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殿堂入り:交響曲 管弦楽 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 オペラ バロック SALE!! レーベル・カタログ チャイ5



チャイコフスキー:交響曲第5番〜全レビュー
TCHAIKOVSKY:Symphony No.5 in e minor Op.64
ユージン・オーマンディ(指揮)
Eugene Ormandy



掲載しているCDジャケットとそのCD番号は、現行流通盤と異なる場合があります。あらかじめご了承下さい。


チャイコフスキー:交響曲第5番

ユージン・オーマンディ(指)
フィラフェルフィア管弦楽団
第2楽章ホルン・ソロ:
Treasures
TRT-008(1CDR)
録音:1950年11月19日タウン・ホール(フィラデルフィア)
演奏時間: 第1楽章 14:30 / 第2楽章 13:36 / 第3楽章 5:57 / 第4楽章 12:11
カップリング/シェーンベルク:浄められた夜
年々熟成を重ねたオーマンディ・サウンドの原点がここに!”
★オーマンディの十八番の「チャイ5」は、古い録音ほど魅力的。これは、全5回のセッション録音のうちの2回目の録音。前回の41年盤は、オケに染み付いたストコフスキー・イズムを味方につけた解釈だったのに対し、今録音ではオーマンディ自身の解釈として練り上げられており、5種の録音の中で最も発信力の高い名演奏として強力におすすめします。
まずは、リズムのエッジを鋭利に立てないこと、旋律線を明瞭化するために強弱の対比を明確にすること、エキセントリックなテンポの激変を避けること、これらのオーマンディこだわりが、この時期に完全に備わっていることがポイント。これが年を経るに従って安定感重視型に傾き、RCAの録音方法の影響もあると思いますが、リズムも緩めに変質していったのは否めません。その点、ここでのリズムの冴えと響きの凝縮力の高さは実に魅力的です。
ロシア的な民族色や作曲家の真意よりも、オーマンディ自身の美学に基づいて音楽を魅力的に輝かせることこそ使命だということが、溢れかえるニュアンスの端々から感じられ、特に2楽章と終楽章では、奏者にストレスを与えることなく弾かせながら音楽の輪郭を浮き彫りにするアイデアが満載。そのどれもがあざとい演出性など微塵も感じさせないところに、オーマンディの職人芸の奥深さを思い知るとともに、オーマンディの絶頂期は50代だったのでは思えてなりません。
精神的な重みを湛えた演フルトヴェングラーなどと比較して、オーマンディを軽視する風潮が長く続きましたが、近年ようやく再評価されつつあるようで、没後30年も過ぎました。今一度、フルトヴェングラーには真似のできない数々の奥義と信念に思いを馳せていただきたいと思います。録音状態も古臭さを感じさせません。【湧々堂】
第1楽章のツボ
ツボ1 クラリネットも弦も、響きが熱く太く色彩的。強弱のコントラストも大きく、そこには強固な意志を感じる。27小節〜28小節にかけて弦をクレッシェンド。
ツボ2 テンポは標準的。弦のリズムは量感たっぷり。クラリネットとファゴットのバランスが極めて良好。
ツボ3 瞬発的なクレッシェンドと控えめなポルタメントが、独特の求心力を生む。
ツボ4 メゾフォルテというよりピアノ寄りの音量へ急激に落とす。こういう強弱対比の箇所は、他のシーンでも切り返しが実に俊敏で迷いがないのが特徴。
ツボ5 スフォルツァンドは省略し、スラーは長めに取る。
ツボ6 僅かにテンポを落とす。強弱対比は殊更大きくなく、ほぼスコアどおり。
ツボ7 縦の線が見事に揃っている。スコアのフォルティッシモ指定を拡大解釈するのでは、という予想に反し、弱音寄りの小気味良い滑り出し。
ツボ8 この時期のオーマンディの高求心力を誇るスタイルを象徴するシーン。172小節の音が跳ね上がる箇所で上行ポルタメントを掛ける。この主題は、一貫して音符が下降を続けるが、この唯一音が跳ね上がる所を全てこの処理にすることで、旋律の甘美さを分りやすい形で導くことに成功。もちろん再現部も同様。
ツボ9 イン・テンポで進行。16分音符は不明瞭。
第2楽章のツボ
ツボ10 低弦の導入は、これまたり量感たっぷり。特にクレッシェンドの頂点の増幅力が凄い。ホルンは、正確な音を発する以外のニュアンスに乏しい。むしろ、オーボエの副次旋律が味。
ツボ11 決して刺激的なフォルティシシモを打ち込まないのは、オーマンディの終生変わらぬ特徴。
ツボ12 クラリネットは、巧味には欠けるが、音楽を感じているのは確か。派手なパフォーマンスに落ちいていないのが良い。
ツボ13 絶品のピチカート!オーマンディの弦の響きに対する志向性がよく判る、
ツボ14 弦のなんという輝き!フォルテ3つの頂点は、息の長さよりブロック的な音の積み上げによってエネルギーを増幅。
ツボ15 ピアニッシモをあえて無視し、ニュアンスが浮き出るのに最適な音量でしっかりたっぷり歌い上げる。
第3楽章のツボ
ツボ16 これは不思議!ほとんど間も空けず、テンポも落とさず、ファゴットも冒頭から明確に聞こえる。
ツボ17 全てのパートがよく聴き合い、連携の妙味を見せる。
ツボ18 パーフェクト!2種の楽器が橋渡しをしていることを全く気づかせない!
第4楽章のツボ
ツボ19 テンポは中庸。2小節目の2つの音符を深く刻ませている。いわゆる“オーマンディ・サウンド“における弦の豊穣さの一端を覗い知る瞬間。
ツボ20 ホルンは完全に裏方。
ツボ21 テンポは標準的で、ティンパニのアクセントは、スコア通り。70小節以降も管楽器を特に突出させずに弦主体で進行。
ツボ22 完全に無視。
ツボ23 これもオーマンディならではの配慮。管もヴァイオリンもできるだけ薄く響かせることで、無理なく低弦の隈取りを浮き彫りにしている。
ツボ24 直前までにテンポを落としておいて、ここから主部冒頭のテンポに戻す。わずかにテンポアップ。
ツボ25 ティンパニの一打に、トロンボーン(?)を重ねている!
ツボ26 そのままイン・テンポ。
ツボ27 一段テンポを落として、その倍のテンポで決然と進行。結果的にかなり速いテンポになるが、極端に速いテンポを嫌うオーマンディの、これがギリギリ許容範囲かも。
ツボ28 ほぼ楽譜の音価を遵守。ティンパニの一撃なし。
ツボ29 ボウイングを徹底して磨き上げたと見え、キリッと引き締まった響きで晴れやかに進行。
ツボ30 弦もトランペットも、徹底して音を切る。
ツボ31 トランペットの動きはスコア通りだが、全体に499小節の結尾でディミニュエンドして、500小節からクレッシェンドするのが珍しい。
ツボ32 強奏はさせず、無理なく確実に響かせる。
ツボ33 確信に満ちたイン・テンポ。
チャイコフスキー:交響曲第5番

