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殿堂入り: 交響曲  管弦楽  協奏曲  器楽曲  室内楽  声楽曲  オペラ  バロック レーベル・カタログ チャイ5



チャイコフスキー:交響曲第5番〜全レビュー
TCHAIKOVSKY : :Symphony No.5 in e minor Op.64
ウラディーミル・フェドセーエフ(指揮)
Vladimir Fedoseyev



掲載しているジャケット写真と品番は、現行流通盤と異なる場合があります。あらかじめご了承下さい。



チャイコフスキー:交響曲第5番
ウラディーミル・フェドセーエフ(指)
モスクワ放送交響楽団
第2楽章ホルン・ソロ: ヴィクトル・ガルキン
Victor
VICC-60431(5CD)
録音:1981年6月23日〜25日 モスクワ放送大ホール 【デジタル録音】
演奏時間: 第1楽章 14:43 / 第2楽章 13:55 / 第3楽章 5:41 / 第4楽章 11:54
カップリング/チャイコフスキー:交響曲第6番[悲愴」、弦楽セレナード、序曲「1812年」、スラブ行進曲、ピアノ協奏曲第1番[ニコライエワ(P)]、聖キリュロスと聖メトディオスを祝う賛歌」、未完の幻想オペラ「マンドラゴーラ」より「花と昆虫の合唱」、バレエ組曲「白鳥の湖」、バレエ組曲「眠りの森の美女」、バレエ組曲「くるみ割り人形」、
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番、オラトリオ「森の歌」、
ストラヴィンスキー:春の祭典、ハチャトゥリアン:剣の舞、リムスキー・コルサコフ:スペイン奇想曲
ボロディン:ダッタン人の踊りと合唱;/行進、ムソルグスキー:はげ山の一夜、
イッポリトフ・イワーノフ:組曲「コーカサスの風景」、グリンカ:「ルスランとリュドミラ」序曲
“フェドセーエフだけのフレージングのセンスが完全に結実した画期的録音!”
 日本のビクター音楽産業がモスクワ放送響の創立50周年を記念してスタッフをモスクワに派遣して制作した7枚のCDのうちの1枚。これは、堂に入った名演などという言葉では片付けられません!細部にまで念入りなこだわりを込め、全ての表情が、こうする以外ありえないという確信を持って迫ります。どこを探してもルーティンに響く箇所はどこにもありません。第1楽章の冒頭のアンダンテのテンポから確信に満ち、歌うべきところとインテンポで造型を守り通す箇所のメリハリも明確。全てのフレーズが鉄の意志を持って意味深く訴え掛けてくるのです。音色が豊かで、フレージングが深いとはどういうことを言うのか、その究極の答えが第2楽章!下記の「ツボ」でもお分かりのとおり、あまりにも聴き所があり過ぎて困ってしまいますが、普通なら品位を落としそうなくらいテンポを落としてこってりと歌っても、雰囲気に決して流されず、推進力と流麗さを共に確保するなど、フェドセーエフ以外にはまず不可能と思われます。第3楽章の軽いテクスチュアも印象的で、この楽章全体を大きな流線型のフレーズとして捉えたような呼吸の妙も、他の指揮者は思いも寄らないことでしょう。神々しい終楽章も感動的。展開部の最後、266〜270小節(6:12)で、突如ホルンの持続音を突出強奏させるのには驚愕!スコアにそのような指示はありませんが、いきなり神の警告が発せられたような雰囲気を醸し出し、その緊張のうちに再現部へ突入するのですから、この感性のアンテナの感度とセンスには頭が下がります。ただスコアを目で追うだけの指揮者に、真っ先にこの凄さを知ってほしいところですが、聴かせたとしても受け入れる感性がなければ、ただ拒否反応を示すだけでしょう。この録音は、日本の技師が最新技術を引っさげて、まだ鉄のカーテンの向こう側だったソビエトに乗り込んで行われたセッションとして当時話題となったものですが、ソビエトのオケと言えば、メロディア録音の素朴極まりない音色のイメージしかなかった者にとっては、このピカピカの現代的な音は、あまりにも意外なものとして聞こえたものでした。しかし今聴くと、やはり隅から隅まで紛れもなくロシアンサウンドそのもので、フェドセーエフ特有のテヌートの使い道を心得た濃厚なフレージングも、十分に堪能できる録音であることを思い知らされます。ただ、ティンパニがやや遠めで、響きのエッジが甘く聞こえてしまうのだけが残念です。【湧々堂】
