湧々堂HOME 新譜速報: 交響曲 管弦楽曲 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 オペラ バロック 廉価盤 シリーズもの マニア向け  
殿堂入り:交響曲 管弦楽 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 オペラ バロック SALE!! レーベル・カタログ チャイ5


CPO
(ドイツ)


品番末尾F…1枚あたり(税込)
品番末尾M…1枚あたり(税込)
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※表示価格は全て税込み。品番結尾に特に表記のないものは、全て1CDです。
品番 内容 演奏者
77785C01(1SACD)
ヘンデル:ピアノ協奏曲集Op.7
全てオルガン協奏曲(HWV306-311)からの編曲
オルガン協奏曲第7番変ロ長調Op.7-1HWV306
.オルガン協奏曲第8番
イ長調Op.7-2HWV307
オルガン協奏曲第9番変ロ長調Op.7-3HWV308
オルガン協奏曲第10番ニ短調Op.7-4HWV309
オルガン協奏曲ト短調Op.7-5HWV310
オルガン協奏曲変ロ長調Op.7-6HWV311
マティアス・キルシュネライト(P)
ノイス・ドイツ・カンマーアカデミー
ラヴァルド・スコウ・ラーセン(指)
ヘンデルの様々な協奏曲をドイツのピアニスト、マティアス・キルシュネライトが現代ピアノで演奏するシリーズの第3集(完結盤)。今作ではもともとオルガン協奏曲として書かれたOp.7の6曲が収録されています。バッハのハープシコード協奏曲は、すでに現代のピアニストたちの標準的なレパートリーになっているのに対し、ヘンデルの一連の作品はほとんどコンサートで取り上げられることはありません。このOp.7に属する6曲の協奏曲は、ヘンデルが豊かな音響を求めるために、どれもオルガンと、2本のオーボエ、2本のファゴット、弦楽合奏と通奏低音のために書かれています。この演奏では、メロディの即興性を活かしながら、現代的な響きがもたらされるように絶妙なアレンジが施されています。

777001-2F
スーク:交響曲第2番「アスラエル」 ミヒャエル・ルイス(Vn)、
キリル・ペトレンコ(指)
ベルリン・コーミッシェ・オーパーO
777002-2F
タイレ(1646-1724):20の世俗的アリア集とカンツォネッタ集(1667) シリン・パルトヴィ(Canto)、
ヴェルナー・ブーヒン(A)、
ヘニング・カイザー(T)、
マティアス・フィーヴェク(Bs)、
ルートガー・レミー(指)レザミ・ド・フィリップ 
シュッツの作風を受け継ぎ、ブクステフーデらの師として名が知られるタイレは、北ドイツ・バロックの根幹となる存在。この作品はいわゆる当時のラヴソングであり、出版を通じて多くの人に愛されたもの。最高の演奏者を得て蘇ります。
777003-2M
ラフ:弦楽四重奏曲全集1
弦楽四重奏曲第6番「古い形式の組曲」
弦楽四重奏曲第7番「美しい水車屋の娘」
マンハイムSQ
777004M(2CD)
ヨアヒム・ラフ:弦楽四重奏曲集
弦楽四重奏曲第2番イ長調Op.90
弦楽四重奏曲第3番ホ短調Op.136
弦楽四重奏曲第4番イ短調Op.137
弦楽四重奏曲第8番ハ長調Op.192-3
マンハイムSQ
彼が活躍し親交を結んだた当時の音楽家たち、リスト、ブラームス、メンデルスゾーン…などの影響を強く受けたが故に、どんなに作品を書いてもあまり認められることのなかったスイスの作曲家ヨアヒム・ラフ(1822-1882)。その作品が正統に評価されたのは、ウィーン楽友協会主催のコンクールで「交響曲第1番」が1位を獲得してからでした。その時ラフは41歳。いささか遅すぎた感もありますが、以降彼は数多くの作品を生み出して生きます。最近になって復興の兆しが見えてきたラフの作品ですが、この弦楽四重奏曲も、良く練られた素晴らしいものばかり。とにかく良く歌うメロディが特徴で、流麗な音に陶然となるはずです。
777007-2B
マレ:ヴィオール曲集
第4巻(1717)、第2部〜異国風趣味の組曲(第7組曲)(セレクション) /ヴィオール曲集第2巻( 1 7 0 1 )〜人間の声/同〜スペインのフォリア(32の変奏)] A=392Hz
ロレンツ・ドゥフトシュミット(Gamb)、
トマス・C・ボイセン(Theorbe&G)
ヨハネス・ヘンメアレ(cemb)
777008-2F
テュイレ(1861-1907):ピアノ協奏曲ニ長調/交響曲ヘ長調 アラン・フランシス(指)
ボルツァーノ&トレント・ハイドンO、
オリヴァー・トリエンドル(P)
イタリアのボルツァーノに生まれ、R・シュトラウスに会ったことで作曲家としての道が開かれたテュイレ。メンデルスゾーンやショパンの作風を思わせるピアノ協奏曲は、1882年の作品。1886年にR・シュトラウスが初演の指揮をした交響曲と共に、この作曲家の存在を伝える貴重な録音です。
777009-2(3CD)B
ディーター・クレッカー・エディション第10集〜協奏交響曲集
クルーセル、シュナイダー、ダンツィ、ホフマイスター、リッター、ヴィンター、プレイエル、ホフマイスター、コジェルフによる協奏交響曲集
コンソルティウム・クラシクム(ゾリステン) 、
ディーター・クレッカー(cl)、
アイオナ・ブラウン(指)/アカデミーCO
777010-2B
ディーター・クレッカー・エディション11
モーツァルト:ピアノと管楽器のための五重奏曲変ホ長調、
ピアノ,クラリネットとヴィオラのための三重奏曲変ホ長調) 、
ベートーヴェン:五重奏曲変ホ長調
ディーター・クレッカー(cl)、
コンソルティウム・クラシクム
777011-2B
ディーター・クレッカー・エディション第12集
ベートーヴェン:六重奏曲/七重奏曲
コンソルティウム・クラシクム
EMI録音の復刻を着々と行ってきた「クレッカー・エディション」ですが、今回は室内楽の名作を2曲。特に「七重奏曲」は録音も多いために比較も容易であり、伝統的な奏法も研究したクレッカーのアプローチは正統派そのものです。
777012-2F
シャーウッド:交響曲第1番、ピアノ協奏曲、
シンフォニエッタ
アルベルト(指)
バイエルン州立青少年O、他
777013-2F
シャイト(1587-1654):音楽演奏集第1集〜第4集(選集)
(ガイヤルド、パヴァーヌ等を含む舞曲コレクション)
ローランド・ウィルソン(指)ムジカ・フィアタ
シュッツと並び称される北ドイツ・バロックの巨匠。17世紀前半の30年戦争という悲劇的な時代に世に送り出した舞曲集は、時代の空気を反映させながらもJ.S.バッハらの舞曲スタイルに影響を与えた“評価されるべき小品集”です。
777014-2M
リース:弦楽四重奏曲ハ長調、変ニ長調 シュパンツィヒQ(ピリオド楽器使用)
777015-2F
ファッシュ:序奏と5つの協奏曲
2つのオーボエ,2つのヴァイオリン,ヴィオラ,ファゴットと通奏低音のための序曲ト長調、ファゴット・コンチェルタート、2つのヴァイオリン,ヴィオラとハープシコードのための協奏曲ハ長調、2つのオーボエ,2つのヴァイオリン,ヴィオラ,ファゴットと通奏低音のための協奏曲ハ短調、ヴァイオリン・オブリガート,2つのヴァイオリン,ヴィオラとバスのための協奏曲イ長調、ファゴット・コンチェルタート、2つのヴァイオリン,ヴィオラと通奏低音のための協奏曲ニ短調、 2つのオーボエ,2つのヴァイオリン,ヴィオラ,ファゴットと通奏低音のための協奏曲変ホ長調
セルジオ・アッツォリーニ( Fg) 、
ヴェロニカ・スクプリク(Vn)、
ラ・ストラヴァガンツァ・ケルン
777018-2B
バッハ:オルガン作品全集15〜編曲集2
協奏曲ト長調 /さまざまな手法による6つのコラール〜目覚めよと呼ぶ声あり /われいずこに逃れ行かん(わが愛する神に /ただ愛する神の摂理にまかすもの /わが魂は主をあがめ /ああわれらのもとにとどまれ主イエス・キリストよ /汝イエスよ、今天より降りたもうや /協奏曲ニ短調/協奏曲イ短調 /アリアヘ長調 /音楽の捧げ物〜第5番6声のリチェルカーレ
ゲアハルト・ヴァインベルガー( Org…ナウムブルク、聖ヴェンツェル教会、ツァハリアス・ヒルデブラント製オルガン(1743-1746年))
777019-2B
バッハ:オルガン作品全集16
幻想曲ト長調BWV 572/6つのトリオ・ソナタ〜第3番ニ短調BWV 527/同〜第6番ト長調BWV 530/前奏曲(幻想曲)とフーガ ト短調〜フーガBWV 542/2/27のコラール(編曲)〜第15番イエス、わが確信BWV 728/前奏曲とフーガ イ長調BWV 536/クリスマスの歌によるカノン風変奏曲「高き天より、われは来たり」BWV 769a (自筆譜)
ゲアハルト・ヴァインベルガー( Org…ナウムブルク、聖ヴェンツェル教会、ツァハリアス・ヒルデブラント製オルガン(1743-1746年)
777020-2M
ドゥシェク:ピアノ・ソナタ「パリへの帰還」/同 「プロイセンのルイ・フェルディナント王子の死に寄せる悲歌」/同 「告別」 マルクス・ベッカー(P)
ボヘミアに生まれ、ピアニストおよびピアノ作品を中心とした作曲家として名を成したドゥシェク。それだけに作品は精緻な手法で書かれており、ベートーヴェンと同様にピアノの発展を考えながら表現の限界を追究しています。 
777022-2(2SACD)S
オスカー・シュトラウス:喜歌劇「クレオパトラの真珠」 モレニケ・ファダヨミ、ミヒャエル・ツァバノフ、
アクセル・メンドロク、
フォルカー・フォーゲル、
グンドゥラ・パイエル、
ロベルト・マイヤー、
ヘルベルト・モッグ(指)
フランツ・レハールO、
バート・イシュル・レハール・フェスティバルcho
777024-2(2CD)F
アイプラー(1765-1846):オラトリオ「四終」 ヘルマン・マックス(指)
ライニッシェ・カントライ、
クライネ・コンツェルト(古楽器使用)、エリーザベト・ショル、
マルクス・シェーファー、ペーター・コーイ
777025-2M
アイプラー: 弦楽三重奏曲Op.2
弦楽五重奏曲Op.6-1
ドイツ弦楽三重奏団、ローラント・メッツガー(第2Va)、ハインリッヒ・ブラウン(Cb)
モーツァルトと同じ時代を生き、現在は「レクィエム」やクラリネットのための作品がよく知られる作曲家。収録された2曲は1800年前後に作曲されており、ハイドンの作風を受け継いだ典型的な古典派作品です。 
777027-2F
シュッツ:復活祭オラトリオ(われらが唯一の救い主イエス・キリストの喜ばしく勝ち誇れる復活の物語)/善良な羊飼いはよみがえった/小宗教的コンチェルト集(第二部)〜私はよみがえりである/復活祭のための対話曲「女よ、あなたは何故泣いているのか」/シンフォニア・サクラ第3集(21のドイツ語による教会コンチェルト)〜古きパン種を掃き出せ マンフレート・コルデス(主宰)アンサンブル・ヴェーザー=ルネサンス
物語として聴衆に伝えるという曲の役割を重んじ、歌手の発声などにも気を使った録音。
777028-2F
ロゼッティ(c.1750-1792):ヴァイオリン協奏曲(Murray C6/Kaul III:9)/ヴァイオリン協奏曲(Murray C9/Kaul III:5)/交響曲(Murray A39/Kaul I:16)/交響曲(Murray A45/Kaul I:14) アントン・シュテック(Vn)、
ヨハネス・モエズス(指)クルプフェルツCO
18世紀の音楽・作曲家は近年さらに評価されていますが、2006年のモーツァルト・イヤーでますます注目されるはず。すでに多くのレスレル[ロゼッティ]作品をリリースしているcpoでは、さらに作品のリリースを続けますが、最新盤は入門の一枚としてもふさわしい作品集です。
777030-2M
レグレンツィ(1626-1690)::ソナタ集Op.2(1655) パルナッシ・ムジチ(古楽器使用)[マーガレット・マクダフィ(vn)、マティアス・フィッシャー(vn)、セルジオ・アッツォリーニ(fg)、シュテファン・シュラーダー(vc)、ディエゴ・カンタルピ(テオルボ)、マーティン・ルツ(org)]
777031-2F
ラートハウス(1895-1954):交響曲第2番/交響曲第3番 イスラエル・イーノン(指)
フランクフルト・ブランデンブルク州立O
777033-2S(1SACD)
ベック(1734-1809):4つの交響曲Op.4〜第1番/同〜第2番/同〜第3番/「無人島」より序曲 ミヒャエル・シュナイダー(指)
ラ・スタジオーネ・フランクフルト(古楽器使用)
当時は音楽の中心地だったドイツのマンハイムに生まれ、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンと同じ時代を生きたフランツ・イグナツ・ベック。作品4の交響曲集は1766年に出版されており、マンハイムと浅からぬ関係だったモーツァルトが聴いた可能性も否定できないでしょう。
777034-2F
ベック(1734-1809):交響曲集Op.3-1/Op.3-2/Op.3-6/「オルフェウスの死」序曲 シュナイダー(指)
ラ・スタジオーネ・フランクフルト
777035-2F
エンナ(1859-1939):交響的絵画「おとぎ話」
序曲「ハンス・クリスチャン・アンデルセン」
交響曲第2番ホ長調
ミヒャエル・ホフステッター(指)
北ドイツ・ハノーヴァー放送PO
デンマークで最も愛されている作家ハンス・クリスチャン・アンデルセン。この作品に魅了された作曲家の一人が、このオーギュスト・エンナです。彼は1901年に受けたインタビューで「私はアンデルセンのおとぎ話に魅了されていて、彼の作品を何度も何度も読み返し、多くの喜びを感じ取る」と語っています。もちろん作曲にあたって多くのインスピレーションを受けたのは間違いなく、歌劇「マッチ売りの少女」を始め、いくつかのアンデルセンの作品に基づいた曲を書いています。このアルバムの2つの曲は間違いなくアンデルセン関連の曲ですが、交響曲第2番も「煌めくような音の魔法に満ち溢れている」作品であり、一種のおとぎ話であると言えるかもしれません。
777037-2(1SACD)S
ヴィヴァルディ:協奏曲集「四季」(管楽器を伴うドレスデン版)/グイード(c.1660-after 1728):「四季」によるスケルツォ・アルモニコ フェデリコ・グリエルモ(Vn&指)
ラルテ・デラルコ(ピリオド楽器使用)
777038-2(2CD)F
レハール:喜歌劇「針金細工師」 フリッツ・ムーリア、エルフィー・ホーバルト、ヘルガ・パポウシェク、ハインツ・ツェドニク、アドルフ・ダラポッツァ、ハンス・グラーフ(指)オーストリアRSO、オーストリアR Cho、V・モーツァルト少年Cho
777039-2M
ガーシュウィン:前奏曲集(ストーン編曲)/キューバ序曲(ストーン編曲)/「ポーギーとベス」による幻想曲(グレインジャー編曲) コープランド(1900-1990):キューバ舞曲/エル・サロン・メヒコ(酒場メキシコ)(バーンスタイン編曲) バーンスタイン(1918-1990):ミュージカル「ウェスト・サイド物語:シンフォニック・ダンス」(ムスト編曲) ジェノワ&ディミトロフ(ピアノデュオ)
ラベック姉妹など多くのピアノ・デュオが手掛けてきた3人のアメリカン・マスターによる作品に、ジェノワ&ディミトロフがチャレンジ。しっかりとしたテクニックがあるからこそ生まれる作品の音楽性を、ここでは十二分に感じとっていただけるはずです。
777040-2F
アンタイル:交響曲第3番「アメリカ、
トム・ソーヤー、バレエ音楽「世界の都」/他
ヒュー・ウルフ(指)フランクフルトRSO
777041-2F(2CD)
ペッピング(1901-1981):交響曲第1番/交響曲第2番/交響曲第3番「一日の時間区分」/ピアノ協奏曲 ヴェルナー・アンドレアス・アルベルト(指)
北西ドイツPO、
フォルカー・バンフィールド(P)
第1番はベームが、第2番はフルトヴェングラーが初演した作品であり、特に第2番はフルトヴェングラーの残した録音で知られています。調性を重んじた作風はプロテスタントの教えを基調にしており、宗教的な要素も含まれる交響曲集だと言えるでしょう。
777042-2S(1SACD)
アイプラー(1765-1846):オラトリオ「四終」 ルマン・マックス(指揮)ライニッシェ・カントライ、クライネ・コンツェルト(古楽器使用)、エリーザベト・ショル、マルクス・シェーファー、ペーター・コーイ
モーツァルト、サリエリ、ハイドンらとの交流があったウィーンの名士が、皇帝フランシス1世のために作曲して大成功をおさめたオラトリオ。知名度は低くても作品のクオリティは高く、1 9世紀初頭のウィーンを多角的にとらえるためにも重要な作曲家だと言えるでしょう。
777043-2F
サイグン:交響曲第4番、ヴァイオリン協奏曲、組曲 アリ・ラシライネン(指)
ラインラント=プファルツ州立PO
ミリアム・チョップ(Vn)
777044-2M
テルザキス:オルガン独奏のための海の色彩
無言歌「四季」第2番、無言歌「四季」第3番、
テノール,合唱,チェロ,打楽器のための合唱聖歌
アルテミスQ、
アルムート・レセラー(Org)、
ダス・モデルネEns、
スピロス・アルギリス、
ジラー・ヤロン(S)、
リコルゴス・アゲロプロス(T)、
ブロマ室内cho
スカルコッタスやテオドラキスなどの評価により、このところ注目されているギリシャの作曲家たち。アテネに生まれたテルザキスは古代ギリシャの音楽やビザンチン文化にも強い興味を示し、独自の作風を築いています。
777045-2M
テレマン:歌,演奏と通奏低音のための練習曲集(シュトッペ、ケーニッツ、リッチェ、フィランデール・フォン・デル・リンデ、ブロックス、フォン・ハゲドルン、ヴァイゼ、ゴットシェート(ゴッチェート)などによる47の歌曲集) クラウス・メルテンス(Br)、
ルートガー・レミー(Cemb)
777046-2F
ベルンハルト(1628-1693):宗教的協奏曲集
主を恐れる者は幸いである/おお主よ、心から汝を愛す/私は全てのことが成されるのを見た/死んだような魂/今日、キリストは死の淵から起き上がり/まことに、まことに、われ汝らに告ぐ/主よ、誰が貴方の住居に住まわれるのか/憐れみを覚えおきたまえ/人は己のためにのみ生きるものにあらず/おお、私の大切な愛する小さなイエスよ/深き淵よりわれ汝を呼ぶ/主よ、私たちのこの日に平和を与えたまえ
ルマン・マックス(指)
クライネ・コンツェルト(古楽器使用)、
ライニッシェ・カントライのソリストたち
シュッツの愛弟子であり後継者でもあったベルンハルトは、ドレスデンやハンブルクで活躍。師の作風を受け継いだこの宗教作品集です。
777047-2F(2CD)
レズニチェク:喜劇的序曲
シャミッソーの詩による主題と変奏曲
「コル・ニドライ」交響変奏曲

[ボーナス・トラック]
レズニチェク自作自演:喜劇的序曲
歌劇「ドンナ・ディアナ」序曲
ミハイル・ユロフスキ(指)ケルンWDR響
CPOレーベルで系統的にリリースされているレズニチェクの作品集です。
底抜けに明るい歌劇“ドンナ・ディアナ”序曲のみで、かろうじてその存在が知られていたため「保守的な作風」の作曲家として認知されているレズニチェクですが、ここに収録された作品を改めて聴いてみれば、その評価はもしかしたら間違いであったのではないか?と考えさせられるほどシニカルで多様な音楽を書いていた人だったことがわかるでしょう。人気急上昇中の指揮者ユロフスキの見事な演奏も注目です。ボーナス・トラックには作曲家自身の演奏も収録されています。
777050-2(2CD)F
ミスリヴェチェ:交響曲集
交響曲第3番ヘ長調/第5番変ロ長調/第6番ト長調/第4番ニ長調/第2番イ長調/第1番ハ長調/序曲「デメートリオ(デメトリウス)」/序曲「ロモロとエルシリア」/序曲「オリュンピアス」/交響曲Op.1、第5番ト短調/序曲「モテズマ」/序曲「デモフォンテ」
ミヒ・ガイック(指)オルフェオ・バロックO
777051-2F
イザイ:悲劇的な詩/冬の歌/子守歌/古き良き時代より/ヴァイオリン協奏曲(第8番)/ディヴェルティメント アルブレヒト・ラウレント・ブロイニンガー(Vn)、
ウェリサー・ゲンチェフ(指)北西ドイツPO
「無伴奏ソナタ」ばかりが有名なイザイですが、魅力的なヴァイオリン作品は他にもあります。フォーレ、ドビュッシー、ルクー、ショーソンなど同時代の作曲家から大きな影響を受けた作風であり、特に豊かなメロディは「さすがヴァイオリニスト!」と言いたくなるほどです。 
777053-2M
リース:ピアノ三重奏曲変ホ長調、ハ短調 メンデルスゾーン・トリオ・ベルリン
777054-2S(1SACD)
P・ヴラニツキー(1756-1808):交響曲ハ短調「フランス共和国との和平に」、ニ長調 ハワード・グリフィス(指)ハノーファー北ドイツ放送PO
モーツァルトと同じ年にモラヴィア地方(チェコ)で生まれ、ウィーンのブルク劇場で指揮者となったパウル・ヴラニツキーの交響曲集。ハイドンやベートーヴェンとの親交もあり、同時代の典型的な交響曲として、もっと人気が出てもいい作品です。
777055-2F
レハール:喜歌劇「この世は美しい」(ダイアローグなしの全曲録音) エレーナ・モシュク(S)、ゾラン・トドロヴィッチ(T)、ウルフ・シルマー(指)ミュンヘン放送O
1914年にウィーンで初演されたこの作品は、「オペレッタ界のワーグナー」と評されたほどレハールにとって重要な曲。これまで「この世は美しい」「私は恋に落ちた」などのアリアは録音がありましたが、全曲の録音は非常に珍しいもの。ウィーンのシュターツオパーやフォルクスオパーの常連であるシルマーの指揮により、最良のコンディションで名作が再現されました。 
777056-2F
レズニチェク(1860-1945):交響曲第2番「皮肉」/交響曲第5番「ダンス・シンフォニー」 フランク・ベールマン(指)ベルンSO
オペラ「ドンナ・ディアナ」で知られる作曲家・指揮者の交響曲。1905年に作曲された第2番は「皮肉」と名づけられながらも典型的なロマン派の作風。1925年に書かれた第5番は、古き佳き時代の舞踏会を思わせる作品です。
777057-2F(2CD)
クローゼ(1862-1942):歌劇「イルゼビル」-漁師とそのおかみさんの物語 ノルベルト・シュミットベルク(T)、
リザ・グラーフ(S)、
ヤロスラフ・シー リッキ(B-Br)、
マルクス・R・ボッシュ(指)アーヘンSO、
歌劇場cho、少年cho
人間の欲深さを描いたグリム兄弟の童話、「漁師とそのおかみさん」をご存 知の方も多いのではないでしょうか?漁師が釣ったひらめを逃がしてやった ことで、何でも願いがかなうと知った妻イルゼビル。その願望はとどまるこ とを知らず、最初は家の建て替えから、最後には神の地位までを要求します。 もちろん結末は想像通りですが、クローゼはここにまるでワーグナーのよう な劇的な音楽をつけました。刻々と変わる海の色を表現した管弦楽の奥深い 響きにも耳を奪われます。
777058-2F(2CD)
カールマン:喜歌劇「ジプシーの王様」 エディト・リーンバッハー(S)
ガブリエーレ・ロスマニト(S)
ゾラン・トドロヴィッチ(T)
ロベルト・サッカ( T )
カイ・シュティーフェルマン(B r )
クラウス・ヘーガー(Br)
ヴォルフガング・バンクル(Bs)
バイエルン州立歌劇場児童cho
スロヴァキア・フィルハーモニーcho、
クラウス=ペーター・フロール(指)
ミュンヘンRSO
777059-2M
カールマン:22の歌曲(ハンガリー歌詞)、
4つのピアノ小品
アンナ・コロンディ(S)、
イシュトヴァーン・コヴァーチュ(Br)、
ペーター・シュタム(P)
777060-2F
ハルトマン:交響曲全集(全4曲) ラース・ウルリク・モーテンセン(ハープシコード、音楽監督)、
コンチェルト・コペンハーゲン
777061-2(2CD)B
C.P.E.バッハ:宗教的頌歌と歌曲集Wq.194
救済の慰め/新年に寄せて/懺悔の歌/朝の歌/敬虔の歩み/憂うつなキリスト教徒の慰め/教会の保護/善意の幸福/ 神の言葉の/隣人の愛/敵の愛/忍耐/自然における神の栄光/夕べの歌/夕べの試練/クリスマスの歌/受難の歌/復活祭の歌/誕生日の歌/創造者の賛美/願い/詩篇第100番/祈り/朝の歌/高慢に逆らって/病の時/詩篇第8 8番/死について/夕べの歌/人の自然な死
ドロシー・ミールズ(S)、ルートガー・レミー(フォルテp)
777062-2M
ルイ・グラス(1864-1936):弦楽六重奏曲、ピアノ五重奏曲 モスクワ・フィルハーモニー・コンチェルティーノSQ
777063-2(2SACD)
ナウマン(1741-1801):オラトリオ「救われたベトゥーリア」 ヘルマン・マックス(指)
ライニッシェ・カントライ
ダス・クライネ・コンツェルト(古楽器使用)、
マルクス・シェーファー(T)、
ネレ・グラムス(S)、
ザロメ・ハラー(S)、他
チャンネル:マルチチャンネル・サラウンド・サウンド(5.0ch)、2chステレオ、CDスタンダード・ステレオ(全トラックを3つのチャンネルで収録)。ドレスデンを主な活躍の舞台として、古典派初期の時代を生きた作曲家。死後に初演されたこのオラトリオは非常にドラマティックな作品で、ナウマンの評価を大きく高めることになりそうです。
777064-2F
テレマン:後期教会音楽集…来れ聖霊よTWV1:999/わが望みは無くTWV.1:992/来たりて讃えよTWV.1:462 ルートガー・レミー(指)ミカエルシュタイン・テレマンCO(古楽器使用)、ミカエルシュタイン室内cho、ドロシー・ミールズ(S)、エリザベート・グラーフ(A)、クヌート・ショフ(T)、エッケハルト・アベレ(Bs)
レミー得意のテレマン作品、その最新録音は1759年と1762年に作曲された晩年の声楽作品。あまり知名度があるとは言えない作品でも、研究者、解釈者として真摯にスコアを吟味し、その良さを伝えてくれます。ドイツ・バロック音楽ファンは、あらためてご注目を。
777065-2F
バコーフェン:クラリネット協奏曲変ロ長調Op.3/クラリネット協奏曲変ホ長調Op.16/クラリネット協奏曲変ホ長調Op. 24 ディーター・クレッカー(Cl)
ヨハネス・モエズス(指)
SWRカイゼルスラウテルン放送O
SWRカイゼルスラウテルン放送管弦楽団 知られざるクラリネットの作品群と作曲家を発掘し続けているクレッカーが、ドイツ各地で活躍した作曲家(演奏家、楽器製作者、教育者などさまざまな肩書きも持つ)の作品を演奏。スペイン風味などの特徴を持つ、古典派の協奏曲です。
777066-2M
マルクス(1882−1964):<弦楽四重奏曲全集>
古風な四重奏曲/古典様式の四重奏曲/半音階的四重奏曲
トーマス・クリスティアン・アンサンブル 
後期ロマン派の流れをダイレクトに受け継ぎ、20世紀オーストリアの作曲家でもっとも叙情的とさえ言われる作風で、ファンを増やしているマルクス。室内楽曲はそうした作風を共有しつつ、題名の通り古典的な構成の作品で幅広い魅力をアピールしてくれます。
777067-2M
<ジングフォニック・クリスマス:ヨーロッパのクリスマス・ソング>
神の御子は今宵しも(ドイツ)/神の御子が生まれた(フランス)/ばらは咲きいで(ドイツ)/W.ヒラー:ハープの響き ― ハープ独奏のための3つのクリスマス・イヴの歌/聖母マリアの男の御子(英国)/緑色の輝く木よ(ノルウェー)/おお、いと聖なる(イタリア)/雄牛と灰色のロバの間で(フランス)/クリスマスの歌(カタルーニャ)/ブリテン:ハープ独奏のためのキャロルの祭典〜間奏曲/高き天より(ドイツ)/このかぐわしい香りは(フランス)/処女と盲人の恋愛(スペイン)/天よ、お静かに(ドイツ、バイエルン)/最も聖なる夜/鐘の響き(ノルウェー)/東方の王(英国)/来たりて、歌え(スペイン)/きよしこの夜(ドイツ)
ジングフォニカー
ドイツ、イタリア、イギリス、北欧諸国など、さまざまな国のクリスマス・ソングなどを収録。ジングフォニカーの素晴らしさはcpoの中にあっても群を抜き、声楽アンサンブルとしては最高レヴェルの実力。合唱などをしている方には、見事なハーモニー・アレンジも含めておすすめです。
777068-2F
エルドマン(1869-1958):交響曲第3番/管弦楽のためのカプリッチョ イスラエル・イーノン(指)
フランクフルト・ブランデンブルク州立O
20世紀交響曲の中でも印象的なアダージョを持つ作品として、高い評価を受けているエルドマンの第3交響曲(1947年に作曲)。ピアニストとして名を挙げた作曲家ですが、4つの交響曲をはじめ、20曲少しという少ない数ながら印象的な作品を残しました。
777069-2F
オッフェンバック:チェロ協奏曲「軍隊風」/悲歌「天国の二人の友」/序奏と憂鬱なワルツ/海辺の夢想/そり競争/ コンチェルト・ロンド グイド・シーフェン(Vc)、
ヘルムート・フロシャウアー(指)
デヴィッド・ディ・ヴィリアーズ(指)
ゲラールト・オスカンプ(指)
西部ドイツ放送O
777070-2S(1SACD)
フレッチ(1481-1553):エンサラーダ「試合」/エンサラーダ「歓喜」/エンサラーダ「火」、カベソン(1510-1566):ディフェレンシア(室内楽用編曲)/第1旋法によるティエント(室内楽用編曲) マッシミリアーノ・ラスキエッティ(Org)、セルジョ・バレストラッキ(指揮)ラ・スタジョーネ・アルモニコ、コンチェルト・ディ・ヴィオーレ「ラモローソ」
777071-2S(1SACD)
レスピーギ:感覚(メゾ・ソプラノと管弦楽のための抒情詩)/バレエ音楽「魔法の鍋」/アレトゥーザ(メゾ・ソプラノと管弦楽のための短詩) マルツィオ・コンティ(指)
パレルモ・マッシモ劇場SO、
ダミアーナ・ピンティ(Ms)
まだまだ全貌が知られていないレスピーギの、新しい一面を聴かせてくれる一枚。シェリーの詩を使った「感覚」などメゾ・ソプラノ歌手だった妻のために作曲した歌曲、ロシアの音楽をベースにディアギレフの委嘱で書かれたバレエ音楽を収録。
777072-2F
ルードルフ・ニールセン(1876-1939):バレエ音楽「ラシュミ、またはインドの愛の物語」/序曲「イサベラ」 ヴェルナー・アンドレアス・アルベルト(指)
クイーンズランドSO
有名なC・ニールセンと同時代を生きたルードルフ(血縁関係はなし)の作風は大変に親しみやすく、後期ロマン派音楽の中核的な作品を残しています。インドに題材を得たバレエ音楽は、やや異国趣味を感じさせる1920年代の作品です。 
777073-2(3CD)M
コンラーディ:歌劇「アリアドネ」(美しく忠実なアリアドネ) カリーナ・ゴーヴィン、
バーバラ・ボーデン、
マレク・ルツェプカ、
マシュー・ホワイト、
エレン・ハージス、
ジェームズ・テイラー、
ジュリアン・ポジャー、
ヤン・コボウ、
ポール・オデット&スティーヴン・スタブス、
ボストン・アーリー・ミュージック・フェスティヴァルO&cho
777074-2(2CD)F
サリヴァン:喜歌劇「ペルシアの薔薇」全曲、
序曲「舞踏会で」、
「軍艦ピナフォア、または水兵を恋した小娘」序曲、
「マクベス」序曲、「ペンザンスの海賊」序曲、
「ミカド」序曲、近衛騎兵隊、または従者とその女中」序曲
リチャード・モリソン、
リチャード・スチュアート、
アイヴァン・シャープ、
ジョナサン・ヴェイラ、
イアン・キャディ、サリー・ハリソン、
アリソン・ロディ、
マリリン・ヒル・スミス、
マルシア・ベラミー、
トム・ヒギンス(指)ザ・ハノーヴァー・バンド
777076-2M
キール(1821-1885):ピアノ四重奏曲全集
ピアノ四重奏曲第1番 イ短調 Op.43
第2番 ホ長調 Op.44/第3番 ト長調 Op.50
ウルリケ=アニマ・マテ(Vn)、
ハリオルフ・シュリヒティヒ(Va)、
クセニア・ヤンコヴィチ(Vc)、
オリヴァー・トリエンドル(P)
1821年生まれのドイツの作曲家、キールは幼い頃から音楽の才能を発揮し、ほとんど独学にも関わらずピアノを演奏し、13歳になるまでに多くの作品を書いたとされています。交響曲と歌劇以外のほとんどのジャンルに手を染めた彼ですが、やはり その白眉はピアノ曲とピアノを用いた室内楽作品でしょう。 ここに収録されたピアノ四重奏も、冒頭の3分を聴いただけでその渋い輝きに圧倒されるはず。 シューマンとブラームスを結ぶ隠れた掛け橋として、もっと評価されても良い人です。
777077-2M
サッリネン(1935- ):バラバス・ダイアログ(5人の歌手、ナレーターと7人の奏者のための) (フィンランド語歌詞) ペッテリ・サロマー、
リーッカ・ランタネン、
ユハ・コティライネン、ラルフ・ゴトーニ(指、P) 他
777078-2(SACD)S
ヴィヴァルディ:アンナ・マリアのための6つのヴァイオリン協奏曲 フェデリコ・グリエルモ、
ラルテ・デラルコ(ピリオド楽器使用)
777079-2M
オッフェンバック:<ピアノ作品集第1集>フランス戯曲のアルバム「劇的デカメロン」/6つの感傷的なワルツ「ベンガルの薔薇」/ジンメルのワルツ「最後の思い出」/舟歌「美しい夜」 マルコ・ソッリーニ(P)
777080-2F
アルファーノ(1876-1954):シンフォニア・クラシカ、シンフォニア第2番 スラエル・イーノン(指
)フランクフルト・ブランデンブルク州立O
プッチーニの「トゥーランドット」を完成させたことで知られ、自身もいくつかのオペラ作品で名声を得ているイタリアの作曲家。3曲ある交響曲はそれぞれ性格が違い、第1番はドラマティック、第2番は田園風の性格が前面に出ています。
777081-2M
ヘルツォーゲンベルク(1843-1900):室内楽作品集
オーボエ,クラリネット,ホルン,バスーン,ピアノのための五重奏曲Op.43
オーボエ,ホルン,ピアノのための三重奏曲Op.61
オルゾリーノ五重奏団、
オリヴァー・トリエンドル(P)
最近リリースの相次ぐヘルツォーゲンベルクの室内楽作品集です。ここでもブラームスらしさは顕在ですが、Op.61の三重奏(1889年作曲)などはかなり独自の音使いが見られ、なかなか聞きどころたっぷりです。ミュンヘン国際音楽コンクールにも入賞歴のある、ドイツの若手たちの集まりオルゾリーノ五重奏団によるフレッシュな演奏です。
77082-2M
ヘルツォーゲンベルク(1843-1900):室内楽作品集
ピアノ五重奏曲ハ長調Op.17
弦楽四重奏曲へ短調Op.63
ミンゲ四重奏団、
オリヴァー・トリエンドル(P)
CPOが積極的にリリースしているヘルツォーゲンベルクの作品集。このアルバムは弦楽四重奏曲全集(全3巻)の最初を飾るものです。ミンゲ四重奏団による素晴らしい演奏は、この作曲家についての誤った認識(どうしてもブラームスっぽさが拭えない…)を根底から覆すものではないでしょうか。弦楽四重奏の精力的な音楽の中に幽かに感じられるユーモア、ピアノが加わることで、また一層華やかさを増すピアノ五重奏、新たな名曲を発掘する喜びに胸躍る1枚となること間違いありません。
777083-2M
ヘルツォーゲンベルク(1843-1900):弦楽四重奏曲他
弦楽五重奏曲Op.77
弦楽四重奏曲Op.18
ミンゲSQ
ペーター・ランガートナー(Va)
ミンゲSQによるヘルツォーゲンベルク室内楽作品集の第2集です。ここに収録された2曲は、どちらも彼の対位法の技術が存分に発揮された興味深い作品です。1893年に作曲された弦楽五重奏曲は当時の評論家に「最も重要な室内楽作品が書かれた」とまで高く評価されたもの。これを作曲したとき、彼は愛妻エリザベスの死に直面、一時的に仕事への意欲を失ってしまいましたが、見事に復帰。その悲しみと妻への限りない愛情を曲に込めたのだそうです。。かたや弦楽四重奏曲は若きヘルツォーゲンベルクの意欲的な作品で、とりわけアンダンテ楽章は素晴らしいメロディで満たされています。
777084M(2CD)
ヘルツォーゲンベルク:弦楽四重奏曲集第3集
弦楽四重奏曲ト短調Op.42-1
弦楽四重奏曲ニ短調Op.42-2
弦楽四重奏曲ト長調Op.42-3
ブラームス:弦楽四重奏曲ハ短調Op.51-1
ミンケSQ
ブラームスの親友であり、また熱心な崇拝者として知られるヘルツォーゲンベルク(1843-1900)の弦楽四重奏曲集。ミンケ弦楽四重奏団による全集の完結盤となります。第1集では後期の作品である「第5番」とピアノ五重奏曲(777082)、第2集では初期の作品である「ニ短調」と「弦楽五重奏曲」(777083)と、どちらも周辺の作品も含め収録することで、この作曲家の多彩な面を紹介してきましたが、この第3集では、彼と師であるブラームスの作品を収録することで、この2人の作品の関連性を伺わせます。Op.42の3曲は1884年に出版され、ブラームスに献呈されています。第1番の冒頭の劇的な表情は確かに影響も感じられますが、やはりブラームス自身の作品と比べてみると、メロディや和声には独自の作風も見受けられ、彼が師の強い影響から脱しようとした痕があるようです。
777085-2F
ガーソン(1790-1825):序曲ニ長調/交響曲変ホ長調、クンツェン(1761-1817):交響曲ト短調 ラース・ウルリク・モーテンセン(指)
コンチェルト・コペンハーゲン
デンマークの古典派音楽および交響曲の歴史に欠かせない、2人の作曲家による秀作。どちらも典型的なウィーン楽派のスタイルであり、ハイドンやモーツァルトと同時代の才能を知るチャンスです。
777086-2M
W・F・バッハ:ソナタ ホ短調(フルート・トラヴェルソと通奏低音のための)/同ヘ長調(フルート・トラヴェルソと通奏低音のための)/トリオ・ソナタ変ロ長調(F50)(2つのヴァイオリンと通奏低音のための)/同ニ長調(F.48)(2つのフルート・トラヴェルソと通奏低音のための)/同イ短調(断片)(2つのフルート・トラヴェルソと通奏低音のための)/同ニ長調(2つのフルート・トラヴェルソと通奏低音のための) カメラータ・ケルン
ハレのバッハ”と呼ばれたJ.S.バッハの長男は、他の兄弟と比べて評価が低すぎるように思えます。バロック期から古典派への移行期を聴くことができるこの作品集は、バッハの息子であることを除いても、18世紀音楽の代表格であると言えるでしょう。
777087-2M
J・C・F・バッハ(1732-1795):ソナタと三重奏曲集
ピアノフォルテ,フラウト・トラベルソとチェロのための三重奏曲 ニ長調/
チェロと通奏低音のためのソナタ イ長調/
フラウト・トラベルソ,ヴィオラと通奏低音のためのソナタ ホ短調/
チェロと通奏低音のためのソナタ ト長調/
ピアノフォルテ,ヴァイオリンとヴィオラのための三重奏曲ト長調
カメラータ・ケルン
大バッハの5男として生まれ、ビュッケブルク宮廷の楽長として活躍したJ.C.F.バッハ。古典派作曲家として幅広いジャンルに曲を残しましたが、まだまだ知られる存在だとは言えない状況です。カメラータ・ケルンの演奏を得たこの録音は、この作曲家に鋭いスポットライトを当てる一枚だと言えるでしょう。
777088-2(1SACD)S
ベンダ:チェンバロ協奏曲ヘ短調/チェンバロ協奏曲ヘ長調/チェンバロ協奏曲ト長調/チェンバロ協奏曲ロ短調 ザビーネ・バウアー(Cemb)、
ミヒャエル・シュナイダー(指)
ラ・スタジオーネ・フランクフルト(古楽器使用)
777090-2M
<ユリウス・レントヘンン(1855-1932)・エディション第1集>
交響曲第3番/「ヨトゥンヘイム」組曲
ダフィト・ポルセレイン(指)
ラインラント=プファルツ国立PO
管弦楽団20曲もの交響曲をはじめ、協奏曲、室内楽曲など幅広いジャンルにドイツ的な香りの作品を書いている作曲家。ライネッケやリストほかに作曲を師事し、ウィーンとアムステルダムを拠点とした彼は、ブラームスらにも気に入られて活躍しました。シリーズ第1弾は挨拶代わりとも言える交響曲ほか。ABCレーベルでのベートーヴェン全集(タスマニア響)でマニアに知られる、ポルセレインの指揮です。
777096-2(3CD)M
ヴィヴァルディ:歌劇「ティト・マンリオ(ティトゥス・マンリウス)」 セルジョ・フォレスティ、
エリーザベト・ショル、
ニッキー・ケネディ、
ローサ・ドミンゲス、
ルチーア・シャンニマニコ、
ティエリ・グレゴワール、
ダヴィデ・リヴァーモア、
ブルーノ・タッディア、
フェデリコ・マリア・サルデッリ(指)
モード・アンティクオ
777097-2F(2CD)
ジークフリート・ワーグナー(1869-1930):歌劇「太陽の炎」 ロマン・トレケル(Br)、ミカエラ・シュナイダー(S)、リヒャルト・ブルンナー(T)、ユルゲン・トレケル(Bs)、ニールズ・ギーゼッケ(T)、エヴァ・バトリ(S)、ウルリケ・シュナイダー(A)、ウルリヒ・シュテューダー(Br)、ロジャー・エップル(指)ハレ歌劇場O&cho

録音:2003年ライヴ
1912年に作曲された8番目のオペラであり、その後初演されてから1979年に蘇演。2002年にハレ歌劇場で完全な全曲が上演されたという曰く付きの作品。父が得意としていた騎士ものであり、13世紀ビザンティン帝国を舞台にした壮大な歴史劇です。日本でも人気が上昇したトレケルが好演。
777097-2(2CD)F
ジークフリート・ワーグナー(1869-1930):歌劇「太陽の炎」 ロマン・トレケル(Br)、
ミカエラ・シュナイダー(S)、
リヒャルト・ブルンナー(T)、
ユルゲン・トレケル(Bs)、
ニールズ・ギーゼッケ(T)、
エヴァ・バトリ(S)、
ウルリケ・シュナイダー(A)、
ウルリヒ・シュテューダー(Br)、
ロジャー・エップル(指)ハレ歌劇場O&cho
777098-2S(1SACD)
ワインガルトナー:交響作品集2
ワインガルトナー:序曲「嵐」/組曲「嵐」/弦楽オーケストラのためのセレナーデ/交響曲第4番
マルコ・レトーニャ(指)バーゼルSO
1916年、第一次世界大戦時に作曲された交響曲第4番は、ワインガルトナーの田園交響曲と呼ばれるほど美しい作品。シェイクスピアに影響を受けた「嵐」など、作曲家としての実力を再認識するのに十分すぎる曲ばかりです。
777099-2(SACD)S
ワインガルトナー:交響作品集3
交響詩「天国」/交響曲第2番変ホ長調
マルコ・レトーニャ(指)バーゼルSO

777100-2S
(1SACD)
ワインガルトナー(1863-1942):<交響作品集第4集>
愉快な序曲/交響曲第3番
マルコ・レトーニャ(指)バーゼルSO
チャンネル:マルチチャンネル・サラウンド・サウンド(5.0ch)、2chステレオ、CDスタンダード・ステレオ(全トラックを3つのチャンネルで収録)。「占星術では太陽を表す調性である」。交響曲第3番でホ長調を選択したワインガルトナーのコメントは指揮者としての視点も感じさせ、彼自身のラヴロマンスも影響を与えたロマンティックな作品に。ワインガルトナー=指揮者、という従来の先入観をくつがえすシリーズ。
777101-2S(1SACD)
ワインガルトナー:管弦楽作品集 第5集
序曲「深刻な時より」交響曲第5番 ハ短調 Op.71
マルコ・レトーニャ(指)バーゼルSO
戦前を代表する名指揮者ワインガルトナーは、フランツ・リストに弟子入りしたほどの大作曲家でもありました。いくつかの ベートーヴェンの作品の改訂でも知られていますが、交響曲からオペラまで多方面に渡る多数のオリジナル作品も多数残され ています。CPO レーベルは彼の作品を積極的に録音していて、この盤は交響曲集の第5作目にあたります。 後期ロマン派の作風にどっぷり浸かった交響曲第5番も聴きごたえありますが、興味深いのは、序曲「深刻な時より」。国歌 を使用した緊張感溢れる楽想が魅力的な、ワインガルトナー版「1812年」とも言える楽しい作品です。
777102-2S(1SACD)
ワインガルトナー:交響的作品集第6集
交響詩「春」Op.80/交響曲第6番ロ短調 Op.74「悲劇的」
マルコ・レトーニャ(指)バーゼルSO
これが書かれたのは1928年、シューベルトの没後100年の記念の年でし た。当時、歌曲の作り手としか認識されていなかったシューベルトの真の巨 大さを認識していたワインガルトナーは、常に尊敬の念を抱いていたのです。 そんなワインガルトナーの思いが結実したのがこの交響曲第6番です。第2楽 章、第3楽章などは初期ロマン派の影を色濃く残した旋律重視の楽章。まさに シューベルト降臨!です。
777104-2S(1SACD)
アイプラー(1765-1846):交響曲第1番/交響曲第2番/序曲 ミヒャエル・ホフシュテッター(指)ジュネーヴCO
1790年代後半に作曲された2つの交響曲は、同時発売のゲルソン&クンツェンによる交響曲同様に、ウィーン古典派を形成してハイドンやモーツァルトの後継者的役割を果たす存在。モーツァルトと親しかったこともあり、2006年のモーツァルト・イヤーで脚光を浴びる作曲家になるかもしれません。
777105-2F
ライネッケ(1824-1910):交響曲第1番
ヴァイオリン協奏曲
ヴァイオリンと管弦楽のためのロマンスOp.155
ヴァイオリンと管弦楽のためのロマンスOp.93
インゴルフ・トゥルバン(Vn)、
ヨハネス・モエズス(指)ベルンSO
ドイツ・ロマン派音楽の奥深さを教えてくれるライネッケの音楽は、cpoでも過去のリリースで重要視してきましたが、交響曲第1番はその評価を決定づける1曲だと言えるでしょう。また3曲のヴァイオリン作品は世界初演時のライヴ録音であり、貴重な記録でもあります。
777106-2F
アッテルベリ:ヴァイオリン協奏曲/ヴェルムランド狂詩曲(「イェスタ・ベルリング物語」からのスウェーデンの民俗モティーフによる)/序曲 ロジャー・エップル(指)ベルリンRSO、ウルフ・ヴァーリン(Vn)
交響曲全集(777118-2)や弦楽作品集(777156-2)もリリースされ、知名度が高まっているアッテルベリ。1910年代、キャリアの初期に書かれたヴァイオリン協奏曲や交響曲第1番と共に初演された序曲などを収録しています。
777107-2F
ザンドナーイ(1883-1944):ヴァイオリンと管弦楽のためのコンチェルト・ロマンティコ/4つの交響詩「セガンティーニ」* マウリツィオ・ディーニ・チアッチ(指)、
ジュゼッペ・グラツィオリ(指)*
ボルツァーノ&トレント・ハイドンO、
ステファノ・ザンケッタ(Vn)
イタリアにおけるロマン派音楽の第一人者であり、生まれ故郷の街を囲む山々や、風景画などにインスパイアされて作品を生み出していたという、メンデルスゾーンばりの才能。ヴェルディなどオペラ作曲家に押されがちだったイタリアですが、その空白を埋める作曲家です。
777108-2M
C・P・E・バッハ:ハンブルクの祝祭カンタータ集
合唱曲「我をあなたの御心に導きたまえ」/羊飼いヤコブ・シェファーのためのカンタータ/合唱曲「我が救い主、我が信念」/羊飼いクリストフ・フリードリッヒのためのカンタータ/合唱曲「アーメン!讃美と賞賛と堅信」
ルートガー・レミー(指)
レザミ・ド・フィリップ、ヒムリシェ・カントライ
ハンブルクの街で音楽的な実権を握っていたC.P.E.バッハですが、さまざまな行事のために書いた曲も多数。この一枚は祝典的な雰囲気の作品集であり、父バッハとモーツァルトの時代を結ぶ架け橋として、もっと紹介されるべきものでしょう。
777109-2F
アンタイル:ピアノ協奏曲第1番/ピアノ協奏曲第2番/ジャズ交響曲/ジャズ・ソナタ/カン・カン/ソナティナ/機械の死/リトル・シミー マルクス・ベッカー(P)、
大植英次(指)ハノーファー北ドイツ放送PO
cpoから交響曲シリーズがリリースされているアンタイルですが、やはり彼の真骨頂は若き日の“暴れん坊、悪童”時代。ジャズを大胆に取り入れた作品群で、世間をアッと言わせた時代の代表作を集めました。そして指揮は大植英次、演奏は彼の手兵オケ。あのエネルギッシュな指揮ぶりで、アグレッシヴな音楽を聴かせてくれます。
777111-2F
ビショフ(1868-1936):交響曲第1番 ヴェルナー・アンドレアス・アルベルト(指)
ラインラント=プファルツ国立PO
R・シュトラウスが唯一の弟子だと認め、作風を継承して約1時間の作品にしたものが、この交響曲第1番。1906年に初演されており、R.シュトラウスも指揮をしましたが、現在ではやや忘れられた存在に。マーラーの香りも漂うこの曲の録音は、まさに蘇演だと言えるでしょう。この時代の作品が得意なアルベルトの指揮だけに、安心です。
777112-2F
ヴァーゲンザイル(1715-1777):交響曲集第2集
交響曲WV361,374,393,398,421,432
ヨハネス・ゴリツキ(指)揮シュトットガルトCO
このヴァーゲンザイルも生前は非常に人気が高かったのに、現在ではほとんど忘れられてしまった作曲家の一人です。オーストリアの宮廷音楽家として活躍、ウィーン古典派の基礎を築き、歌劇、器楽曲、教会音楽を多数作曲しました。ここに収録されている「Symphonies」はまだまだ前古典派の形式を踏襲、どれもが3つの部分からなる小規模なものです。イタリア風の優雅な響きと整った形式は、聴き手に限りない安心感を与えるものかもしれません。
777113-2F
ボッケリーニ:作品集
交響曲G521、チェロ協奏曲G477
チェロ協奏曲G479、八重奏曲G470
ヨハネス・ゴリツキ(Vc&指)
シュトゥッツガルトCO
の愛らしい「メヌエット」ばかりが知られるボッケリーニ。しかし、実は、相当なボッケリーニ・マニアでも彼の作品の全容を知ることができないというくらい多くの作品を書いた人でもあります。cpoからは28曲の交響曲BOXなど、多くの作品がリリースされていますが、まだまだ全貌を知るには足りません。今回は彼の本領発揮ともいえるチェロ協奏曲を2曲と、BOXには含まれなかったG521の交響曲、そして八重奏曲という魅力的なプログラム。ボッケリーニの独特な旋律線も存分に楽しめる興味深い1枚です。自身が高度な技術を兼ね備えたチェリストであっただけに、彼のチェロ協奏曲でのチェロの扱い方は、何度聴いても感嘆するばかりです。
777115-2M
ハイニヒェン(1683-1729):<協奏曲&ソナタ集>オーボエ、ファゴット、チェロ、チェンバロのための4声の協奏曲 ト長調/オーボエ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、通奏低音のための3声のソナタ ハ短調/オーボエ、ファゴットのための2声のソナタ ハ短調/ヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバ、チェロ、通奏低音のための4声の協奏曲 ニ長調/オーボエ、ヴァイオリン、通奏低音のための3声のソナタ ハ短調/オーボエ、通奏低音のための2声のソナタ ト短調/ヴァイオリン、オーボエ、ファゴットのための3声のソナタ ロ長調
ポカ・バロッカ ライプツィヒとドレスデンという、当時最も音楽が盛んだった二大都市で活躍し、J.S.バッハとも交流があったとされるハイニヒェン。既発売の、管楽器のための協奏曲集(999637-2)でも証明されたように、その作風はドイツ・バロックの真髄であり、華やかさも加わった印象的なものです。
777116-2M
シャフラート(1709-1763):<三重奏曲&ソナタ集>
ヴァイオリン,オーボエと通奏低音のための三重奏曲ト短調/チェロとハープシコードのための二重奏曲ハ長調/オーボエと通奏低音のためのソナタ ニ短調/ヴィオラ・ダ・ガンバとハープシコードのためのソナタ ト長調/ヴァイオリン,ファゴットと通奏低音のための三重奏曲 変ロ長調
エポカ・バロッカ
ドレスデンの近郊に生まれ、後期バロックから古典派への橋渡し時期に活躍していた作曲家。貴族らに好かれたその作風は、高度な演奏テクニックと音楽性を持ち合わせたものであり、宮廷音楽の典型的なスタイルを持っています。
777117-2F
ベートーヴェン:12のコントルダンス(12の対舞曲)WoO.14/12のドイツ舞曲WoO.8/6つの夜会メヌエットWoO.9/11のウィーン舞曲「メードリング舞曲」WoO.17(ベートーヴェン作とされる) ミヒ・ガイック(指)オルフェオ・バロックO
いくつもの録音がリリースされている作品集ですが、オリジナル楽器オーケストラでの録音はまだまだ少数。交響曲などでは市民権を得ているピリオド・アプローチ(作曲当時の音と演奏)を、こうした作品で聴けるのは大きな喜びです。
777118-2B(5CD)
アッテルベリ:<交響曲全集>[CD1]交響曲第1番/交響曲第4番「小交響曲」(999639-2)[CD2]交響曲第2番/交響曲第5番「葬送交響曲」(999565-2)[CD3]交響曲第3番「西海岸の風景」/交響曲第6番(999640-2)[CD4]交響曲第7番「ロマンティックな交響曲」/交響曲第8番(999641-2)[CD5]交響曲第9番「幻想的交響曲」/交響詩「河-山から海まで」(999913-2) アーリ・ラシライネン(指)
フランクフルトRSO、
北ドイツ放送ハノーファーPO,cho、
シュトゥットガルト南西ドイツRSO、
サトゥ・ヴィハヴァイネン(Ms)
ガブリエル・スオヴァネン(Br)
プラハ室内cho
5枚に及ぶ交響曲シリーズを全集としてリリース。それぞれに評価の高い録音であり、スウェーデン随一のシンフォニストが広く知られるために、今後なくてはならない録音です。 
777121-2F(3CD)
レスピーギ:歌劇「マリー・ヴィクトワール」 マリー・ヴィクトール…タケシャ・メシェ・キザール(S)
モーリス…マルクス・ブリュック(Br)
クロリヴィエール…ゲルマン・ビラール(T)
サイモン・ポーリー(T)
シュテファン・ブロンク(Bs-Br)
イェルン・シューマン(Bs-Br)

ミハイル・ユロフスキ(指)
ベルリン・ドイツ・オペラO&cho
レスピーギ(1879-1936)の幻のオペラである「マリー・ヴィクトワール」は、1912年から13年頃に完成、1915年に初演が予定されながらも、政治的混乱に巻き込まれ結局それが叶わず、2004年までお蔵入りとなっていた作品です。フランス革命時代を舞台とし、台本もフランス語によるものです。パリの貴族の妻であるマリーと、彼女の夫モーリス、その友人クロリヴィエールの愛憎に、フランス革命特有の動乱が齎す熱気を絡めた物語は、レスピーギの華麗な音楽を得たことで、素晴しい色彩と劇的な表現力を帯び、息を飲むような迫力で展開していくのです。タイトルロールを歌うタケシャ・メシェ・キザールは2歳から舞台に立っていたという「新人」ソプラノです。
777122-2F
ヘルツォーゲンベルク(1843-1900):交響曲第1番
交響曲第2番
フランク・ベールマン(指)
ハノーファー北ドイツ放送PO

※全曲世界初録音
ブラームスと交友関係を結び、互いに認め合っていたというヘルツォーゲンベルクですが、その知名度と作品への理解はまだまだ低いものです。同時代の才能を知るきっかけとして、2つの交響曲は必聴。ドイツ・ロマン派における到達点のひとつだと言えるでしょう。
777123-2S(1SACD)
ブルーンス(1665-1697)
ライディング(1664-1710):オルガン作品全集
フリードヘルム・フラメ(Org…ドイツ、メレ、聖ペトリ教会のクリスティアン・ファーター製オルガン(1724年製)使用)
J.S.バッハの前世代となる北ドイツ・バロックの作曲家であり、知られざる存在にスポットを当てた一枚。
77124-2S(1SACD)
ビーバー:ソナタ ハ調/ソナタ ニ調(Kremsier Sign.A600/IV:174)/ソナタ ホ調(Archiv des Minoritenkonvents,Wien)/ソナタ ト調(Kremsier Sign.A572/IV:136)/ソナタ ロ調(Kremsier Sign.A572/IV:136)/シャコンヌ ニ調(Archiv Kremsier) ムッファト(1653-1704):ソナタ ニ調 アントン・シュテック(バロックVn)、
クリスティアン・リーガー(Cemb、Org)、
リー・サンタナ(アーチリュート&チタローネ)、
ヒレ・パール(ヴィオラ・ダ・ガンバ) 
このところ「ロザリオのソナタ」などに新録音が増え、高く評価されるようになったビーバー。ここに収録されているのは数多いヴァイオリン・ソナタの中でも珍しい作品ですが、シュテックほかの演奏によって素晴らしさが伝わり、先入観なく聴けるでしょう。
777125-2F
ヴラディゲロフ(1899-1978):ブルガリア狂詩曲「ヴァルダル」
夢遊び組曲
7つの交響的ブルガリア舞曲
ホリア・アンドレースク(指)
ベルリンRSO
なかなか知る機会のないブルガリアの作曲家ですが、1930年代から民族主義的な作風を貫いており、この国の音楽を知るには格好の一枚です。ヨーロッパ国民楽派音楽の穴を埋める、重要な作曲家だと言えるでしょう。
777126-2M
フェスカ(1789-1826):フルート四重奏曲集
フルート四重奏曲Op.37
フルート四重奏曲Op.38
フルート四重奏曲Op.40
リノス・アンサンブル
[ケルステン・マッカール(fl)/ヴィンフリート・ラーデマッハー(vn)/マティアス・ブッフホルツ(va)/マリオ・ブラウマー(vc)]
cpoレーベルでは交響曲が良く知られているフェスカですが、彼の最も有名な作品は16曲ある弦楽四重奏曲です。彼自身、訓練されたヴァイオリニストであったため、そのどれもが極めて優美で精巧に書かれているからです。このフルート四重奏曲も書法は同じ。どれもが4つの楽章を持っていて、整合性の取れた古典的なフォルムが愛おしい作品です。リノス・アンサンブルの手慣れた演奏が心地よさを誘います。
777128-2S(1SACD)
デュプレ:十字架への道、
受難のためのグレゴリオ聖歌集
ンス・ヘルマン・ヤンセン(指)
聖マリア大聖堂グレゴリオ聖歌隊、
フリードヘルム・フラメ((Org)…ドイツ・バート・ガンデルスハイム参事会教会、ミューライゼン・オルガン)

777130-2(2CD)F
ブルッフ:独唱者,合唱と管弦楽のための「鐘の歌」 エレオノーレ・マーグレー、
アンネッテ・マルケルト、
クラウス・フローリアーン・フォークト、
マリオ・ホフ、
ヤック・ファン・ステーン(指)
シュターツカペレ・ヴァイマール、
プラハ・フィルハーモニーcho
777131-2F(2CD)
サール(1915-1982):交響曲全集(交響曲第1番〜第5番)、2台のためのドラマのための序曲 アラン・フランシス(指)BBCスコティッシュSO
イギリスで本格的に12音技法を導入したといわれるサールですが、交響曲はティペットやヒンデミットを思わせる作品。 
777132-2M
ビュヒナー(1614-1669):プレクトラム・ムジクム(選集) パルナッシ・ムジチ(古楽器使用)、
バイエルンCO(バート・ブリュッケナウ)のメンバーたち
オルガニストとしてドイツやヨーロッパ諸国で活躍し、後にイタリアへ渡ってモンテヴェルディに出会ったことから大きな影響を受けたビュヒナー。1 6 6 2年に出版されたこの曲集は2声から5声による室内楽曲で、あまり録音がないだけに、作曲者の存在を伝えてくれる貴重な一枚となります。
777133-2F
ホフマイスター:<管楽セレナード集第2集>
エステルハージ=パルティータ第5番/パルティータ第3番/パルティータ第24番/パルティータ第25番
ディーター・クレッカー(Cl)、
コンソルティウム・クラシクム
クレッカーと手兵アンサンブルがこだわって追求する、古典派音楽シリーズの最新盤。ウィーンでの評価されたボヘミア楽派の作曲家で、既発売の姉妹盤(999107-2)も好評。職人芸的な作曲テクニックを持ち、ハイドンやモーツァルトにも匹敵する才能を、この一枚で再評価します。
777134-2(SACD)S
モーツァルト:25プラス(交響曲第25番)/少しだけ憂鬱なトルコ風のロンド/魔笛/怒りの日(レクィエムより)/イングリッシュ・ホルンと弦楽三重奏のためのアダージョ/フィガロの結婚/アヴェ・ヴェルム・コルプス/2つのピアノのためのフーガ/交響曲第40番〜第1楽章/ラウダーテ・ドミヌム/アイネ・クライネ・ナハトムジーク第4楽章ロンド クンテセンス・サキソフォン五重奏団
モーツァルト・イヤーを前にして、先行のお楽しみ企画であり、見事な演奏力に舌を巻くのがこの一枚。遊び心たっぷりでセンスもあるアレンジと意外性がマッチし、サックス・ファンならずとも楽しめるクオリティです。
777136-2M
リース(1784-1838):大ソナタOp.9-1/幻想的大ソナタ「不運」Op.26/ソナティナOp.5-1〜Andantino/ソナティナOp.5-2〜Andantino アレクサンドラ・エーラー(P)
ベートーヴェンの弟子によるピアノ・ソナタというと、どうしても師匠の影響を期待してしまいますが、その期待を裏切ることはありません。初期ロマン派のピアノ・ソナタを知る上でも貴重なサンプルと言えるでしょう。    (0221)
777137-2F(2CD)
M.ハイドン:交響曲集
交響曲第14,17,19,24,29,33,40,41番
交響曲ヘ長調,3つの行進曲
フランク・ベールマン(指)ドイツ・カンマーアカデミー
cpoの偉業である「ミヒャエル・ハイドン交響曲集」の完結編です。モーツァルトが序奏を書きくわえたために、彼の37番の交響曲として一時期認識されていたのは実はミヒャエル・ハイドンの作品であったことは周知の事実です。それほどまでに才能に溢れていた彼の作品がこうして全て聴けるようになったのは大いなる喜びと言えるでしょう。彼の作品は今まで41曲とされていましたが。失われたと思われた「交響曲ヘ長調」を発見。じっくりと準備してこの録音を企画したものです。高度に想像的で実験的、ユーモアに富んだ音楽。若きモーツァルトがこれらの交響曲から学びとったものも数知れません。
777138-2F(2CD)
ジェズアルド(1566-1613):5声のマドリガル集(第1巻〜第3巻) ハリー・ファン・デル・カンプ(指)ジェズアルド・コンソート・アムステルダム
作曲家としては改革者であったジェズアルドのマドリガルは、教会音楽と一線を画した“お楽しみ”の気分にあふれており、別の顔を垣間見るような作品集です。作曲家の名前を冠したグループの歌は、自信に満ちた名唱です。
777139-2F
カリヴォダ(1801-1866):交響曲第5番/同第7番(世界初録音)/序曲第16番 クリストフ・シュペリング(指)
ダス・ノイエ・オルケスター
チェコのプラハに生まれたカリヴォダは、シューマンの援護を受けて多くの作品を生み出し、ベートーヴェンの再来という評も出たほどの才能。ロマン派交響曲の幅広さを知るため、ぜひともチェックしていただきたい一枚。
777140-2M
キンケル(1810-1858):32の歌曲集:ライン地方の歌、スペインからイタリア、スコットランド、フランス民謡、童謡、愛の歌、革命讃歌 イングリット・シュミットヒューゼン(S) 、
トーマス・パルム(フォルテピアノ…エラール)
ファニー・メンデルスゾーンらと並び称される、19世紀前半の女性作曲家。さまざまなスタイルの歌を集め、アイデアに跳んだ歌い方で紹介していくという楽しい作品集です。美しい声はもとより、古いタイプのフォルテピアノの音が、ノスタルジーを誘います。
777141-2F
A・スカルラッティ(1660-1725):<劇的カンタータ集>すでに風に引かれて(ソプラノと2つのヴァイオリン、通奏低音のためのカンタータ)/セレナータ「夜、あなたが軽やかに道を探し求める」(ソプラノと2つのヴァイオリン、通奏低音のためのカンタータ)/ネロ「私はネロ、世界を支配する者」(ソプラノと通奏低音のためのカンタータ)/オルフェオ「地獄の支配者の闇の王国より」(ソプラノと2つのヴァイオリン、通奏低音のためのカンタータ) エリーザベト・ショル(S)、フェデリコ・マリア・サルデッリ(指)モード・アンティクオ(古楽器使用)
アンドレアス・ショルの姉妹であり音楽学者でもあるエリーザベト・ショルが、自らの研究成果を問うような一枚。オペラと宗教音楽の作曲家だった父スカルラッティの魅力にあふれ、輝かしいサウンドを再現しています。
777142-2F
パレストリーナ:モテット集第4巻「ソロモンの雅歌より」(5声のための29のモテット) リヴィオ・ピコッティ(指)カペラ・ドゥカーレ
人間と自然、神と愛など、宗教的かつ哲学的なテキストを使い、この作曲家のもっともシリアスな側面を聴かせてくれる作品集。多くのミサ曲を愛するリスナーを、さらに深い世界へと連れて行く一枚となるでしょう。 
777143-2F
ベーム(1661-1733):カンタータ集
べーム
(1661-1733):カンタータ「神の王国は神の如し」/カンタータ「おお神よ来れ」/カンタータ「友は私のもの、私は友のもの」/カンタータ「万軍の主なる神よ、あなたの住まいはなんと素敵な場所でしょう」
イルメラ・ブリュンガー(S)、インガ・シュナイダー(Ms)、ビート・デュデック(A)、イェルン・リンデマン(T)、マルクス・フライヒ(B)、ラルフ・ポプケン(指)カペラ・ザンクティ・ゲオルギ、ムジカ・アルタ・リパ
世界初録音。 J.S.バッハに大きな影響を与えたと言われ、特に自身も得意としていたオルガン作品では、ドイツ風の構成にフランス風の装飾を加えるなどして、まさにJ.S.バッハに先駆けた革新をしていました。このカンタータ集は、そうしたベームの日常にあった教会生活の結晶だと言えるでしょう。
777144-2M
ミッデルシュルテ(1863-1943):<オルガン作品集第3集>
BACHとJ.S.バッハの4つの主題によるフーガによるカノン風幻想曲/J.S.バッハの主題による協奏曲/J.S.バッハ:トッカータとフーガBWV.565(ミッデルシュルテによるピアノ譜付き)
ユルゲン・ゾンネンタイル(Orgドイツ、聖ペトリ教会、ゲーラルト・ヴェール製オルガン)、フィリップ・マイヤーズ(P)
ドイツに生まれ、アメリカのシカゴに移住したミッデルシュルテ。シカゴ響でもオルガン奏者として活躍した彼の作品は壮大なゴシック・スタイルで、ロマン派オルガン音楽の正統派と呼べる雰囲気にあふれています。
777146-2F
ペッテション(1911-1980):交響曲第12番「広場の死者」 マンフレッド・ホーネック(指)
スウェーデンRSO、スウェーデン放送cho、
エリック・エリクソン室内cho
長大な交響曲をいくつも書き上げ、北欧シンフォニストの中でも孤高の存在であるペッテション。合唱を伴う第12番は1973年に委嘱された大作で、政治的なテキストも話題となった作品。日本にも客演の多いホーネックが、世界最高の合唱団を得てドラマを描きます。
777147-2M
サッリネン(1935-):序奏とタンゴ序曲
室内音楽第3番「ドン・フアンキホーテの夜の踊り」
セバスティアン・ナイトのための悲歌
室内音楽第4番「セバスティアン・ナイトのための悲歌のメタモルフォーゼス」
室内音楽第5番「バラバ変奏曲」
アルト・ノラス(Vc)、
ミカ・ヴァユリュネン(アコーディオン)、
ラルフ・ゴトーニ(P、指)
ヴィルトゥオージ・ディ・クーモ
シベリウスの後継者でもあるサッリネンですが、タンゴにインスパイアされた作品集はちょっと珍しいもの。しかし意外にもフィンランドでは、タンゴが愛好されているのです。そのスタイルを自らの作風とミックスした作品集であり、北欧音楽への認識が大きく変わるでしょう。
777148-2F(2CD)
レハール:喜歌劇「エヴァ」(アルフレート・マリア・ヴィルナー&ロベルト・ボダンツキー台本、ダイアローグを含む完全録音) モレニケ・ファダヨミ、
ゾラ・アントニク、ラインハルト・アレッサンドリ、
トマス・マリク、ゲルハルド・バルッフ、
トマス・ツィステラー、
ヴォルフガング・ボジチ(指)
フランツ・レハールO、
バート・イシュル・レハール・フェスティヴァルcho
楽しいだけがオペレッタじゃない!とでも言いたくなる、レハールの社会派作品は、とある工場の労働者と雇用者のあつれきと、労働者たちの決起が題材。1911年に初演された際にはスキャンダルを起こしましたが、今回の録音はすべてのセリフを再現させた、まさに蘇演となります。
777149-2M
モリーク:弦楽四重奏曲ヘ長調/イ短調 マンハイムSQ
ウィーンでシュポアらに学び、シュトゥットガルトでは長年に渡ってリーダー的存在だったモリーク。本職はヴァイオリニストだっただけに残された作品はさほど多くありませんが、弦楽四重奏曲は自身が演奏することもあってか12曲。このディスクで2作品がスポットライトを浴びました。
777151-2M
オンスロウ(1784-1853):九重奏曲/五重奏曲 マーアロット五重奏団、
マンデルリンクSQ、ヴォルフガング・ギュトラー(Cb)
ポスト・ベートーヴェンの一人として当時の人気作曲家だったオンスロウですが、ここ数年で多くの作品が録音され、復権へとつながっています。特に管楽器も含めた「九重奏曲」は、ベートーヴェンやシューベルトが類似した編成で書いている作品に並ぶ佳曲です。
777152-2F
ヴェッツ:レクィエム ツンブエルト、ホフ、/G・A・アルブレヒト(指)ワイマール・チューリンゲンCO
777153-2M
バッハ:<オルガン作品全集第17集:初期版&ヴァリアント集>
前奏曲、トリオとフーガBWV541&528/3/同BWV545&529/2/同BWV545b/前奏曲とフーガBWV533a/同BWV535a/幻想曲とフーガBWV562/1&546/2/さまざまな手法による18のライプツィヒ・コラール集〜バビロン川のほとりでBWV653b/フーガBWV532a
ゲアハルト・ヴァインベルガー(Org……[BWV541&528/3、BWV533a、BWV535a、BWV562/1&546/2]ドイツ、チューリンゲン、ヴァンダスレーベン、聖ペトリ教会のヨハン・ゲオルク・シュレーター製オルガン[1724年製]使用 [その他の作品]チューリンゲン、ミュールベルク、聖ルカ教会のフランシスクス・フォルクラント/エルンスト・ジークフリート・ヘッセ製オルガン[1729/1823年製]使用)
このシリーズ久しぶりのリリースですが、今回は有名な「前奏曲とフーガ」などを軸として、各作品のオリジナル稿や編作などを共に収録し、比較ができるような内容。マニア必聴のおもしろさがある一枚です。
777154-2S(1SACD)
ハウアー(1883-1959):交響作品集
黙示録幻想曲/ロマンティック幻想曲
組曲第7番/ヴァイオリン協奏曲
12音の遊び(9.08.1957)
12音の遊び(22.09.1957)
トーマス・クリスティアン(Vn)、
ゴットフリート・ラーブル(指)ウィーンRSO
20世紀前半にシェーンベルクと同じく無調〜12音主義の作品を発表したものの、シェーンベルクとは違った進化を追求した12音技法により、孤高の存在となってしまったハウアー。さまざまな楽器を使ってシリーズ化された「12音の遊び」は代表作でもあり、シャープなサウンドを実現したこの録音が再評価を促すかもしれません。
777155-2F(2CD)
プフィッツナー:喜歌劇「キリストになった小悪魔」 マルリス・ペーテルゼン、マルティナ・リュ―ピング、ケヴィン・コナーズ、クリスティアン・バウアー、ミヒャエル・ヘール、アンドレーアス・ヘール、フリーデマン・レーリヒ、リチャード・ソルター、アンドレア・ソコル、クラウス・ペーター・フロール(指)ミュンヘンRSO、テルツ少年合唱団
クリスマス向けのファンタジー・オペラであり、2004年の12月にライヴ録音されたもの。2002年に東京室内歌劇場が上演し、一部で話題となった作品ですが、メルヘン的なストーリーゆえにドイツなどでは高く評価されているようです。フロールの手堅い指揮や歌手陣が光ります。
777156-2M
アッテルベリ:弦楽のための交響曲/アダージョ・アモロッソ(ヴァイオリンと弦楽のための)/間奏曲/序奏とフーガ/組曲第7番(シェイクスピア「アントニーとクレオパトラ」付随音楽) ウルフ・ヴァーリン(Vn、指)
カメラータ・ノルディカ
cpoが交響曲全集を完成させリリースされたスウェーデンのアッテルベリ。さらにこの作曲家を深く知るための一枚であり、弦楽作品の名曲が多い北欧の面目躍如とも言える、美しい曲ばかりです。「弦楽のための交響曲」は弦楽四重奏曲の改作です。
777157-2M
ヴォルフ=フェラーリ:管楽協奏曲全集
オーボエと小管弦楽のための牧歌(コンチェルティーノ)
ファゴットと小管弦楽のための組曲(コンチェルティーノ)
イングリッシュ・ホルン,弦楽と2つのホルンのための小協奏曲
ディエゴ・ディーニ=チアッチ(Ob&イングリッシュ・ホルン)、
パオロ・カルリーニ(Fg)、
ツォルト・ハマル(指)パドヴァ・ベネトO
「聖母の宝石」間奏曲だけではない作曲家として、CPOの録音などにより徐々にその全貌がわかってきたW=フェラーリですが、この一枚も大切な存在に。特にイングリッシュ・ホルンの協奏曲は、演奏者・リスナー共に注目の1曲です。
777158-2S(1SACD)
グラウン(c.1703−1759):ソリスト,合唱と管弦楽のためのテ・デウム、合唱と通奏低音のための3つのモテット フリッツ・ネフ(指)
ラルパ・フェスタンテ、
バーゼル・マドリガリステン、
モニカ・マウフ(S)、
エリーザベト・フォン・マグヌス(Ms)、
ベルンハルト・ゲルトナー(T)、
クラウス・メルテンス(Bs)
18世紀中盤にデンマーク王のオペラ作曲家・指揮者として活躍したグラウン。王室の華麗な雰囲気にふさわしい「テ・デウム」は、作曲家の実力をうかがえる作品。「3つのモテット」はJ.S.バッハの作風を彷彿とさせる作品です。
777159-2M
イザイ:2つのヴァイオリンのためのソナタ、
ミヨー
:2つのヴァイオリンのための二重奏曲、
2つのヴァイオリンのためのソナティナ、
オネゲル
:2つのヴァイオリンのためのソナティナ
トーマス・クリスティアン(Vn)、
ダニエラ・プライメスベルガー(Vn)
3人の作曲家による、珍しい2つのヴァイオリンのための作品を集めた一枚。イザイの難曲などを、師弟関係にある2人のヴァイオリニストがドラマティックに熱演。各作曲家のファンはもちろん、ヴァイオリンの新しいレパートリーを探している方にもおすすめです。
777160-2(5CD)
ペッテション=ペリエル(1857-1942):交響曲,管弦楽曲,ヴァイオリン協奏曲全曲集
交響曲第1番「旗」、組曲「過ぎし夏」、
交響曲第2番「南国への旅」、ロマンス、
オリエンタル舞曲、カンタータ「スヴェーガルドラー」前奏曲、
交響曲第3番「ラップランド」、「エアリナ」組曲、
歌劇「最後の審判の日の予言者」〜コラールとフーガ、
交響曲第4番「ホルミア」、管弦楽組曲「眠りの森の美女」、
組曲「フレースエーの花々」第1番、
交響曲第5番「孤独」、ヴァイオリン協奏曲
ミハイル・ユロフスキ(指)
ザールブルッケンRSO、
ノールショッピングSO、
ウルフ・ヴァーリン(Vn)
777161-2M
オッフェンバック:<ピアノ作品集第2集>
ワルツ「夕刊」/学生ポルカ/ レントラー「雪玉」/ヴァルス「黄金の流れ」/ギャロップ「馬車の御者」/ヴァルス組曲「ジャクリーヌ」/貧者のポルカ/大ヴァルス「ナヴァラの女王の物語」/ポルカ「ロンドンの思い出」/ヘルミニェン・ワルツ/ポルカ=マズルカ「マドレーヌ」/祭のポルカ・ダンス/美しいアメリカ人たち/バーレスク・ポルカ/ヴァルス「谷間の城にて1845年8月9日作曲」/地獄のギャロップ(オッフェンバック=ソッリーニ)
マルコ・ソッリーニ(P)
シリーズ第2弾は、1850年から1876年に作曲された作品集。シュトラウス一家のパリ風といった雰囲気で楽しさは満点ですが、この時代のパリもまた舞踏会などが人気を集めていたことがわかります。ピアノの新しいレパートリーとしても注目されるべきでしょう。
777162-2F(2CD)
ミヨー<ピアノと管弦楽のための作品全集>
エクスの謝肉祭/バラード/5つの練習曲/ピアノ協奏曲第1番/田園の幻想曲/ピアノ協奏曲第2番/ピアノ協奏曲第3番/ピアノ協奏曲第4番/ピアノ協奏曲第5番
ミヒャエル・コルスティック(P)、アラン・フランシス(指)SWRカイゼルスラウテルン放送O
SWRカイゼルスラウテルン放送管弦楽団 いくつかは録音があるものの、全集という形でリリースされるのは珍しいピアノ協奏曲と、その他の作品集。機知に富んだその作風は、交響曲など他のジャンルと変わりなく、“転調のサーカス”とでも評したくなるような楽しさが、全編にあふれています。
777163-2
ブルーノ・ワルター:交響曲ニ短調 レオン・ボットスタイン(指)ドイツRSO
大指揮者として知られるワルター(1876-1962)ですが、当時の音楽家の常として彼も作曲に勤しんでいたことは案外知られているのではないでしょうか。今までにも歌曲など若干のリリースがあったのですが、今回はついに大曲「交響曲」の登場です。この作品は1907年に作曲されたもので、随所にマーラーの影響が感じられるのは否めませんが、もう少し表現的で柔らかい色調を持った傑作です。
777165B02
ニルス.W.ゲーゼ:室内楽作品全集第2集
弦楽四重奏曲ホ短調Op.8(1877/1889)
ピアノ三重奏の楽章変ロ長調(1839)
スケルツォ嬰ハ短調(1836)
アンサンブル・ミットヴェスト
コペンハーゲンで生まれ、17歳の時に王室オーケストラでヴァイオリン奏者として活動を始めたというゲーゼ(1817-1890)。作曲家としても認められようと、「交響曲第1番」をオーケストラに提出したのですが演奏を拒否されてしまいます。納得が行かなかったゲーゼは、その作品をメンデルスゾーンに送ったところ絶賛され、なんとメンデルスゾーン自身の指揮でライプツィヒにて初演、そこでゲーゼもライプツィヒに移り、この地で演奏活動を開始し、シューマンとも親交を結ぶという面白い経歴を持った人です。しかし、メンデルスゾーンの死後はデンマークに戻り、この地の音楽普及に力を尽くし、最終的には権威ある教育者としてグリーグやニールセンに影響を与えることとなります。このアルバムには、ライプツィヒ時代の2曲と、後年に書かれた劇的な弦楽四重奏が収録されています。初期の作品には確かに恩師メンデルスゾーンの面影がありますが、弦楽四重奏では完全に独自の作風が確立されています。
777166-2F(4CD)
ロゼッティ(c.1750-1792):<管楽協奏曲集>
オーボエ協奏曲ハ長調/オーボエ協奏曲ニ長調/オーボエ協奏曲ヘ長調、クラリネット協奏曲第1番/クラリネット協奏曲第2番/2つのホルンのための協奏曲ヘ長調、2つのホルンと管弦楽のための協奏曲 Murray C56Q/Kaul deest/2つのホルンと管弦楽のための協奏曲 Murray C57/Kaul III:53/2つのホルンと管弦楽のための協奏曲 Murray C58/Kaul III:51/2つのフルート、2つのホルンと弦楽のための夜想曲 Murray B27/Kaul I:58(初録音)、ファゴット協奏曲 Murray C74/Kaul III/62 ファゴット協奏曲 Murray C75/Kaul III/63/ファゴット協奏曲 Murray C73/Kaul III/61/ファゴット協奏曲 Murray C69/Kaul III/60
ラヨシュ・レンチェシュ(Ob)、
ボフダン・ヴァルハル(指)スロヴァキアCO、
ディーター・クレッカー(Cl)、
クラウス・ヴァレンドルフ(Hrn)、
サラ・ウィリス(Hrn)、
ホルガー・シュレーター=ゼーベック(指)
バーデン・バーデン&フライブルクSWR響、
クラウス・ヴァレンドルフ(1Hrn)、
サラ・ウィリス(2Hrn)、
ヨハネス・モエズス(指)
バイエルン室内PO、
エッカート・ヒュープナー(Fg、指)ドイツCO(ノイス)
既発売の4枚をボックス・セット化。ボヘミア楽派の重要な作曲家であり、ハイドンやモーツァルト研究にも欠かせない存在。また管楽器奏者にとっては貴重なレパートリーでもあるので、資料としても貴重な録音集です。
777167-2F
C-A.ベリオ(1802-1870):<ヴァイオリン協奏曲集>
ヴァイオリン協奏曲第7番、第2番、第4番
ラウレント・アルブレヒト・ブロイニンガー(Vn)、フランク・ベールマン(指)北西ドイツPO
19世紀のヴィルトゥオーゾ・ヴァイオリニストであり、フランコ=ベルギー楽派の重要なプレイヤーでもあるベリオ。協奏曲は彼のテクニックを探る格好の材料であり、その見事な書法には驚かされます。
777168-2S(1SACD)
アカペラの楽しみ
オーストリアとスロヴェニアの27の本格的民謡集
シュニットプンクトヴォーカル男声四重cho、
クヴァルテットVITA
カウンター・テノールのペーター・パウムガルテンを中心とした声楽アンサンブルが、アルプス地方とスロヴェニアの民謡を歌う、合唱および声楽アンサンブル・ファン必聴の一枚。中部ヨーロッパの民謡を集めた録音は意外に少なく、その意味でも貴重です。
777169-2M
リーム:符帳集[符帳 I(ピアノと7つの楽器のための)
打ちのめされた沈黙(符帳II)(14人の奏者のための)
符帳III(12人の奏者のための)
符帳IV(バス・クラリネット、チェロとピアノのための)
符帳V(アンサンブルのための)
形式(1つの符帳)(9人の奏者のための)
符帳VI(8つの楽器のための)
符帳VII(アンサンブルのための)
符帳VIII(8人の奏者のための)
後書き(1つの符帳)(アンサンブルのための)]
ステファン・アズベリー(指)
ムジークファブリーク
1983年にはじまり、1988年まで続いた「符帳」シリーズの集大成。アバドほかの強力なサポートでオーケストラ作品が聴かれることの多いリームですが、音楽的な構造を探るために重要な作品シリーズです。   (0420)
777170-2M
ツァイスル(1905-1959):ホルツ、ハルトレーベン、ビールバウム、シャウカル、ベーム、フライシュレン、ゲーテ、ヘルマン、シュラーフ、ブッシュ、ニーチェ、アイヒェンドルフ、レッシング、ギルム、リンゲルナッツ、パウルゼン、モルゲンシュテルンの詩と「少年の魔法の角笛」による28の歌曲集 ヴォルフガング・ホルツマイアー(Br)、
コート・ガーベン(P)
ユダヤ人であるがゆえに、コルンゴルトらと同じくナチの台頭によってアメリカ西海岸へと亡命したツァイスル。しかしながらここに収録された歌曲集はウィーン時代の産物であり、ストレートな後期ロマン派の表現によるもの。ホルツマイアーとガーベンという確かな再現者を得たからこそ実現した歌曲集です。
777174-2F
スーク:交響詩「夏物語」、リャードフ:魔法にかけられた湖 - おとぎ話の絵(ライヴ録音) キリル・ペトレンコ(指)ベルリン・コーミッシェ・オーパーO
ドヴォルザークやスメタナの叙情的な側面を受け継ぎ、豊かなメロディで20世紀チェコ音楽史にレールを敷いたスーク。この作品は構成からも作風からも、彼の“田園交響曲”だと言えるでしょう。幻想的なリャードフの音詩は、ほの暗いロシアの民話を思わせます。
777175-2F
エルトマン(1896−1958):交響曲第4番/管弦楽のための小セレナード「モノグラム」/小管弦楽団のためのセレナード イスラエル・イーノン(指)
フランクフルト・ブランデンブルク州立O
交響曲第3番の録音(777068-2)が好評で迎えられ、20世紀音楽の中でももっとも叙情的な作品という評価まで与えられたエルトマン。交響曲ファンはもちろん、北欧およびロシア音楽ファンに注目していただきたい作曲家であり、これからのリリースも楽しみなシリーズです。
777177-2S(1SACD)
シュポア:交響曲集 第1集
交響曲第3番 Op.78
第10番 WoO 8(世界初録音)/序曲WoO 1
ハワード・グリフィス(指)
ハノーファー北ドイツ放送PO
古典派からロマン派への掛け橋としてもおなじみ、シュポアの交響曲です。ヴァイオリン協奏曲や、クラリネット協奏曲が良く知られていますが、交響曲も10 曲(最後の1 は未完成)あり、曲によっては凝った名前がついていたりとなかなか興味をそそられます。このアルバムには、未完の第10 も収録。こちらは世界初録音となります。
777178-2S
(1SACD)
シュポア:交響曲集第2集
交響曲第2番ニ短調Op.49、
交響曲第8番ト長調Op.137、
演奏会用序曲「重大な様式に」Op.126
ハワード・グリフィス(指)NDR放送PO
第1集が好評のグリフィスによるシュポアの交響曲第2集です。第2番の交響曲は当時のロンドン・フィルハーモニー協会(LPOとは別団体)から依頼を受けたシュポアが気合を入れて書いた作品で、初演の成功により、彼はイングランドで「最も成功した作曲家」と称賛されました。それから25年近くを経て書かれた第8番は、一層練られた作風で聴きごたえもたっぷり。
777183-2B(4CD)
ヴェレス(1885-1974):交響曲全集
交響曲第1番&第8番、交響的エピローグ
交響曲第2番&第9番
交響曲第3番&第5番
交響曲第4番,第6番&第7番
ゴットフリート・ラプル(指)ウィーンRSO
ウィーンの作曲家、エゴン・ヴェレスの位置づけは、シェーンベルク、ベルク、ウェーベルンなどの「新ウィーン楽派」と同じあたりにあるでしょう。しかし、彼は十二音などにも関心を示したものの、結局のところはもう少しわかりやすい劇音楽などを多く書き、独自の音楽路線を貫いたのでした。ここでは彼の9曲ある交響曲を全て網羅。豊かでダイナミックな響きに満ちたロマン派風の初期の作品から、無調とも言える後期の作品まで彼の作風の変遷をじっくりお楽しみください。ちなみに「皇紀二千六百年に捧ぐ」を書いたシャンドール・ヴェレシュとは別の人です。
777184-2M
エーベルル(1765-1807):ピアノ,クラリネット,2つのヴィオラとチェロのための大五重奏曲
ピアノ,クラリネットとチェロのための大三重奏曲
ピアノ,オーボエ,ヴァイオリン,ヴィオラとチェロのための華麗な五重奏曲
コンソルティウム・クラシクム
、トマス・ドゥイス(P)
ウィーンで活躍したエーベルルは、コンチェルト・ケルンなどのCDにより日本でも有名になりました。モーツァルトとベートーヴェンの橋渡しをしたその作風は、古典派音楽ファンにはマストアイテムであり、クレッカー率いるコンソルティウム・クラシクムの名演が、その音楽を際だたせます。
777185-2M
ヴェックマン(ca.1616-1674):<ハープシコードのための作品集>
トッカータと前奏曲 ニ調/トッカータ ホ調/同イ調 /12トゥオーノのトッカータ ハ調/カンツォン集/パルティータ集/おお、祝福されし光
ヤン・カシュチケ(リュート&リュート・ハープシコード)
シュッツやヤコブ・プレトリウスらに師事し、北ドイツのオルガンおよび鍵盤楽器文化を豊かにしたと言われるヴェックマン。その流れにはブクステフーデやJ.S.バッハがあり、ドイツ・バロックのルーツ的な作曲家だと言えるでしょう。この作品集で、正統派の素晴らしさを知ってください。
777188-2F
クロイツァー(1766-1831):ヴァイオリン協奏曲第15,18,19番 アルブレヒト・ブロイニンガー(Vn)
アラン・フランシス(指)
ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送PO
ロドルフ・クロイツァー(フランス読みはロドルフ・クレゼール)はフランスのヴァイオリニスト・作曲家・指揮者です。あのベートーヴェンが第9番のソナタを献呈したこと知られていますが、実際のところ、彼はこの曲を一度も演奏しなかったようです。現在では、彼はヴィオッティと並ぶ評価を受け、ヴァイオリン奏法の近代化に寄与した人物として認知されています。この3つの協奏曲は従来の3楽章形式を継承していますが、溢れる楽想がとても豊かで、この作曲家の並々ならぬ才能を感じさせるものです。全部で19曲ある彼の協奏曲の全貌が明らかになる日も近いことでしょう。彼の代表作である「40の練習曲と奇想曲」は999901-2(2枚組)も発売中。
777190-2M
マティーカ(1773-1830):ノットゥルノ ト長調(フルート、ヴィオラとギターのための)
セレナード ハ長調(フルート、ヴィオラとギターのための)
セレナード・ア・トロワ[カール・カイザー(Fl)、ペトラ・ミュレヤンスヴァ、ソーニア・プルンバウエル(G)]
ボヘミアに生まれ、18世紀の終わり頃より作品が注目されたマティーカ。1800年にウィーンへと拠点を移してからは、さらに名声が広くとどろきました。当時としてはやや珍しい組み合わせの室内楽曲集ですが、それだけに独特の感性が目立ちます。
777191-2B(3CD)
トッホ(1887-1964):交響曲第1番/交響曲第4番、交響曲第2番、交響曲第3番、交響曲第5番、交響曲第6番、交響曲第7番 アラン・フランシス(指)ベルリンRSO
既発売の3枚をボックス化し、価格を下げての再リリースです。ウィーンに生まれ、ナチの台頭でアメリカへと亡命したトッホは、モダニズムに感化されながらもロマン派の香りを残しつつ、多くの管弦楽作品を作曲しました。
777192-2F
ネルーダ(1843-1915):チェロ協奏曲第1番〜第5番 ベアーテ・アルテンブルク(Vc)、
ゴロー・ベルク(指)デッサウ・アンハルトPO

