湧々堂HOME 新譜速報: 交響曲 管弦楽曲 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 オペラ バロック 廉価盤 シリーズもの マニア向け  
殿堂入り:交響曲 管弦楽 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 オペラ バロック SALE!! レーベル・カタログ チャイ5



En Phases
(フランス)


Zig-Zag Territoiresの主宰者だったフランク・ジャフレスが、プロデューサーとして活動してきたステファニー・フラメントと創設したEn Phases(アン・ファズ)は、アーティスト自身の手による新レーベル。アーティスト達自身がブランドそのものなので、人々が今聴きたいと待ち望んでいる音楽に敏感に反応し、録音制作のプロフェッショナル達と共にユニークなリリースを行います。古楽からジャズまで、常に変化する今現在の音楽を後世に残していくことを目指しています。


※表示価格は、全て税込み。品番結尾に特に表記のないものは、全て1CDです。
品番 内容 演奏者
ENP-001
フランス・バロック ターユ(T)のためのモテット集
セバスティアン・ド・ブロサール(1655-1730):眠りの静寂 SdB52
ピエール・ブーティエ(1655-1717):おお、救い主なるいけにえよ
アンドレ・カンプラ(1660-1744):主よ、私が誰であるので −独唱と2本のヴァイオリンのためのイタリア風モテット
アンリ・デュ・モン(1610-1684):アルマンド
シャルパンティエ:なんと立派で素晴らしい晩餐 H.247
カンプラ:今こそ主よ、我を去らせたまわん − 独唱とヴィオール伴奏のためのモテット
アンリ・デュ・モン:パヴァーヌ
シャルパンティエ:イエズス会のためのサルヴェ・レジナ H.27
ルイ・クープラン(1626-1661):シンフォニア
シャルパンティエ:シオンよ、救い主を讃えよ H.268A
ピエール・ブーティエ:大いなる秘跡
スュフレ(生歿年不詳):私はいつ行けるか 〜独唱と2本のヴァイオリンのための、S氏のモテット
ジャン=フランソワ・ノヴェリ(T)
ステファン・デュデルメル、フランソワ・コスタ(Vn)
齋藤由香、マチュー・リュソン(バス・ド・ヴィオール)
ステファニー・プティボン(テオルボ)
ファビアン・アルマンゴー(オルガン、クラヴサン&総指揮)

録音:2017年10月30日、11月3日、リセ・プリヴェ・サン=ジュヌヴィエーヴ学院礼拝堂、ヴェルサイユ
フランス・バロックの魅力の粋は、なんといっても美しい独唱にあるのではないでしょうか。それは太陽王ルイ14世のもとリュリが創始した「叙情悲劇」がこの国のバ ロック音楽の基本にあり、フランス語の抑揚が生きる節回しがそのまま楽器のための音楽にも応用されているからかもしれません。Alphaレーベルでもソリストとし て録音を残してきた一方、数々のバロック・オペラ復興の舞台に立ち、際立った個性をみせてきたノヴェリを独唱者に、17世紀のさまざまな時代に書かれた極 小編成の宗教曲を通じて、内省的でありながら官能的な魅惑にみちた音楽の数々を妙なる男声一筋で聴ける1枚。ヴィオラ・ダ・ガンバを弾く齋藤由香はフ ランスでの活躍が長い古楽シーンの俊才。
ENP-002
タルティーニ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタとバロック式即興
前奏曲-カプリッチョ Prelude-Capriccio on the incipit of the Allegro, sonate XVIII*
ソナタ 第22番イ短調
 Andante 待ってくれ、友たちよ Deh serbate Amici dei * 
 Allegro この嵐の怖ろしさの只中で Tra l’orror della tempesta
 Presto 5.Allegro assai 聞こえるでしょう泉の音が、潮のうねりが Senti lo fonte, senti lo mare
ソナタ第12番ト長調
 タッソのアリア 喜びをもって、きみを抱きよせよう Aria del Tasso Lieto ti prendo… **
 Altro Grave この魂の苦しみは Tormento di quest’anima 
 Canzone Venetiana ヴェネツィアの小唄
 Aria これほど幸せだったことがあるあるでしょうか、無垢なる羊飼いの娘たちよ Quanto mai felici siete, innocenti Pastorelle *
 変奏曲 Temo variato
間奏曲-タッソのアリア 喜びをもって、きみを抱きよせよう Interlude, Aria del Tasso, Lieto ti prendo *
ソナタ ト短調 (再構成)
12.12/8, 自筆譜 p99 13.小川に、泉に、渓流に、流れゆく苦々しい涙
A rivi a fonti a fiumi correte amare lagrime*
麗しくも美しきロンディネッラ Rondinella vaga e bella* 15.変奏曲 Variations*
ただひとり、森の中は薄暗い Solitario Bosco Ombroso*
ソナタ ホ短調 自筆譜 p106のスケッチによる
 Grave */.Allegro */Gigue */Allegro Cantabile 聞こえるでしょう泉の音が、潮のうねりが Senti lo fonte, senti lo mare *
マチュー・カミレリ(Vn/歌**)
*=即興入り