第1楽章のツボ
ツボ1 やや速めのテンポだが、本来のアンダンテの意味を考慮したのかもしれない。フレージングは粘らずに洗練されているが、深い佇まい。クラリネットの音色も濃厚なものではない。
ツボ2 弦の刻みのリズムが小気味よいが、決して浮き足立たない。ここも速めのインテンポだが、フレージングにピンと張り詰めた緊張が走る。弦にテーマが移ると、独特のテヌートで民族色を加味する。
ツボ3 多少勢いをつける。
ツボ4 特にスタッカートは意識していない。一定の緊張感が確実に保持されている。
ツボ5 スフォルツァンドは意識せず、通常のクレッシェンドとして処理。ここからテンポを落とし、弦の質感をガラッと変えるのが流石。
ツボ6 アニマートからさらにテンポを落としてこってりと歌い上げるのが、まさにフェドセーエフ節。
ツボ7 ピチカートは完璧に縦の線が揃い、原色の色彩を放射!繰り返される木管音型の太い音色、濃密なテヌートも民族色濃厚。これほど訴え掛けの強い演奏はない。
ツボ8 ここからまた一段テンポを落とし、息の長いフレージングを行い、胸に染みる。この弦の美しさ、均一の質感は、天下一品!
ツボ9 16分音符が克明に聞こえる。録音の良さもあるが、芯のある音色が見事に効を奏した結果だろう。
第2楽章のツボ
ツボ10 低弦をモゴモゴ停滞させず、確実な拍節感を打ち出している。この先徐々にピアニッシモにしてホルンが入るのが通常だが、最初のpのまま弾き続け、ホルンがどこからともなく聞こえてくる雰囲気を作るのも感動的。これもフェドセーエフならではの感性。ホルンは例によってヴィブラートが独特だが、それがかえって胸に迫り、サックスのような音色と明確な線を伴って伸びる奏法が見事で、フレージング、共感、技術、全てが完璧!続く、クラリネット、オーボエのソロも、その音色と完全に一致していて、美しい流れを築いている。少なくとも、冒頭第1音からここに至るまでの約3分間に関しては、過去の全録音の中でも最高峰だろう。
ツボ11 ここで決して大きな頂点を築かないのも独特。副次主題が弦で優しく奏でられる45小節からクラリネット・ソロが出る箇所までを、大きなスパン歌うことを目指しているような。こんなことは並大抵の共感や呼吸の持久力では不可能だと思うが、それを見事に実現して、透徹した未を表出している。
ツボ12 スコアどおり、ややテンポを上げて、見事に流れにメリハリを与えている稀少な例!クラリネット、ファゴットの力量も申し分なし。
ツボ13 前の部分から完全なインテンポ。この意志の強さ!
ツボ14 フォルティシシモをここでも突出させない。この後のフォルテ4つに備えている。テンポはかなり遅めで通し、フォルテ4つの手前でやっとテンポを落として爆発。その直後に、トランペットが音を外してしまうのがなんとも残念。
ツボ15 高潔の極み。
第3楽章のツボ
ツボ16 ストレートに突入。
ツボ17 全パートのテクスチュアが見事に均一化している。
ツボ18 楽章全体が一貫して軽いテクチュアで統一されているが、ここは程よく突出させ、技巧も万全。
第4楽章のツボ
ツボ19 テンポは標準よりやや速めで、すっきりと流す。
ツボ20 木管の音色が実に太く逞しい。ホルンは控えめ。
ツボ21 ティンパニは、主部冒頭で一撃を加え、あとは66小節までアクセントなしに徐々にクレッシェンド。テンポは中庸。
ツボ22 全く無視。
ツボ23 バスはかなり強力に主張。これに被さるクラリネットが強靭!
ツボ24 主部冒頭のテンポをとる。
ツボ25 弱い。
ツボ26 そのままインテンポ。
ツボ27 ことさら急速なテンポはとらない。全声部が輝き切っている!
