第1番ハ短調
コンセール第2番ト長調
コンセール第3番イ長調
コンセール第4番変ロ長調
コンセール第5番ニ短調
ティボー・ノアリ(指、Vn )
レ・ザクサン

録音:2020年12月14-16日/サン・ピエール寺院(パリ)
六重奏によるコンセールはラモーの数少ない室内楽作品。6つのコンセールから成ります。ティボー・ノアリとレ・ザクサンは、そのなかから名作「コンセールに よるクラヴサン曲集」全曲を六重奏用に編曲した5つのコンセールに挑戦しています。
三重奏だった「コンセールによるクラヴサン曲集」がより多彩かつ華やかになっていて、各曲の性格付けがさらにはっきり感じられるようになりました。
ティボー・ノアリは1982年生まれ。2006年以来ミンコフスキのグルノーブル=ルーブル宮音楽隊のコンサートマスターを務めるほか、カウンターテナーのフィ リップ・ジャルスキと共演したり、同じくミンコフスキから目をかけられたチェンバロのフレンチェスコ・コルティとデュオを組んだりと、活躍が注目されています。
ノアリ率いるピリオド楽器アンサンブル「レ・ザクサン」はヴァイオリン3、ヴィオラ、チェロ2の編成で、クラヴサンを含まないラモーの世界を描いています。 (Ki)
AP-255
リュリ:ヴィーナスの誕生
(1) 宮廷バレエ「ヴィーナスの誕生」LWV27(全曲)世界初録音
(2) 「偽装した愛の神たちのバレエ」LWV21〜ああ、リナルド、どこにいるの?
(3) 「プシシェ」LWV45〜イタリア人の嘆き
(4) 「謝肉祭」LWV52〜私はまさしく医者
(5) 「町人貴族」LWV43〜アルルカンのシャコンヌ
デボラ・カシェ(S)(1)(3)(4)、
ベネディクト・トラン(S)(1)(4)、
アンブロワジーヌ・ブレ(Ms)(1)(2)、
シリル・オヴィティ(T)(1)(3)(4)、サミュエル・ナモッテ(Br)(1)、
ギヨーム・アンドリュー(Br)(1)(3)(4)、
フィリップ・エステフ(Br)(1)(4)、
ナミュール室内cho(1)
クリストフ・ルセ(指)
レ・タラン・リリク

録音:2021年1月11-12日/シテ・ド・ラ・ミュジーク(フィラルモニ・ド・パリ)
リュリ作品の普及と録音に心血を注ぐクリストフ・ルセとレ・タラン・リリク。これまでリリースした7篇の歌劇はいずれも高い評価を受けましたが、今回宮 廷バレエ(バレ・ロワイヤル)作品に初挑戦。1665年初演の「ヴィーナスの誕生」で、世界初録音。
宮廷バレエはフランス王ルイ14世時代に発達した舞踊劇で、王族が楽しむものでした。声楽が入る点で歌劇的な要素も強く、リュリの真骨頂が発揮されます。 フランス映画「王は踊る」(2000)でも描かれているように、リュリの宮廷バレエはルイ14世自身が踊るために作ったもので、「ヴィーナスの誕生」はルイ王の 義妹アンリエットがヴィーナスを、王がアレクサンダー大王を演じました。
全2部、12のアントレから成る55分ほどの作品で、ギリシャ神話の神々オールスターキャストで有名なエピソードを綴り、華やかかつ英雄的に太陽王ルイ 14世の権力を象徴します。それはリュリの政治的野心ではなく、強い愛の証であることをルセが見事に表現しているのもさすが。性格で精緻なリズムを重視し たリュリならではの舞曲の面白さ、独唱と合唱のコントラスとなど充実度満点。最後はリュリならではの抒情悲劇的な作風も顔を出します。
フィルアップには「偽装した愛の神たちのバレエ」「プシシェ」「謝肉祭」のアリアや重唱、「町人貴族」のシャコンヌをルセならではの冴えた解釈で聴かせてくれます。 独唱陣もルセの信任厚い若手実力派揃いで、リュリの「ヴィーナスの誕生」がこれまで録音されなかったのが信じられないほど楽しく充実した世界を描いています。
AP-256(2CD)
テオボン夫人の写本
■Disc1
ニ短調の小品
作者不詳::前奏曲*/シャンボニエール:重々しさ(アルマンド)/ゴルチエ(ダングルベール編):古き不滅のゴルチエのクーラント/作者不詳::乞食のブラーンル*/ゴルチエ(ダングルベール編?):ジグ/作者不詳:美しき羊飼いティルシスハ長調の小品
ダングルベール(?):前奏曲*/リュリ:「テセウス」〜マルスの降臨とメヌエット/作者不詳:ブドウの収穫があるのでさようなら/「アシスとガラテ」〜リゴドンI & II/ダングルベール:ダングルベール氏のシャコンヌ/作者不詳:メヌエットとドゥーブル*
ト短調の小品
リュリ:「ヴェルサイユの洞窟」序曲/同:「アティス」〜エコー/同:リュリ氏のクーラント/同:「ヴェルサイユの洞窟」〜楽しみを享受しましょう/同:「ヴィーナスの誕生」〜冥界の神*/ジャン・ルソー:ロンドーによるジグ/リュリ:エール第2番/同:アルミードの眠り/同:アルミードのパサカイユ/同:アティスの楽しい夢/作者不詳:サラバンド*
変ロ長調の小品
ガスパール・ルルー(?):前奏曲*/リュリ:アティスの終わりの夢/同:アティスの終わりの夢のエア第2番
イ短調の小品
ダングルベール(?):前奏曲*/リュリ:リュリ氏のアルマンド/作者不詳:あなたに会わず2日も過ごした/アルデル:ガヴォット&ルイ・クープラン:ドゥーブル/リュリ:ジョコンドのエール(アルマンド)
■Disc2
ニ短調の小品
作者不詳:前奏曲*/ダングルベール:スペインのフォリア/作者不詳:「私たちの船で」リゴドン第1、第2番/作者不詳::クリスマス
ヘ長調の小品
シャンボニエール:おお美しい庭(サラバンド)/作者不詳:ジグ/シャンボニエール(?):サラバンド*
ハ長調の小品
作者不詳::前奏曲*/ダングルベール:アルマンド/シャンボニエール:クーラント「イリス」&ドゥーブル/モンナール:サラバンド/リュリ:ガラテのシャコンヌ/同:カドモスの行進/ルベーグ:ガヴォット/作者不詳:カナリア*/作者不詳:メヌエット*
ト短調の小品
リュリ:「アモルの勝利」〜アポロンの入場/同:「アモルの勝利」〜アントレの組曲/ゴーチエ:喜び/作者不詳::リゴドンI & II*/リュリ:「イシス」〜ミューズたちの前奏曲/同:ロンドーによるエール*/同:「ミューズたち」〜ムーア人のエール/?同:「ミューズたち」〜ムー
ア人のエール第2番/同:「町人貴族」〜アルルカンのシャコンヌ
ハ長調の小品
作者不詳:前奏曲*/作者不詳:ヴォードヴィユ*/ゴルチエ(ダングルベール編?):ジグ/作者不詳:フローラのメヌエット
ト長調の小品
リュリ:「フェアトン」前奏曲/同:「村の婚礼」〜ロランの花嫁/同:「村の婚礼」〜ロランの花嫁のエール第2番/作者不詳:若きイリ
ス/リュリ:「ロラン」〜ロジスティユ/同:フェアトンのシャコンヌ/同:アマディスのメヌエット/シャンボニエール:若きゼフィールのサラバンド/リュリ:「四季」〜フォンテーヌブローのリトルネッロ/作者不詳::メヌエット*/作者不詳:サラバンド*
クリストフ・ルセ(チェンバロ
1704年ニコラ・デュモン製

録音:2020年11月29-30日/パリ
*世界初録音
近年指揮者として高く評価されるルセですが、やはりチェンバロ演奏が聴きたくなります。待望の新録音、それも彼が特別な愛着を示すリュリ作品を中心として いるのが興味津々。
これらはリディ・ド・ロシュフォール=テオボン夫人(1638-1708)所蔵の写本で、何とルセ自身が2004年にオークション・サイトebayで見つけて落札した 唯一無二の楽譜によります。Ebayの出品者コメントには「18世紀のハープシコード曲集」とありましたが、ルセは一瞥して17世紀の、それも超お宝であること を見抜き入手することができたとのこと。
楽譜集に収録された約80曲のうち34篇はリュリ作品のチェンバロ用編曲で、あまり鍵盤作品を残していないリュリだけにルセの喜びぶりが想像できます。最 高の落札者を得た手書きの楽譜が3世紀以上を経て、ふさわしい奏者により蘇ったと申せましょう。
ルセは曲順に弾くのではなく、調性別の組曲のようにまとめて統一感を図っています。幸運なことに1704年ニコラ・デュモン製の修復済のチェンバロも入手す ることができ、それを用いてのレコーディングとなりました。
多くはリュリの歌劇からの編曲ですが、原曲を誰よりも研究しているルセゆえ神業的な出来となっています。古楽研究者、古楽ファンは見逃すことのできない 新譜です。 (Ki)
AP-257
彼女のための歌
プーランク:愛の小径/ヴァイオリン/花/小さな水差し
アーン:クロリスに/恋する乙女
フォーレ:マンドリンOp.58の1/イスパハーンのバラOp.39の4
ドビュッシー:星月夜/美しい夕暮れ
フレデリック・シャスラン:彼女のための歌(全7曲)(2017)
 裸体(全7曲)(2020)
ジュリー・シェリエ =ホフマン(S)
フレデリック・シャスラン(P)

録音:2020年8月25-28日/コレジアル・サン=モール(アトンシャテル)
ジュリー・シェリエ=ホフマンはフランスのソプラノ。ナンシー音楽院で声楽とハープを学んだ後、サンタ・チェチーリア音楽院でレナータ・スコットとテレサ・ベ ルガンサに師事。ナンシー音楽院でクリスティアーヌ・シュトゥッツマン(ナタリーの母)からフランス歌曲の素晴らしさを開眼させられて以来、このジャンルを真摯 に追い続けています。
このアルバムは、フランスの作曲家たちが女性からインスピレーションを受けて作った歌曲を1世紀にわたり集めています。それらは女性の様々な面を扱い、フラ ンスの作曲家たちがどのような想像力を働かせたかを知ることができます。多くは名作として誰もが知る曲ですが、ピアノを受け持つフレデリック・シャスランの 新作2篇も収められています。 (Ki)
AP-258
ドレスデンのオーケストラのためにVol.1「序曲」
ヨハン・ダーヴィト・ハイニヒェン:ソナタ「エルベ川上のディアナ」
ヤン・ディスマス・ゼレンカ:オラトリオ「青銅の蛇」ZWV 61〜邪悪な者を退けた
同:オラトリオ「贖い主の墓前の悔悛者たち」ZWV 63〜序奏
テレマン:ヴァイオリン協奏曲ニ長調TWV 53:D5
ハイニヒェン:ミサ曲第12番〜聖霊にして
E同:ミサ曲第9番〜コンチェルティーノ/十字架に付けられ
クヴァンツ:2つのフルートの為の協奏曲ト短調QV 6:8a
ヨハン・ゲオルク・ピゼンデル:ソナタ ハ短調
ファッシュ:2群のオーケストラの為の序曲
ゼレンカ:神の御子のミサZWV 20〜キリストよ憐れみたまえ
ハイニヒェン:協奏曲ヘ長調
コリーヌ・デュティユール(Ms)、
ステファン・マクラウド(Br)、
ステファノ・ロッシ(ヴァイオリン)ほか
アレクシス・コセンコ(指)
レ・ザンバサドゥール、ラ・グランド・エキュリ

録音:2020年11月30日-12月2日/ロワイモヨン修道院
1709年から半世紀間、ザクセン選帝侯アウグスト一世及び二世時代のドレスデンはヨーロッパ最高の音楽家を集め、そのオーケストラは「世界で最も壮大」と 賞されていました。大バッハがワイマールやライプツィヒで活躍していたのと同時期、ドレスデンの宮廷で繰り広げられた華麗でまばゆいばかりの作品を集めたシ リーズの第1弾は「序曲」。
関係作曲家たちは、そのオーケストラの機能を最大に生かした作品を生み出しました。多くは歌手が主役を務めますが、器楽奏者たちの名人芸も反映されていて 聴き応え満点。フルート奏者で指揮者のアレクシス・コセンコが2010年に創立した若い古楽器団体レ・ザンバサドゥールの妙技にひたれます。 (Ki)
AP-259
ジョスカン・デ・プレ:世俗曲と電子音
(1)キスしておくれ/(2)どんな悪より早い噂よ/(3)いとおしい形見よ/(4)美しい人、あなたの愛のために/(5)ベルナルディーナ/(6)川端の茂みの陰で/(7)美しい愛/(8)リ(チェルカー)ダ/(9)ああ、あなたは美しい/(10)サヴォワのベルジュレット/(11)ギヨームは暖まって〜コオロギ/(12)ウニゾノ2/(13)ニンフ、森の精/(14)私は笑う/(15)フォイボスの輝き/(16)お前がこんなに好きだ/(17)限りない哀惜/(18)愛す
る人よ、さようなら/(19)もはやいかなる哀惜もなく/(20)3声のベルナルディーナ
ジャン=クリストフ・グロッフェ(指)テレーム、
ニコラス・ブッツィ(ブックラ・シンセサイザー)、ルドヴィク・ヴァン・ヘレモント(オンド・マルトノ)
(13)のみマチュー・ロマナンス(T)、シモン・マクハーレ(Br)、ルイス・ネイバー(Bs)

録音:2021年4-5月/セント・マルティン教会(マグデン、スイス)
テレームは2013年にジャン=クリストフ・グロッフェがバーゼル・スコラ・カントールム出身者で結成した声楽アンサンブル。名称はラブレーの「ガルガンチュア」 に登場する理想郷。アンサンブルは可変で、ジャンルを超えたミュージシャンをはじめダンサーや役者とも共演するクリエイティヴな志向が注目されています。
このアルバムは、ジョスカン・デ・プレ作品を大胆で独創的に解釈し、ルネサンス語法と非常に異なる音(オンド・マルトノ、電子ピアノ、ブックラ・シンセサイザー) と組み合わせることで、ポップな感覚され感じさせる世界を創り出しています。違和感は全くなく、電子音が教会内に響く合唱の余韻さながらの美しさで、500年 をタイムスリップしたかのようなイマジネーションあふれるひとときを提供してくれます。
AP-260(14CD)
Musica Imperialis
■CD1
Battaglia und Balletto〜戦争とバレエ ウィーンのバロック音楽
シュメルツァー:皇帝風セレナーデのためのハ調によるアリアを伴うソナタ/音楽による剣術の学校/フェルディナンド三世の死によせるラメント/アリアをともなうセレナータ
ビーバー:6声のソナタ“Pauernkirchfahrt”/トランペット、弦と通奏低音のための5声のソナタ/バターリャ(1673)/セレナーデ“Nachtwaechter”
アレッサンドロ・ポリエッティ(1641-1683):Das Henner und
Hannerngeschrayに基づくカンツォンとカプリッチョ
パヴェル・ヨーゼフ・ヴェイハノフスキ(1640-1693):ソナタ・ラ・ポスタ/ヴァイオリン、トランペット、トロンボーンと通奏低音のためのソナタ/8声のソナタ
■CD2
フェルディナンド3世(1608-1657):聖歌“Jes Redemptor omnium”/4
声の聖歌“Deus Tuorum”/8声の聖歌“Hamanae Salutis”
シュメルツァー(c.1620-1679):フェルディナンド3世の死のラメント
皇帝ヨーゼフ1世(1678-1711):カンタータ「レジーナ・チェリ」
皇帝レオポルト1世(1640-1705):ソナタ・ピエナ/”Laudate Pueri”
■CD3
レオポルト1世の宗教音楽
モテット、ミゼレーレ、3つの晩課
■CD4
ヨハン・カスパール・ケルル(1627-1693):オルガン作品
■CD5
ヨーゼフ・フックス(1660-1741):Victimae paschali laudes(セクエンツ)/キリストの聖体のミサ/Plaudite, Sonat Tuba(モテット)/Paries Quindem
Filium(モテット)
■CD6-7
ヨーハン・ヨーゼフ・フックス(1660-1741):La Deposizione dalla Croce di Gesu Cristo Salvator Nostro(われらが救世主イエス・キリストが十字架からおろされるとき)(宗教作品)
■CD8-9
ヨーハン・ヨーゼフ・フックス(1660-1741):Il fonte della salute(健康の泉)(宗教作品)
■CD10-11
ニコラ・ポルポラ(1686-1768):オラトリオ『ギデオン』
■CD12
モーツァルト:合唱曲集
「戴冠ミサ」 K317
「聖墓の音楽」 K42〜ソプラノ、バス、混声合唱、オルガン、管弦楽のためのカンタータ
教会ソナタ集 ヘ長調 K244, 変ホ長調 K67, ハ長調 K329
■CD13
モーツァルト:オルガン作品集
ファンタジア ヘ短調 K608、ファンタジア ヘ短調 K594、アンダンテ ヘ長調 K616、序曲 ハ長調 (K399より)、ジーグ ト長調 K574、アダージョ ハ長調 K536、フーガ ト短調 K154、フーガ 変ホ長調 K153、フーガ ト短調 K401
■CD14=レオポルト2世の戴冠礼拝の音楽の再現=
モーツァルト:ミサ・ソレムニス
作曲者不明:Asperges me
アルフレヒツベルガー(1736-1809):Veritas mea(グラドゥアーレ(奉献唱)ハ長調)
モーツァルト:Splendete te, Deus; K. Anh.121、ハ長調
マルティーニ:トッカータ ハ長調
ミヒャエル・ハイドン:タントゥム・エルゴ ト長調
サリエリ:テ・デウム(戴冠式のための)
イルジー・イグナツ・リネク(1725-1791):KronungsIntraden(ハ長調)
グレゴリオ聖歌より
■CD1
マルティン・ハーゼルベック(指)ウィーン・アカデミーO
グナール・レツボール(Vn)、アンドレアス・ラックナー(ソロ・トランペット)ほか
録音:1995年5月
■CD2
マルティン・ハーゼルベック(指)ウィーン・アカデミーO、リンダ・ペリッロ(S)、イェルク・ヴァシンスキ(S)、ダヴィド・コルディエ(A)、ヘニング・ヴォス(A)、アキム・クラインライン(T)、ウルフ・ベストライン(Bs)、マルコス・フィンク(Bs)
録音:1997年10月
■CD3
イェルク・ヴァシンスキ(S)、ダヴィド・コルディエ(A)、ヘニング・ヴォス(A)、アキム・クラインライン(T)、マルコス・フィンク(Bs)、マルティン・ハーゼルベック(指)ウィーン・アカデミーO
録音:1997年10月14-16日
■CD4
マルティン・ハーゼルベック(オルガン/クロスターノイブルク修道院、祝祭オルガン)、スコラ・オブ・ザ・ヴィエナ・インペリアル・チャペル&フーベルト・ドプ(合唱指揮)
録音:1992年10月
■CD5
マルティン・ハーゼルベック(指)ウィーン・アカデミーO、ダヴィド・コルディエ(A)、ドリュー・ミンター(A)、ヨハンネス・クム(T)、クラウス・メルテンス(Bs)、録音:1997年5月19-22日
■CD6-7
ドロテア・レッシュマン(聖母マリア)、ソイレ・イソコスキ(マグダラのマリア)、デレク・リー・ラジン(エヴァンゲリスト)、ヘルムート・ヴィルトハーバー(ジュゼッペ・アリマテオ)、フランツ=ヨーゼフ・ゼーリヒ(ニコデモ)、ザンクト・フローリアン少年&男声合唱団〈合唱指揮:フランツ・ファルンベルガー〉、マルティン・ハーゼルベック(指)、ウィーン・アカデミーO
録音:1992年9月
■CD8-9
マルティン・ハーゼルベック(指)ウィーン・アカデミーO
小池久美子(S)、リンダ・ペリーリョ(S)、ウルスラ・フィードラー(S)、ヘニング・フォス(C-T)、ヨハンネス・チュム(T)、フォルフガング・ヴァンクル(Bs)
録音:1999年3,4月
■CD10-11
カイ・ヴェッセル(ギデオン)、ウルフ・ベストライン(ヨアス、ギデオンの父)、リンダ・ペリッロ(S)、ヘニング・ヴォス(A)、イェルク・ヴァシンスキ(C-T)、ヨハンネス・クム (T)、コリン・メイソン&ベルント・ランバウアー(合唱ソロ)、ヴォーカル・アンサンブル・ノヴァ(コリン・メイソン:合唱指揮)、マルティン・ハーゼルベック(指)、ウィーン・アカデミーO
録音:1998年4月
■CD12
エディト・ヴィーンス(S)、ベルナルダ・フィンク(A)、ヴェルナー・ホルヴェク(T)、トーマス・ハンプソン(Bs)、コンチェントゥス・ヴォカリス、マルティン・ハーゼルベック(指)、ウィーン・アカデミーO
録音:1990年6月
■CD13
マルティン・ハーゼルベック(オルガン/ブレッサノーネ大聖堂、ボルツァーノ(イタリア))
録音:1989年9月
■CD14=レオポルト2世の戴冠礼拝の音楽の再現=
ルート・ツィーザク(S)、エイザベト・フォン・マグヌス(A)、ヘルムート・ヴィルトハーバー(T)、ゴットフリート・ホルニク(Bs)、ヘルムート・ヒュットラー(カントール)、ミヒャエル・ヤンコヴィッチ(カントール)、ペーター・イェロジッツ(カントール)、ウィーン王立礼拝堂学生cho、ヒューゴ・ディストラーcho、インゴマール・ライナー(ポジティフ・オルガン)、マルティン・ハーゼルベック(指)、ウィーン・アカデミーO
録音:1992年4月
オルガン奏者にして指揮者のハーゼルベックが1985年に設立したオーケストラ、ウィーン・アカデミーOによる貴重な録音のボックスが登場。ウィーン・ アカデミー管はHIPにこだわったスタイルで知られており、バロックからロマン派まで(珍しい作品もふくむ)、非常に意欲的に取り組んでいます。このボックスは、 ハプスブルク家にゆかりのある音楽をあつめています。ハーゼルベックがこうした音楽に着目するきっかけは、自身が1976年、ハプスブルク家が重要な行事礼拝 をおこなった教会でもあるアウグスティーナー教会のオルガン奏者に就任、さらに1978年には、ホーフブルク王宮礼拝堂のオルガン奏者に就任したことによりま す。礼拝堂のライブラリーには、シュメルツァーやビーバー、フックスら、さらには音楽を愛した皇帝たちの作品の楽譜など貴重な資料が多数おさめられておりまし た。このボックスには、ハーゼルベックとウィーン・アカデミー管が1989年から1999年にかけておこなった録音の中から、フックスのオラトリオや、ポルポラの オラトリオなどの貴重な作品から、音楽を愛したヨーゼフ1世やフェルディナンド3世、レオポルト1世による作品までが含まれています。どれも非常に丁寧な演奏。 レツボールや若きトーマス・ハンプソンが参加しているものもあり、大注目のボックスです!
AP-261
NOT ALL CATS ARE GREY
リゲティ:弦楽四重奏曲第1番「夜の変容」
バルトーク:弦楽四重奏曲第2番イ短調
デュティユー:夜はかくの如し
ハンソンQ【アントン・ハンソン(Vn)、ジュール・ドゥサップ(Vn)、ガブリエル・ラフェ(Va)、シモン・デュシャブル(Vc)】