録音:不明(2017年?)
バーゼル・スコラ・カントルムでキアラ・バンキーニの教えを受けたのち、パリ音楽院でフランソワ・フェルナンデスにも師事したカミレリ。ピリオド・スタイルでの演奏のみ ならず、作曲された時代では当然であった即興を、その演奏習慣に則って加えたアプローチを持ち味とする彼が、得意のタルティーニに臨んだアルバム。タル ティーニの音楽的精神的探求の極みといえる、最後に残された自筆スケッチのソナタ。カミレリはこの白鳥の詩ともいえる譜面に記された音に即興的な解釈を 加え、新しいアプローチで臨んでいます。トラック6では美しいカウンターテナーも披露。
ENP-003
ピアノと室内楽によるモーツァルト
.ピアノ協奏曲 第13番ハ長調 K415(室内楽編成版)〜ピアノ、弦楽四重奏とコントラバスによる
ピアノ・ソナタ 第4番変ホ長調 K282
ピアノと管楽器のための五重奏曲 変ホ長調 K452〜ピアノ、オーボエ、クラリネット、ホルンとファゴットのための
ピアノと管楽器のためのラルゲット(断章)K452a(K.Anh.54)〜ピアノ、オーボエ、クラリネット、バセットホルンとファゴットのための
オーレル・マルタン(P)
アンセン四重奏団[アントン・アンセン(Vn1)、ジュール・デュサップ(Vn2)、ガブリエル・ラフェ(Va)、シモン・ドゥシャンブル(Vc)、エティエンヌ・デュランテル(Cb)]
フィリベール・ペリーヌ(Ob)
アモリ・ヴィデュヴィエ(Cl)
ギヨーム・ベニ(Hrn)
ラファエル・アングステール(Fg)
オリヴィエ・デルベス(バセットホルン)

録音:不明(2018年?)
パリ音楽院のほか、クレモナやロンドンでも学んだピアニスト、オーレル・マルタンが友人たちと取り組んだモーツァルト。弦楽五重奏とのピアノ協 奏曲第13番、ソナタ第4番のほか、管楽器との室内楽を収めています。オーボエのペリーヌ、ホルンのベニはパリ・オペラ座O、ファゴッ トのアングステールはストラスブール・フィルで活躍する名手。気心の知れた仲間同士の会話のような、軽快で親密なコミュニケーションによる 音楽の楽しさを味わえるアルバムです。
ENP-004
クープラン:ルソン・ド・テネブル
王宮のコンセール(抜粋)
復活祭のためのプティ・モテ
レ・パラダン[ジャン=フランソワ・ロンバール、ロマン・シャンピオン(オートコントル)、シルヴィア・アブラモヴィチ、フランソワーズ・エノク(バス・ド・ヴィオール)、バンジャマン・ナルヴェ(テオルボ)、ジェローム・コレアス(クラヴサン、オルガン&総指揮)]

録音:2018年2月24-27日、ロワイヨーモン修道院(フランス)
イエスが十字架にかけられたあと復活したことを祝う早春の復活祭の前には、救世主の死とその原因としての人類の罪に想いをはせ慎ましく 過ごす節制の日々「受難節(四旬節)」があります。その最後の週に、早朝の闇のなか蝋燭を灯しては消しつつ祈るフランスのルソン・ド・テネ ブル(暗闇の朝課)はやがて、四旬節を彩る自省的な音楽として作曲されるようになりました。ド・ラランドやシャルパンティエをはじめ数々の名 作がフランス・バロックの作曲家たちによって書かれましたが、クープランのそれは出色の傑作と目され、数々の名盤も生んできました。しかし本 盤が何より注目される点は、概して女声で歌われることの多い本作を2人の高音男声歌手(オートコントル)が歌っているところ。しかも演奏 陣には20世紀末から数々の伝説的バロック・オペラ舞台を賑わせてきた名歌手ロンバール、ル・ポエム・アルモニークの名盤の数々でもすばら しい腕前を披露しているヴィオール奏者二人など稀代の名手が続々!アルバム末尾には復活祭を祝うクープランの佳品が添えられ、四旬節 から復活祭へといたるキリスト教世界の峻厳な季節の移ろいを追体験できる1枚にもなっています。
ENP-005
キュイ:ジャン・リシュパンの詩による歌曲集Op.44
6つの歌曲 Op.23
セリーヌ・ラリ(S)
エマニュエル・クリスティアン(P)