ツボ28 8分音符は、完璧に本来の音価どおり。この後の全休止のフェルマータは無視し、そのままのテンポで運命動機に突入。
ツボ29 完全にマーチのテンポで、直進。弦運命動機のフレーズを途中で全く切らずに弾き続ける。
ツボ30 当然全てがレガート。しかも濃厚。
ツボ31 スコアどおり。
ツボ32 実によく鳴っている。
ツボ33 インテンポのまま突進。ティンパニが遠いにもかかわらず、確かな手応えを感じる。

チャイコフスキー:交響曲第5番
ウラディーミル・フェドセーエフ(指)
ベオグラード・フィルハーモニー管弦楽団
第2楽章ホルン・ソロ:
ユーゴスラヴィアRTB
230189(1LP)
録音:1988年6月11〜18日 ベオグラード Kolaratzホール(デジタル・ライヴ)
演奏時間: 第1楽章 14:50 / 第2楽章 13:43 / 第3楽章 5:44 / 第4楽章 12:17
カップリング/グリンカ:「ルスランとリュドミラ」序曲
“悲しみの「肯定」と「対決」を渾然一体化させた名解釈!”
 ベオグラード・フィルは、手兵のモスクワ放送響ほどの機能性と凄みはないものの、フェドセーエフの心血を注ぎきった解釈が縦横に張り巡らされて手応え十分。’81年の真面目な演奏から’98年のド迫力の名演に到達する過渡期の解釈の変遷を知る上でも興味深い録音です。暗い憂いに満ちた運命を受け入れつつも、それとどういう距離感で対峙していくか、それがフェドセーエフがこの曲に臨む際の一貫したテーマとなっているのではないでしょうか?その意味で、この88年盤は「憂い」と「対決」の両面をバランスよく配分していることが随所に感じられます。歌うべき箇所は徹底的に歌う。しかし涙に埋没しないのがフェドセーエフの大きな特徴ですが、そのスタイルを確立したのもちょうどこの頃ではないかと思われます。第2楽章142小節以降の弦の響きの層の厚み、呼吸の持久力は客演オケとの共演とは思えぬ感動的な仕上がり。終楽章の締めくくりも後の’98年盤をも凌ぐ凄みを見せること考えると、残響の多い録音でなければ、本来はより弾丸のような演奏として迫って来たかもしれません。なお、ライヴろくおんながら、拍手も会場ノイズもなし(グリンカでは後付けのような拍手有り)。【湧々堂】
第1楽章のツボ
ツボ1 よく歌い、暗い情感も出した素敵なフレージング。いかにもロシア的な粘着質のレガートが特徴的。テンポは標準的。
ツボ2 テンポは標準的。残響が多いので音のエッジが立っているようには聞こえないが、音楽自体はフェドセーエフらしい前向きさを示し、推進力もある。
ツボ3 あっさりと風のように通り過ぎる。
ツボ4 耽溺を避けて前を見据えることのみに集中した男らしい進行。
ツボ5 冒頭タイでつながった音符の音価を長めに取って独特の求心力を見せる。ただし、大きくテンポを落とすことはなく、推進力を確保している。
ツボ6 強弱の差はあえて大きく取らず、淡白なほどサラッと進行。
ツボ7 テンポは激変させず、表情も暗さを残したまま。
ツボ8 洗練されたフレージングが魅力的。ここでも感傷に浸らず、決然とした意志を絶やさない。
ツボ9 完全にインテンポ。冒頭16分音符は、テンポがやや遅めのため聞き取れる。その荘厳なテンポ感が最後まで続き、男性的な逞しさと憂いを混在させたニュアンスを結実させている。
第2楽章のツボ
ツボ10 弦の導入は一見平板にも聞こえるが、第2ヴァイオリンの自然な挿入も含め、フワっとした感触を醸し出そうとする意志が宿っていることが感じられ心に染みる。ホルンは、大きな揺らぎ持って微かに響かせるヴィブラートが絶品!音楽を感じきったフレージング・センスも抜群
ツボ11 鋭角的な爆発ではなく、大きな呼吸で高揚。ティンパニの音程がややずれている?
ツボ12 クラリネットはなかなか味わい深いが、フレーズ結尾で音を弱くしすぎるのが惜しい。テンポは大きな変化を見せない。
ツボ13 後年で顕著となる、全休止の空白をなるべく短く切り上げるフェドセーエフ独特の手法がここで出現。ポロンポロンと頬を撫でるようなピチカートでははなく、直前の短い休止も含めて、むしろテンポも上げているように感じるほどキリッとしたニュアンスを克明に印象付ける。なんというイナセな技!
