湧々堂HOME 新譜速報: 交響曲 管弦楽曲 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 オペラ バロック 廉価盤 シリーズもの マニア向け  
殿堂入り:交響曲 管弦楽 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 オペラ バロック SALE!! レーベル・カタログ チャイ5



協奏曲S〜シベリウス



レーベルと品番、ジャケット写真は管理人が所有しているものに拠っていますので、現役盤と異なる場合があります。



シベリウス/SIBELIUS

NAXOS-8.557266
シベリウス:ヴァイオリン協奏曲
 セレナード.ト短調 Op.69b、
シンディング:ヴァイオリン協奏曲 第1番、
 ロマンス.ニ長調 Op.100(世界初録音)
ヘンニング・クラッゲルード(Vn)、
ビャーテ・エンゲセット(指)
ボーンマスSO

録音:2003年6月
“悪魔的情念と決別!純粋な表現力が美音と一体化したシベリウス!”
ノルウェーが生んだ期待の俊英、クラッゲルードの魅力全開!シベリウスの冒頭から心を捉えるのは、強固な意志を孕んだ美音。リズムの切れと求心力の高いフォルムが最後まで揺らぐことはありません。速いパッセージでの瞬発力も見事ながら、勢い任せではなく、常に一定の緊張感を確保3:39からの弱音や、4:37からの正確なポジショニングによる丁寧な情感表出には少しの混じりっけもありません。展開部冒頭の跳躍は、全くもったいぶらない潔さが痛快。その直後のカデンツァでは技巧の冴えと有り余る表現力が完全一体化。一瞬も聴き逃せません。第2楽章は歌い回しがかなり濃厚ながら嫌味がなく、弱音を痩せさせないセンスが見事。終楽章は、指揮者との表現の方向性を完全に一致させた素晴らしい推進力に息を呑み、単に現代的という形容では済まされない説得力。まさに非の打ち所のない名演奏と呼ぶしかありません。
「セレナード」でも、協奏曲と同様にクラッゲルードの魅力はいかんなく発揮され、フォーレのシチリアーノに似た主題から最後まで、心ときめくニュアンスが続きます。
クラッゲルードと同郷のシンディングの協奏曲も聴きもの。クラッゲルードは2008年の来日時にもこの作品を取り上げ、それがこの作品の日本初演となりました。シベリウスの協奏曲よりも5年前の作品ですが、シンディングの音楽性の下地となったドイツロマン派の作曲家の影響をふんだんに受けており、北欧的な空気感はほとんど感じられず、どこかブルッフの協奏曲第1番に似た雰囲気を湛えています。【湧々堂】


EMI
5758062[cfp]
シベリウス:ヴァイオリン協奏曲
ドヴォルザーク:ヴァイオリン協奏曲
タズミン・リトル(Vn)、
ヴァーノン・ハンドレー(指)
ロイヤル・リヴァプールPO

