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協奏曲R〜ラフマニノフ


レーベルと品番、ジャケット写真は管理人が所有しているものに拠っていますので、現役盤と異なる場合があります。



ラフマニノフRACHMANINOV


CDA-67501(2CD)

SACDA-67501(2SACD)
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲全集
第1番嬰ヘ長調Op.1/第4番ト短調Op.40
パガニーニの主題による狂詩曲Op.43*
第2番ハ短調Op.18/第3番ニ短調Op.30
スティーヴン・ハフ(P)
アンドルー・リットン(指)ダラスSO

録音:2004年4月-5月、2003年6月29日*
“洗練されたセンスと味わい深さが共存!ハフのピアニズムの極地”
切れ味抜群の技巧とクリスタルを思わせる硬質タッチの魅力を持つハフのピアニズムのすべてを凝縮した逸品!
「第2番」は出だしからして衝撃的。冒頭は通常の倍のテンポで淡々と進行させ、過剰な感傷を排して洗練されたフレージングを目指すハフの特徴が早速現れます。アゴーギクは実に入念ですが、それに耽溺することは決してありません。タッチの煌めきはとどまるところを知らず、表面的にはクールでも、不思議と温かな余韻を残すので、感覚的な魅力が音楽的な感銘に直接つながるのです。終楽章の7:25からの優しい語りかけも魅惑的。長い音価においても呼吸が途絶えず、洒落た気品と漂わせます。それがコーダでは遂にパワー全開!凛とした風格を保持しながら熱気を放射するセンスの高さに感動もひとしおです。オケのコンビネーションの見事さも含め、技術的な綻びが皆無なので、ライヴ録音であることを最後に拍手が沸き起こるまで気づかないほどです。
「第1番」は、タッチの気品はそのままに、ロシア的な濃密なロマンとダイナミズムをを徹底して全面に出しているのが特徴的。リットンも思い切ったポルタメントを用いるなど、ハフと歩調をあわせてヴィヴィッドな音彩を繰り広げます。
収録曲の全てが破格の名演なのですが、中でも強調したいのは「第3番」の圧倒的な素晴らしさ!都会的な洗練を感じさせ、音楽のフォルムは一貫してスマート。どんな細かい音型も粒立ち明瞭。それでも技巧的な側面のみが浮き立つことなく、常に慈しみにあふれた音楽を引き出します。テンポを落として纏綿と歌うことだけが共感の証しとは言い切れないことを思い知らされます。第1楽章の展開部は超高速で疾走して高揚感を煽りますが、品格溢れるタッチの質感はあくまでも堅持。第2楽章は甘美さに溺れる素振りを見せずに、濡れるような詩情を余すところなく再現。終楽章は、高速テンポを採用すると、指の動きがインテンポに追いつかない場合もありますが、ハフに限ってはそんな心配はご無用。一瞬のグリッサンド(0:32)の美しさの比類ない上に、痛快この上なし!第2主題でわずかにテンポを落としますが、それによってレガートによるフレージングが徹底的に際立つのには惚れ惚れするばかり。2:11からの音型もお聴き逃しなく!ほとんどのピアニストが「タン・タ・タ・タン・タン」と弾く所を、「ター・ター・ター・タン・タン」ときちんと3連音を奏でて吸いつくような愛情を通わせているのです。プレスト以降も慣例的なテンポの伸縮を極力排しながら、呼吸自体はとてつもなく深いので求心力が抜群!最後の追い込みも非の打ち所のない潔癖さ!
「第2番」に比べ、「第3番」は全楽章を通じて一貫したクオリティを保った演奏が少ない気がしてならないのですが、この演奏は、ピアノ・ソロの魅力も、オケとの連帯感も、これ以上何を望めましょう。恐るべき名演です!【湧々堂】

※ピアノ協奏曲第2番&第3番のみ分売されています(CDA-67694)


BRILLIANT
BRL-6214(2CD)
ラフマニノフピアノ協奏曲全集
 (第1番*、第2番、第3番#、第4番#)
パガニーニの主題による狂詩曲
ホルヘ・ルイス・プラッツ(P)、
エンリケ・バティス(指)メキシコ・シティPO、
ニコライ・ルガンスキー(P)#
イワン・シュピーラー(指)ロシア国立SO#
ジョン・リル(P)*
尾高忠明(指)BBCウェールズO*

