湧々堂HOME 新譜速報: 交響曲 管弦楽曲 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 オペラ バロック 廉価盤 シリーズもの マニア向け  
殿堂入り:交響曲 管弦楽 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 オペラ バロック SALE!! レーベル・カタログ チャイ5



Two Pianists
(南アフリカ)


ニーナ・シューマン、ルイス・マガリャアエスという二人のピアニストによっ て、南アフリカの古都ステレンボッシュに創立された同レーベルは、南アフリ カでも最も有名なレコーディング・エンジニアグループ「ゲルハルト・ルー・ オーディオ・キャプチュア」とパートナーシップを結び、録音を開始しました。 このレーベルの活動は、ニーナ・シューマン、ルイス・マガリャアエスが共に 教鞭をとるステレンボッシュ大学音楽学部の通年プロジェクトの一環でもあり、 同大学のリサイタルホールをレコーディングに使用しています。設立当初は 2台ピアノのための作品を中心にカタログを構成する計画でしたが、現在はそ のカテゴリーを広げつつあり、新進ピアニストのフランソワ・デュ・トワや、 バーミンガム市交響楽団で副首席を務めているステレンボッシュ出身のヴァオ リニスト、ゾー・ベイヤースとレーベル契約を交わすなど、積極的な展開を見 せています。


品番 内容 演奏者
TP-1039015
ヴィヴァルディとピアソラの「四季」
ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲ホ長調「春」Op.8-1
ピアソラ:ブエノスアイレスの四季-第2番ブエノスアイレスの夏
ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲ト短調「夏」Op.8-2
ピアソラ:ブエノスアイレスの四季-第3番ブエノアイレスの秋
ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲ヘ長調「秋」Op.8-3
ピアソラ:ブエノスアイレスの四季-第4番ブエノスアイレスの冬
ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲ヘ短調「冬」Op.8-4
ピアソラ:ブエノスアイレスの四季-第1番ブエノスアイレスの春
ダニエル・ローランド(Vn,指)
ステレンボッシュ・カメラータ

録音2008年9月19日-21日南アフリカ、ステレンボッシュ大学フィスマーホール
ステレンボッシュ大学フィスマーホールロンドン生まれアムステルダム育ちのソロイスト、ダニエル・ローランドのデビューアルバム。ヴィヴァルディとピアソラの「四季」を交互に配置しリピート再生で循環する曲の配列を採っています。「NORISK,NOMUSIC」とローランド本人が語るように、非常に大胆な弓さばきで叩き弾くような挑戦的な演奏スタイルですが、ビブラートを極力排してピリオド楽器的にアプローチしているこのヴィヴァルディは繊細さをも兼ね備え、爽快な空気感を醸し出しています。2010年秋には南アフリカツアーが決定しており、この「四季」も主要レパートリーとして組み込まれる予定で、今後の更なる活躍に期待がかかる新鋭ヴァイオリニストです。また、このアルバムはMTN南アフリカ・ミュージック・アウォード
TP-1039022
パガニーニの主題による変奏曲
ブラームス:パガニーニの主題による変奏曲Op.35(レンツォ・シルヴェストリによる2台ピアノ編)
ルトスワフスキ:2台ピアノのためのパガニーニの主題による変奏曲
アレンスキー:組曲第1番Op.15
 組曲第2番『シルエット』Op.23
コープランド:エル・サロン・メヒコ(レナード・バーンスタインによる2台ピアノ編)
ニーナ・シューマン(P)
ルイス・マガリャアエス(P)
※ベーゼンドルファーモデル280使用

録音2008年6月16日-20日南アフリカ、ステレンボッシュ大学エンドラーホール
レーベル設立者であるニーナ・シューマンとマガリャアエスによるパガニーニの変奏曲集。有名なブラームスの変奏曲をイタリア・ピアノ界の大御所レンツォ・シルヴェストリが2台ピアノ用に編曲した楽譜を採用しています。2台ピアノだからこそ可能な強弱の表現が印象的で、音がかち合うことなく見事にブレンドされています。また、1941年に若き日のルトスワフスキが書いた「パガニーニ変奏曲」は、ワルシャワのカフェで作曲家による初演という記録が残っており、どこかジャジーな薫りのするオシャレな作品です。
TP-1039039(2CD)
ラフマニノフ:ピアノ・デュオ作品全集
組曲第1番「幻想的絵画」Op.5
組曲第2番ハ長調Op.17/幻想小曲集Op.3-2
前奏曲嬰ハ短調「鐘」(2台ピアノ編)
イタリア・ポルカ(エイダ・ブラント編)
ロシア狂詩曲(モーリス・ヒンソン編)
交響的舞曲Op.45(2台ピアノ編)
6つの二重奏曲Op.11
ニーナ・シューマン(P)
ルイス・マガリャアエス(P)
ベーゼンドルファーモデル280使用

