湧々堂HOME 新譜速報: 交響曲 管弦楽曲 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 オペラ バロック 廉価盤 シリーズもの マニア向け  
殿堂入り:交響曲 管弦楽 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 オペラ バロック SALE!! レーベル・カタログ チャイ5



Hyperion “The Romantic Piano Concerto”
(イギリス


CDA品番(1) CDA品番(2) HELIOS BOXセット dyadシリーズ
ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズ
クラシカル・ピアノ・コンチェルト・シリーズ
ロマンティック・ヴァイオリン・コンチェルト・シリーズ
ロマンティック・チェロ・コンチェルト・シリーズ



全て1CD=(税込)
1SACD = (税込)


歴史の陰に隠れながらも、眩い輝きを放ち続けてきたロマン派の知られざるピアノ協奏曲を発掘しているハイペリオンの超人気シリーズ「ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズ(RPCシリーズ)」。
1991年の第1巻の録音から、長い年月をかけてリリース。世界初録音を含む非常に難易度の高く、高度な技巧が要求される各コンチェルトは、ピアニストの手腕が発揮され、知られざる作曲者の一面が充分に堪能できる作品ばかり。ソリストには、マルク=アンドレ・アムランを筆頭にハワード・シェリー、スティーフン・ハフなど実力派ぞろい!※以下のコメント部分は代理店作成によるものをそのまま掲載しています。