録音:全てデジタル
“ルイス・プラッツを筆頭に名演ぎっしり!”
まずルイス・プラッツの演奏が、どんなに言葉を尽くしても足りないくらいの名演!全編に溢れる陰影の豊かさとヴィルトゥオジティが常に塊となって迫り、全ての音が感動に直結しているのです。タリアフェロ門下でキューバ出身のプラッツのピア二ズムは、一度聴いたら脳裏を離れません。「第2番」第1楽章で冒頭を淡々と開始したかと思うと、オケが入る直前には地鳴りのように低音を響かせるというこの数秒間のドラマ性!センス満点のアゴーギクを駆使しながら、内容のぎっしり詰った音を芯から轟かせる力量、黒光りの音色美は最後まで途絶えることがありません。またそれを見事受けて立つバティスとLPOの技の見事なこと!第2楽章冒頭のクラリネット・ソロは男の哀愁そのものですし、終楽章コーダの威風に満ちた到達感も他にあまり例を見ません。この曲をただ甘美なだけだと思っている方には特にお聴きいただきたいものです。
リルの「第1番」は、この人らしいストイックなアプローチですが、そのテクニックはルイス・プラッツとはまた違う厳格さと強靭さを兼ね備えたもので、あまり演奏されないこの作品に一級の作品に引き上げており、アシュケナージ等の有名盤以外となるとこれを挙げないわけにはいきません。あのベートーヴェンのソナタ全集で聴かせてくれた確信に満ちた堂々たるピアミズムがここではそのまま踏襲されており、特に甘味料たっぷりのラフマニノフに食傷気味の方にお勧め。深々と詩情にも事欠かず、決してタッチの輪郭をぼかしてごまかすことのない第2楽章の繊細な描き方とリリシズムは、自身で納得しているだけで聴き手に語り掛けてこないというのとは次元が異なる真に迫るニュアンス。尾高の指揮がまた見事。録音も優秀(Nimbus原盤)。ルガンスキーの演奏は、真摯に作品に対峙し、技巧をひけらかすことのない誠実な演奏。第3番終楽章での大きな構えと、とてつもない深い呼吸の持久力にはびっくり!よく吟味されたタッチの美しさも聴きもの。【湧々堂】

BMG(melodiya)
74321-24211
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番
ピアノ協奏曲第3番
ヴィクトール・エレスコ(P)
プロヴァトロフ(指)ソビエト国立SO

録音:ステレオ
“マグルリット・ロンいわく、『私は彼の中にラフマニノフの再来を見る!』”
1963年のロン・ティボー・コンクール優勝時、老齢のロンが激賞を惜しまなかったというエレスコのラフマニノフは、甘味たっぷりのセンチメンタルさに徹底的に対抗する筋骨隆々型の典型。機関銃のような打鍵は全く容赦なく、弱音のパッセージすら情に流されるそぶりも見せず、その代わりに曲のフォルムが赤裸々に表出されるのですから、とても気軽なBGMとして流せません。伴奏の豪快さも空前絶後!しかし、さすがにこうでもしないと、このピアノとと釣り合いが取れないでしょう。【湧々堂】


DENON
COCO-80787
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番
リスト:ピアノ協奏曲第1番
ミハイル・リツキー(P)
ウラジミール・ポンキン(指)モスクワRSO

録音:1997年(ステレオ・ライヴ)
ロシアの鬼才、リツキーの初の協奏曲録音!”
リツキーにとってDENONへの通産5枚目のCD。第1楽章冒頭の和音の打ち鳴らし方から、いきなりショッキング!そっと呟くようなピアニッシモで開始し次第にクレッシェンドで重量感を増しながらアルぺジョになだれ込むのが通例ですが、リツキーは域内最初から骨太タッチで2拍目のテヌートも十分に保ちながら悲痛なもがきをあらわにし、その後更に緊張の色を強めて甘美な空気を完全払拭。厳しく切実なドラマの幕開けを告げるのです。第2主題もうわべの美しさとは無縁の凛とした風情を崩しません。コーダーの入りも慎重そのもので、せべてを意味深く鳴らし、決然と締めくくります。第2楽章でも甘さに浸ることはなく、タッチを曖昧にせず、深い呼吸を隅々まで行き渡らせながら、先の見えないこの楽章の浮遊感を見事に表現しています。終楽章は全曲の白眉!あらゆる競合盤の存在を忘れさせる圧倒的なスケール感、オケとの一体感、緻密な構築は最後まで揺らぐことなく、威厳と格調を貫く精神力には唖然とするばかりです。リストも気軽に聴けない独特の凄みを湛えています。各フレーズをその長短に拘わらず最大限に大きく息づかせるので、緊張感に満ちた流れが弛緩することがありません。その良い例が第2楽章の最後、フルートで奏でられる副主題を支える長いトリル。最後の一音までこれほどピアニストの「手」を感じさせる様に鳴り切った例があるでしょうか?さらに、その直後のトライアングルに導かれる主題のとぼけたようなニュアンスも印象的。この柔軟なニュアンスの切り替えこそ、炉着きーの豊かな感性の証し!そうあるべきと感じたものを確信を持ってストレートに音化しているからこそ、今までの重量級の表情も奇異なものに終わらず、絶大な説得力を持つのではないでしょうか?一方、ポンキンの指揮も大きなポイント。豊富な内容量と壮大なスケールを誇るもので、リツキーとは演奏旅行でも共演を重ねて気心が通じているせいか、互いの強烈な個性を引き立て合って絶妙な緊張感を生んでいるのです。まさに協奏曲を聴く醍醐味!なお、本CDのライナーは私が執筆しました。【湧々堂】


