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SSS-0041-2
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ピアノ協奏曲、ボレロ*、「ダフニスとクロエ」第2組曲# |
セシル・ウーセ(P)、ヘルベルト・ケーゲル(指)ライプチヒRSO |
録音:1974年、1985年*、1965年#(#のみモノラル) |
“ケーゲルの独特の雰囲気作りと不思議とマッチしたウーセの端正のピアニズム!” |
ピアノ協奏曲は、ケーゲルの予想以上の生々しい色彩力とエキゾシズムに最後まで耳が離せません!この曲でオーケストラ・パートをここまで有機的に人間臭く鳴らしきった演奏は他に例がないと思いますが、一方のウーセのピアノは、それに比べるとかなり地味に聞こえますが、ケーゲルの醸し出す雰囲気とぴったりのニュアンスで、絶妙な味わいを残します。タッチは硬質で、スタイルも洗練されていますが、音の粒立ちから芳醇な香りが立ち込めます。その両者のコントラストと溶け合いの妙こそがこの演奏の醍醐味!第1楽章後半、不必要に力まず、音楽を一気に高揚させる両者の連携は完璧。第2楽章は一見淡々としたウーセのフレージングがかえって忘我的な雰囲気を引き出し、聴けば聴くほど内面から静から湧き出る共感が細やかなアゴーギクとなって現われているのに気付き、味わいもひとしおです。木管が長いソロを吹くシーンも、他に類例がないほど感動的。終楽章の機械的な無機質さを感じさせないコクのある表情も、心にしっかり焼きつきます。通常協奏曲の名演奏は、ソロの素晴らしさ+伴奏の確かなフォローという形で論じられることが多いですが、この演奏はそういう図式では収まらない不思議なニュアンスが溢れています。カップリグの2曲も必聴!「ボレロ」最初のフルート・ソロが不気味なクレッシェンドをするところから只ならぬ予感。管の各奏者の高い技量の素晴らしさに加え、「東独的」とも言うべき独特のアクが自然と顔を覗かせるあたりがなんとも味!ラヴェルの魔法的な色彩術の象徴といえるチェレスタが加わる箇所は、精緻さを目指さず、むしろ大掴みな感じですが、自然とハ−モニーとして溶け合っているのは、オケの技量の賜物でしょう。しかし12分以降、トランペットが主役になって以降のリズムの野暮ったさはメンゲルベルクの同曲の録音を思い起こさせ、思わず吹き出してしまうほどフランス的な洗練とは正反対!しかもそれを大真面目でやってのけているのでこの上なく痛快!「教科書的な名演」に飽きた方は必聴です! |