録音:2005年5月19-20日ライヴ
デンマークのコペンハーゲンで活躍し、チェリストとしても名前を挙げたネルーダの協奏曲集。自らの演奏のために書かれ、このライヴ録音は自筆譜をあたっての蘇演と言うべき貴重なもの。北欧音楽ファンには、ロマン派の一面を垣間見るように聴いていただきたい一枚です。
777193-2M
ザレブスキ(1854-1885):<ピアノ作品集>
グランド・ポロネーズ/薔薇と棘/子守歌/タランテラ/ヴァルスOp.27-2/同〜Op.27-6/メロディア/マズルカ
マリアン・ミカ(P)
リストに師事し、ポーランドのヴィルトゥオーゾ・ピアニストとして活躍したザレブスキ。30歳足らずで亡くなり忘れられた存在となりましたが、19世紀ヴィルトゥオーゾの系譜を語る際に注目したい音楽家であり、その作品からテクニックをうかがい知ることができるでしょう。
777194-2(DVD)
レハール:喜歌劇「ルクセンブルク伯爵」 ボー・スコウフス、
ユリアーネ・バンゼ、
ライナー・トロスト、
ガブリエーレ・ボーネ、
アンドレーアス・コンラート、
エーファ・マリーア・マロールト、
シュテフェン・レスラー、アルフレート・エシュヴェ(指)ウィーンRSO

収録:2005年7月16日、ウィーン、アン・デア・ウィーン劇場ライヴ(ウィーン・クランクボーゲン音楽祭2005)/NTSC方式/画像構成比:4:3/音声方式:ドルビー・デジタル5.1、PCMステレオ/135分/英・仏・独語字幕付き
「ほほえみかける幸福」「ルクセンブルク・ワルツ」といった素晴らしいアリア、ワルツもふんだんにある作品であり、スコウフスやバンゼほかの名歌手たちによって作品の魅力が倍増。当初はCD制作だったものの、演出など視覚的な素晴らしさを考慮してDVD化されました。オペレッタ・ファンは必見です。
777196-2S(1SACD)
シベリウス:クレルヴォ交響曲 アリ・ラシライネン(指)
ラインラント=プファルツ国立PO、
サトゥ・ヴィハヴァイネン(S)、
ユハ・ウーシタロ(バスBr)、KYL男声cho
初期の作品でありながら、カレワラの世界を題材にしてシベリウス色を確立している「クレルヴォ」が、SACDハイブリッドでリリース。北欧音楽のスペシャリストとして評価を定着させたラシライネンが、ドイツのオーケストラを指揮して若きシベリウスの芸術を再現します。
777198-2S(1SACD)
リューベック(1654-1740):<オルガン作品全集>
前奏曲 ハ調/同ト調/同ニ調/プレアンブルム ヘ調(息子の作とされる)/同ホ調/同ハ調/同ト調(息子の作とされる)/汝らキリスト者よ、こぞりて主をたたえよ/いざ我ら主なる神に/主イエス・キリスト、われ汝を呼ぶ/甘き喜びのうち(息子の作とされる)
フリードヘルム・フラメ(Org……ドイツ、ゴスラー近郊グラウホフ、聖ゲオルク参事会教会、クリストフ・トロイトマン製オルガン[1734-37年製]使用
J.S.バッハと同時代に活躍した北ドイツ・バロックの作曲家によるオルガン曲集(同名の息子による作品も含む)が、SACDの威力を十分に味わえるサウンドにより蘇りました。作曲者存命当時の楽器を使い、ブクステフーデやJ.S.バッハらと同じ伝統を持つ音楽を、誇張することなく現代へと伝えてくれる一枚です。
777199-2F
ペッテション(1911-1980):ヴァイオリン協奏曲第2番(改訂版) イザベレ・ファン・コイレン(Vn)、
トーマス・ダウスゴー(指)スウェーデンRSO
1970年代後半に作曲された長大な作品。約50分もの間途絶えることなく、気分のテンションが張り続けているその音楽は、交響曲などと同様にこの作曲家の作風を代表するものです。1999年の改訂版を使った録音であり、クレーメルやアルゲリッチなどとの共演も多い奏者の壮絶な演奏も聴きものです。

777201-2M
フリッツ・フォン・ボーゼ:ピアノ作品集
組曲第 2番 Op.20/3つの小品 Op.10
エレジー Op.21-1/主題と変奏 Op.17
.組曲第 1番 Op.9
アレクサンドラ・エーラー (P)
「ライプツィヒのブラームス」と称されたザクソン生まれの作曲家フリッツ・フォン・ボーゼ(1865-1945)のピアノ作品集です。彼はライプツィヒ音楽院でM.レーガー、K.シュトラウベなど著名な教師に学び、私的にライネッケにも師事、まずはコンサート・ピアニストとして華々しいデビューを飾りました。同時に室内楽伴奏ピアニストとしての腕も磨き、1912年からはライプツィヒ音楽院で教授も務めています。1932年に教授職を退き、その後は静かな余生を送りました。そんな彼の 40作ほどの作品は、孫娘であるエリカ・フォン・ボーゼが編纂し、現在に伝えられています。その中から、彼の特徴が捉えられた作品を選んでこのアルバムが作られています。
777203-2M
ヨハン・ソベック:管楽五重奏曲集
管楽五重奏曲Op9.11&14
アルベルト・シュヴァイツァー五重奏団
1831年カールスバート生まれの作曲家ソーベック。その生涯はほとんど知られていません。かろうじて記録に残っているのは、プラハ芸術学校で学んだ後、クラリネット奏者として活躍、1851 年から1901 年まではハノーヴァーの王立歌劇場で首席クラリネット奏者を務めたことでしょうか。ここに収録された作品はいずれも美しいメロディに満ち、そして存分に技巧的です。クラリネットの扱いはもちろんのこと、オーボエ、ホルン、バスーン、フルート各々の音の絡み合いは見事の一言に尽きるでしょう。
777204-2M
ファッシュ(1688-1758):オーボエ,ヴァイオリン,ファゴットと通奏低音のための四重奏曲 ニ短調
オーボエ,ヴァイオリンと通奏低音のための三重奏曲 ホ短調
ファゴットと通奏低音のためのソナタ ハ長調
リコーダー,オーボエ,ヴァイオリンと通奏低音のための四重奏曲 変ロ長調
オーボエ,ヴァイオリンと通奏低音のための三重奏曲 ト短調
ヴァイオリン,オーボエ,ファゴットと通奏低音のための四重奏曲 ヘ長調
リコーダー,ファゴットと通奏低音のためのカノン ヘ長調
エポカ・バロッカ
18世紀のドイツにおいてテレマンらと並ぶ才能を開花させていたファッシュですが、優れた演奏家に恵まれて管楽器作品を残しました。ライプツィヒでも活躍し、J.S.バッハと比肩されてもいい存在ですが、cpoの注目アンサンブルがその魅力を引き出しています。
777205-2M
ヴィエルダンク(c.1605-1646):<カプリッチョ、カンツォーナ&ソナタ集>第21番:カンツォーナ ハ長調/第11番:カプリッチョ ニ短調/第17番:カプリッチョ イ短調/第2番:カプリッチョ イ短調/第23番:カンツォーナ ト長調/第8番:カプリッチョ イ短調/第15番:パッセメッツォ イ短調/第16番:ガリアードに イ短調/第3番:カプリッチョ ニ短調/第20番:カプリッチョ イ短調/第10番:カプリッチョ ニ短調/第18番:カプリッチョ ニ短調/第4番:ソナタ ニ短調/第22番:カンツォーナ ト短調/第9番:カプリッチョ ニ短調/第19番:カプリッチョ ト短調/第1番:カプリッチョ ニ短調/第24番:カンツォーナ イ短調/第7番:カプリッチョ イ短調/第25番:カプリッチョ ハ長調 パルナッシ・ムジチ(古楽器使用)
ドレスデン近郊で生まれシュッツに師事。ドレスデン宮廷での活躍と晩年のオルガニスト生活が人生のハイライトとなっているヴィエルダンクは、バロック音楽ファン注目の作曲家です。その作風を知ることができる作品集だと言えるでしょう。
777206-2F
ビシュホフ(1868-1936):交響曲第2番他
交響曲第2番ニ短調/序奏とロンド
ヴェルナー・アンドレアス・アルベルト(指)
ドイツ.ラインラント=プファルツ国立PO
非常に高い能力を有していたにも関わらず、残された作品があまりにも少なかったためか、現在ではすっかり忘れ去られてしまった作曲家ヘルマン・ビシュホフの交響曲を聴いてみてください。彼はR・シュトラウスに絶賛され、音楽的環境も整えてもらったにも関わらず68年の生涯に2曲の交響曲、短い2つの管弦楽曲、2作(1作は未完)のオペラ、そして一握りの歌を書いたのみ。そんな寡作な人ですが、ここで聴ける作品は存分に牧歌的で魅力的です。もっとたくさんの作品を聴いてみたいものですが、CDであと1枚分くらいの作品しか残されていないのが本当に残念です。
777208F
E.T.A.ホフマン:管弦楽作品集
交響曲変ホ長調/序曲「ウンディーネ」
.序曲&行進曲「オーロラ」
ヒャエル・アレクサンダー・ヴィレンズ(指)
ケルン・アカデミー
19世紀に活躍した芸術家の中でも、極めて特異な存在として知られるE.T.A.ホフマン(1776-1822)。彼は作家、作曲家、評論家、画家、法律家であり、中でも「幻想文学」の分野に先鞭をつけた功績が大きく「ホフマン物語」を始め「くるみ割り人形」や「コッペリア」、ヒンデミットの「カルディヤック」の原作は彼のものなのです。そんなホフマンですが、作曲家としても素晴らしい作品がいくつも残されていて、そのいくつかは現在でも愛奏されているのはご存知の通りです。しかし「交響曲」はただ1曲しか残されておらず、イマジネーションが豊か過ぎた彼にとっては、このような形式ばった作品を書くのは苦手だったのかもしれないと、ついつい想像してしまうのです。曲自体からは古典派からロマン派に移行する時代特有の香りが漂います。
777209-2S(1SACD)
W.ウィルムス(1772-1847):交響曲Op.9&23、
序曲ニ長調
ハワード・フリフィス(指)NDR放送PO
「オランダのベートーヴェン」と呼ばれるウィルムスは、その生涯の全てをアムステルダムで過ごしました。7曲の交響曲、5曲のピアノ協奏曲、他多くの管弦楽作品、室内楽作品、及び声楽曲を残しています。彼は活動の初期の若い頃に大成功を収めましたが、当時音楽界を席巻していたベートーヴェンの音楽の影響を受け過ぎてしまい、少しずつ人気も下降してしまい、今では全く忘れられた存在になってしまいました。この録音はウィルムスの後期の作品を収録したもので、グリフィスの素晴らしい解釈は彼の独創性について再考するための材料を与えてくれるはずです。
777210-2F
クルシェネク:交響曲第4番 Op.113(世界初録音)
合奏協奏曲Op.25-2
フォルカー・ヴォルリッチュ(Vn)
ディミタール・ペンコフ(Va)
ニコライ・シュナイダー(Vc)
アルン・フランシス(指)
ハノーファー北ドイツ放送PO
CPOレーベルでは、およそ20年前にクルシェネク(1900-1991)の交響曲の録音を続けていました。しかし、その時点で第4番は録音されることがありませんでした。その後、今から5年前にCPOのスタッフがクルシェネク研究所から呼び出しを受け、「ぜひとも交響曲全集を完成させてほしい」と懇願されたとか。それにより実現したのがこの録音です。この交響曲第4番は、クルシェネクがアメリカに亡命していた時期の作品で、大指揮者ミトロプーロスの依頼で書かれたものです。初演の指揮を担ったのもミトロプーロス。新古典主義、無調など当時の趨勢を見極めた意欲的な作品で、強い表現力と力溢れる音楽に満ちています。1920年代に書かれた合奏協奏曲も歯切れのよい作品です。
777211-2F
ヘルツォーゲンベルク(1843-1900):クリスマス・オラトリオ マティーアス・ベッケルト(指)
ヴュルツブルク・ヘルツォーゲンベルクO、
ヴュルツブルグ・エキュメニカル大学O、
アレクサンドラ・シュタイナー(S)、
バルバラ・ヴェルナー(A)、
ティルマン・リヒディ(T)、
ベネディクト・ナヴラート(T)、
フィリップ・ガイザー(Bs)、
ミヒャエル・バウアー(Bs)
4つのパートに分かれた合唱、6人の声楽ソリスト、オーケストラという編成で、ロマン派音楽特有の重厚さを備えた音楽を作り上げたのが、このオラトリオ。クリスマス劇を再現した音楽のようでもあり、ブラームスと同時代の音楽の感触を味わえます。
777213-2F(2CD)
ハイドン:人形劇のためのジンクシュピール「火事」 オットー・カッツマイアー(Br)
アンドレアス・カラジアク(T)
イザ・カタリーナ・ゲリッケ(S)
フェルディナント・フォン・ボトマー(T)
カペラ・アウグスティナ(オリジナル楽器使用)
アンドレアス・シュペリング(指)
「操り人形による音楽劇」は現在でもオーストリアで根強い人気を誇っています。1773年から1779年の間は、エステルハージ公の夏の別荘に大きな人形劇のための劇場があり、当時宮廷音楽監督であったハイドンも、この人形劇のために音楽を書いていました。この作品はウィーンの方言を多分に用いたとても楽しいもので、おそらく宮廷内の召使や御者たちでも楽しめるように作られていたのでしょう。
777214-2M
F.ベンダ(1709-1786):ヴァイオリン・ソナタ ハ長調
同イ短調/同ヘ長調/同ホ長調
同ハ長調/同変ホ長調
アントン・シュテック(バロックVn)、
クリスティアン・リーガー(ハープシコード)
ボヘミア地方に生まれ、華麗なヴァイオリンの作品と演奏テクニックで当時の音楽シーンを熱狂させたベンダ。ロココ風の装飾なども駆使したヴァイオリン・ソナタは人気作品であり、モーツァルトの時代を側面から知るためにも最適の音楽だと言えるでしょう。ビーバーのソナタ(777124-2)などで注目が集まるシュテックのまばゆい演奏にも注目です
777216-2F(4CD)

NYCX-10452(4CD)
日本語解説付国内盤
税込定価

フェルディナント・リース(1784-1838):交響曲全集
■CD1
交響曲第1番ニ長調 Op.23(1809)
交響曲第2番ハ短調 Op.80(1814)
■CD2
交響曲第5番ニ短調 Op.112(1813)
交響曲第3番変ホ長調 Op.90(1815)
■CD3
交響曲第4番ヘ長調 Op.110(1818)
交響曲第6番ニ長調 Op.146(1822)
■CD4
交響曲第7番イ短調 Op.181(1835)
交響曲第8番変ホ長調 WoO30(1822)
チューリヒ室内O
ハワード・グリフィス(指)

録音1999年9月(CD1)、2001年8月(CD3)、2002年5月(CD4)、1997年9月(CD2)
CD4のみSACDハイブリッド・ディスク(Stereo/Surround)
“ベートーヴェンの愛弟子”が、8作もの交響曲を世に送り出していた…… 日本国内のプロ/アマチュアオーケストラでも演奏機会が増えつつあるフェルディナント・リース(1784-1838)の交響曲、世界唯一の全集が国内仕様盤と してリリース。1809年から1835年まで、「クラシック作曲家になりたい」という願いのもとに書かれた渾身の交響曲群は、驚くべきネタの宝庫だった! 師ベートーヴェンの 初期作に似たトリッキーな幕開けの『交響曲第1番』、「運命」動機が支配する『第5番』、バロック・テイストの『第6番』、モーツァルトの「ジュピター交響曲」 を彷彿とさせる『第8番』。19世紀初頭、音楽家が「クラシック作曲家」を名乗るためにクリアしなければならなかった課題の全てがここにある。芸術とは、クラ シックとは、オリジナリティとは何なのか。その答えを探している方にもお聴きいただきたい交響曲集。--かげはら史帆 1784年にボンで生まれたリースは1801年にウィーンに移り、ベートーヴェンに師事。後に人気コンポーザー・ピアニストとして欧州各地を席巻しました。ピア ノ・ソナタやピアノ協奏曲を始め、交響曲、弦楽四重奏曲からオペラやオラトリオに至る幅広いジャンルに作品を書いたのは師ベートーヴェンに通じます。作 風は盛期古典派様式から初期ロマン派のスタイル。8曲の交響曲はすべてオーソドックスな4楽章構成で、曲想も構成も親しみ易く、ベートーヴェン作品を 思わせるモチーフが随所に登場します。日本では長らく演奏されることの無かったリースの交響曲ですが、2024年2月には第1番が、7月には第2番が、飯森範親指揮のパシフィックフィルハーモニ ア東京によって日本初演される予定。遂にリースの時代が来るのか、大いに注目です。 国内仕様盤には『ベートーヴェンの愛弟子〜フェルディナント・リースの数奇なる運命』の著者、かげはら史帆氏による日本語解説が付属します。
777217-2(2CD)
フルトヴェングラー(1886-1954):ヴァイオリン・ソナタ第1番
ヴァイオリン・ソナタ第2番
マティーアス・ヴォロング(Vn)、
ビルギッタ・ヴォレンヴェーバー(P)
1937年から38年にかけて作曲された2つのソナタは、交響曲第1番を作曲するためのステップにもなった作品であり、ロマン派音楽を突き詰めた形式と作風でさらに高く評価されるべきでしょう。ヴォロングはベルリン・ゾリステンのメンバーであり、シュターツカペレ・ドレスデンのコンサートマスターも務めた名手です。
777218-2F
テレマン:組曲集
リコーダーと弦楽,通奏低音のための組曲TWV55:a2、
2つのオーボエと弦楽,通奏低音のための組曲TWV55:F14、
フルートと弦楽,通奏低音のための組曲TWV55:Es2
カリン・ファン・へールデン(リコーダー、Ob、指)、
オルフェオ・バロックO
テレマン(1681-1767)時代、のダルムシュタット宮廷楽団で大活躍した、リコーダーおよびオーボエの名手ヨハン・ミヒャエル・ベーム。義兄弟でもあったテレマンはいくつかの素晴らしい作品を彼のために書きました。このアルバムに収録された3曲の序曲組曲も、実際は協奏曲と言えるほどに独奏楽器が華麗に活躍します。ケープタウン生まれのファン・ヘールデンはバロック・オーボエの第一人者。温かい音色が心を満たします。
777219-2F
ル・デュク(1742-1777):交響作品全集
交響曲(第1番)/同(第2番)/同(第3番)
管弦楽三重奏曲Op.2-1/同Op.2-2/同Op.2-3
ミヒャエル・シュナイダー(指)
ラ・スタジオーネ・フランクフルト(古楽器使用)
レオポルト・モーツァルトが言及したという程度にしか知られていない、18世紀フランスの作曲家。35歳という生涯の中、ヴァイオリニストとしても活躍した彼の才能を垣間見られるのが、この作品集でしょう。優雅さが印象的に残る作風です。
777223-2F
レズニチェク:交響曲第1番「悲劇的」〜祈りと贖罪の歌 マリナ・プルデンスカヤ(Ms)、
フランク・ベールマン(指)
フランクフルト・ブランデンブルク州立O
チェコ系オーストリアの作曲家、レズニチェクは歌劇指揮者としてドイツを中心にヨーロッパ各地で活躍した人です。多くの作品を残していますが、現在知られているのは、歌劇「ドンナ・ディアナ」の序曲くらい。他の作品は戦争中に散逸してしまい、ここに収録された交響曲第1番も90年間行方がわからなかったものです。この交響曲第1番は、絶えず繰り返される強迫観念のようなメロディを持つ、声楽と大編成(タムタムも使用)のオーケストラのための作品です。「悲劇的」というタイトルがなくともこの音楽の本質を理解することは容易いでしょう。狂気と崩壊を孕んだウィーン世紀末の特色を備えた作品です。
777224-2M
クラリネット三重奏曲集
ベートーヴェン(1770-1827):三重奏曲Op.11「街の歌」、
ランノイ(1787-1853):三重奏曲Op.15変ロ長調、
ルドルフ・フォン・エステーリッヒ
(1788-1831):三重奏曲変ホ長調
ディーター・クレッカー(Ob)、
グィド・シーフェン(Vc)、
オラフ・ドレスラー(フォルテピアノ)
明るく気品ある音色と絶妙の表現が人気の名クラリネット奏者、ディーター・クレッカーによるベートーヴェン時代の3つのクラリネット三重奏曲を集めた1枚です。1936年、ヴィッパータールに生まれ、ヨスト・ミヒャエルスに師事。知られざるレパートリーの発掘や、自らの編曲でクラリネットのレパートリーを各段に増やした人としても知られ、多くの人に愛される名奏者です。
777227-2M
リース:弦楽四重奏曲集第2集
弦楽四重奏曲第2番ト長調Op.70−2、
弦楽四重奏曲第20番へ短調WoO48
シュパンツィヒSQ
シュパンツィヒ弦楽四重奏団のCPOへの2枚目の録音として選んだ作曲家はリースです。もともとベートーヴェンの演奏で名が知られた団体だけあってリースの作品は、まさに彼らにうってつけと言えましょう。ここに収録されたのはリースが30代の頃に書かれた弦楽四重奏曲第2番と、20歳になる前に書かれた第20番の2曲です。拡大された形式とハーモニー、溢れ出るような楽想に満ちた意欲作です。
777229-2F
ルドルフ・シモンセン(1889-1947):交響曲集
序曲ト短調/交響曲第1番「シオン」/交響曲第2番「ヘラス」
イスラエル・イノン(指)センデリュランSO
ルドルフ・シモンセンは、ニールセンの次の世代を代表するデンマークの音楽家の一人です。作曲家、ピアニスト、そして教師、作家として様々な作品を残しています。彼はギリシア語、ラテン語、ヘブライ語を得意とし、デンマークの至るところでクラシック音楽について講義を行い、ユダヤ教にも造詣が深かったと言います。彼の交響曲第1番のタイトルに「シオン」と名付けたのもユダヤ教に対する敬意の顕れでしょう。どの作品もロマンティックな作風が持ち味の重厚な作品です。
777230-2M
オンスロウ:ピアノ三重奏曲全集 第1集
ピアノ三重奏曲 Op.14-2、
ピアノ三重奏曲 Op.27
カザルス三重奏団
イングランドの貴族を父に持つフランスの作曲家オンスロウ。古典派とロマン派の過渡期に活躍し、シューマンやメンデルスゾーンに認められ「フランスのベートーヴェン」と呼ばれドイツでも人気を博しました(狩猟時の事故で聴力を失ったことも、その呼び名の由来の一つでしょうか)。多くの作品を残していますがとりわけ室内楽に名作が多く、ここに収録されているピアノ三重奏曲も才知にたけたもので、特にOp.27 はオーベルニュの民謡を取り入れた華やかなピアノ・パートがとても魅力的な作品です。
777231-2M
オンスロウ:ピアノ三重奏曲全集第2集
ピアノ三重奏曲Op.83、
ピアノ三重奏曲Op.3-2
カスケード三重奏団
第1集(777230-2)に続くオンスロウの三重奏曲第2集です。1850年代に書かれたOp.83はその長さと抒情性(時折メンデルスゾーンの作品を思い起こさせる)が際立つ作品で、初期のものに比べ格段に深い音楽性を感じさせる名作です。しかし、1807年に書かれた初期のOp.3の初々しい個性も捨てがたいもので、ベートーヴェンの影響も見え隠れする溌剌とした音楽に仕上がっています。今回もカスケード三重奏団の流麗な演奏が耳に残ります。
777233S(1SACD)
レスピーギ:管弦楽作品集
リュートのための古風な舞曲とアリア組曲第1番〜第3番
バレエ組曲「鳥」
ミュンヘン放送O
ヘンリー・ラウダレス(指)

録音:2009年4月28-30日,7月6-7日,9月17-18日BR放送第1スタジオ
レスピーギの「リュートのための古風な舞曲とアリア」の3つの組曲は、なんと言っても第3組曲の「シチリアーノ」が有名で、誰もが一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。タイトルに「リュートのための」とありますが、これは原曲が16世紀から17世紀のリュートのための曲であり、それをレスピーギが管弦楽曲として編曲したもので、彼らしい多彩な響きに満ちた興味深い曲となっています。「鳥」も同じく17世紀の曲を華やかな管弦楽曲に編曲したもので、極彩色の鳥たちが鳴き交わす様子が描かれた壮麗な作品になっています。この2つの組曲をSACDの高音質で収録した素晴らしい1枚です。
777234M
ユリウス・レントヘン:チェロ協奏曲第1番-第3番 グレゴール・ホルシュ(Vc)
デイヴィッド・ポルセライン(指)
オランダSO
cpoレーベルが精力的にリリースを続けている作曲家の一人、レントヘン(1855-1932)のチェロ協奏曲集です。彼の全作品を網羅するためには、この作品は欠かせないものです。彼はユリアス・クレンゲルという名チェリストの友人であったため、チェロへの思い入れはかなり強く、1870年から1930年までの長きに渡り、ソナタや小品、そして協奏曲など数多くのチェロ曲を作曲しています。この3つの協奏曲もパワフルな管弦楽と、技巧的なチェロ・パートが見事に調和したものであり、生半可な奏者では太刀打ちできない力作となっています。現在コンセルトヘボウ管の首席チェリストを務める名手ホルシュによる完璧な解釈による演奏は、このコレクションにおける重要な位置を占めることは間違いありません。
777236-2M
ライマン(1936- ):ピアノ作品全集
ソナタ第1番/スペクトル/変奏曲/その道から
マシュー・ルベンスタイン(P)
タリック・オレーガンは、イギリス合唱界の神様として名高いジョン・ラッターが注目する若干27歳というイギリスの若き作曲家。オレーガンはブリティッシュ・コンポーザー・アウォードで優勝を勝ち取り、その作品はBBC交響楽団、ロンドン・シンフォニエッタやBBCシンガーズによって取り上げられています。  (0403)
777237-2S(1SACD)
ハウゼッガー(1872-1948):自然交響曲 アリ・ラシライネン(指)
WDRケルンSO、WDRケルン放送cho
ブルックナーのハース版交響曲を積極的に指揮したことでも知られるハウゼッカーは自身も多くの作品を書いています。この曲は終楽章に合唱を伴う規模の大きなもの。こういう曲の多くの前例のように、苦難の時を経て大いなる創造への讃歌が朗々と歌われます。マーラー、ブルックナーなどの好きな人にはたまらない作品と言えるでしょう。北欧物のオーソリティ、ラシライネンの悠然流麗な音作りが冴えています。もちろん録音は超優秀です。
777239-2M
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第29番「ハンマークラヴィーア」、ピアノ・ソナタ第3番 マルクス・ベッカー(フォルテP、スタインウェイD)
大植英次とのアンタイル:ピアノ協奏曲集(777109-2)ほか、CPOにいくつかの録音を残してきたベッカー。ドイツのピアニズムを体現するピアニストとして、その存在はマルティン・シュタットフェルトらと並ぶものだと言えます。その力量を、フォルテピアノで演奏した2つのソナタで。
777240-2[CP](3CD)
リュリ:歌劇「テゼ(テセウス)」 ハワード・クルック、ローラ・パドウェル、
エレン・ハージス、ハ
リー・ファン・デル・カンプ、
ポール・オデット&スティーヴン・スタブス(指)
ボストン・アーリー・ミュージック・フェスティヴァルO&cho、他
多くの録音によって、徐々にその偉業が現代に定着しつつあるリュリの芸術。名リュート奏者オデットを中心に結成されたアンサンブルが、2003年に上演した際の記念碑的な演奏をリリース。CPOでは彼らと共に、今後も多くの刺激的なCD をリリースしていきます。
777242-2F
テレマン:ヴァイオリン協奏曲全集第4集
ヴァイオリン(2つのオーボエも共に),弦楽合奏と通奏低音のための序曲(協奏曲)ト長調TWV55:G6
ヴァイオリン,弦楽合奏と通奏低音のための序曲(協奏曲)ホ長調TWV55:E3
ヴァイオリン(2つのオーボエも共に),弦楽合奏と通奏低音のための序曲(協奏曲)ト短調TWV55:G
エリザベス・ウォルフィッシュ(Vn&指)
オルフェオ・バロックO
cpoの膨大なテレマン(1681-1767)・コレクションの中でも、多くの人が続編を待ち望んでいるヴァイオリン協奏曲集、第4集の登場です。第3集では、自身が率いるアンサンブルとの演奏を披露したエリザベス・ウォルフィッシュですが、今作では、第2集と同じく、オルフェオ・バロックOと極めて濃密なやりとりを聴かせます。テレマンのヴァイオリン協奏曲は非常に独創的、かつ実験的なフォームを持っていることで知られ、それは、ドイツの伝統的な音楽の形式にフランスとイタリアの潮流を取り入れたテレマンらしく、ヴァイオリンの奏法にも華やかで技巧的なものが多くみられ、また形式的にも面白いものが多いのです。遊び心と優雅さを併せ持つこれらの作品、どの曲にも「演奏する喜び」と「聴く喜び」が満ち溢れています。
777243-2M
ハイドン:ピアノ三重奏曲全集第7集
ピアノ三重奏曲第11番/第14番
第10番/第13番/第6番
トリオ1790(ピリオド楽器使用)
すでにcpoの名物シリーズになった、トリオ1790による三重奏曲集。今回は1750年代末あたりまでに作曲されたであろうとされる5曲が選ばれ、作曲者10代から20代の若い個性が息づく一枚になっています。
777244-2M(2CD)
ハイドン:ピアノ三重奏曲全集第8集
三重奏曲Hob.XV:41、Hob.XV:37、Hob.XV:C1
同Hob.XV:36、Hob.XV:1、Hob.XV:2
トリオ1790
トリオ1790によるハイドンのピアノ三重奏曲の全集録音の完結編です。高度な音楽性と古典的な様式を保持したハイドンのピアノ三重奏曲は、その完成された様式の中に潜む成熟した音楽性が匂い立つとても魅力的な音楽です。オリジナル楽器によるトリオ1790ですが、固定メンバーはフォルテピアノのハロルド・ヘーレンだけで、あとは曲によって奏者が変わるという、ドイツ古楽界にはよくある団体です。しかしながら彼らの造り出す熱狂的で即興性溢れる熱い演奏は、とにかく胸躍るものと言えるでしょう。「古楽って何だか退屈〜」と思っている人にぜひ聴いていただきたいハイドンです。
777247-2(12CD)
ペッテション(1911-1980):交響曲全集(第1番〜第16番、交響的断章) トーマス・ザンデルリンク(指)、
ペーテル・ルツィカ(指)、
マンフレート・トロヤーン(指)、
ヨハン・アルネル(指)、
ゲルト・アルブレヒト(指)、
アラン・フランシス(指)、
マンフレッド・ホーネック(指)ベルリンRSO、
ベルリン・ドイツSO、
ハンブルク州立PO、
ザールブリュッケンRSO、
BBCスコティッシュSO、
ハノーファー北ドイツ放送PO、
スウェーデンRSO、
スウェーデン放送cho、
エリック・エリクソン室内cho、
ジョン=エドワード・ケリー(アルトSax) 
壮大かつ長大な交響曲を発表し、20世紀のスウェーデン音楽シーンで独特の強烈な存在を誇示しているペッテション。それぞれが音楽誌からも絶賛されてきましたが、集大成と言えるこの全集は20世紀音楽ファン必携の重要アイテム。ドイツやスウェーデンのオーケストラを中心とした演奏は、極限の緊張感も見事に再現しています。
777251-2F
ワインガルトナー:弦楽四重奏曲集第1集
弦楽四重奏曲第1番ニ短調Op.24、弦楽四重奏曲第3番ヘ長調Op.34
ザラストQ
指揮者として、また作曲家としても知られるワインガルトナーの弦楽作品集です。優れた音楽家の常として、幼少の頃より音楽の才能を発揮し、音楽院ではかのリストの弟子として研鑽を積みました。多数ある彼の作品の中でも、室内楽はかなり重要な位置を占めています。この分野への足がかりとなった弦楽四重奏第1番は、宰相ビスマルクの死に触発されて書かれた重苦しい作品です。
777252-2M
ワインガルトナー:弦楽四重奏曲集第2集
弦楽四重奏曲第5番Op.81
弦楽五重奏曲Op.40
ペトラ・ヴェーレ(Va)
ザラストロSQ
揮者、編曲者として名高いワインガルトナーの弦楽四重奏曲第2集をお届けいたします。第1集(777251-2)では、第1番と第3番をお聴きいただきましたが、今回は第5番と弦楽五重奏というカップリングです。彼は終世ロマン派の作風から逸脱することなく、晩年の作品である第5番の四重奏曲も、美しいメロディと重厚なハーモニーが横溢した曲で、ワインガルトナーが理想としていた音楽を聴くことができるでしょう。五重奏曲は更に充実した音色が魅力的。第3楽章でのヴァイオリンの悲痛な嘆きが耳に残ります。
777255-2F
レントヘン:交響曲第18番、他
レントヘン(1855-1932):交響曲第18番イ調
ノルウェイ民謡によるバラード
海での歌Op.45
古いオランダの舞踏曲Op.46
ダーヴィッド・ポルセライン(指)ドイツ放送PO
レントヘンは生涯に20曲の交響曲を書きましたが、この第18番がもっとも長く、また驚くほどに古典的な様式で書かれています。あまりにも印象的なトランペットのファンファーレに導かれた壮麗な第1楽章(合いの手のティンパニがまた絶妙)は、まるで祝祭的なバロック音楽を聴いているかのような錯覚にとらわれることでしょう。他の収録曲は、ゆったりとした「ノルウェイ民謡によるバラード」、描写的な「海での歌」、快活な「古いオランダの舞踏曲」。どれもが穏健で美しい作品です。
777256-2M
ルイーズ・ファラン(1789-1826):室内楽作品集
ピアノ三重奏曲第1番変ホ長調 Op.33、
ピアノ,フルート,オーボエ,クラリネット,ホルン,バスーンのための六重奏曲 ハ短調 Op.40、
ピアノ三重奏曲第3番変ホ長調 Op.44
リノス・アンサンブル
フルート奏者兼音楽出版者アリスティド・ファランの妻、ルイーズの作品集 です。 cpoからはすでに4作のリリースがありますが、今回は彼女の才能が洩 れなく堪能できる室内楽作品集です。自身が優れたピアニストだったせいも あり、ピアノパートは驚くほどに精緻でドラマティックに書かれています。 機智に富んだ楽想、そして繊細な表現力には驚く他ありません。ピアノと管 楽五重奏が対等に扱われた六重奏曲のすばらしさにも注目です。リノス・ア ンサンブルはこれらの曲を抑制された表現で上品に演奏しています。
777261-2F
テレマン:カンタータ集
泣かないで TVWV1:1541
彼らは万軍の主の法律を捨てる TVWV1:1339
あなたの名前は全ての神 TVWV1:698
ヴェロニカ・ヴィンター(S)
レナ・スザンナ・ノリン(A)
ヤン・コボウ(T)
エッケハルト・アーベレ(Bs)
ライニッシェ・カントライ
ダス・クライネ・コンツェルト
ヘルマン・マックス(指)
cpoで精力的にリリースを続けるテレマンの作品集、今回もマグデブルク・テレマン音楽祭で演奏された作品をお届けいたします。毎回プログラムに選ばれるのは、オラトリオや受難曲、カンタータなどのオペラに匹敵する壮大な作品であり、今回のカンタータも例に漏れません。テレマンのカンタータには、実に驚くべき生産性が明らかにされており、重要な教会音楽作曲家としてのテレマンを再認識することができるでしょう。これらのカンタータは毎週日曜日と祭日に演奏できるように、72曲が書かれていて、どもでも贅沢な響きを持った重厚で楽しい作品となっています。
777265-2F
カセッラ:交響曲第3番
管弦楽のためのシンフォニア(交響曲第3番)Op.63
大管弦楽のためのラプソディ「イタリア」Op.11
アルン・フランシス(指)ケルンWDR響
ブルッフがドイツの壮大なる精神を音にしたとすれば、イタリアの美の精神は作曲家カセッラによって具現化されたと言ってもよいでしょう。1909年、26歳の彼は色彩感豊かな「イタリア」を作曲しました。火山の町シチリア、灼熱の太陽に焼かれるひたすら明るいナポリの生活、これらを描くことで彼は祖国へ限りなく大きな愛を示したのです。その30年後に書かれた交響曲第3番は、彼の作品中最も大掛かりなもので世界的成功を収めた曲ですが、現在では全くと言っていいほど忘れられてしまいました。
777266M
ヨハン・マルティン・フリードリヒ・ニスレ:管楽器を含む室内楽作品集
八重奏曲ニ長調
九重奏曲変ホ長調
五重奏曲ハ長調Op.26
コンソルティウム・クラシクム
生まれたのはベートーヴェンの10 年後の1780 年、しかし亡くなったのはベルリオーズの3 年後の1873 年。作曲家ニスレ(1780-1873)が93 年という長い生涯を送った間に、時代は古典派からロマン派へとすっかり変貌を遂げていました。もちろん楽器も進化し、例えばホルンなどはかなりの改良が施され、楽器の持つ魅力が広く知れ渡った時期でもありました。このニスレですが、残念ながら現在全くと言ってよいほど名前が残っていない作曲家です。しかし、この作品集は当時の風潮を詳細に伝える見事なものであり、美しいメロディを誇示しながら、楽器の特性を活かし、時には名人芸を際立てつつも、精緻なアンサンブルが楽しめるという優れモノです。恐らく1806 年から1809 年頃に彼がウィーン、もしくはハンガリーに滞在していた頃の作品とされていますが、漂う雰囲気はどこかイタリア風の明るさも有しています。
777269-2M
ケスラー(1853-1926):弦楽五重奏曲
弦楽六重奏曲
フランクフルト弦楽六重奏団
作曲家としての名声より、バルトーク、コダーイ、ドホナーニといった名作曲家の師として知られるケスラー。その作風は19世紀後半のウィーン音楽を継いだものであり、保守的な後期ロマン派のもの。その証とも言える2つの作品です。
777270M
アッテルベリ&ラングストレム:弦楽四重奏曲集
アッテルベリ:弦楽四重奏曲第2番ロ短調Op.11
 弦楽四重奏曲第3番ニ長調Op.39
ラングストレム:弦楽四重奏曲
ステンハンメルSQ

録音:2009年11月9-14日ストックホルム
スウェーデンを代表する近代作曲家、アッテルベリ(1887-1974)とラングストレム(1884-1947)の弦楽四重奏曲集です。2人とも同じ世代に属しますが、その活動は全く違う様相を呈しています。アッテルベリは最初チェロを学ぶも、大学は王立工科大学に入学、電気技術者としての研鑽を積みながら、オーケストラに入団しチェロを弾いていました。決して音楽を職業にしていたわけではなく、本職はストックホルムの特許局の職員でしたが、それでも9曲の交響曲、5曲のオペラをはじめとした膨大な作品を書き上げたことで知られています。かたやラングストレムはストックホルムに生まれ、音楽を学ぶためにドイツに留学し、ハンス・プフィッツナーに師事しています。1922年から1935年まではエーテボリSOの首席指揮者も務めています。その後はスウェーデン作曲家協会を設立し、王立歌劇場の広報も努めていました。そんな2人の弦楽四重奏曲ですが、アッテルベリの2番は忙しないモティーフで始まり、夢幻的な第2楽章へと続きます。第3楽章は重々しいワルツです。第3番はニ長調という調性のせいか清々しさを感じさせます。終楽章はタランテラのような揺れるリズムが印象的。ラングストレムの曲は更にモダンです。
777272-2F
ヘンク・バーディンフス(1907-1987):交響曲第2番交響曲第7番「ルイヴィル交響曲」/交響曲第12 番 ダーヴィッド・ポルセライン(指)ヤナーチェクPO
オランダ生まれの作曲家、バーディンフスの交響曲集です。1930 年に初の作品、チェロ協奏曲をコンセルトヘボウで初演(指揮はメンゲルベルク)、1960 年代以降は電子音楽を用いた作品を多く書いたことで知られる人ですが、反面、古生物学者、鉱山エンジニアとしても働いたという異色の人。もちろん作品も独特の音階を駆使した斬新なものばかりです。
777273-2M(2CD)
モーツァルト:ピアノ三重奏曲全集 トリオ・ストラディヴァリ(古楽器使用)
ドレスデン版の「四季」(777037-2)などで名をあげたフェデリコ・グリエルモらが結成したトリオによる、モーツァルトの名作三重奏曲集。しなやかに歌う演奏で、モーツァルトの美しさを再認識できる全集です。
777276-2M
モリーク(1802-1869):弦楽四重奏曲集第2集
弦楽四重奏曲変ホ長調Op.18-3
弦楽四重奏曲へ短調Op.28
マンハイムSQ
生前ヴァイオリン奏者として著名だったドイツの作曲家ベルンハルト・モリーク。ヨーロッパの至る所でツアーを行い、高い名声を得ていました。とは言え彼の本業は作曲家。ベーム式フルートの開発者であるテオバルト・ベームと親しく、彼のためにフルート協奏曲も書いています。しかしその作品のほとんどは弦楽四重奏で絞められているところがヴァイオリンの名手と言えるでしょう。第1番は古典派とロマン派の端境期に属する端正で優雅な作風を持っています。それに対し、第2番のへ短調の作品は暗く憂鬱な気分を持つ聴き応えのある曲です。
777277-2M
ゴルトマルク:ピアノ五重奏曲集
ピアノ五重奏曲Op.30、
ピアノ五重奏曲Op.54
オリヴァー・トリエンドル(P)、
シネ・ノミネQ
すぐれたヴァイオリニストとしても知られるゴルトマルクも、多くの作品を残しましたが、現在ではほんの数曲のみが演奏されるのみとなっています。このピアノ五重奏曲はシューベルトの影響も見え隠れしますが、独自の柔軟性や洗練された趣きを感じさせる独創的な作品です。とりわけ彼の死の1年後に発表されたOp.54は重厚で美しさが際立つものです。
777278-2F
パウル・ユオン(1872-1940):ピアノ四重奏曲集
ピアノ四重奏曲Op.50、
ピアノ四重奏曲Op.37「ラプソディ」
オリヴァー・トリエンドル(P)、
ダニエル・ゲーデ(Vn)、
ハリオルフ・シュリヒティク(Va)、
ペーター・ブルンス(Vc)
スイス系ロシア人、パウル・ユオンの名前を知っている人は真の通と言えるでしょう。(かろうじてブラームスのハンガリー舞曲を編曲した人として知られています)「チャイコフスキーとストラヴィンスキーの間を埋める」作曲家として活躍、18世紀のロシア楽壇の教育水準を高めることにも貢献しましたが、彼自身の作風はどちらかというとドイツ的でロマンティックです。ピアノ四重奏曲Op.50は彼の亡くなった愛妻へのオマージュとして書かれました。
777279-2M
マルクス(1882-1964):ピアノ四重奏による室内楽作品集
ラプソディイ長調/スケルツォニ短調/バラードイ短調
オリヴァー・トリエンドル(P)
ダニエル・ゲーデ(Vn)
ハリオルフ・シュリヒティヒ(Va)
ペーター・ブルーンス(Vc)
ヨーゼフ・マルクスの名前を知っている人は、あまり多くないかも知れませんが、いくつかの管弦楽作品(たとえば「自然三部作」)や、ルネ・フレミングの名唱によるいくつかの歌曲(たとえば「幸福な夜」)などを一度でも耳にしたとしたら、この魅力的な作曲家のことを忘れることはないでしょう。もちろん今回のアルバムが世に出ることで、この名前を知る人も多いはずです。ここに収録された3つの作品は1911年頃から書き始められていて、当時ならではの濃厚な後期ロマン派の響きに満ちています。どれもピアノ四重奏の形式を取っていますが、各々には思わせぶりなタイトルが付けられていて聴き手は思い思いの物語を頭に浮かべて楽しむことができるのです。夢のように美しい音を聴きたい人にオススメです。
777280-2F
ヘルツォーゲンベルク(1843-1900):作品集
ヴァイオリン協奏曲イ長調WoO4
大管弦楽のための交響曲「オデュセウス」Op.16
ウルフ・ヴァーリン(Vn)
フランク・ベールマン(指)
ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送PO
ブラームスの友人として知られる作曲家、ヘルツォーゲンベルクですが、最近ようやく彼の作品が音楽ファンの間に浸透して来たようです。とはいえ、どちらかというと室内楽作品ばかりに光が当てられていましたが、このヴァイオリン協奏曲と交響詩という規模の大きなものは、交響曲集(777122-2)と並んで、この作曲家の知られざる一面を発掘するのに大きく役立つはずです。交響詩「オデュッセイア」はブラームスと親交を深める以前の作品で、リストやワーグナーの影響を強く受けた堂々たる作品です。かたや、ヴァイオリン協奏曲は1889年の作品で、イタリア地中海の明るさを帯びた美しいメロディに彩られています。
777281-2F(2CD)
モーツァルト:歌劇「ツァイーデ」k344(未完) イザベル・モナー(S)、
マルクス・シェーファー(T)、
マルクス・ブルツシャー(T)、
クリスティアン・ヒルツ(Bs)、
マルティン・ハーゼルベック(指)
ウィーン・アカデミー
このオペラ「ツァイーデ」は本来未完の作品で、序曲もなければきちんとした終わりも与えられていません。完結したオペラとするために過去にも様々な工夫が施されていますが、このハーゼルベック盤では序曲にK318のシンフォニアを使い、結末にはk479の四重奏「せめて言って、私がどんな過ちを犯したのか」を挿入。納得の行く終わり方を見せてくれます。荒削りながらも生き生きとした音楽を描くハーゼルベックの手腕に脱帽。
777285(2CD)
NX-D11
パウル・リンケ(1866-1946):喜歌劇「ルナ夫人」 ルナ夫人:月の貴婦人…マリア・レイヤー(S)
シュテルンシュヌッペ王子…ルネ・コロ(T)
マリー:プーゼバッハ夫人の姪…アンネリ・プフェッファー(S)
フリッツ:機械技師、マリーの恋人…ボリス・ライゼンハイマー(T)
ステラ:ルナのメイド…カトリン・スミス(S)
テオフィル:執事…カール・フェート(Bs)
プーゼバッハ夫人:未亡人…バルバラ・ドンマー(ヴォーカル) 他

ケルン放送O
ヘルムート・フロシャウアー(指)

録音:2006年5月25日-6月6日
月に行きたいと願う機械技師フリッツとその恋人マリー。すったもんだの末、フリッツは自身で気球を作り仲間ととも に月に到着。そこで月の女神「ルナ夫人」に言い寄られます。しかし彼女を愛するシュテルンシュヌッペ王子が地球 からマリーを連れてきて2人は仲直り。仲間たちとベルリンに帰っていくという荒唐無稽な物語。劇中で奏される「ベ ルリンの風」はベルリン・フィルの夏の風物詩ヴァルトビューネ・コンサートで最後に演奏されるベルリンっ子たちにとっ て、おなじみの曲です。2006年、パウル・リンケの没後60年を記念して2週間にわたり上演された喜歌劇「ルナ夫人」。この時の演奏 は、リンケが書いた音楽をカットせず、またハインツ・ボルテン=ベッカーズの台本も全く改変することなく、全てオリジ ナルの総譜通りに行われたことが特徴です。この全曲盤は、リンケの独創的な旋律だけでなく、精巧に仕組まれた アンサンブルとフィナーレの盛り上がりが楽しめるものとなっています。キャストも素晴らしく、名ソプラノ、マリア・レイ ヤーが歌う題名役、そしてシュテルンシュヌッペ王子をベテランのルネ・コロが担当。また物語のカギを握るプーゼバッ ハ夫人には強烈な存在感を示すバルバラ・ドンナーと、まさに夢のような歌手陣が揃っています。
777284-2
グリーグ:チェロとピアノの作品集
ソナタOp.36、インテルメッツォ、
歌曲より編曲(何がいえようOp.2-4/みなしごOp.4-1/詩作法Op.18-5/アレグレットOp.45/君を愛すOp.5-3/小川のほとりOp.67-8/夕暮れOp.9-3/あなたは地に眠るOp.59-6)
ラモン・ヤーフェ(Vc)、
アンドレアス・フレーリヒ(P)
ドイツ圏で活躍する巨漢チェリスト、ヤーフェのグリーグです。他のレーベルで多くのリリースがありますが、そのどれもがダイナミックな音色と繊細な感情に彩られた素晴らしいもの。このグリーグもその例にもれず、しみじみとした情緒を高らかに歌いあげています。歌曲からの編曲が、これまた泣けてしまいます。
777286F
チャーリー・チャップリン:映画音楽「モダン・タイムス」
(デイヴィッド・ラクシンによる管弦楽版)
ハノーファー北ドイツ放送PO
ティモシー・ブロック(指)
世界中の誰もが、チャップリン(1889-1977)が「偉大なる喜劇王」であったことを知っています。また彼が素晴らしい作曲家であったとも知っています。そんなチャップリンの最高傑作のひとつ「モダン・タイムス」の音楽を改めて味わってみませんか?この映画がご存知のように、資本主義社会と機械文明を痛烈に風刺した作品で、音楽は別に演奏される「サイレント映画」です。彼自身がメロディを書きましたが、オーケストラ編曲版は友人であるデイヴィッド・ラクシンに委ねました(ラクシンも、この編曲の成功が足がかりとなり、以降多くの映画音楽を手がけ「映画音楽の祖父」として讃えられています)。
777288-2F
ロゼッティ:ホルン協奏曲集
2のホルンのための協奏曲ヘ長調MurrayC61/KnaulIII:49
ホルン協奏曲ホ長調MurrayC50/KaulIII:44
ホルン協奏曲変ホ長調MurrayC48/KaulIII:37
2台のホルンのための協奏曲変ホ長調よりアンダンテMurrayC55Q/KaulIII:54
クラウス・ヴァレンドルフ(Hrn)、
ザラー・ヴィリス(Hrn)、
ヨハネス・メーズス(指)
マンハイム・プファルツ選帝候CO
アントニオ・ロゼッティ、本名アントニーン・レスレルはボヘミア生まれの作曲家です。1773年ボヘミアを去って、6年の間エッティンゲン=ヴァラーシュタイン侯爵の宮廷楽団に加わるのですが、その際名前をイタリア風のアントニオ・ロセッティに変えたのです。その後活躍の場を広げ、多くの作品を出版、彼自身も自らを「洗練された音楽家」と呼び、幸せな生涯を送りました。彼が残した多くの曲の中でもとりわけホルン協奏曲が有名で、モーツァルトのホルン協奏曲のお手本にもなったのではないかとも言われているほどです。
777292-2[CP](6CD)
J.C.バッハ:協奏交響曲全集
■CD1(999348-2)<協奏交響曲集第1集>
協奏交響曲変ホ長調(2つのヴァイオリンとオーボエのための)/同ト長調/同変ホ長調(以上、2つのヴァイオリンとチェロのための) 
■CD2(999537-2)<協奏交響曲集第2集>
協奏交響曲変ロ長調(ヴァイオリンとチェロのための)/同ヘ長調(オーボエとファゴットのための)/同ニ長調(2つのヴァイオリンのための) 
■CD3(999538-2)<協奏交響曲集第3集>
協奏交響曲ホ長調(2つのヴァイオリン、チェロ、フルートのための)/同変ホ長調(2本のクラリネット、ファゴット、2本のホルン、フルートのための)/同イ長調(ヴァイオリンとチェロのための)/フルート協奏曲ニ長調(初録音) 
■CD4(999627-2)<協奏交響曲集第4集>
協奏交響曲ハ長調(2つのヴァイオリンとチェロのための)/同変ホ長調(フルート、オーボエとファゴットのための)/同ト長調(2つのヴァイオリン、チェロとフルートのための)/ヴァイオリン協奏曲ハ長調 
■CD5(999628-2)<協奏交響曲集第5集>
2つのヴァイオリンとチェロのための協奏交響曲ハ長調(C36a)/2つのフルート、2つのヴァイオリンとチェロのための協奏交響曲ニ長調(C39)/2つのオーボエ、2つのホルン、2つのヴァイオリン2つのヴィオラとチェロのための協奏交響曲変ホ長調(C40)
■CD6(999845-2)<協奏交響曲集第6集>
オーボエ、ヴァイオリン、チェロとフォルテピアノのための協奏交響曲変ロ長調(C48)/フルート、オーボエ、ヴァイオリン、チェロと管弦楽のための協奏交響曲ハ長調(C43)/フォルテピアノ、2つのヴァイオリンとチェロのためのフォルテピアノ協奏曲ト長調(C60B)/オーボエ、ヴァイオリン、ヴィオラとチェロのためのカデンツァ(原曲:協奏交響曲ト調,C45
アンソニー・ホールステッド(指)
ザ・ハノーヴァー・バンド、他
既発売で高い評価を得ているシリーズを、特別価格/ボックス・セット化。イギリス人音楽家たちによる研究心旺盛で爽快な演奏は、「ロンドンのバッハ」と呼ばれたヨハン・クリスティアンの名誉を守り、現代に再評価を促すものです。
777296-2M
レーガー:ヴァイオリン・ソナタ Op.22
ヴァイオリンとピアノのための組曲 Op.103a
ウルフ・ヴァリン(Vn)、
ローランド・ペンティネン(P)
43年というあまり長いとも言えない生涯の中で夥しい数の作品を書いたレーガーはの室内楽作品集です。自分自身のことを「ドイツの正統的な継承者」と自認しつつも、その作風は和声法の拡大、複雑な対位法とかなり意欲的なものでした。初期のヴァイオリン・ソナタと後期の組曲の2 作品を収録、最近人気のペンティネンがピアノを演奏しているのも注目です。
777297-2F
テレマン:1731年の6つのソロ・カンタータ集
第1カンタータTVWV20:17
第2カンタータTVWV20:18
第3カンタータTVWV20:19
第4カンタータTVWV20:20
第5カンタータTVWV20:21
第6カンタータTVWV20:22
マリア・ジョーンズ(S)
クラウス・メルテンス(T)
ルドガー・レミー(指)レサミ・ド・フィリッペ
バッハの弟子でもあり、記譜学者、そしてオルガン奏者でもあったヨハン・フリードリッヒ・アグリコラ(1720-1774)が、1752年にテレマンにあてて書いた最初の手紙の中に「あなたの6つのカンタータはこの時代において、美しさにおいても、作曲法においても、一番私の心を動かした音楽です。」と賛辞が書かれています。才能ある若き作曲家の心をそれほどまでに感動させたという6つのカンタータをクラウス・メルテンスをはじめとした名手たちの演奏でお楽しみください。無尽蔵の感動は250年以上たった現代でも決して変わることはありません。
777298-2F
中央ドイツのバロック・バス・カンタータ
エマヌエル・ケーゲル(1655-1724):愛よりも訴えるものはなく
クリスティアン・ヴォルフ(1705-1773):平和と喜びの中を我は行く
ヨハン・テオドール・レムヒルト:天国には他の方法で
 私は太陽の下にじっと立つ
ホフマン:全てのキリスト教徒よ神を賛美せよ
ドナティ(1706-1782):私の心の家を準備せよ
テレマン:地上の救い主よ
クラウス・メルテンス(Bs-Br)
シャレフ・アド=エル(指)
アカデミア・ダニエル(ピリオド楽器使用)
イスラエルの名手たちに拠って結成されたバロック・アンサンブル「アカデミア・ダニエル」はプラハ、ロンドン、パリ、アムステルダム、ボストンなど世界中の主要都市で活躍しています。彼らはイスラエルとヨーロッパの両都市でリハーサルし、サイモン・スタンデージなどの名手とも数多く共演、国際的なキャリアを築くことに余念がありません。cpoからはすでにテレマンのアルバムを2枚リリースしていますが、今作は当代随一の低音歌手、クラウス・メルテンスをフィーチャーし、ザクセンの知られざる作曲家たちの小さなカンタータを収録しています。ザクセンの小さな町ミューゲルンの図書館には16世紀から17世紀の400を超えるカンタータが保存されており、まだ知られざる作品がたくさん眠っています。彼らの丁寧な演奏はこれらの作品に次々と光を当てていくでしょう。
777299-2F
テレマン:パッション・カンタータ
オリーブ山でイエスはおののきTVWV1:364
あなたに何を与えようわが魂よTVWV1:1510
イエスは最後の乗り物に横たわりTVWV1:983
私は喜んで十字架に赴きTVWV1:884
ああ主よ、私たちに助言を与えたまえ
クラウス・メルテンス(B-Br)、
シャレフ・アド=エル(指)
アカデミア・ダニエル
テレマンは1400を超える宗教的カンタータを書いていますが、その多くにバリトンのソロ・パートが含まれています。それはテレマン自身も素晴らしいバリトンの持ち主であったためと言われています。ここに収録したのは、彼のカンタータのなかでもとりわけ劇的なものです。十字架の道行き上のキリストを描く強烈な描写。メルテンスの歌は聴き手にイエスの苦悩と激痛を鮮明に伝え、しばし身動きもできないほどの感銘を与えることでしょう。

777300-2F
ブラームス:セレナード集
セレナード第1番ニ長調、セレナード第2番イ長調
アンドレアス・シュペリング(指)
カペラ・アウグスティナ(オリジナル楽器使用)
若きブラームス(1833-1897)の力作、セレナード2曲。交響曲とはまた違った清々しい楽想と巧みな筆致が人気の佳曲です。このシュペリング盤は、何とオリジナル楽器でこの2曲を演奏してしまいました。研ぎ澄まされた音色と暖かみのある響きがたまりません。冒頭のホルンを聴くだけで「ただ者ではないな!」と引き込まれること間違いなし!
777301-2M
テレマン::3つの演奏技法用トリエットと3つのスケルツォ
トリオとスケルツォTWV42:d1.D3
トリオとスケルツォTWV42:G1.A1
トリオとスケルツォTWV42:a1.d3
四重奏曲TWV43:a1&d3
パルナッシ・ムジチ(オリジナル楽器使用)
1731年に刊行された、この作品は今までの彼の作品とはまた違う特異なジャンルを形成したものとして知られています。それ以前には、このような組曲にスケルツォを用いることはなかったのですが、ここでテレマンはユーモアに満ちたスケルツォを使い、音楽を活発ですばしこく、かつ優美なものとして表現することに成功したのです。2台のフルートで演奏されたものも良く知られていますが、ここではオリジナル楽器を用いた典雅な響きをご満喫ください。
777302-2S(1SACD)
ヴェラチーニ(1690-1768):序曲と協奏曲集第1集
序曲第2番ヘ長調/序曲第4番ト短調
ソナタ第6番イ短調/ソナタ第7番イ長調
ヴァイオリン協奏曲イ長調
フェデリコ・グリエルモ(Vn&指)
ラルテ・デラルコ(オリジナル楽器使用)
フィレンチェの薬剤師の息子として生まれたヴェラチーニは、なかなか血気盛んな人だったらしく、ある時歌手たちとの論争に巻き込まれ何と3階席から飛び降り、その時のケガが元で一生足が不自由になってしまったほどでした。そのせいか「頭がおかしい奴"capopazzo"」とあだ名されたりもしましたが、彼自身がヴァイオリンの名手だったこともあり、その作品は非常に聴き応えのあるものとなっています。彼はイタリアだけでなくドレスデンやロンドンでも活躍し、ヴァイオリンを演奏したり自作の歌劇を発表したりと充実した人生を送ったようです。そんな彼の作品を名手フェデリコ・グリエルモとラルテ・デラルコの自由自在な演奏でお楽しみください。CPOレーベルでは久しぶりとなるSACDハイブリッドの高音質録音も魅力的です。
777307-2F
レントヘン(1855-1932):交響曲集
交響曲第8番/交響曲第15番
ノルウェー民謡による変奏曲
カルメン・フュジス(S)
デヴィッド・ポルセライン(指)NDR放送響
ドイツで生まれ、オランダに帰化した作曲家レントヘンの作品は、すでにCPOから多数リリースされていて、どれもが高い評価を受けています。今回は2曲の交響曲を中心に収録した1枚です。100曲(あるいは200曲)あるとされるレントヘンの作品ですが、そのほとんどは晩年の8年間に作曲されたもので、交響曲第8番は1930年の作品、交響曲第15番は1931年の作品になります。ソプラノ・ソロを伴う交響曲第8番は、親交のあったグリーグの影響が感じられる魅惑的な曲です。第15番は力強く色彩的なもの。どちらも彼が訪れたノルウェーのヨトゥンヘイムの風景が感じられる素朴で美しい作品です。
777309
NX-D11
ユリウス・レントヘン:交響曲集
交響曲第7番へ短調「エディンバラ」
交響曲第14番ニ長調「ヴィンタートゥール」
交響曲第12番ハ長調「バビロンにて」
交響曲第11番ト短調「Wirbel」
交響曲第23番ハ短調
交響曲第22番嬰へ長調
交響曲第24番ホ長調
フランクフルト・ブランデンブルク州立O
ヘルシンボリSO
ダーヴィッド・ポルセライン(指)

録音:2006年9月25-28日、2007年5月29日-6月6日
cpoレーベルが力を入れている作曲家の一人がユリウス・レントヘン。ライプツィヒに生まれ、オランダに帰化し たピアニスト・作曲家で、ブラームスと交流がありました。1887年にはブラームスの指揮で「ピアノ協奏曲第 2番」のソリストを務めています。そのためか初期作品にはブラームスやシューマンの影響も見られますが、晩 年にはここから脱却し、かなり独創的な作品を書いていました。 この2枚組はダヴィッド・ポルセラインの指揮による一連の交響曲シリーズの続編で、今作にはレントヘンの 最後の3つの交響曲が含まれています。交響曲第7番以外の6曲は、全て10分から15分程度の単一楽 章で書かれており、凝縮された形式の中に多彩な音楽が詰まっています。なかでも第12番「バビロンにて」 ではティンパニ、スネアドラムとバスドラム、シンバル、トライアングルによる「トルコ風音楽」の使用と壮大なオ ルガンの響きが全体を印象付けています。第7番の「エディンバラ」のみ4楽章。1930年12月4日にアッ シャーホールで初演され大好評を博しました。
777310-2F
ユリウス・レントヘン:交響曲集
交響曲第6番ハ短調「ああ神よ、私は誰に嘆くべきか」
交響曲第19番ハ短調「B.A.C.H」
交響曲第5番「死神」
ダーヴィッド・ポルセライン(指)
オランダPO
コンセンサス・ヴォカリーズ
20世紀前半に活躍したオランダの作曲家、レントヘン(1855-1932)の「合唱付き」交響曲集です。cpoファンにとって、すっかりおなじみとなったレントヘンですが、まだまだ素晴らしい作品が埋もれているようです。今回ご紹介するのは1926年に書かれた、古いイギリスの讃歌をテキストにした混声合唱付きの第5番、1928年に書かれたフラマン語のテキストの伝統的な讃歌のメロディを用いた第6番、そして1931年に書かれたバッハのソナタからメロディを転用した第19番です。この第19番は、若い頃から心酔していたバッハへの敬意を表すために、たった2週間で完成された作品で、冒頭のテーマが次々と繰り返され、壮大なフーガへと発展するという、まさにバッハへのオマージュ。これは聴きごたえたっぷりです。
777313-2M
ワインベルク(1919-1916):弦楽四重奏曲集 第1集
弦楽四重奏曲 第4番 Op.20
弦楽四重奏曲 第16番 Op.130
ダネルSQ
ポーランド生まれのワインベルクは戦争中にロシアに亡命、ショスタコーヴィチと親交を深めたことで知られています。弦楽四重奏曲は全部で17曲あり、暗さを秘めた曲想は以前から一部のファンの間で人気が高く、今回の全集も待ち望んでいた人が多いことでしょう。
777308-2F
レントヘン(1855-1932):管弦楽曲
交響曲第10番「ワルツ交響曲」、
シンフォニエッタ・フモリスカ、
3つの前奏曲とフーガ、組曲「古きオランダ」
ダヴィッド・ポルセライン(指)
ラインラント=プファルツ国立PO
最近、注目が高まるオランダの作曲家レントヘンの作品集です。今作は、20曲ある交響曲の第10番目の「ワルツ交響曲」をメインとした収録曲です。木琴などの打楽器を効果的に使用した快活な作品です。古い民謡を主題とする組曲や、古典的な形式に基づいた「前奏曲とフーガ」など、未知の名曲に親しむ喜びがふつふつと湧いてくるような嬉しい1枚です。
777312-2S(1SACD)
ヘンデル:水上の音楽HWV348-350
王宮の花火の音楽HWV351
フェデリコ・グリエルモ(指)
ラルテ・デ・ラルコ(古楽器オーケストラ)
このアンサンブルのメンバーは、本当に言葉にできないほど素晴らしい腕を有しています。SACDのスペックを最大限に活かした録音の良さも相まって、各楽器の鳴りの良さは感動的。表情豊かで驚くほどに巧いナチュラルホルンを聴いているだけでも幸せになってしまうことでしょう。
777314-2(2CD)
アルベルト・ディートリッヒ(1829-1908):交響曲とヴァイオリン協奏曲
交響曲ニ短調Op.20/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op.30
エリザベス・クフェラス(Vn)、マリー・ルイーズ・ノイネッカー(Hrn)、アレクサンダー・ランプ(指)オルデンブルク州立O
777315-2M
プレイエル(1757-1831):プルシア弦楽四重奏曲集
弦楽四重奏曲第7番ニ長調Ben337
弦楽四重奏曲第8番ヘ長調Ben338
弦楽四重奏曲第9番ト短調Ben339
ケルン・プレイエルSQ
ヴァンハルにピアノを学び、ハイドンに師事、ピアニストとして各地で活躍、パリに定住してからはピアノ製造会社を設立し、プレイエル・ピアノの名を世界に広めた偉大なる作曲家の別の側面が味わえるのが、イタリア時代に書いたこの弦楽四重奏曲です。明るい響きが麗しいこれらの作品は当時はとても人気を博したものですが、彼が実業家になってからはほとんど忘れられてしまい、現在ではあまり耳にする機会もなくなってしまったのです。
777316F
ヴィルトゥオーゾ・リコーダーII〜イタリア・バロックのリコーダー協奏曲集
ジュセッペ・サンマルティーニ:リコーダーと弦楽,通奏低音のための協奏曲ヘ長調
ニコラ・フィオレンツァ:リコーダーと2台のヴァイオリン,通奏低音のための協奏曲イ短調
フランチェスコ・マンシーニ:リコーダーと2台のヴァイオリン,ヴィオラと通奏低音のための協奏曲ト短調
モンタナーリ/ヘンデル:リコーダーと2台のヴァイオリン,通奏低音のための協奏曲変ロ長調
アドルフ・ハッセ:リコーダーと通奏低音のためのソナタ.変ロ長調
ジュセッペ・タルティーニ:リコーダーと2台のヴァイオリン,通奏低音のための協奏曲ヘ長調
レオナルド・ヴィンチ:リコーダーとヴァイオリン,通奏低音のための協奏曲イ短調
ジョヴァンニ・アントニオ・ピアーニ:リコーダーと通奏低音のためのソナタ.ホ短調
カペラ・アカデミカ・フランクフルト
ミヒャエル・シュナイダー(リコーダー&指)
第1集「ドイツ」(777534-2)での煌めくような技巧的な作品群には驚かされましたが、今回はイタリアの作曲家たちによる素晴らしすぎる作品集。こちらで更にリコーダーの魅力を知ることができるでしょう。イタリアのリコーダー作品と言えば、何といってもヴィヴァルディの一連の曲が知られていますが、このアルバムにはヴィヴァルディ作品を1曲も収録することなく、ここまで見事な1枚が出来上がりました。もちろん今回もシュナイダーの音楽性には目を見張るばかり。たとえばヴァイオリンの巨匠として知られるタルティーニの魅力的かつ華麗なソナタは言うまでもなく、現在ではほとんど名前も知られていないフィオレンツァやマンシーニの作品を発見する喜びなど、数多くのワクワク感に彩られたアルバムです。
777324-2F
ナタナエル・ベルイ(1879-1957):交響曲第1番&第2番 アリ・ラシライネン(指)
ラインラント=プファルツ州立PO
アッテルベリやペッタション・ベリエルに続く20世紀前半のスウェーデンの偉大なる作曲家、ナタナエル・ベルイ。実は彼の経歴はなかなかユニーク。1879年に生まれた彼は獣医の資格を持ち、1939年まで国防省で少佐として軍馬の管理をしていました。健康診断の準備の傍ら音楽を勉強し、ステンハンマルからも指導を受けています。彼の5曲ある交響曲はすべてタイトルを持ち、描写的で豊かな世界を構築しています。第1番の交響曲は、4楽章を作曲中にあのタイタニックの悲劇が起こり、それまで書いていた楽章を破棄、葬送行進曲を付けくわえたものです。
777325-2
ナタナエル・ベルイ(1879-1957):交響曲第3番「パワー」他
畏敬の念/組曲「公爵の自由」
交響曲第3番「パワー」
アリ・ラシライネン(指)ノールショッピング)SO
交響曲第1番&第2番(777324-2)に続く、スウェーデンの作曲家、ナタナエル・ベルイの交響曲集第2弾です。獣医の資格を持ち、軍で働きながらも作曲を続けたベルイの作品は、どれも後期ロマン派の流れを汲む重厚な音楽です。彼の作品はどれも明確な物語性を持っていて(タイタニックの事件からインスピレーションを得た第1番など)、今回の作品もその趣旨から外れることはありません。交響曲第3番は、最初単一楽章として構想され「男性」を描くことに終始しました。しかしその後「それだけでは何かが足りない」と感じたベルイは、別の楽章を書き足し「女性」とした上で、全体を覆う生命の「パワー」をタイトルに据えたのです。
777329-2M
ミットラー(1893-1970):弦楽四重奏曲第1番 ヘ長調、
弦楽四重奏曲第3番 ニ短調(さすらいの時より)
フーゴー・ヴォルフSQ
ウィーン生まれの詩人、ピアニスト、作曲家フランツ・ミットラー。彼の作品はブラームス風でもあり、ヴォルフ風でもありシューベルト風でもあるいわゆる「当時のウィーン風」。メロディもわかりやすく難解な和声もありません。爽やかで清々しい歌を朗々と歌うヴァイオリン、支えるチェロととてもわかりやすいアンサンブルがたまりません。
777331-2F(2CD)
レハール:喜歌劇「青いマズルカ」 ヨハンナ・ストヨコヴィチ(S)
ユリア・バウアー(S)
ヨハン・ヴァイゲル(T)
ヤン・コボウ(T)
ハンス・クリストフ・ベーゲマン(B-Br)
フランクフルト・ジンクアカデミー室内cho
フランク・ベールマン(指)
フランクフルト・ブランデンブルク州立O
レハールは自身の作品の中に地方色を盛り込むことが好きでした。それはハンガリー風であったり、チェコ風であったり、中国風であったり。1920年、彼が50歳の時に作曲したこのオペレッタ「青いマズルカ」は題名通り、ポーランド風の台本を用いてます(中国風な一面も持ち合わせています)。ちょっとしたサスペンスはあるものの、音楽は常に明るさを失うことなく、登場人物たちはいつもダンスを踊っています。この宝石のような音楽は、初演時レハールにすばらしい称賛をもたらしたのでした。表情豊かな歌い手たちが、この隠れた名作に光りを当てます。
777333-2F
フランチェスコ・フェオ(1664-1740):ミサ曲
ミサ曲
コンフィテボール(わたしは心を尽くして主に感謝をささげる)a5
アニヤ・チュークナー(S)、
ドロテア・ヴァグナー(S)、
ドミニカ・ヒルシュラー(A)、
トビアス・フンガー(T)、
トビアス・ベルント(Br)、
ザクセン・ヴォーカルアンサンブル、
マティアス・ユング(指)
バツドルファー・ホーフカペレ
ナポリの作曲家フェオはその生涯をナポリで過ごし、また働きました。彼の最も成功した作品は1734年に書かれた「聖フランチェスコ・ディ・サレ」でしょう。これらはザクセンのポーランド貴族の宮廷で演奏されました。通常のナポリの教会音楽ではキリエとグローリアのみが演奏されていて、そこに何か付けくわえても、単なる付属物にしか成り得ませんでした。しかし、彼のおかげで人々は新しいスタイルのミサを初めて聴くことができたのでした。
777334-2F
アンドレス・エリアッソン(1947-):ヴァイオリンとピアノと弦楽オーケストラのための二重協奏曲 ウルフ・ヴァーリン(Vn)、
ロランド・ペンティネン(P)、
ヨハネス・グスタフソン(指)
スウェーデンRSO
777335-2M
ヘルツォーゲンベルク:ピアノ三重奏曲集
ピアノ三重奏曲第1番Op.24、
ピアノ三重奏曲第2番Op.36
アトス三重奏団
オーストリアの貴族・作曲家・指揮者・音楽教師、ヘルツォーゲンベルク(1843-1900)はその作風からしばしば「ブラームスの模倣者」と呼ばれてきました。確かにここに収録されたトリオを聴いても、最初の部分は「う〜ん、ブラームスだな」と思えるに違いありません。しかし、曲が進むにつれて、彼の中での「燃え上がる何か」をありありと感じることができるはずです。
777337-2M
ライヒ:六重奏曲/ピアノフェイズ
エイト・ラインズ
ケヴィン・グリフィス(指)
ロンドン・スティーヴ・ライヒ・アンサンブル
2004年12月に結成されたロンドン・スティーヴ・ライヒ・アンサンブルはロンドンで学ぶ若きミュージシャンたちによる気鋭の団体です。既に国際的評価も高く、今回のアルバムも期待に違わぬ出来となっています。
777338-2F
フランツ・シュミット:協奏曲集
左手ピアノと管弦楽の為の交響的協奏曲「ベートーヴェンの主題による変奏」
左手ピアノの為の協奏曲変ホ長調
マルクス・ベッカー(P)
大植英次(指)北ドイツ放送PO
第1次世界大戦で右腕を失ったピアニスト、パウル・ヴィトゲンシュタイン。豊富な財力と知名度を生かし、当時の名作曲家たちに「左手の為の作品」を依頼したことで知られています。R・シュトラウス、ブリテン、ヒンデミット、コルンゴルトなどが求めに応じて作曲しましたが、中でもモーリス・ラヴェルの「左手の為のピアノ協奏曲」は特に有名な作品です。さて、このアルバムに収録されている2曲の作品も、同じ目的のために書かれているのですが、当時としては、あまりにも先鋭的な作風だったのか、残念なことにこれらはすっかり忘却の彼方に置き忘れられてしまったようです。ここで演奏しているのは、ベテラン、ベッカー。彼はバッハからリームまで幅広いレパートリーを有したピアニストで、この難しい作品を左手のみでニュアンスたっぷりに表現することに成功しています。大植の指揮も聴きどころです。
777340-2M
プラッティ:ソナタとトリオ集
ヴァイオリンとオーボエ,通奏低音のためのソナタ(トリオ)ニ長調
オーボエとチェロ.通奏低音のためのソナタ(トリオ)ト短調
ヴァイオリンとチェロ.通奏低音のためのソナタ(トリオ)ト長調
オーボエと通奏低音のためのソナタハ短調
チェロと通奏低音のためのソナタニ短調
オーボエとバスーン.通奏低音のためのソナタ(トリオ)ハ短調
エポカ・バロッカ
驚くほど多彩な音楽家であったプラッティ(1697?-1793)は歌手でもあり、フルート、ヴァイオリン、チェロ、チェンバロを見事に演奏し作曲しました。現在その作品のほとんどは忘れ去られていましたが、最近になって相次いで良質のCDがリリースされています。このアルバムに収録されたのはトリオソナタと各楽器のためのソナタで、どの曲にも伸びやかなメロディが溢れています。聴き始めた瞬間にその美しさに愕然とするはずです。
777341-2F
ビルセ(1816-1902):ワルツ,マーチとポルカ集
嵐のようなマーチギャロップ/樹木公園通りのポルカ/マリアのワルツ/あなただけ/シレジア人の歌/カドリーユ「カタリーナ」/ヒューステンシュタイナーのワルツ/爆弾とガーネット/冬模様のギャロップ/勝利のワルツ/王様のポロネーズ/州のワルツ/コンチェルトハウスのポルカ/射撃の名手行進曲Op.13
クリスティアン・ジモーニス(指)
ケルン西部ドイツ放送O
ベンヤミン・ビルゼと言えばベルリン・フィル設立のための功労者(?)と言えるでしょう。なぜならば、彼が率いていたオーケストラから「待遇が不満」という理由で、1882年に脱退したメンバー54人が母体となって「ベルリン・フィル」が生まれたからなのです。とは言え、当時のベルリンでは彼は大人気を博しており、彼が1885年にリーグニツへ赴く時には暴動が起こることを危惧した警察が出動する騒ぎにもなったということで、才能ある指揮者、作曲家であったことは間違いありません。このアルバムでその片鱗を。
777342F
リヒャルト・アイレンベルク:ワルツ、ポルカと行進曲集
華麗なギャロップ「騎士の攻撃」Op.133
サロン風小品「最初の動悸」Op.50
華麗なギャロップ「ノルウェーのトナカイ郵便」Op.314
牧歌「黒い森の水車」Op.52
ベルサリエリの行進Op.99
ワルツ「イタリアの青空の下で」Op.257
ポルカ「ウィーンからベルリンへ」Op.62
コサックの騎行Op.149
マンドリン・セレナーデOp.117
「人生と夢」序曲Op.106
フランス風ポルカ「グロェックヒェンの魔法」Op.92
ハインリッヒ王子行進曲Op.93
性格的小品「製鉄業者」Op.167
ワルツをもっとどうぞOp.110
ギャロップ「ペテルスブルクの橇の旅」Op.57
クリスティアン・シモニス(指)
ケルン放送O
アイレンベルク(1848-1927)の名前を知らなくても、名曲集などでおなじみの、あの愛らしい「森の水車」のメロディを聴けば、誰もが「ああ、あの曲ね」と手を打つこと間違いありません。1848年に生まれ、18歳で最初の作品「演奏会序曲」を作曲、その後従軍機関を経て、16年間シュテッテインの楽長を務めます。1889年からはフリーの作曲家として、舞曲や行進曲、吹奏楽など300曲以上の作品を発表し、人気を博しました。現在では前述の「森の水車(黒い森の水車)」と「ペテルスブルクの橇の旅」がかろうじてコンサートのレパートリーに残っていますが、もっと愛聴されてもよいであろう。と思わせるチャーミングな曲ばかりです。
777344-2S(1SACD)
北ドイツのオルガンの旅第7集〜ヨハン・プレトリウス(1595-1660):オルガン作品選集
ただ汝にのみ主イエス・キリストよ
光であるキリストよ
ダ・パーチェム・ドミネ
私はあなたを呼びます主イエス・キリストよ
いと高きところにおわすキリストよ他11曲
フリートヘルム・フランメ(Org) 
ドイツ、ペーター&パウル教会のオルガン(1764年)使用
この作曲家、ヨハン・プレトリウスはヒエロニムス・プレトリウスの7人の子どもの中の一人です(兄も高名なオルガニスト&作曲家)。1612年、ハンブルクの聖ニコラス教会の秘書を務め、合唱隊の指揮などに携わりました。最近の調査により、いままでは他の作曲家の作品とされていたオルガン曲が、実は彼の作品であることがわかりそれに伴い演奏回数なども増え始めています。グレゴリオ聖歌を元にした曲など緻密な作風が魅力です。
777345-2S(2SACD)
北ドイツのバロック・オルガン第9 集〜ヒエロニムス・プレトリウス:オルガン作品集
■マニフィカトからの作品全集>
第1 旋法から第8 旋法のマニフィカト
マニフィカト・ゲルマニセ