録音:2018年6月
ロシア五人組の一人として有名なキュイですが、実は生まれはリトアニアの首都ヴィリニュス(当時はロシア領)、父はフランス人で母はリトアニアとポーランドの血 を引き…と出自から国際的。外国語にも堪能で、その長い生涯のあいだにフランスやベルギーなど諸外国も訪れ、ロシア国粋主義にとどまらない広範な作曲 活動を続けていました。批評家としても辣腕をふるい、いわば外から見たロシア音楽のあり方をよく理解したうえで創作に臨んだ人でもありました。歌曲も数多く 書いているのですが、そのなかにはフランス語の歌詞によるものも少なからず見つかります。コペー、プリュドム、ユーゴー…といったフランス19世紀の重要な詩人 たちの作品にもとづく6つの歌曲(1884)、多作な詩人・劇作家としてフランス文学史上に独特の立ち位置を占めるジャン・リシュパンの作品を歌詞にした大作 歌曲集(1891)、いずれもドビュッシー初期歌曲群やフォーレ、ショーソンらと同時代に書かれフランスで出版された「フランス音楽としてのキュイ」。細やかな世紀 末情緒に異国の気配をほんのり忍び込ませた作風を、すでにドイツやイタリアなど諸外国の最前線でも活躍している古楽歌手セリーヌ・ラリと、同じパリ音楽院 出身の俊才エマニュエル・クリスティアンが「同じフランスの芸術」として解釈してゆく注目盤です。
ENP-006
モンテヴェルディから現代まで、音楽による手紙を集めて
アット・メラーニ(1626-1714):「書け、悲しげな瞳よ」 Scrivete occhi dolenti
フレスコバルディ:「ラ・フレスコバルダ」よりアリア (フレスコバルディの名で知られたるアリア/器楽)
Aria detta La Frescobalda
ストラデッラ(1639-1682):「真っ白な紙の上に」〜『ご婦人への残酷な手紙』より
Lettera a Bella Donna Crudele - Sopra candido foglio
カプスベルガー(1580-1651):「どのように生きることができようか」(器楽) Com’esser puo〜カルロ・ジュズアルド(1566-1613)のマドリガルによる
フレスコバルディ:「行け、愛の手紙よ」 Vanne, o carta amorosa
ヴァンサン・ブショ(1966-)/ミシェル・ビュトール(1926-2016) 詩:ツイッター Twitter
モンテヴェルディ:「私の憔悴したまなざしが」〜『愛の手紙』より
Lettera amorosa - Se i languidi miei sguardi
フレスコバルディ:カンツォン第5番(器楽) Canzon quinta
マリオ・アントニオ・ネグリ( ?-1624):「この痛ましき流儀」〜『ほかの男の元へと去った女への詩』
Rime mandate alla sua Donna - Queste dogliose stille
アレッサンドロ・ピッチニーニ(1566-1638):トッカータ第4番(器楽) Toccata quarta
マリオ・アントニオ・ネグリ:「この真白な紙に」〜『ほかの男の元へと去った女への詩』
Rime mandate alla sua Donna - In queste bianche carte
カリッシミ:「書け、悲しげな瞳よ」 Scrivete occhi dolenti
スカルラッティ:ソナタ 89 (器楽)
19.Allegro 20.Grave 21.Allegro
マルチェッロ(1686-1739):カルロ・アントニオ・ベナティ氏から、ヴィットリア・テシへの手紙
Lettera del Signor Carlo Antonio Benati scritta alla Vittoria Tesi
シャミナード(1857-1944):初めての手紙 Ma premiere lettre
フランソワーズ・マセ(S)
ラ・ジョアンニーナ
ナーニャ・ブレーデイク(トリプルハープ)
レミ・カセーニュ(テオルボ、バロックギター)

