LPO
LPO-0046(1CD)
|
エルガー:海の絵Op.37
交響曲第1番変イ長調Op.55 |
ジャネット・ベイカー(C.A)
ヴァーノン・ハンドリー(指)LPO
録音:1984年2月23日サウスバンク・センターロイヤル・フェスティヴァル・ホール(ステレオ・ライヴ) |
“骨太なサウンドに託した魂の内なる叫び!” |
この交響曲は想像を遥かに超える名演!ボールト以来、この作品のエッセンスはロンドン・フィルのの団員の中に浸透しているとはいえ、この入念で繊細、共感の限りを尽くしたアプローチは聴き手の魂を揺さぶり続けます。
構えは終始大きく、スコアを解析し過ぎて音楽を小さくしてしまう瞬間など皆無。第2楽章は、戦闘シーンのように派手な鳴らし方をする指揮者も少なくない中で、極めて骨太なサウンドを引き出しつつ、うるさいどころか魂の内なる叫びと化した響きはまさに逸品。こういう響きを聴かされると、まさに「本場物」の格の違いに降伏するしかありません。
第3楽章も感覚的な美しさを引き出すしかない英国人以外の指揮者には手も足も出ない佇まい。ハーモニーのブレンドが、エルガーの作品においていかに重要であるかを思い知らせれるのが終楽章。全く奇を衒わないストレートな解釈に全くブレはなく、作品の格調美と力感を両立させながらの堂々たる進行に、思わず手に汗握ること必至。最後のブラボーも、もちろん十分頷けます。この曲の最右翼の名盤誕生といっても過言ではないでしょう。
ベーカーをソロに迎えた「海の歌」も悪いはずがなく、フレーズの端々まで心血を注ぎきった名唱が聴かれ、ハンドリーの指揮も伴奏の域にとどまらない説得力に満ちています。【湧々堂】 |
|
クラウン
CRCB-6031
|
エルガー:交響曲第1番、
序曲「南国にて」* |
ジョン・プリッチャード(指)
BBS響
録音:1974年*、1983年 ステレオ・ライヴ |
“ボールト、バルビローリに待ったをかける恐るべき名演!” |
エルガーの第1交響曲は、結局はノーブルなボールトかロマンチックなバルビローリかということに落ち着きますが、英国人対決となればプリッチャードを置き去りにしては、あまりに不公平です。
静かに始る第1主題が壮大に高揚していくところから、プリチャードの地味なイメージを吹き飛ばす感興の高まりを感じ、ティンパニの意味深さも絶妙!厳格な中にも優しいニュアンスを込めた第2主題の色彩の揺らめきと深み、展開部の熱い精神の高揚も圧倒的。第2楽章のリズムの渾身の沸き立ちと切れ味も壮絶。これ見よがしに歌い込み過ぎず、慎ましいリリシズムが横溢の第3楽章も、プリチャードの作品への抑え難い共感を示して、実に感動的。
終楽章は、これまた意外な俊敏なレスポンスで、激変する楽想を絶妙に連動させ、深いコクを湛え、エルガーが書いた最も美しいフレーズの一つとも言うべき、第2主題がヴァイオリンで切々と歌う部分(6:18)が、濡れたようなヴィブラートと共にこんなにも美しく迫った来てよいのでしょうか!最後にモットー主題が回帰して以降のスケール感と、音の熱し方は、他の指揮者以上の風格で圧倒し、古今を通じて最も感動的と言えます。【湧々堂】 |
|
DG
4531032(2CD)
|
エルガー:交響曲第1番、交響曲第2番、
行進曲「威風堂々」第1番&第4番、
序曲「南国にて」 |
ジュゼッペ・シノーポリ(指)
フィルハーモニアO |
“典雅で慎ましい英国趣味を脱した、エルガー作品の輝き!” |
エルガーといえば、あのボールトに代表されるノーブルな演奏をイメージしがちですが、ここでシノーポリは、思いも寄らなかったエルガーの管弦楽法の色彩、深いロマンチシズムまで徹底的に引き出し、これらの曲のイメージをを大幅に広げたという意味で、これは画期的名演と言っても過言ではありません。決してシノーポリのフィルハーモニア管主席就任後の「お仕事」的演奏などではないことは、随所に感じる徹底したニュアンスの表出でも明らかです。とにかく、オケの鳴りっぷりの凄いこと!
第1番の最後で、第1楽章の主題が回帰する際の輝かしさと大らかさ、2つの「威風堂々」のカッコイイ推進力と、中間部で異例のスローテンポをとった濃厚な歌などなど、言葉で書くと大袈裟に思えるこれらの表情の全てに嘘がなく、絶大な説得力で迫り、しかも、エルガーの音楽が持つあの佇まいからははみ出していません。
英国音楽ファンはもちろんのこと、シノーポリをあまりお好きでない方にも聴いていただきたいものです。【湧々堂】 |
|