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ドミトリー・キタエンコ |
ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団 |
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OEHMS
OC-667C(1SACD)
廃盤
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チャイコフスキー:交響曲全集&管弦楽曲集
OC-027H(8CD)
★特価 ¥6,556
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録音:2011年3月20-22日ケルン・フィルハーモニー |
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演奏時間: |
第1楽章 |
15:48 |
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第2楽章 |
14:40 |
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第3楽章 |
6:05 |
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第4楽章 |
13:01 |
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カップリング/チャイコフスキー:歌劇「スペードの女王」序曲 |
“方言にまみれたチャイコフスキー像を一掃させたキタエンコの計り知れない功績!” |
2009年よりケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団の名誉指揮者の称号を与えられているキタエンコが、今までの音楽人生の集大成のような素晴らしい録音を成し遂げてくれました。キタエンコは若いときから西側へ出て活躍していたせいか、ロシアのローカル色を全面に出す人ではないと思っていましたが、それが単なる彼の好みにとどまらず、ロシア音楽の精神をグローバルなものにしたいという信念にまで進化した末の表現が、この演奏の全編に行き渡っています。したかって表面的な馬力や爆発とは無縁。それが以前はどっちつかずの印象を与えたこともありましたが、ここでは風格美と繊細さを兼ね備えた巨匠芸に進化しているのです。
これみよがしなこってりとした歌い回しを避けた第1楽章から、キタエンコのコンセプトは明確。明らかに西側の常識としての造形美を基調とし、そこにキタエンコの洗練されたセンスが息づいています。副次主題前の5:12からのピチカートに強弱のコントラストをさり気なく与えるセンスなど、誰が思いつくでしょうか?
第2楽章は、作品の内省美を重視するキタエンコの基本姿勢が最大に活きていて、目からウロコの連続。決してロシア力を全否定するのではなく、一種の「臭み」だけを取り除こうとしているのだと気付かされるのが、108小節からのピチカート前のテーマの大斉奏。142小節からの副次主題がフォルテ4つへ向かう山場も、ここまで溜めてきたエネルギー量が一気に噴射。しかも外面性を感じさせず、体の奥底からの叫びと化しているので、これ以上の理想形は思い浮かばないほどの説得力を誇っているのです。私達は「歌う」というと弦楽器が歌う様だけを想像しがちですが、管楽器が同じスタンスで歌いぬいているのを実感したことは少ないのではないでしょうか?逆に、「咆哮」といえば金管打楽器の絶叫を想像しがちで、弦も含めた全体像を想像しにくいものです。その点、ここでのキタエンコは、全体が同じニュアンスを一丸となって演奏するという当たり前のことを実践しているにすぎません。ただ、それを確実に実行できる環境が整い、指揮者の成熟が確かなものになった時点でこれが録音できたということは、何と幸せなことでしょう!
終楽章は、風格の巨匠芸の連続。テンポはいたって標準的ですが、音符の背後にあるものを探り、感じながら、音を育み続けることで生まれる音の「重み」は、晩年のスヴェトラーノフのような皮脂分たっぷりのものとは好対照。最大の注目点は後半、全休止後に弦が歌い上げるテーマのニュアンス!続くトランペットも含め、拍節をわずかにずらしながらも音を体内に入れてから発するようなフレージングの説得力たるや相当なもので、終結部プレスト前の503小節(11:48)の金管の重低音のさり気なくも妥協なき張り出し方にも、心打たれます。
近年のウィーン・フィルやドレスデンのオケのように、グローバル化を目指すと少なからずそこには「ビジネス」が絡み、かけがえのないものを失うことがあることを私達は知っています。ただ、ここに聴くキタエンコの目指しているであろうロシア音楽のグローバル化はそれとは似て非なるもので、音楽の新たな表現の可能性も感動の幅も広げたたという点において、その意義は計り知れないと思います。【2024年11月・湧々堂】 |
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第1楽章のツボ |
ツボ1 |
テンポは標準的。クラリネットは太い音色ながら色彩的な深みはあまり感じられない。。弦の響きはかなり厚め。 |
ツボ2 |
テンポは標準的。憂いのない淡々とした進行。木管のユニゾンは完璧な一体感! |
ツボ3 |
特殊なボウイングなのか、スラーが途切れがち。 |
ツボ4 |
イン・テンポで淡々と進行しながら120小節目からは思いを強く込めたフレージングを行い、ニュアンスにコントラストを与えている。 |
ツボ5 |
スコアに忠実。 |
ツボ6 |
流麗なレガートを駆使。土臭さよりも洗練を目指すスタイルを超超するシーン。 |
ツボ7 |
わずかにテンポアップ。 |
ツボ8 |
折り目正しいフレージング。 |
ツボ9 |
やや遅めのテンポなので、16分音符は聞き取れる。 |
第2楽章のツボ |
ツボ10 |
暴徒の低弦は繊細にハーモニーを感じていて好印象。ただしロシア的な広大さはあまり想起させない。ホルンは、表情が固く、伸びやかさに欠ける。 |
ツボ11 |
見事!内省美を保ったままのエネルギーの膨張を実現させた稀有な例! |
ツボ12 |
クラリネットは最高!まろやかさといい余韻の感じ方といい史上屈指の出来栄え!ファゴットもハイセンス。 |
ツボ13 |
テンポはほとんど同じ、やや弱音寄りで繊細なピチカート。 |
ツボ14 |
空前絶後の素晴らしさ!ここまで感情の起伏を抑制気味にしていたのは、ここでも爆発のための温存だったのかと思わせるほど、この瞬間での爆発力は凄まじく、音量だけで圧倒するのとは異なる渾身の噴射力に感涙。 |
ツボ15 |
弦が繊細に歌うのは当然として、管楽器も同様のデリカシーを持って3連音を奏でている例は稀有。全奏者が同じスタンスで奏でるのは当然のことだが、それを実際に実行している例は決して多くない。 |
第3楽章のツボ |
ツボ16 |
わずかにテンポを落とす。 |
ツボ17 |
引き飛ばしている印象を一切与えず、一音ごとの丁寧な共感が印象的。 |
ツボ18 |
美しく一本のラインを形成。239小節のルフト・パウゼも自然に響く。 |
第4楽章のツボ |
ツボ19 |
テンポは標準的。しっかりと音を刻印しながら着実に威厳のあるニュアンスを形成。決して勢いに任せない。 |
ツボ20 |
ホルンは最初は完全に裏方だが、次第に浮上させる。 |
ツボ21 |
ティンパニは主部冒頭で一撃あり。その後はスコア通り。テンポは標準的。 |
ツボ22 |
アクセントなし。 |
ツボ23 |
力感十分。 |
ツボ24 |
イン・テンポ。 |
ツボ25 |
明確な一撃! |
ツボ26 |
イン・テンポ。 |
ツボ27 |
直前で大きくテンポを落としてから、主部冒頭のテンポで進行。 |
ツボ28 |
8分音符の音価は長め。かなり長く引き伸ばし、最後にティンパニの一打あり。 |
ツボ29 |
テンポそのものは標準的。粘着力の高いレガートの弦が高潔に飛翔!拍節をわずかにずらしてフレージングを続けるので内面の熱さがいっそう強く伝わる。 |
ツボ30 |
弦はレガート、トランペットは明確に音を切る。 |
ツボ31 |
弦の動きに合わせた改変型。N響盤でやりたかったことの真意がここでやっと解明される。 |
ツボ32 |
明瞭だがもう少し野太さがああってもよいかも。 |
ツボ33 |
イン・テンポを基調とし、最後の4小節で少わずかにしテンポを落とす。 |