ツボ14 冒頭だけでなく、弦全体がここまで一音ごことに全霊を傾けた演奏があっただろうか?143小節最後のタイで若干音量を弱めるが、これが全く恣意的ではなく、心の叫びとして胸を突き刺す!フォルテ4つへ到達するまでの感情の煽り加減も絶妙を極め、この箇所の最高位の演奏と讃えたいところだが、頂点でのティンパニの音がやはりピント外れ。あまりにも痛恨!
ツボ15 強弱の振幅を付けず、テンポも揺らさず、素直に進行。そういう演奏は他にいくらでもあるが、ここではそのニュアンスが、この先の希望の光を予感させるパワーを孕んでいる。
第3楽章のツボ
ツボ16 インテンポのまま。
ツボ17 残響が多めで、各パートの機敏な動きは体感しにくいが、ニュンスの連動は見事。
ツボ18 美しい一本のラインを形成している。
第4楽章のツボ
ツボ19 内に強さを秘めたフレージング。テンポは標準的。弦の独特のレガートがここでも見られるが、わずかに音楽を前のめりにさせる力を持ったレガートであることがここでもわかる。
ツボ20 ホルンは完全に裏方。
ツボ21 主部のテンポは98年盤ほどエキセントリックではなく標準的。ティンパニは常に同じ音量で響き続ける。81小節からの符点リズムを克明に表出
ツボ22 完全に無視。
ツボ23 残響が多めで力感をダイレクトに感じにくいが、渾身の演奏ではある。
ツボ24 主部とほぼ同じテンポ。
ツボ25 鈍い音。
ツボ26 そのままイン・テンポだが、音楽の力感を確実に増強させているのは流石。
ツボ27 直前で少しテンポを落とし、再び元のテンポ。トランペットにもう少し輝きが欲しいところ。
ツボ28 ティンパニはかなり盛大な鳴りっぷりだが締りがない。8分音符の音価はスコア通り。98年盤同様に、全休止をさっと切り上げているが、この時点ではまだその効果は結実しきっていない。
ツボ29 テンポはごく標準的だが、ロシア色全開の堂々たる進行。弦のクオリティの高さも印象的。
ツボ30 弦もトランペットも音を切るが、トランペットはやや曖昧。ただし、このトランペットの響きは絶品!
ツボ31 スコア通りで改変なし。各パートの音量配分にも小細工を一切加えないで、丸裸のまま鳴らす潔さ!
ツボ32 些細なことだが、538小節からのトランペットの4分音符2つの連打。これほどスパイスとして効果的に響いた例を他に聞いたことがない。それほどトランペットの響きが素晴らしい。ホロンは素朴な響き。
ツボ33 モルト・メノ・モッソ(546小節)以降は、明らかに98年盤を上回る響きの凝縮力と熱さ。最後の締めくくりも鉄壁のイン・テンポで手応えが凄い!

チャイコフスキー:交響曲第5番

ウラディーミル・フェドセーエフ(指)
モスクワ放送交響楽団
第2楽章ホルン・ソロ:
Relief
CR-991051(1CD)
録音:1998年10月 モスクワ音楽院大ホール 【デジタル・ライヴ】
演奏時間: 第1楽章 14:15 / 第2楽章 13:13 / 第3楽章 5:34 / 第4楽章 11:30
カップリング/チャイコフスキー:ロメオとジュリエットのデュエット(未完のオペラより) 、歌劇「スペードの女王」〜3曲
“フェドセーエフが全身を捧げつくした、史上最強のド迫力!”