※価格は全て税込み。品番結尾に特に表記のないものは全て1CDです。
品番 内容 演奏者
CDA-66452
モシュコフスキ:ピアノ協奏曲ホ長調Op.59
パデレフスキ:ピアノ協奏曲イ短調Op.17
ピアーズ・レーン(P)、
イェジー・マクシミウク(指)
BBCスコティッシュSO
録音:1991年6月3−4日
ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズの記念すべき第1巻。19世紀の後半に作曲された無数のピアノ・コンチェルトのうち、ほんの一握り以外のすべての作品は忘れられており、レコーディングにおいてもそのような作品が取り上げられる機会が少ないことに触れられている。そこに着目し1991年の録音に始まり現在では第45集まで発売されているRPCシリーズ。ハイペリオンが最初にセレクトした作曲家は、ポーランド出身のモシュコフスキとパデレフスキ。モシュコフスキは200曲以上のピアノ小品を残し、ショパン以降ピアノのためにどのような作曲をすればよいかを心得ていた作曲家。華やかさ、可憐、そして繊細さをもつこのコンチェルトはまさにピアノを知り尽くしていたモシュコフスキならではの作品。政治家・外交官としても活躍していたパデレフスキ。このコンチェルトは初期の大規模な作品としても知られ、彼自身によって演奏された。作品の大部分はピアニストとしてデビューした1888年よりも前に出版されている。ピアニストとしての自らのレパートリーも主にロマン派の作品が多く、オーケストラとの共演よりも単独での演奏会が圧倒的に多かった。第2楽章の単旋律のメロディは、幻想的でロマンティック。
CDA-66567
メンデルスゾーン:2台のピアノのための協奏曲変イ長調、
2台のピアノのための協奏曲ホ長調
スティーヴン・クームズ(P)、
イアン・マンロ(P)、
イェジー・マクシミウク(指)
BBCスコティッシュSO
録音:1991年8月31日−9月1日
メンデルスゾーンは生涯を通じて協奏曲を書いており、この2台のピアノのための協奏曲2曲は初期の作品でありながらも(なんと14歳と15歳の頃に書かれたもの)、天賦の才に恵まれた彼の早熟ぶりが如何なくなく発揮され驚くべき円熟度を示している。クームズとマンロは、名盤「アレンスキーの2台のピアノのための組曲集(CDA-66755)」でも共演している黄金コンビ。このメンデルスゾーンの協奏曲でも、息のあった見事なデュオで、豊かなオーケストラに乗った甘美な旋律が語り合われる。
CDA-66580
メトネル:ピアノ協奏曲第2番ハ短調Op.50、
ピアノ協奏曲第3番ホ短調Op.60
ニコライ・デミジェンコ(P)、
イェジー・マクシミウク(指)
BBCスコティッシュSO
録音:1991年11月7−8日
20世紀前半に活躍したピアニスト・作曲家のメトネル。作風は古典的で後期ロマン派に属し、ピアノ曲で多くの佳作を残しており、ピアノ協奏曲は3曲存在する。そのなかでも特に人気の第2番は、ロシア・ロマンの香りを濃厚に湛えた作品で、2004年にアムランによって日本初演が行われている。晩年に書かれた第3番は聴けば聴くほど深い味わいの増す、メトネル独特の叙情がこめられた作品。「ロシアの重戦車」デミジェンコが、ほとばしるエナジーを華麗に操りメトネルのロマンを紡いでいく。
CDA-66624
アレンスキー:ピアノ協奏曲ヘ短調Op.2、
ロシア民謡による幻想曲Op.48
ボルトキエヴィチ(1877−1952):ピアノ協奏曲第1番変ロ長調Op.16
スティーヴン・クームズ(P)、
イェジー・マクシミウク(指)
BBCスコティッシュSO
録音:1992年8月21日−22日
ロシア伝統のロマンティックな味わいを十分に堪能できる協奏曲2曲をカップリング。冒頭の雄大なオーケストレーションとピアノ独奏のアルペジオによる絡みがグリーグのピアノ協奏曲の有名な冒頭に負けないほど印象的なアレンスキーの協奏曲は、名作として知られるピアノ三重奏曲以上にもっと聴かれてよい作品。若き日のホロヴィッツが夢中になったとの逸話も残っている。ニキシュから強く出版を勧められるなど、ボルトキエヴィチ最初の成功作となったピアノ協奏曲も19世紀ロマンの香りが濃厚に立ち上る作品。ピアノ書法はチャイコフスキーの協奏曲のようにオクターヴ・ユニゾンの打鍵によるメロディーが頻出し、ロシア流の華麗なソロが聞き手を魅了する。
CDA-66640
R=コルサコフ:ピアノ協奏曲嬰ハ短調Op.30
バラキレフ:ピアノ協奏曲第1番嬰ヘ短調Op.1、
ピアノ協奏曲第2番変ホ長調Op.posth
マルコム・ビンズ(P)、
デイヴィッド・ロイド=ジョーンズ(指)
イングリッシュ・ノーザン・フィルハーモニア
録音:1992年10月25-26日
ロシア五人組の中心的人物であったバラキレフと、リムスキー=コルサコフのピアノ協奏曲をカップリング。ファゴット・ソロによるロシア民謡の主題で始まるリムスキー=コルサコフのピアノ協奏曲は、リストのピアノ協奏曲第1番の影響を強く受けた華々しい曲。多くの次代の作曲家に影響を与えたリムスキー=コルサコフの管弦楽法も存分に発揮されており、オーケストラとピアノのゴージャスな空間が広がる。バラキレフのピアノ協奏曲嬰ヘ短調(第1番)は、1855年に音楽によって身をたてることを決意したバラキレフが第1楽章のソロ・パートのみを自ら演奏し、大成功を収めたショパンの影響が窺えるとてもロマンティックな曲である。第3楽章が未完のまま死後に発見されたピアノ協奏曲変ホ長調(第2番)は、弟子のリャプノフにより完成されたもの。深淵な切なさのこみ上げる緩徐楽章、豊かなリズムとともに金管の栄える急楽章は聴きどころ満載。マルコム・ビンズはロシア音楽にも精通するイギリスのピアニストで、世界でも稀な「バラキレフ弾き」でもある。ロイド=ジョーンズも同じく、ロシア音楽・文化に精通したイギリス人指揮者。英国芸術審議会の要請によってオペラ演奏団体「オペラ・ノース」を設立し、その初代音楽監督、及び専属オーケストラであるイングリッシュ・ノーザン・フィルハーモニア(オペラ・ノースO)の芸術監督と首席指揮者に就任している。ビンズの色彩豊かな熱演をロイド=ジョーンズ&イングリッシュ・ノーザン・フィルハーモニアの固いコンビが支えた力強い演奏を聴かせてくれる。
CDA-66684
ドホナーニ:ピアノ協奏曲第1番ホ短調Op.5、
ピアノ協奏曲第2番ロ短調Op.42
マーティン・ロスコー(P)、
フョードル・グリュシュチェンコ(指)
BBCスコティッシュSO
録音:1993年6月17日−18日
折衷的な作風とハンガリーのさまざまな民族音楽の要素を取り入れた数多くの作品はヨーロッパのクラシック音楽の強力な伝統に、より深く根ざしており、とりわけブラームスの痕跡が強いことでも知られている。ピアノ協奏曲第1番は王立音楽院で学ぶドホナーニがディプロマを受けた年に作曲され、ベーゼンドルファー賞を受けヨーロッパやアメリカで作曲家としての名声を確立するきっかけともなった曲。第2番は第二次大戦後のいざこざからアメリカへ移ったころの作品。作曲家、指揮者、教師としての大きな経験を経ての円熟の作曲技法により、哀愁と情熱の見事な調和を果たしている。ロスコーのピアノは力強くそれでいて美しい旋律も華麗に操り、ドホナーニの魂を感じさせてくれる。
CDA-66717
アドルフ・フォン・ヘンゼルト(1814−1889):ピアノ協奏曲ヘ短調Op.16、
演奏会用変奏曲Op.11(マイアベーア作曲『悪魔のロベール』の「わたしがノルマンディを離れるとき」に基づく)
アルカン:室内協奏曲嬰ハ短調Op.10no.2、
室内協奏曲Op.10no.1
マルク=アンドレ・アムラン(P)、
マーティン・ブラビンズ(指)
BBCスコティッシュSO
録音:1993年12月2日−3日
ヘンゼルトとアルカンは同時代の輝かしい名声に恵まれたショパンやリストに圧倒され影を薄くしながらも、ピアノに対する明確な定義づけが出来るスタイルを備え、特有のアプローチを示した作曲家である。内気な個性やライフスタイルも風変わりで、自らが公衆の前で演奏をしなかったため、ほとんどのコンサート・ピアニスト達からも敬遠され、彼らの作品は日の目にあたることは少なかった。ともに卓越した技巧派でピアノの可能性を追求したこの協奏曲は、挑戦的な技巧と音楽性、そして莫大なスタミナとエネルギーを要求される。知られざる彼らの音楽を現代の世に問うのは、まさにアムランをおいてほかないだろう。世界最強のピアニスト、マルク=アンドレ・アムランが、眠り続ける19世紀の怪物の魂を呼び覚ます!
CDA-66729
ウェーバー:ピアノ協奏曲第1番&第2番、
コンツェルトシュテュックヘ短調Op.79
ニコライ・デミジェンコ(P)、
チャールズ・マッケラス(指)
スコットランド室内O
録音:1994年4月16日−17日
ドイツ・ロマン派音楽の開拓者として「魔弾の射手」、「オベロン」など多くの優れた歌劇を生み出したウェーバー。ウェーバーの“協奏曲”というとまず「クラリネット協奏曲」が思い浮かぶが、2つの「ピアノ協奏曲」と「コンツェルトシュテュック」も「クラリネット協奏曲」と肩を並べるウェーバーの、そしてドイツ・ロマン派音楽の重要作品である。どことなくモーツァルトの作品の香りを感じさせる「ピアノ協奏曲第1番」、ハイテンポでエキサイティングなパッセージが疾走する「ピアノ協奏曲第2番」、ピアノのための協奏的作品の集大成であり、「魔弾の射手」と共にベルリンで大成功を収めた「コンツェルトシュテュック」の3作品は、後に続く大作曲家たちのピアノ作品にも大きな影響を及ぼすことになる。自身もピアノのヴィルトゥオーソとして高い名声を誇っていたウェーバーの難曲に真正面から挑むのは、ロシアの重戦車ニコライ・デミジェンコ。凄まじいピアノ・パートを前に白熱するデミジェンコを、巨匠マッケラスが手兵スコットランド室内管を率いて手堅くサポート。両者の駆け引きも聴き応え十分!
CDA-66744
メトネル:ピアノ協奏曲第1番ハ短調Op.33、
ピアノ五重奏曲ハ長調Op.posth
ドミトリー・アレクセーエフ(P)、
アレクサンドル・ラザレフ(指)BBC響、
新ブダペストSQ
録音:1994年3月18日、23日
厳かなピアノ・ソロの強奏に始まり、弦の哀愁に彩られながらぐいぐいと作品に引き込まれていく。メトネルのピアノ協奏曲第1番は野心的なメトネル風の感性が存分に詰まった作品である。ここには45年の歳月をかけて完成された秘曲、ピアノ五重奏曲もカップリングされている。アレクセーエフは、1975年にリーズ国際コンクールを制覇したロシアのピアニスト。RPCでメトネルのピアノ協奏曲第2番と第3番(CDA-66580)を弾いているデミジェンコとは、メトネルの2台のピアノのための作品(CDA-66654)でも共演をしているメトネル仲間でもある。
CDA-66747
ダルベルト:ピアノ協奏曲第1番ロ短調Op.2【世界初録音】、
ピアノ協奏曲第2番ホ長調Op.12
ピアーズ・レーン(P)、
アラン・フランシス(指)
BBCスコティッシュSO
録音:1994年5月14日−15日
ダルベルトはスコットランド生まれのドイツのピアニスト、作曲家。自身がイギリス人であるという自覚が持てず、次第にドイツに引かれるようになり、帰化もしている。第一次世界大戦中には自らがドイツ人であると宣言した。カルクブレンナーの弟子である父親に時折指導を受けてはいたが、事実上独学でロンドンの音楽大学の奨学生となり、ルービンシュタインやリストにも評価されていく。最晩年にはオペラの作曲に没頭しピアノ書法も失われていくが、この2曲のピアノ協奏曲は、著名なピアニスト、テレーサ・カレーニョと結婚し、世界各地で数多くの演奏活動を重ね名声を高めていた頃の作品。師であるリストの影響も感じさせる精悍なリズムや、高度なテクニックを駆使した斬新な響きにあふれている。
CDA-66790
シャルヴェンカ:ピアノ協奏曲第4番へ短調Op.82
フォン・ザウアー:ピアノ協奏曲第1番ホ短調
スティーヴン・ハフ(P)、
ローレンス・フォスター(指)
バーミンガム市SO
録音:1994年12月18日-19日
シャルヴェンカは19世紀末から20世紀初頭にかけての、最も人気を博した音楽家の一人であった。彼の作品を称賛した人々の中には、リスト、チャイコフスキー、マーラー、ブラームス、ブゾーニといった偉大な音楽家たちが名を連ねている。ピアノ協奏曲第4番は、弟子のマルタ・ジーボルトの独奏とシャルヴェンカ自身の指揮で初演された。既に人気絶頂であったシャルヴェンカの新作には、ベルリンのあらゆるピアニスト――巨匠から教師、生徒まで――が押しかけ大きな熱狂とともに受け入れらた。当時の新聞は、「オーケストラ・パートの真に交響的な重要性もさることながら、作品は正真正銘のヴィルトゥオーゾ協奏曲」と評している。ザウアーもまた、シャルヴェンカの協奏曲を演奏した数多くのピアニストの一人に数えられる。ドイツで生まれたザウアーは最初は母親に音楽を教わっていたが、勉強には熱心でなかった。15歳の冬にハンブルクでアントン・ルビンシテインのコンサートを聴き、少年は圧倒され心の奥底まで揺さぶられた。その後ルビンシテインの薦めもありモスクワへ留学、アントンの弟、ニコライ・ルビンシテインが学長を務めるモスクワ音楽院にてニコライに師事している。ザウアーの作品はまったく不当にも、シャルヴェンカの作品以上に現代では顧みられていない。第1番のホ短調協奏曲は、彼がヴィルトゥオーゾとしてアメリカを回る間もずっと演奏され、熱狂の嵐と興奮を巻き起こしていた。ザウアーのピアノ曲はサロン風の軽い作品が多いが、ピアノ協奏曲はとりわけ聴き応えのある作品である。ラフマニノフを連想させるロシアの甘い香りを、ドイツのエレガントな味わいとともに堪能させてくれる。これは、現代の正統派ヴィルトゥオーゾ、スティーヴン・ハフによってドラマティックでピアニスティックな世界が繰り広げられ、96年にグラモフォン賞のレコード・オブ・ザ・イヤーを受賞した誉れ高きディスクである。
CDA-66820
パリー:ピアノ協奏曲嬰ヘ長調【世界初録音】
スタンフォード:ピアノ協奏曲第1番ト長調Op.59【世界初録音】
ピアーズ・レーン(P)、
マーティン・ブラビンズ(指)
BBCスコティッシュSO
録音:1995年9月21-22日
ロンドンの王立音楽院で教授職を貫いたパリーとスタンフォードは、作曲・教育ともに近代英国音楽の礎を築いた人物。そして共に世界初録音となる2つのピアノ協奏曲は、イギリス音楽を語る上でも重要な位置を占めており、知性派レーンの手によってその深淵が解き明かされていく。パリーのピアノ協奏曲は、1880年に作曲・演奏された作曲家としてのデビュー作でもある。第1楽章の繰り返される主題からぐいぐいと引き込まれ、34分の演奏時間があっという間にすぎてしまう。スタンフォードのピアノ協奏曲第1番は、1894年にクララ・シューマンに学んでいたイギリスのピアニスト、レナード・ボルウィックのために書かれた作品。傑作といわれる第2番に比べ霞んではいたが、のどかな旋律で始まり途中に緊張を感じさせながら快活なリズムと深い情緒を感じさせていく第1楽章や、雄大なオーケストラとピアノの調べに圧倒される第2楽章など、歴史に埋もれさせるには余りにも惜しい作品である。
CDA-66877
グラズノフ:ピアノ協奏曲第1番ヘ短調Op.92、
ピアノ協奏曲第2番ホ長調Op.100/
アレクサンドル・ゲディケ(1877−1957):ピアノ協奏曲第1番二短調Op.11【世界初録音】
スティーヴン・クームズ(P)、
マーティン・ブラビンズ(指)
BBCスコティッシュSO
録音:1996年1月11−12日
グラズノフ、ゲティケともにロシアの作曲家。グラズノフはリムスキー=コルサコフから教えを受け、11歳から作曲を始め、15歳で交響曲第1番を作曲。交響曲の9作品、管弦楽の作品に比べ、協奏曲はわずか4作品でピアノ協奏曲はこの2作品のみ。力強さと躍動感溢れる協奏曲である。ゲディケの協奏曲はこのレコーディングが世界初録音。冒頭のホルンが印象的なわずか13分の曲だが、その中に凝縮されたゲディケ特有のメロディが素晴しい。中間から後半にかけてピアノと融合するホルンとトランペットはまさに絶妙で、クームズとブラビンズのコンビに思わず納得。
CDA-66889
リトルフ:交響的協奏曲第2番ロ短調Op.22【世界初録音】、
交響的協奏曲第4番ニ短調Op.102
ピーター・ドノホー(P)、
アンドルー・リットン(指)
ボーンマスSO
録音:1996年10月18日−19日
リトルフはイギリスで生まれフランスで活躍したピアニスト、作曲家、そして楽譜出版社も運営するなど大きな功績を残している。彼の最高傑作は5つの「交響的協奏曲」で、第1番が紛失しており現存する第2番〜第5番の4曲はこのRPCシリーズで揃えることができる。交響的協奏曲は古典派の鍵盤楽器の協奏曲形式を拡張しようとする新たな姿勢を示しており、ピアノを伴った交響曲とも言える。中でも特に有名な交響的協奏曲第4番の第2楽章「スケルツォ」は、ヴィルトゥオージティあふれる煌びやかなピアノが終始活躍する爽快な曲で、楽章単独で演奏される機会も多い。第4番全体や第2番は「スケルツォ」に比べると知名度は落ちてしまうが、第2番第4楽章の親しみやすく軽妙なピアノ・ソロや、第4番第3楽章のオーケストラとピアノの見事な調和など、聴き所も十分な秘曲である。リストやブラームスのピアノ協奏曲に影響を与えた作品としても再評価の気運が高まっているリトルフの交響的協奏曲を、幅広いレパートリーを誇るドノホーが解明する。
CDA-66897
マスネ:ピアノ協奏曲変ホ長調
レイナルド・アーン(1875−1947):ピアノ協奏曲ホ長調
スティーヴン・クームズ(P)、
ジャン・イヴ・オッソンス(指)
BBCスコティッシュSO
録音:1996年6月15日−16日
マスネはオペラ作曲家として有名なフランス人作曲家。19世紀末から20世紀初頭にかけて大変人気があったが後にほとんどの作品が忘れ去られてしまい、1980年代以降に時折リバイバルが起こっている。教師としての活躍ぶりは、シャルパンティエ、ケックラン、シュミット、ピエルネ、アーンなど多彩な顔ぶれを誇る弟子たちからもうかがえる。アーンはベネズエラ生まれのフランスで活躍した作曲家、指揮者。アーンはマスネやサン=サーンスに師事しており、中でもマスネは彼を高く評価していた。ここに収録された2作品は、いずれもフランスらしい流麗な旋律に、淡い響き、そして情熱的なリズムに彩られたロマンティックなコンチェルトである。ヴィルトゥオーゾ的な見せ場もしっかりと盛り込まれており、ピエルネのピアノ協奏曲(CDA-67348)でフランス・ロマンの世界を濃厚に描いたクームズと、Timpaniレーベルでも活躍するフランス音楽のスペシャリスト、オッソンスの組み合わせも聴きごたえ抜群!
CDA-66949
ヘンリー・ホルデン・フス(1862−1953):ピアノとオーケストラのための協奏曲ロ長調Op.10【世界初録音】
アーネスト・シェリング(1876−1939):ピアノとオーケストラのための幻想組曲Op.7【世界初録音】
イアン・ホブソン(P)、
マーティン・ブラビンズ(指)
BBCスコティッシュSO
録音:1997年1月9日−10日
フスはアメリカの作曲家、ピアニスト、教育者。第1楽章は華麗なトランペットが鳴り響き、荘厳なスケールで始まり、第2楽章はピアノと木管の美しい掛け合いが絶妙で心休まる暖かい空間に包まれる。第3楽章は明るく楽しく全体としても聞きやすい曲に仕上がっている。シェリングもアメリカのピアニスト。指揮者や作曲家としても幅広く活躍した。パリ音楽院でモシュコフスキ、ブルックナー、フーバーらに師事。1919年に自動車事故で手を負傷してから作曲に専念。バーンスタインによって有名になったニューヨーク・フィルハーモニーOの青少年のためのコンサートを開始した指揮者でもある。重厚な響きで始まり、明るくのどかな聞きやすい曲想へと移っていくフスと似た特徴も持っている。第4楽章は「ヴァーニジア・リール」という副題がつけられており、フォークダンスなどで有名なメロディーが顔を出す、楽しさあふれる曲となっている。ロマン派の美しい旋律を得意とするホブソンがアメリカ後期ロマンの協奏曲を鮮やかに甦らせた。
CDA-66969
メンデルスゾーン:華麗なるカプリッチョロ短調Op.22
ピアノ協奏曲第1番&第2番
華麗なるロンド変ホ長調Op.29
セレナーデとアレグロ・ジョコーソロ短調Op.43
スティーブン・ハフ(P)、
ローレンス・フォスター(指)
バーミンガム市SO
録音:1997年1月9−10日
メンデルスゾーンのコンチェルトといえばヴァイオリン協奏曲だが、技巧的で勇壮なピアノ協奏曲第1番、華麗で哀愁漂う第2番ともに密かなファンの多い隠れたる逸品。特に第2番のアダージョはメンデルスゾーンの数ある曲の中でも随一の美しさを持つ。前後と間に挟まれる3つの協奏的作品はさらに録音が少ないが、いずれもメンデルスゾーンらしさを十分にたたえた繊細な曲であり、イギリス屈指のヴィルトゥオーソ、ハフの甘美な表現が際立つ。
CDA-66990
ヨーゼフ・マルクス(1882−1964):ロマンティック・ピアノ協奏曲ホ長調、
コルンゴルト:左手のためのピアノ協奏曲嬰ハ長調Op.17【世界初録音】
マルク=アンドレ・アムラン(P)、
オスモ・ヴァンスカ(指)
BBCスコティッシュSO
録音:1997年6月19−20日
マルクスとコルンゴルトは、ともにオーストリア出身であり、後期ロマン派の伝統をくみ、非常に優秀なピアニストであった。マルクスは音楽評論家・音楽教育者としても才能を発揮し、ウィーン国立音楽院の学部長を務めていた。戦後の一時期にはコルンゴルトの息子であるゲオルクを指導していたというエピソードもある。コルンゴルトはモラヴィア地方のブリュン(現在はチェコのブルノ)生まれ、歴史上最も驚くべき神童作曲家の一人である。帝政時代のウィーンでの神童時代から有名なオペラ作曲家に、そしてハリウッドで交響的映画音楽の開拓者になる。1997年の生誕100年、2007年没後50周年を期に、演奏会でもコルンゴルトの作品が多く取り上げられるようになってきた。この左手のためのピアノ協奏曲嬰ハ長調は、オーストリア生まれのピアニスト、パウル・ヴィトゲンシュタインのために作曲された。(ヴィトゲンシュタインは、第一次世界大戦で右腕を失っていた。)作曲者自身の尋常ではないピアニストとしての特質をソロ・パートに入れ込んでいるこの協奏曲は非常にユニークである。初演は、1924年9月22日、ウィーンで行われた夏の音楽祭で、コルンゴルト自身の指揮、ヴィトゲンシュタインの独奏で演奏された。
※MCDA-66990は廃盤、PCDA-66990に移行となります。
CDA-67023
トーヴィー(1875−1940):ピアノ協奏曲イ長調Op.15【世界初録音】
マッケンジー(1847−1935):スコティッシュ・コンチェルトOp.55【世界初録音】
スティーヴン・オズボーン(P)、
マーティン・ブラビンズ(指)
BBCスコティッシュSO
録音:1998年1月8−9日
トーヴィーはイートンに生まれ、オクスフォード在学中と卒業直後に盛んに作曲を手掛けた。音楽学者や音楽教育者としての経歴が長く、作曲にもその影響が色濃く現れている。演奏家としては、ヨアヒム四重奏団のピアニストも努めていた。自作のピアノ協奏曲は1903年にヘンリー・ウッドの、1906年にはハンス・リヒターの指揮で自ら演奏。この協奏曲は、第1楽章から3分弱はまるで交響曲かのような曲風で始まり力強い金管が印象的。同国出身のオズボーンのピアノが、さらにメロディに花を添えドラマティックな作品に仕上がっている。マッケンジーは指揮者、作曲家、教育者として活躍。スコットランド人であることを意識していたマッケンジーは、その民謡の主題による作品を数多く残し、スコットランド民謡の編曲なども多く手掛けている。このスコティッシュ・コンチェルトはまず冒頭のホルンがスコットランドをすべて物語っているかのよう。この一枚で知られざるロマン派のスコットランド音楽の一面を垣間見ることが出来る。
CDA-67069
グナツ・ブリュル(1846−1907):ピアノ協奏曲第1番ヘ長調Op.10【世界初録音】
アンダンテとアレグロOp.88【世界初録音】
ピアノ協奏曲第2番ハ長調Op.24
マーティン・ロスコー(P)、
マーティン・ブラビンズ(指)
BBCスコティッシュSO
録音:1998年5月7日−8日
1846年に現在のチェコ、プロスチェヨフで生を受け、ブラームスやゴルトマルクとも親交を深めたオーストリアの音楽家イグナツ・ブリュル。幼少の頃より恐るべき才能を発揮し、神童として脚光を浴びたブリュルの「ピアノ協奏曲第1番」はなんと15歳の時の作品。師であるエプシュタインの手により演奏されたこの作品の成功によってブリュルの名はさらにヨーロッパ全土へと広まることとなる。またソリストに高度な技巧が求められる華やかで輝かしい「ピアノ協奏曲第2番」は、1868年に22歳のブリュルが書いた傑作と呼ぶに相応しい作品である。ブリュルの2つのピアノ協奏曲とアンダンテとアレグロの3作品で、イギリスの名手マーティン・ロスコーがその卓越した技術と音楽性を遺憾なく発揮。何故ブリュルが神童、天才と呼ばれたのか。その答えをロスコーのピアノが確かに教えてくれる。
CDA-67086
テオドール・クラク(1818-1882):ピアノ協奏曲ハ短調Op.55【世界初録音】
アレクサンダー・ドライショク(1818−1869):ピアノ協奏曲ニ短調Op.137【世界初録音】
ピアーズ・レーン(P)、
ニクラス・ヴィレン(指)
BBCスコティッシュSO
録音:1999年3月3日−4日
クラクはクロトシン(現ポーランド)で生まれドイツで活躍したピアニスト、教師。彼の創設した新音楽アカデミーはピアニスト養成を専門とし、ドイツ最大規模の私立学校となる。数多くの生徒を抱え、有名な生徒には、モシュコフスキ、シャルヴェンカ兄弟などがいる。彼の友人であったリストは、クラクを「19世紀の傑出した教師の一人である」と称した。親しみやすく美しい旋律、思わず体が動いてしまうような軽快なアレグロなど気軽に楽しめる協奏曲である。ドライショクはボヘミア生まれのピアニスト、作曲家。ヴィルトゥオーゾとしてヨーロッパ各地で大旋風を巻き起こしたドライショクは特に左手の技巧が有名で、「彼には左手がない。右手が2本ある」と驚嘆されたことや、ショパンの「革命のエチュード」の左手部分をオクターヴで演奏するといったエピソードを持つ。レパートリーには古典派の作品も多いが主に自作の超絶技巧を要するピアノ作品も披露している。このピアノ協奏曲も豪壮なオーケストラの上にピアノが颯爽と駆け巡るヴィルトゥオージティ満載の作品。
CDA-67127
ジョセフ・ホールブルック(1878−1958):ピアノ協奏曲第1番「グイン・アプ・ヌッドゥの歌」Op.52
ハイドン・ウッド(1882−1959):ピアノとオーケストラのための協奏曲ニ短調【世界初録音】
ヘイミッシュ・ミルン(P)、
マーティン・ブラビンズ(指)
BBCスコティッシュSO
録音:1999年6月4日−5日
ホールブルックはイギリスに生まれ12歳でピアニストとしてデビューし、その後ロイヤル音楽アカデミーで作曲とピアノを学び、卒業後は指揮やピアノの演奏で生計を立てていた。1900年に発表した交響詩「大鴉」が大成功し、次々と作品を発表。イギリスでもっとも有能な作曲家として「コックニーのワーグナー」とも呼ばれるようになる。20世紀の前半には広く各地で演奏されていたホールブルックの作品も、現在では多くが失われており、後期の作品はまったく入手できない状態である。彼の書いた膨大な数の作品にはむらがあり、不出来なものもあったが、生き生きとして独創性に富む作品も多く、管弦楽法は常に鮮やかであった。作品にはアイルランドやケルト民族を題材としたものも多く、ピアノ協奏曲第1番の副題「グイン・アプ・ヌッドゥ」もケルト神話に由来する。ウッドも20世紀前半に活躍したイギリスの作曲家。ロイヤル音楽カレッジでヴァイオリンを学んでいたころは、ヨアヒムやサラサーテを驚嘆させる神童ぶりも発揮していた。1909年にソプラノ歌手ドロシー・コートと結婚し、彼女に贈った多くのバラッドで有名になったという抒情派である。後半生はどちらかというと軽音楽的作品が作曲の主となるが、この作品は本格的ロマン派作品。
CDA-67143
ブゾーニ:ピアノ協奏曲ハ長調Op.39 マルク=アンドレ・アムラン(P)、
マーク・エルダー(指)
バーミンガム市SO、
バーミンガム市交響cho(男性合唱)
録音:1999年6月20日−21日
超絶技巧のピアニストとしても名高いブゾーニの協奏曲は、演奏時間75分、5つの楽章から成り、フィナーレには合唱が付く歴史上特別な地位を占めている協奏曲。このブゾーニの傑作であると同時に、ピアニストにとって至難の業である協奏曲をアムランが見事に弾ききっている。ブゾーニはイタリアに生まれ、若干7歳で両親の公開演奏会においてデビューを果たした。ドイツを中心に作曲家・ピアニストのほか、指揮者・音楽教師としても世界中で活躍。バッハのシャコンヌのアレンジはあまりにも有名である。
※MCDA-67143は廃盤、PCDA-67143に移行となります。
CDA-67163
ジョセ・ヴィアンナ・ダ・モッタ(1868−1948):ピアノ協奏曲イ長調、
ピアノ独奏のための「バラード」Op.16、
ピアノとオーケストラのための「劇的幻想曲」
アルトゥール・ピツァーロ(P)、
マーティン・ブラビンズ(指)
グルベンキアンO
録音:1999年7月12日−13日
ダ・モッタは、アフリカの島国サントメで生まれポルトガルで活躍した作曲家。リスボン音楽院で音楽を学びシャルヴェンカにピアノを師事、そしてリストの最後の弟子ともなっているダ・モッタはヴィルトゥオーゾ・ピアニストとしてもヨーロッパ各地や南アメリカと広く活躍し、ブゾーニとも親交を結んでいる。2楽章形式で5つの変奏が伴うピアノ協奏曲、そして3楽章形式で実質的なピアノ協奏曲でもある「劇的幻想曲」は、どちらも民族的要素を感じさせ、ドラマティックな展開と情の深い旋律が醍醐味の作品。ピアノ・ソロによる「バラード」も民謡を主題とし技巧的に彩られたリリカルな曲である。このRPCシリーズにおいてダ・モッタ演奏に白羽の矢が立ったのは、ダ・モッタの育ったリスボンに生まれ、LinnRecordsを中心に世界的な活躍を果たしているポルトガルの巨星アルトゥール・ピツァーロ!
CDA-67165
マクダウェル:ピアノ協奏曲第1番イ短調Op.15、
モダンな組曲第2番Op.14(ピアノ・ソロ)*、
ピアノ協奏曲第2番ニ短調Op.23
セタ・タニエル(P)、
マーティン・ブラビンズ(指)
BBCスコティッシュSO
録音:2000年9月14日−15日、12月17日*
マクダウェルはアメリカを代表するロマン派のピアニスト、作曲家、教師。フランスやドイツで音楽を本格的に学び、作曲家としてのキャリアも築き、アメリカ帰国後は作曲家兼ピアニストとして成功を重ね、アメリカの音楽界における指導的人物として認められるようになっていった。コロンビア大学初となる音楽の教授に任命されてからは教育に没頭し、アメリカ音楽家作曲家協会の会長も務め隆盛を誇る。しかし、アメリカにおけるマクダウェルの特別な地位も次第に衰えていき、一時はほとんど彼の作品は聴かれなくなったが、20世紀の後半から多くの録音や批評とともに再評価されはじめている。グリーグの影響が色濃く現れるピアノ協奏曲第1番は重厚なピアノ・ソロからはじまり、主題を存分に活かしながら色鮮やかなオーケストラとともに音を紡いでいく。マクダウェルの作品のなかでもよく弾かれるピアノ協奏曲第2番は壮麗なピアノ技法や剛胆な音楽作りなどロマン派好きにはたまらない作品であり、女流奏者セタ・タニエルが大胆且つ丁寧に音楽を掘り下げていく。
CDA-67210
リトルフ:交響的協奏曲第3番変ホ長調Op.45(ナショナル・オランダ)
交響的協奏曲第5番ハ短調Op.123【世界初録音】
ピーター・ドノホー(P)、
アンドルー・リットン(指)
BBCスコティッシュSO
録音:2000年10月27-28日
リトルフはイギリスで生まれフランスで活躍したピアニスト、作曲家、そして楽譜出版社も運営し大きな功績を残している。彼の最高傑作は5つの「交響的協奏曲」で、第1番が紛失しており、現存する第2番〜第5番の4曲はこのRPCシリーズで揃えることができる。交響的協奏曲は古典派の鍵盤楽器協奏曲形式を拡張しようとする新たな姿勢を示しており、ピアノを伴った交響曲とも言える。リストはこの交響的協奏曲の構想を高く評価し、自分のピアノ協奏曲第1番をリトルフに献呈しているため、そちらでリトルフの名前を目にすることの方が多いかもしれない。1846年にイギリスからオランダに逃亡したリトルフは、オランダの聴衆から人気を博し暖かく迎えられた。その感謝を込めて同年作曲された交響的協奏曲第3番には「ナショナル・オランダ」と名づけられている。明るく華やかな曲で、金管とティンパニの響く壮麗なオーケストラの響きに始まり、音域の広さを存分に活かしたピアノの独奏が挿入され、交響的協奏曲の世界を形作っていく。第5番は他の交響的協奏曲に比べピアノが前面に出ており、よりピアノ協奏曲らしい作品となっている。ピアニストには1982年のチャイコフスキー・コンクール優勝者のピーター・ドノホーを抜擢し、交響的協奏曲第2番、第4番(CDA-66889)ともに煌びやかな演奏を聴かせてくれる。
CDA-67276
モシュレス:ピアノ協奏曲第2番変ホ長調Op.56、
ピアノ協奏曲第3ト短調Op.58、
スコットランドを見越して−大幻想曲Op.75
ハワード・シェリー(P,指)
タスマニアSO
録音:2001年8月7日−9日
モシュレスはベートーヴェン「ミサ・ソレムニス」のロンドン初演の指揮者であり、またシンドラーの「ベートーヴェンの生涯」英語版の翻訳・編集者でもあった。また、若い頃には「フィデリオ」全曲をピアノ用に編曲したこともあったという。ショパンのような華麗な技巧に背を向け、あくまで古典的な形式に個室したモシュレス。8曲あるピアノ協奏曲は、モシュレスの作品の中核をなすもので、第7番が「悲愴」、第8番が「田園」と名付けられていることからも、ベートーヴェンからの影響がいかに大きかったかがうかがい知れる。ここに収められた第3番は、モシュレスの代表作とされる作品。演奏しているのはオーストラリア近海のタスマニア島を本拠地に活動するタスマニアSO。この団体はピアノによる通奏低音入りのベートーヴェン交響曲全集をリリースしたことでこだわりのファンによく知られた存在である。このオーケストラと共演する機会の多いハワ−ド・シェリーが見事な弾き振りを披露している。
CDA-67296
ディーリアス:ピアノ協奏曲ハ短調(1904年オリジナル版)【世界初録音】
アイアランド:ピアノと管弦楽のための「伝説」、
ピアノ協奏曲変ホ長調
ピアーズ・レーン(P)、
デイヴィッド・ロイド=ジョーンズ(指)
アルスターO
録音:2005年3月8日−9日
ディーリアスとアイアランドというイギリス音楽ファンにとって目の離せない“イギリス一色”のプログラミング。特にディーリアスの「ピアノ協奏曲」は現在1楽章形式で演奏されている1906年版ではなく、3楽章形式として作曲されたオリジナル・ヴァージョンとなる1904年原典版を収録という要注目の音源。この版では世界初録音。ピアーズ・レーンはこの録音のおよそ10年前にすでにディーリアスのピアノ協奏曲(改訂版)を録音しており、DanacordRecordsの人気シリーズ「レアリティーズ・オヴ・ピアノ・ミュージック」ではディーリアス原曲のピアノ・トランスクリプションもの(ラヴェルとフローラン・シュミットが編曲)も録音している(DACOCD519)。そして指揮のロイド=ジョーンズはディーリアス・トラストの役員だというのだから、まさに万全な体制での原典版録音といえるだろう。他者による改定が大きく加えられている改訂版とは違い、ピアノ曲がそれほど得意ではなかったディーリアス本人による原典版は、華麗なピアノ書法などは失われるものの、ディーリアスの自由な技法のちりばめられた興味の尽きない作品である。ディーリアン(ディーリアス・ファン)にとっては必携の一品。アイアランドの2作品も、親しみやすく優美な旋律をいかした幻想的な曲に仕上がっている。
CDA67314
シグムント・ストヨフスキ(1870-1946):ピアノ協奏曲第1番嬰へ短調Op.3、
ピアノ協奏曲第2番変イ長調「序奏、スケルツォと変奏」
ジョナサン・プロウライト(P)、
マーティン・ブラビンズ(指)
BBCスコティッシュSO
録音:2001年6月6日−7日
ポーランドに生まれアメリカで没したストヨフスキのピアノ協奏曲。ワーグナーのようなドイツ・ロマン派的な雰囲気が根底にあり、そこにサン=サーンスやフランクのテイストを加えた作風を持つ。ソロ・ピアノ・パートは技巧的で華麗。ここで弾いているイギリスのピアニスト、ジョナサン・プロウライトはこれがデビュー盤となる。1983年に王立アカデミー音楽院でゴールド・メダルを受賞。以降ヨーロッパ・ピアノ・コンクールで優勝するなど、輝かしい経歴を誇っている。ピアノ協奏曲第1番は、暗く物悲しい深淵から流麗な泉が湧き出でるような情景から始まり、ピアノの輝きとメランコリックなオーケストラの響きに圧倒される。第2番はその名の通り物語の序章を感じさせる「序奏」、まるでバレエ組曲の1幕かのような軽やかで煌びやかな「スケルツォ」に続き、3楽章目は1つのテーマと10の変奏に分かれた変奏曲となっており、物語性の豊かな曲に仕上がっている。
CDA67326
リャプノフ:ピアノ協奏曲第1番変ホ短調Op.4【世界初録音】
ウクライナの主題による狂詩曲Op.28
ピアノ協奏曲第2番ホ長調Op.38
ヘイミッシュ・ミルン(P)、
マーティン・ブラビンズ(指)
BBCスコティッシュSO
録音:2002年6月13−14日
リャプノフはロシアの作曲家、ピアニスト。優れたピアニストであった母からピアノの手ほどきを受けた後、モスクワ音楽院に入学し、クリントヴォルトにピアノを、チャイコフスキー、タネーエフに作曲を学んだ。1883年に同音楽院を卒業したリャプノフは新ロシア楽派の作品に見られる民族主義的な音楽に惹かれ、当時の代表的作曲家であったバラキレフに師事。バラキレフの教えはその後のリャプノフの作品に多大な影響を与えることとなった。ここに収録されている3曲はいずれも色彩豊かなオーケストレーションと民謡の旋律にインスパイアされたメロディが印象的であり、バラキレフの影響が少なからず見られる作品である。また、ピアノ・パートに関してはリャプノフ自身がコンサート・ピアニストであり、リストの影響を受けていることから、難易度の高いフレーズが多く、高度な技巧が要求される。「ピアノ協奏曲第1番」はこれが世界初録音。
CDA-67331(2CD)
サン・サーンス:ピアノ協奏曲全集(全5曲)、
ウェディング・ケーキOp.76、
オーヴェルニュ狂詩曲Op.73、
アレグロ・アパッショナート嬰ハ短調Op.70、
幻想曲「アフリカ」ト短調Op.89
スティーヴン・ハフ(P)、
サカリ・オラモ(指)
バーミンガム市SO
録音:2000年1月22日-24日、9月6日-8日、2001年7月3日
ハフとオラモ、フレッシュな組み合わせによる録音で、hyperionのロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズ初の2枚組。録音が完了した時点で既にハフとオラモのコンビネーションが話題になっていたもの。ちなみにサン=サーンスのピアノ協奏曲全集はここ10数年程、ほとんど新録音が無かった。それは曲の性格がどれも大きく異なり、一筋縄で押し切れる作品ではないせいもある。小気味良いテンポで駆け抜けるハフのピアノと、若くしてラトルの後任となったオラモによるアイディアいっぱいの演奏。両者の対話は雄弁で、かつ変化に富んでいる。2002年度グラモフォン・アウォードの協奏曲部門賞のみならず、その年の大賞(年間最優秀ディスク)まで受賞した名盤である。
CDA-67348
ピエルネ:ピアノ協奏曲ハ短調Op.12、
交響詩二短調Op.37
ファンタジー・バレエ変ロ長調Op.6
スケルツォ・カプリースニ長調Op.25
スティーヴン・クームズ(P)、
ロナルド・コープ(指)
BBCスコティッシュSO
録音:2002年5月16−17日
近年再評価の気運が高まっているピエルネはフランスの作曲家。指揮者としても1903年から活動を始め、コロンヌOの副指揮者を経て、1910年から1934年まで同Oの常任指揮者を務めていたことも有名。ピエルネの作品は、代表作であるバレエ音楽『シダリーズと牧羊神』や室内楽のほかにも、器楽曲などに多数の作品があるが、印象主義的、ロマン派的作風の特質は、このピアノ協奏曲ハ短調にも色濃く表現されている。交響詩やスケルツォ・カプリースも独創的な感性が感じられピエルネの一味違った世界を堪能できる。ピエルネ・ファン必聴!!
CDA-67354
ロベルト・フックス(1847ー1927):ピアノ協奏曲変ロ短調Op.27【世界初録音】
フリードリヒ・キール(1821−1885):ピアノ協奏曲変ロ長調Op.30【世界初録音】
マーティン・ロスコー(P)、
マーティン・ブラビンズ(指)
BBCスコティッシュSO
録音:2001年12月7日−8日
フックスはオーストリアの作曲家、教師。ウィーン音楽院の教授としてマーラーやツェムリンスキー、シベリウス、フランツ・シュミット、ヴォルフ、コルンゴルトなど、著名な作曲家を数多く輩出している。友人であったブラームスは特にフックスの作品を高く評価していた。このピアノ協奏曲からも豊かな旋律に洗練された響き、緻密な表現など、後世に受け継がれていった大きな遺産をうかがい知ることができる。キールはドイツの作曲家、教師。多くの器楽曲を残し、とりわけ室内楽の作曲家として名を残した。軽やかなピアノやさわやかな曲想、のどかなアダージョなど、ドイツ古典派の影響なども感じさせてくれる。
CDA-67365
シャルヴェンカ:ピアノ協奏曲第2番ハ短調Op.56、
ピアノ協奏曲第3番嬰ハ短調Op.80
セタ・タニエル(P)、
タデウシュ・ストゥルガラ(指)
NDRハノーヴァー放送PO
録音:1996年
シャルヴェンカはポーランド系ドイツの作曲家、ピアニスト、教師。彼は全部で4曲のピアノ協奏曲を書いたが、この2番〜3番は、当時ヴィルトゥオーゾ・ピアニストとして名を馳せていたシャルヴェンカが作曲家やピアニストとしての活動以外にも手を広げ、演奏会の主催や音楽院の創立などを始めた時期の作品。彼の作品の特徴でもある極上の美しいメロディーや、上品な舞曲風のリズム、そして絢爛なピアノ書法などが存分に堪能できる。セタ・タニエルはウィーンで音楽の研鑚を積み、エリザベート王妃コンクール、ブゾーニ・コンクールなどで入賞している女流ピアニスト。タニエルはシャルヴェンカのピアノ作品を、今は無きCollins レーベルに数多く残しているシャルヴェンカのプロフェッショナルである。タニエルがHyperionで活動するようになってからCollins音源がこのRPCシリーズに組み込まれ、アムランの第1番、ハフの第4番と合わせて全4曲をこのRPCシリーズで揃えることができる。タニエルによるシャルヴェンカの室内楽作品やピアノ独奏作品集もHeliosやHyperionDyadから発売されている。
CDA-67385
モシュレス:ピアノ協奏曲第1番ヘ長調Op.45、
ピアノ協奏曲第6番変ロ長調Op.90「幻想的」、
ピアノ協奏曲第7番ハ短調Op.93「悲愴」
ハワード・シェリー(P,指)
タスマニアSO
録音:1999年8月30日−31日、9月1日−2日
チェコ出身、ドイツのピアニスト、指揮者、作曲家と多才な顔を持つモシュレス。幼少よりピアノ奏者として将来を渇望されていたモシュレスはウィーンに移住しヴィルトゥオーゾとして大活躍。ピアノ奏者としての経験を活かしたモシュレスは、1819年から1838年の間に8曲のピアノ協奏曲を作曲。本作品に収録されたのは、音楽家として溢れ出る才能とエネルギーが凝縮された初期の第1番と、ピアニストとして、また作曲家として円熟味を増した後期の第6番と第7番を収録。ピアニストとしてのみならず指揮活動も盛んに行っているハワード・シェリー、タスマニアSOとの名コンビによる上質な音楽を存分に堪能できる傑作。
CDA-67420
サミュエル・コールリッジ=テイラー:ヴァイオリン協奏曲ト短調Op.80、
アーサー・サマヴェル
(1863-1937):ヴァイオリン協奏曲ト短調
アンソニー・マーウッド(Vn)、
マーティン・ブラビンズ(指)BBCスコティッシュSO
コールリッジ=テイラーは作曲をスタンフォードに師事。作品に黒人の題材、旋律や民謡を積極的に取り入れたイギリスの作曲家。ヴァイオリン協奏曲も多数の民謡を用いて作曲され、ドヴォルザークやエルガーに匹敵する作品に仕上がっています。歌曲の作曲家として有名なサマヴィルもコールリッジ=テイラーと同じくスタンフォード門下。1930年に作曲されたヴァイオリン協奏曲は牧歌的で心温まる旋律を持った作品で、この録音が世界初録音。 (05.1.14)
CDA-67430
モシュレス:ピアノ協奏曲第4番ホ長調Op.64、
ピアノ協奏曲第5番ハ長調Op.87、
アイルランドの想い出Op.69
ハワード・シェリー(P,指)
タスマニアSO
録音:2002年9月23日-25日、2004年9月6日
モシェレスはチェコ生まれ、ドイツのピアニスト、指揮者、作曲家。幼少よりピアノ奏者として将来を渇望されていたモシェレスはウィーンに移住しヴィルトゥオーゾとして大活躍。そのピアノ奏者としての経験を活かしたモシェレスは1819年から1838年の間に8曲のピアノ協奏曲を作曲。今回収録の第4番、第5番はモシュレス独自の作風を確立し始める中期の作品。ハンスリックによって「古典派を代表する最後の偉大な人物の一人で、同時に新しい時代の創始者の一人でもある」と評されたモシュレスの、熟達した音楽構成による古典派のバランスの取れた楽想に初期ロマン派の迫力が加わっていく。演奏はもちろん、モシュレス第1弾から引き続きシェリーの弾き振り&タスマニア響!
CDA-67465
アンリ・エルツ(1803−1888):ピアノ協奏曲第1番イ長調Op.34【世界初録音】、
ピアノ協奏曲第7番ロ短調Op.207【世界初録音】、
ピアノ協奏曲第8番変イ長調Op.218【世界初録音】
ハワード・シェリー(P,指)
タスマニアSO
録音:2003年9月9日−12日
エルツはオーストリアで生まれフランスで活躍したピアニスト、作曲家であり教育者。エルツがピアノ演奏の手本としたモシュレスとともに、当時最も著名なヴィルトゥオーゾ・ピアニストとして活躍し、ヨーロッパ諸国やロシア、アメリカなど世界各地を演奏して回った。またピアノ練習用補助器具「ダクティリオン」の考案や、パリ万国博覧会への自作ピアノ出展と第1位の獲得、コンサートホールの建設など様々な功績を残している。技巧的で優雅な作曲書法も広く親しまれ大きな人気を集めた。エルツのピアノ練習曲は現在でも重要な教則本となっている。エルツは25歳から70歳までの間に8つのピアノ協奏曲を書いており、このアルバムにはエルツが活躍を始めた初期の第1番と、後期の第7番&第8番が収録されている。優雅な書法で一世を風靡したエルツの足跡を辿るシェリーの弾き振りも相変わらず見事!
CDA-67508

