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殿堂入り: 交響曲  管弦楽  協奏曲  器楽曲  室内楽  声楽曲  オペラ  バロック レーベル・カタログ チャイ5



チャイコフスキー:交響曲第5番〜全レビュー
TCHAIKOVSKY : :Symphony No.5 in e minor Op.64
ロバート・アシュリー(指揮)
Robert Ashley



掲載しているジャケット写真と品番は、現行流通盤と異なる場合があります。あらかじめご了承下さい。



チャイコフスキー:交響曲第5番
ロバート・アシュリー
ロンドン・フェスティバル管弦楽団
第2楽章ホルン・ソロ:−
MUSIC BANK
APWCD-6045(1CD)
録音:不明(2001年発売) ステレオ
演奏時間: 第1楽章 14:33 / 第2楽章 14:15 / 第3楽章 6:31 / 第4楽章 12:17
カップリング/イタリア奇想曲
“実力派指揮者の闇営業?随所に高いセンスを感じさせる好演!”
 いわゆる駅売りCD。指揮者アシュリーに関しては全く不明。アメリカの現代音楽作曲家に同じ名前の人がいますが、まさか同一人物ではないでしょう。オケも英国の音楽家の寄せ集めなのか実体が分かりませんが、技術的に致命的な欠陥があるわけではありません。カップリングのイタリア奇想曲は、アンサンブルの破綻を回避するために安全運転に徹しているようにも聞こえますが、終結部にかけてのリテヌートのセンスも含め堂々とした造形美も見せてくれたので決して聞き飽きることはありませんでした。
 肝心の交響曲も真面目な正攻法スタイル。大胆な解釈こそないものの、ひたすら愛情を持って奏でているので音楽自体の魅力は十分に伝わりますし、有名指揮者とオケによるビジネスライクな演奏より何倍も存在価値があると感じました。
第1楽章は、第2主題の素直な共感や展開部の造形の強固さが印象的で、これでオケの響きにもっと厚みがあったら相当の名演になったことでしょう。
第2楽章10:20からの弦の粘着性の持たせておいてからの、ためらいがちに副次主題の再現へ向かうシーンのテンポ・ルバートの確かさ、意味深さは、二流指揮者がはできない技!
第3楽章は出だしの歌い回しからうっとり!こんな慈しみを込めぬいた演奏は久々に耳にしました。
終楽章は4:39からの運命動機の斉奏は、ここまでの演奏傾向から想像するものをはるかに超える輝きとスケール感、意志の強さをたたえていることにびっくり!響き全体のバランスも鉄壁と言ってもよく、ますますこの指揮者の手腕の高さを確信するばかり。全休止直前の山場の築き方は、決死のトランペットが放つオーラが全体に波及し、ティンパニはこの上なく強烈な連打を続け、造形のバランスも崩さないという見事さ!この曲を気楽に料理できるを考える全ての指揮者が手本とすべきシーンで、これまた同様の手応えを感じさせる演奏には滅多に出会えません。
最後の勝利の行進も、まさに楽想に適したニュアンスを確実に導き出し、盤石の安定感、表面的には立派な響きでも、心で誇らしさを感じきれず音化出来ている演奏は山程存在することを思うと、感慨もひとしおです。
 このCD、ただただ薄利多売目的で制作されたはずなのに、ビジネスライクどころか、守るべきブランドがないせいか全員が演奏できる喜びに身を委ねることしか考えていないような一途さ、純粋さに、音楽の原点を感じずにはいられません。中古店のワゴンセールなどで100円以下で叩き売られている可能性大ですので、見つけたら即購入されることをおすすめします。【2024年10月・湧々堂】
第1楽章のツボ
ツボ1 テンポは標準的。クラリネットは一人で吹いているように聞こえる。弦とのバランスは良好。
ツボ2 テンポは標準的。色彩は暗い陰影には乏しい。
ツボ3 スコア通り。
ツボ4 スコア通り。
ツボ5 スコアに忠実。
ツボ6 スフォルツァンドと共に音価をたっぷり長めに取っているのは、明らかに音楽を感じている証拠!他ではなかなか聞けない表現。
ツボ7 テンポは不変、やや響きが薄い気がする。
ツボ8 直前のリテヌートも堂に入り、172小節のかすかなポルタメントもセンス満点!アシュリーという指揮者、決して二流ではない!
ツボ9 インテンポ。16分音符は聞き取れない。ティンパニに一部叩き損じあり。
第2楽章のツボ
ツボ10 ホルンは、おっかなびっくり気味。クラリネットの技量は高い。
ツボ11 無理に背伸びをしたようにスケール感を持たせるのではなく、自然な呼吸感に好感が持てる。
ツボ12 クラリネットもファゴットも詩のセンスも技術も高い。テンポは大きな変動はない。
ツボ13 テンポはほとんど同じ、ピチカートのニュアンスは軽め。アルコ後の木管との絡みは味わい深い。
ツボ14 量感は乏しいが、最高潮点の直前で一瞬溜めを作って爆発させる手腕はなかなかのもの。
ツボ15 個性的な表現は皆無だが、純粋な共感が息づいている。最後の5小節のリテヌートのセンスに脱帽!
第3楽章のツボ
ツボ16 ややテンポを落としてから滑り込むと同時に仄暗いニュアンスも表出。。
ツボ17 部分的に縦の線がずれるところがあるが、許容範囲内。
ツボ18 美しく一本のラインを形成。
第4楽章のツボ
ツボ19 テンポは標準的。造形に風格と品格を感じさせる。
ツボ20 ホルンは完全に裏方。
ツボ21 ティンパニは主部冒頭で一撃あり。その後はスコア通り。テンポは標準的。
ツボ22 スコア通り敢行。
ツボ23 力感、重量感は欠ける。
ツボ24 主部冒頭のテンポに戻る。
ツボ25 明確な一撃!
ツボ26 直前で一瞬テンポを落としてすぐに主部冒頭のテンポに戻す。スタイルとしては古い手法だが恣意性を感じさせずサラッと進行させるセンスに脱帽
ツボ27 テンポはほとんど不変。緊張感を湛えたトランペットといい、決然としたティンパニの打ち込みといい、全て理想的。
ツボ28 ものすごい熱情の噴射!ティンパニの強烈な打ち込みが延々と続き、それを受け止めるべく、8分音符の音価もかなり長く引き伸ばし、最後にティンパニは最後に一打でとどめを刺す!
ツボ29 テンポそのものは標準的。弦のハリとツヤが素晴らしい!しかも裏方のホルンがさり気なく彩りを添える演奏など、前代未聞!
ツボ30 弦もトランペットも、明確に音を切る。
ツボ31 改変なし。
ツボ32 明瞭だがもう少し張り出しがほしいところ。
ツボ33 イン・テンポを基調とし、最後の4小節で少しテンポを落とす。安定感抜群。


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