湧々堂HOME 新譜速報: 交響曲 管弦楽曲 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 オペラ バロック 廉価盤 シリーズもの マニア向け  
殿堂入り:交響曲 管弦楽 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 オペラ バロック SALE!! レーベル・カタログ チャイ5



WERGO
(ドイツ)


Studio Reihe Nerer Musik スタジオ・ライン・新音楽シリーズ

※品番結尾に特に表記のないものは、全て1CDです。
品番 内容 演奏者
ALC-5106
ムソルグスキー(E.ナウモフ編):ピアノ協奏曲「展覧会の絵」(1991) 
ナウモフ:ピアノと管弦楽のための「瞑想」(1982)
エミル・ナウモフ(P) 
イーゴリ・ブラシュコフ(指)
ベルリン・ドイツSO.

録音:2000年2月14〜18日ベルリン自由放送大ホール
ALC-5107
エリック・サティ(*)×ユルゲン・グレーツィンガー〜夢の中で
眠りの空間,グノシエンヌI*,私はたくさんの夢をみる,ドリーム・プレイI,天使*,3つの恋愛詩よりI*,ドリーム・プレイII,詩人の歌(潜水人形より)*,グノシエンヌII*,悲歌(3つの歌より)*,グノシエンヌIII*,花(もうひとつの3つの歌より)*,ドリーム・プレイIII,3つの恋愛詩よりII*,もしあなたが知っているのなら,3つの恋愛詩よりIII*,雲の中で,グノシエンヌIV*,ドリーム・プレイIV,シルヴィ(3つの歌より)*,グノシエンヌVII*,ドリーム・プレイV
アンサンブル・ヨーロピアン・ミュージック・プロジェクト
INT-3059
テオドラキス・シングス・テオドラキス
omorfi poli / dioti den sinemorfothi / 8. novembri / gelasto paidi / tin porta anigho / chathika / anigho to stoma / imaste dio / margarita / sto perigali / mirtia / afti pou tharthoun
ミキス・テオドラキス(歌)

録音:1990 年 12月
INTUITIONレーベルより発売されていた音源が品番・バーコードはそのままにWERGOレーベルから再発売されます。クラシックのみならず「その男 ゾルバ」などの映画音楽も手掛けたギリシャの大音楽家テオドラキスによるポピュラー・ソング自作自演。管弦打楽器さまざまな組み合わせの生演奏と御 大の渋い歌声をお楽しみあれ。 (Ki)
INT-3377
テオドラキス:若き日の作品集
私がほしいもの(1939)、
まなざしをかわすより(1939)、秋(1942)、
平和(1947)、夜のミサ(1939)、他
(全15曲+1ボーナストラック)
ミキス・テオドラキス(歌)、
マリア・ファラントゥーリ(歌)、他

録音:1999年
テオドラキスの20代の作品も収められた歌曲集。合唱つきで軽快なリズムの伴奏がついており、どれも耳に心地よく、「みんなの歌」風なつくりになっているものから、しんみりと聴かせるものまで様々です。   (Ki)
INT-3378
resistance
ソング・オブ・レジスタンス、
包囲網の状態、魂の行進
ミキス・テオドラキス(朗読、歌)
ギリシアの音楽機関などに対するレジスタンス活動を展開したテオドラキス(b.1925)。彼の影響力はあまりに大きく、彼の主張は、音楽界のみならず、詩や映像や演劇にまで浸透しました。彼の影響力をおそれた政府は、1967年にギリシアが軍事政権になった際、彼の音楽を禁止し、彼を捕らえました。このディスクに収められているのは、テオドラキスが捕らえられていた期間に彼が語ったり朗読したり、歌ったりした詩や音楽。自由について、また、捕らえられている部屋の壁の向こうを思いながら歌ったものなど実に様々。尚、通常のカセットテープにシンプルに録音されたものが音源なので、音質はやや古めかしい感じです。   (Ki)
INT-3400(2CD)
テオドラキス:ディオニュソスの変容(ヘンニク・シュミートによる室内楽オケ版) テオドラキス(指)
オルケストラ・ディ・ムジカ・ディフィシーレ(グダニスク)、
コンチェントゥスcho
テオドラキスはオペラを数曲書いていますが、その第1号である作品がこれ。ギリシア神話のディオニュソス神が登場します。ディオニュソスは神として、そしてまた人間としてこの世に現われます。物語は詩人によって語られ、時は1900年代半ばから古代まで、そして所も様々に飛躍しながら進められます。最後は詩人が観客にむかってピストルをかまえ、「私は未来を撃つ」と言って幕となる、幾重もの物語から構成されるやや複雑なストーリーではありますが、音楽自体は非常に明快。(Ki)
INT-3424
テオドラキス:作品集
音楽に満ちた海、日は沈む、
あなたの海なる髪、火のとき、
スプリング・ミュージック、
あなたを待つ海、日がな一日あなたを愛す、
水と戯る、海がつづくかぎり、海のうた、
水の循環、海の色、ナイト・フライト、波のリズム
神秘なるエーゲ、あなたの身体の川、
ビザンツ遺跡、太陽のあしあと、
欲望に火がついて、水の音楽とともに、
昨燃え盛る7月の風
ジェン・ナウミルカ(Vc)、
ヘニング・シュミート(P)

録音:2007年2月
‘人間の深い声、チェロの音色、ピアノの澄み切った宝石のような音色・・・音楽が「語る」ものというのは、人間の心でとらえきることはできない。’とテオドラキスは語ります。テオドラキスの音楽のもつ豊かな情景、きらきらとした光・・・掬おうとしても指の間からこぼれてしまう、砂のかけら、夢のかけらといったものに満ちた音楽。暖かな気分に浸れる幸せな一枚です。(Ki)

MV-0806(DVD)
「バードケージ:73’20.958〜作曲者のための」 映像制作:ハンス・G・ヘルムス(1972年)

NTSC/リージョンALL/MONO
言語:英・独
(字幕なし)73’ 21
2012年はケージ生誕 100 周年。現代音楽の名門 WERGO から、作曲家ケージの生誕 100 周年を記念する注目盤の登場。この DVD “Birdcage: 73’ 20.958’’ for a Composer” は、1972 年に、ケージの生誕 60 年を記念して W 製作されたフィルムのコラージュで、ドナウエッシンゲン音楽祭で初公 開されたもの。ケージという芸術家、音楽と音楽以外についての彼の思考、彼のキャラクターと重要な作品などを描く映像作品です。映写機のための作 品で、カットなしのオリジナル版での DVD リリースは初めてのことです! 映像編集をてがけたのは、作曲家でもあるハンス・G・ヘルムス。ケージが九官 鳥に「What's your name?」と語りかけるシーンからはじまり、プリペアド・ピアノの準備をするケージ、鳥かごを買うケージ、当時の最先端をいく演奏 家たちによる演奏シーン、ケージがピアノを弾いてカニングハムがダンスを練習するシーン、大勢の前で講義をするケージ、詩を朗読するケージ、創作する ケージ、そしてジョン・レノン、オノ・ヨーコとケージ 3 人の対談シーン、キノコについて語るシーン(自分でキノコいりのラザニアを作った話)、楽譜に青 色鉛筆で修正を入れるシーン、チューダーが「易の音楽」をストップウォッチ片手に練習している横でケージが何やら読みあげるシーンなどなど、実に興 味深いシーンがモザイクのように多数組み合わされています。ケージの人柄、音楽観などをたっぷりとうかがい知ることのできる貴重な映像です!
MV-0807(DVD)
フォルトナー:歌劇「血の婚礼」(ガルシア・ロルカ原作) 母:ダリア・シェフター(Ms)、
花嫁:バヌ・ベーケ(S)、
レオナルド:トーマス・ラスケ(Br)、
女中:ジョスリン・レフター(Ms)、
レオナルドの妻:ミリアム・リッター(Ms)、
レオナルドの義母:コルネリア・ベルガー(CA)、
花婿:グレゴール・ヘンツェ(語り)、
花婿の父:シュテファン・ウルリヒ( 語り)、
月:マルティン・コッホ(Ten)、
死・物乞女・隣人:インゲボルク・ヴォルフほか
ヒラリー・グリフィス(指)
ヴッパータールSO
ヴッパータール歌劇場Cho
演出:クリスティアン・フォン・ゲッツ

録音:2013年1月11日、3月17日/ヴッパータール歌劇場(ライヴ)
リージョン 0/NTSC
ステレオ/片面2層
約132分/ドイツ語歌唱
字幕:英語
フェデリコ・ガルシア・ロルカの戯曲「血の婚礼」を現代ドイツの作曲家ヴォルフガング・フォルトナー(1907-1987)がオペラ化した傑作のDVD。ヴッ パータール・オペラの2013年3月公演のライヴで、指揮はヒラリー・グリフィス、演出はクリスティアン・フォン・ゲッツ。
結婚式の当日、花嫁が元カレと逃げ去り、それを追った花婿と殺し合いになるというショッキングな内容。根底には母親の存在の大きさがあり、彼女の 過去も浮かび上がる心理劇となっています。1956年に作曲され、ギュンター・ヴァント指揮ケルン市立オペラにより初演され、現代オペラを代表する傑 作となっています。母親役はイスラエルのメゾ、ダリア・シェフター。役に没入して凄みある演技を見せてくれます。また隠れた重要役の物乞女をドイツの 名女優インゲボルク・ヴォルフが怪演。ホームレスそのものの容姿で、主役陣を喰ってしまう存在感を示しています。 (Ki)

MV-0852
(DVD-PAL)
オルフ:『アストゥトゥリ』(バイエルン地方のコメディ) マルク・マスト(指)
舞台監督:ヘルムート・マティアセク
ミヒャエル・シャンツェ( 狂言回し)
バイエルン地方のコメディで、鼻もちならない高飛車のアストゥトゥリ人たちが、ある日やってきた詐欺師によっていとも簡単にだまされてしまう物語。
詐欺師はあることないこと魅惑的な言葉を並べたて、最後は皆をだまして「コカーニエン」という豊穣の地から取り寄せられた目に見えぬ高価な洋服を身 に付けさせ、彼らをまる裸にし、隙をみてすべてのものを持って逃げ去る、という、「裸の王様」的な要素のあるお話。
強烈なバイエルン訛りのドイツ語で、 楽器は打楽器と管楽器だけ、物語も語り(詐欺師一人に対し大勢のアストゥトゥリ人の群衆の語り)で進みます。印象的なメロディなどはありませんが、 非常に力強い作品です。 (Ki)
※このタイトルはPAL 方式で記録されており、DVD 再生が可能なWindows PC やMac のほか、マルチシステム対応AV 機器などで再生することが可能です。通常のNTSC 方式のDVD プレーヤーやTV では再生することができません。
MV-0856
(DVD-PAL)
オルフ:歌劇「犠牲」〜日本の悲劇「寺子屋」のカール・フローレンツ独訳に基づく音楽ドラマ(歌唱:ドイツ語) 菅秀才/小太郎:橋本明希(S)
源蔵:オレクサンドル・プリトリュク
松王:アンドレアス・ダウム、他
コンスタンチン・トリンクス(指)
ダルムシュタット州立歌劇場O&cho
演出:ジョン・デュー
収録:2010 年1月30日(世界初演/ダルムシュタット州立歌劇場)

本編65分/ボーナス15 分
歌唱:ドイツ語/英語字幕あり
Dolby Stereo 16:9
カール・オルフ初の舞台作品オペラ、幻の「犠牲」の、2010年1月のダルムシュタット州立歌劇場での世界初演ライヴ映像の登場。この「犠牲」は 1913年、オルフ18歳の時の作品ですが、オルフ自身が「若気の至り」などとしてなかなか初演の機会に恵まれなかったもの。現代の作曲家による改訂 なども経ての上演は、ドイツの聴衆にも歓迎されたといいます。 平安時代の道真失脚の物語を描いた『菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)』の中でも特に有名な「寺子屋」の段(歌舞伎でもしばしば 取り上げられる)を、ドイツ人の日本学者、カール・フローレンツがドイツ語に訳したものに基づいた物語。オルフは日露戦争の時も日本に共感し、日本 のものにあこがれた少年時代を送ったという日本びいきでした。 物語の舞台は10世紀。一組の夫婦、松王と千代の物語。千代はある日、息子の菅秀才(かんしゅうさい)を源蔵が主宰する寺子屋に入門させる。実は この息子は道真が遺した男の子で、松王とその妻千代に引き取られていた。寺子屋の教師源蔵(道真の弟子であった)は、菅秀才と、自身の実の息子、 小太郎があまりにそっくりなのに驚く。やがて、道真の血筋を絶やすために時平がやって来て、道真の息子菅秀才の首を求める。時平を欺くため、そして 道真への忠実を守るため、源蔵は道真の息子菅秀才ではなく、瓜二つの男の子、自身の息子、小太郎の首を差し出す、という物語。 オルフによる音楽は、西洋の下地と旋法には東洋的な要素を取り入れたエキゾティックなしあがり。時折「さくらさくら」が聴こえてくるなど、巧みに日本の旋律も取り入れられています。この日本の悲劇伝説を手がけた演出家はジョン・デュー。1944年キューバ生まれで、2004−05、ダルムシュタット 州立劇場の監督を務め、この「犠牲」のほかにも、ヘンツェの「アポロとヒヤシンス」など、数々の近代の歌劇も手がけたベテラン。能舞台の雰囲気を 湛えたになんとも幽玄の世界を感じさせる舞台作りが冴えています。キャストで注目なのが、菅秀才と小太郎、一人二役を見事に演じた橋本明希。彼女 は日生劇場の「夕鶴」つう役で第21回第21回飯塚新人音楽コンクール第1位、第11回日本モーツァルト音楽コンクール第1位受賞。この「犠牲」 の舞台には唯一の日本人として登場、このニュースはNHKでも放送されました。現在もドイツを中心に活躍するほか、新国立劇場にも登場しています。 日本で愛され続けている道真の物語が、海を隔てた作曲家オルフの手によって歌劇に仕立てられ、幽玄的な演出を得て、耽美の世界を織り成すさまは見 ものです。  ボーナス映像では、オルフが愛犬と戯れる姿などオルフという人物を知る興味深い映像を見ることができます。 (Ki)

MV-08105(DVD)
ウストヴォリスカヤ:ピアノ・ソナタ全集
(1) 第1番 (1947)
(2) 第2番 (1949)
(3) 第3番 (1952)
(4) 第4番 (1957)
(5) 第5番 (1986)
(6) 第6番 (1988)
(1)オリガ・パシチェンコ(P)
(2)クセニヤ・セミヨノワ(P)
(3)アレクセイ・グローツ(P)
(4エリザヴェータ・ミレル(P)
(5)ウラジーミル・イワノフ(P)
(6)アレクセイ・リュビモフ(P)

収録:2011年 3月7日/ 演劇芸術学校 モスクワ(ライヴ )
PA L 16:9/カラー
STEREO/73分
リージョン・コード:5
ショスタコーヴィチの弟子中、最も異彩を放つガリーナ・ウストヴォリスカヤ (1919-2006)。彼女は旧ソ連とか、女性とか、受けた教育、他人からの 影響など、何にもあてはまらない作風で、天才なのか異常なのかさえ分りかねる存在となっています。
ソ連時代には不遇ながら、今日かなり演奏・録音され始めましたが、ロシアでもアレクセイ・リュビモフがイニシアティヴをとり、6篇のピアノ・ソナタ. を連続演奏。1曲ずつ弟子の若いピアニストたちに担わせ、最後に最も異常な第6番を自身が現代ピアノで奏しています。
1947年作曲の第1番は4楽章構成で、まだ小節線を有し、彼女のソナタの中では最も常識的な書法ですが、その暴力性は同時代のどの男性作曲家 よりも過激。2番から4番までは独自のトーンクラスターを延々と叩くスタイルで、それは鐘の音か爆発のように聴こえます。1988年の6番は最も短い ものの、クラスター奏法が進化して掌や腕でガンガン響かせ、聴く者の脳を破壊します。
そのあまりに非ソ連的音楽は、迫害されていたはずのシュニトケやグバイドゥーリナが体制側に見えてしまいます。特異な奏法や指遣い等、非常に役立 つ映像と申せましょう。 (Ki)

※こちらの1タイトルはPAL方式で記録されており、DVD再生が可能なWindows PCやMacのほか、マルチシステム対応AV機器などで再生することが可能です。通常のNTSC方式のDVDプレーヤーやTVでは再生することができません。ご了承のうえお求めくださるようお願いいたします。
MV-08545(PAL-DVD)
オルフ:歌劇「エディプス王」 ノルベルト・シュミットベルク(Tエディプス)
ディミトリ・イヴァシュチェンコ(Bs神官)
アンドレアス・ダウム(Brクレオン)
オレクサンドル・プリトリュク(Brコロスを導く者)
マルクス・ドゥルスト(Tコロスを導く者)
マルク・アドラー(Tティレシアス)
ヤミナ・マーマル(Sヨカスタ)ほか
シュテファン・ブルニエル(指)ダルムシュタット国立O
ダルムシュタット国立劇場男声cho
ジョン・デュー(演出)
ハインツ・バルテス(舞台)
ホセ・マヌエル・ヴァスケス(衣装)

収録:2006/2007年
リージョン・オール
※PAL※
16:9
126m+10m
DolbyStereo
※PAL方式のDVDでご注意下さい。
カール・オルフ(1895−1982)はギリシャ悲劇に傾倒し、「アンティゴネ」(1949年)、「エディプス王」(1959年)、そして「プロメートイス(プロメテウス)」(1968年)とギリシャ悲劇に基づいた三作のオペラを書いており、これらはいずれもオルフの傑作として知られています。「エディプス王」は、ギリシャ悲劇の中でも特に傑作として名高いソポクレスノ「オイディプス」を、フリードリヒ・ヘルダーリンが独訳したものを用いています。通常のオペラではあり得ない膨大な量の台詞と、多数の打楽器と複数のピアノに対して弦楽器はコントラバスだけという通常のオペラとはまったく異なったオーケストラが生み出す音楽は極めて強烈です。エディプスは、ケルン出身のテノール、ノルベルト・シュミットベルク。性格テノールからワーグナーの英雄役まで手がける実力派。クレオンには、ドレスデン出身で2004年以来ダルムシュタット国立劇場で活躍しているバスバリトン、アンドレアス・ダウム。指揮のシュテファン・ブルニエルは、1964年、スイスのベルン生まれ。2001年から2008年までダルムシュタット国立劇場の音楽監督を務めていました。同劇場のインテンダントを勤めるジョン・デューが演出を担当。音だけでは理解しづらいこの独特な作品の真価を、映像によって把握できることでしょう。 (Ki)
MV-08555(PAL-DVD)
オルフ:歌劇「アンティゴネ」 カトリン・ゲルシュテンベルガー(Sアンティゴネ)
アニャ・フィンケン(Sイスメネ)
オレクサンドル・プリトリュク(Brコロスを導く者)
アンドレアス・ダウム(Brクレオン)
スヴェン・エールケ(Tヘモン)
マルク・アドラー(Tティレシアス)
トーマス・メーネルト(Bs使者)
ズザンネ・ゼルフリング(Sオイリディセ) ほか
シュテファン・ブルニエル(指)ダルムシュタット国立O
ダルムシュタット国立劇場男声cho
ジョン・デュー(演出)
ハインツ・バルテス(舞台)
ホセ・マヌエル・ヴァスケス(衣装)

収録:2006/2007年
リージョン・オール
※PAL※
※PAL方式のDVDでご注意下さい。
オルフの「アンティゴネ」は、1949年のザルツブルク音楽祭でフェレンツ・フリッチャイの指揮によって初演され、大成功を収めたばかりか、その後の作曲家オルフの方向を定めたものとして重要な意義を持つ作品です。原作はもちろんソフォクレス、これを18世紀末から19世紀初頭にかけての鬼才フリードリヒ・ヘルダーリンが独訳したものを用いています。物語は「エディプス王」の後日談に当たり、エディプスの死後、テーバイに戻った彼の娘アンティゴネの物語です。タイトルロールのカトリン・ゲルシュテンベルガーはハレ出身のソプラノ。1993年から長くダルムシュタット国立劇場に所属し、メッゾソプラノからソプラノ役まで幅広く歌って活躍しています。ヘモン(=ハイモン)のスヴェン・エールケは、デンマークとの国境の町フレンスブルク出身。1998年にダルムシュタット国立歌劇場とバリトンとして契約、2004年にテノールに転向しています。同じ劇場での同シーズンの上演とあって、「エディプス王」と役・歌手が共通している人が多いのも特徴です。シュテファン・ブルニエルの熱の入った指揮と、ジョン・デューの分かりやすい演出はここでも同じ。映像でこの作品を見る利点は計り知れないものがあります。 (Ki)

WER-2055
リーム:熾天使(セラフィン)のエチュード〜器楽および電子音楽のための アンサンブル13(初演メンバーによる録音)
WER-2062
(DVD-PAL)
Spectral Strands(縒られた恐怖)〜ヴィオラとヴィジュアルのための
シェルシ:マントT(1966)〜ソロ・ヴィオラのための
シャッリーノ:ノットゥルノ・ブリリアンテT〜ソロ・ヴィオラのための
ジェラール・グリゼイ(1946-1998):
 プロローグ(1976/2001)〜ソロ・ヴィオラと電子楽器のための(電子楽器:ゲーツ・ディッパー)
シャッリーノ:ノットゥルノ・ブリリアンテU(1974)〜ソロ・ヴィオラのための
マイケル・エドワーズ(b.1968):24/7: freedom fried (2006)〜ヴィオラ・ダ・モーレと電子楽器のための(電子楽器:マイケル・エドワーズ)
シャッリーノ:ノットゥルノ・ブリリアンテV(1974)〜ソロ・ヴィオラのための
サーリアホ(b.1952):ノクターンの風(2006)〜ソロ・ヴィオラと電子楽器のための(電子楽器:ヨアヒム・ゴスマン)
ガース・ノックス(Va)
ブライアン・オライリー(映像)
現代音楽を代表する作曲家達が書いたヴィオラ作品を集めたもので、電子楽器を伴うもの、伴わないものが収録されています。アンサンブル・アンテル コンタンポランで活躍し、その後アルディッティ弦楽四重奏団のヴィオラ奏者も務めたことのある、現代を弾かせたらピカ一のヴィオラ奏者であるガース・ノッ クスによる演奏というのが注目ポイント。収録されている楽曲もかなりキワモノですが、その演奏につけられた映像は、シンガポール在住の、映像とサウ ンドを融合させた作品や、インスタレーションを得意とするブライアン・オライリーによる、恐怖のイメージをあおるもの。ですが、よく見てみると、演奏 している映像を特殊加工したもの。音楽と映像のコラボに興味のある方には是非お手に取って頂きたい1枚です。 (Ki) 
※このタイトルはPAL 方式で記録されており、DVD 再生が可能なWindows PC やMac のほか、マルチシステム対応AV 機器などで再生することが可能です。通常のNTSC 方式のDVD プレーヤーやTV では再生することができません。  
WER-2063
トランペットとエレクトロニクスの創造世界
ヤニス・キリアキデス:ドッグ・ソング(ケルベルス・セレナデス・オルフェウス)(2006)〜3つのベルをもつトランペットとツーシュピールのための
アゴスチーノ・ディ・スキピオ:Modes of interference/1(2005/2006)〜トランペットとエレクトロニクスによる自動フィードバックシステム
ミシェル・ケンダース:ヘルム&スリンガー(2001/2002)〜トランペットとコンピューター(Max/MSP)のためのコンポジション
ディヴィッド・ドラム(チェインカーヴ)(2006/2007)〜3つのベルをもつトランペットとツーシュピールのための
マルコ・ブラーウ(Tp、電子楽器)
ドミニク・ブルム(ハモンドオルガン、アナログ・シンセサイザー)
楽器の持つポテンシャルを伸ばし、それを進化させるべく活動を続けてきたドイツのカリスマミュージシャン、マルコ・ブラーウ。彼にとってはその意味 でコンピューターも立派な楽器の一つであり、音の持つ色彩感覚の幅を広げてくれる可能性の宝庫でした。2000年に電子機器による実験音楽を開始し て以来、ブラーウは様々な表現を確立し、電子音楽の最先端をいっています。本CDでは、そんなブラーウの開発したコンピューターによる電子サウンドと、 彼の愛するトランペットのアコースティックな会話が展開されます。新鮮で粋なモダニズムの中に、どこかひょうきんで可愛らしいものを感じさせる貴重な 一枚。トランペットの超絶技巧と電子音のピーというやや耳触りな音が交錯するさまは印象的です。
マルコ・ブラーウは1965年生まれ。トランペット奏者であり、ケルンの新しい音楽のためのアンサンブル、ムジーク・ファブリークの一員でトランペッ トの技術的進展に尽力しています。1998年よりカールハインツ・シュトックハウゼンと集中的に組み、オペラ連作「リヒト」の初演にも貢献しました。
WER-2064
Death Be Not Proud〜電子とチューバのための作品集
メルヴィン・プーア:Death Be Not Proud
コート・リップ:チューバとコンピューターのための音楽
ゲオルク・カッツァー:ヘーゲルとの想像的対話9〜チューバのための
ヴァレリオ・サンニカンドロ:ソネットX
メルヴィン・プーア(チューバ)

録音:2009 年
世界的チューバ奏者メルヴィン・プーア。電子音楽にも強い共感を示しており、この度、電子音楽とのコラボレーションが実現しました。不思議な世界 が広がっています。 (Ki)
WER-2066(3CD)
リュク・フェラーリ:作品集
[ジェネリック/プレリュード(空港)
プレスク・リアン/駅/金のロバ
インタビュー・ゲーム/交響的散歩/森の歌

[CD2]インタビューno.1/ラ・カンティン
ラ・フォリ/はい、おしまい。

[CD3「]フェラーリは聞く」
ティツィアーナ・ベルトンチーニ
アンティエ・フォヴィンケル
フランク・ニーフスマン/ダヴィッド・フェネク
ニール・フルカー/
ガットゥンク・ヘルシュピールのために
JETZTへのコメント/Uberunbergrenzte Zeit
フェラーリ自身の声
町の声、テープの音楽など
1981〜82年にかけて、フランスの作曲家、リュク・フェラーリは、ラジオ・プレイ「今(JETZT)―あるいは、おそらくこれは場所と瞬間の混乱の中にある私の日々の生活」を手がけていました。フェラーリのほかのラジオ・プレイと同様、この「JETZT」は、音楽、ラジオ芸術とラジオの語り劇といったジャンルの中で特別な存在です。フェラーリと彼の妻、ブリュンヒルト・フェラーリとの会話は、ドイツ語とフランス語の両方によっており、録音の場所やプロセスもユニークなものとなっています。フェラーリはすべてをライヴで録音しました。フランクフルト空港に着いたとき、マイクをセッティングし、どのようにラジオ・プレイを進めるかなどを相談している声も収録、さらにそれを弦楽四重奏の演奏と重ねたりもしています。深遠で哲学的な質問とともに、フェラーリの自伝的な要素も芸術的にちりばめられています。フェラーリのラジオ・プレイ「JETZT」の全貌がCD化されるのは初めてのことです。[CD3]にはフェラーリのラジオ・プレイにインスピレーションを得た新作もならび、フェラーリに多方面から光を当てた秀逸なセットです。 (Ki)
WER-2073
マウリツィオ・スクイッランテ:歌劇『ダイダロスの翼』 エマヌエラ・ヌケッティ(アルト:運命)
フィリップ・ブラウン(テノール:アポロン)
ダ ヴィッド・ハ ウトン(ミノス )
アレッサンドロ・カルミニャーニ(カウンターテナー:ペルディクス)

台本:ダヴィッド・ハウトン&ファビオ・スクイッランテ
ZKMエレクトロニック・シリーズ。ZKM(カールスルーエ・アンド・メディア・センター)は現代アート、メディアアートの研究所兼美術館です。この アルバムでは最先端の電子音響制作技術を用いたオペラ上演の録音がお楽しみ頂けます。神話の世界を歌う生身の声楽家の歌声と、ミュージック・コン クレートの巧妙な融合が何よりの特徴。ピッチのある音とノイズの混合物によって人間の内なる声を描きます。 (Ki)
WER-2074
Enlarge Your Sax〜サックスと電子音のための作品集
ホアン・カミロ・エルナンデス・サンチェス:炎のメデューサ
アゴスティーノ・ディ・シピオ:干渉する旋法第2番
ベルント・シュルテシス:成層
トム・マイス:よく調律されたパッチU
フィヴォス=アンゲロス・コリアス:真実の物語
パウロ・フェレイラ・ロペス:TRES-pecas do livro da escuridao
アルトゥーロ・フエンテス:Plexes
ペドロ・ビッテンクール(Sax/ソプラノ、アルト、テナー、バリトン)

録音:2007-2013年
サックスとエレクトロニクスのための作品集。リオ・デ・ジャネイロ出身の名手ビッテンクールが、様々なサックスを自在に持ち替えて不思議な世界を展 開しています。
WER-2075(DVD)
PAL
シュトックハウゼン:STRAHLEN 〜打楽器奏者と10チャンネル録音のための

【オーディオ】
バイノーラル録音Ver.1[ダミーヘッド・レコーディング] (35:05)
バイノーラル録音Ver.2[HRTF] (35:05)
5.0サラウンド録音 (35:05)

【映像】
「STRAHLEN」ドキュメンタリー・フィルム (57:07)
シュトックハウゼンへのインタビュー (23:22)
Technical and artistic concept: K. Stockhausen
Artistic supervision: Kathinka Pasveer
Conception & project lead: Ludger Brummer
Technical conception: Gotz Dipper, Holger Stenschke
vibraphone: Laszlo Hudacsek

PAL
リージョン:All
PAL仕様のため日本のプレーヤーでは再生出来ませんのでご注意ください。パソコンでは再生可能です。1枚のDVDにオーディオと映像がそれぞれ 収められており、オーディオ部では3通りの録音でシュトックハウゼンの作品『STRAHLEN』がお聴き頂けます。映像はドイツ語で話しており、英語の 同時音声が流れます。字幕はありません。『STRAHLEN』はシュトックハウゼンによる全7部からなる長大なオペラ『光』の中の、「日曜日」に出てくる音楽を基にした作品。ヴィブラフォンと 電子音が一体となりあちこちから音が飛んでくる不思議で気持ち良い宇宙的サウンドが堪能できます。これは現代アート、メディアアートの研究所兼美術 館である「ZKM(カールスルーエ・アンド・メディア・センター)」による大プロジェクトであり、2003年から作曲家とコラボレーションを始め、2009 年に音が完成しました。 (Ki)


WER-4043(4CD)
グレーテ・スルタン/ピアノ・シーズンズ
[CD1]バロック音楽
バッハ:ゴルトベルク変奏曲
[CD2]古典派の音楽
ベートーヴェン:ディアベッリ変奏曲Op.120
 6つのバガテルOp.126
[CD3]ロマン派の音楽
シューベルト:ピアノ・ソナタ.イ短調 Op.42(D845)
シューマン:幻想曲 ハ長調 Op.17*
[CD4]20世紀の音楽
シェーンベルク:5つのピアノ小品Op.23
コープランド:ピアノ・ソナタ*
ベン・ウェーバー(1916-1979):ピアノのためのエピソード**
ウォルペ(1902-1972):ピアノのための形式#
アラン・ホヴァネス:Yenovk ##
ジョン・ケージ:危険な夜+
一柳慧:ジョン・ケージの思い出に++
グレーテ・スルタン(P)

[CD1]録音:1959年
[CD2]録音:1969年
[CD3]録音:1969年、1969年*
[CD4]録音:1990年、1969年*、1986年**、1972年#、1969年##、1969年+、2000年(世界初録音)++
ケージとスルタングレーテ・スルタン(1906-2005)は、古典および現代音楽の名高い解釈者で、ケージと親交があったピアニストとしても名を遺す、20世紀の最も 重要な音楽家のひとりといえるでしょう。1906年、ベルリン在住のユダヤ系の上流家庭に生まれましたが、戦争の影響を受け、1941年にニューヨーク に亡命し、この地でピアニスト、教師として活躍しました。1969年にはニューヨークで「ゴルトベルク変奏曲」の演奏会を開催。当時は15曲目のあと に休憩をはさみ(トゥーレックやランドフスカらも休憩をはさみました)、休憩後、まずアリアを弾いてから再開するというスタイルがとられることが多かっ た当時に、全曲を通しで休憩なしで、しかも繰り返しも実施、もちろんそのたびに装飾も変える、といったことを敢行したのは彼女でした。また、ニューヨー クで彼女が住んでいたアパートの一階上の部屋にはカニングハムが住んでいて、そこをしばしば訪れていたケージと出会い、彼女はケージのよきチェス仲 間となりました。そして、ケージがもっとも信頼をおく音楽家の一人として活躍するようになりました。スルタンは、古典も現代も一切の違いを感じさせず、 「実験的」あるいは「難解」とされるシェーンベルクやケージの作品を、詩的情緒をもって演奏することができる稀有な芸術家として貴重な存在だったと いえるでしょう。
この「ピアノ・シーズンズ」ボックスは、グレーテ・スルタンの初出音源を含む音源集で、その作品ジャンルは、バロック、古典、ロマンから現代音楽まで、 広域にわたっていますが、どれもがスルタンらしい演奏となっています。歴史の波に翻弄されながらも芸術の道を歩み続けた一人の女性ピアニストの軌跡 をたどる、貴重なボックスセットといえるでしょう。一柳慧の「ジョン・ケージの思い出に」は初録音というのも注目ポイントです。 (Ki)

WER-5110
エンヨット・シュナイダー(b.1950):METAMORPHOSEN
1. 時の淵で〜モーツァルトのレクイエム K.626についての考察
2. 「私は、私自身にとっても他人にとっても、永遠に謎でありつづけたい」(ルートヴィヒ2世の墓碑)
 〜イングリッシュ・ホルン、弦とファゴットのための協奏曲
3. 神はわがやぐら(オーケストラのための交響詩)
4. フロレスタンとオイゼビウス(オーケストラのためのロベルト・シューマン計画)
シンシャオ・リ(指)
クリストフ・ハルトマン(イングリッシュ・ホルン/ 2)
ヨハンエス・シュトラッスル(イングリッシュ・ホルン/ 1)、
ゴットフリート・ポコーニー(ファゴット/ 2)
ニーダーエステライヒ・トンキュンストラーO

録音:2013年10月
エンヨット・シュナイダーは、1950年ドイツ生まれの作曲家。哲学の博士号も取得しています。8夜にわたるオペラ「Das Salome-Prinzip, Bahnwaerter Thiel, Fuerst Pueckler」をはじめ、非常に多作。宗教作品も彼の作品の中で重要な地位を占め、オラトリオ、オルガン協奏曲などを作 曲しています。音楽書も出版しています。また、現代ドイツにおける映画音楽の第1人者として活躍。これまでに手掛けた映画作品は600ほど、1993年のドイツ映画「スターリングラード」などがあります。このCD「メタモルフォーゼン」は今後WERGOからリリースされる10のエンヨット・シュナイダー・ シリーズの第 1 弾となります。
シュナイダー作品の多くは、音楽史上よく知られた作品や、作曲家の作曲スタイルの傾向を引用し、それらを「変容」させることによって、伝統に対す る新しい創造的な答えを示しています。文化的に積み重ねられたものとの対話であり、現存する形式やモデルに対しての主観的な注釈です。このCDの4 つの作品も、歴史上のモデルに関連しています。1曲目はモーツァルトのレクイエム。有名な旋律の断片がいくつも聴かれる中、レクイエムの大きな主題 である「死」を思わせる作品。ルートヴィヒ2世の没後125年に作曲された第2曲目は、ルートヴィヒ2世と非常に深い関わりのあるワーグナー作品の パロディ的作品。 3曲目の「神はわがやぐら」はメンデルスゾーンの交響曲「宗教改革」にも登場する、ルターが書いたコラール旋律ですが、それを増 幅させることにより、非常に力強い作品に仕上がっています。最後の作品はシューマンの『ダヴィッド同盟』でもおなじみの、物静かなオイゼビウスと活 発なフロレスタンからの。2人のキャラクターが、シューマン作品の様々な断片を取り入れながら描かれていきます。 (Ki)
WER-5111
エンヨット・シュナイダー(b.1950):China meets Europe
変化〜笙とオーケストラのための協奏曲【1. 雷 2. 水 3.湖】
中国の四季〜アルト、笙とオーケストラのための交響曲第3番【1. 夏 2. 秋 3.冬 4.春】
ヴェッセリーナ・カサロヴァ(A)
ウー・ウェイ(中国笙)
シンシャオ・リ(指)
ニーダーエステライヒ・トンキュンストラーO

録音:2014年4月
エンヨット・シュナイダーは、1950年ドイツ生まれの作曲家。哲学の博士号も取得しています。非常に多作で宗教音楽から映画音楽まで、手掛けるジャ ンルは実に広大です。シュナイダー作品の多くは、音楽史上よく知られた作品や、作曲家の作曲スタイルの傾向を引用し、それらを「変容」させることによっ て、伝統に対する新しい創造的な答えを示しています。今回は中国の自然をテーマに、雄大な世界を展開。
1作品目の「変化」は、中国笙とオーケストラのための作品。中国笙は、37本の竹管から成る笙(日本の雅楽などで用いられる笙は17本の竹管)。 中国笙を奏でるウー・ウェイは、中国笙の第一人者で、チン・ウンスクも彼のために笙の作品を書いているほどです。2作品目の「中国の四季」も、中 国の広大な大地を想起させる雰囲気の作品。カサロヴァの独唱も聴きものです。 (Ki)
WER-5112
エンヨット・シュナイダー(1950〜):オーケストラ作品集
交響曲7番「闇の世界、ウンタースベルグ山」
自然の響き〜セルジュ・チェリビダッケへのオマージュ
秋のミルク
Die Flucht
ウィーン・トーンキュンストラーO
アロンドラ・デ・ラ・パーラ(指)

録音:2015年3月4日-7日
ドイツの映画音楽作曲家、エンヨット・シュナイダーの伸びやかでエモーショナルな魅力が詰まった一枚。多くの伝説が眠るウィーンのウンタースベルグ 山を描いた「交響曲7番」と、自然への讃歌、そして失われゆく自然への哀歌である「自然の響き」(チェリビダッケ生誕100周年、およびドビュッシー 没後150周年にあたる2012年に書かれたもの)、そして彼が音楽を手掛けた2つの映画「秋のミルク」と「Die Flucht」の音楽がおさめられています。 前半ではシュナイダーの大自然への愛と畏怖の念がオーケストラのパレットで雄大に語られ、後半2曲では映画音楽が組曲にまとめられています。シュナ イダーの音が描く壮大な景色や情感たっぷりのメロディに身を委ねることができるCDです。 (Ki)
WER-5113
エンヨット・シュナイダー:協奏曲集
(1)ヴァイオリン協奏曲「大地の眼」
(2)2台のチェロと弦楽オーケストラのための協奏曲「ジキル博士とハイド氏」
(3)打楽器とオーケストラのための交響曲第2番「シーシュポス」
(1)インゴルフ・トゥルバン(Vn)
(2)ウォルフガング・エマヌエル・シュミット(Vc)
(2)イェンス=ペーター・マインツ(Vc)
(3)ヨハネス・フィッシャー(パーカッション)
ヴォルフガング・リシュケ(指)
ベルリン・ドイツSO

録音:2015年5月26-29日/テルデックス・スタジオ(ベルリン)
主に映画音楽でその名を馳せているドイツの作曲家、エンヨット・シュナイダーの協奏曲集。 全3楽章からなるヴァイオリン協奏曲「大地の眼」はアメリカの思想家ヘンリー・デイヴィッド・ソローの言葉、「湖は大地の眼である」という言葉に 発想を得た曲。1楽章はドイツのケーニヒス湖、2楽章はオーストリアのモンド湖、3楽章はイタリアのガルダ湖を描いています。その自然の険しさや湖の 底から発見された住居の支柱などから沢山の伝説が伝わるケーニヒス湖とモンド湖の不気味で神秘的な様子が描かれた第1、2楽章と、水の神ベナクス と青い髪のニンフとの恋物語が伝わるガルダ湖の明るいエネルギーに満ちた第3楽章から成るこの曲は、聴いているとヨーロッパの大自然が目に浮かぶよ うです。2 台のチェロと弦楽オーケストラのための協奏曲は、ロバート・ルイス・スティーブンソンの有名な小説「ジキルとハイド」がベースとなっていて、 ジキル博士の二面性が2人のソリストによって表現されています。曲の大半では完全に描き分けられている「善」と「悪」が時たまその境目をなくし、我 を失っていく様子は聴きどころの1つです。交響曲第2番「シーシュポス」は、交響曲という名の打楽器協奏曲。ギリシャ神話の登場人物シーシュポス がテーマとなっているこの曲では、シーシュポスが神から与えられた罰である巨大な岩を山頂まで上げ続ける苦行からシーシュポスの解放までが、カミュ の随筆「シーシュポスの神話」のアイデアを交えて展開されます。カミュがシーシュポスの神話を通して投げかけた「生きることが困難を伴っても人生に 意味があるのか」という問いに肯定的に答えたシュナイダーの、生命力あふれる作品です。
映画のための音楽ではないのに、まるで大迫力の映像が脳裏に浮かぶような雄弁さの曲ばかり。シュナイダーの手腕が光る協奏曲集です。 (Ki)
WER-5114
エンヨット・シュナイダー:バッハ、ドラキュラ、ヴィヴァルディと仲間たち
BACH-メタモルフォーゼン(協奏曲)[オーボエ、弦、チェンバロ]
ヴィヴァルディ讃(協奏曲)[リコーダー、弦、チェンバロ]
ヴィヴァルディッシモ(協奏曲)[2トランペット、弦、チェンバロ]
ドラキュリッシモ(コンチェルト・グロッソ)[トランペット、トロンボーン、アンサンブル]
アルブレヒト・マイヤー(Ob)
ドロテー・オーベルリンガー(リコーダー)
ヨアヒム・シェーファー、チャバ・ケレメン(Tp)
ステファン・ラングバイン(Tb)
オルガ・ワッツ(Cemb)
トーンキュンストラーO

録音:2015年9月14-19日
主に映画音楽でその名を馳せているドイツの作曲家、エンヨット・シュナイダーのコンチェルト・グロッソ集。バッハ風の1曲目はアルブレヒト・マイヤー の妙技が堪能できる作品。ヴィヴァルディ風の雰囲気ながら超絶技巧が盛り込まれたリコーダー協奏曲も、ソリストのヴィルトゥオーゾ芸に注目。ドラキュ リッシモは、ドラキュラをイメージした作品。おどろおどろしいオープニングなど、映画音楽なども多く手がけているシュナイダーの筆が冴えています。 (Ki)
WER-5115
エンヨット・シュナイダー・エディション第6弾
エンヨット・シュナイダー(1950-):フェニックス 〜神話的詩曲(オーボエ,パーカッションと弦楽)
闇の旅 〜ハンス・ロットの断片に基づく(オーボエと弦楽)
ナイトハルトの悪夢 〜宮廷の愛の歌(ピアノとオーケストラ)
クリストフ・ハルトマン(Ob)
ヨハネス・フィッシャー(パーカッション)
オリヴィエ・トリエ ンド ル(P)
ケヴィン・ジョン・エドゥセイ(指)
トーンキュンストラーO

録音:2015年9月14-19日
※全曲世界初録音
950年ドイツ生まれ、600本もの映画音楽を手がける作曲家シュナイダー。WERGOレーベルから10タイトル発売予定のシュナイダー・エディショ ン、第6弾です。 カオスの中から美しいものが復活し飛翔する「フェニックス」、ブルックナーに評価され学友のマーラーに多大な影響を与えた早逝の作曲家ハンス・ロッ トの断片を用いた、暗い狂気と幸福な歌が交互に現れる幻想的な「闇の旅」、中世ドイツの吟遊詩人(ミンネジンガー)ナイトハルト・フォン・ロイエン タールを題材にした、中世の舞曲も聴こえてくる「ナイトハルトの悪夢」を収録。すべて世界初録音です。協和音を響かせることも厭わない、ロマンティッ クですらあるオーケストラ・サウンドが魅力。ソロ楽器は技巧を誇示するというよりは情景を想起させる役割で、映画音楽作曲家ならではの表現力です。 (Ki)
WER-5116
エンヨット・シュナイダー:チェロとオーケストラのための作品集
Dugud〜協奏曲第1番
Sulamith〜聖なるダンス
Black Sweetnessの破滅のハーモニー【ジェズアルドの「私は死ぬ」に基づく変奏曲】
Abaddon―地獄の天使―世紀末的シーン
Lilith―交響詩
ラースロー・フェニェー(Vc/マッテオ・ゴフリラー(1695年))
アリエル・ズッカーマン(指)
ベルリン・ドイツSO

録音:2016年3月、ベルリン、テルデックス・スタジオ
1950年ドイツ生まれ、600本もの映画音楽を手がける作曲家シュナイダー。WERGOレーベルから10タイトル発売予定のシュナイダー・エディション、 第7弾です。 チェロとオーケストラのための5作品を収録しています。1975年生まれのハンガリーのチェリスト、ラースロー・フェニェーをソリストに迎え、 ベルリン・ドイツ響という豪華な布陣。シュメール語で半身ワシ、半身タカの古代中東の鳥の神を意味する「Dugud」の雄大な世界。旧約聖書に出てく る言葉で、美しい女性を意味する「Sulamith」の名を冠した作品は、幽玄の世界で、どこか官能的でもあります。アルバムのタイトルにもなっている破滅 のハーモニーは、ジェズアルドの有名な「私は死ぬ」に基づいた変奏曲で、半音が多様された世紀末的世界。深刻なチェロの独奏に始まる「Abaddon」、 そして最後は様々な描かれ方をしている神話(聖書)の世界の女性、「リリス」を題材にした恐ろしい闇を思わせる世界でディスクは締めくくられます。映 画音楽作曲家らしく、どの作品も情景が生生しく浮かびます。 (Ki)
WER-5117
エンヨット・シュナイダー(1950-):交響曲第5番『シュヴァルツヴァルト・サガ』(2015) 〜合唱と管弦楽のための
August Schnezlerの「The Water-Lily Lake」のテキストによる
交響曲第6番『ライン』(2013) 〜ソプラノ、合唱と管弦楽のための
ジュリア・ソフィー・ワーグナー(S)
ハンスイェルク・アルブレヒト(指)
ブルノ国立ヤナーチェク歌劇場O&cho
録音:2017年6月7-10日

いずれも世界初録音
WERGOレーベルから10タイトル発売予定のシュナイダー・エディション、第8弾です。シュナイダーは1950年ドイツ生まれ、600本もの映画音 楽を手がける作曲家。当エディションではクラシカルな管弦楽作品をリリースしており、ロマン派調性音楽と映画音楽ならではの効果的な管弦楽法・モダ ンな手法が混ざり合った、耳に心地よい作風が特徴です。 声楽を伴う叙事詩的な交響曲2題を収録。第5番『シュヴァルツヴァルト・サガ』のフィナーレはまるで大河ドラマのテーマ。後半は合唱がヴォカリー ズでその美しいメロディを歌い上げ、さらなる盛り上がりを見せます。ちなみに「シュヴァルツヴァルト」はドイツの地名で「黒い森」という意味。第6番『ラ イン』は原始的な力を持って始まり、ヴァイオリンやソプラノのソロが印象的。次第に激しくなり合唱も畳み掛けるように登場、ライン川の雰囲気をロマン ティックに描いています。 (Ki)
WER-5119
エンヨット・シュナイダー(1950-):作品集Vol.10
(1)Cri Muet 沈黙の叫び ―2015年11月13日の追憶に 〜ソプラノサクソフォン、合唱と管弦楽のための(2016)
(2)As Times Go Bye 時が経つにつれて ―バッハの追憶による組曲 〜サクソフォン三重奏のための(2003)
(3)Pavane パヴァーヌ ―ルイズ・デ・ミランの舞曲による変奏曲 〜コーラングレとサクソフォン四重奏のための(2016)
(4)Berlin Punk ベルリン・パンク 〜サクソフォン四重奏と管弦楽のための協奏曲(2016)
クレール =オプスキュール・サクソフォン四重奏団
ドミニク・ヴォーレンヴェーバー((3)コーラングレ)
クラスノヤルスク「テベ・ポエム」cho((1))
シベリア州立O((1) (4))
ヴラディーミル・ランデ((1) (4)指)

録音:(1)(4)2018年6月29日-7月3日クラスノヤルスク、(2)(3)2018年9月19-20日ベルリン
全曲世界初録音
れの作曲家で、600本もの映画音楽を手がけていることでも知られています。演奏している四重奏団の名前にある「clair-obscur」とは「明暗法」のことで、 極端なコントラストを表しますが、ここに収録された作品も「明るく暗く」「強く弱く」「美しく醜く」といった対比が見られる内容となっています。シリアスな題 材の曲や過去の大作曲家からの引用などもあり、考えさせられる音楽が並びます。
(1)はパリで起きたテロの追憶に書かれた作品。ベートーヴェンの『第九』第3楽章が引用され、つんざく叫びや不穏なざわめき、機械的な連打音を思わせる 楽想と交互に現れます。真に人間的な愛情に満ちた旋律と非人間的な無調的音塊の共存が恐ろしさを助長し、サクソフォンも二面性を持ち歌あり叫びあり。合 唱は第4楽章の引用も。
(2)はプレリュード、クーラント、サラバンド、ジーグの4楽章からなり、バッハの平均律を引用しています。メロディの一部を切り取りパッチワークにして 繰り返しつつパートごとにずらしたり、曲の中心を折り返し地点として鏡像形にしたり、別々の作品のテーマを二重フーガのように組み合わせたり、B-A-C-H音 列を含むカノンを展開したりとバッハ的な技術を駆使しますが音はノリ良く小洒落てグルーヴィー。
(3)はスペイン・ルネサンス期の作曲家ルイズ・デ・ミランを引用。雰囲気ある柔らかなコードを奏でたかと思えばノスタルジーを感じる旋律があらわれるセピ ア色の音楽。コーラングレのくすんだ音色も良い味を出しています。
(4)はこのアルバムでもっとも「騒々しい」音楽です。強烈なエネルギーを持ち、躁状態と鬱状態を繰り返します。シュナイダーはパンクの精神を交響楽に置き換え、 強靭な表現力と技術を持つサクソフォン四重奏と対峙させアグレッシヴな音楽を書き上げました。 (Ki)
WER-5120
ミキス・テオドラキス:ECHOWAND〜歌曲集
〔セバスティアン・シュヴァブによる歌とピアノのための編曲/イナ・クトゥラスによるギリシア語からドイツ語への歌詞訳〕
Wildwaches Land 野生の国
Nihtoni
Einsame Reise 孤独な旅
Medeas Entsagung メデアの断念
Vergiftete Zeit 毒を入れられた時
Wie geheimnisvoll schon meine Liebste ist 私のいとしい人はなんと神秘的に美しいことか
Fortunas Gewasser 幸運の湖沼
All meine Habe わたしのものすべて
Uferloses Meer 果てしない海
Esmeralda エスメラルダ
Oft sprichst du zu mir あなたは私にいつも話しかける
Abschied 別れ
Betorendes Lied 惑わされた歌
ヨハンナ・クルミン(ソプラノ/1-3)、
ペーター・シェーネ(バリトン/2)
マルクス・ツーゲヘール(P/1-13)、
セバスティアン・シュヴァブ(口笛/2)
テオドラキスは2015年7月29日で90歳の誕生日を迎えます。これをお祝いするために、2012年からあたためられてきたプロジェクトがCD化。 ソプラノ歌手クルミンがテオドラキスの歌曲から13作品をチョイス、詩人のイナ・クトゥラスがギリシア語で書かれたものをドイツ語で歌えるように翻訳。 さらに、19歳のヴァイオリン奏者にして作曲者のセバスティアン・シュヴァブが、作品を歌とピアノに編曲しました。「若くして比類なき音楽家、セバスティ アンは、素晴らしい編曲をしてくれました。彼は私のメロディに大変忠実で少しも変容させず、このことは私を感動させました。」とテオドラキスもこの編 曲を絶賛しています。 (Ki)
WER-5122
マーラー:交響曲第10番(ヨエル・ガムゾウ補筆完成版) ヨエル・ガムゾウ(指)
国際マーラーO

録音:2011年11月24・25日
クック版など数々の補筆完成版が存在するマーラーの交響曲第10番。ここに収められた演奏は2010年完成の「ガムゾウ版」。自らの指揮による世界 初録音です。ヨエル・ガムゾウは1987年イスラエル生まれの若手指揮者で、12、3歳でマーラーの10番に魅せられ、若干23歳で補筆版を完成させ たという驚きの人物です。ちなみにマーラーが10番作曲の筆を置いたのが1910年、亡くなったのが1911年。ガムゾウは100年越しに曲を完成させ、 没後100年の年に初録音をしたことになり、特別な意気込みを感じさせます。新たな補筆版をじっくり楽しめる上々の演奏内容も含めて、マーラー・ファ ン必聴の 1 枚と言えるでしょう。 (Ki)
WER-5123
バーバラ・ヘラー(b.1936):作品集〜Herbstmusik(秋の音楽)
パッチワーク(弦楽四重奏第3番)(2008)
ラ・カレータ(弦楽四重奏第2番)(2008)
弦楽四重奏 1958(1958)
二人のための
秋の音楽(2012)/Arriba!
Zwiegespraeche/Minutentrios/Lalai
ヴェルディSQ
スザンネ・シュトート(Vn)
カタリーナ・デセルノ(Vc)
ゲザ・リュッカー(P)

録音:2015,16年
バーバラ・ヘラーは失われた音、あるいは今まで誰も気づかなかったような音を捜すことに命をかける作曲家。これらの作品からも、ピツィカートや交 差する声部を多用して、独自の音を探求している様子がうかがわれます。 (Ki)
WER-5125
エンヨット・シュナイダー(1950-):作品集
歓喜、ベートーヴェンの自由 〜管弦楽のための(2017)
舞い上がるモーツァルト[未完のオーボエ協奏曲K.293についての考察] 〜オーボエと管弦楽のための(2015)*
陰と陽 〜笙と管弦楽のための(2017)#
内なる世界 〜管弦楽のための(2002 /03, rev. 2018)
ユリアナ・コッホ(Ob)*
ウー・ウェイ(笙)#
ジモン・ガウデンツ(指)イェーナPO

録音:2019年3月11-14日イェーナ
1950年ドイツ生まれ、ロマンティックな響きを用いて大管弦楽のための作品を書き、映画音楽も多く手がけているエンヨット・シュナイダー。 WERGOレーベルが継続してリリースを重ねている作曲家です。今回のアルバムには古典音楽と現代音楽、西洋音楽と東洋音楽といった2つの世界を組 み合わせてイマジネーションを拡げ作曲された音楽を収録しています。各曲もベートーヴェンを題材に用いた(1)では若いころ30118の力強い書法と晩年の難解な 書法を対比させ、笙をソロに用いた(3)は曲名の通り「陰と陽」の対比を描くなど、対比がテーマとなっています。 (Ki)
WER-5127
エンヨット・シュナイダー(1950-):フルート・ストーリーズ
(1)水、限りなき元素 〜2つのフルートと管弦楽のための協奏曲(2019)
(2)樹の国〜フルート、弦楽とハープのための (2019)
(3)楊貴妃の絵 〜フルートと交響管弦楽のための(2015)
ルーカス・ドゥゴシュ (フルート(1)(2)(3))
アガタ・キーラー=ドゥゴシュ(フルート(1))
アグニェスカ・カツマレク=ビアリッツ ( ハープ(2) )
ダリウシュ・ズボフ(ヴァイオリン(2))
ミロスラフ・ヤチェク・ブワシュチク(指)
シレジア・フィルハーモニーSO((1)(3))
シレジア室内O((2))

録音:2020年1月11-14日
全曲世界初録音
大量の映画音楽を書き、国際的な名声を得ているドイツの作曲家シュナイダー。WERGOレーベルからリリースされている管弦楽作品のシリーズも、ロマ ン派的な聴きやすさと豊穣なオーケストレーションが魅力の人気シリーズです。
今作ではフルート独奏を伴う協奏作品が並んでいます。中国の道教や楊貴妃を題材としていて、中国の音階を取り入れた響きが特徴的。「水」は道教を表 す重要なテーマであり、自由に形を変えながら流れていく旋律はフルートにぴったり。様々な木々を描く『樹の国』でも、フルートとハープが自然の生命力を 美しく表現。『楊貴妃の絵』では妖艶な美と劇的な破滅が、大迫力をもって描かれます。 (Ki)
WER-5128
樹と金属、パーカッションの色彩 〜エンヨット・シュナイダー:打楽器協奏曲集
エンヨット・シュナイダー(1950-):
(1)打楽器とオーケストラのための協奏曲『樹の秘密』(2017)
(2)金属スクラップとオーケストラのための協奏曲『マシーン・ワールド』(2018)
ステファン・ブラム(1963-):
(3)『金属の研究』(2021)
デイヴィッド・クリストファー・パンツェル(1985-):
(4)『冬景色 Fuyugeshiki』 〜冬の歌(2021)
デイヴィッド・クリストファー・パンツェル(打楽器(1)(4))
ステファン・ブラム(打楽器(2)(3))
ガブリエル・ヴェンツァーゴ(指)ニュルンベルクSO((1)(2))

録音:2021年12月14-21日ニュルンベルク、コンレグスホール
多作なドイツの現代作曲家エンヨット・シュナイダーによる打楽器協奏曲を2曲収録。樹と金属に焦点をあてたアルバムで、有機的な生命の世界と、無機的で生 命のないものを対比させた造りに。打楽器には、にれの木や鉄くずなどが使われ、イマジネーション豊かに様々な色彩を打ち出しています。達者な打楽器奏者ふた りの活躍が聴きもの。このふたりの自作独奏曲をカップリングしています。 (Ki)

WER-6009
シュトックハウゼン:コンタクテ(1959/60)〜エレクトリック楽器,ピアノ,パーカッションのための
1 第1部------16’11
2 第2部------18’45
デイヴィッド・チュードア(ピアノ、打楽器)
クリストフ・カスケル(打楽器)
カールハインツ・シュットクハウゼン
ゴットフリート・ミヒャエル・ケーニヒ(エレクトリック楽器)

録音:1960ケルン西ドイツ放送局
電子音と生の楽器音、‘今’という瞬間の接触。
WER-6011
ブーレーズ:2台のピアノのためのストルクチュール第1巻(1952),第2巻(1961) アルフォンス・コンタルスキー&アロイス・コンタルスキー(P)
ブーレーズの重要作品をコンタルスキー兄弟の演奏で
WER-6021
ベリオ:サークルズ&セクエンツァT,V,X
サークルズ(女性独唱とハープ,2人のパーカッショニストのための)(1960)
セクエンツァT(フルート・ソロのための,1958)*
セクエンツァV(女声独唱のための,1965)**
セクエンツァX(トロンボーン・ソロのための,1966)#
キャシー・バーベリアン(声)、
フランシス・ピエール(Hp)、
ジャン・ピエール・ドゥルエ&ジャン・クロード・カザドシュ(打楽器)
オーレル・ニコレ(Fl)*
キャシー・バーベリアン(声)**
ヴィンコ・グロボカール(Tb)#
バーベリアン(声)#、ニコレ(Fl)#、他
ベリオの傑作サークルズとセクエンツァ、最高のメンバーによる演奏。
WER-6038
ノーノ:作品集
(1)光の工房(1964)(ソプラノとテープ) 
(2)ア・ヴェニド、シルヴィアの歌(1960)(わが妹シルヴィアの最初の誕生日のために)(ソプラノ・ソロと6ソプラノ・コー ラス ) 
(3)アウシュヴィッツの出来事の追憶(1965)(ソプラノとテープ)
(1)クララ・ヘニュース(S) 
 RAIミラノCho. 
 ジュリオ・ベルトーラ(指) 
 マリーノ・ズッチェリ(テープ)
(2)バーバラ・ミラー(S) 
 シュトゥットガルト・スコラカントルム 
 クリトゥス・ゴットヴァルト(指) 
(3)シュテファニア・ヴォイトヴィツ (S) 
 ミラノ・ピッコロ・
 テアトロ児童Cho. 
 マリーノ・スッチェリ(テープ) 