SACDA-67508(1SACD)
シャルヴェンカ:ピアノ協奏曲第1番変ロ短調Op.32
A・ルビンシテイン:ピアノ協奏曲第4番ニ短調Op.70
マルク=アンドレ・アムラン(P)、
マイケル・スターン(指)
BBCスコティッシュSO
録音:2005年2月18日−19日
この2曲のロマン派協奏曲は、かつては大人気を博しながら現代では忘れられていた作品である。この2曲はこのRPCシリーズのどの作品よりも(おそらくは、ヘンゼルトのヘ短調協奏曲(CDA-66717)は例外として)かつては長年にわたってよく知られ広く演奏されていたものである。シャルヴェンカ、ルビンシテインとも作曲家であるのと同時に、コンサート・ホールで大喝采を浴びた19世紀を代表するヴィルトゥオーゾ・ピアニストであり、そのヴィルトゥオーゾたちが書き上げたピアノ協奏曲に挑むのが、現代最強のヴィルトゥオーソ・ピアニストであるアムランだというのだから聴き逃す手はないだろう!タクトを執るマイケル・スターンはあのアイザック・スターンの息子であり今作がHyperion初登場。4曲あるシャルヴェンカのピアノ協奏曲のうち、第1番の変ロ短調協奏曲は、シャルヴェンカを代表する曲である「ポーランド舞曲Op.3」に引き続き、当時もっとも成功し人気のあった曲であり、リストに献呈され大歓迎されている。また、チャイコフスキーは「真の傑作」と高い評価を与え、マーラーが独奏者として協奏曲を演奏した唯一の曲でもある。独創的で魅力的な主題と旋律、自然で巧みな和声と形式、そしてすばらしいオーケストレーションを誇る。
CDA-67511
エドヴァルド・ナプラヴニク(1839−1916):交響的協奏曲イ短調Op.27【世界初録音】、
ロシア幻想曲ロ短調Op.39【世界初録音】
ブリューメンフェルド(1863−1931):演奏会用アレグロイ長調Op.7【世界初録音】
エフゲニー・ソイフェルティス(P)、
アレクサンドル・ティトフ(指)
BBCスコティッシュSO
録音:2004年9月15日−16日
ナプラヴニクはほとんどその名を知られていないが19世紀ロシア音楽界において重要な役割を担った音楽家である。現在も世界有数の歌劇場として知られるマリインスキー歌劇場の指揮者としてチャイコフスキーや5人組の作品を多数手掛けるなど活発な指揮活動を展開していた。ナプラヴニクはその生涯で数曲の交響曲とこのディスクに収録されている2曲のピアノと管弦楽のための作品を作曲しており、その作品はロシア民謡の旋律を採り入れるなどメロディックな作風を持っている。ブリューメンフェルドはあのホロヴィッツ、バレルの師としても知られているロシアのピアニストであり指揮者、教育者、そして作曲家としても活躍した人物。演奏会用アレグロはグリンカ、ルビンシテインやバラキレフを思わせる東洋の雰囲気が溢れる作品である。キエフ出身で現在ロンドン在住のピアノニストであるソイフェルティスがティトフ&BBCスコティッシュ響のサポートを受けて祖国ロシアの作品を情緒豊かに弾きこなす!
CDA-67535
カルクブレンナー(1785−1849):ピアノ協奏曲第1番ニ短調Op.61
ピアノ協奏曲第4番変イ長調Op.127【世界初録音】
ハワード・シェリー(P,指)
タスマニアSO
録音:2005年5月24日−27日
ドイツ系フランスのピアニストであり作曲家でもあったフレデリック・カルクブレンナーは、ハイドンの指導を受け、1810年末から10年間に渡って活躍したイギリスではプレイエルから絶賛を受けるなど一流ピアニストとしての名声を獲得。続く1825年から1830年代までの約10年間はパリで人気、実力とも絶頂を極め、様々な勲章を贈られるなどヨーロッパ最高のピアニストとして絶大な評価を受けることとなる。その後ショパンやリスト、タールベルクといった新世代の名手たちの台頭によってカルクブレンナーの活躍は徐々に陰りを見せ始めるものの、その演奏と作品は19世紀ロマン派音楽に多大な足跡を残した。ちなみにショパンのピアノ協奏曲第1番はカルクブレンナーに捧げられている。
CDA-67537
アンリ・エルツ(1803−1888):ピアノ協奏曲第3番ニ短調Op.87【世界初録音】
ピアノ協奏曲第4番ホ長調Op.131【世界初録音】
ピアノ協奏曲第5番へ短調Op.180【世界初録音】
ハワード・シェリー(P,指)
タスマニアSO
録音:2004年9月2-4日
エルツはオーストリアで生まれフランスで活躍したピアニスト、作曲家であり教育者。エルツがピアノ演奏の手本としたモシュレスとともに、当時最も著名なヴィルトゥオーソ・ピアニストとして活躍し、ヨーロッパ諸国やロシア、アメリカなど世界各地を演奏して回った。またピアノ練習用補助器具「ダクティリオン」の考案や、パリ万国博覧会への自作ピアノ出展と第1位の獲得、コンサートホールの建設など様々な功績を残している。技巧的で優雅な作曲書法も広く親しまれ大きな人気を集めた。エルツのピアノ練習曲は現在でも重要な教則本となっている。エルツは25歳から70歳までの間に8つのピアノ協奏曲を書いており、この第3番〜第5番は32歳、40歳、51歳ともっとも演奏家として脂の乗っていた時期に作曲されたもの。ピアノ独奏もさるものながら、弦の壮麗な響きや管の勇壮な旋律など巧みなオーケストレーションも見事であり、シェリーの弾き振りによって19世紀の華やかな音楽シーンが鮮やかに甦る。
CDA-67555
アイヴィン・アルネス(1872−1932):ピアノ協奏曲ニ長調Op.27【世界初録音】
シンディング:ピアノ協奏曲変ニ長調Op.6
ピアーズ・レーン(P)、
アンドルー・リットン(指)
ベルゲンPO
録音:2006年9月4日−6日
初の北欧作品集に選ばれたのは共にノルウェー・ロマン派を代表する作曲家であるシンディングとアルネス。シンプルで美し旋律を持った歌曲を多数残したことで知られているアルネス唯一のピアノ協奏曲は、今回が世界初録音となる貴重な音源。そしてグリーグに次ぐノルウェーを代表する名匠シンディングのピアノ協奏曲は、後期ロマン派のドイツ音楽の影響を色濃く受けた作品でありノルウェーの抒情との融合が素晴らしい傑作。シンディングのピアノ協奏曲は、NKFレーベルからグナルダールの演奏による録音がリリースされていたが今回のリリースはファン待望の最新録音となる。当代随一の知性派ピアニストとして数々の名演を生み出してきたピアーズ・レーンと、共演にはダラス響を鍛え上げたリットンが音楽監督兼主席指揮者を務めるノルウェーのベルゲン・フィルが参戦。
CDA-67595
ウィリアム・スタンデイル・ベネット(1816-1875):ピアノ協奏曲第4番へ短調Op.19、
奇想曲ホ長調Op.22
フランシス・エドワード・ベイシュ(1833−1858):ピアノ協奏曲ホ長調Op.18【世界初録音】
ハワード・シェリー(P,指)
BBCスコティッシュSO
録音:2006年12月5日-7日
ベネットの弟子であり将来の活躍を嘱望されながらも結核に冒され24歳という若さでこの世を去ったエドワード・ベイシュ。大きな魅力を持ちながらも未出版のため作曲から現在までほとんど演奏が行われてこなかったベイシュのピアノ協奏曲だが、ロンドンの王立音楽院に残されていた楽譜が発見されたことによって録音が実現!師匠譲りの卓越した作曲技法によって書かれたピアノ協奏曲は、24年という短い生涯を駆け抜けたベイシュの大きな遺産である。師匠のスタンデイル・ベネットの作品は2曲を収録。メンデルスゾーンとシューマンから称賛を受けイギリスのロマン派最大の作曲家と称されるベネット。「ピアノ協奏曲第4番」と「奇想曲」はメンデルゾーンからの影響とベネット自身の個性が巧みに表現されている。
CDA-67630
ヘンリク・メルツェル(1869-1928):ピアノ協奏曲第1番ホ短調、
ピアノ協奏曲第2番ハ短調
ジョナサン・プロウライト(P)、
クリストフ・ケーニッヒ(指)
BBCスコティッシュSO
録音:2007年3月7日−8日
メルツェルは当時のポーランドを代表するピアニストとしてアントン・ルビンシテイン・コンクール、パデレフスキ・コンクールなどの入賞を経験。教育者としてはワルシャワ音楽院の教授、院長を務めるなど、ポーランドの音楽の水準を一気に引き上げた功労者である。ピアノ協奏曲第1番はリストとショパンのスタイルを踏襲したスタイルで書かれた作品であり、スリリングなフィナーレが特徴的。対する第2番はポーランドの旋律を創造性豊かに用いて1898年に作曲された作品である。高度な技巧とスタミナを要求されるメルツェルの協奏曲に挑むのは英国の実力者ジョナサン・プロウライト。プロウライトはハイペリオンにストヨフスキの協奏曲とソロ作品、パデレフスキのソロ作品を録音するなど、ポーランドの音楽に凄まじいまでの情熱を注ぎ込んでおり今回の起用はまさに適役。ロマンと情熱が同居するポーランドのピアノ協奏曲、大注目!
CDA-67635
ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズVol.53
レーガー:ピアノ協奏曲ヘ短調Op.114
R・シュトラウス:ブルレスケ ニ短調
マルク=アンドレ・アムラン(P)、
イラン・ヴォルコフ(指)ベルリンRSO