録音:2006年1月7日-13日南アフリカ、ステレンボッシュ大学エンドラーホール
2006年にテスト版としてリリースされた一枚。このラフマニノフがヨーロッパで高い評価を受け、レーベルの正式な発足に繋がりました。ラフマニノフの2台ピアノ作品を収録したCDはそのほとんどが組曲と交響的舞曲のみの組み合わせで、それ以外の2台ピアノ作品を収録したディスクは稀有です。この2枚組に収録された前奏曲「鐘」も、その曲の知名度と相反するかのようにCD音源は希少で、なかなかお目にかかるチャンスもありませんが、ソロ・ピアノ版とは違った味わいがあり、是非ともチェックしておきたいところ。ポルトガルのディアリオ・デ・ノティシャス紙のレビュアー、ベルナルド・マリアーノ氏は「まるで1台のピアノで弾いているようなアンサンブル。それでいて2人分のエッセンスがしっかり溶け込んでいる」と大絶賛しています。
TP-1039053(2CD)
ベートーヴェン:チェロ・ソナタ全集
チェロ・ソナタ第4番ハ長調Op.102-1
チェロ・ソナタ第1番へ長調Op.5-1
チェロ・ソナタ第3番イ長調Op.69
ホルン・ソナタヘ長調Op.17(チェロとピアノ編)
チェロ・ソナタ第2番ト短調Op.5-2
チェロ・ソナタ第5番ニ長調Op.102-2
ピーター・マーテンス(Vc)
ルイス・マガリャアエス(P)
この録音に際して、マーテンスとマガリャアエスはベートーヴェン研究家であるスチュワート・ヤング博士とともに、長年の研究をしてきたと語ります。とりわけベートーヴェンの速度表示は信憑性を欠くものが多く、各方面で議論の的になってきたものですが(当時の演奏を聴くことができればどんなによいか!)、今回のテンポ設定について参考にしたのは、弟子であり友人であったカール・チェルニーによる校訂版でした。チェルニーはピアノ協奏曲第5番でもソリストを務めたこともあり、その記述はかなり確かなものであると判断したそうです。その上で、更に研究を重ね今回の録音が実現したとのこと。その思いは素晴らしい音となって記録されています。
TP-1039060
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番
ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲
フランソワ・デュ・トワ(P)
オミリ・ハダリ(指)ケープタウンSO

