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協奏曲L〜リスト


レーベルと品番、ジャケット写真は管理人が所有しているものに拠っていますので、現役盤と異なる場合があります。



リスト/LISZT



Audite
AU-95499(1CD)
リスト:ピアノ協奏曲第1番*、チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第2番(ジロティ短縮版)
シューラ・チェルカスキー(P)、フェレンツ・フリッチャイ(指)RIAS響
録音:1951年1月16-17日、1952年2月2日*
“奥義連発!チェルカスキー絶頂期のグランド・スタイルの豊穣さ!“
特にリストの協奏曲が大推薦!第1楽章冒頭のリズムの溜め、強弱対比を急激に入れ替えて力感を加減する技に触れると、こういう曲はやはり一時代前のグランドスタイルに限るなぁと痛感させられてしまいます。古い録音にもかかわらず、とにかく打鍵から発せられる音色は豊穣そのもの。単にメカニックに切れるだけでなく、強靭さとまろやかさを兼ね備えたそのタッチはフレーズ結尾に絶妙な余韻を残しつつ音楽は進行。第2楽章の主題のニュアンスの奥行き、幅の広さもチェルカスキーの面目躍如。その直後のフォルテで押し寄せる独奏楽句は、技巧的にも磐石なこの頃のチェルカスキーの魅力が全開で、特に短い音価の音符をさらに切り詰めて独特の躍動感を出すのは、ここぞという場面のみに披露する奥義。第3楽章、第1楽章主題が回帰する直前で、呼吸を巧妙にコントロールしながら嵐の予兆のような戦慄の空気を敷き詰め、その結果、その直後の第1楽章主題が燦然と光り輝く様とその威容は比類なし!フリッチャイの指揮の熱さもここでまず頂点を迎えます。終楽章はキラキラとまばゆいばかりの打鍵の連続。第2楽章副主題が再現される0:58以降も聴きもの。実にチャーミングなフレージングを続ける中、通常なら打鍵を弱めて主役をオケに引き渡す場面(1:10〜)で「ここはまだ譲れない!」と言わんばかりにフォルテでタッチを強打するのには驚愕!コーダはただ熱狂するだけでなく、神々しさすら感じさせます。同シリーズのコルトー独奏のシューマンの協奏曲に感動された方は、特に必聴!


SONY
5033972[SO]
廃盤
ピアノ協奏曲第2番ウェーバー:ピアノ小協奏曲、フォーレ:バラード*、
サン・サーンス:ピアノ協奏曲第4番*
ロベール・カサドシュ(P)、
ジョージ・セル(指)クリーヴランドO、レナード・バーンスタイン(指)NYO
*
録音:1952年1月20日(モノラル)、1961年10月30日*(ステレオ)
“気品よりも熱いセルとの格闘を選んだカサドシュの豪演!!”
バーンスタインと組んだサン・サーンスとフォーレの名演は良く知られていますが、ここではまず、モノラル期にセルと激烈にぶつかり合った2曲の爆演に腰を抜かしていただきましょう!ステレオ録音のモーツァルトのイメージからは想像も出来ないヴィルトゥオジティを放射し尽くし、セルのいつもの妥協のない指揮と真っ向から張り合っています。リストの第1楽章のピアノの入りは、まさに真珠のきらめきにも似たタッチが甘く囁きますが、アレグロ・アジタート・アッサイに突入するや、セルとがっぷり四つに組んだ高凝縮を誇る打鍵を披露。アレグロ・モデラートからは、再び潤いに満ちたタッチと、独奏チェロのノスタルジー醸し出すニュアンスにうっとりしますが、アレグロ・デシーソからセルが容赦ない拍節感で挑発すると、カサドシュが温存していたスタミナを遂に全開!コーダで上下行するグリッサンドはフランス的な気品をかなぐり捨て、オケの凄い鳴りっぷりに埋没するそぶりも見せずに、力感漲るタッチで突進するのです。ウェーバーも「小協奏曲」どころの代物ではありません!第3部のオケによる行進曲風の導入をぶち破るように分け入って来るカサドシュの激烈な強靭タッチは、あまりにも威厳に満ちているので思わずのけぞります。その後の急速パッセージの連続の粒立ちの良さと、恐れを知らない突進力は、この曲が持つ豪快な魅力を120%引き出したといっても過言ではないでしょう。コーダでの全体が一体となってのリズムの熱さは圧巻!ちなみにこのリストとウェーバーは同じ日に一気に録音されているので、その集中作業によって気力もと緊張も極限に高められた結果、得られた成果とも言えるでしょう。音はモノラルですが、これらの魅力を伝えるのに不足はありません。


MSR
MS-1154
ピアノ協奏曲第1番、第2番、第3番(ローゼンブラット編)、死の舞踏*
ジョシュア・ピアース(P)、
ポール・フリーマン(指)ロシア国立SO、スロヴェニアRTV響
*
録音:1993年〜1994年(デジタル)
“狂気のピアニズム!現代に稀有な血みどろの打鍵の応酬!!”
古典から現代音楽まで幅広いレパートリーを誇るピアースの破格のテクニックが満載!第1協奏曲は、1992年、ロシア・デヴューを果たした時にも演奏した演目で、この録音はその時期に行なわれたものと思われます。前後に行なわれた。「第1番」冒頭は、筋骨隆々の打鍵がいきなり飛び出してビックリ!毒気もスタミナも作品の容量を満たしきれない「真面目な」演奏が少なくない中で、この確認に満ちた表現力は説得力絶大です。一方、第2楽章もしっとりと詩情一辺倒ではなく、濃厚なアゴーギクから原色で塗りつぶしたタッチでどすの効いたフレージングが続出。第3楽章以降直前のトリルにさえ頑丈な意思が迸っています。「第2番」は更に打鍵に凄みが増し、悪魔が乗り移ったような尋常ならざる激情で、終止オーケストラを翻弄する勢い。第3楽章では、隅々まで輝き切ったタッチの威力が絶大で、執拗に繰り返される音型をもっと繰り返していて欲しいという思いに駆られます。終楽章最大の見せ場、華麗なグリッサンドの箇所は、何とその第1音を半拍速く打鍵してカッコイイことこの上なし!第1番、第2番の最初のスケッチとして発見されたものに各種資料の研究成果を加えてローゼンブラットが復元させた「第3番」も、競合盤が少ないとは言え、確信に満ちた表現力で他を圧倒しています。「死の舞踏」は、そんなピアースの型破りな表現力に打ってつけの逸品。第5変奏からカデンツァと終曲コーダは、まるで殺人鬼!

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