録音:1966〜68
WER-6095(2CD)
リーム:歌劇「ハムレット・マシーン」(1983〜86)
(87年初演ライヴ)
ガブリエーレ・シュナウト(S) 
ヨハンネス・M.ケスタース(Br)他 
ペーター・シュナイダー(指)
マンハイム歌劇場O.&Cho. 
レヒ=ルドルフ・ゴリヴォダ(合唱指導)
WER-6178
I.クセナキス:作品集
(1)「パリンプセスト」(1979)
(2)「エペイ」(1976) 
(3)「ディクタス」(1979)
(4)「アカントス」(1977)
ガイ・プロセルー(指)
スペクトラム,
アーヴィン・アルディッティ(Vn) 
クロード・エルフェ(P) 
ペネロープ・ウォールムスリイ=クラーク(S)
WER-6181
ヒンデミット:ピアノ作品全集第1巻
「ある夜に」Op.15
組曲「1922年」Op.26
ジークフリート・マウザー(P)
WER-6186
サティ:交響的ドラマ「ソクラテス」(1918) 
ケージ:チープ・イミテーション(1969)
ヒルケ・ヘリング(A) 
デボラ・リチャーズ(P)
ヘルベルト・ヘンク(P)
WER-6195(2CD)
リーム:歌劇「ハムレット・マシーン」(1983〜86) ガブリエーレ・シュナウト(S) 
ヨハンネス・M.ケスタース(Br)他 
ペーター・シュナイダー(指)
マンハイム歌劇場O.&Cho. 
レヒ=ルドルフ・ゴリヴォダ(合唱指導)

録音:1987年初演ライヴ
WER-6197
ヒンデミット:クラリネット五重奏曲変ロ調/変ホ調op.30(1923年オリジナル版)
ミリタリー・オーケストラのための作品「ニミマックス」(1923)
「さまよえるオランダ人」序曲(朝7時にヴィレージ・ウェルでの第2級コンサート・オーケストラが演奏するように(1925?)
ペーテル・クラウ・レフラー(Cl)
ブーフベルガーSQ

録音:1989-90年
クラリネット五重奏曲のオリジナル版世界初録音。

WER-6210
トゥリーナ:ピアノ曲集
(1)絵画組曲「セビーリャ」Op.2(1903)
(2)5つのジプシー舞曲集−IOp.55(1929/30)
(3)5つのジプシー舞曲集−IIOp.84(1934)
(4)幻想ソナタOp.59(1930)
ベゴーニャ・ウリアルテ(P) 

録音:1991年10月12日
WER-6214
ヒンデミット:ピアノ作品集Vol
ソナタ第3番(1936) 
ストレッタ(1920) 
ピアノのための歌曲(1921) 
)ピアノフォルテのための子守歌(1921) 
「ホルツプッペンの踊り」(1922) 
ピアノ小曲(1929)
ピアノ小品Op.45−4(1929) 
「町を造ろう」(1930)
ソナタ第1楽章(アレグロ)(1941)
ジークフリート・マウザー(P) 

録音:1991〜92年
WER-6215
ロドリーゴ:5つの管弦楽作品集
(1)5つの子供のための小品 
(2)交響詩「青いユリのために」 
(3)「彼方を探して」 
(4)「蝶とタンバリン」 
(5)「ラ・テプラニカ」
ハンス・ディーター・バウム(指)
ベルリンRSO.
WER-6424
カローラ・オベルミュラー(1977-):作品集
Untergegangen der Mond 〜カウンターテナー/バスとアンサンブルのための(2008/2017)
Myrmecia 〜ギター、ハープとダルシマーのための(2015/2016)
Pulstastung I 〜ピアノのための(2011)
Pulstastung II 〜ピアノのための(2014/2015)
mass:distance:time 〜6声のための(2010/2016)
... silbern 〜バスフルートとピアノのための(2008/2011)
Pulstastung III 〜ピアノための(2015-2017)
Nichts Fettes nichts Suses 〜アルトフルート、クラリネット、打楽器、ピアノとチェロのための(2015)
reflejos distantes 〜バスフルート、バスクラリネット、ヴァイオリンとチェロのための(2006)
coiling and swaying 〜18楽器のための(2014/2015)
アンサンブル・ムジークファブリーク
アンサンブル・モデルン
アンサンブル・フォルミンクス
カイ・ウェッセル(カウンターテナー、バス)、他

録音:2015-2018年
1977年ドイツ生まれの作曲家、カローラ・オベルミュラーの作品集。ギター、ハープ、ダルシマーを使って時代性や地域性から超越した響きを作る「Myrmecia」 など、独自の作風とセンスが光ります。ピアノ曲は一部プリペアドの音に変えられていますが、生のピアノの音が聴こえる所では割とロマンティックな響きを選択。 アルバム後半は編成が大きくなり、ダイナミックなアンサンブルの楽しみも要素に加わってきます。 (Ki)
WER-6426
アンナ・コルスン(1986-):作品集
Tollers Zelle 〜ギターとソプラノのための(2017)
Plxus 〜アンサンブルのための(2014)
auelliae 〜オルガンのための(2016)
Wehmut 〜5声、プリペアドピアノ,ヴァイオリン、コントラバスとサウンド・オブジェクトのための(2011)
Ulenflucht 〜20声のための(2016)
フラヴィオ・ヴィルツィ(エレキギター)
アンナ・コルスン(S)
ドミニク・シュテック( オルガン)、他

録音:2011-2018年
アンナ・コルスンは1986年ウクライナ生まれの作曲家。古典的な意味でのメロディは無く、張りつめた音が空気を侵食していきます。音数は少なく、編成の 多彩さは純粋に音色そのものの表現力へとつながっていきます。澄んだ音色が静かに明滅する高音域の扱い方が特徴的で、自然音やデジタル音を生演奏の世界 に還元したような感覚です。 (Ki)
WER-6228
ストラヴィンスキー:ピアノ作品集
(1)2台のピアノのためのソナタ(1943/44) 
(2)3つの易しい小品(1915)(行進曲,ワルツ,ポルカ)
(3)5つの易しい小品(1915)(アンダンテ/エスパニョーラ/バラライカ/ナポリターナ/ガロップ) 
(4)2台のピアノのための協奏曲(1935)
アルフォンス・コンタルスキー(P) 
アロイス・コンタルスキー(P) 

録音:1962年11月
WER-6429
ルーラ・ロメロ(1976-):作品集
(1)ins Offene(2012/13)〜10楽器とライヴ・エレクトロニクスのための
(2)die Wanderung(2016/17)〜ソロ楽器とライヴ・エレクトロニクスのための
(3)Entmundigung(2015/16)〜2人のソプラノ、アルトとライヴ・エレクトロニクスのための
ザフラーン・アンサンブル、
ヴェルティクス・ソノラ・アンサンブル
ルーラ・ロメロ(ライヴ・エレクトロニクス)
リュック・デーベライナー(ライヴ・エレクトロニクス)
橋本明希(S) 
シルク・エヴァース(S) 
ノア・フレンケル(A)
プレミル・ペトロヴィチ(指)他

録音:2018年
絶え間なく変化する音色、旋律、テクスチュア。器楽と声楽にライヴ・エレクトロニクスを組み合わせた多様なサウンドに打ちのめされる1枚です。電子機器 は作曲家自らが扱い、楽器の音を変調しながら作品をリアルタイムで組み立てていきます。
WER-6239
ヘンツェ:ピアノ作品集
(1)「小さなフレーズ」(映画〈スワンの恋〉から)(1984)
(2)「ルーシー・エスコット」変奏曲(1963)
(3)「ケルビーノ」(3つの小品)(1980〜81)
(4)「若いピアニストのための6つの小品」(1979〜80)(子供のためのオペラ〈ポッリチーノ〉から)
(5)変奏曲Op.13(1949)
(6)ピアノ・ソナタ(1959)
ホメロ・フランケッシュ(P)
WER-6247(3CD)
ジョン・ケージ〜25年間回顧コンサート
7つの楽器による6つの短いインヴェンション(1934)
第1コンストラクション(イン・メタル)(1939)
「心象風景」第1番(1939)
「18の春を迎えた素晴らしい未亡人」(1942)
「彼女は眠っている」(1943)

ソナタとインターリュードソナタT〜W/インターリュード第1番/ソナタX〜[/インターリュード第2番
カリヨンのための音楽第1番(1952)
「ウィリアムズ・ミックス」(1952)
ピアノとオーケストラのためのコンサート(1957-58)
アナヒド・アジェミアン(Vn)、
バートン・フィッシュ(Va)、
ウィリアム・グロムコ(Va)、
ジョーン・ブロックウェイ(Vc)、
アンドリュー・ローリャ(アルトFl)、
メルヴィン・ブロイルズ(Tp)、
アルバート・カウフマン(Cl)ほか

録音:1958年5月15日/ニューヨーク・タウン・ホールでの歴史的公演の録音(献呈:ジョン・ケージ,エミール・デ・アントニオ,マーロ・アジェ
WER-6250
ヒンデミット:ピアノ作品集第4集
「ルードゥス・トナリス」(対位法・調性及びピアノ奏法の練習)(1942)
ジークフリート・マウザー(P)
WER-6255(3CD)
ヒンデミット:歌劇「世界の調和」 皇帝ルドルフ、皇帝フェルディナンド2世;アルチュン・コチニャン(Bs) 
ヨハネス・ケプラー;フランソワ・ル・ルー(Br)
ヴァレンシュタイン;ロベルト・ヴェルレ(T)
ウルリヒ;クリスティアン・エルスナー(T)
タンスール;ラインハルト・ハーゲン(Bs)
スザンナ;ゾフィー・ラーソン(S)
マレク・ヤノフスキ(指)ベルリンRSO

録音:2000年2,3月(世界初録音)
ヒンデミット晩年のオペラ、巨匠ヤノフスキによる世界初録音。
WER-6267
シュトックハウゼン:2台ピアノのための「マントラ」(1970) アンドレアス・グラウ(P) 
ゲルツ・シュマヒャー(P) 
音楽監督:ブライアン・ウォルフ
WER-6268
シェーンベルク:ピアノ小品集
(1)3つのピアノ小品Op.11(1909,改定1924)
(2)6つのピアノ小品Op.19(1911) 
(3)5つのピアノ小品Op.23(1920/23)
(4)ピアノのための組曲Op.25(1921〜23)
(5)ピアノ小品Op.33a(1928/29), Op.33b(1931)
(6)遺作の17のピアノ小品集から断章(1894〜1934)
ヘルベルト・ヘンク(P)((6)世界初録音)
WER-6271
ヒンデミット:ピアノ作品集Vol.5
舞曲集Op.19(1919〜20)
ピアノ音楽Op.37(1937)
ジークフリート・マウザー(P)
WER-6286
ヒンデミット:前庭に最後にライラックが咲いたとき〜愛する人々へのレクイエム(1946)(W.ホイットマンの詩による) コルネリア・カリッシュ(Ms) 
クリスター・セント・ヒル(Br)
ローター・ツァグロセク(指)
ベルリン放送Cho. 
ベルリンRSO.
WER-6303
ケージ:「ローラトリオ」Roaratorio(フィネガンス・ウェイクのアイリッシュ・サーカス) 他 ジョン・ケージ(語り) 
ジョー・ヘーニー(Vo)
パディー・グラッキン(Vn)
ピーダー・メルシェメル・メルシャ(Bodrhan)
マット・マーロイ(Fl)
セアムス・エニス(Uillean‐Pipes)

録音:1979年
WER-6307(2CD)
「リヴァーラン」ヴォイシングス・サウンドスケープス〜人声による、
無音のただ中でのサウンドとノイズの調和−WDR「スタジオ・オブ・アコーティスティック・アート」制作による音の旅
監修:クラウス・シェニング
ジョン・ケージ,マウリッツォ・カーゲル,
チャールズ・アミルハニアン,ロス・バント,
カレンツ・バーロウ,ジョージ・ブレヒト
ポール・カーター,アンリ・ショパン,
カールフリードリヒ・クラウス 他総勢58名
WER-6310(2CD)
ジョン・ケージ:「アルファベット」〜ジョイス&デュシャン&サティ

[CD1]英語版、[CD2]ドイツ語版
ナレーター:クラウス・ライヒェルト(英)(独)
ジョイス:ジョン・ケージ(英)(独)
サティ:アルヴィン・カラン(英)/マウリチオ・カーゲル(独)
マルセル・デュシャン:チャールズ・ダッジ(英)/ゲオルグ・ブレヒト(独)

録音:英語版=1990年4月29日(第二回アクスティカ国際フェスティバルのライヴ録音)
独語版=1987年2月14日(ケージの75歳の誕生日を祝う《NachtCageTag》のライヴ録音)
ジョン・ケージとその仲間たちが繰り広げる、朗読による異次元空間。
WER-6313
クルト・シュヴィッタース:音詩集
phoneticpoems(音詩集)、
Ursonate(原ソナタ)
シュヴィンドリンゲ(=ホウライタケ属)
〔ズィルケ・エーゲレル・ヴィットマン、マルティン・エーベルト、トルステン・ギーツ〕

録音:2004年4月
一大奇盤。これぞダダイズム。

WER-6404
ストラヴィンスキー:カルタ遊び(1936)〜ハンス・ロスバウト・エディション
(1)「カルタ遊び」(1936)
(2)小管弦楽のための組曲第1番(1917/25)
(3)小管弦楽のための組曲第2番(1921)
(4)バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1910/11)
ハンス・ロスバウト(指)
南西ドイツRSO
WER-6410
レオポルト・ハート(b.1979):作品集
漂移性の塊
船位算定*
アウグスト・フロンマーのもの**
seuring- スイッチ#
アンサンブル・モザイク
アンサンブル・レゾナンツ*
バーゼル・モンドリアン・アンサンブル**
シモーネ・ヤング(指)ハンブルクPO#
アルプスの民謡や、レントラー、ツィターなど、どこか懐かしい音楽や音色を組み合わせて新しい音世界を作り上げるハートの作品集。自身ツィター奏 者でもあり、ツィターの扱いは格別です。 (Ki)
WER-6411
岸野末利加(b.1971):作品集
(1)Rayons Crepusculaires/薄明光線 (2007-08)(大太鼓と三群に分かれた14人の奏者、8チャンネルのライヴエレクトロニクス)
(2) モノクロームの庭U(2011)/単彩の庭U(バス・クラリネット、バリトン・サックスとトロンボーン)
(3)Sensitive Chaos(2010)繊細なるカオス(エレクトリック・ギター、トランペット、トロンボーン、2人の打楽器奏者、ピアノとチェロのための)
(4)Prayer/祈り(2011)
(5)Du Firmament/蒼穹から (2001-02)
(1)アンサンブル・ムジーク・ファブリーク
(2) パークハウス・トリオ
(3)ミカエル・アルバー(指)アンサンブル・アスコルタ
(4)松原千振(指)東京混声Cho
(5)ルカス・ヴィス(指)hr響

録音:2012-2013年
自然と美が織り成す、岸野末利加の繊細にしてエキサイティングな音世界。自然、特に「光」が重要な要素となっている彼女の作品は、時にまっすぐに 差す光、時に乱反射する光など、様々に変容します。
■岸野末利加(きしの・まりか)
1971年京都市生まれ。1994年同志社大学法律学部法律学科卒業。1995年渡。1998年、パリ・エコールノルマル作曲科、2003年 フランス国立リ ヨン高等音楽院作曲科卒業。2004-05年イルカム(フランス国立音響音楽研究所)研究員。作曲を平義久、ロベール・パスカル、フィリップ・ルルー の各氏に師事。2006年第5回フランス国立電子音楽創造センターとアンサンブル・オーケストラ・コンテンポランによる作曲賞受賞。 (Ki)
WER-6412(2CD)
ヨハネス・ボリス・ボロフスキ(b.1979):作品集

[CD1]
ファゴット協奏曲(2012/13)
Wandlung(2009/ 2014改訂)(6人の器楽奏者のための)*

[CD2]
ピアノ協奏曲(2010/11)
Chergui(2012)*
[CD1]
パスカル・ガロワ(Fg)
アンサンブル・アンテルコンタンポラン
アンサンブル・アヴァンチュール*
録音:2014年4月14日、2014年5月23日*

[CD2]
フロラン・ボファール(P)
ベルリン・ドイツSO
マヌエル・ナウリ(指)
アンサンブル・インターフェイス*
録音:2013年11月12-14日、2013年11月28日*
1979年ドイツ生まれのボロフスキ作品集。ハンスペーター・キブルツ、マルコ・ストロッパらに師事、2003年ハンス・アイスラー賞受賞、2009年にはブー レーズ&シカゴ響によるMusicNOWシリーズの委嘱を受けるなど、若くして世界的に認められている作曲家です。ピアノ協奏曲でソロを務めるのはフロラ ン・ボファール。彼は、イザベル・ファウストとのフォーレのヴァイオリン・ソナタの録音などでも素晴らしい演奏を聴かせた名手です。宇宙の星を思わせ る、きらめくような高音から、ジャズ的な要素を感じさせるリズムまで、ボファールの名技を堪能できます。 (Ki)
WER-6414
ヤゴダ・シムィトカ(b.1982):作品集
Bloody cherriesの電子化された思い出(2011)
天使あるいは吸血鬼のような旅人たちのために(2012)
WeltAll-Starsの手びきのこぎり。気前よく。(2011)
sky-me, type-me(2011)
pores open wide shut(2013)
f* for music(2012)
ドッペルゲンガーからのごあいさつ(2013)
アンサンブル・ガラージュ、
マリアーノ・キアッキアリーニ(指)ほか

録音:2014年
ポーランドの女性作曲家、ヤゴダ・シムィトカの作品集。ヴォルフガング・リームらに師事した彼女の作品は非常にごつごつで弦楽器の使い方もギコギ コしており、演奏者の身体と楽器との関係性を生々しく感じさせます。攻撃的な印象です。 (Ki)
WER-6413
(CD +DVD[PAL])
コラージュ技法のはてしない追求
[CD]
in hyper intervals(2006-08)
cache surrealism(2008)
見知らぬ仕事(2009)
プロダクトの配置(2008)
リビング・イン・ア・ボックス(2010)

[DVD]
CD収録曲などの演奏風景+作曲者および演奏者らへのインタビュー映像(言語:独語(英語字幕あり))
アンサンブル・モデルン、
ヨハネス・カリツケ(指)

録音:2011年10月
コラージュ技法を駆使したクライトラーの作品集。
WER-6415
ミヒャエル・ペルツェル(b.1978):作品集
Sempiternal Lock-in(2012-13)
音の彫刻(Sculture di suono)〜ジャチント・シェルシの思い出に
…along 101…
…sentiers tortueux…
クラングフォーラム・ヴィーン
ヨハネス・カリツケ(指)
シルヴァン・カンブルラン(指)
ペーター・ヒルシュ(指)
スイスの作曲家、ミヒャエル・ペルツェルの作品集。コントラバスの音域からソプラノの音域までをも網羅しながらひとつの音に聞こえるような和音を作 るのが夢、と語ります。音色の種類が実に様々な作品が並び、カンブルランらの指揮も冴えております。 (Ki)
WER-6417
(1SACD+DVD-PAL)
ヴィト・ズライ (1979 〜 ):作品集
ホークアイ(ソロホルンとオーケストラのためのコンチェルト)*
リストラング(アンサンブルのための)
チェンジオーバー(アンサンブルとオーケストラのための)
ランアラウンド(4人の金管楽器奏者とアンサンブルのための)

■DVD-PAL(14’ 59)
トップ・スピン〜パーカッション三重奏のための
ザール・ベルガー(Hrn)*
ティアス・ピンチャー(指)スロヴェニアPO*
アンサンブル・モデルン
 ヨハネス・カリツケ(指)フランクフルトRSO

録音:2011年11月25日、2014年2月28日、2015年3月14日、15日

■DVD-PAL

アンサンブル・モデルンの打楽器メンバー
スロヴェニアの作曲家、ヴィト・ズライはその音楽のパワフルさが魅力の作曲家です。多層的な音響は彼の作品の特徴の一つですが、このスーパーオー ディオCDではその立体的なサウンドがじっくりと堪能できます。 ★球技の審判補佐コンピューター情報処理システムを指す「ホークアイ」や、テニスのコートチェンジを意味する「チェンジオーバー」などというタイトル にみられるように、ズライは創作のインスピレーションを、彼自身が情熱を傾けているテニスから得ています。陽の光と影、様々なものとの遠近法、動き と静けさなど、彼がテニスを通して体感したであろう様々な要素が作曲家ズライというフィルターを通って音楽となった作品の数々は、どこかカラリとして 明るい響きがします。ズライの創作に深く関わっているホルン奏者、ザール・ベルガーのソロも圧巻です。DVDでは3名のパーカッション奏者が様々な 打楽器を、フォークやスプーンなど様々な器具を用いて鳴らしていくというもので、こちらもやはりテニスへの思いに満ちているとともに、直感とアルゴリ ズムも大切にした作品に仕上がっています。カメラワークも秀逸。 (Ki)
WER-6418(2CD)
マリーナ・ホルコワ(b.1981):作品集
(1)collision
(2)kalng Narbe
(3)ア・プリオリ
(4)VORderGRENZE
(4)弦楽四重奏曲
(5)笑いでかける呪い〜ソプラノ、100弦のモノコード、微分音をもつチェンバロ、プリペアードピアノ、マルチフォニックス・ピアノのための
(1)アンサンブル・アスコルタ
(2)トリオ・アッカント
(3)ベアトリクス・ワーグナー(Fl)、ゲラルド・エッケルト(Vc)
(4)ラネット・フローレス(Cl)、カスパール・ヨハネス・ヴァルター(Vc)、ヘレナ・ブガッロ(Pf)
(5)カイロスSQ
(6)アレッシア・ヒュンクン=パク(S)、コラ・ニコラゼ、スザンネ・カバラン(モノコルド)、ヨハンネス・ケラー(微分音をもつチェンバロ)、ユリア・ドラジンダ(プリペアード・ピアノ)、マリーナ・コルコヴァ(マルチフォニック・ピアノ)、ゲオルク・ケーラー(指)

録音:2011年、2015年
マリーナ・ホルコヴァは、1981年ロシア生まれの作曲家。現在はベルリンに住んでいます。モスクワ音楽院でピアノと作曲を学んだ後、シュトゥットガ ルトでカスパール・ヨハネス・ヴァルターのもとで作曲を学びました。様々な賞を受賞、これまでに室内楽を中心に創作活動を展開、静寂を感じさせる作 風が魅力です。 (Ki)
WER-6419
オンドレイ・アダメク(1979-):作品集

【CD】
(1)Polednice(混声合唱とオーケストラ)
(2)Noise(大アンサンブル)
(3)Dusty Rusty Hush(オーケストラ)
(4)Endless Steps(オーケストラ)

【DVD】
(1)Karakuri - Poupee mecanique(声とアンサンブル)
(2)Kameny(24の声と16楽器)
(3)Luft-Inszenierung(エアーマシン)
(4)Korper und Seele (エアーマシン、合唱、オーケストラ)
(5)Consequences particulierement blanches ou noires(エアーマシン)
【CD】
(1)アレクサンダー・リープライヒ(指)ポーランド放送cho、ポーランド国立放送カトヴィツェSO
 録音:2013年9月20日
(2)マルコ・アンジュス(指)アンサンブル・アンテルコンタンポラン
 録音:2012年1月16日
(3)マヌエル・ナウリ(指)ベルリン・ドイツSO
 録音:2013年11月11,12日
(4) ピエール・ブーレーズ(指)ルツェルン祝祭アカデミーO
 録音:2008年9月
【DVD】
(1)オンドレイ・アダメク(指)、秦 茂子(声)、アンサンブル・モデルン
 収録:2015年5月31日
(2)ジョージ・ベンジャミン(指)SWRシュトゥットガルト声楽アンサンブル、アンサンブル・アンテルコンタンポラン
 収録:2013年1月29日
(3)収録:2013年10月8-11日
(4)フランソワ=グザヴィエ・ロト(指)南西ドイツRSO、SWRシュトゥットガルト声楽アンサンブル、クリストフ・グルント(エアーマシン)
 収録:2014年10月19日
(5) オンドレイ・アダメク(エアーマシン)
 収録:2015年8月
1979年プラハ生まれの奇才作曲家アダメク。ジャケット写真にも使われている楽器(?)「エアーマシン」が異彩を放ちます。空気を流す管に手袋型 の風船やおもちゃの笛などを取り付け、不思議な動きと共にヒュー、ピュー、と音を出す装置で、DVDで実際に映像を見るとかなり独特な世界観。オー ケストラの扱いも斬新で、細かく書き込まれた譜面から、おもちゃで遊んでいるかのような音楽が飛び出します。指揮にはブーレーズも参加。  (Ki)
※DVDはPAL仕様のため、日本のプレーヤーでは再生できません。パソコンでは再生可能です。
WER-6422
ミリカ・ジョルジェヴィチ:The Death of the Star-Knower -petrified echoes of an epitaph in a kicked crystal of time I&II (弦楽四重奏)
Phosphorescence (ホルン、トランペット、バストロンボーン)
… wurde man denken: Sterne (アコーディオン)
How to evade- (オーボエ、ヴァイオリン)
Do you know how to bark non-communication ver. 2.1.1 (コントラバス)
Manje te u majke groze (ソプラノ、バスクラリネット、アコーディオン、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ)
FAIL (チェロ、ライヴ・エレクトロニクス)
アルディッティSQ
クリスティン・チャップマン(Hrn)、
マルコ・ブラウ(Tp)、
ブルース・コーリングス(Tb)
、ピーター・ヴェール(Ob)
ハンナ・ワイリック(Vn)
フロランタン・ジノ(Cb)
トゥルイケ・ファン・デア・ペール(Ms)
テオドーロ・アンツェロッティ(アコーディオン)、
アンサンブル・ムジークファブリーク、
ヨハネス・ショールホーン(指)
、フランチェスコ・ディロン(チェロ、ライヴ・エレクトロニクス)

録音:2016年
1984年にセルビアのベオグラードで生まれた女流作曲家、ジョルジェヴィチ。彼女の音楽はその研ぎ澄まされた感性と高度な技術によって真に新たな 音響を世界に刻み付けるような、前衛的探求心に満ちたものです。音素材を厳しく見つめ、執拗なまでにあらゆる表現を網羅しながら音を繰り出す、たい へんな技巧を要する作品ばかり。軋むようなサウンドと、摩擦熱で火傷しそうなパッセージの応酬。演奏が難しければ難しいほど水を得た魚のごとく弾き まくる現代音楽のスペシャリスト、アルディッティ弦楽四重奏団も凄まじい熱演を披露しています。 (Ki)
WER-6425
リサ・シュトライヒ(1985-):作品集
Segel(2017)〜管弦楽
Pieta(2016/16)〜モーターライズド・チェロとアンサンブル*
Agnel(2013)〜12声の合唱、オブジェクト、 少年合唱とエレクトロニクス**
Asche(2012)〜クラリネットとチェロ#
Stabat(2017)〜32声の合唱##
グレゴール・A・マイアホーファー(指)ルツェルン祝祭アカデミーO
ニクラス・ザイドル(モーターライズド・チェロ)、他*
エーベハルト・メッテルニヒ(指揮)、ケルン大聖堂cho**
アンサンブル・ルシェルシュ#
ロレンツォ・ドナーティ(指)UT混声cho##

録音:2017年
1985年スウェーデン生まれの作曲家シュトライヒによる魅惑的な美しさの作品集。身体性があり、力強い意志を持ち、また同時にひどく繊細。そして 残酷なカラーも見せる彼女の音楽は、生身でありながら今まで世界に存在しなかったような衝撃性があります。『Segel』は鞭が規則的に打ち鳴らされ、オー ケストラがその残響の如く、影のように響いて漂います。また、声楽作品はケルン大聖堂やローマのサンタ・マリア・イン・カンピテッリ教会で録音され 宗教的な雰囲気を高めています。何とも霊気を感じる1枚。 (Ki)
WER-6428
ゼイネプ・ゲディズリョグル(1977-):作品集
(1)Sights of Now 〜2台のピアノと弦楽四重奏のための
(2)Jetzt - mit meiner linken Hand 〜アンサンブルのための
(3)Verbinden und Abwenden 〜アンサンブルと管弦楽のための
(4)Kelimeler 〜5つの声のための
(5)Blick des Abwesenden 〜ピアノとオーケストラのための
(1)菅原幸子(P)、辺見智子(P)、ディオティマSQ
(2)レオンハルト・ガームズ(指)、クラングフォラム・ウィーン
(3)イラン・ヴォルコフ(指)、アンサンブル・モデルン
(4)ノイエ・ヴォーカルゾリステン・シュトゥットガ ルト
(5)タマラ・ステファノヴィッチ(P)、ヨナタン・シュトックハンマー(指)hr響

録音:2017・2018年
ゼイネプ・ゲディズリョグルは1977年トルコのイズミル生まれ。ヴォルフガング・リームらに作曲を学びました。「Verbinden und Abwenden(接続と拒否)」 はオーケストラの中に〈異物〉としてアンサンブルが散在し、全体と個人の溶け合わないギクシャクした感じを描いているよう。繊細に書き込まれているのに、混 沌・茫漠としています。「Kelimeler(言葉)」はア・カペラの声楽作品で、作曲家本人がトルコ語のテキストを書いています。 (Ki)
WER-6429
ルーラ・ロメロ(1976-):作品集
(1)ins Offene(2012/13)〜10楽器とライヴ・エレクトロニクスのための
(2)die Wanderung(2016/17)〜ソロ楽器とライヴ・エレクトロニクスのための
(3)Entmundigung(2015/16)〜2人のソプラノ、アルトとライヴ・エレクトロニクスのための
ザフラーン・アンサンブル、
ヴェルティクス・ソノラ・アンサンブル
ルーラ・ロメロ(ライヴ・エレクトロニクス)
リュック・デーベライナー(ライヴ・エレクトロニクス)
橋本明希(S) 
シルク・エヴァース(S) 
ノア・フレンケル(A)
プレミル・ペトロヴィチ(指)他

録音:2018年
絶え間なく変化する音色、旋律、テクスチュア。器楽と声楽にライヴ・エレクトロニクスを組み合わせた多様なサウンドに打ちのめされる1枚です。電子機器 は作曲家自らが扱い、楽器の音を変調しながら作品をリアルタイムで組み立てていきます。
WER-6431
ナオミ・ピノック(1979-):作品集
(1)弦楽四重奏曲第2番(2011-12)
(2)言葉 〜バリトンとアンサンブルの為の(2010-11)
(3)ライン&スペース 〜ピアノの為の(2015)
(4)ヨーロッパの為の音楽 〜フルート、クラリネット、打楽器、ピアノとハープの為の(2016)
(1)ボッツィーニQ
(2)オマール・エブラヒム(Br)、ベアート・フラー(指)、ロンドン・シンフォニエッタ
(3)リチャード・ウッテリー(P)
(4)アンサンブル・アダプター

録音:(1)2019年11月22日、(2)2011年3月12日、(3)2019年5月21日、(4)2019年1月23日
1979年イギリスのウェストヨークシャー生まれのナオミ・ピノック。ロンドンでバートウィッスルに、カールスルーエでヴォルフガング・リームに作曲を師事 しました。作風は静謐で、リズムの複雑さよりも単純な音の持つ根源的な力に重点を置いているようです。
弦楽四重奏曲第2番は下降する短い動機がひたすら繰り返され激烈なムードで始まりますが、次第に音楽は力を失い静謐の中でほとんど動けなくなり消 えていきます。『言葉』はバリトンと楽器の区別もなく、言葉と音の区別もありません。言葉以前の意識が薄明の中で揺らめいているような感覚です。『ライン& スペース』はアグネス・マーティンの抽象画にインスピレーションを受けたもので、線と線、その間の隙間が様々な差異を見せながら静かに発展します。音符と 休符で横方向に延びる縞模様を作り、また音域を分け単純な音を持続させることで縦方向にも多層の線を描きます。『ヨーロッパの為の音楽』はイギリス のEU離脱を受けて書かれた作品。作曲者は離脱に反対だったようで、単純な音響ながら憤りや不安といった負の感情が表現されているようにも聴こえます。 (Ki)
WER-6432
チェン・フィフィ(1985-):作品集
(1)ソプラノとライヴ・エレクトロニクスのための『メ・デュー・サ』(2016)
(2)ソプラノ、アルト、クラリネット、チェロ、ドラムス、エレクトロニクスのための『エコーとナルキッソス』 (2018)
(3)プリペアド・ピアノのための『メッセンジャー』(2017)
(4)コレグラフド・ピアノ・トリオとダンサーのための『セイレーンが呼んでいる』(2019)
(5)4人の音楽家とエレクトロニクスのための『あなたの最適な選択』(2017)

●ボーナス映像(ブックレット内のQRコードから視聴いただけます)
声楽アンサンブルのための『ユア・ターン』(2019)
『メ・デュー・サ』
『エコーとナルキッソス』
『メッセンジャー』
『セイレーンが呼んでいる』
キム・ヨウミ((1)ソプラノ)
シルケ・エヴァース((2)S)
ノア・フレンケル((2)A)
アンサンブル・エクスペリメンタル((2))
SWRエクスペリメンタル・スタジオ((2))
デトレフ・ホイジンガー((2)指)
クラウディア・チャン((3)P)
アンサンブル・uBu((4))
ソフィア・オットー((4)ダンス)
アンンサンブル・モザイク((5))

録音:2016-2019年
中国の作曲家チェン・フィフィによる作品集。声楽、器楽、エレクトロニクスを用い、神秘的かつ遊び心のある多彩な音色を駆使した音楽を聴かせます。 ナルキッソスやセイレーンなどギリシャ神話をもとにしたイメージの湧きやすい題材を使いつつ、音楽とコミュニケーション、パフォーマンスといった人間の行 う動作を解体し再構築して、新たな表現を作り出そうとする書法は驚きと発見に満ちたもの。なお、ブックレット内のQRコードから何曲かの作品の演奏動 画を見ることが出来ます。 (Ki)
WER-6433
クララ・イアノッタ(1983-):アーシング
ジャム瓶の中にスズメバチの死骸 (iii)(2017/rev. 2018) 〜プリペアされた弦楽四重奏と正弦波のための
あなたは花崗岩の海を這い(2019/20) 〜増幅された弦楽四重奏のための
堕落のエンターテインメント(2013) 〜弦楽四重奏のための
大地との接地、スズメバチの訃報(2019) 〜プリペアされた弦楽四重奏、トランスデューサーとエレクトロニクスのための
ジャックQ

録音:2020年1月13−15日
ベルリンを拠点に活動する作曲家クララ・イアノッタの弦楽四重奏作品集。(1)はディオティマ四重奏団によって2018年に初演された最終バージョン。プ リペアドピアノのように弦楽器に手を加え、粗い唸り声や引っ掻くようなノイズが、事前に録音された正弦波と交錯します。また聴いただけでは殆どわからな いものの、バッハの無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第1番が音楽構成の下地になっているとのこと。他の作品もノイズ中心の強烈な世界です。 (Ki)
WER-6434
解剖学 〜マーク・バーデン(1980-):作品集
(1)ヴェール Veil (2012) 〜2つのピッコロのための
(2)アマス aMass (2015) 〜アンプ増幅された九重奏のための
(3)ペルソナ persona (2009) 〜バスフルートとバスクラリネットのための
(4)ラメントーゾ lamentoso (2016) 〜ピッコロとファゴットのための
(5)クレフト cleft (2017) 〜ヴァイオリンとチェロのための
(6)練習曲集 Etudes 1-3 (2017) 〜ピアノ独奏のための[ベロシティ・ゲージ Velocity Gauge / 鏡、仮面 Mirrors, Masks / 感情と郷愁 On Affect and Nostalgia]
(7)アナトミー anatomy (2010) 〜打楽器独奏と大オーケストラのための
(1)マッテオ・チェザーリ、ヘレン・ブレッドソー(ピッコロ)
(2)エンノ・ポッペ(指)、アンサンブル・モザイク
(3)ヘレン・ブレッドソー(バスフルート)、カール・ロスマン(バスクラリネット)
(4)ヘレン・ブレッドソー(ピッコロ)、ローレライ・ダウリング(Fg)
(5)アショット・サルキシャン(Vn)、セヴリーヌ・バロン(Vc)
(6)ジョセフ・ヒューストン(P)
(7)ブライアン・アーチナル(打楽器)、ペーター・ルンデル(指)、ベルリン・ドイツSO

録音:(1)(3)(4)(6)2019年11月6-10日、(2)2019年4月3-4日、(5)2020年12月16-17日、(7)2020年3月10日
1980年クリーヴランド生まれでベルリン在住の作曲家マーク・バーデンの作品集。彼は音を根本的に物理的な現象として捉え、そのエネルギーを直接聴き 手の骨身に響かせるかのように音を繰り出します。極限まで切り詰めた表現を躊躇なく見せつけ、時に荒々しく暴力的な、あるいは容赦ない響きの選択にどき りとさせられます。2本のピッコロが静寂の淵でお互いを包み込み空気の揺らぎに巻き込まれていく「ヴェール」、融合と分裂の間で猛烈なデュオを展開する「ク レフト」、バッハのハ短調パルティータが複雑な超絶技巧の中に埋め込まれている「練習曲集」、圧倒的な音のパワーに満ちた打楽器協奏曲「アナトミー」など、 様々な編成の作品を収録。この作曲家を知るに最適の1枚です。 (Ki)
WER-6435
マティアス・クリューガー(1987-):作品集
(1)le vide a perdre(2016, rev. 2019)
〜プリペアド・トランペット、プリペアド・トロンボーン、ドラムセット、バスドラム、シンセサイザー、エレキギター、エレキチェロ、ライヴ・エレクトロニクスの為の
(2)Wie ein Stuck Fett(Redux)(2016)
〜ソプラノ歌手、アルト&ピッコロ・フルート、プリペアド・チェロ、プリペアド・ピアノの為の
(3)Bellygoat Boom(substrate)(2019)〜オーケストラの為の
【ボーナス・ビデオ】
(4)sweep over me them dusty bristles(2018, rev. 2020)〜プリペアド・フルート、プリペアド・サックス、シンセサイザー、ピアノ、ドラムセット、ライブ・エレクトロニクス、身体、声、顔の為の
(1)ニコラス・コック(指)アンサンブル・アスコルタ
(2)アンサンブル・BRuCH
(3)エレナ・シュヴァルツ(指)WDR響
(4)アンサンブル・インヴァースペース

録音:2016-2020年
マティアス・クリューガーは1987年ドイツ・ウルム生まれ。ケルン音楽大学、ニューヨークのコロンビア大学で作曲を学び、パリのソルボンヌ大学で語楽、 IRCAMで作曲と電子音楽を学びました。
「le vide a perdre」(失うべき空虚)は、イスタンブールにあるクラブの名前から取られたタイトル。「Wie ein Stuck Fett」(脂肪の塊)はグスタフ・マイ リンクの小説「ゴーレム」からテキストを取っています。「Bellygoat Boom」(基板)は、作曲家がニュージーランドで体験したマオリ族の文化に影響を受けて書 かれたもの。さまざまな価値観と世界観が電子音響的なサウンドで幻想的に描かれます。
解説書内のQRコードから、レトロな音楽を採り入れた不思議な「sweep over me them dusty bristles」のライヴ映像が見れます。
WER-6437
ストレート・ラン 〜セルゲイ・マインハルト(1981-):作品集
【CD】
(1)Rush(2019)〜大管弦楽、拡大されたアンサンブルとエレクトロニクスのための
(2)Flower's silence in empty guns(2012)〜ピアノ、ライヴエレクトロニクスとWiiセンサーのための
(3)Declare Independence(2014)〜ドラムセット、エレキギター、エレキベースとシンセサイザーのための
【映像】(解説書内のQRコードから視聴可能)
SMOG(2012)〜4人の器楽奏者とソレノイドのための
Construct - deconstruct(2018)〜サクソフォン四重奏、エレクトロニクスと映像のための
It's Britney, bitch!(2014)〜キーボードとライヴ映像のための
Blur Paralyzed(2018)〜ピアノとライヴ・エレクトロニクスのための
HeroIn(2017)〜エレキギター、エレクトロニクスと映像のための
Kurzschluss(2015)〜アンサンブル、ライヴエレクトロニクス、ソレノイド、ガラス板のための
クリスイティアン・パラージ((1)アコーディオン)
タル・ボトヴィニク((1)エレキギター)
ローター・ツァグロゼク((1)指揮)
ドイツ連邦青少年O((1))
パウロ・アルヴァレス((2)ピアノ)
セルゲイ・マインハルト((2)ライヴエレクトロニクス)
アンサンブル・エレクトロニック・ID((3))
セルゲイ・マインハルト(1981-)はポップカルチャーや現代テクノロジーに影響を受けた作曲家で、世界の急速な変化を反映できるものとして音楽を捉え、社 会的・政治的なトピックに焦点を当てた作品を発表しています。彼にとって音楽の中に生楽器とコンピューター、楽音とノイズは分け隔てなく自然に存在するもの で、ブリトニー・スピアーズの一節をもとにした作品などジャンルにもまったく囚われない世界観を持っています。ブックレットには映像作品を試聴できるQRコー ドがあります。
WER-6439
ゲノエル・フォン・リリエンシュテルン(1979-):クチュール
(1)広告的音声 Voz Comercial 〜声楽家とアンサンブルのための(2017)
(2)クチュール Couture 〜ふたりのシンセサイザー独奏と管弦楽のための(2014)
(3)大きな絵 Big Picture 〜声楽家とアンサンブルのための(2018/21)
(4)頂上 Top 〜アンサンブルのための(2012/13)
(1)ヨハンナ・ヴァルガス(歌)、マリアーノ・キアッキアリーニ(指揮)、アンサンブル・ガレージ
(2)ベンジャミン・コブラー(オーバーハイムOB-Xa、ローランドJUNO-106)、ラース・ヨンソン(ヤマハDX7、ローランドD-50)、イラン・ヴォルコフ(指)、南西ドイツRSO
(3)ソエトキン・エルバース(歌)、マリアーノ・キアッキアリーニ(指揮)、アンサンブル・ガレージ
(4)スコット・ボイルズ(指)、アンサンブル・インターフェース

録音:2013-2021年
1979年生まれのリリエンシュテルンは、CM音声や80年代ポップスなど、自分が繰り返しよくきいた音をサンプラー素材として作品を作っています。それらは いわば高度に商業化された音であり、コラージュ素材として意味ありげな素材に見えますが、なにか別の意味を含ませるとか、主観的な良し悪しをほのめかす、と いった感じはまったくなく、気持ち良いくらいにあからさまに引用しています。それによって獲得された独特な雰囲気は実に個性的。
シンセサイザーとオーケストラという編成で書かれた『クチュール Couture』は南西ドイツRSOの委嘱作品。機械音と生音、新しさと伝統が対比される イメージ…かと思いきや、およそまるで違う音楽が展開されます。使われるシンセサイザーはどれも80年代のもので、名器とされながらもすでに時代遅れとみな されている楽器であり、オーケストラもまた、同じ存在感をもつ「音源」という扱い。曲調としては80年代シンセ音楽が基礎にあり、その中で両者の音は溶け合う ように織り込まれ、どこまでシンセか、どこからオケか、判然としないサウンドでたゆたいます。これがスコアに実際に書かれ、伝統によって高められたSOが 演奏しているというのも不思議な感覚にさせられます。
『頂上 Top』はゲートリバーブのかかったスネアに始まります。80年代のヒット曲が使われ、終盤にヴァン・ヘイレンの「ジャンプ」が登場。 (Ki)

WER-6518
ルツィッカ:作品集
(1)「J.ハイドンの音響領域による変容」(1990)
(2)「続けて話される刺激をまず受けるべき…」(1981) 
(3)「解体」(1977〜78) 
(4)「発露」
ベルリンRSO.
(1)(3)ペーター・ルジツカ(指) 
(2)ヴォルフラム・クリスト(Va) 
リッカルド・シャイー(指) 
(4)カール=ベルンハルト・ゼーボン(Fl) 
クリストバル・ハルフター(指)
WER-6555
イエルク・ヴィトマン作品集
5つの断章〜クラリネットとピアノのための(1997年),
練習曲III〜独奏ヴァイオリンのための(2001/2002年),
自由な小品〜アンサンブルのための(2002年),高熱に伴う幻覚
イエルク・ヴィトマン(Cl) 
シルケ・アーヴェンハウス(P) 
ルディガー・ロッター(Vn) 
ムリエル・カントレッジ(Vn) 
ケルヴィン・ホートル
ン(Va) クリストフ・リヒター(Vc)
WER-6564
エンノ・ポッペ(1969 〜):木材(クラリネットとアンサンブルのための/1999、2000年)*、
骨(アンサンブルのための/2000年)、
オイル(アンサンブルのための/2001年)
ウィーン・クラング(音)、
フォーラム、エルネスト・モリナーリ(Cl)*、
ステファン・アスバリー(指)
エンノ・ポッペは10歳にして作曲のコンテストで優勝したというまさに天才。ブックレットの中で、「シャベルを手に取り、森に行け。暗い穴を見つけたらすぐさま掘り返せ。あなたにちょっとでも幸運が宿っていれば、あなたは木か骨か油を掘り当てるだろう。自然界の物質は古来より不変で、200 年以上前に生きたベートーヴェンと我々を結びつけるものもこうした自然界のものである」、という一風変わったオーガニック作曲家ですが、しかし作り上げる音世界は意外と前衛的。しかし、味方を変えれば原始的な世界とも申せましょう。 (Ki)
WER-6572(1SACD)
ジェイ・シュヴァルツ:作品集
オーケストラのための音楽
6つの声のための音楽*
12のチェロのための音楽**
5弦の楽器のための音楽#
ディエゴ・マッソン(指)フランクフルトRSO、
シュトゥットガルト新声楽アンサンブル*、
シュトゥットガルトSWR響のチェロ奏者**、
カイロスQ+マティアス・バウアー#

録音:2005-2008年
ジェイ・シュヴァルツは1965年サンディエゴ生まれ。さまざまな音楽祭で作品を発表し、委嘱作品も多く、2000年にはベルント・アロイス・ツィンマーマン賞を受賞した実力派です。聴きものはトラック2の「6つの声のための音楽」。ぼんやりと聴き流していると、人の声だとは思えないような不思議な音質の連続。超不思議人声の嵐です。 (Ki)
WER-6577
アヒム・ボルンヘルト:作品集
ナチュレル/コンセント
ラック/インフラロート
セピア/アチェトン/ナチュレル
ヘリオスSQ
アンサンブル・フォルミンクス
ベルンハルト・ヴルフ(指)
フライブルク打楽器アンサンブル

録音:2008,2009年
日本人には快く耳に響く虫の音も、西洋人にとっては不快なものであるという話を聞いたことがありますが、まさにこれは西洋人の耳に聴こえる虫の声。鈴虫の羽音のコンピューターによる再現なのに、どこか気持ち悪く聴こえるから不思議です。ボルンヘルトは1966年生まれ、電子音楽を中心に活躍しています。 (Ki)
WER-6578
サエド・ハダド(b.1972):作品集
ル・コントルデジール
オン・ラヴT/オン・ラヴU
レ・ドゥ・ヴィザージュ・ドゥ・ロリアン
ミステリアスなエチュード
ザ・シュープリーム
アンサンブル・モデルン

録音:2008、2009年
サエド・ハダドは1972年ヨルダン生まれ。ドイツに住み、ベルギーで哲学を学びびました。ラッヘンマンやデュサパンに師事。ローマ大賞も受賞した世界が認める作曲家の真髄を味わえる一枚。一貫した集中力を奏者に求める作風ですが、静寂と音について考えさせられる、哲学的な音楽です。カーヌーンなどヨルダン地方の楽器ももちいられており、興味深いサウンドの作品が並びます。 (Ki)
WER-6583
ジャミリア・ジャジルベコヴァ(b.1971):3月の夜
声/アスパン
閉じこもることへの拒絶W/アイキョン
アンサンブル・モデルン

録音:2011年4月
カザフスタン出身のジャミルベコヴァ作品集。フルートとピアノをアルマトイで学んだ後、ロシアに移りチャイコフスキー音楽院で作曲を学びました。その後DAAD奨学生となりドイツなどでも学び研鑽を積みました。プロジェクトや、ガウデアムスなどで、作曲家として活躍しているのはもちろん、歌手、フルート奏者、ピアニストなど幅広く音楽活動を展開しています。(2)の「声」や(3)の「アスパン」(カザフスタンの言葉で「山」の意)は彼女自身強い思い入れと郷愁を常に持ち続けているカザフスタンを思わせる空気感が魅力です。 (Ki)
WER-6585
サラ・ネムツォフ:ロング・ウェイ・アウェイ
ホケティ
マニュエル・ナウリ (指)
アンサンブル・アダプター、
ダニエル・グローガー(指)
シュトゥットガルト新ヴォーカルゾリステン

録音:2012年
1980年にドイツ・オルデンブルクで生まれたサラ・ネムツォフは、8歳で既に作曲を始めていたという天才。これまでに、ハンス・アイスラー賞や ZONTA音楽賞などのほか、最近では、今後の活躍が期待されるアーティストのサポートのためのドイツ・アウトーレン・プライズも受賞した注目の作曲 家です。 (1)のロング・ウェイ・アウェイは、W.G.セバルドの4つの物語「移民」に基づいています。祖国から新しい地への移行、またユダヤのことを扱った物語で、 このネムツォフの作品も、様々な対比やリズムなどを効果的に用いています。ホケティ(ホケトゥス)とは、もともとは歌い手が一音一音交互に歌う中世・ ルネサンスの手法ですが、ここでも様々な歌い手が交互に様々な声を出し、また器楽奏者も様々な音色を出し、現代版ホケトゥスが描かれています。 (Ki)
WER-6586
ダニエル・スムトニー(1976-):作品集2005-2012
(1)ピアノ・ソナタ第1番(2011)、
(2)ピアノ・ソナタ第2番(2011)
(3)交響曲(2012)、
(4)ディヴェルティメント「遠近」(2011)、
(5)悪戯四重奏(2009)、
(6)Velouria(U)(2005)
(1)(2)クリストファー・ヒンターフーバー(P)
(3)ライプツィヒMDR響
アンサンブル・カレッジ
ハイドン・カルテット
シュトゥットガルトSWR合唱団

録音:2010-2012年
現代ドイツ音楽界で最も才能のある作曲家のひとりダニエル・スムトニーの最新作品を収録したアルバム。シュトゥットガルトSWR 合唱団をはじめ現 代音楽のスペシャリストたちによる演奏。
WER-6587
セルゲイ・ネフスキ(b.1972):作品集
Alles
目に見えないアルファベット
わかりました/労働の平地
アウトランド
アンサンブル・ムジーク・ファブリーク他多数の演奏家

録音:2011、2012年
フスキは1972年10月モスクワ生まれの作曲家。ドレスデンなどで作曲を学びました。2006年、シュトゥトガルトの町から作曲賞を受賞し、2012 年にはボリショイ劇場で室内オペラ「Franziskus」が初演されるなど、若くして活躍しています。室内楽や、声を用いた作品を多く書いており、このディ スクでも、声と電子音などの巧みな組み合わせが印象的な作品が並びます。 (Ki)
WER-6584
マルトン・イレシュ(b.1975):作品集
多次元の風景より16番、15番、9番、10番、
トルソV 、U
フランク・オッル(指)アンサンブル・モデルン
ハンガリー・ブダペスト出身の作曲家、マルトン・イレシュの作品集。直接的な音響、音響そのものに秘められた莫大なエネルギーなど、爆発系作曲家です。 作曲家、そしてピアニストとしても活躍し、このディスクでも演奏者としても参加しています。人間の指紋のように、イレシュの音楽にはハンガリーの民謡 が刻印されており、爆発する管楽器の音色の中にもどこか懐かしさのある不思議な魅力に満ちています。 (Ki)
WER-6586
ダニエル・スムトニー(1976-):作品集2005-2012
(1)ピアノ・ソナタ第1番(2011)、
(2)ピアノ・ソナタ第2番(2011)
(3)交響曲(2012)、
(4)ディヴェルティメント「遠近」(2011)、
(5)悪戯四重奏(2009)、
(6)Velouria(U)(2005)
(1)(2)クリストファー・ヒンターフーバー(P)
(3)ライプツィヒMDR響
アンサンブル・カレッジ
ハイドン・カルテット
シュトゥットガルトSWR合唱団

録音:2010-2012年
現代ドイツ音楽界で最も才能のある作曲家のひとりダニエル・スムトニーの最新作品を収録したアルバム。シュトゥットガルトSWR 合唱団をはじめ現 代音楽のスペシャリストたちによる演奏。
WER-6589
フィリップ・マインツ: Fluchtlinie(バリトンとアンサンブルのための)
NAHT (yo no pido a la noche explicaciones)(ヴァイオリンとチェロ)
Tourbillon(ヴァイオリン、チェロ、ピアノ)
Ferner, und immer ferner(オルガン・ソロ)
Wenn steine sich gen himmel stauen(バリトンとオーケストラ)
オットー・カッツァマイアー(Br)
シャロウン・アンサンブル・ベルリン
ロベルト・HP・プラッツ(指)
モンテ・カルロPO

録音:2012-13 年
表情豊かなトーン・クラスターと、アンバランスな構造が生みだす世界。完璧な瞬間を探求し続けるマインツの求道者のような作品群をお楽しみください。 マインツは、1977年アーヘン生まれ。2010年、ミュンヘンのビエンナーレでオペラ「MALDOROR」がシェンされたほか、2013-14のシーズンにはミュ ンヘン・フィルの委嘱による声楽とオーケストラのための作品を手掛けるなど、ドイツを中心に着実の活躍の場を拡げている注目株です。 (Ki)
WER-6591
WERGO 現代音楽コレクション6〜カタログ2009-2011
(1)ゴルドン・カンペ:Gassenhauermaschinensuite(T-Z)/e-mexアンサンブル、クリストフ・マリア・ワーグナー(P) (WER-658
(2)ジャミリア・ジャジルベコヴァ:閉じこもることへの拒絶W/アンサンブル・モデルン(WER-6583)
(3)アルヌルフ・ヘルマン:架空のダンス/アンサンブル・モデルン(WER-6576)
(4)アヒム・ボルンヘルト:セピア/アンサンブル・フォルミンクス(WER-6577)
(5)サエド・ハダド:レ・ドゥ・ヴィザージュ・ドゥ・ロリアン(X) /ウルリケ・ストルツ(WER-6578)
(6)エレナ・メンドーサ:Gramatica de lo indecible/アンサンブル・ルシェルシュ(WER-6580)
(7)オリヴァー・シュネラー:アクア・ビット/アンサンブル・クール・サーキュイ(WER-6579)
(8)サミール・オデ=タミミ:グダドロージャ/ネーデルランド・ヴォーカル・ラボラトリウム(WER-6582)
(9)マルティン・シュットラー:Gier/ムジークファブリーク(WER-6575)
2009-2011年にリリースされたタイトルから抜粋
現代音楽の発展と普及に力を入れているWERGOレーベルのカタログ付きサンプラー。

WER-6603(2CD)
ヒンデミット:「極まりないもの」(1931)(オラトリオ) ベルリン放送Cho. 
ベルリン放送SO.
ウルリケ・ゾンターク(S) 
ロベルト・ヴェルレ(T) 
ジークフリート・ロレンツ(Br) 
アルトゥル・コルン(Bs)
ローター・ツァグロシェク(指)
ベルリン放送Cho. 
ベルリン放送児童Cho.
ベルリン放送SO.
WER-6622
ヒンデミット:弦楽四重奏曲集
第1番ハ長調Op.2、第4番Op.22
第7番変ホ調
ジュリアードSQ
WER-6630
スティーヴ・ライヒ:作品集〜「ずれ」に神経を集中することにより達する無我の境地
フェーズ・パターンズ(1970)〜4台の電子オルガンのための
振子の音楽T(1968)〜4つのマイクロフォンのための
ピアノ・フェーズ(1966)〜2台のピアノのための
振り子の音楽U(1968)〜4つのマイクロフォンのための
4台のオルガン(1970)〜4台の電子オルガンとマラカスのための
振り子の音楽V(1968)〜マイクロフォン、アンプ、スピーカーとパフォーマーのための
アンサンブル・アヴァンギャルド

録音:1997年、1998年
偶然性に支配された「ずれ」の振り子の音楽。故意に支配された「ずれ」のフェーズ・パターンズ。
WER-6631
ノーノの代表作品集
ノーノ:ポリフォニカ−モノディア−リトミカ,
13 楽器のための歌,ギオマールの歌,
“進まなければならない” 夢見ながら
アンゲリカ・ルツ(S)
ペーター・ヒルシュ(指)
ユナイテッド・ヴォイセズ,
ユナイテッド・ベルリン・アンサンブル
WER-6633
ヒンデミット:交響曲《画家マチス》〜連弾(1934)
ラグタイム(J.S.バッハ「平均律クラヴィア曲集」第1巻のハ短調のフーガの主題による)〜連弾(1921)
ソナタ〜連弾(1938)
黒い森の3人の美しき乙女のワルツOp.6〜連弾(1916)
ソナタ〜2台ピアノのための(1942)
コンタルスキー兄弟(P)
WER-6637
ヘンツェ:作品集
(1)3つの交響的習作 
(2)4つの詩曲 
(3)夜の作品とアリア(インゲボルク・バッハマン詩)
(4)魔の森(アリアとロンド)
ミヒャエラ・カウネ(S(3)) 
ペーター・ルジツカ(指)北ドイツRSO.
WER-6639
尹伊桑:作品集
協奏的作品(1976)〜室内アンサンブルのための
弦楽四重奏曲第5番(1990)
幻想的小品(1988)〜フルート,ヴァイオリン,チェロのための
タピ(1987)〜弦楽五重奏のための
夜よ、開け!(1980)〜ソプラノと室内アンサンブルのための
リ・ヒャンスク(S)
カン・リョンウン(指)
ピョンヤン・ユン・イサン・アンサンブル

録音:1999年5月ベルリン
尹らしさ炸裂、力強い作品集。
WER-6651
ジョン・ケージ:Credo in US(クレド・イン・アス)(1942)
心象風景I(1939)/インレッツ(1977)
心象風景III(1942)
だが「しわくちゃの紙」シリーズを描くために使ってきた紙をしわくちゃにする音、あるいは「裂かれた紙」を作るために紙を切り裂く音についてはどう?(1986)
ヘリオスQ