録音:1992年南アフリカケープタウン・シティ・ホール
南アフリカの主要なコンサート・ピアニスト、そして音楽家として知られるフランソワ・デュ・トワは現在ケープタウン大学のピアノの準教授として後進の指導に当たっています。彼はケープタウンで学び、ドイツに留学。多くのコンクールに出場し入賞しています。15歳からソリストとして活躍し、1988年にはケープタウンSOの台湾へのツアーに同行し、輝かしい成果を収めています。この演奏は彼が熱心にコンクールに出場していた時期の録音で、溢れんばかりの野心に満ちた悠々たるチャイコフスキーと、見事なラフマニノフが聴けます。
TP-1039077
シェークスピアに触発された作品たち
エルガー:シェークスピアの王国
T.A.アーン(1710-1778):まだらのひなぎくが(カッコウの歌)
ホーダー(1910-1997):まだらのひなぎくが
クィルター:シェークスピアの歌Op.30〜第2番「水仙の花が覗くとき」
E.コーツ:古いイギリスの歌より第3番「シルヴィアはどこに」
 古いイギリスの歌〜第1番「オルフェウスと彼のリュート」
J.ハリスン(1885-1963):私は堤を知っている
パリー:イギリスの詩第2集:わが彼女
フィンドレー(1886-1957):哀れな人はため息をついて(柳の歌)
パリー:イギリスの抒情詩第2集:柳、柳、柳
ブリテン:気まぐれ
ウォルトン:お気にめすまま-緑の木陰
ホーダー:7つの歌第2番「緑の木陰」
パリー:イギリスの抒情詩第2集:もうその唇はみせないで
ラッブラ:もうその唇はみせないでOp.22-1
バッシュ(1920-1998):それは恋する若者とその彼女
クィルター:7つのエリザベス朝抒情詩Op.12-4「不誠実な女羊飼い」
ヘッド(1900-1976):羊たちの帰還
アームストロング・ギブス(1889-1960):銀Op.30-2
ガーニー(1890-1937):5つのエリザベス朝の歌第4番「眠り」
テレサ・デル・リエゴ(1876-1968):ホーミング
ヘッド:笛を吹く人
ディーリアス(1862-1934):7つのノルウェーの歌第3番「夕べの声」
パリー:イギリスの抒情詩第4集「私たちが別れたときは」
エルガー:懇願Op.48
クィルター:聞け聞けひばりを
ヴォーン・ウィリアムズ:命の家第2番「静かな昼」
クィルター:3つの歌Op.3-1「愛の哲学」
ミシェル・ブリート(Ms)
ニーナ・シューマン(P)
シェークスピアの作品は、いつの世も芸術家たちを魅了してやみません。書かれた当時はリュート伴奏でひっそりと歌われていたに違いない典雅な曲も、時代を経るにつれ、濃厚で表情豊かな伴奏が付くようになり、歌い手もそれに伴い、まるでオペラのような表現力を求められることも稀ではありません。このアルバムに収められているのも、そんな「近代の作曲家」たちによる「シェークスピアによる」歌曲集です。イギリスの近代歌曲は独特の味わいがあることが知られていて、この1枚もそのひそやかな美しさに陶然となるに違いありません。ブリートの細やかな感性に彩られた歌唱を、シューマンのピアノが美しく彩ります。
TP-1039084
ヤナーチェク他:ヴァイオリン作品集
ヤナーチェク:ヴァイオリン・ソナタ
シューマン:ヴァイオリン・ソナタ ニ短調 Op.121
シューベルト:ヴァイオリンとピアノの為の幻想曲 ハ長調 Op.159 D934
フランク・シュタートラー(Vn)
ルイス・マガリャアエス(P)
ザルツブルク・モーツァルテウムOのリーダー、フランク・シュタットラーは現代音楽の類い稀なる表現でも高く評価されています。彼はソリストとしてだけでなく、オーケストラとも、またアンサンブルとも現代音楽を積極的に演奏し、こういう音楽をあまり聴かない人々への架け橋となっています。そんなシュタットラーによるこのアルバムは、3人の作曲家によるヴァイオリンの為の曲集です。これらの3つの作品は、佇まいこそ違うものの、中に秘めたル思いの強さが共通することにお気づきになることでしょう。ぞくぞくするような音に満ちたヤナーチェクのソナタ、極めて内省的な晩年のシューマンそのもののソナタ、現世と来世を行ったり来たりするような、まさに幻想曲の名にふさわしいシューベルトの先鋭的な作品。曲の選び方にも、きめ細やかな配慮がなされた1枚です。ヴァイオリンの美音を優しく包み込むピアノの調べも、また一聴に値します。
TP-2039091
ベン・スクーマン、リストを弾く
リスト:巡礼の年第2年イタリア〜第7番「ダンテを読んで」
 巡礼の年第1年スイス〜第6番「オーベルマンの谷 」
巡礼の年第3年第4番「エステ荘の噴水」
 ピアノ・ソナタロ短調
ワーグナー(リスト編):「トリスタンとイゾルデ」〜イゾルデの愛の死
ベン・スクーマン(P)
ベン・スクーマンは南アフリカで一番注目を浴びている若手ピアニストの一人です。2008年にプレトリアで開催された第11回南アフリカ大学ヴォーダコム(UNISAVodacom)国際ピアノ・コンクールで特賞を獲得し、プレトリアの期待の星として注目を浴びました。その後、ヨハネスバーグを始めとした南アフリカ国内で数多くの公演を行い、また並行してヨーロッパ、イギリス、カナダでも演奏会を行っています。ここで聴ける彼のリストは、本当にスケールの大きなものであり、また柔軟な解釈を見せます。難曲である「ダンテを読んで」では、次々と溢れてくるリストの欲求にとことん付き合うかのように、その時々で表情を変えながら、熱い音楽を繰り出してくる様には全く息を飲むほかありません。バッハから現代曲までを弾きこなすという彼、今後が楽しみなピアニストの一人です。