ユージン・オーマンディ(指)
フィラフェルフィア管弦楽団
第2楽章ホルン・ソロ:
Don Industriale
DI-06-0628A
(1CDR)
録音:1959年 【モノラル・ライヴ録音】
演奏時間: 第1楽章 14:27 / 第2楽章 13:32 / 第3楽章 5:44 / 第4楽章 11:46
ライヴで見せた、オーマンディの確かな自己主張!
オーマンディにとって「チャイ5」は、1980年の最後の来日時にも取り上げたお得意の作品ですが、フィラデルフィアOという名器の真の素晴らしさとオーマンディの独自の色彩感、スケール感、驚異的なバランス感覚をいやというほど思い知らされたあの一夜の体験は、私の一生の宝です。ただ残念なことに、その一夜を体験されていない方でも、ステレオ正規録音の多くがその真価が収め切れていないということをお気づきの方は多いのではないでしょうか。そこでこの音源!もちろんモノラルというハンディがあり、晩年の豊麗さを極めた演奏は初めから望んでいませんでしたがと、これが予想外の感動の連続!オーマンディと作品との距離感は常に一定で、のめりこみ過ぎず、突き放し過ぎずというスタンスは生涯を通じて一貫しており、この録音でもそれを再確認できますが、強弱の差やテンポの急緩の差などの幅が大きくアグレッシブで、オケの鳴らし方の妥協のなさという点でいわばストコフスキー的な意欲で音楽に対峙しているのが大きな特徴です。テンポもほとんどの楽章においてどの録音よりも速く、何よりも真のある迫力を堪能することができるのはありがたい限りです。下に記した以外でも聴きどころは満載ですが、例えば第1楽章の第2主題に差し掛かる前の燃焼の激しさ、同展開部313〜4小節の弦をかなり強く弾かせるのは明らかにストコフスキーの影響と思われます。第2楽章でチェロが奏でる主題の美しさも絶品!第3楽章は冒頭から芳しい空気が流れ、艶やかな音像が、この楽章の醍醐味を余すところなく再現。終楽章はがっちりと腰の入ったリズムと、決して無理強いの印象を与えない推進力の素晴らしいこと!金管による運命動機の斉奏だけでも、オーマンディの穏健なイメージを覆すのに十分ですが、なんといっても驚くのが終楽章コーダの締めくくり方!最後で決して見得を切らないのは他の録音でも共通していますが、アッチェレランドという手法自体がオーマンディには無縁と思っていただけにあまりにも衝撃的です。録音状態もモノラルとしては極上。オーマンディに関しては、最近ようやく単に安全運転だけを目指した指揮者ではないということが認識され始めたようですが、この録音はそのことを更に確信させるかけがえのない存在です!
第1楽章のツボ
ツボ1 太く輪郭がはっきりしたクラリネットのフレージングは、弦と良好なバランスを保ちながらインテンポで進行。テーマ繰り返しの20小節からのクレッシェンドで、急激に感情的な切り込みを敢行するのは、穏健なイメージの他の録音と比較するとかなり主情に傾いた特異な表現。
ツボ2 中庸のテンポながら、ここでも木管の輪郭はくっきりと立ち上がり、曖昧さ皆無。続く弦楽器のフレーズは更に張りを帯び、メゾフォルテほどの量感(スコアではp)で力強く進行。
ツボ3 スコアどおり。
ツボ4 完全無欠のインテンポで克明にスタッカート。
ツボ5 ここから急激に1.5倍ほどにテンポを落とし、濃厚なレガートで歌い上げ、特にクレッシェンドの頂点では絶妙なアゴーギクも見せるているが、情に溺れず、決然とした高潔さが際立つ。
ツボ6 スフォルツァンドをことさら強調せず、穏当な表現。
ツボ7 ここからテンポを上げるが、ピチカートには音楽的な味わいがあり、メカニックな駆け上がりに堕していないのが望ましい。