録音:2000年1月フランス/ヴァンドゥーヴル・レ・ナンシー,アンドレ・マルロー文化センター
WER-6652(3CD)
ヒンデミット:歌劇「世界の調和」 皇帝ルドルフ、皇帝フェルディナンド2世;アルチュン・コチニャン(Bs)
ヨハネス・ケプラー;フランソワ・ル・ルー(Br)ヴァレンシュタイン;ロベルト・ヴェルレ(T) ウルリヒ;クリスティアン・エルスナー(T)
タンスール;ラインハルト・ハーゲン(Bs)
スザンナ;ゾフィー・ラーソン(S)
マレク・ヤノフスキ(指)ベルリンRSO

録音:2000年2,3月世界初録音
ヒンデミット晩年のオペラ、巨匠ヤノフスキによる世界初録音。
WER-6655
ジョン・ケージ:「ハーモニー」第3,5,11,14,15,18,19,26,28,35,38,42番
G.フレスコバルディ:カンツォーナ「トロンボンチーナ」「,通奏低音独奏」(第1、第2)「,ラ・ボヌイジア」「,ベルナルディニア」「,ラ・スペルバ」
シュテファン・フッソング(アコーディオン)
マイク・スヴォウボダ(トロンボーン、アルト・トロンボーン)

録音:2001年6月14〜17日ケルン・ラジオ放送局ホール
まるでグレゴリオ聖歌のような味わいのケージ作品。
WER-6656
ツィンマーマン:メルヘン組曲(1950)
カント・ディ・スペランツァ(希望の歌)(1957)即興曲(1958) 
アラゴアナ(カプリチョス・ブラジレイロス)(1950〜55)
ペーター・ヒルシュ(指)ベルリンRSO
ルーカス・フェルス(Vc)

録音:2001年1月20-21日自由ベルリン放送大ホール・ライヴ
WER-6657
ヘンツェ:作品集
侵略交響曲〜マラトンの墓の上で〜(2001年)*
アンティフォナ〜4フルート、4サックス、2トランペット、2トロンボーン、ティンパニのための〜(1960年)
ピアノ協奏曲第1番(1950年)*
ペーター・ルジツカ(指)北ドイツRSO
クリストファー・タイントン(P)

録音:2001年(*世界初録音)
カッコいい!ヘンツェのピアノ協奏曲第1番、世界初録音盤。
WER-6659
シュトックハウゼン:星座のための12のメロディー スヴォボダ(トロンボーン)、
フッソング(アコーディオン)ほか

録音:2002年7月
これぞ究極の「天体の音楽」? 宇宙の神秘、ここに極まれり。
WER-6660
アルヴィン・ルシエ(b.1931):「すべてが夢(nothingisreal)
遠鳴りの太鼓(増幅されたドラムのための)(1994)
管弦楽のための銀の路面電車(増幅されたトライアングルのための)(1988)
聖なるキツネ(ひょうたん、ボウル、箱、その他共鳴する器を通した声のための)(1994) 
物体のあるオペラ(共鳴する物体を持っ
たパフォーマーのための)(1997)
すべてが夢〜ストロベリー・フィールズ・フォー・エヴァー(ピアノ、増幅されたティーポット、テープレコーダー、ミニチュアサウンドシステムのための)(1990)
マティアス・カウル(打楽器、声、ピアノ)

録音:2001年3月
電子音楽の詩人ルシエによる、ジョン・レノンへのオマージュ。
WER-6661
ジョージ・アンタイル:忘れられたソナタ集
ソナタ第5番*(1950)、野蛮なソナタ(1923)
女のソナタ*(1923)、ソナタ第4番(1948)、
ソナタ第3番*(1947) 
ギー・リビングストン(P)

録音:2003年7月、パリ(*=世界初録音) 
「音楽の悪童」アンタイルの貴重なピアノ作品集。
WER-6663
ヘンツェ:管弦楽作品集
バレエ・ヴァリエーション(1998年版)、
コンチェルティーノ(管・打楽器のオーケストラとピアノのための)(1947年)、
室内で歌う人々「銀の薔薇」の声の織り地(パウル・クレーの絵に基づくバレエ音楽)(1990年改訂版)、
室内協奏曲(ピアノ、フルートと弦楽のための)(1946年)、
「孤独大通り(Boulevard Solitude)」間奏曲(1951年)
クリストファー・タイントン(P) 
マティアス・パール(Fl)
ペーター・ルジツカ(指)北ドイツRSO

録音:2002-2003年
ヘンツェによる現代版マノン・レスコー「孤独大通り」。 
WER-6664(2CD)
ヘンツェ:オペラ「ポッリチーノ」(おやゆびこぞう) フィリップ・ホルシュタイン(おやゆびこぞう)
ライラ・フィッシャー(クロティルデ=人食い鬼の娘)
ステファン・リセフスキ(オルコ=人食い鬼)
テレーズ・アフォルター(おやゆびこぞうの母親役)
トーマス・シェンデル(おやゆびこぞうの父親役) 他 
ヨープスト・リープレヒト(指)
WER-6666
(1)『田舎医者』〜フランツ・カフカの短編小説に基づくラジオ・オペラ 
(2)『この世の終わり』〜プロローグとエピローグを伴うラジオ・オペラ
(1)マルクス・ステンツ(指)
ケルンRSO(ケルンWDRSO), 
田舎医者/ローランド・ヘルマン(Br) 
馬男/ロデリク・M・キーティング(T) 
患者/ヨナス・デコフ(少女ソプラノ)
父親/マッテオ・デ・モンティ(B)
バラ&娘/イゾルデ・ジーベルト(S)
母/ダフネ・エヴァンゲロートス(A)
小さな子供の合唱
ケルン大聖堂cho
(2)ゴットフリート・リッター(指)
ケルンRSO(ケルンWDRSO), 
語り手/ハンス・ヴェルナー・ヘンツェ,
落下していく男性の魂/フリーダー・ラング(T)
マルケーザ・モンテトリスト/ダフネ・エヴァンゲロートス(A)
ドブロフスカ&二倍の天才/ロデリク・M・キーティング(T)
スガンバーティ嬢&星占術師/イゾルデ・ジーベルト(S)
クンツ−サルトーリ教授&政治家/ロベルト・ボルク(Br)
WER-6667
ノーノ:管弦楽のための作品第1番
赤いコート”DerroteMantel”〜(全三幕のバレエ)〔世界初録音〕
ソプラノ、バリトン、混声合唱とオーケストラのための(1954年)
〔ガルシア・ロルカの「ドン・ベルリンプリンがベリサと庭で恋をする」に基づく〜エンリケ・ベックによるテキストのドイツ語翻案〕
ペーター・ヒルシュ(指)
ベルリン・ドイツSO、
アンゲリカ・ルッツ(S)、
イエルク・ゴットシック(Br)、
RIAS室内cho

録音:1998、2000年
アンダルシアの薫り漂う「赤いコート」世界初録音。
WER-6670
ナンカロウ:練習曲と独奏曲
プレイヤー・ピアノのためのスタディ(ピアノ・デュオ編曲版)♯9,6,4,3B,3C,3D,15,14,18,19,26
ウルスラのための3つのカノン(1988)〔カノンA(5:7)、B(6:9:10:15)、C(2:3)〕
タンゴ?(1984)
三部からなる練習曲(1940年代初頭)
プレリュード(1935)
ブルース(1935)
ソナティーナ(1945頃)
ブガッロ=ウィリアムズ・ピアノ・デュオ
ヘレナ・ブガッロ
エイミー・ウィリアムズ

録音:2003年
究極の離れ業!?プレイヤー・ピアノのために書かれた作品を生身の人間による演奏で!
WER-6671
ツィンマーマン作品集
Unpetitrien--マルセル・エイメの「月の鳥《Lesoiseauxdelune》」にちなんだ、明るく三日月形で、鳥類学的な音楽・・・
小編成のオーケストラのための(1964)
黄色なるものと緑なるもの(1952)--フレッド・シュネッケンブルガーの人形劇劇場の
ための音楽
オムニア・テンプス・ハーベント(1957)――ソプラノと17の楽器のためのカンタータ
メタモルフォーゼ(1954)
アンゲリカ・ルッツ(Sノ/14)
ペーター・ヒルシュ(指)
コレギウム・ノヴム・チューリヒ

録音:2003年10月   
メルヘンチックな作品から、高度なセリーまで。
WER-6676
ヒンデミット:歌劇「長いクリスマスの晩餐」 ルチア;ルチア2:ルート・ツィーザク(S)
マザー・ベイヤード;エルメンガルデ:ウルズラ・ヘッセ・フォン・シュタイネン(メゾ・ソプラノ)
ロデリック;サム:ヘルマン・ヴァレン(Br)
ブランドン:アルチュン・コチニャン(Bs)
チャールズ:クリスティアン・エルスナー(T)
ジュヌヴィエーヴ:レベッカ・マーチン(メゾ・ソプラノ)
レオノーラ:ミカエラ・カウネ(S)
マレク・ヤノフスキ(指)ベルリンRSO
録音:2004年8月16−24日
ヒンデミット晩年の珍しいオペラ、名匠ヤノフスキと充実のキャストによる録音。
WER-6677
リーム:天球をまわる天球
問いかけ
ルーカス・ヴィス(指)
アンサンブル・レシェルシェ,
サロメ・カンマー(Ms)
WER-6678
ベリオ:カンティクム・ノヴィッシミ・テスタメンティ、ア=ロンネ ペーター・ルンデル(指)
ノイエ・ヴォーカルゾリステン・シュトゥットガルト、
ニューワーズ4・クラリネッツ、クササックス

録音:2003年12月
ベリオがエドアルド・サングイネーティの詩のために作った作品を二つ。カンティクム・ノヴィッシミ・テスタメンティは、4 つのクラリネット,サクソフォン四重奏,8 つの声のためのバッラータ、独特のニュアンスが不思議な作品。ア=ロンネは、5人の役者のためのラジオ的ドキュメンタリーと名付けられた、1974年の作品。歌詞は英独仏伊語と意味不明語によるごった煮という感じ。 (Ki)
WER-6679
テルミンの摩訶不思議音世界
オルガ・ボキヒーナ(1980?):カント・オスティナート
カスパール・ヨハンネス・ヴァルター(1964?):真空状態そして幻覚
ニコラウス・リヒター・デ・ヴロエ(1955?):テルミン島
ミカエル・ヒルシュ(1958?):叙唱とアリア
ユリアン・クライン(1966?):おのぞみならば
ヴラディミール・ニコラエフ(1953?):白と黒の音楽
モーリッツ・エッゲルト(1965?):ドラキュラの娘の息子VS(宇宙の彼方からやってきた)おそろしいフランケンシュタインの戦い
イライダ・ユスポヴァ(1962?):見えざる町キテジ−19
リディア・カヴィナ、
バーバラ・ブッフホルツ(テルミン)
ベルリン新音楽室内アンサンブル

録音:2005年10月
*全曲世界初録音  
WER-6680
ヘンツェ:鉄条網の向こうのオルフェウス*、
アリスタエウス
ロビン・グリットン(指)ベルリン室内cho*、マルティン・ヴットゥケ(語り手)、マレク・ヤノフスキ(指)ベルリンRSO
1926 年生まれのヘンツェは、今年で御年齢80 歳。ますますその創作意欲は衰えず、我々に新しいものを提示し続けてくれています。今回は、ちょっと前の作品ではありますが、いずれも世界初録音。いずれも「オルフェウスとエウリディーチェ」の物語にまつわる内容のものです。神話の世界の時代、音楽の名人オルフェウスと結婚して間もないエウリディーチェは、蛇にかまれて命をおとします。黄泉の国からエウリディーチェを連れ戻すために、オルフェウスは地獄の番人に得意の歌を聴かせて門を開かせることに成功しますが、地上に戻るまで決してエウリディーチェの方を振返ってはならない、という約束を破ってしまい、エウリディーチェと再び引き裂かれてしまう、という悲しいおはなし・・・。2 曲とも、詩の主体は時にオルフェウス、時にエウリディーチェ、時に傍観人、と様々ですが、この悲話を現代音楽劇に置き換えたものとなっています。2 曲目の題名アリスタエウスは詩の中にでてくる人物で、エウリディーチェを死にいたらしめた蛇を先祖にもつとされています。かたや清澄な無伴奏合唱の世界、かたや色彩豊かな絡み合う管弦楽を伴うドラマと、ヘンツェの芸術の真骨頂を味わうことができます。 (Ki)
WER-6682
ラッヘンマン(1935〜):temA(フルート、歌声とチェロのための)
トッカーティーナ(ヴァイオリン・ソロのための練習曲)
プレッション(一人の女性チェリストのための)
(一人の女性クラリネット奏者のための)
アレグロ・ソステヌート

アンサンブル・フォルミンクス
WER-6683
ストラヴィンスキー・イン・ブラック・アンド・ホワイト〜ストラヴィンスキー作品の、作曲者自身による、2台4手のための編曲集
春の祭典(1913)
弦楽四重奏のための3つの小品(1914)、
ダンバートン・オークス協奏曲変ホ長調(1938)*
七重奏曲(1953)、ムーヴメンツ(1959)、
ダンス(1台4手のための)(1914)#
ブガッロ=ウィリアムズ・ピアノ・デュオ

録音:2005年12月(*は世界初録音)
完璧無比にして無敵の美女ピアノ・デュオ、ブガッロ=ウィリアムズ・ピアノ・デュオによる最新盤は、ストラヴィンスキー作品集。 「春の祭典」のドライかつスポーティなリズム感覚は驚異的、オケ版をもしのぐ迫力と力強さで圧倒します。*のダンバートン・オー クス協奏曲は、ストラヴィンスキーがアメリカに永住する前、結核を患った娘がジュネーヴのサナトリウムで療養していた頃、ヨーロッ パで書かれた最後の作品。当時彼はバッハの音楽をよく聴き、自身ピアノでよく演奏もしていました。新古典様式の結晶のような存在 とされるこの作品、冒頭からブランデンブルク協奏曲の第3番の冒頭に似ているなど、バッハの影響がいたるところで見られます。今 回の録音でデュオの二人は、オーケストラ版の楽譜に細かく指示されている、作曲者によるアーティキュレーションを活かしており、 ひとつひとつのモティーフが活き活きくっきりと演奏されています。#のムーヴメンツは、ウェーベルンの「5 つの小品」を思わせる、 無調風のセリー音楽で、リズムや強弱の対比が一番のポイントとなる作品ですが、無敵のピアノ・デュオは100点満点の演奏を繰り広 げています。  (Ki)
WER-6686
ジャチント・シェルシ:Cantidel Capricorno(1962-1972)(やぎ座のうた)〜女声と楽器のための20の歌 平山美智子(声、ゴング、リコーダー)
ウルリヒ・クリーガー(サックス)
マティアス・バウアー(コントラバス)
ユルゲン・グレーツィンガー、
ローランド・ネッフェ(打楽器)

録音:2006年5月 
謎に満ちた作曲家シェルシの「ミューズ」、平山美智子の熱演。
WER-6689(2CD)
シチェドリン:ポリフォニーの手帳(25 のポリフォニック前奏曲)Op.50 (1972)、
12の前奏曲とフーガ(# 系)Op.29 (1964)*、
12の前奏曲とフーガ(♭系)Op.45 (1970)#
ロディオン・シチェドリン(P)

録音:1973年、1966年*、1971年#
バレエの女王プリセツカヤの夫君にして旧ソ連を代表する現役作曲家ロディオン・シチェドリン (1932-)による、ピアノの代表作2 篇の自作自演。彼はヤコフ・フリエール門下のピアノの名手で、自作の演奏にかけては他の追随を許さぬ神業を示します。「24 の前奏曲 とフーガ」はショスタコーヴィチの同名傑作以後もっとも優れたもので、非常に充実した内容と高度なピアノ技巧を堪能できます。いずれもメロディア音源。 (Ki)
WER-6691
シチェドリン:ピアノ・ソナタ Op.25
若者のための手帳 Op.59(全15 曲)
バレエ音楽「せむしの子馬」〜3つの小品
ユモレスク/アルベニスを模して
2つのポリフォニックな小品
バッソ・オスティナート
ロディオン・シチェドリン(P)

録音:1964年、1983年モスクワ
モスクワ音楽院でヤコフ・フリエール門下だったシチェドリンは、ロシアの作曲家の伝統にもれず、ピアニストの腕前も卓越していま す。当アルバムはシチェドリンの代表的なピアノ曲の自作自演集。思いのほかデリケートで、説得力満点。かつてメロディアからLPが、 BMGからCDが発売されていましたが、現在入手不可能。 (Ki)
WER-6693
ジョン・ケージ:1ソロ・フォー・「チェロ」(1958)
一人の弦楽器奏者のための59秒1/2(1953)
アトラス・エクリプティカリス(2つのチェロのための)(1961)
ヴァリエーションズI(1958)(ガウヴェルキ編によるチェロ独奏版)
Etudes Boreales(1978)〜チェロ独奏のための
フリードリヒ・ガウヴェルキ(チェロ/3は多重録音)

録音:2002年12月
ボディ・ペインティング的弓さばき。孤高の天才、ガウヴェルキが奏でるケージ作品集。
WER-6696
ナンカロウ:弦楽四重奏曲第1番
弦楽四重奏曲第3番 
プレイヤーズ・ピアノのための練習曲第15番〜弦楽四重奏版(イヴァル・ミカース
ホフ編)
プレイヤーズ・ピアノのための練習曲第31番、33番〜弦楽四重奏版(パウル・ウシャー編)
プレイヤーズ・ピアノのための練習曲第34番〜弦楽三重奏版(コンロン・ナンカロウ編)
ヴァイオリンとプレイヤーズ・ピアノのためのトッカータ 
プレイヤーズ・ピアノのための三部作【A=72/B=50/C=92】  
アルディッティSQ、
プレイヤーズ・ピアノ

録音:2004年、2005年 
20世紀最大のこだわり作曲家、ナンカロウ没後10年記念盤。

WER-6700
シチェドリン:歌劇「貴族夫人モロゾワ」 ラリサ・コスチュク(Ms)、
ヴェロニカ・ジオーエワ(S)、
アンドルー・グッドウィン(T)、
ミハイル・ダヴィドフ(Bs)、
モスクワ音楽院室内cho、
ボリス・テヴリン(指)器楽アンサンブル

録音:2006年10月30日、モスクワ音楽院大ホールに於ける世界初演時ライヴ
シチェドリンといえば旧ソ連の作曲家というイメージが強いですが、今なお作曲を続けており、昨年も新作オペラ〈貴族夫人モロゾワ〉 を発表しました。当ディスクは昨年10月30日にモスクワ音楽院大ホールで行なわれた同曲の世界初演ライヴ。作曲に30年を費やしたと いうこの作品は、オペラの常識を破るものとなっています。登場人物はたった四名、オーケストラ・ピットには合唱団が陣取り、器楽は トランペット、教会の鐘、ティンパニと神の威光を表わす鎖のみ。 物語は17 世紀半ば、ロシアの宗教改革の際に命をかけて古代信仰を貫いた実在の貴族夫人モロゾワを主人公に、改革と西欧化、狂信性へ の反動と人間としての抵抗心をテーマにしています。旧ソ連節の健在ぶりにロシア音楽ファン狂喜と申せましょう。 (Ki)
WER-6701(2CD)
モートン・フェルドマン:フィリップ・ガストンのために〜for Philip Guston〜フルート、パーカッションとピアノのための(1984年) ユリア・ブロイアー(ピッコロ、フルート、アルト・フルート)
マティアス・エングラー(グロッケンシュピール、ヴィブラフォン、チューブラー・ベル、マリンバ)
エルマー・シュランメル(ピアノ、チェレスタ)

録音:2007年4月29日-5月3日
楽章間も含め一切休みなしの4時間作品。蝶がさなぎから孵化する過程の映像を、早送りなしで見る感覚。
WER-6706
ケージ:プリペアード・ピアノのためのソナタ第2,3,5,6,7,8,11,16番、
ジェミニ、インターリュード第1番
ハンス・オッテ:時の本、響きの書
フィリップ・ヴァンドレ(P)、
エルマー・シュランメル(プリペアード・ピアノ)

録音:2006年11月20日(ライヴ)
ケージとオッテが紡ぐ、音の万華鏡。沈黙へと回帰する世界。
WER-6708
ヴァレーズの「アメリカ」〜2台ピアノ版
(1)モートン・フェルドマン:4手のための作品
(2)エドガール・ヴァレーズ:アメリカ(2台ピアノ、8手版/エレナ・ブガッロ編)
(3)モートン・フェルドマン:5台のピアノ
ピアノ/ブガッロ-ウィリアムズ・ピアノ・デュオ(エレナ・ブガッロ、エイミー・ブガッロ)、
エイミー・ブリッグス、ベンジャミン・エンゲリ、
ステファン・ワース

録音:2008年12月
「動」の作曲家エドガール・ヴァレーズと、ヴァレーズを敬愛してやまなかった、「静」の作曲家フェルドマンの作品集。(1)と(3)のフェルドマンの作品は、彼ならではのひたひたと寄せては返す波のような音楽。5台のピアノによって演奏されても、不思議と静寂が増幅されているような感覚です。間に挟まれているのは、ヴァレーズの「アメリカ」。「春の祭典」の影響を受けたことが濃厚に感じられる作品です。もともとは50人の管楽器奏者と、ほぼ絶え間なく打ち続けられる打楽器パートを備えた大規模な管弦楽作品。タイトルの「アメリカ」とは、その地理的なものを示すのみでなく、革新、冒険、発見といったものの象徴としての意味を含んでいます。規模の大きな作品がどのようにアレンジされているか、注目です。ヴァレーズの死後、フェルドマンは「ヴァレーズがいなかったら私の人生はどうなっていただろう?」と書いているほど、ヴァレーズに心酔し、自ら自分はヴァレーズを模倣している、とまで述べていました。二人の作曲家の作品を並列して聞くことにより、新たな聴覚が切り開かれます。 (Ki)
WER-6709
コール・ポーター:マイ・ハート・ビロングス・トゥ・ダディ 
ルチアーノ・ベリオ:セクエンツィアIII
モーツァルト:老婆
カローラ・バウクホルト:老婆/エミール
タルクィニオ・メールラ:Hor ch'e il tempo di dormire
アルバン・ベルク:四つの歌Op.2
ハロルド・アーレン:オーヴァー・ザ・レインボウ
ルーディ・スプリング:二つの断章
クルト・ヴァイル:私は哀れな親戚(「鏡の湖」より)/マトローゼン氏が言ったこと;スラバヤ=ジョニー(「ハッピー・エンド」より)
ヘルムート・エーリング:1つの声と拡声器のための「2」
リムスキー=コルサコフ:熊蜂の飛行
サロメ・カンマー(声)
ルーディ・シュプリング(ピアノ、チェンバロ、編曲)
ミヒャエル・リースラー(クラリネット、サックス)
マリア・ライター(アコーディオン)
ベッティーナ・フックス(Fl)

録音:2007年8月15−18日
夜の女王もツェルビネッタも真っ青。声による「熊蜂の飛行」。
WER-6713
ジョン・ケージ:ピアノ協奏曲
フリーマン・エチュード(ヴァイオリン版/ステファノ・スコダニッビオ編)
ドリーム(ピアノとコントラバス版/ステファノ・スコダニッビオ編)
竜安寺(コントラバスとテープ版/ステファノ・スコダニッビオ編)
ラジオ・ミュージック(5人の演奏家のための)
ファウスト・ボンゲッリ、
マヌエル・ズリア、
ラブリツィオ・オッタヴィウッチ(P)
マイク・スヴォボダ(トロンボーン)
ジョヴァンニ・ダミアーニ、
ステファノ・スコダニッビオ(指、コントラバス)

録音:1995-2008年
ケージが絶賛したコントラバス奏者、スコダニッビオによるケージの演奏。究極にして至上の禅世界「竜安寺」は必聴。
WER-6714
カール・アマデウス・ハルトマン(1905−1963):作品集
(1)ブルレスケ・ムジーク 
(2)ピアノ、管楽器と打楽器のための協奏曲
(3)ヴァイオリンと弦楽合奏のための『葬送協奏曲』
(4)ヴィオラとピアノのための、管楽器と打楽器伴奏による協奏曲
ベンヤミン・シュミット(Vn) 
ヨルク・クローネンベルク(P) 
エリザベル・クッフェラート(Va)
フローリアン・ウーリヒ(P) 
ポール・グッドウィン(指)
カイザースラウテルンSWR放送O,

録音:2004、2007年
WER-6716
ユン・イサン:作品集
コンチェルティーノ(アコーディオンと弦楽四重奏のための)
デュオ(チェロとアコーディオンのための)
インテルメッツォ(チェロとアコーディオンのための)*
ペッツォ・ファンタジオーゾ(バス声部と二つの楽器のための〜自由に)
シュテファン・フッソング(アコーディオン)
ミンゲSQ
ユリウス・ベルガー(Vc)

録音:2009年5月
*=世界初録音
鬼才アコーディオン奏者フッソングの新譜は、ユン・イサン作品集。アジアの舞踊の身振りや僧院での鳴りものを想起させるインテルメッツォは、静と動の絶妙なバランスで、聴き手に緊迫感を感じさせつつ、精神的な静けさをもたらす不思議な世界です。 (Ki)
WER-6717
シュトックハウゼン:初期の作品集
コントラ・プンクテ(十楽器のための)*
ルフラン(ピアノ、チェレスタと打楽器のための)
ツァイトマッセ(5つの木管楽器のための)*
シュラーク・トリオ(ピアノと打楽器のための)
アンサンブル・ルシェルシュ
ルパート・フーバー(指)*
録音:2008年8月
WER-6718
ジョン・ケージ:ハーモニー第27番(チェロとピアノのための)
北のエチュード(ピアノを奏するパーカッション奏者のための)
ハーモニー第22番(チェロとピアノのための)
10’40.3’’から26’1.1499”(弦楽奏者のための〜チェロ・ヴァージョン)
ハーモニー第24番(チェロとピアノのための)
北のエチュード(チェロ独奏とピアノ独奏のための)
ハーモニー第13番(チェロとピアノのための)
フリードリッヒ・ガウヴェルキ(Vc)
マーク・ノップ(P)

録音:2009年9月
スローモーショーンの映像を見せられているようなハーモニー第27番、冷たい水と氷の世界を思わせる北のエチュードなど、人の心や脳裏のどこか、正気と狂気の間に潜んでいるような風景満載の作品集。鬼才ガウヴェルキのチェロと、ノップの完璧なピアノの音色が冴えわたる1枚です。 (Ki)
WER-6719(2CD)
アリベルト・ライマン:メリュジーヌ(4幕のオペラ) メリュジーヌ:マルレーネ・ミルド(S)、ピティア:テレサ・エルベ(Ms)、
マダム・ラペルーズ:ガブリエーレ・メイ(Ms)、
マックス・オルレアンダー:リヒャルト・キンドリー(T)ほか
ニュルンベルク・フィルハーモニカー
ペーテル・ヒルシュ(指揮)
録音:2007年5月
ディースカウらの伴奏者としても活躍している作曲家・ピアニストのアリベルト・ライマンのオペラ世界初録音盤。題材になっているのは半人半魚のメリュジーヌ。幻想的な物語ながら、歌はかなり高度な技巧が要求される難しいオペラとなっています。【あらすじ】メリュジーヌと結婚したマックス・オルレアンダーは、メリュジーヌが公園で過ごしてばかりで一向に家に帰ってこないので不平たらたら。しかしメリュジーヌにとって唯一の安息場所であった公園に、伯爵が宮殿を建てることになりました。メリュジーヌは妖精の国に行き、妖精ピティアに懇願し、女性らしい美しい魅力を手に入れます。そのかわり、脚は人魚の脚になり、男と恋に落ちてはならない、そして恋のできない体になりました。メリュジーヌは自分の魅力を利用して、宮殿の工事作業を止めようとしますが、しかしメリュジーヌの努力も虚しく、宮殿はどんどん出来上がっていきます。ある日食事の席で、メリュジーヌは宮殿を建設している張本人である伯爵と出会います。二人は一目で恋に落ちますが、すでに時遅し。メリュジーヌは恋をできない体になっています。宮殿は完成し、はなやかに花火で祝典が開かれると、その花火が原因で宮殿は炎に包まれます。焼け跡からは伯爵とメリュジーヌの遺体が運び出されて幕となる、メルヘンの要素と恋の要素をもった悲劇です。 (Ki)
WER-6721
ヘンツェ:交響曲第7番、
シンフォニア第8番
マレク・ヤノフスキ(指)ベルリンRSO
ヘンツェの新作、2つの交響曲の世界初録音盤の登場。阿鼻叫喚の中にも美しい旋律などが息づく作品です。  (Ki)
WER-6722
ヘンツェ:交響曲第9番〜混声合唱とオーケストラのための
〔アンナ・ゼーゲルスの小説『七番目の十字架』に基づく〕
マーレク・ヤノフスキ(指)ベルリンRSO、
ベルリン放送cho

録音:2008年11月
ヘンツェが1996年から97年にかけて取り組んだ交響曲第9番は、アンナ・ゼーゲルスの小説『七番目の十字架』に基づくテキストに作曲された、ほぼ休みなく歌い続ける合唱を伴う大規模な交響曲。ゼーゲルスの本の内容は、7人の囚人が強制収容所から逃げ出そうとして失敗。士官たちは他の囚人たちへの見せしめとして、収容所の7本の木を切り倒し、十字架を作り、7人をはりつけにしようとします。しかし、7本目の十字架に乗るはずだった囚人は、脱走に成功。誰もいない7本目の十字架が、抵抗の象徴、独裁者への勝利のしるしとして描かれる物語です。この交響曲は、不安で焦燥感いっぱいの「脱走」から始まり、「迫害者の告白」や「迫害」などと題された「7」の楽章から成ります。最後は「救済」と題されてはいますが、終わり方はきわめて不安げなまま。独裁による人道の危機は終わることはない、というヘンツェのメッセージがこめられているようです。 (Ki)
WER-6723
ヘンツェ:交響曲第3番(大オーケストラのための)
交響曲第4番(大オーケストラのための)
交響曲第5番(大オーケストラのための)*
マレク・ヤノフフスキ(指)ベルリンRSO

録音:2010年1月、2010年9月*
ヘンツェ自身の舞台作品とも深いかかわりをもつ交響曲第4番などを収録した充実のヘンツェ交響曲集。オペラから交響曲まで幅広いレパートリーで聴衆を唸らせ続けているヤノフスキ指揮、注目のヘンツェ新譜の登場です。交響曲第3番は、世紀末を思わせるような爛熟の官能的響きと大規模な作風が印象的。交響曲第4番は、静かな弦の響きの中から様々なモティーフが生まれては消え、発展しながら進み、最後は壮大な音の重なり合いとなる、演奏時間20分超の単一楽章で非常に高い集中を保った曲。もともとはヘンツェのオペラ「鹿の王」第2幕の幕切れの音楽として書かれたものです。ヤノフスキの指揮、オケの巧さが冴えます。第5番は一言で表すならば「ドラマティック」な作品。バーンスタイン&ニューヨーク・フィルの委託を受け作曲されたもので、ヘンツェいわく「ローマの風景、人々のイメージに触発されて作曲した」もの。激しいリズムや熱いクレッシェンドの連続など、こちらもまたヤノフスキの曲の構成力が光る演奏となっています。 (Ki)
WER-6725
ヘンツェ:交響曲集
第2番大オーケストラのための(1949)
第10番大オーケストラのための(1997-2000)
マレク・ヤノフスキ(指)ベルリンRSO

録音:2012 年 8 月 28-29 日( 第 2 番)、 2013 年 6 月 12-14 日( 第 10 番)
ヘンツェの初期の交響曲と、最後の交響曲集。第2番はヘンツェが12音技法を用いた最初の大きな作品で、当時の現代音楽の最高の解釈者のひとり であった指揮者ヘルマン・シェルヘンに献呈されています。とはいえ、メロディ的な部分など随所に調性音楽的な部分も見られます。第1楽章冒頭のトロ ンボーンとハープによる静かな和音がこの交響曲全体の性格を示しています。ヘンツェ自身この作品を「冬の音楽、灰色で薄暗い。」と述べています。終 楽章のクライマックスではJ.S.バッハのカンタータ第1番《輝く暁の明星のいと美わしきかな》のコラールの引用も見られます。最後も半音階的な12音 技法で書かれていますが、不思議と調性感も持ったまま曲は幕となります。 第10番は第2番から約50年の時を経て書かれたもの。第7番では「ドイツ的なもの」を追求し、第8番はベートーヴェン同様、明るくテンポのよい ものを書き、そして第9番もベートーヴェン同様合唱を含みます(その歌は歓喜の内容ではなく、7人の囚人が強制収容所から逃げ出そうとする物語)。 この第9番が完成する前に、第10番をヘンツェに発注したのはラトルでした。その発注時に「(ラトル)自分自身を反映させたポートレイトのような作品 を」と述べたとヘンツェは回想しています。とはいえ作品はラトルを描いたというよりも、何か絵画のような雰囲気となっています。第10番は2000年に 完成し、1999年に亡くなったヘンツェのパトロンの一人、パウル・ザッヒャーの「思い出に」ささげられています。第1楽章は2000年3月にラトルによっ て初演されました。 (Ki)
WER-6727
オマージュ〜ヘンツェ作品集
6人の演奏家のためのソナタ
マルガレーテのワルツ/レントラー
左手/墓碑銘/トッカータ・ミスティカ*
3つの楽章のトリオ
odealdodicesimoapostolo
アン・ブレントン 
ラインホルドのためのピアノ作品
セレナーデ/アダージョ・アダージョ
アンサンブル・ルシェルシュ

録音:2008、2009年
*以外のすべて世界初録音
1970年代後半から1998年にかけて作曲されたヘンツェの作品集。世界初録音も多く含まれます。各楽器がきわめて魅力的な音色で響いており、ヘンツェがあらゆる楽器に精通した作曲家であることを実感する作品ばかりです。アンサンブル・ルシェルシュは、1985年に設立され、これまでに450以上の作品の初演を手掛けた現代音楽のエキスパート集団です。現代音楽だけではなく、フライブルク・バロック・オーケストラとコラボレーションするなど、幅広いジャンルで活躍しています。 (Ki)
WER-6724
ヘンツェ:第1交響曲〜室内オーケストラのための(1947/1963, 1991年改訂)
シンフォニア第6番 (2つのオーケストラのための)(1969, 1994年改訂)
マレク・ヤノフスキ(指)
ベルリンRSO

録音:2012年
ヘンツェの交響曲集。第1番は、ヘンツェ20歳の時の作品。後にヘンツェはこの1947年版を「完全に間違っている」とし、1964年にベルリンで 演奏された折に改訂を施しています。「リズム、和声、メロディといった細胞的要素はオリジナル版のままで、緩徐楽章にはほとんど手を加えていない。そ れでも全てが新しく、違っており、そしてずっと良い」と自身述べています。実際には、第1、3楽章は単なる改訂にはとどまっておらず、完全に新しい作 品となっております。もともと比較的小編成の作品でしたが、この改訂版ではファゴット、トロンボーン、チューバ、打楽器も削除され、かわりにハープ、 ピアノ、チェレスタが用いられています。透明感のある響きが印象的な秀作です。 1969年、ヘンツェは2度にわたってキューバへと旅をします。キューバでは音楽シーンの重要人物と多くの出会いがあり、自身さとうきび畑で作業の手 伝いをしたりもしたといいます。初めてキューバ旅行を訪ねるにあたり、ヘンツェは交響曲の依頼を受けました。リズムが印象的なこの作品は、ハバナで 11月26日、ヘンツェ自身の指揮によって初演されました。 (Ki)
WER-6728
ヒンデミット:プレーン音楽祭(1932年)
朝の音楽/ターフェルムジーク
カンターテ/夕べの協奏曲
ディートリヒ・ヘンシェル(Br)
ダーヴィド・ライベル(語り)
ヨープスト・リーブレヒト(指)
ベルリン中部RSO
マルツァーン=ヘレルスドルフ・ユーゲントSO
ハンス・ヴェルナー・ヘンツェ音楽院アンサンブル
ベルリン放送cho、
白ベルリン児童cho&青少年cho

録音:2008年10月
※全曲世界初録音
プレーン城で行われた音楽祭のために書かれた音楽。音楽祭には音楽学生が参加し、一日中城は様々な楽器の音色で満たされます。この参加学生たちによって構成されるアンサンブルのために、ヒンデミットがその場で音楽を書き、学生たちの演奏を見ながら様々に修正・加筆を加えたものがこの作品。朝の音楽は、朝7時に演奏が開始され、また、カンタータはヒンデミットが選んだアグリーコラのテキストに基づいているなど、興味深い内容となっています。(Ki)
WER-6729
ヴィクトル・エキモフスキー:交響的舞曲〜ピアノと管弦楽のための#
聖母被昇天〜打楽器アンサンブルのための
アヴィケンナの鏡〜14奏者のための*
27の破壊〜打楽器アンサンブルのための
ヴァイオリン協奏曲「アッタレーア・プリンケプス」#
ミハイル・ドゥボフ(P)、
ナーザリ・コジュハーリ(Vn)、
オレグ・フジヤコフ(指)ロシアPO#、
ペカルスキー打楽器アンサンブル、
アレクセイ・ヴィノグラードフ(指)モスクワ現代音楽アンサンブル*

録音:2006年1月/モスフィルム・スタジオ
1947年モスクワ生まれのヴィクトル・エキモフスキーは、シュニトケやグバイドゥーリナに続く世代を代表する作曲家。作曲はハチャトゥリヤン門下で、さらにメシアンの研究書で博士号もとっています。作風はミニマル系に属しながら、ロシア・アヴァンギャルドの作曲家たちを思わす凶暴なエネルギーに満ち、ロシアの伝統を感じさせます。当アルバムは彼の1990年代の作品を集めていますが、代表作が網羅されているのが嬉しい限り。なかでもヴァイオリン協奏曲「アッタレーア・プリンケプス」は邦訳も出ているガルシンの小説を音楽化したもので、ロシア文学ファンならば二重三重の興味を持つこと間違いなしの作品です。 (Ki)
WER-6730
フレデリク・ジェフスキ(b.1938):不屈の民による36の変奏曲 カイ・シューマッハー(P)

録音:2009年1月
ジェフスキの「不屈の民変奏曲」は、チリの革命(抵抗)歌をもとにした、36の変奏曲。ジェフスキはポーランド系アメリカ人で、1960年代ころからめざましい活躍をしているピアニスト・作曲家。自身シュトックハウゼンやブーレーズなどの作品を初演したこともあるピアノの名手であり、作曲をダッラピッコラに師事、セリー音楽主義に影響を受けました。この作品は1975年に作曲され、ピアニストのウルスラ・オッペンスに献呈されています。1時間以上を要し、ジャズ、ミニマル・ミュージック、底力のある民俗音楽的要素、そして超絶技巧や即興的な要素がちりばめられ、弾き手にも聴き手にも高度なものが要求される20世紀ピアノ作品の傑作のひとつです。作曲者自身による演奏の記録やアムランによる録音などが存在しますが、ここでは若手ピアニストのカイ・シューマッハーがエネルギッシュかつものすごい集中と迫力で、冒頭にあらわれる主題旋律の物悲しくも力強い歌から最終楽曲の集結部分での決然たる和音の連続まで、一気呵成に聴かせます。
WER-6731
シルヴェストロフ(b.1937):作品集
(1)スペクトラム (1965)
(2)交響曲第2番 (1965)
(3)ソプラノと室内管弦楽のためのカンタータ (1973)
(4)瞑想曲〜チェロと管弦楽のための (1972)
(5)この世よさらば(シェフチェンコ詩)〜静寂の歌 (1977)よりブラシコフ編
ネリー・リー(S)(3)、
ワレンチン・ポターポフ(Vc)(4)、
ユーリ・オリイニク(Br)(5)、
イーゴリ・ブラシコフ(指)レニングラード・フィル・ソロイスツ・アンサンブル(1)、レニングラード室内O(2)、
ペルペツィム・モビレ室内O(3)、
キエフ室内管弦楽団(4)、
室内アンサンブル(5)

録音:(1) 1965 年 12 月12日/グリンカ・ホール(レニングラード)、(2) 1968 年 3 月31日/レニングラード・フィルハーモニー大ホール、(4)1976年6月10日/キエフ国立フィルハーモニー・ルィセンコ・ホール(以上ライヴ);(3)1983年、(5)1991年(スタジオ録音)]
いつのまにかニューエイジ風ピアノ曲の人気作曲家となってしまっていた感のあるヴァレンチン・シルヴェストロフ (1937-)ですが、1960-70年代はソ 連きっての前衛作曲家として名を馳せていました。当アルバムにはその時代の作品が集められていますが、メロディア音源をはじめとする入手困難なもの が目白押しでシルヴェストロフ・ファン、現代ロシア音楽ファン狂喜の内容となっています。
初期シルヴェストロフの作風は、息の短い素材断片が楽器間を浮遊して響きあうもので、チェレスタやヴィブラフォン、ハープの明滅が独特の音色を生 んでいます。前衛的ではあっても、武満徹を思わすデリケートな音世界で、今日の芸風の萌芽が感じ取れます。
シルヴェストロフは現在までに交響曲を7篇作っていますが、1965年の第2番が収録されているのも嬉しい限り。フルート、打楽器、ピアノと弦楽合 奏という編成によるわずか11分で、「歌詞のないマドリガル」と称されています。またロストロポーヴィチに捧げられた「瞑想曲」は32分の大作。レと ラの空虚五度の持続音がベートーヴェンの第9交響曲の冒頭を連想させます。シルヴェストロフとしては珍しいfffによる恐るべきカタストロフを迎え、ス コアには「舞台の照明を消し、指揮者とオケのメンバーはマッチを擦って明りを灯せ」とあります。
すべてがシルヴェストロフの朋友でムラヴィンスキー門下のイーゴリ・ブラシコフが指揮を担っているのも貴重。また、ソプラノのネリー・リー、チェロ のポターポフらソ連時代の超実力派たちがソロを務めているのも豪華。最新録音でも実現できない高みに達しています。 (Ki)
WER-6732
シチェドリン:封印された天使 イネセ・ロマンツァーネ(S)、
ゼーン・ジルバート(Ms)、
ユルギス・リェプニェクス(T)、
ディタ・クレンベルガ(Fl)、
マリス・シルマイス(指)ラトヴィア国立cho

録音:2009年7月17日 クロスター・エバーバッハ音楽祭でのライヴ
現存する旧ソ連時代の作曲家の最長老ロディオン・シチェドリン。つい先頃もゲルギエフとマリインスキー・オペラが、彼の歌劇「魅せられた旅人」の最新録音をリリースしたばかりですが、これも同じニコライ・レスコフの原作に基づく大規模な声楽作品。しかし新作ではなく、1988年のロシアのキリスト教化千年を記念して作られました。今回、合唱の国ラトヴィアの演奏家によるライヴですが、静謐で透明、深くて優しい、この世のものとは思えぬ美しさ。涙なしには聴けない、最高のヒーリング音楽です。 (Ki)
WER-6733
ナンカロウ作品集
ナンカロウ:@オーケストラのための組曲
Aプレーヤー・ピアノのための練習曲第16番(2台8手編曲版)
Bプレーヤー・ピアノのための練習曲第20番(ピアノ連弾編曲版)
Cプレーヤー・ピアノのための練習曲第26番(4台7手編曲版)
D室内オーケストラのための3つの楽章
E七重奏。断片
Fプレーヤー・ピアノのための練習曲第32番(ピアノ・デュエット編曲版)
Gプレーヤー・ピアノのための練習曲第44番偶然性のカノン(エンドレス)2台4手編曲版
パウル・ウッシャー:Hピアノーラと室内オーケストラのためのナンカロウ協奏曲
ヘレナ・ブガッロ&エイミー・ウィリアムズ(P/BCDFG)
エイミー・フリッグス&イングリード・カルレン(P/AC) 
レックス・ローソン(ピアノーラH)
カスパー・デ・ロー(指)
アンサンブル・モデルン(DEH)
ステファン・アスバリー(指)WDRケルンRSO(@)

録音:2004、2005年
ナンカロウといえば、プレーヤー・ピアノ。ナンカロウは生のピアノを含む音楽を書いていましたが、演奏不可能なほど難しいものを書き、自分の作品が正しく演奏されないことを憂い、一寸の間違いのない機械仕掛けのプレーヤー・ピアノのために作品を書きだしました。50曲以上あるこの練習曲では、ありえない音程のアルペジオや、複雑怪奇なリズム、テンポに満ちています。欧米を中心にナンカロウ・ブームが巻き起こった時、彼はコンサートへの関心に目覚め、この練習曲集を編曲するようになりました。基本的にナンカロウ作品の編曲は本人以外してはいけないことになっており、現在もこのルールは生きています。ナンカロウ自身による編曲のプレーヤー・ピアノは、ジャズとスペイン的空気が入り混じったような、無機的なリズムに裏打ちされた独特な世界が広がります。ナンカロウが生の楽器のために書いた作品も収録されており、ナンカロウの魅力を多角的に見ることができます。パウル・ウッシャーによる「ピアノーラと室内オーケストラのためのナンカロウ協奏曲」は、亡くなってしまったために未完のままとなっていたナンカロウのスケッチから作品を書き起こしたもの。プレーヤー・ピアノのための作品よりも人間味の漂う世界で、ナンカロウが意図したものと同じかどうかはわかりませんが、「いかにも」ナンカロウ「らしい」音響(ジャズのようでありスペイン風味のある)となっています。ソロを務めるのはピアノーラの名手、レックス・ローソン。ナンカロウはローソンに出会ってピアノーラに興味を示したと言います。(注:ピアノーラもプレーヤー・ピアノの仲間の機械仕掛けのピアノではありますが、演奏時に演奏者が存在して、多少テンポを揺らしたりすることができるものだと思われます。)ナンカロウも認めた奏者による演奏をご堪能下さい。 (Ki)
WER-6734
ペトリス・ヴァスクス:四季〜ピアノのための
「四季」白い風景―春の音楽―緑の風景―秋の音楽
「夏の夜のための音楽」
ヴェスタルド・シムクス(P)

録音:2009年9月(ライヴ録音/世界初録音)
静かに静かに、雪の音や風の音、葉がすれ合う音などがピアノで再現されます。「耳を澄ます」という行為に集中できる1枚です。 (Ki)
WER-6735
B.A.ツィンマーマン(1918-1970):初期作品集
(1)ナッハラスの3つの歌(1939-42作曲)
(2)小組曲(1942)(ヴァイオリンとピアノのための)
(3)アリア(1942)(ヴァイオリンとピアノのための)
(4)5つの歌曲(1942-46)(mittlere歌声とピアノのための)
(5)ヴァイオリン,ヴィオラとチェロのための三重奏曲(1944)
(6)エルンスト・ベルトラムの詩にもとづく3つのgeistliche歌曲(1946)
(7)ソナタ(1950)
(1)(4)(6)アンナ・プロアスカ(S)&コルデリア・ヘーファー(P)
(2)(3)アレッサンドロ・カッポーネ(Vn)&コルデリア・ヘーファー(P)
(5)トリオ・ベルリン(アレクサンダー・イヴィッチ(Vn)、ユリア・ガルテマン(Vla)、マルティン・メンキング(Vc))
(7)ラファエル・シュミット(Vn)&コルデリア・ヘーファー(P)

録音:2009年、2010年
2008年5月に新国立劇場で上演された「軍人たち」の記憶もあたらしいB.A.ツィンマーマンの初期作品集の登場。「軍人たち」(1965年発表)的な作品が収録されているかと思いきや、聴いてびっくり、R.シュトラウスやマーラーのように爛熟した調性感と官能的な世界が広がっています。ツィンマーマンは、1938年の冬頃から音楽の勉強を本格的に始めましたが、家族からの猛反対の中でのスタートであったこと、さらに、フランス、ポーランド、ロシアでの兵役のため音楽学校を卒業したのは1947年のことでした。ここに収められている作品は、音楽学校に入学して間もない頃から、卒業後しばらくというまさに駆け出しの頃のものばかりです。歌曲は、フランス歌曲かと思ってしまうような雰囲気。ヴァイオリンとピアノのための小組曲も、懐かしさをおぼえるようなメランコリックな旋律に彩られた作品。ベルリン・フィルの精鋭メンバーによって構成されたトリオ・ベルリンが演奏するトリオも退廃的な薫りと官能性を併せもっています。ツィンマーマンは、バッハから脈々と続く西洋音楽の遺産を反復しているに過ぎない、などといった批判の対象となりましたが、高度な設計によって構築された作品たちはどれも魅力に満ちています。 (Ki)
WER-6736
シュトックハウゼン:星座のための12のメロディー(オルガンによる)
みずがめ座/うお座/おひつじ座/即興T/おうし座/ふたご座/かに座/即興U/しし座/おとめ座/てんびん座/即興V/さそり座/いて座/やぎ座/即興W
ドミニク・シュステック(Org、即興)

録音:2008年9月(ケルン、聖ペーター教会)
シュトックハウゼンの「星座のための12のメロディー」は、もともとはオルゴールのために生まれた音楽で、前衛的なところがほとんどありません。もちろんハーモニーは古典派のものとは少々趣が異なりますが、メロディーと伴奏という伝統的で明確な構成をとっています。この作品は演奏者に楽器や音色の選択などを委ねており、ピアノ版や室内楽版、また、6人の奏者による版(WER6659)など様々な録音がありますが、ここに新たに登場した録音は一人の奏者が奏でるオルガンによるもの。それにしても、このオルガンの音はすごい!オルガンマニアの間では有名なケルンの聖ペーター教会のオルガンを使用しています。この教会は、信仰の場であることはもちろん、「聖ペーター・アート・ステーション」とも呼ばれていて、現代美術の展覧会や、新しい音楽のコンサートが開かれている、いわば現代芸術の砦。日々の礼拝もすべて現代音楽で執り行われています。ここに備えられているオルガンは、エオリアン・ハープ、チェロ、ハープ、サックス、打楽器、ホイッスルなど様々な音を模した音色が出るストップを合計104兼ね備えていて、すべての音が一人の奏者の指や足から発せられている音とは信じられない壮大さです。さらに、この録音でオルガンを弾いているのは、当教会オルガン奏者のシュステック。日々の礼拝で楽器に触れ、楽器を熟知してすべてのストップの音色を巧みにブレンドすることができる、まさに理想的な布陣での録音となっております。オルガンによるこの作品の演奏は、極彩色の世界。どことなくメシアンのオルガン作品を想起させるようでもあります。あらゆるものを超越したもの、時に呪術的なものを強烈に感じさせます。ひとつひとつの曲が終わり、ウヮンッというオルガンの残響が消えたあとの静寂は、まるで宇宙に放り出されたような感覚。究極の宇宙遊泳世界を是非ご堪能下さい。 (Ki)
WER-6737
リュク・フェラーリ(1929-2005):Souvenir,souvenir
Suite heteroclite (統一性のない組曲)
アンチソナタ
ソナチネ・エリブ
Visage(I「顔」T)
ピアノと磁気テープのための小品コレクションまたは36の一連
1980-1982の親密な日記からの断片
エルマー・シュランメル(P)

録音:2010年6月
フェラーリは、「日常のなかにすでに存在する音を録音して、加工・編集することであるひとつの音楽作品を作ろう」とするフランスで生まれたミュジック・コンクレートの作曲家として有名であり、「逸話的音楽」と名付けたコンセプトを展開していきました。1967年に発表した『プレスク・リアン第一番』は彼の代表作であり、多くの作曲家・演奏家に影響を与えました。1982年、電子音響による作曲とラジオ・アートのための協会ラ・ミューズ・アン・セルキュイを設立。交響作品やラジオ劇などでイタリア賞、カール・ズッカ賞、クーセヴィツキー賞などを受賞しました。90年代頃からジム・オルークなど、特に音響系からの再評価が高まり、ジョン・ゾーンやデイヴィッド・グラブスのレーベルからもCDがリリースされています。自由で無調な音楽の中に、何故か馴染みやすい日常的なものがあり、詩的にさえ感じられます。 (Ki)
WER-6738
ラッヘンマン:作品集
(1)アッカント(オーケストラを伴うクラリネット独奏のための)
(2)コンソレーションno.1(12の声と4つの打楽器のための)
(3)コントラカデンツ(大オーケストラのための)
(1)エドゥアルト・ブリュンナー(Cl)、
 ハンス・ツェンダー(指)
 ザールブリュッケンRSO

(2)クリトゥス・ゴットヴァルト(指)
 スコラ・カントルム・シュトゥットガルト、

(3)ミヒャエル・ギーレン(指)
 SWRシュトゥットガルトRSO
無駄なものを削ぎに削ぎ落とし、骨格の本当に関節の要の部分だけをレントゲンにとったような音楽で、時にコンサートホールで客席に座っていて、開演前に舞台袖から聴こえてくるオーケストラ奏者たちの練習のような、不思議な世界が広がります。@だとこれが27分、Aは8分、Bでは18分も続くので、耐える快感があります。演奏者陣がツェンダーにギーレンなど、豪華なのも注目です。
WER-6739
ガリーナ・ウストヴォリスカヤ:作品集

(1)コンポジション・第2番『怒りの日』

(2)ソナタ第6番

(3)チェロとピアノのためのグランド・デュエット
(1)ルードゥス・グラヴィス(コントラバス・アンサンブル)、
 ラウラ・マンチーニ(木製キューブ)、
 ファブリツィオ・オッタヴュッチ(P)、
 ステファノ・スコダニッビオ(指)

(2)マリーノ・フォルメンティ(P)

(3)ローハン・ド・サラム(Vc)、
 マリーノ・フォルメンティ(P)

録音:2010年、イタリア
社会主義リアリズムに即した音楽を書くように強制されたスターリン政権を生き抜いた数少ない作曲家、ガリーナ・ウストヴォリスカヤの秘蔵の作品集。「私の作品は、他の作曲家のそれとは全く違う。」という彼女の言葉に添えられた作品たちは、独特の非常に風変わりな作曲様式で、反復の活用、ホモフォニックな音塊、異例な楽器法、楽器の集合を用いてのトーン・クラスターの導入などが見られます。また、宗教のテクストにインスパイアされたものが多く、宗教的な側面を色濃く持っているために、神秘的な雰囲気を醸し出しています。実際耳にすると、カオスな中にも、何か非常に精神的な深みを行くような、興味深い感覚に陥ります。演奏者はどれも、数々の賞を受賞した世界的に名だたる者たちで、主に現代音楽の中で楽器の可能性を追求し続けています。本CDは、素晴らしい作品を残しながらも、未だ音楽史の中で光を当てられていないウストヴォリスカヤに捧げられたものです。「現代音楽」という枠組みにさえ収まりきれないような、ウストヴォリスカヤの宇宙世界をご堪能ください。 (Ki)
WER-6740(4CD)
ジョン・ケージ:南のエチュード(全曲) ザビーネ・リープナー(P)

録音:2011年、ドイチュラントフンク・カンマームジークザール
音そのものに関心を持ち、音の持つ様々な魅力を作品に引き出そうとしたケージ。彼の芸術には、作曲上の実験だけでなく、社会問題や自然現象、宗教、神秘主義そしてユートピア思想など、実に様々な世界観が表現されています。環境音を素材として自由に扱い、音楽の概念を拡大して視覚的要素を導入したケージの魅力をお楽しみください。
1974年に発表された「南のエチュード」は、伝統的な楽器と記譜法に対するケージの興味を示す、一連のヴィルトゥオーゾ作品の初期作品。32の練習曲から成るこの複雑なピアノ作品は、ケージが南半球の夜空を彩る星座の表から、易によって星(星座)を選び出し、その星座(星)を音高に置き換えたもの。ピアノの鍵盤を左右の手でフルに使うように記譜された楽譜とそこから生まれる音はまさに天体・宇宙をも思わせるスケールです。
ザビーネ・リープナーは、新進気鋭のドイツ出身のピアニスト。「新しい音楽」を主なレパートリーとし、その積極的な解釈に従事しています。数多くのテレビ、ラジオ、国際音楽祭にソリストとして、またはアンサンブル・メンバーとして出演し、高い評価を得ています。オルガ・ノイヴィルス、イェルク・ヴィトマン、フランコ・ドナッティ、クリスチャン・ヴォルフなど、著名な現代音楽作曲家や現代アーティストとのコラボレーションを手掛け、作品の初演も数多く果たしてきました。ケージの音楽が持つ偶然性、視覚的要素を巧みな解釈で実現させています。 (Ki)
WER-6744(1SACD)
da lontano〜彼方から
ジャチント・シェルシ:Mantram-Canto anonimo
ジョン・ケージ:スライディング・トロンボーンのための「ソロ」
シュトックハウゼン:signale zur invasion,T
ルイジ・ノーノ:ポスト・プレリュード第1番〜ドナウのための
チューバ,ライヴ電子楽器のための(1987)*
マイク・スヴォボダ(Tb、Tub)
ホルガー・シュテンシュケ(電子楽器)*

録音:2011年11月
トロンボーンのスヴォボダといえば、抱腹絶倒のワーグナーパロディCD「ワーグナーはお好き?」など楽しいプログラムで魅せてくれますが、今回はシェ ルシ、ケージ、シュトックハウゼン、ノーノという4名に焦点をあて、アヴァン=ギャルドを真正面から聴かせてくれます。SACD層にはサラウンドでも音 源が収録されており、音楽だけでなく、音響的にも大変たのしめる充実の内容です。
シェルシは、ブレス、息、楽器の音色を使って、Mantramを、スピーチ風の作品に仕立て上げました。始まり、中間、終りのない、時間を感じさせな いような「surrounding sound」的作品となっています。トロンボーンかと思うとスヴォボダの肉声、それらがホーミーのように雄大に響き渡ります。スヴォ ボダの妙技にご注目ください!
ケージ作品は、ピアノとオーケストラのための協奏曲「1957-58」からのある部分を抜き取って、それを様々なテンポで演奏、多重録音で8本のトロンボー ンのための作品に仕上げたもの。それぞれの録音はわかりづらいですがカノンのようになっています。スヴォボダが発する様々な音色に驚かされ、そして時 折訪れる無音の状態に、ふっと自分という存在を思い出したりする不思議な作品です。サラウンドで是非お楽しみいただきたい1曲です。
シュトックハウゼンの「Invasion」(侵略)は歌劇「リヒト」の「火曜日」の部分からのもので、原曲では「ミカエル(トランペット/善)」、と「ルシフェ ル(トロンボーン/悪)」が音楽的闘争を繰り広げます。シュトックハウゼンがこの「火曜日」を書いたのはスヴォボダがいたから。さらに、この抜粋ソロ版 「Invasion」が生まれたのも「スヴォボダならできるから」とシュトックハウゼンは述べています。オペラ「リヒト」の特徴は、演者の身体の動きも様々に 楽譜に指示されていること。このディスクからも、スヴォボダが前後左右に動いたりジャンプしたりしているのがおわかりいただけることと思われます。
ノーノの作品は、「前」奏曲であると同時に「後」奏曲でもある曲で、前後に動きながら進む作品。不安定な要素の多い作品ですが、突然電子楽器とト ロンボーンによる低音域でのトーンクラスター的な部分が現われるなど、意表をつかれる瞬間が何度もある不思議な作品です。
マイク・スヴォボダは1960年グアム生まれのトロンボーン奏者、作曲家。1984-95にかけて、シュトックハウゼンと音楽活動を展開。その後も室内楽 やジャズグループ、また、世界的オーケストラとも共演多数。彼が手がけた初演作品は300を超えます。 (Ki)
WER-6745
アール・ブラウン(1926-2002):抽象的なサウンド・オブジェクト
家庭の埋葬*/フォリオ
25のページ/4つのシステム
夏の組曲’95
ザビーネ・リープナー(P)
録音:2009 年 6月
*世界初録音
いわゆるニューヨーク楽派(ケージ、フェルドマン、クリチャン・ウォルフ)に属するブラウンによる、ピアノのための作品集。ニューヨーク楽派の中で もブラウンは特に、同時代の他ジャンル(ヴィジュアルアートなど)芸術家と相互に強く影響し合ったと言われています。筆の先からインクをたらす手法で 圧倒的な力を持つ作品を生み出したジャクソン・ポロックのアクション・ペインティングを思わせるような、ダイナミックな空間性、静と動の共存、一見無 秩序に見えて実は巧妙に計算されている音の配列などは、ブラウンでなければ為し得ない世界といえるでしょう。この独自の世界を再現するピアニスト、リー プナーは、ケージ、フェルドマン、ウストヴォリスカヤなどの現代作品のスペシャリストとして活躍するピアニスト。ブラウン作品が今なお斬新さに満ちて いることを実感する1枚です。 (Ki)
WER-6746
ヘンツェ(b.1926):明るい青空に〜アンサンブルのための音楽
室内楽 1958 (1983/84) (ヘルダーリンの「明るい青空に」に基づく〜テノール、ギターと8人の楽器独奏者のための)
アポロとヒヤシンス(1948/49)(ゲオルク・トレーケルの「公園にて」に基づく〜チェンバロ、アルト、8人の楽器独奏者のための即興)
カンツォーナ(1982)(7の楽器のための)
クレメンス・C・レッシュマン(T)、
マキシミリアン・マンゴルト(G)
ヤン・クローネンブレック(Cem)、
ニコル・ピーパー(A)
アンサンブル・ホリゾント
イェルク=ペーター・ミットマン