■その他のオルガン作品集
わが死の時に臨みて
恵み深き光の創り主よ
来たり給え、創造主なる聖霊よ
いざ来ませ、異邦人の救い主よ
われらの主キリスト、ヨルダンの川に来れり
キリエ・スンムム/荒野の果てに
サンクトゥス・スンムム/セクエンツァ
聖霊の恵みは、私たちと共に
エジプトのイスラエルからの解放
フリードヘルム・フランメ(Org)
※1624年製 ドイツ、タンゲルムンデ,聖シュテファン教会 シェーラー・オルガン

録音:2007年8月1-4日
北ドイツ、後期ルネサッンス期に活躍した作曲家ヒエロニムス・プレトリウス(1560-1629)の作品集。彼はハンブルクに生まれ生涯のほとんどをその地で過ごしました。数多くの宗教曲を書き、また、オルガン伴奏による「四声のコラール集」を編集した最初の作曲家であり、この作品はプロテスタント教会の基準ともなっています。彼のオルガン作品のうち、9 曲はマニフィカトからの編曲で、これらは既存のメロディ=定旋律を用い、精緻な手法によって書かれているもので、オルガン独奏に置き換えることで、一層磨き抜かれた対位法が味わえます。歴史あるオルガンの響きにも圧倒されます。
777347(2CD)
ルドヴィク・イルゲンス=イェンセン:交響的作品集
主題と変奏
パルティータ・シンフォニカ/エア
組曲「ボールドウィン王の腕輪」
交響曲ニ短調
ロンド・マルツィアーレ/パッサカリア
アイヴィン・オードラン(指)
トロンハイムSO
例えば同世代のスウェーデンの作曲家アッテルベリの作品は、ヨーロッパでも比較的演奏される機会があるのですが、このノルウェーのイルゲンス=イェンセン(1894-1969)は自国以外ではほとんど忘れられてしまった人と言ってもよいでしょう。彼の作品は、同時代の作曲家の作品と比べるとかなり保守的であり、例えば第二次世界大戦の時期に書かれた交響曲も、きちんとした調性を持っています。また、自然とアウトドアライフを愛したという人だけあって、その作品の中にも自然への憧憬と深い人間哲学を垣間見ることができます。以前NAXOSレーベルからも一部の曲がリリースされていますが(NAXOS-8.572312)、こちらはもっと多彩な音楽をお聞きいただけます。
777348-2F
ゲルハルト・シェルデルプ(1859-1923):交響曲第2番「ノルウェイに」 エイヴィンド・アドランド(指)トロントハイムSO
ノルウェイの忘れられた作曲家、シェルデルプの作品です。彼はノルウェー最南端の都市、クリスチャンサンに生まれ、19歳の時パリに出て、ショパンの親友として知られるフランショームにチェロ、サヴァールとマスネに作曲を学びました。以降ドイツで活動しますが、1887年カールスルーエで上演された「ニーベルングの指環」を観てから、歌劇と楽劇の仕事に力を入れるようになります。彼の実の妹ハンカは、「日本の声楽の母」と呼ばれる声楽家で1909年に来日し、東京音楽学校(東京芸術大学の前身)で声楽の指導に当たった事で知られます。交響曲第2番「ノルウェイ」は1924年に書かれた、イプセンの戯曲を元にした壮大な作品です。ひとつのモティーフを徹底的に追求し、凝った楽器法を与えられた響きには感嘆するばかりです。
777349-2F
ヤン・ファン・ヒルセ(1881-1944):交響曲集
交響曲第1番、交響曲第2番
ダヴィッド・ポルセライン(指)オランダSO
オランダ生まれの作曲家、指揮者であるヤン・ファン・ヒルセ。5曲の交響曲とオランダ語によるオペラ「ティル」がかろうじて知られています。ビュルナーとフンパーディンクに学び、ミュンヘンの劇場で活躍したあと、大戦後はオランダに戻りました。作風は明快、晴朗。曲のすべてに爽やかな風が漲った聴き応えのある作品です。
777350-2B
フェスカ(1789-1826):交響曲第2番、第3番 フランク・ベールマン(指)北ドイツRSO
よほどの通でないとこの作曲家の名前は知らないのではないでしょうか?ベートーヴェンとほとんど同じ時期に生き、おそらく影響を受けたと思われる作風で、現在ではわずかに交響曲と弦楽四重奏、そして合唱作品が残っていますが、なかなか緻密な作品が多く、ウェーバーが大絶賛したというのも頷けます。この機会に改めて典雅な魅力に触れてみるのも一興です。
777351-2F(2CD)
ダンツィ:交響曲全集
交響曲P.222,220,218
交響曲P.223,221,219
ハワード・グリフィス(指)
スイス・イタリア語放送O
ダンツィは1763年に生まれ、マンハイム、ミュンヘン、シュトゥットガルト、カールスルーエの宮廷楽団員として活躍し、バイエルン宮廷楽団では首席チェリストを務めたほどの名手でした。若き頃モーツァルトに出会ってからは、一生敬意を持ち続け、ベートーヴェンと同世代であったにも関わらず劇的な作品を書くことはせず、あくまでも上品でまろやかな作品を書き続け、その作風はウェーバーへと引き継がれたのです。現在では、管楽器を中心とした室内楽の作曲家としてのみ広く知られていて、とりわけ木管五重奏では各楽器の扱いには目を見張るものがあります。しかし、本当のところは当時の主要ジャンル・・・歌劇、教会音楽、交響曲、管弦楽曲、協奏曲などに数多くの作品を書いており、もっと高く評価されても良い人なのではないでしょうか?このアルバムに収録された交響曲集も、古典派からロマン派への橋渡しとしての役割を背負った重要な作品群です。快活な響きが耳を楽しませてくれることでしょう。
777352-2F
フィリップ・ドゥリヒウス:18のモテット集
Quaerite primum regnum Dei-まず神の御国を求めよ
Benedic anima mea Domino (Non secundum peccata nostra)-我が魂よ主をほめよ
Christus humiliavit semetipsum-キリストは謙虚に自分自身を
Anni nostril sicut aranea-私たちは蜘蛛のように
Ecce quomodo moritur iustus-見よ、ただしき人が死にゆく様を
Justorum animae in manu Dei sunt-神に従う人の魂は神の手で守られ
Nolite solliciti esse-心配するな
Magister, licetne censum dare-指導者よ、あなたを敬います
Ecce quam bonum-いかに良く
Lobet den Herrn alle Heiden-主よ、全ての国を賞賛に
Deus noster refugium-主こそ我らが避け所なり
Cantate Domino-カンターテ・ドミノ
Beatus homo, qui corripitur ああ, 幸いなことよ. 神に 責められるその 人は
Dixit lesus discipulis suis-イエスは弟子たちに言う
Beati qui habitant in domo tua (elegiabiectusesse)-汝の館に住む者は幸いなり
In domo patris mei-わが父の家で
Gaudens gaudebo in Domino-われ主のうちに大いに楽しみ
Lobet und preiset den Herren-主を賛美し、祝福する
マンフレード・コルデス(指)
ブレーメン・ヴェゼル=ルネサンス
「ポメラニアのラッスス」これは、1896年、ドゥヒリウスについて最初に研究を発表したルドルフ・シュワルツが呼んだ愛称です。ケムニッツの布商人カスパー・ドゥルヒウス(1562-1631彼はケムニッツの市長であり、地方都市協議会のメンバーでもあった)を父として生まれました。1579年にライプツィヒの大学に入学した記録が残る他は、若い頃の経歴はほとんど知られておらず、誰から教えを受けたのかも不明です。1587年にシュテッティンのカントールに就任、その後は教師として活躍、1630年に引退するまで43年間、この地の音楽普及に努めました。その翌年、この地で亡くなりマリーエン教会に埋葬されましたが、1789年に教会が焼失。しかし、2008年になって、彼を讃えるためにケムニッツに銘板が設立されています。彼の音楽は、同時代のモンテヴェルディと同様に、新しい対位法のスタイルを模索したものであり、このモテットも美しい旋律と絶妙な和声が魅力です。
777353-2F
リース(1784-1838):協奏曲&管弦楽作品集
2台のホルンのための協奏曲WoO19
ヴァイオリン協奏曲Op.24
序曲「盗賊の花嫁」Op.156
歌劇「ギレンシュテーンの魔女」よりOp.164
トイニス・ファン・デル・ツヴァルト&エルヴィン・ヴィーリンガ(Hrn)
アントン・シュテック(Vn)
ミヒャエル・アレクサンダー・ヴィレン(指)
ケルナー・アカデミー
ベートーヴェンの弟子であり、回想録を出版した事でも知られるフェルディナンド・リースによるただ一つのヴァイオリン協奏曲を含む作品集です。リースの父フランツ・アントンは高名なヴァイオリニストで、実はベートーヴェンは父リースからヴァイオリンの指導を受けていたのですから、やはり彼とベートーヴェンの関係はただならぬものだったに違いありません。作品は古典派からロマン派への移り変わりの時期に書かれたものらしく、熟成した語法が光る名作となっています。2つのホルンのための協奏曲もインスピレーション豊かな曲です。オペラからの2つの作品も、渋さの中にきらりと光るものがあるステキなメロディーに満ちています。
777355-2(21CD)
レーヴェ:歌曲とバラード全集 ジュリー・カウフマン(S)/エディト・マティス(S)
ガブリエレ・ロスマニト(S)
ルース・ツィーザク(S)/モニカ・グループ(Ms)
イヴィ・ジーニック(A)
ウルズラ・クリーゲル(A)
イリス・フェルミリオン(Ms)
クリスティアン・エルスナー(T)
ヤン・コボウ(T)/クリストフ・プレガルディエン(T)
ロベルト・ヴェルレ(T)/トーマス・モール(Br)
ローマン・トレーケル(Br)
アンドレアス・シュミット(Br)/クルト・モル(Bs)
モルテン・E・ラッセン(Bs)
コード・ガーベン(P)
1996年、レーヴェ生誕200年を記念してcpoが企画したのは、レーヴェの全ての詩とバラードの録音でした。彼の歌が内包する大きな宇宙は、とても魅惑的で、ドイツ・リートの歩みを体感するためにはなくてはならないものです。マティス、ツィーザク、プレガルディエン、トレーケル、モルら、ドイツ・リートを歌わせたら右に出る者はいないであろう、偉大なる歌手たちを起用。まさに百花繚乱の様相を見せています。2007年に全ての録音が無事完了したのは、名ピアニストで名プロデューサーでもあるコート・ガーベンの偉大なる力も忘れてはなりません。この魅力的で歴史的な価値ある全集をぜひこの機会に。148ページのブックレットには英語とドイツ語の解説が付されています。(ドイツ語の歌詞及び英語訳は内包されているCD−ROMに収録されています)
777356-2F
ブラームスの作品に基づく編曲集
シェーンベルク:ピアノ四重奏曲Op.25ト短調(管弦楽版)、
ベリオ
:クラリネット・ソナタOp.120-1(管弦楽版)
カール・ハインツ・シュテッフェンス(Cl)
ダニエル・ライスキン(指)ライン州立PO
後世の作曲家たちの編曲したブラームスの作品を2曲。シェーンベルクによる「ピアノ四重奏曲」の管弦楽版はしばしば耳にする機会もあるのですが、ベリオによる「クラリネット・ソナタ」はあまり演奏されることもありません。ぎっちりと濃縮された語法によるブラームスの室内作品が、大きな枠へと放射される際に発せられるエネルギーの凄まじさを感じていただけると思います。
777358-2F
イグナツ・ホルツバウアー(1711-1783):フラウト・トラヴェルソと弦楽オーケストラのための協奏曲集
ニ長調/ホ短調/イ長調/ニ長調
カール・カイザー(フラウト・トラヴェルソ&指)、
ラ・スタジオーネ・フランクフルト
何と素晴らしい活気溢れるフルートの音色でしょう!ホルツバウアーは1753年より78年までマンハイムのプファルツ選帝侯の楽長を務めたマンハイム楽派の作曲家です。彼は多くの室内楽作品を作曲しました。それらは整った形式を持ったもので、まるで素晴らしく誂えた特別仕立ての服のように当時の人々の好みにフィットしたのです。このフルート協奏曲は、4部からなる弦楽合奏を従えたフルートの華麗な技巧に彩られた優美な旋律が魅力的。カイザーの演奏がまた神がかり的に上手い!!これこそ疾風怒濤です。
777359-2M
バッハ:トリオ・ソナタ集
オルガンのためのトリオ・ソナタBWV525
オルガンのためのトリオ・ソナタBWV527
3つのヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタBWV1027-1029
カメラータ・ケルン(オリジナル楽器使用)
2009年に設立30周年を迎えるカメラータ・ケルンの最新録音です。これらの作品は、本来はオルガン、およびヴィオラ・ダ・ガンバのために書かれたものですが、ここでは彼らが独自にアレンジした版を用いたとても興味深いものです。BWV525と527は本来オルガンの手鍵盤と足鍵盤の三声部で演奏される曲で、これまでにも様々なアレンジによって演奏されていますが、カメラータ・ケルンによる編曲は非常に考え抜かれたもので、バッハのスタイルに無理なく沿いながらも、斬新な味付けがなされており、バッハの音楽の可能性を極限まで引き出してた編曲として高く評価されるものです。
777360-2F
マッテゾン(1681-1764):オラトリオ「愛に満ち、かつ辛抱強いダヴィッド」 クリスティアン・ヒルツ(S)
ニッキ・ケネディ(S)
ウルズラ・アイッティンガー(A)
ライモンズ・シュポーギス(Br)
マックス・チオレック(T)
ケルン・アカデミー&ケルン・アカデミーcho
ミヒャエル・アレクウサンダー・ヴィレンス(指)
作曲家、外交官、音楽理論家と言った多彩な才能を持つドイツ後期バロック時代のヨハン・マッテゾンの壮大なるオラトリオです。ヘンデルとは大親友であったものの、オペラの上演中にいさかいを起こし、あわやヘンデルを刺し殺しそうになったというエピソードを持つ物騒な人でもありました。大作曲家であったにも関わらず彼の相当数の作品が1998年まで行方不明だったため、すっかり忘れ去られた存在になっていたマッテゾン。これから復興が進むのでしょうか。まず手始めにこれを聴いてみてください。
777361F
エドヴィン・カルステニウス:交響曲集
交響曲第1番変ホ長調Op.16
シンフォニエッタ第2番ト長調Op.34
ムジカ・シンフォニカOp.42
フランク・ベールマン(指)
ヘルシンボリSO

録音:2007年10月1-5日スウェーデン,ヘルシンボリ
カルステニウス(1881-1967)はスウェーデンの作曲家。もともとは自然科学を学び、1904年から1907年まで、ドイツの音楽教師、作曲家シュテファン・クレールの元で音楽を学びます。その後は音楽評論家を務めながら、ストックホルム放送局の音楽資料係を担当し、同時にスウェーデン作曲家協会、著作権協会の執行役員を務めるなど、スウエーデンの音楽の発展に力を尽くしました。放送劇のための付属音楽を始め、交響曲やピアノ協奏曲など、数多くの作品を残しました。彼が崇拝したのは、頽廃音楽作曲家として知られるフランツ・シュレーカーでしたが、その作風はもう少し古典的であり、メロディを重視した魅力的なものです。彼の最初の交響曲「第1番」は1920年代に作曲されたものです。ラングストレームは「カルステニウスはチャーミングな作曲家ではないが、この作品には拍手を送る」と意味深いコメントを寄せています。
777364-2F
スーク:作品集
交響詩「人生の実り」Op.34、交響詩「冬の夕べの物語」Op.9
キリル・ペトレンコ(指)ベルリン・コミッシェ・オーパーO
ドヴォルザークの義理の息子であり、同名のヴァイオリニストの祖父であるヨゼフ・スーク1874-1935)。最初は国民主義の作風から出発するも、より多彩な響きを求め、ドイツロマン派風の重厚な作品を多く書いています。6つの部分からなる「人生の実り」は名指揮者ターリヒが1918年にチェコ・フィルと初演を行い大成功を収めた曲。ここではベルリン・コミーシェオーパーの名監督キリル・ペトレンコの熟練の指揮でどうぞ。
777367-2(3CD)F
リュリ:歌劇「プシュケ」 カロリン・サンプソン(S)、
カリーナ・ゴヴァン(S)、
エアロン・シーハン(T)、
コリン・バルツァー(T)他、
ポール・オデット&スティーヴン・スタッブス(指)
ボストン祝祭古楽オーケストラ&cho
リュリ(1632-1687)の悲劇「プシュケ」の全曲盤の登場です。音楽祭で上演された際の録音で、サンプソンらの名唱が話題となったものです。指揮はポール・オデット&スティーヴン・スタッブスの定評ある共同作業。前作「テゼ」(777240-2)はグラミー賞にもノミネートされました。
777369-2F
ハンブルクの聖なる音楽集1600-1800年
J.P.フェルチュ(1652-1732):汝、異教徒の慰めよ/ベツレヘムへ向かって/我がいとしのイエス/人々よ、長らく私を忘れるなかれ/偉大なる奇跡/深みより/罪深き人は歩み寄り/恐らく彼は敬わぬ者の言葉を聞かぬ/人よ、その行いは
ムジカ・フィアタ
ローランド・ウィルソン(指)
ラ・カペラ・ドゥカーレ
貿易都市として栄えたハンブルク。しかしながら、これは必ずしも芸術にとって理想的な環境とは言えません。とは言え、長き伝統に支えられたこの大都市には多くの人が集まり、音楽家たちを後援する有志も多数いたのでした。1600年から1800年はハンブルクの黄金時代と言ってもよいでしょう。この頃に活躍したフェルチュはハンブルクで歌劇台本作家として活躍したのち音楽も書くようになったと言う面白い経歴を持っています。彼のオペラの題材は聖書から取られた物が多いのも特徴的で、ここに収録された作品も宗教曲であり、オペラアリアでもある極めて興味深いものです。
777370-2S(2SACD)
北ドイツのオルガン作品集第6集
トゥンダー(1614-1667)、ハッセ(1605-1670頃):オルガン作品全集
フリードハイム・フランメ(Org)
北ドイツのオルガンの旅、第6集はトゥンダーとハッセの作品集です。トゥンダーはリューベックの聖マリア教会の首席オルガニストを生涯に渡って務め上げた人ですが、その生涯はほとんど知られておらず、作品も驚くほど僅かしか残っていません。ちなみにトゥンダーの後任は彼の娘と結婚したブクステフーデが務めています。ハッセの生涯のエピソードもあまり知られてはいませんが、彼の影響は至るところに残っていて、その偉業は容易に想像することが可能です。ここでは1724年製の由緒あるオルガンを使用。その渋く美しい響きに痺れること請け合いです。華麗な響きを極限までに再現した優秀録音がとても魅力的です。
777372-2B(3CD)
スヴェンセン(1840?-1911):交響曲、管弦楽曲集
交響曲第1番Op.4/交響曲第2番Op.15
ノルウェイ芸術家の謝肉祭Op.14
ロメオとジュリエットOp.18/パリの謝肉祭Op.9
ゾラハイダOp.11/祝祭ポロネーズOp.12
アンダンテ・フュネーブルシーグル・スレンベOp.8
ノルウェー民謡による変奏曲Op.31
ノルウェイ狂詩曲第1番Op.17
ノルウェイ狂詩曲第2番Op.19
ノルウェイ狂詩曲第3番Op.21
ノルウェイ狂詩曲第4番Op.22
テリェ・ミッケルセン(指)ラトヴィア国立SO
グリーグとともにノルウェーの国民主義音楽を代表する作曲家の一人スヴェンセン。いくつかの交響曲はすでに人気を博していますが、この3枚組では彼の仕事をたっぷり楽しむことができます。さまざまな作曲家の影響を受けつつも独自の作風を確立していくスヴェンセンの軌跡が理解できる嬉しい曲集。お求めやすい価格も魅力です!
777373-2F
レーガー:ピアノ協奏曲Op.114、
バッハ(ブゾーニ編):ピアノと弦楽合奏のための協奏曲ニ短調BWV1052
ミヒャエル・コルスティック(P)、
ウルフ・シルマー(指)ミュンヘン放送O
レーガー自身が初演の6週間前!に「この曲の演奏はとても困難である」と語ったピアノ協奏曲。確かにそれはブラームスの第1番の曲をもう少しモダンにして、更に晦渋にしたような作品でした。当然初演も大失敗。世間の評判もさんざんなものだったと言います。(とはいえ聴衆を敵に回すのが大好きだったレーガーとしては別に何のこともなかったのでしょうが・・・。)そんなわけでこの曲の真価は問われることもなかったのですが、今回、ドイツの中堅ピアニスト、コルスティックの堅固なる演奏によって、ようやく正しい姿を見ることが可能になりました。ブゾーニ編のバッハの協奏曲も食えない曲。ロマン派の作品が好きで好きでたまらない人にうってつけの1枚です。
777375-2M
テレマン:パリ四重奏曲集第1集
コンチェルトニ長調TWV43:D1
四重奏曲イ短調TWV43:a2
ソナタイ長調TWV43:A1
四重奏曲ホ短調TWV43:e1
ジョン・ホロウェイ(Vn)、
リンデ・ブルンマイア(フルート・トラヴェルソ)、
ローレンツ・ドゥフトシュミット(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、
ウルリケ・ベッカー(Vc)、
ラルス=ウルリク・モーテンセン(Cemb)
1737年秋、テレマンはかねてからの希望であったパリ旅行へと出かけました。フランスの音楽の中心であったパリで彼は8か月過ごし、演奏会を成功させ、王からは、自らの作品を出版できる特権を与えられたのです。しかしながら、1838年に出版された「新四重奏曲集」はパリで書かれたものですが、12の「パリ四重奏曲」は実はその前の1730年ハンブルクで出版されたものの再版なのです。どちらにしても、テレマンの最高傑作のひとつ。ホロウェイ、モーテンセンらの名手による満足のいく演奏でどうぞ。
777377-2M
ミスリヴェチェク(1737-1781):管楽八重奏曲&五重奏曲全集
管楽八重奏曲第1番−第3番
管楽五重奏曲第1番−第6番
オルフェオ・ブラス・アンサンブル
カリン・ファン・ヘールデン
チェコ出身で、生前はオペラ作曲家として名を馳せたミスリヴェチェクですが、実は多くの管弦楽曲や器楽曲も書いています。ここで聴ける管楽アンサンブル集は、まるで言葉のないオペラのようで、弾むリズムと劇的な楽想を持っています。若きモーツァルトが多大な影響を受けたと言われるだけあって、そのメロディの閃きにも聴きどころがたっぷりです。また各々の楽器に要求される技術も大層なもので、当時の奏者たちがいかに高度な技を持っていたかを想像するのも楽しいことです。ドイツ、オーストリアで活躍するオルフェオ・ブラス・アンサンブルは極めて親密な響きで、この作曲家の真価を伝えます。
777378-2M
カトワール(1861-1926):ヴァイオリンとピアノのための作品集
ヴァイオリン・ソナタ第1番Op.15
ヴァイオリンとピアノのための詩曲(ソナタ第2番)Op.20
エレジーOp.26
ヴィオラとピアノの為のロマンスOp.1-4(ヴァイオリンとピアノ編)
アルブレヒト・ブロイニンガー(Vn)
アンナ・ザッシモワ(P)
カトワール(ロシア読みはカトゥアール)はフランス系ロシア人のピアニスト・作曲家。モスクワ大学で数学を専攻し1884年にて卒業。その後音楽の道を選び、ベルリンへ留学します。そこでワグネリアンのピアニスト、カール・クリントヴォルトに師事し、自らもワーグナーへ傾倒し、1879年にワーグナー協会の会員になります。しかし、当時のロシアではワーグナー嫌いが多かったため、どうしても彼の作品は低く評価されてしまったのです。そんな彼の作品を再調査しているのが、ここでピアノを演奏しているザッシモワです。彼女は10年程前からモスクワでカトワールの作品を研究し、チャイコフスキーとの関連性についての本を出版しています。そんな彼女と名手ブロイニンガーが奏でる一連のヴァイオリン作品は、この忘れられた作曲家の復興に大きな力を貸すことでしょう。
777379-2F
ゴウヴィ(1819-1898):交響曲第3番&第5番 ザールブリュッケン・カイザー、
ジャック・メルシエ(指)スラウテルン・ドイツ放送PO
ザールブリュッケン近郊で生まれたゴウヴィ。彼はドイツとフランスの両方 で活躍の場を広げたため、その作風にはベルリオーズとオンスローの影響が 見て取れ、彼が亡くなった時には、ドイツではフランス人、フランスではド イツ人と見なされたそうです。裕福な一生を送ったため、作曲活動にはあま り熱心ではなかったのですが200以上の作品を書き、同世代の人ヨアヒムやブ ラームスからはとても高く評価されていました。そんなゴウヴィの交響曲全 集の始まりの1枚です。
777380-2F
グヴィ(1819-1898):交響曲集第2集
交響曲第6番Op.87ト短調
シンフォニエッタOp.80ニ長調
ジャック・メルシエ(指)
ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送PO
200を超える曲を作曲し、存命中にあのベルリオーズが擁護したにも関わらず、その評価は高まることのなかった作曲家テオドール・グヴィ。cpoではこれが2作目のリリースとなります。ドイツとフランスの領土争いに巻き込まれ、どちらの国からも忘れられてしまった彼の作品がこうして聴けるのは嬉しいことです。もともと交響曲として構想されたシンフォニエッタはブラームスの第2交響曲を思わせるのどかで古典的な牧歌で始まります。第6番の交響曲は祝祭的な雰囲気を湛えた賑やかなメロディで始まり、中世の騎士たちの戦いを描写し、最後は荘厳なフーガで締めくくるという表現的な曲です。
777385-2F
ブルッフ:スウェーデン舞曲集他
スウェーデン舞曲集Op.63
ロシア民謡による組曲Op.79b
スウェーデン民謡によるセレナーデOp.posth
ヴェルナー・アンドレアス・アルベルト(指)
SWRカイザースラウテルン放送O
ロマンティックなヴァイオリン協奏曲で知られるブルッフは、実は歌、特に各地の民謡に強い関心を示していました。しかし、実際には歌曲としてより、インストゥルメンタルの分野でその思いは結実したようです。このアルバムには2つの地方の民謡を元にした作品を収録。かわいらしさ、美しさ、多彩さ、様々な要素を兼ね備えた魅惑的でロマンティックな音による情景です。
777389-2M
メンデルスゾーン:弦楽五重奏曲集
弦楽五重奏曲第1番Op.18
弦楽五重奏曲第2番Op.87
マンハイムSQ、ヨネ・カリウナイテ(Va)
メンデルスゾーンの室内楽と言えばまず弦楽四重奏曲が知られていますが、この弦楽五重奏曲も素晴らしい出来栄えです。彼の作品は作品の緻密な構成に主眼を置くことより、自由な旋律の発展と調性の追及に力を注いでいます。第1番は17歳の時の作品。柔軟で伸びやかな音に満ちています。第2番は晩年(と、いっても36歳)の作品で、こちらは崇高な響きに溢れた力強い音楽です。まるでベートーヴェンを思わせるようなこの曲のパワーを目の当たりにすると、大方の人が抱いているメンデルスゾーンのイメージなどは、いとも容易く崩れてしまうに違いありません。
777390-2F(2CD)
テレマン:隊長の音楽TVWV15:15 ドロテー・ミールズ(S)
モニカ・マウフ(S)
ウルリケ・ホフバウアー(S)
インモ・シュレーダー(T)
ドミニク・ヴェルナー(Bs-Br)
ヴェゼル・ルネサンス
マンフレッド・コルデス(指)
1721年、40歳のテレマンはハンブルクの都市音楽監督に就任しました。これによって彼は、当時ハンザ自由都市であったハンブルクにおける音楽の全責任を担うことになり、オペラ、コンサート、教会音楽、作曲、出版とあらゆる部分で活躍し高い評価を得たのです。都市を守るハンブルク市民自警団の隊長のために音楽を書いたのもそんな活動の一環としてです。このオラトリオはハンブルクの守護神「隊長」への謝意があふれた力強い音楽。独唱者たちの熱唱でその栄誉が讃えられるのです。
777391-2M
ハインリヒ・カスパール・シュミット(1874-1953):室内楽作品集
クラリネット,ヴィオラとピアノのための三重奏曲Op.114
フルートとピアノのためのソナタOp.106
クラリネットとピアノのためのアレグレットOp.34-2
ヴィオラとピアノのためのソナタOp.111
フルートとピアノのためのカプリッチョOp.34-5
ニコラス・リンマー(P)
ヨハネス・ツール(Cl)
ニルス・メーンケマイヤー(Va)
ピルミン・グレール(Fl)
cpoの毎月のリリースを眺めていると、まだまだ知られていない作曲家が多いのだな。と感心してしまいます。このカスパール・シュミットもそんな一人。1874年に生まれ1953年にミュンヘンで没した人ですが、作品を聴く機会はほとんどありません。幼少の頃は、レーゲンスブルク大聖堂の聖歌隊で歌い、その後ミュンヘン音楽アカデミーでルートヴィヒ・トゥイレに作曲を学びました。彼の作品は、当時プフィッツナーと同等に高く評価されたのですが、結局作風は後期ロマン派の域を出ることはありませんでした。R.シュトラウスのような強い個性を持たない穏健な作風のせいで、恐らく歴史の狭間に埋もれてしまったのでしょう。どの作品もブラームスやシューマンの影を色濃く残していて、調性を逸脱することなく安心して楽しめます。
777392-2M
ワインベルク(1919-1996):弦楽四重奏曲集第2集
弦楽四重奏曲第7番Op.59/
弦楽四重奏曲第11番Op.89/
弦楽四重奏曲第13番Op.118
ダネルSQ
第1集(777313-2)が静かなブームとなった、ショスタコーヴィチの友人ワインベルクの弦楽四重奏曲集第2集です。ユダヤの民族音楽から12音まで、幅広い要素を含んだ彼の作品はショスタコーヴィチに高く評価され、ことある事に「この音楽はいい」と推薦したと言われてます。恐らく2人の音楽語法やインスピレーションの源泉はとても近いところにあったのでしょう。暗さと重さ、そして美しさを伴った弦楽四重奏曲、このアルバムでも3曲お聴きいただけます。
777393-2M
ミチェスラフ・ヴァインベルク(1919-1996):弦楽四重奏曲集第3集
弦楽四重奏曲第6番
弦楽四重奏曲第8番
弦楽四重奏曲第15番
ダネルQ
どうしてもショスタコーヴィチとの共通性ばかりに目がいくヴァインベルクの音楽。今回もそんな印象を与えつつ、ひっそりと心の隙間に忍びこむような、いわば「魔性の世界」へとあなたを誘います。第6番はまだ彼の活動の初期、ソビエト時代に書かれた作品。一度演奏禁止になったためか、彼は9年もの間、弦楽四重奏曲を書くのをやめてしまいました。その第7番からこれまた10年以上経過後、ようやく書きあげられた第10番の弦楽四重奏曲は、最初単一楽章で書かれたものの、1959年に3つの楽章に分割され、新たな表情を見せることになります。1980年に作曲された第15番は、彼の弦楽四重奏曲の中でも白眉とされるもの。ロシア音楽の持つ独特の鬱々とした雰囲気を愛する人にはたまらない1枚となること間違いありません。
777394-2M
ヴァインベルク:弦楽四重奏曲集第4集
弦楽四重奏曲第5番Op.27
弦楽四重奏曲第9番Op.80
弦楽四重奏曲第14番Op.122
ダネルSQ
ヴァインベルクの第4集の弦楽四重奏曲集です。第5番は彼がモスクワに滞在していた時に書かれた曲で、各々の楽章は「メロディー、ユーモレスク、スケルツォ、即興、セレナーデ」と題されています。この曲と第9番はショスタコーヴィチの影響が多分にあり、重苦しさと苦々しさに満ちています。暗い曲がお好きな人にはぜひオススメしたい逸品です。第14番の四重奏曲は、彼は新たな創造の旅に出かけたようです。切れ目のない5つの楽章は、それぞれ関連づけられながらも、完全に異なるキャラクターを持っていますが、ヴァインベルクはそれらを明確に提示することはありません。イメージを膨らませてお聴きください。演奏はダネル弦楽四重奏団です。いつものことながら緊密なアンサンブルを聞かせます。
777395-2M
プフィッツナー:室内楽作品集
五重奏曲ハ長調Op.23
六重奏曲ト短調Op.55
アンサンブル・ウルフ・ヘルシャー
cpoレーベルで最も重要な位置を占めるのが、このプフィッツナーの作品群です。多くの作品を残しているものの、あまり録音に恵まれているとは言えない大作曲家の知られざる作品を掘り起こすことは、何という大きな喜びなのでしょうか?この2つの室内楽作品は、彼の作曲上の手腕(特に対位法の扱い)を再認識させるにふさわしいものです。2台のヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、ピアノのための五重奏曲、クラリネット、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、そしてピアノのための六重奏曲。どちらも聴き応えたっぷりの重厚な作品です。
777396-2F
トマス・ゼレ(1599-1663):復活祭のためのコンチェルトとモテット集
ADominofactumestillud
キリストは死の縄目につながれたり
キリストは復活した、わたしの希望
主は活きたもう死ははや敗れ
イエス・キリスト我らの救い主
我ら救い主キリスト今よみがえり
我は知る。我を贖うお方は生きておられる
マンフレッド・コルテス(指)
ブレーメン・ヴェーザー・ルネッサンス
ザクソン生まれのトマス・ゼレはライプチヒでカルビシウスとヘルマン・シャインから教えを受けた(らしい)人。ハンブルクの4つの主要な教会のカントールを務め、この地の音楽発展に力を尽くしました。300曲近くのモテットを作曲し、中でもヨハネ受難曲は彼の代表作と呼ばれています。他にも多くの器楽作品、声楽作品があり、どれも旋律、和声、対位法などに新たな手法を用いた斬新さが魅力です。今回のアルバムは復活祭のために書かれた作品を集めたものです。輝かしさに満ち溢れた佳曲ばかり。
777397-2F
ハンブルクの聖なる音楽集1600-1800年
テレマン:オラトリオ「ライオンの巣窟から戻ってきたダニエル」
アンネメイ・ブレッシング・レイハウセン(S)
アンネグレート・クラインドプフ(S)
ラウリー・レヴィロル(S)
カイ・ヴェッセル(C.A)他
ミヒャエル・シュナイダー(指)
ラ・スタジオーネ・フランクフルト
730年に作曲され1731年にハンブルクの教会で初演されたこのオラトリオは、残存する草稿などから長い間ヘンデルの作とされていました。しかし、最新の研究結果では、実はテレマンの作品であることがわかり、2006年のマクデブルク・テレマン・フェスティバルと同時に開催された国際会議のコンサートで公式演奏され、マニアと研究者を狂喜乱舞させたのです。この作品はテレマンの数多い宗教作品の中でも、とりわけ劇的で多彩、そして光り輝く音楽を備えています。テレマンの才能の奥深さに感嘆する1枚と言えましょう。
777399(2CD)
NX-D11
カールマン(1882-1953):喜歌劇「伯爵夫人マリツァ」 伯爵令嬢マリツァ…ベツィ・ホルネ(S)
リーザ:タシロ伯爵の妹…リディア・トイシャー(S)
タシロ伯爵…メルツァード・モンタゼーリ(T)
コローマン・ジュバン男爵/ボツェーナ伯爵夫人
…ジェフリー・トレガンツァ(T)
マーニャ…ピア・ヴィオラ・ブヒェルト(Ms)
ペーター・シェーネ(Br)
フランク・マンホールト(ナレーター)
ウィーン・フォルクスオーパー楽友協会cho
ミュンヘン放送O
エルンスト・タイス(指)

録音:2018年4月27、28日(ライヴ)
田舎で暮らす伯爵令嬢マリツァの領地を守っているのはテレクと名乗る没落貴族タシロ。彼は妹リーザのために 必死に持参金を稼いでいます。ある日、婚約を決めたというマリツァが戻ってきますが、実はそれは作り話。架空 の人物「コロマン・ジュパン男爵」と婚約をするという名目で他の男たちから逃げたかっただけなのですが、そこに現 れたのは実在のコロマン・ジュパン男爵。そしてタシロの前にはマリツァの友人としてリーザが現れます。召使の身 分を妹に知られたくないタシロは憂鬱な気分を収めるために庭で素晴らしいチャールダーシュを歌い… 数々の名旋律で彩られたカールマンの「伯爵夫人マリツァ」の物語は、現在のドイツ語圏を中心に上演回数の 高い作品として知られています。とりわけミュンヘン放送Oは長年にわたり、この作品を採り上げています が、今回この曲を指揮したのはオペレッタ上演に実績のあるエルンスト・タイス。各地で活躍する名歌手を揃え、 万全の演奏を聴かせます。ジュバン男爵とボツェーナ伯爵夫人の二役を演じるジェフリー・トレガンツァの歌声も 聴きどころです。

777400-2F
テレマン:管楽器のための協奏曲集第4集
2つのリコーダーと弦楽合奏,通奏低音のための協奏曲 TWV52:a2、
フラウト・トラヴェルソと弦楽合奏,通奏低音のための協奏曲 TWV51:D2、
オーボエ・ダモーレと弦楽合奏,通奏低音のための協奏曲 TWV51:A2、
フラウト・トラヴェルソとバスーン,弦楽合奏,通奏低音のための協奏曲 TWV53:h1、
オーボエ,弦楽合奏,通奏低音のための協奏曲 TWV51:e1
ラミヒャエル・シュナイダー(指)
スタジオーネ・フランクフルト
CPOレーベルが積極的にリリースしているテレマンの作品集。今月は管楽器の ための協奏曲第4集です。今回は5つの作品を収録しました。そのどれもがテレ マンの協奏曲作曲家としての高い資質を示したものです。当時主流だったイタ リア音楽の様式に、フランスとポーランドの風を吹きこみ、独自の形式を作 り上げたことも評価されています。各独奏楽器の奏法は極めて自然かつ牧歌 的で、それらを生かしたここでの演奏はエレガントでスタイリッシュです。
777401-2F
テレマン:管楽器のための協奏曲集第5集
フルートと弦楽器,通奏低音のための協奏曲TWV51:D1
2つのオーボエ・ダモーレと2つのヴァイオリン,通奏低音のための協奏曲TWV52:A1
アルト・リコーダーと弦楽器、通奏低音のための協奏曲TWV51:F1
2つのホルン,2つのオーボエを含む弦楽器,通奏低音のための協奏曲TWV52:Es1
オーボエ,弦楽器と通奏低音のための協奏曲TWV51:d2
2つのフルート,ファゴット,弦楽器と通奏低音のための協奏曲TWV52:e2
ミヒャエル・シュナイダー(指)
ラ・スタジオーネ・フランクフルト
ロック音楽をこよなく愛する人から、研究者まで、多くの人が待ち焦がれていたテレマンの管楽器のための協奏曲集の第5集がリリースされます。一体何曲あるのだろう?と思わせてくれるほど、多彩な曲が並びます。当時、辛口の音楽評論家として名を馳せたヨハン・アドルフ・シャイベ(同時代であるJ.S.バッハの作品すら酷評した)も彼の著書「CritischerMusikus(批判的音楽家)」第2版の中でテレマンの一連の協奏曲を褒め称えているほどです。シャイベは啓蒙主義を貫いていて、音楽がどれほど自然であるかに重きを置いた作曲家であり、彼の眼には、テレマンの溢れるような楽想こそが素晴らしく映ったに違いありません。そんな一連の協奏曲作品、楽器が多ければ多いほど曲は華麗になるのはお約束でしょう。
777402-2F
テレマン:管楽器のための協奏曲集第6集
フラウト・トラヴェルソ,弦楽と通奏低音のための協奏曲ロ短調 TWV 51:h1
.2つのフルート,ファゴット,弦楽と通奏低音のための協奏曲ニ長調 TWV 53:D1
オーボエ,弦楽と通奏低音のための協奏曲イ短調 TWV 51:a1
2つのオーボエ,ファゴットと弦楽,通奏低音のための協奏曲ハ長調「フランス風」TWV 53:C1
フルートと弦楽,通奏低音のための協奏曲「ポロネーズ」ニ長調TWV 51:D3*
2つのリコーダーと弦楽,通奏低音のための協奏曲変ロ長調 TWV 52:B1
2つのホルン,弦楽と通奏低音のための協奏曲ヘ長調 TWV 52:F3
ミヒャエル・シュナイダー(指)
ラ・スタジオーネ・フランクフルト
カメラータ・ケルン*
テレマン(1681-1767)の膨大な作品を整理し、その素晴らしい旋律美と見事な対位法の技術を再認識するためにと企画されたこのシリーズも第6集となりました。今回もシュナイダーによる統率の取れた演奏と、オリジナル楽器による自然な響きでこれらの名作をお聴きいただけます。テレマンはイタリアやポーランド、フランスの舞曲を自らの音楽様式に積極的に取り入れたことでも知られますが、この曲集に収録されたいくつかの作品にも、その傾向は顕著に表れています。タイトルに「フランス風」や「ポーランド風(ポロネーズ)」と記されたものはもちろんのこと、他の曲も、イタリア風の華麗な妙技を誇るものや、品のよいフランス風の味付けを施された小粋なものばかり。
777404-2F(2CD)
ツィーラー:喜歌劇「三つの願い」 フォルカー・フォーゲル(T)/
ドンナ・エレン(S)/
ヴァレリー・ゼルキン(T)/
ロレナ・エスピナ(アルト)/
クレメンス・スロウィチェク(Bs)
アンア・シミンスカ(S)
ヘルベルト・モック(指)
ウィーン・シェーンブルン宮廷劇場O&cho
現代では才能ある作曲家として知られるツィーラーですが、ヨハン・シュトラウスは彼のことを全く認めようとせず、「ツィーラーと比べるようなことはしないでくれ」と怒っていたそうです。しかし有名な出版者ハスリンガーは、ツィーラーを「ウィーンの新しいダンス音楽作曲家」として売り出すことにし、その目論見はあたりウィーン中が彼のワルツやポルカで埋め尽くされたこともありました。この魅力的な喜歌劇「三つの希望」は、ツェムリンスキーがスコアの手直しをした可能性が高く、(自筆スコアに書きこみがある)いろいろな意味で興味深い作品と言えるでしょう。
777406-2F(2CD)
J・シュトラウス:喜歌劇「女王のレースのハンカチーフ」 ナージャ・ステファノフ(Ms)
ジェシカ・グラッテ(S)
エリケ・コットマイール(S)
ラルフ・サイモン(T)/マルクス・リスケ(T)
ハリー・ブラッハマン(Br)
グリット・グナウク(Ms)
エルンスト・タイス(指)ドレスデン・オペレッタO&cho。
ヨハン・シュトラウスの第7番目のオペラであるこの作品は、いつもの如く、夢のように甘く、素敵な音楽に満ち溢れています。1935年にミュンヘンのゲルトナープラッツ劇場で上演、その時は大好評でしたが、以降忘れられてしまい全く上演されることはありませんでした(この中で用いられている旋律による「南国のバラ」のみは誰にでも愛される名曲として知られています)。そんなこの作品、2006年にドイツのコーブルク劇場で、演奏会形式ではありますが実に71年ぶりに演奏され好事家の話題をさらいました。ここではJ。シュトラウス全集のクリティカル・エディションに基づいた版で演奏されています
777407-2F
カール・アンドレアス・ゲプフェルト(1768-1818):クラリネット協奏曲集
クラリネット協奏曲Op.35変ホ長調
クラリネット協奏曲Op.20変ロ長調
クラリネット協奏曲Op.14変ホ長調
ディーター・クレッカー(Cl)
ヨハネス・メズス(指)イェナPO
ゲプフェルトは最初の宮廷クラリネット奏者とされています。彼は1788年からマイニンゲンの宮廷に仕え、生涯を送りました。ジョージ1世統治下のマイニンゲンは必ずしも彼に幸福な生活を与えたわけではありませんでしたが、演奏活動の面から言えば、当時流行のシュトルム・ウント・ドランクの思想にも影響されてか、彼はかなり大きなものを見出したようでした。しかし、度重なる旅行などのせいで精神を消耗してしまい。最後は貧困のうちに世を去ったのです。そんな彼のクラリネット作品は、自らの技巧を誇示するかのように、魅力的で名人芸を多様した華やかなものばかり。名手クレッカーの説得力たっぷりの演奏は、この忘れられた作曲家の真意を見せてくれるはずです。
777410-2F
シュッツ:葬送音楽
葬送音楽(ドイツレクイエム)SWV279-281
詩篇6.51.102.130.143番
マンフレッド・コルデス(指)
ブレーメン・ヴェーザー・ルネサンス
1618年に勃発した「三十年戦争」は、最初プロテスタントとカトリックの宗教戦争として始まりましたが、戦いが長引くほどに国家間の争いとして凄惨さを極めていきました。シュッツもこの戦いで戦禍に巻き込まれ、多くの友人、家族を失い、失意の底に沈みました。そんな折、彼の故郷の領主ハインリッヒ・ロイス・ポストフームス公から葬送の音楽を依頼されたのです。シュッツの良き理解者でもあった公は、まだ自身が存命であったにも関わらず、「死んだ時の音楽」を書いてくれるように頼みました。そこでシュッツは公のためだけでなく、全ての戦いの犠牲者のためにドイツ語のミサを構想し、救済への願いを託した感動的な音楽を作り上げたのです。ブレーメン・ヴェーザー・ルネサンスの感動的な演奏で。
777418-2F
ドーラ・ペヤチェヴィチ:交響曲他
交響曲嬰ヘ短調 Op.41
ピアノと管弦楽のための「ファンタジー・コンチェルタンテ」ニ短調
フォルカー・バンフィールド(P)
アリ・ラシライネン(指)
ラインラント=プファルツ州立PO
クロアチアの中流家庭に生まれたドーラ・ペヤチェヴィチ(1885-1923)は、ピアニストで声楽家の母から音楽の手ほどきを受け、12歳で作曲を始め、ドレスデン、ミュンヘン、ザグレブで音楽を学び、自らに潜む音楽性を確認していきました。彼女は頻繁に旅行し、また同時代の文化人たちと積極的に交流。それらを下地にますます新しい音楽について模索を重ね、38歳で亡くなるまで57曲の作品を残しました。しかし、そのほとんどは出版もされることなく、今でも演奏してくれる人を心待ちにしています。後期ロマン派の潮流の中にひっそりと咲いた美しい花が広く知られるには、まだ時間がかかることでしょう。
777420M
ドーラ・ペヤチェヴィチ:ヴァイオリンとピアノのための作品集
ヴァイオリン・ソナタ ニ長調 Op.26
カンツォネッタ Op.8
メヌエット Op.18/ロマンス Op.22
エレジー Op.34
スラヴ風ソナタ ロ短調 Op.43
瞑想曲 Op.51
アンドレイ・ビエロフ(Vn)
オリヴァー・トリエンドル(P)
クロアチアの女性作曲家ペヤチェヴィチ(1885-1923)。cpo レーベルは彼女の作品の復興に力を入れており、このアルバムは室内楽作品集の第3 集にあたります。彼女の作品からは後期ロマン派の香りと、先人たちの作品、ドヴォルザークやチャイコフスキーらの面影が感じられ、初めて聴く人にも一抹の懐かしさを抱かせるのです。とりわけヴァイオリン・ソナタニ長調は彼女の作風が完全に確立されたことを示す美しい作品で、その明朗な色調は「春のソナタ」と呼ぶのがふさわしいかもしれません。「スラブ風ソナタ」は民謡風なメロディを素晴らしいインスピレーションに満ちたパッセージで包み込んだ独創的なもの。他の曲も個性的であり親しみやすい曲ばかりです。
777422-2M
ドーラ・ペヤチェヴィチ:歌曲集
一つの歌Op.11/なぜ?Op.13
7つの歌曲Op.23/2つの歌曲Op.27
4つの歌曲Op.30/変身Op.37
愛の歌Op.39/女の子の形成Op.42
2倍でOp.46/2つの蝶の歌Op.52
3つの歌Op.53/2つの歌曲Op.55
インゲボルク・ダンツ(A)
コード・ガーベン(P)
衝撃的な管弦楽曲(777418-2)、そして美しい室内楽作品(777419-2)。この2枚のCDが発売されたことで、クラシック好きの好奇心にまた新たな光を灯したクロアチアの知られざる女性作曲家、ドーラ・ペヤチェヴィチ(1885-1923)。今作は彼女の歌曲を取り上げています。37年と言う長くはない生涯に数多くの作品を残したペヤチェヴィチですが、歌曲は作品番号のついた歌曲集を含む14作品、計33曲を書いています。用いられた詩は慎重に準備され、Op.13の「なぜ?」は彼女自身の詩情あふれるテキストが使われています。この1枚でほぼ歌曲の全容を知ることができ、彼女がいかに伝統という束縛から解放され、自分自身のスタイルを構築していったかがわかるようになっています。もっと長く生きていたなら・・・。そう思わずにはいられない才能です。
777423-2M
ヨハン・ゴットリープ・グラウン(1702?-1771)&カール・ハインリヒ・グラウン(1703?-1759):2台のヴァイオリンと通奏低音のためのトリオソナタ集
WVA:XV:13/WVCv:XV:100
WVAv:XV:19/WVAv:XV:23
WVAv:XV:27
レサミ・ド・フィリッペ
ハッセと同時代の作曲家、グラウン兄弟(生まれ年には諸説あり)は、高名なヴァイオリニストであった兄ヨハン・ゴットリープと卓越したオペラ作曲家として名を上げた弟カール・ハインリヒの2人で同時代の音楽の発展に大きな力を尽くしたことで知られます。最近もcpoレーベルから弟カールの声楽曲がリリースされ(777452-2)、声楽曲ファンを喜ばせたばかりですが、今回は室内楽の作品集をお届けいたします。兄弟ともどもフリードリヒ大王の宮廷に仕えていただけあって、室内楽作品はお手の物。ヴァイオリンは存分に歌い、通奏低音はヴァイオリンを引き立てつつも声高らかに主張します。これらは1750年から1755年頃に書かれたとされ、当時の音楽の流行も反映された興味深い作品となっています。またここでグラウン兄弟の才能の片鱗が露わとなることでしょう。
777424-2F
ファッシュ:ドレスデンの序曲、シンフォニー他
序曲FWVK:F3&FWVK:A2
シンフォニーFWVM:A2&FWVM:G4
コンチェルトFWVL:F2&FWVL:D222
ルドガー・レミ(指)レサミ・ド・フィリッペ
ライプツィヒで学び、ツェルプストの宮廷楽長を務めたファッシュは、バロックから古典派への時代の転換期に当時の最新スタイルで音楽を書いた人として知られます。このアルバムは2008年、ファッシュの没後250年を記念して制作されました。今まで未整理であった作品に、音楽学者ユゴー・リーマンが作品番号を付与したことも彼の音楽の復興に一役買うことでしょう。緻密で華やか、そして瀟洒な作品です。
777425-2F
J.V.ラートゲーバー(1682-1750):宗教作品集
ミサS.P.ベネディクト
ラウデム・ヴィルム・グロリオスム
アヴェ・レジーナ・コエロルム/ラウディブス・チヴェス
サルヴェ・レジーナ/コエロルム
ラウレタニシェ・リタニー/サルヴェ・レジーナ
アヴェ・レジーナ・コエロルム
テ・ヨゼフ・セレブレント/サルヴェ・レジーナ
ヴィル・デイ/コンチェルト
マティアス・ベッケルト(指)
モンテヴェルディ・アンサンブル・ヴュルツブルク
ベネディクト会の聖職者でもあり、作曲家でもあったラートゲーバーは多くの作品を残し、当時の南部ドイツで尊敬されていた人です。彼の世俗的作品はすでにcpo(999995-2)からリリースされていますが、彼の本領はこちらの声楽曲で発揮されています。とりわけ、祝宴のためのミサ曲は、当時の聴衆からは大絶賛を受けたため、すぐに第2刷を出さなければいけないほどの成功を収めたとのことです。古典的なフォルムを持ちつつも自由な輝きに満ちたこれらの作品は、バロックから古典派への過渡期を体感するものであり、バッハからモーツァルトへ至る音楽的変遷をも辿ることができる貴重な音楽です。
777427-2M
ブゾーニ〜モーツァルト,バッハ,ショパンへのオマージュ
バッハ(ブゾーニ編):シャコンヌ二短調 BV B24
 オルガンのための前奏曲よりBV B27
 いざ来たれ、異教徒の救い主よBWV659
 目覚めよと呼ぶ声ありBWV645
 主イエス・キリスト、われ汝を呼ぶBWV639
 汝のうちに喜びありBWV615
 われらが救い主、キリストよBWV665
ブゾーニ:モーツァルトによるジグ、ボレロと変奏曲BV254
 3つのアルバムの綴りBV289
 ショパンの前奏曲による10の変奏曲BV213a
 バッハによる幻想曲BV253
 エスキースより「クリスマスの夜」BV251
ローランド・ペンティネン(P)
ブゾーニ(1866-1924)はイタリアの作曲家ですが、母方の祖父はドイツ人であり、彼自身もバッハとモーツァルトに深く傾倒していました。ピアニストとしても才能に恵まれた彼は、先人の作品を研究し、自分自身の創造性を高める目的で、これらを編曲。新たな表情を持たせたのです。中でもよく知られているのが、バッハバッハ作曲「無伴奏ヴァイオリンのためのシャコンヌ」のピアノ編曲でしょう。この曲は、ブラームスなど他の作曲家もピアノ独奏への編曲を試みていますが、やはり絢爛たる超絶技巧を駆使したブゾーニ版は一歩抜きんでた存在であり、ピアニストの憧れの1曲と言ってもよいだけの風格を備えています。その他のバッハ作品を始め、モーツァルトやショパンのトランスクリプションは、原曲の要素を残しながらも、全く新しいものとして捉えてみてください。ピアニスト、ペンティネンは正統派のレパートリーを極めながらも、このような編曲物も得意とする、「超絶技巧マニア」にとっては嬉しい存在です。ここでも、芯の通った素晴らしい演奏で聴き手を魅了します。
777429-2M
スヴェインソン(1938-):ピアノ三重奏曲第1番-第3番 ハイペリオン三重奏団
第3番のピアノ三重奏は2008年にこのハイペリオン三重奏団によって初演されています。作曲家は彼らに作品を提供し、彼らはその作品を演奏することで地位を確立するという理想的な関係を保っているようです。彼のピアノ三重奏曲に見られる特徴的な「極端に移り変わるコントラストとデュナーミク」は不可解でありながらも本質的な静けさに満ちていると言えるでしょう。永遠に向かって留まりゆく音。これはソクラテス以前の哲学者ヘラクレイトスが唱えた「pantarhei…万物は流転する」を実感させるように書いたという作曲家自身の詩的な言葉を味わいつつ聴いてみてください。静寂の寸前の音楽…これこそスヴェインソンの音楽を表現するにふさわしい言葉でしょう。
777433-2M
クリーガー(1651-1735):世俗歌曲と宗教的アリア「新しい音楽の報酬」、
ブフナー(1614-1669):「爪弾く音楽」よりソナタ
ヤン・コボウ(T)
ユナイテッド・コンテヌーオ・アンサンブル
私は庭で愛しい人をみた」と題されたこのアルバムは、ヤン・コボウによる優美な歌曲とアリアが収録されています。ヨハン・クリーガーはニュルンベルクで生まれ、オルガニストとして宮廷で活躍しました。兄も音楽家で、コペンハーゲンでオルガン奏者としヘンデルの音楽的才能を見出した人として知られ、弟クリーガーの音楽的才能の多くは兄によって触発されたものに違いありません。シンプルな歌唱から技巧的な歌唱まで幅広い表現を有した作品に、ブフナーの典雅なソナタを組み合わせて何とも魅力的なアルバムに仕立て上げています。
777436-2M(2CD)
コルンゴルト:室内楽作品集
弦楽四重奏曲第1番Op.16
弦楽四重奏曲第2番Op.26
弦楽四重奏曲第3番Op.34
ピアノ五重奏曲Op.15
アロンQ
ヘンリ・シグフリッドソン(P)
最近、復興著しい作曲家コルンゴルトですが、彼のオペラやヴァイオリン協奏曲は耳にすることがあっても、なかなか室内楽作品までは聴く機会がないのではないでしょうか?しかし彼自身は室内楽のジャンルを心から愛していて、その生涯に様々な愛らしい作品を生み出しました。彼の大管弦楽作品は、とろけるような和声と華麗なオーケストレーションが特徴ですが、室内楽を書く時にもその作風を抑制することはなく、出来上がった作品も常に大規模な編成を念頭に置いた「凝縮された管弦楽」の味わいを持っています。まるでブルックナーの弦楽五重奏を思わせる濃厚さと、透明な美しさを併せ持つ独特な音をお楽しみください。
777438-2B(2CD)
ヘルツォーゲンベルク:作品集
ヘルツォーゲンベルク(1843-1900):ピアノ四重奏曲ホ短調Op.75
弦楽三重奏曲イ長調Op.27-1
ピアノ四重奏曲変ロ長調Op.95
弦楽三重奏曲ヘ長調Op.27-2
チェロとピアノのための「伝説」Op.62
アンドレアス・フレーリッヒ(P)、
ベルカントSQ
cpoレーベルが積極的に取り組んでいるのが、このヘルツォーゲンベルクの作品リリースです。8年ほど前に最初のアルバムをリリースして以来、ブラームスの影に隠れてしまったこの魅惑的な作曲家の作品を伝播してきたのですが、ここで再度価格を下げて、素晴らしい室内楽作品をご紹介いたします。
777439M
フランソワ=アンドレ・ダニカン・フィリドール:「転調の技法」
シンフォニア(四重奏曲)第1番-フルート,2台ヴァイオリンと通奏低音のための
シンフォニア第2番-オーボエ,2台ヴァイオリンと通奏低音のための
シンフォニア第3番-フルート,2台ヴァイオリンと通奏低音のための
シンフォニア第4番-オーボエ,2台ヴァイオリンと通奏低音のための
シンフォニア第5番-フルート,2台ヴァイオリンと通奏低音のための
シンフォニア第6番-フルート,2台ヴァイオリンと通奏低音のための
カメラータ・ケルン
17世紀から18世紀のドイツに「バッハ一族」がいたように、同時期のフランスには「フィリドール一族」という有名な音楽家の家系が存在しました。一番名前が知られているのは、このCDの作曲家フランソワ=アンドレ(1726-1795)ですが、彼の祖父はパリのグラン・デキュリー軍楽隊のオーボエ吹きであり、また大叔父のミシェルはオトテールと共同でオーボエを開発した人です。他にも多くの音楽家を輩出したことで知られます。フランソワ=アンドレは音楽家として優れた資質を持っていましたが、本人は音楽の才能の欠如に悩んでおり、早いうちに音楽の道に見切りをつけてしまい、以降は得意としていたチェスの道を究め、現在では「チェスの名手」としての経歴の方が有名となっている面白い人でもあります。
777440-2M
シャフラート(1709-1763):二重奏(ソナタ)集
ファゴットとハープシコードのための二重奏曲へ短調
2台のヴィオラ・ダ・ガンバのための二重奏曲ニ短調
ヴァイオリンとハープシコードのための二重奏曲変ロ短調
2台のハープシコードのための二重奏曲ハ長調
オーボエとハープシコードのための二重奏曲変ロ長調
ファゴットとハープシコードのための二重奏曲ト短調
エポカ・バロッカ(ハープシコード)
ザクセンのオルガニスト、ハープシコード奏者、及び作曲家として名を馳せたシャフラート。彼の室内楽作品からは、当時の作曲技法と演奏技術の多様性が伺い知ることが可能です。このアルバムには様々な楽器を用いた作品が並んでいますが、ヴィオラ・ダ・ガンバの二重奏を除いては、全ての作品にハープシコードが使われています。オブリガート(助奏)とされていますが、楽器が脇役に回ることは一切なく、常に他の楽器との親密な対話が感じられるものです。第1集(777116-2)と同じくエポカ・バロッカの演奏でこの優雅な作品をお楽しみください。
777442-2F
ホルブルック(1878-1958):交響詩集劇的序曲「アモンティラド」Op.123
オーケストラのための詩曲第2番「ヴァイキング」Op.32
「三匹の盲目のねずみ」による交響的変奏曲Op.37-1
オーケストラのための詩曲第3番「ウラルメ」Op.35
ハワード・グリフィス(指)
フランクフルト・ブランデンブルク州立O
イングランド生まれの作曲家ホルブルックは、とりわけエドガー・アラン・ポーにインスピレーションを受けた作曲家として知られます。1900年に発表した「大鴉」が大成功を収め、当時「最も進歩的な作曲家」の一人として評価されました。しかし大作志向だったことや、あまりにもロマン派的な音に固執したため、イギリス音楽の時流に乗ることができず、結局のところ忘れ去られてしまった人です。今回グリフィスの名演で彼の作品が復興されることで、また新たな発見をもたらしてくれるでしょう。
777443-2S(1SACD)
ヴィドール:オルガンとオーケストラのための作品集
オルガンとオーケストラのための交響曲Op.42
オルガンとオーケストラのためのシンフォニア・サクラOp.81
クリスティアン・シュミット(Org)…バンベルク・コンサート・ホールのオルガン
シュテファン・ソルヨム(指)バンベルクSO
「オルガンのための交響曲」がよく知られているヴィドールですが、彼は「オルガンと管弦楽のための作品」もいくつか残しています。父がオルガニスト、祖父がオルガン建造職人という、まさに「オルガニストになるために生まれてきた」と言っても過言ではないヴィドールは、迷うことなくその生涯をオルガンのために捧げたと言えるでしょう。パリのサン・シュルピス教会で65年間オルガニストを務める傍ら、パリ音楽院でオルガンと作曲の指導にあたり、マルセル・デュプレなど才能ある音楽家を多数育てあげました。ここに収録された2つの作品は、まさに天上の響きを有した壮麗なもの。簡潔な書法と、あえて複雑さを避けた対位法は、曲に清冽な響きをもたらしています。SACDハイブリッド盤の特製をいかした、余裕のある音響は、この豊かな響きを余すことなく捉えることにも成功しました。
777444-2M
ベルナルド・ストラーチェ(1637?-1707?):チェンバロとオルガン作品集
「種々の作品の森、チェンバロとオルガンのためのインタヴォラトゥーラ」〜チャコーナ、パッサカリア、トッカータ、ロマネスカ、バレエ、フォリア、ルジェッロ、他全14曲
イェルク・ハルベック(Cemb,Org)
これらの曲を作曲したストラーチェについては、曲集のタイトルページに書かれた「メッシーナ議会礼拝堂の副楽長」という肩書きが判明しているだけ。生年も没年もはっきりしたことはわかっていません。しかし、フレスコバルディが発展させた鍵盤音楽を一層充実させた功績は大きく、彼の名前は忘れられてもこの曲集からはしばしばいくつかの曲が演奏されています。演奏は2004年、ライプツィヒのバッハ国際コンクールオルガン部門の1等賞を受賞した若きオルガン、ハープシコード奏者ハルベックによるもの。すみずみまで力の漲った情熱あふるる出来栄えです。
777445-2M
レーガー:ヴァイオリン作品集
ヴァイオリン・ソナタ第2番ニ長調Op.3
ヴァイオリン・ソナタ第3番イ長調Op.41
アルバムのページOp.87-1
ロマンスOp.87-2
ウルフ・ヴァーリン(Vn)
ローランド・ペンティネン(P)
43年という、決して長くはない生涯にレーガーは驚くほど多くの作品を残しました(ただし交響曲とオペラは1曲もありません)。その中にヴァイオリン・ソナタは無伴奏も含めて20曲あり、そのどれもが拡張された和声と、精緻な対位法を用いて書かれていて、極めて渋く美しい光を放つものです。このアルバムでは、かなり初期の作品である第2番のソナタが収録されていますが、18歳の時の作品にもかかわらず、すでに分厚い和声と、諧謔的な表情が見える見事な作品となっています。アルバムのページは、ちょっとした風景を切り取ったかのような彼の作品を完璧に演奏するのは至難の業ですが、ヴァーリンとペンティネンは、豊かな表現力でその高い壁を乗り越えています。2つの小品の、ちょっとひねった味わいもレーガーならではのものです。
777447-2F
パウル・グレーナー:管弦楽作品集第1集
コメディエッタ Op.82
ロシア民謡による変奏曲Op.55
夕べの音楽Op.44/短い交響曲Op.96
ヴェルナー・アンドレアス・アルベルト(指)
ハノーファー北ドイツ放送PO
作曲家グレーナー(1872-1944)は、幼い頃からボーイソプラノとして聖歌隊で活躍、その才能を認められ、音楽院で学んだ後は、数々の土地で楽長を務め、1898年から1906年まではロンドン王立ヘイマーケット劇場の音楽監督に就任します。1911年からはザルツブルク・モーツァルテウムの院長も務め、フリーランスの作曲家として作品も発表するようになります。しかし、1944年にベルリンの自宅が爆撃されたことで、全ての自筆譜が消失してしまい、失意のうちに各地を転々とし、ザルツブルクで生涯を閉じました。彼はナチスに傾倒していたことでも知られ、どうしてもその作品が敬遠される傾向にありますが、音楽は注目に値するものです。既発のピアノ三重奏曲(777599-2)も秘かな人気を誇っています。
777448-2M
フランチェスコ・モリーノ(1768-1836):室内楽作品集
フルートとヴィオラ,ギターのための三重奏曲Op.4-1
ヴァイオリンとギターのための夜想曲Op.37
フルートとギターのための夜想曲Op.38
ギター・ソナタOp.6-2
フルートとヴィオラ,ギターのための三重奏曲Op.45
フルートとヴィオラ,ギターのための大協奏的三重奏曲Op.30
セレナーデ・ア・トロワ[カール・カイザー(Fl)/ペトラ・ミュレヤンス(ヴァイオリン&ヴィオラ)/ソーニャ・プルンバウアー(G)]
イタリア生まれでパリで活躍した作曲家モリーノの作品集です。彼は優れたギタリストとしてパリとウィーンのサロンで名声を高めました。彼の60以上の作品は、主に家庭での演奏を目的として書かれた小規模なもので、古典的な様式に則って作曲されていますが、中には名人芸を要求されるものもあり、なかなか興味深い作品がそろってます。1810年代にジョン・フィールドが種をまいた「夜想曲」はショパンが大きく成長させましたが、このモリーノもしっかりこの形式に、夢見るように美しいメロディを載せています。またロッシーニの軽妙なオペラ・アリアを思わせる装飾的なパッセージもこの時代の特徴と言えるでしょう。もちろんギターも大活躍。これは楽しい1枚です。
777449-2F
アレクサンドル・タンスマン:ピアノのためのコンチェルティーノ他
ピアノのためのコンチェルティーノ
イーゴリ・ストラヴィンスキー、追憶の石碑
左手のためのピアノ協奏曲
わが友、ダリウス・ミヨーの思い出によるエレジー
クリスティアン・ザイベルト(P)
ハワード・グリフィス(指)
ブランデンブルグ国立Oフランクフルト
1897年にポーランドのウッチで生まれたタンスマン(1897-1986)は、最初ポーランドで学ぶも、若い頃に留学したパリで自由な空気を体験することで、その音楽性を大きく広げることができた人です。ラヴェルやストラヴィンスキーの影響も大きく、また作品にもあるようにミヨーとは親しく交流し、一時は「フランス六人組」への参加も打診されるほどフランスになじんでいたといいます。しかし、やはり体に流れるのは祖国の血であったのでしょう。後年の彼はポーランドの民族音楽やアジアの音楽を積極的に自作に取り入れ、独自の素晴らしい音楽を創造することになります。ここでは、戦争で右手を失ったピアニスト、ヴィトゲンシュタインのために書いた「左手のためのピアノ協奏曲」を始めとした、いくつかの作品をお楽しみいただけます。映画音楽の世界でも重要な仕事をしたタンスマンの音楽、これはくせになります。
777451-2M
ヴィオラ・ダ・ガンバ作品集
作者不詳:ファンタジアト長調
シュメルツァー(1623頃-1680):リトルネッロ
レグレンツィ(1626-1690):ソナタホ短調
ヴァレンティーニ(1681-1753):ソナタ
レオポルド1世(1640-1705):ソナタ
フローベルガー
(1616-1667):カプリッチョヘ長調,トッカータト長調,2つのカプリッチョ,組曲変ロ長調
レグレンツィ:ソナタハ長調
皇帝フェルディナント三世(1608-1657):賛歌「イエスよ、乙女らの花冠」
作者不詳:ファンタジアイ長調
クラウス・メルテンス(Bs)
ジモーネ・エッケルト(指)
ハンブルク・ラーツムジーク
ハプスブルク家(ドイツ語:HausHabsburg)は、現在のスイス領内に発祥したドイツ系の貴族の家系。相次ぐ政略結婚により、ヨーロッパで強大な力を得たことはご存じの通りです。彼らは熱心な音楽愛好家であり、多くの作曲家を擁護し、様々な音楽を楽しんだことでも知られています。神聖ローマ帝国皇帝、フェルディナント3世、その息子レオポルド1世は、とりわけヴィオラ・ダ・ガンバを愛奏し、優れた作品を書いています。このアルバムには、2人の偉大な統治者と、その同時代の作曲家たちの作品を収録しています。新しい音楽の発見と、聴く楽しみをお届けいたします。
777454-2F
エルンスト・フォン・ゲンミンゲン:ヴァイオリン協奏曲第1番イ長調/
 ヴァイオリン協奏曲第2番ハ長調
ヨハン・マティアス・シュペルガー(1750-1812): シンフォニアヘ長調「到着の交響曲」
コーリャ・レッシング(Vn)
ウルフ・シルマー(指)ミュンヘン放送O
誰もが知ってるハイドンの「告別交響曲」。これは曲の終わりに楽団員が次々と退席し、ヴァイオリニストが2人だけ残ることで、雇い主に「家に帰りたい」と訴えるという作戦でしたが、このシュペルガーの交響曲はその逆で、最初はヴァイオリン・デュオで始まり、次々と奏者が増えてくるという趣向です。もう一人の作曲家ゲンミンゲン(1759-1813)については、現在ほとんど知られていません。ビュルテンブルクの騎士の末裔であり、ベルリンで裁判官として働いたという経歴の持ち主です。このヴァイオリン協奏曲は、当時の音楽を上手く取り入れながらも、すでにロマン派の香りを先取りしているものであり、小さな驚きを感じさせずにはおれません。
777456-2M
ヴァインベルク(1919-1996):ヴァイオリンとピアノのための作品集第1集
ヴァイオリン・ソナタ第4番Op.39
ヴァイオリン・ソナタ第5番Op.53
ヴァイオリンとピアノのための3つの小品
シュテファン・キーパル(Vn)
アンドレアス・キーパル(P)
※スタインウェイDモデル使用
ショスタコーヴィチの親友であり、完璧なる理解者とされるヴァインベルクのヴァイオリン作品集です。ここに収録されたソナタは、第4番は確かにショスタコーヴィチの影響を受けてはいるものの、第5番における独創性はヴァインベルクが到達した境地とも言えるものでしょう。ユダヤの伝統音楽にしっかりと根ざした幅広く歌うメロディ、考え抜かれた楽曲の構成、とりわけ終楽章におけるデモーニッシュなフーガなど、ヴァインベルクの作品における最高峰と呼んでも差支えないでしょう。
777457D01(2CD)
ヴァインベルク:ヴァイオリンとピアノのための作品集第2集
ヴァイオリン・ソナタ.第2番Op.15
ヴァイオリン・ソナチネOp.46
ヴァイオリン・ソナタ.第1番Op.12
ヴァイオリン・ソナタ.第3番Op.37
2台のヴァイオリンのためのソナタ.Op.69
ヴァイオリン・ソナタ.第6番Op.136bis
モルドヴァ風ラプソディOp.47-3
シュテファン・キルパル(Vn)
アンドレアス・キルパル(P)
グンドゥラ・キルパル(第2Vn)

録音:2010年5月25-27日、2012年10月29-31日
ショスタコーヴィチの親友として知られる作曲家ヴァインベルク(1919-1996)。ポーランドに生まれ、ワルシャワ音楽院に 学んだ後、第二次世界大戦が勃発したためソヴィエトに亡命、この地で活躍の場を見い出すこととなります。しかし激動の時 代、ソヴィエトは決して住みやすい場所ではなく、彼の作品も全面的に評価されたとは言いがたい状況でした。最近、ようや くヴァインベルクの作品に注目が集まるようになり、次々と録音がリリースされ、色々な作品を実際に耳にすることができる ようになりました。このcpoの「ヴァイオリンとピアノのための作品集」もそんなシリーズの一つ。彼の残した8曲のヴァ イオリンソナタのうち、無伴奏を除いたソナタをはじめ、いくつかの小品が収録されています。ヴァインベルク自身はヴァイ オリンを演奏することがなかったのですが、楽器の性能は熟知していたようで、どれも優れた技巧と抒情的なメロディを持っ た見事な作品となっています。
777458F
エルンスト・ルドルフ:交響曲第3番他
交響曲第3番ロ短調Op.50
自作主題による変奏曲Op.24
フランク・ベールマン(指)ボーフムSO

録音:2011年3月8-11日、2011年10月5-7日
ベルリンに生まれ、ヴォルデマール・バルギールにピアノを学んだ後、ライプツィヒ音楽院でモシェレス、プレディ、リーツから音楽を学んだというエルンスト・ルドルフ(1840-1916)。彼はケルン音楽院でピアノを教えているときに、ケルン・バッハ協会を設立し、バッハ作品の普及に努めた他、ヴェーバーやモーツァルトなどの楽譜の校訂を行うなど活発な活動をしました。ブラームスやヨアヒムとも懇意にしていて、往復書簡も残っています。彼自身の作品も3つの交響曲をはじめ、管弦楽曲、室内楽曲、そして数多くの歌曲が残されていますが、残念ながら彼の作品は、同時期のヘルツォーゲンベルクやゲルンスハイムのようにほとんどが忘れられてしまっています。そんなルドルフは自然を愛し、その破壊に心を痛めたといわれ、環境保護運動にも力を入れたことで知られています。作品にも雄大な雰囲気が仄かに感じられます。ここで聴ける音楽は、例えばユニゾンで始まる交響曲の第3番の第1楽章など、かなりユニークな作風を有しています。
777460-2M
フォルクマール(1770-1851):三重奏と四重奏曲集
クラリネット,ヴァイオリン,ヴィオラ,チェロのための四重奏曲ヘ長調/ハ長調、
クラリネット,ピアノ,チェロのための三重奏曲変ロ長調、
ヴァイオリン,ピアノ,チェロのための三重奏曲
アルテ・アンサンブル
シュマルカルデン(チューリンゲン)で生まれ、リンテルンでその生涯の大部分を過ごしたフォルクマールは、オルガニストとして高い名声を得て、また多くの作品を残した人です。彼の作品はスイスの音楽出版社ポイラーから出版され、その高貴なメロディとバランスの取れた作風は室内楽奏者たちに愛されていましたが、彼の死後はほとんど忘れ去られてしまいました。しかしリンテルンの博物館には、まだ彼の作品のいくつかが残存しているとのこと。復興が望まれる作曲家です。NDR放送フィルハーモニーのソリストによって設立されたアルテ・アンサンブルによる演奏です。
777461-2F
ドヴォルザーク:若き日のチェロ協奏曲
チェロ協奏曲イ長調(1865)/森の静けさ
ロンドOp.94/ポロネーズ
ラモン・ヤーフェ(Vc)
ダニエル・ライスキン(指)ライン州立フィルハーモニー
ドヴォルザークのチェロ協奏曲と言えば、誰もが思い浮かべるのが、あの泣きたくなるほどに美しいロ短調(Op.104)の憂愁に満ちたメロディでしょう。しかし、ここに収録されているのは、彼の習作時代である1865年に書かれたイ長調のものです。この作品は作曲家、およびチェリストであるルートヴィヒ・ペールのために書かれたもので、ペールの遺品の中からスコアが見つかり、大英博物館へ売却されました。管弦楽部分はピアノ譜のみが残存、1829年のドヴォルザーク没後25周年の時にようやく初演されたのです。その後、1977年になってJ.ブルクハウゼルがオーケストレーションを施しています。若きドヴォルザークの才気と豊かな音楽性を存分に味わうことのできる隠れた名作です。チェロのヤーフェは、アシュケナージも絶賛する名手です。
777463-2F
メンデルスゾーン:2台ピアノのための協奏曲集
2台ピアノのための協奏曲第1番ホ長調
2台ピアノのための協奏曲第2番変イ長調
ピアノ・デュオ・ジェノヴァ&ディミトロフ
ウルフ・シルマー(指)ミュンヘン放送O
1823年から24年に書かれた2曲の「2台ピアノのための協奏曲」です。裕福な家に生まれたメンデルスゾーンは、最高の音楽教育を施されたことでも知られ、幼い頃から神童の呼び名をほしいままにしていました。12歳の彼は、家族に連れられてワイマールに赴き、ゲーテを訪問します。そして行く先々でコンサートを開き、聴衆の熱狂させました。このピアノ協奏曲は14歳から15歳の頃に書かれたものです。父親主宰の日曜コンサートでフェリックスとファニー姉弟によって演奏された後は、ほとんど忘れられてしまい、彼の生前にはあまり演奏されることがなかった作品ですが、瑞々しいロマンティシズムに溢れた美しいもので、もっと聴かれてもよい曲でしょう。
777464-2F
ゲオルク・シューマン:交響曲ロ短調「勝利の価値の交響曲」
大管弦楽のためのセレナードOp.34
クリストフ・ゲッショルト(指)
ミュンヘン放送O
ゲオルク・シューマン(1866-1952)と言えば、美しいピアノ三重奏曲集(777712-2)が既にリリースされていますが、今回はもっと大規模な管弦楽作品をご紹介いたします。指揮者でもあり教育者としても活躍したシューマンは、ベルリンのジンクアカデミーの監督やプロイセン芸術アカデミーの院長などを歴任し、ベルリンの音楽界に強い影響力を持っていました。若い音楽家たちにも援助を惜しまず、数多くの若手作曲家が彼の薫陶を受けています(日本からの留学生である諸井三郎の師匠としても知られています)。今回収録の2つの作品のうち、交響曲は彼の最初の管弦楽作品で、1886年にカール・ライネッケの指導の下に書かれ、ベルリン・コンチェルトハウスのコンクールで一等賞を受賞、ゲオルク・シューマンの名前を飛躍的に有名にした曲です。セレナードは1904年に出版された5つの部分からなる大規模な作品です。
777465-2F
クルクハルト(1847-1902):作品集
ヴァイオリン協奏曲Op.68ニ長調
交響曲第3番Op.37ニ長調
ミリアム・チョップ(Vn)
ゴロー・ベルク(指)
デッサウ・アンハルトPO
偉大なるブラームスとブルックナー。この2つの山脈の影にひっそりとそびえるクルクハルトの音楽です。彼はザクセンの一都市ケーテンに生まれ、15歳の時にデッサウに引っ越します。その翌年ピアニストとしてデビューし、1867年からは指揮者として活動を始めます。若き頃は、フランツ・リストに認められ、ワーグナーからも強く影響を受けていたのですが、後にその派閥から離れ、どちらかというとシューベルト、シューマンよりの作風を愛するようになり、伝統的な形式を遵守した音楽へと推移していきます。木管五重奏曲やチェロ協奏曲などは、今までにも僅かに聴く機会がありましたが、このアルバムではヴァイオリン協奏曲と交響曲第3番という珍しい曲が収録されています。ヴァイオリニスト、チョップがこの曲の大ファンとのこと。共感溢れる演奏が楽しめます。
777462-2F
ハッセ:宗教作品集
テ・デウムニ長調
聖母マリアのためのリタニアヘ短調
神のみ母よハ短調
タントゥム・エルゴ変ホ長調
タントゥム・エルゴハ短調/天の女王ニ長調
バルバラ・クリスティーナ・ストイデ(S)
スザンヌ・ラングナーア
ゲオルグ・ポプルツ(T)
マティアス・ルッツェ(Bs)
ザクセンヴォーカルアンサンブル
マティアス・ユング(指)バツドルファー・ホーフカペレ
ハンブルク近郊に生まれたハッセは、1723年にオペラ『アンティゴノス』をもって作曲家デビューを果たし、イタリアへ行き、アレッサンドロ・スカルラッティと友好を深めます。少しずつ名声をあげ、1730年代にはヘンデルに比肩する作曲家とまで高く評価され、120ものオペラを書いたのですが、その作風は18世紀の聴衆たちには受け入れられることなく、いつの間にか歴史上から忘れ去られてしまったのです。今日では、彼は宗教音楽の大家として知られています。教会の礼拝のために書かれた数多くの作品、とりわけ1751年に作曲された「テ・デウム」は中央ヨーロッッパの至るところで演奏され、「ドレスデン・テ・デウム」として知られるようになります。その曲を含む敬虔で神聖な作品を聴いてみてください。
777468-2F
オルランド・ディ・ラッソ:巫女の預言
クリスマス・モテット
マンフレッド・コルデス(指)
ブレーメン・ヴェーザー・ルネサンス
16世紀、フランドル楽派後期最大の作曲家、ラッソ(ラッスス)のユニークな作品「巫女の予言」です。古代ギリシアの巫女たちの預言はのちにキリスト教と結び付き、キリスト降誕の預言として伝えられます。このラッソの作品は、プロローグと12の曲からなるモテットで、各々の曲には巫女の住む地名が付されています。曲が出版されたのは作曲家の死後のことですが、作曲されたのは20歳頃だと考えられています。キリストの生誕についての預言なので、必然的にテキスト全てにクリスマスのメッセージが隠されています。音楽は、この当時としては革新的な和声や調性感などが随所に見られる、幻想的な作風となっています。
777469-2F
カリヴォダ(1801-1866):交響曲
交響曲第2番変ホ長調Op.12
交響曲第4番ハ短調Op.63
演奏会用序曲第17番Op.242
ミヒャエル・アレクサンダー・ヴィレン(指)
ケルン・アカデミー
ヤン・ヴァーツラフ・カリヴォダはボヘミア出身の作曲家、楽長、ヴァイオリニストです。彼はプラハ音楽院でウェーバーに作曲、ピクシス(リストのヘクサメロンで1曲を担当したことで知られる)にヴァイオリンを学び、14歳でヴァイオリニストとしてデビューし、ヨーロッパ各地で演奏旅行を行い、名声を高めます。結局チェコには戻らず、ドナウエッシンゲンの宮廷楽長に就任し、亡くなるまでこの地で作曲家として活躍しました。彼の作品はとても劇的で、よくベートーヴェンと比較されますが、もっと柔軟でロマン派的性格も持っています。今回のアルバムは2曲の交響曲の他に演奏会序曲を収録。交響曲2番の終楽章のフーガは何とも見事なものですし、1860年頃に書かれた演奏会序曲は、ブラームス風でもあります。777139-2で、交響曲第5&7番も聴けます。
777470-2M
ヨーゼフ・スーク(1874-1935):室内楽作品集
ピアノ三重奏曲Op.2
ピアノとヴァイオリンのための4つの小品Op.17
ピアノ三重奏曲のためのエレジーOp.23
バラードとセレナーデOp.3
ピアノ四重奏曲Op.1
アトス三重奏団
マルティン・フォン・デル・ナーメル(Va)
既にリリースされているヘルツォーゲンベルクのピアノ三重奏曲(777335-2)で、詩情溢れる演奏を繰り広げたアトス三重奏団によるスクの作品集です。交響詩など、比較的規模の大きな作品で知られるチェコの作曲家スーク。彼はドヴォルザークの義理の息子でもあり、チェコ音楽の正統な継承者でもありました。独自の作風を有する人ですが、とりわけこのような編成の小さい作品になると、一層彼の美質が透けて見えてくるようです。多くの素材を内包したピアノ四重奏曲、雄弁なヴァイオリンが印象的なバラード、どことなくドビュッシーを思い起こさせる夢幻的なセレナーデなど。明るさの中に陰鬱さを秘めた東欧の宝玉のような作品ばかりです。
777473-2F
テレマン:ヴァイオリン協奏曲全集第3集
協奏序曲ニ長調TWV55:D14
協奏序曲イ長調TWV55:A7
2台のヴァイオリンの為の協奏曲ト長調TWV52:G1*
エリザベス・ウォルフィッシュ(Vn&指)
スーザン・カーペンター=ジェイコブス(第2Vn)*
ウォルフィッシュ・バンド
第1集、第2集ともに好評を博しているテレマンのヴァイオリン協奏曲集の第3集です。このアルバムでは2台の協奏曲など、新たな形式を模索するテレマンの姿が克明に浮かび上がる選曲となっています。協奏序曲でのソロの扱い方などは当時としては革新的で、テレマンも楽しんで書いていた様子がうかがわれます。ここでの名手ウォルフィッシュは、彼女自身の楽団である「ウォルフィッシュ・バンド」を結成し、より自由に曲の解釈を楽しんでいるようです。
777476-2F
A.スカルラッティ:宗教曲集
祝福され、尊ばれし聖母マリア(初録音)
幸いなるかな女王
モルタレス・ノン・アウディティス
ニシ・ドミヌス
ゲンマ・ベルタニョッリ(S)
アドリアーナ・フェルナンデス(S)
サラ・ミンガルド(コントラルト)
マルティン・オーロ(C.T)
フリオ・ザナシ(Br)
アントニオ・アベーテ(Bs)
マルチェロ・ディ・リサ(指)
コンチェルト・デ・カヴァリエーリ(オリジナル楽器使用)
1660年ナポリ生まれのアレッサンドロ・スカルラッティは、現代では「オペラ作曲家」及び「カンタータ作曲家」として名高いのですが、数少ない宗教作品も、まことに素晴らしいものです。彼は教会の仕事をしていない時でも、少ないながらも宗教的作品を生涯に渡って書いており、比較的有名な「聖チェチリアのミサ」の他にもいくつかの典礼用の作品が残されています。ここに収録された4つのモテットは、どれも流麗で輝かしく、時代を先取りしたもので、バッハの作品にも比肩するほどの迫力を備えています。
777475M
ヨハン・バプティスト・ヴァンハル:弦楽四重奏曲集
弦楽四重奏曲ハ短調Op.1-4
弦楽四重奏曲ト長調
弦楽四重奏曲イ短調Op.33-2
弦楽四重奏曲変ホ長調
ロータスSQ
<小林幸子(Vn)/マティアス・ノインドルフ(Vn)/山碕智子(Va)/齋藤千尋(Vc)>