録音:2018年10月8-11日、スタジオ・セクエンツァ、モントルイユ、フランス
モンテヴェルディの有名な「愛の手紙」を軸に、主に男女の間でやり取りされる手紙にまつわる作品を集めたアルバム。歌(ソプラノ域)と、中世 から親しまれていたトリプルハープ、そしてテオルボとバロックギターという撥弦楽器のみの伴奏での組み合わせで、初期バロックから現代の委嘱 作品までを集めています。歌の切々とした、また情熱的な味わいが生きているのは小編成ならでは。息の合ったアンサンブルで、幅広い年代 の作品を緩やかに繋いでいきます。フレスコバルディやストラデッラに続いて、現代的な「ツイッター」(トラック6-12)が違和感なく収まっているの も面白いところ。これは、2016年に亡くなった詩人ミシェル・ビュトールが、ツイッターと同じ140文字(当時)という制限で作ったソネットに、ヴァ ンサン・ブショが曲を付けたものです。ラストには近代の女流作家シャミナードによる悲しくも親しみやすい作品が収められた、美しい余韻を引く アルバム。
ENP-007
ダンディ(1851-1931):ヴァイオリン・ソナタ、アンダンテ
アルベール・デュピュイ(1877-1967):ヴァイオリン・ソナタ
エルマン・ボナル(1880-1944):嵐のあとに
ガエターヌ・プルヴォスト (Vn)
エリアーヌ・レイエス (P)
フランスはベルギーに近いリール出身、IntegralやContinuoといったレーベルでのフランス秘曲開拓に定評のある名手プルヴォストと、ゴダー ル(GP683、GP684)、タンスマン(8.572266、8.573021)、バクリ(8.572530)などのアルバムで高い評価を得ているベルギーのピアニス ト、レイエス。知られざる作品に光を当てることに長けた二人が手を組み、フランスとベルギーの作品を集めたアルバムを製作しました。ダンディ のソナタはそれなりに演奏されるものの、若き日に書かれたアンダンテや、フランスのオルガン奏者ボナルの小品、ベルギーの作曲家デュピュイに よるソナタなどは、ほとんど知られていないもの。いずれも抒情的なメロディ・ラインが魅力的な歌心溢れる作品ばかりで、しなやかで優美な二 人の演奏が、曲の魅力を十二分に引き立てています。
ENP-008
NX-B09
『SLAVIA』〜プロコフィエフ、ショスタコーヴィチ、ヤナーチェク、シマノフスキ、ヘルマン、デネフ: ヴァイオリンとピアノのための作品集
ヤナーチェク:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ
ショスタコーヴィチ:24の前奏曲 Op. 34 より
 No. 10 (ドミートリー・ツィガーノフ 編曲 ヴァイオリンとピアノ版)
 No. 15 (ドミートリー・ツィガーノフ 編曲 ヴァイオリンとピアノ版)
 No. 16 (ドミートリー・ツィガーノフ 編曲 ヴァイオリンとピアノ版)
 No. 24 (ドミートリー・ツィガーノフ 編曲 ヴァイオリンとピアノ版)
 No. 6 (ドミートリー・ツィガーノフ 編曲 ヴァイオリンとピアノ版)
 No. 14 (アレクサンドル・ブローク 編曲 ヴァイオリンとピアノ版)
フローリアン・ヘルマン:黒い瞳 (マルティノヴァ&ガラス編)
プロコフィエフ:5つのメロディ Op. 35bis
シマノフスキ:アレトゥーザの泉 - 『神話』 Op. 30 より
リュボミール・デーネフ(1951-):花の伝記
プロコフィエフ:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ 第2番ニ長調 Op. 94bis
シリル・ガラス (Vn)
マリア・マルティノヴァ (P)

録音:2019年7月16-19日、9月4日 サル・コロンヌ、パリ
フランス出身のヴァイオリニスト、シリル・ガラスと、ブルガリア出身のピアニスト、マリア・マルティノヴァによるデュオ。デビュー・アルバム『パリ・ブエノ スアイレス〜愛の歴史』(LP Classics)が評判となった2人が、「スラヴ魂」をテーマに作り上げた第2作です。力強く濃厚な歌心と詩的な美し さ、そして優しい表情が重なり合い、多彩な風景を楽しむことが出来ます。
ENP-009
ハイドン:弦楽四重奏曲 Op. 54「第1トスト四重奏曲集」
弦楽四重奏曲 ハ長調 Op. 54-2(Hob. III:57)
弦楽四重奏曲 ト長調 Op. 54-1(Hob. III:58)
弦楽四重奏曲 ホ長調 Op. 54-3(Hob. III:59)
プソフォスQ【マティルド・ボルサレッロ・エルマン、ブリュエン・ル・メートル(Vn)、セシル・グラッシ(Va)、ギヨーム・マルティニェ(Vc)】

