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メトネル/MEDTNER |
ピアノ・ソナタ ホ短調Op25-2「夜の風」、6つのおとぎ話 Op51 | |||
イリーナ・メジューエワ(P) | 2003年5月7〜9日 デジタル録音 | ||
若林工房 WAKA-4107 |
“メトネルの際限なきファンタジーとメジューエワの恐るべき感受性の格闘!” | ||
このソナタは、メトネルがチュッチェフの詩「夜の風」に触発されて書き上げた2部構成の作品で、難曲として知られています。実際この曲に日頃から慣れ親しんでいる人はそう多くはないと思いますし、パッと聴いただけでは奔放に変化する表情に付いて行くのが至難で、核となる主題がどれなのか分からなくなるほど、あらゆる要素が複雑に入り組んでいるのですが、本人もインタビューで語ってくれたように素材自体はシンプルで、その筆致を解きほぐしながら辛抱強く聴き入っていると、やがてメトネルの発想力の凄さを思い知ることになります。それには、メジューエワの作品に対する様式掌握力、夜の風の不気味さを単に視覚的止まらず、メトネルがこの詩から得た衝撃そのものを音価する驚異の描写力、強靭な精神集中力の全てが不可欠!第1楽章冒頭で唐突に叩きつけられる和音に、人間には計り知れない風の叫び声、喘ぎ、苦悩の歌声を内包させているところから、さっそくメジューエワのイマジネーションの豊かさを感じさせ、その後は鋼鉄のような強音から頬を撫でるような柔和な囁きまで、ありとあらゆる表情が急激に入れ替わりながら、夜の闇の魂を呼び覚ますべく激烈なニュアンスが襲い続けますが、その熾烈なニュアンス変化に応じてタッチを瞬時に使い分け、響きの末端まで意味を感じ切るという離れ業には本当に驚きを禁じえません。一方の「おとぎ話」は、第1曲の民族的舞曲風のダイナミズムが、メジューエワの血を喚起して止まず、コーダの痛快な締めくくりの妙味をしっかり聴き手に印象つけて終わるのもメジューエワならではの配慮。第3曲の典雅なニュアンスの表出と豊かに弾むリズムの発言力も鮮烈。享楽的な雰囲気と華やぐリズム横溢の終曲も聴きもので、結晶化されたタッチもそれ自体が音楽的!これを聴くと、メジュエーワのプーランクも聴いてみたくなります。なお、ジャケットには、19世紀末に活躍したロシアの画家ヴルーベリの絵を使用。 ※このCDのライナー(前説)は私が執筆していますので、それと一部内容が重複しています。 |
おとぎ話 Op.20-1、同 Op.34-2、同 Op.14-2、4つのおとぎ話
Op.26、おとぎ話ソナタ Op.25-1、 優美な舞曲 Op.38-2、祝祭の舞曲 Op.38-3、夕べの歌 Op.38-6、春 Op.39-3 |
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イリーナ・メジューエワ(P) | 1998年 デジタル録音 | ||
コロムビアCOCO-70756 | “メジューエワが心から紡ぎ出した、メトネル作品の魅力!!” | ||
メジューエワが心酔しているメトネルの最初のアルバム。ロシア的パッションをドイツ・ロマン派的なフォルムで包み、独自の味わいを持つメトネル作品を堪能するのに打ってつけの一枚です。ラフマニノフ風のメランコリーとブラームス風の内省の美を併せ持つ魅力に加え、先鋭的な手法も織り交ぜた作風にたっぷり浸ることができます。「おとぎ話嬰ヘ短調」のテンポの急緩の交錯と対話風な走句のユニークさ、Op14-2の左手の激しさと右手の哀愁の対比の妙、“夕べの歌”のしゃれた和声などは、特に聴きものです。メジューエワは、そんなメトネルの個性を必要以上には強調せず、体の一部と化した各フレーズを自然に息づかせている点がまた素晴らしく、その点で“夕べの歌”は彼女のための作品と呼びたくなるほどです。 |
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