TP-1039107
歌の翼に乗って
バッハ:プレリュード.ホ短調 BWV855a(ジローティ編)
グルック:精霊の踊り(フリードマン編)
モーツァルト:レクイエム〜「ラクリモサ」(タールベルク編)
メンデルスゾーン:無言歌ホ長調 Op.19-1
 歌の翼に Op.34-2(リスト編)
 無言歌ト短調 Op.102-4
ブラームス:間奏曲第1番変ホ長調 Op.117
バッハ:イエス・キリスト、われ汝を呼ぶ BWV639(ブゾーニ編)
リスト:コンソレーション第3番
 愛の夢第3番
ラフマニノフ:ヴォカリーズ Op.34-14
ショパン:夜想曲第20番嬰ハ短調(遺作)
ドビュッシー:ベルガマスク組曲〜月の光
リャードフ:3つの小品〜前奏曲Op.11-1
サン=サーンス:動物の謝肉祭〜白鳥(ジローティ編)
グリンカ:夜想曲 ヘ短調「別れ」
ショパン:夜想曲第2番Op.9-2
シューベルト:即興曲変ト長調 Op.90-3 D899
コンスタンティン・シチェルヴァコフ(P)
“シチェルヴァコフの超透徹ピアニズム!決して聴き流せないピアノ小品集”
CDメジャー・デビューとなった1996年EMI録音のトランスクリプション集において、圧倒的な超絶技巧で度肝を抜いたシチェルバコフのピアノは、その後のNAXOS録音でも明らかなように、そのマシンのように精巧なテクニックとクリスタルのようなタッチを際立たせることを目的とせず、徹底して純粋に音楽内容を表出する手段として使い切っている点が特徴と言えましょう。そのためどんな曲想でも、まるで彼が弾くことを前提に作曲されたような求心力の高い演奏が実現されていおり、その真摯な姿勢の徹底ぶりに本来の音楽家魂の有り様を感じずにはいられません。
このディスクは、曲だけ見たら「癒しの名曲集」のようですが、実際の演奏内容はそんなシチェルバコフでなければ成し得ない深淵な味わいが充満しており、通して聴くとまるで一大叙事詩を味わうような感覚に襲われ、睡眠前に聞こうものなら目が冴えてしまうこと必至です。
まず最初のバッハ、グルックで、フレージングの息の長さ、歌心のとてつもない深さ、透徹しきったタッチ同士の緊張感に心は釘付け!
モツ・レクの「ラクリモサ」の対旋律の末端まで悲しみに打ち震えた至純の響きの連続は、通常の合唱版を超えるとさえ思える音楽的情報量。
メンデルスゾーンの「歌の翼に」では、ピアノで実現できるレガートの究極の姿を体現できます。
バッハの「イエス・キリスト、われ汝を呼ぶ」では、声部バランスを瞬時に変えて色彩に陰影を与える妙味で、滅多に聴けぬ荘厳さを現出。
いわゆる「名曲集」の常連曲、「愛の夢」はアーティキュレーションが厳格でありながらフレージングはどこまでも大きく飛翔し、高音域への駆け上がりでは幸福の輝きのなんと眩いこと!
全集が完成したら世紀の超名演間違いなしと確信させるのは、ショパンの夜想曲!雰囲気に流されないというだけでなく、音楽的度量の大きさ、タッチの凝縮力に僅かな淀みも見せずに緊密な歌を紡ぎ尽くす妥協のなさは、現役ピアニストで並ぶ人が思い当たりません。
リャードフとグリンカは、ともすると感傷過多になりがちな小品ですが、その悲しみをギュッと封じ込めた高潔で洗練されたピアニズムによって作品本来の美しさが際立ち、一層心をえぐるのです。
シューベルトの即興曲では、左手のアルペジオの粒がモヤモヤと流れるなどシチェルバコフにはあり得ないこと。そして連綿と続くフレージングの有機性とタッチの研磨ぶりはここでも揺るぎなし。
あらゆる音楽的要素を掘り下げれば掘り下げるほど、理が勝った嘘臭い演奏になりかねません。ところが、シチェルバコフにはそんな嫌らしさが全くないのです!むしろ聴き手を一緒に作品のさらなる深部に導く魔力を秘めているとさえ思えるのです。 【湧々堂】

TP-1039114D
ロシアの夜会
ムソルグスキー:展覧会の絵
ラフマニノフ:悲歌変ホ短調Op.3-1
 前奏曲変ホ長調Op.23-6
 前奏曲ニ短調Op.23-3
 絵画的練習曲変ホ短調Op.39-5
プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ第7番Op.83
コンスタンチン・シチェルバコフ(P)

録音:2011年2月13日南アフリカステーレンボッシュ・ユニヴァーシティ,エンドラー・ホールダイブ
驚くほど、明瞭で輝かしく幕を開ける「展覧会の絵」。しかし曲が進むにつれ、シチェルバコフの描く魑魅魍魎が蠢き始める・・・。Two Pianistsレーベルには2枚目の録音となる、この「ロシアの夜会」ですが、前作Me(TP1039107)での極めて内省的な表現とは全く正反対のこの演奏であり、まさにヴィルトゥオーゾ、シチェルバコフの面目躍如と言えそうです。メリハリのついた表現に驚愕のムソルグスキーの「展覧会の絵」からぐいぐい引き込まれることは間違いありません。曲によっては、シチェルバコフならではのアレンジもかかっており、ところどころで「おっ」と思うこともしばしば。何とも刺激的なムソルグスキー(1839-1881)です。ファンタジー溢れるラフマニノフ、聴いているだけで脳内に快感物質が溢れだしそうなプロコフィエフ。これはすごいです。録音も優秀で、華麗なピアノの音色が余すことなく捉えられています。

