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ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー(指)ソビエト国立文化省交響楽団 |
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ALTO
ALC-1105
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録音年:1988年、モスクワ放送大スタジオ(デジタル) |
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演奏時間: |
第1楽章 |
15:12 |
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第2楽章 |
13:12 |
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第3楽章 |
5:37 |
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第4楽章 |
11:59 |
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カップリング/カンタータ「モスクワ」(ゲンナジー・チェルカーソフ&モスクワRSO&cho) |
“終楽章の主部で突然ヤル気が全開に!” |
突如CD化された音源。ロジェストヴェンスキーはやはりライヴの人だと思いますが、同オケと録音されたショスタコーヴィチの交響曲全集と比べても明らかなように、そもそもチャイコフスキーに対してはいま一つ共鳴し切れないものがあるのかもしれません。モスクワRSOとのスタジオ録音の精度には及ばず、円熟味を感じるわけでもなく、当時の国家事業の一環として仕方なく行った録音なのでしょうか?とにかくヤル気があまり感じれらない演奏です。一部にさすが熟練と唸らせる技があるものの、第3楽章などは軽いのは良いとしても、いくらなんでも肩の力が抜けすぎています。ただ終楽章の主部から全休止までの間だけは、なぜかやる気全開となるのが不思議です。逆にオケの自発性に完全にシフトさせた結果かもしれませんが、この調子で全曲振り通し、録音バランスも良好であれば、ロジェストヴェンスキー最高のチャイ5となった可能性はあったと思います。 |
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第1楽章のツボ |
ツボ1 |
実に暗く淋しげな響きがいかにもロシア的だが、クラリネットは繊細さを欠く。29小節最後の四分音符で大きくテヌートしながらクレッシェンドを挿入するのが珍しい。 |
ツボ2 |
テンポは標準的。音のエッジをなるべく立てずに暗いいニュアンスを引き継いでいる。 |
ツボ3 |
特徴なし。 |
ツボ4 |
スコアどおりで特徴なし。 |
ツボ5 |
基本的にイン・テンポで、強弱もスコア通りだが、表情に陰影があり、明らかに共感の度を増している。 |
ツボ6 |
響きが硬い。 |
ツボ7 |
テンポを速めず、心の曇りを抱えたまま進行。 |
ツボ8 |
弱音でで丁寧に歌いあげているが、どこか人工的な響き。 |
ツボ9 |
冒頭16分音符は、聞き取れない。実に手馴れた堂々たる進行だが、求心力は強くない。 |
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第2楽章のツボ |
ツボ10 |
弦の導入は響きの制御が中途半端。ホルンもクラリネットも安全運転。 |
ツボ11 |
終止内向的で、大きな爆発は見せない。 |
ツボ12 |
クラリネットはよく歌っているが、あまりにも響きに鈍感で明るすぎる。ファゴットはテンポに乗りきれていない。 |
ツボ13 |
大きな風呂場で奥でポンポン鳴っているような軟弱な音。 |
ツボ14 |
これはまさに熟練芸!粘着力を持った大きなアゴーギクが迫真の呼吸と一体化している! |
ツボ15 |
機械的な進行で、響きも有機的とは言えない。 |
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第3楽章のツボ |
ツボ16 |
インテンポのままで、響きがやや混濁する。 |
ツボ17 |
このオケの機能性が存分に生かされており、危なげ無く小気味良く進行するが、これといった華が感じられないのが残念。 |
ツボ18 |
隈取が不明瞭だが、綺麗に連携が取れている。 |
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第4楽章のツボ |
ツボ19 |
テンポは標準的で強烈な意志の強さは感じられない。4小節からの弦のテヌートをあえて無視しているのが珍しい。 |
ツボ20 |
ホルンは完全に裏方。 |
ツボ21 |
主部のテンポは標準的。ティンパニはスコア通りで、他も小細工は一切ないが、ここへ来て急にアンサンブルの求心力が高まり見事に高揚。 |
ツボ22 |
完全に無視。 |
ツボ23 |
力感は感じるが、モゴモゴとした響きで不明瞭。 |
ツボ24 |
主部とほぼ同じテンポ。 |
ツボ25 |
入魂の強打! |
ツボ26 |
そのままイン・テンポ。 |
ツボ27 |
ここから全休止までの間はまさに巨匠芸。響きも凝縮され、精神的な集中力も高い。 |
ツボ28 |
ティンパニは全体的にぼやけているが、ここでは適切な距離感で明瞭になっている。これが実に音楽的。8分音符の音価はやや長め。 |
ツボ29 |
直前の全休止は無機的。弦は堂々と進行。この楽章の冒頭同様、テヌートを極力避けているのが特徴的。 |
ツボ30 |
弦もトランペットも音を切る。 |
ツボ31 |
スコア通りで改変なし。 |
ツボ32 |
ホルンは明瞭だが荒い。 |
ツボ33 |
ややテンポを落として締めくくる。 |