録音:2022年 ソワソン(フランス北東部イル・ド・フランス地方)
大阪国際室内楽コンクールやヴィットリオ・グイ国際コンクールなどを賑わせ第一線に出たのが今から20年ほど前。世界的に活躍する弦楽 四重奏団が少なくないフランスにあって、現代作曲家たちとの仕事も数多く成功させながらも比較的堅実にキャリアを重ねてきたプソフォス四 重奏団ですが、これまでの録音が19世紀から新ウィーン楽派を経てニコラ・バクリ、マルク・モネといった現代作品中心だったところ、今回は大 きく古典派に舵を切ります。ハイドンの作品54は、ウィーンを中心に同業者たちに多大な刺激を与えた作品33の曲集(1781)の後に続く弦 楽四重奏曲ラッシュの時期に作曲されたものの一つで、作曲家がパリやロンドンなど諸外国の大都市で絶大な名声を築きつつあった頃の 作。手堅い曲作りと民俗音楽的気配が絶妙のバランスで同居する注目作です。プソフォス四重奏団の解釈はピリオド奏法にも通じるヴィブ ラートを控えた軽やかな推進力の中、聴き込むほどに精巧な解釈やニュアンスの妙が奥深く、聴きどころに事欠きません。ト長調の四重奏曲 Hob. III-58では彼らの導き手でもあるイザイ四重奏団の解釈と同様、冒頭からほどなく一般的な版とはやや異なる細部も聴かれる点が 興味深いところ。スル・ポンティチェロ(弦の極端に駒寄りの部分を弾く奏法)や、さりげないグリッサンドなど思わぬところで耳を惹く仕掛も繰り 出しもしながら、徹底して作品の様式感を裏切らない音作りはまさに温故知新、堅牢な構成の中に遊び心がいたるところに潜むハイドンの 音楽を、このうえなく面白く聴かせる彼らの未来がますます楽しみでなりません。
ENP-010
エルコーレ・バルナベイ(1622-1687):さまざまな組み合わせの3声〔と通奏低音〕のためのマドリガーレ風コンチェルト集(1669年ローマ刊)
1. Fulminate, begli occhi ? Fortezza amorosa 愛の力: よく見て驚きなさい、美しい両眼よ
2. Gia minaccia Amore 今や脅かされているのです、恋の神に
3. Altro frutto non colsi この苦しみの果実だけでいい
4. Preludio プレリュード(アンジェロ・ミケーレ・バルトロッティ〔1615頃-1681頃〕作曲)…テオルボ独奏
5. Non piu strali, ben mio もう矢を射ないでください、愛しい人よ
6. Mal’accorti miei lumi 惑わされた我が両眼よ
7. Toccata トッカータ(ジャコモ・シモネッリ〔生歿年不詳、1668-1684頃活躍〕作曲)…チェンバロ独奏
8. Perch’io vado lontano 遠く離れたところに来てしまったので
9. Non merita pieta 情けは何の役にも立たない
10. Ti mascio, anima mia (Partita dolente)悲しい別れ: 我が魂にも等しい君から離れるのだ
11. Ardo tacito amante 私は黙々と恋心を募らせ、灼けるようです
12. Ch’io non v’ami ? あなたを愛していないか、ですって?
13. Passacaglie パッサカリア(ベルナルド・パスクィーニ〔1637-1710〕作曲)…チェンバロ独奏
14. Spira dagl’occhi suoi (belta crudele)
残酷な美しさ:愛する人が両眼で射かけてくる
15. Tal’hora intento in un bel volto 時折、その美しい顔に見入ってしまい
16. Ardo e taccio il mio mal 私はこの身を焦がしながら、痛みについては黙して語らず
17. Bei labbri, io non vi chieggio 麗しき唇よ、あなたにお願いすることはない
18. Preludio プレリュード(バルトロッティ作曲) …バロックギター独奏
19-20. Oh se poteste mai/Hor se ’l gelo de gl’anni 離れ離れでいること:あなたにはわかるまい
ファエンツァ(声楽&古楽器アンサンブル)【ミリアム・アルブー(S)、マリーヌ・フリブール(Ms)、アンドレア・ガヴァニン(C.T)、フランシスコ・マニャリク(T)、ヤン・イェルン・ブレーデヴォルト(Bs)】