録音:2011年10月
ヘンツェの室内楽編成の作品集。(1)の「室内楽」(1958年)はブリテンに献呈された作品。詩人ヘルダーリンは、彼の生活の不安定さ、恍惚とした言葉、 そして晩年は狂人として扱われたことなど、19世紀はなかなか受け入れられなかった存在でした。再び注目されるようになったのは、1945年以降のこと。 特に後期の作品を中心に、題材とする人が多くなりました。作曲家でも、ノーノ、クルターク、リーム、ツェンダーらがヘルダーリンの詩に作曲をしていますが、 その先駆的存在が、ヘンツェでした。この作品はもともとは12の楽章から成り、初演はテノールのピーター・ピアーズとギターのジュリアン・ブリームといっ たメンバーで行われました。ギターのソロ部分は単独で演奏されることも多い人気曲となっています。「アポロとヒヤシンス」はフォルトナーに師事していた 頃、1947年の作品。12音技法で書かれています。チェンバロが物語を描写し、進ませる役割を果たす中、調と無調の間を漂うような世界が展開されて います。16、17世紀の音楽作品のタイトルを思わせる「カンツォーナ」は、オーボエが奏でるメロディの装飾の美しさが、ルネッサンスや初期バロックの 声楽作品を思わせます。 (Ki)
WER-6747(2CD)
フェルドマン(1926-1987):初期ピアノ作品集
休止〔2つの休止、休止3,4,5,6〕
変奏曲
ピアノのための自然な作品
拡張3 /ピアノ・ピース1952
ピアノのための3つのピース
ピアノ・ピース1955
ピアノ・ピース1956
last pieces/水平的な思考4
ピアノ・ピース(フィリップ・ガストンのために)
ピアノ・ピース1964/ピアノ
ザビーネ・リープナー(P)

録音:2009 年1月
ジョン・ケージ、アール・ブラウンや、クリチャン・ヴォルフらとならんで、ニューヨーク楽派と称されるモートン・フェルドマン。フェルドマンの音楽で まず特徴に挙げられるのは、ミニマル音楽的構造(といってもライヒやグラスとは全く違う)、そして沈思的な音(しかし決して瞑想曲ではない)でしょうか。 また、ここに収められた作品はすべて伝統的な記譜法で書かれていますが、拍子(拍節)の扱い方はまったくあたらしく、西洋音楽に特徴の周期的なアク セント(リズム)が感じられないものとなっています。フェルドマンの作品は、’’ lessness’’ (無いこと)、すなわち、何かを表現しようとしたり、何かを 論理的に展開しようとはしていません。にもかかわらず、フェルドマンの作品は、非常に複雑で、演奏の際には、細部に至るまで細心の注意を払うことが 要求されます。この2枚のCDは、フェルドマンが30年に渡って書いた作品の数々。フェルドマンは、生涯に渡ってピアノのために作曲していました。フェ ルドマンはピアノを愛しており、自身もよく演奏していました。ここに収められた作品全体を通して、フェルドマンという人間、およびその作品像が見えて きます。演奏するのはケージ作品なども手掛けるザビーネ・リープナー。フェルドマンならではの静謐な世界が広がります。 (Ki)
WER-6749
zeit(t)raume〜時代
シュトックハウゼン:星座のための十二のメロディ(黄道十二宮)(1975)〜ソプラノとピアノによる演奏
ベリオ:セクエンツァ V〜女声のための (1975)*
シュトックハウゼン:ピアノ曲 \ (1961)#
ベリオ:4つの民謡(声とピアノ)(1947)
クラウディア・ベッチャー(S)
ヨヴィタ・ツェール(P)

録音:2012年2月、2011年9月*、2011年11月#/ケルン(ドイツ)
シュトックハウゼンのティアクライス(黄道十二宮、または星座のための十二のメロディ)。これまでにもトロンボーンのスヴォボダ率いるアンサンブル版 や、オルガン版などをリリースしてきたWERGOレーベルから今回登場するのは、ソプラノとピアノによる演奏です。
「黄道十二宮」は、もともとは舞台作品「MUSIK IM BAUCH(胃の音楽)」(1974年)にルーツを持ちます。この作品は、6人の打楽器奏者のた めのもので、彼らの頭上には” Miron” という大きな鳥男がぶら下げられていて、その鳥男の胃にはオルゴールが隠されていて、物語の進行に沿って、演 者達がそのオルゴールを動かす、というもの。このオルゴールに仕込まれたメロディが、シュトックハウゼンが書いたもので、12の星座の特徴を、ピッチ、 リズム、ハーモニー、そしてデュナーミクで表したものとなっています。このメロディを、この盤ではソプラノが歌い、ハーモニーをピアノが担当します。歌 詞は、各星座人の特徴を述べたテキストを用いての演奏ということだけあって、非常にユニークな仕上がりとなっています。 シュトックハウゼンのピアノ曲\は、1952-61年にかけて彼が書いた11のピアノ曲の中の1曲。セリー的要素の強い作品です。
セクエンツァは、ベリオが1958年から2002年にかけて取組み続けた、様々なソロ奏者のための曲集(14曲から成る)。第3番は、唯一の声楽曲で す。「4つの民謡」は、彼が、伝統に対して、真摯でありながらも常に革新的な姿勢で向き合っていたことを示す作品。意欲的なソロ作品と、伝統に対す るリゲティの姿勢をみることのできる興味深い組み合わせといえるでしょう。
演奏するのは2008年からデュオを組んでいるクラウディア・ベッチャーとヨヴィタ・ツェール。このプログラムは、実際に2010年に演奏会で取り上 げたもの。満を持しての録音となっています。 (Ki)
WER-6750
ペトリス・ヴァスクス(b.1946):ヴァイオリンと弦楽オーケストラのための作品集
愛の声(ヴァイオリンと弦のためのファンタジア)
遠き光(ヴァイオリンと弦楽オーケストラのための協奏曲)
孤独な天使(ヴァイオリンと弦楽オーケストラのための瞑想曲)
アリーナ・ポゴストキナ(Vn)、
ユハ・カンガス(指)シンフォニエッタ・リガ

録音:2011年 6月
ラトヴィアが生んだ作曲家ヴァスクスによる、人間と社会への愛に満ちたサウンドを、ポゴストキナの奏でる美しくも悲しき音色で堪能する1枚。
「愛の声」は、「これを聴いた人が、少しでもよりフレンドリーで愛に対してよりオープンになるように」という願いが込められた作品。ヴァイオリンがタ イトルの通りの優しくも悲しい愛の旋律を奏でます。(2)の「遠き光」は1996-97年に書かれたもので、ヴァスクスの作品の中でもとても激しい作風の曲。 コントラストに満ちた様々な短い部分の連なりで、時にラトヴィアの民謡を思わせます。2006年頃に書かれた(3)の「孤独な天使」は、世界の状況を見 ている天使の悲しい目と、天使の羽の愛に満ちたはばたきが人々の心に平安や慰めをもたらしている様子を描いたとヴァスクスは語ります。
ヴァスクスの愛に満ちた旋律のヴァイオリンを奏でる、ポゴストキナは、ロシア生まれのドイツ人。2005年第9回シベリウス国際ヴァイオリンコクール でドイツ人として初めて優勝、これまでに何度か来日も果たしています。 (Ki)
WER-6751
ヴォルフガング・リーム:オルガン作品集
魔力,夜の熱狂(1980)
ファンタジー(1968)
3つのファンタジー(1967)
シンフォニアT-オルガンのためのミサ(1971)
コンテンプラーツィオ(1967)
7つの形(1974)
ドミニク・ズシュテック(Org)
イェンス・ブリュッルス(タムタム)

録音:2011年11月
リーム生誕60年を記念してWERGOが世に放つ、リームのオルガン作品集。いくつかの作品はリームが10代の頃に書かれた作品ですが、すでにい まの作風を思わせる大規模で暴力的ともいえる威力に満ちたリーム世界が展開されています。若い頃、自分の作風を模索している時にオルガンと出会い、 様々なことを得たといいます。意欲と実験精神に満ちた力作が並びます。
「3つのファンタジー」と「コンテンプラーツィオ」は実に情の深い作品。オルガンのためのファンタジーは、リーム曰く、「多面カットのプリズムのよ うで、熱狂的なエンディングのオルガン作品」。実際、彼のオーケストラ作品でみられる暴力的ともいえる威力を予感させるパッセージが盛り込まれています。 「シンフォニアT−オルガンのためのミサ」はミサやオルガンつきの交響曲を生み出したフランスの伝統の流れをくむ作品。6つの楽章は、共通の素材など で大規模作品ながら見事な統一感を示しています。「7つの形」では直観性と論理性の両方のバランスが共存する不思議な作品。タムタムの音色が聴き手 を別世界へといざないます。「魔力、夜の熱狂」は、オルガンの魅力のとりことなったリーム自身を、遠くから皮肉に満ちた目で見たような音楽。事実、こ のあとリームはしばらくオルガンのための作品から遠ざかっていた(2002-2004年にかけて書いた「無題」や、器楽作品の1パートとして用いたくらい) ほどで、リームにとって怪物的魔力を持つオルガンへの訣別の音楽のようでもあります。これら魔力に満ちた作品を奏でるドミニク・ズシュテックは、オル ガン版のシュトックハウゼンの黄道十二宮で私たちの度肝を抜く宇宙空間的演奏を展開した名手。ここでも、リーム独特のミステリアスながらも規模の大 きな世界を、絶妙な間の取り方で見事に再現しています。 (Ki)
WER-6752
ミヒャエル・ヒルシュ(b.1958):捨てられたディドーネ+
第5スタディ(ミュージック・コンクレート)*
弦楽四重奏曲#
ウンバウ2(ミュージック・コンクレート)*
悲喜劇##
クラウディア・ノイベルト(S)、
ダニエル・オチョア(Br)
ティトゥス・エンゲル(指)アンサンブル・クラージュ+
ミヒャエル・ヒルシュ*、
ソナールSQ#
シュトゥットガルト新ヴォーカルゾリステン##

録音:2004, 2009, 2011年
ミヒャエル・ヒルシュは、1958年ドイツ・ミュンヘン生まれ、ベルリン在住の作曲家です。これまでに、エリザベス・シュナイダー賞やブゾーニ賞といっ た作曲賞を受賞しており、イタリアのフェローシップも与えられるなど、今後の活躍が大変注目されている作曲家のひとりです。
「捨てられたディドーネ」は、メタスタージオが書いた、ディドーとエネアスのテキスト(1724)に基づいた再創作。ディドーとエネアスを担当する二人 の歌手、そして10人の室内アンサンブルとミュージック・コンクレート(自然界から発せられる音や、機械や人の声などを録音、加工し創作される音楽) を巧くミックスし、ぎゅぎゅっと凝縮された神話の世界が広がります。エチュードは様々な要素を組み合わせる練習曲。最後の喜歌劇はスペイン語とドイ ツ語の2言語で構成される音楽劇。対話の断片から成る要素と、筋の通った朗読的要素、二つの混合体です。とても独特で不思議な世界観を持つヒルシュ の作風に、どっぷりと浸かってみませんか? (Ki)
WER-6753
ベンヤミン・シュヴァイツァー(1973-):室内楽作品集
abgesang(別れの歌-デュエット)、
achteinhalb(8 1/2)、
anfange/netze(malbork U)(開始/網-マルボルクU)、
entschlackt(浄化)、
dull roots & spring rain(鈍重な草根と春の雨)、
abgesang(別れの歌-ソロ)
ドレスナー・アンサンブル・カレッジ
ティトゥス・エンゲル(指)

録音:2011年12月5-8日
1973年7月26日ドイツのマールブルク出身の作曲家ベンヤミン・シュヴァイツァー。1997年に現代音楽アンサンブルのドレスナー・アンサンブル・カレッ ジを創設しました。シュヴァイツァーは器楽曲を中心に作曲し、近年は室内オペラなども手掛けています。ここでは室内楽作品を収録しています。「anfange/ netze」はイタリアの作家イタロ・カルヴィーノの作品「冬の夜ひとりの旅人が」の構成を模した作品。また「dull roots & spring rain」は、英国の詩人T.S.エ リオットの傑作「荒地」の冒頭の一節を引用したフルート、オーボエ、ファゴットのための作品です。 (Ki)
WER-6754
ナンカロウ:LATE and UNKNOWN〜プレイヤー・ピアノのための作品集
(1)リゲティのために
(2)ウルスラのための3つのカノン
(3)プレイヤー・ピアノのための練習曲第18番、第2版
(4)プレイヤー・ピアノのための練習曲第48番
(5)数字の付けられていない練習曲(カノン3:4:5:6)
(6)プレイヤー・ピアノのための練習曲第46番
(7)プレイヤー・ピアノのための練習曲第45d番
(8)プレイヤー・ピアノのための練習曲第47番
〔(5)=世界初録音/(1)-(3)、(7)=ナンカロウのプレイヤー・ピアノを用いての録音は初〕
コンロン・ナンカロウ(1912-1997)。超難しい作品を書いて世に出したものの、満足できる演奏に出会うことができず、次第に機械ピアノ(プレイヤー・ ピアノ)のために作曲するようになったというなんともヘンクツな作曲家。音の長さを計算して自らロールに穴をあけ(パンチング)、自動ピアノのための、 人間にはほぼ演奏不可能とも思われるような複雑な作品を残しています(WERGOレーベルからは、生身の人間のピアノ・デュオによる演奏ディスクがい くつかリリースされています)。今回リリースされるのは、ナンカロウ自身が所有していた自動ピアノを用いての演奏。自動ピアノなのですが、その音楽は、ジャ ズ的要素あり、ケージ的要素あり、複雑なリズムが織り成す世界は実にカッコイイものばかり。世界初録音作品も含まれているという、注目盤の登場です! (Ki)
WER-6755
(1SACD)
ロルフ・リーム:作品集
Hamamuth-天使の街
この子供たちは誰だ?*
ニコラス・ホッジ(P)
ビート・フラー(指)
バーデンバーデン&フライブルクSWR響

録音:2012、2009*
※2作品とも世界初録音
ロルフ・リームは、1937年ドイツ生まれの作曲家。作曲家のツィンマーマンに認められ、ツェンダーと共にフランクフルト音楽大学の作曲家の教授を 務めました。天使の街は、TVなどで放送されていたイラク戦争で破壊された街のこと。鋭いアクセントや、軍隊を思わせるような機械的なリズムなど、 暴力的ともいえるエネルギーに満ちた作品です。戦争に対してのアーティストとしての反対表明ともいえる作品です。「この子供たちは誰だ?」も政治的色 合いのある作品。2作品ともドナウエッシンゲン音楽祭で初演されています。 (Ki)
WER-6756
ヴォルフガング・リーム(b.1952):作品集
弦楽四重奏曲第11番(1998/2010)#
インタースクリプトゥム(弦楽四重奏とピアノのためのデュオ)(2000/02)*
グラーヴェ(トーマス・カクシュカの思い出に)(2005)
ミンゲット・カルテット
マルクス・ベルハイム(P)*

録音:2011年12月11-12日#、2012年1月16-19日
リームは弦楽四重奏曲を多数書いており(番号が付されているものだけでも12曲(2番は欠番))、そのひとつとして同じようなスタイルで書かれてい るものはありません。リーム自身、弦楽四重奏は、楽器の組み合わせ方の一種で、チェロの低音域からヴァイオリンの高音域にまで亘る広い音域が、多 様な対話のありかたを可能にするもの、というふうに考えており、古典派・ロマン派の伝統とは意図的に距離を置いています。
弦楽四重奏第11番は、第11番とされていますが、完成は第12番(2000/01)の後。1998年に着手され、2010年に完成しました。抑制と爆発、 簡易な部分とヴィルトゥオーゾ的な部分と、対照的な動きを繰り返しながらピークに達します。4楽章から成り、演奏に約35分かかる大曲です。
「インタースクリプトゥム」は、副題に「弦楽四重奏とピアノのためのデュオ」とあり、弦楽四重奏が一つの楽器として扱われ、弦楽四重奏とピアノによ る二重奏、というかたちで書かれています。両者によるどのような対話が展開されるか、興味深い作品。
「グラーヴェ」は、アルバン・ベルク弦楽四重奏団のヴィオラ奏者だったトーマス・カクシュカ(1940〜2005)の思い出に捧げられた作品。アルバン・ ベルク弦楽四重奏は、リームの作品の初演を多く手掛けており、リームは、弦楽四重奏曲第4番を彼らに捧げています。「グラーヴェ」の冒頭は、イ短調、 イ長調、変ホ短調の3つの調をさまよいます。続いてメロディックな部分があらわれ、時折聴かれる2度下降の音型は、ため息を表します。最後は浄化 と救済で終わりますが、悲痛な気分が残る作品です。
ミンゲット・カルテットは、芸術は大衆に愛されるものであるべき、と唱えた18世紀スペインの哲学者パブロ・ミンゲットの名を冠したカルテット。リー ムの弦楽四重奏作品の全曲録音プロジェクトを手掛けるほか、ルジツカの弦楽四重奏曲全集録音やイェルク・ヴィトマンの弦楽四重奏の全曲演奏プロジェ クトなどを手掛ける一方、J-P.サラステやゲルハーヘルらとも多く共演を重ねている、多ジャンルにわたり活躍している団体です。 (Ki)
WER-6757
リゲティ:ムジカ・リチェルカータ(1951-53)/シュステックによるオルガン版(原曲:ピアノ
 オルガンのための2つの習作[1. ハーモニーズ/2. クレ(流出)(1967/69)]
ドミニク・シュステック(b.1977):話すシグナル(オルガンのための即興(2012))
リゲティ:ヴォルーミナ(1961/62, 1966改訂)
ドミニク・シュステック(Org)

録音:2012年8月6-9日聖ペテロ文化ステーション(ケルン)
シュトックハウゼンの「星座のための12のメロディー」オルガン版(WER-6736)で強烈な印象をあたえたドミニク・シュステックが、今度はリゲティ に挑戦!
リゲティは、オルガンのためにのこした作品は3曲のみ(ヴォルーミナ、ハーモニーズ、クレ)ですが、リゲティの作曲の発展過程において重要な足跡となっ ているだけでなく、現代のオルガン作品の新しい道を切り開いたといえるでしょう。
「ヴォルーミナ」は、トーン・クラスターの作品。メロディー、リズム、ハーモニー(方向運動を伴うもの)を排したもの。時間的な芸術というより、 空間的な芸術として聴き手に届く作品で、オルガンならではの迫力と、シュステックの巧みな音色選び、そして素晴しい残響が、この大規模な作品を見事 に響かせます。「2つの習作」の「ハーモニーズ」は、たえず10の音からなる和音が鳴り響き、その和音が少しずつ変容していくというもの。「クレ」は 虫の羽音のように細かく動き続ける音型が、アメーバのように形を変えていきます。
ムジカ・リチェルカータは、リゲティが30歳になる前頃に書いた作品。11曲から成り、もともとはピアノの作品ですが、オルガンで聴いてもこれがま た面白い!第1曲はラの音のみで構成され、単音、オクターブで重ねられるラの音、そしてリズムという要素で構成されています(一番最後にレの音が現 れる)。オルガンの残響や、様々な音色で次々と現れるラの音を聴いていると、精緻に織り上げられた響きにだんだんがんじがらめにされていくような気分 になります。ピアノでは味わえない迫力があると申せましょう。続く楽曲も、音の素材を極限まで制限したものが続き、4曲目は「手回しオルガン風ワルツ」 ですが、大道芸人がひろばでまわしている手回しオルガンとは違い、どちらかといえば不気味さ濃厚のワルツで、これがまたオルガンで聴くと効果抜群!8 曲目の有名なセリー音楽的な曲も、軽快なリズムで、様々なストップを駆使して実に効果的に響かせています。シュステックは、リゲティが織り上げた緻 密な音の細密画を、オルガンによって、空間に見事に再現しています。
シュステックの即興作品は、単なるオルガンとは思えないような、ノイズとしか思えない音や、ウィンドチャイムを思わせるような響きやマリンバ的な音 色など、様々な音色を駆使したもの。楽器が壊れないかと心配になるほど、シュステックが楽器を弾きまくっています。 2013年はリゲティ生誕90周年、彼の記念碑的オルガン作品を核とした、非常に魅力的なディスクの登場といえるでしょう! (Ki)
WER-6758(2CD)
ジョン・ケージ(1912-1992):TWO3〜笙、水で満たされた5つの巻貝のための
[CD1]
1. 第4番&第7番
2. 第2番
3. 第1番&第6番
4. 第8番
[CD2]
1. 第3番
2. 第3番&第9番
3. 第9番
4. 第5番&第10番
ステファン・フッソング(アコーディオン、巻貝)
ウー・ウェイ(笙、巻貝)

録音:2013年6月10-12日
晩年の6年間、ケージは、いわゆる「数の音楽」を書いていました。「数の音楽」は数字のタイトルが付されており、その数字は、演奏者の数、あるいは、 その作品の部分の数を指します。また、同じ演奏者数の作品が複数ある場合、上付き数字で区別されます。たとえば、ここに収録されている「TWO3」は、 二人の演奏家のための作品シリーズの第3番のこと。
「私はここにきてようやく、美しい音楽を書いているような気がします」とは1990年のケージの言葉。同年彼は笙奏者宮田まゆみに出会い、日本古 来の楽器、笙のための作品を委嘱されました。ケージは17本の竹管から成る笙の音色と、そのうち6本まで同時に吹け、6本でひとつの音を出すことも、 6本それぞれが違う音色を出し複雑な効果を生み出すことができることに感銘を受けました。さらに、この笙との出会いにより、ケージが1940年代から 取り組んできた「Zen(禅)」の精神のひとつの帰着点を見ることとなりました。このTWO3は、水のような動き(段階的な変容、沈黙によって中断する 流れなど)が特徴。笙のパートを演奏するのは世界的中国笙奏者、ウー・ウェイ。中国の笙は日本のとは違って37本の竹管から成ります。さらに、指定 の笙と巻貝以外に、アコーディオンも登場します。これは、笙とアコーディオンの音色に似た部分があるという二人の奏者の考えによるもの。時に楽器特 有の音を出し、時に両者渾然一体と融け合う音色を聴いていると、不思議な静寂につつまれ、瞑想の世界にいざなわれるようです。 (Ki)

WER-6760
グバイドゥーリナ:作品集
ソナタ〜コントラバスとピアノのための(1975)
パントマイム〜コントラバスとピアノのための(1966)*
イン・クローチェ(作曲者編曲によるコントラバスとバヤン版(2009) [原曲:チェロとオルガン(1979)、チェロとバヤン(1991)])
プレリュード(作曲者編曲によるコントラバス版(2009)[原曲:チェロとオルガン(1974)])*
ダニエレ・ロッカート(Cb)
ファブリツィオ・オッタヴィウッチ(P)
マッシミリアーノ・ピトッコ(バヤン)

録音:2009&2012年

*=世界初録音
グバイドゥーリナによる、コントラバスのための作品集(うち2作品は原曲はチェロのためのものですが、コントラバスのためにグバイドゥーリナ自身が 編 曲 し た も の )。 「ソナタ」では比較的伝統的な雰囲気の作品。ですが、フィンガリングなどは演奏者の自由にゆだねられている部分も大きいです。イン・クローチェでは、 バヤンの音色がロシアのフォークロアを思わせる中、コントラバスが嘶きます。 (Ki)
WER-6761
細川俊夫:弦楽四重奏作品集
細川俊夫
(b.1955):開花 Blossoming(2007/2009改訂(改訂版世界初録音))
花の妖精 Floral fairy(2003)
書(カリグラフィー)Kalligraphie(2007/2009改訂)―弦楽四重奏のための6つの小品―※世界初録音
ランドスケープT LandscapeT(1992)
沈黙の花 Silent Flowers(1998)
弦楽四重奏曲「原像」 Urbilder(1980/1984改訂)
アルディッティSQ
〔アーヴィン・アルディッティ(1Vn)、
アショット・サルキシャン(2Vn)、
ラルフ・エーラーズ(Va)、ルーカス・フェルズ(Vc)〕

録音:2012年2月
2013年の「サントリーホール国際作曲委嘱シリーズ」のテーマ作曲家である細川俊夫の注目新譜の登場です。 6つの小品から成る『書』は、世界初録音。「音楽は音を用いたカリグラフィー(書)である。そしてそれは沈黙というキャンヴァスの上に描かれる。」 とは細川の言葉ですが、書のジェスチャーのエッセンスを6つの金言的な音絵で表しています。ほかにも、華道の哲学世界(細川の祖父は華道家)の『花 の妖精』と『沈黙の花』や、蓮の花が開く様子を描いたという『開花』などを収録。『原像』は、細川俊夫の最初の弦楽四重奏作品で1980年に書かれ たもので、すでに細川の哲学世界に満ちた静寂と哲学的な世界が広がっています。 アルディッティ弦楽四重奏団による演奏は極めて精緻で、細川の世界を巧みに表現しています。 (Ki)
WER-6762
ジョージ・アンタイル:ピアノ曲集
ジャズ・ソナタ(1923)
ラジオのためのソナチネ(1929)
花火と世俗的なワルツ(1919)
黄金の鳥(1921)
飛行機ソナタ(1922)
スウェル・ミュージック(1928)
ピアノ・ソナタ第3番「機械の死」(1923)
ピアノ・ソナタ第5番(1923)
野蛮なソナタ(1923)
リトル・シミー(1923)
メルレのために(1925)
オペラ「トランスアトランティック」〜序曲とタンゴ(1930)
4手のための組曲(全14曲)(1939)*
機械仕掛けの蛇(リヴィングストン編:ピアノ6手)(1921)#
ギー・リビングストン(P)、
フィリップ・ケレル(P)*.#、
ステファーヌ・レアシュ(P)#

録音:2013年5-6月/聖マルセル教会(パリ)
ジョージ・アンタイル(1900-1959)はアメリカの未来派作曲家。高名な割には、あまり音のイメージが湧かない作曲家なので、ピアノ曲をこれだけま とめたアルバムは大歓迎と申せましょう。コープランドと同年生まれで、ガーシュウィンより2歳、ヘンリー・カウエルより3歳年少ですが、いずれとも作 風は異なり、意外にも近代ロシアのピアノ音楽を思い起させます。名前を伏せて聴けば、ストラヴィンスキーかショスタコーヴィチの未知の作品かと見紛 う個性的な面白さに満ちています。
アンタイルは多才で興味深い人物だったようで、音楽家のみならず、エズラ・パウンド、ジョイス、イェーツら文学者やピカソと親しく、また発明の才に も恵まれ、今日の無線LANや携帯電話の原理となるものも、彼が絡んでいると言われています。そうした才気が彼の音楽にも充溢しています。
ジャズ・ソナタはわずか1分49秒の作品で、「自動ピアノのように弾け」という指示があります。また「飛行機ソナタ」では最尖鋭の文明機器を、「野 蛮なソナタ」では原始主義を見事に昇華、芸術作品に仕立てています。ピアノの打楽器的な用法、敏捷な指の動きは痛快でストレス解消にもオススメです。 演奏者ギー・リビングストンはパリ在住のアメリカ人奇人ピアニスト。アンタイル研究家としても知られ、これ以上ない説得力を示しています。 (Ki)
WER-6763
リゲティ:ピアノのためのエチュード
1巻(1985)
無秩序/開放弦/妨げられた打鍵
ファンファーレ/虹
ワルシャワの秋2巻(1988?94)
ガランボロン/メタル/眩暈
魔法使いの弟子/不安定なままに
組み合わせ模様/悪魔の階段
無限柱3巻(1995?2001)
白の上の白/イリーナのため
息を切らして/カノン
トーマス・ヘル(P)

録音:2011年9月26-28日
リゲティの超難曲、ピアノのためのエチュードの全曲録音の登場!この難曲に挑んだのは、ブレンデル、そしてクルタークも絶賛したドイツの若きピアニスト、トーマス・ヘル。ヘルはこのエチュードを何度も演奏会で取り上げているという兵。注目盤の登場です!
リゲティのピアノのためのエチュードは、通算16年をかけて作曲された3つの巻(第1巻(6曲)=1985年、第2巻(8曲)=1988-94年、第3巻(4曲)=1995-2001年)から成る練習曲。リゲティ自身ピアノを弾くのがとても好きだったため、凝りに凝った作品が並びます。まず特徴なのが、その多層性。ポリフォニックに書かれていることはもちろん、声部によってリズム(強拍の位置)が異なっていたり(=ポリリズム)、時には同時に演奏される声部間のテンポが異なっていたり(=ポリテンポ)と、非常に難解。しかしそれが完璧に克服されたときに鳴り響く素晴しい音楽は、他では得られないもの。ここで演奏しているトーマス・ヘルは、このリゲティのエチュードを何度も演奏会で取り上げているという驚異的なピアニスト。このレコーディングもたった3日間で仕上げていますが、この音楽的な演奏にはただただ圧倒されるばかりです。リゲティのエチュードといえばエマールのものが有名ですが、ここに待望の素晴らしい新録音がうまれました!
ブレンデルに「知性とヴィルトゥオージティの両面をあわせもつ」と絶賛されたピアニスト、トーマス・ヘルはドイツ・ハンブルク生まれ。オルレアン国際ピアノコンクールで優勝しているほか、さまざまな国際コンクールで入賞しています。現在ハノーバー国立音楽演劇大学とシュトゥットガルト国立音楽芸術大学で行進の指導にあたる傍ら、日本でもマスタークラスを開催しています。古典から現代音楽まで幅広いレパートリーを持っていますが、とりわけ20/21世紀の音楽の演奏を得意としています。このリゲティのエチュードも何度も演奏会で演奏しており、実演に接したクルタークは、“リゲティの音楽を理解し、それを解釈し、最高度の演奏技術をもって演奏する特別な才能”とヘルのことを絶賛しています。 (Ki)
WER-6764
spaces&spheres〜直観的な音楽
ungone/銀の舌の/液状の恐怖
ライト・ブライト・ナイト
彼女は空気を浄化した/再び見えざるもの
マルクス・シュトックハウゼン(Tp、フリューゲルホルン)
タラ・バウマン(Cl、バスCl)
ステファノ・スコダニッビオ(Cb)
ファブリツィオ・オッタヴィウッチ(P)
マルク・ナウセーフ(打楽器)
ワルター・クインタス(編集)

録音:2008 年2月
980年代から共演を重ねている5人の現代音楽シーンを彩る音楽家が、彼らの直観の赴くままに、4日間に渡って、ディスカッションも無しに奏でた 音楽を、ワルター・クインタスが編集したディスク。このメンバーの一人、コントラバスの名手スコダニッビオは2012年に惜しまれつつ亡くなりました。 このディスクは、スコダニッビオに捧げるものでもあります。 (Ki)
WER-6765(1SACD)
ハンス・ツェンダー(b.1936):Logos-Fragmente (Canto\)(32の声と4つのグループ・オーケストラのための)
フラグメントT-\(UVWZ[\は世界初録音)
エミリオ・ポマリコ(指)
SWRシュトゥットガルト声楽アンサンブル
バーデン=バーデン&フライブルクSWR響

録音:2011年12月
ツェンダーといえば精緻な指揮者ですが、作曲活動も旺盛。このLogos Fragmenteは規模の大きな言葉を伴う作品。新約聖書(ヨハネの福音書) や、ユダヤの人々の間に伝わるタルムード(ヘブライ語の経典)など、様々なテキストに基づいています。音と言葉の関係を追及しているツェンダーならで はの作品。4つのグループにシンメトリーに分けられた器楽奏者、そして32人の声楽家という編成。大規模なオーケストラで、充実の打楽器パート、そ して四分音ずれて調律された2台のピアノが含まれています。時にはギターまで加わるという多彩ぶり。やや難解な印象を受ける作風ですが、言葉と音楽 が混然一体となって聴き手に迫ってきます。 (Ki)
WER-6766
クルターグ (1926 〜 ):ピアノ連弾と2台ピアノのための作品全集
遊びT/遊びV/遊びW/遊び[
マショーの作品の編曲
ラッソの作品の編曲
フレスコバルディの作品の編曲
シュッツの作品の編曲
パーセルの作品の編曲
J.S.バッハの作品の編曲
組曲
ブガッロ=ウィリアムズ・ピアノ・デュオ(ヘレナ・ブガッロ&エイミー・ウィリアムズ)

録音:2011年10月19日-21日、2013年3月29日、30日
※遊び[の一部と、マショー、ラッソ、シュッツ、パーセルの編曲は世界初録音。
ルーマニア出身のハンガリーの作曲家、クルターグが書いたピアノ作品から、2台ピアノおよび連弾(1台4手)のための作品全集の登場。世界初録 音も含まれる注目盤です。前半は全8巻からなる彼のピアノ曲集「遊び」からピアノ連弾と2台ピアノのための作品が、後半はマショーからJ.S.バッハに 至るまでのルネサンス音楽のピアノ連弾と2台ピアノのための編曲、ピアノ連弾のための「組曲」がおさめられています。ピアノ曲集「遊び」は、短い中 に様々な世界が凝縮され、移ろい変わり、聴く人を透明な音宇宙に誘います。後半の一連の編曲ものは、クルターグと過去の巨匠達との対話であり、端 正な佇まいの曲の数々がクルターグの手で編曲され現代の楽器で演奏されることで、時代が移っても変わらない作品の普遍性が際立ちます。演奏は現代 作品演奏で知られるブガッロ=ウィリアムズ・ピアノ・デュオ。クルターグの音楽の中できらめく研ぎ澄まされた音色は必聴です。 (Ki)
WER-6767
クラウス・オスパルト(1956〜): レオパルディ・チクルスより
(1)Cosi dell’ uomo ignara…(室内アンサンブルとライブエレクトロニクスのための)
(2)Sovente in queste rive…(大オーケストラのための)
(3)Sopra un basso rilievo antico seppolcrale…(混声合唱、バステューバ、打楽器四重奏、ライブエレクトロニクスのための)
(1)ペーター・ヒルシュ(指)コレギウム・ノヴム・チューリッヒ、SWR実験スタジオ
(2)ルペルト・フーバー(指)ケルンWDR響 
(3)ケルンWDR放送Cho、ハンス・ニッケル(バステューバ)、ケルン打楽器四重奏団、ルペルト・フーバー(指)

録音:(1)2009年11月19日、(2)2011年12月16日、(3)2012年4月25日-27日
ドイツの作曲家、クラウス・オスパルトが2005〜2011年に書いた一連の作品「レオパルディ・チクルス」。18世紀後半〜19世紀前半のイタリア の詩人ジャコモ・レオパルディによる詩「砂漠に咲く花」を題材にした全6作の作品のうち、このCDには3作品目、5作品目、4作品目がおさめられて います。200年近く前に書かれたレオパルディの厭世的、抒情的な世界が、現代に通じる普遍的なテーマとして音楽の中に息づいているこれらの作品群は、 不気味な低音や、エレクトロニクスによる音色の歪み、各楽器や合唱が作り出す滲むような響きによって独特な世界を形作っています。重々しい曲調なが らカタルシスを味わえる作品です。 (Ki)
WER-6768
ジョン・ケージ:ピアノのためのソロ(Solo for Piano)(1957-58) ザビーネ・リープナー(P)

録音:2012年 5月
この「ピアノのためのソロ」は、ケージの「ピアノとオーケストラのための協奏曲」(1957-58作曲)のピアノ・パートのこと。普通に鍵盤を押すことによっ て発せられる音、内部奏法の音色、ピアノの弦をこする音など様々な音が交錯しますリープナーは、ケージの「南のエチュード」(WER-6740)や、アール・ ブラウンの「抽象的なサウンド・オブジェクト」(WER-6745)などを手掛けた現代音楽のスペシャリスト。ここでも、ケージの謎のような楽譜を見事に 音楽化しています!
ケージが心がけていたのは、「非主体的な音」、音自体にいかなる方向性や意味、色や記憶や伝統などを持たせないことでした。50年代は主に2つの 手法によってこの音を求めるようになります。まず、「偶然性」。中国の易経に基づいて算出された要素に基づいて音を構築していく、いわば作曲行為時に 不確定要素が盛り込まれるように作曲しました。そして、50年代後半になると、易経に基づいて決められたことを楽譜化するのではなく、むしろ楽譜自 体に不確定性をもたせ、音符や楽譜上ではなく、「偶然性」(チャンス・オペレーション)が演奏時に初めて形になるように、演奏者に委ねられるようにな りました。このスタイルで生み出された初期の作品のひとつが1957-58年に書かれた「ピアノとオーケストラのための協奏曲」で、この協奏曲のピアノ・パー トが「ピアノのためのソロ(Solo for Piano)」として独立した作品となっています。63ページ、84の異なるタイプのグラフィック譜から成ります。この 楽譜は、一見すると楽譜のようですが、実際の音の高さやリズムなどは指定されていないもので、いわば演奏者への「提案」のようなもの。リープナーは 内部奏法も巧みに取り入れながら、ケージの音世界を展開しています。なお、本来、この作品は楽章分けされていませんが、聴き手が作品を味わいやす いようにと、7つにトラック分けされています。 (Ki)
WER-6769
細川俊夫:Quintets & Solos
ランドスケープX Landscape V(笙と弦楽四重奏のための)
哀悼歌 threnody(ヴィオラのための)※世界初録音
フラグメンテU fragmenteU(リコーダーと弦楽四重奏のための)
小さな歌 small chant(チェロのための)
ランドスケープU LandscapeU(ハープと弦楽四重奏のための)
エレジー(ヴィオラのための)
アルディッティSQ
宮田まゆみ(笙)
吉野直子(ハープ)
鈴木俊哉(リコーダー)

録音:2013年9月16-17日(1,2,4,6/SWRバーデン=バーデン・ハンス・ロスバウト・スタジオ)、
2012年9月24日(3,5/津田ホール)(セッション)
WERGOより、アルディッティが奏でる細川俊夫作品集の第2弾の登場。弦楽四重奏のための6つの小品「書(カリグラフィー)」(WER 6761)で も話題となりましたが、今回は、弦楽四重奏のほか、細川作品を語るうえで欠かせない笙を担当する宮田まゆみ氏、ハープの吉野直子氏やリコーダーの 鈴木俊哉氏らをゲストに迎えたさらに豪華な内容となっています。いずれも、細川ならではの静寂の世界がますます研ぎ澄まされた作品がならびます。
3と5の作品は、津田ホールで特別に録音されたもの。3ではリコーダーが時に尺八のような響きを繰り出し、5では、ハープが時に弦楽四重奏の通 奏低音のように、時に弦楽四重奏をのみ込むような音で様々に変化していきます。2の「哀悼歌」(ヴィオラ・ソロ作品)は世界初録音ですが、聴いてい ると次第にトランス状態になるような作品です。細川は自分の音楽について「聞き手を “無という静寂の境地” へと誘う」と述べていますが、彼の禅を思 わせる日本に根ざした音世界は、宗教、文化的イディオムを越えて、様々な国の人の耳を魅了しつづけています。 (Ki)
WER-6770
76頁ブックレット付
シェーンベルク:「期待」モノドラマ op.17 ヘルガ・ピラルシク(S)
ヘルマン・シェルヘン(指)北西ドイツPO

録音:1960 年
LP発売:1964年/DSDマスタリング:2012年
シェーンベルクの最初の舞台作品『期待』のシェルヘンによる演奏。シェルヘンといえば、1912年にシェーンベルクの「月に憑かれたピエロ」を初演 したなど、同時代の音楽の推進に非常に積極的でした。『期待』はシェーンベルクがわずか17日(1909年8月27日-9月12日)で書き上げた大作(オー ケストレーションは後日行われた)ですが、演奏が困難なこともあり、初演は1924年まで行われませんでした(初演の指揮はツェムリンスキー)。死へ のおそれに満ちた悪夢のような不安な闇の世界とグロテクスな官能が入り混じる様が、テンポの激しい変化や非常に難しい歌唱・管弦楽パートによって表 現されています。初演から40年弱のときを経て行われたこの録音、シェルヘンは気迫満点、非常に濃厚で劇的な音楽で聴かせます。現代音楽も得意とし、 「ピエロ歌い」としても名を馳せていたピラルシクも、シュヒターらに鍛え上げられた歴史をもつ北西ドイツ・フィルの面々と一体となって、迫力ある歌唱 を聴かせています。 (この商品は1CDの商品ですが、ブックレットが厚いため、2CDサイズのジュエルケース入りの発売となっています) (Ki)
WER-6771
76頁ブックレット付
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「アゴン」 ハンス・ロスバウト(指)
バーデン=バーデン南西ドイツSO

録音:1957年10月
LP発売:1964年/DSDマスタリング:2012年
アゴン」は、1975年6月17日、作曲者の75歳の誕生日を祝う「オール・ストラヴィンスキー演奏会」で、ストラヴィンスキー自身の指揮によって初演(音 楽のみ)され、同年12月1日、親友のバランシンの振付により、舞台初演されたバレエ音楽。「アゴン」とはギリシア語で「競争」を表す言葉。出版譜 の扉ページにも、ストラヴィンスキー自筆のギリシア文字によるタイトルが刷られました。「12人のダンサーのためのバレエ」という副題がつけられていま す。作品は三分の二がセリー主義で書かれ、また、凝った旋法も用いられた作品。ストラヴィンスキーは、17世紀中ごろのフランスの舞踊教本に基づいて、 いわば組曲のかたちをとった1幕の作品に仕立てています。特に物語性はありませんが、突き刺すようなリズム、ブランルの部分の透明感や、効果的な 楽器の音色の選択など、随所にストラヴィンスキーの創意の冴えが光ります。現代音楽の擁護者としても名を馳せた名指揮者ハンス・ロスバウト(1895-1962)の明晰な指揮ぶりも注目の貴重な演奏の登場です。 (この商品は1CDの商品ですが、ブックレットが厚いため、2CDサイズのジュエルケース入りの発売となっています) (Ki)
WER-6772
シュトックハウゼン:打楽器奏者のためのツィクルス
 (1)第1版
 (2)第2版
(3)ピアノ作品]
(1)クリストフ・カスケル(Perc)〔録音:1960年10月〕
(2)マックス・ノイハウス(Perc)〔録音:1963年2月〕
(3)フレデリク・ジェフスキ(P)〔録音:1964年12月〕

DSDリマスタリング:2012 年
「打楽器奏者のためのツィクルス」は、1959年、クライニヒシュタイン打楽器コンクールのために作曲されたもので、複数の調律されたカウベル、ア フリカのドラムなどといった楽器指定のある作品。楽器の調達が難しい場合は、似たような音色のものを用いることもできます。楽曲の長さも指定があり ませんが、大抵9-15分に収まります。1959年にこの作品の初演を務めた打楽器奏者カスケル(シュトックハウゼンの自主レーベルに収められた演奏も カスケルによるもの)は、「最初に楽譜を見た時はこの作品がどれほど難しいかすぐにはわからなかった」と語りますが、「作曲されたエレメンツが満ちた 楽譜ながら、奏者には即興の自由が与えられている」など、楽器の調達、配置などの難しい問題を克服した素晴しい演奏を聴かせてくれます。ノイハウス はこの作品のために、新しい奏法を編み出したといいますので、どちらも興味深い演奏となっています。 ピアノ作品]は、無秩序と秩序を結び付けようとした作品。スケール(音階)を用いて、無秩序と秩序があらわされます。天才的離れ業師ジェフスキの 技巧が光ります。 (Ki)
WER-6773
電子音楽の祖・ヘルベルト・アイメルト(1897-1972)作品集
(1)久保山愛吉の墓碑銘(語り手と語りの音響のための)
(2)6 つ のスタディ(電子音楽)
(1)翻訳:ギュンター・アンダース、語り:リヒャルト・ミュンヒ〕
(2)西ドイツ放送電子音楽スタジオ、リアリゼーション:レオポルト・フォン・クノーベルスドルフ

LP発売:1966年(WER60014)
ヘルベルト・アイメルト(1897-1972)は、西部ドイツ放送協会の電子音楽スタジオの設立(1951)者。その後シュトックハウゼンやカーゲルらに与 えた影響も大きい、電子音楽の祖の一人といえる存在です。(1)の久保山愛吉の墓碑銘は、最初に久保山愛吉の死を悼む内容の詩が読まれ、その後、そ の肉声の音声を、テープ、アンプ、スピーカー、フィルターなどを通して電気的に変容させたものが流れるもの。語り手が発した言葉(=音)のみを素材 として用いており、その他の外部音の録音素材などは一切使われていません。おそろしさすら感じさせる、圧倒的な仕上がりといえましょう。
=久保山愛吉〜第五福竜丸=
1954年3月1日、ビキニ環礁で行われた水爆実験に、第五福竜丸(静岡のマグロ漁船)が遭遇し、船体および船員(23名)、捕獲した魚類が放射性 降下物に被爆した事件。この船長が久保山愛吉氏で、この事件は世界に大きく報じられた。 (2)の6つのスタディは、1962年春に作曲されたもので、こちらの作品もまた、人があるテキストを朗読した音声を変容させていく作品。オーディオ的に かなり聴きごたえのある1 枚です。 (Ki)
WER-6774
シュトックハウゼン:モメンテ(1965年版)
ソプラノ、4つの合唱グループ、13人の楽器奏者のための
第1部 [27:34]/第2部 [29:36]
マル ティナ・アロヨ(S)
アロイス・コンタルスキー(ハモンド・オルガン)
アルフォンス・コンタルスキー(ロウリー・オルガン)
ケルン放送Cho
カールハインツ・シュトックハウゼン(指)
ケルン放送交響楽団のメンバー

録音:1965 年(WDR)
LP発売:1967年(WER-60024(廃盤))
「モメンテ」はWDRの委嘱で1961から62年にかけて作曲されました。ソプラノ、4つの合唱グループ、13人の楽器奏者のための作品ですが、始 まりも構造も終りも明確には指示されていません。複数の意味を持つ独立したイベントから成る作品です。計画された長さで、手で扱える発音体から発せ られる音に基づく「瞬間」のいくつかのグループが、演奏の様々なヴァージョンを作り上げます。シュトックハウゼン自身の指揮の下、当時の現代音楽シー ンを牽引する演奏家たちが臨んだ真剣勝負の録音。極限の緊張感と集中が生みだした奇跡的な名演といえるでしょう。 〜Studio Reihe Nerer Musikスタジオ・ライン・新音楽シリーズ〜  1962年に設立された現代音楽の名門レーベルWERGO。レーベル初期に生み出されたLPで未CD化のものをあらためて世に送り出すのがこのスタ ジオ・ライン・シリーズ。丁寧なマスタリングとともに、20世紀音楽の音楽史の貴重なページが、CDとなって鮮やかによみがえります。 (Ki)
WER-6775
リュク・フェラーリ(1929−2005):作品集
UND SO WEITER(などなど)〜電子ピアノと磁気テープのための(1965-66)
音楽的プロムナード(オリジナル・ミックス)(1964-69)*
 第1部、第2部
ジェラール・フレミー(P)

録音:1966年、1969年*
LP発売:1969年/マスタリング:2012年
どちらかというと耳障りな音で構成される「UND SO WEITER(and so on)」。「音楽的プロムナード」も、雑踏の雰囲気、街中で聴こえるラジオの音、 誰かの叫び声など、街中で聴こえてくるような音を巧みにコラージュして作り上げられた、なんとも深遠な世界。フェラーリ的な環境音楽好きにはたまら ない内容です。音質が妙になまなましくリアルなのも魅力といえるでしょう。 (Ki)

WER-6776
B.A.ツィンマーマン:作品集
(1)チェロとオーケストラのための協奏曲「’パ・ドゥ・トロワ’(3でなく)の形式で」
(2)フォトプトシス(大オーケストラのためのプレリュード)
(3)TrattoU
(1)エルネスト・ブール(指)
 バーデン=バーデン南西ドイツRSO
 ジークフリート・パルム(Vc)
(2)ハンス・ツェンダー(指)ベルリンRSO
(3)電子楽器の演奏

1972年、LP(WER-60072)発売、2012年DSDリマスタリング
スタジオ・ライン・シリーズの第1作は、ツィンマーマンの作品集。彼の作風の特徴の一つが、引用の技法を用いているということ。バロックからロマン派、さらに民俗音楽、ジャズなど様々なジャンルの音楽のエッセンスが隠し画のように取り入れられています。この引用された素材たちは、高い次元で、音楽の中で、過去・現在・そして未来と融合、核爆発しています。(1)のチェロ協奏曲では、ひとつの音楽単細胞から、魔術的なまでの力をもつ怪物的音楽を作り上げます。パルムの超人的な弓さばきは圧巻。(2)のフォトプトシスは、かのオペラ「軍人たち」を思わせるようなラッパの咆哮が聴き手の不安感を掻き立てる作風で、時折ベートーヴェンの第九を思わせるパッセージが聴こえるなど、ツィンマーマンのコラージュの技法もふんだんに盛り込まれた、彼の真骨頂的作品のひとつといえるかもしれません。
(3)のTrattoUは、1968年の大阪万博のために書かれたもの。電子音楽の最初期の重要作品です。Trattoとは様々な意味がありますが、ここでは「ストレッチ」と解されます(時・そして空間の伸長)。曲の最初から進行する部分と、最後からさかのぼる部分が同時進行で書かれました。時空が捻じ曲げられたような不思議な感覚をおぼえる作品です。
【演奏者について】
(1)でチェロを弾くジークフリート・パルムは1927年ヴッパタール生まれ。8歳から父の手ほどきでチェロを始め、マイナルディにも師事しました。1947年から15年間、イッセルシュテットの下、北ドイツ放響の首席チェロ奏者として活躍、その後もハンブルクおよびケルン放響の首席チェロ奏者として重要な役割を果たしました。何よりも現代音楽のエキスパートとして歴史に名を刻んでおり、カーゲル、リゲティ、クセナキス、ペンデレツキ、フェルドマン、そしてツィンマーマンら多くの作曲家が彼のために作品を書いています。ほか、オーケストラも指揮者も最高の布陣といえるでしょう。WERGOの、現代音楽の旗手としての高い理想を目の当たりにするようです。 (Ki)
WER-6777
クリスチャン・ウォルフ(b.1934):作品集
(1)ピアノのためにT(1952)
(2)ピアニストのために(1959)
(3)バードックス(1971)
(1)デイヴィッド・チューダー(P)
(2)フレデリク・ジェフスキ(P)
(3)デイヴィッド・バーマン、ゴードン・ムンマ、ジョン・ナッシュ、フレデリク・ジェフスキ、クリスチャン・ウォルフ

録音:1971年 8月/ LP 発売:1972 年/2012 年 DSDリマスタリング
クリスチャン・ウォルフはアメリカの作曲家。ハーヴァード大学で古典学を専攻しました。演奏家自身が音楽を練り上げること、ある程度まで自由に音響に働きかけ、それに反応することをよしとした作風です。思わせぶりな「間」など、どこか日本の詩歌の世界も彷彿とさせるかもしれません。(1)のピアノのためにはチューダーのために書かれた作品。1952年にチューダーによって初演されました。長さと密度(和音)が変化する16の部分から成っています。初期作品の特徴とされる、「間」(休符)がふんだんに用いられていますが、緊張感に満ちた演奏です。(2)は、歌手と一緒に演奏されることも念頭において作曲されたものですが、ここではジェフスキが一人で演奏。10ページから成り、その楽譜は「演奏者を迷宮に迷いこませる」とヴォルフ自身が述べているほど、難解なもの。ジェフスキがどう挑むか、見ものの14’ 38の大作です。この作品も、音と音の間の「間(休符)」が緊張感を高めています。
(3)は管弦楽のための作品。10の部分から成っており、この録音では、U(和音)、X(金属)、Y(メロディと伴奏)、[(100ビット)、\(流砂)の5つの部分が収録されています。20世紀音楽史を彩る豪華な面々による演奏で、注目です!ちなみにBurdockとはゴボウのこと。
■出演者について
デヴィッド・ベールマン(b.1937)---ハイフェッツの甥。リーガー、プスール、そしてシュトックハウゼンらに師事したアメリカの作曲家。1966年からソニック・アーツ・ユニオン(電子音楽ライヴ演奏集団)のメンバーとして電子音楽の分野で活躍。自ら開発したシステムを使用しています。(3)ではヴィオラ、メロディオン、ホイッスル(笛)で参加。
ゴードン・ムンマ(b.1935)---アメリカの作曲家、電子音楽作曲家、ホルン奏者。ソニック・アーツ・ユニオンを設立。音と空間を巧みに組み合わせた作風。舞踊を始め、他ジャンルとのコラボレーション多数。(3)ではホルン、ハーモニカで参加。
フレデリク・ジェフスキ(b.1938)---アメリカの作曲家、ピアニスト。シュトックハウゼンのピアノ作品の初演に他ズさらったほか、ブーレーズ、アイスラーの作品のレコーディングも行っています。ドラマチックで、20世紀の難曲ピアノ作品の一つに数えられる「不屈の民」の作者としても名高い。(3)ではピアノとパーカッションで参加。
デイヴィッド・チューダー(b.1926)---アメリカのピアニスト、そして作曲家。シュトックハウゼンの「コンタクテ」など重要作品の初演に参加、また、ブーレーズのソナタ第2番をアメリカに紹介した。ケージとの親交もあつく、「ハプニング」(偶然性の音楽)とでもいうべきものを発明。ケージの問題作「4’33’’」も世界に紹介した。1960年以降は主として電子音楽の演奏者として活躍している。(3)ではバンドネオン、オルガンを担当。ジョン・ナッシュ---(3)でヴァイオリニストとして参加。 (Ki)
WER-6778
シェーンベルク:月に憑かれたピエロ(全曲) ヘルガ・ピラルツィク(声)
マリア・ベルクマン(P)
ジャック・カスタニエール(Fl&ピッコロ)
ギィ・デュプル(Cl)
ルイ・モンテーニュ(バスCl)
ルーベン・ヨルダノフ(Vn)
セルジュ・コロー(Va)
ジャン・フショ(Vc)
ピエール・ブーレーズ(指)

録音:1961年
(1963年にLP発売/WER 60001;2012年DSDリマスタリング)
ドイツの現代音楽の名門レーベル、WERGO。その記念すべきリリース第1弾は1963年、このブーレーズ指揮による「月に憑かれたピエロ」のLP 盤でした。レーベルの礎を築いたこの名録音が、このたびリマスタリングされてWERGOよりCD化されるはこびとなりました。
シェーンベルクの無調時代を代表する作品、『月に憑かれたピエロ』。話し言葉の伴奏のために書かれた器楽の音楽、「メロドラマ」のスタイルで書かれ ています。このメロドラマというジャンルは19世紀に一世を風靡し、一度下火となったものの、1910年頃再び人気が出てきたもので、シェーンベルクが この作品を書いたのは最先端、というわけではありませんでしたが、メロドラマを代表する作品として歴史に輝いています。
五人の奏者が八つの楽器を受け持つという編成による12音技法の伴奏パートと、語る旋律シュプレヒシュティンメ(シュプレヒゲザングとも/音符の 符尾に×印がつけられた音をまず正確に音符どおりの高さで発声したのち、すぐに高く、あるいは低く変化させる)が織り成すミステリアスな世界は、一 度聴いたら忘れられない鮮烈なもの。この作品を書くよう示唆したのは女優(正確には話し家、あるいは朗吟家)のアルベルティーネ・ツェーメで、この 曲は彼女にささげられており、初演も彼女によって1912年にベルリンで行われています。
この録音は、初演から約50年経ったころのもの。ブックレットには発売当時のブーレーズのコメントが掲載されていますが、1941年にシェーンベルク 自身が信頼していたエリカ・ワーグナー=シュティードリーを起用して行った録音を聴いて、「今日の我々の耳には絶望的に時代遅れ」とし、シェーンベル ク自身が演じるシュプレヒシュティンメを聴いたことのあるレオナード・シュタイン(シェーンベルクのアシスタントでもあった)の助言を得るなど、様々な 試行錯誤をしてこの演奏に至った経緯が語られており、こちらも興味津々です。  (Ki)
WER-6780
シェーンベルク:セレナード Op.24 ルイ=ジャック・ロンドルー(Bs)、
ギィ・デュプル(Cl)
ルイ・モンテーニュ(バスCl)、
ポール・グルンド(マンドリン)、
ポール・スティングル(G)
ルーベン・ヨルダノフ(Vn)
セルジュ・コロー(Va)
ジャン・フショ(Vc)
ピエール・ブーレーズ(指)

初出:1963年(DSDリマスタリング:2012年)
1960年代にLP(WERGO-60002)で発売された、ブーレーズ指揮によるWERGO最初期録音がDSDリマスタリングを経てCDで蘇りました!高音質レーベル「CYBELE RECORDS」を手掛けるIngo Schmidt-Lucas氏によるマスタリングです。ステレオ録音なだけでも有難いところですが、これ が驚くほどすばらしい音質!くっきり明瞭、演奏レベルの高さが十二分に味わえるたまらないディスクの登場です。
シェーンベルクはかの有名な『5つのピアノ曲』Op.23でついに12音技法を体系化し、世に送り出しました。その次の作品番号(Op.24)を持つ『セ レナード』は12音技法の可能性をさらに押し広げたもので、7楽器と声楽という、ピアノ独奏曲とは違う豊かな色彩を備えた編成によって書かれた重要 作です。ギターが入っているあたりブーレーズの『ル・マルトー・サン・メートル』を思わせる音響で、機械的な動きにしてキラキラした音を振りまくのが 印象的。それをブーレーズが指揮しているのだから何とも面白い演奏に仕上がっています。 ※CDは1枚ですが、解説書が厚いため(48ページ)2枚組用のプラケースに入っています。 (Ki)
WER-6781
angels
1. リザ・リム:Wild Winged-One. Solo for C cornet with wacky whistle *
2. リチャード・アイレス:No. 37C (4本のトランペット)
3. レベッカ・サウンダース:Neither. Duo for double-bell trumpets *
4. ゲオルク・フリードリヒ・ハース:… Einklang freier Wesen …(四分音のフリューゲルホルンのためのソロ版
 (マルコ・ブローウ編))
5. カール・ルグレス:Angels(弱音器をつけた管楽器による六重奏)
6. アガタ・ツベル:Wounded Angel(ダブルベル・トランペットのソロのための)
7. マルティン・スモルカ:Pianissimo(バケットミュートをつけた4つのトランペットのための)
8. マルティン・パディング:23 Sentences & Autograph(ダブルベル・トランペットのソロ)
9. マルコ・ブローウ:Deathangel(多重録音)
10. ジミー・ロウルズ:The Peacocks(ダブルベル・トランペットとプリペアード・ピアノのための)
マルコ・ブローウ(Tp)