録音:2021年4月
2013年に結成されたハンソン四重奏団、第2弾は「夜」をキーワードとする作品集。第1弾のハイドン(AP213)では、「ALL SHALL NOT DIE」という意 味深いタイトルがつけられておりましたが、今回は「NOT ALL CATS ARE GREY」。これは、「暗闇ではネコはみなグレーに見える」という英語のことわざ(見た 目は大事じゃない)にひっかけたもので、暗闇(夜)にインスピレーションを得て書かれた作品が並びます。デュティユーの名曲にして難曲「夜はかくの如し」は非 常にふくよかで音楽的。堆積した音色が織りなすハーモニー、無機的とも思える音型のひとつひとつに血がかよった、あたたかみすら感じられる演奏。「夜」のもつ 秘密めいた雰囲気や情景が美しく様々にうかびあがってくるようです。
ハンソン四重奏団は2013年に、ハット・ベイエルレ(ヨーロッパ室内音楽アカデミー)、エベーヌ四重奏団、そしてジャン・シュレムらのアドヴァイスによって結 成されました。ハイドンの弦楽四重奏曲を柱にしながら、細川俊夫、ヴォルフガング・リーム、マティアス・ピンチャーらといった現代の作曲家作品までをも演奏す るマルチな才能を持つアンサンブルです。2016年ジュネーヴ国際音楽コンクール第2位、同年ハイドン室内音楽コンクール第2位(ハイドン・プライズ、 聴衆賞、20世紀作品のベスト演奏賞も同時受賞)するなど世界がその実力を認めています。 (Ki)
AP-262
アラビアータ(激辛)風協奏曲集
テレマン:2つのホルンの為の協奏曲TWV52:D2
プラッティ:オーボエ協奏曲ト短調
ヴィヴァルディ:ファゴット協奏曲変ホ長調RV483
ジェミニアーニ:コレッリによる合奏協奏曲ニ短調「ラ・フォリア」
テレマン:交響曲ト長調「コオロギ」TWV50:1
ゴットフリート・フォン・デア・ゴルツ(指)
フライブルク・バロック・オーケストラ、
ヘイス・ラシュール&リカルド・ロドリゲス(Hrn)、
アン=カトリン・ブリュッゲ マン( オーボ エ ) 、
ハビエル・サフラ(Fg)

録音:2020年10月26-28日/フライブルク・アンサンブルハウス
17世紀イタリアは唐辛子の一大消費地でしたが、同時に名人芸爆発するバロック音楽の発祥の地でもありました。プラッティ、ヴィヴァルディ、ジェミニアーニの 協奏曲はその代表と申せましょう。それらはドイツにも影響し、ここに収められたようなテレマンの作品が生まれました。
1987年創立のフライブルク・バロック・オーケストラが音楽監督ゴットフリート・フォン・デア・ゴルツの指揮でこれらスリリングなヒリヒリする作品から耳で 辛みを感じる演奏を繰り広げています。 (Ki)
AP-263
アンドレアス・ショル〜カンシオネス
(1)ブローウェル:イギリス民謡集〜彷徨える人/サリー・ガーデン/流れは広く*
(2)同:アン・アイディア(エリの為のパッサカリア)
(3)同:愛の歌集(全3曲)*
(4)バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番ト長調BWV1007
(5)シュテルツェル:あなたがそばにいれば*
(6)バッハ:すべての善きものの源泉BWV445*
(7)同:主よ、人の望みの喜びよBWV147*
(8)ブローウェル:新しい単純な練習曲〜シマノフスキ讃
アンドレアス・ショル(C.T)*
エディン・カラマーゾフ(リュート(4)-(7)、ギター(1)(2)(3)(8))

録音:2018年11月13-16日
スタジオ7フレンドシップ(キードリヒ)
ヤーコプスの秘蔵っ子としてハルモニア・ムンディから衝撃のデビューを果たしたアンドレアス・ショルも、今年54歳の大ベテランとなりました。彼が数年来コン ビを組んでいるボスニア・ヘルツェゴヴィナ出身のリュート、ギター奏者のエディン・カラマーゾフと共演したアルバムをAparteレーベルからリリース。久々の待 望新譜となります。
ショルといえば古楽のイメージが強いものの、彼とカラマーゾフふたりのためにレオ・ブローウェルが2015年に編曲した5つのイギリス民謡集から3篇を披露。 名曲「サリー・ガーデン」の情感は人生経験を積んだショルの深い音楽性を示してくれます。
またロルカほかスペイン語の詩による「愛の歌集」も絶品。「主よ、人の望みの喜びよ」が収録されているのもサービス精神を感じさせます。
嬉しいのはカラマーゾフのソロも含まれていること。ブローウェル作品に加え、バッハの「無伴奏チェロ組曲第1番」(全6曲)をリュートで披露。バーゼル・スコ ラカントールムでホプキンソン・スミスに師事したカラマーゾフは、ショルのみならずヒリアード・アンサンブルやスティングとも共演する幅広さ。最高の癒しの時を 提供してくれます。
AP-264
マラン・マレ:1本または2本のヴィオールの為の作品集 第1巻(1686)
ヴィオールと通奏低音の為の組曲 ニ短調
メリトン氏のトンボー ト短調
ヴィオールと通奏低音の為の組曲 ト短調
2本のヴィオールと通奏低音の為の組曲 ト長調
2本のヴィオールと通奏低音の為の組曲 ニ短調
ヴィオールと通奏低音の為の組曲 イ長調
ヴィオールと通奏低音の為の組曲 ニ長調
酒井淳(ヴィオラ・ダ・ガンバ/2016年ユディト・クラフト製(ギョーム・バルベイ、1687年製(パリ)モデル)
マリオン・マルティノー(ヴィオラ・ダ・ガンバ/2008年ユディト・クラフト製(ミシェル・コリション、1693年製(パリ)モデル)
クリストフ・ルセ(チェンバロ/ニコラ・デュモン、1704年製)

録音:2020年11月23-27日
フランス・バロックの最も重要な人物、マラン・マレ。自身ヴィオラ・ダ・ガンバのヴィルトゥオーゾであり、作曲家、教師でもあった彼は、1686年から 1723年にかけて生涯に5巻のヴィオール作品集を出版しました。宮廷の華やかさとはちがった、静かで内省的な雰囲気の作品が多く、演奏者のテクニックだ けでなく、間の取り方や装飾など、あらゆるところに高度なセンスが要求されます。ヴィオール奏者として近年ますます充実を見せている酒井淳が、このマレのヴィ オール曲集の録音に取り組み始めました。第1弾となる本CDでは、マレの曲集の第1巻を収録。ヴィオラ・ダ・ガンバは、弓の毛に直接触れながら弦を奏で るため、自分の体の中で感じ、表現したいことが、繊細にしてひとつのごまかしもきかない形で音となって表れてくる、と語る酒井淳。酒井の音楽への真摯な姿 勢、人間性、すべてが美しい結晶となって鳴り響いています。ルセ、マリオン・マルティノーとの、穏やかにして濃密なアンサンブルも魅力です。 (Ki)
AP-265
モーツァルト・コンチェルタンテ
モーツァルト:「魔笛」〜夜の女王のアリア「復讐の炎は地獄のようにわが心に燃え」
「ポントの王ミトリダーテ」〜愛する人よ、あなたから遠く離れ
「皇帝ティートの慈悲」〜さあ、いよいよ
「ツァイーデ」〜安らかにお休み
「コジ・ファン・トゥッテ」〜あの人は去ってしまう
「後宮からの逃走」〜悲しみが私の宿命となった
協奏交響曲変ホ長調K.364*
アレクサンドラ・クジャク(S)、
ユーキ・ウォン(Vn)*、
トマシュ・ヴァプニツ(Va)*、
モーフィング室内O

録音:2021年2月1-5日/カジノ・バウムガルテン(ウィーン)
1977年ポーランド出身のソプラノ、アレクサンドラ・クジャク(クルジャク、クルザク)はロベルト・アラーニャの3人目の夫人となったことでも話題となりまし たが、今や世界中の歌劇・ハウスで大活躍しています。彼女の最新盤はオール・モーツァルトのアリア集。
「魔笛」の夜の女王のアリアをはじめ、モーツァルトの名アリアの数々、技巧のみならずリリックな表現も見事に発揮し、現在最高潮にある至芸を堪能させてくれ ます。モーフィング室内Oのウィーンの薫高いサポートも魅力です。コンサートマスターのユーキ・ウォンによる協奏交響曲も注目です。 (Ki)
AP-266(2CD)
シューベルト:最後の弦楽四重奏曲
弦楽四重奏曲第15番ト長調D887
弦楽四重奏曲第14番ニ短調D810「死と乙女」
アヴィヴ四重奏団

録音:2021年5月13-16、22-24日/ファロー城(ローザンヌ)
1997創設のイスラエルの団体アヴィヴ四重奏団がAparteレーベル登場。今回はシューベルトの最後の2篇の弦楽四重奏曲に挑戦。弦の国イスラエルだけに 豊かでつややかな音色、深い表現など見事な芸術を聴かせてくれます。 (Ki)
AP-267(2CD)
マイール(1763-1845):歌劇『夫婦の愛』 デイヴィッド・スターン(指)、
オペラ・フオーコ(カタリーナ・ヴォルフ/コンサートマスター)
シャンタル・サントン=ジェフリー(ソプラノ/ゼリスカ、マルヴィーノ)、アンドレス・アグデロ(テノール/アモルヴェーノ)、ナタリー・ペレス(メゾ・ソプラノ/フロレスカ)、バスティアン・リモンディ(テノール/アルデラオ)、オリヴァー・グルディ(バス・バリトン/ペテルス)、アドリアン・フルネソン(バス・バリトン/モロスキ)

録音:2021年4月21-25日、オペラ・ド・マッシー、フランス
マイールによるイタリア語のオペラ『夫婦の愛』全曲版の登場。マイールは1763年ドイツに生まれ、1787年からイタリアに留学し、ベルガモ大聖堂の終身教会 楽長を務めました。ベートーヴェンの作品を紹介し、さらに、ベルカントに精通し、ベルガモの地でドニゼッティを指導したことでも知られています。オペラを70ほ どのこしています。
マイールの『夫婦の愛』の題材は、ベートーヴェン唯一のオペラ『フィデリオ』の元となったものとしても有名な、ジャン・ニコラ・ブイイの『レオノール、あるい は夫婦の愛』。勇敢な妻ゼリスカが、不当に拘束された夫アモルヴェーノを救い出すために、男装してマルヴィーノと名乗り刑務官として雇われるために乗り込む、 というストーリーです。1805年にパドヴァで初演され大成功を収め、ヨーロッパ各地で何度も再演されました。モーツァルトとハイドンから受け継いだ管弦楽法と、 イタリアの声楽の伝統を巧みに融合させ、魅力的な作品に仕上げています。独唱アリアはもちろん、登場人物たちによる重唱もどれも胸を打つものばかり。レチタ ティーヴォではチェンバロだけでなく、チェロとコントラバスも通奏低音を演奏しており、物語と音楽をより魅力的なものとしています。マイールは自身、ベル・カン トに精通していると自認していますが、事実19世紀のオペラの発展を語る上で欠かせない存在です。デイヴィッド・スターン率いるオペラ・フオーコによる完全版 のこの録音は、大歓迎すべきものといえるでしょう。 (Ki)
AP-268
Carnet de voyages(旅へのチケット)
ストラヴィンスキー:ロシアの踊り(ペトルーシュカより)
ブリッジ:スプリング・ダンス、カントリー・ダンス(Vnとピアノのための4 つの短い小品より)
ヴュータン:絶望(言葉のないロマンス)
ドヴォルザーク(クライスラー編):スラヴ舞曲 ホ短調 op.46-2
・アントニオ・バッツィーニ:妖精の踊り
トール・アウリン:スウェーデン舞曲集より op.30-1モデラート
ラフマニノフ:2つのサロン風小品より「ロマンス」
シベリウス:5つの田園舞曲 op.106より第1 番ラルガメンテ・アッサイ
クライスラー:愛の悲しみ
ストラヴィンスキー(ドゥシュキン編):スイス舞曲(妖精の口づけより)
ベートーヴェン:「ロシア(ウクライナ)民謡〈美しいミンカよ、行かなくては〉の主題と6つの変奏」イ短調 op.107/7
ブラームス:ハンガリー舞曲第17番
ファリャ(クライスラー編):スペイン舞曲
ドビュッシー:巷に雨のふるごとく(忘れられた小唄より)
ヴィエニャフスキ:華麗なるポロネーズ op.4
メンデルスゾーン:無言歌 op.62-1「アンダンテ・エスプレッシーヴォ」
ポンス:エストレリータ
ミヨー:ブラジルの女 op.165b
ニキータ・ボリソグレブスキー(Vn)
ゲオルギー・チャイゼ(P)

録音:2020年8月
2007年のチャイコフスキー国際コンクールで第2位入賞、大きな話題となったボリソグレブスキーの新譜がaparteより登場!「Carnet de voyages(旅へ のチケット)」と題し、作曲家達が様々な民謡やその土地の音楽などから影響を受けて書いた音楽を集めました。作品をとおして、音楽そのものだけでなく、旅の 感覚も作曲家や演奏家と共有していることを感じる1枚。技巧が光る曲、歌に満ちた曲など様々な楽曲がならびます。2024年ラ・フォル・ジュルネ音楽祭でも 来日したヴァイオリニストのニキータ・ボリソグレブスキーとピアニストのゲオルギー・チャイゼが、抜群のデュオで聴かせます。 (Ki)
AP-269(2CD)
リュリ:『アシとガラテー(アシスとガラテア)』 LWV 73 [プロローグ]
アンブロワジーヌ・ブレ:ディアーヌ
ベネディクト・トーラン:ラバンダンス(豊かさ)
ロベール・ゲッチェル:コモス
シリル・オヴィティ:アポロン
デボラ・カシェ:森の妖精
フィリップ・エステフ:森の精霊
[パストラル]
シリル・オヴィティ:アシ(アシス)
アンブロワジーヌ・ブレ:ガラテー
エドウィン・クロスリー=メルセル:ポリフェーム
デボラ・カシェ:アマント、ナイアス
ベネディト・トーラン:シッラ、ナイアス
ロベール・ゲッチェル:テレーム
エンゲラン・ド・イス:ティルシス、ジュノンの従者
フィリップ・エステフ:ネプチューン

録音:2021年7月16-18日、ジャン=バティスト・リュリ音楽院、プトー(フランス)
リュリ最後のオペラ「アシスとガラテー」。リュリとしては13年ぶりのパストラル(悲劇でない)作品で、初演当時から賛否両論を巻き起こしながらも何度も上演 が重ねられた傑作です。30年ほど前にミンコフスキが全曲録音して以来、久々の全曲録音の登場となりました。演奏陣は、フランス・バロックの要、クリストフ・ル セ率いるレ・タランリリク、そして歌唱陣も今最前線で活躍する歌手が顔をそろえた超強力盤。海の妖精ガラテアと羊飼いアシスとの恋、そして嫉妬深い、ポリフェー ムの暴力を描いたドラマティックな物語にリュリがつけた音楽は、どの瞬間を切り取っても美しく心揺さぶられる瞬間の連続。美しい旋律、器楽作品の繊細さなど、 作品の魅力をルセがこれ以上ないかたちで引き出しています。
『アシとガラテー』は、アネ城での祝祭のために書かれました。悲劇の形式をとっていないのもそのためで、リュリとしては13年ぶりの、悲劇のスタイルから離 れたかたちの作品となります。物語は、海の妖精ガラテアと羊飼いアシスとの恋が、嫉妬深いポリフェームの暴力に脅かされながらも実っていく様子が描かれてい ます。台本は、長年タッグを組んでいたキノーが健康上の理由で仕事ができなかったため、コメディ=フランセーズで大変な評判を呼んでいたジャン・ガルベール・ ド・カンピストロンが担当しました。アネ城で城の構造をうまく使いながら行われた初演は大成功で、13日までにほぼ毎晩行われました。 (Ki)
AP-270
ショパン:ワルツ全集
(1)華麗なる大ワルツ変ホ長調Op.18/(2)華麗なワルツ変イ長調Op.34の1/(3)華麗なワルツ イ短調Op.34の2/(4)華麗なワルツ ヘ長調Op.34の3/(5)第5番変イ長調Op.42/(6)第6番変ニ長調Op.64の1「小犬」/(7)第7番嬰ハ短調Op.64の2/(8)第8番変イ長調Op.64の3/(9)第9番変イ長調Op.69の1「別れ」/(10)第10番ロ短調Op.69の2/(11)第11番変ト長調Op.70の1/(12)第12番ヘ短調Op.70の2/(13)第13番変ニ長調Op.70の3/(14)第14番ホ短調(遺作)/(15)第15番ホ長調(遺作)/第16番変イ長調(遺作)/(17)第17番変ホ長調(遺作)/(18)第18番変ホ長調(遺作)/(19)第18番イ短調
フランソワ・シャプラン(P)
YAMAHA使用

録音:2020年10月/ポワシー劇場
フランスの中堅フランソワ・シャプランによるショパンのワルツ全集。ペータース版およびパデレフスキ版楽譜使用。ノクターン全集で高い評価を受けたシャプラ ンのショパン、ワルツも非常に期待できます。
カトリーヌ・コラールとペヌティエに師事したシャプランは軽やかでオシャレなフランス・ピアニズムを持ち味としていますが、まさにワルツにうってつけ。洗練さ れた世界を作り上げています。 (Ki)
AP-271
ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第3番ヘ長調Op.73
弦楽四重奏曲第8番ハ短調Op.110
ノーヴスQ

録音:2021年5月/カイザースラウテルンSWRスタジオ
若手韓流SQ、ノーヴス四重奏団によるショスタコーヴィチ。1946年作の第3番と1960年作の8番はおよそ四半世紀の開きがあり、人を小馬鹿に したような前者と深刻な後者いずれもショスタコーヴィチの個性満点。両者ともバルシャイが室内交響曲に編曲していることでも知られますが、ノーヴス四重奏団 の真摯なアプローチに心打たれます。
AP-272
バッハと新ウィーン楽派
バッハ:トッカータ ホ短調BWV914
シェーンベルク:3つのピアノ曲Op.11
バッハ:トッカータ嬰ヘ短調BWV910
ベルク:ピアノ・ソナタOp.1
バッハ:トッカータ ニ短調BWV913
ウェーベルン:変奏曲Op.27
ホルテンス・カルティエ=ブレッソン(P)

録音:2021年2月/サル・コロンヌ(パリ)
ホルテンス・カルティエ=ブレッソンはフランスを本拠に活躍する女流で、いとこは高名な写真家アンリ・カルティエ=ブレッソン。彼女は長年パリ音楽院で教鞭 をとるかたわら精力的に演奏活動も行なっています。
今回はバッハのトッカータ3篇にシェーンベルク、ベルク、ウェーベルンら新ウィーン楽派大作曲家の初期ピアノ曲をはさみ、一種異様な組合せを示しています。 しかし新ウィーン楽派の音楽はモチーフの展開、線的な書法、感情を極力排するなどロマン派、古典派と通り越しバッハの世界に近いことを証明しています。
カルティエ=ブレッソンはシェーベルクやウェーベルンでも無機的にならず、微妙なニュアンスあふれる演奏を聴かせてくれます。 (Ki)
AP-273(3CD)
フォーレ:室内楽作品集U
ピアノ四重奏曲第1番ハ短調Op.15
セレナードOp.98〜チェロとピアノ
ピアノ四重奏曲第2番ト短調Op.45
(2)ピアノ五重奏曲第2番ハ短調Op.115
弦楽四重奏曲ホ短調Op.121
シモン・ザヌイ(P)(
ピエール・フシュヌレ(Vn)、ラファエル・メルラン(Vc)、マリー・シルム(Va)
ストラーダQ【ピエール・フシュヌレ、サラ・ネムタヌ(Vn)、リーズ・ベルトラン(Va)、フランソワ・サルク(Vc)】

録音:2021年3月17-26日/ジャン=ピエール・ミケル講堂(ヴァンセンヌ)
2018年5月にaparteレーベルから2枚組のフォーレ室内楽作品集をリリースしたピアノのシモン・ザウイやヴァイオリンのピエール・フシュヌレが待望の第2 弾に挑戦。
今回は3枚組で、ピアノ四重奏曲とピアノ五重奏曲各2篇をメインに、フォーレ最後の作品でもある弦楽四重奏曲という力作揃いなのが注目です。ピアノ四重奏 はフシュヌレのほか、チェロのラファエル・メルラン、ヴィオラのマリー・シルムと共演。ピアノ五重奏曲と弦楽四重奏曲はストラーダ四重奏団によりますが、ヴァイ オリンをフシュヌレとサラ・ネムタヌが担っているのに注目です。
意外にもピアノ五重奏曲2篇と弦楽四重奏曲、チェロ曲「セレナード」は20世紀の作品。ドビュッシーが印象主義作風を確立した以降の作もあり、新しい時代の 空気が流れていることも再認識させてくれます。 (Ki)
AP-274
ロンドンの夜
1. ジェームズ・オズワルド(1710-1769):彼女は何も着ていないときがいちばんかわいい(ソロ・ヴァージョン)
2. チャールズ・アヴィソン(1709-1770):ラルゴ(スカルラッティにもとづくコンチェルト・グロッソ第5番より)
3. フランチェスコ・ジェミニアーニ:合奏協奏曲 ニ短調 H.143「ラ・フォリア」
4. ヘンデル:シンフォニア(セルセ HWV 40より)
5-8. ポルポラ(1686-1768):チェロ協奏曲 ト長調 INP 18
9. ヘンデル:"わたしの痛みを信じてください(Credete al mio dolore)"(アルチーナ HWV 34 第3幕より)
10. ヘンデル:合奏協奏曲 変ロ長調 op.3-2, HWV 313より第2楽章
11. ヨハン・アドルフ・ハッセ:フーガ(グラーヴェ) ト短調
12-14. ジョヴァンニ・バッティスタ・チッリ(1724-1808):チェロ協奏曲第2番ト長調 op.14-2
オズワルド:15. The Murrays March 16. My Nanio 17. 彼女は何も着ていないときがいちばんかわいい( アン サンブル・ヴァージョン)
18. ジェミニアーニ:音楽芸術における良い趣味の理論より”The night her silent sable wore(夜が静かに毛皮をまとい)”
19. オズワルド:パンチボウルの底
20. ジェミニアーニ:音楽芸術における良い趣味の理論より”Oh Bessy Bell and Mary Gray”(ベッシー・ベルとメリー・グレイ)
21. ヘンデル:聖チェチーリアの祝日 HWV 76より
”音楽が元気づけたり鎮めたりすることのできない感情があるだろうか?What passion cannot music raise and quell!”
プルチネッラ、オフェリー・ガイヤール(Vc/1737年製フランチェスコ・ゴフリラー、指)
サンドリーヌ・ピオー(ソプラノ/ 9)、
ラケル・カマリーナ(S/ 21)、
ルシール・リシャルドー(Ms/ 18, 20)、
ガブリエル・ピドゥ(Ob/ 10)

録音:2021年9月27-30日、2022年1月30日
オフェリー・ガイヤール。フランスの女性チェロ奏者として、その繊細かつふくよかな音色と音楽、さらに、凝ったコンセプトのCDで、聴き手を魅了しつづけてい ます。今回のテーマはロンドン。ロンドンには特別な思い入れがあるというガイヤール。「Dreams」(AP.001)を録音したのはアビー・ロード・スタジオで、デュ・ プレと同じマイクを使って録音したこと、あるいはマンチェスターでのチェロ・フェスティヴァルでシュタルケルにであったことなど、ロンドンや英国に滞在する時に はいつじも素敵なことがおこるそう。
そんなロンドンには、かつてより多数の音楽家たちが住み、活躍していました。1700年代には、ヘンデルをはじめ、ジェミニアーニ(Vn奏者として有名 ですが、チェロ・ソナタ op.5の存在で、チェロの音楽史でも重要視されています)、ポルポラ(ファリネッリやハイドンの師で、晩年はオペラから離れ、チェロの音 色に声楽性を発見し、素晴らしいチェロ協奏曲を完成させた)ら、実に多くの音楽家がロンドンにひしめきあっていました。また、スコットランド出身のオズワルドは、 ロンドンに移り、チェロ奏者でありましたが、ジョージ三世の作曲家として使え、スコットランド民謡を主題にした作品を多く書きました。また、ジェミニアーニも、イ ギリス民謡の香りが色濃く感じられる作品を書いています。
ガイヤールとプルチネッラは、当時のロンドンのこうした活気や熱気に満ちた作品を一晩の演奏会のように仕立て、私たちに提示してくれています。ガイヤールの 音色にうっとり、さらに、ゲスト参加しているピオーのヘンデルの「アルチーナ」のアリアの素晴らしさ!豪華声楽陣のゲスト参加も、この1枚をひときわ豪華なもの にしています! (Ki)
AP-275
バッハ:トッカータ全集 BWV910-916 クリストフ・ルセ(Cemb)
チェンバロ:1750年頃製作、ドイツの作者不明のオリジナル楽器(プライベート・コレクション)

