TUDOR
TUDOR-7121
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チェロ協奏曲第1番、第2番(遺作)、小曲集「出会い」、チェロとピアノの二重奏曲イ長調 |
ダニエル・ミュラー・ショット(Vc)、ハンス・シュタットルマイアー(指)バンベルクSO |
録音:2003年〜2004年(デジタル) |
“これはハマる!素朴さと甘さが入り混じる不思議なメロディの応酬!” |
これは、ドイツ・ロマン派あたりの音楽がお好きな方は驚喜することうけあい!TUDORレーベルが執念を燃やし続けているラフの録音シリーズですが、このチェロ協奏曲を聴くと、今までリリースされたCDを聴き返したくなること間違いなし!なんという旋律の美しさ、とことん分かりやすい展開、そうしたくなる気持ちが痛いほどわかる楽器配分等、気の置けない友達みたいな親近感で音楽が擦り寄ってくるのです。第1番の冒頭、ティンパニがボンボコボンボンと固定動機のように囁くと、いきなりチェロが甘美な主題をおもむろに弾き始めますが、この名旋律(?)は、鼓膜に染み付いて離れません!その旋律をオケがそっくり受け継ぐというお約束のパターンを経て、しっとりとした第2主題をチェロが奏でますが、これまたなかなかノスタルジック。展開部では、第1主題が憂いを加えてカデンツァで登場。いつの間にかアタッカでなだれ込む第2楽章は、ブルッフのVn協奏曲1番の2楽章風。ここでも例の主題が、この楽章に相応しい衣装をまとってチョロチョロ顔を出します。終楽章は元気なファンファーレで開始される颯爽とした音楽。全てを振り切った清々しさが、ミュラー・ショットの鮮やかなテクニックによって更に引き立っています。この2年後の作曲されながら、ラフ存命中は演奏されず、死後100年以上経った1997年にやっと日の目を見た第2協奏曲も耳が嬉しがる佳作。エルガーの「愛の挨拶」風の旋律がいきなりチェロのソロで飛び出すのを皮切りに、ト長調という調性が平明な展開が続きます。第1楽章6:02からの主題は、もうお伽の世界!ほかの小品の、独特の洒落た感覚が横溢。このCDをこれほど聴き栄えのするものにしているのは、シフやイッサーリスの門下でチャイコフスキー・コンクールの覇者、ミュラー・ショットの功績が大きいことは明らか。万全の技巧を誇示することなく、作品のありようをそのまま自然に引き出す力量は、ただ事ではありません。第2協奏曲の終楽章で急速なパッセージが続く箇所の力みのなさ、ヴァイオリンを弾くような軽妙な弓さばき、終楽章カデンツァの豊かな表情も見事。OrfeoやEMIからも、彼のアルバムはリリースされています。公式ホームページあり。 |