録音:2010年3月16日−18日、ベルリン放送局スタジオ(ベルリン)
自らを"ドイツ三大B"の後継者と位置付け、卓越した対位法、フーガによる膨大な数の作品を生み出したマックス・レーガー。重厚で力強く、また分厚く構築され、特有の渋さを漂わせるレーガーの巨大な「ピアノ協奏曲」が、アムランの両手によって"ドイツ・ロマン派の傑作"という称号を手にすることになります。アムランが"パーティー・ピース"としているR・シュトラウスの「ブルレスケ」では、ソリストとオーケストラの丁々発止の"競演"、ユーモアと豊かな色彩感に要注目!
CDA-67636
ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズ第47集
ザーロモン・ヤーダスゾーン(1831−1902):ピアノ協奏曲第1番ハ短調(世界初録音)、
 ピアノ協奏曲第2番へ短調Op.90(世界初録音)
フェリックス・ドレーゼケ(1835−1913):ピアノ協奏曲変ホ長調Op.36
マルクス・ベッカー(P)、
ミヒャエル・ザンデルリンク(指)ベルリンRSO
フランツ・リストから受けた大きな影響やライプツィヒ音楽院で音楽を学んだという共通点を持つ1831年生まれのヤーダスゾーンと1835年生まれのドレーゼケ。ユダヤ系の家庭に生まれたために名門ライプツィヒ音楽院を経てディーリアス、グリーグ、ブゾーニといった大音楽家を数多く育てながらも、反ユダヤ主義の煽りを受け不遇をかこったヤーダスゾーン。逆に本人の意思とは関係なくナチス・ドイツから称賛されたことにより、親ナチスという視線から逃れることができず次第に歴史から名を消すことになってしまったドレーゼケも、ヤーダスゾーンと同じくドイツ動乱の犠牲者であるとも言えるのではないでしょうか。当時を代表する対位法の大家でありながらも"美しい旋律を書くことがなによりも重要"という姿勢を貫いたヤーダスゾーンと、リストやワーグナーの新ドイツ楽派に属しヤーダスゾーンと同じく対位法の名手でもあったドレーゼケの"ピアノ協奏曲"。3作品ともドイツ・ロマン派の濃厚な旋律美と華麗で技巧的なパッセージを備えた屈指の傑作でです。レーガーのピアノ作品全集(Thorofon/RTCH2501)で12枚にも及ぶレーガーのピアノ作品を弾ききったドイツの鬼神が遂にRPCシリーズに本格参戦!巨匠クルト・ザンデルリンクの血筋を受け継ぐミヒャエル・ザンデルリンクとベルリン放送響とのドイツ・トリオが"ヤーダスゾーン"と"ドレーゼケ"のピアノ協奏曲を復活させます。
CDA-67655
フェルディナント・ヒラー(1811−1885):ピアノ協奏曲第1番へ短調Op.5【世界初録音】、
ピアノ協奏曲第2番嬰へ短調Op.69、
ピアノ協奏曲第3番変イ長調「コンチェルト・エスプレッシーヴォ」Op.170【世界初録音】
ハワード・シェリー(P,指)
タスマニアSO
録音:2007年5月14日−17日
裕福なユダヤの商人の息子として生まれ幼少の頃から音楽に突出した才能を見せたヒラーは、ワイマールでフンメルに師事。フンメルの下でさらに才能を開花させたヒラーは、親交の厚かったシューマンからもピアノ協奏曲に対して称賛を受けるなど、歴史に名を残す同世代の大音楽家たちからも一目置かれた存在として成功を収めたことでも知られている。またメンデルスゾーン、ブラームス、ベルリオーズ、ショパン、ワーグナー、アルカン、そして前述のシューマンらとの親交を深め名声を確立したヒラーであったが、その作品はロマン派音楽の作風の変遷によって次第に埋もれてしまうことになる。ヒラーを語るうえで外すことのできない3つのピアノ協奏曲。特に「ピアノ協奏曲第2番」に関してはハイペリオンが長きにわたって録音の機会を模索していたものであり、忘れられた本物の傑作であるとして強力に推薦している作品である。ちなみに、ヴィルトゥオーソ風の第1番、堅固な管弦楽法の巧みな第3番はこれが世界初録音!
CDA-67659
ボーウェン:ピアノ協奏曲第3番ト短調Op.23(幻想曲)
ピアノ協奏曲第4番イ短調Op.88(世界初録音)
ダニー・ドライヴァー(P)
マーティン・ブラビンズ(指)
BBCスコティッシュSO
 19世紀ドイツの音楽家フェルディナント・ヒラーを取り上げた第45集に続く最新作第46集は、「イギリスのラフマニノフ」ことヨーク・ボーウェンのピアノ協奏曲が登場!
 生前や没後の直後はその才能と実力に見合うだけの評価がされていなかったものの、現在では録音を中心として急速に再評価が進むヨーク・ボーウェン。1907年に作曲されたピアノ協奏曲第3番は幻想曲の形式で書かれた単一楽章の作品であり、モデラートで始まり次々と表情を変えアレグロ・コン・フォーコで幕を閉じる作風はボーウェンの最高傑作の1つとして高く評価されています。
 ピアノ協奏曲第4番は、単一楽章の第3番とは対照的に3楽章形式で作曲され、演奏時間の約40分を要する大規模な協奏曲であり、今回が世界初録音となります。またこのピアノ協奏曲第4番には、かの奇才ソラブジをして「イギリス人によってこれまでに書かれたピアノ協奏曲の中で最も優れた作品だ」とまで言わしめたというエピソードが残されています。
 ヨーク・ボーウェンのピアノ協奏曲集でソリストを務めるのは、ハイペリオン&RPCシリーズ初登場となるイギリスの若き天才ダニー・ドライヴァー。2001年のウィグモア・ホールへのデビューを皮切りにキャリアを重ねてきたドライヴァーは、2009年4月にはルイジアナ・フィルとの共演でボーウェンのピアノ協奏曲第3番のアメリカ初演が予定されており、既に「ボーウェンのスペシャリスト」と称されるほどの評価の持ち主。
CDA-67711(2CD)
ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズ第50集
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番
協奏的幻想曲ト長調Op.56
かつてのように私はひとりにOp.73-6(ハフ編)
ただ憧れを知る者だけがOp.6-6(ハフ編)
ピアノ協奏曲第2番ト長調Op.44
ピアノ協奏曲第3番変ホ長調Op.75
ピアノ協奏曲第2番〜第2楽章(ジロティ編)
ピアノ協奏曲第2番〜第2楽章(ハフ編)
スティーヴン・ハフ(P)
オスモ・ヴァンスカ(指)ミネソタO

