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殿堂入り:交響曲 管弦楽 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 オペラ バロック SALE!! レーベル・カタログ チャイ5



OPMC CLASSICS
モナコ


クライツベルクOPMC CLASSICS(Orchestre Philharmonique de Monte-Carlo)は、モンテ・カルロ・フィルハーモニー管弦楽団のレーベル。2011年3月に亡くなったヤコフ・クライツベルク氏(前・首席指揮者)指揮のタイトルが並びます。


※品番結尾に特に表記のないものは、全て1CDです。
品番 内容 演奏者

OPMC-001(3CD)
ストラヴィンスキー:バレエ「火の鳥」(1910年版)、
バレエ「ペトルーシュカ」(1947年版)#
バレエ「春の祭典」/「プルチネッラ」*
ヤコフ・クライツベルク(指)
モンテ・カルロPO
マリア・マシチェワ(P)#
ナータ・ポクピチ(Ms)*、
ケネス・ターヴァー(T)*、
アンドルー・フォスター=ウィリアムズ(Bs)*

録音:2010年5月31日-6月7日
 主要なバレエを全て収録していますが、全て異なる各曲の持ち味を徹底的に引き出すという作業を、オケの自発的な表現意欲の中から実現するという力量は、とても賞賛し尽くせるものではありません。
まず、ディスク1の「火の鳥」が超名演!壮大な絵巻物を丹念に目で追うような心持ちにさせる情景描写の徹底ぶりに舌を巻きます。「金のリンゴと戯れる王女たちに象徴されるように、そのカラフルで多彩な表情に心は奪われっぱなし。「カスチェイの踊り」は、凶暴でありながら音楽としての骨格感と品格を失わず、最後の大団円に至っては混濁を許さぬ豊穣なハーモニーが朗々となり渡り、それまで淀みなく紡がれてきたストーリーの重みを最確認し、感動もひとしおです。
 「ペトルーシュカ」は、クライツベルクのリズム・センスの高さが物を言いい、そのリズムの冴えがそのままオケの色彩に作用して人懐っこいニュアンスを醸し出します。特に第4部は新鮮な衝撃の連続で、「乳母の踊り」での各パートの発言力の豊かさには唖然とするばかりですが、無理やり裏の旋律を引っ張り出したような強引さがなく当然のように確信を持って鳴り響くので説得力は絶大。ペトルーシュカの死を告げる床に落とすタンバリンの間合いの良さと刹那的な音も絶妙。
 極端に名演奏が少ない「プルチネッラ」(全曲版)は、バロック的な佇まいに縛られた小じんまり演奏ではなく、バレエ音楽としての躍動感と空間の広がりを感じさせる素晴らしい演奏。第3曲「スケツツィーノ」、第4曲「アレグロ」、第10曲「タランテラ」などではいかにもストラヴィンスキーらしい先鋭的な響きを強調する演奏もありますが、ここでは推進力のあるリズムに乗せて引き出される、純朴で温かみのある響きが印象的。第29曲「アレグロ」も、これで心弾まない人などいるでしょうか?
忘れてならないのが独唱陣の素晴らしさ!テノールのターヴァーの素朴な美声と、含みを持ちすぎずにチャーミングな表情を浮かべ、特に第11曲の「アンダンテ」が胸を打つメゾ・ソプラノのポクピチ、絶妙な軽みを称えるバスのフォスター=ウィリアムズと、全てがこの作品にうってつけの人選。
 様々なアイデアで凶暴さを強調し尽くされた感のある「春の祭典」。ここではそういった演出が存在しないぶん感覚的に物足りない?と思ったら大間違いで、そのスタンスこそがこの演奏の核になっています。例えば「春の輪舞」の前半部分や、「大地の踊り」の締めくくりは、ストラヴィンスキーのスコアだけを信じ、極めて丹念にアーティキュレーションを施しながらその本来の持ち味を再認識させてくれて、感慨を新たにします。第2部は、まず序奏のヴァイオリン・ソロの巧さにご注目を。「祖先の儀式」で終始刻まれるリズムからは、前半部分ではその無機的な打ち込みがゆえに不気味さがジワジワ炙り出され、後半はそのリズムに粘りが加わるというように、リズム自体のニュアンスへの敏感さを示します。そして終曲は、クライツベルクの芸術性の集大成!指揮者自身が暴れまわるのではなく、スコア上の不協和音のぶつかり合いを徹底的に表出することにただただ専心することで、その凶暴な筆致の凄さを最認識させてくれるのです。土俗的性や肉感的なドロドロ感をこの上にさらに上塗りする必然性など全くないのではないかと思わせるほどその姿勢に終始ブレがないのです。C・デイヴィスの録音を心から名演と実感される方ならきっと共鳴していただけることでしょう。 【湧々堂】