TP-1039121E(3CD)
ブラームス:交響曲全集(全曲) ダニエル・ライスキン(指)ライン州立PO

録音:2008年9月26日コブレンツ ライン・モーゼル・ホール・ライブ(第1番)、
2007年9月27-28日ザルツブルク祝祭大劇場・ライブ(第2番)、
2009年3月4日ザルツブルク祝祭大劇場・ライブ(第3番)、
2008年4月27日アムステルダム コンセルトへボウ・ライブ(第4番)
最近、次々と魅力的なブラームス(1833-1897)の交響曲がリリースされていますが、このライスキンの全曲盤も特筆すべき美質を備えていることは間違いありません。聴き手はブラームスの交響曲に何を求めるでしょうか?情熱?愛?知恵や哲学?もしくは自然や崇高なる精神性?この演奏を聴く人は誰もが、ライスキンの共感溢れる演奏によって特別な発見をすることでしょう。ライスキンは、4つの交響曲を通して、その構造、詳細、そしてバッハ、ベートーヴェンから連なる伝統を明らかにします。スコアの隅々までに目を通し、ブラームスの特性ともいえる内声を充実させ、穏やかで重厚な響きを導きだすのです。決して急ぐことのない、ゆったりとしたテンポ設定も納得の行くものであり、新奇なことをせずとも、ブラームスの心の声を描き出すのに成功しています。全ての演奏はライブであり、その会場ごとに異なる豊かな空気感と、静かな興奮、一体感も味わうことができるという、極めて幸福感に満ちた3枚組です。
■ダニエル・ライスキン(指揮)
1970年サンクトペテルブルク生まれ。生地とアムステルダム、フラウブルクでヴィオラを学びつつ、指揮法をレフ・サヴィチに師事する。同時にネーメ・ヤルヴィ、マリス・ヤンソンス、ミラン・ホルヴァート、ヨルマ・パヌラらのマスター・クラスにも参加。ヴィオラ奏者としても高く評価されていますが、2005年、首席指揮者として就任したライン州立フィルハーモニー管弦楽団との相性が素晴らしく、次々と名演を送り出していることで注目を浴びています。OEHMS,CAvi-music,cpoレーベルなどにショスタコーヴィチを始めとした数多くの録音があり、新世代を担う指揮者として目をつけているファンの多い人です。

TP-1039190D
コンスタンティン・シチェルバコフ〜ベートーヴェンを弾く
「プロメテウスの創造物」の主題による15の変奏曲とフーガ(エロイカ変奏曲)変ホ長調Op.35
ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」Op.13
ピアノ・ソナタ第23番「熱情」Op.57
コンスタンティン・シチェルバコフ(P)

録音:1984年モスクワ国立放送スタジオ、2014年11月14日モンマスウィアストン・コンサート・ホール
NAXOSレーベルのベートーヴェン(1770-1827)=リスト:交響曲全集(8.505219)の名演で知られるピアニスト、コンスタンティン・シチェルバコフ。彼は超絶技巧派ピアニストとして知られていますが、何よりベートーヴェン作品の良き理解者であり、40年以上に渡ってベートーヴェンを大切にしてきたのです。今回のアルバムでは、「エロイカ変奏曲」と2つの名ピアノ・ソナタを1枚に収録。いかにもベートーヴェンらしい情熱とパワーに溢れた作品を聴くことができます。まずは「エロイカ変奏曲」で、交響曲第3番の終楽章でも使われたおなじみの主題が、様々な形に変容されながら、最後のフーガで巨大な建造物となる姿に圧倒されてみてください。こちらの録音はモスクワ放送のアーカイブにあったもので、若きシチェルバコフの素晴らしいテクニックを再確認することができるでしょう。そして2014年に録音された2つのソナタは、まさに「現在のシチェルバコフ」の姿をみるものであり、30年を経て深化した彼の音楽は、また違った意味で聴き手を圧倒するものです。

TP-1039244D
バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988 ロリ・シムズ(P)