ツボ8 絶品!なんと深く甘美なフレージング!弦の質感はまるでウィーン・フィルのように均質の美しさ。172小節の第2音は上行ポルタメントが掛かるが、嫌らしさは皆無。再現部でも同様の解釈。
ツボ9 インテンポでそのまま突入するが、木管の動きは徹頭徹尾克明に浮き立たせているのがオーマンディならではのこだわり。弦との連携も完璧。
第2楽章のツボ
ツボ10 弦の序奏は、オーマンディらしい厚みと豊麗さを兼ね備えた見事な響き。ホルンは第1音で少しひっくり返るのが残念だが、ドイツ的な朴訥な響きだが世母体イメージを与えることなく音楽的な味わいを醸し出している。
ツボ11 基本的にインテンポを貫いているが、その中で少しずつ脱力する呼吸の妙が聴きもの。
ツボ12 クラリネットは技巧に走らず、物悲しさを見事に表出。
ツボ13 かなり強い音で響かせ、中低域寄りのバランスとも相俟って安定感抜群!腹に染み渡るような独特の質感。
ツボ14 爆発的な衝撃はないが、フレージングもリズムも終始ぶれることなく、太い心で貫かれている。フォルテ4つの頂点では、ティンパニではなくピッコロを強調するのが、これまたオーマンディらしいところ。
ツボ15 冒頭のみ、ホルンのリズム打ちと弦が若干ずれるのが残念だが、この弦の響きは驚異的な美しさ!特に2連音をこれほど音楽的に息づかせた演奏は他に思い当たらない!最後のクラリネットのフレーズは、霧の中に消えるように奏でられるのが普通だが、ここでは最後の末端ままで聞き取れる。
第3楽章のツボ
ツボ16 わずかにテンポを落とす程度。
ツボ17 弦の細かい動きには、強弱記号が付いているが、この膨らみを実直に生かしている。またそれが生きる最適なテンポを採用している点にも要注目。
ツボ18 完全に裏方に回っているのではっきりしないが、分離せず一本のラインで描かれていることは分かる。
第4楽章のツボ
ツボ19 オーマンディにしては意外なほど、踏んばり(符点4分音符と16分音符の間)の効いたアグレッシブな表情。
ツボ20 ホルンは完全に裏方。その分、木管の動きを徹底的に表出している。
ツボ21 弦中心のバランスで一貫しているが、その動きの克明さと金管とのバランス、全体の縦の線の揃い方は驚異的!オーマンディの底力を思い知る瞬間!
ツボ22 全く無視した上で、ディミニュエンドまで施す!これもありそうであまり見かけない解釈。
ツボ23 バスがが際立って聞こえることがなく、ここでも全体のバランスが絶妙。高弦部と木管のバランス組むも含め、まさに「調和」を信条とするオーマンディの真骨頂と言える。
ツボ24 直前までに少しずつテンポを落とし、ここからテンポを上げる。最初の打ち込みの衝撃の大きさも意外。
ツボ25 やや鈍い。
ツボ26 わずかにテンポを落とし、主部冒頭のテンポに戻す。
ツボ27 豪速球というほどではないが、オーマンディの他の録音に比べるとかなりの高速。しかもトランペットのファンファーレのリズム感と響きの充実ぶりには唖然。
ツボ28 楽譜の音価より長め。ティンパニは最後に一撃を置く。
ツボ29 472〜3小節で旧に音楽が小さくなることなど全く心配無用。弦はもちろんのこと金管のハリのある響きが素晴らしく、それに付随する金管の付点リズムのなんと正確かつ音楽的なこと!
ツボ30 弦はきっちりと音を切り、トランペットも当然のように音を切る。
ツボ31 改変型。
ツボ32 深みをたたえた素晴らしい響き!
ツボ33 ホルン斉奏後になんとアッチェレランドを敢行!締めくくりで見得を切ることなくそのまま猛進!ライヴ録音とは言え、オーマンディのイメージを覆すあまりにも意外な結末!しかも感動的!!


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