※カタログ付き特別仕様
「あのRPCシリーズでチャイコフスキー?」という声が聞こえてきそうな意外な選曲だが決して侮ることなかれ。満を持して登場するチャイコフスキーは「第1番」から「第3番」までの協奏曲3作品はもちろんのこと、「協奏的幻想曲」、第2番第2楽章のアレクサンドル・ジロティ編曲版(約7分)、そして第2番第2楽章のスティーヴン・ハフによる編曲版(約14分)までを網羅するなど、チャイコフスキーの"ピアノ協奏曲"を徹底的に追求した他とは一味も二味も違う"RPCシリーズ"ならではのスペシャルなプログラム。
CDA-67720
ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズ第48集
ジュリアス・ベネディクト(1804−1885):ピアノ協奏曲ハ短調Op.45、
 ピアノ協奏曲変ホ長調Op.89
ウォルター・マクファーレン(1826−1905):演奏会用小品ホ短調(全曲世界初録音)
ハワード・シェリー(P&指)、タスマニアSO
15歳という若さでフンメルの門下生となり、ドレスデンではウェーバーにも師事するなどロマン派の巨匠たちから直接教えを受けたベネディクトは、1804年ドイツのシュトゥットガルト生まれ。ベネディクトは生まれの故郷のドイツから、ウィーン、ナポリ、パリを経て1835年に終生の地となるロンドンに到着し、その後イギリスへ帰化。1871年にはナイトに叙せられたベネディクトの2つの"ピアノ協奏曲"は、欧州各地で吸収した作風を織り交ぜながらも、最初の師であるフンメルからの影響を色濃く感じさせる輝かしく叙情的な作品です。英国王立音楽院のプリンシパルやケンブリッジ大学音楽学部の教授など、英国楽壇の要職を歴任したジョージ・マクファーレンが兄であるが故に歴史に表舞台に出る機会に恵まれてこなかったウォルター・マクファーレンは、王立音楽院のピアノ科教授としてマテイ、マクファーソン、H・ウッドを育成。教育者としてだけでなくピアニストとしても高い名声を得ていたマクファーレンは、メンデルスゾーンやスタンデイル・ベネットを思わせる"ピアノ協奏曲(演奏会用小品)"という重要な遺産を後世に遺しています。
CDA-67750
ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズ第49集
ステーンハンマル:ピアノ協奏曲第1番変ロ短調Op.1(原典版)
ピアノ協奏曲第2番ニ短調Op.23
セタ・タニエル(P)
アンドルー・マンゼ(指)ヘルシンボリSO

録音:2008年11月24日−28日ヘルシンボリ・コンサート・ホール(スウェーデン)
22歳のステーンハンマルが初めて完成させた大規模作品でありながら、第2次世界大戦の戦渦に巻き込まれオリジナル・スコアが消失してしまった「ピアノ協奏曲第1番」。1983年にアメリカ議会図書館で手稿譜のコピーが発見され完全な姿を取り戻した「ピアノ協奏曲第1番」は、ブラームスなどドイツ後期ロマン派からの影響を色濃く感じさせます。1904年から1907年にかけて作曲が行われ翌年の1908年に初演された「ピアノ協奏曲第2番」は、円熟期を迎えたステーンハンマルの代表作。ヴィルトゥオージックで即興的なピアノ・パートとオーケストラの対話と適度な緊張感、見事な構成力によって生まれる「ピアノ協奏曲第2番」は、スウェーデン・ロマン派のシンボルとも言える傑作です。注目のピアニストは、ルイス・ケントナーの門弟で、シャルヴェンカやモシュコフスキのスペシャリストとしても高名なイスタンブール生まれの女流奏者セタ・タニエル!しかも共演として、バロック・ヴァイオリンの名手アンドルー・マンゼが2006年から首席指揮者を務めるヘルシンボリ響を引き連れてハイペリオンに初登場!
CDA-67765
ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズ第51集
ヴィルヘルム・タウベルト(1811−1891):ピアノ協奏曲第1番ホ長調Op.18、
 ピアノ協奏曲第2番イ長調Op.189(世界初録音)
ヤコブ・ローゼンハイン(1813−1894):ピアノ協奏曲ニ短調Op.73(世界初録音)
ハワード・シェリー(P&指)
タスマニアSO

録音:2009年4月21日−24日、フェデレーション・コンサート・ホール(タスマニア)
1811年ベルリン生まれのヴィルヘルム・タウベルトは、メンデルスゾーンとマイアベーアと共にベルリン王立歌劇場で活躍し、教育分野でも実力を発揮した音楽家でありその才能には親交の深かったメンデルスゾーンも一目置いていたようです。師であるロートヴィヒ・ベルガーとメンデルスゾーン姉弟に献呈されたタウベルトの「ピアノ協奏曲第1番」を聴いたシューマンが最大級の賛辞を送ったという逸話も残されており、キャリアの後期(1874年頃)に作曲されたヴィルトゥオージティックな「ピアノ協奏曲第2番」も同世代の巨匠たちの音楽に引けを取らない知られざる傑作です。フランクフルトでのデビュー後、フランスのパリとロンドンで名声を確立したヤコブ・ローゼンハインは1813年、マンハイム生まれのピアニスト、作曲家。ファゴット、フルート、クラリネット、オーボエ、ホルンが活躍する冒頭が印象的な第1楽章、弦楽セクション、木管セクションがじっくりと歌う第2楽章、ピアノ・ソロが解放されたかのように躍動する第3楽章など、作曲技術の高さが随所で発揮されたローゼンハインの「ピアノ協奏曲ニ短調」も19世紀ドイツで誕生した名作と言えるでしょう。
CDA-67791
ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズVol.52
ゲッツ:ピアノ協奏曲変ロ長調Op.18
J・ヴィエニャフスキ:ピアノ協奏曲ト短調Op.20
ヘイミッシュ・ミルン(P)
ミハウ・ドヴォジンスキ(指)
BBCスコティッシュSO

録音:2009年9月16日−17日、シティ・ホール(グラスゴー)
ベルリンのシュテルン音楽院でシュテルンとビューローから指揮や作曲を学び、ヴィンタートゥールのオルガニスト、合唱監督を務めるなどスイスで活躍したゲッツ身体を蝕み悪化する結核と闘いながら演奏活動を続けたゲッツ晩年の「ピアノ協奏曲Op.18」は、親交の厚かったブラームスと同じくウィーン古典派の影響を感じさせる夭折の天才の忘れ形見です。
天才ヴァイオリニストとしてその名を轟かせた兄ヘンリクとは対照的に、パリ音楽院で学び作曲家、教育者としての優れた資質を開花させた弟ユゼフ・ヴィエニャフスキ。1860年にワルシャワで出版され、ベルギー国王レオポルド2世に献呈されたヴィエニャフスキの「ピアノ協奏曲Op.20」は、兄のヴァイオリンのように高度な技巧が要求されるソロパートや、ショパンやリストを彷彿とさせる作風やスタイルが特徴的。ドイツのヘルマン・ゲッツとポーランドのユゼフ・ヴィエニャフスキ。RPCシリーズ第52集もかなり強力です!
CDA-67817
ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズVol.55
ウィドール:ピアノ協奏曲第1番ヘ短調Op.39(世界初録音)
幻想曲変イ長調Op.62
ピアノ協奏曲第2番ハ短調Op.77(世界初録音)
マルクス・ベッカー(P)
ティエリー・フィッシャー(指)
BBCウェールズ・ナショナルO

録音:2010年6月30日−7月2日、BBCホディノット・ホール(カーディフ/ウェールズ)
フランスのリヨンでオルガン製作一家に生まれたウィドールは、パリ・マドレーヌ教会でサン=サーンスのアシスタントとなり、1870年にはサン・シュルピス教会のオルガニストに就任。代表作である10曲の「オルガン交響曲」を作曲し、パリ音楽院では教授として教鞭を執ったフランス・オルガン界の傑物です。あまりにもオルガンの演奏、作品が有名になってしまったために忘れ去られてしまったウィドールの2つのピアノ協奏曲。このフランス・ロマン派の知られざる遺産を呼び覚ますのは、第47集(ヤーダースゾーン&ドレーゼケ)以来の登場となるマルクス・ベッカー!近代フランス音楽の達人ティエリー・フィッシャーとの共演によって、ウィドールのピアノ協奏曲の真価が明かされます。
CDA-67828
ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズVol.57
ヴィークルンド:ピアノ協奏曲第1番ホ短調Op.10
演奏会用小品ハ長調Op.1
ピアノ協奏曲第2番ロ短調Op.17
マッティン・ステュルフェルト(P)
アンドルー・マンゼ(指)ヘルシンボリSO

録音:2010年9月21日−25日、ヘルシンボリ・コンサート・ホール(スウェーデン)
母国スウェーデンのストックホルム音楽院からパリ、ベルリンへと渡り、作曲家、指揮者、ピアニストとして欧州各国で成功を収めたヴィークルンド。ラフマニノフを彷彿とさせる濃厚なカラーと劇的なスタイル、グリーグのような北欧の清澄感にあふれた美しい旋律が共存する「ピアノ協奏曲」は、間違いなくスウェーデン・ロマンティシズムの傑作です。ソリストはシリーズ初登場となるスウェーデンの俊傑マッティン・ステュルフェルト。ピアノ王国ハイペリオンが注目する北欧の名手は、ヴィークルンドのソリストに適任。
CDA-67837
ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズ第54集
コーウェン:コンチェルトシュテュック
サマヴェル:交響的変奏曲「ノルマンディー」
 ピアノ協奏曲イ短調「ハイランド」(全曲世界初録音)
マーティン・ロスコー(P)
マーティン・ブラビンズ(指)
BBCスコティッシュSO

録音:2010年1月13日−14日、シティ・ホール(グラスゴー)
スタンフォードやパリーの同世代であり、ハレ管、ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管などで常任指揮者を務めるなど指揮者としても成功を収めたコーウェン(カウエン)。優れた歌曲を生み"イギリスのシューベルト"とも呼ばれたコーウェンの「コンチェルトシュテュック」は、ポーランドの大ピアニスト、パデレフスキのために1897年に作曲され、1990年6月28日の初演(ソリストはパデレフスキ)では大喝采を浴びています。歌曲や小規模な管弦楽作品の秀作を遺したアーサー・サマヴェルの知られざる傑作「ノルマンディー」と「ハイランド」。スコットランド音楽のテーマをベースとした「ハイランド」の旋律は、1度聴いたら忘れられない印象強さがあり、伝承音楽の愉快な舞曲を思い起こさせます。第31集のフックス&キール(CDA 67354)以来の登場となるマーティン・ロスコーの高度な技巧に支えられた堅実なスタイル、磨き抜かれた音色は、サマヴェル&コーウェンの音楽と相性抜群。第54集も話題必至!
CDA-67843
ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズVol.56
カルクブレンナー:ピアノ協奏曲第2番ホ短調Op.85
ピアノ協奏曲第3番イ短調Op.107
アダージョと華麗なアレグロOp.102(全曲世界初録音)
ハワード・シェリー(P,指)タスマニアSO

録音:2010年6月23日−26日、フェデレーション・コンサート・ホール(タスマニア)
ドイツで生まれフランスを中心としたヨーロッパで人気の絶頂を極めたカルクブレンナーは、ピアニストとして大成し、ピアノ・メーカーのプレイエルに役員として参加、そして次代の天才ショパンから「ピアノ協奏曲第1番」を献呈されたエピソードも有名。カルクブレンナーのピアノ協奏曲が持つ華麗かつ優雅な作風は、古典派末期からロマン派への架け橋となり、ショパンを筆頭とした次世代の音楽家たちに大きな影響を与えています。RPCシリーズの中心アーティストとして定着したハワード・シェリーとタスマニア交響楽団のレベルの高さも特筆もの。
CDA-67906
ロマンティック・チェロ・コンチェルト・シリーズVol.4〜プフィッツナー:チェロ協奏曲集
チェロ協奏曲イ短調 Op.posth.(第3番)
チェロ協奏曲イ短調 Op.52(第2番)
チェロ協奏曲ト長調 Op.42(第1番)
ヴァイオリン,チェロと小管弦楽のための二重奏曲 Op.43*
アルバン・ゲルハルト(Vc)、
ゲルガナ・ゲルゴヴァ(Vn)*、
セバスティアン・ヴァイグレ(指)
ベルリンRSO

録音:2012年6月18日−21日、ベルリン放送局スタジオ(ベルリン)
後期ロマン派における伝統的なドイツ文化の継承者、ハンス・プフィッツナー(1869−1949)は、歌劇 「パレストリーナ」で知られるドイツの作曲家。複数のチェロ協奏曲を遺しており、作品番号なしのイ短調協奏曲は1888年に書かれた若かりし頃の作品。このチェロ協奏曲は初演前に手稿譜が紛失してしまい、およそ半世紀後に書かれたOp.42のト長調協奏曲(当時もっとも影響力のあるチェロ奏者であったガスパール・カサドに献呈)が、日本では「第1番」とされています。
その後書かれたOp.52が「第2番」とされ、これは紛失してしまった作品と同じ調性(イ短調)をとり、失われたメイン・テーマが記憶に基づいて引用されています。ところが、紛失したと思われたイ短調協奏曲は死後の1975年に発見され、1977年に初演(出版順に、こちらが「第3番」とされる)。ここでは、このようなエピソードを持つ3つの協奏曲に、ヴァイオリンとチェロの二重奏曲(二重協奏曲)を併録し、保守的な作風と言われるプフィッツナーの、青年期と晩年の作品(それも同じテーマを持つ協奏曲)を聴き比べることもできる。まさに、貴重な楽譜を蒐集し、数々の知られざる作品の蘇演・初録音に取り組んできたロマンティック・コンチェルト・シリーズならではのプログラムでしょう。
CDA-67915
ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズVol.58
ピクシス:ピアノ協奏曲ハ長調Op.100(世界初録音)
 ピアノ小協奏曲変ホ長調Op.68(世界初録音)
タールベルク:ピアノ協奏曲ヘ短調Op.5
ハワード・シェリー(P&指)
タスマニアSO

