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パガニーニ/PAGANINI |
豪ELOQUENCE 4643712[EL] |
ヴァイオリン協奏曲第1番、2番#、無窮動* |
ヤープ・ヴァン・ツヴェーデン(Vn)、ケネス・モントゴメリー(指)オランダRSO、 イヴリー・ギトリス(Vn)#、スタニスラフ・ヴィスロッキ(指)ワルシャワ国立SO#、 ネヴィル・マリナー(指)アカデミーCO* |
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録音:1987年11月、1987年8月*、1966年# ステレオ録音 | |
“パガニーニの面白さを聴き手に確実に伝えきった快演!!” | |
オランダの生んだ名手ツヴェーデンは、ジュリアードで学んだ後、コンセルトヘボウ管のコンサートマスターに最年少で迎えられ、ソロ活動も活発に行なっていましたが、近年は指揮活動も盛んになってきました。この「第1番」の録音は、ヴァイオリニストとしての彼の音楽性を知る上でまず挙げなければならない画期的な名演奏です。音そのものは細身でスタイリッシュですが、第1楽章の弾き始めから、音の跳躍、間の取り方に、まさに悪魔的な妖しさが濃厚に立ち込めます。ドルチェ・エスプレッシーヴォの独奏旋律は打って変わって徹底的にすすり泣きますが、少しも品位を落とさず、しなやかな音色美も魅力満点。第2主題もヴィブラートの振幅がかなり大きいにもかかわらず媚びた嫌らしさが一切なく、呼吸の持続力と安定感が旋律の美しさを一層引き立てます。フレーズの結尾をそっと置く優しい風情にもウットリ。プ。展開部で3連音が続く第3旋律も全く危なげがないことはもちろんのこと、一見スマートな進行の中に音楽がぎっしり詰まっていることを感じさせ、単なる痛快さ以上の手ごたえを与えてくれます。第2楽章は通常より強めの弓圧で、弱々しいセンチメンタリズムとはっきり訣別するような意志の強さが印象的。終楽章はてんせいのリズム感が冴え渡り、聴きながらつい体が動いてしまうほどの求心力の高いフォルムを瞬時に確立。この曲に盛り込まれた技巧的な仕掛けをいとも簡単に涼しい顔で弾き流す演奏も少なくないですが、ハラハラさせるツボを抑えながら、これほど面白く聴かせる演奏は珍しいのではないでしょうか。このツヴェーデンのスタイルの原点と形容したくあるのが、ギトリスが弾く「第2番」。ジプシーのような気ままを演奏が想像しがちですが、この録音の時点では音色の美しさと輝きも備わっていて、フレージングも実にスムーズ。一見洗練された感触に仕上げていますが、内面に込められている情熱と意欲は凄まじく、ヴィブラートを控えめにすることでかえって恐れ知らずのパガニーニの息づかいが生々しく伝わります。特に終楽章中間部以降の気迫には圧倒されっぱなし! |
TELOS TLS-047 |
ヴァイオリン協奏曲第2番、ヴァイオリン協奏曲第4番 |
インゴルフ・トゥルバン(Vn)、 イオル・シャンバダール(指)ケルンRSO | |
録音:2000年(デジタル) | |
“パガニーニの協奏曲を真の名曲に仕立て直したトゥルバンの快挙!” | |
トゥルバンはミュンヘン出身でヘッツェル門下。21歳の時チェリビダッケに招かれてミュンヘン・フィルのコンサート・マスターに就任し、1995年にはシュトゥットガルト国立音楽院の教授に着任。パガニーニの協奏曲第1・3番もを当レーベルに録音しています(TLS 046)。トゥルバンは、1993年にClavesにブルッフの第2番の協奏曲を録音しており、とても丁寧な音楽作りで好感の持てる演奏を行なっていましたが、今一歩聴き手に食い込んでくるものに欠ける印象が拭えませんでした。しかし、このパガニーニはその堅実さと音色の美しさはそのままに、スケール感もテクニックの安定感もまさに磐石となり、並々ならぬ手応えをもたらしてくれます。パガニーニの協奏曲といえば、かつてのグリュミオーのステレオ録音のように危ない橋を渡るようなハラハラ感がかえって味だったものですが、昨今ではスムースに弾きこなして当たり前で、その代わりドキドキさせる瞬間が少なく、非常に分かりやすい旋律の魅力も持て余しているような演奏が多い気がしてなりません。その点でこの演奏は、その旋律美に心から共感していることがビリビリと伝わり、オケと一体となってのパガニーニの音楽の魅力を再認識させるに十分な画期的な名演奏と言ってもよいのではないでしょうか。「第2番」はトゥルバンの細身でしなやかな音色がまず印象的で、感覚的なカッコよさに背を向けた真摯な姿勢に打たれます。「セヴィリアの理髪師」序曲の旋律にそっくりの第2主題の気品の佇まいは必聴!第1楽章カデンツァで、技巧的な面白さ以上に「歌」を徹底的に堪能させてくれる演奏も稀有です。最後のフラジョレットとオケの弦とのブレンド感も美しさの極み。なお、シキノシャンバダールが驚くほど雄弁な語り口とダイナミズムを発揮しているのにも注目ですが、その魅力と共にトゥルバンも一層強い意気込みで臨んで感動的なのが「第4番」。長い第1楽章序奏を飽きさせずにたっぷり堪能させてくれるところから強力な主張を感じさせますが、続いて登場するトゥルバンのソロは、ハリとコシをたっぷりと湛えた響きで飛び込み、急速な上行音型の気迫も素晴らしく、明らかに「第2番」とはアプローチを変えて劇的な側面を突きつけます。パガニーニの曲では、16分音符の軽い下行でフレーズを締めくくるシーンが頻出しますが、8:33のように、呼吸の微妙な溜め共に聴き手の心にキュンと突き刺さるようなニュアンスは、大きく成熟したトゥルバンの音楽性を象徴しています。終楽章後半、金管と呼応し合うフラジョレットのチャーミングな囁きは作り物の表情として響かず、心から聴き手を酔わせる演奏に終止。コーダの急速音型の連続技も、ただ派手に立ち回って「凄みを演出」した演奏とは一線を画す味わいです。これを聴くと、パガニーニの協奏曲をメンデルスゾーンやチャイコフスキーと同列に置きたくなります。 |
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