録音:2020年11月29日〜12月2日/ロテル・ド・ランデュストリ、パリ(フランス)
DECCA/L'Oiseau Lyre、AMBROISIE、aparteとレーベルを移しながら、バッハの主要なチェンバロ独奏曲を30年以上に渡って録音してきたクリストフ・ ルセが、ついにバッハのトッカータ集を録音!このトッカータ集で、ルセによるバッハの主要な鍵盤作品録音が出揃うことになります。
おそらく1705年から1712年にかけて書かれたBWV910-916の7曲のトッカータは、その後の成熟した様式とは異なる、若き日のバッハの創意やひらめ きに満ちた様式を示しています。バッハの憧れの存在だったブクステフーデをはじめとする17世紀の北ドイツのオルガン曲の影響を強く受けたとされるその音楽 様式は、自由な筆致による構成、あふれる幻想性でバッハの鍵盤作品の中でも一際異彩を放っています。
ブクステフーデの鍵盤作品で示された「Stylus Phantasticus』(幻想様式)のバッハ版と呼ぶにふさわしいこれらの個性的なバッハのトッカータを、巨匠ル セは18世紀半ばに製作されたジャーマン・タイプの歴史的チェンバロを用いて、煌めく技巧と目くるめく幻想性で聴かせてくれます。現代最高峰のバッハ弾き、ク リストフ・ルセの手で開かれた若きバッハの幻想世界をご堪能ください! (Ki)
AP-276
.バッハ:ヴァイオリン・ソナタ集
(1)ヴァイオリン・ソナタ ト長調BWV1021
(2)ヴァイオリン・ソナタ ホ短調BWV1023
(3)ヴァイオリン・ソナタ ハ短調BWV1024
(4)フーガ ト短調BWV1026
(5)ガヴォットBWV1019a
(6)ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ イ長調BWV.Anh.153
(7)ヴァイオリン・ソナタ ハ短調(作者不詳)
ゴットフリート・フォン・デア・ゴルツ(Vn )、アンネカトリン・ベラー(Vc)、トルステン・ヨハン(Cemb)

録音:2021年5月フライブルク・アンサンブルハウス
ライブルク・バロック・オーケストラのリーダーとしても活躍するバロック・ヴァイオリン奏者ゴットフリート・フォン・デア・ゴルツ。これまでバッハの無伴奏ヴァ イオリンのためのパルティータとソナタ、ヴァイオリン協奏曲集をリリースして高い評価を受けてきましたが、今回は通奏低音付きのソナタ集に挑戦。
と言っても有名なBWV1014〜9の6篇ではなく、ほとんど顧みられない3つのソナタとフーガをとりあげているのが大歓迎。また長らくバッハ作とされなが ら現在はテレマン作と認定されたイ長調BWV.Anh153と作者不詳の1720年代のハ短調のソナタを収録。さらにヴァイオリン・ソナタ第6番ト長調BWV1019 の第3楽章として書いたガヴォットも聴けるのも存外の慶びと申せましょう。
バッハの受容と研究のうえでなおざりにできぬ作品をゴルツの演奏で堪能できるのはぜいたくな限り。チェロのアンネカトリン・ベラーとチェンバロのトルステ ン・ヨハンが絶妙なアンサンブルを創り出しています。 (Ki)
AP-277
アルヴォ・ペルト:スターバト・マーテル
フラトレス(1977/1983)〜弦楽と打楽器
我が心はハイランドに(2000/2013)〜カウンターテナー、弦楽三重奏、ピアノ
天にまします我らの父よ(2005/2013)〜カウンターテナー、弦楽
鏡の中の鏡(1978)〜ヴィオラとピアノ
何年も前のことだった(1984)〜カウンターテナー、ヴァイオリン、ヴィオラ
巡礼者の歌(1984/2021) 〜カウンターテナー、弦楽
スンマ(1977/1991)〜弦楽
スターバト・マーテル(1985/2021) 〜カウンターテナー、ソプラノ、テノール、弦楽
アレクサンドラ・クジャク(S)、
アンドレアス・ショル(C.T)、
ロベルト・アラーニャ(T)
トマシュ・ヴァブニツ(指)モーフィング室内O

録音:2021年9月12-16日/カジノ・バウムガルテン(ウィーン)
ペルトの作品は世界的な名手たちにより演奏、録音されていますが、またひとつ超豪華な演奏陣によるアルバムの登場です。ペルトのピュアな美をアンドレアス・ ショルの美声で楽しめるのも格別ですが、人気急上昇のポーランドのソプラノ、アレクサンドラ・クジャクと現在の夫君ロベルト・アラーニャと「スターバト・マーテ ル」に挑戦しているのに驚き。
ペルトの「スターバト・マーテル」はカウンターテナー、ソプラノ、テノールの弦楽三重奏のために書かれていますが、ここではモーフィング室内Oリーダー のヴァブニツによる弦楽オーケストラ版による豊かな響きで披露。心洗われるひとときを体験できます。
他もショルによるペルトの透明かつ静寂な4篇が収められ、現代でありながら中世のような音世界が広がります。名録音で知られるリトル・トリベカが繊細な息 遣いまで再現。酷暑の清涼な気持ちにさせてくれます。
モーフィング室内Oはリーダーのヴァブニツを指揮者に、「ウィーン弦楽合奏団」の名で今年12月に全国ツアーが予定されています。 (Ki)
AP-278
北の王たち
(1)トマス・アーン:「アルフレッド」序曲
(2)ヘンデル:「ロデリンダ」〜暴虐が彼に国を与えた
(3)ルーマン:「音楽の宴」〜平和を与えたまえ、王の魂よ
(4)シュールマン:「ルドヴィクス・ピウス」〜汝に金冠を授けん
(5)カイザー:「フレデグンダ」〜私はあなたを黙らせねばなるまい
(6)ヘンデル:「アルミーラ」〜クーラント
(7)ハイニヒェン:「カムベルクの平和」〜独りを怖れる
(8)アリオスティ:「裏切りの誠実」〜この危険な命の海のなかで
(9)ヘンデル:「オットーネ」〜コンチェルト
(10)同:「イングランド王リチャード一世」〜邪悪な欺瞞
(11)カイザー:「クロイソス」〜神々よ憐みたまえ
(12)ヘンデル:「アルミーラ」〜メヌエット
(13)カイザー:「寛大なオクタヴィア」〜ああ、ネロはもはやネロでない
(14)テレマン:「当節流行の恋人ダモン」〜あなたが裂け目を壊す
(15)バッハ:世俗カンタータ「太鼓よ轟き、ラッパよ響け」BWV214〜王冠と称讃で飾られた御方
トマーシュ・クラール(Br)
ヤロスワフ・ティール(指)
ヴロツワフ・バロック・オーケストラ

録音:2021年7月24-27日/ヴィロツド・ルトスワフスキ国立フォーラム(ヴロツワフ)
北ヨーロッパはバッハやヘンデルはもとより、バロック期にも優れた作曲家を輩出しました。しかし南ヨーロッパの同時代人に比べ、ハイニヒェン、シュールマン、カ イザー、テレマンらの華麗なオペラを聴くことはめったにありません。彼らのオペラのなかで、怖ろしくも強い君主を描いた作品から低音アリアを存分に楽しめます。
バリトンのトマーシュ・クラールはブルノ出身のチェコ期待の星。独特の美声で、お国ものに加え古楽の世界でも注目されています。ポーランドの若手古楽団体ヴ ロツワフ・バロック・オーケストラの生気あふれる演奏も聴きものです。 (Ki)
AP-280
深き淵から
(1)ベルク:抒情組曲〜第6曲「悲嘆のラルゴ」
(2)バッハ(ヴァプニツ編):深き淵より、われ汝を呼ばわるBWV687(器楽)
(3)バッハ:ヨハネ受難曲BWV243〜アリア「わが心よ、涙となり流れよ」
(4)バッハ:マタイ受難曲BWV244〜アリア「愛ゆえに」
(5)シェーンベルク:弦楽四重奏曲第2番Op.10〜第4楽章「忘我」
(6)バッハ(ヴァプニツ編):トリオ・ソナタ第4番ホ短調〜第2楽章アンダンテ(器楽)
(7)バッハ:カンタータ第113番「主イエス・キリストよ、この上なく貴き宝よ」BWV113〜アリア「このような苦しみの中にある私を」
(8)シェーンベルク:弦楽四重奏曲第2番Op.10〜第3楽章「連祷」
(9)バッハ:マタイ受難曲BWV244〜アリア「愛する心よ」
(10)ペンデレツキ(ヴァプニツ編):ヨハネ・パウロ二世追悼のチャッコーナ(器楽)
(11)バッハ:昇天祭オラトリオBWV244〜アリア「ああ留まりたまえ」
(12)バッハ:カンタータ第101番「私たちから取り去ってください、主よ」BWV101〜「イエスの酷い死を」
サラ・トローベル(S)(1)(3)(4)(5)(8)(9)(12)、
アンドレアス・ショル(C.T)(7)(11)(12)
ユーキ・ウォン、ルーカス・メドラム(Vn)、トマシュ・ヴァプニツ(Va)、アッティラ・パーストル、トマシュ・ダロフ(Vc)、オリ・シュヌール(Fl)、エマ・ブラック、アレクサンドル・ミジャーコフ(Ob)、ベネディクト・ツィエルフォーゲル(Cb)、エリアス・コンラート(テオルボ)、トマシュ・セヴセク・シュラメル(ポジティフ・オルガン)

録音:2021年5月29日-6月4日/ウィーン・カジノ・バウムガルテン
「メトロポリタンの歌姫」と称されたヘレン・トローベルと大指揮者ギュンター・ヴァントの姪孫にあたるドイツのソプラノ、サラ・トローベル。彼女が名カウンター テナーのアンドレアス・ショルを招き「深き淵から」をコンセプトとしたアルバムを世に問います。
「深き淵から」として知られる詩篇130は、人間の苦悩と神の慈悲への希望を表した旧約聖書中で特に有名で、大バッハはカンタータ第131番や2つの受難 曲ほかにこの聖句を用いています。さらにボードレールやゲオルゲ、トラークルの詩にも反映が見られ、シェーンベルクやベルクが用いています。
バロックから表現主義、現代まで3世紀にわたる音楽のライトモチーフとなっている世界を両者の美声でたっぷり堪能できます。
AP-281
クープラン/親密の領域
(1)巡礼の女たち「愛の神殿で」(エール・セリュー1697)
(2)どうか私に言わないで(エール・セリュー1712)
(3)四声のソナタ「スルタン妃」(1695頃)
(4)さまざまな作曲家によるクラヴサン小品集ト調(1707)〜蜜蜂/イタリアのガヴォット/金髪の修道女たち/栗毛の修道女たち/シシリアーナ
(5)わが心の甘い絆(エール・セリュー1701)
(6)牧歌「愛さねばならない」(エール・セリュー1711)
(7)トリオ・ソナタ「威厳」(1695頃)
(8)小品集ニ調〜ディアーヌ/フィレンツェ風
(9)隠者たち「キュテラ島で」(エール・セリュー1711)
(10)ブリュネット「そよ風よ、これらの地で穏やかに」(エール・セリュー1711)
(11)トリオ・ソナタ「スタンケルク」(1692頃)
(12)小品集イ調〜剽軽者/剽軽者(ルイ・マルシャン作?)
(13)しばしば最も甘い運命に(エール・ア・ボワール)
(14)小品集ヘ調〜ポーランド人(マラン・マレ)/ヴェネツィア人(ルイ・マルシャン)
クリストフ・ルセ(チェンバロと指揮)
レ・タラン・リリク
シリル・デュボワ(T)

録音:2016年7月10-14日ゲブヴィレール・ドミニカ教会(3)(11)、
2017年9月7-13日フランス銀行金の間(7)、
2021年4月16-17日サン=ピエール寺院(1)(2)(4)-(6)(8)-(10)(12)-(14)
フランソワ・クープランといえばフランス・バロックならではの美しさあふれるクラヴサン曲で知られますが、彼の最初の出版楽譜には「スタンケルク」をはじめ とするいくつかのソナタのほか多くのエール・セリュー(愛や牧歌的場面を扱った歌)が含まれていました。ルセとシリル・デュボワがこれらクープランの作品中あ まり知られていない部分をまとめ、新たな側面を明らかにする画期的な試み。
特に興味深いのはクープランのイタリア好みを証明していること。さらに嬉しいのはクープランの唯一知られる直筆断片による未出版のエール・ア・ボワール(酒 の歌)「しばしば最も甘い運命に」が世界初録音されているのと、1707年にバラールにより編纂されたクラヴサン小品のコレクションをルセの演奏で味わえるこ と。非の打ちどころのない妙技を聴かせてくれます。 (Ki)
AP-283(2CD)
スカルラッティ:ソナタ集
Disc1
クリティカル・エディションより
(1)ト長調K.13/(2)ト長調K.523/(3)ト短調K.8/(4)ト短調K.450/(5)ト長調K.259/
(6)ニ長調K.29/(7)ニ長調K.96/(8)ロ短調K.173/(9)ロ短調K.377/(10)ヘ短調K.69/
(11)ヘ短調K.387/(12)ト短調K.31/(13)ニ短調K.434/(14)ニ短調K.444/(15)ヘ長調K.446/(16)ヘ長調K.525
Disc2
ハンス・フォン・ビューロー編纂版
(1)組曲ト長調【前奏曲(A・スカルラッティ作)/トッカータK.13/サラバ
ンドK.8/ブルレスカK.450/メヌエットK.259/ジグK.523】
(2)組曲ヘ短調【ソナタK.31/フーガ(A・スカルラッティ作)/クーラントK.69/カプリッチョK.446/シチリアーノK.446/スケルツォK.525】
(3)組曲ニ長調【ソナタK.29/クーラントK.434/カプリッチョK.444/ブーレK.377/ガヴォットK.173/ジグK.96】
ジュリオ・ビッダウ(P)

録音:2020年6月、11月/サル・コロンヌ
evidenceレーベルからレスピーギ自身の4手編曲による「ローマの噴水」や「ローマの松」をリリースして注目されたジュリオ・ビッダウ。1985年イタリアの サルディニア島出身で、パリのエコール・ノルマルでルイサダに師事、その後もチッコリーニから個人レッスンを受けました。
学 究 的 な 一 面 も 持 つビッダウは 、スカル ラッティのソナタを 題 材 に 興 味 深 い 試 み をしています。2 枚 組 の 最 初 の 1 枚目には エミリア・ファディーニの 校 訂によるク リティカル・エディションから選んだ16曲を極めて厳格に再現。とはいっても堅苦しいものではなく、イタリア的な歌ごころとリズムが心地よい名演となっています。
一方2枚目はハンス・フォン・ビューローが19世紀に編纂したロマン派的解釈による同じ曲を対比。ビューローは聴きやすく調性をあわせて組曲に仕立ててい ますが、編纂というよりも明らかな編曲で、リストやワーグナーの美学が反映されたような内容となっています。ビッダウは解釈や奏法をがらりと変え、濃厚な感情 を聴かせます。ロマン派と現代の古楽解釈の違いを耳で学べます。 (Ki)

AP-284(3CD)
フォーレ歌曲全集
五月Op.1の2/蝶と花Op.1の1
私は口づけをしたから(1862)
オランピオの悲しみ(1865頃)
僧院の廃墟でOp.2の1
水夫たちOp.2の2/秋の歌Op.5の1
愛の夢Op.5の2/いなくなった人Op.5の3
あけぼの(1870頃)
5つのヴェネツィアの歌Op.58
贈り物Op.46の1/月の光Op.46の2
夕べOp.83の2/牢獄Op.83の1
涙Op.51の2/墓地でOp.51の2
憂鬱Op.51の3/ばらOp.51の4
優しい歌Op.61(全9曲)
水のほとりでOp.8の1
この世では!Op.8の3
身代金Op.8の2/シルヴィOp.6の3
悲しみOp.6の2/朝の歌Op.6の1
愛の歌Op.27の1
歌を教える仙女Op.27の2
あけぼのOp.39の1
捨てられた花Op.39の2
夢の国Op.39の3
イスパハンのバラOp.39の4
ネルOp.18の1/旅人Op.18の2
秋Op.18の3
私たちの愛Op.23の2
ゆりかごOp.23の1
秘密Op.23の3
いちばん楽しい道Op.87の1
山鳩Op.87の2
シャイロックOp.57【シャンソン/マドリガル】
九月の森でOp.85の1
水面を漂う花Op.85の2
伴奏Op.85の3
イヴの歌Op.95(全10曲)
リディアOp.4の2
漁師の歌Op.4の1
アポロン賛歌Op.63
「町人貴族」のセレナード(1893)
ある日の詩Op.21(全3曲)
沈黙の贈り物Op.92
歌Op.94
閉ざされた庭Op.106(全8曲)
夜想曲Op.43の2
降誕祭Op.43の1
祈りながら(1890)
平和が来たOp.114
幻影Op.113(全4曲)
夢のあとにOp.7の1
賛歌Op.7の2/舟歌Op.7の3
トスカーナのセレナードOp.3の2
独りぼっち!Op.3の1
アルペッジョOp.76の2
消えない香りOp.76の1
幻想の水平線Op.118(全4曲)
シリル・デュボワ(テノール)、
トリスタン・ラエ(ピアノ)

録音:2020年7月3日、8月10-17日、2021年6月14-16日/サル・コロンヌ(パリ)
フォーレは室内楽やピアノ曲で人気がありますが、フランス歌曲のおける最も偉大な巨匠として100を超える名品を残しています。そのなかには「月の光」や「夢 のあとに」のようによく知られたものもあります。
このアルバムは1984年生まれのフランスのテノール、シリル・デュボワが相方ピアニスト、トリスタン・ラエとフォーレ歌曲に挑戦したもので、ひとりの歌手によ る全集は初とされます。彼らはこれまでもリストやブリテンの歌曲集で優れた演奏を披露してくれましたが、何より非の打ち所のないフランス語の発音と並外れた 解釈がフォーレにピッタリ。詩の雰囲気や感情、気分を自然に伝えてくれます。
フォーレの歌曲は長い生涯にわたり書かれているため、4つの作風に分けられるとされます。1860-70年代はロマンティックで、どちらかというとセンチメン タルで暗い情感のものが支配的。1880年代は高踏派の詩人によるものが多く優美。1890年代は大胆で力強い表現が顕著。20世紀に入ってからは渋い内省性 に加え、大胆な和声など時代の影響も感じられます。そのいずれをもデュボワは味わい深い表現で聴かせてくれます。
AP-285(4CD)
ウジェーヌ・ワルキエ:フルートを含む室内楽曲集
■Disc1「演劇的」
(1) フルート五重奏曲イ長調Op.49(世界初録音)
(2) フルート四重奏曲第4番ニ長調Op.50(世界初録音)
■Disc2「絵画的」
(1) フルート・ソナタ第1番Op.89(世界初録音)
(2) フルート、チェロ、ピアノのための三重奏曲ニ短調Op.97(世界初録音)
■Disc3「詩人」
(1) 木管四重奏曲第4番変ロ長調Op.48(世界初録音)
(2) フルーティストの休息Op.47〜オーヴェルニュのロンド/ロンド/行進曲/月の光に
■Disc4「ヴィルトゥオーゾ」
(1) フルート二重奏曲第1番ロ短調Op.57(世界初録音)
(2) フルート三重奏曲第1番変ホ長調Op.93(3本のフルート)
(3) 大四重奏曲第2番ヘ長調Op.70(4本のフルート)
アレクシス・コセンコ(Fl)【ジャック・ベリッサン1830年頃製6キー(Op.47, 48, 49, 50, 57, 70)、
クレール・ゴドフロワ1840年頃製円錐管ベーム式木製(Op.93)、ルイ・ロット1858年製円筒管ベーム式銀製(Op.89)、
ルイ・ロット1881年製円筒管ベーム式銀製(Op.97)】
ダニエル・ゼペック(VnOp.49, 50)【ストリオーニ1780年製】、
ジローヌ・ゴーベール(VnOp.49)【クレパルによるストラディヴァリウス・レプリカ2021年製】、
レア・エンニーノ(ヴィオラOp.49, 50)【トニー・エシャヴィドル製】、
クリストフ・コワン(VcOp.49, 50, 97)【18世紀初期ガリアーノ】、
ミカエル・チャヌー(コントラバスOp.49)【エンリコ・マルケッティ1895年製】、
エドアルド・トルビアネッリ(POp.89, 97)【1843年プレイエル製】、
ニコラ・バルデイル(クラリネットOp.48)【グレンザー1810年頃製によるシュヴェンケ&ゼゲルケ社レプリカ】、
ダヴィド・ドゥコ(バスーンOp.48)【サヴァリーJr1823年製】、
ベノワ・ド・バールショニ(ホルンOp.48)【ラウー1820年頃製によるフレーズのレプリカ】、
アメリ・ミシェル(フルートOp.57, 70, 93)【テュルー1845年頃製によるスベイラン社レプリカ】、
アンヌ・パリゾ(Fl)【ゴートロ一世1850年頃製Op.70、ルイ・ロット1858年製Op.93】、
オリヴィエ・ベニシュ(フルートOp.70)【ジャン=ルイ・テュルー1840年頃製】

録音:2021年2月12日(Op.48)、3月11-15日(Op.49, 50, 93, 70, 47, 57)/サンピエール寺院(パリ)、3月22-24日/ドメーヌ・ミュジカル・ド・ペティニャック(Op.89, 97)
ウジェーヌ・ワルキエ(1793-1866)はフランスのフルート奏者で作曲家。テュルーにフルート、レイハ(ライヒャ)に作曲を師事しますが、フルートは次第に師 をおびやかす存在になったと伝えられる名手ぶりでした。
ワルキエは作曲の師レイハから人気オペラ・アリアのフルート編曲の仕事を紹介してもらい成功、以後名ピアニストのカルクブレンナーやタールベルクと共作して フルートとピアノのための派手な作品を次々に発表しました。同時にオンスローと親交を結び四重奏曲や五重奏曲などの古典的形式にも手を染めました。
このアルバムでは五重奏から二重奏までの純音楽作品を集めています。多くが世界初録音なうえ、ピリオド楽器によることも貴重。主役はフランスのピリオド・フ ルート界第一人者アレクシス・コセンコ。彼は1830年頃製6キーのものから1858年製円筒管ベーム式銀製まで4本のフルートを吹き分けています。いずれも作 品と同時期にもので、往時の響を味わえます。共演もヴァイオリンのゼペックやチェロのコワンをはじめ大物が華を添えているのも注目。
ワルキエはベルリオーズやショパンと同時代人ながら作風は古典派寄りで爽やか。フルートの技巧を華やかに披露するかたわら、民謡を採り入れたりユーモアに あふれた陽性な世界を楽しめます。 (Ki)
AP-286
50-50
パーセル(コンテ編):祭壇に王冠を捧げ〜メアリー女王の誕生日のオード「祝え、この祭典」
ダヴィド・シャルマン:しばしの音楽
マーティン・ハリー:STAB
シャルマン:コールド・ソング〜パーセルの「アーサー王」のアリアによる
ハリー:クーラントとサラバンド
リュリ:マタシン〜「セルセ」、ジグ〜「トゥールーズのバレ」
ハリー:パストラール〜シャルパンティエの「アクテオン」のエアによる
シャルマン:グラウンドZ
フランク=エマニュエル・コント(指)
ル・コンセール・ドゥ・ロステル・ディユ

録音:2021年10月20-23日/ランタン寺院(リヨン)
50-50(フィフティ・フィフティ)というアルバム・タイトルは半分バロック音楽で半分現代音楽、半分フランス人で半分イギリス人にかけられています。それを リヨンの古楽器団体ル・コンセール・ドゥ・ロステル・ディユが奏するという斬新な試み。
ダヴィド・シャルマンは1980年生まれのフランスの作曲家。クラシックとエクスペリメンタル・ロックのコラボを目指し、ラベック姉妹からマドンナまで手掛ける プロデューサーでもあります。マーティン。ハリーはオックスフォードで教鞭をとる作曲家。これまでソニークラシカルのエグゼクティブプロデューサーやハリウッド映 画の作曲家を務めるなど活躍しています。
彼らの作品を対比させるのではなく、フランス人シャルマンがイギリスのパーセルから、逆にイギリス人ハリーがフランスのシャルパンティエからインスパイアされ て作ったジャズ・ロックあるいはミニマル・ミュージックを披露。フランク=エマニュエル・コント率いるル・コンセール・ドゥ・ロステル・ディユが乗りに乗った演 奏に惹きつけられます。
AP-287
無限〜近代クラリネット・ソナタ集
プーランク:クラリネット・ソナタ
バーンスタイン:クラリネット・ソナタ
ヴァインベルク:クラリネット・ソナタ
プロコフィエフ(ケント・ケナン&パブロ・バラガン編):フルート・ソナタ(クラリネット版)
パブロ・バラガン(Cl)、
ソフィー・パチーニ(P)