録音:2012年 5月
現代音楽シーンで特に活躍しているトランペットの名手、マルコ・ブローウ。今回も様々なテクニックを駆使して新しい世界を展開しています。「これら の音楽は、振動する空気がおりなスピリチュアルで天使のような存在」とブローウは語ります。 (Ki)
WER-6782
ジョン・ケージ:ソナタとインターリュード
ソナタ第1番〜第4番
第1のインターリュード
ソナタ第5番〜第8番
第2のインターリュード
ソナタ第9番〜第12番
第3のインターリュード
ソナタ第13番〜16番
アントニス・アニセゴス(P)

録音:2012年10月26-27日
インド哲学の影響を受けて作曲したこの《ソナタとインターリュード》(1946-48)は、プリペアード・ピアノ、そしてケージの名を広く世界に知らしめ ることとなった名作。ネジ、ボルト、ゴム、フェルトやプラスチック製のものをピアノ弦に設置、ガムラン音楽の楽器を思わせる打楽器の音色を得て、イ ンドの瞑想的な世界が広がる興味深い作品です。どのようなネジをどのピアノ弦に設置するか、という指示は、ケージの後年の作品と違ってかなり細かく 厳密なもので、ピアニストはこの作品のプリペアード・ピアノの準備に約3時間要するといわれます。ガムラン音楽を思わせる要素の強い音楽のため、ど こか呪術的な方向に走りがちな演奏が多いですが、このアニセゴスの演奏は、時に非常に機械的、時に非常にミステリアスと、様々な表情で聴かせます。 アニセゴスは1970年ギリシャ生まれ。7歳からピアノを始め、作曲でも受賞多数、電子音楽も演奏するというマルチの才能の持ち主です。 (Ki)
WER-6783
マーク・アンドレ:作品集
S1 (2台ピアノのための)(2009-2012)*
Un-fini III (ピアノのための)(1993-95)
iv 11a (ピアノのための)(2011)
iv 11b (ピアノのための)(2011)
コントラプンクトゥス(ピアノのための)(1998-99)
iv 1(ピアノのための)(2010)*
Tomoko Hemmi(P)
Yukiko Sugawara(P)*

録音:2012年5月
マーク・アンドレのピアノ作品集。アンドレが、消え去ってしまう「音」の反射と衰退を緻密に研究した成果に基づいています。トーン・クラスター、弦 を指でさすって音を出すなどの様々な音色が聴かれます。さらに、その音色がもたらす残響効果もバッチリ録音されています。アンドレ自身が最も信頼して いる楽器・ピアノで音・音色・音響を極限まで追及した成果がここにあります。 マーク・アンドレは1964パリ生まれの作曲家。パリ国立高等音楽院にてクロード・バリフとジェラール・グリゼイに師事、その後シュトゥットガルトでラッ ヘンマンの薫陶を受けています。ドナウエッシンゲン音楽祭などでオーケストラ賞など数々の名誉ある賞を受賞。2012年にはモーツァルト週間のコンポー ザー・イン・レジデンスを務めるなど、今もっとも注目されている作曲家です。現在は、ドレスデンのカール・マリア・フォン・ウェーバー音楽院で教授 を務めています。ベルリン在住。
WER-6784
ペーテル・エトヴェシュ(b.1944):作品集
6人のためのソナタ(2人の鍵盤楽器奏者、3人の打楽器奏者、1人のサンプリング・ピアノ奏者のための)(2006)
詩篇151(フランク・ザッパの思い出に)*
コスモス〔2台ピアノ版〕(1または2つのピアノのために)(1961年作曲、1999改訂)#
グラウシューマッハー・ピアノ・デュオ
ケルン打楽器四重奏団
パウロ・アルバレス(キーボード)

録音:2007年#、2008年、2010年*
エトヴェシュにとって、「母国語」音楽はバルトークである、といいます。(1)の「6人のためのソナタ」は、もともとは2006年のバルトーク生誕125 周年にあわせて書かれたピアノ協奏曲CAP-KO (Concerto for Acoustic Piano, Keyboard, and Orchestra)。もとはピアノ、キーボードとオーケスト ラのための協奏曲で、キーボードはピアノが奏でた素材を拡大したりするために用いられました。エトヴェシュはこの作品でバルトークの開拓精神を象徴 したかったといいます。この協奏曲を6人の奏者のために編曲したのが「6人のためのソナタ」。バルトーク的な連続8度などが印象的な作品です。 (2)の「詩篇151」は、フランク・ザッパが1993年に42歳の若さで亡くなったことへの悲しみを込めた作品。エトヴェシュは「ザッパがこんなに若くし て死んでしまうなんて、神を信じることはできない、むしろ神に抗議したい」と述べており、この抗議の意が込められたような作品となっています。 (3)の「コスモス」はバルトークのミクロコスモスにかけたものですが、同時にガガーリンの有名な宇宙飛行直前の1961年3月に書かれたもの。エトヴェ シュは当時17歳で、ガガーリンはこの若き作曲家の想像力に感銘をうけたといいます。 (Ki)
WER-6785
シュトックハウゼン:「Amour(愛)」
「ハルレキン(小さなハーレキン)」
WOCHENKREIS(オペラ「光」(一週間の七つの日)より月曜日)*
ミケレ・マレッリ(Cl,バセットホルン*)
アントニオ・ペレス・アベリャン(シンセサイザー)*

録音:2013 年 3月
シュトックハウゼンが認めた名クラリネット奏者、ミケレ・マレッリによるシュトックハウゼン作品集!マレッリは、18 歳でシュトックハウゼンと出会い、 以後10年以上に渡ってアーティストとして関わりをもち、彼の作品のいくつかを、作曲者自身の指揮によって初演も手掛けた人物。シュトックハウゼンは、 マレッリに、バセットホルンにも注力するよう強く勧めたといいますが、ここではバセットホルンによる「光」も収録。大いなる注目盤の登場といえるでしょう!
「AMOUR(愛)」は、シュトックハウゼンが、作曲当時関わりのあった女性に送った5つの短い詩に基づいた5曲からなる小品集。3曲目の「蝶々 が飛んでいる」は、2 匹の蝶が追いかけっこをしながら飛んでいる様子を、2つのリズムと2つのテンポの間を行ったり来たりすることで表現したもの。7 分におよぶ難曲として知られますが、シュトックハウゼンにも認められたマレッリの演奏、注目です。
「ハルレキン(小さなハーレキン(=道化))」は、シュトックハウゼンの舞台作品として最もよく知られたもののひとつで、奏者は、衣装を身にまとい、 かなり緻密に楽譜上に師事されているダンスの動きをし、聴衆を音響的にも視覚的にも楽しませながら、難曲を弾かなければなりません。本来は40分 以上もする大曲ですが、ここではパントマイムの部分を演奏。マレッリがどのような「道化」を演じるか、聴き逃せません(CDなので映像はついていま せんが、ダンスをしている足音はきちんと収録されています)。
バセットホルンとシンセサイザーのためのWOCHENKREISは、一週間の七つの日は、イエス・キリストの誕生から昇天までを描いた大作オペラ「光」(一 週間の七つの日)の月曜日。大天使の役割を与えられたシンセサイザーを務めるのは、同じくシュトックハウゼンの信頼も厚かったアントニオ・ペレス・ア ベリャン。「エヴァ(イヴ)の歌」をバセットクラリネットが音楽的に奏で、シンセサイザーと絡む充実の世界です。 (Ki)
WER-6786
原田敬子(b.1968):作品集
F-fragments(アコーディオンとピアノのための)
1. Twin Leaves
2. Speedy
3. Noise
4. Fall Time Blues
5. Pray for 18537? +2654?
6. Vertical
7. Points
8. Alert
9. BONE
10. Try to Fly
11. (no title)
Book T(アコーディオンのための)
12. Detour
13. Aprinkled Efforts
14.Anticipation
15.Hen-pu
Nach Bach(ピアノ・ソロのための)
16. XV: 廻由美子へのオマージュ
17. VI: ル・コルビジェへのオマージュ
18. IX: 間宮芳生へのオマージュ
19. X: 美加理(ミカリ)へのオマージュ
20. XVIII: 三善晃へのオマージュ
21. XXI: ブライアン・ファーニホウへのオマージュ
22. XII: ステファン・フッソングへのオマージュ〕
廻由美子(P)
シュテファン・フッソング(アコーディオン)

録音:2013年1月10-12日/相模湖ホール(録音:桜井卓)
日本人作曲家、原田敬子の作品集。福島が強く意識された作品が並びます。演奏するのはアコーディオンの世界的名手、フッソングに、ピアニストの廻。 原田作品ならではの時間軸や緊迫感を感じさせる世界を見事に響かせています。
F.フラグメンツは、2012年11月3日に世界初演された作品。原田自身「直接の面識がない人々、行ったことのない土地、そこで流れた時間を、覚 醒して意識的に、この11の断片的楽章に記憶しようと試みた」と述べていますが、福島をめぐる様々な事象や人物が刻み込まれた音を、ピアノとアコーディ オンが極度の集中の中響き合わせていきます。
BOOK T(アコーディオンのための)は2010年8月28日、サントリーサマーフェスティヴァルの一環の、芥川作曲賞創設20周年記念ガラ・コンサー トで委嘱世界初演されたもの。アコーディオンにはどちらかというと難しく、上手く効果が出ないと言われている表現、すなわち、囁くような音色で素早く レガートで動き回ること、垂直的で鋭い音色による多重音の速い複雑な音の連なり、気の遠くなるほどの長音を弱音で、極限の蛇腹技術でコントロール すること、そして複雑な手の動きと同時に複雑なリズムで「口」(無声音)も使うなど、名手フッソングをしても「不可能」と言わしめた非常に難しい作品。 原田はこのCDのフッソングの演奏には意にそぐわないところはない、と述べています。
Nach Bachは、田崎悦子ピアノリサイタルシリーズ〜NACH BACH〜のために書かれたもので、2004年の9,11月に初演されました。田崎が 2004年に平均律でリサイタルのプログラムを構想していた折、「平均律」に関係する作品を作ってほしい、と原田にリクエストしました。平均律の各曲の プレリュードかフーガのいずれかを任意で選び、各主題の音組織を全く自由に並び替えることで、各曲に対応する全24曲を作曲。それぞれは、主に芸 術関係者へのオマージュとなっています。本CDには、原田の3名の恩師、美加理(俳優)、ル・コルビジェ(建築)、そして廻とフッソングへのオマージュ の7作品が収録されています。
原田敬子は、幼少のころからピアノで即興演奏をするなどして作曲を開始。桐朋学園大学で作曲を川井學、三善晃、ブライアン・ファーニホウに、ピア ノを間宮芳生、室内楽(クルターク作品)をジョルジ・クルタークに師事しました。大学では作曲を専攻すると同時に、ピアノ・室内楽・指揮法を学び、 1993年に研究科課程を修了しています。’ 90年代半ばから「演奏家の、実際の演奏における内的状況を作曲する」というコンセプトで、演奏家の身体 と脳の可能性を拡げることで実現される、独自のテンションや字管構造を特色とした作品を多く書いています。これまでに第62回日本音楽コンクール第 1位(室内楽)をはじめ、芥川作曲賞(2001、管弦楽)、尾高賞(2008、管弦楽)ほか受賞多数。現在、東京音楽大学(芸術作曲)准教授。 (Ki)
WER-6787(2CD)
レナート・デ・グランディス: 48の前奏曲 アントニオ・タラッロ(P)

[録音:2013年2-6月/ミラベッロ・レコード・スタジオ(パヴィア)
レナート・デ・グランディス(1927-2008)はイタリアの作曲家。マリピエロ門下で、マデルナ、ノーノ、ベリオと同世代。1960年代から80年代はド イツに住み、前衛派を代表するひとりでしたが、1987年に作曲をやめてしまい、哲学に専念したり仏教系宗教の信者となりアジアにたびたび旅をしました。 その後作曲意欲が再燃し、1998年から2002年にかけて「前奏曲」と題するピアノ曲を48曲作りました。様々な作風によりますが、作曲者の心象 日記のような趣の小品集。ピアニスティックな面白さもあり、グランディスの魅力をすべて味わえます。 演奏はイタリアのベテラン、アントニオ・タラッロ。 (Ki)
WER-6789
アドリアーナ・ヘルツキー(b.1953): … und ich sah wie ein glaesernes Meer, mit Feuer gemischt…
(そして私は草の海が炎と混ざり合っていくのを見た)(1996/97)
Efeu und Lichtfeld(ツタと光の草原)(2008)
… und wieder Dunkel T(そしてふたたび暗闇T)(1985/90)
ドミニク・ズステック(Org)
ザビーネ・アキコ・アーレント(Vn)
イェンス・ブリュッルス(打楽器)

録音:2013年 4月
ヘルツキー独特の不安感をあおられる世界を、シュトックハウゼン(KKC.5302/ WER.6736)やリゲティ作品(KKC.5329/ WER.6757)でも名演 をのこしている鬼才オルガニスト、ズステックの演奏で満喫できる1枚の登場。
ヘルツキーの音楽は、1970年代に初めて発表された当時、不安やパニックと結び付けて論じられ、エキセントリックで不安定な音楽であると批評され ました。ヘルツキー作品における重要な要素のひとつが「時間」。「私が戦争のことを思う時、そこで体験される様々な『時間』のことを思います。戦闘 機のパイロットが感じる時間、爆弾が地面で爆発する時の時間・・・。こうした、ひとつの場所で起こっている、時間の感覚の様々な相違は、私の作曲 の核となっています」(ヘルツキーの言葉)。彼女の作品の中では、拍動を感じない時間や、加速したり減速したりする時間など、その感覚は様々。さらに、 音の空間的広がりも、無重力の宇宙空間のようであったり、非常に狭い空間であったり、伸縮自在。そんなヘルツキーの世界を表現するには、空間を広 く使うオルガンという楽器はぴったりといえるでしょう。ヘルツキー独特の世界にどっぷり浸かれることうけあいの新譜の登場です! (Ki)
WER-6792(2CD)
ラヴ・ソングス〜アンサンブル・ルシェルシュへの献呈作品集
[CD1]
1. ハンス・アブラハムセン(b.1952):愛の歌
2. マーク・アンドレ(b.1964):iv 9
3. カローラ・バウクホルト(b.1959):愛の歌
4. セバスティアン・クラーレン(b.1965):M.B.R.M.M.P.P.
5. ハヤ・チェルノヴィン(b.1957):愛の歌
6. クリストファー・フォックス(b.1955):欲望への線
7. ゲオルク・フリードリヒ・ハース(b.1953):愛の歌1,2,3
8. ニコラウス・A. フーバー(b.1939):音楽に寄す。Poem ? Liebesradierung
9. ゲオルク・クレル(b.1934):mit innigster Empfindung
10. ラモン・ラスカーノ(b.1968):無言歌
11. エレーナ・メンドーザ(b.1973):ルシェルシュのための愛の歌
12. W.A.モーツァルト/サルヴァトーレ・シャリーノ(b.1947)編:グラスハーモニカのためのアダージョKV 356(617a)
13. ファビオ・ニーダー(b.1957):Dear SCHUH auf dem WEG zum SATURNIO
14. エクトール・パッラ(b.1976):ルシェルシュのための愛
15. エンノ・ポッペ(b.1969):Schweiss
16. アンドレ・リシャール(b.1944):Y al volver la vista atras se ve…
[CD2]
1. ルチア・ロンケッティ(b.1963):Rosso pompeiano. Scherzo for ensemble
2. ロルフ・リーム(b.1937):愛の歌
3. フランソワ・サラン(b.1972):愛の情景
4. ヨハネス・シェルホルン(b.1962):シャンソン(愛の歌)
5. コルネリウス・シュヴェーア(b.1953):ノットゥルノ・アモローゾ
6. マルティン・スモルカ(b.1959):AMarcORdOSO
7. ヨハネス・マリア・シュタウト(b.1974):愛の歌
8. ギュンター・シュタインケ(b.1956):お前に
9. カスパール・ヨハネス・ヴァルター(b.1964):Angelorum Psalat
10. イェルク・ヴィトマン(b.1973):愛の歌
11. ゲルハルト・E・ヴィンクラー(b.1959):愛の歌(無言歌T)
12. アラ・ザガイゲヴィチ(b.1966):愛しい人のまなざし
13. ハンス・ツェンダー(b.1936):アルファベット(カーマスートラ)
アンサンブル・ルシェルシュ

録音:2011年
アンサンブル・ルシェルシュは、1985年の創立以来、じつに500以上の作品の初演を手掛けてきた、現代音楽シーンの猛者アンサンブル。これまで に50ほどのCDをリリースしており、それらはドイツ批評家賞に輝くなど、世界で非常に高く評価されています。2010年の25周年を迎えて、メンバー たちは、31人の現代作曲家に、「愛の歌」を委嘱。出来あがってきた作品を録音したのがこの2枚のCDです。それぞれの作品の編成は事なりますが、 ここでは核となる9人のメンバーが演奏しています。どれもアンサンブル・ルシェルシュのために書かれたものとあって、力の入ったもの。ヴィトマンやツェ ンダーの作品が収録されているのも魅力。また、モーツァルトの作品をサルヴァトーレ・シャリーノが室内楽編成に編曲したものは、楽器の扱いに長けたシャ リーノの本領発揮、ピュアな美しさに満ちており、各メンバーの巧さも堪能できる内容で、注目です。 (Ki)
WER-6794
ジャチント・シェルシ(1905-1988):組曲第9番 Ttai(1953)[全9楽章/36:30]
組曲第10番 ka(1954)[全7楽章/22:55]
ザビーネ・リープナー(P)

録音:2014年3月7-9日、5月2-4日
謎につつまれた作曲家、ジャチント・シェルシ(1905−1988)。東洋の神秘に影響されたイタリアの作曲家で、トランス状態で即興演奏したものを録音、 そのテープを他者に採譜させるという作曲スタイルをとり、生涯にわたって異端視され続けていました。魔術的な魅力に満ち、即興的に積み上げられてい くモチーフやリズムは、時としてミニマルミュージックのような、時として広い洞窟やお寺の中に一人でいるような錯覚をおぼえるような、実に不思議な世界。 根強いファンがいる作曲家の一人です。今回リリースされるのは、そんなシェルシのピアノ作品。組曲第9番は「Ttai」、これは中国の易書の11番目の シンボル(イタリア語表記)で「平和」を意味します。シェルシは出版譜の前書きに「この作品は大いなる内的穏やかさをもって聴かれ、演奏されなけれ ばならない。ナーヴァスな人々は、離れてください!」と書いています。近年、瞑想音楽としても見直されてきている作品です。組曲第10番の「Ka」は様々 な意味を持ちます(「要素」、あるいはサンスクリット語では「誰?」や「何?」の意味)。ほぼ単旋律で不規則的なアラベスク模様を描くような不思議な 雰囲気の作品です。 (Ki)

WER-6797
ジョン・ケージ:ONE 7/FOUR 6* ザビーネ・リープナー(P)

録音:2012年5月、2013年7月*
晩年の6年間、ケージは、いわゆる「数の音楽」を書いていました。これは、「ONE 7 」「FOUR 6 」の2作品の、ピアノ版世界初録音盤。
「数の音楽」は数字のタイトルが付されており、その数字は、演奏者の数、あるいは、その作品の部分の数を指します。また、同じ演奏者数の作品 が複数ある場合、上付き数字で区別されます。たとえば、ここに収録されている「ONE 7 」シリーズは、一人の演奏家のための作品シリーズの第7番の こと。この作品は、唯一女性作曲家ポーリーヌ・オリヴェロス(1932年生まれ)に献呈されたという意味で特別なもの。「FOUR 6 」の要素も感じられ る作品で、さらに、作曲家自身による参考用のピアノ版演奏録音が残されています。 「FOUR 6 」は、4つの部分から成る作品ですが、リープナーは、4つの部分それぞれで、ピアノの奏法を変えています。第1部はいわゆる普通の奏法 で、第2部はプリペアード、第3部はピアノの弦をはじき、第4部はノイズのような音を出しています。多重録音されており、これにより、4人の演奏家 が同時に演奏しているような雰囲気も作り上げられています。 (Ki)
WER-6798
イェルク=ペーター・ミットマン(b.1962):コントラプンクテ
1. …バッハとともに〜「主よ、人の望みの喜びよ」への接近
2. ドナ・ノービス・パーチェム〜ヴァイオリンとアンサンブルのための
3. ラメント〜7人の奏者のためのモンテヴェルディの音楽
4. 十字架の歌〜ニーチェのテキストに基づく女声と9つの楽器のための
5. パッサカリア〜10の楽器のための
6. 永遠性について〜ソプラノと7つの楽器のための
アンサンブル・ホリゾント
イェルク=ペーター・ミットマン(指/2,5)
カトリン・ベーレ(ソプラノ/6)
ニコル・ピーパー(アルト/4)

録音:2014年1月
1 曲目の『…バッハとともに?「主よ、人の望みの喜びよ」』はバッハのかの有名なコラール合唱曲をもとにしたパロディ的作品。作曲者のミットマンは 1962年ヴェストファーレン生まれ。教師やジャーナリスト、そして指揮者、作曲家、さらにオーボエ奏者としても活動しています。アンサンブル・ホリゾ ントの音楽監督を務めており、作品もアンサンブルを意識したものを中心に創作活動を展開しています (Ki)
WER-6799
自動販売機の音楽
フランツ・マルティン・オルブリッシュ
(b.1952):Craquele(ひびの入った)
grain〜大オーケストラのための
フルート、音&電子ライヴ〜フルートと電子ライヴのための*
Craquele(ひびの入った)**
時の停止#
シアン・エドワーズ(指)hr響
ヤマザキユリ(Fl)*
マルティン・バウムゲルテル(電子ライヴ)*
ローランド・クルッティッヒ(指)hr響**
モスクワ新音楽スタジオアンサンブル#
フランツ・マルティン・オルブリッシュ(電子音)#、
ウラディミール・ゴルリンスキ(指)#
ドイツの作曲家、オルブリッシュの作品集。1のgrainは、飲み物の自動販売機で、お金を入れて、商品が動いて取り出すまでの様々な音を増幅させた イメージの作品。4の「時の停止」は、すべてのパートは同じテンポで演奏されていますが、リズムが異なるため、独特の時空が広がります。 (Ki)

WER-6801
静かなる音楽
細川俊夫(b.1955):ディープ・サイレンス〜GAGAKU
盤渉調の調子〜アコーディオンと笙のための
細川俊夫:クラウドスケープス〜月の夜〜アコーディオンと笙のための
黄鐘調の調子〜笙のための
細川俊夫:線V〜アコーディオンのための
双調の調子〜アコーディオンのための
細川俊夫:光の中の呼吸のように〜笙のための
壱越調の調子〜アコーディオンと笙のための
宮田まゆみ(笙)
ステファン・フッソング(アコーディオン)

録音:2003年2月
WER-6802
ワーグナーはお好き?
2歩すすんで1歩さがる(ローエングリーン第三幕への前奏曲より)/最初の出会い(テキスト:ニーチェ)/ミックス・アンド・マッチ(ニュルンベルグのマイスタージンガー第一幕への前奏曲より)/Tコード(トリスタン和声)への前戯(トリスタンとイゾルデ前奏曲より)/愛の漂流(愛の死より)/タンゴのティーパーティー(テキスト:マリネッティ)/パンチボール/ワーグナー、フランス=ドイツ人/リバー・ラン/重量オーバーの荷物(タンホイザーより)
マイク・スヴォボダ(トロンボーン)、
スコット・ローラー(チェロ、声、メロディオン、
ヴォルフガング・フェルナウ(コントラバス、声、メロディオン)
ミヒャエル・キーダイシュ(ドラム、声、アコーディオン、エレクトリック・ギター)
WER-6803
バッハ&アドリアーナ・ヘルスキー:作品集
ヘルスキー:雲と月
バッハ:オブリガート・チェンバロとヴィオラ・ダ・ガンバのためのソナタ第1番ト長調BWV1027
バッハ:オブリガート・チェンバロとヴィオラ・ダ・ガンバのためのソナタ第3番ト短調BWV1029
ヘルスキー:ミゼレーレ(アコーディオンのための1991/92)
バッハ:オブリガート・チェンバロとヴィオラ・ダ・ガンバのためのソナタ第2番ニ長調BWV1028
ヘルスキー:名詞から名詞へU(チェロのための1983)
ユリウス・ベルガー(Vc)、
ステファン・フッソング(アコーディオン)

録音:2001年1,2月、2003年11月
WER-6804(2CD)
PRIMEVAL SOUNDS 〜太古の響き〜ドビュッシー:前奏曲集T(1909-10)/ クラム:マクロコスモスT(1972)
[CD1]
1. クラム:. 始原の響き(創生T) " 巨蟹宮"
2. ドビュッシー:デルフィの舞姫
3. クラム:プロテウス " 双魚宮"
4. ドビュッシー:帆
5. クラム:牧歌(紀元前10,000 年のアトランティスの王国から) " 金牛宮"
6. ドビュッシー:野を渡る風
7. クラム:十字架 " 磨羯宮"
8. ドビュッシー:音と香りは夕べの大気の中に漂う
9. クラム:幻のゴンドラ乗り " 天蠍宮"
10. ドビュッシー:アナカプリの丘.
11. クラム:夜の魔法T " 人馬宮"
12. ドビュッシー:雪の上の足あと
[CD2]
1. ドビュッシー:西風の見たもの
2. クラム:影の音楽(エオリアン・ハープのための) " 天秤宮"
3. ドビュッシー:亜麻色の髪の乙女
4. クラム:無限の不思議な輪(永久運動) " 獅子宮"
5. ドビュッシー:さえぎられたセレナード
6. クラム:時の深淵 " 処女宮"
7. ドビュッシー:沈める寺
8. クラム:燃えいずる火 " 白羊宮"
9. ドビュッシー:パックの踊り
10. クラム:夢の影像(愛と死の音楽) " 双子宮"
11. ドビュッシー:ミンストレル
12. クラム:らせんの銀河 " 宝瓶宮"
エンリコ・ベッリ(P)
ジョージ・クラムは、1929年に生まれたアメリカの作曲家。内部奏法を多用し田作品、マクロコスモスの第1 集(1972 年)の出版譜 の冒頭で、彼は次のように述べています。「私の「マクロコスモス」のタイトルと形式は、20 世紀のピアノ音楽の偉大なる2人の作曲 家に対する私の敬意が反映されています。それは、バルトークとドビュッシーです。もちろん、私はバルトークのミクロコスモスと、 ドビュッシーの24の前奏曲を念頭において書きました(マクロコスモスII は、1973年に完成され、マクロコスモスI とあわせると24 の‘幻想的な作品集’になります)。」ドビュッシーの前奏曲第1 集は、「大地」に、そしてクラムのマクロコスモスI は「天体」に根源 を持っています。これらは二つとも、近代化や機械化に逆らうかのように、古代から伝わる神話への郷愁によって調和しています。ド ビュッシーは想像上の時空の中で、自身が神話の登場人物のパーンとなって、海、風、音を感じたままに音にしています。クラムは、 無意識の感情や夢の投影としての星座の神話の世界を見つめながら作品を書きました。スタンスは違えども、二人とも神話を手がかり として異次元への旅を試みています。そんな二人の作品が交互に演奏されることによって形成される螺旋階段をひとつひとつ昇ってい くと、クラムの作品によって我々の想像力の扉が開かれ、ドビュッシーの作品の中に広がっている、今までに見たことのない世界、聴 いたことのない響き、感じたことのない香り、すべてがくっきりと鮮やかに聴く者の目の前に立ち上ってくるのです。そしてドビュッ シーのあとに演奏されるクラムの曲も、無機的な宇宙ではなく、香り高く幻想的な神話の世界として我々のもとに降りてくるような感 じがします。不思議な気分で、2枚とも一気に聴きとおせてしまう不思議な説得力のあるCDです。
エンリコ・ベッリはペーザロ出身の、フレスコバルディからシェルシまで、膨大なレパートリーをもつピアニストです。写真家、指 揮者、役者、舞踊家、画家、すべての芸術家たちが一堂に会するPerpianosolo Festival にも度々出演しています。今後、クラムのマ クロコスモス全集を録音予定もあるということです。沈思に満ちた演奏は、説得力抜群、哲学者のようなピアニストです。 (Ki)
WER-6806
サティ/スヴォボダ〜音声測定法
サティ:スポーツと気晴らし、
スヴォボダ:20のフランス歌曲(第1番〜第10番)、練習曲第1番、スピード、
サティ
:歌曲「泉水人形」(全5曲)、最後から2番目の思想(前3曲)、3つの恋愛詩、
スヴォボダ
:5つのカノン、練習曲、
サティ
:スポーツと気晴らし、
スヴォボダ:20のフランス歌曲(第11番〜第20番)、
サティ
:グノシエンヌ第1番(声、トロンボーン、アコーディオン、メロディカ)
アンヌ=マリー・クリューゲル(声、バレル・オルガン、トイ・ピアノ、メロディカ(ホーナー社製鍵盤ハーモニカ))、
ステファン・フッソング(アコーディオン、トイ・ピアノ、メロディカ)、
マイク・スヴォボダ(トロンボーン、メロディカ)
「私は音楽家ではない・・・誰もがあなたにそう言うだろう。それは正しい。私の音楽は純粋に、音声測定法なのだから」(サティの言葉)。ある意味この言葉は真実かも、と思わせる1枚。天下一のトロンボーン名人、スヴォボダの思慮深い作品配列と選曲、編曲によって、わけのわからないことをやっては「異端児」と呼ばれていたサティが、実に科学的で理知的な香りの強い作曲家であった、ということが浮かび上がってきます。
グノシエンヌ第1番は、ピアノ・ソロで聴くと、けだるげなステキな感じですが、このディスクの最後に収められているスヴォボダの編曲版で聴くと、謎めいた雰囲気を漂わせつつも、音の運びやハーモニーには無駄なものがなく研ぎ澄まされたものであることが感じられ、興味津々。「スポーツと気晴らし」は、サティの詩に自分が作曲した歌曲と交互に演奏しています。時にホーミーを思わせるような音色をトロンボーンが奏でるなど、人間の本能に直截訴えてくるスヴォボダの作品を合間に挟むと、サティ作品の実にカチカチっとしている部分が際立ち、興味津々。  (Ki)
WER-6808
シューマン&イェルク・ヴィトマン作品集
ヴィトマン:トッカータ(Pのための)
シューマン:4つの夜曲op.23
ヴィトマン:悪の華
シューマン:暁の歌op.133
ファビオ・ロマーノ(P)
イェルク・ヴィトマンは1973年生まれ、注目を集めている作曲家の一人で、そしてクラリネット奏者としても優れた評価を得ている音楽家。このディスクでは作曲家に徹しています。ヴィトマン作品で耳を覚醒してから聴くシューマン作品は、新たな魅力に満ちています。「悪の華」は名高いボードレールの詩集に着想を得た作品。ボードレールが、美をあらわすためにありとあらゆる種類の言葉を用いて創りあげたこの詩集が19世紀半ばにしてモダニズムへの扉を開いたのに対し、若き作曲家ヴィトマンは、ミニマルミュージック的な中毒をもたらす狂気を感じさせる音をつかって都市化がもたらした近年の惨事を描きます。ヴィトマンのこの毒気の強い作品を聴いたあと、最後に収録されているシューマンが自殺未遂をする少し前に書いた暁の歌を耳にすると、作品像が生々しく聴き手に迫ります。(Ki)
WER-6809
ピアノ連弾&2台ピアノ作品名曲集
ドビュッシー:白と黒で
ベルント・アーロイス・ツィンマーマン:モノローグ(2台ピアノのための「ダイアローグ」版)
ストラヴィンスキー:春の祭典(作曲者自身によるピアノ連弾編曲版)
クラヴィーア・デュオ・フーバー&トーメ(スザンネ・フーバー&アンドレ・トーメ)

録音:2013 年2月
ピアノ連弾の記念碑的(=石碑)名曲を集めた1枚。ドビュッシーの「白と黒」は、第一次世界大戦初期に書かれたもの。ドイツがフランスを攻め、フランスの文化を破壊しようとしているのを見たドビュッ シーは、この作品で、フランスを白、ドイツを黒として表現をしているようです。 このCDの白眉ともいえるのが、ツィンマーマンの作品。非常に高度なテクニックが要求される作品。2台のピアノそれぞれの奏者は挑戦ともいえる ような難しいことを展開、さらに、両者が冷静にバランスをとることが要求されています。ツィンマーマンの特徴である引用(ここでは、グレゴリオ聖歌、 バッハ、モーツァルト、ベートヴェン、ドビュッシーからメシアンまで)も見られる作品です。
管弦楽作品の人気曲「春の祭典」ですが、ストラヴィンスキーは、この作品をピアノで作曲したことがスケッチなどからも明らかとなっています。ピ アノ編曲版、と呼ぶのは間違いではありませんが、作品のオリジナルのコンセプトはむしろこのピアノ連弾版にあるともいえるものとなっています。迫 力のリズムは見事です! (Ki)
WER-6810
バガテルのバッグ 〜ベートーヴェン&バートウィッスル
ベートーヴェン:幻想曲 Op.77(1809)
バートウィッスル:ゴールドマウンテン変奏曲(2014)*
ベートーヴェン:6つのバガテル Op.126(1824)
バートウィッスル:ジーグ・マシーン(2011)*
ベートーヴェン:アレグレット ロ短調 WoO 61(1821)
バートウィッスル:メトロノームのダンス(2006)*
ニ コラス・ハッジ ス( ピアノ)

録音:2019年11月19-22日
*=世界初録音
現代音楽を得意とし世界で活躍しているイギリスのピアニスト、ニコラス・ハッジス。技巧の素晴らしさもさることながら、作曲家とのコラボレーションを 積極的に行い、ひとりひとりの作曲家の音楽に深く入り込んだ演奏で定評があります。同郷の作曲家バートウィッスルも彼にとって重要なレパートリーで、ハッ ジスのために書かれた作品もあります。
今作はハッジスが世界初演を行ったバートウィッスル作品に、ベートーヴェンの小品を響き合わせることで唯一無二の感覚を呼び起こさせるという実に技 アリな一枚となっています。メカニカルな技巧が輝かしくほとばしるバートウィッスルは兎に角かっこよく、またベートーヴェンの前衛性も十二分に発揮され、 そこにBGM的平穏は皆無。実に現代的な驚きとユーモアに満ち溢れた刺激的な世界が広がっています。最後はメトロノームとピアノのデュエット! (Ki)
WER-6852
レベッカ・サウンダース:目に見える痕跡 
マウロ・ランツァ:vesperbild 
ニコラウス・A・フーバー:キャンバス上の音楽 
ベルント・アーロイス・ツィンマーマン:メタモルフォーゼ
ムジークファブリーク
WER-6853
「天国から地獄へ」
マルティン・スモルカ:ラッシュ(天体の道でのひととき)
カーゲル:オルケストリオン通り
アンドリーセン:Racconto dall’Inferno
ムジークファブリーク

録音:2004-2007年
その昔、天体が動くときに宇宙では音楽が鳴り響いている、という説がありました。これに則ったスモルカの作品「ラッシュ」は、天体が動く道で生じた 交通渋滞を表現。車のラッシュ以上の迫力です。カーゲル作品は、ストリートミュージシャンのために書かれたというコンセプトのもの。ストリートミュージシャ ンはいつもお金に困っていて、寄付をねがう、とブックレットには記載されています。アンドリーセンの作品では、天国的な響きと地獄を思わせる響き、様々 な音色が登場します。 (Ki)
WER-6855
「戴冠式」
バルタカス:(co)ro(na)
レベッカ・サウンダース:cinnabar
マグヌス・リンドベルイ:Joy
クセナキス:タレイン
ムジークファブリーク

録音:2004-2006年
戴冠式・・・様々な人の思いが渦巻く儀式。名誉の戴冠もあれば祝福されない戴冠など色々あるでしょう。もはや戴冠式や貴族や王の威光を示すというよりも、ゴシップの対象にすらなることもあります。王冠や栄光に様々な角度から焦点をあてて作品を書いた、現代を代表する作曲家たちの一騎打ち。クセナキスの作品「タレイン」の新録音が出たというのも貴重といえるでしょう。 (Ki)
WER-6858
シュトックハウゼン:ミヒャエルの旅(リヒトの「木曜日」第2幕より) マルコ・ブローウ(Tp)
ニコラ・ユルゲンセン(バセットホルン)
アンサンブル・ムジーク・ファブリーク

録音:2008年12月13,14日(MC93(パリ)、ライヴ)
現代音楽の猛者集団、ムジークファブリークによる、シュトックハウゼンの大作「リヒト」の第2幕。歌劇「リヒト」の「木曜日」の第2幕です。 ミヒャエルは、人の姿で地上に舞い降りた天使。人類を天国へと導く役割をします。ここではトランペット・ソロがミヒャエル役。エヴァは愛、命の神。バセッ トホルンがエヴァ役となります。ミヒャエル(トランペット)は文字通り、アメリカ、日本、バリなどを旅し、最後はエヴァ(バセットホルン)と一心同体(両 者が長いトリルを演奏し、最後はそれがシンクロする)となり天に昇る、といった大きなストーリー。その中に、シュトックハウゼンらしく様々な仕掛けが なされています。 現代音楽の猛者集団ムジークファブリークは、この「ミヒャエルの旅」を、パフォーマンス集団「ラ・フラ・デルス・バウス」とのコラボレーションで、 2008年にヨーロッパ各都市で上演しました。このCDはこの一連のツアーのライヴ録音。ちょうど没後一年にあたる時期の演奏とあり、独特の熱気と興 奮もとらえられた、注目の1枚です。
=スタジオ・ライン・シリーズ= 〜Studio Reihe Nerer Musikスタジオ・ライン・新音楽シリーズ〜  2012 年に50 周年を迎えた、現代音楽の名門レーベルWERGO。1960 年代から、豪華演奏陣による充実の演奏をリリースしており、現代音楽シー ンの牽引役レーベルとして高く評価されています。レーベル初期はLP でのリリースで、現在はCD に移行していますが、LPで発売されたものの中には、 CD 化されていないものもたくさんあります。この50 周年という記念の年を迎え、WERGO は、レーベル初期に生み出された名録音をあらためて世に送 り出します。20 世紀の音楽史のハイライトともいえるこれらの録音は、現在もなおその作品や演奏の新鮮味とオーセンティックさを高く保っています。また、 録音の質も驚くほどの良さ。丁寧なマスタリングとともに、20 世紀音楽の音楽史の貴重なページが、約40 年ぶりに、CD となって鮮やかによみがえります。 (Ki)
WER-6859
リザ・リム(b.1966):見えざる舌〜即興するピアニスト,バリトンと16の音楽家のための(テキスト:ヨナタン・ホルメス(ハーフェズの詩に基づく) ウリ・ケーヌ(P)、
オマール・エブラヒム(Br)、
アンサンブル・ムジークファブリーク、
アンドレ・ド・リダー(指)

録音:2011年6月
国人の両親のもと、オーストリアに生まれた(1966年)リザ・リムによるこの「見えざる舌」は、ペルシア語圏最大の詩人、ハーフェズ(14世紀頃) の詩にインスパイアされたもの。作曲されたものと即興の要素を巧みに融合させ、無限の広がりを見せる作品です。 (Ki)
WER-6861
GRAFFITI
チン・ウンスク:GRAFFITI(壁画)(大きなアンサンブルのための)
オルガ・ノイヴィルト:…milamondo multiplo…(トランペットとアンサンブルのための編曲版)
サン・ラ:OUTER NOTHINGNESS(サックスとアンサンブルのための編曲版)
サン・ラ:プレイアデス(サックスとアンサンブルのための編曲版)
アンサンブル・ムジーク・ファブリーク

録音:2008-2013年
チン・ウンスクの作品は、非常にスリリング。ノイヴィルトの作品では、ヘンデルとマイルス・デイヴィスが握手をしているよう。サン・ラの作品には独 特のエネルギーが満ちています。 (Ki)
WER-6862
ジョナサン・ハーヴェイ、エンノ・ポッペ、カイヤ・サーリアホ、エマヌエル・ヌネス作品集
(1)ジョナサン・ハーヴェイ:スリンガラ・シャコンヌ*
(2)エンノ・ポッペ:破片
(3)〜(7)カイヤ・サーリアホ:ノーツ・オン・ライト*
(8)エマヌエル・ヌネス:ケセドT*
アンサンブル・ムジークファブリーク
【ヘレン・ブレッドソー (Fl)、ピーター・ヴィール(Ob)、カール・ロスマン(Cl)、アーバン・ウェスリー(Fg)、クリスティン・チャップマン(Hrn)、マルコ・ブラウ(Tp)、メルヴィン・プーア(Tub)、ブルース・コリングス(Tb)、ベンヤミン・コブラー&ウルリッヒ・レフラー(鍵盤楽器)、ディルク・ロスブルスト(打楽器)、ユディッタ・ヘベルリン&ハンナ・ワイリック(Vn)、アクセル・ポラス(Va)、ディルク・ヴィーテガー(Vc)、ミヒャエル・ティーポルド(Cb)】
ピーター・ランデル(指)(1)、
ステファン・アスバリー(指)(2)、
エミリオ・ポマリーコ(指)(3)-(7)、
シアン・エドワーズ(指)(8)、
ディルク・ヴィーテガー(Vc)(3)
ゲスト:エリザベス・ハースト(Fl)(8)、
イェルテ・アルトゥイス(Cl)(8)、
ナーンドル・グッツ(Cl)(1)、
リチャード・ヘインズ(Cl)(2)(8)、
ミシェル・マラン(バスCl)(8)、
ハイジ・モッカート(Fg・コントラFg)(2)、
ウィリアム・フォーマン(Tp)(2)、
アレス・クランカー(Tp)(3)-(7)、
アレクサンドル・バベル(打楽器)(3)-(7)
アーノルド・マリニッセン(打楽器)(2)、
渡邉理恵(打楽器)(1)&(3)-(7)、
フォンテーヌ・リャン(ハープ)(3)-(7)、
ヤエル・バロルスキー(Vn)(8)、
カミラ・ナミスロフスカ(Vn)(3)-(7)、
ティンタ・シュミット・フォン・アルテンシュタット(Vn)(8)、
ピエトロ・デイヴィッド・カラミア(Vn)(8)、
アレキサンダー・ブルック‐サントス(Va)(8)、
アグニシュカ・ディウバク(Vc)(3)-(7)、
ピーター・スミトゥエイシェン(Cb)(8)、
アネット・ザーン(Cb)(8)

録音:(1)2010年1月9日、(2)2009年1月9日、(3)-(7)2010年6月20日、(8)2005年8月27日
*=世界初録音
アンサンブル・ムジークファブリークの演奏によるWergoのシリーズ「Edition Musikfabrik」。第9弾となる「SCHERBEN(破片)」には、4人の 作曲家たちの「光、愛」をテーマにした作品が収められています。ヒンズー教や仏教に傾倒する作曲家ジョナサン・ハーヴェイの「スリンガラ・シャコンヌ」 は、インドの伝統的な美学で愛の感情を表す「スリンガラ」を題材にとった作品。人と人との愛、神と人との愛、そしてインドの全芸術の源となる愛である「ス リンガラ」の強烈なエネルギーを、バロック音楽の形式である「シャコンヌ」を用いて音楽にしています。印象派を思わせるようなデリケートな響きで幕 を開けた曲は徐々に激しさを増して展開し、最後はまばゆい光を思わせるような高音に収束していきます。
エンノ・ポッペの「破片」は、5秒ほどから成る121の断片が組み合わさって構成されている実験的な作品。「ムジークファブリークのようなソリスト・ アンサンブルの編成は21世紀におけるシンフォニー」という作曲者の言葉通り、従来の奏法に留まらない楽器法からは魅力的で存在感の強いサウンドが 引き出され、その音楽は時間や空間の密度、質感を自在に変化させながら聴衆の耳を捉えて離しません。繊細なティンパニソロから金管の絶叫まで、音 楽の「破片」が個性の強い光を放ち、ぶつかり、溶け合います。
カイヤ・サーリアホの「ノーツ・オン・ライト」は標題のついた5楽章からなるチェロ協奏曲(T半透明の秘密 U燃えて V覚醒 W蝕 X光の中心)。 T.S.エリオットの詩から取られたという、生と死、意識と無意識の間の「光の中心、静寂」を中心として曲は展開します。他の北欧の作曲家と同様、フィ ンランド出身の彼女の音楽にも光の色合いなど自然からの影響が見られますが、そんな彼女の幻想的な音をまといながらチェロがしなやかに、時に激しく リードするこの曲も、多様な光の質感に溢れています。
エマヌエル・ヌネスが扱うのは、ユダヤ教の伝統を引き継ぐ神秘思想「カバラ」で「愛、慈しみ」を表す「ケセド」。ヌネスはかねてからユダヤの神秘 思想に興味を寄せていましたが、委嘱を受けた際に手渡されたカバラのテキストの最後の言葉が「ケセド」だったといいます。4つのヴァイオリン、4本 のクラリネット、2本のフルートと2つのヴィオラ、チェロと3つのコントラバスという「ケセドの数字 4」を基調とした楽器編成で描き出されるこの曲では、 音域のアンバランスさが奇妙な感覚を生み出します。 アンサンブル・ムジークファブリークの鮮やかな演奏によって命を吹き込まれた、4人の作曲家の「光と愛」が、ここにそれぞれの輝きを放っています。 (Ki)
WER-6863
フランチェスコ・フィリデイ:すべての身振りが終わったとき
ミヒャエル・バイル:ブラックジャック*
マウリシオ・カーゲル:褥の墓にて#

アンサンブル・ムジークファブリーク
マーカス・クリード(指、
オットー・タウスク(指)*
マルクス・ブルッチャー(T)#
エミリオ・ポマリコ(指)#

録音:2013年10月24日、2012年1月21日*、2010年9月18日#
※全て世界初録音
間の歴史が始まって以来、人々は死後の世界について考え続けてきました。死後の世界への信仰は人々の慰めであり、救いでした。近代になり、信 仰が薄れ、ニーチェの有名な「神は死んだ」という言葉が登場してから今に至るまで、すでに久しい時が経っています。神の不在は音楽にどう影響するの か、拠り所をなくした人間はどこへ向かうのか。アンサンブル・ムジークファブリークの演奏によるWergoのシリーズ「エディション・ムジークファブリー ク」第10弾となるこのディスクには、そんな問いに向き合った3作品がおさめられています。
カーゲルの「褥の墓にて」は、作曲者の死によりテキストの最後の1行のところで未完に終わっています。テキストとなっているハイネの詩も、寝たき りの床を意味する「褥の墓」で書かれたものです。死を目前にした2人の芸術家により生み出された15曲からなるこの歌曲には、死に向かいつつある 時に芸術によって現実を乗り越えようとする人間の姿がそのままに表れています。
フィリデイは「すべての身振りが終わったとき」のタイトルは、2010年に没したイタリアの詩人エドアルド・サングイネーティの「最新約の書」より「愛 情のすべての身振りが終わった時、それは音楽に終わる」という一節から取られています。音が生まれ、消える中に「生と死」を見出すというフィリデイが、 楽器以外に奏者の声やガラスの音などを駆使して哀悼を生み出すこの曲には、どことなく儚さが漂います。
「死」にフォーカスした作品に挟まれて異彩を放つのはバイルの音と映像による作品「ブラックジャック」。このCDのように映像がなく音楽だけの体験 となっても遺憾なく存在感を発揮するこの曲は、死と相反する「生」の方向を向いているのかもしれません。 信仰の薄い時代に何が死にゆく人間の拠り所となり得るか、目まぐるしい速さで変わっていく社会の中で、芸術の意味を改めて考えさせられるこれらの曲を、 ムジークファブリークのハイクオリティの演奏でお楽しみ下さい。 (Ki)
WER-6864
SCHLAMM(泥)
ファーニホウ:Finis Terrae(6つの声と器楽アンサンブルのための)
クラウス・ラング:YesとNoの海(アンサンブルのための)
カローラ・バウクホルト:Schlammflocke(アンサンブルのための)
ホルヘ・E・ロペス:Gonzales the Earth Eater(ワーグナー・チューバ、イングリッシュ・ホルン、バス・クラリネット、ヴィオラとチェロのための)
ムジークファブリーク

録音:2009-2013年
(全曲世界初録音)
現代音楽の猛者アンサンブル、ムジークファブリーク最新盤。咆哮する管楽器の中、6人の声楽家たちが声明のような世界を繰り広げるファーニホウ作 品、はじまりも終わりも盛り上がりもオチもなにもないラングの作品、ジャングルに迷い込んだような気分になるバウクホルト作品、そしてワーグナー・チュー バなどやや特殊な楽器のアンサンブルのために書かれたロペス作品と、色とりどりの作品が収録されています。
WER-6865
「沈黙」 ムジークファブリーク・エディション12
ゲオルク・フリードリヒ・ハース(1953-):"Ich suchte, aber ich fand ihn nicht.“ 〜アンサンブルのための(2011)
エヴァン・ジョンソン(1980-):Die Bewegung der Augen 〜9つの楽器のための(2011-12、2013-14改訂)*
ヤニ・フリストウ(1926-1970):Anaparastasis III "The Pianist“ 〜役者、指揮者、アンサンブルとcontinuumのための(1968)**
ゲオルク・フリードリヒ・ハース:… Wie stille brannte das Licht 〜ソプラノと室内管弦楽のための(2009)#
アンサンブル・ムジークファブリーク
エミリオ・ポマリコ(指)
クリスティアン・エッゲン(指)*、
ルパート・フーバー(指)**、
エンノ・ポッペ(指)#、
サラ・ウェゲナー(S)#

録音:2012年6月30日、2014年4月6日*、2010年2月27日**、2009年5月3日#/
ケルン、クラウス・フォン・ビスマルク・ザール(ライヴ、**以外は世界初録音)
驚くほど高い演奏技術で知られざる優れた現代音楽を紹介し続ける「ムジークファブリーク・エディション」の第12集。現代音楽において無視出来ない大 きなテーマとなった「沈黙」をアルバムタイトルに掲げ、新しい音楽の在り方を果敢に模索した4作品を収録しています。
ジョン・ケージは「沈黙を作り出すことは出来ない」と言いましたが、記譜された音楽の周囲には常に沈黙が存在しており、書かれた音のありようによって沈 黙を感じることは可能です。例えば@は、巨視的にはひとつの旋律がグリッサンドでうねっていくようなヘテロフォニックな音楽ですが、不意に離れたところで 別の意識下から出てきたような旋律が現れては消え、多層的な空間を感じさせます。新たな空間に耳をそばだたせることによって、そこに沈黙が残る、と言え なくもありません。静かな曲という訳ではなく、後半は雰囲気を変え爆発的な音響に盛り上がったりと一筋縄ではいかない楽曲構成も面白いです。 (Ki)
WER-6866
「交差」ムジークファブリーク・エディション13
(1)ヴァッソス・ニコラウ(1971-):Farbenmaschinen 〜アンサンブルのための(2011/12)
(2)ヨハネス・ショールホーン(1962-):Pieces Croisees 〜大アンサンブルのための9つのバガテル(2012)
(3)ジェラール・グリゼー(1946-1998):Partiels 〜18人の奏者のための(1975)
(4)ディーター・マック(1954):室内音楽V 〜室内オーケストラのための(2007)
アンサンブル・ムジークファブリーク
エミリオ・ポマリコ((1)(3)指)
ピーター・ランデル((2)指)
エンノ・ポッペ((4)指)

録音:(1)(3)2012年6月30日、(2)2012年12月5日、(4)2011年1月15日/ケルン、クラウス・フォン・ビスマルク・ザール(ライヴ)

※(1)(2)(4)世界初録音
現代音楽専門・超絶技巧集団「アンサンブル・ムジークファブリーク」の作品集第13巻。今回もとてつもないレベルの演奏。作品もグリゼー以外は 世界初録音とたいへん貴重です。ブックレットは折り畳み式になっており、ドイツ最高峰の画家ゲルハルト・リヒターの絵があしらわれています。異なる音色のレイヤーが相互に作用し、新たな領域へと耳を啓く作品が並びます。異なる文化が交錯する現代を表していると言えるかも知れません。非 常に複雑で技巧的なアンサンブルが要求される難曲ばかりですが演奏は完璧。キラキラと光る特殊効果、ノイズの如きロングトーン、突然の歌。(4)ではピ アノと打楽器が同時に打ち鳴らされ鐘の響きを模す箇所があります。スペクトル楽派の重鎮グリゼーの作品はさすがに美しく圧倒されます。 (Ki)
WER-6868
「嵐」〜ムジークファブリーク・エディション15
(1)シュテッフェン・シュライエルマッヒャー(1960-):Das Tosen des staunenden Echos(2009)〜アンサンブルのための
(2)カイヤ・サーリアホ(1952-):The Tempest Songbook(1993-2004)〜ソプラノ、バリトンとアンサンブルのための
(3)ミヒャエル・ヴェルトミューラー(1966-):Antagonisme controle(2009)〜サクソフォン、ドラムス、エレキベースとアンサンブルのための
アンサンブル・ムジークファブリーク
ジャン・ドロワイエ(指揮(1)) 
エミリオ・ポマリコ(指揮(2)) 
クリスティアン・エッゲン(指揮(3))
オリヴィア・フェアミューレン(ソプラノ(2)) 
ペーター・シェーネ(バリトン(2))
ペーター・ブロッツマン(サクソフォン(3))
ディルク・ロスブラスト(ドラムス(3)) 
マリーノ・プリアカス( エレキ ベ ー ス (3) )

録音:2009-2014年
現代音楽の猛者集団ムジークファブリークの演奏集、第15弾。「嵐」と題され、様々な質感の風が吹き荒れる音楽が並んでいます。(1)は様々な楽器の音色を 駆使した、規則的リズムと不規則リズムの饗宴。轟音と静けさの生み出すパラドックスが全編を支配します。(2)はシェイクスピアの「テンペスト」によるテキスト を用いた作品。(3)はジャズ畑のアーティストたちによるフリー・ジャズがクラシックのアンサンブルと衝突、まったく温度の違う風がぶつかり合います。どれも目 を見張るほどの技巧的アンサンブルが繰り広げられており、凄まじい音楽表現の連続に舌を巻きます。まさに嵐のゲンダイオンガク!
WER-6870
「遺産」〜ムジークファブリーク・エディション17
サンポ・ハーパマキ(1979-):Heritage(2016)
マーティン・スモルカ(1959-):Wooden Clouds(2017/18)
カローラ・バウクホルト(1959-):Voices for Harry Partch(2014/15)*
アンサンブル・ムジークファブリーク
シアン・エドワーズ(指)
クレメント・パワー(指)*

録音:2018年6月17日、2015年10月11日*
※すべて世界初録音
現代音楽のスペシャリスト、アンサンブル・ムジークファブリークはパーチの楽器のレプリカをフル・セット所有している現在唯一の団体でもあります。ハリー・ パーチ(1901-1974、アメリカ)は特殊な楽器を考案し、オクターヴを43音に分けた音階を用いて独創的な音楽を生み出しました。このアルバムではパーチの遺 産である楽器を用いた作品を収録。雑多な打楽器を揃えカオティックなノイズを奏でながらも、どこか美しく協和しているような感覚を覚える不思議な味わいの 音楽です。演奏もいつもながら凄まじいまでの完成度で圧巻です。 (Ki)

WER-6928(3CD)
アール・ブラウン/コンテンポラリー・サウンド・シリーズ〜ブラウンの音楽人生vol.1
[CD1]
コンサート・パーカッション・フォー・オーケストラ

[CD2]
シュトックハウゼン:ツィクルス〜独奏打楽器奏者のための、
リフレインカーゲル:トランシシオンII(ピアノ、打楽器、2つのテープのための)

[CD3]
電子音楽の即興対決ライヴ
[CD1]
マンハッタン・パーカッション・アンサンブル、
ポール・プライス(指)、
ジョン・ケージ(指、プリペアード・ピアノ)
[オリジナルLP:1961年]

[CD2]
クリストフ・カスケル(打楽器)、
ベルンハルト・コンタルスキー(チェレスタ、アンティック・シンバル)、
デイヴィッド・チュードア(P)
[オリジナルLP:1961年]

[CD3]ローマのグループ「MEV」と、ロンドンのグループ「AMM」による即興
[オリジナルLP:1970年]
WER-6931(3CD)
アール・ブラウン/コンテンポラリー・サウンド・シリーズ ブラウンの音楽人生vol.2
[CD1]室内オーケストラのための作品集
ノーノ:ポリフォニカ―モノディア―リトミカ(1951)
マデルナ:セレナータno.2(1954/1957)
ベリオ:ディファレンス(5つの楽器とテープのための)(1958-1960)

[CD2]
ペーター・マクスウェル・デイヴィス(b.1934):アンテクリスト(1967)
ハリソン・バートウィストル(b.1934):無口なカリヨンを鳴らせ(1964-65)
デイヴィッド・ベッドフォード(b.1937):カム・イン・ヒヤ・チャイルド(1968)
リチャード・オートン(b.1940):2人または4人のプレイヤーのためのサイクル(1967)
[CD3]
フェルドマン(1926-1987):durationsT−W(1960,1961)
ブラウン(1926-2002):ヴァイオリン、チェロとピアノのための音楽(1952)、チェロとピアノのための音楽(1955)、ホドグラフT(1959)
[CD1]イギリスCO、
ブルーノ・マデルナ(指)、
ルチアーノ・ベリオ(指)ほか[オリジナルLP:1961年]

[CD2]
ザ・ピエロ・プレイヤーズほか
[オリジナルLP:1970年]

[CD3]
デイヴィッド・チュードア(ピアノ、チェレスタ)ほか
[オリジナルLP:1962年]
WER-6934(3CD)
アール・ブラウン/コンテンポラリー・サウンド・シリーズ〜ブラウンの音楽人生vol.3
[CD1]「ザ・ボイス・オブ・キャシー・バーベリアン」
(1)ベリオ:サークルズ
(2)ブッソッティ:フラッメント
(3)ジョン・ケージ:アリア・ウィズ・フォンタナ・ミックス(声とテープ)

