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ブリテン/BRITTEN |
CLASSICO CLASSCD-233 |
ヴァイオリン協奏曲(1950年改訂版)、ウォルトン:ヴァイオリン協奏曲* |
セルゲイ・アジジャン(Vn)、オスモ・ヴァンスカ(指)、ジョルダーノ・ベッリンカンピ(指)*、コペンハーゲンPO | |
録音:1996〜1997年(デジタル) | |
“英国の二大ヴァイオリン協奏曲を世界の宝に引き上げた名演!” | |
2曲とも、イギリスのローカル作品として閉じ込めておくにはあまりにももったいない名作ですが、英国勢の以外の録音は非常に少ないのが現状です。しかしそこをあえて英国盤以外から選ぶとすれば、演奏の質、カップリングの妙も含めて、これが今のところベスト! ブリテンの曲は、ベルクの協奏曲に触発されて書かれた曲ですが、あの名曲と堂々比肩する超名曲!ツィマーマンのソロ、サヴァリッシュの指揮によるN響定期の演奏(N響初演)も感動的でしたが、レニングラード音楽院に学び、コペンハーゲン・フィルのコンマスも務めたこのアジジャンの鮮烈なアプローチも心を揺さぶります。冒頭はティンパニ・ソロのちょっとおどけたシンプルな音型で開始し、このフレーズが全曲に渡って固定動機として随所で表情を変えて登場。ショスタコーヴィチ的な情念も漂わせながら、ブリテンらしい気品に溢れているのが特徴で、第1楽章では、ラフマニノフの「交響的舞曲」にそっくりのフレーズが登場するのも興味深いところです。アジジャンはその感情と色彩の移ろいをシャープな技巧を駆使して、見事に全体像をくっきりと描き切っています。特に急速な第2楽章はその技巧の切れ味が全開ですが、その技巧に自ら浸ることなく、内面の深みを湛えたフレージングと精神的な呻きで作品の核心に肉薄!終楽章コーダの不安と安息感が入り混じった空気の表出も、持ち前の美音と相俟って切々と胸に迫ります。ヴァンスカの指揮も堅実。 一方これと同じ年(1939年)に作曲され、ハイフェッツに献呈されたウォルトンの曲は、ブリテンと対照的に後期ロマン派的な旋律美が優位に立った、これまた逸品!第1楽章で最初にヴァイオリンが奏でるテーマのめランコリックな情緒は、一回聴くともう病みつきになること必至!表面的に綺麗に歌うだけでなく、息の長いフレージングに緊張を込め、音の意味を感じるセンスに抜群のものがなければ、この美しさがここまで際立つことはないでしょう。第2楽章中間部の甘美なカンツォネッタと両端の激烈な閃光モードとのコントラストも絶妙。終楽章は、4:45以降の纏綿たる抒情にお聴き逃しなく!アジジャンの作品への共感が尋常でないことがひしひしと伝わる一例です。 |
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