録音:2021年6月30日‐7月2日/南西ドイツ放送カイザースラウテルン・スタジオ
20世紀の大物作曲家によるクラリネット・ソナタ集。1962年作のプーランクを除き、すべて第二次世界大戦中に作曲されています。プロコフィエフはフルート・ ソナタをアメリカの作曲家ケント・ケナンと当ディスクの演奏者パブロ・バラガンがクラリネット用に編み直した版。もともとフルートの難曲として知られますが、ク ラリネットではさらに難しいものとなっていて、バラガンの妙技を味わえます。
パブロ・バラガンは1987年スペイン生まれのクラリネット奏者。故郷とバーゼルで学び、バレンボイムに認められ、ウエスト=イースタン・ディヴァンOの 奏者を務めています。それもあってか、バーンスタインやヴァインベルクらのユダヤ色(ジャズとクレズマー)濃厚な作品にも力を入れているのが特徴です。
ピアノをアルゲリッチが後継者と目しているソフィー・パチーニが担っているのも注目。1991年生まれで、2010年からルガーノのアルゲリッチ音楽祭でお馴 染みの存在。これらの4作品は作曲者がいずれもピアノの名手だったこともあり、単なる伴奏ではありあせん。パチーニはバラガンと対等に競い、ダイナミックな演 奏を聴かせてくれます。
AP-288
私の歌に
マーラー:リュッケルト歌曲集〜私は快い香りを吸いこんだ/美しさをあなたが愛するなら/私の歌をのぞき見しないで/私はこの世に捨てられ
リスト:ローレライ/喜びに満ち、悲しみに満ち/汝天上にある者/愛し合うことは素晴らしいことだろう/おお、愛しうるかぎり愛せ
コルンゴルト:3つの歌曲Op.22/不滅なるものOp.27の5
R・シュトラウス:4つの最後の歌
サラ・トローベル(S)、
ヘルムート・ドイチュ(P)

録音:2021年8月31日-9月4日/マルクス・シティックス・ホール(ホーエネムス)
サラ・トローベルは「メトロポリタンの歌姫」と称されたヘレン・トローベルと大指揮者ギュンター・ヴァントの姪孫にあたるドイツのソプラノ。ヘルムート・ドイチュ の伴奏とあいまってドイツ・リートの魅力を満喫できます。
ここに収められた4名の大作曲家はいずれもメロディ・メーカーで、R・シュトラウスを除くとドイツ人ではないものの、すべてドイツ語の詩に曲がつけら れています。リスト作品のうち「ローレライ」と「汝天上にある者」は「歌の本」、「おお、愛しうるかぎり愛せ」は有名な「愛の夢第3番」の原曲なのも興味をひか れます。 (Ki)
AP-289
レベッカ・クラーク:ヴィオラ作品集
(1)ヴィオラ・ソナタ (1919)
(2)モルフィウス(1917)
(3)古いイングランドの調べによるパッサカリア (1940-1)
(4)ヴィオラとチェロのための2つの小品(1916頃)
(5)アイルランドのメロディ〜ヴィオラとチェロのための(1918頃)
(6)ドゥムカ~ヴァイオリン、ヴィオラ、ピアノのための (1941)
(7)チャイニーズ・パズル (1921)
ヴァンシアーヌ・ベランジェ(Va)
ダナ・チョカルリエ(P)YAMAHA CFX使用
エレーヌ・コルレット(Vn)(6)、ディヴィッド・ローウェルス(Vc)(4)(5)(6)

録音:2021年7月6-9日/サン・ピエール寺院(パリ)
ヴァンシアーヌ・ベランジェは2003年から2008年までマンフレッド四重奏団のメンバーを務めた女性ヴィオラ奏者。ソロ、アンサンブルに限らずヴィオラの魅 力を普及させることに熱心で、このアルバムもこだわりを感じさせます。
レベッカ・クラークはイギリス出身の女性作曲家。自身ヴィオラ奏者としても活躍したため、ヴィオラ作品ことにソナタは近年幅広く演奏されて います。ここでは彼女の作曲したヴィオラ独奏曲を集めています。
注目はヴィオラとチェロの二重奏による「アイルランドのメロディ」。長く失われたとされていましたが、近年草稿が発見されここで世界初録音となりました。「さ らばククレイン」と「ロンドンデリーの歌」から成り、ヴィオラとチェロの魅力が存分に生かされています。ピアノをルーマニア出身の名手ダナ・チョカルリエが担っ ているのも豪華です。 (Ki)
AP-290
ポリーヌ・ヴィアルド讃
グルック(ベルリオーズ編):「オルフェオとエウリディーチェ」〜私なにを言われたの?〜アムールよ、私の魂に返して
ベッリーニ:「カプレーティとモンテッキ」〜ロメオが息子さんを死に至らしめたなら
マスネ:「マグダラのマリア」〜おお、私の妹よ
アレヴィ:「ユダヤ女」〜あの人が来る!
ロッシーニ:「セビーリャの理髪師」〜今の歌声は心に響く
同:「セミラーミデ」〜序曲/うるわしい光が誘惑する
ドニゼッティ:「ファヴォリータ」〜ちゃんと聞こえる〜いとしいフェルナン/序曲
ベルリオーズ:「トロイアの人々」〜ああ、私は死んでしまうのでしょう〜さようなら、自慢の町よ
グノー:「サッフォー」〜不滅のリラよ
サン=サーンス:「サムソンとデリラ」〜サムソンは私の居場所を求めて〜愛よ私を助けにきて
マリーナ・ヴィオッティ(Ms)
クリストフ・ルセ(指)レ・タラン・リリク

録音:2021年11月27-30日/ジャン=バティスト・リュリ音楽院(ピュトー)
ルセとレ・タラン・リリクがロマン派オペラに挑戦。これまでもグノーの「ファウスト」で新鮮な解釈を見せましたが、今回はベルリオーズ、マスネ、サン=サーンス などイメージから遠い作曲家が並んでいるのが興味津々。ポリーヌ・ヴィアルドゆかりのオペラ・アリアが選ばれていますが、ロッシーニの「セミラーミデ」序曲と ドニゼッティの「ファヴォリータ」序曲という純オーケストラ・ナンバーも味わえます。
ポリーヌ・ヴィアルド(1821-1910)は19世紀フランスの大歌手。ロッシーニに認められ、リストにピアノを師事、ショパンやチャイコフスキーの親しい友人で、 ツルゲーネフと長年同棲。後年は幼いレイナルド・アーンの才能を評価し可愛がるなどパリ音楽史のキーパーソンでもありました。
マイヤベーアの「予言者」、サン=サーンスの「サムソンとデリラ」、グノーの「サッフォー」は彼女のために作曲され、ブラームスの「アルト・ラプソディ」を世界 初演したことでも知られていますが、ベルリオーズの「トロイアの人々」にも積極的に関わり、グルックの「オルフェオ」のベルリオーズによる近代オーケストラ編曲 初演もヴィアルドが出演、聴衆を熱狂させたことが伝説になっています。
それら伝説作品をスイス出身のフランスのメゾ、マリーナ・ヴィオッティがヴィアルドに成り代わり再現。あたかも乗り移ったかのような歌唱を聴かせてくれます。 どの曲も美しいメロディにあふれ、声の魔力とともに圧倒させられます。
AP-291
18世紀ヴァイオリン協奏曲集
ベンダ:ヴァイオリン協奏曲イ長調L2.13
グラウン:ヴァイオリン協奏曲ハ短調GraunWV Av:]U:18
サン=ジョルジュ:ヴァイオリン協奏曲ニ長調
マッダレーナ・ロンバルディーニ=ジルメン:ヴァイオリン協奏曲第1番変ロ長調Op.3
モーツァルト:ロンド ハ長調K.373
ゼフィーラ・ヴァロヴァ(Vnと指)
イル・ポモドーロ

録音:2021年2月/ヴィラ・サン=フェルモ(ロニーゴ)
ブルガリア出身のゼフィーラ・ヴァロヴァはストイカ・ミラノヴァ門下の女性ヴァイオリニスト。2015年以来イル・ポモドーロのコンミスを務めて名演を支えてき ました。
今回は彼女が指揮も務め、18世紀のヴァイオリン協奏曲を披露。ヨハン・ゴットリープ・グラウン(1702頃-1871)のハ短調とヨゼフ・ブローニュ・サン=ジョ ルジュのニ長調は世界初録音。またタルティーニ門下のヴァイオリニストで女性作曲家でもあったマッダレーナ・ロンバルディーニ=ジルメンの第 1番も興味津々。いずれも生き生きとしたエネルギーに満ち、光り輝くような音色が魅力。モーツァルト以外は珍しい作品と言えますが、宝を発見したような喜びを 感じられるはずです。 (Ki)
AP-293
1773年モーツァルトとグレトリ
50-50

モーツァルト:交響曲第25番ト短調K.183
グレトリ:組曲「セファールとプロクリス」
モーツァルト:歌劇「エジプト王タモス」〜組曲
マルティン・ヴァルベルグ(指)
オルケルテル・ノルド

録音:2021年11月/セルブ教会(ノルウェー)
ノルウェーのチェロ奏者でもある指揮者マルティン・ヴァルベルグが2009年に創設した古楽器アンサンブル、トロンハイム・バロック。17-8世紀作品を主要レ パートリーとし高い評価を受けていますが、2018年にオルケルテル・ノルドと改名してさらなる可能性を模索。
今回は1773年に焦点を当て、この年に作られたモーツァルトとグレトリの作品を並べています。モーツァルトは当時17歳。「小ト短調」として知られる交響曲 第25番と、後年の傑作「魔笛」のルーツといわれる「エジプト王タモス」。どちらも才気煥発でモーツァルトの天才性を再認識させてくれます。
一方グレトリは31歳、軽みとシリアスさを兼ね備えたオペラ・コミックを確立させ順風満帆な創作活動を行っていました。
同じ年に作られた両者の純オーケストラ作品は、どちらも強さと輝かしさという共通点がありますが、フランスの舞台音楽が交響曲へ新たに進化していく様をた どることができます。 (Ki)
AP-294(2CD)
シューベルト:さすらい人
ヒュッテンブレンナーの主題による変奏曲D.576
4つの即興曲D.935
さすらい 人(リスト編 )
幻想曲ハ長調「さすらい人幻想曲」
シルヴィアーヌ・ドゥフェルヌ(P)

録音:2022年4月1-4日/ヌーシャテル・アール・ヴィヴァン・センター
シューベルト好きにはたまらない1枚。「ヒュッテンブレンナーの主題による変奏曲」は彼最晩年16分の大作ながらあまり聴く機会のない隠れた名作。名作「さ すらい人幻想曲」はシューベルトの弾きにくい書法をリストが合理的に書き直した版というのも興味津々。
スイス出身のシルヴィアーヌ・ドゥフェルヌは清潔なタッチと謳い回しが魅力のベテラン。シューベルトのピアノ曲の美しさが際立ちます。 (Ki)
AP-295
ラヴェル:ヴァイオリンとピアノのための作品全集
ピアノ協奏曲〜アダージョ・アッサイ(サマズイユ編)
ヴァイオリン・ソナタ
ハバネラ形式による小品(セオドア・ドニー編)
ヴァイオリン・ソナタ(遺作)
フォーレの名による子守歌
5時のフォックストロット〜歌劇「子供と魔法」(アスラン編)
2つのヘブライの歌(ガルバン編)
ツィガーヌ
エルザ・グレーテル(Vn)、
デヴィッド・ライヴリー(P)

録音:2021年12月27-29日/フラゲ(ブリュッセル)
エルザ・グレーテルは1980年生まれのフランスのヴァイオリニスト。15歳の誕生日にパリ音楽院でプルミエ・プリを受賞した後、ルッジェーロ・リッチほかに 師事した実力派。
ラヴェルのヴァイオリン曲といえばソナタやツィガーヌが有名ですが、このアルバムは全オリジナル曲のほか、興味深い他人の編曲物も集めています。中でもサマ ズイユによるピアノ協奏曲の第2楽章や、アスランによる「子供と魔法」の「5時のフォックストロット」は世界初録音。余裕の技巧で、オシャレなラヴェルの音世界 を堪能させてくれます。 (Ki)
AP-296
パーセル:作品集
(1)歌劇「ディドとエネアス」
(2)付随音楽「キルケ」
ジョナス・デスコット(指)レ・ザルゴノート
ディド(1):カミーユ・アレラー(S)
エネアス(1)第2司祭(2):レナート・ドルチーニ(Br)
ベリンダ(1)、第2の魔女(2):ジュリー・ロレ(S)
魔法使い(1)、第3司祭(2):アンテア・ピシャニク(C.A)
第2の女(1)、第1の魔女(2):アナ・ヴィエイラ・レイテ(S)

録音:2021年9月/シェヌ=ブジュリー寺院(スイス)
ジュネーヴを本拠とする古楽団体レ・ザルゴノート。指揮者ジョナス・デスコットの創設で、ギリシャ神話で金羊毛を求めて出帆した歴史上最初の船アルゴ船の英 雄たちになぞらえています。
彼らの新譜はパーセル唯一の完全なオペラ「ディドとエネアス」。彼30歳の作で、ドラマティックかつ美しいメロディにあふれています。近年注目される若手歌 手カミーユ・アレラー、ジュリー・ロレ、アンテア・ピシャニクらが芸達者ぶりを示し至福の時を味わえます。
カップリングは同時期の付随音楽「キルケ」。こちらもフレッシュな解釈を聴かせてくれます。 (Ki)
AP-297
リスト:「聖人の伝説」集 vol.1
(1)ストラスブール大聖堂の鐘 S.6(バリトン、合唱とオーケストラのための)(1874)
(2)カンタンティブス・オルガニス S.7(アルト、合唱とオーケストラのための)(1879)
(3)2つの伝説 S.354〔水の上を歩くパオラの聖フランチェスコ/小鳥に説教するアッシジの聖フランチェスコ〕(1862-3)
(4)聖フランチェスコ S.665(1880)
(5)アッシジの聖フランチェスコの太陽の讃歌 S.4(バリトン、男声合唱とオーケストラのための(1862年/1879年改訂))
(6)ホザンナ S.677(バス・トロンボーンとオルガンのための)(1862-3)
トマシュ・コニエチュニ(Br)
ステファニー・ハウツィール(Ms)
ヴィエネンシスcho、
アド・リビトゥムcho
マルティン・ハーゼルベック(指揮およびオルガン(S.665)) 
ウィーン・アカデミーO

録音:(1)(2)(4)(5)2021年10月9,10日、ウィーン・イエズス会教会
(3)2015年6月5日、リスト・ホール
(6)1983年9月22日、ウィーン・コンツェルトハウス
ハーゼルベック(指)ウィーン・アカデミー管による、リストのシリーズがスタートします。1865年に僧籍に入ったリストは、キリスト教を題材とした作品を多く 書くようになります。そして、ほかの作曲家にはあまり例をみませんが、絵画や書物から題材をとった、聖人にまつわる音楽を多く書いています。ここでは、「聖人 の伝説」として、キリスト教上の様々な聖人にまつわる物語を音楽にした作品をシリーズとしてお届けします。第1弾は、聖チェチリア((2))、ふたりの聖フランチェ スコ(「2つの伝説」(3))などが取り上げられています。
リストが交響詩を多く書いたのは1850年でした。1862年頃の「2つの伝説」はピアノ版でも広く知られる作品ですが、ピアノ版とこの管弦楽版、どちらが先 に完成したかについては定かになってはいません(P版とは順序が逆になっています)。ピアノ版でも既に豊かな情景に満ちた音楽ですが、交響詩などと比べ ても遜色ないクライマックスの見事な演出など、管弦楽版ならではの魅力に満ちています。「小鳥」の音色を管楽器で奏でたりと、より一層豊かな色彩感をもって、 聖フランチェスコが説教するシーンが響きます。
ほかにも、アッシジの聖フランチェスコが自然を讃えた祈り「太陽の讃歌」に基づいた「アッシジの聖フランチェスコの太陽の讃歌」を収録。バリトン・ソロを務め るのはバイロイト音楽祭や東京・春・音楽祭などでもおなじみのトマシュ・コニエチュニ。「ストラスブール大聖堂の鐘」では、まるでワーグナーを思わせる管弦楽 と合唱をバックに、力強くもドラマティックな歌声を聴かせます。演奏会用小品の「ホザンナ」など、演奏機会の少ない作品が収録されております。
ハーゼルベックの指揮が導く音楽が非常にドラマティックにして敬虔な空気に満ちており、教会の荘厳な空気までをも伝えてくれるようです。
ハーゼルベックはオルガン奏者、指揮者として数多くのリリースと受賞を重ねた重鎮。1985年にピリオド楽器のウィーン・アカデミーOを設立し、バロッ クからロマン派作品まで、ウィーン楽友協会および世界中で演奏会シリーズを重ねました。
AP-298
驚くべきロワイエ〜劇音楽の管弦楽組曲
ジョゼフ・ニコラ・パンクラス・ロワイエ
(1)愛の力(全15曲)
(2)ザイード、グラナダの女王(全14曲)
(3)アルマシス(全6曲)
(4)ピリュス(全4曲)
(5)ザイード、グラナダの女王(異稿2曲)
クリストフ・ルセ(指)
レ・タラン ・リリク

録音:2021年12月14-16日/ノートルダム大聖堂
クリストフ・ルセのロワイエ、といえば当然クラヴサン曲と思いますが、今回の新譜は何とオーケストラ曲集。手兵レ・タラン・リリクを指揮しての劇音楽中の組曲 で、「ピリュス」以外は世界初録音という興味津々のアルバムです。
ルセが1993年にオワゾリールからリリースしたロワイエのクラヴサン曲集のディスクは名盤として高く評価され、2009年にもambroisieレーベルから新録 音を出し注目されました。チェンバロ曲は知られてはいるもののオーケストラは珍しく、ロワイエの新しい面の再発見につながると申せましょう。
劇音楽のオーケストラ・ナンバーゆえ各種舞曲や行進曲、エールなどですが、ロワイエの叙情性と洗練に対する感覚が光ります。チェンバロ曲として有名な「スキ タイ人の行進曲」の原曲「ザイード」の「トルコ人のためのロンドーによるエール」もルセの指揮で聴くことができるのは理想的。ロワイエのオーケストラ曲にみられ るチェンバロ的書法をはじめ、ルセほど適任は考えられぬ感性と解釈になっています。
いずれの曲も魅力的で聴きごたえ満点。ルセの指揮とレ・タラン・リリクもロワイエの個性とドラマ感覚を驚くべき深みと安定感で再現し、彼のオーケストラ曲の 魅力を再認識させてくれます。 (Ki)
AP-299
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲
ヴァイオリン協奏曲第3番ト長調K.216
ヴァイオリン協奏曲第4番ニ長調K.218
ヴァイオリン協奏曲第5番イ長調K.219「トルコ風」
ゴットフリート・フォン・デア・ゴルツ(Vn)
クリスティアン・ベザイデンホウト((指)フォルテピアノ)
フライブルク・バロック・オーケストラ

録音:2021年8月20-24日 フライブルク・アンサンブルハウス
フライブルク・バロックオーケストラがゴルツの独奏でモーツァルトのヴァイオリン協奏曲に挑戦しました。なんと名フォルテピアノ奏者クリスティアン・ベザイ デンホウトも通奏低音のみならず指揮にまで挑戦。そこではモーツァルト時代の慣習に従い即興を見せているのも興味津々で、贅沢の極みの通奏低音となって います。
ゴルツは1720年カルト・アントニオ・テストーレ製作のバロック・ヴァイオリンを使用。驚くべきパワーと生気に富む演奏で、初めて聴くかのように新鮮な魅 力に満ちています。 (Ki)

AP-300
ストラヴィンスキー:作品集
(1)ロシア民謡「つまらん連中」
(2)ストラヴィンスキー:結婚(1919年版)(テオ・フェルベイ完成版)
(3)ラヴェル(ロビン・メルヒオール編):ボレロ(合唱と小器楽アンサンブル版)
マチュー・ロマーノ(指)
アンサンブル・エデス、レ・シエクル
アメリ・レゾン(S)、ポリーヌ・ルロワ(Ms)、マルシャル・ポリア(T)、ルノー・ドレーグ(Bs)

録音:2022年1月23日パリ音楽院(3)、2月4-5日ブローニュ=ビヤンクール、RIFFXスタジオ(1)(2)
ストラヴィンスキーのバレエ・カンタータ「結婚」は合唱、4台のピアノと打楽器が織りなす強烈な音響で知られますが、その形態に落着くまで紆余曲折がありま した。まず1917年に管弦楽用に執りかかるものの中断、1919年には合唱とピアノラ(自動ピアノ)、ハルモニウム、2台のツィンバロン、打楽器用に着手しますが、 生演奏と機械(Pラ)の共演やツィンバロンの名手を2人揃える非現実性に気づき前半で中止、最終的に現行版となりました。
2007年にオランダの作曲家テオ・フェルベイが1919年版を意図通りに完成させる許可をストラヴィンスキーの遺族から得て、全曲が日の目をみました。ハ ルモニア・ムンディからルネ・ボスが2005年に完成させた版もリリースされていましたが、当アルバムはピリオド楽器のレ・シエクルのメンバーと、その手兵的合 唱団アンサンブル・エデスの演奏であることが特別。声楽も正式なロシアの方言指導を受け、農民調に歌っているのが注目です。また、ピアノラ(自動ピアノ)は最 新コンピューター制御を駆使。プログラミングをさきの補筆完成したルネ・ボスが務めているのも、作品を熟知する点で重要です。
アンサンブル・エデスのノン・ヴォブラート唱法はリアルで終始ボルテージが高く、ツィンバロンの効果も抜群。ロシアの民謡唱法も巧みに真似し、あたかも前衛 演劇を見るような、3大バレエに劣らぬエネルギーの発散と衝撃に満ちています。
もうひとつ興味深いのは同じ編成に編曲されたラヴェルの「ボレロ」。リズムは打楽器が担当し、ヴォカリーズによる各歌手とハルモニウムがメロディを受け継ぎ ますが、音楽自体は原曲に忠実。こちらもノン・ヴォブラート歌唱が高貴さから最後の狂気じみた物凄い盛りあがりまで、声の力を堪能させてくれます。ロト指揮の 「ボレロ」はまだディスクがありませんが、レ・シエクルのメンバーのリズム感と引き締まった演奏から想像が広がります。 (Ki)
AP-301(3CD)
ジョゼフ・マルシャン:ヴァイオリンと通奏低音の為のソナタを含む組曲
(1) 第1組曲イ調(全8曲)
(2) 第2組曲ロ調(全7曲)
(3) 第3組曲ハ調(全5曲)
(4) 第4組曲ニ調(全7曲)
(5) 第5組曲ホ調(全8曲)
(6) 第6組曲ヘ調(全9曲)
(7) 第2組曲ト調(全8曲)
{oh!}トリオ【マルティナ・パストゥシカ(Vn)、クシシュトフ・フィルルス(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、アンナ・フィルルス(チェンバロ、ポジティフ・オルガン)】

録音:2020年5月、2021年5月/聖ヤン教会(ミコウフ、ポーランド)
ジョゼフ・マルシャン(1673-17479は今日忘れられていますが、ルイ14世の音楽家のひとりで、シャペル・ロワイヤル、王の24のヴィオロンなどのバス・ヴィ オール奏者を務めました。教師としても名を馳せ、演奏家としては非常に特異なスタイルを持っていたとされます。
1707年作のヴァイオリンと通奏低音の為の7つの組曲はソナタを含み、恐るべき二重トリルを用いた最初のものとされます。イタリア的な様式ながら和声の 美しさやバス・パートの妙技など個性が光る18世紀初頭の宝石と申せましょう。
{oh!}トリオは1980年代生まれの3人のポーランドの演奏家が2012年に結成した古楽団体。知られざるマルシャンの作品を生き生きと蘇らせました
AP-303
魔術〜ライナー・マリア・リルケを讃えて
アレクサンドル&コンスタンチン・ヴラディゲロフ兄弟:(1) 豹/(2)オルフォイスのソネットT-22/(3)愛の歌/(4)/オルフォイスのソネットT-9/(5)魔術/(6)別離/(7)時?集T/(8)オルフォイスのソネットT-19/(9)人間の言葉は怖い/(10)私/(11)私は自分自身をさらけ出す/(12)ピエタ/(13)降臨祭/(14)時?集U/(15)結び/(16)魔術ふたたび

作曲:アレクサンドル・ヴラディゲロフ(1)(2)(4)(8)(10)(15)、コンスタンチン・ヴラディゲロフ(3)(5)(7)(9)(11)(13)(14)(16)、トリフォン・シヤノフスキー(6)(12)
アンドレアス・ショル(C.T)(1)
(4)(8)(11)、
クラッシミラ・ストヤノヴァ(S)(3)、
ヤン・ムキアン(S)(2)、
サラ・トローベル(S)(6)(9)、
テオドラ・ネステロヴァ(S)(12)
ウィーン少年合唱団メンバー(5)(10)(13)、
クリスティアン・ライナー(朗読)(5)(7)(9)(11)(14)(16)、
ロベルト・ライナー(朗読)(9)
コンスタンチン・ヴラディゲロフ(P、バ スクラリネット)、
アレクサンドル・ヴラディゲロフ(トラン ペット、フリューゲルホルン )、
モーフィング室内Oメンバー

