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エンリケ・バティス(指)グアナフアト大学交響楽団 | |||||||||||||
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メキシコ州立響 752435- 18154(2CD) |
録音年:2006年12月31日〜2007年1月1日 北京でのライヴ 【ステレオ】 | ||||||||||||
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◆カップリング〜ガリンド:マリアッチの響き/J・シュトラウス:「ジプシー男爵」序曲/「こうもり」序曲/春の声/美しく青きドナウ/ピチカート・ポルカ/レブエルタス:組曲「マヤ族の夜」〜どんちゃん騒ぎの夜/モンカージョ:ウアパンゴ/ビゼー:「アルルの女」より ファランドール/J・シュトラウス1世:ラデツキー行進曲 ◆バティスの「チャイ5」〜第1回録音 第2回録音 |
“オケのセンスに感服!バティス10年ぶりのチャイ5” |
前回の録音から10年ぶりの再録音。終楽章で細部のアプローチが変更になっている以外は基本的な解釈に変わりなく、バティスらしい男性的なダイナミズムをぶちまけ、オケも学生とは思えぬ音楽性とセンスと兼ね備えているので充分に楽しめる演奏になっています。他でも記したと思いますが、バティスという人は単に「爆演型」というよりは、根底にはしっかりとした構築力と全体を見通す力が確実に備わっていながら、それを知的なフォルムに包んだままにしておくのが耐えられず、全ての条件が揃わないならパッションを最優先にさせ、決して音楽を綺麗事に終わらせないことを信条にしているのではないでしょうか。そのことをこの録音では改めて感じました。バティスのやる気とオケの力量も噛み合っており、録音も明快。ただ、バティスとチャイ5の組み合わせで、しかもライヴとなれば、もっと凄いことができたはずという印象が残ります。 第1楽章は、展開部直前からがバティスらしいハイテンション・モードが全開となりますが、軽薄さは感じられず、楽章最後の一音に至るまで、求心力の高いアンサンブルを聴かせます。第2楽章はホルンの巧さに舌を巻きます。プロのエキストラでしょうか?こんなハイセンスな音楽を聴かせる人が学生の中にいるとはにわかに信じられません。コーダ9:54では金管が分厚いハーモニーを突出させますが、これはまさにバティスのラテン的色彩センスの象徴と言えましょう。終楽章も終始強力な意思が漲る素晴らしい演奏。他だし、終結部のプレスというで、疲れからかテンポがもたつき気味になるのが残念です。 その点文句なしにお勧めできるのが、ディスク2の小品集。「美しく青きドナウ」は構成力のの確実さが際立ち、バティス自身のインスピレーションを具現化し尽くした快演。「ピチカート・ポルカ」は管楽器、打楽器入りのカラフル・ヴァージョンで、これまた迷いの一切ない快進撃。「ウアパンゴ」は中国人のDNAにはない音楽だけに、大盛り上がりのわりには一瞬間をおいてから歓声が沸きあがります。 |
第1楽章のツボ | |
ツボ1 | 憂いは皆無!速いテンポでいきなり飛び込み、さっそく意志の力を見せつける。したがってクラリネットに陰影は求められない。。28小節目のスフォルツァンドをかなり溜め込むのが特徴的。 |
ツボ2 | ここも速めだが、序奏部で複線ができているので、性急さは感じさせない。 |
ツボ3 | 粘り気を削ぎ落とし、サラッと進行。 |
ツボ4 | テンポが速いので、繊細な変化はない。 |
ツボ5 | 前回の録音同様に完全にインテンポで通過。オケに余韻を感じる暇を与えないほど容赦ない進行。 |
ツボ6 | アニマートでようやくテンポを落とすが、それが帰って唐突な印象を与える。 |
ツボ7 | ピチカートの第一音がかなりずれるが、興が削がれるほどではない。これまた高速! |
ツボ8 | わずかにテンポを落とすが、決して酔いしれず、やはり推進力最優先。 |
ツボ9 | 前の高速テンポのまま突入するので、16分音符の頭はは聞き取れない。 |
第2楽章のツボ | |
ツボ10 | 低弦の張り出しはかなり強く、呼吸も深い。ホルンが、学生とは思えぬ絶品のセンスと巧味!音楽を感じきりながらニュアンスの繊細な変化を確実に表出。プロでもここまでの演奏はなかなか耳にできない。 |
ツボ11 | 力点が定まらないまま流れてしまう。 |
ツボ12 | 縦割りの拍節感を強く感じさせる進行。 |
ツボ13 | 意外なほど丁寧で繊細。 |
ツボ14 | 前回の録音と同じテンポ設定だが、こちの方が成功している。 |
ツボ15 | 実に決め細やかなフレージング!今までが男性的なダイナミズム重視で来ただけに、この心のこみった歌が切実に響く。 |
第3楽章のツボ | |
ツボ16 | 前回の録音よりは標準的なテンポ。ファゴットはほとんどテンポを落とさずに進行するが、後半でテンポがもたつき、弦と揃わなくなる。 |
ツボ17 | 前回の録音ほどではないが、今回もかなり高速で疾走。 |
ツボ18 | 他に埋もれてしまい、ちょっと自信なさげ。 |
第4楽章のツボ | |
ツボ19 | 速めのテンポで決然とした意思を携えて進行。22小節のトランペットの最後の音がミス。 |
ツボ20 | 木管主役だが後半はホルンが徐々に浮上。 |
ツボ21 | ティンパニは最初に大きくクレッシェンド。62小節、65小節でもクレッシェンドし、スコアどおり。素晴らしい響き。テンポはカラヤンよりやや速め。 |
ツボ22 | 明らかにアクセントを付加。 |
ツボ23 | ことさらに強調はしていないが、一音一音に力が漲り、リズムにも腰がある。 |
ツボ24 | 直前で一旦テンポを落とし、再び主部冒頭のテンポに戻る、切り替えがビシッと決まらず、メリハリが弱いのが惜しい。 |
ツボ25 | 明瞭に聞こえるが、渾身とは言い難い。 |
ツボ26 | そのままインテンポ。 |
ツボ27 | 前回ほど高速ではないが、自信に満ちた素晴らしい高揚感。452小節、454小節での2拍目でティンパニを追加するのは今回の新解釈、463小節からのティンパニのトレモロはかなり盛大でで効果満点! |
ツボ28 | 本来の音価どおり。全休止で、客先から数名パラパラと拍手。 |
ツボ29 | 冒頭、リズムは強靭に弾むが、木管は力感がやや不足。 |
ツボ30 | 弦は明確に音を切り、トランペットはテヌート。前回より統制がとれている。 |
ツボ31 | 弦の音の動きに合わせた改変型。前回の録音とは違う解釈。 |
ツボ32 | 明快に鳴ってはいるが、ややこじんまりとしている。 |
ツボ33 | 立派なインテンポ進行だが、プレスト以降はやや疲れ気味。 |
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