録音:2009年3月23-25日シュトゥットガルトカンマームジークスタジオSWR
ボヘミアの農家に生まれ、地方の音楽家から早期教育を受け、村のオルガニスト、教会楽長として活躍を始めたヴァンハル(1739-1813)。彼のヴァイオリン演奏をきいたシャフゴーチュ伯爵夫人によって、彼はウィーンで学べるようになり、その後も支援を受けたおかげで、ヴァンハルの才能は見事に開花したのでした。ウィーンで音楽教師として生活しながら、1000曲を超える作品を生み出し、その作品は大いなる賞賛を受けたと言われ、彼の新作はヨーロッパだけでなく、遠く離れたアメリカ合衆国でも演奏されるほどの人気を博したため、彼は常に作品を生み出さなくてはならず、結局はその重圧に耐えかねたのか、ウィーンを離れることになってしまったと言われています。ハイドンやモーツァルトの作品に匹敵するほどの霊感に満ちた彼の作品を、1992年に設立された「ロータス弦楽四重奏団」が演奏します。1993年大阪国際室内楽コンクール弦楽四重奏部門で第3位入賞、ヨーロッパで幅広く活躍しているこのアンサンブルは、ドイツの伝統的精神を受け継ぐ稀有な存在として評価されています。
777471M(2CD)
アルトゥール・シュナーベル:作品集
ピアノ五重奏曲
ピアノのための小品集Op.15
ピアノ・ソナタ
ピアノ,ヴァイオリンとヴィオラのための「3つの幻想小曲集」
10の歌曲集Op.11/7の歌曲集Op.14
パレグリーニ五重奏団
イルメラ・レルケ(P)
シビレ・カンフェス(Va)
伝説的なピアニスト、アルトゥール・シュナーベル(1882-1951)の「作曲家としての一面」を探る興味深い2枚組です。幼い頃から「天才少年」として認められ、ブラームスからは「将来最も恐るべき天才」を絶賛されたシュナーベルですが、活動の初期の頃は室内楽ピアニストとして評価を高め、後にベートーヴェンのスペシャリストとして認められるという、一風変わった経歴を持っておることでも知られています。彼は演奏面では、前衛を手掛けることがほとんどなかったのですが、その作品は当時の最先端を行くもので、同時代のシェーンベルク作品をも凌駕するほどの進歩的で独自な作風を持ったものでした。ここで聴ける作品も恐ろしいまでの精度を持ったものです。また歌曲は、彼の妻テレーゼ・ベーアのために書かれており、アルト歌手であったテレーゼの声にあうような深い内容を持った音楽です。
777472S(1SACD)
フランツ・リストのオルガン作品編曲集
リスト(デュプレ編):オルガンと管弦楽のための「アド・ノス、アド・サルタレム・ウンダム」
リスト(レオ・ヴァイナー編):管弦楽のための「泣き、嘆き、悲しみ、おののき」
リスト:交響詩「オルフェウス」(作
曲家自身によるオルガン編曲版)
リスト(ライナー・ビシュコフ編):管弦楽のための「バッハの名前による前奏曲とフーガ」
クリスティアン・シュミット(Org…ルクセンブルク・フィルハーモニー、シューケ・オルガン)
ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送PO
マルティン・ハーゼルベック(指)
フランツ・リストは19世紀の音楽家たちの中でも極めて影響力があり、また最も個性的な人物でもありました。彼がベルリオーズの作品からインスパイアされて創設した「交響詩」のジャンルや、様々な作品のトランスクリプション、そして宗教的な作品。これらはどれほどまでに他の作曲家たちの想像力を刺激したことでしょう。ここに集められている作品群は、後世の作曲家たち(リスト自身も含む)が、リストの作品をオルガン、あるいは管弦楽版に編曲したもので、様々な作品を変容させていったリストというフィルターを通して、また新たな作品が生み出されていく過程を楽しむことができるという興味深い1枚です。オーケストラを指揮するのは前作の「ハンガリー狂詩曲」(777797-2)でも素晴らしい演奏を披露していたおなじみハーゼルベックです。
777474-2F(2CD)
カール・ラインターラー:歌劇「ハイルブロンのケイトヒェン」
(4幕H.ブルトハウプト台本/ハインリヒ・フォン・クライスト原作)
:リヒャルト・カルッチ(T)
イリア・パパンドロウ(S)
ペーター・シェーネ(Br)
マーテ・ショーヨム=ナギ(Br)
マリスカ・ムルダー(S)
エアフルト・オペラ劇場Cho
ザムエル・ベヒリ(指)エアフルトPO
ラインターラー(1822-1896)はエルフルトのアウグスティノ修道院に生まれ、ブレーメンで没した作曲家&オルガニストです。彼はまず神学と、ベルンハルト・マルクスに音楽を学びます。その後、王室から奨学金を得て、1849年から1852年までパリとローマに留学、更なる知識を身に着けました。1857年からはブレーメンの大聖堂の音楽監督、オルガニストとして活躍、またジンクアカデミーの合唱指揮者も務めています。彼はブラームスと親しい友人であり、ブレーメンでドイツ・レクイエムの演奏も行っています(一部改編したことでも有名)。また、ブルックのヴァイオリン協奏曲を改訂し、初演も行っています。この作品はH.V.クライストによる同名の戯曲に基づいて作曲されたものですが、作品の権利を出版社が持つも印刷されることがなかったため、すっかり忘れ去られてしまったのです。この演奏はエアフルト劇場で使用されていた版(文芸顧問A.ランガー博士の書き込みあり)を用い、様々な観点から研究を重ね、復刻したもの。メンデルスゾーンの作品にも似た壮麗さと明快さを有しています。
777482-2M(3CD)
フリードリッヒ・エルンスト・フェスカ(1789-1826):弦楽四重奏曲集第1集
弦楽四重奏曲 第1番 Op.1-1
弦楽四重奏曲 第2番 Op.1-2
弦楽四重奏のためのポプリ 第2番 Op.11
弦楽四重奏曲 第3番 Op.1-3
弦楽四重奏曲 第7番 Op.3-1
弦楽四重奏曲 第8番 Op.3-2
弦楽四重奏曲 第13番 Op.12
弦楽四重奏曲 第14番 Op.34
弦楽四重奏曲 第9番 Op.3-3
ディオゲネスSQ
ドイツ、マクデブルク生まれの作曲家フェスカ。音楽好きの家に生まれ、幼い頃から存分な音楽教育を受け、15歳でヴァイオリンの公開演奏会を行ったことでライプツィヒ・ゲヴァントハウスOのヴァイオリニストとなります。当時から弦楽四重奏曲を演奏したり、ソリストとして活躍しながら数多くの作品を書きました。彼の四重奏曲は、交響曲に次ぐ人気を誇り、そのバランスのとれた、まろやかなハーモニーは当時ウェーバー作品を並ぶほどの高い評価を受けていたのです。このCPOのリリースは、そんな彼の弦楽四重奏曲を全てまとめたもので、ディオゲネス弦楽四重奏団の素晴らしい演奏は初発売の時から絶賛を浴びたものです。独創的で美しい一連の作品は、どこから聴いても新たな発見をもたらすものです。
777486M
フリードリヒ・ヴィット作品集
フリードリヒ・ヴィット(1770-1836):ホルン,ファゴット,2台のヴァイオリン,ヴィオラ,チェロ,コントラバスのための七重奏曲ヘ長調
ヴィット:ホルン,ヴァイオリン,ヴィオラ、チェロのための四重奏曲変ホ長調
ヴィット:ファゴット,ヴァイオリン,ヴィオラ,チェロのための四重奏曲ヘ長調
レーヴェンシュタイン=ヴェルトハイム=フロイデンベルク候カール・フリードリッヒ(1781-1852):フルート,2台のヴァイオリン,ヴィオラ,チェロのための五重奏曲ニ長調
ディーター・クレッカー(指)
コンソルティウム・クラシクム
フリードリヒ・ヴィットはベートーヴェンと同じ年に生まれた作曲家。ヴュルテンベルク公国のニーダーシュテッテンという村に生まれ、19歳の時にエッティンゲン家の宮廷楽団のチェリストとなりました。彼が着任する前にこの楽団にいたのは、あのホルン協奏曲でおなじみのロセッティ(レスレル)で、ヴィットも彼からの影響を少なからず受けているようです。その後ヴィットはヴュルツブルクの宮廷音楽監督のポストを得て、ここで活動を続ける間にレーヴェンシュタインの王子であったカール・フリードリッヒに音楽を教えます。王子はとても音楽の才能を有していたため、ヴィットは彼のためにたくさんの作品を創りました。もちろん王子も作曲を試み、ここで聴けるような才気あふれる音楽を生み出したのです。管楽器を知り尽くしたクレッカーとコンソルティウム・クラシクムによる納得の演奏です。
777490B(3CD)
ザンクト・ガレン教会のグレゴリアン・チャント集
<CD1>
1.Missa in Dedicatione Ecclesiae
2.Aus dem Offizium des Kirchweihfestes
3.Die Sequenzen Notkers zu den
Hauptfesten Des Kirchenjahres
<CD2&3>
Passio Domini (旧盤999111-2,999267-2…廃盤)
ゴーデハルト・ヨッピヒ神父
ジンクフォニカー
発売当時、素晴らしい人気を誇ったヨッピヒ神父とジンクフォニカーによる「ザンクト・ガレン教会のグレゴリア・チャント集」を3枚セットで再発売するというもの。ザンクト・ガレン教会に残る聖歌はグレゴリオ聖歌の中でも最初期に属すると言われ、ミュンヘン音楽大学の教授でもあったヨッピヒ神父がこれを研究、解読し、そのプロジェクトに賛同したジンクフォニカーが実際の音にしたという、まさに「神と芸術のコラボレーション」がこの演奏です。もちろん学術的な興味も尽きないところですが、まずはこの深い祈りの精神と磨き抜かれた声に酔ってみたいと思います。
777493-2F
オッフェンバック:喜歌劇「ペリコール」(独語歌唱) ザビーネ・ブローム(S)
ラルフ・ザイモン(T)
ゲルト・ヴィーマー(バリトン)
ベルント・ケーネス(T)
マルクス・グェンツェル(Br)
ジェシカ・グラット(Ms)
エルケ・コットマイール(S)

エルンスト・タイス(指)
ドレスデン国立歌劇場O&cho
ペルーの総督リベイラの祝日、総督本人とリマの長官、そして侍従官は変装して街を視察中。そこに現れたのが流しの芸人、ペリコールとピキーヨの恋人たち。彼らは歌を歌うもお金がもらえず困っていたのですが、そんなペリコールに一目惚れしたのが総督で、彼女を自分のものにしようと企みます。もともと倫理的に多少問題のある台本のため、舞台はヨーロッパではないリマに設定されていますが、曲は全くのウィーン風。そんな音楽とあらすじは充分に魅力的な作品であり、2008年のこのドイツ語版の上演も、たちまち高い評判となったものです。一連の上演にはお馴染みの歌手たちと、タイスの指揮が知られざる作品を楽しく聞かせます。ボーナス・トラックとして1874年のウィーン上演版を収録。聴き比べも興味深いところです。
777496-2F
パヌフニク(1914-1991):交響的作品集第2集
素朴な交響曲(交響曲第1番)
フルートとハープ,弦楽のための協奏交響曲(交響曲第4番)
ポロニア/子守歌
アンナ・シコルザク=オレク(Hp)
ルーカス・ドゥルゴス(Fl)
ルーカス・ボロヴィツ(指)ポーランドRSO
ワルシャワ生まれ。1932年から1936年までワルシャワ、パリ、ウィーンの音楽院に学び、若手の指導にも尽力したポーランドの大作曲家パヌフニクの交響的作品集第2弾です。彼は10曲の交響曲を残しましたが、そのほとんどに副題が付けられていて、どれもが示唆に富んだ複雑な構成を持っています。とはいえ、「私の音楽の根源にはポーランドの北部地方の芸術があり、長く厳しい冬の風景(そこに働く農夫たちの姿)と、美しく素朴な田園風景が反映されている」と自身が語るように、静謐で大規模な作品には、そのような原始的な一面も隠されているのでしょう。快活な第1番の交響曲、楽器編成こそモーツァルトを思わせるものの、曲の表情は静かで儀式めいた第4番の交響曲、とどちらもユニークな作品です。
777498-2F
アンジェイ・パヌフニク:交響的作品集第3集
神秘的交響曲(交響曲第6番)
秋の音楽
ショパンへのオマージュ(フルートと弦楽合奏の為の5つの小品)
ラプソディ
ルーカス・ドゥルゴスツ(Fl)
ルーカス・ボロヴィッツ(指)ポーランドRSO
1914年ポーランド生まれの作曲家パヌフニクの管弦楽作品集第3集です。ワルシャワ、パリ、ウィーンで学び、ウィーン時代には尾高尚忠と交友があったため、彼の二男である忠明氏がパヌフニク作品を積極的に取り上げていることでも知られています。ナチス〜ソヴィエト時代、ポーランドでも彼の作品を取り上げることが禁じられたため、イギリスに亡命、その地で生涯を終えました。彼は10曲の交響曲を作曲し、そのほとんどにタイトルが付けられています。この第6番は「神秘的」と名付けられていますが、これは「数字の6が持つ神秘」について書かれています。短い音形が綴られていきますが、どれも根底に6が潜んでいます。それは6拍子であったり、6つの和音であったり。まさに神秘に彩られた作品です。他に珍しい曲が3つ収録されています。

777501-2S(2SACD)
北ドイツのオルガン作品集第8集〜ゲオルグ・ベーム:オルガン作品集全集
前奏曲ハ長調
ああいかにはかなきいかに空しき
いと高きところの神にのみ栄光あれ
愛するわが神にかけて
主よ深き淵の底より
キリストよ汝は日にして光なり
キリストは死の縄目につながれたり
キリストをわれらさやけく頌め讃うべし
主よみことばもて我らを守りたまえ
カプリッチョニ長調
前奏曲ト短調/前奏曲ニ長調
前奏曲ヘ長調/メヌエットト長調
前奏曲ニ短調/装いせよおお魂よ
賛美を受けたまえ汝イエスキリストよ
主イエスキリストよ我らを顧みたまえ
イエスよ汝はあまりに美しく
今ぞわれら聖霊に願いたてまつる
天にましますわれらの父よ
高き御空よりわれは来れり
尊き御神の統べしらすままにまつろい
前奏曲イ短調
フリードヘルム・フランメ(Org)
※デューダスタット・聖キュリアクス大聖堂のクロイツブルク・オルガン演奏
ドイツ、テューリンゲン地方のリューネブルク、聖ヨハン教会でオルガン奏者を務めていたゲオルグ・ベーム(1661-1733)の作品全集です。この地には1700年に若きバッハバッハが訪れたことでも知られ、ベームがバッハの師匠であるという説もあるのですが、資料的に裏付けるものは見当たらないようです。しかし、バッハより24歳年長であったベームは、街に現れた「若き才能」の存在に気が付いていたでしょうし、もちろんバッハはベームの作品から大いなる影響を受けたことでしょう。ベームのオルガン作品は、ほとんどがコラールのメロディに基づいたものですが、入念に書かれた音楽は、ブクステフーデの華やかさと共通するものもあり、とても聴きごたえのあるものです。
777506-2M
エネスコ:ピアノ四重奏曲集
ピアノ四重奏曲第1番Op.16ニ長調
ピアノ四重奏曲第2番Op.30ニ短調
タンムーズ・ピアノQ[オリヴァー・トリエンドル(P)、ダニエル・ゲーデ(Vn)、ラルス・アンドレス・トムター(Va)、グスタフ・リヴィニウス(Vc)]
ルーマニアの偉大なる作曲家エネスコは、自らの作品の中に巧みに民謡を織り交ぜ、特異な音楽を作り出した人です。初期の作品は若干ロマンティックな味付けが施されてはいるものの、至るところにルーマニアのリズムが顔を出したり、と興味深いものばかりです。その中でも室内楽は特に重要な位置を占め、この2曲のピアノ四重奏も彼の作風の変遷を辿るにふさわしい大作となっています。1910年周辺に書かれた第1番は、フォーレの晩年の作品にも似たゆらめきのある作品。1944年に書かれた第2番は、もっと洗練されて、複雑で不可解です。第2楽章での夢幻的な響きが耳に残ります。
777507-2M
パウル・ユオン:室内楽作品集
2台のヴァイオリンとヴィオラ,2台のチェロとピアノのための六重奏曲 Op.22
ヴァイオリンと2台のヴィオラ,チェロとピアノのための五重奏曲 ヘ長調 Op.44
オリヴァー・トリエンドル(P)
トーマス・グロッセンバッハー(Vc)
カルミナSQ
スイス系ロシアの作曲家パウル・ユオン(1872-1940)は、チャイコフスキーとストラヴィンスキーを繋ぐ重要な役割を果たした人です。モスクワに生まれ1889 年にモスクワ音楽院に入学、作曲と音楽理論をタネーエフに学びます。1894年にはベルリンに入学し、クララ・シューマンの義弟であるヴァルディマール・バルギールに学び、更なる研鑚を積みました。1896年にロシアに戻り、教師と評論家として活躍し、最初の交響曲とオペラを書き上げます。2年後にはまたベルリンの戻り、ヨーゼム・ヨアヒムからベルリン大学の教授に任命されています。そんな彼の音楽には、祖国であるロシアの音楽の影響はほとんど見ることができません。明らかにドイツ・ロマン派音楽の伝統を継承したものと言えるでしょう。多くのジャンルの作品を書きましたが、基本的には室内楽の作曲家であり、また彼自身が優れたピアニストであったため、ピアノの部分は精緻で複雑な書法が用いられています。複雑かつ不規則なリズムは、その後の世代であるストラヴィンスキーやブラッハーへと繋がっていきます。
777508-2M
アルノ・シュミットのための協奏曲集
スカルタッツィーニ(1971-):深き夜と月(2007)
ラウデンバッハ(1956-):引用、関係(1993/96、改編2000)
プラッツ(1951-):Boutaden1-5
ローゼ(1943-):シュミットの月(1995/96)、月に憑かれた
カウル(1949-):共鳴、A.Sより(2007)
デジ(1967-):3つのbutaden(2007)
フェルブクト(1966-):絵画-ノヴェチェントより(1994)
バインケ(1956-):3つのBoutades(2007)
デニス・ラーケイ(C.T)
ベンヤミン・ラング(指)
オー・トン・アンサンブル
ドイツの文学者、翻訳者アルノ・シュミット(1914-1979)は、言葉を最大限に生かした実験的な文章と、エドガー・アラン・ポーの翻訳で知られています。ドイツでは著名ですが、あまりにも難解な文章のため、日本語に訳すのが困難なせいか、日本では一部の研究者とマニアの中でのみ知られる存在です。そんな作家のために、ドイツの現代作曲家たちが捧げた曲を集めたのがこのアルバムです。カウンターテナーを中心とした様々な楽器のコラボレーションは、まるで異次元の世界の出来事を思わせる音色に満ちています。かなりの通向けの1枚です。
777511-2M
ハイドン:6つのディヴェルティメント
6つのフルート三重奏曲(ディヴェルティメント)Hob:W6-11
バリトン三重奏曲ニ長調(フルート三重奏曲版)Hob:XI82
アンサンブル・サン・スシ・ベルリン(オリジナル楽器使用)
ディヴェルティメント(伊:divertimento)は、日本語で「嬉遊曲」とも訳され、18世紀中頃に現れた器楽組曲です。語源はイタリア語の「divertire(楽しい、面白い、気晴らし)」で、明るく軽妙で楽しい雰囲気を持ち、気軽に演奏できる曲として知られています。ハイドンはディヴェルティメントを160曲以上書いていますが、ことさら特別な形式を持つ物ではなく、一般的なソナタ形式の弦楽三重奏曲であったり、弦楽四重奏曲であったり、この曲集のようなフルート三重奏曲であったりと様々です。このフルート三重奏曲はイギリスを訪れたハイドンが1784年に作曲したもので、どれもが整った形式を持ち、聴きやすく、また演奏効果も高いもの。当時の愛好家たちの喜ぶ顔が目に浮かぶようです。
777512-2S(1SACD)
シャルル・ケクラン:オルガン作品集
コラール.ヘ短調 Op.90bis
2つのヴォカリーズ Op.212b
コラール「最後のレクイエム」Op.161
ソナティナ 第3番 Op.107
コラール Op.98オルガンの為の小品 Op.226
フーガ Op.133/アダージョ Op.201
ソナティナ 第2番 Op.107
フーガ・モダーレ Op.204bis
クリスティアン・シュミット(Org)

※ ドイツ ハノーヴァー、マルクト教会 ノイエ・ゲル=オルガン)
フランスの作曲家の中でも、シャルル=ルイ=ユジェーヌ・ケクラン(1867-1950)の存在は特別な光を放っているようです。15歳から作曲を始めるものの、若くして徴兵され、退役後にパリ音楽院でマスネ、フォーレらに学んだ彼、ドビュッシーやフォーレの作品をオーケストレーションするなど、管弦楽の扱いにも長けており、また様々な形式による多くの作品も残しています。「ジャングル・ブック」や室内楽作品など、一部の作品は良く知られていますが、このオルガン曲はまだ未踏の地。同時代のヴィドール、メシアン、アランなどとはまた違った管弦楽的な視点で、オルガンという楽器をフルに鳴らすという、ケクランならではの不思議な世界が楽しめます。緊張感に満ちた音楽と、美しい残響を伴った音色からは一時も耳を離すことができないでしょう。
777514-2M
コンスタンティノ・ガイト:ピアノと弦楽器のための室内楽作品集
ピアノ三重奏曲 Op.25
チェロとピアノのためのソナタ Op.26
2台のヴァイオリンとヴィオラ,チェロ,ピアノのための五重奏曲 Op.24
ザラストロ四重奏団
アグスティーナ・エレーラ(P)

録音:2009年3月14-16日
アルゼンチン、ブエノスアイレスに生まれたコンスタンティノ・ガイト(1878-1945)は、イタリア移民であった父からヴァイオリンを学び、その後、フリアン・アギーレからピアノの教えを受けました。政府より奨学金を得て、父の祖国であるイタリアに留学し、22 歳までナポリ王立音楽院で学んでいます。その後は、「アルゼンチン音楽の創始者」として活躍し、数多くの作曲家を育て、また自身も多くの作品を残しています。オペラから室内楽、歌曲に至るまで多岐に渡りますが、ここに収録されている室内楽は、1916年から1918年頃に書かれたもので、流麗な表現が魅力的です。ここでピアノを演奏しているエレーラは作曲家の曾孫にあたり、この演奏に際しても「曾祖父に対して最大の敬意を払い、その作品を知ってもらいたい」と意気込みを述べています。
777515-2B
2010年カタログ付き
テレマン:序曲集
リコーダーと弦楽,通奏低音のための組曲TWV55:a2
2つのオーボエと弦楽、通奏低音のための組曲TWV55:F14
フルートと弦楽,,通奏低音のための組曲TWV55:Es2
カリン・ファン・へールデン(リコーダー,Ob,指)
オルフェオ・バロックO
テレマン時代、のダルムシュタット宮廷楽団で大活躍した、リコーダーおよびオーボエの名手ヨハン・ミヒャエル・ベーム。義兄弟でもあったテレマンはいくつかの素晴らしい作品を彼のために書きました。このアルバムに収録された3曲の序曲組曲も、実際は協奏曲と言えるほどに独奏楽器が華麗に活躍します。ケープタウン生まれのファン・ヘールデンはバロック・オーボエの第一人者。温かい音色が心を満たします。
レギュラー盤(777218-2)に現在発売中のcpo900タイトルを掲載した340ページの美麗カタログをセット。かつ価格を大幅にダウンした魅惑の1枚です。cpoのカタログ発行は2008年以来2年ぶり。
777516-2B(7CD)
ヴィラ=ロボス:交響曲全集
交響曲第1番&第11番(999568-2)
交響曲第2番&ニューヨーク・スカイライン・メロディ(999785-2)
交響曲第3番&第9番、序曲「そのような男」(999712-2)
交響曲第4番&第11番(999525-2)
交響曲第6番&第8番、
弦楽のための組曲(999517-2)
交響曲第7番&シンフォニエッタ第1番(999713-2)
交響曲第10番「アメリンディア」(999786-2)
カール・セント=クレア(指)
SWRシュトゥットガルトRSO
全てのヴィラ=ロボス・ファンが狂喜乱舞する迫力のBOXセットの登場です。「ブラジル風バッハ」のエキゾチックな魅力に取りつかれたら次はこれ。マーラー張りの大管弦楽で鳴らすラテンアメリカの魂の音楽。20世紀の最も創造的な音楽がここにあります。指揮者は最近素晴らし過ぎるワーグナーのリング・ツィクスルで、聴衆をうならせたカール・セント=クレア。ここまで徹底的にスコアを解明してくれると、何とも清々しいではありませんか。
777518-2F
ヤン・ファン・ヒルセ:交響曲第3番 アイレ・アッソニー(S)
ダーヴィッド・ポルセライン(指)
オランダPO
オランダの神学者の家庭に生まれ、早くから音楽の才能を表したヤン・ファン・ヒルセ(1881-1944)。彼はケルン音楽院でフランツ・ビュルナーに師事し、その後、ベルリンでフンパーディンクの元で研鑽を積みます。そして1909年から1911年にイタリアへ留学、その間にこの第3番の交響曲を作曲し、権威ある「ミヒャエル・ベール賞」を受賞しています。1906年から作曲が始められたこの作品は「復活」と題されていて、第3楽章と第5楽章にはソプラノのソロが用いられています。1908年6月2日にミュンヘンで初演され、1909年3月4日にはオランダでも演奏されています。その時、ヒルセはメンゲルベルクの指揮を望んだようですが、それは実現しなかったようです。この曲は、彼の存命中に7回演奏されましたが、結局のところ、不変の人気を得るまでには至りませんでした。そんな作品ですが、今こそ「復活」の時が来たのです。
777519-2M(2CD)
メンデルスゾーン:無言歌集(全曲)
厳格な変奏曲Op.54
ミヒャエル・コルスティック(P)
「ドクター・ベートーヴェン」の異名をとるドイツの中堅ピアニスト、コルスティック。もちろn、ベートーヴェンだけでなく、様々な作曲家の作品を手掛けていて、cpoレーベルにはリストの「巡礼の年」や、レーガーの協奏曲などがあり、他のレーベルでは、ケクランなどの珍しい曲も演奏していたりします。彼の演奏はとにかく知的であり、行間を読むタイプ。派手さよりも、一貫して聴き手に何かを考えさせる姿勢が心地よいピアニストです。今回のメンデルスゾーンは、まさに彼にうってつけのレパートリーであり、作曲家によって曲ごとに込められた詩情を浮かび上がらせ、見事な音の絵をして描きだしています。
777520-2F
メデク(1940-2006):作品集
チェロ協奏曲
独奏チェロのための「ベルント・アロイス・ツィマーマンへの石碑」
独奏チェロのための「影絵」
グィド・シーフェン(Vc)
イスラエル・イノン(指)RPO
2006年に没したドイツの大作曲家、ティロ・メデクのチェロ作品集です。彼はノーノ、シェルヘン、シュトックハウゼンの影響を受け、現代音楽のメッカダルムシュタットの夏季現代音楽講習会でも、その活動は常に注目され続けていました。リズミカルな音と、異様なメロディ、そして電子音楽よりも、生きた楽器の音を愛した彼の感性は、このアルバムに収録されたチェロのための音楽にも存分に生かされているようです。1982年のチェロ協奏曲は、絶対音楽と表題音楽の間を彷徨うかのような不確定なもの。各々の楽章では、聴き手の想像を励起し、かつ制限しないような「計画された」タイトルが付けられています。また無伴奏の2つの作品からは、新しい音楽を発見する喜びが見てとれます。想像力を自由に羽ばたかせてお聴きください。
777522-2F
バーディングス(1907-1987):交響曲集第2集
交響曲第3番/交響曲第10番
交響曲第14番「交響的三部作」
ダヴィッド・ポルセライン(指)ヤナーチェクPO
第1集(777272-2)が静かなブームを呼んだオランダの作曲家バーディングス(バーディンフスとは読まない)の交響曲集第2集の登場です。ここには、彼の名声を決定的にした第3番の交響曲が含まれます。1935年にメンゲルベルクによって初演され、カール・ベームも愛したこの曲は、彼の作品の中でも最も多く演奏された交響曲となりました。緊密な対位法、多調性、など聴くべきところが多い作品でもあり、すでに作風は完成され尽くしているとも言えそうです。後に書かれた第10番や第14番は、若い頃の勢いが薄れたとは言え、一層緊密に書かれた音の集合体を鑑賞する楽しみに満ちています。
777525F
ルイ・グラス:交響曲全集第1集
.交響曲第3番ニ短調Op.30「森の交響曲」
管弦楽のための組曲「夏の生活」Op.27
ダニエル・ライスキン(指)
ライン州立PO
デンマークの作曲家、ルイ・グラス(1864-1936)はニルセンと同じくニルス・ゲーゼに師事しましたが、留学先のブリュッセル音楽院でブルックナーの音楽に夢中になったことで、他の北欧の作曲家とは一線を画した作風を確立しました。彼は素晴らしいコンサートピアニストでしたが、片腕の麻痺により引退を余儀なくされ、その後は作曲家として数多くの作品を残しています。ブルックナーの他にもシューマンやフランクからも強い影響を受けた彼の作品は、とても色彩的であり、全てに渡って重厚な響きが横溢しています。確かに交響曲第3番の冒頭、ホルンの響きはまるでブルックナーそのものですが、曲が進むにつれ、なかなか面白い様相を呈してきますからご期待ください。後期ロマン派の音楽が好きな人だったら、必ずお気に入りに登録間違いなしの音楽です。
777526-2F
C.シュターミッツ:交響曲集
交響曲ニ短調Op.15-3(Kai24)
交響曲変ホ長調(Kai38)
交響曲ホ短調Op.15-2(Kai23)
交響曲ヘ長調「狩り」(Kai34)
ヴェルナー・エールハルト(指)
ラルテ・デル・モンド
チェコに生まれ、ドイツへと移ったマンハイム楽派の大家、カール・シュターミッツの交響曲集です。彼は父ヨハンから音楽の手ほどきを受け、1762年からはマンハイムの宮廷楽団のメンバーとなり活躍、その後ヴァイオリニストとしてヨーロッパ中を演奏旅行しました。以前は「管楽器曲の作曲家」として認知されていましたが、作品の掘り起こしが進むにつれて、交響曲や協奏交響曲を発展させた功績が認められるようになりました。全部で51曲あると言われる交響曲は、どれも規則正しく、明朗活発な音楽です。
777528M(2CD)
アドルフ・ブッシュ:室内楽作品集
ピアノ三重奏曲第1番ハ長調Op.15
ピアノ三重奏曲第2番ハ短調Op.48
.ピアノ四重奏曲ヘ短調Op.59
ラヴィニア三重奏団
ウルリッヒ・アイヒェナウアー(Va)
20世紀を代表するソリストとして、まだ偉大なる「ブッシュ弦楽四重奏団」の創設者として知られる名ヴァイオリニスト、アドルフ・ブッシュ(1891-1952)。彼はまた作曲家としても素晴らしい才能を有していました。最近になって、いくつかの彼の作品の録音が登場し、その洗練された作風が少しずつ知られるようになりましたが、全部で100曲を越えるという彼の全作品を聞くことができるのは、まだまだ先なのでしょう。このピアノを含む室内楽作品は、レーガーやブゾーニの後に続く後期ロマン派の雰囲気を継承していますが、無調を取り入れることはなく、常に旋律美を重視したものであり、そのせいで「時代の流れ」に埋没してしまったのかも知れません。21世紀になってこのような美しい作品が復興しているのは、やはり時代の欲求なのでしょうか。
777530-2F
ヴィンター(1754-1825):大オーケストラのための交響曲他
大オーケストラのための交響曲第1番
大オーケストラのための序曲 Op.24
間奏曲第3番/間奏曲第5番
間奏曲第6番/シンフォニア「シュヴェリナー」
ヨハネス・メーズス(指)ミュンヘン放送O
ペーター・ヴィンターはマンハイムで生まれ、ヴァイオリンの神童として活躍。ヨーロッパ、ロシア、そしてイギリスまでその名声は轟いたそうです。その後の1778 年、ミュンヘンに定住し宮廷楽長としてその生涯を終えました。彼の作品で最も称賛されたのは、30 曲以上もあったオペラで、そのほとんどは上演に失敗することもなく、全ての人々から好意的に迎えられたといいます。97 年から98 年にはシカネーダーの戯曲「Die Pyramiden von Babylon(バビロンのピラミッド)」と「Das Labyrinth(迷宮)」に作曲、この2 作はあのモーツァルトの「魔笛」の続編でもありますが、今では残念なことに聴く機会もありません。しかし、このアルバムで聴く彼の曲は、まことに闊達でユニークなもの。
777532M
ヨハン・クーナウ:7つのハープシコード・ソナタ集
クラヴィアの新しい成果、または豊かな創造と技巧の7つのソナタ
ヤン・カツシュケ(ハープシコード…2000年ディートリッヒ・ハイン製)
ドイツ・ザクセン州で大工の息子として生まれたクーナウ(1660-1722)。苦労しながら音楽と法学を学び、聖トーマス教会のオルガニスト、後には同教会のカントールの地位を得て、生涯音楽家として尊敬を集めたのです(彼の後任はバッハ)。現在では、クーナウは「バッハの天才の陰に隠れている」と評されていますが、当時はそのようなことはなく、とても重要な音楽家であったことは間違いありません。クーナウの才能が最もよく表れているのが一連の鍵盤楽器のための作品であり、標題音楽とみなされた「聖書ソナタ」や、このアルバムに収録されている「豊かな創造と技巧の7つのソナタは、バッハやベートーヴェンにも強い影響を与えた作品群で、この豊かな音楽はもっと知られてもよいものと言えるでしょう。
777533-2F
ジョヴァンニ・ヴァレンティーニ:1619年のムジケ・コンチェルターレ(マドリガル第3集) ローランド・ウィルソン(指)
ラ・カペラ・ドゥカーレ
ムジカ・フィアタ
ベニスで活躍したヴァレンティーニ(1582-1649)は、ジョヴァンニ・ガブリエリの優秀な生徒であり、鍵盤奏者であり、多くの詩も書きました。1604年から1605年にかけて、ポーランドの宮廷オルガニストに任命され、1614年まで活躍しました。その後はグラーツに移り、フェルディナント2世と3世に仕え良い仕事をしました。当時の音楽的指向を的確に伝えた音楽家なのですが、モンテヴェルディやシュッツの影に隠れてしまい、今ではすっかり忘れられた存在となってしまっています。夥しい数の宗教曲が若干知られていますが、1616年に発表された第2集のマドリガルは、「声と楽器を組み合わせたマドリガルの最初のコレクション」として評価されています。また、このアルバムに収録された「ムジケ・コンチェルターレ(マドリガル第3集)」は、より一層装飾的なメロディとポリフォニーが際立つ興味深い作品です。歴史の隅に埋もれてしまった逸品を聴く喜びがここにあります。
777534-2F
ヴィルトゥオーゾ・リコーダー〜ドイツ・バロックのリコーダー協奏曲集
ファッシュ(1688-1758):リコーダー協奏曲ヘ長調(世界初録音)
シックハルト(1688-1758):リコーダー協奏曲ト短調
シャイベ(1704-1758):リコーダー協奏曲変ロ長調
シュルツェ(1680?-1740):リコーダー協奏曲ト長調
グラウプナー(1683-1740):リコーダー協奏曲ヘ長調
シュトゥリック(1770?-1740):リコーダー協奏曲ハ長調(世界初録音)
ミヒャエル・シュナイダー(リコーダー&指)
カペラ・アカデミカ・フランクフルト
このCDを聴くと、ドイツ・バロック期にも驚くほどリコーダーが活躍していたことに驚くことでしょう。もちろんイタリアではヴィヴァルディが超絶技巧を駆使した作品を次々と生み出してはいたのですが、ドイツでもこんなにも素晴らしい作品が書かれていたのです。各々の作曲家の名前の知名度は確かにあまり高くはありませんが、例えば最近発見されたファッシュのリコーダー協奏曲は、この単純な楽器をよくぞここまで歌わせた!と感心する他ありません。他の曲も全てドイツ音楽の源流から外れることなく、完膚なきまでの構成を見せつけてくれています。名手シュナイダーの完璧なる技巧は、これらの曲にさらなる魅力を与えました。まさに「リコーダーの勝利」です。
777535-2(DVD)
サックス五重奏で楽しむヴィヴァルディの四季+α
ヴィヴァルディ:協奏曲Op.8No.1-4「四季」(レターマン編)
レターマン:5番目の四季
クィンテッセンス・サクソフォン・クィンテット

Dolby-Digital 5.1,Stereo,
All Regions, NTSC
PAL,Duration:97 Minutes,FSK:0
世界中で愛されている名曲中の名曲をモダンでクールなジャズ・アレンジ。目も体も楽しんでください。以前リリースされた同内容のCD(777366-2)が世界中で高く評価されたのを受け、2008年4月に新たに映像作品として撮り直した「5つの四季」です。マイケル・シュヌルによるこの映像は、四季の色彩の移り変わりを反映させたファンタスジックなもの。聴き手は春の優しい陽射しから冬の冷たい空気までをも感じることができるでしょう(第5番目の季節は夢をイメージしたものだとか)。ボーナス・トラックにはコンサートに赴く演奏家たちの姿を克明に捉えています。素晴らしい音楽が生み出される瞬間の興奮!全ての音楽愛好家に捧げます。
777536-2S(2SACD)
シューマン:交響曲全集
(ヨアヒム・ドラハイム校訂による新シューマン・エディション、ブライトコプフ原典版)
交響曲第1番変ロ長調「春」Op.38
交響曲第2番ハ長調Op.61
交響曲第3番変ホ長調「ライン」Op.97
交響曲第4番ニ短調Op.120
フランク・ベールマン(指)
ロベルト・シューマンPO
1993年から2001年にかけて出版されたブライトコプフ原典版を使用した演奏。同じ版を使った演奏には、ボストック指揮チェコ室内フィルハーモニーや、ジンマン指揮チューリヒ・トーンハレ管弦楽団のものがありますが、こちらは、SACDのスペックを最大限に活用した極めて高音質のもの。楽器の持ち味やスコアの細部を聴きとる喜びを存分に味わうことができる素晴らしいアルバムとなっています。シューマンの時代の演奏様式を研究し尽くしたと言うジンマンのフットワークが軽い演奏に比べ、こちらのベールマンは、現代の標準サイズのオーケストラが醸し出す豊かな響きを重視、とりわけ充実した低音部は必ずや聴き手を満足させるに違いありません。
777538F
M・ハイドン:管楽のための協奏曲全集第2集
ホルン協奏曲ニ長調MH53
フルート協奏曲ニ長調MH81
トロンボーン協奏曲ヘ長調(セレナードMH61より)
トランペット協奏曲ハ長調(セレナードMH60より)
ホルンとトロンボーンのための協奏曲ニ長調(セレナードMH86より)
ファゴット協奏曲変ロ長調(シンフォニアMH133より)
ホルンのためのロマンス変イ長調MH806(モーツァルト:ホルン協奏曲K447よりホルン・パート)
リンデ・ブルンメリー=トゥッツ(Fl)
ヨハネス・ヒンターホルツァー(Hrn)
フランツ・ランドリンガー(Tp)
ノルベルト・ザルヴェンモーザー(Tb)
クラバヤシ・マキコ(Fg)
ザルツブルク・ホーフムジーク
ヴォルフガング・ブルンナー(指)
ヨーゼフ・ハイドンの5歳下の弟で才能ある作曲家ミヒャエル(1737-1806)。彼の作品は当時のウィーンの音楽を知る上で大切なレパートリーであり、また教育者としても優れた彼の元からは、ウェーバーやディアベリが育つなど、音楽史的にも大変重要な人であったことは間違いありません。この協奏曲集は第1集(777781)に続くもので、美しいハーモニーと、巧みな独奏楽器の使い方には感嘆せざるを得ません。最後に収録されているロマンスは、モーツァルトのメロディを転用したものですが、これは何といっても伴奏部分の違いが聞き所でしょう。
777540F(2CD)
ルートヴィヒ・マイナルドゥス:オラトリオ「ヴォルムスのルター」Op.36
W.レシュマンの詩による独唱,合唱と管弦楽による2部からなるオラトリオ(1876/1883年出版)
マティアス・フィーヴェグ(Br)
クレメンス・ロシュマン(T)
アンネッテ・グジャー(Ms)
コルビー・ウェルチ(T)
マルクス・フライク(Bs)
クレメンス・ハイドリッヒ(Bs)
アンスガー・アイマン(T)
ライニッヒェ・カントライ
コンチェルト・ケルン
ヘルマン・マックス(指)
マイナルドゥス(1827-1896)はフランツ・リストに師事したドイツの作曲家、指揮者、オルガニスト、作家です。彼はイェファーで生まれ、当時新しく設立されたライプツィヒ音楽院に入学するようにシューマンに勧められますが、結局学生生活は長続きせず、何人かの教師に個人的に指導を受け、音楽を習得します。彼の作品中で最も成功した作品がこの、ヴォルムス帝国議会(1521)に召喚されたマルティン・ルターを描いた「ヴォルムスのルター」です。7人の独唱者と合唱、管弦楽で奏される劇的で演奏効果の高いこの作品は、1874年、ヴァイマルでリストの指揮によって初演されましたが、その後はあまり演奏されることもなく、今回のヘルマン・マックスの録音は広く歓迎されるものとなるでしょう。
777543-2M
アゴスティーノ・グェッリエリ:ソナタ集Op.1より
La Sevesca/La Galeazza
La Sevaschina/La Brignoli/La Tita
La Viviani/La Lucina
Sonata malinconica/La Marchetta
La Benedetta/La Rotini/La Rosciana
La Pietra/La Rovetta
Balletto primo/Balletto secondo
パルナッシ・ムジチ(ピリオド楽器使用)
パルナッシ・ムジチは、南西ドイツ放送響の第2ヴァイオリンのメンバーを中心に結成された団体です。基本はヴァイオリンが2人、チェロ、チェンバロで構成されていますがその時に応じてメンバーを加え、自由自在な演奏を繰り広げるアンサンブルです。とりわけ「テレマンのスペシャリスト」でありcpoにも数多くの録音があります。今回彼らが取り上げたのは、ほとんど知られていないヴェネツィアの作曲家グェッリエリのソナタです。1673年に出版された5部からなるこのコレクションは、すべてグェッリエリ(1630頃-1684頃)の作品であり、その曲には、グェッリエリのパトロンやプロモーターの名前が「献辞を込めて」つけられています。当時活躍していたビーバーやシュメルツァーの作風を感じさせ、また多彩な舞曲の融合も見られる素晴らしい曲集です。これはとにかく面白い1枚です。
777550-2F
テレマン:ヴァイオリン協奏曲全集第5集
協奏曲ト長調TWV51:G5
協奏曲変ロ長調TWV51:B2
協奏曲ヘ長調TWV51:F3
協奏曲イ長調TWV51:A3
協奏曲嬰ヘ短調TWV51:fis1
協奏曲ホ短調TWV52:e4
協奏曲イ長調TWV54:A1
ウォルフィッシュ・バンド
エリザベス・ウォルフィッシュ(独奏Vn&指)
多くのリスナーが待ち望んでいるcpoのテレマン・シリーズ。今回はヴァイオリン協奏曲の第5集です。伴奏は第3集と同じくウォルフィッシュ・バンドによるもので、極めて親密かつ闊達ななやりとりが楽しめます。テレマン研究家であるウォルフガンク・ヒルシュマンによるブックレット(ドイツ語、英語)は、これらの作品の持つ意義を解き明かしてくれるでしょう。
777551-2M
プレイエル:弦楽四重奏曲ハ長調Ben334
弦楽四重奏曲イ長調Ben335
弦楽四重奏曲変ホ長調Ben336
ケルン・プレイエルSQ
7-9番(777315-2)で、その上品で雅びな作風が話題となったプレイエル(1757-1831)の弦楽四重奏曲の続編です。今作でもケルン・プレイエル弦楽四重奏団による演奏です。作曲家としてのプレイエルは、未だその全貌が解明されているとは言い難く、もちろんその作品の評価も定まっていないのが実情です。以前は出版業者として身を立てるまえの修業期間の秀作として、また、数多くの「忘れられた」古典派の作曲家たちと同列に扱われてしまったプレイエルですが、実はハイドンからベートーヴェン、そしてシューベルトへと繋がる、古典派から前ロマン派の作風を見事に体現している作曲家でもあるのです。逆に言えば「独創的なものに欠ける」と捉えられてしまうかもしれませんが、この頃の弦楽四重奏曲が、いかに魅力的な文体を持っていたかの証明でもありましょう。魅力的なメヌエットを含む形式美に満ちた音楽です。
777554-2F(2CD)
ヨハン・クリストフ・ローテ(1653-1700):マタイによるイエス・キリストの受難の書(マタイ受難曲)(1697) ハンス・イェルク・マンメル(T)
ヴォルフ・マティアス・フリードリヒ(Br)
グドラン・シドニー・オット(S)
マルガレート・ハンター(S)
マーニャ・ステファン(S)
クリストフ・ディットマー(C.T)
ベアト・ドゥデック(A)
ベルンハルト・クラップロット(指)
カントス・チューリンギア&カペラ・チューリンギア/
歴史の中に埋もれてしまった名作を積極的に発掘することに意欲を燃やすcpoレーベルの、また新たなシリーズが始まります。“MusikerbeThuringen(チューリンゲンの音楽的遺)”と題されたこのシリーズの第1作目は、中部ドイツに残存する最も古いと思われる「マタイ受難曲」です。作曲家ローテに関する情報は、「ロスヴァインのカントールであった父と、ゾンダースハウゼンのオルガニスト、ルードヴィッヒ・ゲルバーに音楽の教えを受け、作曲家、ヴァイオリニストとして活躍した」くらいしか残っていません。彼の書いた「マタイ」の音楽語法は、恐らく当時のチューリンゲンのスタイルの典型的なものであったであろう、と考えられます。ヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバ、そして通奏低音(ここではオルガン)の簡素な響きと、決して声を荒げることのない歌手たちの歌は、ひしひしと胸に迫ってきます。最後の合唱の澄み切った美しさは感涙ものです。
777555-2S(1SACD)
D・スカルラッティ:歌劇「ラ・ディリンディーナ」
(シンフォニアIII,VII,XV,XとソナタK89/F50,K90/F51付)
マリーナ・バルトリ(S)/桜田亮(T)
ジューリオ・マストロトターロ(Br)
ラルテ・デラルコ(ピリオド楽器使用)
フェデリコ・グリエルモ(指)
イタリアの代表的なバロック・アンサンブル「ラルテ・デラルコ」とフェデリコ・グリエルモによる珍しいバロック・オペラの登場です。この作品「ディリンディーナ」のお話は、もともと歌劇の間奏曲として書かれた短い作品です。新進女性オペラ歌手と、その音楽教師(彼女に片思いしている)。全く練習する気のない彼女の元にデビューの話が舞い込みますが、その話を持ち込んだ彼女の恋人(実はカストラート)に、音楽教師が激しくやきもちを焼くというわけで、これらの微妙に食い違うやりとりが楽しい作品。本編の重厚なオペラの幕間劇として、聴衆を楽しませるのにとても役立つものでした。とはいえ、ローマの検閲官はこの作品の歌詞があまりに風刺的であると考えたそうですが。
777557E07(2SACD)
パッヘルベル:オルガン作品全集第2集
トッカータ,フーガ,マニフィカート‐フーガ,チャコーネ,幻想曲,変奏曲,福音主義教会賛美歌
〈SACD1〉教会年‐クリスマス
〈SACD2〉詩篇の歌集第3集
ユルゲン・エッスル(SACD1)
ミヒャエル・ベロッティ(SACD2…1-9)
ジェームズ・デヴィッド・クリスティ(SACD2…10-17)

録音:2011年ジンメルン,シュテファン教会シュトンム・オルガン…SACD1,2011年ベトハイム,キリアン教会カスパール・シッペル・オルガン(1711年製),ニコラウス・ジーバー・オルガン(1721年製)
2013年に第1集がリリースされて以降、発売が待たれていた《パッヘルベル:オルガン作品集第2集》。2016年現在、最 も新しい研究に基づくこの録音は、南ドイツの教会のオルガンを用い前作と同じく「クリスマス」「受難節」などの機会ごと に分けられた、研究者にとっても重要な記録となっています。パッヘルベル(1653-1706)のオルガン作品は、当時存在した あらゆるジャンルを網羅し、また彼が確立したコラールの形式はJ.S.バッハにも影響を与えるなど、当時最高のオルガン演 奏家、作曲家としての威光を示すものであり、この全集はヨーロッパのオルガン作品の伝統を知る上でも大切なシリーズです。
777562B(5SACD)
パッヘルベル:オルガン作品全集第1集

CD1.教会の年:復活祭,2つのミカエル祭
CD2.詩編の歌T
CD3.公教要理とその他T
CD4.公教要理とその他U
CD5.アポロの六弦琴
ジェームズ・デイヴィッド・クリスティ(Org; Eilert-Koeler Orgel (1738) der Kreuzkirche Suhl…CD1)

クリスティアン・シュミット(Org; Hauptorgel von Johann Christoph Leu (1715), Chororgel von Johann Christoph Albrecht und Johann Konrad Speisegger (1710/1746) der Klosterkirche Rheinau…CD2)

ユルゲン・エッスル(Org; Hoer-Orgel (1742) der Pfarrkirche St. Katharina in Wolfegg…CD3, Sieber-Orgel (1714) der Michaelerkirche in Wien…CD5)

ミヒャエル・ベロッティ(Org; an der Bossard-Orgel (1721) der ehem. Klosterkirche St. Urban…CD4)
現在パッヘルベルというと、あの有名な「カノン」のみが知られていますが、実際の彼はバロック時代の南ドイツを代表するオルガン曲の作曲家であり、その業績はそのままバッハバッハに受け継がれていくほどの重要な位置にあった人でした。彼のオルガン作品だけでも、CD12枚分のヴォリュームを誇り、他にもハープシコードのための作品や合唱曲なども存在するのです。そんなパッペルベルのオルガン作品をフィーチャーしたこのシリーズ、演奏者に現在トップの奏者たちを配し、SACDハイブリッドで録音するという、なんとも贅沢な造りとなっています。
777564-2F(2CD)
ギュンター・ラファエル(1903-1960):ヴァイオリン協奏曲第2番&ヴァイオリン作品集
ヴァイオリン協奏曲第2番Op.87
ヴァイオリン独奏のためのソナタOp.46-2
2台ヴァイオリンのための二重奏曲Op.47-1
ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲Op.47-2
ヴァイオリンとクラリネットのための二重奏曲Op.47-6
ヴァイオリン・ソナタOp.12-1
ヴァイオリン・ソナタ第3番Op.43
ヴァイオリンとピアノのためのソナチネOp.52
ヴァイオリンとピアノのための「ヤボナー」Op.66a
ヴァイオリンとオルガンのためのソナタOp.36
クリスティーネ・ラファエル(Vn)
ホルヘ・ロッター(指)北ドイツPO
マックス・ロスタル(Vn&Va)
ウルフ・ローゼンホイザー(Cl)
ライナー・ゲップ(P)、
エルンスト・グロシェル(P)
ヴォルフガンク・シュトックマイヤー(Org)
当時の大指揮者がこぞって取り上げた管弦楽作品集の鮮烈なる印象が冷めやらぬ現代作曲家、ギュンター・ラファエル。彼の2番目の娘であるクリスティーネは、まことに才能あるヴァイオリニストでした。しかし、2008年、彼女は重病を患いこの世を去ってしまいました。彼女は父ギュンターのヴァイオリン作品を全て演奏しており、この貴重な記録を後世に残すため、彼女の夫フレデリックによりアルバム化されたものです。1959年に書かれた、12音技法を用いつつも官能的な香りが漂う協奏曲、少し諧謔的な二重奏曲集、など魅力ある作品が並びます。ヴァイオリンと他の様々な楽器の溶け合う音色は、この作曲家の音へのこだわりが感じられることでしょう。
777569-2M
ウィリアム・ヤング:ヴィオラ・ダ・ガンバ作品集
ソナタ,組曲,ファンタジー,舞曲集
ジモーネ・エッケルト(指)
ハンブルガー・ラッツムジーク
17世紀の音楽家、ウィリアム・ヤング(1610-1662)の初期の経歴については、ほとんどと言ってよいほど知られていません。このイギリスの作曲家は、ガンバ奏者として活躍し晩年はインスブルックで生活していました。音楽をこよなく愛したフェルディナント・カール大公に仕え、音楽家としての名声を確立しました。型破りな行いで知られる、スウェーデンのクリスティーナ女王が、改宗のためインスブルックに滞在した1655年には彼女のために御前演奏を行っています。そしてジェンキンスやロウズとともにヨーロッパにおける「英国の最高のガンバリスト」として知られるようになり、1653年には彼のソナタが出版されるほど人気を獲得したのです。
777570M
カール・マルティン・ラインターラー:歌曲集
7つの歌曲Op.10/7 つの歌曲Op.17
7つの歌曲Op.22
3つのバラードOp.24
5つの歌曲Op.36
6つの歌曲Op.48 〜「林檎の木」
ペーター・シェーネ(Br)
ギュンター・アルベルス(P)
以前リリースされた歌劇「ハイルブロンのケイトヒェン」は、「こんなに素晴らしい作曲家がいたなんて」と、ドイツ音楽を愛する人々に小さな衝撃を与えました。彼の作品はブラームス風でもあり、ブルックナー風でもありながら、何とも言えない香気を放つもので、一度聴いたら忘れがたい魅力を持っていたからです。そんなラインターラー(1822-1896)。彼は歌曲作曲家としても素晴らしい才能を有していました。彼が最初の歌曲を発表したのは20 代の頃。Op.6 として書かれた歌曲はイタリア語の詩によるものでしたが、このアルバムに収録されているのは、もう少し後の時期のもので、慎重に選ばれたテキストに実に考え抜かれた曲が付けられています。形式自体は比較的単純ですが、そのメロディの美しさには息をのむばかり。深みのあるシェーネのバリトンが曲の良さを引き出しています。
777573-2F
ジギスムント・ノイコム:管弦楽作品集
英雄大交響曲 Op.19
大オーケストラの幻想曲 Op.9
ミルトンの「失楽園」による幾つかのパッセージの劇的幻想曲
大オーケストラの幻想曲
ミヒャエル・アレクサンダー・ヴィレンズ(指)
ケルン・アカデミー
19世紀前半に活躍した作曲家ノイコム(1778-1858)は、現在多くの場合、ハイドンの作品の編曲者として知られています。しかし、当時はヨーロッパでも最も高名な作曲家であり、フランス王からは騎士の称号を授与されるなど、大変な名士でした。彼はミヒャエル・ハイドンに音楽理論を学び、ザルツブルクで活躍した後に、1810年代からは南米ブラジルで過ごし、この地でヨーゼフ・ハイドンやモーツァルトの作品を普及させた功績も大きいものです(モーツァルトのレクイエムの補筆でも知られています)。とはいえ、彼は作曲家としても素晴しい作品を残していました。ここで聴くことのでいる4 つの作品は、タイトルの付け方などにもベルリオーズ風の壮大さが漂うもので、曲想も雄大。この作曲家の良き理解者ヴィレンズの指揮で。
777578-2F
ハインリヒ・カミンスキ:弦楽オーケストラのための作品
(原曲:弦楽五重奏曲嬰ヘ短調…ラインハルト・シュヴァルツ・シーリンク編)
ラヴァー・スコウ・ラーセン(指)
ドイツ・カンマーアカデミー・ノイス
バイエルン生まれの作曲家カミンスキ(1886-1946)は、一時期銀行員として働き、その後政治学を学びますが、溢れる楽才を認められ転向、ベルリンで学んだ後は、ピアノ教師、合唱指揮者として活躍します。ベルリン・プロイセン芸術アカデミーでは作曲家のマスタークラスで指導し、あのカール・オルフも彼の門人であったことで知られています。現在では、いくつかの合唱作品が知られていますが、ここでは珍しい弦楽五重奏曲をご紹介いたします。この作品は1915年に作曲され、斬新な和声が初演時に絶賛されました。その後、彼の弟子であるラインハルト・シュヴァルツ・シーリングと共に弦楽オーケストラのための作品として改訂、1929年に再演しています。全体的に緊張感を帯びた音楽は、その後の悲劇的な彼の半生を予感させるかのように、強いエネルギーを放射しています。1933年、ヒトラーが政権を握ったことで職を奪われ、音楽活動もできずに1946年にさびしくこの世を去ったカミンスキ。しかしここには強い信念があります。
777580M
フリードリヒ・ゲルンスハイム:ピアノ五重奏曲集
ピアノ五重奏曲第1番ニ短調Op.35
ピアノ五重奏曲第2番ロ短調Op.63
オリヴァー・トリエンドル(P)
ジェモー四重奏団
ドイツの作曲家、ピアニスト、指揮者ゲルンスハイム(1839-1916)。一時期は忘れられていましたが、最近になってその作品が演奏、録音されるようになり、広く人気を博するようになっています。フランスに留学した際、サン=サーンスやラロと親交を結び影響を受けましたが、何よりゲルンスハイムが愛していたのはブラームスの音楽で、、彼の4曲ある交響曲にもブラームスの面影が横溢していることで知られています。この2つのピアノ五重奏曲もブラームスの五重奏曲に良く似た雰囲気を持ち、特に第2番はブラームスの「クラリネット五重奏」の後継とも呼ぶべき音楽で、しっとりとした風情と重厚さを兼ね備えた素晴らしい作品です。
777582F
ヨーゼフ・グングル:ワルツ・マーチ・ポルカ集
.楽しい時も苦しい時もOp.289
海の上の夢Op.80
エルブレシェンOp.207
常動曲Op.317
アモレット・タンツェOp.161
ナヤードのカドリーユOp.264
故郷の調べOp.31
フランツ・ヨーゼフ行進曲Op.142
ツァムベキ・チャールダッシュOp.163
ベルリン・コンチェルトハウスのポルカOp.269
あなたは見ますか?Op.319
蒸気機関車ギャロップOp.5
ハイドロパテンOp.149
私を思い出してOp.251
ナーレン・ギャロップOp.182
ニュルンベルク・シンフォニカー
クリスティアン・シモニス(指)
ヨーゼフ・グングル(1810-1889)はハンガリーの指揮者、作曲家です。もともとはオーボエ奏者として活躍し、その後オーストリア砲兵第4連隊の楽長に就任します。そこで最初の作品「ハンガリー行進曲」を書き注目を浴びました。1843年にベルリンでオーケストラを組織し、この楽団を率いて1848年から1849年までアメリカ合衆国に演奏旅行に出かけるほどの人気を獲得しました(同じような活動をした人にプロイセン生まれのベンヤミン・ビルゼとリヒャルト・アイレンベルクがいますが、このどちらもcpoからCDがリリースされています)。さて、そんなグングルですが、その後も各国を渡り歩き、とりわけ1873年のロンドンでの一連のコンサートでは大きな成功を収めたとされています。彼は生涯に436曲ものワルツや舞曲、行進曲を書いていて、そのどれもが軽やかなメロディと軽快なリズムを持っています。ここでもゆったりした曲から爽快な曲と、バラエティに富んだ作品が並んでいます。ウィーンの音楽とはまた違った味わいを持つ楽しい舞曲集です。
777583-2M
イタリアの愛のカンタータ集
アゴスティーノ・ステッファーニ(1654-1728):アムールよ、あなたの弓と矢で
ヴィヴァルディ:疑惑の全ての影に
アントニオ・ロッティ(1667-1740):わかります目隠しをした神よ
D・スカルラッティ:私は復讐したい
シルヴィア・ヴァエンテ(S)
エポカ・バロッカ
カンタータというと、どうしても合唱主体の大きな編成の楽曲を思い浮かべるのですが、バロック時代のカンタータというのは多少意味合いが違いまして、室内オーケストラとソリストによる、どちらかというと「アリア」に近いもの。超絶技巧を駆使した声部はもちろんのこと、管楽器が重要な働きを持ち、とりわけオーボエは歌手のパートナーとして用いられることが多く、親密な「二重唱」を聴かせるのです。このカンタータはイタリアで多く書かれたのですが、その中でも4人の巨匠が手掛けた素晴らしい作品をお楽しみください。素晴らしい歌唱を聴かせるのは、バロック・ソプラノ歌手のヴァエンテ。表現力豊かで優しい響きを持つ彼女の声は、曲に込められた思いを存分に伝えます。バックを務めるエポカ・バロッカの扇情的な音色も聴きものです。
777584-2M
フェルディナント・ヒラー:ピアノ作品集
ピアノ・ソナタ第2番Op.59
ピアノ・ソナタ第3番Op.78
3つのガゼルより第1番Op.54-1
3つのガゼルより第2番Op.54-2
ピアノのための小品集Op130〜1-3.5
種々のピアノ小品Op.81〜1-3
アレクサンドラ・エーラー(P)
ドイツ・ロマン派に属する作曲家ヒラー(1811-1885)のピアノ曲集です。フンメルに師事し、ピアニストとしての腕を磨き、1827年には最晩年のベートーヴェンに会い、最初の弦楽四重奏を作曲しました。メンデルスゾーンの親友であり、また「評論家」シューマンからはピアニストとしても作曲家としても賞賛されたというスゴイ人です。また、あのアルカンとも親交があったというのですから、19世紀のピアノ界において、真の実力者の一人であったことは間違いありません。彼はとても想像力が豊かであり、各々の曲には溢れるほどのファンタジーに満たされています。ピアニストのエーラーは、ブリュルやリースなど、古典派からロマン派へ推移する時代の作品を集中的に手掛けている名手。端正な作品にパッションを載せることで独自の世界を構築する人です。
777586M
ハインリヒ・フォン・ヘルツォーゲンベルク:歌曲選集
朝の歌Op.29-2/どのくらい?Op.30-2
反抗の歌Op.30-4
朝にOp.30-5/花輪Op.31-3
小さな草Op.31-4/別れの歌Op.41-2
憂鬱Op.41-5/シファーの歌Op.41-7
踊り子Op.47-2/ばらOp.48-3
夕方にOp.48-6
古いおとぎ話の森でOp.69-1
忠誠の心Op.91-2
ナイチンゲールOp.91-3
鳥たちの別れOp.91-6
眠るだけOp.96-2
夜の声Op.96-3/夕べにOp.97-1
あなたの目Op.97-2/あなたの声Op.97-3
3つの歌Op.108
エレーヌ・リンドクヴィスト(S)
フィリップ・フォーグラー(P)
cpoの注目シリーズ、ヘルツォーゲンベルク(1843-1900)の歌曲集が登場です。ソプラノのリンドクヴィストとピアノのフォーグラーが奏でる、これらの親密で美しい音楽は、これまでヘルツォーゲンベルクを知らなかった人にも大きな喜びを与えることは案違いありません。緊密な構成の中に感じられる繊細な感情表現、ヘルツォーゲンベルクが妻に寄せた深い愛、これらは、友人であったブラームスとの強い関連性も感じさせられる興味深い作品集です。初期の作品から晩年の作品までの作風の移り変わりも味わえます。
777587-2M
ヴァインベルク:弦楽四重奏曲集第6集
弦楽四重奏曲第2番Op.3/145
弦楽四重奏曲第12番Op.103
弦楽四重奏曲第17番Op.146
ダネルSQ
cpoが追求してきたポーランド生まれの作曲家、ヴァインベルク(1919-1996)の弦楽四重奏曲全集も、この驚異的な完成度を誇る第6集で完結となります。演奏は今回もベルギーのダネル弦楽四重奏団。この解釈を越えるものはなかなか出てこないと思われます。この盤に収録されているのは、1936年に書かれた初期の作品である第2番と、1986年に書かれた彼の最後の弦楽四重奏である第17番、そしてその創作の変遷を辿るに相応しい1970年作の第12番です。どうしてもショスタコーヴィチと比較されがちなヴァインベルクですが、そろそろ彼の真の姿を評価する時代がやってきたようです。
777588-2F
ジョスカン・デ・プレ:詩篇によるモテット集
深き淵より(詩篇129番)
イスラエルはエジプトを(詩篇113)
主よ立腹して(詩篇37)
我をあわれみたまえ(詩篇50)
お言葉を思い出し(詩篇118)
彼われに願わば(詩篇90)
主の愛を永遠にうたおう
ブレーメン・ヴェーザー=ルネサンス
<メンバー:フランツ・ヴィツハム(ディスカント-カウンターテナー)/アレックス・ポッター(ディスカント-カウンターテナー)/テリー・ウェイ(テノール-アルト)/ベルント=O.フレーリヒ(T)/トム・フィリップス(T)/ハリー・ファン・ベルネ(T)/ウルフリート・シュターベル(Bs)/イェッレ・ドライアー(Bs)>
マンフレッド・コルデス(指)
既発の「Missa Avemarisstella」(777590-2)で、その素晴らしい演奏が古楽好きの心に火をつけたコルデスとブレーメン・ヴェーザー=ルネサンス。前作はマリア崇拝のモテット集でしたが、今回はジョスカン(1440-1521)の詩篇モテットの登場です。旧約聖書におさめられた150編の神への賛美の言葉である詩篇は、キリスト教の典礼の聖務日課で使われるテキストであり、全てに祈りの心が宿っています。ルネサンス期におけるモテットの中でも、とりわけジョスカンの作品は、心の奥深くまで入り込み静かな感動を誘うものです。今作でも、たった8人のメンバーによる安定した歌唱が楽しめます。究極の祈りと癒しの音楽としてもオススメです。
777589-2F
ヨハン・ヘリミッヒ・ローマン(1694-1758):ドロットニングホルムの音楽集
高貴なる結婚式のための音楽
イョラン・カールソン(指)
アンサンブル・1700・ルンド
2010年6月19日、スウェーデンのヴィクトリア王女の結婚式が執り行われました。このアルバムはその歓びの日を記念してリリースされたものです。収録されているのは、スウェーデンのバロック期の大作曲家として知られる、ヨハン・ヘリミッヒ・ローマン(ユーハン・ヘルミク・ルーマン)の作品です。どれも宮廷で演奏されるのにふさわしく、陽気で華やかな舞踏曲と、荘厳な行進曲が含まれています。躍動的な演奏を聴かせるのは、オリジナル楽器による団体「アンサンブル・1700・ルンド」です。若き奏者たちの溌剌とした演奏は祝典ムードを盛り上げます。
777590-2F
ジョスカン・デ・プレ:ミサ曲とモテトゥス集
ミサ曲「アヴェ・マリア・ステラ」
マリアのモテトゥス「おお、いと聡明なる乙女」
モテトゥス「有益なる乙女」
モテトゥス「恵み深き救い主の御母よ」
モテトゥス「神のみ母なるけがれなき乙女」
モテトゥス「めでたし、いと聖なる御体」
コエロルム・レジーナ
サルヴェ・レジーナ
マンフレード・コルデス(指)
ブレーメン=ヴェーザー・ルネサンス
ルネサンス期を代表する作曲家の一人、ジョスカン・デ・プレ(1440-1521)のモテット集です。彼の青年時代のことはほとんどわかっていませんが、作風から想像するに、当時大作曲家として崇められていたオケゲムの門下に入ったであろうことは間違いありません。その後フランスからミラノへ行き、教会で職を得たとされています。彼の作品は存命中から多数印刷され、多くの人々に愛されていました。このアルバムには「聖母マリア」に関するモテトゥスが収録されています。彼が活躍した当時は、マリアの慈愛と献身についての詩がカトリック文化の中心的なレパートリーであり、多くの作曲家たちが「マリア賞賛」の音楽を書いていました。ジョスカンはその中でも突出した素晴らしい作品を書いていて、規模の大きな「アヴェ・マリア・ステラ」から、小さいモテットまで、グレゴリア聖歌の定旋律を彩る美しいポリフォニーは、まさに百花繚乱の世界と言えそうです。ブレーメン=ヴェーザー・ルネサンスの揺るぎない清冽なハーモニーは、聴き手の心を洗い清めることでしょう。
777593C01(1SACD)
ジョゼフ・ジョンゲン:オルガンと管弦楽のための作品集
オルガンと管弦楽のための「協奏交響曲」Op.81
管弦楽のための「パッサカリアとジーグ」Op.90
オルガン独奏のための「英雄ソナタ」Op.94
クリスティアン・シュミット(ルクセンブルク・フィルハーモニー,カール・シューケ=オルガン)
ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送PO
マルティン・ハーゼルベック(指)
ベルギーのオルガニスト、作曲家ジョゼフ・ジョンゲン(1873-1953)。数多くの作品を書き残していますが、知名度があまりなく録音の数も多くありません。とは言え、幸運にも録音されている一部の曲が熱狂的なファンを獲得している作曲家でもあります。このアルバムでは彼の本領発揮ともいえる3つのオルガン作品を収録。7歳でリエージュ音楽院に入学したジョンゲンは、16年間の研鑽の間に、フーガ、ピアノ、オルガンを会得し、13歳から作曲を始めます。1897年にはローマ大賞を獲得し、イタリア、ドイツ、フランスに研修旅行に出かけ、帰国後にはリエージュ大学で和声と対位法の教授に就任します。戦争に巻き込まれ大変な思いをしますが、幸運にもベルギーに戻ることができ、戦後の音楽界の復旧に力を注ぎました。そんなジョンゲンの作品は、極めてシンフォニックであり、オルガン作品はしばしば彼の先輩であるフランクの作品とも比較されます。対位法とハーモニーを駆使した彼の作品は常に壮麗で、オーケストラとの共演でも、独奏でも楽器の性能を極限まで引き出すことに成功しています。
777595-2F(3CD)
「音楽新時報」でシューマンが見出した新しき才能たち
メンデルスゾーン、ヘンゼルト、シュポア、モシェレス、ポーリーヌ・ガルシア=ヴィアルド、キンケル、シェーファー、J.S.バッハ、ベートーヴェン、シューベルト、ウェーバー、クララ・シューマン、そしてシューマン自身の作品集
様々な演奏家
シューマンの生誕200年を記念して発売されるこの3枚組のアルバムは、評論家としての彼の活動に光をあてるものです。新音楽時報(DieNeueZeitschriftfurMusik)は、ドイツで現在でも発行されている隔月刊の権威ある音楽雑誌ですが、これを創刊したのがシューマンであることは多くの人がご存知でしょう。創刊されたのは1834年4月で、初代主筆はユーリウス・クノルでしたが、記事のほとんどはシューマンが書いていました。その翌年、出版元が変わり、それに伴いシューマンが主筆となり、多数の評論文を発表し、独特の文体とその慧眼で多くの才能を世に出したのです。1843年6月に彼が去ってからも多くの才能を紹介し続け、現在に至っているのです。このアルバムは、1834年から1843年の間に彼が紹介した39人の男性、及び女性作曲家たちの歌曲、ピアノ曲、器楽作品、そして合唱作品を集めたものです。19世紀初めの音楽の流行から、不朽の名作が誕生する瞬間まで様々な角度から楽しむことができます。
777596-2M
ヴァイスマン(1879-1950):弦楽四重奏曲集
弦楽四重奏曲 Op.133(弦楽合奏編)
弦楽四重奏曲 Op.148(弦楽合奏編)
ゲオルク・マイス(指揮&編曲)
プフォルツハイム南西ドイツCO
動物学者で遺伝研究者のアウグスト・ヴァイスマンを父に持つ、ユリウス・ヴァイスマン。彼は早くからピアニスト、作曲家としての才能を顕わにし、ラインベルガー、ヘルツォーゲンベルクらに作曲を学んだ後、フリーランスの作曲家として活躍しました。彼は作品番号で150 を超える作品を書き、一時期はメンデルスゾーンに並ぶ人気を誇っていましたが、結局、その作品は浸透することなく現代に至っています。このアルバムに収録されたのは、彼の弦楽四重奏曲を、指揮者マイスが弦楽オーケストラ用に拡大した曲です。初期ロマン派から印象主義まで様々な時代を反映した彼の作品は、どの派にも属さぬ孤高な響きを有しているようです。
777597S(2SACD)
北ドイツのバロック・オルガン作品集第11集
デルフィン・シュトルンク(1601-1694),ニコラウス・アダム・シュトルンク(1640-1700),クリスティアン・フロール(1626-1697),ディートリッヒ・メイヤー(1653頃),ヨハン・デッカー(1598-1668),マルクス・オルター(1625-1684)上記6人の作曲家のオルガン作品全集
フリードヘルム・フランメ(Org)
ザルツギッター-リンゲルハイム聖アブドン&ゼンネン教会:シュヴァイム・オルガン/グラーフェンハイントリニティ教会:ティーレマン・オルガン
この盤に収録された作曲家の名前は、現代ではほとんど耳にすることがありません。なかでもかろうじて名前が知られているのはブランシュヴァイクで活躍したシュトルンク親子でしょうか。しかし彼らは、他の国からの影響を取り入れながらも、確かに次の世代へと「ドイツ音楽の伝統」を受け渡したことは間違いありません。当時活躍したブクステフーデらの影に隠れてしまったものの、素晴らしい音楽を書いていたのです。歴史の流れから零れ落ちてしまった作品を丹念に拾い集めたフランメの情熱にも拍手を送りたい1枚です。
777598-2F
クリスティアン・ヴェスターホフ:作品集
クラリネット協奏曲Op.5
クラリネットとファゴットのための協奏曲
交響曲変ホ長調
セバスティアン・マンツ(Cl)
アルブレヒト・ホルダー(Fg)
ヘルマン・ボイマー(指)オスナブルックSO
cpoレーベルならではの珍しい1枚。オスナブルックの知られざる作曲家、クリスチャン・ヴェスターホフ(1763-1806)の作品集です。モーツァルトと同時代に生まれた彼、早い時期からヴァイオリニストとコントラバス奏者として、近郊の裁判所の礼拝堂演奏家の地位を得ました。当時のオスナブルックは、数多くの小さな宮殿があり音楽家たちも思い思いの活動をしていて、ベントハイム=シュタインフルトの王子ルートヴィヒ・ヴィルヘルムもこの地で宮廷音楽を身に着けました。1790年頃、ヴェスターホフはこの礼拝堂を去り、何年かの旅の末、ビュッケブルクに定住。この地でバッハの息子J.C.F.バッハの後継者としてコンサートマスターの職を得て、「ビュッケブルクのバッハ」と呼ばれるようになります。彼の作品は、ディーター・クロッカーが数年前に演奏した「クラリネット協奏曲」くらいしか知られていませんでしたが、最近になって、ブルクシュタインフルトのコレクションから見つかり、今回の録音が実現したのです。演奏は若き奏者セバスチャン・マンツです。

777600M
コルンゴルト:室内楽作品集
弦楽のための六重奏曲 Op.10
2台のヴァイオリンとチェロ,左手のピアノのための組曲 Op.23
アーロンSQ
ヘンリ・ジークフリードソン(P)
トーマス・ゼルディッツ(Va)
マリウス・ディアス(Vc)
このアルバムに収録されたコルンゴルト(1897-1957)の作品は、どれも室内楽のジャンルに属する曲ですが、まるでオーケストラで奏でられているかのように色彩に富み、光に溢れたものであり、とりわけ「弦楽のための六重奏曲」での表現と濃厚な響きの美しさは例えようもありません。まず、1916 年に作曲された弦楽六重奏曲の完成度の高さに驚いてしまいます。19歳の時の作品ですが、彼はすでに天才としての名声を確立しており、その名前はヨーロッパ中に轟いていたのでした。「組曲」は1930 年の作品で、あの戦争で右手を失ったピアニスト、パウル・ヴィトゲンシュタインのために書かれたものです。重苦しい「前奏曲とフーガ」で始まり、優雅さの中に不安げな表情が見え隠れする切ない「ワルツ」と続き、グロテスクと題された激しい曲、そして美しい「リート」が置かれ、最後は快活なロンドで締めくくられます。まだ彼が“幸せだった時期”の作品です。
777601-2F(2CD)
テレマン:ルカ受難曲(1748年) TVWV5:33 ヴェロニカ・ヴィンター(S)
アンネ・ビーアヴィルト(A)
ヤン・コボウ(T)/フリーデマン・クロス(Bs)
ライニッシェ・カントライ
ヘルマン・マックス(指)
ダス・クライネ・コンツェルト
昨年、マグデブルクで行われた「テレマン音楽祭」において最も注目された公演の一つが、この「ルカ受難曲」でした。テレマン(1681-1767)は生涯に46曲程度の「受難曲」を書き、そのうちルカ伝を使用したものは11曲あります。晩年の曲は初期の作品の転用も多く、内容的にも若干不満が残るものもあるのですが、この1748年版は、7番目に書かれたもので、バロックから初期の古典派へと移り変わる音楽手法と、壮大で劇的な内容を持つ偉大なる作品です。ヘルマン・マックスとおなじみの独唱者たちによるテレマン・ファン必涎のアルバムです。
777602-2F(3CD)
テレマン:歌劇「ゲルマニクス」
クリスティーネ・ドロテア・ラッハ台本/ミヒャエル・マウル再編
オリヴィア・スターン(S)
エリザベス・ショル(S)
マティアス・レクスロート(C.T)
アルブレヒト・ザック(T)
ヘンリク・ベーム(Bs)/トビアス・ベルント(Br)
フリードリヒ・プレトリウス(Boy-S)
ディーター・ベルマン(ナレーター)
ゴットホールト・シュヴァルツ(指)
ザクセン・バロックO
17世紀後半、ドイツ語圏各地に次々と宮廷歌劇場が作られます。その中で、1678年に作られたハンブルク、ゲンゼマルクト劇場は「市民のためのオペラ劇場」として人気を博し、ドイツ語オペラが数多く上演されるようになります。そしてライプツィヒ歌劇場は1693年に創立、ドイツの第2のオペラハウスとして人気を馳せるようになります。ここで作品を発表したのは、ハイニヒェン、ピゼンデル、ファッシュ、シュテルツェル、テレマン(1681-1767)など錚々たる顔ぶれでしたが、中でもテレマンは1701年から1705年の間に約20曲ほどのオペラを作曲したようです。しかし、これらは少数のアリア以外はほとんど残っておらず、本当にこれらの曲があったのかすらも謎となっています。そんな中、フランクフルト大学図書館で発見されたアリア・コレクションは40曲ほどの匿名作家のアリアであり、テレマンの「ゲルマニクス」の中の曲として知られているものも含まれていました。この録音はそれらを拾い上げ、再度テレマンの初期の天才的な仕事を確認するための記録となることでしょう。
777604-2M
ハンブルクの聖なる音楽集1600-1800
聖母マリアの輝かしき慈悲の歴史〜15世紀、ハンブルクのマリアへの礼拝
序/第1の夕べの祈り
第2の夕べの祈り/第3の夕べの祈り
アマルコルド
タイトルでは「1600-1800年」の音楽集とありますが、ここは趣向を変えて、15世紀に遡り、この頃のハンブルクの教会音楽の純粋な美しさを楽しもうという1枚です。ヘルマン・レームツスマ財団の資金提供による「宗教改革以前の音楽の研究」に携わった北ヨーロッパの音楽学者ヴィアケスラフ・カルトソフニク博士は、ハンブルクの大学図書館を巡り、数多くのラテン語の原稿の断片を探したところ、この一連の祈りを「最も古く、完全な形で残存するドキュメント」と認め、ここにすばらしきアンサンブル「アマルコルド」によって実際の音として再現しました。素朴で飾り気のないモノフォニー(単旋律)の祈りは、時代を越えて深く人々の心に突き刺さるかのようです。
777605M
アントン・エーベルル:ピアノ作品集
グランド・ソナタ.ト短調Op.27
アリエッタ「愛しの彼女の優しき心の動き」による12の変奏曲
「シュテフェンに夢の中で語る」の主題による10の変奏曲
マリー=ルイーズ・ヒンリクス(P)
少年時代から天才ピアニストとして名を馳せ、9歳年上のモーツァルトからもその才能を高く評価されたというエーベルル(1765-1807)。そのまま彼らは友人となり、1791年にモーツァルトが亡くなった時は「モーツァルトの墓前にて」というカンタータを作曲したほど、親しい関係を保っていました。モーツァルトの死後も音楽教師、作曲家として活動を続け、ピアノ協奏曲や交響曲を数多く作曲、一時はベートーヴェンよりも聴衆の人気を得ていたといいます。そんな彼の作品、やはりモーツァルトとの親和性が高く、いくつかの曲は「モーツァルト作」として出回ったこともあるようです。とは言え、ここで聴ける彼の変奏曲やソナタは、その緻密な構成と粘り強さの面で、どちらかというとベートーヴェン風の力強さを備えています。魅力的な作品です。
777606F(2CD)
プレイエル:協奏交響曲集
フルート,オーボエ,ホルン,ファゴットと管弦楽のための協奏交響曲ヘ長調(B115)
オーボエ,ファゴットと管弦楽のための協奏交響曲変ロ長調(B112/1289)
フルート,オーボエ,ファゴット,2台のヴァイオリン,ヴィオラ,チェロ,コントラバスと管弦楽のたけの協奏交響曲ヘ長調(B113)
ファゴット協奏曲変ロ長調(B107)
ハンノ・デンナーベック(Fg)
ギャビー・パス=ファン・リエット(Fl)
アン・アンゲラー(Ob)
ヴォルフガンク・ヴィフラー(Hrn)
ミラ・ゲオルギエワ(Vn)
マイケル・サルム(Vn)
グンター・トイフェル(Va)
マヌエル・フィッシャー=ディースカウ(Vc)
コンスタンツェ・ブレンナー(Cb)
シュトゥットガルト放送SO
ヨハネス・メースス(指)
オーストリアに生まれ、若い頃はヨーゼフ・ハイドンに学び、その後フランスに移住。この地で結婚し音楽家として活躍したプレイエル(1757-1831)。しかし、1791年にフランス革命の余波を受け、教会での演奏会が廃止されたため、職探しのためにロンドンにわたります。そこで成功し財を成した彼は、再度パリに戻り、今度は音楽出版社の仕事を始めます。39年間出版業に就き、4000作品を出版した後、今度は何とピアノ制作会社を立ち上げたというのですから驚きです。そんなプレイエル。その作品は、企業家としてはアクティヴであった彼らしくなく、とても穏健なものでした。ここではファゴットを含む協奏交響曲と協奏曲を収録。彼のセンス良い楽器の用法と、モーツァルトにも似た典雅な音楽を楽しむことができます。
777607F(2CD)
ザーロモン・ヤーダスゾーン:交響曲第1番-第4番
交響曲第1番ハ長調Op.24
交響曲第2番イ長調Op.28
交響曲第3番ニ短調Op.50
交響曲第4番ハ短調Op.101
ヴァイオリンと管弦楽の為のカヴァティーナOp.69
チェロと管弦楽の為のカヴァティーナOp.120
クラウディナ・シュルツ=ブロニエフスカ(Vn)
トーマス・ジョルジ(Vc)
フランクフルト・ブランデンブルク州立O
ハワード・グリフィス(指)
ドイツの作曲家、ピアニスト、そして音楽教師であったヤーダスゾーン(1831-1902)。もちろん現在で彼の名前はほとんど知られていません。もともとユダヤの家系に生まれたため、ライプツィヒ音楽院を卒業するも、職を得るのに苦労し、40歳になってようやく母校で職を得てピアノや作曲を教えるようになったという彼ですが、音楽教師としての才能に恵まれていて、数多くの作曲家を世に送り出しました。その中にはレズニチェク、シンディングやジークフリート・カルク=エーレルト、なたディーリアスやアルベニスなど錚々たる名前を発見することができます。そんなヤーダスゾーン自身の作品は、ここで聴けるように確固たる作風を確立しているのですが、どうしても19世紀末から起こった「ユダヤ人排斥」の流れのせいで、どうしても演奏される機会を逸してしまい、そのうち忘れられてしまったのです。しかしながら、しばしば比較されるカール・ライネッケの作品と比べても全く遜色のないこれらの作品には、限りない魅力が漂っています。もっと知られてもよい作曲家といえるでしょう。
777611-2F
ゲオルク・ゲベル:クリスマス・カンタータ第2集
わがイエスこそアルパにしてオメガ、始めにして終わり(元旦“啓発と慰めの教義”から1747/48)
汝の体を汝自身で捧げよ(公現日のあとの日曜日“啓発と慰めの教義”から1747/48)
ヴェロニカ・ヴィンター(S)
ゲジーネ・アドラー(S)
ブリッタ・シュヴァルツ(A)
アンドレアス・ポスト(T)
マティアス・フィーベグ(Bs)
ルドガー・レミー(指)レサミ・ド・フィリッペ
ゲオルク・ゲベル(1709-1753)のクリスマス・カンタータ、第2集です。こちらはクリスマスの直後の日曜日、および元旦に歌われるための2曲のカンタータが収録されています。cpoからは第1集(777610-2)の他、いくつかの作品がリリースされていて好評を博していますが、この初録音のカンタータもファンにとっては嬉しい贈り物となることでしょう。同時代の作曲家と比較しても、類を見ないほどの巧みな対位法を使い、また当時としては新しいメロディとハーモニーを用いた壮大な作品です。最先端の作風を愛しつつも、44歳という年齢で亡くなってしまったこの作曲家、もう少し長生きしていれば、また違った音楽を書いていたに違いありません。
777615-2F(2CD)
ブルックナー:交響曲全集第1集
交響曲第4番変ホ長調(第2稿)
交響曲第7番ホ長調(1881-83年)
マリオ・ヴェンツァーゴ(指)バーゼルO
ブルックナーの交響曲については、様々な異稿版が存在し、現在でも研究が進んでいることは周知の事実です。初稿、改訂、後の人たちに拠る改編・・・。そのどれもが独自の声を挙げ、「これこそがブルックナーの真実の声」と主張し合っています。そして、演奏を聴く時には、ここ指揮者の解釈、オーケストラの音色などが加わり奥深い世界を構築していくのです。こうして、聴き手も演奏家もブルックナーから抜けられなくなるのでしょう。こちらは2002年から2009年までインディアナポリスSOの音楽監督を務めた指揮者ヴェンツァーゴの渾身のブルックナーです。
777616F
ブルックナー:交響曲第5番変ロ長調(1878年版) マリオ・ヴェンツァーゴ(指)
タピオラ・シンフォニエッタ