録音:1989年、1991年(デジタル)
“心の涙の絞り尽くした恐るべきシベリウス!
リトルは、民族的なニュアンスを気品とともに香らせることにかけては天下一品!ドヴォルザークの第1楽章、オケの導入後のヴァイオリンの主題結尾の超高音が、熾烈な音色で迫るところから一気に聴き手を牽引。第2楽章の深々と迫る主題や、悲痛な表情を持つ第2主題も、伴奏と一体となってフレージングに意思をはっきり漲らせて、表面的な美しさを超越。決して弱音を多用しせずに、音楽の輪郭を明確に打ち出すことによる凛とした安定感も、演奏の魅力を一層深めています。終楽章は、より速いテンポで軽快にリズムに乗ることも可能でしょうが、スコアに書かれた音符の意味以上に弾むことを律しているので、緊張感を持って一音一音が着実に発音されるので、舞曲的な意味合い以上のものが着実に胸に迫ります。第2主題は逆に自然体そのものですが、音色の均衡性が見事。ハンドレーの棒の意味深さも特筆もので、その味わい深さとともに、リトルのテクニックと集中力が一層冴え渡るのがシベリウス!リトルは同レーベルに協奏曲の有名曲のほとんどを録音していますが、その中でも最高の感動作です!オケ導入の弦の霧には静かな命が宿っているようで、そこへ、ヴィブラートの振幅の全てに繊細な感性を込めつくした、リトルの至純のフレージングが入り込むと、もうたまりません!蒸留しきった美しさでありながら人間的な温もりも湛えるフレージングを形容し尽くせる言葉などあるでしょうか?再びオケのトゥッティが始る前(4:49)、最弱音で腰を据えつつも微かに加速しながら音楽を大きく育ませる箇所は、まさに息をのむ緊張!カデンツァの切り込みの激しさも、ドヴォルザークの素晴らしい演奏をもってしても予想不可能です。コーダの畳み掛けも熾烈さを極め、単なる狂乱とは一線を画す精神的な呪縛で身動きできないほど。第2楽章も冒頭から訴え掛けの強い音色の美しさ!精神的な高揚を内燃させる緊張感と持久力が尋常ではありません。終楽章も冒頭から手に汗握ります。この不気味な音の高低差を全く取りこぼすことなく弾ききるだけなら珍しくないですが、強弱配分、アーティキュレーションも完璧な上に、必死に懇願するような熱い音の求心力に唖然!その後、オケのトゥッティの立派さが更に感動を煽り、すぐにまた冒頭主題が再現されるわけですが、この時点で体が感動を受け入れる限界に達し、再現はもう少し後に置いて欲しいと願いたくなるほどです。【湧々堂】


Archipel
ARPCD-0302
シベリウス:ヴァイオリン協奏曲、
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界から」
ダニロ・ベラルディネッリ(Vn)
ヨーゼフ・カイルベルト(指)
聖チェチーリア音楽院O 

録音:1952年4月27日(モノラル・ライヴ)
“まさに掘り出し物!技巧と精神力を兼ね備えた感動作!
ベラルディネッリは、指揮者にも同名の人がいますが、同一人物でしょうか?ソロの第1音から極めて主張が強く、鉛のような暗さを湛えたトーンがモノラルの録音ながらはっきりと感じられ、閃光のような技巧の冴えと輝かしい風格美を加味していく様が心を捉えます。第1楽章第3主題へ入る直前のトリルの慄き方は、音の線が明快な分、実に真に迫ります。!カデンツァの内容の濃さも破格!俊敏なレスポンスとレガートの自在な入れ替えを駆使しつつ、灼熱の精神力で一貫。まるでバッハを聴くような緊張が漲るのです。11:35からの数秒間の火花が散るような弓使いもお聴き逃しなく!第2楽章も感傷に浸るよりも試練に立ち見向かう闘志が根底に脈打ち、その確信に満ちた歌の素晴らしさに打たれます。常に音色にハリと艶を失わずに、自身の音色が確立しきっているところにも、ベラルティネッリの只ならぬ技量を思い知らされます。やや遅めのテンポで立ち上がる終楽章は、念を押すように一音ごとに意味を持たせて歌い、毅然としたフォルムの美しさも格別。第2主題でリズムの重心を低く保ちながら、厳格な拍節を貫徹したフレージングのなんと見事なこと!後半、木管が第2主題を再現する中、ヴァイオリン・ソロが対旋律を奏で続ける箇所(5:15〜)で、このソロがここまで存在感を示しておる例も少なく、ベラルティネッリから溢れ出す音楽的なオーラがいかに大きなものであるかを物語っています。カイルベルトの指揮は極めて古風ながら、常に有機的な響きを醸し出し、これまた味わい満点。そのカイルベルトの「新世界」は、イタリア的な開放感とカイルベルトの朴訥さが入り混じった独特の味わいがあります。音質もモノラルながら良好。【湧々堂】


このページのトップへ


このサイト内の湧々堂オリジナル・コメントは、営利・非営利の目的の有無に関わらず、
これを複写・複製・転載・改変・引用等、一切の二次使用を固く禁じます
万一、これと類似するものを他でお見かけになりましたら、メール
でお知らせ頂ければ幸いです




Copyright (C)2004 WAKUWAKUDO All Rights Reserved.