録音:2015年1月3日カラマズー,ミシガン大学ダルトン・センター・リサイタル・ホール・ライヴ
「ゴルトベルク変奏曲」世界中の何人のピアニストがこの名曲に魅了され、演奏、録音を試みているのでしょうか?そのどれもが素晴らしく、演奏家によって全く違う世界が構築されているのは、もう語るまでのこともないでしょう。1998年ジーナ・バッカウアー国際ピアノコンクールを制覇したピアニスト、ロリ・シムズもこの曲に魅了されたピアニストで、彼女はモダンピアノの性能をとことん追求し、チェンバロやオルガンの音色も念頭に置きつつ、変奏曲の一つ一つを丁寧に奏でていきます。第16変奏曲でのレガートは、確かにオルガンの音色にも聴こえるほどの入念な響きであり、華やかな第29変奏曲でも、卓越したペダルの用い方で、信じられないほどの美しい響きが楽しめます。ゴルトベルクを聞き飽きたという人でも、間違いなく楽しめる演奏です。

TP-1039305D
その後の「リストを読んで」
リャプノフ:12の超絶技巧練習曲Op.11-第12番フランツ・リストの追悼の悲歌
ショパン:練習曲集Op.10
リスト:バラード第2番ロ短調S171/R16
 ヴェルディの歌劇「エルナーニ」による演奏会用パラフレーズS432/R265
ロベルト・ピアーナ(1971-):リストを読んで
アントニオ・ポンパ=バルディ(P)

録音:2013年6月30日南アフリカステーレンボッシュ大学.エンドラー・ホール
イタリアのフォッジャで生まれ、1998年のロン・ティボー国際コンクールと1999年のクリーヴランド国際ピアノコンクールで優勝、その後いくつものコンクールに入賞し、世界的に名声を獲得。現在はアメリカのクリーヴランド音楽大学の教授として活躍しているピアニスト、アントニオ・ポンパ=バルディ。彼はいくつかのレーベルから興味深いCDをリリースしていますが、このTWOPIANISTSレーベルへの初録音は、フランツ・リストにまつわる作品集です。リストに捧げられたショパンの練習曲からリスト作品にインスパイアされたリャプノフの練習曲、そして現代作曲家ピアーナの書いた「リストへのオマージュ」ではリストの作品が注意深く引用されています。ロマン派の時代から現代へと続くピアニズムを辿る美しい音楽があります。