録音:2011年5月10日−14日、フェデレーション・コンサート・ホール(タスマニア)
ドイツの音楽一家に生まれ、マンハイムからウィーン、パリへと活躍の場を移したピクシス。名手がひしめくパリでヴィルトゥオーゾ、名教師としてその名を馳せたピクシスの「ピアノ協奏曲Op.100」は、ウェーバー、フンメルからの影響を感じさせる。ピクシスの2作品は世界初録音。タールベルクとピクシスのピアノ協奏曲集では、ハワード・シェリーとタスマニアSOが大活躍!19世紀のヴィルトゥオーゾたちのピアノ協奏曲と、現代イギリスのヴィルトゥオーゾの「ピアノによる決闘」の勝負の行方や如何に!?
CDA-67918
ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズVol.65〜アルベニス&グラナドス:ピアノ協奏曲集
アルベニス:ピアノ協奏曲第1番イ短調 Op.78 「幻想的協奏曲」(オーケストレーション:トマス・ブレトン)、
 スペイン狂詩曲 Op.70(サン・セバスティアン版/世界初録音)
グラナドス:ピアノ協奏曲ハ短調 「悲愴」(メラーニ・メストレ編曲/世界初録音)
メラーニ・メストレ(P)、
マーティン・ブラビンズ(指)
BBCスコティッシュSO

録音:2012年1月6日−7日、シティ・ホール(グラスゴー)
スペインの作曲家を中心とし、シャルヴェンカやメトネル、バラキレフなどレアな協奏曲レパートリーを誇るスペインのピアニスト、メラーニ・メストレがHyperion初登場。「幻想的協奏曲」の名でも知られる、アルベニスのピアノ協奏曲第1番。サン・セバスティアン音楽院(現フランシスコ・エスクデロ音楽院)に所蔵されるオーケストラ譜を使用したバージョンの世界初録音となる「スペイン奇想曲」。そして、世界初録音となるグラナドスのピアノ協奏曲 「悲愴(Patetico)」は、メストレ自身が第1楽章をスケッチから再構築し、第2楽章、第3楽章は「スペイン舞曲集」、「スペイン奇想曲」、「演奏会用アレグロ」からピアノと管弦楽版へと作り変え、3楽章の協奏曲を完成させています。
CDA-67931
ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズVol.60
テオドール・デュボワ(1837−1924):コンチェルト・カプリチオーソ.ハ短調
ピアノ協奏曲第2番ヘ短調
ピアノと弦楽オーケストラのための組曲ヘ短調(世界初録音)
セドリック・ティベルギアン(P)、
アンドルー・マンゼ(指)
BBCスコティッシュSO

録音:2012年6月13日−14日、シティ・ホール(グラスゴー)
ソリストはシリーズ初登場となるフランスの天才セドリック・ティベルギアン!
1861年にローマ賞を受賞し、サン=サーンスの後任としてマドレーヌ寺院のオルガニストを務め、1896年にはパリ音楽院の院長に就任するなど、"作曲家"、"オルガニスト"、"教育者"として卓越した手腕を発揮したデュボワ。40歳を目前とした1876年に作曲された「コンチェルト・カプリチオーソ」から、ウェーバーやメンデルスゾーンのスタイルを思わせる1897年の「ピアノ協奏曲第2番」、そして晩年の1917年に完成した新古典的な「組曲」。デュボワが歩んだピアノのための協奏的作品、協奏曲の進化の道を、ティベルギアンとマンゼの才能と個性の共演がここに創り出します。
CDA-67950
ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズVol.61
デーラー:ピアノ協奏曲イ長調 Op.7(世界初録音)
ドライショク:演奏会用小品ハ短調 Op.27、
 ヴィーンへの挨拶「華麗なロンド」Op.32(世界初録音)
ハワード・シェリー(P&指)
タスマニアSO

録音:2012年7月23日−26日、フェデレーション・コンサート・ホール(タスマニア)
父がカペルマイスターを務めていたイタリア、ナポリで生を受け、神童としてその名を馳せたドイツの音楽家テオドール・デーラー。ナポリでベネディクト、ウィーンでツェルニーからピアノを学んだデーラーはその才能を遺憾無く発揮。イタリア、ドイツ、フランス、ロシアなどへのヨーロッパ演奏旅行で、その名声は絶頂を極め、貴族の地位を得てロシアの皇女と結婚するというサクセス・ストーリーを歩んでいます。
ペテルブルク音楽院の教授に招聘され、宮廷ピアニストにも任命されるなどロシアで活躍しながらも、環境に順応することが出来ず、移住したイタリア没したボヘミアの音楽家アレクサンダー・ドライショク(1818−1869)。ピアニストとしての驚異的な技巧、特に左手の圧倒的な存在感は各地で衝撃を与えたという。ロンドンのフィルハーモニック協会に献呈された「演奏会用小品」は、ベートーヴェンを彷彿させる作風が特徴的。
CDA-67958
ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズVol.59
ジェレンスキ:ピアノ協奏曲変ホ長調Op.60(世界初録音)
ザジツキ:ピアノ協奏曲変イ長調Op.17
 グランド・ポロネーズ変ホ長調Op.7(世界初録音)
ジョナサン・プロウライト(P)、
ウカシュ・ボロヴィチ(指)
BBCスコティッシュSO

録音:2012年6月28日−29日、シティ・ホール(グラスゴー)
ワルシャワ音楽院の教師、ワルシャワ音楽協会の芸術監督、クラクフ音楽アカデミーの院長を歴任し、19世紀のポーランド・ロマンティシズムの中心的役割を担ったジェレンスキ。
1903年に完成した「ピアノ協奏曲変ホ長調Op.60」は、若き日のイグナーツ・フリードマンに献呈され翌年初演が行われた大作です。
ザジツキは、ジェレンスキの同世代で、ベルリンでピアノを学び、パリではライネッケとルベルから作曲を学んだポーランド人コンポーザー=ピアニスト。1859年から60年にかけて作曲された「グランド・ポロネーズ変ホ長調Op.7」、同時期に完成し、ロシアの大ピアニスト、ニコライ・ルビンシテインに捧げられた2楽章形式の「ピアノ協奏曲変イ長調Op.17」の2作品も、ショパン後のポーランドのピアノ作品を知るための貴重な音楽と言えるでしょう。ポーランドのピアノ作品のエキスパート、ジョナサン・プロウライトとコンビを組むのは、ポーランドが輩出した若き名匠ウカシュ・ボロヴィチは、2007年にはポーランド放送響の首席指揮者に抜擢されるなど、今最も注目を集める若手指揮者の1人です。
CDA-67975
ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズVol.62〜グノー:ペダル・ピアノとオーケストラのための作品全集
協奏的組曲イ長調
ペダル・ピアノ協奏曲変ホ長調
ロシア国歌による幻想曲
ルーマニア舞曲
ロベルト・プロセダ(ペダルP)
ハワード・シェリー(指)
スイス・イタリアーナO

録音:2012年10月24日−26日、オーディトリオ・ステリオ・モーロ(スイス)
ペダルピアノオルガンのように足用の鍵盤のついた"ペダル・ピアノ"のための協奏曲。リストやシューマン、アルカンなどがこのペダル・ピアノのための作品を書いているが、演奏・録音されることは珍しく、この録音も貴重なものとなるでしょう。今回使用されたのは、オリジナルのペダル・ピアノではなく、2012年にクラウディオ・ピンチとロベルト・プロセダが考案した"ピンチ・システム"によるペダル・ピアノ。なんと、2台のスタインウェイを合体させてペダル・ピアノ化してしまうという驚愕のシステム。Hyperion初登場となるイタリアのピアニスト、ロベルト・プロセダは、ピンチ・システムの共同設計者であるとともに、シューマン、ボエリ、アルカンなどの作品、そしてエンニオ・モリコーネ、マイケル・ナイマンなどが彼のために書いたペダル・ピアノ作品をレパートリーとするペダル・ピアノの第一人者。「2台のスタインウェイ」を見事に操り、重厚華麗な協奏曲を聴かせてくれます。
CDA-67984
ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズVol.64
オスワルド:ピアノ協奏曲ト短調 Op.10
ナポレアン:ピアノ協奏曲第2番変ホ短調 Op.31
アルトゥール・ピツァーロ(P)、
マーティン・ブラビンズ(指)
BBCウェールズ・ナショナルO

録音:2013年10月21日−23日、BBCホディノット・ホール(カーディフ)
ドイツ系スイス人の父親とイタリア人の母親の間にブラジルで生まれたエンリケ・オスワルド(1852−1931)。イタリア人の父親とポルトガル人の母親の間にポルトガルで生まれたアウフレッド・ナポレアン(1852−1917)。シューマンやブラームス、リストが生きていた時代に同じ年に生まれ、どちらもヨーロッパの様々な国・文化の血を引き、また広く旅をし各地で活躍した作曲家・ピアニスト。ちなみに、アルトゥール・ナポレアンはアウフレッドの兄で、こちらの方がまだ名前は知られているかもしれない。幻想的に始まる序章や、きらびやかなパッセージ、劇的な楽想、勇壮な管弦楽法など、ともに歴史に埋もれさせるには惜しいピアノ協奏曲です。

CDA-68027
クラシカル・ピアノ・コンチェルト・シリーズVol.1〜ドゥシーク:ピアノ協奏曲集
ピアノ協奏曲ト長調 Op.1-3, C.4
ピアノ協奏曲ハ長調 Op.29, C.125
ピアノ協奏曲変ホ長調 Op.70, C.238
ハワード・シェリー(P&指)
アルスターO

録音:2013年9月3日−5日、アルスター・ホール(ベルファスト/アイルランド)
古典派の知られざるピアノ協奏曲の発掘、蘇演を行う "クラシカル・ピアノ・コンチェルト(CPC)" シリーズがスタート!名前からも分かる通り、ハイペリオンの大人気シリーズ「ロマンティック・ピアノ・コンチェルト(RPC)」の姉妹シリーズであり、第1弾はRPCシリーズでもおなじみのピアニスト、ハワード・シェリーが弾く、ドゥシーク(ドゥセック)のピアノ協奏曲。ロシアのエカテリーナ2世、フランスのマリー・アントワネットにその才覚を愛されながらも、陰謀、革命によりイギリスへと逃れ、その後はジャン=バティスト・クルムフォルツの妻との駆け落ち、ソフィア・ジュスティーナ・コッリとの再婚、義父と共同設立した楽譜出版社の倒産、ドイツへの逃亡、晩年の凋落など、まるでドラマのような人生を送ったボヘミアの作曲家、ヤン・ラディスラフ・ドゥシーク(1760−1812)。「ソナチネ・アルバム」への収録で知られ、イギリスのピアノ製作者ジョン・ブロードウッドと親交を結び「英国式アクション」の発展に関わり、コンサートではピアノを横向きに置くスタイルを確立など、ドゥシークが音楽史に刻んだ功績も非常に大きい。
CDA-68043
ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズVol.63〜ゴダール:ピアノ協奏曲集
ピアノ協奏曲第1番イ短調 Op.31
ピアノ協奏曲第2番ト長調 Op.148
序奏とアレグロ Op.49
ハワード・シェリー(P&指)
タスマニアSO

録音:2013年4月23日−24日&26日−27日、フェデレーション・コンサート・ホール(タスマニア
ライナーノーツを執筆するジェレミー・ニコラスによって、「サン=サーンスの構成技術とマスネのセンチメンタルな旋律の魅力を兼ね備えた作曲家」と評価されるゴダール。様々なジャンルの作品を書いたゴダールはピアノ作品も多く残しており、ピアノ協奏曲はリストやルビンシテインを連想させるような華麗で技巧的な場面も現れます。
演奏は、RPCシリーズでは既に10タイトル超えるアルバムを録音している、ハワード・シェリーとタスマニア交響曲団の名コンビ。彼らが見事に蘇らせるピアノ協奏曲は、多くの作品を遺しながらも現代ではほとんどの作品が忘れられた存在となっているゴダールの魅力を再評価するまたとない機会となるでしょう。
CDA-68066
ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズ Vol.67〜ルジツキ:ピアノ協奏曲集
バラード.ト長調 Op.18
ピアノ協奏曲第1番ト短調 Op.43
ピアノ協奏曲第2番
ジョナサン・プロウライト(P)、
ウカシュ・ボロヴィチ(指)
BBCスコティッシュSO

録音:2014年8月22日−23日、シティ・ホール(グラスゴー)
ロマン派の知られざるピアノ協奏曲の発掘、蘇演を行うハイペリオンの超人気シリーズ、「ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズ(RPCS)」。第67集では、シマノフスキやフィテルベルクらと共に「若きポーランド」の一員となったポーランドの作曲家、ルドミル・ルジツキ(1883−1953)のピアノ協奏曲集。1918年に作曲されたピアノ協奏曲第1番は後期ロマン派の香り漂う作品。第二次世界大戦中に作曲されたピアノ協奏曲第2番は、重厚な第1楽章と軽快な第2楽章で構成されます。ソリストは、これまでもパデレフスキ、ストヨフスキ、ジェレンスキ、ザジツキなど、数々のポーランド音楽を世に広めてきたスペシャリスト、ジョナサン・プロウライト。指揮は、ポーランド指揮界の次代を担う存在であり、同じく、知られざるポーランド音楽を紹介し続けてきたウカシュ・ボロヴィチ。
CDA-68100
ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズVol.66〜アンリ・エルツ:ピアノ協奏曲集
ピアノ協奏曲第2番ハ短調 Op.74
ドニゼッティの歌劇 「連隊の娘」 による軍隊大幻想曲 Op.163
ロッシーニの歌劇 「オテロ」 の行進曲による幻想曲と変奏曲
華麗なる大ポロネーズ Op.30
ハワード・シェリー(P&指)タスマニアSO

録音:2014年5月28日−31日、フェデレーション・コンサート・ホール(タスマニア)
エルツは当時もっとも著名なヴィルトゥオーゾ・ピアニストとして活躍し、ヨーロッパ諸国やロシア、アメリカなど世界各地を演奏して回り、またピアノ練習用補助器具「ダクティリオン」の考案や、パリ万国博覧会への自作ピアノ出展と第1位の獲得、コンサートホールの建設など様々な功績を残しています。技巧的で優雅な作曲書法も広く親しまれ大きな人気を集め、エルツのピアノ練習曲は現在でも重要な教則本となっています。
これまでに発売されたRPCシリーズ全66巻のうち15作に参加し、シリーズの顔ともなっているイギリスの名匠ハワード・シェリー。シェリーは第35巻(CDA-67465)と第40巻(CDA-67537)でもアンリ・エルツのピアノ協奏曲を弾いており、3作目となるエルツのピアノ協奏曲集では、1830年頃に作曲され、1846年のアメリカ・デビューでも演奏されたピアノ協奏曲第2番と3つの幻想曲を収録。19世紀後半の欧米で大きな人気を誇ったコンポーザー=ピアニストの華麗で勇壮な音楽を、現代の名ピアニストが見事に再現してくれます。
★プロモーション動画→https://www.youtube.com/watch?v=pdNQm8_pxug
CDA-68109
ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズVol.68
モシュコフスキ:ピアノ協奏曲ロ短調 Op.3(世界初録音)
アドルフ・シュルツ=エヴラー:ロシアン・ラプソディ Op.14(世界初録音)
ルドミル・アンゲロフ(P)、
ウラジミール・キラジエフ(指)
BBCスコティッシュSO