OPMC-002
ラヴェル:バレエ「ダフニスとクロエ」(全曲)
ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲*
ヤコフ・クライツベルク(指)
モンテ・カルロPO、
ベルリン放送cho(合唱指揮:サイモン・ハルゼイ)

録音:2010年4月2,3日〜7月13,14日、2010年8月13日*
 指揮者の色彩センスがものを言う名曲2曲は、各音のニュアンスを直感的に捉える能力と品格を携えたハーモニーのセンス、フレージングのしなやかさといったクライツベルクの音楽作りの特徴と見事に合致した作品だけに、その素晴らしさは筆舌に尽くし難いものがあります。
 「ダフニスとクロエ」は序奏から、合唱の淡い色彩とオケの軽やかなテクスチュアとのブレンドの妙にイチコロ。「ドルコンのグロテスクな踊り」ではアクセントを殊更には強調せず、第2部の「戦いの踊り」でも凶暴さを意図的に煽るのではなく、全体の調和の中で曲の持ち味を過不足なく伝えることに専心するアプローチによって、作品全体が統一感をもって迫り、最後まで安心して身を委ねることができます。第3部の「夜明け」の鳥のさえずりの繊細な描写と、全体の色彩の陰影が同時並行で揺らぐ絶妙さも聴きもの。最後の「全員の踊り」では圧倒的なもちろんパワー全開となりますが、決して力づくではなく、合唱のニュアンスを大事にしながら歓喜の雄叫びに達します。
 それに対し、「牧神の午後への前奏曲」は、冒頭のフルートがしっかり意志をもって奏でられで、その後のオケの呼応も筆致が太いのが意外ですが、曖昧模糊としたムーディさを回避することでストーリー性がリアルに浮上し、その結果、信じ難い名演が誕生しました!第2主題に入る直前のクラリネットの変奏部分(3:18〜)も表情が濃厚。第2主題後半で低弦がフワッと覆い被さる(4:34)の優美な風圧感も必聴です。しかし白眉はなんと言っても中間部主題!筆致の太さの意味がいよいよここで顕著となり、緊張と緩和が相半ばする独特のフレージングが感動をもたらすのです。しかも木管の囁きと弦のニュアンスとのコントラストを明確な打ち出した後に、得も言われぬヴィブラートが効いたホルン、蜜の光のようなヴァイオリンソロと連なるシーンは、もう恍惚の極み!その後もなんとなく鳴っているパートは皆無で、これ以上配慮を行き渡らせた演奏は考えられません。 【湧々堂】

OPMC-003
リムスキー=コルサコフ:シェエラザードop.35
ボロディン:だったん人の踊り*
ムソルグスキー(R=コルサコフ編):はげ山の一夜
ヤコフ・クライツベルク(指)
モンテ・カルロPO
モンテ・カルロ歌劇場cho*