録音:2014年3月10-12日タピオラ・ホール
最新作がリリースされるたびに、大きな注目と賞賛を集めたヴェンツァーゴのブルックナー(1824-1896)・シリーズもこの「第5番」で完結となります。第5番は恐らく作曲家自身の改訂は施されていない作品としてみなされており、厳格な対位法が施された確固たる作品として知られています。曲の規模と内容に最も相応しいオーケストラを選択し、丁寧な解釈を加えたこれらのブルックナー・ツィクルスは、ヴェンツァーゴ自身も驚くほどに多彩な表現が生み出され、2年間という短い期間でありながらも、充実した演奏ができたというものです。愛おしむような演奏がここにあります。
777623-2M
美しきアーモンド
スクアルチャルーピ写本よりバッラータ、カッチャ、マドリガーレ集
アンサンブル「パラティノ87」
【マリア・ヨナス(ヴォーカル)
ジャン・アクトマン(ヴィエール)
マルク・レウォン(リュート/クィンテルネ/ヴィオラ・ダルコ/ヴォーカル)
マイク・ヘルツィヒ(リコーダー/ポルタティフ・オルガン) 】

録音:2010年9月17-20日
15 世紀のフィレンツェで編纂されたイタリアの豪華装飾写本の一つである「スクアルチャルーピ写本」は、14 世紀のイタリア「トレチェント音楽(イタリア最初の多声音楽文化で名前は1300年代を表す)」を伝える資料として貴重なものです。ここに含まれているのは353 曲の世俗歌曲で、各々の作曲家は、ロレンツォ・ダ・フィレンツェ、フランチェスコ・ランディーニ、ドナート・デ・フィレンツェ、ヴィンツェンツォ・ダ・リミニ、ジョヴァンニ・ダ・カッシャ、バルトリノ・ダ・パドヴァ、ヤコボ・ダ・ボローニャ、そしてニコラ・ダ・ペルージャとなります。宗教作品とはまた違った、とてもシンプルでメロディアスな作品は、当時の文学と密接な関係を保ち、また上流階級の人々の暮らしをそのまま伝えてくれるものです。
777624-2M(2CD)
ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲集第1集
弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」Op.96
弦楽四重奏のための「糸杉」B.152
2台のヴァイオリンとチェロ,ハルモニウムのための「バガテル」Op.47
弦楽四重奏曲第9番ニ短調Op.34
弦楽四重奏曲第10番変ホ長調Op.51
フォーグラーSQ
オリヴァー・トリエンドル(ハルモニウム)
ドヴォルザークは、生涯に14曲の番号付きの弦楽四重奏曲と、歌曲から編曲した「糸杉」などの、幾つかの番号なしの作品を残しています。しかし実際によく演奏されるのは第8番以降の7曲であり、初期の作品は通常耳にする機会がないのではないでしょうか(言うまでもなく第12番の「アメリカ」はドヴォルザークの代表作のひとつです)。先人の影響など、どうしても没個性と言われてしまいますが、しかしながら、じっくり聴いてみると、数多くのものを発見できる興味深いレパートリーであることは間違いありません。1985年に当時の東ベルリンで設立されたフォーグラー四重奏団による確かな演奏です。
777625M(2CD)
ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲集第2集
弦楽四重奏曲第14番変イ長調Op.105
弦楽四重奏曲第4番ホ短調B19
弦楽四重奏曲第13
番ト長調Op.106
弦楽四重奏のための「糸杉」B152〜第4.5.8.9.10番
フォーグラーSQ
フォーグラー弦楽四重奏団によるドヴォルザーク(1841-1904)の弦楽四重奏曲集の第2集は、後期の名作である第13番と第14番、そして初期の第4番と「糸杉」からの5曲です(「糸杉」の他の7曲は第1集(777624)に収録されています)。第13番は1985年の作品で、これは彼がアメリカからボヘミアに帰国した年であり、それ以前から着手していた第14番の完成に手間取っていたため、こちらが先に完成されました。それで作品番号が逆に付されているというものです。この2曲は本当の力作であり、当時の彼の作品には珍しく標題のつけられていない“絶対音楽”に属するものです。第4番は1870年の作品で、全曲は切れ目のない単一楽章で書かれています。中間部はのちに「弦楽のためのノットゥルノ」として改作され、美しいメロディが愛されています。
777627M
ペトル・エベン:宗教合唱作品集
慈しみと愛のあるところ
サルヴェ・レジーナ
被造物の賛歌/知恵の言葉
巡礼の詩篇
世界は危機を迎えている(三部作)
おお来たまえ、精霊よ
楽園の喜びの鼓動
父なる神よ-アーメン
ザクセン声楽アンサンブル
マティアス・ユング(指)
ボヘミア生まれのペトル・エベン(1929-2007)は宗教的な作品やオルガン曲を数多く作曲しており、その神秘的な響きは一度聴いたら耳から離れないほどの強烈な印象を残します。この宗教合唱曲集は、モテットなどの伝統的な音楽をそのまま受け継いだ上に、ボヘミア的気質と現代的な和声を用い、極めてリアルな感情を表出するもので、難解な部分を持ちながらも、時として素朴な響きがこぼれだすこともあり、基本的には音の一つ一つが磨き上げられた独特の美を有するものです。
CPO=777628-2M
ゲーゼ(1817-1890):ピアノ作品集
ピアノ・ソナタ.Op.28
水彩画 Op.19-1
水彩画 Op.19-2
新しい水彩画 Op.57
アンダンティーノ
破棄された楽章
クリスティーナ・ビェルケ(P)
ゲーゼ(ガーデとも)はコペンハーゲンで生まれ、19世紀デンマークの音楽発展に寄与した作曲家です。彼はもともとコペンハーゲンでヴァイオリン奏者として活動を始めましたが、メンデルスゾーンの尽力により、自作がライプツィヒで初演されたため、そのままライプツィヒに移り、ここで指揮者としての活動を始めました。その後は国同士の紛争もあり、デンマークに帰国。オーケストラや合唱団を設立し、教育者としても名を成したのです。そんな彼の作品は交響曲などの管弦楽作品が知られていますが、ピアノのための作品も彼の大切なジャンルであり、時折自分で演奏したり、オーケストラ作品のスケッチとしての役割も持たせていたのです。このアルバムの中では「水彩画」と「新しい水彩画」の間の成熟度が興味深く、この作曲家の足跡をたどる上でも重要な作品となることは間違いありません。コペンハーゲン生まれのビェルケの共感に溢れた演奏で。
777630-2M
ミェチスワフ・ヴァインベルク:木管楽器のための室内楽集
クラリネット・ソナタOp.28
フルートとピアノのための12の小品Op.29
無伴奏ファゴットのためのソナタOp.133
フルート,ヴィオラ,ハープのための三重奏曲Op.127
エリザヴェッタ・ブルミナ(ピアノ&芸術コンセプト)
ヴェンゼル・フックス(Cl)
ヘンリク・ヴィーゼ(Fl)
マティアス・バイアー(Fg)
ニムロッド・グェス(Va)
ウータ・ユングヴィルト(Hp)
最近、その作品の復興が盛んなポーランド=ロシアの作曲家ヴァインベルク(1919-1996)、新しい作品も次々と発見され、更に世界的評価が高まっています。このアルバムでは比較的珍しい室内楽作品を4曲収録。比較的初期の作品であるクラリネット・ソナタは聴く機会もありますが、晩年の無伴奏ファゴット・ソナタや三重奏曲はほとんど知られていません。彼の作品は、よくショスタコーヴィチとの類似点が指摘されますが、実際にはもう少し抒情的な要素を持ち、また驚くほど感傷的な面も見えたりします。各々の楽器には高い技術が要求され(特にピアノ・パート)、演奏もなかなか困難ではありますが、ここで見事な統率力を見せるピアニストのブルミナを始めとする演奏家たちは、文句なしの名演を聴かせています。
777633M
ヨハン・ゴットリープ&カール・ハインリッヒ・グラウン:ヴァイオリン、もしくはヴィオラと通奏低音のためのトリオ集
ヴァイオリンとクラヴィーアのためのトリオイ長調GraunWVC:XV:90
ヴィオラとクラヴィーアのためのトリオ変ロ長調GraunWVA:XV:16
ヴァイオリンとクラヴィーアのためのトリオイ長調GraunWVA:XV:13
ヴァイオリンとクラヴィーアのためのトリオロ短調GraunWVC:XV:9
レサミ・ド・フィリッペ
<アン・シューマン(Vn)
エヴァ・サロネン(Va)
ルドガー・レミー(ハンマーフリューゲル)>
ドレスデンの図書館に保存されているグラウン兄弟の総譜の中から、今回は表現力豊かなトリオを選び出し、お馴染みのルドガー・レミーを筆頭にベテラン演奏家たちが素晴らしい演奏で聴かせます。ベルリンの宮廷で活躍した兄弟は、後期バロック音楽から古典派音楽への過渡期を生きたことで、その作風も当時の新しい音楽思想を反映した、すっきりしたものとなっています。とりわけ、ゆったりとした詩的な旋律を持つ第2楽章が魅力的な曲集です。
777636
NX-B10
ジョセフ・ホルブルック:交響詩集第2集
管弦楽のための変奏曲「オールド・ラング・サイン(蛍の光)」Op.60
ヴァイオリン協奏曲ヘ長調「バッタ」Op.59
管弦楽のための詩曲第1番「大鴉」Op.25
ユディト・インゴルフソン(Vn)
フランクフルト・ブランデンブル
ク州立O
ハワード・グリフィス(指)

録音:2013年1月15-18日,2014年2月6-7日フランクフルト“カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ”コンサート・ホール
イングランド生まれの作曲家ホルブルック(1878-1958)による交響詩集の第2集。これで彼の全交響詩が録音されたことに なります。第1集(777442)でも独特の作風による音楽を聴くことができましたが、第2集には彼の名声を高めることとなっ た「大鴉」を始め、更にユニークな作品が目白押しとなっています。12歳でピアニストとしてデビューしたホルブルックは、 英国王立音楽院で学ぶうちに作曲家を目指し、22歳の時にエドガー・アラン・ポーの影響を受けた「大鴉」を発表、この作 品で優れた作曲家として注目を浴びました。しかし、ワーグナー風の重厚さと長さを持つ彼の作品は、牧歌的な音楽が主流で あったイギリス楽壇から受け入れられることがなく、次第に彼の作品は見向きもされなくなり、一部の熱狂的なファンを残し て、いつの日にか忘れ去られてしまうことになるのです。しかし、ここに収録された「アイルランド民謡による変奏曲」(日 本でもお馴染みのメロディ)や、唯一のヴァイオリン協奏曲「バッタ」は極めて親しみ易い旋律を持った、ウィットに富んだ 音楽。イギリス音楽の本流とは違う濃密な作品群として最近人気を博しています。
777637F
レズニチェク:交響曲第3番ニ長調「古風な様式で」
交響曲第4番ヘ短調
フランク・ベールマン(指)
ロベルト・シューマンPO

録音:2010年9月6-10日ケムニッツ
cpoレーベルの隠れた人気シリーズ、レズニチェク(1860-1945)の交響曲全集もこれで完結となります。レズニチェクはもともとチェコの貴族の血を引く良家の出身で、法学と音楽を学び、指揮者として活動し、1886年から1894年まではプラハの楽長も務めたほどの才人です。第三帝国の時代には高い名声を得て、またヒトラーからも擁護され、その作品は数多くの楽団、指揮者によって演奏されました。個人的にはリヒャルト・シュトラウスとも友人関係を築いていましたが、作品的にはシュトラウスを超えることはなかったようで、新古典派、ロマン派、表現主義など、その時代のあらゆる流派を取り入れ、なおかつそこに皮肉っぽさを加えた彼の作品は、結局のところほとんどが忘れ去られて現在に至っています。第3番の交響曲は、その前の第2番の完成から14年を経て作曲されましたが、第3番の表題に見られるように、若干時代を遡った感もあり、却って魅力的な音楽となっているところが面白いものです。
777639-2T(4CD)
ベスト・オブ・シンフォニック・レハール

■CD1(999423-2)《交響的作品集》
「タチアナ」より前奏曲とロシア舞曲
テノールと管弦楽のための「熱」ピアノと管弦楽のための交響詩「IlGuado」
ヴァイオリン協奏曲
演奏会用序曲「わが青春の幻影」
ワルツ「薄暮のドナウへ」

■CD2(999761-2)《組曲、舞曲と間奏曲集》
ジプシーの祭り
/オペレッタ「ひばりが歌
う所」〜行進曲とパロータシュ
オペラ「ロドリーゴ」〜敬虔な前奏曲
千夜一夜物語
「悦楽の国のペーターとポール」〜バレエ音楽
蜃気楼/珊瑚色の唇
オペレッタ「侯爵の子」〜辞任
舞踏組曲/中国のバレエ組曲

■CD3(999891-2)《序曲とワルツ集》
「メリー・ウィドウ」序曲
古いウィーンの愛のワルツ
「神々の夫婦たち」序曲/
荒野のバラ、ボストン・ワルツ
「Cloclo」序曲/グリュッツナー・ワルツ
アドリア・ワルツ
■CD4(999715-2 ボーナスCD)
《ピアノ・ソナタ集》
ピアノ・ソナタヘ長調
ピアノ・ソナタニ長調/幻想曲変イ長調
<CD1>
ロバート・ギャンビル(T)
ラティカ・ホンダ・ローゼンベルク(Vn)
フォルカー・ベンフィールド(P)
クラウスペーター・ザイベル(指)
ハノーファー北ドイツ放送PO

<CD2>
ミハイル・ユロフスキ(指)ベルリンRSO

<CD3>
ミハイル・ユロフスキ(指)ベルリンRSO

<CD4>
ヴォルフ・ハーデン(P)
オペレッタ以外の曲でのレハールを聴く4枚組です。彼は確かに「オペレッタ」のジャンルでは成功したのですが、他の分野の曲を書かなかったわけではありません。彼のスコアは驚くほど精緻で、その和声は同時期のマーラーやR・シュトラウスに匹敵するほどに重厚で先鋭的でした。でも、当時の聴衆が求めたのは、彼の滴り落ちるように美しいワルツや、泣かせるオペレッタのアリアだったのです。そんなレハールの管弦楽作品に、ピアノ作品集も併せた美麗BOXをお求めやすい価格でお届けいたします。
777640-2B(5CD)
サッリネン(1935-):交響曲&その他作品集
交響曲第1番Op.24
交響曲第7番「ガンダルフの夢」Op.71
荘厳序曲「リア王」/コラーリ
交響曲第2番Op.29/交響曲第4番Op.49
ホルン協奏曲Op.82/交響曲第3番Op.35
交響曲第5番「ワシントン・モザイク」Op.57
交響曲第6番「ニュージーランドの日記より」Op.65
チェロ協奏曲Op.44/交響曲第8番Op.81
ヴァイオリン協奏曲Op.18/パラス・ラプソディOp.72
エサ・タパーニ(Hrn)
ヤン=エーリク・グスタフソン(Vc)
ヤーコ・クーシスト(Vn)
アリ・ラシライネン(指)
ノールショッピングSO
ラインランド=プファルツ州立PO
フィンランドの偉大なる作曲家アリウス・サッリネンは、この国の現代音楽における最も偉大な人として認識されています。彼は歌劇「赤い線」でその名声を飛躍的に高めましたが、交響曲や管弦楽作品の分野でも素晴らしい作品が数多く見られます。彼の作風は十二音の音列を極めながらも、決して調性を失うことはなく、ぎりぎりの情緒性を持つその漲る緊張感と明瞭さが賛美されています。この5枚組のアルバムをじっくり聞いてみれば、その新鮮な感動にうち震えること間違いありません。
777644F
クリストフ・グラウプナー:バスのためのカンタータ集
Frohlocke gantzes Rund der Erden GWV 1139/20
Ich bin zwar Asch und Koth, GWV 1135/13
Ach Herr mich armen Suender GWV 1152/46
Kommt, last uns mit Jesu gehen GWV 1119/22
Angenehmes WaA?er Bad GWV 1104/11b
Zaehle meine Flucht GWV 1154/12b
クラウス・メルテンス(Bs-Br)
アカデミア・ダニエル
シャレフ・アド=エル(指)
ザクセン公国キルヒベルク近郊、ハルトマンドルフに生まれたグラウプナー(1683-1760)。彼は法学と音楽を学び、最初はハンブルク歌劇場のチェンバロ奏者を務めながら(同じ時期にヘンデルがヴァイオリン奏者として在籍していた)、次々をオペラを作曲していました。その当時、彼の作品はバッハのものよりも人気が高かったとされていますが、当の彼はバッハを高く評価し、バッハがトーマス教会カントルの職を得た時も、グラウプナーは推薦の手紙をライプツィヒの市参事会へと送るなど、積極的に彼をサポートしたと伝えられます。そんなグラウプナーの「バスのためのカンタータ」は、充実した声部もさることながら、ヴィオラが重用されるなど独自の作風を誇っています。また彼のレチタティーヴォの流麗さも特筆もので、アリアの部分との美しい対比を見せています。クラウス・メルテンスの卓越した技巧は、これらの作品の美点を存分に表現しています。
777645F
クリストフ・グラウプナー:協奏曲集と食卓の音楽
シャルモー,ファゴット,チェロ,2台のヴァイオリン、ヴィオラ、チェンバロの為の協奏曲ハ長調GWV306
食卓の音楽CGWV468からエントラータト短調
オーボエ・ダ・モーレ,2台のヴァイオリン,ヴィオラ,チェンバロのための協奏曲ハ長調GWV302
独奏ヴァイオリン,2台のヴァイオリン,ヴィオラ,チェンバロの為の協奏曲イ長調GWV337
ファゴット,2台のヴァイオリン,ヴィオラ,チェンバロの為の協奏曲ハ長調GWV301
アカデミア・ダニエル
シャレフ・アド=エル(指)
バッハと同世代の作曲家グラウプナー(1683-1760)。トーマス教会のカントル職をバッハに譲ったエピソードが良く知られています。これは当時、グラウプナーが雇われていたダルムシュタットの宮廷オーケストラが彼の手腕により高い能力を維持していたため、雇用主であるヘッセン=ダルムシュタット方伯がグラウプナーを手放さなかったため、結果的にバッハがトーマス教会のカントルになることになったのです。そんなグラウプナーは、数多くの協奏曲や組曲を含む作品を残していますが、これらはほとんど出版されることなく、ダルムシュタットの城に残っています。このアルバムでは、そんな彼の作品を聴くことができます。様々な楽器の為の合奏協奏曲はテレマンを凌駕するほどの色彩感を持ち、またチェンバロが著しく活躍することでも、グラウプナーの演奏の腕前が伺い知れることでしょう。
777646F
中央ドイツ、バロック期のバスのためのカンタータ集(ミューゲルン・アーカイヴより)
ヨハン・テオドール・レームヒルト(1684-1756):だれも私をイエスから引き離すことはできない
テレマン:忠実な空へTWV11:30
 主こそ王であるTWV7:31
クリスティアン・ヴォルフ(1705-1773):あなたの悩みは私を満足させる
ヴォルフ:私の宿はここではない
リープホルト(?-1730頃):全ての私の知識はイエスによる
リープホルト:人の子が来たる
クラウス・メルテンス(Bs-Br)
アカデミア・ダニエル
シャレフ・アド=エル(指)
1571年、ザクソンの小さな町ミューゲルンに作られた「聖ジョン・カントライ・アーカイヴ」。ここには16世紀から17世紀頃までに作曲された、100作を越えるたくさんのカンタータが原稿の形で保存されています。18世紀前半に、当時の音楽監督であったダニエル・ジェイコブ・シュプリングスグートによって復元されたこれらの作品、どれもがザクセン州をはじめ、チューリンゲン地域の作曲家たちの作品であり、後のカンタータの発展のために多大な貢献をしたものでした。このアルバムでは、その膨大なアーカイヴの中から、バス歌手のための作品を選び出し、名手メルテンスと指揮者アド=エルが実際に音にしています。高いレベルの歌唱は、これらの知られざる作品の真価を見出すものとして評価されることでしょう。
777647-2F(2CD)
フランツ・シュレーカー:歌劇「ヘントの鍛冶屋」 オリヴァー・ツヴァルク(Bs-Br)
ウンディーネ・ドライシヒ(Ms)
アンドレ・リーマー(T)
エドヴァルト・ランダル(T)
マーティン・ゲーブラー(Bs)
ユディス・クーン(S) 他
ケムニッツ歌劇場cho
フランク・ベールマン(指)
ロベルト・シューマンPO
1929年、フランツ・シュレーカー(1878-1934)は創造的危機の真っただ中にありました。それ以前の彼は1920年にベルリン高等音楽学校の校長に任命され、数多くの弟子を持ち、また彼のオペラも数多く上演されるなど、華々しい活躍をしていたにもかかわらずです。彼の成功に陰りが見えはじめたのは1923年の「狂える炎」の初演が賛否両論にわかれたこと、また1928年の「歌える悪魔」が失敗に終わったことあたりでしょう。当時の社会も反ユダヤの空気が蔓延しつつあり、出版社も彼のオペラの出版を拒否しました。聴衆が求めたものは、1922年に上演されたクルシェネクの「ジョニーは演奏する」のようなセンセーショナルな作品であり、シュレーカーが望んだメルヘンチックなものは受け入れがたかったのでしょう。それでもこのオペラは「全ての人のために」向けて書かれています。16世紀の東フランドル、鍛冶屋のスメーは力を失いますが、悪魔の契約によって再び力を得ます。7年後、契約によって地獄へ行くことになった彼ですが、実は"ある家族"の手伝いをしたことで、天国へと迎えられます。その家族とは、大工の父と、その妻、そして息子でした。シュレーカーは自身の音楽のパロディと、民謡を上手く取り入れた普遍的な音楽を付けています。シュレーカー復興がますます進むことはうれしい限りです。
777649-2B(9CD)
ハイドン:ピアノ三重奏曲全集
CD 1: Hob.XV:6-10
CD 2: Hob.XV:11-14
CD 3: Hob.XV:5&18-20
CD 4: Hob.XV:21-23
CD 5: Hob.XV:24-26&31-32
CD 6: Hob.XV:27-30
CD 7: Hob.XV:f1,34,35,38&40
CD 8/9: Hob.XV:C1,1-2,36-37&41
トリオ1790(ピリオド楽器使用)
ハイドンのピアノ三重奏曲は、それ以前の通奏低音付きのヴァイオリン・ソナタとは一線を画した、当時としては画期的な作品群であると同時に、ハイドンの全作品の中でも、一際聳え立つ高い山として認識されています。しかしながら、なんとなくとっつきにくさがあるのか、なかなか録音、演奏の機会に巡り合うことができないのも実情です。聴けば聴くほどに魅力的なこの「宝の山」、トリオ1790の信頼おける演奏でぜひ聴いてみてください。
777650-2M
イタリア風セレナード集
ジョヴァンニ・パイジェッロ(1740-1816):グロース・ハーモニームジーク(2つのオーボエ,2つのクラリネット,2つのホルン,2つのファゴットとコントラバスのための)
ロッシーニ:木管六重奏曲(2つのクラリネット,2つのホルン,2つのファゴットとコントラバスのための)
ジーモン・マイール(1763-1845):木管六重奏曲(2つのクラリネット,2つのホルン,2つのファゴットとコントラバスのための)
ヴィンチェンツォ・リギーニ(1756-1812):セレナード(2つのクラリネット,2つのホルン,2つのファゴットとコントラバスのための)
コンソルティウム・クラシクム
イタリア風のセレナード集です。一般的に「セレナード」とは野外で演奏される機会音楽であり、夜のおぼろげな光の中、声楽家と器楽グループが美しい音楽を奏でるものですが、18世紀におけるセレナードは、木管楽器とコントラバス(時にヴィオラも)で演奏されるのが普通でした。これらは椅子を必要とせず、立って演奏できるもので、やはり野外で演奏するための曲として認識されていたのです。この4曲のセレナードはどれも明るい輝きを持つ、いかにもイタリアの風土を思わせる幸福感に満ちた曲です。珍しいリギーニの作品も興味深いものです。
777651-2M
アレンスキー:2台ピアノのための5つの組曲
組曲第1番Op.15
組曲第2番「シルエット」Op.23
組曲第3番「変奏曲」Op.33
組曲第4番Op.62
組曲第5番「子どものための組曲」Op.65
ジェノワ&ディミトロフ・ピアノ・デュオ
クラウディオ・アバドも大絶賛したドイツの若きピアノ・デュオによるアレンスキー(1861-1902)です。1971年生まれのアグリカ・ジェノワと1969年生まれのリューベン・ディミトロフの2人によって1995年に結成されたこのピアノ・デュオは1996年ミュンヘンで開催されたARDコンクールを皮切りに、1997年マイアミ開催のムライ・ドラノフ・ピアノ・デュオ・コンクールの他、1995年の東京ピアノ・デュオ・コンクール、同年のベルリン音楽コンクールなどで賞を獲得、同時にヨーロッパからアジア、アフリカ、アメリカで幅広く演奏活動を行っています。彼らが演奏するのはアレンスキーの「5つの組曲」で、45歳の若さで亡くなった彼の作曲技法が濃縮されている、密度の濃い作品です。2人のピアノは、大胆な妙技で、この曲の持つ魅惑的で活発な面に光をあて、アレンスキーが決してチャイコフスキーやリムスキー=コルサコフのエピゴーネンではなかったことを証明しています。
777652M(2CD)
ヨゼフ・スーク:弦楽四重奏曲全集・ピアノ五重奏曲
弦楽四重奏曲変ロ長調Op.11
四重奏曲断章変ロ長調
弦楽四重奏曲Op.31
ピアノ五重奏曲ト長調
エヌエット.ト長調バラードニ短調
舟歌ニ短調
コーラル・メディティエーションOp.35a
マティアス・キルシュネライト(P)
ミンケSQ

録音:2010年11月1-4日,2011年5月23-24日,2012年2月23-25日
日本では一般的に「ヨゼフ・スーク」と呼ばれる作曲家ヨゼフ・スク(1874-1935)。彼は同名のヴァイオリニスト、ヨゼフ・スークの祖父であり、またドヴォルザークの義理の息子でもありました(ドヴォルザークの娘オチルカと結婚したため)。そんな彼の作品からは、やはりドヴォルザークとブラームスの影響が強く感じられるのは、時代から考えても当然のことでしょう。しかし彼の中期から後期の作品からは、ドビュッシーやマーラーなどの後期ロマン派や印象派的な響きも聴かれ、これは彼自身の探究心の結果でもあり、なかなか興味深い音楽が展開されています。1912年に、第2番の四重奏曲は野心作であり、この曲が初演された際は大きな騒動が起きたといい、これはドホナーニが、静かに嫉妬心を抱いていたらしいシェーンベルクにも張り合えるほどの「時代への挑戦状」ともいえる作品だったのです。
777654(2CD)
NX-D11
ニコライ:歌劇「追放された男」 ハンス・クリストフ・ベーゲマン(Br)/ベルンハルト・ベルヒトルド(T)/ユリア・バウアー(S)/コウタ・レセネン(Bs)/ウーヴェ・シュティッケルト(T)/ティーナ・ペンティネン(Ms)/アンドレ・リーマー(T)他
ケムニッツ歌劇場cho
ロベルト・シューマンPO
フランク・ベールマン(指)
ドイツに生まれたオットー・ニコライは幼い頃から楽才を示しましたが、厳格な父親による「神童としての売り出し」に耐え 切れず、16歳の時に親元を離れ、ベルリンに赴くことになります。最初は教会音楽を中心に学び、プロイセン大使館付きの オルガニストになりますが、オペラ作曲家を志し、ケルントナートーア劇場の楽長に就任、その後は1842年3月にウィー ンPOの前身である宮廷楽団員の自主演奏団体「フィルハーモニー・アカデミー」による最初の演奏 会を催し、主にベートーヴェン作品を演奏して、ウィーンの音楽生活向上に貢献しました。そんなニコライ、現在では《ウィ ンザーの陽気な女房たち》の作曲家としてのみ知られていますが、他にも重要な作品を残しています。この《追放された男》 はもともと1841年初演の「Ilproscritto」というタイトルのイタリア語で書かれた作品ですが、3年後にドイツ語による改 訂がなされ、ウィーンで上演されました。その後、ニコライはこの作品を再度改訂し、およそ半分を書き直し、亡くなる年の 1849年に第3版をベルリンで上演しています。物語は1461年のイギリス。領主の夫が死んだと信じているレオノーレは、 エドモンドと再婚の意思を固めますが、結婚式の前日に夫アーサーが戻るという悲劇が描かれます。ウェーバーの《魔弾の射 手》からの影響が強く感じられる作品で、このケムニッツの舞台では1844年のウィーン版が採択されています。
777655F(2CD)
フェルディナンド・リース:歌劇「盗賊の花嫁」 ルート・ツィーザク(S)
ユリア・ボルヒェルト(S)
トーマス・ブロンデレ(T)
ヨッヘン・クプファー(Br)
クリスティアン・イムラー(Bs-Br)
コンスタンティン・ヴォルフ((Bs-Br)
ヨルク・フェリックス・スペール(Bs-Br)
ケルン放送Cho
ケルンWDR響
ハワード・グリフィス(指)
フェルディナンド・リース(1784-1837)のオペラ「盗賊の花嫁」です。この作品、序曲やバレエ音楽などはしばしば演奏される機会もあるのですが、全曲演奏というのはほとんどなく、無論録音も目にすることはありません。この作品は1828 年の作品で初演時に大好評を博しました。その後は瞬く間にヨーロッパ全土に広まり、リースにとっては初めてのオペラが「予期せぬ成功」をもたらしたのです。この作品、リースが単なるベートーヴェンの友人で模倣者ではなく、稀代のメロディメーカーであり、また見せ場の多いオペラを書けることを全ての聴衆が理解したであろう記念碑的なもので、その充実した内容と輝かしいアリア、アンサンブルは、ウェーバーの歌劇と比べても全く遜色のないものです。ルート・ツィーザクを始めとした力量のある歌手たちと、名手グリフィスが引き締まった演奏です。
777656-2S(1SACD)
モンテヴェルディ(カール・オルフ編):オルフェウス(1940年第3稿)
メゾ・ソプラノと管弦楽の為の「アリアドネの嘆き」(1940年第2稿)
ヤニナ・ベヒレ(Ms)
ミヒャエラ・ゼリンガー(Ms)
カイ・シュティーフェルマン(Br)
トレク・ナズミ(Bs)
ウルフ・シルマー(指)ミュンヘン放送O
オルフェウス・コア・ミュンヘン
あの誰もが知ってる「カルミナ・ブラーナ」の作曲家、カール・オルフ(1894-1982)はモンテヴェルディ(1567-1643)を精力的に研究し、知られざる作品をいくつも世に出した功労者でもあるのです。1920年代に舞踊教師のドロテー・ギュンターとともにミュンヘンに「ギュンター・シューレ(体育、音楽、舞踊を教える学校)」を設立し、そこで教えていたオルフは、音楽学者クルト・ザックスの提案に従い、モンティヴェルディの劇作品を発見、管弦楽部分に補筆を加え、その舞台を復活させました。オルフ自身も、彼の語法を偉大なるバロック作曲家の作品の中に見出し、その素晴らしき邂逅は大きな実を結ぶことになったのです。
777658-2F(2CD)
カバレフスキー:ピアノと管弦楽のための作品全集
ピアノ協奏曲第1番イ短調 Op.9
ピアノ協奏曲第2番ト短調 Op.23
ピアノ協奏曲第3番ハ長調 Op.50
幻想曲ヘ短調 D.940(原曲:シューベルト)
歌曲「学生時代」の主題による狂詩曲 Op.75
ピアノ協奏曲第4番「プラハ」Op.99
ミヒャエル・コルスティック(P)
アラン・フランシス(指)
ハノーファー北ドイツ放送PO

録音:2010年3月22-26日,10月4-8日
ロシアの作曲家カバレフスキー(1904-1987)は、ショスタコーヴィチとほぼ同世代の人ですが、彼は当時のソヴィエト政府とうまく折り合いをつけたため、例の「ジダーノフ批判」もうまくかわし、生涯ソ連の音楽界の重鎮として数多くの名誉を受けた人です。彼の一番の功績は、青少年向け、児童向けの作品を多く書いたことで、あの有名な「運動会の音楽」である“道化師のギャロップ”も彼の作品です。そのため、平易で大衆的な作風と誤解されがちですが、キャッチーなメロディと明確な構成は、聴いていて心地よいものであることは確かです。ここでは彼が生涯に渡って書いたピアノ協奏曲を全て収録。ラフマニノフやショスタコーヴィチの影響が感じられる第1番から、独自の作風を切り開いた第2番、彼が力を注いだ「青少年育成のための音楽」である第3番、スネアドラムが炸裂する第4番と、あのギレリスの伝説的爆演で知られる「シューベルトの幻想曲、カバレフスキー編」、そしていかにもカバレフスキーらしい「狂詩曲」。コルスティックの超真面目な演奏が曲の真価を引き出しています。
777659F(2CD)
ラインハルト・カイザー:歌劇「ポモナ」 メラニエ・ヒルシュ(S)
ドロテー・マリア・サンドマン(S)
オリヴィア・フェルミューレン(A)
/マグダレーナ・ハレル(S)
ジュリアン・ポッジャー(T)
クヌート・ショッホ(T)
ヤン・コボウ(T)
ライモンズ・シュポーギス(Br)
イェルク・ゴットシック(Br)
カペラ・オルランディ・ブレーメン
トーマス・イーレンフェルト(指)
ドイツ、バロック時代の作曲家カイザー(1674-1739)は主に歌劇の作曲家として、ハンブルクを拠点に活躍しました。約100曲の歌劇作品は当時は高い人気を誇ったものの、やがてそのほとんどが忘れられてしまい、20世紀の終わり近くになって、バロック音楽の復興とともにようやく人気が再燃。いくつかの歌劇も蘇演されています。この歌劇を含めた4つの作品はデンマーク王室に捧げられたもので、「神々の長を決めるためのコンテストが行われ、ジュピターが選ばれる」までのお話ですが、ここには素晴らしい音楽と詩があり、当時の聴衆たちの嗜好も伺われる作品です。カペラ・オルランディ・ブレーメンとイーレンフェルトによる颯爽とした演奏は、この忘れられた歌劇に新しい命を与えています。
777660M
ハインリッヒ・シュッツ:イタリア語マドリガル集第1巻SWV1-19
おお春よ、いまだまだうら若き年よ
おお、恋の苦い甘さよ
幸福の森よ/悩める心の旅立ち
かく私は死なねばならない
険しいアルプスの森から
春のほほえみ/私の心よ逃れよ
舌は矢、口づけは傷
身をしばる炎/私はそういう女
彼女はあでやかに挨拶したが
私が死ぬのを見よ
溜め息は美しい胸よりもれ
いざさらば、いとしの森よ
甘い口づけよ、もどれ
おまえは大理石から生まれたのか
それでも来た、リディアよ/広い海に抱かれて
セッテ・ヴォーチ
2001年に設立されたセッテ・ヴォーチは、ヨーロッパとその他の地域から集まった最高のソロ・ヴォーカリストたちをメンバーとしたアンサンブルで、その中にはライプツィヒで開催される「国際バッハ・コンクール」の優勝者も含まれています。リーダーは名バス歌手ペーター・コーイが務めており、抜群の古楽解釈を聴かせることで知られます。今作は、シュッツ(1585-1672)の「イタリア語マドリガル」集です。第1巻とありますが、1611年にこの巻が出版されてからは続編が書かれることはなく、これ以降は伝統的なマドリガルの様式で、ドイツ語の宗教的テキストを用いた声楽曲を作曲するようになっていきます。
777663-2M
リスト:巡礼の年第2年への追加、第3年
巡礼の年第2年への追加「ヴェネツィアとナポリ」
巡礼の年第3年
ミヒャエル・コルスティック(P)
※使用ピアノ…スタインウェイDモデル使用)
1850年代後半からのリスト(1811-1886)は様々な苦難に見舞われました。カロリーネとの結婚は認められず、1859年には息子が20歳で亡くなり、その2年後は26歳の娘を失うという痛手に加え、ワイマールの楽長を辞任、また健康上にも多くの問題を抱えるようになってしまったのです。そんな彼は、若い頃から傾倒していた宗教に、より深くはまり、ついには1866年に僧籍に入ってしまいました。その頃から彼の作品も深みと暗さを帯びるようになったのはご存知の通りです。巡礼の年第3年も、そんな質素で難解な音楽です。例外的に知られているのは「エステ荘の噴水」ですが、この曲も、実はかなり複雑で希薄な調性感を有しているのです。
777765M
アルベリク・マニャール:室内楽作品集
ヴァイオリン,チェロ,ピアノのための三重奏曲Op.18
ヴァイオリンとピアノのためのソナタOp.13
ジュヌヴィエーヴ・ロランソー(Vn)
マキシミリアン・ホルヌング(Vc)
オリヴァー・トリエンドル(P)
ベストセラー作家を父としてフランスに生まれたアルベリク・マニャール(1865-1914)。今年は彼の生誕150年記念年にあたります。パリ音楽院では作曲をジュール・マスネに学びますが、彼が本当に影響を受けたのはヴァンサン・ダンディ(またはその師であるセザール・フランク)であると言われています。循環形式を巧みに用いた数々の作品を残しましたが、そのほとんどは出版されることもなく忘れられてしまいました。しかし、このアルバムに収録された室内楽曲を含むいくつかの作品は、当時のフランスの音楽とは違う、革新的な性格と壮大な構想を持っていて、これらを称して「フランスのブルックナー」と呼ぶ人までいるというほどです。作品自体はどれも4楽章からなる基本的な形を保っていますが、曲の至るところが沸騰寸前の熱さを持っているというなかなか侮れない作品です。
777661F
北ドイツのルネサンス音楽集第3集〜モーリッツ(ヘッセン=カッセル方伯)(1572-1632):宗教&世俗作品集
深き淵より/主に望みいだけば
来たれ、精霊よ/我は盲目である
風に揺れる/羊の毛のように
カンターテ・ドミノ/3人の弟子
虚偽の気持ち/アンドリューはただの漁師
さあ、われらは歓喜しよう
高きところにおわす神
栄光とともにほめたたえよ/われらが父よ
良きこと、甘きこと
エリザベッタ・ダッシア嬢のためのパヴァーヌ
ウナ・カンディダ・セルバ/バレ(リュート・ソロ)
ベネデット・シアジョルノ
マニンコニアのパヴァーヌ
セル・ペンシエール・ケ・ミ・ストルッジェ
ランドグラーヴェ・アルマン(リュート・ソロ)
なぜ、愛の顔?/イ調のフーガ
愛はあなたと私に驚きを
クーラント・ド・マッド(リュート・ソロ)
アヴェントゥローソ・シ・ピウ・ダルトロ・テレンノ
パドヴァデルの行進:ガスパル・ヴィデマルチェロ/ソプラデットのガリアルダ
主を賛美する
ブレーメン・ヴェーザー・ルネサンス
マンフレード・コルデス(指)
神聖ローマ帝国の領邦国家であった「ヘッセン=カッセル方伯領」。1567年ヘッセン方伯フィリップ1世の死に伴う分割相続によって成立し、1592年に孫であるモーリッツがここを統治しました。15歳で教師に感銘を与えたというほど、教養深かった彼は、音楽や科学に幅広い関心を持つインテリジェントな支配者であり、ハインリヒ・シュッツとジョン・ダウランドの後援者でもあったということです。彼自身の作風は、フランドル楽派の影響やイタリア、ドイツなどの様々な影響を受けたものであり、当時の音楽の隆盛をダイレクトに反映した興味深いものでもあります。演奏はいつものようにブレーメン・ヴェーザー・ルネサンスとコルデスによるもの。知られざる音楽の泉をとことん堪能させてくれること間違いありません。
777664M
ヨハン・シュテフェンス:マドリガル&バレッティ
Last uns zusammen in Gottes Namen singen
Musik von alters her ist geehrt
Bei guten Wein traurig traurig
zu sein
Wer leben will ohn Schmerz
Kann auch der Liebe Band
Die Musik und ein guter Wein
Midas, der grobe Rustephil
Orpheus die Harfen schlug so fein
Wir armen Kartauser
Nun tret herbei ein jeder frei
Mein Lust und Freud in Traurigkeit
Im Maien hort man die Hahnen krahen
Mit Lust tat ich spazieren
Der ander Teil: "Der Kuckuck mit seinem Schalle"
Der Kuckuck hat sich zu Tod gefalln
Frisch frohlich
wolln wir singen
Der Kuckuck auf dem Zaune sas
ヒンムリッシェ・カントライ
ハンブルク・ラーツムジーク
ドイツのオルガニスト、作曲家、ヨハン・シュテフェンス(1560 頃-1616)。ハンス・レオ・ハスラーの影響を受けたオルガン作品と、ドイツ語による5 声部のマドリガルで知られています。このアルバムには彼の世俗マドリガルを中心に収録。当時の民衆がどのような曲を好んだのかを知ることができる楽しい1 枚です。これらは彼の死後である1618 年に息子ハインリヒによって公開された曲集で、酒、歌、女性、自然、そして良い社会を賛美したものであり、平易な表現で人々の関心を見事に描いています。
777665
NX-B10
ナタナエル・ベリ:交響曲第4番/第5番
交響曲第4番「交響的小品」
交響曲第5番「Triologia delle passioni 情熱=受難の三部作」
ノールショピングSO
アリ・ラシライネン(指)

録音:2011年6月6-8日
1879年ストックホルム生まれのナタナエル・ベリ(ベルク)の交響曲全集、完結編。1879年に生まれた彼は 獣医の資格を持ち、1939年まで国防省で少佐として軍馬の管理をしたのち、作曲家に転身。アッテルベリ やペッタション=ベリエルらとともに20世紀前半のスウェーデンを代表する独創的な作品を書き上げました。 彼の作品目録には6曲の歌劇をはじめ、いくつかのバレエ音楽、オーケストラ伴奏付き声楽作品、交響詩や 室内楽曲がありますが、何よりも重要なのが5曲の交響曲です。彼の交響曲はどれもタイトルを持っており、 このアルバムに収録されたのは第4番と第5番。第4番は彼の友人アッテルベリとの賭けから生まれたという軽 妙な作品ですが、条件の一つである「20分以内」という長さを超過してしまったため、ベリは罰金を払うことに なったというエピソードがあります。最後の交響曲となる第5番は、華やかでドラマティックな音楽。タイトルの 「passioni」には情熱の意と苦しみの意があり、そのどちらも満たすかのような起伏のある各楽章が聴きどころ です。終楽章の終結部では天に向かって静かに昇っていくかのようなコラールが登場。情熱と受難は長い逡 巡の末、和解に至るという結末です。
777667-2F
アントニオ・カシミール・カルテッリエリ:交響曲全集
交響曲第1番/交響曲第2番
交響曲第3番/交響曲第4番
ゲルノート・ シュマルフス(指)
エヴァーグリーンSO

録音:2011年1月25-27日
ポーランドの地方都市グダニスク(ドイツ語ではダンツィヒ)で生まれたカルテッリエリ(1772-1807)。オペラ歌手であった両親から初期の音楽教育を受けましたが、13 歳の時に両親が離婚、彼は母と共にベルリンに移住し、同時期に作曲を学びはじめます。その後ベルリンへ行き、サリエリの弟子となりました。ベートーヴェンの熱心なプロモーターでパトロンであったロブコヴィッツ侯爵が主催したコンサートで、オラトリオ「ユダヤの王ジョアス」を演奏(その時のコンサートではベートーヴェンも演奏しています)、大好評を得たことでも知られています。ベートーヴェンの親友でもあり、しばしば初演の手伝いをしたとも伝えられます。そんなカルテッリエリによる交響曲は、古典派の形式を遵守しながらも、流麗で、一筋縄ではいかない力強さを秘めています。
777668F
カバレフスキー:チェロ協奏曲集
チェロ協奏曲 第1番 Op.49
チェロ協奏曲 第2番 Op.77
「コラ=ブルニョン」組曲*
トルレイフ・テデーン(Vc)
ハノーファー北ドイツ放送PO
大植英次(指)
エイドリアン・プラバーヴァ(指) *
ロシアの偉大なる作曲家カバレフスキー(1904-1987)。しかし現在、彼の作品は一部の曲…例えばあの有名な「道化師のギャロップ」など…以外はほとんど聴かれることがありませんでした。そんな中、2008 年にリリースされた「交響曲全集」は多くのロシアファンの溜飲を下げるとともに、日本が生んだ名指揮者、大植英次の凄さを知らしめた名演であり、カバレフスキーが単なる通俗音楽の作曲家ではないということも、きっちり認識させてくれた記念碑的なアルバムであったと言えるでしょう。そんな大植、今回は渋い演奏で知られるチェリスト、テデーンとともにチェロ協奏曲をリリースします。キャッチーなメロディの中に漂う深い精神性と、軽やかなリズムに隠されたウィット、そして重厚な響き。これらが一丸となって押し寄せてくる様は見事としか言いようがありません。最後に付された「コラ=ブルニョン」組曲は絶好のアンコールピースです。
777669F
ヘンク・バーディングス:交響曲第4番(1943)
交響曲第5番(1949)
ボーフム・シンフォニカー
ダーヴィッド・ポルセライン(指)
オランダの作曲家、バーディングス(1907-1987)の交響曲集の第3集です。インドネシア、ジャワ島で生まれ幼い頃にオランダに移住した彼は、その経歴の独自さ(もともと鉱山技師&古生物学者)や、独自の音階を使用したことで知られ、少しずつ注目が集まっている人です。このアルバムには交響曲第4番と第5番が収録されていて、第4番は第二次世界大戦中の重苦しい雰囲気を持ちながらも、古典的な構造と流麗な音楽に満たされた力作です。第2楽章のスケルツォ、甘美ささえ感じさせる第3楽章、いずれも後期ロマン派の流れに属する音楽です。第5番の交響曲はコンセルトヘボウ管の設立60周年記念のための委嘱作で、まるで映画音楽のような迫力を持っています。とりわけ終楽章は勇猛果敢。感動的な作品です。
777671S(1SACD)
ラーシュ=エリク・ラーション:管弦楽作品集第1集
交響曲第1番ニ長調Op.2
シェークスピアのための4つのヴィネット組曲「冬物語」Op.18
管弦楽のための音楽Op.40
小管弦楽のための牧歌
小管弦楽のための抒情幻想曲Op.54
アンドリュー・マンゼ(指)
ヘルシンボリSO
現代スウェーデンの代表的作曲家として知られるエリク=ラーション(1908-1986)。とは言え、彼の作品は決して前衛そのものではなく、時として十二音の様式を用いたものの、どちらかというと後期ロマン派色が強いものでした。特にここで聴ける初期の「交響曲第1番」はシベリウスを思わせる牧歌的で美しい音楽です。ニ長調という調性にもよるのか、大いなる自然を賛美しているかのような重厚かつ若々しい第1楽章から、その熱き心がひしひしと伝わってくるかのようです。彼は作品によって作風を使い分けていたようで、1966年に作曲された「抒情組曲」でも、描かれている風景は変わることなくひたすら悠然とした美しさを保っています。マンゼとヘルシンボリSOのチームワークの良さは、ブラームスで証明済。ここでも美しい弦の調べに重点を置いた見事なアンサンブルを聴くことができます。
777672S(1SACD)
ラーシュ=エーリク・ラーション:管弦楽作品集第2集
交響曲第2番Op.17
管弦楽のための変奏曲Op.50
管弦楽のための組曲「ラロココ」Op.64
ヘルシンボリSO
アンドリュー・マンゼ(指)
スウェーデンを代表する作曲家、エリク=ラーション(1908-1986)の作品集第2集です。今回もアンドリュー・マンゼが指揮するヘルシンボリSOは、迫真の演奏でこの知られざる作曲家の本質に迫っていきます。第1番の交響曲は、ロマン派の雰囲気が漂う美しく牧歌的なものでしたが、この交響曲第2番は調性感はあるものの、タイトルからは明確な調性記号が外されるなど、彼が新しい様式を模索した様子が感じられます。とは言え、まだ12音などの前衛的な作風が使われているわけでもなく、極めて聴きやすく、またある種の民謡風な雰囲気も漂わせているのが微笑ましいところです。それに比べ、1962年に書かれた「管弦楽のための変奏曲」はまさに新古典主義の作風によるもので、なかなか厳しい音に彩られています。1973年作曲の組曲「ラロココ」はバロック風の様式によるちょっとユーモラスな作品で、若い頃の作品である「田園組曲」にも通じる趣きを有しています。
777674F
アウゴスト・エナ:管弦楽作品集
序曲「クレオパトラ」
ヴァイオリン協奏曲ニ長調
交響的幻想曲
カトリーン・ラブス(Vn)
ハノーファー北ドイツ放送PO
ヘルマン・ボイマー(指)
デンマークの作曲家、アウゴスト・エナ。彼の名前はいくつかの歌劇作品で知られています。彼の祖父はシチリアで生まれたイタリア人で、ドイツ人の妻とともにデンマークに移住したのはナポレオン戦争の後で、その息子(エナの父)は優れた靴職人でした。あまり音楽的な環境に育ったわけでもなかった彼ですが、才能を認められ、最初はヴァイオリンを学び、1870年にはコペンハーゲンに移り、そこでヴァイオリニストとして活動を始めます。1883年にはデンマークに戻り、その翌年には最初のオペラ「agleia」といくつかのピアノ曲と器楽曲、交響曲ハ短調を作曲、そしてダグマーの劇場の指揮者になります。1892年にはオペラ「魔女」を初演、1894年にこの「クレオパトラ」、1897年には代表作である「マッチ売りの少女」など次々にオペラを発表し、高い人気を得ましたが、1939年に没したあとはその作品のほとんどは忘れられてしまっています。彼の作品はどれもロマンティックなスタイルで書かれ、重厚なオーケストラの響きをフルに生かした美しさが魅力です。ヴァイオリン協奏曲は1897年の作品、そして交響的幻想曲は1930年から1931年に書かれた作品で、後期ロマン派の香りを存分に残した壮麗な音楽です。
777675-2F
マーラー&リーム:歌曲集
マーラー:歌曲集「子どもの不思議な角笛」より
さすらう若人の歌
リーム:声とオーケストラのための「ライナー・マリア・リルケの詩による4つの歌」
クリストフ・プレガルディエン(T)
スティーヴン・スローアン(指)
ボーフム・シンフォニカー
最近、ますます深い解釈を聴かせるテノール歌手プレガルディエン。すでに様々なレーベルに130以上の録音を持つ、ドイツ・ロマン派の歌曲を歌わせたら右に出る者はいない人です。そんな彼の歌うマーラーとリームは、言葉の扱いに於いても、声の美しさに於いても、まさに完璧と言ってよいものであり、ピアノ伴奏で聴く「角笛」とも、また違った魅力を放っています。彼はリームの作品の初演者でもあり、2002年にはピアノ伴奏版、2004年にはバーゼルでオーケストラ版を歌うほどにこの作品に精通しています。リーム作品は難解なイメージがありますが、この曲は驚くほどにナイーヴでロマンティックな響きを持つもので、リリカルなプレガルディエンの声にぴったりの美しいものです。
777676M
フェルディナント・リース:ヴァイオリン・ソナタ集
ヴァイオリン・ソナタOp.8-1
ヴァイオリン・ソナタOp.71
ヴァイオリン・ソナタOp.16-2
アリアドネ・ダスカラキス(Vn)
ヴォルフガンク・ブルンナー(フォルテピアノ)
熱心な愛好家の存在で知られるベートーヴェンの弟子、友人であったフェルディナント・リース(1784-1838)。最近になって彼の作品の録音が相次いでいることは本当に喜ばしいことです。どちらかというと師であるベートーヴェンの影響からか、ピアノ曲の作曲家のイメージが強い人ですが、彼の父は優れたヴァイオリニストであったことからもわかるとおり、ヴァイオリンにも強い愛着を抱いていたことは間違いありません。彼の18曲あるヴァイオリン・ソナタは活動の初期の時代から書かれていて、もちろんここでもベートーヴェンの影も感じられますが、それ以上に独自の音楽を作っていこうとしたリースの奮闘振りが明らかになっていくのが面白いところです。Op.8-1はまるでベートーヴェンの「春」を思わせる雰囲気で始まりますが、突然の転調やユニークなメロディラインからは確かにリースの個性が見え隠れしています。古典派からロマン派まで多彩なレパートリーを持つダスカラキスと、フォルテピアノのブルンナーがふくよかな響きで歌い上げています。
777678-2S(1SACD)
ウィドール:オルガン交響曲第2集
オルガンと管弦楽のための交響曲第3番ホ短調 Op.69
オルガン交響曲第7番イ長調 Op.42-3
クリスチャン・シュミット(Org)
シュテファン・ショーヨム(指)
バンベルク・シンフォニカー

録音:2008年10月9-12日
フランス有数のオルガン奏者で、作曲家でもあったウィドール(1844-1937)は、わずか25 歳でサン・シュルピス教会の終身オルガニストに就任し、以降64年間の長きに渡って、このオルガンを演奏し続けました。彼はバッハの作品を愛し、フランス国内にバッハ作品を普及させることに力を注いだことでも知られています。自身の作品もドイツ音楽の影響を受けたものが多く、10曲あるオルガン交響曲(これは全てオルガンソロ)も、極力転調や半音階使用を抑えた、聴きやすい音楽となっています。このアルバムで注目したいのでは、Op.69 の「オルガンと管弦楽のための交響曲」。あまり演奏されることはありませんが、これこそ完全無欠の音響とも言えるべき華やかな作品で、ウィドールの目指した世界が理解できるような気がします。
777679F
パウル・グレーナー:管弦楽作品集第2集
交響曲ニ短調「鍛冶屋シュメルツ」Op.39
組曲「牧羊神の王国から」Op.22
騎士オイゲン公」による変奏曲Op.108
ヴェルナー・アンドレアス・アルベルト(指)
ハノーファー北ドイツ放送PO
ドイツの作曲家グレーナー(1872-1944)。彼は苦難の生涯を送り、また数多くの作品を残したにも拘わらず現在ではほとんど忘れられてしまっています。その理由の一つに、彼がナチスへ加担したことが挙げられるでしょう。作品のいくつかはナチスのプロパガンダのために使われ、また自身もナチス体制から数々の名誉を受けたこと。これらが終戦後に彼の名誉を却って貶めてしまったことは間違いありません。とはいうものの、音楽自体の価値が変わるはずもなく、最近ようやくその全貌が見え始めたと言っても間違いありません。このアルバムに収録されている曲のうち、交響曲ニ短調は、8歳で亡くなった彼の長男の思い出のために書かれた作品で、悲劇的な激しさを有した堂々たる音楽です。ドビュッシーを思わせる「牧羊神の王国から」も注目作です。
777680F(2CD)
レハール:喜歌劇「公爵の子」 ヒェン・ライス(S)
メリー・ミルス(S)
マティアス・クリンク(T)
ラルフ・ジモン(T)他
ルフ・シルマー(指)
ミュンヘン放送O
バイエルン放送Cho
レハール(1870-1948)の「公爵の子」は1909年に初演された作品ですが、現在では全くと言ってよいほど知られていません。をれは、前年に初演された「メリー・ウィドウ」に比べ、まるで「レハール」らしくなく、美しいメロディもあることはあっても、どれもがジングシュピール調で、「人々がオペレッタに期待する」魅力的なダンスや甘い雰囲気が少々不足しているからに他なりません。舞台そのものは大きな成功を収めることはありませんでしたが、観方を変えると、当時の時流に乗った先端の音楽を書こうと試みたレハールの実験的な作品として楽しめるのではないでしょうか?ウルフ・シルマーの確実な指揮と、ミュンヘン放送Oの見事な演奏で。
777681F(2CD)
.バッハ:ハープシコード協奏曲集第3集
2台のハープシコードのための協奏曲第1番ハ短調BWV1060
2台のハープシコードのための協奏曲第2番ハ長調BWV1061
2台のハープシコードのための協奏曲第3番ハ短調BWV1062
フルート、ヴァイオリンとチェンバロのための三重協奏曲イ短調BWV1044
3台のハープシコードのための協奏曲第1番ニ短調BWV1063
3台のハープシコードのための協奏曲第2番ハ長調BWV1064
4台のハープシコードのための協奏曲イ短調BWV1065
トレヴァー・ピノック(ハープシコード)
ラルス・ウルリク・モルテンセン(ハープシコード)
マリエーケ・スパーンズ(ハープシコード)
マルクス・モーリン(ハープシコード)
ケティ・ビルヒャー(Fl)
マンフレード・クレーメル(Vn)
コンチェルト・コペンハーゲン
ラルス・ウルリク・モルテンセン(指)
コンチェルト・コペンハーゲンと名手ラルス・ウルリック・モルテンセンによる「バッハ作品集」シリーズは、「複数のチェンバロ協奏曲集」です。独奏チェンバロの協奏曲(999989,777248)のそれぞれも世界的に高く評価されており、今回の1枚も期待を裏切らない素晴らしいものとなっています。これらの複数ハープシコードのための作品は、恐らくバッハの息子や生徒たちのために書かれたとされ、どれも技巧の習得と音楽性の鍛錬に役立つものであり、その華やかな曲想は、あのブランデンブルク協奏曲第5番を彷彿させるものでもあります。今回はハープシコード奏者としてあのトレヴァー・ピノックも参加、息のあった最高の演奏が繰り広げられています。
777684-2F
アンジェイ・パヌフニク:交響的作品集第5集
オルガン,ティンパニ&弦楽合奏のための「メタシンフォニア(交響曲第7番)」
シンフォニア・ヴォティーヴァ(交響曲第8番)
コンチェルト・フェスティーヴォ
ルーカス・ボロヴィッツ(指)
ベルリン・コンツェルトハウスO
偉大なるポーランド=イギリスの作曲家パヌフニク(1914-1991)の作品は、一時期はごくマニアの間のみで愛聴されていましたが、最近になってようやく人工に膾炙されるようになってきたのは、このcpoのシリーズも一役買っているのではないでしょうか。今回の第5集には「交響曲第7番」と「交響曲第8番」の2曲と、1979年作曲の「コンチェルト・フェステォーヴォ」の3曲が収録されています。交響曲第8番はボストンSO創設百周年記念の委嘱作品。小澤征爾の指揮で初演されたことで知られています。交響曲第7番は、1981年に作曲されたものでポーランドの愛国心の象徴とされる「チェンストホヴァの黒い聖母」に捧げられています。
777685F
アンジェイ・パヌフニク:交響的作品集第6集
ティンパニ,パーカッションと弦楽のためのコンチェルティーノ
希望の交響曲(交響曲第9番)
ミヒャエル・オブライグナー(ティンパニ)
クリスティアン・レフラー(Perc)
ルーカス・ボロヴィツ(指)
ベルリン・コンツェルトハウスO
ワルシャワ生まれの作曲家、アンジェイ・パヌフニク(1914-1991)。cpoレーベルの交響的作品シリーズの第3作目は「希望の交響曲」と呼ばれる第9番を中心に収録。ベートーヴェン以降の作曲家たちは、どうしても「第9」という特別な番号について畏怖の念を抱いていました。パヌフニクが第9番の交響曲に「希望」と言う名を与えたのも、心の隅にもしかしたらそのような気持ちがあったのかもしれません。この作品には彼が抱く「希望」「理想」が反映され、時には霊的なメッセージも込められているかのようです。彼の交響曲の中で最も長大であり複雑な音楽で、決してわかりやすい希望の念に満ちているわけではありませんが、極めて高度な精神的次元にある至高の作品と言えるでしょう。そしてパヌフニフはこの後、第10番(短い)を書いてこの世を去ってしまいます。
777686F
パヌフニク:交響的作品集第7集
交響曲第5番「天球の交響曲」
ファゴット協奏曲/愛の歌/情景*
ミヒャエル・フォン・ショーナーマルク(Fg)
サラ・ファン・デル・ケンプ(Ms)
ベルリン・コンチェルトハウスO
ポーランド国立放送SO*
ルーカス・ボロヴィッツ(指)
最近は娘であるロクサンナの作品の演奏機会も増え、ますます注目が高まるポーランド出身のアンジェイ・パヌフニク(1914-1991)の音楽。cpoレーベルは彼の作品を精力的にリリースしていて、どれもが高い評価を受けています。このアルバムは交響曲第5番を中心に、協奏曲、声楽曲とバランスの良い選曲が魅力。彼の最高傑作とも言われる交響曲第5番は「天球の交響曲(空間とも訳される)」と副題が付けられた作品で、常に挑戦的な不協和音が炸裂する強烈な部分と、暗黒を思わせる虚無の部分の対比が見事な音楽です。諧謔的とも思える「ファゴット協奏曲」、「なぜこんなに穏やかな?」と驚くような「愛の歌」、そして冬の草原を思わせる「情景」。この作曲家の多面性を強く感じさせる素晴らしい1枚です。
777687F
パヌフニク:交響的作品集 第8集
ヴァイオリン協奏曲(1971)
チェロ協奏曲(1991)
ピアノ協奏曲(1961/1972/1983)
アレクサンダー・シトコヴェツキー(Vn)
ラファエル・ウォルフィッシュ(Vc)
エヴァ・クピーク((P)
ベルリン・コンチェルトハウス
ルーカス・ボロヴィッツ(指)
20 世紀を代表する偉大なる作曲家アンジェイ・パヌフニク(1914-1991)。このアルバムは彼の「交響的作品集」の完結編となります。ワルシャワで生まれ、パリ、ウィーンで学び「西洋の現代音楽」や「新古典主義」にどっぷり漬かるも、彼自身は「私にとって音楽は常に最も深い人間の表現であり、本物の感情と精神的、指摘な内容を持つものです」と語るように、その作品はもっと個人的な悲しみや怒りの感情、そして未来への希望など様々なものを孕んでいます。このアルバムには3 つの協奏曲が収録されています。3 つの中では一番古い時代に書かれた「ピアノ協奏曲」での表現の触れ幅の大きさ(躍動的な第3 楽章が素晴らしい)は感動ものですし、最晩年の「チェロ協奏曲」も鎮痛な第1 楽章と、音楽があふれ出てくるような目覚しい第2 楽章の対比が素晴らしく、これこそが、彼が生涯をかけて追求したものなのだろう。と納得させてくれる音楽です。それぞれの協奏曲でソロを担当している奏者たちも注目。これは一聴の価値ある1 枚です。
777688M
ヨハン・ローゼンミュラー:作品集〜2,3,4,あるいは5つの弦楽器とその他の楽器によるソナタ集(1682年ニュルンベルク)
ソナタ第9番(5声)/ソナタ第5番(3声)
ソナタ第12番(5声)/ソナタ第7番(4声)
ソナタ第6番(3声)/ソナタ第2番(2声)
ソナタ第8番(4声)/ソナタ第3番(2声).ソナタ第11番(5声)/ソナタ第1番(2声)
ソナタ第6番(3声)/ソナタ第10番(5声)
ローランド・ウィルソン(指)
ムジカ・フィアタ
ドイツに生まれ、聖ニコライ教会のオルガニストとして活躍するも、当時は禁忌とされた嗜好を持っていたがために、内定していた聖トマス教会のカントルの話が流れた上に逮捕、投獄までされてしまったと言われるローゼンミュラー(1619-1684)。脱獄し、ヴェネツィアに逃亡したとされますが、音楽的な才能が損なわれることはなく、イタリアで大人気を博します。結局はドイツに帰ってその地で生涯を終えることになりました。その波乱万丈な生涯は作品にも影響を与え、ドイツ風の堅固な形式の中にイタリア風の豊かな歌心を併せた独自の作風は、彼の名を後世に残すために大きく役立ったと言えるでしょう。この作品は彼の晩年に発表されたもので、ドイツで彼を雇い入れたウルリッヒ公に捧げられています。
777689-2F
ヤン・ファン・ヒルセ:交響曲 第4番 イ長調
ウイレンシュピーゲルの死のための葬送音楽
演奏会序曲 ハ短調
デイヴィッド・ポルセライン(指)オランダSO
最近、再復興の気運高まるオランダの作曲家ヤン・ファン・ヒルセ(1881-1944)の交響曲第4 番です。第1番&第2番(777349-2),第3番(777518-2)でも、その斬新な音楽で多くのファンを獲得しています。この交響曲第4番は、作曲家自身とコンセルトヘボウ管によって1915年11月28日に初演されています。初演は大成功を収め、出版社からスコアが100部だけ、ヒルセの自費で出版され、こちらも人気を博しました。「演奏会序曲」は1900 年に作曲され、5 回ほど繰り返し演奏されましたが、いつしか姿を消してしまった作品です。「葬送音楽」は第2 次世界大戦中に作曲され、終戦後、エドゥアルト・ファン・ベイヌムによって「ヒルセの思い出のために」初演されています。
777690F(2CD)
ブルックナー:交響曲集第3集
交響曲第3番(第3稿1889年版)
交響曲第6番イ長調
マリオ・ヴェンツァーゴ(指)ベルリンSO
これまでにも、ブルックナー(1824-1896)の交響曲にセンセーショナルな解釈を示してきた指揮者ヴェンツァーゴ。今回は第3番と第6番に新たな光を当てています。ここで彼が選んだオーケストラはベルリンSOであり、その渋い響きは2つの作品に完全にマッチ、とりわけ「ワーグナー」の愛称を持つ第3番での鮮やかな表現力には驚くばかりで、もしブルックナーがこの曲の初演をウィーン・フィルでなく、このベルリンSOで行っていたとしたら、ブルックナーの1年間自信喪失事件もなかったのではないか…と思えるほどツボにはまった演奏です。ブルックナーの全交響曲の中では比較的地味な存在である第6番も流麗さと強調されたリズムがくっきり表現されており、この曲の持つ魅力を再発見できそうな好演となっています。
777691F
ブルックナー:交響曲第8番(1890年版・第2稿) マリオ・ヴェンツァーゴ(指)
ベルリン・コンツェルトハウスO

録音:2011年10月29日ベルリン・コンチェルトハウス・ライヴ
肥大化したブルックナー像を見直して、スコアからクリアな音像を蘇らせるのが昨今の傾向のようですが、ヴェンツァーゴも、既成概念に囚われず、独自の方法でブルックナーの音楽の多面的な魅力を聴き手に突きつけます。弦のヴィブラートは抑制しつつも、不思議とギスギスした感じを与えず、テンポは概して速めで、終楽章の第3主題はクナ&ミュンヘン盤の倍の速さに感じるほどですが、音楽を小さく萎縮させることがありません。これら全て、ニュアンスに確信が込められている証しと言え、各楽想に異なるニュアンスを与えることで、画一的な表現に陥ることを避けている点もポイント。終楽章コーダも、よくありがちな「荘厳さ」を一旦リセットし、美しい声部バランスの妙に触れ、かつてない感動をもたらします。【湧々堂】
777692F
ヨハン・ヴェンツェル・カリヴォダ:序曲とヴァイオリン小協奏曲集
序曲第3番ハ長調Op.55
序曲第7番ハ短調Op.101
序曲第10番ヘ短調Op.142
ヴァイオリン小協奏曲第5番Op.133
ヴァイオリン小協奏曲第1番ホ長調Op.15
アリアドネ・ダスカラキス(Vn)
ケルン・アカデミー
ミヒャエル・アレクサンダー・ヴィレンズ(指)
ボヘミアに生まれ、プラハ音楽院で学び、14歳でヴァイオリン奏者としてデビューを飾ったヴァーツラフ・カリヴォダ(1801-1866)。プラハ歌劇場Oに入団し、20歳からはヴァイオリニストとしてヨーロッパ各地で演奏旅行を始め、大成功を収めます。その翌年からドナウエッシンゲン公国宮廷楽長に就任、亡くなる直前までこの地位に就いていたため、その名前もヴェンツェル・カリヴォダとドイツ風に呼ばれます。ベートーヴェンの次代を代表する作曲家であり、シューマンやメンデルスゾーンと肩を並べるほどの実力を有していて、また残された作品も多数あるのですが、それらはどうしてもメジャー舞台に登場することがありません。小規模ながらもヴィルトゥオーゾ風味たっぷりのヴァイオリン協奏曲、何かを予感させるような序曲と、もっと多くの人に聴かれてもよい作品が並びます。名手ヴィレンズによるまとまりの良い演奏で。
777693F
アウグスト・クルークハルト:作品集
交響曲第5番ハ短調Op.71
演奏会序曲「春の時に」Op.30
祝典序曲変ホ長調Op.78
アントニー・ヘルムス(指)
アンハルトPO
「ピアノ五重奏曲」など一部の曲に、特定のファンをもつ作曲家クルークハルト(1847-1902)。彼はケーテンで生まれ、10歳からピアノと作曲を学び始めます。15歳の頃に家族とともにデッサウに移住。やがてピアニストとしてデビューを飾りました。作曲活動も進めており、20歳になる前には自作を発表するなど順風満帆な音楽家人生をスタートさせました。指揮者としても才能を発揮、ワーグナーの「指環」を上演するほどの活躍ぶりを見せた人です。彼の第3交響曲はすでにcpoからリリースされており(777465-2)、こちらはブラームスを思わせる明るさに満ちていましたが、この第5交響曲は調性的にもベートーヴェンを思わせる劇的なもの。1892年、彼がデッサウの指揮者として活動25年を迎えた年に書かれた曲です。
777694F(2CD)
オーベール:歌劇「ポルティチのもの言わぬ娘」 アルフォンソ…オスカー・デ・ラ・トッレ(T)
エルヴィーラ…アンジェリーナ・ルザファント(S)/
ロレンツォ…アンガス・ウッド(T)
セルヴァ…ウルフ・パウルセン(Br)
エンマ…アンネ・ヴァインカウフ(Ms)
マサニエッロ…ディゴ・トッレ(T)
ピエトロ…ヴィラール・ヴィトルト(Bs)
ボレッラ…コスタダン・アーギュロフ(Br)
漁師…シュテファン・ビーナー(Bs)
アンハルト劇場Cho
アントニー・ヘルムス(指)
アンハルトPO
いわゆる「グランドオペラ」の歴史は、この作品から始まったと言えるでしょう。この作品の初稿台本が書き上げられたのは1825年。1647年のナポリで実際にった一揆の史実をもとに、その騒ぎを起こした魚小売商マサニエッロの妹フェネッラを主人公として台本作家のドラヴィーニュが物語を構築。当時の慣習通りに検閲に出したところ残念ながら「変更」を命じられたものです。それをスクリープが手直ししましたが、まだ許可が下りず、それならばと、徹底的にスクリープが修正。本来の革命色を薄め、もう少し劇的になるように恋人たちの場面を追加。最終的には5幕からなる壮大な物語として完成したものです。初演当時は爆発的な人気を誇り、1830年のベルギー革命の発端となるほど問題を引き起こしましたが、少しずつ上演機会が減ってしまい現在ではほとんど演奏されることもありません。本来では主役であるはずのフェネッラは口がきけない設定のためCDには登場しておりませんが、彼女の存在を感じながら聞いてみてください。
777695-2B(4CD)
新しき時代のシリーズ〜エルンスト・クシェネク:交響曲全集
響曲第1番&第5番
交響曲第2番
交響曲第3番/ポプリOp.54
交響曲第4番Op.113*
合奏協奏曲第2番Op.25*
浮ヶ谷孝夫(指)
アラン・フランシス(指)*
ハノーファー北ドイツ放送PO
フランツ・シュレーカー(1900-1991)に師事し、ドイツの歌劇場で指揮者として活躍中に、1922年、マーラーの次女であるアンナ・マーラーと出会い、1年ほどではありますが、結婚生活を送ったクシェネク。その時には義父となったマーラーの「交響曲第10番」の一部を校正、改訂したことでも知られています。本人がチェコの血を引いていたため、ナチス政権下では「頽廃音楽」のレッテルを貼られ、演奏が禁止されてしまった彼の作品も、最近ようやく復興の兆しを見せてきました。ほぼ20年前からクシェネクの交響曲録音に取り組んできたcpoレーベルですが、「紛失した」とされていた交響曲第4番のスコアが最近発見されたことで、ようやく全集が完結。ここにリリースできることにまりました。本音を言えば、全ての曲を浮ヶ谷氏の指揮で聴きたいところではありますが、それはそれ。不当に忘れられたこの作曲家の全貌に近づくために、このリリースはファンにとってまたとない贈り物になることでしょう。
777697F
パウル・グレーナー:ピアノ協奏曲他
ピアノ協奏曲Op.72
弦楽とハープのためのシンフォニエッタOp.27
3つのスウェーデンの舞曲Op.98
ディヴェルティメントOp.67
オリヴァー・トリエンドル(P)
ウタ・ユングヴィルス(Hp)
ミュンヘン放送SO
ウルフ・シルマー(指)
ベルリンの職人の家に生まれたグレーナーは、他の優れた作曲家たちと同じく幼い頃から楽才を発揮、長じてからは、ドイツの各地で楽長として活躍後、ロンドン王立ヘイマーケット劇場の音楽監督に就任し、同時に英国王立音楽院で教えるなど、多彩な活躍をしました。勤勉な生活を送っていましたが、1920年代の終わりから国家社会主義党に入会し、いくつかの作品はナチス・ドイツのプロパガンダとして使われ、また1933年には国家社会主義ドイツ労働者党に入党することで、ナチスから数多くの便宜を図られることとなります。しかし、1944年に自宅が爆撃に遭い、全ての自筆譜は失われてしまったのです。そのような理由により、彼の作品についての評価は現在でも定まってはいませんが、いくつかの作品を聴いてみれば、彼の真の才能を感じることができるのではないでしょうか。
777699F(2CD)
レハール:喜歌劇「パガニーニ」 リスティアーネ・カイザー(S)
エヴァ・リーバウ(Ms)
ゾラン・トドロヴィチ(T)
マルティン・ツィセット(T)
バイエルン放送Cho
ウルフ・シルマー(指)ミュンヘン放送O
この作品「喜歌劇」とされていますが、かなり内容はシリアスです。実在のヴァイオリニスト、パガニーニのいくつかのエピソードを基に(もともとエピソードの多い天才でした)、2人の作家が台本を製作し、ここにレハールが曲をつけたものです。登場するパガニーニはもちろんヴァイオリンの名手であり、女性を即座に魅了する魅力の持ち主です。彼を愛する2人の女性たちとそれを取り巻く政治的駆け引き。これらが渾然一体となって切ない物語が出来上がりました。この曲を作曲する少し前、レハール(1870-1948)は極めて魅力的な歌手リヒャルト・タウバーと出会い、彼が歌うことを想起して驚くほど美しいメロディを次々と書き上げました。もちろん初演は大成功!しかしタウバーがこの世を去った1948年以降はあまり演奏されることのないこの作品、もう一度、じっくり味わってみるのはいかがでしょうか?