TP-1039312(9CD)
R・シュトラウス:歌曲全集
■CD1 
1.クリスマスの歌 TrV 2/2.宿屋 TrV 3/3.冬の旅 TrV 4/4.疲れた旅人 TrV 16/5.軽騎兵の歌 TrV 42/6.猟師 TrV 48/7.つぐみ TrV 49/8.死者よ、やすらかに眠れ TrV 50/9.歓喜と苦悩 TrV 51/10.役者とツィター TrV 58/11.子守歌 TrV 59/12.夕焼けと朝焼け TrV 60/13.森の中で TrV 62/14.アルペンホルン TrV 64/15.かすみ TrV 65/16.兵士の歌 TrV 66/17.庭で野ばらをつんできた TrV 67/18.森の歌 TrV 75/19.秋の夕暮れ TrV 226/20.子ども時代より/21.ひそかに父の庭でTrV 88/22.咲きかけのばらTrV 90/23.出会い TrV 98/24.ジョン・アンダーソン、わが愛しき人 TrV 101/25.赤いばら TrV 11
■CD2 
1.夜 Op.10-3/2.献呈 Op.10-1/3.何もなく Op.10-2/4.ダリア Op.10-4/5.待ちわびて Op.10-5/6.万霊節 Op.10-8/7.黙して Op.10-6/8.サフラン Op.10-7/9.誰がしたの? TrV 142/10.マドリガル Op.15-1/11.冬の夜 Op.15-2/12.悲しみの賛歌 Op.15-3/13.その心に似て Op.15-4/14.帰郷 Op.15-5/15.あなたの瞳が私を見て Op.17-1/16.セレナード Op.17-2/17.秘密 Op.17-3/18.暗いヴェールにおおわれて Op.17-4/19.舟歌 Op.17-6/20.勇気を出してOp.17-5/21.二人の秘密をなぜ隠すのか Op.19-4/22.美しく、しかし冷たい空の星よ Op.19-3/23.私の心は沈黙し冷える Op.19-6/24.あなたの黒髪を私の頭に広げてください Op.19-2/25.おとめよ、それが何の役に立つというのか Op.19-1/26.希望と失望 Op.19-5
■CD3 
1.矢車草 OP.22-1/2.けしの花 OP.22-2/3.きづた OP.22-3/4.水蓮 OP.22-4/5.胸の想い OP.21-1/6.私の心の王冠 OP.21-2/7.ああ、不幸な私 OP.21-4/8.恋人よ、さようなら OP.21-3/9.女たちは時にはつつましく OP.21-5/10.春の声満ちて Op.26-1/11.あなたが私のものならば Op.26-2/12.わが心やすらかに Op.27-1/13.あした Op.27-4/14.ひそやかな誘い Op.27-3/15.ツェツィーリエ Op.27-2/16.たそがれの夢 Op.29-1/17.ときめく胸 Op.29-2/18.夜の散歩 Op.29-3/19.もしも Op.31-2/20.白いジャスミン Op.31-3/21.静かな散歩 Op.31-4/22.青い夏 Op.31-1/23.恋人のベッドへ天使の訪れ Op.32-5/24.憧れ Op.32-2/25.私の愛をだれに Op.32-1/26.愛の賛歌 Op.32-3/27.ああ、かぐわかしき五月 Op.32-4/28.さあ飛び出そう TrV 175/29.春のレンツさんOp.37-5/30.わが子に Op.37-3
■CD4 
1-2.イノック・アーデン Op.38<第1 部/第2 部
■CD5 1.15 ペニヒで Op.36-2/2.ばらの花環 Op.36-1/3.君を愛す Op.37-2/4.満ちたりた幸福 Op.37-1/5.崇拝 Op.36-4/6.婚礼の歌 Op.37-6/7.お父さんが言いました Op.36-3/8.わが眼差し Op.37-4/9.若い魔女の歌 Op.39-2/10.解き放たれて Op.39-4/11.労働者 Op.39-3/12.ひそやかな歌 Op.39-1/13.わが息子への歌 Op.39-5/14.海辺の城 TrV 191/15.ひそやかな歌 Op.41a-5/16.君に捧ぐ Op.43-1/17.母親の自慢 Op.43-2/18.岸部にて Op.41a-3/19.放蕩者 Op.41a-4
■CD6 
1.子守歌 Op.41a-1/2.カンパーニャにて Op.41a-2/3.ヒルザウの楡の木 Op.43-3/4.7 つの封印 Op.46-3/5.昨日私はアトラスだった Op.46-2/6.クリスマスの気分 TrV 198/7.嵐の宿 Op.46-1/8.朝焼け Op.46-4/9.鏡の中の私 Op.46-5/10.ある子どもに Op.47-1/11.詩人の夕べの散歩 Op.47-2/12.若者の誓い Op.49-6/13.ふりかえって Op.47-3/14.帰還 Op.47-4/15.7 人の飲み仲間 Op.47-5/16.冬の誓約 Op.48-4/17.私の心は揺れ動く Op.48-2/18.響け Op.48-3/19.冬の愛 Op.48-5/20.なつかしい面影 Op.48-1/
■CD7 
1.黄金色でいっぱいに Op.49-2/2.あなたはそれを知らず Op.49-5/3.子守歌 Op.49-3/4.森の喜び Op.49-1/5.愛する者は悩み Op.49-7/6.ああ、何と悲しくつらく悩ましいことか Op.49-8/7.石きり人の歌 Op.49-4/8.見出されたもの Op.56-1/9.あなたの青い目で Op.56-4/10.遅れたボートで Op.56-3/11.盲目の嘆き Op.56-2/12.春の祭り Op.56-5/13.東方の聖なる三博士 Op.56-6/14.あなたの歌が心に響く時 Op.68-4/15.花束を編みたかった Op.68-2/16.ささやけ、愛らしいミルテよ Op.68-3/17.夜に Op.68-1/18.愛の神アモール Op.68-5/19.女たちの歌 Op.68-6
■CD8 