アンヌ=ソフィー・エスレ(ディスカント&バス・ガンバ、リローネ)
エリアズ・エルスラン(バス・ガンバ)
マルコ・オルヴァ(テオルボ、アーチリュート、リローネ、バロックギター)
カロリーヌ・リエビ(バロックハープ)
中川亜由美(チェンバロ、オルガン)

録音:2022年8月31日-9月4日 トレドエ=ロケモー聖母教会、ブルターニュ、フランス
17世紀前半にはフレスコバルディやベネヴォリ、世紀後半にはコレッリやA.スカルラッティが活躍したことで知られる「永遠の都」ローマ。その両 時代の間にこの芸術都市で活躍したベルナベイは、ルネサンス末期に一世を風靡したマドリガーレという曲種を17世紀半ばになお探求した 注目すべき作曲家の一人。パスクィーニやストラデッラなど多くの重要な音楽家たちを擁護した貴族フラヴィオ・オルシーニのもとで活躍を続け た末、1669年に発表された曲集には、多声音楽全盛の時代に流行ったこの曲種を用いながら、独唱芸術に重きを置く17世紀ならではの コンチェルト様式が存分に生かされた興味深い音作りが見られます。少し上の世代のマッツォッキやM.ロッシらのマドリガーレより後期バロック のカンタータに近く、官能的な詩句に品のある艶やかさをまとわせる旋律美は何とも魅力的。演奏は異才歌手=撥弦奏者マルコ・オルヴァを 中心に結成されたファエンツァ。初期のALPHAレーベルにも録音がある才人集団で、Hortusからほぼ同時に発売される彼らのフランス・バ ロック曲集とともに注目したいリリースと言えるでしょう。
ENP-012
フォーレとその教え子たちのヴァイオリン作品
リリ・ブーランジェ(1893-1911):夜想曲
ブーランジェ:行列
エネスコ:ヴァイオリンと4手ピアノのための小品*
ラヴェル:ヴァイオリン・ソナタ(遺作)
ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ (パウル・コハンスキ編曲ヴァイオリンとピアノ版)
ラヴェル:フォーレの名による子守歌
フォーレ(1845-1922):ヴァイオリン・ソナタ 第2番Op.108
ガエターネ・プルヴォスト(Vn)
ダナ・チョカルリエ(P)
マラ・ドブレスコ(P)*

録音:2023年 スタジオ・ステファン・ポレロ
フランコ・ベルギー派の名手ガエターネ・プルヴォストによる、フォーレとその教え子たちのヴァイオリン作品 集。艶やかな音色と、程よい抒情を湛えた演奏が楽しめます。
ENP-014(2CD)
NX-D09
バッハ:無伴奏チェロ組曲(全6曲) ヴァレリー・エマール(Vc)
使用楽器…ミラノのグランチーノ(推定)1694年製作(モダン仕様)
弓…ジョゼフ・アンリ1850年製