[CD2]
黛敏郎:涅槃交響曲

[CD3]
クセナキス:ヘルマ
ロジャー・レイノルズ:ファンタジー・フォー・ピアニスト
高橋悠治:ピアノの為のMetathesis(音位転換)(1968年)
アール・ブラウン(1926-2002):Corroboree(大騒ぎ)
[CD1]
(1)キャシー・バーベリアン(声)
 フランシス・ピエール(Hp)、
 ジャン=ピエール・ドゥルエ(Perc)、
 ボリス・ドゥ・ヴィノグラドフ(Perc)
(2)ルチアーノ・ベリオ(P)
 Original-LP1962年

[CD2]
ヴィルヘルム・シュヒター(指)NHK響
東京コラリアーズ、日本大学cho
Original-LP/1962年

[CD3]

高橋悠治(P)
original-LP/1970年
好評のアール・ブラウン監修コンテンポラリー・サウンド・シリーズCD化シリーズ第3弾は、注目のお宝音源目白押しとなりました。黛敏郎の≪涅槃交響曲≫に高橋悠治のクセナキス、さらにベリオとその妻バーベリアンの共演を含む魅力満載のボックスです。
[CD1]のキャシー・バーベリアンは、ベリオの妻で、ビートルズをバロック・アリア風に歌い、ケージらの作品をしばしば取り上げるなど、実に多彩な活動をした優れた歌手でした。ここでも自らの声を自在に変容させており、特にベリオ作品での夫ベリオのピアノとのコラボレーションは聴きもの。
[CD2]≪涅槃≫交響を指揮するは、1959年2月から1962年3月まで常任指揮者を務めたヴィルヘルム・シュヒター。彼はカラヤンのアシスタントもしていた人物で、NHKSOを鍛えに鍛えた人物として知られています。この演奏の録音は、以前他社からもCDリリースがありましたが、今や入手困難。ここに甦った奇跡の名演奏は、全体にものすごい緊張感が漲っています。黛自身のコメント(英語)がブックレットに記載されています。黛は、梵鐘の音色に魅了され、その響きを、大音量で大編成の生楽器を積み重ねることで再現しました。鐘の音は時の移ろいとともに変化し、その様は「盛者必衰の理」をも表しているという日本独自の考えにもあらためて心打たれたと語っています。さらに、声明の、リズムとイントネーションの周期的変化、そして複数の僧侶が微妙にずれた音高で詠うことによって生み出されるノイズにも惹かれたと書いています。鐘の響きと祈りの歌・心に理想の音を求めたこの作品のことを、黛は、交響曲であると同時に、’Bhddhisticcantata’とも呼べると書いています。
[CD3]は、高橋悠治のソロ。複雑な数の順列に基づいて作曲されている、超難解なことで知られるクセナキスの「ヘルマ」を、約40年前、若き日の高橋悠治は明晰に演奏。自分たちの手で時代を切り拓いている、という自負と誇りと充実感に満ち満ちた1枚です。
このセットは、紙ボックスに収められていますが、中身の個々のCDはオリジナルジャケット及びライナーを採用しています。高橋悠治とブラウンのツーショットなど、演奏者たちの貴重写真満載なのも注目。黛のジャケットデザインをオノ・ヨーコが手がけているという事実も見逃せません。何から何まで注目の第3弾となっています。 (Ki)
WER-6937(3CD)
アール・ブラウン/コンテンポラリー・サウンド・シリーズ〜ブラウンの音楽人生vol.4
【1】弦楽四重奏のための新しい音楽」
(1)ブーレーズ:弦楽四重奏のための書Ta
(2)ブーレーズ:弦楽四重奏のための書Tb
(3)ブーレーズ:弦楽四重奏のための書U
(4)ブーレーズ:弦楽四重奏のための書X
(5)シェルシ:弦楽四重奏曲第4番
(6)アール・ブラウン:弦楽四重奏曲

【2】室内オーケストラのための新しい音楽
(1)クセナキス(1922-2001):アホリプシス(21の楽器のための)
(2)アルド・クレメンティ(1925-2011):トリプルム(フルート、オーボエ、クラリネットのための)
(3)ボー・ニルソン(b.1937):情景V(室内オーケストラのための)
(4)シェーンベルク:室内アンサンブルのための3つの作品
(5)ヴオジミェシュ・コトンスキ(b.1925):歌(アンサンブルのための)
(6)高橋悠治:6つのストイケイア(4つのヴァイオリンのための)
(7)ボー・ニルソン:フレクヴェンツェン

【3】ハンブルク・カンマーゾリステン
(1)ミルコ・ケレメン(b.1924):対位法的エチュード〜管楽五重奏のための
(2)ニコロ・カスティリョーニ(1932-1996):トローピ
(3)ヴィットリオ・フェッレガーラ(b.1927):セレナータ(9つの楽器の室内オーケストラのための)
(4)ユン・イサン:7つの楽器のための音楽
【1】
パレナンSQ…(1)−(3)
ハーマンSQ…(4)
新音楽SQ…(5)
ニューヨークSQ…(6)
オリジナルLP1972年

【2】
フランシス・トラヴィス(指)
ハンブルガー・カンマーゾリステン…(1)(7)
ガッゼローニ(Fl)、
ローター・ファベル(Ob)、
ギィ・デュプリュ(Cl)((2))
ブルーノ・マデルナ(指)
国際クラニッヒシュタイナー室内アンサンブル…(3)(4)(5)
パウル・ゾコフスキ(Vn/多重録音)…(6)
オリジナルLP・1972年

【3】
フランシス・トラヴィス(指)
ハンブルク・カンマーゾリステン
オリジナルLP・1962年
disc1は、弦楽四重奏のための作品集。弦楽四重奏は、多くの器楽作品の作曲家にとって、自身の技量を見せ付けるために選ばれる演奏形態でした。シェルシは四人の奏者に微分音を奏でさせ、微妙な音高の変化やリズムの微妙な変化をそれぞれのパートに間断なく与えます。曲は次第に盛り上がりますが、上りきったと思ったらまたさらにクライマックスがあるといった感じの、上れども上れども頂上まで行き着かないようなもどかしさの中で曲が閉じます。ブラウンの作品は、布を引き裂くような音が聞こえるなど、楽器の限界を超えた表現に満ちています。
disc2は、室内オーケストラのための作品集。イタリアの作曲家アルド・クレメンティ初期の「トリプルム」は、セリエル音楽のお手本のような作品。名手ガッゼローニがフルートを担当しているのもポイントです。スウェーデン出身の作曲家、ニルソンの重要作品のひとつ≪情景V≫は打楽器が効果的に響き、最後は思わず耳をふさぎたくなるような大音量での高いテンションが持続しますが、耳を澄ますとそれぞれの奏者が細かな仕事をしており、ニルソンの持ち味である細密画のような雰囲気も失われておりません。シェーンベルクの3つの小品はこれが当時世界初録音でした。どこかストラヴィンスキーの「春の祭典」を思わせうる響きをもった3曲目は未完となっており、途中で終わります。高橋悠治の「ストイケイア」は4つのヴァイオリンのための作品ですが、ここでは一人の奏者が多重録音しています。ハーモニクスの神経質な重音が通奏低音のように鳴り響く中、鋭いピチカートなど様々な音が断片的に奏され、次第にメロディーのようなものも顔を出しますが、最初から最後まで大きな変化はないままに幕となります。
disc3はすべてこのハンブルク・カンマーゾリステンによって初演された作品。ケレメンの「対位法的エチュード」は、コラールなどの旋律ではなく、リズム構造で対位法を構築していきます。カスティリョーニの「トローピ」では、沈黙の合間に様々な楽器によって奏でられるアリアが印象的に響きます。フェッレガーラの「セレナータ」は、十二音技法を様々に応用して、ある音を契機に色が変わったり流れが変わったりします。打楽器の使用も印象的。ユンの作品はベルクの精神を感じさせるもの。単音や二つの音の繰り返し(それぞれの音の長さは異なる)から構成されるメロディーを軸に楽曲が展開されます。楽章が進むにすれて音の密度が低くなり、最終楽章では非常に速いテンポで、高まるリリシズムの中、幕となります。 (Ki)
WER-6940(3CD)
アール・ブラウン/コンテンポラリー・サウンド・シリーズ〜ブラウンの音楽人生vol.5
[CD1]
アルヴィン・ルシエ:ヴェスパーズ、
ロバート・アシュレイ:意味深長な女性のゆったりとした午後、
ダヴィッド・ベアマン:ラン・スルー、
ゴードン・ムンマ:ホーンパイプ

[CD2]
アイヴズ:ピアノ・ソナタ第2番「マサチューセッツ州コンコード1840-60年」

[CD3]
フランコ・エヴァンゲリスティ:プロポルツィオーニ
ニコロ・カスティリオーニ:ジメル、
L.ベリオ:セクエンツァT、
メシアン:クロツグミ、
松平頼則:蘇寞者、マデルナ:蜜の夢
[CD1]
ソニック・アーツ・ユニオン
[オリジナルLP:1972年]

[CD2]
A.コンタルスキー(P)、
プリューマッハー(ヴィオラ/第1楽章)、
シュヴェーグラー(フルート/第4楽章)
[オリジナルLP:1962年]

[CD3]
セヴェリーノ・ガッゼローニ(Fl)、
アロイス・コンタルスキー(P)
[オリジナルLP:1962年]
WER-6943(3CD)
アール・ブラウン/コンテンポラリー・サウンド・シリーズ〜ブラウンの音楽人生 vol.6
[CD1]ジョン・ケージ――クリスチャン・ウォルフ
(1)ジョン・ケージ:カートリッジ・ミュージッ
(2)ククリスチャン・ウォルフ(b.1934):ヴァイオリニストとピアニストのためのデュオ
(3)ホルンとピアノのためのデュエットU
(4)弦楽四重奏のためのSummer
[CD2]ニュー・ミュージック・フォー・ヴァイオリン・アンド・ピアノ
(1)G.クラム(b.1929):ヴァイオリンとピアノのための4つのノクターン(1964)
(2)ユン・イサン(1917-1995):ガサ
(3)チャールズ・ウォリネン:長いものと短いもの
(4)ジョン・ケージ:ヴァイオリンと鍵盤のための6つのメロディ
[CD3]ニュー・ミュージック・フロム・サウス・アメリカ〜室内オーケストラのための
(1)ジェラルド・ガンディーニ(b.1936):ソリア・モリア(1968)
(2)セザール・ボラニョス(b.1931):ディヴェルティメントV(1967)
(3)マルロス・ノブレ(b.1939):トロピカル(1968)
(4)オスカール・バザン:ソノグラマス(1963)
(5)マニュエル・エンリケ:dipticoT(1969)
(6)アルキデス・ランツァ:penetrations (1967)
[CD1]
(1)ジョン・ケージ&デイヴィッド・チュードア(P)
(2)小林健次(Vn)、デイヴィッド・チュードア(P)
(3)ハワード・ヒリヤー(Hrn)、デイヴィッド・チュードア(P)
(4)ワルター・トランプラー(Va)、
 デイヴィッド・ソイヤー(Vc))
 オリジナルLP:1962年

[CD2]
ポール・ズコフスキー(Vn)、
ジルベール・カリッシュ(P)
オリジナルLP:1973年

[CD3]
ザ・ニュー・サウンド・コンポーザーズ・パフォマーズ・グループ
アルキデス・ランツァ(指)
オリジナルLP:1973年
好評を博したアール・ブラウンの音楽人生シリーズもいよいよ最終巻の登場。
[CD1]はケージとクリスティアン・ウォルフ。ケージはアンプ、スピーカー、そして生身の演奏者をパフォーマンスに関係させることによって、ステージ のような状況を再現したかったと語ります。もちろん録音ではステージはありませんが、そのかわり、何がどこでどのように作用しているかを見ることがで きないミステリーの要素が生じていると語っています。ウォルフの作品は、様々な長さの音のグループを何度でも好きなように繰り返すよう指示されている だけで、曲全体の長さは演奏者たちに委ねられています。一つの作品に対し、同じ演奏はありえないように書いたと語るウォルフ。ウォルフ自身が選んだ 信頼できる演奏者たちによる演奏でお楽しみいただきます。
[CD2]は、4人の作曲家によるヴァイオリンのための作品集。チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲が書かれた当初、レオポルト・アウアーは演奏不 可能としてこの初演を断りましたが、今ではこの作品は超人気のスタンダード・レパートリーとなっています。現代のチャイコフスキーのヴァイオリン協奏 曲をめざそうと立ちあがった4人の作曲家によるヴァイオリンのための作品集。虫歯に響きそうなヴァイオリンのか弱い音色と、ピアノのクリアーな和音の 絡み合いが絶妙なクラムの作品や、強烈なグリッサンドと和音が印象的なユン・イサンの作品など、興味深い作品がならびます。
[CD3]は南アメリカ発の音楽。アルゼンチンやメキシコなどに生まれ、メシアン、ダッラピッコラ、ヒナステラらに師事した作曲家たちによる作品集。 南米といってもラテンのノリは感じさせず、スピーカーなどを用いた電子音楽や、トーンクラスターなど、バリバリの現代音楽が並びます。しかしそんな中 にも独特の熱っぽさや人間くささが漂っているから不思議です。 (Ki)
WER-6951(5CD)
John Cage 100- SPECIAL EDITION
[CD1] ジョン・ケージ:ソナタとインタリュード(1946-48)
[CD2] ケージ:ピアノと管弦楽のための協奏曲(1957-58)、
アトラス・エクリプティカリス(1961-62)
[CD3] 「アルファベット」
 (1)1982年ラジオ放送時のケージのコメント
 (2)「アルファベット」(英語版)
[CD4] ヴァリエーションズU(1961)、
8つのウィスクス(1985)、
ミュージック・フォー・トゥー(1985)、
竜安寺(1983-85)
[CD5]
ハーモニー第27、22、24、13番(チェロとピアノのための)(1976)
北のエチュード(ピアノを奏するパーカッション奏者のための)(1978)
『10'40.3''』(弦楽奏者のための〜チェロ・ヴァージョン)(1955)
北のエチュード(チェロ独奏とピアノ独奏のための)(1978)
[CD1] ジョシュア・ピアース(P)
 録音:1975年(WER-60156[廃盤])
[CD2] ペール・コティック(指)S.E.M.アンサンブルSO、ヨゼフ・クペラ(P)
 録音:1992年(原盤:WER-6216)
[CD3] 録音:1990年4月29日(第二回アクスティカ国際フェスティバルのライブ)(原盤:WER-6310(原盤は2枚組、ドイツ語版も収録)
[CD4] 録音:1998年(原盤:WER-6636)
[CD5] フリードリヒ・ガウヴェルキ(Vc)、マーク・ノップ(P)
 録音:2009年9月(原盤:WER-6718)
ケージ生誕100周年を記念して、WERGOから様々な編成によるケージ作品のディスクをまとめた5枚組ボックスの登場。
[CD1]
「ソナタとインタリュード」は、16のソナタと4つのインタリュード(間奏曲)から成り、演奏時間にして50分を超えます。インド哲学に影響を 受けたケージがヒンドゥー古来の概念である様々な不変の感情を表現したというもの。東洋の様々な打楽器の音色を思わせるプリペアド・ピアノの響きが 織り成す神秘的な世界は見事。ジョシュア・ピアースはこのソナタとインタリュードをコンサートで23回は演奏したという兵。さらに、ブックレットには、 どのピアノ線にどんなネジやボルトを仕掛けたかが詳細に記されており、こちらも見逃せません。
[CD2]
ピアノと管弦楽のための協奏曲(1957-58)はもともとは「ソロ・フォー・ピアノ」という63ページの作品。演奏者はどこを弾いても全部を弾い てもどんな順番で弾いてもよい、というもの。これが発展してピアノと管弦楽のための協奏曲になりました。管弦楽といっても、その編成も人数もこれまた 演奏者まかせ。アトラス・エクリプティカリスは86ものパートからなる器楽(管弦楽)作品。1961年8月3日に初演され、一柳慧もアシスタント・コ ンダクターを務めました。1964年にはバーンスタインによっても取り上げられるなど、ケージの代表作となりました。仏教の思想と、「森の生活」のヘンリー・ デヴィッド・ソローの思想の世界観をもつ作品で、鳥がさえずり、キノコが豊かに成る森を思わせます。
[CD3]
「アルファベット」は、1982年にラジオドラマとして生み出されたものです。ケージが愛してやまなかった、ジョイス、デュシャン、そしてサティ。 三人は、ケージの豊かな想像力によってステージ上に蘇り、ちょっと不思議な会話を交わします。ギリシャ古典文学の話からカンチェンジュンガの山の話、 ハイデッガー批判、レオナルド・ダ・ヴィンチの話、そしてなぜか富士山の話。さらに12人の思索家たちも加わって、会話はますますヒート・アップ。そ れぞれの出演者がケージの音楽仲間たちによって演じられるというのもまた興味深いもの。ケージ扮するジョイスの思慮深げな語り口には思わず聞き入っ てしまいます。ここでは英語版のみを収録。1982年にこの作品がラジオで放送されたときのケージのコメントが入っています。
[CD4]
ヴァリエーションズは複数の出来事が同時に起こっているザ・偶然性の音楽。その出来事のひとつひとつが耳に心地よいものから虫歯に響きそうな 音まで様々です。そのほかにも俳句にヒントを得たエイト・ウィスクス。また、京都の有名な竜安寺にインスパイアされて作曲したその名も「竜安寺」では、 小石による波のもようをグリッサンドに、そして配置された岩(石)をピッチ(音高)に見立て、静かで不思議な世界が広がっています。
[CD5]
スローモーショーンの映像を見せられているようなハーモニー第27番、冷たい水と氷の世界を思わせる北のエチュードなど、人の心や脳裏のどこ か、正気と狂気の間に潜んでいるような風景満載の作品集。鬼才ガウヴェルキのチェロと、ノップの完璧なピアノの音色が冴えわたる1枚。 (Ki)

WER-6956(3CD)
ジャン・フランセ生誕100周年セット
[CD1]フランセ自作自演
(1)愉快な主題による変奏曲〜ピアノと管楽アンサンブルのための(1976)
(2)少女たちの5つの肖像〔I. 気まぐれな女 II. やさしい女 III. ずうずうしい女 IV. もの思いにふける女 V.モダンな女〕〜ピアノの
ための(1936)
(3)協奏曲(コンチェルト)〜2台のピアノとオーケストラのための(1965)
(4)協奏曲(コンチェルト)〜クラヴサンと器楽アンサンブルのための(1959)

[CD2]ディヴェルティメント
(1)陽気なパリ〜トランペットと管楽器のための(1974)
(2)特徴的な9つの小品〜10の管楽器のための(1973)
(3)恋人たちのたそがれ(羊飼いの時間)〜Friedrick K. Wanekによる管楽器とピアノのための編曲版)
(4)7つの踊り〜バレエ「ソフィーの不幸」に基づく(10の管楽器のための)(1971)
(5)コンチェルト〜ギターと弦楽オーケストラのための(1982/83)
(6)8つの異国風舞曲(11管楽器と打楽器のための)(1981)

キャロル・ドーン・ラインハルト(Tb/(1)) アガーテ・ヴァネク(Pf/(3)) エマニュエル・セルジュ(Gt/(5))
ジョン・ドヴォラチェク(打楽器/(6)) マインツ管楽アンサンブル((1)(2)(3)(6))
ハンス・リヒター(指)南西ドイツ室内オーケストラ((5))
録音:(1)1976年6月、(2)1974年6月、(3)(4)1977年3月、(5)1986年2月、(6)1987年1月

[CD3] ジャン・フランセと・・・
(1)ハイドンの主題による11の変奏曲〜9の管楽器とコントラバスのための(1982)
(2)シューベルト(フランセ編):3つの軍隊行進曲 op.51, D733
(3)モーツァルト没後200年記念のエレジー
(旧譜ALC5104の方の訳に準拠しています)
(4)ショパン(フランセ編):3つのエコセーズ、ドイツ民謡による変奏曲
(5)シャブリエ(フランセ編): 3つの絵画風小品(8つの絵画風小品より抜粋)
(6)ヨーロッパ風小ワルツ
(7)擬似的即興曲
(8)モーツァルト・ニュールック
(9)友パパゲーノへのオマージュ(友パパゲーノ礼賛)
[CD1]
ジャン・フランセ((1)(2)(3)P、(4)クラヴサン)
クロード・フランセ((3)ピアノ)
マインツ管楽アンサンブル((1))
ピエール・シュトル(指)バーデンバーデン南西ドイツRSO((3))
エミール・ナウモフ(指)ザールブリュッケンRSO((4))
録音:(1)1977年4月 (2)1980年5月 (3)1967年6月 (4)1988年9月

[CD2]
キャロル・ドーン・ラインハルト(Tb/(1))
アガーテ・ヴァネク(P/(3))
エマニュエル・セルジュ(Gt/(5))
ジョン・ドヴォラチェク(打楽器/(6)) マインツ管楽アンサンブル((1)(2)(3)(6))
ハンス・リヒター(指)南西ドイツCO((5))
録音:(1)1976年6月、(2)1974年6月、(3)(4)1977年3月、(5)1986年2月、(6)1987年1月


[CD3]
野田一郎(Cb(1)(8))
ジャン・フランセ(P)
マインツ管楽アンサンブル((1)(7)(8)(9))
アマデ管楽アンサンブル((2)(3)(4)(5)(6))
録音:(1)1987年1月、(2)-(6)1997年2月、(7)1977年3月、(8)(9)1987年1月
1912年生まれの音楽家といえば、ギュンター・ヴァント、ジョン・ケージ、ショルティなど、様々な巨匠がいましたが、フランスが生んだ作曲家、フ ランセも1912年生まれでした。ジャン・フランセのモットーは、「喜びのための音楽」を作り上げることでした。エレガントでエスプリが効いたハーモニー、 極めて明晰な音楽の響きが魅力で、音楽のユーモア、優雅さと皮肉がうまくちりばめられた、独自の世界が広がります。フランセの生誕100周年を記念 してリリースされるこのセットでは、フランセの魅力のエッセンスを伝える録音を選りすぐってお届け。
[Disc1]は、自作自演によるピアノの作品も収録、軽 やかな魅力に満ちています。フランセの演奏によるクラヴサンも非常に軽妙洒脱な響きで、驚かされます
。[Disc2]でも、ミヨーら6人組を思わせるなんと もエスプリに満ちた、フランセならではの作品が並びます
。[Disc3]フランセと・・・では、ハイドンの交響曲第94番第2楽章の旋律に基づいた変奏曲 や、シューベルトの3つの軍隊行進曲などに関してフランセが語った肉声、シャブリエのピアノ曲を管楽器編成に編曲したものなど、音色と楽器の魔術師 フランセの真骨頂をみることができます。
【ジャン・フランセ Jean Francaix】
1912年5月23日に、作曲家にしてピアニストの父と、声楽家でChoを設立した母のもとに生まれ、10歳でナディア・ブーランジェに和声の手ほど きをうけました。同年、第1作となる作品を作曲、ラヴェルのすすめでパリ音楽院に進み作曲を学ぶ傍ら、ピアニストとしても活躍しました。18歳の時、 イシドール・フィリップのクラスで第一等を獲得。二十代前半から作曲家およびピアニストとして世界で認められるようになり、以降、オペラ、バレエ、管 弦楽作品、協奏曲、映画音楽、声楽音楽など多岐にわたる業績をのこしています。娘クロード(ピアニスト)との共演など、晩年まで積極的に演奏活動 も行っていました。1997年9月25日没。 (Ki)
WER-6860
細川俊夫:作品集
(1)旅 [/(2)リート/(3)弧のうた
(4)時の花〜オリヴィエ・メシアンへのオマージュ
(5)旅 ] 野ざらし
メルヴィン・プーア(Tub)(1) 
田嶋直士(尺八)(5)
ヘレン・ブレッドソー(Fl)(2) 
ウルリッヒ・レフラー(P)(2)
ピーター・ヴィール(Ob)(3)
 ミリャム・シュレーダー(Hp)(3)
アンサンブル・ムジークファブリーク
ピーター・ランデル(指)(1) 
イラン・ヴォルコフ(指)(5)

録音:(1)2006年5月27日、(2)2013年9月25日、(3)2013年9月9日、(4)2011年8月24日、(5)2009年6月13日
ヨーロッパでその名を広く馳せる細川俊夫は、西洋音楽の中で「日本」を描いた作品を多く生み出している作曲家です。海外に出た後で邦楽器や雅楽 など日本の音楽を学んだという彼の音楽、その発想の源には、奥深く東洋的な美学、哲学が根付いています。
物そのものもよりも光と影、空間に美しさを感じること、人間がやってきて、いずれは帰っていく世界と繋がろうとすること、宇宙や自然と個が溶け合い、 一つになること…。そんな西洋とは違う世界のとらえ方、感じ方が、どの作品にも根底に流れています。CDにおさめられている「旅」シリーズでのソリス トとアンサンブルの関係(「宇宙」と「個」)や、「弧のうた」で描かれる無から無へと生まれては消えていく音などにそれを感じることができます。「旅]」 の楽譜冒頭には芭蕉の寂寥感漂う句「野ざらしを心に風のしむ身かな」が記されているとのことです。西洋楽器による(「旅]」の尺八を除く)、西洋音 楽の中に凝縮された「和」の感性を感じることができる作品群です。 (Ki)
WER-6869
「落下」〜ムジークファブリーク・エディション16
(1)ブライアン・ファーニホウ(1943-):La Chute d’Icare 〜クラリネット独奏と室内アンサンブルのための(1987/88)
(2)ステファン・ヴィンクラー(1967-):Von der Gewissensnot der Insekten 〜17人の楽器奏者のための(2012)
(3)オスカー・ベッティソン(1975-):Livre des Sauvages 〜大管弦楽のための(2012)
アンサンブル・ムジークファブリーク
カ ー ル・ロスマン(Cl(1) )
ディエゴ・マッソン(指(1)) 
クレメント・パワー(指(2)) 
エミリオ・ポマリコ(指(3))

ライヴ録音:(1)2008年2月8日、(2)2013年3月17日、(3)2012年11月24日
(2)(3)世界初録音
超絶技巧集団ムジークファブリークによる世界初録音を含むシリーズ第16集。衝撃的・破滅的な曲想を持った現代音楽作品が並びます。技巧の凄まじさとア ンサンブルの複雑さに舌を巻くものばかり、一体どうやったらこんな演奏が可能なのだろうと唸ってしまう強烈さ。ファーニホウの作品はイカロスの墜落を描いた もので、クラリネット独奏とバックのアンサンブルが目まぐるしく超絶技巧を繰り出しあい旋回していくような恐るべき音楽です。 (Ki)
WER-6871
怒りの妄想 〜夢と妄想の祭典
ハリー・パーチ(1901-1974):怒りの妄想
〈第1幕〉アンサンブル・ムジークファブリーク(合唱) アルバン・ウェスリー(巡礼者-殺した者)
ブルース・コリングス(幽霊-殺された者) カール・ロスマン(殺された者の息子)
〈第2幕〉マルコ・ブラウ(聾のホーボー) アンサンブル・ムジークファブリーク(合唱;村人たち)
クリスティーネ・チャップマン(山羊飼いの老婆) アクセル・ポラス(盲聾の正義者)
メルヴィン・プーア(音楽家) マルコ・ブラウ(声) 渡邉理恵(子供)
アンサンブル・ムジークファブリーク
ハイナー・ゲッベルス(演出)

録音:2015年3月3‐6日ケルン、ムジークファブリーク・スタジオ
オクターヴを43音に分けた独自の微分音階を発案、数々の珍奇な楽器を造った作曲家ハリー・パーチ(1901-1974)。まず先に表現したい強烈なアイデ アがあり、それを実現するために楽器や舞台を新しく調達し構築していくという創作手法で独自の世界を切り拓きました。そのアメリカ前衛音楽のカリスマ的存 在が1966年に書き上げたシアター・ピース『怒りの妄想』は、規模・内容ともにパーチ芸術の集大成とされる大作。1969年のロサンゼルス初演は米コロ ンビアによって録音されマニア御用達の奇盤として知られています。半世紀を経ての新録音の登場は大注目に値する事件と言ってよいでしょう。
ヨーロッパ初演は時をおいて2013年。ドイツの現代芸術祭〈ルール・トリエンナーレ〉の開幕公演として、芸術祭監督ハイナー・ゲッベルスの演出と、 WERGOでおなじみ腕利き現代音楽演奏集団〈ムジークファブリーク〉によって披露されました。この時に楽器を新規で再構築したため以降も上演が可能になり、 歴史的怪作の現代における華麗な復活としておおいに話題になりました。そして2015年7月には同じ組み合わせでリンカーンセンター・フェスティバルにて再 演。そのタイミングで製作されたのがこのCDです。
ブックレットに掲載されたカラー写真からは、舞台装置と一体化するように配置された微分音楽器たちの真に奇抜的な存在感が味わえます。この数多の打楽器 たちが乱舞する強烈なサウンドに彩られた『怒りの妄想』は、楽器の製作と習得だけでも相当な時間を要する作品。この難物に臆することなく果敢に挑んだ音 楽家たちが創りあげた、とことん刺激的な世界に痺れます。
『怒りの妄想』は序と2つの幕からなり、序は「The Beginning of a Web」というタイトル。もちろん作曲当時はインターネットもない時代なので〈WEB =蜘蛛の巣状のネットワーク〉という意味合い。第1幕では日本の能楽『敦盛』が、第2幕ではエチオピアの民話『正義』が物語の下敷きになっていて、ど ちらも他者への怒りにとらわれるもそれは無益であり最後には和解へと至る、という筋書きを辿ります。パーチ自身の創作と外界との軋轢が描かれているのかも しれません。また作曲家自身も経験した「ホーボー(放浪労働者)」が登場するのもパーチ作品らしい特徴です。 (Ki)


WER-6959(5CD)
限定盤
ハンス・ヴェルナー・ヘンツェ:交響曲第1番〜第10番(全曲)
[CD1]〔WER 6721〕
交響曲第7番
シンフォニア第8番【
[CD2]〔WER 6722〕
交響曲第9番〜混声合唱とオーケストラのための〔アンナ・ゼーゲルスの小説『七番目の十字架』に基づく〕
[CD3]〔WER 6723〕
交響曲第3番(大オーケストラのための) 
交響曲第4番(大オーケストラのための)
交響曲第5番(大オーケストラのための)
[CD4]〔WER 6724〕
第1交響曲〜室内オーケストラのための(1947/1963, 1991年改訂)
シンフォニア第6番 (2つのオーケストラのための)(1969, 1994年改訂)
[CD5]〔WER 6725〕
第2番 大オーケストラのための(1949) 
第10番 大オーケストラのための(1997-2000)
マレク・ヤノフスキ(指)
ベルリンRSO
ベルリン放送Cho

[CD1]〔WER 6721〕
録音:2006年11月15-17日(第7番)、2007年2月7-9日(第8番)
[CD2]〔WER 6722〕
録音:2008年11月
[CD3]〔WER 6723〕
録音:2010年1月(第3、第4)、2010年9月(第5)
[CD4]〔WER 6724〕
録音:2012年
[CD5]〔WER 6725〕
録音:2012年8月28-29日(第2番)、2013年6月12-14日(第10番)
※単売だった 5 枚をスリップケースに入れた仕様となっております。スリムBOXではありません。
ハンス・ヴェルナー・ヘンツェ(1926-2012)の交響曲が全曲ボックスで登場。指揮はすべて巨匠ヤノフスキ。これまでにWERGOがリリースしてき た高水準のヘンツェの交響曲録音がボックスで登場!
[CD1]について
交響曲第8番作曲に際しヘンツェは「私は交響曲を書くことをやめられない。私はここで、個人的なものを越えたメッセージのために特別に作られた音 楽を多数の聴衆にむけて発信する権利がある。誰も私からこの権利を奪うことはできない、現代の文化的哲学がこの形式がもはや形骸化したと宣告して も---そしておそらくはそう宣告されている」(ヘンツェの言葉)。一方で第7番に関しては「古典的な交響曲のモデルにもっとも近づいているもののひとつ」 としており、同時にフリードリヒ・ヘルダーリンの人生と苦悩にも通じるものがあるといいます。第8番はシェイクスピアの「真夏の夜の夢」に基づいてお り、「軽やかな拍子と豊かなメロディ」が特徴です。
[CD2]について
ヘンツェが1996年から97年にかけて取り組んだ交響曲第9番は、アンナ・ゼーゲルスの小説『七番目の十字架』に基づくテキストに作曲された、ほ ぼ休みなく歌い続ける合唱を伴う大規模な交響曲。ゼーゲルスの本の内容は、7人の囚人が強制収容所から逃げ出そうとして失敗。士官たちは他の囚人 たちへの見せしめとして、収容所の7 本の木を切り倒し、十字架を作り、7人をはりつけにしようとします。しかし、7本目の十字架に乗るはずだった囚 人は、脱走に成功。誰もいない7本目の十字架が、抵抗の象徴、独裁者への勝利のしるしとして描かれる物語です。しかしながら、終わり方はきわめて 不安げなまま。独裁による人道の危機が終わることはない、というヘンツェのメッセージがこめられているようです。
[CD3]について
交響曲第3番は、19世紀末を思わせるような爛熟の官能的な響きと大規模な作風が印象的。交響曲第4番は、静かな弦の響きの中から様々なモティー フが生まれては消え、発展しながら進み、最後は壮大な音の重なり合いとなる、演奏時間20分超の単一楽章で非常に高い集中を保った曲。もともとは ヘンツェのオペラ「鹿の王」第2幕の幕切れの音楽として書かれたものです。第5番は一言で表すならば「ドラマティック」な作品。バーンスタイン&ニュー ヨーク・フィルの委託を受け作曲されたもので、ヘンツェいわく「ローマの風景、人々のイメージに触発されて作曲した」もの。激しいリズムや熱いクレッ シェンドの連続など、ヤノフスキの指揮も冴えわたります。
[CD4]について  
ヘンツェ20歳の時の第1交響曲とキューバ縁のシンフォニア第6番を収録。第1 番は、ヘンツェ20歳の時の作品。後にヘンツェはこの1947年版を「完 全に間違っている」とし、1964年にベルリンで演奏された折に改訂を施しています。1969年、ヘンツェは2度にわたってキューバへと旅をします。キュー バでは音楽シーンの重要人物と多くの出会いがあり、自身さとうきび畑で作業の手伝いをしたりもしたといいます。初めてキューバを訪ねるにあたり、ヘン ツェは交響曲の依頼を受けました。リズムが印象的なこのシンフォニア第6番は、ハバナで11月26日、ヘンツェ自身の指揮によって初演されました。
CD5]について
ヘンツェの初期の交響曲と、最後の交響曲を収録。第2番はヘンツェが12音技法を用いた最初の大きな作品で、当時の現代音楽の最高の解釈者のひと りであった指揮者ヘルマン・シェルヘンに献呈されています。第10番をヘンツェに発注したのはラトルでした。その発注時にラトルは「自分自身(ラトル自身) を反映させたポートレイトのような作品を」と述べたとヘンツェは回想しています。第10番は2000年に完成し、1999年に亡くなったヘンツェのパトロ ンの一人、パウル・ザッヒャーの「思い出に」ささげられています。第1楽章は2000年3月にラトルによって初演されました。 (Ki)
WER-6960(3CD)
ヒンデミット:弦楽四重奏曲全集
[CD1] 第1番ハ長調 Op.2、第4番 Op.22、第7番 変ホ調
[CD2] 第2番 Op.10、第6番 変ホ調
[CD3] 第3番 Op.16、第5番 Op.32
ジュリアードSQ
「ロバート・マン(第1Vn)、ジョエル・スミルノフ(第2Vn)、サミュエル・ローズ(Va)、ジョエル・クロスニック(Vc)]

録音:[CD1] 1997年3月8-10日(第1番・第7番)、1995年4月15・17・18日(第4番)
[CD2] 1996年6月14-16日
[CD3] 1995年4月15・17・18日
冴えわたる技巧と高い合奏能力を武器とするアメリカの名カルテット、ジュリアード弦楽四重奏団によるヒンデミットの弦楽四重奏曲録音がお求めやす い価格でセット化再発売。単発では廃盤になっているものもあり、嬉しいリリースです。バルトークなど近現代音楽も得意とするカルテットゆえに、演奏 は申し分ありません。
ハイドンやベートーヴェン、或いはバッハを思わせる彫琢された4声体でありながら、メカニックでカサカサした独特の語り口や和声感がいかにもヒンデ ミットな四重奏。またヴィオラ弾きでもあったヒンデミットだけあって、内声の対位法的な充実ぶりが目を引きます。ジュリアード弦楽四重奏団はこういう 音楽にもめっぽう強く、疾走感と力強さを兼ね備えた演奏を展開しています。未来的でドライなサウンドがクセになる、20世紀ドイツ音楽の面白さを世に 伝えるWERGOならではの名盤です! (Ki)

WER-7310
デトレフ・ミュラー=ジーメンス(b.1957):TRACES(痕跡)
弦楽三重奏曲/遠い痕跡
・・・夕暮れを呼ぶ/失われた痕跡
バーゼル・モンドリアン・アンサンブル

録音:2013年5月
1957年生まれのミュラー=ジーメンスが、2002年から2009年にかけて作曲した室内岳作品をまとめたもの。「遠い痕跡」と「・・・夕暮れを呼ぶ」 はリゲティの思い出にささげられた作品です。 (Ki)
WER-7311
モートン・サボトニック(b.1933):野獣〜記念碑的録音集
蝶のあとに(トランペット、器楽アンサンブル、電子の「ghost」スコアのための)
野獣(トロンボーン、ピアノ、「ghost」エレクトロニクスのための)*
マリオ・ガルネリ(Tp)他
モートン・サボトニック(指)

録音:1980年4月、ザ・レコード・プラント(ロサンジェルス)
1981年3月、エヴァーグリーン・スタジオ(カリフォルニア)*
モートン・サボトニックは、電子音楽分野の発展を語る上で欠かせない、生ける伝説のような存在。当時最先端の技術を作曲に取り込んでいます。野獣は、 野獣派(フォーヴィスム)の絵画にインスパイアされた作品。伝統的な楽器を、普通の音色はもはや期待できない環境の中で演奏させるという作風で、ま さに強烈な色彩を放つフォーヴィスムの絵画のような作品となっています。 (Ki)
WER-7312
モートン・サボトニック(b.1933):「両生類の二重生活」のための音楽〜歴史的録音集
【第1部】両生類
axolotl(独奏チェロと電子ゴースト・スコア)
ascent into air(2Vc,Cl,バス・クラリネット,バス・トロンボーン,2Pf,2打楽器奏者,コンピューター音)
【第2部】野獣
野獣の最後の夢(ソプラノ,2Vc,シンセサイザー,電子ゴースト・スコア)
【第3部】天使
風のはばたき(弦楽四重奏と電子ゴースト・スコア)
ジョアン・ラ・バーバラ(S)
ジョエル・クロスニク(Vc)、
カラーツ21世紀プレイヤーズ、
エリカ・デューク(Vc)
デイン・リトル(Vc)
ジュリアードSQ
モートン・サボトニック(電子音)、
ステファン・I・モスコ(指揮)
オリジナルLP:Nonesuch Records(録音:1981-1985)/2016年CDマスタリング
子音楽界のレジェンド、サボトニックのNonesuchのLP盤がWERGOレーベル(ライセンス)でCD化されての復活。サボトニックは楽器と他のメディ アを組み合わせた作品で革新的な役割を果たしました。このアルバムは交響詩「両生類の二重生活のための音楽」からの抜粋から成っており、「両生類」とは、 蛙が水中と空気中で生きているように、私たちが過去と未来、あるいは野獣と天使の心を持っていることの暗喩だと語るサボトニック。サボトニック特有の、 電子ゴースト・スコア(振り子が左右に揺れる音や、何かが通過する音、あるいは加速するパルス音など、何か動き(ジェスチャー)を伴う音を収録した テープを用いる)と生の楽器が織りなす世界をお楽しみいただけます。 (Ki)
WER-7313
デイヴィッド・ブリニャル・フランソン(b.1978):The Negotiation of Context (2009-2011) Yarn/ Wire(打楽器ピアノ四重奏団)
空想の世界を思わせる音響、どこかインスタレーション的であり、ムードに満ちている」と賞されるフランソンの作品集。ピアノ、アイスランドのパンプ・ オルガン、バス・ドラムのために書かれたThe Negotiation of Contextを、ここでは様々な組み合わせで演奏(ピアノとオルガン、あるいはピアノとドラム、 など)。ヘッドフォンで聴くと耳のすぐそばで様々な音が鳴り響き、オーディオ的にも面白い1枚です。 (Ki)
WER-7314
ロルフ・リーム(b.1937):作品集
(1)モスクワのレンツ(2011)
(2)ナイチンゲールの谷で(2007)
(3)音のための音(バビロンの白い通り)(2007)
(4)泉のほとりで (2007)
(1)アンサンブル・アスコルタ/録音:2011年
(2)エリク・ボルギール(Vc)/録音:2011年
(3)テオ・ナビフト(コントラバスクCl)/(録音:2011年
(4)シアン・エドワーズ(指)フランクフルトRSO/
ロルフ・リームは作曲をフォルトナーに学びました。また、オーボエ奏者としても優れ、自作の初演(オーボエ)を手掛けてもいます。グリム童話(ね ずの木の話)を題材にした音楽が特に知られています。自身、自分の作品のことを「政治的によろしくない」としており、どの楽派にも属さない、政治・ 社会と直接的なかかわりを見つめた作品を書いています。人の声を意識した独特の美しさをたたえた旋律や、音を聴いていると映像が目に浮かぶような、 描写の見事な世界で独自の人気を誇ります。
「モスクワのレンツ」のレンツとは、ゲオルク・ビューヒナーの「狂ってゆくレンツ」でも描かれたドイツの作家。1751年生まれ、ゲーテらとも関係の あったレンツは、1780年頃からロシアに移り、最後はモスクワで、家庭教師や通訳などとして生計をたてながら、フリーメイソンなどの活動もしましたが、 精神の病もかかえながら1792年にモスクワで亡くなった人物。ノコギリヴァイオリンやトロンボーン、様々な楽器が、レンツの人物像を形作っていきます。 他にも、オルフェウスを題材にした「ナイチンゲールの谷にて」や、聖書の怪人ゴリアテと少年ダビデの戦い(=大なるものと小なるものの戦い)をほう ふつとさせるオーケストラ効果の見事な「泉のほとりで」など、注目作が並びます。 (Ki)
WER-7315
ゲルハルト・シュテープラー(b.1949):作品集
ギリギリの限界に関する音楽的エッセイ(2001)
HEISS! (熱い!)(1988)
窓(1983)/TAP(1998)/しかし・・・(2009)
ドミニク・ズステック(Org)

録音:2014 年 1 月/ケルン、聖ペーター教会
オルガンを愛してやまない作曲家、シュテープラーによる5つのオルガン曲を収録。 シュテープラーは多作な作曲家ですが、小学生のころから魅かれていたオルガンのための作品は、このCDに収録された5曲のみ。あまりに好きで思い 入れが強くなりすぎてしまうため、まだ5曲しか作曲できていないということです。どれも、オルガンを熟知し、ノイズのような音から微小な音色、地響 きのようにパイプを轟かせるような音まで聴きどころ満載。演奏するのはリゲティやシュトックハウゼンの作品などでも秀演を披露しているズステック。驚 くべき迫力で、不思議な説得力に満ちています。 (Ki)
WER-7316(2CD)
イェルク・ヴィトマン(b.1973):弦楽四重奏曲集
弦楽四重奏曲第1番
弦楽四重奏曲第2番(コラール四重奏曲)
弦楽四重奏曲第3番(狩の四重奏曲)
弦楽四重奏曲第4番
弦楽四重奏曲第5番(フーガのこころみ- ソプラノをともなう)
オペラ「不在」の弦楽四重奏曲
1分間に180回〜弦楽六重奏のための
ミンゲット・カルテット〔ウルリヒ・イズフォルト(Vn)、アンネッテ・ライジンガー(Vn)、アロア・ゾリン(Vla)、マティアス・ディーナー(Vc)〕
クラロン・マックファーデン(S)
アレクサンダー・ヒュルスホフ&アンドレイ・シモン(Vc)

録音:2014年1月、4月
ぐれたクラリネット奏者としても活躍している作曲家、イェルク・ヴィトマンの弦楽四重奏作品集。番号が付された作品を1晩で演奏するプロジェクト を行ったミンゲット・カルテットによる演奏で、ヴィトマン自身、「このアンサンブルは、それぞれの作品が補足的だったり矛盾に満ちたりしていながらも、 すべてがドラマ的につながっていることをよく理解している」と信頼を置いています。番号が付された作品のほか、ヴィトマンが学生時代に書いたオペラ「不 在」の1シーンに出てくる弦楽四重奏曲に基づく ‘オペラ「不在」の弦楽四重奏曲’ や弦楽六重奏の作品など、ヴィトマンの室内楽の筆致を存分に味わえ る内容となっております。
ミンゲット・カルテットは、芸術は大衆に愛されるものであるべき、と唱えた18世紀スペインの哲学者パブロ・ミンゲットの名を冠したカルテット。リー ムの弦楽四重奏作品の全曲録音プロジェクトを手掛けるほか、ルジツカの弦楽四重奏曲全集録音やイェルク・ヴィトマンの弦楽四重奏の全曲演奏プロジェ クトなどを手掛ける一方、J-P.サラステやゲルハーヘルらとも多く共演を重ねている、多ジャンルにわたり活躍している団体です。 (Ki)
WER-7317
ゲオルク・クライスラー(1922-2011):ピアノ作品全集
5つのバガテル
ピアノ・ソナタ
バーバラのための5つの歌(メゾ・ソプラノ、ピアノとヴァイオリンのための)
3つのピアノ小品
シェリ・ジョーンズ(P)
オリヴィア・フェルモイレン(Ms)
アンドレアス・ライナー(Vn)

録音:2014年3月、11月
オルク・クライスラー1922年ウィーン生まれ。ユダヤ人で、戦後しばらくはアメリカで映画やテレビ音楽の分野で活躍、チャップリンとも仕事を共に したといいます。キャバレーやバー等で演奏して生計を立てました。1950年代後半からヨーロッパに戻り、2011年、ザルツブルクで没しました。自ら 詩を書き作曲したシャンソンを自ら歌い伴奏した録音なども遺されていますが、作曲家としての認知度はきわめて低いものと言わざるをえません。ここに 収録された作品は非常にエッジの効いたアヴァン・ギャルド的作品で、どことなくジャズも思わせるようなハーモニーが魅力です。 (Ki)
WER-7318
ティエリー・ペク(1965-):Orquoy(大オーケストラ)
Chango(3つのフルートとオーケストラ)
Marcha de la humanidad(オーケストラ)
ジョナサン・ストックハンマー(指)
フランス国立O

録音:2013年11月27-29日
※全曲世界初録音
1965年フランス生まれ、世界各国に滞在しながら作曲するペクの管弦楽作品を収録したアルバムです。いずれも世界初録音となり、その作風はヴィ ラ=ロボス、チャベス、レブエルタスを思わせるラテン・アメリカの響きとリズムを持ったユニークなもの。室内楽的な薄い響きに始まり大音響のクライマッ クスに至るまで、各楽器が独立したリズム感で短いパッセージを繰り返し、その堆積によって音楽が構築されていきます。無調とはいえそれぞれのメロディ は耳馴染みの良い音階で、日本人の耳には盆踊りやお祭りに聴こえる部分もあるかもしれません。曲は常に賑やかという訳ではなく、全体の構成や楽器 の色使いに気を配った繊細さも見られます。 「Chango」はアフロキューバン音楽にインスパイアされ書かれた作品。3つのフルートが呪術的なメロディを吹きあう第1楽章と、パーカッションが 活躍し盛大なリズムの饗宴となる第2楽章からなる作品です。 (Ki)
WER-7319
ハヤ・チェルノヴィン(1957-):管弦楽作品集

(1)The Quiet

(2)Zohar Iver(Blind Radiance)

(3)Esh

(4)White Wind Waiting

(5)At the Fringe of Our Gaze
(1)ブラッド・ラブマン(指)バイエルンRSO
 録音:2011年2月11日
(2)アンサンブル・ニケル、
 マリオ・ヴェンツァーゴ(指)
 ベルンSO
 録音:2011年10月20日
(3)カイ・ヴェッセル(C.T)、
 エヴァン・クリスト(指)
 コトブス州立劇場フPO
 録音:2012年1月8日
(4) シュテファン・シュミット(G)
 フランソワ=グザヴィエ・ロト(指)
 南西ドイツRSO
 録音:2013年9月10日
(5) ダニエル・バレンボイム(指)
 ウェスト=イースタン・ディヴァンO
 録音:2013年8月18日
(1)(2)(4)(5)世界初録音
1957年イスラエル生まれの作曲家、ハヤ・チェルノヴィンによる管弦楽作品集。いずれも古典的なトゥッティなどはなく特殊奏法も多く、そよぐ風、 水の流れ、虫たちのさざめきとも聴こえるようなサウンドが展開されます。(1)(2)(3)は「クレッシェンド三部作」と名付けられており、静けさの中で保続音 がじわじわと強くなるなど、さまざまな試みがなされます。指揮にはロト、バレンボイムも参加。
WER-7320
ジョン・ケージ:ソロ・パーカッション作品集
作曲された即興(スネアドラムソロのための)
ヴァリエーション 1(スチールドラムとムビラ版)
木の子供(ソロ・パーカッションのための)
作曲された即興(片面ドラムのための)
入り江〜4人の奏者のための (水で満たされたほら貝を奏する3人の奏者と、循環呼吸する1人のほら貝奏者、火の音)
27'10.554”(ソロ・パーカッションのための)
マティアス・カウル(パーカッション)

録音:2014年4月22日-25日
ジョン・ケージは、その有名な作品「4’ 33”」(演奏者は音を出さず、演奏が行われる環境で聞こえうる全ての音を音楽とする作品) に代表されるように、 音や音楽の概念を覆し、「静寂」の持つ意義に着目した作曲家です。そんな彼の「静寂」にこめる意図に、パーカッショニストのマティアス・カウルが正 面から挑んだのがこのCDです。
ヴァリエーション1は、透明な板に書かれた五線紙と点を重ね合わせた楽譜が用いられ 打楽器の選択も奏者に任されるという、奏者に多くが委ねられる作品。カウルは長さの異なる金属片を指で鳴らす楽器「ムビラ」と、ドラム缶を加工し た楽器「スチールドラム」という楽器選択により、多様な音色を引き出しています。さらにユニークなのは「入り江」。水音と火がはぜる音が混ざり合い、 原始的な情景を呼び起こします。音と静寂へのケージの探求が込められた一枚です。 (Ki)
WER-7321
シャルロッテ・ザイトヘル(b.1965):作品集
champleve/cry/gran passo
playing both ends towards the middle
merging strain
equal ways of difference
エロール=クラヴィーア・トリオ

録音:2013年10月17-20日
らの作品について、「妄想の世界を音にしてあらわしたもの」と述べるザイトヘルの作品集。
WER-7322
マーク・アンドレ:…auf…〜大オーケストラのための3部作
…auf…1(オーケストラのための)
…auf…2(オーケストラのための)
…auf…3(オーケストラと電子ライヴのための)
シルヴァン・カンブルラン(指)
バーデン=バーデン・フライブルクSWR響

録音:2009年SWR実験スタジオ、フライブルク
マーク・アンドレの作品。アンドレは1964年フランスに生まれ、その後ドイツで活躍している作曲家。パリでクロード・バリフやジェラール・グリゼー に師事、ドイツではラッヘンマンに師事しています。
このディスクに収録されている「…auf…」シリーズは、2009年3月28日、ベルリン・フィルハーモニーにて、カンブルラン指揮、バーデン=バーデン・ フライブルクSWR交響楽団とSWR実験スタジオ(フライブルク)によって初演されました。非常に大掛かりな陣容の作品で、木管楽器パートは各4名(イ ングリッシュ・ホルン、バス・クラリネット、コントラファゴットも4 名)、金管も、トランペット、トロンボーン、チューバまでも4 名という作品です。さらに、 …auf…3になると、この編成に、聴衆を取り囲むようにして6名の打楽器奏者と電子音を流すスピーカーが加わるといいます。ヴァイオリンを筆頭にす べての楽器は舞台上で対称的に配置され、ステレオ効果抜群の音世界が作り出されます。 (Ki)
WER-7323
ペテリス・ヴァスクス(b.1946): Sala(島)〜オーケストラのための交響的エレジー(2006)
ムジカ・アッパッショナータ〜弦楽オーケストラのための(2002)
クレド〜オーケストラのための(2009)
リエパーヤSO
アトヴァルス・ラクスティガラ(指)

録音:2014年1月、5月
ラトヴィアの作曲家、ペテリス・ヴァスクスの作品集。1曲目の「Sala」(島)はエレジーとあるように非常に抒情的かつ叙景的で、スケールの非常に 大きなヒーリング音楽のよう。時にラトヴィアの民謡を思わせるような親しみやすい旋律も聴かれます。2曲目のムジカ・アッパッショナータは厚い和音と 変化に富んだ作品。クレドはクラリネットと弱音器をつけた弦楽が織りなす深い祈りの世界。 (Ki)
WER-7324
ヴィオレッタ・ディネスク(1953-):フルート作品集
日記から I (フルート独奏)
観察 I(フルート×2)
海の鐘 (フルート、ホルン×4)
日記から II (バス・フルート独奏)
Kata (フルート、ピアノ)*
日記から III (アルト・フルート独奏)
観察 IV (フルート×4)
観察 III (フルート×3)
観察 II (フルート×5)
日記から IV (ピッコロ独奏)
モーツァルトを求めて (フルート、ハープ)
日記から V (コントラバス・フルート独奏)
イクトゥス (フルート、ヴァイオリン、ピアノ)
観察 V (フルート×9)
カリン・レヴァイン(各種Fl)
シュテファン・ラ ーン(P)
シンシア・オパーマン(Hp)
ズザンネ・ツァップ(Vn)
ドープラ・ホルンQ

録音:2014年7月2-4日、2015年2月24-25日、11月16日
*すべて世界初録音
1953年ルーマニア生まれの作曲家ディネスクによるフルート作品集。フラッターツンゲ、ブレス・ノイズ、重音、グリッサンドなど特殊奏法を駆使して 奏でられるものの、音楽はどこか優しく柔らかい印象を受けます。フルートの本数が増えると、何層もの幕が別々にゆらめくようなサウンドが出現し、不 思議に心地よい感覚を覚えます。各種のフルートを流麗に吹きこなすカリン・レヴァインの妙技にも注目。
WER-7325
モートン・フェルドマン(1926-1986):作品集
オーケストラ〜オーケストラのための*
エレメンタル・プロセデュアズ〜ソプラノ,混声合唱とオーケストラのための
お定まりの研究〜オーボエ,トランペット,ピアノ,ヴィオラ,チェロ,コントラバスのための
ピーター・ランデル(指)ケルンRSO
クラウディア・バラインスキー(S)
ケルン放送Cho
ニコラウス・コック(合唱指揮)

録音:2010年2月10日*、2013年2月5&6日
ジョン・ケージやアール・ブラウンらと並ぶアメリカ現代音楽の重要な担い手であったモートン・フェルドマン。図形楽譜の発案者として、またその静 謐な音楽や、演奏時間が最大で6,7時間に及ぶような長大な作品で知られています。晩年に書かれた「〜でもなく(Neither)」は彼の唯一のオペラ作 品ですが、このディスクにはそのオペラ作曲に先立ち、前段階として書かれた3作品が収録されています。 「オーケストラ」「エレメンタル・プロセデュアズ」「お定まりの研究」はどれも1976年の短期間のうちに書かれた作品群。当時フェルドマンはアイル ランド出身の劇作家サミュエル・ベケットの作品を用いたオペラ作品を委嘱されていました。ベケットのテキストの使用や、ソロや合唱での声の用い方など、 オペラを書くにあたっての実験の場でもあったこれらの作品は「ベケット三部作」と呼ばれています。音の扱い方などに後のオペラに通じる要素を見ること ができ、彼の創作の軌跡を追うことができる作品群です。霧が立ち込めたような静寂、ぽつりぽつりとつぶやくような音数の少なさなど、フェルドマンの代名詞ともいえる空気感に溢れたこれらの曲、フェルドマ ンファンにはたまりません。現代音楽の演奏に定評があり、彼女のために多くの作品が書かれているソプラノ、バラインスキーの妖艶なヴォカリーズにも注 目です。 (Ki)
WER-7326
カウエルとケージのピアノ曲
ジョン・ケージ:トスト・アズ・イット・イズ・アントラブルド* (1943)
 独白(1945)/夢 (1948)
 ホロコーストの御名のかけて* (1942)
 2つの小品 (1946)
 危険な夜* (1944)
 プリミティヴ* (1942)
ヘンリー・カウエル:不吉な響き (1930頃)
 エオリアン・ハープ (1923)
 3つのアイルランドの伝説 (1912)
 バンシー(1925)/痕跡 (1920)
 5つのアンコール (1917)
 富士山の雪
ザビーネ・リープナー(P、プリペアード・P*)

録音:2014年12月11-13日バイエルン放送スタジオ2(ミュンヘン)
掌や肘でピアノの一定音程を塊として奏する「トーンクラスター」の発案者として知られるヘンリー・カウエル(1897-1965)、ピアノの弦の間にボルト や紙を挟むことで打楽器のような音色にした「プリペアード・ピアノ」の発案者として知られるジョン・ケージ(1912-1992)という20世紀アメリカの二 大天才のピアノ曲を集めた好企画。もちろんトーンクラスターとプリペアード・ピアノ満載で、その効果の面白さや表現力を改めて実感させてくれますが、 どちらも日本の精神文化から影響を受けていて、日本人の心を打つ何かがあります。
ケージ作品はマース・カニンガムのダンスのために作ったものが中心となっていますが、「トスト・アズ・イット・イズ・アントラブルド」や「ホロコース トの御名のかけて」など、ジョイスの「フィネガンズ・ウェイク」からとられた言葉遊び的なタイトルに興味をひかれます。カウエル作品は作曲者の自作自演が残されていますが、現代作品のスペシャリストのリープナーがよりシャープに表現。ペンタトニックのトーンクラスター が不思議な極東感を漂わす「富士山の雪」など、曲の良さを再認識させてくれます。 (Ki)
WER-7327
ファン・カルロス・パス(1901〜1972):作品集
edalus
invencion(世界初録音)
Nucleos
Concrecion (世界初録音)
アンサンブル・アバンチュール
アキコ・オカベ(P)、
アレクサンダー・オット(指)

録音:2014年9月26日-28日、11月30日
20世紀アルゼンチンの作曲家、ファン・カルロス・パスの作品集。世界初録音も2曲含まれます。 当時、ラテンアメリカの音楽界では民族音楽をベースにした創作が主流でしたが、パスはその風潮とは一線を画し、当時の西洋音楽の動向を吸収しつつ それらを統合させるような作品を発表しました。当時ヨーロッパで盛んに使用された音楽語法の一つ、「12音技法」を初めて南米で使用した作曲家とも 言われています。 後期ロマン派、新ウィーン楽派の12音技法、ジャズや新古典主義など、20世紀前半にヨーロッパで起こっていた、または持ち込まれた様々な同時代音 楽の影響を受けた彼が、20世紀半ばのうちに遠く海を隔てた国でこのような作品を書いていたことは、現代に続く「西洋音楽の多国籍化」の始まりとい えるでしょう。文化の国境が徐々になくなっていく、世界で同じ文化を共有する、そんな新しい時代の文化のあり方を感じる一枚です。 (Ki)
WER-7328
ジャチント・シェルシ(1905-1988):ピアノのための組曲第8番 Bot-Ba(1952)[全6楽章/30:23]
ピアノのための組曲第11番(1956)[全9楽章/38:39]
ザビーネ・リープナー(P)