録音:2015年6月11日−12日、シティ・ホール(グラスゴー)
ロマン派の知られざるピアノ協奏曲の発掘、蘇演を行うハイペリオンの超人気シリーズ、「ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズ(RPCS)」。第68集では、シリーズの記念すべき第1集(CDA-66452)でも取り上げられた、モーリツ・モシュコフスキ(1854−1925)の新たなピアノ協奏曲が登場。モシュコフスキのピアノ協奏曲といえば、「ピアノ協奏曲ホ長調 Op.59」が知られていたが、ここでは2008年に発見され2014年にルドミル・アンゲロフによって蘇演された若き頃の作品、「ピアノ協奏曲ロ短調 Op.3」を収録。ヴィルトゥオーゾ・レパートリーとして知られるポーランドのアドルフ・シュルツ=エヴラーによる「ロシアン・ラプソディ」も世界初録音。
Hyperion
CDA-68130
ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズ Vol.70
ドロシー・ハウエル:ピアノ協奏曲ニ短調
エイミー・ビーチ:ピアノ協奏曲嬰ハ短調 Op.45
セシル・シャミナード:コンツェルトシュテュック 嬰ハ短調 Op.40
ダニー・ドライヴァー(P)、
レベッカ・ミラー(指)
BBCスコティッシュSO

録音:2015年8月27日−28日、シティ・ホール(グラスゴー)
ロマン派の知られざるピアノ協奏曲の発掘を発掘・録音し、ハイペリオンを代表する人気シリーズとなった「ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズ(RPCS)」。3月8日の国際女性デーに向けて発売される記念すべきシリーズ第70集は、ビーチ、シャミナード、D.ハウエルといった偉大なる女流作曲家たちが書いたピアノ協奏曲集!アメリカ最初の成功した女性作曲家、エイミー・ビーチ(1867−1944)、パリに生まれイギリスやアメリカで高い人気を博し、エイミー・ビーチとも親交のあったセシル・シャミナード(1857−1944)、トバイアス・マッセイに師事し王立音楽アカデミーの教師を務め、「イギリスのシュトラウス」と称されたドロシー・ハウエル(1898−1982)のピアノと管弦楽のための作品を、ハイペリオンの次代を担うエース・ピアニスト、ダニー・ドライヴァーが弾きます。第4回エドゥアルド・マータ国際指揮者コンクールで最優秀賞を受賞し、OAE、LPO、ロイヤル・ノーザン・シンフォニア、BBC NoW、ロンドン・モーツァルト・プレーヤーズなどのゲスト・コンダクターとして活躍する女流指揮者、レベッカ・ミラーの華麗なるタクトにも注目。
CDA-68138
ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズ Vol.71〜チェルニー:ピアノ協奏曲集
ピアノ協奏曲ヘ長調 Op.28(世界初録音)
ピアノ協奏曲イ短調 Op.124
華麗なるロンド 変ロ長調 Op.233(世界初録音)
ハワード・シェリー(P&指)
タスマニアSO

録音:2015年5月6日−9日、フェデレーション・コンサート・ホール(タスマニア、オーストラリア)
ロマン派の知られざるピアノ協奏曲の発掘、蘇演を行うハイペリオンの超人気シリーズ、「ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズ(RPCS)」第71集は、オーストリア初期ロマン派の偉大なる音楽家、カール・チェルニー(1791−1857)のピアノ協奏曲集。ベートーヴェンに師事しリストを育てたチェルニー(ツェルニー)は、現在では「ピアノ練習曲」の作曲家としてよく知られていますが、教則的作品の他に、ピアノ・ソナタや数多のパラフレーズ、室内楽曲、交響曲、協奏曲など1,000以上の作品を残した多作家でもあり、20世紀後半より再評価が進んでいます。RPCシリーズ常連となった名匠ハワード・シェリーの鮮やかな弾き振りで、世界初録音となる「協奏曲ヘ長調」や「華麗なるロンド(ロンド・ブリランテ)」など、知られざるチェルニーの姿を蘇らせます。
CDA-68151
ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズ Vol.72
チプリアーニ・ポッター:ピアノ協奏曲第2番ニ短調
ピアノ協奏曲第4番ホ長調
ロッシーニの主題による華麗な変奏曲
ハワード・シェリー(P&指)、
タスマニアSO

録音:2016年5月11日−14日、フェデレーション・コンサート・ホール(タスマニア)
(全曲世界初録音)
ロマン派の知られざるピアノ協奏曲の発掘、蘇演を行うハイペリオンの超人気シリーズ、「ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズ(RPCS)」。第72集は、ベートーヴェンに奨励されワーグナーに賞賛されたイギリスの音楽家、チプリアーニ・ポッター(1792−1871)のピアノ協奏曲集! ポッターはベートーヴェンやモーツァルトのピアノ協奏曲のイギリス初演を担うなど、ピアニスト、指揮者として活動。1822年にはロンドンの王立音楽アカデミーで教鞭を執り、1832年から1859年まで学長を担うなど、教育者としても多くの後進を指導しました。ポッターの作品は現代では殆ど録音、演奏されておらず、今回の2つのピアノ協奏曲とロッシーニの主題による変奏曲はすべて世界初録音です。 
CDA-68173
ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズ Vol.73
ロジャー・サシェヴェレル・クック
: ピアノ協奏曲第3番変ホ長調 Op.30
ピアノ協奏曲第4番嬰ハ短調 Op.38
ピアノ協奏曲第5番ニ短調 Op.57(第2楽章のみ)(全曲世界初録音)
サイモン・キャラハン(P)、
マーティン・ブラビンズ(指)
BBCスコティッシュSO

録音:2016年7月21日−22日、シティ・ホール(グラスゴー)
ロマン派の知られざるピアノ協奏曲の発掘、蘇演を行うハイペリオンの人気シリーズ、「ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズ(RPCS)」第73集は、イギリス後期ロマン派の知られざる作曲家、ロジャー・サシェヴェレル・クック(1912−1972)。
演奏は、ロンドン在住の日本人ヴァイオリニスト小町碧とのデュオでも活躍し、数々の知られざるレパートリーの発掘を進めているイギリスの若きピアニスト、サイモン・キャラハン。クックの作品はほとんど楽譜も出版されておらず、友人を通じてクックの音楽に巡りあったキャラハンが資料集めやクックの親族から話を伺うなど研究を重ね、2014年にはソロ・ピアノ・アルバムも録音しているスペシャリスト。今回の協奏曲集でも第4番と第5番は、キャラハン自身の手によってスコアやパート譜が準備されています。(第5番は第2楽章のみ現存。他の楽章は紛失、もしくは書かれていないと推測されています。)
ラフマニノフと親交を持ちバックスを尊敬していたというクックの劇的で憂愁な協奏曲。ラフマニノフやスクリャービン、そしてイギリス音楽ファンへ特にオススメです!
CDA-68178
ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズ Vol.74
ステンデイル・ベネット
:ピアノ協奏曲第1番ニ短調 Op.1
ピアノ協奏曲第2番変ホ長調 Op.4
ピアノ協奏曲第3番ハ短調 Op.9
ハワード・シェリー(P&指)
BBCスコティッシュSO

録音:2016年7月26日−28日、シティ・ホール(グラスゴー)
RPCシリーズではベネットのピアノ協奏曲第4番は既に録音されており(第43集 CDA-67595)、今作には作品番号1が振られた習作のピアノ協奏曲第1番、自身のピアニスト・デビューを飾ったピアノ協奏曲第2番、メンデルスゾーン指揮の下ライプツィヒ・デビューを成功させたピアノ協奏曲第3番を収録。ピアノと指揮は、「第4番」に引き続きRPCシリーズの顔でもある名匠ハワード・シェリーが担当。2016年には生誕200週年を迎え、様々な作品が録音・演奏されるなど再評価の機運が高まりつつあるベネットのピアノ協奏曲集に、名手ハワード・シェリーによる新たな名録音が加わります!
CDA-68211
クラシカル・ピアノ・コンチェルト・シリーズVol.5〜ドゥシーク:ピアノ協奏曲集 Op.3、14&49
ピアノ協奏曲変ホ長調 Op.3
ピアノ協奏曲ヘ長調 Op.14
ピアノ協奏曲ト短調 Op.49
ハワード・シェリー(P&指)
アルスターO

録音:2017年9月11日−13日、アルスター・ホール(ベルファスト/アイルランド)
ヤン・ラディスラフ・ドゥシーク(1760−1812)は、ロシアのエカテリーナ2世、フランスのマリー・アントワネットにその才覚を愛されながらも、陰謀、革命によりイギリスへと逃れ、その後はジャン=バティスト・クルムフォルツの妻との駆け落ち、ソフィア・ジュスティーナ・コッリとの再婚、義父と共同設立した楽譜出版社の倒産、ドイツへの逃亡、晩年の凋落など、激動の人生を送ったボヘミアの作曲家。「ソナチネ・アルバム」への収録で知られ、イギリスのピアノ製作者ジョン・ブロードウッドと親交を結び「英国式アクション」の発展に関わり、コンサートではピアノを横向きに置くスタイルを確立するなど、音楽史に大きな功績を刻んできたドゥシークの知られざる一面を、名手ハワード・シェリーが解き明かします。後のショパンやメンデルスゾーンなどロマン派ピアノ作品への先駆けとなったドゥシークの作品は古典派ピアノ作品ファンにはもちろん、ロマン派ファンやRPCファンにもお勧めです。
CDA-68217
ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズ Vol.75
フェルディナント・リース: ピアノ協奏曲第8番変イ長調 Op.151 「ラインへの挨拶」
序奏とポロネーズ Op.174
ピアノ協奏曲第9番ト短調 Op.177
ピアーズ・レーン(P)、
レオン・ボットスタイン(指)
ジ・オーケストラ・ナウ

録音:2017年1月11日−13日、リチャード・B・フィッシャー・センター(バード・カレッジ、アメリカ)
ロマン派の知られざるピアノ協奏曲の発掘、蘇演を行うハイペリオンの超人気シリーズ、「ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズ(RPCS)」。第75集は、ベートーヴェンにピアノを師事し、ベートーヴェンの回想録『ベートーヴェンに関する覚書』の共同執筆者として知られるフェルディナント・リース(1784−1838)。1820年代には「現在最高のピアニストの一人」として賞賛され、多くのジャンルの作品を書き、ピアノ協奏曲だけでも9曲残しています。長い間音楽家としての功績は忘れられながらも、20世紀の終わりより徐々に再評価が行われてきたリースの最後のピアノ協奏曲2曲を、オーストラリアの知性派ピアニスト、ピアーズ・レーンが説得力のある演奏で復権を果たします。レオン・ボットスタインとボットスタインが音楽監督を務めるアメリカの若手オーケストラ、「ジ・オーケストラ・ナウ(TON)」はHyperion初登場。
CDA-68225
ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズ Vol.76
ラインベルガー:ピアノ協奏曲変イ長調 Op.94
ショルツ:ピアノ協奏曲ロ長調 Op.57(世界初録音)、ピアノと管弦楽のためのカプリッチョ(世界初録音)
サイモン・キャラハン(P)、
ベン・ジャーノン(指)
BBCスコティッシュSO

録音:2017年5月25日−26日、シティ・ホール(グラスゴー)
ロマン派の知られざるピアノ協奏曲の発掘、蘇演を行うハイペリオンの人気シリーズ、「ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズ(RPCS)」。第76集は、多くのオルガン作品でも知られるヨーゼフ・ラインベルガー(1839−1901)と、ブレスラウ管弦楽協会の指揮者やホーホ音楽院の学長を務めたベルンハルト・ショルツ(1835−1916)のピアノ協奏曲集。雄大なオーケストラに優美なピアノの旋律。ともにブラームスとも深い親交のあった二人のドイツ・ロマン派の作曲家による、華麗で重厚なる知られざるピアノ協奏曲です。
ソリストは、ロンドン在住の日本人ヴァイオリニスト小町碧とのデュオでも活躍し、数々の知られざるレパートリーの発掘を進めているイギリスの若きピアニスト、サイモン・キャラハンがシリーズ2度目の登場。また、1989年生まれの若き指揮者、ベン・ジャーノンはHyperion初登場。既に名古屋フィルや新日本フィルとも共演しているベン・ジャーノンは、2017年シーズンからはBBCフィルハーモニックの首席客演指揮者に就任し、BBCのオーケストラのなかでポストについたもっとも若き指揮者の一人となっています。
CDA-68229
ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズ Vol.77〜ブロンザルト&ウアシュプルフ:ピアノ協奏曲集
ハンス・ブロンザルト・フォン・シェレンドルフ:ピアノ協奏曲嬰ヘ短調 Op.10(1873)
アントン・ウアシュプルフ:ピアノ協奏曲変ホ長調 Op.9(1882)
エマニュエル・デスパ(P)、
ユージン・ツィガーン(指)
BBCスコティッシュSO

録音:2017年6月14日−15日、シティ・ホール(グラスゴー)
ロマン派の知られざるピアノ協奏曲の発掘、蘇演を行うハイペリオンの超人気シリーズ、「ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズ(RPCS)」。第77集は、リストに師事したドイツの音楽家、ハンス・ブロンザルトとアントン・ウアシュプルフのピアノ協奏曲!
ハンス・ブロンザルト・フォン・シェレンドルフ(1830−1913)は新ワイマール協会の創立者の一人であり、全ドイツ音楽協会の会長、ハノーファーやワイマールの劇場監督などを務め、ビューロー、ワーグナー、ブラームスらとも親交を持った作曲家、ピアニスト、指揮者。アントン・ウアシュプルフ(ウルシュプルフ)(1850−1907)は、ヨアヒム・ラフに作曲を、リストにピアノを学び、フランクフルトのホーホ音楽院で教鞭を執った作曲家、ピアニスト、教師。どちらも、ピアニストの高い技巧が織り込まれながら充実の管弦楽を備えた、歴史に埋もれさせてしまうには惜しいピアノ協奏曲でしょう。
ソリストを務めるのは、Hyperion初登場となるフランスの新世代ピアニスト、エマニュエル・デスパ。BBC Radio 3やMedici TVなどメディアに取り上げられイギリスで注目を浴びた俊英が、知られざるドイツ・ロマン派のピアノ協奏曲に挑みます。また、近年日本での演奏機会も多い日米ハーフの若手指揮者、ユージン・ツィガーンもHyperion初登場です。

クラシカル・ピアノ・コンチェルト・シリーズ
CDA-68104
クラシカル・ピアノ・コンチェルト・シリーズVol.2〜シュタイベルト:ピアノ協奏曲第3番/第5番/第7番
ピアノ協奏曲第3番ホ長調 「嵐」 Op.33
ピアノ協奏曲第5番変ホ長調 「狩り」 Op.64
ピアノ協奏曲第7番ホ短調 「軍隊風大協奏曲」
ハワード・シェリー(P&指)、
アルスターO

録音:2014年11月18日−20日、アルスター・ホール(ベルファスト/アイルランド)
シュタイベルトは8つのピアノ協奏曲を含む多くのピアノ作品を残しており、ここでは、「嵐」を模したロンドで人気を博したピアノ協奏曲第3番 「嵐」や、2つのオーケストラによるピアノ協奏曲第7番 「軍隊風大協奏曲」など、シュタイベルトを代表する作品を収録。ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズでもお馴染みの名匠ハワード・シェリーが、歴史に埋もれたシュタイベルトの魅力を掘り起こしてゆきます。
CDA-68126
クラシカル・ピアノ・コンチェルト・シリーズVol.3〜F.X.モーツァルト&クレメンティ:ピアノ協奏曲集
F.X.モーツァルト:ピアノ協奏曲第1番ハ長調 Op.14、
 ピアノ協奏曲第2番変ホ長調 Op.25
クレメンティ:ピアノ協奏曲ハ長調
ハワード・シェリー(P&指)、
ザンクト・ガレンSO

録音:2015年2月9日−12日、ザンクト・ガレン・トーンハレ(スイス)
大モーツァルトの末子、フランツ・クサヴァー・モーツァルトとムツィオ・クレメンティのピアノ協奏曲。Chandosには6巻にわたるモーツァルトのピアノ協奏曲集を録音し、Hyperionではクレメンティのピアノ・ソナタ全集(全6巻)も録音しているハワード・シェリーならではの深い解釈が期待できます。
CDA-68154
クラシカル・ピアノ・コンチェルト・シリーズVol.4〜コジェルフ:ピアノ協奏曲集
ピアノ協奏曲第1番ヘ長調
ピアノ協奏曲第5番変ホ長調
ピアノ協奏曲第6番ハ長調
ハワード・シェリー(P&指)
ロンドン・モーツァルト・プレーヤーズ