録音:2022年5月26-28日、7月4-8日 アルスー聖母教会、アルスー (フランス南西部ピレネー=ザトランティーク地方)
ピアニストのピエール=ローラン・エマールの妹ヴァレリー・エマールが、満を持してバッハの傑作組曲を録音。パリ国立高等音楽院でミシェル・ ストロースとフィリップ・ミュレールに師事した後、ボザール・トリオのメンバーとしても名高いバーナード・グリーンハウス門下で大きな影響を受け、 マールボロ音楽祭などでも活躍してきた彼女は「コンクールに頻繁に出ていた頃から“あなたのバッハにとても惹かれた”と言われることが多かっ た、ただ書かれた音符と向き合っていただけなのに」と語ります。1980〜90年代に急速に注目が高まった古楽器演奏にも意識を向けつつ、 グリーンハウス門下では「自分を示せ」との教えを受けた彼女のバッハ解釈は、きわめて誠実でありながら凡庸とは程遠い、安定したテンポと 磨き抜かれた音の魅力で聴き手を捉えて離さない演奏に結晶しています。歴史的に貴重な銘器と弓を伝って響き渡る確かなバッハ像、じっ くりお楽しみください。
ENP-016
シュザンヌはある日 〜リュートの黄金時代とフランス音楽史〜
1. クロード・ジェルヴェーズ(1525-1583):パヴァーヌ
2. アドリアン・ル・ロワ(1520頃-1598):パスメズ(パッセメッゾ)
3. ベルナール・ド・ヴァンタドゥール(1120/30頃〜1194/95頃):木の葉は瑞々しくなり
4. 作者不詳:サルタレッロ「ゾルジ」
5. ピエール・アテニャン(1494-1552):バス・ダンス「友の名をわたしに告げた彼女は」
6. ジャン・シャルダヴォワーヌ(1538-1580頃):嬢さん、見に行こう
7. ピエール・ファレーズ(1510頃-1575頃):アルマンド「恋人に」
8. ル・ロワ:ねずみ
9. アテニャン:バス・ダンス「マグダレーナ」〜トゥルディオン
10. アテニャン:パヴァーヌ
11. トワノ・アルボー(1520-1595):ブランル「ピナゲ」
12. アルボー:B豆のブランル
13. ペイロル(1160頃-1225頃)/編曲者不詳:野がどこも緑萌えたつのを見て
14. ファレーズ:パヴァーヌ「レケルカルド」〜モービュイソンのクラント
15. アテニャン:ブランル「あなた、わたし思っていたのだけど」
16. アテニャン:バス・ダンス「砦」
17. プレトリウス: ヴォルト1&2
18. 作者不詳:生きてゆこう
19. ベルナール・ド・ヴェンタドゥール:わたしは見た、ヒバリが
20. ニコラ・ヴァレ(1583頃-1642頃):先掲のパスメズのガリヤルド
21. ジェルヴェーズ:ブランル〜ファレーズ:ブランル「小さな人」
22. アテニャン:バス・ダンス「整髪」
23. ディディエ・リュピ(生歿年不詳、16世紀中盤に活躍):シュザンヌはある日
24. ファレーズ:ブランル・ゲ
25. ジルベール・イズバン(1953〜):秋の贈り物
アルバン・ティクシエ(Lute)
ローラン・ティクシエ(歌)
エヴリーヌ・モーザー(歌、弓奏ヴィエル〔中世フィドル〕)