録音、ミキシング:2020-21年
アレクサンドル&コンスタンチン・ヴラディゲロフ兄弟は1978年ブルガリア生まれの双子音楽家。同国の大作曲家パンチョ・ヴラディゲロフの孫にあたり、ジャ ズの世界でも活躍しています。
このアルバムは大詩人ライナー・マリア・リルケへのオマージュとして彼の詩に作曲。ヴラディゲロフ兄弟の人脈を示すようにアンドレアス・ショルやクラッシミラ・ ストヤノヴァ、ウィーン少年合唱団など世界的な演奏陣が並びます。
ジャケットは「ドクトル・ジバゴ」で有名なボリス・パステルナークの父で画家レオニード・パステルナークによる友人リルケの肖像画。ヴラディゲロフ兄弟の曾 祖母はパステルナーク家の出で、その人脈にも驚かされます。
作風は現代的でなく、ヒーリング系ポップス風。リルケのファン、ドイツ文学研究家にもオススメです。
AP- 304
ランデヴー
フレデリック・シャスラン:ランデヴー(2021)〜ソプラノ、トランペットとピアノのための6つの歌
(1) 手(アリエル・ビュトー詩:朗読)/(2)巣から落ちた手(アラン・デュオー詩)/(3)夜(アリエル・ビュトー詩:朗読)/(4)美しい恋人たち(ジャン・コクトー詩)/(5)ドレープ(アリエル・ビュトー詩:朗読)/(6)私たちが残すもの(アラン・デュオー詩)/(7)6月(アリエル・ビュトー詩:朗読)/(8)そこにはいない熊へのバラード(ボリス・ヴィアン詩)/(9)白(アリエル・ビュトー詩:朗読)/(10)忘却(アラン・デュオー詩)/(11)緑(アリエル・ビュトー詩:朗読)/(12)僕はスノッブ(ボリス・ヴィアン詩)
ジュリー・シェリエ =ホフマン(S)、
リュシエンヌ・ルノーダン・ヴァリ(Tp)、
フレデリック・シャスラン(P)、
ピエール・アルディーティ(朗読)(1)(3)(5)(7)(9)(11)

録音:2022年1月10-14日 マリ=エコール(ヴィーニュル・レ・アトンシャテル)
歌曲にピアノとトランペットを組み合わせることはジャズやタンゴでは日常に行われますが、クラシックではあまり例がありません。この編成の6曲から成る最新 作「ランデヴー」の作曲者はフレデリック・シャルラン。パリ管等でバレンボイムのアシスタントを務め、アンサンブル・アンテルコンタンポランの指揮者も務めた鬼 才で、ここでは見事なピアノ伴奏も披露しています。
ジャン・コクトー、ボリス・ヴィアン、アラン・デュオーの詩により、作風は現代的でなく、シャンソンのようにオシャレでシックな世界。1999年生まれのトランペッ トのスター、リュシエンヌ・ルノーダン・ヴァリが共演しているのも豪華。まさに「ジャンルを超えた新星」の呼び声通りのポップな感覚で主役のような存在感。ま た各曲の間にアリエル・ビュトーの詩をはさみ、名匠ピエール・アルディーティがフランス語の美しい朗読も味合わせてくれます。 (Ki)
AP-306
パリの夜
(1)ドビュッシー(ハイフェッツ編):美しき夕暮れ
(2)同:ヴァイオリン・ソナタ
(3)ラヴェル:(フルーリー編):なき王女のためのパヴァーヌ
(4)同:ヴァイオリン・ソナタ(遺作)
(5)プーランク(ハイフェッツ編):プレスト
(6)同:ヴァイオリン・ソナタ
(7)ミヨー(ハイフェッツ編):ブラジレイラ〜「スカラムーシュ」より
(8)同:シネマ幻想曲(屋根の上の牛)
マノン・ギャリー(Vn)、
ホルヘ・ゴンザレス・ブアハサン(P)

録音:2022年9月8-11日 エリザベート王妃音楽チャペル(ベルギー)
1996年トゥールーズ生まれの美人ヴァイオリニスト、マノン・ギャリーと、1994年キューバ生まれのピアニスト、ホルヘ・ゴンザレス・ブアハサンのフレッシュなアルバム。20世紀初頭、ベル・エポック時代頃の4人のフランスの作曲家のオリジナル作品に、ハイフェッツが編曲した彼らの小品(ラヴェル以外)を対にして魅力を発散しています。
チャップリンの映画のために書いたミヨーの「シネマ幻想曲」は名作「屋根の上の牛」のオリジナル。ガルシア・ロルカ追悼に書かれたプーランクのヴァイオリン・ソナタのスペイン感をピアノのゴンザレス・ブアハサンが絶妙に表現しているのも聴きものです。 (Ki)
AP-308
スペインの思い出
(1)トゥリーナ:闘牛士の祈りOp.34
(2)同:弦楽四重奏曲「ギター風」Op.4
(3)同:セレナータOp.87
(4)カステルヌオーヴォ=テデスコ:ギター五重奏曲Op.143
バイロン四重奏団、
マッテオ・メーラ(G)(4)

録音:2022年3月3-7日
スペインがらみの室内楽。トゥリーナはピアノ曲や歌曲が有名ですが、弦楽四重奏作品も残しています。いずれもスペイン色濃厚で、ギター曲を弦楽で奏している ような感があります。カステルヌオーヴォ=テデスコはイタリア人ですが、先祖がスペインのセファルディだったことからスペイン文化にも造詣が深く、ギター五重奏 曲もその影響が見受けられます。
バイロン四重奏団はスイスの団体。バイロン卿に敬意を表した名称で、パリ音楽院でイザイ四重奏団に学んだ後、アルバン・ベルク、ハーゲン、クリーヴランド、ベ ルチャの各四重奏団のマスタークラスに参加しました。 (Ki)
AP-310
女たち
(1)カスティーリャのバラ(器楽版)(メキシコ伝承曲)/(2)マリア、すべてがマリア(ボリビア伝承曲)/(3)小さな花(メキシコ伝承曲)/(4)神は苦しみのために生まれたもうた(フアナ・イネス・デ・ラ・クルス。メキシコ)/(5)ラ・マルティニアーナ(アンドレス・エネストローサ。メキシコ)/(6)ロンヒーナ(マヌエル・コローナ・ライムンド。キューバ)/(7)アルフォンシーナと海(アリエル・ラミレス&フェリクス・ルナ。アルゼンチン)/(8)泣き虫(メキシコ伝承曲)/(9)ペテネーラ(メキシコ伝承曲)/(10)海の波(メキシコ伝承曲)/(11)呪われた心(ビオレータ・パラ作曲。チリ)/(12)あなたの悲しみに泣く(ルシアーナ・オルティス・エレッラ。アルゼンチン)/(13)別れ(ボリビア伝承曲)/(14)カスティーリャのバラ(声楽版)(メキシコ伝承曲)
ディアナ・バローニ(歌、トラヴェルソ、キハーダ)、
ロナルド・マルティン・アロンソ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
ラファエル・グエル・フリアス(バロックギター、笛。打楽器、歌)

録音:2021年4月 シルヴァネス修道院
アルゼンチン出身のディアナ・バローニは、古楽のみならずラテンアメリカのフォークロアを探求する興味深い活動を見せるトラヴェルソ奏者。このアルバムはラ テンアメリカ女性の作あるいは女性を讃えた音楽を集めた興味深い内容となっています。
ラテンアメリカの音楽ならではの情熱と明るさも感じさせ、トラヴェルソ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、バロックギターの温かみのある音色と妖艶な歌声で植民地時代 から今日まで、新世界の傑出した女性たちに敬意を表しています。 (Ki)
AP-311
ほかに好きな人がいるから
ギター伴奏によるフランスとヒスパニックのレオ・フェレ:ロマンス集

フォーレ:夢のあとにOp.7の1
 秋Op.18の3/愛の歌Op.27の1
 ゆりかごOp.23の1
マスネ:スペインの夜
イソリーナ・カリージョ:くちなしの花をふたつ
モレーノ・トローバ:マドローニョス(ギター・ソロ)
カルロス・エレタ・アルマラン:ある恋の物語
レオ・フェレ:芸術家の人生
サティ:グノシエンヌ第1番(ギター・ソロ)
ファリャ:7つのスペイン民謡
イネス・アリミ:キエロ
マスネ:エレジー
ジャック・ブレル/ジェラール・ジュアネスト:懐かしき恋人たちの歌
ロッシーニ:踊り
ポリーヌ・ヴィアルド:星
マリーナ・ヴィオッティ(Ms)、ガブリエル・ビアンコ(G)
レオナルド・ディッセルホルスト(Vc)、
ジェリー・ロペス(Sax)
録音:2022年5月12-14日/TWLスタジオ(シュレーヌ)
マリーナ・ヴィオッティはスイス出身のメゾソプラノ。ジャズ、ゴスペル、ヘヴィメタに親しみ大学で哲学と文学を専攻し、卒業後本格的に声楽を学んだ変わり種。 オペラ、宗教曲のほか、ジャンルにとらわれぬ活動を繰り広げています。
最新盤はフォーレとマスネのフランス歌曲と、スペイン・ラテンアメリカの歌をギター伴奏で聴かせてくれる魅力的なアルバム。またレオ・フェレやジャック・ブレ ルのシャンソンもイキに聴かせます。ファリャの「7つのスペイン民謡」や南米系のものはもちろんながら、フォーレやマスネの歌曲がギター伴奏と合うのに驚かされ ます。
AP-312
ジェズアルド:サクレ・カンティオーネス
(1)幸いなるかな天の女王
(2)エルサレムよ、あなたの光が
(3)幸いあれ、いと優しきマリアよ
(4)主よ、御身のあわれみと慈悲を思い起こしたまえ
(5)あなたを讃美させてください
(6)主よ、聖霊が
(7)主よ、わたしの嘆きに
(8)主よ、なんと悲しいことか
(9)わたしは嘆き疲れ
(10)私は日々罪を犯し
(11)おお、この道を行ったすべての人よ
(12) 神よ、聞 き給え
(13)けがれなきマリアと
(14)ああ 祝福された十字架よ
(15)あなたの慈しみを
(16)神は避けどころ
(17)われ、苦悩と悲しみにあいたり
(18)あなたのみ顔を輝かせてください
(19)恩寵の母マリア
ジュゼッペ・マレット(指)
イル・ポモ・ドーロcho

録音:2021年5月19-23日聖ロッコとセバスティアーノ同胞団(クミアーナ、イタリア)
近年古楽界で最も注目される団体のひとつイル・ポモ・ドーロ。この合唱団がルネサンス異端の作曲家ジェズアルドの「サクレ・カンティオーネス」に挑戦しまし た。カルロ・ジェズアルド(1566-1613)はナポリの貴族の家に生まれ、作曲家としてマドリガーレや宗教曲を作りましたが、極端な半音階や不協和音などほと んど現代音楽ばりの作風を示すなど激しい気性を反映させていました。
ストラヴィンスキーが絶賛し、20世紀作曲家たちを驚させた彼の代表作をテノール歌手としても有名なジュゼッペ・マレット指揮のイル・ポモ・ドーロがフレッシュ に再現。演奏が非常に難しいことでも知られますが、彼らは正確なうえ激烈な表現も驚きで、420年を経てジェズアルドが思い描いていた音世界が完璧に実現し ました。超注目のアルバムです。 (Ki)
AP-313
バッハ:フーガの技法 クリストフ・ルセ(Cemb/1750年以前ドイツ製、作者不明)
コルネール・ベルノレ(第2Cemb)

録音:2020年11月29日-12月2日、パリ
巨匠ルセが「フーガの技法」を録音しました!近年オペラの指揮から鍵盤奏者まで、その活動の広さとその高さがますます円熟を迎え、際立っているルセ。こ こでは大仰に構えることなく、一音一音に命を吹き込んでおり、すべての音が自然な息遣いのもとに豊かに響いております。バッハとこの作品が要求するあらゆ る技巧と奥義を手に入れたものだけが成しえる表現。「フーガの技法」の核心に迫る演奏です。 2台チェンバロの作品でルセと共に奏でているのはコルネール・ベルノレ(1989年生まれ)。13歳で自作品を指揮して指揮者デビュー。2015-18年はアニマ・ エテルナでインマゼールのアシスタントを務めました。2014年以来、ルセ率いるレ・タラン・リリクでルセのアシスタントおよびチェンバロ奏者を務めています。 (Ki)
AP-314(2CD)
エジディオ・ドゥーニ(1709-1775):オペラ・コミック「モデルに恋をした画家」(Le peintre amoureux de son modele)

オペラ・コミック「二人の猟師と農婦」(Les deux chasseurs et la laitiere)
オルケステル・ノルド、マルティン・ヴァルベルク(指)

「モデルに恋をした画家」
ポーリーヌ・テシエ(ロレット)、エリック・フシェ(アルベルティ)、ダヴィド・トリコ(ゼルバン)
「二人の猟師と農婦」
ポーリーヌ・テシエ(ペレット)、ダヴィド・トリコ(コラ)、ジャン=ガブリエル・サン=マルタン(グイヨ)

録音:2022年2月7-10日、ノルウェー
作曲家ドゥーニは、イタリアに生まれ、イタリア伝統のオペラ・セリアを作曲していました。1757年頃までにはパリに移り、以降亡くなるまでパリで活躍します。 名前のスペルも最初はDuniでしたが、Dunyとフランス風に変わりました。フランスでは、オペラ・コミック(もともとは喜劇的内容のものを指しましたが、むしろ 歌と地の台詞を併用しているものを意味します)の新しいスタイルあるいは、アリエッタをもつコメディ(Comedie melee d’ariettes)の旗手として名を馳せ ました。ここではドゥーニの代表作にして初のオペラ・コミックである「モデルに恋をした画家」(1757)と、世界初録音の「二人の猟師と農婦」(1763)を収 録しました。
「モデルに恋をした画家」は、年老いた画家アルベルティのアトリエにモデルとしてやってきたロレットという女性にアルベルティが恋をするも、彼女はアルベル ティの弟子であるゼルバンと結ばれる、というもの。恋の話よりは古い芸術と新しい芸術との対比などに重きがおかれ、また、フランス語の言語の美しさがきわだ つ音楽作りがなされています。「二人の猟師と農婦」は世界初録音。コラとグイヨという哀れな2人の猟師と、ペレットという農婦が一攫千金を夢見るも事態は変 わらぬまま終わる、という教訓めいたお話です。イタリア風のシンフォニアで始まり、アリアの伴奏に弦楽器のピツィカートが効果的に用いられています。 (Ki)
AP-315
メンデルスゾーン:ピリオド楽器による交響曲第4&5番
交響曲第4番イ長調「イタリア」
交響曲第5番ニ短調「宗教改革」
アレクシス・コセンコ(指)
レ・ザンバサドゥール〜ラ・グランド・エキュリ

録音:2022年5月7-9日イル・ド・フランス国立Oホール(アルフォールヴィル)
バロック・フルート奏者としても活躍するアレクシス・コセンコが2010年に創設した古楽集団レ・ザンバサドゥール〜ラ・グランド・エキュリ。彼らが時代楽器 と当時の解釈によるメンデルスゾーンの全管弦楽作品シリーズを開始しました。めったに用いられない版にも焦点を当てており、大物な割に版の違いやピリオド解 釈などといったことまで注目されることがまだあまり多くない感のあるメンデルスゾーンだけに期待できます。
シリーズ第1弾は交響曲第4番「イタリア」と第5番「宗教改革」。完璧主義者だったメンデルスゾーンは常に自分の作品に不満を持ち、手を入れていました。彼 は1934年に大改訂を始めたものの、完全に終わる前に世を去ってしまいました。コセンコによれば、・終楽章の素材を40小節拡張・主題(特に第2楽章)を作り直し ・第3楽章メヌエットの輪郭と展開部を大幅に変更 さらにイタリアから離れスコットランドの雰囲気が感じられるようになっているとのこと。1830年代にドイツで用いられていた楽器により、聴いたことのない「イタ リア」交響曲の世界が蘇りました! (Ki)
AP-316
フンガリカ
(1)コダーイ:ロマがチーズを食べる
 マトラの風景/夕べの歌
(2)バルトーク:苦しみ
 4つの古いハンガリー民謡/さまよい歩く
(3)リゲティ:夜-朝/孤独
 パーパイ夫人/永遠の光(ルクス・エテルナ)
ブリュノ・ケレ=ボジャール(指)
アンサンブル・ゼネ

録音:2022年10月6-8日サル・コロンヌ(パリ)
コダーイ、バルトーク、リゲティというハンガリー近現代を代表する3名の合唱曲を集めたアルバム。いずれも民謡に基づき、合唱の美しさと効果を存分に発揮さ せた逸品揃い。
アンサンブル・ゼネはハンガリー人ブリュノ・ケレ=ボジャールが2014年に結成。「ゼネ」とはハンガリー語で「音楽」を意味し、バロックの合唱作品を主なレパー トリーにしています。彼らの2枚目となる当アルバムはリーダーの母国への思いが詰まっています。
コダーイの合唱曲は重要なレパートリーとなっていますが、なにより興味津々なのはその弟子リゲティのハンガリー時代の諸作。ドイツへ亡命後に作られ、キュー ブリックが「2001年宇宙の旅」で使用してリゲティの名を世界的にした「永遠の光(ルクス・エテルナ)」が収録されているのも嬉しい限り。驚くほど感動的な出 来となっています。 (Ki)
AP-317
回想
(1)ラフマニノフ:音の絵Op.39の1
(2)シューマン:夜にOp.12の5
(3)スクリャービン:練習曲変ロ短調Op.8の11
(4)チャイコフスキー:サロン風ワルツOp.51の1
(5)ラフマニノフ:音の絵Op.39の8
 音の絵Op.39の4
(7)チャイコフスキー:秋の歌〜「四季」より
(8)ラフマニノフ:前奏曲嬰ト短調Op.32の12
 音の絵Op.39の5
(10)リスト:愛の夢
(11)シューマン:なぜ?Op.12の3
(12)クライスラー(ラフマニノフ編):愛の悲しみ
(13)ラフマニノフ(コチシュ編):ヴォカリーズ
ラフマニノフ(作曲者編):ライラック
(15)スクリャービン:練習曲嬰ハ短調Op.42の5
(16)ラフマニノフ:前奏曲変ニ長調Op.32の13
ジーモン・ビュルキ(P)

録音:2022年12月/マーラー・ホール(ドッビアーコ)
2000年スイス生まれのピアニスト、ジーモン・ビュルキのデビュー・アルバム。ビュルキは5歳からウクライナのキーウでピアノを学び、モスクワ中央音楽学校 でさらなる研鑽を積みました。マツーエフに認められ、キーウ青年ピアニスト・コンクールで優勝、現在はニューヨークのジュリアード音楽学校でセルゲイ・ババヤン に師事しています。
アルバムは今年2023年が生誕150年のラフマニノフに捧げられ、彼の前奏曲と練習曲「音の絵」から数篇と編曲、さらにゆかりあるチャイコフスキーとスク リャービンほかを集めています。技巧も冴え、今後注目の逸材と申せましょう。 (Ki)
AP-318(2CD)
キム・ダソル〜シューベルト
4つの即興曲D.935
ピアノ・ソナタ第21番変ロ長調D.960
キム・ダソル(P)

録音:2022年9月7-9日サル・コロンヌ(パリ)
キム・ダソルは1989年プサン出身の韓流ピアニスト。現在ベルリン在住で、ライプツィヒ音楽院で教鞭もとる実力派。2015年にDGレーベルからシューマン 作品集をリリースしましたが、今回はシューベルト。それも最晩年の傑作中の傑作。人気曲ですが、その温かい曲想の陰に死に直面した悲劇的な孤独を感じさせま す。まさにその当時のシューベルトと同年代のダソルがじっくりと語ります。 (Ki)
AP-319
黄金時代をたのしもう
フランソワ・ルベル&フランソワ・フランクール:「ターシスとゼリー」より「猛烈な激流、その脅威の波(Impetueux torrent, dont l'onde menacante)」
アントワン・ドーヴェルニュ:「テンペの恋人たち」より「涼しい木陰にたくさんの愛らしい鳥たちが(Mille tendres
oiseaux sous cet ombrage frais)」*
ラモー:「カストールとポリュックス」よりサラバ ンド
ラモー:「レ・ボレアド」より「黄金時代をたのしもう(Jouissons de nos beaux ans)」
モンドンヴィル:「パフォスの宴」より「愛はこの魅力的なものに続き(L'Amour suit cet objet charmant)」
フランソワ・ルピアン・グレネ:「ハーモニーの勝利」より「愛について歌え(Chantez l'Amour)」*
ラモー:「ダフニスとエグレ」より第1、第 2タンブーラン
パンクラス・ロワイエ:ツァイーデより ロンド形式によるトルコ人のためのエア
アントワン・ドーヴェルニュ:「テンペの恋人たち」より「注げ、愛よ(Verse, Amour)」*
ラモー:「ツァイース」より序曲
ルイ=ジョゼフ・フランクール:「オーロールとセファル」より「むごい神々よ(Dieux cruels)」*
フランソワ・ルピアン・グレネ:「ハーモニーの勝利」より場面「この木立にとどまろう〜残酷な幸運があなたを足止めする「 Arretons-nous dans ce boccage… 」〜「Hylas ! ou vous retient la fortune cruelle ?...」」*
ピエール・モンタン・ベルトン:「デュカリオンとピラ」より「この運命の瞬間に(Dans ce fatal instant)」
ラモー:「ポリムニの宴」より「幸せな人々よ(Peuples heureux)」
ベルナール・ド・ビュリ:「Les Caracteres de la Folie」より「盲目の神、魂の抑圧者(Aveugle dieu, tyran des ames)」
ジャン=バティスト・フィリベール・カルドンヌ:「オーヴィードとジュリー」より「わが心よ、炎がわが身を焼き尽くすふりをせよ(Deguisez bien, mon coeur, le feu qui vous devore)」
ピエレイソ:「ファエトゥーズ」より「とどろけ、はげしい雷鳴よ(Eclatez, bruyant tonnerre)」
モンドンヴィル:「ティトンとオーロール」より「この目に映るものははなんだろう?(Que vois-je ?)」
ラモー:「レ・ボレアド」よりポリムニの降臨
ラモー:「花飾り(魔法の花)」より「輝かしい音、清澄なハーモニー・・・Sons brillants, celeste harmonie…」
パンクラス・ロワイエ:「愛の力」より「遊戯と娯楽のためのエール」
ドーヴェルニュ:「テンペの恋人たち」より「私の心を燃え立たせる若き美女(La jeune beaute qui m’enflamme)」*
ラモー:「 プラテー」 より
パントマイムのエア
「バッカスを歌おう、モミュスを歌おう(Chantons Bacchus, Chantons Momus)」
シリル・デュボワ(T)、
オルフェオ・オルケストラ、
ジェルジ・ヴァシェギ(指)、
パーセルcho

録音:2021年11月15-17日、コダーイ・センター(ハンガリー)
フランスのテノール歌手、シリル・デュボワが、自身もっとも思い入れのあるバロックの作品の中でもフランス・バロックに特化した1枚をリリースします。世界 初録音も含む注目盤です。収録されているのはどれもファルセットで歌うカウンターテナーのための作品ですが、デゥボワのような非常に高いテノールも当時から 少なかったけれども存在し、そうした歌手たちも歌っていたことが文献から知られています。ヴェルサイユ・バロック・センターと、フランス・バロックに注力してい るジェルジ・ヴァシェギの協力も得て、18世紀のフランス・オペラの名曲から、知られざる名曲まで、高声のための作品が、合唱も加わったかたちで収録されて います。天井知らずかと思わせるようなデュボワの自然な高声が美しい、ぜいたくな1枚です。 (Ki)

