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協奏曲P〜プロコフィエフ


レーベルと品番、ジャケット写真は管理人が所有しているものに拠っていますので、現役盤と異なる場合があります。



プロコフィエフ/PROKOVIEF

Danacord
DACOCD-584(2CD)
ピアノ協奏曲全集
オレク・マルシェフ(P)、ニクラス・ヴィッレーン(指)南ユランSO
デジタル録音
“大スケールでプロコフィエフの音楽的な深みを表出した画期的録音!
マルシェフは、アゼルバイジャン共和国バクーの出身。ソ連崩壊の動乱を潜り抜けたピアニストです。そのせいかこのプロコフィエフでは、タッチの切れ味もさることながら、精神的な強靭さを一貫して感じさせる素晴らしい演奏を繰り広げています。
「第2番」冒頭、緩やかに波紋を広げるようなニュアンスから幻想性と恍惚の空気にイチコロ!アレグレットの第2主題のタッチは高潔でありながら内面から情念が込み上げ、アイロニーを超えた憤怒が張り巡らされています。カデンツカではそのタッチの魅力が全開となり、主題の幽玄の表情と激情の嵐の交錯が大スケールのうねりとなって迫り、後半の強大なスケール感は常軌を逸しています!そのすぐ後を受けるオケは大変ですが、その桶の迫力がまた壮麗の極み!優秀なホールの最上席を独占しているような錯覚に陥るほどの素晴らしい録音と共に、感動は既に極限に達します。再現部に入ってからの主題のタッチには、更に涙の感触を湛えるという、マルシェフの感性の許容量には本当に言葉を失います。急速なパッセージの続く第2楽章は、タッチの隈取りが明確な上に、軽快さとは無縁の一定の重量感を維持し、ここでもタッチの冴え以上の内面から込み上げる深い表情が印象的。終楽章はまさに地獄絵図!硬質なタッチが不気味な光を放ちながら、プロコフィエフの打楽器的手法の魅力を更に押し広げて圧巻。オケの多少黒みがかった音色との融合ぶりも、一層感動を倍増させてくれます。
「第3番」冒頭では、そのオケの技量の高さと一音ごとに感じきる指揮者の感性を再認識。第1楽章は総会に疾走する演奏が主流になりつつあるようですが、ここでの造型の大きな構えと重量級の威厳は比類なし!5:45からの弦のトレモロに乗せた静寂のフレーズでも、皮相な美しさを寄せ付けない、滲み出るような風格を感じさせます。第2楽章でも、耳をついそば立ててしまうのは伴奏のニュアンスの深み!そこから潤いををたっぷりとたたえたマルシェフのタッチが浮上するタイミングの何と素晴らしいこと!アレグロに転じてからも軽々に弾まず、音楽的な内容量を全身で受け止めながらの進行。4:18からの、ひんやりとした霧を思わせる空気感もお聴き逃しなく!終楽章がこれまた重量級の手応え!鋭利で厳格な拍節感を維持しながら大地にしっかり根を下ろした逞しさが横溢。ソロ、伴奏、録音と、全ての要素がプロコフィエフへの熱い共感と一体となった成果であることを痛切に感じさせる全集です。

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