1-12.歌曲集「商人の鑑」Op.66<昔、一匹のヤギがいた/あるときヤギが使いに来た/うさぎがあるとき恋をした/3 つの仮面/おまえは交響詩を完成したか/おお、愛する芸術家よ/大いなる神よ、われらの敵は/芸術は商人たちにより脅かされる/昔、南京虫がいた/芸術家は創造者/商人と作る人/おお商人の群れよ、おお商人仲間よ13.ひどい天気 Op.69-5/14.星 Op.69-1/15.さかずき Op.69-2/16.単調さ Op.69-3/17.森を行く Op.69-4/18-20.オフィーリアの歌<どうしたらほんとの恋人を見分けられるだろう Op.67-1/おはよう、今日は聖ヴァレンタインの日 Op.67-2/彼女は布もかけずに棺台にのせられ Op.67-3
■CD9
西東詩集の不満の書より 1.世界を求める者は Op.67-4/2.あれほど忠告したのに Op.67-5/3.さすらい人の心の安らぎ Op.67-6/4.箴言 TrV 239/5.創造し 生命を吹き込むこと TrV 244/6.全ての音と響きで TrV.251/7.あなたの瞳 Op.77-1/8.愛の贈り物 Op.77-3/9.動揺 Op.77-2/10.全能の神 Op.77-4/11.あなたのために Op.77-5/12.もはやそれ以上は TrV 258/13.気たるべき時代のために TrV 260/14.何かが少しあったように TrV 261/15.小川 TrV 264/16.陽の光の中で TrV 268/17.リズムを測って TrV 269/18.聖ミハエル教会 TrV 280/19.ベルヴェデーレ宮殿の眺め TrV 281/20.風刺の歌-うつろうものは何もなく TrV 282/21.あおい TrV 297
ミケーレ・ブリート(Ms)…CD1:1, 2, 4, 7, 8, 14, 17, 19, 20, 22-24. CD3:12-13, CD5:10, 12, 18. CD6:17. CD7:3-5, 8-9, 13. CD8:13. CD9:15, 20
マルコム・マルティノー(P)…CD1:10, 16. CD2:21-26. CD3:14-15,
18, 29. CD5:1, 3, 5-6, 8, 11-13. CD6:1, 6, 16. CD7:3-5, 8-11, 13. CD8:1-14. CD9:5, 12-13, 16-18, 20-21
ブレンデン・グンネル(T)…CD1:10. CD2:21-26. CD3:14-15, 18, 29. CD5:1, 3, 5-6, 8, 11, 13. CD8:1-12, CD9:17
クリストフ・エス(Hrn)…CD1:14
アンドレアス・マッテルスベルガー(Bs)…CD1:16 . CD7:10. CD9:5, 12-13, 16, 18
ニナ・シューマン(P)…CD1:1-9, 11-15, 17-25. CD3:1-4, 10-13, 17, 22-28. CD5:2, 4, 7, 9-10, 15-19.
CD6:2-3, 17-20. CD7:1-2, 12, 14-19. CD8:15-20. CD9:4, 14-15, 19
マヌエル・ヴァルザー(Br)…CD1:3, 5, 9, 21. CD3:25-26. CD5:2, 15-16. CD8:16. CD9:14
ルチアン・クラシュネク(T)…CD1:6. CD3:23-24, 27. CD5:19. CD6:2, 20. CD8:17
マルクス・アイヒェ(Br)…CD2:10-14. CD3:16
ヴォルフラム・リーガー(P)…CD2:10-20. CD3:5-9, 16, 19-21. CD4. CD5:14. CD9:1-3, 6-11
マルティン・ミッタールッツナー(T)…CD2:15-20. CD3:5-9, 20-21. CD9:1-3,
アンケ・フォンドゥング(Ms)…CD2:1-9. CD3:30
クリストフ・ベルナー(P)…CD2:1-9. CD3:30
クリスティアーネ・リボール(S)…CD3:10-11. CD5:4. CD6:3. CD7:1, 12. CD9:19
アーニャ=ニーナ・バールマン(S)…CD3:1-4, 17, 22, 28. CD5:1, 7, 9, 17. CD6:18-19. CD7:2, 14-19. CD8:15, 18-20. CD9:4. CD2:1-9
ジェンコン・チョイ(T)…CD3:19. CD9:6-11
ユ・ヤメイ(Vn)…CD3:21
ブリギッテ・ファスベンダー(朗読)…CD4. CD5:14
ユリアーネ・バンゼ(S)…CD6:1, 6, 16. CD7:11. CD8:14. CD9:21
クリスティアン・エルスナー(T)…CD6:4-5, 7-15. CD7:6-7
ブルクハルト・ケーリンク(P)…CD6:4-5, 7-15. CD7:6-7
エドゥアルド・シェンナッハ(Tp)…CD7:13
全てを監修したのは、往年の名メゾ・ソプラノ、ブリギッテ・ファスベンダー。彼女は舞 台を退いてからも、後進の指導を積極的に行っていることで知られており、この全集でも 現在最高のシュトラウス歌手13 人を結集し、歌唱についてのアドヴァイスを与えること で、ここに最高の「全集」が完成したのです。 これまで全集としてリリースされていたアルバムは(後に新発見の2 つの歌曲…子ども時 代より:CD1-20、秋の夕暮れ TrV 226:CD1-19 が追加され、現在は全集とは銘打ってい ません)、2 人の歌手が歌い分けていただけであり、今回のような細かいニュアンスの違 いには対応していないこともあり、この全集における「歌唱法からドイツ語の発音、そし て作曲年代によるスタイルの違い」までが丁寧に考慮され、もちろん各歌曲にふさわしい 声質も選択されるというコンセプトは聞き手にとっても魅力的なものであることは間違 いありません。


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