AP-321(6CD)
ラヴェル:ピアノを伴う作品全集
■Disc1
(1)左手のためのピアノ協奏曲
(2)ラ・ヴァルス(アレクサンドル・ギンジン編によるピアノ独奏版)
(3)ピアノ協奏曲ト長調
(4)「ザ・ランプ・イズ・ロウ」による即興演奏(ボーナス・トラック)
■Disc2
(1)口絵〜ピアノ5手
(2)グロテスクなセレナード
(3)古風なメヌエット
(4)亡き王女のためのパヴァーヌ
(5)水の戯れ
(6)ソナチネ
(7)ハイドンの名によるメヌエット
(8)鏡(全5曲)
(9)耳で聴く風景(全2曲)〜2台のピアノ
(10)メヌエット嬰ハ短調
(11)前奏曲イ短調
■Disc3
(1)クープランの墓(全6曲)
(2)夜のガスパール(全3曲)
(3)…風に(全2曲)
(4)マ・メール・ロワ(全5曲)〜ピアノ4手
(5)優雅で感傷的なワルツ(全8曲)
■Disc4 室内楽
(1)ヴァイオリン・ソナタ(遺作)
(2)ヴァイオリン・ソナタト長調
(3)フォーレの名による子守歌
(4)ツィガーヌ
(5)ピアノ三重奏曲
■Disc5 歌曲
(1)博物誌(全5曲)(ルナール詩)
(2)花のマント(グラヴォレ詩)
(3)大風は海から(レニエ詩)
(4)草の上(ヴェルレーヌ詩)
(5)紡ぎ車の歌(ルコント・ド・リール詩)
(6)5つのギリシャ民謡
(7)トリパトス(ギリシャ民謡詩)
(8)フランスの歌
(9)スコットランドの歌
(10)スペインの歌
(11)ドゥルシネア姫に思いを寄せるドン・キホーテ(全3曲)
(12)マダガスカルの歌(全3曲)
■Disc6 歌曲
(1)イタリアの歌
(2)おもちゃのクリスマス(ラヴェル詩)
(3)ヘブライの歌
(4)2つのヘブライの歌
(5)ハバネラ形式によるヴォカリーズ・エチュード
(6)愛に死せる女王のためのバラード(マレ詩)
(7)聖女(マラルメ詩)
(8)暗く果てしない眠り(ヴェルレーヌ詩)
(9)何と打ち沈んだ!(ヴェラーレン詩)
(10)クレマン・マロの2つの風刺詩
(11)ロンサールここに眠る(ロンサール詩)
(12)夢(ファルグ詩)
(13)マラルメの3つの詩
フランソワ=グザヴィエ・ポワザ(P)

■Disc1:シモーネ・メネセス(指)フィルハーモニアO(1)(3)、イヴ・マルコット(ダブルベース)(4)、ヴァレンチン・リヒティ(ドラムス)(4)

■Disc2:ルイ・シュヴィッツゲーベル(P)(1)(9)、アナイス・カシエ(P)(1)

■Disc3:ルイ・シュヴィッツゲーベル(P)(4)

■Disc4:マイケル・フォイル(Vn)、ジェイミー・ウォルトン(Vc)(5)

■Disc5:トマ・ドリエ(Br)(1)(3)(11)(12)、ブレンダ・プパール(Ms)(2)(4)-(10)、
ヘレナ・マシェレル(Fl)(12)、コンスタンチン・マシェレル(Vc)(12)

■Disc6:シュザンヌ・ジェローム(S)(1)-(6)(13)、フローラン・カレール(Br)(7)、(9)-(12)、トマ・ドリエ(Br)(8)、
ロイク・シュナイダー、ナタン・カゾルツィ(Fl)(13)、パナギオティス・ジアンナカス、カンタン・シャルティエ(Cl)(13)、
ヴォーチェSQ(13)


録音:協奏曲:2023年9月5-6ヘンリーウッド・ホール(ロンドン)、
ピアノ独奏曲:2023年2月23日-3月4日ヌーシャテル・アール・ヴィヴァン・センター、
ピアノ・デュオ作品:2024年4月1-2日エルネスト・アンセルメ・スタジオ(ジュネーヴ)、
室内楽曲:2024年3月18-22日マーラー・ホール(ドッビアーコ)、
歌曲:2024年5月6-7日/ル・コロンヌ(パリ)、5月16-18日、6月15日/ヌーシャテル・アール・ヴィヴァン・センター
フランソワ=グザヴィエ・ポワザは1989年生まれのピアニスト。フランス、スイス、中国の血を引き、ジュネーヴとハンブルクでピアノを学んだ後、ジュリアードで仕上げました。PMF音楽祭のため12歳で初来日し、アルゲリッチやベレゾフスキーに激賞されました。
技巧派のポワザはこれまでオーケストラ曲の超絶技巧編曲を中心としたアルバムをリリースしてきましたが、今回ラヴェルに挑戦。それも歌曲や室内楽までピアノを伴う作品を制覇、6枚のディスクにまとめたもので、いくつかはアパルテ社より配信販売されていました。
ラヴェルのピアノ曲は大半が技巧的に難しく、まさにポワザ向き。切れ味抜群の指さばきを聴かせてくれます。共演陣も興味深く、ポワザの交遊の広さを示しています。協奏曲はブラジル出身の女性指揮者シモーネ・メネセス、ピアノ・デュオはポワザと同じく中国の血を引くルイ・シュヴィッツゲーベル、ヴァイオリンはマイケル・フォイル、Klartheレーベルからジャポニスム歌曲集をリリースして注目されたメゾソプラノのブレンダ・プパールらが参加。さらに「マラルメの3つの詩」ではヴォーチェSQも顔を見せています。
ポワザはジャズと武道が趣味で、ここでもジャズ・トリオと「ザ・ランプ・イズ・ロウ(亡き王女のためのパヴァーヌ)」による即興演奏を披露しています。今後の目の離せないピアニストと申せましょう。 (Ki)
AP-323
スターバト・マーテル
(1)プーランク:ロコマドゥールの黒衣の聖母へのリタニア
(2)クレマン・ジャヌカン:ああ、甘い眼差しよ
(3)プーランク:スターバト・マーテル
プーランク
マチュー・ロマーノ(指)
アンサンブル・エデス
マリアンヌ・クルー(S)、
ルウイ=ノエル・ベスティオン・ド・カンブーラ(Org)(1)、
レ・シエクル(3)

録音:2022年10月19,20日コンピエーニュ帝室劇場(ライヴ)(2)(3)、2023年2月21日ロワイモヨン修道院食堂(1)
衝撃的なストラヴィンスキーの「結婚」とラヴェルの「ボレロ」のディスク(AP.300/KKC.6647)で注目を集めたロマーノとアンサンブル・エデス、待望の新 譜はプーランクの「スターバト・マーテル」。オーケストラ・パートはレ・シエクルが担うという豪華盤。1950年の作品ですが、なんと初のピリオド楽器による演奏 となります。
ロトの弟子にして助手も務めたロマーノは師の影響を強く受けていて、ノン・ヴィブラートのピュアな音色はもちろんながら、リズムの切れの良さと推進力が魅 力。いずれもプーランクの音楽のポイントでもあるため理想的な世界を実現しています。「スターバト・マーテル」のオーケストラ編成は大きいものの、ロマーノはロ トが同曲を指揮したらと思わせる透明でエネルギーあふれる美演を繰り広げます。
カップリングの「ロコマドゥールの黒衣の聖母へのリタニア」は女声合唱とオルガンという編成。プーランクの宗教作品のなかでもとりわけ感動的なものですが、 初演時に立ち戻るという姿勢からフランス国立図書館所蔵の自筆譜を用いた演奏で、鮮烈な印象を残します。さらに注目なのが、プーランクの間奏曲的にクレマン・ジャヌカンのシャンソン「ああ、甘い眼差しよ」を彼らの歌唱で聴くことができること。宮廷の近寄りがた い女性への愛の歌とされますが、ロマーノは聖母マリアに宛てたものではと指摘していて、リタニアやスターバト・マーテルの間にあっても違和感なく、音楽にたっ ぷり浸れます。 (Ki)
AP-324
リスト:管弦楽伴奏声楽作品集
1. ローレライ S.369
2.3人のジプシーS.374
3. 若い尼僧(シューベルト作)
4. 糸を紡ぐグレートヒェン(シューベルト作)
5. ミニョンの歌(このままの姿でいさせてください)(シューベルト作)
6. 魔王(シューベルト作)
7. 影法師(シューベルト:「白鳥の歌」より)*
8. 祖先の墓 S.371*
9. ヴァイマルの死者たち*
10. さすらいのユダヤ人*
11. 巨人 S.79/2
イム・スンヘ(ソプラノ[3-5])、
ステファニー・ハウツィール(メゾ・ソプラノ[1])、
トーマス・ハンプソン(バリトン2,6-10)
トマシュ・コニエチュニ(バリトン[11])、
ウィーンcho[11]、
マルティン・ハーゼルベック(指)
ウィーン・アカデミーO

録音:2021、2022年
*=リスト・アカデミー・エディションによる世界初録音
リストの管弦楽伴奏による歌曲集。リストにとって歌曲は、芸術的・美的発展の手段でした。また、リストの後、管弦楽伴奏による歌曲も多く生み出されるように なるなど、同世代・後世にも影響を与えています。ここでは、リスト作のほか、シューベルトの歌曲をリストが管弦楽伴奏に編曲したものも収録。管弦楽版が未出版 だった、「影法師」「祖先の墓」「ヴァイマルの死者たち」「さすらいのユダヤ人」を、リスト・アカデミー・エディションに基づいて世界初録音収録。歌唱陣は、ウィー ン国立歌劇場で活躍し、ヘンデルやモーツァルト、そして「ばらの騎士」オクタヴィアンで絶大な評価を得ているハウツィール、ヘレヴェッヘの指揮で鮮烈デビューし、 宗教作品からオペラ、歌曲まで縦横無尽に活躍するイム・スンヘ、そして言わずとしれたトーマス・ハンプソン、バイロイト音楽祭や東京・春・音楽祭などでもおな じみのコニエチュニ、という夢のような顔ぶれです。ハーゼルベック率いるウィーン・アカデミー管の細やかな表現も味わいがあります。 ハーゼルベックはオルガン奏者、指揮者として数多くのリリースと受賞を重ねた重鎮。1985年にピリオド楽器のウィーン・アカデミーOを設立し、バロック からロマン派作品まで、ウィーン楽友協会および世界中で演奏会シリーズを重ねました。
AP-325(3CD)
リュリ:歌劇「テゼ」

クリストフ・ルセ(指)
レ・タラン・リリク
ナミュール室内cho
テゼ:マティアス・ヴィダル(T)
メデ:カリーヌ・デエ(Ms)
エグレ:デボラ・カシェ(S)ほか

録音:2023年3月3-5日

クリストフ・ルセとレ・タラン・リリクが探求を続けているリュリ。このたび、リュリの3作目の歌劇である「テゼ」が登場します。録音がきわめて少ない作品で、 このルセによる録音はまさしく大歓迎の新録音といえるでしょう。テゼ(=テセウス)はギリシャ神話の人物で、ミノタウロス(牛頭人身)退治などで知られますが、 ここではテゼの若い頃が舞台となっています。筋書きは、テゼに思いを寄せるエグレ(アグラエア)とメデ(メデア)を中心に、魔術師が登場、宮殿(ヴェルサイユ) やアテネなど舞台もめまぐるしく変わるなか、最後はエグレとテゼが結ばれる、というもの。ヘンデルのテゼオ(1713年)など、リュリ以降も多数の作曲家たちに よってこの物語を歌劇の題材にしています。 初演に際し、ちょうどのタイミングでフランス軍が戦いに勝利したというしらせを受け、リュリと台本作者のキノーは、急遽プロローグを朗らかな内容に変えるなど し、ルイ14世を戦いの神とするようなテキストも盛り込まれています。器楽編成も、当時絶大な権力を誇ったリュリの力をフル活用し、大編成をとりました(「王の 24のヴァイオリン」さらに「21の小ヴァイオリン」(ラ・プティット・バンド)が参加)。さらにあのオトテール兄弟(フルートとオーボエ)も参加、そしてトランペッ ト奏者には王のボディーガードを起用するなど、大編成な管弦楽と、王を喜ばせるポイントも多数盛り込んだ編成にしています。はたしてこの作品は大成功をおさ め、初演の1675年1月15日から翌年4月まで、休止期間はあったものの週3回のペースで上演されました。また、1754年のルイ16世の生誕の祝宴などで も演奏されるなど、フランスという国を代表する歌劇でありつづけました。 リュリの音楽の驚くべき声楽の雄弁さは圧倒的。また、器楽のみの楽曲も、たとえばトランペットやティンパニが活躍する第1幕第10場の「生贄の司祭の行進」な ど、実に華やかにして贅沢。ルイ14世とリュリ、両者が当時圧倒的な力をもっていたことも実感させられる壮麗な作品です。 ドラマの中心にいるのはメデ(=カリーヌ・デエ)。意志が強く悲劇的なメデの姿を華麗に演じ、リュリの歌劇の中でも最も熱狂的な作品である本作の魅力を存分 に引き出し、聴かせます。マティアス・ヴィダルとデボラ・カシェのデュエットにも胸をうたれるなど、聴きどころ満載。リュリがつくりあげた壮大な音楽を、ルセが 最高の歌唱陣と器楽奏者たちを率いて、これ以上ないかたちで壮麗に響かせます。 (Ki)
AP-326(2CD)
ナポリ!
[CD1]
ディエゴ・オルティス:「ラ・フォリア」に関する8番目と4番目のリチェルカーダ
ニコラ・マッテイス:プレリュード(Vnのためのアリア集第2巻より)、
サラムッチャ(Vnのためのアリア集第1巻より)
アンドレア・ファルフォニエーリ:La suave melodia & su corrente(カンツォーネ集第1巻)
A.スカルラッティ:チェロ・ソナタ第1番ニ短調
ドメニコ・ナタレ・サッロ:“Sapro ben con tanto piangere” (San Ermenegildo)(涙を流して私は知るだろう)(世界初録音)*
ニコラ・フィオレンツァ:チェロ協奏曲第1番ヘ長調
ジュゼッペ・ボンノ:Non turbar quand’io mi lagno”(悲しむ私を惑わせないでください)**
エマヌエーレ・バルベッラ:アルレッキーノ、アルレッキネッサ、ロゼッタとプルチネッラ・ソナタ(世界初録音)
タランテラ「ラ・ヴァルブレッラ(傘)」(作曲者不詳)
[CD2]
アンドレア・ファルコニエーリ:セニョーラ・ドーラのフォリア
ニコラ・マッテイス:もう一つのサラバンド(Vnのためのアリア集第1巻より)、ジーグ(Vnのためのアリア集第1巻より)
フランチェスコ・コルセッリ:聖木曜日の第2の哀歌*
フランチェスコ・ドゥランテ:協奏曲第2番ト短調
フランチェスコ・アルボレア(フランチスケッロ):チェロ・ソナタ第1番 ニ長調
レオナルド・レオ:チェロ協奏曲 ニ短調 L.60
ニコラ・ポルポラ:“Tu spietato, non farai”(冷酷なあなたはしないだろう)**
サルヴァトーレ・ランゼッティ:チェロ・ソナタ第7番ト長調 op.1
ポルポラ:”Fiero il ciel balena intomo”(誇らしげに空が渦を巻く)(テミストーデ)(世界初録音)***
ペルゴレージ:ラルゴ(Vn協奏曲 変ロ長調)
ニコラ・ポルポラ:”Se morrai per me”(私のために死ぬなら)***
マッテイス:アリア・マリンコニカ(Vnのためのアリア集 第1集より)、ジーグ(Vnのためのアリア集 第1集より)
オフェリー・ガイヤール(Vc/1737年製ゴフリラー、ピッコロチェロ/オランダ製、製作者不明)
*サンドリーヌ・ピオー(S) 
**マリーナ・ヴィオッティ(Ms)
***ルアン・ゴエス(C.T)
プルチネッラ・オーケストラ

録音:2023年5月15-17日
センシティヴな音色と表現、そして凝ったプログラムでいつも聞き手を幸せにしてくれるガイヤール。今回彼女が取り上げたのはバロックのナポリ。タンバリンの 軽やかにしてエキゾチズムも感じさせる音色に続いて、ガイヤールが縦横無尽にラ・フォリアを奏でるというディスク冒頭から一挙に世界に引き込まれます。
これまでにも「ロンドンの夜」(AP274)やマドリードを舞台にした「ボッケリーニ作品集」(AP 194)など、ひとつの町をテーマにしたアルバムを発表してき たガイヤール。「チェロという楽器の隆盛を理解するうえで避けて通れない町」ナポリを取り上げました。18世紀後半のナポリでは街角でナポリの民謡が歌われ、 その傍らにはマンドリンやヴァイオリン、そして打楽器が伴奏しているという風景がよく見られたようです。ガイヤールもこの雰囲気を再現したいと考え、音楽学者 にも協力をあおぎながらプログラムを組んだということです。タランテラやラ・フォリアのフォークロアの味わいあり、そして当時のヴァイオリン奏者だったニコラ・ ヴィオレンツァによる超絶技巧の協奏曲あり、とヴァラエティにとんだ内容です。今回もピオーを始めたとした声楽陣もゲストに迎え、バロック時代のナポリの町に 迷い込んだような楽しい気分になれるアルバムとなっています。ガイヤールのチェロの音色がますます磨き上げられいることにも感じ入る演奏です。 (Ki)
AP-327
モーツァルト:作品集
救われたベトゥーリア K.118/74cよりアリア「大嵐の中にあって」(Quel nocchier che in gran procella)
交響曲第17番ト長調 K.129
悔悟するダヴィデ K.469より「不毛な悩みは遠ざかり」
教会ソナタ ニ長調 K.69、ト長調 K.274、ニ長調 K.144、変ホ長調 K.67
戴冠式ミサ ハ長調 K.317より「アニュス・デイ」
エクスルターテ・ユビラーテ K.165
証聖者の荘厳な晩課 K.339より「ラウダーテ・ドミヌム」
カリーヌ・デエ(S)
ジェローム・コレア(指)
レ・パラダン(管弦楽)

録音:2022年10月4-7日、ポワシー劇場(フランス)
フランスはもちろんのこと、ザルツブルク音楽祭、リセウ大劇場、モネ劇場、サンフランシスコオペラ、メトロポリタン歌劇場と世界の名だたるオペラの殿堂に登場 し、ヴィクトワール・ド・ラ・ミュジークの「シンガー・オブ・ザ・イヤー」を三度も受賞している大人気のソプラノ、カリーヌ・デエのモーツァルトが登場。あたたか みのある、しかしまっすぐな輝かしさと深みも兼ね備えた稀有な歌声の真骨頂が発揮されております!合間には交響曲や教会ソナタなども収録されており、こちら も必聴の名演が展開されております。
AP-328
モーツァルト:交響曲全集Vol.2
(1)交響曲第29番イ長調K.201
(2)オーボエ協奏曲ハ長調K.314
(3)交響曲第40番ト短調K.550
マキシム・エメリャニチェフ(指)
イル・ポモ・ドーロ
イワン・ポディヨーモフ(Ob)(2)

録音:2023年2月9-11日 サラ・デッラ・カリタ(パドヴァ)
メリャニチェフと手兵イル・ポモ・ドーロによるモーツァルト交響曲全集、待望の第2弾が登場、人気の高い40番ト短調がメインなのにも注目です。
エメリャニチェフはクルレンツィス指揮ムジカエテルナの「ダ・ポンテ三部作」録音の才気煥発な通奏低音で注目されましたが、現在ではイル・ポモ・ドーロ を指揮してバロック・オペラのアルバムをリリースして高い評価を得ています。もともとモスクワ音楽院でロジェストヴェンスキーの厳しい訓練を受けたサラブレッ ドなうえ、音の指向性や奏者の数による変化なども綿密に計算するなど考えに考え抜いた録音となっています。
今回は第29番と第40番のカップリング。驚かされるのは40番第1楽章のテンポの類のない速さ。しかし丁寧な演奏のため、少しも乱暴な感じはしません。 むしろモーツァルトの気性の激しさ、ハイな状態にふさわしいとさえ思えてくる説得力で、議論を巻き起こしそうな解釈と申せましょう。
今回のフィルアップはオーボエ協奏曲。1986年ロシア出身、モーリス・ブルグ門下でバンベルクSOやマーラー室内Oを経て2016年以来ロイ ヤル・コンセルトヘボウOの首席奏者を務めている俊才。バロック・オーボエのひなびた響きに魅了されます。 (Ki)
AP-329
ジャズ
セルゲイ・アフーノフ:ジャズ【礁湖T/ナイフ投げの男/馬、女曲馬師、道化師/フォルム/ピエロの葬送/トボガン/礁湖U/白象の悪夢/フォルムU/水槽を泳ぐ女/運命T/イカルス/運命U/ハート/礁湖V】
プーランク:ヴァイオリン・ソナタ
メシアン:イエスの永遠性の賛歌〜「世の終わりのための四重奏」より
ユリヤ・イゴーニナ(Vn)、
マクシム・エメリャニチェフ(P)

録音:2020年10月13-16日/サンクトペテルブルグ放送局
バロックやモーツァルト演奏で評判のマクシム・エメリャニチェフが、近現代作品でも驚嘆のピアノ演奏を聴かせてくれるアルバムの登場です。
アルバム・タイトルは、アンリ・マティスの画集「ジャズ」の印象をもとに、現代ウクライナの作曲家セルゲイ・アフーノフが15の小品に仕上げた作品によります。 演奏者イゴーニナとエメリャニチェフの委嘱で生まれました。オシャレで聴きやすく、エメリャニチェフのポップな感性も聴きものです。
ユリヤ・イゴーニナはベラルーシ生まれ。モスクワ音楽院でエドゥアルド・グラチに学び、1998年にザハール・ブロン主宰のノヴォシビルスクと翌年のヤン ポリスキー国際両ヴァイオリン・コンクールで優勝、2000年にポーランドで行われたタンスマン国際コンクールでも最優秀賞を受賞しました。ニュー・ロシア弦 楽四重奏団のリーダーも務める注目株で、エメリャニチェフと息の合った共演を聴かせます。
カップリングはプーランク(マティス・ファン)とメシアン。どちらも画集「ジャズ」と同時期1940年代後半の作品でピリオド楽器初登場ですが、イゴーニナのヴァ イオリンは緊張感にあふれた劇的な演奏、難曲として知られるプーランクのソナタのピアノではエメリャニチェフの切れ味鋭い指さばきに圧倒されます。ルィビン スクのピアノ博物館所蔵1908年製ブリュトナー・ピアノの深い響きも魅力です。
AP-333
リスト:「聖人の伝説」集 vol.2
1. 火刑台上のジャンヌ・ダルク S373/1*
2. 火刑台上のジャンヌ・ダルク S.293*
3. 聖チェチーリア S5
4. 聖チェチーリア S343
5. 聖クリストフ S47
6-7. 栄えよポーランド(オラトリオ「聖スタニスラウス」より間奏曲)
8. アヴェ・マリア IV S341
9. エレジー第1番S130a
10. 詩篇137S17/2
11. アンジェルス!守護天使への祈り S378/1(ハルモニウム版)
*リスト・アカデミー版による世界初録音
イム・スンヘ(S)、
ソフィア・ヴィニク(Ms)、
ステファニー・ハウツィール(Ms)
トーマス・ハンプソン(Br)、
シネ・ノミネcho
マルティン・ハーゼルベック(指)、
ウィーン・アカデミーO

録音:2021,2022年
ハーゼルベックによる、リストが作曲した「聖人の伝説」集第2弾の登場。vol.1(AP.297)に続いて、歌唱陣にも豪華な顔ぶれをそろえています。
1865年に僧籍に入ったリストは、キリスト教を題材とした作品を多く書くようになります。そして、ほかの作曲家にはあまり例をみませんが、絵画や書物から題 材をとった、聖人にまつわる音楽を多く書いています。ここでは、「聖人の伝説」として、キリスト教上の様々な聖人にまつわる物語を音楽にした作品をシリーズと してお届けします。
当盤に収録されているのはいずれもリストの晩年の作品。リストの3つめのオラトリオ「聖スタニスラウス」は未完の作品ですが、もともとリストが独立した器楽 曲としても構想した「間奏曲」は充実したオーケストラ曲となっています。聖チェチーリアに関する楽曲が2つ収録されていますが、S5のほうは大編成なオーケス トラ、グレゴリオ聖歌からの引用などが見られる一方、S343のほうは比較的小編成で瞑想的な空気の作品となり、まったく性格が異なっており興味深いです。聖 クリストフについてはあまり知られていませんがこれは旅人の聖人で、旅人に力を与えると言われています。また、タイトルには直接聖人の名が見られない作品も 収録されており、リストの芸術を様々な角度から鑑賞することができます。
AP-334
音楽の四つ葉のクローバー
ダニエル・シュペール:おお素晴らしき日
あなたは身籠るだろう
トッカータ ex D.f
イエスはわが希望
5声のソナタ〜2本のコルネットと3本のトロンボーンのための
見よ、義人がいかに死すかを
4本のトロンボーンのためのソナタ
3人の悩める職人による
3本のファゴットのためのソナタ
マイエンとグククスの歌
舞踊組曲【バレ/サラバンド/メヌエット】
3人の悩める兄弟
舞踊組曲【ソナチナ/バレ/クーラント/ガヴォット/サラバンド/ジグ】
マルク・ポシャール(指)
カペラ・イティネリス