録音:2010年1,2,11月
クライベルクは兄のビシュコフ同様、ロシア音楽であっても血気を前面に押し出すのではなく、緻密な造型と繊細な和声の彩を引き出すことを最優先させた芸風が特徴的でした。その手堅い指揮芸術をたっぷり堪能できる一枚。
「だったん人の踊り」では、ドキッとさせる個性的表現を用いずとも、素直にスコアと対峙して一途に歌い上げるだけでこれだけの手応え!合唱の巧さも特筆もの。終結でテンポを速めるその切替え方も強引さのないハイセンスぶり。
「はげ山の一夜」も、テンポの落差でドッキリさせたり、金管を突出させたりといった細工は無用の名演奏。類例がない程のハーモニーの絶妙なバランスとカッチリとした造型力がもたらす安定感は真の風格美を醸成。切れ味抜群のトゥッティも、品位を欠く手前での制御が音楽的な味わいに繋がっています。静かな夜明けを迎える前の金管の合いの手(6:14〜)にご注目!わずかにテヌート気味に吹かせてドロドロ感をさり気なく演出していますが、そこに誇張を感じさせずに音楽を自然に躍動させるセンス!それを思うとクライツベルクの早逝が一層悔やまれてなりません。
メインの「シェエラザード」も逸品!ロシア臭を際立たせず、スコアの持つ色彩力を全面的に信頼した演奏という意味では、ジョルダン&スイス・ロマンドOなどの録音と共通するかもしれません。第1楽章のシャリアール王の動機は威嚇ではなく品格を湛え、続くヴァイオリン・ソロはフレーズの端々にたっぷり余韻を持たせて歌い上げ、それでけでもうエレガントな空気が部屋中に広がります。第2楽章では各ソロ奏者の巧味を堪能。第3楽章は、ホールの響きがドライだとどうにも雰囲気が出ませんが、この録音はその点でも満点!もちろんムーディーには傾かず、心からの詩情が隅々まで浸透。節度のある中間部を経た後のテーマの再現に入ると、クライツベルクの引き出す歌が如何に本物であるか、改めて感じていただけるでしょう。そして7:38からの山場で見せる伸びやで大きな呼吸の妙!終楽章も推進力は確保しながらあくまでも繊細なニュアンスを基調とした構成。最後の難破シーンでの高潔なスケール感も、あくまでもその精妙な音彩の上に立脚したものなので、音色が濁ることはなく、聴き手の心に確実に味わい深い音楽として届けたいという一途さを窺わせます。感覚的な迫力ではなく、音楽の持つエッセンスを丁寧に紡ぎ出す演奏に触れたいと願う方は、特に必聴です!【湧々堂】
OPMC-004(1LP)
限定生産
[A面]
リムスキー=コルサコフ:シェエラザード〜第1楽章「海とシンドバッドの船」
ムソルグスキー(リムスキー=コルサコフ編):禿山の一夜
[B面]
ラフマニノフ:交響曲第2番より 第3楽章*
ダヴィッド・ルフェーヴル(Vn)
ヤコフ・クライツベルク(指) モンテカルロPO

録音:2010年1月28日、2月2日、2010年11月28日*
Side A:22’32’’、Side B:15’10’’、180g
ラフマニノフの交響曲第2番はクライツベルクがモナコで行った最後の演奏会のなかのひとつです。
OPMC-005
ショスタコーヴィチ:交響曲第11番「1905年」 ヤコフ・クライツベルク(指)
モンテ・カルロPO

録音:2010年1月25-26日
2011年3月15日に急逝したクライツベルクのショスタコーヴィチの登場。自身が「会心の出来」と振り返っていた交響曲第11番のライヴです。サンクトペテルブルクに生まれ、ビシュコフの弟でもあるクライツベルクはショスタコーヴィチに対して特別な思い入れをもっていました。特に第11番は、ニューヨーク・フィルのデビュー公演となった演奏会で指揮したもので、その後もフィラデルフィア管などとも共演をしていた特別な作品。モンテカルロ・フィルとどのような演奏を展開しているか期待が高まります。
ショスタコーヴィチの第11番「1905年」は、演奏時間1時間を要する大曲。ロシア革命前夜を描いた映画的音楽で、ショスタコーヴィチの驚くべき描写力が発揮されています。「血の日曜日」の民衆虐殺の場面をはじめ、全体に指揮者の能力が試される難曲。不気味な事件を予感させるようなおどろおどろしい第1楽章は実にリアルに響き、第2楽章の射撃のシーンは痛々しいほど。終楽章の激しさは圧巻です。クライツベルク自身が「会心の出来」と振り返るのもの納得の、各楽器のバランスの采配が実に見事な、稀有な名演となっています。 (Ki)
OPMC-006
マーラー:交響曲第5番 ヤコフ・クライツベルク(指)
モンテ・カルロPO