録音:2013、2014、2019、2020年
ジャチント・シェルシは20世紀のもっとも変わった作曲家のひとりです。自分では楽譜を書かず、1950年代から即興演奏を録音し他人に記譜してもらう ようになり、大量の作品が生まれて組曲としてまとめられるようになります。生前はずっと異端視されていましたが、死後に人気が高まりファンを多く獲得し ていった作曲家でもあります。組曲第8番は「ボトバ」という副題がついており、これはチベットを意味します。東洋哲学にも深い興味を示したシェルシ特 有の世界観。また組曲第11番は最後にまとめられた組曲です。
ザビーネ・リープナーはWERGOレーベルから多数のアルバムをリリースしているピアニストで、シュトックハウゼン、ケージ、フェルドマン、カーゲルな ど現代音楽を十八番とする名手です。シェルシも当然レパートリーに入っており、2015年には組曲第9番と第10番を収録したアルバム(WER-6794) を発売し高い評価を受けています。とうぜん今作も、シェルシ史上最高峰の録音が登場したと言っても過言ではない完成度です。 (Ki)
WER-7329
ペトリス・ヴァスクス弦楽四重奏曲集
弦楽四重奏5番(2004)
弦楽四重奏2番「夏の歌」(1984)
スピーツェルSQ

録音:2013年8月セサヴァ・ルター派教会、2014年5月レーゼクネ市コンサート・ホールGORS(ラトヴィア)
1946年ラトビア生まれの作曲家、ペトリス・ヴァスクスの弦楽四重奏曲集。ヴァスクスが生まれ育った時代、ラトビアはロシアの占領下にありました。 自由が抑圧された祖国の中で、ヴァスクスはそこに生きる人々にとっての「魂の楽園」を音楽に求めます。テキストを伴う声楽曲は検閲を避けられない当 時、器楽曲のみが「自由の孤島」でした。1991年に独立を果たし、社会の混乱が収まってからは、彼の音楽から嘆きや痛みの要素は薄れていき、「愛」 への賛美が彼の主な創作テーマとなります。占領下時代も独立後も、常に人と共にあろうとした、彼の人間に対する愛、慈しみが一貫し彼の創作への 動機となっています。調性的な響きの中で、人の心のひだに染み入るような「歌」を奏でる彼の音楽の向こうには、ヴァスクスという1人の人間が垣間見 えるようです。 2004年に書かれた「弦楽四重奏5番」は、相反する性格の2つの楽章からなる作品。1楽章では荒々しい楽想が感情の高まりを想起させ、2楽章 では静謐な空気の中、穏やかさと悲しさが入り混じったような世界が広がります。1984年、ラトビア独立への動きが高まりつつある頃に書かれた「弦楽 四重奏2番」は自然の生命力への賛歌と環境問題への問い。鳥の歌を模した2楽章の後に続く3楽章「悲歌」は、「鳥は来年戻ってくるのだろうか?」 と問いかけます。 自らも弦楽器奏者であるヴァスクスが、自分の音楽を最も伝え得るとする弦楽器。中でも全部で5曲ある弦楽四重奏は彼が長い年月に渡って書き続け ている、思い入れのある編成です。彼の音楽言語が彼の声として伝わってくるような作品集です。 (Ki)
WER-7330
ペトリス・ヴァスクス(1946-):弦楽四重奏第4番
弦楽四重奏第1番*
弦楽四重奏第3番
スピーツェルSQ

録音:2014年5月*、2014年7月/レーゼクネ市コンサート・ホールGORS(ラトヴィア)
ラトビア生まれの作曲家ペトリス・ヴァスクスの弦楽四重奏曲集。ソビエト占領下時代から独立後の混乱期まで、祖国ラトビアとそこに生きる人々の苦 難を間近に見てきたヴァスクスにとって、音楽を書くことは人々にとっての「魂の楽園」を求めることでした。彼の創作の中で重要な位置を占めている5曲 の弦楽四重奏曲には、どんな厳しい環境でも失われない彼の祈り、愛、希望が一貫して描かれています。 弦楽四重奏第1番は、ソビエト占領下時代に書かれた作品。ラトビアを取り巻く厳しい状況と混乱、絶望に満ちた感情や、突き上げるような抵抗が描 かれたのち、最終楽章では理想の世界を希求する静かで穏やかな楽想が広がります。 弦楽四重奏第3番は、ラトビア独立後間もない頃に書かれた作品。クリスマスキャロルを引用した第1楽章、ラトビアのフォークダンスのリズムを用い た第2楽章の後に続く第3楽章では、それまでと一変し鋭くシビアな表情が現れ「地球上で平和は可能か?」という問いを聴衆に突きつけます。最終楽 章で再び現れる希望の光は、そんな自問自答を繰り返した作曲者の答えなのかもしれません。
21世紀を目前にした1999年に書かれた弦楽四重奏第4番は、90歳を迎えたヴァスクスの母に捧げられた作品。彼女の生涯と20世紀が歩んだ歴 史に想いを馳せて作曲されたといいます。最終楽章「瞑想」は、高音域で透明感のある歌を奏でるヴァイオリンソロが特徴的。「空高く飛ぶ天使が下界の 状況を悼みつつ、かすかな癒しと慰めを与える」と作曲者が説明しています。この最終楽章「瞑想」は、2006年にヴァイオリンと弦楽合奏版が作られ、 その版には「孤独な天使」というタイトルがつけられています。 既にWERGOからリリースされている弦楽四重奏第2番&5番(WER 7329)に引き続き今回も演奏を手がけるスピーツェル弦楽四重奏団は、シンフォ ニエッタ・リガ・オーケストラとリエパーヤ交響楽団のメンバーからなるラトビアの弦楽四重奏団。古典から現代まで幅広いレパートリーを持ち、ラトビア 人作曲家の作品の演奏に力を入れて活動しています。 そっと人々に寄り添うような曲を書き続けるヴァスクス。痛みに満ちた時代だからこそ必要とされる希望や信仰が、作曲者の肉声として伝わってくるよう な作品集です。 (Ki)
WER-7331
ディミトリー・テルツァキス(1938-):作品集
(1)レジェトス(1988)
(2)サッフォーチクルス(2006)
(3)ある聖母へ(2007)
(4)ヴィジョン(2004)
(5)-(7)地獄のソナタ(2008-2009)
(1)カーラ・ベイヤー、ルーシー・レーカー(Vn)
(2)ブリギッテ・ファスベンダー(語り)、
 アンティゴネ・パポウルカス(S)
 クリスティアーネ・ロレンツ(Fl)
 アンドレス・マウポイント(P)
(2)(4)タチアナ・マスレンコ(Va)
(3)(5)-(7)コーリャ・レッシング(Vn)
(3)ウルフ・シルマー(指)ミュンヘン放送O
(4)ウテ・レック(語り)、トーマス教会少年Cho、ゲオルク・クリストフ・ビラー(指)
(5)アンドレアス・ケルステン(P)

録音:(1)2014年7月14日、(2)2007年10月13日、(3)2009年1月30日、(4)2005年7月11日、(5)-(7)2012年2月15日
ギリシャ出身のドイツの作曲家、ディミトリー・テルツァキスの作品集。セリー音楽全盛期に、セリーによる作曲が肌に合わないと感じ敢えて別の音楽 を模索したテルツァキスは、彼のルーツでもあるビザンチン音楽の語法に可能性を求め、調性を感じさせるような全音階的な音使いと旋律の水平的な音楽、 微分音程による揺らぎなどで、独自の世界を切り開きました。 作家アンゲロス・テルツァキスを父に持つディミトリー・テルツァキスは、文学作品に発想を得た作品も多く、このディスクにおさめられた「サッフォー チクルス」や「ヴィジョン」のように直接文学作品をテキストとして使うこともあれば、「ある聖母へ」や「地獄のソナタ」のように、器楽曲ながらボードレー ルの詩集「悪の華」の中の冒涜的な詩「ある聖母へ」やダンテの「神曲」などを音楽的な根としている作品もあります。その非西洋的でどこかいにしえ の香を感じさせる音楽は、西洋の現代音楽の中で異彩を放っています。どこか異界に連れて行かれるような、テルツァキスの独特な音の世界が詰まった1 枚です。 (Ki)
WER-7332(1SACD)
マルティン・スモルカ(1959-):合唱作品集
ポエマ・デ・バルコネス*(世界初録音)
ウォールデン・星の雫の蒸留者#
塩と悲しみ(世界初録音)
SWRシュトゥットガルト声楽アンサンブル、マーカス・クリード(指)
マルティン・ホーマン(打楽器)#

録音:2009年3月17*、18日、2008年2月19-21日
チェコの作曲家、マルティン・スモルカの合唱作品集。5楽章からなり打楽器を伴う「ウォールデン 星の雫の蒸留者」は、「現 代社会の暴力性」をテーマにした作品を委嘱された作曲者が、現代社会が損なっているものとしての「自然」をテーマに書いたもの。テキストに取られて いるのは、森の中で2年2か月に渡る自給自足の生活を送り環境保護運動の先駆者としても知られるヘンリー・デイヴィッド・ソローの著書「ウォールデ ン 森の生活」からの抜粋です。自然への賛歌の中に損なわれゆく自然の姿や暴力性が潜んでいるこの曲で、スモルカはあえてシンプルな長短音階や従 来の拍節を用いて純粋な自然、人間の立ち返る場所を描いたとのこと。シンプルな中に紛れ込むひずみが現代社会の姿を写してしているようです。
「ポエマ・デ・バルコネス」と「塩と悲しみ」はどちらも初録音。それぞれ14分、18分を超える大作です。「ポエマ・デ・バルコネス」ではスペイン の詩人ガルシア・ロルカの詩から抜き出された3行〈海は浜辺で踊る/バルコニーの詩/水は轟く〉が、「塩と悲しみ」ではポーランドの詩人タデウシュ・ ルジェヴィッチの愛と記憶についての詩が使われています。哀愁漂う透明感、飲み込まれるような声の渦…スモルカが生み出す独特な世界観に注目です。
SWR シュトゥットガルト声楽アンサンブルは高い実力や豊かな実績を持ち、現代音楽合唱シーンには欠かせない存在となっています。声が持つ表現力 の幅広さに魅せられること間違いなしのディスクです。 (Ki)
WER-7333
ハインツ・ホリガー:合唱作品集
(1)Shir Shavur(2004)
 ダヴィド・ロケアの12の詩に基づくブロークン・ソング〜混声合唱とソリストのための
(2)Psalm(1971)〜16の独唱者のための
(3)holle himmel(2011/12)
 カート・マルティの詩に基づくモテット〜混声合唱と任意のパーカッションのための
(4)Rosa Loui(2006/07)
 ベルン方言によるカート・マルティの4つの詩〜混声合唱のための
(5)Utopie Chorklang(2004)〜3群の12人からなる合唱団のための*
マルクス・クリード(指)
ハインツ・ホリガー(指)*
SWRヴォーカルアンサンブル

録音:(1)2007年7月2-5日、(2)2015年10月20-21日、(3)2015年3月20-21日・10月20-21日、
(4)2010年11月17日、(5)2006年2月9日

※(1)(3)(4)(5)世界初録音
世界屈指のオーボエ奏者にして高名な作曲家でもあるホリガーのア・カペラ合唱作品集です。驚くほど緻密な書法と繊細なことばの扱いによって複雑 にうねる音楽は、まるで打ち寄せる大波のよう。自由自在に声を操り、大オーケストラに劣らぬ、あるいはそれ以上の音響を造り上げています。「Shir Shavur」はヘブライ語とオランダ語が使われ、左右に分かれたパートが複雑に呼び交わし、ステレオ効果抜群。「Utopie Chorklang」は12人からなる 合唱グループが3つあり、グループごとに別々のピッチが求められます。第2グループが楽譜通り歌い、第1グループは記譜より1/3音高く、第3グルー プは1/3音低く歌うというような大変な作品。3分足らずの作品ですが非常に濃い内容で、様々な歌唱法で震えわななき、にじみ広がっていくサウンドが 圧巻です。
指揮のマルクス・クリードはケンブリッジのキングズ・カレッジ出身で合唱のスペシャリスト。SWRの合唱団もべらぼうに巧く、ホリガーの精緻な音楽 が完璧に鳴り響いています。合唱芸術ここに極まれり、といった名演奏です。 (Ki)
WER-7334
ヘンツェ:カンタータ「美しくあること」
室内楽1958年*
アンナ・プロハスカ(S)
ソフィア・ウィットソン(Hp)
アンドレアス・グリュンコルン(Vc)
ファビアン・ディーデリヒ(Vc)
カタリナ・クール(Vc)
ヴァレンティン・プリーバス(Vc)
ペーター・ハイスベルトセン(T)*
ユルゲン・リュック(G)*
ペーター・ルジツカ(指)北ドイツRSO

録音:2015年5月3日、2013年1月25日*/NDR
20世紀ドイツを代表する作曲家、ハンス・ヴェルナー・ヘンツェ。保守と革新の中道を行く作風でドイツ音楽界を牽引してきた彼の声楽を含んだ2つ のアンサンブル曲「美しくあること」と「室内楽1958年」がおさめられたディスクです。 カンタータ「美しくあること」はランボーの同名の詩がテキストとされています。作曲者が交響曲5番の初演(バーンスタイン指揮)のため渡米した折 に目の当たりにしショックを受けたニューヨークの貧富の格差が創作源となったと言われるこの曲は、ヘンツェがニューヨークで感じたこと様々―命の危機 と古典的な理想の美への挑戦、豊富さと腐敗の矛盾など―がランボーの詩では予言されている、と感じ作曲したとのこと。歌心溢れる4つのチェロとハー プの抒情的なヴェールをまとったソプラノが世紀末的、官能的な詩を歌い上げる、大変美しい曲です。 「室内楽1958年」はイギリスの作曲家、ベンジャミン・ブリテンに捧げられた曲で、ドイツの詩人ヘルダーリンの詩によるテノール、ギター、クラリネッ ト、ファゴット、ホルン、弦楽器5部が1人ずつ(このディスクでは複数)の楽器による12の楽章から成ります。ヘンツェはヘルダーリンの神秘的なイメー ジや象徴で綴られる自然、人間、古代の神々、苦難と運命についての詩を6つの楽章に分け、さらにそこに器楽曲としての6つの楽章を足し「テノールと 全楽器」「ギターなしの器楽曲」「テノールとギター」「ギターソロ」という4つの編成のヴァリエーションを生み出しました。中でも「テントス」と名付け られた3つのギターソロは単独で演奏されることも多くあります。ヘンツェの抒情の世界に浸ることができるディスクです。 (Ki)
WER-7335
バルツ・トリュンプ(1946-):作品集
バラード〜ギターのための
マリンバのための5つの小品
エオリアンソング〜フルートのための
4つのデュエット〜マリンバとギターのための
シビュラの託宣〜ソプラノ、バリトン、フルート、打楽器のための
エル・シマロン・アンサンブル

録音:2014年9月3日-6日、12月5日/チューリッヒ
スイスの作曲家、バルツ・トリュンプの作品集。セリエリズムや偶然性など、彼が若いころ全盛期だった前衛音楽とは違う路線を歩み、彼にとっての「美 しい音楽」を追い求め続けているトリュンプ。故郷スイスの山に囲まれた空の高さやギリシャ神話への傾倒など、豊かな創作のバックグラウンドから紡ぎ 出される彼の音楽を、様々な楽器や編成で多角的に味わうことができるアルバムです。
CD最初におさめられているソロ3作品(ギターソロ、マリンバソロ、フルートソロ)は、どれもそれぞれの楽器から引き出す多様な表情や語り口、聴 き手を掴む展開が魅力的な作品。20世紀を代表する作曲家、ルチアーノ・ベリオのアシスタントをしていたこともあるというトリュンプですが、これらの ソロ作品はベリオのソロ作品シリーズ「セクエンツァ」の世界を思わせながらも、トリュンプ独自の歌心を感じさせます。 マリンバとギターのための「4つのデュエット」は、性格も音の出る仕組みも全く異なる2つの楽器の会話。双方のそれぞれに個性的な音色が重なるこ とにより生まれる陰影や独特な音の手触りが特徴的です。このディスクで1番大規模な作品「シビュラの託宣」は、ソプラノ、バリトン、フルート、打楽 器によるアンサンブル。本CDの演奏を手掛けるエル・シマロン・アンサンブルのために書かれ、同アンサンブルのメンバーに献呈されています。西洋古 典文学の中でアエネアスの冥界への旅路に同伴した女性とされる預言者、クマエのシビュラを題材に取ったこの作品で、フルートは同じく冥界来訪の神話 で知られるオルフェウスの楽器として、またモーツァルトのオペラ「魔笛」のように異界から身を守るものとして、暗示的に使われます。フルートと絡み合い、 縁どるようなソプラノや、ファルセットと低音域を行き来するバリトン、それを煽るような打楽器が描くシビュラの嘆きと恍惚は呪術的な雰囲気を醸し出し、 聴き手を異界に導くようです。エル・シマロン・アンサンブルは、20世紀ドイツを代表する作曲家ハンス・ヴェルナー・ヘンツェの作品「逃亡奴隷(エル・シマロン)」を始めとする 現代作品の演奏で知られ、ザルツブルク音楽祭など数々の音楽祭出演など国際的に活躍する団体。初演も多数行い、多くの作品がエル・シマロン・アン サンブルに献呈されています。トリュンプが作り出す音の迷宮に、誘われるままに迷い込んでみてはいかがでしょうか。 (Ki)
WER-7336
ハンス・ツェンダー:作品集
(1)?adonde? wohin?(どこ?)〜ヴァイオリン,ソプラノ,器楽のための
(2)oh bosques (o Waelder)(森)〜ソプラノ、混声合唱と小オーケストラのための
(3)?por que? warum?(なぜ?)〜無伴奏、2つの混声合唱グループのための
(4)oh chritalina…歌い手と器楽奏者から構成される3つのグループのための
(1)アンゲリカ・ルッツ(S)、エルンスト・コヴァチッチ(Vn)、クラングフォーラム・ヴィーン、シルヴァン・カンブルラン(指)
(2)アンゲリカ・ルッツ(S)、バイエルン放送cho、バイエルンRSO、スザンナ・マルッキ(指)
(3)SWR声楽アンサンブル・シュトゥットガルト、マークス・クリード(指)
(4)SWRバーデン=バーデン&フライブルクSO、エミリオ・ポマリコ(指)

録音:2010-2014年
※(2)(3)(4)世界初録音
れらの4作品は、異なる演奏形態ですが、歌詞がすべて16世紀スペイン黄金時代に生み出された文学の中でも頂点 とされるホアン・デ・ラ・クルスの「Cantico spiritual」からとられている、というところが共通しています。全部で40行からなる作品の最初の14行 に付曲をしており、ダダのような世界の(1)やどこかシェーンベルクを思わせる(2)、声による突き刺すようなハーモニーが印象的な(3)、管楽器と声楽が不思 議に響き合う中、ピアノの音色がかけめぐる大規模な(4)と、超絶の微分音が多用された世界を堪能できます。 (Ki)
WER-7337
アリベルト・ライマン(1936-):作品集
夢の螺旋〜大オーケストラのための
暗闇に包み込まれて*
9つの小品〜オーケストラのための#
クリストフ・エッシェンバッハ(指)
北ドイツRSO
ティム・セヴロー(C.T)*

録音:2003年6月17日、2004年5月13日*、2001年6月12日#
ドイツの作曲家、アリベルト・ライマン(1936-)は2016年に傘寿を迎えます。ライマンはヨーロッパやアメリカのオペラハウスではその作品がレパー トリー上演されるなど、世界で最も注目を集めている作曲家の1人です。日本でも日生劇場で2012年にオペラ「メデア」、2013年にオペラ「リア」が 日本初演され、話題となりました。 もとはメゾソプラノのために書かれたという「暗闇に包み込まれて」は、無伴奏声楽ソロ。20世紀のドイツ系ユダヤ人の詩人、パウル・ツェランの詩 をテキストとして書かれた9曲からなる連作歌曲です。名歌手フィッシャー・ディースカウの伴奏者として頭角をあらわすなど伴奏ピアニストとしてのキャ リアも持ち、声の醍醐味を知り尽くしたライマンが、楽器を伴わず「声のみ」で描いた単旋律の世界を、このCDではカウンターテナーのティム・セヴロー が、カウンターテナー独特の透明感と硬質さのある歌声で聴かせます。
当ディスクではオーケストラの曲に挟まれて声楽ソロ曲が入るという一見変わった組み合わせがなされています。これはオーケストラのための「9つの小 品」が、その前に置かれている「暗闇に包み込まれて」に対応しているため。「暗闇に包み込まれて」の直後に書かれたという「9つの小品」は、前作の 歌曲の各曲に対応しながらも、全く独自の作品として新たな世界を作り出しています。並べて聴くことで、ライマンの創作の軌跡を辿ることができます。エッ シェンバッハの深い解釈にも注目です。 (Ki)
WER-7339
ハンス・ツェンダー(1936-)作品集
Dialog mit Haydn 〜2台のピアノと3群のオーケストラのための(1982)
Issei no kyo 〜ソプラノとオーケストラのための(2009)*
Nanzen no kyo - Canto VII 〜四部合唱と器楽アンサンブルのための(1992)#
ヘルマン・クレッチマー(P)
ウエリ・ヴィゲット(P)
ハンス・ツェンダー(指)ドイツ連邦青少年O
クラロン・マクファデン(S)*
ヨハネス・カリツケ(指)ケルンWDR響*
ハンス・ツェンダー(指)ケルンWD響#
ケルン放送cho#

録音:1993年1月17日ライプツィヒ、ゲヴァントハウス、
2010年9月29日ケルン、フィルハーモニー*
1993年6月8-10日ケルン、フィルハーモニー#
1936年ヴィースバーデン生まれ、フォルトナーに作曲を師事。作曲家、指揮者、さらには教育者、思想家、作家として芸術活動を続ける重鎮ハンス・ツェン ダーの自演を含む作品集です。 1982年にハイドン生誕250年を記念して書かれドナウエッシンゲン音楽祭で演奏された『Dialog mit Haydn(ハイドンとの対話)』は、ハイドンの『驚愕交 響曲』を素材に用いています。ツェンダーの精妙なハーモニー感覚が遺憾なく発揮された怪作で、3群に分かれたオーケストラはそれぞれ11セントずつずれ たチューニングを求められます。そして2台のピアノは「グループ1」と「グループ3」のオーケストラにそれぞれ調律を合わせるため、ピッチが22セント(半音の 約1/5)ずれることになります。それらが重ね合わされ、うっすらとにじむようなクラスターを創出。その中からハイドンの素朴なメロディが超現実的に浮かび 上がり、次第に勢いを増す打楽器に飲み込まれていきます。ツェンダー本人の見事な指揮ぶりにも注目です。 『Issei no kyo』『Nanzen no kyo』は室町時代の禅僧、一休宗純に題材を求めた声楽作品。前者はソプラノ独唱、後者は合唱になっており、お経をテキスト に繰り広げられる摩訶不思議な哲学的世界は唯一無二。この2作は世界初録音の音源です! (Ki)
WER-7340
B.A.ツィンマーマン(1918-1970):作品集
1楽章のシンフォニー(大オーケストラのための/1951年)
Giostra Genovese(亡き巨匠の古い舞曲〜小オーケストラのための)(1962)
弦楽オーケストラのための協奏曲(1948)
ユビュ王の晩餐のための音楽〜7つの部分とアントレのバレエ・ノワール(1966)
ペーター・ヒルシュ(指)
ケルンWDR響

録音:2013、2015年
B.A.ツィンマーマンは、1938年からケルンで音楽の勉強を始めましたが翌1939年、第二次世界大戦がはじまるとともに徴兵されました。3年兵役 につきましたが、有毒物質が原因の慢性的な皮膚病を患ったため、任を解かれます。この経験による、戦争、そして時間現象についての分析は短い期間 に書かれた作品を特徴づけるものとなっています。このCDに収められた作品は、ツィンマーマンの音楽の特徴である、ひとつの作品の中で様々な時間軸 が存在し、史実性(物語性)が取り除かれたものが並びます。1952年の交響曲の初演は手ひどく批評されました。ツィンマーマンは「より経験を積んだオーケストラ書き」になることを約束し、ただちに作品を書 きなおし、タイトルを「1楽章のシンフォニー」と改めました。この改訂の中で、ツィンマーマンは作品を短くし、いくつかの形式要素も縮めました。この 録音は、手ひどく批評された初版(「交響曲」)に基づいた世界初録音。 Giostra Genovese(バレエ組曲)は16、17世紀の舞曲の形式に則り、新旧の作曲家たちの作品の引用がちりばめられています。 「ユビュ王の晩餐のための音楽」は、1965年、ツィンマーマンがベルリンの芸術院のメンバーに迎えられた時に作曲されたもの。過去の他の作曲家、 およびツィンマーマン自身の音楽作品のコラージュ(貼り合わせ)とデコラージュ(原画・原作の一部を破るなどする)だけで構成された作品。「ユビュ王」は、 アルフレード・ジャリの戯曲で、独裁者にのし上がった田舎のブルジョワを風刺した作品(1888年)。ダダイストやシュールレアリストに大きな影響を与え、 ツィンマーマンは1961年の作品でもユビュ王を題材にしています。今日にいたるまで、あらゆる音楽作品の中でも、ダークで刺激的で、政治的に問題が ある作品とみなされています。 (Ki)
WER-7341(2CD)
シュトックハウゼン:ピアノ曲 I-XI
(1)ピアノ曲 XI 作品番号7(1956)Version 1
(2)ピアノ曲 I 作品番号2(1952/53)
(3)ピアノ曲 II 作品番号2(1952/53)
(4)ピアノ曲 III 作品番号2(1952/53)
(5)ピアノ曲 IV 作品番号2(1952/53)
(6)ピアノ曲 VIII 作品番号4(1954)
(7)ピアノ曲 VII 作品番号4(1954/55)
(8)ピアノ曲 VI 作品番号4(1954/55/61)
(9)ピアノ曲 XI 作品番号7(1956)Version 2
(10)ピアノ曲 V 作品番号4(1954)
(11)ピアノ曲 IX 作品番号4(1954/61)
(12)ピアノ曲 X 作品番号4(1954/61)
ザビーネ・リープナー(P)

録音:2015年12月5-6日((7)(10)(11))、2016年9月19-21日((1)(8)(9))、2017年6月14日((2)(3)(4)(5)(6))、2018年2月21-23日((12))
2018年8月22日、シュトックハウゼンは生誕90周年を迎えます。ブーレーズ、ノーノと並び「前衛三羽烏」と讃えられた偉大な作曲家のアニヴァーサリーを記念して、現代音楽専門レーベルWERGOより、注目の新譜が発売されます。
第2次世界大戦により破壊された世界で「未来の音楽」を書くことを自らの道としたシュトックハウゼン。「過去の瓦礫の中で、新たな音楽を創り出さねばならない」と1955年に語っています。1952年から1961年にかけて書かれたI〜XIまでの『ピアノ曲』は、あえて中立的で普遍的な音色を持つピアノに使用楽器に限定することで新しい音楽を模索した、若きシュトックハウゼンの代表作のひとつ。点描的セリー音楽を発展させ編み出した「群作法」による『I〜IV』に始まり、『V〜X』では記譜上の「厳格性」と「不確定性」の軋轢による効果を推し進め、同時に様々な奏法を試みます。『XI』は一つの到達点と言える作品で、決められたルールの下でいくつかの群を奏者が自由な順番で弾いていきます。このCDには2パターンの演奏が収められており、演奏の自由度と緊張感の凄まじさが良く分かります。
ザビーネ・リープナーはWERGOレーベルから多数のアルバムをリリースしているピアニスト。ケージ、フェルドマン、カーゲル、シェルシなど現代音楽を十八番とする名手です。深い理解に裏打ちされた精確無比な演奏が素晴らしく、難解な作品の意図を明確かつ繊細に伝えてくれます。
WER-7342
近藤譲(1947-):作品集
(1)ボンジン(女声,アルトフルート、コントラバス)
(2)ペルゴラ(フルート,ピアノ)
(3)Lotus Dam(メゾソプラノとヴァイオリン)
(4)カラミンサ(ギター)
(5)茂吉の歌六首(メゾソプラノ,ピアノ)
(6)ディシラム(フルート,ギター)
(7)撚り III(Vn,ピアノ)
(8)トゥウェイン(フルートとパーカッション)
(9)3つの接骨木の歌(Vnとパーカッション)
アンサンブル・ラール・プール・ラール

録音:2003年1月
(3)(4)(5)(8)世界初録音
線の音楽」で知られる作曲家・近藤譲。作曲者自身、たとえば151番目の音を決めるときは1番始めから150番目の音までを順に見直してから決定する、 と言っているように、その作風はひとつの旋律をひたすら紡いでいく独特なもの。たくさんの音を凝縮し同時に響かせるようなことはまずありません。感覚 的でありながらも必然性を感じる流れを作り出す独自の作曲法で、ひたすら音を聴き、吟味し、慎重に選び取っていきます。複数の楽器が使われていても、 ひとつひとつの音とその進む先をしっかりと聴き分けることができ、音楽の流れに耳を澄ましていると不思議と安らかな気持ちになれます。 「茂吉の歌六首」は斎藤茂吉(1882-1953)の短歌を用いた歌曲です。単純な音型をループさせるピアノと、一言ずつ言い聞かせるような落ち着き払っ た歌唱。ほのかに香る抒情性に魅せられます。この曲を始め、世界初録音の作品を4曲収録しています。 (Ki)
WER-7343
アンソニー・チュン(b.1982):作品集
(1)シンクロニシティ
(2)吹きさらしの糸杉
(3)(全)音域を駆ける〜ピアノのための(2008)
(4)Centripedalocity
(5)句またがり、注入、内破
(6)Dystemporal〜23名の音楽家のための
(1)-(5)ジェイムス・ベーカー(指、タレア・アンサンブル
(3)アンソニー・チュン(P)
(6)スザンナ・マルッキ(指)アンサンブル・アンテルコンタンポラン

録音:2011、2012年
サンフランシスコ生まれのコンポーザー・ピアニスト、アンソニー・チュンの作品集。尺八のような効果を生み出すフルートなど、器楽奏法の効果的な 書法が印象的な「シンクロニシティ」や、ジャズを思わせる「吹きさらしの糸杉」など多彩な作品が並びます。 (Ki)
WER-7344
ヘンツェ:ロス・カプリチョス(1963) 〜管弦楽のための幻想曲
皇帝ヘリオガバルス(1971/72, rev. 1986) 〜音楽による寓話*
イギリスの愛の歌(1984/85) 〜チェロと管弦楽のための
劇場のための序曲(2012) 〜管弦楽のための#
アンッシ・カルットゥネン(Vc)
オリヴァー・ナッセン(指)
BBC響

録音:2014年2月7日(ライヴ)、2014年2月24-25日(スタジオ)*
*,#=世界初録音
2018年に惜しくも世を去った指揮者オリヴァー・ナッセンは作曲家としても活躍した現代音楽のスペシャリスト。ヘンツェは自作や他の作曲家の作品を彼 の指揮で聴いたとき、その素晴らしさに衝撃を受け、大いに賞賛したといいます。このアルバムではナッセン指揮によるヘンツェの中期から後期にかけての管 弦楽曲を収録。『皇帝ヘリオガバルス』『イギリスの愛の歌』は他に録音がない貴重なもの。さらに『劇場のための序曲』はヘンツェが最期の年に書いた作品で あり、どの曲も作曲者と高い信頼関係にあったナッセンのきめ細やかな演奏で聴けるのは注目に値します。
同名のゴヤのエッチングから着想を得た『ロス・カプリチョス』は導入部と主題、7つの変奏からなる音楽で、9つの部分それぞれにゴヤの絵のタイトルが付 けられています。グロテスクで風刺の利いたゴヤの一連の作品を音楽で描くにあたり、ヘンツェは敢えて現代的な特殊奏法を抑え、幻想的でメランコリックな 美しい響きを選択。歌うようなメロディもあり不思議な世界観を持っています。
『皇帝ヘリオガバルス』は30分に及ぶ大規模なオーケストラ作品で、ローマ史上最悪の君主マルクス・アウレリウス・アントニヌス・アウグストゥスの渾名をタ イトルとしています。暴君の生と死を描いた強烈な音楽で打楽器も大活躍、血沸き肉躍る凄まじいエネルギーに圧倒されます。ふと現れる恐ろしい暗さも印象的。
『イギリスの愛の歌』はチェロ協奏曲の体裁をとり、もともと『7つの愛の歌』というタイトルでハインリヒ・シフの独奏により初演されたもの。イギリスの詩 に基づいて書かれましたが、初演時には「誰の何の詩によるものか」をヘンツェは明らかにしませんでした。その後、手が加えられこのCDの形に落ち着きまし た。チェロを弾くカルットゥネンは現代音楽を多く手掛けてきたフィンランドの名手で、レンジの広い自在な演奏が音楽の魅力を的確に伝えています。
『劇場のための序曲』はベルリン・ドイツ・オペラ創立100周年記念の委嘱作品として書かれたもので、初演後間もなくヘンツェが亡くなったため最後の作 品となっています。快活な曲想、突進するような力強いアレグロ、喜びに満ちた大胆な管弦楽法とヘンツェの醍醐味が詰まった音楽で、最晩年になっても勢い を緩めなかった創作意欲に打たれます。 (Ki)
WER-7345
マウリシオ・カーゲル(1931-2008):作品集
書き足された即興(Improvisation ajoutee)[二人のアシスタントを伴う一人のオルガン奏者のための作品]
Rrrrrrr…(オルガンのための8つの小品)(1980/81)〔Raga/Rauschpfeifen/Repercussa/Regtime-Waltz/Rondena/Ripieno/Rosalie/Rossignols enrhumes〕
ゲネラル・バス(連続的な器楽音のための)(1972)
ファンタジー(オブリガートつきのオルガンのための)(1967)
ドミニク・ズステック(b.1977):K-A-G-E-L(オルガンのための即興)〔Krachen/Aura/Geraeusche/Ecken/Lang〕
ドミニク・ズステック(Org)

録 音:2014年 4月、ケルン、聖 ペ ー ター 教 会
シュトックハウゼン(WER.6736/KKC.5302)やリゲティ(WER.6757/KKC.5329)作品などでも超絶技巧で聴き手を驚かせてきたオルガン の鬼才、ドミニク・ズステック。最新盤は、カーゲルの作品集です。カーゲルも「ティンパニの中に奏者が飛びこむ」や「指揮者が倒れる」などの指示を する際だった世界観のアルゼンチンの作曲家。本盤の注目は、初演時に物議をかもした「書き足された即興」。この作品は、オルガン奏者はもとより、二 人のアシスタントたちも、咳、おしゃべりをし、笑い、笛を吹いたり手をたたいたり、大声でわめいたりと大騒ぎの作品。本作の初演は聖なる教会で予定 されていたものの、このような作品を演奏するのはけしからんとして直前にキャンセルされるなど、ひと騒動が巻き起こりました。ズステックと二人のアシ スタントたちは、パワー全開でこの作品の世界を体現しています。続く「Rrrrrrr…」は様々なインド的な「Raga」など色濃いキャラクターをもつ小品が 並ぶ作品。ズステックの妙技が光ります。また、本アルバムでもズステックは即興演奏を収録。カーゲルの名前にちなんだ、オルガンだけで演奏されてい るとは思えない音世界が展開されています。 (Ki)
WER-7346
リームの若き日と近年の作品を聴き比べ
ヴォルフガング・リーム(1952-):Geste zu Vedova 〜弦楽四重奏のための(2015)
弦楽四重奏曲 ト調(1966)
弦楽四重奏曲(1968)
エピローグ 〜弦楽五重奏のための(2012/2013)
ミンゲットSQ
イェンス=ペーター・マインツ(Vc)

録音:2015年3月6-8日、2016年1月14-16日
熟の天才であり多作家としても知られるリーム。彼はわずか11歳の時に作曲を始めました。このCDには14歳の時に書かれた『弦楽四重奏曲 ト調』 から2015年の作品『Geste zu Vedova』まで、4曲の弦楽作品を収録しています。 『弦楽四重奏曲 ト調』ははっきりした主題提示に始まり、ハイドンの影響を受けていた初期ベートーヴェンの作品に近いものを感じます。2年後の 1968年に書かれた『弦楽四重奏曲』も似た作風です。時は流れ、2013年に書かれた『エピローグ』はシューベルトのロマンティシズムを彷彿とさせるゆっ たりとした弦楽五重奏曲。無調の和声が薄い膜として持続される中、次第に強烈なピッチカートの応酬が始まります。『Geste zu Vedova』はヴェネツィ アの前衛画家エミリオ・ヴェドヴァへのオマージュで、けばけばしいパーカッシヴな作風が特徴的です。 (Ki)
WER-7347
イン・ワン(1976-):Tun・Tu 〜サクソフォンとエレクトロニクスのための(2012)
Wave in D 〜アコーディオンとエレクトロニクスのための(2008)
Glissadulation 〜アンサンブルのための(2014)
Focus Exchange 〜クラリネットとエレクトロニクスのための(2015)
Tip to Top 〜ドラム・ソロのための(2015)
Coffee & Tea 〜アンサンブルとエレクトロニクスのための(2013)
ニコラ・ルッツ(Sax)
テオドーロ・アンツェロッティ(アコーディオン)
ニ ー ナ・ヤンセン(Cl)
中村功(パーカッション)
イン・ワン( エレクトロニクス)
アンサンブル・フェニックス・バーゼル
MAM.現代音楽工場

録音:2015年4月17-21日、9月11日、11月12日
1976年、上海生まれの作曲家イン・ワンによる、エレクトロニクスと生楽器による音楽。素早く同音反復される、明滅するパルスのような素材が多用 され耳に残り、何とも緊張感の高まる暗喩的な効果を生んでいます。比較的大きな編成になる「Coffee & Tea」がこのアルバムにおける表現の集大成の ようで面白い。楽器によるノイズ、ブレストーン、または電子音を縦横に用い、細切れでメカニックな、フレーズともつかない素材を重ね構成した音楽。ミュー ジックコンクレートの語り口を生演奏も合わせて体現したような趣。風通し良くすっきりと音が配置されているのもセンスを感じます。 (Ki)
WER-7348
ヘルムート・ツァップ(1956-):弦楽四重奏曲第3番
『音』(弦楽四重奏曲第2番)
弦楽四重奏曲第1番
『Verschwommene Rander 〜9つのバガテル』(弦楽四重奏曲第4番)
ソナーSQ

録音:2015年11月21-24日
ハイドン以降、弦楽四重奏というジャンルは作曲技術の根幹にあたる部分が結晶化したかのような調和と均整を持つ、完全なる四声体として書かれてき ました。しかし現代に生きる作曲家ツァップは古典の在り方に真っ向から対立しつつ、かつ完成された弦楽四重奏の世界を作り上げることを試みます。そ こにはメロディもハーモニーもありません。ピッチカート、トレモロ、ハーモニクス、グリッサンド、スル・ポンティチェロなどあらゆる奏法を駆使し、か つ大体の場面において4人とも同じ奏法でアンサンブルを行うことにより、ひとつの音の固まりが波打ちながら形を変え、変容していくような世界が拓か れます。「シュッ」「クッ」と口で発音する場面もあり効果満点。尖った表現が耳に突き刺さります。 (Ki)
WER-7349
ペトリス・ヴァスクス(b.1946):作品集
協奏曲〜フルートとオーケストラのための(2007/08、2011年改訂)
第3交響曲(2004/05)
ディタ・クレンベ ルガ(Fl)
アトヴァルス・ラクスティガラ(指)
リエパーヤSO

録音:2016年
1946年ラトビア生まれの作曲家、ペトリス・ヴァスクス。初期はバルトークやショスタコーヴィチ、そして「新ポーランド楽派」の影響を受けましたが、 90年代以降はエストニアのミニマリズムにインスピレーションを受けています。2007/08年に書かれた交響曲は、フィンランドの空気感が濃厚な、そし て神が作りたもうたこの美しい土地への愛、闇と光の終わりなき闘いなどを描いた40分にわたる息の長い作品。フルート協奏曲は、荒々しい中間楽章を 静かで美しい楽章が挟むシンメトリックな構造。管楽器が奏でるコラール、息の長いパッセージが、瞑想や慰めの空気を作り上げています。 (Ki)
WER-7350
トム・ソラ(1956-):Gruppenzwange 〜弦楽三重奏のための(2011)
frei sein 〜2つのギターのための(2014)
Stahlbauten 〜ピアノのための(2016)
WER-sich nicht …, wird nicht … 〜ソプラノとパーカッションのための(2009)
弦楽三重奏曲第2番(2015)
Wechselspiel 〜ソプラノ、バリトン、手回しオルゴールのための(1994)
Heavy metal 〜エレキギターとパーカッションのための(2015)
サラ・マリア・ズン(S)
トム・ソラ(Br)
アンドレアス・スコウラス(P)
トーマス・ハストレイター(パーカッション)
デュオ・スチューバー・オリンガー(G)
トリオ・コリオリス(弦楽三重奏)

録音:2016年2月10-12日
1956年ブカレスト生まれの作曲家トム・ソラによる作品集。ちょっとしたアイデアを基に素朴な1曲として仕上げる作風です。「Gruppenzwange」 はほぼ同じ律動でジグザグと動き回る旋律からなり、しかも常に2人、3人と並行進行して奏でられます。塗り込めたような厚みのある不思議なサウンド。 「Heavy metal」はそのタイトルとエレキギターの登場が目を引きますが、音楽は単純無垢な佇まい。ハ音とト音を止まり木にしながら、至ってシンプル なフレーズに終始するギター。パーカッションがこれまたシンプルに、タカタカと16部音符でひねりなく合いの手を入れ、拍節も多少変化あれどまず4拍子。 自然すぎて逆に驚きます。 (Ki)
WER-7351
「夏の終わり」〜ヴィルヘルム・キルマイヤー(1927-2017):歌曲集
Eichendorff-Lieder 〜テノールとピアノのための*
Holderlin-Lieder 〜テノールとピアノのための(抜粋)
Trakl-Lieder I 〜テノールとピアノのための*
Schweigen und Kindheit 〜テノールとピアノのための*
マルクス・シェーファー(T)
ジークフリート・マウザー(P)

録音:2016年10月14-16日(*世界初録音)
ミュンヘン生まれの作曲家キルマイヤーは合唱や歌曲などの「うた」を創作の柱としました。2017年の8月21日に90歳を迎えるということで記念すべき年 に発売されるアルバムだったのですが、惜しくも誕生日の前日8月20日に亡くなり、追悼盤となってしまいました。 ヨーゼフ・フォン・アイヒェンドルフ、フリードリヒ・ヘルダーリン、ゲオルク・トラークルのテキストを用いた歌曲集です。詩の世界を崩すことなく、そして余計 なものを足すことなく、血の通った輝きのある音へと昇華しています。響きは完全な調性を持ち、シンプルな歌が胸にしみる、ほろりとする音楽が特徴です。ひ とつの協和音が保続され、急激な変化はまったくありません。ピアノは和音を押さえたり点描的に単音を重ねたりしますが技術的にも平易で穏やか。肩肘張 らないくつろいだ雰囲気のなかテノールの温かい歌が紡がれていきます。素朴ながらどこか達観した深みも感じる名品です。 (Ki)
WER-7352
ディーター・シュネーベル(b.1930):作品集
モヴェメント〜動く音楽家のための(2015)
Gesums-Geknarrt(Schulmusik(1974)より)*
AGノイエ・ムジーク・アム・ライニンガー・ギムナジウム・グリュンシュタット
ジルケ・エゲラー=ヴィトマン(指)、
マンフレート・ペータース(指)*

録音:2016年 、1985年*
1930年生まれのディーター・シュネーベルの作品集。シュネーベルは、作曲家としてのキャリアの初期から、教育にも非常に積極的にかかわっていま した。モヴィメントは、世界初録音。作曲家立ち会いのもと、録音が行われました。子供たちが、楽器と声で、ジャンプ、ジョギング、ヨガ、などと様々 に題された楽章ごとに、様々な世界を作り上げます。音階を歌ってそれが増幅され、次第に拡散していく楽章や、叫び声、声や楽器は鳴りませんが、子 供たちが動き回っている気配が感じられる楽章など、耳から様々な世界を感じ取ることができる作品です。1985年に収録された、Schulmusik(学校の 音楽)からの抜粋も同時収録されています。 (Ki)
WER-7353
ヒンデミット:サクソフォン作品集
4つのホルンのためのソナタ(サクソフォン四重奏版)
ピアノ、ヴィオラとヘッケルフォンまたはテナーサックスのための三重奏曲Op.47
2つのアルトサクソフォンのためのコンチェルトシュトゥック
アルトホルンとピアノのためのソナタ 変ホ調(アルトサックス版)
小さなエレクトロミュージシャンのお気に入り(サクソフォン三重奏版)
フランケンシュタインの怪物のレパートリー(サクソフォン四重奏版)
詩人と農夫(サクソフォン四重奏版)
旧友(サクソフォン四重奏版)
クレール=オブスキュール・サクソフォン四重奏団
バ ー バ ラ・ブ ントロック(Va)
ロベルト・コリンスキー(P)
フローリアン・フォン・ラドヴィッツ(P)

録音:2016年5月9-12日、7月14日
19世紀に考案された比較的新しいクラシック楽器であり、豊かな音色と幅広い表現力を持つサクソフォン。このCDのテーマであるヒンデミットは 1920年代にサクソフォンに魅せられ、この楽器のために作品を残しました。編曲物も含めてヒンデミットの音楽とサクソフォンの関わりを探るアルバムです。 なかなかお目にかかれない作品ばかりで、『4つのホルンのためのソナタ』『旧友』は世界初録音。サクソフォンならではの語り口、色合いにご注目ください。
クレール=オブスキュール・サクソフォン四重奏団はサクソフォンのためのクラシック作品に力を注いでおり、そのレパートリーは膨大。オリジナル作品 の他、ピアノ曲や弦楽四重奏曲を意欲的にサクソフォンのために編曲し、楽器の可能性を見せつける活動をしています。 (Ki)
WER-7354
原田敬子:zero hour 〜アルト/バスフルートと箏のための(2005/08/10)
the 5th season 〜ギターとアコーディオンのための(2008-2012)
midstream+ 〜トロンボーンとアコーディオンのための(2004/2008)
in 〜バスフルートとピアノのための(2000)
third ear deaf II-b’ 〜フルートとアコーディオンのための(2003)
devil fire tarantella - devil fire tango 〜アコーディオンとピアノのための(2014-2016)
カリン・レヴァイン(各種フルート)
マイク・スヴォボダ(Tb)
ユルゲン・リュック(G)
シュテファン・フッソング(アコーディオン)菊地奈緒子(十三絃箏、十七絃箏)
廻由美子(P)

録音:2016年4月4-8日/ドイツ・ブレーメン放送局スタジオ
2014年に発売された作品集(WER-6786/KKC-5404)がレコード芸術特選盤に選ばれた原田敬子のWERGOレーベル第2弾アルバム。前作 に引き続きアコーディオンとピアノでフッソングと廻由美子が参加しているほか、フルート、トロンボーン、箏、ギターと多彩な楽器が登場。さまざまな組 み合わせの二重奏曲が並びます。切り詰めた緊張感を保ちながら、呼吸と身振りでもって間を読みあいじっくりと音楽を紡ぐような構成が特徴的。
アルバムタイトルにもなっている「midstream+」はトロンボーンとアコーディオンという、音量差の大きな楽器による普通ではありそうもない編成のデュ オ。しかし空気を通して音を出すという共通点もあり、両者の奏でる音が極めて近い感性で溶け込みあい、その中で互いの特徴も活かしつつ、興味の尽 きない音世界を作り上げます。何の楽器がいくつ鳴っているのか、ということもあまり気にならないような新しさです。 (Ki)
WERGOのホームページで作曲家自身による日本語の楽曲解説などを見ることが出来ます
WER-7356
W.ツィンマーマン(b.1949):ピアノ作品集
Voces abandonadas*
The Missing Nail at the River
Blaupause*/Bluepoint*
Romanska Bagar*
AIMIDEより「Cura」「Fuga」「Svara」*
ニコラス・ホッヂズ(P)

録音:2009年
*=世界初録音
内省的でありながらも親密な雰囲気をあわせもつ作風のW.ツィンマーマンのピアノ作品集。514のピアノの短いセンテンスから成る「Voces abandonadas」は、散文詩的な印象で、禅にインスパイアされたピアノ曲「初心」(1975)とは対極に位置する作品。すべて作曲者立ち会いのもとで 録音が行われています。
WER-7357
ロルフ・リーム:作品集
schifting〜ヴァイオリンと大オーケストラのための
archipel remiex〜大オーケストラと電子音のための*
ギィ・ブラウンシュタイン(Vn)、
WDRケルン響
デニス・ラッセル・デイヴィス(指)
ペーター・ルンデル(指)*
録音:1995年、2000年*
※全曲世界初録音
川のように旋律がたゆたう大規模な作品「shifting」、様々な島から成る諸島のような「Archipel remix」の2作品が収録されています。 (Ki)
WER-7358
トリオ作品集
ジョルジュ・アペルギス:綱渡り三重奏
ロルフ・リーム:アレッポ・バザール、あるいはティルスの通り
ヨハンネス・シェールホルン:シナイ1916
ステファン・プリンス:ミラー・ボックス
トリオ・アッカント
【マルクス・ヴァイス(Sax)、
ニコラス・ホッジズ(P)、
クリスティアン・ディエルシュタイン(打楽器)】

録音:2016年
サックス、ピアノ、打楽器という珍しい組み合わせのトリオ・アッカント。なんと、25年の歴史をもちます。これらの作品は、すべて彼らのために作曲 されました。このCDは、すべて作曲者立ち会いのもと、収録が行われています。アペルギスの作品はまさに綱渡り的な絶妙なバランス感がスリリングな曲。 リームの作品は、バザールの喧騒を思わせる部分など、様々な描写が楽しい曲。シェールホルンの作品は、ルーマニアのシナイア修道院に伝わる聖歌を 題材とした作品。ミラー・ボックスは、様々な道具で打楽器を鳴らす不思議な音や、プリペアード・ピアノの特殊な音色などが、きわめて小さな音で絶え ず聴こえてくるので、思わず息をひそめて聞いてしまう不思議な世界です。 (Ki)
WER-7360
ライマン(1936-):3つのサッポーの詩 〜ソプラノと9楽器のための(2000)
ヘンツェ(1926-2012):夜想曲とアリア 〜ソプラノと大管弦楽のための(1957)
リーム(1952-):アリア/アリアドネ 〜ソプラノと小管弦楽のための(2001)
「Unanswered Love」
ジュリアン・バンゼ(S)
クリストフ・ポッペン(指)
ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送PO

録音:2009年1月23-25日
近現代のレパートリーも得意とするソプラノ歌手、ジュリアン・バンゼによるドイツ現代音楽の大御所作曲家3人の声楽作品集。バンゼはキャリア初期 にこの3人の作曲家と出会い、その後彼らの多くの作品の初演に関わり音楽語法をしかと身につけているため、申し分のない解釈と表現力でお聴き頂け ます。ほとんど無伴奏の独唱が続き、時折軋むような器楽が添えられるライマン。「夜想曲」と題された3曲の管弦楽曲と2曲のアリアが交互に現れる情 景的なヘンツェ。25分の単一楽章で聴き応えある大きな展開を見せるリーム。大小さまざまな管弦楽を相手に、情熱的に歌い切るバンゼ。まるでオペラ の名場面のような魅力的かつ圧倒的な音楽が楽しめます。 (Ki)
WER-7361
マイケル・ブレイク(1951-):チェロとピアノのための作品集
The Philosophy of Composition(2009)〜チェロとピアノ
The Richter Scale(2015)〜チェロ独奏
Sonata (2016)〜チェロとピアノ
A Fractured Landscape(2009)〜ピアノ独奏
Connectivity(2008)〜チェロとピアノ
Pentimenti(2012)〜チェロ独奏
Song Without Words(1975)〜チェロとピアノ
Seventh must Fall(2016)〜ピアノ独奏
フリードリッヒ・ガウヴェルキ(Vc)
ダーン・ファンドヴァール(P)

録音:2017年2月6-9日/ケルン
※全曲世界初録音
マイケル・ブレイクは1951年生まれの南アフリカの作曲家です。すっきりとしたサウンドを使いながらも、アイヴズやケージを思わせる自由な素材と独 創的な構造。20世紀後半のイギリスとアメリカを結びつける作風と言えるかも知れません。『Song Without Words』はポップスのような遊び心あふれ る音楽で、今にもヴォーカルが歌いだしそうな伴奏で始まります。しかしその「伴奏」が音楽本体であり、それが展開していくという肩すかし的な作品で、 どこか皮肉めいた感じも。属七和音の第7音は順次下降進行しなければならない、という機能和声のルールをテーマとした『Seventh must Fall』も独 自のセンスでニヤリとさせられます。
WER-7363
マウリシオ・カーゲル(1931-2008):ピアノ作品集
メタピース/擬態(1961) パート1
ピアノのための4つの小品(1954) I*
メタピース/擬態 パート2
ピアノのための4つの小品 II*
メタピース/擬態 パート3
ピアノのための4つの小品 III*
メタピース/擬態 パート4
ピアノのための4つの小品 IV*
メタピース/擬態 パート5
練習曲『An Tasten』(1977) <メタピース(擬態)と同時演奏>
メタピース/擬態 パート6
MM 51(1976) 〜映画音楽からの小品
メタピース/擬態
ザビーネ・リープナー(P)

録音:2017年1月9-10日、2月10日
*=世界初録音
カーゲルは1961年に、2つのタイトルを持つピアノ作品を書き上げました。『Metapieceメタピース』と題された独奏曲は、別の作品と交互に、ある いは同時に演奏することが可能で、その場合『Mimetics擬態』というタイトルで呼ばれます。ピアニストのリープナーはこの音楽に対し、ケーゲルの別 作品を用い、まずは交互に、続いて同時に、最後は単独で演奏。この曲の開かれた可能性を感じさせてくれます。楽譜は古典的な記譜法ではなく、五線 を用いつつも図形的なもの。鋭い不協和音が点描のように明滅します。同時演奏される『An Tasten』は完全に調性があり、それが余計に緊張感を増し ます。『MM 51』はまさかのメトロノームと共演、最後はピアノを弾きながら笑い狂うという危険な小品。 (Ki)
WER-7364
「歌と詩」
アンドレアス・ドーメン(1962-):versi rapportati(2012/13)〜アルト&バリトンサックス,ピアノと打楽器
ハンス・トマッラ(1975-):Lied(2007/08)〜テナーサックス,ピアノとヴィブラフォン
ヴァルター・ツィンマーマン(1949-):As I was walking I came upon chance(1998/2008)〜テナーサックス,ピアノと打楽器
ヴォルフガング・リーム(1952-):Gegenstuck(2006)〜コントラバスサックス,ピアノと打楽器
アルド・クレメンティ(1925-2011):Tre Ricercari(2000)〜アルトサックス,ピアノと鍵盤打楽器(チェレスタ,ヴィブラフォン,チューブラーベル)
トリオ・アッカント

録音:2017 年 4 月10-13 日/ケルン
※全曲世界初録音
現代音楽のスペシャリスト、トリオ・アッカントのために書かれた作品集。「歌と詩」と題された、完全な器楽作品のみのアルバムです。現代音楽サウ ンド全開、超絶技巧のアンサンブルも惜しみなく聴かれるその音楽は、同時にどれも歌への憧れ、声への憧れが強く感じられます。サックス、ピアノ、パーカッ ションという一見ジャズ・トリオの編成でありながらひたすら現代音楽を奏でる者たちによる、声の無い歌。切実な表現が生む緊張感あふれる演奏に舌を 巻きます。パーカッションの使用楽器の多彩さも面白いです。 (Ki)
WER-7365(2CD)
カノンに魅せられた作曲家の挑戦
ブリス・ポゼ(1965-):3つのカノン 〜ピアノのための(1989)
5つのカノン 〜ピアノのための(1990-2002)
7つのカノン 〜ピアノのための(2010)
9つのカノン 〜ピアノのための(2004-2010)
Perspectiva sintagma I (カノン) 〜ピアノとライヴ・エレクトロニクスのための(1997)
ニコラス・ハッジス(P)
ベンジャミン・レヴィ(ライヴ・エレクトロニクス)

録音:2016年8月16-19日
1965年フランス生まれの作曲家ポゼによるピアノためのカノン集。すべて世界初録音です。作曲技術の最高峰であるカノンの神秘的な美しさに魅せら れたポゼが、ルネサンスの多声声楽曲の大家オケゲムが創り上げたような「技法と美の統一」を1台のピアノ上で試みます。 『9つのカノン』では楽器の限界に挑み、ピアニストに「ペダルの超絶技巧」を要求します。ソステヌートペダルを駆使し、クラスターが鳴り響いた かと思えば亡霊のような響きが残り、新しい音が加わり、といった具合。また、伝統的なカノン書法を最も根本的に取り入れたという『Perspectiva sintagma I』(それでも古典的なカノンにはほとんど聴こえない?)は、同時にライヴ・エレクトロニクスを取り入れており、「譜面の厳格性」と「音の演 出性」の両方に光を当て、互いの相違を提示しつつ生かすという作品です。
WER-7367
ヘルムート・ラッヘンマン(1935-):ゴット・ロスト 〜高音域ソプラノとピアノのための(2007/08)
弦楽三重奏曲(1965)
セリナーデ 〜ピアノのための(1997/98)
角田祐子(S)
菅原幸子(P)
トリオ・レシェルシェ

録音:2016年1月18-19日、2017年5月17日、2017年5月1-2日/バーデンバーデン、SWRハンス・ロスバウト・スタジオ
あらゆる特殊奏法を極め、生楽器によるミュージックコンクレートという無二の世界を展開したラッヘンマン。しかし「ラッヘンマン=特殊奏法」という レッテルのみではこの作曲家を深く味わうことは出来ないでしょう。実際に70年代頃からは特殊奏法を一般的なものに留めつつ新たな構成原理で音楽を 書くようになり、予想以上にエモーショナルな音も出てきて驚かされます。 ピアニストの菅原幸子はラッヘンマンの夫人であり『セリナーデ』は彼女のために書かれました。強烈な轟音でコードが叩きつけられては休符が響きを 断絶、同時にいくつかの音がペダルで伸ばされ別の響きが広がります。中ほどで一つの不協和音をこれでもかと何度も響かせる部分(ベートーヴェンの 31番みたい?)は鬼気迫るような凄味があります。ちなみにタイトルの『Serynade』は彼女の名前「Yukiko」の「Y」と「Serenade」を組み合わせ た造語。
角田祐子はラッヘンマンのオペラ『マッチ売りの少女』でタイトルロールを歌ったこともある、作曲家を熟知したソプラノです。『ゴット・ロスト』は様々 な発音ときれぎれの単語が超絶技巧を伴い歌われ、強弱の幅も広くかなりの迫力。しかも30分近くかかる大作です。2016年にはこのCDのメンバーで 日本初演も行われました。 『弦楽三重奏』は現代音楽界の名グループ、アンサンブル・レシェルシェのメンバーによる演奏。奏法のバリエーションが豊富でアンサンブルも込み入っ た作品のため、古典的なトリオと違い、まるで全体がひとつの生き物のように聴こえます。 (Ki)
WER-7368
「Frozen Time」
ジョン・ケージ(1912-1992):Organ2 / ASLSP(1987)
ドミニク・シュステック(1977-):Carillon I(2015)*
細川俊夫(1955-):Cloudscape(2000)
ドミニク・シュステック:Carillon II(2015)*
細川俊夫:Sen IV(1990)
ドミニク・シュステック:Carillon III(2015)*
ドミニク・シュステック(Org)