777700-2F
ヨハネス・エッカルト:宗教曲&世俗曲集
5声のミサ「愛する人へ」(ラッソによる)
良き歌い手とオルガニスト
御者よ、私は逃げたい
愛する人へ(オルランド・ディ・ラッソ)
今、救世主は荒野へ
山を越えマリアは行く
おお、喜びの喜び
聖母マリア、聖処女
園にてキリストは苦しみを受け
男たちの偉大な日
復活祭の時期に
私たちは全ての喜びの中で歌う
来たれ聖なる精神、偉大なる神
天より来る神聖なる精神
ツァハリアスはとても不満である
キリストはわれに与えたもうた
多くはここにない
Die weil umbsonst jtzt alle Kunst
音楽は無学な人々には敵である
グレゴール・マイヤー(指)
オペッラ・ムジカ、アンサンブル・ノエマ
16世紀の最も重要な教会音楽作曲家の一人、ヨハン・エッカルト(1553-1611)はガブリエリ、シュッツからバッハ、そしてブラームスに繋がる「コラールの伝統」の礎を作り、また数多くの宗教歌曲を残しています。彼はチューリンゲンで生まれ、ワイマールで学び、またオルランド・デ・ラッソにも教えを受けています。その後裕福な銀行家フッガーの家や、ドイツ各地の王侯に仕えたりと、着実に地位を築き、多くのコラールを出版しています。1611年に没しましたが、彼の作品は色褪せることなく、今でも大切な作曲家として認知されています。このアルバムはエッカルトの没後400年を記念して録音されたもので、神聖な歌から、大衆的な歌まで、当時の流行も仄かに香る曲集です。
777702
NX-B10
シュレーカー(1878-1934):管弦楽作品集 第1集
交響曲第1番イ短調 Op.1(1899)
間奏曲 Op.8(1900)
祝典円舞曲と円舞曲風間奏曲(1908)
ゆるやかなワルツ(1908)
組曲『王女の誕生日』(1905)
スティーヴン・スローン
ボーフムSO

録音:2014年2月21-28日
ナチスにより「退廃音楽」の烙印を押され、存在を抹消されかけたものの、20世紀末になって再評価さ れ、最近は人気作曲家の仲間入りを果たしたフランツ・シュレーカー。彼は10歳の時に父を失うも、貧困 の中、1892年に奨学金を得てウィーン音楽院に進学、ロベルト・フックスに作曲を師事し、卒業年に作 曲した「間奏曲」は“新音楽新聞”誌から賞金を授与されています。卒業後は作曲家、指揮者として活 動を始めたシュレーカーですが、すぐには認められず、1908年に上演された『王女の誕生日』で注目を 集め、1912年に初演された歌劇「はるかなる響き」の初演でようやく名声を確固たるものにしました。こ のアルバムにはシュレーカーの初期作品が5曲収録されており、彼が作風を確立していく過程を、後期ロ マン派を得意とするスローン指揮の演奏で辿ることができます。学生時代に書かれた交響曲は、師フック スを模範として4楽章形式で書かれましたが、後に最終楽章が散逸。第1楽章から第3楽章のみが残 されています。第3楽章の冒頭、ホルンの息の長い旋律が耳に残ります。
777705S(2SACD)
ウィドール:オルガン交響曲集Op.13
オルガン交響曲ハ短調Op.13-1
オルガン交響曲ニ長調Op.13-2
オルガン交響曲ホ短調Op.13-3
オルガン交響曲ヘ短調Op.13-4
クリスティアン・シュミット(Org)
※ルーアン,サントゥーアン教会カヴァイエ-オルガン
1890年に名オルガン制作者アリスティド・カヴァイエ=コルが建立した素晴らしいオルガンの響きをSACDの高音質でたっぷりとお楽しみいただけます。ウィドール(1844-1937)はフランスを代表するオルガン奏者、作曲家の一人で、彼の父親もリヨンの教会オルガニストを務めるなど、幼いころからオルガンに熟知した人でした。25歳の若さで、カヴァイエ=コルの推薦によりサン・シュルピス教会の終身オルガニストに就任し、64年間この職を全うし、数多くのオルガン作品を残しました。この「オルガン交響曲」は管弦楽を使わずに、シンフォニックな響きを創り出すという曲であり、壮麗な響きを心行くまで堪能できることでしょう。
777708(2CD)
NX-D11
レハール:喜歌劇「クロクロ」 口ひげのクロクロ:踊り子…ジークリンデ・フェルトホーファー(S)
セヴェラン・コルニション:市長…ゲルト・フォーゲル(Bs)
メルジーネ:市長の妻…スザンナ・ヒルシュラー(S)
マキシム・デ・ラ・ヴァレ:クロクロの恋人…ダニエル・イェンツ(T)
シャブリ:ピアノ教師・・・リカルド・フレンツェル・バウディシュ(歌)
ペティポフ:警官…マティアス・シュテルマー(歌) 他
マリウス・ブルケルト(指)
バート・イシュル・レハール音楽祭cho
フランツ・レハールO

録音:2019年8月9-11日 ライヴ・バート・イシュル・レハール音楽祭
物語は1920年代、若い女性たちが独立した存在を主張し、短い丈のドレスを着て闊歩するというヴィク トール・マルグリットの小説をモデルにした、レハールの喜歌劇「クロクロ」。パリの踊り子クロクロと、彼女の パトロンである市長とその妻メルジーネ、クロクロの恋人マキシムが洒落た物語を紡ぎ出し、レハールが抒 情的で美しい音楽を付けています。現在ほとんど演奏されることはありませんが、1924年の初演時に は、曲中のフォックストロット「Ich habe La Garconne gelesen」が大ヒットしました。今回の“レハール 音楽祭”の蘇演では、クロクロを歌うフェルトホーファーを始め、芸達者な歌手たちが素晴らしい歌と演技 を次々と披露。また指揮のブルケルトはレハールの音楽を見事にまとめており、オーケストラも歌手も全て が楽しみながら演奏している様子が伝わります。レハールの甘い旋律がたっぷり散りばめられた美しい作 品をお楽しみください。
777709
NX-B02
アントン・ルビンシテイン(1829-1894):弦楽四重奏曲集
弦楽四重奏曲第4番ホ短調 Op.47-1
弦楽四重奏曲第6番ニ短調 Op.47-3
ラインホルトQ【ディートリヒ・ラインホルト(Vn)、トビアス・ハウプト(Vn)、ノルベルト・トゥンツェ(Va)、ドロテー・エルビナー(Vc)】

録音:2020年4月29日,5月1,3,4日
19世紀後半ロシアを代表する作曲家アントン・ルビンシテイン。ピアニストとしても活躍した彼は、ヨーロッ パ、アメリカで精力的に演奏会をこなしながら、その合間を縫って12曲の歌劇や6曲の交響曲、200曲に 及ぶバレエ、オラトリオを含む膨大な数の作品を書き上げました。室内楽の分野でもさまざまな楽器の組み 合わせによる作品を書いており、弦楽四重奏曲は10曲が遺されています。このアルバムでは2曲の四重奏 曲を収録。1856年、27歳の時の作品はどちらも短調で書かれており、洗練された旋律が随所に溢れる 見事な仕上がりとなっています。ラインホルト四重奏団は、ルビンシテインの若々しい情熱を見事なアンサン ブルで描き出しています。
777711-2M
プーランク:室内楽作品集
クラリネットとピアノのためのソナタ
ホルンとピアノのためのエレジー
廃墟を見守る笛吹きの像
フルートとピアノのためのソナタ
オーボエとピアノのためのソナタ
クラリネットとファゴットのためのソナタ
オーボエ,ファゴットとピアノのための三重奏曲
アンサンブル・ミッドヴェスト
デンマークからの「プーランク」をお届けいたします。プーランク(1899-1963)と言えば、まさに「フランスのエスプリ」を具現化した作曲家であり、その作品は常にお洒落で小粋。輝かしさに溢れています。と、同時に彼の作品に見え隠れする、深刻さと陰鬱さは、曲に深い陰影を与え、その明と暗の両面で聴き手を翻弄します。このアルバムではデンマークの若く意欲的なアンサンブル「ミッドヴェスト」による理想的なプーランクをお聞きいただけます。このアンサンブルは2002年に11人の音楽家によって結成され、多くの賞を受賞しています。様々な楽器の組み合わせが可能で、大抵の室内楽曲を演奏することが可能な柔軟性を持っています。高い芸術性と遊び心を併せもった期待のアンサンブルです。
777713M
ゲオルク・シューマン:歌曲とピアノ小品集
1.6つの歌曲Op.56(1912)
ピアノのための「思い出」Op.36-2(1904)
.3つの歌曲Op.15(1986)
ピアノのため
の「春に」Op.36-5(1904)
少女の歌Op.35(1904)
ピアノのための「それはうねったように…」Op.4-2(1890)
3つの歌曲Op.14(1896)
ピアノのための「夕べに」Op.23-2(1901)
3つの歌曲Op.38(1901)
ジルヴィア・ヴァイス(S)
カロラ・テイル(P)
1866年にザクセンに生まれ、長い間プロイセン芸術アカデミーで後進の指導にあたり、ベルリンの音楽界に強い影響力を持っていたことで知られるゲオルク・シューマン(1866-1952)。彼は「不安な時代」にも困窮する音楽家たちの力となるなど、他の人のために力を注ぐことを決してためらうことはなかったと言われる人情味あふれる人です。このアルバムはそんな彼の歌曲とピアノ曲集です。彼は生涯に60以上のアリアや歌を書きましたが、そのどれもが、どちらかというと私的な感情にみちたものであり、例えばそれは愛する妻に献呈されていたり、内省的な無言歌であったり、と、ロマン派と新古典派の狭間にある微妙な美しさが残ったモノローグのような作品です。
777714-2
ロゼッティ:ホルン協奏曲集
2台のホルンのための協奏曲ヘ長調 Murray C61/Knaul III:49*
ホルン協奏曲ホ長調 Murray C50/Kaul III:44*
ホルン協奏曲変ホ長調 Murray C48/Kaul III:37
2台のホルンのための協奏曲変ホ長調よりアンダンテ Murray C55Q/Kaul III:54*
クラウス・ヴァレンドルフ(Hrn)
サラ・ウィリス(Hrn)*
ヨハネス・メーズス(指)
マンハイム・プファルツ選帝候室内O
レギュラー盤(777288-2)に現在発売中の約900タイトルを掲載した美麗カタログをセット。もしろん価格は大盤振る舞いです。cpoのカタログは2年に一度の発行となります。日本でも人気の高いロゼッティのホルン協奏曲をこの機会にぜひどうぞ。
アントニオ・ロゼッティ(1750-1792)、本名アントニーン・レスレルはボヘミア生まれの作曲家です。1773年ボヘミアを去って、6年の間エッティンゲン=ヴァラーシュタイン侯爵の宮廷楽団に加わるのですが、その際名前をイタリア風のアントニオ・ロセッティに変えたのです。その後活躍の場を広げ、多くの作品を出版、彼自身も自らを「洗練された音楽家」と呼び、幸せな生涯を送りました。彼が残した多くの曲の中でもとりわけホルン協奏曲が有名で、モーツァルトのホルン協奏曲のお手本にもなったのではないかとも言われているほどです。演奏はベルリン・フィルの名奏者、ヴァレンドルフとサラ・ウィリスによるもので、あふれんばかりのパワーと、繊細な感情表現が魅力です。
777716S(2SACD)
北ドイツのバロック時代のオルガン作品集第13集〜ミヒャエル・プレトリウス:オルガン作品全集
デイヴィッド・エーベル,ヨハン・バール,ヤコブ・ボルシェ,ペトルス・ハッセ1世、ペトルス・ハッセ2世,ヴィルヘルム・カルゲス,ヒエロニムス・プレトリウス3世,アンドレアス・ベックマイスター,メルヒオール・ヴォルトマンの作品集
フリードヘルム・フランメ(Org…グラウホフ・バイ・ゴスラー,聖ゲオルク十字架教会,クリストフ・トロイトマン・オルガン1734-37年製)
この2枚のSACDの中に、ミヒャエル・プレトリウス(1571/72-1621)をはじめとしたルネサンス期から初期のバロック期までの、様々な北ドイツの作曲家によるオルガン曲作品が収録されています。メインであるミヒャエル・プレトリウスはプレトリウス一族の中で最も名の知られた人で、この時期のも最も多作であった作曲家であり、また、プロテスタントの賛美歌の発展に寄与したことでも知られています。彼はドレスデンのザクセン宮廷に使え、当時流行のヴェネツィア楽派によるイタリア音楽を演奏し、その作品にもイタリアの様式が感じられます。ルター派教会のために1000曲以上のコラールを書き、また同時代の音楽についての素晴らしい論文を残しています。またこの時代に活躍したオルガニスト、作曲家たちの作品からも、当時の雰囲気が伝わります。演奏しているのはお馴染みのフリードヘルム・フランメ。どんな時代の作品でも研究に研究を重ねた説得力ある演奏を聞かせる人です。
777717S(2SACD)
レーガー:オルガン作品集 第1集〜レーガー時代の歴史的オルガンよる演奏
B-A-C-H の名前による幻想曲とフーガ Op.46(1900)/
2.組曲 ホ短調Op.16(1894/1895)/
オルガン・ソナタ 第1 番 嬰ヘ短調 Op.33(1899)
12 の小品集 Op.80(1904) 抜粋
オルガン・ソナタ 第2 番 ニ短調Op.60(1901)
ゲルハルト・ヴァインベルガー(Org)
ヴィルヘルム・ザウアー・オルガン(ライプツィヒ トーマス教会 1914 年製, P.フルトヴァンガー&ハンマー・オルガン(ザルツヴェデル マリーエン教会 1908 年製)
2016 年に没後100 周年の記念年を迎えるマックス・レーガー(1873-1916)。いくつかのレーベルが彼のオルガン作品の全集録音を目論んでいますが、「オルガンと言えばcpo!」ということで、cpo ではJ.S.バッハの全集でお馴染みの名手ヴァインベルガーをフィーチャーして、レーガー全集を始動しました。レーガー作品は、もちろんバッハの形式を厳格に継承した上で、ロマン派的な和声を、雄弁な表現力を上乗せしたもので、曲に用いられている対位法は想像を絶するほどに緻密であり、また音楽的にも(渋いとはいえ)極めて優れたものであることは間違いありません。そのうえ、この録音はSACD ハイブリッド盤で発売というのも嬉しいところ。レーガーが活躍した時代に建立されたふくよかなオルガンの響きを、余すことなくとらえた素晴らしいアルバムの登場です。
777718S(2SACD)
レーガー:オルガン作品集第2集
コラール幻想曲「暁の星のいと美しきかな」Op.40-1
9つの小品Op.129
幻想曲とフーガOp.135b
コラール幻想曲「われらが神はかたき砦」Op.27
コラール前奏曲「われらが神はかたき砦」Op.135a-5
コラール前奏曲「われらが神はかたき砦」Op.79b-2
コラール前奏曲「われらが神はかたき砦」Op.67-6
コラール幻想曲「おおわが魂よ、大いに喜べ」Op.30
コラール前奏曲「おおわが魂よ、大いに喜べ」Op.135a-9
コラール前奏曲「汝が怒りもてわれを罰したもうな」Op.67-37
コラール幻想曲「汝が怒りもてわれを罰したもうな」Op.40-2
ゲルハルト・ヴァインベルガー(Org)
<使用オルガン Dom zu Verden a.d. Aller:P.フルトヴェングラー&ハンマー・オルガン「Dom zu Verden a.d. Aller」(1916)…CD1, Eglise Saint Martin Dudelange, Luxemburg:ゲオルク・シュタールフット・オルガン(1912)…CD2>
2016年の「レーガー没後100年」を記念して、様々なレーベルからレーガー(1837-1916)のオルガン作品全集が企画進行されています。もちろんcpoレーベルからも素晴らしい録音が発売され始めています。ここでオルガンを演奏しているのは、すでにバッハのオルガン全集で高い評価を受けているゲルハルト・ヴァインベルガー。バッハの流れを汲むレーガー作品の演奏には、これ以上ない人選であることは間違いありません。レーガー作品の持つ微妙な響きを表現するために、使用オルガンにも気を配っているというこの全集、少しずつ楽しみながら、全貌が明らかにされるのを待つことにしましょう。
777719S(1SACD)
シューマン:交響的作品集
序曲,スケルツォとフィナーレOp.52
序曲「マンフレッド」Op.115
.序曲「ジュリアス・シーザー」Op.128
序曲「ヘルマンとドロテーア」Op.136
交響曲ト短調「ツヴィッカウ」(M.ヴェントによるクリティカル・エディション…初録音)
フランク・ベールマン(指)
ロベルト・シューマンPO
素晴らしい録音で聴くシューマン(1810-1856)のシリーズ第2弾です。以前交響曲全集(777365-2)できびきびとした演奏を聴かせたベールマン。今回は序曲集と、珍しい「ツヴィッカウ交響曲」の録音です。序曲は割合聴く機会もありますが、こちらの「ツヴィッカウ交響曲」は若きシューマンによる未完の作品で、1832年に着手され、ひとまず第1楽章を作曲初演、とは言え全く評判にならず、改訂を繰り返しながら第2楽章を書き終えるも、結局そのままお蔵入りになってしまったというもので、録音も数えるほかありません。このベールマンの演奏はマティアス・ヴェントによる校訂版を用いたもので、ゆったりとした序奏も削除することなくシューマンが構想した最初の形を見せてくれるものです。この作品の失敗後、シューマンはピアノ曲に力を注ぐことになるのです。

777720-2(3SACD)
ブラームス:交響曲全集
交響曲第1番〜交響曲第4番
ハイドンの主題による変奏曲
悲劇的序曲/大学祝典序曲
アンドリュー・マンゼ(指)
ヘルシングボリSO
2006年にヘルシングボリ交響楽団の首席指揮者に就任したアンドリュー・マンゼのブラームス(1833-1897)です。以前リリースされたベートーヴェンでは思いの他抑制された表現で、弦楽器の瑞々しさを大切にした良演を披露してくれたものですが、今回のブラームスでは、その表現に一層磨きをかけ、充実した音を聞かせます。古楽奏者として揺るぎない名声を確立したマンゼですが、このようなモダンオケと対峙する時には、エモーショナルな面を強調することはせず、スコアを忠実に、かつ丁寧に描き出すことに力を注ぎ、確実な音像を描き出すことに成功しています。もちろん楽器の配置などには様々な工夫をこらし、アグレッシブな響きも聞こえてくるなど、古楽演奏で培った経験が物を言わせている部分も多々あります。がっつり満腹感をもたらすものではないかもしれませんが、細部までに手が入った精進料理のようなブラームスが却って新鮮さを運びます。
777722F
ヘンドリク・アンドリーセン:交響的作品集 第2集
交響曲 第2番
リチェルカーレ/マスケラータ
「ヴィルヘルムス・ファン・ナッソウエ」よりラプソディ
ダーヴィッド・ポルセライン(指)
オランダSO
オランダの作曲家、オルガン奏者ヘンドリク・アンドリーセン(1892-1981)。同じくcpo からリリースされた第1 集(777721)に収録された曲の風情でもわかる通り、ロマン派と前衛の折衷とも言える聴きやすい音楽を書く人です。ユトレヒト大聖堂のオルガニストとしても知られ、ここでは素晴らしい即興演奏を行ったという記録が残っています。ここに収録された曲のうち、交響曲第2 番は1938 年、コンセルトヘボウ管の創立50 周年の記念に書かれたもので、オーケストラとその指揮者エドゥアルト・ファン・ベイヌムに捧げられています。複雑な楽想を持ち、極めて現実的な音楽です。他の作品はもう少し様々な作風で、「ヴィルヘルムス・ファン・ナッソウエ」というのは1932 年に正式にオランダの国歌に認定されたメロディです。
777723F
アンドリーセン:交響的作品集第3集
交響曲第3番/協奏交響曲
性格的な序曲
オランダSO
ダーヴィッド・ポルセライン(指)
オランダの作曲家、オルガン奏者アンドリーセン(1892-1981)。彼はオランダのカトリック典礼音楽を一新したことで知られます。彼の作品は宗教曲以外にも多岐に渡り、どれもが重厚な響きで満たされた見事なものです。1946年10月26日にアンドリーセン自身の指揮するコンセルトヘボウ管で初演された「交響曲第3番」はエネルギッシュな願望で満たされた緻密な音楽です。とりわけ終楽章の輝かしいフーガは複雑な書法を駆使した極めてシンフォニックな音楽であり、戦時下の不安な思いも反映された複雑な内面を有しています。
777724F
フリードリッヒ・ハルトマン・グラーフ:フルート協奏曲集
フルート,弦楽と2台のホルンのための協奏曲ハ長調
フルート,弦楽,2本のオーボエと2台のホルンのための協奏曲ト長調
フルート,弦楽と2台のホルンのためのの協奏曲ニ長調
フルート,弦楽と2台のホルンのための協奏曲ト長調
ギャビー・パス=ファン・リート(Fl)
ヨハネス・メーズス(指)
プフォルツハイム南西ドイツ室内O
卓越したフルーティストで、作曲家でもあったハルトマン・グラーフ(1727-1795)。彼は父ヨハン・グラーフから音楽教育を受け、青年時代はオランダ軍に従事、英国軍の捕虜になっている間も軍楽隊の太鼓奏者として活躍していました。その後はハンブルクに帰還し、1759年から1764年までフルート奏者として名声を高め、ベントハイムの宮廷音楽家の地位を得てから、英国、オランダ、イタリア、スイスなどに演奏旅行を行っています。彼の作品は印刷されたものだけでなく、自筆稿のままでも広く知れ渡り、とりわけ英国とオランダで人気を得ました。そんなグラーフの4つの協奏曲は、初期の古典派のレパートリーとして愛されるべき作品と言えるでしょう。
777726-2F
ドメニコ・サッリ:ミサ-「主は言われた」(詩篇109番) アニヤ・ツィーグラー(S)
マリア・ペールト(S)
アンネカスリーン・ラーブス(S)
アンドレアス・ポスト(T)
ヴォルフ=マティアス・フリードリヒ(Br)
ザクセン声楽アンサンブル
バツドルファー・ホーフカペレ
マティアス・ユング(指)
ドメニコ・サッリ(1677-1749サッロとも)は、トラーニ出身のナポリ楽派に属するイタリアの作曲家。1703年、24歳の時にナポリの宮廷楽長の職に応募するも、競争が激しかったため就任なりませんでしたが、その翌年に副楽長の職を得ます。しかし、戦争のためにその職を解任されたため、オペラ作曲家に転身、精力的に作品を発表し、この分野で大成功を収めます。1725年には、宮廷の副楽長に復帰するとともに、1728年からはナポリ大聖堂の楽長も兼任することとなりました。1737年からはナポリ宮廷の楽長に就任しましたが、その翌年に、当時のナポリ王カルロス3世と結婚したマリア・アマリア・フォン・ザクセンが、教会音楽に高い関心を抱いていたため、作曲家たちは数多くの宗教曲を作曲する必要がありました。当然サッロも数多くの宗教曲を作ったのは間違いありません。このミサ曲のスコアはドレスデン、ザクセン州の図書館に保存されていたものです。
777727F(2CD)
ウェーバー:歌劇「シルヴァーナ」 デトレフ・ロート(Br)
ミカエラ・カウネ(S)
フェルデイナンド・フォン・ボトマー(T)他
バイエルン放送Cho
ミュンヘン放送O
ウルフ・シルマー(指)
ウェーバー(1786-1826)の知られざる歌劇「シルヴァーナ」の初演版の初録音です。1810年9月16日にフランクフルトで初演されたこの作品は、もともと1800年に初演された歌劇「森の娘」(こちらは断片のみ残存)の台本を用いた、「英雄的」なストーリーを持つものですが、その後11年を経て、「魔弾の射手」が上演される際に再度手を加えたものが上演されました。しかし、残念なことに「魔弾の射手」の爆発的な人気の影に隠れてしまい、すっかり忘れられてしまったのです。現在では序曲と、この歌劇の素材を使ったクラリネットの為の変奏曲が知られているのみ。今回のこの録音にあたっては、様々な資料を検討し、最良の形で上演を試みていたということで、ウェーバーの溢れ出るような美しいメロディと、物語を楽しむことができるはずです。
777731M
ジョセフ・ホルブルック:クラリネットを伴う室内楽曲集
クラリネット五重奏曲Op.27
クラリネットとピアノのための「キレネ」Op.88b*
クラリネットとピアノのための「フリュネ」Op.98b*
変奏曲Op.27-1*
妖精の国-夜想曲Op.57-1
クラリネットと弦楽四重奏のための「アイリアン・ショナ」Op.74
クラリネット五重奏曲の終楽章の異稿版
ロバート・プレーン(Cl)
ルーシー・グールド(第1Vn)
ミア・クーパー(第2Vn)
ディヴィッド・アドムス(Va)
アリス・ニアリー(Vc)
ソフィア・ラーマン(P)

録音:2012年3月5.6日,5月28日西サセックスチャンプス・ヒル,ミュージック・ルーム
*…世界初録音
イギリスの作曲家ジョセフ・ホルブルック(1878-1958)の名前は、主にエドガー・アラン・ポーの詩に基づいた交響詩「大鴉」でしられています。この最作がロンドンで初演されたとき、批評家たちはこれを熱狂的に支持し、それゆえ、彼の名声は飛躍的に上がったといわれています。しかし、同世代のイギリス人作曲家たちと同じく、彼の業績はすっかり忘れられてしまいました。彼は大規模な作品を好み、それは当時の聴き手にはなかなか受け入れられなかったのです。また、多くのイギリス人作曲家が、第1次世界大戦以降は独自の路線を歩み始めたのに対して、彼はずっとドイツロマン派の流れを捨てなかったことにも起因するのでしょう。そんなホルブルックですが、これらの室内楽曲からは、そんな気負いもプライドも感じられず、とても自然な流れと豊かなメロディを楽しむことができます。ごく一部の聴衆から熱烈に愛されているホルブルックの作品、そろそろ復興の兆しが見えてもよいのではないでしょうか。
777732F
ヨハン・ヴィルヘルム・ヘルテル:宗教作品集
詩篇第100番「主に向かいて歓呼の声をあげよ」
コラール・カンタータ「イエス・キリストよ、われ汝に呼ばわる」
モテット「私はあなたのそばにいて、離すことはありません」
モテット「歓喜せよ、汝の名前は天に書かれている」
教会音楽「フェイアーの平和祭のために」
シンフォニアとカンタータ第14番「汝は幸せを楽しむ」
カトリーン・ヒューブナー(S)
アンドレアス・ヴェラー(T)
北ドイツ放送Cho
メクレンブルク・バロックO「Herzogliche HofKapelle」
ヨハネス・メーズス(指)
ドイツの作曲家、ヴァイオリニスト、ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者ヘルテル(1727-1789)の宗教作品集です。彼はガンバをヘッセに学び、ヴァイオリンは独習、鍵盤楽器はメルゼブルクの宮廷オルガニストに学んだといい、その作品もほとんどがヴァイオリンやガンバのための器楽曲です。かなり多くの曲を残したようですが、楽譜が散逸してしまったり、または出版されることがなかったため、現在では、ほとんど未知の作曲家として位置づけられています。cpoでは彼の作品を少しずつ発掘し、この創造性豊かな作曲家の本質を顕らかにすべく奮闘しています。この宗教作品集は、ヘルテルが仕えていたメクレンブルク=シュトレーリッツ公国の宮廷で演奏されたと推測されるもので、美しいコラールやモテットをはじめ、祝祭的な雰囲気を表すためにトランペットとティンパニが巧みに用いられた「平和祭のための音楽」が耳に残ります。
777734-2F
フランチェスコ・ドゥランテ:ナポリのクリスマス音楽集第2集
パストラーレ“CitoPastores”
ラウダーテ・プエリ“breve”-“dettoilGrottesco”
2声のリタニー,キリエ-グローリ
ア・ミサ“In Afflictionistempore”
マリア・ピッチニーニ(S)
クリスティーナ・クェーネ(S)
ウルズラ・エッティンガー(Ms)
アルベルト・テー・ドエス(歌)
ティーロ・ダールマン(Bs-Br)
ケルン・アカデミー
ミヒャエル・アレクサンダー・ヴィレンズ(指)
イタリア後期バロック時代の作曲家ドゥランテ(1684-1755)による「クリスマス音楽集」の第2集です。第1集(777571-2)も、その牧歌的で流麗な音楽が楽しめましたが、ここでも喜びに満ちた美しい音楽を聴くことができます。なかでも「Cito Pastores」は、極めてチャーミングなラテン語によるモテットであり、4声のアンサンブルと弦楽、オルガンの通奏低音で奏される表情豊かな作品です。現代では、あまり聞かれることのないこれらの作品を、丹念に拾い上げて形にするヴィレンズの熱意にも脱帽です。
777735-2F
ブルックナー:交響曲第2番ハ短調(1877) マリオ・ヴェンツァーゴ(指)
ノーザン・シンフォニア
ヴェンツァーゴの魅力あふれる「ブルックナー(1824-1896)交響曲ツィクルス」の第3弾です。今作はあまり演奏機会の多くない第2番で、「曲のスケールに合わせてオーケストラを選択する」というコンセプトを踏襲するヴェンツァーゴは、比較的規模の小さいノーザン・シンフォニアを選びました。ノーザン・シンフォニアは1958年に創立されたイギリス・イングランド北部のニューカッスル・アポン・タイン近郊のゲイツゲッド市にある室内オーケストラで、I.フィッシャー、R.ヒコックス、H.シフらが歴代の指揮を務め、現在はヴァイオリニストのトーマス・ツェトマイアーが音楽監督を務めてます。このエキサイティングかつ革新的なオーケストラからヴェンツァーゴは極めて精緻な響きを引き出すことに成功しました。
777736-2S(1SACD)
レーガー:独奏ヴァイオリンと管弦楽のための「アリア」
ヴァイオリン協奏曲イ長調Op.101
独奏ヴァイオリンと管弦楽のための「アリア」Op.103a,3(組曲イ短調より)
ウルフ・ヴァーリン(Vn)
ウルフ・シルマー(指)ミュンヘン放送O
ウルフ・ヴァーリンによるレーガーのヴァイオリン協奏曲の登場です。意外なことに、この作品の録音はカタログ上にあまりありませんでした。演奏される機会もあまりなく、日本での初演は2002年(庄司紗矢香)まで待たなくてはいけなかったほど。演奏時間が1時間弱を要する長大な作品で、キャッチーなメロディこそあまりないものの、レーガー特有の厚みのある管弦楽伴奏と、堂々としたヴァイオリンが絡み合う充実の音楽です。一度聞いただけでは、なかなか全てを味わい尽くすのが難しい作品ですが、聴けば聞くほどに胸にしみるような不思議な音楽です。「アリア」は、あのバッハの「G線上のアリア」を思わせる、静かな歩みの美しい小品です。
777737F
テオドール・フォン・シャハト:シンフォニア集
シンフォニア.ハ長調
シンフォニア変ホ長調
シンフォニア・コン・エコー
ゲルノート・シュマルフス(指)
エヴァーグリーンSO
美麗なクラリネットの作品の一部が、現在かろうじて残っているドイツの作曲家シャハト(1748-1823)。彼はレーゲンスブルクの宮廷音楽家ヨーゼフ・リーペルから最初の音楽指導を受け、1766年にはシュトゥッツガルトのニコロ・ヨンメッリの弟子になります。その後はレーゲンスブルクに戻り、1773年から宮廷音楽監督に就任、イタリア・オペラの普及にも力を尽くしました。1796年には王室から特別の地位を得て、その後は自由な作曲家としてウィーンに旅行し、ベートーヴェンやルドルフ大公、ナポレオンなどにまつわる作品を書いたことでも知られています。このシンフォニア集は、ハイドンの躍動感にも似た快活な雰囲気を持つ作品。演奏はこの時代の作品を得意とする台湾のエヴァーグリーンOとシュマルフスによるものです。
777738S(1SACD)
フェルディナンド・リース:オラトリオ「信仰の勝利」Op.157 クリスティアーネ・リボー(S)
ヴィープケ・レームクール(A)
マルクス・シェーファー(T)
マルクス・フライク(Br)
ライニッシェ・カントライ
ダス・クライネ・コンツェルト
ヘルマン・マックス(指)
「ベートーヴェンの弟子、友人」として知られるフェルディナント・リース(1784-1838)。最近、cpoレーベルとNAXOSレーベルを中心に、彼の作品の復興が著しく、ここでは師を凌駕するほどの才能に満ち溢れたピアノ協奏曲や、ピアノ・ソナタ集、8曲の交響曲を始め、優雅な室内楽曲などかずかずを聴くことができるようになりました。しかし、まだ声楽曲の分野ではほとんど作品が知られておらず、「まだまだ知らない曲があるのでは?」とファンが首を長くして待ち望んでいるのが現状です。指揮者ヘルマン・マックスは以前、オラトリオ「イスラエルの王」(777221-2)をリリースしていますが、今回も素晴らしいオラトリオを紹介しています。タイトルの通り、ジャン=バティスト・ルソーの詩を用いた「信仰と神の力の恵み」を歌ったもので、ホール全体が震えるほどの大きな感動を伴う力作です。
777739F(2CD)
ヴォルフ=フェラーリ:歌劇「せんさく好きな女たち」 ユルゲン・リン(Bs-Br)
アグネーテ・ラスムッセン(S)
ペーター・シェーン(Br)
カイ・スティーフェルマン(Br)
カトリーン・ゲーリング(Ms)
ミュンヘン放送O
ウルフ・シルマー(指)
現在では「マドンナの宝石」間奏曲のみが知られるイタリアの歌劇作曲家ヴォルフ=フェラーリ(1876-1948)。彼の作品の多くはゴルドーニの戯曲を基にした喜歌劇であり、それらの作品は面白いことに、イタリアではあまり人気が出ず、ドイツで初演した方が成功したのでした。この「せんさく好きな女たち」もそんな作品で、18世紀のヴェネツィアを舞台に、2人の妻がクラブでの夫の謎の行動をチェックするという物語です。軽妙な物語を重厚なワーグナー風の音楽が彩るという、確かに当時のドイツで受けそうな風情を有しています。普段は序曲のみが演奏されるこの作品、ウルフ・シルマーの流麗な指揮でお楽しみください。またcpoではヴォルフ=フェラーリの管弦楽作品もリリースしています(777567)。こちらも潤沢なメロディが溢れています。
777740F
アウグスト・クルークハルト:作品集
交響曲第4番ハ短調Op.57
3つの小品Op.87
デッサウ・アンハルトPO
アンソニー・ヘルムス(指)
ケーテンで生まれ、10歳でピアノを作曲を学び始めたというクルークハルト(1847-1902)。相当才能に恵まれていたようで、1年後には作品を発表し、16歳でデッサウに移住した翌年にはピアニストとしてデビュー。その後は着々と才能を開花させ、ヴァイマールの宮廷劇場を皮切りに、ノイシュトレリッツ、デッサウの宮廷劇場で指揮者として目覚ましい活躍を遂げます。その間ヴァイマールではフランツ・リストに会い、また1876年にバイロイト音楽祭に出かけ「指環」の上演に感銘を受け、1882年にはデッサウの劇場で指揮者として「指環」を演奏しているのですから、こちらもすごい実績と言えるでしょう。彼は交響曲を6曲書いて(最初の1曲は番号なし)いて、この第4番は、まさにワーグナーやリストの後継者の音楽。重厚な響きとライトモティーフが用いられた優れた音楽です。かたやタイトルのない「3つの小品」は、ロッシーニやヴェルディを思わせる気楽な曲。こちらも興味深いものです。
777741F
ヨハン・ネポムク・ダーフィト:交響曲集
交響曲第1 番イ短調Op.18(1936)
交響曲第6 番Op.46(1954)
ヨハネス・ヴィルトナー(指)
ウィーンRSO
オーストリアの近代作曲家ダーフィト(1895-1977)。とは言え彼はどちらかというとラッヘンマンやツェヒリンらに作曲を指導した「名教師」として知られており、作曲家としてはごく僅かな合唱曲や器楽曲が聴かれるばかりです。元々は地元の聖歌隊員として活躍し、20 代の終わりには小学校の教師を務めていましたが、同じ時期にウィーン大学でヨーゼフ・マルクスに作曲を学び、シェーンベルクとも個人的な接触を持っていたといいます。その後も小学校教師を続けながら合唱団を組織、ここでの演奏のために多くの宗教的な作品を書きました。このアルバムではそんな彼が書いた交響曲を2 曲収録しています。シェーンベルク譲りの和声法とブルックナーを思わせる厳格な対位法、これらが縒り合さった難解なれど表現力豊かな音楽です。
777742-2F
ファゴット協奏曲集
アントニオ・ロセッティ(1750-1792):ファゴット協奏曲 Murray C72
 ファゴット協奏曲 Murray C68
 ファゴット協奏曲 Murray C67
モーツァルト:ファゴット協奏曲 変ロ長調 K191/186e
エッカルト・ヒュープナー(Fg&指)
マンハイム・プファルツ選帝候室内O
現在、「ホルン協奏曲」で知られる作曲家ロセッティ(レスレル)のファゴット協奏曲の全曲録音が完成です。ロセッティはコントラバス奏者として、キャリアをスタートし、エッティンゲン=ヴァラーシュタイン侯爵の宮廷楽団に加わり、少しずつ名声を広めていきました。作曲家としても認められ、数多くの交響曲や協奏曲、声楽曲を残しています。彼は7曲のファゴット協奏曲を残していて、そのうちの4 曲は既にヒューブナーによって録音され(999936-2/777166-2)、多くの聴き手を喜ばせていますが、ここで、その残りの3 曲を録音、素晴しくバランスの取れた、上品な音色と抒情的なカンタービレを楽しむことができます。余白には、多大なる影響を与えたと言われるモーツァルトのファゴット協奏曲が収録されています。
777744-2F
フェリックス・ヴォイルシュ:管弦楽作品集
「ハムレット」序曲Op.56
交響曲第2番Op.60
トーマス・ドルシュ(指)
オルデンブルク州立O
ドイツの作曲家、合唱指揮者ヴォイルシュ(1860-1944)。彼の名前は現在ではほとんど知られていませんが、生前は素晴らしい音楽家として高く評価されています。若い頃はドレスデンとハンブルクで過ごし、ここで学びました。1890年代から1900年代にかけて、ドイツの都市、主にハンブルクのアルトナで指揮者、オルガニストとして職を得ています。1917年にはプロイセンの芸術アカデミーに選出され、また1936年には「ゲーテ賞」を授与されています。彼はドイツの古典を大切にしており、その作品には(彼の友人であったブラームスと同じように)パレストリーナ、ラッスス、シュッツ、バッハらの影響が見てとれます。生涯に7つの交響曲、5つの管弦楽作品、3つの歌劇、ヴァイオリン協奏曲、そして100曲ほどの歌曲を残しましたが、どれも、前衛的なスタイルを追求するのではなく、ロマンティックで、伝統的な形式を遵守したもので、まさにブラームスの後継者と呼ぶにふさわしいものと言えるでしょう。
777746S(1SACD)
ルイ・シュポア:交響曲第7番&第9番他
交響曲第7番ハ長調「人生の世俗と神聖」Op.121
交響曲第9番ロ短調「四季」Op.143
マリーエンバートの思い出
小管弦楽の為のワルツOp.89
ハノーファー北ドイツ放送PO
ハワード・グリフィス(指)
☆若い頃は優れたヴァイオリニストとして活躍しながら、ゴーダの宮廷楽長に就任し、その後はアン・デア・ウィーン劇場の指揮者を経て、フランクフルト歌劇場の監督へと登りつめたルイ・シュポア(1784-1859)。ベートーヴェンとも親しく、当時のヨーロッパの音楽界を席巻していた彼ですが、作品も数多く残しています。もちろんヴァイオリン作品が有名ですが、10曲ある交響曲(第10番は未完)も、当時の様式を遵守しながらも、いくつかの交響曲には標題をつけるなど、常に探究心を怠らない独創的な作品を生み出していたのでした。このアルバムではそんな2つの交響曲を中心に、2つの小品を収録しています。第7交響曲では、2組のオーケストラを用いて各々のパートで発生する「対立」を描くという革新的なことをしています。また第9番は完全な標題音楽であり、冬の厳しさで始まり、春の喜びを描き、夏、秋へと移り変わる季節を賛美した音楽となっています。
777747F(2CD)
J・シュトラウス:喜歌劇「メトゥザレムの王子」 ヤーナ・フライ(S)
ジェシカ・グラッテ(S)
フランク・エルンスト(T)
ゲルト・ヴィーマー(Br)
エルマー・アンドリー(Bs-Br)
フランク・オベリューバー(T)他

エルンスト・タイス(指)
ドレスデン州立オペレッタO&cho
1874年、ヨハン・シュトラウスとその妻イェッティはパリに滞在し、その地でオッフェンバックの作品について検討していました。彼の見込みによると、「もうオッフェンバックの時代は終わった」と断言してはみたものの、ウィーンで上演予定の新しいオペレッタの台本は、どうみても「オッフェンバック風」のものだったのです。シュトラウス自身は、この台本について、前述の理由から懐疑心を抱いたものの、付けたメロディは極上のものだったためか、1877年のカール劇場での初演時には大成功を収め、公演回数は80回を超えたといいます。小競り合いを繰り返している小さな2つの国が同盟を結ぶために、領主の娘と息子が結婚させられることになります。政略結婚はしたくないと嘆く娘のために、大掛かりな仕掛けをする一方の国の領主。しかしその意に反し、結婚相手であるメトゥサレムを一目みた娘は、そのとりこになってしまいます。「おいおい、話が違うじゃないか」と慌てる父。何しろ、実は相手国の領主の妻に片思いしていたからです…。最後はハッピーエンドで終わる物語で、シュトラウスらしく人々の心の機微を絶妙に描いています。
777748-2F
A・スカルラッティ:世俗カンタータ集
ソプラノ,弦楽合奏と通奏低音のための「オリンピア」
ソプラノ,弦楽合奏と通奏低音のための「アリアンナ」
ソプラノ,トランペット,弦楽合奏と通奏低音のための「テブロ川のほとりで」
アドリアーナ・フェルナンデス(S)
ガブリエーレ・カッソーネ(Tp)
マルチェッロ・ディ・リーザ(指)
コンチェルト・ド・カヴァリエーリ
ナポリで生まれたアレッサンドロ・スカルラッティ(1660-1725)は、おもにナポリ楽派の歌劇の創始者として知られます。彼の音楽、とりわけ声楽曲は、17世紀の初期イタリア・バロックの声楽様式と、古典派の重要な橋渡しとしての働きを持っていて、形式的にも、感情表現などでも、それまでのものから一歩踏み込んだ素晴らしいものとなっています。彼は500曲以上のソロ・カンタータを作曲していて、これらも歌劇同様に、主人公の感情表現、ことに女性心理を巧みに扱っており、構造的にも見事な作品として愛好されています。宗教的作品集(777476-2)と同じ、マルチェッロ・ディ・リーザ率いるコンチェルト・ド・カヴァリエーリの演奏。ソリスト、フェルナンデスも芯のある美声を聴かせます。
777750-2M
ショスタコーヴィチ:付随音楽「ハムレット」組曲Op.32a(1932年オリジナル版)
ピアノ協奏曲第1番ハ短調Op.35
ピアノ協奏曲第2番ヘ長調Op.102
ヴァレンティーナ・イゴーシナ(P)
トーマス・ハンメス(Tp)
ラヴァー・スコウ=ラーセン(指)
ドイツ・カンマーアカデミー・ノイス
ショスタコーヴィチの「ハムレット」というと、1964年に書かれた映画音楽がよく知られています。しかし、彼はもっと早い時期からシェークスピアのこの作品を愛していたといい、1932年には既にこの付随音楽が作曲されています。この年に上演されたアキーモフの演出による「ハムレット」はかなり型破りな解釈が施され、本来なら悲劇であるはずのこの物語も、皮肉たっぷりの喜劇として描かれました。ショスタコーヴィチの音楽は、前述の映画音楽に比べると、かなり軽快で才気走ったもの。もちろん当局の検閲は、この作品を上演禁止にしてしまったことは言うまでもありません。後の54年に彼自身が再編したヴァージョンもありますが、ここでは32年のオリジナル・ヴァージョンを収録しています。同時収録は、有名な2曲のピアノ協奏曲。ピアニストのイゴーシナは息を飲むほどの明瞭さで、この魅力ある作品を演奏しています。
777753F
テレマン:ルター派のカンタータ集
「主よ、私たちの祈りはあなたのためのものです」教会音楽第6集よりTVWV1:781
「願わくは神、われらを恵みて」
教会音楽第14集よりTVWV1:544
「愚かなる者らの口」教会音楽第8集よりTVWV1:533a
「神に選ばれた者」教会音楽第6集よりTVWV1:1390
シオンの民よ雄々しくあれ」教会音楽第23集TVWV1:1606
シーリ・カロリーネ・トルンヒル(S)
スザンネ・クルムビーゲル(A)
トビアス・フンガー(T)
ゴッドホルト・シュヴァルツ(Bs)
ザクセン・バロックオーケストラ
バッハ・コンソート・ライプツィヒ
ゴッドホルト・シュヴァルツ(指)
マクデブルク生まれのテレマン)。父ハインリヒは伝道師であり、母マリアの先祖はルター派の牧師の家系であったこともあり、彼自身も洗礼を受けた忠実なルター派プロテスタントでした。そんな彼はカンタータを作曲する際に、丁寧にテキストを選び、古典的なメロディーと讃美歌を盛り込むことで、自らの信仰心を表現していました。現在、これらはバッハの作品程には演奏される機会もありませんが、素朴さと壮麗さを併せ持つこれらの曲、もっと知られてもよいかもしれません。
777752F(2CD)
テレマン:ジンクシュピール「ミリヴァイス」TVWV21:24 2 幕 マルクス・ヴォルペルト(Bs-Br)
ウルリケ・ホフバウアー(S)他
ミヒ・ガイッグ(指)
オルフェオ・バロックO
テレマン(1748-1831)の最後のオペラ(歌芝居)であるミリヴァイスは1728 年に初演され大好評を博したとされています。これはその頃紛糾していたムガル朝とサファヴィー朝の抗争を下敷きとして、アフガンの部族長「ミリヴァイス」の活躍を描いたもので、テレマンは当時流行し始めた東洋風の素材を用い、劇的で精力的な音楽をふんだんに書いています。しかし、テレマンの死後は忘れられてしまい、スコアも紛失してしまいました。しかし最近になって発見され、初演から284 年後の2012年にめでたく蘇演され、人々を熱狂の嵐に巻き込んだのです。オルフェオ・バロックOの演奏は、贅沢で色彩豊かなテレマンの世界をこの上なく再現。当時の雰囲気を余すことなく伝えています。
777754F(2CD)
テレマン:ルカ受難曲(1728年)
ソリストと合唱,管弦楽の為の受難曲TVWV5:13
ヴォルフガンク・クローゼ(T)
マルクス・ウルマン(T)
クリスティアン・ヒルツ(Br)
レイモンド・スポーギス(Br)
ティロ・ダールマン(B-Br)
ケルン・アカデミー
ミヒャエル・アレクサンダー・ヴィレンズ
後期バロック時代を代表するテレマンは(1681-1767)、ハンブルク市の音楽監督と多忙な日々を送っていました。現代もそうですが、当時のハンブルクの教会では定期的に宗教曲が演奏され、テレマンもそれに合わせて数多くの宗教曲を作曲しなくてはならず、この「ルカ受難曲」だけでも、すくなくとも11のヴァージョンがあることが知られています。1728年に作曲されたこの版は、マグデブルクで開催された、テレマンの50歳を記念する「テレマン祭り」で演奏されたもので、バロックから古典へと移り変わる時代の潮流を反映した素晴らしい作品となっています。ケルン・アカデミーとヴィレンズの説得力に満ちた演奏です。
777755S
(2SACD)
ヘルツォーゲンベルク:レクイエム他
レクイエムOp.72/葬礼Op.80
埋葬の歌Op.88
フランツィスカ・ボーデ(S)
バルバラ・ブレッケルマン(A)
マキシミリアン・アルクマン(T)
イェンス・ハーマン(Br)
テューリンゲンSO
マティアス・ベッケルト(指)
ブラームスの伝記にしばしば登場するオーストリアの作曲家ヘルツォーゲンベルク(1843-1900)。彼の妻となったエリザベートはブラームスの弟子であり、才能あるピアニストでもあるなど、彼の作品にはブラームスの影響が強く感じられます。cpoレーベルでは継続的にヘルツォーゲンベルクの作品をリリースし、このブラームスの影に隠れてしまったユニークな作曲家の実像を映し出すのに多大なる貢献をしています。このアルバムには3つの異なるテキストを用いた「死」に寄せた音楽が収録されています。どの作品も彼の実体験に寄り添うもので、それは彼の友人の突然の死であったり、44歳の若さで亡くなってしまった愛する妻のために書かれたりと、その動機は様々です。しかしながらヘルツォーゲンベルクはその悲しみを個人的なものではなくすべての人類へ贈る作品として昇華し、透明な哀しみを纏わせながら、唯一無比の音楽へと移し替えているのです。
777756F
ヴィルヘルム・ゲオルク・ベルガー:ヴィオラ協奏曲Op.12
交響曲第4番Op.30
ニルス・メンケマイヤー(Va)
ホリア・アンドレースク(指)ベルリンRSO
ヴィルヘルム・ゲオルク・ベルガー(1929-1993)はルーマニア生まれの作曲家です。彼はブカレスト音楽院でヴィオラと音楽史を学び、ブカレストPOでヴィオラ奏者として活躍しました。1968年から1989年の間はルーマニア作曲家連合の秘書を務め、1991年にはブカレスト音楽院準教授に就任、同時に数々のラジオ、テレビ番組に出演し、コンサート、講演会などに出演、またエッセイや美術史まで手掛けるなど、幅広い才能をみせてます。作曲家としては、ヒンデミットの表現主義にも似た、抒情に流されることのない数値計算による音楽(フィボナッチ数列を用いることもある)などによる独自の世界を構築しています。24曲にのぼる交響曲の他、ヴィオラ協奏曲など管弦楽曲だけでも50曲ほどの作品が残されています。名手メンケマイヤーの渋い音色で聴くヴィオラ協奏曲は、感性の奥深くにひりひりした刺激をもたらします。
777757F(3CD)
R.シュトラウス:歌劇「無口な女」 フランツ・ハヴラータ(Bs)
モニカ・シュトラウベ(A)
アンドレアス・キンドゥシュフ(Br)
ベルンハルト・ベルヒトルド(T)
ユリア・バウアー(S)/グィビー・ヤン(S)
ティナ・ペンティネン(Ms)
マティアス・ヴィンター(Br)
コウタ・レーゼンネン(Bs)
マルティン・ゲブラー(Bs)他
ケムニッツ歌劇場Cho
ロベルト・シューマンPO
フランク・ベールマン(指)
R.シュトラウス(1864-1949)の「無口な女」。この作品が書かれた当時から、台本作家のツヴァイクのことや、内容が微妙に戦争批判をしていることと、シュトラウス自身が置かれていた微妙な地位のこともあり、なかなか演奏されにくいものであったことは間違いありません。その上、主役のモロズスを歌うバス歌手のみならず、「無口な女」であるはずのアミンタ(実はコロラトゥーラの超絶技巧が求められる役)を完璧に歌うことができる歌手もそうそう見当たらないこともあり、ほとんど上演、録音されることなく忘れられかけていたのでした。最近は研究も進み、また上演機会も増えてきたのは嬉しい限り。重い背景とは裏腹にとても楽しく含蓄に富んだ壮大なドタバタ劇であり、ばらの騎士を凌ぐ美しいメロディに満ちています。ハヴラータとバウアーの素晴らしい歌唱が光ります。
777758F
フリードリヒ・ゲルンスハイム:交響曲集
交響曲第1番ト短調Op.32
交響曲第3番ハ短調「ミリアム」Op.54
ヘルマン・ボイマー(指)
マインツ州立PO
ドイツの作曲家、ピアニスト、指揮者ゲルンスハイム(1839-1916)。医師の父親を持ち7歳で音楽を学び始めます。13歳の時にライプツィヒ音楽院の最年少の学生となり、やがて18歳からピアノをモシェレスに師事、1855年から1860年まではパリに留学、リスト、ロッシーニ、ラロ、サン=サーンスらと親交を持ったことで知られます。その後はザールブリュッケンの音楽監督をはじめ、様々なオーケストラを指揮、友人であったブラームスや同時代の作曲家の作品も演奏しています。そんなゲルンスハイムの作品、やはりブラームスの影響は強く、若干暗めで渋い第1番、ヘンデルの作品からインスピレーションを得て、女性預言者の名を副題に持つ第3番と、まさに「ドイツ・ロマン派の鑑」と言える風貌を有しています。ラインラント・プファルツ・フィルの演奏が現在入手困難な中、この新録の登場は嬉しい限りです。
777762M
レーガー:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ集Op.42
無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番ニ短調/無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番イ長調/無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番ロ短調/無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第4番ト短調
ウルフ・ヴァリーン(Vn)
数多くの優れたオルガン作品で知られるドイツの作曲家レーガー(1873-1916)。2016年は彼の没後100年に当たりますが、これを記念してcpoレーベルでは、彼の「無伴奏ヴァイオリン作品全集」をリリースします。レーガーの無伴奏ヴァイオリン作品は、このOp.42と、Op.91のソナタ(全7曲)、そしてOp.117の「前奏曲とフーガ」(全8曲)、Op.131aの「前奏曲とフーガ」(全6曲)があり、それらが書かれた年代は、ほぼ彼の作曲期間の全てをカバーしています。これはレーガーがヴァイオリンに対して高い関心を有していたことの証明とも言えるでしょう。このOp.42は1900年頃に書かれた作品で、もちろん巧みな対位法が用いられているのと同時に、バッハへの尊敬の念も強く感じられます。演奏しているのは、すでにレーガーの「ピアノとヴァイオリン作品全集」と「ヴァオリン協奏曲」をリリースしている名手ウルフ・ヴァリーンです。
777763-2M
ジャック・アルカデルト:宗教作品集
戦いでは雄々しくあれ
ミサ“幸いなるかな天の女王”
彼らのために天の御国は
主よ、われらが過ちに従いて
パーテル・ノステル/エレミアの哀歌
おお、女のうちでいと美しい者よ
マイノルフ・ブルーザー(指)
ジョスカン・カペラ
有名な「アルカデルトのアヴェ・マリア」というのは、実はアルカデルト(1507-1568)のオリジナル作品ではありません。確かに原曲はアルカデルトのものですが、18世紀に歌詞が付けられ、また形をかえて今聴ける美しい小品へと姿を変えたものなのです(確かに和声進行から考えても、15世紀の作品ではなさそうです)。では実際のアルカデルトの音楽は?そんな疑問に応えるのがこのアルバムです。彼はマドリガーレやシャンソンなど、専ら世俗音楽の作曲家であり、そのメロディは溢れるような魅力を有していたため、数多くの類似品が「アルカデルト作」として世に出回っていたということです。とは言え、全く宗教的作品を書かなかったわけではなく、このアルバムに収録されているような神聖な作品も残しています。システィーナ礼拝堂で演奏されたであろうこれらの作品は、見事な声の織物と精緻なポリフォニーで形作られています。
777764M
ゴットフリート・ハインリヒ・シュテルツェル:ドレスデンとブリュッセルの9つの描写 エポカ・バロック
<アレッサンドロ・ピケ(Ob)
トーマス・ミュラー(Hrn)
ヴァイト・シュルツ(Fg)
ヴェレナ・シェーネヴェック(Vn)
ミヒャエル・ベリンガー(ハープシコード)>
バッハの時代には、このシュテルツェル(1690〜1749)の方がはるかに名声を得ていて、また作品の数も多かったと言います。しかし年月の流れは残酷であり、その楽譜のほとんどが失われてしまったこともあってか、最近まではシュテルツェルの名前はすっかり忘却の彼方へ押し流されてしまっていたことは間違いありません。かろうじて声楽曲のいくつかは蘇演され、cpoレーベルからも何枚かのアルバムがリリースされていますが、今回は珍しい室内楽作品の登場です。イタリア風味の合奏協奏曲は、各々の奏者たちが存分に活躍する機会が与えられていて、その緊密で闊達なアンサンブルを耳にすると、確かにバッハを凌ぐ才能が感じられます。
777766B(2CD)
シューベルト:ピアノ・ソナタ集
ピアノ・ソナタ第20番イ長調D959
楽興の時D780
ピアノ・ソナタ第13番イ長調D664
ハンガリー風のメロディロ短調D817
ピアノ・ソナタ第21番変ロ長調D960
ミヒャエル・コルスティック(P)
ベートーヴェンやリストで素晴らしい演奏を聞かせるピアニスト、ミヒャエル・コルスティック。彼の知的な解釈はこのシューベルトでも存分に生かされています。決して音を弾き飛ばすことはなく、いつものようにゆったり目のテンポをとり、じっくりと音を紡いでいくコルスティック。彼のシューベルトに漂う渋さは、あの「ハンマークラヴィーア」ソナタ第3楽章での「伝説的な遅さ」にも通じるものがあります。数多くのピアニストたちが愛奏している「楽興の時」も一筋縄ではいかない堅固な演奏。シューベルトに対しての見方ががらっと変わってしまうかもしれない演奏であることは間違いありません。
777768M
ユリウス・レントヘン:ヴァイオリンとピアノのための作品集第1集
ヴァイオリン・ソナタホ長調Op.40
幻想曲Op.24
ヴァイオリン・ソナタ「トリロジカ」
7つの演奏会用小品Op.89
クリストフ・シッケダンツ(Vn)
エルンスト・ブライテンバッハ(P)
ブラームス、リストと親しかったというオランダの作曲家ユリウス・レントヘン(1855-1932レントゲンとも)。cpoレーベルではレントヘンの作品を継続的にリリースしていますが、今回の新しいリリースは、彼の本領とも言えるヴァイオリンの作品集となります。なんと言っても、彼の父エンゲルベルトは、ライプツィヒ・ゲヴァントハウスOのヴァイオリニスト(第二コンサート・マスターを務めていた)であり、やはり幼い頃から美しいヴァイオリンの音色に親しんでいたことは間違いなく、彼の祖父クレンゲルも幼いレントヘンにヴァイオリンを学ばせるように示唆したといわれています。そんなレントヘンのヴァイオリン・ソナタにはやはりメンデルスゾーンやシューマンの影響が色濃く反映されているのは時代の流れでしょうか。伸びやかに歌うメロディと豊かなピアノ・パートにはこの時代ならではの豊潤な色彩が感じられます。
777767M
クルト・ヴァイル:子どもの為のパントマイム「魔法の夜」 アルテ・アンサンブル
1922年11月18日、この「魔法の夜」が上演された時、会場に居合わせた聴衆たちは、その奇抜な衣装と魅力的な音楽に大熱狂しました。そしてこれを作曲したのが22歳の若者であったことにも称賛の声が湧き上がったのです。その名はクルト・ヴァイル(1900-1950)。ブレヒトとの共同作業に入るまえの、新古典派の影響が強い時期のこの作品ですが、長い間スコアが失わており、彼自身が組曲として編纂した「クオドリベット」Op.9のみが、一部の曲を伝えるだけにすぎませんでした。この初演全曲盤では、当時の人々が熱狂したポルカやワルツが次々と奏されており、この楽しくエレガントな作品の全容をようやく知ることが可能となったのです。
777770M
アダルベルト・ギロヴェッツ:弦楽四重奏曲集
弦楽四重奏曲Op.13-1
弦楽四重奏曲Op.29-1
弦楽四重奏曲Op.29-2
プレイエルSQ
ボヘミア出身のウィーン古典派の作曲家ギロヴェッツ(1763-1850)。彼の作品は今ではほとんど演奏されることもありませんが、当時はモーツァルトと親交を結んでいたり、彼自身の作品がハイドン名義で知らぬ間に出版され大人気となっていたりと、なかなか人気者としての地位を築いていた人です。オペラ、交響曲、ピアノ協奏曲、室内楽、宗教曲など数多くの作品を出版し、晩年には自叙伝まで執筆するほどの知名度を誇ったのです。そんな彼の作品は、想像通りモーツァルト、ハイドンに似通ったものですが、時折シューベルトを先取りしているかのような先進的な部分も見えるなど、なんとも興味深い音楽です。
777772F
いとも賢明なる童貞ポーランドの宮廷における聖母マリアの礼拝音楽集
マルチン・ミエルチェフスキ(1600頃-1651):いとも賢明なる童貞
 陸と海のどちらも
 神の母(第2ヴァージョン)
 マリアを讃えて
 マリアの寝台の前に
 第1旋法のマニフィカト
アダム・ヤジェンプスキ(1590頃-1648):2声のコンチェルト第1.第2.第4番
 4声のコンツェルト第1番
 カンツォン第2番
 半音階
ミコワイ・ジェレンスキ(生没年不詳):アヴェ・マリア
 幸せへの道
 芸術を創り上げる人
 祝福された芸術
 おお、栄光の女性よ
ブレーメン・ヴェゼル=ルネサンス
マンフレッド・コルデス(指)
17世紀頃に発展したポーランド宮廷音楽。当時のこの地は、数多くの音楽家たちが行き来し、素晴らしい音楽文化が栄えていたのですが、現代ではほとんど聴く機会が持てないのは残念なことです。このアルバムでは、1638年からワルシャワの王室礼拝堂の音楽家を務め、1645年に当時の国王ヴワディスワフ4世の弟「カロル・フェルディナント・ヴァザ」の宮廷楽長に就任したというマルチン・ミエルチェフスキの作品を中心に、当時の素晴らしい音楽を聴くことができます。ヤジェンプスキはもう少し後に活躍したヴァイオリニスト、作曲家。彼の作品はポーランドのバロック音楽の最古のコレクションとされています。イタリアの様式を取り入れた作品を書きました。ジェレンスキはオルガニスト、作曲家。経歴などはほとんどわかりませんが、いくつかの宗教曲が残されています。これらの知られざる作品を、コルデス率いるブレーメン・ヴェゼル=ルネサンスの演奏で。心洗われるひと時をお約束いたします。
777774M
アルノルト・メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲集
弦楽四重奏曲ニ長調Op.67
弦楽四重奏曲変ロ長調Op.83
ラインホルトSQ
アルノルト・メンデルスゾーン(1855-1933)は、そのファミリーネームの通り、フェリックスの親戚にあたります(フェリックスの父親の弟の孫)。ボンでオルガニスト、聖歌隊で活躍し、その後はビーレフェルトの音楽監督を務め、教会音楽や宗教合唱曲を中心に、幅広いジャンルの作品を残しています。彼は後期ロマン派の潮流には懐疑的であり、どちらかというと「伝統を守る」主義を貫いたためか、その作品にはそれほど革新的な響きが用いられているわけではありません。この弦楽四重奏曲は彼の後期の作品ですが、暗い時代にも拘わらずロマンティックで洗練された様式に則った美しい音楽です。
777776F
ケルビーニ:カンタータ集
クリテムネストラ
ミラボーの死-3 つの合唱曲
キルケ/アンフィオン
マリ・ド・ヴィユトレイ(S)
ウルズラ・エッティンガー(Ms)
アンドレアス・カラシアク(T)
ケルン・アカデミー
ミヒャエル・アレクサンダー・ヴィレンズ(指)
1827年にベートーヴェンが没した時、彼を継ぐ作曲家として最も有力な存在と目されたのが、ルイジ・ケルビーニ(1760-1842)でした。彼は当時の最も優れたオペラ作曲家であり、彼が執筆した対位法の教則本はショパンやシューマンが用いたほどでした。しかし、その作品の素晴らしさとは裏腹に、大衆の人気を得ることはできず、数多くの歌劇も一時は劇場で上演されたものの、彼の死後はほとんど忘れられてしまい、その名声が復活するのは100 年以上の年月を待たなくてはいけなかったことは誰もが知る通りです。そんな彼、オペラだけでなく宗教音楽も数多く書きましたが、この盤に収録さrているのはもっと珍しいカンタータです。これらはギリシャ神話を題材にしながらも、当時の民衆たちの怒りや悲しみを丁寧になぞり、曲に反映させたもので、歌劇作曲家とはまた違うケルビーニを知ることができるのではないでしょうか。
777777M
プレイエル:弦楽四重奏曲集第3集
弦楽四重奏曲第1番Benton331
弦楽四重奏曲第2番Benton332
弦楽四重奏曲第3番Benton333
ケルン・プレイエルQ
プレイエル(1757-1831)の弦楽四重奏曲シリーズの第3集。ここでも彼の典雅な作風を心行くまで楽しむことができます。彼の生涯については、宮廷楽長を始め、ピアニスト、ピアノ制作会社、出版業者として、各々の分野で素晴らしい業績を挙げたことが知られていますが、その作品はかなり保守的であり、師であるハイドンの教えを忠実に守ったもので、また企業家として名を成してからは創作活動も下火になってしまったといいます。しかしながら弦楽四重奏曲だけでも70曲を数える彼の作品、もっと聞かれてもよいのではないでしょうか。
777778M(2CD)
ヨハン・ハインリヒ・ローレ:モテット集
1.Kommt her und schauet die Werke des Herrn/2.Der Friede Gottes/3.Jauchzet dem Herrn alle Welt/4.Danket dem Herrn und prediget seinen Namen/5.Kommt herzu!/6.Herr sey mir gnadig/7.Gott der Herr ist Sonn'und Schild/8.Kommt, lasset uns anbeten/9.Gott ist unsre Zuversicht/10.Der Herr ist Konig/11.Schaff'in mir Gott/12.Ehre des Herrn ist ewig/13.Freuen und frolich mussen seyn/14.Ich hebe meine Augen auf/15.Alles, was Odem hat/16.Der Herr behute dich/17.Ich danke dir, Gott, von ganzem Herzen/18.Thue ein Zeichen an mir/19.Danket dem Herrn/20.Mihi adhaerere Deo/21.Der Herr erhore dich in der Noth/22.Lobe den Herrn, meine Seele/23.Flieht ihr Bilder der nachtlichen Sorgen/24.Misericordias Domini/25.Der Herr ist mein Hirte/26.Es ist in keinem andern Heil/27.Gott sey uns gnadig/28.Meine Seele harrt auf dich/29.Wachet auf vom Schlaf/30.Unsere Seele harret auf den Herrn/31.Wohl dem, der sich des Durftigen annimmt
ミヒャエルシュタイン室内Cho
セバスティアン・ゲーリング(指)
ドイツのバロック時代の作曲家ローレ(1716-1785)。以前cpoレーベルからはクリスマス・オラトリオがリリースされていますし、Capriccioレーベルからはオペラ作品もリリースされるなど、ドイツ周辺では良く知られた作曲家です。彼の熱心なファンはイギリスの音楽学者チャールズ・バーニーを筆頭に、世界中に数少なからず存在しますが、日本ではほとんど知られることのない人なのが残念なところです。彼のこのモテットは、どの曲もエレガントで美しく、豊富な内容を持っています。教会音楽としてだけでなく、普通に聴いているだけで幸せな気分になれるこのアルバムは、ローレの知名度をあげるために貢献してくれるのではないでしょうか。
777780M
作者不詳の6つの協奏曲集〜ドレスデン・ザクセン州立図書館の“第2書庫”の音楽コレクションから(Mus.2-Q21)
協奏曲第1番:フルート,ヴァイオリン,チェロと通奏低音のための
協奏曲第2番:フルート,ヴァイオリン,チェロと通奏低音のための
協奏曲第3番:フルート,ヴァイオリン,チェロと通奏低音のための
協奏曲第5番:フルート,ヴァイオリン,チェロと通奏低音のための
協奏曲第6番:フルート,ヴァイオリン、チェロと通奏低音のための
協奏曲第7番:2台のハープシコードのための(ドレスデン版)
ケティル・ハウグザンド(ハープシコード)
ルドガー・レミー(ハープシコード)
レザミ・ド・フィリッペ
ルドガー・レミー(Org&指)
18世紀のドレスデンには当時最高とされていたドレスデン宮廷楽団がありました。ドレスデン・ザクセン州立図書館に保存されている膨大な資料の中には、恐らくこの楽団のために書かれたであろう1800を越える写本のスコアがありますが、ほとんどは作曲家の名前が記されておらず、現在でもわからないままです。このアルバムに収録された6つの協奏曲も、いくつかの作品はテレマンのものだろうと推測されますが、証拠は全くありません。しかしながら、本当に良い作品であれば作曲者の名前などないのかもしれません。演奏しているのは、バロックの名手ルドガー・レミー率いるレザミ・ド・フィリッペ。知られざる作品を発見する喜びをお届けいたします。
777781F
ヨハン・ミヒャエル・ハイドン:管楽のための協奏曲全集第1集
クラリネット協奏曲イ長調(セレナードMH68から)
ホルン協奏曲ニ長調(セレナードMH134から)
トロンボーン協奏曲(セレナードMH68から)
フルート協奏曲ニ長調(MH105)
トランペット協奏曲ニ長調(セレナードMH104から)
リンデ・ブリュマイル=ルッツ(Fl)
エルンスト・シュレーダー(Cl)
ヨハネス・ヒンターホルツァ
ー(Hrn)
フランツ・ランドリンガー(Tp)
ノルベルト・ザルベンモーザー(Tb)
ザルツブルガー・ホフムジーク
ヴォルフガンク・ブルンナー(指)
ヨーゼフ・ハイドンの5歳年下の弟であるミヒャエル・ハイドン(1737-1806)の作品集です。ザルツブルクの大司教の宮廷楽団の楽長を務め、また聖三位一体教会や大聖堂のオルガニストを務めるなど、素晴らしい功績を残したにも拘わらず、偉大な兄の影に隠れてしまい忘れられてしまった残念な人でもあります。典型的な古典派の作曲家であり、またモーツァルト父子と親しい間柄でもあったミヒャエルの作品は、確かに兄のような精緻さや、モーツァルトのような天才的な閃きには乏しいものの、至るところに喜びが横溢する集中力に持ちた素晴らしいものなのです。最近になっていくつかの作品は復興を遂げていますが、このcpoのシリーズはまた違ったM.ハイドンの魅了を開発するもの。古典派の解釈にかけては一流であるブルンナーの確固たる演奏は、忘れられた作曲家の魂を現世に呼び戻してくれそうです。
777782F
ドレスデンの栄光
ジュセッペ・ブレスキアネッロ(1690頃-1758):シンフォニア.ニ長調
ヨハン・ゲオルク・ピセンデル(1687-1755):ソナタ.ハ短調
ハッセ(1699-1783):デモフォンテへのシンフォニア.ニ長調
ファッシュ(1688-1758):序曲組曲ヘ長調
カルダーラ(1670頃-1736):シンフォニア.ハ長調
サンマルティーニ(1700/01-1775):メメットへのシンフォニア.イ長調
ヘンデル:機会オラトリオのための序曲ニ長調
ドレスデン・バロックO
1711年から1728年にこの地を統治したフリードリヒ・アウグスト1世のおかげで、ドレスデンは華々しく発展しました。町には宮殿を始め、多くの建物が建ち、人々が集まり文化の花が開いたのです。もちろん多くの音楽家たちもこの地に住み、数多くの作品が生まれたのです。ドレスデン・バロックOは1991年、ドレスデンの音楽大学の卒業生によって結成された団体であり、ドレスデンの忘れられた作品の上演に力を尽くしています。このアルバムでもヘンデルを別として、各々の作曲家の名前は存分に知られているとは言い難いものばかり。しかし改めて聞いてみると、その新鮮な音楽には感服せざるを得ないのではないでしょうか。
777785D01(2CD)
ロベルト・カーン:ヴァイオリンとピアノのための作品集
ヴァイオリン・ソナタ第2番イ短調Op.26
5つの音の映像Op.36
古い歌による変奏曲Op.80
2つのヴァイオリンのための小品Op
ヴァイオリン・ソナタ第1番ト短調Op.5
ヴァイオリン・ソナタ第3番ホ長調Op.50
組曲ニ短調Op.69
2つの小品
エリーナ・ヴァハラ(Vn)
オリヴァー・トリエンドル(P)
リヒャルト・シュトラウスと同時期に活躍しながらも、その作風はかなり穏健であるとされるマンハイム生まれの作曲家、ロベルト・カーン(1865-1951)。確かにここに収録された作品はどれも調性がしっかりと感じられ、時にはブラームス風の端正さをも備えています。しかし、カーンはユダヤの血を引いていたため「退廃音楽である」とナチスによって作曲活動を禁じられてしまいます。そこで、1938年にイギリスに移住し、この地で数多くの作品を生み出すこととなります。そんな彼の作品のほとんどは出版されることもなく忘れられていましたが、最近になってようやく少しずつ復興の兆しが見えてきました。このヴァイオリン・ソナタも自筆稿からそのまま演奏されるなど、まだまだ出版、研究の余地のある作曲家、まずはこの2枚組を聞いてみてください。
777786B(3CD)
フェリクス・ドレーゼケ:交響曲全集
《CD1…999746》
交響曲第1番Op.12/交響曲第4番Wo038
歌劇「グートルン」序曲
《CD2…999719》
交響曲第2番Op.25/セレナーデOp.49
《CD3…999581》
交響曲第3番「悲劇的交響曲」Op.40
葬送行進曲Op.79
イェルク=ペーター・ヴァイグレ(指)
ハノーファー北ドイツ放送PO
1835年生まれのドレーゼケは、リストやワーグナーの影響を強く受けた新ドイツ楽派の作曲家。幼い頃から音楽的才能を発揮し音楽家になることを決意します。1852年にヴァイマールで「ローエングリン」を聴いた彼は、すっかりその音楽に傾倒。以来、重厚な作風で数多くの作品を作曲します。彼のピアノ・ソナタは、リストから「ベートーヴェン以降の最も重要なソナタ」とまで絶賛されたほどですが、聴衆からはあまり理解されず、彼の死後は忘却の彼方へと押し流されてしまったのです。この3枚組のアルバムは、そんなドレーゼケ(1835-1913)を再興するにふさわしいもの。随所にみられる見事な対位法や、精緻な管弦楽法は、ブラームスやワーグナー好きだったら避けては通れない音楽と言えるのではないでしょうか。
777787F
ブルックナー:交響曲第9番(3楽章:1894年版) マリオ・ベンツァーゴ(指)ベルリンSO
おなじみベンツァーゴのブルックナー・シリーズ。この第9番では極めて正統派のアプローチを試みることで、彼におけるブルックナー像を描き出してみせています。他の曲のように挑発的な解釈を試みることもせず、ベルリン交響楽団から素直な音楽を引き出しています。ブルックナー(1824-1896)における神の意志、そして宇宙観。これらに激しく共感しているであろうベンツァーゴの喜びさえもが伝わる素晴らしい演奏です。
777788F(2CD)
レハール:喜歌劇「ルクセンブルク伯爵」 マルコ・ヴァッサーリ(Br)
マーク・ハーマン(語り)
ダニエル・ヴァグナー(T)
アストリッド・ケスラー(S)
マリア=クリスティーネ・ハッセ(S)他
オスナブリュック劇場Cho
オスナブリュックSO
ダニエル・インバル(指)
1909年に初演されたレハール(1870-1948)の「ルクセンブルク伯爵」は、没落貴族ルネを主人公にしたちょっと物悲しいお話です。しがないオペラ歌手アンジェールを見初めたバジール侯爵は、彼女を貴族の身分にするために「彼女をルネと一時期だけ結婚させて3ヵ月後に離婚させる」という方式を考えます。報酬に釣られてその話に乗ったルネですが、お約束のように、アンジェールのことを好きになってしまいます。さあ、このお話をハッピーエンドにするためには、かなりの無理が必要ですが・・・それをやり遂げてしまえるのがレハールの音楽の素晴らしさです。しかし、レハール自身もこういう強引なハッピーエンドは好きでなかったらしく、その後は少しずつ作風を変化させ、オペレッタといえども悲劇で終わるという、新しい路線を切り開いて行くのです。さて、どちらがお好きですか?ここで指揮をしているのは、あのエリアフ・インバルの息子ダニエル。オスナブリュックSOから濃密な響きを紡ぎだしています。
777789F(3CD)
ヘルツォーゲンベルク夫妻のピアノ作品全集
ハインリッヒ・フォン・ヘルツォーゲンベルク(1843-1900):5 つの小品Op.25
5 つの小品Op.37
4 つの幻想小曲集Op.4
ドン・ファンの主題による変奏曲Op.8
幻想的舞曲Op.9/ロマンスOp.6
6 つの小さな性格的小品 Op.5
奇想曲Op.107/アクロスティシャOp.7
ほとんど幻想的なソナタWo0.13
12 の小さな練習曲 Op.68
ピアノのための小品Op.49
変奏曲Op.3
エリザベート・フォン・ヘルツォーゲンベルク(1847-1892):8 つの小さな小品
ナターシャ・ヴェリコヴィッチ(P)
cpo レーベルが力を注いでいる作曲家の一人に、ブラームスの友人であったヘルツォーゲンベルクがいます。これまでも室内楽や管弦楽作品、または歌曲などのアルバムで、この作曲家の知られざる扉を開いて来たのですが、今回は彼のピアノ曲全曲と、やはり優れたピアニストであった彼の愛妻エリザベートが書いたピアノ曲を併せて収録するという、愛好家には嬉しい3枚組となっています。ヘルツォーゲンベルクの作品はブラームスに酷似していると言われていた時期もありますが、このピアノ曲を聴いて見ると、それは明らかな間違いであり、彼独自の語法がきちんと確立されていたことを知ることができるのではないでしょうか。これらの曲から類い稀なるロマンティシズムを抽出したヴェリコヴィッチの演奏にも称賛を送ります。
777790M
ジャック=マルティン・オトテール:室内楽作品集第1集
フルートとその他の楽器,通奏低音のための小品集Op.2(初版)
組曲第1番-第5番
カメラータ・ケルン
フランスでバロック音楽が最も栄えた時代、優れたフルーティストとして活躍したオトテール(1674-1763)。もともとパリの管楽器職人の家庭に生まれた彼、フルートの大家になるべくしてなったような人でもありました。ローマにも長く滞在したことから「ローマのオトテール」とも呼ばれています。これは彼の家系に音楽家が多かったため、区別するためでもありました。彼は当時のフルート演奏の可能性を押し広げ、楽器にもさまざまな改良を加えたことでも知られ、これらは現代にもしっかり受け継がれています。このOp.2の小品集は1708年にパリで出版されましたが、後の1715年に改訂され、リコーダーでも演奏できるようになっています。どの曲も美しく、また軽やかで当時の趣味を映し出すものばかりです。今後カメラータ・ケルンはオトテールの全作品の録音を計画、4枚のCDとなる予定です。
777791F(2CD)
ロベルト・カーン:ピアノ三重奏曲全集
ピアノ三重奏曲第1番ホ長調Op.19
ピアノ三重奏曲第2番変ホ長調Op.33
ピアノ三重奏曲第3番ハ短調
Op.35
ピアノ三重奏曲第4番ホ短調Op.72
ハイペリオン三重奏団
1865年、マンハイム生まれの作曲家ロベルト・カーン(1865-1951)のピアノ三重奏曲です。現在では名前すらも残っていない人ですが、若い頃には、晩年のブラームスに高く評価されたこともあり、彼はその幸福な気持ちをずっと持ち続けていたと言います。しかし内向的な性格であったため、その事はずっと隠していて、自身を語る時には「ベルリンでフリードリヒ・カイルに学び、ミュンヘンでヨーゼフ・ラインベルガーに学び作曲家となった」と言っていたそうで、あまりにも幸福だったブラームスとの出会いについては、ついぞ語ることはなかったのだそうです。そんなカーン、1894年にベルリン・ロイヤルアカデミーの教授職に就き後進の指導にあたっていましたが、ナチスの台頭に伴い1934年にイギリスに亡命、そこで生涯を終えることになりました。彼の生徒にはヴィルヘルム・ケンプ、フェルディナンド・ライトナー、アルトゥール・ルービンシュタインなどがおり、どれほど優秀な教師であったかも理解できます。そんな彼のピアノ三重奏曲は、どれも1918年までに書かれており、わかりやすく簡潔な書式を保ったものです。
777793F(2CD)
タネーエフ:室内楽曲集
ピアノ五重奏曲ト短調Op.30
ピアノ四重奏曲ホ長調Op.20
ピアノ三重奏曲ニ長調Op.22
アンナ・ザッシモワ(P)
アルブレヒト・ブロイニンガー(Vn)
シュテファン・クラツナリック(Vn)
ユリエン・ハイヒェルベック(Va)
ベルンハルト・レールヒャー(Vc)
「対位法の大家」と言われるロシアの作曲家タネーエフ(1856-1915)。モスクワ音楽院でニコライ・ルビンシテインにピアノ、作曲をチャイコフスキーに学んだ彼は、ピアニストとしても作曲家としても優れた才能を発揮し、各地で活躍しました。1878年にはモスクワ音楽院の和声、楽器法の教授を務め、1881年にはピアノ科の教授、そして1885年からは4年間院長職にあるなど、教師としても業績を残しています。対位法については幾冊かの著書もあり、またチャイコフスキーの未完の作品を補筆するなど、後世に及ぼした影響も大きな人でした。このアルバムには彼のピアノを含む3曲の室内楽作品が収録されています。どの曲も演奏時間40分を超える大作であり、彼の持ち味が最大限生かされた、ロシアの哀愁漂う美しいメロディが満載の聴きごたえある作品です。
777794F
カール・ハインリヒ・グラウン:復活祭オラトリオ(GraunWVBv:IX21,20,16,10) ニーナ・コウトヒリストウ(S)
ダグマール・サスコワ(S)
ヤン・コボウ(T)
アンドレアス・ヴォルフ(Bs-Br)
ケルン・アカデミー
ミヒャエル・アレクサンダー・ヴィレンズ(指)
日本ではあまり知名度が高いとは言えませんが、海外ではとても高く評価され、最近その復興の気概が高まっているカール・ハインリヒ・グラウン(1704-1759兄ヨハン・ゴットリープも同じく作曲家)の知られざるオラトリオです。cpoでは以前から彼の作品をいくつかリリースしており、そのどれもが、この作曲家の真意を伝えるにふさわしい見事なものとして認知されています。この4曲のカンタータからなる「復活祭オラトリオ」もすっかり忘れられていた作品ですが、どれもがバッハのカンタータとの親和性を持ち、精密なメロディと複雑な対位法を駆使した素晴らしい出来栄えです。まさに壮大な発見であり、ここでもケルン・アカデミーとヴィレンズの巧みな演奏が光っています。
777795F
レオ・ファル:喜歌劇「マダム・ポンパドゥール」 アネッテ・ダッシュ(S)
ハインツ・ツェドニク(T)
ミルコ・ラシュコフスキ(Br)
エルヴィラ・ゾウコプ(Ms)
ベアテ・リッター(S)
ボリス・プフェイハー(語り)
ゲルハルト・エルンスト(語り)
ヴォルフガンク・グラチュマイアー(T)
ウィーン・フォルクスオーパーO&cho
アンドレアス・シューラー(指)
ご存知、ルイ15 世の愛妾としてその名を轟かせたポンパドゥール夫人。彼女は平民(銀行家)の娘として生まれ、徴税請負人デティオールと結婚するも、その才気煥発な性格と美貌で、超一流サロンに出入りし、ついにはルイ15 世の目に留まり“Maitresse royale(公妾)”の地位を得るまでに至ります。そんな彼女をモデルにしたこのオペレッタ。主役を務めるのは、幾多のモーツァルトのオペラでの名唱で知られるアネッテ・ダッシュ。現在ドイツのトップ・ソプラノであり、存在感と美貌でも注目されている人。舞台では、かなり妖艶な姿で観客もろとも魅了したということですが、ここは音だけで想像力をかき立てていただけますように。
777797F
リスト:ハンガリー狂詩曲第1番〜第6番(F.ドップラーによる管弦楽版) マルティン・ハーゼルベック(指)
ウィーン・アカデミーO
リストの代表作ともいえる、この「ハンガリー狂詩曲」は本来ピアノ独奏のために書かれました。例の如く超絶技巧を駆使し、ハンガリー古来の民謡(これはリストがそう思ったもの)をふんだんに使った華やかな音楽は、確かに聴衆の心をつかみました。作曲家フランツ・ドップラーも魅了された一人で、彼はこれらの曲のいくつかを管弦楽版に編曲(番号は必ずしも原曲とは一致していない)、一層華麗な音楽に生まれ変わらせたのです。この録音は、2011年リスト生誕200年記念のプロジェクトとして行われた「19世紀のピリオド楽器オーケストラをハーゼルベックが指揮し、リストの管弦楽全曲を7回に分けて演奏する」というシリーズの中の一公演で、この形はワイマール初演でもありました。
777779
NX-B02
イグナーツ・プレイエル(1757-1831):プロイセン四重奏曲集 第10-12番
弦楽四重奏曲 ト長調 Ben 340
弦楽四重奏曲 ハ短調 Ben 341
弦楽四重奏曲 ニ長調 Ben 342
ケルン・プレイエルQ【インゲボルク・シェーラー(Vn1)、シュテファニー・イルガンク(Vn2)、アンドレアス・ゲルハルドゥス(Va)、ニコラス・セロ(Vc)】

録音:2019年8月27-29日ドイツ放送、ケルン室内楽ホール(ドイツ)
ヴァンハルにピアノを学び、ハイドンに師事、ピアニストとして各地で活躍、パリに定住してからはピアノ製造会 社を設立し、プレイエル・ピアノの名を世界に広めた偉大なる作曲家の別の側面が味わえます。 1780年代初頭のイタリアに住んでいた頃から弦楽四重奏曲を書き始めたプレイエルが、彼が1786年にこ れら12曲をを完成させた時には、すでにこのジャンルの作曲家として多くの経験を積んでおり、充実した作 風を持つ音楽は、モーツァルトをはじめ、数えきれないほどのファンをもたらしました。 イタリア風の明快さと、ウィーン風の優雅さを持つ一連の四重奏曲を、作曲家の名を冠したケルン・プレイエ ル四重奏団の演奏でお楽しみください。
777799M
「再びおいで!」〜ダウランドの旅-ジョン・ダウランドと同世代の作曲家の音楽&レセプション
<作曲家>ジョン・ダウランド/サムエル・シャイト/ルイ・デ・マイス/ウィリアム・ブレード/オルランド・ラッスス/ヨハン・ソマー/ヨハン・ショップ/ヨハン・リスト/ガブリエル・フォークトレンダー/メルヒオール・ボルヒグレヴィンク/ヤコブ・プレトリウス/D.J.&ミヒャエル・プレトリウス
ヤン・コボウ(T)
ハンブルガー・ラッツムジーク
シモーネ・エッケルト(指)
1600年頃のヨーロッパにおいて、最も影響力の高い作曲家の一人であったジョン・ダウランド。彼は英国の宮廷リュート奏者の職を望むも、カトリック教徒であったためイングランド国教会から受け入れられず、しかたなく海外に出ることにしたのです。ニュルンベルク、ヴェネツィア、フィレンツェ、デンマークなど各地を遍歴し、その際知り合った地元の作曲家たちと交流し強い影響を与えたのでしょう。このアルバムには、そんな当時の「ダウランドの友人たち」の音楽を交え、この時代の音楽を楽しめるような工夫が凝らされています。ヤン・コボウの美しいテノールが時を超えた旅へと聴き手を誘います。
777800M
ワーグナー:ピアノ・ソナタと歌曲集
ピアノ・ソナタイ長調Op.4WWV26
ゲーテのファウストのための7つの歌Op.5WWV15
ピアノ・ソナタ変ロ長調Op.1WWV21
トビアス・コッホ(P&指)
マウロ・ペーター(T)
ペーター・シェーネ(Bs)
ミュンヘン音楽・演劇大学マドリガル・ダブル=カルテット男声Cho
2013年はワーグナーの生誕200年の記念年であり、多くのレーベルからワーグナーの知られざる作品がリリースされ、今までとは違ったイメージが付け加えられるようになってきました。このアルバムもそんな1枚であり、あまり聴く機会のない2つのピアノ・ソナタと、これまた珍しい「ゲーテのファウストのための7つの歌」を収録しています。Op.1のソナタは1831年、Op.4のソナタは1832年の作品であり、ベートーヴェンなど先人の影響が強く感じられますが、そこはワーグナー。1年間の成長は著しかったようで、この2曲をほんの少し聞き比べただけでも、その違いは即座にわかるのではないでしょうか。「ファウストのための7つの歌」も同時期の作品で、彼がずっと念頭に置いていた“ファウストの物語”が美しいカンタータとして成就したものです。やはりベートーヴェンの香りも漂っていますが、時にはっとするほどワーグナー風味の音楽が出現。この驚きは新鮮な感動を齎すことでしょう。
777801F
アウグスティン・フレガー:世俗,宗教的カンタータ集〜ゴットルフ宮殿のための音楽第1集
聖霊降臨の時来る(第1のペンテコステの日)
愛の精神に目をむけよ(第2のペンテコステの日)
誉めたたえよ(詩編112番)
私は喜ぶ(詩編121番)
神を讃えよ(詩編116番)
患難に呼び出され(受難のコンチェルト)
私を憐れんで(4.三位一体の日曜日)
本日は天上の神の日(20.三位一体の日曜日)
神は王国を建てられた(5.公現祭の日曜日)
バビロンの川により(詩編136番)
万軍の主はわれらとともに(詩編45番)
私はよき羊飼い(神の憐みの日曜日)
マンフレッド・コルデス(指)
ブレーメン・ヴェゼル=ルネサンス
デンマーク国境に近い、ドイツ、シュレスヴィヒにあるゴットルフ宮殿は、その瀟洒な美しさと豊富な歴史的所蔵物で知られています。1500年頃には有名な「ゴットルフ蔵書」が収納され、1595年には美しいホールである「大鹿の間」も完成、同じ時期には礼拝堂やオルガンも建立されています。cpoの新シリーズはこの宮殿のために書かれた音楽に焦点をあて、これらをお馴染みのコルデスとブレーメン・ヴェゼル=ルネサンスの完璧なアンサンブルで聴くというものです。フレガー(1635-1686)は宮殿のカペルマイスターを務めた人で、当時の代表的な音楽家の一人でした。当時の流行はイタリアから齎されたため、彼も作曲する際にこれらの形式を模範としていたことは間違いなく、ここでも、アリアとレチタティーヴォをうまく組み合わせながら聖書の世界を歌い上げるという独自の作品が生み出されています。
777802F
ヒンデミット:クリスマスの児童劇「トゥティフェントヒェン」 ベラ・クムバーガー(S)
ヘルマン・ヴァレン(Br)
ノラ・レントナー(S)
マティアス・シュタイアー(T)
アンニカ・シュリヒト(Ms)
セバスティアン・ブルース(Bs-Br)
ベルリン放送児童Cho
ヨハネス・ズール(指)
ベルリン=ドイツSO
なんとなく難しいイメージのあるヒンデミット(1898-1963)の音楽ですが、彼はこんなに楽しい音楽も書いていました。突然動き出した「木彫りの人形」を巡っての奇跡のストーリーであり、直接クリスマスと関係しているわけではありませんが、ヒンデミットは2曲のクリスマスソングを挿入するなどして、クリスマスに子どもたちが演じるにふさわしい劇として作り上げられています。音楽は室内管弦楽と歌手(役者)たちのために書かれていますが、これまでの録音は管弦楽による組曲がリリースされていたのみ。この全曲録音で、この作品の全容を知ることが可能になりました。
777803M
ローレンツ・クリストフ・ミツラー:20の歌曲と頌歌集
Dass die Freiheit besser sei, als wenn man sich verliebt〜あなたが恋におちる時
Die Zufriedenheit〜満足
Die unglueckliCHE-Liebe〜不運な恋
Von der Selbstzufriedenheit〜自己満足
Das Lob der edlen Freiheit〜高貴なる自由の称賛
Als er im Lieben vorsichtig sein wollte〜彼は慎重に愛したかった
Soldatenlied〜兵士の歌
Lob der Musik〜音楽の賛美
Kurzer Begriff eines glueckseligen Lebens〜短くも祝福された人生の運
Die Gelassenheit〜静けさ
Die Mittelmaesigkeit〜中庸
Die Bildhauerkunst〜彫刻
Ein guter Freund, das beste Vergnuegen〜良き友、最高の喜び
Schweigen und Hoffen〜静寂と希望
15.Die verworfen Liebe〜失恋
An Margis〜マルギス
An Coelestinen〜コエレスティヌム
An Florabellen〜樹皮
Als er sich endlich wagte〜彼はいつの日か
Als er das,
was er liebte〜ときに、彼は愛したのか
クラウス・メルテンス(Br)
シビラ・ルーベンス(S)
ルドルフ・ルッツ(ハープシコード)
マヤ・アムライン(Vc)
ローレンツ・クリストフ・ミツラー(1711-1778)はバッハの弟子であり、ライプツィヒ大学の教授でもあり、また数学者としても高名な才人でした。1738年に音楽学術交流協会を設立し当時の著名な作曲家たちが次々入会し、(テレマン、ヘンデルも入会、バッハも14番目の会員となった)、1年に一度、音楽を理論的に考察するなどの活動を行っていました。その後はエアフルト大学で医学を学び、ワルシャワで宮廷医となるなど異色の経歴を持っています。そんなミツラー、様々な活動は知られているのですが、実際の音楽はほとんど演奏される機会を持っていません。今回のリリースは、バイエルン放送との共同制作であり、これらの曲の楽譜の出版も予定されるなど、この多才な人物を再評価する足掛かりとなることは間違いありません。
777804M
ヴァインベルク:室内楽作品集
ヴァイオリン,チェロとピアノのための三重奏曲Op.24
ヴァイオリンとピアノのためのソナチネOp.46
独奏コントラバスのためのソナタOp.108
エリザヴェータ・ブルーミナ(ピアノ&芸術監督)
コーリャ・ブラッハー(Vn)
エレツ・オファー(Vn)
ヨハネス・モーザー(Vc)
ネイビル・シャハタ(Cb)
いくつかのレーベルで、その作品のリリースが進行しているポーランド生まれ、ロシアで活躍した作曲家ヴァインベルク(1919-1996)。このアルバムは、ロシア音楽を深く愛する研究者&ピアニスト、ブルーミナの素晴らしい解釈による3つの作品が収録されています。名手ブラッハーを始めとした彼女を取り巻く仲間たちの演奏からは、初期から中期にかけて書かれたこれらの作品の成熟の度合いと作風の変化をたやすく聞き取ることができるでしょう。先人や同時代の作曲家たちの影響をうまく取り入れながら、そこに民俗的な味付けを施し、独自の作風を作り上げたヴァインベルク。もっとたくさんの人に聴いていただきたい作曲家です。
777805F(2CD)
チレア:歌劇「アルルの女」 ジュゼッペ・フィリアノーティ(T)
イアノ・タマル(Ms)
ミレーラ・ブノアイア(Ms)
リ・キョンウン(S)、リ・ジンセク(Bs)他
フライブルク劇場Cho&児童Cho
カメラータ・ヴォカーレ・フライブルク
フライブルクPO
ファブリス・ボロン(指)
農園の女主人ローザの息子フェデリコ。彼はアルルから来たという女性に首ったけです。そんなフェデリコを一人思う幼馴染の少女ヴィヴィエッタ。一度はヴィヴィエタの思いに応えようとするフェデリコですが、結局は「アルルの女」をあきらめることができず、命を落とすというお話です。ビゼーの名作「アルルの女」と同じドーデの「風車小屋より」を原作とするこの歌劇。全曲が演奏されることはあまりなく、現在では、2幕で歌われるテノールの悲痛なアリア「フェデリコの嘆き」のみが知られています。この演奏は若きテノール、フィリアノーティを中心とし、チレア(1866-1950)の美しいメロディを存分に生かしたた活きのよいものとなっています。
777806F(2CD)
ジュゼッペ・アントニオ・ブレシャネッロ:歌劇「ティスベ」3幕 ニナ・ベルンスタイナー(S)
フラヴィオ・フェッリ=ベネデッティ(A
ユリウス・プファイファー(T)
マッテオ・ベロット(Bs)
イル・ジュスト・バロッコ=シュトゥットガルト・バロックオーケストラ
イェルク・ハルベック(指&Cemb)