録音:2010年9月27,28日
クライツベルクとモンテ・カルロ・フィルによる、マーラーの交響曲第5番の登場。2010年9月の録音、クライツベルクが急逝したのが2011年3月でしたので、亡くなる半年ほど前の演奏ということになりますが、マーラーはレコーディング初レパートリー。冒頭のトランペットのファンファーレからなだれ込むハーモニーの突き刺すような音色のバランス感覚は、クライツベルクならでは。すっきりとした流れの中、マーラーの濃厚な和声を効果的に響かせています。アダージェットでは、クライツベルクの端正な音楽運びと、オケの絶妙なバランス感覚が際立ちます。最終楽章では、躍動感に満ちたフーガと、金管の華やかな響きが鮮やかです。あらためてクライツベルクの早すぎる死を悼みながらも、彼の素晴しい指揮と音楽を心して味わいたい渾身の演奏です。 (Ki)
OPMC-008
ジルベール・アミ(1936-):L'Espace du Souffle
フィリップ・マインツ(1977-):wenn steine sich gen Himmel stauen*
フィリップ・ユーレル(1955-):Tour a Tour 3
オットー・カッツァマイアー(Br)*
ジャン・ドロワイエ(指) モンテカルロPO
モンテカルロ・フィルが奏でる現代音楽作品集。柔らかく色彩感に富むフランスの響きがにじんでいく心地よい不協和音に満ちたサウンドで、逆説的で すが聴いていると何とも武満徹を思わせるものがあります。
OPMC-009
バッハ(シトコヴェツキー編):ゴルトベルク変奏曲(弦楽三重奏編曲版) トリオ・ゴルトベルク
[リザ・ケロブ(Vn)、シリル・メルシエ(Va)、ティエリ・アマディ(Vc)]
モンテカルロ・フィルのメンバーによる演奏。シトコヴェツキーの名編曲、弦楽トリオ版「ゴルトベルク」です。3人のみごとな技量と親密なアンサンブルが光ります。
OPMC-010
レオ・フェレ(1916-1993):La Symphonie Interrompue (Tango)
La Chanson du Mal aime
ジャンルイジ・ジェルメッティ(指)
モンテカルロPO
シャンソン界でも有名なモナコ生まれの作曲家レオ・フェレの作品集。大編成で色彩豊かなオーケストラが奏でる絶品フレンチ・ポップ!ジャンルイジ・ジェ ルメッティは1990年から1992年までモンテカルロ・フィルの音楽監督を務めました。
OPMC-013
ベルリオーズ:幻想交響曲 Op.14
夢とカプリッチョ Op.8
山田和樹(指)
リザ・ケロブ(Vn)
モンテカルロPO

録音:2017年 5月16、19日/モナコ
モンテカルロ・フィルの自主レーベル「OPMCクラシックス」は2010年にスタートし、当時の音楽監督クライツベルクの演奏をリリースしていました。 しかし2011年にクライツベルクが急死し音楽監督不在の時期が続き、レーベルとしての活動も縮小していたのですが、2016年に山田和樹が新たに音 楽監督兼芸術監督に就任、ついにオーケストラの録音が再開されました。山田和樹第1弾アルバムとなるのがこのベルリオーズ。指揮者とオーケストラの 良好な関係が織りなすハイレベルな演奏がお聴き頂けます。
大胆で手の込んだ管弦楽法にあふれた『幻想交響曲』は現在のモンテカルロ・フィルの力量をおおいに知らしめてくれます。すべての楽器が色彩豊かで 繊細。明瞭でありながら柔らかさもあり、前半の美しさから引き込まれます。録音も分離が良く、細やかにさまざまな音が重なってくるのがしっかり聴こえ ます。第2楽章のハープの掛け合いも左右に分かれていて面白いです。後半の盛り上がりも見事。クレッシェンドやアクセントを丁寧にこなしながら、大 きな流れで勢いを増していき力強いクライマックスへ突き進みます。
『夢とカプリッチョ』は独奏ヴァイオリンがまさに夢のような美しい歌を紡ぐ協奏作品。ソロを弾く女性ヴァイオリニスト、リザ・ケロブはモンテカルロ・ フィルのメンバーであり、クライツベルクの前任であるヤノフスキの時代からソリストを務めている名手で、しなやかな美音に魅せられます。 (Ki)


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