録音:2023年10月16-20日モンフォルタン教父礼拝堂、サン=ローラン=スュル=セーヴル(フランス中西部ポワトゥー地方)
中世からルネサンスにかけての詩歌に通じた古楽歌手ローラン・ティクシエを父に持つ新世代のリュート奏者、アルバン・ティクシエ。初のソロ・ アルバムでは、欧州知識人たちの間でリュートが重要な独奏楽器としてひときわ重宝された中世〜ルネサンス期のフランス音楽に光を当てま した。10才の頃には父が出演する古楽祭でルネサンス舞踏を披露、その頃からリュートを学んでいたアルバン・ティクシエの紡ぎ出す音楽は、 広範な活躍で知られる彼の師匠ミゲル・アンリが「現代人にとっては異質なはずのリュートという楽器と、驚くほど親密に打ち解けている」(ライ ナーノート序文より)と語る通り、全く気負いを感じさせずに数世紀前の音楽を「いま」に息づかせる泰然自若の語り口が大きな魅力。トルバ ドゥール(南仏の中世詩歌人)たちの黄金時代から、声楽名作の編曲を含むリュート独奏向け楽譜が激増したルネサンス期を経て、プレトリ ウスが書き留めたフランス宮廷舞踏の世界を垣間見つつ音楽史を広く概観できる選曲を、このうえなく自然な語り口で一編のプログラムにま とめています。ALPHAと並んで古楽の名盤が多いZig-Zag Territoiresレーベルでの仕事が知られるエンジニア=プロデューサーのフランク・ ジャフレが録音技師を務めており、精妙なエンジニアリングで、古楽器ならではの雑味を含んだ美音を細やかなニュアンスまで克明に伝えてく れるのも嬉しいところ。師や父と共に本人も執筆しているライナーノート(仏語、英語)の味わい深い文章と共に「古楽に接する」ことの魅力を 十全に味わえる1枚に仕上がっています。
ENP-017
古典派〜初期ロマン派作曲家たちの作品によるパスティッチョ
モーツァルト(ルートヴィヒ・ヴェンツェル・ラヒニト編): 序曲(歌劇「イシスの神秘」〔「魔笛」KV626フランス初演版〕より)
チマローザ:夜空が明けてくる前に(歌劇「秘密の結婚」〔1792〕より)
ドヴィエンヌ(ピエール・ヴァヤン編):Allegretto poco moderato(フルート、ヴァイオリンと任意参加の低音部のための大独奏曲〔1814〕より)
モーツァルト(ラヒニト編):愛しいイスメノール、わたしの加護のもとへ(歌劇「イシスの神秘」より〔原曲: 歌劇「ドン・ジョヴァンニ」KV527より「さあおわかりでしょう、誰が名誉を」〕)
ドヴィエンヌ:市民フロリアンの小説『コルドバのゴンサルベ』による歌集(1795)
 Chant de Pedro ペドロの歌
 Chant de Cortez コルテスの歌
 . Hymne de la mort 死の讃歌
デュポール(1749〜1819):チェロとピアノのためのロマンス(1810頃)
パイジエッロ:愛しい人よ、いつ来るの(いとしい人が来る時) (歌劇「ニーナ、または恋狂い」より)
フェリーチェ・ブランジーニ(1781〜1841):二重唱によるノットゥルノ集 Op.8(1811頃)
 Ti sento, sospiri あなたのため息が聞こえる
 Placido zeffiretto 優しき恋の西風よ
 Dal mio bel sol lontano 遠くにいる恋人から、ただ
モーツァルト(ラヒニト編):ああ、わが心の代償はなんと高く(歌劇「イシスの神秘」より〔原曲: 歌劇「魔笛」より「この肖像、すばらしく美しく」)
フェルディナンド・エロルド(1791-1833):ヴァイオリン独奏付きアンダンテ(P協奏曲 第3番イ長調より)
ピエル・ガラ(1762〜1823):吟遊詩人の嘆き
ガラ:やあこんにちは、美しい草原よ
モーツァルト/フリードリヒ・カルクブレンナー(1785〜1849)編)): Allegretto(P協奏曲 第25番KV503より)
ブランジーニ:二重唱によるノットゥルノ集 Op.8(1811頃)
 Questo core se teme e spera わたしの心は怯えながら期待にあふれ
 Non so dire se sono amante 自分でもわからない、恋しているのかどうか
  Che fa il mio bene 何をするの、愛しい人
マリアンヌ・クルー(S)
シリル・デュボワ(T)
アンサンブル・ヘクサメロン(古楽器使用)
ルカ・モンテブニョリ(スクエアピアノ、指揮)
 使用楽器:パリのエラール1806年製オリジナル
ロルダン・ベルナベ(Vn)
ニコラ・ブイル(Fl)
アマリリス・ヤレチク(Vc)

録音:2023年3月13-15日、10月4-6日 プティト・マルメゾン城、ルイユ=マルメゾン(パリ郊外)
大革命の後、時代の寵児となったナポレオンの台頭で急速に変化しつつあったフランスにあって、歿後間もないモーツァルトの復権が進む中 で演奏されていた音楽を丹念に選び、ピアノのあるサロンでの音楽会のような一貫性あるプログラムにまとめたアルバム。古楽器のプロフェッ ショナルたちが弾く楽器の中でも特に重要なのはパリのエラール社が製作したオリジナルのスクエアピアノ(フォルテピアノの一種、クラヴィコード のように弦を横向きに張った横長方形の楽器)で、現存する同社の楽器でもかなり早い1806年製のオリジナルが使われています。ピアノ四 重奏のために編曲され19世紀の音楽環境そのままに蘇る「魔笛」序曲に始まり、古典派流のメロディアスな作品からロマン派の先駆ともい うべき深い憂愁の影を帯びたナンバーまで、起伏に富んだ展開は通して聴いても各曲別々に聴いても映える味わい深さ。現代楽器の古い 録音だけで知られていたガラのロマンスやドヴィエンヌの協奏曲、デュポールのチェロ作品など、21世紀の今なお古楽器で聴けること自体が貴 重な作品の数々から導き出される新鮮かつ優美な響きは、古楽器演奏の魅力を知る人ならずとも思わず惹かれてしまうに違いありません。 多くの古楽名盤を世に送り出してきたZig-Zag Territoiresレーベルの名エンジニア、フランク・ジャフレスの仕事が活きた充実の1枚です。


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