EMI(cfp)
5856232[cfp]
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番
パガニーニの主題による狂詩曲
フィリップ・フォウク(P)
ユーリー・テミルカーノフ(指)RPO


録音:1985年デジタル
“全ての音が120%の意味を持って迫る驚愕の名演奏!”
1985年デジタル録音。これは凄い!ここで表現仕切れていない要素は何ひとつないと断言したいほどパーフェクトです。協奏曲冒頭、オケが加わるまでの間にタッチの深みと強度を克明に増強させて、アルペジョの怒涛のうねりば堰を切ったような溢れ出素までの緊張の高まりにいきなり釘付け!テミルカーノフの指揮も負けじと濃厚なフレーズを披露。フォウクのピアノは、タッチそのものが非情なまでに精巧でありながらフレージングが極めて甘美という離れ技の連続!第2主題では、とてつもない深い呼吸で聴き手を牽引し続けます。5:23からの高音の連打音にもご注目を。彫琢を極めた硬質のタッチの美しさと意味深さは比肩する演奏はめったにありません。6:29からの重量級の思いタッチとテミスカーノフの濃厚な指揮が融合した広大な音像も唖然。第2楽章は高貴なニュアンスが横溢!しっかり前を見据えて耽溺せずに音楽の美しさを余すところなく再現するピアノのみならず、伴奏の特のニュアンスの豊かさはまさに空前鉄後!オケのソロ奏者、ピアノどんな大強音でも音が割れずにクリスタルの艶と輝きを保持しているのですからたまりません!終楽章4:26からはタッチの強靭さ、美しさ、集中力の持続など、まさに敵無し!コーダで性急に湧き上がらず、じっくり足場を固めながら、ロシアの大地を突き抜けて宇宙全体に向けて発するようなパワー噴出力も圧巻!そうなると当然狂詩曲にも期待が膨らみますが、これがまた期待以上の鉄壁の名演奏。とても全てを語りつくせませんが、第8変奏や13変奏などの打鍵の深さ、刃金のような鋭利な切り込みとオケの巨大スケールが渾然一体ぶり、第12変奏であえて弱音のみに頼らず、強弱のコントラストを付けながらむせび泣くフレーズに更に奥行きを与える演奏は前代未聞!有名な第18変奏のフレージングの粘着力、アゴーギクから滲み出る多彩なニュアンスは、このシンプルなメロディから表出しえる極限と言うしかなく、その濃厚な表現が、タッチそのものの気品と集中力によって完全に制御されているので、嫌味になるどころか芸術的な格調を伴って迫るのです。第22変奏以降の驚愕の迫力は、協奏曲と同様にノリに任せることをピアノ、指揮共々戒めながら全ての音を根底から鳴らしきっている分、粉砕力が尋常ではありません!フォウクの破格のヴィツトゥオジティと共にテミルカーノフがその全音楽性を惜しげもなく開放したという点でも絶対に無視できない1枚です。録音も極上!【湧々堂】


MSR
MS-1176M
ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲
レスピーギ:ピアノと管弦楽のためのトッカータ
カセッラ:ピアノと管弦楽のためのパルティータ
ジョシュア・ピアース(P)、
アントン・ナヌット(指)スロヴェニアRSO

録音:1991年4月(デジタル)
“切れ味痛快!全ての音を解析し尽くしたピアースのクールなピアニズム”
ラフマニノフは、タッチの切れ味と明晰さ、テンポの推進力において、古今を通じてこの演奏に比肩しうる演奏はそう多くないのではないでしょうか?第9変奏や13変奏の憑かれたようなパワー炸裂ぶり、強打鍵の強靭さには度肝を抜かれ、有名な第18変奏は甘美さに溺れず、クリスタル・タッチの高潔さを音楽の魅力にそのまま転化。第22変奏の各音がこれほど明瞭に解析された例も希少。23変奏から終曲に至るまでは、まるで天から槍が降ってくるような恐ろしさ!
忘れてならないのはレスピーギの「トッカータ」。古代風のエキゾチシズムと後期ロマン派の濃厚な情感をミックスしたこの作品を持ち味をとことん表出した名演で、ナクソスのシチェルバコフ盤と共に破格の説得力を誇り、聴き手に有無を言わず大きなスケールでねじ伏せるのです。
カセッラの「パルティータ」は豪華絢爛。理屈抜きで楽しめる作品。第1曲はどこか「ペトルーシュカ」を思わせる楽想が印象的。終曲は行進曲風の陽気な音楽で、まさにピアースの音楽性にうってつけ!弾くのが楽しくてしょうがないというピアースの表情が目に浮かぶようです。そしてコーダの底抜けの躁状態!「ビバ、イタリア!」と叫びたくなること請け合い!指揮はいわゆる「駅売りCD」でおなじみの巨匠ナヌート!その伴奏の巧さと多彩なニュアンスにも驚かされます。【湧々堂】

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