録音:2015年4月20-22日
*=世界初録音
WERGOレーベルから数々のアルバムをリリースしている名オルガニスト、シュステックがケージの「問題作」に挑みます。現代音楽ならではのオルガ ン書法を存分にお楽しみください。 ケージの『Organ2 / ASLSP』は「As Slow aS Possible(可能な限り遅く)」からとったタイトルで、演奏時間は演奏者の自由。数分から数百年(!)まで、 多種多様な長さの演奏が可能な楽曲です。シュステックは44分かけて演奏。ゴーッと鳴り続けるオルガン、ゆっくりと変容する和音。時が止まったよう な世界が広がります。続くシュステック自作の楽曲は鐘の音に始まり幻想的に展開。そこへ厳しい音造りが特徴的な作曲家、細川俊夫の作品が挟み込まれ、 アルバム全体を引き締めます。『Cloudscape』では音がにじみながら伸びていき、『Sen IV』では衝撃的な音響が空間に突き刺さります。 (Ki)
WER-7369
イェルク・ヴィトマン(1973-):管弦楽作品集
(1)光の習作II『対位法的陰影』(2001) 〜ヴィオラ、クラリネットと管弦楽群のための
(2)『第三の迷宮』(2013/14) 〜ソプラノと管弦楽群のための*
サラ・ウェゲナー(S)
クリストフ・デジャルダン(Va)
イェルク・ヴィトマン(Cl))
ハインツ・ホリガー(指)
エミリオ・ポメリコ(指)*
WDR響

録音:(1)2002年1月10-12日、(2)2014年1月9-10日/ケルン、フィルハーモニー
※いずれも世界初録音
作曲家のみならず指揮者、クラリネット奏者としても活躍するマルチタレント、イェルク・ヴィトマン。彼の魅力が炸裂するソリストと管弦楽のための作 品2題。自らクラリネット・ソロでも参加!
『対位法的陰影(Polyphone Schatten)』は「光の習作」と題されたシリーズの2曲目。ポリフォニックな音の組み合わせとも自然界の音の描写とも とれる不思議な音楽です。クラリネットのソロに始まりますが、カチャカチャと物音を立てたりブレスの音を聴かせたりとなかなか楽音が出てきません。次 第に音程のある音が聴こえ始め、ヴィオラも技巧的に軋みながら音を発し、オーケストラは木々がざわめくように鳴り出します。非常に研ぎ澄まされた感 性で無駄なく展開される音楽でピリピリとした緊張感が心地よいです。 『第三の迷宮(Drittes Labyrinth)』は『迷宮』、『第二の迷宮』に続く迷宮シリーズ3作目。ソプラノの独唱を伴う作品で、ホルヘ・ルイス・ボルヘ スの短編小説「アステリオンの家」に触発され書かれました。登場人物は家の中にいるナレーターとして言葉を発しますが、実は迷宮(ラビリンス)に閉 じ込められているミノタウロスだった、というもの。ラストは高低に広がった各楽器が「fffff」でつんざき、衝撃的な残響が長く尾を引きます。 (Ki)
WER-7370
ジョン・ケージ(1912-1992)&トム・ジョンソン(1939-)作品集
ケージ:Chess Pieces(1944)
ジョンソン:Rational Melodies(1993)
ケージ:Four Dances(1942-43)
ジョンソン:Counting Duets(1982)より 第2番
トリオ・オムファロス

録音:2016年10月25-29日
編曲:トリオ・オムファロス(世界初録音)*
Stefan Hulsermann(クラリネット)、Olaf Pyras(打楽器)、Ji-Youn Song(ピアノ)の3人からなるトリオ・オムファロスは2006年に結成されて以来、そ の編成のユニークさと独創的なプロムラミングで目を引く活躍を続けています。音色はプリペアドピアノの拡張版と言うべきか、単旋律をユニゾンで演奏する ことによって気の抜けた楽しいサウンドを作り出しています(ちょっとファミコンっぽい音)。簡潔な音像のケージ作品はうってつけのレパートリーと言えるで しょう。 1944年、ケージはデュシャンやイサム・ノグチらを含む多くの著名なアーティストと共に、ひとつの絵を展覧会に寄稿するように求められました。そのとき 作られた絵画作品が『Chess Pieces』です。その中には音符や五線も見られたため、のちにトイ・ピアノで有名なマーガレット・レン・タンがピアノ音楽として再 構築、演奏したことで知られています。このアルバムに収録されているのは、そこからさらにカラフルなトリオ編成にアレンジしたもの。マニア心をくすぐる選 曲です。 トム・ジョンソンは1939年アメリカ生まれで、1983年以降パリに在住する作曲家。作風は清々しいほどに徹底したミニマル音楽。ひとつのアルペジオを規 則的にリズムを変えながらひたすら繰り返すとか、あるスケール中の音をひとつずつ増やしてメロディを伸ばしていくとか、単純極まりない世界で面白いこと をやっています。 (Ki)
WER-7372
マルコ・ストロッパ(1959-):作品集
(1)Hommage a Gy. K. (1997-2003/rev. 2008)
「ジェルジュ・クルターグへのオマージュ」〜クラリネット、ヴィオラとピアノのための
(2)Un segno nello spazio (1994)
「宇宙のサイン」〜弦楽四重奏のための
(3)Osja, Seven Strophes for a Literary Drone (2005/rev. 2013)
「文学的なドローンのための7つのストローフィ」〜ヴァイオリン、チェロとピアノのための
アンサンブル・KNM・ベルリン

録音:2015年10月20-24日/ケルン、WDR
イタリアの作曲家ストロッパによる室内楽作品集。彼はブーレーズのもとIRCAMで働いた経歴を持っており、生楽器でも繊細な音色を使いこなしてい ます。「Hommage a Gy. K.」は7つの小さな楽章からなり、演奏者が互いの位置を繰り返し変えながら演奏します。クルターグを思わせる静謐で繊細 な音のやり取りがさまざまなエフェクトとなり耳をくすぐります。「Un segno nello spazio」は弦楽四重奏ながら多層的な響きで、空間を削り出したかの ような複数の切り口を見せ、宇宙的なパルスも感じます。「Osja, Seven Strophes for a Literary Drone」はロシアの詩人ヨシフ・ブロツキーを題材と しており、「Osja」はブロツキーの愛称。弱音が支配的ですが動きは途切れず、集中が続く音楽です。 (Ki)
WER-7373
ロルフ・リーム(1937-):作品集
(1)Die schrecklich-gewaltigen Kinder(2003)
「恐ろしき子供たち」〜コロラトゥーラ・ソプラノと大アンサンブルのための
(2)O Daddy(1984)
「父」〜オーケストラとテープのための
(1)ピーア・コムシ(コロラトゥーラ・ソプラノ)
 アンサンブル・モデルン
(2)カジミエルツ・コルド(指)南西ドイツRSO

録音:(1)2013年10月15日/フランクフルト(ライヴ)
(2)1984年10月21日/ドナウエッシンゲン(ライヴ)
ダルムシュタットで注目されドイツの現代音楽界を牽引、21世紀に入ってなお創作活動を続ける作曲家ロルフ・リームによる作品集。2曲とも初演時 の録音を収録しており、演奏レベルの高さにも唸らされます。「Die schrecklich-gewaltigen Kinder」は古代ギリシャの詩人、ヘシオドスの「神統記」 に基づいた作品。オーケストラがさまざまな肌触りのフレーズを細切れに繰り出し、ちぐはぐに音楽が進んでいきます。コロラトゥーラ・ソプラノは繊細に して超絶技巧の歌唱が求められ、表現豊かに物語を歌い上げます。カップリングの「O Daddy」は1977年にイタリアの若者マルコ・カルーゾが父親を 殺した事件を題材にした作品。オーケストラのサウンドをテープが歪め、人々の語りがカオスのように聞こえ、うっすら「モツレク」が鳴り、ただ事ではな い世界が広がります。 (Ki)
WER-7374
コリウン・アハロニアン(1940-2017):作品集
『Gente』 〜フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン、トランペット、トロンボーン、コントラバス、カリンバ、スティールドラムのための(1990)
五重奏曲『Musica』 〜アルトフルート、ホルン、トランペット、トロンボーン、トムトムのための(1972)
三重奏曲『Musica』 〜フルート、ヴァイオリン、ピアノのための(1968)
『?Y ahora?』 〜ピアノのための(1984)
『?De que estamos hablando?』 〜バス/Es管クラリネット、ファゴット、チェロのための(2006) *
『Los cadadias』 〜クラリネット、ファゴット、チェロ、ピアノのための(1980)
『Una cancion』 〜フルート、クラリネット、ヴィオラ、チェロ、ピアノのための(1998)
『Una carta』 〜15の楽器奏者のための(2001) *
『Mestizo』 〜管弦楽のための(1993)
アンサンブル・アヴァンチュール
ゾルターン・ペシュコー(指)
バーデン=バーデン・フライブルクSWRSO

録音:2017年11月2〜5日、2019年3月16日

*=世界初録音
コリウン・アハロニアンは1915年のジェノサイドを生き延びたアルメニア人移民の息子として、1940年にウルグアイのモンテビデオで生まれました。その作 風はラテンアメリカの文化に根ざしたリズミカルでエネルギッシュなもの。それでいてカラッとした、乾いた感じの曲想が印象的です。民俗音楽の香りを持つ短い 動機素材を用い、慎重に緻密に組み立てていく構成で、示唆に富む作品を作り上げています。様々な編成の楽曲を集めており音色の変化にも注目です。 (Ki)
WER-7375
現代打楽器作品集
シュトックハウゼン(1928-2007):ツィクルス 〜打楽器奏者のための(1959)
クセナキス(1922-2001):プサッファ 〜打楽器奏者のための(1975)
ラッヘンマン(1935-):Interieur I 〜打楽器奏者のための(1966)
ニコラウス・A・フーバー(1939-):ポトス 〜打楽器奏者のための(2010)
エトヴェシュ(1944-):雷 〜バス・ティンパニのための(1993)
ヨハンズ・フィッシャー(1981-):ギャザリング 〜ヴィブラフォンのための(2018)*
レオニー・クレイン(打楽器)

録音:2018 年 5月9-11日
*世界初録音
20世紀と21世紀のパーカッション音楽を集めた、様々な作曲家の打楽器書法に酔いしれる万華鏡の如きアルバムです。ノイズも音楽の一部として扱い新た な響きを造り上げた現代音楽の世界において、打楽器の表現力はより強大なものとなりました。複雑なのに音色とノリが軽妙でとっても楽しいクセナキス、ペダ ルで音程を変えティンパニから驚くほど変化に富んだ音楽を繰り出すエトヴェシュ、プリペアド・ヴィブラフォンも登場し宇宙的な音色を奏でるヨハンズ・フィッ シャーなど、1993年生まれの若きパーカッショニストが嬉々として演奏しています。 (Ki)
WER-7376
Big Data
ブリギッタ・ムンテンドルフ(1982-):PLAY ME back and forth 〜声,アンサンブル,エレクトロニクスのための(2015)
オーレ・ヒュープナー(1993-):Lied mit Chor: ?Nachtigall mit Melodei“ 〜女声,アンサンブル,4チャンネルオーディオ,ライヴ・エレクトロニクスのための(2016-17, rev. 2018)
シュテファン・プリンス(1979-):Hande ohne Worte〜クラリネット,打楽器,プリペアドピアノ,チェロ,サウンドトラックのための(2016/17)
マティアス・クラネビッテル(1980-):Stack overflow: Exploiting 24 preludes〜(Bs)クラリネット,チェロ,エレキ・ツィター,キーボード,打楽器,エレクトロニクスのための
レオポルド・ハート(1979-):Dissociated Press 〜声,アンサンブル,録音された音源のための
デコーダー・アンサンブル

録音:2018年5月10〜13日、10月26〜28日
※すべて世界初録音
2011年に設立されたデコーダー・アンサンブル。メンバーのうち3人は作曲家でもあります。自分たちを「現代音楽バンド」と位置付け、エレクトロニクスやロッ ク、ポップスの要素を積極的に取り入れた新しい音楽の開発に取り組んでいます。 (Ki)
WER-7377
アルベルト・ポサダス(1967-):Erinnerungsspuren(記憶痕跡)
Anklange an Francoix Couperin (F.クープランとの共鳴)(2014)
Anklange an La cathedrale engloutie (『沈める寺』との共鳴)(2015)
Anklange an Robert Schumann (シューマンとの共鳴)(2015)
Anklange an Anklange an Aitsi (『Aitsi』との共鳴)(2017)
Anklange an Stockhausen (シュトックハウゼンとの共鳴)(2017)
Anklange an B. A. Zimmermann (B.A.ツィマーマンとの共鳴)(2018)
フロリアン・ヘルシャー(P)

録音:2018 年 3月26・27日、5月22・23日(世界初録音)
1967年スペイン生まれの作曲家アルベルト・ポサダスによる、6つのピアノ音楽と作曲家へのオマージュで構成されたピアノ曲集です。『沈める寺』はもちろ んドビュッシー、『Aitsi』はシェルシの作品名。ポサダスが持つそれぞれの音楽の記憶に、彼独自の感性でもって対峙し新たな響きを模索していきます。原曲が わかりやすく聴こえてくるということはまったくありません。ピアノは内部奏法もあり、かなりの轟音で鳴まくります。20分近い曲も相当なテンションで弾くため 強烈な迫力。フロリアン・ヘルシャーの超熱演が凄いです。 (Ki)
WER-7378
エマヌエル・ヌネス(1941-2012):作品集
(1)Minnesang ミンネザング 〜12人の独唱とア・カペラのための、ヤコブ・ベーメのテキストによる(1975/76)
(2)Musivus モザイクの 〜4群のオーケストラのための(1998, 2001改訂)*
マルクス・クリード((1) 合唱指揮) 
SWRヴォーカルアンサンブル((1))
エミリオ・ポマリコ( (2) 指) 
ケルンWDRSO((2))

録音:(1)2017年10月20日ドナウエッシンゲン、(2)2001年3月31日ケルン
*=改訂版による世界初録音
エマヌエル・ヌネスはブーレーズ、シュトックハウゼンに学んだポルトガルの作曲家。細かく書き込んだ音符が複雑に絡み合いますが、全体の音響は広く空間 性があり、とても立体的です。音色も美しいもので、なるほど師匠の音楽からの影響を思わせつつ、自家薬籠中のものとした完成度の高い書法が味わえます。
「ミンネザング」とは中世の叙事詩や恋愛の歌。ドイツの神秘主義者、ヤコブ・ベーメのテキストを基に繰り広げられる(1)は沢山のパートが入り組み、複雑な 展開を見せます。声楽家たちは合唱団の一員であったり騒ぐ群衆であったり、さまざまな立場から声を発します。
「Musivus」は音楽・文芸の女神ムーサ(Musa)から派生した言葉で、ムーサのあるところの、という意味で、神殿の飾りとして生まれたモザイク(musivum) の元となる言葉です。翻って、「モザイクの」という意味を持ちます。シュトックハウゼンの『グルッペン』の上をゆく4群(!)のオーケストラのために書かれた (2)はまさにモザイク模様、目も眩まんばかりの音の綴れ織りにムーサも眩暈を覚えます。
WER-7379
マーク・アンドレ(1964-):hij 1 〜管弦楽のための(2008/10)*
hij 2 〜24の声とライヴ・エレクトロニクスのための(2010/12)
マリアーノ・キアッキアリーニ(指)ケルンWDRSO*
マルクス・クリード(指)
SWR声楽アンサンブル
SWRエクスペリメンタル・スタジオ

録音:2015年5月4-5日*、2013年11月9日
音楽が何かの意味を持ち語りかけてくる、その前段階の響きに向き合った作品。管弦楽を用いた(1)でも、初めはブレスの音、そのうち楽器を叩く音、と 時間をかけて「何かとして認知される前」を模索しています。音楽が聴く者の意識の中にスッと滑り込み、謎を残したまま消えていくような感覚が味わえ ます。とはいえバッハの名に基づく音程(B-A-C-H)を構成音として用い、カノンなどの厳格な書法も取り入れた作品であり、感覚のみで書いているので はないようです。非常に内省的でこわれやすい響きでありながら、強い主張を持った音楽で、音と静寂の間に張りつめた緊張感が微妙なニュアンスを物語っ ています。 (Ki)
WER-7380
アンドレアス・H・H・ズベルク(1958-):レオナルド・ツィクルス ダニエル・グローガー(C.T)
パウル・ヒュブナー(トランペット、アルプホルン)
オラフ・ツショッペ(打楽器)
アンドレアス・H・H・ズベルク(エレクトロニクス)

録音:2017年9月1-9日
エッセン生まれの作曲家アンドレアス・H・H・ズベルクによる、謎めいたレオナルド・ダ・ヴィンチの予言を核として構成した音楽です。ノイズと楽音、 生活音が入り乱れた電子音楽に、あやしげなカウンターテナーの歌が乗っかっています。生楽器はごく一部に取り入れられているにすぎず、そのため逆に 強い存在感を放っています。2019年に没後500年を迎えた超天才ダ・ヴィンチの常人離れした芸術的センスに思いをはせながら、ノイズの海におぼれ てください。 (Ki)
WER-7382
モートン・フェルドマン(1926-1987):パターンズ・イン・ア・クロマティック・フィールド 〜チェロとピアノのための(1981) マティス・マイヤー(Vc)
アントニス・アニセゴス(P)

録音:2016年7月13-15日カールスルーエ、ZKM
フェルドマンの主要作品であり人気も高い「パターンズ・イン・ア・クロマティック・フィールド」。フェルドマンならではの書法で瞑想的に変容していく 淡い世界が味わえる80分です。マイヤーとアニセゴスは優れた技術を持つ演奏家でありながら、電子音楽の音響にも慣れ親しむ現代的感性を持った名手。 ドラマティックな音楽とは一線を画した静かで有機的な音の流れを自然と作り出しています。聴き続けるほどに心地よい不思議な1枚です。 (Ki)
WER-7383
マンフレッド・トロヤーン(1949-):弦楽四重奏曲第2番〜クラリネットとメゾソプラノを伴う(1979/80) ミンゲットSQ
ターニャ・アリアンヌ・バウムガルトナー(Ms)
トルステン・ヨハンス(Cl)

録音:2018年5月29〜31日
※世界初録音
マンフレッド・トロヤーンは1949年ドイツのクレムリンゲン生まれの作曲家で、フルート奏者、指揮者としても活動しています。前衛世代以降の作曲家が個々 の音楽言語を模索した時代の、ポスト・モダン的作風。トロヤーンは無調音楽に馴染めず、ロマン派の作曲家に強くインスピレーションを受けたようです。と言っ ても不協和音と協和音を織り交ぜた書法を取り、ベートーヴェンへのオマージュと書かれた第6楽章も皮肉めいた語り口で一筋縄ではいきません。第2、4、5 楽章でメゾソプラノとクラリネットが登場するのも印象的です。 (Ki)
WER-7384
ミシェル・ロス(1976-):Im Bau〜フランツ・カフカのテキストによる、メゾソプラノ、アンサンブルとライヴ・エレクトロニクスのための15の音場(2012/2018) アンサンブル・エクアトゥール

録音:2017年秋
※世界初録音
スイスの作曲家ミシェル・ロスによる約1時間のモノドラマ。カフカの『巣穴』に基づくテキストを用いています。ミュージック・コンクレートと生楽器と、語りと歌 とを行き来する女声の繰り広げる人工的世界。
WER-7385
エルヴィン・シュルホフ(1894-1942):ピアノ作品集
ピアノ・ソナタ第3番(1927)
4手のための『皮肉』 Op.34(1920)
10のピアノ小品 Op.30(1919)
ピアノのための音楽 Op.35(1920)
ピアノのための11のインヴェンション Op.36(1921)
モ ニカ・グートマン(P)
エリカ・ル・ルー(P)(4手作品のみ)

録音:2019年2月25・26日、5月28日
ドイツ系ユダヤ人の両親を持つプラハ生まれの作曲家エルヴィン・シュルホフは第一次大戦後ダダイストとして様々なジャンルの音楽を書いた多作家。ナチスに 「退廃音楽」と烙印を押され、強制収容所で肺炎を患い命を落としました。調性の香りをまといながらもメカニカルでアヴァンギャルドな走句にあふれ、終始カッ コイイ響き。ロシア・アヴァンギャルドにも近いものを感じる作風です。 (Ki)
WER-7386
ペーテル・エトヴェシュ(1944-):(1)ハレルヤ - オラトリウム・バルブルム 〜メゾソプラノ、テノール、ナレーター、合唱と管弦楽のための(2015)
(2)名も無き犠牲者へ 〜管弦楽のための(2016)
イリス・ヴァーミリオン((1)メゾソプラノ;天使) トピ・レーティプー((1)テノール;預言者) マティアス・ブラント((1)ナレーター)
ロベルト・ブランク((1)合唱指揮) ケルン放送cho((1))
ペーテル・エトヴェシュ((1)指揮) ケルンWDRSO((1))
アントニオ・パッパーノ((2)指揮) サンタ・チェチーリア国立アカデミーO((2))

録音:(1)2017年4月28・29日/ケルン(スタジオ)、(2)2017年10月14日/サンタ・チェチーリア・ホール(ライヴ)
※どちらも世界初録音
『ハレルヤ』は我々が生きているこの時代の肖像であるとエトヴェシュは言っています。破壊的なオーケストラのアタックに始まり、声楽が言葉を叩きつ け、のっけから強烈な緊張感。ナレーションも切迫したもので、言葉の持つ力が表現の核となっています。そこへグレゴリオ聖歌、モンテヴェルディ:、シャ イン、バッハ、ヘンデル、そしてムソルグスキーやゴスペル・ミュージックなどからの様々な引用が差し込まれ、宗教曲やオペラのような世界も出現し、複 数の意識が同時進行するように進んでいきます。エトヴェシュ本人の指揮が複雑な作品を見事に音響化、50分の大作を一気に聴かせます。
名も無き犠牲者へ』は純粋器楽オーケストラの作品でありながら、こちらも言葉と同様に強く訴えかける力を持った音楽で、やはり現代の世界を描い たものと言えます。3つの楽章からなり、それぞれ救済を求める人々が旅を続けていくようなイメージ。繊細なソロのパッセージがふんだんに使われ、各 楽器の扱いの巧さ、色彩の作り方の巧さに舌を巻きます。パッパーノの細やかな指揮が素晴らしく、作品の綾を精妙に表現しています。 (Ki)
WER-7387(3CD)
B.A.ツィンマーマン-リコンポーズド〜管弦楽のためのオリジナル作品と編曲集
■CD1
ベルント・アロイス・ツィンマーマン:ブラジル奇想曲『アラゴア
ナ』〜管弦楽のためのバレエ(1951/1955)
ヴィラ=ロボス:ピアノのための『カボクロの伝説』(1920)
【B.A.ツィンマーマンによる管弦楽版(1953)】*
ミヨー:ピアノのための舞踊組曲『ブラジルへの郷愁』Op.67(1920-1921)より第3曲「レーメ」【B.A.ツィンマーマンによる管弦楽版(1951)】*
第1曲「ソロカーバ」【B.A.ツィンマーマンによる管弦楽版(1951)】*
カゼッラ:子供のための11の小品Op.35(1920)より第4曲「ボレロ」【B.A.ツィンマーマンによる管弦楽版(1951)】*
第9曲「カリヨン」【B.A.ツィンマーマンによる管弦楽版(1952)】*
ベルント・アロイス・ツィンマーマ:ピアノのための『エクステンポラーレ』よりボレロ・モデラート(1943)
【B.A.ツィンマーマン自身による管弦楽版(1950)】*
ベルント・アロイス・ツィンマーマン:管弦楽のための『Chunchitos』(1956)*
/『Laquitas』(1956)*/『Pjusi-Phias』(1957)*
〜ハンス・ヘルフリッツ(1902-1995):ピアノのためのボリビアのアイマラ族
とケチュア族の民謡に基づく舞曲とアリア『アル・アムニャス』(1943)第4曲、
第10曲、第3曲に基づく
ジャン・バティスト・ヴェッカーラン:ピアノのための『18世紀のフランスの歌』(1894)より
「ベルジェール・レジェール」【B.A.ツィンマーマンによるソプラノと管弦楽版(1950)】*
「ママ、教えて」【B.A.ツィンマーマンによるソプラノと管弦楽版(1950)】*
「若い女の子」【B.A.ツィンマーマンによる声楽と管弦楽版(1950)】*
ベルント・アロイス・ツィンマーマン:小管弦楽のための『ほんの少しの無』〜マルセル・エイメの「月の鳥」にちなんだ、光と月と鳥の音楽(1964)
ベルント・アロイス・ツィンマーマン:13管楽器のための『ライン・キルメス
舞曲』(1962)
■CD2
ベルント・アロイス・ツィンマーマン:フレッド・シュネッケンブルガーのアイ
デアによる架空のバレエ音楽『コントラスト』〜小管弦楽のための(1953)
ムソルグスキー:ピアノのための『クリミア南岸にて』(1879-80)
【B.A.ツィンマーマンによる管弦楽版(1949)】*
ムソルグスキー:ピアノのための即興曲『村にて』(1880)
【B.A.ツィンマーマンによる管弦楽版(1950)】*
リスト:ピアノと声楽のための『3人のジプシー』(1860)
【B.A.ツィンマーマンによる声楽と管弦楽版(1953)】*
ベルント・アロイス・ツィンマーマン:管弦楽のためのインテルメッツォ(悲しきワルツ)(1949)*
リスト:ピアノと声楽のための『ああ、私が眠るとき』(1849)
【B.A.ツィンマーマンによる声楽と管弦楽版(1954)】*
ラフマニノフ:サロン小品集Op.10(1894)より第6曲「ロマンス」
【B.A.ツィンマーマンによるサックスと管弦楽版(1950)】*
ベルント・アロイス・ツィンマーマン:ピアノと管弦楽のためのコンチェルティーノ(1950)*
ラフマニノフ:サロン小品集Op.10(1894)より第5曲「ユモレスク」に基づく
ベルント・アロイス・ツィンマーマ:管弦楽のための協奏曲(第3版)
(1946/49)*
■CD3
ベルント・アロイス・ツィンマーマン:大管弦楽のための1楽章の交響曲(第2版)(1953)
ブゾーニ:2つの舞曲Op.30a(1889)より「バレエの情景第3番」
【B.A.ツィンマーマンによる声楽と管弦楽版(1949)】*
スメタナ:管弦楽のためのポルカ『田舎娘』(1879)
【スメタナ自身によるピアノ版(1880)に基づくB.A.ツィンマーマンによる
新たな管弦楽版(1953)】*
スメタナ:ピアノのためのチェコ舞曲集第2集より第3曲『オヴェス』(1879)
【B.A.ツィンマーマンによる管弦楽版(1950)】*
ドヴォルザーク:ピアノのための詩的な音画Op.85(1889)より第11曲「おしゃべり」
【B.A.ツィンマーマンによる管弦楽版(1953)】*
ワルター・ニーマン(1876-1953):ピアノのための『日本』Op.89(1923)より第1曲「茶室」
【B.A.ツィンマーマンによる2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、ハープ、ピアノのための編曲版(第1版)(1951頃)】*
コダーイ:7つのピアノ小品Op.11(1910-18)より 第3曲「巷に雨の降るごとく」
【B.A.ツィンマーマンによる2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラ
バス、ピアノのための編曲版(1949)】*
シリル・スコット:2つのピアノ小品Op.47より第1曲『蓮の国』(1905出版)
【B.A.ツィンマーマンによるフルート、ハープ、2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスのための編曲版(1952)】*
ベルント・アロイス・ツィンマーマン:2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、ピアノのための『古きバレエの思い出』(1950)
〜ヨハン・カスパール・フェルディナント・フィッシャー1656-1746):9つのチェンバロ組曲『音楽のパルナッソス』(1738)より組曲第2番「カリオペ」第2曲バレエに基づく
パウル・ハレツキ:インテルメッツォ・スケルツォーゾ『父と子』(1938出版)
【ベルナルド・パッツィ(B.A.ツィンマーマンの仮名)による小管弦楽版
(1963)】*
エドムンド・ニック(1891-1974):ブルース(1929)
【B.A.ツィンマーマンによる管弦楽版(1954)】*
ベルント・アロイス・ツィンマーマン:管弦楽のための素描『静止と反転』(1970)
サラ・ウェゲナー(S)
マルクス・ヴァイス(Sax)
ウエリ・ヴィゲット(P)
ハインツ・ホリガー(指)
ケルンWDR響

録音:2000年、2002年、2012年、2017年、2018年

*=界初録音
戦後最も重要で、最も個性的な作曲家といえるベルント・アロイス・ツィンマーマンの、多くの初録音作品を含む3枚組アルバムが登場。もともとはB.A.ツィンマーマン生誕100周年記念として企画されたもので、すべてハインツ・ホリガー(指)WDR製作という望みうる最高レベルの演奏・録音。ここまで包括的にまとまっているのが嬉しい、大注目のセットです。
B.A.ツィンマーマンは同時代の前衛の旗手シュトックハウゼンとは対極にある作曲家で、既存の素材を新たな文脈で再構成するという、コラージュ的ポストモダン的手法を作風の要としました。これは若い頃から様々な既存の歌曲やピアノ曲を管弦楽に編曲していくなかで培った技術や色彩感覚によって達成されたもので、『アラゴアナ』『管弦楽のための協奏曲』『1楽章の交響曲』といったオリジナルの名作たちと数々の編曲作品は、不可分の存在と言えます。それらを組み合わせ、一見雑多で、しかしこれぞ、という収録内容に仕立てたこのアルバムは、多くの引用と再構成によって成り立っているB.A.ツィンマーマンの目くるめく音楽世界を見事に体現しています。
独自の道を突き進んだB.A.ツィンマーマンは、1970年に『静止と反転』を完成させた直後、自らの命を絶ちます。彼の音楽はもしかすると、戦後に前衛の熱風が吹き荒れた20世紀よりも、21世紀の現代にこそ、ふさわしく響くのかもしれません。
WER-7388
エンノ・ポッペ(1969-):『Rundfunk(放送)』 〜9つのシンセサイザーのための(2015-2018)
(オーディオ・ソフトウェア ヴォルフガング・ハイニガー)
アンサンブル・モザイク

録音:2019年1月30日〜2月1日
※世界初録音
1969年生まれのドイツの作曲家エンノ・ポッペは、共感的懐疑主義と呼ばれる態度で電子音楽に取り組む音楽家。アンサンブル・モザイク代表として自ら演 奏も手掛けています。9台のシンセサイザーによるこの作品はFM音源、ミニモーグ、ピガニーノなど60〜70年代のサウンドを用いていますが、そのまま音を 使うのではなく、コンピューターで変調・再構成しながら音楽を作っていきます。「I」ではシンプルなピコピコ音で始まり、「II」ではノイズのドローンが支配的と なり、「III」ではそれぞれの要素が絡み合いながら大きく変容・展開。演奏家には鍵盤楽器奏者としての技術よりも電子音を巧みに操る技術が求められます。演 奏家の身体性をもって作り上げる電子音楽であり、ポスト・デジタル音楽と呼ぶことが出来るでしょう。 (Ki)
WER-7389
SAX〜現代サクソフォン協奏曲集
(1)ペーテル・エトヴェシュ(1944-):フォーカス 〜サクソフォンと管弦楽のための協奏曲(2021)
(2)ゲオルク・フリードリヒ・ハース(1953-):協奏曲 〜バリトンサックスと管弦楽のための(2008)
(3)ヴィキンタス・バルタカス(1972-):サクソルディオンフォニクス 〜ソプラノサックス、アコーディオンと室内オーケストラのための(2013)
(4)ヨハネス・マリア・シュタウト(1974-):暴力的なできごと ブルース・ナウマンを讃えて 〜サクソフォン、木管アンサンブルと打楽器のための(2005/06)
マルクス・ヴァイス(各種サクソフォン)
テオドロ・アンゼロッティ(アコーディオン(3))
ケルンWDRSO((1)-(3))
エレナ・シュヴァルツ(指揮(1))
エミリオ・ポメリコ(指揮(2)(3))
ウィンドクラフト・チロル((4))
カスパー・デ・ロー(指揮(4))

録音:(1)2022年1月15日、(2)2008年4月21-30日、(3)2013年4月28日、(4)2007年2月8-10日
(1)(2)世界初録音
サクソフォンが発明されて約180年、クラシカルな楽器の中で比較的新しいこの楽器は、近年、その地位が確立され大いに活躍する「協奏曲」という形で輝かし く発展しています。
マルクス・ヴァイスは最も成功したクラシック・サクソフォン奏者と称され、数多くの新作を初演し、サクソフォンの可能性を開拓し続けている名手。ここに収録さ れた4曲はすべて彼が初演を務め、うち3曲は彼にささげられています。アルバムを通してソプラノ、アルト、テナー、バリトンと各種サクソフォンが登場。非常に技 巧的なエトヴェシュの『フォーカス』、クリスタルなサウンドが個性的なバルタカスの『サクソルディオンフォニクス』など、音色と表現の限りない幅広さに驚かされ る注目作です。 (Ki)
WER-7393
アザー・ストーリーズ
ヘルムート・ラッヘンマン(1935-):Sakura mit Berliner Luft 〜アルトサクソフォン、ピアノと打楽器のための
マルティン・シュットラー(1974-):xerox 〜アルトサクソフォン、ピアノ、打楽器とテープのための
ヘルムート・ラッヘンマン:Marche Fatale 〜ピアノ独奏のための
桑原ゆう(1984-):In Between 〜アルトサクソフォン、ピアノと打楽器のための
ヘルムート・ラッヘンマン:Berliner Kirschbluten 〜ピアノ独奏のための
マルティン・スモルカ(1959-):fff (Fortissimo feroce Fittipaldi) 〜バリトンサクソフォン、ピアノと打楽器のための
マイケル・フィニスィー(1946-):Opera of the Nobility 〜ソプラノサクソフォン、ピアノと打楽器のための
ヘルムート・ラッヘンマン:Sakura-Variationen 〜アルトサクソフォン、ピアノと打楽器のための
トリオ・アッカント【マルクス・ヴァイス(Sax)、ニコラス・ホッジズ(P)、クリスティアン・ディエルシュタイン(打楽器)]】
ヘルムート・ラッヘンマン(声)

録音:2018-2019年
サックス、ピアノ、打楽器という編成による現代音楽集。特殊奏法ノイズ見本市のような昔のイメージのままラッヘンマンを聴くと、まったく違う作風に驚か されます。「Marche Fatale」は完全に普通のクラシック音楽。「Sakura mit Berliner Luft」「Sakura-Variationen」では何と自ら、日本語で「さくらさくら」 を歌っています。どれも後半に不思議な展開をすることでラッヘンマンの音楽になってはいるものの、他の作曲家がかなり先鋭的な音楽を書いているので、そ のギャップに面喰らいます。
WER-7394(2CD)
ゲルト・ザッハー(1929-2014):独奏&二重奏作品集
(1)オルガンのための『75 Event(ualitie)s』(1987)〜スピーカーで再生されたファン・アジェンデ=ブリンのピアノ作品「Siebeneinhalb Dezennien」と同時演奏、リアリゼーション1
(2)フルートとピアノのための『Glossar』 Op.2(1952)
(3)ピアノのためのプロジェクション(ca.1975)
(4)ピアノのための5つの変容 Op.3(1954)
(5)ソプラノとオルガンのための『魚の腹のなかにおけるヨナの祈り』(1964)
(6)オルガンのための『爆発』(1973)
(7)四分音ずらして調律された2台のピアノのための『いま何時』(1994)
(8)オルガンのための『75 Event(ualitie)s』(1987)〜スピーカーで再生されたファン・アジェンデ=ブリンのピアノ作品「Siebeneinhalb Dezennien」と同時演奏、リアリゼーション2
ハスティ・モラヴィアン((5)ソプラノ)
エヴェリン・デーゲン((2)フルート)
ピアノ・デュオ〈トーマス・ベッヒュリ/ゲルトルート・シュナイダー〉((7))
トーマス・ギュンター((3)(4)ピアノ)
アルフレッド・ポルマン((2)ピアノ)
ファン・アレンデ=ブリン((1)(8)ピアノ)
マティアス・ゴイティング((1)(5)(6)(8)オルガン)

録音:(1)(5)(6)(8)2017年7月24-25日、(7)2017年5月6-7日、(3)(4)2016年2月19日、(2)2016年2月23日
全曲世界初録音
ゲルト・ザッハーは20世紀音楽には欠かせないオルガニストであり、リゲティ、ケージ、カーゲル、シュネーベル、イサン・ユンなどの作曲家が彼のため にオルガン曲を書いています。しかし作曲家としてのザッハーはあまり知られていません。
ザッハーの作品集はWERGOレーベルからは1990年に「フーガの技法」(WER-6184)がリリースされているのでこれが2作目。収録曲はすべて世界 初録音で、50年に渡り書かれた作品が並んでいます。それらはほとんど楽譜に正確にノーテーションされた音楽ですが、ケージに捧げられた作品である『75 Event(ualitie)s』には演奏者の裁量にゆだねられた即興的な要素があるため、2種類の録音を収めています。演奏ごとの違いに注目ください。 (Ki)
WER-7395
エンノ・ポッペ(1969-):作品集
Fell 〜ドラムセットのための(2016)
Stoff 〜9つの楽器のための(2015)
Brot 〜5つの楽器のための(2007/13)
Haare 〜ヴァイオリン独奏のための(2013/14)
Zug 〜7つの金管楽器のための(2008)
ディルク・ロスブラスト(ドラムセット)
ハンナ・ウェイリッヒ(Vn)
アンサンブル・ムジークファブリーク
エンノ・ポッペ(指)

録音:2017-2020年
※全曲世界初録音
ドイツの現代音楽界を牽引する存在であるエンノ・ポッペの作品集。細かなモチーフの集積がカオティックに展開しつつ、モチーフそのものも変容していき ます。ヴァイオリン独奏の『Haare』は猫の鳴き声のような音型が様々に発展。 長く共演し親交の厚い超絶技巧アンサンブル集団、ムジークファブリークがユニークな作品群を見事な完成度で奏でます。全曲世界初録音。 (Ki)
WER-7397
ヨンギー・パクパーン(1945-):室内楽作品集
TA-RYONG VI (1988/98) 〜フルート、クラリネット、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、パーカッションのための
Silbersaiten (2002) 〜ヴァイオリン、チェロ、ピアノのための
Wundgetraumt (2004/05) 〜フルート、オーボエ、クラリネット、ヴァイオリン、チェロ
BIDAN-SIL (1992/93) 〜オーボエ独奏、フルート、オーボエ・ダモーレ、クラリネット、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、パーカッションのための
TA-RYONG III (1991) 〜パーカッション二重奏のための
Io (1999/2000) 〜クラリネット、トランペット、トロンボーン、アコーディオン、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、パーカッションのための
クリストフ・マリア・ワーグナー(指)
E-MEXアンサンブル

録音:2019年4月8-9、15-17日/ケルン
1945年韓国生まれの作曲家ヨンギー・パクパーン(朴泳姫)、2020年75歳記念盤。彼女は1965年から72年までソウルで学び、1974年に奨学 金を得てドイツに留学、クラウス・フーバーに師事。のちにフーバーの妻となりました。1994年にはドイツで初めて女性作曲家として教授に任命されており、 国際的に高い評価を得ている作曲家です。世界初録音となる室内楽作品を集めた当盤は、彼女特有の西洋モダニズムと韓国伝統音楽が混ざり合った不思議 な作風を味わえる1枚。編成の多彩さとパーカッションの効果的な用法に注目です。 (Ki)
WER-7398
(1)エンノ・ポッペ(1969-):Feld 〜2台ピアノと2人の打楽器奏者のための(2007/2017)
(2)エンノ・ポッペ&ヴォルフガング・ハイニガー(1964-):Tonband 〜2つのドラムスと2つのキーボードのための(2008/2012)
(3)ヴォルフガング・ハイニガー:Neumond 〜2つの電子オルガンと2人の打楽器奏者のための(2018)
Yarn/Wire 【イアン・アントニオ、ラッセル・グリーンバーグ(打楽器) 、ローラ・バーガー、ニン・ユー(鍵盤楽器)】
サム・トッレス((2) ライヴ・エ レクトロ ニクス)

録音:(1)2019年10月10-11日、(2)2017年9月19日、(3)2019年10月12日・12月13日、2020年1月31日
2005年にニューヨークで結成された2人の打楽器奏者と2人のピアニストによる現代音楽カルテット「Yarn/Wire」は、目の覚めるような革新的プログラム で世界的に高い評価を得ています。今作は親交の深い2人の作曲家、ヴォルフガング・ハイニガーとエンノ・ポッペとの共同作業から生まれたアルバムです。
ハイニガーとポッペの共作である『Tonband』はシュトックハウゼンの『コンタクテ』からの影響に加えて、ロック・ミュージックへの接近があり、メロディーに 対する自由なアプローチがなされています。
他の2作品は『Tonband』制作過程で生み落とされた音楽だそう。『Feld』は爆発的なリズムを持つ音楽で非常に技巧的。激しいフリージャズのごとく展開し ます。バルトークが『2台のピアノと打楽器のためのソナタ』でピアノに打楽器的な効果を求めたのに対し、ポッペは打楽器を「拡張されたピアノ」のように扱って います。またハイニガーの『Neumond』は絶えず変化する電子的音色空間が特徴的。 (Ki)

WER-7400
クリスティアン・ヴォルフ(1934-):作品集
トリオ第9番『アッカント』 〜テナーサックス、ピアノとパーカッションのための(2017)
エクササイズ第32番〜楽器指定なし(2011) …アルトサックス、ピアノとパーカッション
エクササイズ第37番(バージョン1) 〜2人かそれ以上の演奏者のための(2018) …バリトンサックス、ピアノとパーカッション
エクササイズ第29番〜2人かそれ以上の演奏者のための(2011) …アルトサックス、ピアノとパーカッション
エクササイズ第30番〜2人かそれ以上の演奏者のための(2011) …アルトサックス、ピアノとパーカッション
エクササイズ第31番〜楽器指定なし(2011) …アルトサックス、ピアノとパーカッション
エクササイズ第37番(バージョン2) …バリトンサックス、ピアノとパーカッション
エクササイズ第38番〜2人かそれ以上の演奏者のための(2018) …バリトンサックス、ピアノとパーカッション
トリオ・アッカント[マルクス・ヴァイス(Sax)、ニコラス・ホッジズ(P)、クリスティアン・ディエルシュタイン(打楽器)]

録音:2020年1月31日-2月2日
1934年アメリカ生まれ、若いころにジョン・ケージらに師事した作曲家クリスティアン・ヴォルフ。今なお生きるモダニズムの作曲家、とも目されている存在で す。
大作『トリオ第9番』は、演奏者トリオ・アッカントとの長年の友情の証。独特の静けさ、淡々とした語り口の中に、バッハの音楽から社会的な歌まで多くの 回想や隠れた引用が盛り込まれており、自作の『エクササイズ』へのオマージュも含まれています。
『エクササイズ』は楽器指定のない、インヴェンションを思わせる作品です。響きは明晰であり構造は複雑。演奏者それぞれに独立した自発性が求められます。 (Ki)
WER-7401
Prozession〜エンノ・ポッペ(1969-):作品集

(1)Fleisch(肉) 〜テナーサックス、エレキギター、キーボードとドラムスのための(2017)
(2)Prozession(行列) 〜大アンサンブルのための(2015/2020)
(1)アンサンブル・ニケル
(2)エンノ・ポッペ(指)、
アンサンブル・ムジークファブリーク

録音:(1)2020年10月30日、(2)2020年11月15日
※全て世界初録音
WERGOから定期的にリリースを重ねているドイツの作曲家エンノ・ポッペ(1969-)。今作は2曲の奇抜な編成による新感覚音楽を収録。どちらも初録音で、 『Prozession』は初演時のライヴ。
テナーサックス、エレキギター、キーボード、ドラムスというおよそクラシックではありえない編成による『Fleisch』は、この編成で活動している異能集団「アン サンブル・ニケル」あってこその滅法おもしろい作品。急緩急の3楽章で書かれているあたりにクラシックの香りがしますが、明らかにポップスやロックを感じるモー ションを用いていて、瞬間的な響きを不揃いに何度も発しあう第1楽章からして超ユニーク。ポッペお気に入りのモーグのシンセサイザーが良い味を出しています。 また、ポッペのエレキギターに関するイメージはジミヘンであり、長髪のロックスターであり、”埃っぽい”ものだそう。「新鮮味に欠けるものを使って、新しい文脈 で作曲するのが好き」という作曲家の個性が炸裂しています。サックスの音量が大きいこともあり、各楽器が太い音で力強く鳴らしあっているのもロック味を感じ ます。現代のプログレと謳ってもさまになりそう。
『Prozession』は現代音楽の猛者集団ムジークファブリークのために書かれた1時間近い作品。編成は大きく、古典的なオーケストラの楽器は網羅され、さら に電子オルガン、エレキギター、各種打楽器が加わります。それでいて室内楽的な簡潔な響きが支配的で、思いつく限りの楽器の組合せを試してその音を楽しんで いるかのよう。ゆったりと時間が流れ、自然界の音に耳をすましているような不思議な感覚にとらわれます。 (Ki)
WER-7403
Cattering Birds〜現代打楽器作品集
(1)ペーテル・エトヴェシュ(1944-):スピーキング・ドラム 〜打楽器独奏と管弦楽のための4つの詩(2012/13)[レオニー・クライン編、打楽器独奏版(2022)]
(2)ヴィンコ・グロボカール(1934-):地上の対話 〜打楽器独奏のための(1994)
(3)サラ・グロイナリッチ(1991-):Latitudes #2〜ドラムスとテープのための(2022)
(4)藤倉大(1977-):Cattering Birds 〜2人の打楽器奏者のための(2021)
(5)ウルズラ・マムロク(1923-2016):変奏曲とインターリュード 〜4人の打楽器奏者のための(1971)[レオニー・クライン編、打楽器独奏版(2021)]
(6)細川俊夫(1955-):ウィンドスケープ 〜2人の打楽器奏者のための(1996)
(7)ウロシュ・ロイコ(1954-):肌リズム 〜2人の打楽器奏者のための(2020)
レオニー・クライン(打楽器)(1)(2)(3)(5)
イサニー・パーカッション・デュオ [レオニー・クライン&中村功](4)(6)(7)

録音:2022年2月22日〜25日カイザースラウテルン、SWRスタジオ
※(1)(3)(4)(5)(6)世界初録音
ジャズやロックといった様々なジャンルの音楽が発展するにつれて、打楽器の可能性はどんどん広がっていきました。それは現代音楽における打楽器のあり方に も影響を及ぼし続けています。ドイツの名打楽器奏者レオニー・クラインが今日の打楽器レパートリーの全盛ぶりをたっぷりと魅せつけてくれる、刺激的な打楽器名 作集です。
エトヴェシュの打楽器協奏曲『スピーキング・ドラム』は、クラインと作曲家が共同で制作したソロ・バージョンを収録。叩くだけでなく声も使って、技巧的な作 品を熱気と共に奏でます。グロボカールの『地上の対話』では水槽の水に楽器をさらす実験的な奏法も。ほかにもテープと共演したり、いろいろな方法で楽器から 音を出したりと、尽きないアイデアに彩られた楽曲が並んでいます。デュオ作品ではクラインの師でもある名手・中村功が登場。絶妙のアンサンブルにも注目です。
WER-7405
ニュー・メモリーズ
ア・ブ(1999-):幻想曲『夢の中の眠り』 Op.7(2022)
ニコライ・カプースチン(1937-2020):ピアノのための変奏曲(1984)
 8つの演奏会用エチュード Op.40(1984)
ア・ブ:ピアノ・ソナタ第1番『Pinus』(2022)〜カプースチンとアラ・カプースチナの追憶に
ア・ブ(P)

録音:2022年4月21-23日
ア・ブ(A Bu)は1999年北京生まれで、ジャズを中心にクラシックも作曲もこなす凄腕のピアニスト。ジャズの要素を取り入れた作風で高い人気を誇るカプー スチンのピアノ曲に自作曲を組み合わせたアルバムです。ア・ブは生前のカプースチンと交流があり、その音楽への強い思い入れが演奏からもうかがえます。カプー スチン夫妻への追悼の意が込められたピアノ・ソナタを締めくくりに収録。 (Ki)
WER-7406
白い花 マリアーノ・エトキン(1943-2016):作品集
(1)物事の本質〜クラリネット、トロンボーン、チェロ、ピアノの為の(2001)
(2)わすれられた夢〜ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの為の(2014)
(3)涙の練習曲 第1番〜クラリネット、ホルン、チェロの為の(2009)
(4)体内の血液〜トロンボーン、打楽器、ピアノ、チェロ、コントラバスの為の(1997)
(5)涙の練習曲 第2番〜クラリネット、ホルン、チェロの為の(2009)
(6)白い花〜クラリネット、ファゴット、トロンボーン、打楽器、ピアノ、チェロ、コントラバスの為の(2006)
(7)涙の練習曲 第3番〜ホルンとコントラバスの為の(2010)
(8)おわかれマンボ〜フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン、トランペット、トロンボーン、コントラバスの為の(1992)
アンサンブル・アヴァンチュール

録音:2019年28-29日、2020年5月22-24日/ケルン、ドイチュラントフンク、カンマームジークザール
(1)-(7)世界初録音
アルゼンチンの作曲家マリアーノ・エトキン(1943-2016)による室内楽作品集。「夢」「血」「涙」といった人間的なものをタイトルにしているように、生命力 や実存のエネルギーを感じさせる音楽になっていて、ときに官能的ですらあるサウンドに彩られています。
アンサンブル・アヴァンチュールは1986年結成の現代音楽アンサンブル。エトキンと深い関わりがあり、「白い花」は結成20周年にプレゼントされた献呈曲。「お わかれマンボ」もこの楽団のために書かれた作品です。 (Ki)
WER-7409
無伴奏チェロ作品集
(1)レーガー:無伴奏チェロ組曲第2番 ニ短調 Op.131c(1914/15)
(2)ドナルド・フランシス・トーヴィー(1875-1940):無伴奏チェロ・ソナタ Op.30(1910)〜パッサカリア ニ長調
(3)アドルフ・ブッシュ(1891-1952):無伴奏チェロ組曲 Op.8a(1914)
 (4)チェロ独奏の為の前奏曲とフーガ ニ短調 Op.8b(1922)
(5)ヴァルター・クルヴォワジエ(1875-1931):無伴奏チェロ組曲 ロ短調 Op.32-2(1921)
ユリウス・ベルガー(Vc)

録音:(1)(3)(4)2021年12月10〜11日、(2)2022年2月23日、(5)2022年3月24日/ディリンゲン
(3)(4)(5)世界初録音
リウス・ベルガーはロストロポーヴィチのマスタークラスに参加し、後年は師弟を超えて共演もしている名チェロ奏者。古典から現代まで分け隔てなく採り上げ るソリストとして活躍、WERGOレーベルにも多くの録音を残しています。今作はレーガー生誕150年を記念しての無伴奏作品集。バッハの組曲に感化されたジャ ンルが20世紀に展開していくさまを見ることができる興味深いプログラムになっています。
有名なヴァイオリニストでもあるアドルフ・ブッシュがチェリストの兄ヘルマンのために書いた組曲は、ネオ・バロック様式を超えた内容。また、ブッシュ兄弟の友 人でカザルスから天才と称賛されたイギリスの作曲家ドナルド・フランシス・トーヴィーの「パッサカリア」はバッハの「シャコンヌ」を思わせる広がりを持っています。
CDタイトルの「ソルダネラ」は、雪山で、雪解けの中から花を咲かせる「Soldanella alpina」にちなんだもの。思いがけない場所に生まれた美しいもの、と いうイメージを音楽に重ね合わせています。 (Ki)

WER-60045
リゲティ:レクイエム(1963/65)*
アバンチュール(1962)
新アバンチュール(1962/65)
リリアーナ・ポリ(S)*、
バルブロ・エリクソン(Ms)*、
バイエルン放送cho*
ミヒャエル・ギーレン(指)ヘッセンRSO*

ジェルティ・シャルラン(S)、
マリー・テレーズ・カーン(A)、
ウィリアム・ピアソン(Br)、
ブルーナ・マデルナ(指)
ダルムシュタット国際室内アンサンブル

録音:1966年
グロテスクなレクイエム。人間のあらゆる感情を人工語で表現するアバンチュール。
WER-60079
リゲティ:弦楽四重奏曲第1番(1953〜54)
弦楽四重奏曲第2番(1968)
アルディッティSQ

録音:1978年5月EMIスタジオ、ロンドン
バルトーク的な第1番、怪奇の世界の第2番。
WER-60161
リゲティ:コンティヌーム〜チェンバロのための
10の小品〜木管五重奏のための
アーティキュレーション〜電子音楽Cグリッサンディ〜電子音楽
ハーモニーズ(オルガンのためのエチュード第1番)
クレー(オルガンのためのエチュード第2番)
ヴォルミーナ〜オルガンのための(第1版)
アントワネット・ヴィシェ(Cemb)、
バーデン=バーデン南西ドイツ放送木管五重奏団
電子楽器:ジェルジュ・リゲティ、
ゴットフリート・ミヒャエル・ケーニヒ、
コルネリウス・カーデュー
オルガン:ジグモント・サットマリー、
カール=エリック・ヴェリン

録音:1970年、1957-58&62年
蜂の羽音のようなチェンバロ。オルガンの大迫力トーンクラスター。
WER-60185
ギーレンのシェーンベルク:作品集
5つの管弦楽曲Op.16
チェロ協奏曲ニ長調
現代の詩篇Op.50c
管弦管のための変奏曲Op.31
南西ドイツRSO.
ミヒャエル・ギーレン(指)
ハインリヒ・シフ(Vc) 
ギュンター・ライヒ(語り)
ブラティスラヴァ・スロヴァキア・フィルハーモニーCho. 
パヴォル・プロチャスカ(合唱指導)

KDC-5042(2CD)
ツィンマーマン(1918〜1970):歌劇「兵士たち」 ミヒャエル・ギーレン(指)ケルン・ギュルツェニッヒO、ルタン・クレーメン(Bs、ヴェーゼナー)、エディット・ギャブリー(S、マリー)、ヘルガ・イェンケル(Ms、シャルロッテ)、マウラ・モレイラ(A、ヴェーゼナーの老母)、クラウディオ・ニコライ(Br、シュトルツィウス)、エリザベート・シェルテル(A、シュトルツィウスの母)、リアーネ・シネク(Ms、ド・ラ・ロッシュ伯爵夫人)、ヴィッリ・ブロックマイアー(T、若い伯爵・伯爵夫人の息子)、アントン・デ・リッダー(T、デポルト)、エーリッヒ・ヴィンケルマン(B、フォン・シュパンハイム伯爵、大佐)、アルベルト・ヴァイケンマイアー(T、ピルツェル)、ハイナー・ホルン(Br、アイゼンハルト)、ゲルト・ニーンシュテット(Br、オーディ)、カミッロ・メゴール(Br、マリ)、ノルマン・パイゲ、フーベルト・メーラー、ヘリベルト・シュタインバッハ(T、若き将校)

録音:1965年2月21-22日、3月2-3日(WDR Grosser Sendesaal スタジオ)
大事件。ドイツの現代音楽の名門レーベルWERGO がLPで発売して以来ずっと幻の音源とされていたツィンマーマンの「兵士たち」が遂に初 CD化されることとなりました!
ツィンマーマン(1918 〜 1970)は、ドイツの作曲家。彼の作風の特徴の一つが、引用の技法を用いているということ。バロックからロマン 派、さらに民俗音楽、ジャズなど様々なジャンルの音楽のエッセンスが隠し画のように取り入れられています。この引用の技法は、このオペ ラでも用いられています。さらにこの「多元主義」は、視覚的にもこのオペラに現われます。たとえば第2 幕の終りでは、舞台上に3つの段が 用意され、3 つの場面が同時進行します。
初演にあたり、この作品はあまりにも難しく演奏不可能であるとサヴァリッシュやヴァントに言われて、初演時期がなかなか決まらなかっ たなど、数々の困難を伴いました。最終的に、若き日のギーレンに棒が託されましたが、そのリハーサルは壮絶でした・・・。ソリスト歌手 たちの練習は実に370回、声楽アンサンブルの練習が100回、さらにステージでの立ち稽古も60回以上。さらに、オーケストラ稽古が25回、 全曲の通し稽古も実に10回(うち7回はピアノでなくオーケストラとの練習)。この作品の上演に対する当時の劇場関係者および演奏者たち の使命感がいかに強かったか、ということを感じさせられます。初演はチケットも早々に売り切れる大好評、一部否定的な見方をする批評家 たちもいましたが、大絶賛で終わりました。この、厳しい初演を実現したメンバーたちによる演奏の録音が、このCDです。普通に聴いていて も「演奏するのはたしかに難しいだろう」と感じられるこの作品ですが、劇的で、うねるような圧倒的迫力。人間誰もが心の奥底に持ってい る、ドロドロした部分が冒頭から炸裂しています。
あらすじは、小間物商人の娘マリーが、婚約者がいながら兵士たちと逢瀬を重ね、道を踏み外し、乞食、娼婦へと身を窶していくというも の。ドロドロの人間ドラマが繰り広げられています。日本語解説書付! (※「軍人たち」とする場合もありますが、ここではニューグローヴ音楽辞典に倣って「兵士たち」とします) (Ki)
(King International)
KKC-5939
日本語帯・解説付
税込定価
マーラー:交響曲第10番(ヨエル・ガムゾウ補筆完成版) ヨエル・ガムゾウ(指)
国際マーラーO

録音:2011年11月24・25日
原盤:WERGO*WER-5122
作曲家の死により未完に終わったため第1楽章のみを演奏する場合が多いものの、残された草稿から曲の全貌がある程度想像可能なマーラー最後の交響曲、 第10番。それゆえにクック版など数々の補筆完成版が存在し、録音でも楽しむことが出来る、興味の尽きない1曲です。ここに収められた演奏は2010 年完 成の「ガムゾウ版」。自らの指揮による世界初録音です。ヨエル・ガムゾウは1987 年イスラエル生まれの若手指揮者で、12、3 歳でマーラーの10 番に魅せ られ、若干23 歳で補筆版を完成させたという驚きの人物。ちなみにマーラーが10 番作曲の筆を置いたのが1910 年、亡くなったのが1911 年。ガムゾウは 100 年越しに曲を完成させ、没後100 年の年に初録音をしたことになり、特別な意気込みを感じさせます。新たな補筆版をじっくり楽しめる上々の演奏内容も 含めて、マーラー・ファン必聴の1 枚と言えるでしょう。国内盤化にあたり、ガムゾウ自らが書いたライナーノートの日本語訳を掲載!


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