録音:2015年12月10日−11日、殉教者聖サイラス教会(ロンドン)
第4弾は、1780年代のウィーンで活躍したモーツァルトと同世代の作曲家、レオポルト・コジェルフ(1747−1818)のピアノ協奏曲集。ピアニスト、音楽教師、出版業者と多彩な才能を持ち、モーツァルトの死後に宮廷作曲家も務めたコジェルフ。当時のヨーロッパでは高い評価を得ながらも、モーツァルトの影に隠れ現在では忘れ去られてしまっているコジェルフの優美なるピアノ協奏曲を、名手ハワード・シェリーが現代に蘇らせます。また、Chandosの「モーツァルトと同世代の作曲家シリーズ」でも、コジェルフを含む同時代の作品を多数録音してきたロンドン・モーツァルト・プレーヤーズの溌剌とした演奏もポイントです。
CDA-68240
ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズ Vol.78〜クララ・シューマン他
クララ・シューマン:ピアノ協奏曲イ短調 Op.7
フェルディナント・ヒラー:演奏会用小品 Op.113
アンリ・エルツ:演奏会用ロンド Op.27
フリードリヒ・カルクブレンナー:夢 Op.113
ハワード・シェリー(P&指)、
タスマニアSO

録音:2018年5月1日−4日、フェデレーション・コンサート・ホール(ホバート、オーストラリア)
ロマン派の知られざるピアノ協奏曲の発掘、蘇演を行うハイペリオンの人気シリーズ、「ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズ(RPCS)」。第78集は、2019年に生誕200周年を迎える偉大な女流作曲家、クララ・シューマンのピアノ協奏曲が登場! 1833年、当時既に若き天才ピアニストとして名を馳せていたクララ・ヴィークが、14歳になる年で書き始めたピアノ協奏曲イ短調。そして、クララやロベルト・シューマンと関係の深かった3人の作曲家、ヒラー、エルツ、カルクブレンナーの「ピアノと管弦楽のための作品」もカップリング。RPCシリーズ常連の名匠ハワード・シェリーとタスマニアSOは、同シリーズでヒラー、エルツ、カルクブレンナーのピアノ協奏曲集もすべて担当しており、熟練の技術と解釈も万全です。
CDA-68258
ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズ Vol.79
プフィッツナー(1869−1949):ピアノ協奏曲変ホ長調 Op.31
ブラウンフェルス(1882−1954):昼と夜の小品(ピアノ・オブリガートを伴う管弦楽のための) Op.44
マルクス・ベッカー(P)、
コンスタンティン・トリンクス(指)、
ベルリンRSO

録音:2018年2月12日−15日、放送局ホール(ベルリン、ドイツ)
ロマン派の知られざるピアノ協奏曲の発掘、蘇演を行うハイペリオンの人気シリーズ、「ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズ(RPCS)」が、ついに第79集まで到達。マックス・レーガーのピアノ作品全曲録音という偉業を成し遂げたことでその名を轟かせ、その後も"ピアノ王国ハイペリオン"で活躍するドイツの鬼神マルクス・ベッカーが、「ヤーダスゾーン&ドレーゼケ(CDA 67636)」、「ウィドール(CDA-67817)」以来となるRPCシリーズへ登壇。シューマン、ブラームス、ワーグナーの精神的伝統に立つと自他共に認めるロマン主義者であったハンス・プフィッツナー。古典・ロマン主義の伝統を尊重し作品に反映してきたヴァルター・ブラウンフェルス。20世紀前半、戦間期のドイツで活躍し、ドイツ・ロマンティシズムを継承してきた2人の作曲家によるピアノ協奏曲を、レーガーを始めとするドイツ音楽のスペシャリストでもあるマルクス・ベッカーが気高く描きます。新国立劇場、東京フィルとの共演でもお馴染みのドイツの指揮者コンスタンティン・トリンクスとベルリン放送響のサポートも抜群です。
CDA-68361
クラシカル・ピアノ・コンチェルト・シリーズVol.8 〜 ゲオルク・ベンダ:ピアノ協奏曲集
ピアノ協奏曲ヘ短調
ピアノ協奏曲ト短調
ピアノ協奏曲ト長調/ピアノ協奏曲ロ短調
ハワード・シェリー(P&指)、
ロンドン・モーツァルト・プレーヤーズ

録音:2020年9月15日−16日、福音史家聖ヨハネ教会(アッパー・ノーウッド、ロンドン)
ハイペリオンの大人気シリーズ「ロマンティック・ピアノ・コンチェルト(RPC)」の姉妹シリーズとしてスタートした、古典派の知られざるピアノ協奏曲を発掘していく"クラシカル・ピアノ・コンチェルト(CPC)" シリーズ。第8弾では、モーツァルトにも影響を与えたという前古典派の音楽家ゲオルク・ベンダの4つのピアノ協奏曲が登場。
モーツァルトの父やバッハの子供たちと同世代であるゲオルク・アントン・ベンダ(1722−1795)は、ボヘミア起源の有名な音楽一家に生まれ、作曲家、ヴァイオリニスト、カペルマイスターとして活動したチェコ系ドイツ人音楽家。ヴァイオリニストのフランツ・ベンダは兄。ゲオルク・ベンダが作曲したメロ・ドラマはモーツァルトにも影響を与えるなど、当時から高い評価を得ており、ここでは、18世紀の優雅さと冷静さを内包したベンダの知られざる魅力を、お馴染みハワード・シェリーとロンドン・モーツァルト・プレーヤーズの上質な演奏で蘇らせます。
CDA-68264
ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズ Vol.80
オーギュスト・デュポン(1827−1890):ピアノ協奏曲第3番ヘ短調 Op.49
ペーテル・ブノワ(1834−1901):ピアノと管弦楽のための交響詩 Op.43
ハワード・シェリー(P&指)、
ザンクト・ガレンSO

録音:2018年2月12日−16日、ザンクト・ガレン・トーンハレ(スイス)
ロマン派の知られざるピアノ協奏曲の発掘・蘇演を行うハイペリオンの人気シリーズ、「ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズ(RPCS)」。1990年にそのアイディアが生み出されてから30年の歳月を積み重ねた2020年に、ついに第80集がリリース。1827年ベルギーのヴェルヴィエ生まれ、ドイツ、イギリス、オランダで演奏活動を行い、ブリュッセル王立音楽院の教授を務めたピアニスト&作曲家のオーギュスト・デュポン。1834年ベルギーのアントウェルペン生まれ、ベルギーの「ローマ賞」を受賞し19世紀フランドル音楽の発展に寄与した作曲家、ペーテル・ブノワ。ベルギーにおけるピアニズムや教育、音楽理論に確かな功績を残した二人の知られざるピアノ協奏曲を、RPCシリーズの初期から現在まで、もっとも多くのピアノ協奏曲を録音してきた名匠ハワード・シェリーが披露します。
CDA-68270
クラシカル・ピアノ・コンチェルト・シリーズVol.6 〜 クラーマー:ピアノ協奏曲集
ヨハン・バプティスト・クラーマー(1771−1858):ピアノ協奏曲第4番ハ長調 Op.38
ピアノ協奏曲第5番ハ短調 Op.48
ハワード・シェリー(P&指)、
ロンドン・モーツァルト・プレーヤーズ

録音:2018年7月16日−17日、福音史家聖ヨハネ教会(アッパー・ノーウッド、ロンドン)
ドイツの音楽一家に生まれロンドンで育ち、クレメンティにピアノを教わったヨハン・バプティスト・クラーマー。優れたピアニスト&作曲家として名声を高め、ベートーヴェンやハイドン、その他同時代の主要な作曲家たちと交流を持ち、また、教育者、楽器製作者、楽譜出版者としても功績を残し、クラーマー一族の中でももっとも傑出した音楽家となりました。モーツァルトなどウィーン古典派の伝統を色濃く残しつつ、独自の流麗で感情豊かな作品を書いたクラーマーのピアノ協奏曲を、「クラシカル・ピアノ・コンチェルト・シリーズ」のソリストをすべて担当し、モーツァルトやフンメルの名録音も残す名手ハワード・シェリーが弾きこなしています。
CDA-68297
ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズ Vol.81〜ラッブラ&ブリス:ピアノ協奏曲集
ラッブラ(1901−1986):ピアノ協奏曲ト長調 Op.85
バックス(1883−1953):朝の歌 「サセックスの5月」
ブリス(1891−1975):ピアノ協奏曲変ロ長調
ピアーズ・レーン(P)、
レオン・ボットスタイン(指)、
ジ・オーケストラ・ナウ

録音:2019年1月16日−20日、リチャード・B.フィッシャー・センター(アメリカ)
ロマン派の知られざるピアノ協奏曲の発掘・蘇演を行うハイペリオンの人気シリーズ、「ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズ(RPCS)」。貫禄の第81巻は、ホルストやヴォーン・ウィリアムズに師事、あるいは影響を受けた20世紀イギリスの作曲家、エドマンド・ラッブラとアーサー・ブリスのピアノ協奏曲。1939年のニューヨーク万博でソロモンが初演したブリスのヴィルトゥオージックなピアノ協奏曲と、1955年にBBCの委嘱により作られ、英国の牧歌的な伝統が反映されたラッブラの優美なピアノ協奏曲。作曲年代は20世紀の中頃でありながらも、ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズの精神に忠実な、ロマンの香り高き作品です。1946年のエリザベス王女の誕生日に向けてアーノルド・バックスが作曲した、ピアノと管弦楽のための爽やかな小品「サセックスの5月」のカップリングもこのアルバムの魅力に花を添えます。演奏は、フェルディナント・リースのピアノ協奏曲集(CDA 68217)でも充実のコンビネーションを魅せてくれた、オーストラリアの知性派ピアニスト、ピアーズ・レーンと、レオン・ボットスタインが音楽監督を務めるアメリカの若手オーケストラ、「ジ・オーケストラ・ナウ(TON)」です。

CDA68302
クラシカル・ピアノ・コンチェルト・シリーズVol.7
ヨハン・バプティスト・クラーマー(1771−1858):ピアノ協奏曲第1番変ホ長調 Op.10
ピアノ協奏曲第3番ニ長調 Op.26
ピアノ協奏曲第6番変ホ長調 Op.51
ハワード・シェリー(P&指)、
ロンドン・モーツァルト・プレーヤーズ

録音:2018年7月16日−17日&2019年9月5日−6日、福音史家聖ヨハネ教会(アッパー・ノーウッド、ロンドン)
ハイペリオンの大人気シリーズ「ロマンティック・ピアノ・コンチェルト(RPC)」の姉妹シリーズとしてスタートした、古典派の知られざるピアノ協奏曲を発掘していく"クラシカル・ピアノ・コンチェルト(CPC)" シリーズ。第7弾は、ベートーヴェンと同時代にロンドンで活躍したヨハン・バプティスト・クラーマーのピアノ協奏曲集第2巻!
ドイツの音楽一家に生まれロンドンで育ち、クレメンティにピアノを教わったヨハン・バプティスト・クラーマー。優れたピアニスト&作曲家として名声を高め、ベートーヴェンやハイドン、その他同時代の主要な作曲家たちと交流を持ち、また、教育者、楽器製作者、楽譜出版者としても功績を残し、一族の中でももっとも傑出した音楽家となりました。「第4番」と「第5番」を収録した前作(CDA68270)に引き続き、「クラシカル・ピアノ・コンチェルト・シリーズ」のソリストをすべて担当し、モーツァルトやフンメルの名録音も残す名手ハワード・シェリーがロンドン・モーツァルト・プレーヤーズを弾き振り。当時急速に進化・発展していたピアノのテクノロジーと奏法に対応して、クラーマー自身の驚異的な技術を披露するために作曲された、優雅で快活なクラーマーのピアノ協奏曲をご堪能ください。
CDA-68319
ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズ Vol.82
ステファン・エルマス(1862−1937):ピアノ協奏曲第1番ト短調
ピアノ協奏曲第2番ニ短調
ハワード・シェリー(P&指揮)、
タスマニアSO
ロマン派の知られざるピアノ協奏曲の発掘・蘇演を行うハイペリオンの人気シリーズ、「ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズ(RPCS)」。第82巻は、19世紀後半から20世紀前半に活動したアルメニアのコンポーザー=ピアニスト、ステファン・エルマスのピアノ協奏曲。ステファン・エルマス(1862−1937)はオスマン帝国スミュルナ(現在のイズミル)の裕福な家庭の下に生まれ、13歳でリストのすべての作品を演奏するなど神童として育ちました。17歳で憧れのリストにも出会い、リストの薦めでウィーン国立音楽大学へ留学。1885年にはウィーンでデビューし、その後フランス、イギリス、ドイツ、オーストリア、イタリアなどで演奏旅行を行うコンサート・ピアニストとして活躍。旅行中にアントン・ルビンシテインやジュール・マスネらとも親交を深め、1912年以降はスイスのジュネーヴに永住し、演奏、作曲とともに教師としても活動しました。
1988年にはアルメニアの作曲家の遺産を世界に広めるため、ステファン・エルマス財団が設立され、エルマスの作品も再評価が進められています。このアルバムでは、エルマスが書いた3つのピアノ協奏曲のうち、どちらも1880年代に書かれた第1番(1882)と第2番(1887)の2曲を収録。新しい世紀になってもロマン派のスタイルを保ち、優雅で上質なサロン音楽を生み出してきたエルマスの、勇壮でロマンティックなピアノ協奏曲をどうぞ。
CDA-68323
ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズ Vol.83
イェジ・ガブレンツ(1888−1937):ピアノ協奏曲 変ニ長調 Op.25
パデレフスキ(1860−1941):ポーランド幻想曲 Op.19
ジョナサン・プロウライト(P)、
ウカシュ・ボロヴィチ(指)、
BBCスコティッシュSO

録音:2019年9月11日−12日、シティ・ホール(スコットランド、グラスゴー)
ロマン派の知られざるピアノ協奏曲の発掘・蘇演を行うハイペリオンの人気シリーズ、「ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズ」。第83巻は、知名度の点で全く正反対な2人のポーランドの作曲家、イェジ・ガブレンツ(1888-1937)とイグナツィ・ヤン・パデレフスキ(1860-1941)のカップリング。イェジ・ガブレンツがほとんど知られていないのに対し、パデレフスキは20世紀の最初の40年間、世界で最も有名な人物のひとりでした。ソリストは、これまでもパデレフスキ、ストヨフスキ、ジェレンスキ、ザジツキなど、数々のポーランド音楽を世に広めてきたスペシャリスト、ジョナサン・プロウライト。指揮は、ポーランド指揮界の次代を担う存在であり、同じく、知られざるポーランド音楽を紹介し続けてきたウカシュ・ボロヴィチです。
ガブレンツはポーランドのクラクフで生まれ、音楽の才能に恵まれながらも、大学では法学を学び、のちに父親から工場を経営を任されるなど、学問や仕事と創作活動の両立に悩まされた作曲家でした。彼は手紙の中でこう書き残しています。 「即興や作曲をしたいのですが、頭が自由にならず、うまくいきません。時折、ピアノの前に座ることはありますが、頭の中は常に無意識に本や勉強のことに戻っているので、とても難しいのです。」 未完成や未演奏のままの作品が多いことも、ガブレンツが無名であることの原因のひとつだと考えられます。「ピアノ協奏曲 変ニ長調」は1926年の9月に完成した作品ですが、1977年まで実演を聴くことはできませんでした。このピアノ協奏曲は演奏時間約45分の大作で、うち約半分を第1楽章が占めています。モシュコフスキからの影響やショパンのバラードの引用、魅力的なメロディーと充実のオーケストレーションで満たされた、まさにポーランドのロマンティック・ピアノ・コンチェルトの王道を行くような作品です。グロッケンシュピールの印象的な5つの音で導入され、1930年代のハリウッドのようなテーマがロマンティックな雰囲気を高める第2楽章〜第3楽章の流れも非常に魅力的です。
パデレフスキの「ポーランド幻想曲」は、パデレフスキがピアノとオーケストラのために書いた最後の作品。テーマはパデレフスキのオリジナルで、エルガーが交響的前奏曲「ポローニア」の中でポーランド国歌やショパンの主題とともに引用したことでも知られています。オーケストラの編成には、トライアングル、グロッケンシュピール、タンバリン、ハープが加えられ、演奏効果を高めています。アメリカの代表的な批評家・音楽学者ヘンリー・エドワード・クレビエル(パデレフスキーのリサイタルのプログラムの多くに注釈をつけている)は、この作品について分析ノートの中で「大いなる華やかさと誇りの宣言、最も自由な歓喜のほとばしり、優しい嘆き、夢のような思索、そして荒々しい情熱の発露が見られる」と書いています。


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