録音:2022年12月7-10日マーラー・ホール(ドッビアーコ)
ダニエル・シュペール(1636-1707)はドイツ・バロックの作曲家で笛吹き。音楽のみならず、冒険小説作家、政治評論家としての顔を持つ才人でした。彼の 作品をピリオド楽器で奏した注目盤の登場です。
カペラ・イティネリスは、バーゼル・スコラカントールムの仲間たちにより2016年に結成されたリコーダーとコルネット合奏団。旅を意味するグループ名は、彼 らがバーゼルからローザンヌまで2週間かけて徒歩で旅行したことがグループ結成につながったとのことで、「古楽と旅行のアンサンブル」と名乗っています。
シュペールの宗教音楽以外は独特なユーモアと風刺の感覚に満ちていて興味津々。カペラ・イティネリスも才気煥発で、独創的な音楽を存分に味わえます。
AP-336
バッハ:アルトのためのアリア集
(1)カンタータ第20番「おお、永遠、汝、雷の言葉よ」BWV20(1724)より第6曲 アリア「おお、人よ、お前の魂を救うがよい」
(2)カンタータ第33番「ただあなたのみ、主イエス・キリストよ」BWV33(1724)より第3曲 アリア 「我が歩み、なんと怯えつつよろめいたことでしょう」
(3)カンタータ第34番「おお永遠の炎、おお愛の源よ」BWV34(1727)より第3曲 アリア「幸いなるかな、選ばれたる魂」
(4)カンタータ第35番「霊と魂は、惑い乱れます」BWV35(1726)より第2曲 アリア「霊と魂は、惑い乱れます」
(5)カンタータ第35番「霊と魂は、惑い乱れます」BWV35(1726)より第4曲 アリア「神はすべてを麗しく成し遂げてくださいました」
(6)カンタータ第83番「新しき契約の喜びの時よ」BWV83(1724)より第1曲 アリア「新しき契約の喜びの時よ」
(7)カンタータ第108番「私が去り行くのは、あなたがたの益となる」BWV108(1725)より第5曲 アリア「我が心があなたに切に求めるもの」
(8)カンタータ第114番「ああ、愛するキリスト者、慰めを受けよ」BWV114(1724)より第5曲 アリア「死よ、もはやおまえが、私を脅かすことはない」
(9)カンタータ第115番「備えをなせ、我が心よ」BWV115(1724)より第2曲 アリア「ああ、まどろむ魂よ、何事だ?」
(10)カンタータ第170番「満ち足りた安らぎ、魂の愉しむ喜びよ!」BWV170(1726)より第1曲 アリア「満ち足りた安らぎ、魂の愉しむ喜びよ!」
(11)カンタータ第185番「永遠の愛の慈悲深き心よ」BWV185(1715)より第3曲 アリア「この時に努めよ」
ゾルタン・ダラーゴ(C.T)
クリストフ・ル セ(指&Org)
レ・タラン・リリク

録音:2023年2月14〜17日/ノートル・ダム・デュ・リバン教会(レバノンの聖母教会)、パリ(フランス)
クリストフ・ルセとレ・タラン・リリクがバッハのカンタータを録音!バッハのカンタータはルセ&レ・タラン・リリクの録音レパートリーでは初となります。と言っ ても、ただのカンタータ・アルバムではありません。数あるカンタータからアルトのためのアリアを抜粋したアルバムとなっています。
録曲には、主にバッハのライプツィヒ時代初期の1724年から1727年に初演されたカンタータからアルトのためのアリアが選ばれています。BWV185のみ ヴァイマール時代の1715年の作ですが、ライプツィヒ時代初期に再演されていますので、近い時期に演奏されたカンタータからアリアが集められていることにな ります。有名曲を並べるだけのありがちなアリア集とせずに、バッハの人生にとって大きな転機となったライプツィヒのトマス・カントル就任直後の楽曲に限定して 選曲している点、そしてシンフォニアなどの楽曲を加えず、あえてアリアのみ絞っている点に、アーティストたちのこのアルバムのコンセプトへのこだわりが感じられ ます。
この録音において、ルセ&レ・タラン・リリクと共演する歌手は、新鋭カウンターテナー、ゾルタン・ダラーゴ。古楽だけでなく、歌曲やコンテンポラリー・オペラ など幅広いレパートリーを持つハンガリー出身の若き実力派で、2022年フィンランドのオペラ・スカーラでエジプトの王を主人公としたフィリップ・グラスのオペ ラ「アクナーテン」のタイトルロールを歌い脚光を浴びました。
ダラーゴは、その透明感と色彩感を併せ持つ声と抜群のテクニックで、バッハの宗教的な楽曲から、敬虔さだけでなく、イタリア・バロック時代の色鮮やかな宗教 画を思わせる官能性まで引き出しています。
ダラーゴを支えるレ・タラン・リリクは、弦楽器6-5-3-4-1の比較的大きな編成を取っています。ここにフルート、オーボエ、オーボエ・ダモーレ、オーボエ・ダ・ カッチャ、ホルンが楽曲によって加わります。またオブリガート楽器が活躍する曲では、レ・タラン・リリクの名手たちの妙技も冴え渡り、歌唱の色彩感をさらに輝 かしいものにしています。特に、BWV35では、ルセのオルガンとダラーゴの歌唱が甘美な二重唱を歌うような美しさです。
バッハのカンタータや受難曲のアリアは、イタリア・オペラから、ABAのダ・カーポ・アリアという形式だけでなく、旋律や楽器の使用法においても大きな影響を 受けていますが、ダラーゴの官能的な歌唱とレ・タラン・リリクの技巧性高い演奏は、バッハのカンタータにおいて、宗教的な信仰(カンタータ)が世俗的な甘美さ (オペラ)とも結びついていたことを教えてくれます。ルセが新進気鋭のカウンターテナーと示したバッハのカンタータ演奏の新機軸をお聴き逃しなく!
AP-338
ジョスカン・デ・プレ:不運が私を打ち / ステファン・マクラウド、リ・アンジェリ・ジュネーヴ
1. ミサ「Malheur me bat(不運が私を打ち)」よりキリエ
2. Douleur me bat(悲しみが私を打ち)
3. ミサ「Malheur me bat(不運が私を打ち)」よりグローリア
4. Nymphes des bois(森の妖精)〜オケゲムの死に
5. ミサ「Malheur me bat(不運が私を打ち)」よりクレド
6. 主よ、われをあわれみたまえ
7. ミサ「Malheur me bat(不運が私を打ち)」よりサンクトゥス
8. 千々の悲しみ(Mille regretz)
9. ミサ「Malheur me bat(不運が私を打ち)」よりアニュス・デイ
10. Preter rerum seriem(この世の秩序を超えて)
リ・アンジェリ・ジュネーヴ(声楽アンサンブル)
ステファン・マクラウド(指)

録音:2023年1月、スイス
ジョスカンは15-16世紀を代表する作曲家であり、世俗曲と宗教曲の両方でヨーロッパ中に名を馳せました。これは、世俗曲と宗教曲を交互にプログラムした 1枚です。どちらにも共通しているのは、ジョスカンの多声音楽作曲の天賦の才に満ちていること。さらに、ひとつの作品(「Preter rerum seriem(この世の秩 序を超えて)」)を除いてすべてフリギア旋法(あるいはホ調)のものであることも、ディスクに一貫性をもたらしています。声楽アンサンブル「リ・アンジェリ・ジュ ネーヴ」はここで、各パート2名という編成で、研ぎ澄まされた美しさの演奏を展開しています。指揮のマクラウドはバス・パートを歌いながらの指揮。ジョスカン の音楽の深く感動的な面が存分に引き出されており、聴き手は、親密かつ瞑想的な静謐の世界にどっぷり浸かることができます。 (Ki)
AP-339
プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ第4番ハ短調Op.29
 交響曲第5番Op.100〜スケルツォ(ムンドヤンツ編)
ムンドヤンツ:夜想曲
プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ第8番変ロ長調Op.84
ニキータ・ムンドヤンツ(P)

録音:2023年5月9-11日/サン・ピエール教会(パリ)
アルメニアのピアニスト、アレクサンドル・ムンドヤンツの愛息で1989年生まれのニキータがプロコフィエフのソナタに挑戦。彼は2007年のパデレフスキ国際 ピアノ・コンクールと2016年のクリーヴランド国際ピアノ・コンクールともに優勝の実力者。作曲家としても2016年のプロコフィエフ国際作曲コンクールで優 勝した才人。
今回は4番と「戦争ソナタ」の第8番。どちらも高度な技巧を要求されますが、ムンドヤンツは切れ味良い指さばきを披露。興味深いのは交響曲第5番のスケル ツォ楽章をムンドヤンツ自身が2006年にピアノ用編曲したものも披露。ピアニスティックな魅力光る作品に返信しています。
さらに父に捧げた自作の「夜想曲」も収録。ショパンとプロコフィエフの影響に加え、アメリカのミニマルミュージックの要素も感じられる興味深い作品です。 (Ki)
AP-340
フランティシェク・トゥーマ(1704-1774):S.ジョアンヌ・バプティスタのモテット(1743)
モテトゥム・デ・テンポーレ(1750)
四声のシンフォニア
Motetto per ogni Tempo(1746)
Dixit Dominus(1743)
アンドレアス・ショル(C.T)
ロマーナ・クルシコヴァー(S)、
オンドレイ・ホ ルブ(T)
イルジー・ミロスラフ・プロハスカ(Bs)
チェコ・アンサンブル・バロック
ロマン・ヴァーレク(指)

録音:2023年6月2-6日、サン=ミシェル教会、チェコ
チェコに生まれたトゥーマ(1704-1774)は、18世紀中頃のウィーンの最重要人物の一人。特に宗教作品で高く評価されており、オルガンの通奏低音を伴う 合唱から、器楽伴奏による合唱と独唱まで、ともに対位法の高度な技術を用いて作曲しました。18世紀後半の作曲家(ハイドンやモーツァルト)が典礼のための音 楽を書く際のモデルとなりました。 トゥーマはカントールでオルガン奏者だった父のもとに4人兄弟の長男として生まれ、プラハの教会でもテノール歌手を務める傍ら、テオルボやヴィオラ・ダ・ガン バの演奏にも非常に長け、1723年、カール6世の戴冠式がプラハで行われた折にも演奏したとされています。カール6世の妻エリザベス・クリスティーナの宮廷 で寵愛を受けた後、その作風は当時としては古風なものの仲間入りをし始めていましたが、クリスティーナの娘マリア・テレジアにも大切にされ、手厚い年金を受 け取るなどよい境遇を過ごし、最後は僧籍に入り、教会で亡くなりました。
このディスクには、エリザベス・クリスティーナの宮廷に仕えていた頃の作品が収められています。15名ほどの器楽奏者と5名の歌手たちのアンサンブルによ る編成のものを多く書いておりました。当時の最高レベルの歌手たちがトゥーマのもとには集っていたと考えられ、技巧的なパッセージも見られます。また器楽作 品も多く残しており、三楽章による弦楽四重奏曲は古典派時代の到来を思わせます。後期バロックの円熟した対位法技法と、新時代の表現の両方が合わさった、 トゥーマの魅力を存分に味わうことができます。モテットでは、アンドレアス・ショルのビロードのような音色、音域、見事なテクニックが、トゥーマの男性アルト・ソ ロのヴィルトゥオーゾ的要求に完璧に応えています。
アンドレアス・ショルとチェコ・アンサンブル・バロックのコラボレーションは、ヘンデルのオラトリオ『サウル』のチェコ初演にショルが参加したことをきっかけに 始まりました。カウンターテナー独唱によるトゥーマのモテットの演奏は世界初録音となります。
AP-341
ハイドン・オールスターズ
ハイドン:ピアノ三重奏曲第25番ホ短調Hob.]X-12
ラヴェル(カルロス・ロケ・アルシーナ編):ハイドンの名によるメヌエット
ハイドン:ピアノ三重奏曲第41番変ホ短調Hob.]X-31
ジャクリーヌ・フォンティン:親愛なるヨーゼフ (2009)
ハイドン:ピアノ三重奏曲第20番ニ長調Hob.]X-7
ブラームス(カルロス・ロケ・アルシーナ編):私の眠りはますます浅くなりOp.105の2
ハイドン:ピアノ三重奏曲第45番変ホ長調Hob.]X-29
エルネスト三重奏団【スタニスラス・ゴッセ(Vn)、ナターシャ・ロケ・アルシーナ(P)、クレマン・ダミ(Vc)】

録音:2023年4月28-5月1日/エリザベート王妃音楽礼拝堂(ワーテルロー、ベルギー)
2019年にジュネーヴで結成されたエルネスト三重奏団。現在までに6つのコンクールで入賞し、将来を最も嘱望されているピアノ三重奏団のひとつです。
彼らのみのデビュー・アルバムに選んだのは、彼らにとり大切な存在のハイドン。さらに彼らと関係の深い作曲家や作品をはさんでします。1930年生まれ、現 在93歳のベルギーの女性作曲家ジャクリーヌ・フォンティンの「親愛なるヨーゼフ」はハイドン歿後200年にあたる2009年作のピアノ三重奏曲で、 ハイドンのピアノ・ソナタ第62番からインスピレーションを受けたとされます。
ラヴェルとブラームスの小品はピアノのナターシャ・ロケ・アルシーナの実父で、アルゼンチン出身の作曲家カルロス・ロケ・アルシーナによる編曲。ピアノ三重 奏の効果と魅力を存分に生かしています。 (Ki)
AP-342(2CD)
シャルパンティエ:音楽悲劇「ダヴィデとヨナタン」 H.490
プロローグと5幕からなる音楽悲劇
ダヴィデ:クレマン・ドゥビューヴル(T)
サウル:ダヴィド・ヴィツァク(Br)
ヨナタン:ナターシャ・ブーシェ(S)ほか
オルケストル・レ・トン・プレゾン
ヴェルサイユ・バロック音楽センター・レ・パージュ&レ・シャントル
オリヴィエ・シュネーベリ(音楽監督・指揮)

録音:2021年7月6-9日、ヴェルサイユ宮殿王立歌劇場
シャルパンティエの宗教的悲劇「ダヴィデとヨナタン」。シャルパンティエというと宗教作品が多く録音されておりますが、モリエールやコルネイユといったパリの 人気劇作家達の音楽を担当し、数々の劇音楽作品を残しています。この作品は、1688年、イエズス会の大学の学生のために書かれました。ダヴィデとヨナタンの 友愛と、残酷な権力争いに翻弄されてゆく姿を描いています。プロローグにはおきまりの王や貴族への讃美はなく、レチタティーヴォやデヴェルティスマンもほぼ見 られません。登場人物が織りなすドラマや心理描写のために対位法技法が見事に用いられ、ハーモニーの洗練もあいまって、シャルパンティエの創作の絶頂のひと つといえます。
これまでにもクリスティら、名録音が存在はしておりますがこの録音は、フランスのバロック音楽を研究し普及させるための組織ヴェルサイユ・バロック音楽セン ターの肝いりのプロジェクトであることと、当時のイエズス会の状況をふまえて、男声(ヨナタンは女性ソプラノ)と児童合唱で歌唱陣を構成しているという点で、 他とはまた一線を画した特別なものとなっております。 (Ki)
AP-344
栄光の楽園
(1)ドビュッシー:シャルル・ドルレアンの3つの歌
(2)ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
(3)ドビュッシー(ワクスマン編):小組曲+ワクスマン:華やかな月
(4)ラヴェル:ボロディン風に
(5)グラシアーヌ・フィンジ:(もうひとつの)小組曲
(6)ドビュッシー:夢想
(7)ナディア・ブーランジェ:3つの小品
(8)ドビュッシー:月の光
(9)ラヴェル:3つの歌
(10)プーランク:愛の小径
(1)スカルラッティ:この告白者
(2)ボナヴェントゥーラ・ルビーノ:エルサレムを賛美せよ
(3)アントニオ・ロッティ:クレド
(4)スカルラッティ:スターバト・マーテル
(5)ヴィヴァルディ:われは幸い
ジャン = フィリップ・サルコス(指)
ル・パレ・ロワイヤ ル

録音:2023年3月13-15日/コンフラン礼拝堂(シャラントン=ル=ポン)
プレートルの秘蔵子でフランス空軍予備役大佐という肩書も持つ指揮者ジャン=フィリップ・サルコスが2010年に創設した古楽器オーケストラ・合唱団ル・パ レ・ロワイヤル。17世紀から20世紀半ばまでのレパートリーを清新な演奏で聴かせ注目されています。
彼らの新録音はイタリア・バロック。スカルラッティやヴィヴァルディなどの知られざる名品にカラフルで陰影に満ちた生命を吹き込んでいます。 (Ki)
AP-345
ルイ・ベイツ歌曲集
(1)影と太陽の(1948)(全8曲)
(2)6つのフランス・バラード(1926)
(3)むなしき心(1948)(全6曲
(4)4つの小叙事詩(1929)
(5)5つのユモレスク(1928)
(6)ミラボー橋(1940)
(7)水飲み場(1926)/(8)風の精(1934)
(9)鳥のためのシャンソン(1948)(全4曲)
シリル・デュボワ(T)、
トリスタン・ラエ(P)

録音:2022年11月14-17日/サン=ピエール教会(パリ)
個性的な高音で飛ぶ鳥落とす勢いのテノール歌手シリル・デュボワ。バロックから20世紀まで幅広いレパートリーを誇る彼が、20世紀前半にフランスで活躍し た作曲家ルイ・ベイツの歌曲に挑戦。大半が世界初録音なのも大歓迎です。
ルイ・ベイツ(1895-1953)はボルドー出身の作曲家。パリでメサジェとレイナルド・アーンに師事し、フランスのオペレッタ最後の大作曲家となりました。ジャ ズやシャンソンの影響も取り込みつつ、オシャレで華やかな世界を作りました。これまで録音されなかったのが不思議なほど魅力的なものばかり。フランス音楽ファ ンは見逃せないアルバムです。 (Ki)
AP-346
蒼い時
(1)ドビュッシー:シャルル・ドルレアンの3つの歌
(2)ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
(3)ドビュッシー(ワクスマン編):小組曲+ワクスマン:華やかな月
(4)ラヴェル:ボロディン風に
(5)グラシアーヌ・フィンジ:(もうひとつの)小組曲
(6)ドビュッシー:夢想
(7)ナディア・ブーランジェ:3つの小品
(8)ドビュッシー:月の光
(9)ラヴェル:3つの歌
(10)プーランク:愛の小径
ザイールQ【ギヨーム・ベルソー(ソプラノ・サックス)、エティエンヌ・ブサール(アルト・サックス)、フロラン・ルマン(テナー・サックス)、ジョアキム・チェスラ(バリトン・サックス)】

録音:2023年/シンガー・ポリニャック財団展示館(パリ)
サクソフォン四重奏団期待の名人集団の第2弾。フランスの作品を集めていて、ドビュッシー、ラヴェル、プーランク、ナディア・ブーランジェは編曲。新たな色彩 を示しています。
興味深いのはドビュッシーの「小組曲」を編曲したファビアン・ワクスマンが第3曲に自身の新作「華やかな月」を挿入し、また同曲から触発されたグラシアーヌ・ フィンジの「(もうひとつの)小組曲」が生まれたこと。どちらもザイール四重奏団の超絶芸もあいまり聴き応え満点です。 (Ki)
AP-348(2CD)
メンデルスゾーン:ヴァイオリンとピアノのための作品全集
■CD1
〔1820年代の習作から〕
ヴァイオリン・ソナタ ニ短調 MWV Q9
プレリュード ニ短調、フーガ ト短調 MWV Z1(ツェルターの練習帳)No.97
メヌエット ト長調 MWV Q8
無題 ト短調 MWV Z1(ツェルターの音楽帳) No.104
アンダンテ ニ短調 MWV Q4
フーガ ニ短調 MWV Q5
ヴァイオリン・ソナタ ヘ長調 MWV Q7(1820)
ヴァイオリン・ソナタ ヘ短調 op.4MWV Q12 (1823)
ヴァイオリン・ソナタ ニ短調 MWV Q18(1826-27)
ヴァイオリン・ソナタ へ長調 MWV Q26(1838、初版)
■CD2
ヴァイオリンとピアノ、弦楽のための協奏曲 ニ短調 NWB O4(1823)
無言歌 op.62-1(クライスラーによるヴァイオリンとピアノ版)
デニツァ・カザコワ(Vn)、
シルヴィアンヌ・ドゥフェルヌ(P)
スイス・ロマンド・ユースO

録音:2023年11月17-19日、2024年1月26-29日
メンデルスゾーンが書いた、ヴァイオリンとピアノの両方をふくむ作品全集の登場。ヴァイオリンとピアノはメンデルスゾーンの生涯を通じて身近な存在であり、 作曲家は初期の頃から作品を書いていました。ここに収録されたヴァイオリンおよびピアノのための作品全集は、初期の作品から円熟期の作品までが混在してお り、メンデルスゾーンという天才が早熟であったことをあらためて示していると同時に、早熟の才能がさらなる発展を遂げたことを実感することができます。

1820年代の習作をふくむヴァイオリンとピアノのための作品はの崇高で憂いを帯びた繊細さなど、とても10歳ちょっとの子供が書いたものとは思えません。 ピアノのパッセージの端々にすでに顕在している天才のきらめきは後のピアノ三重奏曲などを思わせます。ヴァイオリンとピアノのための協奏曲の表情豊かさを聴 くと、まだ14歳だったメンデルスゾーンの表現力の成熟と芸術性に驚かされます。ヴァイオリンのデニス・カザコワはブルガリア出身、シルヴィアンヌ・ドゥフェル ヌはスイス出身。スイス・ロマンド・ユースOのメンバーのみずみずしいアンサンブルも必聴の、世界初録音を含む、注目のアルバムです。
AP-350
メゾ・モーツァルト
モーツァルト
(1)コジ・ファン・トゥッテ〜「ああ、おどき〜私の心を騒がす」
(2)コンサート・アリア「どうしてあなたが忘れられましょう〜心配しないで」K.505
(3)フィガロの結婚〜「とうとう嬉しい時がきた〜恋人よここに」
(4)ポントの王ミトリダーテ〜「執念深い父がやってきて」
(5)アルバのアスカーニオ〜「なぜ黙っていなければならないのか〜愛しい人よ、まだ遠くに」
(6)モテット「踊れ、喜べ、汝幸いなる魂よ」K.165
(7)フィガロの結婚〜「恋とはどんなものか」
(8)偽の女庭師〜「私の心は変わらない」
(9)皇帝ティートの慈悲〜「私は行くが。君は平和に」
(10)ミサ曲ハ短調K.427〜私たちはあなたを誉める
マリーナ・ヴィオッティ(Ms)
ステファン・マクラウド(指揮 )
リ・アンジェリ・ジュネーヴ

録音:2023年6月18、20-21日/ランドガストホフ・リーエン大祝祭劇場(スイス)
モーツァルト時代は今日のような声の分類が確立されていませんでした。ソプラノとカストラートは別であり、その個性と声色がモーツアルトにとり作曲の主眼で した。それらを1986年生まれのスイスの実力派マリーナ・ヴィオッティがメゾソプラノで歌唱。彼女ならばすべてをカバーでき、モーツァルトが描いたさまざまな 役割を演じることに成功しました。
彼女の父は指揮者のマルチェロ・ヴィオッティで、家族すべてが音楽家。当初フルートを勉強するもののジャズ、ゴスペル、ヘヴィメタに親しみ音楽の幅を広げま した。2016年ジュネーヴ国際音楽コンクールで3位入賞して、世界中のオペラハウスからひっぱりだこの人気です。 (Ki)
AP-351
60/ ロベルト・アラーニャ
ヴェルディ:「シモン・ボッカネグラ」より「地獄だ!〜嫉妬の炎で(O inferno! 〜Sento avvampar)」
グノー:「ファウスト」より「この清らかな住まい(Salut! Demeure chaste et pure)」
アダン:「ロンジュモーの御者」より「友よ、聞いておくれ(Mes amis, ecoutez)」
フロトー:「マルタ」より「夢のように(Ach, so fromm)」
ワーグナー:「ローエングリン」より「はるかな国に(In fernem Land)」、「愛する白鳥よ(Mein lieber Schwan)」
モニューシコ:「ハルカ」より「もみの木のざわめき(Szumia jodly)」
チャイコフスキー:「エフゲニー・オネーギン」より「青春は遠く過ぎ去り(Kuda, kuda)」
リムスキー=コルサコフ:「サトコ」より「インドの歌(Song of the Indian Guest)」
グノー:「ポリュクト」より「注意深いニンフたち(Nymphes attentives)」
トマ:「ミニョン」より「さようなら、ミニョン(Adieu, Mignon)」
マイヤベーア:「ユグノー教徒」より「古い塔からそう遠くない(Non loin des vieilles tours...)」
ペルゴレージ:「恋する兄(恋に陥った修道士)Lo frate 'nnamorato」より「あらゆる罰を(Ogni pena)」
ドリゴ:「億万長者の道化師」よりセレナーデ
レオンカヴァッロ:セレナーデ「月の光に(Au clair de lune)」
ディ・キアーラ:「スペイン女(La Spagnola)」
オスマン・ペレス・フレイレ:「クレオールのセレナーデ(Ay ay ay)」
ダヴィド・アラーニャ:「アンダルシアの女(L'Andalouse)」
ブロツキ:ビー・マイ・ラブ
ロベルト・アラーニャ:ソニャーレ
ロベルト・アラーニャ(T)、
モーフィング室内O、
ジョルジュ・クローチ(指)