録音:2012年9月30日.10月1.2日シュトゥットガルトリーデンハルフェ,モーツァルトザールライブ
ボローニャ出身の作曲家、ヴァイオリニスト、ブレシャネッロ(1690-1758)の名前は、1715年にミュンヘンのバイエルン選帝侯、宮廷楽団のヴァイオリニストになったことで知られています。その翌年、クリストフ・ペツの死去により彼が仕えていたシュトゥトガルトのヴュルテンベルク公の宮廷楽団の上級カペルマイスターに任命されますが、当時隆盛を誇っていたラインハルト・カイザーがその地位を望んだため、熾烈な権力闘争が行われたといいます。結局、ブレシャネッロがこの地位をつかんだのですが、15年ほど経過した後、残念なことに財政難のため、スタッフは解雇され、もちろんブレシャネッロもその例に漏れず、それ以降は作曲家として活躍しました。このオペラは、そんなヴュルテンベルク公に仕えはじめた頃の作品で、当時人気があった物語に基づいた壮大な内容を持ったものです。この時代は優れたカストラートが活躍しており、この作品もそんなカストラートの技巧を存分に引き出すための、見事なコロラトゥーラの技術が使われていますが、現在ではアルト歌手が代わりに歌い上げています。この世界初録音のために、ヴュルテンベルク州立図書館に保存されていたスコアを用い、素晴らしい演奏で作品を甦らせています。
777808-2F(2CD)
テレマン:1732年、マティアス&マリア・カテリーナ・ムッツェンバッカーの金婚式を祝す「結婚オラトリオ」集
オラトリオ「主なる神よ、私たちはあなたを称賛する」TVWV11:15a/b
セレナータ「おお、崇高なる結婚の運」TVWV 11:15c
ハンナー・モリソン(S)
マーゴット・オイツィンガー(Ms)
マルクス・シェーファー(T)
インモ・シュレーダー(T)
マティアス・フィーヴェッグ(Br)
クリストス・ペレカノス(Bs)
ダス・クライネ・コンツェルト
ヘルマン・マックス(指)
テレマンの壮大なる結婚式の音楽です。ここで祝されているマティアス・ムッツェンバッカーは1653年にキールで生まれた商人であり、ハンブルクの上院議員として活躍していた人です。1732年には彼の金婚式が盛大に祝われ、当時ハンブルク市の音楽監督を務めていたテレマンは、そのための音楽を書いたのでした。当時の平均寿命を考慮すると、金婚式のお祝いというのはとても稀なものであり、テレマンはこの式のために崇高で華々しい音楽を用意したのです。陽気で格調高い作品は、知られざるテレマンの姿を克明に映し出します。
777809F
ヨハン・ヴィルヘルム・ヘルテル:クリスマス・オラトリオ「イエス・キリストの誕生」 ベリト・ノルバッケン・ゾルセット(S)
アレクザンドラ・ラヴォール(Ms)
マルクス・ウルマン(T)
ヴォルフ=マティアス・フリードリヒ(Br)
ケルン・アカデミー
ミヒャエル・アレクサンダー・ヴィレンズ(指)
ドイツの音楽一家に生まれたヨハン・ヴィルヘルム・ヘルテル(1727-1789)。彼の祖父はエッティンゲン侯の宮廷楽長であり、父はザクセン=アイゼナハ公国の宮廷楽団の楽士長を務める傍ら、優れたヴィオラ・ダ・ガンバ奏者として演奏旅行を行ったことで知られています。その息子クリスティアン・ヘルテルも作曲家になり、このオラトリオは1778年から1778年の間に、フリードリヒ・フォン・メックレンブルク=シュヴェリン公の宮廷で演奏するために作曲されたものです。壮麗かつ表現力の高い冒頭の合唱とともに、降誕祭でおなじみのコラールを随所に用いながら、伝統的な牧歌と劇的な部分の対比も見事な大作を、ヴィレンズ率いるケルン・アカデミーが文句ない演奏で現代に蘇らせました。迫力ある音楽です。
777811M
Tambalagumba〜ラテン・アメリカのアーリー・ワールド・ミュージック
パティッラ、フローレス、リエナス、フェルナンデス他作者不詳の音楽/メキシコ、ボリビア、ペルー、チリ、ブラジル、グアテマラとコロンピアの作曲家たち
アンサンブル・ビジャンシーコ
ペーター・ポントヴィク(指)
スウェーデンのアンサンブルによる、珍しい「ラテン・アメリカ」のバロック音楽集です。無論フランスやドイツのように厳格な潮流があるのではなく、あくまでも現在でいう「ワールドミュージック」との境界線にある音楽ですが、基本はキリストの到来と舞曲、そして歌。大陸を巡りながら変遷していく音楽の流れが想起できる魅惑的なアルバムです。
777813F
フェリックス・ワインガルトナー:歌劇「寺子屋」 サイモン・パウリー(Br)/クレメンス・ビーダー(T)/フィオヌアーラ・マッカルティ(S)/ヤーナ・クルコーヴァ(Ms)/カトリーン・レヴェク(S)/ステファン・ブロンク(Bs-Br)/エレナ・ツィドコーヴァ(Ms)/フルカー・サビロ(T)
ベルリン・ドイツ・オペラO
ジャック・ラコンブ(指)
優れた指揮者として後世に名を遺すフェリックス・ワインガルトナー(1863-1942)。彼がまた優れた作曲家であったことは、ベートーヴェンの「ハンマークラヴィーア」のオーケストラ版などを始めとした一連の編曲物で明らかになっています。最近ではcpoレーベルからの交響曲、管弦楽曲のリリースで一層評価が高まってはいますが、今回のオペラ「寺子屋」は、これまたレアな作品であり、この「作曲家」の知られざる才能をじっくり堪能することができるものです。このオペラの題材は、オルフの「犠牲」と同じく、歌舞伎の「菅原伝授手習鑑」から取られているもので、宮仕えのためとは言え、自分の実子を犠牲にしてしまった夫婦の悲哀を描いたもの。オルフの作品と同じくエキゾチックな雰囲気が漂う巧みなオペラとなっています。
777814M
アウリス・サッリネン:室内楽作品集
チェロ・ソナタOp.86(2004)
白鳥の歌からOp.67(1990-1991)
ピアノ三重奏曲Op.96(2009-2010)
エリーナ・ヴァハラ(Vn)
アルト・ノラス(Vc)
ラルフ・ゴトーニ(P)
アリウス・サッリネン(1935-)はフィンランドの作曲家です。彼の作品は現代にあっても、調性感を失うことなく、抒情性を追求しながら新しいセンスを盛り込んだもので、不思議な親しみやすさがあるものです。彼は特にチェロの音色を愛していて、室内楽作品には、かなりの割合でチェロの音色が使われています。このアルバムの3つの作品もチェロが含まれており、彼のチェロに対する思いが伝わるのではないでしょうか。ここでキーとなるチェロを演奏しているのは名手アルト・ノラス。時には優しく、時には劇的にサッリネンの世界を表現しています。
777815F(2CD)
ミレッカー(1842-1899):喜歌劇「ガスパローネ」 ナゾーニ…ゲルハルト・エルンスト(ヴォーカル)/市長の息子…ローマン・マルティン(ヴォーカル)/カルロッタ…ミリアン・ポートマン(S)/エルミニオ…トーマス・ツィステラー(Br)他
ガードイシュル・レハール祝祭Cho
フランツ・レハールO
マリウス・ブルケルト(指)

録音:2013年8月19-21日バートイシュル
1920年代のシチリアのパレルモで繰り広げられる物語。お金持ちの未亡人カルロッタに目をつけたナゾーニ市長、自らの息子を彼女に紹介します。もちろんカルロッタには財産目当てであることなどお見通し。そこに現れた一人の異邦人。彼は「私は大盗賊ガスパローネ」として追われていると告白します。そこでカルロッタの財産は、そのガスパローネが盗んだことにしてしまおうと計画。一文無しになってしまった(ことになった)カルロッタ。当然ナゾーニ市長は結婚を取りやめますが、実はその異邦人は身分の高い伯爵であり「ガスパローネ」などという盗賊は存在しませんでした。カルロッタと伯爵は見事にゴールインするというお話です。よくある「未亡人の財産を狙う吝嗇家」ですが、よくこなれた上に、魅惑的なメロディが頻出する楽しく美しい作品です。姿すらみたことのない盗賊を巡って、人々の思いが交錯し、結局悪巧みが明るみに出るというこのストーリーには当時の聴衆も興奮したことでしょう。この演奏には軽妙さと楽しさに溢れたいかにもウィーン風の雰囲気が備わっています。
777816F(2CD)
レハール:喜歌劇「ひばりの歌うところ」 ゲルハルト・エルンスト(語り)
ジークリンデ・フェルトホーファー(S)
ジェフゲンジ・タウンツォフ(T)
ヴォルフガンク・ゲロルト(Br)
ミリアム・ポルトマン(S)
フローリアン・レセタリツ
シニャ・マシュケ
バートイシュル・レハール祝祭Cho
フランツ・レハールO
マリウス・ブルケルト(指)
レハール(1870-1948)の数あるオペレッタの中では、比較的知名度が低いこの「ひばりの歌うところ」。行進曲とパロータシュや、その他のわずかな曲がメドレーの形で稀に演奏されますが、全曲で楽しむ機会はほとんどないのが実情です。しかし、1919 年にこの歌劇を観たプッチーニは、あまりの素晴らしさにすぐさまレハールに賛辞の手紙を書いた(彼らはその6 年前に遇っていた)というエピソードがあるほどに、人々を感動させた作品であり、内容はよくある三角関係を描いたものであるにせよ、メロディの美しさと、ヒロインが歌うコロラトゥーラを駆使した見事なアリアなどは、この作品を埋もれさせるには惜しい、強い魅力を放つものです。このバートイシュルで開催されたレハール音楽祭のライヴ収録は、多くのウィンナ・ワルツファンにとっての嬉しい贈り物となることでしょう。
777817M
ヒンデミット:歌曲集「マリアの生涯」Op.27(1948年版)
ライナー・マリア・リルケの詩によるソプラノとピアノのための
マヤ・ボーク(S)
ミヒャエル・ラクナー(P)
2013 年は、ヒンデミット(1895-1963)没後50 年記念として多くのCD がリリースされました。もちろん録音も多く、2014年になっても興味深い作品がいくつも出現し、愛好家心をくすぐり続けています。この歌曲集「マリアの生涯」はピアニスト、グレン・グールドが愛した作品としても知られていて、グールドを知る過程でこの曲に触れたと言う人も多いのではないでしょうか?この歌曲集はライナー・マリア・リルケの連作詩に付けられたもので、イエス・キリストの母であるマリアの誕生から死までを忠実に描いています。1923 年頃に初稿版が書かれていますが、こちらの1948 年改訂版は少しだけ表現が穏やかになり、歌手への負担も軽減されていると言われています。このボーク盤は改訂稿による演奏で、穏やかさと成熟度が感じられる美しいものです。
777818B(8CD)
シュポア:ヴァイオリン協奏曲全集
CD1(999067)
ヴァイオリン協奏曲第2番&第5番
CD2(999145)
ヴァイオリン協奏曲第3番&第6番&イ長調
CD3(999196)
ヴァイオリン協奏曲第4番&第11番
CD4(999232)
ヴァイオリン協奏曲第7番&第9番&第10番
CD5(999187)
ヴァイオリン協奏曲第8番&第12番&第13番
CD6(999403).ヴァイオリン協奏曲第1番&第14番&第15番
CD7(999798)
ヴァイオリン協奏曲Wo09番&Wo010番
 協奏曲の楽章Wo016/ポプリOp.23
CD8(999751)
2台のヴァイオリンと管弦楽の為のコンチェルタンテ第1番Op.48*/第2番Op.88*
大ポロネーズOp.40/ポプリOp.59
ウルフ・ヘルシャー(Vn)
グンヒルト・ヘルシャー(Vn)*
クリスティアン・フレーリヒ(指)ベルリンRSO
15曲あるルイ・シュポア(1784-1859)のヴァイオリン協奏曲は、すでに999657(6枚組)としてパッケージ化されていましたが、今回は以降に録音された遺作集と、ヴァイオリンの為のいくつかの小品、そして2台ヴァイオリンの為の作品を収録した2枚分を付け加えて、新たなBOXセットとして販売することになりました。自身、優れたヴァイオリニストであったシュポアの協奏曲は、古典派的な明快な形式の中に、ロマン派の情緒を融合された上品で華麗な音楽です。常に新しい作風を追求していたシュポアらしく、どの曲も工夫が凝らされ、聞き手も全く飽きることがありません。ヴァイオリン・パートは一貫してドイツの名手ヘルシャーが受け持ち、フレーリヒ率いるベルリンRSOが見事なサポートを付けています。落穂拾い的な2枚のCDがまた素晴らしく、協奏曲とは違ったのびのび自由な作風が楽しめる佳品ばかりが収録されています。
777819F
オルフ:歌劇「犠牲」Op.20
菅原伝授手習鑑の「寺子屋」の段よりカール・オルフ台本
キャスリン・レヴェク(S)/ライアン・マックニー(Bs-Br)/ウルリケ・ヘルツェル(Ms)/マルクル・ブリュック(Br)/エレナ・ツィトコーワ(Ms)/ヤーナ・クルコーヴァ(Ms)/ブルクハルト・ウルリヒ(T)
ベルリン・ドイツ・オペラO&Cho
ジャック・ラコンブ(指)

録音:2012年5月18-19日ベルリン・ドイツ・オペラライヴ収録
文楽や歌舞伎でお馴染み、菅原道真の生涯を描いた「菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)の中の一つの段である「寺子屋」は、宮仕えの身とは言え、道真の子供を守るために、わが子を身代わりにしなくてはならなかった松王丸とその妻千代の物語。この物語のドイツ語訳に感銘を受けたのが18歳のカール・オルフ(1895-1982)でした。彼は登場人物の名前はほとんどそのままに、内容も変えることなくこの物語をオペラにしたのです。オルフはこの日本の悲劇にギリシャ悲劇を重ね合わることで独自の見解を加え、日本という枠を超えた独創的な作品へと仕立て上げたのです。またこの作品に影響を受けた、あのワインガルトナーも同じ素材でオペラを書いています(cpo777813)。
777820M
クリストバル・デ・モラーレス:14のクリスマス・モテット
O magnum mysterium
Missus est Gabriel Angelus
Ecce, virgo concipiet
Veni, Domine, et noli plena
Ave Maria
Puer natus est nobis
Pastores dicite, quidam vidistis
Exaltata est Sancta Dei genitrix
Salve regina
Sancta et immaculata virginitas
Ave regina coelorum
Candida virginitas
Salva nos, stella maris
Cum natus esset Iesus
ブレーメン・ヴェーザー・ルネサンス
マンフレード・コルデス(指)
モラーレス(1500-1553)の表情豊かなクリスマスのモテット集です。彼はスペインにおけるルネッサンス期の最も重要な作曲家で、彼の作品のほとんどは宗教的な声楽曲です。当時の彼は国際的な名声を得ており、作品はヨーロッパ全域のみならず「新大陸」にも伝播されていったと言います。これらのクリスマスのためのモテットも同じくヨーロッパ全土に広まり、多くの人々に愛されていました。古風で神秘的な表現、自由な和声進行など、同時代の作曲家たちよりも自由でユニークな音楽を、おなじみコルデス率いるブレーメン・ヴェーザー・ルネサンスの清冽なアンサンブルで。
777821F
ポッパー:チェロ協奏曲集
チェロ協奏曲第1番ニ短調Op.8
チェロ協奏曲第2番ホ短調Op.24
チェロ協奏曲第3番ト長調Op.59
ウェン=シン・ヤン(Vc)
ケルンWDRSO
ニクラス・ヴィレン(指)

録音:2011年11月19-22日ケルン
プラハで生まれたユダヤ系の作曲家ダーヴィト・ポッパー(1776-1822)は、現在いくつかのチェロの曲を作った人として知られています。最も有名なのは「ハンガリー狂詩曲」でしょうか?ハンガリーの民謡を取り入れた感動的な作品は、チェロの超絶技巧を楽しむとともに、いかにも「ハンガリー」らしい哀愁と情熱に満ち溢れたショーピースとして広く愛好されています。しかし、彼の本領とも言えるチェロ協奏曲は、第2番が比較的有名であるほかは、ほとんど耳にする機会がないものです。縦横無尽に技巧を凝らし、ユダヤ民謡に由来する親しみやすいメロディがたっぷりのこれらの作品は、チェロ好きならずとも一度は聴く価値のあるものです。
777823F
ジョルジュ・エネスコ:作品集
管弦楽と女声合唱のための交響詩「イシス」(1999年パスカル・ベントユによる編曲)
テノール,女声合唱,オーケストラのための交響曲第5番ニ長調
モーリス・ブラッド(T)
北ドイツ放送Cho
ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送PO
ペーター・ルジツカ(指)
ここで指揮をしているルジツカは、作曲家としても(作曲の方が)有名で、もともとハンブルクでピアノとオーボエを学んだのち、作曲をヘンツェとオッテに学び、それから指揮と法律、音楽学も学んだという人。現代ドイツでは指揮と作曲の両面で高く評価されています。彼によるこのエネスク(1881-1955)の交響曲第5番と「イシス」の演奏は、ドイツ初演であり、どちらも未完に終わってしまった興味深い作品に納得の行く結末を与えたものです。やはりこちらも現代作曲家として知られるパスカル・ベントユが補筆完成したもので、エネスク作品の特徴でもある民謡風の色使いと、透明な管弦楽法、そして複雑な音楽語法の全てを研究し、不足している部分が補われたこれらの作品は、神秘的な女声合唱の響きを伴って、全ての聴き手の耳に強い印象を残すことでしょう。
777824M
ハイドン:スコットランド民謡集Hob.XXXIa(抜粋)英語によるカンツォネッタ集Hob.XXVIa
さすらい人 The Wanderer
魂の歌 The Spirit's Song
彼女は愛を語ったことがない She never told her Love/The Waefu' Heart
ジョン・アンダーソン John Anderson
メアリーの夢 Mary's dream
ボートの男 The Boatman
Langolee/感性 Sensibility
おお、麗しの声 O Tuneful Voice
田園の歌 A Pastoral Song
Fideliy
ジョッキーとサンディ Jackie and Sandy
私は秘かに私の愛を愛する I Love My Love in Secret
Gramachree/Auld Robin Gray
What can young lassie do with an auld man
ジェニーのボービー Jenny's Bawbee
ドロテア・ミールズ(S)
レサミ・ド・フィリッペ
<メンバー:エヴァ・サロネン(Vn)/グレゴール・アンソニー(Vc)/ルドガー・レミー(フォルテピアノ)>
現代最高のバロック歌手、ドロテー・ミールズの歌うハイドン歌曲集です。このアルバムに収録されているのは、スコットランドの民謡を編曲したものとイギリスのカンツォネッタです。スコットランド民謡は、土地の名士であるジョジ・トムソンが当時の名作曲家たちにスコットランドの民族音楽の旋律を用いた曲の伴奏部分の作曲依頼をしたもので、彼らは歌詞を知ることもなく、メロディを流用し、見事な伴奏を書いたと言われています。ハイドン(1732-1809)は途中まで完成させ、この世を去ってしまい、残りはベートーヴェンが引き継ぎました。英語のカンツォネッタ集は、穏やかで静かな世界が広がるような名作揃い。フォルテピアノの伴奏で歌われる事が多いのですが、ここではルドガー・レミーのフォルテピアノを中心に、エヴァ・サロネンのヴァイオリンとグレゴール・アンソニーのチェロが美しい彩りを添えています。
777825F(2CD)
ルイ・テオドール・グヴィ:オラトリオ「コロヌスのオイディプス」 クリスティーナ・ラッツェンベック(Ms)
ヴィンツェンツ・ハーブ(Br)
スティーブン・ロバーツ(T)
ヨーゼフ・コーンウェル(T)
ル・コール・ドゥ・ラ・グラン
ソサエティ・フィルハーモニク
カントライ・サールロワ
ラ・グラン・ソサエテ・フィルハーモニク
ヨアヒム・フォンテイン(指)
生地がドイツとフランスの係争地帯であったため(ロレーヌのゴフォンテーヌ=現ザールブュッケン)その帰属を巡って、一生苦労が絶えなかったというテオドール・グヴィ(1819-1898)のオラトリオ「コロヌスのオイディプス」世界初演盤です。彼自身はパリ音楽院への進学を望んでいたのですが、生まれた時にすでにゴフォンテーヌはプロイセンの支配下にあり、フランス市民権を獲得できずに諦めざるを得なかったようで、32歳になってようやくフランス国籍を取得しました。しかし、そんなに憧れたパリは彼の音楽を全く容認することもなく、やがては全く忘れられてしまいました。最近になってようやくグヴィの音楽の復興が進んできており、この劇的なオラトリオも、多くの資料を検討の上再構築されたもので、この演奏自体も非常に高く評価されています。
777827
NX-B10
イグナーツ・フォン・ベーケ:ピアノ協奏曲集
ピアノ協奏曲ヘ長調BEEV108
ピアノ協奏曲ニ長調BEEV100
ピアノ協奏曲ニ長調-第2楽章「アンダンテ」BEEV102
ナターシャ・ヴェリコヴィッチ(P
バイエルン室内O・バート・ ブリュッケナウ
ヨハネス・メーズス(指)

録音:2013年2月13-15日ノイマルクト/オーバープファルツ
ドイツで生まれた作曲家イグナーツ・フォン・ベーケ(1733-1803)の世界初録音となるピアノ協奏曲集。現在ではほとんど 名前も知られていないベーケですが、彼が活躍していた当時は、素晴らしいピアニストとして、また独創的な作品の作曲家と して知られていました。若い頃“七年戦争”で戦いに参戦し、終戦後の1775年にはミュンヘンで19歳のモーツァルトに出会 い、ピアノ演奏の腕を競ったことでも知られています。この時は多くの評論家たちはベーケの演奏の方が優れていると判断さ れたほどに、彼の名声は轟いていたのです。バロック期から古典への過渡期に生まれた華麗な協奏曲は、聴き手にも大きな発 見をもたらすことでしょう。このアルバムには彼の初期の作品を収録、以降シリーズ化が予定されています。
777828F(4CD)
マイヤベーア:歌劇「バスコ・ダ・ガマ」
(「アフリカの女」初稿版…初録音:)
ベルンハルト・ベルヒトルト(T)
クラウディア・ソロキナ(S)
ピエール=イヴ・プリュヴォ(Br)
/グィビー・ヤング(S)
コウタ・レセネン(Bs)
ロルフ・ブロマン(Bs)
ケムニッツ歌劇場Cho
ロベルト・シューマンPO
フランク・ベールマン(指)
マイヤベーア(1791-1864)は数多くの歌劇を作曲しましたが、その多くは現在忘れられてしまい、なかなか演奏される機会がありません。歌劇「アフリカの女」も、彼の存命中には人気があったものの、やはり忘れられてしまい、4幕で歌われる「おお、パラダイス」だけが時々歌われることがある程度です。この歌劇はバスコ・ダ・ガマを主人公としているのですが、史実に自由に手が入れられており、必ずしも実際のエピソードに忠実なものではないことが知られています。作品が生み出されるまでには、かなりの紆余曲折を経ており、この「バスコ・ダ・ガマ」として完成した直後、マイヤベーアは死去してしまい、音楽学者のジョセフ・ド・フェティスが幾つかの箇所を削除し(長すぎたため)、主人公を奴隷のセリカに変更、最終場面も書き直し、「アフリカの女」としてリニューアルしたものが現在知られているものだったのです。指揮者ベールマンは、オリジナルの形での上演を敢行。この歌劇に新たな光をあてることに成功しました。
777829F
ボリス・パパンドプロ:作品集
ピアノと弦楽オーケストラのための協奏曲 第2 番
弦楽オーケストラのためのシンフォニエッタ Op.79
弦楽オーケストラのためのピンタリキアーナ
オリヴァー・トリエンドル(P)
グレブ・ソロイスツ
スレテン・クルスティク(指)
クロアチアの作曲家、指揮者ボリス・パパンドプロ(1906-1991)は、20 世紀クロアチアの音楽界発展に非常に力を尽くした人です。450 曲ほどの数多くの作品を残していますが、その作品のほとんどは現在忘れられています。彼の父はギリシアの血を引く貴族の家系の出で、彼の母マヤ・ストロッツィはクロアチアの有名なオペラ歌手。恵まれた環境で幼い彼は音楽的才能を存分に伸ばしたのです。キャリアの初期にはクロアチアの音楽協会が主催するアマチュア・オーケストラで指揮者として活躍し、合唱団の指導も行っていました。またザグレブのラジオ局の音楽監督も務めていました。第二次世界大戦後はサラエボやリエカでオペラを指揮するなど、幅広い活動をしています。彼の曲は新古典派風でありながら、その中にクロアチア民謡も取り入れたユニークなもので、この独自の個性は大変貴重なものです。ここで指揮をしているのは、ミュンヘンSOで長らくコンサートマスターを勤めていたスレテン・クルスティク(ベオグラード生まれ)。この活気に満ちた音楽を理想的に演奏しています。
777830F
ローベルト・フックス:交響曲集
交響曲第1番ハ長調Op.37
交響曲第2番変ホ長調Op.45
ケルンWDR響
カール・ハインツ・シュテフェンス(指)
ウィーン音楽院の楽理科教授として多くの作曲家を育てたローベルト・フックス(1847-1927)は、作曲家としては、「5つのセレナード」で良く知られていました。彼自身は先進的な音にはあまり興味がなく、その作風は常にブラームスやシューマンに倣った旋律美に溢れたもので、セレナーデだけではなく、他の作品も実に抒情的で創造力に満ちたものとなっています。1885年に書かれた交響曲第1番、その2年後に書かれた交響曲第2番とも、当時の聴衆に絶賛されました。とりわけホルンの咆哮で始まる第2番は、荘厳であり少しブルックナー風な面持ちも感じられる素晴らしい作品です。この時代の作品を得意とするシュテフェンスの指揮で。
777831F
ウェーバー:序曲全集
「幽霊の支配者」-序曲J122
「ペーター・シュモルとその隣人たち」-序曲Op.8
「アブ・ハッサン」-序曲J106
「オベロン」-序曲J306
プレチオーザ」-序曲Op.78
「魔弾の射手」-序曲J277
「シルヴァーナ」-序曲J87
「オイリアンテ」-序曲J291
「トゥーランドット」-序曲J75
序曲「ユーベル」Op.59
ケルンWDR響
ハワード・グリフィス(指)
ドイツ初期ロマン派の作曲家ウェーバー(1786-1826)は、モーツァルトによるドイツオペラの伝統を継承し「魔弾の射手」によってロマン派のオペラ様式を確立し、その流れをワーグナーに受け渡すという重要な役割を果たした人です。数多くのオペラを書いていますが、現在で上演されるのは前述の「魔弾の射手」がほとんどで、後は「オベロン」「オイリアンテ」が知られる程度なのは寂しい限りと言うほかありません。しかし、ここで聴ける様々な序曲でわかるとおり、彼の作品は、豊かな色彩感と躍動感を併せ持つ美しくロマンティックな音で満ち溢れています。ここには歌劇の序曲だけでなく、元々「序曲」として書かれたものも収録されており、その劇的な筆致を楽しむことができます。演奏は名手ハワード・グリフィスとケルンWDR響によるもので、いかにもドイツらしい重厚な響きに満ちています。
777832F
E.T.A.ホフマン:ミサ曲・ミゼレーレ
ミサ曲ニ短調(AV18)
ミゼレーレ変ロ短調(AV42)
シビラ・ルーベンス(S)
ユッタ・ベーネルト(S)
レベッカ・マルティン(A)
トーマス・クーリー(T)
ヨーク・フェリックス・スピール(Bs-Br)
ケルンWDRSO&合唱団
ルーペルト・フーバー(指)
神秘的なイメージばかりが先行するドイツの偉大な芸術家E.T.A.ホフマン(1776-1822)。彼は作家として多くの著作を残しましたが、作曲家としても80を超える作品を残し、この分野にも輝ける才能を有していたことがわかります。このミサ曲は1803年から1805年の間に書かれました。その頃の彼はちょうど友人を通じてしりあった女性を妻に迎え、音楽クラブを設立し、多くの詩作や作曲を行うなど活発な活動をしていたのです。闘争心を喚起させるニ短調が用いられたこの作品は、ロマンティックな一面と、古風な面を併せ持つ重厚なもので、モーツァルトを思わせるキリエの美しさはため息ものです。ミゼレーレは詩編に基いた合唱曲で、アレグリのものが有名ですが、E.T.A.ホフマンは悲しみや喜びなどの感情を全面に出した感動的な作品として表出しています。
777833F
ブルッフ:ヴァイオリンと管弦楽のための作品全集第1集
ヴァイオリン協奏曲第2番Op.44
スコットランド幻想曲Op.46
アダージョ・アパッショナートOp.57
サンチェ・ヴァイトハース(Vn)
ハノーファー北ドイツ放PO
ヘルマン・ボイマー(指)
cpoレーベルでは、ブルッフのヴァイオリンのための作品全集のリリースを目論んでいます。名ヴァイオリニスト、ヴァイトハースを演奏者に迎え、「ヴァイオリン協奏曲第1番」だけではない、ブルッフのヴァイオリン作品の隠された遺産を掘り起こすことで、この作曲家に新たな光を当てることになるでしょう。まずは、あまり耳にする機会のない第2番の協奏曲から聴いてみてください。
777834S(1SACD)
ナポリの哀歌、カンタータ、バレエ音楽、そしてガリアルダ
フランチェスコ・プロヴァンツァーレ(1624-1704):嘆きのカンタータ「明け方に輝くかすかな光 」
プロヴァンツァーレ:マッサニエッロの妻マリネッタのラメント
 カンタータ「Care selve, amati orroi」
グレゴリオ・ストロッツィ(1615-1687):トッカータとパッサカリア e ciascheduno puo sonarsi a solo5.ストロッツィ:マスカーラ・ソナタ.そしてバレエ
ストロッツィ:王宮のナポリ人騎士
 バレエ 第1
 コレンテ 第7番-オルガンとフルートのための
アントニオ・ヴァレンテ(1520 頃-1580):ナポリ風ガリアルダ
アンドレア・ファルコニエーリ(1520 頃-1580):Battalla de Baraboso yerno de Satana
アンサンブル・エコー・ドゥ・ダニューブ<メンバー:ハンナー・モリソン(S)/エリザベス・ザイツ(サルテリオ)/マーティン・ジョップ(Vn)/エリザベス・ヴィースバウアー(Vn)/ラインヒルド・ヴァルデク(バロック・ハープ)/トーマス・ボイゼン(リュート&バロック・ギター)/アンネ・マリー・ドラゴシツ(ハープシコード)/ミケーレ・クラウデ(パーカッション)/クリスティアン・ツィンケ(ヴィオラ・ダ・ガンバ&指揮)>
16世紀から17世紀のナポリは、1503年のコルドバ将軍によるスペイン支配にはじまり、スペイン継承戦争やハプスブルク家の軍隊の介入など、常に戦いに支配されていました。しかし、マドリードとの文化交流も盛んであり、路上ではリュート歌手が歌い、宮廷でも常に音楽が奏されていたのです。このアルバムには、当時活躍した音楽家たちの多彩な作品が収録されています。哀歌にも戦いの歌にも、不な思議活気が漲っているのは、やはり明るい地中海の気候が影響しているのでしょうか?1999年に創立されたアンサンブル「エコー・ドゥ・ダニューブ」は高い洞察力と、共感を持って、この刺激的な音楽を演奏しています。
777835F
ハープ協奏曲集
E.アイヒナー:ハープ協奏曲ハ長調Op.6-1
J.T.アイヒナー:ハープ協奏曲ト長調Op.5-1
J.T.アイヒナー:ハープ協奏曲ニ長調Op.5-2
E.アイヒナー:ハープ協奏曲ニ長調Op.9
ジルケ・アイヒホルン(Hp)
マンハイム・プファルツ選帝候CO
シュテファン・フラース(指)
いくつかの交響曲作品で知られる、モーツァルトより16歳年上の作曲家エルンスト・アイヒナー(1740-1777)。彼はドイツの宮廷音楽家の家庭に生まれ、まずは父親から音楽を学びます。ファゴット、ヴァイオリンの名手であり、ツヴァイブリュッケンの宮廷楽団員も務めました。彼はロンドン、パリ。フランクフルトなどに演奏旅行に出かけましたが、恐らくその時にハープ協奏曲を書く必要に迫られたようです。これらの作品の素晴らしさについては、1784年のアイヒナーの死後、詩人C.F.D.シューバルトが曲を絶賛した言葉が残るほどでした。演奏の際には、技術的に困難な個所を持ち合わせていますが、ハープ奏者のジルケ・アイヒホルンは難なく演奏し、素晴らしい音楽として聞かせています。ジャン・テオフィール・アイヒナー(生没年不詳)については詳細は分かっておりませんが、恐らく兄弟かと思われます。
777836F
アルフォンス・ディーペンブロック:管弦楽伴奏による歌曲集
管弦楽のための賛歌/夜への賛歌
トゥーレの王/昔、年老いた王がいた大いなる沈黙の中に/ひそやかに
ハンス・クリストフ・ベーゲマン(Br)
ザンクト・ガレンSO
オットー・タウスク(指)
オランダ、ロマン派の作曲家ディーペンブロック(1862-1921)の管弦楽伴奏付きの歌曲集です。この時代の他の作曲家たちの例に漏れず、その創作の源泉はワーグナーにありますが、後年になってドビュッシーの音楽に接することで、作風に陰影が生まれ、極めて繊細かつ個人的なスタイルを形成するに至りました。もともと大学で古典文学を専攻した人だけあって、テキストの選び方には細心の注意が払われており、ここで聞ける歌曲もどれもが、言葉と響きが手を取り合った見事な作品となっています。彼はまた天文学者としても活躍したという異色の人でもあります。見事な歌唱を聞かせるベーゲマンは、後期ロマン派の歌曲をとりわけ得意としている人で、cpoのプフィッツナー歌曲集を始め、NAXOSのコルネリウス歌曲集などで好評を博しています。
777837-2S(1SACD)
ヘンデル:ピアノ協奏曲 Op.4 HWV289-294(オルガン協奏曲からの編曲)
協奏曲 ト短調 Op.4-1 HWV289
協奏曲 変ロ長調 Op.4-2 HWV290
協奏曲 ト短調 Op.4-3 HWV291
協奏曲 ヘ長調 Op.4-4 HWV292
協奏曲 ヘ長調 Op.4-5 HWV293
協奏曲 変ロ長調 Op.4-6 HWV294
マティアス・キルシュネライト(P)
ラヴァー・スコウ・ラーセン(指)
ライン・ドイツ室内アカデミー
バッハのチェンバロ協奏曲をピアノで演奏しても不自然ではないのですから、ヘンデルの作品をピアノで演奏してもよいのでは。と考えたのがドイツのピアニスト、マティアス・キルシュネライトでした。彼はヘンデルのOp.4のオルガン(曲によってはハープやチェンバドで演奏可能)協奏曲集に着眼し、各曲をピアノ独奏用に置き換えたのです。もともとこれらの協奏曲はオラトリオなどの劇場作品の幕間に演奏されたものであり、ここで使われたオルガンは小さなもので、決して壮大なものではありません。そんなオルガン・パートをピアノに置き換えるには多少のテクニックが必要でしたが、この演奏では全く違和感ないものとして仕上がっています。
777838F(2CD)
ラジオの音楽集第2集ラジオのための組曲と序曲
フランツ・シュレーカー(1878-1934):室内Oのための小組曲(1928)
エルンスト・トッホ(1887-1964):管弦楽のための「ブンテ組曲」Op.48(1928)
エドゥアルド・キュンネッケ(1885-1953):ジャズ・バンドと大管弦楽のための合奏協奏曲「ダンスステップ組曲」Op.26
ミシャ・スポリアンスキ(1888-1985):チャールストン奇想曲(1930)
マックス・ブッティング(1888-1976):シンフォニエッタとバンジョーOp.37(1929年放送)
マックス・ブッティング:ハイテレ組曲Op.38(1929年)
ヴァルター・ブラウンフェルス(1882-1954):放送オーケストラのためのディヴェルティメント
ミシャ・スポリアンスキ:チャールストン奇想曲(エルンスト・タイスによる演奏会形式)
ドレスデン・シュターツオペレッタO
エルンスト・タイス(指)

録音:2006年.2007年ベルゼ・コスヴィック/2009年ドレスデン,ルカ教会
ドイツにおけるラジオ放送の初期の時代には、様々な音楽が放送され、これには現代音楽と古典音楽、ポピュラー音楽の境界は全くありませんでした。当時の「現代音楽家」たちはこの媒体を愛し、数多くの実験的な作品を書き上げました。その中にはヴァイル、ヒンデミット、トッホ、シュレーカー、ハースなど当時の革新者たちの名前があり、彼らが「ラジオ」というものにどれ程の期待を抱いていたかが良くわかるというものです。この2枚組は当時の作品を掘り起こし、エルンスト・タイスとドレスデン・シュターツオペレッタOが見事に再現したものです。当時の前衛音楽を改めて聴いてみませんか?CD2の方は一層興味深い作品が並んでいます。
777842F(2CD)
スッペ:レクイエム・オラトリオ「最後の審判」 マルガレータ・クロブチャール(S)
シャミリア・カイザー(A)
タイラン・ラインハルト(T)
ヴィルフレート・ツェリンカ(Bs)
グラーツ・オペラCho
アドリアーノ・マルティニョッリ・ダルシー(指)
グラーツPO
生涯に100以上の作品を作曲したにも拘らず、現在では「軽騎兵」序曲や「詩人と農夫」序曲、そして「ボッカチオ」のアリエッタ「恋はやさし野辺の花よ」などの数曲のみが知られる作曲家スッペ(1819-1895)。そのため、どうしても軽音楽の作曲家としてのイメージばかりが先行していますが、実は同世代のブルックナーを凌ぐ素晴らしい宗教曲も残していました。このレクイエム・オラトリオは、彼をウィーンへと招いたヨーゼフシュタット劇場の監督フランツ・ポコルニーの追悼(スッペは経歴の始めにこの劇場で指揮することで名を挙げた)のために1855年に作曲されたもので、あのブラームスも大絶賛するほど、当時人気となりました。劇的な前奏曲に導かれた作品は、ずっと行方不明になっていましたが、最近トリエステで発見され、今回、当時の輝きを取り戻したのです。
777843M
シューマン/ティエリオ:ピアノ四重奏曲
シューマン:ピアノ四重奏曲ハ短調(1829.断片…ヨアヒム・ドラハイムによる新版、初録音:)
フェルディナント・ティエリオ(1838-1919):ピアノ四重奏曲変ホ長調Op.30(1875年出版,初録音:)
ヴァレンティン・ピアノ四重奏団
1829年に作曲された若きシューマンによるピアノ四重奏曲。こちらは一応、全曲の構想は出来たものの、ピアノパートを完成させることなく、そのまま出版もすることなかったという幻の作品です。この曲を完成させる試みは、何度か行われており、このドラハイム版よりも以前には、W.ベッティヒャーが補筆を試み、こちらは1979年にアンドレ・プレヴィンらが録音:していたりもします。このドラハイム版は、オリジナルの自筆楽譜を綿密に調査した上で、左手パートを書き加え、彼なりに満足の行くものを作り上げたようです。このスコアは2010年のシューマン記念年に出版され、今回が初録音:となります。もう一人の作曲家ティエリオはハンブルク生まれの作曲家で、シューマンよりもブラームスに影響を受けた人です。今ではほとんど忘れられてしまったこの作曲家の作品も、このアルバムでシューマンの四重奏と共に蘇ることでしょう。
777846F
ブルッフ:ヴァイオリンと管弦楽のための作品全集第2集
ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調Op.26
セレナードイ短調Op.75
アダージョ「Inmemoriam-思い出に」
アンチェ・ヴァイトハース(Vn)
ハノーファー北ドイツ放送PO
ヘルマン・ボイマー(指)
ヴァイトハースによるブルッフ(1838-1920)のヴァイオリンと管弦楽のための全集の第2集です。第1集(777833)では第2番の協奏曲と「スコットランド幻想曲」で情熱的な演奏を披露したヴァイトハースですが、今回は最も知られる「ヴァイオリン協奏曲第1番」がメインとなります。もちろんこの曲は聴きものなのですが、なんと言ってもオススメなのが、「思い出に」と題されたアダージョです。ほとんど知られていない作品ではありますが、この痛切な美しさは他に類をみません。セレナードも胸に迫る名曲です。
777847B10
ブルッフ:ヴァイオリンと管弦楽のための作品集第3集
ヴァイオリン協奏曲第3番ニ短調Op.58
ヴァイオリンと管弦楽のための小協奏曲嬰へ短調Op.84
ロマンスイ短調Op.42
アンチェ・ヴァイトハース(Vn)
ハノーファー北ドイツ放送PO
ヘルマン・ボイマー(指)

録音:2015年2月24-27日ハノーファー北ドイツ放送グローサー・ゼンデザール
ブルッフ(1838-1920)のヴァイオリン協奏曲といえば、だれもが美しい《第1番》を思い浮かべることでしょう。逆に言え ば、第2番、第3番はほとんど耳にする機会がありません。そんなブルッフの全ての「ヴァイオリンと管弦楽のための」作 品を録音するというこのcpoのプロジェクトは、名手ヴァイトハースのヴァイオリンと指揮者ボイマーの共演で既に第2集 までがリリース済み。今回のヴァイオリン協奏曲第3番を含む第3集で完結となります。協奏曲第2番は、当時親交を結ん でいたサラサーテに献呈されていましたが、この第3番はブルッフが尊敬していたヨーゼフ・ヨアヒムの助言が取り入れら れ、献呈もまたヨアヒムにされています。まるでブラームスの作品のような、管弦楽による充実した前奏や、ゆったりと美し い第2楽章、超絶技巧を駆使した第3楽章と、堅固な構成を持つ大作です。ロマンスOp.42は当初第2協奏曲として構想 された作品ですが、結局これは断念、独立した曲として発表されました。晩年に書かれた《小協奏曲》は、全編緊張感に満ち た聴き所たっぷりの小品です。
777848F
ゲルンスハイム:交響曲集第2集
交響曲第2番ホ長調Op.46
交響曲第4番変ロ長調Op.62
マインツ州立PO
ヘルマン・バウマー(指)
第1集(777758)に続くヘルマン・バウマーとマインツ州立フィルによるドイツの作曲家ゲルンスハイム(1839-1916)の交響曲集。今作は第2番と第4番のカップリングとなります。1882年3月16日に作曲家自身によってロッテルダムで初演された「交響曲第2番」は、特徴的なホルンの音色がブラームスの交響曲第2番を彷彿させます。また1895年にベルリンで初演された彼の最後の交響曲である「第4番」は強烈な個性というよりも、当時の音楽の風景(ブラームスやブルックナー、ワーグナーの影響など)を如実に表した音楽で、特に終楽章での歓喜の爆発には、卓越した作曲技法を感じさせます。ドイツ・ロマン派の潮流を汲む知られざる作品です。
777849M
ヴァルター・ラブル:室内楽作品集
クラリネットとヴァイオリン,チェロ、ピアノのための四重奏曲変ホ長調Op.1
ピアノ三重奏のための幻想的小品Op.2
ヴァイオリン・ソナタOp.6
ヴェンゼル・フックス(Cl)
ジュヌヴィエーヴ・ロランソー(Vn)
ラースロー・フェニェー(Vc)
オリヴァー・トリエンドル(P)
ウィーンに生まれ、幼い頃からピアノの才能を発揮、神童として活躍したというヴァルター・ラブル(1873-1940)。高名なグイード・アドラーに音楽学を学び、24歳で博士号を取得し、その後は合唱指揮者を経て、ドイツ各地で指揮者として活躍。マーラー、シュレーカー、コルンゴルトなど当時の最先端の音楽を演奏、擁護したことで知られています。作曲家としても素晴らしい才能を有していたようですが、30歳前後できっぱりと作曲活動をやめてしまったため、若い頃に書いたものしか存在しないのが残念なところです。彼の作品、とりわけ「クラリネット四重奏曲」にはブラームスの影響が感じられますが、これは1896年にブラームスが名誉総裁を務めるウィーン楽友協会主催の作曲コンクールで優勝したことも関係があるのかもしれません。そしてブラームス自身が推薦状を書き、ジムロックが出版したというものです。ひそやかなロマンティック。そんな言葉がぴったりの美しい音楽です。
777850M
フリードリヒ・カルクブレンナー:室内楽作品集
六重奏曲ト長調Op.58
スコットランド民謡「We'reA'Noddin」によるピアノのための幻想曲Op.60
六重奏曲イ長調Op.132
リノス・アンサンブル

録音:2012年3月28.29.31日ケルンドイツ放送カンマーザール
古典派からロマン派における様々な知られざる作曲家の作品を好んで演奏する「リノス・アンサンブルの最新作は、カルクブレンナー(1785-1849)の作品集です。彼はショパンやリストが出現する以前の、最も優れたピアニストであり、ただ一人のライバルはフンメルである。と目されていました。もちろん作品のほとんどはピアノ曲ですが、室内楽作品にも注目すべきものが数多くあるようです。音楽家の父を持ち、幼いころから才能を発揮した彼は、アルブレヒツベルガーに作曲を学び、ベートーヴェン、ハイドンと親交を持つなど華々しい交友関係を結びつつ、実業家としても手腕を発揮するなど多くの才能を持っていましたが、その作品は現在ほとんど演奏されることがなく、このリノス・アンサンブルによる録音は、彼の人気の復興につながるものとして大きな期待が寄せられることは間違いありません。なんとも流麗で美しい音楽です。
777851S(2SACD)
バッハ:ミサ曲ロ短調BWV232 マリア・ケオハネ(S)/ジョアン・ラン(S)/アレックス・ポッター(カウンター・テナー)/ヤン・コボウ(T)/ピーター・ハーヴェイ(Bs)/エルス・トルプ(S)/ハンナ・カッペリン(S)他/コンチェルト・コペンハーゲン/ラルス・ウルリク・モーテンセン(指)
北欧のオーケストラの特徴とも言える透明なハーモニーを最大に生かした「ロ短調」ミサの登場です。デンマーク出身の名手モーテンセンは、鍵盤奏者、指揮者として優れた活動をしていますが、今回の「ロ短調ミサ」曲では、合唱、オーケストラ全てを統括し、生き生きとした素晴らしい音楽を導き出しています。1981年にアメリカの指揮者ジョシュア・リフキンが確立した「バッハ作品の合唱部分のほとんどはソロの声のために書かれたであろう」の理論を継承しながらも、モーテンセンはその理論に更に考察を加え、オーケストラのサイズもバッハの時代に合わせた小さなアンサンブルにすること(26人)で、各々のパートに顕かなコントラストを付けています。そしてSACDのフォーマットで録音することで、曲のすみずみまでを見通すことが可能になり、この偉大なる作品を改めて味わうことが可能になったのです。
777854S(1SACD)
ヘンデル:ピアノ協奏曲集 第13 番
-第16 番(原曲…オルガン協奏曲)

ピアノ協奏曲 第13 番 ヘ長調HWV295
ピアノ協奏曲 第14 番 イ長調HWV296
ピアノ協奏曲 第15 番 ニ短調HWV304
ピアノ協奏曲 第16 番 ヘ長調 HWV 305
マティアス・キルシュネライト(P)
ドイツ・カンマーアカデミー
ラヴァー・スコウ・ラーセン(指)
第1 集(777837-2)に続くキルシュネライトによるヘンデルの協奏曲集です。原曲はオルガンのための協奏曲ですが、ここではオルガン・パートを完璧に現代のピアノへと移し変えることで、輝かしい音色と壮麗な響きを獲得しています。これまで知っているこれらの曲とは全く違う側面を見せてくれるという画期的な試みがなされています。バッハの協奏曲などもそうですが、この時代の作品をモダンの楽器で演奏することについては、常に多かれ少なかれの賛否両論が付きまとうものですが、このシリーズは卓越した創造性が高く評価されるものと言えるでしょう。伴奏のドイツ・カンマーアカデミーは、全体的に軽やかであり、キルシュネライトの美しい音色と呼応する流麗な響きを聴かせます。
777856M
エルンスト・ヴィルヘルム・ヴォルフ:弦楽四重奏曲集
弦楽四重奏曲変ロ長調Op.3-1
弦楽四重奏曲変ホ長調Op.3-2
弦楽四重奏曲ト短調Op.3-3
弦楽四重奏曲ハ長調
クアドロ.ニ短調
ケルン・プレイエルQ
古典派の時代、ドイツのベーリンゲンの音楽一家に生まれたヴォルフ(1735-1792)の弦楽四重奏曲集です。彼の兄も優れたオルガニスト、作曲家であり、彼も幼いころから音楽の才能を発揮、9歳の時にはすでに見事なチェンバロ奏者になっていました。ゴータ宮殿のギムナジウムではC.P.E.バッハの作品を聴き、その魅力の虜となった彼は、そのままC.P.E.バッハの良き友人として生涯を過ごしたといいます。弦楽四重奏のジャンルはヨーゼフ・ハイドンが切り開いたとされていますが、同時期のヴォルフの作品も決して見劣りするものではなく、管楽器や通奏低音を加えなくても、充分に素晴らしいアンサンブルを提供できることを実証しています。また生き生きとしたメロディーとハーモニーはヴォルフの美点でもあり、その豊かな音楽性に触れる喜びを味わうこともできるでしょう。ケルン・プレイエル四重奏団はこの時代の作品を得意とするアンサンブルで、ここでも納得の行く演奏を聴かせています。
777857F
ヨーゼフ・マルクス:室内楽と歌曲集
ピアノ,ヴァイオリンとチェロのための「三重奏のためのファンタジー」
ソプラノ,ピアノ,ヴァイオリン,ヴィオラ,チェロとフルートのための「A.ヴィルトガンスの詩による4つの歌曲」
ハイペリオン三重奏団
シモーヌ・ノルド(S)
クリストフ・レンツ(Fl)
フェリックス・シュヴァルツ(Va)
オーストリア世紀末の時代に活躍しながらも、その潮流にどっぷりと嵌ることはなく、フランス印象主義や新古典派の作風も取り入れながら、独自の作風を作り上げたヨーゼフ・マルクス(1882-1964)。生前の彼の作品はとても人気がありましたが、1964年に亡くなってからは、ほとんど忘れられてしまい、その人気が復興するのは、20世紀末の頃になってから。現在では多くの作品が演奏され、比較的容易に楽しめるようになりました。このアルバムには1913-14年に書かれた初期の作品「三重奏のためのファンタジー」と、いかにも頽廃的なヴィドガンズの詩(かなりエロティック)を用いた「4つの歌曲」を収録。グスタフ・クリムトの絵を思わせる熟した果実のような音楽です。
777858(2CD)
NX-D11
レハール:喜歌劇「ウィーンの女たち」 クレール…ジークリンデ・フェルトホーファー(S)
フィリップ…トーマス・ブロンデル(T)
ヴィリバルド…ゲルト・フォーゲル(Br)
ネヒレディル…KS ヨーゼフ・フォルストナー(Br)
フィニ…マリー=ルイーゼ・ショットライトナー(S)
リニ…エリザベート・ツァイラー(S)
ティニ…クララ・ヴィンツェ(Ms)
ジャネッテ…マグダレーナ・ハルステ(S) 他
バート・イシュル・レハール祝祭cho
レハールO
マリウス・ブルケルト(指)

録音:2022年8月9-14日(ライヴ)
バート・イシュル祝祭ホール(オーストリア)
軽快な「ネヒレディル行進曲」が知られる喜歌劇「ウィーンの女たち」。レハールにとって初めて上演された記念碑 的な作品ですが、第1作でありながらもすでに完成度は高く、上演当時から高い人気を博しました。主人公のク レールとその婚約者フィリップ。そして彼女が以前恋心を抱いていたヴィリバルドと彼にアプローチする音楽教師ネヒ レディルの3人の娘たち。そしてフィリップの小間使いジャネッテ。この登場人物たちが美しい音楽に載せて織り成す 物語です。 この録音は、2022年、バート・イシュルで開催された“レハール音楽祭“でのライヴ収録。バート・イシュルに長く住 み名誉市民の称号を得たレハールに敬意を表した全曲上演です。クレールを歌うのは近年オペレッタで次々と主 役を演じるジークリンデ・フェルトホーファー。彼女が思いを寄せるヴィリバルド役をヴェテランのゲルト・フォーゲルが 歌います。また音楽教師ネヒレディルを演じるのは50年以上の経歴を誇り宮廷歌手(Kammersanger)の称 号を持つヨーゼフ・フォルストナーと万全の配役です。オペレッタを得意とするマリウス・ブルケルトが全体を見事にま とめています。
777859F
テレマン:様々な楽器のための大協奏曲集第1集
2台のトランペット,2本のオーボエと弦楽,通奏低音のための協奏曲TWVdeest
2本のフルート,オーボエ,ヴァイオリンと弦楽,通奏低音のための協奏曲TWV54:B1
チェロ、2本のオーボエダモーレと弦楽,通奏低音のための協奏曲TWV54:B1
リコーダー,オーボエダモーレ,ヴィオラダモーレと弦楽,通奏低音のための協奏曲TWV53:E1
2本のリコーダー,2本のオーボエ,2台のヴァイオリンと通奏低音のための協奏曲ConcertoTWV44:42
リコーダー,ヴィオラダモーレ,管弦楽と通奏低音のための協奏曲TWV50:3
ラ・スタジオーネ・フランクフルト
ミヒャエル・シュナイダー(指)
既に定評のある、ラ・スタジオーネ・フランクフルトとミヒャエル・シュナイダーのテレマン(1681-1767)、8CDからなる「管楽のための協奏曲」に続き今作から新しいシリーズが始まります。4枚で完結予定の合奏協奏曲で、ドイツの堅固な形式に明るいイタリアの音色と、フランス風のエレガントさを加えた当時の流行の最先端を行くこれらの協奏曲は、後にバッハが「ブランデンブルク協奏曲」で描いた世界の前段階におけるものとして、当時広く愛されていたのです。さざめく18世紀の雰囲気を見事に描き出した渾身の名演です。
777860F
ゴットルフ宮殿のための音楽第2集
ヨハン・フィリップ・フェルチュ:カンタータと宗教的コンチェルト集

今、サタンの力は弱くなっている
ああ、私はみじめな男だ
主よ、誰があなたの天幕に住むのでしょう
わが瞳は小川のような涙で溢れる
主はあなたの頭上を天使で満たす
イエスよ、あなたははぎとられ
地に棲む者は悲痛である
全ての紙の偉大な行いに感謝します
ブレーメン・ヴェーザー・ルネサンス
マンフレッド・コルデス(指)
デンマーク国境に近い、ドイツ、シュレスヴィヒにあるゴットルフ宮殿は、その瀟洒な美しさと豊富な歴史的所蔵物で知られています。1500年頃には有名な「ゴットルフ蔵書」が収納され、1595年には美しいホールである「大鹿の間」も完成、同じ時期には礼拝堂やオルガンも建立されています。cpoの新シリーズはこの宮殿のために書かれた音楽に焦点をあて、これらをお馴染みのコルデスとブレーメン・ヴェゼル=ルネサンスの完璧なアンサンブルで聴くというものです。ヨハン・フィリップ・フェルチュ(1652-1732)は、主にハンブルクでオペラ台本作家、作曲家として活躍していましたが、1680年から1684年までこの宮殿の教会で監督を務め、数多くのカンタータや宗教曲を書いています。聖書の言葉を大切にしながら、美しいハーモニーを載せていくという手法は、まさにオペラに精通していたフェルチュの腕の見せ所でもあり、また重要な場面でトランペットを活躍させる(神の声として)ことも、劇的な瞬間を一層鮮やかに見せてくれます。
777861F
フリードリヒ・ゲルンスハイム:ヴァイオリン協奏曲集他
ヴァイオリン協奏曲第1番ニ短調Op.42
ヴァイオリンと管弦楽のための幻想的小品集Op.33
ヴァイオリン協奏曲第2番ヘ長調Op.86
ライナス・ロート(Vn)
ハンブルクSO
ヨハネス・ズール(指)
最近、復興が進むドイツの作曲家ゲルンスハイム(1839-1916)の作品は、cpoレーベルを筆頭に少しずつ録音も増えています。今回は名手ライナス・ロートをソリストに迎えての2曲のヴァイオリン協奏曲と幻想曲集の登場です。これらはずっと忘れ去
られていた作品ですが、今回の新発見とも言えるリリースは嬉しい限りです。ゲルンスハイムはライプツィヒとパリで多くの音楽家たちと親交を結び、多くのものを吸収し、また影響を受けたことで知られています。このヴァイオリン協奏曲にも、メンデルスゾーンやシューマン、そしてブルッフ、ブラームス風の雰囲気が感じられ、メロディの美しさにはチャイコフスキーの面影もあります。音楽を美しいものとして味わいたい人には、ゲルンスハイムの作品はうってつけと言えるのではないでしょうか?
777862M
アレクサンダー・エルンスト・フェスカ:ピアノ三重奏曲集
ピアノ三重奏曲第2番ホ短調Op.12
ピアノ三重奏曲第5番ロ長調Op.46
ペイアン三重奏団
cpoにも何枚かの室内楽アルバムがある作曲家、ヴァイオリニスト、フリードリヒ・フェスカ(1820-1849)。彼の息子アレクサンダー・フェスカも才能ある作曲家として将来が期待されていました。カールスルーエで生まれたアレクサンダーはまず父から音楽教育を受け、11歳でピアニストとしてデビューします。14歳のときにベルリン王立芸術アカデミーの作曲科を卒業し、18歳になると故郷のカールスルーエに戻り、オペラをはじめ、歌曲やピアノ曲などの作曲をはじめます。その後は1842年にブラウンシュヴァイクに家を持ち、ここで活発な音楽活動を始めましたが、結局1849年に28歳という若さで病に倒れ、その生涯を閉じてしまうのです。彼の作品のほとんどはピアノ曲と室内楽であり、その作風はメンデルスゾーンやシューマンを思わせるロマンティックなもので、どの作品も印象的なメロディを持っています。第2番は確かにメンデルスゾーン風ですが、第5番の冒頭などはショパンの夜想曲を思わせる深い美しさが漂っています。
777863F(2CD)
グノー:交響曲集
交響曲第1番ニ長調
交響曲第2番変ホ長調
交響曲第3番ハ長調(断章)
オレグ・カエターニ(指)
スイス・イタリアーナO

*=初録音
グノー(1818-1893)の作品で人気ランキングをつけるとしたら、1位はあのバッハの曲に基づいた「アヴェ・マリア」であり、その次には一連のオペラが来ることでしょう。そんなグノー、実は素晴らしい交響曲を書いているのですが、あまり聞かれることはありません。音楽辞典には「2曲の交響曲」のみが掲載されていますが、実はもう1曲あることを知っている人はどれほどいるのでしょうか?彼の交響曲は、どれもハイドンの影響が感じられる古典的なものであり、第3楽章にはスケルツォ(メヌエット)が置かれるなど、極めて整った形式を有しています。問題の第3番(世界初録音)は、この録音のために、グノーの関係者からスコアの使用許可を取ったという貴重なもの。ファン必聴の1枚と言えるでしょう。
777864M
ゲオルク・シューマン作品集
ピアノ四重奏曲ヘ短調Op.29(1901)
チェロ・ソナタ.ホ短調Op.19(1898)
:ミュンヘン・ピアノ三重奏団
〈ミヒャエル・アールト(Vn)/ディートリヒ・クレーメル(Va…ゲスト)/ゲルハルト・ツァンク(Vc)/ドナルド・ズルツェン(P)>

録音:2014年4月13.14日、2013年10月28.29日 ミュンヘン,BR第2スタジオ
ドイツの作曲家ゲオルク・シューマン(1866-1952)。あのロベルト・シューマンの係累ではありませんが、ザクセン州の同じ地域の音楽文化を受け継ぐ素晴らしい才能を持ち、また教育者としても優れた功績を残した人としても知られています(ヴァイマル共和国に留学していた諸井三郎を指導した一人でもあります)。彼は生涯に渡って室内楽を愛し、自らもピアノを演奏しながら仲間たちと常にアンサンブルを持っていたと言われています。ここに収録されたピアノ四重奏曲は、古典的なフォームを持ちながらも、アイデアはロマンティックに拠っており、進歩的なハーモニーが使われた興味深いものです。またチェロ・ソナタは彼と同時代の名チェリスト、フーゴ・ヴェッカーに捧げられていて、こちらは最も重要な作品の一つです。
777866F
エルンスト・フォン・ゲンミンゲン:ヴァイオリン協奏曲第3番&第4番
フランソワ=ジョセフ・ゴセック:交響曲Op.6-2
コーリャ・レッシング(Vn)
ミュンヘン放送O
ウルフ・シルマー(指)
ドイツ生まれの作曲家ゲンミンゲン(1759-1813)。ビュルテンブルクの騎士の末裔であり、ベルリンで裁判官として働いたという経歴の片鱗がわかっていますが、その他の詳しいことはほとんどわかっていません。しかし、以前cpoから発売されたヴァイオリン協奏曲第1番&第2番(777454)の雄弁な音楽は、この作曲家が並々ならぬ才能の持ち主であったことをはっきりと示すものでした。この第3番と第4番の協奏曲も世界初録音であり、古典派の一つの失われたピースを埋める貴重な物証となることは間違いありません。同時収録はフランスの交響曲の礎を築いた作曲家ゴセック(1734-1829)の交響曲で、古典派からロマン派へと移り変わる激動の時代を反映させた堂々たる作品です。
777867M
ジャック=マルタン・オトテール:室内楽作品集第2集
6つのトリオ・ソナタOp.3(1712パリ)
前奏曲ト短調Op.VIIe/組曲第3番Op.8(1722)
組曲Op.2から3つの小品
カメラータ・ケルン
第1集(777790)が好評、カメラータ・ケルンによるオトテール(1674-1763)の室内楽作品全集の第2集です。彼は生粋のパリジャンでありながら、ローマで学ぶことでイタリアのスタイルを身に着け、これらを見事に融合させた優雅な作品を数多く残しています。例えば、6つのトリオ・ソナタはイタリアの教会ソナタ(ソナタ・ダ・キエーザ)の伝統を受け継ぐ4つの楽章を持っていますが、曲調はあくまでもフランス風の軽やかな舞曲で、こんなところにもオトテールの美点が強く感じられるのではないでしょうか?もちろんフルートの名手であった彼らしく、全面に渡ってフルートが大活躍しています。
777868F
ヨハン・クーナウ:宗教作品集全集第1集
復活祭のためのカンタータ「神はたちあがり」
聖母マリアのお清めの日のためのカンタータ「私は年老いても死ぬことはできない」
ペンテコステ初日のためのカンタータ「これにより、我らは彼に遵守することを知っている」
三位一体の主日のためのカンタータ「世よさらば!われは汝に倦みたり」
復活祭のためのカンタータ「あなたの饗宴で喜びを抱いている」
わが魂は悲しんでいる
オペラ・ムジカ
カメラータ・リプシエンシス
グレゴール・マイヤー
ドイツ・ザクセン州に生まれた作曲家ヨハン・クーナウ(1660-1722)のカンタータ全集録音が指導します。彼の父親は大工でしたが、その仕事を継ぐことはなく、ドレスデンの著名なキリスト教学校に奨学生として通い、ライプツィヒで法学を学びツィッタウでカントルの地位につきました。その後は1684年から聖トーマス教会のオルガニストに就任、1701年に同教会のトーマスカントルになり、終生その地位にありました。クーナウの作品では、一般的に鍵盤作品が知られていて、教会音楽はあまり重要視されていません。しかし、それは彼の後任であったバッハ作品などと比べると、幾分保守的だっただけであり、作品の完成度が低いというわけではありません。そんなクーナウの宗教曲に注目したのは、2007年からゲヴァントハウス合唱団の芸術監督を務めているグレゴール・マイヤーです。彼はこのクーナウの全宗教作品を研究し、2011年に設立されたオペラ・ムジカとカメラータ・リプシエンシスとともにこれらを演奏することに力を注いでいます。これまで過小評価されていたクーナウの作品に光が当たる時がやってきました!
777870D11(2CD)
モーツァルト:歌劇「皇帝ティートの慈悲」2幕(1804年新ウィーン版) カルロ・アッレマーノ(T)/ニーナ・ベルンシュタイナー(S)/ケイト・オルドリッチ(Ms)/アン=ベス・ソルヴァング(Ms)/ダナ・マルバッハ(S)/マルセル・バコニー(Bs-Br
アカデミア・モンティス・レガリス(合唱&管弦楽)
アレッサンドロ・ディ・マルキ(指)
モーツァルト(1756-1791)の亡くなる年に作曲されたオペラ「皇帝ティートの慈悲」は、当時の神聖ローマ皇帝レオポルド2世が、プラハでボヘミア王として戴冠式を行う際の上演曲目として、ボヘミア政府から作曲が依頼されたものです。モーツァルトはこの曲を18日間で書き上げたと言われ(最近の研究ではもう少し時間をかけたとも)初演は予定通り戴冠式が行われた9月6日に行われましたが、あまり好評を得ることはできず、9月末まで上演は続けられたものの、モーツァルトの死後は次第に上演されることもなくなってしまいました。とは言え、当時ウィーンの宮廷歌劇場ディレクターであったヨーゼフ・ヴァイグルが、1804年に発表したこのヴァージョン(セストとティートのために2曲の新しいアリアを追加した)は、ウィーンをはじめとした周辺地域で絶大な人気を持ち、しばしば上演されるとともに、上演ごとに他の作曲家の曲も組み入れた新しいヴァージョンが加えられるなど、高い人気を誇っていたようです。今回のディ・マルキの演奏も様々な試みがなされています。
777872M
カール・ニールセン:管楽のための室内楽曲全集
劇付随音楽「母」Op.41より「霧が晴れていく」(1920)
かいなきセレナード(1914)
2つの幻想的小品Op.2(1889)
劇付随音楽「母」Op.41より「子どもたちの遊び」(1920)/
クラリネットのための幻想的小品
劇付随音楽「母」Op.41より「信仰と希望の遊び」(1920)
厳粛な歌(1913)
木管五重奏曲Op.43(1922)
アンサンブル・ミッドヴェスト
デンマークの名手たちによって結成された「アンサンブル・ミッドヴェスト」。cpoレーベルからはプーランクの作品集(777711-2)を始め、ホルンボーなど自国の作品やモーツァルト、ブラームスなどの彫りの深い演奏が高く評価されています。彼らの最新作はやはり自国ものであるニールセン(1865-1931)の管楽のための室内楽曲全集です。ニールセンは当時のコペンハーゲン木管五重奏団と親交があり、彼らのためにいくつかの作品を書きました。「木管五重奏曲」もその一つで、民俗音楽に由来するキャッチーなメロディと、色彩豊かな響きに彩られたこの作品は、同時期の交響曲第5番に漲る厳しさとは違う風合いを持つものです。2つの幻想的小品はシューマンの作品を思わせる素朴さがあり、劇音楽「母」への短く親密な音楽も聞きものです。
777873S(2SACD)
北ドイツのバロックオルガン第12集〜マティアス・ヴェックマン:オルガン作品集全集
第1旋法による5声の前奏曲ニ短調
第2旋法によるマニフィカト
イエス・キリストよ、汝はたたえられよ
我ら貧しき罪人を
救いはわれらに来れリ
ファンタジアニ短調
第1旋法によるフーガニ短調
来たり給え聖霊、主なる神
神を賞賛し
喜べ、愛するキリスト者
おお祝福されし、光なる三位一体
フリードハイム・フランメ(マリーエンミュエンスター・アブタイ教会,ヨハン・パトロクルク・メーラー・オルガン)
バロック時代の初期から最盛期にかけて活躍したドレスデンの作曲家ヴェックマン(1617頃-1674)。彼は、幼少期の頃にシュッツが率いるザクセン宮廷楽団で音楽教育を受け、その後、ヤーコプ・プレトリウスにオルガンを学びました。師であるシュッツがイタリアの様式に影響されたことを受け、彼も当時のイタリア様式を学び、それを自作のオルガン、チェンバロ作品に取り入れ、巧妙で精緻な音楽を書き上げました。ただしその功績は、彼の死とともに忘れられてしまい、バッハの作品と、その周辺の音楽家たちの作品が省みられる19世紀まですっかり埋もれてしまっていたのです。この2枚組には現存するヴェックマンの作品全てが(私家版も含めて)収録されています。今回フランメが演奏したオルガンは長い歴史を誇る教会にあるもので、素朴かつ力強い音色を持つ楽器です。この録音ではその巣晴らしい響きを余すことなく記録し、SACDハイブリッド盤としてお届けいたします。
777874F
ヘルテル:受難カンタータ「瀕死の救い主」 ベリット・ゾルゼット(S)
ニコラス・ムルロイ(T)
アンドレアス・ヴォルフ(Bs-Br)
ケルン・アカデミー
ミヒャエル・アレクサンダー・ヴィレンズ(指)
作曲家、ヴァイオリニストであったヨハン・クリスチャン・ヘルテル(1727-1789)を父として生まれたこのヴィルヘルム。生まれた年代はバロック後期から古典派への過渡期であり、その作風もバッハとヘンデルの中間あたりに位置する人です。この「瀕死の救い主」は1764年の聖金曜日に初演された受難カンタータで、彼が仕えたメクレンブルク=シュヴェリーンに献呈されています。この曲のテキストを書いたレーヴェンは、受難曲の最もドラマティックな部分…ゲッセマネから鞭打ちを経て、磔刑に処されるまで…を省き、ダイレクトに死に向かう救世主の心の動きを描くことに力を注いだ結果、それはとても叙情的で人間味あふれる物語となりました。ヘルテルはこのテキストに端正かつ精緻な音楽を付け、見事な受難曲に仕立てあげたのです。最近、この時代のオラトリオの蘇演に力を注いでいるヴィレンの説得力ある演奏です。
777876F
シャルパンティエ:歌劇「オルフェウスの冥府下り」
田園劇「花の冠」
:アーロン・シーハン(T)
テレサ・ワキム(S)
アマンダ・フォーサイス(S)
ジェシー・ブルムバーク(Br)他
ボストン・アーリー・ミュージック・フェスティヴァルO&cho
ポール・オデット&スティーブン・スタッブス(指)
以前、リュリの歌劇「テゼ」「プシュケ」がグラミー賞にノミネートされるなど、リリースするアルバムのどれもが注目されているオデットとスタッブス。今作はシャルパンティエの2つの歌劇作品を取り上げました。シャルパンティエ(1643-1704)は現在、宗教曲の作曲家として論じられることが多いのですが、いくつかの歌劇、劇音楽も残しています。リュリと同時代でありながらも、その作風は違いがあり、時として野心的なアリアや象徴的なフレーズが現れるなど、なかなか面白いものとなっています。演奏は若い歌手たちによって行われており、活気ある素晴らしい音楽を楽しむことができるでしょう。
777877F(2CD)
ヘンデル:カンタータ「私はとても幸せになりましょう」
牧歌劇「エイシスとガラテア」HWV49a(室内楽によるオリジナル・ヴァージョン(1718)
カンタータ「私はとても幸せになりましょう」HWV157
アーロン・シーハン(T)テレサ・ワキム(S)
ダグラス・ウィリアムズ(Bs-Br)
ジェイソン・マックストーツ(T)
ザカリー・ワイルダー(T)
アマンダ・フォーサイズ(S)
ボストン古楽音楽祭
室内アンサンブル&Cho
ポール・オデット(指)
スティーブン・スタップズ(指)
これまでにも権威ある賞を獲得しているボストン古楽音楽祭COと指揮者のポール・オデット、並びにスティーブン・スタップズによるヘンデルの「エイシスとガラテア」です。この1718年版の「エイシスとガラテア」というのは、イギリスの貴族ジェイムズ・ブリッジズの元で働きだした頃、ブリッジズがロンドン郊外のキャノンズに建築していた館で上演するために書いたもので、ちょっとした劇に付けられた音楽でした。初演後はそのまま放置されていましたが、いつの間にか人気が出て、周囲がヘンデルの許可なく勝手に演奏するようになります。それに業をにやしたヘンデルが自ら改訂版を作成したのですが、そちらは規模も拡大され、英語、イタリア語が混在するというもの。そのため、1739年にもう一度改訂を行い、現在はほとんどがこちらの1739年版が演奏されています。このCDで演奏されている初稿版はは5人の歌い手と7台の楽器のみという小さな編成で演奏されるほのぼの感溢れるもので、ヘンデルの最初の意向が遺憾なく発揮されています。同時収録のカンタータも、あまり録音のない貴重なものです。
777878B(8CD)
バッハ:偽作宗教曲集
<CD1…999139>
偽作カンタータ集 BWV217-219
<CD2…999139>
偽作カンタータ集 BWV220-222
<CD3…999985>
偽作カンタータ集 BWV12.141.142.160
<CD4…999834>
偽作ミサ曲&マニフィカトBWV Anh.25&26&
<CD5&6…999293>
ルカ受難曲 BWV246Anh.II,30
<CD7…999235>
偽作モテット集 BWV
Anh.159,160,162-165
<CD8…777261>
偽作ミサ曲集&マニフィカト 集 BWV Anh.167.30.24.240.239.237.150
アルスフェルト声楽アンサンブル
ジェズアルド・コンソート・アムステルダム
ハノーヴァー宮廷O
ヴォルフガング・ヘルビッヒ(指)他
J.S.バッハの作品として語り継がれるも、最近の研究では「どうも違うだろう」と決定付けられた作品群。これらを的確な解釈で次々と演奏していた名指揮者ギュンター・ヘルヴィッヒ。残念なことに彼は志し半ばにて2013年4月8日にこの世を去ってしまいました。このBOXは彼の業績を記念するものとして長く伝えられていくことでしょう。
777883M(2CD)
パウル・ユオン:弦楽四重奏曲集
弦楽四重奏曲第1番ニ長調Op.5
弦楽四重奏曲ロ短調Op.11
弦楽四重奏曲第2番イ短調
Op.29
弦楽四重奏曲第3番ニ短調Op.67
ザラストロSQ
スイス系ロシア人作曲家パウル・ユオン(1872-1940)は、今では「チャイコフスキーとストラヴィンスキーを繋ぐ存在」として認知されています。彼はモスクワ音楽院でアレンスキーとタネーエフに作曲を学び、その後1894年にベルリン高等音楽学校に留学、クララ・シューマンの父親違いの弟で高名な作曲家ヴォルデマール・バルギールの元で更なる研鑽を積みます。その後ロシアに戻りバクー音楽院の教授に就任、多くの音楽家を育てました。ロシアの数々の音楽理論をドイツ語に翻訳し、当時のロシアの音楽水準の高さを国際的に認識させる役割も果たしましたが、彼自身の作品はどちらかというとドイツ的であり、またブラームスの「ハンガリー舞曲集」の編曲者の一人としても知られています。ブラームスに心酔していたようですが、その作品にはあまり旋律美はなく、ひたすら形式を重んじる複雑なものとなっているところが面白く、また時々ロシア民謡調の曲想が現れるところなども、独特な世界が感じられます。
777879M(2CD)
ヘルマン・ゲッツ:ピアノ作品全集
6つの風俗画Op.13/森のメルヒェン
ソナチネOp.8-1/ソナチネOp.8-2
アルヴィーネン=ポルカ
それは神の平安によって決められる
幻想曲ニ短調/スケルツォ.ヘ長調
一羽の鳥が飛んできて/じゃじゃ馬ならし
ソナタ断章/ピアノ小品集「綴じてないページ」Op.7
クリストフ・ケイマー(P)

録音:2011年2月1-3日ハノーファー
※全集として世界初録音
ドイツに生まれ、ベルリンに学び、後にスイスに移り音楽評論、指揮者、ピアニスト、作曲家として活躍したヘルマン・ゲッツ(1840-1876)、彼がピアノを本格的に学び始めたのは17歳になってからでしたが、師事したハンス・フォン・ビューローの指導が良かったのか、ベルリンのシュテルン音楽院を無事卒業することができたとされています。彼は36歳という若さでこの世を去ってしまいましたが、交響曲、ヴァイオリン協奏曲、2つのピアノ協奏曲をはじめ、このアルバムで聴くことのできるピアノ曲、そして室内楽曲も残しています。マーラーが彼の作品を愛奏していたことでも知られ、更なるこの作曲家の再評価も待たれるところです。彼のピアノ曲のほとんどは作品番号を持たず、最近印刷されるまでは、その存在もあまり知られていませでんした。しかしピアニスト、ケイマーはゲッツの作品を丹念に調査し、作品によっては編集も行い、今回のリリースを完了させたのです。ブラームスを思わせる渋い作品も含まれるこの曲集を聴きながら、彼がもっと長生きしたらどんな曲を書いたのかを想像するのも良いものです。
777880B(3CD)
フランツ・イグナーツ・ベック:9つの交響曲集
交響曲Op.3第1番ヘ長調
交響曲Op.3第2番変ロ長調
交響曲Op.3第6番ヘ長調
「オルフェの死」序曲
交響曲Op.3第3番ト短調
交響曲Op.3第4番変ホ長調
交響曲Op.3第5番ニ短調
交響曲Op.4第1番ニ長調
交響曲Op.4第2番変ロ長調
交響曲Op.4第3番ヘ長調
「無人島」序曲
ラ・スタジオーネ・フランクフルト
ミヒャエル・シュナイダー(指)
マンハイム楽派の中心的存在であったヨハン・シュターミッツ。この人の最も有能な弟子として知られるのが、このフランツ・イグナーツ・ベック(1734-1809)です。この人はなかなか破天荒な経歴を持つことで知られ、音楽もその生涯に負けず劣らず波乱に満ちたものなのです。例えばCD2 で聴くことのできるOp.3 の第3 番ト短調。モーツァルトの第25 番にも匹敵するほどの劇的な表情で始まる激しい音楽です。転じて長調の作品はどれも伸びやかで、確かに「マンハイム楽派」の幸せな表情を受け継いでいます。「18 世紀のベルリオーズ」と呼ばれる彼の作品、確かに交響曲の歴史に一石を投じる名作揃いです。
777881
NX-B10
テレマン:ヴァイオリン協奏曲全集 第7集
序曲(組曲) イ長調 TWV55:A8-独奏ヴァイオリン、弦楽と通奏低音のために
協奏曲 ト長調 TWV51:G4-独奏ヴァイオリン、弦楽と通奏低音のために
序曲(組曲) イ長調 TWV55:A4-独奏ヴァイオリン、弦楽と通奏低音のために
ウォルフィッシュ・バンド(古楽器使用)
エリザベス・ウォルフィッシュ(独奏Vn&指)