 1981年盤のスタイルをさらに高密度化し、強弱対比、テンポの変動、ニュアンスの陰影、オケの気迫、全ての点で、フェドセーエフの最良のエキスを出し尽くした驚愕の名演です!「チャイコフスキー記念」という名を冠しているだけに、このコンビのチャイコフスキー演奏の自信と確信は、どの曲を聴いても並大抵のものではないですが、それを知っていても、この演奏の白熱ぶりは、にわかに信じ難いほどです。特に、前回の録音で弱かったティンパニが、この録音では、センス満点の最強打で絶妙な効果を誇示し続け、第2楽章の最高潮点、終楽章の主部突入、運命動機がマーチ風に斉奏する部分、そしてコーダと、ここはというポイントでの激烈な轟きは空前絶後!同じ強打でも、テミルカーノフ&レニングラード盤の叩きっ放し状態とは、まるで次元が異なります。いかにもロシア的な色彩と、フェドセーエフ独自の洗練されたフレージングセンスの巧妙なブレンド感もますます全開!このコンビによる完熟の妙技を味わう上でも、男性的な造型を志向したチャイ5の最右翼を体感する意味でも、オーケストラ・ファンなら、知らないでは済まされません!【湧々堂】
第1楽章のツボ
ツボ1 やや速めのテンポ。録音のせいかクラリネットの音色がやや曇り気味だが、深いニュアンスが伝わる。弦共々、一息で包み込むようなフレージングが特徴的。
ツボ2 ここの木管の一連の旋律も、やや音が曇り気味。全体に弱音ながら、強靭な力を感じる。
ツボ3 多少勢いをつける。
ツボ4 特にスタッカートは意識せず、音量も弱めないで推進性を尊重。
ツボ5 '81年盤より陰影が濃く、アゴーギクも濃厚。冒頭の隊で繋がった音符のカロリーかは当代随一!
ツボ6 ここからさらにテンポを落とし、コッテリと歌いぬく。強弱のさも大きい。アニマート以降もそのテンポを踏襲。
ツボ7 ピチカートはさらっと流す木管の跳躍音型をいちいちクレッシェンドして、全体に大きな呼吸の弧を描く。
ツボ8 ここからまた一段テンポを落とし、息の長いフレージング、ニュアンスの深さは胸に染いり、'81年盤と甲乙つけがたい。
ツボ9 16分音符は、克明ではないが聞き取れる。それくらい音が立っている。テンポは特に速めず、リズムが峻厳に際立ち、威厳を湛えながら最後の一音まで完全にインテンポで通す。
第2楽章のツボ
ツボ10 低弦の音像が明快。ホルンが吹き始めても音量を落とさないのは'81年盤と同じ。そのホルンもヴィブラート濃厚だが、実に美しく。呼吸感も万全。
ツボ11 頭でティンパニが意味深く轟き感動的。弦のニュアンスも入念を極め、魂のこもってない音など全くない。
ツボ12 スコアどおり、ややテンポを上げ、クラリネット、ファゴットも一見淡白に思えるほどさらっと流すが、独特の翳りがある。
ツボ13 直前の全休止の前の部分から完全なインテンポ。この意志の強さ!
ツボ14 フォルティシシモでティンパニを強打、フォルテ4つでさらに最強打。スコアの指示の意味を忠実に再現している。
ツボ15 透明度の高いピアニッシモ。フルートをさり気なく絡ませるのが心憎い。
第3楽章のツボ
ツボ16 ほとんどテンポを変えず入る。
ツボ17 完璧なアンサンブル。全パートが平等に発言。
ツボ18 一音ごとの立ち上がりは明確でないが、流れに完全に乗っている。
第4楽章のツボ
ツボ19 テンポは標準より相当速めで、推進力抜群。しかも呼吸の弾力が凄い。
ツボ20 ホルンをかなり強調。
ツボ21 ティンパニは、主部冒頭で最強の一撃を加え、62と66小節で壮絶な強弱の山を築く。減の決死の切り込みと共に、高カロリーの突進力が尋常ではない!
ツボ22 全く無視。
ツボ23 野性味満点で強力に張り出す。
ツボ24 主部冒頭のテンポをとる。
ツボ25 ここだけを強調せず。前の部分と同じ音量で強打。この些細な瞬間にさえ、フェドセーエフの一貫した構築の冴えを感じずにはいられない。
ツボ26 そのままインテンポ。
ツボ27 ことさら急速なテンポはとらない。ティンパニの最強連打と共に灼熱の畳み掛け!
ツボ28 8分音符は、完璧に本来の音価どおり。この後の全休止のフェルマータは無視し、そのままのテンポで運命動機に突入。'81年盤と同じだが、意志の強さが只事ではない!
ツボ29 完全にマーチのテンポで、直進。弦運命動機のフレーズを途中で全く切らずに弾き続ける。
ツボ30 当然全てがレガート。
ツボ31 スコアどおり。
ツボ32 割れんばかりの雄叫び!
ツボ33 快速インテンポのまま突進。ティンパニが、これほど強打の意味を痛感させる演奏はほかにない!


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