録音:2024年3月、ウィーン
2024年6月に18年ぶりの来日を果たし、サントリーホールで一度きりの公演を行い日本のファンをその歌声に酔いしれさせた至宝アラーニャ。その健在ぶり を示すかのような怒涛の名アリア集の登場。1963年生まれのアラーニャの還暦記念アルバムでもあります。一声聴けばアラーニャとわかる輝かしい歌声、そして フレーズの端々ににじみでる色気、美しいピアニシモ。言語は多岐にわたりますが、一貫して余裕たっぷりの歌唱ぶりと豊かな表情はさすがです。ヴェルディだけで なく、ミュージカルや最後には自作なども含み、これまでアラーニャが人生の中で触れてきた音楽やレパートリーの幅広さ、そして「アラーニャ健在」をあらためて 力強く印象づける1枚です。 (Ki)
AP-352(2CD)
ピアノによる無伴奏チェロ組曲
バッハ(トマ・ジャリ編):無伴奏チェロ組曲
(1)第1番ト長調BWV1007
(2)第2番ニ短調BWV1008
(3)第3番ハ長調BWV1009
(4)第4番変ホ長調BWV1010
(5)第5番ハ短調BWV1011
(6)第6番ニ長調BWV1012
トマ・ジャリ(P)

録音:2023年8月29日-9月2日/アルカード劇場(ビュク)
フランスのピアニスト、トマ・ジャリがバッハの名作「無伴奏チェロ組曲」を自ら編曲して披露します。もともと単声作品なのをカノンや対位法を駆使して革新的 なものに再構築しています。音楽が立体的になり新しい発見の連続。
ヴェルサイユ音楽院所蔵の1953年製ガヴォー・コンサート・ピアノを用いているのも興味津々。深い音色をたっぷり味わえます。 (Ki)
AP-353
FALCON / アレクサンドラ・クジャク
モーツァルト:「ドン・ジョヴァンニ」より「むごい人ですって?・・・言わないで、いとしい人」
ベートーヴェン:演奏会用アリア「ああ、ひどい人よ」op.65
スポンティーニ:「ヴェスタの巫女」よりアリア「私がおそれおののきながら懇願する人よ」「この神聖な祭壇の上で」
アレヴィ:「ユダヤの女」より「ロマンス」
マイヤベーア:「ユグノー教徒」より「私は家で一人・・・涙の中で」
ニーダーマイヤー:「ストラデッラ」より「ああ、ひどい夢だ」
ロッシーニ:「オリー伯爵」より「悲しみの中で」
ベルリオーズ:「若きブルターニュの牧童」H.65
ウェーバー:「魔弾の射手」より「あの人を知らぬうちは、眠りもたやすく訪れたのに・・・清き歌よ、静かに静かに」
アレクサンドル・クジャク(S)、
モーフィング室内O、
バッセム・アキキ(指)

録音:2023年10月19-24日、ウィーン
1977年ポーランド出身のソプラノ、アレクサンドラ・クジャク(クルジャク、クルザク)による1枚。「Falcon」と題し、19世紀フランスの歌姫として時代の寵 児になるも短い期間で声を失ってしまったコルネリー・ファルコン(1814-1897)へのオマージュです。
ポーリーヌ・ヴィアルドやマリブランと同時代に活躍したコルネリー・ファルコンは、上質なフランス・ベルカントのスターの一人でした。豊かで力強い低音域と、 きわめて印象的な高音域の声の持ち主は、急激にスターダムを歩み、突然にして声を失う(しかも舞台上で)という悲劇的な運命を歩むこととなりました。 ここでクジャクがとりあげたのは、ドンナ・アンナのアリアなどファルコンが得意としたものから、ファルコンのことをとりわけ絶賛していたベルリオーズの作品まで、 ファルコンゆかりの作品たち。フランス・オペラ界で最もセンセーショナルな芸術家のひとりにスポットライトを当てています。
AP-355
ブクステフーデ:われらがイエスの御体
グザヴィエ・ダイヤー(b.1972):獰猛なライオンに奪われてはならない
リ・アンジェリ・ジュネーヴ 、
ステファン・マクレオー、コントルシャン

録音:2021年10月19,20日、フランス
2020年夏、ステファン・マクレオーは、ブクステフーデの「われらがイエスの御体」の対となる作品が必要だと考え、1972年生まれの作曲家ダイヤーに新作 を委嘱。こうして生まれたのが「獰猛なライオンに奪われてはならない」です。ダイヤーは自らの作風を古楽に寄せ、ブクステフーデの5人の歌手と10人の器楽奏 者に、現代の管楽器五重奏団を加えた編成のための作品を仕上げました。テキストはダイヤー自身によるもの。古の楽器と現代の楽器、そして人間の声が織り成す 芸術的で瞑想的な響きの中に包まれます。 (Ki)
AP-356
ブラームス〜雨の歌
ヴァイオリン・ソナタ第1番ト長調「雨の歌」 op.78
ヴァイオリン・ソナタ第2番イ長調 op.100
ヴァイオリン・ソナタ第3番ニ短調 op.108
セルゲイ・オストロフスキ(Vn/1716年製ジョヴァンニ・グランチーノ)
ナターリア・モロゾヴァ(P)

録音:2023年9月26-28日、スイス
ブラームスのヴァイオリン・ソナタ全曲録音。ヴァイオリンのオストロフスキーはアイザック・スターンに「イスラエルのヴァイオリン奏者の中でもひときわ素晴らし い」と絶賛された存在。アヴィヴSQの第1奏者、指揮者、コンサートマスター、ジュネーヴ音楽院でヴァイオリンの教授も務める実力者です。ナターリア・ モロゾヴァはモスクワ出身、チャイコフスキー音楽院を優秀な成績で卒業後、ソロのほか、デュオ、室内楽でも活躍しています。ふたりのアンサンブルは節度を保ち つつ、重厚かつ濃厚な音色でブラームスの作品を深々と謳い上げています。 (Ki)
AP-363
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲【全楽章のカデンツァ:アンリ・ヴュータン】
ベートーヴェン(リスト編曲による管弦楽版):アンダンテ・カンタービレ(原曲:ピアノ三重奏曲第7番 変ロ長調 Op.97の第3楽章)*
ベンヤミン・シュミット(Vn)
マルティン・ハーゼルベック(指)、
ウィーン・アカデミーO

ライヴ録音:2020年8月8日ブルックナーハウス、リンツ(オーストリア)
2022年10月24日ライディング・リスト音楽祭(オーストリア)*
マルティン・ハーゼルベック率いるウィーン・アカデミーOの最新盤は、天才ヴァイオリニスト、ベンヤミン・シュミットを独奏に迎えたベートーヴェンの ヴァイオリン協奏曲とリストがオーケストラ用に編曲したベートーヴェンのアンダンテ・カンタービレです!
1968年ウィーン生まれのシュミットは、数多くの国際コンクールで優勝。なかでも1992年に開催されたカール・フレッシュ国際ヴァイオリンコンクールでは、 第1位、最優秀モーツァルトおよびベートーヴェン協奏曲賞、そして観客賞を受賞するなど、若くして圧倒的な存在感を示しました。
積極的な演奏活動に並行して多くのレコーディングでも知られるシュミットは、バッハから現代、そしてジャズ・即興まで、クラシック・ヴァイオリニストとして 最も豊かなレパートリーで聴衆を魅了しております。そのシュミットがついにベートーヴェンの協奏曲を録音!ハーゼルベックの的確な解釈の元、名門ウィーン・ア カデミーOと奏でるベートーヴェンは格別で、流麗なヴァイオリンの音色は当代随一の演奏家だからこその表現といえます。
さらに注目は全楽章ヴュータン作のカデンツァで演奏していること!フランスで活躍したベルギーのヴァイオリニスト・作曲家アンリ・ヴュータン は、1830年代にシューマンやシュポアと親交を結び、のちにヴァイオリニスト、作曲家として活躍。晩年はイザイなどのヴァイオリニスト、作曲家を輩出しています。 ヴュータンといえば美しい旋律と演奏効果が見事にあらわれた華やかな作品で知られますが、ベートーヴェンのカデンツァでもヴュータンらしさが随所に現れます。 敬愛するベートーヴェンへのオマージュともいえる名カデンツァ。当演奏を聴けば、全楽章ヴュータンのカデンツァを採用したシュミットの意図がよくわかります。 大歓迎の録音といえましょう!
カップリングのアンダンテ・カンタービレについてハーゼルベックは「すでにヴィルトゥオーゾ・ピアニストとして活躍していたリストは、1837年から1864 年にかけて、ベートーヴェンの交響曲全曲をピアノ独奏用に編曲。また『大公』の名で知られるベートーヴェンのピアノ三重奏曲第7番 変ロ長調 Op.97の第3楽章「アンダンテ・カンタービレ」を管弦楽版に編曲しています。シューベルトのさすらい人幻想曲(Pとオーケストラ版)と並んで、このアンダンテ・ カンタービレの編曲は、作曲家リストが独自にして優れた管弦楽法を習得していることを証明しています」と語っています。
AP-364
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番ト長調Op.58
ピアノ協奏曲第5番「皇帝」
リード・テツロフ(P)
パヴェウ・カプワ(指)プラハ・フィル

録音:2023年3月/ドヴォルザーク・ホール(プラハ)
リード・テツラフは1992年ミネソタ生まれのアメリカ・ピアノ界期待の星。2015年の第15回チャイコフスキー国際コンクールや2018年の第10回浜松国 際コンクールで入賞こそ逃しましたが注目され、「魔法のような音色」「熱狂的な技巧」が評判となりました。
彼のベートーヴェンのピアノ協奏曲全集シリーズ第1弾は第4番と「皇帝」。交響曲第3番「英雄」やラズモフスキー四重奏曲などと革命的作品と同時代の2篇 の完璧なイメージを提供し、カプワ指揮プラハ・フィルとともにドラマを作り上げています。 (Ki)
AP-365
セニョール / ロベルト・アラーニャ
1. Si loin de vous(遠く離れて)/アンドレ・ホセイン作曲、クロード・ルメル作詞
2. Ave Maria(アヴェ・マリア)/シューベルト、R.アラーニャ編曲
3. Raccontami(彼のことを教えて)/ジャン=フェリックス・ラランヌ、ダヴィデ・エスポジト)
4. La Valse de l'Esperance(希望のワルツ)/ショスタコーヴィチ作曲、R.アラーニャ編)
5. 子供の愛(J=F.ラランヌ)
6. Ave Maria(アヴェ・マリア)/バッハ=グノー
7. La maschera(仮面舞踏会)/ジャン=フェリックス・ラランヌ、ダヴィデ・エスポジト)
8. Fenesta che luciva(光さす窓)/ナポリ民謡
9. Avec le temps(時の流れに)/レオ・フェレ
10. Seigneur, ne me laisse pas(置いていかないでセニョール)/パスカル・レヴァ、ジャン=フェリックス・ラランヌ
11. Liberta(自由)/ダヴィド・アラーニャ
12. Bella Ciao(さらば恋人よ)/トラディショナル
13. Sans etre a aimer(愛する人がいなければ)ジャン=フェリックス・ラランヌ
14. Madone au coeur d'or(La Source)黄金の心をもつマドンナ(いずみ)/ジャン=フェリックス・ラランヌ
15. Sognare(夢)/ロベルト・アラーニャ
16.Notre Pere(われらが父)/ロベルト・アラーニャ
ロベルト・アラーニャ(T)
ジャン=フェリックス・ラランヌ(G)
マレク・ルスチンスキ(P)

録音:2024年2月12-15日、フランス
世界的テノール、ロベルト・アラーニャの新譜がAparteレーベルより登場!”ポスト3大テノール”と呼ばれ、突出した歌唱力と演技力で、現代を代表するテノー ル、アラーニャ。ロマンティックで情熱的そして抒情的な歌唱スタイルで世界のオペラ・ファンを魅了しつづけています。日本には1990年に「椿姫」で初来日、以 降、2006年のボローニャ歌劇場「イル・トロヴァトーレ」まで何度か来日機会があったものの、その後18年という年月を経ての久々の来日となります。6月9日 に開催される「待ち焦がれたテノール」のアラーニャのコンサートでは、周年作曲家であるプッチーニのアリアがプログラムされており、期待が高まっています。
そんな注目のアラーニャの今回の新譜は、「セニョール」と題し、クラシック名曲からポピュラー名曲まで、有名な歌がプログラムされています。歌詞はフランスと イタリア語で、アラーニャの美しいフランス語が堪能できるのも魅力。ギタリストにして作詞・作曲・編曲家のジャン=フェリックス・ラランヌと、ピアニストのマレク・ ルスチンスキ、共演者陣の音色も情熱に満ちています。 (Ki)

AP-302
愛 私の怖れを追い払って
(1)グレトリー:歌劇「立派な人」
(2)クレランボー:ラ・フォンテーヌの「寓話」〜鹿/イタチ/蛙と牛/狼と子羊/狐とカラス/鷺/アリとキリギリス
(3)ダレラック:歌劇「皆既日食」
エレーヌ・クレール=ミュルジエ & ポリーヌ・ワルニエ(指)
コンパニー・レ・モン・ドゥ・ルイユ
ジャンヌ・ザエプフェル(S)
ハドゥム・トゥーンチ、ルイソン・コステ(S)、
ギヨーム・グティエレス(T)

録音:2022年4月7-10日/シクステ教区館(ランス)
2021年はフランスの詩人ジャン・ド・ラ・フォンテーヌの生誕400年にあたり、フランスでは彼がらみの催や出版が続きました。このアルバムは翌2022年 4月の録音ですが、フォンテーヌ作品に基づく3つの音楽を収録した好企画。
風刺と皮肉に満ちたラ・フォンテーヌの原作を3人の作曲家がオペラ化。「井戸に落ちる占星術師」によるニコラ・ダレラック(1753-1809)の「皆既日食」 は最初のコミック・オペラと称されるもので貴重なリリース。
2007年にエレーヌ・クレール=ミュルジエとポリーヌ・ワルニエにより創設されたコンパニ・レ・モン・ドゥ・ルイユ。ランスを本拠に18世紀の知られざる作 品の発掘で独自性を示し注目されています。指揮者なしのオーケストラで、ミステリー作家としても知られるチェンバロ奏者クレール=ミュルジエが率い、ワクワクす るような世界を作り上げています。 (Ki)
AP-305
シューマン作品集
幻想曲ハ長調Op.17
アラベスクOp.18/子供の情景Op.15
子供のためのアルバム第30番Op68の30
ファブリツィオ・キオヴァッタ(P)

録音:2022年3月5-7日 マーラー・ザール(ドッビアーコ。イタリア)
師のバドゥラ=スコダから「繊細にして熱い感情が伝わる演奏」と激賞されたスイスのピアニスト、ファブリツィオ・キオヴェッタ。彼がシューマンに挑戦。キオ ヴェッタはクラリネットのパトリック・メッシーナとシューマン夫妻のクラリネット曲のアルバム(AP 153)をリリースし、詩情あふれる演奏が注目されていましたが、 今回はシューマン20代後半の名作3篇。いずれも幸せな情感に満ちたものばかりで、キオヴェッタの明るく前進的な演奏によく合っています。 (Ki)
AP-307
モーツァルト〜始まりと終わり
交響曲第1番変ホ長調K.16
ピアノ協奏曲第23番イ長調K.488
交響曲第41番ハ長調K.551「ジュピター」
マキシム・エメリャニチェフ(P,指)
イル・ポモ・ドーロ

録音:2022年6月28-30日 ノートルダム・デュ・リバン(パリ)
メリャニチェフがモーツァルトの大プロジェクトに着手しました。手兵イル・ポモ・ドーロを指揮して交響曲全集に挑戦します。さらに魅力なのは、毎回フィルアッ プに協奏曲が入ること。ピアノの場合はもちろんエメリャニチェフが独奏を務めます。
エメリャニチェフはクルレンツィス指揮ムジカエテルナの「ダ・ポンテ三部作」録音の才気煥発な通奏低音で注目されましたが、現在ではイル・ポモ・ドーロ を指揮してバロック・オペラのアルバムをリリースし高い評価を得ています。もともとモスクワ音楽院でロジェストヴェンスキーの厳しい訓練を受けたサラブレッド なうえ、音の指向性や奏者の数による変化なども綿密に計算するなど考えに考え抜いた録音となっています。
モーツァルトは彼らのレパートリー・イメージからは新しい方の作曲家ですが、もともとエメリャニチェフ最愛の作曲家であり、シリーズで深く探求することでと もに音楽的な成長も目指しているとのこと。第1弾は第1番と第41番のカップリング。単に最初と最後の番号というだけでなく、第1番第2楽章の主題(ジュ ピター音型)が「ジュピター」終楽章の壮大なフーガで用いられていることも再認識させてくれます。
今回のフィルアップはピアノ協奏曲第23番。フィルアップどころか一番聴いてみたいと思う向きも多いはず。1823年グラーフのフォルテピアノのレプリカを 用い、「ダ・ポンテ三部作」以上に自在で魅力的な演奏を繰り広げています。
AP-309
ギター・デュオのモーツァルト、ハイドン、シューベルト
ハイドン(カラマーゾフ&シュタイドル編):ピアノ・ソナタ第49番変ホ長調
モーツァルト(カラマーゾフ&シュタイドル編):幻想曲ハ短調K.475
シューベルト(カラマーゾフ&シュタイドル編):アルペジオーネ・ソナタD.821
エディン・カラマーゾフ 、
パヴェル・シュタイドル(G)

録音:2022年3月3-5日 ジャルディーノ・スタジオ(クレマ。イタリア)
18世紀半ばのウィーンはヨーロッパ音楽文化の中心地でしたが、ギター文化も盛り上がり、オリジナル作品が乏しかったゆえ多くの有名作品編曲が現れました。 当アルバムは演奏者エディン・カラマーゾフとパベル・シュタイドルが当時の象徴的な3作品の2本のギター用に新編曲。
ギターはその後タレガやセゴビアの出現により新しく合理的な奏法が開発されたこともあり、ふたりはより効果的な編曲を施しました。ハイドンとモーツァルトは ピアノ曲ですが、フォルテピアノのように微妙なニュアンスが絶美。シューベルト作品はもともとの楽器アルペジオ-ネがギターの遺伝子を継いでいるためより「目 から鱗」の連続にびっくり。非常な難曲ながらカラマーゾフとシュタイドルは見事な演奏を披露しています。 (Ki)

LDV-149(2CD)
グリニー の作品集
ニコラ・ド・グリニー(1672-1703):グリニー:オルガン・ミサ
 5つの讃歌
ニコラ・ルベーグ*(1631-1702):エレヴァシオン(高揚) ト調
 ヘ短調のシンフォニー
アンドレ・イ ゾワール(Org)

録音:1972年
使用オルガン:ルイ=アレクサンドル・クリコ・サンジャック・エ ・サン=クリストフ・ユダン(1839-1972)
ジャン=エスプリ・イスナール・サン=マクシミン=ラ・サント= ボーヌ(1722)
※Calliopeレーベルからの再発売
イゾワールによる、厳粛な 雰囲気が魅力のグリニー作品集。「オルガン・ミサ」は、5声のフーガなど を含む大作にして傑作です。「5つの讃歌」でも、イゾワールによる、エレ ガントで親密な雰囲気の装飾を堪能することができます。グリニーの師であ るニコラ・ルベーグの作品も収録されており、グリニー作品とは用いられて いる楽器が違うこともありますが、柔らかで明るい響きが魅力です。  (Ki)


KKC-4100
フォーレ:ピアノ作品集
バラード 嬰ヘ長調 op.19
即興曲第3番 変ロ長調 op.34
夜想曲第6番 変ニ長調 op.63
夜想曲第7番 嬰ハ短調 op.74
主題と変奏 嬰ハ短調 op.73
夜想曲第9番 ロ短調 op.97
夜想曲第11番 嬰ヘ短調 op.104-1
夜想曲第13番 ロ短調 op.119
ミシェル・ダルベルト(P/ベヒシュタイン)

録音:2017年1月7日、パリ国立高等演劇学校(ライヴ)
※日本語帯・解説付
ミシェル・ダルベルトは、NHK「スーパー・ピアノレッスン」で講師を務め日本でもおなじみの、いわずとしれたフランスの名ピアニスト。2014年に 来日30周年を迎え、直近では2016年3月にも来日、聴衆を魅了しました。 アパルテレーベル第2弾となる当盤は、ベヒシュタインのピアノを用いたフォーレの世界。洒脱な感性、作品と作曲家への深い考察、そしてそれらを音で 表現するテクニックを併せ持つダルベルトが、美しい横の線(メロディ)と密度の濃い和声が織りなすフォーレ作品の世界を見事に解き明かします。フラ ンスの大家による、フランス作曲界の大御所の真価を問う1枚の登場といえるでしょう。ブックレットには、「ガブリエル・フォーレへの私的考察」と題し、 自分とフォーレの音楽との出会い、どのようにしてフォーレの世界を発見していったか、そしてフォーレの音楽を理解するための鍵についてなどが、興味深 くつづられています。 (Ki)
KKC-4171
フランク:ピアノ曲集
プレリュード,コラールとフーガ ロ短調 M21
プレリュード,アリアとフィナーレ ホ長調 M23
ピアノ五重奏曲 ヘ短調 M7
プレリュード.アンダンティーノ〜プレリュード,フーガと変奏曲M30より(バウアー/ダルベルト編)
ミシェル・ダルベルト(P)
ノーブス・クァルテット【キム・ジョエン、キム・ヨンウク(Vn)、イ・スンウォン(Va)、ムン・ウンフィ(Vc)】

録音:2018年10月13,14日/リエージュ、フィルハーモニー・ホール
※日本語帯・解説付
巨匠ダルベルトの新譜は、ダルベルトの熱く力強く、それでいて心をわしづかみにするような良い意味での怜悧さも併せ持つ音色が冴えわたるフランク。前奏曲、 コラールとフーガ ロ短調では、ダルベルトのストイックな音楽の運びにただただ圧倒。プレリュード、アリアとフィナーレのフィナーレでは、ダルベルトのテクニッ クとストイックな音楽が炸裂しています。そして韓国の気鋭四重奏団、ノーブス・クァルテットとのピアノ五重奏曲では、ロマンの香りが濃密に漂うアンサンブル が展開されております。最後に収録されているプレリュードは、原曲はオルガンのための作品で、流れるような感傷的な主題が美しい曲。ダルベルトの抑制の効 いた演奏が、かえって曲のもつ様々な感情を浮き彫りにしているようです。ダルベルトのますます冴えわたる芸術にただただ圧倒される1枚です。
※国内品番のみのご案内となります。 (Ki)
KKC-4239
ラヴェル:作品集/ダルベルト
高雅で感傷的なワルツ
ソナチネ/夜のガスパール
鏡〜悲しい鳥たち/道化師の朝の歌/鐘の谷
ミシェル・ダルベルト(P)

録音:2019年4月、パリ、ルイ・ヴィトン財団オーディトリウム
輸入盤・日本語帯・解説付
フランス・ピアニズムの正統的継承者、ミシェル・ダルベルトがラヴェルを録音しました。日本でのファンも多く、来日のたびに、風格と知性、そして確固たる 技術でもって圧巻の演奏を披露しており、まさに巨匠の域に達しているといえるでしょう。ダルベルトは、アルフレッド・コルトーの愛弟子でもあったペルルミュ テールに師事しておりますが、ペルルミュテールはラヴェルからも認められたラヴェル演奏家でした。ダルベルトは彼からまず「ソナチネ」のレッスンを受け、「鏡」 「クープランの墓」「夜のガスパール」なども音楽院時代に指導を受けたといいます。ついに、脈々と受け継がれてきた貴重なフランスの音楽的遺産がヴェール を脱ぎます。
※国内仕様盤のみのご案内となります。


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