録音:2013年9月30日-10月3日
この第7集には3曲が収録されていますが、そのうち2曲の作品番号はTWV55の組曲、1曲はTWV51の 協奏曲と、作品目録では別ジャンルに分類されています。組曲は基本的に6曲から8曲の舞曲で構成さ れ、冒頭にはフランス風のゆったりとしたテンポを持つ序曲が付されています。協奏曲は当時の主流であった 急-緩-急の3楽章構成です。 このように曲の形態は違うものの、どの曲も独奏ヴァイオリンには、繊細な感覚と高い技術を要求する華や かな旋律が用意されています。エリザベス・ウォルフィッシュ率いるウォルフィッシュ・バンドの見事な演奏が、聴 き手を1720年代のヨーロッパ音楽文化への魅力的な旅へといざないます。
777885F
ヴィルトゥオーゾ・リコーダーIII〜イギリス・バロックのリコーダー協奏曲集
ロバート・ウッドコック(1690-1728):リコーダー協奏曲第2番
 リコーダー協奏曲第4番
 リコーダー協奏曲第5番
 リコーダー協奏曲第8番
 リコーダー協奏曲第6番からガヴォット
ジョン・バーストン(1685頃-1740):リコーダー協奏曲第3番ト長調
ウィリアム・バベル(1690頃-1723):リコーダー協奏曲Op.3-3ホ短調
バベル:リコーダー協奏曲Op.3-6ヘ長調
 リコーダー協奏曲第2番ニ長調
シャルル・デュパール(1667-1740):フルート協奏曲イ短調
 ヴァイオリンとオーボエ,弦楽,通奏低音のための協奏曲イ長調
フランクフルト・カペラ・アカデミア
ミヒャエル・シュナイダー(指・リコーダー)
第1集(777534)…ドイツのバロック、第2集(777316)…イタリアのバロックに続く、ヴィルトゥオーゾ・リコーダーの第3集は、お待ちかね「イギリスのバロック」作品集です。作曲家の名前にはほとんど馴染みがありませんが、ここで聞ける作品のなんと生き生きしたこと!明らかに、当時強い影響力を誇ったヘンデルの影響も見られますが、ウッドコックの作品は独奏的であり、優雅で想像力豊かなものです。協奏曲と言っても、現在のような3楽章(もしくは4楽章)形式ではなく、A-B-Aの三部形式の曲があったり、編成の小さなものがあったりと、ヴァラエティに富んでいます。曲によってはヴィヴァルディを思わせるものもあり、とても興味深いものです。今回もシュナイダーの見事な演奏が光ります。
777887F
ミェチスワフ・ヴァインベルク:作品集
ヴァイオリンと弦楽オーケストラのためのコンチェルティーノOp.42
モルダヴィアの主題による狂詩曲Op.47-3(E.ノヴィッカ編)
交響曲第10番Op.98*
エヴェリーナ・ノヴィッカ(Vn)
ポーランド放送アマデウス室内O
アニェスカ・ドゥチマル(指)
アンナ・ドゥチマル=ムロツ(指)*
cpoレーベルが進めているシリーズの一つに、ポーランド、ロシアの作曲家ヴァインベルク(1919-1996)の重要な作品集があります。ショスタコーヴィチとの関連性で知られる人ですが、その作風には確かに似通ったところがあるものの、かなり抒情的で、また標題性があることでも知られています。このアルバムには初期の作品であるヴァイオリンの協奏的作品と、やはり協奏的でありながら「交響曲」と名づけられた実験的な作品、そして「モルダヴィアの主題による狂詩曲」は失われてしまったと言われるヴァージョンをポーランドのヴァイオリニスト、作曲家ノヴィッカが復元したものを収録。ノヴィッカはヴァインベルクの諸作品を初演したことでも知られる名手であり、ここでも説得力ある演奏を繰り広げています。
777890F
テレマン:様々な楽器の為の大協奏曲集第2集
2台のヴァイオリン,ファゴット,弦楽と通奏低音の為の協奏曲ニ長調TWV53:D4
リコーダー,ヴィオラ・ダ・ガンバ,弦楽と通奏低音の為の協奏曲イ短調TWV52:a1
3本のトランペット,ティンパニ,管弦楽の為の協奏曲ニ長調TWV54:D4
2本のリコーダー,2本のオーボエ,2台のヴァイオリン,ヴィオラと通奏低音の為の協奏曲変ロ長調TWV54:B2
ヴァイオリン,トランペット,弦楽合奏と通奏低音の為の協奏曲ニ長調TWV53:D5
ラ・スタジオーネ・フランクフルト
ミヒャエル・シュナイダー(指)
第1集(777859)で驚くほど華やかな音楽が集められた「大協奏曲集」の第2集です。これらの作品は、祝祭の開催時に演奏されたり、または特定の名手のために書かれたりと、折々の必要なときに作曲されたものであり、まとめて演奏するためには、各々の楽器の名手が大勢必要になるものです。もちろんシュナイダー&ラ・スタジオーネ・フランクフルトはこの条件を存分に満たしたもの。技巧的なソロ・パートを持つ壮大な音楽は、バッハやヘンデル作品とは違った楽しさを感じさせること間違いありません。
777893M
ヴァシリー・モクラーニャッツ:作品集
弦楽四重奏曲ニ短調
ヴァイオリン・ソナタ.ト短調
ヴァイオリンとピアノのための古い歌嬰ト短調
ヴァイオリンとピアノのための舞曲ホ短調
トーマス・クリスティアン(Vn)
エフゲニー・シナイスキー(P)
トーマス・クリスティアン・アンサンブル
セルビアの民族音楽の収集と発展に努め、またセルビアの音楽家たちの演奏技術の向上に貢献したシュテファン・モクラーニャッツ(1856-1914)の係累であるヴァシリー・モクラーニャッツ(1923-1984)も、また最も重要なセルビアの作曲家の一人でした。彼の父ジョーヴァンは優れたチェリストで、ベオグラード弦楽四重奏団のメンバーであり、ヴァシリーもベオグラード音楽アカデミーで作曲を学び、1956年にはこの学校の作曲科の教授になっています。5曲の交響曲、3曲の序曲をはじめ、演奏会用の作品や、ピアノ曲、そして映画音楽、舞台音楽など様々な作品を手掛けています。弦楽四重奏曲ニ短調は1949年に書かれ、民俗音楽の素材を用いながら、少しロマンティックな雰囲気を持っています。ヴァイオリン作品はピアノ・パートも比重が高く、お互いの楽器同士が親密な歌を歌い上げるというものです。重苦しい雰囲気が時として緩やかに溶ける様子がたまりません。
777894M(2CD)
ハインリヒ・ヴィルヘルム・エルンスト:ヴィルトゥオーゾ・ヴァイオリン曲集
エルンスト:ロッシーニ「オテッロ」による華麗な幻想曲Op.11
 2つのサロン風の小品Op.13-2「ロンディーノ・グラジオーソ」
 2つのサロン風の小品Op.13-1「アダージョ・センティメンタル」
 弦楽四重奏曲ロ長調
 2つの夜想曲Op.8/アルバムの小品
 束の間の思考(友情の約束)
 6つのサロン風の小品Op.25-第1番,第24番,第34番
2つのロマンスOp.15
大2重奏「プレ・オ・クレル」
ヴィエニャフスキ:夢嬰ヘ短調
トーマス・クリスチャン(Vn)
トーマス・クリスチャン・アンサンブル
優れたヴァイオリニストとして名声を思うままにしていたエルンスト(1814-1865)ですが、1828年にパガニーニの演奏に接
して超絶技巧に目覚め、この技術を習得するために、決して人前で練習をしなかったというパガニーニの身辺に潜り込んだというエピソードを持つほどの努力家(?)でもありました。その甲斐あってか、数多くの絢爛たる技巧を散りばめた作品を書き、これらは現代でも“演奏困難な作品”と讃えられています(そのため、あまり演奏会のレパートリーになっていないのが残念です)。この2枚組には、そんなエルンストの様々な作品を収録、彼の技巧の秘密を探るために最適なアルバムとなっています。単なるパガニーニの模倣ではなく、独自の世界を目指したエルンスト。もっと知られても良い作曲家です。
777895F
フランツ・アントン・ホフマイスター:交響曲・序曲集
歌劇「イタカ島の王子」序曲
交響曲ハ長調HickmanC8
交響曲ニ長調HickmanD8
ハワード・グリフィス(指)
スイス・イタリア語放送O
ドイツ生まれのホフマイスター(1754-1812)は作曲家としても高名でしたが、現在では「音楽出版者」としての功績の方が高く評価されているようです。確かに彼のおかげでハイドンやモーツァルト、ベートーヴェン、クレメンティらの作品が世に出版され、知名度を獲得したことは間違いありません。しかし彼自身は作曲活動をやめるつもりはなく、1790年代にはフルーティストの友人とツアーを行ったりと、活発な創作活動を行っていたことでも知られています。彼は交響曲をおよそ50曲書いていますが、そのほとんどは1790年代に作曲されたものであり、特に、このアルバムに収録されているニ長調の交響曲は聴衆から熱烈に支持されたと言われています。また彼の最も成功した舞台作品「イタカ島の王子」の序曲も、全曲を聴いてみたくなるほどの魅力を秘めたものです。
777896M
リスト:2台ピアノのための作品集
メンデルスゾーンの無言歌による大コンツェルトシュトゥックR355/S257
ノルマの回想R378/S655
悲愴協奏曲ホ短調R356/S258-2
ドン・ファンの回想R379/S656
ヘクサメロンR377/S654-2
ピアノ・デュオ・ジェノヴァ&ディミトロフ〈メンバー:アグリカ・ジェノヴァ&リューベン・ディミトロフ(P)>
ジェノヴァとディミトロフの2人は、ピアノ・デュオとして活動を始める前からフランツ・リスト(1811-1886)の作品には献身的な愛情を抱いていて、どちらもコンクールの演奏曲に「メフィスト・ワルツ」を選ぶなど争うようにリストを弾いていたといいます。それから25年後、彼らはライバルとしてでなく、アンサンブルとしてリストを演奏することになりました。リストはしばしば気に入った自作の独奏曲を2台ピアノのために編曲し、これらを更に華麗な作品として生まれ変らせています。リストが要求する技巧が困難なことは独奏曲でも顕著ですが、2台ピアノ作品では、オーケストラを超える程の響きが求められていることは間違いありません。
777897M
クリストファー・タイ:イン・ノミネ‐リコーダー・コンソート
イン・ノミネ「リポート」
イン・ノミネ「すでに甦りて、ここにいまさず」
イン・ノミネ「クリエ」
Dumtransisset SabbatumIII
イン・ノミネ「しっかりつかまれ」
イン・ノミネ「めったに見られない」
イン・ノニネ「潔白」
ラウデス・デオ
イン・ノミネ「ラウンド」
4声のイン・ノミネ
イン・ノミネ「レ・ラ・レ」
6声のイン・ノミネ
蘇りたまいしキリストは
イン・ノミネ「すっかり自由」
イン・ノミネ「信頼」
イン・ノミネ「そう言ってくれ」
イン・ノミネ「入ります」
Dumtransisset SabbatumII
イン・ノミネ「わが死」
イン・ノミネ「もう泣くのはおやめ、レイチェル」
イン・ノミネ「レイチェルの泣き声」
主は彼らを愛したもうた
柴の中で
イン・ノミネ「さらばわが愛しき人よ、永遠に」
イン・ノミネ「私を助けて」
イン・ノミネ「私を信じて」
5声のイン・ノミネ
おお、祝福されし光なる三位一体
ジョン・タヴァナー(1490-1545):イン・ノミネ
ブレーメン・ボレアス四重奏団
ハン・トール(リコーダー)
16世紀イングランドのオルガニスト、作曲家クリストファー・タイ(1505頃-1572頃)の作品集です。「イン・ノミネ」とは当時イングランドで創られた単旋聖歌「なんじ聖三位一体に栄光あれ」の一部分を定旋律(多声音楽の基礎となる旋律)としたポリフォニックな器楽曲のことで、「神の名において」の部分から始まることが多いとされるものです。この形式を始めたのは、ジョン・タヴァナーであるとされ(このアルバムにも収録されている)、彼の作品が人気を博したことで他の作曲家たちが模倣し広まると同時に、作品の性格も変化していき、このタイの「イン・ノミネ」に至っては、たくさんのヴァリエーションが見て取れるほどに多彩なものとなっているのです。本来は一つの旋律であったものが、こんなにも豊かな世界を作り上げるとは・・・。ブレーメン・ボレアス(北風の神の意味)四重奏団の表現豊かな演奏が、自由自在にタイの音楽を再現しています。
777899F
レオ・ファル:喜歌劇「パロリ」1幕 アンケ・クラッベ(S)
アンドレア・ベーニッヒ(A)
イェルク・ドゥルミュラー(T)
ミヒャエル・ロイダー(T)
ラルフ・ルーカス(Bs-Br)
ケルン放送Cho/ケルン放送O
アクセル・コーバー(指)
オペレッタ黄金期を代表する作曲家の一人、レオ・ファルの知られざる喜歌劇「パロリ」です。この作品は、おともと「デニーゼ夫人」というタイトルが付されていました。18世紀後半のパリに近い都市に起こる恋愛物語で、少しだけ「フィガロ」を思わせるロココ調のストーリーは、オペラでもオペレッタでもない魅惑的な舞台です。この作品は初演後、たった10日で劇場のレパートリーから外されてしまいましたが、音楽出版社アレクサンダー・ヤーダースゾーンがこの作品を購入、それがきっかけでファルはアレクサンダーの息子でリストの高名な弟子、ザロモン・ヤーダースゾーンの娘ベルタと親しくなり、彼女と結婚。そして彼女のお気に入りだった「デニーゼ夫人」はファルの弟ジークフリートがピアノ版を作成し、新しいタイトル「パロリ」として1903年に出版されることとなります。そんな複雑な過程を経て生まれた作品です。

777901F(2CD)
R・シュトラウス:歌劇「インテルメッツォ」Op.72 ジモーネ・シュナイダー(S)
マルクス・アイヒェ(Br)
ブリギッテ・ファスベンダー(Ms) 他
ミュンヘン放送O
ウルフ・シルマー(指)
この演奏は2011年のガルミッシュ=パルテンキルヘンで開催されたリヒャルト・シュトラウス音楽祭のハイライト(音楽監督:ブリギット・ファスベンダー)を飾るコンサートで、ウルフ・シルマーのタクトに載せて、その美しく軽妙な音楽が絶妙に演奏されています。クリスティーネを演じるのはジモーネ・シュナイダー。往年のルチア・ポップを凌ぐ名唱を聴かせています。
777902F
R・シュトラウス:バレエ音楽「ヨーゼフ伝説」Op.63 ヴァイマール・シュターツカペレ
ステファン・ショーヨム(指)
20世紀初頭、ディアギレフ率いるロシア・バレエ団は多くの芸術家たちに影響を及ぼしました。ディアギレフが様々な作曲家たちに曲を委嘱したことは知られていますが、この「ヨーゼフ伝説」もそんな作品のひとつです(とは言え、最初は、ディアギレフのバレエを観たホフマンスタールが感銘を受け、「こんな作品はどうですか?」と売り込みをかけたことが発端だったのですが)。内容は聖書の「ヨゼフ物語」に基づくもので、ヨゼフが奴隷として働いていたポティファルの家で、その家の夫人が彼を誘惑するも、それを拒否するという物語。サロメにも似ていますが、もっと神秘的な佇まいを持っています。当初の計画ではニジンスキーがヨゼフを踊るという触れ込みでしたが、どうにも、ケスラー卿(ホフマンスタールの友人)による台本の出来がよくなく、シュトラウス(1864-1949)の音楽もいま一つ切れがないせいか、人気作になることはなく、最近まではほとんど演奏されることがありませんでした。しかし改めて聴いてみると、時には「サロメ」や「エレクトラ」のような激しく妖艶な響きが聴かれたり、後期の作品のような静謐さもあったりと、なかなか興味深い音楽に満たされていることに気が付くのではないでしょうか。
777904M
バッハ:ヴァイオリン協奏曲集
ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調BWV1041
ヴァイオリン協奏曲第2番ホ長調BWV1042
2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調BWV1043
オーボエ,ヴァイオリン,弦楽のための協奏曲ハ短調BWV1060R
フレデリック・フォルム(Vn)
ペーター・スピスキー(Vn)
ビャルテ・アイケ(Vn)
マンフレッド・クレーメル(Vn)
アントニー・トルンシク(Ob)
コンチェルト・コペンハーゲン
ラルス・ウルリク・モーテンセン(指)

録音:2011年3月31日-4月3日コペンハーゲンガルニソン教会
コペンハーゲンを代表するバロック・アンサンブル「コンチェルト・コペンハーゲン(CoCo)」と、音楽監督のラルス・ウルリク・モーテンセン。彼らの活動は近年更に目覚ましく進化を遂げています。彼らによるJ.S.バッハの録音は、これまでにもハープシコード協奏曲や、他レーベルでの声楽作品があり、こちらも高く評価されていますが、それに満足することなく、今回も考え抜かれた解釈と独創性に満ちたヴァイオリン協奏曲を演奏、バッハに対する愛と、その素晴らしさを見せつけています。
777905M
イギリスのクラリネット五重奏曲集
アーサー・サマヴェル(1863-1937):クラリネット五重奏曲ト長調
サミュエル・コールリッジ=テイラー(1875-1912):クラリネット五重奏曲嬰へ短調Op.10
リチャード・ウォーズー(1872-1951):ショート・クィンテット変ホ長調
シュテファン・ジーゲンターラー(Cl&指)
ライプツィヒSQ
聴く前から、かなりの名曲であることが想像できるイギリスのクラリネット五重奏曲集。クラリネットの柔らかいまろやかな音色は、イギリスの少し煙った青空のイメージを想起させるせいでしょうか?多くの歌曲で知られるサマヴェルの、ブラームスを思わせる五重奏、アフリカ系の血をひくコールリッジ=テイラーの民謡風の五重奏曲、ヒューバート・パリーの弟子で、いくつかの室内楽作品で知られるウォーズーの素朴で小さな五重奏曲と、どれもが伸びやかで美しい世界を形成しています。様々なコンクールで入賞経験を持つ名手ジーゲンターラーとライプツィヒ弦楽四重奏団による落ち着いた演奏で。
777907M(2CD)
ミヒャエル・ハイドン:弦楽五重奏曲全集
弦楽五重奏曲変ロ長調MH412
弦楽五重奏曲ハ長調MH187
弦楽五重奏曲へ長調MH367
弦楽五重奏曲ト長調MH189
弦楽五重奏曲へ長調MH411
ザルツブルク・ハイドン弦楽五重奏団
天才ヨーゼフ・ハイドン(1737-1806)の5歳年下の弟ミヒャエル・ハイドン。彼も兄に負けず劣らず音楽の才能に抜きんでてオリ、いました。やはり幼い頃からシュテファン大聖堂の聖歌隊で歌い、オルガン、ピアノ、ヴァイオリンを学び、20歳でハンガリーのグロースヴァルダイン司教の楽長となったのを皮切りに、数多くの宮廷に仕え、多くの作品を残しています。教師としても高名で、弟子にはウェーバーやディアベリなどがいます。cpoレーベルでは彼の作品を集中的にリリースすることで、若干過小評価され気味のミヒャエル・ハイドンに光を当てるべく奮闘しています。この五重奏曲集も、同時代のモーツァルトのものよりも変化に富み、かなり冒険的なのではないでしょうか。
777910M
ヨハン・ゴットリープ・ヤニチュ:教会ソナタと室内ソナタ集
室内ソナタ.ヘ長調/室内ソナタ変ホ長調
室内ソナタ.ニ長調/室内ソナタ.ト短調
教会ソナタ.ヘ長調/教会ソナタ.ニ短調
エポカ・バロッカ
ゴットリープ・ヤニチュ(1708-1763)はドイツ・バロック時代の作曲家です。彼はシレジア(現ポーランド)に生まれ、フランクフルトの大学を卒業し、プロイセンの宮廷音楽家になります。フリードリヒ大王の個人的な音楽家であり、宮廷では様々な役職を歴任しながら首都ベルリンで亡くなっています。彼は多くの作品を残しましたが、そのほとんどは第二次世界大戦中に失われてしまいました。一部の写本のみがベルリン・ジンクアカデミーに残り、その中には28のソナタが含まれています。彼の作風は当時の最先端を行くものであり、明快で流麗、美しいメロディと斬新なハーモニーに満たされていて、この作品が初演された当時、作曲家ヨハン・ヴィルヘルム・ヘルテルがこれらを絶賛したといわれています。
777911F
魂の曲作り
アーベル(1723-1787):四重奏曲イ長調
ハッセ(1699-1783):アリア「L’Augelletto in lacci stretto」
アーベル:チェンバロと2台のヴァイオリン、通奏低音のためのコンチェルトニ長調
 四重奏曲変ロ長調
 アリア「Frena le belle lagrime」
ドロテー・ミールズ(S)
ハンブルク・ラーツムジーク
シモーネ・エッケルト(ヴィオラ・ダ・ガンバ&指)

録音:2014年1月19-22日エッケルンフェルデ聖ニコライ教会
ヴィオラ・ダ・ガンバの名手として知られたカール・フリードリヒ・アーベルは、1748年J.S.バッハの推薦でヨハン・アドルフ・ハッセの宮廷楽団に入団、ここに10年間在籍したと言われます。そしてそのアーベルの友人が未完の長編小説「紳士トリストラム・シャンディの生涯と意見」の作者として知られる作家ローレンス・スターン(1713-1768)です。スターンは巧みにガンバを弾き、またアーベル作品の良き聴き手でもありました。スターンは繰り返し、アーベルを優れたガンバ奏者として人々に紹介していたということです。このアルバムはそんなアーベルの室内楽曲を中心に、ソプラノのためのアリアを1曲と、ハッセのアリアを1曲収録、2曲のアリアを歌うのは古楽界を代表する歌姫ドロテー・ミールズという素晴らしい1枚となっています。シモーネ・エッケルトの見事なガンバに耳を奪われます。
777912
NX-B10
テオドール・フォン・シャハト(1748-1823): シンフォニア集 第2集
シンフォニア 変ロ長調
シンフォニア へ長調
シンフォニア ト長調
エヴァーグリーンSO
ゲルノート・シュマルフス(指)

録音:2019年1月15日
ドイツ・バロック期の作曲家シャハト(1748-1823)。レーゲンスブルクの宮廷音楽家ヨーゼフ・リーペルから 最初の音楽指導を受け、1766年にはシュトゥッツガルトのニコロ・ヨンメッリの弟子になります。その後はレー ゲンスブルクに戻り、1773年から宮廷音楽監督に就任し、宮廷音楽界の中心人物として活躍しながら、 ヨンメッリの伝統を受け継ぐイタリア・歌劇の普及にも力を尽くしました。1796年には王室から特別の地位 を得て、その後は自由な作曲家としてウィーンに旅行し、ベートーヴェンやルドルフ大公、ナポレオンなどにま つわる作品を書いたことでも知られています。ハイドンの躍動感にも似た快活な雰囲気を持つシンフォニアを 収録した第1集に続き、この第2集でも古典的な形式に基づいた躍動的な雰囲気を湛えた3つのシンフォ ニアを楽しめます。第1集と同じく、この時代の作品を得意とする台湾のエヴァーグリーンOとゲル ノート・シュマルフスによる演奏です。
777913B(6CD)
ヴァインベルク:弦楽四重奏曲全集
CD1…777313-2
弦楽四重奏曲第4番&第16番
CD2…777392-2
弦楽四重奏曲第7番,第11番,第13番
CD3…777393-2
弦楽四重奏曲第6番,第8番,第15番
CD4…777394-2
弦楽四重奏曲第5番,第9番,第14番
CD5…777566-2
弦楽四重奏曲第1番,第3番,第10番他
CD6…777587-2
弦楽四重奏曲第2番,第12番,第17番
ダネルSQ
最近話題沸騰中。ヴァインベルク(1919-1996)の弦楽四重奏曲全集がお求めやすい価格での登場です。ショスタコーヴィチの弟子であり親友であったヴァインベルクは、自身も騒乱の人生を送りながら、多くの作品を世に生み出しました。その中でも弦楽四重奏曲は傑作が揃っており、どれもが、当時のロシアの不安定な雰囲気を湛えつつも、それを乗り越えるパワーも有した聴きごたえのある作品となっています。
777914M
ルベル(1666-1747):組曲「四大元素」
ラモー:組曲「カストルとポリュックス」
オルフェオ・バロックO
ミヒ・ガイッグ(指)
バロック期に書かれたのに、まるで「現代曲」を思わせることで知られるルベルの「四大元素」の冒頭部分。この曲を聴いて衝撃を受けない人はいないかも。ただ、曲が進むにつれて、優雅なバロック音楽になっていくところは、まだまだ17-18世紀の音楽そのものです。このオルフェオ・バロックOとミヒ・ガイッグによる2つの作品の録音:は、以前、PHOENIXレーベルからリリースされていたもの(PE110)ですが、現在入手不可能。今回cpoレーベルからの再発売は、一度は聴いてみたいと思っていた愛好家の心を小躍りさせるのではないでしょうか。
777915F(2CD)
レオ・ファル:喜歌劇「女帝」 ミリアム・ポルトマン(S)/イェフゲニー・タルンツォフ(T)/ヴェレナ・バース=ユルカ(S)/ゲルハルト・バルッフ(ナレーター)/クレメンス・ケルシュバウマー(T)/ガブリエーレ・クライドル(S)他
/バート・イシュル・レハール祝祭Cho
フランツ・レハールO
マリウス・ブルケルト(指)
この喜歌劇「女帝」で描かれているのは、オーストリアのハプスブルク家に生まれたマリア・テレジアであり、陰謀にまみれた宮廷の日常と、彼女と夫となるフランツ・シュテファンの不動の愛の物語が描かれています。これは台本作家のブランマーとグリューンヴァルトの綿密な歴史考証を下敷きにしながらも、あからさまに政治的な部分は巧妙に避けるという、いかにも「オペレッタ」向きの素材として取り上げられているもので、1915年にベルリンで初演された際は、大絶賛を持って迎えられました。その後はすっかり忘れ去れてしまった作品ですが、この蘇演で、再度作品の真価を問うこととなります。本当に楽しい舞台です。
777920F(2CD)
R・シュトラウス:歌劇「火の危機」Op.50 マルクス・アイヒェ(Br)
ラース・ヴォルト(Bs)
ジモーネ・シュナイダー(S)
ヴィルヘルム・シュ
ヴィングハマー(Bs)他
バイエルン放送Cho
ゲルトナープラッツ劇場児童Cho
ミュンヘン放送O
ウルフ・シルマー(指)
リヒャルト・シュトラウス(1864-1949)生誕150年の記念年にあたる2014年は、各地で彼の歌劇が盛んに演奏されました。その中には、この「火の危機」のような珍しい作品も含まれています。この彼の2番目の歌劇「火の危機」は1901年の作品で、全編ミュンヘンの方言で歌われる「メルヘン・オペラ」です。全曲が演奏されることはほとんどなく、「愛の場面」のみが知られていますが、なかなか美しいメロディが溢れる興味深い歌劇です。とはいえ、もともと皮肉屋であるシュトラウスのこと、この作品にも色々な風刺が仕掛けられています。魔法使いクンラートは、町の人々にからかわれたことで、仕返しをするためにミュンヘン中の火と灯りを消してしまうという粗筋ですが、火が消える時に聞こえてくる音楽は、ワーグナーやシュトラウス自身のメロディ。そう、偉大なるワーグナーを阻害した町であり、シュトラウスもミュンヘンでは冷たくされていたのでした。
777921F
ヨハン・フリードリヒ・アグリコラ:クリスマス・カンタータ集
敬虔な秘密はいかに大きく
飼葉桶のそばの羊飼たち
幼子が私達に生まれた
ベリット・ゾルゼット(S)
ミリアム・アルボウツ(A)
ニコラス・ムルロイ(T)
マティアス・フィーヴェヒ(Bs)
ケルン・アカデミー
ミヒャエル・アレクサンダー・ヴィレンス(指)

録音:2014年6月5-7日ドイツ放送カンマームジークザール
作曲家アグリコラ(1720-1774)の名前は、現在ほとんど忘れられてしまっていますが、フリードリヒ・グラウンと同世代の作曲家であり、当時はとても人気のある人でした。史実に残っていることとしては、1763年2月にプロイセン王国とオーストリアの間で結ばれた「七年戦争」の講和条約…フベロトゥスブルク条約のあとに、それまでオペラ上演が禁じられていたベルリン国立歌劇場の再開公演で、グラウンの「メーロベ」を指揮したことでしょうか。グラウンから大きな影響を受けていたアグリコラの心の中は察する他ありませんが、結局、音楽界の中心は彼に移ることはなくそのまま埋もれてしまいました。このクリスマスのための音楽は、静かで敬虔な雰囲気を有した荘厳なもの。バッハのクリスマス・オラトリオに先立つ祝典的な雰囲気を持った隠れた名作です。
777923F
フェリックス・ヴォイルシュ:交響曲第3番Op.70
3つのベックリンの幻想曲Op.53
オルデンブルク州立O
トーマス・ドルシュ(指)
現在ではほとんど忘れられてしまったドイツの作曲家ヴォイルシュ(1860-1944)の作品集第2集です。交響曲第2番と「ハムレット序曲」が収録された第1集(777744-2)で、その鮮烈な音に驚いた人も多く、それだけにこの第2集にも期待が寄せられるところでしょう。強大なブラームスの影響から脱却すべく、様々なアイデアを自作に取り入れたヴォイルシュですが、なかなか伝統を打ち破るのは難しく、結局のところは良い意味での「交響曲におけるブラームスの後継者」となったヴォイルシュですが、管弦楽曲ではかなり自由な作風を示しています。特にこの「ベックリンの幻想曲」は色彩的であり、彼の全作品の中でも最も成功した曲として認知されています。また、交響曲第3番はかなり半音階的なメロディが使われていて、この不協和音の連続は“新しい時代”を予見させるものでもあります。ドイツ後期ロマン派の忘れられた作曲家として片付けてしまうわけにはいきません。
777924B10
ヤン・ファン・ヒルセ:オラトリオ「人生のミサ」 ハイディ・メルトン(S)
ゲルヒルト・ロンベルガー(Ms)
ローマン・ザドニク(T)
ウラディーミル・バイコフ(Bs)
国立青少年Cho
オランダ放送Cho
オランダPO
マルクス・シュテンツ(指)
※世界初録音
オランダの作曲家ヤン・ファン・ヒルセ(1881-1944)は神学者の家庭に生まれ、幼い頃からピアノ演奏に才能を発揮し、ケルン音楽院でフランツ・ヴュルナーに学び、ベルリンではフンパーディンクに師事し作曲法の研鑽を積んでいます。数多くの賞を獲得するなど作品も評価されましたが、第一次世界大戦が勃発した頃から、オーケストラとの紛争などが原因でオランダでの地位を失い、その作品もほとんどがお蔵入りになってしまったのです。このデーメルの詩をテキストにした「人生のミサ」もそんな作品の一つで、4人のソリストと2組の合唱、オーケストラという大規模な編成を必要とするこのオラトリオは、マーラーや現代音楽を得意とする指揮者マルクス・シュテンツによって、2013年になってようやく初演、録音されたのです。ワーグナーの影響も感じられるこの大作、後期ロマン派音楽好きなら一聴の価値あるものです。
777925F(2SACD)
シューマン:交響曲集
交響曲第1番変ロ長調「春」
交響曲第4番ニ短調Op.120
交響曲第2番ハ長調Op.61
交響曲第3番変ホ長調「ライン」
オーデンセSO
サイモン・ガウデンツ(指)
デンマークから届いた眩しい輝きに満ちたシューマン(1810-1856)の交響曲集です。若きスイスの指揮者サイモン・ガウテンツによる斬新なアプローチによるこれらの交響曲は、これまでに演奏されたものとは一線を隠した出来栄えであり、SACDのハイスペックを生かした高音質は、シューマンの繊細な世界をきっちり捉えています。サイモン・ガウデンツ彼の祖母から最初のピアノのレッスンを受け、ルツェルン音楽大学ではクラリネットを学びました。その後グラーツ、フライブルク、ザルツブルクで作曲と指揮を学び、レオン・フライシャー、クルト・マズア、デニス・ラッセル・デイヴィスらの薫陶を受けています。ロジェストヴェンスキー国際指揮者コンクールで一位を獲得したのを皮切りに、数多くの賞や奨学金を獲得、また多くのオーケストラに客演を行っています。現在はハンブルク室内Oと、オーデンセSOの首席客演指揮者を務める期待の俊英です。
777926M
ヨハン・ニコラウス・デニンガー:ピアノ三重奏曲集
ピアノ三重奏曲Op.4-1
ピアノ三重奏曲Op.4-2
ピアノ三重奏曲Op.4-
ピアノ三重奏曲ト長調
トリオ1790
この情報網の発達した現代においても、まだまだ知られざる作曲家が存在するということを知らしめるかのようなこのアルバム。収録されているのはヨハン・ニコラウス・デニンガー(1743-1813)の最近発見されたというピアノ三重奏曲です(もちろんそのスコアはIMSLPにも掲載されていません)。彼はエーリンゲン宮廷の音楽監督であり、王子の音楽教師でもありました。そして1780年から1800年までは教会音楽も担当し、多数の作品も書いていたようです。しかし、残念ながら作品のほとんどは散逸してしまったため、耳にする機会もなくなってしまったのです。このピアノ三重奏曲は、まさにハイドンやモーツァルトと同じ時期の響きと作風を持つもので、華麗なパッセージと端正なスタイルが良き時代を反映しています。
777927B10
アルフォンス・ディーペンブロック:交響詩集
交響組曲「エレクトラ」(1920)
序曲「鳥たち」(1917)
演奏会用組曲「マルシュアス、または魅了されたもの」(1920)
バンベルクSO
アントニー・ヘルムス(指)
作曲家としても天文学者としても知られるディーペンブロック(1862-1921)は、作曲技法を全て独学で身につけ、当初ワーグナー風の壮大な作品を書いていましたが、後にドビュッシーの影響を受けその作品は印象派風に変化します。もともと優れた言語学者でもあったディーペンブロックは、劇作品、とりわけ古典的な悲劇に興味を抱き、その晩年に5つの劇音楽を書き上げます。彼はこの中で舞踏と音楽の融合を図り、またニーチェの議論を挟むなど、かなり革新的なことをやってのけます。おなじみ「エレクトラ」ではシュトラウスほどではないものの、かなり攻撃的な音を使い、牧羊神を意味する「マルシュアス」ではドビュッシーとも違う神秘的な雰囲気が漂います。
777928F
テ・デウム・ラウダムス 1594 年フライベルク大聖堂の天使たちの聖なる音楽
フィリップ・デ・モンテ:Missa super Mon Ceur le recomande
フィリップ・デ・モンテ:Ad te levavi
ファブリシウス:Cantate dominum
ファブリシウス:O Sacrum convivium
レヒナー:Si bona suscepimus di manu Domini
ミヒャエル:Te Deum laudamus
フェラボスコ:O lux beata trinitas
コールデ・フライベルゲンシス
アンサンブル・フライベルガー大聖堂
アルブレヒト・コッホ(指)
このアルバムは、フライベルクのラテン語学校図書館に所蔵されていた宗教音楽集の譜面を演奏したものです。フライベルクとはドイツ、ザクセン州ケムニッツ行政管区、ミッテルザクセン郡の都市で、12 世紀に発見された銀鉱山を中心に栄えた?歴史ある地域。鉱物学、鉱山技術が特に発展しています。そんな地域に住む中産階級の人々は、とても知的探求心に満ち溢れていて、1515 年にはザクセン州で最も古く、重要な学校が設立されました。この図書館には、数多くの楽譜を蔵書することで、この地域の文化を守ることと、地方色を保存し、他の地域にその力を見せつけるにも存分な機能を持たせることができたのです。もちろん当時の作曲家たちの作品が数多く収められましたが、保存することに重点が置かれたためか、これらが演奏されることはほとんどありませんでした。今回、ルネサンス時代の楽器で作品を忠実に演奏することで、本来の形を取り戻すこととなったのです。
777929F(2CD)
ハインリヒ・シュッツ:シンフォニア・サクレ第1集SWV257-276(1629年ヴェネツィア) ブレーメン・ヴェゼル=ルネサンス
マンフレード・コルデス(指)
現代最高のルネサンス=バロック・ヴォーカル・アンサンブルであるブレーメン・ヴェーザー・ルネサンスとコルデスによる、久しぶりのシュッツ作品の録音です。今回はシュッツ(1585-1672)の代表作とも言える「シンフォニア・サクレ」の第1集。20曲の教会コンチェルトで構成され、各々の曲は小編成のアンサンブルで演奏されます。主として旧約聖書の雅歌から取られた詩が用いられ、ドイツ風の簡素なポリフォニーとイタリアのコンチェルト形式が融合した、敬虔さと清々しさが味わえる初期シュッツの美しい音楽です。
777930M
フレスコバルディ/ブクステフーデ:オルガン・チェンバロ作品集
フレスコバルディ(1586-1643):カンツォーナ第1集(1627)
 パッサカリアによる100のパルティータ(1637)
 トッカータ第1集(1627)
 アヴェ・マリア・ステラ(1627)*
 バレットの名によるアリア(1627)
ブクステフーデ(1637-1707):カンツォーナ.ハ長調BuxWV166
 前奏曲ト短調BuxWV163
 組曲イ長調BuxWV243
 アリア.イ短調BuxWV249
 :トッカータ.ト長調BuxWV165
ルカ・グリエルミ(ハープシコード&オルガン)
ジェニー・カンパネッラ(歌)*
1977年トリノ生まれの作曲家、指揮者、鍵盤奏者ルカ・グリエルミ。彼は以前にもフレスコバルディの鍵盤作品集をリリースし、この時代の音楽好きの心を沸かせています。今作ではフレスコバルディだけでなく、ブクステフーデの作品もフィーチャー。イタリアとドイツを代表する2人の偉大な作曲家における、様式の違いを丁寧に弾き分けるなど、納得の行く演奏を繰り広げています。鍵盤音楽の隆盛、発展を堪能できる見事な1枚です。
777933F
ヨハン・ワーヘナール:交響詩集第2集
シンフォニエッタ/春の力
妖精の丘/アンフィトリオン
ル・シッド
アンソニー・ヘルムス(指)
北西ドイツPO
ヨハン・ワーヘナール(1862-1941)はオランダのロマン派時代の作曲家、オルガン奏者です。父親は貴族でしたが、母親は庶民であり、当時身分の違う結婚が認められなかったため、彼は母親の姓を名乗り、困窮した少年時代を送りました。そのため早期の音楽教育を受けることもできず、13歳になってようやくピアノ、オルガン、ヴァイオリン、作曲、理論を学んだのです。長じてからはベルリンでヘルツォーゲンベルクに対位法を学びましたが、すでに音楽学校で教師を務め、またオーケストラの団員として活躍するなど、成熟した音楽家として認められていたのでした。もちろん彼は、オランダの音楽発展に著しく寄与し、数多くの弟子も育て上げるなど、現在でも尊敬されています。この交響詩集は第1集に続くもので、豊かな旋律と、力強さを備えたなかなかの力作揃いです。若き指揮者ヘルムスの解釈の深さも聴き所です。
777936F
アレッサンドロ・メラーニ:聖母マリアの夕べの祈り ヴェロニカ・ヴィンター(S)
マリア・スキーバ(S)
マグダレーナ・ハラー(S)
エリサ・ラバヌス(S)
フランツ・ヴィッツフム(A)
エドツァルト・ブルカルヅ(A)
ハンス・イェルク・マンメ(T)
インモ・シュレーダー(T)
マティアス・フィーヴェヒ(Bs)
マルクス・フライヒ(Bs)
ダス・クライネ・コンツェルト
ヘルマン・マックス(指)

録音:2012年8月15日バシリカ,クロスター・エベルバッハ,ラインガル音楽祭
ブクステフーデと同世代のイタリアの作曲家メラーニ(1639-1703)による深遠なる作品です。彼の兄ヤコボも作曲家で、当時のイタリア音楽界をパスクィーニとA.スカルラッティらとともに支えていました。幼い頃から聖歌隊で歌い、28歳の時にはサンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂の楽長に任命されます。彼は多くのオペラを書き、中でも知られているのが、あの“ドン・ジョヴァンニ”とネタを同じにする「L’empiopunito」でしょう。しかし、最近他の声楽曲なども演奏される機会が増えてきており、このオラトリオ「聖母マリアの夕べの祈り」もそんな宗教曲の中の一つ。簡素なれども入念に書かれた伴奏部と、清冽な歌声がマッチした実に清々しい祈りの音楽です。
777937-2M
プロコフィエフ:バレエ音楽「放蕩息子」
バレエ音楽「ボリステネスの岸辺で(ドニェプルの岸辺で)」
マリア・イワノワ(P)
ピアノの名手でもあった作曲者が、自らリサイタルで演奏するために作られたピアノ版を再現。オーケストラによる原曲と比較し、その構造も手に取るようにわかるでしょう。もちろんプロコフィエフ・ファンは必聴。彼のピアノ・ソナタなどがお好きな方にもおすすめです。
777938B(7SACD)
フェリックス・ワインガルトナー:交響曲全集&交響的作品集
<CD1…999981>
交響詩「リア王」Op.20/交響曲第1番ト長調op.23
<CD2…777098>
序曲「嵐」/組曲「嵐」/弦楽オーケストラのためのセレナーデ/交響曲第4番ヘ長調Op.61
<CD3…777099>
交響詩「天国」Op.21/交響曲第2番変ホ長調Op.29
<CD4…777100>
愉快な序曲Op.53/交響曲第3番ホ長調Op.49
<CD5…777101>
序曲「深刻な時より」Op.56/交響曲第5番ハ短調Op.71
<CD6…777102>
交響詩「春」Op.80/交響曲第6番ロ短調「悲劇的」Op.74
<CD7…77710>
交響曲第7番ハ長調Op.87
マルコ・レトーニャ(指)バーゼルSO
戦前を代表する名指揮者ワインガルトナー(1863-1942)は、フランツ・リストに弟子入りしたほどの大作曲家でもありました。作曲家として彼の功績は、いくつかのベートーヴェンの作品の改訂でも知られていますが、実は交響曲からオペラまで多方面に渡る多数のオリジナル作品も多数残されています。cpoレーベルは彼の作品を積極的に録音してきており、交響曲と管弦楽作品は、バーゼルSOとマルコ・レトーニャの卓越した演奏で全集完成をなりました。全てがSACDハイブリッド盤という高音質も魅力的なこの全集、演奏の面でも価格の面でも、これはとにかくお手元に置いていただきたい偉業と言えるでしょう。
777937S(1SACD)
“FlosVirginum-花の乙女”中世時代のモテットとカンツィオーニ(歌曲)集
ヨハネス・ブラッサール,ヨハネス・トゥロント(1450頃-1480頃),ヨハネス・デ・サルト,ヨハネス・マルティーニ(1430-1497),ヨハネス・プロワ(不明-1478),ギョーム・デュファイ(1397-1474),ルドヴィク・クラフト,ヨハネス・ルーレ,他、作者不明の作品
アンサンブル・スティンムヴェルク
15世紀の音楽の宝石箱とも言えそうな、この素晴らしく芳醇な1枚。これはエスターリヒ地方の中世後期の音楽(1340頃-1520)を専門に研究している「ムジクレーベン」のプロジェクトを、ドイツの優れたヴォーカル・アンサンブル「スティンムヴェルク」が演奏したもので、収録されている作品は、現在ではほとんど知られていない作曲家たちによるもの、もしくは作者不明の曲ばかりですが、そのどれもが素晴らしい輝きを放っています。ハプスブルク家がヨーロッパを支配し、ウィーンが音楽の首都となった時代の音楽を素晴らしい録音で実体験できます。
777939B(8CD)
テレマン:管楽のための協奏曲全集
■CD1…777032
1.2つのホルンのための協奏曲ニ長調TWV52:D2
2.リコーダーとフルートのための二重協奏曲ホ短調TWV52:e1
3.オーボエ協奏曲ニ短調TWV51:d1
4.ターフェルムジーク(食卓の音楽)第1部-四重奏曲ト短調TWV43:g3
5.フルート協奏曲ホ長調TWV51:E1
■CD2…777267
1.リコーダー協奏曲ハ長調TWV51:C1
2.2つのオーボエトとファゴットのための協奏曲ニ短調TWV53:d1
3.フルート協奏曲ト長調TWV51:G1
4.2つのホルンのための二重協奏曲TWV52:D1
5.オーボエ協奏曲ヘ短調TWV51:f1
■CD3…777268
1.ピッコロ協奏曲ニ長調TWV51:D4
2.オーボエ協奏曲ハ短調TWV51:c1
3.3声の協奏曲TWV42:F14
4.フルート協奏曲ト長調TWV51:G2
5.トランペット協奏曲ニ長調TWV51:D7
6.2つのフルートのための協奏曲ト長調TWV53:G1
■CD4…777400
1.2つのリコーダーのための協奏曲イ短調TWV52:a2
2.フルート協奏曲ニ長調TWV51:D2
3.オーボエ・ダモーレ協奏曲イ長調TWV51:A2
4.2つのフルートとファゴットのための協奏曲ロ短調TWV53:b1
5.オーボエ協奏曲ホ短調TWV51:e1
■CD5…777401
1.フルート協奏曲ニ長調TWV51:D1
2.2つのオーボエ・ダモーレのための協奏曲イ長調TWV52:A1
3.リコーダー協奏曲ヘ長調TWV51:F1
4.2つのホルンのための協奏曲変ホ長調TWV52:Es1
5.オーボエ協奏曲ニ短調TWV51:d2
6.2つのフルートとファゴットのための二重協奏曲ホ短調TWV52:e2
■CD6…777402
1.フルート協奏曲ロ短調TWV51:h1
2.2つのフルートとファゴットのための協奏曲ニ長調TWV53:D1
3.ヴァイオリン協奏曲イ短調TWV51:a1
4.2つのオーボエとファゴットのための協奏曲ニ長調「フランス風協奏曲」TWV53:C1
5.フルート協奏曲ニ長調「ポーランド協奏曲」TWV51:D3
6.2つのリコーダーのための協奏曲変ロ長調TWV52:B1
7.2つのホルンのための協奏曲ヘ長調TWV52:F3
■CD7…999907
1.オーボエ協奏曲ハ短調TWV51:c2/2.四重奏曲ヘ長調TWV43:F2
3.2つのフルートとファゴットのための協奏曲イ長調TWV53:A1
4.リコーダーとファゴットのための協奏曲ヘ長調TWV52:F1
5.2つのクラリネットのための協奏曲ニ短調TWV52:d1
6.ホルン協奏曲ニ長調TWV51:D8
■CD8…999951
1.2つのフルートと通奏低音のための協奏曲イ短調TWV53:a1
2.四重奏曲ニ長調TWV43:D7
3.2つのシャリュモーのための協奏曲ハ長調TWV52:C1
4.オーボエ協奏曲ニ長調TWV51:D5
5.2つのホルンのための協奏曲ヘ長調TWV52:F4
6.オーボエ協奏曲ト長調TWV51:G3
ラ・スタジオーネ・フランクフルト
カメラータ・ケルン(CD1-3.6.8)
ミヒャエル・シュナイダー(指)
18世紀のハンブルクで最も人気のあった作曲家といえば、やはりテレマン(1681-1767)でしょう。彼は機会に応じてたくさんの作品を書いたため「クラシック音楽史上最も多くの作曲家」であるともされています。しかし、あまりその作品が多すぎるせいか、なかなか系統立てて聞くのは難しく(録音も然り)、ごく一部の有名な曲だけが繰り返し録音され、人々の耳に届いているのが現状です。さて、この8枚組にはそんなテレマンが残した「管楽器のための協奏曲」が全て収録されています。当時存在した管楽器全てのために協奏曲を書いたテレマンですが、時には合奏協奏曲であったり、単一の楽器の華々しいソロであったりと、何とも多彩な編成による音楽が楽しめるものとなっています。どの曲も楽器の特性がとことんまで追求され、その楽器にふさわしい超絶技巧を駆使した旋律が与えられているという驚異的な曲ばかり。自らも優れたリコーダー奏者であるシュナイダーの説得力たっぷりの演奏からは、テレマンを奏する心からの喜びが感じられます。
777940F
ライネッケ:音楽劇「野の白鳥」Op.164 キルステン・ラボンテ(S)
ゲルヒルド・ロンバーガー(A)
マルクス・ケーラー(T)
レベッカ・ブランツ(Ms)他
シュヴァンネン・アンサンブル
ペーター・クロイツ(P)
現在では専ら、愛らしいフルート・ソナタ「ウンディーネ」のみで知られる作曲家カール・ライネッケ(1824-1910)。地味で保守的な作風が災いして、決定的な人気を勝ち取ることができず、何曲か手掛けたオペラもほとんど忘れられてしまった人です。cpoレーベルでは、そんなライネッケの作品をひたすらリリースし、その魅力を伝えることに力を注いでいます。この音楽劇「野の白鳥」はアンデルセンの同名の童話を元にした作品で、継母に苛められる王女エリサとその11人の兄弟の物語です。魔法で白鳥に変えられてしまった兄弟を救うために、トゲだらけのイラクサでチョッキを編むエリサ。呪いと魔法、そして真の愛を描いたこのお話にライネッケは見事な音楽をつけました。オーケストラを用いることなく、ピアノと独唱、女声合唱、ハープ、2台のホルン、チェロという組み合わせで精緻な響きを紡ぎだしています。各々の奏者が醸しだす豊かな世界をご堪能ください。
777942F
メンデルスゾーン:弦楽のためのシンフォニア集第1集
シンフォニア第1番ハ長調
シンフォニア第2番ニ長調
シンフォニア第3番ホ短調
シンフォニア第4番ハ短調
シンフォニア第5番変ロ長調
シンフォニア第6番変ホ長調
オルフェオ・バロックO
ミヒ・ガイック(指)
“神童”メンデルスゾーン(1809-1847)が12歳から14歳にかけて作曲した12曲の「弦楽のためのシンフォニア」は、交響曲の習作とされる一連の作品です。習作と言っても、その出来栄えは素晴らしく、彼の家で毎週開催された“日曜音楽会”で演奏され拍手喝采を浴びたことは疑う余地もありません。今回この作品を演奏するのは、オルフェオ・バロックOで、早熟の天才の作品を、まるで宝石のように磨き上げ、丁寧に仕上げています。
777944F
ゴットルフ宮殿の音楽集第3集〜ゲオルク・エスターライヒ:詩篇集とカンタータ集
主が基をすえられた(詩篇87番)
主イエス・キリスト、まことの人にして神よ(コラールカンタータ)
主が私の主に言った(詩篇110番)
正しき人の魂は神の御手のうちにあり(葬送のためのカンタータ)
イエスはそこを去り(マタイ伝よりエヴァンゲリストのカンタータ)
ブレーメン・ヴェゼル=ルネサンス
マンフレッド・コルデス(指)
現シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州に存在したホルシュタイン公国は、16世紀から18世紀にかけて、デンマークの王家の分家であったホルシュタイン=ゴットルフ家が世襲制で統治していました。このゴットルフ城は建造物としても重要ですが、ここには数多くの文化人、音楽家たちが集まり、独自の文化を形成していたことも忘れてはなりません。このアルバムは、そんな音楽家の一人であるエスターライヒ(1664-1735)の声楽曲集です。エスターライヒはベルリン国立図書館が所蔵する17世紀から18世紀の最も重要な音楽コレクション「ボークマイヤー」の創始者とみなされ、また彼の70曲ほどある教会カンタータも、当時盛んに演奏されました。彼は1869年から1702年にゴットルフ宮殿に仕えていたのですが、当時の公国はとても政治的に不安定であり、結局のところ楽団は解散を余儀なくされてしまいました。しかしゴットルフ城に保存してあった彼の作品は、どれも失われることもなく、きちんと保存されており、現在このように彼の音楽を再現することが可能です。バッハにも匹敵する端正なカンタータを、ブレーメン・ヴェゼル=ルネサンスとコルデスの演奏で。
777947F(2CD)
ホミリウス:「メサイア」HoWVI.6 マイケ・レルシュコ(S)
フリーデリケ・ベイキルヒ(S)
アンカトリン・ラーブス(Ms)
パトリック・グラール(T)
トビアス・ベルント(Bs)
セバスティアン・ヴァリティヒ(Bs)
ザクセン・ヴォーカル・アンサンブル
バツドルファー・ホーフカペレ
マティアス・ユング(指)

録音:2014年6月5日ドレスデン聖アン教会ライヴ収録
ザクセン出身の教会作曲家ホミリウス(1714-1785)の生誕300年を記念して、彼縁りの地ドレスデンで行われた「メサイア」のライヴ収録です。J.S.バッハの弟子であり、またドレスデンの教会オルガニストとして活躍したホミリウスは、その生涯に10曲以上の受難曲を始め、150曲以上のカンタータ、60曲以上のモテットなど夥しい数の宗教曲を書いています。近年になって研究が進み、そのどれもがバロックから古典派への移行時期の重要な作品として評価されるようになってきました。この「メサイア」はそのタイトルにも拘わらずヘンデルのような「キリストの生涯」を描いたものではありません。18世紀当時のドイツの多くの場所で使われていた受難曲のテキストで、聖金曜日の礼拝のための作品と考えられています。
777951F(2CD)
リスト:詩的で宗教的な調べ
祈り/アヴェ・マリア/孤独の中の神の祝福/死者の追憶/主の祈り/眠りから覚めた子供への賛歌/葬送/パレストリーナによるミゼレーレ/無題(アンダンテ・ラクリモーソ)/愛の賛歌
ミヒャエル・コルスティック(P)
フランツ・リスト(1811-1886)が1853年に完成させた10曲からなるピアノ曲集「詩的で宗教的な調べ」は、彼の活動の中期から後期に渡る時期に書かれたため、一見宗教的な雰囲気を装いつつも、個人的な感情が折り込まれた、なかなか一筋縄ではいかない作品です。曲のテイストも長さもばらばらであるためか、奏者たちも、あまり全曲を通して演奏することはなく、第3番「孤独の中の神の祝福」と第7番「葬送」のみが比較的良く演奏されます。各々の曲には、若きリストが感銘したというラマルティーヌの詩が添えられており、また数曲は何度も改編が施されるなど、リストにとって大切な作品であったことは間違いありません。今回この曲集を手掛けたのは、ドイツの名手コルスティック。ベートーヴェンの名演で知られる彼ですが、ドビュッシーやケクランなどでも冴えた演奏を聴かせることで知られています。cpoレーベルには既に「巡礼の年」全曲を録音するなど、リストの演奏でも高く評価されています。彼の美しく艶やかな音色と考え抜かれた解釈は他の追随を許しません。
777952F
ヨハン・フリードリヒ・ファッシュ:オーヴァチュア・シンフォニー集
オーヴァチュア・シンフォニーニ長調FWVK:D2(3本のD管トランペット、ティンパニ、2台のD管ホルン、2本のオーボエ、ファゴット、弦楽と通奏低音のための)
オーヴァチュア・シンフォニート長調FWVK:G21(2本のオーボエ、ファゴット、弦楽と通奏低音のための)
オーヴァチュア・シンフォニーヘ長調FWVK:F4(2台のF管ホルン、2本の
オーボエ、ファゴット、弦楽と通奏低音のための…世界初録音)
オーヴァチュア・シンフォニート長調FWVK:G5(2台のG管ホルン、2台のD管ホルン、3本のオーボエ、ファゴット、弦楽と通奏低音のための…世界初録音)
オーヴァチュア・シンフォニーニ長調FWVK:D1(3本のD管トランペット、ティンパニ、2台のD管ホルン、2本のオーボエもしくはフルート、ファゴット、弦楽と通奏低音のための…世界初録音)
レサミ・ド・フィリッペ
ルドガー・レミー(指)
ドイツ、ブッテルシュテット出身のドイツ後期バロック時代の作曲家ファッシュ(1688-1758)。彼は幼い頃から音楽家として活躍し、1714年にバイロイトの宮廷楽団にヴァイオリン奏者として入団、その後少しずつ活躍の場を広げ、1722年にツェルプストの宮廷楽長に就任し、亡くなるまでその地位にあった人です。彼はライプツィヒ時代から多くの音楽家たちと交流を持っていて、また彼の賛同者も多くいましたが、その作品は存命中には全く出版されることなく、いくつかの歌劇はそのまま散逸してしまいました。そんなファッシュの現存するわずかな作品のうち、この「オーヴァチュア・シンフォニー」はとりわけ素晴らしいもので、フランスの序曲=オーヴァチュアの形式と、イタリアのシンフォニアの形式を融合された、当時、革新的な様式を持つ作品であったのです。もちろん流麗で美しいこれらの曲は、今聞いても心から魅了されること間違いありません。
777953F
ヴェリズモ・オペラの間奏曲集
プッチーニ:歌劇「妖精ヴィッリ」-第2幕:プレリュード・シンフォニコイ長調
 歌劇「マノン・レスコー」-第3幕:間奏曲
 歌劇「修道女アンジェリカ」-間奏曲
マスカーニ:歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」-間奏曲
 歌劇「友人フリッツ」-間奏曲
 歌劇「仮面」-シンフォニア
レオンカヴァッロ:歌劇「道化師」-間奏曲
ジョルダーノ:歌劇「フェドーラ」-第2幕:間奏曲
チレーア:歌劇「アドリアーナ・ルクヴルール」-第2幕:間奏曲
ヴォルフ=フェラーリ:歌劇「マドンナの宝石」-間奏曲
モンテメッツィ:歌劇「三人の王の愛」-第3幕:前奏曲
ロドヴィコ・ツォッケ(指)
グラーツPO
「ヴェリズモ」とは真実主義、もしくは現実主義と訳されるイタリア語で、19世紀末から20世紀初頭にかけてイタリアを中心に蔓延したリアリズム重視の文学を指します。これに影響を受けたオペラ作品が「ヴェリズモ・オペラ」であり、マスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」やレオンカヴァッロの「道化師」などが代表作品の筆頭に挙げられるでしょう。前述の通り、これらが大流行したのは後期ロマン派の時代であり、当然付けられた音楽もモーツァルトや、ドニゼッティなどに比べると、和声も破綻の一歩手前であったり、時には無調に近かったりと、より人間の叫びに近いものとなっているのが特徴です。このアルバムには、歌を含まない管弦楽で奏される部分だけが集められていますが、こうして改めて聞いてみると、まさに爛熟した音楽が並んでいることに気がつくのではないでしょうか。リアルな人間の生活にこれほどふさわしい音楽はないのかもしれません。
777957M
オルランド・ディ・ラッソ:マニフィカト集
1.チプリアーノ・デ・ローレ(1515-1565):Da le belle contrade/2.ラッソ:第6 旋法によるマニフィカト:Da le belle contrade/3.ジャケ・ド・ベルシェム(1505-1567):O s'io potessi donna/4.ラッソ:第2 旋法によるマニフィカト:O s'io potessi donna/5.ジョスカン・デ・プレ(1450 頃-1521):Praeter rerum seriem/6.ラッソ:第2 旋法によるマニフィカト:Praeter rerum seriem/7.クローダン・ド・セルミジ(1490-1562):Il est jour/8.ラッソ:第2 旋法によるマニフィカト:Il est jour/9.アンセルモ・ド・リュー:S'io credessi per morte essere scarco/10.ラッソ:第3 旋法によるマニフィカト:S'io credessi per morte essere scarco/11.フィリップ・ヴェルドロ(1485-1532):Ultimi miei sospiri/12.ラッソ:第2 旋法によるマニフィカト:Ultimi miei sospiri
ジンクフォニカー
ゲスト出演…ゲルハルド・ヘルツル(T)
ドイツが誇る名ヴォーカル・アンサンブル、ジンクフォニカーによるオルランド・ディ・ラッソ(1532-1594)の第2集です。前作(777751)のモテット集に続く、今回のマニフィカト集は、全てラッソが他の作品を元に創り上げた(パロディ…他の作品の旋律を転用した)ものであるため、このアルバムでも、まず素材となった原曲のメロディが歌われ、続いてラッソのマニフィカトが歌われるという方式をとっています。原曲のシンプルな様式を重んじながらも、そこに豊かなポリフォニーを加え、なおかつ敬虔な表情を持たせるラッソの手法は驚くべきものであり、また、ジンクフォニカーはこれらの曲に現代的な雰囲気も加えながら、実に見事に歌いあげています。
777959(2SACD)
NX-E07
北ドイツのバロック・オルガン作品集第14集
〈CD1〉
1.ヤーコプ・プレトリウス:前奏曲ハ長調
2.プレトリウス:われらキリスト をたたえまつる
3.プレトリウス:Grates nunc omnes reddamus
4.プレトリウ ス:主なる神よ、われら汝をたたえん
5.プレトリウス:マニフィカート・ゲルマニケ
6.プレトリウス:前奏曲ニ短調
7.プレトリウス:天にましますわれらが父よ
8. プレトリウス:全ての人から顔を背け
9.プレトリウス:前奏曲ヘ長調
10.プレトリ ウス:如何なる辛苦が我らを襲えども
11.プレトリウス:アダムの罪によりすべてそ こなわれぬ
12.ヤコブ・コルトカンプ:主なる神よ、われら汝をたたえん
〈CD2〉
1.パウル・ジーフェルト:ベネディカム・ドミヌム
2.ジーフェルト:幻想曲第1番ト 短調
3.ジーフェルト:幻想曲第2番ニ短調
4.ジーフェルト:幻想曲第3番ト短 調
5.ジーフェルト:幻想曲第4番ホ短調
6.ジーフェルト:ベツレヘムで生まれた 子供
7.ジーフェルト:幻想曲第5番ホ短調
8.ジーフェルト:幻想曲第6番ヘ長 調
9.ジーフェルト:幻想曲第7番ヘ長調
10.ジーフェルト:幻想曲第8番ハ長調
11.ジーフェルト:パドゥア
12.ジーフェルト:幻想曲第9番ト長調
13.ジーフ ェルト:幻想曲第10番ト長調
14.ジーフェルト:幻想曲第11番ト長調
15.ジー フェルト:幻想曲第12番ト長調
16.ジーフェルト:変奏曲第13番イ短調
17. ジーフェルト:いざ来ませ、異邦人の救い主よ
フリードヘルム・フランメ(Org)
ラングヴァルデン聖ローレンス教会クレーガー/フスオルガン…CD1,シェンハーゲンマルティン・ルター教会マイヤーオルガン…CD2

録音:2010年7月2-3日…CD1,2010年7月16-17日…CD2
cpoレーベルの“北ドイツのバロック・オルガン作品集”は、この第14集が最後から2番目のアルバムとなります。今回は偉 大なる作曲家ヒエロニムスを父に持つヤーコプ・プレトリウスの作品と、シャイデマンに教えを受けたジーフェルトの作品、 そしてコルトカンプの作品1曲を収録しています。プレトリウスは優れたオルガニストであり、特別な指使いの方式を開発 し、それはオルガン奏者が非常にリラックスした姿勢をとることを可能にしたものと言われます。また1633年から1636 年にはヴェックマンを教え、強い影響を与えたことでも知られます。ジーフェルトはポーランドのグダニスクで生まれ、オル ガニストを志し、スウェーリンクに教えを請うため、21歳の時にアムステルダムにやってきます。そこでメルヒオール・シ ルトとともに学び、オルガニストとなりましたが、生来の気性の激しさのため各地で騒動を起こし、なかなか一つの地に落ち 着くことはなかったようです。その作品には師であるスウェーリンクの影響が感じられます。コルトカンプの作品はこれ1 曲が残されているのみですが、北ドイツのオルガンを語る上では決して外せない重要な作品です。フランメは2台のオルガ ンを弾き分け、作品の特徴を存分に活かしています。
777960F(2CD)
ザンドナーイ:歌劇「フランチェスカ・ダ・リミニ」 クリスティーナ・ヴァシレーヴァ(S)
マルティン・ミューレ(T)
ホアン・オロスコ(Br)
アドリアーノ・グラツィアーニ(T)
キム=リリアン・シュトレーベル(S)
ベネディクテ・タウラン(S)
サリー・ウィルソン(Ms)
マリヤ・ジョコビッツ(Ms)
フライブルク室内Cho
フライブルク劇場Cho
フライブルク音楽学校ヴォーカルアンサンブル
フライブルクPO
ファブリース・ボロン(指)
13世紀ラヴェンナに実在した領主の娘、フランチェスカ・ダ・リミニは、ダンテの「神曲」地獄篇に登場することで知られています。領地の争いを回避するために、醜い男ジョヴァンニの元に嫁ぐことになった彼女ですが、彼女の父親の企みにより、偽装結婚の相手であるジョヴァンニの弟パオロに魅かれてしまいます。もちろんその不義を許すはずもないジョヴァンニによって2人は殺されてしまうというお話で、この物語には多くの芸術家たちが思い思いの肉付けをしています。音楽ではチャイコフスキーやラフマニノフがそれぞれ素晴らしい作品に仕立てていますが、このザンドーナイ(1883-1944)によるオペラは、元々の短い詩に、たくさんの脇役やエピソードを付け加えた説得力ある物語となっているのです。1914年に初演された時は大成功を収めています。今回の演奏では、日本にも来日経験のある名ソプラノ、クリスティーナ・ヴァシレーヴァがヒロインを熱唱しています。
777961M
カステルヌオーヴォ・テデスコ:ピアノ五重奏曲集
ピアノ五重奏曲第1番
ピアノ五重奏曲第2番Op.155
マッシモ・ジュゼッペ・ビアンキ(P)
アーロン四重奏団<ルードヴィヒ・ミューラー(Vn)/バルナ・コボリ(Vn)/ゲオルク・ホフマン(Va)/クリストフ・パンティロン(Vc)>

録音:2014年2月14-16日ウィーンヤマハ・コンサート・ホール
現代では「ギター曲の作曲家」として名前が知られているカステルヌオーヴォ=テデスコ(1895-1968)。彼は幼いころから音楽の才能に溢れ、9歳で最初のピアノ曲を作曲し19歳でフィレンツェ音楽院のピアノ科を終了、その後作曲科でピツェッティに師事し4年後に卒業資格を得ます。そしてイタリア気鋭の作曲家として次々と作品を発表することとなるのです。この2曲のピアノ五重奏のうち、第1番はイタリアのピアニスト、エルンスト・コンソーロの思い出のために書かれたもので、1932年に作品番号なしで出版されています。第2番は1951年、彼がビバリーヒルズで映画音楽を盛んに作曲していた頃のもので、トスカーナの田舎の思い出が反映された「陽気さと瞑想的な静けさ」を併せ持つ、表情豊かな作品となっています。
777966F1CD)
エネスコ:交響曲第4番他
交響曲第4番ホ短調/森の秋雲
室内交響曲ホ長調Op.33
ハノーファー北ドイツ放送PO
ペーター・ルジツカ(指)
作曲家でもあるルジツカによるエネスコ(1881-1955)作品集の第2集です。前作第1集(777823)でも2つの未完の作品を取り上げ、納得の行く演奏をしていたルジツカですが、今作ではその傾向を更に推し進め、これまでに聞いたことのないエネスコ作品を音にしています。「交響曲第4番」は、第1楽章の草稿と第2楽章の断片のみが残された未完の作品。「森の秋雲」は組曲「自然の呼び声」の中の1曲として構想されたものです。「室内交響曲」は1954年に作曲されたエネスコ晩年の作品ですが、思いの他美しく平穏な響きを持っています。
777967M(2CD)
ルートヴィヒ・トゥイレ:室内楽作品集
チェロ・ソナタOp.22
ピアノ三重奏曲作品番号なし
ヴァイオリン・ソナタ第1番ニ短調Op.1
ヴァイオリン・ソナタ第2番ホ短調Op.30
マルク・ゴトーニ(Vn)
ウルリヒ・アイヒェナウアー(Va)
ペーター・ヘル(Vc)
フランク=インモ・ツィヒナー(P)
リヒャルト・シュトラウスの友人として知られるドイツの作曲家トゥイレ(1861-1907)。最近、彼の作品の評価も高まりつつあるようです。彼の作品のほとんどは室内楽曲であり、そのどれもが地味ながら美しい味わいを有しています。作風は幾分保守的であり、それが却って聴き手の耳を捉えることとなっています。この2枚組でも、そんなトゥイレの魅力に溢れた作品を楽しむことができます。ベートーヴェンの流れを汲んだチェロ・ソナタと美しいピアノ三重奏曲(かなりリヒャルト・シュトラウスの面影がある)、1880年に書かれた古典的な佇まいを持つヴァイオリン・ソナタ第1番と、1904年に出版された、少しだけ先鋭的な響きもあるヴァイオリン・ソナタ第2番。この2曲からは確実に時代の変遷が感じられます。聴けば聴くほどに味わいの深まる音楽といえるでしょう。
777968M
テレマン:トレブル・ヴィオールを伴うトリオ.集
トリオ.ニ短調TWV42:d7
トリオ.ト長調TWV42:G8
トリオ.ト短調TWV42:g6
トリオ.ヘ長調TWV42:F6
トリオ.ハ短調TWV42:c3
トリオ.ハ長調TWV42:C2
トリオ.イ長調TWV42:A10
トリオ.ホ短調TWV42:e5
トリオ.ト短調TWV42:g9
ハンブルク・ラーツムジーク
ジモーネ・エッケルト(指)
「DessusdeViole=デュシュ・ド・ヴィオール」とはヴィオラ・ダ・ガンバなどが属するヴィオール属の中でも、音域の高い(トレブル)小さ目の楽器のことで、見た目はヴァイオリンと似ていますが、弦の数も演奏方法も違います。このアルバムは、現存している9曲の「トレブル・ヴィオールとリコーダー、もしくはオーボエ、通奏低音によるソナタ」を完全収録したものです。残念なことに自筆譜は存在しませんが、1720年代の複製原稿はダルムシュタットの州立図書館に保存されており(恐らくグラウプナーや彼の同僚によるコピーと考えられています)テレマン財団や専門家たちによって研究が続けられています。
777969F
ベルンハルト・ロンベルク:チェロとオーケストラのための協奏曲集
チェロ協奏曲第1番変ロ長調Op.2
チェロ協奏曲第5番嬰へ短調Op.30
デイヴィット・メルコンヤン(Vc)
ケルン・アカデミー
ミヒャエル・アレクサンダー・ヴィレンズ(指)
ドイツのチェリスト、作曲家ベルンハルト・ロンベルク(1767-1841)の世界初録音となる2曲の「チェロ協奏曲集」です。ロンベルクは優れたチェリストであり、ボンの選帝侯ケルン大司教宮廷オーケストラに在籍していた時には、若きベートーヴェンにも出会っています。ベートーヴェンはロンベルクの才能に敬服していたのですが、ロンベルク自身はベートーヴェンの革新的な音楽書法についていけなかったのか、ベートーヴェンが「あなたのためにチェロ協奏曲を作曲しましょう」と申し出たにもかかわらず、それを拒絶してしまったというイタイ経験を持っていたりします(なんともったいない)そんな彼の作品は、やはり時代の流れに乗ることはできず、いつしか消えてしまったのですが、今回、彼の作品をもう一度見直し世に出そうと、チェリストのメルコンヤンとヴィレンズが立ち上がりました。
777971B
2015/16年CD付きカタログ
フランツ・アントン・ホフマイスター:管楽セレナード集
パルティータ変ロ長調
パルティータ.ニ短調
ディヴェルティメント変ロ長調
パルティータ変ホ長調
コンソルティウム・クラシクム
000タイトルを超えるアイテムを擁するCPOレーベル、2015/16年の最新カタログが発行されます。毎回添付されるお楽しみのCDですが、今回は古典派の作曲家ホフマイスター(1754-1812)の管楽セレナードです。モーツァルト、ハイドン、ベートーヴェンの友人であり、出版業者としても知名度の高いホフマイスターの作品は、当時の管楽器奏者のレベルの高さを彷彿させる優れた作品であり、ハイドンやモーツァルトとも違う風情を持つ、とても面白い音楽です。このジャンルの音楽はCPOレーベルが得意とするものですが、もちろん他にもルネサンス期から現代作品まで幅広いCDを取り揃えています。もちろんカタログを眺めるだけでも楽しいものです。
777972B10
ハチャトゥリアン:交響曲集第1集
交響曲第2番ホ短調「鐘」
3つの演奏会用アリアOp.66
ユリア・バウアー(S)
ロベルト・シューマンPO
フランク・ベールマン(指)
ロベルト・シューマン・フィルとフランク・ベールマンによるcpoレーベルの新シリーズはハチャトゥリアン(1903-1978)の交響曲集。しばしば「鐘」と題される交響曲第2番は古典的な4楽章で書かれた作品ですが、曲の中には強い反戦への思いと怒りが隠されています。この曲が「鐘」と呼ばれる理由は不明ですが(彼自身がつけたものではない)第2楽章の冒頭の音形や、第3楽章でのピアノのオスティナートなど、確かに鐘の音に聞こえる部分も多々あります。カップリングは1946年に作曲された「3つの演奏会用アリア」で、こちらはエキゾチックなメロディに彩られた陰鬱さと妖艶さを併せ持った印象的な歌曲。日本にも来日経験のあるソプラノ、ユリア・バウアーの透明な声が曲の魅力を引き立てます。
777973
NX-B10
ハチャトゥリアン:交響曲第3番「交響詩曲」
ガイーヌより組曲第3番
シューマン・フィルハーモニー
フランク・ベールマン(指)

録音:2015年12月8-10日(ライヴ)
ハチャトゥリアンの交響曲第3番は、1947年の「ロシア革命30周年記念」のために交響詩として作曲され、その 年の12月にムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルによって初演されました。15本のトランペットとオルガンを含 む大編成のオーケストラのために書かれ、荒れ狂うような音の洪水の中、五音音階による民族的な旋律が時折 聞こえてくるなど、ハチャトゥリアンらしさ満点。最後は圧倒的な大音響で結ばれます。 その特異な編成によって一般的な演奏には向かないという批判を受けましたが、スターリンが没した後、「交響曲 第3番」として復活しました。録音が少ない曲だけに、最新録音の登場は歓迎されるでしょう。併録のガイーヌから の抜粋も聴きものです。
777974D11(2CD)
ニコ・ドスタル:喜歌劇「ハンガリーの結婚式」前奏曲と3幕
台本ヘルマン・ヘルメッケ
エフゲニー・タルンツォフ(T)/レジーナ・リール(S)/トーマス・ツィステラー(T)/アンナ=ゾフィー・コスタル(S)/トーマス・コヴァチック(バスバリトン)/リタ・ペーテル(Ms)他
レハール祝祭バート・イシュルCho
フランツ・レハールO
マリウス・ブルケルト(指)
フランツ・レハールの没地であるバート・イシュルで開催されているレハール・フェスティヴァルでは、長年に渡り珍しいオペラ、オペレッタが上演され、作品の普及に努めています。この音楽祭、2015年の演目は、1939年にシュトゥッツガルトで初演されたニコ・ドスタル(1895-1981)の「ハンガリーの結婚式」というレアな作品でした。ドスタルはオーストリア帝室軍楽隊付きの作曲家、ヘルマンの甥で、もともとはウィーン音楽アカデミーで教会音楽を専攻したという人。1946年からオーストリアに在住し、オペレッタやワルツの作曲家、そして編曲者として活躍しました。物語はカールマン・ミクサートの小説を基にし、ヘルマン・ヘルメッケが台本を制作した、女帝マリア・テレジアがハンガリー女王として君臨していた1750年頃のお話で、農家の若き娘ヤンカと、マリア・テレジアに派遣されたシュテファン伯爵、そして彼の側近アルパード、玉の輿狙いの娘エテルカの恋の騒動が描かれています。ロマンティックな騒動を最後に収めるのは女王マリア・テレジアというところも、当時人気が出た理由でしょう。美しいメロディ満載の見事な作品です。
777978F
ジローラモ・アボス:マルタからのクリスマス
ほむべきかな、主イスラエルの神
マニフィカート
2群の合唱のためのミサ曲
マリ・ド・ヴィユトレイ(S)
ツェー・ブラウン(Ms)
ミリアム・アルボウズ(S)
ジョージ・プーリー(T)
マウロ・ボルジョーニ(Br)
ケルン・アカデミー
ミヒャエル・アレクサンダー・ヴィレンズ(指)
18世紀のマルタ共和国で活躍した作曲家ジローラモ・アボス(1715-1760)は2015年に生誕300年を迎えます。これを記念して、2015年の1月に行われた「ヴァレッタバロック音楽祭」ではアボスのマニフィカートの演奏が行われ、その偉業を讃えたのです。彼は1マルタで生まれ、レオナルド・レオとフランチェスコ・デュランテに師事。756年にロンドンのイタリア劇場のディレクターとなり、1757年にイタリアに教師として戻ります。14作のオペラを作曲しまた1758年からは素晴らしい教会音楽をいくつか作曲しましたが、現在ではその名前はほとんど知られていません。しかし、彼の作品の美しさを見抜いた音楽学者リチャード・ディヴァルらがこれらを編集し、演奏可能にしたのです。
777980D11(2CD)
ヨハン・ヨーゼフ・フックス:室内楽作品全集
シンフォニア変ロ長調K353
序曲ヘ長調K354
序曲ト短調K355
序曲ハ長調K356
序曲ニ短調K357
シンフォニアヘ長調
セレナーデハ長調K352
ノイエ・ホーフカペレ・グラーツ
ルツィア・フロイホーファー(指)
ミヒャエル・ヘル(指)
「皇帝のレクイエム」で人気を誇るバロック時代のオーストリアの作曲家、フックス(1660-1741)の代表作「Concentusmusico -instrumentalis‐楽器のための音楽集」は、彼の最初の大きな仕事として知られています。1701年に作曲された当時、レオポルド1世の宮廷音楽家に任命されていたフックスですが、これまでこの地位は殆どイタリア人音楽家によって占められていましたから、フックスがいかに高く信頼されていたかがわかります。この作品集、実は9冊の分冊からなり、ヴィオラパートの一部が紛失しているため指揮者ルシア・フロイホーファーはこの演奏のために譜面を再構築しています。イタリアとフランスのスタイルが混合された作品集は当時のスタイルを忠実に反映しており、リュリやコレッリの様式を受け継いだ極めて活気ある音楽で構成されています。
777981F(2CD)
フィビヒ:歌劇「メッシーナの花嫁」Op.18 ルチア・セルヴォーニ(Ms)/トーマス・フローリオ(Br)/リヒャルト・ゼメク(T)/ノア・ダノン(S)/ヨハネス・シュテルマン(Bs)/マルティン・ヤン・ネイホフ(Bs-Br)/マンフレード・ヴュルフェルト(T)/ハレ・ゾナー(S)他
マグデブルク歌劇場Cho
マグデブルクPO
キンボー・イシイ(指)
ベートーヴェンの“合唱”の歌詞で知られるドイツの戯曲作家フリードリヒ・フォン・シラー。彼が1803年に著した「メッシーナの花嫁」はいわゆるギリシャ悲劇風に書かれた戯曲で、舞台をシチリアのメッシーナに置き、先代大公の死後未亡人となった大公妃イザベラと、争いの絶えない2人の息子マヌエルとツェザールの心理的葛藤を描いたものです。一度は和解した兄弟でしたが、彼らは同じ少女に魅せられてしまったことで、話は混迷の一途を辿ります。そしてやがて明かされる真実…。この戯曲には、もともと合唱が付けられており、物語の背景などは合唱によって語られるようになっていますが、フィビヒ(1850-1900)はこれを上手く取り入れながら3幕のオペラに仕立て上げました。1884年の初演時には聴衆の理解は得られたものの、批評家たちから「ワーグナーに似ている」と批判され、その後はプラハで細々と上演されていたのみでしたが、今回マグデブルク劇場によってドイツでの初演が敢行されたというものです。
777983B10
エミール・ニコラウス・フォン・レズニチェク:交響的作品集
牧歌的な序曲「ゴルトピロル‐金のコウライウグイス」
どのようにティル・オイレンシュピーゲルは生きていたか
ヴァイオリンと管弦楽のための小協奏曲
前奏曲とフーガハ短調
ヴァイオリン,ホルン,ハープと弦楽オーケストラのための「小夜曲」
ゾフィア・ヤッフェ(Vn)
ベルリンRSO
マルクス・ボッシュ(指)
チェコ系貴族の末裔であったレズニチェク(1860-1945)ですが、なぜかナチスの迫害に遭うことはなく、1934年から1942年まで「作曲家国際協力常任顧問」ドイツ全権使節を務めるほどに一目置かれていた存在でした。リヒャルト・シュトラウスとは個人的な友人であり、お互いに多少の影響は与え合ったものの、音楽的には別の道を歩んだようで、このアルバムに収録された作品も、アルペン山麓の丘の上を飛ぶ鳥の姿を描いた「ゴルピロル」、深遠な「前奏曲とフーガ」、技巧的な「ヴァイオリン小協奏曲」など曲によって様々にスタイルが違うため、独自の個性を掴むのはなかなか難しいかも知れません。またあからさまな自然描写は、マーラーの第3交響曲を皮肉ったものと評する批評家もいたりと、興味の尽きない作曲家です。
777985
NX-B10
マリアンナ・マルティネス(1744-1812):詩篇110篇&151篇 他
詩篇第110篇「Dixit Dominus 主は言われた」
交響曲 ハ長調
詩篇第151篇「Come le limpide onde 澄んだ波のように」
マリアンナ・ヘルツィヒ(S)
アレクサンドラ・ザモイスカ(S)
ネーレ・グラムス(Ms)
エヴァ・シュロスライトナー(Ms)
クリスティアン・ハーヴェル(T)
ヴァージル・ハルティンガー(T)
ローランド・ファウスト(Bs)
ハイデローレ・シャウアー(サルテリオ)
ザルツブルク・ホーフムジーク(古楽器使用)
ヴォルフガング・ブルンナー(指)

録音:2020年2月24日、2015年3月1,2日モーツァルテウム音楽大学、ザルツブルク(オーストリア)
マリアンナ・マルティネスは、1744年ウィーン生まれ。イタリアの詩人ピエトロ・メタスタージオとも交流のあった という文化的な家庭で育った彼女は、幼い頃から音楽と文学に親しみ、ハイドンやポルポラ、ハッセらから指 導を受け、17歳の時にはウィーン宮廷礼拝堂で作品が演奏されたほどの才能を発揮しました。1772年に は『音楽見聞録』で知られるチャールズ・バーニーが彼女の作品と歌唱能力を大絶賛、また彼女の師でも あるメタスタージオ(彼は1750年代から1782年頃までマルティネス家に住んでいた)も「モーツァルトと並ぶ 才能」を見抜き、彼女のために書いた多くのイタリア語のテキストは、カンタータやオラトリオに仕上がりまし た。そして1773年には国際的な音楽サークルとして知られたボローニャの"アカデミア・フィラルモニカ"への入 会申請を行い、初の女性会員として認められます。その際提出したのがこのアルバムに収録された「詩篇 第110篇」で、この作品は彼女にとっても名刺代わりとなるほどの代表作の一つになったのです。もう1曲の 詩篇第151篇は、サルテリオ(ダルシマーのような箱に張られた弦を叩いたり爪弾いたりする楽器)をオブリ ガート部分に持つ2つのアリアが含まれた印象的な作品。またアルバムには彼女が残した唯一の交響曲も 収録されています。
777986F
ヴィオラ・クラシック-3つのヴィオラ協奏曲集
フランツ・アントン・ホフマイスター(1754-1812):ヴィオラ協奏曲ニ長調
カール・シュターミッツ(1745-1801):ヴィオラ協奏曲ニ長調
ミヒャエル・ハイドン(1737-1806):オルガン、ヴィオラと弦楽のための協奏曲
アンドラ・ダルツィナ(Va)
ユルゲン・エッスル(Org)
ウルバン・カメラータ
ラトビア生まれのヴィオラ奏者ダルツィナが演奏する古典派の3つのヴィオラ協奏曲です。フルート作品で知られるホフマイスター、やはり管楽器のための作品が有名なシュターミッツ、そしてオルガンとヴィオラという一風変わった組み合わせによるミヒャエル・ハイドン。この3人の作品は、同じ古典派というくくりには収まりきらないほどの多彩な可能性を感じさせるもの。巧みな楽器の歌わせ方には驚くばかりです。ハイドンでオルガンを演奏しているエッスルは優れた作曲家でもあり、この協奏曲のカデンツァも彼が書いたものです。ヴィオラの音色の美しさに魅了される1枚です。
777990F
R・シュトラウス:クラリネットとファゴットのための二重協奏曲
組曲「町人貴族」
クラリネットとファゴットのための二重協奏曲(1947)*
組曲「町人貴族」Op.60(1917)
《ボーナス・トラック》
シュトラウス・コンダクツ・シュトラウス(1947年録音)
ベルンハルト・パウムガルトナーによる語り
明日の朝Op.27-4/万霊節Op.10-8
愛を抱いてOp.32-1/ばらのリボンOp.36-1
:コッラド・ジュフレディ(Cl)
アルベルト・ビアーノ(Fg)
ローベルト・コヴァルスキ(Vnソロ)
ヨハン・セヴァスティアン・ペーチュ(Vcソロ)*スイス・イタリア語放送O
マルクス・ポシュナー(指)
アネッテ・ブルン(S…ボーナス)
指揮者マルクス・ポシュナーは1971年ミュンヘン生まれ。コリン・デイヴィス、ロジャー・ノリントンなどの名指揮者のアシスタントを務めた後、インゴルシュタットのCOの首席指揮者に就任。2004年にはドイツ音楽協会、ドイツ・オーケストラ連盟から「ドイツ指揮者賞」を授与され、一躍脚光を浴びました。以降、着々とキャリアを重ね、2015/16シーズンより、スイス・イタリア語放送Oの首席指揮者に就任しました。彼はジャズ・ピアニストの顔も持ち、この分野でも創造性に満ちた演奏を繰り広げ、ジャンルを超えたファンを獲得していることでも知られる才人です。この演奏は、スイス・イタリア語放送Oへの就任記念ですが、リヒャルト・シュトラウス(1864-1949)作品の中でも比較的地味な曲を選択したところが、いかにも彼らしいと言えるのではないでしょうか。伸びやかに歌う独奏楽器を自由に操る彼の手腕にご注目ください。余白に収録されているのは、晩年のシュトラウス自身の指揮による4曲の管弦楽伴奏つきの歌曲です。
777992B(4CD)
ルイ・テオドール・グヴィ:交響曲全集
《CD1…777381》
交響曲第1番変ホ長調Op.9
交響曲第2番ヘ長調Op.12
《CD2…777379》
交響曲第3番ニ長調Op.20
交響曲第5番変ロ長調Op.30
《CD3…777382》
交響曲第4番ニ短調Op.25
幻想的交響曲
シンフォニー・ブレーヴェト短調Op.58
《CD4…777380》
交響曲第6番ト短調Op.87
シンフォニエッタニ長調Op.80
ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送PO
ジャック・メルシエ(指)
フランスとドイツの境界地域ゴフォンテーヌ(現在はドイツ領ザールブリュッケン)で生まれたため、フランス市民権を得ることができず、パリ音楽院に入学できなかったというグヴィ(1819-1898)。この国境問題は、進学だけでなく、その後の彼の人生にも大きな影響を与え、結局のところ彼の作品は、ドイツでもフランスでも高い評価を得ることができず、そのまま忘れ去られてしまった悲劇の作曲家です。彼の作品が再び世に出たのは、実に1994年のこと。その素晴らしい「レクイエム」がきっかけとなり、少しずつ録音、演奏機会も増えてきたのは喜ばしい限りです。そんなグヴィ、この交響曲全集はファンにとっても嬉しい1セットとなるでしょう。フランス音楽の権威でもある指揮者メルシエは、これらの交響曲に新たな光を当て、その雄弁な響きを存分に引き出しています。
777994M
イジドラ・ゼベリャン:室内楽作品集
ポロムカ四重奏
ホルンと弦楽五重奏のための「木の棒のダンス」
ソプラノと弦楽四重奏のための「ラダのための新しい歌」
ピアノのためのサラバンド
ソプラノ,ピアノ,弦楽四重奏とパーカッションのための情景「ドナウ川沿いのヨール」
クラリネットと弦楽四重奏のための「夜の旅人の歌」
ソプラノ,ピアノ,弦楽五重奏とパーカッションのための幻想曲「Pepitup」
ブロドスキー四重奏団
アネタ・イリック(S)
シュテファン・ドール(Hrn)
ジョアン・エンリク・リュナ(Cl)
イジドラ・ゼベリャン(P)
ミロスワフ・カルトヴィク(パーカッション)
ボーダン・ストシック(コント
ラバス)/プレミール・ペトロヴィク(指)
ベオグラード生まれの女性作曲家、イジドラ・ゼベリャン(1967-)をご存知でしょうか?2011年にリリースされた管弦楽作品集(777670)で、暴力的でもあり、神秘的でもある「はじけた音楽」を聴いて悶絶した人に朗報です。彼女の作品集の第2弾が登場です。今回は室内楽作品集ですが、ここでも独特の音楽をたっぷり楽しむことが可能です。演奏メンバーの中心を担うのは、ユニークな活動を行うことで知られるブロドスキー四重奏団で、彼らはゼベリャンのアンサンブル全作品を演奏しています。ゼベリャンも彼らのために何曲かの新作を書くなど、両者の関係は良好なのです。民俗音楽や自然崇拝など多彩なアイデアを盛り込んだこれらの作品は、本当に素晴らしく、また現代音楽が苦手な人にも、ぜひ聴いていただきたい逸品です。
777997B10
マルタン:舞台音楽「死せるバーゼルの踊り」1943年 ARMAB管弦楽団
サクラメントCho
ヒネニ弦楽オーケストラ
バーゼル・ドラム
ジェフリー・マッジ(P)
バスティアン・ブロムヘルト(指)
スイスで最も著名な作曲家、フランク・マルタン(1890-1974)は、同時期に活躍したオネゲル(彼もスイス人の両親を持つ)とともに新古典派を代表する大規模な作品を幾つか残しています。この未出版作品である「死せるバーゼルの踊り」は、14世紀半ばに多くの画家や彫刻家たちによって描かれた「死の舞踏」が基になっており、ここでは15世紀中頃にバーゼルの墓地壁に書かれた37枚の絵(現在19枚のみ残存)を見た、マルタンの姪でパントマイムダンサーであったマリエッテ・フォン・マイエンブルクが、1943年にマルタンへ舞台用音楽の作曲を依頼したことで生まれた作品です。これは第二次世界大戦の惨事と大規模な虐殺に対する抗議であり、また死の音楽はジャズ・バンドが演奏するという「退廃音楽」。初演は大成功であったものの、決して出版されることはなく、1992年に作曲家の未亡人マリアの提案によって再演されたものの、その時には不完全な形での上演でした。今回、ようやく完全版としてリリースされることになった貴重なアルバムです。
777998F
ザクセン=ヴァイマール公ヨハン・エルンスト公2世:ヴァイオリン協奏曲全集第1番‐第8番
ヨハン・セバスティアン・バッハ:ヨハン・エルンスト公2世の協奏曲からの編曲集 BWV592a,982,987
アン・シューマン(Vn)
セバスチャン・クネーベル(ハープシコード)
アンサンブル“フュルステン・ムジーク”
音楽好きで知られたザクセン=ヴァイマール公国の君主、ヨハン=エルンスト公(1696-1715)は当時この地の実権を握っていたヴィルヘルム公の弟で、J.S.バッハも私設オーケストラに半年間務めたという経緯があります。このヨハン=エルンスト公の息子エルンスト公2世も少年時代から非凡な楽才を発揮し、天才貴公子として知られていました。バッハは彼のヴァイオリン協奏曲の中から2曲をオルガン用(BWV592、595)に、3曲をチェンバロ用(BWV982、984、987)に編曲し、オルガン独奏用に編曲されたBWV592を、さらにチェンバロ版したものが592aとなります。このアルバムでは、原曲である公子のヴァイオリン協奏曲を6曲全て収録、18歳という若さでこの世を去ってしまった知られざる天才の作品が完全な形でお聞きいただけます。

777999S(1LP)

ブラームス:交響曲第3番へ長調Op.90 ヘルシンボリSO
アンドリュー・マンゼ(指)
SACDハイブリッド盤で発売されたとき、大好評を博したマンゼとヘルシンボリSOのブラームスの交響曲全集ですが、今回はまず第3番がLP盤としてお目見えします。刺激的な解釈と素晴らしい音質で高く評価されたこの録音ですが、LPレコードでは更に素晴らしく精密な響きを楽しむことができます。最近その存在がじわじわ注目を浴びているLPレコード、確かに存在感はCDやSACDを上回るものです。この盤にそっと針を降ろす時の快感…。そして溢れ出る豊かな響きを想像してみてください。


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